ETC障害、後払い不要 中日本高速 支払い済みなら還元[2025/05/03 日本経済新聞 朝刊 13ページ 312文字 PDF有 書誌情報]
中日本高速道路(NEXCO中日本)は2日、4月上旬に発生した自動料金収受システム(ETC)の障害を巡り、利用者に料金を請求しないと発表した。支払いの申し出を求めていた方針を変更する。
料金を支払った利用者に対しては同額をマイレージサービスなどで還元する。記者会見した縄田正社長は方針転換の理由を「混乱を招いたおわびと、不公平感を解消するため」と説明した。
障害発生時には渋滞を防ぐためレーンのバーを開放する措置をとった。当日は料金所でETCカードやクレジットカード、現金で支払いを受け付けたほか、未払いの利用者に対し同社のウェブサイト経由で後払いするよう呼びかけていた。
未払いの利用者に対する支払いの呼びかけも終了した。
金融詐欺の世界史 ダン・デイヴィス著(短評)[2025/05/03 日本経済新聞 朝刊 25ページ 341文字 PDF有 書誌情報]
■『金融詐欺の世界史』
ダン・デイヴィス著
欧米の金融詐欺の歴史を豊富なエピソードを交え、わかりやすく解説した。著者は民間金融機関などを経て、英中銀イングランド銀行で金融規制を担当したエコノミスト。いわば取り締まる側と取り締まられる側の両方の経験を基に、金融詐欺の通史をたどった。
金融危機が数十年単位で繰り返すように、金融詐欺・犯罪も数年単位で大事件を繰り返す。本書はいかにお金の面で人間が愚かで浅はかな存在であるかを改めて思い起こさせてくれる。
最近では暗号資産(仮想通貨)をめぐる巨額詐欺事件が話題となった。本書が近年の事例まで網羅していないのは残念だが、事実は小説より奇なり。読者は時にスリリングな金融詐欺の「物語」にひかれるかもしれない。大間知知子訳。(原書房・3960円)
手形・小切手、来年3月末発行終了[2025/05/03 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 283文字 PDF有 書誌情報]
香川銀行は手形帳と小切手帳の発行受け付けを2026年3月31日に終了する。政府の手形や小切手の全面的な電子化への取り組みに対応する。代替手段として、決めた期日に銀行間で代金を自動送金する「電子記録債権(でんさいサービス)」や、「インターネットバンキング」などの電子決済サービスの利用を促す。
署名判印刷サービスも26年3月末で終了する。すでに発行している手形や小切手については、発行終了日を過ぎても引き続き利用できるという。
香川銀は「今後もお客様のデジタル化や業務効率化の支援を行っていく。発生が見込まれる決済資金需要にも手厚い金融支援を行っていく」としている。
基幹・決済システム刷新 ながの東急 支払い時間を短縮[2025/05/03 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 367文字 PDF有 書誌情報]
ながの東急百貨店(長野市)は2025年度から、商品や顧客管理の基幹システムを刷新し、新たな決済システムも導入した。基幹システムはアイティフォーの小売業向け基幹システム「RITS(リッツ)」、決済も同社のマルチ決済型端末「iRITSpay(アイリッツペイ)」を採用した。レジや決済端末などの周辺機器を約130台分入れ替えており、様々な決済手段に素早く対応できるようにして顧客満足度を向上させる。
ながの東急は約3年前から基幹システム刷新に取り組んできた。従来はながの東急向けに開発されたシステムを採用していたが、初期投資やランニングコストを抑えるため、アイティフォーの百貨店向けシステムの採用を決めた。
新たな決済端末は1台でクレジットカードやコード決済などに対応でき、買い物客の決済待ち時間を短縮しつつ、従業員の作業の手間も減らす。
クレカの国際ブランド、複数枚つくるなら別々に(ポイント賢者)[2025/05/03 日経プラスワン 3ページ 720文字 PDF有 書誌情報]
国際ブランドがついているクレジットカードが主流となっています。国際ブランドとはVisa(ビザ)、マスターカード、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブなどです。これらのマークがついているクレカは、同じマークのある加盟店で利用できます。
複数の国際ブランドを選べるクレカもあります。例えば、年会費無料の楽天カードではVisa、マスターカード、JCB、アメリカン・エキスプレスから選択できます。一方、一つの国際ブランドしか選べないクレカもあり、例えば年会費無料のセブンカード・プラスはJCBのみです。
複数のクレカを持つ場合、異なる国際ブランドにしましょう。JCBを持っていれば、次につくるクレカはVisaにするなどです。全て同じ国際ブランドの場合、そのブランドが使えなければクレカ決済ができなくなります。
国際ブランドのキャンペーンも注目です。Visaではキャンペーン専用登録ページ「Visa割」にカード番号を登録し、キャンペーン条件をクリアするとキャッシュバックなどの特典があります。5月末までは、対象クレカをVisa割に登録して1回1000円以上、「アップルペイ」でVisaのタッチ決済を利用すると、抽選で1回最大500円のキャッシュバックが当たります。
JCBでは、毎年クリスマスシーズンに東京ディズニーランドの貸し切りなどに抽選で参加できるキャンペーンを実施しています。JCBが発行するクレカだけでなく、楽天カードやPayPayカード、ビューカードなどのJCBブランドのカードも対象です。
カード発行会社のwebサイトだけでなく、国際ブランドのwebサイトでもキャンペーンを確認してみましょう。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
香川銀行、26年3月末に手形と小切手の発行終了[2025/05/02 17:55 日経速報ニュース 283文字 ]
香川銀行は手形帳と小切手帳の発行受け付けを2026年3月31日に終了する。政府の手形や小切手の全面的な電子化への取り組みに対応する。代替手段として、決めた期日に銀行間で代金を自動送金する「電子記録債権(でんさいサービス)」や、「インターネットバンキング」などの電子決済サービスの利用を促す。
署名判印刷サービスも26年3月末で終了する。すでに発行している手形や小切手については、発行終了日を過ぎても引き続き利用できるという。
香川銀は「今後もお客様のデジタル化や業務効率化の支援を行っていく。発生が見込まれる決済資金需要にも手厚い金融支援を行っていく」としている。
ながの東急百貨店、基幹システムと決済システム刷新 利便性向上へ[2025/05/02 17:30 日経速報ニュース 366文字 ]
ながの東急百貨店(長野市)は2025年度から、商品や顧客管理の基幹システムを刷新し、新たな決済システムも導入した。基幹システムはアイティフォーの小売業向け基幹システム「RITS(リッツ)」、決済も同社のマルチ決済型端末「iRITSpay(アイリッツペイ)」を採用した。レジや決済端末などの周辺機器を約130台分入れ替えており、様々な決済手段に素早く対応できるようにして顧客満足度を向上させる。
ながの東急は約3年前から基幹システム刷新に取り組んできた。従来はながの東急向けに開発されたシステムを採用していたが、初期投資やランニングコストを抑えるため、アイティフォーの百貨店向けシステムの採用を決めた。新たな決済端末は1台でクレジットカードやコード決済などに対応でき、買い物客の決済待ち時間を短縮しつつ、従業員の作業の手間も減らす。
NEXCO中日本、ETCシステム障害時の利用料金還元について発表[2025/05/02 16:32 日経速報ニュース 1558文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年05月02日
ETCシステム障害時のご利用料金について(お知らせ)
中日本高速道路株式会社(名古屋市中区 : 代表取締役社長 縄田正)が管理する高速道路で4月6日(日)~7日(月)に、広域的なETCシステム障害が発生し、ご利用のお客さまをはじめ多くの皆さまに、多大なるご迷惑をおかけしましたことを、あらためて心よりお詫び申し上げます。
先般、システム障害の原因について公表したところですが、障害が発生した料金所の中に、ETCの無線通信を継続していた料金所があり、原因の確定後に課金データの確認作業を進めた結果、本日までに記録データが正常であることが判明しました。ETCの無線通信を継続していた料金所において正常に無線通信が行われたお客さま(但し、ETCコーポレートカードのお客さまを除く)および一般レーン等においてETCクレジットカード、ETCパーソナルカード、クレジットカード(注1)でお支払いいただいたお客さまには、カード会社等を通じてお支払い手続きが進んでいるところです。しかしながら、事態の重大性に鑑み、障害が発生した料金所の出口を利用されてお支払いいただいたお客さまに対しまして、後日、ご利用料金と同額のETCマイレージサービスの還元額の付与などにより還元をさせていただくことといたしました。
ETCコーポレートカードで無線通信が行われたお客さま及び一般レーン等においてETCコーポレートカードでお支払いいただいたお客さまには、ご利用料金と同額を高速道路会社からの今後の請求分から減額することで還元させていただきます。
また、現金等でお支払いいただいたお客さまに対しましても、お申し出により、ご利用料金と同額相当のクオカードにより還元させていただきます。詳細は別紙をご確認ください。
現在当社WEBサイト上等で、お支払手続きのお申し出をいただいたお客さまには、本来請求させていただくご利用料金と還元する額を同額とさせていただきますので、ご利用料金はご請求しないことといたしました。このため、当社WEBサイト上等でのお支払手続きのお申し出の受付は本日をもって終了させていただきます。
なお、今後については、今回と同様の事象が生じた場合は、ETC通信を切らずに、速やかにバーを開ける措置をとることで、お客さまに渋滞などのご迷惑をおかけすることなく、通常のお支払い手続きをとっていただくことができると考えております。
さらに、今回を超えるETC障害、例えばETC通信が全くできなくなった場合や、課金機能が正常に機能しなくなった場合などの料金徴収については、危機対応マニュアルの策定に向けた検討の中で、引き続き検討を進めてまいります。
今回の事態を深く反省し、二度と繰り返すことのないよう、組織一丸となって取り組んでまいります。
【カード会社等を通じて通行料金を請求予定のお客さま】
・ETCレーンを正常に無線通信し通過できたお客さま(但し、ETCコーポレートカードのお客さまを除く)
・一般レーン等においてETCクレジットカード、ETCパーソナルカードやクレジットカードでお支払いをいただいたお客さま
※注1 クレジットカードは、ETCカード(注2)以外のクレジットカードを指します。以下同じです。
※注2 ETCカードは、ETC車載器に挿入してご利用いただくETCクレジットカード・ETCパーソナルカード・ETCコーポレートカードを指します。以下同じです。
*別紙は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
別紙
https://release.nikkei.co.jp/attach/690607/01_202505021630.pdf
薄れゆく日銀「年内利上げ」予想 米景気次第で利下げも?[2025/05/02 15:05 日経速報ニュース 1661文字 ]
日銀が4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示した2025~27年度までの新たな成長率と物価の見通しは市場関係者に衝撃を与えた。日銀の利上げ時期の後ずれは避けられないとして、見通しを変える動きが相次いでいる。
ゴールドマン・サックス証券は次の利上げ時期を従来の7月から26年1月に変更した。モルガン・スタンレーMUFG証券は9月の追加利上げをベースとしていたシナリオを修正し、26年末まで政策金利が据え置かれると見込む。2%物価目標の達成時期を先送りしたとの受け止めが拡大し、年内の利上げ予想が大きく後退している。
日銀は1日に政策金利を現行の0.5%で据え置いた。同時に公表した展望リポートでは生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを2025年度は2.2%(前回1月は2.4%)、26年度は1.7%(同2.0%)に見直した。「下方修正の度合いは想定以上」(SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジスト)との声が多く、日銀は次の利上げに慎重な「ハト派」との解釈が広がった。国内金利には低下圧力がかかり、株高・円安の流れが強まっている。
ゴールドマン・サックス証券の大谷聡経済調査顧問を中心とするチームは1日付のリポートで「各国の通商政策と海外経済の動向に関する不確実性が極めて高い状況にあるもとで、基調的物価の2%達成時期が後ずれなどを踏まえ、日銀の利上げに関する我々の予想を修正する」と説明。「従来の7月から半年後ずれさせ、来年1月とする」とした。そのころには来年の春季労使交渉(春闘)における賃金上昇のモメンタム(勢い)を確認できるためという。
日銀の植田和男総裁は1日の決定会合後の記者会見で、基調的物価上昇率について「2%に収束していく姿から、いったん足踏みを経てまた上昇する姿に、やや修正した」などと述べた。「物価上昇率が伸び悩むときに無理に利上げをすることは考えていない」とも語り、米関税政策による国内の経済・物価への影響を慎重に見極める考えを示した。米関税政策で国内輸出企業などの業績に影響が出れば、これまで続いてきた賃上げ機運に水を差しかねず、ひいては基調的物価を押し下げる可能性もあるというわけだ。
モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅日本チーフ・エコノミストは1日付リポートで、「日銀は輸出企業の収益悪化が冬の賞与や来年の春闘に悪影響を及ぼす可能性を特に懸念しているようにみえる」と分析。9月の利上げ予想を「リスクシナリオ」に格下げした。米景気減速などを考慮し、今後は「日銀は26年末まで0.5%程度の政策金利を据え置く」という予測を前面に出す。
バークレイズ証券の馬場直彦チーフ・エコノミストは1日付のリポートで「(日米の関税交渉中の90日間で)利上げの実施には不確実性を消化するのに必要な時間の見極めができず、日銀自身も次の利上げのタイミングについて先が読めない状況だろう」と日銀の立場を推し量った。そのうえで「利上げには『待ち』のシグナルが明確に点灯している。これまで我々は長く追加利上げのタイミングを7月としてきたが、後ずれリスクが大きく高まっている」とまとめた。
トランプ米政権の関税政策によって米景気が悪化すれば、米連邦準備理事会(FRB)の利下げなどによって円安が進みにくくなる点にも市場の関心は向かう。日銀が輸入物価の上昇に配慮して利上げを急ぐ必要性が薄れるからだ。
SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは2日付のリポートで「2024年の円相場の平均である151円台半ばよりも円高・ドル安の水準が続けば、(少なくとも輸入品に限れば)物価の上昇率は鈍化する公算が大きい」とみる。もちろん足元のコメ価格のように為替変動とは直結しない分野も少なからずある。それでも、野地氏は「大幅に円高が進めば利下げも俎上(そじょう)に載るかもしれない」とし、頭の体操の必要性を訴えていた。
〔日経QUICKニュース(NQN) 吉井花依〕
株、チャートの窓埋め5分の3達成 ベアマーケットラリーか焦点[2025/05/02 14:36 日経速報ニュース 1402文字 ]
日本株の戻り相場が続いている。2日は日経平均株価が一時、節目の3万7000円に迫り、3月後半以降の急落相場でチャート上に空けた5つの「窓」のうち3つ目の窓まで埋めた。明日からの大型連休明け後に、残る2つの窓埋めへの期待が高まる。
2日午前の日経平均は前日比524円(1.43%)高の3万6976円まで上昇する場面があった。トランプ米政権の関税政策を警戒する形で3月後半から始まった急落相場で、3月31日の高値(3万6440円)と同28日の安値(3万6864円)との間にできた窓埋めを達成した。下落相場における窓は前日の取引時間中の安値と当日の同高値で重なる価格帯がないために生じる空白地帯を表す。
3月後半からの急落相場では5つの窓を空け、きょうまでの戻り相場で3つを埋めたことになる。残るは3月27日の安値(3万7556円)、同26日の安値(3万7873円)となる。相場格言「埋めない窓はない」を意識するなら、チャート上で空けた窓はいつかは埋まることになる。戻り相場では窓埋めが早ければ早いほど、売り方の買い戻しが活発化するため、想定以上の上昇につながることも多い。
日銀は追加利上げに慎重な「ハト派」のスタンスに転じたとみられる。1日に現状維持を決めた日銀の金融政策決定会合を振り返り、モルガン・スタンレーMUFG証券などで利上げ時期の後ずれを予想する声が相次いでいる。日銀が物価目標の達成時期を後ずれさせることで市場の利上げ観測を抑え、足元の長期金利の低下につなげる――。かつて日銀が実施した超低金利政策の長期化を約束して長期金利の低下を促す「時間軸政策」の再来を意識する市場参加者もいる。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは日銀のスタンス変更は「円・ドル相場の上値を抑え、日本株の下支え要因として機能する」との見方を示す。
米商品先物取引委員会(CFTC)の投機筋の対ドルでの円の買越幅は4月22日時点で17万7814枚と過去最高水準だ。商品投資顧問(CTA)が円高と株安を想定して形成する「円買い・株価指数先物売り」の持ち高の積み上がりとみれば、先物売りは相応の規模で膨らんでいることになる。
野村証券の推計によると、4月25日時点の外資系証券の日経平均先物の建玉(未決済残高)は差し引き5万4123枚の売り越し。円買いの持ち高とセットとみられる先物売りはほとんど買い戻しが進んでいない状況だ。「仮に全ての売り持ち高を買い戻した場合、日経平均は3万8500円まで戻る余地がある」(野村証券の藤直也エクイティ・ストラテジスト)との試算になる。
もっとも、ベアマーケットラリー(弱気相場の中での一時的上昇)の可能性も残る。日経平均が4月7日に付けた年初来安値(3万1136円)では、1月8日の年初来高値(4万0083円)からの下落率が2割を超え、中長期の相場低迷を示唆する「弱気相場」入りとなった。
弱気相場は、直近安値から2割以上上昇する「強気相場」入りでひとまず否定することになる。日経平均の強気相場入りの水準は3万7363円。計算上はこの水準まで戻ってベアマーケットラリー脱却となる。日本は明日から大型連休に入る。連休明け後はベアマーケットラリーの否定から入ることができるのかどうかに関心が高まる。
〔日経QUICKニュース(NQN) 張間正義〕
<東証>三越伊勢丹が8日ぶりに反落 モルガンMUFGが投資判断下げ[2025/05/02 12:35 日経速報ニュース 379文字 ]
(12時35分、プライム、コード3099)三越伊勢丹が8営業日ぶりに反落している。午前に前日比53円50銭(2.88%)安の1804円まで下げた。午後も安い。モルガン・スタンレーMUFG証券が1日付で三越伊勢丹の投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエート」から真ん中の「イコールウエート」に引き下げ、売りを促しているようだ。
目標株価は従来の3200円から2200円に下げた。モルガン・スタンレーMUFG証券の古川藍株式アナリストらは1日付リポートで、米関税政策による世界景気の先行き不透明感が払拭されていないなか、三越伊勢丹の事業の景気敏感度が小売業界内で相対的に高い点を考慮したと指摘。さらに「三越伊勢丹が強みを有する高額品消費が再度活況を呈するにはやや時間を要する可能性が高くなってきた」との見方を示した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
<米国・時間外>ブロック急落 25年通期見通しを下方修正[2025/05/02 08:29 日経速報ニュース 614文字 ]
(コード@XYZ/U)1日夕の米株式市場の時間外取引で、決済サービスのブロックが急落している。通常取引を前日からほぼ横ばいの58.48ドルで終えた後、時間外では一時47ドル台前半まで売られて終値を約19%下回った。同日夕に2025年12月期通期の売上総利益などの見通しを下方修正し、嫌気した売りが膨らんだ。
25年12月期は売上総利益が99億6000万ドルになるとした。従来予想(102億2000万ドル)から引き下げ、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(102億ドル程度)を下回る見込みだ。調整後の営業利益見通しも19億ドルと従来予想(21億ドル)から下方修正。「経済見通しについてより慎重な立場を反映した」という。25年4~6月期も売上総利益などは市場予想を下回るとみている。
あわせて発表した1~3月期決算では売上高が前年同期比3%減の57億7179万ドルと市場予想(61億9000万ドル程度)を下回った。サブスクリプション(定額課金)型収入が増えたものの、ビットコイン関連収入の落ち込みが響いた。
後払い決済「アフターペイ」などを含む個人間送金アプリ「キャッシュアップ」部門では売上総利益が10%増の13億8000万ドルとなり、市場予想(14億2000万ドル程度)に届かなかった。特別項目を除く1株利益は0.56ドルと市場予想(0.97ドル程度)を大幅に下回った。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
今日の株価材料(新聞など、2日)ヤマトHDの今期、営業益2.8倍 個人向け宅急便値上げ[2025/05/02 07:24 日経速報ニュース 590文字 ]
▽ヤマトHD(9064)の今期、営業益2.8倍 個人向け宅急便値上げ(日経)
▽エプソン(6724)の今期、純利益26%減 米関税で完成品の需要減(日経)
▽デリカフHD(3392)の今期、経常益最高 野菜高騰で価格転嫁(日経)
▽協和キリン(4151)の1~3月期、純利益58%減 開発費増加(日経)
▽米アップルの1~3月期、純利益5%増 関税前駆け込み、iPhone2%増収(日経電子版)
▽エーザイ(4523)、25年3月期の認知症薬の売上高443億円(日経電子版)
▽SOMPO(8630)傘下の損保ジャパン、顧客情報7万件流出か サイバー攻撃で(日経)
▽ゼンショHD(7550)のすき家、4月全店売上高20%減(日経)
▽コカBJH(2579)、希望退職に400人応募(日経)
▽JFE(5411)傘下のJFEエンジニアリング、外食4社と食品ロス発電 2300店から回収 F&LC(3563)のスシローなど、リサイクル加速(日経)
▽物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日本製鉄(5401)による買収に期待(ロイター通信)
▽植田総裁、米関税「不確実性高い」 日銀、今年度0.5%成長に下げ 利上げ継続へ正念場(日経)
▽ビットコイン、再び10万ドルの大台に接近-リスク選好の回復追い風(ブルームバーグ通信)
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
4月前半の消費3.0%増 酒屋、値上げ響く(短信)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 5ページ 124文字 PDF有 書誌情報]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく4月前半の消費データを発表した。名目で前年同期比3.0%増えたものの、3月後半より伸びは鈍化した。旅行の消費が減速したほか、4月からの値上げの影響で酒屋の消費も落ち込んだ。
米企業の不祥事 取り締まり緩和 トランプ政権、100社超の調査停止・撤回[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1257文字 PDF有 書誌情報]
詐欺や賄賂増加の恐れ
【ニューヨーク=吉田圭織】トランプ米政権が企業の犯罪取り締まりを緩め始めた。米市民団体パブリック・シチズンによれば、不祥事で告発を受けた100社以上に対する当局調査の停止や撤回を指示した。専門家はホワイトカラー犯罪が今後急増する恐れがあると警告している。
パブリック・シチズンの調べでは、1月にトランプ政権が発足して以降、不祥事企業に対する取り締まりを急速に緩めている。これまでに当局が調査していた72件を停止し、54件は撤回した。
米消費者金融保護局(CFPB)や米証券取引委員会(SEC)が調べていた案件が多い。
3月下旬には、無登録の証券取引を繰り返したとされる暗号資産(仮想通貨)会社、クリプト・ドット・コムへの調査を取りやめた。
2月には、ホテルブランドのホリデー・イン・エクスプレスなどへの訴訟を撤回した。トランスジェンダー(出生時の性と自認する性が一致しない人)の従業員に対して差別していた疑いが出ていた。
トランプ政権は3月下旬にも、詐欺罪で有罪判決を受けていた電気自動車(EV)の新興メーカー、米ニコラの創業者トレバー・ミルトン氏に恩赦を出した。
意図的にマネーロンダリング(資金洗浄)対策を取っていなかった仮想通貨交換業ビットメックスの共同創設者3人にも同様の赦免措置を出した。
企業だけではない。収賄や詐欺の罪に問われていた米東部ニューヨークのエリック・アダムズ市長に対する起訴の棄却が4月上旬に決まった。アダムズ市長はバイデン前政権下の2024年9月、トルコ政府に便宜をはかる代わりに賄賂を受けとっていた疑いなどで連邦検察から起訴されていた。
背景にはホワイトカラー犯罪に対する米政権の大きな方針転換がある。
トランプ氏は25年2月に「海外腐敗行為防止法(FCPA)」の見直しや執行停止を命じる大統領令を出した。外国公務員への贈賄を罰する法律だが、トランプ氏は「FCPAによる予測不可能な取り締まりが米企業の競争力を損なっている」と主張する。
米国の企業犯罪の取り締まりはこれまで世界各国の規制に大きな影響を与えてきた。
たとえばFCPAは日本のロッキード事件をきっかけに1977年に導入した。その後、経済協力開発機構(OECD)の外国公務員贈賄防止条約、国連腐敗防止条約といった国際ルールの整備につながる端緒となった。
それだけにトランプ政権の取り締まり緩和に危機感を持つ専門家が増えている。
公共部門の汚職を調査する非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)」のフランソワ・ヴァレリアン会長は「世界的に賄賂が再び容認されるという危険なシグナルを送りかねない」と警告している。
米連邦預金保険公社(FDIC)で銀行規制を担当していたロス・デルストン弁護士は「トランプ政権が続く今後4年間、詐欺などの金融犯罪が爆発的に増える」と予想する。そのうえで「マネロンやテロ資金を出す犯罪者に米国を本拠地として悪用することを許してしまう」と指摘した。
ジェーシービー(会社人事)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
ジェーシービー
(6月1日)常務執行役員総合企画部・経理部・総務部副担当、丹後健史
ビットコイン 逆回転リスク、9万ドル回復後 上値重く 企業の大口売り警戒(ポジション)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1347文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインで潜在的な売り需要が相場の重荷だ。過去の上昇局面で事業法人が大口保有を始めていたためだ。9万ドル台まで戻した後の上値は重く、1月に最高値をつけたときほどの高揚感はない。財務リスクを抱えた企業の戻り売りが懸念されている。
「資金調達が困難になれば保有ビットコインを売却する可能性がある」。4月上旬、世界最大のビットコイン保有企業である米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)が米証券取引委員会(SEC)に出した臨時報告書「フォーム8K」の一文は、投資家の買い控えを招いた。
4月末時点の1BTC(ビットコインの単位)あたりの平均取得価格は6・8万ドル。文言は一般的なリスク開示事項だが、相場が弱含む中で「7万ドルを割り取得価格に近づけば本格売りに転じるのでは、との見方が広がった」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)。
情報サイトの米コインマーケットキャップによると、ビットコインは日本時間1日午後5時時点で1BTC=9万5000ドル台(約1300万円)。4月上旬の安値(7万4000ドル台)比3割上昇後、一巡感も漂う。
世界の仮想通貨保有量を追跡するウェブサイトであるビットコイン・トレジャリーズによると、上場企業のビットコイン保有量は約76万BTC(約10兆円)と24年末比で2割増。より高い価格帯から買った企業は多い。
米医療機器メーカーのセムラー・サイエンティフィックは2~4月にビットコインを追加購入し、保有量が3303BTC(約450億円)に達したと4月25日に発表した。24年5月から保有を始め、平均取得単価は8・7万ドル。
24年の上昇局面終盤に保有を始めた企業では、平均取得単価割れを起こしているとみられる企業もある。半導体集積回路(IC)を手掛ける中国の浙江豪微科技(ナノ・ラブズ)は、24年12月に平均単価9・9万ドル、25年1~4月に同9・7万ドルで購入した。
国内の保有企業では「日本版ストラテジー」の異名を持つ東証スタンダードのメタプラネットが最大だ。4月時点の保有量は5000BTC(約680億円)、平均取得単価は8・5万ドル。メタプラ株は保有を始めた24年4月から約20倍に急騰した。
東京証券取引所が時価総額などの上場維持基準の厳格化を進める中、手っ取り早い株価の引き上げ手段としてビットコイン保有が株式市場の一部でひそかに注目される。4月にはスタンダード上場のカジュアル衣料製造ANAPホールディングスが新規購入を発表し、3月にはニッケル地金のエス・サイエンスも保有意向を示した。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「投資家層の広がりは相場にポジティブだが、下落局面では財務リスクの高い企業による投げ売りが広がる可能性がある」と警戒する。購入を決めたある企業は「今後もし保有中に大きな損失が膨らむ状況となれば売却もあり得る」とする。
米マイニング(採掘)のクリーンスパークは4月15日、採掘したビットコインの全てを長期保有する戦略から、一部売却し事業運営に充てる方針へ転換すると発表した。トランプ米政権の政策に世界の金融市場が右往左往する中、大口保有企業の懐事情にも警戒が必要だ。(河井優香)
デジタル名刺 交換で「♪エイト」 Sansan、効果音で確認しやすく[2025/05/02 日経MJ(流通新聞) 3ページ 338文字 PDF有 書誌情報]
名刺管理サービスを手掛けるSansanは同社の名刺管理アプリ「Eight(エイト)」でQRコードを使って名刺交換した際、スマートフォンから効果音が鳴るように変更した。これまでは無音で、きちんと交換できたか分かりづらかった。アプリの認知度向上も狙う。
名刺情報が相手に送られたタイミングで「♪エイト」という音と振動が発生する。受け取り側も名刺管理アプリを使っている場合は相手のスマホにも同様の反応がある。
Sansanはデジタル名刺の普及を推進している。Eight事業部の片芝亮友プロダクトマネジャーは「コンビニなどで電子マネーが決済時に鳴っているのを耳にする体験から着想した」と話した。
【図・写真】Sansanの名刺管理アプリ「Eight(エイト)」を使ったデジタル名刺交換
松坂屋名古屋店、開業100周年 「栄」開発の中核に 地区一体での誘客模索[2025/05/02 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1344文字 PDF有 書誌情報]
松坂屋名古屋店(名古屋市)は1日、本館を栄地区の現在の地を構えてから100年を迎えた。同店は名古屋の最古の百貨店だ。松坂屋はJ・フロントリテイリングの傘下となったが、名古屋を重要エリアの一つと定める。地区一帯の開発で2027年度には23年度比50億円以上の増益を目指す。
午前10時、松坂屋名古屋店本館の前には長い列がつくられた。松坂屋のファンという30代女性は「母も松坂屋が大好きで思い出がある。これまでの人生は松坂屋と一緒だった」と目を細めた。
同日開いた100周年の記念式典では鏡開きを実施し、たる酒が振る舞われたほか、松坂屋の商標を焼き印した老舗和菓子店の両口屋是清(名古屋市)の主力商品「千なり」を配布した。
松坂屋名古屋店の斉藤毅店長は「創業時の精神は変わらず、時代に合わせた新しい体験価値を提供していきたい」と話した。
1611年、松坂屋の前身の「伊藤屋」が創業。1910年には名古屋初の百貨店として開業した。
1925年に久屋大通沿いの現在の場所に店舗を移転し、商号を「松坂屋」に変更した。松坂屋はかつて、名古屋鉄道や中部電力などと並び名古屋の名企業集団「五摂家」に名を連ねた。1970年代には名古屋駅店(名古屋市)や岡崎店(愛知県岡崎市)など愛知県内に複数の店舗を構えた。
2000年以降、電子商取引(EC)などの台頭で百貨店消費が低迷。07年に松坂屋は大丸と経営統合し、J・フロントリテイリングとして再出発した。10年には名古屋駅店や岡崎店は相次ぎ閉店し、名古屋店は愛知県唯一の店舗となった。
名古屋店は15年、00年に開業した名古屋駅直結のJR名古屋高島屋(名古屋市)に売上高が抜かれ、名古屋1番店の座を明け渡すこととなった。
足元、松坂屋名古屋店の業績は堅調だ。25年2月期の売上高は前の期比4%増の1316億円だった。インバウンド(訪日外国人)の増加で高級品などの売り上げが伸びた。
24年には63億円を投資した大規模改装を実施しており、25年秋まで新たなテナントの開店も続く。名古屋店は売り上げの半分を外商顧客が占めるが、「次世代顧客」をターゲットに美術や酒などをそろえて若い富裕層を開拓する。
Jフロントは栄地区を重要エリアと位置づけており、地区一体での誘客を模索をしている。名古屋パルコやBINO栄のほか、26年夏にはザ・ランドマーク名古屋栄が開業し回遊を狙う。名古屋エリアの開発を進めることで27年度に23年度比50億円以上の増益を見込む。
3月にはJフロントで「名古屋地域共栄担当」という専任組織を設置した。名古屋店の斉藤店長がリーダーとして先導する。
他社との連携も強めている。栄での同社のクレジットカードの加盟店舗数はグループ外で「114店まで拡大した」(Jフロントの小野圭一社長)。その上で「栄エリアに行くという目的で来てもらえるような商業施設をつくった上で、グループ内の連携や戦略的な改装を進めている」(同)と話す。
名古屋店は改装が終わると、リニューアル対象フロアの26年度の売上高が23年度比で42%増を見込んでいる。名古屋駅前にあるJR名古屋高島屋との差異化を見据え、栄という地域に根ざした百貨店としての施策が欠かせない。
(竜田菜美子)
ビットコイン、企業保有に逆回転リスク 9万ドル回復後は上値重く[2025/05/01 17:59 日経速報ニュース 1679文字 画像有 ]
代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインで潜在的な売り需要が相場の重荷となっている。過去の上昇局面で事業法人が大口保有を始めていたためだ。9万ドル台まで戻した後の上値は重く、1月に最高値をつけたときほどの高揚感はない。財務リスクを抱えた企業の戻り売りが懸念されている。
「資金調達が困難になれば保有ビットコインを売却する可能性がある」。4月上旬、世界最大のビットコイン保有企業である米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)が米証券取引委員会(SEC)に出した臨時報告書「フォーム8K」の一文は、投資家の買い控えを招いた。
4月末時点の1BTC(ビットコインの単位)あたりの平均取得価格は6.8万ドル。文言は一般的なリスク開示事項に過ぎなかったが、相場が弱含む中で「7万ドルを割り取得価格に近づけば本格売りに転じるのでは、との見方が広がった」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)。
情報サイトの米コインマーケットキャップによると、ビットコインは日本時間1日午後5時時点で1BTC=9万5000ドル台(約1300万円)。4月上旬の安値(7万4000ドル台)から3割高まで戻したが、一巡感が漂う。「ストラテジーに限らず、保有企業による大口の売り需要懸念は足元も尾を引いている」(エックスバンクの西山祥史アナリスト)
世界の仮想通貨保有量を追跡するウェブサイトであるビットコイン・トレジャリーズによると、上場企業のビットコイン保有量は約76万BTC(約10兆円)と24年末比で2割増えた。20年に保有を始めたストラテジーに続き、より高い価格帯から買った企業は多い。
米医療機器メーカーのセムラー・サイエンティフィックは2~4月にビットコインを追加購入し、保有量が3303BTC(約450億円)に達したと4月25日に発表した。24年5月から保有を始め、平均取得単価は8.7万ドル。エリック・セムラー取締役会会長は「潤沢な資金力にもかかわらず株価が低迷する『ゾンビ企業』はビットコインを財務準備資産に加えるべきだ」と述べ保有に前向きだ。
しかし、24年の上昇局面終盤に保有を始めた企業では、既に平均取得単価割れを起こしているとみられる企業もある。半導体集積回路(IC)を手掛ける中国の浙江豪微科技(ナノ・ラブズ)は、24年12月に平均単価9.9万ドル、25年1~4月に同9.7万ドルで購入した。
国内の保有企業では「日本版ストラテジー」の異名を持つ東証スタンダードのメタプラネットが最大だ。4月時点の保有量は5000BTC(約680億円)、平均取得単価は8.5万ドル。メタプラ株は保有を始めた24年4月から約20倍に急騰した。
東京証券取引所が時価総額などの上場維持基準の厳格化を進める中、手っ取り早い株価の引き上げ手段としてビットコイン保有が株式市場の一部でひそかに注目される。4月にはスタンダード上場のカジュアル衣料製造ANAPホールディングスが新規購入を発表し、3月にはニッケル地金のエス・サイエンスも保有意向を示した。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「投資家層の広がりは相場にポジティブだが、下落局面では財務リスクの高い企業による投げ売りが広がる可能性がある」と警戒する。購入を決めたある企業は「今後もし保有中に大きな損失が膨らむ状況となれば売却もあり得る」と打ち明ける。
米セムラー・サイエンティフィックは4月15日、25年1~3月期の保有ビットコインの評価損が4180万ドルになると発表した。価格変動が理由だ。
売却を決めた企業も出始めた。米マイニング(採掘)のクリーンスパークは同日、採掘したビットコインの全てを長期保有する戦略から、一部売却し事業運営に充てる方針へ転換すると発表した。データ分析のザ・マイナー・マグによると、主要な上場採掘企業は3月に合計で総採掘量の4割超を売却し、長期保有の戦略を見直しつつある。
トランプ米政権の政策に世界の金融市場が右往左往する中、大口保有企業の懐事情にも警戒が必要だ。
(河井優香)
【関連記事】
・ビットコイン価格9万ドル回復 高まる金との連動性、無国籍に注目
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人事、ジェーシービー[2025/05/01 16:50 日経速報ニュース 34文字 ]
(6月1日)常務執行役員総合企画部・経理部・総務部副担当、丹後健史
東エレク株、最高益予想も買われず 米規制と関税の影響みえず及び腰[2025/05/01 14:54 日経速報ニュース 1815文字 ]
1日の東京株式市場で東エレク(8035)が反落し、前日比655円(3.08%)安の2万570円まで下落した。4月30日に発表した2026年3月期(今期)の連結純利益は2年連続で過去最高を更新する見通しだったことから買いが先行したが、長くは続かなかった。東エレクは人工知能(AI)を中心とした半導体と製造装置需要の拡大に自信を見せるが、投資家側は米国の対中半導体規制や関税政策の影響について読めず、買いに及び腰となっている。
■市場予想上回る業績見通し 期待値はクリア
東エレクの今期連結純利益は前期比4%増の5660億円と、市場予想平均のQUICKコンセンサス5574億円(4月24日時点、18社)を上回った。売上高は7%増の2兆6000億円の見通しで、年間配当は前期から26円増やし618円と、株式分割を考慮したベースで過去最高を計画する。
今期は中国企業からの受注は減少するものの、AIサーバー向けの最先端ロジック半導体や広帯域メモリー(HBM)の生産設備投資が補う。25年暦年の世界の前工程製造装置(WFE)市場の見通しは前年と同じ1100億ドル程度と前回2月時点の予想を維持した。決算説明会では顧客の投資計画に変更はないとしており、米国の半導体規制や関税政策による世界景気の減速による影響は現状では限定的のようだ。ゴールドマン・サックス証券の中村修平アナリストらは30日付リポートで「株式市場の期待値はクリアした内容」と評価した。
■買い一巡後は売り強まる 中国向けなど懸念
株価は朝方こそ上昇したが、買い一巡後は売りに押された。東エレクの今期予想に対し「強気過ぎ」との慎重な声も聞かれる。モルガン・スタンレーMUFG証券は対中半導体規制がさらに強化されるリスクを織り込み、東エレクの今期以降の中国向けの売上高予想を下方修正した。
東エレクの予想PER(株価収益率)は16倍台と、同業の米アプライドマテリアルズ(AMAT、@AMAT/U)や米ラムリサーチ(@LRCX/U)と同水準。東エレク株は年初から12%下落し、昨年4月の上場来高値(4万860円)からはほぼ半値となっている。市場からは「割高感は解消され、今期の見通しも悪くないが、米国の半導体規制や関税政策の全貌が見えるまで買い持ち高を増やす理由にはならない」(国内運用大手のポートフォリオマネージャー)というのが市場の本音のようだ。
■漠然とした不安で株価の戻りは限定的
1日の東京株式市場ではAI需要の恩恵が大きいされるアドバンテスト(6857)とディスコ(6146)が大きく上昇した。4月30日に米マイクロソフトと米メタプラットフォームズがそれぞれ発表した25年1~3月期決算で売上高と1株利益が市場予想を上回った。メタは設備投資額の見通しを上方修正したことも買い材料視された。
もっとも、年初からみると両銘柄も大きく下落している。楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリストは、「いくら顧客に当たる米ハイテク大手がAI需要の強さを強調しても、今後の需要の強さを保証するものではない」と話す。とりわけトランプ米政権の政策は先が読めず、「半導体需要や設備投資の先行きに漠然とした不安感は残る。そうした不安が続く限り、株価の戻りも限定的になる」との見方を示す。
岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストも顧客からの需要が弱まるとは予想していないと前置きしながら「米国の対中半導体規制や関税政策の影響の全体像がみえるまで機関投資家は積極的に買いに動けないのは確か」と話す。
トランプ政権の影響がどこまで業績に表れるのかは次回の4~6月期決算まで持ち越しとなった。それまで市場は東エレクが今回示した業績見通しに対し、疑心暗鬼となる状況が続く。必然的に株価の戻りも限られそうだ。
※主な半導体関連株の25年の騰落率
アドバンテスト(6857) -36.26%
ディスコ(6146) -35.36%
レーザーテック(6920) -12.48%
東京エレクトロン(8035) -12.24%
SCREENホールディングス(7735) -0.27%
(注)4月30日終値。
〔日経QUICKニュース(NQN) 宮尾克弥〕
松坂屋名古屋店が開業100周年式典 「栄」開発の中核再び[2025/05/01 14:38 日経速報ニュース 1345文字 画像有 ]
松坂屋名古屋店(名古屋市)は1日、本館を栄地区の現在の地を構えてから100年を迎えた。同店は名古屋の最古の百貨店だ。松坂屋はJ・フロントリテイリングの傘下となったが、名古屋を重要エリアの一つと定める。地区一帯の開発で2027年度には23年度比50億円以上の増益を目指す。
午前10時、松坂屋名古屋店本館の前には長い列がつくられた。松坂屋のファンという30代女性は「母も松坂屋が大好きで思い出がある。これまでの人生は松坂屋と一緒だった」と目を細めた。
同日開いた100周年の記念式典では鏡開きを実施し、たる酒が振る舞われたほか、松坂屋の商標を焼き印した老舗和菓子店の両口屋是清(名古屋市)の主力商品「千なり」を配布した。
松坂屋名古屋店の斉藤毅店長は「創業時の精神は変わらず、時代に合わせた新しい体験価値を提供していきたい」と話した。
1611年、松坂屋の前身の「伊藤屋」が創業。1910年には名古屋初の百貨店として開業した。
1925年に久屋大通沿いの現在の場所に店舗を移転し、商号を「松坂屋」に変更した。松坂屋はかつて、名古屋鉄道や中部電力などと並び名古屋の名企業集団「五摂家」に名を連ねた。1970年代には名古屋駅店(名古屋市)や岡崎店(愛知県岡崎市)など愛知県内に複数の店舗を構えた。
2000年以降、電子商取引(EC)などの台頭で百貨店消費が低迷。07年に松坂屋は大丸と経営統合し、J・フロントリテイリングとして再出発した。10年には名古屋駅店や岡崎店は相次ぎ閉店し、名古屋店は愛知県唯一の店舗となった。
名古屋店は15年、00年に開業した名古屋駅直結のJR名古屋高島屋(名古屋市)に売上高が抜かれ、名古屋1番店の座を明け渡すこととなった。
足元、松坂屋名古屋店の業績は堅調だ。25年2月期の売上高は前の期比4%増の1316億円だった。インバウンド(訪日外国人)の増加で高級品などの売り上げが伸びた。
24年には63億円を投資した大規模改装を実施しており、25年秋まで新たなテナントの開店も続く。名古屋店は売り上げの半分を外商顧客が占めるが、「次世代顧客」をターゲットに美術や酒などをそろえて若い富裕層を開拓する。
Jフロントは栄地区を重要エリアと位置づけており、地区一体での誘客を模索をしている。名古屋パルコやBINO栄のほか、26年夏にはザ・ランドマーク名古屋栄が開業し回遊を狙う。名古屋エリアの開発を進めることで27年度に23年度比50億円以上の増益を見込む。
3月にはJフロントで「名古屋地域共栄担当」という専任組織を設置した。名古屋店の斉藤店長がリーダーとして先導する。
他社との連携も強めている。栄での同社のクレジットカードの加盟店舗数はグループ外で「114店まで拡大した」(Jフロントの小野圭一社長)。その上で「栄エリアに行くという目的で来てもらえるような商業施設をつくった上で、グループ内の連携や戦略的な改装を進めている」(同)と話す。
名古屋店は改装が終わると、リニューアル対象フロアの26年度の売上高が23年度比で42%増を見込んでいる。名古屋駅前にあるJR名古屋高島屋との差異化を見据え、栄という地域に根ざした百貨店としての施策が欠かせない。
(竜田菜美子)
【関連記事】
・名古屋の百貨店、3月売上高2%増 春物衣料が好調
・名古屋の栄、繁華街からオフィス街に 開業1年の中日ビルが起爆剤
4月前半の消費、3.0%増 大型連休の日並び悪く旅行減速[2025/05/01 12:30 日経速報ニュース 347文字 ]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく4月前半の消費データを発表した。名目で前年同期比3.0%増えたものの、3月後半より伸びは鈍化した。旅行の消費が減速したほか、4月からの値上げの影響で酒屋の消費も落ち込んだ。
サービス消費のうち旅行は1.3%増と3月後半から3.3ポイント下がった。ナウキャストは「主要因は消費者の減少。今年のゴールデンウイークはやや旅行を組み立てにくい日並びで、予約が増えなかったことも考えられる」と指摘する。
小売りは2.3%増だった。アパレルは7.8%減と低調だった。4月前半は気温が低く、春物の消費が弱かった可能性がある。酒屋は2.1%減だった。アルコール飲料の値上がりに備え3月後半は13.1%増と好調で、4月前半は反動が出た。
東京エレクトロン株価、上昇後下げる 最高益予想に慎重な見方も[2025/05/01 10:23 日経速報ニュース 514文字 ]
(9時30分、プライム、コード8035)東エレクの上値が重い。朝方に前日比340円(1.60%)高の2万1565円を付けたが、その後は下げに転じている。4月30日、2026年3月期(今期)の連結純利益が前期比4%増の5660億円になるとの見通しを発表した。市場予想の平均であるQUICKコンセンサスの5574億円(4月24日時点、18社)を上回り、好感した買いが先行した。ただ、市場では会社計画は強気だといった慎重な声も聞かれる。株価はこのところ上昇基調にあったため、戻り待ちの売りも出やすくなっているようだ。
生成AI(人工知能)関連の装置需要が伸び、純利益は2年連続で過去最高を更新する見込み。モルガン・スタンレーMUFG証券の和田木哲哉株式アナリストは30日付のリポートで「(半導体の微細な回路を形成する)エッチング装置のシェア拡大は好印象」と指摘した。一方、対中半導体規制がさらに強化されるリスクを織り込み、今期以降の中国向けの売上高予想を下方修正した。半導体製造装置業界全体のPER(株価収益率)の低下を踏まえ、目標株価を従来の3万1200円から2万4400円に引き下げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東武の純利益 今期3%減 5円増配[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 302文字 PDF有 書誌情報]
東武鉄道は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比3%減の500億円になる見通しだと発表した。クレジットカードの刷新に伴う費用増などが響く。年間配当は前期比で5円増やして1株当たり65円とする。
同日、100億円を上限とする自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の2・5%にあたる500万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日から8月31日まで。
今期の売上高にあたる営業収益は1%増の6400億円、営業利益は9%減の680億円を見込む。堅調なインバウンド(訪日外国人)利用などを背景に旅行業やホテル業を中心に需要増を見込む。運輸業では今後運賃改定の可能性があるとしている。
東武鉄道、26年3月期の純利益3%減[2025/04/30 19:40 日経速報ニュース 373文字 画像有 ]
