東京のオフィス賃料、17年ぶり高値 人材獲得へ移転活発-日経オフィスビル賃貸料調査・2025年上期[2025/05/05 02:00 日経速報ニュース 1688文字 画像有 ]
東京のオフィス賃料が上がっている。日本経済新聞社がまとめた2025年上期のオフィスビル賃貸料調査によると、既存ビルの賃貸料指数は08年上期以来の高水準になった。人手不足を背景に人材獲得競争が激化するなか、企業が人材を呼び込むため交通利便性や設備などの整ったビルに移る動きが賃料相場を押し上げている。
調査はオフィス仲介大手4社から賃貸料(募集ベース)で聞き取り、1985年2月を100として指数化した。
東京の既存ビル(築後1年以上)の指数は165.81だった。前年同期比9.57ポイント(6%)高で、08年秋のリーマン・ショックの前にあたる08年上期以来17年ぶりの水準となった。既存ビルは賃貸市場の大半を占め、賃料の動きはオフィス需要の動向を反映しやすい。
最も賃料水準が高かったのは「丸の内~大手町」地区だ。3.3平方メートルあたりの中心値が4万5500円で、前年同期比8%上昇した。「八重洲~京橋~日本橋」地区や「渋谷~原宿」地区はともに14%の伸びだった。
人材採用を有利に進めようと利便性の高いオフィスビルに移る企業が多く、息の長い相場上昇につながっている。複数の鉄道路線で通いやすいビルや設備の整った築年数の浅いビルなどの引き合いが強まっている。
新型コロナウイルス禍からの出社回帰の流れが続き、コロナ前に比べ社員数が増えた企業が手狭になったオフィスから広いビルに移る動きも相場を支える。
不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE、東京・千代田)の岩間有史シニアディレクターは東京都心の大型オフィスに入居する企業の裾野が広がっているとみる。「従来は金融機関やコンサルティング、ITなど利益率の高い業種が多かったが、現在は小売りやアパレルなどからも需要がある」と話す。
旺盛な需要を受け、空室率は低下が続いている。オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると3月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.08ポイント低い3.86%だった。需給均衡の目安となる5%を下回る状況が8カ月続いている。前年同月と比較して1.61ポイント低かった。
23年の大型ビル開業ラッシュで地域内に空室が目立っていた港区もここに来て埋まってきた。23年11月に開業した麻布台ヒルズ(東京・港)には、マツダが25年初夏をめどにソフトウエアを中心とする開発拠点を新設し本社機能も移す計画だ。
建築費の高騰や人手不足で都心の新築ビルの開業が遅れていることもオフィス不足に拍車をかけている。CBREによると、24~28年にかけての新築ビルの供給量(24年12月末時点)は23年12月末時点の予測に比べて2割弱にあたる17万坪(1坪は3.3平方メートル)の下振れとなった。
東京の新築ビル(築後1年未満)の指数は203.08と前年同期と比べて33.43ポイント(20%)伸びた。1993年以来、32年ぶりの水準だった。
不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)の大東雄人シニアディレクターは「新築ビルは先々に完成予定のビルも予約で埋まり始めている」と話す。JR高輪ゲートウェイ駅(東京・港)に直結するかたちで今春開業した大型ビルにはKDDIなどが入居する。
大阪の既存ビルの指数は156.47で1年前より1.65ポイント(1%)低下した。大量供給された新築ビルに比べて立地や機能が劣り、空きが残ったビルが賃料を押し下げた。新築ビルは224.95で16.83ポイント(8%)の高い伸びだった。職場環境の改善に向けた移転の動きが目立った。梅田や淀屋橋の大型ビルの需要は強く、賃料水準は底堅いとの評価が多い。
地価や建設費、維持費などの上昇基調が続くのを受けて、賃料引き上げで補おうとするビルオーナー側の考えも根強く、相場の押し上げ材料は多い。一方、トランプ米政権の関税政策など、企業業績やオフィス需要の先行きにとっても不透明な要素も出てきている。様々な要素を乗り越えてオフィス市況が底堅さを持続するかが焦点となる。
(森川美咲、田村匠)
【関連記事】
・都心オフィス空室率、3月は3.86% 2カ月ぶりに低下
・三菱地所、「小さなオフィス」が高める丸の内の坪単価
・「オフィス需要回復、東京先行」 米不動産大手CEOに聞く
オフィス賃料17年ぶり高さ 東京、人材獲得へ環境改善 上期本社調査[2025/05/05 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1212文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社がまとめた2025年上期のオフィスビル賃貸料調査によると、既存ビルの賃貸料指数は08年上期以来の高水準になった。人手不足を背景に企業が人材を呼び込むため交通利便性や設備の整ったビルに移る動きが賃料相場を押し上げている。(関連特集を6日付に掲載)
調査はオフィス仲介大手4社から賃貸料(募集ベース)で聞き取り、1985年2月を100として指数化した。
東京の既存ビル(築後1年以上)の指数は165.81だった。前年同期比9.57ポイント(6%)高で、08年秋のリーマン・ショックの前にあたる08年上期以来17年ぶりの水準となった。既存ビルは賃貸市場の大半を占め、賃料の動きはオフィス需要の動向を反映しやすい。
最も賃料水準が高かったのは「丸の内~大手町」地区だ。3.3平方メートルあたりの中心値が4万5500円で、前年同期比8%上昇した。「八重洲~京橋~日本橋」地区や「渋谷~原宿」地区はともに14%の伸びだった。
人材採用を有利に進めようと考える企業から、複数の鉄道路線で通いやすいビルや設備の整った築年数の浅いビルなどの引き合いが強まっている。新型コロナウイルス禍からの出社回帰の流れが続き、コロナ前に比べ社員数が増えた企業が手狭になったオフィスから広いビルに移る動きも相場を支える。
不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE、東京・千代田)の岩間有史シニアディレクターは東京都心の大型オフィスに入居する企業の裾野が広がっているとみる。「従来は金融機関やコンサルティング、ITなど利益率の高い業種が多かったが、現在は小売りやアパレルなどからも需要がある」と話す。
旺盛な需要を受け、三鬼商事(東京・中央)によると3月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は3.86%と、需給均衡の目安となる5%を下回る状況が続く。
建築費の高騰や人手不足で都心の新築ビルの開業が遅れていることもオフィス不足に拍車をかけている。東京の新築ビル(築後1年未満)の指数は203.08と前年同期と比べて33.43ポイント(20%)伸びた。1993年以来、32年ぶりの水準。JR高輪ゲートウェイ駅(東京・港)に直結するかたちで今春開業した大型ビルにはKDDIなどが入居する。
大阪の既存ビルの指数は156.47で1年前より1.65ポイント(1%)低下した。新築ビルは224.95で16.83ポイント(8%)の高い伸びだった。梅田や淀屋橋の大型ビルの需要は強く、賃料水準は底堅いとの評価が多い。
地価や建設費、維持費などの上昇基調が続くのを受けて、賃料引き上げで補おうとするビルオーナー側の考えも根強く、相場の押し上げ材料は多い。一方、トランプ米政権の関税政策など、企業業績やオフィス需要の先行きにとっても不透明な要素も出てきている。様々な要素を乗り越えてオフィス市況が底堅さを持続するかが焦点となる。
タカ最下位脱出、若手が打線けん引(プロ野球)[2025/05/05 日本経済新聞 朝刊 21ページ 424文字 PDF有 書誌情報]
チーム全員の力で接戦をものにした。ソフトバンクは今季初の同一カード3連勝で、4月26日から定位置だった最下位を脱出。小久保監督も「ゴールデンウイークでファンもたくさん入っている中でいい試合ができた。これを続けていきたい」とうなずいた。
失点しても打線がしぶとく取り返した。0―2の四回に嶺井が同点の1号2ラン。初めてバッテリーを組んだ先発の前田純が2点を先制された直後に、試合を振り出しに戻した。五回は野村が左越えに豪快な2号ソロ。3―3とされた六回は広瀬隆が右前に勝ち越し打を放ち、七回にも緒方が適時打で続いた。
主力の離脱で出場機会を得た若手が躍動した。この日、首痛で欠場した栗原に代わり、三塁に就いた2年目の広瀬隆は「僕は自分の地位を確立することが大事」と結果を求め、今宮に代わって遊撃に入る28歳の野村は「(代役の)準備は十分すぎるくらいできていた」と待望のチャンスで必死にアピールを続ける。若手の勢いを原動力にここから反攻に転じていく。
ソフトバンク(会社人事)[2025/05/05 日経MJ(流通新聞) 6ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
ドコモ・ファイナンス(会社人事)[2025/05/05 日経MJ(流通新聞) 6ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
ドコモ・ファイナンス
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
5日(月)のスポーツ[2025/05/04 23:17 日経速報ニュース 400文字 ]
▽陸上=水戸招待(9時20分、ケーズデンキスタジアム水戸)
▽水泳=アーティスティックスイミング日本選手権最終日(11時20分、東京・アクアティクスセンター)
▽野球=東京六大学 早大×立大(12時、東京・神宮球場)、関西学生 立命大×近大、関学大×関大(10時30分、ほっともっと神戸)
▽サッカー=なでしこリーグ(13時、いちご宮崎新富サッカー場)
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・チャンピオンシップファイナル(16時10分、千葉・ららアリーナ東京ベイ)、黒鷲旗全日本選抜大会第3日(11時、Asueアリーナ大阪)
▽ハンドボール=リーグH(12時45分、堺市金岡公園体育館)
▽プロ野球=巨人×阪神(18時、東京ド)ヤクルト×広島(18時、神宮)中日×DeNA(14時、バンテ)西武×ソフトバンク(18時、ベルー)ロッテ×楽天(15時、ゾゾ)オリックス×日本ハム(18時、京セラ)〔時事〕
プロ野球・4日の試合結果[2025/05/04 18:16 日経速報ニュース 110文字 ]
◇セ・リーグ
広 島 9―4 中 日
巨 人 3―1 DeNA
ヤクルト 5―2 阪 神
◇パ・リーグ
日本ハム 3―2 西 武
楽 天 14―3 オリックス
ソフトバンク 5―3 ロ ッ テ
4日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/04 18:16 日経速報ニュース 720文字 画像有 ]
【ソフトバンク 5―3 ロッテ】ソフトバンクが今季初の同一カード3連勝で最下位を脱出した。0―2の四回2死二塁から嶺井が同点2ラン。五回に野村のソロ、六回には広瀬隆が適時打と効果的に加点した。ロッテは投手陣が粘れず、今季初の5連敗で最下位転落。
【日本ハム 3―2 西武】日本ハムは今季初登板の達が力強い直球を軸に6回を4安打1失点と好投して白星を挙げた。打線はレイエスが一回に2戦連発となる先制2ラン、三回に適時二塁打を放った。西武は連勝が6で止まり、隅田は3失点完投で今季初黒星。
【巨人 3―1 DeNA】巨人は三回に岡本の適時二塁打と岸田の適時打で2点を先行。六回にも岸田の1号ソロで加点した。グリフィンが6回2安打無失点で今季初勝利。中川、大勢、マルティネスとつなぎ逃げ切った。DeNAの東は6回3失点で今季初黒星。
【楽天 14―3 オリックス】楽天が今季最多の20安打14得点で連敗を4で止めた。堀内が3安打2打点、中島が4安打5打点をマークするなど下位打線が活発だった。岸は5回3失点で2勝目。オリックスは高島が二回途中で降板し、苦しい継投策となった。
【広島 9―4 中日】広島は先発の玉村が5回8安打4失点と粘投し、今季初勝利を挙げた。0―2の四回に打者12人で7安打の猛攻で7得点。七回に代打野間の2点打で加点した。中日は3季ぶりの登板となった岡田が、四回途中5安打4失点で黒星。
【ヤクルト 5―2 阪神】ヤクルトが連敗を3で止めた。石川は毎回の6安打を浴びながらも要所を締め、6回1失点で2勝目。1―1の七回に代打増田の2点三塁打と暴投で勝ち越した。阪神は伊原が七回のピンチで粘れず、プロ初黒星を喫した。〔共同〕
ソフトバンク 5―3 ロッテ[2025/05/04 16:06 日経速報ニュース 124文字 ]
◇みずほペイペイドーム(8回戦)ソフトバンク5勝3敗
ロッテ 000 201 000=3
ソフト 000 211 10X=5
〔勝〕藤井 1勝1敗
〔S〕オスナ 1勝1敗4S
〔敗〕小野 2敗
〔本〕嶺井1号(2)(小島)野村2号(1)(木村)
アラビア語学んだAI誕生 東工大出身の開発者が語る狙い-With AI インタビュー[2025/05/04 15:00 日経速報ニュース 2214文字 画像有 ]
アラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のトップランナーだ。UAEのアブダビ首長国は2019年、AIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。同大学で副学長(プロボスト)を務めるティモシー・ボールドウィン氏に戦略を聞いた。
【連載「With AI」】
・AIはどこまで仕事に役立つ? アニメ映画を2~3カ月で制作
・AI普及で世界は米欧化する? 自国の文化、開発力で守る
・乱造フェイクどう対応? 「情報汚染」阻むAI技術磨く
・AIが後継者問題を解決? 匠の技、学習・生成で伝承
――アブダビ首長国のAI企業インセプションと共同開発した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」の強みは何か。
アラビア語に重点を置いている点がほかのLLMと大きく異なる。学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深く、アラビア語の情報に対する計算効率が高い。地域ごとのアラビア語の微妙な違いにも対応できる。アラブ圏におけるAIの安全性にもつながる。オープン型の生成AIであるため、企業がローカルな環境で自由にカスタマイズできる。
Jaisの開発では、政府や図書館と密接に連携し、文献をデジタル化するときのデータを学習に使ってきた。ほかのLLMに比べ、最も包括的にアラビア語で書かれた文献をカバーしている。
――Jais開発の狙いは。
米メタや米オープンAIのような大手企業による「汎用」モデルは、アラブ圏の価値観や文化にはうまく適応していない。西洋のバイアスが強いアラビア語コンテンツを生成する傾向があり、経済活動においても実用的ではない。
アラビア語の地域による違いはかなり大きい。日本と似ている。アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。例えばモロッコで話している言葉とUAEで話している言葉は、日本語でいう標準語と秋田弁くらいの違いがある。公的な文書で使われている言葉と、人々が家にいるときや友人といるときに使う言葉もかなり異なる。
日本と異なるのは、アラビア語を話すときはその土地の言葉を使う点だ。標準アラビア語と呼ばれるものもあるが、人工的で話す人はほとんどいない。
――Jaisと米テック企業が開発したLLMの具体的な使い心地の違いは。
文化や地域における価値観が異なる。例えば、米国はバスケットボールが大好きなので、米国が作ったモデルにNBAのチームや選手に関して聞くと詳しい返答が出る。ただ、UAEのサッカーチームや政治について聞くと基本的な回答しか得られない。
イスラム教では「コーラン」の新しい詩句を作ることは厳しく禁じられている。もしほかのLLMに「コーランの新しい詩句を書いて」と聞けば、できてしまうだろう。ではJaisはできるか。Jaisにさせるのは非常に難しいはずだ。それは当然で、許容できないタブーがアラブ圏にはあるからだ。
――UAEのAI研究とMBZUAIの今後は。
UAEでは政府と企業の双方によるAI開発への強い動きがある。UAEはAI開発において急速に力を伸ばしている。MBZUAIは今後さらにAI人材の教育に力を入れる。これまでは大学院生のみだったが、25年8月には初めての学部生を迎える。
MBZUAIはアラビア語のJaisを共同開発したインセプションとともに、最近新しいLLMを開発し発表した。ヒンディー語を学習したモデルの「NANDA」とカザフ語の「SHERKALA」だ。
MBZUAIでは今後生命科学分野のAI研究に大きく焦点を当てる。遺伝子や細胞、個体全体の情報を扱い、新薬の開発などに利用できる生物学の基盤となるモデルを構築していきたい。もちろんJaisの改善にも力を入れ、新しいLLMの開発もしていく。
――日本のAI研究の現状と課題は。
日本は優秀な人材、特に若い人材を持っていると思う。ただ、AI産業においては現在の日本の発達は遅いと感じている。日本も成長しているが、米国や中国のペースに追いついてはいない。1990年代では、日本は機械学習のリーダーで基盤となる研究はいつも日本にあった。
ソフトバンクグループ(SBG)のような投資力のある企業が日本からAI開発のプレーヤーとしてここ数年目立ってきているのも事実だ。NTTや富士通、東芝のような企業もある。サカナAIのような世界で競争できる企業も出てきている。
日本の若い人材が、米国やUAE、英国などのAI研究のトップの国にどんどん学びにいくのがいいと考えている。グローバルな研究活動は、健全なことだ。その後のキャリアを積むときに、日本に戻ってきたらいい。
――自身が修士、博士課程の進学先に東京工業大学(現東京科学大学)を選んだ理由は。
オーストラリアのメルボルン大学の学部生だった当時、機械学習に興味があり日本はその分野のリーダーだった。日本語にも興味があった。正直に言って、日本に進学する以外考えていなかった。
日本の企業や研究機関とも交流があり、年に2~3回は来日している。世界で一番お気に入りの寿司屋には、日本に来る度に訪れている。温泉も好きだ。東京は自分には少し大きすぎてせわしなく感じるときもあるので、地方に足を伸ばすのもいい。日本を第二の故郷のように思っている。
(聞き手は下野谷涼子)
Timothy Baldwin オーストラリア出身。1995年に同メルボルン大学を卒業後、東京工業大学(現東京科学大学)で2001年に博士号取得。米スタンフォード大学、メルボルン大学などを経て22年にMBZUAI教授。24年より現職を兼任。専門は自然言語処理。
パウエル氏は何を語るか 薄商いで為替動きやすく-今週の市場[2025/05/04 04:00 日経速報ニュース 2237文字 画像有 ]
今週の最大の焦点は米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。市場では政策金利を据え置くとの見方が多い。7日の会合後、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今後の政策運営をどう示唆するかがポイントとなる。4月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数の伸びは市場予想を上回った。米景気には前向きな指標だが、トランプ米大統領は繰り返しFRBに利下げを求めている。政治と経済のバランスの取り方が注目される。
日経平均、3万7000円台を回復か
今週の日経平均株価は3万7000円台を回復するかが焦点となる。関税交渉の進展期待から市場では安堵が広がり、上昇基調が続いている。7日までのFOMC後のFRBのパウエル議長の発言に注目が集まる。
前週の日経平均は週間で1124円(3%)上昇した。1日までの日銀の政策決定会合後の記者会見で植田和男総裁がハト派の姿勢を示し、追加利上げの観測が後退。円安・ドル高にあわせて収益が改善するとの期待感から輸出関連株が中心に買われた。日本時間2日早朝の日米の関税交渉の第2回会合で為替が主要議題とならなかったことも円売りにつながった。
2日発表の4月の米雇用統計では失業率が低い水準にとどまり、堅調な内容だった。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは「今回の統計からは米国のリセッションリスクは考えにくく、米経済の底堅さを示すポジティブな内容だった」と話す。
6~7日にはFOMCが控える。野村証券の小高貴久シニア・ストラテジストは「パウエル氏が次の会合での利下げに期待をもたせる発言をすれば、米国株につられて日本株は押し上げられる」という。
ただ、円高リスクは残る。パウエル氏が利下げに前向きな発言をすれば、円高・ドル安が進行する。日本では大型連休で休場が続き市場参加者が少なくなる。浪岡氏は「過去の事例をみると休場の時は円高に振れる傾向がある」という。
今週は主要企業の決算発表が相次ぐ。国内では8日にトヨタ自動車やソフトバンク、任天堂などが予定している。5日には米パランティア・テクノロジーズ、7日にはデンマークのノボノルディスクが決算を控える。
金利 方向感定まりづらい
米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは方向感が定まりづらい展開か。前週は経済指標が弱めの結果を示したことを受け、利回りが低下(債券価格は上昇)する局面があった。今週は米金融政策の先行きに注目が集まるが、トランプ米政権の関税政策を巡る不確実性が強く意識されており、積極的な売買は手控えられそうだ。
6~7日のFOMCでは政策金利の据え置きが市場で確実視されているが、先行きの利下げ期待は根強い。会合後の記者会見などで利下げに慎重な姿勢が示されれば、金利に上昇圧力がかかる。
もっとも、一方向の値動きにはならないとの見方がある。みずほ証券の上家秀裕シニア債券ストラテジストは「トランプ関税の影響を市場は注視しており、不透明感が拭えない状況では積極的にポジションを傾けにくいため、どっちつかずの市場になりやすい」と話す。
国内では10年物国債入札が控える。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「日銀の利上げ観測自体は消えておらず、金利の先高観はある。現在の水準で需要を確認できるかが注目」と話した。
為替 下落余地探る
外国為替市場で対ドルの円相場は下落余地を探る展開か。前週は日銀の金融政策決定会合を経て利上げ観測が後退し、一時1ドル=145円台後半まで下落した。今週は日本側の材料を欠く中で、6~7日に開かれるFOMCに注目が集まる。
FOMCでは政策金利の据え置きが見込まれており、焦点は今後の利下げを示唆する姿勢が示されるかどうかにある。市場では年内3~4回の利下げを実施するとの見方が優勢だが、FRBは早期利下げに慎重な姿勢を示す。
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘マーケッツ本部長は「スタグフレーション懸念が残る中で、利下げに踏み込むような発言は出にくい。市場は利下げを織り込みすぎており、調整が進めば円安・ドル高要因になる」と話す。
日本は大型連休に入っている。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「市場参加者が少なく、値が飛びやすいのには注意が必要だ」と指摘する。
原油、需給緩和で弱含み
今週の原油相場は下値を試す展開となりそうだ。前週は米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の6月物が1日、一時1バレル56.39ドルと、4月9日以来で約3週ぶりの安値を付けた。主要産油国のサウジアラビアが一段と原油を増産するとの観測が浮上し、売りが広がった。今週も引き続き需給の緩みが警戒されそうだ。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成する「OPECプラス」は6月の原油増産を決めた。
金(ゴールド)の上値は限定的となりそうだ。前週、国際指標のニューヨーク先物(中心限月)はこれまでの急ピッチの価格上昇を受けた利益確定の売りが出た。貿易摩擦の緩和を背景に株式などに資金が戻ってきており、「安全資産」の金に対する需要が落ち込んでいる。
ピクテ・ジャパンの塚本卓治エグゼクティブ・ディレクターは「調整売りが入りやすい地合いになっている。リスクオンの状況が続けば金の上値は抑えられそうだ」と指摘する。
(石川智尋、荒川信一、高山智也)
5月4日―5月10日(今週の予定)[2025/05/04 日本経済新聞 朝刊 6ページ 517文字 PDF有 書誌情報]
■4日(日)
○アジア開発銀行(ADB)年次総会(イタリア・ミラノ、7日まで)
○ルーマニア大統領選
■6日(火)
○ドイツ連邦議会首相指名選挙
○米連邦公開市場委員会(FOMC、7日まで)
○3月の米貿易収支
■7日(水)
○十倉経団連会長会見
○24年7月~25年3月期決算=メルカリ
○1~3月期決算=日本たばこ産業
○3月期決算=LINEヤフー、横河電機、川崎汽船
○日銀当座預金増減要因(5月見込み)
○4月末の中国外貨準備高
■8日(木)
○3月期決算=トヨタ自動車、任天堂、ダイキン工業、ソフトバンク、武田薬品工業、JFEホールディングス(HD)、富士フイルムHD
○日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日分)
○4月の台湾貿易統計
■9日(金)
○1~3月期決算=日本マクドナルドHD
○3月期決算=日本製鉄、パナソニックHD、NTT、リクルートHD、三菱重工業、三井不動産
○3月の家計調査(総務省)
○3月の毎月勤労統計(厚労省)
○3月の景気動向指数(内閣府)
○ロシアの対独戦勝記念日
○4月の中国貿易統計
■10日(土)
○4月の中国消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)
【図・写真】アジア開発銀行の年次総会は4日に開幕する(昨年の年次総会)
4日(日)のスポーツ[2025/05/03 19:34 日経速報ニュース 660文字 ]
▽陸上=ゴールデンゲームズinのべおか(15時50分、宮崎・延岡市西階陸上競技場)
▽水泳=アーティスティックスイミング日本選手権第2日(11時20分、東京・アクアティクスセンター)
▽野球=東京六大学 慶大×東大、立大×早大(11時、東京・神宮球場)、首都大学(9時、神奈川・大和スタジアム)、関西六大学(9時30分、わかさ京都)
▽サッカー=WEリーグ(14時、埼玉・浦和駒場スタジアムほか)、JFL(13時、J―GREEN堺ほか)、なでしこリーグ(13時、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場ほか)
▽バレーボール=黒鷲旗全日本選抜大会第2日(11時、Asueアリーナ大阪)
▽バスケットボール=りそなB1リーグ(13時5分、千葉・ららアリーナ東京ベイほか)
▽ハンドボール=リーグH(12時、沖縄県立武道館アリーナ)
▽ラグビー=リーグワン(12時10分、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場ほか)
▽アメリカンフットボール=パールボウル・トーナメント(12時、富士通スタジアム川崎ほか)
▽ゴルフ=中日クラウンズ最終日(7時55分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース最終日(7時45分、千葉・浜野GC)
▽競馬=第2回東京第4日、第2回京都第4日(天皇賞・春)、第1回新潟第2日
▽プロ野球=DeNA×巨人(14時、横浜)阪神×ヤクルト(14時、甲子園)広島×中日(13時30分、マツダ)日本ハム×西武(13時、エスコ)楽天×オリックス(13時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(13時、みずペ)〔時事〕
プロ野球・3日の試合結果[2025/05/03 17:50 日経速報ニュース 108文字 ]
◇セ・リーグ
広 島 2―0 中 日
DeNA 1―0 巨 人
阪 神 7―1 ヤクルト
◇パ・リーグ
ソフトバンク 5―0 ロ ッ テ
西 武 4―3 日本ハム
オリックス7―0 楽 天
3日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/03 17:50 日経速報ニュース 714文字 画像有 ]
【DeNA 1―0 巨人】DeNAが競り勝った。バウアーが走者を出しながらも要所を締め、6安打で来日初完封し、今季2勝目を挙げた。打線は八回に松尾の犠飛で均衡を破った。巨人は拙攻が響いて好投の赤星を援護できず、連勝が4で止まった。
【阪神 7―1 ヤクルト】快勝した阪神は佐藤輝が3安打2打点と打線をけん引した。一回に5戦連続打点となる先制打を放ち、六回は適時三塁打。デュプランティエは速球が力強く、6回無失点で来日初勝利を挙げた。奥川が10安打を許したヤクルトは3連敗。
【西武 4―3 日本ハム】西武が逃げ切って2年ぶりの6連勝とし、2位に浮上した。先発の今井は要所を締め、7回無失点で3勝目。打線は四回にネビンのソロで先制し、六回に渡部聖の適時打で加点。七回に2点を奪った。日本ハムは連勝が3で止まった。
【ソフトバンク 5―0 ロッテ】ソフトバンクが2連勝。四回に山川の6号ソロで先制。2―0の六回は石塚の2点二塁打などで3点を加えて突き放した。大関は走者を出しながらも要所で踏ん張り、6回無失点で2勝目。ロッテは今季5度目の零敗で4連敗となった。
【オリックス 7―0 楽天】オリックスが3連勝。紅林が一回に先制打、五回にソロを放ち、八、九回に計5得点で突き放した。曽谷が7回無失点で約1カ月ぶりの白星となる2勝目。楽天は早川が六回途中2失点で3敗目を喫し、打線も振るわなかった。
【広島 2―0 中日】広島が連敗を7で止めた。床田が今季2度目の完封で3勝目。テンポ良く打たせて取り、散発3安打に抑えた。打線は三回に中村奨の適時打で先制。六回に末包の適時打で加点した。中日は5度目の零敗で連勝が4でストップ。〔共同〕
ソフトバンク 5―0 ロッテ[2025/05/03 16:38 日経速報ニュース 101文字 ]
◇みずほペイペイドーム(7回戦)ソフトバンク4勝3敗
ロッテ 000 000 000=0
ソフト 000 113 00X=5
〔勝〕大関 2勝2敗
〔敗〕石川柊 1敗
〔本〕山川6号(1)(石川柊)
ロッテ・益田直也、登録抹消 2日に3失点でサヨナラ負け[2025/05/03 14:08 日経速報ニュース 213文字 ]
通算250セーブまであと4としているロッテの益田直也投手が3日、出場選手登録を外れた。2日のソフトバンク戦で3―1の九回に登板し、3失点と崩れてチームはサヨナラ負けした。今後は2軍で再調整する。
建山投手コーチは「直球の出力がまだ本来のものじゃない。取り返しのつく時期にしっかりやれることをやって、よりベストになろうということ」と説明。抑えについては「バッターとの兼ね合いを見ながら、やりくりしていきます」と話した。〔共同〕
相次ぐ証券口座乗っ取り 顔認証やスマホ認証で自衛を[2025/05/03 05:00 日経速報ニュース 1613文字 画像有 ]
大手証券会社のインターネット口座が相次いで乗っ取られ、不正操作の被害が広がっている。日本証券業協会は事態を深刻に受け止め、会員企業に顔認証やスマホの電話番号認証など文字情報とは異なる複数の本人確認手段を組み合わせる「多要素認証」を導入するよう求めた。パスワード認証の脆弱性と有効な対策についてまとめた。
①想定される手口は?
2日時点で、乗っ取りの手口は明らかになっていないものの、不正アクセスの手口は大きく分けて2種類ある。
1つはユーザーに偽メールを送りつけて偽サイトのリンクに誘導した上で、IDやパスワードなどの認証情報を入力させて窃取する「フィッシング」。証券口座ならば偽メールの内容は「お客様の口座に不正利用の疑いがある」や「契約の重要なお知らせ」といった言葉でリンク先に誘導する。
フィッシング対策協議会によると、2025年3月に国内で報告されたフィッシング詐欺は約25万件で過去最高となった。直近1年間では、毎月10万~20万件の報告があるという。
もう一つは、マルウエア(悪意のあるプログラム)をパソコンなどに感染させて端末内の認証情報を技術的に盗む方法だ。
SOMPOホールディングスグループのSOMPOリスクマネジメント(東京・新宿)は25年2月にマルウエアの内部データを分析し、国内企業500社のうち22%が漏洩被害を受けているとする調査結果を公表した。
5月1日に被害を明かした著名投資家のテスタさん(ハンドルネーム)は、X(旧ツイッター)で被害の詳細を投稿した。証券会社からメールが届いて確認したところ、身に覚えのない注文を前日夜にした履歴があったという。
テスタさんは「ログインやパスワードを打つというようなことは絶対していません」とも投稿しており、乗っ取りの手口は不明のままだ。
②パスワードや2段階認証、なぜ脆弱?
パスワードだけの認証では、流出した際に簡単に不正ログインされる恐れがある。IDやパスワードなどの「知識要素」に加えて、スマホやパソコンに通知が送られるなどの「所持要素」、顔認証や指紋などの「生体要素」の複数の認証技術を組み合わせる多要素認証を設定しておけば、不正アクセスを防ぎやすい。
注意すべきは、多要素認証は「2段階認証」とは異なる点だ。2段階認証は、たとえばIDとパスワードを入力した後に「秘密の質問」の答えを入力するといった方法だ。一見すると強力に思えるが、秘密の質問はパスワードと同じ知識要素。このため答えがパスワードとともに漏洩すれば意味がない。
スマホ認証などの所持要素の手段には、一度きりの利用で更新される「ワンタイムパスワード」も一般的だ。ただ、会社側が利用を推奨していても利用者がワンタイムパスワードの設定をしていない場合もある。よりセキュリティーを強めるには、ユーザー側でも複数の認証要素を設定しておく必要がある。
③新しい技術「パスキー」とは
パスワードに頼らない認証手段として、国内外で導入が進むのは「パスキー」と呼ばれる新技術だ。米アップルと米グーグル、米マイクロソフトなど巨大テックが22年に導入に向けた連携を発表し注目された。国際的な推進団体によると、24年12月時点で全世界で延べ150億のユーザーアカウントで使えるという。
パスワード認証などではログインの際に認証情報をサービス運営者側に送って照合する必要があった。一方、パスキーはサービス運営者側が利用者のスマートフォンやパソコンなどの端末に本人認証を要求する。端末内で指紋や顔画像と照合し、認証情報は送信されてないため「鍵」の漏洩リスクが低い。
国内ではメルカリやNTTドコモが導入し、不正ログイン対策に効果を発揮しているという。証券会社などサービス事業者側に頼るだけでなく、利用者側も認証技術の特徴を把握し、より強力な認証設定を複数選んで組み合わせる自衛策が欠かせない。
(岩沢明信)
【関連記事】
・証券口座情報、盗難の手口にコンピューターウイルスも
・証券口座乗っ取り、警察庁や金融庁などが注意喚起
・著名個人投資家のテスタさん、証券口座乗っ取り被害に遭う
来週の予定 米FOMC結果発表・FRB議長会見 トヨタなど決算[2025/05/03 01:54 日経速報ニュース 1400文字 ]
◇5日(月)
・東京市場が休場(こどもの日)
・上海、深、香港、韓国、タイ市場が休場
・英国市場が休場
・4月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数(23:00)
・米3年物国債入札
◇6日(火)
・東京市場が休場(みどりの日の振り替え休日)
・韓国市場が休場
・3月の米貿易収支(21:30)
・米10年物国債入札
・海外1~3月期決算=アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
◇7日(水)
・5月の日銀当座預金増減要因見込み(8:50)
・3月期決算=LINEヤフー、川崎汽
・1~3月期決算=JT
・7~3月期決算=メルカリ
・3月のユーロ圏小売売上高
・ポーランド中銀が政策金利を発表
・ブラジル中銀が政策金利を発表
・米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表(8日3:00)
・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見(8日3:30)
・3月の米消費者信用残高(8日4:00)
・海外1~3月期決算=ウォルト・ディズニー
◇8日(木)
・日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分、8:50)
・6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・10年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・4月の輸入車販売(日本自動車輸入組合、10:30)
・4月の車名別新車・軽自動車販売(自販連、全軽自協 11:00)
・4月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)
・3月期決算=味の素、イビデン、武田、富士フイルム、JFE、ダイキン、オムロン、IHI、トヨタ、三菱自、バンナムHD、任天堂、郵船、ソフトバンク(SB)、NTTデータ、コナミG
・1~3月期決算=SUMCO、花王
・マレーシア中銀が政策金利を発表
・英中銀が政策金利を発表
・スウェーデン中銀が政策金利を発表
・ノルウェー中銀が政策金利を発表
・週間の米新規失業保険申請件数(21:30)
・1~3月期の米労働生産性指数(速報値)(21:30)
・3月の米卸売在庫・売上高(23:00)
・米30年物国債入札
◇9日(金)
・閣議
・3月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)
・3月の家計調査(総務省、8:30)
・4月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
・3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・3月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)
・3月期決算=ディーエヌエ、JX金属、日本製鉄、住友鉱、リクルート、TOWA、ミネベア、パナHD、芝浦電子、太陽誘電、三菱重、川重、スクリン、SBI、マネックスG、三井不、京成、NTT
・1~3月期決算=クボタ、ユニチャーム
・10~3月期決算=ホトニクス
・4月の中国貿易統計
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(18:10)
・バーFRB理事が講演(19:45)
・クグラーFRB理事が講演(21:30)
・ウォラーFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日0:30)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(10日0:30)
・クックFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日8:45)
◇10日(土)
・4月の中国消費者物価指数(CPI、10:30)
・4月の中国卸売物価指数(PPI、10:30)
(注)時間は日本時間
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
来週のマーケット展望 円相場は底堅い、株は上昇一服か[2025/05/03 01:53 日経速報ニュース 1773文字 ]
来週(5~9日)の外国為替市場で円相場は底堅く推移しそうだ。今週は日銀の早期利上げ観測が後退し、大幅に円安・ドル高が進んだ。米関税交渉を巡る懸念が和らぎつつあるなか、市場では「円相場と日米金利差の連動が復活する場面が増えそうだ」との声がある。米連邦準備理事会(FRB)が7日まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを進める姿勢を示せば、円買い・ドル売りが入りそうだ。週初は国内が大型連休で市場参加者が少なく、値幅が大きくなる可能性もある。
7~9日の日経平均株価は上昇一服か。今週の日本株は米株高に連れ高したほか、日銀の利上げ観測後退による円安・ドル高の進行で輸出関連に見直し買いが広がった。ただ買い一巡感も出てきており、日経平均のチャート上では75日移動平均(3万7100円台)が戻りめどとして意識される可能性がある。FOMCの結果を受けて米株式市場が不安定になれば、いったん3万5000円台まで下落する場面もありそうだ。
【主な予定】
◇5日(月)
・東京市場が休場(こどもの日)
・上海、深セン、香港、韓国、タイ市場が休場
・英国市場が休場
・4月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数(23:00)
・米3年物国債入札
◇6日(火)
・東京市場が休場(みどりの日の振り替え休日)
・韓国市場が休場
・3月の米貿易収支(21:30)
・米10年物国債入札
・海外1~3月期決算=アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
◇7日(水)
・5月の日銀当座預金増減要因見込み(8:50)
・3月期決算=LINEヤフー、川崎汽
・1~3月期決算=JT
・7~3月期決算=メルカリ
・3月のユーロ圏小売売上高
・ポーランド中銀が政策金利を発表
・ブラジル中銀が政策金利を発表
・米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表(8日3:00)
・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見(8日3:30)
・3月の米消費者信用残高(8日4:00)
・海外1~3月期決算=ウォルト・ディズニー
◇8日(木)
・日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分、8:50)
・6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・10年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・4月の輸入車販売(日本自動車輸入組合、10:30)
・4月の車名別新車・軽自動車販売(自販連、全軽自協 11:00)
・4月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)
・3月期決算=味の素、イビデン、武田、富士フイルム、JFE、ダイキン、オムロン、IHI、トヨタ、三菱自、バンナムHD、任天堂、郵船、ソフトバンク(SB)、NTTデータ、コナミG
・1~3月期決算=SUMCO、花王
・マレーシア中銀が政策金利を発表
・英中銀が政策金利を発表
・スウェーデン中銀が政策金利を発表
・ノルウェー中銀が政策金利を発表
・週間の米新規失業保険申請件数(21:30)
・1~3月期の米労働生産性指数(速報値)(21:30)
・3月の米卸売在庫・売上高(23:00)
・米30年物国債入札
◇9日(金)
・閣議
・3月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)
・3月の家計調査(総務省、8:30)
・4月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
・3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・3月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)
・3月期決算=ディーエヌエ、JX金属、日本製鉄、住友鉱、リクルート、TOWA、ミネベア、パナHD、芝浦電子、太陽誘電、三菱重、川重、スクリン、SBI、マネックスG、三井不、京成、NTT
・1~3月期決算=クボタ、ユニチャーム
・10~3月期決算=ホトニクス
・4月の中国貿易統計
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(18:10)
・バーFRB理事が講演(19:45)
・クグラーFRB理事が講演(21:30)
・ウォラーFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日0:30)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(10日0:30)
・クックFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日8:45)
(注)時間は日本時間
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
日本は自由貿易の旗手になれ(大機小機)[2025/05/03 日本経済新聞 朝刊 15ページ 902文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策に対して、自由貿易を破壊しグローバリズムに幕を引くものだという批判が相次いでいる。また、関税政策が米国の製造業の復活につながるかについても、過去と同じ過ちを繰り返すだけだとして懐疑的な見方が多い。
さらに、関税引き上げの実体経済へのマイナス影響も懸念される。関税引き上げは、成長を抑制し、物価を押し上げる。政策の不透明性は投資を抑制し、米国が景気後退に陥る恐れもある。こうした懸念が株式市場ばかりか債券、為替市場を動揺させている。
米国自身にも相手国にもダメージを与える愚かな関税政策は撤回されるべきである。
しかし、関税政策の落ち着き先に関わらず、グローバリズムは戻ってこない。トランプ政権発足の前から、グローバリズムはすでに後退していたからである。
中国は自由貿易体制を利用しつつ、国家ぐるみで不公正、不公平な競争の下、製造業、先端産業を育成し、世界を席巻しようとしてきた。
対する米国は、雇用を守るだけでなく経済安全保障の観点からも、製造業を守ろうとしている。今回、過激な関税政策に訴えたのは米国が切羽詰まっていることの表れであろう。関税政策の最大のターゲットが中国であることは明白だ。
米国は中国を孤立させようとしているとみられる。貿易相手国との交渉を通じて、中国から他国を経由して米国に製品が流れ込むのを阻止し、対中デカップリング(分断)を進めようとしている。ただ、対中軟化の気配もあり、トランプ政権が一枚岩かは不明である。一方の中国は報復関税に訴えるだけでなく、貿易相手国を米国から離反させようと動いている。このため、多くの国が米中どちらにつくか板挟みになっている。
貿易戦争を超えた対立激化も懸念される新冷戦下で、日本はどうすればいいのか。対米交渉で関税撤回を求めるのは当然であるが、同時に外圧を奇貨として、わが国の関税、非関税障壁の見直しを聖域なく行うべきである。
そして、改めて環太平洋経済連携協定(TPP)の枠組みを使って米国の友好国だけでなく、板挟みになる多くの国を募って、自由貿易体制を構築していくべきである。日本がその旗手となることを期待する。(追分)
プロ野球・2日の試合結果[2025/05/02 21:56 日経速報ニュース 94文字 ]
◇セ・リーグ
阪 神 4―0 ヤクルト
中 日 4―2 広 島
DeNA 中 止 巨 人
◇パ・リーグ
ソフトバンク 4―3 ロ ッ テ
楽 天 中 止 オリックス
2日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/02 21:55 日経速報ニュース 366文字 画像有 ]
【阪神 4―0 ヤクルト】阪神が連敗を4で止めた。村上は2年ぶりの完封でリーグ単独トップの5勝目。球の走り、切れともに申し分なく、無四球で単打5本に抑えた。六回に佐藤輝、大山の連続適時打などで3点先行し、七回に加点。ヤクルトは連日の零敗。
【関連記事】阪神・村上頌樹、これがエース 9連戦のさなかで完封
【中日 4―2 広島】中日が今季初の4連勝。高橋宏は球威ある直球を軸に、7回2失点で2勝目を挙げた。打線は0―2の三回にボスラー、カリステの連打で3得点。五回もカリステの適時打で加点した。広島は7連敗。森下が6回10安打4失点と崩れた。
【ソフトバンク 4―3 ロッテ】ソフトバンクが今季初のサヨナラ勝ちで、連敗を5で止めた。1―3の九回2死一、二塁から牧原大の左前適時打で1点差に迫り、なお満塁として代打川瀬が左中間二塁打で試合を決めた。ロッテは抑えの益田がリードを守れず3連敗。〔共同〕
ソフトバンク 4―3 ロッテ[2025/05/02 21:08 日経速報ニュース 99文字 ]
◇みずほペイペイドームN(6回戦)3勝3敗
ロッテ 300 000 000=3
ソフト 000 010 003X=4
〔勝〕大山 1勝
〔敗〕益田 1勝1敗3S
〔本〕ポランコ4号(3)(有原)
3日(土)のスポーツ[2025/05/02 20:35 日経速報ニュース 1148文字 ]
▽陸上=静岡国際大会(9時30分、静岡・エコパスタジアム)
▽水泳=アーティスティックスイミング日本選手権第1日(11時30分、東京・アクアティクスセンター)
▽野球=東京六大学 早大×立大、東大×慶大(11時、東京・神宮球場)、首都大学(9時、神奈川・大和スタジアム)、関西六大学(9時30分、わかさ京都)
▽サッカー=JFL(13時、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場ほか)、なでしこリーグ(13時、J―GREEN堺)、関東大学(14時、東京・明大八幡山グラウンドほか)、関西学生(11時30分、京都・洛西浄化センター公園ほか)
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・男子、女子チャンピオンシップファイナル(12時10分、東京・有明アリーナ)、黒鷲旗全日本選抜大会第1日(10時、Asueアリーナ大阪)
▽バスケットボール=りそなB1リーグ(14時5分、横浜BUNTAIほか)
▽ハンドボール=リーグH(12時30分、愛知・枇杷島スポーツセンターほか)
▽ラグビー=リーグワン(13時、東京・味の素スタジアムほか)
▽アメリカンフットボール=パールボウル・トーナメント(12時、東京・アミノバイタルフィールドほか)、グリーンボウル(12時、大阪・MKタクシーフィールドエキスポ)
▽ゴルフ=中日クラウンズ第3日(6時50分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース第2日(7時、千葉・浜野GC)
▽競馬=第2回東京第3日、第2回京都第3日、第1回新潟第1日
▽プロボクシング=東洋太平洋(OPBF)フライ級タイトル戦 飯村樹輝弥(角海老宝石)×エスネス・ドミンゴ(フィリピン)、日本ライト級王座決定戦 村上雄大(角海老宝石)×仲里周磨(オキナワ)ほか(17時45分、東京・後楽園ホール)
▽プロ野球=DeNA×巨人(14時、横浜)阪神×ヤクルト(14時、甲子園)広島×中日(14時、マツダ)日本ハム×西武(14時、エスコ)楽天×オリックス(14時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(14時、みずペ)
▽Jリーグ=J1 広島×福岡(13時、Eピース)新潟×F東京(14時、デンカS)清水×名古屋(14時、国立)鹿島×町田(15時、カシマ)浦和×東京V(15時、埼玉)G大阪×湘南(15時、パナスタ)神戸×岡山(15時、ノエスタ)京都×C大阪(19時、サンガS)、J2 仙台×山口(13時、Qスタ)いわき×秋田(13時、ハワスタ)甲府×徳島(13時30分、JITス)山形×札幌(14時、NDスタ)大宮×富山(14時、NACK)藤枝×水戸(14時、藤枝サ)今治×磐田(14時、アシさと)鳥栖×千葉(14時、駅スタ)大分×熊本(14時、クラド)長崎×愛媛(16時、ピースタ)、J3(14時、CFSほか)〔時事〕
東証大引け 日経平均、7日続伸 関税交渉の進展期待で 続伸記録は1年8カ月ぶり長さ[2025/05/02 15:58 日経速報ニュース 1271文字 ]
2日の東京株式市場で日経平均株価は7日続伸し、終値は前日比378円39銭(1.04%)高の3万6830円69銭だった。7日続伸は2023年8月28日~9月6日の8日続伸以来、1年8カ月ぶりの長さ。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退し、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高に振れた。自動車など主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入った。日米や米中の関税交渉の進展期待も投資家心理を強気に傾け、日経平均の上げ幅は一時500円を超えた。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。会談に出席した赤沢亮正経済財政・再生相が記者団の取材に応じ「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。
日本政府内で6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて日米関税交渉の大枠での合意をめざすシナリオも浮上しており、市場の関心が高かった第2回会合を波乱なく通過したとの受け止めは買い安心感につながった。中国商務省は2日、米国が関税交渉を求めて中国側に複数回接触してきたと明かし「評価を進めている」と報道官談話で表明した。米中貿易摩擦が緩和方向に向かうとの期待も株買いを後押しした。
テクニカル分析上では3月後半以降の急落相場でチャート上に空けた5つの「窓」のうち3つ目の窓まで埋めた。きょうの上昇で、3月31日の高値(3万6440円)と同28日の安値(3万6864円)との間にできた窓埋めを達成した格好だ。戻り相場では窓埋めが早ければ早いほど、売り方の買い戻しが活発化するため、想定以上の上昇になりやすい点も株高に弾みをつけた。
もっとも前日までの6日続伸で日経平均は2200円あまり上昇しており、買い一巡後は売りに押された。日本は明日からゴールデンウイークの大型連休に入るとあって、持ち高調整目的の売りも出やすく、心理的節目の3万7000円付近では上値の重さが目立った。
東証株価指数(TOPIX)は8日続伸した。8日続伸は23年12月29日~24年1月15日以来の長さ。終値は8.34ポイント(0.31%)高の2687.78だった。JPXプライム150指数も8日続伸し、9.02ポイント(0.76%)高の1194.67で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆7505億円、売買高は19億7112万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は817。値下がりは766、横ばいは52だった。
ファストリやダイキン、信越化が高い。アドテストやソフトバンクグループ(SBG)、ソニーGが上昇した。トヨタやホンダ、デンソーが買われた。一方、TDKや東エレク、エプソンが安い。伊藤忠や三菱商が下落した。日銀の早期利上げ観測の後退を受け、三菱UFJや三井住友FG、コンコルディなど銀行株の売りが目立った。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
メルカリ、「メルカリモバイル」におけるサービスの利用動向を公開[2025/05/02 14:24 日経速報ニュース 1068文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年05月02日
メルカリ、「メルカリモバイル」におけるサービスの利用動向を初公開
~ギガの購入・出品でおトクな料金が実現
1GBあたりの平均価格は36円(※1)、20GBで200円の購入事例も~
株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、2025年3月に開始したモバイルサービス「メルカリモバイル」上で、データ通信量(ギガ)を「メルカリ」のように個人間で売り買いできる日本初の機能がどのように利用されたか(※2)をまとめましたので、お知らせいたします。
※1 : 2GB以上で取引された場合の平均価格
※2 : 集計期間 : 2025年3月4日~4月25日、集計対象 : メルカリモバイルをご契約されたすべてのお客さま
*参考画像は添付の関連資料を参照
■「メルカリモバイル」について
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https://release.nikkei.co.jp/attach/690594/01_202505021422.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690594/02_202505021422.pdf
東証前引け 日経平均は続伸 一時500円高 日米交渉に安心感、円安支え[2025/05/02 11:51 日経速報ニュース 1030文字 ]
2日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比253円23銭(0.69%)高の3万6705円53銭だった。上げ幅は一時500円を超えた。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退しており、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高に振れた。自動車など主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入ったほか、日米関税交渉の進展期待も投資家心理の改善につながった。ただ、買い一巡後は利益確定や戻り待ちの売りに押され、上げ幅を縮小した。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。赤沢亮正経済財政・再生相とベッセント米財務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表、ラトニック商務長官が会談した。会談後に記者団の取材に応じた赤沢経財相は「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。市場の関心が高かった第2回会合を波乱なく通過したと受け止められ、株買いを後押しした。赤沢経財相が今後の交渉を踏まえ、6月にも首脳間で合意することが望ましいとの考えを示したことも買いを誘った。
