東南アジア観光でインドが存在感 デビッド・マン氏-マスターカード アジア太平洋担当チーフエコノミスト[2025/04/19 02:00 日経速報ニュース 1728文字 画像有 ]
海外からベトナムを訪れる観光客が飛躍的に増えている。人気を主導するのがインドだ。ベトナムは東南アジアの観光大国であるタイの座を狙っており、インドのおかげで実現するかもしれない。
東南アジアで最も多くの観光客を受け入れるタイには2024年に3550万人が訪れた。一方のベトナムは地域で最も急成長しており、24年の来客数は前年比40%増の1750万人に上った。
ベトナムおよび東南アジア全域で観光客の構成は変化している。中国からの旅行者数は19年ピーク時の8割程度にとどまる。代わりに台頭するインドは国際線の輸送能力が19年比10%増えた。
中国からの旅行者の減少に打撃を受けているタイはインド人観光客により一息ついている。他の東南アジア諸国にとってもインドからの来客増は経済への追い風だ。
中国と東南アジアを結ぶ航空便の輸送能力は依然として19年比で77%にとどまる。かつてタイは中国人に最も人気の海外旅行先だったが、現在はその座を日本に奪われた。海外旅行の経験を積んだ中国人観光客は新しい冒険を求めるようになった。
タイは25年に4000万人の観光客獲得を目指すが、中国人の助けはあてにできない。19年には来客数の28%を占めていたが、24年には19%に減少した。
中国は23年と24年初めにタイ、マレーシア、シンガポールと相互にビザの免除協定を締結した。24年は中国からマレーシアへの来客数が19年比で105%に伸び、シンガポールは85%だった。一方でタイへの中国からの来客数は19年の61%にとどまっている。
インドは東南アジアを訪れる観光客数で中国に挑戦する存在になりつつある。新規路線の就航やビザ手続きの簡素化により、インドからマレーシア、タイを訪れる数は大幅に増加している。英キャピタル・エコノミクスの予測では、インドは35年までに年約1200億ドル(17兆円)を海外旅行に費やし、米国、中国、ドイツに次ぐ世界第4の旅行消費大国になる。
タイとマレーシアはインド人旅行者がビザなしで入国できるようにした。インドからの来客数はタイが19年比7%増え、マレーシアは54%増えた。バンコクはインド人旅行者にとってドバイを抜いて最も人気のある訪問先となった。
中でも劇的な増加がみられたのはベトナムだ。22年以降の直行便就航で、24年のインドからの来客数は19年の4.6倍に急増した。中国人旅行者の来客数は19年比で65%にとどまっているが、インドや韓国からの観光客の増加でベトナムの急成長が続いている。
インドの旅行者にとって東南アジアは初めての海外旅行先として最適だ。初めての旅行者には手軽さや安全、文化への配慮が最も重要となる。多くのインド人には食事制限があり、旅行先で適切な食事ができるかどうかが心配事の上位にランクしている。
歴史的にインド人観光客を歓迎してきたタイでは、主要な観光地でインド料理を提供してきた。ベトナムもインド人が求めるスタイルや価格帯で食事や買い物ができるようにしようとしている。
東南アジア観光の多様性が増すことは、経済に安定性をもたらすはずだ。メニューやホテルのロビーから漢字が消えることはないだろうが、北インド系言語で使われるデバナガリ文字が並ぶのを見かける機会が増えそうだ。
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域内需要も成長続く
多分に感覚的ではあるが、東南アジアの空港や街中で見かける観光客は、中国人が団体旅行、インド人は家族や個人旅行が多いように思う。国際通貨基金(IMF)の直近推計で中国の1人あたり国内総生産(GDP)は1万3千ドル、インドは2700ドル。海外旅行に出かける裾野の広がりで、今後はインドが中国を追い上げていくのは間違いない。
14億人を超す人口大国が2つも近接するのは東南アジアの観光産業の大きな強みだ。ただし、年1億人を超す外国人観光客のうち4割以上は「域内インバウンド」。経済成長を背景に今後も増加が確実だ。中印からの観光客誘致は大事だが、空路だけでなく陸路を含めた接続性、QRコード決済のような金融サービスの連携など、域内需要開拓の改善余地もまだまだ大きい。(編集委員 高橋徹)
ドル指数とは 基軸通貨の総合的な強さを指数化-きょうのことば[2025/04/19 02:00 日経速報ニュース 428文字 画像有 ]
▼ドル指数 複数の主要通貨に対するドルの総合的な強さを指数化したもの。ドル指数が上昇すればドルが主要通貨に対して買われ、低下すればドルが売られていることを示す。複数の通貨の動きを合成した「名目実効為替レート」の一つで、現在は米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出している。
ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランの6通貨に対するドルの強さを表す。各通貨の構成比率は57.6%を占めるユーロが最も大きく、13.6%の円がこれに次ぐ。米連邦準備理事会(FRB)が1973年に開発し、同年3月を100として指数化した。
通貨の総合的な価値を示す実効為替レートにはドル指数のほか、様々な種類がある。国際決済銀行(BIS)が算出する名目実効為替レートや、日本経済新聞社が算出する主要25通貨を対象とした「日経通貨インデックス」などだ。ICEのドル指数は米先物市場で売買できるため、市場では代表的な指標として特に注視されている。
【関連記事】
・ドル指数、24年9月以来の低水準 NY市場で売り加速
・「米国売り」23年ぶりの衝撃 米国債・ドル急落の1週間
ドル指数 基軸通貨の総合的強さ示す(きょうのことば)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 3ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
▽…複数の主要通貨に対するドルの総合的な強さを指数化したもの。ドル指数が上昇すればドルが主要通貨に対して買われ、低下すればドルが売られていることを示す。複数の通貨の動きを合成した「名目実効為替レート」の一つで、現在は米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出している。
▽…ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランの6通貨に対するドルの強さを表す。各通貨の構成比率は57.6%を占めるユーロが最も大きく、13.6%の円がこれに次ぐ。米連邦準備理事会(FRB)が1973年に開発し、同年3月を100として指数化した。
▽…通貨の総合的な価値を示す実効為替レートにはドル指数のほか、様々な種類がある。国際決済銀行(BIS)が算出する名目実効為替レートや、日本経済新聞社が算出する主要25通貨を対象とした「日経通貨インデックス」などだ。ICEのドル指数は米先物市場で売買できるため、市場では代表的な指標として特に注視されている。
東南ア観光 インドが存在感――域内需要も成長続く(Asiaを読む)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 9ページ 340文字 PDF有 書誌情報]
多分に感覚的ではあるが、東南アジアの空港や街中で見かける観光客は、中国人が団体旅行、インド人は家族や個人旅行が多いように思う。国際通貨基金(IMF)の直近推計で中国の1人あたり国内総生産(GDP)は1万3千ドル、インドは2700ドル。海外旅行に出かける裾野の広がりで、今後はインドが中国を追い上げていくのは間違いない。
14億人を超す人口大国が2つも近接するのは東南アジアの観光産業の大きな強みだ。ただし、年1億人を超す外国人観光客のうち4割以上は「域内インバウンド」。経済成長を背景に今後も増加が確実だ。中印からの観光客誘致は大事だが、空路だけでなく陸路を含めた接続性、QRコード決済のような金融サービスの連携など、域内需要開拓の改善余地もまだまだ大きい。
(編集委員 高橋徹)
しっかり学ぶ財務(4)自己資本利益率(ROE) 企業経営の「燃費」測る、8%以上の水準意識[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1288文字 PDF有 書誌情報]
自動車を購入する際、誰しも少ない燃料で長く走れる高燃費の車を選びたいもの。投資家が投資先の企業を選ぶ時も同じで、限られたお金でなるべくたくさんの利益を生める「燃費」のいい企業に投資しようとする。企業経営の燃費を測る便利な指標が、自己資本利益率(ROE)だ。
ROEは「Return On Equity」の頭文字をとった略語。株主から託された資金である「自己資本」を元手に、最終的なもうけとなる「純利益」をどれだけ稼ぐことができたか、その割合を示す。「純利益÷自己資本」で求められ、一般的にこの数字が大きくなるほど市場で高く評価されやすい。
企業がROEを高めるには2通りのやり方がある。一つ目は売り上げを伸ばしたりコストを減らしたりして、分子となる利益を増やすこと。もう一つは、分母である自己資本を小さくする方法だ。たまったお金を株主に配当として返したり、自社株を買い取ったりすると分母が縮小し、ROEを押し上げる。
例えば、純利益5億円、自己資本100億円の企業があったとする。純利益を10億円に増やせばROEは5%から10%に高まる。しかし純利益の10億円を企業がため込めば、翌年はその分が自己資本に加算される。翌年も同じ10億円のもうけが出ても、自己資本は110億円に膨らんでいるので、ROEは10億円÷110億円=9%と下がってしまう。ROEを継続的に高めるには、利益を拡大させ続けるだけでなく、株主還元を積極的に行う必要があることがわかる。
企業経営の効率性を示す指標としてROEが日本企業の間に広く浸透するきっかけとなったのが、2014年に経済産業省がまとめた「伊藤レポート」だ。8%を上回る水準が望ましいと示され、今もなお多くの企業が意識している。日本IR協議会の調査によると、8割の企業がROEを経営目標として意識しているという。
国内外の投資家もROEの推移や先行きに熱い視線を注ぐ。20%を目安にROE向上を目指すトヨタ自動車は、この方針に関する報道を受け昨年12月下旬に2日間で株価が10%超上昇した。
半面、ROEが投資家の期待水準に届かない企業への風当たりは厳しい。江崎グリコが2月、中期経営計画でROE目標を「6~8%」と定めると、かつて計画の方向性として示した「8%」から後退したとして、アクティビスト(物言う株主)として知られる米ダルトン・インベストメンツから反発の声が上がった。ダルトンはROE向上に直結する自社株買いなどを株主提案。これは否決されたものの、ROE引き上げに向けた取り組みを期待する投資家の姿勢を象徴している。
資本政策が効果を生むROEは、売上高営業利益率やPBR(株価純資産倍率)など他の指標に比べて事業環境や株式市場などの状況に左右されにくいという面もある。国際政治を取り巻く不透明感などを背景に、世界景気減速への警戒感が急速に強まっている今、高ROE経営を実践する「高燃費」企業に注目してみてはどうだろう。
(千葉由佳)
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おいしい季節がやってくる。 行成薫著(新書文庫)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 251文字 PDF有 書誌情報]
■『おいしい季節がやってくる。』行成薫著 震災で夫を亡くした孤独な女性は、万引きをしようとした空腹の小学生に夫が好きだった豚汁をふるまう――。四季をめぐりながら食と人間模様を描く短編集。登場人物は時に困難と対峙しながらも前を向く。彼らのそばにはおいしいごはんがあって心を解きほぐす。「食」は生きる力であり、誰かと心を通い合わせるよりどころだと気づかされる。(集英社文庫・825円)
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福岡のうちだ屋を買収 堀江氏顧問の企業 まずうどん店DX[2025/04/19 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 495文字 PDF有 書誌情報]
実業家の堀江貴文氏が顧問を務める食品関連会社、こむぎの(東京・千代田)は18日、福岡を中心にうどん店などを展開するうちだ屋(福岡市)を買収したと発表した。取得額は非公表。九州のうどんブームを追い風に、うどん店「うちだ屋」を中心に5年後に全国で現在の約2倍となる80店舗規模に増やす。
18日の記者会見で堀江氏は「こむぎのには小麦粉の仕入れノウハウやサプライチェーンを構築する力がある。博多うどんを世界に広げたい」と意気込みを語った。
3月31日付でうちだ屋の全株式を取得した。うちだ屋は福岡県を中心に、うどん店などを約40店舗展開。カツオだしの効いたスープや地元に根付いた雰囲気の店内が特徴で、過去にはグループ全体で120店舗に上ったという。
今後はキャッシュレス決済の対応や注文時のタッチパネルの導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、店舗運営を効率化する。その後、出店攻勢をかけ、2025年中に関東1号店の出店を目指す。
こむぎのは、堀江氏が発案したベーカリーブランド「小麦の奴隷」のフランチャイズチェーン(FC)展開をしており、主原料とする小麦の調達でも組む計画だ。
湯の花満開すくって塗って――家庭用に販売も、成分など要確認(何でもランキング)[2025/04/19 日経プラスワン 2ページ 2655文字 PDF有 書誌情報]
湯の花を楽しめる温泉の中には、お土産用に乾燥させた湯の花を入浴剤として販売しているところもある。首位の玉子湯でも、「源泉から『湯番』が採取した湯の花を乾燥させた入浴剤が購入できる」(北出さん)という。
ただ、使用する際には注意が必要な場合もある。風呂の配管や給湯器を傷める可能性があるためだ。湯の花の中でも、特に硫黄成分を多く含むものなどは、付着すると追いだき配管や給湯器を変色させる可能性がある。
例えば、玉子湯が販売する湯の花は、「蛇口からお湯をためるタイプのお風呂では安心して使える。ただ、自動給湯できるタイプのお風呂では、給湯器の中に湯の花が入りこんでしまわないよう、給水口や排水口をふさぐ必要がある。いずれの場合も使用後はすぐに洗い流すのがおすすめ」と説明する。
お土産用の湯の花の購入を検討する際は、どのような成分が含まれているか、自分の家の風呂で使っても問題ないか、よく確認が必要だ。
<305>標高1180メートルにある、秘湯感ただよう宿。源泉かけ流しの乳白色の硫黄泉には、白やグレー、黒などの湯の花が舞う。「日によって白色メインのこともあるが、複数の湯の花が見られるのは珍しい」と高橋さんは評価する。
2種類の源泉を引く露天風呂からは、壮大な大田切渓谷を望める。宿から徒歩15分ほどの場所にある無料露天風呂、「黄金の湯」と「河原の湯」もあわせて楽しみたい。
「温泉マニアでなくともうれしくなるお湯。妙高山も近く、登山好きにも人気の宿」と川名結有さんは評価する。
(1)関山駅からバスで約30分(2)フリータイムプラン 男性1000円、女性1200円
<300>加温や加水などをしない「源泉かけ流し」を九州で初めて宣言した温泉地にある。「しばらく誰も湯船に入らないと、表面に湯の花のベールがかかる。入ると、新雪に足跡をつけるような幸せを味わえる」(石井宏子さん)
「秘密基地のような独特の造りも楽しい」と川名さん。別館 藤花楼は大正時代の設計を復元し、風情がある。家族風呂は茶室に似た造りで、芹川のせせらぎと静寂が広がる。「ラムネ温泉館」は泡付きのよい炭酸泉。建築家の藤森照信さんが手掛けた建物として一見の価値がある。
(1)宿泊の場合、小野屋駅または豊後竹田駅から無料送迎車(要予約)(2)500円
<255>青みがかった乳白色のにごり湯が足元から湧出する「すずめの湯」が見どころ。ジャグジーのように音を立てて噴き出すため、「温泉が生きているかのような湯の動きを楽しめる」(植竹さん)。着衣必須の混浴。底に沈んだトロトロの湯の花を顔や体に塗ることもできる。
「すずめの湯」の他、高温で湧く「たまご地獄」「元地獄」といった複数の源泉を楽しめる。「車がないと行きにくいが、レンタカーでの旅なら空港からはさほど遠くない。阿蘇山のドライブを楽しみつつ温泉巡りをするのもよい」(笠原さん)
(1)阿蘇くまもと空港から車で約45分(2)2000円
<245>緑に囲まれた硫黄泉の露天風呂は、日によって濁ったり透明になったりと、刻々と変化する。特筆すべきは、湯の底に大量に沈殿するおぼろ豆腐状のふわふわとした湯の花だ。北出さんによれば、「それらを顔や体に塗る珍しい『湯の花パック』ができる」。底に積もった湯の花をすくい、体に塗りつければ肌がすべすべになる。
緑豊かなエリアが広がり、「カーテンのように水が落ちる鍋ケ滝など自然を感じられるスポットが多い」(高橋さん)。蒸気で地鶏などを蒸した「地獄蒸し」も外せない。
(1)阿蘇駅からタクシーで約60分、または九重ICから車で約20分(2)日帰り入浴なし(1月で終了)
<220>付近の沢に蟹(かに)が多く住むことから名付けられた、乳頭温泉郷では珍しい無色透明の湯。林の中にある混浴露天風呂は、まさに秘湯。「乳頭温泉郷の一番奥に位置し、イメージは『山そのもの』」と加藤礼識さんは説明する。
石井さんによれば、「その日のコンディションによってではあるが、大きな湯の花の塊が、薄い和紙のようにふわりと湯を漂うことがある」とのこと。周囲には他にも、鶴の湯や黒湯などの名湯がそろう。宿ごとに泉質の異なる源泉を、湯めぐりバスに乗って巡るのも楽しい。
(1)田沢湖駅からバスで約50分、「乳頭蟹場温泉」下車(2)800円
<165>平安時代から開湯されていた炭酸泉。一度はダム湖に沈んだが、再度源泉を掘り当てた。「これぞ大自然の秘湯」と加藤さん。
黄金色の正体は、炭酸カルシウムや鉄分からなる湯の花だ。「湯の花が浴槽や床に積もり、鍾乳洞やハチの巣のような模様を形成している」(笠原さん)。総杉丸太造りの大浴場も、ケヤキの切り株で造られた露天風呂も、一見、木造とわからない。「気象条件などによっては湯面に白く結晶化した湯の花も見られる」(北出さん)。大迫ダムや不動窟鍾乳洞などがあり、観光スポットにも事欠かない。
(1)葛城ICから車で約80分(2)900円
<155>硫黄の匂いが立ちこめる単純硫黄泉。湯の花で白濁したにごり湯は、「ベテラン温泉ライターもうなるお湯の良さ。浴槽の底から温泉と共に天然鉱泥がボコボコ湧出し、天然の泥パックを堪能できる」と川名さんは評価する。中でも、混浴露天風呂からの眺めは絶景。春でも豪快な雪渓が楽しめる。
八幡平山頂付近に位置する「鏡沼」にもあわせて足を運びたい。条件がそろえば、例年、5月下旬~6月中旬ごろに美しい自然現象「八幡平ドラゴンアイ」を見られる。
(1)松尾八幡平ICから車で約60分。宿泊の場合、八幡平頂上バス停から無料送迎(要予約)(2)650円
ランキングの見方 数字は専門家の評価の合計。(1)アクセス(2)日帰りでの入浴料(大人)。写真の1~3位は鈴木健撮影。4位燕温泉 花文、5位長湯温泉 大丸旅館、6位地獄温泉 青風荘.、7位山川温泉 しらはなシンフォニー、8位乳頭温泉郷 蟹場温泉、9位入之波温泉 山鳩湯、10位藤七温泉 彩雲荘提供。
調査の方法 植竹深雪、笠原一徳、高橋一喜の3氏の協力で22カ所を候補に選定。「ほかにはないユニークな湯の花を楽しめるか」「アクセスの良さ」などの観点で専門家7人が1~10位を選び、編集部で集計した。(河井萌が担当しました)
電子版有料会員の方はスマートフォンなどのカメラでこのQRコードを読み込むと、何でもランキングの過去記事(2019年7月20日付以降)をご覧になれます。
ポイント獲得上限を把握、還元率だけで比較しない(ポイント賢者)[2025/04/19 日経プラスワン 3ページ 753文字 PDF有 書誌情報]
筆者はAmazonのアカウントとdアカウントを連携し、Amazonで購入するときにdポイントをためています。dポイントの還元率は1%で、1回5000円以上の買い物でポイントを獲得できます。ただし、1回の買い物で獲得できるポイントの上限は100ポイントです。1万円を超える買い物をしても100ポイントで打ち切りです。
Amazonで複数商品を購入して1万円を超える場合、分割して注文するのも手です。Amazonは配送が最適化されています。同時に購入してもバラバラに配送されたり、分割して購入してもまとまって配送されたりしますので配送に影響はなさそうです。
また、キャンペーンなどで獲得できるポイントも上限が設定されている場合がほとんどです。
例えば楽天市場のSPU(スーパーポイントアッププログラム)では、楽天カードで支払うとポイント3倍です。通常の1倍分とクレカ決済分の1倍分は上限なしですが、さらに1倍分は月間1000ポイント(楽天プレミアムカード以上や楽天ビジネスカードは5000ポイント)が上限です。
楽天モバイルの対象プランを契約してエントリーすればプラス4倍の楽天ポイントを獲得できますが、月間2000ポイントが上限です。楽天市場での買い物が5万円を超えても2000ポイントまでしか獲得できません。
30%還元など非常にお得に見えるキャンペーンでも、ポイント獲得の上限が低い場合があります。
例えば5%還元で上限なしと、30%還元で上限300ポイントの場合、5000円の買い物では30%還元で上限300ポイントの方がお得です。しかし、1万円の買い物をすると、5%還元で上限なしの方がお得です。還元率だけで比較せず、実際に獲得できるポイント数まで考えるようにしましょう。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
堀江貴文氏顧問のこむぎの、福岡のうどんチェーン買収[2025/04/18 19:35 日経速報ニュース 521文字 画像有 ]
実業家の堀江貴文氏が顧問を務める食品関連会社、こむぎの(東京・千代田)は18日、福岡を中心にうどん店などを展開するうちだ屋(福岡市)を買収したと発表した。取得額は非公表。九州のうどんブームを追い風に、うどん店「うちだ屋」を中心に5年後に全国で現在の約2倍となる80店舗規模に増やす。
18日の記者会見で堀江氏は「こむぎのには小麦粉の仕入れノウハウやサプライチェーンを構築する力がある。博多うどんを世界に広げたい」と意気込みを語った。
3月31日付でうちだ屋の全株式を取得した。うちだ屋は福岡県を中心に、「うちだ屋」を含めうどん店などを約40店舗展開している。うちだ屋のうどんはカツオだしの効いたスープや地元に根付いた雰囲気の店内が特徴で、過去にはグループ全体で120店舗に上ったという。
今後はまずキャッシュレス決済の対応や注文時のタッチパネルの導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、店舗運営を効率化する。その後、出店攻勢をかけ、2025年中に関東1号店の出店を目指す。
こむぎのは、堀江氏が発案したベーカリーブランド「小麦の奴隷」のフランチャイズチェーン(FC)展開をしており、主原料とする小麦の調達でも組む計画だ。
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・「AIホリエモン」がアナウンサーに 北九州のクロスFM
・北九州のCROSS FM、堀江貴文氏の会長就任発表
ソフトバンク系、アイ・ティ・リアライズを子会社化[2025/04/18 19:25 日経速報ニュース 172文字 ]
オンライン決済のシステムや端末の販売などを手掛けるソフトバンク子会社のSBペイメントサービス(東京・港)は18日、アプリ開発を手掛けるアイ・ティ・リアライズ(東京・品川)を完全子会社化したと発表した。預金口座の管理サービスやキャッシュレス決済の導入支援を手掛け、信用組合など金融機関に強みを持つ。協業を通じて決済サービスの導入先を広げていく。
外為10時 円相場、伸び悩み 142円台前半 中値「一定のドル需要」の声[2025/04/18 10:29 日経速報ニュース 436文字 ]
18日午前の東京外国為替市場で、円相場は伸び悩んでいる。10時時点は1ドル=142円36~39銭と前日17時時点と比べて53銭の円高・ドル安だった。国内輸入企業による円売り・ドル買い観測が相場の重荷となった。ただ、日米両政府が22日に開く方向の財務相会合で円安是正が議論されるとの見方が、引き続き円相場を支えている。
10時前の中値決済に向けては「一定のドル需要があった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。ただ、欧州などがイースター(復活祭)に伴う休暇に入り、18日は米国も聖金曜日で株式や債券市場が休場となる。「全体的に取引のボリュームは少ない」(同)との見方もあった。
円は対ユーロで小動き。10時時点では1ユーロ=161円50~99銭と、同1円06銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで膠着感を強めており、9時59分時点では1ユーロ=1.1368~80ドルと同0.0008ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
決済大手グローバル、同業を3.5兆円で買収 米最大手に[2025/04/18 06:04 日経速報ニュース 1119文字 画像有 ]
【ニューヨーク=三島大地】米決済処理サービス大手のグローバル・ペイメンツは17日、同業のワールドペイの全株式を取得すると発表した。既存株主の保有株を引き受ける。買収額は242億ドル(約3.5兆円)に達する。統合が実現すれば米国での決済処理額で最大手のJPモルガン・チェースを抜き、世界175カ国で年3.7兆ドルの決済を処理する巨大決済企業が誕生する。
グローバル・ペイメンツは米プライベート・エクイティ(PE)ファンドのGTCRと、米金融サービス大手フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)が保有するワールドペイ株を引き受ける。一方、カード発行会社向け事業を135億ドルでFISに売却する。
グローバル・ペイメンツやワールドペイは「アクワイアラー」と呼ばれ、クレジットカードなどキャッシュレス決済網の加盟店開拓や決済処理を手掛ける。アクワイアラーは小売店やオンラインショップなどから得る加盟店手数料が収益の柱となる。
米コンサルティング会社ストローヘッカーによると、2024年の米国での決済処理額(推定額)でグローバル・ペイメンツは9894億ドルで4位だった。一方、ワールドペイは1兆8510億ドルと3位で、両社が経営統合するとJPモルガン・チェース傘下のアクワイアラー事業の2兆6080億ドルを上回り、全米で首位に躍り出る。
グローバル・ペイメンツの24年12月期の売上高は101億ドル、純利益は15億ドルだった。グローバル・ペイメンツは統合によるシナジー(相乗効果)で費用を年6億ドル削減し、収益が年2億ドル拡大するとみる。
グローバル・ペイメンツのキャメロン・ブレディ最高経営責任者(CEO)は今回の経営統合を通じて、「戦略的焦点が明確になり、グローバル・ペイメンツが純粋な加盟店事業として簡素化される」とコメントした。
17日の米株式市場でグローバル・ペイメンツ株は前日比17%安となった。一方、FIS株は9%上昇した。米国みずほ証券のダン・ドレフ氏はリポートに「FISがクラウンジュエル(王冠の宝石)を獲得したのに対し、グローバル・ペイメンツは成長に課題を抱えるワールドペイに再投資する結果となった」と記した。
両社は規制当局の承認を条件に、26年上半期にも経営統合を完了する予定だ。統合が実現すれば全米最大規模のアクワイアラーとなる見通しで、当局の承認がスムーズに得られるかは不透明な部分がある。
米ブライトン証券のジョージ・コンボイ会長は、「バイデン前政権下では反企業的な動きが数多く見られたが、(トランプ米大統領が返り咲いたことで)米法務省が経営統合を承認する可能性は高まった」との見方を示す。
「中国は米国債を常識的には売らない」柯隆氏-Podcast 中国経済の真相[2025/04/18 05:00 日経速報ニュース 573文字 画像有 ]
中国の習近平(シー・ジンピン)政権が、保有する米国債の売却に動くのではないか。そんな臆測が絶えません。トランプ米政権が仕掛けた貿易戦争への報復として「米国債」は有効なカードになり得るからです。
東京財団政策研究所の柯隆・主席研究員はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し、中国が米国債を売却する可能性について「常識的にはやらない」との見方を示しました。
米国債の価格が下がれば、日本に次ぐ世界2位の保有国である中国にとっても痛手になるという理由だけではありません。トランプ政権が怒って、中国によるドル建ての決済を停止するといった金融制裁に踏み切る事態を警戒しているからだといいます。
ただ、習近平国家主席に権力が集中する中国では、間違った判断がそのまま通ってしまうかもしれません。金融の専門家が「常識的な」対応を進言しても、習氏がそれを受け入れないリスクがあるからです。