東武鉄道は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比3%減の500億円になる見通しだと発表した。クレジットカードの刷新に伴う費用増などが響く。年間配当は前期比で5円増やして1株当たり65円とする。
同日、100億円を上限とする自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の2.5%にあたる500万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日から8月31日まで。
今期の売上高にあたる営業収益は1%増の6400億円、営業利益は9%減の680億円を見込む。堅調なインバウンド(訪日外国人)利用などを背景に旅行業やホテル業を中心に需要増を見込む。運輸業では今後運賃改定の可能性があるとしている。
同日発表した25年3月期の通期業績は営業収益が前の期比1%減の6314億円、営業利益は1%増の746億円、純利益は7%増の513億円だった。
英政府、仮想通貨規制案を公表 成長と投資家保護を両立[2025/04/30 16:30 日経速報ニュース 718文字 画像有 ]
英政府は29日、暗号資産(仮想通貨)の新たな規制案を公表した。既存の金融業界への規制を、仮想通貨交換業者などにも適用する方針だ。日米欧が仮想通貨のルール整備に動くなか、英政府は業界の成長促進と、投資家保護を両立させることを目指す。
英財務省によると、新たな規制では、仮想通貨の交換業者や販売業者、仲介業者が規制対象となる。銀行などの金融機関と同様に、透明性や消費者保護で基準を満たす必要がある。交換業者の業務や、法定通貨などに価値が連動するステーブルコインの発行など、サービス別に規制を設ける。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「具体的な中身はまだ不明だが、サービスごとにルールを作る点で欧州連合(EU)などよりも規制の網羅性が高くなりそうだ」と指摘する。
英金融行動監視機構(FCA)の調査によると、英国の成人の12%程度が仮想通貨を保有しており、21年の4%から増加傾向にある。英財務省は、仮想通貨保有者が詐欺に遭う可能性について触れたうえで、「悪質な行為者を取り締まりつつ、合法的なイノベーションを支援する」との声明を出した。
EUでは、欧州議会が23年4月に「暗号資産市場規制法案(MiCA)」を可決し、仮想通貨の規制に乗り出している。米国ではトランプ政権が仮想通貨や、ステーブルコインの法制化に向けて動いている。
日本では仮想通貨は資金決済法で決済手段として位置づけられているが、金融庁は金融商品取引法を改正し、金融商品として法的に位置づける方針を示している。仮想通貨などのデジタル資産の存在感は各国で高まっており、エックスバンクの西山祥史アナリストは「世界的に規制を整備する流れが加速している」と話している。
日本クレジット協会、2月のクレジットカード動態調査集計結果を発表[2025/04/30 14:50 日経速報ニュース 536文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
クレジットカード動態調査集計結果について
一般社団法人日本クレジット協会(会長 山本 豊)は、クレジットカード信用供与額等の月次の動向把握を目的に、クレジットカード発行会社26社を対象としたクレジットカード動態調査を実施しており、2025年2月分の集計値をとりまとめた。
これによると、2025年2月分のクレジットカードショッピング信用供与額は8,251,604百万円で、前月比では8.0%の減少となっている。キャッシング融資額は、112,644百万円で、前月比で1.1%の減少となっている。信用供与額は、8,364,248百万円で、前月比7.9%の減少となった。
なお、クレジットカードショッピングにおける契約件数は、1,642,877,457件となっている。
※「2025年2月分集計値」および「クレジットカード動態調査集計結果 一覧」は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
「2025年2月分集計値」および「クレジットカード動態調査集計結果 一覧」
https://release.nikkei.co.jp/attach/690469/01_202504301448.pdf
MUFGと三菱UFJ銀行、インドネシアのADMFとMFINの合併を決定[2025/04/30 14:24 日経速報ニュース 1554文字 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
PT Adira Dinamika Multi Finance TbkとPT Mandala Multifinance Tbkの合併について
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤 宏規(かめざわ ひろのり)、以下 MUFG)および株式会社三菱UFJ銀行(取締役頭取執行役員 半沢 淳一(はんざわ じゅんいち)、以下 当行)は、当行の連結子会社であるPT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(以下 ADMF)およびPT Mandala Multifinance Tbk(以下MFIN)が合併することを決定しましたので、お知らせします。本合併は、ADMFを存続会社、MFINを消滅会社とし、インドネシア金融当局(OJK)を含む関係規制当局の承認後、実行を予定しています。
ADMFはインドネシア全土でオートローンや多目的ローンを提供しており、高いプレゼンスを確立しています。MFINはインドネシアにおいて主に二輪の新車向けオートローンと二輪車を担保とする多目的ローンを展開し、特に東インドネシアにおいて高いプレゼンスを有する企業です。本合併は2023年6月に発表されたMUFGおよびADMFによるMFINの買収シナジーの深化を図るものであり、事業規模の拡大や地域優位性の補完、両社が有する商品群・マーケティングチャネルの補完、知見の共有によって革新性と競争力を向上し、ADMFの現地市場での地位を盤石なものとすることを目的としています。
アジアを第二のマザーマーケットと考えるMUFGにとって、東南アジア最大のGDPを有し、将来にわたり高成長が期待されるインドネシアは特に重要な市場です。当行は同国で、外国銀行最大級の規模を有するジャカルタ支店に加え、2019年4月にはPT Bank Danamon Indonesia,Tbk(以下ダナモン銀行)を連結子会社とし、商業銀行業務の基盤を確立してまいりました。MUFGはインドネシアにおいて金融コングロマリットとして展開を進めており、本合併もその一環となります。
MUFGおよび当行は、東南アジアにおいて出資している各パートナーバンクと一体で、同地域のビジネスプラットフォームを構築し、事業を強化しております。今後も東南アジアの成長に、より一層貢献してまいります。
《ADMFの概要》
ADMFは、1990年に設立されたオートローン事業を営むインドネシアの上場企業です。2004年にダナモン銀行に買収され、2019年に当行によるダナモン銀行の連結子会社化に伴い、MUFGグループの一員となりました。インドネシア全土で事業を展開しており、二輪・四輪の新車・中古車向けオートローンや多目的ローンを提供しています。
《MFINの概要》
MFINは1997年に現在の事業を開始し、主にインドネシアのUnbanked・Underbanked層[1]に対して、二輪の新車、多目的ローン、消費財ローンなどの金融ソリューションを提供する、インドネシアの大手オートローン企業です。設立以来900万を超える顧客にサービスを提供しており、すべてのステークホルダーに対して金融包摂を提唱しています。
《ダナモン銀行の概要》
ダナモン銀行は、インドネシアにおいて68年の歴史を有する大手商業銀行です。870拠点を有し、個人のお客さまから中小・大企業のお客さまに対して法人業務、消費者金融を含むリテール業務、投資、資産運用などの包括的な総合金融サービスを展開しています。MUFGおよび当行は、ダナモン銀行を2019年4月に連結子会社化いたしました。
[1]銀行のサービスを受けられない方々
以上
<東証>太陽HDがストップ高、上場来高値 今期増益見通し 目標株価上げも[2025/04/30 12:45 日経速報ニュース 506文字 ]
(12時35分、プライム、コード4626)化学メーカーの太陽HDが大幅続伸している。午後に制限値幅の上限(ストップ高水準)にあたる前営業日比700円(14.95%)高の5380円まで買われ、株式分割考慮ベースの上場来高値を付けた。30日12時、2026年3月期(今期)の連結純利益が前期比48%増の160億円になりそうだと発表した。大幅増益見通しを好感した買いが入っている。
モルガン・スタンレーMUFG証券が28日付で投資判断を3段階で真ん中の「イコールウエート」から最上位の「オーバーウエート」に、目標株価は従来の3900円から6200円に引き上げ、朝から材料視した買いが入っていた。
モルガンMUFGの担当アナリストである長谷川義人氏らはリポートで、現在株式市場では半導体材料関連は米国関税の影響の不確実性が高いとみなされ避けられているが、「太陽HDは米国向けの輸出がほとんどない」と指摘。太陽HDはこれまでに、連結子会社の太陽ファルマが保有する医薬品の販売権の評価額見直しで減損損失を計上し、今後の不安要因も解消して中期的な成長確度が高まっているとみていた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
オリエンタルランド株、特別優待も買い失速 猛暑克服で割高拭えるか[2025/04/30 11:28 日経速報ニュース 1728文字 画像有 ]
30日の東京株式市場でオリエンタルランド(OLC)株は買い先行後に下げに転じると、前営業日比6%超安い2941円まで下落した。前営業日の28日に発表した株主用パスポートがもらえる特別株主優待に個人投資家が買い反応を示したが、間もなく失速した。パークの魅力向上のための先行投資でOLC株は「割高」と評されて久しい。投資家を再び振り向かせるために重要な局面に来ている。
「パスポート追加で1枚」に個人が買い
OLCの創立65周年を記念して、2025年9月30日を基準日に100株以上を保有している投資家が通常の株主優待制度分に加えてもう1枚、東京ディズニーランドまたはシーで使える1デーパスポートをもらえる。現在、大人の1デーパスポートは最も価格設定が高い日では1万900円かかる。株価は4月3日に2755円と、株式分割考慮ベースで20年8月下旬以来の安値を付けた後に底入れしたかとみられていたなかで、今回の特別優待は個人の一定の買いを誘った。
OLCの株主比率では個人・その他が約2割ある。主要株主の京成電鉄が約2割保有しているのも踏まえると、株価に対する個人の影響度は大きいと言える。創立65周年の特別優待は今回限りだ。株価の本格的な持ち直しのためにはいかに長期で保有してもらえるかが重要になってくる。
クルーズ船で中長期の成長目指す 今期はやや力強さ欠く船出
OLCは今回、初の試みとして長期経営戦略を発表した。テーマパーク、ホテル、クルーズの3本柱で2035年度には売上高1兆円以上と、前期実績から4割超のアップを目指す。3300億円(予備費400億円含む)を投じる予定のクルーズ船事業は通年稼働する29年度から黒字を想定し、収益貢献に会社側も自信を示していた。
中長期的な成長に向けた基盤固めの年と位置づける26年3月期(今期)の連結売上高は前期比2%増の6933億円、営業利益は7%減の1600億円を見込む。いずれもアナリスト予想には届かなかった。力強いスタートとは言えず、株価も朝高後は売りに押される展開となった。アトラクションなどの入場時刻を指定して予約できる有料のサービスや、グッズ販売が好調で客単価は前期まで過去最高を更新している一方、売上高の源泉となる入園者数は今期予想で前期比1.6%増の2800万人にとどまり「物足りない」との受け止めも少なくない。
モルガン・スタンレーMUFG証券の尾坂拓也株式アナリストは28日付の投資家向けリポートで「今期の減益計画は一過性費用の計上(約115億円)が主因と推察するが、同費用を控除しても今期の実質営業利益は前年比横ばい程度と単純試算され、収益構造の転換は好印象だが業績予想に織り込むのは時期尚早」とし、株価の割高感払拭には至らないとみていた。
苦い夏は「ミセス」で巻き返し狙う
OLCは前期、猛暑の影響が7、8月の入園者数に想定以上に響き、業績が悪化した苦い記憶がある。株価も10月に上期決算を発表した後も下げ止まらず、安値更新が続いた。今期も猛暑の影響は気がかりだが、これに対してOLCでは両パークの夏のイベントで3人組バンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)」とコラボレーションすることを発表。若年層を中心に幅広く人気のバンドとあって、大きな反響を呼んでいる。OLCが長期戦略でポイントのひとつにあげている新規ファンの取り込みにも通じる施策だ。
パーク内で休憩場所の増加などにも取り組み、「猛暑リベンジ」の準備を着々と進めているようだ。ディズニーシーの新エリア、ファンタジースプリングスのアトラクションはこれまで入場を制限していたが、4月1日からは並べば誰でも乗れるようになっており、今期はフル稼働となるのも入園者数の上振れや業績押し上げ要因になり得る。
OLCのPER(株価収益率)は足元でも40倍台と、日経500種でサービス業の平均が20倍台なのと比べてなお高い水準にある。「割高なPER」が「中長期的な成長性に対するプレミアム」へ評価が変わるために、夏の強さを証明することが巻き返しの最初の条件になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
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松井証券とJCB、金融商品仲介業に関する契約を締結[2025/04/30 10:42 日経速報ニュース 983文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
松井証券とJCB、金融商品仲介業に関する契約を締結
松井証券株式会社(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 和里田 聰、以下 : 松井証券)と、株式会社ジェーシービー(本社 : 東京都港区、代表取締役兼執行役員社長 : 二重 孝好、以下 : JCB)は、金融商品仲介業に関する契約を締結したことをお知らせします。
*ロゴは添付の関連資料を参照
松井証券とJCBは、キャッシュレスによる便利でお得な積立投資の実現に向けて、2025年5月下旬よりクレカ積立サービスの開始を予定しています。新NISA制度のスタート、日銀による金利引き上げ、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の改定など、投資を取り巻く環境が大きく変化する中、松井証券とJCBは、この取り組みを更に加速し、より多くのお客様の資産形成をサポートするため、金融商品仲介業に関する契約の締結に至りました。
今回の契約締結により、JCBのホームページなどを経由して、松井証券の総合口座を開設し、2025年5月開始予定のクレカ積立サービスのほか、松井証券が提供する幅広い商品、サービスをご利用いただくことができるようになります。
※本取り組みでは、JCBは金融商品取引の注文は受け付けず、個別の勧誘も行う予定はございません。
なお、松井証券が金融商品仲介業に関する契約を締結するのは、今回が初となります。この度のJCBとの取り組みをきっかけに、松井証券では、多様な業界・サービスとの取り組みを強化し、お客様の豊かな人生をサポートしてまいります。
松井証券は、投資体験を通じて、お客様の豊かな人生をサポートするため、投資が楽しくなるようなアイデアあふれる商品・サービスの提供を目指します。
■取扱商品のリスクおよび手数料等の説明
・口座基本料について( https://www.matsui.co.jp/disclaimer/apply.html )
・投資信託について( https://www.matsui.co.jp/disclaimer/fund.html )
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
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https://release.nikkei.co.jp/attach/690431/01_202504301041.jpg
OLC、特別優待も買い続かず 「猛暑リベンジ」で割高払拭なるか[2025/04/30 10:28 日経速報ニュース 1751文字 ]
30日の東京株式市場でオリエンタルランド(OLC、4661)株は買い先行後に下げに転じると、前営業日比6%超安い2941円まで下落した。前営業日の28日に発表した株主用パスポートがもらえる特別株主優待に個人投資家が買い反応を示したが、間もなく失速した。パークの魅力向上のための先行投資でOLC株は「割高」と評されて久しい。投資家を再び振り向かせるために重要な局面に来ている。
■「パスポート追加で1枚」に個人が買い
OLCの創立65周年を記念して、2025年9月30日を基準日に100株以上を保有している投資家が通常の株主優待制度分に加えてもう1枚、東京ディズニーランドまたはシーで使える1デーパスポートをもらえる。現在、大人の1デーパスポートは最も価格設定が高い日では1万900円かかる。株価は4月3日に2755円と、株式分割考慮ベースで20年8月下旬以来の安値を付けた後に底入れしたかとみられていたなかで、今回の特別優待は個人の一定の買いを誘った。
OLCの株主比率では個人・その他が約2割ある。主要株主の京成電鉄(9009)が約2割保有しているのも踏まえると、株価に対する個人の影響度は大きいと言える。創立65周年の特別優待は今回限りだ。株価の本格的な持ち直しのためにはいかに長期で保有してもらえるかが重要になってくる。
■クルーズ船で中長期の成長目指す 今期はやや力強さ欠く船出
OLCは今回、初の試みとして長期経営戦略を発表した。テーマパーク、ホテル、クルーズの3本柱で2035年度には売上高1兆円以上と、前期実績から4割超のアップを目指す。3300億円(予備費400億円含む)を投じる予定のクルーズ船事業は通年稼働する29年度から黒字を想定し、収益貢献に会社側も自信を示していた。
中長期的な成長に向けた基盤固めの年と位置づける26年3月期(今期)の連結売上高は前期比2%増の6933億円、営業利益は7%減の1600億円を見込む。いずれもアナリスト予想には届かなかった。力強いスタートとは言えず、株価も朝高後は売りに押される展開となった。アトラクションなどの入場時刻を指定して予約できる有料のサービスや、グッズ販売が好調で客単価は前期まで過去最高を更新している一方、売上高の源泉となる入園者数は今期予想で前期比1.6%増の2800万人にとどまり「物足りない」との受け止めも少なくない。
モルガン・スタンレーMUFG証券の尾坂拓也株式アナリストは28日付の投資家向けリポートで「今期の減益計画は一過性費用の計上(約115億円)が主因と推察するが、同費用を控除しても今期の実質営業利益は前年比横ばい程度と単純試算され、収益構造の転換は好印象だが業績予想に織り込むのは時期尚早」とし、株価の割高感払拭には至らないとみていた。
■苦い夏は「ミセス」で巻き返し狙う
OLCは前期、猛暑の影響が7、8月の入園者数に想定以上に響き、業績が悪化した苦い記憶がある。株価も10月に上期決算を発表した後も下げ止まらず、安値更新が続いた。今期も猛暑の影響は気がかりだが、これに対してOLCでは両パークの夏のイベントで3人組バンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)」とコラボレーションすることを発表。若年層を中心に幅広く人気のバンドとあって、大きな反響を呼んでいる。OLCが長期戦略でポイントのひとつにあげている新規ファンの取り込みにも通じる施策だ。
パーク内で休憩場所の増加などにも取り組み、「猛暑リベンジ」の準備を着々と進めているようだ。ディズニーシーの新エリア、ファンタジースプリングスのアトラクションはこれまで入場を制限していたが、4月1日からは並べば誰でも乗れるようになっており、今期はフル稼働となるのも入園者数の上振れや業績押し上げ要因になり得る。
OLCのPER(株価収益率)は足元でも40倍台と、日経500種でサービス業の平均が20倍台なのと比べてなお高い水準にある。「割高なPER」が「中長期的な成長性に対するプレミアム」へ評価が変わるために、夏の強さを証明することが巻き返しの最初の条件になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
<米国・時間外>ビザが高い 売上高など予想上回る[2025/04/30 08:30 日経速報ニュース 422文字 ]
(コード@V/U)29日夕の米株式市場の時間外取引で、クレジットカードのビザが上昇している。通常取引を前日比1.18%高の341.52ドルで終えた後、時間外では344ドル前後まで買われて終値を1%近く上回っている。同日夕に発表した2025年1~3月期決算で売上高などが市場予想を上回り、買いが優勢となっている。
事業会社の売上高にあたる純営業収益は1~3月期が前年同期比9%増の95億9400万ドルだった。QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(95億5000万ドル程度)を上回った。決済取扱高が8%伸びたほか、国境をまたぐクロスボーダーの取引高も13%増えた。
特別項目を除く1株利益は2.76ドルと市場予想(2.68ドル程度)を超えた。ライアン・マキナニー最高経営責任者(CEO)は発表資料で「マクロ経済に不確実性があるにもかかわらず、消費者の支出は底堅さを維持している」とコメントした。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
【関連記事】
・LINEヤフー、LINEペイから公的個人認証サービスを移管
・LINEでPayPay送金可能に LINEペイ終了見据え代替機能
・LINE Pay、25年4月に終了 残高はPayPayに引き継ぎ
さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
新プラン「ドコモMAX」、ネットの反響真っ二つ-ITジャーナリスト 石川 温[2025/04/29 02:00 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
NTTドコモは新料金プラン「ドコモMAX」を6月5日から始める。従来のデータ使い放題プランに比べて値上げとなるものの、月額4200円のスポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を追加料金なしで見放題にするといった特典を盛り込んだ。お得感で値上げに対する警戒感を払拭する考えだが、ネットでの反響は真っ二つに割れている。
あらゆるものが値上げしているが、通信業界だけが値上げしにくい雰囲気となっていた。2020年ごろからの「官製値下げ」がきっかけだ。KDDIやソフトバンクはV字回復を果たしたものの、NTTドコモはいまだに通信料収入の減収に悩まされている。低容量プラン投入の遅れが響いた。
Jリーグやプロ野球、F1をDAZNで視聴するユーザーからは「安価なプランが登場してありがたい」と好評だ。DAZNは日本に上陸した当初、NTTドコモのユーザーが月額980円で視聴できたものの、今では月額4200円に上昇している。
NTTドコモの斎藤武副社長は「DAZNが値上げをしていくなかで、解約してしまう人が相当数いらっしゃる。もう一度、DAZNを見てスポーツの楽しみを味わっていただきたい」と語る。かつてKDDIがNetflixを料金プランにセットにしたように、他社でもコンテンツサービスを料金に組み込んで普及した例はある。
映像配信サービスは観たいコンテンツがなくなると、すぐ解約してしまうユーザーも多い。特にDAZNは目当てのスポーツがシーズンオフになると、数カ月間全く視聴しない期間が発生するため、どうしても解約が増えてしまう。
キャリアと組んで料金プランとセットにすると、DAZNの解約を阻止できる。その上、キャリア側の契約も維持でき、解約率も改善するというのがKDDIによって証明されているのだ。
DAZNとしては度重なる値上げで離れたユーザーをなんとか取り戻したい。NTTドコモも通信料金を値上げしつつ、DAZNとセットにすることで解約率を下げたいという双方のメリットが一致。今回の料金プランに至ったのだろう。
NTTドコモの前田義晃社長は24年7月のインタビューで「Jリーグを盛り上げたい。ドコモユーザーをスタジアムに来てもらうことで、周辺の店舗でd払いを使ってもらうなどの相乗効果を出していきたい」と語っていた。NTTドコモは国立競技場の共同運営を手がけるなど、スポーツエンターテインメント事業に力を入れている。料金プランでDAZNの機会を増やし、スポーツファン拡大を狙っていくというわけだ。
プラン適用条件が複雑との声も
一方、ドコモMAXには批判の声も相次ぐ。DAZNを全く観ないという人はDAZNナシでもっと安いプランを望んでいる。斎藤副社長は「(DAZN以外にも)Amazonプライム6カ月無料や海外ローミングでの30ギガバイト無料などが付いている。最もドコモユーザーから要望が多かった長期契約者に向けて20年で月220円、10年以上で月110円の割引還元する。DAZNだけでなく、幅広いメリットを提供したい」と語る。
もうひとつが「複雑だ」という批判だ。NTTドコモの資料ではドコモMAXは「月額2398円から」というのをアピールしている。ただ、データ容量1ギガバイト未満や3回線以上の複数契約、20年以上の契約、dカード決済、光回線のセット割、ドコモでんきとのセット割を適用したあとの金額。3ギガバイト以上使い、割引が一切適用されない場合での料金は、月額8448円となる。
複数回線契約や光回線、クレジットカード払いを組み合わせないと安くならないというのは3キャリアの常とう手段だ。優良顧客を囲い込みたいというのは理解できなくもない。ただ、こうした割引を組み合わせた後の金額だけをアピールするのは、誠意に欠けるような気がしてならない。
「DAZNは不要」「様々な割引施策を組み合わせないと安くならない」という批判に対して、NTTドコモではオンライン手続き専用の低価格帯プラン「ahama(アハモ)」という切り札を用意している。
月額2970円でデータ容量30ギガバイト、1980円を追加すると110ギガバイト使えるプランだ。オンライン専用プランという立て付けではあるが、ドコモショップで手数料を支払えば店頭でも契約は可能だ。
斎藤副社長は「分かりやすさと価値の組み込みはトレードオフの関係にある。ahamoはahamoで、極めてシンプルなオンライン専用料金プラン。一方、ドコモ MAXはいろんな価値を入れ込んでいくというコンセプト。今後もさまざまな価値を付加しようと考えている」という。
今後、ドコモMAXのなかに他のコンテンツサービスを組み込むのか。DAZNとは異なるコンテンツサービスを組み込んだ別のドコモMAXが誕生するのかは明らかにされていない。NTTドコモは今後も様々なサービスを包含した新料金プランを投入し、単なる値上げとは取られにくい「付加価値値上げ」で収益改善を目指していくようだ。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。X(旧ツイッター)アカウントはhttps://twitter.com/iskw226
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NFT市場、閉鎖相次ぐ 取引量はピーク比8割減 売買のみでは継続困難[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1395文字 PDF有 書誌情報]
バブル崩壊
デジタル資産の所有を証明できる非代替性トークン(NFT)の取引市場の閉鎖が相次いでいる。30日に海外大手の「X2Y2」が終了するほか、米暗号資産(仮想通貨)交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2月に運営を終えた。足元のNFT取引量はピーク比8割減。デジタルアート作品に億円単位の価格がつくようなバブルは崩壊し、NFT売買単独での事業運営は難しくなっている。
「プラットフォームは完全に閉鎖される。一時停止ではなく、完全に終止符を打つ」。3月31日、X2Y2のウェブサイトで4月末の閉鎖が通告された。X2Y2は2022年2月に開設され、年間取引量は約5000万ドルと世界で3位だ。閉鎖理由の一つとして、21年のピーク時から取引量が90%減少したことを説明した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製を不可能にしたデジタル資産を指す。21年から22年にかけてデジタルアート作品のNFTが活発に取引され、なかには7000万ドルという高値で落札されたアートNFTもあった。
ブームは長くは続かなかった。分析プラットフォームのDappRadar(ダップレーダー)によれば、22年は572億ドルの取引量を記録したが、24年には137億ドルと8割近く減少。足元も回復しないままだ。交換業者ビットバンク(東京・品川)の長谷川友哉マーケット・アナリストは「価値があるとの思い込みから大金が一時集まったが、そこまで価値がないことにみんなが気づき、バブルがはじけた」と指摘する。
NFT市場は、2~3%の取引手数料収入で運営を成り立たせている。取引が低調な状況では継続は難しくなっている。クラーケンが運営するNFT市場は2月に運営を終了。仮想通貨交換業者バイビットも4月上旬にNFT取引サービスを終えた。
日本も例外ではない。航空関連のデジタルコンテンツを展開していたANAホールディングスグループのNFT市場は2月に終了。サービス開始からわずか1年ほどで姿を消すことになった。運営を担っていたANA NEO(東京・港)は「これ以上の事業継続が困難と判断した」と説明する。
国内NFT市場関係者は「中小規模のマーケットプレイスはこれまでも閉鎖されてきたが、比較的体力のあった主要な事業者がここに来てサービスを終了している」と指摘する。
一方、NFTを投資対象ではなく、マーケティングに活用する企業が増えている。ソニー銀行は昨夏からNFTを閲覧できるアプリの提供を始めた。ソニーグループのアーティストの音楽ライブへの参加者限定で配布されるNFTなどを収集することができる。
SBIグループのSBINFT(東京・港)が運営するSBINFTマーケットは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」と連携する。NFTの売買でポンタがたまる仕組みで、「ポイ活」に熱心な顧客を呼び込む狙いがある。SBINFTの高長徳取締役は「売買サービス単体では継続が大変。収益源の多角化に取り組んでいる」と話す。
NFTバブルが崩壊したのは、仮想通貨と同じように価格の値上がりに期待しすぎる人が群がったためだ。本来、NFTはクリエーターに収益を還元する仕組みや、保有を通じて生まれるファンコミュニティーにこそ魅力がある。この魅力を生かしたデジタルサービスを生み出せるかが、事業者に問われている。
(相松孝暢)
コインチェック全サービス一時停止 「X」不正ログインで[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 550文字 PDF有 書誌情報]
暗号資産(仮想通貨)交換業大手のコインチェック(東京・渋谷)は28日、同社のX(旧ツイッター)のアカウントが第三者に不正ログインされたことを受けて全サービスを一時停止した。仮想通貨取引の基幹システムへの影響は確認されていない。安全性の確認を進め、同日夜までに全サービスを再開した。
同社によると、28日午前8時ごろからXアカウントが第三者に不正ログインされた。
顧客情報を盗み取るフィッシングサイトへ誘導する第三者による投稿があった。情報が盗まれる被害があったかどうかや、不正ログインされた理由について調査を進めている。
不正ログインを受け、コインチェックのウェブやアプリでの全ての機能やサービスを午後0時半から一時停止した。同社はウェブサイトに「当社サービスには影響が確認されていないが、フィッシング被害の拡大を防ぐため、全てのサービスを一時的に停止した」と説明している。
不正ログインへの対応は完了し、第三者にアカウントを乗っ取られる状況は解消した。第三者による投稿は既に削除した。コインチェックは「ご不便とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
コインチェックは2024年末時点で220万口座を保有する。顧客の預かり資産は約1兆1000億円に上り、業界で25%のシェアがある。
ビットコイン9万ドル回復 無国籍・安全資産 金との相関強まる[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 598文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が再び上昇している。足元では約9万5000ドル(約1350万円)と約2カ月ぶりの高値水準にあり、「安全資産」として買われる金との相関を強めている。特定の国と結びつかない無国籍資産として逃避マネーの受け皿となっている。
ビットコイン価格の上昇に弾みを付けたのが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を巡る騒動だ。トランプ大統領はFRBに対し利下げを要求した。FRBの独立性への懸念が高まって米ドルの信認が揺らぐ事態となり、米国資産から流出したマネーが金(ゴールド)に向かった。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は、22日のアジア時間で初めて1トロイオンス3500ドルを超えた。
金と同じ局面でビットコインにも買いが集まった。22日は、わずか1日で6000ドル近く値上がりした。
ビットコインと金の連動性の高さを示すのが相関係数だ。相関係数はプラス1からマイナス1の数値で推移し、プラスが大きいほど同じ方向に動く傾向が強い。直近30日間のビットコインと金の相関係数は足元で0.65まで上昇した。
「国の信用リスクが高まる局面でビットコインは買われやすく、金との相関も強まる」(マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリスト)。13年に発生したキプロスの金融危機の際、ビットコインと金の価格が連動するように上がったこともあるという。
東京メトロ、4000億円投資枠 新中計発表 ホテル参入、非鉄道拡大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 868文字 PDF有 書誌情報]
新線建設含む
東京地下鉄(東京メトロ)は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。新線建設などを含め4000億円の設備投資枠を設け、輸送効率や安全性の向上などにつなげる。ホテルの運営事業に新たに参入し、売上高の8割超を占める鉄道収入に依存する体質から脱却する。
24年10月に東証プライム市場に上場して以降、初めて中計を策定した。同日記者会見した山村明義社長は「安全なサービスに加え、投資家からは収益性の向上を期待されている。しっかりと中計に取り組んでいく」と述べた。
同社は有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(品川―白金高輪間)の延伸工事に着手している。30年代半ばの開業を目指しており、中計の期間中に500億円を投じる計画。大規模浸水などの安全性向上に向けて鉄道設備全体で1430億円を投資する。
同日には自社ブランドによるホテル運営に参画することを正式表明した。ブランド名や事業規模などの具体的な目標は今後詰める。山村社長は「インバウンド(訪日外国人)やビジネス向けには一定の需要があり、そうした客層をターゲットにしたブランドを検討していきたい」と述べた。
中計ではホテル建設に向け、不動産の取得・開発費用などとして1070億円を充てる。このほか、クレジットカードによるタッチ決済の導入、同社の乗車ポイント「メトポ」を活用したマーケティング策なども成長分野に位置付けて投資を進める。
一連の取り組みを通じ、28年3月期の営業利益は25年3月期比7%増の930億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同9.5%増を目指す。
同社は東京都心部に路線を構え、高い輸送密度に強みを持つ。一方で売上高に相当する営業収益のうち定期などの旅客運輸収入が8割を占める。鉄道への依存度が高く、今後は鉄道以外への事業多角化が課題となる。
同日発表した25年3月期の連結業績は営業収益が前の期比4.8%増の4078億円、営業利益が同13.9%増の869億円だった。インバウンド需要が引き続き堅調で輸送人員が増えた。
「関税緩和」見出しで買い、短期勢 外需銘柄を物色 長期勢 株高確信持てず(スクランブル)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1497文字 PDF有 書誌情報]
28日までの4日間で1600円超上げた日経平均株価。トランプ米政権の関税策の「緩和」をにおわせるヘッドライン(記事の見出し)が増え、ヘッジファンドなどの短期勢が外需などの日本株に買いで参入し始めた。ただし、長期投資家はこれ以上の株高に確信を持てず、外需株の本格買いには至っていない。
「時間軸不明の楽観論」。みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長は最近、顧客とのやり取りから、こんな見立てが市場にあると感じる。
米中が互いに100%を超える関税をかける状況は非現実的で、どこかで妥協点が見いだされる。米国が仮に景気後退に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)が利下げなど手を打つ。これらは相場の支援材料になるはずだが、その時期が分からない――。
28日の日経平均は一時、取引時間中として相互関税発表直前の1日以来となる3万6000円台をつけた。株高の材料はトランプ関税の妥協点が確実に見つかったことでも、FRBの利下げでもない。関税の緩和をほのめかす「ヘッドライン」だ。
25日の昼休み、一部報道で「中国は一部の米製品を関税の対象外とすることを検討する」と伝わると、午後に日経平均が一時前日比800円近くまで上げた。22日にはベッセント米財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と話し、翌日の日経平均は648円高となっていた。
この動きは2018~19年、第1次トランプ政権下での米中貿易戦争のときと似る。18年夏からトランプ政権は産業機械、半導体、家具・家電など相次ぎ関税策を打ち出し中国も報復。ただ、19年9月に発動された関税は当初想定された品目の一部にとどまった。
相場を動かしたのは「トレードディール(貿易協定)」というワードだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「貿易戦争関連の英語記事で『協定』が出てくるものの割合が3割を超えると、リスク資産が優位になる」と指摘する。貿易交渉に対する不透明感が後退して株式を買い戻す流れにつながった。
今回も足元までで記事の割合が16%まで高まっている。高田氏は、今回も3割を超えてくれば「過剰に売られた外需・シクリカル銘柄群への資金回帰が目立つだろう」とみる。
モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔株式ストラテジストは24日付のリポートで、外需株の保有リストを掲げた。2026年3月期の通期決算見通しが非開示でも「値上げなどにより業績へのダメージをコントロールしたり自社株買いなど株主還元を打ち出したりした銘柄は株価が上昇する可能性もある」とみる。
ただ、ここまでの株高をけん引したのはあくまで「株価変動が一時より落ち着き、多少ポジションを持てるようになったヘッジファンドなど短期の投資家」(国内運用会社トレーダー)。長期投資家は今回の上昇相場に無理について行かない姿勢が目立つ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー日本株、中塚浩二氏は運用するファンドの投資先を、関税の悪影響を経営の自助努力でカバーできる外需系の国際優良銘柄と内需系のディフェンシブ銘柄で固める。いわばバランス重視の布陣だ。「設備投資などが先送りされ、向こう半年で経済に悪影響が生じる可能性もある」と考えるのが理由という。「今のようなふわっとした戻りは実態を映していない。個別銘柄の動向をつぶさに見たい」(中塚氏)
投資家が持つ時間軸の長さにより、相場環境に対する判断は分かれる。続く決算発表を横目に、長期投資家が本格的な買い場を探る動きはなお続きそうだ。(坂部能生)
燃料電池部品 価格3分の1に 山田ドビー、セパレーター用プレス機 27年までに量産 FCV普及を後押し[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
高速プレス機の山田ドビー(愛知県一宮市)は燃料電池に使われる部品「セパレーター」向けの専用プレス機を量産する。大量生産できることで、セパレーターの価格を3分の1に抑える見込みだ。2027年までに約60億円を投資し、生産体制を整える。燃料電池車(FCV)は電気自動車(EV)に対して高額だが、主要部品の価格低下を促すことで、FCVの普及につなげる。
燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電するセルが層になっており、セパレーターはそれぞれのセルの間に挟む板状の金属部品を指す。燃料となる水素と酸素を供給する流路などの役割を持ち、金属プレス機を用いて製造する。
流路は細かい溝で作られており、安全性や効率性の観点から高い精度の金属加工技術が必要になる。このため、一般的にセパレーターの製造は得意分野の異なる大型プレス機を2台使い分けて技術的な課題をクリアしているという。設備投資がかさむほか、工程が長くなるため生産効率を高めにくい一因になっていた。
山田ドビーはセパレーター専用のプレス機を開発した。従来型よりも小型化し、技術的には1台で製造できるという。より強度の高い部品を使ったほか、プレスの圧力をかける能力を高めた。生産能力を高めたプレス機を使うことで、セパレーターの市場価格を押し下げる効果を見込む。
一宮市の本社に隣接する土地で新工場の建設にも着手した。マシニングセンターや旋盤加工機などの設備を導入し、27年初の稼働を目指す。プレス機は日本や欧州など各国の部品メーカーに売り込む。
山田ドビーは1919年に創業。ドビーとは織り柄のある生地の模様や織機を指す。トヨタ自動車グループ創始者の豊田佐吉氏に開発を助言された経緯からドビー機の開発・製造を手掛けていた。1960年代に繊維産業にかわる第二の柱としてプレス機事業に力を入れた。
山田ドビーは精密加工ができる高速プレス機で日本で6割、世界で4割のシェアをもつ。例えばクレジットカードのICチップや500円玉などの製造には同社のプレス機が使われているという。
自動車の電子化に伴って需要が増している電子部品や、電気自動車(EV)に使われるモーターコア、スマートフォン部品向けなどに強い。高い精度のプレス機を使うことで部品の軽量化などに寄与しているという。
今回手掛けるセパレーター専用のプレス機は、山田ドビーが得意とする電子部品向けよりも大型だ。同社は2023年に油圧プレス機を手掛けるアサイ産業(石川県能美市)を買収した。大型のプレス機を製造するノウハウや生産設備を増強し、今回の専用プレス機の開発につなげた。
FCVは高額な燃料電池やプラチナなどの希少部材を用いるため、車体価格が現在800万円前後と、EVやガソリン車より高い。水素供給するインフラの不足も合わせて普及が進まない要因とされてきた。ただ、山田ドビーは中長期的に動力別の車のシェアはEVとガソリン車で7割、残りを水素など代替的な動力が占めると予想する。山田健雄社長は特に欧州や中国で普及が進むとみており、「顧客のニーズを先回りして(新たな製品を)提案していきたい」と語る。
(須賀恭平)
バルコス社長 山本敬氏 財布、現金減っても健在 機能磨きZ世代取り込む(トップのstrategy)[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 中国 11ページ 1472文字 PDF有 書誌情報]
バッグなど皮革製品の企画販売会社、バルコスは使い勝手を良くした財布の開発で成長を続け、2025年12月期も業績拡大を見込む。世の中はキャッシュレス時代で若者を中心に財布を持ち歩かない人が増える。果たして財布は生き残れるのか。鳥取から財布の革新を目指す山本敬社長に戦略を聞いた。
――民間調査によると「スマートフォンで決済できるので普段は財布を持ち歩かない」と答えた人が2割強、年代別で20代が最多でした。危機感はありますか。
「あまりない。確かに普段持ち歩く人は減っている。東京では給与の受け取りから消費までデジタルで終えることもできなくはない。だが財布自体は所有している。すべての消費をスマホで済ますのは無理で、ある程度の現金が必要だからだ」
「財布の決済手段としての役割が低下しているのは事実だ。最近は小銭を収納できるカードケースが流行している。しかし免許証やクレジットカードなどを10枚以上収めるのは難しい。紙幣、硬貨、カードをコンパクトに収納する機能への需要は健在だ」
――キャッシュレス時代の財布として各社は小型化を競います。
「当社は23年12月、折り畳みの小型商品『ポンテピッコラ』を発売。財布を開くと意匠登録した蛇腹が現れる。30枚ほどのカードを入れることができ、小銭入れもボックス型で取り出しやすい。こうした機能が若者にも受け入れられ年間約18万個を販売した。過去に一番売れた商品の累計販売個数は42万個ほどなので、大ヒットといっていい」
――若者の心をつかんだことで顧客リストは18万人増の146万人に拡大しました。
「当社の販路はテレビの通販番組や新聞、雑誌だ。それらを見ないZ世代の顧客層がある程度のボリュームとなってきた。顧客属性に合わせた機能性重視の商品戦略ができるようになった」
「24年末には機能性をさらに追求した『リトルノ』を販売した。紛失した場所が分かるチップ付き財布だ。利用者はなくした場所をスマホのアプリで確認できる。リトルノは小型と、中高年向けの長財布の2種類をそろえた。中高年は紙幣に折り目が入るのを嫌がる傾向にある」
――25年12月期はリトルノの販売強化などで連結純利益が1億6900万円と前の期比10%増を見込みます。
「顧客は164万人になる見込みだ。幅広い顧客向けへのアピールとしてファッションニュース通信社(東京・目黒)などグループ会社のコンテンツを磨きファッション関連情報をウェブサイトで発信するほか、SNSで商品をアピールする取り組みを本格化させる」
――若手社員が多く社内は活気があります。経営の要諦は何ですか。
「社員の自己実現をサポートすることかな。(仕事の達成に向け)こうしたらこうなるんじゃないかという個人の道筋を尊重し、実現したらほめるようにしている。鳥取県倉吉市に本社を構える私は30数年前、倉吉発のファッション産業を立ち上げようと決心した。当時のメインバンクからは『それは都会の人がやるもの』と諭された」
「やがてイタリアに支店を持ち中国に試作品の工場を設け、各国の協力工場に本格生産を依頼するビジネスモデルを作った。ハンドバッグ業界の中で高水準の粗利益率を誇るまでになった。こんな達成感を社員全員に共有してもらいたい」
(聞き手は保田井建)
やまもと・たかし 1966年7月大阪市生まれ。88年3月、東京工芸大短期大学部卒後、制作プロダクション会社に入社し写真を担当する。91年5月、有限会社バルコス(現バルコス)取締役部長に。2000年12月、バルコス社長に就任。
横浜市、独自ふるさと納税サイト 寄付の使い道など紹介[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 神奈川 26ページ 374文字 PDF有 書誌情報]
横浜市は4月、同市独自のふるさと納税サイトを開設した。観光や移住に関する情報を載せるワークシー(福岡市)のサイト「ふるさと生活」内に特設ページとして設けた。寄付の使い道や取り組み状況の紹介に重点を置き、申し込みやクレジットカードでのオンライン決済にも対応する。全国から横浜市への寄付拡大につなげる。
特設サイトでは開港の歴史が残る建築物の保存や、出走権を得られる横浜マラソンへの支援などを掲載した。画像などを組み合わせ、寄付金の使い道をわかりやすく発信したのが特徴だという。
同市へのふるさと納税は既存の12のポータルサイトからも受け付ける。市によると、2024年度のふるさと納税による流出額は298億円、受け入れ額は28億8000万円を見込む。市の担当者は「サイトをきっかけに市の事業を知ってもらい、応援してもらえる人を増やしたい」としている。
路線バス乗降、顔認証実験 関越交通、群馬で AIカメラ使い区間把握 運賃決済にらむ[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 北関東 41ページ 1169文字 PDF有 書誌情報]
関越交通(群馬県渋川市)が県内の路線バスで利用客の乗降を顔認証で把握する実験を進めている。電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)と組み、乗車時と降車時に車内の人工知能(AI)カメラで客の顔を撮影して利用区間を判別する。結果を踏まえて精度を高め、2028~29年ごろに運賃支払いでの実用化を目指す。
実験は24、25、28日の3日間に実施。関越交通が群馬県内で路線バスとして使っている大型バスと中型バスの計2台に、米AI半導体大手の小型AIボードを搭載したコンピューターと2台のAIカメラを設置し、渋川市の渋川駅と伊香保温泉を結ぶ「渋川伊香保温泉線」、前橋市の前橋駅と群馬大学荒牧、渋川駅を結ぶ「前橋渋川線」の2路線で乗客を乗せて走行した。
乗車時は車内天井に付けたAIカメラで乗ってきた客の顔を撮り、運転手のドア開閉や測位衛星システム(GNSS)の位置情報とひも付けて、どのバス停で乗ったのかを登録。降車時は運賃箱横のAIカメラで降りる客の顔を撮り、登録済み画像と照合してその客の乗降地点を判別する。実験では個人情報と連動した本人特定はしない。
現時点では乗車時に下を向いたまま乗り込み顔が撮れなかった場合は登録できないが、今後は乗車時の撮影の仕方を工夫するなどして改善。精度を高めて個人情報とひも付け、決済に使えるようにする。
