「米国第一」関税過信の100日 トランプ氏演説「国内に恩恵」 車、現地生産なら負担軽減[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1171文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米大統領は就任100日目となる29日、中西部ミシガン州で演説した。高関税政策によって「自動車メーカーが工場を国内に回帰させる助けになる」と訴えた。2026年の中間選挙を見据え、高関税が経済や雇用に好影響をもたらすとの持論を貫いた。(関連記事総合2、国際面に)
1月20日の就任からの日々を「史上最高の100日間」だったと総括した。高関税による国内産業の保護を進めたことで「偉大な米国の自動車労働者やすべての労働者を守っている」と語った。
演説の場所に自動車産業が集まる同州デトロイト近郊を選んだ。共和党は中間選挙で同州の知事・上院議員議席の奪還を目指している。労働者層に成果を示すことで支持を固める狙いだ。
トランプ政権は演説の直前、米国生産の自動車向けに輸入部品の関税を一部免除する措置を発表した。現地生産すれば企業の負担が軽くなるようにして、国内への工場回帰を促す算段がある。
ミシガンに本社があり、国内調達比率が高い米フォード・モーターなどが有利になる。トランプ氏は「彼らは大もうけできる。多くの雇用も増える」と話した。
日本について「大好きだ」と言いながら「日本で車をつくらせたくない」と述べた。
トランプ氏は高関税を振りかざして輸入を抑え込めば製造業が米国内で再び盛り返し外国に流出した雇用を取り戻せると主張。米歳入も増えて財政も改善すると唱える。
高関税が米経済に好影響をもたらすという信念に基づいて就任100日間で公約を次々と実行に移したが、多くの有権者や金融市場は疑いの目を向けている。関税政策への支持が高まらないうえ、米国の株式や債券、通貨が売られる「トリプル安」に見舞われた。
高関税で米国のインフレが加速し景気後退に陥るとの懸念は根強い。トランプ氏は生鮮食品やエネルギーの価格が下がっており「インフレの悪夢を終わらせようとしている」と断言した。
高関税には貿易相手国に譲歩を迫る交渉材料の側面もある。日本は自動車関税の撤廃などを求めてトランプ政権との協議を進めている。
トランプ氏は演説で2期目に累計145%の追加関税を課した中国を「史上最大の雇用泥棒」と批判しつつ米中協議は「うまくいくと思う。彼らは協定を結びたがっている。我々も結ぶつもりだ」と話した。中国は米国との協議を否定している。
第2次トランプ政権は、バイデン前政権が取り組んだ気候変動対策やDEI(多様性、公平性、包摂性)に関する政策を次々と廃止した。関連する言葉の使用を禁じる通達を官公庁に出すなど、リベラルな政策を急激に巻き戻す動きを進めた。
トランプ氏は「世界が目撃したものは『常識の革命』だ」と述べた。「保守だろうがリベラルだろうが関係ない。常識的に考えればこういうことなんだ」と自身の取り組みの正当性を訴えた。
中国企業、初の連続減益 昨年 不動産・消費、低迷脱せず[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1105文字 PDF有 書誌情報]
中国の上場企業(総合2面きょうのことば)の業績不振が長引いている。2024年12月期の純利益は前の期比13%減り、00年以降で初めて2年連続の減益だった。不動産の赤字が膨らみ、外食なども低迷した。米関税策で内需が減り、中国のデフレ輸出が増えれば世界経済を下押ししかねない。
日本経済新聞が上海や深など中国本土市場に上場する約5200社(金融を除く)を集計した。4月末までにほぼ全企業が決算発表を終えた。
業績不振の理由の一つは長引く不動産市況の低迷だ。マンション大手の万科企業は300億元(約6000億円)規模の減損処理をし、494億元の最終赤字となった。上場を廃止した企業があり比較対象が異なるが、不動産業全体の最終赤字は1600億元近くと前の期(135億元の赤字)から膨らんだ。
バブルの崩壊で不動産市場に流入するマネーは減っている。過大な在庫を抱え、高齢化による実需の頭打ちもあり、厳しい状況が続く。
不動産ビジネスの落ち込みは関連産業にも波及した。不動産業は中国の国内総生産(GDP)の3割を占めるとされる。鉄鋼は45社のうち38社が最終赤字か減益で、全体でも最終赤字だった。セメントが不振の建材は5割近い最終減益だった。
これまで持ちこたえてきた個人消費関連の業種にも景気減速の影響が出ている。ホテル・外食業は2割近い最終減益になった。北京ダック料理店の全聚徳は43%の減益となるなど、高額消費を手控える動きが広がる。商業・小売りの純利益は8%増だったが、水準は新型コロナウイルス禍前に届いていない。
自動車関連企業も成長が鈍化しつつある。自動車は習近平(シー・ジンピン)指導部が成長産業と位置づけ、補助金や税還付などで手厚く支援してきたが、競争激化が響いている。部品メーカーを含む297社の純利益は11%増えたが、5割近い増益だった23年12月期から減速した。電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)1社が利益合計の3割を占め、収益力に格差が出ている。
米中貿易摩擦の激化で中国経済は一段と悪化するリスクが出ている。スマートフォンや半導体を含む電子は24年12月期に3割の増益と好調だったが、米国輸出への依存度が高い。米中貿易摩擦が業績を直撃するリスクが膨らんでいる。
上場企業の25年1~3月期の純利益は前年同期を4%上回った。習指導部が前倒しで経済対策に取り組んだ結果、建材や機械などの業績を下支えした。だが4月以降、輸出企業の景況感の鈍化傾向が鮮明になっている。中国政府が機動的に財政出動など追加の景気浮揚策を打ち出さなければ、デフレ輸出を助長し世界景気の後退リスクを高める可能性がある。
「米国第一」関税過信の100日 トランプ氏演説「国内に恩恵」――米、3年ぶりマイナス成長[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 1ページ 655文字 PDF有 書誌情報]
1~3月GDP0.3%減 駆け込み輸入増
【ワシントン=高見浩輔】米商務省が30日公表した1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率で0.3%減った。マイナス成長は3年ぶり。関税の引き上げを控えた駆け込み輸入が影響し、成長率は2024年10~12月の2.4%増から大きく押し下げられた。
米経済は23年に2.9%、24年も2.8%と高い成長率を持続した。先進国で1強と呼ばれたが、トランプ米政権による高関税政策などで景況感は一気に悪化している。1~3月期の事前予想は幅広かったが、0%台半ばのプラス成長を見込む声が多かった。
米政権は2月から中国製品などに追加関税を順次発動した。米国の景気後退懸念が強まったのは4月2日に大規模な相互関税を表明して以降だ。1~3月期は貿易の一時的な混乱が技術的に成長率を下げた。
貿易赤字は1月に1307億ドルと過去最大を記録し、2月も高水準だった。輸出から輸入を差し引いた純輸出は1~3月期に成長率を4.8ポイント押し下げる要因になった。
景気の基調を映す個人消費は1.8%増えた。事前予想は1.4%増程度だった。まだ底堅い水準だが24年7~9月期の3.7%増、10~12月期の4.0%増という高い伸びからは減速した。大型ハリケーンで膨らんだ自動車などの復興需要が一巡した影響もある。
住宅投資は1.3%増えた。0.4%の減少が見込まれていた。米連邦準備理事会(FRB)は関税が輸入価格を引き上げ、高インフレが定着することを恐れて早期利下げに慎重だ。
ジープ、日本値下げ ステランティス、プジョーも 事業てこ入れ[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 1ページ 649文字 PDF有 書誌情報]
欧州ステランティスの日本法人は1日から日本で自動車の販売価格を引き下げる。対象は米ジープなど主要6ブランドで、最大50万円を値下げする。電気自動車(EV)の需要減速などにより、世界で販売不振に陥っている。主要市場の米国は関税政策で消費が冷え込む恐れがあり、成長余地の大きい日本事業をてこ入れする。
日本で主要ブランドを一斉に値下げするのは初めてで、世界でも日本市場だけの取り組みとなる。自動車は人件費や資材高などでコストが上昇しており、値下げに踏み切るのは異例だ。
ジープや仏プジョーなど6ブランド10車種以上で値下げする。値下げ幅は最大50万円で、6ブランド平均では25万円程度になる。
伊アルファロメオのプラグインハイブリッド車(PHV)「トナーレ」は762万円から712万円に50万円値下げする。ジープ初のEV「アベンジャー」は580万円から30万円引き下げる。
ステランティスはEV普及の遅れなどにより2024年の世界販売が前年比12%減の541万5000台に落ちた。日本も販売台数が24%減と22年に日本法人が発足して以降過去最低だった。
24年までの円安局面による値上げも影響している。輸入車は値上げ幅が大きく、25年4月時点でプジョーの多目的スポーツ車(SUV)「2008GT」は21年から3割弱値上げした。
ステランティスは米国や欧州ではEVの伸びが鈍化しており、米国では追加関税で消費が冷え込む可能性がある。日本は値下げによるてこ入れで、売り上げを伸ばす余地が大きいと判断した。
先週、大阪を訪れた。万博会場への乗り換え案内を横目に、新大阪駅から向かったのは吹田市の国立民族学博物館(春秋)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 1ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
先週、大阪を訪れた。万博会場への乗り換え案内を横目に、新大阪駅から向かったのは吹田市の国立民族学博物館。1970年の大阪万博の会場跡に77年に開館し、世界各地の民具など34万点超のコレクションを誇る。その日も展示室でちょっとした旅気分を味わった。
▼前回の万博跡地に「万博の森」と称される広大な公園が整備され、民博ができたのは奇跡に近い出来事だったらしい(吉村元男著「大阪万博が日本の都市を変えた」)。樹木の生育も難しい痩せた土壌を多様な生物のいる森へ。しかもふつう100年はかかるのを30年で実現せよという。難題に挑んだ軌跡が本に記される。
▼民博設立の構想は万博のはるか以前に遡る。後の日銀総裁、渋沢敬三が35年に国に陳情するも実現せず。民族学者の梅棹忠夫らが万博を機にその夢をかなえた。若き学者たちが世界に派遣され、万博での展示に向け収集を進めた。一方「低開発諸国」の祭具などを一方的に集める手法には東大の学生らから反対声明も出た。
▼翻って開幕から2週間あまりとなる万博。会場のシンボル「大屋根リング」の一部をレガシー(遺産)として残す案が浮上した。会場が更地になってしまえば、開催時をしのぶよすがにはなろう。もちろん、かさむ維持費を懸念する声もある。万博は50年先に何を贈るべきか。活発な議論を始めるのに早すぎることはない。
泊原発「合格」、迫る需要増 ラピダス量産にらむ 27年再稼働へ一歩[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1008文字 PDF有 書誌情報]
原子力規制委員会は30日の定例会合で、北海道電力の泊原子力発電所3号機の安全審査における実質的な合格証となる「審査書案」をまとめた。北海道はラピダスによる最先端半導体の量産などで電力需要が増える可能性がある。再稼働が進めばエネルギーの安定供給につながる。
北電は新しい防潮堤を完成させたうえで、ラピダスの量産開始時期と同じ2027年に再稼働を目指す。斎藤晋社長は30日、「火力発電所の燃料費は相当高い。原子力は長期契約で価格が安定しており(再稼働後には)電気料金の見直しをしたい」と語った。
泊原発は東京電力福島第1原発事故後の12年5月以降、止まっていた。13年7月に規制委へ再稼働を申請したが、敷地内にある断層が活断層かどうかの判断に時間がかかり、審査が長引いた。同時期に申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)3.4号機や九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1.2号機などは既に再稼働した。
審査書案では最終的に、敷地内の断層は活断層ではないとした。地震や津波への対策も安全基準を満たしていると確認しており、定例会合に出席した5人の委員が審査書案の了承で一致した。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式合格とする見通しだ。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で「自然災害に関する審査が非常に困難な原発の代表例だった」と振り返った。審査書案の了承については「100%の安全を担保するものではなく、安全への責任は一義的に事業者にある」と付け加えた。
北海道では千歳市にラピダスの工場が進出し、27年から最先端半導体の量産を目指している。ソフトバンクは26年度から50メガ(メガは100万)ワット規模のデータセンターを苫小牧市で稼働する予定で、1ギガ(ギガは10億)ワットまで拡張する構想もある。
エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪代表の試算によると、半導体工場やデータセンターによる増加分を含んだ北海道内の最大電力需要は、30年代半ばに763万キロワットに達する見通し。足元より5割程度大きい。
一方で同時点の最大供給力は928万キロワットとみる。このうち泊原発3号機が91万キロワット、系統用蓄電池の新設などが90万キロワットを占める。新設する液化天然ガス(LNG)火力などを含めた火力発電所や再生可能エネルギー発電所などによる供給分は747万キロワットにとどまる。
フジHD、金光社長ら退任 6月総会後 前期、初の最終赤字[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 700文字 PDF有 書誌情報]
フジ・メディア・ホールディングス(HD)は30日、金光修社長ら4人の取締役(社外含む)が6月の定時株主総会後に退任すると発表した。金光氏ら4人は3月に示していた会社側の案では続投する予定だった。現状の取締役15人中で清水賢治次期社長(現フジテレビジョン社長)を除く計14人が退任する異例の事態となる。(関連記事ビジネス1面に)
3月27日にフジ・メディアHDが発表した株主総会後の取締役体制案では、金光氏が取締役会長となる予定だった。島谷能成氏(東宝会長)、斎藤清人氏(文化放送社長)、茂木友三郎氏(キッコーマン取締役名誉会長)の3人も取締役を続投することになっていた。フジ・メディアHDに対してはアクティビスト(物言う株主)の米ダルトン・インベストメンツが16日付で、SBIHDの北尾吉孝会長兼社長など12人を社外取締役候補とする株主提案を送付した。ダルトンは金光氏らが残る点を問題視していたほか、不動産事業の切り離しなども求めていた。
フジ・メディアHDは30日、2025年3月期の連結最終損益が201億円の赤字(前の期は370億円の黒字)に転落したようだと発表した。同社が通期で最終赤字となるのは前身となるフジテレビが1997年に上場して以来初めてとなる。
相談役・顧問を6月に廃止するとも発表した。併せて役員の定年制も整備する。取材に応じた金光氏は「1人の権力が長く滞留することについて制度として制限する」と自らの進退の理由について説明した。編成局とバラエティ制作局の組織を解体・再編するほか、アナウンス室を編成局から独立させて権限を強める。一連の再発防止策について同日、総務省に報告した。
針路を聞く 「地産地消」でリスク備え BNPパリバ証券 河野龍太郎氏(崩れる自由貿易)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1324文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権は関税による景気減速のリスクを認識している。2026年の中間選挙時に不況なら負ける可能性が高いため、ずっと続けられる政策ではない。その前に各国とディールすることが狙いだろう。
日米間の交渉で日本の関税が下がっても、日本経済が優位性を保てるわけではない。不透明な状況が続けば世界中の企業が設備投資を控え、輸出が抑制される。日本への関税が下がるだけでは問題の解決にならない。
日本企業は「新地産地消戦略」で対応するしかない。米国で売るモノは米国で作り、中国で売るモノは中国で作る。規模の経済性はある程度損なわれるが、目の前のリスクに備えるには生産拠点を分ける必要がある。
賃上げも重要だ。過去四半世紀、生産性は上がっても時間あたりの実質賃金はまったく上がっていない。だから消費が増えない。関税を懸念し、賃上げが不十分な状態が続けば日本経済の停滞も続く。
日銀が利上げを続けられるかどうかは、米国が景気後退に陥らないという前提条件が必要だ。事態を見守るしかない。不確実性の高まりは、物価に下方サイドに働く可能性もあるが、円安が進めば上方サイドもあり得る。
為替誘導は容易ではないが、各国の利害は一致している。米国は貿易面においてドル高を望まない一方で、日本を含めた世界各国は自国通貨安による国内物価の上昇でダメージを受けている。物価上昇は政権与党の支持率低迷にもつながっている。
円高になれば家計部門の実質購買力が押し上げられる。減税や社会保険料の引き下げより即効性があり、日本にとって決して悪い話ではない。
基軸通貨への信認を傷つけかねない米国の姿勢は危うい。世界各国はドルが基軸通貨だからこそドルや米国債を喜んで持ち、米国は自らの所得よりも大きい消費ができた。各国がドルを手放せば、ドルの長期金利は上がる。長く続いてきた資産価格の上昇が崩壊し、財政の持続可能性の問題も起きてくる。
トランプ関税自体は「狂気の沙汰」だが、行き過ぎたグローバリゼーションの弊害として認識する必要もある。自由貿易の名の下、法人税の減免や低い賃金、緩い労働法制に引かれ、米国のグローバル製造業は生産現場を海外に移転してきた。
経営者や株主が多大な恩恵を受ける一方、労働者に大きな負担が生じた。グローバル化やIT革命でメリットを受ける人に対する政策は手厚かったが、ダメージを受ける人を包摂するための政策は乏しかった。トランプ関税はその反動で現れた。
1929年の世界大恐慌の理由の一つは、英国が体力を失う一方、大国となった米国に覇権国の機能を発揮する意志がなく、覇権国が不在になったからだと米経済学者のキンドルバーガーは提唱した。トランプ氏はその機能を大きく損なっている。
我々の試算では、米国が輸入品に支払う実効関税率は現段階で27%まで上昇している。仮にこれが続けば米国の物価を3%近く押し上げ、1%以上は需要を抑制する。中国の報復関税も景気を互いに悪化させることになる。(聞き手は高橋理穂)
=随時掲載
こうの・りゅうたろう 87年(昭62年)横浜国大経卒、住友銀行(現三井住友銀行)入行。00年よりBNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミスト。60歳
高校無償化の大波(4) 制度固まらず「次は大学」(迫真)終[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 958文字 PDF有 書誌情報]
「次は大学無償化に取り組みます」。3月3日、日本維新の会共同代表の前原誠司(63)は自身のX(旧ツイッター)に投稿した。同党と自民党、公明党の党首が高校授業料の無償化に合意してから6日後のことだ。
維新が「次」を急ぐのは夏の参院選への意識からだ。かつて看板政策に掲げた大阪都構想は2度の住民投票で否決された。選挙を戦うには新たな柱となる政策が必要だ。
衆院で自公が少数与党となり政策決定の過程は一変した。両党は2025年度予算の成立と引き換えに、維新が求めた高校授業料の無償化をのんだ。
3月には3人以上の多子世帯の大学授業料の無償化を盛り込んだ改正大学等修学支援法が成立した。前原は「子ども1人世帯から無償にすべきだ」と大学無償化の対象拡大を唱える。
だが26年度からスタートする高校無償化の制度の詳細は固まっていない。
首相の石破茂(68)は2月の党首合意の際、私立就学支援金の上限引き上げや給食無償化について「具体化を急ぎ、骨太の方針に盛り込みたい」と明言した。それからふた月、制度設計を詰めるはずの3党協議の動きは鈍い。
「与党の論点整理が示されず議論が滞ってしまっている」。維新で実務を担う斎藤アレックス(39)は焦りを覚える。合意後の3党の実務者協議は1度だけ。次回は5月の大型連休明けとなる見通しだ。骨太の方針の策定は6月に迫る。
自民党は旧民主党政権が掲げた高校無償化に反対した過去がある。10年3月の衆院本会議で「基本的な教育への理念を欠いた高校授業料無償化の撤回を求める」と主張したのは他ならぬ石破だ。
石破は4月22日、1人1校しか公立高を受験できない「単願制」を是正するよう関係閣僚に指示した。無償化で私立人気が高まることを念頭に、公立高の選択肢が広がる環境を整える。
無償化の財源の確保や公立校の質の維持といった議論はこれからだ。就学支援金の支給方法や対象に外国人を含めるのかといった論点も山積する。
制度設計の遅れは生徒の進路選択に影響する。現役の中高生が幅広く利益を受けられる、軸のぶれない教育政策が求められる。
(敬称略)
蓑輪星使、斎藤さやか、森紗良、岸本まりみ、田中雅久が担当しました。
【図・写真】自民、公明、維新の党首が高校授業料の無償化などの合意書を取り交わした(2月25日)
日本はASEANにもっと深く関与を(社説)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 938文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相がベトナムとフィリピンを訪問し、安全保障分野の協力拡大に合意した。両国は南シナ海の領有権を巡って中国と対立する。日本は東シナ海で中国と摩擦を抱えており、海洋国家同士が連携を強める意義は大きい。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は米中対立の最前線だ。トランプ米政権が「自国第一」の独善外交に走るなか、この地域に「力の空白」が生じることは避けなければならない。中国の覇権主義を抑止するため、日本は地域秩序にもっと深く関与する必要がある。
石破氏は昨年10月の就任直後にラオス、今年1月にはマレーシアとインドネシアを訪れた。今回の2カ国訪問で、早くもASEAN加盟国の半数に足を運んだことになる。エネルギー資源などを輸入に頼る日本にとって、南シナ海は重要な海上交通路であり、安保・経済両面で関係が深いASEANを重視するのは当然だ。
ベトナムではトー・ラム共産党書記長やファム・ミン・チン首相らと会談した。外務・防衛担当の次官級協議(2プラス2)を創設し、年内に日本で初会合を開くことで一致。同志国に防衛装備品を無償提供する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の同国への適用も申し合わせた。
フィリピンのマルコス大統領とは、自衛隊とフィリピン軍が燃料や弾薬などを融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)や、機密情報の交換を可能にする情報保護協定の交渉開始に合意した。
トランプ政権の高関税政策は、対米輸出の多いASEAN各国に大きな衝撃を与えている。石破氏は今回の2カ国訪問で自由貿易体制の重要性を再確認し、脱炭素の取り組み支援といった経済分野での協力強化も打ち出した。
アジアの地域秩序が揺らぐなか、中国もASEAN外交のてこ入れに動いている。4月半ばに習近平国家主席がベトナム、マレーシア、カンボジアを歴訪し、貿易や投資の拡大を呼びかけた。
高関税や対外援助の大幅削減で対米不信が高まる隙に乗じ、影響力を高める狙いが明らかだ。
米中対立下で中立を守りたいASEANにとって、安保・経済両面での日本の支援は一段と重要性が増す。同盟関係にある日米陣営の影響力低下を食い止めつつ、中国とは一線を画した協力の選択肢を示す意味でも、日本はさらに積極的な外交を展開すべきだ。
カナダ新政権はG7立て直せ(社説)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 2ページ 785文字 PDF有 書誌情報]
主要7カ国(G7)議長国のカナダで下院の総選挙があり、与党・自由党が勝利を確実にした。トランプ政権の「米国第一」政策でG7のかじ取りは難しさを増している。続投となったカーニー首相はG7が結束を保てるよう指導力を発揮してほしい。
総選挙は米国とどう向き合うかが争点だった。トランプ大統領の就任前は、移民規制など自国第一を掲げた野党の保守党が支持率で大差をつけていた。カナダ併合論や関税措置に世論の反発が強まると、政策がトランプ氏を連想させるとして有権者の離反を招いた。
カーニー氏は「反トランプ」の姿勢を明確に打ち出し、逆転に成功した。カナダと英国の中央銀行総裁を歴任し、金融危機に対処した経験は豊富だ。ただ、3月に首相に就いたばかりで政治手腕は未知数といえる。
対米関係の立て直しとともに直面するのが、議長として6月に主催するG7首脳会議(サミット)だ。2月に開いたG7首脳によるオンライン協議は共同声明を出せなかった。ロシアを非難する文言に米国が反対したためだ。
G7は近年、新興国の台頭で影響力の低下が指摘される。それでも民主主義や自由、法の支配といった価値を共有する日米欧の7カ国が気候変動や公衆衛生といったグローバルな課題の処方箋で知恵を絞り、国際社会の合意形成を主導する意義は大きい。
前回カナダで開いた2018年のサミットは保護貿易を掲げるトランプ氏と、その撤回を迫る欧州・カナダが激しく対立した。トランプ氏は難航の末にまとまった首脳宣言を承認しないと言い放ち、G7は分裂状態に陥った。
不安定さを増した今の世界で同じ過ちを繰り返せば、米国主導の国際秩序の修正をもくろむロシアや中国の思うつぼである。各国首脳はG7の結束が米国の国益にかなうことをトランプ氏に粘り強く伝えるべきだ。サミット初参加となる石破茂首相もその一翼を担う必要があるのは言うまでもない。
トランプ氏、成果誇張の90分 支持低下にいらだち 「不法越境99%減」「ガソリン価格抑制」 根拠なく強引な説明[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1797文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領は29日の演説で、就任100日の成果を誇張気味に並べ立てた。相互関税で急速に高まった景気後退懸念には触れず、国境政策など支持者が熱狂するテーマに時間をかけた。自身の支持率低下へのいらだちをのぞかせた。
(1面参照)
90分間に及ぶ演説は、大統領選での熱気を再現するかのように演出した。「黄金時代」と書かれた横断幕が掲げられ、支持者は「USA!」コールで出迎えた。トランプ氏は民主党のバイデン前大統領を何度もこきおろし、会場を盛り上げた。
演説で繰り返したのは「MAGA(米国を再び偉大に)」と呼ばれる岩盤支持層が喜ぶ政策だ。
国境政策では、不法に国境を越えようとする人が「99.999%減った」と主張した。政府統計のどの数字を言及しているかは不明だ。
多くの政策への評価が世論調査で落ち込むなかで、国境や移民は支持率が比較的高い。不法移民を国外に強制送還する様子を動画で流すなど、成果に焦点を当てて支持のつなぎとめを狙った。
経済政策でも強引な成果の説明が目立った。
「ガソリン価格は3つの州で1ガロン1.98ドルになった」。米エネルギー情報局(EIA)が集計する全米平均のレギュラーガソリン価格は28日時点で3.1ドル。就任時の1月20日と同じ水準だが、トランプ氏は一部州のみを取り上げて胸を張った。
原油など化石燃料を増産する公約「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」の成果だと繰り返した。
29日の原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の終値は就任直前から22%安の1バレル60.42ドルだったが、相互関税による世界景気の悪化懸念が原油安の原因だ。
トランプ氏が岩盤層に成果を訴えた背景には支持率の低下がある。
米リアル・クリア・ポリティクスが集計した最新の世論調査の平均値をみると、トランプ氏の支持率は45.1%と就任直後からおよそ5ポイント下がり、不支持率が52.5%と支持率を上回った。
「正当な世論調査ならば60%台か70%台だ。不正直な者たちだ」。トランプ氏は演説で不満を示したが、4月2日に表明した相互関税は企業や消費者の心理を一気に冷え込ませた。米調査会社コンファレンス・ボードが29日発表した4月の米消費者信頼感を測る調査では、短期的な見通しを示す「期待指数」が約14年ぶりの低水準を記録した。
米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は今後1年間で米国が景気後退に陥る確率を65%と見積もる。
トランプ氏は演説で米経済が既に改善していると強調した。米経済が新たな成長軌道に向かうまでには「移行期間」があるという従来の説明を封印した。
「アップルは偉大な企業だが、すべてを中国で製造していた。いま彼らは5000億ドルを中国ではなく米国に投資すると発表した」。米アップルや米エヌビディアなど対米投資を表明した企業の名前を並べた。
各社の大々的な投資発表はトランプ氏への「面従腹背」であり、実際は言ったとおりにならないとの指摘がある。
アップルは第1次トランプ政権の18年、5年間で300億ドル以上を米国で投資し3500億ドルの経済効果をもたらすと表明した。バイデン前政権の21年には4300億ドルに引き上げた。
業績を分析すると、これらの金額はサプライヤーへの支払いや営業費用なども合わせた支出実績と重なる規模だ。今回の「5000億ドル投資」も、新規投資ではなく通常の事業運営の範囲内における支出を指している可能性がある。
経済政策への期待を受けて大統領に返り咲いたトランプ氏は、経済や市場の悪化を何よりも警戒する。演説では「金利に関しては私のほうが(パウエル氏よりも)よっぽど理解している」と語った。
株価下落の要因になった米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長への批判は手控えたが、景気を下支えするための利下げに踏み切らないFRBへの不満を漏らした。
大統領が強いリーダーシップを持つトランプ政権の強みは、政策修正の迅速さにある。一方で不確実性の高まりが企業や消費者の心理を悪化させる要因にもなった。支持率の低下を食い止めるには政策の安定性が課題になる。
(ワシントン=飛田臨太郎、ヒューストン=大平祐嗣、シリコンバレー=中藤玲)
【図・写真】演説後に踊るトランプ大統領(29日、米中西部ミシガン州)=AP
日米交渉、重点絞り込みへ 赤沢氏「できる限り前進を」 財務長官「各国、選挙前の合意急ぐ」[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1226文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】赤沢亮正経済財政・再生相は30日午前(日本時間同日夜)、米国との2回目の関税交渉のために首都ワシントン近郊の空港に到着した。赤沢氏は記者団に「ウィンウィンになるような合意に向けて、できる限り前進したい」と述べた。
米東部時間5月1日午後にベッセント米財務相らと協議すると明かした。当初予定から帰国を1日遅らせ、3日に日本に戻る。
赤沢氏は、トランプ米大統領の関税政策が二転三転しているかを問われ「トランプ氏の方針は全く変わっていないと思う。経済活動について、政治リスクを勘案せずにできる世の中は終わったということを体現している」との見方を示した。
赤沢氏は出発前には羽田空港で、自動車に課されている25%の追加関税措置について、日本の自動車メーカー首脳が「1時間に100万ドルずつ損をしてる状況」だと訴えていると説明した。「国益は譲れないが一日一日と我が国の企業が損を出している」と付け加えた。
赤沢氏は現地時間の4月16日に米国との初めての協議を実施した。2回目となる今回の協議は、重点分野の絞り込みが焦点となりそうだ。
ベッセント氏は4月29日の記者会見で関税交渉について、日本や韓国を念頭に「各国は選挙前に通商合意の枠組みを急ぐ」と話した。夏の参院選に向け、日本政府内にも早期に一定の成果を求める声もある。
石破茂首相は30日、訪問先のマニラで記者団に「基本姿勢は全く変わらない。関税措置の撤廃を求めていく」と強調した。「米国側の要求が具体的にどのようなものか、よく聴取したい」とも述べた。
自動車を巡る米国の対応は二転三転する。29日にトランプ米政権は自動車・部品関税の負担軽減措置を発表した。すでに完成車には25%の追加関税が課されていたが、5月3日にさらに自動車部品の輸入にも同様の25%の追加関税が発動する。これに完成車メーカーが反発した。
今回の措置では米国内で自動車を生産するほど、関税負担が少なくなる。赤沢氏は30日の時点で「影響をきちっと精査し分析した上で対応を決めていく」と話すにとどめた。
現在日本には自動車や鉄鋼・アルミニウムなどに追加関税が25%、相互関税が10%課されている。相互関税は当初24%だったが、米国は発動から半日で上乗せ分の適用を90日間停止した経緯がある。
政府は一連の関税措置の見直しを求める。交渉のカードとしては輸入自動車への特例措置の拡充や米国産トウモロコシや大豆といった農産品の輸入拡大、造船分野での技術協力などが検討されている。日本政府は現時点では幅広に構え、米国の出方を見極めつつ実際に切るカードを判断する。
米国は効率よく交渉を前進させるために「2段階」の交渉を日本にも持ちかけるとみられる。まずは交渉の目的や対象を共有する「枠組み」合意を経たのちに、具体的な実務面の交渉に進める可能性がある。
【図・写真】訪米を前に記者の質問に答える赤沢経財相(30日、羽田空港)
トランプ氏、成果誇張の90分 支持低下にいらだち――車関税の軽減措置 日本勢、なお続く逆風 マツダ深刻、ホンダは負担減[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1171文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】トランプ米政権が29日発表した自動車・部品関税の負担軽減措置は、米国での生産比率が高い企業ほど有利に働く。日本勢ではホンダが関税の影響額を減らせる一方、マツダや三菱自動車にはメリットが少ない。短期間で米国内に生産や調達網を構築するのは容易ではない。
今回の軽減措置は、国内外のメーカーが米国で生産する車に対し、米国内販売分の売上高の15%相当を関税の「免除枠」として与える。その枠内で輸入部品にかかる25%の関税を免除する。
負担軽減率は2年目以降少なくなり、3年目にはゼロになる。自動車部品への関税と、鉄鋼やアルミニウム製品への追加関税が重複してかからないようにもする。
トランプ政権は5月3日に輸入部品に対して追加関税を発動することにしている。今回の措置は生産移転に時間がかかるとして、2年間の猶予期間を設けた格好だ。
日本勢は米国で販売する完成車の現地生産比率で影響が異なる。野村証券などによると現地生産比率が最も高いのはホンダで、2024年時点で米国販売車の約7割を占める。免除枠を取得できる台数は多くなる。トヨタ自動車などはおおむね5~6割だ。
マツダは米国販売車の8割、三菱自動車は全てを輸入しており、他社と比べ負担軽減は少ない。30日の東京株式市場でホンダ株の終値は前営業日からほぼ横ばいだった一方、マツダ株は3%、三菱自株は2%それぞれ下げた。
現地生産が多い企業でも、部品の現地調達を高めるのはハードルが高い。米商務省は「米国内で生産され、米国での調達比率が85%以上の自動車には関税負担は生じない」と説明したが、現在この条件を満たすメーカーはない。
米自動車大手「ビッグ3」でも米国販売車に占める部品の輸入比率は平均で6割、日本勢は4~5割だ。テスラですら約3割の部品を輸入に頼る。
トランプ政権が自動車や部品関税で救済措置に踏み切った背景には、ゼネラル・モーターズ(GM)などビッグ3からの反発がある。ビッグ3は米国産が多いフォード・モーター以外は完成車で最大5割を輸入し、関税負担は日本勢と変わらない。
米センター・フォー・オートモーティブ・リサーチ(CAR)は一連の関税で2025年の米国の自動車産業のコストが約1080億ドル(約15兆円)増えると試算する。ビッグ3のコスト負担は417億ドル。このうち5割は部品への関税による影響だ。
トランプ政権は米国に雇用や投資を取り戻すとする。29日にトランプ大統領が就任から100日の演説を行った場所は、GMの拠点があり、労働者が多いミシガン州ウォーレンだった。
ただ、現実には労働コストが大きい米国で短期に自動車関連の投資や雇用を増やすのは容易ではない。バーンスタインのアナリストは29日、「今回の救済措置では長期的な課題は解決しない」と述べた。
中国の上場企業 5000社超、ROEは6%台(きょうのことば)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 3ページ 437文字 PDF有 書誌情報]
▽…中国は1990年以降、国有企業の資金調達などを目的に上海、深に証券取引所を開設した。2021年には北京証券取引所が加わった。25年3月末時点で約5400社が上場し、時価総額は87兆元(約1700兆円)にのぼる。中国上場企業協会によると香港取引所には1000社以上の中国系企業が上場するほか、ナスダックなど米国市場にも約300社が株式を公開している。
▽…国有企業の存在感が強いこともあり、資本効率の改善が課題になっている。株主から預かったお金をどれだけ有効に使って稼いでいるかを示す自己資本利益率(ROE、金融除く)は23年に8%を割り込み、24年は6%台まで落ち込んだもようだ。
▽…ROEは習近平(シー・ジンピン)指導部が発足した12年ごろから低下が顕著になっている。資本効率の低さが株価低迷につながっていたとみて、証券当局は自社株買いや増配など株主への利益還元を企業に促し始めた。トランプ米大統領の関税政策が株安や金融システム不安を招かないよう備える意味合いもある。
日中が異質の「自由貿易」競争 東南ア接近、TPP土俵に 日本、通商ルール維持重視 中国は市場拡大へ基準緩和[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1622文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税措置を受け、日本と中国が東南アジアで自由貿易の旗を掲げ、競い合っている。主戦場は包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)だ。メンバー国の日本は通商ルールの維持を呼びかけ、加盟をめざす中国は加盟基準の緩和に動く。
石破茂首相は27~30日にベトナムとフィリピンを訪問した。当初、東南アジアの国と確認したかったのは「自由貿易」の重要性だった。
ベトナムのファム・ミン・チン首相との会談後の記者発表で「世界経済が不透明性を増し、東南アジア地域への影響も懸念されている」と訴えた。フィリピンのマルコス大統領との記者発表では「米国の関税措置や米中の報復の応酬が多角的自由貿易体制に与える影響を議論した」と説明した。
高関税率に苦慮
日本側から自由貿易を守る意義を働きかけた格好にはしたものの、同行筋によると首脳会談の中で「トランプ関税」はそれほど話題にのぼらなかったという。南シナ海情勢や安全保障協力の議論に時間を割いた。
関税交渉が進む米国との関係を意識し、石破首相からメッセージを打ち出しにくかった事情も透ける。両首脳には「東南アジアの声に耳を傾けたい」と伝えるにとどめた。東南アジアは米中が対立する状況で関税を話題にあげたくなかった可能性もある。
対照的な動きをするのが中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席だ。石破首相より一足早い4月中旬、ベトナム、マレーシア、カンボジアの3カ国を訪れた。
中国国営新華社によると、同行した王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相は「中国は多国間主義と国際貿易ルールを守るという強いシグナルを送った」と話した。
ベトナムでは米政権の対応を巡り「一方的ないじめ行為に共同で反対し、自由貿易体制とサプライチェーンの安全性を守らなければいけない」と呼びかけた。
日本と中国が競うように東南アジアで自由貿易の旗を振り合うのはなぜか。この地域がトランプ政権の関税措置に苦慮しているためだ。米国が課した相互関税の税率はカンボジアが49%、ベトナムが46%、タイが36%と高い。
東南アジアは世界のサプライチェーン(供給網)で重要な地位を占め、自由貿易体制が成長の基盤になっている。日本の外務省幹部は「混乱した状況下で、日中ともにこの地域との関係をテコ入れしようという同じ発想がある」と語る。
加盟賛同迫る
日中ともに「自由貿易」という理念を掲げるものの、その意味は異なる。日本は高い水準の貿易の自由度を定めたルールを重視する。中国は自由度の水準は二の次で、市場拡大に重きを置く。
日中のスタンスの違いが顕著なのがTPPだ。
日本はTPPを軸に自由貿易圏を拡大する戦略を描く。TPPの現在の加盟国12カ国をみると、東南アジアが3分の1の4カ国を占める。インドネシアも加盟を申請した。
日本が結んできた自由貿易協定でTPPは最も自由化の水準が高い。品目数ベースで95%の輸入農産物・工業品の関税が即時または段階的に撤廃される。輸出はほぼ100%関税がなく、サービス貿易の自由化、知的財産、投資などでの基準共通化を含む。
中国はTPPへの加入に必要な国内ルールの整備に関し、電子商取引(EC)などは対応できていない。国有企業の優遇や知的財産の保護などを巡っては、中国自身が加盟する世界貿易機関(WTO)のルールも順守していない。
そうした状況にもかかわらず、習氏は16日、マレーシアのアンワル首相との会談でTPPを取り上げた。その後の共同声明では、中国のTPP加盟申請についてマレーシアが歓迎すると明記した。
TPPの加盟には全メンバー国の同意が必要になる。中国が政治的、経済的な力や市場の大きさを背景に、東南アジアの加盟国に賛同を迫る可能性がある。中国の自由化が不十分なまま各国が同意を進めれば、TPPがこれまで維持してきた透明性や公平性が失われかねない。
(マニラ=手塚悟史、藤田祐樹、ハノイ=新田祐司)
夫婦別姓、そろわぬ足並み 立民単独で法案提出 国民民主、保守層に配慮 公明は手続きで距離[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1260文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党は30日、選択的夫婦別姓を導入する民法改正案を単独で国会に提出した。選択的夫婦別姓に賛成の立場をとってきた公明党や国民民主党との協調を模索したものの足並みはそろっていない。夏の参院選に向けて政権との距離といった立場の違いが浮き彫りになっている。
立民が今回提出した法案は夫婦が結婚時に「夫もしくは妻の氏、または各自の婚姻前の氏を称する」と定める。夫婦の子どもの姓は結婚時に前もって決める。法制審議会(法相の諮問機関)が1996年にまとめた答申に近い内容でまとめた。
2022年に国民民主や共産党などと共同提出した法案は子どもの姓を出生時に決め、同じ夫婦の子どもで姓が異なりうる内容だった。法制審案は選択的夫婦別姓の推進派が議論の土台にしており、それに沿う方が与野党の幅広い支持を得やすいと判断した。
ところが立民の法案に他に加わる党はなく、単独提出になった。参院選を意識した各党の思惑が背景に浮かぶ。
国民民主は24年衆院選公約に選択的夫婦別姓の導入を明記した。23日の党男女共同参画推進本部の会合でも法制審案に沿った法案や立民案に賛同する意見が相次いだ。立民案とは別の法案提出を視野に党内議論を続ける。
玉木雄一郎代表は導入に反対する保守層に配慮する発言を繰り返す。22日の記者会見で「家族としての一体性がなくなるという主張がある。いろいろな人の懸念や願いを踏まえた制度をつくっていきたい」と述べた。
24日に推進派の芳野友子連合会長と会談した際は「早期に実現していくのが極めて重要だ」と伝えた。一方で芳野氏によると、玉木氏は今国会中の実現を明言しなかった。議論を急がない姿勢がにじむ。
党内には執行部が参院選で保守層の取り込みを狙っているとの見方がある。政治とカネの問題などを受け自民党と距離を置く保守層の受け皿となり、議席増につなげる戦略が浮上する。
自民党と連立を組む公明党も衆院選などで推進を掲げてきた。斉藤鉄夫代表はかねて石破茂首相に早期導入を直談判している。5日には法制審案を軸とする法案をつくっていると明かした。立民は今国会の法案成立に向け、公明党との連携に期待した。
それでも公明党は「手続き論」を持ち出して距離を置く。政府が関連法案を出すべきだと主張し、議員立法を進める立民などと方針が違うと説明する。連立相手の自民党との足並みが乱れれば参院選に悪影響が及びかねない事情がにじむ。
日本維新の会は選択的夫婦別姓の導入に慎重な姿勢を前面に出す。22日の党会合で旧姓使用に法的根拠を与える法案の骨子を議論した。戸籍法を改正し、戸籍に結婚前の姓を記載できるようにする内容を検討する。5月の連休明けの提出を目指す。
党内に夫婦別姓の推進論もあったものの、勢いは弱まる。前原誠司共同代表は24年12月に「私は賛成の立場だ。一議員として申し上げていきたい」と語った。最近は導入を急がない立場を強調している。
【図・写真】選択的夫婦別姓の導入に向け、民法改正案を提出する立憲民主党の議員ら(30日、国会)
首相、沿岸警備隊を視察 フィリピン、南シナ海の協力強調[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 667文字 PDF有 書誌情報]
【マニラ=手塚悟史】石破茂首相は30日、フィリピンで同国の沿岸警備隊(PCG)を視察した。日本が政府開発援助(ODA)で供与した大型巡視船の様子も見た。領有権を争う南シナ海で中国の挑発行為に向き合う最前線に出向き、日本の協力姿勢を強調した。
PCGは日本の海上保安庁に相当する機関で、海上保安業務に従事する。首相が視察した巡視船「テレサ・マグバヌア」は全長97メートル級で南シナ海の警備活動で中心的な役割を担う。2022年に供与した。
首相は巡視船で活動状況の報告を受けた。現地でPCGに技術指導する日本の海上保安官とも面会した。
日本はフィリピンにこれまで巡視船を12隻供与済みで、24年に新たに5隻を供与する覚書を交わした。29日のマルコス大統領との首脳会談でも海上保安の分野で日本の支援を拡充していくと伝えた。
東南アジアではフィリピンをはじめ、南シナ海に面する国々が中国の海洋進出を警戒する。日本は警戒監視に使う機材の供与や、隊員の能力構築を通じた支援策を模索する。
防衛装備品などを無償で渡す「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を活用して、フィリピンに沿岸監視レーダーを提供する。レーダーは南シナ海の船の動きを広範囲で把握できる。
日本はマレーシアに救難艇、インドネシアに高速警備艇を供与する。
日米比の3カ国での沿岸警備にも力を入れる。29日の日比首脳会談で3カ国での海上保安分野での協力を継続すると申し合わせた。6月に鹿児島県沖で共同訓練を予定する。
【図・写真】フィリピン沿岸警備隊を視察する石破首相(30日)=AP
米「政権あげて拉致対応」 国務副長官、被害者家族と面会[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 455文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】北朝鮮による拉致被害者の家族や早期帰国をめざす国会議員は29日、米ワシントンでランドー国務副長官に面会した。第2次トランプ政権の発足後、初めて米政府高官と会談した。
日本の出席者によると国務省側は「トランプ政権をあげて拉致問題に取り組む」と伝達した。
横田めぐみさん(失踪当時13)の弟で、拉致被害者家族会代表の拓也さんや超党派の国会議員でつくる拉致議員連盟の古屋圭司会長らが面会後に、記者団の質問に応じた。
拓也さんは被害者家族の多くが高齢になっている問題を米側に提起し「今日は元気でも、明日は元気でないかもしれない。時間がほんとうにない」と伝えたと明かした。
トランプ米大統領は第1次政権で日本を訪問した際に被害者家族と2回面会した。被害者家族や議連には「トランプ氏の心の中には『拉致問題を解決する』と打ち込まれているはずだ」(面会出席者の一人)との期待感がある。
米国務省は声明を発表し「ランドー氏は拉致問題の即時解決を実現するため、日本への米国の支援を再確認した」と記した。
首相、消費減税に改めて慎重姿勢 立民案の実現性を疑問視[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 368文字 PDF有 書誌情報]
【マニラ=手塚悟史】石破茂首相は30日、物価高対策としての消費税減税に改めて慎重な姿勢を示した。消費減税は高所得者も負担が減ると指摘した。「低所得の方が物価高で一番苦しんでいることから考えるとどうなのか。よく検討が必要だ」と述べた。
訪問先のマニラで記者団に語った。公明党の斉藤鉄夫代表は物価高を受けた経済対策に関し、消費減税も選択肢になり得るとの考えを表明している。
立憲民主党が参院選の公約に盛り込む食料品の消費税率を原則1年間に限りゼロに引き下げる措置にも言及した。
首相は「ごく短いあいだに2回のシステム変更が本当に可能か、事務の負担はどうなのかという問題がある」と提起した。
斉藤氏は夏の参院選までに与党として新たな経済対策を策定したいとの見解を示した。首相は「いまの時点で新たな経済対策を考えているわけではない」と話した。
米兵の性的暴行、大使に遺憾伝達 外務次官[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 244文字 PDF有 書誌情報]
船越健裕外務次官は30日、ジョージ・グラス新駐日米大使を外務省に呼んだ。在沖縄米海兵隊員の男性が基地従業員の女性に性的暴行をした事件で同日起訴されたことを受け「強い遺憾の意」を伝達した。
事件は3月に沖縄本島中部の米軍基地内で起きた。那覇地検は1等兵の男性を不同意性交と傷害の罪で起訴した。
船越氏は米軍人の綱紀粛正と事件の再発防止を強く求めた。グラス氏は「米国は米軍関係者に対するすべての刑事告発を真剣に受け止めている。捜査において地元当局と日本政府に全面的に協力している」と述べた。
財務相が資産訂正 中村・大河原議員も(短信)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 228文字 PDF有 書誌情報]
自民党の加藤勝信財務相(衆院岡山3区)と中村裕之氏(衆院比例北海道)、立憲民主党の大河原雅子氏(衆院東京21区)は30日、国会議員資産公開法に基づき7日に公開した資産報告書の訂正を衆院事務局に届けた。
加藤氏は保有株のうち1銘柄の数を千株から5千株に改めた。事務所は「株式分割の確認が遅れた。事務的なミス」と説明している。
中村氏は貸付金を1300万円から6701万4275円に修正し、金銭信託を0円から2円とした。大河原氏は貸付金750万円を追記した。
4月30日(首相官邸)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 188文字 PDF有 書誌情報]
(現地時間)
午前 フィリピン・マニラのホテル「シャングリ・ラ・ザ・フォート・マニラ」で日系企業関係者と懇談。ラグナ州カリラヤの「比島戦没者の碑」で献花。
午後 マニラの沿岸警備隊視察。海上自衛隊艦艇で隊員激励。報道各社のインタビュー。政府専用機でマニラ国際空港を出発。
(日本時間)
▽22時22分 ベトナム、フィリピン訪問を終え、妻佳子さんと共に羽田空港。
▽23時5分 公邸。
北方領土問題啓発へ会合 内閣府が有識者会議(短信)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
内閣府は30日、北方領土問題の啓発促進策を検討する有識者会議(座長・矢ケ崎紀子東京女子大教授)の初会合を開いた。ロシアのウクライナ侵略で現地への墓参や交流が途絶える中、北方領土に隣接する北海道根室市など1市4町に多くの人を呼び込み、地域振興につなげたい考えだ。
日本保守党が3新人 参院選(短信)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 70文字 PDF有 書誌情報]