激しさを増す米中対立の着地点は見えてきません。中国による米国債の売却も、絶対にないと高をくくるのはやめた方がよさそうです。
柯隆氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。https://note.com/cnshinsou/n/n9c379a9d3391?sub_rt=share_pw
(編集委員 高橋哲史)
国内電力先物、1年で3倍 24年度取引高、変動リスクを回避 消費者は料金予測しやすく[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1666文字 PDF有 書誌情報]
日本の電力先物市場が急成長している。2024年度の年間取引高は前年比3倍超に膨らみ、他国の市場と比べて伸びが突出する。燃料高や電力の価格変動などを背景に、リスクをヘッジ(回避)する需要が膨らんだ。電力自由化で先行する欧米企業を中心に新規参入が増え、課題だった市場流動性が改善。電力価格の透明性が向上し、消費者や企業が電気代を予測しやすくなる可能性があるという。
電力先物は1年後など将来の電気を一定の価格で売買するデリバティブ(金融派生商品)取引。日本卸電力取引所(JEPX)などで取引する現物の電気との値差を決済する。
電力先物の取引所を手掛ける欧州エネルギー取引所(EEX)と、日本取引所グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)の合計取引高は24年度、約95テラワット時と、23年度の30テラワット時から3.1倍に急増した。日本卸電力取引所の現物取引量の37%に達する。
ドイツなど成熟した市場との差は依然大きいものの、伸び率は世界で突出する。EEXがまとめた24年1~12月の各国取引量の比較では、日本はオランダに次ぐ8位。
EEXの日本電力を取引する参加者は3月末時点で国内外合計で98社。23年度末から26社(36%)増えた。24年6月にはヘッジファンドのシタデルが国内電力卸の買収を決めて参入したほか、石油メジャーの英シェルなど海外エネルギー大手も取引を増やす。
電力取引仲介大手ヴァニアのジェームズ・ウィスラー最高経営責任者(CEO)は「市場アクセスの改善や流動性の向上と相まって、日本は海外勢にとって魅力的な投資先となっている」と話す。
日本の電力先物は19年、TOCOMに試験上場された。20年にはEEXも日本の電力取引を手掛けるようになったことで、欧米の電力トレーディング会社も売買をしやすくなり、23年ごろから本格的に取引が広がった。市場での売買が活発になるにつれて参加者も増えて流動性が高まり、市場規模は膨らみ続けている。
日本の大手電力や総合商社も、海外企業の買収などを通じて得たノウハウを生かし、先物取引の拡大を目指す動きが目立つ。
三菱商事は16年に買収したアイルランドの電力トレーディング会社、エレクトロルートの日本法人を22年に立ち上げ、23年度から日本で本格的に取引している。酒井岳幸トレーディング統括は「欧州での取引ノウハウをもとに、電力先物取引を通じて再エネ事業者など発電側の需給調整や、小売りなど需要側の電力の調達をサポートするサービスを提供している」と話す。
国内発電最大手のJERAも3月27日、フランスの大手電力EDFグループと、日本国内の電力トレーディング事業を統合し、先物取引などの事業に共同で取り組むと発表した。
大手電力がここにきて電力トレーディング部門を強化する背景には、電力市場の公正な競争環境が整備されてきたことも影響している。
かつて大手電力はグループ内へ優先して電力を売っていた。新電力など社外への卸取引よりも有利な条件でグループ内に相対の長期契約などで販売する「内外差別」の商慣行が広がっており、電力・ガス取引監視等委員会が20年に適正な競争をゆがめるとして是正を要請した。
これを受けて大手電力は、相対での電力販売の際、透明性が高く「内外無差別」を説明しやすい先物などの市場価格を参照した値決めに徐々に移行。併せて、価格変動のリスクヘッジのための先物取引の利用も強化している。
JERAは25年度までに東京電力グループなどと結ぶ長期契約が切れ、市場での電力販売が増える見通しだ。JERAの葛西和範常務執行役員は「先物を通じたリスクヘッジの必要性がさらに高まることで、市場は一段と活性化する」と話す。
昨年、TOCOMの電力先物市場に参入した三菱UFJ銀行の関浩之取締役副頭取執行役員は、電力先物取引の意義について「価格の透明性と予見性が高まること」だと指摘。「企業や消費者が将来の電力価格を予測しやすくなり、計画的な経済活動が可能になる」と話した。
(浜美佐)
ローソン、店舗DX加速 中計、日販3割増 嗜好捉え商品開発[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1057文字 PDF有 書誌情報]
ローソンは17日、2031年2月期までの中期経営計画を公表した。国内1店舗あたりの売上高(平均日販)を足元より3割多い70万円超とする。24年からローソンに50%を出資するKDDIのデータ基盤を活用し、店舗の購買履歴などと組み合わせた商品を開発する。自動化ロボットなども活用し、最大手のセブン―イレブンを追う。
平均日販はコンビニエンスストア各社の稼ぐ力を示す重要指標の一つだ。31年2月期に70万円超と25年2月期比で約3割伸ばし、同時期に75万円超を掲げるセブンを追う。25年2月期はセブンを約12万円下回る水準だった。今後6年でその差を7万円ほど縮める。
「リアルとテックを組み合わせたコンビニエンスグループに生まれ変わり、圧倒的なおいしさと成長で消費者の期待を超えていく」。竹増貞信社長は17日の記者会見で強調した。すでに国内のコンビニ市場は成熟しており、今後の大幅な出店増は期待しにくい。1店舗あたりの収益力を高める工夫が欠かせない。
要となるのは、KDDIと組んだ店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。
4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)には、先進技術を取り入れた店舗を開く。飲料の陳列を自動化するロボットや、来店客が専用アプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマートフォンレジの導入などを想定する。顧客の利便性を高めながら、小売業で深刻化する人手不足の対策につなげる。
両社の膨大な顧客データを生かした商品開発のDXにも取り組む。たとえば人工知能(AI)で足元の購買傾向を分析し、半年後に売れそうな商品を先読みする。競合他社に先んじて、各地域での嗜好を捉えた的確な商品の投入が見込める。
ローソンでは24年から、在庫量や天候をもとに売れ残り商品の値引き率などをAIが算出する独自の発注システム「AICO(アイコ)」を本格導入してきた。今後は揚げ物など店内調理品の準備に関わる提案もできるようにし、各店舗の収益性を高める。
同日発表した25年2月期の連結純利益は前の期比15%増の599億円で過去最高。平均日販も57万4000円と1万8000円伸び、ファミリーマート(57万3000円)をわずかに上回った。
海外にも成長の目を向ける。31年2月期の海外店舗数は約1万4000店と足元の水準から倍増させる。アジアを中心に経済成長で拡大する中間層の需要を取り込む。国内外での成長戦略を加速し、31年2月期の純利益は25年2月期比67%増の1000億円を目指す。
しっかり学ぶ財務(3)キャッシュフロー(CF)計算書 活動別、現金の増減反映、増益でも投資活発なら減[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1292文字 PDF有 書誌情報]
「キャッシュフロー(CF)計算書」は企業の「家計簿」のようなものだ。製品を売る、設備を買うといった活動ごとのお金の出入りが分かる。業績がよくても投資などがかさむ企業では、持っているお金が減る場合がある。
「ガスト」などを手がける外食大手のすかいらーくホールディングスをみてみよう。2024年12月期は最終的なもうけを示す純利益(国際会計基準)が139億円と1年前の約3倍に膨らんだ。一方で同社が持つお金は年初の267億円から年末には191億円へと減った。
背景を知るのに便利なのがCF計算書だ。企業の活動の性質別にお金が増えたか減ったかを示す。数字がプラスならお金の増加、マイナスなら減少を意味する。
「営業CF」は原材料の仕入れや製品販売など日々の事業での増減、「投資CF」は設備を買うなど投資に関わる増減だ。「財務CF」は金融機関などとのやり取りに伴う増減で、融資や返済などが含まれる。
すかいらーくの営業CFは679億円のプラスだった。主力の飲食店運営を通じてまとまったお金を稼いでいることが分かる。一方で投資CFは392億円のマイナスだった。マイナスの規模は1年前の2・6倍だ。北九州地盤の「資(すけ)さんうどん」運営会社を買収するのにお金がかかった。
さらに財務CFも364億円のマイナスとなった。主に店舗の賃料を支払ったり銀行から借りていたお金を返したりしたためだ。3つのCFを合わせると、入ってきたお金よりも出ていったお金の方が大きかったことが分かる。
損益計算書(PL)に出てくる利益と営業CFは似ているが、増減の方向感が食い違う場合がある。理由の一つがタイミングの違いだ。売り上げは販売時に計上できるが、すぐにお金を受け取れるとは限らない。お金の回収には数カ月かかることがある。
PLには現金の動きを伴わない項目もある。典型的なのが「減損損失」だ。設備などを使って得られる将来のもうけが、期待していたよりも大幅に小さくなりそうだと分かった時に計上する。PLでは損失になるが今現金が減ったわけではないため、CFには影響しない。
キヤノンの24年12月期がこれに当てはまる。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵略などの影響が大きかった医療機器部門で1651億円の減損を計上した。このためPLの純利益は前の期から1044億円減った。一方で営業CFは前の期よりも1556億円多い6068億円のプラスだった。
資金繰りの余裕をみるうえでは、営業CFと投資CFを足した「フリーCF(FCF)」が参考になる。プラスが大きいほど、経営者は追加の投資や借金の返済、配当などに自由にお金を使える。すかいらーくはFCFが286億円のプラスだった。
FCFがマイナスだと、持っている現金を使うか外部から調達するかで賄わないといけない。PLが黒字でも手元のお金が枯渇すれば支払いや返済で行き詰まり「黒字倒産」に陥る場合がある。投資家はPLに加えてCF計算書も確認した方がいい。(東浦秀明)
日経電子版のコンテンツ「入社1年目で知っておきたかった会計の基礎知識」はこちらのQRコードから。
特集――第73期将棋王座戦 挑戦者決定トーナメント 24日開幕、伊藤叡王対山崎九段 ライブ中継、「展望」きょう配信[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 33ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
第73期王座戦2次予選の好取組を生配信してきた日経電子版「NIKKEI LIVE」では、挑戦者決定トーナメント(本戦)でも注目の対局を生中継する。本戦開幕に先立ち、18日に木村一基九段と中村太地八段をゲストに迎え「“観る将”のための王座戦講座 in 棋の音道場」と銘打ったトークショー(詳細はQRコード上)を開催。見どころを紹介する。木村九段と中村八段は昨年末にNIKKEI LIVEで配信した「2024年将棋界回顧」でも軽快なやり取りが好評を博した。
24日には開幕戦の一つ、伊藤匠叡王対山崎隆之九段戦のもようを午前10時の対局開始時から将棋AIの評価値付きで生中継する(QRコード下)。同日夕方からは中村八段によるテキスト解説も付く。王座戦本戦初出場の伊藤叡王に対し、関西の人気棋士で独創的な棋風の山崎九段がどんな指し回しを見せるのか注目だ。
【図・写真】NIKKEI LIVE「2024年将棋界回顧」でも共演した木村一基九段(右)と中村太地八段
PayPay、14カ国・地域に拡大[2025/04/18 日経MJ(流通新聞) 4ページ 427文字 PDF有 書誌情報]
PayPayはタイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」に対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。
店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。14日からカザフスタンで普及する「カスピ」を加えた4サービスと連携した。PayPayの連携先は14カ国・地域で使われる計25サービスまで増える。
PayPayは18年の「支付宝(アリペイ)」を皮切りに海外の決済サービスとの連携を進める。訪日客数で上位10カ国のうち7カ国の決済サービスに対応する。国内の電子決済市場の競争は激しく、訪日客の決済需要の取り込みにも力を入れる。
【図・写真】タイで普及する「ビッグペイ」や、ドイツで使われる「ブルーコード」などに対応する
流通・外食、大卒採用13.3%増、アインG、薬剤師確保に注力、26年春計画、本社調査[2025/04/18 日経MJ(流通新聞) 7ページ 3992文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社がまとめた2026年春の流通・外食企業の採用計画調査では、大卒の採用予定数が合計で2万3095人と25年春の実績と比べ13・3%増加した。インバウンド(訪日外国人)消費に沸く中、事業拡大に合わせた採用強化の機運が高まっている。人材確保に向けて初任給を引き上げるなど採用競争力を高める動きも見られた。
業種別ではドラッグストア・ディスカウントストアなど専門店が11・8%増えた。ドラッグストアは流通・外食企業全体の大卒採用計画数上位20社のうち半数以上を占め、25年春の実績比で10・3%増やす計画だ。
調剤薬局大手のアイングループは4・2%増の1370人とした。持ち株会社のアインホールディングス(HD)は調剤薬局事業の売上高を34年4月期に7000億円と、25年4月期の見込み比で84%増やす目標を掲げる。26年春も薬剤師600人を採用する計画で、アインHDの大谷喜一社長は「薬剤師を供給できるかが何より重要だ」と語る。クスリのアオキは19・8%増やし1000人とした。
家具・家電は42・2%増となった。ノジマグループは31・0%、ヤマダHDは84・1%増を計画する。
レストランは34・7%増えた。「かっぱ寿司」などを展開するコロワイドグループは13・6%増とした。4月に入社する大卒社員の初任給を28万900円と1万6400円引き上げるなど待遇向上を急ぐ。
背景には円安などによるインバウンド需要の高まりがある。日本政府観光局(JNTO)によると3月の訪日外客数(推計)は前年同月比13・5%増の349万7600人で、同月で過去最高を記録した。業績が好調な中、店舗や事業の拡大を計画し、人材の確保を急ぐ企業が増えている。
海外展開を見据えた人材確保に動く企業もある。ゼンショーグループは25・5%増を計画する。同社は23年に北米や英国などで持ち帰りのすし店を展開するスノーフォックス・トップコを買収するなど海外展開を進めている。25年4月入社の大卒社員の初任給を3万4000円増の31万2000円とするなど、採用競争力確保を急ぐ。
ジンズは大卒採用を61・5%増やす計画だ。26年4月入社の大卒・院卒社員は「グローバル社員」として採用し、海外での店舗運営に携わることを想定する。同社は中国や台湾、米国などで約260店舗を運営し、25年中にもベトナムに進出する。ジンズHDの近藤弘行執行役員は「顧客体験の要である店舗でより質の高いサービスを継続的に提供することが重要だ」と訴える。
一方で採用増に区切りをつけた会社もあった。ニトリグループは26年4月の大卒採用者数を約800人と25年春の実績比で3割減らす計画だ。過去2年間は新卒採用を増やしていたが「一定程度人材確保が進んだことや、中途採用者数も考慮して判断している」(同社)とした。良品計画も約200人と、前年実績の半数以下とした。
少子化で学生数が減る中、採用現場では学生優位の「売り手市場」の状況が続く。業種を超えた競争も激しく、企業にとっては優秀人材や必要人数が確保できないリスクもつきまとう。待遇の向上や働きやすい環境の整備をすることが、人材確保の第一歩となる。
(鈴木大洋)
【表】2026年春の流通・外食企業の採用計画上位企業
〓〓-〓〓 ▲は減。Gはグループ、HDはホールディングス。総合計は短大・専門学校・高専卒、高卒を含む。―は公表していないもの、算出できないもの、内訳不明・区分けなし 〓〓-〓〓
順位 社 名 総合計〓(人) 前年比伸び率〓(%) 大卒〓(人) 前年比伸び率〓(%)
1 イオンG 2,600 ▲7.1 2,000 ▲9.1
2 アインG 1,375 4.2 1,370 4.2
3 クスリのアオキ 1,100 15.8 1,000 19.8
4 ノジマG 1,050 37.4 795 31.0
5 スギ薬局 1,000 13.1 1,000 20.9
6 バローG 800 15.1 540 13.4
6 ニトリG 約800 ▲30.4 約800 ▲30.4
8 ヤマダHD 770 60.8 486 84.1
9 ツルハG 768 19.3 748 24.3
10 サンドラッグG 690 0.0 600 1.7
11 コスモス薬品 630 43.8 600 62.2
12 セブン&アイHD 601 29.8 488 26.8
13 日本調剤G 588 ▲13.5 566 ▲14.0
14 ウエルシアHD 約570 ▲17.5 約500 ▲24.1
15 ゼンショーG 534 29.3 502 25.5
16 グリーンハウス 523 7.8 523 9.0
17 ファーストリテイリングG 450 4.7 ― ―
18 クリエイトエス・ディー 約400 8.1 約400 12.7
18 クオールHD 400 0.0 400 0.0
20 ゲンキー 395 30.4 315 30.2
21 コメリG 345 43.8 210 78.0
22 ビックカメラ 約330 20.9 約260 16.6
23 PPIHG 300 0.0 280 16.2
23 ジンズ 約300 47.8 約260 61.5
25 コロワイドG 260 3.2 150 13.6
25 アダストリア 約260 5.7 約200 0.5
25 大黒天物産 260 1.2 190 3.3
28 ライフコーポレーション 255 ▲2.7 215 ▲1.4
29 エディオン 250 9.6 160 36.8
30 FOOD&LIFE COMPANIES 212 ▲1.9 172 7.5
31 ケーズデンキG 約210 68.0 ― ―
32 AOKIHD 205 22.0 143 44.4
33 良品計画 約200 ▲58.7 約200 ▲58.3
33 物語コーポレーション 200 ▲8.7 約200 25.0
33 アークランズ 200 94.2 約140 169.2
33 ヤオコー 約200 38.9 約200 53.8
37 イズミ 190 38.7 150 36.4
38 薬王堂 175 32.6 約100 69.5
39 ベルク 170 ▲27.4 120 ▲31.8
39 すかいらーくHD 約170 14.9 約170 34.9
41 アークスG 約160 32.2 約90 95.7
41 サイゼリヤ 160 6.0 約150 6.4
41 ハローズ 160 ― 120 ―
44 マルエツ 150 47.1 120 69.0
44 カワチ薬品 150 28.2 115 49.4
46 コーナン商事 約140 64.7 約130 83.1
46 トレジャー・ファクトリー 140 6.9 140 23.9
48 サミット 130 16.1 100 17.6
48 ユナイテッドアローズ 約130 12.1 約120 37.9
50 王将フードサービス 120 20.0 70 29.6
50 G-7G 約120 48.1 ― ―
50 平和堂 120 ▲11.1 100 ▲8.3
【表】業種別の採用計画
(増減率は前年度実績比%、▲は減)
計画数(人) 2026年春計画 2025年春実績
総合計 大卒 総合計 大卒 総合計 大卒
百 貨 店 180 310 17.6 12.7 34.0 35.0
スーパー 5,425 4,349 5.8 9.3 ▲2.0 0.5
卸 773 875 19.5 11.6 9.3 7.9
専 門 店 16,892 14,623 9.0 11.8 2.1 2.0
服飾品 1,913 1,082 3.5 24.4 10.5 19.2
ドラッグ・ディスカウント 8,922 8,735 8.1 10.3 3.7 2.6
ホームセンター・カー用品 2,048 1,706 4.9 4.5 6.9 5.9
家具・家電 2,660 1,851 37.0 42.2 ▲18.0 ▲20.1
コンビニ 776 653 15.3 11.1 ▲14.6 ▲14.9
レストラン 2,972 2,284 17.9 34.7 20.3 15.5
全 体 26,979 23,095 9.6 13.3 3.1 3.1
(注)大卒が総合計より多くなるのは、総合計の計画を回答していない企業があるため
調査の方法 日経リサーチの協力を得てアンケート方式で実施した。調査対象は上場企業および日本経済新聞社が選んだ有力な非上場企業で497社。集計は3月13日までの回答を基にしており、回答企業数は採用人数の未確定企業を含めて198社。増減率の計算は採用計画が確定した企業で算出した。
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【図・写真】新卒採用の競争が激化している(千葉市)
清水港、昨年のクルーズ船寄港最多 ライドシェアで周遊促す ドライバー確保課題に[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 静岡 6ページ 1297文字 PDF有 書誌情報]
静岡市の清水港を訪れたクルーズ船が2024年、87隻と過去最多となった。富士山観光や新鮮なマグロを楽しめる清水港は訪日外国人(インバウンド)に人気の寄港地で、埠頭のクルーズ受け入れ能力向上で25年の寄港回数はさらに増える見通しだ。クルーズ客の周遊を促すため、4月にはタクシー会社が運行を管理する「日本版ライドシェア」も始まった。
4日、清水港に寄港した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」から降りたオーストラリア出身の4人組の観光客がライドシェア車両を待っていた。「(ライドシェアは)簡単で使いやすい。運転手とのコミュニケーションも心配がいらない」と話し、車に乗り込んだ。
国土交通省によると、24年に清水港を訪れたクルーズ船は過去最多となり、大型客船の多い外国船社が81隻と大半を占めた。寄港回数は全国で見ると鹿児島港に続く6位だった。新型コロナウイルス禍の前から人気の那覇や博多などの港が上位に入るが、清水港はコロナ後に順位を上げている。
県と客船誘致委員会が欧米のクルーズ会社や旅行会社に営業活動を行ったことに加え、富士山と駿河湾を周遊できる豊富な観光資源がクルーズ客増加につながっている。また、クルーズ船が停泊する日の出埠頭にあったフェリーターミナルが4月に清水駅前へ移転し、受け入れ体制が拡充されたことも今後寄与する。県などは17日時点で25年の寄港回数が前年比28%増の111隻になると見込んでいる。
外国の大型クルーズは1隻に最大で5000人程度が乗っており、寄港地の交通需要は大きい。県によると、クルーズ船が寄港して地域にもたらす経済効果は1隻あたり2000万円ほど。観光客が周遊して飲食や買い物、文化体験などに消費すればさらに膨らむ。足を延ばしてもらうには移動手段の充実は欠かせない。
タクシー業務支援の一般社団法人静岡TaaSは25年度にクルーズ船客の需要に対して、平均でタクシー約17台が不足すると試算、24年12月に静岡市へライドシェア導入を求める要望書を提出した。市の申請を受けて、静岡運輸支局が3月中旬に承認した。
4月上旬から、静岡TaaSがクルーズ船客を対象に埠頭付近のサテライト配車室で利用申し込みを受け付けている。運行ルートと利用時間を算定し、乗客は料金を事前に決済する。車両の待機状況などに応じてタクシーとライドシェア用車両を適宜手配する仕組みだ。
もっとも、4日のライドシェアに参加した車両は1台。運転手を務めた県東部在住の会社役員、杉本哲也さんは「英語に触れたい思いで手を挙げた。観光客や地域の足が少なくなる中、(一般のドライバーが)料金をもらってサービスをする仕組みが重要だ」と話した。
現在はライドシェア車両として駿河交通の管理する2台が運行しているが、不足分を埋めるには遠い。今後は参加するタクシー会社を増やすほか、人材紹介事業者の認定を取得してドライバーを確保する考えだ。TaaSの清野吉光・代表理事は「副業として英語を使った仕事をしたいという人や、翻訳アプリを使って対応する乗務員にも加わってもらいたい」と期待を込める。
(佐伯太朗、村上和)
新幹線予約、15言語対応 JR東海、ネットで 海外旅行サイトと提携 訪日客底上げ図る[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1322文字 PDF有 書誌情報]
JR東海が東海道新幹線を核にしたインバウンド(訪日外国人)の受け入れ体制を一段と強化している。海外の旅行サイト会社と提携し、座席のインターネット予約を中国語など15言語に対応させた。旅行商品や上級座席も取り入れ、リピーターを掘り起こす。新型コロナウイルス禍からの回復が踊り場を迎え、訪日客の底上げを図る。
「今年度が勝負だ」。JR東海で訪日誘客を担う本田啓之担当部長は気を引き締める。コロナ禍で落ち込んだ東海道新幹線の利用は24年度にかけて、旅行客が主導する形で急回復した。25年度はこの底上げ効果が一巡する。働き方の多様化でビジネス客も大きな伸びを見込みづらい。成長が続くインバウンドの獲得がカギとなる。
進めているのが新幹線ネット予約の使い勝手の向上だ。このほど香港の旅行予約サイト「Klook(クルック)」と提携。アジアや米欧など15言語対応で予約を受け付け、約40通貨で代金を払えるようにした。
欧州の利用者が多いフランスの旅行サイト「ジャパン・エクスペリエンス」とも組んだ。いずれもスマートフォンに表示させたQRコードを乗車券として使い、円滑に乗車できる。
コロナ前は駅の券売機での乗車券販売が主流で、主要駅が混雑する一因だった。JR東海は独自のネット予約「EXサービス」で17年に外国人向けスマホアプリを開設。QRチケットなどの導入を進めているが、現状では対応言語が英語に限られるなど課題もある。認知度の高い海外の有力サイトを活用して訪日客の上積みを狙う。
JR東海の24年4~12月の訪日客収入は870億円と、運輸収入全体の約8%を占める。さらなる誘客のため、周遊レジャーなど移動先での楽しみ方も提案する。EXサービスを通じ、割安に京都の寺院などを巡る会員限定ツアーを訪日客に提供し始めた。本田氏は「会員企画を通じて大阪・関西万博などもアピールできれば」と話す。
新幹線の座席も訪日客の目線で磨き上げる。プライベートを重視した完全個室席を26年秋に設けるほか、27年度にはグリーン車の座席の一部を「半個室」に転換する。価格はいずれも現在のグリーン車より高くなる見通しだ。24年10~12月のグリーン車利用はコロナ前の18年の同時期から10%増えており、さらなる快適さを求める乗客の声に応える。
新幹線以外でも富裕なインバウンドの消費を取り込もうと、力を入れるのが高級ホテルの整備だ。25年夏には米ホテル大手のマリオット・インターナショナルと組み、京都市の四条烏丸エリアで新ホテル「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」を開く。
奈良市の近鉄奈良駅前では米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションと提携して高級ブランドの「ホテル 寧 奈良」を30年度に開業する。客室数も当初予定の70室から100室に増やすと4月に発表した。
JR東海グループは東海道新幹線が連結売上高の7割超を占める「一本足打法」と知られる。建設を進めるリニア中央新幹線に加え、既存の鉄道網の保守・拡大には継続的な投資が必要になる。将来にわたって安定収入を確保するため、リピーターや長期滞在の多い訪日客を収益の柱の一つに育てられるかが重要になる。
(石原誠樹)
富山2行、手形帳など発行終了へ[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8ページ 248文字 PDF有 書誌情報]