登録や照合はバス走行中にサーバーにデータを送って処理するため、通信回線の容量次第ではデータが送れないトラブルも起こる。今回は23年と24年にTMNが渋川市内と新潟市内で実施した計3回の実験結果を踏まえ、送受信データを軽くするため撮影データから登録や照合に必要最小限なものだけ切り抜く工夫なども施した。
TMNでシステム開発を担当する淀川征慶さんによると、電波状況がよくない山中よりも高校生・大学生などが多く乗る駅前の方が「同じ基地局を使う利用者が電波を食い合ってデータを送受信しにくい」。今回は実用に近い機器構成で市街地や山道など様々な環境条件で実験データを取得・分析するが、「AIボードは処理能力がどんどん上がっており、今後さらに速度や精度が上がる」(淀川さん)という。
関越交通によると、全国交通系ICカードが使える運賃箱や運賃表示器、音声合成案内などの機器導入には1台あたり600万円以上かかる。システム更新には数億円かかり、乗客減少などで収益が悪化したバス事業者にとって重荷だ。熊本県内では24年11月にバスや電車を運行する公共交通5社が全国交通系ICカードによる運賃決済を廃止した。
関越交通は運転手不足に悩んでおり、「顔認証で運賃収受ができれば機器コストを抑え、運転手の負担も減らせる。自動運転バスにも使える」(企画部長の若木亮さん)と期待している。
(岡田信行)
東京メトロの新中計、設備投資に3年計4000億円 ホテル事業参入を表明[2025/04/28 20:07 日経速報ニュース 862文字 画像有 ]
東京地下鉄(東京メトロ)は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。新線建設などを含め4000億円の設備投資枠を設け、輸送効率や安全性の向上などにつなげる。ホテルの運営事業に新たに参入し、売上高の8割超を占める鉄道収入に依存する体質から脱却する。
24年10月に東証プライム市場に上場して以降、初めて中計を策定した。同日記者会見した山村明義社長は「安全なサービスに加え、投資家からは収益性の向上を期待されている。しっかりと中計に取り組んでいく」と述べた。
同社は有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(品川―白金高輪間)の延伸工事に着手している。30年代半ばの開業を目指しており、中計の期間中に500億円を投じる計画。大規模浸水などの安全性向上に向けて鉄道設備全体で1430億円を投資する。
同日には自社ブランドによるホテル運営に参画することを正式表明した。ブランド名や事業規模などの具体的な目標は今後詰める。山村社長は「インバウンド(訪日外国人)やビジネス向けには一定の需要があり、そうした客層をターゲットにしたブランドを検討していきたい」と述べた。
中計ではホテル建設に向け、不動産の取得・開発費用などとして1070億円を充てる。このほか、クレジットカードによるタッチ決済の導入、同社の乗車ポイント「メトポ」を活用したマーケティング策なども成長分野に位置付けて投資を進める。
一連の取り組みを通じ、28年3月期の営業利益は25年3月期比7%増の930億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同9.5%増を目指す。
同社は東京都心部に路線を構え、高い輸送密度に強みを持つ。一方で売上高に相当する営業収益のうち定期などの旅客運輸収入が8割を占める。鉄道への依存度が高く、今後は鉄道以外への事業多角化が課題となる。
同日発表した25年3月期の連結業績は営業収益が前の期比4.8%増の4078億円、営業利益が同13.9%増の869億円だった。インバウンド需要が引き続き堅調で輸送人員が増えた。
短期勢がヘッドライン買い 長期勢、株価反転に疑心暗鬼[2025/04/28 19:21 日経速報ニュース 1504文字 画像有 ]
28日までの4日間で1600円以上上げた日経平均株価。トランプ米政権の関税策の「緩和」をにおわせるヘッドライン(記事の見出し)が増え、ヘッジファンドなどの短期勢が外需などの日本株に買いで参入し始めた。ただし、長期投資家はこれ以上の株高に確信を持てず、外需株の本格買いには至っていない。
「時間軸不明の楽観論」。みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長は最近、顧客とのやり取りから、こんな見立てが市場にあると感じている。
米中が互いに100%を超える関税をかける状況は非現実的で、どこかで妥協点が見いだされる。米国が仮に景気後退に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)が利下げなど手を打つ。これらは相場の支援材料になるはずだが、その時期が分からない――。
28日の日経平均は一時、取引時間中として相互関税発表直前の1日以来となる3万6000円台をつけた。株高の材料はトランプ関税の妥協点が確実に見つかったことでも、FRBの利下げでもない。関税の緩和をほのめかす「ヘッドライン」だ。
25日の昼休み、一部報道で「中国は一部の米製品を関税の対象外とすることを検討する」と伝わると、午後に日経平均が一時前日比800円近くまで上げた。22日にはベッセント米財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と話し、翌日の日経平均は648円高となっていた。
この動きは2018~19年、第1次トランプ政権下での米中貿易戦争のときと似る。18年夏からトランプ政権は産業機械、半導体、家具・家電など相次ぎ関税策を打ち出し中国も報復。ただ、19年9月に発動された関税は当初想定された品目の一部にとどまった。
相場を動かしたのは「トレードディール(貿易協定)」というワードだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「貿易戦争関連の英語記事で『協定』が出てくるものの割合が3割を超えると、リスク資産が優位になる」と指摘する。貿易交渉に対する不透明感が後退して株式を買い戻す流れにつながった。
今回も足元までで記事の割合が16%まで高まっている。高田氏は、今回も3割を超えてくれば「過剰に売られた外需・シクリカル銘柄群への資金回帰が目立つだろう」とみる。
モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔株式ストラテジストは24日付のリポートで、外需株の保有リストを掲げた。2026年3月期の通期決算見通しが非開示でも「値上げなどにより業績へのダメージをコントロールしたり自社株買いなど株主還元を打ち出したりした銘柄は株価が上昇する可能性もある」とみる。
ただ、ここまでの株高をけん引したのはあくまで「株価変動が一時より落ち着き、多少ポジションを持てるようになったヘッジファンドなど短期の投資家」(国内運用会社トレーダー)。長期投資家は今回の上昇相場に無理について行かない姿勢が目立つ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー日本株、中塚浩二氏は運用するファンドの投資先を、関税の悪影響を経営の自助努力でカバーできる外需系の国際優良銘柄と内需系のディフェンシブ銘柄で固める。いわばバランス重視の布陣だ。「設備投資などが先送りされ、向こう半年で経済に悪影響が生じる可能性もある」と考えるのが理由という。「今のようなふわっとした戻りは実態を映していない。個別銘柄の動向をつぶさに見たい」(中塚氏)
投資家が持つ時間軸の長さにより、相場環境に対する判断は分かれる。続く決算発表を横目に、長期投資家が本格的な買い場を探る動きはなお続きそうだ。
(坂部能生)
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大阪府、三菱UFJの寄付に感謝状 能登地震被災の子らを万博に招待[2025/04/28 18:30 日経速報ニュース 447文字 画像有 ]
大阪府は28日、2024年の能登半島地震で被災した子どもたちを大阪観光に招待する事業を支援したとして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に感謝状を贈呈した。府は7~8月に抽選で選ばれた能登半島の小中学生や保護者計321人を大阪・関西万博などに招く。三菱UFJ銀行などグループ計6社がこの事業に総額1000万円を寄付している。
大阪府の吉村洋文知事は贈呈式で「MUFGからの大きな寄付が呼び水になり、想定を超える寄付をいただいた。子どもたちに万博の魅力と未来を感じてもらい、希望をもって前に進んでもらいたい」と述べた。
三菱UFJ銀の早乙女実副頭取も「1人でも多くの子どもたちを笑顔にしたい」と話した。三菱UFJ銀など6社は企業版ふるさと納税を利用して同事業に寄付した。
早乙女副頭取は、同行が中心となって運営するスタートアップ支援団体、関西イノベーションセンター(大阪市、MUIC)が、府の招待事業の抽選に外れた子どもたちに万博チケットを寄付することを検討していると明らかにした。
コインチェック、全サービス停止 Xの不正ログイン受け[2025/04/28 17:30 日経速報ニュース 554文字 画像有 ]
暗号資産(仮想通貨)交換業大手のコインチェック(東京・渋谷)は28日、同社のX(旧ツイッター)のアカウントが第三者に不正ログインされたことを受けて全サービスを一時停止した。仮想通貨取引の基幹システムへの影響は確認されていない。安全性を確かめた上で、28日中にサービスを再開する方針だ。
同社によると、28日午前8時ごろからXアカウントが第三者に不正ログインされた。顧客情報を盗み取るフィッシングサイトへ誘導する第三者による投稿があった。情報が盗まれる被害があったかどうかや、不正ログインされた理由について調査を進めている。
不正ログインを受け、コインチェックのウェブやアプリでの全ての機能やサービスを午後0時半から一時停止した。同社はウェブサイトに「当社サービスには影響が確認されていないが、フィッシング被害の拡大を防ぐため、全てのサービスを一時的に停止した」と説明している。
午後2時ごろに不正ログインへの対応完了後のアカウントはコインチェックの管理下にある。第三者による投稿は既に削除した。コインチェックは「ご不便とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
コインチェックは2024年末時点で220万口座を保有する。顧客の預かり資産は約1兆1000億円に上り、業界で25%のシェアがある。
横浜市、独自のふるさと納税サイトを開設 活用先を紹介[2025/04/28 16:00 日経速報ニュース 374文字 画像有 ]
横浜市は4月、同市独自のふるさと納税サイトを開設した。観光や移住に関する情報を載せるワークシー(福岡市)のサイト「ふるさと生活」内に特設ページとして設けた。寄付の使い道や取り組み状況の紹介に重点を置き、申し込みやクレジットカードでのオンライン決済にも対応する。全国から横浜市への寄付拡大につなげる。
特設サイトでは開港の歴史が残る建築物の保存や、出走権を得られる横浜マラソンへの支援などを掲載した。画像などを組み合わせ、寄付金の使い道をわかりやすく発信したのが特徴だという。
同市へのふるさと納税は既存の12のポータルサイトからも受け付ける。市によると、2024年度のふるさと納税による流出額は298億円、受け入れ額は28億8000万円を見込む。市の担当者は「サイトをきっかけに市の事業を知ってもらい、応援してもらえる人を増やしたい」としている。
アイティフォー、ながの東急百貨店で基幹システム「RITS」と決済システム「iRITSpay」が本稼働[2025/04/28 15:42 日経速報ニュース 1519文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月28日
ながの東急百貨店様、基幹システム「RITS」導入で地域密着と顧客サービスを強化
~システム刷新で業務効率化、将来の事業成長へ~
株式会社アイティフォー(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 佐藤 恒徳)は、地域のお客様に長年愛されるながの東急百貨店(所在地 : 長野県長野市、取締役社長執行役員 : 中村 宏)様の基幹システム刷新プロジェクトにおいて、当社の百貨店向け基幹システム「RITS(リッツ)」および決済システム「iRITSpay(アイリッツペイ)」が本稼働したことをお知らせいたします。老朽化したシステムの刷新による業務効率化、顧客サービス向上、そして将来的な事業拡大への柔軟な対応を目指します。
◆背景
近年、百貨店業界は、EC市場の拡大や消費者の購買行動の多様化など、外部環境の大きな変化に直面しています。日本百貨店協会のデータにも示されるように、市場全体として成熟期を迎える中で、各百貨店は新たな価値提供と持続的な成長に向けた変革が求められています。
このような状況下で、ながの東急百貨店様では、地域社会との共存共栄を図りながら、変化する時代に対応した百貨店としての事業継続を重要な経営課題と捉えていました。その一方で、既存システムの老朽化、法規制へのシステム対応の複雑化、そしてシステム改修のコスト高が喫緊の課題として認識されていました。
複数のシステムを比較検討された結果、ながの東急百貨店様は当社の「RITS」が持つ、百貨店特有の業務プロセスvへの適合性、柔軟なカスタマイズ性、そして将来的な拡張性を高く評価されました。ながの東急百貨店様の描く将来像と「RITS」の特性が合致したことから、2023年5月に導入が決定しました。
◆導入概要
この度ながの東急百貨店様は、百貨店業務の中核となる基幹システム「RITS」と、多様な決済手段に対応する決済端末「iRITSpay」を導入されました。「RITS」は、これまでに全国13社の百貨店で採用されている信頼性の高い基幹システムであり、企業のニーズに合わせて必要なモジュールを選択可能な点が特長です。今回は商品管理、販売管理(POS)、および顧客管理の各モジュールが採用されました。「iRITSpay」はPOSシステムとの連携実績が豊富で、コード決済やクレジットカード決済など多様な決済手段に1台で対応しています。
◆期待される効果
今回の「RITS」導入により、ながの東急百貨店様では以下の効果が期待されています。
・百貨店業務システムのローコスト化 : 老朽化したシステムからの移行により、運用コストの大幅な削減が見込まれます。
・現行業務の運用見直しによる省力化 : 百貨店パッケージのシステム導入と、パッケージに合わせた業務プロセスの最適化により、従業員の負担軽減と業務効率の向上が期待されます。
・決済業務の効率化とレジ周りの省スペース化 : 従来は複数の決済端末が必要だったところ、iRITSpay一台で多様な決済手段に対応できるため、レジ業務の効率化と省スペース化が図れます。
・新規投資への対応スピード向上とコストメリット : 将来的なスマートフォンアプリ構築や新たなサービス展開など、事業拡大に向けた新規投資への迅速な対応が可能となり、コスト効率の高いシステム運用が実現します。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690410/01_202504281535.pdf
<東証>マネックスGが下げ幅拡大 傘下のコインチェック公式Xに不正ログイン[2025/04/28 14:16 日経速報ニュース 299文字 ]
(14時5分、プライム、コード8698)マネックスGが後場に下げ幅を拡大する場面がある。前週末比11円(1.56%)安の691円を付けた。25日午後、傘下の暗号資産(仮想通貨)交換所のコインチェックの公式X(旧ツイッター)が不正にログインされたと明らかにした。コインチェックの全てのサービスを一時停止しており、嫌気した売りが出ている。
コインチェックのホームページは現時点で「メンテナンス中」でアクセスできない。コインチェックを装ったダイレクトメッセージなどが送信されている可能性があるという。同社は不審なURLをクリックしないよう注意を呼び掛けている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
米関税で揺らぐ日銀利上げ、継続方針は堅持[2025/04/28 14:15 日経速報ニュース 2006文字 ]
日銀は30日~5月1日に金融政策決定会合を開く。トランプ米政権が打ち出す関税政策が見通しの不確実性を高める中、国内経済や物価への影響を見極めたいとして今回は政策金利を据え置くとの予想が支配的だ。トランプ米大統領の発言に揺れ動く状況に対し、日銀は一定の前提を置いた上でリスク要因や中心的なシナリオを示す。米関税政策が国内の賃金・物価の循環を腰折れさせない程度で収まれば、利上げ方針を堅持する姿勢を続けるとみられる。
■日銀5月会合のポイント
・トランプ米政権の関税政策の影響
・「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の書きぶり
・国内の経済・物価の現状認識
米国は相互関税の上乗せ分について90日間の一時停止を決めたものの、すべての国や地域を対象に一律で10%の関税を課している。現在も貿易相手先と交渉が続くが、具体的な着地点はみえていない。「ディール(取引)」重視のトランプ氏の政策や発言が二転三転するなか、不確実性の高まりが消費者心理や企業心理を冷やし、世界経済の減速を招く可能性がある。関税強化は輸出など製造業にとっては収益の押し下げ要因で、業績の下振れが意識されれば、日本経済にとってはマイナスだ。日銀内では米関税による国内景気の下押しを警戒する雰囲気が強い。
市場では今回会合で日銀は利上げを見送るとの予想が大勢を占める。日経QUICKニュース社が金融政策を分析する「日銀ウオッチャー」を対象に21~23日に実施したアンケート調査では政策金利の「現状維持」予想が回答全体の9割超に上った。
政策の現状維持を予想するモルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅日本チーフ・エコノミストは「今回の会合では、米国の通商政策を中心とする不確実性は引き続き高い状態にあり、それが経済や物価に与える影響を見極めるにはもう少し時間がかかる」とみる。
日銀は5月会合の結果と合わせて展望リポートを公表する。米国の通商政策をめぐる不確実性が極めて高いなかではあるが、現在入手できるデータを活用しながら、2025~27年度までの実質国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)見通しを示す。米国が日本に課す税率など一定の仮定を置いて、リスク要因を説明しつつ中心的なシナリオを提示するとみられる。
もっとも、通商政策や金融・資本市場はトランプ氏の発言次第で急変しやすく流動的だ。日銀が示す展望リポートの見通しも、各国との交渉の結果やトランプ氏の発言などでその前提が大きく変わることは容易に想像できる。行内からは、今回示すリポートはあくまで仮置きとしつつ「トランプ氏の発言などのたびに、シナリオやリスクに変化がないかを点検しながら見通しをアップデートしていくよう柔軟性を持って臨む」との声が聞かれており、臨機応変に状況変化を反映させていく見通しのようだ。
国内の経済・物価情勢に目を向けると足元は日銀の目指す賃金と物価の好循環が続いていると判断できる材料が多い。25年の春季労使交渉(春闘)では基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合計した賃上げ率が2年連続で5%台となり、34年ぶりの高水準にある。総務省が発表した4月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合が110.0と、前年同月比で3.4%上昇し、日銀としても「強め」と評価できる物価上昇が続いている。
もし、米関税政策による景気下押しが避けられるなら、人手不足を背景にした賃金と物価の循環は途切れない公算が大きい。日米関税交渉の結果、相互関税の上乗せ分が撤廃され日本への適用税率がこのまま10%にとどまるなど、ある程度の先行き見通しがはっきりしてくれば、利上げに向けた環境が再び整ってくる可能性は低くないとも言える。
日銀ウオッチャー調査では年内に利上げするとの予想が依然、回答者全体の7割を占めており、日銀の利上げ時期が大幅に後ずれしているわけではない。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「今や日本のインフレ率は先進国中で最高であり、実質政策金利は突出して異様に低い状態にある」と指摘。「日銀がゆっくりとした利上げペースを維持することは、結果的に円安修正につながるため、早ければ7月、遅くとも年内に日銀は次の利上げを決定すると思われる」と予想する。
不確実性の大きささから、日銀は慎重に次の利上げ時期を判断するとみる市場参加者は多い。日銀としても状況の見極めにある程度の時間が必要であることは認めざるをえないだろう。もっとも、市場から利上げ予想そのものが消えたわけではなく、日銀からも利上げ観測を過度に後退させるような情報発信が出ることは想定しにくい。利上げまでの市場の想定距離を遠ざけるのか、近づけるのか、微妙なさじ加減が問われる会合になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 長谷部博史〕
日経平均一時3万6000円台 不安和らげた信越化学の「自信」[2025/04/28 12:02 日経速報ニュース 1386文字 画像有 ]
28日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、前週末比の上げ幅は一時300円を超えた。けん引役は前週末に巨額の自社株買いを発表した信越化学工業だ。米関税政策を巡る悲観が和らぎ投資家は買える銘柄を探している。逆風下でも大規模自社株買いを打ち出す企業が多いことを市場は「自信」の表れと捉え、市場全体のムード改善につながっている。
日経平均は前週末比369円(1.0%)高まで上げ、約1カ月ぶりに節目となる3万6000円台を回復する場面もあった。終値は134円(0.4%)高の3万5839円だった。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「日本を含め貿易相手国との関税交渉が進展するというシナリオを市場は織り込み始めている」とし「投資家は『過度な悲観』から『中立』くらいのスタンスに戻ってきている」と指摘する。
個別株で気を吐いたのが信越化学株だ。一時前週末比359円(8.9%)上昇し、約1カ月ぶりの高値をつけた。日経平均を1銘柄で44円程度押し上げた。
買いの手掛かりは前週末の決算発表に併せて示した5000億円を上限とする自社株買いだ。発行済み株式(自己株式を除く)の約10%にあたる2億株を上限に買い付ける。同社としては過去最大の金額で、SMBC日興証券の担当アナリストである宮本剛氏は25日付のリポートで「業績への自信が感じられた」と評価した。
3月期企業の決算発表が本格化する中で、信越化学のように巨額の自社株買いを発表する企業が相次いでおり、買いを集めている。4月に入り富士通は1700億円、アイシンは1200億円を上限とする自社株買いを打ち出した。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントは「還元策を打ち出した個別銘柄が相場を支えている」と話す。
野村証券が自社株取得枠の設定を発表した企業について東証株価指数(TOPIX)に対する相対株価を算出したところ、4月以降は自社株買いの株価インパクトが例年以上に大きい。発表の10営業日前を100とすると15営業日後は約106と、2023~24年の102程度を上回る。
同社の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは「投資家に現状の株価が割安だと示す『シグナリング効果』に加えて、逆風下でも耐久力がある財務への自信がある企業として投資家に安心感をもたらしている」と指摘する。
もっとも自社株買いへの好反応には、強気一辺倒になれない市場のもどかしさも隠れている。
「外部環境に左右されないポジティブなニュースは自社株買いくらいだ」との見方を示すのはセゾン投信の瀬下哲雄マルチマネージャー運用部長。「関税政策が骨抜きになったとしても経済への影響は何かしら残ると考えており、楽観は禁物だ」と警戒を緩めない。
目をこらすと決算発表が振るわなかった銘柄では売りが先行している。前週末に26年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比9%減の1250億円になる見通しだと発表した日東電工は28日、6%安で終えた。半導体関連株も総じて弱く、市場予想を大幅に下回る業績見通しを示したアドバンテストも一時6%安に沈んだ。
ゴールドマンの石橋氏は「関税交渉が大きく進展していない割には株価が戻ってきている」との見方を示す。楽観に傾きすぎないか警戒する声も多い。
(大久保希美)
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ビットコイン価格9万ドル回復 高まる金との連動性、無国籍に注目[2025/04/28 11:00 日経速報ニュース 1464文字 画像有 ]
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が再び上昇している。足元では9万3000ドル(約1330万円)前後と約2カ月ぶりの高値水準にあり、「安全資産」として買われる金との相関を強めている。トランプ米政権の関税政策によって米国の株や債券の値動きが不安定になる中、特定の国と結びつかない無国籍資産として逃避マネーの受け皿となっている。
ビットコイン価格の上昇に弾みを付けたのが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を巡る騒動だ。トランプ大統領はSNSに「一刻も早く解雇すべきだ」と17日に投稿し、21日には「今すぐ金利を引き下げない限り、経済は減速するかもしれない」とFRBに対して利下げを要求した。
FRBの独立性への懸念が高まって米ドルの信認が揺らぐ事態となり、米国資産から流出したマネーが金(ゴールド)に向かった。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は、22日のアジア時間で初めて1トロイオンス3500ドルを超えた。
金と同じ局面でビットコインにも買いが集まった。22日は、わずか1日で6000ドル近く値上がりした。この1カ月間で価格は1割弱上昇した。
ビットコインと金の連動性の高さを示すのが相関係数だ。相関係数はプラス1からマイナス1の数値で推移し、プラスが大きいほど同じ方向に動く傾向が強い。直近30日間のビットコインと金の相関係数は足元で0.65まで上昇した。
「国の信用リスクが高まる局面でビットコインは買われやすく、金との相関も強まる」。マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストはこう指摘する。13年に発生したキプロスの金融危機の際、ビットコインと金の価格が連動するように上がったこともあるという。
世界中の保有者がデータを共有して管理するビットコインは「無国籍通貨」として認識される。ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリストは「中央銀行の信認が揺らぐという特殊な状況で、ビットコインの無国籍通貨という側面が際だった」と指摘する。
上場投資信託(ETF)を経由した投資マネーの動きも見逃せない。現物のビットコインで運用する米国上場のETFには4月下旬に入ってから資金の流入が続き、22日の流入額は約9億3600万ドルと約3カ月ぶりの規模となった。
もっとも、安全資産とされる金に対し、ビットコインは「ボラティリティー(変動率)が大きく、まだまだリスク資産」(マネックスの松嶋氏)との位置づけだ。短期間で見れば金との相関が強まっているものの、長期で見れば相関係数はマイナス圏にある。
ビットコインが安全資産となり、名実ともに「デジタルゴールド」としての地位を確立するために必要なのは何か。焦点は「国家による保有」だ。
金は各国が準備資産として持っている。三菱マテリアルによると、24年12月時点の保有量は米国が8133トンと最も多く、ドイツ(3351トン)、イタリア(2451トン)が続く。近年は中国やロシアも金の保有量を増やしている。
ビットコインの国家による保有は限られていたが、トランプ大統領は3月に仮想通貨の戦略備蓄に向けた大統領令に署名した。他国に先駆けて備蓄することは「戦略的な利点がある」として、ビットコインを追加的に取得する方針を示した。
エックスバンクの西山祥史アナリストは「保有者が変化すればビットコインの質も変わる。国家の保有が進めば、安全資産との認識が広がるだろう」とみる。米国以外の国で戦略備蓄の議論が進むかどうかも注目点になりそうだ。
(相松孝暢)
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鳥取のバルコス社長「キャッシュレス時代も財布はなくならず」-トップのstrategy[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1472文字 画像有 ]
バッグなど皮革製品の企画販売会社、バルコスは使い勝手を良くした財布の開発で成長を続け、2025年12月期も業績拡大を見込む。世の中はキャッシュレス時代で若者を中心に財布を持ち歩かない人が増える。果たして財布は生き残れるのか。鳥取から財布の革新を目指す山本敬社長に戦略を聞いた。
――民間調査によると「スマートフォンで決済できるので普段は財布を持ち歩かない」と答えた人が2割強、年代別で20代が最多でした。危機感はありますか。
「あまりない。確かに普段持ち歩く人は減っている。東京では給与の受け取りから消費までデジタルで終えることもできなくはない。だが財布自体は所有している。すべての消費をスマホで済ますのは無理で、ある程度の現金が必要だからだ」
「財布の決済手段としての役割が低下しているのは事実だ。最近は小銭を収納できるカードケースが流行している。しかし免許証やクレジットカードなどを10枚以上収めるのは難しい。紙幣、硬貨、カードをコンパクトに収納する機能への需要は健在だ」
――キャッシュレス時代の財布として各社は小型化を競います。
「当社は23年12月、折り畳みの小型商品『ポンテピッコラ』を発売。財布を開くと意匠登録した蛇腹が現れる。30枚ほどのカードを入れることができ、小銭入れもボックス型で取り出しやすい。こうした機能が若者にも受け入れられ年間約18万個を販売した。過去に一番売れた商品の累計販売個数は42万個ほどなので、大ヒットといっていい」
――若者の心をつかんだことで顧客リストは18万人増の146万人に拡大しました。
「当社の販路はテレビの通販番組や新聞、雑誌だ。それらを見ないZ世代の顧客層がある程度のボリュームとなってきた。顧客属性に合わせた機能性重視の商品戦略ができるようになった」
「24年末には機能性をさらに追求した『リトルノ』を販売した。紛失した場所が分かるチップ付き財布だ。利用者はなくした場所をスマホのアプリで確認できる。リトルノは小型と、中高年向けの長財布の2種類をそろえた。中高年は紙幣に折り目が入るのを嫌がる傾向にある」
――25年12月期はリトルノの販売強化などで連結純利益が1億6900万円と前の期比10%増を見込みます。
「顧客は164万人になる見込みだ。幅広い顧客向けへのアピールとしてファッションニュース通信社(東京・目黒)などグループ会社のコンテンツを磨きファッション関連情報をウェブサイトで発信するほか、SNSで商品をアピールする取り組みを本格化させる」
――若手社員が多く社内は活気があります。経営の要諦は何ですか。
「社員の自己実現をサポートすることかな。(仕事の達成に向け)こうしたらこうなるんじゃないかという個人の道筋を尊重し、実現したらほめるようにしている。鳥取県倉吉市に本社を構える私は30数年前、倉吉発のファッション産業を立ち上げようと決心した。当時のメインバンクからは『それは都会の人がやるもの』と諭された」
「やがてイタリアに支店を持ち中国に試作品の工場を設け、各国の協力工場に本格生産を依頼するビジネスモデルを作った。ハンドバッグ業界の中で高水準の粗利益率を誇るまでになった。こんな達成感を社員全員に共有してもらいたい」
(聞き手は保田井建)
やまもと・たかし 1966年7月大阪市生まれ。88年3月、東京工芸大短期大学部卒後、制作プロダクション会社に入社し写真を担当する。91年5月、有限会社バルコス(現バルコス)取締役部長に。2000年12月、バルコス社長に就任。
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NFT市場、バブル崩壊で閉鎖相次ぐ 取引ピーク比8割減[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1389文字 画像有 ]
デジタル資産の所有を証明できる非代替性トークン(NFT)の取引市場の閉鎖が相次いでいる。30日に海外大手の「X2Y2」が終了するほか、米暗号資産(仮想通貨)交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2月に運営を終えた。足元のNFT取引高はピーク比8割減。デジタルアート作品に億円単位の価格がつくようなバブルは崩壊し、NFT売買単独での事業運営は難しくなっている。
「プラットフォームは完全に閉鎖される。一時停止ではなく、完全に終止符を打つ」。3月31日、X2Y2のウェブサイトで4月末の閉鎖が通告された。X2Y2は2022年2月に開設され、年間取引量は約5000万ドルと世界で3位だ。閉鎖理由の一つとして、21年のピーク時から取引量が90%減少したことを説明した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製を不可能にしたデジタル資産を指す。21年から22年にかけてデジタルアート作品NFTが活発に取引され、なかには7000万ドルという高値で落札されたアートNFTもあった。
ブームは長くは続かなかった。分析プラットフォームのDappRadar(ダップレーダー)によれば、22年は572億ドルの取引量を記録したが、24年には137億ドルと8割近く減少。足元も回復しないままだ。交換業者ビットバンク(東京・品川)の長谷川友哉マーケット・アナリストは「価値があるとの思い込みから大金が一時集まったが、そこまで価値がないことにみんなが気づき、バブルがはじけた」と指摘する。
NFT市場は、2~3%の取引手数料収入で運営を成り立たせている。取引が低調な状況では継続は難しくなっている。クラーケンが運営するNFT市場は2月に運営を終了。仮想通貨交換業者バイビットも4月上旬にNFT取引サービスを終えた。
日本も例外ではない。航空関連のデジタルコンテンツを展開していたANAホールディングスグループのNFT市場は2月に終了。サービス開始からわずか1年ほどで姿を消すことになった。運営を担っていたANA NEO(東京・港)は「これ以上の事業継続が困難と判断した」と説明する。
国内NFT市場関係者は「中小規模のマーケットプレイスはこれまでも閉鎖されてきたが、比較的体力のあった主要な事業者がここに来てサービスを終了している」と指摘する。
一方、NFTを投資対象ではなく、マーケティングに活用する企業が増えている。ソニー銀行は昨夏からNFTを閲覧できるアプリの提供を始めた。ソニーグループのアーティストの音楽ライブへの参加者限定で配布されるNFTなどを収集することができる。
SBIグループのSBINFT(東京・港)が運営するSBINFTマーケットは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」と連携する。NFTの売買でポンタがたまる仕組みで、「ポイ活」に熱心な顧客を呼び込む狙いがある。SBINFTの高長徳取締役は「売買サービス単体では継続が大変。収益源の多角化に取り組んでいる」と話す。
NFTバブルが崩壊したのは、仮想通貨と同じように価格の値上がりに期待しすぎる人が群がったためだ。本来、NFTはクリエーターに収益を還元する仕組みや、保有を通じて生まれるファンコミュニティーにこそ魅力がある。この魅力を生かしたデジタルサービスを生み出せるかが、事業者に問われている。
(相松孝暢)
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顔認証でバス乗降 群馬・関越交通が実験、利用把握や決済にらむ[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1170文字 画像有 ]
関越交通(群馬県渋川市)が県内の路線バスで利用客の乗降を顔認証で把握する実験を進めている。電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)と組み、乗車時と降車時に車内の人工知能(AI)カメラで客の顔を撮影して利用区間を判別する。結果を踏まえて精度を高め、2028~29年ごろに運賃支払いでの実用化を目指す。
実験は24、25、28日の3日間に実施。関越交通が群馬県内で路線バスとして使っている大型バスと中型バスの計2台に、米AI半導体大手の小型AIボードを搭載したコンピューターと2台のAIカメラを設置し、渋川市の渋川駅と伊香保温泉を結ぶ「渋川伊香保温泉線」、前橋市の前橋駅と群馬大学荒牧、渋川駅を結ぶ「前橋渋川線」の2路線で乗客を乗せて走行した。
乗車時は車内天井に付けたAIカメラで乗ってきた客の顔を撮り、運転手のドア開閉や測位衛星システム(GNSS)の位置情報とひも付けて、どのバス停で乗ったのかを登録。降車時は運賃箱横のAIカメラで降りる客の顔を撮り、登録済み画像と照合してその客の乗降地点を判別する。実験では個人情報と連動した本人特定はしない。
現時点では乗車時に下を向いたまま乗り込み顔が撮れなかった場合は登録できないが、今後は乗車時の撮影の仕方を工夫するなどして改善。精度を高めて個人情報とひも付け、決済に使えるようにする。
登録や照合はバス走行中にサーバーにデータを送って処理するため、通信回線の容量次第ではデータが送れないトラブルも起こる。今回は23年と24年にTMNが渋川市内と新潟市内で実施した計3回の実験結果を踏まえ、送受信データを軽くするため撮影データから登録や照合に必要最小限なものだけ切り抜く工夫なども施した。
TMNでシステム開発を担当する淀川征慶さんによると、電波状況がよくない山中よりも高校生・大学生などが多く乗る駅前の方が「同じ基地局を使う利用者が電波を食い合ってデータを送受信しにくい」。今回は実用に近い機器構成で市街地や山道など様々な環境条件で実験データを取得・分析するが、「AIボードは処理能力がどんどん上がっており、今後さらに速度や精度が上がる」(淀川さん)という。
関越交通によると、全国交通系ICカードが使える運賃箱や運賃表示器、音声合成案内などの機器導入には1台あたり600万円以上かかる。システム更新には数億円かかり、乗客減少などで収益が悪化したバス事業者にとって重荷だ。熊本県内では24年11月にバスや電車を運行する公共交通5社が全国交通系ICカードによる運賃決済を廃止した。
関越交通は運転手不足に悩んでおり、「顔認証で運賃収受ができれば機器コストを抑え、運転手の負担も減らせる。自動運転バスにも使える」(企画部長の若木亮さん)と期待している。
(岡田信行)
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OpenAIのアルトマンCEO、バイオ・エネ・教育にも投資[2025/04/28 02:00 日経速報ニュース 2317文字 画像有 ]
米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はスタートアップへの投資家としても有名だ。オープンAIの事業にかかわる人工知能(AI)関連のほか、バイオテクノロジーやエネルギー分野に積極的に投資している。注目の投資先をCBインサイツがまとめた。
米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は生成AIブームの顔というべき存在だ。
2014~19年には世界で最も成功を収めているスタートアップ支援組織の1つ、米Yコンビネーターの社長も務めていた。
その傍らで、10年以降に米電子決済大手ストライプ(Stripe)、米インターネット掲示板レディット、米食品宅配大手インスタカートなど100件以上の資金調達ラウンドに出資してきた非常に活発なエンジェル投資家だ。
個人での投資に加え、ベンチャーキャピタル(VC)のヒドラジン・キャピタルを創業し、弟のマックス、ジャック両氏とともに同アポロ・プロジェクトも立ち上げた。ジャック氏が経営する同アルトマン・キャピタルにもリミテッドパートナー(LP)として参加している。
サム・アルトマン氏の投資先からは、培養肉や長寿、エネルギー、教育、もちろんAIなど同氏の幅広い関心がうかがえる。
同氏の19年以降の投資先を分野別にグラフにまとめ、オープンAIとの関係を公表している企業にしるしを付けた。
さらに、アルトマン氏の代表的な活動分野について分析した。
アルトマン氏の投資先、オープンAIの戦略と重複
アルトマン氏が出資している企業の一部はオープンAIとも関係がある。例えば、対話型AI「Chat(チャット)GPT」を活用したパーソナルアシスタントを搭載するウエアラブル端末「Ai Pin」を最近発売した米ヒューメイン(Humane)のラウンドに3回出資している。
アルトマン氏が出資するB2B決済自動化プラットフォームの米スロープ(Slope、シリーズB)と、コード補完の米ワープ(Warp、シリーズB)も、オープンAIのモデルを自社製品に搭載していることを明らかにしている。
一方、オープンAIは19年、米レインAI(Rain AI)のAI半導体に5100万ドルを出資する趣意書を交わした。アルトマン氏は以前、レインAIのシードラウンドに出資した。
AIを活用した言語学習アプリ「スピーク(Speak)」は、22年のシリーズAでアルトマン氏から出資を受け、それ以降もオープンAIのVC「スタートアップファンド」や他の投資家から資金を調達している。
オープンAIは「オープンAIスタートアップ・ファンド」に出資してはいないが(米マイクロソフトやオープンAIの他のパートナーなどが出資)、スピークは(同ファンドから出資を受けた)シリーズBの資金調達によって「オープンAIのシステムで当社のユーザー体験を強化し、開発中の新たなシステムにいち早くアクセスできるより深い関係が可能になった」と強調した。
オープンAIは新たに400億ドルを調達するため、インフラ(基盤レベルで成長し続けるための土台づくり)とアプリケーション(営利化に伴う収益創出の取り組み)の2つの重要分野を中心に、他社の買収にさらに積極的になるだろう。
アルトマン氏によるこの1年の新規投資のうち、特に注目なのは以下の3社だ。
1)米エアオプス(AirOps、24年6月、アルト・キャピタル経由):個人ユーザーによるAIアプリケーション作成、テスト、展開、拡大を可能にするプラットフォーム
2))米クルーAI(CrewAI、24年10月、 アルト・キャピタル経由):AIエージェントの開発、展開、管理プラットフォーム
3)米エクソワット(Exowatt、24年4月):モジュール式発電・蓄電システムを手掛ける再生可能エネルギー企業
AI以外の2大投資先はエネルギーと長寿
アルトマン氏は21年11月、核融合発電スタートアップの米ヘリオン・エナジー(Helion Energy)のシリーズE(調達額5億ドル)に、同氏の個人投資では最大の3億7500万ドルを出資した。
同氏は出資当時、ブログで「ヘリオンの核融合発電の手法は私が目にしたなかで飛び抜けて有望だ」と絶賛した。オープンAIに出資するマイクロソフトは23年5月、ヘリオンと20年後半から電力を購入する契約を締結した。
アルトマンは抗加齢スタートアップ、米レトロ・バイオサイエンシズ(Retro Biosciences)も有望視している。細胞のリプログラミングにより寿命を延ばそうと取り組む同社に計1億8000万ドルを投じている。
主なエグジット(投資回収)
アルトマン氏は教育とデジタルを組み合わせた「エドテック」スタートアップにも数多く出資している。11年に出資した米コードカデミー(Codecademy)は21年12月、米スキルソフトに5億2500万ドルで買収された。
他の初期投資先でエグジットに至った企業は、インスタカート(23年9月に新規株式公開=IPO)や米クルーズ(Cruise、16年に米ゼネラル・モーターズ=GMによって買収)などだ。
さらに、特別買収目的会社(SPAC)3社の経営にも携わっている。
・核分裂発電スタートアップ、米オクロ(Oklo)との合併を計画しているアルトC・アクイジション(執行役員)
・23年10月に米フィンテック、マネーヒーローと合併したブリッジタウン・ホールディングス(取締役)
・22年に不動産テックのプロパティーグル(シンガポール)と合併したブリッジタウン2ホールディングス(取締役)
トランプ政権、ドル下落率が歴代最大 ぶれる関税の裏に金利 あす政権発足100日[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1818文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=三島大地、竹内弘文】トランプ米政権が29日、発足から100日を迎える。金融市場では米国の株式と債券、米ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、ハネムーン期間中の米ドルの下落率は歴代政権で最も大きくなる見通しだ。トランプ相場の足跡をチャートとともに振り返る。
1月20日に第2次トランプ政権が発足すると、直後から株価は緩やかに下落基調をたどった。中国やカナダ、メキシコなどへの追加関税を振りかざす強硬姿勢が、それまで「プロ(親)ビジネス」と見られていた政権への期待を後退させたためだ。
4月2日にトランプ氏が相互関税の詳細を明らかにすると、想定を上回る高関税への警戒感から株価は急落した。4日にはロスカット(損失限定)の動きも巻き込んで一段と売り込まれ、ダウ工業株30種平均の前日比の下げ幅は2231ドル安と史上3番目の水準を記録した。
9日にトランプ氏が相互関税の上乗せ分について、中国を除き90日間停止すると表明すると、株価は急反発した。上昇幅は2962ドルと史上最大となった。歴代でもきわだって、株式相場が乱高下した政権になる。
■株8%安、フォード政権以来の水準
政策への先行き不透明感から投資家は警戒姿勢を崩しておらず、ダウ平均は政権発足後、8%安となった。下落率はウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任を受けて1974年に発足したフォード政権以来の水準を記録した。当時の米国はオイルショックの影響で戦後最悪と言われる景気後退局面にあった。
09年1月に発足したオバマ政権の100日間の株価は、リーマン危機の影響がくすぶっていたこともあってマイナスだった。バイデン政権は新型コロナウイルス禍の21年1月に立ち上がり、ワクチン接種の進展と経済再開への期待感から株価は上昇した。
関税を巡り強硬路線を貫いていた米政権を「翻意」させたのが長期金利の急上昇(債券価格は下落)だ。景気悪化に伴う米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待から、長期金利の指標となる10年物国債利回りは4日に一時3.86%まで低下した。
だが9日午前に突如、4.5%超まで急騰。中国が米国の追加関税に反発し、米国債を売却したとの観測も浮上した。
同日午後には相互関税の上乗せ部分の一時停止を表明。トランプ氏は記者団に「債券市場はやっかいだ」と述べ、決断の背後に金利の急騰があったことを示唆した。ベッセント財務長官は14日、米金利の急上昇はヘッジファンドなどによるレバレッジ解消の動きだとの見方を示した。
外国為替市場では政権発足以来、ドル安基調が続いている。株式や債券など米金融資産からの資金流出に伴い、ドル売り圧力が強まっていることが底流にある。
主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」はトランプ氏の就任から9%下げた。発足100日間のハネムーン期間中としては、歴代でも最大の下落率となる見通しだ。
米ドルの急落に伴い、円は対ドルで急速に上昇した。トランプ政権発足後の円相場の上昇幅は一時、15円以上に達した。
日米財務相会談で米国が日本に円安・ドル高を是正するよう要求するとの観測が円を一段と押し上げた。だが会談前後にベッセント米財務長官や加藤勝信財務相がこうした観測を否定したことで、足元で円買いは一服している。
■レーガン政権はドル高
トランプ政権と対照的な動きとなったのがレーガン政権だ。強いドルを標榜してFRBのボルカー議長の下で金融引き締めを強め、政権発足当初からドル高が加速した。クリントン政権は日本の貿易黒字を問題視し、日本政府に是正を迫った。為替市場では円高・ドル安が進んだ。
米国債と双璧をなす「安全資産」の金(ゴールド)には買いが殺到した。国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は22日に一時1トロイオンス=3509ドルと最高値を付けた。物価上昇と景気後退が併存する「スタグフレーション」の局面では、歴史的に金が買われる傾向がある。
一方、「デジタルゴールド」とも評された暗号資産(仮想通貨)のビットコインは政権発足後に一時、3割近く下落した。米国を「仮想通貨超大国」にするとのトランプ氏の発言から政権発足前に大きく買い込まれていた。足元ではトランプ政権への政策期待もあり、1BTC(ビットコインの単位)=9万ドルを上回る水準で取引されている。
【図・写真】米資産からの資本流出がトリプル安を招いた=AP
盛岡の地域通貨 モリオペイ、セブンで入金・決済 スタンプラリー・会員証機能も検討[2025/04/28 日経MJ(流通新聞) 13ページ 1242文字 PDF有 書誌情報]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは(1)スタンプラリー機能(2)会員証機能(3)ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
(盛岡支局長 朴相五)
【図・写真】モリオペイ専用現金チャージ機はまだ少ない(盛岡市内の複合商業施設monakaで)
【図・写真】盛岡さんさ踊りの期間、一部の屋台でモリオペイが使えた=盛岡バリューシティ提供
25年05月02日
4月前半の消費3.0%増 酒屋、値上げ響く(短信)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 5ページ 124文字 PDF有 書誌情報]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく4月前半の消費データを発表した。名目で前年同期比3.0%増えたものの、3月後半より伸びは鈍化した。旅行の消費が減速したほか、4月からの値上げの影響で酒屋の消費も落ち込んだ。