日本保守党は夏の参院選3選挙区に新人を擁立すると発表した。候補者は次の通り。(敬称略)
北海道 小野寺秀▽福井 大坂幸太郎▽福岡 森健太郎
国民民主が新人擁立 参院比例、会社役員(短信)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 4ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
国民民主党は30日、夏の参院選の比例代表に、新人で会社役員の城戸佳織氏(57)を擁立すると発表した。
備蓄米、店頭へ1.4%どまり 3回目入札、初回比4%安 卸の受け入れ能力に限界[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1521文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省が30日発表した政府備蓄米の小売業者への出回り量(4月13日時点)は合計3018トンだった。2回目までの合計放出分の1.4%にとどまった。落札した全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者は、出荷の際に国への買い受けの手続きが必要だ。コメ卸も精米能力に限界があり、受け入れが追いついていない。
発表によると、落札済みの備蓄米計約21万トンのうち、集荷業者が引き取ったのは65%にあたる13万7879トンだった。
集荷業者は卸売業者から出荷依頼があると、備蓄米を管理する国に改めて買い受けの手続きをする必要がある。通常のコメ取引に比べると追加の手間となる。
出回りの遅れが特に目立つのはその先だ。集荷業者から卸売業者への出荷は2万73トンで、全体の9%にとどまった。コメ卸は玄米で備蓄米を受け取る。特に中小のコメ卸は精米能力などに限界があり、集荷業者ほどの大量の備蓄米の引き取りは難しい。
備蓄米は単一の銘柄では十分な数量を確保できないため、ほかのコメと混ぜたブレンド米による販売が目立つ。店舗用に新しい包装を用意する必要があるなど、通常のコメの販売に比べ手間がかかる。こうした販売計画を小売店などと作るのに時間がかかり「受け入れ開始からしばらくは、卸業者がまとまった量の備蓄米を荷受けできなかった」(集荷業者)。
JA全農の直近の集荷量はコメの生産量の3割ほどで、JA全農を通さない取引も多い。江藤拓農相は15日の記者会見で「日頃集荷業者と取引がない卸もおり、急に取引といっても窓口がいないので難しいということがある」と説明した。JAに備蓄米の落札が集中しがちな枠組みも、出回りが限られている要因との指摘が目立つ。
卸売業者からスーパーなどの小売業者に販売された備蓄米は3005トン。集荷業者から直接小売業者に届いた分が13トンだった。3月30日時点の出回りは1回目の放出分の0.3%だった。およそ2週間で流通量は拡大したものの、全体の落札数量の1.4%、外食産業への出荷分を入れても2%近くにとどまる。
需給の逼迫が長引くとの思惑から、コメ卸は在庫の確保を優先せざるを得ない事情もあるようだ。関東地方のあるスーパーの担当者は「備蓄米を入荷してもチラシで紹介しないよう卸に要望された」と打ち明ける。備蓄米は既存の人気銘柄に比べて1~2割安く、需要が集まり急速に在庫が減ることへの懸念があるという。
一方で気温が上がる初夏をひかえ「空調管理など品質管理の手間がかかる。在庫を積むメリットはない」(コメ卸)との声も上がる。
農水省は4月30日、23~25日に実施した3回目の入札結果も発表した。6事業者が入札し、放出対象約10万トンのほぼ全量が落札された。税抜きの平均落札価格は60キログラムあたり2万302円と初回(2万1217円)から4%低下した。今回は2024年産を中心に放出した1~2回目と異なり全量が23年産だったものの、根強い需要が確認された。
農水省は今回の入札から運用ルールを見直した。集荷業者から備蓄米を仕入れた卸売業者について、過去に取引実績がある卸売業者であれば備蓄米を販売できるようにする。これまでは精米後に小売業者など実需者への販売を義務付けていた。
3月末時点のコメの民間在庫は前年同月比35万トン(16%)減の179万トンと、18カ月連続で前年同月を下回った。高騰前の23年3月(251万トン)と比べると72万トン(29%)少ない。放出された約31万トンの備蓄米がすべて在庫に反映されたとしても、なお昨年の水準を下回る計算となる。備蓄米の放出が続くなか、店頭での品薄感がいつ解消するかが焦点となる。
ユーロ圏GDP1.4%増 1~3月年率、トランプ関税懸念[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 895文字 PDF有 書誌情報]
【ベルリン=南毅郎】ユーロ圏の1~3月期の実質域内総生産(GDP)成長率は、速報値で前期比0.4%だった。年率換算では1.4%だった。先行きは貿易戦争の激化で景気減速の公算が大きく、ドイツは3年連続のマイナス成長が現実味を帯びる。
欧州連合(EU)統計局が30日発表した。ユーロ圏はEU27カ国のうち20カ国で構成する。事前の市場予想である前期比0.2%を上回った。2024年10~12月期の0.2%から加速したものの、欧州域内で成長力には差が出ている。
国別では欧州最大の経済大国ドイツの成長率は0.2%、フランスが0.1%だった。独仏ともプラス成長は2四半期ぶりとなった。南欧のイタリアは0.3%、スペインは0.6%で域内の成長を支えた。
法人税率の低さから多国籍企業が集まるアイルランドが3.2%と高い成長率となり、欧州全体の数字を押し上げた側面もある。EUでは0.3%の成長だった。
先行きは景気が下振れする公算が大きい。企業の景況感が冷え込み始めており、4月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)は総合の速報値が50.1と前月から0.8ポイント低下した。ドイツは49.7と好不況の目安である50を再び割った。
トランプ米大統領は世界からの輸入品に課す「相互関税」でEUの税率を原則20%とした。当面は上乗せ分の一時停止で10%に下がるものの、米国とEUの交渉は綱渡りだ。トランプ政権の政策も二転三転しており、不透明感そのものが輸出や投資の抑制要因となる。
ドイツ政府は4月の経済見通しで、25年の実質成長率をゼロ%と1月時点から0.3ポイント下方修正した。米政権の関税引き上げを踏まえた見直しで、東西統一後で初となる3年連続のマイナス成長の瀬戸際に立たされる。次期メルツ政権は巨額の財政出動で景気浮揚を急ぐ。
欧州中央銀行(ECB)は次回6月の理事会で、7会合連続の利下げを話し合う可能性がある。ラガルド総裁は4月の記者会見で「経済成長の下振れリスクが高まった」と懸念を示した。理事会メンバーでフランス中銀のビルロワドガロー総裁は「利下げの余地はまだある」と発言し始めている。
災害時に外貨融通 日中韓ASEAN、月内発効へ[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 740文字 PDF有 書誌情報]
日本、中国、韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が5月にも緊急時の金融支援の適用対象を広げる。金融危機の際に外貨の融通を受けられる既存の仕組みを、感染症の大流行や自然災害に見舞われた際にも活用できるようにする。アジアの金融の安定につなげる。
既存の枠組みは「チェンマイ・イニシアチブ」と呼び、1997~98年のアジア通貨危機を受け、2000年にタイ・チェンマイで開いた日中韓とASEANの財務相会議で創設を決めた。参加国が保有する米ドルなどを、支援要請した国の通貨と交換して債務不履行(デフォルト)を防ぐ役割がある。
5月4日にイタリア・ミラノで開く会議で適用拡大に関する契約改定で合意する。日本からは加藤勝信財務相らが出席する。5月中に発効する方向だ。新型コロナウイルス禍で外貨不足に陥った国を中心に支援策の拡充を求める声が上がっていた。
日中韓とASEANの各国が外貨準備の中に一定の拠出枠を設けている。総額は現在2400億ドルで、日本と中国が各768億ドル、韓国が384億ドル、ASEANは10カ国で計480億ドルを出し合う。
既存の制度では国ごとに融通を受けられる額が決まっている。国際通貨基金(IMF)の支援を受ける際は割当額の満額を、受けない場合は40%分を引き出せる。新たな制度ではそれぞれ50%、20%に減らす。例えば日本は最大192億ドル、ベトナムは同50億ドル受け取れる。
金融支援を受けるには国の財政状況を示すことなどが求められる。新たに設ける感染症の大流行や自然災害時の外貨融通ではこうした要件をなくす。
現行制度は為替相場の急激な変動を抑えて市場の安定を図るのが目的で、適用対象を金融危機が起きた国に限定していた。これまでに支援を実施した事例はない。
GDP0.5%減 1~3月、民間予測[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 373文字 PDF有 書誌情報]
民間エコノミスト10人に国内総生産(GDP)の見通しを聞いたところ、1~3月期は実質で前期比年率0.5%減のマイナス成長となった。米トランプ政権による関税の引き上げによって外需の先行きに不透明感が増したほか、物価上昇を受けて個人消費も力強さに欠けている。
予測通りならマイナス成長は2024年1~3月期以来、1年ぶりとなる。経済産業省が30日に発表した3月の鉱工業生産指数を踏まえて今後の経済見通しについてアンケートを実施したところ、予測平均は前期比0.1%減、年率0.5%減だった。年率の実質成長率がマイナスと予測したのは6人、プラスと予測したのは4人だった。
内需の柱である個人消費は1~3月期の予測平均で前期比0.1%増と、小幅のプラスとなった。足元の消費者物価指数(CPI)は食料高の加速で3%台で推移しており、家計の重荷となっている。
公取委、イオンとツルハの経営統合を承認[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 309文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会は30日、イオンとツルハホールディングス(HD)の経営統合を承認したと発表した。ドラッグストア業界でトップシェアを占める2グループの統合により、公正な競争を阻害しないか審査した。競合が少ない地域の10店舗を他社に売却することを条件に認めた。
12月にツルハHDがイオン傘下のドラッグストア大手、ウエルシアホールディングス(HD)を完全子会社化する。その後イオンがツルハHDを連結子会社化する予定。
イオングループは傘下にドラッグストアをウエルシアや「イオンドラッグ」など約3200店、ツルハHDは約2500店を抱える。売上高は業界で1位と2位に位置しており、統合により公正な競争を阻害する懸念があった。
日次景気指数、4月4.98ポイント低下 2カ月連続マイナス[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 207文字 PDF有 書誌情報]
東京大学エコノミックコンサルティング(東京・文京)は30日、日本の景気の現状を示す日経・UTEcon日次景気指数(30日平均)をまとめた。4月末は6.16となり、前月末と比べて4.98ポイント低下した。低下は2カ月連続。
指数は日本経済新聞朝刊の記事データをもとに景気の動きを指数化している。記事データを分析し、景気に対してポジティブ、ネガティブな影響があるとみなした単語の出現回数をもとに景況感を判断している。
WithAI(3)乱造フェイクどう対応? 「情報汚染」阻む技術磨く[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1419文字 PDF有 書誌情報]
「サイバー詐欺に関与する多国籍犯罪グループが生成AI(人工知能)を積極的に取り入れており、複雑かつ憂慮すべき事態をもたらしている」
国連薬物犯罪事務所は4月下旬「変曲点(inflection point)」と題する100ページ近いリポートを公表した。前回報告から半年という異例の早さだ。東南アジアで急成長したサイバー詐欺の拠点が、南米やアフリカなどに拡大していると分析する。
偽動画をAIで作る「ディープフェイク」を駆使したなりすまし詐欺が横行し、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」で犯罪組織向けに専用ソフトを売る業者も10社以上特定したという。2023年のサイバー詐欺による経済損失は東アジアと東南アジアで最大370億ドル(5.3兆円)に上る。
みずほリサーチ&テクノロジーズの中志津馬氏は「日本も人ごとではない」と話す。2月にはタイと国境を接するミャンマー東部の犯罪都市「KKパーク」から日本人高校生2人が保護された。
技術の進歩で犯罪者の生産性も高まる。国際大学の山口真一准教授は「生成AIの誕生でディープフェイクの大衆化が起きた。近いうちにもっと簡単に使えるようになり、偽情報が一気に増えるXデーが来る」と話す。市民生活を守るには犯罪を防ぐ技術を磨くことが重要となる。
「本記事について、false(誤り)と判定されました」。富士通を中心にNECや東京大学などが参画し、偽情報対策に特化したシステムの開発が始まった。チャットボットにコンテンツを打ち込むと人の目では本物か判断が難しい文章をAIが次々と診断する。
文章や画像の真偽を判定するだけでなく、データを集めてその根拠まで示すのが特徴だ。自然災害時などを想定し、偽情報が社会に与える影響も分析する。真偽判定から分析まで一括で担うシステムの開発は世界初という。25年度末までにシステムを構築する方針で、25年夏にも試験導入を始める。
偽・誤情報がまん延し情報空間の「環境汚染」が進めば、民主主義が機能不全に陥る懸念もある。国立情報学研究所(NII)はコンテンツや人の顔情報の悪用を予防する「サイバーワクチン」の開発を進める。フェイク作りを予防する技術という位置づけだ。
サイバーワクチンは目視でわからない微小なノイズを埋め込む。AIに映像を誤判断させて人の顔などを認識できないようにし改ざんを妨害する。AIで加工箇所を表示したり、改ざんされた映像を復元したりする技術も開発する。
NIIの越前功教授は「人の目で全て監視するには限界がある。偽情報にあらがう国産技術の開発は不可欠だ」と話す。
偽情報の拡散防止や改ざん対策などを標準化する動きも広がる。アドビなどが立ち上げた標準化団体「C2PA」には、米国の企業を中心に200社超が参画する。米オープンAIが昨年末に始めた自動で動画を作るサービスでは、C2PAの規格に基づき「AI製」とわかる情報を埋め込む仕組みを備える。
もっとも、C2PAには中国企業が名を連ねず、米X(旧ツイッター)や米アップルも参加していない。日本企業からも「C2PAが浸透するかは未知数」との懐疑的な声も上がる。
生成AIの国際ルールを話し合う「広島AIプロセス」では信頼できるコンテンツ認証の導入や偽・誤情報、情報操作の回避に向けた開発投資を促した。
AIのルール作りを巡っては各国の間で足並みの乱れもある。協調に向け日本の担う役割も重くなっている。
外務省(人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 44文字 PDF有 書誌情報]
外務省(4月30日)不拡散・科学原子力課長、古本建彦
▽フィリピン大使館参事官、横田直文
内閣府(人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
内閣府(1日)日本学術会議事務局参事官、郷家康徳
こども家庭庁(人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
こども家庭庁(1日)成育基盤企画課長、横田愛
アラスカLNG、再浮上の怪(DeepInsight)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 7ページ 2095文字 PDF有 書誌情報]
2回目の日米関税交渉が実施されることになった。関連で浮上しているのがアラスカ州での液化天然ガス(LNG)の生産事業だ。トランプ米大統領が「日本や韓国が投資を望んでいる」と語るが、実は何度も浮上してきた〝いわく付き〟案件だ。
再び現れた〝亡霊〟にどう向き合うのか。事業性がないと切り捨てるのではなく、アジアの国々を巻き込んで戦略的に利用する知恵が必要だ。
丸紅、米でLNG開発、アラスカ州で生産――。1998年8月の日本経済新聞1面のトップ記事である。
丸紅が米国の石油大手などとLNG生産へ共同調査に着手する。アラスカ州北部のノーススロープガス田で産出する天然ガスをパイプラインで太平洋岸まで運んで液化し、日本や韓国、台湾に運ぶとの内容だ。
トランプ政権が投資を迫るプロジェクトとほぼ同じ内容だ。しかし、2007年の生産開始を目指した事業は日の目を見なかった。なぜ実現しなかったのか。丸紅は「検討したが、当時の案件を取り巻く環境から事業化には至らなかった」と説明する。
筆者はこの記事を取材・執筆するチームの一員だった。石破茂首相とトランプ氏の日米首脳会談でアラスカLNGが取り上げられたときに強い既視感を覚えた。
アラスカ北部の天然ガスを原料に使うLNG生産の構想は何十年もの間、出ては消えを繰り返してきた。ある研究者は90年前後に可能性を調べた。10年代にも合意間近との観測が報じられた。
利点は多い。未開発の原油や天然ガスが潤沢に眠る。パナマ運河を経由する米国メキシコ湾からの輸送に比べて半分以下の7日で日本に届く。中東のホルムズ海峡や南シナ海など地政学上のチョークポイント(要所)を通らない。
それでも関係者は事業化が難しいと口をそろえる。ガス田は北極海に面した寒冷地だ。産出したガスを太平洋岸まで運ぶパイプラインは総延長1300キロメートル。その間、「3つの山脈と800の河川」(日本政府関係者)を越えなければならない。
年間2000万トンの生産量は日本の消費量全体の3分の1近い。総事業費は440億ドル(約6兆2000億円)。難工事に加えて足元の資機材価格は高騰している。
関係者は前のめり気味の米政府やアラスカ州政府に対し、米エクソンモービルやコノコフィリップスなどノーススロープにガス田の権益を保有するエネルギー事業者の動きが鈍いことも警戒する。
エネルギー安全保障に有益でも、割高なエネルギーを買う羽目になるなら企業は乗れない。日本貿易会の安永竜夫会長は記者会見で「経済性や開発の持続性があるか慎重に見極める」と語った。
ただ、事はそう簡単ではない。アラスカLNGはトランプ政権が表明した相互関税や自動車、鉄鋼・アルミニウムへの追加関税など、関税をめぐる包括的な日米交渉に組み込まれているからだ。
米国向けの自動車・部品の輸出額は24年で7兆円あまりと、対米輸出額の約3分の1を占める。米国が輸入車に課す25%の関税発動の影響は数兆円に達する。自動車産業の減速の影響は鉄鋼や化学などの素材にも及ぶ。相互関税が発動されれば、25年の日本の実質GDP(国内総生産)を0.6%程度押し下げるとの試算もある。
米国産LNGの調達増量や、アラスカLNGへの投資は日本側が切れる貴重なカードだ。LNGプロジェクトの事業リスクと、関税や経済減速の回避。この2つを国益というてんびんにかけて判断が迫られる。
北極海は北極点を中心にロシア、グリーンランド、カナダ、米アラスカ州などが取り囲む。氷が覆う海には世界の未発見天然ガスの3割が眠るとの分析がある。
トランプ大統領はグリーンランドの「購入」に意欲を示す。狙いはグリーンランドの資源と、戦略的な重要性を増す北極海航路への関心だとされる。
北極海の資源開発と航路利用ではロシアが先行する。極北でのLNG生産や砕氷船を使う欧州やアジアへのLNG輸送も実施されている。北極海は米ロのエネルギー覇権をめぐる競争の舞台だ。アラスカ開発は日本の意図を超えて戦略性を帯びる可能性がある。
アラスカ州のダンリービー知事は3月、日本や韓国、台湾などアジア各国・地域を訪れた。台湾では滞在中、頼清徳総統と会談し、年600万トンのLNGを購入する意向書を交わした。
米国はアラスカLNGを関税だけでなく安保協力にも巧みに絡ませる。台湾は中国との有事をにらみ、米国に軽々に背を向けることはできない。日本に対してもいつ、装備品の調達拡大や防衛費の増額要求と結びつくかわからない。
LNGの買い手となるアジアの消費国・地域の連携が重要だ。「台湾は投資に前向きだが、日本は後ろ向き」と見られてはまずい。参加の判断は安価で安定的なエネルギー供給に寄与するかどうかだ。連携することで資金や引き取り量を分担し、プロジェクトの事業性を高める活路も見えてくる。
資源・エネルギーと安保は表裏一体だ。世界が自由貿易の追求で歩調をそろえる時代にはエネルギーの需給や価格は市場が決める。トランプ氏が迫る世界の分断と貿易戦争の下で、エネルギーは戦略物資の色彩を一層強めている。
再生エネ、逆風でも失速せず 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)事務局次長 ガウリ・シン氏(グローバルオピニオン)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1558文字 PDF有 書誌情報]
再生可能エネルギーの導入拡大機運に影が差しているといわれる。米国の政策転換や、地政学的な要因が重なって停滞感が生じているのは確かだ。しかし3つの理由により、モメンタム(勢い)は失われないと考える。
まず、(気温の急変や大雨などの)極端な気象によるQOL(生活の質)低下や農作物の生育パターンの変化などを人々が目の当たりにしている。次に、多くの国が温暖化ガス削減策を、自国経済によかれと考えて実施している。私の出身国インドで再生エネが拡大しているのも、火力などより安価で経済的だからだ。
3つ目は、市場が対策の推進を求めている。企業が収益を最大化しようとする結果、温暖化ガス排出も減る。エネルギー政策は今や産業政策そのものだ。洋上風力の拡大が発電設備の建設に必要な船の需要を押し上げるように、経済効果が多様な分野に波及し成長を促す。米国にとっても再生エネは経済的に有利なはずだ。共和党の支持基盤で石油基地もあるテキサス州は、米国における太陽光・風力発電の先進地でもある。
そもそも、エネルギー転換が難しいのは皆が承知のうえだ。障害なく進められるなどと、はなから思っていない。世界の再生エネ導入は拡大を続けるだろう。我々の進む方向は変わらない。
大切なのは、この先2030年までの5年間に各国がどれだけのことをできるかだ。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の(産業革命前に比べた地球の気温上昇を1.5度以下にとどめる)1.5度目標の達成へ国際社会に残された時間は限られる。
日本が第7次エネルギー基本計画に含める水素やアンモニアの本格利用は10年程度先になり、今後5年内には実現しないだろう。エネルギー安全保障の観点からも、太陽光と洋上風力に力を入れるのが理にかなう。
温暖化ガスを減らす道筋が国によって異なるのは当然だ。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、1.5度目標に向け各国が前進しているのを見届ける役目を担う。データを集め再生エネの導入具合を確認する。メンバー国・地域は約170に増え、活動は広がっている。対策技術を持つ国・地域も支援を必要とする側も含むので、両者を橋渡しできる。
インドのモディ首相は15年にパリで開いた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、フランスとともに「国際太陽光同盟(ISA)」を発足した。太陽光がふんだんに降り注ぐのは主にグローバルサウス(新興・途上国)だが、必要な技術が行き届かない。資金支援とともに技術普及を進め、太陽光の利用拡大へ行動を起こすのが同盟の目的だ。
21年に英グラスゴーで開いたCOP26では再生エネ普及のために送電網を整備するプロジェクトを、英国やインドが共同で進めることになった。ISAも協力する。究極的には時差を利用し、国境を越えた送電網によっていつでもどこでも太陽光発電の電力を使える体制を思い描いている。
インドとアラブ首長国連邦(UAE)は両国間の連系線の可能性などを調査し始めた。インドはミャンマーを手始めに東南アジア諸国連合(ASEAN)と送電網をつなぐ構想を進める。シンガポールはインドネシアの島々から太陽光で発電した電力を輸入する計画だ。欧州諸国にも以前から、アフリカ大陸との間で送電網を拡充する計画がある。中東諸国間でも連系線が実現しつつある。
広域をカバーする送電網があれば再生エネの出力変動を吸収し、需給バランスも維持できる。大規模な電力系統そのものが、あたかも巨大蓄電池のような働きをするようになる。IRENAはこうした計画を後押しする。
(談)
【図・写真】Gauri Singh インドで長年にわたり太陽光発電の普及、農村の持続可能な開発などに関与し、貧困女性の救済策でも手腕を発揮した。2019年から現職。
再生エネ、逆風でも失速せず――アジアで連携を(グローバルオピニオン)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 7ページ 439文字 PDF有 書誌情報]
太陽に面した地球の「昼間」の地域で発電した電力を、反対側の「夜間」地域に送るといった壮大な構想は以前からある。夢物語にも聞こえるが、シン氏は将来的な実現性を信じているようだ。地球規模ではないが、国境をまたぐ送電網は既に多く存在する。欧州連合(EU)内はもちろん、アフリカ大陸とEUの間を結ぶ送電網もあり、拡大が検討されてきた。
再生可能エネルギーへの投資に消極的な米国が、送電網プロジェクトに力を入れることは当面ないだろう。一方、太陽光パネルや風力タービンで高いシェアを握る中国は、アフリカや東南アジアでの再生エネ事業や送電網関連の投資を増やし、地域への影響力を強める可能性がある。
日本でも研究者レベルでは韓国や中国と送電網をつなぐ案が過去に幾度となく出ているが、具体化には至っていない。日本の技術や電力システムに対する評価は高い。国際情勢をにらみつつ、国益を最大化する観点からも、アジア地域にまたがる送電網の可否をあらためて考えてみる価値はありそうだ。
(編集委員 安藤淳)
証券大手4社、57%増益 前期最終、投資銀部門が伸びる 米相互関税で変調の兆し[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1247文字 PDF有 書誌情報]
30日までに2025年3月期決算を発表した大手証券4社の純利益は、合計で前の期比57%増の6416億円だった。「貯蓄から投資」の流れが進む中で個人や富裕層向けの営業が好調だったほか、企業活動の活発化で投資銀行も伸びた。
野村ホールディングス(HD)は19年ぶりに最高益を更新し、大和証券グループ本社は14年3月期に次ぐ過去2番目の純利益となった。
SMBC日興証券や30日に決算発表した三菱UFJ証券HDも含めた4社合計の純営業収益(売上高に相当)は16%増えた。大手のみずほ証券はみずほフィナンシャルグループに占める利益の割合が大きくなったとして親会社に先行した決算開示をとりやめ、例年より約2週間遅い5月中旬の公表を予定している。
好調の理由は大きく2つある。1つ目は、新たな少額投資非課税制度(NISA)などで「貯蓄から投資」が加速したことだ。個人・富裕層向けの営業部門の業績がSMBC日興では3倍。野村で4割、大和が2割の増益となった。
各社は短期の株式売買手数料ではなく、預かり資産に応じた収益に注力することで相場に左右されづらい経営体制構築を進めている。預かり資産連動収益は開示している野村・大和・SMBC日興の3社で25年3月期に計2割以上増えた。
もう一つは、資本効率の改善に向けた企業活動の活発化による投資銀行収益の拡大だ。
政策保有株の解消で株式引き受けが増えたほか、24年度の日本関連M&A(合併・買収)は過去最多(レコフデータ調べ)となった。大和は投資銀行部門の経常利益が最高だった。
ただ、足元ではこうした追い風に反転の兆候がある。4社合計の四半期ベースの純利益は、25年1~3月期が24年10~12月期比で30%減少した。
主因はトランプ米政権の政策だ。年明け以降の株価の変調で、野村とSMBC日興では、25年1~3月の個人部門の売買手数料に基づくフロー収益が24年10~12月に比べて2割減った。「相互関税政策をきっかけに(顧客の)様子見姿勢が広がった」(野村の北村巧財務統括責任者)
投資銀行部門も「M&Aの執行は足踏み状態にある」(みずほ証券の浜本吉郎社長)。英LSEGによれば、世界の1~3月期のM&A件数は同期として9年ぶりの少なさとなった。日本も6年ぶりの低水準だ。
「足元では、立ち止まって成長投資を考え直す企業がいる」(大和の吉田光太郎最高財務責任者=CFO)。株式引き受けについても「株価調整でファイナンスニーズが減退する可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の本城史朗CFO)
市場部門も誤算があった。特に債券関連では、三菱UFJ証券を除く3社が1~3月に前四半期比減収となった。「国債の需要が思うように増えず在庫を抱えたまま金利が上がった」(大手証券幹部)
個人・富裕層部門では「フロー収益へのマイナス影響は考慮に入れる必要がある」(SMBC日興の後藤歩常務執行役員)。25年度は「相場任せ」脱却の成果が、各社の明暗を分けそうだ。
大手銀決算、利上げで好調 三菱UFJは最高益 保有株売却で押し上げ 外債含み損を相殺[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1014文字 PDF有 書誌情報]
大手銀行で歴史的な好業績が相次ぐ。日銀が利上げに踏み切り、長く低迷していた貸出金の利ざやが改善したことが大きい。邦銀最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループは30日、2025年3月期の業績予想を修正し、連結純利益が過去最高を更新すると発表した。りそなホールディングスも同日、業績予想を上方修正した。
三菱UFJは5月15日に決算を発表する。連結純利益は前の期比25%増の1兆8600億円になる見通しで、2期連続で最高益となる。従来予想は1兆7500億円だった。与信費用の戻り入れ益を計上したほか、米モルガン・スタンレーの業績が堅調だった。
25年3月期は、24年3月に日銀がマイナス金利政策を解除して以降、利上げの影響が1年を通じて反映される。金利上昇で企業や個人向け融資で利ざやが改善し資金収益が増加したことも好業績の要因となっている。
政策保有株式の売却益も寄与する。三菱UFJは24年度からの3年間で7000億円の政策保有株を売却する計画を立てた。売却額は計画値の3割超にあたる2250億円(24年12月末)に上る。
業務純益は1兆5900億円と従来予想の1兆9500億円から下方修正。前の期比14%減となる。米金利上昇(債券価格は下落)を受け、24年12月末時点で1兆192億円に膨らんでいた外国債券の含み損を処理した。
三菱UFJは24年12月末時点で満期保有を前提としない「その他有価証券」にあたる約61兆円の残高のうち、約4割にあたる約26兆円を外国債券で運用している。米国の金利上昇に伴って過去に買い入れた外債の評価額が下がり、24年9月末に5655億円だった含み損は同12月末時点で1兆円超に膨らんでいた。
今回の外債処理は政策保有株の売却益などで相殺したとみられる。多額の売却益が出るうちに、含み損を抱える外債の損切りで将来の収益力を高める狙いがある。
トランプ米政権の関税政策の影響など先行きの不透明感は強まり、有価証券運用のポートフォリオを見直す重要性が増す局面になっている。25年3月期は保有証券の損失処理を集中的に進める方針をかねてから示しており、「主に外債の含み損の処理に取り組む」(財務企画部)としていた。
経常利益は2兆6600億円と従来予想の2兆5000億円から上方修正した。期末配当を39円(前年同期は20円50銭)と従来予想から4円上積みし、年間配当は64円(前の期は41円)とする。
米アポロCEO、ファンド直接融資「4潮流」 次世代インフラ/個人の投資旺盛/退職金市場台頭/変わる運用会社[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 797文字 PDF有 書誌情報]
米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントが企業再編や次世代インフラへのマネーの供給役として存在感を強めている。プライベートクレジットと呼ぶファンドの直接融資だ。共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のマーク・ローワン氏は日本経済新聞の取材で「プライベート投資に4つの大きなトレンドがある」と指摘した。
1つ目として人工知能(AI)やエネルギー分野で「グローバル・インダストリアル・ルネサンス(世界の産業ルネサンス)」と呼ぶ大規模な資金需要がみられると言及した。「世界の政府や企業はデータ構築とエネルギー源を重視し、次世代の製造業を築こうとしている」と語った。アポロは24年に半導体工場を造るインテルに110億ドルを投資した実績がある。
ローワン氏は「銀行の貸借対照表(バランスシート)に載る資金調達や債券市場に上場する単純な調達はごくわずかだ」と述べ、非公開市場の活用需要が伸びるとした。
2つ目に挙げたのは非公開資産へ投資する個人投資家の急拡大だ。「個人の投資規模が機関投資家をしのぐまでに40年もかからない」と話した。
3つ目は「退職金市場の台頭」だ。アポロは傘下の米退職年金サービスのアテネ・ホールディングを通じて「公的資産と私的資産を混ぜ、50年に渡って複利計算をすると超過リターンは良い結果をもたらす」と説いた。
4つ目は伝統的な運用会社の変化だ。「40年前、プライベートはすべて危険で(上場株式などの)パブリックの商品はすべて安全という認識だった」と振り返った。「新しいアクティブ運用は株式売買ではなく、パブリックにプライベートを追加すること」と断じた。
日本企業が自己資本利益率(ROE)向上に向け「事業の売却を進める一方で資金調達が必要になる」との見解を示した。「日本企業が銀行や株式以外の資金源を活用する場合、アポロがパートナーになりたい」と表明した。
(聞き手は四方雅之)
保険見直し本舗、個人情報510万件漏洩か ランサム被害[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 676文字 PDF有 書誌情報]
保険ショップ大手「保険見直し本舗」を運営する保険見直し本舗グループは30日、ランサムウエア被害により約510万件の個人情報が流出した可能性があると発表した。漏洩した恐れのある情報は保険契約者の氏名や住所、電話番号などだ。
30日時点では、顧客情報が外部に公開された事実は確認されていないという。
保険見直し本舗は全国に約380店舗展開する保険ショップで、商業施設などに出店している。日本生命保険や東京海上日動火災保険など40社以上の保険商品を取り扱っている。
漏洩は2月16日に発覚し、外部専門家を交え原因や影響などを調査してきた。被害発覚後は関連するサーバーをネットワークから切り離すなどの措置を講じたという。
ランサムウエアによる被害件数は増加している。警察庁によるとランサムウエア被害の報告件数は20年以降に急増しており、24年の報告件数は222件に上った。
金融機関でリスクが高まるのが取引先や業務の委託先へのサイバー攻撃による被害だ。23年1月にはアフラック生命保険の業務委託先に不正アクセスがあり、氏名や年齢などの個人情報約130万人分が外部に流出した。チューリッヒ保険でも業務委託先が不正アクセスを受け約69万人の顧客情報が漏洩した。
金融機関は関係先が多く、第三者のサイバーセキュリティー対策の管理まで手が回らないことも多い。金融庁は24年10月に金融機関向けのサイバーセキュリティーに関するガイドラインを公表し、金融機関に関係先のサイバーリスクを適切に管理するよう求めている。サイバーリスクが高まるなか、体制整備が急務になっている。
あいおいニッセイ、廃EVの電池再生参入 新興と[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 343文字 PDF有 書誌情報]
あいおいニッセイ同和損害保険が、電気自動車(EV)に搭載する電池の再利用事業に本格参入する。省エネ機器製造のMIRAI―LABO(ミライラボ、東京都八王子市)と資本業務提携を結び、事故車から回収した電池を再生する。
あいおいは30日、ミライラボの株式の約4%を8億円程度で取得した。
損害保険会社は車が事故で修理不可能になると保険金を支払い、事故車の所有権を受け取る。ミライラボはあいおいから受け取った中古電池を再生し、街路灯などの機器に組み込み製品にする。再生した商品はあいおいの取引先や連携協定を結ぶ約540の自治体に販売する。
これまでは整備工場などが損保からEVを買い取っていた。整備工場にはEVの中古電池を再利用するノウハウがなく、倉庫に保管したままになっている例があった。
三井住友銀、企業決済遅れ システム障害の影響で[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 300文字 PDF有 書誌情報]
三井住友銀行は30日、企業などの電子記録債権(でんさい)を使った決済で、同日付で処理する予定だった手続きが遅延していると明らかにした。29日に起きたシステム障害の影響で、手続きの処理に通常よりも時間がかかっている。
個人の入出金でも処理に遅延が出ている。処理が終わっていない決済件数は調査中だ。同行は「5月1日にできるだけ4月30日付で処理すべく最善を尽くす」としている。
システム障害は29日午前1時20分ごろから発生した。関西にある一部の拠点の口座を持つ個人と法人顧客はATMによる預金の引き出しやインターネットバンキングでの取引ができなくなった。この不具合は同日午後11時16分ごろ解消した。
大手5行、固定型の住宅ローン金利引き下げ 変動型は維持[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 221文字 PDF有 書誌情報]
大手銀行5行は30日、5月の住宅ローン金利を発表した。三菱UFJ銀行など5行は10年固定型の住宅ローン金利を引き下げる。固定型の主な基準となる10年物国債利回り(長期金利)の低下を受けた。
5月の10年固定の最優遇金利は5行が引き下げる。三菱UFJは1.63%、三井住友は1.8%、みずほは1.6%、三井住友信託は1.865%、りそなは2.055%とする。住宅購入者の8割近くが選んでいる変動型の住宅ローンの基準金利は5銀行とも据え置いた。
大手銀決算、利上げで好調 三菱UFJは最高益――りそなHD、純利益32%増 前期上方修正[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 8ページ 156文字 PDF有 書誌情報]
りそなホールディングス(HD)は30日、2025年3月期の連結純利益が前の期比32%増の2100億円になる見込みだと発表した。従来予想から350億円上方修正した。
金利収入に加えて、投資信託の販売手数料や信託報酬などの「フィー収益」が増えた。与信費用が当初予想を下回ることが寄与する。年間配当の予想は据え置く。
米に滞留の9兆ドル、欧州回帰の機運 関税政策受け依存脱却 テック・防衛株に再評価[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1614文字 PDF有 書誌情報]
欧州の投資家が米国に偏った資産配分を見直し始めた。焦点は保有額が5年で倍増した米国株9兆ドル(約1280兆円)。トランプ米政権の関税政策と経済不確実性を理由に一部のマネーは欧州に回帰し、株式相場を支える。「米国依存からの脱却」をテーマに国防や経済安全保障を担う欧州企業の再評価にもつながっている。
トランプ米大統領が相互関税の詳細を公表した4月2日以降、欧州の投資家は本格的に運用戦略の再考に動いている。例えばドイツ銀行系の資産運用大手DWS。欧州株への投資評価を「ニュートラル(中立)」から「オーバーウエート(強気)」へ引き上げた。
これまで欧州投資家は運用資金を米国の資産に振り向けてきたが「マネーの逆回転は当面続きそうだ」(DWSのヴィンチェンツォ・ヴェッダ最高投資責任者=CIO)との見方が浮上している。調査会社EPFRによると23日までの2週間で米国株ファンドから65億ドルの資金が流出。一方で欧州株ファンドには同期間に93億ドルが流入した。
米財務省によると米国外に居住する投資家の米国株保有額は25年2月時点で18兆ドル。うち欧州勢は9兆ドルと半分を占める。直近5年で倍増した。欧州株の運用成績は米国株に劣後する状況が続き、マネーの米国シフトを招いた。欧州景気の停滞に加え、エヌビディアなど人工知能(AI)相場をけん引するテック企業が米国に集中していたことが響いた。
トランプ政権の関税政策は「米国偏重」リスクを意識させた。企業や消費者心理の悪化を招き、米景気停滞の可能性が高まった。ドル安・欧州通貨高傾向は為替ヘッジなしの運用成績悪化につながる。仏運用大手アムンディのヴァンサン・モルティエ・グループCIOは「経済政策の予測が難しい状態では、米国資産をオーバーウエートのままにできない」と話す。
トランプ政権の誕生が欧州に新たな投資機会をもたらしたことも欧州回帰を促している。テーマは「米国からの自立」だ。
トランプ政権は欧州連合(EU)に防衛負担や競争条件の不公平さに不満を表明している。欧州は米国に依存しない体制構築が急務となった。一つが防衛力強化だ。ドイツでは5月にも発足するメルツ連立政権が国防費などへ約1兆ユーロ(約162兆円)を投じる見通しだ。EUは3月に「再軍備」計画を表明済みだ。
欧州の防衛支出拡大をにらみマネーは先回りする。戦車や弾薬の製造の独ラインメタルの株価は24年末比で2.4倍になった。戦闘機開発・製造のスウェーデンのサーブ株は87%高だ。米国の同業他社を上回った。
米国からの自立には欧州企業の競争力強化が欠かせない。テック分野で米国に後れをとったことに対する欧州の危機感は強い。欧州中央銀行(ECB)のドラギ前総裁は24年9月、AI利用など欧州の産業強化策を提言した「ドラギリポート」をまとめた。
民間主導で米国製のソフトウエアの使用依存度を減らす「ユーロスタック」も広がる。3月には欧州の100超の企業・団体が共同で推進を求めて、EUのフォンデアライエン欧州委員長に書簡を出した。英運用会社M&Gインベストメンツのファビアナ・フェデリCIOは「米関税政策はドラギリポートが示した競争力強化策の実現を加速させる」と期待する。
欧州の政策に期待したマネーは域内の代表的なテック企業に向かい始めた。独ソフトウエアSAPの株価は24年末比で8%高となり、米マイクロソフト(同7%安)や米エヌビディア(同19%安)を上回って推移する。
欧州景気は回復途上で、関税による下振れリスクもある。欧州各国が防衛強化で結束できるか予断を許さない。とはいえ欧州は危機を通じ統合を深化させてきた歴史がある。欧州各国の本気度が投資家に伝われば、マネー回帰は息の長いものになりそうだ。米国株市場に積み上がった「9兆ドルの山」の行方は欧州株相場のみならず欧州経済の競争力をも左右する。
(ロンドン=大西康平)
米国企業、業績底堅く 1~3月利益 7割が市場予想超え[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 9ページ 405文字 PDF有 書誌情報]
米国企業の1~3月期決算発表が本格化する中、利益が市場予想を上回るケースが相次いでいる。ファクトセットの集計によると、米S&P500種株価指数の構成銘柄で足元までに決算発表した企業のうち、73%が市場予想を上回った。底堅い企業業績を支えに、米国の株式相場はトランプ米政権が関税政策を発表する前の水準を取り戻しつつある。
ファクトセットが市場予想と決算の内容を分析した。対象は1~3月期の決算発表を終えた企業で、S&P500種株価指数の構成銘柄の36%を占めた。対象銘柄の1株当たり利益(EPS)はアナリスト予想を全体で10%上回った。
米製薬大手ファイザーが29日発表した1~3月期の純利益は前年同期比5%減の29億6700万ドル(約4200億円)と、市場予想を4割近く上回った。同日の株価は前日比3%上昇。米広告大手のインターパブリック・グループ・オブ・カンパニーズも純利益が市場予想を3割近く上振れした。
日本国債はすでにミニ・ショック 過剰発行が影、利上げ困難 浅井将雄氏(Foresight)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1731文字 PDF有 書誌情報]
英キャプラ・インベストメント・マネジメント共同創業者 浅井将雄氏
トランプ米政権の誕生で通貨や債券の行方に不透明感が漂う。邦銀ディーラーをへてヘッジファンドを立ち上げ、世界最大規模の債券ヘッジファンドに育てた英キャプラ・インベストメント・マネジメントの浅井将雄・共同創業者に見通しを聞いた。キャプラは日本国債市場で存在感が大きい。
――「米国売り」を背景にドル安・円高が進みました。
「米国を中心としたグローバル化やドル基軸が揺らぐなら、米国やドルを扱う米銀行の圧倒的な優位性が崩れる可能性がある。基軸通貨ドルは米国の繁栄を支えてきたが、トランプ大統領が『米国を搾取してきた』というロジックに変えてしまった。米国に向かっていた資金は逆流している。これは当面続くだろう」
「世界の投資家、特に中国などの政府系ファンド(SWF)が米国一極集中を一部見直す動きが続いている。『ドル売り』や『米国資産の投げ売り』という言葉は少ししっくりこない。ドル資産の減価リスクを感じポートフォリオを守るために先物取引や先渡し取引を使ってドルのヘッジ(損失回避)を増やしている」
――円が買われやすい環境が続くでしょうか。
「グローバルな投資家は円資産を持ちたいわけではない。安全資産としてドルに代替する潜在力を求めるとしたらユーロだ。米国と欧州連合(EU)のぶつかり合いがトランプ関税交渉をきっかけに表面化し、マネーが動いている。関税交渉も米国にとって日本は前哨戦であって、本丸ではない。米国はEUとの交渉に時間を割きたいはずだ」
――とはいえ、対ユーロのドル安は円高にも跳ね返ります。
「米資産の信認が失われれば日本の投資家によるドル資産のヘッジでドル円相場は1ドル=110~125円が意識されてもおかしくはない。一方、円買いがたまっており、関税交渉が無難にまとまれば一度は148円付近に戻るだろう」
「ただ交渉が難航し、円安是正合意が行われる事態は可能性は低いが、影響が甚大なテールリスクとして考慮に入れざるを得ない。円高を生かす政策を日本政府が見いだせなければ、産業が疲弊し潜在的な円安のマグマはたまる。トランプ政権交代後、有事の際に1ドル=200円に近づく事態もありえる」
――債券市場では日本の超長期国債も利回り上昇(価格の下落)が目立ちます。
「日本では新規国債の発行量が多大になり、利上げの下ではすでに買い手がいなくなりつつある。超長期債の流動性は危機的だ。20年債や30年債は入札の後、日々0.07~0.08%も動く。英国債が急落した『トラス・ショック』のミニ版を見ているような感覚だ」
「過剰発行の中で日銀が買い切りを減らしてきた弊害が出ている。日銀が国債購入で対応すべきなのか財務省が発行計画を見直すべきなのか。投資家不在のまま30年債利回りは3%が見えてきた。この年限では長期金利はすでに中国よりも高い」
――日銀はどう動くでしょうか。
「日銀の利上げはかなり難しくなった。トランプ関税を巡る不確実性は極大化しており、『オントラック(想定通り)』から外れ、従来の利上げペースは変更を余儀なくされている。参議院選挙も踏まえ夏の利上げの可能性は大きく後退している。すべては米関税を巡る不確実性と日本の国内政局の結果をみてからの判断となる。次の動きは年末だ。利上げではない可能性も十分にある」
「利上げ確度が後退し、短中期国債には投資機会がある。(固定金利と変動金利を交換する)スワップ取引での金利水準に比べ国債の現物は魅力的で、日銀が利上げできないことを前提にすれば割安だ。短期のスワップスプレッドをここ数日大きく購入している」
「国債は供給過多である一方、スワップ市場は利上げを見越したポジションの巻き戻しがあり、短期的に異常な状況が生まれている。本来、金融機関が是正する取引をするが、リスクを取れず金利マーケットでゆがみが頻発している」
(聞き手はロンドン=山下晃)
あさい・まさお 旧UFJ銀行出身。東京三菱銀行とUFJ銀行が合併する際、同僚と独立し2005年にキャプラを設立。預かり資産はおよそ350億ドル(約5兆円)と債券系のヘッジファンドでは世界最大級。
スイス2年債、マイナス圏 米国資産の逃避先に(MarketSCOPE)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 9ページ 504文字 PDF有 書誌情報]
スイスの2年物国債利回りがマイナス圏に低下(債券価格は上昇)している。4月上旬からマイナス圏で推移し始め、29日には一時、マイナス0.04%台になった。トランプ米政権の政策運営を巡る警戒感から米国の資産を手放す動きが広がった。金融緩和も積極的と受け止められており、逃避資金の受け皿としてスイスの国債が選ばれている。
トランプ米政権が掲げる通商政策が世界景気の減速を招くのではと不安視する見方が広がり、市場参加者のリスク回避姿勢が強まった。投資マネーが米国から流出し他の地域へ向かう中で欧州が選好されている。
通貨スイスフランの上昇を背景にスイス国立銀行(中央銀行)の金融緩和観測が強まっている。スイスは輸出立国で通貨高が物価に下押し圧力をかける経済構造だ。2015~22年には政策金利をマイナスにした。2年債利回りは政策金利の市場予想を反映しやすいとされる。
スイス中銀のシュレーゲル総裁はマイナス金利政策を再開する可能性について繰り返し言及している。市場では「年内にもスイス中銀が政策金利をマイナス圏に引き下げる可能性は高い」(ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリスト)との声が聞かれる。
World Market[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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AIメモリー、韓国勢増産 サムスン反攻へ、SK好調 需要旺盛も関税リスク[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1496文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美】韓国のサムスン電子とSKハイニックスが、生成AI(人工知能)向けの高性能メモリー半導体「HBM」の生産増強を急ぐ。サムスンは半導体事業の巻き返しへ出荷を増やし、SKも生産設備をフル稼働させる。旺盛な需要の取り込みを狙うが、トランプ米政権の高関税政策で需要が下振れするリスクも出ている。
「不確実性が高まっているからこそ、高付加価値の製品に注力する」。サムスンが30日に開いた2025年1~3月期決算の説明会で、金在駿(キム・ジェジュン)副社長はHBMへの取り組みを強調した。
営業益4割減
1~3月期は屋台骨である半導体部門の営業利益が前年同期比42%減の1兆1000億ウォン(約1100億円)に落ち込んだ。競合に比べHBMの量産が遅れ、生成AI向けに拡大が続く需要を取り込めていないことが不振の一因だ。
金副社長は巻き返しに向け、現時点で最先端品である「HBM3E」の出荷を増やし、25年後半には次世代品となる「HBM4」の量産も始めると説明した。
HBMの生産を手掛けるのはサムスンとSK、米マイクロン・テクノロジーの3社にほぼ限られる。なかでも韓国勢の生産能力は高く、韓国キウム証券によると25年の世界シェアはSKが50%、サムスンが37%で計9割近くに及ぶ。
HBMはメモリー半導体のDRAMを積層したもので大容量のデータを高速で処理できる。AIの学習や推論に使う画像処理半導体(GPU)とともにサーバーに搭載され使われる。生成AIの駆動に欠かせないため需要が急拡大しており、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、グーグルといった米テック大手の投資に伴い、引き合いも強まる。
HBMの開発や量産で先行したSKの25年1~3月期決算は、営業利益が前年同期比2.6倍の7兆4405億ウォンで同期として過去最高になった。金祐賢(キム・ウヒョン)最高財務責任者(CFO)は「25年のHBMの売上高は24年と比べ2倍以上増える」と説明。フル稼働でも供給が追いつかないという。
サムスンやSKの業績を左右するHBMだが、トランプ米政権の高関税政策がリスク要因として浮上してきた。
トランプ氏は半導体について「相互関税」の対象から外す一方で、品目別で追加関税を課す方針を示している。サムスンとSKはバイデン前政権下の誘致策で計画した新工場を活用し、関税の影響を軽減するため米国でHBMなどの半導体を製造する計画も進めている。