富山銀行と富山第一銀行は、手形帳と小切手帳の発行を2026年3月末に終了すると発表した。26年までに約束手形の廃止や小切手の全面的な電子化を進める政府の方針に合わせた対応となる。27年4月以降が期日となる手形などの代金取り立ての受け付けについては、富山第一銀は1日に終了しており、富山銀は21日に停止する。
両行は手形・小切手の代替手段として、インターネットバンキングを利用した振込・送金のほか、決めた期日に金融機関の間で代金を自動送金する「電子記録債権」など電子決済手段への移行を顧客に促す。
栃木銀、紙の手形・小切手発行終了[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 北関東 41ページ 156文字 PDF有 書誌情報]
栃木銀行は紙の手形や小切手の発行を12月30日で終了すると発表した。政府や全国銀行協会が手形や小切手の全面的な電子化を促している。
手形や小切手の代わりに、法人・個人事業主向けのネットバンキングサービス「とちぎんビジネスダイレクト」による振り込みや「とちぎんでんさいネット」などの電子決済サービスの利用を促す。
清水港、クルーズ寄港最多 周遊へライドシェア導入[2025/04/17 20:00 日経速報ニュース 1298文字 画像有 ]
静岡市の清水港を訪れたクルーズ船が2024年、87隻と過去最多となった。富士山観光や新鮮なマグロを楽しめる清水港は訪日外国人(インバウンド)に人気の寄港地で、埠頭のクルーズ受け入れ能力向上で25年の寄港回数はさらに増える見通しだ。クルーズ客の周遊を促すため、4月にはタクシー会社が運行を管理する「日本版ライドシェア」も始まった。
4日、清水港に寄港した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」から降りたオーストラリア出身の4人組の観光客がライドシェア車両を待っていた。「(ライドシェアは)簡単で使いやすい。運転手とのコミュニケーションも心配がいらない」と話し、車に乗り込んだ。
国土交通省によると、24年に清水港を訪れたクルーズ船は過去最多となり、大型客船の多い外国船社が81隻と大半を占めた。寄港回数は全国で見ると鹿児島港に続く6位だった。新型コロナウイルス禍の前から人気の那覇や博多などの港が上位に入るが、清水港はコロナ後に順位を上げている。
県と客船誘致委員会が欧米のクルーズ会社や旅行会社に営業活動を行ったことに加え、富士山と駿河湾を周遊できる豊富な観光資源がクルーズ客増加につながっている。また、クルーズ船が停泊する日の出埠頭にあったフェリーターミナルが4月に清水駅前へ移転し、受け入れ体制が拡充されたことも今後寄与する。県などは17日時点で25年の寄港回数が前年比28%増の111隻になると見込んでいる。
外国の大型クルーズは1隻に最大で5000人程度が乗っており、寄港地の交通需要は大きい。県によると、クルーズ船が寄港して地域にもたらす経済効果は1隻あたり2000万円ほど。観光客が周遊して飲食や買い物、文化体験などに消費すればさらに膨らむ。足を延ばしてもらうには移動手段の充実は欠かせない。
タクシー業務支援の一般社団法人静岡TaaSは25年度にクルーズ船客の需要に対して、平均でタクシー約17台が不足すると試算、24年12月に静岡市へライドシェア導入を求める要望書を提出した。市の申請を受けて、静岡運輸支局が3月中旬に承認した。
4月上旬から、静岡TaaSがクルーズ船客を対象に埠頭付近のサテライト配車室で利用申し込みを受け付けている。運行ルートと利用時間を算定し、乗客は料金を事前に決済する。車両の待機状況などに応じてタクシーとライドシェア用車両を適宜手配する仕組みだ。
もっとも、4日のライドシェアに参加した車両は1台。運転手を務めた県東部在住の会社役員、杉本哲也さんは「英語に触れたい思いで手を挙げた。観光客や地域の足が少なくなる中、(一般のドライバーが)料金をもらってサービスをする仕組みが重要だ」と話した。
現在はライドシェア車両として駿河交通の管理する2台が運行しているが、不足分を埋めるには遠い。今後は参加するタクシー会社を増やすほか、人材紹介事業者の認定を取得してドライバーを確保する考えだ。TaaSの清野吉光・代表理事は「副業として英語を使った仕事をしたいという人や、翻訳アプリを使って対応する乗務員にも加わってもらいたい」と期待を込める。
(佐伯太朗、村上和)
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富山銀と富山第一銀、26年に手形・小切手帳の発行終了[2025/04/17 19:35 日経速報ニュース 248文字 ]
富山銀行と富山第一銀行は、手形帳と小切手帳の発行を2026年3月末に終了すると発表した。26年までに約束手形の廃止や小切手の全面的な電子化を進める政府の方針に合わせた対応となる。27年4月以降が期日となる手形などの代金取り立ての受け付けについては、富山第一銀は1日に終了しており、富山銀は21日に停止する。
両行は手形・小切手の代替手段として、インターネットバンキングを利用した振込・送金のほか、決めた期日に金融機関の間で代金を自動送金する「電子記録債権」など電子決済手段への移行を顧客に促す。
栃木銀行、紙の手形・小切手の発行終了 電子移行促す[2025/04/17 19:00 日経速報ニュース 260文字 ]
栃木銀行は紙の手形や小切手の発行を12月30日で終了すると発表した。政府や全国銀行協会が手形や小切手の全面的な電子化を促しており、発行終了はそれに沿った措置という。
手形や小切手の代わりに、法人・個人事業主向けのネットバンキングサービス「とちぎんビジネスダイレクト」による振り込みや「とちぎんでんさいネット」などの電子決済サービスの利用を促す。現物を紛失するリスクや事務負担が減り、印紙代などのコスト削減にもつながるとしている。
発行済みの手形や小切手については、発行終了日の12月30日を過ぎても引き続き利用できる。
ローソン、KDDIとデジタル店 セブン追走し日販3割増[2025/04/17 15:59 日経速報ニュース 1399文字 画像有 ]
ローソンは17日、2031年2月期までの中期経営計画を公表した。国内1店舗あたりの売上高(平均日販)を足元より3割多い70万円超とする。24年からローソンに50%を出資するKDDIのデータ基盤を活用し、店舗の購買履歴などと組み合わせた商品を開発する。自動化ロボットなども活用し、最大手のセブン―イレブンを追走する。
平均日販はコンビニエンスストア各社の稼ぐ力を示す重要指標の一つだ。31年2月期に70万円超と25年2月期比で約3割伸ばし、同時期に75万円超を掲げるセブンを追う。25年2月期はセブンを約12万円下回る水準だった。今後6年でその差を7万円ほど縮める。
「リアルとテックを組み合わせたコンビニエンスグループに生まれ変わり、圧倒的なおいしさと成長で消費者の期待を超えていく」。竹増貞信社長は17日の記者会見で強調した。すでに国内のコンビニ市場は成熟しており、今後の大幅な出店増は期待しにくい。1店舗あたりの収益力を高める工夫が欠かせない。
要となるのは、KDDIと組んだ店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。
4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)には、先進技術を取り入れた店舗を開く。飲料の陳列を自動化するロボットや、来店客が専用アプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマートフォンレジの導入などを想定する。顧客の利便性を高めながら、小売業で深刻化する人手不足の対策につなげる。
両社の膨大な顧客データを生かした商品開発のDXにも取り組む。たとえば人工知能(AI)で足元の購買傾向を分析し、半年後に売れそうな商品を先読みする。競合他社に先んじて、各地域での嗜好を捉えた的確な商品の投入が見込める。
ローソンでは24年から、在庫量や天候をもとに売れ残り商品の値引き率などをAIが算出する独自の発注システム「AICO(アイコ)」を本格導入してきた。今後は揚げ物など店内調理品の準備に関わる提案もできるようにし、各店舗の収益性を高める。
足元の業績は好調だ。同日発表した25年2月期の連結純利益は前の期比15%増の599億円で過去最高だった。平均日販も57万4000円と1万8000円伸び、ファミリーマート(57万3000円)をわずかに上回った。お得なクーポンを使えるKDDIとの会員制サービス「Ponta(ポンタ)パス」などの新たな販促施策が奏功しつつある。
海外にも成長の目を向ける。31年2月期の海外店舗数は約1万4000店と足元の水準から倍増させる。アジアを中心に経済成長で拡大する中間層の需要を取り込む。国内外での成長戦略を加速し、31年2月期の純利益は25年2月期比67%増の1000億円を目指す。
もっともライバルとの競争は激しい。ファミマは1万店超にデジタルサイネージ(電子看板)を設置する。顧客ごとの嗜好に合わせた商品を配信するなどリテールメディア(小売り広告)事業で先行している。セブンもドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶といったレジ横商品の品ぞろえを拡充することで来店頻度の向上をうかがう。
ローソンは6月に創業50周年を迎える。大手各社が次世代のコンビニ像を模索するなか、特色のある店づくりで集客力を高めるための土台を築けるか。中計6カ年でKDDIとの連携を具体的な結果として示すことが、次の50年の成長を左右する。
(石崎開)
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上新電機・日立・東武鉄道、生体認証サービス「SAKULaLa」を活用しデジタル格差解消などの社会課題解決に向け取組を開始[2025/04/17 15:38 日経速報ニュース 1448文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月17日
上新電機、日立、東武鉄道が、生体認証サービス「SAKULaLa」を活用し、デジタル格差の解消、商品購入時の不正防止に向けた取り組みを開始
家電量販店初、Joshinにおいて、指をかざすだけで安心・安全かつ手軽なポイント獲得と厳格な本人確認を実現
※イメージ画像は添付の関連資料を参照
上新電機株式会社(以下、上新電機)と、株式会社日立製作所(以下、日立)、東武鉄道株式会社(以下、東武鉄道)は、生体認証サービス「SAKULaLa(サクララ)」(以下、「SAKULaLa」)を活用し、幅広い世代の方々が店頭で使いやすいデジタルサービスの整備によるデジタル格差の解消や、限定商品の重複購入など商品購入時の不正防止といった社会課題の解決に向けて取り組みを開始します。
具体的には、家電量販店として初めて、上新電機の店舗(大阪府にあるジョーシン日本橋店、スーパーキッズランド本店の2店舗)において、4月24日より東武鉄道と日立が提供する「SAKULaLa」を導入し、指をかざすだけでポイント獲得と厳格な本人確認を実現し、誰もが安心・安全かつ手軽にサービスを利用できる環境を提供します。
デジタル技術に不慣れなお客さまであっても、一度登録(*1)すれば、専用端末に指をかざすだけで手軽に「SAKULaLa」を利用できるようになるため、今後さまざまな業界で「SAKULaLa」が普及した際も、新たに登録を行うことなく、手ぶらでポイントサービスの利用やお買い物(*2)ができるようになります。また、購入可能点数が限定されている商品を購入する際においても、生体認証により厳格な本人確認を行えるため、同一のお客さまによる不正な重複購入を防ぎ、多くのお客さまに限定商品をご購入いただけるようになります。
今後、上新電機は、「SAKULaLa」を導入した2店舗でのお客さまの声を反映しながら、全店舗への導入を順次進めていきます。そして、「SAKULaLa」を用いたJoshin webショップでの購入時の本人確認(*3)の強化など、安心・安全で便利なお買い物体験の提供を通して、リアル、オンラインを問わず、お客さまの暮らしに寄り添う店舗の実現をめざしていきます。
また、東武鉄道と日立は、人々の生活をより便利に、豊かにする社会インフラの構築をめざし、すでに展開している、スーパー、飲食店に加えて、家電量販店、鉄道、百貨店などさまざまな業界のお客さまへの「SAKULaLa」提供を通して、労働力不足、デジタル格差、不正・なりすましなどの社会課題の解決に取り組みます。
*1 関西エリアでは、今回導入するジョーシン日本橋店、スーパーキッズランド本店の2店舗で登録可能です。
*2 初期導入の2店舗では、「SAKULaLa」を用いて決済をする場合は、ジョーシンポイントでのお支払いのみとなります。
*3 Joshin webショップでの本人確認においては、スマートフォンのカメラを用いた顔認証対応を予定しています。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
イメージ画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689938/01_202504171537.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689938/02_202504171537.pdf
楽天生保・杉山社長「楽天ペイで保険、ほしい時に提案」[2025/04/17 15:30 日経速報ニュース 664文字 画像有 ]
楽天生命保険(東京・港)の杉山蘭房社長が17日までに日本経済新聞の取材に応じ、「楽天ペイのアプリ上で、利用者が保険を欲しい時に提案する仕組みを構築する」と述べた。主なやりとりは以下の通り。
――スマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で保険を提供する狙いは何ですか。
「顧客との接点を増やしたい。楽天ペイは毎日使われるため接触回数が多い。楽天生保にもアプリはあるが、生命保険は加入すると数年間連絡をとる必要がなくなってしまう。(日常的な)接点を確保するのが課題となっていた」
「決済データを活用すれば位置情報がわかる。必要な保険を、必要な時に提案することができるようになる。ゴルフ場の近くで買い物すればゴルフ保険を紹介する。簡単な手続きで購入できれば新しい需要を開拓でき、マーケティング費用も安くてすむ」
――利用者の利便性は変わりますか
「これまで保険は日常的に目にするものではなかった。もしもの時に備えるので利用者が探しにいくものだった。それがアプリ上で、ほしいタイミングで適時に提案されるものに変わる」
――(海外旅行保険などの)『少額短期保険』から始めるのはなぜですか。
「楽天生保の子会社が少額短期保険を販売している。保険期間が短く金額も安いことから商品の自由度は高い。利用者の需要に合わせた商品開発につなげたい」
「少額短期保険は低価格なことから収益化が難しい。保険の入り口として利用してもらい、より高単価な生命保険や損害保険の加入につなげていく。楽天ペイアプリ上でも提供できるようにしたい」
(聞き手は桜木浩己)
外為12時 円相場、下落 日米関税交渉の警戒後退、日銀総裁発言も重荷[2025/04/17 12:36 日経速報ニュース 865文字 ]
17日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=142円55~57銭と前日17時時点と比べて45銭の円安・ドル高だった。朝方に昨年9月以来7カ月ぶりの高値をつける場面があったものの、関税政策を巡る日米交渉で「為替が議題にならなかった」と伝わると、円は急速に売られた。日銀総裁や同審議委員の発言が追加利上げに慎重だったと受け止められたのも、相場の重荷となった。
円相場は8時すぎに141円62銭近辺まで上昇した。日本時間17日朝に始まった日米関税交渉を巡り、米政府から「円安是正」が求められるとの警戒感が高まり、円買い・ドル売りが先行した。16日の米株式相場の下落や米長期金利の低下も円買い・ドル売り圧力となった。
ただ、関税協議を終えた赤沢亮正経済財政・再生相が記者団に対し、「為替は議題にならなかった」と述べると、円安是正への警戒感がひとまず和らぎ、円に売りが広がった。10時すぎの中値決済で国内輸入企業の円売り・ドル買いが活発だったとの観測も相場を押し下げた。
10時半すぎには142円86銭近辺まで下落した。日銀の植田和男総裁は17日、参院財政金融委員会で「通商政策を巡る不確実性が高まっている状況は注視する」などと述べ、関税政策が国内経済の下押し圧力になるとの認識を示した。同日に群馬県金融経済懇談会で挨拶した中川順子審議委員も「関税政策の影響を含め、不確実性が一層高まっている状況」と話した。市場では「日銀が利上げに慎重な姿勢を示したと改めて意識されており、円売り・ドル買いを後押しした」(国内銀行のディーラー)との声があった。
円は対ユーロでも下落した。12時時点は1ユーロ=162円18~22銭と、同37銭の円安・ユーロ高だった。朝方は円買い・ユーロ売りが優勢だったものの、対ドルで円売りが膨らむと対ユーロでも下げに転じた。
ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.1379~80ドルと同0.0008ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、下げに転じる 142円台半ば 「円安是正」の警戒和らぐ[2025/04/17 10:29 日経速報ニュース 702文字 ]
17日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げに転じた。10時時点は1ドル=142円58~60銭と前日17時時点と比べて48銭の円安・ドル高だった。10時すぎには142円68銭近辺まで下落し、朝方から1円以上円安・ドル高が進んだ。日米の関税交渉を巡り、米政府から日本側に円安是正が求められるとの過度な警戒感が和らいだ。国内輸入企業による円売り・ドル買い観測も相場を押し下げた。
日米両政府は日本時間17日午前に関税交渉を実施した。協議後、赤沢亮正経済財政・再生相は記者団に対し「早期の合意を目指すことで両国が一致した」と述べたほか、「為替は議題にならなかった」などと話した。為替が議題にならなかったと伝わると、円安是正圧力への警戒感が和らぎ、円売り・ドル買いの勢いが加速した。
16日の米株安や米長期金利の低下に加え、円安是正への思惑から、円相場は朝方には141円62銭近辺まで上昇し、昨年9月以来7カ月ぶりの高値をつけていた。
10時前の中値決済に向けては、「ドル買い優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。欧州があす18日からイースター(復活祭)に伴う休暇に入るため、前倒しで円売り・ドル買いの取引に動く国内輸入企業などがみられたという。
円は対ユーロでも下げに転じた。10時時点では1ユーロ=162円02~05銭と、同21銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで下げに転じた。10時時点では1ユーロ=1.1365~66ドルと同0.0022ドルのユーロ安・ドル高だった。対円でのドル買いが進んだことで、対ユーロでもドル買いが優勢となった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
今日の株価材料(新聞など、17日)1~3月の訪日客1000万人、四半期で初[2025/04/17 07:22 日経速報ニュース 778文字 ]
▽三菱重(7011)、タービン増産 ガス火力を30年に1.2倍 石炭からシフト(日経)
▽帝ホテル(9708)など大手15社、カルテルの恐れ 公取委警告へ(日経)
▽1~3月の訪日客1000万人、四半期で初 中国人客回復がけん引、消費は微減 トランプ関税が影(日経)
▽東電HD(9501)の再建計画「覚悟聞きたい」 原賠機構幹部(日経)
▽SBI(8473)、韓国生保をグループ会社に 出資額計1000億円 海外事業拡大に弾み(日経)
▽三井住友FG(8316)、マネフォ(3994)と新会社設立 銀行機能を外部提供(日経)
▽ニデック(6594)、牧野フ(6135)の買収防衛策の差し止め申し立て(日経)
▽ミネベア(6479)、ヤゲオ主張「根拠欠ける」 芝浦電子(6957)へのTOBで(日経電子版)
▽三井物(8031)、合成燃料の米新興出資(日経)
▽すかいらーく(3197)、卵関連商品値上げ(日経)
▽信越化(4063)、合成石英医薬に展開 新規用途に拡大(日経)
▽楽天グループ(4755)、「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリ、経済圏の軸に(日経)
▽日本郵便とトナミHD(9070)TOB成立 「物流で価格競争力強化」(日経)
▽フジクラ(5803)が特損、和解金で48億円(日経)
▽サイバー(4751)、決算を訂正 子会社の不適切会計で(日経)
▽日産自(7201)、スナール氏などルノーからの取締役2人が退任へ 関係者(ブルームバーグ通信)
▽トランプ氏、赤沢経済再生相と面会 関税交渉を開始(日経電子版)
▽トランプ大統領 SNSで「大きな進展」 赤沢経済再生相と会談後に(NHK)
▽NY円相場、反発 1ドル=141円75~85銭 7カ月ぶり高値 米株安や日米関税交渉で(NQN)
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
電気の価格予測しやすく 先物取引が急増、透明性増す[2025/04/17 05:00 日経速報ニュース 1738文字 画像有 ]
日本の電力先物市場が急成長している。2024年度の年間取引高は前年比3倍超に膨らみ、他国の市場と比べて伸びが突出する。燃料高や電力の価格変動などを背景に、リスクをヘッジ(回避)する需要が膨らんだ。電力自由化で先行する欧米企業を中心に新規参入が増え、課題だった市場流動性が改善。電力価格の透明性が向上し、消費者や企業が電気代を予測しやすくなる可能性があるという。
電力先物は1年後など将来の電気を一定の価格で売買するデリバティブ(金融派生商品)取引。日本卸電力取引所(JEPX)などで取引する現物の電気との値差を決済する。
電力先物の取引所を手掛ける欧州エネルギー取引所(EEX)と、日本取引所グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)の合計取引高は24年度、約95テラワット時と、23年度の30テラワット時から3.1倍に急増した。日本卸電力取引所の現物取引量の37%に達する。
取引の中心はEEXだが、昨年後半以降はTOCOMの流動性も急速に高まっており、1~3月のTOCOMの取引量は24年の年間取引量を既に上回った。
ドイツなど成熟した市場との差は依然大きいものの、伸び率は世界で突出する。EEXがまとめた24年1~12月の各国取引量の比較では、日本はオランダに次ぐ8位。
EEXの日本電力を取引する参加者は3月末時点で国内外合計で98社。23年度末から26社(36%)増えた。24年6月にはヘッジファンドのシタデルが国内電力卸の買収を決めて参入したほか、石油メジャーの英シェルなど海外エネルギー大手も取引を増やす。
電力取引仲介大手ヴァニアのジェームズ・ウィスラー最高経営責任者(CEO)は「市場アクセスの改善や流動性の向上と相まって、日本は海外勢にとって魅力的な投資先となっている」と話す。
日本の電力先物は19年、TOCOMに試験上場された。20年にはEEXも日本の電力取引を手掛けるようになったことで、欧米の電力トレーディング会社も売買をしやすくなり、23年ごろから本格的に取引が広がった。市場での売買が活発になるにつれて参加者も増えて流動性が高まり、市場規模は膨らみ続けている。
日本の大手電力や総合商社も、海外企業の買収などを通じて得たノウハウを生かし、先物取引の拡大を目指す動きが目立つ。
三菱商事は16年に買収したアイルランドの電力トレーディング会社、エレクトロルートの日本法人を22年に立ち上げ、23年度から日本で本格的に取引している。酒井岳幸トレーディング統括は「欧州での取引ノウハウをもとに、電力先物取引を通じて再エネ事業者など発電側の需給調整や、小売りなど需要側の電力の調達をサポートするサービスを提供している」と話す。
国内発電最大手のJERAも3月27日、フランスの大手電力EDFグループと、日本国内の電力トレーディング事業を統合し、先物取引などの事業に共同で取り組むと発表した。
大手電力がここにきて電力トレーディング部門を強化する背景には、電力市場の公正な競争環境が整備されてきたことも影響している。
かつて大手電力はグループ内へ優先して電力を売っていた。新電力など社外への卸取引よりも有利な条件でグループ内に相対の長期契約などで販売する「内外差別」の商慣行が広がっており、電力・ガス取引監視等委員会が20年に適正な競争をゆがめるとして是正を要請した。
これを受けて大手電力は、相対での電力販売の際、透明性が高く「内外無差別」を説明しやすい先物などの市場価格を参照した値決めに徐々に移行。併せて、価格変動のリスクヘッジのための先物取引の利用も強化している。
JERAは25年度までに東京電力グループなどと結ぶ長期契約が切れ、市場での電力販売が増える見通しだ。JERAの葛西和範常務執行役員は「先物を通じたリスクヘッジの必要性がさらに高まることで、市場は一段と活性化する」と話す。
昨年、TOCOMの電力先物市場に参入した三菱UFJ銀行の関浩之取締役副頭取執行役員は、電力先物取引の意義について「価格の透明性と予見性が高まること」だと指摘。「企業や消費者が将来の電力価格を予測しやすくなり、計画的な経済活動が可能になる」と話した。(浜美佐)
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東海道新幹線ネット予約、中国など15言語 訪日客底上げ[2025/04/17 05:00 日経速報ニュース 1346文字 画像有 ]
JR東海が東海道新幹線を核にしたインバウンド(訪日外国人)の受け入れ体制を一段と強化している。海外の旅行サイト会社と提携し、座席のインターネット予約を中国語など15言語に対応させた。旅行商品や上級座席も取り入れ、リピーターを掘り起こす。新型コロナウイルス禍からの回復が踊り場を迎え、訪日客の底上げを図る。
コロナ禍からの回復一巡
「今年度が勝負だ」。JR東海で訪日誘客を担う本田啓之担当部長は気を引き締める。コロナ禍で落ち込んだ東海道新幹線の利用は24年度にかけて、旅行客が主導する形で急回復した。25年度はこの底上げ効果が一巡する。働き方の多様化でビジネス客も大きな伸びを見込みづらい。成長が続くインバウンドの獲得がカギとなる。
進めているのが新幹線ネット予約の使い勝手の向上だ。このほど香港の旅行予約サイト「Klook(クルック)」と提携。アジアや米欧など15言語対応で予約を受け付け、約40通貨で代金を払えるようにした。
欧州の利用者が多いフランスの旅行サイト「ジャパン・エクスペリエンス」とも組んだ。いずれもスマートフォンに表示させたQRコードを乗車券として使い、円滑に乗車できる。
コロナ前は駅の券売機での乗車券販売が主流で、主要駅が混雑する一因だった。JR東海は独自のネット予約「EXサービス」で17年に外国人向けスマホアプリを開設。QRチケットなどの導入を進めているが、現状では対応言語が英語に限られるなど課題もある。認知度の高い海外の有力サイトを活用して訪日客の上積みを狙う。
JR東海の24年4~12月の訪日客収入は870億円と、運輸収入全体の約8%を占める。さらなる誘客のため、周遊レジャーなど移動先での楽しみ方も提案する。EXサービスを通じ、割安に京都の寺院などを巡る会員限定ツアーを訪日客に提供し始めた。本田氏は「会員企画を通じて大阪・関西万博などもアピールできれば」と話す。
個室席や高級ホテルも
新幹線の座席も訪日客の目線で磨き上げる。プライベートを重視した完全個室席を26年秋に設けるほか、27年度にはグリーン車の座席の一部を「半個室」に転換する。価格はいずれも現在のグリーン車より高くなる見通しだ。24年10~12月のグリーン車利用はコロナ前の18年の同時期から10%増えており、さらなる快適さを求める乗客の声に応える。
新幹線以外でも富裕なインバウンドの消費を取り込もうと、力を入れるのが高級ホテルの整備だ。25年夏には米ホテル大手のマリオット・インターナショナルと組み、京都市の四条烏丸エリアで新ホテル「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」を開く。
奈良市の近鉄奈良駅前では米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションと提携して高級ブランドの「ホテル 寧 奈良」を30年度に開業する。客室数も当初予定の70室から100室に増やすと4月に発表した。
JR東海グループは東海道新幹線が連結売上高の7割超を占める「一本足打法」と知られる。建設を進めるリニア中央新幹線に加え、既存の鉄道網の保守・拡大には継続的な投資が必要になる。将来にわたって安定収入を確保するため、リピーターや長期滞在の多い訪日客を収益の柱の一つに育てられるかが重要になる。
(石原誠樹)