米企業の不祥事 取り締まり緩和 トランプ政権、100社超の調査停止・撤回[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1247文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=吉田圭織】トランプ米政権が企業の犯罪取り締まりを緩め始めた。米市民団体パブリック・シチズンによれば、不祥事で告発を受けた100社以上に対する当局調査の停止や撤回を指示した。専門家はホワイトカラー犯罪が今後急増する恐れがあると警告している。
パブリック・シチズンの調べでは、1月にトランプ政権が発足して以降、不祥事企業に対する取り締まりを急速に緩めている。これまでに当局が調査していた72件を停止し、54件は撤回した。
米消費者金融保護局(CFPB)や米証券取引委員会(SEC)が調べていた案件が多い。
3月下旬には、無登録の証券取引を繰り返したとされる暗号資産(仮想通貨)会社、クリプト・ドット・コムへの調査を取りやめた。
2月には、ホテルブランドのホリデー・イン・エクスプレスなどへの訴訟を撤回した。トランスジェンダー(出生時の性と自認する性が一致しない人)の従業員に対して差別していた疑いが出ていた。
トランプ政権は3月下旬にも、詐欺罪で有罪判決を受けていた電気自動車(EV)の新興メーカー、米ニコラの創業者トレバー・ミルトン氏に恩赦を出した。
意図的にマネーロンダリング(資金洗浄)対策を取っていなかった仮想通貨交換業ビットメックスの共同創設者3人にも同様の赦免措置を出した。
企業だけではない。収賄や詐欺の罪に問われていた米東部ニューヨークのエリック・アダムズ市長に対する起訴の棄却が4月上旬に決まった。アダムズ市長はバイデン前政権下の2024年9月、トルコ政府に便宜をはかる代わりに賄賂を受けとっていた疑いなどで連邦検察から起訴されていた。
背景にはホワイトカラー犯罪に対する米政権の大きな方針転換がある。
トランプ氏は25年2月に「海外腐敗行為防止法(FCPA)」の見直しや執行停止を命じる大統領令を出した。外国公務員への贈賄を罰する法律だが、トランプ氏は「FCPAによる予測不可能な取り締まりが米企業の競争力を損なっている」と主張する。
米国の企業犯罪の取り締まりはこれまで世界各国の規制に大きな影響を与えてきた。
たとえばFCPAは日本のロッキード事件をきっかけに1977年に導入した。その後、経済協力開発機構(OECD)の外国公務員贈賄防止条約、国連腐敗防止条約といった国際ルールの整備につながる端緒となった。
それだけにトランプ政権の取り締まり緩和に危機感を持つ専門家が増えている。
公共部門の汚職を調査する非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)」のフランソワ・ヴァレリアン会長は「世界的に賄賂が再び容認されるという危険なシグナルを送りかねない」と警告している。
米連邦預金保険公社(FDIC)で銀行規制を担当していたロス・デルストン弁護士は「トランプ政権が続く今後4年間、詐欺などの金融犯罪が爆発的に増える」と予想する。そのうえで「マネロンやテロ資金を出す犯罪者に米国を本拠地として悪用することを許してしまう」と指摘した。
ジェーシービー(会社人事)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
ジェーシービー
(5月1日)常務執行役員総合企画部・経理部・総務部副担当、丹後健史
ビットコイン 逆回転リスク、9万ドル回復後 上値重く 企業の大口売り警戒(ポジション)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1347文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインで潜在的な売り需要が相場の重荷だ。過去の上昇局面で事業法人が大口保有を始めていたためだ。9万ドル台まで戻した後の上値は重く、1月に最高値をつけたときほどの高揚感はない。財務リスクを抱えた企業の戻り売りが懸念されている。
「資金調達が困難になれば保有ビットコインを売却する可能性がある」。4月上旬、世界最大のビットコイン保有企業である米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)が米証券取引委員会(SEC)に出した臨時報告書「フォーム8K」の一文は、投資家の買い控えを招いた。
4月末時点の1BTC(ビットコインの単位)あたりの平均取得価格は6・8万ドル。文言は一般的なリスク開示事項だが、相場が弱含む中で「7万ドルを割り取得価格に近づけば本格売りに転じるのでは、との見方が広がった」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)。
情報サイトの米コインマーケットキャップによると、ビットコインは日本時間1日午後5時時点で1BTC=9万5000ドル台(約1300万円)。4月上旬の安値(7万4000ドル台)比3割上昇後、一巡感も漂う。
世界の仮想通貨保有量を追跡するウェブサイトであるビットコイン・トレジャリーズによると、上場企業のビットコイン保有量は約76万BTC(約10兆円)と24年末比で2割増。より高い価格帯から買った企業は多い。
米医療機器メーカーのセムラー・サイエンティフィックは2~4月にビットコインを追加購入し、保有量が3303BTC(約450億円)に達したと4月25日に発表した。24年5月から保有を始め、平均取得単価は8・7万ドル。
24年の上昇局面終盤に保有を始めた企業では、平均取得単価割れを起こしているとみられる企業もある。半導体集積回路(IC)を手掛ける中国の浙江豪微科技(ナノ・ラブズ)は、24年12月に平均単価9・9万ドル、25年1~4月に同9・7万ドルで購入した。
国内の保有企業では「日本版ストラテジー」の異名を持つ東証スタンダードのメタプラネットが最大だ。4月時点の保有量は5000BTC(約680億円)、平均取得単価は8・5万ドル。メタプラ株は保有を始めた24年4月から約20倍に急騰した。
東京証券取引所が時価総額などの上場維持基準の厳格化を進める中、手っ取り早い株価の引き上げ手段としてビットコイン保有が株式市場の一部でひそかに注目される。4月にはスタンダード上場のカジュアル衣料製造ANAPホールディングスが新規購入を発表し、3月にはニッケル地金のエス・サイエンスも保有意向を示した。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「投資家層の広がりは相場にポジティブだが、下落局面では財務リスクの高い企業による投げ売りが広がる可能性がある」と警戒する。購入を決めたある企業は「今後もし保有中に大きな損失が膨らむ状況となれば売却もあり得る」とする。
米マイニング(採掘)のクリーンスパークは4月15日、採掘したビットコインの全てを長期保有する戦略から、一部売却し事業運営に充てる方針へ転換すると発表した。トランプ米政権の政策に世界の金融市場が右往左往する中、大口保有企業の懐事情にも警戒が必要だ。(河井優香)
デジタル名刺 交換で「♪エイト」 Sansan、効果音で確認しやすく[2025/05/02 日経MJ(流通新聞) 3ページ 338文字 PDF有 書誌情報]
名刺管理サービスを手掛けるSansanは同社の名刺管理アプリ「Eight(エイト)」でQRコードを使って名刺交換した際、スマートフォンから効果音が鳴るように変更した。これまでは無音で、きちんと交換できたか分かりづらかった。アプリの認知度向上も狙う。
名刺情報が相手に送られたタイミングで「♪エイト」という音と振動が発生する。受け取り側も名刺管理アプリを使っている場合は相手のスマホにも同様の反応がある。
Sansanはデジタル名刺の普及を推進している。Eight事業部の片芝亮友プロダクトマネジャーは「コンビニなどで電子マネーが決済時に鳴っているのを耳にする体験から着想した」と話した。
【図・写真】Sansanの名刺管理アプリ「Eight(エイト)」を使ったデジタル名刺交換
松坂屋名古屋店、開業100周年 「栄」開発の中核に 地区一体での誘客模索[2025/05/02 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1344文字 PDF有 書誌情報]
松坂屋名古屋店(名古屋市)は1日、本館を栄地区の現在の地を構えてから100年を迎えた。同店は名古屋の最古の百貨店だ。松坂屋はJ・フロントリテイリングの傘下となったが、名古屋を重要エリアの一つと定める。地区一帯の開発で2027年度には23年度比50億円以上の増益を目指す。
午前10時、松坂屋名古屋店本館の前には長い列がつくられた。松坂屋のファンという30代女性は「母も松坂屋が大好きで思い出がある。これまでの人生は松坂屋と一緒だった」と目を細めた。
同日開いた100周年の記念式典では鏡開きを実施し、たる酒が振る舞われたほか、松坂屋の商標を焼き印した老舗和菓子店の両口屋是清(名古屋市)の主力商品「千なり」を配布した。
松坂屋名古屋店の斉藤毅店長は「創業時の精神は変わらず、時代に合わせた新しい体験価値を提供していきたい」と話した。
1611年、松坂屋の前身の「伊藤屋」が創業。1910年には名古屋初の百貨店として開業した。
1925年に久屋大通沿いの現在の場所に店舗を移転し、商号を「松坂屋」に変更した。松坂屋はかつて、名古屋鉄道や中部電力などと並び名古屋の名企業集団「五摂家」に名を連ねた。1970年代には名古屋駅店(名古屋市)や岡崎店(愛知県岡崎市)など愛知県内に複数の店舗を構えた。
2000年以降、電子商取引(EC)などの台頭で百貨店消費が低迷。07年に松坂屋は大丸と経営統合し、J・フロントリテイリングとして再出発した。10年には名古屋駅店や岡崎店は相次ぎ閉店し、名古屋店は愛知県唯一の店舗となった。
名古屋店は15年、00年に開業した名古屋駅直結のJR名古屋高島屋(名古屋市)に売上高が抜かれ、名古屋1番店の座を明け渡すこととなった。
足元、松坂屋名古屋店の業績は堅調だ。25年2月期の売上高は前の期比4%増の1316億円だった。インバウンド(訪日外国人)の増加で高級品などの売り上げが伸びた。
24年には63億円を投資した大規模改装を実施しており、25年秋まで新たなテナントの開店も続く。名古屋店は売り上げの半分を外商顧客が占めるが、「次世代顧客」をターゲットに美術や酒などをそろえて若い富裕層を開拓する。
Jフロントは栄地区を重要エリアと位置づけており、地区一体での誘客を模索をしている。名古屋パルコやBINO栄のほか、26年夏にはザ・ランドマーク名古屋栄が開業し回遊を狙う。名古屋エリアの開発を進めることで27年度に23年度比50億円以上の増益を見込む。
3月にはJフロントで「名古屋地域共栄担当」という専任組織を設置した。名古屋店の斉藤店長がリーダーとして先導する。
他社との連携も強めている。栄での同社のクレジットカードの加盟店舗数はグループ外で「114店まで拡大した」(Jフロントの小野圭一社長)。その上で「栄エリアに行くという目的で来てもらえるような商業施設をつくった上で、グループ内の連携や戦略的な改装を進めている」(同)と話す。
名古屋店は改装が終わると、リニューアル対象フロアの26年度の売上高が23年度比で42%増を見込んでいる。名古屋駅前にあるJR名古屋高島屋との差異化を見据え、栄という地域に根ざした百貨店としての施策が欠かせない。
(竜田菜美子)
ビットコイン、企業保有に逆回転リスク 9万ドル回復後は上値重く[2025/05/01 17:59 日経速報ニュース 1679文字 画像有 ]
代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインで潜在的な売り需要が相場の重荷となっている。過去の上昇局面で事業法人が大口保有を始めていたためだ。9万ドル台まで戻した後の上値は重く、1月に最高値をつけたときほどの高揚感はない。財務リスクを抱えた企業の戻り売りが懸念されている。
「資金調達が困難になれば保有ビットコインを売却する可能性がある」。4月上旬、世界最大のビットコイン保有企業である米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)が米証券取引委員会(SEC)に出した臨時報告書「フォーム8K」の一文は、投資家の買い控えを招いた。
4月末時点の1BTC(ビットコインの単位)あたりの平均取得価格は6.8万ドル。文言は一般的なリスク開示事項に過ぎなかったが、相場が弱含む中で「7万ドルを割り取得価格に近づけば本格売りに転じるのでは、との見方が広がった」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)。
情報サイトの米コインマーケットキャップによると、ビットコインは日本時間1日午後5時時点で1BTC=9万5000ドル台(約1300万円)。4月上旬の安値(7万4000ドル台)から3割高まで戻したが、一巡感が漂う。「ストラテジーに限らず、保有企業による大口の売り需要懸念は足元も尾を引いている」(エックスバンクの西山祥史アナリスト)
世界の仮想通貨保有量を追跡するウェブサイトであるビットコイン・トレジャリーズによると、上場企業のビットコイン保有量は約76万BTC(約10兆円)と24年末比で2割増えた。20年に保有を始めたストラテジーに続き、より高い価格帯から買った企業は多い。
米医療機器メーカーのセムラー・サイエンティフィックは2~4月にビットコインを追加購入し、保有量が3303BTC(約450億円)に達したと4月25日に発表した。24年5月から保有を始め、平均取得単価は8.7万ドル。エリック・セムラー取締役会会長は「潤沢な資金力にもかかわらず株価が低迷する『ゾンビ企業』はビットコインを財務準備資産に加えるべきだ」と述べ保有に前向きだ。
しかし、24年の上昇局面終盤に保有を始めた企業では、既に平均取得単価割れを起こしているとみられる企業もある。半導体集積回路(IC)を手掛ける中国の浙江豪微科技(ナノ・ラブズ)は、24年12月に平均単価9.9万ドル、25年1~4月に同9.7万ドルで購入した。
国内の保有企業では「日本版ストラテジー」の異名を持つ東証スタンダードのメタプラネットが最大だ。4月時点の保有量は5000BTC(約680億円)、平均取得単価は8.5万ドル。メタプラ株は保有を始めた24年4月から約20倍に急騰した。
東京証券取引所が時価総額などの上場維持基準の厳格化を進める中、手っ取り早い株価の引き上げ手段としてビットコイン保有が株式市場の一部でひそかに注目される。4月にはスタンダード上場のカジュアル衣料製造ANAPホールディングスが新規購入を発表し、3月にはニッケル地金のエス・サイエンスも保有意向を示した。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「投資家層の広がりは相場にポジティブだが、下落局面では財務リスクの高い企業による投げ売りが広がる可能性がある」と警戒する。購入を決めたある企業は「今後もし保有中に大きな損失が膨らむ状況となれば売却もあり得る」と打ち明ける。
米セムラー・サイエンティフィックは4月15日、25年1~3月期の保有ビットコインの評価損が4180万ドルになると発表した。価格変動が理由だ。
売却を決めた企業も出始めた。米マイニング(採掘)のクリーンスパークは同日、採掘したビットコインの全てを長期保有する戦略から、一部売却し事業運営に充てる方針へ転換すると発表した。データ分析のザ・マイナー・マグによると、主要な上場採掘企業は3月に合計で総採掘量の4割超を売却し、長期保有の戦略を見直しつつある。
トランプ米政権の政策に世界の金融市場が右往左往する中、大口保有企業の懐事情にも警戒が必要だ。
(河井優香)
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人事、ジェーシービー[2025/05/01 16:50 日経速報ニュース 34文字 ]
(5月1日)常務執行役員総合企画部・経理部・総務部副担当、丹後健史
東エレク株、最高益予想も買われず 米規制と関税の影響みえず及び腰[2025/05/01 14:54 日経速報ニュース 1815文字 ]
1日の東京株式市場で東エレク(8035)が反落し、前日比655円(3.08%)安の2万570円まで下落した。4月30日に発表した2026年3月期(今期)の連結純利益は2年連続で過去最高を更新する見通しだったことから買いが先行したが、長くは続かなかった。東エレクは人工知能(AI)を中心とした半導体と製造装置需要の拡大に自信を見せるが、投資家側は米国の対中半導体規制や関税政策の影響について読めず、買いに及び腰となっている。
■市場予想上回る業績見通し 期待値はクリア
東エレクの今期連結純利益は前期比4%増の5660億円と、市場予想平均のQUICKコンセンサス5574億円(4月24日時点、18社)を上回った。売上高は7%増の2兆6000億円の見通しで、年間配当は前期から26円増やし618円と、株式分割を考慮したベースで過去最高を計画する。
今期は中国企業からの受注は減少するものの、AIサーバー向けの最先端ロジック半導体や広帯域メモリー(HBM)の生産設備投資が補う。25年暦年の世界の前工程製造装置(WFE)市場の見通しは前年と同じ1100億ドル程度と前回2月時点の予想を維持した。決算説明会では顧客の投資計画に変更はないとしており、米国の半導体規制や関税政策による世界景気の減速による影響は現状では限定的のようだ。ゴールドマン・サックス証券の中村修平アナリストらは30日付リポートで「株式市場の期待値はクリアした内容」と評価した。
■買い一巡後は売り強まる 中国向けなど懸念
株価は朝方こそ上昇したが、買い一巡後は売りに押された。東エレクの今期予想に対し「強気過ぎ」との慎重な声も聞かれる。モルガン・スタンレーMUFG証券は対中半導体規制がさらに強化されるリスクを織り込み、東エレクの今期以降の中国向けの売上高予想を下方修正した。
東エレクの予想PER(株価収益率)は16倍台と、同業の米アプライドマテリアルズ(AMAT、@AMAT/U)や米ラムリサーチ(@LRCX/U)と同水準。東エレク株は年初から12%下落し、昨年4月の上場来高値(4万860円)からはほぼ半値となっている。市場からは「割高感は解消され、今期の見通しも悪くないが、米国の半導体規制や関税政策の全貌が見えるまで買い持ち高を増やす理由にはならない」(国内運用大手のポートフォリオマネージャー)というのが市場の本音のようだ。
■漠然とした不安で株価の戻りは限定的
1日の東京株式市場ではAI需要の恩恵が大きいされるアドバンテスト(6857)とディスコ(6146)が大きく上昇した。4月30日に米マイクロソフトと米メタプラットフォームズがそれぞれ発表した25年1~3月期決算で売上高と1株利益が市場予想を上回った。メタは設備投資額の見通しを上方修正したことも買い材料視された。
もっとも、年初からみると両銘柄も大きく下落している。楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリストは、「いくら顧客に当たる米ハイテク大手がAI需要の強さを強調しても、今後の需要の強さを保証するものではない」と話す。とりわけトランプ米政権の政策は先が読めず、「半導体需要や設備投資の先行きに漠然とした不安感は残る。そうした不安が続く限り、株価の戻りも限定的になる」との見方を示す。
岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストも顧客からの需要が弱まるとは予想していないと前置きしながら「米国の対中半導体規制や関税政策の影響の全体像がみえるまで機関投資家は積極的に買いに動けないのは確か」と話す。
トランプ政権の影響がどこまで業績に表れるのかは次回の4~6月期決算まで持ち越しとなった。それまで市場は東エレクが今回示した業績見通しに対し、疑心暗鬼となる状況が続く。必然的に株価の戻りも限られそうだ。
※主な半導体関連株の25年の騰落率
アドバンテスト(6857) -36.26%
ディスコ(6146) -35.36%
レーザーテック(6920) -12.48%
東京エレクトロン(8035) -12.24%
SCREENホールディングス(7735) -0.27%
(注)4月30日終値。
〔日経QUICKニュース(NQN) 宮尾克弥〕
松坂屋名古屋店が開業100周年式典 「栄」開発の中核再び[2025/05/01 14:38 日経速報ニュース 1345文字 画像有 ]
松坂屋名古屋店(名古屋市)は1日、本館を栄地区の現在の地を構えてから100年を迎えた。同店は名古屋の最古の百貨店だ。松坂屋はJ・フロントリテイリングの傘下となったが、名古屋を重要エリアの一つと定める。地区一帯の開発で2027年度には23年度比50億円以上の増益を目指す。
午前10時、松坂屋名古屋店本館の前には長い列がつくられた。松坂屋のファンという30代女性は「母も松坂屋が大好きで思い出がある。これまでの人生は松坂屋と一緒だった」と目を細めた。
同日開いた100周年の記念式典では鏡開きを実施し、たる酒が振る舞われたほか、松坂屋の商標を焼き印した老舗和菓子店の両口屋是清(名古屋市)の主力商品「千なり」を配布した。
松坂屋名古屋店の斉藤毅店長は「創業時の精神は変わらず、時代に合わせた新しい体験価値を提供していきたい」と話した。
1611年、松坂屋の前身の「伊藤屋」が創業。1910年には名古屋初の百貨店として開業した。
1925年に久屋大通沿いの現在の場所に店舗を移転し、商号を「松坂屋」に変更した。松坂屋はかつて、名古屋鉄道や中部電力などと並び名古屋の名企業集団「五摂家」に名を連ねた。1970年代には名古屋駅店(名古屋市)や岡崎店(愛知県岡崎市)など愛知県内に複数の店舗を構えた。
2000年以降、電子商取引(EC)などの台頭で百貨店消費が低迷。07年に松坂屋は大丸と経営統合し、J・フロントリテイリングとして再出発した。10年には名古屋駅店や岡崎店は相次ぎ閉店し、名古屋店は愛知県唯一の店舗となった。
名古屋店は15年、00年に開業した名古屋駅直結のJR名古屋高島屋(名古屋市)に売上高が抜かれ、名古屋1番店の座を明け渡すこととなった。
足元、松坂屋名古屋店の業績は堅調だ。25年2月期の売上高は前の期比4%増の1316億円だった。インバウンド(訪日外国人)の増加で高級品などの売り上げが伸びた。
24年には63億円を投資した大規模改装を実施しており、25年秋まで新たなテナントの開店も続く。名古屋店は売り上げの半分を外商顧客が占めるが、「次世代顧客」をターゲットに美術や酒などをそろえて若い富裕層を開拓する。
Jフロントは栄地区を重要エリアと位置づけており、地区一体での誘客を模索をしている。名古屋パルコやBINO栄のほか、26年夏にはザ・ランドマーク名古屋栄が開業し回遊を狙う。名古屋エリアの開発を進めることで27年度に23年度比50億円以上の増益を見込む。
3月にはJフロントで「名古屋地域共栄担当」という専任組織を設置した。名古屋店の斉藤店長がリーダーとして先導する。
他社との連携も強めている。栄での同社のクレジットカードの加盟店舗数はグループ外で「114店まで拡大した」(Jフロントの小野圭一社長)。その上で「栄エリアに行くという目的で来てもらえるような商業施設をつくった上で、グループ内の連携や戦略的な改装を進めている」(同)と話す。
名古屋店は改装が終わると、リニューアル対象フロアの26年度の売上高が23年度比で42%増を見込んでいる。名古屋駅前にあるJR名古屋高島屋との差異化を見据え、栄という地域に根ざした百貨店としての施策が欠かせない。
(竜田菜美子)
【関連記事】
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4月前半の消費、3.0%増 大型連休の日並び悪く旅行減速[2025/05/01 12:30 日経速報ニュース 347文字 ]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく4月前半の消費データを発表した。名目で前年同期比3.0%増えたものの、3月後半より伸びは鈍化した。旅行の消費が減速したほか、4月からの値上げの影響で酒屋の消費も落ち込んだ。
サービス消費のうち旅行は1.3%増と3月後半から3.3ポイント下がった。ナウキャストは「主要因は消費者の減少。今年のゴールデンウイークはやや旅行を組み立てにくい日並びで、予約が増えなかったことも考えられる」と指摘する。
小売りは2.3%増だった。アパレルは7.8%減と低調だった。4月前半は気温が低く、春物の消費が弱かった可能性がある。酒屋は2.1%減だった。アルコール飲料の値上がりに備え3月後半は13.1%増と好調で、4月前半は反動が出た。
東京エレクトロン株価、上昇後下げる 最高益予想に慎重な見方も[2025/05/01 10:23 日経速報ニュース 514文字 ]
(9時30分、プライム、コード8035)東エレクの上値が重い。朝方に前日比340円(1.60%)高の2万1565円を付けたが、その後は下げに転じている。4月30日、2026年3月期(今期)の連結純利益が前期比4%増の5660億円になるとの見通しを発表した。市場予想の平均であるQUICKコンセンサスの5574億円(4月24日時点、18社)を上回り、好感した買いが先行した。ただ、市場では会社計画は強気だといった慎重な声も聞かれる。株価はこのところ上昇基調にあったため、戻り待ちの売りも出やすくなっているようだ。
生成AI(人工知能)関連の装置需要が伸び、純利益は2年連続で過去最高を更新する見込み。モルガン・スタンレーMUFG証券の和田木哲哉株式アナリストは30日付のリポートで「(半導体の微細な回路を形成する)エッチング装置のシェア拡大は好印象」と指摘した。一方、対中半導体規制がさらに強化されるリスクを織り込み、今期以降の中国向けの売上高予想を下方修正した。半導体製造装置業界全体のPER(株価収益率)の低下を踏まえ、目標株価を従来の3万1200円から2万4400円に引き下げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東武の純利益 今期3%減 5円増配[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 302文字 PDF有 書誌情報]
東武鉄道は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比3%減の500億円になる見通しだと発表した。クレジットカードの刷新に伴う費用増などが響く。年間配当は前期比で5円増やして1株当たり65円とする。
同日、100億円を上限とする自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の2・5%にあたる500万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日から8月31日まで。
今期の売上高にあたる営業収益は1%増の6400億円、営業利益は9%減の680億円を見込む。堅調なインバウンド(訪日外国人)利用などを背景に旅行業やホテル業を中心に需要増を見込む。運輸業では今後運賃改定の可能性があるとしている。
東武鉄道、26年3月期の純利益3%減[2025/04/30 19:40 日経速報ニュース 373文字 画像有 ]
東武鉄道は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比3%減の500億円になる見通しだと発表した。クレジットカードの刷新に伴う費用増などが響く。年間配当は前期比で5円増やして1株当たり65円とする。
同日、100億円を上限とする自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の2.5%にあたる500万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日から8月31日まで。
今期の売上高にあたる営業収益は1%増の6400億円、営業利益は9%減の680億円を見込む。堅調なインバウンド(訪日外国人)利用などを背景に旅行業やホテル業を中心に需要増を見込む。運輸業では今後運賃改定の可能性があるとしている。
同日発表した25年3月期の通期業績は営業収益が前の期比1%減の6314億円、営業利益は1%増の746億円、純利益は7%増の513億円だった。
英政府、仮想通貨規制案を公表 成長と投資家保護を両立[2025/04/30 16:30 日経速報ニュース 718文字 画像有 ]
英政府は29日、暗号資産(仮想通貨)の新たな規制案を公表した。既存の金融業界への規制を、仮想通貨交換業者などにも適用する方針だ。日米欧が仮想通貨のルール整備に動くなか、英政府は業界の成長促進と、投資家保護を両立させることを目指す。
英財務省によると、新たな規制では、仮想通貨の交換業者や販売業者、仲介業者が規制対象となる。銀行などの金融機関と同様に、透明性や消費者保護で基準を満たす必要がある。交換業者の業務や、法定通貨などに価値が連動するステーブルコインの発行など、サービス別に規制を設ける。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「具体的な中身はまだ不明だが、サービスごとにルールを作る点で欧州連合(EU)などよりも規制の網羅性が高くなりそうだ」と指摘する。
英金融行動監視機構(FCA)の調査によると、英国の成人の12%程度が仮想通貨を保有しており、21年の4%から増加傾向にある。英財務省は、仮想通貨保有者が詐欺に遭う可能性について触れたうえで、「悪質な行為者を取り締まりつつ、合法的なイノベーションを支援する」との声明を出した。
EUでは、欧州議会が23年4月に「暗号資産市場規制法案(MiCA)」を可決し、仮想通貨の規制に乗り出している。米国ではトランプ政権が仮想通貨や、ステーブルコインの法制化に向けて動いている。
日本では仮想通貨は資金決済法で決済手段として位置づけられているが、金融庁は金融商品取引法を改正し、金融商品として法的に位置づける方針を示している。仮想通貨などのデジタル資産の存在感は各国で高まっており、エックスバンクの西山祥史アナリストは「世界的に規制を整備する流れが加速している」と話している。
日本クレジット協会、2月のクレジットカード動態調査集計結果を発表[2025/04/30 14:50 日経速報ニュース 536文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
クレジットカード動態調査集計結果について
一般社団法人日本クレジット協会(会長 山本 豊)は、クレジットカード信用供与額等の月次の動向把握を目的に、クレジットカード発行会社26社を対象としたクレジットカード動態調査を実施しており、2025年2月分の集計値をとりまとめた。
これによると、2025年2月分のクレジットカードショッピング信用供与額は8,251,604百万円で、前月比では8.0%の減少となっている。キャッシング融資額は、112,644百万円で、前月比で1.1%の減少となっている。信用供与額は、8,364,248百万円で、前月比7.9%の減少となった。
なお、クレジットカードショッピングにおける契約件数は、1,642,877,457件となっている。
※「2025年2月分集計値」および「クレジットカード動態調査集計結果 一覧」は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
「2025年2月分集計値」および「クレジットカード動態調査集計結果 一覧」
https://release.nikkei.co.jp/attach/690469/01_202504301448.pdf
MUFGと三菱UFJ銀行、インドネシアのADMFとMFINの合併を決定[2025/04/30 14:24 日経速報ニュース 1554文字 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
PT Adira Dinamika Multi Finance TbkとPT Mandala Multifinance Tbkの合併について
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤 宏規(かめざわ ひろのり)、以下 MUFG)および株式会社三菱UFJ銀行(取締役頭取執行役員 半沢 淳一(はんざわ じゅんいち)、以下 当行)は、当行の連結子会社であるPT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(以下 ADMF)およびPT Mandala Multifinance Tbk(以下MFIN)が合併することを決定しましたので、お知らせします。本合併は、ADMFを存続会社、MFINを消滅会社とし、インドネシア金融当局(OJK)を含む関係規制当局の承認後、実行を予定しています。
ADMFはインドネシア全土でオートローンや多目的ローンを提供しており、高いプレゼンスを確立しています。MFINはインドネシアにおいて主に二輪の新車向けオートローンと二輪車を担保とする多目的ローンを展開し、特に東インドネシアにおいて高いプレゼンスを有する企業です。本合併は2023年6月に発表されたMUFGおよびADMFによるMFINの買収シナジーの深化を図るものであり、事業規模の拡大や地域優位性の補完、両社が有する商品群・マーケティングチャネルの補完、知見の共有によって革新性と競争力を向上し、ADMFの現地市場での地位を盤石なものとすることを目的としています。
アジアを第二のマザーマーケットと考えるMUFGにとって、東南アジア最大のGDPを有し、将来にわたり高成長が期待されるインドネシアは特に重要な市場です。当行は同国で、外国銀行最大級の規模を有するジャカルタ支店に加え、2019年4月にはPT Bank Danamon Indonesia,Tbk(以下ダナモン銀行)を連結子会社とし、商業銀行業務の基盤を確立してまいりました。MUFGはインドネシアにおいて金融コングロマリットとして展開を進めており、本合併もその一環となります。
MUFGおよび当行は、東南アジアにおいて出資している各パートナーバンクと一体で、同地域のビジネスプラットフォームを構築し、事業を強化しております。今後も東南アジアの成長に、より一層貢献してまいります。
《ADMFの概要》
ADMFは、1990年に設立されたオートローン事業を営むインドネシアの上場企業です。2004年にダナモン銀行に買収され、2019年に当行によるダナモン銀行の連結子会社化に伴い、MUFGグループの一員となりました。インドネシア全土で事業を展開しており、二輪・四輪の新車・中古車向けオートローンや多目的ローンを提供しています。
《MFINの概要》
MFINは1997年に現在の事業を開始し、主にインドネシアのUnbanked・Underbanked層[1]に対して、二輪の新車、多目的ローン、消費財ローンなどの金融ソリューションを提供する、インドネシアの大手オートローン企業です。設立以来900万を超える顧客にサービスを提供しており、すべてのステークホルダーに対して金融包摂を提唱しています。
《ダナモン銀行の概要》
ダナモン銀行は、インドネシアにおいて68年の歴史を有する大手商業銀行です。870拠点を有し、個人のお客さまから中小・大企業のお客さまに対して法人業務、消費者金融を含むリテール業務、投資、資産運用などの包括的な総合金融サービスを展開しています。MUFGおよび当行は、ダナモン銀行を2019年4月に連結子会社化いたしました。
[1]銀行のサービスを受けられない方々
以上
<東証>太陽HDがストップ高、上場来高値 今期増益見通し 目標株価上げも[2025/04/30 12:45 日経速報ニュース 506文字 ]
(12時35分、プライム、コード4626)化学メーカーの太陽HDが大幅続伸している。午後に制限値幅の上限(ストップ高水準)にあたる前営業日比700円(14.95%)高の5380円まで買われ、株式分割考慮ベースの上場来高値を付けた。30日12時、2026年3月期(今期)の連結純利益が前期比48%増の160億円になりそうだと発表した。大幅増益見通しを好感した買いが入っている。
モルガン・スタンレーMUFG証券が28日付で投資判断を3段階で真ん中の「イコールウエート」から最上位の「オーバーウエート」に、目標株価は従来の3900円から6200円に引き上げ、朝から材料視した買いが入っていた。
モルガンMUFGの担当アナリストである長谷川義人氏らはリポートで、現在株式市場では半導体材料関連は米国関税の影響の不確実性が高いとみなされ避けられているが、「太陽HDは米国向けの輸出がほとんどない」と指摘。太陽HDはこれまでに、連結子会社の太陽ファルマが保有する医薬品の販売権の評価額見直しで減損損失を計上し、今後の不安要因も解消して中期的な成長確度が高まっているとみていた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
オリエンタルランド株、特別優待も買い失速 猛暑克服で割高拭えるか[2025/04/30 11:28 日経速報ニュース 1728文字 画像有 ]
30日の東京株式市場でオリエンタルランド(OLC)株は買い先行後に下げに転じると、前営業日比6%超安い2941円まで下落した。前営業日の28日に発表した株主用パスポートがもらえる特別株主優待に個人投資家が買い反応を示したが、間もなく失速した。パークの魅力向上のための先行投資でOLC株は「割高」と評されて久しい。投資家を再び振り向かせるために重要な局面に来ている。
「パスポート追加で1枚」に個人が買い
OLCの創立65周年を記念して、2025年9月30日を基準日に100株以上を保有している投資家が通常の株主優待制度分に加えてもう1枚、東京ディズニーランドまたはシーで使える1デーパスポートをもらえる。現在、大人の1デーパスポートは最も価格設定が高い日では1万900円かかる。株価は4月3日に2755円と、株式分割考慮ベースで20年8月下旬以来の安値を付けた後に底入れしたかとみられていたなかで、今回の特別優待は個人の一定の買いを誘った。
OLCの株主比率では個人・その他が約2割ある。主要株主の京成電鉄が約2割保有しているのも踏まえると、株価に対する個人の影響度は大きいと言える。創立65周年の特別優待は今回限りだ。株価の本格的な持ち直しのためにはいかに長期で保有してもらえるかが重要になってくる。
クルーズ船で中長期の成長目指す 今期はやや力強さ欠く船出
OLCは今回、初の試みとして長期経営戦略を発表した。テーマパーク、ホテル、クルーズの3本柱で2035年度には売上高1兆円以上と、前期実績から4割超のアップを目指す。3300億円(予備費400億円含む)を投じる予定のクルーズ船事業は通年稼働する29年度から黒字を想定し、収益貢献に会社側も自信を示していた。
中長期的な成長に向けた基盤固めの年と位置づける26年3月期(今期)の連結売上高は前期比2%増の6933億円、営業利益は7%減の1600億円を見込む。いずれもアナリスト予想には届かなかった。力強いスタートとは言えず、株価も朝高後は売りに押される展開となった。アトラクションなどの入場時刻を指定して予約できる有料のサービスや、グッズ販売が好調で客単価は前期まで過去最高を更新している一方、売上高の源泉となる入園者数は今期予想で前期比1.6%増の2800万人にとどまり「物足りない」との受け止めも少なくない。
モルガン・スタンレーMUFG証券の尾坂拓也株式アナリストは28日付の投資家向けリポートで「今期の減益計画は一過性費用の計上(約115億円)が主因と推察するが、同費用を控除しても今期の実質営業利益は前年比横ばい程度と単純試算され、収益構造の転換は好印象だが業績予想に織り込むのは時期尚早」とし、株価の割高感払拭には至らないとみていた。
苦い夏は「ミセス」で巻き返し狙う
OLCは前期、猛暑の影響が7、8月の入園者数に想定以上に響き、業績が悪化した苦い記憶がある。株価も10月に上期決算を発表した後も下げ止まらず、安値更新が続いた。今期も猛暑の影響は気がかりだが、これに対してOLCでは両パークの夏のイベントで3人組バンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)」とコラボレーションすることを発表。若年層を中心に幅広く人気のバンドとあって、大きな反響を呼んでいる。OLCが長期戦略でポイントのひとつにあげている新規ファンの取り込みにも通じる施策だ。
パーク内で休憩場所の増加などにも取り組み、「猛暑リベンジ」の準備を着々と進めているようだ。ディズニーシーの新エリア、ファンタジースプリングスのアトラクションはこれまで入場を制限していたが、4月1日からは並べば誰でも乗れるようになっており、今期はフル稼働となるのも入園者数の上振れや業績押し上げ要因になり得る。
OLCのPER(株価収益率)は足元でも40倍台と、日経500種でサービス業の平均が20倍台なのと比べてなお高い水準にある。「割高なPER」が「中長期的な成長性に対するプレミアム」へ評価が変わるために、夏の強さを証明することが巻き返しの最初の条件になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
【関連記事】
・オリエンタルランド株に物価高の影 値上げ戦略を不安視
・オリエンタルランド株価大幅反落 今期営業減益の見通し、期待届かず
松井証券とJCB、金融商品仲介業に関する契約を締結[2025/04/30 10:42 日経速報ニュース 983文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
松井証券とJCB、金融商品仲介業に関する契約を締結
松井証券株式会社(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 和里田 聰、以下 : 松井証券)と、株式会社ジェーシービー(本社 : 東京都港区、代表取締役兼執行役員社長 : 二重 孝好、以下 : JCB)は、金融商品仲介業に関する契約を締結したことをお知らせします。
*ロゴは添付の関連資料を参照
松井証券とJCBは、キャッシュレスによる便利でお得な積立投資の実現に向けて、2025年5月下旬よりクレカ積立サービスの開始を予定しています。新NISA制度のスタート、日銀による金利引き上げ、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の改定など、投資を取り巻く環境が大きく変化する中、松井証券とJCBは、この取り組みを更に加速し、より多くのお客様の資産形成をサポートするため、金融商品仲介業に関する契約の締結に至りました。
今回の契約締結により、JCBのホームページなどを経由して、松井証券の総合口座を開設し、2025年5月開始予定のクレカ積立サービスのほか、松井証券が提供する幅広い商品、サービスをご利用いただくことができるようになります。
※本取り組みでは、JCBは金融商品取引の注文は受け付けず、個別の勧誘も行う予定はございません。
なお、松井証券が金融商品仲介業に関する契約を締結するのは、今回が初となります。この度のJCBとの取り組みをきっかけに、松井証券では、多様な業界・サービスとの取り組みを強化し、お客様の豊かな人生をサポートしてまいります。
松井証券は、投資体験を通じて、お客様の豊かな人生をサポートするため、投資が楽しくなるようなアイデアあふれる商品・サービスの提供を目指します。
■取扱商品のリスクおよび手数料等の説明
・口座基本料について( https://www.matsui.co.jp/disclaimer/apply.html )
・投資信託について( https://www.matsui.co.jp/disclaimer/fund.html )
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
ロゴ
https://release.nikkei.co.jp/attach/690431/01_202504301041.jpg
OLC、特別優待も買い続かず 「猛暑リベンジ」で割高払拭なるか[2025/04/30 10:28 日経速報ニュース 1751文字 ]
30日の東京株式市場でオリエンタルランド(OLC、4661)株は買い先行後に下げに転じると、前営業日比6%超安い2941円まで下落した。前営業日の28日に発表した株主用パスポートがもらえる特別株主優待に個人投資家が買い反応を示したが、間もなく失速した。パークの魅力向上のための先行投資でOLC株は「割高」と評されて久しい。投資家を再び振り向かせるために重要な局面に来ている。
■「パスポート追加で1枚」に個人が買い
OLCの創立65周年を記念して、2025年9月30日を基準日に100株以上を保有している投資家が通常の株主優待制度分に加えてもう1枚、東京ディズニーランドまたはシーで使える1デーパスポートをもらえる。現在、大人の1デーパスポートは最も価格設定が高い日では1万900円かかる。株価は4月3日に2755円と、株式分割考慮ベースで20年8月下旬以来の安値を付けた後に底入れしたかとみられていたなかで、今回の特別優待は個人の一定の買いを誘った。
OLCの株主比率では個人・その他が約2割ある。主要株主の京成電鉄(9009)が約2割保有しているのも踏まえると、株価に対する個人の影響度は大きいと言える。創立65周年の特別優待は今回限りだ。株価の本格的な持ち直しのためにはいかに長期で保有してもらえるかが重要になってくる。
■クルーズ船で中長期の成長目指す 今期はやや力強さ欠く船出
OLCは今回、初の試みとして長期経営戦略を発表した。テーマパーク、ホテル、クルーズの3本柱で2035年度には売上高1兆円以上と、前期実績から4割超のアップを目指す。3300億円(予備費400億円含む)を投じる予定のクルーズ船事業は通年稼働する29年度から黒字を想定し、収益貢献に会社側も自信を示していた。
中長期的な成長に向けた基盤固めの年と位置づける26年3月期(今期)の連結売上高は前期比2%増の6933億円、営業利益は7%減の1600億円を見込む。いずれもアナリスト予想には届かなかった。力強いスタートとは言えず、株価も朝高後は売りに押される展開となった。アトラクションなどの入場時刻を指定して予約できる有料のサービスや、グッズ販売が好調で客単価は前期まで過去最高を更新している一方、売上高の源泉となる入園者数は今期予想で前期比1.6%増の2800万人にとどまり「物足りない」との受け止めも少なくない。
モルガン・スタンレーMUFG証券の尾坂拓也株式アナリストは28日付の投資家向けリポートで「今期の減益計画は一過性費用の計上(約115億円)が主因と推察するが、同費用を控除しても今期の実質営業利益は前年比横ばい程度と単純試算され、収益構造の転換は好印象だが業績予想に織り込むのは時期尚早」とし、株価の割高感払拭には至らないとみていた。
■苦い夏は「ミセス」で巻き返し狙う
OLCは前期、猛暑の影響が7、8月の入園者数に想定以上に響き、業績が悪化した苦い記憶がある。株価も10月に上期決算を発表した後も下げ止まらず、安値更新が続いた。今期も猛暑の影響は気がかりだが、これに対してOLCでは両パークの夏のイベントで3人組バンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)」とコラボレーションすることを発表。若年層を中心に幅広く人気のバンドとあって、大きな反響を呼んでいる。OLCが長期戦略でポイントのひとつにあげている新規ファンの取り込みにも通じる施策だ。
パーク内で休憩場所の増加などにも取り組み、「猛暑リベンジ」の準備を着々と進めているようだ。ディズニーシーの新エリア、ファンタジースプリングスのアトラクションはこれまで入場を制限していたが、4月1日からは並べば誰でも乗れるようになっており、今期はフル稼働となるのも入園者数の上振れや業績押し上げ要因になり得る。
OLCのPER(株価収益率)は足元でも40倍台と、日経500種でサービス業の平均が20倍台なのと比べてなお高い水準にある。「割高なPER」が「中長期的な成長性に対するプレミアム」へ評価が変わるために、夏の強さを証明することが巻き返しの最初の条件になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
<米国・時間外>ビザが高い 売上高など予想上回る[2025/04/30 08:30 日経速報ニュース 422文字 ]
(コード@V/U)29日夕の米株式市場の時間外取引で、クレジットカードのビザが上昇している。通常取引を前日比1.18%高の341.52ドルで終えた後、時間外では344ドル前後まで買われて終値を1%近く上回っている。同日夕に発表した2025年1~3月期決算で売上高などが市場予想を上回り、買いが優勢となっている。
事業会社の売上高にあたる純営業収益は1~3月期が前年同期比9%増の95億9400万ドルだった。QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(95億5000万ドル程度)を上回った。決済取扱高が8%伸びたほか、国境をまたぐクロスボーダーの取引高も13%増えた。
特別項目を除く1株利益は2.76ドルと市場予想(2.68ドル程度)を超えた。ライアン・マキナニー最高経営責任者(CEO)は発表資料で「マクロ経済に不確実性があるにもかかわらず、消費者の支出は底堅さを維持している」とコメントした。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
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さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
新プラン「ドコモMAX」、ネットの反響真っ二つ-ITジャーナリスト 石川 温[2025/04/29 02:00 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
NTTドコモは新料金プラン「ドコモMAX」を6月5日から始める。従来のデータ使い放題プランに比べて値上げとなるものの、月額4200円のスポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を追加料金なしで見放題にするといった特典を盛り込んだ。お得感で値上げに対する警戒感を払拭する考えだが、ネットでの反響は真っ二つに割れている。
あらゆるものが値上げしているが、通信業界だけが値上げしにくい雰囲気となっていた。2020年ごろからの「官製値下げ」がきっかけだ。KDDIやソフトバンクはV字回復を果たしたものの、NTTドコモはいまだに通信料収入の減収に悩まされている。低容量プラン投入の遅れが響いた。
Jリーグやプロ野球、F1をDAZNで視聴するユーザーからは「安価なプランが登場してありがたい」と好評だ。DAZNは日本に上陸した当初、NTTドコモのユーザーが月額980円で視聴できたものの、今では月額4200円に上昇している。
NTTドコモの斎藤武副社長は「DAZNが値上げをしていくなかで、解約してしまう人が相当数いらっしゃる。もう一度、DAZNを見てスポーツの楽しみを味わっていただきたい」と語る。かつてKDDIがNetflixを料金プランにセットにしたように、他社でもコンテンツサービスを料金に組み込んで普及した例はある。
映像配信サービスは観たいコンテンツがなくなると、すぐ解約してしまうユーザーも多い。特にDAZNは目当てのスポーツがシーズンオフになると、数カ月間全く視聴しない期間が発生するため、どうしても解約が増えてしまう。