IT投資減速も
ただ関税によって様々な製品のコストが増えれば、企業がIT(情報技術)投資を減らす恐れがある。台湾の調査会社トレンドフォースは25年のAIサーバーの出荷量は24年比25%伸びると推測するが、関税でIT投資が冷え込んだ場合には伸び率が18%に低下するシナリオも描く。
AIサーバーの需要が落ち込めば、サムスンやSKのHBMの受注も予想に比べて下振れしかねない。
韓国半導体産業協会の安基鉉(アン・ギヒョン)専務は「関税が課せられれば顧客の輸入コストが上がり、埋め合わせのためにHBMメーカーに製品値下げを求める声が出るだろう」と懸念する。
半導体は韓国経済の中核で、24年の輸出金額は23年比43%増の1437億ドル(約20兆円)と過去最高だった。輸出総額の2割強を占める最大品目の半導体を巡っては、韓国政府が米国と関税交渉を進めている。
米韓の交渉の進展や、目まぐるしく変わるトランプ関税の内容など、先行きに不透明感が強まる。サムスンやSKはHBMの需要を確実に取り込みつつ、他の事業にも注力することでリスクの分散を図ることも重要となる。
東南ア、関税交渉に苦慮 タイ、農産物輸入拡大に反対の声 インドネシアは販売規制緩和へ雇用懸念[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1488文字 PDF有 書誌情報]
米国の関税交渉を巡り東南アジアが打ち出す譲歩案で各国が揺れている。米農産物の輸入拡大を打ち出すタイでは農家が撤回を求めているほか、電子機器などの現地生産規則を見直すインドネシアでも雇用悪化に懸念が強まる。
4月中旬、タイの畜産農家らが加盟する60超の団体がバンコクに集結した。参加者は「畜産業の破壊をやめろ」などと書かれたプラカードを掲げ政府庁舎前で抗議した。
タイ政府は米国産牛肉の輸入拡大を検討中だ。現在は30~50%の関税が適用されており、税率の引き下げや完全撤廃を柱に議論する意向だ。
畜産農家の団体によると、米国産を輸入すれば140万軒の農家を直撃する。経済損失は2800億バーツ(約1兆2000億円)以上という。
団体メンバーのウィワットさんは「米国産牛にはタイで禁止されている成長促進剤が使われている可能性がある」と強調する。
米国産トウモロコシの輸入拡大も検討している。農業がタイの国内総生産(GDP)に占める割合は1割弱だ。
非政府組織(NGO)「バイオタイ」は「最大与党『タイ貢献党』は農家の抵抗に直面し、人気を取り戻すのは難しい」と非難した。
インドネシアは対米交渉で電子機器を巡る現地調達ルールの見直しを提案している。同国ではスマートフォンの販売許可を得るために35~40%分の部品などを現地調達する必要がある。
基準に達していないとして米アップルが新型スマホを販売できず、非関税障壁との指摘もある。
プラボウォ大統領は8日、首都ジャカルタで規制を「柔軟で現実的なものにする」と語った。
ただ、撤廃されれば投資誘致に悪影響となる可能性もある。
スマホでは現地調達するため中国OPPO(オッポ)や韓国サムスン電子が工場を設けた。
インドネシア電化製品連合のダニエル事務局長は「規制緩和は雇用喪失と投資の減少につながる」と批判した。
ベトナムは米国産液化天然ガス(LNG)の輸入を計画する。3月中旬に国営企業が米石油大手コノコフィリップスなどと長期購入で合意した。
課題はLNG需要が限られることだ。25年内に国内初のLNG火力発電所が稼働する予定だが、このほかの発電所の建設や入札の停止が相次ぐ。
トランプ政権が4月初旬に公表した相互関税の税率はタイが36%、インドネシアが32%、ベトナムが46%だった。
米国はタイやベトナムにとって最大、インドネシアにとっては2位の輸出相手国だ。経済への打撃は避けられず、具体的な交渉材料を提示する必要があった。
一方、米国との関税交渉は経済にプラスの側面もある。非関税障壁が低くなれば投資環境の改善につながるためだ。
インドネシアは経済協力開発機構(OECD)への加盟に向け審査を受けている。OECDは24年11月、「貿易制限は広範で、世界のバリューチェーンへの参加を妨げている」と指摘した。
日系商社幹部は「インドネシアは輸入手続きが複雑で非関税障壁が多い」として規制緩和に期待する。
各国の対米交渉は自国内の利害調整や業種別の救済策がカギを握る。
タイでは2004~06年、対米自由貿易協定(FTA)交渉でジェネリック医薬品の使用制限や農業市場の開放が焦点となり、各業界が激しく反対した。
交渉は頓挫し、その後の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉でも同様の経緯で参加を見送った。
国士舘大の助川成也教授は「自由貿易の恩恵を行き渡らせるには社会的セーフティーネットなどが不可欠だ」と指摘した。
(バンコク=井上航介、ジャカルタ=押切智義)
【図・写真】4月中旬、米国産牛肉の輸入拡大に反対する畜産農家ら(バンコク)
日本・タイ企業、脱炭素連携 いすゞや東レ、人材育成や供給網強化[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 719文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=赤間建哉】いすゞ自動車や東レなどの日本企業は29日、国営タイ石油公社(PTT)などのタイ企業や大学と温暖化ガス排出量の実質ゼロに向け提携した。日本の自動車大手が多数進出するタイとの産業間の結びつきを生かし、タイのサプライチェーン(供給網)の脱炭素化や次世代人材の育成を支援する。
日本とタイの両政府が29日、次世代自動車産業などを議論する「エネルギー・産業対話」をバンコクで開催したことに合わせ、約20の企業や大学、政府機関が脱炭素推進の基本合意書(MOU)を結んだ。
いすゞと三菱商事の子会社のいすゞ販売会社が取り組むバッテリー交換式電気自動車(EV)の実証実験に、タイの物流企業が参画を検討する。
東レはPTTと共同で自動車などに使われるバイオマス由来のナイロン原料を量産する技術の商業化を目指す。三菱自動車はタイの工科大学と電動車人材の育成プログラムを開発する。
花王と三菱電機はそれぞれタイ最大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと環境負荷の少ない製品開発や生産効率の改善などで提携した。
タイ政府は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成する目標を掲げる。ただ二酸化炭素(CO2)の削減は義務づけておらず、製造業などで化石燃料への依存が続く。
日本貿易振興機構(JETRO)によると、24年末時点で日系企業6000社超がタイに拠点を持つ。29日の締結を見届けた武藤容治経済産業相は「タイ政府や主要産業団体と連携し、次世代産業の担い手の育成や供給網の強化を通じてタイに貢献したい」と語った。
【図・写真】日タイの民間企業提携を武藤経産相(左端)らが見届けた(29日、バンコク)
日産、中国で新型EV 240万円から、機能向上で挽回狙う[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 567文字 PDF有 書誌情報]
【広州=田辺静】日産自動車は中国で販売する電気自動車(EV)セダン「N7」の価格を11万9900元(約240万円)からにすると発表した。1年以内に中国から輸出することも明らかにした。中国市場で苦戦しており、機能を高めたEVの投入で挽回を狙う。
このほど中国南部の広東省広州市で発表会を開き価格を公表した。N7にはリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池を搭載し、標準モデルの航続距離は510キロメートル。人工知能(AI)を活用して快適性を高めた座席や、自動運転新興のモメンタが提供する運転支援技術を搭載する。広州市内の花都工場で生産する。
日産の2024年の中国新車販売は23年比12%減の69万6631台だった。18年には156万台を超えていたが、24年は半分以下に落ち込んだ。N7は開発や部品会社の選定などを中国で行った現地発の車種として、消費者にアピールする。
中国EV市場は価格競争が激しく、日系各社は価格を10万元台に抑えた製品を相次ぎ投入している。トヨタ自動車は3月に合弁会社「広汽トヨタ」を通じ多目的スポーツ車(SUV)「bZ3X」を10万9800元から発売。ホンダも4月、「広汽ホンダ」のSUV「P7」の価格を19万9900元からに設定した。
【図・写真】日産が中国で販売する新型EVセダン「N7」(27日、広東省広州市)
豪ウッドサイド、米LNGに2.5兆円投資 29年生産開始へ[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 519文字 PDF有 書誌情報]
【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリアのエネルギー大手、ウッドサイド・エナジー・グループは29日、米南部ルイジアナ州の液化天然ガス(LNG)プロジェクトへの投資を決めたと発表した。投資額は175億ドル(約2兆5000億円)にのぼる見通しで、2029年の生産開始を目指す。
「ルイジアナLNG」には3つの液化施設があり、生産能力は年1650万トンに達する。将来は新たに2つの施設を稼働させ、年産能力を世界供給量の5%以上にあたる2760万トンまで増やすことを視野に入れる。
メグ・オニール最高経営責任者(CEO)は「世界でも有力な生産者となる」と強調した。同社は30年代には年20億ドルの営業キャッシュフローを生むと試算している。
ウッドサイドは24年に米LNG会社テルリアンを買収し、同社のプロジェクト「ドリフトウッド」を引き継いでルイジアナLNGと改名した。4月には輸出ターミナルに関する権益の一部を米投資会社ストーンピークに売却すると発表した。
プロジェクトの協業を巡ってはサウジアラビア国有石油会社サウジアラムコが出資するミッドオーシャン・エナジーやJERAなどが報じられてきた。ウッドサイドは引き続きパートナーを探すとしている。
東南ア、関税交渉に苦慮――タイ中銀、1.75%に利下げ 2会合連続[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 513文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=井上航介】タイ中央銀行は30日の金融政策委員会で政策金利(翌日物レポ金利)を0.25%引き下げ、年1.75%にすると決めた。利下げは2会合連続。
米関税政策による景気悪化を織り込んだ。2025年の成長率は前年(2.5%)より下振れすると予測した。
委員7人のうち5人が0.25%の利下げを支持した。声明で「米国の貿易政策と主要国の報復措置は世界経済や金融、貿易に大きな変化をもたらす」としたうえで「タイ経済は減速する可能性が高い」と指摘した。
タイ中銀はシナリオ別の25年の成長率も公表した。米国の相互関税が半分の18%まで下がった場合は1.3%、10%まで下げられた場合は2%と予想した。
いずれも24年の成長率から下振れするとみている。米政府が当初発表した36%の関税がかけられた場合のタイの成長率見通しは公表しなかった。
トランプ政権は4月上旬、各国に相互関税を適用すると発表。タイには36%の追加関税が課される見込みだが、90日間適用が停止されている。
アユタヤ銀行の畑哲也シニアバイスプレジデントは「タイ中銀は環境に応じて金融政策の調整を検討していくと説明している。追加利下げの可能性がある」と述べた。
双日、インドでバイオメタン 27年度までに30製造拠点[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 469文字 PDF有 書誌情報]
【ムンバイ=岡部貴典】双日は30日、インドで稲わらを原料とするバイオメタンの製造販売を始めると発表した。インド国営石油会社インディアン・オイル(IOC)などと提携し、2027年度までに製造拠点をインド全土に30カ所整備する。脱炭素分野で拡大するエネルギー需要を取り込む。
双日がバイオメタン事業に参入するのはインドが初めて。IOCとバイオメタン製造を手掛けるインドのジーピーエス・リニューアブルズが設立した会社に出資する。総事業費は4億ドル(約600億円)を超える見通し。
インドの米農家で廃棄物とされていた稲わらを回収する。製造拠点で発酵させて精製したバイオガスのメタン純度を高める。同国では農家による野焼きが大気汚染の原因の一つとなっており、環境対策や農家の所得向上にもつなげる。
製造拠点が30カ所まで増えれば年16万トンほどのバイオメタンを生産できる見込みだ。単純計算では数十万世帯のガス需要をまかなえる。ガス事業者を通じて家庭や圧縮天然ガス(CNG)車などの燃料として販売する。30年度までに100カ所まで増やすことを目指す。
東南ア、関税交渉に苦慮――タイ、天然ゴム価格下落 米関税で、ピークから1~2割安[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 442文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=井上航介】タイで天然ゴム価格が低迷している。トランプ米政権の関税政策で世界経済の先行き不透明感が強まったことで需給が緩んだ。世界最大の天然ゴムの生産国であるタイの対米交渉次第で国際価格にも影響を及ぼす可能性がある。
タイのゴム産業を管理するタイゴム公社によると、国内のゴム価格は4月8日以降に下落圧力が強まった。直近の3月下旬のピークの1キログラムあたり約68バーツ(約290円)から1~2割安の55~58バーツで推移している。
米国は4月に自動車の輸入に25%の追加関税をかけたほか、自動車部品にも5月から同率の関税を課す方針を示している。
関税政策により自動車の需要が低迷し、タイヤの原料である天然ゴムの下落圧力が強まる要因になっている。
丸紅経済研究所の金子哲哉研究主幹は今後の見通しについて「90日間適用が停止された相互関税がどのような着地点を迎えるかでゴムの国際価格は変わってくる」と指摘。その上で「最大のゴム生産国のタイと米国の交渉の行方が注目点だ」と話す。
「世界の工場」関税戦争直撃 中国・広東、広がる雇用不安(アジアVIEW)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1064文字 PDF有 書誌情報]
製造業が集積する中国南部の広東省を米中の関税戦争が直撃している。同省はスマートフォンからゴム草履まで様々な工場があり、中国の輸出をけん引してきた。トランプ米政権が中国製品に累計145%の追加関税を課し、中国も米製品に高関税を設定。地域を支える町工場への影響は大きく、長引けば社会不安を招きかねない。
「顧客の工場に派遣している数十人が休みになった」。広東省東莞市で人材派遣会社を経営する男性の表情は暗かった。米関税の影響で電子部品メーカーなどの派遣先が減産に入った。「1カ月と言われているが、先行きはわからない」とぼやく。
広東省の2024年の域内総生産(GDP)は約1兆9500億ドル(約280兆円)と、中国の地域別で最大だ。1978年に始まった改革開放政策の中心地として、輸出関連産業が経済を支える。華為技術(ファーウェイ)など大企業のほか、中小零細企業がひしめく。
とりわけ東莞市には町工場が集まる。4月中旬、市中部の工業団地にあるパソコン用デスクの工場で、男性工員は「顧客からの要請で米国向け出荷を止めた」と語っていた。同工場は米国向け出荷が売上高の1割強を占めるという。
同じ団地にあるネジ工場も、商品を納める顧客の米国向け出荷がキャンセルになったと明かした。
省都である広州市の番禺区江南村は、中国発の衣料品ネット通販「SHEIN(シーイン)」の取引先工場が集まる。シーインは米国の小口貨物の免税措置を活用して成長してきたが、米政府は同措置の撤廃を決めた。値上げを迫られ、販売が減る恐れがある。
江南村にある出荷のほぼ全てがシーイン向けという工場は、先行きが見通せないなかでも工員らがミシンを動かしたりアイロンをかけたり忙しそうに働いていた。「シーインが解決策を考えてくれるはずだ」。工場の社長は力なく話した。
中国が米国製品に課す追加関税の影響も広がる。開平市のプラスチック部品会社は材料の米国製樹脂が追加関税の対象になった。5月13日までに発注済みの分が届かなければ追加関税を課せられる。社員は「海運会社に催促し続けている」と明かす。
今回は関税を逃れられたとしても、今後は関税コストが自社負担になる。材料の変更は顧客の同意が必要で、「交渉は難航するだろう」と社員は頭を抱える。
ファーウェイなど対米輸出が少なく関税戦争の影響が限定的な大企業がある一方、中小零細はあおりを受ける。庶民の雇用に響き、不満が膨らむ可能性がある。
(広州=藤野逸郎、田辺静)
【図・写真】広東省東莞市には別の地域から出稼ぎに来る人も多い
ベトナム戦争終結50年 ドイモイ政策で急成長 米の相互関税で新たな緊張[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1382文字 PDF有 書誌情報]
【ホーチミン=新田祐司】旧ソ連を後ろ盾にした北ベトナムと米国陣営とが争ったベトナム戦争の終結から4月30日で50周年を迎えた。同日に南部ホーチミンで盛大な記念式典が開かれた。米国との関係はいま、トランプ米大統領が示した相互関税によって新たな緊張感が漂っている。
「1975年の大勝利は20世紀の人類史における重要な転換点になった」。最高指導者のトー・ラム共産党書記長は記念式典でこう演説した。
式典にはカンボジアのフン・セン上院議長やラオスのトンルン国家主席ら各国要人が出席した。アーティストらによる歌唱が終わると兵士らが市内をパレードし、沿道から大勢の市民がベトナム国旗を振って歓声を上げた。
1975年4月30日は北ベトナム軍が南ベトナムの首都サイゴン(現ホーチミン)に進軍した日だ。大統領官邸(現統一会堂)に戦車が突入し、およそ20年におよぶベトナム戦争が終わった。
首都ハノイから記念式典に駆けつけた退役軍人のグエン・ドク・フイさん(94)は50年前、サイゴンで大統領官邸に迫った一人だ。「南ベトナムの降伏を知り、言葉にできない気持ちであふれた」と振り返る。
ベトナム戦争は米ソの代理戦争といわれた。
米ソ冷戦下で共産主義と資本主義の両陣営が衝突し、旧ソ連が支援した北ベトナムと、米国が支援した南ベトナムが争った。米軍の本格介入で戦闘は激化。死者は300万人規模といわれ、米軍のまいた枯れ葉剤による健康被害はひ孫世代にも残る。
「小国が大国に勝てることを示した」。フイさんはベトナム戦争の意義を強調する。後に共産党書記長に就く故レ・カ・フュー氏ら戦友たちと終戦後間もなく撮影した写真を手にすると「ベトナムの『新しい時代』が始まると確信していた」と笑みをこぼした。
南北を統一したベトナムは86年に始めた「ドイモイ政策」を機に急成長を遂げた。国際通貨基金(IMF)によると、国内総生産(GDP)は40年でおよそ25倍に膨らんだ。日本や韓国、中国からの外資誘致に成功し、東南アジアにおけるサプライチェーン(供給網)の要衝となった。
ベトナムの成長はインドシナ半島の共産化に抵抗していた米国にも恩恵をもたらした。いまやベトナム製の衣料品やパソコンを最も利用するのが米国の消費者だ。2023年には当時のバイデン大統領が訪越し、外交関係を最上位に引き上げた。
目下、米中対立の激化がベトナムと米国の友好ムードにも影を落とす。
トランプ米政権はベトナムが対中関税を回避する迂回輸出の舞台になっていると疑いの目を向ける。ベトナムに示した46%の相互関税は親中で知られるカンボジアやラオスと並んで高い。
相互関税は貿易依存の高いベトナム経済や成長戦略を直撃する。
日本貿易振興機構アジア経済研究所の藤田麻衣・主任調査研究員は「輸出減速による成長率の押し下げ効果は大きい」とみる。中期的な成長力もそがれるおそれがあり「これを機に産業構造の高度化や内需拡大につなげられるかどうかが問われる」と分析する。
ラム氏は「ベトナムは『新しい時代』を迎えている」との認識で45年の先進国入りをめざす。そのために目下の貿易戦争をどう乗り切るか。再び大国同士の対立の舞台とならないような国のかじ取りを迫られている。
【図・写真】ベトナム戦争の戦勝50周年を祝う記念式典(30日、ホーチミン)
中国、関税で曇る企業心理 景況指数「50」下回る 4月 受注減、雇用先行き懸念[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国の景況感は米国の関税措置で不透明感が増している。中国国家統計局が30日発表した4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月から1.5ポイント悪化し、好調・不調の境目の50を下回った。先行きへの不安が強まり、企業に生産や受注を控える動きが広がる。
前月からのPMIの低下幅は2.7ポイントだった2023年4月以来の落ち込みとなった。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策の終了後に始まった景気回復が鈍った時期にあたる。
「これ以上納入が滞ると顧客との違約金が発生してしまう」。中国東北部の遼寧省大連市にある貿易会社の従業員は頭を抱える。同社は鉄鋼メーカー向けの高圧バルブを米国に販売しているが、毎月第1週に実施する出荷を4月は止めた。
米国の対中追加関税が原因だ。売上高は年100万ドル(およそ1億4000万円)で、米国向けが大半を占める。関税の引き上げ分は自社で負担することになり「このままでは事業継続は難しい」とうなだれる。
PMIは製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。4月は1.5ポイント低下し49.0となり、3カ月ぶりに50を割り込んだ。
米国は中国に145%の追加関税を発動した。中国も報復措置として米国からの輸入品に125%の追加関税を課した。100%を超える関税の導入で企業心理は急速に冷え込んだ。
4月のPMIの内訳をみると柱の新規受注は前月より2.6ポイント低い49.2だった。生産も2.8ポイント低い49.8で、いずれも3カ月ぶりに50を下回った。
落ち込みが鮮明なのが海外からの新規受注を示す指標だ。4月は44.7でゼロコロナ政策の緩和でコロナ感染が急速に広がって経済活動が滞った22年12月以来の低水準となった。同指数は3~6カ月先の輸出を占うとされ、輸出は先行き悪化が見込まれる。
中国では就業者の8割が民間企業で働くため、企業の景況感悪化は雇用にも影響する。
若者を中心に就職難が深刻で16~24歳に限った3月の失業率は16.5%と1年前より1.2ポイント高い。大学生らの卒業シーズンにあたる6月を控え、若年失業率は上振れる可能性がある。
人力資源・社会保障省によると1~3月の都市部新規雇用は308万人となり、前年同期を2%上回る。コロナ禍前の15~19年は平均で326万人の雇用を生んでおり、コロナ禍前の水準に戻ったとは言えない。
同省の兪家棟副部長は28日の記者会見で「あらゆる不確定要素に対応する準備はしており、状況の変化によって打ち出す予定だ」と語り、雇用の悪化に備えを尽くしていると説明した。
サービス業など非製造業の景況感を示すビジネス活動指数は前月から0.4ポイント下がって50.4だった。米国産の農産物などへの追加関税により輸入コストが上昇すれば、5月以降に同指数も悪化するとの見方がある。
外交に言及避ける――トランプ氏演説要旨[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1063文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領は29日夜(日本時間30日午前)、中西部ミシガン州で就任100日の演説に臨んだ。要旨は次の通り。
米国の歴史において最も成功した政権の最初の100日を祝うために我々は今夜、米国の中心地にいる。過去のどの大統領よりも良いスタートだが、始まったばかりだ。
不法越境者は記録的に減少した。現在と(バイデン前政権下の)半年前の国境には大差がある。不法移民の子供に自動的に米国籍を与える制度を禁止する命令(大統領令)にも署名した。
彼ら(メディア)はトランプの支持率は44%に過ぎないと言っているが、正当な世論調査ならば60%台か70%台だ。
ガソリン価格は大幅に低下した。住宅ローン金利も下がったばかりだ。
米連邦準備理事会(FRB)の人物(パウエル議長)はあまり良い仕事をしていないが、金利も下がった。ただFRBには敬意を払って接したい。やりたいようにやらせる必要がある。
我々は世界中で尊敬されている。世界中から私に会いに来ている。彼らは取引したいのだ。
バイデン(前大統領)の電気自動車(EV)義務化を終わらせた。全ての外国産自動車に25%の関税も発動した。雇用を創出し、自動車メーカーが工場を国内に回帰させる助けになるだろう。
多くのホンダ車が入ってきている。彼らにここで車を生産させる。日本で生産させたくない。我々は日本が大好きだ。中国にもここで生産させたい。全ての国にここで生産させたい。
対中関税は史上最大の雇用泥棒を終わらせるものだ。彼らは取引を望んでおり、合意できると思う。公正な取引だ。
数兆ドルが米国内に流れ始めた。米アップルは米国内で5000億ドルを投資すると表明した。世界最大の半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)は米国内で2000億ドルを投資する。
就任初日にイーロン(実業家のマスク氏)が主導する、成功を収めた米政府効率化省(DOGE)を作り上げた。これはすごいことだ。我々は米国際開発局(USAID)も廃止した。
海外の国々は軍事や貿易に関して我々をいいように使ってきた。我々はそれを止めた。(気候変動対策の国際枠組み)パリ協定や世界保健機関(WHO)、国連人権理事会から離脱した。
もし私が大統領だったら(ロシアによるウクライナ侵略は)決して起きなかっただろう。わずかな可能性もなかった。
言論の自由を取り戻した。DEI(多様性、公平性、包摂性)を終わらせ、男性と女性の2つの性別しかないことを政府の公式方針とした。
黄金時代は始まったばかりだ。我々は米国を再び偉大にする。
イラン港湾爆発、死者70人に 貿易拠点で経済に打撃 政府は過失原因の見方[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 858文字 PDF有 書誌情報]
【ドバイ=福冨隼太郎】イラン南部バンダルアバスの港湾で26日に発生した大規模な爆発の被害が拡大している。国営メディアは28日、死者数が70人に達したと発表した。政府調査委員会は爆発が過失だとの見方を示している。
港はイランの輸出入の5割を担う貿易の一大拠点で、経済への悪影響が懸念される。
国営メディアによると負傷者は1200人以上に達した。モメニ内相は「安全対策に不備があった」と責任者が出頭を命じられていると明らかにした。27日までに火災はほぼ消し止められた。
政府調査委員会は28日に出した暫定報告で、爆発は過失による事故との見方を示し「事故原因を特定するには技術的なプロセスを含む包括的な調査が必要だ」と説明した。地元当局は化学製品などのコンテナが爆発した可能性が高いとしている。
最高指導者ハメネイ師は27日「いかなる過失や意図も明らかにする義務がある」と述べ、原因究明を指示した。ペゼシュキアン大統領は爆発後、上空から現場を視察し被害の状況を確認した。
爆発は26日正午ごろ、バンダルアバスのシャヒド・ラジャイ港で発生。イランメディアが報じた爆発時の映像からは、火の手がのぼった後に大きな爆発が起こる様子が確認できる。現場ではきのこ雲が立ち上り、黒煙が港の上空を覆った。
AP通信などの米欧メディアは爆発と港で保管されていたとされるミサイル用の固体燃料との関連を指摘する。国防軍需省は「港湾施設に燃料や軍事品などは置かれていなかった」と主張する。
税関などによると、シャヒド・ラジャイ港の年間貨物取扱量は7000万トン。イランの輸出入のおよそ5割を占めるとされ、同国の貿易の最重要拠点だ。コンテナ貨物に限ればイラン全体の取扱量に占める割合は9割近くに及ぶという。
国営通信は同港でのコンテナ船の積み降ろしなどの取扱業務が、爆発翌日の27日には再開したと伝えた。食品などの物資の荷降ろしも別の港湾に迂回させたとしている。イラン国営石油精製供給会社は、港湾周辺の石油施設に爆発の被害は出ていないと強調した。
外交に言及避ける トランプ氏演説 停戦交渉は難航[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 822文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は29日、就任100日目に臨んだ90分近い演説で外交政策に言及する場面は乏しかった。早期実現を公約したウクライナやパレスチナ自治区ガザを巡る停戦の交渉は難航しており、節目の舞台で誇示する成果を用意できなかった。(1面参照)
「私が大統領だったらウクライナとロシアの戦争は決して、決して起きなかった。ほんの少しの可能性もなかった」
トランプ氏は定番の言い回しを使い「(バイデン前大統領の)無能さが、プーチン(ロシア大統領)が攻撃するきっかけになった」と決めつけた。2021年夏のアフガニスタンからの米軍撤退などもやり玉に挙げ、バイデン氏への批判を続けた。
交渉のさなかにあるウクライナ、ロシアとの停戦協議の行方については触れなかった。不法移民対策による不法移民数の減少や連邦政府職員の人員削減など国内対策で「成果」を前面に出したのとは対照的だった。
トランプ氏は24年大統領選の選挙期間中に、ウクライナ停戦を1月20日の就任初日に実現すると豪語していたものの、ロシアとウクライナともに歩み寄る姿勢をみせていない。
プーチン氏は戦況が有利な現状において妥協する必要はないとの計算が働く。時間稼ぎでトランプ氏をじらし、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)非加盟の確約やウクライナ軍の規模縮小といったさらなる譲歩を引き出そうともくろむ。
ウクライナもかたくなだ。ゼレンスキー大統領はロシアが14年に一方的に併合したウクライナ領クリミア半島の併合承認を検討する米国案を拒否した。トランプ氏は仲介離脱を示唆して譲歩を迫るが、断念すれば公約破棄とみなされかねない。
ガザについては一切発言しなかった。就任直前に「成果」として胸を張ったガザを巡るイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意は事実上崩壊し、イスラエル軍は軍事行動を再開している。
【図・写真】トランプ氏はバイデン前大統領への批判を繰り返す(29日)=AP
「インドからの攻撃間近」 パキスタン、テロ関与否定[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 624文字 PDF有 書誌情報]
【ニューデリー=岩城聡】パキスタンのタラール情報・放送相は30日、インドが24~36時間以内にパキスタンへの軍事攻撃を開始するとの信頼できる情報を得ていると主張した。インドはパキスタンとの係争地カシミール地方のインド支配地域で起きたテロにパキスタンが関与したと断定しており、両国の緊張が高まっている。
タラール氏はテロにパキスタンが関与したというインド側の主張は捏造(ねつぞう)だと強調した。
X(旧ツイッター)には「いかなる軍事的冒険主義にも確実かつ断固とした対応をとる。国際社会はその結果の責任はインドにあるという現実を認識しなくてはならない」と投稿した。
ロイター通信によると、パキスタンのハワジャ国防相兼国防生産・航空相もインドからの軍事侵攻が迫っているとの認識を示し、すでに最高レベルの警戒態勢を敷いたと語った。「私たちの存在に直接的な脅威がある場合」にのみ核兵器を使用すると述べた。
インドのモディ首相は29日、シン国防相やドバル国家安全保障補佐官らとの会議を開いた。モディ氏は「テロに決定的な打撃を与えることは我々の国家的決意だ」と訴えた。軍が攻撃の手段や標的、時期などを自由に決定できると語ったという。
今回の対立は22日にカシミール地方のインド支配地域の景勝地パハルガムで武装集団が観光客ら26人を殺害したテロがきっかけだ。容疑者のうち2人はパキスタン人との情報もあるが、パキスタン政府は関与を否定し中立的な調査を要求している。
北朝鮮、新型駆逐艦からミサイル ロシア製と類似の見方[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 467文字 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】北朝鮮ミサイル総局は28~29日に5000トン級の新型多目的駆逐艦に搭載した超音速巡航ミサイルや戦略巡航ミサイル、対艦戦術誘導兵器などの発射実験を実施した。朝鮮中央通信が30日、伝えた。
朝鮮中央通信によると、視察した金正恩(キム・ジョンウン)総書記は「国家と海洋の主権を脅威から守るために海軍の核武装化を加速する。責任ある選択をする時が来た」と話した。
韓国・統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究委員は新型駆逐艦について、核弾頭を搭載したミサイルを海上から発射できると分析している。一部の兵器はロシア製ミサイルと外形が類似していると指摘した。
韓国情報機関の国家情報院は、北朝鮮が公開した新型駆逐艦に絡みレーダー探知など複数の兵器・部隊を連携させる「統合運用システム」の構築が重要とみる。ロシアの支援がなければ短期間で戦力にすることは難しいという。
今回の発射実験で使用された新型駆逐艦は北朝鮮西部の南浦市で建造され、25日に進水式をした。
【図・写真】北朝鮮による巡航ミサイルなどの試射=朝鮮中央通信・共同
中国軍、南シナ海巡航 フィリピン威圧[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 333文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国人民解放軍は29日、海空の部隊が南シナ海をパトロールしたと発表した。米国とフィリピン両軍が21日に始めた大規模演習「バリカタン」を念頭に、南シナ海の領有権を争うフィリピンを威圧する狙いがある。
フィリピンと日本や米国、台湾との安全保障協力をけん制する意図もある。日比は6月、鹿児島県沖で米国を含む3カ国の海上保安機関による訓練を開く。3カ国の海上保安機関が日本周辺で合同訓練するのは初めてで、中国側は神経をとがらせている。
中国軍で南シナ海などを管轄する南部戦区の田軍里報道官は29日深夜の談話で「領土主権と海洋権益を断固守り、南シナ海の平和と安定を維持する」と表明した。「フィリピンは域外国を巻き込んだ『連合巡航』を試みている」と批判した。
外交に言及避ける――(識者の見方)岩盤支持層へのアピール目立つ 笹川平和財団の渡部恒雄・上席フェロー[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 333文字 PDF有 書誌情報]
選挙運動の延長のような岩盤支持層へのアピールが多く、米国全体や世界に対するメッセージがなかった。バイデン前政権への批判が多かったのは来年の中間選挙を見据えた民主党へのけん制だろう。
演説場所に中西部ミシガン州を選んで雇用創出の成果を強調したのはトランプ米大統領の政治的思惑が透ける。大統領選で同州での勝利が当選を引き寄せた。
民主党議員がトランプ氏の弾劾を訴えていることも「狂信的」と切り捨てた。共和党が上下両院の過半数を握る議会で罷免される可能性は低いが、トランプ氏が弾劾訴追を受ける理由は少なくない。中間選挙で民主党が下院で過半数を握れば状況は変わる。
関税は景気後退を招き、生活に悪影響が出れば中間選挙までに支持者の態度が翻る可能性もある。
(聞き手は田中昴)
外交に言及避ける――(識者の見方)低支持率の逆風、打開道筋みえず 同志社大の三牧聖子教授[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 330文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領は逆風が吹いていると認識しているようだ。演説で世論調査の数字を疑うような発言をしたのは、歴代最低水準の支持率を本人も気にしているからだろう。
移民政策はトランプ氏が成果を誇れる唯一の領域になりつつある。一方、大規模な不法移民の強制送還を実施すると低賃金の労働者数が減り、働き手が不足する。移民対策の結果を誇示し続けるのは限界があるだろう。
大統領の一存で関税を決めたり、移民を強制送還したりしている。懸念する有権者が増え、支持率回復への道筋は見えない。
物価や住宅ローンの金利水準を巡っては虚偽の情報で成果を訴え、支持者の期待を満たしているように見せかけている。ただ、経済の混乱は変わらず、この戦略が長く続くとは思えない。
(聞き手は芦川美奈)
中国、関税で曇る企業心理 景況指数「50」下回る――政府入札に民間企業も 中国が新法[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 283文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は30日、民間企業の市場参入や公平な競争を促す民営経済促進法を可決した。国有企業だけでなく民間企業も政府入札に参入しやすくし、市場で公平な競争を保障することを柱とした。
5月20日に施行する。国営新華社によると、民営経済発展の基礎となる法律の制定は初めてという。民間企業について国有企業などと同様に「平等な法律的地位や市場機会、発展の権利を享受する」と明記した。
地方政府には関連する審査の適切な実施を求めた。民間が資金や技術などを国有企業などと平等に使用するのを国が保障すると盛り込んだ。
北朝鮮、新型駆逐艦からミサイル ロシア製と類似の見方――金総書記、戦勝記念日の訪ロ見送りか[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 278文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国情報機関の国家情報院は30日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が5月9日の対ドイツ戦勝記念日にあわせたロシア訪問を見送る可能性があるとの見解を示した。
国会で30日に開いた国家情報院の非公開の報告を聞いた国会議員が記者団に明らかにした。ロシアを訪問するための警備の動きが見られないと指摘した。戦勝記念日の行事には崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長などが代理出席するとみている。
国家情報院はロシアに派遣された北朝鮮軍の規模が計1万5000人に上ると報告。600人の死亡者を含め4700人が死傷したと推計した。
軍幹部の苗華氏、全人代資格剥奪[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 186文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は30日、人民解放軍の最高指導機関である中央軍事委員会の苗華委員の全人代代表資格を剥奪すると発表した。中央軍事委政治工作部軍人代表の資格を解いた。国防省は2024年11月、苗氏を「重大な規律違反」の疑いで調べていると発表した。苗氏の調査開始と停職を公表した同月以降、具体的な処分を下すのは初めて。
台湾GDP、1~3月5.3%増[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
【台北=龍元秀明】台湾の行政院(内閣)主計総処が30日発表した2025年1~3月期の実質域内総生産(GDP、速報値)伸び率は前年同期比5.37%増だった。米関税政策を見据えた駆け込み輸出などが寄与して2月時点の予測(3.46%増)を大きく上回った。伸び率は4四半期ぶりの高さとなった。
英軍、イエメンのフーシを空爆[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 108文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=江渕智弘】英国防省は30日、英軍がイエメンの親イラン武装組織フーシの軍事施設を29日に空爆したと発表した。3月から攻撃を続ける米軍との共同作戦だった。英軍機がイエメンの首都サヌア近郊の建物群を攻撃した。
米上院、パデュー駐中国大使承認[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 159文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】米上院本会議は29日、トランプ大統領が駐中国大使に指名したデービッド・パデュー元上院議員(75)の人事案を賛成多数で承認した。トランプ政権は中国を「最大の競争相手」と位置づけ、関税措置の応酬で緊張が高まっている。パデュー氏は交渉の一端を担いつつ、中国指導部と関係を構築できるかどうかが課題となる。
BRICS「米相互関税に懸念」[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 11ページ 112文字 PDF有 書誌情報]
【リオデジャネイロ=共同】中国やロシアなど主要新興国で構成するBRICSの外相会合は29日、トランプ米政権を念頭に「無差別な相互関税など、不当で一方的な保護主義の台頭に深刻な懸念を表明する」とした議長声明を発表し閉幕した。
村田製作所(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1135文字 PDF有 書誌情報]
村田製作所
(5月1日)〔コーポレート本部〕ESG・HR統括部総務、福井粧子
▽同人事(東北村田製作所管理)大竹敏一
▽同広報(エナジー事業本部エナジーデバイス事業部企画)今里英一郎
▽法務・知財統括部副統括部長(ESG・HR統括部人事)早田雄一郎
エナジー事業本部エナジーデバイス事業部企画、掛川貴広
▽営業本部日本営業統括部長、上席執行役員営業本部長兼営業機能統括部長兼東京支社長森本栄一
(6月1日)コンポーネント事業本部副本部長(村田中国投資総裁兼村田電子貿易上海総経理)執行役員佐藤俊幸
▽コーポレート本部法務・知財統括部長(法務・知財統括部副統括部長)早田雄一郎
▽同本部情報システム統括部情報技術企画(村田中国投資BusinessProcessDivisionGroupPresident)服部隆之
▽モノづくり統括部副統括部長(深村田科技総経理)寺村晃一
(6月27日)副社長(代表取締役兼専務執行役員)コーポレート本部長兼経営管理統括部長南出雅範
(7月1日)管理本部・経営DX本部・法務・知財統括部担当(コーポレート本部長兼経営管理統括部長)副社長南出雅範
▽上席執行役員(執行役員)技術・事業開発本部副本部長兼マテリアル技術センター長久保寺紀之
▽同(同)谷野能孝
▽同管理本部長兼ESG統括部長(同コーポレート本部ESG・HR統括部長)戸井孝則
▽同コンポーネント事業本部長(同コンポーネント事業本部副本部長)佐藤俊幸
▽同経営DX本部長兼経営管理統括部長(同コーポレート本部情報システム統括部長兼IT/DX戦略企画)須知史行
▽品質保証統括部長(薄膜技術開発統括部長兼通信・センサ事業本部IoT事業統括部担当)執行役員笈田敏文
▽執行役員エナジー事業本部パワーモジュール事業部長(パワーモジュール事業部副事業部長兼ハイパワープロダクツ商品)スティーブ・ピンピス
▽執行役員、山田克己
▽同モノづくり統括部長(モノづくり統括部副統括部長)寺村晃一
▽執行役員、法務・知財統括部長早田雄一郎
▽同、通信・センサ事業本部機能デバイス事業部長疋田統紀
▽同、コンポーネント事業本部EMI事業部長森戸秀明
▽管理本部人事統括部長、人材開発・谷口智宏
▽経営DX本部ITビジネスエンジニアリング統括部長兼IT/DX戦略企画(コーポレート本部情報システム統括部副統括部長)コーポレートDX推進・長谷川仁
▽同統括部副統括部長、情報技術企画・服部隆之
▽薄膜技術開発統括部長、技術・事業開発本部共通基盤技術センター長台博之
▽セラミックコンデンサ事業本部技術開発統括部長、生産技術開発統括部長生湯聡
▽みなとみらいイノベーションセンター事業所長兼横浜事業所長、技術・事業開発本部デバイスセンター長日隈弘一郎
ソフトバンク(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(5月1日)コーポレート統括人事総務本部長、人事企画統括部長野村純也
▽次世代技術開発本部基盤技術統括部長(テクノロジーユニット統括共通プラットフォーム開発本部共通プラットフォーム戦略統括部PaaS基盤開発)エルハジバシル・サール
〔コンシューマ事業推進統括〕モバイル事業推進本部オウンドメディア企画統括部長(顧客基盤推進本部オウンドメディア推進統括部長)菱木誠
▽ホームソリューション事業推進本部顧客基盤推進統括部長(コンシューマ戦略/カスタマーケア統括営業戦略本部AI/RPA推進室長)水戸洋之
▽グループシナジー推進本部ペイメント推進統括部長(顧客基盤推進本部顧客基盤推進統括部長)榊原一弥
▽サービス企画本部コンテンツ推進統括部長(同オウンドメディア企画統括部長)牛田裕章
テクノロジーユニット統括次世代社会インフラ推進室長(次世代社会インフラ事業推進室長)浅沼邦光
〔財務統括〕財務経理本部連結経理統括部長(連結決算)岡川高士
▽同子会社経理統括部長(連結経理統括部長)田上裕孝
▽コストマネジメント本部購買統括部長(インフラ購買2)李修平
九州電力(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 428文字 PDF有 書誌情報]
九州電力
(6月26日)テクニカルソリューション統括本部長、代表取締役兼副社長執行役員兼最高情報責任者早田敦
▽取締役、常務執行役員コーポレート戦略部門長木戸啓人
▽同兼常務執行役員ビジネスソリューション統括本部業務本部長、佐藤秀夫
▽同兼常務執行役員エネルギーサービス事業統括本部長、中村典弘
▽退任(取締役)千田善晴
▽同(同)中野隆
▽常務執行役員エネルギーサービス事業統括本部営業本部長、川畑健二
▽同立地コミュニケーション本部長、下田政彦
▽常務執行役員、エネルギーサービス事業統括本部水力発電本部長三根浩二
▽執行役員宮崎支店長、田中剛弘
▽同北九州支店長、麻生弘之
▽同立地コミュニケーション本部副本部長、浜田彰
▽同長崎支店長、菅弘史郎
▽同大分支店長、本田勝也
▽同エネルギーサービス事業統括本部営業本部副本部長、安藤修章
▽同兼最高DX責任者テクニカルソリューション統括本部DX推進本部長、神山勝司
▽執行役員エネルギーサービス事業統括本部企画・需給本部長、近藤秀明
中国電力(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 331文字 PDF有 書誌情報]
中国電力
(6月26日)代表取締役兼副社長執行役員地域との協働・共創・ガバナンス強化・人材育成担当(取締役兼常務執行役員地域共創本部長)皆本恭介
▽取締役経営管理部門長(経営企画部門長)常務執行役員中村公俊
▽取締役、田中洋樹
▽同、岡島礼奈
▽顧問(代表取締役兼副社長執行役員企業再生・人材育成担当兼調達本部長兼原子力安全監理部門長)高場敏雄
▽退任(代表取締役)船木徹
▽同(取締役)古瀬誠
▽リスク管理部門長、常務執行役員渡辺嘉浩
▽経営企画部門長(東京支社長)常務執行役員井上敏彦
▽常務執行役員販売事業本部長(執行役員販売事業本部副本部長)川上功
▽同需給・トレーディング部門長兼電気事業ポートフォリオ最適化プロジェクト長(同市場リスク管理高度化プロジェクト長)講武寛之
NSユナイテッド海運(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 288文字 PDF有 書誌情報]
NSユナイテッド海運
(6月25日、Gはグループ、Mはマネジャーの略)環境保全推進G管掌(環境保全推進GM)取締役兼常務執行役員藤田透
▽取締役(監査役)竹ケ原啓介
▽同、加野理代
▽常勤監査役(顧問)宮沢総一
▽退任(取締役)井上龍子
▽常務執行役員企画G担当、中村新吾
▽資源エネルギーGM(不定期船GM)執行役員征矢秀人
▽不定期船G担当(企画GM)同佐藤義則
▽総務G担当(総務GM)同薗田恭
▽総務GM、石原望
▽企画GM、石田志津彦
▽不定期船GM(NSUNITEDSHIPPINGU.K.ManagingDirector)玉川博之
▽船舶管理GM、渋谷直人
▽環境保全推進GM、安藤智弘
たけびし(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 227文字 PDF有 書誌情報]
たけびし
(6月26日)営業推進担当、上席執行役員オムロン統括部長吉村光史
▽社会・情通システム本部長(機電システム本部長兼タケビシタイPresident)上席執行役員滝本晃久
▽技術本部長兼品質保証(社会・情通システム本部長)執行役員甲村一太
▽執行役員機電システム本部長兼竹菱上海電子貿易董事長兼タケビシタイPresident(機電システム本部副本部長)岩田州司
(7月1日)社会・情通システム本部業務(経営推進室総務)白波瀬和幸
▽経営推進室総務、奥野誠
四国電力(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 201文字 PDF有 書誌情報]
四国電力
(6月26日)取締役、塩梅和彦
▽顧問(取締役)川原央
▽原子力(伊方発電所長)常務執行役員原子力本部副本部長多田賢二
▽事業開発室国際事業部担任(国際事業部長)常務執行役員橋本勇士
▽常務執行役員土木建築部担任(執行役員土木建築)松崎伸一
▽同火力本部副本部長兼火力部担任(同火力)高田潤一
▽常務執行役員(執行役員)事業開発室新規事業部長滝川重理登
▽同原子力本部副本部長兼伊方発電所長(同)古泉好基
カナデン(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 196文字 PDF有 書誌情報]
カナデン
(6月27日)社長(専務事業統括室長兼営業部門・ソリューション技術本部・ICT推進部担当)守屋太
▽常務事業統括室長(取締役ビル設備事業部長)中竹春美
▽取締役管理部門担当(執行役員)管理本部長黒田暢彦
▽監査役、内田敬仁
▽同、野口昌邦
▽相談役(社長)本橋伸幸
▽退任(取締役)三枝裕典
▽同(監査役)岡本修
▽同(同)野見山豊
▽同(同)一法師信武
▽ビル設備事業部長(事業統括副室長)早田尚義
石原ケミカル(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 177文字 PDF有 書誌情報]
石原ケミカル
(6月26日)営業本部長、社長藤本昭彦
▽常務(取締役)生産本部長兼滋賀工場長谷田豊
▽取締役兼石原化美上海商貿董事長(執行役員)開発本部長兼第二研究・伊内祥哉
▽取締役管理本部長(同管理本部副本部長)経理兼IR室長住勝哉
▽同営業本部副本部長、第五営業・伊藤善隆
▽相談役(会長)酒井保幸
▽退任(常務)越山剛
▽同(取締役)芝一教
▽同(同)山下隆史
古河機械金属(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 167文字 PDF有 書誌情報]
古河機械金属
(6月27日)取締役兼上級執行役員(執行役員)岩間和義
▽常勤監査役(取締役兼常務執行役員)酒井宏之
▽顧問(常勤監査役)井上一夫
▽執行役員、北川隆行
▽同、山口正己
▽同、宮本知寿
▽人事総務(古河ユニック社長兼営業本部長兼泰安古河随車起重机董事長)執行役員山川賢司
▽技術統括本部長(技術統括本部副本部長)新材料開発・佐々木斉
四電工(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
四電工
(6月27日)取締役、板谷和彦
▽同、勝丸千晶
▽同、塩梅和彦
▽同、藤井清史
▽退任(取締役)佐野正
▽同(同)橋倉荘六
▽同(同)川原央
▽同(同)岡林正文
▽高知支店長(技術本部設備技術)執行役員片岡考司
▽香川支店長(営業本部営業)同大和正幸
▽執行役員電力本部副本部長兼建設(四国電力送配電高松支社長)松本耕輔
理研ビタミン(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 139文字 PDF有 書誌情報]
理研ビタミン
(6月24日)会長(社長)山木一彦
▽社長(常務)望月敦
▽専務(同)道津信夫
▽常務(取締役)冨取隆浩
▽取締役(常務執行役員)中野正明
▽同、牧之段武彦
▽退任(取締役)加藤栄一
▽常務執行役員(執行役員生産統括本部長)四塚武雄
▽執行役員生産統括本部長、生産管理・長谷部忠