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「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリ、経済圏の軸に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1211文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループは6月にもスマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で、保険の提供を始める。第1弾としてグループの保険会社が少額短期保険を販売する。同保険は価格が安く海外旅行の際の事故などを補償する。日常的に使える保険サービスの販売でスマホ決済の利用拡大につなげる。顧客データ収集の場を増やす狙いもある。
財務局の認可を前提に、楽天Gのグループ会社である楽天少額短期保険(東京・港)が保険の販売を始める。少額短期保険には短い期間の海外旅行中の事故などを補償するものやゴルフをしている際の事故、熱中症になったときの補償をするものなどがある。まず同保険から始めて、生命保険といった高価格帯商品にも広げる。さらに保険以外のサービスの予約なども決済アプリでできるようにするもようだ。
楽天ペイメント(東京・港)が運営する楽天ペイの決済データを使えば、だれがどこで何を購入したかがわかる。利用客の需要に応じた保険商品を提案できるようになるとみている。空港で買い物をすれば海外旅行保険を、ゴルフ場の近くであればゴルフの保険をアプリで提案する仕組みも整える。
生命保険文化センターの2024年調査によるとネット経由で生命保険に加入した人の割合は6%にとどまる。楽天ペイでの保険提供は、決済もクレジットカードなどを使う他のネット販売に比べてより簡単で、開拓の余地は大きいとみる。
楽天Gは共通ポイント「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」、楽天カードの機能を決済アプリである楽天ペイに集約する計画だ。同アプリを電子商取引(EC)や銀行、証券、楽天ポイントなどさまざまなサービスを展開する「楽天経済圏」の入り口にしていく。決済アプリの魅力向上策は欠かせず、保険販売はその一環だ。
スマホ決済アプリは急成長している。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会のデータによるとスマホ経由のQRコード決済回数は24年に115億回と、18年の約230倍に増えた。経済産業省によるとQRコードによる決済額は24年に13兆5000億円。23年比の伸び率は24%増とキャッシュレス決済の中で最も高かった。
この流れの中で楽天ペイの利用も増えている。楽天Gの中で最も決済回数の多いアプリの一つだ。少額の決済が中心のためコンビニエンスストアでの買い物など、1日に複数回使われることもありお金を払う日常的な手段として浸透しつつある。
スマホ決済ではソフトバンク系のPayPayが決済額と回数の両方でシェアが7割近くに達し先行している。保険販売もすでに始めており、決済アプリ上で自転車事故の保険やペット保険などを幅広く展開する。
楽天Gの強みは楽天経済圏から得られる顧客のデータだ。決済アプリを軸とし、膨大なデータを人工知能(AI)で分析してマーケティングの解像度を上げる。適切な販促を進めたり、決済アプリの機能や魅力も高めたりして追い上げを急ぐ。
しっかり学ぶ財務(2)貸借対照表(BS) おカネとモノの動き示す、財務の健全性チェック[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1300文字 PDF有 書誌情報]
企業の経営が健全か知る上で大切なのはおカネをいくら稼いだかだけではない。おカネがどこから来て、何に形を変えたのか――。ある時点での企業の持ち物とお金の出どころを対比させたのが貸借対照表(バランスシート、BS)だ。安定して事業を続けられるかといった評価に重要な役割を果たしている。
乳製品やチョコレートなどで知られる明治ホールディングス(HD)。24年4~12月期は牛乳やヨーグルトなどのデイリー事業が増益だったが、中国での乳製品の苦戦やワクチンの評価減により連結純利益は前年同期比3%減となった。今の資産状況はどうか。貸借対照表を見てみよう。
企業が保有する資産は貸借対照表の左側に記載する。流動資産は比較的短い期間で現金になる資産だ。仕入れや製造、販売など通常の営業活動で生じた資産や現預金、短期売買する株式などが該当する。固定資産は長期間保有する土地や建物、工場などが代表的だ。
明治HDの24年12月末時点の流動資産は5763億円で、内訳は現預金が931億円、顧客から今後回収する受取手形と売掛金は2319億円、商品と製品は1225億円ある。固定資産は6410億円で、大きなものは建物や土地、機械装置などの有形固定資産だ。
貸借対照表の右側にはお金の調達先が記される。銀行からの借入金や社債など返済義務のある負債は右上に、株主の払い込みや過去の利益の蓄積など返済義務のない純資産が右下に記載される。負債と純資産の合計額は資産と一致する。
明治HDの負債をみると、仕入れ先への買掛金など1年以内に支払いを要する流動負債が3386億円ある。社債や長期借入金など返済期限が1年を超える固定負債は922億円ある。
純資産はほぼ横ばいの7864億円だった。株主から集めた資本金や、過去の利益の積み上げである利益剰余金などで構成される。会社法では単独の利益剰余金などから配当可能額が決まるため、株主にとって重要だ。
「資産」「負債」「純資産」のバランスから財務状況の健全性を確認できる。赤字が続いて蓄えを食い潰すと純資産がマイナスになる。負債が資産を上回り、全ての資産を売却しても借金が返済できない債務超過に陥る。融資を受けにくくなるほか、原則、債務超過を1年以内に解消できないと東京証券取引所の上場維持基準に抵触する。
財務状態の健全性を測る指標の一つが「自己資本比率」だ。調達したお金のうち返済義務のないお金の割合を表す。明治HDの24年12月末の自己資本比率は61%と、東証プライム上場企業の平均(43%)より高い。
流動資産を流動負債で割った「流動比率」が100%未満だと短期的に資金の手当てが必要になる可能性が高くなる。明治HDの流動比率は170%で資金繰りは安定しているといえる。
ブランド力や、社員の知識や経験といった人的資本などは「無形資産」と呼ばれ、企業に価値をもたらすが貸借対照表には載らない。近年は無形資産に着目する投資家も増えており、非財務情報の重要性が増している。
(久世真由美)
日経電子版のコンテンツ「入社1年目で知っておきたかった会計の基礎知識」はこちらのQRコードから。
博覧会国際事務局長「万博は平和共有の場」 共同宣言採択に意欲(EXPO2025)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 883文字 PDF有 書誌情報]
万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)などは、大阪・関西万博で「いのち」をテーマとした共同宣言採択を目指す。ケルケンツェス事務局長が日本経済新聞のインタビューで実現へ意欲を示した。国際社会の分断が深まる中「世界に対して強力なメッセージになる。閉幕日までに公表しなければならない」と話した。
参加する158カ国・地域などが人類共通の課題である「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」といった8分野を議論するテーマウイークを通じて合意を形成する。
各地で続く紛争やトランプ関税など、世界が揺れる現状に対し「地政学的に極めて困難な状況にある。世界は対話の必要性を忘れつつある」と警鐘を鳴らした上で「万博はこうした外部の『雑音』を遮断する。かつてないほど重要性が増す中、平和と連帯を共有する場となる」と強調した。
2015年ミラノ万博では食料を得る権利を基本的人権と位置づけた「ミラノ憲章」を、「より良い都市、より良い生活」をテーマとした10年上海万博では、持続可能な都市開発を目指す「上海宣言」を採択した。ケルケンツェス氏は「万博が地球規模の課題解決に向かうための一助になれば」と話す。
来場者に向け「各国は展示で技術やアイデアを共有し、未来に向かってともに前進する道を模索する。どのような姿を提示しているか、自分の目で見て考えてほしい」とメッセージを送った。
大阪万博には開幕日の13日、約12万人が来場した。事前予約などで「並ばない万博」を目指したものの、入場ゲートやパビリオン、最寄りの地下鉄駅の前には行列ができた。通信上の問題で電子チケットのQRコードが表示できないトラブルがあった。
ケルケンツェス氏は「万博は入退場のロジスティクス(輸送)が最大の課題となる。開幕から数日間、問題点を観察して改善を図る必要がある」と指摘。日本国際博覧会協会に対し「より多くの来場者をシャトルバスに誘導したり、退場時間の分散を検討したりすべきだ」と注文した。
(大阪・関西万博取材班)
【図・写真】インタビューに応じるBIEのケルケンツェス事務局長(大阪市此花区)
土産小箱にQRコード、住所打ち込み 冷凍味噌かつ、家に直送 矢場とん、手軽さアピール[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1423文字 PDF有 書誌情報]
味噌かつ店を展開する矢場とん(名古屋市)は冷凍の串かつなどを指定先に直送する商品を2025年度中にも全店で展開する。QRコードを活用し、指定先の住所に冷凍食品を送る仕組みで、かさばらない土産物として売り出す。人工知能(AI)を活用した販促活動もおこなうなど、店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通して観光客の来客増を狙う。
矢場とん中部国際空港店(愛知県常滑市)の店頭に「荷物にならないお土産」というポップが掲げられている。販売されているのはイメージキャラクターの「ぶーちゃん」があしらわれた名刺大の箱。中から出てくるのは、味噌かつではなくQRコードだ。同商品は送料を含め3800円で、「みそ串かつセット(5本入り3パック)」などから好みのものを選べる。
矢場とんが販売を始めたのは、QRコードからアクセスできるサイトに住所を打ち込むと、串かつなどの冷凍食品が入力された住所に配達されるギフトだ。購入者は保冷剤や保冷バッグを用意する必要がない。受け取る相手も家など希望の場所で受け取れるため、すぐに冷凍保存しやすい。
名古屋名物の味噌かつは国内外の旅行客からの人気が高いが、土産物として持ち運びにくいという難点があった。旅行中に冷凍食品を持ち運ぶハードルを取り払い、名古屋土産としての需要を取り込む。
矢場とんの栗原耕二執行役員は「冷凍食品は名古屋に来たばかりの客は買わない。帰る時にもしかしたら買う人がいるというのが現状だ」と話す。矢場とんに食事に来た観光客などが、旅程やタイミングを問わず買い求めやすくなると期待する。
販売する店舗のメリットも大きい。冷凍食品の在庫を店に置かないため、賞味期限を加味した発注の手間が省けるほか、店舗に冷凍ケースなどの設備がなくても販売できる。
同社は25年度中に全店で荷物にならないお土産を展開する方針だ。将来的にはインバウンド(訪日外国人)をターゲットとした海外発送への対応や、ミニギフトの形や配送商品の多様化も検討する。
DXは土産物だけでなく販促活動でも進めている。同社の中部国際空港店ではAIを活用して客と会話できる「AIぶーちゃん」を試験的に導入した。
「おいらは『ぶーちゃん』なも!」。AIぶーちゃんは店の入り口に設置されており、ボタンを押して話しかけるとマイクやカメラで客を感知する。「おなかいっぱい食べたい」という客におすすめのメニューを質問されると「ボリューム満点で大満足間違いなしなも」(AIぶーちゃん)と強調し、看板メニューの「わらじとんかつ」や「極上リブ鉄板とんかつ」を薦めた。
おすすめのメニューのほか、ぶーちゃんの自己紹介や矢場とんの歴史などを尋ねることができるという。日本語以外に、英語や中国語にも対応している。QRコードを読み込むと、事前にメニューを注文できるシステムも盛り込んだ。
同社がAIぶーちゃんを設置したのは従業員の負担軽減や、待ち時間のエンタメ化のためだ。例えば中部国際空港店では数十人が行列を作ることもあり、従業員が手作業でメニューなどを案内する。待ち時間中に会話ができることで客を楽しませるほか、商品をおすすめすることで販売促進につなげたい考えだ。
今後はサービスの認知度やAIの精度の向上を検討するという。栗原執行役員は「矢場とんに合わせたDXを進めたい」と説明し、矢場とんらしいエンタメ性と従業員の負担軽減や効率化の両立を目指す。
(山名直花)
サンエーとミスターマックス 低価格PB、増益けん引 前期最終 イオン九州は14%減益[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 1300文字 PDF有 書誌情報]
九州・沖縄の主要小売企業5社の2025年2月期決算が出そろった。沖縄の大手のサンエーが4期連続の増益で過去最高益となったほか、ミスターマックス・ホールディングス(HD)が2期ぶりの増益となった。物価高が続くなか、低価格を打ち出したプライベートブランド(PB)商品を展開する企業が軒並み好調だった。
連結純利益が前の期比7%増の114億円と過去最高を記録したサンエー。売上高に当たる営業収益も4%増の2371億円で55期連続で過去最高を達成したほか、本業のもうけを示す営業利益も3%増の169億円と好調が続く。
要因は物価高が長引くなか、「お得感」をアピールして生鮮食品から日用品、ペット用品などにまで幅広く展開しているPB商品「くらしモア」の拡充だ。既存店の売り上げ増につながっており、収益認識基準の変更を考慮しない単純比較では4.9%増となった。
ミスターマックスHDも好調で、連結純利益が1%増の24億円と2期ぶりの増益となった。売上高に相当する営業収益は5%増の1365億円で3期連続で増加した。
特に自社PBの売り上げが14%増と伸び、家電メーカーの旧型商品をミスターマックス専売の機種として割安な価格で販売する「リバイバルモデル」が好調だった。粗利益も19%伸びるなど利益面の改善に寄与した。平野能章社長は「売上高の増加が粗利益の増加に直結するのがPBの良さだ」と指摘する。
同社は29年2月期を最終年度とする中期経営計画でPB比率を現状の約2割から3割に引き上げる目標を掲げている。
イオン九州は連結純利益が60億円となり、14%減だった。繰り延べ税金資産の見直しにより前の期に計上した法人税等調整額の戻し入れがなくなったためで、営業利益は1%増の105億円と過去最高を記録。キャッシュレス決済の拡充や店舗の省力化をはかる電子値札の導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)施策が奏功した。
営業収益も4%増の5316億円となり、過去最高に。総菜や冷凍食品の種類を拡充したことで、食品の売り上げも好調だった。マックスバリュなどの食品スーパーで日用品や化粧品の品ぞろえを強化したことも売り上げ増につながった。
5月期決算のコスモス薬品も好調だ。九州や関東地方などに約80店を新規出店し、24年6月~25年2月期の連結決算は純利益が前年同期比29%増の223億円、売上高は7522億円で5%増えた。今期の売上高は前期比7%増の1兆370億円、純利益は微増の245億円を見込む。
百貨店の25年2月期決算では、インバウンド(訪日外国人)需要をどれだけ取り込めたかで、博多大丸(福岡市)と北九州市に地盤を置く井筒屋の明暗が分かれた。
インバウンド需要が好調だった博多大丸は免税品の売り上げが想定以上に増加。売上高は9%増の170億円だった。
これに対し、井筒屋は顧客全体に占めるインバウンドの割合が「1%程度」(担当者)という。婦人向け衣料を中心に衣料品全体の売り上げが鈍化し、連結売上高は2%減の221億円に。会計基準を変更した23年2月期を含めて3期連続の減収となった。
(中島芙美佳)
長電バス、信濃町・妙高経由 関西―長野・湯田中・飯山線 5~11月に[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 499文字 PDF有 書誌情報]
長電バス(長野市)は南海バス(堺市)と共同運行する高速バス「神戸・大阪・京都―長野・湯田中・飯山線」の路線を、5~11月は長野県信濃町や妙高高原駅(新潟県妙高市)も経由すると発表した。登山客が多い妙高山(妙高市)や高原リゾートとして人気が高まる野尻湖(信濃町)への旅行客の利用を狙う。
5月15日~11月30日の期間、毎日1往復する。関西発便は午後8時40分に「三宮バスターミナル」(神戸市)を出発して大阪駅前や京都駅を経由し、翌朝午前5時23分に長野駅前、「道の駅しなの」(信濃町)には午前7時25分、妙高高原駅は同7時39分にそれぞれ停車する。終点の飯山駅には同8時10分に到着する。長野発便は午後8時20分に飯山駅を出発し、翌朝関西に到着する。
運賃は三宮バスターミナルから道の駅しなのや妙高高原駅、終点の飯山駅まで乗った場合、ウェブ予約の事前決済で7000円からとしている。予約方法や乗車の曜日によって運賃は異なる。
同路線は従来、飯山駅の後に長野県野沢温泉村にも停車していたが、ほぼ満席のスキーシーズンに比べて夏は乗車率が7割程度になっていた。夏季の乗車率を高めるため、路線を変更する。
大分県信組、県の健康アプリダウンロードで金利0.45%[2025/04/16 18:00 日経速報ニュース 532文字 画像有 ]
大分県信用組合(大分市)は16日、大分県の公式健康アプリ「あるとっく」をダウンロードした県民を対象に優遇金利が受けられる「健康寿命日本一おうえん定期預金“あるとっく”」の取り扱いを始めた。
1口100万円以上で1000万円未満(1人1000万円以内)を1年間預けた場合、店頭表示金利に0.20%上乗せする。16日時点の金利は0.45%。募集は来年3月末まで。
大分県は「健康寿命日本一」を目標に掲げるが、2022年の調査では男性が全国25位(前回の19年は1位)、女性が全国10位(同4位)と大きく順位を落とした。大分県信組は県民の健康寿命延伸に向けて金融面から協力する。
歩くとポイントがたまる「あるとっく」は県が18年度から本格運用し、約10万人が登録。今年4月に内容を大幅にリニューアルし、県民に対して新たにダウンロードするよう呼びかけている。
これまではたまったポイントに応じて利用者のランクを決め、飲食店などで割引を受けられたが、リニューアルではランクに関係なくポイントを使ってサービスを受けられる方式に変更した。
県は6月末までにアプリをダウンロードした県内在住者を対象に抽選で2万人に電子マネー500円相当をプレゼントするキャンペーンも始めている。
楽天G、「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリを経済圏の軸に[2025/04/16 17:44 日経速報ニュース 1218文字 画像有 ]
楽天グループは6月にもスマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で、保険の提供を始める。第1弾としてグループの保険会社が少額短期保険を販売する。同保険は価格が安く海外旅行の際の事故などを補償する。日常的に使える保険サービスの販売でスマホ決済の利用拡大につなげる。顧客データ収集の場を増やす狙いもある。
財務局の認可を前提に、楽天Gのグループ会社である楽天少額短期保険(東京・港)が保険の販売を始める。少額短期保険には短い期間の海外旅行中の事故などを補償するものやゴルフをしている際の事故、熱中症になったときの補償をするものなどがある。まず同保険から始めて、生命保険といった高価格帯商品にも広げる。さらに保険以外のサービスの予約なども決済アプリでできるようにするもようだ。
楽天ペイメント(東京・港)が運営する楽天ペイの決済データを使えば、だれがどこで何を購入したかがわかる。利用客の需要に応じた保険商品を提案できるようになるとみている。空港で買い物をすれば海外旅行保険を、ゴルフ場の近くであればゴルフの保険をアプリで提案する仕組みも整える。
生命保険文化センターの2024年調査によるとネット経由で生命保険に加入した人の割合は6%にとどまる。楽天ペイでの保険提供は、決済もクレジットカードなどを使う他のネット販売に比べてより簡単で、開拓の余地は大きいとみる。
楽天Gは共通ポイント「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」、楽天カードの機能を決済アプリである楽天ペイに集約する計画だ。同アプリを電子商取引(EC)や銀行、証券、楽天ポイントなどさまざまなサービスを展開する「楽天経済圏」の入り口にしていく。決済アプリの魅力向上策は欠かせず、保険販売はその一環だ。
スマホ決済アプリは急成長している。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会のデータによるとスマホ経由のQRコード決済回数は24年に115億回と、18年の約230倍に増えた。経済産業省によるとQRコードによる決済額は24年に13兆5000億円。23年比の伸び率は24%増とキャッシュレス決済の中で最も高かった。
この流れの中で楽天ペイの利用も増えている。楽天Gの中で最も決済回数の多いアプリの一つだ。少額の決済が中心のためコンビニエンスストアでの買い物など、1日に複数回使われることもありお金を払う日常的な手段として浸透しつつある。
スマホ決済ではソフトバンク系のPayPayが決済額と回数の両方でシェアが7割近くに達し先行している。保険販売もすでに始めており、決済アプリ上で自転車事故の保険やペット保険などを幅広く展開する。
楽天Gの強みは楽天経済圏から得られる顧客のデータだ。決済アプリを軸とし、膨大なデータを人工知能(AI)で分析してマーケティングの解像度を上げる。適切な販促を進めたり、決済アプリの機能や魅力も高めたりして追い上げを急ぐ。
(桜木浩己)
大阪万博、「いのち」テーマに共同宣言へ BIE事務局長[2025/04/16 17:20 日経速報ニュース 847文字 画像有 ]
万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)などは、大阪・関西万博で「いのち」をテーマとした共同宣言採択を目指す。ケルケンツェス事務局長が日本経済新聞のインタビューで実現へ意欲を示した。国際社会の分断が深まる中「世界に対して強力なメッセージになる。閉幕日までに公表しなければならない」と話した。
参加する158カ国・地域などが人類共通の課題である「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」といった8分野を議論するテーマウイークを通じて合意を形成する。
各地で続く紛争やトランプ関税など、世界が揺れる現状に対し「地政学的に極めて困難な状況にある。世界は対話の必要性を忘れつつある」と警鐘を鳴らした上で「万博はこうした外部の『雑音』を遮断する。かつてないほど重要性が増す中、平和と連帯を共有する場となる」と強調した。
2015年ミラノ万博では食料を得る権利を基本的人権と位置づけた「ミラノ憲章」を、「より良い都市、より良い生活」をテーマとした10年上海万博では、持続可能な都市開発を目指す「上海宣言」を採択した。ケルケンツェス氏は「万博が地球規模の課題解決に向かうための一助になれば」と話す。
来場者に向けては「各国は展示で技術やアイデアを共有し、未来に向かってともに前進する道を模索する。どのような姿を提示しているか、自分の目で見て考えてほしい」とメッセージを送った。
大阪万博には開幕日の13日、約12万人が来場した。事前予約などで「並ばない万博」を目指したものの、入場ゲートやパビリオン、最寄りの地下鉄駅の前には行列ができた。通信上の問題で電子チケットのQRコードが表示できないトラブルがあった。
ケルケンツェス氏は「万博は入退場のロジスティクス(輸送)が最大の課題となる。開幕から数日間、問題点を観察して改善を図る必要がある」と指摘。日本国際博覧会協会に対し「より多くの来場者をシャトルバスに誘導したり、退場時間の分散を検討したりすべきだ」と注文した。
(大阪・関西万博取材班)
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JR東日本環境アクセス・三洋化成・長瀬産業、駅のトイレ清掃を効率化するため匂いセンサーを使用した実証実験を開始[2025/04/16 16:44 日経速報ニュース 1465文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月16日
匂いセンサーを活用したトイレ清掃の実証実験を開始
株式会社JR東日本環境アクセス(代表取締役社長 : 鈴木 均、以下「環境アクセス」)、三洋化成工業株式会社(本社 : 京都市東山区、代表取締役社長 : 樋口章憲、以下、三洋化成)と長瀬産業株式会社(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 上島 宏之、以下「長瀬産業」)は、駅のトイレ清掃を効率化するため、匂いセンサー『FlavoTone(R)』を使用した実証実験を2025年4月から開始しました。このセンサーを用いることで、遠隔からトイレの衛生状態をリアルタイムで把握し、以下の2つの目的を達成することを目指します。
1.トイレ清掃の効率化 : トイレの汚れ具合をセンサーで把握し、清掃が必要なタイミング・箇所を最適化します。
2.トイレ利用者の安心感向上 : 常に清潔なトイレ環境を提供することで、利用者の満足度を高めます。
この取り組みにより、少ない労力での高品質な清掃サービスの実現に貢献いたします。
*参考画像(1)・(2)は添付の関連資料を参照
環境アクセスは、JR東日本の首都圏にある駅の清掃業務を担当しており、近年の清掃員の不足に対応するため、センサーなどのデジタル技術を活用した業務の省力化(Condition Based Maintenance : CBM化)を進めています。
機能化学品の製造販売を行う三洋化成は、化学の力を活用してさまざまな課題に対するソリューションを提供しており、2023年11月から匂いセンサー『FlavoTone』の販売を開始しました。
長瀬産業は、三洋化成と共同で『FlavoTone』の事業開発(※)に取り組んでおり、広範なネットワークを活かし、『FlavoTone』の販路拡大やマーケティング活動を支援しています。
三社は2024年3月に1か月間の短期実証試験を実施しており、今回の長期実証試験では、本格導入に向けた検証を行う予定です。
【『FlavoTone』について】
『FlavoTone』は、人間の鼻と同じように、複雑な匂いを識別できるセンサーです。品質管理、特性比較、モニタリングなど、幅広い用途にご使用いただけます。センサーの販売に加え、レンタルや受託分析も提供しています。
※匂いセンサーのサイトでは様々な事例を紹介しています。
・ https://kaori.sanyo-chemical.co.jp/
*QRコード・参考画像(3)は添付の関連資料を参照
※三洋化成と長瀬産業が共同で「匂いセンサー」事業化(2021年7月13日発表)
・ https://www.nagase.co.jp/assetfiles/news/20210713.pdf
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/01_202504161631.jpg
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/02_202504161631.jpg
QRコード
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/03_202504161631.jpg
参考画像(3)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/04_202504161631.jpg
旧メルコ牧社長の資産管理会社、ベースフードへのTOB成立[2025/04/16 16:23 日経速報ニュース 240文字 ]
バッファロー(証券略称:BUF、旧メルコホールディングス、6676)の牧寛之社長の資産管理会社であるMBFアクセラレーション(東京・千代田)は16日、健康食品のベースフード(2936)に対して15日まで実施したTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。牧氏らの保有比率は議決権ベースで約4割に高まる。
応募株数が574万857株だった。買い付け予定数の上限(369万株)を上回ったため、案分比例で買い付ける。決済は22日に始める。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
長電バス、関西―妙高高原を季節運行 夏の観光需要狙う[2025/04/16 14:00 日経速報ニュース 499文字 ]