キャリアと組んで料金プランとセットにすると、DAZNの解約を阻止できる。その上、キャリア側の契約も維持でき、解約率も改善するというのがKDDIによって証明されているのだ。
DAZNとしては度重なる値上げで離れたユーザーをなんとか取り戻したい。NTTドコモも通信料金を値上げしつつ、DAZNとセットにすることで解約率を下げたいという双方のメリットが一致。今回の料金プランに至ったのだろう。
NTTドコモの前田義晃社長は24年7月のインタビューで「Jリーグを盛り上げたい。ドコモユーザーをスタジアムに来てもらうことで、周辺の店舗でd払いを使ってもらうなどの相乗効果を出していきたい」と語っていた。NTTドコモは国立競技場の共同運営を手がけるなど、スポーツエンターテインメント事業に力を入れている。料金プランでDAZNの機会を増やし、スポーツファン拡大を狙っていくというわけだ。
プラン適用条件が複雑との声も
一方、ドコモMAXには批判の声も相次ぐ。DAZNを全く観ないという人はDAZNナシでもっと安いプランを望んでいる。斎藤副社長は「(DAZN以外にも)Amazonプライム6カ月無料や海外ローミングでの30ギガバイト無料などが付いている。最もドコモユーザーから要望が多かった長期契約者に向けて20年で月220円、10年以上で月110円の割引還元する。DAZNだけでなく、幅広いメリットを提供したい」と語る。
もうひとつが「複雑だ」という批判だ。NTTドコモの資料ではドコモMAXは「月額2398円から」というのをアピールしている。ただ、データ容量1ギガバイト未満や3回線以上の複数契約、20年以上の契約、dカード決済、光回線のセット割、ドコモでんきとのセット割を適用したあとの金額。3ギガバイト以上使い、割引が一切適用されない場合での料金は、月額8448円となる。
複数回線契約や光回線、クレジットカード払いを組み合わせないと安くならないというのは3キャリアの常とう手段だ。優良顧客を囲い込みたいというのは理解できなくもない。ただ、こうした割引を組み合わせた後の金額だけをアピールするのは、誠意に欠けるような気がしてならない。
「DAZNは不要」「様々な割引施策を組み合わせないと安くならない」という批判に対して、NTTドコモではオンライン手続き専用の低価格帯プラン「ahama(アハモ)」という切り札を用意している。
月額2970円でデータ容量30ギガバイト、1980円を追加すると110ギガバイト使えるプランだ。オンライン専用プランという立て付けではあるが、ドコモショップで手数料を支払えば店頭でも契約は可能だ。
斎藤副社長は「分かりやすさと価値の組み込みはトレードオフの関係にある。ahamoはahamoで、極めてシンプルなオンライン専用料金プラン。一方、ドコモ MAXはいろんな価値を入れ込んでいくというコンセプト。今後もさまざまな価値を付加しようと考えている」という。
今後、ドコモMAXのなかに他のコンテンツサービスを組み込むのか。DAZNとは異なるコンテンツサービスを組み込んだ別のドコモMAXが誕生するのかは明らかにされていない。NTTドコモは今後も様々なサービスを包含した新料金プランを投入し、単なる値上げとは取られにくい「付加価値値上げ」で収益改善を目指していくようだ。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。X(旧ツイッター)アカウントはhttps://twitter.com/iskw226
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NFT市場、閉鎖相次ぐ 取引量はピーク比8割減 売買のみでは継続困難[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1395文字 PDF有 書誌情報]
バブル崩壊
デジタル資産の所有を証明できる非代替性トークン(NFT)の取引市場の閉鎖が相次いでいる。30日に海外大手の「X2Y2」が終了するほか、米暗号資産(仮想通貨)交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2月に運営を終えた。足元のNFT取引量はピーク比8割減。デジタルアート作品に億円単位の価格がつくようなバブルは崩壊し、NFT売買単独での事業運営は難しくなっている。
「プラットフォームは完全に閉鎖される。一時停止ではなく、完全に終止符を打つ」。3月31日、X2Y2のウェブサイトで4月末の閉鎖が通告された。X2Y2は2022年2月に開設され、年間取引量は約5000万ドルと世界で3位だ。閉鎖理由の一つとして、21年のピーク時から取引量が90%減少したことを説明した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製を不可能にしたデジタル資産を指す。21年から22年にかけてデジタルアート作品のNFTが活発に取引され、なかには7000万ドルという高値で落札されたアートNFTもあった。
ブームは長くは続かなかった。分析プラットフォームのDappRadar(ダップレーダー)によれば、22年は572億ドルの取引量を記録したが、24年には137億ドルと8割近く減少。足元も回復しないままだ。交換業者ビットバンク(東京・品川)の長谷川友哉マーケット・アナリストは「価値があるとの思い込みから大金が一時集まったが、そこまで価値がないことにみんなが気づき、バブルがはじけた」と指摘する。
NFT市場は、2~3%の取引手数料収入で運営を成り立たせている。取引が低調な状況では継続は難しくなっている。クラーケンが運営するNFT市場は2月に運営を終了。仮想通貨交換業者バイビットも4月上旬にNFT取引サービスを終えた。
日本も例外ではない。航空関連のデジタルコンテンツを展開していたANAホールディングスグループのNFT市場は2月に終了。サービス開始からわずか1年ほどで姿を消すことになった。運営を担っていたANA NEO(東京・港)は「これ以上の事業継続が困難と判断した」と説明する。
国内NFT市場関係者は「中小規模のマーケットプレイスはこれまでも閉鎖されてきたが、比較的体力のあった主要な事業者がここに来てサービスを終了している」と指摘する。
一方、NFTを投資対象ではなく、マーケティングに活用する企業が増えている。ソニー銀行は昨夏からNFTを閲覧できるアプリの提供を始めた。ソニーグループのアーティストの音楽ライブへの参加者限定で配布されるNFTなどを収集することができる。
SBIグループのSBINFT(東京・港)が運営するSBINFTマーケットは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」と連携する。NFTの売買でポンタがたまる仕組みで、「ポイ活」に熱心な顧客を呼び込む狙いがある。SBINFTの高長徳取締役は「売買サービス単体では継続が大変。収益源の多角化に取り組んでいる」と話す。
NFTバブルが崩壊したのは、仮想通貨と同じように価格の値上がりに期待しすぎる人が群がったためだ。本来、NFTはクリエーターに収益を還元する仕組みや、保有を通じて生まれるファンコミュニティーにこそ魅力がある。この魅力を生かしたデジタルサービスを生み出せるかが、事業者に問われている。
(相松孝暢)
コインチェック全サービス一時停止 「X」不正ログインで[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 550文字 PDF有 書誌情報]
暗号資産(仮想通貨)交換業大手のコインチェック(東京・渋谷)は28日、同社のX(旧ツイッター)のアカウントが第三者に不正ログインされたことを受けて全サービスを一時停止した。仮想通貨取引の基幹システムへの影響は確認されていない。安全性の確認を進め、同日夜までに全サービスを再開した。
同社によると、28日午前8時ごろからXアカウントが第三者に不正ログインされた。
顧客情報を盗み取るフィッシングサイトへ誘導する第三者による投稿があった。情報が盗まれる被害があったかどうかや、不正ログインされた理由について調査を進めている。
不正ログインを受け、コインチェックのウェブやアプリでの全ての機能やサービスを午後0時半から一時停止した。同社はウェブサイトに「当社サービスには影響が確認されていないが、フィッシング被害の拡大を防ぐため、全てのサービスを一時的に停止した」と説明している。
不正ログインへの対応は完了し、第三者にアカウントを乗っ取られる状況は解消した。第三者による投稿は既に削除した。コインチェックは「ご不便とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
コインチェックは2024年末時点で220万口座を保有する。顧客の預かり資産は約1兆1000億円に上り、業界で25%のシェアがある。
ビットコイン9万ドル回復 無国籍・安全資産 金との相関強まる[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 598文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が再び上昇している。足元では約9万5000ドル(約1350万円)と約2カ月ぶりの高値水準にあり、「安全資産」として買われる金との相関を強めている。特定の国と結びつかない無国籍資産として逃避マネーの受け皿となっている。
ビットコイン価格の上昇に弾みを付けたのが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を巡る騒動だ。トランプ大統領はFRBに対し利下げを要求した。FRBの独立性への懸念が高まって米ドルの信認が揺らぐ事態となり、米国資産から流出したマネーが金(ゴールド)に向かった。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は、22日のアジア時間で初めて1トロイオンス3500ドルを超えた。
金と同じ局面でビットコインにも買いが集まった。22日は、わずか1日で6000ドル近く値上がりした。
ビットコインと金の連動性の高さを示すのが相関係数だ。相関係数はプラス1からマイナス1の数値で推移し、プラスが大きいほど同じ方向に動く傾向が強い。直近30日間のビットコインと金の相関係数は足元で0.65まで上昇した。
「国の信用リスクが高まる局面でビットコインは買われやすく、金との相関も強まる」(マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリスト)。13年に発生したキプロスの金融危機の際、ビットコインと金の価格が連動するように上がったこともあるという。
東京メトロ、4000億円投資枠 新中計発表 ホテル参入、非鉄道拡大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 868文字 PDF有 書誌情報]
新線建設含む
東京地下鉄(東京メトロ)は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。新線建設などを含め4000億円の設備投資枠を設け、輸送効率や安全性の向上などにつなげる。ホテルの運営事業に新たに参入し、売上高の8割超を占める鉄道収入に依存する体質から脱却する。
24年10月に東証プライム市場に上場して以降、初めて中計を策定した。同日記者会見した山村明義社長は「安全なサービスに加え、投資家からは収益性の向上を期待されている。しっかりと中計に取り組んでいく」と述べた。
同社は有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(品川―白金高輪間)の延伸工事に着手している。30年代半ばの開業を目指しており、中計の期間中に500億円を投じる計画。大規模浸水などの安全性向上に向けて鉄道設備全体で1430億円を投資する。
同日には自社ブランドによるホテル運営に参画することを正式表明した。ブランド名や事業規模などの具体的な目標は今後詰める。山村社長は「インバウンド(訪日外国人)やビジネス向けには一定の需要があり、そうした客層をターゲットにしたブランドを検討していきたい」と述べた。
中計ではホテル建設に向け、不動産の取得・開発費用などとして1070億円を充てる。このほか、クレジットカードによるタッチ決済の導入、同社の乗車ポイント「メトポ」を活用したマーケティング策なども成長分野に位置付けて投資を進める。
一連の取り組みを通じ、28年3月期の営業利益は25年3月期比7%増の930億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同9.5%増を目指す。
同社は東京都心部に路線を構え、高い輸送密度に強みを持つ。一方で売上高に相当する営業収益のうち定期などの旅客運輸収入が8割を占める。鉄道への依存度が高く、今後は鉄道以外への事業多角化が課題となる。
同日発表した25年3月期の連結業績は営業収益が前の期比4.8%増の4078億円、営業利益が同13.9%増の869億円だった。インバウンド需要が引き続き堅調で輸送人員が増えた。
「関税緩和」見出しで買い、短期勢 外需銘柄を物色 長期勢 株高確信持てず(スクランブル)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1497文字 PDF有 書誌情報]
28日までの4日間で1600円超上げた日経平均株価。トランプ米政権の関税策の「緩和」をにおわせるヘッドライン(記事の見出し)が増え、ヘッジファンドなどの短期勢が外需などの日本株に買いで参入し始めた。ただし、長期投資家はこれ以上の株高に確信を持てず、外需株の本格買いには至っていない。
「時間軸不明の楽観論」。みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長は最近、顧客とのやり取りから、こんな見立てが市場にあると感じる。
米中が互いに100%を超える関税をかける状況は非現実的で、どこかで妥協点が見いだされる。米国が仮に景気後退に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)が利下げなど手を打つ。これらは相場の支援材料になるはずだが、その時期が分からない――。
28日の日経平均は一時、取引時間中として相互関税発表直前の1日以来となる3万6000円台をつけた。株高の材料はトランプ関税の妥協点が確実に見つかったことでも、FRBの利下げでもない。関税の緩和をほのめかす「ヘッドライン」だ。
25日の昼休み、一部報道で「中国は一部の米製品を関税の対象外とすることを検討する」と伝わると、午後に日経平均が一時前日比800円近くまで上げた。22日にはベッセント米財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と話し、翌日の日経平均は648円高となっていた。
この動きは2018~19年、第1次トランプ政権下での米中貿易戦争のときと似る。18年夏からトランプ政権は産業機械、半導体、家具・家電など相次ぎ関税策を打ち出し中国も報復。ただ、19年9月に発動された関税は当初想定された品目の一部にとどまった。
相場を動かしたのは「トレードディール(貿易協定)」というワードだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「貿易戦争関連の英語記事で『協定』が出てくるものの割合が3割を超えると、リスク資産が優位になる」と指摘する。貿易交渉に対する不透明感が後退して株式を買い戻す流れにつながった。
今回も足元までで記事の割合が16%まで高まっている。高田氏は、今回も3割を超えてくれば「過剰に売られた外需・シクリカル銘柄群への資金回帰が目立つだろう」とみる。
モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔株式ストラテジストは24日付のリポートで、外需株の保有リストを掲げた。2026年3月期の通期決算見通しが非開示でも「値上げなどにより業績へのダメージをコントロールしたり自社株買いなど株主還元を打ち出したりした銘柄は株価が上昇する可能性もある」とみる。
ただ、ここまでの株高をけん引したのはあくまで「株価変動が一時より落ち着き、多少ポジションを持てるようになったヘッジファンドなど短期の投資家」(国内運用会社トレーダー)。長期投資家は今回の上昇相場に無理について行かない姿勢が目立つ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー日本株、中塚浩二氏は運用するファンドの投資先を、関税の悪影響を経営の自助努力でカバーできる外需系の国際優良銘柄と内需系のディフェンシブ銘柄で固める。いわばバランス重視の布陣だ。「設備投資などが先送りされ、向こう半年で経済に悪影響が生じる可能性もある」と考えるのが理由という。「今のようなふわっとした戻りは実態を映していない。個別銘柄の動向をつぶさに見たい」(中塚氏)
投資家が持つ時間軸の長さにより、相場環境に対する判断は分かれる。続く決算発表を横目に、長期投資家が本格的な買い場を探る動きはなお続きそうだ。(坂部能生)
燃料電池部品 価格3分の1に 山田ドビー、セパレーター用プレス機 27年までに量産 FCV普及を後押し[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
高速プレス機の山田ドビー(愛知県一宮市)は燃料電池に使われる部品「セパレーター」向けの専用プレス機を量産する。大量生産できることで、セパレーターの価格を3分の1に抑える見込みだ。2027年までに約60億円を投資し、生産体制を整える。燃料電池車(FCV)は電気自動車(EV)に対して高額だが、主要部品の価格低下を促すことで、FCVの普及につなげる。
燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電するセルが層になっており、セパレーターはそれぞれのセルの間に挟む板状の金属部品を指す。燃料となる水素と酸素を供給する流路などの役割を持ち、金属プレス機を用いて製造する。
流路は細かい溝で作られており、安全性や効率性の観点から高い精度の金属加工技術が必要になる。このため、一般的にセパレーターの製造は得意分野の異なる大型プレス機を2台使い分けて技術的な課題をクリアしているという。設備投資がかさむほか、工程が長くなるため生産効率を高めにくい一因になっていた。
山田ドビーはセパレーター専用のプレス機を開発した。従来型よりも小型化し、技術的には1台で製造できるという。より強度の高い部品を使ったほか、プレスの圧力をかける能力を高めた。生産能力を高めたプレス機を使うことで、セパレーターの市場価格を押し下げる効果を見込む。
一宮市の本社に隣接する土地で新工場の建設にも着手した。マシニングセンターや旋盤加工機などの設備を導入し、27年初の稼働を目指す。プレス機は日本や欧州など各国の部品メーカーに売り込む。
山田ドビーは1919年に創業。ドビーとは織り柄のある生地の模様や織機を指す。トヨタ自動車グループ創始者の豊田佐吉氏に開発を助言された経緯からドビー機の開発・製造を手掛けていた。1960年代に繊維産業にかわる第二の柱としてプレス機事業に力を入れた。
山田ドビーは精密加工ができる高速プレス機で日本で6割、世界で4割のシェアをもつ。例えばクレジットカードのICチップや500円玉などの製造には同社のプレス機が使われているという。
自動車の電子化に伴って需要が増している電子部品や、電気自動車(EV)に使われるモーターコア、スマートフォン部品向けなどに強い。高い精度のプレス機を使うことで部品の軽量化などに寄与しているという。
今回手掛けるセパレーター専用のプレス機は、山田ドビーが得意とする電子部品向けよりも大型だ。同社は2023年に油圧プレス機を手掛けるアサイ産業(石川県能美市)を買収した。大型のプレス機を製造するノウハウや生産設備を増強し、今回の専用プレス機の開発につなげた。
FCVは高額な燃料電池やプラチナなどの希少部材を用いるため、車体価格が現在800万円前後と、EVやガソリン車より高い。水素供給するインフラの不足も合わせて普及が進まない要因とされてきた。ただ、山田ドビーは中長期的に動力別の車のシェアはEVとガソリン車で7割、残りを水素など代替的な動力が占めると予想する。山田健雄社長は特に欧州や中国で普及が進むとみており、「顧客のニーズを先回りして(新たな製品を)提案していきたい」と語る。
(須賀恭平)
バルコス社長 山本敬氏 財布、現金減っても健在 機能磨きZ世代取り込む(トップのstrategy)[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 中国 11ページ 1472文字 PDF有 書誌情報]
バッグなど皮革製品の企画販売会社、バルコスは使い勝手を良くした財布の開発で成長を続け、2025年12月期も業績拡大を見込む。世の中はキャッシュレス時代で若者を中心に財布を持ち歩かない人が増える。果たして財布は生き残れるのか。鳥取から財布の革新を目指す山本敬社長に戦略を聞いた。
――民間調査によると「スマートフォンで決済できるので普段は財布を持ち歩かない」と答えた人が2割強、年代別で20代が最多でした。危機感はありますか。
「あまりない。確かに普段持ち歩く人は減っている。東京では給与の受け取りから消費までデジタルで終えることもできなくはない。だが財布自体は所有している。すべての消費をスマホで済ますのは無理で、ある程度の現金が必要だからだ」
「財布の決済手段としての役割が低下しているのは事実だ。最近は小銭を収納できるカードケースが流行している。しかし免許証やクレジットカードなどを10枚以上収めるのは難しい。紙幣、硬貨、カードをコンパクトに収納する機能への需要は健在だ」
――キャッシュレス時代の財布として各社は小型化を競います。
「当社は23年12月、折り畳みの小型商品『ポンテピッコラ』を発売。財布を開くと意匠登録した蛇腹が現れる。30枚ほどのカードを入れることができ、小銭入れもボックス型で取り出しやすい。こうした機能が若者にも受け入れられ年間約18万個を販売した。過去に一番売れた商品の累計販売個数は42万個ほどなので、大ヒットといっていい」
――若者の心をつかんだことで顧客リストは18万人増の146万人に拡大しました。
「当社の販路はテレビの通販番組や新聞、雑誌だ。それらを見ないZ世代の顧客層がある程度のボリュームとなってきた。顧客属性に合わせた機能性重視の商品戦略ができるようになった」
「24年末には機能性をさらに追求した『リトルノ』を販売した。紛失した場所が分かるチップ付き財布だ。利用者はなくした場所をスマホのアプリで確認できる。リトルノは小型と、中高年向けの長財布の2種類をそろえた。中高年は紙幣に折り目が入るのを嫌がる傾向にある」
――25年12月期はリトルノの販売強化などで連結純利益が1億6900万円と前の期比10%増を見込みます。
「顧客は164万人になる見込みだ。幅広い顧客向けへのアピールとしてファッションニュース通信社(東京・目黒)などグループ会社のコンテンツを磨きファッション関連情報をウェブサイトで発信するほか、SNSで商品をアピールする取り組みを本格化させる」
――若手社員が多く社内は活気があります。経営の要諦は何ですか。
「社員の自己実現をサポートすることかな。(仕事の達成に向け)こうしたらこうなるんじゃないかという個人の道筋を尊重し、実現したらほめるようにしている。鳥取県倉吉市に本社を構える私は30数年前、倉吉発のファッション産業を立ち上げようと決心した。当時のメインバンクからは『それは都会の人がやるもの』と諭された」
「やがてイタリアに支店を持ち中国に試作品の工場を設け、各国の協力工場に本格生産を依頼するビジネスモデルを作った。ハンドバッグ業界の中で高水準の粗利益率を誇るまでになった。こんな達成感を社員全員に共有してもらいたい」
(聞き手は保田井建)
やまもと・たかし 1966年7月大阪市生まれ。88年3月、東京工芸大短期大学部卒後、制作プロダクション会社に入社し写真を担当する。91年5月、有限会社バルコス(現バルコス)取締役部長に。2000年12月、バルコス社長に就任。
横浜市、独自ふるさと納税サイト 寄付の使い道など紹介[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 神奈川 26ページ 374文字 PDF有 書誌情報]
横浜市は4月、同市独自のふるさと納税サイトを開設した。観光や移住に関する情報を載せるワークシー(福岡市)のサイト「ふるさと生活」内に特設ページとして設けた。寄付の使い道や取り組み状況の紹介に重点を置き、申し込みやクレジットカードでのオンライン決済にも対応する。全国から横浜市への寄付拡大につなげる。
特設サイトでは開港の歴史が残る建築物の保存や、出走権を得られる横浜マラソンへの支援などを掲載した。画像などを組み合わせ、寄付金の使い道をわかりやすく発信したのが特徴だという。
同市へのふるさと納税は既存の12のポータルサイトからも受け付ける。市によると、2024年度のふるさと納税による流出額は298億円、受け入れ額は28億8000万円を見込む。市の担当者は「サイトをきっかけに市の事業を知ってもらい、応援してもらえる人を増やしたい」としている。
路線バス乗降、顔認証実験 関越交通、群馬で AIカメラ使い区間把握 運賃決済にらむ[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 北関東 41ページ 1169文字 PDF有 書誌情報]
関越交通(群馬県渋川市)が県内の路線バスで利用客の乗降を顔認証で把握する実験を進めている。電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)と組み、乗車時と降車時に車内の人工知能(AI)カメラで客の顔を撮影して利用区間を判別する。結果を踏まえて精度を高め、2028~29年ごろに運賃支払いでの実用化を目指す。
実験は24、25、28日の3日間に実施。関越交通が群馬県内で路線バスとして使っている大型バスと中型バスの計2台に、米AI半導体大手の小型AIボードを搭載したコンピューターと2台のAIカメラを設置し、渋川市の渋川駅と伊香保温泉を結ぶ「渋川伊香保温泉線」、前橋市の前橋駅と群馬大学荒牧、渋川駅を結ぶ「前橋渋川線」の2路線で乗客を乗せて走行した。
乗車時は車内天井に付けたAIカメラで乗ってきた客の顔を撮り、運転手のドア開閉や測位衛星システム(GNSS)の位置情報とひも付けて、どのバス停で乗ったのかを登録。降車時は運賃箱横のAIカメラで降りる客の顔を撮り、登録済み画像と照合してその客の乗降地点を判別する。実験では個人情報と連動した本人特定はしない。
現時点では乗車時に下を向いたまま乗り込み顔が撮れなかった場合は登録できないが、今後は乗車時の撮影の仕方を工夫するなどして改善。精度を高めて個人情報とひも付け、決済に使えるようにする。
登録や照合はバス走行中にサーバーにデータを送って処理するため、通信回線の容量次第ではデータが送れないトラブルも起こる。今回は23年と24年にTMNが渋川市内と新潟市内で実施した計3回の実験結果を踏まえ、送受信データを軽くするため撮影データから登録や照合に必要最小限なものだけ切り抜く工夫なども施した。
TMNでシステム開発を担当する淀川征慶さんによると、電波状況がよくない山中よりも高校生・大学生などが多く乗る駅前の方が「同じ基地局を使う利用者が電波を食い合ってデータを送受信しにくい」。今回は実用に近い機器構成で市街地や山道など様々な環境条件で実験データを取得・分析するが、「AIボードは処理能力がどんどん上がっており、今後さらに速度や精度が上がる」(淀川さん)という。
関越交通によると、全国交通系ICカードが使える運賃箱や運賃表示器、音声合成案内などの機器導入には1台あたり600万円以上かかる。システム更新には数億円かかり、乗客減少などで収益が悪化したバス事業者にとって重荷だ。熊本県内では24年11月にバスや電車を運行する公共交通5社が全国交通系ICカードによる運賃決済を廃止した。
関越交通は運転手不足に悩んでおり、「顔認証で運賃収受ができれば機器コストを抑え、運転手の負担も減らせる。自動運転バスにも使える」(企画部長の若木亮さん)と期待している。
(岡田信行)
東京メトロの新中計、設備投資に3年計4000億円 ホテル事業参入を表明[2025/04/28 20:07 日経速報ニュース 862文字 画像有 ]
東京地下鉄(東京メトロ)は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。新線建設などを含め4000億円の設備投資枠を設け、輸送効率や安全性の向上などにつなげる。ホテルの運営事業に新たに参入し、売上高の8割超を占める鉄道収入に依存する体質から脱却する。
24年10月に東証プライム市場に上場して以降、初めて中計を策定した。同日記者会見した山村明義社長は「安全なサービスに加え、投資家からは収益性の向上を期待されている。しっかりと中計に取り組んでいく」と述べた。
同社は有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(品川―白金高輪間)の延伸工事に着手している。30年代半ばの開業を目指しており、中計の期間中に500億円を投じる計画。大規模浸水などの安全性向上に向けて鉄道設備全体で1430億円を投資する。
同日には自社ブランドによるホテル運営に参画することを正式表明した。ブランド名や事業規模などの具体的な目標は今後詰める。山村社長は「インバウンド(訪日外国人)やビジネス向けには一定の需要があり、そうした客層をターゲットにしたブランドを検討していきたい」と述べた。
中計ではホテル建設に向け、不動産の取得・開発費用などとして1070億円を充てる。このほか、クレジットカードによるタッチ決済の導入、同社の乗車ポイント「メトポ」を活用したマーケティング策なども成長分野に位置付けて投資を進める。
一連の取り組みを通じ、28年3月期の営業利益は25年3月期比7%増の930億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同9.5%増を目指す。
同社は東京都心部に路線を構え、高い輸送密度に強みを持つ。一方で売上高に相当する営業収益のうち定期などの旅客運輸収入が8割を占める。鉄道への依存度が高く、今後は鉄道以外への事業多角化が課題となる。
同日発表した25年3月期の連結業績は営業収益が前の期比4.8%増の4078億円、営業利益が同13.9%増の869億円だった。インバウンド需要が引き続き堅調で輸送人員が増えた。
短期勢がヘッドライン買い 長期勢、株価反転に疑心暗鬼[2025/04/28 19:21 日経速報ニュース 1504文字 画像有 ]
28日までの4日間で1600円以上上げた日経平均株価。トランプ米政権の関税策の「緩和」をにおわせるヘッドライン(記事の見出し)が増え、ヘッジファンドなどの短期勢が外需などの日本株に買いで参入し始めた。ただし、長期投資家はこれ以上の株高に確信を持てず、外需株の本格買いには至っていない。
「時間軸不明の楽観論」。みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長は最近、顧客とのやり取りから、こんな見立てが市場にあると感じている。
米中が互いに100%を超える関税をかける状況は非現実的で、どこかで妥協点が見いだされる。米国が仮に景気後退に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)が利下げなど手を打つ。これらは相場の支援材料になるはずだが、その時期が分からない――。
28日の日経平均は一時、取引時間中として相互関税発表直前の1日以来となる3万6000円台をつけた。株高の材料はトランプ関税の妥協点が確実に見つかったことでも、FRBの利下げでもない。関税の緩和をほのめかす「ヘッドライン」だ。
25日の昼休み、一部報道で「中国は一部の米製品を関税の対象外とすることを検討する」と伝わると、午後に日経平均が一時前日比800円近くまで上げた。22日にはベッセント米財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と話し、翌日の日経平均は648円高となっていた。
この動きは2018~19年、第1次トランプ政権下での米中貿易戦争のときと似る。18年夏からトランプ政権は産業機械、半導体、家具・家電など相次ぎ関税策を打ち出し中国も報復。ただ、19年9月に発動された関税は当初想定された品目の一部にとどまった。
相場を動かしたのは「トレードディール(貿易協定)」というワードだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「貿易戦争関連の英語記事で『協定』が出てくるものの割合が3割を超えると、リスク資産が優位になる」と指摘する。貿易交渉に対する不透明感が後退して株式を買い戻す流れにつながった。
今回も足元までで記事の割合が16%まで高まっている。高田氏は、今回も3割を超えてくれば「過剰に売られた外需・シクリカル銘柄群への資金回帰が目立つだろう」とみる。
モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔株式ストラテジストは24日付のリポートで、外需株の保有リストを掲げた。2026年3月期の通期決算見通しが非開示でも「値上げなどにより業績へのダメージをコントロールしたり自社株買いなど株主還元を打ち出したりした銘柄は株価が上昇する可能性もある」とみる。
ただ、ここまでの株高をけん引したのはあくまで「株価変動が一時より落ち着き、多少ポジションを持てるようになったヘッジファンドなど短期の投資家」(国内運用会社トレーダー)。長期投資家は今回の上昇相場に無理について行かない姿勢が目立つ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー日本株、中塚浩二氏は運用するファンドの投資先を、関税の悪影響を経営の自助努力でカバーできる外需系の国際優良銘柄と内需系のディフェンシブ銘柄で固める。いわばバランス重視の布陣だ。「設備投資などが先送りされ、向こう半年で経済に悪影響が生じる可能性もある」と考えるのが理由という。「今のようなふわっとした戻りは実態を映していない。個別銘柄の動向をつぶさに見たい」(中塚氏)
投資家が持つ時間軸の長さにより、相場環境に対する判断は分かれる。続く決算発表を横目に、長期投資家が本格的な買い場を探る動きはなお続きそうだ。
(坂部能生)
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大阪府、三菱UFJの寄付に感謝状 能登地震被災の子らを万博に招待[2025/04/28 18:30 日経速報ニュース 447文字 画像有 ]
大阪府は28日、2024年の能登半島地震で被災した子どもたちを大阪観光に招待する事業を支援したとして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に感謝状を贈呈した。府は7~8月に抽選で選ばれた能登半島の小中学生や保護者計321人を大阪・関西万博などに招く。三菱UFJ銀行などグループ計6社がこの事業に総額1000万円を寄付している。
大阪府の吉村洋文知事は贈呈式で「MUFGからの大きな寄付が呼び水になり、想定を超える寄付をいただいた。子どもたちに万博の魅力と未来を感じてもらい、希望をもって前に進んでもらいたい」と述べた。
三菱UFJ銀の早乙女実副頭取も「1人でも多くの子どもたちを笑顔にしたい」と話した。三菱UFJ銀など6社は企業版ふるさと納税を利用して同事業に寄付した。
早乙女副頭取は、同行が中心となって運営するスタートアップ支援団体、関西イノベーションセンター(大阪市、MUIC)が、府の招待事業の抽選に外れた子どもたちに万博チケットを寄付することを検討していると明らかにした。
コインチェック、全サービス停止 Xの不正ログイン受け[2025/04/28 17:30 日経速報ニュース 554文字 画像有 ]
暗号資産(仮想通貨)交換業大手のコインチェック(東京・渋谷)は28日、同社のX(旧ツイッター)のアカウントが第三者に不正ログインされたことを受けて全サービスを一時停止した。仮想通貨取引の基幹システムへの影響は確認されていない。安全性を確かめた上で、28日中にサービスを再開する方針だ。
同社によると、28日午前8時ごろからXアカウントが第三者に不正ログインされた。顧客情報を盗み取るフィッシングサイトへ誘導する第三者による投稿があった。情報が盗まれる被害があったかどうかや、不正ログインされた理由について調査を進めている。
不正ログインを受け、コインチェックのウェブやアプリでの全ての機能やサービスを午後0時半から一時停止した。同社はウェブサイトに「当社サービスには影響が確認されていないが、フィッシング被害の拡大を防ぐため、全てのサービスを一時的に停止した」と説明している。
午後2時ごろに不正ログインへの対応完了後のアカウントはコインチェックの管理下にある。第三者による投稿は既に削除した。コインチェックは「ご不便とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
コインチェックは2024年末時点で220万口座を保有する。顧客の預かり資産は約1兆1000億円に上り、業界で25%のシェアがある。
横浜市、独自のふるさと納税サイトを開設 活用先を紹介[2025/04/28 16:00 日経速報ニュース 374文字 画像有 ]
横浜市は4月、同市独自のふるさと納税サイトを開設した。観光や移住に関する情報を載せるワークシー(福岡市)のサイト「ふるさと生活」内に特設ページとして設けた。寄付の使い道や取り組み状況の紹介に重点を置き、申し込みやクレジットカードでのオンライン決済にも対応する。全国から横浜市への寄付拡大につなげる。
特設サイトでは開港の歴史が残る建築物の保存や、出走権を得られる横浜マラソンへの支援などを掲載した。画像などを組み合わせ、寄付金の使い道をわかりやすく発信したのが特徴だという。
同市へのふるさと納税は既存の12のポータルサイトからも受け付ける。市によると、2024年度のふるさと納税による流出額は298億円、受け入れ額は28億8000万円を見込む。市の担当者は「サイトをきっかけに市の事業を知ってもらい、応援してもらえる人を増やしたい」としている。
アイティフォー、ながの東急百貨店で基幹システム「RITS」と決済システム「iRITSpay」が本稼働[2025/04/28 15:42 日経速報ニュース 1519文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月28日
ながの東急百貨店様、基幹システム「RITS」導入で地域密着と顧客サービスを強化
~システム刷新で業務効率化、将来の事業成長へ~
株式会社アイティフォー(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 佐藤 恒徳)は、地域のお客様に長年愛されるながの東急百貨店(所在地 : 長野県長野市、取締役社長執行役員 : 中村 宏)様の基幹システム刷新プロジェクトにおいて、当社の百貨店向け基幹システム「RITS(リッツ)」および決済システム「iRITSpay(アイリッツペイ)」が本稼働したことをお知らせいたします。老朽化したシステムの刷新による業務効率化、顧客サービス向上、そして将来的な事業拡大への柔軟な対応を目指します。
◆背景
近年、百貨店業界は、EC市場の拡大や消費者の購買行動の多様化など、外部環境の大きな変化に直面しています。日本百貨店協会のデータにも示されるように、市場全体として成熟期を迎える中で、各百貨店は新たな価値提供と持続的な成長に向けた変革が求められています。
このような状況下で、ながの東急百貨店様では、地域社会との共存共栄を図りながら、変化する時代に対応した百貨店としての事業継続を重要な経営課題と捉えていました。その一方で、既存システムの老朽化、法規制へのシステム対応の複雑化、そしてシステム改修のコスト高が喫緊の課題として認識されていました。
複数のシステムを比較検討された結果、ながの東急百貨店様は当社の「RITS」が持つ、百貨店特有の業務プロセスvへの適合性、柔軟なカスタマイズ性、そして将来的な拡張性を高く評価されました。ながの東急百貨店様の描く将来像と「RITS」の特性が合致したことから、2023年5月に導入が決定しました。
◆導入概要
この度ながの東急百貨店様は、百貨店業務の中核となる基幹システム「RITS」と、多様な決済手段に対応する決済端末「iRITSpay」を導入されました。「RITS」は、これまでに全国13社の百貨店で採用されている信頼性の高い基幹システムであり、企業のニーズに合わせて必要なモジュールを選択可能な点が特長です。今回は商品管理、販売管理(POS)、および顧客管理の各モジュールが採用されました。「iRITSpay」はPOSシステムとの連携実績が豊富で、コード決済やクレジットカード決済など多様な決済手段に1台で対応しています。
◆期待される効果
今回の「RITS」導入により、ながの東急百貨店様では以下の効果が期待されています。
・百貨店業務システムのローコスト化 : 老朽化したシステムからの移行により、運用コストの大幅な削減が見込まれます。
・現行業務の運用見直しによる省力化 : 百貨店パッケージのシステム導入と、パッケージに合わせた業務プロセスの最適化により、従業員の負担軽減と業務効率の向上が期待されます。
・決済業務の効率化とレジ周りの省スペース化 : 従来は複数の決済端末が必要だったところ、iRITSpay一台で多様な決済手段に対応できるため、レジ業務の効率化と省スペース化が図れます。
・新規投資への対応スピード向上とコストメリット : 将来的なスマートフォンアプリ構築や新たなサービス展開など、事業拡大に向けた新規投資への迅速な対応が可能となり、コスト効率の高いシステム運用が実現します。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690410/01_202504281535.pdf
<東証>マネックスGが下げ幅拡大 傘下のコインチェック公式Xに不正ログイン[2025/04/28 14:16 日経速報ニュース 299文字 ]
(14時5分、プライム、コード8698)マネックスGが後場に下げ幅を拡大する場面がある。前週末比11円(1.56%)安の691円を付けた。25日午後、傘下の暗号資産(仮想通貨)交換所のコインチェックの公式X(旧ツイッター)が不正にログインされたと明らかにした。コインチェックの全てのサービスを一時停止しており、嫌気した売りが出ている。
コインチェックのホームページは現時点で「メンテナンス中」でアクセスできない。コインチェックを装ったダイレクトメッセージなどが送信されている可能性があるという。同社は不審なURLをクリックしないよう注意を呼び掛けている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
米関税で揺らぐ日銀利上げ、継続方針は堅持[2025/04/28 14:15 日経速報ニュース 2006文字 ]
日銀は30日~5月1日に金融政策決定会合を開く。トランプ米政権が打ち出す関税政策が見通しの不確実性を高める中、国内経済や物価への影響を見極めたいとして今回は政策金利を据え置くとの予想が支配的だ。トランプ米大統領の発言に揺れ動く状況に対し、日銀は一定の前提を置いた上でリスク要因や中心的なシナリオを示す。米関税政策が国内の賃金・物価の循環を腰折れさせない程度で収まれば、利上げ方針を堅持する姿勢を続けるとみられる。
■日銀5月会合のポイント
・トランプ米政権の関税政策の影響
・「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の書きぶり
・国内の経済・物価の現状認識
米国は相互関税の上乗せ分について90日間の一時停止を決めたものの、すべての国や地域を対象に一律で10%の関税を課している。現在も貿易相手先と交渉が続くが、具体的な着地点はみえていない。「ディール(取引)」重視のトランプ氏の政策や発言が二転三転するなか、不確実性の高まりが消費者心理や企業心理を冷やし、世界経済の減速を招く可能性がある。関税強化は輸出など製造業にとっては収益の押し下げ要因で、業績の下振れが意識されれば、日本経済にとってはマイナスだ。日銀内では米関税による国内景気の下押しを警戒する雰囲気が強い。
市場では今回会合で日銀は利上げを見送るとの予想が大勢を占める。日経QUICKニュース社が金融政策を分析する「日銀ウオッチャー」を対象に21~23日に実施したアンケート調査では政策金利の「現状維持」予想が回答全体の9割超に上った。
政策の現状維持を予想するモルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅日本チーフ・エコノミストは「今回の会合では、米国の通商政策を中心とする不確実性は引き続き高い状態にあり、それが経済や物価に与える影響を見極めるにはもう少し時間がかかる」とみる。
日銀は5月会合の結果と合わせて展望リポートを公表する。米国の通商政策をめぐる不確実性が極めて高いなかではあるが、現在入手できるデータを活用しながら、2025~27年度までの実質国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)見通しを示す。米国が日本に課す税率など一定の仮定を置いて、リスク要因を説明しつつ中心的なシナリオを提示するとみられる。
もっとも、通商政策や金融・資本市場はトランプ氏の発言次第で急変しやすく流動的だ。日銀が示す展望リポートの見通しも、各国との交渉の結果やトランプ氏の発言などでその前提が大きく変わることは容易に想像できる。行内からは、今回示すリポートはあくまで仮置きとしつつ「トランプ氏の発言などのたびに、シナリオやリスクに変化がないかを点検しながら見通しをアップデートしていくよう柔軟性を持って臨む」との声が聞かれており、臨機応変に状況変化を反映させていく見通しのようだ。
国内の経済・物価情勢に目を向けると足元は日銀の目指す賃金と物価の好循環が続いていると判断できる材料が多い。25年の春季労使交渉(春闘)では基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合計した賃上げ率が2年連続で5%台となり、34年ぶりの高水準にある。総務省が発表した4月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合が110.0と、前年同月比で3.4%上昇し、日銀としても「強め」と評価できる物価上昇が続いている。
もし、米関税政策による景気下押しが避けられるなら、人手不足を背景にした賃金と物価の循環は途切れない公算が大きい。日米関税交渉の結果、相互関税の上乗せ分が撤廃され日本への適用税率がこのまま10%にとどまるなど、ある程度の先行き見通しがはっきりしてくれば、利上げに向けた環境が再び整ってくる可能性は低くないとも言える。
日銀ウオッチャー調査では年内に利上げするとの予想が依然、回答者全体の7割を占めており、日銀の利上げ時期が大幅に後ずれしているわけではない。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「今や日本のインフレ率は先進国中で最高であり、実質政策金利は突出して異様に低い状態にある」と指摘。「日銀がゆっくりとした利上げペースを維持することは、結果的に円安修正につながるため、早ければ7月、遅くとも年内に日銀は次の利上げを決定すると思われる」と予想する。
不確実性の大きささから、日銀は慎重に次の利上げ時期を判断するとみる市場参加者は多い。日銀としても状況の見極めにある程度の時間が必要であることは認めざるをえないだろう。もっとも、市場から利上げ予想そのものが消えたわけではなく、日銀からも利上げ観測を過度に後退させるような情報発信が出ることは想定しにくい。利上げまでの市場の想定距離を遠ざけるのか、近づけるのか、微妙なさじ加減が問われる会合になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 長谷部博史〕
日経平均一時3万6000円台 不安和らげた信越化学の「自信」[2025/04/28 12:02 日経速報ニュース 1386文字 画像有 ]
28日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、前週末比の上げ幅は一時300円を超えた。けん引役は前週末に巨額の自社株買いを発表した信越化学工業だ。米関税政策を巡る悲観が和らぎ投資家は買える銘柄を探している。逆風下でも大規模自社株買いを打ち出す企業が多いことを市場は「自信」の表れと捉え、市場全体のムード改善につながっている。
日経平均は前週末比369円(1.0%)高まで上げ、約1カ月ぶりに節目となる3万6000円台を回復する場面もあった。終値は134円(0.4%)高の3万5839円だった。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「日本を含め貿易相手国との関税交渉が進展するというシナリオを市場は織り込み始めている」とし「投資家は『過度な悲観』から『中立』くらいのスタンスに戻ってきている」と指摘する。
個別株で気を吐いたのが信越化学株だ。一時前週末比359円(8.9%)上昇し、約1カ月ぶりの高値をつけた。日経平均を1銘柄で44円程度押し上げた。
買いの手掛かりは前週末の決算発表に併せて示した5000億円を上限とする自社株買いだ。発行済み株式(自己株式を除く)の約10%にあたる2億株を上限に買い付ける。同社としては過去最大の金額で、SMBC日興証券の担当アナリストである宮本剛氏は25日付のリポートで「業績への自信が感じられた」と評価した。
3月期企業の決算発表が本格化する中で、信越化学のように巨額の自社株買いを発表する企業が相次いでおり、買いを集めている。4月に入り富士通は1700億円、アイシンは1200億円を上限とする自社株買いを打ち出した。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントは「還元策を打ち出した個別銘柄が相場を支えている」と話す。
野村証券が自社株取得枠の設定を発表した企業について東証株価指数(TOPIX)に対する相対株価を算出したところ、4月以降は自社株買いの株価インパクトが例年以上に大きい。発表の10営業日前を100とすると15営業日後は約106と、2023~24年の102程度を上回る。
同社の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは「投資家に現状の株価が割安だと示す『シグナリング効果』に加えて、逆風下でも耐久力がある財務への自信がある企業として投資家に安心感をもたらしている」と指摘する。
もっとも自社株買いへの好反応には、強気一辺倒になれない市場のもどかしさも隠れている。
「外部環境に左右されないポジティブなニュースは自社株買いくらいだ」との見方を示すのはセゾン投信の瀬下哲雄マルチマネージャー運用部長。「関税政策が骨抜きになったとしても経済への影響は何かしら残ると考えており、楽観は禁物だ」と警戒を緩めない。