大阪信用金庫(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 136文字 PDF有 書誌情報]
大阪信用金庫
(5月1日、地名は支店長)難波(八尾兼八尾桜ケ丘)執行役員青砥健吾
▽登美丘(住之江)西村博実
▽住之江(都島)猿飼浩二
▽八尾兼八尾桜ケ丘(勝山兼生野)溝口義浩
▽勝山兼生野(大正)山田順平
▽茨木(登美丘)岩本知博
▽大正、池田敦彦
▽箕面、橋本幸典
▽都島、福島大輔
ハリマ化成グループ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 124文字 PDF有 書誌情報]
ハリマ化成グループ
(6月26日)取締役(監査グループ長)川畑明男
▽同、加納淳子
▽顧問(専務兼専務執行役員)金城照夫
▽退任(取締役)山田英男
▽同(同)高橋庸夫
▽監査グループ長、赤沢知明
▽執行役員電子材料事業カンパニー副カンパニー長、営業・藤原孝浩
ヤナセ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 112文字 PDF有 書誌情報]
ヤナセ
(5月1日)北関東営業本部総務(近畿営業本部総務)佐藤賢治
▽名古屋営業本部総務(中四国営業本部総務)堀田修司
▽近畿営業本部総務(九州営業本部総務)藤本あゆみ
▽中四国営業本部総務、遠藤康二
▽九州営業本部総務、小関綾子
丸久(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
丸久
(5月20日)副社長(専務)経営企画室長宇佐川浩之
▽専務(常務)店舗開発本部長兼業務改革推進室長原田勉
▽常務(取締役)物流兼丸久プロセスセンター長松田裕之
▽監査役(顧問)清水実
▽退任(監査役)河口顕夫
沖縄電力(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
沖縄電力
(6月27日)取締役兼常務執行役員(執行役員)糸数昌英
▽退任(取締役相談役)大嶺満
▽執行役員、経営戦略本部企画・又吉教彦
▽同(送配電本部電力流通)山里健一郎
▽同、発電本部発電・波平智成
ブリヂストン(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 77文字 PDF有 書誌情報]
ブリヂストン
(5月1日)G環境基盤戦略推進、安全・防災・環境部門長長谷川成美
▽防府工場製造(G環境基盤戦略推進)孫入達矢
▽次世代配合開発第2、石川悟士
大和工業(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
大和工業
(6月27日)取締役、常務執行役員尾崎朋史
(7月1日)執行役員、中田護
▽同、サステナビリティ経営統括部長駒智之
▽同、システム管理・宇野滋晴
ACSL(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 72文字 PDF有 書誌情報]
ACSL
(4月30日)代表取締役兼Co―CEO(取締役兼CFO)早川研介
▽同兼Co―CEO(同兼COO)寺山昇志
▽退任(代表取締役)鷲谷聡之
ネスレ日本(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 72文字 PDF有 書誌情報]
ネスレ日本
(5月1日)常務執行役員サプライ・チェーン・マネジメント本部長(ネスレビジネスサービスウクライナヘッド)オリビエ・ロラン・モントゥ
日本甜菜製糖(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 69文字 PDF有 書誌情報]
日本甜菜製糖
(6月27日)取締役兼上席執行役員IR担当(執行役員SDGs・資本業務提携推進担当)経営企画室長白畑康
▽退任(会長)恵本司
兼松サステック(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
兼松サステック
(6月13日)取締役、兼松執行役員蒔田重信
▽監査役、ホクシン取締役田中一生
▽退任(取締役)菅栄治
▽同(監査役)金子猛
スターシーズ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
スターシーズ
(5月23日)社長、鈴木雅順
▽取締役、三井剛
▽同、水田崇史
▽退任(社長)植杉泰久
▽同(取締役)保住光良
▽同(同)堺夏美
北海電工(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 66文字 PDF有 書誌情報]
北海電工
(5月20日)退任(取締役)長野実
(6月27日)取締役兼常務執行役員、山上祐平
▽取締役、米田和志
▽退任(取締役)佐藤斉
ソニーフィナンシャルグループ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 66文字 PDF有 書誌情報]
ソニーフィナンシャルグループ
(6月20日)取締役、早川禎彦
▽同、高岡浩三
▽同、梶山園子
▽退任(取締役)神戸司郎
▽同(同)是永浩利
エフピコ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 65文字 PDF有 書誌情報]
エフピコ
(6月26日)取締役(常務総務人事本部・サステナビリティ推進室管掌)西村公子
▽生産本部顧問(同生産本部副本部長)柊山巌
ソニー生命保険(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 63文字 PDF有 書誌情報]
ソニー生命保険
(6月20日)取締役、畝本毅
▽常勤監査役(執行役員)田部井大作
▽退任(取締役)宮崎誠
▽同(常勤監査役)渡辺清
九電工(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
九電工
(6月26日)取締役、土井良由美子
▽退任(取締役)倉富純男
(7月1日)上席執行役員電力本部長兼安全担当、室田耕一
住友ベークライト(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 61文字 PDF有 書誌情報]
住友ベークライト
(6月24日)会長(社長兼社長執行役員)藤原一彦
▽社長兼社長執行役員(取締役兼専務執行役員)鍜治屋伸一
フジ・メディア・ホールディングス(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 61文字 PDF有 書誌情報]
フジ・メディア・ホールディングス
(6月)退任(社長)金光修
▽同(取締役)島谷能成
▽同(同)斎藤清人
▽同(同)茂木友三郎
BABYJOB(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 61文字 PDF有 書誌情報]
BABY JOB
(5月28日)取締役、大野麻衣子
▽退任(取締役)灘広樹
▽同(同)脇実弘
(7月1日)取締役、米ノ井克司
渋沢倉庫(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 60文字 PDF有 書誌情報]
渋沢倉庫
(6月)取締役(常勤監査役)星正俊
▽同(同)森進
▽同(監査役)志々目昌史
▽同(同)吉田芳一
▽同(同)柏崎博久
SMN(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 60文字 PDF有 書誌情報]
SMN
(5月1日)代表取締役兼執行役員社長(社長)原山直樹
(6月23日)取締役、小笠原康貴
▽退任(取締役)中川典宜
コマツ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
コマツ
(5月1日)開発本部電動化開発センタ第一開発グループGM、杉本幸彦
▽同第二開発グループGM兼TM、津曲治
明和産業(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 55文字 PDF有 書誌情報]
明和産業
(6月下旬)取締役、近藤宏子
▽同、村本伸一
▽同、有竹俊二
▽退任(取締役)三尾伸夫
▽同(同)後藤道隆
東武ストア(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 55文字 PDF有 書誌情報]
東武ストア
(5月1日)第1エリア部蘇我店長(第5エリア部越谷店長)谷山幸生
▽第5エリア部越谷店長、金子正巳
リケンテクノス(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
リケンテクノス
(6月20日)取締役、常務執行役員ものづくり統括本部長兼購買本部長小川智三
▽同、絹川幸恵
古河電気工業(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
古河電気工業
(5月1日)電装エレクトロニクス材料統括部門導電材事業部門銅線製造、導電材事業部門長梅木亨
日本特殊陶業(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
日本特殊陶業
(6月25日)取締役、上席執行役員鈴木啓司
▽副社長執行役員(副社長兼副社長執行役員)松井徹
不二家(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
不二家
(5月1日)執行役員洋菓子事業本部生産本部生産、草皆敬
▽洋菓子事業本部営業本部店舗開発、星谷泰弘
ニレコ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
ニレコ
(6月24日)取締役、執行役員制御機器事業部長中村洋三
▽執行役員(取締役)開発部門長久保田寿治
シーイーシー(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
シーイーシー
(5月1日)コネクティッドセグメントIoTシステム事業部第二IoTシステム開発、角替貴
ランスタッド(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
ランスタッド
(5月1日)会長兼CEO、道上淳之介
▽取締役(会長兼CEO)カイエタン・スローニナ
久世(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
久世
(6月26日)取締役、井出譲二
▽同、伊能美和子
▽監査役(取締役)市川明夫
▽退任(同)平川功
コーナン商事(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
コーナン商事
(5月9日)松戸五香店長(つくば学園の森店長)渡辺太郎
▽つくば学園の森店長、時耕登
夢展望(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
夢展望
(6月23日)会長(社長)塩田徹
▽社長(副社長執行役員)津田茂寿
▽退任(取締役)鈴木隆之
リゾートトラスト(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
リゾートトラスト
(5月11日)会員制本部東京支社第5事業部長(第2事業部第1営業)井上尊仁
フジテレビジョン(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
フジテレビジョン
(6月)退任(取締役)島谷能成
▽同(同)斎藤清人
▽同(監査役)茂木友三郎
日本ゼネラルフード(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
日本ゼネラルフード
(5月1日)名古屋本社営業本部長(名古屋本社営業本部管掌)常務松永直樹
SAAFホールディングス(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
SAAFホールディングス
(4月30日)社長(副社長)松場清志
▽取締役(社長)前俊守
インベスコ・アセット・マネジメント(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
インベスコ・アセット・マネジメント
(5月1日)取締役、リテール営業本部長飯森かおり
アクサ生命保険(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
アクサ生命保険
(5月1日)パートナービジネス営業推進、広域代理店統括部長中村慶太
センチュリー21・ジャパン(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
センチュリー21・ジャパン
(6月25日)取締役、森田道明
▽退任(取締役)初沢剛
植木組(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
植木組
(6月26日)取締役、常務執行役員経営企画室長兼内部監査室長力石正仁
日本総研情報サービス(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
日本総研情報サービス
(6月27日)取締役、内川淳
▽退任(取締役)谷崎勝教
宮崎日日新聞社(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
宮崎日日新聞社
(5月1日)社長(取締役)見山輝朗
▽顧問(社長)河野誠司
ソニー損害保険(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
ソニー損害保険
(6月20日)監査役、田部井大作
▽退任(監査役)渡辺清
テクノ菱和(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
テクノ菱和
(6月26日)取締役、伊予田至
▽退任(取締役)小坂井千春
オキサイド(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
オキサイド
(5月29日)取締役、小池美和
▽退任(取締役)中村二朗
クシム(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
クシム
(4月30日)社長、田原弘貴
▽退任(仮代表取締役)大月雅博
メットライフ生命保険(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
メットライフ生命保険
(5月1日)執行役員、仁平則雄
▽同、真野元
クラボウ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
クラボウ
(5月1日)化成品事業部東京支社化成品営業、平山貴之
GAtechnologies(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 31文字 PDF有 書誌情報]
GA technologies
(4月30日)取締役、庄司愛
ファンデリー(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 31文字 PDF有 書誌情報]
ファンデリー
(5月1日)MFD事業部長、代表取締役阿部公祐
太陽ホールディングス(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 30文字 PDF有 書誌情報]
太陽ホールディングス
(7月1日)常務執行役員、飯塚比奈子
MeijiSeikaファルマ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 30文字 PDF有 書誌情報]
Meiji Seikaファルマ
(5月1日)法務、人見友美
新潟交通(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
新潟交通
(6月25日)取締役(執行役員)旅行・今井敦
兵機海運(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
兵機海運
(6月26日)取締役、尾崎朋史
▽同、佐藤清
奥村組(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
奥村組
(5月1日)東日本支社安全品質環境、新居憲作
パルコ(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
パルコ
(5月29日)退任(取締役)松田弘一
JSP(会社人事)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 12ページ 21文字 PDF有 書誌情報]
JSP
(6月27日)内部監査、三浦航生
「旧体制一掃」要求に対応 フジHD、物言う株主と対話[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
フジ・メディア・ホールディングス(HD)が30日、金光修社長らの退任や人権問題の再発防止策など一連の経営改革策を発表した。会社側は否定するが、16日付で株主提案の書簡を送ったアクティビスト(物言う株主)による要求への対応を急いだ面がうかがえる。会社側は新経営体制を見直すとしており、物言う株主との攻防はなお続く。(総合1面参照)
「当社がずっと経営刷新を図ってきたところで決めた。そのこと(アクティビストの動き)とは関係ない」。同日、東京都港区の本社で取材に応じた金光氏はこう語った。清水賢治(フジテレビジョン社長)専務も登壇し、編成局とバラエティ制作局の解体・再編など一連の改革について説明した。
「フジ・メディアHDが発表した役員体制は不十分だ。選任案を再度提出すべきだと思う」。4月17日、都内で記者会見したSBIHDの北尾吉孝会長兼社長はこう指摘した。北尾氏は関連企業も含め7%の株を持つ米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツからの株主提案において、フジ・メディアHDの社外取締役候補となっていた。
北尾氏は次期社長で、現フジテレビ社長の清水賢治専務については「残してもいい」と話した。逆に言えばそれ以外の取締役は「全員退任するべきだ」との意思を示したと読み取れる。
フジ・メディアHD側は表向きは否定しているものの、ダルトンとの攻防は激しさを増していた。関係者によると、フジの経営陣とダルトン側は水面下で「協議の場を持った」とする。そこで金光氏を当初案の通りに留任とするか、ダルトン側の要求に沿って退任とするかで議論が分かれたという。
同関係者は、金光氏はダルトン側が要求する不動産事業の切り離しに「後ろ向きだった」とも話す。北尾氏は「フジ・メディアHDはIP(知的財産)を主軸にするべきだ」とし、ダルトン側に賛意を示す姿勢を見せていた。
金光氏は北尾氏の会見を受け、「敵対する立場ではない。一つ一つ検討していきながら、我々の考え方をまとめる」と話していた。今回は不動産事業への具体的な言及はなかったものの、金光氏の退任がなされない限り、本格的な対立姿勢になりかねないとの判断がフジ・メディアHD側で働いたとみられる。
次の焦点は会社側の新しい取締役と執行体制案になる。金光氏は30日、「経営諮問会議を経た上で5月の取締役会で決定する」と今後の見通しを明らかにした。ダルトンは北尾氏を含め、計12人の社外取締役を株主提案している。金光氏らの退任や組織の改革案などは決めたとしても、取締役の会社案を巡るダルトン側とのさや当てが続くことになる。折り合わなければ委任状争奪戦(プロキシーファイト)に発展する可能性もある。
ダルトン以外の大株主にはアクティビストとして知られる村上世彰氏の長女・野村絢氏もいる。野村氏は関連会社も含め3月末時点では約5%、現時点では約12%の株を保有しているとみられる。野村氏側は現在、沈黙を貫いている。今後の会社側とダルトンの攻防次第で新たな鍵になりうる。
フジ・メディアHDの清水氏は「(信頼回復に向けて)とにかく努力していくしかない」と強調した。30日には25年3月期が最終赤字に転落する見通しも発表しており、落ち込んでいる広告回復への道筋を付けることも急務となっている。決算発表、株主総会と節目が断続的にやってくる。時間は少ない。
商船三井、6割減益 今期最終 橋本社長 業況「あまりに混迷」[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 777文字 PDF有 書誌情報]
世界のモノの流れが米関税政策で滞るリスクが高まってきた。海運大手の商船三井が30日発表した2026年3月期の連結純利益の予想は前期比6割減る。中国から北米向けの荷動きが縮小するとみる。米ロサンゼルス港の足元の貨物量が落ち込むとの一部報道もある。今後の企業活動が低調になりかねない。
商船三井は今期連結純利益予想を60%減の1700億円と見込む。事前の市場予想(QUICKコンセンサス)の2220億円を下回った。
今期、株主還元の拡充を検討していたが、橋本剛社長は同日の会見で「あまりにも混迷した状況が続いている。(還元拡充については)この時期の決定は見送る」と説明した。今期配当は150円と前期の360円から大きく減らす。
大幅減益の主因は関税の影響で、コンテナ船の運賃が軟化することに加え、自動車船でも北米・中国向けの輸送が減るとみていることだ。関税による減益影響は経常損益ベースで400億円程度と試算した。
これ以外のリスクもある。トランプ米政権が国外で建造された自動車運搬船に10月から入港料を課す方針だ。現状の方針で導入されない可能性や導入後に極力運賃に転嫁することを考慮し直接的な損益見通しには織り込まなかった。
株式市場が懸念しているのは世界のモノの荷動きの低下だ。海運業種はさまざまな分野の製品の物流を担っており、世界の企業活動の状況を示す指標になる。既に多くの米小売大手は中国からの出荷を全面的に停止しており、こうした動きは他の業界にも広がる可能性がある。
橋本社長は「米中間の貿易量は確実に減ると思う」と述べた。例えば米CNBCの報道によると、関係者の話として米ロサンゼルス港の来週の貨物量は前年同期に比べて3分の1以上減少する見通しという。
また橋本社長は「中国に代わる比較的関税が安い国からの輸入が増える可能性がある」とも語った。
東電HD、純利益40%減 前期、原発稼働ゼロ響く[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 702文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)が30日発表した2025年3月期の連結決算は、純利益が前の期比40%減の1612億円だった。資源価格の下落に伴う利益がなくなったことが影響した。26年3月期の業績予想は原子力発電所の再稼働時期が見通せないため未定とした。純現金収支の赤字が続き、電力大手のなかでも苦境が際立つ。
売上高は2%減の6兆8103億円、経常利益は40%減の2544億円だった。猛暑で冷房使用が増えたことで電力需要は増えたが、資源価格が下がったことで販売単価が下落した。電力の需給調整に必要な費用や送電網の修繕費が増加したことも響いた。
柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)は地元調整が難航し、稼働中の原発はゼロの状態が続く。
事業で稼ぐキャッシュである営業キャッシュフロー(CF)と投資で流出する投資CFを合わせた純現金収支(FCF)は、25年3月期まで7年連続でマイナス(支出超過)となった。24年度末時点の現預金は1年間で25%減少した。
東京都内で同日記者会見した東電HDの小早川智明社長は「現場の改善や徹底的なコストダウンでキャッシュフローの改善と円滑な事業運営を両立する」とした。「持っている資産の売却も必要があればやっていく」とも語った。
経済産業省は同日、東京電力福島第1原子力発電所事故の賠償にあてる東京電力ホールディングス(HD)の特別負担金が24年度分は700億円になったと発表した。東電HDの同日の決算発表を踏まえ、3月末に認可していた600億円から引き上げた。
同日、大手電力10社の25年3月期連結決算も出そろった。純利益の合計額は前の期比24%減の1兆3957億円だった。
牧野フライス、最高益 今期最終 関税影響は顧客負担[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
牧野フライス製作所は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比25%増の180億円になる見通しだと発表した。過去最高を更新し、トランプ米政権の関税措置の影響は軽微とみている。国内のデータセンターや、電気自動車(EV)など新エネルギー車に関連した需要が中国で伸びると見込む。
売上高は2%増の2400億円、営業利益は16%増の215億円といずれも過去最高となる見通しだとしている。人件費増加や為替レートの円高進行が利益の押し下げ要因となるが、価格転嫁や生産効率化によるコスト抑制で収益力を高める。
同日オンラインで開いた決算説明会で宮崎正太郎社長は「関税で投資の様子見が出る可能性はあるが、大手ユーザーを中心に設備投資を粛々と進めるだろう。関税に伴うコスト増は顧客に負担してもらう」と述べた。26年3月期の年間配当は270円(前期は180円)と増配を計画する。配当性向は35%で前期から約5ポイント上昇する見込み。
牧野フライスは同社に対しニデックが24年12月に完全子会社化を前提とした買収計画を公表したことを受け、25年2月に上場維持した場合の株主還元策などを改定した。宮崎社長はニデックのTOB(株式公開買い付け)について「TOBに反対の意見表明をした。長い闘いになると思うが、皆様に引き続き支援をお願いしたい」と述べた。
セブン、おにぎり英語表記 訪日客向け商品開発も[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンは30日、訪日外国人(インバウンド)向けの施策説明会を開いた。訪日客数が過去最高を更新する状況を踏まえ、ワサビを使ったおにぎりなど一部の商品名で英語表記を併用する。ピクトグラム(絵文字)によるアレルゲン表記の実験も始めた。卵を使ったサンドイッチなど訪日客を意識した商品開発も進める。
全国のセブンイレブンで訪日外国人が増えている。お土産ではなく旅行中に消費する食品などを購入する動きが目立つ。
抹茶を使った一部商品でも英語表記を取り入れる。訪日外国人が多い地域や、よく買われる商品を対象に英語表記を増やすことを検討する。
インテル次世代品、複数社が検討[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 237文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=清水孝輔】米インテルは29日、半導体の受託生産事業において複数社が回路線幅1.4ナノ(ナノは10億分の1)メートルに相当する次世代品の技術採用を検討していると明らかにした。2027年に実用化を目指す先端半導体の技術開発が計画通りに進んでいることを強調した。同社が29日に米カリフォルニア州で開いた受託生産事業の説明会で表明した。1.4ナノメートルに相当する「14A」と呼ぶ次世代技術について、主要な潜在顧客との協議を開始。複数社が関心を示しているという。
10月までの食品値上げ1万4000品[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 197文字 PDF有 書誌情報]
帝国データバンクは30日、2025年10月までに予定される食品の値上げが累計1万4409品目になったと発表した。前年実績の1万2520品目を超えた。原材料高や人手不足に加え、包装資材などのコストも上昇し、値上げの勢いが増している。主要食品メーカー195社を対象に調査した。帝国データバンクは「年間累計では2万品目に到達し、値上げラッシュが本格化した22年の水準に並ぶ可能性がある」としている。
いすゞ、EV「ピックアップ」生産[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 195文字 PDF有 書誌情報]
いすゞ自動車は29日、電気自動車(EV)のピックアップトラックの生産をタイで始めたと発表した。まずは欧州に出荷し、その後世界に展開する。同社の世界販売の多くを占めるピックアップトラックを電動化し、需要を広げる。いすゞの主力車「D―MAX」のEVの生産をタイ東部のサムロン工場で始めた。同社がEVのピックアップトラックの生産をするのは初めて。1回の充電での航続距離は最大361キロメートル。
三井E&S、造船から完全撤退[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 186文字 PDF有 書誌情報]
三井E&Sは30日、関係会社で商船の設計開発を手掛ける三井E&S造船(東京・港)の株式を常石造船(広島県福山市)に全株譲渡すると発表した。常石造船が既に株式の66%を保有し子会社化していたが、今回の譲渡により同社の完全子会社となる。三井E&Sは船舶の設計を含む造船事業から撤退し、船舶用エンジンや港湾クレーンに集中する。28日の取締役会で譲渡を決定した。譲渡日は非開示。
ソースネクスト、CDデータ修復[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
ソースネクストは、劣化して読めなくなったCDやDVDなどの光学ディスクからデータを修復するソフトウエアを近く発売する。データが壊れている場合でも強制的にコピーを続けてパソコンに保存することができる。光学ディスクは経年劣化が進みやすい。すべてのデータが読み込めなくなる前の備えとしての利用を促す。
カナデビア、新たに不正発覚[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 141文字 PDF有 書誌情報]
カナデビアは30日、鋳物製品を扱う若狭事業所(福井県高浜町)などでも不適切な事案を確認したと発表した。2024年以降、本社や子会社で相次いでデータ不正問題が発覚しており、調査を進める中で新たに判明した。一連の問題を受け、桑原道社長は5月から役員報酬の月額30%を3カ月間返上する。
自動運転、トヨタ連携広く 米ウェイモと車両開発で協力 豊富なデータ取り込み(ビジネスTODAY)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1833文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車と米アルファベット傘下のウェイモは30日、自動運転分野での提携で基本合意したと発表した。自動運転に使う車両のプラットフォーム開発で協力する。ウェイモは自動運転車を使ったタクシー事業で先行している。トヨタはウェイモと車両開発まで踏み込むことで開発スピードを高める。実用化の遅れ挽回に向けて先進技術を持つ外部企業との仲間づくりに軸足を置く。
提携にはトヨタ子会社で先進技術を開発するウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)も参画する。配車サービス向けの車両プラットフォームを共同開発し、ウェイモの自動運転タクシーのサービスにトヨタの車両を導入する。市販車の分野ではウェイモの技術を次世代の安全技術に生かし、自動運転の技術も搭載していく計画だ。
ウェイモは2016年にグーグルの自動運転部門から独立した。18年から順次、米西部カリフォルニア州など米4都市で自動運転タクシーサービスをすでに商用展開している。日本では配車アプリ大手のGO(東京・港)や日本交通(東京・千代田)と組んでデータを収集し、サービス提供を目指している。
自動運転車が公道を走った際に収集した生データを豊富に持っている。他社が実証実験にとどまる一方、ウェイモは一般の利用客が使ったリアルな走行データを保有する。米カリフォルニア州車両管理局(DMV)によると、24年にウェイモが自動運転車で実験した走行距離は年間238万マイル(約380万キロメートル)と地球の約96周分に達す。米アマゾン・ドット・コム傘下のズークス(95万マイル)の2.5倍と突き放す。
トヨタはウーブン・バイ・トヨタが自動運転技術を開発してきたが、ウェイモが実用サービスで先行しているのを念頭に関係者は「出遅れ感はある」と認める。
自動運転で他社との提携を広げてきた。18年にソフトバンクグループと協業し、共同出資のモネ・テクノロジーズ(東京・千代田)を立ち上げて自動運転車の配車サービスの実用化を目指した。20年にはNTTと提携し、自動運転などに活用できる人工知能(AI)を開発している。
海外では16年にウーバーと提携し、21年には米ライドシェア大手のリフトの自動運転部門を買収した。中国では19年に小馬智行(ポニー・エーアイ)と提携し、24年には合弁会社をつくって自動運転車の配車サービスの開発に取り組んできた。
今回、自動運転技術で世界の企業と提携しているウェイモと車両プラットフォームを開発することで、先進技術を組み込んだ自動運転車を開発し、迅速に商品投入できるようにする。ウェイモと自動運転車を開発できた場合、どの地域で展開するかは「決まっていない」(トヨタ広報)。中国ではポニー・エーアイと協業しているため、ウェイモとは日米欧などへの展開を視野に入れているもようだ。
調査会社グローバルインフォメーションとインドのマーケッツアンドマーケッツによると、30年の自動運転車の世界市場は24年比で2倍超の871億ドル(約12兆円)にのぼると予測する。自動運転タクシー(ロボタクシー)分野がけん引し、457億ドルと約40倍の規模まで成長すると見込む。
海外では独フォルクスワーゲンが4月、開発子会社とウーバーが提携し、自動運転車を提供すると発表した。米テスラは6月から米国内で自動運転タクシーのサービスを始めることを明らかにしている。欧州ステランティスは21年に独BMWとの共同開発を公表し、2月に自動運転システムを発表した。
ただ自動運転技術の「レベル5」と位置づけられる無人の完全自動運転車は30年代までに実用化されるという予測もあったが、現状は中国や米国で限定された地域の一定条件下で運行する「レベル4」までにとどまっている。完全自動運転は日本を含めて道のりは厳しい状況だ。
米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のGMクルーズや米アップルが自動運転車から撤退。ホンダは21年に緊急時に人間が運転する「レベル3」の自動運転技術を搭載した市販車を世界初で発売したが、24年にはGMとの自動運転分野の資本提携を解消している。
日本では人口の3割が65歳以上の高齢者になり、物価高で車に使える可処分所得も減る。先進国では高齢化は共通の社会課題だ。自動運転車は実用化が待たれる技術であり、車産業の技術競争の中心となる。
(浅山亮)
【図・写真】トヨタはウェイモと自動運転の車両開発まで踏み込む(都内で走るウェイモの自動運転車)
半導体材料の「高速開発」、全グループに 味の素 中村茂雄社長(Leader'sVoice)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 13ページ 572文字 PDF有 書誌情報]
味の素の中村茂雄社長は同社としては初の技術分野出身のトップだ。業績をけん引する電子材料分野で得た経験や知見をグループ全体に広げていく考えを示す。
――半導体材料の開発に長年携わっていました。
「味の素の電子材料が使われているCPU(中央演算処理装置)は2年ごとに性能がアップするため、これに合わせて材料の高性能化が求められる。顧客や競合からのプレッシャー、危機感から組織としてしみついたのが高速開発だった」
――高速開発とは具体的にどのようなものですか。
「顧客や市場のニーズの先読みから始める。電子材料では次世代に要求される性能や機能を予測し、ニーズが来るまでに技術開発や製品の開発をある程度終了させておく。実際に顧客から要望があったときには、その準備を基に高速で製品を仕上げる。こうした暗黙知に近いものを形式知にし、『高速開発システム』とした」
――これから、どの事業で活用しますか。
「今後はグループ全体で生かす。食品はもちろんだが、医薬品開発・製造受託(CDMO)で成長している核酸医薬系もターゲットだ。いつまでに何をやるかということを決め、プロセスを高速で回していく」
「当社は幸いなことに安定した優良企業だ。しかしそれに甘んじて、新たな挑戦をしないことがあるとすれば問題だ。社員には健全な危機感を持って、常に挑戦し成長してほしい」
AWS、クラウド値上げ回避 リスク抑え「調達網を多様化」 AIエージェント、直属部門置く[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1993文字 PDF有 書誌情報]
クラウドコンピューティング最大手の米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が半導体やサーバーなどの調達先拡大を検討する。クラウドは生成AI(人工知能)の普及が追い風となる一方、トランプ米政権の関税政策により事業環境が不透明になっている。生産委託先の分散などでリスクを抑え、サービスを安定的に提供できる体制を整える。
米韓拠点活用も
来日したマット・ガーマン最高経営責任者(CEO)が日本経済新聞の取材に応じ、調達などに関する考え方を説明した。AWSはクラウドの世界市場で約30%のシェアを握り、多くの企業を顧客として抱えている。半導体やサーバーの自社開発を強化して処理能力などを高め、サービス強化につなげてきた経緯がある。
同社は半導体の生産を台湾積体電路製造(TSMC)などに委託している。ガーマン氏は「供給網を強化する観点から多様化が極めて重要になっている」と指摘した。TSMCについて「台湾に優れた施設を多く所有しており、今後も活用可能だ」とする一方、米国や韓国で建設が進んでいる新たな製造拠点の活用に関心を示した。
日本についても先端半導体の量産を目指しているラピダスなどを念頭に「半導体の製造能力の強化に向けた投資を始めている」と言及した。ラピダスがAWSのサービスを活用するなど交流があると説明し、「調達でも常に最適なパートナーを求めており、当社の顧客に優れた技術を適切な価格で提供することにつながるかが重要だ」と話した。
トランプ政権の関税政策により米国におけるIT機器の調達価格が上昇し、製品・サービス価格が上がるとの見方が出ている。ガーマン氏はサービス価格への転嫁について「当社は(サービス開始から)18年間にわたって一度も値上げをしたことがない。供給網やリスクを管理して顧客に還元するのが当社の役割で、(今回も)値上げは予定していない」と明言した。
企業向けのクラウドサービスは景気変動の影響を受けにくい一方、過去には新型コロナウイルス禍に伴う需要急増の反動減などに苦しんだことなどがある。足元では米関税政策により景気が減速する懸念が浮上しているが、「多くの顧客企業は(需要に応じて利用を増減させられる)クラウドを不確実性に対応する手段とみており、先行きを楽観している」と述べた。
クラウド大手は生成AIの利用拡大を受けて設備投資を積み増してきた。ただ、一部企業は事業環境が不透明になってきたことなどを背景に「需要動向をみながら柔軟に調整する」といった方針を示している。クラウド大手は米エヌビディアのAI半導体の大口顧客になっており、各社の動向はエヌビディアの株価が変動する要因にもなっていた。
AWSを傘下に持つ米アマゾン・ドット・コムは2月、2025年に前年より3割多い約1000億ドル(約14兆円)を設備投資に充てる計画を公表している。ガーマン氏はこの水準を維持するかとの問いに対して「その通りだ」と答え、他社よりも既に事業規模が大きく積極的な投資が必要になっているとの考え方を示した。
新興の成功機会
生成AIについては顧客企業の多くが検証から実用化の段階に入り、「想定以上にコストがかかると分かるケースもあり、投資に見合う効果を得られるかが焦点になってきた」と述べた。また、自律的に複雑な仕事をこなすAIエージェントが普及することにより、生成AIのもたらす価値が飛躍的に向上すると説明した。
米IT大手などがAIエージェントに力を入れるなか、ガーマン氏はAWSも顧客が活用するのを支援する直属部門を設けたことを説明した。AIエージェント関連が売上高を押し上げる効果については数十億ドル規模になる可能性があるとしている。
AIエージェントに加えて収益を押し上げる効果を期待するのがスタートアップだ。スマートフォンなどのモバイル機器やSNSといった新製品・サービスの登場がスタートアップの増加につながっており、生成AIも「過去20年で最大の技術的変化のひとつであり、スタートアップが成功する機会をもたらす」とみている。
AWSは米ネットフリックスなどの事業拡大を支援し、自社の成長につなげた経験を持つ。ガーマン氏は生成AIの発達に伴い世界で起業が盛んになっていると指摘し、スタートアップに供与する自社サービスの利用枠を拡大して25年は10億ドル超とする考えを示した。
AWSの年間売上高の前年比増加率は10年代は30%を超えていたが、直近では10%台まで下がっている。年間売上高が1000億ドルを上回る巨大ビジネスとなったが、「IT全体に占めるクラウドの比率は20%に満たない」と述べてさらなる成長に意欲を示した。競合もAIエージェントやスタートアップ支援に注力するなか、取り組みの成否が今後を左右しそうだ。
(編集委員 奥平和行)
【図・写真】マット・ガーマンCEO
空調の改修でビルを省エネ ダイキン、国基準より50%以上削減 工期3年→3カ月に[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 14ページ 730文字 PDF有 書誌情報]
ダイキン工業は建物のエネルギー使用量を国の基準値より50%以上削減する設備の受注を始めた。主に空調の改修だけで実現できるため、通常は3年かかるような事例でも3カ月で済ませられる。電気代の高騰や世界的な脱炭素の潮流から需要があるとみている。
エネルギー使用量を国の基準値より50%以上削減できることを示す建築物の認証「ZEB Ready(ゼブレディー)」がある。国からの補助金を得られる可能性もあり、取得しようとする企業は増えている。
ダイキンは全国の営業担当者が中心となり、顧客に既存ビルでのゼブレディーの取得を提案していく。
全国に先駆けてJR九州が同認証を取得した事例を手掛けた。鉄道の高架下にあるJR九州建設工事部の事務所(福岡市)の空調設備を2024年に改修した。
既存ビルの柱や壁など構造体を見直したり、太陽光パネルを設置したりして認証を取得するケースは多いが、空調の更新のみで実現できたのは珍しいという。
JR九州建設工事部の事務所に新たに導入したダイキンの業務用空調は15台だった。工事は3カ月で終わらせることができた。
空調はビルのエネルギー使用量の5割程度を占めるのが一般的だ。空調設備の更新によって電気代を下げられる。
ダイキンは空調データを収集する情報技術(IT)サービスなどにも力を入れており、国内事業は堅調だ。24年3月期の国内空調事業の売上高は前の期比6%増の5887億円になる。
十河政則会長兼最高経営責任者(CEO)は「顧客が求めるソリューションをどう提案し、商品に加えてサービス力も向上してトータルで(他社に)勝っていくかが重要だ」と話す。
【図・写真】ダイキンが導入したエアコンの室外機。空調の改修だけで大幅省エネを実現した
アキッパがチケット販売 フェスなど 駐車場セット予約も[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 14ページ 409文字 PDF有 書誌情報]
空き駐車場のシェアリングサービスを手掛けるakippa(アキッパ、大阪市)がオンラインチケットの販売サービスを5月1日から始める。音楽ライブやフェスと連携し、ファン同士がやり取りできる交流サイト(SNS)も開設する。駐車場とセットで予約できるサービスも26年をめどに導入する。
5月18日開催の「ナイナイフェス2025」を皮切りに、連携先を増やしていく。チケット販売を通じて、興行主から券面金額の7%を手数料として受け取る。金谷元気社長は「日本はフェスが多い。チケット市場もまだまだ余地がある」と話す。
国内ではイベントなどのチケット販売でぴあやイープラス(東京・渋谷)、ローチケを運営するローソンエンタテインメント(東京・品川)の3社の市場シェアが高い。
アキッパはSNS機能の導入で差異化する。利用者はマイページを作成し、お気に入りのアーティストを登録する。参加したライブについて感想などを投稿することができる。
どう見る反DEI(中)米国「行き過ぎ」の揺り戻し アセットマネジメントOne サステナブル投資戦略部長 大森健雄氏[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1380文字 PDF有 書誌情報]
米国で強まる反DEI(多様性、公平性、包摂性)の動きを受け、今後本格化する株主総会では投資家の議決権行使基準や企業の対応が注目される。アセットマネジメントOneの大森健雄・運用本部サステナブル投資戦略部長は「企業価値の向上に不可欠」とし、女性取締役の数値目標など多様性重視の議決権行使方針を変えないと強調する。
――トランプ米大統領が反DEIの姿勢を鮮明にしています。
「長期的に進む大きな過程の中でのいったんの揺り戻しだとみる。トランプ氏の大統領令前からハーバード大やノースカロライナ大の入試での人種考慮が違憲との判断があったり、ビールブランドの『バドライト』がトランスジェンダーのインフルエンサーを広告に起用して不買運動が起こったり、米国全体で少し行き過ぎていたという感じになっていた」
「一方で、多様性自体がいけないことではないことはアップルの株主総会で明らかになった。DEIの取り組み廃止を求める株主提案に対し、97%以上の株主が反対した。もちろん海外投資家もいるが、想定以上に反対率が高く、米国全体でDEI廃止の方向に動いているわけではないことを表している」
――ただ、米企業ではDEIを縮小する動きが広がっています。
「企業として政治リスクに対応する一環だろう。アップルもDEI方針を修正する必要はあると発言していた。DEI推進を抜本的にやめるのではなく、対外的な公表の仕方を変えるということだとみている。DEIが根本的に間違っていたということではない」
「同質な人材だけでは意思決定などで一方向に振れてしまいがちだ。多様な考え方を持つ人間が意思決定に関わることで、事業や企業価値に好影響を与えるというのがDEIの根本だ。人手不足が強まるなかで、人的資本の有効活用にもつながる」
――米国事業がある企業を含め、日本企業はどう対応すべきですか。
「日本は米国のようにDEIが行き過ぎて修正する必要があるという局面ではない。引き続き重視していくべきだ。米国で事業展開する企業は訴訟リスクが全くないとは言い切れないが、信念をもってDEIを推進する理由を説明し、きちんと対応すれば投資家は理解してくれる。DEI重視は、言い換えれば人的資本重視だ。必要以上に懸念してやめてしまうことによる組織や経営戦略への悪影響の方が大きいだろう」
――日本では今後3月期決算企業の株主総会が本格化します。DEI関連で企業に求めていくことは。
「女性取締役の数値目標を持つことについて引き続き推奨する。東証プライム上場企業に対して取締役1人、27年には複数または20%の女性取締役を求める議決権行使基準を設けている。将来的には30%を求めるロードマップを出しており、方針は変えない。海外事業が多い企業には、海外人材を取締役に入れた方がいいとも伝えている。さらなる多様性は個社の事業ベースで考えていく」
「自社にとって本質的にDEIが重要だという信念と説明が問われる。人種やLGBTQ(性的少数者)の多様性がその会社にとって必要であれば進めるべきだし、ケース・バイ・ケースで求めていく」
おおもり・たけお 93年(平5年)東大経卒、安田信託銀行(現みずほ信託銀行)入社。17年4月からアセットマネジメントOneで気候変動イニシアティブとの連携などを主導。25年4月から現職。
ALSの原因遺伝子に作用 米バイオジェン、新薬発売 大塚製薬も開発[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2415文字 PDF有 書誌情報]
全身の筋肉が徐々に衰える難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の治療薬の開発が少しずつ進展している。米バイオジェンは、ALSの原因遺伝子の一部に働きかける初の薬を日本で3月に発売した。大塚製薬は2026年にも、開発中の核酸医薬で最終段階の臨床試験の結果公表を目指す。iPS細胞を使い、別の疾患の治療薬を転用する動きも出ている。
ALSは運動をつかさどる運動ニューロンが消失し、運動能力や嚥下(えんげ)機能が衰える疾患だ。運動ニューロンは脳からの命令を筋肉に伝える働きがある。ALSを発症すると手足や舌、のどの筋肉などを動かす命令が伝わらなくなり、筋肉がやせていく。
進行抑制が主流
日本ALS協会(東京・千代田)によると、日本でのALS患者の数は約1万人と推定される。多くは40~70歳代に加齢に伴って発症する。米国の研究によると全世界のALS患者数は増加傾向にあり、40年までには37万人を超えるという。
これまで疾患の原因に作用する薬はなく、症状に対処して進行を遅らせる薬が主流だった。治療法に風穴を開けそうなのが、今年3月に日本で発売された米バイオジェンの核酸医薬「トフェルセン(製品名クアルソディ)」だ。
ALSの患者は大きく2種類に分けられる。両親や祖父母など家族に患者がおり、遺伝により発症する「家族性」のケースと、それ以外の「孤発性」だ。孤発性は患者の約9割を占め、家族性は全体の約5~10%とされる。クアルソディは基本的には家族性のALS患者向けの薬だ。
発症する原因が十分には解明されていない孤発性に対し、家族性のALSでは、原因遺伝子が30種類ほど見つかっている。そのうちの1つに、発症に関わるたんぱく質「SOD1」を作る遺伝子がある。
SOD1を作る遺伝子に変異があると、異常なたんぱく質が蓄積して神経細胞が壊れ、筋力の低下などにつながる。バイオジェンによると、日本では家族性ALSの約3割にこの変異があり、日本人の患者には最も多い遺伝子変異だという。孤発性ALSでも約2%がこの遺伝子変異が関わっている。
バイオジェンが発売したクアルソディはこのSOD1を作る遺伝子を標的とする。たんぱく質の設計図であるmRNA(メッセンジャーRNA)に直接作用する核酸医薬で、クアルソディがmRNAに結合し、異常なたんぱく質の生成を抑えて進行を抑制する仕組みだ。
大塚製薬もmRNAに作用する同様の核酸医薬を開発中だ。SOD1に次いで2番目に多い「FUS」という原因遺伝子を標的とする。24年11月に米アイオニス・ファーマシューティカルズから、全世界を対象とした製造販売権を取得した。
現在同社と共同で日本を含むグローバルで最終段階の臨床試験(治験)を進めており、26年にも治験結果が出ると見込む。
ALSの治療はこれまで、グルタミン酸の放出を抑制する「リルゾール」が長く使われてきたほか、15年に田辺三菱製薬の「エダラボン(製品名ラジカット)」がALS向けに承認された。24年11月にはエーザイが「ロゼバラミン」をALS向けに発売した。いずれも症状の進行を遅らせる薬だ。
エーザイはロゼバラミンの発売当初、ピーク時の患者数を1300人ほどと見込んでいたが、25年1月末時点で約1700人の患者に供給した。需要が想定を超えたとして、継続投与中の患者への安定供給を目的に25年2月中旬から限定出荷としている。
現行の製造設備での増産に加え、新たな製造拠点と供給体制の追加を検討している。安定的に出荷できる時期を27年3月と想定する。エーザイ担当者は「一日でも早く安定供給体制を整えることができるよう最善を尽くす」とする。
白血病向け転用
原因遺伝子に働きかける新しい治療薬が登場したものの、孤発性を含めたALS患者の治療の選択肢はまだ十分ではない。iPS細胞を使って既存の治療薬をスクリーニングし、ALSに対する効き目を確かめる手法による治療薬の探索が国内で進んでいる。
慶応義塾大学発スタートアップのケイファーマは、ALS患者由来のiPS細胞を使い、パーキンソン病の治療に使われる英グラクソ・スミスクラインなどの「ロピニロール」がALS治療に有効であることを突き止めた。現在は提携先のアルフレッサファーマと最終段階の治験の準備を進める。
これまでの医師主導の治験結果では1年間の投与で、病気の進行を約7カ月遅らせる可能性を示した。20年代の発売を目指している。ケイファーマ創業者でもある同大医学部の岡野栄之教授は「ロピニロールが効きにくい患者が選べる他の治療法や、遺伝子治療の開発も進める。ALSに対して二重三重に網をかけたい」と話す。