長電バス(長野市)は南海バス(堺市)と共同運行する高速バス「神戸・大阪・京都―長野・湯田中・飯山線」の路線を、5~11月は長野県信濃町や妙高高原駅(新潟県妙高市)も経由すると発表した。登山客が多い妙高山(妙高市)や高原リゾートとして人気が高まる野尻湖(信濃町)への旅行客の利用を狙う。
5月15日~11月30日の期間、毎日1往復する。関西発便は午後8時40分に「三宮バスターミナル」(神戸市)を出発して大阪駅前や京都駅を経由し、翌朝午前5時23分に長野駅前、「道の駅しなの」(信濃町)には午前7時25分、妙高高原駅は同7時39分にそれぞれ停車する。終点の飯山駅には同8時10分に到着する。長野発便は午後8時20分に飯山駅を出発し、翌朝関西に到着する。
運賃は三宮バスターミナルから道の駅しなのや妙高高原駅、終点の飯山駅まで乗った場合、ウェブ予約の事前決済で7000円からとしている。予約方法や乗車の曜日によって運賃は異なる。
同路線は従来、飯山駅の後に長野県野沢温泉村にも停車していたが、ほぼ満席のスキーシーズンに比べて夏は乗車率が7割程度になっていた。夏季の乗車率を高めるため、路線を変更する。
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外為10時 円相場、142円台後半に上げ拡大[2025/04/16 10:34 日経速報ニュース 509文字 ]
16日午前の東京外国為替市場で、円相場が上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=142円90~92銭と前日17時時点と比べて40銭の円高・ドル安だった。米中の貿易摩擦や世界景気の先行きに対する警戒感が根強く、「低リスク通貨」とされる円には買いが続いている。17日の日米協議で日本側が円安是正を求められるとの思惑も買いを後押し、9時半すぎに円相場は一時142円78銭近辺まで上昇した。
10時前の中値決済に向けて「ややドル需要はあったが、円相場を大きく動かすほどのボリュームはなかった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。輸入企業など国内実需筋による円売り・ドル買いが意識されたものの、円相場を方向付ける材料とはなっていないもようだ。
円は対ユーロでは上げ幅をやや縮めている。10時時点では1ユーロ=161円65~69銭と、同1円10銭の円高・ユーロ安だった。ユーロ安・ドル高の勢いが一服したことで、対円でもユーロを買い戻す動きが広がった。
ユーロは対ドルで下げ幅を縮小し、10時時点では1ユーロ=1.1317~19ドルと同0.0040ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
サンエーやミスターマックス、低価格PB伸びる 増益確保[2025/04/16 05:01 日経速報ニュース 1307文字 画像有 ]
九州・沖縄の主要小売企業5社の2025年2月期決算が出そろった。沖縄の大手のサンエーが4期連続の増益で過去最高益となったほか、ミスターマックス・ホールディングス(HD)が2期ぶりの増益となった。物価高が続くなか、低価格を打ち出したプライベートブランド(PB)商品を展開する企業が軒並み好調だった。
連結純利益が前の期比7%増の114億円と過去最高を記録したサンエー。売上高に当たる営業収益も4%増の2371億円で55期連続で過去最高を達成したほか、本業のもうけを示す営業利益も3%増の169億円と好調が続く。
要因は物価高が長引くなか、「お得感」をアピールして生鮮食品から日用品、ペット用品などにまで幅広く展開しているPB商品「くらしモア」の拡充だ。既存店の売り上げ増につながっており、収益認識基準の変更を考慮しない単純比較では4.9%増となった。
ミスターマックスHDも好調で、連結純利益が1%増の24億円と2期ぶりの増益となった。売上高に相当する営業収益は5%増の1365億円で3期連続で増加した。
特に自社PBの売り上げが14%増と伸び、家電メーカーの旧型商品をミスターマックス専売の機種として割安な価格で販売する「リバイバルモデル」が好調だった。粗利益も19%伸びるなど利益面の改善に寄与した。平野能章社長は「売上高の増加が粗利益の増加に直結するのがPBの良さだ」と指摘する。
同社は29年2月期を最終年度とする中期経営計画でPB比率を現状の約2割から3割に引き上げる目標を掲げている。
イオン九州は連結純利益が60億円となり、14%減だった。繰り延べ税金資産の見直しにより前の期に計上した法人税等調整額の戻し入れがなくなったためで、営業利益は1%増の105億円と過去最高を記録。キャッシュレス決済の拡充や店舗の省力化をはかる電子値札の導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)施策が奏功した。
営業収益も4%増の5316億円となり、過去最高に。総菜や冷凍食品の種類を拡充したことで、食品の売り上げも好調だった。マックスバリュなどの食品スーパーで日用品や化粧品の品ぞろえを強化したことも売り上げ増につながった。
5月期決算のコスモス薬品も好調だ。九州や関東地方などに約80店を新規出店した効果で、24年6月~25年2月期の連結決算は純利益が前年同期比29%増の223億円、売上高は5%増の7522億円だった。今期の売上高は前期比7%増の1兆370億円、純利益は微増の245億円を見込む。
百貨店の25年2月期決算では、インバウンド(訪日外国人)需要をどれだけ取り込めたかで、博多大丸(福岡市)と北九州市に地盤を置く井筒屋の明暗が分かれた。
インバウンド需要が好調だった博多大丸は免税品の売り上げが想定以上に増加。売上高は9%増の170億円だった。
これに対し、井筒屋は顧客全体に占めるインバウンドの割合が「1%程度」(担当者)という。婦人向け衣料を中心に衣料品全体の売り上げが鈍化し、連結売上高は2%減の221億円に。会計基準を変更した23年2月期を含めて3期連続の減収となった。
(中島芙美佳)
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矢場とん、DXで身軽な名古屋土産 冷凍味噌かつを直送[2025/04/16 05:00 日経速報ニュース 1424文字 画像有 ]
味噌かつ店を展開する矢場とん(名古屋市)は冷凍の串かつなどを指定先に直送する商品を2025年度中にも全店で展開する。QRコードを活用し、指定先の住所に冷凍食品を送る仕組みで、かさばらない土産物として売り出す。人工知能(AI)を活用した販促活動もおこなうなど、店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通して観光客の来客増を狙う。
矢場とん中部国際空港店(愛知県常滑市)の店頭に「荷物にならないお土産」というポップが掲げられている。販売されているのはイメージキャラクターの「ぶーちゃん」があしらわれた名刺大の箱。中から出てくるのは、味噌かつではなくQRコードだ。同商品は送料を含め3800円で、「みそ串かつセット(5本入り3パック)」などから好みのものを選べる。
矢場とんが販売を始めたのは、QRコードからアクセスできるサイトに住所を打ち込むと、串かつなどの冷凍食品が入力された住所に配達されるギフトだ。購入者は保冷剤や保冷バッグを用意する必要がない。受け取る相手も家など希望の場所で受け取れるため、すぐに冷凍保存しやすい。
名古屋名物の味噌かつは国内外の旅行客からの人気が高いが、土産物として持ち運びにくいという難点があった。旅行中に冷凍食品を持ち運ぶハードルを取り払い、名古屋土産としての需要を取り込む。
矢場とんの栗原耕二執行役員は「冷凍食品は名古屋に来たばかりの客は買わない。帰る時にもしかしたら買う人がいるというのが現状だ」と話す。矢場とんに食事に来た観光客などが、旅程やタイミングを問わず買い求めやすくなると期待する。
販売する店舗のメリットも大きい。冷凍食品の在庫を店に置かないため、賞味期限を加味した発注の手間が省けるほか、店舗に冷凍ケースなどの設備がなくても販売できる。
同社は25年度中に全店で荷物にならないお土産を展開する方針だ。将来的にはインバウンド(訪日外国人)をターゲットとした海外発送への対応や、ミニギフトの形や配送商品の多様化も検討する。
DXは土産物だけでなく販促活動でも進めている。同社の中部国際空港店ではAIを活用して客と会話できる「AIぶーちゃん」を試験的に導入した。
「おいらは『ぶーちゃん』なも!」。AIぶーちゃんは店の入り口に設置されており、ボタンを押して話しかけるとマイクやカメラで客を感知する。「おなかいっぱい食べたい」という客におすすめのメニューを質問されると「ボリューム満点で大満足間違いなしなも」(AIぶーちゃん)と強調し、看板メニューの「わらじとんかつ」や「極上リブ鉄板とんかつ」を薦めた。
おすすめのメニューのほか、ぶーちゃんの自己紹介や矢場とんの歴史などを尋ねることができるという。日本語以外に、英語や中国語にも対応している。QRコードを読み込むと、事前にメニューを注文できるシステムも盛り込んだ。
同社がAIぶーちゃんを設置したのは従業員の負担軽減や、待ち時間のエンタメ化のためだ。例えば中部国際空港店では数十人が行列を作ることもあり、従業員が手作業でメニューなどを案内する。待ち時間中に会話ができることで客を楽しませるほか、商品をおすすめすることで販売促進につなげたい考えだ。
今後はサービスの認知度やAIの精度の向上を検討するという。栗原執行役員は「矢場とんに合わせたDXを進めたい」と説明し、矢場とんらしいエンタメ性と従業員の負担軽減や効率化の両立を目指す。
(山名直花)
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グーグルに3方向審査 検索・広告・アプリ内課金 監視の実効性問われる[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1940文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が15日、米グーグルに初めて排除措置命令を出し、同社への審査は区切りを迎えた。審査は3年以上前にアプリ内課金を対象に始まり、最終的に3分野に及んだ。先行する欧米では規制や処分の「抜け穴」も指摘され始めている。今後は2025年末までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)による監視の実効性が問われる。(1面参照)
「(命令は)生活必需品となっているスマートフォン分野における競争環境の整備に大きく寄与する」。公取委の大胡勝審査局長は15日、記者会見でグーグルへの命令の意義を強調した。
関係者によると、公取委は15日の「検索」と24年に行政処分を出した「広告」に先行し、水面下で「アプリ内課金」を審査していた。
公取委が「本丸」と位置づけていたのが祖業である検索分野の審査だ。23年10月に始まり、巨大IT(情報技術)企業を念頭に導入した「第三者からの意見募集」を初めて実施した。「審査テーマを明らかにしたことで利害関係者が協力しやすくなる利点があった」(公取委幹部)。消費者からも情報が得られたという。
グーグル側は審査終盤、自主的な改善計画を公取委が認める「確約手続き」の利用を模索したが、公取委は認めなかった。明確に違反を認定する排除措置命令に踏み切り、命令では初となる5年間の報告期間も義務付けた。
一方、広告分野では公取委が24年4月にグーグル側の改善計画を認定し、確約手続きで矛を収めた。対象となったのは、グーグルが検索技術などを提供していたLINEヤフーに対し、取引先のポータルサイト側への検索連動型広告の配信を一部制限していた行為。グーグルは改善計画の履行状況を3年間報告するとした。
公表されていた審査はこの2件だが、公取委は3年以上前には、他の決済事業者を排除している恐れがあるとして、スマホアプリでの決済手段を巡る取引の審査も着手していた。
ゲームで使うアイテムや、サブスクリプション契約をアプリ内で購入する決済手段は、アプリストアを持つグーグルと米アップルの寡占状態にある。グーグルは規約で物理的な商品などを除く課金は同社の決済手段を原則利用するよう求めている。
アプリ事業者は最大30%の手数料を支払う必要があり、外部決済の利用や手数料減額を望む声は大きかった。
だが、独占禁止法に基づく措置は見送るもようだ。25年内に施行するスマホ新法に同様の行為を禁じる規定が盛り込まれ、立証のハードルが高い独禁法の措置ではなく、新法下での監視に委ねることが妥当だと判断したとみられる。
スマホ新法は米側から「非関税障壁」に当たるとの見方もされたが、米通商代表部(USTR)が3月31日に公表した報告書には盛り込まれなかった。
新法の施行を前に、モバイルゲームの分野ではアプリの外で決済が出来る「ウェブ課金」の仕組みが一部で広がりつつある。
デジタルガレージやGMOグループ、ソニー系の決済事業者が参入に名乗りを上げている。
グーグルに対する一連の審査は節目を迎えたが、今後はスマホ新法の「事前規制」が巨大IT企業の監視において大きな役割を担う。
新法は巨大ITによる独占是正を目的とし、指定された事業者に一定の義務を課す。検索サービスの自社優遇や、アプリストア・決済サービスで他社の参入を妨げる行為を禁じるなど、審査してきた対象と重なる部分が多い。
違反行為は売上高の20%の課徴金納付が課され、抑止効果も期待できる。公取委は3月末に新法の対象企業をグーグルとアップル、同子会社のiTunesの3社にすると発表した。担当する新部署を4月に発足し、今後はデジタル分野に関わる人員を現状の3倍の50人規模に増やす。
公取委は巨大IT向けの対応を強化しているが、法的措置や法規制で先行する海外では規制や処分の「抜け穴」を突いて支配力を維持しようとする動きも出始めている。
24年3月にデジタル市場法(DMA)が全面施行された欧州では、米アップルが他業者のアプリストア参入を認める一方で、ストアを利用する場合に別の新たな手数料を導入した。欧州委員会は同年6月、追加手数料の徴収がDMA違反にあたる可能性があるとして調査を始めると発表した。
米国でも司法省が反トラスト法(独禁法)訴訟でグーグルのネット閲覧ソフトやスマホ向け基本ソフト(OS)事業などの売却を求める策を示し、分割を拒否するグーグル側と対立の構図が続く。
巨大ITが新法の施行を受けて国内市場でどのように対応するか、不透明な部分も多い。公取委は新法でカバーできない分野でも競争を阻害する行為は独禁法に基づく措置も辞さないとみられる。審査と規制の車の両輪による監視体制の強化を急ぐ。
3月後半の消費4.1%増 飲食、値上げ前に駆け込み(短信)[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 5ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは15日、クレジットカード決済額に基づく3月後半の消費データを発表した。名目で前年同期比4.1%増えた。コンビニや酒屋など飲食料品小売業の消費が好調だった。アルコール大手各社による4月からの値上げ前に駆け込み需要が起きたとみられる。
三井住友FG、法人金融ワンストップ 中小の業務効率化[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 8ページ 621文字 PDF有 書誌情報]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を5月に始めると発表した。個人向けの「Olive(オリーブ)」に続き、1つの銀行口座で振り込みやカード決済など幅広い金融サービスを使える。デジタル人材の確保が難しい中小企業の業務効率化につなげ、法人口座や預金獲得を狙う。
スマホによる20分程度の手続きで最短翌営業日の口座開設を可能にする。1つの口座でカード決済や経費精算、資金管理を一括でできる仕組みだ。法人カード決済の利用限度額は最大10億円とする。
請求書の写真をスマホのアプリで読み込むと、振り込み予約までスマホで完結できるようになる。課題を与えると人工知能(AI)が情報を収集して判断する「AIエージェント」が資金調達手段などを助言する機能もつける。
中島達社長は同日の記者会見で「会社経営に必要な金融決済サービスをデジタルで切れ目なく提供する」と語った。
三井住友カードの大西幸彦社長は「人手不足の深刻化で中小はデジタル化が大きな課題だ。社長が自ら財務経理をこなす負担を下げたい」と話した。
中小の利用を想定して金融サービスの料金も下げる。三井住友銀行間の振込手数料は無料にし、他行宛は一律で145円とする。通常は数百円がかかる。法人カードは24年に資本業務提携した企業向け決済サービスのインフキュリオン(東京・千代田)と開発し、AIによる与信で新設法人の発行のスピードを速める。
ロシア投資、制裁でも活発 ヘッジファンドなど通貨・債券物色 停戦トレードに思惑[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1692文字 PDF有 書誌情報]
ルーブル3割高
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では80ルーブル台前半と3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
AWS、日本で一時障害 スマホ決済などに支障[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 13ページ 497文字 PDF有 書誌情報]
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供しているクラウドサービスで15日、午後4時40分ごろから約1時間にわたり障害が発生した。東京近郊のデータセンターでクラウド運営に必要な仮想サーバー向けの電源が停止し、スマートフォン決済など幅広い利用企業のサービスが利用しづらい状況になった。
スマホ決済大手のPayPayは、午後4時40分ごろから25分程度、支払いやチャージ機能が利用しにくくなったと明らかにした。問題はすでに解消した。
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)が提供しているスマホ決済「au PAY」も午後4時43分ごろから一時的にQRコードが表示されにくくなった。午後5時ごろに復旧した。AWSの障害が原因とみられる。
日本航空(JAL)は午後5時ごろから社内システムに障害が発生したことを明らかにした。AWSの障害が原因とみられるとしている。障害は30分ほど続いたがすでに復旧している。航空機の運航に影響はないという。
AWSは米アマゾン・ドット・コム傘下で世界のクラウドコンピューティング市場で約3割のシェアを握る最大手だ。国内でも利用企業が多く、広範なサービスに影響した。
しっかり学ぶ財務(1)損益計算書(PL) もうけ示す企業の成績表、過去・他社との物差しに[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1252文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策が企業のもうけやお金の出入りにどんな影響を及ぼすかが注目されている。上場企業は業績や財務の最新状況を公表することが義務付けられており、私たちはそれを見て企業の「体調」や「体質」を把握することができる。自分の会社や取引先はどうなっているのか。新社会人を中心にビジネスパーソンが知っておきたい企業財務の基本を5回にわたって解説する。
初回は損益計算書(PL)を取り上げる。一定期間の様々な収入や支出が書かれた企業の成績表だ。PLでは収入や支出を上から下に加えたり引いたりして、最終的なもうけ(純利益)を導く。
今回はニトリホールディングスが2月中旬に発表した2024年4~12月期の損益計算書を例に見てみよう。損益計算書などの財務諸表をまとめた「決算短信」は各企業のホームページや東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で入手できる。
最初の項目が「売上高」だ。商品やサービスを売って稼いだお金の総額を指す。ニトリHDの24年4~12月期の売上高は7049億円と前年の同じ期間を6%上回った。主力の家具量販店「ニトリ」で実施した期間限定値下げの効果で客足が回復した。
その次は、本業のもうけを示す「営業利益」だ。売上高から、原材料費などの「売上原価」や、広告宣伝費など販売にかかる「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引いて算出する。
ニトリHDの4~12月期は売上原価や販管費が膨らんだ。賃上げや社員数の増加に加え、為替の円安もコスト増要因となった。商品の約9割を海外で生産しているためだ。こうした費用増を売上高の伸びでカバーし、営業利益は1%増の989億円となった。
企業活動では、配当金の受け取りや利息の支払いなど、本業以外でもお金の出入りが発生する。こうした損益を反映させた項目が「経常利益」だ。
ほかにも株式、債券など有価証券を売った利益や損失、災害による損失などが発生することがある。これらの一時的に発生した損益を反映した「税引き前利益」から、法人税などを引いたのが「純利益」だ。これが最終的な利益で、配当金など株主還元の原資となる。ニトリHDの純利益は2%増の700億円と、円安の逆風が吹く中でも増益を確保した。
純利益が増えていても、本業でうまく稼げていない場合があるため注意が必要だ。日本企業の間では政策保有株の売却が進んでおり、これが一時的に純利益を押し上げているケースがある。
PLを使って簡単に計算できる指標も役立つ。代表例は本業で稼いだ利益(営業利益)が売上高に占める割合を示す「売上高営業利益率」だ。ニトリHDの場合は14%(24年4~12月期)で、良品計画(24年9月~25年2月期に9%)などライバルより高く、効率よく稼いでいることがわかる。こういった指標も活用し、過去の実績や競合他社と比べると収益力の現在地が見えてくる。
(富川実優)
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公取委、巨大ITに監視強める 寡占状態に危機感[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1776文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が巨大IT(情報技術)企業に初めて排除措置命令を出した。公取委は2010年代以降、米アップルやアマゾンジャパンも審査。早期の是正を優先し、これまでは違反行為を認定せずに改善策を提出させたり、規約を変更させたりして終わることが多かった。(1面参照)
米アップルは公取委審査を経て22年にアプリ決済手段の制限を改善。アマゾンジャパンは17~20年に電子商取引(EC)サイトの納入業者に最安値出品を保証させる条項を廃止し、納入元に値引き分を補填させる行為について約20億円を返金する改善計画を提出した。
デジタル市場は技術やサービスの変化が激しいため、自主的に必要な改善策を出させ、早期に是正する手法が有効とされてきた。グーグルが競合するLINEヤフーの広告配信を制限した問題でも、違反を認定せずに改善計画を認める「確約手続き」で審査を終えた。
公取委が命令に踏み切った背景に検索市場におけるグーグルの圧倒的な寡占状態への危機意識がある。利用データが集まるほど精度が上がり、広告収入も増える検索で、明確な違反認定が必要だと判断したとみられる。
公取委が巨大ITに対しても命令を出しうるとの認識が広がれば、事業者側が自ら改善策をとる動機が生まれやすい。公取委幹部は「競争確保のため、日本の競争当局の姿勢を示す必要があった」と意義を強調した。
(専門家の見方)
実態見抜く力を 違反認定に意義
ヴァンドゥワラ・サイモン東京大教授 欧州連合(EU)の欧州委員会も公取委と同様に、グーグルがスマホ端末メーカーと結んでいたアプリストアと検索サービスに関する契約を調査した。
18年に欧州委が違反認定をした後、グーグルは端末メーカーに対してアプリストアの搭載を有料化し、グーグル検索を初期搭載すれば割引する方針に変えた。事実上の「抱き合わせ」だった。
その後、検索エンジンの選択画面を導入したが、他の検索事業者が自社エンジンを表示するためにはグーグルのオークションに参加する必要があった。競合企業から公平性に欠けると批判を浴びた。
一連の出来事は巨大ITに効果的な措置を取らせることの難しさを示した。これらの経験は欧州委の教訓となり、デジタル市場法(DMA)制定につながった。
DMAは検索エンジンに加え、ブラウザーの選択画面の表示も義務付けた。グーグル、アップルの端末にブラウザーの選択画面が導入された。日本で施行を控えるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)にも検索の選択画面の導入が盛り込まれている。EUと似た流れといえる。
だが、複雑な取引を次々に展開する巨大ITと競争当局の間には「情報の非対称」の問題が常につきまとい、効果的な対策は簡単なことではない。巨大ITは規制の抜け穴をつく方法も編み出してくるだろう。新法導入以降も実態を見抜く力が求められる。
中島美香・中央大教授 グーグルへの命令に踏み切った意義は大きい。巨大IT企業はグローバル規模で事業展開する一方、競争当局は主として自国の市場の公正を維持する役割を果たす。競争に悪影響を及ぼす行為を放置すれば、日本の消費者が不利益を被ることになる。
人工知能(AI)の台頭で、検索の概念自体も変わろうとしている。違法行為があれば認定して、競争環境を事前に整えておくことが必須だ。
グーグルはユーザーに検索などのサービスを無料で提供し、端末メーカーにも基本ソフト(OS)を開放する。一見すると無料だが、ユーザーは検索・閲覧履歴などのデータを見返りに提供している。データ収集は検索技術の向上に欠かせず、収益源である検索広告の精度にもつながる。
グーグルが端末メーカーに多額の収益を分配してでも、デフォルト設定を確保し、できるだけ多くの端末で検索サービスを使ってもらう動機はこの仕組みにある。
今回の公取委の調査はアンドロイド端末に限られたが、日本市場ではアップル製のiOSのモバイル端末のシェアが6割を超える。iOSでのデフォルト設定が検索市場に与える影響は日本でも大きいのではないか。
「トランプ関税」を巡る各国間の交渉で、デジタル分野の規制が非関税障壁として取り沙汰される可能性も否定できない。政策も不透明さを増しており、巨大ITの動向に加え、各国の競争当局間での共通認識の醸成も求められる。
痴漢防止、池袋で啓発 都がイベント SNSで発信も[2025/04/16 日本経済新聞 地方経済面 東京 5ページ 390文字 PDF有 書誌情報]
東京都は15日、東武東上線池袋駅の南改札前で痴漢防止を訴える啓発イベントを開いた。新生活が始まる春に痴漢件数が多いという都の調査に基づいて企画した。2025年度より東京都、埼玉・千葉・神奈川県でSNSで情報発信にも取り組んでいる。
イベントには昭和鉄道高校と豊島学院高校の生徒が25人参加した。都のホームページにアクセスできるQRコードが載っているポケットティッシュを通行人に配った=写真。
参加した生徒は「痴漢の被害に遭う女性が少しでも減るようと気持ちを込めて配った」と話した。
都は周辺の3県と鉄道事業者にも協力を呼びかける。SNSなどでの痴漢対策に関する情報の発信もする。
24年度に実施した都の調べによると、痴漢の発生時期は4月が16.3%、5月は14.3%と春に集中している。都の担当者は「被害者が声をあげるのは難しい。周囲の人が声をかけることが痴漢を防ぐ」と話した。
東京都、池袋で痴漢防止の啓発 1都3県で情報発信も[2025/04/15 19:30 日経速報ニュース 387文字 画像有 ]
東京都は15日、東武東上線池袋駅の南改札前で痴漢防止を訴える啓発イベントを開いた。新生活が始まる春に痴漢件数が多いという都の調査に基づいて企画した。2025年度より東京都、埼玉・千葉・神奈川県でSNSで情報発信にも取り組んでいる。
イベントには昭和鉄道高校と豊島学院高校の生徒が25人参加した。都のホームページにアクセスできるQRコードが載っているポケットティッシュを通行人に配った。
参加した生徒は「痴漢の被害に遭う女性が少しでも減るようと気持ちを込めて配った」と話した。
都は周辺の3県と鉄道事業者にも協力を呼びかける。SNSなどでの痴漢対策に関する情報の発信もする。
24年度に実施した都の調べによると、痴漢の発生時期は4月が16.3%、5月は14.3%と春に集中している。都の担当者は「被害者が声をあげるのは難しい。周囲の人が声をかけることが痴漢を防ぐ」と話した。
三井住友FG、中小開拓へ新サービス 銀行・カード一体[2025/04/15 19:27 日経速報ニュース 755文字 画像有 ]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を5月に始めると発表した。個人向けの「Olive(オリーブ)」に続き、1つの銀行口座で振り込みやカード決済など幅広い金融サービスを使える。デジタル人材の確保が難しい中小企業の業務効率化につなげ、法人口座や預金獲得を狙う。