目をこらすと決算発表が振るわなかった銘柄では売りが先行している。前週末に26年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比9%減の1250億円になる見通しだと発表した日東電工は28日、6%安で終えた。半導体関連株も総じて弱く、市場予想を大幅に下回る業績見通しを示したアドバンテストも一時6%安に沈んだ。
ゴールドマンの石橋氏は「関税交渉が大きく進展していない割には株価が戻ってきている」との見方を示す。楽観に傾きすぎないか警戒する声も多い。
(大久保希美)
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ビットコイン価格9万ドル回復 高まる金との連動性、無国籍に注目[2025/04/28 11:00 日経速報ニュース 1464文字 画像有 ]
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が再び上昇している。足元では9万3000ドル(約1330万円)前後と約2カ月ぶりの高値水準にあり、「安全資産」として買われる金との相関を強めている。トランプ米政権の関税政策によって米国の株や債券の値動きが不安定になる中、特定の国と結びつかない無国籍資産として逃避マネーの受け皿となっている。
ビットコイン価格の上昇に弾みを付けたのが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を巡る騒動だ。トランプ大統領はSNSに「一刻も早く解雇すべきだ」と17日に投稿し、21日には「今すぐ金利を引き下げない限り、経済は減速するかもしれない」とFRBに対して利下げを要求した。
FRBの独立性への懸念が高まって米ドルの信認が揺らぐ事態となり、米国資産から流出したマネーが金(ゴールド)に向かった。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は、22日のアジア時間で初めて1トロイオンス3500ドルを超えた。
金と同じ局面でビットコインにも買いが集まった。22日は、わずか1日で6000ドル近く値上がりした。この1カ月間で価格は1割弱上昇した。
ビットコインと金の連動性の高さを示すのが相関係数だ。相関係数はプラス1からマイナス1の数値で推移し、プラスが大きいほど同じ方向に動く傾向が強い。直近30日間のビットコインと金の相関係数は足元で0.65まで上昇した。
「国の信用リスクが高まる局面でビットコインは買われやすく、金との相関も強まる」。マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストはこう指摘する。13年に発生したキプロスの金融危機の際、ビットコインと金の価格が連動するように上がったこともあるという。
世界中の保有者がデータを共有して管理するビットコインは「無国籍通貨」として認識される。ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリストは「中央銀行の信認が揺らぐという特殊な状況で、ビットコインの無国籍通貨という側面が際だった」と指摘する。
上場投資信託(ETF)を経由した投資マネーの動きも見逃せない。現物のビットコインで運用する米国上場のETFには4月下旬に入ってから資金の流入が続き、22日の流入額は約9億3600万ドルと約3カ月ぶりの規模となった。
もっとも、安全資産とされる金に対し、ビットコインは「ボラティリティー(変動率)が大きく、まだまだリスク資産」(マネックスの松嶋氏)との位置づけだ。短期間で見れば金との相関が強まっているものの、長期で見れば相関係数はマイナス圏にある。
ビットコインが安全資産となり、名実ともに「デジタルゴールド」としての地位を確立するために必要なのは何か。焦点は「国家による保有」だ。
金は各国が準備資産として持っている。三菱マテリアルによると、24年12月時点の保有量は米国が8133トンと最も多く、ドイツ(3351トン)、イタリア(2451トン)が続く。近年は中国やロシアも金の保有量を増やしている。
ビットコインの国家による保有は限られていたが、トランプ大統領は3月に仮想通貨の戦略備蓄に向けた大統領令に署名した。他国に先駆けて備蓄することは「戦略的な利点がある」として、ビットコインを追加的に取得する方針を示した。
エックスバンクの西山祥史アナリストは「保有者が変化すればビットコインの質も変わる。国家の保有が進めば、安全資産との認識が広がるだろう」とみる。米国以外の国で戦略備蓄の議論が進むかどうかも注目点になりそうだ。
(相松孝暢)
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鳥取のバルコス社長「キャッシュレス時代も財布はなくならず」-トップのstrategy[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1472文字 画像有 ]
バッグなど皮革製品の企画販売会社、バルコスは使い勝手を良くした財布の開発で成長を続け、2025年12月期も業績拡大を見込む。世の中はキャッシュレス時代で若者を中心に財布を持ち歩かない人が増える。果たして財布は生き残れるのか。鳥取から財布の革新を目指す山本敬社長に戦略を聞いた。
――民間調査によると「スマートフォンで決済できるので普段は財布を持ち歩かない」と答えた人が2割強、年代別で20代が最多でした。危機感はありますか。
「あまりない。確かに普段持ち歩く人は減っている。東京では給与の受け取りから消費までデジタルで終えることもできなくはない。だが財布自体は所有している。すべての消費をスマホで済ますのは無理で、ある程度の現金が必要だからだ」
「財布の決済手段としての役割が低下しているのは事実だ。最近は小銭を収納できるカードケースが流行している。しかし免許証やクレジットカードなどを10枚以上収めるのは難しい。紙幣、硬貨、カードをコンパクトに収納する機能への需要は健在だ」
――キャッシュレス時代の財布として各社は小型化を競います。
「当社は23年12月、折り畳みの小型商品『ポンテピッコラ』を発売。財布を開くと意匠登録した蛇腹が現れる。30枚ほどのカードを入れることができ、小銭入れもボックス型で取り出しやすい。こうした機能が若者にも受け入れられ年間約18万個を販売した。過去に一番売れた商品の累計販売個数は42万個ほどなので、大ヒットといっていい」
――若者の心をつかんだことで顧客リストは18万人増の146万人に拡大しました。
「当社の販路はテレビの通販番組や新聞、雑誌だ。それらを見ないZ世代の顧客層がある程度のボリュームとなってきた。顧客属性に合わせた機能性重視の商品戦略ができるようになった」
「24年末には機能性をさらに追求した『リトルノ』を販売した。紛失した場所が分かるチップ付き財布だ。利用者はなくした場所をスマホのアプリで確認できる。リトルノは小型と、中高年向けの長財布の2種類をそろえた。中高年は紙幣に折り目が入るのを嫌がる傾向にある」
――25年12月期はリトルノの販売強化などで連結純利益が1億6900万円と前の期比10%増を見込みます。
「顧客は164万人になる見込みだ。幅広い顧客向けへのアピールとしてファッションニュース通信社(東京・目黒)などグループ会社のコンテンツを磨きファッション関連情報をウェブサイトで発信するほか、SNSで商品をアピールする取り組みを本格化させる」
――若手社員が多く社内は活気があります。経営の要諦は何ですか。
「社員の自己実現をサポートすることかな。(仕事の達成に向け)こうしたらこうなるんじゃないかという個人の道筋を尊重し、実現したらほめるようにしている。鳥取県倉吉市に本社を構える私は30数年前、倉吉発のファッション産業を立ち上げようと決心した。当時のメインバンクからは『それは都会の人がやるもの』と諭された」
「やがてイタリアに支店を持ち中国に試作品の工場を設け、各国の協力工場に本格生産を依頼するビジネスモデルを作った。ハンドバッグ業界の中で高水準の粗利益率を誇るまでになった。こんな達成感を社員全員に共有してもらいたい」
(聞き手は保田井建)
やまもと・たかし 1966年7月大阪市生まれ。88年3月、東京工芸大短期大学部卒後、制作プロダクション会社に入社し写真を担当する。91年5月、有限会社バルコス(現バルコス)取締役部長に。2000年12月、バルコス社長に就任。
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NFT市場、バブル崩壊で閉鎖相次ぐ 取引ピーク比8割減[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1389文字 画像有 ]
デジタル資産の所有を証明できる非代替性トークン(NFT)の取引市場の閉鎖が相次いでいる。30日に海外大手の「X2Y2」が終了するほか、米暗号資産(仮想通貨)交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2月に運営を終えた。足元のNFT取引高はピーク比8割減。デジタルアート作品に億円単位の価格がつくようなバブルは崩壊し、NFT売買単独での事業運営は難しくなっている。
「プラットフォームは完全に閉鎖される。一時停止ではなく、完全に終止符を打つ」。3月31日、X2Y2のウェブサイトで4月末の閉鎖が通告された。X2Y2は2022年2月に開設され、年間取引量は約5000万ドルと世界で3位だ。閉鎖理由の一つとして、21年のピーク時から取引量が90%減少したことを説明した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製を不可能にしたデジタル資産を指す。21年から22年にかけてデジタルアート作品NFTが活発に取引され、なかには7000万ドルという高値で落札されたアートNFTもあった。
ブームは長くは続かなかった。分析プラットフォームのDappRadar(ダップレーダー)によれば、22年は572億ドルの取引量を記録したが、24年には137億ドルと8割近く減少。足元も回復しないままだ。交換業者ビットバンク(東京・品川)の長谷川友哉マーケット・アナリストは「価値があるとの思い込みから大金が一時集まったが、そこまで価値がないことにみんなが気づき、バブルがはじけた」と指摘する。
NFT市場は、2~3%の取引手数料収入で運営を成り立たせている。取引が低調な状況では継続は難しくなっている。クラーケンが運営するNFT市場は2月に運営を終了。仮想通貨交換業者バイビットも4月上旬にNFT取引サービスを終えた。
日本も例外ではない。航空関連のデジタルコンテンツを展開していたANAホールディングスグループのNFT市場は2月に終了。サービス開始からわずか1年ほどで姿を消すことになった。運営を担っていたANA NEO(東京・港)は「これ以上の事業継続が困難と判断した」と説明する。
国内NFT市場関係者は「中小規模のマーケットプレイスはこれまでも閉鎖されてきたが、比較的体力のあった主要な事業者がここに来てサービスを終了している」と指摘する。
一方、NFTを投資対象ではなく、マーケティングに活用する企業が増えている。ソニー銀行は昨夏からNFTを閲覧できるアプリの提供を始めた。ソニーグループのアーティストの音楽ライブへの参加者限定で配布されるNFTなどを収集することができる。
SBIグループのSBINFT(東京・港)が運営するSBINFTマーケットは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」と連携する。NFTの売買でポンタがたまる仕組みで、「ポイ活」に熱心な顧客を呼び込む狙いがある。SBINFTの高長徳取締役は「売買サービス単体では継続が大変。収益源の多角化に取り組んでいる」と話す。
NFTバブルが崩壊したのは、仮想通貨と同じように価格の値上がりに期待しすぎる人が群がったためだ。本来、NFTはクリエーターに収益を還元する仕組みや、保有を通じて生まれるファンコミュニティーにこそ魅力がある。この魅力を生かしたデジタルサービスを生み出せるかが、事業者に問われている。
(相松孝暢)
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顔認証でバス乗降 群馬・関越交通が実験、利用把握や決済にらむ[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1170文字 画像有 ]
関越交通(群馬県渋川市)が県内の路線バスで利用客の乗降を顔認証で把握する実験を進めている。電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)と組み、乗車時と降車時に車内の人工知能(AI)カメラで客の顔を撮影して利用区間を判別する。結果を踏まえて精度を高め、2028~29年ごろに運賃支払いでの実用化を目指す。
実験は24、25、28日の3日間に実施。関越交通が群馬県内で路線バスとして使っている大型バスと中型バスの計2台に、米AI半導体大手の小型AIボードを搭載したコンピューターと2台のAIカメラを設置し、渋川市の渋川駅と伊香保温泉を結ぶ「渋川伊香保温泉線」、前橋市の前橋駅と群馬大学荒牧、渋川駅を結ぶ「前橋渋川線」の2路線で乗客を乗せて走行した。
乗車時は車内天井に付けたAIカメラで乗ってきた客の顔を撮り、運転手のドア開閉や測位衛星システム(GNSS)の位置情報とひも付けて、どのバス停で乗ったのかを登録。降車時は運賃箱横のAIカメラで降りる客の顔を撮り、登録済み画像と照合してその客の乗降地点を判別する。実験では個人情報と連動した本人特定はしない。
現時点では乗車時に下を向いたまま乗り込み顔が撮れなかった場合は登録できないが、今後は乗車時の撮影の仕方を工夫するなどして改善。精度を高めて個人情報とひも付け、決済に使えるようにする。
登録や照合はバス走行中にサーバーにデータを送って処理するため、通信回線の容量次第ではデータが送れないトラブルも起こる。今回は23年と24年にTMNが渋川市内と新潟市内で実施した計3回の実験結果を踏まえ、送受信データを軽くするため撮影データから登録や照合に必要最小限なものだけ切り抜く工夫なども施した。
TMNでシステム開発を担当する淀川征慶さんによると、電波状況がよくない山中よりも高校生・大学生などが多く乗る駅前の方が「同じ基地局を使う利用者が電波を食い合ってデータを送受信しにくい」。今回は実用に近い機器構成で市街地や山道など様々な環境条件で実験データを取得・分析するが、「AIボードは処理能力がどんどん上がっており、今後さらに速度や精度が上がる」(淀川さん)という。
関越交通によると、全国交通系ICカードが使える運賃箱や運賃表示器、音声合成案内などの機器導入には1台あたり600万円以上かかる。システム更新には数億円かかり、乗客減少などで収益が悪化したバス事業者にとって重荷だ。熊本県内では24年11月にバスや電車を運行する公共交通5社が全国交通系ICカードによる運賃決済を廃止した。
関越交通は運転手不足に悩んでおり、「顔認証で運賃収受ができれば機器コストを抑え、運転手の負担も減らせる。自動運転バスにも使える」(企画部長の若木亮さん)と期待している。
(岡田信行)
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OpenAIのアルトマンCEO、バイオ・エネ・教育にも投資[2025/04/28 02:00 日経速報ニュース 2317文字 画像有 ]
米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はスタートアップへの投資家としても有名だ。オープンAIの事業にかかわる人工知能(AI)関連のほか、バイオテクノロジーやエネルギー分野に積極的に投資している。注目の投資先をCBインサイツがまとめた。
米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は生成AIブームの顔というべき存在だ。
2014~19年には世界で最も成功を収めているスタートアップ支援組織の1つ、米Yコンビネーターの社長も務めていた。
その傍らで、10年以降に米電子決済大手ストライプ(Stripe)、米インターネット掲示板レディット、米食品宅配大手インスタカートなど100件以上の資金調達ラウンドに出資してきた非常に活発なエンジェル投資家だ。
個人での投資に加え、ベンチャーキャピタル(VC)のヒドラジン・キャピタルを創業し、弟のマックス、ジャック両氏とともに同アポロ・プロジェクトも立ち上げた。ジャック氏が経営する同アルトマン・キャピタルにもリミテッドパートナー(LP)として参加している。
サム・アルトマン氏の投資先からは、培養肉や長寿、エネルギー、教育、もちろんAIなど同氏の幅広い関心がうかがえる。
同氏の19年以降の投資先を分野別にグラフにまとめ、オープンAIとの関係を公表している企業にしるしを付けた。
さらに、アルトマン氏の代表的な活動分野について分析した。
アルトマン氏の投資先、オープンAIの戦略と重複
アルトマン氏が出資している企業の一部はオープンAIとも関係がある。例えば、対話型AI「Chat(チャット)GPT」を活用したパーソナルアシスタントを搭載するウエアラブル端末「Ai Pin」を最近発売した米ヒューメイン(Humane)のラウンドに3回出資している。
アルトマン氏が出資するB2B決済自動化プラットフォームの米スロープ(Slope、シリーズB)と、コード補完の米ワープ(Warp、シリーズB)も、オープンAIのモデルを自社製品に搭載していることを明らかにしている。
一方、オープンAIは19年、米レインAI(Rain AI)のAI半導体に5100万ドルを出資する趣意書を交わした。アルトマン氏は以前、レインAIのシードラウンドに出資した。
AIを活用した言語学習アプリ「スピーク(Speak)」は、22年のシリーズAでアルトマン氏から出資を受け、それ以降もオープンAIのVC「スタートアップファンド」や他の投資家から資金を調達している。
オープンAIは「オープンAIスタートアップ・ファンド」に出資してはいないが(米マイクロソフトやオープンAIの他のパートナーなどが出資)、スピークは(同ファンドから出資を受けた)シリーズBの資金調達によって「オープンAIのシステムで当社のユーザー体験を強化し、開発中の新たなシステムにいち早くアクセスできるより深い関係が可能になった」と強調した。
オープンAIは新たに400億ドルを調達するため、インフラ(基盤レベルで成長し続けるための土台づくり)とアプリケーション(営利化に伴う収益創出の取り組み)の2つの重要分野を中心に、他社の買収にさらに積極的になるだろう。
アルトマン氏によるこの1年の新規投資のうち、特に注目なのは以下の3社だ。
1)米エアオプス(AirOps、24年6月、アルト・キャピタル経由):個人ユーザーによるAIアプリケーション作成、テスト、展開、拡大を可能にするプラットフォーム
2))米クルーAI(CrewAI、24年10月、 アルト・キャピタル経由):AIエージェントの開発、展開、管理プラットフォーム
3)米エクソワット(Exowatt、24年4月):モジュール式発電・蓄電システムを手掛ける再生可能エネルギー企業
AI以外の2大投資先はエネルギーと長寿
アルトマン氏は21年11月、核融合発電スタートアップの米ヘリオン・エナジー(Helion Energy)のシリーズE(調達額5億ドル)に、同氏の個人投資では最大の3億7500万ドルを出資した。
同氏は出資当時、ブログで「ヘリオンの核融合発電の手法は私が目にしたなかで飛び抜けて有望だ」と絶賛した。オープンAIに出資するマイクロソフトは23年5月、ヘリオンと20年後半から電力を購入する契約を締結した。
アルトマンは抗加齢スタートアップ、米レトロ・バイオサイエンシズ(Retro Biosciences)も有望視している。細胞のリプログラミングにより寿命を延ばそうと取り組む同社に計1億8000万ドルを投じている。
主なエグジット(投資回収)
アルトマン氏は教育とデジタルを組み合わせた「エドテック」スタートアップにも数多く出資している。11年に出資した米コードカデミー(Codecademy)は21年12月、米スキルソフトに5億2500万ドルで買収された。
他の初期投資先でエグジットに至った企業は、インスタカート(23年9月に新規株式公開=IPO)や米クルーズ(Cruise、16年に米ゼネラル・モーターズ=GMによって買収)などだ。
さらに、特別買収目的会社(SPAC)3社の経営にも携わっている。
・核分裂発電スタートアップ、米オクロ(Oklo)との合併を計画しているアルトC・アクイジション(執行役員)
・23年10月に米フィンテック、マネーヒーローと合併したブリッジタウン・ホールディングス(取締役)
・22年に不動産テックのプロパティーグル(シンガポール)と合併したブリッジタウン2ホールディングス(取締役)
トランプ政権、ドル下落率が歴代最大 ぶれる関税の裏に金利 あす政権発足100日[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1818文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=三島大地、竹内弘文】トランプ米政権が29日、発足から100日を迎える。金融市場では米国の株式と債券、米ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、ハネムーン期間中の米ドルの下落率は歴代政権で最も大きくなる見通しだ。トランプ相場の足跡をチャートとともに振り返る。
1月20日に第2次トランプ政権が発足すると、直後から株価は緩やかに下落基調をたどった。中国やカナダ、メキシコなどへの追加関税を振りかざす強硬姿勢が、それまで「プロ(親)ビジネス」と見られていた政権への期待を後退させたためだ。
4月2日にトランプ氏が相互関税の詳細を明らかにすると、想定を上回る高関税への警戒感から株価は急落した。4日にはロスカット(損失限定)の動きも巻き込んで一段と売り込まれ、ダウ工業株30種平均の前日比の下げ幅は2231ドル安と史上3番目の水準を記録した。
9日にトランプ氏が相互関税の上乗せ分について、中国を除き90日間停止すると表明すると、株価は急反発した。上昇幅は2962ドルと史上最大となった。歴代でもきわだって、株式相場が乱高下した政権になる。
■株8%安、フォード政権以来の水準
政策への先行き不透明感から投資家は警戒姿勢を崩しておらず、ダウ平均は政権発足後、8%安となった。下落率はウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任を受けて1974年に発足したフォード政権以来の水準を記録した。当時の米国はオイルショックの影響で戦後最悪と言われる景気後退局面にあった。
09年1月に発足したオバマ政権の100日間の株価は、リーマン危機の影響がくすぶっていたこともあってマイナスだった。バイデン政権は新型コロナウイルス禍の21年1月に立ち上がり、ワクチン接種の進展と経済再開への期待感から株価は上昇した。
関税を巡り強硬路線を貫いていた米政権を「翻意」させたのが長期金利の急上昇(債券価格は下落)だ。景気悪化に伴う米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待から、長期金利の指標となる10年物国債利回りは4日に一時3.86%まで低下した。
だが9日午前に突如、4.5%超まで急騰。中国が米国の追加関税に反発し、米国債を売却したとの観測も浮上した。
同日午後には相互関税の上乗せ部分の一時停止を表明。トランプ氏は記者団に「債券市場はやっかいだ」と述べ、決断の背後に金利の急騰があったことを示唆した。ベッセント財務長官は14日、米金利の急上昇はヘッジファンドなどによるレバレッジ解消の動きだとの見方を示した。
外国為替市場では政権発足以来、ドル安基調が続いている。株式や債券など米金融資産からの資金流出に伴い、ドル売り圧力が強まっていることが底流にある。
主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」はトランプ氏の就任から9%下げた。発足100日間のハネムーン期間中としては、歴代でも最大の下落率となる見通しだ。
米ドルの急落に伴い、円は対ドルで急速に上昇した。トランプ政権発足後の円相場の上昇幅は一時、15円以上に達した。
日米財務相会談で米国が日本に円安・ドル高を是正するよう要求するとの観測が円を一段と押し上げた。だが会談前後にベッセント米財務長官や加藤勝信財務相がこうした観測を否定したことで、足元で円買いは一服している。
■レーガン政権はドル高
トランプ政権と対照的な動きとなったのがレーガン政権だ。強いドルを標榜してFRBのボルカー議長の下で金融引き締めを強め、政権発足当初からドル高が加速した。クリントン政権は日本の貿易黒字を問題視し、日本政府に是正を迫った。為替市場では円高・ドル安が進んだ。
米国債と双璧をなす「安全資産」の金(ゴールド)には買いが殺到した。国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は22日に一時1トロイオンス=3509ドルと最高値を付けた。物価上昇と景気後退が併存する「スタグフレーション」の局面では、歴史的に金が買われる傾向がある。
一方、「デジタルゴールド」とも評された暗号資産(仮想通貨)のビットコインは政権発足後に一時、3割近く下落した。米国を「仮想通貨超大国」にするとのトランプ氏の発言から政権発足前に大きく買い込まれていた。足元ではトランプ政権への政策期待もあり、1BTC(ビットコインの単位)=9万ドルを上回る水準で取引されている。
【図・写真】米資産からの資本流出がトリプル安を招いた=AP
盛岡の地域通貨 モリオペイ、セブンで入金・決済 スタンプラリー・会員証機能も検討[2025/04/28 日経MJ(流通新聞) 13ページ 1242文字 PDF有 書誌情報]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは(1)スタンプラリー機能(2)会員証機能(3)ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
(盛岡支局長 朴相五)
【図・写真】モリオペイ専用現金チャージ機はまだ少ない(盛岡市内の複合商業施設monakaで)
【図・写真】盛岡さんさ踊りの期間、一部の屋台でモリオペイが使えた=盛岡バリューシティ提供
燃料電池部品の価格3分の1に 山田ドビー、専用プレス機を量産[2025/04/27 05:00 日経速報ニュース 1305文字 画像有 ]
高速プレス機の山田ドビー(愛知県一宮市)は燃料電池に使われる部品「セパレーター」向けの専用プレス機を量産する。大量生産できることで、セパレーターの価格を3分の1に抑える見込みだ。2027年までに約60億円を投資し、生産体制を整える。燃料電池車(FCV)は電気自動車(EV)に対して高額だが、主要部品の価格低下を促すことで、FCVの普及につなげる。
燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電するセルが層になっており、セパレーターはそれぞれのセルの間に挟む板状の金属部品を指す。燃料となる水素と酸素を供給する流路などの役割を持ち、金属プレス機を用いて製造する。
流路は細かい溝で作られており、安全性や効率性の観点から高い精度の金属加工技術が必要になる。このため、一般的にセパレーターの製造は得意分野の異なる大型プレス機を2台使い分けて技術的な課題をクリアしているという。設備投資がかさむほか、工程が長くなるため生産効率を高めにくい一因になっていた。
山田ドビーはセパレーター専用のプレス機を開発した。従来型よりも小型化し、技術的には1台で製造できるという。より強度の高い部品を使ったほか、プレスの圧力をかける能力を高めた。生産能力を高めたプレス機を使うことで、セパレーターの市場価格を押し下げる効果を見込む。
一宮市の本社に隣接する土地で新工場の建設にも着手した。マシニングセンターや旋盤加工機などの設備を導入し、27年初の稼働を目指す。プレス機は日本や欧州など各国の部品メーカーに売り込む。
山田ドビーは1919年に創業。ドビーとは織り柄のある生地の模様や織機を指す。トヨタ自動車グループ創始者の豊田佐吉氏に開発を助言された経緯からドビー機の開発・製造を手掛けていた。1960年代に繊維産業にかわる第二の柱としてプレス機事業に力を入れた。
山田ドビーは精密加工ができる高速プレス機で日本で6割、世界で4割のシェアをもつ。例えばクレジットカードのICチップや500円玉などの製造には同社のプレス機が使われているという。
自動車の電子化に伴って需要が増している電子部品や、電気自動車(EV)に使われるモーターコア、スマートフォン部品向けなどに強い。高い精度のプレス機を使うことで部品の軽量化などに寄与しているという。
今回手掛けるセパレーター専用のプレス機は、山田ドビーが得意とする電子部品向けよりも大型だ。同社は2023年に油圧プレス機を手掛けるアサイ産業(石川県能美市)を買収した。大型のプレス機を製造するノウハウや生産設備を増強し、今回の専用プレス機の開発につなげた。
FCVは高額な燃料電池やプラチナなどの希少部材を用いるため、車体価格が現在800万円前後と、EVやガソリン車より高い。水素供給するインフラの不足も合わせて普及が進まない要因とされてきた。ただ、山田ドビーは中長期的に動力別の車のシェアはEVとガソリン車で7割、残りを水素など代替的な動力が占めると予想する。山田健雄社長は特に欧州や中国で普及が進むとみており、「顧客のニーズを先回りして(新たな製品を)提案していきたい」と語る。
(須賀恭平)
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丸井グループ株価、35年ぶり高値 株主還元・若者消費でバブル超え-デジタル版「日経ヴェリタス」から[2025/04/27 04:00 日経速報ニュース 1661文字 画像有 ]
丸井グループ(8252)の株価が23日、バブル期の1990年以来35年ぶりの高値をつけた。米トランプ政権が打ち出した関税政策の影響を受けにくい内需株で、株主資本配当率(DOE)の目標を掲げるなど株主還元に積極的な点から買いが集まっている。もう一段の上値を追えるか、投資家は主力のクレジットカード事業の成長戦略に注目している。
3月14日創刊のデジタル版「日経ヴェリタス」は、「投資が分かり、面白くなる」がコンセプトの専門メディアです。ご参考までに、デジタル版に移行前の過去のコンテンツは日経電子版「日経ヴェリタス(デジタル移行前)」のページに掲載しています。
23日の東京株式市場で丸井Gは一時、前日比67円50銭(2.3%)高い2940円まで買われた。終値は2875円だった。相互関税が発表される前の3月末比では6%高で、同期間に日経平均株価が2%安となるなかで強さが際立つ。
最大の買い材料は高い配当利回りだ。23日終値で計算した年間ベースの予想配当利回りは約3.7%と、足元の株価上昇にもかかわらず三越伊勢丹ホールディングス(3099、2.7%)や高島屋(8233、2.4%)を上回る。2024年3月期から株主還元方針として「株主資本配当率(DOE)8%程度」を掲げており「中長期で安定配当を期待する個人投資家にとって安心感のある銘柄」(岩井コスモ証券の菅原拓アナリスト)との評価が定着してきている。
市場はさらなる還元拡大への期待を織り込み始めている。丸井Gは5月13日に25年3月期決算と併せて新しい中期経営計画を発表する予定だ。31年3月期に自己資本利益率(ROE)17~20%を目指すという目標値を先行して示しているが、会社予想ベースでは25年3月期のROEは10.4%にとどまる。SMBC日興証券の金森都シニアアナリストは「達成には株主還元強化が必須。新中計でその内容が発表される可能性がある」と指摘する。
還元の原資となる利益の拡大は、クレジットカード「エポスカード」を中心とするフィンテック事業の成長にかかっている。若年層のシェア拡大を狙い、力を入れるのが「推し活」だ。アニメのキャラクターや人気アーティストなどを券面にデザインした「『好き』を応援するカード」は、カードを持つ会員に占める30代以下の割合が6割を超える。エポスカード全体の5割に比べても若年層の割合が高い。
日々の支払いに主に使うメインカードを頻繁に切り替える顧客は少ないため、メインカードとして使う若年層が増えれば将来にわたって優良顧客を囲い込める。JPモルガン証券の村田大郎シニアアナリストは「クレジットカードで若年層の娯楽消費を取り込めている同社は小売りの中で相対的に投資魅力が強い」として、4月7日に目標株価を従来の2800円から3000円に引き上げた。
もっとも、若年層を取り込もうと動いているのは競合他社も同じだ。JCBや三井住友カードが若年層向けのキャンペーンを強化しているほか、カードを持たない層ではLINEクレジットやメルペイなどが手がけるスマホアプリ経由のキャッシングが伸びている。SMBC日興の金森氏は「若年層を対象にしているからこそ顧客が移ろいやすいリスクには注意が必要。カードの競争力を高められるような施策が一層求められる」と指摘する。
丸井G(当時は丸井)は80年代に「赤いカード」を武器に、DCブランドのファッションを分割払いで買う消費習慣を定着させたことで急成長した。当時も今もターゲットが若年層であることに変わりはない。バブル期につけた最高値を超えられるかは、トレンドの先を読んで収益拡大に先手を打てるかにかかっている。
(安田亜紀代)
[デジタル版日経ヴェリタス4月24日公開]
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25年05月01日
東武の純利益 今期3%減 5円増配[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 302文字 PDF有 書誌情報]
東武鉄道は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比3%減の500億円になる見通しだと発表した。クレジットカードの刷新に伴う費用増などが響く。年間配当は前期比で5円増やして1株当たり65円とする。
同日、100億円を上限とする自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の2・5%にあたる500万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日から8月31日まで。
今期の売上高にあたる営業収益は1%増の6400億円、営業利益は9%減の680億円を見込む。堅調なインバウンド(訪日外国人)利用などを背景に旅行業やホテル業を中心に需要増を見込む。運輸業では今後運賃改定の可能性があるとしている。
東武鉄道、26年3月期の純利益3%減[2025/04/30 19:40 日経速報ニュース 373文字 画像有 ]
東武鉄道は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比3%減の500億円になる見通しだと発表した。クレジットカードの刷新に伴う費用増などが響く。年間配当は前期比で5円増やして1株当たり65円とする。
同日、100億円を上限とする自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の2.5%にあたる500万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日から8月31日まで。
今期の売上高にあたる営業収益は1%増の6400億円、営業利益は9%減の680億円を見込む。堅調なインバウンド(訪日外国人)利用などを背景に旅行業やホテル業を中心に需要増を見込む。運輸業では今後運賃改定の可能性があるとしている。
同日発表した25年3月期の通期業績は営業収益が前の期比1%減の6314億円、営業利益は1%増の746億円、純利益は7%増の513億円だった。
英政府、仮想通貨規制案を公表 成長と投資家保護を両立[2025/04/30 16:30 日経速報ニュース 718文字 画像有 ]
英政府は29日、暗号資産(仮想通貨)の新たな規制案を公表した。既存の金融業界への規制を、仮想通貨交換業者などにも適用する方針だ。日米欧が仮想通貨のルール整備に動くなか、英政府は業界の成長促進と、投資家保護を両立させることを目指す。
英財務省によると、新たな規制では、仮想通貨の交換業者や販売業者、仲介業者が規制対象となる。銀行などの金融機関と同様に、透明性や消費者保護で基準を満たす必要がある。交換業者の業務や、法定通貨などに価値が連動するステーブルコインの発行など、サービス別に規制を設ける。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「具体的な中身はまだ不明だが、サービスごとにルールを作る点で欧州連合(EU)などよりも規制の網羅性が高くなりそうだ」と指摘する。
英金融行動監視機構(FCA)の調査によると、英国の成人の12%程度が仮想通貨を保有しており、21年の4%から増加傾向にある。英財務省は、仮想通貨保有者が詐欺に遭う可能性について触れたうえで、「悪質な行為者を取り締まりつつ、合法的なイノベーションを支援する」との声明を出した。
EUでは、欧州議会が23年4月に「暗号資産市場規制法案(MiCA)」を可決し、仮想通貨の規制に乗り出している。米国ではトランプ政権が仮想通貨や、ステーブルコインの法制化に向けて動いている。
日本では仮想通貨は資金決済法で決済手段として位置づけられているが、金融庁は金融商品取引法を改正し、金融商品として法的に位置づける方針を示している。仮想通貨などのデジタル資産の存在感は各国で高まっており、エックスバンクの西山祥史アナリストは「世界的に規制を整備する流れが加速している」と話している。
日本クレジット協会、2月のクレジットカード動態調査集計結果を発表[2025/04/30 14:50 日経速報ニュース 536文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
クレジットカード動態調査集計結果について
一般社団法人日本クレジット協会(会長 山本 豊)は、クレジットカード信用供与額等の月次の動向把握を目的に、クレジットカード発行会社26社を対象としたクレジットカード動態調査を実施しており、2025年2月分の集計値をとりまとめた。
これによると、2025年2月分のクレジットカードショッピング信用供与額は8,251,604百万円で、前月比では8.0%の減少となっている。キャッシング融資額は、112,644百万円で、前月比で1.1%の減少となっている。信用供与額は、8,364,248百万円で、前月比7.9%の減少となった。
なお、クレジットカードショッピングにおける契約件数は、1,642,877,457件となっている。
※「2025年2月分集計値」および「クレジットカード動態調査集計結果 一覧」は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
「2025年2月分集計値」および「クレジットカード動態調査集計結果 一覧」
https://release.nikkei.co.jp/attach/690469/01_202504301448.pdf
MUFGと三菱UFJ銀行、インドネシアのADMFとMFINの合併を決定[2025/04/30 14:24 日経速報ニュース 1554文字 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
PT Adira Dinamika Multi Finance TbkとPT Mandala Multifinance Tbkの合併について
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤 宏規(かめざわ ひろのり)、以下 MUFG)および株式会社三菱UFJ銀行(取締役頭取執行役員 半沢 淳一(はんざわ じゅんいち)、以下 当行)は、当行の連結子会社であるPT Adira Dinamika Multi Finance Tbk(以下 ADMF)およびPT Mandala Multifinance Tbk(以下MFIN)が合併することを決定しましたので、お知らせします。本合併は、ADMFを存続会社、MFINを消滅会社とし、インドネシア金融当局(OJK)を含む関係規制当局の承認後、実行を予定しています。
ADMFはインドネシア全土でオートローンや多目的ローンを提供しており、高いプレゼンスを確立しています。MFINはインドネシアにおいて主に二輪の新車向けオートローンと二輪車を担保とする多目的ローンを展開し、特に東インドネシアにおいて高いプレゼンスを有する企業です。本合併は2023年6月に発表されたMUFGおよびADMFによるMFINの買収シナジーの深化を図るものであり、事業規模の拡大や地域優位性の補完、両社が有する商品群・マーケティングチャネルの補完、知見の共有によって革新性と競争力を向上し、ADMFの現地市場での地位を盤石なものとすることを目的としています。
アジアを第二のマザーマーケットと考えるMUFGにとって、東南アジア最大のGDPを有し、将来にわたり高成長が期待されるインドネシアは特に重要な市場です。当行は同国で、外国銀行最大級の規模を有するジャカルタ支店に加え、2019年4月にはPT Bank Danamon Indonesia,Tbk(以下ダナモン銀行)を連結子会社とし、商業銀行業務の基盤を確立してまいりました。MUFGはインドネシアにおいて金融コングロマリットとして展開を進めており、本合併もその一環となります。
MUFGおよび当行は、東南アジアにおいて出資している各パートナーバンクと一体で、同地域のビジネスプラットフォームを構築し、事業を強化しております。今後も東南アジアの成長に、より一層貢献してまいります。
《ADMFの概要》
ADMFは、1990年に設立されたオートローン事業を営むインドネシアの上場企業です。2004年にダナモン銀行に買収され、2019年に当行によるダナモン銀行の連結子会社化に伴い、MUFGグループの一員となりました。インドネシア全土で事業を展開しており、二輪・四輪の新車・中古車向けオートローンや多目的ローンを提供しています。
《MFINの概要》
MFINは1997年に現在の事業を開始し、主にインドネシアのUnbanked・Underbanked層[1]に対して、二輪の新車、多目的ローン、消費財ローンなどの金融ソリューションを提供する、インドネシアの大手オートローン企業です。設立以来900万を超える顧客にサービスを提供しており、すべてのステークホルダーに対して金融包摂を提唱しています。
《ダナモン銀行の概要》
ダナモン銀行は、インドネシアにおいて68年の歴史を有する大手商業銀行です。870拠点を有し、個人のお客さまから中小・大企業のお客さまに対して法人業務、消費者金融を含むリテール業務、投資、資産運用などの包括的な総合金融サービスを展開しています。MUFGおよび当行は、ダナモン銀行を2019年4月に連結子会社化いたしました。
[1]銀行のサービスを受けられない方々
以上
<東証>太陽HDがストップ高、上場来高値 今期増益見通し 目標株価上げも[2025/04/30 12:45 日経速報ニュース 506文字 ]
(12時35分、プライム、コード4626)化学メーカーの太陽HDが大幅続伸している。午後に制限値幅の上限(ストップ高水準)にあたる前営業日比700円(14.95%)高の5380円まで買われ、株式分割考慮ベースの上場来高値を付けた。30日12時、2026年3月期(今期)の連結純利益が前期比48%増の160億円になりそうだと発表した。大幅増益見通しを好感した買いが入っている。
モルガン・スタンレーMUFG証券が28日付で投資判断を3段階で真ん中の「イコールウエート」から最上位の「オーバーウエート」に、目標株価は従来の3900円から6200円に引き上げ、朝から材料視した買いが入っていた。
モルガンMUFGの担当アナリストである長谷川義人氏らはリポートで、現在株式市場では半導体材料関連は米国関税の影響の不確実性が高いとみなされ避けられているが、「太陽HDは米国向けの輸出がほとんどない」と指摘。太陽HDはこれまでに、連結子会社の太陽ファルマが保有する医薬品の販売権の評価額見直しで減損損失を計上し、今後の不安要因も解消して中期的な成長確度が高まっているとみていた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
オリエンタルランド株、特別優待も買い失速 猛暑克服で割高拭えるか[2025/04/30 11:28 日経速報ニュース 1728文字 画像有 ]
30日の東京株式市場でオリエンタルランド(OLC)株は買い先行後に下げに転じると、前営業日比6%超安い2941円まで下落した。前営業日の28日に発表した株主用パスポートがもらえる特別株主優待に個人投資家が買い反応を示したが、間もなく失速した。パークの魅力向上のための先行投資でOLC株は「割高」と評されて久しい。投資家を再び振り向かせるために重要な局面に来ている。
「パスポート追加で1枚」に個人が買い
OLCの創立65周年を記念して、2025年9月30日を基準日に100株以上を保有している投資家が通常の株主優待制度分に加えてもう1枚、東京ディズニーランドまたはシーで使える1デーパスポートをもらえる。現在、大人の1デーパスポートは最も価格設定が高い日では1万900円かかる。株価は4月3日に2755円と、株式分割考慮ベースで20年8月下旬以来の安値を付けた後に底入れしたかとみられていたなかで、今回の特別優待は個人の一定の買いを誘った。
OLCの株主比率では個人・その他が約2割ある。主要株主の京成電鉄が約2割保有しているのも踏まえると、株価に対する個人の影響度は大きいと言える。創立65周年の特別優待は今回限りだ。株価の本格的な持ち直しのためにはいかに長期で保有してもらえるかが重要になってくる。
クルーズ船で中長期の成長目指す 今期はやや力強さ欠く船出
OLCは今回、初の試みとして長期経営戦略を発表した。テーマパーク、ホテル、クルーズの3本柱で2035年度には売上高1兆円以上と、前期実績から4割超のアップを目指す。3300億円(予備費400億円含む)を投じる予定のクルーズ船事業は通年稼働する29年度から黒字を想定し、収益貢献に会社側も自信を示していた。
中長期的な成長に向けた基盤固めの年と位置づける26年3月期(今期)の連結売上高は前期比2%増の6933億円、営業利益は7%減の1600億円を見込む。いずれもアナリスト予想には届かなかった。力強いスタートとは言えず、株価も朝高後は売りに押される展開となった。アトラクションなどの入場時刻を指定して予約できる有料のサービスや、グッズ販売が好調で客単価は前期まで過去最高を更新している一方、売上高の源泉となる入園者数は今期予想で前期比1.6%増の2800万人にとどまり「物足りない」との受け止めも少なくない。
モルガン・スタンレーMUFG証券の尾坂拓也株式アナリストは28日付の投資家向けリポートで「今期の減益計画は一過性費用の計上(約115億円)が主因と推察するが、同費用を控除しても今期の実質営業利益は前年比横ばい程度と単純試算され、収益構造の転換は好印象だが業績予想に織り込むのは時期尚早」とし、株価の割高感払拭には至らないとみていた。
苦い夏は「ミセス」で巻き返し狙う
OLCは前期、猛暑の影響が7、8月の入園者数に想定以上に響き、業績が悪化した苦い記憶がある。株価も10月に上期決算を発表した後も下げ止まらず、安値更新が続いた。今期も猛暑の影響は気がかりだが、これに対してOLCでは両パークの夏のイベントで3人組バンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)」とコラボレーションすることを発表。若年層を中心に幅広く人気のバンドとあって、大きな反響を呼んでいる。OLCが長期戦略でポイントのひとつにあげている新規ファンの取り込みにも通じる施策だ。
パーク内で休憩場所の増加などにも取り組み、「猛暑リベンジ」の準備を着々と進めているようだ。ディズニーシーの新エリア、ファンタジースプリングスのアトラクションはこれまで入場を制限していたが、4月1日からは並べば誰でも乗れるようになっており、今期はフル稼働となるのも入園者数の上振れや業績押し上げ要因になり得る。
OLCのPER(株価収益率)は足元でも40倍台と、日経500種でサービス業の平均が20倍台なのと比べてなお高い水準にある。「割高なPER」が「中長期的な成長性に対するプレミアム」へ評価が変わるために、夏の強さを証明することが巻き返しの最初の条件になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
【関連記事】
・オリエンタルランド株に物価高の影 値上げ戦略を不安視
・オリエンタルランド株価大幅反落 今期営業減益の見通し、期待届かず
松井証券とJCB、金融商品仲介業に関する契約を締結[2025/04/30 10:42 日経速報ニュース 983文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
松井証券とJCB、金融商品仲介業に関する契約を締結
松井証券株式会社(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 和里田 聰、以下 : 松井証券)と、株式会社ジェーシービー(本社 : 東京都港区、代表取締役兼執行役員社長 : 二重 孝好、以下 : JCB)は、金融商品仲介業に関する契約を締結したことをお知らせします。
*ロゴは添付の関連資料を参照
松井証券とJCBは、キャッシュレスによる便利でお得な積立投資の実現に向けて、2025年5月下旬よりクレカ積立サービスの開始を予定しています。新NISA制度のスタート、日銀による金利引き上げ、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の改定など、投資を取り巻く環境が大きく変化する中、松井証券とJCBは、この取り組みを更に加速し、より多くのお客様の資産形成をサポートするため、金融商品仲介業に関する契約の締結に至りました。
今回の契約締結により、JCBのホームページなどを経由して、松井証券の総合口座を開設し、2025年5月開始予定のクレカ積立サービスのほか、松井証券が提供する幅広い商品、サービスをご利用いただくことができるようになります。
※本取り組みでは、JCBは金融商品取引の注文は受け付けず、個別の勧誘も行う予定はございません。
なお、松井証券が金融商品仲介業に関する契約を締結するのは、今回が初となります。この度のJCBとの取り組みをきっかけに、松井証券では、多様な業界・サービスとの取り組みを強化し、お客様の豊かな人生をサポートしてまいります。
松井証券は、投資体験を通じて、お客様の豊かな人生をサポートするため、投資が楽しくなるようなアイデアあふれる商品・サービスの提供を目指します。
■取扱商品のリスクおよび手数料等の説明
・口座基本料について( https://www.matsui.co.jp/disclaimer/apply.html )
・投資信託について( https://www.matsui.co.jp/disclaimer/fund.html )
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
ロゴ
https://release.nikkei.co.jp/attach/690431/01_202504301041.jpg