もっとも前日までの6日続伸で日経平均は2200円あまり上昇しており、買い一巡後は売りに押された。日本は明日からゴールデンウイークの大型連休に入るとあって、持ち高調整目的の売りも出やすかった。市場では「米関税政策を巡って過度な懸念は和らいでいるものの、トランプ米大統領の発言次第で株式相場が乱高下する可能性があり、連休前に手じまい売りを出す動きが広がった」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは4.17ポイント(0.16%)高の2683.61だった。JPXプライム150指数も続伸した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3365億円、売買高は9億5542万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は488。値下がりは1085、横ばいは62だった。
ファストリやダイキン、KDDIが高い。信越化やトヨタ、ホンダが上昇した。任天堂や大塚HD、第一三共が買われた。一方、アドテストや東エレクが安い。TDKやエプソン、ディスコが下落した。三菱UFJや三井住友FGなど銀行株が売られた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東証10時 日経平均、一時500円高に上げ幅拡大 円安進行が支え[2025/05/02 10:18 日経速報ニュース 623文字 ]
2日前場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は上げ幅を拡大し、前日比520円ほど高い3万6900円台後半まで強含む場面があった。日銀の早期利上げ観測が後退するなか、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高方向に振れている。円安進行に歩調を合わせて株価指数先物に断続的な買いが入っているとみられ、日経平均を押し上げている。
日米両政府が日本時間2日早朝に開いた関税交渉の第2回会合が波乱なく通過したと受け止められていることも、株買いを後押ししている。2日から事務レベルでの協議を始めることで一致したほか、5月中旬以降に改めて閣僚級の会合を開くという。交渉に出席した赤沢亮正経済財政・再生相は会談終了後、記者団から6月の首脳間の合意が念頭にあるか問われたのに対し「そういう段階に入れればいいと思っている」と話し、来月の首脳間の合意も視野に交渉を急ぐ考えを示した。市場では「日米交渉の進展期待が広がっており、買い安心感につながっている」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれた。
10時現在の東証プライムの売買代金は概算で1兆3651億円、売買高は5億8228万株だった。
ファストリや東エレク、ダイキンが一段高。信越化やソフトバンクグループ(SBG)が上昇した。トヨタやホンダ、デンソーが買われた。一方、TDKやエプソンが安い。ディスコやアドテスト、三菱UFJが下落した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東証寄り付き 日経平均、続伸 上げ幅400円超 米株高支え、日米交渉は波乱なく[2025/05/02 09:28 日経速報ニュース 811文字 ]
2日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸で始まり、前日に比べ410円ほど高い3万6800円台後半まで上げ幅を広げている。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退し、外国為替市場で円相場が1ドル=145円台と前日夕時点から円安・ドル高方向に振れている。主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入りやすいことも相場を支えている。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。赤沢亮正経済財政・再生相とベッセント米財務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表、ラトニック商務長官が会談した。会談後に記者団の取材に応じた赤沢経財相は「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。市場の関心が高かっただけに、重要イベントを波乱なく通過したとの受け止めは買い安心感につながっている。
1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は8日続伸し、約1カ月ぶりの高値で終えた。マイクロソフトなど主力ハイテク株の一角が好決算を受けて大幅上昇したためで、きょうの東京市場でも値がさの半導体関連などハイテク株の上昇が目立つ。ただ、1日に2025年1~3月期決算を発表した米アップルが時間外取引で下落した。売上高と1株利益はともに市場予想を上回ったが、トランプ米政権の関税引き上げに伴う需要減を警戒する売りに押された。東京市場でもTDKなど電子部品株の一角には売りが出て相場の重荷となっている。
東証株価指数(TOPIX)は続伸している。
ファストリやソフトバンクグループ(SBG)、信越化が高い。東エレクやトヨタ、ホンダが上昇した。任天堂やオリンパスが買われた。一方、エプソンが安い。リクルートやニトリHD、日本取引所が下落した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
ドコモ・ファイナンス(会社人事)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
ドコモ・ファイナンス
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
スターゲートが開くAI革命 解剖・ソフトバンクG 「人工超知能」実現へ 孫氏、半導体に「オールイン」[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2326文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、人類の未来のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」。それから半年後、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月、ホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
ロボット構想も
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英アーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
「礎ができた」
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。
AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年に10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔)
【図・写真】日本企業との会合に出席したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(右)とオープンAIのサム・アルトマンCEO(2月3日、東京都千代田区)
ソフトバンクGなど、米AI新興に出資 155億円、クラウド利用支援[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 398文字 PDF有 書誌情報]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
上場企業の7割増益 円安・AI半導体、追い風 前期最終、収益力の持続性焦点[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1535文字 PDF有 書誌情報]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152・5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。
フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
中国の対トランプ戦略(大機小機)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 17ページ 923文字 PDF有 書誌情報]
「貿易戦争に勝者はいない」と言う。正鵠(せいこく)を射る指摘である。国際通貨基金(IMF)は貿易戦争によって、2026年の国内総生産(GDP)が米国と中国ではともに2・2%、世界全体でも2%押し下げられるシナリオを想定している。
しかし、その指摘が習近平(シー・ジンピン)中国国家主席によってなされ、中国が自由貿易の旗手であるかのように振る舞う姿には違和感と危うさを禁じ得ない。
中国はトランプ関税に対して中国共産党のメンツにかけても徹底的かつ粛々と抗戦している。米国が場当たり的であるのと対照的に中国は計算ずくの対応のように見える。
「目には目を」で関税を引き上げ、ハイテク製品に必要なレアアース(希土類)の輸出規制も実施している。金融面では米国債売却も中国にとっての切り札となる。他の新興諸国とも連携して「脱ドル化」を加速化させることは中国の金融戦略にもかなう。
もちろん、中国も内心は穏やかではないだろう。不動産市場の構造調整圧力に見舞われている中では更なる景気悪化の代償は小さくない。1990年代半ばにかけての日米の貿易摩擦激化と円高がバブル崩壊後の日本経済の調整を長期化させ、国力をそいだことも中国は熟知している。
中国は米国に限定せずに輸入に関わる障壁を減らし、輸入大国としての世界経済への貢献を言い立てることになるだろう。加えて不動産市場の安定化を図りつつ、個人の将来不安の緩和につながる改革を進めることも個人消費と輸入を拡大させ、経済の構造転換に資するものとなる。
100%を超える関税を相互にかけ合う現状は持続可能ではない。米国が関税引き下げを示唆するのも当然だ。交渉の行方が注目されるが、世界秩序に関わる「ディール」の有無にも留意したい。
習氏は2017年にトランプ米大統領との共同会見で「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と語った。米国は当時以上に内向き志向を強めている。米中の不干渉・分割統治論が再浮上すれば、日本の国益は大きく損なわれかねない。
「世界は100年に1度の大変動を迎えているが、時勢は我々の味方である」。習氏の常とう句である。数十年先を見据えた中国の大戦略を侮ってはいけない。(倫敦塔)
手負いのタカ5連敗 上沢、七回決勝ソロ被弾(プロ野球)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 29ページ 606文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム ソフトバンク
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。
今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。
「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【図・写真】七回、日本ハム・万波(奥)に勝ち越し本塁打を浴びたソフトバンク・上沢
プロ野球・1日の試合結果[2025/05/01 23:31 日経速報ニュース 105文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
DeNA 3―0 ヤクルト
中 日 3―2 阪 神
◇パ・リーグ
西 武 2―1 楽 天(延長10回)
日本ハム 3―2 ソフトバンク
1日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 570文字 画像有 ]
【巨人4―3広島】巨人がサヨナラ勝ちで今季初の4連勝。0―3の二回に岡本のソロ、三回に吉川の適時打で追い上げ、六回にキャベッジのソロで同点とし、延長十二回2死一塁から吉川の適時三塁打で勝負を決めた。広島は6連敗で4位転落。
【日本ハム3―2ソフトバンク】日本ハムが3連勝。古林睿煬が力強い直球を軸に7回5安打2失点でまとめ、来日初勝利を挙げた。打線は0―2の五回に同点とし、七回に万波の6号ソロで勝ち越し。ソフトバンクは今季2度目の5連敗。上沢は7回3失点で2敗目。
【関連記事】手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾
【中日3―2阪神】中日が3連勝で勝率5割に戻した。プロ初先発の三浦が粘って5回2失点にまとめ、初勝利。2―2の五回2死一、三塁から挟殺プレーの間に三塁走者の岡林が生還して勝ち越した。阪神は今季初の4連敗。
【DeNA3―0ヤクルト】DeNAが延長戦を制した。0―0の十回2死から連打で一、三塁とし、牧の3点本塁打で勝ち越した。4番手のウィックが今季初勝利、入江が4セーブ目を挙げた。ヤクルトはピンチで投入したバウマンが痛恨の一発を浴びた。
【西武2―1楽天】西武がサヨナラ勝ちで2季ぶりの5連勝。1―1の延長十回無死二塁から平沼の右前打に失策が絡み、走者が生還した。今季初登板の与座が6回1安打無失点と好投し、5番手の羽田が1回無失点で今季初勝利。楽天は3連敗。〔共同〕
手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 554文字 画像有 ]
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【関連記事】
・1日のプロ野球 結果と戦評
・プロ野球選手会、ポスティング移籍巡る選手批判「控えて」
日本ハム 3―2 ソフトバンク[2025/05/01 21:07 日経速報ニュース 113文字 ]
◇みずほペイペイドームN(5回戦)日本ハム4勝1敗
日ハム 000 020 100=3
ソフト 200 000 000=2
〔勝〕古林睿煬 1勝1敗
〔S〕田中 1敗6S
〔敗〕上沢 2勝2敗
〔本〕万波6号(1)(上沢)
上場企業の7割が増益 25年3月期、円安やAI好調で[2025/05/01 19:42 日経速報ニュース 1534文字 画像有 ]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152.5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
米AI新興、ソフトバンクGなどから150億円調達 クラウド利用効率化[2025/05/01 19:32 日経速報ニュース 398文字 ]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
2日(金)のスポーツ[2025/05/01 16:01 日経速報ニュース 203文字 ]
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・女子チャンピオンシップファイナル(18時40分、東京・有明アリーナ)
▽ゴルフ=中日クラウンズ第2日(7時10分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース第1日(7時、千葉・浜野GC)
▽プロ野球=DeNA×巨人(18時、横浜)阪神×ヤクルト(18時、甲子園)広島×中日(18時、マツダ)楽天×オリックス(18時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(18時、みずペ)〔時事〕
人事、ドコモ・ファイナンス[2025/05/01 15:43 日経速報ニュース 35文字 ]
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
日経平均、上げ幅400円超える ソフトバンクGが一段高[2025/05/01 14:13 日経速報ニュース 33文字 ]
これはフラッシュニュース(見出しだけのニュース)です。〔NQN〕
解剖ソフトバンクG 孫氏のAI革命、「スターゲート」が開く第2幕[2025/05/01 11:45 日経速報ニュース 2384文字 画像有 ]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、そして未来の人類のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
およそ10カ月前、2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」――。それから半年、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月にホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
アームがAI戦略の中核に
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英半導体設計のアーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。それは今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
超知能構想に巨額投資
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。累計の投資成績は24年12月末時点で16億3400万ドルの赤字だ。
足元では核融合発電の米ヘリオン・エナジーや、量子計算機開発の米クエラ・コンピューティングにも出資した。AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年には10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔、グラフィックス 荒川恵美子)
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時価総額の増加額、任天堂首位、新型機に期待(日本株番付)[2025/05/01 日本経済新聞 夕刊 5ページ 440文字 PDF有 書誌情報]
今年に入り時価総額を伸ばした企業はどこか。東証プライム市場に上場する企業を対象に2024年12月末と25年4月28日時点での時価総額を比べ、増加額の多い順にランキングした。
首位は任天堂で増加額は2兆8194億円だった。1月に新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の発売を発表してから、業績貢献に期待した買いが入った。トランプ米政権の関税の影響を見極めるため延期していた米国での予約も4月24日から受け付けを始めた。
2位は三菱重工業で1兆9988億円増えた。地政学リスクの高まりや防衛費増額の思惑などから防衛関連事業の拡大期待が大きい。3月には上場来高値を更新するなど時価総額は初の10兆円に迫る。豊田自動織機は株式非公開化の検討に関するニュースを材料に買われた。
通信やIT(情報技術)サービスなど内需関連の銘柄も上位に入った。8位の富士通や9位のNECは今期の増配(分割考慮後)を発表するなど、株主還元を好感した買いも集めている。
泊原発「合格」、迫る需要増 ラピダス量産にらむ 27年再稼働へ一歩[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1008文字 PDF有 書誌情報]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3.4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1.2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
ソフトバンク(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也
▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠
▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之
▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥
▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士
▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝
▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
自動運転、トヨタ連携広く 米ウェイモと車両開発で協力 豊富なデータ取り込み(ビジネスTODAY)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1833文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
【図・写真】トヨタはウェイモと自動運転の車両開発まで踏み込む(都内で走るウェイモの自動運転車)
令和の証券民主化運動(大機小機)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 929文字 PDF有 書誌情報]
日本の株式市場は、幅広い国民が株を持つ「大衆化」を本格的に進めるべき段階を迎えている。元号の変遷とともに保有主体が入れ替わってきたこの市場が、次の転換点にさしかかっているからだ。
1940年代後半、財閥解体で市中に放出した株を個人に安く分配し、国民が等しく豊かになろうという運動が盛り上がった。終戦直後の証券民主化運動だ。当時個人の持ち株比率は7割に達した。
だがGHQ(連合国軍総司令部)の緊縮財政金融策(ドッジライン)で株価は暴落。投資ブームは霧消した。個人が手放した株は金融機関や事業会社が吸い上げ、高度成長期からバブル期まで昭和のニッポン株式会社を支えた株式の持ち合い構造ができた。
そしてバブルが崩壊した平成の時代。不良債権処理の原資として銀行は持ち合い株を売却し、それを海外投資家が拾った。90年代を通じて海外勢の持ち株比率は右肩上がりで、アベノミクス初期の2013年度に3割を超えた。
それから10年余。海外勢は売ったり買ったりで、持ち株比率は頭打ちだ。一方、アベノミクスが起動したガバナンス改革とアクティビストの台頭は企業に非効率な資産の整理を迫り、事業会社や損害保険会社が最後に残った政策保有株の売却を急いでいる。
海外勢にこれ以上の保有引き上げを期待できなければ、市中に出る政策保有株を誰が引き受けるのか。個人をおいてほかにない。日銀もいずれ保有ETF(上場投資信託)の売却を迫られる。国民がもっと手軽に日本株を買える環境の整備は待ったなしだ。
東京証券取引所が先週、最低投資額10万円を目安に上場企業に一段の株式分割を求めたのはこうした危機感が背景にあるのだろう。新NISA(少額投資非課税制度)が現状、米国株や世界株投資信託を通じた個人資金の海外流出を加速させている大きな原因は、欧米より桁違いに高い日本株の投資単位にある。
日本株投資のハードルを下げる取り組みは始まったばかりだ。会社法改正と歩調を合わせた単元株制度の廃止は必須だ。欧米のように1株から株を買えるようにするには、株主総会実務のデジタル化や海外より低い株主提案権の行使要件の見直しを同時に進めなければならない。機は熟した。令和の証券民主化運動を始めるときだ。(井蛙)
耐えたハム山崎、緩急でタカ翻弄(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 262文字 PDF有 書誌情報]
日本ハムの山崎が4試合目で今季初勝利を挙げた。力感のないフォームと緩急を生かした配球の妙で主力を欠くソフトバンク打線を翻弄。5回1失点は最低限の働きだったが、「(1勝目が)ちょっと遅かったが良かった」と安堵した。
ストライク先行の安定した投球が揺らいだ四回は先頭から2者連続で出塁を許し、味方の失策で失点。「勝ちを意識しすぎて守りに入ってしまった」ものの、続く嶺井を三ゴロ併殺に仕留めて踏みとどまった。通算50勝とした左腕は「全然気にしていなかった。200勝目指して頑張ります」。投球スタイル同様、コメントも軽やかだった。
プロ野球・30日の試合結果[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 114文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 2―0 広 島
ヤクルト 4―1 DeNA
中 日 5―4 阪 神(延長11回)
◇パ・リーグ
西 武 3―1 楽 天
オリックス5―0 ロ ッ テ
日本ハム 6―1 ソフトバンク
30日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 716文字 画像有 ]
【巨人 2―0 広島】巨人が3連勝。山崎は直球、変化球ともに切れがあり、7回を無失点で開幕4連勝とした。0―0の六回に増田陸の適時二塁打で奪った2点を守り切った。広島は5連敗。6回を2失点と力投した大瀬良を打線が援護できなかった。
【中日 5―4 阪神】中日が今季初のサヨナラ勝ち。4―4の延長十一回、1死一、三塁から代打カリステの犠飛で勝ち越した。7番手の清水が今季初勝利。阪神は六回に佐藤輝、前川の適時打などで3得点して4―2としたが、直後に追い付かれた。
【西武 3―1 楽天】西武が連勝を4に伸ばした。一回に渡部聖の2点三塁打で先制。2―1の七回は西川の適時打で加点した。5投手の継投で逃げ切り、5回を投げて本塁打による1点に抑えた菅井が3勝目を挙げた。楽天は3安打にとどまった。
【オリックス 5―0 ロッテ】オリックスは田嶋が変化球の精度が高く、単打2本の無四球と寄せ付けず、3年ぶりの完封で2勝目。二回に西川の1号ソロで先制した打線は三回に太田の2点打、四回は麦谷の適時打などで加点。ロッテは種市が11安打5失点と崩れた。
【日本ハム 6―1 ソフトバンク】日本ハムは打線がつながり2連勝。四回に万波、石井の連続適時二塁打などで3点を先行。4―1の八回にも田宮の1号ソロなどで2点を加えた。山崎が5回1失点でまとめて今季初勝利。ソフトバンクは4連敗で今季最多の借金6。
【ヤクルト 4―1 DeNA】ヤクルトが効果的にリードを広げた。1―1の六回に山田の適時打で勝ち越し、七回は赤羽の犠飛、八回は西川の適時打で加点した。山野が6回を1失点で今季初勝利を挙げた。石山は5セーブ目。DeNAは連勝が4で止まった。〔共同〕
日本ハム 6―1 ソフトバンク[2025/04/30 21:21 日経速報ニュース 100文字 ]
◇みずほペイペイドームN(4回戦)日本ハム3勝1敗
日ハム 000 300 120=6
ソフト 000 100 000=1
〔勝〕山崎 1勝1敗
〔敗〕東浜 1勝1敗
〔本〕田宮1号(1)(津森)
泊原発、規制委審査「合格」 ラピダス見据え電力の安定供給に前進[2025/04/30 18:25 日経速報ニュース 1624文字 画像有 ]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3・4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1・2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
過疎化と人口減少で落ち込むとみられていた北海道の電力需要は、一転して増加する見通しだ。エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
北海道内では運転開始から既に40年以上経過した火力発電所もある。松尾氏は「データセンターや半導体工場では常に安定的な電力が必要だ。系統用蓄電池による供給能力は長くても数時間にとどまるため、泊原発3号機が動かなければ供給力に不安が残る」と指摘する。
規制委の安全審査に合格した原発は全国で17基あり、うち14基がすでに再稼働した。実際に原発を動かすには具体的な保安規定などの審査や稼働前の検査にくわえ、地元自治体の同意が必要だ。例えば東京電力柏崎刈羽原発6・7号機は17年に合格したものの、新潟県の花角英世知事がまだ同意していないため、再稼働に至っていない。
再稼働について北海道の鈴木直道知事は30日、札幌市内で記者団に「予断を持って申し上げる状況にない。議会の議論などを踏まえて適切に対応する」と話した。
資源エネルギー庁の集計によると、23年度時点で国内の電源構成のうち原子力発電が占める割合は8.5%にとどまる。武藤容治経済産業相は25日の閣議後の記者会見で「泊原発の再稼働は、電力の安定供給と脱炭素の同時実現、電力価格の抑制にもつながる重要な位置づけだ」との見方を示した。
政府は50年の温暖化ガス排出量実質ゼロを目指しており、2月に閣議決定したエネルギー基本計画では40年度の電源構成目標を再生エネが4~5割、原子力で2割に設定した。
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人事、ソフトバンク[2025/04/30 18:17 日経速報ニュース 470文字 ]
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
トヨタの自動運転、米ウェイモと車両開発 実用化へ外部連携に軸足[2025/04/30 17:42 日経速報ニュース 1786文字 画像有 ]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
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1日(木)のスポーツ[2025/04/30 16:01 日経速報ニュース 121文字 ]
▽ゴルフ=中日クラウンズ第1日(7時10分、名古屋GC和合)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
東証後場寄り 日経平均は小幅高 様子見一段と 商船三井が急落[2025/04/30 12:57 日経速報ニュース 408文字 ]
30日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は前営業日比40円ほど高い3万5800円台後半で推移している。後場も小幅に下げる場面がある。前日の米株式相場の上昇を支えにした買いは一服。トランプ米政権の関税措置を巡って日本時間5月1日に予定される日米協議の行方を見守りたいとのムードが一段と広がっている。決算を受けた個別銘柄の売買は活発で、昼休み中に通期決算を発表した商船三井が急落している。郵船や川崎汽にも売りが膨らんでいる。
前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約214億円成立した。
12時45分現在の東証プライムの売買代金は概算で2兆5261億円、売買高は10億5356万株だった。
TDK、ソニーG、バンナムHD、豊田通商が高い。一方、ファストリ、東エレク、日立、ソフトバンクグループ(SBG)が安い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
NTTドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」を発売[2025/04/30 10:40 日経速報ニュース 1228文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
ドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」の取扱いを開始
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズが出資する株式会社SOXAI(以下、SOXAI)が開発する、日本発の健康管理用スマートリング「SOXAI RING(ソクサイリング)」の新モデル「SOXAI RING1.1」を、2025年4月30日(水)から全国のドコモショップ、ドコモオンラインショップ、ドコモの家電レンタル・サブスクサービス「kikito」にて他社に先駆けて取扱いを開始いたします。
*参考画像(1)は添付の関連資料を参照
■「SOXAI RING1.1」の概要
SOXAIが提供する健康管理用スマートリング「SOXAI RING1.1」は、約3gの小型で軽量な筐体に光学バイタルセンサーや温度センサー、加速度センサーなどを搭載し、睡眠の質や歩数・消費カロリーなどの活動量、心拍変動から自律神経の状態を測定しストレスレベルなどの体調パフォーマンスを可視化します(※1)。
「SOXAI RING1.1」は最新の睡眠学のトレンド(※2)に基づき、睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間、入眠潜時、睡眠タイミング、日中覚醒度、呼吸の安定性の7つの指標から本質的な睡眠スコアを算出し、回復指数や社会性ジェットラグなどの新指標の追加と連続的なデータ解析により、より実態に即した体調スコアを算出します(※3)。また、計測した睡眠・体調・運動の3つのスコアから、生活の質(QoL)がスコア化され、AIが身近なコンディショントレーナーとしてパーソナライズされた生活習慣改善のアドバイスをQoLのスコアに応じて生成・提示し、身体的な健康とパフォーマンスの向上をサポートします。
手首よりも脈波信号の強い指に着用することで高い精度で測定を行うとともに、睡眠時も装着負担のない着け心地を実現しています。最大9日間(※4)持続するバッテリーとIP68相当/10気圧防水の防水性能を備え、表面には高級時計でも使われる高強度のコーティング「DURATECT(デュラテクト)(R)」加工を施し、一日を通じた健康データの取得と分析を可能にします。
*参考画像(2)は添付の関連資料を参照
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/01_202504301058.png
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/02_202504301058.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/03_202504301058.pdf
トランプ政権が公表「100日の成果」は本当か 投資や雇用を検証[2025/04/30 05:42 日経速報ニュース 2391文字 画像有 ]
トランプ米政権は29日、発足から100日間の成果を公表した。批判と不安が渦巻く強引な政策が「米国の黄金時代」に続くと主張する。うのみにはできない。同日朝にレビット大統領報道官が公表した内容を、米国でそれぞれの分野を担当する記者が検証した。
「米国向け投資のコミットメントは5兆ドルに到達した。45万1000件の高賃金な雇用を創出すると推定される。現時点で前政権の4年を上回る投資を確保した」
保護主義的な高関税政策や減税策の目的は国内製造業の復活だ。ホワイトハウスはトヨタ自動車やアサヒグループホールディングスなど日本企業を含む「新規投資リスト」を公表した。
内訳で大きいのはテクノロジー大手だ。米エヌビディアは最新の人工知能(AI)半導体など最大5000億ドル(約71兆円)分を米国内で生産すると表明。オープンAIやオラクル、ソフトバンクグループ(SBG)もAIインフラ整備に4年間で5000億ドルを投じる計画「スターゲート」を共同発表した。
だが、大々的な投資発表については企業側の「面従腹背」を指摘する声も出ている。例えばアップルが打ち上げた5000億ドルの計画だ。
アップルは2月、南部テキサス州にAIサーバーの工場を新設するなど、今後4年間で5000億ドルを米国内に投じると発表した。具体的な金額の内訳は開示していない。ホワイトハウスの中でも、実際の投資はそこまで大きくならないと懐疑的な意見がある。
アップルはトランプ第1次政権の2018年は、5年間で300億ドル以上の直接投資を米国で行って3500億ドルの経済効果をもたらすと表明した。バイデン政権下の21年には4300億ドルに引き上げた。
業績を分析すると、これらの金額はサプライヤーへの支払いや営業費用なども合わせた支出実績と重なる規模だ。今回の「5000億ドル投資」も、新規投資ではなく通常の事業運営範囲内の支出を指している可能性がある。
半導体業界に詳しいアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は「21年公表の投資額(4300億ドル)に比べると、その間のインフレなどを考慮すれば、今回の5000億ドルはアップルにとって決して大きなコミットメントではない。トランプ政権の対中追加関税をなだめるための手段だ」と指摘する。
前回発表で目玉としていたノースカロライナ州での新拠点建設は中断したとも報じられており、2万人の新規雇用目標が達成されるかも不透明だ。
「米国のエネルギー支配を回復した。石油と天然ガスの価格は、大胆なアプローチにより大幅に下落した。ガソリン価格は7%下落した」
「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」。石油掘削でエネルギー価格を下げるというエネルギー政策は構想通りに進んでいない。
トランプ政権は業界支援のため石油・ガスのためのパイプラインや出荷基地の建設を促している。ライト・エネルギー長官は「ビルド・ベイビー・ビルド(建てて建てて建てまくれ)」と強調する。現政権下で液化天然ガス(LNG)の輸出許可をすでに4件出しており、輸出許可を止めていた前政権との違いを鮮明に出した。
ただこうした優遇策に業界が恩恵を受ける前に、高関税政策による景気悪化懸念から原油価格は急落した。29日の原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の終値はトランプ氏の就任直前から22%安の1バレル60.42ドルだった。
米ダラス連邦準備銀行の調査では原油の新規開発には65ドル前後の価格が必要になる。60ドルを割り込めば、原油生産量が減少に転じるとの指摘もある。
石油サービス大手ベイカー・ヒューズのロレンツォ・シモネリ最高経営責任者(CEO)は「関税の不確実性により米国を含む世界で25年の(原油など)上流権益への投資は減少になるだろう」と予測する。米エネルギー情報局(EIA)も4月に入り、関税による景気懸念などから世界の石油需要予測を下方修正した。
「政権発足以来34.5万人の雇用を創出。製造業は9000人増で、前政権の最後の2年間に毎月6000人減少していたことと対照的だ。米国人はこの数年で初めてとなる高インフレの緩和を経験した」
バイデン政権後期にあたる23~24年、製造業の就業者数は月平均で5400人減少した。25年3月は1276万4000人でトランプ氏が大統領に就任した1月から確かに9000人増えた。
ただ新政権の政策効果とは言い切れない。たとえば分野別関税で保護しようとしている半導体・電子部品は2800人減った。2カ月の増加幅は0.07%にすぎず、統計の振れ幅の大きさを考えると誤差の範囲内だ。23~24年も2カ月で9000人以上という増加は4回起きていた。
3月の失業率は4.2%で、23年4月の3.4%よりは高い。まだ低水準といえるが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は高関税政策によって失業率の上昇リスクが高まったと主張している。 ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は今後1年間で米国が景気後退に陥る確率を65%と見積もる。
消費者物価は3月、前月比で0.1%下落した。マイナスは22年7月以来だ。あくまでガソリン価格の下落などを反映したもので、物価の瞬間風速にすぎない。ポーゼン氏は関税の引き上げによる輸入物価の上昇で、景気後退の有無にかかわらずインフレは高水準になると見通す。
物価上昇と景気後退が両立するスタグフレーションの懸念が高まり、FRB内では早期の利下げに慎重な声が多い。トランプ氏はパウエルFRB議長に退任要求を突きつけ、早期の利下げで景気を支えるよう求めたが、中央銀行の独立性を軽視する姿勢が金融市場の不安を高める結果となっている。
(シリコンバレー=中藤玲、ヒューストン=大平祐嗣、ワシントン=高見浩輔)
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QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
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・LINEでPayPay送金可能に LINEペイ終了見据え代替機能
・LINE Pay、25年4月に終了 残高はPayPayに引き継ぎ
WithAI(2)英語モデルに米欧的偏見? 自国の文化、開発力で守る[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA―LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【図・写真】UAEのアブダビ首長国にある世界初のAIに特化した大学=同大学提供
さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
ソフトバンクグループ 孫会長兼社長(ニュース一言)終[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
常に1%は悪者がいる。ASI(人工超知能)に頼る将来の生活を、悪者から守らなければならない。99%の善良な人間が超知能と革新の道を歩めば、解決策はあるだろう。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は人類の1万倍の知能を持つASIの時代が10年以内にやってくると予想する。「革新には機会が与えられるべきだが、健全な規制も必要だ」と述べ、人工知能(AI)を安全に使う社会の重要性を訴える。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
ソフトバンク(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(6月26日)取締役、唐木秀明▽同、仲條亮子▽監査役、ティモシー・マキ▽退任(取締役)上釜健宏▽同(同)大木一昭▽同(監査役)君和田和子
ソフトバンクグループ(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ
(6月27日)監査役、西橋久仁子▽同、金丸祐子▽退任(監査役)宇野総一郎▽同(同)大塚啓一
25年05月04日
パウエル氏は何を語るか 薄商いで為替動きやすく-今週の市場[2025/05/04 04:00 日経速報ニュース 2237文字 画像有 ]
今週の最大の焦点は米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。市場では政策金利を据え置くとの見方が多い。7日の会合後、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今後の政策運営をどう示唆するかがポイントとなる。4月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数の伸びは市場予想を上回った。米景気には前向きな指標だが、トランプ米大統領は繰り返しFRBに利下げを求めている。政治と経済のバランスの取り方が注目される。
日経平均、3万7000円台を回復か
今週の日経平均株価は3万7000円台を回復するかが焦点となる。関税交渉の進展期待から市場では安堵が広がり、上昇基調が続いている。7日までのFOMC後のFRBのパウエル議長の発言に注目が集まる。
前週の日経平均は週間で1124円(3%)上昇した。1日までの日銀の政策決定会合後の記者会見で植田和男総裁がハト派の姿勢を示し、追加利上げの観測が後退。円安・ドル高にあわせて収益が改善するとの期待感から輸出関連株が中心に買われた。日本時間2日早朝の日米の関税交渉の第2回会合で為替が主要議題とならなかったことも円売りにつながった。
2日発表の4月の米雇用統計では失業率が低い水準にとどまり、堅調な内容だった。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは「今回の統計からは米国のリセッションリスクは考えにくく、米経済の底堅さを示すポジティブな内容だった」と話す。
6~7日にはFOMCが控える。野村証券の小高貴久シニア・ストラテジストは「パウエル氏が次の会合での利下げに期待をもたせる発言をすれば、米国株につられて日本株は押し上げられる」という。
ただ、円高リスクは残る。パウエル氏が利下げに前向きな発言をすれば、円高・ドル安が進行する。日本では大型連休で休場が続き市場参加者が少なくなる。浪岡氏は「過去の事例をみると休場の時は円高に振れる傾向がある」という。
今週は主要企業の決算発表が相次ぐ。国内では8日にトヨタ自動車やソフトバンク、任天堂などが予定している。5日には米パランティア・テクノロジーズ、7日にはデンマークのノボノルディスクが決算を控える。
金利 方向感定まりづらい
米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは方向感が定まりづらい展開か。前週は経済指標が弱めの結果を示したことを受け、利回りが低下(債券価格は上昇)する局面があった。今週は米金融政策の先行きに注目が集まるが、トランプ米政権の関税政策を巡る不確実性が強く意識されており、積極的な売買は手控えられそうだ。
6~7日のFOMCでは政策金利の据え置きが市場で確実視されているが、先行きの利下げ期待は根強い。会合後の記者会見などで利下げに慎重な姿勢が示されれば、金利に上昇圧力がかかる。
もっとも、一方向の値動きにはならないとの見方がある。みずほ証券の上家秀裕シニア債券ストラテジストは「トランプ関税の影響を市場は注視しており、不透明感が拭えない状況では積極的にポジションを傾けにくいため、どっちつかずの市場になりやすい」と話す。
国内では10年物国債入札が控える。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「日銀の利上げ観測自体は消えておらず、金利の先高観はある。現在の水準で需要を確認できるかが注目」と話した。
為替 下落余地探る
外国為替市場で対ドルの円相場は下落余地を探る展開か。前週は日銀の金融政策決定会合を経て利上げ観測が後退し、一時1ドル=145円台後半まで下落した。今週は日本側の材料を欠く中で、6~7日に開かれるFOMCに注目が集まる。
FOMCでは政策金利の据え置きが見込まれており、焦点は今後の利下げを示唆する姿勢が示されるかどうかにある。市場では年内3~4回の利下げを実施するとの見方が優勢だが、FRBは早期利下げに慎重な姿勢を示す。
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘マーケッツ本部長は「スタグフレーション懸念が残る中で、利下げに踏み込むような発言は出にくい。市場は利下げを織り込みすぎており、調整が進めば円安・ドル高要因になる」と話す。
日本は大型連休に入っている。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「市場参加者が少なく、値が飛びやすいのには注意が必要だ」と指摘する。
原油、需給緩和で弱含み
今週の原油相場は下値を試す展開となりそうだ。前週は米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の6月物が1日、一時1バレル56.39ドルと、4月9日以来で約3週ぶりの安値を付けた。主要産油国のサウジアラビアが一段と原油を増産するとの観測が浮上し、売りが広がった。今週も引き続き需給の緩みが警戒されそうだ。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成する「OPECプラス」は6月の原油増産を決めた。
金(ゴールド)の上値は限定的となりそうだ。前週、国際指標のニューヨーク先物(中心限月)はこれまでの急ピッチの価格上昇を受けた利益確定の売りが出た。貿易摩擦の緩和を背景に株式などに資金が戻ってきており、「安全資産」の金に対する需要が落ち込んでいる。
ピクテ・ジャパンの塚本卓治エグゼクティブ・ディレクターは「調整売りが入りやすい地合いになっている。リスクオンの状況が続けば金の上値は抑えられそうだ」と指摘する。
(石川智尋、荒川信一、高山智也)
5月4日―5月10日(今週の予定)[2025/05/04 日本経済新聞 朝刊 6ページ 517文字 PDF有 書誌情報]
■4日(日)
○アジア開発銀行(ADB)年次総会(イタリア・ミラノ、7日まで)
○ルーマニア大統領選
■6日(火)
○ドイツ連邦議会首相指名選挙
○米連邦公開市場委員会(FOMC、7日まで)
○3月の米貿易収支
■7日(水)
○十倉経団連会長会見
○24年7月~25年3月期決算=メルカリ
○1~3月期決算=日本たばこ産業
○3月期決算=LINEヤフー、横河電機、川崎汽船
○日銀当座預金増減要因(5月見込み)
○4月末の中国外貨準備高
■8日(木)
○3月期決算=トヨタ自動車、任天堂、ダイキン工業、ソフトバンク、武田薬品工業、JFEホールディングス(HD)、富士フイルムHD
○日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日分)
○4月の台湾貿易統計
■9日(金)
○1~3月期決算=日本マクドナルドHD
○3月期決算=日本製鉄、パナソニックHD、NTT、リクルートHD、三菱重工業、三井不動産
○3月の家計調査(総務省)
○3月の毎月勤労統計(厚労省)
○3月の景気動向指数(内閣府)
○ロシアの対独戦勝記念日
○4月の中国貿易統計
■10日(土)
○4月の中国消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)
【図・写真】アジア開発銀行の年次総会は4日に開幕する(昨年の年次総会)
4日(日)のスポーツ[2025/05/03 19:34 日経速報ニュース 660文字 ]
▽陸上=ゴールデンゲームズinのべおか(15時50分、宮崎・延岡市西階陸上競技場)
▽水泳=アーティスティックスイミング日本選手権第2日(11時20分、東京・アクアティクスセンター)
▽野球=東京六大学 慶大×東大、立大×早大(11時、東京・神宮球場)、首都大学(9時、神奈川・大和スタジアム)、関西六大学(9時30分、わかさ京都)
▽サッカー=WEリーグ(14時、埼玉・浦和駒場スタジアムほか)、JFL(13時、J―GREEN堺ほか)、なでしこリーグ(13時、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場ほか)
▽バレーボール=黒鷲旗全日本選抜大会第2日(11時、Asueアリーナ大阪)
▽バスケットボール=りそなB1リーグ(13時5分、千葉・ららアリーナ東京ベイほか)
▽ハンドボール=リーグH(12時、沖縄県立武道館アリーナ)
▽ラグビー=リーグワン(12時10分、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場ほか)
▽アメリカンフットボール=パールボウル・トーナメント(12時、富士通スタジアム川崎ほか)
▽ゴルフ=中日クラウンズ最終日(7時55分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース最終日(7時45分、千葉・浜野GC)
▽競馬=第2回東京第4日、第2回京都第4日(天皇賞・春)、第1回新潟第2日
▽プロ野球=DeNA×巨人(14時、横浜)阪神×ヤクルト(14時、甲子園)広島×中日(13時30分、マツダ)日本ハム×西武(13時、エスコ)楽天×オリックス(13時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(13時、みずペ)〔時事〕
プロ野球・3日の試合結果[2025/05/03 17:50 日経速報ニュース 108文字 ]
◇セ・リーグ
広 島 2―0 中 日
DeNA 1―0 巨 人
阪 神 7―1 ヤクルト
◇パ・リーグ
ソフトバンク 5―0 ロ ッ テ
西 武 4―3 日本ハム
オリックス7―0 楽 天
3日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/03 17:50 日経速報ニュース 714文字 画像有 ]
【DeNA 1―0 巨人】DeNAが競り勝った。バウアーが走者を出しながらも要所を締め、6安打で来日初完封し、今季2勝目を挙げた。打線は八回に松尾の犠飛で均衡を破った。巨人は拙攻が響いて好投の赤星を援護できず、連勝が4で止まった。
【阪神 7―1 ヤクルト】快勝した阪神は佐藤輝が3安打2打点と打線をけん引した。一回に5戦連続打点となる先制打を放ち、六回は適時三塁打。デュプランティエは速球が力強く、6回無失点で来日初勝利を挙げた。奥川が10安打を許したヤクルトは3連敗。
【西武 4―3 日本ハム】西武が逃げ切って2年ぶりの6連勝とし、2位に浮上した。先発の今井は要所を締め、7回無失点で3勝目。打線は四回にネビンのソロで先制し、六回に渡部聖の適時打で加点。七回に2点を奪った。日本ハムは連勝が3で止まった。
【ソフトバンク 5―0 ロッテ】ソフトバンクが2連勝。四回に山川の6号ソロで先制。2―0の六回は石塚の2点二塁打などで3点を加えて突き放した。大関は走者を出しながらも要所で踏ん張り、6回無失点で2勝目。ロッテは今季5度目の零敗で4連敗となった。
【オリックス 7―0 楽天】オリックスが3連勝。紅林が一回に先制打、五回にソロを放ち、八、九回に計5得点で突き放した。曽谷が7回無失点で約1カ月ぶりの白星となる2勝目。楽天は早川が六回途中2失点で3敗目を喫し、打線も振るわなかった。
【広島 2―0 中日】広島が連敗を7で止めた。床田が今季2度目の完封で3勝目。テンポ良く打たせて取り、散発3安打に抑えた。打線は三回に中村奨の適時打で先制。六回に末包の適時打で加点した。中日は5度目の零敗で連勝が4でストップ。〔共同〕
ソフトバンク 5―0 ロッテ[2025/05/03 16:38 日経速報ニュース 101文字 ]
◇みずほペイペイドーム(7回戦)ソフトバンク4勝3敗
ロッテ 000 000 000=0
ソフト 000 113 00X=5
〔勝〕大関 2勝2敗
〔敗〕石川柊 1敗
〔本〕山川6号(1)(石川柊)
ロッテ・益田直也、登録抹消 2日に3失点でサヨナラ負け[2025/05/03 14:08 日経速報ニュース 213文字 ]
通算250セーブまであと4としているロッテの益田直也投手が3日、出場選手登録を外れた。2日のソフトバンク戦で3―1の九回に登板し、3失点と崩れてチームはサヨナラ負けした。今後は2軍で再調整する。
建山投手コーチは「直球の出力がまだ本来のものじゃない。取り返しのつく時期にしっかりやれることをやって、よりベストになろうということ」と説明。抑えについては「バッターとの兼ね合いを見ながら、やりくりしていきます」と話した。〔共同〕
相次ぐ証券口座乗っ取り 顔認証やスマホ認証で自衛を[2025/05/03 05:00 日経速報ニュース 1613文字 画像有 ]
大手証券会社のインターネット口座が相次いで乗っ取られ、不正操作の被害が広がっている。日本証券業協会は事態を深刻に受け止め、会員企業に顔認証やスマホの電話番号認証など文字情報とは異なる複数の本人確認手段を組み合わせる「多要素認証」を導入するよう求めた。パスワード認証の脆弱性と有効な対策についてまとめた。
①想定される手口は?
2日時点で、乗っ取りの手口は明らかになっていないものの、不正アクセスの手口は大きく分けて2種類ある。
1つはユーザーに偽メールを送りつけて偽サイトのリンクに誘導した上で、IDやパスワードなどの認証情報を入力させて窃取する「フィッシング」。証券口座ならば偽メールの内容は「お客様の口座に不正利用の疑いがある」や「契約の重要なお知らせ」といった言葉でリンク先に誘導する。
フィッシング対策協議会によると、2025年3月に国内で報告されたフィッシング詐欺は約25万件で過去最高となった。直近1年間では、毎月10万~20万件の報告があるという。
もう一つは、マルウエア(悪意のあるプログラム)をパソコンなどに感染させて端末内の認証情報を技術的に盗む方法だ。
SOMPOホールディングスグループのSOMPOリスクマネジメント(東京・新宿)は25年2月にマルウエアの内部データを分析し、国内企業500社のうち22%が漏洩被害を受けているとする調査結果を公表した。
5月1日に被害を明かした著名投資家のテスタさん(ハンドルネーム)は、X(旧ツイッター)で被害の詳細を投稿した。証券会社からメールが届いて確認したところ、身に覚えのない注文を前日夜にした履歴があったという。
テスタさんは「ログインやパスワードを打つというようなことは絶対していません」とも投稿しており、乗っ取りの手口は不明のままだ。
②パスワードや2段階認証、なぜ脆弱?