スマホによる20分程度の手続きで最短翌営業日の口座開設を可能にする。1つの口座でカード決済や経費精算、資金管理を一括でできる仕組みだ。法人カード決済の利用限度額は最大10億円とする。
請求書の写真をスマホのアプリで読み込むと、振り込み予約までスマホで完結できるようになる。課題を与えると人工知能(AI)が情報を収集して判断する「AIエージェント」が資金調達手段などを助言する機能もつける。
中島達社長は同日の記者会見で「会社経営に必要な金融決済サービスをデジタルで切れ目なく提供する」と語った。三井住友カードの大西幸彦社長は「人手不足の深刻化で中小はデジタル化が大きな課題だ。社長が自ら財務経理をこなす負担を下げたい」と話した。
中小の利用を想定して金融サービスの料金も下げる。三井住友銀行間の振込手数料は無料にし、他行宛は一律で145円とする。通常は数百円がかかる。法人カードは24年に資本業務提携した企業向け決済サービスのインフキュリオン(東京・千代田)と開発し、AIによる与信で新設法人の発行のスピードを速める。
銀行間の預金獲得の競争は激しさを増している。
三井住友銀行は中小企業中心に法人向けサービスを提供し、今後3年で30万口座の獲得を目指す。中島社長は「新しい顧客を取りに行く。1法人1000万円程度の預金をいただける想定で、30万口座だと3兆円になる」との目標を示した。
AWS、日本で一時障害 スマホ決済などに支障[2025/04/15 18:41 日経速報ニュース 499文字 画像有 ]
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供しているクラウドサービスで15日、午後4時40分ごろから約1時間にわたり障害が発生した。東京近郊のデータセンターでクラウド運営に必要な仮想サーバー向けの電源が停止し、スマートフォン決済など幅広い利用企業のサービスが利用しづらい状況になった。
スマホ決済大手のPayPayは、午後4時40分ごろから25分程度、支払いやチャージ機能が利用しにくくなったと明らかにした。問題はすでに解消した。
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)が提供しているスマホ決済「au PAY」も午後4時43分ごろから、一時的にQRコードが表示されにくくなった。午後5時ごろに復旧した。AWSの障害が原因とみられる。
日本航空(JAL)は午後5時ごろから社内システムに障害が発生したことを明らかにした。AWSの障害が原因とみられるとしている。障害は30分ほど続いたがすでに復旧している。航空機の運航に影響はないという。
AWSは米アマゾン・ドット・コム傘下で世界のクラウドコンピューティング市場で約3割のシェアを握る最大手だ。国内でも利用企業が多く、広範なサービスに影響した。
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Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初[2025/04/15 18:41 日経速報ニュース 2070文字 画像有 ]
自社の検索サービスをスマートフォンの初期画面に搭載するよう要求したのは独占禁止法違反(不公正な取引方法)に当たるとして、公正取引委員会は15日、米グーグルに排除措置命令を出した。「人工知能(AI)検索」の台頭を背景に、欧米の競争当局と足並みをそろえ公正な競争環境の整備を急ぐ。
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巨大IT(情報技術)企業への命令は初めて。グーグルへの行政処分はデジタル広告事業で自主改善を約束させた2024年4月の「確約手続き」に続き2回目。端末メーカーなどとの取引における違反行為の影響の大きさを重くみて、再発防止などを求める排除命令に踏み込んだ。
命令としては初めて、グーグルから独立した第三者が再発防止の履行状況を5年間報告することも求めた。
グーグルは15日、「調査結果に遺憾の意を表明する。当社と日本のパートナー企業との契約は、競争を促し、各社の製品イノベーションへの投資を促進することで、消費者の皆様により多くの選択肢を提供してきたと考えている。今回の命令を精査し、今後の対応を慎重に検討する」とコメントした。
公取委が違反認定したのはグーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホに関する端末メーカーや通信事業者との2つの取引だ。
グーグルは遅くとも20年7月以降、アプリストア「プレイストア」のライセンス契約時に、メーカー6社に対して検索サービス「サーチ」やブラウザー「クローム」をユーザーの目に留まりやすいスマホの初期画面に設定するよう求めていた。国内で販売されたアンドロイド端末の8割が契約の対象だった。
検索を通じて得た広告収益の一部を分配する契約もメーカーや通信事業者5社と結んでいた。収益分配を受けるために、自社サービスを初期画面に配置するほか、他社サービスを搭載しないといった条件を全て満たす必要があった。
独禁法は有力な事業者が取引先に対し競合他社との取引を制限する行為を「拘束条件付き取引」として禁止している。公取委はグーグルの2種の契約が新規参入や競合他社との取引を妨げていたと認定した。
命令は自社サービスをスマホ初期画面に搭載するよう強いる行為や他社サービスの実装を妨げる行為の取りやめを求めた。広告収益の分配契約も適用条件を緩和し、メーカーの選択肢を広げる。
ウェブ解析の「スタットカウンター」によると、検索エンジンにおけるグーグルの世界シェアは25年3月時点で約9割となり、日本国内でも8割を超える。広く浸透した検索におけるユーザーとの接触機会の多さは同社の収益力の源泉となってきた。
検索分野では近年、生成AI技術の活用が進む。AIが人の意図をくんで文章の形で答える「対話型検索」はグーグルが強みとした従来の「キーワード型検索」に比べて利便性が高く、新興勢力も多くのユーザーを獲得している。
公取委は検索の主戦場であるスマホでグーグルが優遇される状況を放置すれば、新たなプレーヤーの参入余地が小さくなるとみた。命令を出した背景に、検索の市場で公正な競争環境の整備を急ぐ公取委の意図が透ける。
グーグルの検索サービスや取引契約を巡っては、複数の市場にまたがって影響を及ぼし合うことで不当に同社の競争力を高めていないか、各国の競争当局が監視を強めてきた経緯がある。
欧州連合(EU)の欧州委員会は18年、アンドロイド端末を製造するスマホメーカーに対し、検索サービスをアプリストアと抱き合わせた行為などがEU競争法(独禁法)違反にあたるとして43億4000万ユーロ(約7000億円)の制裁金を科した。22年のEUの一般裁判所も決定の大筋を支持した。
米司法省はアンドロイド端末における問題に加え、米アップルとの契約が反トラスト法(独禁法)に違反しているとして、20年にグーグルを提訴。連邦地裁は24年8月にグーグルの検索サービスが独占状態になっていると認定し、司法省は是正案としてクロームやアンドロイドなどの事業分割を求めた。
今回の公取委の排除措置命令は世界の競争当局の監視強化と歩調を合わせた形といえる。今後は命令により競争環境がどれだけ回復するかに焦点が移る。
排除措置命令に事業者が従わなければ懲役や罰金など刑事罰の対象になる。命令に不服があれば事業者が処分の取り消しを求めて提訴することもできる。
公取委は独禁法に加え、25年12月までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)との両輪でグーグル側に対応を迫る見通しだ。
スマホ新法はスマホのOSやアプリ配信で企業の競争を促すことを目的とする。検索分野ではブラウザーなどをユーザーが選択できるよう複数サービスの表示を義務付けた。アプリ配信や決済でも他社の参入を妨害する行為を禁止する。違反が認定されれば、違反分野の売上高の20%を課徴金として納付するよう命じる。
公取委は3月、グーグルのほかアップルとその子会社のiTunesを対象にすると発表した。デジタル分野に関わる専門人員を拡充し、新法下で規制の実効性を高める方針だ。
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外為17時 円相場、続落 米関税懸念が和らぐ 対ユーロは4日ぶり反発[2025/04/15 17:43 日経速報ニュース 745文字 ]
15日の東京外国為替市場で、円相場は続落した。17時時点では前日の同時点に比べ16銭の円安・ドル高の1ドル=143円22~24銭で推移している。トランプ米政権の関税政策を巡る懸念がいったんは和らぎ、世界景気が減速するとの過度な警戒感が後退した。日米の株式相場の上昇で投資家心理が改善し、「低リスク通貨」とされる円には売りが優勢だった。ただ、日米の関税交渉が始まるのを前に不透明感は強い。円売り・ドル買いが一巡すると、円相場は上昇に転じる場面があった。
トランプ米政権は相互関税の対象からスマートフォンや半導体製造装置などの電子関連製品を除外したほか、14日には自動車関税でも救済措置を検討する考えを示した。14日の米株式相場や15日の日経平均株価の上昇を受けて、これまで積み上がった円買い・ドル売りの持ち高をいったん解消する円売り・ドル買いが出て、一時は143円60銭近辺まで下落した。
15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。国内輸入企業など実需筋の円売り・ドル買い観測も円相場を押し下げた。
もっとも、円相場は上昇に転じる場面があった。15時すぎには142円台後半まで上げ幅を広げた。この先の関税政策を巡る不透明感は根強く、円買い・ドル売りが優勢となった。
円は対ユーロで4営業日ぶりに反発した。17時時点では同24銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=162円70~75銭で推移している。
ユーロは対ドルで5営業日ぶりに反落した。17時時点は同0.0029ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.1360~62ドルで推移している。前日までにユーロ買い・ドル売りが進んでいた反動で、持ち高調整目的の売りが優勢だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
Googleに3方向から迫った公取委、アプリ内課金も審査[2025/04/15 17:00 日経速報ニュース 1934文字 画像有 ]
公正取引委員会が15日、米グーグルに初めて排除措置命令を出し、同社への審査は区切りを迎えた。審査は3年以上前にアプリ内課金を対象に始まり、最終的に3分野に及んだ。先行する欧米では規制や処分の「抜け穴」も指摘され始めている。今後は2025年末までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)による監視の実効性が問われる。
【関連記事】Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初
「(命令は)生活必需品となっているスマートフォン分野における競争環境の整備に大きく寄与する」。公取委の大胡勝審査局長は15日、記者会見でグーグルへの命令の意義を強調した。
関係者によると、公取委は15日の「検索」と24年に行政処分を出した「広告」に先行し、水面下で「アプリ内課金」を審査していた。
公取委が「本丸」と位置づけていたのが祖業である検索分野の審査だ。23年10月に始まり、巨大IT(情報技術)企業を念頭に導入した「第三者からの意見募集」を初めて実施した。「審査テーマを明らかにしたことで利害関係者が協力しやすくなる利点があった」(公取委幹部)。消費者からも情報が得られたという。
グーグル側は審査終盤、自主的な改善計画を公取委が認める「確約手続き」の利用を模索したが、公取委は認めなかった。明確に違反を認定する排除措置命令に踏み切り、命令では最長となる5年間の報告期間も義務付けた。
一方、広告分野では公取委が24年4月にグーグル側の改善計画を認定し、確約手続きで矛を収めた。対象となったのは、グーグルが検索技術などを提供していたLINEヤフーに対し、取引先のポータルサイト側への検索連動型広告の配信を一部制限していた行為。グーグルは改善計画の履行状況を3年間報告するとした。
公表されていた審査はこの2件だが、公取委は3年以上前には、他の決済事業者を排除している恐れがあるとして、スマホアプリでの決済手段を巡る取引の審査も着手していた。
ゲームで使うアイテムや、サブスクリプション契約をアプリ内で購入する決済手段は、アプリストアを持つグーグルと米アップルの寡占状態にある。グーグルは規約で物理的な商品などを除く課金は同社の決済手段を原則利用するよう求めている。
アプリ事業者は最大30%の手数料を支払う必要があり、外部決済の利用や手数料減額を望む声は大きかった。
だが、独占禁止法に基づく措置は見送るもようだ。25年内に施行するスマホ新法に同様の行為を禁じる規定が盛り込まれ、立証のハードルが高い独禁法の措置ではなく、新法下での監視に委ねることが妥当だと判断したとみられる。
スマホ新法は米側から「非関税障壁」に当たるとの見方もされたが、米通商代表部(USTR)が3月31日に公表した報告書には盛り込まれなかった。
新法の施行を前に、モバイルゲームの分野ではアプリの外で決済が出来る「ウェブ課金」の仕組みが一部で広がりつつある。デジタルガレージやGMOグループ、ソニー系の決済事業者が参入に名乗りを上げている。
グーグルに対する一連の審査は節目を迎えたが、今後はスマホ新法の「事前規制」が巨大IT企業の監視において大きな役割を担う。
新法は巨大ITによる独占是正を目的とし、指定された事業者に一定の義務を課す。検索サービスの自社優遇や、アプリストア・決済サービスで他社の参入を妨げる行為を禁じるなど、審査してきた対象と重なる部分が多い。
違反行為は売上高の20%の課徴金納付が課され、抑止効果も期待できる。公取委は3月末に新法の対象企業をグーグルとアップル、同子会社のiTunesの3社にすると発表した。担当する新部署を4月に発足し、今後はデジタル分野に関わる人員を現状の3倍の50人規模に増やす。
公取委は巨大IT向けの対応を強化しているが、法的措置や法規制で先行する海外では規制や処分の「抜け穴」を突いて支配力を維持しようとする動きも出始めている。
24年3月にデジタル市場法(DMA)が全面施行された欧州では、米アップルが他業者のアプリストア参入を認める一方で、ストアを利用する場合に別の新たな手数料を導入した。欧州委員会は同年6月、追加手数料の徴収がDMA違反にあたる可能性があるとして調査を始めると発表した。
米国でも司法省が反トラスト法(独禁法)訴訟でグーグルのネット閲覧ソフトやスマホ向け基本ソフト(OS)事業などの売却を求める策を示し、分割を拒否するグーグル側と対立の構図が続く。
巨大ITが新法の施行を受けて国内市場でどのように対応するか、不透明な部分も多い。公取委は新法でカバーできない分野でも競争を阻害する行為は独禁法に基づく措置も辞さないとみられる。審査と規制の車の両輪による監視体制の強化を急ぐ。
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巨大ITに監視強める公取委 過去にAmazon・Appleも審査[2025/04/15 16:00 日経速報ニュース 583文字 画像有 ]
公正取引委員会が巨大IT(情報技術)企業に初めて排除措置命令を出した。公取委は2010年代以降、米アップルやアマゾンジャパンも審査。早期の是正を優先し、これまでは違反行為を認定せずに改善策を提出させたり、規約を変更させたりして終わることが多かった。
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米アップルは公取委の審査を経て22年にアプリの決済手段の制限を改善。アマゾンジャパンは17~20年に電子商取引(EC)サイトの納入業者に最安値の出品を保証させる条項を廃止し、納入元に値引き分を補させる行為について約20億円を返金する改善計画を提出した。
デジタル市場は技術やサービスの変化が激しいため、自主的に必要な改善策を出させ、早期に是正する手法が有効とされてきた。グーグルが競合するLINEヤフーの広告配信を制限した問題でも、違反を認定せずに改善計画を認める「確約手続き」で審査を終えた。
今回、公取委が命令に踏み切った背景に、検索市場におけるグーグルの圧倒的な寡占状態への危機意識がある。ユーザーの利用データが集まるほど精度が上がり、広告収入も増える検索で、明確な違反認定が必要だと判断したとみられる。
公取委が巨大ITに対しても命令を出しうるとの認識が広がれば、事業者側が自ら改善策をとる動機が生まれやすい。公取委幹部は「競争確保のため、日本の競争当局の姿勢を示す必要があった」と命令の意義を強調した。
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外為12時 円相場、小幅安 143円台前半 米関税懸念が一巡[2025/04/15 12:33 日経速報ニュース 676文字 ]
15日午前の東京外国為替市場で、円相場は小幅に下落した。12時時点は1ドル=143円09~11銭と前日17時時点と比べて03銭の円安・ドル高だった。トランプ米政権の関税政策を巡る過度な警戒感がいったんは和らいだとして、日米の株式相場が上昇した。「低リスク通貨」とされる円に積み上がっていた円買い・ドル売りの持ち高を解消する円売り・ドル買いが優勢だった。実需の円売り・ドル買い観測も円相場の重荷だった。
円相場は一時、143円60銭近辺まで下落した。15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。10時前の中値決済に向けて「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との見方があり、国内輸入企業などによる実需の円売り・ドル買い観測が相場を押し下げた。
ただ、円売り・ドル買いが一巡した後は下値を探る動きは限られた。日本時間15日午前の取引で米長期金利が低下幅を広げており、日米金利差の縮小を意識した円買い・ドル売りが相場の下値を支えた。16日から日米関税交渉が始まるのを前に、為替が議論に上るとの思惑が根強いことも円相場の底堅い動きにつながった。
円は対ユーロで上昇した。12時時点は1ユーロ=162円44~47銭と、同50銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.1352~53ドルと同0.0037ドルのユーロ安・ドル高だった。米関税政策への警戒感から前週にユーロ買い・ドル売りが進んでいたため、持ち高調整を目的としたユーロ売りに押された。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
DTS、東北システムズ・サポートが超小型のウェアラブル型RFIDリーダーを発売[2025/04/15 12:13 日経速報ニュース 841文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月15日
【DTS】東北システムズ・サポートが超小型(5×6cm)のウェアラブル型RFIDリーダー発売
ハンズフリーでICタグ読み取り、ピッキング現場に業務革新を
株式会社DTS(東京都中央区、代表取締役社長 北村 友朗)のグループ会社で、RFIDの技術を活用した自動認識読み取り機器と、それに関連したソフトウェアソリューションを提供している株式会社東北システムズ・サポート(本社:仙台市青葉区/代表取締役社長:下川潤/以下、TSS)は、2025年4月15日(火)、近距離読み取りに特化したUHF帯RFIDリーダーとして、ウェアラブル型の「MR20」およびバーコードスキャン機能搭載のハンディ型「SR160」を発売しました。これまで個別アイテムを正確に識別する必要のあるピッキング業務には、RFIDの導入は難しいとされてきましたが、今回発売した近距離読み取りに特化したRFIDの誕生により、作業のスピードと正確性を飛躍的に向上させることが可能となります。
【RFIDとは】
RFID(Radio Frequency Identification)は、ICチップとアンテナを内蔵したタグの情報を、電波を利用して非接触で読み書きする自動認識技術です。バーコードが視認・スキャンによる「目で見る」作業を必要とするのに対し、RFIDはタグが見えなくても電波が届く範囲内で瞬時に読み取ることが可能なため、大量の商品や部品を高速に一括検知できる点を特徴としています。
※参考画像は添付の関連資料を参照
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689776/01_202504151211.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689776/02_202504151211.pdf
3月後半の消費、4.1%増 値上げ控え酒屋やコンビニ増加[2025/04/15 12:06 日経速報ニュース 383文字 ]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは15日、クレジットカード決済額に基づく3月後半の消費データを発表した。名目で前年同期比4.1%増えた。コンビニや酒屋など飲食料品小売業の消費が好調だった。アルコール大手各社による4月からの値上げ前に駆け込み需要が起きたとみられる。
「飲食料品小売業」は3月前半から0.3ポイント増加し、前年同期比では6.2%のプラスだった。業種別にみるとコンビニは前年同期比で4.7%、酒屋が13.4%増えた。
サービス消費では、ホテルや旅館など「宿泊」の消費は2.1%増だった。「外食」は3月前半から3.8ポイント減少したものの前年同期比では5.6%プラスだった。
ナウキャストは「3月全体で見ると各消費はおおむね良好である」と評価した。一部での値上げ前の駆け込み需要については「消費の反動減につながるため、注視する必要がある」と指摘した。
外為10時 円相場、下げ幅拡大 143円台半ば、中値「ドル需要強い」[2025/04/15 10:32 日経速報ニュース 434文字 ]
15日午前の東京外国為替市場で、円相場は下げ幅を広げている。10時時点は1ドル=143円48~49銭と前日17時時点と比べて42銭の円安・ドル高だった。国内輸入企業による実需の円売り・ドル買い観測が円相場の重荷となった。米関税政策への警戒感がやや和らぎ、積み上げた円買い・ドル売りの持ち高を巻き戻す動きも出ている。
15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。10時前の中値決済に向けては「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。実需筋の円売り・ドル買いが出たとの見方が円相場の下押し圧力となった。
円は対ユーロで伸び悩んでいる。10時時点では1ユーロ=162円56~59銭と、同38銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで下げ幅を広げた。10時時点では1ユーロ=1.1329~31ドルと同0.0060ドルのユーロ安・ドル高だった。対円でのドル買いが対ユーロに波及した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
PayPay決済、自動引き落とし可能に 傘下銀行口座から即時[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン決済のPayPayは買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。今は代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。システム開発を終える2025年末までにスタートする。
現在、PayPayを使うには2つの手法がある。一つは銀行口座からのチャージやATMからアプリに入金する「赤PayPay」。もう一つはクレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」だ。
新たに追加するのは「紺PayPay」。アプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組み。紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落とされる。PayPayの利用者は現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は約860万に上る。
PayPay銀行はこれに先駆け、15日にも口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能をアプリに搭載する。引き落とされる直前まで預金扱いになるため、利息を受け取れる。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
米テック株急落、新NISA苦戦 人気10投信、年初来17%下落 含み損で「様子見」強まる[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
(越智小夏、杵渕純平)
追い証 信用取引の追加保証金(市場を知るニュースワード)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式なども差し入れられます。担保は信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡り2つの売りが出るとされます。まず株価下落で含み損が大きくなり、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられないと証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
コンビニ、人材確保へ奔走 3社出店拡大 セブン、紹介料2倍も[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 987文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は出店拡大に向け、人材確保に奔走する。IT(情報技術)の活用による省人化策に加えて、人材紹介に報奨金を払うなどの施策も広がる。(1面参照)
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
勤務期間が他店を含め通算5年以上で、今のオーナーの店舗で2年以上働いていることが条件となる。候補者がその店舗でオーナー研修や店舗責任者の研修を両方受講した場合、従業員の紹介料は以前の100万円から倍増する。どちらかの研修だけの場合は150万円、候補者が退職した店で研修を受けた場合は100万円が渡される。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。
日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。働き手を呼び込むためには、デジタル技術を活用した従業員の負担軽減策も欠かせない。
ファミリーマートは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどに設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。ベテラン従業員が複数の店舗を管轄してサービスを向上させるといった使い方も想定される。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
PayPay、海外決済と連携[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 201文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」などに対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。
新社会人のクレカ選び 「会費」「還元率」「経済圏」を確認[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 35ページ 806文字 PDF有 書誌情報]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎)
3Graphicsのまとめサイトはこちら(https://www.nikkei.com/theme/?dw=23061500)
万博に長蛇の列、解消探る 来場者、正午ごろに集中 通信改善へ移動基地局(EXPO2025)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 1598文字 PDF有 書誌情報]