OLC、特別優待も買い続かず 「猛暑リベンジ」で割高払拭なるか[2025/04/30 10:28 日経速報ニュース 1751文字 ]
30日の東京株式市場でオリエンタルランド(OLC、4661)株は買い先行後に下げに転じると、前営業日比6%超安い2941円まで下落した。前営業日の28日に発表した株主用パスポートがもらえる特別株主優待に個人投資家が買い反応を示したが、間もなく失速した。パークの魅力向上のための先行投資でOLC株は「割高」と評されて久しい。投資家を再び振り向かせるために重要な局面に来ている。
■「パスポート追加で1枚」に個人が買い
OLCの創立65周年を記念して、2025年9月30日を基準日に100株以上を保有している投資家が通常の株主優待制度分に加えてもう1枚、東京ディズニーランドまたはシーで使える1デーパスポートをもらえる。現在、大人の1デーパスポートは最も価格設定が高い日では1万900円かかる。株価は4月3日に2755円と、株式分割考慮ベースで20年8月下旬以来の安値を付けた後に底入れしたかとみられていたなかで、今回の特別優待は個人の一定の買いを誘った。
OLCの株主比率では個人・その他が約2割ある。主要株主の京成電鉄(9009)が約2割保有しているのも踏まえると、株価に対する個人の影響度は大きいと言える。創立65周年の特別優待は今回限りだ。株価の本格的な持ち直しのためにはいかに長期で保有してもらえるかが重要になってくる。
■クルーズ船で中長期の成長目指す 今期はやや力強さ欠く船出
OLCは今回、初の試みとして長期経営戦略を発表した。テーマパーク、ホテル、クルーズの3本柱で2035年度には売上高1兆円以上と、前期実績から4割超のアップを目指す。3300億円(予備費400億円含む)を投じる予定のクルーズ船事業は通年稼働する29年度から黒字を想定し、収益貢献に会社側も自信を示していた。
中長期的な成長に向けた基盤固めの年と位置づける26年3月期(今期)の連結売上高は前期比2%増の6933億円、営業利益は7%減の1600億円を見込む。いずれもアナリスト予想には届かなかった。力強いスタートとは言えず、株価も朝高後は売りに押される展開となった。アトラクションなどの入場時刻を指定して予約できる有料のサービスや、グッズ販売が好調で客単価は前期まで過去最高を更新している一方、売上高の源泉となる入園者数は今期予想で前期比1.6%増の2800万人にとどまり「物足りない」との受け止めも少なくない。
モルガン・スタンレーMUFG証券の尾坂拓也株式アナリストは28日付の投資家向けリポートで「今期の減益計画は一過性費用の計上(約115億円)が主因と推察するが、同費用を控除しても今期の実質営業利益は前年比横ばい程度と単純試算され、収益構造の転換は好印象だが業績予想に織り込むのは時期尚早」とし、株価の割高感払拭には至らないとみていた。
■苦い夏は「ミセス」で巻き返し狙う
OLCは前期、猛暑の影響が7、8月の入園者数に想定以上に響き、業績が悪化した苦い記憶がある。株価も10月に上期決算を発表した後も下げ止まらず、安値更新が続いた。今期も猛暑の影響は気がかりだが、これに対してOLCでは両パークの夏のイベントで3人組バンド「Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)」とコラボレーションすることを発表。若年層を中心に幅広く人気のバンドとあって、大きな反響を呼んでいる。OLCが長期戦略でポイントのひとつにあげている新規ファンの取り込みにも通じる施策だ。
パーク内で休憩場所の増加などにも取り組み、「猛暑リベンジ」の準備を着々と進めているようだ。ディズニーシーの新エリア、ファンタジースプリングスのアトラクションはこれまで入場を制限していたが、4月1日からは並べば誰でも乗れるようになっており、今期はフル稼働となるのも入園者数の上振れや業績押し上げ要因になり得る。
OLCのPER(株価収益率)は足元でも40倍台と、日経500種でサービス業の平均が20倍台なのと比べてなお高い水準にある。「割高なPER」が「中長期的な成長性に対するプレミアム」へ評価が変わるために、夏の強さを証明することが巻き返しの最初の条件になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
<米国・時間外>ビザが高い 売上高など予想上回る[2025/04/30 08:30 日経速報ニュース 422文字 ]
(コード@V/U)29日夕の米株式市場の時間外取引で、クレジットカードのビザが上昇している。通常取引を前日比1.18%高の341.52ドルで終えた後、時間外では344ドル前後まで買われて終値を1%近く上回っている。同日夕に発表した2025年1~3月期決算で売上高などが市場予想を上回り、買いが優勢となっている。
事業会社の売上高にあたる純営業収益は1~3月期が前年同期比9%増の95億9400万ドルだった。QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(95億5000万ドル程度)を上回った。決済取扱高が8%伸びたほか、国境をまたぐクロスボーダーの取引高も13%増えた。
特別項目を除く1株利益は2.76ドルと市場予想(2.68ドル程度)を超えた。ライアン・マキナニー最高経営責任者(CEO)は発表資料で「マクロ経済に不確実性があるにもかかわらず、消費者の支出は底堅さを維持している」とコメントした。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
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さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
新プラン「ドコモMAX」、ネットの反響真っ二つ-ITジャーナリスト 石川 温[2025/04/29 02:00 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
NTTドコモは新料金プラン「ドコモMAX」を6月5日から始める。従来のデータ使い放題プランに比べて値上げとなるものの、月額4200円のスポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を追加料金なしで見放題にするといった特典を盛り込んだ。お得感で値上げに対する警戒感を払拭する考えだが、ネットでの反響は真っ二つに割れている。
あらゆるものが値上げしているが、通信業界だけが値上げしにくい雰囲気となっていた。2020年ごろからの「官製値下げ」がきっかけだ。KDDIやソフトバンクはV字回復を果たしたものの、NTTドコモはいまだに通信料収入の減収に悩まされている。低容量プラン投入の遅れが響いた。
Jリーグやプロ野球、F1をDAZNで視聴するユーザーからは「安価なプランが登場してありがたい」と好評だ。DAZNは日本に上陸した当初、NTTドコモのユーザーが月額980円で視聴できたものの、今では月額4200円に上昇している。
NTTドコモの斎藤武副社長は「DAZNが値上げをしていくなかで、解約してしまう人が相当数いらっしゃる。もう一度、DAZNを見てスポーツの楽しみを味わっていただきたい」と語る。かつてKDDIがNetflixを料金プランにセットにしたように、他社でもコンテンツサービスを料金に組み込んで普及した例はある。
映像配信サービスは観たいコンテンツがなくなると、すぐ解約してしまうユーザーも多い。特にDAZNは目当てのスポーツがシーズンオフになると、数カ月間全く視聴しない期間が発生するため、どうしても解約が増えてしまう。
キャリアと組んで料金プランとセットにすると、DAZNの解約を阻止できる。その上、キャリア側の契約も維持でき、解約率も改善するというのがKDDIによって証明されているのだ。
DAZNとしては度重なる値上げで離れたユーザーをなんとか取り戻したい。NTTドコモも通信料金を値上げしつつ、DAZNとセットにすることで解約率を下げたいという双方のメリットが一致。今回の料金プランに至ったのだろう。
NTTドコモの前田義晃社長は24年7月のインタビューで「Jリーグを盛り上げたい。ドコモユーザーをスタジアムに来てもらうことで、周辺の店舗でd払いを使ってもらうなどの相乗効果を出していきたい」と語っていた。NTTドコモは国立競技場の共同運営を手がけるなど、スポーツエンターテインメント事業に力を入れている。料金プランでDAZNの機会を増やし、スポーツファン拡大を狙っていくというわけだ。
プラン適用条件が複雑との声も
一方、ドコモMAXには批判の声も相次ぐ。DAZNを全く観ないという人はDAZNナシでもっと安いプランを望んでいる。斎藤副社長は「(DAZN以外にも)Amazonプライム6カ月無料や海外ローミングでの30ギガバイト無料などが付いている。最もドコモユーザーから要望が多かった長期契約者に向けて20年で月220円、10年以上で月110円の割引還元する。DAZNだけでなく、幅広いメリットを提供したい」と語る。
もうひとつが「複雑だ」という批判だ。NTTドコモの資料ではドコモMAXは「月額2398円から」というのをアピールしている。ただ、データ容量1ギガバイト未満や3回線以上の複数契約、20年以上の契約、dカード決済、光回線のセット割、ドコモでんきとのセット割を適用したあとの金額。3ギガバイト以上使い、割引が一切適用されない場合での料金は、月額8448円となる。
複数回線契約や光回線、クレジットカード払いを組み合わせないと安くならないというのは3キャリアの常とう手段だ。優良顧客を囲い込みたいというのは理解できなくもない。ただ、こうした割引を組み合わせた後の金額だけをアピールするのは、誠意に欠けるような気がしてならない。
「DAZNは不要」「様々な割引施策を組み合わせないと安くならない」という批判に対して、NTTドコモではオンライン手続き専用の低価格帯プラン「ahama(アハモ)」という切り札を用意している。
月額2970円でデータ容量30ギガバイト、1980円を追加すると110ギガバイト使えるプランだ。オンライン専用プランという立て付けではあるが、ドコモショップで手数料を支払えば店頭でも契約は可能だ。
斎藤副社長は「分かりやすさと価値の組み込みはトレードオフの関係にある。ahamoはahamoで、極めてシンプルなオンライン専用料金プラン。一方、ドコモ MAXはいろんな価値を入れ込んでいくというコンセプト。今後もさまざまな価値を付加しようと考えている」という。
今後、ドコモMAXのなかに他のコンテンツサービスを組み込むのか。DAZNとは異なるコンテンツサービスを組み込んだ別のドコモMAXが誕生するのかは明らかにされていない。NTTドコモは今後も様々なサービスを包含した新料金プランを投入し、単なる値上げとは取られにくい「付加価値値上げ」で収益改善を目指していくようだ。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。X(旧ツイッター)アカウントはhttps://twitter.com/iskw226
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NFT市場、閉鎖相次ぐ 取引量はピーク比8割減 売買のみでは継続困難[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1395文字 PDF有 書誌情報]
バブル崩壊
デジタル資産の所有を証明できる非代替性トークン(NFT)の取引市場の閉鎖が相次いでいる。30日に海外大手の「X2Y2」が終了するほか、米暗号資産(仮想通貨)交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2月に運営を終えた。足元のNFT取引量はピーク比8割減。デジタルアート作品に億円単位の価格がつくようなバブルは崩壊し、NFT売買単独での事業運営は難しくなっている。
「プラットフォームは完全に閉鎖される。一時停止ではなく、完全に終止符を打つ」。3月31日、X2Y2のウェブサイトで4月末の閉鎖が通告された。X2Y2は2022年2月に開設され、年間取引量は約5000万ドルと世界で3位だ。閉鎖理由の一つとして、21年のピーク時から取引量が90%減少したことを説明した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製を不可能にしたデジタル資産を指す。21年から22年にかけてデジタルアート作品のNFTが活発に取引され、なかには7000万ドルという高値で落札されたアートNFTもあった。
ブームは長くは続かなかった。分析プラットフォームのDappRadar(ダップレーダー)によれば、22年は572億ドルの取引量を記録したが、24年には137億ドルと8割近く減少。足元も回復しないままだ。交換業者ビットバンク(東京・品川)の長谷川友哉マーケット・アナリストは「価値があるとの思い込みから大金が一時集まったが、そこまで価値がないことにみんなが気づき、バブルがはじけた」と指摘する。
NFT市場は、2~3%の取引手数料収入で運営を成り立たせている。取引が低調な状況では継続は難しくなっている。クラーケンが運営するNFT市場は2月に運営を終了。仮想通貨交換業者バイビットも4月上旬にNFT取引サービスを終えた。
日本も例外ではない。航空関連のデジタルコンテンツを展開していたANAホールディングスグループのNFT市場は2月に終了。サービス開始からわずか1年ほどで姿を消すことになった。運営を担っていたANA NEO(東京・港)は「これ以上の事業継続が困難と判断した」と説明する。
国内NFT市場関係者は「中小規模のマーケットプレイスはこれまでも閉鎖されてきたが、比較的体力のあった主要な事業者がここに来てサービスを終了している」と指摘する。
一方、NFTを投資対象ではなく、マーケティングに活用する企業が増えている。ソニー銀行は昨夏からNFTを閲覧できるアプリの提供を始めた。ソニーグループのアーティストの音楽ライブへの参加者限定で配布されるNFTなどを収集することができる。
SBIグループのSBINFT(東京・港)が運営するSBINFTマーケットは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」と連携する。NFTの売買でポンタがたまる仕組みで、「ポイ活」に熱心な顧客を呼び込む狙いがある。SBINFTの高長徳取締役は「売買サービス単体では継続が大変。収益源の多角化に取り組んでいる」と話す。
NFTバブルが崩壊したのは、仮想通貨と同じように価格の値上がりに期待しすぎる人が群がったためだ。本来、NFTはクリエーターに収益を還元する仕組みや、保有を通じて生まれるファンコミュニティーにこそ魅力がある。この魅力を生かしたデジタルサービスを生み出せるかが、事業者に問われている。
(相松孝暢)
コインチェック全サービス一時停止 「X」不正ログインで[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 550文字 PDF有 書誌情報]
暗号資産(仮想通貨)交換業大手のコインチェック(東京・渋谷)は28日、同社のX(旧ツイッター)のアカウントが第三者に不正ログインされたことを受けて全サービスを一時停止した。仮想通貨取引の基幹システムへの影響は確認されていない。安全性の確認を進め、同日夜までに全サービスを再開した。
同社によると、28日午前8時ごろからXアカウントが第三者に不正ログインされた。
顧客情報を盗み取るフィッシングサイトへ誘導する第三者による投稿があった。情報が盗まれる被害があったかどうかや、不正ログインされた理由について調査を進めている。
不正ログインを受け、コインチェックのウェブやアプリでの全ての機能やサービスを午後0時半から一時停止した。同社はウェブサイトに「当社サービスには影響が確認されていないが、フィッシング被害の拡大を防ぐため、全てのサービスを一時的に停止した」と説明している。
不正ログインへの対応は完了し、第三者にアカウントを乗っ取られる状況は解消した。第三者による投稿は既に削除した。コインチェックは「ご不便とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
コインチェックは2024年末時点で220万口座を保有する。顧客の預かり資産は約1兆1000億円に上り、業界で25%のシェアがある。
ビットコイン9万ドル回復 無国籍・安全資産 金との相関強まる[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 598文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が再び上昇している。足元では約9万5000ドル(約1350万円)と約2カ月ぶりの高値水準にあり、「安全資産」として買われる金との相関を強めている。特定の国と結びつかない無国籍資産として逃避マネーの受け皿となっている。
ビットコイン価格の上昇に弾みを付けたのが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を巡る騒動だ。トランプ大統領はFRBに対し利下げを要求した。FRBの独立性への懸念が高まって米ドルの信認が揺らぐ事態となり、米国資産から流出したマネーが金(ゴールド)に向かった。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は、22日のアジア時間で初めて1トロイオンス3500ドルを超えた。
金と同じ局面でビットコインにも買いが集まった。22日は、わずか1日で6000ドル近く値上がりした。
ビットコインと金の連動性の高さを示すのが相関係数だ。相関係数はプラス1からマイナス1の数値で推移し、プラスが大きいほど同じ方向に動く傾向が強い。直近30日間のビットコインと金の相関係数は足元で0.65まで上昇した。
「国の信用リスクが高まる局面でビットコインは買われやすく、金との相関も強まる」(マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリスト)。13年に発生したキプロスの金融危機の際、ビットコインと金の価格が連動するように上がったこともあるという。
東京メトロ、4000億円投資枠 新中計発表 ホテル参入、非鉄道拡大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 868文字 PDF有 書誌情報]
新線建設含む
東京地下鉄(東京メトロ)は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。新線建設などを含め4000億円の設備投資枠を設け、輸送効率や安全性の向上などにつなげる。ホテルの運営事業に新たに参入し、売上高の8割超を占める鉄道収入に依存する体質から脱却する。
24年10月に東証プライム市場に上場して以降、初めて中計を策定した。同日記者会見した山村明義社長は「安全なサービスに加え、投資家からは収益性の向上を期待されている。しっかりと中計に取り組んでいく」と述べた。
同社は有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(品川―白金高輪間)の延伸工事に着手している。30年代半ばの開業を目指しており、中計の期間中に500億円を投じる計画。大規模浸水などの安全性向上に向けて鉄道設備全体で1430億円を投資する。
同日には自社ブランドによるホテル運営に参画することを正式表明した。ブランド名や事業規模などの具体的な目標は今後詰める。山村社長は「インバウンド(訪日外国人)やビジネス向けには一定の需要があり、そうした客層をターゲットにしたブランドを検討していきたい」と述べた。
中計ではホテル建設に向け、不動産の取得・開発費用などとして1070億円を充てる。このほか、クレジットカードによるタッチ決済の導入、同社の乗車ポイント「メトポ」を活用したマーケティング策なども成長分野に位置付けて投資を進める。
一連の取り組みを通じ、28年3月期の営業利益は25年3月期比7%増の930億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同9.5%増を目指す。
同社は東京都心部に路線を構え、高い輸送密度に強みを持つ。一方で売上高に相当する営業収益のうち定期などの旅客運輸収入が8割を占める。鉄道への依存度が高く、今後は鉄道以外への事業多角化が課題となる。
同日発表した25年3月期の連結業績は営業収益が前の期比4.8%増の4078億円、営業利益が同13.9%増の869億円だった。インバウンド需要が引き続き堅調で輸送人員が増えた。
「関税緩和」見出しで買い、短期勢 外需銘柄を物色 長期勢 株高確信持てず(スクランブル)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1497文字 PDF有 書誌情報]
28日までの4日間で1600円超上げた日経平均株価。トランプ米政権の関税策の「緩和」をにおわせるヘッドライン(記事の見出し)が増え、ヘッジファンドなどの短期勢が外需などの日本株に買いで参入し始めた。ただし、長期投資家はこれ以上の株高に確信を持てず、外需株の本格買いには至っていない。
「時間軸不明の楽観論」。みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長は最近、顧客とのやり取りから、こんな見立てが市場にあると感じる。
米中が互いに100%を超える関税をかける状況は非現実的で、どこかで妥協点が見いだされる。米国が仮に景気後退に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)が利下げなど手を打つ。これらは相場の支援材料になるはずだが、その時期が分からない――。
28日の日経平均は一時、取引時間中として相互関税発表直前の1日以来となる3万6000円台をつけた。株高の材料はトランプ関税の妥協点が確実に見つかったことでも、FRBの利下げでもない。関税の緩和をほのめかす「ヘッドライン」だ。
25日の昼休み、一部報道で「中国は一部の米製品を関税の対象外とすることを検討する」と伝わると、午後に日経平均が一時前日比800円近くまで上げた。22日にはベッセント米財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と話し、翌日の日経平均は648円高となっていた。
この動きは2018~19年、第1次トランプ政権下での米中貿易戦争のときと似る。18年夏からトランプ政権は産業機械、半導体、家具・家電など相次ぎ関税策を打ち出し中国も報復。ただ、19年9月に発動された関税は当初想定された品目の一部にとどまった。
相場を動かしたのは「トレードディール(貿易協定)」というワードだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「貿易戦争関連の英語記事で『協定』が出てくるものの割合が3割を超えると、リスク資産が優位になる」と指摘する。貿易交渉に対する不透明感が後退して株式を買い戻す流れにつながった。
今回も足元までで記事の割合が16%まで高まっている。高田氏は、今回も3割を超えてくれば「過剰に売られた外需・シクリカル銘柄群への資金回帰が目立つだろう」とみる。
モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔株式ストラテジストは24日付のリポートで、外需株の保有リストを掲げた。2026年3月期の通期決算見通しが非開示でも「値上げなどにより業績へのダメージをコントロールしたり自社株買いなど株主還元を打ち出したりした銘柄は株価が上昇する可能性もある」とみる。
ただ、ここまでの株高をけん引したのはあくまで「株価変動が一時より落ち着き、多少ポジションを持てるようになったヘッジファンドなど短期の投資家」(国内運用会社トレーダー)。長期投資家は今回の上昇相場に無理について行かない姿勢が目立つ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー日本株、中塚浩二氏は運用するファンドの投資先を、関税の悪影響を経営の自助努力でカバーできる外需系の国際優良銘柄と内需系のディフェンシブ銘柄で固める。いわばバランス重視の布陣だ。「設備投資などが先送りされ、向こう半年で経済に悪影響が生じる可能性もある」と考えるのが理由という。「今のようなふわっとした戻りは実態を映していない。個別銘柄の動向をつぶさに見たい」(中塚氏)
投資家が持つ時間軸の長さにより、相場環境に対する判断は分かれる。続く決算発表を横目に、長期投資家が本格的な買い場を探る動きはなお続きそうだ。(坂部能生)
燃料電池部品 価格3分の1に 山田ドビー、セパレーター用プレス機 27年までに量産 FCV普及を後押し[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
高速プレス機の山田ドビー(愛知県一宮市)は燃料電池に使われる部品「セパレーター」向けの専用プレス機を量産する。大量生産できることで、セパレーターの価格を3分の1に抑える見込みだ。2027年までに約60億円を投資し、生産体制を整える。燃料電池車(FCV)は電気自動車(EV)に対して高額だが、主要部品の価格低下を促すことで、FCVの普及につなげる。
燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電するセルが層になっており、セパレーターはそれぞれのセルの間に挟む板状の金属部品を指す。燃料となる水素と酸素を供給する流路などの役割を持ち、金属プレス機を用いて製造する。
流路は細かい溝で作られており、安全性や効率性の観点から高い精度の金属加工技術が必要になる。このため、一般的にセパレーターの製造は得意分野の異なる大型プレス機を2台使い分けて技術的な課題をクリアしているという。設備投資がかさむほか、工程が長くなるため生産効率を高めにくい一因になっていた。
山田ドビーはセパレーター専用のプレス機を開発した。従来型よりも小型化し、技術的には1台で製造できるという。より強度の高い部品を使ったほか、プレスの圧力をかける能力を高めた。生産能力を高めたプレス機を使うことで、セパレーターの市場価格を押し下げる効果を見込む。
一宮市の本社に隣接する土地で新工場の建設にも着手した。マシニングセンターや旋盤加工機などの設備を導入し、27年初の稼働を目指す。プレス機は日本や欧州など各国の部品メーカーに売り込む。
山田ドビーは1919年に創業。ドビーとは織り柄のある生地の模様や織機を指す。トヨタ自動車グループ創始者の豊田佐吉氏に開発を助言された経緯からドビー機の開発・製造を手掛けていた。1960年代に繊維産業にかわる第二の柱としてプレス機事業に力を入れた。
山田ドビーは精密加工ができる高速プレス機で日本で6割、世界で4割のシェアをもつ。例えばクレジットカードのICチップや500円玉などの製造には同社のプレス機が使われているという。
自動車の電子化に伴って需要が増している電子部品や、電気自動車(EV)に使われるモーターコア、スマートフォン部品向けなどに強い。高い精度のプレス機を使うことで部品の軽量化などに寄与しているという。
今回手掛けるセパレーター専用のプレス機は、山田ドビーが得意とする電子部品向けよりも大型だ。同社は2023年に油圧プレス機を手掛けるアサイ産業(石川県能美市)を買収した。大型のプレス機を製造するノウハウや生産設備を増強し、今回の専用プレス機の開発につなげた。
FCVは高額な燃料電池やプラチナなどの希少部材を用いるため、車体価格が現在800万円前後と、EVやガソリン車より高い。水素供給するインフラの不足も合わせて普及が進まない要因とされてきた。ただ、山田ドビーは中長期的に動力別の車のシェアはEVとガソリン車で7割、残りを水素など代替的な動力が占めると予想する。山田健雄社長は特に欧州や中国で普及が進むとみており、「顧客のニーズを先回りして(新たな製品を)提案していきたい」と語る。
(須賀恭平)
バルコス社長 山本敬氏 財布、現金減っても健在 機能磨きZ世代取り込む(トップのstrategy)[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 中国 11ページ 1472文字 PDF有 書誌情報]
バッグなど皮革製品の企画販売会社、バルコスは使い勝手を良くした財布の開発で成長を続け、2025年12月期も業績拡大を見込む。世の中はキャッシュレス時代で若者を中心に財布を持ち歩かない人が増える。果たして財布は生き残れるのか。鳥取から財布の革新を目指す山本敬社長に戦略を聞いた。
――民間調査によると「スマートフォンで決済できるので普段は財布を持ち歩かない」と答えた人が2割強、年代別で20代が最多でした。危機感はありますか。
「あまりない。確かに普段持ち歩く人は減っている。東京では給与の受け取りから消費までデジタルで終えることもできなくはない。だが財布自体は所有している。すべての消費をスマホで済ますのは無理で、ある程度の現金が必要だからだ」
「財布の決済手段としての役割が低下しているのは事実だ。最近は小銭を収納できるカードケースが流行している。しかし免許証やクレジットカードなどを10枚以上収めるのは難しい。紙幣、硬貨、カードをコンパクトに収納する機能への需要は健在だ」
――キャッシュレス時代の財布として各社は小型化を競います。
「当社は23年12月、折り畳みの小型商品『ポンテピッコラ』を発売。財布を開くと意匠登録した蛇腹が現れる。30枚ほどのカードを入れることができ、小銭入れもボックス型で取り出しやすい。こうした機能が若者にも受け入れられ年間約18万個を販売した。過去に一番売れた商品の累計販売個数は42万個ほどなので、大ヒットといっていい」
――若者の心をつかんだことで顧客リストは18万人増の146万人に拡大しました。
「当社の販路はテレビの通販番組や新聞、雑誌だ。それらを見ないZ世代の顧客層がある程度のボリュームとなってきた。顧客属性に合わせた機能性重視の商品戦略ができるようになった」
「24年末には機能性をさらに追求した『リトルノ』を販売した。紛失した場所が分かるチップ付き財布だ。利用者はなくした場所をスマホのアプリで確認できる。リトルノは小型と、中高年向けの長財布の2種類をそろえた。中高年は紙幣に折り目が入るのを嫌がる傾向にある」
――25年12月期はリトルノの販売強化などで連結純利益が1億6900万円と前の期比10%増を見込みます。
「顧客は164万人になる見込みだ。幅広い顧客向けへのアピールとしてファッションニュース通信社(東京・目黒)などグループ会社のコンテンツを磨きファッション関連情報をウェブサイトで発信するほか、SNSで商品をアピールする取り組みを本格化させる」
――若手社員が多く社内は活気があります。経営の要諦は何ですか。
「社員の自己実現をサポートすることかな。(仕事の達成に向け)こうしたらこうなるんじゃないかという個人の道筋を尊重し、実現したらほめるようにしている。鳥取県倉吉市に本社を構える私は30数年前、倉吉発のファッション産業を立ち上げようと決心した。当時のメインバンクからは『それは都会の人がやるもの』と諭された」
「やがてイタリアに支店を持ち中国に試作品の工場を設け、各国の協力工場に本格生産を依頼するビジネスモデルを作った。ハンドバッグ業界の中で高水準の粗利益率を誇るまでになった。こんな達成感を社員全員に共有してもらいたい」
(聞き手は保田井建)
やまもと・たかし 1966年7月大阪市生まれ。88年3月、東京工芸大短期大学部卒後、制作プロダクション会社に入社し写真を担当する。91年5月、有限会社バルコス(現バルコス)取締役部長に。2000年12月、バルコス社長に就任。
横浜市、独自ふるさと納税サイト 寄付の使い道など紹介[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 神奈川 26ページ 374文字 PDF有 書誌情報]
横浜市は4月、同市独自のふるさと納税サイトを開設した。観光や移住に関する情報を載せるワークシー(福岡市)のサイト「ふるさと生活」内に特設ページとして設けた。寄付の使い道や取り組み状況の紹介に重点を置き、申し込みやクレジットカードでのオンライン決済にも対応する。全国から横浜市への寄付拡大につなげる。
特設サイトでは開港の歴史が残る建築物の保存や、出走権を得られる横浜マラソンへの支援などを掲載した。画像などを組み合わせ、寄付金の使い道をわかりやすく発信したのが特徴だという。
同市へのふるさと納税は既存の12のポータルサイトからも受け付ける。市によると、2024年度のふるさと納税による流出額は298億円、受け入れ額は28億8000万円を見込む。市の担当者は「サイトをきっかけに市の事業を知ってもらい、応援してもらえる人を増やしたい」としている。
路線バス乗降、顔認証実験 関越交通、群馬で AIカメラ使い区間把握 運賃決済にらむ[2025/04/29 日本経済新聞 地方経済面 北関東 41ページ 1169文字 PDF有 書誌情報]
関越交通(群馬県渋川市)が県内の路線バスで利用客の乗降を顔認証で把握する実験を進めている。電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)と組み、乗車時と降車時に車内の人工知能(AI)カメラで客の顔を撮影して利用区間を判別する。結果を踏まえて精度を高め、2028~29年ごろに運賃支払いでの実用化を目指す。
実験は24、25、28日の3日間に実施。関越交通が群馬県内で路線バスとして使っている大型バスと中型バスの計2台に、米AI半導体大手の小型AIボードを搭載したコンピューターと2台のAIカメラを設置し、渋川市の渋川駅と伊香保温泉を結ぶ「渋川伊香保温泉線」、前橋市の前橋駅と群馬大学荒牧、渋川駅を結ぶ「前橋渋川線」の2路線で乗客を乗せて走行した。
乗車時は車内天井に付けたAIカメラで乗ってきた客の顔を撮り、運転手のドア開閉や測位衛星システム(GNSS)の位置情報とひも付けて、どのバス停で乗ったのかを登録。降車時は運賃箱横のAIカメラで降りる客の顔を撮り、登録済み画像と照合してその客の乗降地点を判別する。実験では個人情報と連動した本人特定はしない。
現時点では乗車時に下を向いたまま乗り込み顔が撮れなかった場合は登録できないが、今後は乗車時の撮影の仕方を工夫するなどして改善。精度を高めて個人情報とひも付け、決済に使えるようにする。
登録や照合はバス走行中にサーバーにデータを送って処理するため、通信回線の容量次第ではデータが送れないトラブルも起こる。今回は23年と24年にTMNが渋川市内と新潟市内で実施した計3回の実験結果を踏まえ、送受信データを軽くするため撮影データから登録や照合に必要最小限なものだけ切り抜く工夫なども施した。
TMNでシステム開発を担当する淀川征慶さんによると、電波状況がよくない山中よりも高校生・大学生などが多く乗る駅前の方が「同じ基地局を使う利用者が電波を食い合ってデータを送受信しにくい」。今回は実用に近い機器構成で市街地や山道など様々な環境条件で実験データを取得・分析するが、「AIボードは処理能力がどんどん上がっており、今後さらに速度や精度が上がる」(淀川さん)という。
関越交通によると、全国交通系ICカードが使える運賃箱や運賃表示器、音声合成案内などの機器導入には1台あたり600万円以上かかる。システム更新には数億円かかり、乗客減少などで収益が悪化したバス事業者にとって重荷だ。熊本県内では24年11月にバスや電車を運行する公共交通5社が全国交通系ICカードによる運賃決済を廃止した。
関越交通は運転手不足に悩んでおり、「顔認証で運賃収受ができれば機器コストを抑え、運転手の負担も減らせる。自動運転バスにも使える」(企画部長の若木亮さん)と期待している。
(岡田信行)
東京メトロの新中計、設備投資に3年計4000億円 ホテル事業参入を表明[2025/04/28 20:07 日経速報ニュース 862文字 画像有 ]
東京地下鉄(東京メトロ)は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。新線建設などを含め4000億円の設備投資枠を設け、輸送効率や安全性の向上などにつなげる。ホテルの運営事業に新たに参入し、売上高の8割超を占める鉄道収入に依存する体質から脱却する。
24年10月に東証プライム市場に上場して以降、初めて中計を策定した。同日記者会見した山村明義社長は「安全なサービスに加え、投資家からは収益性の向上を期待されている。しっかりと中計に取り組んでいく」と述べた。
同社は有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(品川―白金高輪間)の延伸工事に着手している。30年代半ばの開業を目指しており、中計の期間中に500億円を投じる計画。大規模浸水などの安全性向上に向けて鉄道設備全体で1430億円を投資する。
同日には自社ブランドによるホテル運営に参画することを正式表明した。ブランド名や事業規模などの具体的な目標は今後詰める。山村社長は「インバウンド(訪日外国人)やビジネス向けには一定の需要があり、そうした客層をターゲットにしたブランドを検討していきたい」と述べた。
中計ではホテル建設に向け、不動産の取得・開発費用などとして1070億円を充てる。このほか、クレジットカードによるタッチ決済の導入、同社の乗車ポイント「メトポ」を活用したマーケティング策なども成長分野に位置付けて投資を進める。
一連の取り組みを通じ、28年3月期の営業利益は25年3月期比7%増の930億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同9.5%増を目指す。
同社は東京都心部に路線を構え、高い輸送密度に強みを持つ。一方で売上高に相当する営業収益のうち定期などの旅客運輸収入が8割を占める。鉄道への依存度が高く、今後は鉄道以外への事業多角化が課題となる。
同日発表した25年3月期の連結業績は営業収益が前の期比4.8%増の4078億円、営業利益が同13.9%増の869億円だった。インバウンド需要が引き続き堅調で輸送人員が増えた。
短期勢がヘッドライン買い 長期勢、株価反転に疑心暗鬼[2025/04/28 19:21 日経速報ニュース 1504文字 画像有 ]
28日までの4日間で1600円以上上げた日経平均株価。トランプ米政権の関税策の「緩和」をにおわせるヘッドライン(記事の見出し)が増え、ヘッジファンドなどの短期勢が外需などの日本株に買いで参入し始めた。ただし、長期投資家はこれ以上の株高に確信を持てず、外需株の本格買いには至っていない。
「時間軸不明の楽観論」。みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長は最近、顧客とのやり取りから、こんな見立てが市場にあると感じている。
米中が互いに100%を超える関税をかける状況は非現実的で、どこかで妥協点が見いだされる。米国が仮に景気後退に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)が利下げなど手を打つ。これらは相場の支援材料になるはずだが、その時期が分からない――。
28日の日経平均は一時、取引時間中として相互関税発表直前の1日以来となる3万6000円台をつけた。株高の材料はトランプ関税の妥協点が確実に見つかったことでも、FRBの利下げでもない。関税の緩和をほのめかす「ヘッドライン」だ。
25日の昼休み、一部報道で「中国は一部の米製品を関税の対象外とすることを検討する」と伝わると、午後に日経平均が一時前日比800円近くまで上げた。22日にはベッセント米財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と話し、翌日の日経平均は648円高となっていた。
この動きは2018~19年、第1次トランプ政権下での米中貿易戦争のときと似る。18年夏からトランプ政権は産業機械、半導体、家具・家電など相次ぎ関税策を打ち出し中国も報復。ただ、19年9月に発動された関税は当初想定された品目の一部にとどまった。
相場を動かしたのは「トレードディール(貿易協定)」というワードだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「貿易戦争関連の英語記事で『協定』が出てくるものの割合が3割を超えると、リスク資産が優位になる」と指摘する。貿易交渉に対する不透明感が後退して株式を買い戻す流れにつながった。
今回も足元までで記事の割合が16%まで高まっている。高田氏は、今回も3割を超えてくれば「過剰に売られた外需・シクリカル銘柄群への資金回帰が目立つだろう」とみる。
モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔株式ストラテジストは24日付のリポートで、外需株の保有リストを掲げた。2026年3月期の通期決算見通しが非開示でも「値上げなどにより業績へのダメージをコントロールしたり自社株買いなど株主還元を打ち出したりした銘柄は株価が上昇する可能性もある」とみる。
ただ、ここまでの株高をけん引したのはあくまで「株価変動が一時より落ち着き、多少ポジションを持てるようになったヘッジファンドなど短期の投資家」(国内運用会社トレーダー)。長期投資家は今回の上昇相場に無理について行かない姿勢が目立つ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー日本株、中塚浩二氏は運用するファンドの投資先を、関税の悪影響を経営の自助努力でカバーできる外需系の国際優良銘柄と内需系のディフェンシブ銘柄で固める。いわばバランス重視の布陣だ。「設備投資などが先送りされ、向こう半年で経済に悪影響が生じる可能性もある」と考えるのが理由という。「今のようなふわっとした戻りは実態を映していない。個別銘柄の動向をつぶさに見たい」(中塚氏)
投資家が持つ時間軸の長さにより、相場環境に対する判断は分かれる。続く決算発表を横目に、長期投資家が本格的な買い場を探る動きはなお続きそうだ。
(坂部能生)
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大阪府、三菱UFJの寄付に感謝状 能登地震被災の子らを万博に招待[2025/04/28 18:30 日経速報ニュース 447文字 画像有 ]
大阪府は28日、2024年の能登半島地震で被災した子どもたちを大阪観光に招待する事業を支援したとして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に感謝状を贈呈した。府は7~8月に抽選で選ばれた能登半島の小中学生や保護者計321人を大阪・関西万博などに招く。三菱UFJ銀行などグループ計6社がこの事業に総額1000万円を寄付している。
大阪府の吉村洋文知事は贈呈式で「MUFGからの大きな寄付が呼び水になり、想定を超える寄付をいただいた。子どもたちに万博の魅力と未来を感じてもらい、希望をもって前に進んでもらいたい」と述べた。
三菱UFJ銀の早乙女実副頭取も「1人でも多くの子どもたちを笑顔にしたい」と話した。三菱UFJ銀など6社は企業版ふるさと納税を利用して同事業に寄付した。
早乙女副頭取は、同行が中心となって運営するスタートアップ支援団体、関西イノベーションセンター(大阪市、MUIC)が、府の招待事業の抽選に外れた子どもたちに万博チケットを寄付することを検討していると明らかにした。
コインチェック、全サービス停止 Xの不正ログイン受け[2025/04/28 17:30 日経速報ニュース 554文字 画像有 ]
暗号資産(仮想通貨)交換業大手のコインチェック(東京・渋谷)は28日、同社のX(旧ツイッター)のアカウントが第三者に不正ログインされたことを受けて全サービスを一時停止した。仮想通貨取引の基幹システムへの影響は確認されていない。安全性を確かめた上で、28日中にサービスを再開する方針だ。
同社によると、28日午前8時ごろからXアカウントが第三者に不正ログインされた。顧客情報を盗み取るフィッシングサイトへ誘導する第三者による投稿があった。情報が盗まれる被害があったかどうかや、不正ログインされた理由について調査を進めている。
不正ログインを受け、コインチェックのウェブやアプリでの全ての機能やサービスを午後0時半から一時停止した。同社はウェブサイトに「当社サービスには影響が確認されていないが、フィッシング被害の拡大を防ぐため、全てのサービスを一時的に停止した」と説明している。
午後2時ごろに不正ログインへの対応完了後のアカウントはコインチェックの管理下にある。第三者による投稿は既に削除した。コインチェックは「ご不便とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
コインチェックは2024年末時点で220万口座を保有する。顧客の預かり資産は約1兆1000億円に上り、業界で25%のシェアがある。
横浜市、独自のふるさと納税サイトを開設 活用先を紹介[2025/04/28 16:00 日経速報ニュース 374文字 画像有 ]
横浜市は4月、同市独自のふるさと納税サイトを開設した。観光や移住に関する情報を載せるワークシー(福岡市)のサイト「ふるさと生活」内に特設ページとして設けた。寄付の使い道や取り組み状況の紹介に重点を置き、申し込みやクレジットカードでのオンライン決済にも対応する。全国から横浜市への寄付拡大につなげる。
特設サイトでは開港の歴史が残る建築物の保存や、出走権を得られる横浜マラソンへの支援などを掲載した。画像などを組み合わせ、寄付金の使い道をわかりやすく発信したのが特徴だという。
同市へのふるさと納税は既存の12のポータルサイトからも受け付ける。市によると、2024年度のふるさと納税による流出額は298億円、受け入れ額は28億8000万円を見込む。市の担当者は「サイトをきっかけに市の事業を知ってもらい、応援してもらえる人を増やしたい」としている。
アイティフォー、ながの東急百貨店で基幹システム「RITS」と決済システム「iRITSpay」が本稼働[2025/04/28 15:42 日経速報ニュース 1519文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月28日
ながの東急百貨店様、基幹システム「RITS」導入で地域密着と顧客サービスを強化
~システム刷新で業務効率化、将来の事業成長へ~
株式会社アイティフォー(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 佐藤 恒徳)は、地域のお客様に長年愛されるながの東急百貨店(所在地 : 長野県長野市、取締役社長執行役員 : 中村 宏)様の基幹システム刷新プロジェクトにおいて、当社の百貨店向け基幹システム「RITS(リッツ)」および決済システム「iRITSpay(アイリッツペイ)」が本稼働したことをお知らせいたします。老朽化したシステムの刷新による業務効率化、顧客サービス向上、そして将来的な事業拡大への柔軟な対応を目指します。
◆背景
近年、百貨店業界は、EC市場の拡大や消費者の購買行動の多様化など、外部環境の大きな変化に直面しています。日本百貨店協会のデータにも示されるように、市場全体として成熟期を迎える中で、各百貨店は新たな価値提供と持続的な成長に向けた変革が求められています。
このような状況下で、ながの東急百貨店様では、地域社会との共存共栄を図りながら、変化する時代に対応した百貨店としての事業継続を重要な経営課題と捉えていました。その一方で、既存システムの老朽化、法規制へのシステム対応の複雑化、そしてシステム改修のコスト高が喫緊の課題として認識されていました。
複数のシステムを比較検討された結果、ながの東急百貨店様は当社の「RITS」が持つ、百貨店特有の業務プロセスvへの適合性、柔軟なカスタマイズ性、そして将来的な拡張性を高く評価されました。ながの東急百貨店様の描く将来像と「RITS」の特性が合致したことから、2023年5月に導入が決定しました。
◆導入概要
この度ながの東急百貨店様は、百貨店業務の中核となる基幹システム「RITS」と、多様な決済手段に対応する決済端末「iRITSpay」を導入されました。「RITS」は、これまでに全国13社の百貨店で採用されている信頼性の高い基幹システムであり、企業のニーズに合わせて必要なモジュールを選択可能な点が特長です。今回は商品管理、販売管理(POS)、および顧客管理の各モジュールが採用されました。「iRITSpay」はPOSシステムとの連携実績が豊富で、コード決済やクレジットカード決済など多様な決済手段に1台で対応しています。
◆期待される効果
今回の「RITS」導入により、ながの東急百貨店様では以下の効果が期待されています。
・百貨店業務システムのローコスト化 : 老朽化したシステムからの移行により、運用コストの大幅な削減が見込まれます。
・現行業務の運用見直しによる省力化 : 百貨店パッケージのシステム導入と、パッケージに合わせた業務プロセスの最適化により、従業員の負担軽減と業務効率の向上が期待されます。
・決済業務の効率化とレジ周りの省スペース化 : 従来は複数の決済端末が必要だったところ、iRITSpay一台で多様な決済手段に対応できるため、レジ業務の効率化と省スペース化が図れます。
・新規投資への対応スピード向上とコストメリット : 将来的なスマートフォンアプリ構築や新たなサービス展開など、事業拡大に向けた新規投資への迅速な対応が可能となり、コスト効率の高いシステム運用が実現します。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690410/01_202504281535.pdf
<東証>マネックスGが下げ幅拡大 傘下のコインチェック公式Xに不正ログイン[2025/04/28 14:16 日経速報ニュース 299文字 ]
(14時5分、プライム、コード8698)マネックスGが後場に下げ幅を拡大する場面がある。前週末比11円(1.56%)安の691円を付けた。25日午後、傘下の暗号資産(仮想通貨)交換所のコインチェックの公式X(旧ツイッター)が不正にログインされたと明らかにした。コインチェックの全てのサービスを一時停止しており、嫌気した売りが出ている。
コインチェックのホームページは現時点で「メンテナンス中」でアクセスできない。コインチェックを装ったダイレクトメッセージなどが送信されている可能性があるという。同社は不審なURLをクリックしないよう注意を呼び掛けている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
米関税で揺らぐ日銀利上げ、継続方針は堅持[2025/04/28 14:15 日経速報ニュース 2006文字 ]
日銀は30日~5月1日に金融政策決定会合を開く。トランプ米政権が打ち出す関税政策が見通しの不確実性を高める中、国内経済や物価への影響を見極めたいとして今回は政策金利を据え置くとの予想が支配的だ。トランプ米大統領の発言に揺れ動く状況に対し、日銀は一定の前提を置いた上でリスク要因や中心的なシナリオを示す。米関税政策が国内の賃金・物価の循環を腰折れさせない程度で収まれば、利上げ方針を堅持する姿勢を続けるとみられる。
■日銀5月会合のポイント
・トランプ米政権の関税政策の影響
・「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の書きぶり
・国内の経済・物価の現状認識