パスワードだけの認証では、流出した際に簡単に不正ログインされる恐れがある。IDやパスワードなどの「知識要素」に加えて、スマホやパソコンに通知が送られるなどの「所持要素」、顔認証や指紋などの「生体要素」の複数の認証技術を組み合わせる多要素認証を設定しておけば、不正アクセスを防ぎやすい。
注意すべきは、多要素認証は「2段階認証」とは異なる点だ。2段階認証は、たとえばIDとパスワードを入力した後に「秘密の質問」の答えを入力するといった方法だ。一見すると強力に思えるが、秘密の質問はパスワードと同じ知識要素。このため答えがパスワードとともに漏洩すれば意味がない。
スマホ認証などの所持要素の手段には、一度きりの利用で更新される「ワンタイムパスワード」も一般的だ。ただ、会社側が利用を推奨していても利用者がワンタイムパスワードの設定をしていない場合もある。よりセキュリティーを強めるには、ユーザー側でも複数の認証要素を設定しておく必要がある。
③新しい技術「パスキー」とは
パスワードに頼らない認証手段として、国内外で導入が進むのは「パスキー」と呼ばれる新技術だ。米アップルと米グーグル、米マイクロソフトなど巨大テックが22年に導入に向けた連携を発表し注目された。国際的な推進団体によると、24年12月時点で全世界で延べ150億のユーザーアカウントで使えるという。
パスワード認証などではログインの際に認証情報をサービス運営者側に送って照合する必要があった。一方、パスキーはサービス運営者側が利用者のスマートフォンやパソコンなどの端末に本人認証を要求する。端末内で指紋や顔画像と照合し、認証情報は送信されてないため「鍵」の漏洩リスクが低い。
国内ではメルカリやNTTドコモが導入し、不正ログイン対策に効果を発揮しているという。証券会社などサービス事業者側に頼るだけでなく、利用者側も認証技術の特徴を把握し、より強力な認証設定を複数選んで組み合わせる自衛策が欠かせない。
(岩沢明信)
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・著名個人投資家のテスタさん、証券口座乗っ取り被害に遭う
来週の予定 米FOMC結果発表・FRB議長会見 トヨタなど決算[2025/05/03 01:54 日経速報ニュース 1400文字 ]
◇5日(月)
・東京市場が休場(こどもの日)
・上海、深、香港、韓国、タイ市場が休場
・英国市場が休場
・4月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数(23:00)
・米3年物国債入札
◇6日(火)
・東京市場が休場(みどりの日の振り替え休日)
・韓国市場が休場
・3月の米貿易収支(21:30)
・米10年物国債入札
・海外1~3月期決算=アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
◇7日(水)
・5月の日銀当座預金増減要因見込み(8:50)
・3月期決算=LINEヤフー、川崎汽
・1~3月期決算=JT
・7~3月期決算=メルカリ
・3月のユーロ圏小売売上高
・ポーランド中銀が政策金利を発表
・ブラジル中銀が政策金利を発表
・米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表(8日3:00)
・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見(8日3:30)
・3月の米消費者信用残高(8日4:00)
・海外1~3月期決算=ウォルト・ディズニー
◇8日(木)
・日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分、8:50)
・6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・10年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・4月の輸入車販売(日本自動車輸入組合、10:30)
・4月の車名別新車・軽自動車販売(自販連、全軽自協 11:00)
・4月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)
・3月期決算=味の素、イビデン、武田、富士フイルム、JFE、ダイキン、オムロン、IHI、トヨタ、三菱自、バンナムHD、任天堂、郵船、ソフトバンク(SB)、NTTデータ、コナミG
・1~3月期決算=SUMCO、花王
・マレーシア中銀が政策金利を発表
・英中銀が政策金利を発表
・スウェーデン中銀が政策金利を発表
・ノルウェー中銀が政策金利を発表
・週間の米新規失業保険申請件数(21:30)
・1~3月期の米労働生産性指数(速報値)(21:30)
・3月の米卸売在庫・売上高(23:00)
・米30年物国債入札
◇9日(金)
・閣議
・3月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)
・3月の家計調査(総務省、8:30)
・4月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
・3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・3月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)
・3月期決算=ディーエヌエ、JX金属、日本製鉄、住友鉱、リクルート、TOWA、ミネベア、パナHD、芝浦電子、太陽誘電、三菱重、川重、スクリン、SBI、マネックスG、三井不、京成、NTT
・1~3月期決算=クボタ、ユニチャーム
・10~3月期決算=ホトニクス
・4月の中国貿易統計
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(18:10)
・バーFRB理事が講演(19:45)
・クグラーFRB理事が講演(21:30)
・ウォラーFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日0:30)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(10日0:30)
・クックFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日8:45)
◇10日(土)
・4月の中国消費者物価指数(CPI、10:30)
・4月の中国卸売物価指数(PPI、10:30)
(注)時間は日本時間
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
来週のマーケット展望 円相場は底堅い、株は上昇一服か[2025/05/03 01:53 日経速報ニュース 1773文字 ]
来週(5~9日)の外国為替市場で円相場は底堅く推移しそうだ。今週は日銀の早期利上げ観測が後退し、大幅に円安・ドル高が進んだ。米関税交渉を巡る懸念が和らぎつつあるなか、市場では「円相場と日米金利差の連動が復活する場面が増えそうだ」との声がある。米連邦準備理事会(FRB)が7日まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを進める姿勢を示せば、円買い・ドル売りが入りそうだ。週初は国内が大型連休で市場参加者が少なく、値幅が大きくなる可能性もある。
7~9日の日経平均株価は上昇一服か。今週の日本株は米株高に連れ高したほか、日銀の利上げ観測後退による円安・ドル高の進行で輸出関連に見直し買いが広がった。ただ買い一巡感も出てきており、日経平均のチャート上では75日移動平均(3万7100円台)が戻りめどとして意識される可能性がある。FOMCの結果を受けて米株式市場が不安定になれば、いったん3万5000円台まで下落する場面もありそうだ。
【主な予定】
◇5日(月)
・東京市場が休場(こどもの日)
・上海、深セン、香港、韓国、タイ市場が休場
・英国市場が休場
・4月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数(23:00)
・米3年物国債入札
◇6日(火)
・東京市場が休場(みどりの日の振り替え休日)
・韓国市場が休場
・3月の米貿易収支(21:30)
・米10年物国債入札
・海外1~3月期決算=アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
◇7日(水)
・5月の日銀当座預金増減要因見込み(8:50)
・3月期決算=LINEヤフー、川崎汽
・1~3月期決算=JT
・7~3月期決算=メルカリ
・3月のユーロ圏小売売上高
・ポーランド中銀が政策金利を発表
・ブラジル中銀が政策金利を発表
・米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表(8日3:00)
・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見(8日3:30)
・3月の米消費者信用残高(8日4:00)
・海外1~3月期決算=ウォルト・ディズニー
◇8日(木)
・日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分、8:50)
・6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・10年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・4月の輸入車販売(日本自動車輸入組合、10:30)
・4月の車名別新車・軽自動車販売(自販連、全軽自協 11:00)
・4月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)
・3月期決算=味の素、イビデン、武田、富士フイルム、JFE、ダイキン、オムロン、IHI、トヨタ、三菱自、バンナムHD、任天堂、郵船、ソフトバンク(SB)、NTTデータ、コナミG
・1~3月期決算=SUMCO、花王
・マレーシア中銀が政策金利を発表
・英中銀が政策金利を発表
・スウェーデン中銀が政策金利を発表
・ノルウェー中銀が政策金利を発表
・週間の米新規失業保険申請件数(21:30)
・1~3月期の米労働生産性指数(速報値)(21:30)
・3月の米卸売在庫・売上高(23:00)
・米30年物国債入札
◇9日(金)
・閣議
・3月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)
・3月の家計調査(総務省、8:30)
・4月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
・3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・3月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)
・3月期決算=ディーエヌエ、JX金属、日本製鉄、住友鉱、リクルート、TOWA、ミネベア、パナHD、芝浦電子、太陽誘電、三菱重、川重、スクリン、SBI、マネックスG、三井不、京成、NTT
・1~3月期決算=クボタ、ユニチャーム
・10~3月期決算=ホトニクス
・4月の中国貿易統計
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(18:10)
・バーFRB理事が講演(19:45)
・クグラーFRB理事が講演(21:30)
・ウォラーFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日0:30)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(10日0:30)
・クックFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日8:45)
(注)時間は日本時間
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
日本は自由貿易の旗手になれ(大機小機)[2025/05/03 日本経済新聞 朝刊 15ページ 902文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策に対して、自由貿易を破壊しグローバリズムに幕を引くものだという批判が相次いでいる。また、関税政策が米国の製造業の復活につながるかについても、過去と同じ過ちを繰り返すだけだとして懐疑的な見方が多い。
さらに、関税引き上げの実体経済へのマイナス影響も懸念される。関税引き上げは、成長を抑制し、物価を押し上げる。政策の不透明性は投資を抑制し、米国が景気後退に陥る恐れもある。こうした懸念が株式市場ばかりか債券、為替市場を動揺させている。
米国自身にも相手国にもダメージを与える愚かな関税政策は撤回されるべきである。
しかし、関税政策の落ち着き先に関わらず、グローバリズムは戻ってこない。トランプ政権発足の前から、グローバリズムはすでに後退していたからである。
中国は自由貿易体制を利用しつつ、国家ぐるみで不公正、不公平な競争の下、製造業、先端産業を育成し、世界を席巻しようとしてきた。
対する米国は、雇用を守るだけでなく経済安全保障の観点からも、製造業を守ろうとしている。今回、過激な関税政策に訴えたのは米国が切羽詰まっていることの表れであろう。関税政策の最大のターゲットが中国であることは明白だ。
米国は中国を孤立させようとしているとみられる。貿易相手国との交渉を通じて、中国から他国を経由して米国に製品が流れ込むのを阻止し、対中デカップリング(分断)を進めようとしている。ただ、対中軟化の気配もあり、トランプ政権が一枚岩かは不明である。一方の中国は報復関税に訴えるだけでなく、貿易相手国を米国から離反させようと動いている。このため、多くの国が米中どちらにつくか板挟みになっている。
貿易戦争を超えた対立激化も懸念される新冷戦下で、日本はどうすればいいのか。対米交渉で関税撤回を求めるのは当然であるが、同時に外圧を奇貨として、わが国の関税、非関税障壁の見直しを聖域なく行うべきである。
そして、改めて環太平洋経済連携協定(TPP)の枠組みを使って米国の友好国だけでなく、板挟みになる多くの国を募って、自由貿易体制を構築していくべきである。日本がその旗手となることを期待する。(追分)
プロ野球・2日の試合結果[2025/05/02 21:56 日経速報ニュース 94文字 ]
◇セ・リーグ
阪 神 4―0 ヤクルト
中 日 4―2 広 島
DeNA 中 止 巨 人
◇パ・リーグ
ソフトバンク 4―3 ロ ッ テ
楽 天 中 止 オリックス
2日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/02 21:55 日経速報ニュース 366文字 画像有 ]
【阪神 4―0 ヤクルト】阪神が連敗を4で止めた。村上は2年ぶりの完封でリーグ単独トップの5勝目。球の走り、切れともに申し分なく、無四球で単打5本に抑えた。六回に佐藤輝、大山の連続適時打などで3点先行し、七回に加点。ヤクルトは連日の零敗。
【関連記事】阪神・村上頌樹、これがエース 9連戦のさなかで完封
【中日 4―2 広島】中日が今季初の4連勝。高橋宏は球威ある直球を軸に、7回2失点で2勝目を挙げた。打線は0―2の三回にボスラー、カリステの連打で3得点。五回もカリステの適時打で加点した。広島は7連敗。森下が6回10安打4失点と崩れた。
【ソフトバンク 4―3 ロッテ】ソフトバンクが今季初のサヨナラ勝ちで、連敗を5で止めた。1―3の九回2死一、二塁から牧原大の左前適時打で1点差に迫り、なお満塁として代打川瀬が左中間二塁打で試合を決めた。ロッテは抑えの益田がリードを守れず3連敗。〔共同〕
ソフトバンク 4―3 ロッテ[2025/05/02 21:08 日経速報ニュース 99文字 ]
◇みずほペイペイドームN(6回戦)3勝3敗
ロッテ 300 000 000=3
ソフト 000 010 003X=4
〔勝〕大山 1勝
〔敗〕益田 1勝1敗3S
〔本〕ポランコ4号(3)(有原)
3日(土)のスポーツ[2025/05/02 20:35 日経速報ニュース 1148文字 ]
▽陸上=静岡国際大会(9時30分、静岡・エコパスタジアム)
▽水泳=アーティスティックスイミング日本選手権第1日(11時30分、東京・アクアティクスセンター)
▽野球=東京六大学 早大×立大、東大×慶大(11時、東京・神宮球場)、首都大学(9時、神奈川・大和スタジアム)、関西六大学(9時30分、わかさ京都)
▽サッカー=JFL(13時、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場ほか)、なでしこリーグ(13時、J―GREEN堺)、関東大学(14時、東京・明大八幡山グラウンドほか)、関西学生(11時30分、京都・洛西浄化センター公園ほか)
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・男子、女子チャンピオンシップファイナル(12時10分、東京・有明アリーナ)、黒鷲旗全日本選抜大会第1日(10時、Asueアリーナ大阪)
▽バスケットボール=りそなB1リーグ(14時5分、横浜BUNTAIほか)
▽ハンドボール=リーグH(12時30分、愛知・枇杷島スポーツセンターほか)
▽ラグビー=リーグワン(13時、東京・味の素スタジアムほか)
▽アメリカンフットボール=パールボウル・トーナメント(12時、東京・アミノバイタルフィールドほか)、グリーンボウル(12時、大阪・MKタクシーフィールドエキスポ)
▽ゴルフ=中日クラウンズ第3日(6時50分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース第2日(7時、千葉・浜野GC)
▽競馬=第2回東京第3日、第2回京都第3日、第1回新潟第1日
▽プロボクシング=東洋太平洋(OPBF)フライ級タイトル戦 飯村樹輝弥(角海老宝石)×エスネス・ドミンゴ(フィリピン)、日本ライト級王座決定戦 村上雄大(角海老宝石)×仲里周磨(オキナワ)ほか(17時45分、東京・後楽園ホール)
▽プロ野球=DeNA×巨人(14時、横浜)阪神×ヤクルト(14時、甲子園)広島×中日(14時、マツダ)日本ハム×西武(14時、エスコ)楽天×オリックス(14時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(14時、みずペ)
▽Jリーグ=J1 広島×福岡(13時、Eピース)新潟×F東京(14時、デンカS)清水×名古屋(14時、国立)鹿島×町田(15時、カシマ)浦和×東京V(15時、埼玉)G大阪×湘南(15時、パナスタ)神戸×岡山(15時、ノエスタ)京都×C大阪(19時、サンガS)、J2 仙台×山口(13時、Qスタ)いわき×秋田(13時、ハワスタ)甲府×徳島(13時30分、JITス)山形×札幌(14時、NDスタ)大宮×富山(14時、NACK)藤枝×水戸(14時、藤枝サ)今治×磐田(14時、アシさと)鳥栖×千葉(14時、駅スタ)大分×熊本(14時、クラド)長崎×愛媛(16時、ピースタ)、J3(14時、CFSほか)〔時事〕
東証大引け 日経平均、7日続伸 関税交渉の進展期待で 続伸記録は1年8カ月ぶり長さ[2025/05/02 15:58 日経速報ニュース 1271文字 ]
2日の東京株式市場で日経平均株価は7日続伸し、終値は前日比378円39銭(1.04%)高の3万6830円69銭だった。7日続伸は2023年8月28日~9月6日の8日続伸以来、1年8カ月ぶりの長さ。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退し、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高に振れた。自動車など主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入った。日米や米中の関税交渉の進展期待も投資家心理を強気に傾け、日経平均の上げ幅は一時500円を超えた。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。会談に出席した赤沢亮正経済財政・再生相が記者団の取材に応じ「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。
日本政府内で6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて日米関税交渉の大枠での合意をめざすシナリオも浮上しており、市場の関心が高かった第2回会合を波乱なく通過したとの受け止めは買い安心感につながった。中国商務省は2日、米国が関税交渉を求めて中国側に複数回接触してきたと明かし「評価を進めている」と報道官談話で表明した。米中貿易摩擦が緩和方向に向かうとの期待も株買いを後押しした。
テクニカル分析上では3月後半以降の急落相場でチャート上に空けた5つの「窓」のうち3つ目の窓まで埋めた。きょうの上昇で、3月31日の高値(3万6440円)と同28日の安値(3万6864円)との間にできた窓埋めを達成した格好だ。戻り相場では窓埋めが早ければ早いほど、売り方の買い戻しが活発化するため、想定以上の上昇になりやすい点も株高に弾みをつけた。
もっとも前日までの6日続伸で日経平均は2200円あまり上昇しており、買い一巡後は売りに押された。日本は明日からゴールデンウイークの大型連休に入るとあって、持ち高調整目的の売りも出やすく、心理的節目の3万7000円付近では上値の重さが目立った。
東証株価指数(TOPIX)は8日続伸した。8日続伸は23年12月29日~24年1月15日以来の長さ。終値は8.34ポイント(0.31%)高の2687.78だった。JPXプライム150指数も8日続伸し、9.02ポイント(0.76%)高の1194.67で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆7505億円、売買高は19億7112万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は817。値下がりは766、横ばいは52だった。
ファストリやダイキン、信越化が高い。アドテストやソフトバンクグループ(SBG)、ソニーGが上昇した。トヨタやホンダ、デンソーが買われた。一方、TDKや東エレク、エプソンが安い。伊藤忠や三菱商が下落した。日銀の早期利上げ観測の後退を受け、三菱UFJや三井住友FG、コンコルディなど銀行株の売りが目立った。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
メルカリ、「メルカリモバイル」におけるサービスの利用動向を公開[2025/05/02 14:24 日経速報ニュース 1068文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年05月02日
メルカリ、「メルカリモバイル」におけるサービスの利用動向を初公開
~ギガの購入・出品でおトクな料金が実現
1GBあたりの平均価格は36円(※1)、20GBで200円の購入事例も~
株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、2025年3月に開始したモバイルサービス「メルカリモバイル」上で、データ通信量(ギガ)を「メルカリ」のように個人間で売り買いできる日本初の機能がどのように利用されたか(※2)をまとめましたので、お知らせいたします。
※1 : 2GB以上で取引された場合の平均価格
※2 : 集計期間 : 2025年3月4日~4月25日、集計対象 : メルカリモバイルをご契約されたすべてのお客さま
*参考画像は添付の関連資料を参照
■「メルカリモバイル」について
「メルカリモバイル」は、お申し込みからお支払いまでいつものメルカリで完結(※3)し、毎月のデータ通信量もメルカリからかんたんに管理できるモバイルサービスです。データ通信量(ギガ)を「メルカリ」のように1取引200円から出品・購入できる日本初の機能(※4)により、おトクにギガを購入する、ギガを売って得られたお金を「メルペイ」を通じて日常のお買い物に利用するなど、これまで以上に柔軟でおトクにスマホをご利用いただけます。料金プランは月額990円(2GB / 税込)と2,390円(20GB / 税込)の分かりやすい2種類で、docomo回線を利用した音声・SMS・データ通信サービスを提供しております。なお、4月24日からは、電話番号を引き継いで携帯電話会社を乗り換える際に、MNP予約番号の取得が不要になる「MNPワンストップ」が追加され、乗り換えがますますスムーズになりました。
※3 : お申し込みから利用の流れはこちらをご覧ください。
https://help.jp.mercari.com/guide/articles/1904/
※4 : ギガの売り買い機能の詳細についてはこちらをご覧ください。
https://mobile.mercari.com/
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/690594/01_202505021422.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690594/02_202505021422.pdf
東証前引け 日経平均は続伸 一時500円高 日米交渉に安心感、円安支え[2025/05/02 11:51 日経速報ニュース 1030文字 ]
2日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比253円23銭(0.69%)高の3万6705円53銭だった。上げ幅は一時500円を超えた。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退しており、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高に振れた。自動車など主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入ったほか、日米関税交渉の進展期待も投資家心理の改善につながった。ただ、買い一巡後は利益確定や戻り待ちの売りに押され、上げ幅を縮小した。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。赤沢亮正経済財政・再生相とベッセント米財務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表、ラトニック商務長官が会談した。会談後に記者団の取材に応じた赤沢経財相は「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。市場の関心が高かった第2回会合を波乱なく通過したと受け止められ、株買いを後押しした。赤沢経財相が今後の交渉を踏まえ、6月にも首脳間で合意することが望ましいとの考えを示したことも買いを誘った。
もっとも前日までの6日続伸で日経平均は2200円あまり上昇しており、買い一巡後は売りに押された。日本は明日からゴールデンウイークの大型連休に入るとあって、持ち高調整目的の売りも出やすかった。市場では「米関税政策を巡って過度な懸念は和らいでいるものの、トランプ米大統領の発言次第で株式相場が乱高下する可能性があり、連休前に手じまい売りを出す動きが広がった」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは4.17ポイント(0.16%)高の2683.61だった。JPXプライム150指数も続伸した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3365億円、売買高は9億5542万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は488。値下がりは1085、横ばいは62だった。
ファストリやダイキン、KDDIが高い。信越化やトヨタ、ホンダが上昇した。任天堂や大塚HD、第一三共が買われた。一方、アドテストや東エレクが安い。TDKやエプソン、ディスコが下落した。三菱UFJや三井住友FGなど銀行株が売られた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東証10時 日経平均、一時500円高に上げ幅拡大 円安進行が支え[2025/05/02 10:18 日経速報ニュース 623文字 ]
2日前場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は上げ幅を拡大し、前日比520円ほど高い3万6900円台後半まで強含む場面があった。日銀の早期利上げ観測が後退するなか、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高方向に振れている。円安進行に歩調を合わせて株価指数先物に断続的な買いが入っているとみられ、日経平均を押し上げている。
日米両政府が日本時間2日早朝に開いた関税交渉の第2回会合が波乱なく通過したと受け止められていることも、株買いを後押ししている。2日から事務レベルでの協議を始めることで一致したほか、5月中旬以降に改めて閣僚級の会合を開くという。交渉に出席した赤沢亮正経済財政・再生相は会談終了後、記者団から6月の首脳間の合意が念頭にあるか問われたのに対し「そういう段階に入れればいいと思っている」と話し、来月の首脳間の合意も視野に交渉を急ぐ考えを示した。市場では「日米交渉の進展期待が広がっており、買い安心感につながっている」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれた。
10時現在の東証プライムの売買代金は概算で1兆3651億円、売買高は5億8228万株だった。
ファストリや東エレク、ダイキンが一段高。信越化やソフトバンクグループ(SBG)が上昇した。トヨタやホンダ、デンソーが買われた。一方、TDKやエプソンが安い。ディスコやアドテスト、三菱UFJが下落した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東証寄り付き 日経平均、続伸 上げ幅400円超 米株高支え、日米交渉は波乱なく[2025/05/02 09:28 日経速報ニュース 811文字 ]
2日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸で始まり、前日に比べ410円ほど高い3万6800円台後半まで上げ幅を広げている。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退し、外国為替市場で円相場が1ドル=145円台と前日夕時点から円安・ドル高方向に振れている。主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入りやすいことも相場を支えている。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。赤沢亮正経済財政・再生相とベッセント米財務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表、ラトニック商務長官が会談した。会談後に記者団の取材に応じた赤沢経財相は「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。市場の関心が高かっただけに、重要イベントを波乱なく通過したとの受け止めは買い安心感につながっている。
1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は8日続伸し、約1カ月ぶりの高値で終えた。マイクロソフトなど主力ハイテク株の一角が好決算を受けて大幅上昇したためで、きょうの東京市場でも値がさの半導体関連などハイテク株の上昇が目立つ。ただ、1日に2025年1~3月期決算を発表した米アップルが時間外取引で下落した。売上高と1株利益はともに市場予想を上回ったが、トランプ米政権の関税引き上げに伴う需要減を警戒する売りに押された。東京市場でもTDKなど電子部品株の一角には売りが出て相場の重荷となっている。
東証株価指数(TOPIX)は続伸している。
ファストリやソフトバンクグループ(SBG)、信越化が高い。東エレクやトヨタ、ホンダが上昇した。任天堂やオリンパスが買われた。一方、エプソンが安い。リクルートやニトリHD、日本取引所が下落した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
ドコモ・ファイナンス(会社人事)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
ドコモ・ファイナンス
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
スターゲートが開くAI革命 解剖・ソフトバンクG 「人工超知能」実現へ 孫氏、半導体に「オールイン」[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2326文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、人類の未来のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」。それから半年後、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月、ホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
ロボット構想も
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英アーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
「礎ができた」
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。
AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年に10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔)
【図・写真】日本企業との会合に出席したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(右)とオープンAIのサム・アルトマンCEO(2月3日、東京都千代田区)
ソフトバンクGなど、米AI新興に出資 155億円、クラウド利用支援[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 398文字 PDF有 書誌情報]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
上場企業の7割増益 円安・AI半導体、追い風 前期最終、収益力の持続性焦点[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1535文字 PDF有 書誌情報]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152・5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。
フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
中国の対トランプ戦略(大機小機)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 17ページ 923文字 PDF有 書誌情報]
「貿易戦争に勝者はいない」と言う。正鵠(せいこく)を射る指摘である。国際通貨基金(IMF)は貿易戦争によって、2026年の国内総生産(GDP)が米国と中国ではともに2・2%、世界全体でも2%押し下げられるシナリオを想定している。
しかし、その指摘が習近平(シー・ジンピン)中国国家主席によってなされ、中国が自由貿易の旗手であるかのように振る舞う姿には違和感と危うさを禁じ得ない。
中国はトランプ関税に対して中国共産党のメンツにかけても徹底的かつ粛々と抗戦している。米国が場当たり的であるのと対照的に中国は計算ずくの対応のように見える。
「目には目を」で関税を引き上げ、ハイテク製品に必要なレアアース(希土類)の輸出規制も実施している。金融面では米国債売却も中国にとっての切り札となる。他の新興諸国とも連携して「脱ドル化」を加速化させることは中国の金融戦略にもかなう。
もちろん、中国も内心は穏やかではないだろう。不動産市場の構造調整圧力に見舞われている中では更なる景気悪化の代償は小さくない。1990年代半ばにかけての日米の貿易摩擦激化と円高がバブル崩壊後の日本経済の調整を長期化させ、国力をそいだことも中国は熟知している。
中国は米国に限定せずに輸入に関わる障壁を減らし、輸入大国としての世界経済への貢献を言い立てることになるだろう。加えて不動産市場の安定化を図りつつ、個人の将来不安の緩和につながる改革を進めることも個人消費と輸入を拡大させ、経済の構造転換に資するものとなる。
100%を超える関税を相互にかけ合う現状は持続可能ではない。米国が関税引き下げを示唆するのも当然だ。交渉の行方が注目されるが、世界秩序に関わる「ディール」の有無にも留意したい。
習氏は2017年にトランプ米大統領との共同会見で「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と語った。米国は当時以上に内向き志向を強めている。米中の不干渉・分割統治論が再浮上すれば、日本の国益は大きく損なわれかねない。
「世界は100年に1度の大変動を迎えているが、時勢は我々の味方である」。習氏の常とう句である。数十年先を見据えた中国の大戦略を侮ってはいけない。(倫敦塔)
手負いのタカ5連敗 上沢、七回決勝ソロ被弾(プロ野球)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 29ページ 606文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム ソフトバンク
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。
今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。
「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【図・写真】七回、日本ハム・万波(奥)に勝ち越し本塁打を浴びたソフトバンク・上沢
プロ野球・1日の試合結果[2025/05/01 23:31 日経速報ニュース 105文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
DeNA 3―0 ヤクルト
中 日 3―2 阪 神
◇パ・リーグ
西 武 2―1 楽 天(延長10回)
日本ハム 3―2 ソフトバンク
1日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 570文字 画像有 ]
【巨人4―3広島】巨人がサヨナラ勝ちで今季初の4連勝。0―3の二回に岡本のソロ、三回に吉川の適時打で追い上げ、六回にキャベッジのソロで同点とし、延長十二回2死一塁から吉川の適時三塁打で勝負を決めた。広島は6連敗で4位転落。
【日本ハム3―2ソフトバンク】日本ハムが3連勝。古林睿煬が力強い直球を軸に7回5安打2失点でまとめ、来日初勝利を挙げた。打線は0―2の五回に同点とし、七回に万波の6号ソロで勝ち越し。ソフトバンクは今季2度目の5連敗。上沢は7回3失点で2敗目。
【関連記事】手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾
【中日3―2阪神】中日が3連勝で勝率5割に戻した。プロ初先発の三浦が粘って5回2失点にまとめ、初勝利。2―2の五回2死一、三塁から挟殺プレーの間に三塁走者の岡林が生還して勝ち越した。阪神は今季初の4連敗。
【DeNA3―0ヤクルト】DeNAが延長戦を制した。0―0の十回2死から連打で一、三塁とし、牧の3点本塁打で勝ち越した。4番手のウィックが今季初勝利、入江が4セーブ目を挙げた。ヤクルトはピンチで投入したバウマンが痛恨の一発を浴びた。
【西武2―1楽天】西武がサヨナラ勝ちで2季ぶりの5連勝。1―1の延長十回無死二塁から平沼の右前打に失策が絡み、走者が生還した。今季初登板の与座が6回1安打無失点と好投し、5番手の羽田が1回無失点で今季初勝利。楽天は3連敗。〔共同〕
手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 554文字 画像有 ]
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【関連記事】
・1日のプロ野球 結果と戦評
・プロ野球選手会、ポスティング移籍巡る選手批判「控えて」
日本ハム 3―2 ソフトバンク[2025/05/01 21:07 日経速報ニュース 113文字 ]
◇みずほペイペイドームN(5回戦)日本ハム4勝1敗
日ハム 000 020 100=3
ソフト 200 000 000=2
〔勝〕古林睿煬 1勝1敗
〔S〕田中 1敗6S
〔敗〕上沢 2勝2敗
〔本〕万波6号(1)(上沢)
上場企業の7割が増益 25年3月期、円安やAI好調で[2025/05/01 19:42 日経速報ニュース 1534文字 画像有 ]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152.5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
米AI新興、ソフトバンクGなどから150億円調達 クラウド利用効率化[2025/05/01 19:32 日経速報ニュース 398文字 ]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
2日(金)のスポーツ[2025/05/01 16:01 日経速報ニュース 203文字 ]
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・女子チャンピオンシップファイナル(18時40分、東京・有明アリーナ)
▽ゴルフ=中日クラウンズ第2日(7時10分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース第1日(7時、千葉・浜野GC)
▽プロ野球=DeNA×巨人(18時、横浜)阪神×ヤクルト(18時、甲子園)広島×中日(18時、マツダ)楽天×オリックス(18時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(18時、みずペ)〔時事〕
人事、ドコモ・ファイナンス[2025/05/01 15:43 日経速報ニュース 35文字 ]
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
日経平均、上げ幅400円超える ソフトバンクGが一段高[2025/05/01 14:13 日経速報ニュース 33文字 ]
これはフラッシュニュース(見出しだけのニュース)です。〔NQN〕
解剖ソフトバンクG 孫氏のAI革命、「スターゲート」が開く第2幕[2025/05/01 11:45 日経速報ニュース 2384文字 画像有 ]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、そして未来の人類のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
およそ10カ月前、2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」――。それから半年、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月にホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
アームがAI戦略の中核に
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英半導体設計のアーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。それは今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
超知能構想に巨額投資
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。累計の投資成績は24年12月末時点で16億3400万ドルの赤字だ。
足元では核融合発電の米ヘリオン・エナジーや、量子計算機開発の米クエラ・コンピューティングにも出資した。AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年には10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔、グラフィックス 荒川恵美子)
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時価総額の増加額、任天堂首位、新型機に期待(日本株番付)[2025/05/01 日本経済新聞 夕刊 5ページ 440文字 PDF有 書誌情報]
今年に入り時価総額を伸ばした企業はどこか。東証プライム市場に上場する企業を対象に2024年12月末と25年4月28日時点での時価総額を比べ、増加額の多い順にランキングした。
首位は任天堂で増加額は2兆8194億円だった。1月に新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の発売を発表してから、業績貢献に期待した買いが入った。トランプ米政権の関税の影響を見極めるため延期していた米国での予約も4月24日から受け付けを始めた。
2位は三菱重工業で1兆9988億円増えた。地政学リスクの高まりや防衛費増額の思惑などから防衛関連事業の拡大期待が大きい。3月には上場来高値を更新するなど時価総額は初の10兆円に迫る。豊田自動織機は株式非公開化の検討に関するニュースを材料に買われた。
通信やIT(情報技術)サービスなど内需関連の銘柄も上位に入った。8位の富士通や9位のNECは今期の増配(分割考慮後)を発表するなど、株主還元を好感した買いも集めている。
泊原発「合格」、迫る需要増 ラピダス量産にらむ 27年再稼働へ一歩[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1008文字 PDF有 書誌情報]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3.4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1.2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
ソフトバンク(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也
▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠
▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之
▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥
▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士
▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝
▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
自動運転、トヨタ連携広く 米ウェイモと車両開発で協力 豊富なデータ取り込み(ビジネスTODAY)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1833文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
【図・写真】トヨタはウェイモと自動運転の車両開発まで踏み込む(都内で走るウェイモの自動運転車)
令和の証券民主化運動(大機小機)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 929文字 PDF有 書誌情報]
日本の株式市場は、幅広い国民が株を持つ「大衆化」を本格的に進めるべき段階を迎えている。元号の変遷とともに保有主体が入れ替わってきたこの市場が、次の転換点にさしかかっているからだ。
1940年代後半、財閥解体で市中に放出した株を個人に安く分配し、国民が等しく豊かになろうという運動が盛り上がった。終戦直後の証券民主化運動だ。当時個人の持ち株比率は7割に達した。
だがGHQ(連合国軍総司令部)の緊縮財政金融策(ドッジライン)で株価は暴落。投資ブームは霧消した。個人が手放した株は金融機関や事業会社が吸い上げ、高度成長期からバブル期まで昭和のニッポン株式会社を支えた株式の持ち合い構造ができた。
そしてバブルが崩壊した平成の時代。不良債権処理の原資として銀行は持ち合い株を売却し、それを海外投資家が拾った。90年代を通じて海外勢の持ち株比率は右肩上がりで、アベノミクス初期の2013年度に3割を超えた。
それから10年余。海外勢は売ったり買ったりで、持ち株比率は頭打ちだ。一方、アベノミクスが起動したガバナンス改革とアクティビストの台頭は企業に非効率な資産の整理を迫り、事業会社や損害保険会社が最後に残った政策保有株の売却を急いでいる。
海外勢にこれ以上の保有引き上げを期待できなければ、市中に出る政策保有株を誰が引き受けるのか。個人をおいてほかにない。日銀もいずれ保有ETF(上場投資信託)の売却を迫られる。国民がもっと手軽に日本株を買える環境の整備は待ったなしだ。
東京証券取引所が先週、最低投資額10万円を目安に上場企業に一段の株式分割を求めたのはこうした危機感が背景にあるのだろう。新NISA(少額投資非課税制度)が現状、米国株や世界株投資信託を通じた個人資金の海外流出を加速させている大きな原因は、欧米より桁違いに高い日本株の投資単位にある。
日本株投資のハードルを下げる取り組みは始まったばかりだ。会社法改正と歩調を合わせた単元株制度の廃止は必須だ。欧米のように1株から株を買えるようにするには、株主総会実務のデジタル化や海外より低い株主提案権の行使要件の見直しを同時に進めなければならない。機は熟した。令和の証券民主化運動を始めるときだ。(井蛙)
耐えたハム山崎、緩急でタカ翻弄(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 262文字 PDF有 書誌情報]
日本ハムの山崎が4試合目で今季初勝利を挙げた。力感のないフォームと緩急を生かした配球の妙で主力を欠くソフトバンク打線を翻弄。5回1失点は最低限の働きだったが、「(1勝目が)ちょっと遅かったが良かった」と安堵した。
ストライク先行の安定した投球が揺らいだ四回は先頭から2者連続で出塁を許し、味方の失策で失点。「勝ちを意識しすぎて守りに入ってしまった」ものの、続く嶺井を三ゴロ併殺に仕留めて踏みとどまった。通算50勝とした左腕は「全然気にしていなかった。200勝目指して頑張ります」。投球スタイル同様、コメントも軽やかだった。
プロ野球・30日の試合結果[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 114文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 2―0 広 島
ヤクルト 4―1 DeNA
中 日 5―4 阪 神(延長11回)
◇パ・リーグ
西 武 3―1 楽 天
オリックス5―0 ロ ッ テ
日本ハム 6―1 ソフトバンク
30日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 716文字 画像有 ]
【巨人 2―0 広島】巨人が3連勝。山崎は直球、変化球ともに切れがあり、7回を無失点で開幕4連勝とした。0―0の六回に増田陸の適時二塁打で奪った2点を守り切った。広島は5連敗。6回を2失点と力投した大瀬良を打線が援護できなかった。
【中日 5―4 阪神】中日が今季初のサヨナラ勝ち。4―4の延長十一回、1死一、三塁から代打カリステの犠飛で勝ち越した。7番手の清水が今季初勝利。阪神は六回に佐藤輝、前川の適時打などで3得点して4―2としたが、直後に追い付かれた。
【西武 3―1 楽天】西武が連勝を4に伸ばした。一回に渡部聖の2点三塁打で先制。2―1の七回は西川の適時打で加点した。5投手の継投で逃げ切り、5回を投げて本塁打による1点に抑えた菅井が3勝目を挙げた。楽天は3安打にとどまった。
【オリックス 5―0 ロッテ】オリックスは田嶋が変化球の精度が高く、単打2本の無四球と寄せ付けず、3年ぶりの完封で2勝目。二回に西川の1号ソロで先制した打線は三回に太田の2点打、四回は麦谷の適時打などで加点。ロッテは種市が11安打5失点と崩れた。
【日本ハム 6―1 ソフトバンク】日本ハムは打線がつながり2連勝。四回に万波、石井の連続適時二塁打などで3点を先行。4―1の八回にも田宮の1号ソロなどで2点を加えた。山崎が5回1失点でまとめて今季初勝利。ソフトバンクは4連敗で今季最多の借金6。
【ヤクルト 4―1 DeNA】ヤクルトが効果的にリードを広げた。1―1の六回に山田の適時打で勝ち越し、七回は赤羽の犠飛、八回は西川の適時打で加点した。山野が6回を1失点で今季初勝利を挙げた。石山は5セーブ目。DeNAは連勝が4で止まった。〔共同〕
日本ハム 6―1 ソフトバンク[2025/04/30 21:21 日経速報ニュース 100文字 ]
◇みずほペイペイドームN(4回戦)日本ハム3勝1敗
日ハム 000 300 120=6
ソフト 000 100 000=1
〔勝〕山崎 1勝1敗
〔敗〕東浜 1勝1敗
〔本〕田宮1号(1)(津森)
泊原発、規制委審査「合格」 ラピダス見据え電力の安定供給に前進[2025/04/30 18:25 日経速報ニュース 1624文字 画像有 ]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3・4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1・2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
過疎化と人口減少で落ち込むとみられていた北海道の電力需要は、一転して増加する見通しだ。エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
北海道内では運転開始から既に40年以上経過した火力発電所もある。松尾氏は「データセンターや半導体工場では常に安定的な電力が必要だ。系統用蓄電池による供給能力は長くても数時間にとどまるため、泊原発3号機が動かなければ供給力に不安が残る」と指摘する。
規制委の安全審査に合格した原発は全国で17基あり、うち14基がすでに再稼働した。実際に原発を動かすには具体的な保安規定などの審査や稼働前の検査にくわえ、地元自治体の同意が必要だ。例えば東京電力柏崎刈羽原発6・7号機は17年に合格したものの、新潟県の花角英世知事がまだ同意していないため、再稼働に至っていない。
再稼働について北海道の鈴木直道知事は30日、札幌市内で記者団に「予断を持って申し上げる状況にない。議会の議論などを踏まえて適切に対応する」と話した。
資源エネルギー庁の集計によると、23年度時点で国内の電源構成のうち原子力発電が占める割合は8.5%にとどまる。武藤容治経済産業相は25日の閣議後の記者会見で「泊原発の再稼働は、電力の安定供給と脱炭素の同時実現、電力価格の抑制にもつながる重要な位置づけだ」との見方を示した。
政府は50年の温暖化ガス排出量実質ゼロを目指しており、2月に閣議決定したエネルギー基本計画では40年度の電源構成目標を再生エネが4~5割、原子力で2割に設定した。
【関連記事】
・泊原発3号機の再稼働、規制委が「合格」 運転再開は2027年めど
・ラピダス新工場など、原発なしでは電力ギリギリの北海道
人事、ソフトバンク[2025/04/30 18:17 日経速報ニュース 470文字 ]
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
トヨタの自動運転、米ウェイモと車両開発 実用化へ外部連携に軸足[2025/04/30 17:42 日経速報ニュース 1786文字 画像有 ]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
【関連記事】
・トヨタEVにファーウェイOS、ホンダはDeepSeek 中国専用車を投入
・「身体を持つAI」 デンソーや東芝が研究強化、自動運転など向け
1日(木)のスポーツ[2025/04/30 16:01 日経速報ニュース 121文字 ]
▽ゴルフ=中日クラウンズ第1日(7時10分、名古屋GC和合)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
東証後場寄り 日経平均は小幅高 様子見一段と 商船三井が急落[2025/04/30 12:57 日経速報ニュース 408文字 ]
30日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は前営業日比40円ほど高い3万5800円台後半で推移している。後場も小幅に下げる場面がある。前日の米株式相場の上昇を支えにした買いは一服。トランプ米政権の関税措置を巡って日本時間5月1日に予定される日米協議の行方を見守りたいとのムードが一段と広がっている。決算を受けた個別銘柄の売買は活発で、昼休み中に通期決算を発表した商船三井が急落している。郵船や川崎汽にも売りが膨らんでいる。
前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約214億円成立した。
12時45分現在の東証プライムの売買代金は概算で2兆5261億円、売買高は10億5356万株だった。
TDK、ソニーG、バンナムHD、豊田通商が高い。一方、ファストリ、東エレク、日立、ソフトバンクグループ(SBG)が安い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
NTTドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」を発売[2025/04/30 10:40 日経速報ニュース 1228文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
ドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」の取扱いを開始
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズが出資する株式会社SOXAI(以下、SOXAI)が開発する、日本発の健康管理用スマートリング「SOXAI RING(ソクサイリング)」の新モデル「SOXAI RING1.1」を、2025年4月30日(水)から全国のドコモショップ、ドコモオンラインショップ、ドコモの家電レンタル・サブスクサービス「kikito」にて他社に先駆けて取扱いを開始いたします。
*参考画像(1)は添付の関連資料を参照
■「SOXAI RING1.1」の概要
SOXAIが提供する健康管理用スマートリング「SOXAI RING1.1」は、約3gの小型で軽量な筐体に光学バイタルセンサーや温度センサー、加速度センサーなどを搭載し、睡眠の質や歩数・消費カロリーなどの活動量、心拍変動から自律神経の状態を測定しストレスレベルなどの体調パフォーマンスを可視化します(※1)。
「SOXAI RING1.1」は最新の睡眠学のトレンド(※2)に基づき、睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間、入眠潜時、睡眠タイミング、日中覚醒度、呼吸の安定性の7つの指標から本質的な睡眠スコアを算出し、回復指数や社会性ジェットラグなどの新指標の追加と連続的なデータ解析により、より実態に即した体調スコアを算出します(※3)。また、計測した睡眠・体調・運動の3つのスコアから、生活の質(QoL)がスコア化され、AIが身近なコンディショントレーナーとしてパーソナライズされた生活習慣改善のアドバイスをQoLのスコアに応じて生成・提示し、身体的な健康とパフォーマンスの向上をサポートします。
手首よりも脈波信号の強い指に着用することで高い精度で測定を行うとともに、睡眠時も装着負担のない着け心地を実現しています。最大9日間(※4)持続するバッテリーとIP68相当/10気圧防水の防水性能を備え、表面には高級時計でも使われる高強度のコーティング「DURATECT(デュラテクト)(R)」加工を施し、一日を通じた健康データの取得と分析を可能にします。
*参考画像(2)は添付の関連資料を参照
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/01_202504301058.png
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/02_202504301058.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/03_202504301058.pdf
トランプ政権が公表「100日の成果」は本当か 投資や雇用を検証[2025/04/30 05:42 日経速報ニュース 2391文字 画像有 ]
トランプ米政権は29日、発足から100日間の成果を公表した。批判と不安が渦巻く強引な政策が「米国の黄金時代」に続くと主張する。うのみにはできない。同日朝にレビット大統領報道官が公表した内容を、米国でそれぞれの分野を担当する記者が検証した。
「米国向け投資のコミットメントは5兆ドルに到達した。45万1000件の高賃金な雇用を創出すると推定される。現時点で前政権の4年を上回る投資を確保した」
保護主義的な高関税政策や減税策の目的は国内製造業の復活だ。ホワイトハウスはトヨタ自動車やアサヒグループホールディングスなど日本企業を含む「新規投資リスト」を公表した。
内訳で大きいのはテクノロジー大手だ。米エヌビディアは最新の人工知能(AI)半導体など最大5000億ドル(約71兆円)分を米国内で生産すると表明。オープンAIやオラクル、ソフトバンクグループ(SBG)もAIインフラ整備に4年間で5000億ドルを投じる計画「スターゲート」を共同発表した。
だが、大々的な投資発表については企業側の「面従腹背」を指摘する声も出ている。例えばアップルが打ち上げた5000億ドルの計画だ。
アップルは2月、南部テキサス州にAIサーバーの工場を新設するなど、今後4年間で5000億ドルを米国内に投じると発表した。具体的な金額の内訳は開示していない。ホワイトハウスの中でも、実際の投資はそこまで大きくならないと懐疑的な意見がある。
アップルはトランプ第1次政権の2018年は、5年間で300億ドル以上の直接投資を米国で行って3500億ドルの経済効果をもたらすと表明した。バイデン政権下の21年には4300億ドルに引き上げた。
業績を分析すると、これらの金額はサプライヤーへの支払いや営業費用なども合わせた支出実績と重なる規模だ。今回の「5000億ドル投資」も、新規投資ではなく通常の事業運営範囲内の支出を指している可能性がある。
半導体業界に詳しいアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は「21年公表の投資額(4300億ドル)に比べると、その間のインフレなどを考慮すれば、今回の5000億ドルはアップルにとって決して大きなコミットメントではない。トランプ政権の対中追加関税をなだめるための手段だ」と指摘する。
前回発表で目玉としていたノースカロライナ州での新拠点建設は中断したとも報じられており、2万人の新規雇用目標が達成されるかも不透明だ。
「米国のエネルギー支配を回復した。石油と天然ガスの価格は、大胆なアプローチにより大幅に下落した。ガソリン価格は7%下落した」
「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」。石油掘削でエネルギー価格を下げるというエネルギー政策は構想通りに進んでいない。
トランプ政権は業界支援のため石油・ガスのためのパイプラインや出荷基地の建設を促している。ライト・エネルギー長官は「ビルド・ベイビー・ビルド(建てて建てて建てまくれ)」と強調する。現政権下で液化天然ガス(LNG)の輸出許可をすでに4件出しており、輸出許可を止めていた前政権との違いを鮮明に出した。
ただこうした優遇策に業界が恩恵を受ける前に、高関税政策による景気悪化懸念から原油価格は急落した。29日の原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の終値はトランプ氏の就任直前から22%安の1バレル60.42ドルだった。
米ダラス連邦準備銀行の調査では原油の新規開発には65ドル前後の価格が必要になる。60ドルを割り込めば、原油生産量が減少に転じるとの指摘もある。
石油サービス大手ベイカー・ヒューズのロレンツォ・シモネリ最高経営責任者(CEO)は「関税の不確実性により米国を含む世界で25年の(原油など)上流権益への投資は減少になるだろう」と予測する。米エネルギー情報局(EIA)も4月に入り、関税による景気懸念などから世界の石油需要予測を下方修正した。
「政権発足以来34.5万人の雇用を創出。製造業は9000人増で、前政権の最後の2年間に毎月6000人減少していたことと対照的だ。米国人はこの数年で初めてとなる高インフレの緩和を経験した」
バイデン政権後期にあたる23~24年、製造業の就業者数は月平均で5400人減少した。25年3月は1276万4000人でトランプ氏が大統領に就任した1月から確かに9000人増えた。
ただ新政権の政策効果とは言い切れない。たとえば分野別関税で保護しようとしている半導体・電子部品は2800人減った。2カ月の増加幅は0.07%にすぎず、統計の振れ幅の大きさを考えると誤差の範囲内だ。23~24年も2カ月で9000人以上という増加は4回起きていた。
3月の失業率は4.2%で、23年4月の3.4%よりは高い。まだ低水準といえるが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は高関税政策によって失業率の上昇リスクが高まったと主張している。 ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は今後1年間で米国が景気後退に陥る確率を65%と見積もる。
消費者物価は3月、前月比で0.1%下落した。マイナスは22年7月以来だ。あくまでガソリン価格の下落などを反映したもので、物価の瞬間風速にすぎない。ポーゼン氏は関税の引き上げによる輸入物価の上昇で、景気後退の有無にかかわらずインフレは高水準になると見通す。
物価上昇と景気後退が両立するスタグフレーションの懸念が高まり、FRB内では早期の利下げに慎重な声が多い。トランプ氏はパウエルFRB議長に退任要求を突きつけ、早期の利下げで景気を支えるよう求めたが、中央銀行の独立性を軽視する姿勢が金融市場の不安を高める結果となっている。
(シリコンバレー=中藤玲、ヒューストン=大平祐嗣、ワシントン=高見浩輔)
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QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
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WithAI(2)英語モデルに米欧的偏見? 自国の文化、開発力で守る[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA―LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【図・写真】UAEのアブダビ首長国にある世界初のAIに特化した大学=同大学提供
さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
ソフトバンクグループ 孫会長兼社長(ニュース一言)終[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
常に1%は悪者がいる。ASI(人工超知能)に頼る将来の生活を、悪者から守らなければならない。99%の善良な人間が超知能と革新の道を歩めば、解決策はあるだろう。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は人類の1万倍の知能を持つASIの時代が10年以内にやってくると予想する。「革新には機会が与えられるべきだが、健全な規制も必要だ」と述べ、人工知能(AI)を安全に使う社会の重要性を訴える。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
ソフトバンク(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(6月26日)取締役、唐木秀明▽同、仲條亮子▽監査役、ティモシー・マキ▽退任(取締役)上釜健宏▽同(同)大木一昭▽同(監査役)君和田和子
ソフトバンクグループ(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ
(6月27日)監査役、西橋久仁子▽同、金丸祐子▽退任(監査役)宇野総一郎▽同(同)大塚啓一
プロ野球・29日の試合結果[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 121文字 ]
◇パ・リーグ
日本ハム 2―1 ソフトバンク(延長10回)
オリックス3―2 ロ ッ テ
西 武 7―1 楽 天
◇セ・リーグ
DeNA 6―1 ヤクルト
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
中 日 4―1 阪 神
29日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 724文字 画像有 ]
【日本ハム 2―1 ソフトバンク】日本ハムが逆転勝ち。0―1の七回に代打吉田の適時二塁打で追いつくと、延長十回に水野の2号ソロで勝ち越した。伊藤が9回1失点の力投で3勝目。山川の5号ソロで先制したソフトバンクは追加点を奪えず、3連敗となった。
【オリックス 3―2 ロッテ】オリックスが今季3度目のサヨナラ勝ち。八回に2―2と追い付いて迎えた九回、先頭の野口が三塁打を放ち、1死後に新人の麦谷が右前打で勝負を決めた。ロッテは1軍昇格の新人西川が宮城から2安打を放ったが、救援陣が誤算。
【中日 4―1 阪神】中日の涌井が6回4安打1失点で今季初勝利を挙げ、プロ入りから21年連続で白星をマーク。1―1の五回、板山の適時二塁打で勝ち越し、上林が2点適時打で続いた。阪神は才木が6回4失点。得点は佐藤輝のソロによる1点のみ。
【西武 7―1 楽天】西武の高橋が2季ぶりの白星。走者を出しても要所を締めて6回無失点とし昨季から続く自身の連敗を13で止めた。打線は一回に渡部聖の適時打で先制し以降も児玉の適時二塁打などで加点した。チームは3連勝。楽天の古謝は7失点。
【巨人 4―3 広島】巨人が今季2度目のサヨナラ勝ち。2―3の九回2死から失策で追い付き、延長十二回1死二、三塁で甲斐が犠飛を放って勝負を決めた。十一回から2回無失点の大勢が3勝目。広島は末包の3打点でリードしたが逃げ切れず4連敗。
【DeNA 6―1 ヤクルト】DeNAが今季初の4連勝。1―1の五回に度会の適時打で勝ち越し、七回に宮崎の適時打、九回に石上の2点打などで加点した。ジャクソンは6回1失点で2勝目。ヤクルトのランバートは5四死球に3暴投など制球が定まらなかった。〔共同〕
日本ハム 2―1 ソフトバンク[2025/04/29 21:16 日経速報ニュース 134文字 ]
◇みずほペイペイドームN(3回戦)日本ハム2勝1敗
日ハム 000 000 100 1=2
ソフト 010 000 000 0=1
(延長10回)
〔勝〕伊藤 3勝1敗
〔S〕田中 1敗5S
〔敗〕杉山 2敗1S
〔本〕山川5号(1)(伊藤)水野2号(1)(杉山)
30日(水)のスポーツ[2025/04/29 18:17 日経速報ニュース 168文字 ]
▽野球=東都大学 日大×青学大(9時、東京・神宮球場)、関西学生 関大×同大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)オリックス×ロッテ(18時、京セラ)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
AI普及で世界は米欧化する? 自国の文化、開発力で守る-With AI②[2025/04/29 11:30 日経速報ニュース 1350文字 画像有 ]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA-LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【With AI】
①AIはどこまで仕事に役立つ? アニメ映画を2~3カ月で制作
③乱造フェイクどう対応? 「情報汚染」阻むAI技術磨く
【関連記事】AIに国産化の波 国の「主権」維持へ、世界で開発数倍増
新プラン「ドコモMAX」、ネットの反響真っ二つ-ITジャーナリスト 石川 温[2025/04/29 02:00 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
NTTドコモは新料金プラン「ドコモMAX」を6月5日から始める。従来のデータ使い放題プランに比べて値上げとなるものの、月額4200円のスポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を追加料金なしで見放題にするといった特典を盛り込んだ。お得感で値上げに対する警戒感を払拭する考えだが、ネットでの反響は真っ二つに割れている。
あらゆるものが値上げしているが、通信業界だけが値上げしにくい雰囲気となっていた。2020年ごろからの「官製値下げ」がきっかけだ。KDDIやソフトバンクはV字回復を果たしたものの、NTTドコモはいまだに通信料収入の減収に悩まされている。低容量プラン投入の遅れが響いた。
Jリーグやプロ野球、F1をDAZNで視聴するユーザーからは「安価なプランが登場してありがたい」と好評だ。DAZNは日本に上陸した当初、NTTドコモのユーザーが月額980円で視聴できたものの、今では月額4200円に上昇している。
NTTドコモの斎藤武副社長は「DAZNが値上げをしていくなかで、解約してしまう人が相当数いらっしゃる。もう一度、DAZNを見てスポーツの楽しみを味わっていただきたい」と語る。かつてKDDIがNetflixを料金プランにセットにしたように、他社でもコンテンツサービスを料金に組み込んで普及した例はある。
映像配信サービスは観たいコンテンツがなくなると、すぐ解約してしまうユーザーも多い。特にDAZNは目当てのスポーツがシーズンオフになると、数カ月間全く視聴しない期間が発生するため、どうしても解約が増えてしまう。
キャリアと組んで料金プランとセットにすると、DAZNの解約を阻止できる。その上、キャリア側の契約も維持でき、解約率も改善するというのがKDDIによって証明されているのだ。
DAZNとしては度重なる値上げで離れたユーザーをなんとか取り戻したい。NTTドコモも通信料金を値上げしつつ、DAZNとセットにすることで解約率を下げたいという双方のメリットが一致。今回の料金プランに至ったのだろう。
NTTドコモの前田義晃社長は24年7月のインタビューで「Jリーグを盛り上げたい。ドコモユーザーをスタジアムに来てもらうことで、周辺の店舗でd払いを使ってもらうなどの相乗効果を出していきたい」と語っていた。NTTドコモは国立競技場の共同運営を手がけるなど、スポーツエンターテインメント事業に力を入れている。料金プランでDAZNの機会を増やし、スポーツファン拡大を狙っていくというわけだ。
プラン適用条件が複雑との声も
一方、ドコモMAXには批判の声も相次ぐ。DAZNを全く観ないという人はDAZNナシでもっと安いプランを望んでいる。斎藤副社長は「(DAZN以外にも)Amazonプライム6カ月無料や海外ローミングでの30ギガバイト無料などが付いている。最もドコモユーザーから要望が多かった長期契約者に向けて20年で月220円、10年以上で月110円の割引還元する。DAZNだけでなく、幅広いメリットを提供したい」と語る。
もうひとつが「複雑だ」という批判だ。NTTドコモの資料ではドコモMAXは「月額2398円から」というのをアピールしている。ただ、データ容量1ギガバイト未満や3回線以上の複数契約、20年以上の契約、dカード決済、光回線のセット割、ドコモでんきとのセット割を適用したあとの金額。3ギガバイト以上使い、割引が一切適用されない場合での料金は、月額8448円となる。
複数回線契約や光回線、クレジットカード払いを組み合わせないと安くならないというのは3キャリアの常とう手段だ。優良顧客を囲い込みたいというのは理解できなくもない。ただ、こうした割引を組み合わせた後の金額だけをアピールするのは、誠意に欠けるような気がしてならない。
「DAZNは不要」「様々な割引施策を組み合わせないと安くならない」という批判に対して、NTTドコモではオンライン手続き専用の低価格帯プラン「ahama(アハモ)」という切り札を用意している。
月額2970円でデータ容量30ギガバイト、1980円を追加すると110ギガバイト使えるプランだ。オンライン専用プランという立て付けではあるが、ドコモショップで手数料を支払えば店頭でも契約は可能だ。
斎藤副社長は「分かりやすさと価値の組み込みはトレードオフの関係にある。ahamoはahamoで、極めてシンプルなオンライン専用料金プラン。一方、ドコモ MAXはいろんな価値を入れ込んでいくというコンセプト。今後もさまざまな価値を付加しようと考えている」という。
今後、ドコモMAXのなかに他のコンテンツサービスを組み込むのか。DAZNとは異なるコンテンツサービスを組み込んだ別のドコモMAXが誕生するのかは明らかにされていない。NTTドコモは今後も様々なサービスを包含した新料金プランを投入し、単なる値上げとは取られにくい「付加価値値上げ」で収益改善を目指していくようだ。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。X(旧ツイッター)アカウントはhttps://twitter.com/iskw226
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新型量子計算機が稼働 米社が理研に設置、国内初 スパコンと連携で演算[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1270文字 PDF有 書誌情報]
原子が電気的性質を帯びているイオンを使って計算をする「イオントラップ方式」の量子コンピューターが、日本で稼働を始めた。日本でこの方式の量子コンピューターが稼働するのは初めてとなる。スーパーコンピューターとの連携を目指しており、今までのコンピューターでは不可能だった演算を実現する可能性を秘める。
埼玉県にある理化学研究所和光キャンパス。一画に作られた専用のクリーンルームの中で、米クオンティニュアム社が開発したイオントラップ方式の量子コンピューター「黎明(れいめい)」が2月、稼働を始めた。
量子コンピューターの計算素子は「量子ビット」と呼ばれ、計算性能を示す指標にもなっている。黎明は20量子ビットまで拡大できる設計だ。同社の量子コンピューターとしては世界で3台目になり、米国以外で稼働するのは初となる。
専用の建物には厳重な免震構造を導入した。同社日本法人の結解秀哉CEO(最高経営責任者)は「施設の準備を含め、ベストなものを理研が用意してくれた。実機の設置は大きな一歩だ」と話す。
量子コンピューターは高効率な触媒や電池材料の開発、金融取引での活用など、幅広い分野への展開が期待されている。
量子コンピューターの計算に欠かせない量子状態をつくり出すために、様々な方法が提案されている。最も開発が進んでいるのは絶対零度近くまで素子を冷却して使う「超電導方式」だ。ただ、現状では量子ビットの数や冷凍機の大きさなどに制限があり、量子コンピューターの大規模・高性能化に向けた課題になっている。
同社が開発しているのはイオントラップ方式の量子コンピューターだ。イオンを量子ビットに使い、レーザーで操作や測定をして計算に利用する。量子状態を維持しやすく、エラーが起こりにくい。一方で、量子ビットを精密に操作する必要があるほか、イオンを移動させるなどの操作に時間がかかり、計算速度がほかの方式に劣る課題がある。
黎明は1インチ四方のチップ上にマイクロメートル単位の細かな溝が掘られている。ここでイオンを閉じ込めたり動かしたりする。チップはバスケットボールサイズの容器に格納され、セ氏マイナス250度ほどに冷却される。容器にあるいくつかの窓からレーザー光を照射し、イオンの冷却や移動、量子状態の測定をする。
同社は量子ビットを2つ使う「2量子ビットゲート」という操作に強みを持つ。電圧の力で量子ビットを自由に動かし、計算速度の上昇などにつながるという。
黎明は理研やソフトバンクと共同で、スーパーコンピューター「富岳」と組み合わせる研究に使われる。スパコンと組み合わせることでエラーの発生を抑える効果が見込まれる。
同社は25年中には96量子ビットの量子コンピューターである「Helios(ヘリオス)」を開発する。超電導方式以外にも光を使った量子コンピューターなど、本命はまだ定まっていない。ただ多くの開発企業が30年前後を実用化の一つの目安として設定している。
【図・写真】米クオンティニュアム社が理研に設置した量子コンピューター「黎明」=同社提供
米国第一と戦後国際秩序の崩壊(大機小機)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 936文字 PDF有 書誌情報]
アメリカは、折に触れ、米国第一になる。渋沢栄一が明治末期、実業団を引き連れ渡米した時もそうだった。日露戦争勝利の頃から、日本製品や日本人移民を排斥、カリフォルニア州における排日土地法制定の動きなど、興隆日本を警戒する風潮が広がる。渋沢たちは大統領はじめ各界の要人に会い融和をはかるが、思うようにはいかなかった。
第1次世界大戦後、ウィルソン大統領が国際連盟創設を提唱するが、米国は議会の反対で加盟しなかった。第2次世界大戦で英チャーチル首相の強い要請にもかかわらずなかなか腰を上げない。日本の真珠湾攻撃で動いた。
関税を振りかざしメーク・アメリカ・グレート・アゲインを声高に叫ぶトランプ大統領。これまでの米国第一とは全く異なる。国際的地位の後退に対する深刻な危機感がある。80年ごろ、世界2位に駆け上がってきた日本経済に激しく構造改革を迫ったけれど、彼我の国内総生産(GDP、名目、兆ドル)は2・8対1・1と大差だった。
2024年の米中は29対19。背後に迫っている。中国は共産党オンリーの国家資本主義で「メーク・チャイナ・グレート・アゲイン」(英エコノミスト誌)をもくろむ。地政学的には、ロシア、イラン、北朝鮮と手を組んでいる。
70年ほど前、英国の経済学者ロイ・ハロッドは、著書「ドル」のおわりに「世界各国は絶えずアメリカ人の頭痛の種をまいてきた。そしてアメリカ人の高遠且つ友好的な希望は幾度か挫折を繰返す憂目をみてきた。しかしながら私は、この寛容さとこの忍耐力こそ(中略)将来私達すべてに大きな利益をもたらす指導者としての資格をアメリカ人に与えるものであると確信するものである」と記していた。戦後国際秩序の始まりだった。
それが今、トランプ氏の登場とタイミングを一にして崩壊しようとしている。通貨・貿易をめぐる秩序の早期立て直しは容易ではないだろう。
この状況でわが国は世界に自由貿易の原則を断固主張しなければならない。併せて国内生産拠点の再構築と人材育成によって供給力を高めなければならない。そして、国土をフル活用しながら1億2千万人の潜在需要を掘り起こす。すなわち、円相場や海外景況頼みの「反映」経済ではない、「自走」できる経済体質を心掛けるべきだ。(一礫)
25年05月03日
相次ぐ証券口座乗っ取り 顔認証やスマホ認証で自衛を[2025/05/03 05:00 日経速報ニュース 1613文字 画像有 ]
大手証券会社のインターネット口座が相次いで乗っ取られ、不正操作の被害が広がっている。日本証券業協会は事態を深刻に受け止め、会員企業に顔認証やスマホの電話番号認証など文字情報とは異なる複数の本人確認手段を組み合わせる「多要素認証」を導入するよう求めた。パスワード認証の脆弱性と有効な対策についてまとめた。
①想定される手口は?
2日時点で、乗っ取りの手口は明らかになっていないものの、不正アクセスの手口は大きく分けて2種類ある。
1つはユーザーに偽メールを送りつけて偽サイトのリンクに誘導した上で、IDやパスワードなどの認証情報を入力させて窃取する「フィッシング」。証券口座ならば偽メールの内容は「お客様の口座に不正利用の疑いがある」や「契約の重要なお知らせ」といった言葉でリンク先に誘導する。
フィッシング対策協議会によると、2025年3月に国内で報告されたフィッシング詐欺は約25万件で過去最高となった。直近1年間では、毎月10万~20万件の報告があるという。
もう一つは、マルウエア(悪意のあるプログラム)をパソコンなどに感染させて端末内の認証情報を技術的に盗む方法だ。
SOMPOホールディングスグループのSOMPOリスクマネジメント(東京・新宿)は25年2月にマルウエアの内部データを分析し、国内企業500社のうち22%が漏洩被害を受けているとする調査結果を公表した。
5月1日に被害を明かした著名投資家のテスタさん(ハンドルネーム)は、X(旧ツイッター)で被害の詳細を投稿した。証券会社からメールが届いて確認したところ、身に覚えのない注文を前日夜にした履歴があったという。
テスタさんは「ログインやパスワードを打つというようなことは絶対していません」とも投稿しており、乗っ取りの手口は不明のままだ。
②パスワードや2段階認証、なぜ脆弱?
パスワードだけの認証では、流出した際に簡単に不正ログインされる恐れがある。IDやパスワードなどの「知識要素」に加えて、スマホやパソコンに通知が送られるなどの「所持要素」、顔認証や指紋などの「生体要素」の複数の認証技術を組み合わせる多要素認証を設定しておけば、不正アクセスを防ぎやすい。
注意すべきは、多要素認証は「2段階認証」とは異なる点だ。2段階認証は、たとえばIDとパスワードを入力した後に「秘密の質問」の答えを入力するといった方法だ。一見すると強力に思えるが、秘密の質問はパスワードと同じ知識要素。このため答えがパスワードとともに漏洩すれば意味がない。
スマホ認証などの所持要素の手段には、一度きりの利用で更新される「ワンタイムパスワード」も一般的だ。ただ、会社側が利用を推奨していても利用者がワンタイムパスワードの設定をしていない場合もある。よりセキュリティーを強めるには、ユーザー側でも複数の認証要素を設定しておく必要がある。
③新しい技術「パスキー」とは
パスワードに頼らない認証手段として、国内外で導入が進むのは「パスキー」と呼ばれる新技術だ。米アップルと米グーグル、米マイクロソフトなど巨大テックが22年に導入に向けた連携を発表し注目された。国際的な推進団体によると、24年12月時点で全世界で延べ150億のユーザーアカウントで使えるという。
パスワード認証などではログインの際に認証情報をサービス運営者側に送って照合する必要があった。一方、パスキーはサービス運営者側が利用者のスマートフォンやパソコンなどの端末に本人認証を要求する。端末内で指紋や顔画像と照合し、認証情報は送信されてないため「鍵」の漏洩リスクが低い。
国内ではメルカリやNTTドコモが導入し、不正ログイン対策に効果を発揮しているという。証券会社などサービス事業者側に頼るだけでなく、利用者側も認証技術の特徴を把握し、より強力な認証設定を複数選んで組み合わせる自衛策が欠かせない。
(岩沢明信)
【関連記事】
・証券口座情報、盗難の手口にコンピューターウイルスも
・証券口座乗っ取り、警察庁や金融庁などが注意喚起
・著名個人投資家のテスタさん、証券口座乗っ取り被害に遭う
来週の予定 米FOMC結果発表・FRB議長会見 トヨタなど決算[2025/05/03 01:54 日経速報ニュース 1400文字 ]
◇5日(月)
・東京市場が休場(こどもの日)
・上海、深、香港、韓国、タイ市場が休場
・英国市場が休場
・4月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数(23:00)
・米3年物国債入札
◇6日(火)
・東京市場が休場(みどりの日の振り替え休日)
・韓国市場が休場
・3月の米貿易収支(21:30)
・米10年物国債入札
・海外1~3月期決算=アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
◇7日(水)
・5月の日銀当座預金増減要因見込み(8:50)
・3月期決算=LINEヤフー、川崎汽
・1~3月期決算=JT
・7~3月期決算=メルカリ
・3月のユーロ圏小売売上高
・ポーランド中銀が政策金利を発表
・ブラジル中銀が政策金利を発表
・米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表(8日3:00)
・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見(8日3:30)
・3月の米消費者信用残高(8日4:00)
・海外1~3月期決算=ウォルト・ディズニー
◇8日(木)
・日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分、8:50)
・6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・10年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・4月の輸入車販売(日本自動車輸入組合、10:30)
・4月の車名別新車・軽自動車販売(自販連、全軽自協 11:00)
・4月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)
・3月期決算=味の素、イビデン、武田、富士フイルム、JFE、ダイキン、オムロン、IHI、トヨタ、三菱自、バンナムHD、任天堂、郵船、ソフトバンク(SB)、NTTデータ、コナミG
・1~3月期決算=SUMCO、花王
・マレーシア中銀が政策金利を発表
・英中銀が政策金利を発表
・スウェーデン中銀が政策金利を発表
・ノルウェー中銀が政策金利を発表
・週間の米新規失業保険申請件数(21:30)
・1~3月期の米労働生産性指数(速報値)(21:30)
・3月の米卸売在庫・売上高(23:00)
・米30年物国債入札
◇9日(金)
・閣議
・3月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)
・3月の家計調査(総務省、8:30)
・4月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
・3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・3月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)
・3月期決算=ディーエヌエ、JX金属、日本製鉄、住友鉱、リクルート、TOWA、ミネベア、パナHD、芝浦電子、太陽誘電、三菱重、川重、スクリン、SBI、マネックスG、三井不、京成、NTT
・1~3月期決算=クボタ、ユニチャーム
・10~3月期決算=ホトニクス
・4月の中国貿易統計
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(18:10)
・バーFRB理事が講演(19:45)
・クグラーFRB理事が講演(21:30)
・ウォラーFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日0:30)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(10日0:30)
・クックFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日8:45)
◇10日(土)
・4月の中国消費者物価指数(CPI、10:30)
・4月の中国卸売物価指数(PPI、10:30)
(注)時間は日本時間
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
来週のマーケット展望 円相場は底堅い、株は上昇一服か[2025/05/03 01:53 日経速報ニュース 1773文字 ]
来週(5~9日)の外国為替市場で円相場は底堅く推移しそうだ。今週は日銀の早期利上げ観測が後退し、大幅に円安・ドル高が進んだ。米関税交渉を巡る懸念が和らぎつつあるなか、市場では「円相場と日米金利差の連動が復活する場面が増えそうだ」との声がある。米連邦準備理事会(FRB)が7日まで開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを進める姿勢を示せば、円買い・ドル売りが入りそうだ。週初は国内が大型連休で市場参加者が少なく、値幅が大きくなる可能性もある。
7~9日の日経平均株価は上昇一服か。今週の日本株は米株高に連れ高したほか、日銀の利上げ観測後退による円安・ドル高の進行で輸出関連に見直し買いが広がった。ただ買い一巡感も出てきており、日経平均のチャート上では75日移動平均(3万7100円台)が戻りめどとして意識される可能性がある。FOMCの結果を受けて米株式市場が不安定になれば、いったん3万5000円台まで下落する場面もありそうだ。
【主な予定】
◇5日(月)
・東京市場が休場(こどもの日)
・上海、深セン、香港、韓国、タイ市場が休場
・英国市場が休場
・4月の米サプライマネジメント協会(ISM)サービス業景況感指数(23:00)
・米3年物国債入札
◇6日(火)
・東京市場が休場(みどりの日の振り替え休日)
・韓国市場が休場
・3月の米貿易収支(21:30)
・米10年物国債入札
・海外1~3月期決算=アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
◇7日(水)
・5月の日銀当座預金増減要因見込み(8:50)
・3月期決算=LINEヤフー、川崎汽
・1~3月期決算=JT
・7~3月期決算=メルカリ
・3月のユーロ圏小売売上高
・ポーランド中銀が政策金利を発表
・ブラジル中銀が政策金利を発表
・米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表(8日3:00)
・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見(8日3:30)
・3月の米消費者信用残高(8日4:00)
・海外1~3月期決算=ウォルト・ディズニー
◇8日(木)
・日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分、8:50)
・6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・10年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・4月の輸入車販売(日本自動車輸入組合、10:30)
・4月の車名別新車・軽自動車販売(自販連、全軽自協 11:00)
・4月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)
・3月期決算=味の素、イビデン、武田、富士フイルム、JFE、ダイキン、オムロン、IHI、トヨタ、三菱自、バンナムHD、任天堂、郵船、ソフトバンク(SB)、NTTデータ、コナミG
・1~3月期決算=SUMCO、花王
・マレーシア中銀が政策金利を発表
・英中銀が政策金利を発表
・スウェーデン中銀が政策金利を発表
・ノルウェー中銀が政策金利を発表
・週間の米新規失業保険申請件数(21:30)
・1~3月期の米労働生産性指数(速報値)(21:30)
・3月の米卸売在庫・売上高(23:00)
・米30年物国債入札
◇9日(金)
・閣議
・3月の毎月勤労統計(厚労省、8:30)
・3月の家計調査(総務省、8:30)
・4月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
・3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・3月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)
・3月期決算=ディーエヌエ、JX金属、日本製鉄、住友鉱、リクルート、TOWA、ミネベア、パナHD、芝浦電子、太陽誘電、三菱重、川重、スクリン、SBI、マネックスG、三井不、京成、NTT
・1~3月期決算=クボタ、ユニチャーム
・10~3月期決算=ホトニクス
・4月の中国貿易統計
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(18:10)
・バーFRB理事が講演(19:45)
・クグラーFRB理事が講演(21:30)
・ウォラーFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日0:30)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(10日0:30)
・クックFRB理事が米シンクタンク主催の討論に参加(10日8:45)
(注)時間は日本時間
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
日本は自由貿易の旗手になれ(大機小機)[2025/05/03 日本経済新聞 朝刊 15ページ 902文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策に対して、自由貿易を破壊しグローバリズムに幕を引くものだという批判が相次いでいる。また、関税政策が米国の製造業の復活につながるかについても、過去と同じ過ちを繰り返すだけだとして懐疑的な見方が多い。
さらに、関税引き上げの実体経済へのマイナス影響も懸念される。関税引き上げは、成長を抑制し、物価を押し上げる。政策の不透明性は投資を抑制し、米国が景気後退に陥る恐れもある。こうした懸念が株式市場ばかりか債券、為替市場を動揺させている。
米国自身にも相手国にもダメージを与える愚かな関税政策は撤回されるべきである。
しかし、関税政策の落ち着き先に関わらず、グローバリズムは戻ってこない。トランプ政権発足の前から、グローバリズムはすでに後退していたからである。
中国は自由貿易体制を利用しつつ、国家ぐるみで不公正、不公平な競争の下、製造業、先端産業を育成し、世界を席巻しようとしてきた。
対する米国は、雇用を守るだけでなく経済安全保障の観点からも、製造業を守ろうとしている。今回、過激な関税政策に訴えたのは米国が切羽詰まっていることの表れであろう。関税政策の最大のターゲットが中国であることは明白だ。
米国は中国を孤立させようとしているとみられる。貿易相手国との交渉を通じて、中国から他国を経由して米国に製品が流れ込むのを阻止し、対中デカップリング(分断)を進めようとしている。ただ、対中軟化の気配もあり、トランプ政権が一枚岩かは不明である。一方の中国は報復関税に訴えるだけでなく、貿易相手国を米国から離反させようと動いている。このため、多くの国が米中どちらにつくか板挟みになっている。
貿易戦争を超えた対立激化も懸念される新冷戦下で、日本はどうすればいいのか。対米交渉で関税撤回を求めるのは当然であるが、同時に外圧を奇貨として、わが国の関税、非関税障壁の見直しを聖域なく行うべきである。
そして、改めて環太平洋経済連携協定(TPP)の枠組みを使って米国の友好国だけでなく、板挟みになる多くの国を募って、自由貿易体制を構築していくべきである。日本がその旗手となることを期待する。(追分)
プロ野球・2日の試合結果[2025/05/02 21:56 日経速報ニュース 94文字 ]
◇セ・リーグ
阪 神 4―0 ヤクルト
中 日 4―2 広 島
DeNA 中 止 巨 人
◇パ・リーグ
ソフトバンク 4―3 ロ ッ テ
楽 天 中 止 オリックス
2日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/02 21:55 日経速報ニュース 366文字 画像有 ]
【阪神 4―0 ヤクルト】阪神が連敗を4で止めた。村上は2年ぶりの完封でリーグ単独トップの5勝目。球の走り、切れともに申し分なく、無四球で単打5本に抑えた。六回に佐藤輝、大山の連続適時打などで3点先行し、七回に加点。ヤクルトは連日の零敗。
【関連記事】阪神・村上頌樹、これがエース 9連戦のさなかで完封
【中日 4―2 広島】中日が今季初の4連勝。高橋宏は球威ある直球を軸に、7回2失点で2勝目を挙げた。打線は0―2の三回にボスラー、カリステの連打で3得点。五回もカリステの適時打で加点した。広島は7連敗。森下が6回10安打4失点と崩れた。
【ソフトバンク 4―3 ロッテ】ソフトバンクが今季初のサヨナラ勝ちで、連敗を5で止めた。1―3の九回2死一、二塁から牧原大の左前適時打で1点差に迫り、なお満塁として代打川瀬が左中間二塁打で試合を決めた。ロッテは抑えの益田がリードを守れず3連敗。〔共同〕
ソフトバンク 4―3 ロッテ[2025/05/02 21:08 日経速報ニュース 99文字 ]
◇みずほペイペイドームN(6回戦)3勝3敗
ロッテ 300 000 000=3
ソフト 000 010 003X=4
〔勝〕大山 1勝
〔敗〕益田 1勝1敗3S
〔本〕ポランコ4号(3)(有原)
3日(土)のスポーツ[2025/05/02 20:35 日経速報ニュース 1148文字 ]
▽陸上=静岡国際大会(9時30分、静岡・エコパスタジアム)
▽水泳=アーティスティックスイミング日本選手権第1日(11時30分、東京・アクアティクスセンター)
▽野球=東京六大学 早大×立大、東大×慶大(11時、東京・神宮球場)、首都大学(9時、神奈川・大和スタジアム)、関西六大学(9時30分、わかさ京都)
▽サッカー=JFL(13時、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場ほか)、なでしこリーグ(13時、J―GREEN堺)、関東大学(14時、東京・明大八幡山グラウンドほか)、関西学生(11時30分、京都・洛西浄化センター公園ほか)
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・男子、女子チャンピオンシップファイナル(12時10分、東京・有明アリーナ)、黒鷲旗全日本選抜大会第1日(10時、Asueアリーナ大阪)
▽バスケットボール=りそなB1リーグ(14時5分、横浜BUNTAIほか)
▽ハンドボール=リーグH(12時30分、愛知・枇杷島スポーツセンターほか)
▽ラグビー=リーグワン(13時、東京・味の素スタジアムほか)
▽アメリカンフットボール=パールボウル・トーナメント(12時、東京・アミノバイタルフィールドほか)、グリーンボウル(12時、大阪・MKタクシーフィールドエキスポ)
▽ゴルフ=中日クラウンズ第3日(6時50分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース第2日(7時、千葉・浜野GC)
▽競馬=第2回東京第3日、第2回京都第3日、第1回新潟第1日
▽プロボクシング=東洋太平洋(OPBF)フライ級タイトル戦 飯村樹輝弥(角海老宝石)×エスネス・ドミンゴ(フィリピン)、日本ライト級王座決定戦 村上雄大(角海老宝石)×仲里周磨(オキナワ)ほか(17時45分、東京・後楽園ホール)
▽プロ野球=DeNA×巨人(14時、横浜)阪神×ヤクルト(14時、甲子園)広島×中日(14時、マツダ)日本ハム×西武(14時、エスコ)楽天×オリックス(14時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(14時、みずペ)
▽Jリーグ=J1 広島×福岡(13時、Eピース)新潟×F東京(14時、デンカS)清水×名古屋(14時、国立)鹿島×町田(15時、カシマ)浦和×東京V(15時、埼玉)G大阪×湘南(15時、パナスタ)神戸×岡山(15時、ノエスタ)京都×C大阪(19時、サンガS)、J2 仙台×山口(13時、Qスタ)いわき×秋田(13時、ハワスタ)甲府×徳島(13時30分、JITス)山形×札幌(14時、NDスタ)大宮×富山(14時、NACK)藤枝×水戸(14時、藤枝サ)今治×磐田(14時、アシさと)鳥栖×千葉(14時、駅スタ)大分×熊本(14時、クラド)長崎×愛媛(16時、ピースタ)、J3(14時、CFSほか)〔時事〕
東証大引け 日経平均、7日続伸 関税交渉の進展期待で 続伸記録は1年8カ月ぶり長さ[2025/05/02 15:58 日経速報ニュース 1271文字 ]
2日の東京株式市場で日経平均株価は7日続伸し、終値は前日比378円39銭(1.04%)高の3万6830円69銭だった。7日続伸は2023年8月28日~9月6日の8日続伸以来、1年8カ月ぶりの長さ。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退し、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高に振れた。自動車など主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入った。日米や米中の関税交渉の進展期待も投資家心理を強気に傾け、日経平均の上げ幅は一時500円を超えた。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。会談に出席した赤沢亮正経済財政・再生相が記者団の取材に応じ「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。
日本政府内で6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて日米関税交渉の大枠での合意をめざすシナリオも浮上しており、市場の関心が高かった第2回会合を波乱なく通過したとの受け止めは買い安心感につながった。中国商務省は2日、米国が関税交渉を求めて中国側に複数回接触してきたと明かし「評価を進めている」と報道官談話で表明した。米中貿易摩擦が緩和方向に向かうとの期待も株買いを後押しした。
テクニカル分析上では3月後半以降の急落相場でチャート上に空けた5つの「窓」のうち3つ目の窓まで埋めた。きょうの上昇で、3月31日の高値(3万6440円)と同28日の安値(3万6864円)との間にできた窓埋めを達成した格好だ。戻り相場では窓埋めが早ければ早いほど、売り方の買い戻しが活発化するため、想定以上の上昇になりやすい点も株高に弾みをつけた。
もっとも前日までの6日続伸で日経平均は2200円あまり上昇しており、買い一巡後は売りに押された。日本は明日からゴールデンウイークの大型連休に入るとあって、持ち高調整目的の売りも出やすく、心理的節目の3万7000円付近では上値の重さが目立った。
東証株価指数(TOPIX)は8日続伸した。8日続伸は23年12月29日~24年1月15日以来の長さ。終値は8.34ポイント(0.31%)高の2687.78だった。JPXプライム150指数も8日続伸し、9.02ポイント(0.76%)高の1194.67で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆7505億円、売買高は19億7112万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は817。値下がりは766、横ばいは52だった。
ファストリやダイキン、信越化が高い。アドテストやソフトバンクグループ(SBG)、ソニーGが上昇した。トヨタやホンダ、デンソーが買われた。一方、TDKや東エレク、エプソンが安い。伊藤忠や三菱商が下落した。日銀の早期利上げ観測の後退を受け、三菱UFJや三井住友FG、コンコルディなど銀行株の売りが目立った。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
メルカリ、「メルカリモバイル」におけるサービスの利用動向を公開[2025/05/02 14:24 日経速報ニュース 1068文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年05月02日
メルカリ、「メルカリモバイル」におけるサービスの利用動向を初公開
~ギガの購入・出品でおトクな料金が実現
1GBあたりの平均価格は36円(※1)、20GBで200円の購入事例も~
株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、2025年3月に開始したモバイルサービス「メルカリモバイル」上で、データ通信量(ギガ)を「メルカリ」のように個人間で売り買いできる日本初の機能がどのように利用されたか(※2)をまとめましたので、お知らせいたします。
※1 : 2GB以上で取引された場合の平均価格
※2 : 集計期間 : 2025年3月4日~4月25日、集計対象 : メルカリモバイルをご契約されたすべてのお客さま
*参考画像は添付の関連資料を参照
■「メルカリモバイル」について
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https://release.nikkei.co.jp/attach/690594/01_202505021422.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690594/02_202505021422.pdf
東証前引け 日経平均は続伸 一時500円高 日米交渉に安心感、円安支え[2025/05/02 11:51 日経速報ニュース 1030文字 ]
2日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比253円23銭(0.69%)高の3万6705円53銭だった。上げ幅は一時500円を超えた。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退しており、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高に振れた。自動車など主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入ったほか、日米関税交渉の進展期待も投資家心理の改善につながった。ただ、買い一巡後は利益確定や戻り待ちの売りに押され、上げ幅を縮小した。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。赤沢亮正経済財政・再生相とベッセント米財務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表、ラトニック商務長官が会談した。会談後に記者団の取材に応じた赤沢経財相は「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。市場の関心が高かった第2回会合を波乱なく通過したと受け止められ、株買いを後押しした。赤沢経財相が今後の交渉を踏まえ、6月にも首脳間で合意することが望ましいとの考えを示したことも買いを誘った。
もっとも前日までの6日続伸で日経平均は2200円あまり上昇しており、買い一巡後は売りに押された。日本は明日からゴールデンウイークの大型連休に入るとあって、持ち高調整目的の売りも出やすかった。市場では「米関税政策を巡って過度な懸念は和らいでいるものの、トランプ米大統領の発言次第で株式相場が乱高下する可能性があり、連休前に手じまい売りを出す動きが広がった」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引けは4.17ポイント(0.16%)高の2683.61だった。JPXプライム150指数も続伸した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3365億円、売買高は9億5542万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は488。値下がりは1085、横ばいは62だった。
ファストリやダイキン、KDDIが高い。信越化やトヨタ、ホンダが上昇した。任天堂や大塚HD、第一三共が買われた。一方、アドテストや東エレクが安い。TDKやエプソン、ディスコが下落した。三菱UFJや三井住友FGなど銀行株が売られた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東証10時 日経平均、一時500円高に上げ幅拡大 円安進行が支え[2025/05/02 10:18 日経速報ニュース 623文字 ]
2日前場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は上げ幅を拡大し、前日比520円ほど高い3万6900円台後半まで強含む場面があった。日銀の早期利上げ観測が後退するなか、2日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=145円台後半まで円安・ドル高方向に振れている。円安進行に歩調を合わせて株価指数先物に断続的な買いが入っているとみられ、日経平均を押し上げている。
日米両政府が日本時間2日早朝に開いた関税交渉の第2回会合が波乱なく通過したと受け止められていることも、株買いを後押ししている。2日から事務レベルでの協議を始めることで一致したほか、5月中旬以降に改めて閣僚級の会合を開くという。交渉に出席した赤沢亮正経済財政・再生相は会談終了後、記者団から6月の首脳間の合意が念頭にあるか問われたのに対し「そういう段階に入れればいいと思っている」と話し、来月の首脳間の合意も視野に交渉を急ぐ考えを示した。市場では「日米交渉の進展期待が広がっており、買い安心感につながっている」(国内証券ストラテジスト)との声が聞かれた。
10時現在の東証プライムの売買代金は概算で1兆3651億円、売買高は5億8228万株だった。
ファストリや東エレク、ダイキンが一段高。信越化やソフトバンクグループ(SBG)が上昇した。トヨタやホンダ、デンソーが買われた。一方、TDKやエプソンが安い。ディスコやアドテスト、三菱UFJが下落した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
東証寄り付き 日経平均、続伸 上げ幅400円超 米株高支え、日米交渉は波乱なく[2025/05/02 09:28 日経速報ニュース 811文字 ]
2日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸で始まり、前日に比べ410円ほど高い3万6800円台後半まで上げ幅を広げている。前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ。日銀の早期利上げ観測が後退し、外国為替市場で円相場が1ドル=145円台と前日夕時点から円安・ドル高方向に振れている。主力の輸出関連株に採算改善を見込んだ買いが入りやすいことも相場を支えている。
日米両政府は米東部時間1日午後(日本時間2日早朝)に関税交渉の第2回会合を開いた。赤沢亮正経済財政・再生相とベッセント米財務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表、ラトニック商務長官が会談した。会談後に記者団の取材に応じた赤沢経財相は「お互いの関心事項について突っ込んだ議論ができた」と話した一方、「為替や安全保障は議論にならなかった」とも言及した。市場の関心が高かっただけに、重要イベントを波乱なく通過したとの受け止めは買い安心感につながっている。
1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は8日続伸し、約1カ月ぶりの高値で終えた。マイクロソフトなど主力ハイテク株の一角が好決算を受けて大幅上昇したためで、きょうの東京市場でも値がさの半導体関連などハイテク株の上昇が目立つ。ただ、1日に2025年1~3月期決算を発表した米アップルが時間外取引で下落した。売上高と1株利益はともに市場予想を上回ったが、トランプ米政権の関税引き上げに伴う需要減を警戒する売りに押された。東京市場でもTDKなど電子部品株の一角には売りが出て相場の重荷となっている。
東証株価指数(TOPIX)は続伸している。