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)も患者由来のiPS細胞で作った運動ニューロンを使い、治療薬の探索を進めている。慢性骨髄性白血病の治療薬である米ファイザーの「ボスチニブ」がALSに効果があると発見し、医師主導治験を実施した。中間段階の治験で一部の患者で病気の進行を抑制したと24年に発表した。現在最終治験の準備を進める。
調査会社の英エバリュエートは、ALS治療薬の市場規模を24年に7億4100万ドル(約1000億円)、30年に17億8900万ドルに達すると予測する。
ALSは1869年、フランスの神経科医によって報告されたが、治療法は長く進展してこなかった。愛知医科大学の熱田直樹教授は「ALSの治療薬の開発はがんに対して20年ほど遅れてきた」と指摘する。「一部の患者に対して原因に介入する治療が社会実装され始めた」と今後の開発に期待する。
日本ALS協会の恩田聖敬会長は「原因究明から根治薬の開発までは夢物語ではない」と話す。恩田会長は自身がALSを発症してから11年が経過するという。「次の10年では治療薬開発が新たなステージに入ることを期待する」としている。
(坂野日向子)
JR東海、運輸収入最高 前期7%増、訪日客が追い風 新幹線沿線人口減の足音[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1045文字 PDF有 書誌情報]
JR東海が30日に発表した2025年3月期決算は運輸収入が前の期比7%増の1兆4325億円となり、6年ぶりに過去最高を更新した。インバウンド(訪日外国人)の急増が追い風となった。だがリニア中央新幹線の開業が遅れる中、主力の東海道新幹線では沿線の人口が減少に突入。〝ドル箱〟新幹線の稼ぎ方を見直す局面に入った。
「(新型コロナウイルスの流行前と比べて)上半期は2倍、下半期は3倍と推計している」。同日の決算会見で丹羽俊介社長は前期の訪日客による収入についてこう説明した。前期の連結業績は売上高にあたる営業収益が7%増の1兆8318億円。純利益は19%増の4584億円と過去最高だった。
株主還元も強化。年間配当は従来予想から1円積み増して31円。最大1000億円、発行済み株式の4.57%に当たる4500万株を上限とする自社株買いを決議した。
26年3月期は連結営業収益が前期比2%増の1兆8650億円、純利益は8%減の4230億円を見込む。運輸収入は2%増の1兆4660億円。人件費などのコスト増を見込むが、今期も鉄道業界のなかで高い利益水準を維持する。
インバウンドに支えられたJR東海だが、長期的には国内人口の減少という難題が待ち構える。
23年に7400万人いた沿線人口が50年に6600万人まで減少する――。同社は3月に公表した「JR東海グループの『ありたい姿』」でこんな予測を示した。東海道新幹線が結ぶ東名阪の大都市の人口は減少時代に入る。新幹線の本数を増やすなど輸送力を高めれば、収益が拡大するビジネスモデルは成り立たなくなる懸念が出てきた。
25年3月期の運輸収入に占める東海道新幹線の割合は93%。JR東海発足時からの課題である新幹線頼みの経営から抜け出せていない。
今期の設備投資額は単体で6660億円を予定しており、リニア関連には3500億円を投じる。山梨県駅(仮称)の工事やトンネル工事や用地取得など着実に進める考えだが、環境リスクの議論が続く南アルプストンネル静岡工区の見通しは不透明だ。リニアの開業は35年以降にずれ込む見通しだ。
業績をけん引してきた東海道新幹線の収益力を今後どう高めるか。一つの策は距離に応じた単一の料金・運賃ではなく、サービスに見合った多様な価格設定を用意することだ。画一的だった新幹線の料金も座席に応じて差をつける。26年度に完全個室席、27年度には半個室を導入する予定だ。
【図・写真】東名阪の大都市を結ぶ東海道新幹線も沿線人口減少に入る
VW・メルセデス、4割減益 1~3月営業 ともに中国で苦戦[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 800文字 PDF有 書誌情報]
【フランクフルト=林英樹】ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とメルセデス・ベンツグループが30日発表した2025年1~3月期決算は、営業利益がいずれも前年同期比で4割前後減った。販売台数の3割超を占める中国市場で苦戦した。両社はトランプ関税の影響を試算しておらず、減益幅が今後広がる可能性がある。関税の影響が不透明だとしてメルセデスは通期予想を取り下げた。
VWの1~3月の世界販売は1%増の213万4000台で、売上高は3%増の775億5800万ユーロ(約12兆5600億円)だった。欧州と北米の販売台数は4%増えた一方、全体の3割を占める中国は7%減った。中国は景気低迷で自動車販売が振るわない。
営業利益は37%減の28億7300万ユーロとなり、売上高営業利益率は6%から3.7%に下がった。25年12月期通期の売上高は前期比で最大5%増、営業利益率は5.5~6.5%と予想するが、関税の影響は含まれていない。VWは「営業利益率は予想の下限になる」とした。純利益は43%減の18億3100万ユーロだった。
メルセデス・ベンツグループの売上高は7%減の332億2400万ユーロ、営業利益に相当するEBIT(利払い・税引き前利益)は41%減の22億8900万ユーロだった。乗用車部門の売上高営業利益率は9.6%から7.3%に下がった。純利益は43%減の17億3100万ユーロだった。
通期予想は取り下げた。貿易障壁が続けば「営業利益や営業利益率がマイナスの影響を受ける」とした。オラ・ケレニウス社長は同日「米国工場の生産能力を高めるつもりだが、生産体制を変えるのに何年もかかる。30年にどうなるか考えないといけない」と語った。
欧州ステランティスは北米での販売不振から世界販売が121万7000台で9%減った。売上高は14%減の358億ユーロだった。ステランティスも通期予想を撤回した。
プリファード、50億円調達 講談社・東映アニメなどから AIで映像コンテンツ制作支援[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 457文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)開発を手掛けるスタートアップのプリファード・ネットワークス(東京・千代田)は30日、講談社や東映アニメーションなどから総額50億円を調達したと発表した。東映アニメとはアニメのコンテンツ作成支援技術に関する共同出資会社の設立を視野に入れる。
調達資金は生成AIの基盤となるモデルやAI半導体の開発などに投資する。プリファードは2024年末にも同様の目的で三菱商事やSBIグループなどから190億円を調達したと発表していた。
今回の調達では、講談社や東映アニメに加えてTBSホールディングスの投資会社などが第三者割当増資を引き受けたほか、みずほ銀行から借り入れた。増資と借り入れの金額の内訳は公表していない。
プリファードは実際の場所の写真を数百枚取り込んでAIを使って高精細の3Dデータを作成するなど、テレビや映画の撮影で活用できる技術を持つ。東映アニメとは、AIでアニメの背景作成の支援に取り組んできた。コンテンツ制作会社を株主に迎えることで、こうしたコンテンツ作成支援技術の事業展開につなげる。
JR東海、運輸収入最高――JR東1%増益 今期最終 在来線なども伸びる[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 434文字 PDF有 書誌情報]
JR東日本は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比1%増の2270億円になりそうだと発表した。売上高は5%増の3兆230億円を見込む。インバウンド(訪日外国人)による新幹線の利用などが好調で過去最高となる。営業利益は3%増の3870億円を予想する。
鉄道運輸収入は訪日客の新幹線利用や中央線快速グリーン車などの定期外がけん引して2%増の1兆8070億円となり、新型コロナウイルス禍前の19年3月期比の97%にまで回復する。
高輪ゲートウェイ駅(東京・港)に隣接する新街区「高輪ゲートウェイシティ」など不動産開発の投資費用や人件費、修繕費の上昇で純利益は1%増にとどまる。
30日発表した25年3月期の連結決算は、純利益が前の期比14%増の2242億円だった。売上高は6%増の2兆8875億円、営業利益は9%増の3767億円だった。25年3月期の年間配当を従来予想から8円増配となる60円にする。配当性向30%以上を目指しており、25年3月期は30.3%となる。
任天堂が上場来高値 スイッチ2、期待高く[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 393文字 PDF有 書誌情報]
任天堂の株価が30日に一時、前営業日比4%高の1万1855円を付け、上場来高値を更新した。6月発売の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の予約状況から人気の高さが好感されている。5月8日に予定する決算発表で2026年3月期の業績への貢献度が具体的に示されるかが注目される。
23日夜、任天堂の古川俊太郎社長はX(旧ツイッター)で公式通販サイトでの初回抽選に「想定を大幅に上回る220万人の応募があった」と明かした。スイッチ2への期待の高さが改めて注目され、翌24日の株価は一時、6%近く上昇した。
任天堂は1月、スイッチ2を2025年内に発売すると発表した。株価は上昇ペースを速め、2月19日に当時の上場来高値(1万1800円)を付けた。その後はトランプ米政権の関税政策への懸念などから株価は下落基調だったが、スイッチ2人気でV字回復した。
ボルボ、2700億円費用圧縮 人員削減など EV不振重く[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 257文字 PDF有 書誌情報]
【フランクフルト=林英樹】高級車大手スウェーデンのボルボ・カーは29日、人員削減や投資縮小などで180億クローナ(約2700億円)のコストを圧縮すると発表した。価格競争の激化に伴う電気自動車(EV)の販売不振を受けた措置だ。トランプ米政権の関税引き上げに対応するため、米国内の工場でEV以外の車種の生産も検討する。
ホーカン・サミュエルソン最高経営責任者(CEO)は同日開かれた決算記者会見で「現在の環境は非常に厳しい。直接・間接コストを削減し利益率を向上させる。2026年以降に効果が出てくるだろう」と語った。
ACSL 早川研介氏、寺山昇志氏(新トップ)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 182文字 PDF有 書誌情報]
◇ACSL
早川 研介氏(はやかわ・けんすけ)12年(平24年)東工大(現東京科学大)院修了、マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン入社。21年ACSL取締役CFO。37歳
寺山 昇志氏(てらやま・しょうじ)99年(平11年)阪大法卒、日商岩井(現双日)入社。24年ACSL取締役COO。49歳
(4月30日共同経営責任者就任。鷲谷聡之代表取締役CEOは退任)
住友ベークライト 鍜治屋伸一氏(新トップ)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 113文字 PDF有 書誌情報]
◇住友ベークライト
鍜治屋 伸一氏(かじや・しんいち)89年(平元年)関西学院大経卒、住友ベークライト入社。19年執行役員、24年取締役専務執行役員。兵庫県出身。60歳
(6月24日社長就任。藤原一彦社長は代表権のある会長に)
スターシーズ 鈴木雅順氏(新トップ)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 108文字 PDF有 書誌情報]
◇スターシーズ
鈴木 雅順氏(すずき・まさゆき)05年(平17年)東洋大法卒、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)入社。24年z―works取締役。千葉県出身。43歳
(5月23日社長就任。植杉泰久社長は退任)
理研ビタミン 望月敦氏(新トップ)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 103文字 PDF有 書誌情報]
◇理研ビタミン
望月 敦氏(もちづき・つとむ)85年(昭60年)東京水産大(現東京海洋大)水産卒、理研ビタミン入社。22年取締役、23年常務。東京都出身。63歳
(6月24日社長就任。山木一彦社長は会長に)
カナデン 守屋太氏(新トップ)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
◇カナデン
守屋 太氏(もりや・ふとし)86年(昭61年)大阪経済大卒、神奈川電気(現カナデン)入社。20年取締役執行役員、23年専務。兵庫県出身。62歳
(6月27日社長就任。本橋伸幸社長は相談役に)
夢展望 津田茂寿氏(新トップ)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 15ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
◇夢展望
津田 茂寿氏(つだ・しげとし)96年(平8年)京都工芸繊維大繊維卒、湖池屋入社。24年夢展望副社長執行役員。滋賀県出身。51歳
(6月23日社長就任。塩田徹社長は会長に)
東エレク純利益4%増、今期最高 AI向け装置好調[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1284文字 PDF有 書誌情報]
東京エレクトロンは30日、2026年3月期の連結純利益が前期比4%増の5660億円になる見通しだと発表した。2年連続で過去最高を更新する。事前の市場予想(QUICKコンセンサス、5574億円)を2%上回る。生成AI(人工知能)関連など最先端分野向けに半導体製造装置の販売が伸び、中国向けの減少を補う。
売上高は7%増の2兆6000億円、営業利益は4%増の7270億円を見込む。ともに過去最高となる。年間配当は前期から26円増やし618円と、株式分割を考慮したベースで過去最高を計画する。
最高益となる主因はAIサーバー向けなど最先端分野における半導体投資が活発になっていることだ。同日に開いたオンライン記者会見で川本弘常務執行役員は「AI向け半導体の需要は引き続き拡大している。最先端ロジックや広帯域メモリー(HBM)で投資が期待できる」と話した。特に下期から顧客の設備投資が加速すると見込む。
前期までの2年間で売上高の4割超を占め、業績を支えてきた中国向けの販売は減少する見通しだ。政府の補助金を受けた半導体投資が一服するほか、電気自動車(EV)市場の鈍化なども響く。25年1~3月期の中国向け比率は34%と7四半期ぶりの40%割れとなった。
採算性の高い中国向けの減少は逆風になるものの、付加価値の高い最先端分野の伸長で補う。今期の売上高総利益率は47・2%と前期(47・1%)並みで、過去最高水準を維持する。
25年の世界の前工程向け装置(WFE)市場については、前年から横ばいの1100億ドル(約15・7兆円)と3カ月前の予想を維持した。非先端分野や中国向けの減少をAI関連の増加が埋める。パソコンやスマートフォンへのAI搭載なども追い風に、26年のWFE市場は前年比で2桁の成長を想定する。
WFE市場の拡大をにらみ、26年3月期の研究開発費は過去最高となる前期比2割増の3000億円を投じる。売上高研究開発費比率は11・5%と約1・2ポイント高まり、過去10年で最も高い水準だ。
トランプ米政権の関税影響は26年3月期の業績予想に織り込まなかった。川本常務執行役員は「現時点では製造装置に関税はかかっておらず引き続き状況を注視する」と説明したうえで「今期の米国向け売上高の比率は約8%と小さく、仮に影響があっても限定的だ」と述べた。顧客の半導体メーカーの投資計画についても「変更があったという話は現時点ではない」という。
株価は昨年以降、米国の対中半導体規制の強化やAI投資の持続性への懸念などを受けて調整局面にあり、足元は24年4月につけた上場来高値(4万860円)と比べ5割弱安い。24年4月に50倍を超えていた予想PER(株価収益率)は足元では20倍を下回る。
市場では「過去の調整局面では直近高値から5割超下がると悪材料出尽くしで反転するケースが多かった。今回も足元で底入れ感は出てきている」(岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリスト)との声はある。一方で、米関税による景気悪化シナリオや対中規制のさらなる強化の可能性など不透明要素はなお残る。
ANAHD今期 純利益20%減、社債型種類株、最大2000億円[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 981文字 PDF有 書誌情報]
ANAホールディングス(HD)は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比20%減の1220億円になる見通しだと発表した。航空機エンジンの品質問題を巡るメーカーからの補償金や燃料油高騰に伴う補助金の反動に加え、空港使用料の減免廃止も響く。あわせて2000億円を上限に「社債型種類株」を発行する方針も発表した。
今期の売上高は過去最高となる5%増の2兆3700億円を見込む。国際線の旅客収入は8340億円と4%増える見通し。欧州路線の提供座席数を23%増やすほか、アジア路線も6%増やす。国内線の旅客収入は3%増の7250億円を見込む。一方、営業利益は6%減の1850億円にとどまる見通し。運航便の増加などに伴い営業費用が6%増えることが主因だ。
今期は3カ年の中期経営計画の最終年度にあたる。今期の純利益予想は中計で掲げた目標と同額だ。芝田浩二社長は「目標通りの利益の達成を目指す」と話す。
ゴールドマン・サックス証券の宮崎忠洋氏は「今後の業績動向は国際線の拡大に尽きる。27年3月期は国際線の増収が貢献して再び増益に転じる」とみる。
トランプ米政権による関税の影響は「合理的な見積もりが困難」とし、今期の業績予想には織り込んでいない。今期の想定為替レートは1ドル=150円。燃料費や整備費などはドル建てのため想定より円高に振れればコスト圧縮要因となる。ANAHDの芝田社長は「今のレートで1年間推移すれば米関税の影響を一定程度吸収できる」と話す。
同日、株式とハイブリッド社債の両方の特徴を持つ社債型種類株を最大2000億円発行する方針も発表した。議決権は付与されず、株主には優先配当を支払う。普通株への転換権がないため、新株予約権付社債(転換社債=CB)などと異なり株式の希薄化リスクが発生しない。会計上、全額が自己資本として認められる。
社債型種類株の発行ができるよう定款変更を株主総会に付議する。東証プライム市場への上場を想定しており、新NISA(少額投資非課税制度)の対象になる見通しだ。
ANAHDの芝田社長は「成長投資の資金確保と財務基盤の維持、資本効率の維持向上をバランス良く実現できる」と社債型種類株のメリットを強調した。
同日発表した25年3月期連結決算は、売上高が前の期比10%増の2兆2618億円、純利益は3%減の1530億円だった。
アルプスアル88%減益、今期最終、車載部品低迷[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 850文字 PDF有 書誌情報]
電子部品大手のアルプスアルパインは30日、2026年3月期の連結純利益が前期比88%減の45億円になる見通しだと発表した。トランプ米政権の関税政策の影響で車載部品の販売が低迷し、営業利益ベースで約230億円のマイナス影響を織り込んだ。前期の事業譲渡に伴う特別利益がなくなったことも減益要因となる。
純利益の事前の市場予想(QUICKコンセンサス)の189億円を大きく下回った。年間配当は60円を据え置く。想定為替レートは1ドル=140円とし、前期から12円円高に設定した。
売上高は8%減の9100億円で、営業利益は50%減の170億円となる見通しだ。アルプスアルは米国の関税政策の影響を、4月25日時点の関税率をもとに通期業績予想に織り込んだ。北米や中国で自動車生産が市場予想よりも下振れると想定した。民生機器向けの電子部品では関税影響を反映していない。
同社の泉英男社長は「足元の北米向け売上高のうち、車載向けは90%以上を占める。経済の悪化を加味して車載向け部品の需要予想を見直した」と説明した。
同日発表した25年3月期の連結決算では、最終損益が378億円の黒字(前の期は298億円の赤字)だった。カメラのピント調節を担うアクチュエーターなどスマートフォンやゲーム機向け部品が好調だった。売上高は3%増の9904億円で4期連続の増収だった。営業利益は73%増の341億円だった。
同社は28年3月期を最終年度とする中期経営計画も発表し、28年3月期までに自己資本利益率(ROE)を10%以上にする目標を掲げた。3年間の成長投資額を2350億円とし、前中計から350億円積み増す。国内工場の競争力強化とともにセンサー事業に投資を振り向けるという。
資本効率改善の一環として、26年3月期に200億円の自社株買いを実施することも明らかにした。5月1日から26年3月31日までの期間で実施し、自己株式を除く発行済み株式総数の9・73%にあたる2000万株を上限に買い付けて取得株式を全株消却する。
太陽HD純利益48%増、今期 医薬品の受託増見込む[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 536文字 PDF有 書誌情報]
太陽ホールディングス(HD)は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比48%増の160億円になる見通しだと発表した。25年3月期に医薬品の販売権について収益性の低下に伴って特別損失を計上した反動増があるほか、医薬品の受託製造の需要増加を見込む。
26年3月期の売上高は4%増の1234億円、営業利益は6%増の233億円を見込む。医薬品の受託製造で新規顧客の売り上げ計上が本格化するほか、既存顧客からの受託案件も増える。
同社は海外売上高比率が9割と高いため円高進行が利益を押し下げる。26年3月期の想定為替レートは1ドル=145円と、前期実績に比べて7円超の円高を想定する。
年間配当は290円と前期から100円積み増す。同社は自己資本利益率(ROE)改善を目的として28年3月期末まで連結総還元性向100%を目安に株主還元を実施している。株主還元の指標としている株主資本配当率(DOE)は17・3%と前期比5・7ポイント増を想定する。
同日発表した25年3月期の連結決算は、売上高が前の期比14%増の1190億円、純利益は25%増の107億円。中国で車載関連やスマートフォン向けの電子基板が好調だった。医薬品事業ではせきを抑える薬などの薬の需要が増加し増益だった。
英ファンドに京成が反論 取締役再構成など[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 428文字 PDF有 書誌情報]
京成電鉄は30日、英ファンドのパリサー・キャピタルが24日に公表した取締役会の再構成などを求める資料について「見解が異なる点が多々ある」と反論した。パリサーによる社外取締役候補者の推薦に関する経緯については「事実に即しておらず戸惑いを感じている」と主張した。
パリサーの公表資料によると、社外取締役候補者について協議するため面談などを求めたものの拒否されたという。
これに対して京成は「面談を含めて取締役選任のプロセスに沿って真摯に検討するべく速やかに候補者の氏名、経歴などの具体的な情報を共有するよう一貫して要望してきたが具体的な情報がなかった」としている。
パリサーは現在の取締役構成ではガバナンスが不十分だとして、社内取締役5人、社外取締役6人の構成に刷新することを求めている。
また、IT(情報技術)や金融などに知見がある独自の社外取締役候補を推薦しており、京成が定時株主総会で議案にかけて検討しない場合は、臨時株主総会の招集請求も示唆している。
セブンの会社提案、ISS「賛成推奨」、経営体制など7議案[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 410文字 PDF有 書誌情報]
米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は30日までに、セブン&アイ・ホールディングスの株主総会で会社提案に賛成推奨すると明らかにした。会社提案の可決に向けて一歩前進することになる。
5月下旬の株主総会では新社長に就任予定のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏など新経営体制案を諮る。カナダの同業大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受ける中、単独路線を鮮明にする新たな経営体制に株主からどれだけ支持が得られるか注目される。セブン&アイは今回の総会に7議案を提案し、ISSはすべてに賛成を推奨した。デイカス氏ら13人の取締役選任議案についてISSは大半の候補者を「特別な懸念はない」と判断した。社外取締役に招くファミリーマート元社長の澤田貴司氏らについては「独立性がないとしても、反対票を投じると取締役会の経営陣による支配が強まるリスクがある」として賛成推奨とした。
大塚HD純利益10%増、1~3月、抗精神病薬伸びる[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 331文字 PDF有 書誌情報]
大塚ホールディングスが30日発表した2025年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比10%増の849億円だった。抗精神病薬「レキサルティ」の売り上げが3割超増えたほか、サプリメントなどの販売も伸びた。
売上高にあたる売上収益は12%増の5828億円だった。レキサルティはアルツハイマー型認知症に伴う症状などの治療薬として米国や日本で追加承認されており、処方数が伸びた。腎臓病治療薬「ジンアーク」も好調だった。
トランプ米政権の関税政策への対応として、医療関連事業では仕入れの前倒しで米国での在庫を増やした。今後は米国での委託製造比率の拡大を検討する。仮に下半期に医薬品関税が導入された場合、今期の事業利益を数十億円押し下げると想定している。
戸田建、純利益56%増 前期上方修正[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 318文字 PDF有 書誌情報]
戸田建設は30日、2025年3月期の連結純利益が従来予想を67億円上回る前の期比56%増の251億円になったと発表した。国内の建築工事で価格転嫁が進んで採算が改善したほか、不動産販売が想定以上に進んだ。年間配当は年29円(前の期比1円増)とする従来予想を据え置いた。
前期の売上高は12%増の5860億円、営業利益は49%増の267億円となった。
それぞれ従来予想から60億円、67億円上方修正した。国内のグループ会社でも建設工事が好調だった。
同日午後1時の上方修正発表を好感し、東京株式市場で戸田建設株が積極的に買われた。
一時前営業日比5%高の918円まで上昇し、およそ1カ月ぶりの高値を付けた。
終値は3%高の908円だった。
<数表>本決算(決算数字)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 5899文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
北海電工(1832) 6.27
24.3 600 3036 2019 97.5 10.0
25.3 689 3654 2481 119.8 記20.0
26.3予 676 2900 1940 93.6 20.0
四電工(1939) 6.27
24.3 921 7012 4571 290.1 140.0
25.3 1058 8536 5173 109.5 125.0
26.3予 1000 7500 5000 105.8 65.0
日本電設工業(1950) 6.20
24.3 1940 14900 10042 164.4 47.0
25.3 2169 19400 13192 223.8 90.0
26.3予 2304 18900 13380 228.1 92.0
フジ日本(2114) 6.24
24.3 258 3202 2370 88.3 32.0
25.3 282 3651 2845 107.4 34.0
26.3予 291 3300 2300 89.7 34.0
日本M&Aセンターホールディングス(2127) 6.26
24.3 441 16518 10727 33.0 23.0
25.3 440 16918 10955 34.5 29.0
26.3予 463 17000 11000 34.7 29.0
伊藤忠食品(2692) 6.19
24.3 6724 9220 6598 520.1 110.0
25.3 6993 11283 8204 646.7 140.0
26.3予 7200 11400 8300 654.2 160.0
日本食品化工(2892) 6.26
25.3 626 1914 1527 310.6 95.0
26.3予 650 1800 1400 284.7 145.0
ZOZO(3092) 6.26
24.3 1970 59764 44341 148.2 104.0
25.3 2131 64888 45346 152.7 107.0
26.3予 2241 69800 48500 54.4 39.0
■ファンデリー(3137) 6.24
24.3 26 55 66 10.5 0
25.3 24 ▲182 ▲183 ― 0
26.3予 29 28 26 4.1 0
日本調剤(3341) 6.25
24.3 3403 9439 2553 85.4 25.0
25.3 3605 6915 1391 46.5 25.0
26.3予 3728 6900 3500 117.2 25.0
■ネットイヤーグループ(3622) 6.24
24.3 36 144 106 15.2 6.0
25.3 33 83 ▲33 ― 6.0
26.3予 35 100 69 9.9 6.0
コーエーテクモホールディングス〓(3635) 6.19
24.3 845 45741 33792 107.1 54.0
25.3 831 49988 37628 119.1 60.0
26.3予 920 37000 27000 85.5 43.0
ODKソリューションズ(3839) 6.24
24.3 58 604 266 33.0 10.0
25.3 64 576 263 32.3 10.0
26.3予 72 580 380 46.5 10.0
■エイトレッド(3969) 6.20
24.3 25 1053 713 95.3 26.0
25.3 27 1060 728 97.3 32.0
26.3予 31 1170 784 104.7 34.0
リケンテクノス(4220) 6.20
24.3 1257 9544 6880 114.2 32.0
25.3 1281 10587 7370 137.7 41.0
26.3予 1340 10300 5800 113.3 41.0
Jストリーム(4308) 6.26
24.3 112 585 298 12.0 16.0
25.3 118 951 550 22.2 14.0
26.3予 121 952 546 22.0 14.0
日本精化(4362) 6.24
24.3 335 4452 3327 146.4 70.0
25.3 356 5210 3870 172.1 74.0
26.3予 342 5200 4000 177.8 94.0
シンプレクス・ホールディングス〓(4373)国際基準 6.14
24.3 407 8744 6194 107.5 42.0
25.3 473 10729 7781 133.8 50.0
26.3予 545 12536 8650 152.5 65.0
ハリマ化成グループ(4410) 6.26
24.3 923 ▲275 ▲1161 ― 42.0
25.3 1010 1330 763 31.5 42.0
26.3予 1080 2000 1200 49.5 42.0
グローバルセキュリティエキスパート(4417) 6.24
25.3 88 1562 1010 134.5 41.71
太陽ホールディングス(4626) 6.21
24.3 1047 17310 8654 154.9 80.0
25.3 1190 21577 10780 193.2 190.0
26.3予 1234 22500 16000 288.2 290.0
■田谷(4679) 6.17
24.3 58 ▲28 ▲158 ― 0
25.3 54 4 ▲62 ― 0
IDホールディングス(4709) 6.20
24.3 326 2860 1777 106.4 50.0
25.3 362 3862 2389 142.5 記70.0
26.3予 385 4010 2410 143.5 70.0
■エックスネット(4762) 6.27
24.3 55 1101 741 89.7 30.0
25.3 53 849 581 128.7 45.0
26.3予 56 960 630 150.7 45.0
■ヤスハラケミカル(4957) 6.19
24.3 131 1173 583 61.5 12.0
25.3 146 1882 1376 150.8 12.0
ヨシコン(5280) 6.25
24.3 239 3289 2102 295.9 55.0
25.3 274 4713 3017 425.4 75.0
26.3予 300 5000 3200 455.7 80.0
日本特殊陶業(5334)国際基準 6.25
24.3 6144 117184 82646 409.5 164.0
25.3 6529 133313 92625 466.3 178.0
26.3予 6880 129000 90000 453.5 182.0
■鶴弥(5386) 6.24
24.3 63 199 127 16.6 5.0
25.3 68 455 121 16.0 12.0
26.3予 69 380 450 59.8 10.5
共英製鋼(5440) 6.25
24.3 3209 21034 13826 318.1 90.0
25.3 3228 15745 10791 248.3 90.0
26.3予 3400 18000 12000 276.1 90.0
大和工業(5444) 6.27
24.3 1634 99223 70018 1099.2 400.0
25.3 1682 54402 31833 502.5 記400.0
26.3予 1640 56000 40000 641.8 400.0
日本製缶(5905) 6.27
24.3 122 323 271 199.8 70.0
25.3 112 ▲476 ▲335 ― 20.0
26.3予 123 165 122 91.2 30.0
LIXIL(5938)国際基準 6.19
24.3 14832 6664 ▲13908 ― 90.0
25.3 15046 20150 2001 7.0 90.0
26.3予 15400 21000 8000 27.9 90.0
■旭精機工業(6111) 6.27
24.3 131 0 114 46.0 70.0
25.3 117 ▲35 287 115.6 60.0
26.3予 140 110 80 32.2 60.0
牧野フライス製作所(6135) 6.19
24.3 2253 18918 15981 670.6 150.0
25.3 2342 20090 14415 613.2 180.0
26.3予 2400 22000 18000 769.6 270.0
SMN(6185) 6.23
24.3 93 95 ▲1028 ― 0
25.3 116 165 291 20.0 0
26.3予 120 370 320 21.9 0
■タカキタ(6325) 6.26
24.3 84 1030 692 62.5 15.0
25.3 70 399 566 50.3 10.0
26.3予 72 388 254 22.5 10.0
■加地テック(6391) 6.26
24.3 72 818 578 349.6 40.0
25.3 70 769 578 349.9 40.0
26.3予 71 720 510 308.3 40.0
マックス(6454) 6.24
24.3 866 13717 10435 222.6 101.0
25.3 918 14809 11225 241.8 114.0
26.3予 941 14900 11300 246.0 120.0
愛知電機(6623) 6.27
24.3 1105 8312 5937 625.6 160.0
25.3 1202 9323 6684 711.0 220.0
26.3予 1280 7600 5300 564.2 220.0
アルプスアルパイン(6770) 6.25
24.3 9640 24809 ▲29814 ― 30.0
25.3 9904 30521 37837 184.0 60.0
26.3予 9100 18000 4500 21.9 60.0
遠藤照明(6932) 6.25
24.3 517 5724 4649 314.7 40.0
25.3 537 5411 4799 324.9 50.0
26.3予 557 5600 4100 277.5 84.0
エンプラス(6961) 6.26
24.3 378 5263 3443 390.1 60.0
25.3 380 5446 3943 446.5 70.0
26.3予 380 3000 2100 237.7 80.0
日本抵抗器製作所(6977) 3.28
23.12 71 139 51 41.5 30.0
24.12 64 ▲104 ▲181 ― 30.0
25.12予 68 120 60 48.5 30.0
村田製作所(6981)国際基準 6.27
24.3 16401 239404 180838 95.7 102.0
25.3 17433 304404 233818 125.1 57.0
26.3予 16400 230000 177000 95.0 60.0
北国フィナンシャルホールディングス(7381) 6.13
24.3 908 14461 9055 378.3 110.0
25.3 895 12298 8120 355.1 120.0
伯東(7433) 6.25
24.3 1820 6912 5175 276.2 280.0
25.3 1831 7321 5131 272.8 260.0
26.3予 1860 5700 4900 260.4 200.0
アルビス(7475) 6.20
24.3 977 2671 1545 178.5 70.0
25.3 981 2605 1622 187.7 70.0
26.3予 1020 2813 1630 190.1 70.0
たけびし(7510) 6.26
24.3 1013 3915 2501 156.6 62.0
25.3 1009 3761 2659 166.2 62.0
26.3予 1020 3780 2400 150.0 66.0
日本エム・ディ・エム(7600) 6.23
24.3 231 1842 1271 48.3 14.0
25.3 251 1488 ▲461 ― 15.0
26.3予 264 1700 1450 55.1 17.0
■ジャパン・ティッシュエンジニアリング(7774) 6.19
24.3 25 147 143 3.5 0
25.3 24 ▲234 ▲255 ― 0
26.3予 29 110 100 2.5 0
■セブン工業(7896) 6.26
24.3 152 42 ▲783 ― 20.0
25.3 154 189 184 41.4 20.0
26.3予 161 100 70 15.7 20.0
JSP(7942) 6.27
24.3 1350 8127 6391 221.8 65.0
25.3 1422 7311 5066 193.3 80.0
26.3予 1460 7200 5000 190.8 80.0
エフピコ(7947) 6.26
24.3 2221 16780 11724 143.5 57.0
25.3 2356 18451 12486 154.5 61.5
26.3予 2453 19600 13170 162.9 61.5
東京エレクトロン(8035) 6.17
24.3 18305 463185 363963 783.8 393.0
25.3 24315 707727 544133 1182.4 592.0
26.3予 26000 736000 566000 1235.5 618.0
BIPROGY(8056)国際基準 6.25
24.3 3701 34164 25246 251.2 100.0
25.3 4040 38789 26965 272.7 110.0
26.3予 4200 42600 29000 295.4 120.0
ZOZO、日本精化、理研ビタミン、アルプスアルパイン、遠藤照明、村田製作所、他(自社株取得枠設定)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
ZOZO 1000万株、100億円
日本精化 120万株、20億円
理研ビタミン 100万株、20億円
アルプスアルパイン 2000万株、200億円
遠藤照明 7万5000株、1億円
村田製作所 7700万株、1000億円
北国フィナンシャルホールディングス 25万株、10億円
東武鉄道 500万株、100億円
JR東海 4500万株、1000億円
北海道中央バス 3万株、1億2000万円
三菱倉庫 3300万株、200億円
杉村倉庫 8万5000株、6000万円
西部ガスホールディングス 150万株、20億円
M&A総研ホールディングス 750万株、75億円
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 17ページ 4495文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 28日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
GMOインタ 5 △3 394 ▲23
アズジェント 651 ▲98 293 △7
ネクスウェア 4 △4 1295 ▲53
ぷらっと 0 0 353 ▲745
ベースフード 421 0 18406 ▲6
ファンデリー 291 0 551 ▲3
ゼンムテック 15 △15 126 ▲8
スターシーズ 0 0 1007 △17
インタートレ 144 0 1120 ▲15
サイトリ細研 0 0 1900 △1
トミタ電機 0 0 238 0
HSHD 5 0 8960 ▲6
ReYuu 0 0 1355 △5
Schoo 0 0 2961 ▲34
Syns 0 ▲2 1428 △39
イントランス 0 0 8387 △45
BASE 286 ▲1 22555 ▲279
テクノロジー 0 0 4329 △3
アップバンク 0 0 2530 ▲12
BCC 0 0 217 0
グロームHD 0 0 2381 0
売れるG 71 △6 484 ▲14
ピクセル 288 0 5857 △5
LIEH 0 0 570 ▲7
ウイルコHD 0 0 491 △3
アクアライン 0 0 44 ▲2
BEENOS 7 0 4 0
日本調剤 903 △12 181 ▲5
CRE 0 0 8 △3
プロト 0 0 1 0
ドリームI 13 ▲2 182 △1
ヨータイ 23 0 191 0
パイオラック 21 0 17 ▲3
牧野フ 4 0 68 0
富士通ゼ 5 ▲1 84 ▲75
ジャムコ 8 0 13 ▲1
トプコン 122 0 355 ▲28
天馬 0 0 19 ▲2
トナミHD 0 0 15 △1
内外トランス 0 0 5 ▲2
イオンディラ 2 0 4 △1
イメージワン 364 ▲9 1576 ▲8
PバンCOM 6 0 336 △1
Eストアー 0 0 5 ▲2
HEROZ 218 ▲70 171 ▲6
オートサーバ 0 0 52 ▲2
AIメカ 78 0 409 △17
シキノHT 30 ― 74 ―
インスペック 24 0 280 0
ナカヨ 0 0 8 0
芝浦電子 0 0 488 △30
京都友禅HD 208 △53 1064 ▲41
永大産業 140 ▲159 228 △32
アールシー 6 0 65 ▲1
MUTOH 0 0 119 0
丸藤パ 0 0 44 △1
広電鉄 3 0 55 0
ユーラシア 0 0 68 0
グリンランド 0 0 19 0
シャルレ 79 ▲1 191 ▲3
アルテック 1 0 2431 ▲14
ジェネパ 19 0 346 △4
フィスコ 224 ▲10 3691 △20
エコモット 5 0 329 ▲2
ココペリ 46 ▲29 504 △123
WACUL 9 0 121 △14
ココナラ 635 △49 3056 △115
カオナビ 0 0 4 0
monoAI 425 ▲144 794 △66
WASHハウ 45 0 271 ▲2
※ 野村4百Dイ 361 ▲1845 9625 △1310
※ 野村高配70 43 0 3083 △8
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 490 0
※ SMT好配当 0 0 2210 △10
※ SMD高配当 0 0 2920 △500
※ GXオフ日R 0 0 81 0
※ GX住宅日R 0 0 2303 △1
※ iS米25ヘ 140 0 506570 ▲71880
※ SMT内リ厳 0 0 1080 △30
※ SBIサウジ 0 0 1680 ▲40
※ 野村ESGコ 0 0 820 0
※ 野村欧州株H 0 0 26830 △720
※ 野村独株H有 10 0 640160 △36280
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 0 234010 △10640
※ 野村米半導 0 0 9217 △19
※ iF高配50 2025 0 3957 △1569
※ GXSPCF 0 0 410 △400
※ 阪急阪神R 543 0 617 △6
タマホーム 821 0 299 ▲43
世紀東急 351 ▲1 189 ▲3
オイシックス 135 0 365 ▲4
Jテック・C 11 0 212 △5
グッドコムA 737 △24 470 ▲7
SMINOE 18 △1 62 ▲2
バロック 7 ― 143 ―
力の源HD 289 ▲2 288 ▲4
さくらネット 2178 △211 3356 △512
フジHD 7278 ▲27 8109 ▲48
ACCESS 734 ▲1 1684 ▲9
小林製薬 96 △1 282 0
千葉興 64 △1 1480 ▲3
神電鉄 24 0 8 ▲1
サンウェルズ 2091 △26 1487 ▲18
JESCO 2 0 202 ▲13
佐田建 25 △1 1264 0
植木組 0 0 53 0
三晃金 1 0 88 0
カンロ 53 ▲33 56 ▲6
焼肉坂井HD 11 △1 224 ▲47
キャンドゥ 0 ― 40 ―
パレモ・HD 32 0 1321 ▲12
OCHIHD 5 0 12 0
サツドラHD 55 △9 38 ▲10
マツオカ 12 0 628 0
enish 616 ▲23 2823 △70
片倉コープ 16 0 160 0
SIGG 0 0 211 0
わかもと 230 △2 1257 ▲2
秀英 4 0 71 0
富士興 1 0 42 △1
日山村硝 3 0 237 0
ノザワ 0 0 201 0
大阪製鉄 1405 0 1737 0
虹技 1 0 78 0
アルメタクス 6 0 262 ▲2
洋シャタ 0 0 148 △1
デザインワン 8 0 693 ▲56
土木管理 13 0 340 ▲4
油研工 0 0 66 0
ディスラプタ 6 ▲4 511 ▲13
サクサ 2 0 164 0
星和電 0 0 130 △1
池上通 7 0 180 0
沢藤電 1 0 109 0
大黒屋 1646 ▲313 9210 △56
upr 10 0 160 0
近畿車 0 0 57 0
あんしん保証 21 ▲5 416 ▲3
日本モゲジS 5 0 593 ▲8
河西工 103 △23 1428 △22
エコーTD 3 0 263 ▲2
パリミキHD 15 0 150 0
マックハウス 87 ▲20 142 ▲3
テイツー 4726 △493 8537 ▲166
黒田精 8 0 77 0
岡本硝子 108 ▲47 1808 △35
タカノ 1 0 78 0
ホクシン 71 △17 945 △32
ナイガイ 14 ▲1 290 0
OUGHD 1 0 27 0
トルク 20 ▲119 320 0
オリンピック 0 0 93 0
東北銀 0 0 44 0
富山銀 25 0 66 ▲1
福島銀 162 ▲2 1275 ▲5
太平発 2 0 148 ▲7
明和地所 12 0 75 0
東陽倉 0 0 86 △2
乾汽船 73 △1 198 0
ワイヤレスG 19 0 433 ▲1
昭文社HD 9 △1 54 △10
テアトル 17 0 16 ▲1
日邦産業 8 0 148 0
ショクブン 5 0 92 ▲1
MRKHLD 91 △10 1139 △23
やまや 3 0 4 0
ヴレインS 153 0 434 0
タイミー 1648 △195 1961 ▲368
サンクゼール 70 0 56 0
すららネット 6 0 222 ▲1
T&S・G 91 △5 247 △9
プレイド 244 ▲4 2830 ▲37
エーアイ 1 0 247 0
Kudan 220 △3 632 ▲5
ミンカブ 332 0 1061 △4
OTS 2385 ▲63 10525 △192
Pアンチエイ 81 0 211 ▲4
FIXER 257 0 394 0
弁護士COM 211 △8 288 △1
MRT 1 0 100 0
レントラクス 4 0 335 ▲2
エヌピーシー 614 ▲9 1747 ▲26
アスタリスク 108 △2 412 △1
PSS 227 0 990 ▲3
J・TEC 182 △13 534 ▲35
マイクロ波 472 △12 873 △23
日経300投信 3 △2 8 0
※ SPDR金 142 ▲29 3337 △11
※ 野村金連動 9890 ▲450 101260 ▲7960
※ 日経2倍 4494 △393 30069 ▲495
※ 日興高配低ボ 0 0 6 0
※ 日興米債ヘ有 198 △168 4788 △20
※ One高配当 36 ▲1 4272 ▲2548
※ スタンダ20 0 ▲10 1070 ▲40
※ H株ベア 240 0 23510 ▲10
※ WTI原油 41040 ▲510 150722 ▲10899
※ 日興外債毎月 0 ▲10 130 ▲270
※ GX印10+ 468 △136 53555 △2611
※ iSインド株 720 △20 997680 ▲23670
※ GXホリ日R 10 △10 14789 0
※ iF高リート 35 △5 14747 △9
※ MXダウヘ有 1650 0 5060 △10
※ GXウラン 50 0 25187 ▲248
※ iS米20
2510 434000
▲6270 ▲182340
※ iS仏国債H 0 0 1110 0
※ GX高配30 0 0 17436 △3707
※ iS日本国債 379 ▲183 2748 0
※ MXナスダク 6783 ▲435 39909 ▲1038
※ GXリー日株 10 △5 1932 ▲51
※ iFEナ百無 17910 ▲503 164858 △948
※ iFEナ百有 10422 △9999 98093 △37361
※ 野村ナスH有 50380 △21780 128320 △1280
※ GX銀行高配 50 △50 45817 ▲3924
※ いちごオフィ 26 ― 4074 ―
村田製 純利益24%減 今期 スマホ伸び悩み、円高逆風、米関税で市場縮小も[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1875文字 PDF有 書誌情報]
村田製作所は30日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比24%減の1770億円になる見通しだと発表した。スマートフォンや自動車関連部品の伸び悩みや円高が響き、18年3月期以来8年ぶりの低水準となる。トランプ米政権の関税政策によるスマホ市場の縮小などを十分に織り込んでいないが、厳しい見通しとなった。
売上高は6%減の1兆6400億円、営業利益は21%減の2200億円を見込む。30日時点の市場予想平均(QUICKコンセンサス)は売上高が1兆8116億円、営業利益が3493億円、純利益は2681億円だった。トランプ政権の関税政策の詳細が明らかになる前に出たものが多い市場予想を大きく下回った。
楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは「ハイエンドスマホの高価格化による台数伸び悩みや外交関係などの不透明な状況を受けて、保守的な予想を出さざるを得なかったのだろう」と指摘した。
分野別の売上高では全体の4割を占めるスマホなど通信向けが5769億円と前期比14%減少する。高速通信に使うプラスチック基板などが苦戦する。同日オンラインで記者会見した中島規巨社長は「今年発売されるスマホの新機種では当社製の基板搭載が減る」と話した。
家電向けも13%減の1242億円と低迷する。ゲーム機や電動工具向けでリチウムイオン電池の販売減を見込む。
為替市場ではドル安・円高が進んでおり、国内工場から輸出が多い村田にとって逆風だ。円高が営業利益で570億円の減益要因になる。今期の平均為替レートは1ドル=140円と、前期実績から約12円の円高に設定した。村田はドルに対して1円の円高で売上高が90億円、営業利益が45億円押し下げられる。
準変動費・固定費も440億円増える。26年3月期の設備投資を前期比5割増の2700億円とすることが響く。中島社長は「短期的に景気が減速するとしても、データセンターや生成AI(人工知能)サーバーなどの市場は安定して成長する。28年3月期に連結売上高を2兆円に高める目標に向けて土地建物などへの投資を増やす」とした。
中島社長はトランプ関税の影響について「今回の業績予想には十分に考慮されていない」とする。関税の直接的な影響は限定的だ。村田の製品販売は中華圏などアジアが中心だ。米国に輸出している製品は全体の5%ほどにとどまる。中国から米国に輸出している一部の電源用部品などについては税金の処理などで出荷を見合わせているものもあるとしている。
一方、影響が見通せないのが、米国と中国の関税応酬によるスマホや自動車市場の冷え込みだ。村田はスマホや自動車向け電子回路に使う積層セラミックコンデンサーで世界首位だ。中島社長は「世界のスマホ台数が1%減ると約50億円の減収になると試算している」とした。
今期の業績予想の前提となるスマホや自動車の世界需要予測は、関税の応酬の影響を織り込んでいない。世界のスマホ需要が前期比横ばいの11億7000万台、自動車が1%減の8850万台と想定する。トランプ政策の影響で下振れすれば、業績に悪影響があると説明した。
ゴールドマン・サックス証券の高山大樹氏は「村田製作所の電子部品はスマホや自動車の供給網の中で上流に位置するため、直接の関税よりも市場全体の需要減による影響が大きい」と指摘する。その上で「電子部品の市況は足元で在庫調整が終わった段階にあり、関税影響による工場の稼働率低下は過去の下落局面と比べればマイルドになる可能性がある」とした。
同日発表した25年3月期の連結決算は、純利益が前の期比29%増の2338億円と3期ぶりの最終増益だった。売上高は6%増の1兆7433億円、営業利益は30%増の2797億円だった。データセンター向けの高単価の積層セラミックコンデンサーなどが伸びた。
26年3月期の業績予想が厳しいものだったことを受け、30日夕の時間外取引で村田株は下落した。この日の東証終値(2214円)を一時3%超下回る場面があった。株価は年初から1割以上、24年7月の高値(3816円)からは4割ほど下落している。
株主還元は拡大する。25年3月期の年間配当を従来予想から3円増やし1株57円(前の期は株式分割考慮後で52円)とした。26年3月期の年間配当は1株60円と、前期比3円増配する。16年連続の実質増配を見込む。
村田として過去最大の1000億円を上限とする自社株買いも発表した。中島社長は「資本効率を高め機動的な財務戦略も可能にする」とした。
LIXIL純利益4倍、今期、構造改革メド、利益水準なお低く[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 750文字 PDF有 書誌情報]
LIXILは30日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期の4倍の80億円になる見通しだと発表した。人件費削減など構造改革の成果が出るほか、欧州や中東で水栓金具やトイレなどが伸びる。前期に税金費用を計上した反動も出る。構造改革は一定のメドがついたが利益水準は低く、事前の市場予想(約227億円)にも届いていない。
売上高にあたる売上収益(継続事業ベース)は2%増の1兆5400億円、本業のもうけを示す事業利益(同)は12%増の350億円を見込む。人件費削減など構造改革効果で海外の事業利益は約2割増の215億円に回復する。
停滞していた米国事業も、米関税政策などを背景に採算が改善する可能性があるという。同社はメキシコにトイレの工場を持つ。中国やアジアで製造する競合他社は米関税政策の影響が大きい見通しで、価格競争で優位性を出せるとみられる。LIXILは主力市場の米国や欧州で現地生産が進んでおり、関税影響も受けにくい。
一方で業績の本格回復は道半ばだ。今期の純利益水準(80億円)は低く、23年3月期の159億円、22年3月期の486億円を大きく下回る。瀬戸欣哉社長は「ポートフォリオの改善と、今までもやってきた構造改革により事業利益率をあげる」と説明した。
同日発表した25年3月期の連結決算は最終損益が20億円の黒字(前の期は139億円の赤字)だった。黒字に回復したが、税負担の増加などで1月末に発表した従来予想(80億円)を下回った。継続事業ベースの売上収益は前の期比1%増の1兆5046億円だった。
28年3月期までの業績見通しも公表した。売上収益で前期比11%増の1兆6700億円、事業利益で3・5倍の1100億円を目指す。事業利益に占める海外事業の比率を40%まで高める。
コーテクHD最高益、スマホゲーム 新作なく減収、前期最終、6円増配[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 583文字 PDF有 書誌情報]
コーエーテクモホールディングスが30日発表した2025年3月期の連結決算は、純利益が前の期比11%増の376億円と過去最高を更新した。スマートフォン向けゲームの運営コストを削減したほか、有価証券の売却損が前の期より少なかった。年間配当は従来予想から12円上積みし、前の期比6円増の60円とした。
前期の売上高は831億円と前の期比2%減った。前の期にあったスマホ向けゲームの新作発売がなかったのが響いた。家庭用ゲーム機向けでは9本の新作ソフトを発売し、なかでも「真・三國無双 ORIGINS」は販売本数100万本を超えるヒットとなったが、補えなかった。
同日発表した28年3月期までの中期経営計画では、3カ年累計で売上高3000億円、営業利益1000億円とする目標を掲げた。単年度での営業利益は最大400億円を目指す。6月に社長就任予定の鯉沼久史副社長は「成長のための基盤づくりの時期だ」と話した。
26年3月期は連結売上高が前期比11%増の920億円、純利益は28%減の270億円を見込む。「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」向けソフト「ゼルダ無双」など新作ゲームの発売で増収となる見通しだが、開発コストの増加で利益率が悪化する。
資産運用などの営業外収益も「金融市場の状況が厳しい」(IR担当者)として、前期からの減少を見込む。
住友化380億円黒字、前期上振れ 北米でがん薬拡大[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 551文字 PDF有 書誌情報]
住友化学は30日、2025年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が380億円の黒字(前の期は3118億円の赤字)だったと発表した。従来の会社計画を130億円上回り、事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、261億円)も超えた。医薬品やディスプレー向け材料などの販売が伸びた。
売上高にあたる売上収益は前の期比7%増の2兆6060億円となり、計画を60億円上回った。本業のもうけを示すコア営業損益は1400億円の黒字(前の期は1490億円の赤字)だった。従来の見通しは1000億円の黒字だった。
北米で前立腺がん治療薬の「オルゴビクス」などの売り上げが想定を上回った。連結子会社の住友ファーマからのコア営業利益は350億円と従来の見通しから110億円上振れ。ディスプレー材料などの電子材料はスマホ向けのタッチセンサーの伸びが寄与し、コア営業利益は710億円と計画を60億円上回った。事業売却などの業績改善策も利益を押し上げた。
30日午後1時半の発表後、住友化学株は前営業日比5%高の344円を付ける場面があった。終値は343円70銭だった。みずほ証券の山田幹也シニアアナリストは「上方修正は対ドルの円高進行や原油価格調整などに鑑みて、ポジティブサプライズ。短中期の株価に対し好材料」と評価した。
三菱倉が純利益最高、今期 自社株買い最大200億円[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 437文字 PDF有 書誌情報]
三菱倉庫は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比27%増の404億円になるとの見通しを発表した。21年3月期(391億円)を上回り、5期ぶりに過去最高益を更新する。国内外の物流事業が好調で、マンション販売の反動減を補う。年間配当は年36円と、昨年11月に実施した株式分割を考慮すると実質増配を見込む。
今期の売上高に当たる営業収益は前期比2%増の2900億円、営業利益は2%減の200億円となる見通し。国内で医薬品や自動車関連、飲料などの取り扱いが増えるほか、国際運送で取扱量が伸びる。持ち分法適用関連会社であるベトナム物流企業で前期に投資損失を計上した反動が寄与するほか、政策保有株の売却も進む。米政権の関税政策の影響は現在「分析中」とし、現時点では織り込んでいない。
あわせて最大200億円の自社株買いを発表した。発行済み株式数(自社株を除く)の約9%に当たる3300万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日~26年3月19日で、取得した株式はすべて消却する。
住友林 純利益6%減、1~3月 米国で販売戸数減少[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 377文字 PDF有 書誌情報]
住友林業が30日発表した2025年1~3月期連結決算は、純利益が前年同期比6%減の201億円だった。国内住宅事業は好調だったが、米国では住宅市況低迷の影響を受け販売戸数が減少した。
米国の戸建て住宅は販売単価が上昇したものの、住宅ローン金利の高止まりなどを背景に住宅購入層の様子見姿勢が色濃く、販売戸数が減少した。オーストラリアの戸建て住宅販売は好調だったが米国の減少を補えず、海外事業の部門別経常利益は275億円と15%減った。
売上高は13%増の5116億円、経常利益は4%減の372億円だった。国内注文住宅は受注増と販売単価上昇が寄与し部門別の経常利益が95%増の79億円に拡大したが、海外の減速が響いた。
25年12月期通期の連結業績見通しは従来予想を据え置いた。売上高は前期比24%増の2兆5560億円、純利益は6%増の1230億円を見込む。
SCSK純利益28%増 今期、買収寄与[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 341文字 PDF有 書誌情報]
SCSKは30日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比28%増の576億円になる見通しだと発表した。国内企業の堅調なIT(情報技術)需要を取り込む。24年12月にネットワンシステムズを買収した効果も通期で寄与する。
今期の売上高は33%増の7900億円、営業利益は29%増の850億円を見込む。自動車など製造業や通信業、金融業向けのシステム開発案件が拡大する。前期に一部ソフトウエア製品の除却損を計上した反動も出る。
同日発表した25年3月期の連結決算は、売上高が前の期比24%増の5960億円、純利益が11%増の450億円だった。製造業や金融業向けのシステム開発案件が好調だった。人件費増加やシステムの老朽化対策に伴うコスト増を増収効果や不採算案件解消で補った。
東武の純利益 今期3%減 5円増配[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 302文字 PDF有 書誌情報]
東武鉄道は30日、2026年3月期の連結純利益が前期比3%減の500億円になる見通しだと発表した。クレジットカードの刷新に伴う費用増などが響く。年間配当は前期比で5円増やして1株当たり65円とする。
同日、100億円を上限とする自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の2・5%にあたる500万株を上限に買い付ける。取得期間は5月1日から8月31日まで。
今期の売上高にあたる営業収益は1%増の6400億円、営業利益は9%減の680億円を見込む。堅調なインバウンド(訪日外国人)利用などを背景に旅行業やホテル業を中心に需要増を見込む。運輸業では今後運賃改定の可能性があるとしている。
ZOZO今期 純利益7%増 自社株買い最大100億円[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
ZOZOは30日、2026年3月期の連結純利益が前期比7%増の485億円になる見通しだと発表した。主力の衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」事業の商品取扱高が伸びる。今期の売上高は5%増の2241億円、営業利益は8%増の698億円を見込む。
英同業のLYST社買収の業績影響については「精査中」として今期予想への反映を見送った。精査が終わり次第「速やかに修正開示を予定する」という。
あわせて最大100億円の自社株買いを実施すると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の1・12%にあたる1000万株を上限とする。
カゴメの純利益 1~3月76%減 評価益の反動[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 238文字 PDF有 書誌情報]
カゴメが30日に発表した2025年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比76%減の28億円だった。前年同期に連結子会社とした米トマト加工大手の保有株の評価差益として93億円を「その他の収益」に計上した反動で減益となった。
売上高にあたる売上収益は0・3%減の671億円だった。国際事業で、農産物を加工してペーストを製造・販売する一次加工で前期比31億円の減収となった。世界的にトマトペーストの生産量が増加し、米国や欧州、オーストラリアで販売価格を下げた。
<数表>本決算(決算数字)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 3976文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
明和産業(8103) 6.27
24.3 1582 4032 2754 66.1 34.0
25.3 1567 4520 3376 83.3 42.0
26.3予 1600 4000 3000 74.6 38.0
伊藤忠エネクス(8133)国際基準 6.18
24.3 9633 24687 13887 123.0 54.0
25.3 9244 28173 17102 151.6 62.0
東海東京フィナンシャル・ホールディングス(8616) 6.26
24.3 892 18397 10189 40.9 28.0
25.3 863 15120 11048 44.1 28.0
HSホールディングス(8699) 6.26
24.3 495 15775 9463 310.7 10.0
25.3 377 15122 12100 402.1 10.0
■丸八証券(8700) 6.24
24.3 32 768 517 129.7 記80.0
25.3 30 599 392 98.3 60.0
トレイダーズホールディングス〓(8704) 6.25
24.3 101 4389 3334 117.4 24.0
25.3 134 6650 4547 164.6 32.0
平和不動産(8803) 6.24
24.3 444 11463 8450 236.1 166.0
25.3 420 11651 9565 283.1 172.0
26.3予 490 11700 9700 290.5 176.0
■センチュリー21・ジャパン(8898) 6.25
24.3 38 986 674 64.9 45.0
25.3 40 1178 802 78.2 50.0
26.3予 44 1193 810 78.9 50.0
東武鉄道(9001) 6.24
24.3 6359 72033 48164 233.0 記55.0
25.3 6314 72716 51330 253.0 60.0
26.3予 6400 62000 50000 250.5 65.0
JR東日本(9020) 6.20
24.3 27301 296631 196449 521.5 140.0
25.3 28875 321564 224285 198.3 60.0
26.3予 30230 323000 227000 200.7 62.0
JR東海(9022) 6.25
24.3 17104 546946 384411 390.7 85.0
25.3 18318 649294 458423 465.9 31.0
26.3予 18650 608000 423000 429.9 32.0
南海電気鉄道(9044) 6.18
24.3 2415 29312 23926 211.3 35.0
25.3 2607 35572 22496 198.7 40.0
26.3予 2667 29600 18900 166.9 40.0
神奈川中央交通(9081) 6.27
24.3 1170 7747 3262 265.9 60.0
25.3 1181 7745 5083 414.3 90.0
26.3予 1197 4650 2520 205.4 90.0
商船三井(9104) 6.24
24.3 16279 258986 261651 722.9 220.0
25.3 17754 419703 425492 1186.6 360.0
26.3予 17000 150000 170000 486.5 150.0
NSユナイテッド海運(9110) 6.25
24.3 2331 22185 17986 763.2 230.0
25.3 2474 19015 18621 790.2 240.0
ANAホールディングス(9202) 6.27
24.3 20559 207656 157097 335.1 50.0
25.3 22618 200086 153027 325.6 60.0
26.3予 23700 175000 122000 257.4 60.0
■スターフライヤー(9206) 6.27
24.3 400 1060 912 260.1 0
25.3 429 1933 1923 536.7 0
三菱倉庫(9301) 6.27
24.3 2545 24358 27787 359.5 120.0
25.3 2840 18620 31864 85.9 96.0
26.3予 2900 24400 40400 112.2 36.0
杉村倉庫(9307) 6.25
24.3 108 1295 863 52.9 10.0
25.3 112 1379 917 56.1 記15.0
26.3予 112 1350 910 55.6 12.0
■兵機海運(9362) 6.26
24.3 146 678 512 431.0 130.0
25.3 137 618 435 364.3 115.0
26.3予 140 630 440 367.6 115.0
東京電力ホールディングス(9501) 6.26
24.3 69183 425525 267850 167.2 0
25.3 68103 254443 161278 100.7 0
関西電力(9503) 6.26
24.3 40593 765970 441870 495.1 50.0
25.3 43371 531686 420364 436.1 60.0
26.3予 40000 400000 295000 264.8 60.0
中国電力(9504) 6.26
24.3 16287 194076 133501 370.6 35.0
25.3 15292 128543 98474 273.7 27.0
26.3予 14000 85000 65000 180.8 21.0
東北電力(9506) 6.26
24.3 28178 291940 226102 452.1 15.0
25.3 26449 256725 182807 365.5 35.0
26.3予 24500 190000 135000 269.9 40.0
四国電力(9507) 6.26
24.3 7874 80096 60515 294.3 30.0
25.3 8513 91611 68324 332.2 40.0
26.3予 8000 53000 41000 199.3 50.0
九州電力(9508) 6.26
24.3 21394 238161 166444 342.3 25.0
25.3 23568 194669 128766 260.1 50.0
26.3予 22500 160000 120000 253.9 50.0
北海道電力(9509) 6.26
24.3 9537 87315 66201 315.4 20.0
25.3 9020 64051 64218 305.9 20.0
26.3予 8980 40000 26000 126.6 30.0
沖縄電力(9511) 6.27
24.3 2363 2568 2391 44.0 10.0
25.3 2365 5665 4322 79.6 20.0
26.3予 2137 8000 5700 105.0 30.0
東邦ガス(9533) 6.25
24.3 6329 40797 27304 259.7 70.0
25.3 6560 32412 25454 251.8 80.0
26.3予 6100 30000 25000 256.2 90.0
西部ガスホールディングス(9536) 6.25
24.3 2563 10377 6155 166.2 70.0
25.3 2544 10611 6362 171.8 70.0
26.3予 2560 11000 7000 189.0 70.0
KSK(9687) 6.27
24.3 217 2381 1702 284.9 記226.0
25.3 236 2506 1860 309.4 124.0
26.3予 254 2700 1970 325.6 163.0
トランスコスモス(9715) 6.25
24.3 3622 13782 10097 269.5 81.0
25.3 3758 15683 11332 302.4 106.0
26.3予 4000 17000 11500 306.9 108.0
SCSK(9719)国際基準 6.24
24.3 4803 57459 40461 129.5 60.0
25.3 5960 65547 45035 144.1 71.0
26.3予 7900 81500 57600 184.3 94.0
ナガセ(9733) 6.27
24.3 529 4323 2602 98.8 100.0
25.3 552 3879 1956 74.3 100.0
26.3予 647 6373 3815 144.9 100.0
アイネス(9742) 6.25
24.3 405 2732 1795 86.3 50.0
25.3 405 3608 2436 117.1 55.0
26.3予 430 4100 2800 134.6 60.0
ハチバン(9950) 6.12
24.3 76 365 160 54.9 20.0
25.3 82 463 236 80.5 20.0
26.3予 86 420 283 96.3 20.0
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1623文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
住友林業(1911)
24.1-3 4536 38670 21457 104.9
25.1-3 5116 37272 20188 98.7
バリューコマース(2491)
24.1-3 76 1340 913 28.3
25.1-3 81 1061 1053 48.7
25.12予 229 1500 2100 96.9
インフォマート(2492)
24.1-3 35 227 202 0.9
25.1-3 43 578 305 1.4
カゴメ(2811)国際基準
24.1-3 673 14096 11492 133.5
25.1-3 671 4275 2813 30.2
ロードスターキャピタル(3482)
24.1-3 81 2476 1588 96.5
25.1-3 110 5341 3584 216.5
ブロードバンドタワー(3776)
24.1-3 30 167 119 2.0
25.1-3 31 138 95 1.6
伊勢化学工業(4107)
24.1-3 68 1260 875 171.8
25.1-3 82 1936 1362 267.4
大倉工業(4221)
24.1-3 195 1365 856 70.8
25.1-3 216 1682 1251 108.5
竹本容器(4248)
24.1-3 37 190 106 8.9
25.1-3 37 244 188 15.6
大塚ホールディングス(4578)〓国際基準
24.1-3 5195 100079 77377 142.6
25.1-3 5828 113367 84997 158.6
大塚商会(4768)
24.1-3 2666 17641 11679 61.6
25.1-3 3155 21852 14491 38.2
電通総研(4812)
24.1-3 370 5734 4118 63.3
25.1-3 402 5995 4109 63.2
日本電気硝子(5214)
24.1-3 766 4627 19616 224.6
25.1-3 748 6101 5008 62.5
25.12予 3100 21000 16000 201.7
■ノバシステム(5257)
24.1-3 15 160 109 77.8
25.1-3 16 107 72 52.2
岡部(5959)
24.1-3 156 854 578 12.5
25.1-3 159 1055 743 16.1
ナブテスコ(6268)国際基準
24.1-3 721 5131 2640 22.0
25.1-3 816 5268 3283 27.3
スミダコーポレーション(6817)〓国際基準
24.1-3 363 464 348 10.7
25.1-3 353 802 585 17.7
日本フェンオール(6870)
24.1-3 36 662 554 98.9
25.1-3 38 568 746 133.2
ジャパンインベストメントアドバイザー(7172)
24.1-3 90 5670 4083 67.5
25.1-3 110 5931 4030 66.6
グローバルダイニング(7625)
24.1-3 27 137 133 12.9
25.1-3 29 ▲102 ▲107 ―
■エリアリンク(8914)
24.1-3 68 1342 902 71.2
25.1-3 75 1495 1112 43.8
内外トランスライン(9384)
24.1-3 79 972 671 68.9
25.1-3 92 798 561 57.5
トラスコ中山(9830)
24.1-3 719 5065 3512 53.3
25.1-3 791 5817 4002 60.7
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1566文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
戸田建設(1860)
25.3 5860 29100 25100
三機工業(1961)
25.3 2531 23070 17200
1株配(円) 25.3予=165.0 (24.3=85.0)
日本甜菜製糖(2108)
25.3 648 1100 2700
■中村屋(2204)
25.3 372 1270 880
1株配(円) 25.3予=70.0 (24.3=60.0)
シキボウ(3109)
25.3 ★ 1000 930
■GLP投資法人(3281)
25.8 303 15583 15776
1口分配(円) 25.8予=3583.0
サイトリ細胞研究所(3750)
25.3 1 ▲864 ▲2140
住友化学(4005)
25.3 26060 ― 38000
第一稀元素化学工業(4082)
25.3 336 630 790
TAC(4319)
25.3 191 736 467
マナック・ケミカル・パートナーズ(4360)
1株配(円) 25.3予=12.5 (24.3=15.0)
フジ・メディア・ホールディングス(4676)
25.3 5507 25100 ▲20100
ベルテクスコーポレーション(5290)
25.3 389 6449 4748
1株配(円) 25.3予=60.0 (24.3=40.0)
大紀アルミニウム工業所(5702)
25.3 2997 3700 700
フェニックスバイオ(6190)
25.3 15 ▲151 ▲445
カワタ(6292)
25.3 207 1033 576
AIAIグループ(6557)
25.3 130 870 420
アオイ電子(6832)
25.3 350 420 180
サノヤスホールディングス(7022)
25.3 250 1070 1170
カーメイト(7297)
25.3 155 377 ▲332
松屋アールアンドディ(7317)
25.3 95 2050 1560
プロクレアホールディングス(7384)
25.3 846 2400 1200
中山福(7442)
25.3 409 491 526
メディパルホールディングス(7459)
1株配(円) 25.3予=62.0 (24.3=60.0)
ムサシ(7521)
25.3 373 4720 3420
メニコン(7780)
25.3 1214 9600 5500
共同印刷(7914)
25.3 999 2700 3300
1株配(円)〓25.3予=140.0 (24.3=100.0)
グローブライド(7990)
25.3 1239 6400 4700
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
25.3 ― ― 1860000
1株配(円) 25.3予=64.0 (24.3=41.0)
りそなホールディングス(8308)
25.3 ― ― 210000
四国銀行(8387)
25.3 538 10200 6800
ゴールドクレスト(8871)
25.3 292 7000 5000
REVOLUTION(8894)
24.11-25.4 129 ▲4323 ▲2596
25.10 357 ▲3959 ▲3112
日本ロジテム(9060)
25.3 660 1156 461
■Green Earth Institute(9212)
24.10-25.3 2 ▲132 ▲134
スズケン(9987)
25.3 23999 38800 34400
<数表>第3四半期(決算数字)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 936文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
■ウェルネット(2428)
23.7-24.3 75 923 643 34.1
24.7-25.3 83 1421 913 48.8
25.6予 108 1600 1050 56.0
1株配(円) 25.6予=28.0
■手間いらず(2477)
23.7-24.3 15 1109 715 110.5
24.7-25.3 16 1208 808 124.9
オルバヘルスケアホールディングス(2689)
23.7-24.3 894 1689 1115 186.6
24.7-25.3 924 1285 932 157.5
アバントグループ(3836)
23.7-24.3 178 3091 1974 52.9
24.7-25.3 209 3620 2270 62.2
テクノプロ・ホールディングス〓国際基準(6028)
23.7-24.3 1625 18481 12711 118.9
24.7-25.3 1777 22410 15497 148.1
アクモス(6888)
23.7-24.3 47 616 397 40.5
24.7-25.3 48 498 323 32.6
ギックス(9219)
23.7-24.3 16 185 120 21.5
24.7-25.3 17 ▲110 ▲99 ―
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
<数表>第2四半期(決算数字)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 906文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
■キャリアデザインセンター(2410)
23.10-24.3 87 688 468 84.2 0
24.10-25.3 90 640 437 83.5 0
25.9予 190 1750 1180 224.3 95.0
■篠崎屋(2926)
23.10-24.3 14 24 14 1.0 0
24.10-25.3 15 61 39 2.8 0
アズーム(3496)
23.10-24.3 49 838 584 99.1 0
24.10-25.3 63 1155 760 128.7 0
25.9予 125 2490 1619 273.8 40.0
M&Aキャピタルパートナーズ〓(6080)
23.10-24.3 72 1668 1113 35.1 0
24.10-25.3 114 4251 2877 90.6 0
25.9予 236 8105 5487 172.8 51.84
グローバルキッズCOMPANY〓(6189) 6.2
23.10-24.3 138 330 190 20.3 0
24.10-25.3 139 285 150 15.9 20.0
25.9予 258 920 600 63.1 40.0
■ストライク(6196)
23.10-24.3 92 3705 2440 127.1 0
24.10-25.3 89 2440 1739 90.6 0
25.9予 223 8406 5631 293.2 180.0
アイナボホールディングス(7539) 6.2
23.10-24.3 461 1720 1078 93.3 22.0
24.10-25.3 474 1770 1084 46.8 12.0
25.9予 927 2550 1550 66.7 24.0
M&A総研ホールディングス(9552)
23.10-24.3 85 4937 3173 54.3 0
24.10-25.3 76 2489 1568 26.8 0
25.9予 179 5740 3960 67.7 0
<数表>財務短信[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 323文字 PDF有 書誌情報]
スター・マイカ・ホールディングス(2975)
第三者割当増資=75万5900株▽発行価格=926円▽払込日=5月16日▽割当先=日本政策投資銀行
ZOZO(3092)
自己株式消却=939万171株(5月9日予定)
ユニチカ(3103)
C種種類株式の払込日=4月30日
北国フィナンシャルホールディングス(7381)
自己株式消却=50万株(5月9日予定)
株式分割=9月30日現在の株式1株を10株
北洋銀行(8524)
自己株式消却=2100万株(5月30日予定)
アイザワ証券グループ(8708)
第7回無担保社債8億円(個人向け)▽償還期限=2026年5月22日▽利率=1.25%▽申込期間=5月1~22日▽払込日=5月23日▽発行価格=100円
戻り相場に一巡感、日経平均小幅高 自動車株 上値重く[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1253文字 PDF有 書誌情報]
30日の東京株式市場で日経平均株価は小幅高にとどまった。終値は前営業日比205円(0・6%)高の3万6045円。トランプ米政権が自動車・部品に課す関税の負担軽減措置を発表したが、恩恵を受けるとみられる自動車株の上値は重い。米政権の関税への姿勢軟化で始まった戻り相場に一巡感が漂う。
日経平均は3万6000円台を回復し、約1カ月ぶりの高値で終えたものの、取引時間中に下げに転じる場面もあるなどさえない展開だった。高関税政策の緩和措置を受けて、取引開始前には自動車株を中心に買われ日経平均を支えるとみられていただけに、上昇の鈍さは意外な反応だった。
29日、トランプ米政権は自動車・部品関税の負担軽減措置を発表した。米国内で生産する完成車を対象に、生産に使った輸入部品にかかる関税を一部免除する措置を導入するという。自動車株のなかで、特に市場参加者が意外と受け止めたのがホンダ株。終値は1453円と前営業日比0・1%高にとどまった。一時11円安(0・8%安)となる場面もあった。
ホンダは米国で世界全体の4割弱にあたる142万台を販売しており、このうち7割にあたる約100万台を米国で生産している。日本からの輸出が多い競合他社と比べて関税一部免除の恩恵を受けやすいとの見方から、上昇を見込む向きが多かった。
大和証券の坪井裕豪日米株チーフストラテジストは「マーケットは自動車への25%の追加関税が最終的に回避されるシナリオを描いているだけに、関税の緩和が部品だけにとどまったことでやや期待外れ感があった。恩恵はゼロではないが小さいだろうというのが市場の見方。失望売りが自動車株で広がった」と解説する。
外為市場での円高・ドル安進行も自動車株の重荷となった。30日午前には一時1ドル=142円台前半まで円買い・ドル売りが広がる場面があった。
需給面でも、上値が重い事情がある。2024年初から現在までのホンダ株の累積売買代金を価格帯別に見ると、1400円台は2兆1600億円、1500円台は2兆4600億円と取引が厚い。1400円台半ばで推移する足元の水準は、ようやく含み損が解消されてきた投資家が多く、戻り待ちの売りが出やすい。
価格帯別の累積売買代金を日経平均採用銘柄でみても、3万6000円台前半より上の水準は「需給の壁」になりやすい。みずほ証券のデータによると、3万5000円台後半の46兆円に対して3万6000円台前半は74兆円と一気に売買代金が膨らんでいた。日本株全体が、上昇に歯止めがかかりやすい水準に差し掛かったと言えそうだ。
赤沢亮正経済財政・再生相は4月30日から5月2日に訪米し、1日にベッセント財務長官やグリア米通商代表部(USTR)代表と協議する見通しだ。2回目となる今回の協議でも、政府は一連の関税措置の見直しを求めるとされる。
トランプ政権の態度軟化で始まった戻り局面では関税の引き下げが進むという楽観論も一部にあった。米政権の譲歩が鈍く悲観に振れる展開にも気をつける必要がある。
4月の日経平均、今年初の上昇、427円高[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 536文字 PDF有 書誌情報]
4月の日経平均株価は月間で427円(1%)高と上昇した。月間上昇は4カ月ぶりで今年初めて。トランプ米大統領の相互関税発表を受け月上旬には1年半ぶりの安値水準を付ける場面があった。月半ば以降は関税政策を巡る強硬姿勢が和らいだとの見方から、相場は持ち直し基調が続いた。
月中値幅(高値と安値の差、終値ベース)は4908円と24年8月(7189円)以来の大きさだった。
トランプ大統領は米国時間2日、各国・地域からの輸入品にかける「相互関税」の税率を発表した。対日本を含め想定を大きく上回る高関税で世界的に株式相場が急落。中国が報復措置に動いたことで世界経済の急減速が意識された。日経平均は7日に過去3番目の下げ幅(2644円安)を記録し、一時3万1000円を割り込んだ。
9日には相互関税の上乗せ部分を90日停止する措置がとられ、相場は急反発した。8日(1876円高)と10日(2894円高)はそれぞれ歴代5位と2位の上げ幅となった。
日経平均構成銘柄で最も上昇したのは中外製薬(21%高)。同社が創薬し米イーライ・リリーに全世界での開発・販売の権利を譲渡した経口の糖尿病・肥満症薬が糖尿病向けの最終段階の臨床試験(治験)で有効性や安全性が確認されたことが手掛かりとなった。
日証金、パレモ・HD株、MRKHLD株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
日証金、パレモ・HD株、MRKHLD株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。1日約定分から。
東証、ぷらっと株の信用取引に関する臨時措置を解除[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
東証、ぷらっと株の信用取引に関する臨時措置を解除 1日売買分から。日証金も同日から貸借取引自己取引分および非清算参加者ごとの清算取次貸借取引自己取引分にかかる銘柄別増担保金徴収措置を解除。
東証、Fスターズ株を貸借銘柄に選定[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
東証、Fスターズ株を貸借銘柄に選定 1日売買分から。日証金も同日約定分から貸借銘柄に追加。
東証、制限値幅を拡大[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 オルツ株を下限のみ320円に拡大。1日に実施。
東証、ココペリ株、ココナラ株を日々公表銘柄に指定[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 31文字 PDF有 書誌情報]
東証、ココペリ株、ココナラ株を日々公表銘柄に指定 1日から。
30日の相場表変更[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
▽上場廃止=〔東証スタンダード・整理〕テクノスJ
「トランプCEO」100日プラン 短期の成果求め ひずみ、日本企業にリスクと機会(スクランブル)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1951文字 PDF有 書誌情報]
企業の再生やM&A(合併・買収)の世界では「100日プラン」という手法がある。最初の100日間で集中的に、直面する課題にメスを入れるのだ。大胆な措置で目に見える成果を短期で上げることがまず重要。そこから時間をかけ、新たな成長軌道に乗せる施策を目指していく。
米国で第2次トランプ政権の発足から100日が経過した。米国を「会社」に見立てれば、トランプ氏はさながら改革しようと再び乗り込んできた「CEO(最高経営責任者)」。まさにこの100日間、一気呵成(かせい)に彼が課題と考える改革に打って出た。
トランプ氏自身が29日に「就任100日」で演説したのはこれを意識している証拠にほかならない。選んだ場所は自動車産業の地、ミシガン州。関税政策によって世界の企業が米国に集まり、雇用も増えていると自賛した。
ただ手術そのものが適切で、将来しっかりと体力が戻り健全な経済運営や世界秩序を保てるのか。ここから問われるところだ。30日の東京市場は日経平均株価が28日比205円高と落ち着いた動きだったが、トランプCEOが今後も世界の金融・株式市場を揺さぶる構図は続く。
低迷からの脱出。日本企業で例を探すなら1999年に日産自動車のカルロス・ゴーンCOO(最高執行責任者)による「リバイバルプラン」のショックが思い出される。
購買コスト20%削減を通達、調達先を半減し系列を解体。工場閉鎖と人員減。ひねり出した資金で借金を一気に減らす。あつれきを辞さず、人事を掌握して改革を断行した。こうして生き残る道筋をたぐり寄せたからその後の新車投入による反転攻勢に出られた。
むろん、そのまま企業経営と政治を同じには語れない。ただ、米国の病は貿易赤字と財政赤字にあると見立て、すぐさまとれる手段をとトランプ氏は大統領令を振りかざす。高関税は歳入増にもなる。米国の借金のもとに世界の貿易が成り立つ構図を疑問視し、製造業の国内回帰を迫る。そして台頭する中国への包囲網づくりを急ぐ。
再建請負人にとっては目に見える成果ができるだけ早くほしい。そのために思いもよらぬ高率の相互関税で揺さぶり、交渉に引きずり出す。不法移民を強引に追い返し、連邦公務員をいや応なく減らす。金利は安い方がいいからと米連邦準備理事会(FRB)に圧力をかける。
一連の施策は共和党保守派による公約に沿うものだ。自分の支持者の意思を忠実に遂行するCEOとも見て取れる。
ただ大胆な外科手術が許されるのは条件があるだろう。それに耐える体力が経済にあることと、手術後の米国や世界の姿をより多くの人が共感できることだ。
高関税戦略が経済の下振れリスクを高め、米証券会社の中には景気後退リスクを60%とするところも出てきた。むしろこの後の財政出動のコストを重くする懸念やFRBへの圧力を嫌がるムードが、株式・債券・通貨の「トリプル安」を呼んだ。減税策などを出せば、市場は制御できるものと見誤っていたか。
「マッドマン(狂人)理論」の限界も語られ始めた。何をしでかすかわからないから交渉相手から譲歩を引き出せる。ニクソン大統領時代になぞらえて今回ささやかれる理論だが、逆に交渉相手の方がトランプ氏を信用できなくなると交渉は進まなくなってしまう。
そして手術後の姿。米国の黄金時代などというものの「今回の関税策をとる理由として、米国にどんなビッグビューがあるかがなおふわっとしたままだ」(大和総研の矢作大祐氏)との声がある。
企業再生やM&Aの100日プランでは気をつけるべき失敗リスクが列記される。初期に成果が出ないとモチベーションが落ちる。ステークホルダーの信頼を失い協力を得られない。コミュニケーション不足による不信感の広がり。市場の変化についていけず大事な機会を損なう。
失敗が続くと追加コストが発生、企業価値のさらなる毀損をもたらす。いずれもトランプCEOのリスクといっていい。
株式と債券市場からみた100日間の第2次トランプ政権への評価は厳しいものだ。29日まででS&P500種株価指数は7%安で、12%安のフォード大統領時代以来の下落幅だ。
フォード政権は任期を通してみれば27%高と株価を上げた。むしろドルと金の兌換(だかん)停止や輸入課徴金によって金融市場を揺るがしたニクソン大統領が20%安という厳しい結果となったのがわかる。
トランプ氏にすれば米国に迫る衰退を反転させたいという長期の意思を背負う。それと短期の成果とのあいだの振り子になってくるか。米国が内向きになることで生じる「すきま」にどう対応するかは、日本のリスクでもあり、機会でもあるだろう。日本企業は大局観を持った、したたかさがいっそう問われる局面になってくる。
(編集委員 藤田和明)
令和の証券民主化運動(大機小機)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 929文字 PDF有 書誌情報]
日本の株式市場は、幅広い国民が株を持つ「大衆化」を本格的に進めるべき段階を迎えている。元号の変遷とともに保有主体が入れ替わってきたこの市場が、次の転換点にさしかかっているからだ。
1940年代後半、財閥解体で市中に放出した株を個人に安く分配し、国民が等しく豊かになろうという運動が盛り上がった。終戦直後の証券民主化運動だ。当時個人の持ち株比率は7割に達した。
だがGHQ(連合国軍総司令部)の緊縮財政金融策(ドッジライン)で株価は暴落。投資ブームは霧消した。個人が手放した株は金融機関や事業会社が吸い上げ、高度成長期からバブル期まで昭和のニッポン株式会社を支えた株式の持ち合い構造ができた。
そしてバブルが崩壊した平成の時代。不良債権処理の原資として銀行は持ち合い株を売却し、それを海外投資家が拾った。90年代を通じて海外勢の持ち株比率は右肩上がりで、アベノミクス初期の2013年度に3割を超えた。
それから10年余。海外勢は売ったり買ったりで、持ち株比率は頭打ちだ。一方、アベノミクスが起動したガバナンス改革とアクティビストの台頭は企業に非効率な資産の整理を迫り、事業会社や損害保険会社が最後に残った政策保有株の売却を急いでいる。
海外勢にこれ以上の保有引き上げを期待できなければ、市中に出る政策保有株を誰が引き受けるのか。個人をおいてほかにない。日銀もいずれ保有ETF(上場投資信託)の売却を迫られる。国民がもっと手軽に日本株を買える環境の整備は待ったなしだ。
東京証券取引所が先週、最低投資額10万円を目安に上場企業に一段の株式分割を求めたのはこうした危機感が背景にあるのだろう。新NISA(少額投資非課税制度)が現状、米国株や世界株投資信託を通じた個人資金の海外流出を加速させている大きな原因は、欧米より桁違いに高い日本株の投資単位にある。
日本株投資のハードルを下げる取り組みは始まったばかりだ。会社法改正と歩調を合わせた単元株制度の廃止は必須だ。欧米のように1株から株を買えるようにするには、株主総会実務のデジタル化や海外より低い株主提案権の行使要件の見直しを同時に進めなければならない。機は熟した。令和の証券民主化運動を始めるときだ。(井蛙)
株式 5日続伸、3万6000円台(市場往来)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
30日の東京株式市場で日経平均株価は5日続伸し、終値は前営業日比205円39銭(0.57%)高の3万6045円38銭だった。約1カ月ぶり高値で終えた。トランプ米政権と貿易相手国・地域との関税交渉が進展するとの期待を背景に、前日の米株式市場でダウ工業株30種平均が6日続伸するなど、米国株が戻り歩調にあり投資家心理を支えた。3月期決算が本格化し個別物色が活発だった。
スクエニHD、日立、ソニーG、OLC(注目株概況)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
海外ファンドによる株保有が判明。経営改善要求が強まるとの思惑が広がった。
28日発表の今期の純利益予想が市場予想を大幅に下回り、失望が広がった。
半導体子会社のスピンオフを検討していると報じられ、好感された。
28日に発表した今期の営業利益見通しが市場予想に届かず、売られた。
為替 円5日ぶり反発、ドル売り優勢(市場往来)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は5営業日ぶりに反発。午後5時時点は1ドル=142円79~82銭と前営業日の同時点に比べ82銭の円高・ドル安だった。米景気懸念が強まりドル売りが優勢となった。
金利 10年債利回り、1.310%に低下(市場往来)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは低下(価格は上昇)。前営業日比0.010%低い1.310%で取引を終えた。米景気懸念から29日の米長期金利が低下し国内債の買いに波及した。
商品 原油3日ぶり反落(市場往来)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で、原油は3営業日ぶりに反落した。大消費国である米国と中国ともに景気の減速懸念が広がっており、需給の緩みを意識した売りが出やすかった。
<数表>2市場信用取引残高[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 19ページ 314文字 PDF有 書誌情報]
2市場信用取引残高
( 4月25日現在、一般信用と制度信用の合計、単位千株、百万円、カッコ内は前週比増、▲減 )
売り残 買い残
東京 株数 326,034 ( ▲483 ) 2,866,541 ( 17,062 )
金額 646,137 ( 49,551 ) 3,883,897 ( ▲68,429 )
名古屋 株数 0 ( ▲1 ) 1,292 ( 34 )
金額 0 ( ▲1 ) 1,432 ( ▲13 )
2市場 株数 326,034 ( ▲484 ) 2,867,833 ( 17,096 )
合計 金額 646,137 ( 49,550 ) 3,885,329 ( ▲68,442 )