米国は相互関税の上乗せ分について90日間の一時停止を決めたものの、すべての国や地域を対象に一律で10%の関税を課している。現在も貿易相手先と交渉が続くが、具体的な着地点はみえていない。「ディール(取引)」重視のトランプ氏の政策や発言が二転三転するなか、不確実性の高まりが消費者心理や企業心理を冷やし、世界経済の減速を招く可能性がある。関税強化は輸出など製造業にとっては収益の押し下げ要因で、業績の下振れが意識されれば、日本経済にとってはマイナスだ。日銀内では米関税による国内景気の下押しを警戒する雰囲気が強い。
市場では今回会合で日銀は利上げを見送るとの予想が大勢を占める。日経QUICKニュース社が金融政策を分析する「日銀ウオッチャー」を対象に21~23日に実施したアンケート調査では政策金利の「現状維持」予想が回答全体の9割超に上った。
政策の現状維持を予想するモルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅日本チーフ・エコノミストは「今回の会合では、米国の通商政策を中心とする不確実性は引き続き高い状態にあり、それが経済や物価に与える影響を見極めるにはもう少し時間がかかる」とみる。
日銀は5月会合の結果と合わせて展望リポートを公表する。米国の通商政策をめぐる不確実性が極めて高いなかではあるが、現在入手できるデータを活用しながら、2025~27年度までの実質国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)見通しを示す。米国が日本に課す税率など一定の仮定を置いて、リスク要因を説明しつつ中心的なシナリオを提示するとみられる。
もっとも、通商政策や金融・資本市場はトランプ氏の発言次第で急変しやすく流動的だ。日銀が示す展望リポートの見通しも、各国との交渉の結果やトランプ氏の発言などでその前提が大きく変わることは容易に想像できる。行内からは、今回示すリポートはあくまで仮置きとしつつ「トランプ氏の発言などのたびに、シナリオやリスクに変化がないかを点検しながら見通しをアップデートしていくよう柔軟性を持って臨む」との声が聞かれており、臨機応変に状況変化を反映させていく見通しのようだ。
国内の経済・物価情勢に目を向けると足元は日銀の目指す賃金と物価の好循環が続いていると判断できる材料が多い。25年の春季労使交渉(春闘)では基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合計した賃上げ率が2年連続で5%台となり、34年ぶりの高水準にある。総務省が発表した4月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合が110.0と、前年同月比で3.4%上昇し、日銀としても「強め」と評価できる物価上昇が続いている。
もし、米関税政策による景気下押しが避けられるなら、人手不足を背景にした賃金と物価の循環は途切れない公算が大きい。日米関税交渉の結果、相互関税の上乗せ分が撤廃され日本への適用税率がこのまま10%にとどまるなど、ある程度の先行き見通しがはっきりしてくれば、利上げに向けた環境が再び整ってくる可能性は低くないとも言える。
日銀ウオッチャー調査では年内に利上げするとの予想が依然、回答者全体の7割を占めており、日銀の利上げ時期が大幅に後ずれしているわけではない。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「今や日本のインフレ率は先進国中で最高であり、実質政策金利は突出して異様に低い状態にある」と指摘。「日銀がゆっくりとした利上げペースを維持することは、結果的に円安修正につながるため、早ければ7月、遅くとも年内に日銀は次の利上げを決定すると思われる」と予想する。
不確実性の大きささから、日銀は慎重に次の利上げ時期を判断するとみる市場参加者は多い。日銀としても状況の見極めにある程度の時間が必要であることは認めざるをえないだろう。もっとも、市場から利上げ予想そのものが消えたわけではなく、日銀からも利上げ観測を過度に後退させるような情報発信が出ることは想定しにくい。利上げまでの市場の想定距離を遠ざけるのか、近づけるのか、微妙なさじ加減が問われる会合になりそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 長谷部博史〕
日経平均一時3万6000円台 不安和らげた信越化学の「自信」[2025/04/28 12:02 日経速報ニュース 1386文字 画像有 ]
28日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、前週末比の上げ幅は一時300円を超えた。けん引役は前週末に巨額の自社株買いを発表した信越化学工業だ。米関税政策を巡る悲観が和らぎ投資家は買える銘柄を探している。逆風下でも大規模自社株買いを打ち出す企業が多いことを市場は「自信」の表れと捉え、市場全体のムード改善につながっている。
日経平均は前週末比369円(1.0%)高まで上げ、約1カ月ぶりに節目となる3万6000円台を回復する場面もあった。終値は134円(0.4%)高の3万5839円だった。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「日本を含め貿易相手国との関税交渉が進展するというシナリオを市場は織り込み始めている」とし「投資家は『過度な悲観』から『中立』くらいのスタンスに戻ってきている」と指摘する。
個別株で気を吐いたのが信越化学株だ。一時前週末比359円(8.9%)上昇し、約1カ月ぶりの高値をつけた。日経平均を1銘柄で44円程度押し上げた。
買いの手掛かりは前週末の決算発表に併せて示した5000億円を上限とする自社株買いだ。発行済み株式(自己株式を除く)の約10%にあたる2億株を上限に買い付ける。同社としては過去最大の金額で、SMBC日興証券の担当アナリストである宮本剛氏は25日付のリポートで「業績への自信が感じられた」と評価した。
3月期企業の決算発表が本格化する中で、信越化学のように巨額の自社株買いを発表する企業が相次いでおり、買いを集めている。4月に入り富士通は1700億円、アイシンは1200億円を上限とする自社株買いを打ち出した。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントは「還元策を打ち出した個別銘柄が相場を支えている」と話す。
野村証券が自社株取得枠の設定を発表した企業について東証株価指数(TOPIX)に対する相対株価を算出したところ、4月以降は自社株買いの株価インパクトが例年以上に大きい。発表の10営業日前を100とすると15営業日後は約106と、2023~24年の102程度を上回る。
同社の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは「投資家に現状の株価が割安だと示す『シグナリング効果』に加えて、逆風下でも耐久力がある財務への自信がある企業として投資家に安心感をもたらしている」と指摘する。
もっとも自社株買いへの好反応には、強気一辺倒になれない市場のもどかしさも隠れている。
「外部環境に左右されないポジティブなニュースは自社株買いくらいだ」との見方を示すのはセゾン投信の瀬下哲雄マルチマネージャー運用部長。「関税政策が骨抜きになったとしても経済への影響は何かしら残ると考えており、楽観は禁物だ」と警戒を緩めない。
目をこらすと決算発表が振るわなかった銘柄では売りが先行している。前週末に26年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比9%減の1250億円になる見通しだと発表した日東電工は28日、6%安で終えた。半導体関連株も総じて弱く、市場予想を大幅に下回る業績見通しを示したアドバンテストも一時6%安に沈んだ。
ゴールドマンの石橋氏は「関税交渉が大きく進展していない割には株価が戻ってきている」との見方を示す。楽観に傾きすぎないか警戒する声も多い。
(大久保希美)
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ビットコイン価格9万ドル回復 高まる金との連動性、無国籍に注目[2025/04/28 11:00 日経速報ニュース 1464文字 画像有 ]
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が再び上昇している。足元では9万3000ドル(約1330万円)前後と約2カ月ぶりの高値水準にあり、「安全資産」として買われる金との相関を強めている。トランプ米政権の関税政策によって米国の株や債券の値動きが不安定になる中、特定の国と結びつかない無国籍資産として逃避マネーの受け皿となっている。
ビットコイン価格の上昇に弾みを付けたのが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を巡る騒動だ。トランプ大統領はSNSに「一刻も早く解雇すべきだ」と17日に投稿し、21日には「今すぐ金利を引き下げない限り、経済は減速するかもしれない」とFRBに対して利下げを要求した。
FRBの独立性への懸念が高まって米ドルの信認が揺らぐ事態となり、米国資産から流出したマネーが金(ゴールド)に向かった。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は、22日のアジア時間で初めて1トロイオンス3500ドルを超えた。
金と同じ局面でビットコインにも買いが集まった。22日は、わずか1日で6000ドル近く値上がりした。この1カ月間で価格は1割弱上昇した。
ビットコインと金の連動性の高さを示すのが相関係数だ。相関係数はプラス1からマイナス1の数値で推移し、プラスが大きいほど同じ方向に動く傾向が強い。直近30日間のビットコインと金の相関係数は足元で0.65まで上昇した。
「国の信用リスクが高まる局面でビットコインは買われやすく、金との相関も強まる」。マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストはこう指摘する。13年に発生したキプロスの金融危機の際、ビットコインと金の価格が連動するように上がったこともあるという。
世界中の保有者がデータを共有して管理するビットコインは「無国籍通貨」として認識される。ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリストは「中央銀行の信認が揺らぐという特殊な状況で、ビットコインの無国籍通貨という側面が際だった」と指摘する。
上場投資信託(ETF)を経由した投資マネーの動きも見逃せない。現物のビットコインで運用する米国上場のETFには4月下旬に入ってから資金の流入が続き、22日の流入額は約9億3600万ドルと約3カ月ぶりの規模となった。
もっとも、安全資産とされる金に対し、ビットコインは「ボラティリティー(変動率)が大きく、まだまだリスク資産」(マネックスの松嶋氏)との位置づけだ。短期間で見れば金との相関が強まっているものの、長期で見れば相関係数はマイナス圏にある。
ビットコインが安全資産となり、名実ともに「デジタルゴールド」としての地位を確立するために必要なのは何か。焦点は「国家による保有」だ。
金は各国が準備資産として持っている。三菱マテリアルによると、24年12月時点の保有量は米国が8133トンと最も多く、ドイツ(3351トン)、イタリア(2451トン)が続く。近年は中国やロシアも金の保有量を増やしている。
ビットコインの国家による保有は限られていたが、トランプ大統領は3月に仮想通貨の戦略備蓄に向けた大統領令に署名した。他国に先駆けて備蓄することは「戦略的な利点がある」として、ビットコインを追加的に取得する方針を示した。
エックスバンクの西山祥史アナリストは「保有者が変化すればビットコインの質も変わる。国家の保有が進めば、安全資産との認識が広がるだろう」とみる。米国以外の国で戦略備蓄の議論が進むかどうかも注目点になりそうだ。
(相松孝暢)
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鳥取のバルコス社長「キャッシュレス時代も財布はなくならず」-トップのstrategy[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1472文字 画像有 ]
バッグなど皮革製品の企画販売会社、バルコスは使い勝手を良くした財布の開発で成長を続け、2025年12月期も業績拡大を見込む。世の中はキャッシュレス時代で若者を中心に財布を持ち歩かない人が増える。果たして財布は生き残れるのか。鳥取から財布の革新を目指す山本敬社長に戦略を聞いた。
――民間調査によると「スマートフォンで決済できるので普段は財布を持ち歩かない」と答えた人が2割強、年代別で20代が最多でした。危機感はありますか。
「あまりない。確かに普段持ち歩く人は減っている。東京では給与の受け取りから消費までデジタルで終えることもできなくはない。だが財布自体は所有している。すべての消費をスマホで済ますのは無理で、ある程度の現金が必要だからだ」
「財布の決済手段としての役割が低下しているのは事実だ。最近は小銭を収納できるカードケースが流行している。しかし免許証やクレジットカードなどを10枚以上収めるのは難しい。紙幣、硬貨、カードをコンパクトに収納する機能への需要は健在だ」
――キャッシュレス時代の財布として各社は小型化を競います。
「当社は23年12月、折り畳みの小型商品『ポンテピッコラ』を発売。財布を開くと意匠登録した蛇腹が現れる。30枚ほどのカードを入れることができ、小銭入れもボックス型で取り出しやすい。こうした機能が若者にも受け入れられ年間約18万個を販売した。過去に一番売れた商品の累計販売個数は42万個ほどなので、大ヒットといっていい」
――若者の心をつかんだことで顧客リストは18万人増の146万人に拡大しました。
「当社の販路はテレビの通販番組や新聞、雑誌だ。それらを見ないZ世代の顧客層がある程度のボリュームとなってきた。顧客属性に合わせた機能性重視の商品戦略ができるようになった」
「24年末には機能性をさらに追求した『リトルノ』を販売した。紛失した場所が分かるチップ付き財布だ。利用者はなくした場所をスマホのアプリで確認できる。リトルノは小型と、中高年向けの長財布の2種類をそろえた。中高年は紙幣に折り目が入るのを嫌がる傾向にある」
――25年12月期はリトルノの販売強化などで連結純利益が1億6900万円と前の期比10%増を見込みます。
「顧客は164万人になる見込みだ。幅広い顧客向けへのアピールとしてファッションニュース通信社(東京・目黒)などグループ会社のコンテンツを磨きファッション関連情報をウェブサイトで発信するほか、SNSで商品をアピールする取り組みを本格化させる」
――若手社員が多く社内は活気があります。経営の要諦は何ですか。
「社員の自己実現をサポートすることかな。(仕事の達成に向け)こうしたらこうなるんじゃないかという個人の道筋を尊重し、実現したらほめるようにしている。鳥取県倉吉市に本社を構える私は30数年前、倉吉発のファッション産業を立ち上げようと決心した。当時のメインバンクからは『それは都会の人がやるもの』と諭された」
「やがてイタリアに支店を持ち中国に試作品の工場を設け、各国の協力工場に本格生産を依頼するビジネスモデルを作った。ハンドバッグ業界の中で高水準の粗利益率を誇るまでになった。こんな達成感を社員全員に共有してもらいたい」
(聞き手は保田井建)
やまもと・たかし 1966年7月大阪市生まれ。88年3月、東京工芸大短期大学部卒後、制作プロダクション会社に入社し写真を担当する。91年5月、有限会社バルコス(現バルコス)取締役部長に。2000年12月、バルコス社長に就任。
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NFT市場、バブル崩壊で閉鎖相次ぐ 取引ピーク比8割減[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1389文字 画像有 ]
デジタル資産の所有を証明できる非代替性トークン(NFT)の取引市場の閉鎖が相次いでいる。30日に海外大手の「X2Y2」が終了するほか、米暗号資産(仮想通貨)交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2月に運営を終えた。足元のNFT取引高はピーク比8割減。デジタルアート作品に億円単位の価格がつくようなバブルは崩壊し、NFT売買単独での事業運営は難しくなっている。
「プラットフォームは完全に閉鎖される。一時停止ではなく、完全に終止符を打つ」。3月31日、X2Y2のウェブサイトで4月末の閉鎖が通告された。X2Y2は2022年2月に開設され、年間取引量は約5000万ドルと世界で3位だ。閉鎖理由の一つとして、21年のピーク時から取引量が90%減少したことを説明した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製を不可能にしたデジタル資産を指す。21年から22年にかけてデジタルアート作品NFTが活発に取引され、なかには7000万ドルという高値で落札されたアートNFTもあった。
ブームは長くは続かなかった。分析プラットフォームのDappRadar(ダップレーダー)によれば、22年は572億ドルの取引量を記録したが、24年には137億ドルと8割近く減少。足元も回復しないままだ。交換業者ビットバンク(東京・品川)の長谷川友哉マーケット・アナリストは「価値があるとの思い込みから大金が一時集まったが、そこまで価値がないことにみんなが気づき、バブルがはじけた」と指摘する。
NFT市場は、2~3%の取引手数料収入で運営を成り立たせている。取引が低調な状況では継続は難しくなっている。クラーケンが運営するNFT市場は2月に運営を終了。仮想通貨交換業者バイビットも4月上旬にNFT取引サービスを終えた。
日本も例外ではない。航空関連のデジタルコンテンツを展開していたANAホールディングスグループのNFT市場は2月に終了。サービス開始からわずか1年ほどで姿を消すことになった。運営を担っていたANA NEO(東京・港)は「これ以上の事業継続が困難と判断した」と説明する。
国内NFT市場関係者は「中小規模のマーケットプレイスはこれまでも閉鎖されてきたが、比較的体力のあった主要な事業者がここに来てサービスを終了している」と指摘する。
一方、NFTを投資対象ではなく、マーケティングに活用する企業が増えている。ソニー銀行は昨夏からNFTを閲覧できるアプリの提供を始めた。ソニーグループのアーティストの音楽ライブへの参加者限定で配布されるNFTなどを収集することができる。
SBIグループのSBINFT(東京・港)が運営するSBINFTマーケットは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」と連携する。NFTの売買でポンタがたまる仕組みで、「ポイ活」に熱心な顧客を呼び込む狙いがある。SBINFTの高長徳取締役は「売買サービス単体では継続が大変。収益源の多角化に取り組んでいる」と話す。
NFTバブルが崩壊したのは、仮想通貨と同じように価格の値上がりに期待しすぎる人が群がったためだ。本来、NFTはクリエーターに収益を還元する仕組みや、保有を通じて生まれるファンコミュニティーにこそ魅力がある。この魅力を生かしたデジタルサービスを生み出せるかが、事業者に問われている。
(相松孝暢)
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顔認証でバス乗降 群馬・関越交通が実験、利用把握や決済にらむ[2025/04/28 05:00 日経速報ニュース 1170文字 画像有 ]
関越交通(群馬県渋川市)が県内の路線バスで利用客の乗降を顔認証で把握する実験を進めている。電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)と組み、乗車時と降車時に車内の人工知能(AI)カメラで客の顔を撮影して利用区間を判別する。結果を踏まえて精度を高め、2028~29年ごろに運賃支払いでの実用化を目指す。
実験は24、25、28日の3日間に実施。関越交通が群馬県内で路線バスとして使っている大型バスと中型バスの計2台に、米AI半導体大手の小型AIボードを搭載したコンピューターと2台のAIカメラを設置し、渋川市の渋川駅と伊香保温泉を結ぶ「渋川伊香保温泉線」、前橋市の前橋駅と群馬大学荒牧、渋川駅を結ぶ「前橋渋川線」の2路線で乗客を乗せて走行した。
乗車時は車内天井に付けたAIカメラで乗ってきた客の顔を撮り、運転手のドア開閉や測位衛星システム(GNSS)の位置情報とひも付けて、どのバス停で乗ったのかを登録。降車時は運賃箱横のAIカメラで降りる客の顔を撮り、登録済み画像と照合してその客の乗降地点を判別する。実験では個人情報と連動した本人特定はしない。
現時点では乗車時に下を向いたまま乗り込み顔が撮れなかった場合は登録できないが、今後は乗車時の撮影の仕方を工夫するなどして改善。精度を高めて個人情報とひも付け、決済に使えるようにする。
登録や照合はバス走行中にサーバーにデータを送って処理するため、通信回線の容量次第ではデータが送れないトラブルも起こる。今回は23年と24年にTMNが渋川市内と新潟市内で実施した計3回の実験結果を踏まえ、送受信データを軽くするため撮影データから登録や照合に必要最小限なものだけ切り抜く工夫なども施した。
TMNでシステム開発を担当する淀川征慶さんによると、電波状況がよくない山中よりも高校生・大学生などが多く乗る駅前の方が「同じ基地局を使う利用者が電波を食い合ってデータを送受信しにくい」。今回は実用に近い機器構成で市街地や山道など様々な環境条件で実験データを取得・分析するが、「AIボードは処理能力がどんどん上がっており、今後さらに速度や精度が上がる」(淀川さん)という。
関越交通によると、全国交通系ICカードが使える運賃箱や運賃表示器、音声合成案内などの機器導入には1台あたり600万円以上かかる。システム更新には数億円かかり、乗客減少などで収益が悪化したバス事業者にとって重荷だ。熊本県内では24年11月にバスや電車を運行する公共交通5社が全国交通系ICカードによる運賃決済を廃止した。
関越交通は運転手不足に悩んでおり、「顔認証で運賃収受ができれば機器コストを抑え、運転手の負担も減らせる。自動運転バスにも使える」(企画部長の若木亮さん)と期待している。
(岡田信行)
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OpenAIのアルトマンCEO、バイオ・エネ・教育にも投資[2025/04/28 02:00 日経速報ニュース 2317文字 画像有 ]
米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はスタートアップへの投資家としても有名だ。オープンAIの事業にかかわる人工知能(AI)関連のほか、バイオテクノロジーやエネルギー分野に積極的に投資している。注目の投資先をCBインサイツがまとめた。
米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は生成AIブームの顔というべき存在だ。
2014~19年には世界で最も成功を収めているスタートアップ支援組織の1つ、米Yコンビネーターの社長も務めていた。
その傍らで、10年以降に米電子決済大手ストライプ(Stripe)、米インターネット掲示板レディット、米食品宅配大手インスタカートなど100件以上の資金調達ラウンドに出資してきた非常に活発なエンジェル投資家だ。
個人での投資に加え、ベンチャーキャピタル(VC)のヒドラジン・キャピタルを創業し、弟のマックス、ジャック両氏とともに同アポロ・プロジェクトも立ち上げた。ジャック氏が経営する同アルトマン・キャピタルにもリミテッドパートナー(LP)として参加している。
サム・アルトマン氏の投資先からは、培養肉や長寿、エネルギー、教育、もちろんAIなど同氏の幅広い関心がうかがえる。
同氏の19年以降の投資先を分野別にグラフにまとめ、オープンAIとの関係を公表している企業にしるしを付けた。
さらに、アルトマン氏の代表的な活動分野について分析した。
アルトマン氏の投資先、オープンAIの戦略と重複
アルトマン氏が出資している企業の一部はオープンAIとも関係がある。例えば、対話型AI「Chat(チャット)GPT」を活用したパーソナルアシスタントを搭載するウエアラブル端末「Ai Pin」を最近発売した米ヒューメイン(Humane)のラウンドに3回出資している。
アルトマン氏が出資するB2B決済自動化プラットフォームの米スロープ(Slope、シリーズB)と、コード補完の米ワープ(Warp、シリーズB)も、オープンAIのモデルを自社製品に搭載していることを明らかにしている。
一方、オープンAIは19年、米レインAI(Rain AI)のAI半導体に5100万ドルを出資する趣意書を交わした。アルトマン氏は以前、レインAIのシードラウンドに出資した。
AIを活用した言語学習アプリ「スピーク(Speak)」は、22年のシリーズAでアルトマン氏から出資を受け、それ以降もオープンAIのVC「スタートアップファンド」や他の投資家から資金を調達している。
オープンAIは「オープンAIスタートアップ・ファンド」に出資してはいないが(米マイクロソフトやオープンAIの他のパートナーなどが出資)、スピークは(同ファンドから出資を受けた)シリーズBの資金調達によって「オープンAIのシステムで当社のユーザー体験を強化し、開発中の新たなシステムにいち早くアクセスできるより深い関係が可能になった」と強調した。
オープンAIは新たに400億ドルを調達するため、インフラ(基盤レベルで成長し続けるための土台づくり)とアプリケーション(営利化に伴う収益創出の取り組み)の2つの重要分野を中心に、他社の買収にさらに積極的になるだろう。
アルトマン氏によるこの1年の新規投資のうち、特に注目なのは以下の3社だ。
1)米エアオプス(AirOps、24年6月、アルト・キャピタル経由):個人ユーザーによるAIアプリケーション作成、テスト、展開、拡大を可能にするプラットフォーム
2))米クルーAI(CrewAI、24年10月、 アルト・キャピタル経由):AIエージェントの開発、展開、管理プラットフォーム
3)米エクソワット(Exowatt、24年4月):モジュール式発電・蓄電システムを手掛ける再生可能エネルギー企業
AI以外の2大投資先はエネルギーと長寿
アルトマン氏は21年11月、核融合発電スタートアップの米ヘリオン・エナジー(Helion Energy)のシリーズE(調達額5億ドル)に、同氏の個人投資では最大の3億7500万ドルを出資した。
同氏は出資当時、ブログで「ヘリオンの核融合発電の手法は私が目にしたなかで飛び抜けて有望だ」と絶賛した。オープンAIに出資するマイクロソフトは23年5月、ヘリオンと20年後半から電力を購入する契約を締結した。
アルトマンは抗加齢スタートアップ、米レトロ・バイオサイエンシズ(Retro Biosciences)も有望視している。細胞のリプログラミングにより寿命を延ばそうと取り組む同社に計1億8000万ドルを投じている。
主なエグジット(投資回収)
アルトマン氏は教育とデジタルを組み合わせた「エドテック」スタートアップにも数多く出資している。11年に出資した米コードカデミー(Codecademy)は21年12月、米スキルソフトに5億2500万ドルで買収された。
他の初期投資先でエグジットに至った企業は、インスタカート(23年9月に新規株式公開=IPO)や米クルーズ(Cruise、16年に米ゼネラル・モーターズ=GMによって買収)などだ。
さらに、特別買収目的会社(SPAC)3社の経営にも携わっている。
・核分裂発電スタートアップ、米オクロ(Oklo)との合併を計画しているアルトC・アクイジション(執行役員)
・23年10月に米フィンテック、マネーヒーローと合併したブリッジタウン・ホールディングス(取締役)
・22年に不動産テックのプロパティーグル(シンガポール)と合併したブリッジタウン2ホールディングス(取締役)
トランプ政権、ドル下落率が歴代最大 ぶれる関税の裏に金利 あす政権発足100日[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1818文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=三島大地、竹内弘文】トランプ米政権が29日、発足から100日を迎える。金融市場では米国の株式と債券、米ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、ハネムーン期間中の米ドルの下落率は歴代政権で最も大きくなる見通しだ。トランプ相場の足跡をチャートとともに振り返る。
1月20日に第2次トランプ政権が発足すると、直後から株価は緩やかに下落基調をたどった。中国やカナダ、メキシコなどへの追加関税を振りかざす強硬姿勢が、それまで「プロ(親)ビジネス」と見られていた政権への期待を後退させたためだ。
4月2日にトランプ氏が相互関税の詳細を明らかにすると、想定を上回る高関税への警戒感から株価は急落した。4日にはロスカット(損失限定)の動きも巻き込んで一段と売り込まれ、ダウ工業株30種平均の前日比の下げ幅は2231ドル安と史上3番目の水準を記録した。
9日にトランプ氏が相互関税の上乗せ分について、中国を除き90日間停止すると表明すると、株価は急反発した。上昇幅は2962ドルと史上最大となった。歴代でもきわだって、株式相場が乱高下した政権になる。
■株8%安、フォード政権以来の水準
政策への先行き不透明感から投資家は警戒姿勢を崩しておらず、ダウ平均は政権発足後、8%安となった。下落率はウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任を受けて1974年に発足したフォード政権以来の水準を記録した。当時の米国はオイルショックの影響で戦後最悪と言われる景気後退局面にあった。
09年1月に発足したオバマ政権の100日間の株価は、リーマン危機の影響がくすぶっていたこともあってマイナスだった。バイデン政権は新型コロナウイルス禍の21年1月に立ち上がり、ワクチン接種の進展と経済再開への期待感から株価は上昇した。
関税を巡り強硬路線を貫いていた米政権を「翻意」させたのが長期金利の急上昇(債券価格は下落)だ。景気悪化に伴う米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待から、長期金利の指標となる10年物国債利回りは4日に一時3.86%まで低下した。
だが9日午前に突如、4.5%超まで急騰。中国が米国の追加関税に反発し、米国債を売却したとの観測も浮上した。
同日午後には相互関税の上乗せ部分の一時停止を表明。トランプ氏は記者団に「債券市場はやっかいだ」と述べ、決断の背後に金利の急騰があったことを示唆した。ベッセント財務長官は14日、米金利の急上昇はヘッジファンドなどによるレバレッジ解消の動きだとの見方を示した。
外国為替市場では政権発足以来、ドル安基調が続いている。株式や債券など米金融資産からの資金流出に伴い、ドル売り圧力が強まっていることが底流にある。
主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」はトランプ氏の就任から9%下げた。発足100日間のハネムーン期間中としては、歴代でも最大の下落率となる見通しだ。
米ドルの急落に伴い、円は対ドルで急速に上昇した。トランプ政権発足後の円相場の上昇幅は一時、15円以上に達した。
日米財務相会談で米国が日本に円安・ドル高を是正するよう要求するとの観測が円を一段と押し上げた。だが会談前後にベッセント米財務長官や加藤勝信財務相がこうした観測を否定したことで、足元で円買いは一服している。
■レーガン政権はドル高
トランプ政権と対照的な動きとなったのがレーガン政権だ。強いドルを標榜してFRBのボルカー議長の下で金融引き締めを強め、政権発足当初からドル高が加速した。クリントン政権は日本の貿易黒字を問題視し、日本政府に是正を迫った。為替市場では円高・ドル安が進んだ。
米国債と双璧をなす「安全資産」の金(ゴールド)には買いが殺到した。国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は22日に一時1トロイオンス=3509ドルと最高値を付けた。物価上昇と景気後退が併存する「スタグフレーション」の局面では、歴史的に金が買われる傾向がある。
一方、「デジタルゴールド」とも評された暗号資産(仮想通貨)のビットコインは政権発足後に一時、3割近く下落した。米国を「仮想通貨超大国」にするとのトランプ氏の発言から政権発足前に大きく買い込まれていた。足元ではトランプ政権への政策期待もあり、1BTC(ビットコインの単位)=9万ドルを上回る水準で取引されている。
【図・写真】米資産からの資本流出がトリプル安を招いた=AP
盛岡の地域通貨 モリオペイ、セブンで入金・決済 スタンプラリー・会員証機能も検討[2025/04/28 日経MJ(流通新聞) 13ページ 1242文字 PDF有 書誌情報]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは(1)スタンプラリー機能(2)会員証機能(3)ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
(盛岡支局長 朴相五)
【図・写真】モリオペイ専用現金チャージ機はまだ少ない(盛岡市内の複合商業施設monakaで)
【図・写真】盛岡さんさ踊りの期間、一部の屋台でモリオペイが使えた=盛岡バリューシティ提供
燃料電池部品の価格3分の1に 山田ドビー、専用プレス機を量産[2025/04/27 05:00 日経速報ニュース 1305文字 画像有 ]
高速プレス機の山田ドビー(愛知県一宮市)は燃料電池に使われる部品「セパレーター」向けの専用プレス機を量産する。大量生産できることで、セパレーターの価格を3分の1に抑える見込みだ。2027年までに約60億円を投資し、生産体制を整える。燃料電池車(FCV)は電気自動車(EV)に対して高額だが、主要部品の価格低下を促すことで、FCVの普及につなげる。
燃料電池は水素と酸素を化学反応させて発電するセルが層になっており、セパレーターはそれぞれのセルの間に挟む板状の金属部品を指す。燃料となる水素と酸素を供給する流路などの役割を持ち、金属プレス機を用いて製造する。
流路は細かい溝で作られており、安全性や効率性の観点から高い精度の金属加工技術が必要になる。このため、一般的にセパレーターの製造は得意分野の異なる大型プレス機を2台使い分けて技術的な課題をクリアしているという。設備投資がかさむほか、工程が長くなるため生産効率を高めにくい一因になっていた。
山田ドビーはセパレーター専用のプレス機を開発した。従来型よりも小型化し、技術的には1台で製造できるという。より強度の高い部品を使ったほか、プレスの圧力をかける能力を高めた。生産能力を高めたプレス機を使うことで、セパレーターの市場価格を押し下げる効果を見込む。
一宮市の本社に隣接する土地で新工場の建設にも着手した。マシニングセンターや旋盤加工機などの設備を導入し、27年初の稼働を目指す。プレス機は日本や欧州など各国の部品メーカーに売り込む。
山田ドビーは1919年に創業。ドビーとは織り柄のある生地の模様や織機を指す。トヨタ自動車グループ創始者の豊田佐吉氏に開発を助言された経緯からドビー機の開発・製造を手掛けていた。1960年代に繊維産業にかわる第二の柱としてプレス機事業に力を入れた。
山田ドビーは精密加工ができる高速プレス機で日本で6割、世界で4割のシェアをもつ。例えばクレジットカードのICチップや500円玉などの製造には同社のプレス機が使われているという。
自動車の電子化に伴って需要が増している電子部品や、電気自動車(EV)に使われるモーターコア、スマートフォン部品向けなどに強い。高い精度のプレス機を使うことで部品の軽量化などに寄与しているという。
今回手掛けるセパレーター専用のプレス機は、山田ドビーが得意とする電子部品向けよりも大型だ。同社は2023年に油圧プレス機を手掛けるアサイ産業(石川県能美市)を買収した。大型のプレス機を製造するノウハウや生産設備を増強し、今回の専用プレス機の開発につなげた。
FCVは高額な燃料電池やプラチナなどの希少部材を用いるため、車体価格が現在800万円前後と、EVやガソリン車より高い。水素供給するインフラの不足も合わせて普及が進まない要因とされてきた。ただ、山田ドビーは中長期的に動力別の車のシェアはEVとガソリン車で7割、残りを水素など代替的な動力が占めると予想する。山田健雄社長は特に欧州や中国で普及が進むとみており、「顧客のニーズを先回りして(新たな製品を)提案していきたい」と語る。
(須賀恭平)
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丸井グループ株価、35年ぶり高値 株主還元・若者消費でバブル超え-デジタル版「日経ヴェリタス」から[2025/04/27 04:00 日経速報ニュース 1661文字 画像有 ]
丸井グループ(8252)の株価が23日、バブル期の1990年以来35年ぶりの高値をつけた。米トランプ政権が打ち出した関税政策の影響を受けにくい内需株で、株主資本配当率(DOE)の目標を掲げるなど株主還元に積極的な点から買いが集まっている。もう一段の上値を追えるか、投資家は主力のクレジットカード事業の成長戦略に注目している。
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23日の東京株式市場で丸井Gは一時、前日比67円50銭(2.3%)高い2940円まで買われた。終値は2875円だった。相互関税が発表される前の3月末比では6%高で、同期間に日経平均株価が2%安となるなかで強さが際立つ。
最大の買い材料は高い配当利回りだ。23日終値で計算した年間ベースの予想配当利回りは約3.7%と、足元の株価上昇にもかかわらず三越伊勢丹ホールディングス(3099、2.7%)や高島屋(8233、2.4%)を上回る。2024年3月期から株主還元方針として「株主資本配当率(DOE)8%程度」を掲げており「中長期で安定配当を期待する個人投資家にとって安心感のある銘柄」(岩井コスモ証券の菅原拓アナリスト)との評価が定着してきている。
市場はさらなる還元拡大への期待を織り込み始めている。丸井Gは5月13日に25年3月期決算と併せて新しい中期経営計画を発表する予定だ。31年3月期に自己資本利益率(ROE)17~20%を目指すという目標値を先行して示しているが、会社予想ベースでは25年3月期のROEは10.4%にとどまる。SMBC日興証券の金森都シニアアナリストは「達成には株主還元強化が必須。新中計でその内容が発表される可能性がある」と指摘する。
還元の原資となる利益の拡大は、クレジットカード「エポスカード」を中心とするフィンテック事業の成長にかかっている。若年層のシェア拡大を狙い、力を入れるのが「推し活」だ。アニメのキャラクターや人気アーティストなどを券面にデザインした「『好き』を応援するカード」は、カードを持つ会員に占める30代以下の割合が6割を超える。エポスカード全体の5割に比べても若年層の割合が高い。
日々の支払いに主に使うメインカードを頻繁に切り替える顧客は少ないため、メインカードとして使う若年層が増えれば将来にわたって優良顧客を囲い込める。JPモルガン証券の村田大郎シニアアナリストは「クレジットカードで若年層の娯楽消費を取り込めている同社は小売りの中で相対的に投資魅力が強い」として、4月7日に目標株価を従来の2800円から3000円に引き上げた。
もっとも、若年層を取り込もうと動いているのは競合他社も同じだ。JCBや三井住友カードが若年層向けのキャンペーンを強化しているほか、カードを持たない層ではLINEクレジットやメルペイなどが手がけるスマホアプリ経由のキャッシングが伸びている。SMBC日興の金森氏は「若年層を対象にしているからこそ顧客が移ろいやすいリスクには注意が必要。カードの競争力を高められるような施策が一層求められる」と指摘する。
丸井G(当時は丸井)は80年代に「赤いカード」を武器に、DCブランドのファッションを分割払いで買う消費習慣を定着させたことで急成長した。当時も今もターゲットが若年層であることに変わりはない。バブル期につけた最高値を超えられるかは、トレンドの先を読んで収益拡大に先手を打てるかにかかっている。
(安田亜紀代)
[デジタル版日経ヴェリタス4月24日公開]
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トランプ政権100日、市場の通信簿は? ドル下落率は歴代最大[2025/04/26 06:35 日経速報ニュース 1453文字 画像有 ]
【ニューヨーク=三島大地、竹内弘文】トランプ米政権が29日、発足から100日を迎える。金融市場では米国の株式と債券、米ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、ハネムーン期間中の米ドルの下落率は歴代政権で最も大きくなる見通しだ。トランプ相場の足跡をチャートとともに振り返る。
1月20日に第2次トランプ政権が発足すると、直後から株価は緩やかに下落基調をたどった。中国やカナダ、メキシコなどへの追加関税を振りかざす強硬姿勢が、それまで「プロ(親)ビジネス」と見られていた政権への期待を後退させたためだ。
4月2日にトランプ氏が相互関税の詳細を明らかにすると、想定を上回る高関税への警戒感から株価は急落した。4日にはロスカット(損失限定)の動きも巻き込んで一段と売り込まれ、ダウ工業株30種平均の前日比の下げ幅は2231ドル安と史上3番目の水準を記録した。
9日にトランプ氏が相互関税の上乗せ分について、中国を除き90日間停止すると表明すると、株価は急反発した。上昇幅は2962ドルと史上最大となった。歴代でもきわだって、株式相場が乱高下した政権になる。
政策への先行き不透明感から投資家は警戒姿勢を崩しておらず、ダウ平均は政権発足後、8%安となった。下落率は1974年に発足したフォード政権以来の水準を記録した。
関税を巡り強硬路線を貫いていた米政権を「翻意」させたのが長期金利の急上昇(債券価格は下落)だ。景気悪化に伴う米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待から、長期金利の指標となる10年物国債利回りは4日に一時3.86%まで低下した。
だが9日午前に突如、4.5%超まで急騰。中国が米国の追加関税に反発し、米国債を売却したとの観測も浮上した。
同日午後には相互関税の上乗せ部分の一時停止を表明。トランプ氏は記者団に「債券市場はやっかいだ」と述べ、決断の背後に金利の急騰があったことを示唆した。ベッセント財務長官は14日、米金利の急上昇はヘッジファンドなどによるレバレッジ解消の動きだとの見方を示した。
外国為替市場では政権発足以来、ドル安基調が続いている。株式や債券など米金融資産からの資金流出に伴い、ドル売り圧力が強まっていることが底流にある。
主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」はトランプ氏の就任から9%下げた。発足100日間のハネムーン期間中としては、歴代でも最大の下落率となる見通しだ。
米ドルの急落に伴い、円は対ドルで急速に上昇した。トランプ政権発足後の円相場の上昇幅は一時、15円以上に達した。
日米財務相会談で米国が日本に円安・ドル高を是正するよう要求するとの観測が円を一段と押し上げた。だが会談前後にベッセント米財務長官や加藤勝信財務相がこうした観測を否定したことで、足元で円買いは一服している。
米国債と双璧をなす「安全資産」の金(ゴールド)には買いが殺到した。国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は22日に一時1トロイオンス=3509ドルと最高値を付けた。物価上昇と景気後退が併存する「スタグフレーション」の局面では、歴史的に金が買われる傾向がある。
一方、「デジタルゴールド」とも評された暗号資産(仮想通貨)のビットコインは政権発足後に一時、3割近く下落した。米国を「仮想通貨超大国」にするとのトランプ氏の発言から政権発足前に大きく買い込まれていた。足元ではトランプ政権への政策期待もあり、1BTC(ビットコインの単位)=9万ドルを上回る水準で取引されている。
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取引24時間化、米国株の魅力を向上 ナスダック社長[2025/04/26 03:17 日経速報ニュース 1493文字 画像有 ]
【ニューヨーク=竹内弘文】米証券取引所ナスダックのタル・コーエン社長は、同社が進める米国株取引の24時間化は外国投資家の取引需要を喚起し「米株全体の取引促進を促す」と述べ、米株の魅力を向上させるとの見方を示した。トランプ米政権の関税政策を巡る不透明感で市場動揺が続くが、ナスダック上場の「優良銘柄に対する投資家の関心は揺らいでいない」とも語った。
日本経済新聞の取材に応じた。コーエン社長はナスダックの市場サービス事業などを統括している。同社が3月に発表した24時間取引化の計画を担当する。ナスダックでは現在、通常取引時間と時間外取引をあわせて米東部時間の午前4時~午後8時に米国株を売買できる。2026年にも平日の24時間取引を始める予定だ。
米国株の夜間取引では「代替取引システム(ATS)」という取引所外の売買プラットフォームが先行する。米ブルーオーシャン・テクノロジーズが運営するATSは午後8時~翌日午前4時に取引サービスを提供している。米国株をリアルタイムで取引したいアジアの個人投資家の需要をくみ取ってきた。
ナスダックは後発組ながら「夜間取引には潜在的な需要がある」とコーエン氏は話す。「ブルーオーシャンなどのATSに比べ、証券取引所は厳格な規制環境のもと、より高い透明性を投資家に提供できる」という。株価の変動要因である買収や資金調達などのニュースが夜間に出た際も、「上場企業や規制当局と連携して対応することで投資家の信頼を高められる」とも説明した。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)も平日の取引時間を22時間に延ばす計画を公表している。23時間取引を目指す新証取「24Xナショナル・エクスチェンジ」も24年11月に米証券取引委員会(SEC)から承認を受けた。
コーエン氏は、平日24時間取引化に向けて証券業界を横断した議論の場を呼びかけ、標準的な取引時間の設定を目指す考えも明らかにした。「他の証取と取引時間をそろえることで運営上の複雑さを和らげ、(証券決済を手掛ける)米証券保管振替機関(DTCC)などの証券インフラと連携する」という。
取引時間を延ばして米株取引の魅力向上を図る背景には、別の他の金融資産の存在もある。「24時間年中無休で取引できる暗号資産(仮想通貨)のほか、先物取引のように既に平日24時間取引できる市場も存在する」(コーエン氏)。個人投資家のトレーディング需要を各資産が奪い合うなか、米株が埋没しないために使い勝手を高める必要があった。
23~24年に突出した運用成績を残した米株には足元で陰りが見える。
トランプ米大統領が2日に相互関税の詳細を発表すると、米経済や企業業績の先行き懸念が強まって米株相場は急落。ダウ工業株30種平均は4日に2231ドル安となり、史上3番目の下げ幅を記録した。トランプ氏が9日に相互関税の上乗せ分について一時停止を発表した後も荒い値動きが続いている。
ナスダック上場銘柄の多くも時価総額を大きく減少させた。ただ「(主要ハイテク株が多い)ナスダック100指数の構成銘柄は世界最高レベルの企業群であることに変わりなく、投資家からの関心も引き続き強い」とコーエン氏は指摘する。多量の売買注文にも対応できるよう、システム強化を継続的に進めているとも説明した。
Tal Cohen 米監査法人アーサー・アンダーセンで会計監査に携わった後、米アメリカン・エキスプレスで企業買収を担当。米証券インスティネットや売買プラットフォームのチャイエックスを経て、16年にナスダック入社。市場サービスと金融テクノロジーの事業を統括。
ビットコインの価格指標を公表 QUICK[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 137文字 PDF有 書誌情報]
QUICKは暗号資産(仮想通貨)価格の指標の公表を始めた。まず25日から代表的な仮想通貨のビットコインを対象に、円建ての取引価格に基づき試験的に算出する。仮想通貨で運用する上場投資信託(ETF)が国内でも将来的に組成されることを見据え、市場の実勢価格を示す指標を開発した。
愛媛銀行(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
愛媛銀行
(6月27日)副頭取(専務)豊田将光
▽専務(常務)矢野紀行
▽常務(常務執行役員)松井宏治
▽同(同)向井正知
▽取締役、服部守親
▽常勤監査役(監査)黒河勝久
▽監査役、児玉光載
▽退任(専務)松木久和
▽同(常務)仲本範之
▽同(取締役)真鍋正臣
▽同(常勤監査役)小網強史
▽同(同)安部和彦
松木氏は愛媛パートナーエージェント社長、愛媛ビル社長、仲本氏は愛媛ジェーシービー社長に就任する
常務執行役員(執行役員)佐々木哲也
▽同(同)中村哲也
▽同(同)渡辺義人
▽同(同)月岡純
▽執行役員、渡辺稔
▽同、伊東秀訓
▽同、明賀洋志
▽同、田原隆史
当選確率高まるクレカ、1年様子見て継続判断(ポイント賢者)[2025/04/26 日経プラスワン 3ページ 704文字 PDF有 書誌情報]
今年3月にドジャースと巨人の東京ドームでの試合を見てきました。チケットは争奪戦となり、入手が困難でしたが、なぜ筆者は購入できたのでしょうか。
答えは、ローソンチケット(ローチケ)の先行予約に参加できるクレジットカード「LEncoreカード」(年会費1650円)を保有していたからです。カード会員向けの先行抽選販売があり、おそらく一般抽選販売よりも当選確率が高かったとみられます。
チケットぴあのチケット先行抽選販売に参加できる「ぴあカード」(年会費初年度無料、2年目以降4180円)も同様のカードです。公演などのチケット当選確率が通常より高くなることがあります。
ただし、これらのクレカは通常の買い物の還元率は高くありません。LEncoreカードの基本還元率は0・5%です。還元率がもっと高いクレカは多いです。
それでも、行きたい公演のチケットを購入できる確率が上がるなら、年会費がかかっても「入手困難なチケットを入手しやすくなるクレカ」として十分お得です。
さまざまなクレカがあります。人気レストランやテーマパークの貸し切りに抽選で参加できるクレカもあります。趣味に合ったクレカを調べてみるのもよいでしょう。
ただ、抽選の場合は条件を確認して申し込みましょう。利用金額が多い方が優先されたり、手数料がかかるリボ払いや分割払いにすると当選確率が高まったりすることがあります。
当選確率や会員数は公開されておらず、抽選にはずれ続けることもあります。筆者も落選した公演は多く、一度も当たらない特典もあります。年会費有料のクレカは、1年間様子を見てから、継続を判断するのが良いでしょう。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)