ファストリやソフトバンクグループ(SBG)、信越化が高い。東エレクやトヨタ、ホンダが上昇した。任天堂やオリンパスが買われた。一方、エプソンが安い。リクルートやニトリHD、日本取引所が下落した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
ドコモ・ファイナンス(会社人事)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
ドコモ・ファイナンス
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
スターゲートが開くAI革命 解剖・ソフトバンクG 「人工超知能」実現へ 孫氏、半導体に「オールイン」[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2326文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、人類の未来のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」。それから半年後、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月、ホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
ロボット構想も
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英アーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
「礎ができた」
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。
AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年に10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔)
【図・写真】日本企業との会合に出席したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(右)とオープンAIのサム・アルトマンCEO(2月3日、東京都千代田区)
ソフトバンクGなど、米AI新興に出資 155億円、クラウド利用支援[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 398文字 PDF有 書誌情報]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
上場企業の7割増益 円安・AI半導体、追い風 前期最終、収益力の持続性焦点[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1535文字 PDF有 書誌情報]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152・5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。
フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
中国の対トランプ戦略(大機小機)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 17ページ 923文字 PDF有 書誌情報]
「貿易戦争に勝者はいない」と言う。正鵠(せいこく)を射る指摘である。国際通貨基金(IMF)は貿易戦争によって、2026年の国内総生産(GDP)が米国と中国ではともに2・2%、世界全体でも2%押し下げられるシナリオを想定している。
しかし、その指摘が習近平(シー・ジンピン)中国国家主席によってなされ、中国が自由貿易の旗手であるかのように振る舞う姿には違和感と危うさを禁じ得ない。
中国はトランプ関税に対して中国共産党のメンツにかけても徹底的かつ粛々と抗戦している。米国が場当たり的であるのと対照的に中国は計算ずくの対応のように見える。
「目には目を」で関税を引き上げ、ハイテク製品に必要なレアアース(希土類)の輸出規制も実施している。金融面では米国債売却も中国にとっての切り札となる。他の新興諸国とも連携して「脱ドル化」を加速化させることは中国の金融戦略にもかなう。
もちろん、中国も内心は穏やかではないだろう。不動産市場の構造調整圧力に見舞われている中では更なる景気悪化の代償は小さくない。1990年代半ばにかけての日米の貿易摩擦激化と円高がバブル崩壊後の日本経済の調整を長期化させ、国力をそいだことも中国は熟知している。
中国は米国に限定せずに輸入に関わる障壁を減らし、輸入大国としての世界経済への貢献を言い立てることになるだろう。加えて不動産市場の安定化を図りつつ、個人の将来不安の緩和につながる改革を進めることも個人消費と輸入を拡大させ、経済の構造転換に資するものとなる。
100%を超える関税を相互にかけ合う現状は持続可能ではない。米国が関税引き下げを示唆するのも当然だ。交渉の行方が注目されるが、世界秩序に関わる「ディール」の有無にも留意したい。
習氏は2017年にトランプ米大統領との共同会見で「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と語った。米国は当時以上に内向き志向を強めている。米中の不干渉・分割統治論が再浮上すれば、日本の国益は大きく損なわれかねない。
「世界は100年に1度の大変動を迎えているが、時勢は我々の味方である」。習氏の常とう句である。数十年先を見据えた中国の大戦略を侮ってはいけない。(倫敦塔)
手負いのタカ5連敗 上沢、七回決勝ソロ被弾(プロ野球)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 29ページ 606文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム ソフトバンク
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。
今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。
「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【図・写真】七回、日本ハム・万波(奥)に勝ち越し本塁打を浴びたソフトバンク・上沢
プロ野球・1日の試合結果[2025/05/01 23:31 日経速報ニュース 105文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
DeNA 3―0 ヤクルト
中 日 3―2 阪 神
◇パ・リーグ
西 武 2―1 楽 天(延長10回)
日本ハム 3―2 ソフトバンク
1日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 570文字 画像有 ]
【巨人4―3広島】巨人がサヨナラ勝ちで今季初の4連勝。0―3の二回に岡本のソロ、三回に吉川の適時打で追い上げ、六回にキャベッジのソロで同点とし、延長十二回2死一塁から吉川の適時三塁打で勝負を決めた。広島は6連敗で4位転落。
【日本ハム3―2ソフトバンク】日本ハムが3連勝。古林睿煬が力強い直球を軸に7回5安打2失点でまとめ、来日初勝利を挙げた。打線は0―2の五回に同点とし、七回に万波の6号ソロで勝ち越し。ソフトバンクは今季2度目の5連敗。上沢は7回3失点で2敗目。
【関連記事】手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾
【中日3―2阪神】中日が3連勝で勝率5割に戻した。プロ初先発の三浦が粘って5回2失点にまとめ、初勝利。2―2の五回2死一、三塁から挟殺プレーの間に三塁走者の岡林が生還して勝ち越した。阪神は今季初の4連敗。
【DeNA3―0ヤクルト】DeNAが延長戦を制した。0―0の十回2死から連打で一、三塁とし、牧の3点本塁打で勝ち越した。4番手のウィックが今季初勝利、入江が4セーブ目を挙げた。ヤクルトはピンチで投入したバウマンが痛恨の一発を浴びた。
【西武2―1楽天】西武がサヨナラ勝ちで2季ぶりの5連勝。1―1の延長十回無死二塁から平沼の右前打に失策が絡み、走者が生還した。今季初登板の与座が6回1安打無失点と好投し、5番手の羽田が1回無失点で今季初勝利。楽天は3連敗。〔共同〕
手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 554文字 画像有 ]
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【関連記事】
・1日のプロ野球 結果と戦評
・プロ野球選手会、ポスティング移籍巡る選手批判「控えて」
日本ハム 3―2 ソフトバンク[2025/05/01 21:07 日経速報ニュース 113文字 ]
◇みずほペイペイドームN(5回戦)日本ハム4勝1敗
日ハム 000 020 100=3
ソフト 200 000 000=2
〔勝〕古林睿煬 1勝1敗
〔S〕田中 1敗6S
〔敗〕上沢 2勝2敗
〔本〕万波6号(1)(上沢)
上場企業の7割が増益 25年3月期、円安やAI好調で[2025/05/01 19:42 日経速報ニュース 1534文字 画像有 ]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152.5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
米AI新興、ソフトバンクGなどから150億円調達 クラウド利用効率化[2025/05/01 19:32 日経速報ニュース 398文字 ]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
2日(金)のスポーツ[2025/05/01 16:01 日経速報ニュース 203文字 ]
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・女子チャンピオンシップファイナル(18時40分、東京・有明アリーナ)
▽ゴルフ=中日クラウンズ第2日(7時10分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース第1日(7時、千葉・浜野GC)
▽プロ野球=DeNA×巨人(18時、横浜)阪神×ヤクルト(18時、甲子園)広島×中日(18時、マツダ)楽天×オリックス(18時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(18時、みずペ)〔時事〕
人事、ドコモ・ファイナンス[2025/05/01 15:43 日経速報ニュース 35文字 ]
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
日経平均、上げ幅400円超える ソフトバンクGが一段高[2025/05/01 14:13 日経速報ニュース 33文字 ]
これはフラッシュニュース(見出しだけのニュース)です。〔NQN〕
解剖ソフトバンクG 孫氏のAI革命、「スターゲート」が開く第2幕[2025/05/01 11:45 日経速報ニュース 2384文字 画像有 ]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、そして未来の人類のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
およそ10カ月前、2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」――。それから半年、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月にホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
アームがAI戦略の中核に
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英半導体設計のアーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。それは今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
超知能構想に巨額投資
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。累計の投資成績は24年12月末時点で16億3400万ドルの赤字だ。
足元では核融合発電の米ヘリオン・エナジーや、量子計算機開発の米クエラ・コンピューティングにも出資した。AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年には10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔、グラフィックス 荒川恵美子)
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時価総額の増加額、任天堂首位、新型機に期待(日本株番付)[2025/05/01 日本経済新聞 夕刊 5ページ 440文字 PDF有 書誌情報]
今年に入り時価総額を伸ばした企業はどこか。東証プライム市場に上場する企業を対象に2024年12月末と25年4月28日時点での時価総額を比べ、増加額の多い順にランキングした。
首位は任天堂で増加額は2兆8194億円だった。1月に新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の発売を発表してから、業績貢献に期待した買いが入った。トランプ米政権の関税の影響を見極めるため延期していた米国での予約も4月24日から受け付けを始めた。
2位は三菱重工業で1兆9988億円増えた。地政学リスクの高まりや防衛費増額の思惑などから防衛関連事業の拡大期待が大きい。3月には上場来高値を更新するなど時価総額は初の10兆円に迫る。豊田自動織機は株式非公開化の検討に関するニュースを材料に買われた。
通信やIT(情報技術)サービスなど内需関連の銘柄も上位に入った。8位の富士通や9位のNECは今期の増配(分割考慮後)を発表するなど、株主還元を好感した買いも集めている。
泊原発「合格」、迫る需要増 ラピダス量産にらむ 27年再稼働へ一歩[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1008文字 PDF有 書誌情報]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3.4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1.2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
ソフトバンク(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也
▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠
▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之
▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥
▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士
▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝
▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
自動運転、トヨタ連携広く 米ウェイモと車両開発で協力 豊富なデータ取り込み(ビジネスTODAY)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1833文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
【図・写真】トヨタはウェイモと自動運転の車両開発まで踏み込む(都内で走るウェイモの自動運転車)
令和の証券民主化運動(大機小機)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 929文字 PDF有 書誌情報]
日本の株式市場は、幅広い国民が株を持つ「大衆化」を本格的に進めるべき段階を迎えている。元号の変遷とともに保有主体が入れ替わってきたこの市場が、次の転換点にさしかかっているからだ。
1940年代後半、財閥解体で市中に放出した株を個人に安く分配し、国民が等しく豊かになろうという運動が盛り上がった。終戦直後の証券民主化運動だ。当時個人の持ち株比率は7割に達した。
だがGHQ(連合国軍総司令部)の緊縮財政金融策(ドッジライン)で株価は暴落。投資ブームは霧消した。個人が手放した株は金融機関や事業会社が吸い上げ、高度成長期からバブル期まで昭和のニッポン株式会社を支えた株式の持ち合い構造ができた。
そしてバブルが崩壊した平成の時代。不良債権処理の原資として銀行は持ち合い株を売却し、それを海外投資家が拾った。90年代を通じて海外勢の持ち株比率は右肩上がりで、アベノミクス初期の2013年度に3割を超えた。
それから10年余。海外勢は売ったり買ったりで、持ち株比率は頭打ちだ。一方、アベノミクスが起動したガバナンス改革とアクティビストの台頭は企業に非効率な資産の整理を迫り、事業会社や損害保険会社が最後に残った政策保有株の売却を急いでいる。
海外勢にこれ以上の保有引き上げを期待できなければ、市中に出る政策保有株を誰が引き受けるのか。個人をおいてほかにない。日銀もいずれ保有ETF(上場投資信託)の売却を迫られる。国民がもっと手軽に日本株を買える環境の整備は待ったなしだ。
東京証券取引所が先週、最低投資額10万円を目安に上場企業に一段の株式分割を求めたのはこうした危機感が背景にあるのだろう。新NISA(少額投資非課税制度)が現状、米国株や世界株投資信託を通じた個人資金の海外流出を加速させている大きな原因は、欧米より桁違いに高い日本株の投資単位にある。
日本株投資のハードルを下げる取り組みは始まったばかりだ。会社法改正と歩調を合わせた単元株制度の廃止は必須だ。欧米のように1株から株を買えるようにするには、株主総会実務のデジタル化や海外より低い株主提案権の行使要件の見直しを同時に進めなければならない。機は熟した。令和の証券民主化運動を始めるときだ。(井蛙)
耐えたハム山崎、緩急でタカ翻弄(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 262文字 PDF有 書誌情報]
日本ハムの山崎が4試合目で今季初勝利を挙げた。力感のないフォームと緩急を生かした配球の妙で主力を欠くソフトバンク打線を翻弄。5回1失点は最低限の働きだったが、「(1勝目が)ちょっと遅かったが良かった」と安堵した。
ストライク先行の安定した投球が揺らいだ四回は先頭から2者連続で出塁を許し、味方の失策で失点。「勝ちを意識しすぎて守りに入ってしまった」ものの、続く嶺井を三ゴロ併殺に仕留めて踏みとどまった。通算50勝とした左腕は「全然気にしていなかった。200勝目指して頑張ります」。投球スタイル同様、コメントも軽やかだった。
プロ野球・30日の試合結果[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 114文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 2―0 広 島
ヤクルト 4―1 DeNA
中 日 5―4 阪 神(延長11回)
◇パ・リーグ
西 武 3―1 楽 天
オリックス5―0 ロ ッ テ
日本ハム 6―1 ソフトバンク
30日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 716文字 画像有 ]
【巨人 2―0 広島】巨人が3連勝。山崎は直球、変化球ともに切れがあり、7回を無失点で開幕4連勝とした。0―0の六回に増田陸の適時二塁打で奪った2点を守り切った。広島は5連敗。6回を2失点と力投した大瀬良を打線が援護できなかった。
【中日 5―4 阪神】中日が今季初のサヨナラ勝ち。4―4の延長十一回、1死一、三塁から代打カリステの犠飛で勝ち越した。7番手の清水が今季初勝利。阪神は六回に佐藤輝、前川の適時打などで3得点して4―2としたが、直後に追い付かれた。
【西武 3―1 楽天】西武が連勝を4に伸ばした。一回に渡部聖の2点三塁打で先制。2―1の七回は西川の適時打で加点した。5投手の継投で逃げ切り、5回を投げて本塁打による1点に抑えた菅井が3勝目を挙げた。楽天は3安打にとどまった。
【オリックス 5―0 ロッテ】オリックスは田嶋が変化球の精度が高く、単打2本の無四球と寄せ付けず、3年ぶりの完封で2勝目。二回に西川の1号ソロで先制した打線は三回に太田の2点打、四回は麦谷の適時打などで加点。ロッテは種市が11安打5失点と崩れた。
【日本ハム 6―1 ソフトバンク】日本ハムは打線がつながり2連勝。四回に万波、石井の連続適時二塁打などで3点を先行。4―1の八回にも田宮の1号ソロなどで2点を加えた。山崎が5回1失点でまとめて今季初勝利。ソフトバンクは4連敗で今季最多の借金6。
【ヤクルト 4―1 DeNA】ヤクルトが効果的にリードを広げた。1―1の六回に山田の適時打で勝ち越し、七回は赤羽の犠飛、八回は西川の適時打で加点した。山野が6回を1失点で今季初勝利を挙げた。石山は5セーブ目。DeNAは連勝が4で止まった。〔共同〕
日本ハム 6―1 ソフトバンク[2025/04/30 21:21 日経速報ニュース 100文字 ]
◇みずほペイペイドームN(4回戦)日本ハム3勝1敗
日ハム 000 300 120=6
ソフト 000 100 000=1
〔勝〕山崎 1勝1敗
〔敗〕東浜 1勝1敗
〔本〕田宮1号(1)(津森)
泊原発、規制委審査「合格」 ラピダス見据え電力の安定供給に前進[2025/04/30 18:25 日経速報ニュース 1624文字 画像有 ]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3・4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1・2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
過疎化と人口減少で落ち込むとみられていた北海道の電力需要は、一転して増加する見通しだ。エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
北海道内では運転開始から既に40年以上経過した火力発電所もある。松尾氏は「データセンターや半導体工場では常に安定的な電力が必要だ。系統用蓄電池による供給能力は長くても数時間にとどまるため、泊原発3号機が動かなければ供給力に不安が残る」と指摘する。
規制委の安全審査に合格した原発は全国で17基あり、うち14基がすでに再稼働した。実際に原発を動かすには具体的な保安規定などの審査や稼働前の検査にくわえ、地元自治体の同意が必要だ。例えば東京電力柏崎刈羽原発6・7号機は17年に合格したものの、新潟県の花角英世知事がまだ同意していないため、再稼働に至っていない。
再稼働について北海道の鈴木直道知事は30日、札幌市内で記者団に「予断を持って申し上げる状況にない。議会の議論などを踏まえて適切に対応する」と話した。
資源エネルギー庁の集計によると、23年度時点で国内の電源構成のうち原子力発電が占める割合は8.5%にとどまる。武藤容治経済産業相は25日の閣議後の記者会見で「泊原発の再稼働は、電力の安定供給と脱炭素の同時実現、電力価格の抑制にもつながる重要な位置づけだ」との見方を示した。
政府は50年の温暖化ガス排出量実質ゼロを目指しており、2月に閣議決定したエネルギー基本計画では40年度の電源構成目標を再生エネが4~5割、原子力で2割に設定した。
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人事、ソフトバンク[2025/04/30 18:17 日経速報ニュース 470文字 ]
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
トヨタの自動運転、米ウェイモと車両開発 実用化へ外部連携に軸足[2025/04/30 17:42 日経速報ニュース 1786文字 画像有 ]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
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1日(木)のスポーツ[2025/04/30 16:01 日経速報ニュース 121文字 ]
▽ゴルフ=中日クラウンズ第1日(7時10分、名古屋GC和合)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
東証後場寄り 日経平均は小幅高 様子見一段と 商船三井が急落[2025/04/30 12:57 日経速報ニュース 408文字 ]
30日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は前営業日比40円ほど高い3万5800円台後半で推移している。後場も小幅に下げる場面がある。前日の米株式相場の上昇を支えにした買いは一服。トランプ米政権の関税措置を巡って日本時間5月1日に予定される日米協議の行方を見守りたいとのムードが一段と広がっている。決算を受けた個別銘柄の売買は活発で、昼休み中に通期決算を発表した商船三井が急落している。郵船や川崎汽にも売りが膨らんでいる。
前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約214億円成立した。
12時45分現在の東証プライムの売買代金は概算で2兆5261億円、売買高は10億5356万株だった。
TDK、ソニーG、バンナムHD、豊田通商が高い。一方、ファストリ、東エレク、日立、ソフトバンクグループ(SBG)が安い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
NTTドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」を発売[2025/04/30 10:40 日経速報ニュース 1228文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
ドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」の取扱いを開始
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズが出資する株式会社SOXAI(以下、SOXAI)が開発する、日本発の健康管理用スマートリング「SOXAI RING(ソクサイリング)」の新モデル「SOXAI RING1.1」を、2025年4月30日(水)から全国のドコモショップ、ドコモオンラインショップ、ドコモの家電レンタル・サブスクサービス「kikito」にて他社に先駆けて取扱いを開始いたします。
*参考画像(1)は添付の関連資料を参照
■「SOXAI RING1.1」の概要
SOXAIが提供する健康管理用スマートリング「SOXAI RING1.1」は、約3gの小型で軽量な筐体に光学バイタルセンサーや温度センサー、加速度センサーなどを搭載し、睡眠の質や歩数・消費カロリーなどの活動量、心拍変動から自律神経の状態を測定しストレスレベルなどの体調パフォーマンスを可視化します(※1)。
「SOXAI RING1.1」は最新の睡眠学のトレンド(※2)に基づき、睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間、入眠潜時、睡眠タイミング、日中覚醒度、呼吸の安定性の7つの指標から本質的な睡眠スコアを算出し、回復指数や社会性ジェットラグなどの新指標の追加と連続的なデータ解析により、より実態に即した体調スコアを算出します(※3)。また、計測した睡眠・体調・運動の3つのスコアから、生活の質(QoL)がスコア化され、AIが身近なコンディショントレーナーとしてパーソナライズされた生活習慣改善のアドバイスをQoLのスコアに応じて生成・提示し、身体的な健康とパフォーマンスの向上をサポートします。
手首よりも脈波信号の強い指に着用することで高い精度で測定を行うとともに、睡眠時も装着負担のない着け心地を実現しています。最大9日間(※4)持続するバッテリーとIP68相当/10気圧防水の防水性能を備え、表面には高級時計でも使われる高強度のコーティング「DURATECT(デュラテクト)(R)」加工を施し、一日を通じた健康データの取得と分析を可能にします。
*参考画像(2)は添付の関連資料を参照
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/01_202504301058.png
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/02_202504301058.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/03_202504301058.pdf
トランプ政権が公表「100日の成果」は本当か 投資や雇用を検証[2025/04/30 05:42 日経速報ニュース 2391文字 画像有 ]
トランプ米政権は29日、発足から100日間の成果を公表した。批判と不安が渦巻く強引な政策が「米国の黄金時代」に続くと主張する。うのみにはできない。同日朝にレビット大統領報道官が公表した内容を、米国でそれぞれの分野を担当する記者が検証した。
「米国向け投資のコミットメントは5兆ドルに到達した。45万1000件の高賃金な雇用を創出すると推定される。現時点で前政権の4年を上回る投資を確保した」
保護主義的な高関税政策や減税策の目的は国内製造業の復活だ。ホワイトハウスはトヨタ自動車やアサヒグループホールディングスなど日本企業を含む「新規投資リスト」を公表した。
内訳で大きいのはテクノロジー大手だ。米エヌビディアは最新の人工知能(AI)半導体など最大5000億ドル(約71兆円)分を米国内で生産すると表明。オープンAIやオラクル、ソフトバンクグループ(SBG)もAIインフラ整備に4年間で5000億ドルを投じる計画「スターゲート」を共同発表した。
だが、大々的な投資発表については企業側の「面従腹背」を指摘する声も出ている。例えばアップルが打ち上げた5000億ドルの計画だ。
アップルは2月、南部テキサス州にAIサーバーの工場を新設するなど、今後4年間で5000億ドルを米国内に投じると発表した。具体的な金額の内訳は開示していない。ホワイトハウスの中でも、実際の投資はそこまで大きくならないと懐疑的な意見がある。
アップルはトランプ第1次政権の2018年は、5年間で300億ドル以上の直接投資を米国で行って3500億ドルの経済効果をもたらすと表明した。バイデン政権下の21年には4300億ドルに引き上げた。
業績を分析すると、これらの金額はサプライヤーへの支払いや営業費用なども合わせた支出実績と重なる規模だ。今回の「5000億ドル投資」も、新規投資ではなく通常の事業運営範囲内の支出を指している可能性がある。
半導体業界に詳しいアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は「21年公表の投資額(4300億ドル)に比べると、その間のインフレなどを考慮すれば、今回の5000億ドルはアップルにとって決して大きなコミットメントではない。トランプ政権の対中追加関税をなだめるための手段だ」と指摘する。
前回発表で目玉としていたノースカロライナ州での新拠点建設は中断したとも報じられており、2万人の新規雇用目標が達成されるかも不透明だ。
「米国のエネルギー支配を回復した。石油と天然ガスの価格は、大胆なアプローチにより大幅に下落した。ガソリン価格は7%下落した」
「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」。石油掘削でエネルギー価格を下げるというエネルギー政策は構想通りに進んでいない。
トランプ政権は業界支援のため石油・ガスのためのパイプラインや出荷基地の建設を促している。ライト・エネルギー長官は「ビルド・ベイビー・ビルド(建てて建てて建てまくれ)」と強調する。現政権下で液化天然ガス(LNG)の輸出許可をすでに4件出しており、輸出許可を止めていた前政権との違いを鮮明に出した。
ただこうした優遇策に業界が恩恵を受ける前に、高関税政策による景気悪化懸念から原油価格は急落した。29日の原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の終値はトランプ氏の就任直前から22%安の1バレル60.42ドルだった。
米ダラス連邦準備銀行の調査では原油の新規開発には65ドル前後の価格が必要になる。60ドルを割り込めば、原油生産量が減少に転じるとの指摘もある。
石油サービス大手ベイカー・ヒューズのロレンツォ・シモネリ最高経営責任者(CEO)は「関税の不確実性により米国を含む世界で25年の(原油など)上流権益への投資は減少になるだろう」と予測する。米エネルギー情報局(EIA)も4月に入り、関税による景気懸念などから世界の石油需要予測を下方修正した。
「政権発足以来34.5万人の雇用を創出。製造業は9000人増で、前政権の最後の2年間に毎月6000人減少していたことと対照的だ。米国人はこの数年で初めてとなる高インフレの緩和を経験した」
バイデン政権後期にあたる23~24年、製造業の就業者数は月平均で5400人減少した。25年3月は1276万4000人でトランプ氏が大統領に就任した1月から確かに9000人増えた。
ただ新政権の政策効果とは言い切れない。たとえば分野別関税で保護しようとしている半導体・電子部品は2800人減った。2カ月の増加幅は0.07%にすぎず、統計の振れ幅の大きさを考えると誤差の範囲内だ。23~24年も2カ月で9000人以上という増加は4回起きていた。
3月の失業率は4.2%で、23年4月の3.4%よりは高い。まだ低水準といえるが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は高関税政策によって失業率の上昇リスクが高まったと主張している。 ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は今後1年間で米国が景気後退に陥る確率を65%と見積もる。
消費者物価は3月、前月比で0.1%下落した。マイナスは22年7月以来だ。あくまでガソリン価格の下落などを反映したもので、物価の瞬間風速にすぎない。ポーゼン氏は関税の引き上げによる輸入物価の上昇で、景気後退の有無にかかわらずインフレは高水準になると見通す。
物価上昇と景気後退が両立するスタグフレーションの懸念が高まり、FRB内では早期の利下げに慎重な声が多い。トランプ氏はパウエルFRB議長に退任要求を突きつけ、早期の利下げで景気を支えるよう求めたが、中央銀行の独立性を軽視する姿勢が金融市場の不安を高める結果となっている。
(シリコンバレー=中藤玲、ヒューストン=大平祐嗣、ワシントン=高見浩輔)
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QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
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・LINEでPayPay送金可能に LINEペイ終了見据え代替機能
・LINE Pay、25年4月に終了 残高はPayPayに引き継ぎ
WithAI(2)英語モデルに米欧的偏見? 自国の文化、開発力で守る[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA―LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【図・写真】UAEのアブダビ首長国にある世界初のAIに特化した大学=同大学提供
さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
ソフトバンクグループ 孫会長兼社長(ニュース一言)終[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
常に1%は悪者がいる。ASI(人工超知能)に頼る将来の生活を、悪者から守らなければならない。99%の善良な人間が超知能と革新の道を歩めば、解決策はあるだろう。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は人類の1万倍の知能を持つASIの時代が10年以内にやってくると予想する。「革新には機会が与えられるべきだが、健全な規制も必要だ」と述べ、人工知能(AI)を安全に使う社会の重要性を訴える。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
ソフトバンク(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(6月26日)取締役、唐木秀明▽同、仲條亮子▽監査役、ティモシー・マキ▽退任(取締役)上釜健宏▽同(同)大木一昭▽同(監査役)君和田和子
ソフトバンクグループ(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ
(6月27日)監査役、西橋久仁子▽同、金丸祐子▽退任(監査役)宇野総一郎▽同(同)大塚啓一
プロ野球・29日の試合結果[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 121文字 ]
◇パ・リーグ
日本ハム 2―1 ソフトバンク(延長10回)
オリックス3―2 ロ ッ テ
西 武 7―1 楽 天
◇セ・リーグ
DeNA 6―1 ヤクルト
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
中 日 4―1 阪 神
29日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 724文字 画像有 ]
【日本ハム 2―1 ソフトバンク】日本ハムが逆転勝ち。0―1の七回に代打吉田の適時二塁打で追いつくと、延長十回に水野の2号ソロで勝ち越した。伊藤が9回1失点の力投で3勝目。山川の5号ソロで先制したソフトバンクは追加点を奪えず、3連敗となった。
【オリックス 3―2 ロッテ】オリックスが今季3度目のサヨナラ勝ち。八回に2―2と追い付いて迎えた九回、先頭の野口が三塁打を放ち、1死後に新人の麦谷が右前打で勝負を決めた。ロッテは1軍昇格の新人西川が宮城から2安打を放ったが、救援陣が誤算。
【中日 4―1 阪神】中日の涌井が6回4安打1失点で今季初勝利を挙げ、プロ入りから21年連続で白星をマーク。1―1の五回、板山の適時二塁打で勝ち越し、上林が2点適時打で続いた。阪神は才木が6回4失点。得点は佐藤輝のソロによる1点のみ。
【西武 7―1 楽天】西武の高橋が2季ぶりの白星。走者を出しても要所を締めて6回無失点とし昨季から続く自身の連敗を13で止めた。打線は一回に渡部聖の適時打で先制し以降も児玉の適時二塁打などで加点した。チームは3連勝。楽天の古謝は7失点。
【巨人 4―3 広島】巨人が今季2度目のサヨナラ勝ち。2―3の九回2死から失策で追い付き、延長十二回1死二、三塁で甲斐が犠飛を放って勝負を決めた。十一回から2回無失点の大勢が3勝目。広島は末包の3打点でリードしたが逃げ切れず4連敗。
【DeNA 6―1 ヤクルト】DeNAが今季初の4連勝。1―1の五回に度会の適時打で勝ち越し、七回に宮崎の適時打、九回に石上の2点打などで加点した。ジャクソンは6回1失点で2勝目。ヤクルトのランバートは5四死球に3暴投など制球が定まらなかった。〔共同〕
日本ハム 2―1 ソフトバンク[2025/04/29 21:16 日経速報ニュース 134文字 ]
◇みずほペイペイドームN(3回戦)日本ハム2勝1敗
日ハム 000 000 100 1=2
ソフト 010 000 000 0=1
(延長10回)
〔勝〕伊藤 3勝1敗
〔S〕田中 1敗5S
〔敗〕杉山 2敗1S
〔本〕山川5号(1)(伊藤)水野2号(1)(杉山)
30日(水)のスポーツ[2025/04/29 18:17 日経速報ニュース 168文字 ]
▽野球=東都大学 日大×青学大(9時、東京・神宮球場)、関西学生 関大×同大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)オリックス×ロッテ(18時、京セラ)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
AI普及で世界は米欧化する? 自国の文化、開発力で守る-With AI②[2025/04/29 11:30 日経速報ニュース 1350文字 画像有 ]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA-LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【With AI】
①AIはどこまで仕事に役立つ? アニメ映画を2~3カ月で制作
③乱造フェイクどう対応? 「情報汚染」阻むAI技術磨く
【関連記事】AIに国産化の波 国の「主権」維持へ、世界で開発数倍増
新プラン「ドコモMAX」、ネットの反響真っ二つ-ITジャーナリスト 石川 温[2025/04/29 02:00 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
NTTドコモは新料金プラン「ドコモMAX」を6月5日から始める。従来のデータ使い放題プランに比べて値上げとなるものの、月額4200円のスポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を追加料金なしで見放題にするといった特典を盛り込んだ。お得感で値上げに対する警戒感を払拭する考えだが、ネットでの反響は真っ二つに割れている。
あらゆるものが値上げしているが、通信業界だけが値上げしにくい雰囲気となっていた。2020年ごろからの「官製値下げ」がきっかけだ。KDDIやソフトバンクはV字回復を果たしたものの、NTTドコモはいまだに通信料収入の減収に悩まされている。低容量プラン投入の遅れが響いた。
Jリーグやプロ野球、F1をDAZNで視聴するユーザーからは「安価なプランが登場してありがたい」と好評だ。DAZNは日本に上陸した当初、NTTドコモのユーザーが月額980円で視聴できたものの、今では月額4200円に上昇している。
NTTドコモの斎藤武副社長は「DAZNが値上げをしていくなかで、解約してしまう人が相当数いらっしゃる。もう一度、DAZNを見てスポーツの楽しみを味わっていただきたい」と語る。かつてKDDIがNetflixを料金プランにセットにしたように、他社でもコンテンツサービスを料金に組み込んで普及した例はある。
映像配信サービスは観たいコンテンツがなくなると、すぐ解約してしまうユーザーも多い。特にDAZNは目当てのスポーツがシーズンオフになると、数カ月間全く視聴しない期間が発生するため、どうしても解約が増えてしまう。
キャリアと組んで料金プランとセットにすると、DAZNの解約を阻止できる。その上、キャリア側の契約も維持でき、解約率も改善するというのがKDDIによって証明されているのだ。
DAZNとしては度重なる値上げで離れたユーザーをなんとか取り戻したい。NTTドコモも通信料金を値上げしつつ、DAZNとセットにすることで解約率を下げたいという双方のメリットが一致。今回の料金プランに至ったのだろう。
NTTドコモの前田義晃社長は24年7月のインタビューで「Jリーグを盛り上げたい。ドコモユーザーをスタジアムに来てもらうことで、周辺の店舗でd払いを使ってもらうなどの相乗効果を出していきたい」と語っていた。NTTドコモは国立競技場の共同運営を手がけるなど、スポーツエンターテインメント事業に力を入れている。料金プランでDAZNの機会を増やし、スポーツファン拡大を狙っていくというわけだ。
プラン適用条件が複雑との声も
一方、ドコモMAXには批判の声も相次ぐ。DAZNを全く観ないという人はDAZNナシでもっと安いプランを望んでいる。斎藤副社長は「(DAZN以外にも)Amazonプライム6カ月無料や海外ローミングでの30ギガバイト無料などが付いている。最もドコモユーザーから要望が多かった長期契約者に向けて20年で月220円、10年以上で月110円の割引還元する。DAZNだけでなく、幅広いメリットを提供したい」と語る。
もうひとつが「複雑だ」という批判だ。NTTドコモの資料ではドコモMAXは「月額2398円から」というのをアピールしている。ただ、データ容量1ギガバイト未満や3回線以上の複数契約、20年以上の契約、dカード決済、光回線のセット割、ドコモでんきとのセット割を適用したあとの金額。3ギガバイト以上使い、割引が一切適用されない場合での料金は、月額8448円となる。
複数回線契約や光回線、クレジットカード払いを組み合わせないと安くならないというのは3キャリアの常とう手段だ。優良顧客を囲い込みたいというのは理解できなくもない。ただ、こうした割引を組み合わせた後の金額だけをアピールするのは、誠意に欠けるような気がしてならない。
「DAZNは不要」「様々な割引施策を組み合わせないと安くならない」という批判に対して、NTTドコモではオンライン手続き専用の低価格帯プラン「ahama(アハモ)」という切り札を用意している。
月額2970円でデータ容量30ギガバイト、1980円を追加すると110ギガバイト使えるプランだ。オンライン専用プランという立て付けではあるが、ドコモショップで手数料を支払えば店頭でも契約は可能だ。
斎藤副社長は「分かりやすさと価値の組み込みはトレードオフの関係にある。ahamoはahamoで、極めてシンプルなオンライン専用料金プラン。一方、ドコモ MAXはいろんな価値を入れ込んでいくというコンセプト。今後もさまざまな価値を付加しようと考えている」という。
今後、ドコモMAXのなかに他のコンテンツサービスを組み込むのか。DAZNとは異なるコンテンツサービスを組み込んだ別のドコモMAXが誕生するのかは明らかにされていない。NTTドコモは今後も様々なサービスを包含した新料金プランを投入し、単なる値上げとは取られにくい「付加価値値上げ」で収益改善を目指していくようだ。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。X(旧ツイッター)アカウントはhttps://twitter.com/iskw226
【関連記事】
・ドコモなど通信4社、固定電話の維持負担金3円に値上げ
・ドコモ、データ無制限+DAZNで8000円台 同条件で業界最安
新型量子計算機が稼働 米社が理研に設置、国内初 スパコンと連携で演算[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1270文字 PDF有 書誌情報]
原子が電気的性質を帯びているイオンを使って計算をする「イオントラップ方式」の量子コンピューターが、日本で稼働を始めた。日本でこの方式の量子コンピューターが稼働するのは初めてとなる。スーパーコンピューターとの連携を目指しており、今までのコンピューターでは不可能だった演算を実現する可能性を秘める。
埼玉県にある理化学研究所和光キャンパス。一画に作られた専用のクリーンルームの中で、米クオンティニュアム社が開発したイオントラップ方式の量子コンピューター「黎明(れいめい)」が2月、稼働を始めた。
量子コンピューターの計算素子は「量子ビット」と呼ばれ、計算性能を示す指標にもなっている。黎明は20量子ビットまで拡大できる設計だ。同社の量子コンピューターとしては世界で3台目になり、米国以外で稼働するのは初となる。
専用の建物には厳重な免震構造を導入した。同社日本法人の結解秀哉CEO(最高経営責任者)は「施設の準備を含め、ベストなものを理研が用意してくれた。実機の設置は大きな一歩だ」と話す。
量子コンピューターは高効率な触媒や電池材料の開発、金融取引での活用など、幅広い分野への展開が期待されている。
量子コンピューターの計算に欠かせない量子状態をつくり出すために、様々な方法が提案されている。最も開発が進んでいるのは絶対零度近くまで素子を冷却して使う「超電導方式」だ。ただ、現状では量子ビットの数や冷凍機の大きさなどに制限があり、量子コンピューターの大規模・高性能化に向けた課題になっている。
同社が開発しているのはイオントラップ方式の量子コンピューターだ。イオンを量子ビットに使い、レーザーで操作や測定をして計算に利用する。量子状態を維持しやすく、エラーが起こりにくい。一方で、量子ビットを精密に操作する必要があるほか、イオンを移動させるなどの操作に時間がかかり、計算速度がほかの方式に劣る課題がある。
黎明は1インチ四方のチップ上にマイクロメートル単位の細かな溝が掘られている。ここでイオンを閉じ込めたり動かしたりする。チップはバスケットボールサイズの容器に格納され、セ氏マイナス250度ほどに冷却される。容器にあるいくつかの窓からレーザー光を照射し、イオンの冷却や移動、量子状態の測定をする。
同社は量子ビットを2つ使う「2量子ビットゲート」という操作に強みを持つ。電圧の力で量子ビットを自由に動かし、計算速度の上昇などにつながるという。
黎明は理研やソフトバンクと共同で、スーパーコンピューター「富岳」と組み合わせる研究に使われる。スパコンと組み合わせることでエラーの発生を抑える効果が見込まれる。
同社は25年中には96量子ビットの量子コンピューターである「Helios(ヘリオス)」を開発する。超電導方式以外にも光を使った量子コンピューターなど、本命はまだ定まっていない。ただ多くの開発企業が30年前後を実用化の一つの目安として設定している。
【図・写真】米クオンティニュアム社が理研に設置した量子コンピューター「黎明」=同社提供
米国第一と戦後国際秩序の崩壊(大機小機)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 936文字 PDF有 書誌情報]
アメリカは、折に触れ、米国第一になる。渋沢栄一が明治末期、実業団を引き連れ渡米した時もそうだった。日露戦争勝利の頃から、日本製品や日本人移民を排斥、カリフォルニア州における排日土地法制定の動きなど、興隆日本を警戒する風潮が広がる。渋沢たちは大統領はじめ各界の要人に会い融和をはかるが、思うようにはいかなかった。
第1次世界大戦後、ウィルソン大統領が国際連盟創設を提唱するが、米国は議会の反対で加盟しなかった。第2次世界大戦で英チャーチル首相の強い要請にもかかわらずなかなか腰を上げない。日本の真珠湾攻撃で動いた。
関税を振りかざしメーク・アメリカ・グレート・アゲインを声高に叫ぶトランプ大統領。これまでの米国第一とは全く異なる。国際的地位の後退に対する深刻な危機感がある。80年ごろ、世界2位に駆け上がってきた日本経済に激しく構造改革を迫ったけれど、彼我の国内総生産(GDP、名目、兆ドル)は2・8対1・1と大差だった。
2024年の米中は29対19。背後に迫っている。中国は共産党オンリーの国家資本主義で「メーク・チャイナ・グレート・アゲイン」(英エコノミスト誌)をもくろむ。地政学的には、ロシア、イラン、北朝鮮と手を組んでいる。
70年ほど前、英国の経済学者ロイ・ハロッドは、著書「ドル」のおわりに「世界各国は絶えずアメリカ人の頭痛の種をまいてきた。そしてアメリカ人の高遠且つ友好的な希望は幾度か挫折を繰返す憂目をみてきた。しかしながら私は、この寛容さとこの忍耐力こそ(中略)将来私達すべてに大きな利益をもたらす指導者としての資格をアメリカ人に与えるものであると確信するものである」と記していた。戦後国際秩序の始まりだった。
それが今、トランプ氏の登場とタイミングを一にして崩壊しようとしている。通貨・貿易をめぐる秩序の早期立て直しは容易ではないだろう。
この状況でわが国は世界に自由貿易の原則を断固主張しなければならない。併せて国内生産拠点の再構築と人材育成によって供給力を高めなければならない。そして、国土をフル活用しながら1億2千万人の潜在需要を掘り起こす。すなわち、円相場や海外景況頼みの「反映」経済ではない、「自走」できる経済体質を心掛けるべきだ。(一礫)
29日(火)のスポーツ[2025/04/28 16:01 日経速報ニュース 602文字 ]
▽陸上=織田幹雄記念国際大会(11時50分、ホットスタッフフィールド広島)
▽野球=関西学生 同大×関大、京大×近大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)
▽サッカー=関西学生(11時30分、大阪・ヤンマースタジアム長居ほか)
▽ハンドボール=リーグH(13時、愛知・東海市民体育館ほか)
▽ホッケー=日本リーグ(17時、岐阜・川崎重工ホッケースタジアム)
▽柔道=全日本選手権(10時、東京・日本武道館)
▽プロ野球=巨人×広島(14時、東京ド)ヤクルト×DeNA(13時30分、神宮)中日×阪神(14時、バンテ)西武×楽天(14時、ベルー)オリックス×ロッテ(13時、京セラ)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)
▽Jリーグ=J1 F東京×清水(13時5分、味スタ)横浜C×鹿島(14時、ニッパツ)名古屋×柏(14時、豊田ス)岡山×東京V(14時、JFEス)広島×新潟(14時、Eピース)湘南×福岡(15時、レモンS)G大阪×京都(15時、パナスタ)C大阪×町田(15時、ヨドコウ)、J2 札幌×長崎(14時、プレド)秋田×徳島(14時、ソユスタ)いわき×大宮(14時、ハワスタ)水戸×今治(14時、Ksスタ)甲府×仙台(14時、JITス)富山×山形(14時、富山)熊本×千葉(14時、えがおS)大分×鳥栖(14時、クラド)磐田×山口(15時、ヤマハ)愛媛×藤枝(15時、ニンスタ)〔時事〕
社債発行本数、4月は前年比29%減 トランプ関税で見送り・延期相次ぐ[2025/04/28 14:16 日経速報ニュース 946文字 ]
トランプ米政権の関税政策の余波が起債市場にも及んだ。アイ・エヌ情報センターによると、国内企業が4月に条件決定した円建ての公募普通社債の本数(自社債含む、条件決定日ベース、25日時点)は、前年同月と比べ29%(18本)減の45本だった。米関税強化策を受けた4月前半の金融・資本市場の混乱を受け、起債の見送りや延期を決めた企業が相次いだ。
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4月に起債した企業数は29社で、同26%(10社)減った。一方、発行額は同2%増の1兆8694億円で、データを遡れる1990年以降で4月として過去最大となった。ソフトバンクグループ(9984)が18日、6000億円の個人向け社債を含む総額6200億円の2本立て債の発行条件を決め、全体を押し上げた格好だ。
4月前半はNIPPON EXPRESSホールディングス(9147)や日清食品ホールディングス(2897)などで起債の見送り・延期が相次いだ。投資家のリスク回避姿勢が強まり、社債金利のベースとなる国債金利も急低下したなか、発行体と投資家双方が想定していた金利水準での条件決定が難しくなったためだ。発行額が企業側が当初予定していた最大額に満たない案件も目立った。
市場関係者は慎重な姿勢を維持しているが、足元では「復調の兆しがみられる」との指摘も多い。23日のブリヂストン(5108)や24日の大日本印刷(7912)は発行総額がともに1000億円となった。起債を再開したアサヒグループホールディングス(2502)は25日に総額500億円となる2本立て債の発行条件を決め、投資家層は裾野が広がり、生命保険会社や年金運用に関わる信託銀、投信・投資顧問などだった。
5月の新発債はどうか。連日の大型案件を受け、証券会社のシンジケーション担当者は「今年度の起債運営を巡る霧がようやく晴れてきた」と話していた。4月に見送りとなった案件がどの程度再開するか、また米関税政策を巡る先行き不透明感が強いなかでの投資家の購入姿勢に市場の関心が向けられている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
サムスン電子、「Samsung Galaxy Ambassador」に基づく接客をソフトバンク取扱店で開始[2025/04/28 11:35 日経速報ニュース 1639文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月28日
<ソフトバンク>「Samsung Galaxy Ambassador」がソフトバンク取扱店で接客開始
~Samsung Galaxyに精通した約1,000人の認定クルーが全国の一部のソフトバンク取扱店に~
サムスン電子ジャパン株式会社(以下、サムスン)は、ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)との両社共同プログラム「Samsung Galaxy Ambassador」に基づく接客を、ソフトバンク取扱店で開始したことをお知らせいたします。
「Samsung Galaxy Ambassador」とはSamsung Galaxyの最高の製品体験やサービスを提供し、お客様に感動をお届けする接客をするスペシャリストの総称です。国内で「Samsung Galaxy Ambassador」プログラムを活用した接客はソフトバンクが初めての新しい試みとなります。
サムスンは今後もお客様のニーズに合った製品紹介に努め、顧客満足度を高めることができるようサポートをし続けてまいります。
*ロゴは添付の関連資料を参照
■「Samsung Galaxy Ambassador」とは
「Samsung Galaxy Ambassador」とは、Samsung Galaxyの最高の製品体験やサービスを提供し、お客様に感動をお届けする接客をする公式認定ブランドアンバサダーです。サムスンの専門トレーナーによるトレーニングを修了し、Samsung Galaxyに関する幅広い知識を持ち、その魅力を伝えることができると認定した方を「Samsung Galaxy Ambassador」と認定いたします。
■ソフトバンク「Samsung Galaxy Ambassador」
このたび、ソフトバンクにて本プログラムのトレーニングを受けた約1,000人のクルーを「Samsung Galaxy Ambassador」として両社で認定いたしました。2025年6月以降に認定バッチを貸与いたします。