<数表>4月30日(市場体温計)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 20ページ 2654文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 36045円38銭(+205円39銭)
騰落率= +0.573%
東証株価指数(TOPIX) 2667.29 (+16.68)
騰落率= +0.629%
売買代金 5436761百万円 (+714592百万円)
売 買 高 228183万株 (+26680万株)
売買単価 2382.6円
売買高上位10銘柄の占有率 28.0%
〓-〓 上場銘柄数 1635 値上がり 923 〓-〓
売買成立 1635 値下がり 650 変わらず 62
新値株 (年初来) 高 値 63 安 値 1
騰落レシオ(25日移動平均) 100.18%
時価総額 9247594億円 (+48385億円)
普通株式数(百万株) 499265 1株当たり時価(円) 1852.24
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 14.81 ( 15.63 ) 1.34 2.24 ( 1.99 )
JPX日経400採用銘柄 14.57 ( 14.85 ) 1.45 2.31 ( 2.14 ) 2.51 ( 2.23 )
東証プライム全銘柄 14.71 ( 15.57 ) 1.29 2.67 ( 2.40 ) 2.51 ( 2.23 )
東証スタンダード全銘柄 14.09 ( 15.95 ) 1.01 2.63 ( 2.51 ) 2.37 ( 2.43 )
東証グロース全銘柄 39.43 ( 154.34 ) 3.27 0.83 ( 0.75 ) 0.60 ( 0.55 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 6.79 %
前期基準 6.42 %
30
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 576.57 ( +3.39)
日経500種平均株価 3189円49銭 ( +15円72銭)
日経平均高配当株50指数 66660.43 ( -208.55)
日経連続増配株指数 48633.59 ( +275.55)
日経累進高配当株指数 44901.59 ( +188.29)
日経半導体株指数 7449.80 ( +85.28)
日経平均内需株50指数 27814.67 ( +141.73)
日経平均外需株50指数 33737.00 ( +127.07)
日経平均トータルリターン 64938.64 ( +370.03)
日経平均VI先物指数 6029.03 ( -0.71%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2597円43銭 ( +12円44銭)
東証規模別株価指数
大型 2621.96 ( +16.95)
中型 2849.11 ( +18.50)
小型 4487.37 ( +16.16)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1704.25 (+21.27)
…
ド ル/円 1 ド ル = 142.79~142.82円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 162.45~162.49円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1376~1.1378ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3279.0314 (-7.6234)
韓国総合(韓国) 2556.61 (-8.81)
ハンセン(香港) 22119.41 (+111.30)
加権(台湾) 20235.03 (+2.40)
VN(ベトナム) 休 場
クアラルンプール総合 1540.22 (+24.66)
ST(シンガポール) 3832.51 (+27.33)
ジャカルタ総合 6766.795 (+17.720)
SET(タイ) 1197.26 (+26.14)
オールオーディナリーズ(豪) 8341.0 (+53.1)
新発10年国債利回り 1.310% ( -0.010)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.476% ( 0)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15265 円 (-39円)
ドバイ原油(1キロリットル) 53290 円 (-2760円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
646.05 (-11.98)
工業品 652.24 (-12.67)
始値 35946円88銭 高値 36056円52銭 ( 15時14分 )
午前終値 35902円51銭 安値 35793円33銭 ( 9時31分 )
JPX日経 インデックス400 24165.68 (+172.55)
JPX日経中小型 18892.68 (+64.01)
日経気候変動指数 35748円25銭 (+218円47銭)
JPXプライム150指数 1174.56 (+7.05)
東証プライム市場指数 1372.68 (+8.57)
東証スタンダード市場指数 1281.46 (+8.09)
東証グロース市場指数 863.95 (+6.31)
東証グロース市場250指数 676.85 (+4.91)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1712.43 (+6.95)
日経ESG―REIT指数 953.18 (+3.79)
日経高利回りREIT指数 1224.40 (+7.16)
……………………………………………………………………
日経平均VI 27.23 (-1.58)
日経配当指数(2025年) 24円37銭
<数表>4月30日商品先物[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 20ページ 5717文字 PDF有 書誌情報]
( 30 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
6月 15180 15295 15139 15161 ▲19
8月 15202 15305 15124 15172 ▲28
10月 15192 15331 15145 15184 ▲31
12月 15215 15358 15146 15200 ▲32
2月 15266 15394 15174 15226 ▲42
4月 15303 15430 15214 15265 ▲39
《金ミニ》(1グラム)
6月 15249.0 15249.0 15135.5 15161.0 ▲19.0
8月 15243.0 15284.0 15138.5 15172.0 ▲28.0
10月 15197.0 15267.5 15197.0 15184.0 ▲31.0
12月 15200.0 15350.0 15135.5 15200.0 ▲32.0
2月 15273.0 15390.0 15176.0 15226.0 ▲42.0
4月 15304.5 15426.0 15212.0 15265.0 ▲39.0
《金限日》(1グラム)
15603 15702 15551 15127 ▲21
《白金》(1グラム)
6月 4480 4520 4456 4470 △16
8月 4459 4490 4430 4443 △11
10月 4450 4510 4431 4444 △15
12月 4449 4502 4425 4445 △16
2月 4410 4470 4381 4413 △23
4月 4390 4445 4358 4390 △23
《白金ミニ》(1グラム)
6月 ― ― ― 4470.0 △16.0
8月 ― ― ― 4443.0 △11.0
10月 4449.0 4474.5 4449.0 4444.0 △15.0
12月 4451.0 4508.5 4429.5 4445.0 △16.0
2月 4403.5 4460.0 4384.5 4413.0 △23.0
4月 4372.5 4440.5 4358.0 4390.0 △23.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4393 4462 4384 4469 △ 4
《銀》(1グラム)
6月 ― ― ― 148.0 0
8月 145.4 149.5 145.4 149.5 △1.5
10月 ― ― ― 152.0 0
12月 ― ― ― 149.0 0
2月 ― ― ― 155.0 ▲2.0
4月 ― ― ― 155.0 ▲2.0
《パラジウム》(1グラム)
6月 ― ― ― 4300 0
8月 ― ― ― 4300 0
10月 ― ― ― 4300 0
12月 ― ― ― 4300 0
2月 ― ― ― 4300 0
4月 ― ― ― 4300 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 154.00 ▲5.65
6月 ― ― ― 152.50 ▲5.45
7月 ― ― ― 151.40 ▲5.20
8月 ― ― ― 150.50 ▲4.95
9月 ― ― ― 148.30 ▲4.65
10月 ― ― ― 147.65 ▲4.45
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 61550 61550 61550 61550 ▲300
5月 58520 58520 56130 56210 ▲4290
6月 56210 56350 55360 55450 ▲3660
7月 56970 56970 55030 55030 ▲3820
8月 58000 58000 54780 54780 ▲3550
9月 57730 57750 54510 54510 ▲3350
10月 57250 57250 54440 54630 ▲2500
11月 ― ― ― 54090 ▲3090
12月 ― ― ― 53930 ▲2990
1月 ― ― ― 53780 ▲2950
2月 ― ― ― 53670 ▲2900
3月 ― ― ― 53590 ▲2870
4月 ― ― ― 53490 ▲2830
5月 ― ― ― 53390 ▲2800
6月 ― ― ― 53290 ▲2760
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
11月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
11月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 90900 △500
7月 ― ― ― 90500 △500
8月 ― ― ― 90100 △500
9月 ― ― ― 89700 △500
10月 ― ― ― 89200 △500
11月 ― ― ― 88800 △500
《ゴムRSS3号》(1キロ)
5月 286.1 290.2 286.0 290.1 ▲0.5
6月 288.0 292.9 287.9 292.4 △0.9
7月 290.9 291.6 290.9 291.3 △0.2
8月 290.6 291.8 289.0 289.7 ▲1.1
9月 290.5 292.5 287.4 292.2 △1.4
10月 291.3 293.9 288.6 293.9 △2.0
11月 ― ― ― 293.0 0
12月 ― ― ― 293.0 0
1月 ― ― ― 293.0 0
2月 ― ― ― 293.0 0
3月 ― ― ― 293.0 0
4月 ― ― ― 293.0 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 236.0 0
6月 ― ― ― 236.0 0
7月 ― ― ― 237.0 0
8月 ― ― ― 237.0 0
9月 ― ― ― 237.0 0
10月 ― ― ― 237.0 0
11月 ― ― ― 237.0 0
12月 ― ― ― 238.0 0
1月 ― ― ― 238.0 0
2月 ― ― ― 238.0 0
3月 ― ― ― 238.0 0
4月 ― ― ― 238.0 0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
11月 ― ― ― 87000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
11月 ― ― ― 90000 0
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 38900 0
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
10月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
5月 ― ― ― 11.10 △0.36
6月 ― ― ― 11.93 △0.08
7月 ― ― ― 12.94 ▲0.37
8月 ― ― ― 13.93 ▲0.35
9月 ― ― ― 13.75 △0.01
10月 ― ― ― 12.87 △0.12
11月 ― ― ― 12.53 ▲0.32
12月 ― ― ― 12.82 ▲0.33
1月 ― ― ― 13.69 0
2月 ― ― ― 13.35 ▲0.16
3月 ― ― ― 10.94 ▲0.31
4月 ― ― ― 11.60 △0.25
5月 ― ― ― 11.17 △0.08
6月 ― ― ― 12.03 △0.08
7月 ― ― ― 13.14 △0.08
8月 ― ― ― 15.04 △0.12
9月 ― ― ― 12.75 △0.05
10月 ― ― ― 11.35 △0.01
11月 ― ― ― 12.11 △0.04
12月 ― ― ― 13.22 △0.06
1月 ― ― ― 14.05 △0.21
2月 ― ― ― 13.44 △0.24
3月 ― ― ― 11.51 △0.19
4月 ― ― ― 11.15 ―
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
5月 ― ― ― 8.52 △0.18
6月 ― ― ― 9.49 ▲0.07
7月 ― ― ― 11.48 ▲0.41
8月 ― ― ― 12.53 ▲0.26
9月 ― ― ― 11.72 ▲0.01
10月 ― ― ― 9.77 ▲0.13
11月 ― ― ― 10.08 ▲0.16
12月 ― ― ― 10.80 ▲0.15
1月 ― ― ― 12.57 ▲0.15
2月 ― ― ― 11.80 ▲0.06
3月 ― ― ― 8.77 ▲0.29
4月 ― ― ― 9.54 △0.02
5月 ― ― ― 9.34 ▲0.07
6月 ― ― ― 10.06 ▲0.03
7月 ― ― ― 10.86 △0.02
8月 ― ― ― 12.40 △0.01
9月 ― ― ― 10.68 △0.01
10月 ― ― ― 9.52 ▲0.05
11月 ― ― ― 10.45 ▲0.05
12月 ― ― ― 11.82 ▲0.05
1月 ― ― ― 12.62 △0.11
2月 ― ― ― 11.95 △0.13
3月 ― ― ― 10.27 △0.13
4月 ― ― ― 9.21 ―
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 46663 43876
金ミニ 14704 8485
金限日 1801 42317
白金 8655 29730
白金ミニ 2775 4173
白金限日 1698 43218
銀 4 125
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 5258 24909
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 2393 4038
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 234 10154
電力西ベース 260 1065
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 9623 57269
堂島白金 24 1957
堂島銀 0 1329
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15210.1 15360.0 15175.0 15162.9 ▲34.4
《白金》(1グラム)
4570.0 4582.5 4526.5 4498.0 ▲8.3
《銀》(1グラム)
― ― ― 150.64 ▲0.98
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月29日エネルギー・環境市場[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 20ページ 3529文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 30 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 14720
ソシエテ 11648
サスケハナ 3457
Jモルガン 2786
モルガンS 2156
野 村 1715
バークレイ 1481
ドイツ 1348
BofA証 1031
Gサックス 913
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.60 140.62 140.77 140.45 140.65 0.02
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.375 21188 138575 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
142.00 ― ― ― 20 137.75 ― ― ― 69
142.25 ― ― ― ― 138.00 ― ― ― 25
142.50 ― ― ― 30 138.25 ― ― ― 30
142.75 ― ― ― 42 138.50 ― ― ― 66
143.00 ― ― ― 30 138.75 ― ― ― 10
合計 93 238 合計 15 389
HV(年率) 6月 8.1
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.521 +0.001 400 614
25 /6 99.448 +0.001 14000 1725
25 /9 99.383 +0.001 24760 2346
25 /12 99.339 +0.001 11050 1002
合計 50210 6875
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5225 +0.0050 500 29796
25 /6 99.4600 +0.0100 10 13742
25 /9 99.3925 +0.0100 101 13870
25 /12 99.3450 -0.0050 205 8136
合計 1142 72749
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2652.0 2671.5 2685.5 2649.0 2664.5 +11.0 74854 425216
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 1900
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 669 671 676 665 675 +6 2451 31198
25 /9 656 660 663 655 660 +2 100 516
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 35880 36030 36230 35710 36030 +120 40161 177762
25 /9 35830 36070 36200 35700 36010 +130 337 6323
25 /12 35690 ― 35900 35690 35880 +280 8 22764
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 35875 36025 36225 35705 36025 +120 684102 307998
25 /9 35855 36010 36205 35695 36025 +140 21028 9565
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 35870 36030 36225 35705 36030 +130 575329 85021
25 /9 35865 36010 36205 35695 36010 +125 18420 10097
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 36085 36010 36225 35815 36070 +40 14167 73503
25 /9 ― ― ― ― 36050 +50 ― 377
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 23960 24200 24315 23960 24135 +130 3772 52576
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 35770 ― 0 5月 27.10 -0.90 24 128
25 /9 ― 35780 ― 0 6月 ― ― ― 22
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 793.0 ― 1334 25年 ― 792.5 ― 4422
26年 ― 771.0 ― 1334 26年 ― 763.7 ― 2395
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 35750 650 +45 52 549 1260 +20 4 456 ―
35875 550 -25 68 139 1180 ― 4 2 ―
36000 510 +25 805 3788 1115 +25 375 3993 ―
36125 420 +10 37 71 1050 -80 15 13 ―
36250 385 +25 216 807 980 -85 31 317 ―
36375 315 -10 70 153 910 -75 3 11 ―
36500 260 -20 8840 11790 845 -20 225 2599 ―
36625 220 -50 245 377 755 ― 4 3 ―
36750 185 -15 322 1325 740 -85 21 660 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 35250 245 -145 88 600 815 -125 29 298 ―
35375 330 -75 34 26 880 -95 21 22 ―
35500 310 -135 1019 1290 910 -240 55 2146 ―
35625 360 -130 38 330 970 ― 24 20 ―
35750 370 -170 168 412 1035 ― 17 653 ―
35875 445 -125 48 18 1090 -245 17 2 ―
36000 495 -155 517 1847 1080 -175 274 4648 ―
36125 605 ― 18 14 1200 ― 10 7 ―
36250 585 -195 3 33 1330 ― 3 76 ―
総売買高コール 39068 枚 プット 35196 枚 日経平均HV 54.0
当日総建玉コール 341378 枚 プット 529516 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.90
ドイツ(1MWh、ユーロ) 66.32
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 10.800
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 10.713
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) 63.55
( 29 日)
<数表>4月30日外為市場[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1796文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
5月渡 143.56 141.06
6月〃 143.07 140.57
7月〃 142.61 140.09
8月〃 142.14 139.66
9月〃 141.70 139.20
10月〃 141.29 138.78
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 143.57 144.66
ユーロ 163.67 164.64
カナダドル 104.65 105.12
英ポンド 195.09 195.02
スイスフラン 173.77 174.42
デンマーククローネ 22.03 22.16
ノルウェークローネ 14.02 14.05
スウェーデンクローナ 15.18 15.24
豪ドル 92.96 93.76
ニュージーランドドル 86.50 87.51
香港ドル 18.80 18.95
シンガポールドル 109.78 110.05
サウジアラビアリヤル 38.89 39.19
U.A.E.ディルハム 39.56 39.86
タイバーツ 4.33 4.36
インドルピー 1.83 1.84
パキスタンルピー 0.66 0.67
クウェートディナール 475.90 478.86
カタールリヤル 39.91 40.21
インドネシア100ルピア 0.97 0.98
メキシコペソ 8.29 8.36
韓国100ウォン 10.21 10.21
フィリピンペソ 2.71 2.72
南アフリカランド 9.17 9.19
チェココルナ 6.64 6.66
ロシアルーブル 2.00 1.99
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.23 39.42
▽みずほ銀
中国人民元 19.92 19.99
トルコリラ 5.51 5.55
台湾ドル(参考値) 4.41 4.42
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 26.31 26.26
( 30 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 142.79 ― 142.82 143.61 ― 143.63
寄付 142.23 ― 142.25 143.84 ― 143.86
高値 142.16 143.30
安値 142.89 143.89
中心 142.52 143.38
直物売買高 33億8900万 ドル
スワップ売買高 538億8700万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 84.29
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.4
米ドル 103.6
ユーロ 102.9
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 191.08~191.12円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 91.285~91.320円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 172.97~173.02円
カナダドル /円 1 カナダドル = 103.22~103.25円
NZドル /円 1 NZドル = 84.58~84.61円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3384 ― 1.3388
(1ポンド=ドル) ( 1.3303 ― 1.3307 )
スイスフラン 0.8247 ― 0.8251
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8311 ― 0.8315 )
豪 ド ル 0.6391 ― 0.6395
(1豪ドル=ドル) ( 0.6370 ― 0.6374 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.2632 ( 7.2653 )
日本円(100円=元) 5.0849 ( 5.1001 )
<数表>4月30日債券市場[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1637文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 70.00 +0.41
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.82
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.53
中国471(2年) 27/4 0.9 100.44
中国177(5年) 29/12 1.1 101.09
長国378(10年) 35/3 1.4 100.78
超長国191(20年) 44/12 2 96.66
超長国86(30年) 55/3 2.4 94.95
超長国17(40年) 64/3 2.2 83.83
物価連動29(10年) 34/3 * 102.20
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.28
政保政投銀64 30/6 0.09 95.51
東京都(公)807 30/6 0.1 95.37
大和ハウス23 30/9 0.3 95.15
キリンHD17 30/6 0.37 95.88
王子HD40 30/7 0.37 95.37
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.25
日本製鉄6 30/6 0.42 95.55
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.14
OLC18 30/9 0.29 94.94
IHI48 30/9 0.49 95.00
ダイキン27 30/9 0.26 94.88
NEC58 30/4 0.54 95.77
パナソニック25 30/9 1.051 98.28
SUBARU6 30/9 0.42 95.02
三井物産77 30/7 0.28 95.43
JR東日本153 30/7 0.23 95.26
三井不77 30/4 0.48 96.31
中部電力544 30/9 0.3 95.02
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.22
( 30 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.310 % 0
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.92
中 期 債 1.18
長 期 債 1.95
◇日経国債インデックス 0.996
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 1日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1303 25/8 ― 99.90 0.380
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.81 0.405
国庫短期証券1300 26/4 ― 99.47 0.540
中 国472(2) 27/5 0.7 100.05 0.674
中 国157(5) 28/3 0.2 98.54 0.711
中 国167(5) 29/3 0.4 98.49 0.795
中 国178(5) 30/3 1.0 100.56 0.882
長 国362 31/3 0.1 95.34 0.914
長 国366 32/3 0.2 94.88 0.970
長 国370 33/3 0.5 95.71 1.068
長 国374 34/3 0.8 96.74 1.187
長 国378 35/3 1.4 100.78 1.315
超長国192 45/3 2.4 102.83 2.223
超長国(30)86 55/3 2.4 94.97 2.644
超長国(40)17 64/3 2.2 83.83 2.895
<数表>4月30日短期金融市場[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1245文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1302 回債 0.380 0
6カ月 1298 回債 0.405 0
1 年 1300 回債 0.540 0
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.408 0.446
1週間 0.429 0.453
1カ月 0.451 0.452
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.60727 0.60727
3カ月 0.78364 0.78364
6カ月 0.85727 0.85727
1 年 0.80818 0.80818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49850 0.49850
6カ月 0.54144 0.54144
( 30 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.476 0.430
1週間 0.506 ―
2週間 0.485 ―
3週間 ― ―
1カ月 0.720 ―
2カ月 ― ―
3カ月 ― ―
◇全国コール市場残高
( 28 日確報、億円) 119194
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月30日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-5/1 7224 7224 最高0.150
国債補完供給(国債現先売り) 即日-5/1 0 0
【4月28日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/30 3627 3627 最高0.250
共通担保供給(全店)<固定金利方式> 4/30-5/14 8000 16016 8003
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/30 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5431800 ( 4889100 )
◇資金需給予想( 1 日、億円、実質) 23500 不足
<数表>4月30日株式市場、先物市場[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 20ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 44251 20466
売買高上位10銘柄占有率(%)
53.6 47.0
売買代金(百万円) 138026 153483
売買単価(円) 311.9 749.9
騰落銘柄数
上場銘柄 1574 614
売買成立 1547 612
値上がり 836 329
値下がり 536 235
新値株(年初来) 高値 53 26
安値 2 2
時価総額(億円) 283077 80650
普通株式数(百万株) 30995 10724
1株当たり時価(円) 913.27 752.03
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 28354.55 +0.70%
カバードコールATM 20124.42 +0.67%
リスクコントロール 23299.76 +0.14%
レバレッジ 34673.74 +1.14%
インバース 880.33 -0.57%
ダブルインバース (01年末=100000)
232.70 -1.14%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 429671
売買代金(百万円) 957245
◇空売り比率(東証) 39.2 %
( 30 日)
日経42種2.8%低下、4月末 前年比、昨年2月以来の水準、需要懸念、鋼材は3.8%下落[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1101文字 PDF有 書誌情報]
景気動向に敏感な資材や燃料の企業間取引価格をもとに算出した日経商品指数42種(1970年=100)は4月末値が261・562と、前年同月比で2・8%低下し、2024年2月以来の低水準となった。前年を下回るのは新型コロナウイルス禍の20年12月以来。米関税政策などを背景とする世界的な需要懸念から、値下がりの動きが原材料に幅広く及んだ。
42種の動きは景況感との連動性の高さから、前年比の騰落率が重要となる。4月の低下幅は20年9月以来の大きさだった。当時は、新型コロナの感染が世界に広がり、ヒトやモノの移動を制限する動きが相次ぎ、需要が落ち込んだ。
分野別では鋼材が前年同月比3・8%の低下となり、指数としてはウクライナ危機直後の22年5月以来の低水準となった。自動車や建機など製造業向けの鋼板に加え、ビルや住宅などの国内の建設関連の需要にも不透明感が強まっている。
4月には建物の柱や梁(はり)に使うH形鋼や、建物の構造材に使う山形鋼の流通価格が5カ月ぶりに値下がりした。人手不足で建築工事が停滞し、建設用鋼材の引き合いが低迷した。
化学は2・6%下がった。自動車や衣料品など幅広い用途で使われ、景気の影響を受けやすい基礎化学品であるベンゼンの国内価格の下落が響いた。4月以降、米中貿易摩擦の激化に伴う世界経済の減速懸念からアジアのスポット価格は急落しており、5月の国内価格もさらなる下落が見込まれる。
非鉄も12・1%と大幅な低下だった。銅の指標であるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物が4月上旬、約1年5カ月ぶり安値まで下落する場面があった。「米中貿易摩擦への不透明感は根強い」(住友商事グローバルリサーチの本間隆行チーフエコノミスト)との声も多い。
トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争は、今後も商品指数の低下圧力となりそうだ。米国は相互関税の一部について90日間の一時停止措置を取っているものの、導入時期が後ずれしても需要懸念そのものは消えない。
4月の日経商品指数(70年=100)
4月 前月比 前 年同月比
月次42種 261.562 ▲2.9 ▲2.8
繊 維 140.247 0 0
鋼 材 255.772 ▲0.7 ▲3.8
非 鉄 289.097 ▲10.6 ▲12.1
木 材 193.101 0 0
化 学 377.143 ▲1.9 ▲2.6
石 油 706.320 ▲2.3 4.7
紙・板紙 216.048 0 0
食 品 187.409 ▲1.8 ▲7.4
その他 423.113 ▲3.7 3.8
(注)前月比、前年同月比は騰落率%、▲はマイナス
金の投資需要2.7倍、1~3月 先行き不安、ETF好調[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 21ページ 725文字 PDF有 書誌情報]
国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は30日、2025年1~3月の金(ゴールド)の需給統計を発表した。世界での投資需要は前年同期比で2・7倍に膨らんだ。米国の関税政策などを巡る先行き不安を背景に、相対的な「安全資産」とされる金にマネーが集まった。
WGCによると、1~3月期の金の需要は1206トンと前年同期と比べて1%増加した。1~3月期としては16年以来の高水準だった。
金の現物価格が過去最高値圏で推移を続けるなか、投資を目的とした需要が551・9トンと前年同期比2・7倍に膨らんだ。特に現物の金を裏付けとする上場投資信託(ETF)向けの需要は24年1~3月期の113トンの流出超過から226・5トンの流入超過となった。金地金(インゴット)やコインも325・4トンと3%増加した。
ETFの伸びについて、WGCの森田隆大顧問は「近年、流出超過も見られる場面があったETFの残高が積み増され、全体の需要を押し上げ始めている」と指摘する。
トランプ米大統領による関税政策の全貌が見えないなか、物価上昇と景気停滞が同時に進む「スタグフレーション」に米国が陥ったり、世界経済が減速したりするリスクが意識された。安全資産としての金に需要が集まった。
金価格が最高値圏で推移したことで、宝飾品需要は21%減の380・3トンと、新型コロナウイルス禍で需要が鈍った20年7~9月期以来の低水準となった。もっとも金額ベースでは9%上昇している。
主要な金需要国である中国では宝飾需要が鈍った一方で、コインの需要は重量ベースで12%増えている。森田氏は「米中対立激化への不安もあり、宝飾品よりも資産価値を守りやすいものが求められた」と説明する。
カレーの野菜お高め、5月卸値見通し、ニンジンなど10%超高[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 21ページ 294文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省が30日発表した5月の野菜の卸値見通しによると、調査対象15品目のうち、ニンジンやタマネギ、バレイショなど4品目が平年(過去5年平均)を10%超える高値になりそうだ。冬場の低温などでカレーに使う食材を中心に生育が遅れた。
ニンジンは主産地の徳島県産で冬場の低温や少雨が影響し、細くなっているという。千葉県産も冬場の少雨により生育が遅れている。5月は徳島県産と千葉県産の端境期に入り、出荷数量は平年を下回る見込みだ。
タマネギは主力の佐賀県産が冬場に低温と干ばつに見舞われた。生育が遅れたほか、小さい作物が目立つ。バレイショは長崎県産で、サトイモは鹿児島県産で生育が遅れている。
市況が問うプラリサイクル(上)廃ペットボトル、5割高 「独自処理」増加 獲得競争が過熱[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1686文字 PDF有 書誌情報]
石油由来の原料の使用や二酸化炭素(CO2)の排出を減らすため、プラスチック業界が取り組んでいるリサイクル。一度使った合成樹脂などを回収し再生資源として活用する仕組みや技術は向上している一方で、価格やコストのバランスはなお手探りだ。プラスチックリサイクルの推進に向けた課題を市況から問う。
産業界が再生プラスチックの活用を進める中で、獲得競争が過熱しているリサイクル資源がある。使用済みのペットボトルだ。
廃ペットボトルは、洗浄や粉砕を経て再生PET樹脂となり、再びペットボトルとして使われたり、シートやポリエステル繊維になったりする。ペットボトルはポリエチレンテレフタレート(PET)という単一素材でつくられ、消費者も見分けやすいことから、リサイクル率が高い。プラスチック業界では「リサイクルの優等生」とされる。
日本容器包装リサイクル協会(容リ協、東京・港)は市町村が家庭から分別収集したペットボトルを引き取り、年2回実施する入札でリサイクル事業者に引き渡す。
容リ協が実施した25年度上期(4~9月)入札の落札価格(加重平均)は1トン当たり7万5438円と前年同期を52%上回った。半年前の24年度下期からは1割ほど下がったものの、22年度以降は前年を上回る傾向が続く。
容リ協の入札に回るペットボトルが減ったことが大きい。25年度上期の落札量は前年同期比9%減の9万3274トンで、年2回の入札が始まった13年度以降で初めて上期に10万トンを割り込んだ。
自治体が容リ協ルートではなく、飲料メーカーやリサイクル事業者などに直接供給する「独自処理」が増えていることが要因だ。国内飲料メーカー大手は再生PET樹脂を使ったボトルを増やす目標を掲げ、廃ペットボトルの確保を急ぐ。
一方、自治体は容リ協ルートに供給すると再生後の用途をボトルに指定できないが、独自処理だと回収したボトルが再びボトルになることを住民にわかりやすく示せる。こうした背景から自治体は独自処理ルートに流れがちだ。
容リ協ルートの落札価格が独自処理ルートや自販機横の回収箱などの事業系ルートでの引き取り価格の指標となっていることが課題だ。容リ協ルートの需給が逼迫して価格が高騰し、ほかのルートの相場も押し上げている。
廃ペットボトルの需給逼迫や価格高騰は次の課題を生む。
米コカ・コーラは24年12月、新たな環境対応の目標として「35年までに製品の35~40%に再生素材を使う」と発表し、それまでの「30年までに50%」から引き下げた。再生素材のうち、プラは30~35%とした。日本コカ・コーラ(東京・渋谷)が従来「30年までに再生素材と植物由来素材で100%」と独自に設定していた目標もこれに合わせるといい、日本市場の取り組みが後退するかたちとなった。
コカ・コーラは総合的な判断としている。ただ業界関係者は「再生樹脂の値上がりで、確保が難しいためではないか」とみる。国内飲料メーカーによる近年の製品値上げも、再生樹脂の価格上昇の影響が含まれるとの見方もある。メーカーのリサイクル原料コストの負担増は流通業界に転嫁され、いずれ消費者の負担になる。
廃ペットボトルがボトル向けに限らず幅広い再生用途向けに取り合いになる構図は当面なくなりそうにない。業界では、廃ペットボトルからボトルに戻る樹脂が不足するのを踏まえた対策をとる動きもある。
リサイクル事業のJEPLAN(ジェプラン、川崎市)はグループ内外の企業と連携し、ペットボトル以外の廃プラを飲料用ペットボトルにする取り組みを始めた。
TDKや村田製作所で発生する工業用フィルムの端材や、花王やファンケルが店頭で回収した使用済みの化粧品ボトルなどのPET素材を原料とする。JEPLANによると、非食品用途プラから飲料用ペットボトルにする取り組みは国内初という。
廃ペットボトルという限られた優等生に頼るだけでは、再生素材の供給拡大や価格安定には限界もある。リサイクル可能な樹脂や繊維をもっと増やしていくための技術向上や仕組みづくりが急務となっている。
<数表>4月30日卸売市場(主要相場)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 21ページ 753文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 2360頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=まちまち上場154頭
和牛雌A ― 1846 2059 2303 2501
和牛雌B ― ― ― 2139 ―
和牛去勢A ― 1849 2157 2331 2490
和牛去勢B ― 1243 ― ― ―
交雑種雌B ― 1483 1623 1643 ―
交雑種去勢B ― 1475 1612 1632 ―
▽搬入物 上場172.5頭
和牛雌A ― 1190 1479 1517 2378
和牛雌B 916 1309 1512 1476 ―
和牛去勢A ― ― ― 2273 2402
交雑種雌B ― 1239 1585 1626 ―
交雑種去勢B ― 1512 1628 1695 1833
乳牛雌C 840 802 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場44頭
和牛雌A ― ― 2121 2387 2472
和牛去勢A ― ― 2053 2334 2479
交雑種雌B ― ― 1712 1803 ―
交雑種去勢B ― ― 1721 1836 ―
◇仙台=該当なし上場1頭
◇さいたま=該当なし上場49頭
◇横浜=まちまち上場61頭
和牛雌A ― ― 2134 2215 2345
和牛去勢A ― ― 2107 2283 2382
◇名古屋=上場なし
◇神戸=上場なし
◇広島=―上場15頭
和牛雌A ― ― ― 2395 2848
和牛去勢A ― ― ― 2322 2484
◇福岡=弱もちあい上場132頭
和牛雌A ― ― ― 2390 2557
和牛去勢A ― ― ― ― 2436
アルミ地金卸値13.2%安 4月国内(短信)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 21ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
アルミニウム地金の国内卸価格(商社出し値、置き場渡し)は4月の平均値が1トン42万7700円と、前月に比べ13・2%安かった。為替相場の円高進行や国際価格の下落などを反映した。
<数表>4月30日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 21ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
30日 227.275
前日比 +0.093
(1970年平均=100)
トランプ関税の帰結 代償大きく 米景気後退も ジョセフ・ギャノン ピーターソン国際経済研究所シニアフェロー(経済教室)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 27ページ 2805文字 PDF有 書誌情報]
早急に、そしてほぼ完全に撤回されない限り、2025年初頭の米国の関税引き上げは、世界史上最大の経済政策の過ちとみなされる可能性が高い。
まだ発表されていない関税もあり、さらにすべての関税は頻繁に見直され、交渉の可能性もある。このため米国経済と世界経済への影響を定量化するのは難しい。とはいえ関税が米国のインフレを高め、米国と世界の経済成長を低下させることは明らかである。
25年1月以前、米国の輸入品に対する平均関税率は約2.5%だった。表はほとんどの商品の関税が10~25%上昇し、中国からの一部商品ではさらに大幅に上昇したことを示している。
半導体と医薬品については間もなくさらなる関税引き上げが予想されている。しかし、4月2日に発表されたいわゆる相互関税は、10%分を除き、国ごとの交渉を待って少なくとも90日延期された(表の「その他の商品」)。相互関税は、米国との二国間貿易黒字が大きい国ほど高くなる予定だった。
相互関税の関税率は発表当初、相手国との財の貿易収支を相手国からの米国の輸入額で割った数字がベースになっていた。どの相手国とも2国間貿易収支をゼロにしたかったのだろう。だが実際に適用された関税率は、ゼロにするために必要な率の半分にすぎない。
ベトナムに適用された46%という高関税は、ベトナムが米国製品をほとんど輸入していないことから設定された。日本はそれより低い24%、欧州連合(EU)は20%だった。英国など一部の国との貿易収支は米国からみて黒字だが、それでも一律の基本税率10%は設定された。相互関税は結局課されない可能性もあるため、10%分以外は表に示していない。
3年後どころか、3カ月後の関税がどうなっているかもわからない。しかし、少なくとも数年間は関税が目に見えて高くなる可能性が高い。
消費者が輸入品から国内生産品にシフトすることで、生産量が増える産業もあるだろう。しかし関税は低所得世帯に不釣り合いな打撃を与える増税であるため、全体的な消費は落ち込むに違いない。
企業は、数十年にわたる新工場の耐用年数の間、関税が維持されることを当てにできない。このため期待された工場建設ブームは実現しそうにない。一方、グローバルなサプライチェーン(供給網)の混乱は、多くの米国企業にとって生産を妨げ、コストを上昇させるだろう。正味の効果は、今年と来年の米国の成長と雇用の減速である。