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大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐ。
(大阪・関西万博取材班)
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
盛岡の地域通貨「モリオペイ」 セブンで決済・入金可能に アプリ拡充 利用者・加盟店2割増へ[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 東北 2ページ 1142文字 PDF有 書誌情報]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは(1)スタンプラリー機能(2)会員証機能(3)ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
公共交通「万博仕様」に JR西、桜島駅へ臨時快速 大阪メトロは決済5種類に対応[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 528文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕し、公共交通機関も運行ダイヤや駅構内の設備を「万博仕様」にシフトした。JR西日本は会場近くの桜島駅につながる臨時快速を投入。大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅改札を、クレジットカードなど5種類の決済方式対応にした。開幕日の13日は改札機の利用でとまどう人など一部で混乱もみられた。
JR西は東海道・山陽新幹線の新大阪駅にボランティアが万博会場まで道案内する窓口を設置した。
新大阪駅と桜島駅を結ぶ臨時快速列車「エキスポライナー」は上下計26本運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連の映像を上映し、万博に向かう利用客のワクワク感を高めていた。
大阪メトロは夢洲駅で、交通系ICカードや磁気券に加え、クレカやQRコード決済、顔認証の機能がついた改札機をそろえた。外国人客などの利便性を高める目的があったが、クレカのタッチ通過がうまくいかず駅員に問い合わせる場面もあった。
13日は夢洲駅前で大規模な混雑が発生したが、関西国際空港や都心部のターミナル駅では目立つ混乱はなかった。
ただJR西の大阪環状線と夢洲駅につながる大阪メトロ中央線の乗り換えポイントである弁天町駅では、入場制限も行われた。
地方税の納付 スマホもOK 高知信金、手数料無料[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 418文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
JR元社長唐池氏が語る「感動経営」 工藤公康氏のリーダー論も、5月に福岡で[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 427文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社とTVQ九州放送は5月、地域経済の最前線を取材する映像記事コンテンツ「LBSローカルビジネスサテライト」の関連イベントを福岡市内で開きます。
豪華観光列車「ななつ星in九州」の開発を指揮したJR九州元社長の唐池恒二氏が「感動」をキーワードに地方創生や経営哲学を語ります。福岡ソフトバンクホークス元監督の工藤公康氏はチームを常勝集団に育てるリーダー論を話します。各氏の聞き手は日経編集委員が務めます。LBSで取り上げた地域企業の経営者らの対談も予定しています。
イベント終了後に登壇者らとのビジネス交流会を予定しています。
◇日時 5月29日(木)12時40分~17時35分(時刻は予定)
◇会場 電気ビルみらいホール(オンラインでも同時配信)
◇詳細・申し込み QRコードからご確認ください(参加無料、事前登録制。応募者多数の場合は抽選)
◇協賛 HESTA大倉、マネーフォワード、ワランティテクノロジーほか
◇協力 中小企業基盤整備機構
信越の地場スーパー、キャッシュレス決済拡充 綿半HD、クレカでポイント特典/アクシアル、日常購入品にクーポン[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 1366文字 PDF有 書誌情報]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高め、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
だんじり巡る街の近代建築、大阪・岸和田 細部に意匠光る 屋上で観覧も(街エクスプローラー)[2025/04/15 日本経済新聞 大阪夕刊 29ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
大阪府岸和田市には大正から昭和期に建てられた名建築が残る。紡績やレンガ製造を手掛けた地方財閥の栄華の歴史を映す。社交場の会館、教会、旧銀行などその数は10以上。建物内外に建築家の意匠が光る。街の魅力は山車が駆け巡るだんじり祭にとどまらない。官民で保存や活用も進む。
南海電気鉄道岸和田駅から西に徒歩10分。南欧風の洋館、自泉会館が立つ。ユニチカの前身の一つ、岸和田紡績の社交場は、関西ゆかりの建築家、渡辺節の設計。代表作「綿業会館」(大阪市)と同時期の1932年に建てられた。
イスラム調のタイル張りの暖炉に、コンクリートを木目調に仕上げた梁(はり)などの意匠が目を引く。渡辺建築の特徴である豪華な金属製の手すりや扉は戦時中の金属供出で失われた。岸和田市郷土文化課の山岡邦章さん(54)は「その歴史を含めて価値がある」。
会館は43年に市に寄贈された。文化施設となった現在は年約4千人が利用する。音響に優れ、弦楽器の演奏会で使われる。2022年には同市出身の現代美術家、塩田千春さんの展覧会も開かれた。
岸和田城の周辺1キロ圏内には10棟以上の近代建築が残る。なぜか。大阪歴史博物館の阿部文和学芸員(建築史)に聞くと「寺田財閥の影響が大きい」という。
寺田家は江戸時代から酒造業を営んだ。実業家の甚与茂は1887年、別の事業者と第一煉瓦製造(後の岸和田煉瓦)を設立し、94年には岸和田紡績を開業した。岸和田は府内でも有数の工業地帯に成長した。
岸和田紡績が1941年に大日本紡績に吸収合併された後も、甚与茂の息子、甚吉らは鉄道、金融業などで地域の発展に貢献したという。現存する近代建築の大半は寺田財閥の最盛期の大正時代から昭和前期に建てられたものだ。
100年以上の歴史がある日本聖公会岸和田復活教会は、レンガの街の歴史を伝える。日本家屋が立ち並ぶ通りで、赤レンガ塀が異彩を放つ。岸和田煉瓦製を示す×印は残っていないが、同社製との説が有力だ。
経年でレンガにひびが入り、司祭の石垣進さん(78)は撤去も考えた。信者の「残したい」との声を受け、2024年に補修した。見学者も絶えないという。
銀行や信用金庫も目立つ。赤と白のツートンカラーの旧四十三銀行岸和田支店や、渡辺節の門下生、村野藤吾設計の旧泉州銀行本店などが点在する。
旧和泉銀行本店は国の登録有形文化財だ。寺田家が1933年に建てた後、複数の銀行・信金の本支店として活用されてきた。2004年に信金から購入した市内在住の元会社経営者、久場共見子さん(83)は「屋上でだんじりを見たかったから」と豪快に笑う。
壁面にタイルを施した2階建ての建物は紀州街道沿いに立地。だんじり祭の山車が辻々を直角に曲がる「やりまわし」の観賞にはうってつけだ。毎年、祭りの日に屋上を開放し、100人以上が集まる。
改修で竣工当時の姿を再現した。後年設置されたつり天井は撤去する一方、金庫室の扉は残した。「壊すのは簡単だが二度と同じものはつくれない。街の人に大事に使ってもらい、次世代に引き継ぐ」(久場さん)。イベント会場としても貸し出す。
戦災を免れた岸和田には近代建築以外にも江戸時代の町屋が並ぶ本町地区など歴史的建造物が多い。学芸員の阿部さんは「江戸から現代に至る建築史の一端を短時間でたどれるのが岸和田の面白さだ」と話す。(中田みなみ)
推しビュー
五風荘の日本庭園
街のシンボル、岸和田城のすぐ南にある「五風荘」は純和風の近代建築だ。昭和初期、寺田家の邸宅として建てられた。茶の三千家の1つ、武者小路千家の三代木津宗詮が設計した。約7千平方メートルの広大な敷地に主邸と3つの茶室、日本式庭園をそなえる。建物はどれも良質な木材が使われている。柱の多くは四面全てに節のない最高級の角材「四方柾目」を採用した。同市郷土文化課の山岡さんは「材木への強いこだわりは、だんじり制作にも通じる」と話す。いまは料亭となり、庭園の景色を見ながら会席料理を楽しめる。
こちらのQRコードを読み込むと、インスタグラム「NIKKEI関西」の投稿をご覧いただけます。
【図・写真】経済人の社交場だった自泉会館のホールは音響に優れ、演奏会も開かれる
高知信用金庫、地方税の納付方法を拡大 スマホでも[2025/04/14 20:21 日経速報ニュース 418文字 画像有 ]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
信越のスーパー、キャッシュレス決済拡充 利便性を向上[2025/04/14 20:00 日経速報ニュース 1368文字 画像有 ]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高めつつ、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
「並ばない万博」なぜ行列 正午ごろ人出急増、対応に遅れ[2025/04/14 19:45 日経速報ニュース 1598文字 画像有 ]
大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐが、構造的な問題も多い。
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
(大阪・関西万博取材班)
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ポイント大手「モッピー」、覆面調査で還元 最大全額も[2025/04/14 18:38 日経速報ニュース 745文字 画像有 ]
ポイントサービスサイト大手の「モッピー」を運営するセレスは近く、覆面調査をしたサイトの会員にポイントを付与するサービスを始める。外食店での異物混入などが相次ぎ、企業側の覆面調査への需要は高い。会員である消費者側も物価高で家計負担を減らしたいと考える人が増えている。新サービスでサイト利用者拡大につなげる。
「モッピーフクモニ」の名称で新サービスを始める。覆面調査サービス大手であるファンくる(東京・千代田)と組み、全国約1万件の外食店や美容院などを対象に商品やサービスを企業側に知られずに評価してくれる会員をサイトで募集する。
応募して当選した会員は飲食店などを利用する。後日、接客態度や店内の清潔さといったアンケート項目に答えて、店などの利用時のレシートを提出すると最大全額分のポイントが還元される。今後、外食店や美容院など以外の分野も追加する予定だ。
モッピーは累計会員数(2025年3月末時点)が1200万人超にのぼる。企業から広告料を受け取ってポイントの原資に充て、会員に付与する形のポイントサイトでは国内最大級だ。
モッピーでは会員がサイトに掲載されている商品やサービスを買った場合に、広告主である企業が成果報酬をセレスに支払う。そのうち7割程度がポイントとして会員に還元される仕組み。1ポイント=1円相当で、PayPayなどの電子マネーや銀行振込を介した現金など約50種類のサービスに交換できる。
矢野経済研究所(東京・中野)によると、国内のポイントサービスの市場規模は2026年度には23年度比14%増の3兆円超となる見通しだ。物価高を受けて消費者の生活防衛意識が強まり、ポイントを足しにしたいと思う人が増えている。モッピーの会員数も市場規模拡大に合わせて堅調に伸びている。
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大阪万博、つながりにくさ改善へ移動基地局 通信各社[2025/04/14 18:29 日経速報ニュース 321文字 画像有 ]
大阪・関西万博初日の13日、混雑により会場でインターネットがつながりにくくなったことを受けて、通信キャリアが対策に乗り出した。ソフトバンクは14日までに自動車に通信設備を搭載した移動型基地局を配備した。今後も会場では多くの人出が予想され、事態の改善を急ぐ。
NTTドコモと楽天モバイルも移動型基地局の配備を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」としており、設置場所や台数について調整を進めている。KDDIも移動型基地局の配置を検討している。
13日は万博会場入り口となる東ゲート付近に多くの来場者が並び、一時的にスマートフォンなどがつながりづらくなった。入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルが発生していた。
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コンビニ3社、店舗増7年ぶり高水準へ 工場などに省人店-【イブニングスクープ】[2025/04/14 18:00 日経速報ニュース 1533文字 画像有 ]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は2025年度に最大で約400店増やす。純増数は18年度以来7年ぶりの高水準となる。国内市場が成熟するなか、小型店で企業のオフィスや工場の従業員向け需要を取り込む。無人レジやロボット技術を活用し、少ない人数でも出店できる体制を整えた。
セブンは223店の純増と、18年度以来の高水準となる。東京都や大阪府など都市圏で開業が相次ぐ大型再開発ビルの需要を取り込む。
ファミリーマートは100店程度と、20年度以来の純増を見込む。増加数はサークルKサンクスと経営統合した16年度以降で3番目の規模となる。ローソンは具体的な店舗数は明らかにしなかったが、3年連続の純増を計画する。
日本フランチャイズチェーン協会によると、24年末のコンビニの店舗数は5万5736店と、21年の5万5950店をピークに成長が頭打ちとなっている。ドラッグストアや電子商取引(EC)との競争も激しくなり、不採算店舗の閉店や移転など既存店の見直しを進めてきた。
新型コロナウイルス禍後の人流の回復などを受け、店舗数を増やす。ただ、市街地や道路沿いの出店余地は小さくなっており、効果的な店舗戦略を模索する。
セブンは企業の工場や研究所といった事業所内で床面積が従来の4分の1ほどの小型店の出店を増やす。ファミマは日本郵便と連携し、郵便局内に棚や冷蔵ケースを置いた小型店を出す。
事業所内の小型店舗は設置コストを抑えられるほか、来店者数の属性や商品の売れ行きを予想しやすい。受け入れ側の事業所も従業員や利用者の利便性向上につながるなどのメリットがある。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
出店には人材確保が欠かせない。24時間営業や多様なサービスに対応する従業員の負担軽減に向け、IT(情報技術)を導入する動きも広がる。
ファミマは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。2月末までに46店を出店しており、今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどにも設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
コンビニ各社は10年代半ばまで年1000店以上のペースで新規出店を続け、売り上げ規模や商品の調達力を高めてきた。25年度の純増数は当時に比べると小さい。コンビニ市場が成熟するなか、1店舗あたりの収益力向上が求められている。
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PayPay、傘下銀行から自動引き落としOK チャージ不要[2025/04/14 17:28 日経速報ニュース 633文字 画像有 ]
スマートフォン決済のPayPayは2025年、買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。現在は主に銀行口座やATMから代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。ATMなどからチャージする手間を省くことで利便性を高める。
現在、PayPayを使うには、銀行口座やATMから代金をチャージする「赤PayPay」と呼ぶ手法と、クレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」と呼ぶ手法がある。
新たに追加するのはアプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組みで、紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落としされる。PayPayの利用者が現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は、約860万にのぼる。
PayPayに先駆け、決済時に口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能を15日にもPayPay銀行のアプリに搭載する。銀行口座から引き落とされる直前までは預金扱いになるため、利用者は利息を受け取れるメリットがある。PayPay銀行では預金量に応じて金利が変わる。29歳以下の場合100万円以上預けると年0.4%と高水準な金利がつく。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
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三菱UFJ eスマート証券、「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービスを提供開始[2025/04/14 17:22 日経速報ニュース 1050文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービス提供開始へ(4月21日予定)
三菱UFJ eスマート証券株式会社(代表取締役社長 飛松 一樹、以下「当社」)は2025年4月21日(月)より、三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田 典彦、以下「三菱UFJニコス」)が発行している三菱UFJカードでの決済による投資信託の積立サービス(以下「三菱UFJカード積立(投資信託)」)のご提供を開始します(予定)。
当社は既に、「au PAY カード積立(投資信託)」をご提供していますが、今般の「三菱UFJカード積立(投資信託)」の追加により、お客さまの選択肢が増えることになります。
なお、これに伴うキャンペーンも計画していますので、どうぞご期待ください。
※参考画像(1)は添付の関連資料を参照
三菱UFJカード積立(投資信託)は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(取締役 代表執行役社長 グループCEO 亀澤 宏規、以下「MUFG」)のグループ各社との協働の一環としてご提供します。
※参考画像(2)は添付の関連資料を参照
また、当社を含むMUFGグループ各社は、インターネットバンキングの「三菱UFJダイレクト」を中心に、お客さまのお役に立つ各種サービスを準備しています。今後、各サービスの内容や開始時期などが決まり次第、適宜、ご案内します。
※参考画像(3)は添付の関連資料を参照
以上
●三菱UFJ eスマート証券株式会社
・金融商品取引業者登録 : 関東財務局長(金商)第61号
・銀行代理業許可 : 関東財務局長(銀代)第8号
・電子決済等代行業者登録 : 関東財務局長(電代)第18号
・加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 日本STO協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/01_202504141721.jpg
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/02_202504141721.jpg
参考画像(3)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/03_202504141721.jpg
シチズン・システムズ、業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売[2025/04/14 15:19 日経速報ニュース 1211文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2024年01月16日
カラータッチパネルを搭載、ビジュアルガイドにより操作性を向上した新製品
業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売
~高耐久・前面操作でご好評のロングセラー当社最上位モデル~
シチズン時計株式会社の連結子会社であるシチズン・システムズ株式会社(本社 : 東京都西東京市・社長 : 向島克敏、以下当社)は、カラータッチパネルによる新機能を搭載し、高速印字に対応した業務用ラベルプリンター「CL-S700III」及び「CL-S703III」を2024年1月16日より販売します。
<業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」>
■発売日 : 2024年1月16日
■モデル : 2モデル CL-S700III(印字解像度203dpi)、CL-S703III(印字解像度300dpi)
■価格 : オープン(参考価格 CL-S700III : 418,000円税込、CL-S703III : 440,000円税込)
*製品画像は添付の関連資料を参照
コロナ禍に、世界的に急拡大したECビジネスによりラベル需要は物流用途を中心に伸長する一方で、労働力不足に対応した業務の省力化が求められています。
当社の主力製品であるCL-S700シリーズは、熱転写リボンのテンションを自動で一定に保つシチズンオリジナルのARCP機構(※1)採用により、極小精密ラベルなど多様な用紙の印字ズレや汚れを防止。また、大容量リボン・大径ロール紙の搭載による長時間連続印刷に適した最上位モデルです。
今回の新製品「CL-S700III/CL-S703III」は、信頼性の高い耐久構造、素早い用紙セットと省スペースを両立し、任意の位置で止まる安全なカバーのフルオープンメカニズムはそのままに、新たにカラータッチパネルを搭載しました。ビジュアルガイドにより直観的な操作が可能となり、印刷時にはプレビュー表示により用紙の無駄を削減します。エラーが発生した際にはパネルに表示されるQRコード(R)からウェブマニュアルの参照ができ、トラブルや誤操作によるロスタイムを削減できます。また、当社前モデルから印字スピードを17%向上させた最大305mm/秒(※2)を実現し、ユーザーメモリーを6倍に増強(※3)、プリンターフォントの拡充(※4)といった基本機能を充実させ、ラベル発行の更なる効率化を図りました。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
製品画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/667039/01_202504111906.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/667039/02_202504111906.pdf
新NISAで人気の投信、年初来17%下落 米テック株安響く[2025/04/14 15:00 日経速報ニュース 1832文字 画像有 ]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
円高も逆風に
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数MSCI「オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
売却は焦らず
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
トランプ政権は11日に相互関税の対象からスマートフォンなどを除外したが、13日には新たな半導体関税に組み入れると表明した。政策の不安定さや世界経済の先行き不安は拭われていない。
(越智小夏、杵渕純平)
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・株価急落でもオルカン流入超 個人のパニック売り少なく
PayPay、タイ電子決済「ビッグペイ」などと連携[2025/04/14 13:32 日経速報ニュース 386文字 画像有 ]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」に対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。
店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。14日からカザフスタンで普及する「カスピ」を加えた4サービスと連携した。PayPayの連携先は14カ国・地域で使われる計25サービスまで増える。
PayPayは18年の「支付宝(アリペイ)」を皮切りに海外の決済サービスとの連携を進める。訪日客数で上位10カ国のうち7カ国の決済サービスに対応する。国内の電子決済市場の競争は激しく、訪日客の決済需要の取り込みにも力を入れる。
大阪万博、地下鉄は何度も入場規制 バスは予約優先[2025/04/14 13:08 日経速報ニュース 2474文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、会場の夢洲(ゆめしま)につながる公共交通機関がフル稼働した。関西国際空港や都心部のターミナル駅では混乱は見られなかったが、帰宅ラッシュ時にはシャトルバスなどが予約で埋まり、地下鉄に乗るための長い行列ができた。「並ばない万博」を掲げてパビリオン同様に交通利用も予約中心になったことで、柔軟な対応が難しくなる課題が浮き彫りとなった。
関空客「開催初めて知った」 バス予約アプリに不満
午前9時、関西国際空港第1ターミナルの国際線到着口から出てきた50代ドイツ人夫婦は、真上につり下がる万博のバナーを見上げて「エキスポが大阪で開催されるのは初めて知った」と笑う。関空からは会場へのシャトルバスも発着するが、10時発車のバスに乗り込んだのは近隣住民や国内客が大半。バス関係者は「まだ直行便の知名度がないからですかね」と話す。
利用には関西鉄道7社などが提供する「KANSAI MaaS」のアプリでの会員登録と便の予約が必要だ。バスを利用しようとした岡山県の男性は「予約が必要だと知らなかった。手続きがとても複雑だ」と眉をひそめた。
新大阪駅に案内ボランティア 臨時快速で機運醸成
東海道・山陽新幹線の新大阪駅には、大阪府・市がボランティアの案内窓口を設置し、万博客の道案内などを行った。東京都渋谷区から訪れた杉浦貴史・梅子さん夫妻は、「70年万博に行ったことがある92歳の父親を連れてきたい」と、車いすでも行きやすいルートを問い合わせていた。
JR西日本は新大阪からは、シャトルバスと接続する桜島駅への臨時快速「エキスポライナー」を運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連映像を流しながら、15分ほどで運行した。山陽新幹線では人気漫画「ワンピース」とコラボした車両の運行も12日から始め、万博を契機とした観光輸送の強化へ向けた準備が進んでいた。
会場行き地下鉄は増発、駅で入場制限も
夢洲に直接乗り入れる唯一の鉄道である大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線は、開会前の午前8時台には2分半間隔の臨時増発ダイヤを組んだ。大阪メトロ全体でピーク時に会場輸送の58.6%を担うとされる。会場へ向かう便では、開会式前後では大きな混乱はなかったが、昼ごろには御堂筋線と接続する本町駅や、JR大阪環状線と接続する弁天町駅で混雑が発生。弁天町駅では入場制限も行った。