※「Samsung Galaxy Ambassador」の在籍有無は、直接ソフトバンク取扱店にお問い合わせください。
■AIエージェントを初搭載した新次元の最新AIフォン 「Samsung Galaxy S25シリーズ」
*参考画像は添付の関連資料を参照
「Samsung Galaxy S25シリーズ」は2025年2月14日に発売を開始した最新AIフォンです。新次元のAI機能「Galaxy AI」を搭載し、Snapdragon(R) 8 Elite for GalaxyというSamsung Galaxy Sシリーズ史上最も強力な性能を備え、「Samsung Galaxy S25 Ultra」にはSペンも内蔵しています。さらに、「Samsung Galaxy S25シリーズ」はAI機能を使いながらアプリ間の連携が可能になり、コミュニケーションの円滑化や生産性をさらに向上させる驚きのAI機能が満載です。また「Samsung Galaxy S25 Ultra」のカメラ性能は約2億画素カメラに加え、約5,000万画素の超広角カメラセンサーを初搭載し、卓越した鮮明さと鮮やかな撮影が可能になりました。スマートフォンが苦手とする暗所でのビデオ撮影も大幅に進化しています。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
ロゴ
https://release.nikkei.co.jp/attach/690386/01_202504281120.jpg
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/690386/02_202504281120.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690386/03_202504281120.pdf
東証寄り付き 日経平均続伸 一時3万6000円上回る 米ハイテク株高で[2025/04/28 09:22 日経速報ニュース 675文字 ]
28日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸して始まり、前週末に比べ250円ほど高い3万5900円台半ばで推移している。一時は心理的な節目の3万6000円を上回った。取引時間中では1日以来となる。25日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が上昇したのを受け、日本株に買いが先行している。
トランプ米大統領は25日、日本との関税交渉について「合意にとても近づいている」と述べた。累計で145%の関税を課している中国に対しても貿易交渉の進展への期待を示し、株式市場では過度な懸念が和らいでいる。28日には主要な半導体銘柄で構成するフィラフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.03%高となり、28日の東京市場では東エレクが上昇している。ファストリやソフトバンクグループ(SBG)などの値がさ株の上昇も目立つ。
ブルームバーグ通信は28日朝に「トランプ米大統領は27日、関税収入を活用して年収20万ドル(約2900万円)未満の層に対する所得税を引き下げる考えを示唆した」と報じた。市場では「米関税政策への過度な警戒が和らぐなかで減税政策に投資家の関心が向かうきっかけになり、日本株にとっても前向きな材料」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)との指摘があった。
東証株価指数(TOPIX)は続伸している。
トヨタが上昇している。5000億円の自社株買いを発表した信越化は大幅高となっている。一方、日東電や太陽誘電、中外薬が下落している。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
中日・根尾、2軍で快投 救援専念、1軍昇格へ鍛錬[2025/04/28 日本経済新聞 夕刊 3ページ 580文字 PDF有 書誌情報]
中日の右投手で今季は救援に専念しているプロ7年目の根尾が、2軍で快投を見せている。9試合に登板し、1失点(自責点0)で防御率0.00。1軍昇格へ「(必要なのは)結果を出し続けること」と必死に腕を振る。高校時代に投打で甲子園を沸かせたスターが開花の兆しを示している。
22日のソフトバンク戦は八回に登場。150キロ超の速球を軸に打者をねじ伏せ、三者凡退に仕留めた。主に先発だった昨年から役割が変わり「毎日強く投げるための準備をしている」と、体のケアにも気を配っている。落合2軍監督は「力強いボールが戻ってきた。投げっぷりもいい。今のまま継続してほしい」と太鼓判を押す。
大阪桐蔭高で春夏合わせて3度の甲子園大会優勝を経験し、2019年に内野手としてドラフト1位で入団した。その後は外野にコンバートされ、22年途中に投手に転向とポジションを転々。プロのマウンドに立つようになって4季目だが、1軍での登板は30試合にとどまっている。
井上監督の「投手らしい番号で、投手一本で頑張ってほしい」との思いで、背番号を「7」から板東英二らが背負った「30」に変えて迎えたシーズン。1軍のリリーフ陣も好調で、競争は厳しいが「割って入っていく立場なので、準備し続けるだけ」。声がかかる日に備え、さらなる投球内容の向上を狙う。
【図・写真】2軍のソフトバンク戦に登板した中日・根尾
プログリット、高校生向け授業開発 英語力、海外大進学水準に[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
英語学習サービスを手掛けるプログリットは、21日に開校した「HR高等学院」と連携する。HR高等学院はNTTドコモ発のスタートアップ、RePlayce(リプレイス、東京・渋谷)が運営する通信制高校のサポート校。英語学習のカリキュラムを共同開発し、3年間で海外大学に進学できるレベルを目指す。
HR高等学院の授業ではプログリットのアプリを使う。プログリットの英語コーチングのノウハウを使い、生徒が毎日1時間程度の英語学習を続けられるよう、同校のコーチが伴走する。3年間で英語力を中学校レベルから海外大に進学できる水準に引き上げる。
入学1年目には発音トレーニングや人工知能(AI)英会話、2年目には聞き取った英語をまねて発音するシャドーイングや定型文を瞬時に日本語から訳す「口頭英作文」といった実践的な学習に取り組む。3年目は英語能力テスト「TOEFL iBT」や 「IELTS」などのスコア獲得に向けた学習を進め、英検1級や「TOEIC L&R」(聞く・読む)900点相当の英語力を身につけさせることを目指す。
プログリットはコンサルタントが伴走して短期間で英語力を高める英語コーチングを主力とする。
25年05月02日
ドコモ・ファイナンス(会社人事)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
ドコモ・ファイナンス
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
スターゲートが開くAI革命 解剖・ソフトバンクG 「人工超知能」実現へ 孫氏、半導体に「オールイン」[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2326文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、人類の未来のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」。それから半年後、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月、ホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
ロボット構想も
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英アーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
「礎ができた」
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。
AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年に10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔)
【図・写真】日本企業との会合に出席したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(右)とオープンAIのサム・アルトマンCEO(2月3日、東京都千代田区)
ソフトバンクGなど、米AI新興に出資 155億円、クラウド利用支援[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 15ページ 398文字 PDF有 書誌情報]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
上場企業の7割増益 円安・AI半導体、追い風 前期最終、収益力の持続性焦点[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1535文字 PDF有 書誌情報]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152・5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。
フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
中国の対トランプ戦略(大機小機)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 17ページ 923文字 PDF有 書誌情報]
「貿易戦争に勝者はいない」と言う。正鵠(せいこく)を射る指摘である。国際通貨基金(IMF)は貿易戦争によって、2026年の国内総生産(GDP)が米国と中国ではともに2・2%、世界全体でも2%押し下げられるシナリオを想定している。
しかし、その指摘が習近平(シー・ジンピン)中国国家主席によってなされ、中国が自由貿易の旗手であるかのように振る舞う姿には違和感と危うさを禁じ得ない。
中国はトランプ関税に対して中国共産党のメンツにかけても徹底的かつ粛々と抗戦している。米国が場当たり的であるのと対照的に中国は計算ずくの対応のように見える。
「目には目を」で関税を引き上げ、ハイテク製品に必要なレアアース(希土類)の輸出規制も実施している。金融面では米国債売却も中国にとっての切り札となる。他の新興諸国とも連携して「脱ドル化」を加速化させることは中国の金融戦略にもかなう。
もちろん、中国も内心は穏やかではないだろう。不動産市場の構造調整圧力に見舞われている中では更なる景気悪化の代償は小さくない。1990年代半ばにかけての日米の貿易摩擦激化と円高がバブル崩壊後の日本経済の調整を長期化させ、国力をそいだことも中国は熟知している。
中国は米国に限定せずに輸入に関わる障壁を減らし、輸入大国としての世界経済への貢献を言い立てることになるだろう。加えて不動産市場の安定化を図りつつ、個人の将来不安の緩和につながる改革を進めることも個人消費と輸入を拡大させ、経済の構造転換に資するものとなる。
100%を超える関税を相互にかけ合う現状は持続可能ではない。米国が関税引き下げを示唆するのも当然だ。交渉の行方が注目されるが、世界秩序に関わる「ディール」の有無にも留意したい。
習氏は2017年にトランプ米大統領との共同会見で「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と語った。米国は当時以上に内向き志向を強めている。米中の不干渉・分割統治論が再浮上すれば、日本の国益は大きく損なわれかねない。
「世界は100年に1度の大変動を迎えているが、時勢は我々の味方である」。習氏の常とう句である。数十年先を見据えた中国の大戦略を侮ってはいけない。(倫敦塔)
手負いのタカ5連敗 上沢、七回決勝ソロ被弾(プロ野球)[2025/05/02 日本経済新聞 朝刊 29ページ 595文字 PDF有 書誌情報]
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。
今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。
「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【図・写真】七回、日本ハム・万波(奥)に勝ち越し本塁打を浴びたソフトバンク・上沢
プロ野球・1日の試合結果[2025/05/01 23:31 日経速報ニュース 105文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
DeNA 3―0 ヤクルト
中 日 3―2 阪 神
◇パ・リーグ
西 武 2―1 楽 天(延長10回)
日本ハム 3―2 ソフトバンク
1日のプロ野球 結果と戦評[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 570文字 画像有 ]
【巨人4―3広島】巨人がサヨナラ勝ちで今季初の4連勝。0―3の二回に岡本のソロ、三回に吉川の適時打で追い上げ、六回にキャベッジのソロで同点とし、延長十二回2死一塁から吉川の適時三塁打で勝負を決めた。広島は6連敗で4位転落。
【日本ハム3―2ソフトバンク】日本ハムが3連勝。古林睿煬が力強い直球を軸に7回5安打2失点でまとめ、来日初勝利を挙げた。打線は0―2の五回に同点とし、七回に万波の6号ソロで勝ち越し。ソフトバンクは今季2度目の5連敗。上沢は7回3失点で2敗目。
【関連記事】手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾
【中日3―2阪神】中日が3連勝で勝率5割に戻した。プロ初先発の三浦が粘って5回2失点にまとめ、初勝利。2―2の五回2死一、三塁から挟殺プレーの間に三塁走者の岡林が生還して勝ち越した。阪神は今季初の4連敗。
【DeNA3―0ヤクルト】DeNAが延長戦を制した。0―0の十回2死から連打で一、三塁とし、牧の3点本塁打で勝ち越した。4番手のウィックが今季初勝利、入江が4セーブ目を挙げた。ヤクルトはピンチで投入したバウマンが痛恨の一発を浴びた。
【西武2―1楽天】西武がサヨナラ勝ちで2季ぶりの5連勝。1―1の延長十回無死二塁から平沼の右前打に失策が絡み、走者が生還した。今季初登板の与座が6回1安打無失点と好投し、5番手の羽田が1回無失点で今季初勝利。楽天は3連敗。〔共同〕
手負いのソフトバンク、5連敗で借金7 上沢直之が古巣に痛恨被弾[2025/05/01 23:30 日経速報ニュース 554文字 画像有 ]
昨季リーグ王者のソフトバンクが苦しい戦いを続けている。近藤や柳田が戦列を離れ、この日は周東の骨折と前日に右腕に死球を受けた今宮の登録抹消が発表された。開幕スタメンで残っているのは4番山川のみ。その主砲も左脚に張りを感じていて万全とは言い難く、弱り目にたたり目の状況だった。
幸先はよかった。一回は1番で今季初先発の野村と笹川の連打で始まり、栗原の犠飛と中村の適時打で2点を先取。早々に援護を受けた上沢は公式戦で初対戦だった古巣相手に多彩な球種を駆使して四回まで無安打に封じた。
だが長くは続かない。雲行きが怪しくなったのは五回。連打を浴びて犠飛を許し、捕逸で追いつかれた。万波に決勝ソロを被弾した七回も痛恨。「本塁打だけは避けなければいけない場面だった」が、変化球が甘く入った。今季初めて100球を超えて続投していただけに、しゃがみ込む姿にショックの大きさが表れていた。
打線も二回以降、台湾から新加入した日本ハム・古林睿煬に単打2本に抑えられる拙攻。これも投手陣に重圧を背負わせた。月が変わっても厳しい台所事情に変わりなく、2度目の5連敗。借金は今季ワーストの7に膨らんだ。「今いるメンバーでやるしかない」と小久保監督。春先から首位を快走した1年前とは様相が違う、試練のシーズン序盤である。
(渡辺岳史)
【関連記事】
・1日のプロ野球 結果と戦評
・プロ野球選手会、ポスティング移籍巡る選手批判「控えて」
日本ハム 3―2 ソフトバンク[2025/05/01 21:07 日経速報ニュース 113文字 ]
◇みずほペイペイドームN(5回戦)日本ハム4勝1敗
日ハム 000 020 100=3
ソフト 200 000 000=2
〔勝〕古林睿煬 1勝1敗
〔S〕田中 1敗6S
〔敗〕上沢 2勝2敗
〔本〕万波6号(1)(上沢)
上場企業の7割が増益 25年3月期、円安やAI好調で[2025/05/01 19:42 日経速報ニュース 1534文字 画像有 ]
上場企業の2025年3月期は円安による収益押し上げや人工知能(AI)半導体の需要増などに支えられ、好業績が目立つ。5月1日までに決算発表した167社のうち、純利益が増えた企業の割合は7割に達した。26年3月期は円高や米関税など事業環境が厳しくなる見通しで、収益力を維持できるかが焦点になる。
3月期決算の上場企業(変則決算などを除く)を対象に日本経済新聞社が集計した。1日までに社数ベースで15%、時価総額ベースでは28%の企業が決算を発表した。
25年3月期の期中平均の為替レートは1ドル=152.5円で前の期に比べて約8円の円安になった。為替相場が円安に振れると、海外収益の円換算額が大きくなる。TDKは営業利益ベースで為替変動が197億円、ニデックも67億円の増益要因になった。
主要業種別にみると、電機は29社のうち20社が増益だった。データセンター向けの需要を取り込んだ企業が利益を伸ばしており、三菱電機は電力制御などのシステム、富士電機も電源システムなどが伸びた。
AI向け半導体の需要増が追い風になった企業も多い。純利益が前の期比50%増だった東京エレクトロンの川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している」と話す。同業のアドバンテストとディスコも先端向けの製品が好調だった。
AI半導体の恩恵は化学にも及ぶ。信越化学工業は主力製品の一つである半導体ウエハーが増益だった。日東電工は半導体後工程向けのテープなどが堅調だった。化学は13社のうち11社が増益を確保した。
非製造業ではインバウンド(訪日観光客)需要を取り込んだ鉄道・バスで増益の企業が多い。JR東海の純利益は19%増で「インバウンド収入(推計値)が運輸収入に占める割合は18年度の約3%から24年度は約8%に拡大している」という。JR東日本は北陸新幹線の延伸に加えホテルの客単価も上昇した。ホテルなどのインバウンド収入は4割増だった。
サービス業ではこれまで決算を発表した21社のうち18社が増益だ。旺盛な企業のIT(情報技術)投資を取り込んだシステム大手で増益が相次いだ。純利益が11%増となり最高益を更新したオービックの橘昇一社長は「システム刷新需要が強くなっている」と話す。野村総合研究所は経営やシステムのコンサルティング事業が業績拡大をけん引した。
一方、北米での販売奨励金の増加や中国での電気自動車(EV)の競争激化など経営環境が厳しい自動車・部品は増益5社、減益4社と拮抗した。アイシンはコスト削減や円安効果で純利益が18%増えた。トヨタ紡織は完成車メーカーの減産が響き71%減益と振るわなかった。
電力とガスは減益が目立った。原燃料価格の変動を料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。東京電力ホールディングス(HD)と中部電力はそれぞれ40%、50%減益だった。東京ガスも「期ずれ差益」が減り55%減益だった。
167社の純利益合計は前の期比9%増の13兆3000億円だった。大型連休明け以降、トヨタ自動車やソフトバンクグループなど利益規模の大きな企業が決算発表を予定する。現時点の会社予想や市場予想を基に試算すると、東証プライム上場企業の25年3月期は6%程度の増益だったもようで4年連続で最高益となる見通しだ。
26年3月期も1日までに会社予想を公表した約140社のうち6割は増益を見込んでいる。トランプ米政権の関税政策など先行きには不透明感がある。フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「外部環境が企業の設備投資判断を難しくさせており一時的な停滞がみられてもおかしくない。増益基調が保てるか不透明感は強い」と話している。
米AI新興、ソフトバンクGなどから150億円調達 クラウド利用効率化[2025/05/01 19:32 日経速報ニュース 398文字 ]
企業のクラウド利用を効率化する米人工知能(AI)新興のCast AI(キャストAI)は4月30日、1億800万ドル(約155億円)調達したと発表した。資金調達はソフトバンクグループ(SBG)のビジョン・ファンド2と米ベンチャーキャピタル(VC)のG2ベンチャーパートナーズが主導した。
キャストAIは2019年創業で、AIの学習や運用に欠かせないクラウドを効率的に利用するためのツールを手掛ける。クラウドが提供する計算能力を効率的に利用できるよう、処理などを自動で見直すことで、クラウドの利用費用などを下げられる。世界で2100社が導入しているという。
同社は評価額を公表していないが、ロイター通信によると8億5000万ドルに達しているという。キャストAIのユーリ・フレイマン最高経営責任者(CEO)は「我々のカテゴリー拡大を後押しし、クラウド自動化の可能性の限界を押し広げる」とコメントした。
2日(金)のスポーツ[2025/05/01 16:01 日経速報ニュース 203文字 ]
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・女子チャンピオンシップファイナル(18時40分、東京・有明アリーナ)
▽ゴルフ=中日クラウンズ第2日(7時10分、名古屋GC和合)、パナソニック・レディース第1日(7時、千葉・浜野GC)
▽プロ野球=DeNA×巨人(18時、横浜)阪神×ヤクルト(18時、甲子園)広島×中日(18時、マツダ)楽天×オリックス(18時、楽天)ソフトバンク×ロッテ(18時、みずペ)〔時事〕
人事、ドコモ・ファイナンス[2025/05/01 15:43 日経速報ニュース 35文字 ]
(4月30日)退任(監査役)岡本健寛
(5月1日)監査役、矢野人磨呂
日経平均、上げ幅400円超える ソフトバンクGが一段高[2025/05/01 14:13 日経速報ニュース 33文字 ]
これはフラッシュニュース(見出しだけのニュース)です。〔NQN〕
解剖ソフトバンクG 孫氏のAI革命、「スターゲート」が開く第2幕[2025/05/01 11:45 日経速報ニュース 2384文字 画像有 ]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
4月30日、孫氏の姿は米ワシントンのホワイトハウスにあった。トランプ米政権が発足100日を迎え、企業投資の実績を示す会合で1分半のスピーチを披露した。
「AIはあらゆる産業、そして未来の人類のライフスタイルを変革するでしょう。米国はイノベーションの中心地であり、私は全力を尽くします」
およそ10カ月前、2024年6月の株主総会で孫氏はAIに賭ける姿勢を明確に示していた。「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」――。それから半年、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月にホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
アームがAI戦略の中核に
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英半導体設計のアーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。それは今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
超知能構想に巨額投資
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。累計の投資成績は24年12月末時点で16億3400万ドルの赤字だ。
足元では核融合発電の米ヘリオン・エナジーや、量子計算機開発の米クエラ・コンピューティングにも出資した。AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年には10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔、グラフィックス 荒川恵美子)
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時価総額の増加額、任天堂首位、新型機に期待(日本株番付)[2025/05/01 日本経済新聞 夕刊 5ページ 440文字 PDF有 書誌情報]
今年に入り時価総額を伸ばした企業はどこか。東証プライム市場に上場する企業を対象に2024年12月末と25年4月28日時点での時価総額を比べ、増加額の多い順にランキングした。
首位は任天堂で増加額は2兆8194億円だった。1月に新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の発売を発表してから、業績貢献に期待した買いが入った。トランプ米政権の関税の影響を見極めるため延期していた米国での予約も4月24日から受け付けを始めた。
2位は三菱重工業で1兆9988億円増えた。地政学リスクの高まりや防衛費増額の思惑などから防衛関連事業の拡大期待が大きい。3月には上場来高値を更新するなど時価総額は初の10兆円に迫る。豊田自動織機は株式非公開化の検討に関するニュースを材料に買われた。
通信やIT(情報技術)サービスなど内需関連の銘柄も上位に入った。8位の富士通や9位のNECは今期の増配(分割考慮後)を発表するなど、株主還元を好感した買いも集めている。
泊原発「合格」、迫る需要増 ラピダス量産にらむ 27年再稼働へ一歩[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1008文字 PDF有 書誌情報]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3.4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1.2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
ソフトバンク(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也
▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠
▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之
▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥
▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士
▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝
▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
自動運転、トヨタ連携広く 米ウェイモと車両開発で協力 豊富なデータ取り込み(ビジネスTODAY)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1833文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
【図・写真】トヨタはウェイモと自動運転の車両開発まで踏み込む(都内で走るウェイモの自動運転車)
令和の証券民主化運動(大機小機)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 929文字 PDF有 書誌情報]
日本の株式市場は、幅広い国民が株を持つ「大衆化」を本格的に進めるべき段階を迎えている。元号の変遷とともに保有主体が入れ替わってきたこの市場が、次の転換点にさしかかっているからだ。
1940年代後半、財閥解体で市中に放出した株を個人に安く分配し、国民が等しく豊かになろうという運動が盛り上がった。終戦直後の証券民主化運動だ。当時個人の持ち株比率は7割に達した。
だがGHQ(連合国軍総司令部)の緊縮財政金融策(ドッジライン)で株価は暴落。投資ブームは霧消した。個人が手放した株は金融機関や事業会社が吸い上げ、高度成長期からバブル期まで昭和のニッポン株式会社を支えた株式の持ち合い構造ができた。
そしてバブルが崩壊した平成の時代。不良債権処理の原資として銀行は持ち合い株を売却し、それを海外投資家が拾った。90年代を通じて海外勢の持ち株比率は右肩上がりで、アベノミクス初期の2013年度に3割を超えた。
それから10年余。海外勢は売ったり買ったりで、持ち株比率は頭打ちだ。一方、アベノミクスが起動したガバナンス改革とアクティビストの台頭は企業に非効率な資産の整理を迫り、事業会社や損害保険会社が最後に残った政策保有株の売却を急いでいる。
海外勢にこれ以上の保有引き上げを期待できなければ、市中に出る政策保有株を誰が引き受けるのか。個人をおいてほかにない。日銀もいずれ保有ETF(上場投資信託)の売却を迫られる。国民がもっと手軽に日本株を買える環境の整備は待ったなしだ。
東京証券取引所が先週、最低投資額10万円を目安に上場企業に一段の株式分割を求めたのはこうした危機感が背景にあるのだろう。新NISA(少額投資非課税制度)が現状、米国株や世界株投資信託を通じた個人資金の海外流出を加速させている大きな原因は、欧米より桁違いに高い日本株の投資単位にある。
日本株投資のハードルを下げる取り組みは始まったばかりだ。会社法改正と歩調を合わせた単元株制度の廃止は必須だ。欧米のように1株から株を買えるようにするには、株主総会実務のデジタル化や海外より低い株主提案権の行使要件の見直しを同時に進めなければならない。機は熟した。令和の証券民主化運動を始めるときだ。(井蛙)
耐えたハム山崎、緩急でタカ翻弄(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 262文字 PDF有 書誌情報]
日本ハムの山崎が4試合目で今季初勝利を挙げた。力感のないフォームと緩急を生かした配球の妙で主力を欠くソフトバンク打線を翻弄。5回1失点は最低限の働きだったが、「(1勝目が)ちょっと遅かったが良かった」と安堵した。
ストライク先行の安定した投球が揺らいだ四回は先頭から2者連続で出塁を許し、味方の失策で失点。「勝ちを意識しすぎて守りに入ってしまった」ものの、続く嶺井を三ゴロ併殺に仕留めて踏みとどまった。通算50勝とした左腕は「全然気にしていなかった。200勝目指して頑張ります」。投球スタイル同様、コメントも軽やかだった。
プロ野球・30日の試合結果[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 114文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 2―0 広 島
ヤクルト 4―1 DeNA
中 日 5―4 阪 神(延長11回)
◇パ・リーグ
西 武 3―1 楽 天
オリックス5―0 ロ ッ テ
日本ハム 6―1 ソフトバンク
30日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 716文字 画像有 ]
【巨人 2―0 広島】巨人が3連勝。山崎は直球、変化球ともに切れがあり、7回を無失点で開幕4連勝とした。0―0の六回に増田陸の適時二塁打で奪った2点を守り切った。広島は5連敗。6回を2失点と力投した大瀬良を打線が援護できなかった。
【中日 5―4 阪神】中日が今季初のサヨナラ勝ち。4―4の延長十一回、1死一、三塁から代打カリステの犠飛で勝ち越した。7番手の清水が今季初勝利。阪神は六回に佐藤輝、前川の適時打などで3得点して4―2としたが、直後に追い付かれた。
【西武 3―1 楽天】西武が連勝を4に伸ばした。一回に渡部聖の2点三塁打で先制。2―1の七回は西川の適時打で加点した。5投手の継投で逃げ切り、5回を投げて本塁打による1点に抑えた菅井が3勝目を挙げた。楽天は3安打にとどまった。
【オリックス 5―0 ロッテ】オリックスは田嶋が変化球の精度が高く、単打2本の無四球と寄せ付けず、3年ぶりの完封で2勝目。二回に西川の1号ソロで先制した打線は三回に太田の2点打、四回は麦谷の適時打などで加点。ロッテは種市が11安打5失点と崩れた。
【日本ハム 6―1 ソフトバンク】日本ハムは打線がつながり2連勝。四回に万波、石井の連続適時二塁打などで3点を先行。4―1の八回にも田宮の1号ソロなどで2点を加えた。山崎が5回1失点でまとめて今季初勝利。ソフトバンクは4連敗で今季最多の借金6。
【ヤクルト 4―1 DeNA】ヤクルトが効果的にリードを広げた。1―1の六回に山田の適時打で勝ち越し、七回は赤羽の犠飛、八回は西川の適時打で加点した。山野が6回を1失点で今季初勝利を挙げた。石山は5セーブ目。DeNAは連勝が4で止まった。〔共同〕
日本ハム 6―1 ソフトバンク[2025/04/30 21:21 日経速報ニュース 100文字 ]
◇みずほペイペイドームN(4回戦)日本ハム3勝1敗
日ハム 000 300 120=6
ソフト 000 100 000=1
〔勝〕山崎 1勝1敗
〔敗〕東浜 1勝1敗
〔本〕田宮1号(1)(津森)
泊原発、規制委審査「合格」 ラピダス見据え電力の安定供給に前進[2025/04/30 18:25 日経速報ニュース 1624文字 画像有 ]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3・4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1・2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
過疎化と人口減少で落ち込むとみられていた北海道の電力需要は、一転して増加する見通しだ。エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
北海道内では運転開始から既に40年以上経過した火力発電所もある。松尾氏は「データセンターや半導体工場では常に安定的な電力が必要だ。系統用蓄電池による供給能力は長くても数時間にとどまるため、泊原発3号機が動かなければ供給力に不安が残る」と指摘する。
規制委の安全審査に合格した原発は全国で17基あり、うち14基がすでに再稼働した。実際に原発を動かすには具体的な保安規定などの審査や稼働前の検査にくわえ、地元自治体の同意が必要だ。例えば東京電力柏崎刈羽原発6・7号機は17年に合格したものの、新潟県の花角英世知事がまだ同意していないため、再稼働に至っていない。
再稼働について北海道の鈴木直道知事は30日、札幌市内で記者団に「予断を持って申し上げる状況にない。議会の議論などを踏まえて適切に対応する」と話した。
資源エネルギー庁の集計によると、23年度時点で国内の電源構成のうち原子力発電が占める割合は8.5%にとどまる。武藤容治経済産業相は25日の閣議後の記者会見で「泊原発の再稼働は、電力の安定供給と脱炭素の同時実現、電力価格の抑制にもつながる重要な位置づけだ」との見方を示した。
政府は50年の温暖化ガス排出量実質ゼロを目指しており、2月に閣議決定したエネルギー基本計画では40年度の電源構成目標を再生エネが4~5割、原子力で2割に設定した。
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・泊原発3号機の再稼働、規制委が「合格」 運転再開は2027年めど
・ラピダス新工場など、原発なしでは電力ギリギリの北海道
人事、ソフトバンク[2025/04/30 18:17 日経速報ニュース 470文字 ]
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
トヨタの自動運転、米ウェイモと車両開発 実用化へ外部連携に軸足[2025/04/30 17:42 日経速報ニュース 1786文字 画像有 ]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
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1日(木)のスポーツ[2025/04/30 16:01 日経速報ニュース 121文字 ]
▽ゴルフ=中日クラウンズ第1日(7時10分、名古屋GC和合)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
東証後場寄り 日経平均は小幅高 様子見一段と 商船三井が急落[2025/04/30 12:57 日経速報ニュース 408文字 ]
30日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は前営業日比40円ほど高い3万5800円台後半で推移している。後場も小幅に下げる場面がある。前日の米株式相場の上昇を支えにした買いは一服。トランプ米政権の関税措置を巡って日本時間5月1日に予定される日米協議の行方を見守りたいとのムードが一段と広がっている。決算を受けた個別銘柄の売買は活発で、昼休み中に通期決算を発表した商船三井が急落している。郵船や川崎汽にも売りが膨らんでいる。
前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約214億円成立した。
12時45分現在の東証プライムの売買代金は概算で2兆5261億円、売買高は10億5356万株だった。
TDK、ソニーG、バンナムHD、豊田通商が高い。一方、ファストリ、東エレク、日立、ソフトバンクグループ(SBG)が安い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
NTTドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」を発売[2025/04/30 10:40 日経速報ニュース 1228文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
ドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」の取扱いを開始
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズが出資する株式会社SOXAI(以下、SOXAI)が開発する、日本発の健康管理用スマートリング「SOXAI RING(ソクサイリング)」の新モデル「SOXAI RING1.1」を、2025年4月30日(水)から全国のドコモショップ、ドコモオンラインショップ、ドコモの家電レンタル・サブスクサービス「kikito」にて他社に先駆けて取扱いを開始いたします。
*参考画像(1)は添付の関連資料を参照
■「SOXAI RING1.1」の概要
SOXAIが提供する健康管理用スマートリング「SOXAI RING1.1」は、約3gの小型で軽量な筐体に光学バイタルセンサーや温度センサー、加速度センサーなどを搭載し、睡眠の質や歩数・消費カロリーなどの活動量、心拍変動から自律神経の状態を測定しストレスレベルなどの体調パフォーマンスを可視化します(※1)。
「SOXAI RING1.1」は最新の睡眠学のトレンド(※2)に基づき、睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間、入眠潜時、睡眠タイミング、日中覚醒度、呼吸の安定性の7つの指標から本質的な睡眠スコアを算出し、回復指数や社会性ジェットラグなどの新指標の追加と連続的なデータ解析により、より実態に即した体調スコアを算出します(※3)。また、計測した睡眠・体調・運動の3つのスコアから、生活の質(QoL)がスコア化され、AIが身近なコンディショントレーナーとしてパーソナライズされた生活習慣改善のアドバイスをQoLのスコアに応じて生成・提示し、身体的な健康とパフォーマンスの向上をサポートします。
手首よりも脈波信号の強い指に着用することで高い精度で測定を行うとともに、睡眠時も装着負担のない着け心地を実現しています。最大9日間(※4)持続するバッテリーとIP68相当/10気圧防水の防水性能を備え、表面には高級時計でも使われる高強度のコーティング「DURATECT(デュラテクト)(R)」加工を施し、一日を通じた健康データの取得と分析を可能にします。
*参考画像(2)は添付の関連資料を参照
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/01_202504301058.png
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/02_202504301058.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/03_202504301058.pdf
トランプ政権が公表「100日の成果」は本当か 投資や雇用を検証[2025/04/30 05:42 日経速報ニュース 2391文字 画像有 ]
トランプ米政権は29日、発足から100日間の成果を公表した。批判と不安が渦巻く強引な政策が「米国の黄金時代」に続くと主張する。うのみにはできない。同日朝にレビット大統領報道官が公表した内容を、米国でそれぞれの分野を担当する記者が検証した。
「米国向け投資のコミットメントは5兆ドルに到達した。45万1000件の高賃金な雇用を創出すると推定される。現時点で前政権の4年を上回る投資を確保した」
保護主義的な高関税政策や減税策の目的は国内製造業の復活だ。ホワイトハウスはトヨタ自動車やアサヒグループホールディングスなど日本企業を含む「新規投資リスト」を公表した。
内訳で大きいのはテクノロジー大手だ。米エヌビディアは最新の人工知能(AI)半導体など最大5000億ドル(約71兆円)分を米国内で生産すると表明。オープンAIやオラクル、ソフトバンクグループ(SBG)もAIインフラ整備に4年間で5000億ドルを投じる計画「スターゲート」を共同発表した。
だが、大々的な投資発表については企業側の「面従腹背」を指摘する声も出ている。例えばアップルが打ち上げた5000億ドルの計画だ。
アップルは2月、南部テキサス州にAIサーバーの工場を新設するなど、今後4年間で5000億ドルを米国内に投じると発表した。具体的な金額の内訳は開示していない。ホワイトハウスの中でも、実際の投資はそこまで大きくならないと懐疑的な意見がある。
アップルはトランプ第1次政権の2018年は、5年間で300億ドル以上の直接投資を米国で行って3500億ドルの経済効果をもたらすと表明した。バイデン政権下の21年には4300億ドルに引き上げた。
業績を分析すると、これらの金額はサプライヤーへの支払いや営業費用なども合わせた支出実績と重なる規模だ。今回の「5000億ドル投資」も、新規投資ではなく通常の事業運営範囲内の支出を指している可能性がある。
半導体業界に詳しいアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は「21年公表の投資額(4300億ドル)に比べると、その間のインフレなどを考慮すれば、今回の5000億ドルはアップルにとって決して大きなコミットメントではない。トランプ政権の対中追加関税をなだめるための手段だ」と指摘する。
前回発表で目玉としていたノースカロライナ州での新拠点建設は中断したとも報じられており、2万人の新規雇用目標が達成されるかも不透明だ。
「米国のエネルギー支配を回復した。石油と天然ガスの価格は、大胆なアプローチにより大幅に下落した。ガソリン価格は7%下落した」
「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」。石油掘削でエネルギー価格を下げるというエネルギー政策は構想通りに進んでいない。
トランプ政権は業界支援のため石油・ガスのためのパイプラインや出荷基地の建設を促している。ライト・エネルギー長官は「ビルド・ベイビー・ビルド(建てて建てて建てまくれ)」と強調する。現政権下で液化天然ガス(LNG)の輸出許可をすでに4件出しており、輸出許可を止めていた前政権との違いを鮮明に出した。
ただこうした優遇策に業界が恩恵を受ける前に、高関税政策による景気悪化懸念から原油価格は急落した。29日の原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の終値はトランプ氏の就任直前から22%安の1バレル60.42ドルだった。
米ダラス連邦準備銀行の調査では原油の新規開発には65ドル前後の価格が必要になる。60ドルを割り込めば、原油生産量が減少に転じるとの指摘もある。
石油サービス大手ベイカー・ヒューズのロレンツォ・シモネリ最高経営責任者(CEO)は「関税の不確実性により米国を含む世界で25年の(原油など)上流権益への投資は減少になるだろう」と予測する。米エネルギー情報局(EIA)も4月に入り、関税による景気懸念などから世界の石油需要予測を下方修正した。
「政権発足以来34.5万人の雇用を創出。製造業は9000人増で、前政権の最後の2年間に毎月6000人減少していたことと対照的だ。米国人はこの数年で初めてとなる高インフレの緩和を経験した」
バイデン政権後期にあたる23~24年、製造業の就業者数は月平均で5400人減少した。25年3月は1276万4000人でトランプ氏が大統領に就任した1月から確かに9000人増えた。
ただ新政権の政策効果とは言い切れない。たとえば分野別関税で保護しようとしている半導体・電子部品は2800人減った。2カ月の増加幅は0.07%にすぎず、統計の振れ幅の大きさを考えると誤差の範囲内だ。23~24年も2カ月で9000人以上という増加は4回起きていた。
3月の失業率は4.2%で、23年4月の3.4%よりは高い。まだ低水準といえるが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は高関税政策によって失業率の上昇リスクが高まったと主張している。 ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は今後1年間で米国が景気後退に陥る確率を65%と見積もる。
消費者物価は3月、前月比で0.1%下落した。マイナスは22年7月以来だ。あくまでガソリン価格の下落などを反映したもので、物価の瞬間風速にすぎない。ポーゼン氏は関税の引き上げによる輸入物価の上昇で、景気後退の有無にかかわらずインフレは高水準になると見通す。
物価上昇と景気後退が両立するスタグフレーションの懸念が高まり、FRB内では早期の利下げに慎重な声が多い。トランプ氏はパウエルFRB議長に退任要求を突きつけ、早期の利下げで景気を支えるよう求めたが、中央銀行の独立性を軽視する姿勢が金融市場の不安を高める結果となっている。
(シリコンバレー=中藤玲、ヒューストン=大平祐嗣、ワシントン=高見浩輔)
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QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
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WithAI(2)英語モデルに米欧的偏見? 自国の文化、開発力で守る[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA―LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【図・写真】UAEのアブダビ首長国にある世界初のAIに特化した大学=同大学提供
さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
ソフトバンクグループ 孫会長兼社長(ニュース一言)終[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
常に1%は悪者がいる。ASI(人工超知能)に頼る将来の生活を、悪者から守らなければならない。99%の善良な人間が超知能と革新の道を歩めば、解決策はあるだろう。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は人類の1万倍の知能を持つASIの時代が10年以内にやってくると予想する。「革新には機会が与えられるべきだが、健全な規制も必要だ」と述べ、人工知能(AI)を安全に使う社会の重要性を訴える。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
ソフトバンク(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(6月26日)取締役、唐木秀明▽同、仲條亮子▽監査役、ティモシー・マキ▽退任(取締役)上釜健宏▽同(同)大木一昭▽同(監査役)君和田和子
ソフトバンクグループ(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ
(6月27日)監査役、西橋久仁子▽同、金丸祐子▽退任(監査役)宇野総一郎▽同(同)大塚啓一
プロ野球・29日の試合結果[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 121文字 ]
◇パ・リーグ
日本ハム 2―1 ソフトバンク(延長10回)
オリックス3―2 ロ ッ テ
西 武 7―1 楽 天
◇セ・リーグ
DeNA 6―1 ヤクルト
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
中 日 4―1 阪 神
29日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 724文字 画像有 ]
【日本ハム 2―1 ソフトバンク】日本ハムが逆転勝ち。0―1の七回に代打吉田の適時二塁打で追いつくと、延長十回に水野の2号ソロで勝ち越した。伊藤が9回1失点の力投で3勝目。山川の5号ソロで先制したソフトバンクは追加点を奪えず、3連敗となった。
【オリックス 3―2 ロッテ】オリックスが今季3度目のサヨナラ勝ち。八回に2―2と追い付いて迎えた九回、先頭の野口が三塁打を放ち、1死後に新人の麦谷が右前打で勝負を決めた。ロッテは1軍昇格の新人西川が宮城から2安打を放ったが、救援陣が誤算。
【中日 4―1 阪神】中日の涌井が6回4安打1失点で今季初勝利を挙げ、プロ入りから21年連続で白星をマーク。1―1の五回、板山の適時二塁打で勝ち越し、上林が2点適時打で続いた。阪神は才木が6回4失点。得点は佐藤輝のソロによる1点のみ。
【西武 7―1 楽天】西武の高橋が2季ぶりの白星。走者を出しても要所を締めて6回無失点とし昨季から続く自身の連敗を13で止めた。打線は一回に渡部聖の適時打で先制し以降も児玉の適時二塁打などで加点した。チームは3連勝。楽天の古謝は7失点。
【巨人 4―3 広島】巨人が今季2度目のサヨナラ勝ち。2―3の九回2死から失策で追い付き、延長十二回1死二、三塁で甲斐が犠飛を放って勝負を決めた。十一回から2回無失点の大勢が3勝目。広島は末包の3打点でリードしたが逃げ切れず4連敗。
【DeNA 6―1 ヤクルト】DeNAが今季初の4連勝。1―1の五回に度会の適時打で勝ち越し、七回に宮崎の適時打、九回に石上の2点打などで加点した。ジャクソンは6回1失点で2勝目。ヤクルトのランバートは5四死球に3暴投など制球が定まらなかった。〔共同〕
日本ハム 2―1 ソフトバンク[2025/04/29 21:16 日経速報ニュース 134文字 ]
◇みずほペイペイドームN(3回戦)日本ハム2勝1敗
日ハム 000 000 100 1=2
ソフト 010 000 000 0=1
(延長10回)
〔勝〕伊藤 3勝1敗
〔S〕田中 1敗5S
〔敗〕杉山 2敗1S
〔本〕山川5号(1)(伊藤)水野2号(1)(杉山)
30日(水)のスポーツ[2025/04/29 18:17 日経速報ニュース 168文字 ]
▽野球=東都大学 日大×青学大(9時、東京・神宮球場)、関西学生 関大×同大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)オリックス×ロッテ(18時、京セラ)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
AI普及で世界は米欧化する? 自国の文化、開発力で守る-With AI②[2025/04/29 11:30 日経速報ニュース 1350文字 画像有 ]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA-LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【With AI】
①AIはどこまで仕事に役立つ? アニメ映画を2~3カ月で制作
③乱造フェイクどう対応? 「情報汚染」阻むAI技術磨く
【関連記事】AIに国産化の波 国の「主権」維持へ、世界で開発数倍増
新プラン「ドコモMAX」、ネットの反響真っ二つ-ITジャーナリスト 石川 温[2025/04/29 02:00 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
NTTドコモは新料金プラン「ドコモMAX」を6月5日から始める。従来のデータ使い放題プランに比べて値上げとなるものの、月額4200円のスポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を追加料金なしで見放題にするといった特典を盛り込んだ。お得感で値上げに対する警戒感を払拭する考えだが、ネットでの反響は真っ二つに割れている。
あらゆるものが値上げしているが、通信業界だけが値上げしにくい雰囲気となっていた。2020年ごろからの「官製値下げ」がきっかけだ。KDDIやソフトバンクはV字回復を果たしたものの、NTTドコモはいまだに通信料収入の減収に悩まされている。低容量プラン投入の遅れが響いた。
Jリーグやプロ野球、F1をDAZNで視聴するユーザーからは「安価なプランが登場してありがたい」と好評だ。DAZNは日本に上陸した当初、NTTドコモのユーザーが月額980円で視聴できたものの、今では月額4200円に上昇している。
NTTドコモの斎藤武副社長は「DAZNが値上げをしていくなかで、解約してしまう人が相当数いらっしゃる。もう一度、DAZNを見てスポーツの楽しみを味わっていただきたい」と語る。かつてKDDIがNetflixを料金プランにセットにしたように、他社でもコンテンツサービスを料金に組み込んで普及した例はある。
映像配信サービスは観たいコンテンツがなくなると、すぐ解約してしまうユーザーも多い。特にDAZNは目当てのスポーツがシーズンオフになると、数カ月間全く視聴しない期間が発生するため、どうしても解約が増えてしまう。
キャリアと組んで料金プランとセットにすると、DAZNの解約を阻止できる。その上、キャリア側の契約も維持でき、解約率も改善するというのがKDDIによって証明されているのだ。
DAZNとしては度重なる値上げで離れたユーザーをなんとか取り戻したい。NTTドコモも通信料金を値上げしつつ、DAZNとセットにすることで解約率を下げたいという双方のメリットが一致。今回の料金プランに至ったのだろう。
NTTドコモの前田義晃社長は24年7月のインタビューで「Jリーグを盛り上げたい。ドコモユーザーをスタジアムに来てもらうことで、周辺の店舗でd払いを使ってもらうなどの相乗効果を出していきたい」と語っていた。NTTドコモは国立競技場の共同運営を手がけるなど、スポーツエンターテインメント事業に力を入れている。料金プランでDAZNの機会を増やし、スポーツファン拡大を狙っていくというわけだ。
プラン適用条件が複雑との声も
一方、ドコモMAXには批判の声も相次ぐ。DAZNを全く観ないという人はDAZNナシでもっと安いプランを望んでいる。斎藤副社長は「(DAZN以外にも)Amazonプライム6カ月無料や海外ローミングでの30ギガバイト無料などが付いている。最もドコモユーザーから要望が多かった長期契約者に向けて20年で月220円、10年以上で月110円の割引還元する。DAZNだけでなく、幅広いメリットを提供したい」と語る。
もうひとつが「複雑だ」という批判だ。NTTドコモの資料ではドコモMAXは「月額2398円から」というのをアピールしている。ただ、データ容量1ギガバイト未満や3回線以上の複数契約、20年以上の契約、dカード決済、光回線のセット割、ドコモでんきとのセット割を適用したあとの金額。3ギガバイト以上使い、割引が一切適用されない場合での料金は、月額8448円となる。
複数回線契約や光回線、クレジットカード払いを組み合わせないと安くならないというのは3キャリアの常とう手段だ。優良顧客を囲い込みたいというのは理解できなくもない。ただ、こうした割引を組み合わせた後の金額だけをアピールするのは、誠意に欠けるような気がしてならない。
「DAZNは不要」「様々な割引施策を組み合わせないと安くならない」という批判に対して、NTTドコモではオンライン手続き専用の低価格帯プラン「ahama(アハモ)」という切り札を用意している。
月額2970円でデータ容量30ギガバイト、1980円を追加すると110ギガバイト使えるプランだ。オンライン専用プランという立て付けではあるが、ドコモショップで手数料を支払えば店頭でも契約は可能だ。
斎藤副社長は「分かりやすさと価値の組み込みはトレードオフの関係にある。ahamoはahamoで、極めてシンプルなオンライン専用料金プラン。一方、ドコモ MAXはいろんな価値を入れ込んでいくというコンセプト。今後もさまざまな価値を付加しようと考えている」という。
今後、ドコモMAXのなかに他のコンテンツサービスを組み込むのか。DAZNとは異なるコンテンツサービスを組み込んだ別のドコモMAXが誕生するのかは明らかにされていない。NTTドコモは今後も様々なサービスを包含した新料金プランを投入し、単なる値上げとは取られにくい「付加価値値上げ」で収益改善を目指していくようだ。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。X(旧ツイッター)アカウントはhttps://twitter.com/iskw226