ピーターソン国際経済研究所のウォリック・マッキビン氏らの研究によると、米国の平均関税率が10%上昇すると、米国のインフレ率は25年に0.6%、26年に0.2%上昇する。トランプ大統領の関税引き上げが平均20%であれば、その効果は約2倍になる。
さらにこの研究では、関税引き上げによってドル高が進み、インフレの影響を抑えることができると予想している。しかしトランプ大統領の当選以来、ドルは下落しており、インフレ率が1.2%以上上昇する可能性を示唆している。
この研究によると、関税が20%上がれば、米国の国内総生産(GDP)は26年までに約0.7%減少する可能性がある。しかしドル高が今のところ起きていないため、米国のGDPへの打撃はいくらか軽減される可能性がある。こうした影響は景気後退を引き起こすほど大きくないかもしれないが、モデルは不確実性の弊害を見逃している可能性もある。
さらに米国の貿易相手国による報復も米国のGDPを減少させるだろう。投資銀行のゴールドマン・サックスは4月7日、米国が景気後退に陥る確率を今年初めの20%から45%に引き上げた。景気後退は、26年の米国のGDPが通常のトレンドより少なくとも2%低下することを意味する。
トランプ関税のコストに関するもうひとつの見方は、米国と世界の株式市場の値下がりである。4月2日から8日にかけて、米国、欧州、日本の株式市場は何兆ドルもの価値を失った。その後に株価が回復したのは、市場は関税の大半が交渉によって撤廃されると予想しているためだろう。
4月の関税発表に対する金融市場の反応には、ドルと株式価格が下落する一方で債券利回りが上昇する期間が含まれていた。この異例の組み合わせは、投資家が米国の金融資産、特に米国債の安全性に対して疑念を抱き始めた可能性を示唆している。
大統領が米国の問題の原因を外国人に求めて非難を繰り返していることを踏まえると、外国人投資家が将来的に標的とされる可能性を懸念するのは理解できる。ドル安は米国の貿易赤字を縮小させるだろうが、それが米国の金利上昇を伴う場合、膨張する米国の財政赤字による負担はさらに重くなるだろう。
米国の貿易相手国に対する関税の影響は、国による関税の違いも含め、米国への輸出額や関税の規模によって異なる。さほど高くない関税率を適用された国は、競合国が高い税率を適用された場合、あまり痛手を受けずに済むかもしれない。
単純で全面的な関税引き上げの場合、成長率の面で最も損失が大きいのはカナダとメキシコである。ドイツなど欧州は主要地域の中で最も失うものが少ない。
トランプ関税に各国はどう対応すべきか。当然の対応としては、中国が行ったように報復することである。トランプ大統領はすぐ反撃に転じ、双方の関税率は100%以上に上昇した。両政府はその後、特にセンシティブな特定の貿易カテゴリーを除外した。
それにもかかわらず、中国から米国へのコンテナ輸送量は激減している。こうした法外な関税率から脱却するのに時間がかかればかかるほど、中国と米国が健全な成長率に戻るのは難しくなるだろう
関税は少なくとも輸出国と同様に輸入国にも害を及ぼす。このため経済的な観点からは、報復は非合理的であるように思われる。しかし政治的観点からは何らかの強力な対応が必要かもしれない。
経済的に最善の対応は、米国の関税撤廃と引き換えに、関税引き下げやその他の貿易自由化、麻薬取り締まりなど他の分野での協力を申し出ることである。多くの国がそのようなアプローチを試みる予定だ。
トランプ大統領がそのような取引に応じるかどうかはまだわからない。この点では、忍耐は美徳かもしれない。米国内の関税による経済的コストは急速に膨らんでいる。トランプ大統領は公然と一方的にこの関税戦争を仕掛けたため、有権者はすぐに、その結果生じるインフレや景気後退の可能性についてトランプ大統領を非難するだろう。
外国からの提案は何によらず勝利とみなして受け入れ、関税を撤回せよとの圧力が高まることはほぼ確実である。
<ポイント>
○関税がインフレと低成長を招くのは確実
○ドル安と高金利重なれば米財政は深刻に
○米国民が関税撤回を叫ぶまで待つ方策も
Joseph E. Gagnon スタンフォード大博士(経済学)。元FRB金融政策局副局長。専門は国際金融
資金循環で見る日本企業の姿(6) 有効活用できない自己資本 帝京大学教授 田中賢治(やさしい経済学)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 27ページ 851文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所は2023年3月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表し、PBR(株価純資産倍率)が低い企業に、中長期的な企業価値向上への取り組みを求めました。
PBRは株価を1株当たり純資産で割った値です。1倍超だと帳簿上の企業価値より市場の評価が高いことを示しますが、1倍を割ると、その企業は解散した方が株主へ分配される価値が大きいことになります。当時、東証プライム市場の約半数のPBRが1倍を割っていたことが、異例の要請につながりました。
今年4月以降の株価は不安定な動きをしているため3月末のデータを見ると、日経225銘柄のPBRの平均は1.34倍です。一方、米国のS&P500銘柄の平均は5倍程度なので、日本企業のPBRはかなり低いことが分かります。
PBRは自己資本利益率(ROE)とPER(株価収益率)の積で表せます。ROEは1株当たり当期純利益を1株当たり純資産で割った値です。純資産を活用してどれだけ稼いだかを示す指標で、自己資本の効率性を反映します。PERは株価が1株当たり当期純利益の何倍あるかを示し、将来の純利益に対する投資家の期待を反映します。
日経225銘柄の3月末時点のROEは9.2%、PERは14.6倍です。両者ともS&P500よりかなり低く、日本企業のPBRの低さはどちらか一方の問題ではありません。
10年代からの内部留保の積み上がりで、日本企業の自己資本は拡充しました。低いROEは、その拡充した自己資本を有効活用しておらず、利益が伸びても自己資本の規模に見合った水準に届いていないことを意味します。自己資本の一部は、海外投資など前向きな形で活用されてはいますが、十分な利益を生んでいるのか疑問が残ります。
自己資本の有効活用は、企業の成長に対する投資家の期待にも影響します。企業の将来に向けた投資が不十分だと、投資家は将来の利益に期待できず、PERは低くなります。低いPBRは、自己資本を有効活用していないことを示しているのです。
学会統治が必要な時代に 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程 島田裕平(私見卓見)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 27ページ 0文字 書誌情報]
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オリ太田、安打製造機 打率4割維持、打線に刺激(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 690文字 PDF有 書誌情報]
オリックス太田のバットが止まらない。三回に貴重な追加点となる2点適時打を放ち、4月は通算39安打。打線をけん引する24歳が、球団右打者の月間最多安打数に並んだ。
打席での冷静な状況判断が好結果を呼んでいる。連打と犠打で回ってきた三回1死二、三塁では、二遊間が前進守備を敷かないのを見て「内野ゴロでも1点だな」と余裕を持った。2―1の有利なカウントから、ロッテ種市のフォークボールを図ったように中前へ運び「浮いた球をうまく打てた」と振り返った。
打球速度の向上にも取り組み、今季は「練習から広角に低くて伸びる打球が打てている」と、安打量産の要因を自己分析する。4月まで125打席に立ち、なお打率4割台をキープ。「想像していたよりはるか上の成績。出来すぎかな」と笑う太田の打棒がチームメートへの刺激になっている。
「あいつが打ちすぎているので、なんとか塁へ出られれば。好調な打者に得点圏で回したい」という西川は二回に先制ソロを放った。今季108打席目にして待望の初本塁打。「(一発への)欲がない」と言うが、両リーグ断トツのチーム打率を残す好調の波に乗り遅れるつもりはない。「外野の間を抜く二塁打、三塁打を増やせれば」と貪欲だ。
序盤から安全圏のリードに守られた左腕の田嶋は、2022年6月22日以来の完封勝ちを収めた。投打がかみ合い、4月を貯金5の首位で終えたチームの原動力になっているのが太田だ。数多くのけがに泣かされてきた高卒7年目は「(シーズンを完走する)そこに一番重きを置いている」と心得ている。
(常広文太)
【図・写真】三回オリックス1死二、三塁、太田が中前に2点打を放つ
G山崎、35回連続無失点(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 452文字 PDF有 書誌情報]
スコアボードに「0」を刻んでいた巨人・山崎にピンチが訪れたのは四回だった。振り逃げなどで2死一、三塁。それでも2年連続10勝の右腕に動揺はなかった。広島・菊池を2球で追い込み、149キロで右飛に仕留めた。
山崎にとっては節目のアウトでもあった。開幕から続けてきた無失点記録を32イニングに伸ばし、阪神・村上らが持っていたセ・リーグ記録を更新。
「先週より状態がよかった。試合の後半から感覚もよくなった」。七回は1死一、二塁のピンチ。球数は100球を超えていたが「(捕手の)甲斐さんに『来いよ』ってジェスチャーしていただいて、気持ちが入って投げることができた」。代打2人を2者連続三振に切って雄たけびをあげた。
この日で連続無失点は35イニングに。東海大時代に右肘を手術し、プロ1年目をリハビリに費やした26歳は「ここまで投げられるとは思っていなかった」。エース戸郷の不振をカバーする力投に「素晴らしい記録だと思う」と阿部監督も手放しでたたえた。
(木村祐太)
【図・写真】巨人・山崎は無傷の4勝目をあげた
耐えたハム山崎、緩急でタカ翻弄(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 262文字 PDF有 書誌情報]
日本ハムの山崎が4試合目で今季初勝利を挙げた。力感のないフォームと緩急を生かした配球の妙で主力を欠くソフトバンク打線を翻弄。5回1失点は最低限の働きだったが、「(1勝目が)ちょっと遅かったが良かった」と安堵した。
ストライク先行の安定した投球が揺らいだ四回は先頭から2者連続で出塁を許し、味方の失策で失点。「勝ちを意識しすぎて守りに入ってしまった」ものの、続く嶺井を三ゴロ併殺に仕留めて踏みとどまった。通算50勝とした左腕は「全然気にしていなかった。200勝目指して頑張ります」。投球スタイル同様、コメントも軽やかだった。
ヤクルト山野、魔の六回しのぐ(プロ野球)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 247文字 PDF有 書誌情報]
5年目のヤクルト・山野が6回で123球を投げながら1失点で今季初勝利を挙げた。2四球などで1死満塁となった六回。宮崎を二飛、代打の松尾にはファウルで粘られながら11球目のカットボールで右飛に仕留めた。
この打席では初めて見せた球種で「(捕手の)古賀と考えが合って、納得のいく配球ができた」と山野。過去2回の登板は六回に被弾し心残りでマウンドを降りていた。この日も最大のピンチは六回に訪れたが、「球数はかかったが、粘り強く投げることができた」。直後に味方が勝ち越し、ご褒美の1勝が転がり込んだ。
藤川流「途中感」の壁越え(逆風順風)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 829文字 PDF有 書誌情報]
新人は戦力になりそうか、主軸の仕上がりは、とせきたてる報道陣を、まだオープン戦なので、といなしていた阪神・藤川球児新監督の落ち着きぶりは開幕後も変わらなかった。
「まだチームをつくり上げている途中ですから」(4月5日の巨人戦後)。今年最初の巨人戦に連勝した結果にも、まったく無頓着だった。
確かに開幕してしばらくは、目算がはずれた点を手当てしつつ、今季の形を模索する時期。「途中」には違いない。しかし、新監督のゆったりした様子をみるにつけ「途中」という言葉に、かなり〝薬効〟がありそうな気がしてきた。
今は好調でも、勝負事の一寸先は闇。シーズン終盤、まずい事態に見舞われないとも限らないが、その期に及んでも藤川監督はまだ途中なので、と言いそうな気もする。勝負はこれからという「途中感」あるいは「途中観」を保てば、勝って騒がず、負けてくじけず、といけそうだ。
選手個人をみても、途中感が強く出ている人は停滞ということがない。33歳、プロ12年目の広島・大瀬良大地が、今季初勝利を挙げたヤクルト戦後に話した。「投手として、ちょっとずつ成長できているんじゃないかな」。入団2、3年目の若手のような口調で。
今季5試合で防御率1.97。投球内容がいいのは、もっぱら左打者向けだったチェンジアップを右打者にも使える〝新球〟として加えたおかげらしい。
昨季はシュートを完全にものにし、毎年脱皮を重ねている。蝶(ちょう)になるのか何になるのか、成虫の形は未定。こういう途中感もいい。
同じ失敗を繰り返しておいて「自分はまだ途中の人なので」ではただの言い訳になる。けれども、何か壁にぶつかったとき、まだまだ負けと決まったわけではない、と気持ちをリセットするのに「途中」は使い勝手がいい。
一般の新社会人も最初の困難に遭遇する時期。経験の浅いうちはもうダメ、と思いがちだが、ちょっとやそっとの失敗にめげることはない。途中どころか、それこそ勝負は始まったばかりだ。
(篠山正幸)
(大リーグ)大谷、待望のパパ1号 初球捉え今季最速弾[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 796文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米大リーグは29日、各地で行われ、ドジャースの大谷はロサンゼルスでのマーリンズ戦に「1番・指名打者」で出場し、一回に出場8試合ぶりとなる7号ソロを放った。産休制度の「父親リスト」から復帰後初の本塁打で、初回先頭打者アーチは今季2本目。4打数1安打1打点で、八回に代打が送られた。
チームは15―2で大勝し、4連勝。
カブスの今永はパイレーツ戦に先発し、5回0/3を6安打無失点で3勝目(1敗)を挙げた。六回途中で両脚けいれんのため緊急降板した。「3番・指名打者」で出場した鈴木は、7号2ランを含め4打数3安打2打点と活躍した。試合は9―0だった。
◇ 父親になって待望の「パパ1号」は弾丸ライナーの先頭打者アーチだった。一回、ドジャースの大谷は初球を完璧に捉えると、今季自己最速の114.1マイル(約184キロ)を計測した打球は瞬く間に右翼へ。「(妻が)出産してから本塁打は出ていなかった。いい一本になったと思う」と照れくさそうに笑った。
妻真美子さんが選曲したアニメの主題歌を登場曲に第1打席に入った。家族の支えも力に変え、元サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)右腕のアルカンタラが投じた甘い球をフルスイング。
出場8試合ぶりの一発に満面の笑みで両手を上げて、ダイヤモンドを一周する姿に喜びがあふれ出た。
子育てで生活リズムは変わった。体調維持のために毎日10時間以上取ってきた睡眠時間は削られている。「寝不足気味だったけど、幸せな寝不足だったので球場でも動けた」と表情を緩めた。
孤高の野球道を歩んでいた数年前と違い、立ち振る舞いには責任感や勇ましさが宿るようにも映る。
家族から打撃に話題が及ぶと「バランスよく打席に立てている。継続して頑張りたい」。勝負師の顔に戻って今後の戦いへ意気込んだ。
(共同)
【図・写真】一回、7号となる先頭打者本塁打を放つドジャース・大谷=共同
(サッカー)パリSG、準決勝で先勝 攻守の柱、きっちり仕事[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 738文字 書誌情報]
【ロンドン=共同】サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)は29日、ロンドンで初優勝を狙うクラブ同士による準決勝第1戦の1試合が行われ、パリ・サンジェルマン(フランス)がアーセナル(イングランド)に1―0で先勝した。第2戦は5月7日(日本時間8日)に行われる。
パリSGは前半早々にデンベレが左足で先制。GKドンナルンマが好セーブを見せ、逃げ切った。冨安健洋が負傷離脱しているアーセナルは後半に押し込んだが、好機を生かせなかった。
◇ 5季ぶりの決勝進出へ、攻守それぞれの柱が貴重なリードをもたらした。パリ・サンジェルマンはエースのデンベレが先制し、GKドンナルンマが無失点に貢献。ルイスエンリケ監督は「個人としても、チームとしても素晴らしいプレーが見られた」と力強く話した。
瞬発力と技巧が光るデンベレは昨季までサイドが主戦場だったが、センターFWを任された今季は得点力が開花した。4分、自陣まで下がってボールを受けるとドリブルして左へ展開。その後は意図的にゴール近くまで上がらなかったことでフリーとなり、折り返しのパスを左足で蹴り込んだ。
ドンナルンマは驚異的な反応でチームを救った。前半終了間際、スルーパスを受けたアーセナルのマルチネリの鋭いシュートを左手で完璧に止めた。後半に同じような角度から、より際どいコースを狙ったトロサールの一撃を再び左手ではじくと拳を握ってほえた。
第2戦に向けて気がかりなのは、後半途中にピッチに座り込み、交代で退いたデンベレの状態。監督は「深刻ではない」と語ったが、今大会8得点の背番号10の出場可否が勝敗の行方に大きく影響しそうだ。
(共同)
【図・写真】アーセナル戦でゴールを決め、喜ぶパリ・サンジェルマンのデンベレ(左)=ゲッティ共同
(大相撲)大の里、綱とりに気概 夏場所、「深く考え過ぎない」[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 460文字 PDF有 書誌情報]
大相撲夏場所(5月11日初日・両国国技館)で初の綱とりに挑む大関大の里が30日、東京・両国国技館で記者会見し「深く考え過ぎず、いつも通り。考え過ぎると足をすくわれる。棚からぼた餅ではないが、降ってくるものだと思って頑張りたい」と心境を語った。
最後の日本出身横綱である師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)には「強い人がなれるのが大関。横綱はそう簡単になれるものではない」と説かれている。現役最多に並ぶ3度の優勝を遂げている24歳の横綱候補は「ふとした瞬間に、その言葉は思い出す。しっかり稽古して、追求していく」と意気込んだ。
過去2度の優勝翌場所は、いずれも9勝止まりだった。「初日の入りが良くなかった。3度目は失敗しないぞという気持ちで、準備を入念にしたい」と反省を生かす気構えだ。
この日は茨城県阿見町の二所ノ関部屋で報道陣に非公開で朝稽古を行い、軽めの調整で体を動かしたという。5月1日は二所ノ関一門の連合稽古、2日には横綱審議委員会による稽古総見が控える。「万全の状態で初日に挑めるように」と口元を引き締めた。
(大リーグ)今永が3勝目、両脚けいれんで降板[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 359文字 書誌情報]
カブスの今永は走者を出しながらも、要所を締める投球が光った。五回2死満塁のピンチではスプリットを低めいっぱいに決め、見逃し三振に。六回途中、両脚のけいれんで緊急降板する事態となったが、6安打無失点で今季3勝目。「大事に至る三歩手前で自分でストップをかけた。結果が出せてうれしい」と独特の表現で説明した。
雷雨で試合開始が約20分遅れるなど、脱水症状の出やすい蒸し暑い気候。五回終了時から違和感があったそうで、六回の先頭打者に二塁打を打たれた直後、症状が悪化したという。「穴をあけることが一番チームに迷惑をかける。勇気を持って決断した」。次回登板への影響には「先を見据えて降板することを言えたので、次は全く問題ないと思う」と不安を一笑に付した。(ピッツバーグ=共同)
【図・写真】3勝目を挙げたカブス・今永=ゲッティ共同
カーリング日本が3敗に 混合複世界選手権[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 35ページ 293文字 PDF有 書誌情報]
【フレデリクトン(カナダ)=共同】来年のミラノ・コルティナ冬季五輪出場枠が懸かるカーリング混合ダブルスの世界選手権第4日は29日、カナダのフレデリクトンで1次リーグが行われ、B組で日本代表の松村千秋(中部電力)谷田康真組はニュージーランドに3―6、エストニアに8―10と2連敗を喫し、3勝3敗となった。
ニュージーランド戦は3―0の第4エンドから失点を重ねて逆転された。前回2位のエストニア戦は追い付いた直後の第7エンドに3失点した。20ペアが2組に分かれて総当たりで争う1次リーグは各組上位3ペアが突破。B組では1敗のオーストラリアと米国、2敗のノルウェーとエストニアが上位にいる。
外国人留学生、最多33万人 昨年5月 円安背景、アジア圏上位[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 1213文字 PDF有 書誌情報]
日本学生支援機構は30日、2024年5月1日現在の外国人留学生が前年比21%増の33万6708人で、比較可能な11年以来で過去最多だったと発表した。円安などを背景に日本を選ぶ留学生が増えたとみられ、新型コロナウイルス禍前を初めて上回った。
外国人留学生は13年から増加を続け、19年に31万人超を記録。コロナ禍で急減した後、23年に4年ぶりに増加に転じ、28万人近くに回復していた。
出身国・地域別でみると、上位10カ国は全てアジア圏だった。前年比7%増の中国が最も多く、全体の4割弱を占める。同71%増のネパール、同11%増のベトナムが続き、4位のミャンマーは2.1倍に増えた。
外国人留学生のうち、大学や専門学校などの高等教育機関に在籍するのは同22%増の22万9467人で、日本語学校など「日本語教育機関」に在籍する留学生は同18%増の10万7241人。いずれも過去最多だった。
文部科学省の担当者は「世界的に物価が上昇し、留学費用の負担が重くなるなか、円安の影響で欧米に比べて安く済むとして日本が選ばれているのではないか」と推測する。
急速な少子化を受けて、政府や各大学も奨学金を設けるなどして、留学生の受け入れを強化している。国立大学協会は国立大の留学生比率を40年までに3割に高める目標を掲げる。早稲田大学が32年に全学生の2割に当たる1万人の受け入れを目指すなど、私立大の動きも活発だ。
卒業後の日本における進路の幅が徐々に広がってきたことも、留学生増の背景にありそうだ。政府は人手不足を解消するため、技能水準の高い外国人向けの在留資格「特定技能」の対象職種を拡大するなどしてきた。企業の外国人材に対する採用意欲も高まっている。
同省によると、東南アジアへの日本企業の進出が相次ぎ、現地で日本語需要が高まっていることも留学を後押ししているという。
政府は33年までに外国人留学生を高校生も含め40万人に増やす目標を掲げている。24年4月に日本語教師の国家資格「登録日本語教員」を創設するなど、受け入れ体制の整備をさらに進める方針だ。
日本学生支援機構の発表によると、日本の大学や専門学校に在籍し、23年度に海外の大学などに留学した日本人学生は8万9179人で前年度から53%増えた。10万人を超えていたコロナ禍前の水準には達しなかった。
留学先は米国が最も多く、全体の15%を占める。オーストラリア、韓国、カナダが続いた。
従来から英語圏が留学先として人気が高いが、円安の影響などもあり、アジア圏の増加が目立った。韓国は79%増で、台湾は2.8倍に増えていた。
政府は33年までに日本人留学生を年50万人に増やす目標を掲げている。23年度は全体の6割を占める1カ月未満の短期留学が前年度から倍増し、全体を押し上げた。高度人材の確保や大学の国際化のためには、学位取得を目指した長期留学の拡大が引き続き課題となる。
日本の幸福度、22カ国中最低 米ハーバード大調査、「親しい友人」少なく[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 548文字 PDF有 書誌情報]
米ハーバード大学などの研究チームは30日、日本を含む世界の22カ国に住む約20万人の幸福度を多面的にアンケート調査した結果を公表した。国別で総合的な幸福度が最も高かったのはインドネシアで、日本は最下位の22位だった。
西洋以外の国も含めた大規模な調査は珍しいという。ソーシャルメディアの影響などで若者の幸福度が低い傾向が多くの国でみられた。
30日に調査結果を科学誌ネイチャー・メンタル・ヘルスなどに論文で公表した。従来の調査で測ってきた幸福感や人生の満足度に加えて、心身の健康や交友関係なども調べた。日本からは約2万人が参加した。
日本は楽観主義や自由、達成感などの多くの指標でスコアが最も低かった。親しい友人がいると答える人が顕著に少なく、不安や心配などを感じる人が多かった。30~40代でスコアが下がり、女性よりも男性の点数が低かった。労働環境が影響している可能性がある。
研究を率いる米ハーバード大学のタイラー・バンダーウィール教授は日本の低迷について「宗教行事への参加が少ないことも関係があるかもしれない」とみる。例えば、22カ国全体で週に1回以上、教会で礼拝する人は幸福度が高い傾向があった。生きがいに関わる宗教の教えや行事を通じた人間関係の広がりが幸福度を押し上げた可能性がある。
内装工事遅れのベトナム館開館 大阪万博[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 302文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博で30日、未開館だったベトナム館がオープンした。内装展示工事の遅れなどで開幕から開館を見合わせている海外館は、建設工事が中断している自前建設型「タイプA」のネパール、日本側が建設を代行した簡易型「タイプX」のインド、複数国が共同利用する「タイプC」のブルネイの残り3つとなった。
日本国際博覧会協会は同日、インドについては5月1日に開館すると明らかにした。ベトナム館は日本側が準備した長屋形式の建物に各国が区画ごとに入居する「タイプB」。来場客の受け入れに必要な「使用許可」を28日に取得していた。
【図・写真】オープンしたベトナム館で伝統楽器を使って演奏する人たち(30日、大阪市此花区)
診療科名の記載に睡眠障害追加を 学会、厚労省に要望[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
日本睡眠学会は30日、医療機関の看板などに内科や精神科といった診療科名と組み合わせて記載できる用語に「睡眠障害」を加えるよう厚生労働省に要望した。不眠に悩む人が増えており、症状を自覚した際に受診する医療機関を選びやすくする狙いがある。
「睡眠障害内科」や「睡眠障害精神科」、「小児科(睡眠障害)」などと表記できるように求めた。実現には厚労省の審議会での議論を経て、医療法施行規則を改める必要がある。現在は2008年に改正したルールが適用されている。内科や外科、皮膚科などの単独で掲げられる診療科名に「心臓」や「がん」といった用語を組み合わせられる。
自動運転バスの再開めど立たず 万博、待機場で接触事故[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 221文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博の「パーク・アンド・ライド」駐車場と会場を結ぶ自動運転バスが待機場で壁と接触する事故があり、運行事業者の大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は30日、同型バスの運行再開のメドは現時点で立っていないと明らかにした。
事故は28日午後4時半ごろ、大阪市内の人工島、舞洲(まいしま)の待機場で起きた。運転士が手動運転モードで停車し運転席を離れた後にバスが動き出し、コンクリート壁に接触した。回送中で乗客はおらず、運転士もケガはなかった。
野生ラッコが鳥インフル 北海道、国内初の感染(短信)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
北海道は30日、浜中町の藻散布川の河口付近で野生のラッコが死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。環境省によると、ラッコの高病原性感染が確認されたのは国内で初めてという。
北海道や環境省によると、住民が22日、ラッコ1頭の死骸を発見し、浜中町に連絡。その後、北海道大が遺伝子検査をし、27日に高病原性ウイルスが確認された。
藤井七冠が連勝 将棋名人戦第2局(短信)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 112文字 PDF有 書誌情報]
将棋の第83期名人戦7番勝負第2局は29、30の両日、東京都大田区で指され、先手の藤井聡太名人(22)=竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖との七冠=が141手で挑戦者の永瀬拓矢九段(32)を破り、対戦成績を2勝0敗とした。
水俣病被害団体「信頼回復せず」 発言遮断、環境相と懇談[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 510文字 PDF有 書誌情報]
熊本県水俣市で5月1日に営まれる水俣病犠牲者慰霊式に合わせ、浅尾慶一郎環境相と被害者団体との懇談が30日、同市内で始まった。環境省は1年前の懇談で団体側の発言を遮断して批判を浴び、今回は2日間の日程で臨んだが、被害地域と周辺の住民健康調査や、患者認定制度を巡る双方の隔たりは埋まらなかった。
団体側からは「信頼回復はなされていない」と不満の声が上がった。
市内の「水俣病情報センター」で行われた初日の懇談には計6団体が出席。浅尾氏は冒頭、昨年の発言遮断問題に触れ「不適切な運営だった」と改めて謝罪した。
健康調査の実施は水俣病特別措置法に明記され、環境省はMRIと脳磁計を組み合わせた方法で試験的調査を本年度に実施する方針を示しているが、団体側は「大規模調査に適さない」などと批判してきた。
「水俣病被害市民の会」の山下善寛代表(84)は懇談で「十数年前から反対している」と強調。「反対している調査を本当に実施されるのか、撤回されるのか」と問いかけられた浅尾氏は「試験的調査を進める中で関係者からご意見を伺いたい」と述べるにとどめた。
懇談は水俣病の公式確認から69年となる5月1日にも、別の団体との間で行われる予定。
核廃絶へ「私たちが行動を」 国連イベント、広島の高3が訴え[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 36ページ 453文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=共同】核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会が開かれている米ニューヨークの国連本部で29日、若者の平和活動がテーマのイベントがあり、核問題を学ぶ広島、長崎の学生が参加した。
広島市立舟入高3年の伊藤未唯さんは曽祖母の被爆体験を語り、核兵器廃絶へ「私たちが行動しなければ」と各国の参加者に呼びかけた。
世界約8400の自治体でつくる非政府組織(NGO)「平和首長会議」が主催。所属団体ごとにプレゼンテーションを行い、長崎大3年の川越佳梨さんは核兵器が今なお存在する理由を学ぶ中で、「相手の立場で問題を捉える重要性」に気付いたと説明した。後半は平和教育を巡り、議論が展開された。
平和首長会議ユースの広島の高校生、ナガサキ・ユース代表団の大学生のほか、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)や核戦争防止国際医師会議(IPPNW)に所属する若者らが出席した。
【図・写真】米ニューヨークの国連本部で開かれたイベントで発言する川越さん(右)(4月29日)=共同
「勝手踏切」の解消、足踏み 全国1万5000カ所で接触事故続く 生活通路、柵設置反対も[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 1176文字 PDF有 書誌情報]
踏切ではないのに、住民が日常的に線路を横断する「勝手踏切」の解消が進まない。国土交通省によると、2024年12月時点で全国に約1万5千カ所とおよそ4年で1割弱しか減っていない。同省は鉄道事業者に対策を求めているが、住民の反対で柵の設置に踏み切れないケースも目立つ。
勝手踏切に明確な定義はない。一般的には柵などが設置されておらず線路内に簡単に立ち入ることができ、住民らが踏切のように日常的に横断している場所を指す。
線路内への無断侵入は鉄道営業法違反に当たるが、もともと往来が多かった場所に線路を通したため、住民も生活の必要上やむなく通行しているケースが多い。
国交省は実態把握のため全国の鉄道事業者に「踏切として認めていないが、線路横断の形跡やその情報がある箇所」について報告を求めたところ、24年12月時点で全国に計1万5553カ所あった。21年1月の前回集計時(1万7066カ所)からの減少幅は1割弱にとどまる。
モノレールしか走っていない沖縄県を除く46都道府県に存在し、都道府県別では岩手県の899カ所が最も多い。長野877カ所、新潟837カ所と続く。
事故は後を絶たず、広島市のJR可部線では24年4月と10月、線路内を横断中の歩行者が列車と接触し死亡した。いずれの現場も以前から住民が線路を渡る様子が確認されており、JR西日本と同市は事故現場周辺に柵を設置するなどして線路内に立ち入れないよう封鎖する作業を進めている。
ただ勝手踏切の解消は思うように進んでいない。柵などを設置して線路内に立ち入れなくするのが最も手っ取り早い対策だが、遠回りを余儀なくされる住民から反対の声もあるためだ。
国交省の担当者は「1カ所だけ封鎖しても柵がない別の場所が新たな勝手踏切になる恐れもある」と、いたちごっこになるのを懸念する。
歩道橋の整備なども有効な手段だが、設置場所や資金面の制約が大きい。踏切の新設も原則認められておらず、柵で封鎖する以外の対策を取るのが困難なのが現状だ。
21年4月に小学生がはねられる事故が起きた江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)も22年8~10月、沿線3カ所に柵を設置したものの、勝手踏切は今なお80カ所以上ある。
江ノ島電鉄線はもともと路面電車として開業したが第2次世界大戦中に国の施策で鉄道に変更された経緯がある。玄関の目の前が線路で、線路を渡らないと外出すらままならない住宅もある。同社担当者は「住民の理解が得られるよう説明を続けていく」と話す。
国交省は解消を促すため、これまで不定期だった勝手踏切の調査を3~5年ごとに定期的に実施する。調査内容もより定量的に比較できるよう手法を見直し、正確に勝手踏切の状態を把握することを目指す。
【図・写真】2024年に死亡事故が起きた広島市のJR可部線の「勝手踏切」(24年12月)
NPB、独禁法違反疑い 公取委調査、フジの取材パスを没収[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 595文字 PDF有 書誌情報]
プロ野球の日本シリーズの取材パスをフジテレビから没収したことなどが独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いがあるとして、公正取引委員会が日本野球機構(NPB)を調査していることが30日、関係者への取材で分かった。行政指導などの措置の可否を慎重に判断するとみられる。
関係者によると、フジテレビは2024年10月下旬、他局が日本シリーズの生中継をしていた時間帯にドジャースの大谷翔平選手らが出場する米大リーグのワールドシリーズのダイジェスト番組を放送した。フジテレビはワールドシリーズの生中継の放映権を持っていた。
これに対してNPBは「信頼関係が著しく毀損された」などとして、フジテレビの日本シリーズの取材パスを没収。同年11月の野球日本代表の強化試合の取材も制約したという。
公取委はNPBの一連の行為が独禁法が禁じる「取引妨害」などにあたる可能性があるとして調査。取材パスを没収することなどで競合相手である米大リーグ機構(MLB)とフジテレビの取引を不当に妨げた恐れがあるとみて、関係者への聴取を進めているもようだ。NPBは「現時点でのコメントは差し控えさせていただきます」としている。
NPBを巡っては、公取委が24年9月に内部組織の日本プロフェッショナル野球組織に対して、プロ野球選手の契約交渉の代理人を弁護士に限定するなどの行為が独禁法違反にあたる恐れがあるとして警告していた。
「勝手踏切」の解消、足踏み――警報・遮断機ない踏切7% 死亡事故の過半、子どもや高齢者[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 351文字 PDF有 書誌情報]
勝手踏切と同様に危険性を指摘されているのが警報機や遮断機のない「第4種踏切」だ。列車の本数が少ない地方に多く、国土交通省によると、2024年3月末時点で全国に2367カ所と踏切全体の7.3%を占める。踏切は遮断機と警報機を備えた「第1種」、警報機がある「第3種」、列車の接近を知らせる装置がない「第4種」に分類される。全国の踏切の90.9%は「第1種」だ。
運輸安全委員会によると、14~23年に起きた第4種踏切の死亡事故は52件あり、半数超が子どもや高齢者だった。
24年4月には群馬県高崎市の上信電鉄の第4種踏切内で女児(当時9)が列車にはねられ死亡する事故が発生。運輸安全委が今年3月に公表した調査報告書は、第4種踏切を廃止するか遮断機などを備えた「第1種踏切」に切り替えるのが望ましいとした。
東海道新幹線、ヘビ原因で停電 一時運転見合わせ[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 154文字 PDF有 書誌情報]
JR東海によると、東海道新幹線の岐阜羽島―米原間で停電が発生し、30日午後5時半ごろから一部区間で運転を見合わせた。その後、下りの東京―新大阪間などに見合わせの区間が広がったが、午後7時から順次運転を再開した。
同社によると、岐阜県大垣市静里町で、架線にヘビが接触しショートしたことで停電が発生したという。
東北道多重事故の逆走車、IC通過後に再び進入か[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 589文字 PDF有 書誌情報]
栃木県那須塩原市の東北自動車道上り線で計3人が死亡した逆走多重事故の発生前、逆走車と酷似した車が下り線を走行してインターチェンジ(IC)の料金所を通過し、直後にUターンして再び進入した可能性があることが30日、捜査関係者への取材で分かった。再進入後に逆走を始めたとみられ、県警が背景を調べる。
逆走車を運転し、死亡した宇都宮市の前原勇太さん(42)は無職だったことも判明した。乗っていたのは修理業者から貸し出された代車だった。
捜査関係者によると、事故があった26日夜、この代車と似た車が黒磯板室ICの料金所を通過し、1分もたたないうちに料金所に戻る様子が監視カメラに映っていた。
このICでは料金所から進入後、信号があり、右折して上り線に入る。左からは上り線から出る車の車線が合流しており、前原さんはここから逆走を始めたとみられる。進入禁止の標識などがあるが、逆走を遮る構造物はない。
逆走車は路肩を走行し、ICから500メートルほどの場所で接触事故を起こした。さらに2.7キロ進み、乗用車と正面衝突。前原さんは胸腔(きょうくう)内臓器損傷で、岩手県北上市の会社員、平岡勝利さん(56)が外傷性心破裂で亡くなった。
正面衝突の影響で渋滞が発生し、衝突現場から約1キロ離れた地点で、トラックが追突。埼玉県川越市の無職、長嶋弓子さん(60)が亡くなるなど6台が絡む事故となった。
米海兵隊員を起訴 不同意性交と傷害の罪 那覇地検[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 551文字 PDF有 書誌情報]
沖縄本島中部の米軍基地内の個室トイレで3月、県内の成人女性に性的暴行をし、別の女性も負傷させたとして、那覇地検は30日、在沖縄米海兵隊のオースティン・ウェディングトン1等兵(27)を不同意性交と傷害の罪で起訴した。日米地位協定に基づき米側が管理していた被告の身柄は同日、日本側に移された。
玉城デニー知事は「再発防止策を早急に求めているのに、米軍人による性犯罪が相次いで発生している。米軍の隊員教育や管理体制に疑念を持たざるを得ない。より実効性のある対策実施を強く求める」とのコメントを発表した。
起訴状などによると3月18日、基地従業員の女性の首を絞め、トイレのドアに押しつけた上で性的暴行をし、さらにその後、助けに入った別の女性の顔を足で踏みつけるなどの暴行を加え、打撲などのけがを負わせたとしている。那覇地検は認否を明らかにしていない。
県は30日、防衛省沖縄防衛局から起訴の連絡を受けたと明らかにした。海兵隊は取材に「今回疑われている行動は米軍の中核的価値観を反映したものではない」とコメントした。
沖縄県警は被害者からの申告を受け、米軍が身柄を管理する被告から任意で事情聴取。4月7日、書類送検した。
沖縄では昨年6月以降、米兵による性暴力事件が相次いで発覚。起訴は4事件で計4人となった。
京都の国道冠水、上水道管が破損 床下浸水の住宅も[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 166文字 PDF有 書誌情報]
30日午前3時半ごろ、京都市下京区の国道1号で「道路が水であふれている」と目撃者から110番があった。現場地下で老朽化した上水道管が破損して漏水し、住宅に浸水。住民によると床下浸水とみられる。
一時、周辺で水道水が濁る恐れがあったとして給水車を出して対応した。京都府警によると、人的被害はなかった。午後1時ごろ、水漏れは止まった。
埼玉高1刺殺「殺害対象を探していた」 逮捕の男、容疑認める[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 0文字 書誌情報]
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家宅捜索で逃走、容疑の男が出頭 殺人未遂などで逮捕[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 37ページ 0文字 書誌情報]
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ビッグイシュー500号の歩み 2003年に英国発雑誌の日本版創刊、社会を路上から見つめ続ける 水越洋子[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1400文字 PDF有 書誌情報]
ホームレスの自立を支援する雑誌「ビッグイシュー日本版」が、このほど創刊500号を迎えた。私は2003年の創刊から編集長を務めている。街頭に立つ販売者が誇りを持って売ることができる雑誌を目指し、社会問題や文化芸術など幅広いテーマを扱ってきた。大事にしてきたのは、周縁から社会を見つめる視線だ。
03年9月の日本版創刊号の巻頭インタビューはロックバンドの「R.E.M.」、特集記事は「今、若者に仕事はない」だった。若い世代の読者を意識し、おしゃれでありながら、社会を生きていくためのよりどころのような雑誌になってほしいと考えていた。
ビッグイシューは1991年に英国で始まった。ホームレスが自ら雑誌を仕入れ、売り上げの半分が自らの収入となる仕組みだ。私は2002年、ある雑誌の小さな記事でこの取り組みについて知った。都市計画に関するコンサルティング会社などで働き、ホームレス問題について関心を深めていたこともあって、居ても立ってもいられなくなり、スコットランド版の創設者メル・ヤング氏のもとを訪ねた。
現地で目にしたのは、風景に自然と溶け込み胸を張って雑誌を売る販売者の姿だった。この取り組みを日本でもやってみたい。「100%失敗する」と心配する声ばかりだったが、当時の上司で現・共同代表の佐野章二とともに発行の準備を開始。英国版創設者のジョン・バード氏からも名称の使用許可を取り付け、編集スタッフ2人、販売者19人でスタートした。
海外版の翻訳記事も使えるとはいえ、半分以上はオリジナルの記事を載せたい。図書館に通いあらゆる棚を眺めながら、企画を練った。「社会の周縁にいる立場の人から物事を捉える」という原点が、編集方針を示してくれた。性的マイノリティー、依存症、自殺、うつ病やドメスティックバイオレンス(DV)――。今でこそさまざまなメディアが扱うが、当時はなかなか語りにくいテーマを取り上げてきた。
企画を考えるときに意識していることが3つある。社会の理不尽への怒り。難題に真摯に向き合う人たちへの共感と感動。そして、好奇心と発見を読者と共有する気持ちだ。政治や社会問題だけでなく、アート、カルチャー、食や自然科学など好奇心の赴くまま多岐にわたる分野を扱っている。
創刊翌年には月刊から月2回の発行に。販売者たちの尽力もあり、現在では月2万~3万部を発行する。ダライ・ラマ14世やロックバンド「QUEEN」の特集は大きな話題を呼んだ。
500号の表紙と巻頭企画は映画「パディントン」。英国版の翻訳記事だが、「私たちが親切で礼儀正しくあれば、世界はきっとうまくいく」という彼の言葉は、販売者の真摯な接客を重んじるビッグイシューにぴったりだ。
20年前と比べて、マイノリティーへの理解が市民の間に広がっている実感がある。一方で、公的な支援制度など社会全体の仕組みとしては、まだ追いついていないのでないか。ビッグイシューは、政治的な右や左ではなく、路上という「下」からの目線の雑誌だ。世界で紛争や災害が多発する時代だからこそ、社会から排除されている人々の声をすくいあげていきたい。
販売者から1冊買うことが、市民活動への参加になる雑誌だ。これからも思わず手にとりたくなるような誌面を作っていきたい。
(みずこし・ようこ=ビッグイシュー日本版編集長・共同代表)
【図・写真】売り上げの半分が販売者の収益になる
磯崎功典(1) ヘルスサイエンス 朝5時の祈り 苦闘支える ビール会社超える大転換(私の履歴書)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1433文字 PDF有 書誌情報]
毎朝5時の日課がある。自宅で両親の位牌(いはい)に向かい会社と従業員、そのご家族の健康と無事を声に出して3分ほど祈る。自分の力ではどうにもならない時には、「おやじ、おふくろ、何とかしてくれ」と願をかける。
今から6年前も試練に遭い、すがる思いで祈っていた。
「ヘルスサイエンス事業を新たな経営の柱とする」。2019年2月14日、長期経営構想を発表する場で宣言した。もし社長になればぜひ取り組もうと温めていたのだ。就任から4年は海外事業の売却など経営立て直しに追われたが、ようやく攻めに出る。
しかしながら、投資家の反応は厳しく冷ややかだった。ある程度の予想はしていた。当社の歴史を振り返っても、1980年代に医薬事業に参入し、経営を支える規模に成長するまで30年はかかった。簡単ではない。「本当に投資効果が出るのか」「経営が不安定になる」。厳しい声がぶつけられ、株価は下がった。
何もしない方が楽かもしれないが、私は15年ほど前からキリンの将来に不安を感じていた。ビール事業は少子高齢化に加えて健康志向や世界的な規制強化といった逆風が吹く。もうひとつの医薬事業も創薬の難しい壁がある。これら2本柱だけでは企業としての存続がおぼつかない。
ならば両事業の発酵・バイオ技術と開発力を生かせる分野がないか。そこで人々の健康に資する新事業を温めてきたのだ。構想発表後にはスキンケアと健康食品を持つファンケルに3割出資するなど、すぐに投資を具体化させた。しかしバイオ関連グループ会社の品質問題など事故・事件も相次ぎ自信を失いかけた。
「緊急事態です」。投資家対応を担当するIR室からメールで連絡が入った。2019年10月7日のことだ。
「危機対応の練習だろうな」。アクティビスト(物言う株主)から攻め込まれたときにどう対応するか。数日前、プロジェクトチームが立ち上がり、近くシミュレーションをして備えを万全にしましょうと言われていた。
だが様子がおかしい。「本物の書簡が来たんです」。担当者が慌てている。リハーサルをするはずが、いきなり本番が始まってしまったのだ。
「キリンは本業のビールに集中すべきで、全ての多角化事業は売却・撤退を求める」。本社を訪れたアクティビストのトップは私に向かい言い切った。投資家との対話はとても重要だ。だが今回の要請は到底、受け入れられない。
なぜならば売却は、私の経営哲学に反するからだ。長年、社内で提唱してきたCSV(共有価値の創造)経営だ。詳細は後に記すが、社会課題の解決と経済価値の創出を同時に進めるもの。この理念があればこそのヘルスサイエンスであり、決して思いつきで始めた戦略ではない。
それでも「本当に正しい決断なのか」と不安に襲われるときもある。会社と従業員の運命を背負う重圧に眠れぬ夜があっても、ひるんではいられない。アクティビストの提案は6カ月の激闘の末、株主総会で否決され、会社の提案が圧倒的多数で承認された。
本業のビールと縁遠く傍流が長いキャリアだ。そんな私がトップに起用されたのは会社の方向を大転換する使命があるからだ。
振り返れば幾多の失敗と修羅場の連続だった。本来は臆病で心配性の自分がなぜやってこられたのか。次回は原点である高校時代の挫折について記す。これから1カ月、諦めない精神で歩んできた普通のサラリーマンの人生にお付き合いいただきたい。
(キリンホールディングス会長CEO)
=題字も筆者
【図・写真】最近の筆者
動物の命、人の心(5)エドウィン・ランドシーア「年老いた羊飼いの喪主」 府中市美術館学芸員 音ゆみ子(十選)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 38ページ 537文字 書誌情報]
粗末な部屋に置かれた棺に顎を乗せる犬、ただそれだけを描いている。題名は「年老いた羊飼いの喪主」。牧羊犬は唯一の「家族」だったのだろう。生前の羊飼いと犬の幸せな日常が目に浮かび、胸が締めつけられる。
産業革命によって中産階級の増えた19世紀の英国では、空前のペットブームが起こっていた。特にはやったのが犬である。純血種が好まれドッグショーが始まったり、さらには犬の誘拐事件まで起こったりしたほどだ。溺れる少女を救った忠犬の実話なども人気で、それを絵にした版画が飛ぶように売れたという。本作は実話が元ではないが、忠犬物語の流行から生まれた一作である。
このころ、英国では世界で初めて動物虐待を禁止する法律が制定され、王立の動物愛護団体も設立された。「人間は動物の支配者」という考え方は、時に動物を残酷に扱うことに繋(つな)がったが、一方で「動物は保護すべきものだ」という倫理観も生み出したのである。
こうした動きは、動物好きで知られたヴィクトリア女王の後押しも大きかったという。本作の作者ランドシーアは、女王の大切な家族だった愛犬たちの肖像も数多く残している。
(1837年、油彩、カンバス、45.7×61センチ、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館蔵)
【図・写真】アフロ提供
似た者ライバル 斉藤昇(交遊抄)[2025/05/01 日本経済新聞 朝刊 38ページ 505文字 PDF有 書誌情報]
立教大経済学部の同級生だった小出達也くんと再会したのは社会人になって10年たった1996年、共通の知人の結婚式だった。学生時代は同じ講義を聞いていたものの、それほど親しくはなかった。それが共にIT(情報技術)産業に身を置く営業マンとして仕事の話で盛り上がった。
2人とも小型のオフィスコンピューターなどの営業を担当し、同じ地域、同じ業種をカバーしていた。仕事ではライバル関係にありながら、お酒やゴルフ、海が好きという共通点もあって頻繁に会うようになった。互いの後輩を交えてゴルフに行くこともあった。
会社は違えど同じようなタイミングで昇進していった。私が営業部長になったら彼は事業部長になり、自然とライバルとして意識した。競合他社のため仕事の詳細までは話さなかった。複数の案件で競合関係となり、受注を奪い合ったこともあった。
彼は日本IBMで取締役専務執行役員になった後、決済代行を手掛けるGMOペイメントゲートウェイに転職して現在は上席専務執行役員を務めている。ライバルでありながら仕事の話ができ、さらにプライベートの話もできる。人生の長い期間、刺激を受けた友人だ。
(さいとう・のぼる=BIPROGY社長)