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・ドコモなど通信4社、固定電話の維持負担金3円に値上げ
・ドコモ、データ無制限+DAZNで8000円台 同条件で業界最安
新型量子計算機が稼働 米社が理研に設置、国内初 スパコンと連携で演算[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1270文字 PDF有 書誌情報]
原子が電気的性質を帯びているイオンを使って計算をする「イオントラップ方式」の量子コンピューターが、日本で稼働を始めた。日本でこの方式の量子コンピューターが稼働するのは初めてとなる。スーパーコンピューターとの連携を目指しており、今までのコンピューターでは不可能だった演算を実現する可能性を秘める。
埼玉県にある理化学研究所和光キャンパス。一画に作られた専用のクリーンルームの中で、米クオンティニュアム社が開発したイオントラップ方式の量子コンピューター「黎明(れいめい)」が2月、稼働を始めた。
量子コンピューターの計算素子は「量子ビット」と呼ばれ、計算性能を示す指標にもなっている。黎明は20量子ビットまで拡大できる設計だ。同社の量子コンピューターとしては世界で3台目になり、米国以外で稼働するのは初となる。
専用の建物には厳重な免震構造を導入した。同社日本法人の結解秀哉CEO(最高経営責任者)は「施設の準備を含め、ベストなものを理研が用意してくれた。実機の設置は大きな一歩だ」と話す。
量子コンピューターは高効率な触媒や電池材料の開発、金融取引での活用など、幅広い分野への展開が期待されている。
量子コンピューターの計算に欠かせない量子状態をつくり出すために、様々な方法が提案されている。最も開発が進んでいるのは絶対零度近くまで素子を冷却して使う「超電導方式」だ。ただ、現状では量子ビットの数や冷凍機の大きさなどに制限があり、量子コンピューターの大規模・高性能化に向けた課題になっている。
同社が開発しているのはイオントラップ方式の量子コンピューターだ。イオンを量子ビットに使い、レーザーで操作や測定をして計算に利用する。量子状態を維持しやすく、エラーが起こりにくい。一方で、量子ビットを精密に操作する必要があるほか、イオンを移動させるなどの操作に時間がかかり、計算速度がほかの方式に劣る課題がある。
黎明は1インチ四方のチップ上にマイクロメートル単位の細かな溝が掘られている。ここでイオンを閉じ込めたり動かしたりする。チップはバスケットボールサイズの容器に格納され、セ氏マイナス250度ほどに冷却される。容器にあるいくつかの窓からレーザー光を照射し、イオンの冷却や移動、量子状態の測定をする。
同社は量子ビットを2つ使う「2量子ビットゲート」という操作に強みを持つ。電圧の力で量子ビットを自由に動かし、計算速度の上昇などにつながるという。
黎明は理研やソフトバンクと共同で、スーパーコンピューター「富岳」と組み合わせる研究に使われる。スパコンと組み合わせることでエラーの発生を抑える効果が見込まれる。
同社は25年中には96量子ビットの量子コンピューターである「Helios(ヘリオス)」を開発する。超電導方式以外にも光を使った量子コンピューターなど、本命はまだ定まっていない。ただ多くの開発企業が30年前後を実用化の一つの目安として設定している。
【図・写真】米クオンティニュアム社が理研に設置した量子コンピューター「黎明」=同社提供
米国第一と戦後国際秩序の崩壊(大機小機)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 936文字 PDF有 書誌情報]
アメリカは、折に触れ、米国第一になる。渋沢栄一が明治末期、実業団を引き連れ渡米した時もそうだった。日露戦争勝利の頃から、日本製品や日本人移民を排斥、カリフォルニア州における排日土地法制定の動きなど、興隆日本を警戒する風潮が広がる。渋沢たちは大統領はじめ各界の要人に会い融和をはかるが、思うようにはいかなかった。
第1次世界大戦後、ウィルソン大統領が国際連盟創設を提唱するが、米国は議会の反対で加盟しなかった。第2次世界大戦で英チャーチル首相の強い要請にもかかわらずなかなか腰を上げない。日本の真珠湾攻撃で動いた。
関税を振りかざしメーク・アメリカ・グレート・アゲインを声高に叫ぶトランプ大統領。これまでの米国第一とは全く異なる。国際的地位の後退に対する深刻な危機感がある。80年ごろ、世界2位に駆け上がってきた日本経済に激しく構造改革を迫ったけれど、彼我の国内総生産(GDP、名目、兆ドル)は2・8対1・1と大差だった。
2024年の米中は29対19。背後に迫っている。中国は共産党オンリーの国家資本主義で「メーク・チャイナ・グレート・アゲイン」(英エコノミスト誌)をもくろむ。地政学的には、ロシア、イラン、北朝鮮と手を組んでいる。
70年ほど前、英国の経済学者ロイ・ハロッドは、著書「ドル」のおわりに「世界各国は絶えずアメリカ人の頭痛の種をまいてきた。そしてアメリカ人の高遠且つ友好的な希望は幾度か挫折を繰返す憂目をみてきた。しかしながら私は、この寛容さとこの忍耐力こそ(中略)将来私達すべてに大きな利益をもたらす指導者としての資格をアメリカ人に与えるものであると確信するものである」と記していた。戦後国際秩序の始まりだった。
それが今、トランプ氏の登場とタイミングを一にして崩壊しようとしている。通貨・貿易をめぐる秩序の早期立て直しは容易ではないだろう。
この状況でわが国は世界に自由貿易の原則を断固主張しなければならない。併せて国内生産拠点の再構築と人材育成によって供給力を高めなければならない。そして、国土をフル活用しながら1億2千万人の潜在需要を掘り起こす。すなわち、円相場や海外景況頼みの「反映」経済ではない、「自走」できる経済体質を心掛けるべきだ。(一礫)
29日(火)のスポーツ[2025/04/28 16:01 日経速報ニュース 602文字 ]
▽陸上=織田幹雄記念国際大会(11時50分、ホットスタッフフィールド広島)
▽野球=関西学生 同大×関大、京大×近大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)
▽サッカー=関西学生(11時30分、大阪・ヤンマースタジアム長居ほか)
▽ハンドボール=リーグH(13時、愛知・東海市民体育館ほか)
▽ホッケー=日本リーグ(17時、岐阜・川崎重工ホッケースタジアム)
▽柔道=全日本選手権(10時、東京・日本武道館)
▽プロ野球=巨人×広島(14時、東京ド)ヤクルト×DeNA(13時30分、神宮)中日×阪神(14時、バンテ)西武×楽天(14時、ベルー)オリックス×ロッテ(13時、京セラ)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)
▽Jリーグ=J1 F東京×清水(13時5分、味スタ)横浜C×鹿島(14時、ニッパツ)名古屋×柏(14時、豊田ス)岡山×東京V(14時、JFEス)広島×新潟(14時、Eピース)湘南×福岡(15時、レモンS)G大阪×京都(15時、パナスタ)C大阪×町田(15時、ヨドコウ)、J2 札幌×長崎(14時、プレド)秋田×徳島(14時、ソユスタ)いわき×大宮(14時、ハワスタ)水戸×今治(14時、Ksスタ)甲府×仙台(14時、JITス)富山×山形(14時、富山)熊本×千葉(14時、えがおS)大分×鳥栖(14時、クラド)磐田×山口(15時、ヤマハ)愛媛×藤枝(15時、ニンスタ)〔時事〕
社債発行本数、4月は前年比29%減 トランプ関税で見送り・延期相次ぐ[2025/04/28 14:16 日経速報ニュース 946文字 ]
トランプ米政権の関税政策の余波が起債市場にも及んだ。アイ・エヌ情報センターによると、国内企業が4月に条件決定した円建ての公募普通社債の本数(自社債含む、条件決定日ベース、25日時点)は、前年同月と比べ29%(18本)減の45本だった。米関税強化策を受けた4月前半の金融・資本市場の混乱を受け、起債の見送りや延期を決めた企業が相次いだ。
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4月に起債した企業数は29社で、同26%(10社)減った。一方、発行額は同2%増の1兆8694億円で、データを遡れる1990年以降で4月として過去最大となった。ソフトバンクグループ(9984)が18日、6000億円の個人向け社債を含む総額6200億円の2本立て債の発行条件を決め、全体を押し上げた格好だ。
4月前半はNIPPON EXPRESSホールディングス(9147)や日清食品ホールディングス(2897)などで起債の見送り・延期が相次いだ。投資家のリスク回避姿勢が強まり、社債金利のベースとなる国債金利も急低下したなか、発行体と投資家双方が想定していた金利水準での条件決定が難しくなったためだ。発行額が企業側が当初予定していた最大額に満たない案件も目立った。
市場関係者は慎重な姿勢を維持しているが、足元では「復調の兆しがみられる」との指摘も多い。23日のブリヂストン(5108)や24日の大日本印刷(7912)は発行総額がともに1000億円となった。起債を再開したアサヒグループホールディングス(2502)は25日に総額500億円となる2本立て債の発行条件を決め、投資家層は裾野が広がり、生命保険会社や年金運用に関わる信託銀、投信・投資顧問などだった。
5月の新発債はどうか。連日の大型案件を受け、証券会社のシンジケーション担当者は「今年度の起債運営を巡る霧がようやく晴れてきた」と話していた。4月に見送りとなった案件がどの程度再開するか、また米関税政策を巡る先行き不透明感が強いなかでの投資家の購入姿勢に市場の関心が向けられている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
サムスン電子、「Samsung Galaxy Ambassador」に基づく接客をソフトバンク取扱店で開始[2025/04/28 11:35 日経速報ニュース 1639文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月28日
<ソフトバンク>「Samsung Galaxy Ambassador」がソフトバンク取扱店で接客開始
~Samsung Galaxyに精通した約1,000人の認定クルーが全国の一部のソフトバンク取扱店に~
サムスン電子ジャパン株式会社(以下、サムスン)は、ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)との両社共同プログラム「Samsung Galaxy Ambassador」に基づく接客を、ソフトバンク取扱店で開始したことをお知らせいたします。
「Samsung Galaxy Ambassador」とはSamsung Galaxyの最高の製品体験やサービスを提供し、お客様に感動をお届けする接客をするスペシャリストの総称です。国内で「Samsung Galaxy Ambassador」プログラムを活用した接客はソフトバンクが初めての新しい試みとなります。
サムスンは今後もお客様のニーズに合った製品紹介に努め、顧客満足度を高めることができるようサポートをし続けてまいります。
*ロゴは添付の関連資料を参照
■「Samsung Galaxy Ambassador」とは
「Samsung Galaxy Ambassador」とは、Samsung Galaxyの最高の製品体験やサービスを提供し、お客様に感動をお届けする接客をする公式認定ブランドアンバサダーです。サムスンの専門トレーナーによるトレーニングを修了し、Samsung Galaxyに関する幅広い知識を持ち、その魅力を伝えることができると認定した方を「Samsung Galaxy Ambassador」と認定いたします。
■ソフトバンク「Samsung Galaxy Ambassador」
このたび、ソフトバンクにて本プログラムのトレーニングを受けた約1,000人のクルーを「Samsung Galaxy Ambassador」として両社で認定いたしました。2025年6月以降に認定バッチを貸与いたします。
※「Samsung Galaxy Ambassador」の在籍有無は、直接ソフトバンク取扱店にお問い合わせください。
■AIエージェントを初搭載した新次元の最新AIフォン 「Samsung Galaxy S25シリーズ」
*参考画像は添付の関連資料を参照
「Samsung Galaxy S25シリーズ」は2025年2月14日に発売を開始した最新AIフォンです。新次元のAI機能「Galaxy AI」を搭載し、Snapdragon(R) 8 Elite for GalaxyというSamsung Galaxy Sシリーズ史上最も強力な性能を備え、「Samsung Galaxy S25 Ultra」にはSペンも内蔵しています。さらに、「Samsung Galaxy S25シリーズ」はAI機能を使いながらアプリ間の連携が可能になり、コミュニケーションの円滑化や生産性をさらに向上させる驚きのAI機能が満載です。また「Samsung Galaxy S25 Ultra」のカメラ性能は約2億画素カメラに加え、約5,000万画素の超広角カメラセンサーを初搭載し、卓越した鮮明さと鮮やかな撮影が可能になりました。スマートフォンが苦手とする暗所でのビデオ撮影も大幅に進化しています。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
ロゴ
https://release.nikkei.co.jp/attach/690386/01_202504281120.jpg
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/690386/02_202504281120.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690386/03_202504281120.pdf
東証寄り付き 日経平均続伸 一時3万6000円上回る 米ハイテク株高で[2025/04/28 09:22 日経速報ニュース 675文字 ]
28日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸して始まり、前週末に比べ250円ほど高い3万5900円台半ばで推移している。一時は心理的な節目の3万6000円を上回った。取引時間中では1日以来となる。25日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が上昇したのを受け、日本株に買いが先行している。
トランプ米大統領は25日、日本との関税交渉について「合意にとても近づいている」と述べた。累計で145%の関税を課している中国に対しても貿易交渉の進展への期待を示し、株式市場では過度な懸念が和らいでいる。28日には主要な半導体銘柄で構成するフィラフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.03%高となり、28日の東京市場では東エレクが上昇している。ファストリやソフトバンクグループ(SBG)などの値がさ株の上昇も目立つ。
ブルームバーグ通信は28日朝に「トランプ米大統領は27日、関税収入を活用して年収20万ドル(約2900万円)未満の層に対する所得税を引き下げる考えを示唆した」と報じた。市場では「米関税政策への過度な警戒が和らぐなかで減税政策に投資家の関心が向かうきっかけになり、日本株にとっても前向きな材料」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)との指摘があった。
東証株価指数(TOPIX)は続伸している。
トヨタが上昇している。5000億円の自社株買いを発表した信越化は大幅高となっている。一方、日東電や太陽誘電、中外薬が下落している。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
中日・根尾、2軍で快投 救援専念、1軍昇格へ鍛錬[2025/04/28 日本経済新聞 夕刊 3ページ 580文字 PDF有 書誌情報]
中日の右投手で今季は救援に専念しているプロ7年目の根尾が、2軍で快投を見せている。9試合に登板し、1失点(自責点0)で防御率0.00。1軍昇格へ「(必要なのは)結果を出し続けること」と必死に腕を振る。高校時代に投打で甲子園を沸かせたスターが開花の兆しを示している。
22日のソフトバンク戦は八回に登場。150キロ超の速球を軸に打者をねじ伏せ、三者凡退に仕留めた。主に先発だった昨年から役割が変わり「毎日強く投げるための準備をしている」と、体のケアにも気を配っている。落合2軍監督は「力強いボールが戻ってきた。投げっぷりもいい。今のまま継続してほしい」と太鼓判を押す。
大阪桐蔭高で春夏合わせて3度の甲子園大会優勝を経験し、2019年に内野手としてドラフト1位で入団した。その後は外野にコンバートされ、22年途中に投手に転向とポジションを転々。プロのマウンドに立つようになって4季目だが、1軍での登板は30試合にとどまっている。
井上監督の「投手らしい番号で、投手一本で頑張ってほしい」との思いで、背番号を「7」から板東英二らが背負った「30」に変えて迎えたシーズン。1軍のリリーフ陣も好調で、競争は厳しいが「割って入っていく立場なので、準備し続けるだけ」。声がかかる日に備え、さらなる投球内容の向上を狙う。
【図・写真】2軍のソフトバンク戦に登板した中日・根尾
プログリット、高校生向け授業開発 英語力、海外大進学水準に[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
英語学習サービスを手掛けるプログリットは、21日に開校した「HR高等学院」と連携する。HR高等学院はNTTドコモ発のスタートアップ、RePlayce(リプレイス、東京・渋谷)が運営する通信制高校のサポート校。英語学習のカリキュラムを共同開発し、3年間で海外大学に進学できるレベルを目指す。
HR高等学院の授業ではプログリットのアプリを使う。プログリットの英語コーチングのノウハウを使い、生徒が毎日1時間程度の英語学習を続けられるよう、同校のコーチが伴走する。3年間で英語力を中学校レベルから海外大に進学できる水準に引き上げる。
入学1年目には発音トレーニングや人工知能(AI)英会話、2年目には聞き取った英語をまねて発音するシャドーイングや定型文を瞬時に日本語から訳す「口頭英作文」といった実践的な学習に取り組む。3年目は英語能力テスト「TOEFL iBT」や 「IELTS」などのスコア獲得に向けた学習を進め、英検1級や「TOEIC L&R」(聞く・読む)900点相当の英語力を身につけさせることを目指す。
プログリットはコンサルタントが伴走して短期間で英語力を高める英語コーチングを主力とする。
プロ野球・27日の試合結果[2025/04/27 18:25 日経速報ニュース 116文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 2―1 巨 人
DeNA 2―1 広 島
ヤクルト 6―2 中 日
◇パ・リーグ
西 武 3―2 オリックス
ロ ッ テ 5―3 日本ハム
楽 天 3―2 ソフトバンク(延長11回)
27日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/27 18:24 日経速報ニュース 721文字 画像有 ]
【西武 3―2 オリックス】西武がサヨナラ勝ち。2―2の九回に代わったマチャドを攻めて2死一、二塁とし、代打で出た中村剛が適時二塁打を放った。3番手の甲斐野が2季ぶりの白星を挙げた。オリックスは九回2死満塁のチャンスを生かせなかった。
【巨人 2―1 阪神】巨人が阪神戦の開幕からの連敗を5で止めた。継投で勝機をつなぎ、1―1の九回1死三塁から代打岸田の左前打で勝ち越した。岩崎が今季初黒星の阪神は連勝が6で止まった。打線は九回の同点機を生かせず、4安打で1得点どまり。
【楽天 3―2 ソフトバンク】楽天が今季初のサヨナラ勝ちで、貯金を今季最多の2とした。2―1の九回に藤平が同点ソロを許したが、延長十一回に無死満塁と攻め、最後は代打の渡辺佳が左越えに殊勲打を放った。ソフトバンクは終盤に粘ったが、及ばなかった。
【DeNA 2―1 広島】DeNAが3連勝。バウアーは8回を1失点で今季初勝利を挙げた。150キロ台の直球にナックルカーブなどを交えて10奪三振の力投。四回に佐野が逆転の2点打を放ち、九回は伊勢が締めた。広島は好投の玉村を援護できなかった。
【ロッテ 5―3 日本ハム】ロッテは2―2の四回に角中の2ランで勝ち越し、五回は先制三塁打の藤原が再び適時打を放って加点した。田中晴は5回を投げて6安打を許したが2失点と踏ん張って2勝目。日本ハムは金村が6回5失点と粘れなかった。
【ヤクルト 6―2 中日】ヤクルトは0―2の四回に茂木の2号3ランで逆転。五回にサンタナの適時打、赤羽の2点打で加点した。先発の小川は6回4安打で失点を一回の2点のみに抑え、今季2勝目を挙げた。中日のメヒアは4回2/3を5安打6失点で2敗目。〔共同〕
楽 天 3―2 ソフトバンク[2025/04/27 16:57 日経速報ニュース 127文字 ]
◇楽天モバイルパーク宮城(6回戦)楽天5勝1敗
ソフト 000 001 001 00=2
楽 天 002 000 000 01X=3
(延長11回)
〔勝〕則本 3勝2敗5S
〔敗〕津森 1勝1敗
〔本〕小森1号(1)(前田純)柳町2号(1)(藤平)
起業家の祭典IVS、2025年のテーマは1990年代風[2025/04/27 02:00 日経速報ニュース 1717文字 画像有 ]
日本最大級のスタートアップイベント「IVS(アイブイエス)」が7月、京都市内で開催される。先立って実行委員会が公開したホームページに、最先端のイメージからかけ離れた1990年代調のデザインをあえて採用。インターネット勃興期を彷彿(ほうふつ)とさせ、当時の熱量を21世紀に再現する狙いだ。
「あなたは○人目のお客様です!キリ番の方は掲示板にカキコしてね★」。IVS2025のホームページを開くと、宇宙をイメージしたレトロなイラストをバックに、来場者カウンターとともに黄色い文字が目に入る。「カキコ」は1999年に誕生したネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」などで使われ、書き込むの意。今ではもちろん「死語」だ。
「デザイン界では『レトロで古いものがイケてる』という潮流がある」。IVSのホームページをデザインした張本人、zFilms(ゼットフィルムズ、東京・足立)の浅尾尭洋代表はレトロ調デザインを採用した理由をこう語る。ハリウッド映画でもあえてフィルムカメラを活用し、昔日の雰囲気を取り入れることがあるという。
浅尾氏はオンライン開催になった20年のIVSからデザインを担当してきた。最初は「よくあるテック・カンファレンスのようなデザインだった」と振り返る。デザインを変化させ始めたのは23年からだ。京都開催が決まり「特徴的な『和』のデザインがないか、とにかく調べまくった」。
IVS2023の会場内の一部内装を東映太秦映画村(京都市)の関係者が担当していたこともあり、日本映画が勃興した1960~70年代にかけて出回ったポスター集を買いあさり、デザインを着想した。
続くIVS2024は時代を進め、80年代のバブル全盛期を再現。会場にミラーボールを設置し、当時をイメージしたスタジオで歌手がうたうIVSのテーマソングまで作成した。
60~70年代、80年代ときて、IVS2025が90年代のデザインを取り入れるのは自然な流れだった。90年代と言えば米マイクロソフトの基本ソフト(OS)で、パソコンを広く普及させる起爆剤となった「Windows(ウィンドウズ)95」が発売となり、多くの若者が熱狂した。「よし、インターネット黎明(れいめい)期をコンセプトにしよう」と思い立った。
ホームページの左上にある「メニュー」ボタンは、少し時代が下るが2001年発表の「ウィンドウズXP」で使用されていた「スタート」ボタンがモチーフ。「インベーダーゲーム」や都市計画ゲーム「シムシティ」をイメージしたイラストをちりばめた。
浅尾氏は90年代が幼少期。自ら遊んだゲームや慣れ親しんだパソコン用ソフトもふんだんに盛り込んだ。
3日にホームページを公開すると、X(旧ツイッター)では「勢いがあった頃の昭和・平成レトロ。世代じゃない人にとってもなぜか懐かしく感じる」などと投稿が集まった。実行委員会の委員長でもあるベンチャーキャピタル(VC)のヘッドライン・ジャパン島川敏明代表は「最初にデザインを見たとき、社内でも盛り上がった。話題を提供できていて面白い」と満足げだ。
90年代デザインは単なるお遊びでもないようだ。島川氏は「今のスタートアップシーンだけを切り出すのではなく、インターネットの歴史的な積み重ねの上にIVSがあることを伝えたい」と語る。ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長や楽天グループの三木谷浩史会長兼社長、サイバーエージェントの藤田晋社長ら先輩経営者らが築いてきた過去を学んでほしいとの思いも込めた。
IVSのデザインは懐かしさのなかに新しさを取り入れた「ニューレトロ」の一つだが、課題もある。イベントのスポンサー集めだ。島川氏は「インターネットの黎明期に起業した経営者からの反応は上々だ。ただ『何が何だか分からない』という人もいる。これまでのIVSの経緯も含めて丁寧に説明したい」と語る。
「IVSというイベント自体がスタートアップ的であるべきだ。お堅い感じではなくて、ほかとは違う動きをしないといけない」(浅尾氏)のも事実。こだわったデザインと、スポンサー集めなどビジネスをうまく融合させる必要がある。
(仲井成志)
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隅田快投、連敗ストップ レオ「守りの野球」機能(プロ野球)[2025/04/27 日本経済新聞 朝刊 25ページ 702文字 PDF有 書誌情報]
西武 オリックス
前日まで4連敗で最下位に転落した西武打線は、この日も1点が遠かった。初回から三塁を踏み、二回も満塁機を迎えるなど塁をにぎわせながら、マウンドのエスピノーザを崩すひと突きが出ない。そんなじれる展開でも先発隅田は崩れなかった。
初回先頭から連打を浴びて無死一、二塁。「制球は良くなかったし、ボール自体も良い感じがなかった」。左腕はそう振り返ったが、3番・太田を内角の球速150キロで見逃し三振、続く杉本はチェンジアップで空振り三振。以降先頭打者を出してもその投球には余裕が感じられた。
捕手の古賀悠と「受け身にならず攻めた配球を」と話し合って、リーグ1位の打率と得点数を誇るオリックス打線にも動じない。フォークボールやカーブを織り交ぜて長打は許さず、7回114球を投げて無失点、11奪三振の快投だ。
前回ソフトバンク戦で今季初完封を飾るなど過去2試合も失点なし。連続無失点イニングを26に伸ばし、四回の長谷川の3ランの援護を無傷で守り抜いた。
八回ウィンゲンターへのバトンタッチは完全な勝ちパターンだが、チームによぎるのは今井が7回無失点としながら、守護神・平良が2点リードを失い、延長の末に敗れた前夜だ。西口監督も固唾をのむように九回の平良を見守ったが、この日は期待に応えて三者凡退で締めた。
西口監督は「初回を(無失点で)しのいだのが勝因。走者を出しながらしっかり抑えた」と、隅田をたたえた。粒ぞろいの先発陣で試合をつくり、抑えの平良で逃げ切る「守りの野球」の正しさを再確認でき、ひと安心の様子だった。
(佐藤淳一郎)
【図・写真】オリックス戦に先発し、7回無失点で4勝目を挙げた西武・隅田
25年05月01日
解剖ソフトバンクG 孫氏のAI革命、「スターゲート」が開く第2幕[2025/05/01 05:00 日経速報ニュース 2233文字 画像有 ]
ソフトバンクグループ(SBG)が人工知能(AI)分野で巨額投資を続けている。半導体からデータセンター、発電事業までを自社で手掛け、投資会社からAI分野の実業へと重心を移す。次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現へ。AIの情報革命に人生を賭ける孫正義会長兼社長の第2幕が開く。
「複雑な連立方程式が解けた。孫正義が生まれた理由はASIを実現させるためだと本気で思っている」――。2024年6月の株主総会、孫氏は自信満々にこう語った。
それから半年、孫氏は矢継ぎ早に布石を打ち始めた。
25年1月、米ワシントンのホワイトハウスを訪ねた孫氏はトランプ米大統領の隣でAIインフラ計画「スターゲート」をぶち上げた。4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想だ。
2月には「Chat(チャット)GPT」を開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開する。
アームがAI戦略の中核に
孫氏が描くのは、ASI時代の到来に向けたAI企業への転身だ。
「ASIの未来には前例のないコンピューティングパワーが必要だ」。戦略の中核を成すのが、16年に3兆3000億円かけて買収した英半導体設計のアーム。アームは半導体の回路設計図を提供し、省電力を武器に地盤を固めた。23年9月の上場後もSBGが約9割の株式を握り続け、AI半導体の中核と位置づける。
孫氏は22年11月に「これから数年間、次のアームの爆発的な成長に私は没頭する」と強調した。この没頭期間を経て、AI頭脳の獲得のためM&A(合併・買収)で勝負に出た。先端半導体はAIインフラ構築のための必須技術であり、すべてを他社任せにはできないためだ。
24年7月にはAIの演算処理に適した半導体を手掛ける英グラフコアを完全子会社化。25年3月にはアームの回路図を使ってAIデータセンター向けのCPU(中央演算処理装置)を設計する米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収すると発表した。
ただ、これらの半導体メーカーの買収はリスクも伴う。全方位で設計図を提供してきたアームにとって、SBGによる特定の半導体メーカー買収は顧客との競合を招く可能性がある。
孫氏は「競争に勝つためには、ためらうことなくオールイン(全力投資)する」とも語っており、エヌビディアなど名だたる半導体大手との競合もいとわずに半導体技術を手中に収める。それは今後の爆発的な半導体需要の増加を見据えるためだ。
スターゲート計画でデータセンターが各地に整備されれば先端半導体が不可欠となる。クリスタル・インテリジェンスの導入先が増えれば、生成AIの頭脳となる最新チップの開発案件が増える。さらに水面下でSBGは半導体の開発や製造、AI搭載ロボットの事業構想を温めている。
投資業から実業にカジを切ったことでSBGの資産構成にも変化が見られる。
超知能構想に巨額投資
もともとインターネットや通信を事業の中心に据えていた同社。19年末時点では約29.5兆円の保有資産のうち54%が中国アリババ集団だった。米スプリントや事業会社のソフトバンクなど通信事業が約2割、アーム株は全体の1割にとどまっていた。
それが24年末時点では資産価値は38.7兆円まで膨らみ、うちアームが4割を占めるまでに成長した。「AI群戦略」を担うソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の資産比率も11%から28%に拡大した。
SVFは24年末時点で498社の投資実績があり、54社が新規株式公開(IPO)した。韓国のネット通販最大手クーパンや米料理宅配大手ドアダッシュなど企業価値を数倍にした成功例もあれば、経営破綻し巨額損失を計上した米ウィーワークのような失敗もある。累計の投資成績は24年12月末時点で16億3400万ドルの赤字だ。
足元では核融合発電の米ヘリオン・エナジーや、量子計算機開発の米クエラ・コンピューティングにも出資した。AI分野ではSBGが直接投資を手掛ける半面、SVFが未来の技術に資金を投じて将来の「金の卵」を育てている。
今につながる孫氏の野望は1981年に起動した。パソコン用ソフトの販売を手掛ける日本ソフトバンクを立ち上げた。90年代にインターネット、2000年代に通信事業へと参入し、業容を変えながら一代で日本発の世界規模のテック企業を形成した。
孫氏は16年のアーム買収で「AIの礎がばっちりできた」とし、翌17年には10兆円ファンドを立ち上げて世界最大のテック投資家となった。AI技術を持つスタートアップに次々と資金を投じた。
そして25年、孫氏の超知能構想は巨額の投資を伴って動き始めた。トランプ米大統領とともに発表した5000億ドル投資などはSBGにとっても例のない規模となる。そのトランプ政権の繰り出した関税政策で投資マネーが萎縮し、SBGの資金調達には危うさも漂う。
「大ぼら吹き」を自認する孫氏が描く、ASI到来の壮大な未来へ――。いよいよ「ゲート」が開く。
(八木悠介、今村桃子、江口良輔、グラフィックス 荒川恵美子)
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泊原発「合格」、迫る需要増 ラピダス量産にらむ 27年再稼働へ一歩[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1008文字 PDF有 書誌情報]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3.4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1.2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
ソフトバンク(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也
▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠
▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之
▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥
▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士
▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝
▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
自動運転、トヨタ連携広く 米ウェイモと車両開発で協力 豊富なデータ取り込み(ビジネスTODAY)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1833文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
【図・写真】トヨタはウェイモと自動運転の車両開発まで踏み込む(都内で走るウェイモの自動運転車)
令和の証券民主化運動(大機小機)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 929文字 PDF有 書誌情報]
日本の株式市場は、幅広い国民が株を持つ「大衆化」を本格的に進めるべき段階を迎えている。元号の変遷とともに保有主体が入れ替わってきたこの市場が、次の転換点にさしかかっているからだ。
1940年代後半、財閥解体で市中に放出した株を個人に安く分配し、国民が等しく豊かになろうという運動が盛り上がった。終戦直後の証券民主化運動だ。当時個人の持ち株比率は7割に達した。
だがGHQ(連合国軍総司令部)の緊縮財政金融策(ドッジライン)で株価は暴落。投資ブームは霧消した。個人が手放した株は金融機関や事業会社が吸い上げ、高度成長期からバブル期まで昭和のニッポン株式会社を支えた株式の持ち合い構造ができた。
そしてバブルが崩壊した平成の時代。不良債権処理の原資として銀行は持ち合い株を売却し、それを海外投資家が拾った。90年代を通じて海外勢の持ち株比率は右肩上がりで、アベノミクス初期の2013年度に3割を超えた。
それから10年余。海外勢は売ったり買ったりで、持ち株比率は頭打ちだ。一方、アベノミクスが起動したガバナンス改革とアクティビストの台頭は企業に非効率な資産の整理を迫り、事業会社や損害保険会社が最後に残った政策保有株の売却を急いでいる。
海外勢にこれ以上の保有引き上げを期待できなければ、市中に出る政策保有株を誰が引き受けるのか。個人をおいてほかにない。日銀もいずれ保有ETF(上場投資信託)の売却を迫られる。国民がもっと手軽に日本株を買える環境の整備は待ったなしだ。
東京証券取引所が先週、最低投資額10万円を目安に上場企業に一段の株式分割を求めたのはこうした危機感が背景にあるのだろう。新NISA(少額投資非課税制度)が現状、米国株や世界株投資信託を通じた個人資金の海外流出を加速させている大きな原因は、欧米より桁違いに高い日本株の投資単位にある。
日本株投資のハードルを下げる取り組みは始まったばかりだ。会社法改正と歩調を合わせた単元株制度の廃止は必須だ。欧米のように1株から株を買えるようにするには、株主総会実務のデジタル化や海外より低い株主提案権の行使要件の見直しを同時に進めなければならない。機は熟した。令和の証券民主化運動を始めるときだ。(井蛙)
耐えたハム山崎、緩急でタカ翻弄(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 262文字 PDF有 書誌情報]
日本ハムの山崎が4試合目で今季初勝利を挙げた。力感のないフォームと緩急を生かした配球の妙で主力を欠くソフトバンク打線を翻弄。5回1失点は最低限の働きだったが、「(1勝目が)ちょっと遅かったが良かった」と安堵した。
ストライク先行の安定した投球が揺らいだ四回は先頭から2者連続で出塁を許し、味方の失策で失点。「勝ちを意識しすぎて守りに入ってしまった」ものの、続く嶺井を三ゴロ併殺に仕留めて踏みとどまった。通算50勝とした左腕は「全然気にしていなかった。200勝目指して頑張ります」。投球スタイル同様、コメントも軽やかだった。
プロ野球・30日の試合結果[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 114文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 2―0 広 島
ヤクルト 4―1 DeNA
中 日 5―4 阪 神(延長11回)
◇パ・リーグ
西 武 3―1 楽 天
オリックス5―0 ロ ッ テ
日本ハム 6―1 ソフトバンク
30日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/30 23:25 日経速報ニュース 716文字 画像有 ]
【巨人 2―0 広島】巨人が3連勝。山崎は直球、変化球ともに切れがあり、7回を無失点で開幕4連勝とした。0―0の六回に増田陸の適時二塁打で奪った2点を守り切った。広島は5連敗。6回を2失点と力投した大瀬良を打線が援護できなかった。
【中日 5―4 阪神】中日が今季初のサヨナラ勝ち。4―4の延長十一回、1死一、三塁から代打カリステの犠飛で勝ち越した。7番手の清水が今季初勝利。阪神は六回に佐藤輝、前川の適時打などで3得点して4―2としたが、直後に追い付かれた。
【西武 3―1 楽天】西武が連勝を4に伸ばした。一回に渡部聖の2点三塁打で先制。2―1の七回は西川の適時打で加点した。5投手の継投で逃げ切り、5回を投げて本塁打による1点に抑えた菅井が3勝目を挙げた。楽天は3安打にとどまった。
【オリックス 5―0 ロッテ】オリックスは田嶋が変化球の精度が高く、単打2本の無四球と寄せ付けず、3年ぶりの完封で2勝目。二回に西川の1号ソロで先制した打線は三回に太田の2点打、四回は麦谷の適時打などで加点。ロッテは種市が11安打5失点と崩れた。
【日本ハム 6―1 ソフトバンク】日本ハムは打線がつながり2連勝。四回に万波、石井の連続適時二塁打などで3点を先行。4―1の八回にも田宮の1号ソロなどで2点を加えた。山崎が5回1失点でまとめて今季初勝利。ソフトバンクは4連敗で今季最多の借金6。
【ヤクルト 4―1 DeNA】ヤクルトが効果的にリードを広げた。1―1の六回に山田の適時打で勝ち越し、七回は赤羽の犠飛、八回は西川の適時打で加点した。山野が6回を1失点で今季初勝利を挙げた。石山は5セーブ目。DeNAは連勝が4で止まった。〔共同〕
日本ハム 6―1 ソフトバンク[2025/04/30 21:21 日経速報ニュース 100文字 ]
◇みずほペイペイドームN(4回戦)日本ハム3勝1敗
日ハム 000 300 120=6
ソフト 000 100 000=1
〔勝〕山崎 1勝1敗
〔敗〕東浜 1勝1敗
〔本〕田宮1号(1)(津森)
泊原発、規制委審査「合格」 ラピダス見据え電力の安定供給に前進[2025/04/30 18:25 日経速報ニュース 1624文字 画像有 ]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3・4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1・2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
過疎化と人口減少で落ち込むとみられていた北海道の電力需要は、一転して増加する見通しだ。エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
北海道内では運転開始から既に40年以上経過した火力発電所もある。松尾氏は「データセンターや半導体工場では常に安定的な電力が必要だ。系統用蓄電池による供給能力は長くても数時間にとどまるため、泊原発3号機が動かなければ供給力に不安が残る」と指摘する。
規制委の安全審査に合格した原発は全国で17基あり、うち14基がすでに再稼働した。実際に原発を動かすには具体的な保安規定などの審査や稼働前の検査にくわえ、地元自治体の同意が必要だ。例えば東京電力柏崎刈羽原発6・7号機は17年に合格したものの、新潟県の花角英世知事がまだ同意していないため、再稼働に至っていない。
再稼働について北海道の鈴木直道知事は30日、札幌市内で記者団に「予断を持って申し上げる状況にない。議会の議論などを踏まえて適切に対応する」と話した。
資源エネルギー庁の集計によると、23年度時点で国内の電源構成のうち原子力発電が占める割合は8.5%にとどまる。武藤容治経済産業相は25日の閣議後の記者会見で「泊原発の再稼働は、電力の安定供給と脱炭素の同時実現、電力価格の抑制にもつながる重要な位置づけだ」との見方を示した。
政府は50年の温暖化ガス排出量実質ゼロを目指しており、2月に閣議決定したエネルギー基本計画では40年度の電源構成目標を再生エネが4~5割、原子力で2割に設定した。
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人事、ソフトバンク[2025/04/30 18:17 日経速報ニュース 470文字 ]
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
トヨタの自動運転、米ウェイモと車両開発 実用化へ外部連携に軸足[2025/04/30 17:42 日経速報ニュース 1786文字 画像有 ]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
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1日(木)のスポーツ[2025/04/30 16:01 日経速報ニュース 121文字 ]
▽ゴルフ=中日クラウンズ第1日(7時10分、名古屋GC和合)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
東証後場寄り 日経平均は小幅高 様子見一段と 商船三井が急落[2025/04/30 12:57 日経速報ニュース 408文字 ]
30日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は前営業日比40円ほど高い3万5800円台後半で推移している。後場も小幅に下げる場面がある。前日の米株式相場の上昇を支えにした買いは一服。トランプ米政権の関税措置を巡って日本時間5月1日に予定される日米協議の行方を見守りたいとのムードが一段と広がっている。決算を受けた個別銘柄の売買は活発で、昼休み中に通期決算を発表した商船三井が急落している。郵船や川崎汽にも売りが膨らんでいる。
前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約214億円成立した。
12時45分現在の東証プライムの売買代金は概算で2兆5261億円、売買高は10億5356万株だった。
TDK、ソニーG、バンナムHD、豊田通商が高い。一方、ファストリ、東エレク、日立、ソフトバンクグループ(SBG)が安い。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
NTTドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」を発売[2025/04/30 10:40 日経速報ニュース 1228文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月30日
ドコモ、健康管理用スマートリング「SOXAI RING」の新モデル「SOXAI RING1.1」の取扱いを開始
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズが出資する株式会社SOXAI(以下、SOXAI)が開発する、日本発の健康管理用スマートリング「SOXAI RING(ソクサイリング)」の新モデル「SOXAI RING1.1」を、2025年4月30日(水)から全国のドコモショップ、ドコモオンラインショップ、ドコモの家電レンタル・サブスクサービス「kikito」にて他社に先駆けて取扱いを開始いたします。
*参考画像(1)は添付の関連資料を参照
■「SOXAI RING1.1」の概要
SOXAIが提供する健康管理用スマートリング「SOXAI RING1.1」は、約3gの小型で軽量な筐体に光学バイタルセンサーや温度センサー、加速度センサーなどを搭載し、睡眠の質や歩数・消費カロリーなどの活動量、心拍変動から自律神経の状態を測定しストレスレベルなどの体調パフォーマンスを可視化します(※1)。
「SOXAI RING1.1」は最新の睡眠学のトレンド(※2)に基づき、睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間、入眠潜時、睡眠タイミング、日中覚醒度、呼吸の安定性の7つの指標から本質的な睡眠スコアを算出し、回復指数や社会性ジェットラグなどの新指標の追加と連続的なデータ解析により、より実態に即した体調スコアを算出します(※3)。また、計測した睡眠・体調・運動の3つのスコアから、生活の質(QoL)がスコア化され、AIが身近なコンディショントレーナーとしてパーソナライズされた生活習慣改善のアドバイスをQoLのスコアに応じて生成・提示し、身体的な健康とパフォーマンスの向上をサポートします。
手首よりも脈波信号の強い指に着用することで高い精度で測定を行うとともに、睡眠時も装着負担のない着け心地を実現しています。最大9日間(※4)持続するバッテリーとIP68相当/10気圧防水の防水性能を備え、表面には高級時計でも使われる高強度のコーティング「DURATECT(デュラテクト)(R)」加工を施し、一日を通じた健康データの取得と分析を可能にします。
*参考画像(2)は添付の関連資料を参照
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/01_202504301058.png
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/02_202504301058.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/690424/03_202504301058.pdf
トランプ政権が公表「100日の成果」は本当か 投資や雇用を検証[2025/04/30 05:42 日経速報ニュース 2391文字 画像有 ]
トランプ米政権は29日、発足から100日間の成果を公表した。批判と不安が渦巻く強引な政策が「米国の黄金時代」に続くと主張する。うのみにはできない。同日朝にレビット大統領報道官が公表した内容を、米国でそれぞれの分野を担当する記者が検証した。
「米国向け投資のコミットメントは5兆ドルに到達した。45万1000件の高賃金な雇用を創出すると推定される。現時点で前政権の4年を上回る投資を確保した」
保護主義的な高関税政策や減税策の目的は国内製造業の復活だ。ホワイトハウスはトヨタ自動車やアサヒグループホールディングスなど日本企業を含む「新規投資リスト」を公表した。
内訳で大きいのはテクノロジー大手だ。米エヌビディアは最新の人工知能(AI)半導体など最大5000億ドル(約71兆円)分を米国内で生産すると表明。オープンAIやオラクル、ソフトバンクグループ(SBG)もAIインフラ整備に4年間で5000億ドルを投じる計画「スターゲート」を共同発表した。
だが、大々的な投資発表については企業側の「面従腹背」を指摘する声も出ている。例えばアップルが打ち上げた5000億ドルの計画だ。
アップルは2月、南部テキサス州にAIサーバーの工場を新設するなど、今後4年間で5000億ドルを米国内に投じると発表した。具体的な金額の内訳は開示していない。ホワイトハウスの中でも、実際の投資はそこまで大きくならないと懐疑的な意見がある。
アップルはトランプ第1次政権の2018年は、5年間で300億ドル以上の直接投資を米国で行って3500億ドルの経済効果をもたらすと表明した。バイデン政権下の21年には4300億ドルに引き上げた。
業績を分析すると、これらの金額はサプライヤーへの支払いや営業費用なども合わせた支出実績と重なる規模だ。今回の「5000億ドル投資」も、新規投資ではなく通常の事業運営範囲内の支出を指している可能性がある。
半導体業界に詳しいアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は「21年公表の投資額(4300億ドル)に比べると、その間のインフレなどを考慮すれば、今回の5000億ドルはアップルにとって決して大きなコミットメントではない。トランプ政権の対中追加関税をなだめるための手段だ」と指摘する。
前回発表で目玉としていたノースカロライナ州での新拠点建設は中断したとも報じられており、2万人の新規雇用目標が達成されるかも不透明だ。
「米国のエネルギー支配を回復した。石油と天然ガスの価格は、大胆なアプローチにより大幅に下落した。ガソリン価格は7%下落した」
「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」。石油掘削でエネルギー価格を下げるというエネルギー政策は構想通りに進んでいない。
トランプ政権は業界支援のため石油・ガスのためのパイプラインや出荷基地の建設を促している。ライト・エネルギー長官は「ビルド・ベイビー・ビルド(建てて建てて建てまくれ)」と強調する。現政権下で液化天然ガス(LNG)の輸出許可をすでに4件出しており、輸出許可を止めていた前政権との違いを鮮明に出した。
ただこうした優遇策に業界が恩恵を受ける前に、高関税政策による景気悪化懸念から原油価格は急落した。29日の原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の終値はトランプ氏の就任直前から22%安の1バレル60.42ドルだった。
米ダラス連邦準備銀行の調査では原油の新規開発には65ドル前後の価格が必要になる。60ドルを割り込めば、原油生産量が減少に転じるとの指摘もある。
石油サービス大手ベイカー・ヒューズのロレンツォ・シモネリ最高経営責任者(CEO)は「関税の不確実性により米国を含む世界で25年の(原油など)上流権益への投資は減少になるだろう」と予測する。米エネルギー情報局(EIA)も4月に入り、関税による景気懸念などから世界の石油需要予測を下方修正した。
「政権発足以来34.5万人の雇用を創出。製造業は9000人増で、前政権の最後の2年間に毎月6000人減少していたことと対照的だ。米国人はこの数年で初めてとなる高インフレの緩和を経験した」
バイデン政権後期にあたる23~24年、製造業の就業者数は月平均で5400人減少した。25年3月は1276万4000人でトランプ氏が大統領に就任した1月から確かに9000人増えた。
ただ新政権の政策効果とは言い切れない。たとえば分野別関税で保護しようとしている半導体・電子部品は2800人減った。2カ月の増加幅は0.07%にすぎず、統計の振れ幅の大きさを考えると誤差の範囲内だ。23~24年も2カ月で9000人以上という増加は4回起きていた。
3月の失業率は4.2%で、23年4月の3.4%よりは高い。まだ低水準といえるが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は高関税政策によって失業率の上昇リスクが高まったと主張している。 ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は今後1年間で米国が景気後退に陥る確率を65%と見積もる。
消費者物価は3月、前月比で0.1%下落した。マイナスは22年7月以来だ。あくまでガソリン価格の下落などを反映したもので、物価の瞬間風速にすぎない。ポーゼン氏は関税の引き上げによる輸入物価の上昇で、景気後退の有無にかかわらずインフレは高水準になると見通す。
物価上昇と景気後退が両立するスタグフレーションの懸念が高まり、FRB内では早期の利下げに慎重な声が多い。トランプ氏はパウエルFRB議長に退任要求を突きつけ、早期の利下げで景気を支えるよう求めたが、中央銀行の独立性を軽視する姿勢が金融市場の不安を高める結果となっている。
(シリコンバレー=中藤玲、ヒューストン=大平祐嗣、ワシントン=高見浩輔)
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QR決済古参の「LINE Pay」撤退 乱立からPayPayなど大手集約へ[2025/04/30 02:00 日経速報ニュース 1694文字 画像有 ]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
ポイント還元競争で劣勢に
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
それでもQR決済自体の利用は伸びてきた。キャッシュレス推進協議会などによると、24年のキャッシュレス決済全体に占める比率は決済額では全体の1割にとどまったが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。年間で100億回を超えたのは初めてだ。足元も20%台の伸び率を維持する。
NIRA総合研究開発機構が23年に実施したアンケート(有効回答数は2403件)では、QR決済を定期的に使う人の割合は6割だった。クレジットカードの同9割弱には及ばないが、交通系ICサービスなどの電子マネーと同水準まで増えた。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。上位集団が形成され、同10%未満の中位以下との差を広げている。
上位勢は傘下の金融・証券サービスや携帯キャリアとの結び付きを深め、新規客を取り込みながら、金融サービス全体で利益をあげる戦略に軸足を移している。デジタル給与払いへの対応も早く、中堅・下位のサービスが巻き返す素地が失われつつあったのもLINEペイにとっては逆風だった。
QR決済は薄利多売だ。導入先の開拓は人海戦術になる。頼みの綱の決済手数料も21年にPayPayが打ち出した決済金額の最低1.6%という低い水準が業界の指標になり、消耗戦の様相は一段と強まっている。仕掛けた当人のPayPayすら24年まで四半期ベースで営業損益を黒字化できなかった。
決済頼みのモデルは限界
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「勝者総取りの原理が働きやすい」とQR決済について話す。利用者の純増ペースが鈍るなか、決済に頼る事業モデルは限界が迫っている。三浦氏は「決済以外の付加価値機能を一緒に提供できるサービスが生き残る」とする。「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
LINEペイは21年からPayPayと決済方式の連携などを進めてきたが、費用対効果から事業譲渡までに至らなかった。短期間で存在感を失い、後発に取って代わられた古参の姿はQR決済競争の激しさを映している。
(山本夏樹)
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・LINE Pay、25年4月に終了 残高はPayPayに引き継ぎ
WithAI(2)英語モデルに米欧的偏見? 自国の文化、開発力で守る[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA―LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【図・写真】UAEのアブダビ首長国にある世界初のAIに特化した大学=同大学提供
さよならLINEペイ QR決済、乱立から集約へ 競争激化、古参でも限界[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン経由のQRコード決済でサービス間の競争が激しくなってきた。30日、古参の「LINEペイ」が事業を終える。QR決済の利用者はスマホ保有者の7割まで増え、新規客の獲得に頼った事業モデルは限界が迫っている。最大手PayPayなど上位勢による寡占化も進み、事業者の乱立から集約へ局面が変わってきた。
「10年間、ありがとう」。LINEペイの公式サイトには終了報告と利用者への感謝の言葉が掲載された。23日にまずLINEペイの支払いなどの主要サービスを停止した。30日には支払い履歴の閲覧などサービス全体の提供を終える。2014年12月の参入から約10年。市場の黎明(れいめい)期を引っ張った古参サービスの幕が下りる。
LINEペイは競合より2~3年早く事業を始め、19年4月には市場シェア(利用金額ベース)が約25%と国内2位の事業規模があった。しかし、20年1月には同5%と国内5位まで後退。後発のPayPayなどが仕掛けた利用者へのポイント還元などの競争に太刀打ちできなかった。
関係者は「(撤退は)既定路線」と話した。Zホールディングス(HD)とLINE、ヤフーの合併でPayPayと同じグループに入り、経営上の重要性が薄れたためだ。LINE側の情報漏洩問題にも見舞われ、利用者は最後まで戻らなかった。
短期間で存在感を失ったのはなぜか。現在の運営会社であるLINEヤフーは「競争環境の激化に伴う純粋なシェア低下」が最大の要因とする。スマホ決済の1人当たりのサービス利用数は平均で2.7個。QR決済だけで主要14社がひしめき、電子マネーやタッチ決済ともしのぎを削っている。
利用拡大に伴いQR決済の寡占が進んだ。MMD研究所が1月に実施した調査(複数回答可)では、最大手PayPayの利用率が65%と22年の41%から大幅にシェアを上げた。楽天ペイが36%で続き、d払い(28%)とau PAY(19%)が追随する。22年調査では2位以下の利用率は20%未満だった。
KPMG FASの三浦貴治マネージングディレクターは「数年といわず早い段階で淘汰が本格化するだろう」と予測する。
ソフトバンクグループ 孫会長兼社長(ニュース一言)終[2025/04/30 日本経済新聞 朝刊 9ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
常に1%は悪者がいる。ASI(人工超知能)に頼る将来の生活を、悪者から守らなければならない。99%の善良な人間が超知能と革新の道を歩めば、解決策はあるだろう。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は人類の1万倍の知能を持つASIの時代が10年以内にやってくると予想する。「革新には機会が与えられるべきだが、健全な規制も必要だ」と述べ、人工知能(AI)を安全に使う社会の重要性を訴える。
デジタル給与払い、認知6割超、運送や飲食中心に導入進む、メイン利用1位楽天、2位PayPay[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
賃金を電子マネーなどで支払う「デジタル給与払い」の認知度が広がりつつある。MMD研究所(東京・中央)の調査によると、デジタル給与払いの認知度は6割を超えた。PayPayなどのスマートフォン決済大手が新たな市場でのシェア拡大を狙う。ただ、現在も利用している人の割合は2・8%にとどまる。普及のためにどのような施策を打ち出せるかがカギとなる。
MMD研究所がデジタル給与払いの認知度を調査したところ、61・9%が認知しており、30・3%が内容を理解していた。一方で利用状況について聞いたところ、「現在利用している」と回答したのは2・8%にとどまった。
デジタル給与払いで魅力的と思うもの(複数回答可)については、「銀行ATMに通う頻度が減る」(33・1%)、「連携する決済アプリのポイント還元がある」(26・9%)、「金銭管理がしやすくなる」(21・4%)、「日常的に使う決済が統一できる」(21・3%)などが上がった。
楽天グループやPayPayなどの経済圏と連携しているデジタル給与払いの利用意向を質問すると、21・1%が「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した。
デジタル給与払いを利用したいと回答した人にメイン利用している経済圏を聞いたところ、「楽天経済圏」(31・4%)、「PayPay経済圏」(24・1%)、「ドコモ経済圏」(14%)の順だった。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、口火を切ったのはソフトバンク子会社のPayPayだった。解禁当初はソフトバンクグループ内の企業にサービスを提供していたが、24年11月からグループ以外も開始した。
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいる。
PayPayに次ぐ2社目として、リクルートが三菱UFJ銀行と共同出資する子会社のリクルートMUFGビジネス(RMB、東京・港)が指定を受け、1月にサービス提供を開始した。楽天グループ傘下の楽天ペイメントも3月に認可を受けており、近く開始するとみられる。
楽天やPayPayなどの巨大経済圏の利用者は、効率的にポイントをためる「ポイ活」への意識も高い。傘下の電子商取引(EC)やフィンテックサービスと連携し、デジタル給与払いの利用者にポイントを効率的に付与することなどが、普及のカギを握りそうだ。
(松田直樹)
ソフトバンク(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(6月26日)取締役、唐木秀明▽同、仲條亮子▽監査役、ティモシー・マキ▽退任(取締役)上釜健宏▽同(同)大木一昭▽同(監査役)君和田和子
ソフトバンクグループ(会社人事)[2025/04/30 日経MJ(流通新聞) 7ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ
(6月27日)監査役、西橋久仁子▽同、金丸祐子▽退任(監査役)宇野総一郎▽同(同)大塚啓一
プロ野球・29日の試合結果[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 121文字 ]
◇パ・リーグ
日本ハム 2―1 ソフトバンク(延長10回)
オリックス3―2 ロ ッ テ
西 武 7―1 楽 天
◇セ・リーグ
DeNA 6―1 ヤクルト
巨 人 4―3 広 島(延長12回)
中 日 4―1 阪 神
29日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/29 21:59 日経速報ニュース 724文字 画像有 ]
【日本ハム 2―1 ソフトバンク】日本ハムが逆転勝ち。0―1の七回に代打吉田の適時二塁打で追いつくと、延長十回に水野の2号ソロで勝ち越した。伊藤が9回1失点の力投で3勝目。山川の5号ソロで先制したソフトバンクは追加点を奪えず、3連敗となった。
【オリックス 3―2 ロッテ】オリックスが今季3度目のサヨナラ勝ち。八回に2―2と追い付いて迎えた九回、先頭の野口が三塁打を放ち、1死後に新人の麦谷が右前打で勝負を決めた。ロッテは1軍昇格の新人西川が宮城から2安打を放ったが、救援陣が誤算。
【中日 4―1 阪神】中日の涌井が6回4安打1失点で今季初勝利を挙げ、プロ入りから21年連続で白星をマーク。1―1の五回、板山の適時二塁打で勝ち越し、上林が2点適時打で続いた。阪神は才木が6回4失点。得点は佐藤輝のソロによる1点のみ。
【西武 7―1 楽天】西武の高橋が2季ぶりの白星。走者を出しても要所を締めて6回無失点とし昨季から続く自身の連敗を13で止めた。打線は一回に渡部聖の適時打で先制し以降も児玉の適時二塁打などで加点した。チームは3連勝。楽天の古謝は7失点。
【巨人 4―3 広島】巨人が今季2度目のサヨナラ勝ち。2―3の九回2死から失策で追い付き、延長十二回1死二、三塁で甲斐が犠飛を放って勝負を決めた。十一回から2回無失点の大勢が3勝目。広島は末包の3打点でリードしたが逃げ切れず4連敗。
【DeNA 6―1 ヤクルト】DeNAが今季初の4連勝。1―1の五回に度会の適時打で勝ち越し、七回に宮崎の適時打、九回に石上の2点打などで加点した。ジャクソンは6回1失点で2勝目。ヤクルトのランバートは5四死球に3暴投など制球が定まらなかった。〔共同〕
日本ハム 2―1 ソフトバンク[2025/04/29 21:16 日経速報ニュース 134文字 ]
◇みずほペイペイドームN(3回戦)日本ハム2勝1敗
日ハム 000 000 100 1=2
ソフト 010 000 000 0=1
(延長10回)
〔勝〕伊藤 3勝1敗
〔S〕田中 1敗5S
〔敗〕杉山 2敗1S
〔本〕山川5号(1)(伊藤)水野2号(1)(杉山)
30日(水)のスポーツ[2025/04/29 18:17 日経速報ニュース 168文字 ]
▽野球=東都大学 日大×青学大(9時、東京・神宮球場)、関西学生 関大×同大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)
▽プロ野球=巨人×広島(18時、東京ド)ヤクルト×DeNA(18時、神宮)中日×阪神(18時、バンテ)西武×楽天(18時、ベルー)オリックス×ロッテ(18時、京セラ)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)〔時事〕
AI普及で世界は米欧化する? 自国の文化、開発力で守る-With AI②[2025/04/29 11:30 日経速報ニュース 1350文字 画像有 ]
ペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)は中東における人工知能(AI)開発のハブとして注目を集める。
2019年にはAIに特化した世界初の大学であるムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)を開いた。23年に公表した大規模言語モデル(LLM)「Jais(ジャイス)」は数億人が話すアラビア語に特化した最大規模のAIである。
アラビア語は国や地域ごと、話し言葉と書き言葉で大きな違いがある。「学習データの多くがアラビア語で、アラブ圏の言語や文化に関する知識が深い」。人工知能大学副学長を務め、ジャイスの開発を率いるティモシー・ボールドウィン氏は自国発AIの利点を強調する。
従来のAIが学習してきたデータはネットなどから集めた英語が中心だ。非営利団体「コモン・クロール」によると、ウェブページの約43%は英語が占める。そのため、各国の文化や常識に合わない部分が残る。
AIは時に米欧的な偏見を持つ。米アレン人工知能研究所などの研究者は、アフリカ系のアクセントがある英語話者に対して格式の低い職業に就いているといった差別意識がLLMの中に残っていると明らかにし、英科学誌「ネイチャー」に発表した。
同研究所のバレンティン・ホフマン博士研究員は英語に偏ったAI開発は不平等や権力の不均衡を強めると指摘する。「言語に関係なくすべての人の平等に役立つ言語技術の開発が必要だ」と語る。
東南アジアではシンガポールが先行する。国家プログラムの「AIシンガポール」は23年に最初のモデル「SEA-LION」を発表し、今年4月には最新モデルを公開した。
米グーグルや米メタの技術が基盤だが、タイ語やベトナム語など13のアジア系言語も開発に反映させた。
AIシンガポールのAI製品部門シニア・ディレクター、レスリー・テオ氏は「東南アジア言語向けに最適にLLMを開発するのが、(価値観を巡る米欧との)ギャップを埋めるのに役立つ」と話す。
日本も独自の開発を急ぐ。東京科学大学と産業技術総合研究所による「Swallow」はメタのAIを基盤に日本語を追加学習させた。
開発者の一人、東京科学大の岡崎直観教授は「日本語の性能を強化することで、日本人の常識にあった使いやすいモデルが開発できる」と話す。
日本語の性能を評価すると、基になるAIより知識や推論などで高いスコアが出た。企業も注目する。三井住友フィナンシャルグループ系の投資助言会社は市場分析などに利用を検討する。野村総合研究所はこのモデルをもとに、銀行や保険などの金融業界向けのLLMを開発した。
日本発のAIユニコーンであるサカナAI(SakanaAI、東京・港)やKDDI傘下のスタートアップ、ELYZA(イライザ、東京・文京)なども経済産業省の支援を受け日本語AIの開発に取り組む。独自のLLM開発で培ったノウハウを基に東南アジアの官民と連携する動きもある。
「ソブリンAI」――近年、情報科学の世界では自国で自律的にAI環境をまかなえる能力に注目が集まる。
「AIの研究開発は国同士の競争になりつつある。AIの性能によって国の格差が開く」。岡崎教授は指摘する。軍事力や経済力と共にAIの開発力も国の強さの構成要素として評価される時代となった。
【With AI】
①AIはどこまで仕事に役立つ? アニメ映画を2~3カ月で制作
③乱造フェイクどう対応? 「情報汚染」阻むAI技術磨く
【関連記事】AIに国産化の波 国の「主権」維持へ、世界で開発数倍増
新プラン「ドコモMAX」、ネットの反響真っ二つ-ITジャーナリスト 石川 温[2025/04/29 02:00 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
NTTドコモは新料金プラン「ドコモMAX」を6月5日から始める。従来のデータ使い放題プランに比べて値上げとなるものの、月額4200円のスポーツ配信サービス「DAZN(ダゾーン)」を追加料金なしで見放題にするといった特典を盛り込んだ。お得感で値上げに対する警戒感を払拭する考えだが、ネットでの反響は真っ二つに割れている。
あらゆるものが値上げしているが、通信業界だけが値上げしにくい雰囲気となっていた。2020年ごろからの「官製値下げ」がきっかけだ。KDDIやソフトバンクはV字回復を果たしたものの、NTTドコモはいまだに通信料収入の減収に悩まされている。低容量プラン投入の遅れが響いた。
Jリーグやプロ野球、F1をDAZNで視聴するユーザーからは「安価なプランが登場してありがたい」と好評だ。DAZNは日本に上陸した当初、NTTドコモのユーザーが月額980円で視聴できたものの、今では月額4200円に上昇している。
NTTドコモの斎藤武副社長は「DAZNが値上げをしていくなかで、解約してしまう人が相当数いらっしゃる。もう一度、DAZNを見てスポーツの楽しみを味わっていただきたい」と語る。かつてKDDIがNetflixを料金プランにセットにしたように、他社でもコンテンツサービスを料金に組み込んで普及した例はある。
映像配信サービスは観たいコンテンツがなくなると、すぐ解約してしまうユーザーも多い。特にDAZNは目当てのスポーツがシーズンオフになると、数カ月間全く視聴しない期間が発生するため、どうしても解約が増えてしまう。
キャリアと組んで料金プランとセットにすると、DAZNの解約を阻止できる。その上、キャリア側の契約も維持でき、解約率も改善するというのがKDDIによって証明されているのだ。
DAZNとしては度重なる値上げで離れたユーザーをなんとか取り戻したい。NTTドコモも通信料金を値上げしつつ、DAZNとセットにすることで解約率を下げたいという双方のメリットが一致。今回の料金プランに至ったのだろう。
NTTドコモの前田義晃社長は24年7月のインタビューで「Jリーグを盛り上げたい。ドコモユーザーをスタジアムに来てもらうことで、周辺の店舗でd払いを使ってもらうなどの相乗効果を出していきたい」と語っていた。NTTドコモは国立競技場の共同運営を手がけるなど、スポーツエンターテインメント事業に力を入れている。料金プランでDAZNの機会を増やし、スポーツファン拡大を狙っていくというわけだ。
プラン適用条件が複雑との声も
一方、ドコモMAXには批判の声も相次ぐ。DAZNを全く観ないという人はDAZNナシでもっと安いプランを望んでいる。斎藤副社長は「(DAZN以外にも)Amazonプライム6カ月無料や海外ローミングでの30ギガバイト無料などが付いている。最もドコモユーザーから要望が多かった長期契約者に向けて20年で月220円、10年以上で月110円の割引還元する。DAZNだけでなく、幅広いメリットを提供したい」と語る。
もうひとつが「複雑だ」という批判だ。NTTドコモの資料ではドコモMAXは「月額2398円から」というのをアピールしている。ただ、データ容量1ギガバイト未満や3回線以上の複数契約、20年以上の契約、dカード決済、光回線のセット割、ドコモでんきとのセット割を適用したあとの金額。3ギガバイト以上使い、割引が一切適用されない場合での料金は、月額8448円となる。
複数回線契約や光回線、クレジットカード払いを組み合わせないと安くならないというのは3キャリアの常とう手段だ。優良顧客を囲い込みたいというのは理解できなくもない。ただ、こうした割引を組み合わせた後の金額だけをアピールするのは、誠意に欠けるような気がしてならない。
「DAZNは不要」「様々な割引施策を組み合わせないと安くならない」という批判に対して、NTTドコモではオンライン手続き専用の低価格帯プラン「ahama(アハモ)」という切り札を用意している。
月額2970円でデータ容量30ギガバイト、1980円を追加すると110ギガバイト使えるプランだ。オンライン専用プランという立て付けではあるが、ドコモショップで手数料を支払えば店頭でも契約は可能だ。
斎藤副社長は「分かりやすさと価値の組み込みはトレードオフの関係にある。ahamoはahamoで、極めてシンプルなオンライン専用料金プラン。一方、ドコモ MAXはいろんな価値を入れ込んでいくというコンセプト。今後もさまざまな価値を付加しようと考えている」という。
今後、ドコモMAXのなかに他のコンテンツサービスを組み込むのか。DAZNとは異なるコンテンツサービスを組み込んだ別のドコモMAXが誕生するのかは明らかにされていない。NTTドコモは今後も様々なサービスを包含した新料金プランを投入し、単なる値上げとは取られにくい「付加価値値上げ」で収益改善を目指していくようだ。
石川温(いしかわ・つつむ)
月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(エムディエヌコーポレーション)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(https://ch.nicovideo.jp/226)も配信。X(旧ツイッター)アカウントはhttps://twitter.com/iskw226
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・ドコモなど通信4社、固定電話の維持負担金3円に値上げ
・ドコモ、データ無制限+DAZNで8000円台 同条件で業界最安
新型量子計算機が稼働 米社が理研に設置、国内初 スパコンと連携で演算[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1270文字 PDF有 書誌情報]
原子が電気的性質を帯びているイオンを使って計算をする「イオントラップ方式」の量子コンピューターが、日本で稼働を始めた。日本でこの方式の量子コンピューターが稼働するのは初めてとなる。スーパーコンピューターとの連携を目指しており、今までのコンピューターでは不可能だった演算を実現する可能性を秘める。
埼玉県にある理化学研究所和光キャンパス。一画に作られた専用のクリーンルームの中で、米クオンティニュアム社が開発したイオントラップ方式の量子コンピューター「黎明(れいめい)」が2月、稼働を始めた。
量子コンピューターの計算素子は「量子ビット」と呼ばれ、計算性能を示す指標にもなっている。黎明は20量子ビットまで拡大できる設計だ。同社の量子コンピューターとしては世界で3台目になり、米国以外で稼働するのは初となる。
専用の建物には厳重な免震構造を導入した。同社日本法人の結解秀哉CEO(最高経営責任者)は「施設の準備を含め、ベストなものを理研が用意してくれた。実機の設置は大きな一歩だ」と話す。
量子コンピューターは高効率な触媒や電池材料の開発、金融取引での活用など、幅広い分野への展開が期待されている。
量子コンピューターの計算に欠かせない量子状態をつくり出すために、様々な方法が提案されている。最も開発が進んでいるのは絶対零度近くまで素子を冷却して使う「超電導方式」だ。ただ、現状では量子ビットの数や冷凍機の大きさなどに制限があり、量子コンピューターの大規模・高性能化に向けた課題になっている。
同社が開発しているのはイオントラップ方式の量子コンピューターだ。イオンを量子ビットに使い、レーザーで操作や測定をして計算に利用する。量子状態を維持しやすく、エラーが起こりにくい。一方で、量子ビットを精密に操作する必要があるほか、イオンを移動させるなどの操作に時間がかかり、計算速度がほかの方式に劣る課題がある。
黎明は1インチ四方のチップ上にマイクロメートル単位の細かな溝が掘られている。ここでイオンを閉じ込めたり動かしたりする。チップはバスケットボールサイズの容器に格納され、セ氏マイナス250度ほどに冷却される。容器にあるいくつかの窓からレーザー光を照射し、イオンの冷却や移動、量子状態の測定をする。
同社は量子ビットを2つ使う「2量子ビットゲート」という操作に強みを持つ。電圧の力で量子ビットを自由に動かし、計算速度の上昇などにつながるという。
黎明は理研やソフトバンクと共同で、スーパーコンピューター「富岳」と組み合わせる研究に使われる。スパコンと組み合わせることでエラーの発生を抑える効果が見込まれる。
同社は25年中には96量子ビットの量子コンピューターである「Helios(ヘリオス)」を開発する。超電導方式以外にも光を使った量子コンピューターなど、本命はまだ定まっていない。ただ多くの開発企業が30年前後を実用化の一つの目安として設定している。
【図・写真】米クオンティニュアム社が理研に設置した量子コンピューター「黎明」=同社提供
米国第一と戦後国際秩序の崩壊(大機小機)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 936文字 PDF有 書誌情報]
アメリカは、折に触れ、米国第一になる。渋沢栄一が明治末期、実業団を引き連れ渡米した時もそうだった。日露戦争勝利の頃から、日本製品や日本人移民を排斥、カリフォルニア州における排日土地法制定の動きなど、興隆日本を警戒する風潮が広がる。渋沢たちは大統領はじめ各界の要人に会い融和をはかるが、思うようにはいかなかった。
第1次世界大戦後、ウィルソン大統領が国際連盟創設を提唱するが、米国は議会の反対で加盟しなかった。第2次世界大戦で英チャーチル首相の強い要請にもかかわらずなかなか腰を上げない。日本の真珠湾攻撃で動いた。
関税を振りかざしメーク・アメリカ・グレート・アゲインを声高に叫ぶトランプ大統領。これまでの米国第一とは全く異なる。国際的地位の後退に対する深刻な危機感がある。80年ごろ、世界2位に駆け上がってきた日本経済に激しく構造改革を迫ったけれど、彼我の国内総生産(GDP、名目、兆ドル)は2・8対1・1と大差だった。
2024年の米中は29対19。背後に迫っている。中国は共産党オンリーの国家資本主義で「メーク・チャイナ・グレート・アゲイン」(英エコノミスト誌)をもくろむ。地政学的には、ロシア、イラン、北朝鮮と手を組んでいる。
70年ほど前、英国の経済学者ロイ・ハロッドは、著書「ドル」のおわりに「世界各国は絶えずアメリカ人の頭痛の種をまいてきた。そしてアメリカ人の高遠且つ友好的な希望は幾度か挫折を繰返す憂目をみてきた。しかしながら私は、この寛容さとこの忍耐力こそ(中略)将来私達すべてに大きな利益をもたらす指導者としての資格をアメリカ人に与えるものであると確信するものである」と記していた。戦後国際秩序の始まりだった。
それが今、トランプ氏の登場とタイミングを一にして崩壊しようとしている。通貨・貿易をめぐる秩序の早期立て直しは容易ではないだろう。
この状況でわが国は世界に自由貿易の原則を断固主張しなければならない。併せて国内生産拠点の再構築と人材育成によって供給力を高めなければならない。そして、国土をフル活用しながら1億2千万人の潜在需要を掘り起こす。すなわち、円相場や海外景況頼みの「反映」経済ではない、「自走」できる経済体質を心掛けるべきだ。(一礫)
29日(火)のスポーツ[2025/04/28 16:01 日経速報ニュース 602文字 ]
▽陸上=織田幹雄記念国際大会(11時50分、ホットスタッフフィールド広島)
▽野球=関西学生 同大×関大、京大×近大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)
▽サッカー=関西学生(11時30分、大阪・ヤンマースタジアム長居ほか)
▽ハンドボール=リーグH(13時、愛知・東海市民体育館ほか)
▽ホッケー=日本リーグ(17時、岐阜・川崎重工ホッケースタジアム)
▽柔道=全日本選手権(10時、東京・日本武道館)
▽プロ野球=巨人×広島(14時、東京ド)ヤクルト×DeNA(13時30分、神宮)中日×阪神(14時、バンテ)西武×楽天(14時、ベルー)オリックス×ロッテ(13時、京セラ)ソフトバンク×日本ハム(18時、みずペ)
▽Jリーグ=J1 F東京×清水(13時5分、味スタ)横浜C×鹿島(14時、ニッパツ)名古屋×柏(14時、豊田ス)岡山×東京V(14時、JFEス)広島×新潟(14時、Eピース)湘南×福岡(15時、レモンS)G大阪×京都(15時、パナスタ)C大阪×町田(15時、ヨドコウ)、J2 札幌×長崎(14時、プレド)秋田×徳島(14時、ソユスタ)いわき×大宮(14時、ハワスタ)水戸×今治(14時、Ksスタ)甲府×仙台(14時、JITス)富山×山形(14時、富山)熊本×千葉(14時、えがおS)大分×鳥栖(14時、クラド)磐田×山口(15時、ヤマハ)愛媛×藤枝(15時、ニンスタ)〔時事〕
社債発行本数、4月は前年比29%減 トランプ関税で見送り・延期相次ぐ[2025/04/28 14:16 日経速報ニュース 946文字 ]
トランプ米政権の関税政策の余波が起債市場にも及んだ。アイ・エヌ情報センターによると、国内企業が4月に条件決定した円建ての公募普通社債の本数(自社債含む、条件決定日ベース、25日時点)は、前年同月と比べ29%(18本)減の45本だった。米関税強化策を受けた4月前半の金融・資本市場の混乱を受け、起債の見送りや延期を決めた企業が相次いだ。
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4月に起債した企業数は29社で、同26%(10社)減った。一方、発行額は同2%増の1兆8694億円で、データを遡れる1990年以降で4月として過去最大となった。ソフトバンクグループ(9984)が18日、6000億円の個人向け社債を含む総額6200億円の2本立て債の発行条件を決め、全体を押し上げた格好だ。
4月前半はNIPPON EXPRESSホールディングス(9147)や日清食品ホールディングス(2897)などで起債の見送り・延期が相次いだ。投資家のリスク回避姿勢が強まり、社債金利のベースとなる国債金利も急低下したなか、発行体と投資家双方が想定していた金利水準での条件決定が難しくなったためだ。発行額が企業側が当初予定していた最大額に満たない案件も目立った。
市場関係者は慎重な姿勢を維持しているが、足元では「復調の兆しがみられる」との指摘も多い。23日のブリヂストン(5108)や24日の大日本印刷(7912)は発行総額がともに1000億円となった。起債を再開したアサヒグループホールディングス(2502)は25日に総額500億円となる2本立て債の発行条件を決め、投資家層は裾野が広がり、生命保険会社や年金運用に関わる信託銀、投信・投資顧問などだった。
5月の新発債はどうか。連日の大型案件を受け、証券会社のシンジケーション担当者は「今年度の起債運営を巡る霧がようやく晴れてきた」と話していた。4月に見送りとなった案件がどの程度再開するか、また米関税政策を巡る先行き不透明感が強いなかでの投資家の購入姿勢に市場の関心が向けられている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
サムスン電子、「Samsung Galaxy Ambassador」に基づく接客をソフトバンク取扱店で開始[2025/04/28 11:35 日経速報ニュース 1639文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月28日
<ソフトバンク>「Samsung Galaxy Ambassador」がソフトバンク取扱店で接客開始
~Samsung Galaxyに精通した約1,000人の認定クルーが全国の一部のソフトバンク取扱店に~
サムスン電子ジャパン株式会社(以下、サムスン)は、ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)との両社共同プログラム「Samsung Galaxy Ambassador」に基づく接客を、ソフトバンク取扱店で開始したことをお知らせいたします。
「Samsung Galaxy Ambassador」とはSamsung Galaxyの最高の製品体験やサービスを提供し、お客様に感動をお届けする接客をするスペシャリストの総称です。国内で「Samsung Galaxy Ambassador」プログラムを活用した接客はソフトバンクが初めての新しい試みとなります。
サムスンは今後もお客様のニーズに合った製品紹介に努め、顧客満足度を高めることができるようサポートをし続けてまいります。
*ロゴは添付の関連資料を参照
■「Samsung Galaxy Ambassador」とは
「Samsung Galaxy Ambassador」とは、Samsung Galaxyの最高の製品体験やサービスを提供し、お客様に感動をお届けする接客をする公式認定ブランドアンバサダーです。サムスンの専門トレーナーによるトレーニングを修了し、Samsung Galaxyに関する幅広い知識を持ち、その魅力を伝えることができると認定した方を「Samsung Galaxy Ambassador」と認定いたします。
■ソフトバンク「Samsung Galaxy Ambassador」
このたび、ソフトバンクにて本プログラムのトレーニングを受けた約1,000人のクルーを「Samsung Galaxy Ambassador」として両社で認定いたしました。2025年6月以降に認定バッチを貸与いたします。
※「Samsung Galaxy Ambassador」の在籍有無は、直接ソフトバンク取扱店にお問い合わせください。
■AIエージェントを初搭載した新次元の最新AIフォン 「Samsung Galaxy S25シリーズ」
*参考画像は添付の関連資料を参照
「Samsung Galaxy S25シリーズ」は2025年2月14日に発売を開始した最新AIフォンです。新次元のAI機能「Galaxy AI」を搭載し、Snapdragon(R) 8 Elite for GalaxyというSamsung Galaxy Sシリーズ史上最も強力な性能を備え、「Samsung Galaxy S25 Ultra」にはSペンも内蔵しています。さらに、「Samsung Galaxy S25シリーズ」はAI機能を使いながらアプリ間の連携が可能になり、コミュニケーションの円滑化や生産性をさらに向上させる驚きのAI機能が満載です。また「Samsung Galaxy S25 Ultra」のカメラ性能は約2億画素カメラに加え、約5,000万画素の超広角カメラセンサーを初搭載し、卓越した鮮明さと鮮やかな撮影が可能になりました。スマートフォンが苦手とする暗所でのビデオ撮影も大幅に進化しています。
*以下は添付リリースを参照
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東証寄り付き 日経平均続伸 一時3万6000円上回る 米ハイテク株高で[2025/04/28 09:22 日経速報ニュース 675文字 ]
28日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続伸して始まり、前週末に比べ250円ほど高い3万5900円台半ばで推移している。一時は心理的な節目の3万6000円を上回った。取引時間中では1日以来となる。25日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が上昇したのを受け、日本株に買いが先行している。
トランプ米大統領は25日、日本との関税交渉について「合意にとても近づいている」と述べた。累計で145%の関税を課している中国に対しても貿易交渉の進展への期待を示し、株式市場では過度な懸念が和らいでいる。28日には主要な半導体銘柄で構成するフィラフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.03%高となり、28日の東京市場では東エレクが上昇している。ファストリやソフトバンクグループ(SBG)などの値がさ株の上昇も目立つ。
ブルームバーグ通信は28日朝に「トランプ米大統領は27日、関税収入を活用して年収20万ドル(約2900万円)未満の層に対する所得税を引き下げる考えを示唆した」と報じた。市場では「米関税政策への過度な警戒が和らぐなかで減税政策に投資家の関心が向かうきっかけになり、日本株にとっても前向きな材料」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)との指摘があった。
東証株価指数(TOPIX)は続伸している。
トヨタが上昇している。5000億円の自社株買いを発表した信越化は大幅高となっている。一方、日東電や太陽誘電、中外薬が下落している。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
中日・根尾、2軍で快投 救援専念、1軍昇格へ鍛錬[2025/04/28 日本経済新聞 夕刊 3ページ 580文字 PDF有 書誌情報]
中日の右投手で今季は救援に専念しているプロ7年目の根尾が、2軍で快投を見せている。9試合に登板し、1失点(自責点0)で防御率0.00。1軍昇格へ「(必要なのは)結果を出し続けること」と必死に腕を振る。高校時代に投打で甲子園を沸かせたスターが開花の兆しを示している。
22日のソフトバンク戦は八回に登場。150キロ超の速球を軸に打者をねじ伏せ、三者凡退に仕留めた。主に先発だった昨年から役割が変わり「毎日強く投げるための準備をしている」と、体のケアにも気を配っている。落合2軍監督は「力強いボールが戻ってきた。投げっぷりもいい。今のまま継続してほしい」と太鼓判を押す。
大阪桐蔭高で春夏合わせて3度の甲子園大会優勝を経験し、2019年に内野手としてドラフト1位で入団した。その後は外野にコンバートされ、22年途中に投手に転向とポジションを転々。プロのマウンドに立つようになって4季目だが、1軍での登板は30試合にとどまっている。
井上監督の「投手らしい番号で、投手一本で頑張ってほしい」との思いで、背番号を「7」から板東英二らが背負った「30」に変えて迎えたシーズン。1軍のリリーフ陣も好調で、競争は厳しいが「割って入っていく立場なので、準備し続けるだけ」。声がかかる日に備え、さらなる投球内容の向上を狙う。
【図・写真】2軍のソフトバンク戦に登板した中日・根尾
プログリット、高校生向け授業開発 英語力、海外大進学水準に[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
英語学習サービスを手掛けるプログリットは、21日に開校した「HR高等学院」と連携する。HR高等学院はNTTドコモ発のスタートアップ、RePlayce(リプレイス、東京・渋谷)が運営する通信制高校のサポート校。英語学習のカリキュラムを共同開発し、3年間で海外大学に進学できるレベルを目指す。
HR高等学院の授業ではプログリットのアプリを使う。プログリットの英語コーチングのノウハウを使い、生徒が毎日1時間程度の英語学習を続けられるよう、同校のコーチが伴走する。3年間で英語力を中学校レベルから海外大に進学できる水準に引き上げる。
入学1年目には発音トレーニングや人工知能(AI)英会話、2年目には聞き取った英語をまねて発音するシャドーイングや定型文を瞬時に日本語から訳す「口頭英作文」といった実践的な学習に取り組む。3年目は英語能力テスト「TOEFL iBT」や 「IELTS」などのスコア獲得に向けた学習を進め、英検1級や「TOEIC L&R」(聞く・読む)900点相当の英語力を身につけさせることを目指す。
プログリットはコンサルタントが伴走して短期間で英語力を高める英語コーチングを主力とする。
プロ野球・27日の試合結果[2025/04/27 18:25 日経速報ニュース 116文字 ]
◇セ・リーグ
巨 人 2―1 巨 人
DeNA 2―1 広 島
ヤクルト 6―2 中 日
◇パ・リーグ
西 武 3―2 オリックス
ロ ッ テ 5―3 日本ハム
楽 天 3―2 ソフトバンク(延長11回)
27日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/27 18:24 日経速報ニュース 721文字 画像有 ]
【西武 3―2 オリックス】西武がサヨナラ勝ち。2―2の九回に代わったマチャドを攻めて2死一、二塁とし、代打で出た中村剛が適時二塁打を放った。3番手の甲斐野が2季ぶりの白星を挙げた。オリックスは九回2死満塁のチャンスを生かせなかった。
【巨人 2―1 阪神】巨人が阪神戦の開幕からの連敗を5で止めた。継投で勝機をつなぎ、1―1の九回1死三塁から代打岸田の左前打で勝ち越した。岩崎が今季初黒星の阪神は連勝が6で止まった。打線は九回の同点機を生かせず、4安打で1得点どまり。
【楽天 3―2 ソフトバンク】楽天が今季初のサヨナラ勝ちで、貯金を今季最多の2とした。2―1の九回に藤平が同点ソロを許したが、延長十一回に無死満塁と攻め、最後は代打の渡辺佳が左越えに殊勲打を放った。ソフトバンクは終盤に粘ったが、及ばなかった。
【DeNA 2―1 広島】DeNAが3連勝。バウアーは8回を1失点で今季初勝利を挙げた。150キロ台の直球にナックルカーブなどを交えて10奪三振の力投。四回に佐野が逆転の2点打を放ち、九回は伊勢が締めた。広島は好投の玉村を援護できなかった。
【ロッテ 5―3 日本ハム】ロッテは2―2の四回に角中の2ランで勝ち越し、五回は先制三塁打の藤原が再び適時打を放って加点した。田中晴は5回を投げて6安打を許したが2失点と踏ん張って2勝目。日本ハムは金村が6回5失点と粘れなかった。
【ヤクルト 6―2 中日】ヤクルトは0―2の四回に茂木の2号3ランで逆転。五回にサンタナの適時打、赤羽の2点打で加点した。先発の小川は6回4安打で失点を一回の2点のみに抑え、今季2勝目を挙げた。中日のメヒアは4回2/3を5安打6失点で2敗目。〔共同〕
楽 天 3―2 ソフトバンク[2025/04/27 16:57 日経速報ニュース 127文字 ]
◇楽天モバイルパーク宮城(6回戦)楽天5勝1敗
ソフト 000 001 001 00=2
楽 天 002 000 000 01X=3
(延長11回)
〔勝〕則本 3勝2敗5S
〔敗〕津森 1勝1敗
〔本〕小森1号(1)(前田純)柳町2号(1)(藤平)
起業家の祭典IVS、2025年のテーマは1990年代風[2025/04/27 02:00 日経速報ニュース 1717文字 画像有 ]
日本最大級のスタートアップイベント「IVS(アイブイエス)」が7月、京都市内で開催される。先立って実行委員会が公開したホームページに、最先端のイメージからかけ離れた1990年代調のデザインをあえて採用。インターネット勃興期を彷彿(ほうふつ)とさせ、当時の熱量を21世紀に再現する狙いだ。
「あなたは○人目のお客様です!キリ番の方は掲示板にカキコしてね★」。IVS2025のホームページを開くと、宇宙をイメージしたレトロなイラストをバックに、来場者カウンターとともに黄色い文字が目に入る。「カキコ」は1999年に誕生したネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」などで使われ、書き込むの意。今ではもちろん「死語」だ。
「デザイン界では『レトロで古いものがイケてる』という潮流がある」。IVSのホームページをデザインした張本人、zFilms(ゼットフィルムズ、東京・足立)の浅尾尭洋代表はレトロ調デザインを採用した理由をこう語る。ハリウッド映画でもあえてフィルムカメラを活用し、昔日の雰囲気を取り入れることがあるという。
浅尾氏はオンライン開催になった20年のIVSからデザインを担当してきた。最初は「よくあるテック・カンファレンスのようなデザインだった」と振り返る。デザインを変化させ始めたのは23年からだ。京都開催が決まり「特徴的な『和』のデザインがないか、とにかく調べまくった」。
IVS2023の会場内の一部内装を東映太秦映画村(京都市)の関係者が担当していたこともあり、日本映画が勃興した1960~70年代にかけて出回ったポスター集を買いあさり、デザインを着想した。
続くIVS2024は時代を進め、80年代のバブル全盛期を再現。会場にミラーボールを設置し、当時をイメージしたスタジオで歌手がうたうIVSのテーマソングまで作成した。
60~70年代、80年代ときて、IVS2025が90年代のデザインを取り入れるのは自然な流れだった。90年代と言えば米マイクロソフトの基本ソフト(OS)で、パソコンを広く普及させる起爆剤となった「Windows(ウィンドウズ)95」が発売となり、多くの若者が熱狂した。「よし、インターネット黎明(れいめい)期をコンセプトにしよう」と思い立った。
ホームページの左上にある「メニュー」ボタンは、少し時代が下るが2001年発表の「ウィンドウズXP」で使用されていた「スタート」ボタンがモチーフ。「インベーダーゲーム」や都市計画ゲーム「シムシティ」をイメージしたイラストをちりばめた。
浅尾氏は90年代が幼少期。自ら遊んだゲームや慣れ親しんだパソコン用ソフトもふんだんに盛り込んだ。
3日にホームページを公開すると、X(旧ツイッター)では「勢いがあった頃の昭和・平成レトロ。世代じゃない人にとってもなぜか懐かしく感じる」などと投稿が集まった。実行委員会の委員長でもあるベンチャーキャピタル(VC)のヘッドライン・ジャパン島川敏明代表は「最初にデザインを見たとき、社内でも盛り上がった。話題を提供できていて面白い」と満足げだ。
90年代デザインは単なるお遊びでもないようだ。島川氏は「今のスタートアップシーンだけを切り出すのではなく、インターネットの歴史的な積み重ねの上にIVSがあることを伝えたい」と語る。ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長や楽天グループの三木谷浩史会長兼社長、サイバーエージェントの藤田晋社長ら先輩経営者らが築いてきた過去を学んでほしいとの思いも込めた。
IVSのデザインは懐かしさのなかに新しさを取り入れた「ニューレトロ」の一つだが、課題もある。イベントのスポンサー集めだ。島川氏は「インターネットの黎明期に起業した経営者からの反応は上々だ。ただ『何が何だか分からない』という人もいる。これまでのIVSの経緯も含めて丁寧に説明したい」と語る。
「IVSというイベント自体がスタートアップ的であるべきだ。お堅い感じではなくて、ほかとは違う動きをしないといけない」(浅尾氏)のも事実。こだわったデザインと、スポンサー集めなどビジネスをうまく融合させる必要がある。
(仲井成志)
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隅田快投、連敗ストップ レオ「守りの野球」機能(プロ野球)[2025/04/27 日本経済新聞 朝刊 25ページ 702文字 PDF有 書誌情報]
西武 オリックス
前日まで4連敗で最下位に転落した西武打線は、この日も1点が遠かった。初回から三塁を踏み、二回も満塁機を迎えるなど塁をにぎわせながら、マウンドのエスピノーザを崩すひと突きが出ない。そんなじれる展開でも先発隅田は崩れなかった。
初回先頭から連打を浴びて無死一、二塁。「制球は良くなかったし、ボール自体も良い感じがなかった」。左腕はそう振り返ったが、3番・太田を内角の球速150キロで見逃し三振、続く杉本はチェンジアップで空振り三振。以降先頭打者を出してもその投球には余裕が感じられた。
捕手の古賀悠と「受け身にならず攻めた配球を」と話し合って、リーグ1位の打率と得点数を誇るオリックス打線にも動じない。フォークボールやカーブを織り交ぜて長打は許さず、7回114球を投げて無失点、11奪三振の快投だ。
前回ソフトバンク戦で今季初完封を飾るなど過去2試合も失点なし。連続無失点イニングを26に伸ばし、四回の長谷川の3ランの援護を無傷で守り抜いた。
八回ウィンゲンターへのバトンタッチは完全な勝ちパターンだが、チームによぎるのは今井が7回無失点としながら、守護神・平良が2点リードを失い、延長の末に敗れた前夜だ。西口監督も固唾をのむように九回の平良を見守ったが、この日は期待に応えて三者凡退で締めた。
西口監督は「初回を(無失点で)しのいだのが勝因。走者を出しながらしっかり抑えた」と、隅田をたたえた。粒ぞろいの先発陣で試合をつくり、抑えの平良で逃げ切る「守りの野球」の正しさを再確認でき、ひと安心の様子だった。
(佐藤淳一郎)
【図・写真】オリックス戦に先発し、7回無失点で4勝目を挙げた西武・隅田
27日(日)のスポーツ[2025/04/26 21:13 日経速報ニュース 637文字 ]
▽陸上=日本学生個人選手権最終日(9時、神奈川・レモンガススタジアム平塚)
▽野球=東京六大学 明大×慶大、法大×早大(11時、東京・神宮球場)、関西学生 近大×京大、関大×同大(10時30分、大阪・GOSANDO南港)、首都大学(9時、茨城・牛久運動公園野球場)、関西六大学(10時、ほっともっと神戸)
▽サッカー=WEリーグ(13時、新潟・デンカビッグスワンスタジアムほか)、なでしこリーグ(12時、千葉・鴨川市陸上競技場ほか)
▽バレーボール=大同生命SVリーグ・チャンピオンシップ(14時5分、大阪・パナソニックアリーナほか)
▽バスケットボール=りそなB1リーグ(14時5分、カメイアリーナ仙台ほか)
▽ハンドボール=リーグH(12時、山口・岩国市総合体育館ほか)
▽ラグビー=リーグワン(14時、静岡・エコパスタジアムほか)
▽ソフトボール=ニトリJDリーグ(10時、群馬・太田市運動公園野球場ほか)
▽重量挙げ=全日本選手権最終日(9時30分、福井県産業会館)
▽ゴルフ=前沢杯MAEZAWA CUP最終日(7時40分、千葉・MZ・GC)
▽競馬=第2回東京第2日、第2回京都第2日、第1回福島第6日
▽プロ野球=DeNA×広島(14時、横浜)中日×ヤクルト(13時30分、バンテ)阪神×巨人(14時、甲子園)日本ハム×ロッテ(13時、エスコ)楽天×ソフトバンク(13時、楽天)西武×オリックス(13時、ベルー)
▽Jリーグ J3(13時、プラスタ)〔時事〕
西武・隅田知一郎、圧巻の7回11K 平良が締め零封リレー[2025/04/26 19:36 日経速報ニュース 660文字 画像有 ]
前日まで4連敗で最下位に転落した西武打線は、この日も1点が遠かった。初回から三塁を踏み、二回も満塁機を迎えるなど塁をにぎわせながら、マウンドのエスピノーザを崩すひと突きが出ない。そんなじれる展開でも先発隅田は崩れなかった。
初回先頭から連打を浴びて無死一、二塁。「制球は良くなかったし、ボール自体も良い感じがなかった」。左腕はそう振り返ったが、3番・太田を内角の球速150キロで見逃し三振、続く杉本はチェンジアップで空振り三振。以降先頭打者を出してもその投球には余裕が感じられた。
捕手の古賀悠と「受け身にならず攻めた配球を」と話し合って、リーグ1位の打率と得点数を誇るオリックス打線にも動じない。フォークボールやカーブを織り交ぜて長打は許さず、7回114球を投げて無失点、11奪三振の快投だ。
前回ソフトバンク戦で今季初完封を飾るなど過去2試合も失点なし。連続無失点イニングを26に伸ばし、四回の長谷川の3ランの援護を無傷で守り抜いた。
八回ウィンゲンターへのバトンタッチは完全な勝ちパターンだが、チームによぎるのは今井が7回無失点としながら、守護神・平良が2点リードを失い、延長の末に敗れた前夜だ。西口監督も固唾をのむように九回の平良を見守ったが、この日は期待に応えて三者凡退で締めた。
西口監督は「初回を(無失点で)しのいだのが勝因。走者を出しながらしっかり抑えた」と、隅田をたたえた。粒ぞろいの先発陣で試合をつくり、抑えの平良で逃げ切る「守りの野球」の正しさを再確認でき、ひと安心の様子だった。
(佐藤淳一郎)
プロ野球・26日の試合結果[2025/04/26 18:39 日経速報ニュース 109文字 ]
◇セ・リーグ
DeNA 2―0 広 島
中 日 5―2 ヤクルト
阪 神 6―2 巨 人
◇パ・リーグ
日本ハム 2―1 ロ ッ テ
楽 天 6―3 ソフトバンク
西 武 3―0 オリックス
26日のプロ野球 結果と戦評[2025/04/26 18:39 日経速報ニュース 723文字 画像有 ]
【阪神 6―2 巨人】阪神が連勝を6に伸ばした。2度追い付いて2―2で迎えた八回の好機に大山と坂本の適時二塁打、小幡の犠飛で4点を奪った。六回以降4投手が無失点で、4番手の及川が3勝目。巨人は八回1死満塁の好機を生かせなかった。
【西武 3―0 オリックス】西武が連敗を4で止めた。隅田は要所を締めて7回無失点。無傷でリーグ単独1位の4勝目を挙げた。打線は四回に下位打線の連打で一、二塁とし、長谷川が1号3ランを放った。オリックスは好機で一本が出ず、今季3度目の零敗。
【DeNA 2―0 広島】DeNAはケイが7回無失点と好投し、2勝目を挙げた。直球が走り、8安打などで走者を出しながらも崩れなかった。三回に蝦名の三塁打などで挙げた2点を守り、継投で逃げ切った。広島は8回2失点の床田に打線の援護がなかった。
【日本ハム 2―1 ロッテ】日本ハムが一発攻勢で逆転勝ちし、連敗を3で止めた。0―1の七回に先頭打者の野村が左越えに運んで同点とし、2死からレイエスのソロ本塁打で勝ち越した。加藤貴は7回1失点の粘投で2勝目。ロッテは連勝が3でストップ。
【中日 5―2 ヤクルト】中日が連敗を3で止めた。松葉は8回1/3を8安打2失点で4勝目。松山が9セーブ目を挙げた。一回に暴投で1点を先制し、二回に土田の適時打などで2点を追加。三、四回も1点ずつを加えた。ヤクルトの先発、奥川は粘りを欠いた。
【楽天 6―3 ソフトバンク】楽天は投打がかみ合った。二回に阿部の2号ソロで先制。2―0の五回2死満塁からは村林の走者一掃の二塁打で突き放した。先発の内は6回1/3を無失点で今季初勝利。ソフトバンクは先発の大関が5失点と崩れ、反撃も遅かった。〔共同〕
楽 天 6―3 ソフトバンク[2025/04/26 17:31 日経速報ニュース 106文字 ]
◇楽天モバイルパーク宮城(5回戦)楽天4勝1敗
ソフト 000 000 003=3
楽 天 010 130 01X=6
〔勝〕内 1勝1S
〔S〕藤平 2S
〔敗〕大関 1勝2敗
〔本〕阿部2号(1)(大関)
ファミマ、「大谷効果」でおにぎり2割増 コメ高騰で激戦[2025/04/26 02:00 日経速報ニュース 2215文字 画像有 ]
コンビニ大手の2025年2月期の業績は明暗が分かれた。ファミリーマートとローソンは事業利益が過去最高だったが、セブン&アイ・ホールディングスの国内コンビニ事業とミニストップは収益性が低下。コメが高騰し、今期はおにぎりが集客力を左右する。ファミマが「おむすび二刀流」を企画し、米大リーグの大谷翔平選手を起用するなど競争が激しい。
「経営目標を前倒しで達成した。品ぞろえ、値引き、売り切りの強化ができつつある」
ローソンの竹増貞信社長は17日の会見でこう語り、収益力に自信をのぞかせた。25年2月期の本業のもうけを示す事業利益は前の期比12%増の1050億円と過去最高を記録した。国内1店舗あたりの売上高(平均日販)も約1万8000円伸び、過去最高の57万4000円となった。
物価高で節約志向は強まっている。ローソンは「手ごろ感」を訴求し、おにぎりやスイーツといった購入頻度の高い商品を増量する「盛りすぎチャレンジ」を繰り返す。価格を据え置いたまま、2月のキャンペーンでは「チャーシューマヨネーズおにぎり」「プレミアムロールケーキ」「からあげクン」など計31品で約47%増量した。
ローソンは24年8月、三菱商事とKDDIによる共同経営体制になった。お得なクーポンを使えるKDDIとの月額会員制サービス「Ponta(ポンタ)パス」などの新たな販促を始めて、消費者の囲い込みを強めている。コスパだけでなく、タイムパフォーマンス(時間対効果)を意識した「具!おにぎり まるでまぐろたたき丼とろたく風」(354円)を4月に発売するなど付加価値を追求する。
ファミマの事業利益も850億円と同2%伸び、過去最高だった。こちらも「たぶん40%増量作戦」がヒットしたほか、新商品「白生パン」など収益性の高いプライベートブランド(PB)商品が好調だった。1万店超に設置するデジタルサイネージ(電子看板)での映像配信による広告収入も利益を押し上げた。
節約志向や日常のちょっとしたご褒美ニーズを捉えた両社とは対照的に、苦戦したのがセブンとミニストップだ。セブンの国内コンビニ事業の営業利益は同7%減の2335億円だった。24年9月から低価格商品「うれしい値!」を本格展開したが、原材料費や水道光熱費などのコスト上昇を吸収しきれなかった。
ミニストップも34億円の営業赤字(前の期は6億900万円の赤字)と採算が悪化した。「本体価格98円シリーズ」と銘打ったおにぎりなどで安さを打ち出した。しかし低価格品の販売構成比率が増えて、全体の収益性が悪化した。人手不足による人件費の増加も響いている。
今後の焦点になるのが、コメ価格の高騰だ。農林水産省によると、3月のコメの相対取引価格は玄米60キログラムあたりで2万5876円だった。2月からは2%下がったが、24年3月と比べると68%高い。コンビニ各社も25年に入って相次ぎ、一部のおにぎりや弁当の価格を上げている。単純な値上げを繰り返すと、店全体の客数や客単価に響きかねない。
特におにぎりは回転率が高く、日々の来店動機の要でもあり、手ごろ感が課題となる。一般社団法人おにぎり協会(神奈川県鎌倉市)の中村祐介代表理事は「スープやサラダと組み合わせるなど、おにぎりは複数買いの動機付けになる」と指摘する。原価上昇のなかでも「おにぎりを買えば、お茶が割引になるなど来店を促す付加価値が必要だ」と説く。
各社はあの手この手で付加価値づくりに挑む。ファミマは3月、人気おにぎり専門店「ぼんご」(東京・豊島)が監修したおにぎり2品を発売した。コメの炊飯工程を見直し、従来よりも甘味を引き出せるようにしたという。「ぼんご監修 手巻 肉そぼろ(卵黄ソース)」(198円)は、甘辛い味付けのひき肉に卵黄ソースを合わせた。
広告塔に米大リーグの大谷選手を起用した効果もあり、3月のおにぎりの販売額は前年同月を20%上回る過去最高ペースで推移した。コメの調達について、細見研介社長は「長年にわたって同じ産地から買っており、取引先との信頼関係は深い。おむすびを通じて中食全般の(購入も増える)シャワー効果を期待したい」と話す。
ミニストップは98円シリーズのおにぎりを続ける方針だ。3月には品ぞろえをリニューアルして、「ひじきごはん」や「生姜わかめ」「スパイシーカレーピラフ」など全5種類を国産のもち麦入りとした。
もち麦を使うことで「原価を低減するだけではなく、健康軸という新たな価値を提供していく」(仲沢光晴取締役)。イオングループでの原材料の共同調達を進め、仕入れコストを抑制する。
セブンは4月に「具だくさんおむすび ポーク玉子&ツナマヨネーズ」などを発売したが、おにぎり以外のドーナツやピザ、入れたて紅茶などのレジ横商品の拡充を急いでいる。
今期はPB「セブンプレミアム」の品ぞろえで低価格帯を3割、日常のご褒美ニーズがある高価格帯販売を2割増やす。セブン―イレブン・ジャパンの永松文彦社長は「ワクワクを感じてもらえる仕掛けで訴求していく」と語る。
トランプ米政権の関税政策を巡り、原材料の仕入れや個人消費への影響など不透明感は強まっている。事業環境が厳しくなるなかでも、ワクワク感やお得感のある付加価値をどう生み出せるか。身近な小売店で、生活インフラにもなっているコンビニ各社の工夫が問われている。
(石崎開)
【関連記事】
・コンビニ3社、店舗増7年ぶり高水準へ 工場などに省人店
・コメ高騰、加工品にも波及 3月も企業物価高止まり
ソフトバンクグループ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ
(6月27日)監査役、西橋久仁子
▽同、金丸祐子
▽退任(監査役)宇野総一郎
▽同(同)大塚啓一
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 595文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
十六フィナンシャルグループ(7380)
25.3 ― 31200 20800
1株配(円)〓25.3予=180.0 (24.3=160.0)
第一実業(8059)
25.3 2210 13500 8800
1株配(円)〓25.3予=92.0 (24.3=記123.0)
※23.10.1付で1:3分割
木曽路(8160)
25.3 532 2750 3160
1株配(円) 25.3予=45.0 (24.3=18.0)
富山銀行(8365)
25.3 ― 1250 950
ほくほくフィナンシャルグループ(8377)
25.3 ― 51000 39000
1株配(円) 25.3予=50.0 (24.3=40.0)
インテリックス(8940)
25.5 458 2000 1524
1株配(円) 25.5予=記46.0 (24.5=19.0)
ギックス(9219)
25.6 23 ▲180 ▲140
広島ガス(9535)
25.3 915 1900 1680
ソフトバンクグループ(9984)
1株配(円)〓25.4-9予=22.0 26.3予=44.0
反自由主義の愚に気づく好機か(大機小機)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 921文字 PDF有 書誌情報]
「諸悪の根源は新自由主義にある」。さかんに聞かれるのがこうした主張だ。市場原理を絶対視する考えが格差を拡大させ、弱者が大量に生まれたと説く。そこに一理はあるが、問題は「新自由主義」から脱却しさえすれば課題が一挙に解決するかのような幻想をうみだしていることだ。
優勝劣敗を原則とする競争市場は必然的に敗者を生み出す。倒産する企業や仕事を失う人が出てくるのは避けられない。そのメカニズムを象徴的に示すのが自由貿易だ。
海外との競争で工場がつぶれ、地域や人々が苦しみを味わう現象はグローバル化の進展とともにあちらこちらで見られるようになった。そうなると自由貿易の放棄こそが解決への道と感じる人が増えてもおかしくない。経済学者が比較優位に基づく自由貿易の効用をいくら説いても人々の頭にはすんなりと入ってこないのがこれまでの姿だった。
そんな状況を一変させるかもしれないのがトランプ米政権の高関税政策だ。自由貿易体制を壊すと何が起きるのかを人々が実地で体験できる機会を作り出しているからだ。
輸入関税を大幅に引き上げれば何が起きるか。「今年のクリスマスは危うい」。米国玩具協会のトップはメディアにこう語っている。米国で販売されるおもちゃの大半は中国製だが、高関税の影響で取引解約が続出し、生産が止まっているという。生産がクリスマスに間に合ったとしても人々のプレゼント代がはねあがるのは必至だろう。
やはり大半が中国製のアップルのスマホは一時的に関税の対象外になったが、ここで問題になるのは政権に近づく企業だけが得をする政治と企業の癒着問題だ。政府の経済への介入が腐敗につながる実例を映し出している。
自由貿易の悪影響をこうむる人たちがいるのは確かだ。だが、そうした問題に対する正しい処方箋はマイナスの影響を受ける人たちへの安全網強化などの社会政策だ。
貿易問題に限らず、市場機能を損なう政府の介入は経済活動の停滞を通じて人々の暮らしの悪化につながりうる。官民癒着によって民主主義が劣化するリスクもある。
欠点があるからといって競争市場を圧殺する行為は愚の骨頂だ。それに気づく機会をつくってくれたのがトランプ氏の唯一の功績といえるかもしれない。(冬至)