万博開幕に向けて開業した夢洲駅は、広い改札口に16台の改札機を1列に配置。交通系ICカードや磁気券だけでなく、クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済、顔認証も導入し、各国の利用者の利便性を意識した。ただ、クレカのタッチがうまくいかず行列ができ、駅員に問い合わせる場面もあった。
会場行きシャトルバス、ピーク後は空席目立つ
南海難波駅直結のバスターミナルから万博会場に向かうシャトルバスは、12時過ぎまでのほぼ全便が満席で、外国人の姿も見られた。JR桜島駅から発着するシャトルバスは、午前8~10時発の便は完全予約制だったが、それ以外は予約なしでも空席が目立つ時間も。
桜島駅のバスターミナルの係員は「帰りは相当混雑すると予想されるので早めに予約を」と呼びかけた。ただ、シャトルバスを利用した東京都新宿区の医師、長西美和さん(50)は「(人気歌手の)Adoのコンサートを見て帰るのでまだ予約していない」と語った。
タクシー運転手「行列800人」 帰宅バス、予約で混乱
13日は日中に風雨が続いたことに加え、パビリオン予約ができないとして、午後の早い段階で帰宅する来場者が相次いだ。西ゲートのタクシー乗り場には「到着した午後4時ごろには800人は並んでいた」(タクシー運転手)。
午後9時台、愛知県豊川市から母親と来た30歳代の女性は、新大阪行きのシャトルバスが「予約客で満席です」と利用を断られた。「何でも予約が必要で不便ですよね」とこぼした。予約不要でピストン輸送を実施しているJR桜島駅行きのシャトルバスの乗り場へ向かった。
風雨で帰宅混乱、夢洲駅で入場制限相次ぐ
東ゲートの夢洲駅でも、早く帰宅する客と午後からの入場客が重なったことに加え、運行本数をピーク時より減らしたことも影響し、午後12時ごろから午後3時台にかけて断続的に入場規制がかけられた。
列車の大規模な遅延こそ起きなかったものの、帰宅客は季節外れの寒さの中で駅外での待機を強いられ、行列からの抜け出しを試みる人々も散見された。
午後9時前後から退場客が増え始め、夢洲駅への入場規制を再び行った。警備員らが「走らないでください」「ゆっくり歩いてください」と声を張り上げ、警笛が響く場面もあった。駅の外には一時200メートル以上の行列ができ、入場規制が解消されたのは午後10時過ぎのことだった。
予約中心・会場広さ、代替ルート選びづらく
「並ばない万博」に向け、パビリオンや交通機関は予約利用が中心だ。ただ、13日は天候不順で早めの帰宅を選択した来場者も多かった。実際にAdoさんのライブは予定の終了時刻を過ぎた。予約不要な大量輸送手段は地下鉄と桜島駅へのシャトルバスで、それ以外の選択肢を選びづらい側面もある。運行ダイヤ自体は大きな破綻はきたさなかっただけに、来場者が柔軟に交通モードを選択できなかった点が浮き彫りになった。
また、夢洲駅は東ゲートに、シャトルバスターミナルやタクシー乗り場は西ゲートにある。大人の足で徒歩15分はかかり、どちらかの利用が難しくなった場合、別のルートにすぐ切り替えるのは難しい。会場内では電気自動車(EV)バスが運行するが、存在を知らない来場者も多かった。
万博にはピーク時には1日22万人以上が訪れるとされる。国際空港や新幹線駅では観光誘客のチャンスとみて受け入れ態勢の準備を進める。夏季の猛暑や台風の襲来も今後想定されるなか、会場客が「ラストワンマイル」で柔軟に利用できる運用が、万博を契機とした観光振興のカギを握る。
(田村修吾、下田恵太)
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外為12時 円相場、下落 株高で 日米協議への思惑で一時急伸[2025/04/14 12:34 日経速報ニュース 972文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=142円96~99銭と前週末17時時点と比べて13銭の円安・ドル高だった。前週末の米株高や14日の日本の株高を背景に投資家心理が改善し、過去にリスクを避ける目的で積み上げられていた円の買い持ち高を減らす動きが出た。
ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、金融・資本市場が混乱した際に、米連邦準備理事会(FRB)は安定のために「確実に対処する準備ができる」と述べたと伝わっていた。FRBが施策対応に動くとの見方も市場のリスク回避ムードを和らげ、円の重荷となった。
円は急伸する場面もあった。日米の閣僚級協議などで為替が議題に上るとの思惑などから投機的な円買いが入ったほか、米関税政策を巡る先行き不透明感からドル売りも活発で、円は10時半すぎに142円25銭近辺と日本時間早朝につけた安値の144円台前半から2円超上げた。
ロイター通信は14日午前、赤沢亮正経済財政・再生相が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。17日に実施予定の赤沢氏とベッセント氏の日米協議では為替が議題の一つとして入っている。そのため「円安是正への思惑が高まった」(外為どっとコム総合研究所の中村勉研究員)との声があった。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。一方、先物では国内の輸出企業や機関投資家による為替差損回避(ヘッジ)の円買いがみられた。
日銀の植田和男総裁は14日午前の衆院予算委員会で、米関税政策を巡り「経済・物価を巡る不確実性が大きく高まる」としたうえで「経済・物価・金融情勢を点検し適切に政策判断をする」と述べた。従来通りの姿勢を維持したとの受け止めから、相場を方向付ける材料とはならなかった。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=162円58~62銭と、同28銭の円安・ユーロ高だった。対ドル相場に歩調をあわせて一時は強含んだ。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1372~73ドルと同0.0009ドルのユーロ高・ドル安だった。ドル安の流れに乗って1.1409ドル近辺まで上げ幅を広げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
大阪万博、開幕初日の一般来場者11万9000人[2025/04/14 12:05 日経速報ニュース 372文字 画像有 ]
日本国際博覧会協会は14日、大阪・関西万博開幕初日の13日の一般来場者数が約11万9000人だったと発表した。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者など約2万2000人が入場した。
同日は入場ゲートや米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前に長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」は、正午前時点で最長8時間20分待ちとなり、午前中に受け付けを終了した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生した。
大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日まで半年間にわたって大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開催する。日本での万博開催は2005年の愛知以来20年ぶり。過去最多となる158カ国・地域が参加する。
三井住友カードと三井住友海上プライマリー生命、「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに資産形成型保険2商品を追加[2025/04/14 11:12 日経速報ニュース 1266文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
三井住友カード「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに
三井住友海上プライマリー生命の資産形成型保険 2商品を追加
~業界初、資産形成型保険に対するポイントサービスを開始~
三井住友カード株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 社長執行役員 CEO:大西 幸彦、以下:「三井住友カード」)と、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藏田 順、以下:「プライマリー生命」)は、資産形成型保険((1)変額保険(有期型)「みらいふくらむ」、(2)生存保障重視型平準払個人年金保険(利率変動型)「積立年金保険」)を「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに追加し、2025年4月14日より販売を開始します。
人生100年時代において、「長期・積立・分散」投資による資産形成への社会的関心が高まっています。また、NISA・iDeCoなど資産形成型の金融制度が普及し、「貯蓄から投資」への流れが加速しています。こうした中、分散投資で長期にわたり資産形成を行いながら、生命保険ならではの機能による万一の場合の保障の準備や、ドルコスト平均法(*1)により株式や債券等または為替の変動リスクを低減できる資産形成型保険商品を発売します。
本商品の発売により、「Vポイントが貯まる保険」では、資産形成に関心のあるお客さまにご満足いただける貯蓄性商品の提供が可能となり、保障性と貯蓄性の両方からお客さまの多様なニーズにお応えできます。
さらに、資産形成型の保険商品に対するポイント還元は、業界初(*2)の取り組みです。月払保険料のお支払いで、通常のポイントに加えて1%相当のポイントも上乗せされ、合計で保険料の最大2%(*3)のVポイントが貯まるため、資産形成を効率よく行えます。
*1 「ドルコスト平均法」とは、価格が変動する商品を定期的に一定額購入して、平均購入単価を平準化することを期待する投資手法です。
*2 プライマリー生命の保険では、保険のお申し込みをWEBで完結することによる募集経費の削減効果をVポイントとしてお客さまに還元します。ポイントが還元される市場リスクを有する生命保険商品(特定保険契約)の発売は業界初となります。(2025年4月時点、プライマリー生命調べ)
*3 通常のポイント還元率はカードによって異なります。Vポイント2%還元となるのは、三井住友カードプラチナプリファード、Olive フレキシブルペイプラチナプリファード等、通常のカード利用で貯まるVポイントが1%還元のカードで決済した場合に限ります。通常のカード利用で貯まるVポイントが0.5%還元のカードで決済した場合は、1.5%還元となります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689689/01_202504141111.pdf
外為10時 円相場、上昇に転じる 一時142円30銭台 赤沢氏の発言で[2025/04/14 10:34 日経速報ニュース 653文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇に転じた。10時時点は1ドル=142円94~96銭と前週末17時時点と比べて11銭の円安・ドル高だったが、10時過ぎに同48銭円高の142円35銭近辺をつけた。赤沢亮正経済財政・再生相の発言をきっかけに円安を巡る日米協議への思惑が高まり、円買い・ドル売りが増えた。
ロイター通信は14日午前、赤沢氏が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。それに反応したのが海外ヘッジファンドなどの投機筋だ。「トランプ米政権は円安を批判しているため、円買いの材料となったようだ」(SMBC信託銀行の合沢史登シニアマーケットアナリスト)との声が多い。
米関税政策を巡る不透明感も引き続きドル全体の重荷となっている。ドルは対円だけでなく対ユーロでも売りが膨らんだ。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。半面、先物では国内輸出企業による円買い・ドル売り観測が出ている。
円は対ユーロでも上昇している。10時時点では1ユーロ=162円48~51銭と、同18銭の円安・ユーロ高だったが、その後は162円20銭台をつけた。前週末17時時点は162円30~34銭だった。
ユーロは対ドルで上げに転じた。10時時点では1ユーロ=1.1367~68ドルと同0.0004ドルのユーロ高・ドル安で、1.1385ドル前後まで買われている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
セブン、迫力欠くコンビニ戦略 買収案対抗決め手乏しく[2025/04/14 10:11 日経速報ニュース 2450文字 画像有 ]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、2026年2月期の連結営業利益が前期比1%増の4240億円になりそうだと発表した。2年ぶりの増益を見込む。リテールメディア(小売り広告)事業の本格展開などの成長戦略も示したが、カナダ社の買収提案に対抗するには物足りないとの声も広がる。
売上高に当たる営業収益は10%減の10兆7220億円を見込む。イトーヨーカ堂などを束ねるヨーク・ホールディングス(HD)とセブン銀行を今期中に非連結化する影響を受ける。純利益は前期に計上した特別損失の影響が小さくなり、47%増の2550億円となる見通しだ。
セブンは9日に営業収益予想を10兆7610億円と発表していたが、14日に10兆7220億円と訂正した。
米国コンビニ事業ではトランプ政権の関税政策による消費減速リスクを織り込み、25年度の米既存店売上高の増減率を1月時点の1.5%増から、1.5%減に引き下げた。9日夕にオンラインで開いた決算説明会で、スティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長は関税の影響について「経済や消費行動にはマイナスだ」と述べ、「他社よりも価値を提供するスピードを改善することで競合に打ち勝つ」との考えを示した。
【関連記事】セブン次期社長、コンビニ成長「スピードで打ち勝つ」
カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は7兆円規模の買収提案をセブンに提示している。セブンの時価総額は5兆円程度で、単独路線を進めるためには株価を上昇させる必要がある。
社長交代を発表した3月6日には米国コンビニ事業会社の新規株式公開(IPO)や2兆円の自社株買いといった資本政策を相次ぎ打ち出した。ただ、9日までの株価は13%安に落ち込む。市場の注目点はコンビニ事業の成長戦略に集まっていた。
新規出店623店、PBも強化
国内コンビニ事業は今期、営業利益を5%増の2447億円にする計画だ。コンビニの成長戦略の肝である新規出店は、都心部を中心に623店と高水準の出店を続ける。
24年秋に始めた低価格商品「うれしい値!」のほか、ドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶などレジ横商品の品ぞろえ強化で集客を図る。利益率の高いプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高を1兆5500億円と、前期から500億円増やす。
30年度までの長期戦略では、6年間で設備投資やM&A(合併・買収)に3兆2000億円を投じる。店舗のデジタルサイネージ(電子看板)などに広告を表示するリテールメディア事業を本格展開し、メーカーからの広告料で稼ぎながら、店舗に並べた商品の拡販にもつなげる。
まず25年に電子看板の設置店を現在の7倍の約3500店に拡大する。POS(販売時点情報管理)やスマートフォンアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。
ピザや焼き菓子などレジ横商品の拡充に向けて店内調理への投資を積み増すほか、最短20分で店から商品を届ける宅配サービス「7NOW(セブンナウ)」を通じて1店舗あたりの売上高を伸ばす戦略も盛り込んだ。省人化の取り組みも強化する。
ただ、小売り広告や宅配サービスは同業他社も力を入れている。ファミリーマートはすでに約1万店に電子看板を設置し、自社の決済アプリを使って食品メーカーの広告や割引クーポンを配信するサービスも行う。セブン関係者は「コンビニ成長策について手詰まり感がある」と新機軸を打ち出せない状況を認める。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「選択と集中をすすめ、主力のコンビニ事業で成長の絵を描く戦略だが、それにしては少し物足りない印象だ」と指摘する。
ACTの買収案か単独成長か 「5月末判断」を修正
セブンの買収を巡っては、ACTとの応酬が続いている。ACTはセブン全社を対象にしたデューデリジェンス(資産査定)を要請するが、セブンは買収交渉の前段階として、米独占禁止法の課題解決が必要不可欠との姿勢を鮮明にする。両社は米独禁法の解決のため、2000店規模に及ぶ店舗売却先候補を選ぶ作業を進めている。
セブンの社外取締役で構成する特別委員会は、セブン単独路線とACT案のどちらが企業価値向上につながるかを議論しているが、結論が出るにはなお時間がかかりそうだ。
セブンの丸山好道最高財務責任者(CFO)はACTの買収提案の受け入れ可否などについて、1月のアナリスト説明会では「5月の株主総会までに一定の判断をする」と表明していた。
丸山氏は9日の説明会で「(ACTと自社単独案について)現時点で比較できる状況にない。状況が変わり説明をできる時期になったら公表する」と話した。創業家主導の株式非公開化案が頓挫し、判断時期を事実上修正した。
企業価値を一気に高める施策を打ち出せない中、セブンがACTに対抗するためには加盟店オーナーや株主との対話が欠かせない。ただ、9日の決算説明会は次期社長のデイカス氏や丸山CFO、事業会社や関連会社の役員らが出席したが、現社長の井阪隆一氏の姿はなかった。説明会の方式もオンラインだった。
ある加盟店オーナーは「まずは実現可能なビジョンを示して取り組んでほしい。でなければ、オーナーは離反し優秀な社員も去っていく」とこぼした。
自社株買い最大6000億円、26年2月まで
同日、総額2兆円の自社株買いの方針の一環で、最大6000億円の自社株買いを始めると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の15.4%に当たる4億株を上限に取得する。取得期間は4月10日~26年2月28日。一連の発表後、セブン&アイ株は時間外取引で同日の東証終値比一時5%上昇した。
25年2月期の連結決算は営業収益が前の期比4%増の11兆9727億円、純利益が同23%減の1730億円だった。インフレの影響などで主力の日米コンビニ事業が低迷した。構造改革の一環で米コンビニ不採算店舗の閉店費用やイトーヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退関連費用を計上したことも利益を押し下げた。
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ロシア投資、制裁下でも物色活発 「停戦トレード」に思惑[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1878文字 画像有 ]
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では約85ルーブルと3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
西側に開かれる利点もある。3月に英シンクタンクZ/Yenグループが発表した25年の金融都市ランキングで、東欧・中央アジアでは首都アスタナ(首位)と最大都市アルマトイ(5位)の2都市が選ばれた。
金融特区アスタナ国際金融センターのレナト・ベクトロフ総裁は24年の日本経済新聞の取材に「英国のコモンロー(判例法)の法体系や独自の国際仲裁センターを持ち、海外投資家が活動しやすい」と話していた。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
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三井化学 輸送車両のアナログメーター、DXで遠隔監視へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1734文字 画像有 ]
三井化学が化学製品の安全な輸送に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。同社のプラント監視システムを応用し、輸送中のローリー車におけるタンク内の温度と圧力を監視する仕組みを開発した。アナログメーターの数値をデジタル化することで、乗務員が運転席から降りてタンクに登らなくても車両の様子を確認できるようにする。2025年3月までに実証実験を実施し、有効性を確認した。
三井化学が製造する化学品は、業務委託した物流事業者の専用車両で運搬する。製品の中には高い可燃性を持つものなど危険物も含まれる。危険物の輸送においては、高圧ガス保安法、消防法、毒物及び劇物取締法などの法規制を厳格に守る必要がある。
同社ではこうした法規制に加えて、「レスポンシブル・ケア(RC)」と呼ばれる化学品の安全な製造や使用に向けた業界の自主的な取り組みにも力を入れている。同社の中村淳デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部安全品質グループグループリーダーは「地域住民の安心・安全のため、法規制以上の取り組みを進めている」と語る。
プラントの監視システムを応用
三井化学は輸送における過去のトラブルを分析し、リスクの発生頻度や影響度別に対策を実施している。24年1月から実証実験を進めてきたのが、(1)輸送車両の動態監視(2)緊急連絡カード(イエローカード)のQRコード化――の2つだ。
(1)の輸送車両の動態監視を実現するため、車両のタンクに取り付けられている温度・圧力のアナログメーターの上から磁気センサーを設置した。アナログメーターの針の振れ幅を磁気センサーで計測し、運転席のパソコンに近距離無線通信「ブルートゥース(Bluetooth)」で送信する。従来はアナログメーターを目視確認するため、乗務員がいったん運転席から降りてタンクに登る必要があった。
温度や圧力のメーターそのものをデジタル式に取り換えれば、磁気センサーを設置する必要はないように見える。しかし、危険物の輸送車に取り付けられる温度・圧力のメーターには厳しい規定があり、「現状使用できるのはアナログメーターしかない」(依田馨デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部部長)という。
実は、この温度・圧力の遠隔監視は同社の化学品を製造するプラントで用いられている仕組みを応用したものだ。中村グループリーダーは「プラントと異なり、輸送時には振動がある。実証実験で正しい値を表示できるか検証した」と話す。
25年3月時点で、運転席にいながらタンク内の温度・圧力を確認できた。しきい値を設け、その値を外れた場合は警告を出すようにして、事故を未然に防止する工夫もしている。現在はもう1段階進み、遠隔の物流事業者の事業所で測定データを監視する方法も検討している。
紙のイエローカードをデジタル化
同じく実証実験を進めるのが(2)のイエローカードのデジタル化だ。イエローカードは、化学物質や高圧ガス輸送時の事故に備え、乗務員や消防・警察が取るべき消火方法などの処置を書いたものを指す。従来は紙で運転席に保管しており、事故発生時に素早く取り出すことが難しくなる可能性があった。そこで、イエローカードの内容をQRコード経由で読み取れるようにして、QRコードをタンクに貼り付ける方法に変更した。
イエローカードの内容を作成する作業もデジタル化している。イエローカードは、安全データシート(SDS)と呼ばれる化学品の取り扱い情報をまとめた文書から、事故発生時の対応に必要な情報を抽出して作成する。同社では22年度からイエローカード半自動出力システムの実運用を開始し、SDSからイエローカードに必要な項目を自動で抽出できるようにした。従来は人手で様式に合わせて抽出しており、人によって書き方に差が生じることがあった。
三井化学では化学品の共同物流に向けたシステム開発など、IT(情報技術)で物流を効率化・高度化する取り組みを多数進めている。依田部長は「業界を巻き込んだ取り組みを加速していきたい」と意気込む。
(日経クロステック/日経コンピュータ 渥美友里)
[日経クロステック 2025年3月26日付の記事を再構成]
新社会人のクレジットカード選び ポイント経済圏を吟味-3Graphics[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1257文字 画像有 ]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
コード決済との違いは?
コード決済はクレカのタッチ決済と似ているが、スマートフォンの電源が切れてしまうと使えないのが最大の弱点だ。一方、コード決済はクレカと比べ、自治体などが高還元や割引といった独自のキャンペーンを展開しやすい。買い物をする場所や店舗によって還元率が高い決済手段を選ぶような使い分けをすると、ポイントを多く獲得しやすくなる。
複数枚必要?
メインで利用するクレカに慣れたら、サブで使うカードを作るのも一案だ。何かしらの理由でメインのカードが使えなくなった時の代替にもなる。ただ枚数ばかり増えてしまうと浪費や不正利用に鈍感になりかねない。自分で管理できる範囲にとどめたい。サブのカードはメインと違う還元ポイントにするなど、異なる要素を選ぶと使い分けもしやすい。
滞納すると?
社会人になって作ったクレカの限度額が学生時代と比べて大幅に増えても、収入を上回る額を使うのは避けたい。支払期限に間に合わず滞納が続くと、信用情報機関に滞納した情報が記録されてしまう。「ブラックリスト」に載ると、新たなクレカを発行してもらえなくなるほか、住居の賃貸契約などにも影響を及ぼす可能性がある。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎、デザイン制作協力 タイドデザイン)
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盛岡のデジタル通貨、機能拡充で利用者・加盟店2割増へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1136文字 画像有 ]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは①スタンプラリー機能②会員証機能③ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
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追い証とは 信用取引の追加保証金、株価下落に影響も-市場を知るニュースワード[2025/04/14 04:00 日経速報ニュース 896文字 画像有 ]
株式市場は荒れ模様が続いています。株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式などを代用有価証券として差し入れることもできます。担保は法令で信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると、担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は証券会社によって異なりますが、義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡って2つの売りが出るとされます。第1の売りは、株価下落で含み損が大きくなりはじめた段階で、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。相場全体が一定程度下げると、手じまい売りが連鎖する展開になることがあります。
その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられなかった場合は証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
信用取引で株を買った投資家の含み損益の度合いは信用評価損益率という指標で示されます。一般にマイナス15%が投資家によっては追い証が発生する「黄信号」、マイナス20%はより広範に追い証が発生する「赤信号」とされます。松井証券の店内集計によると、4日にマイナス16.9%(全市場)をつけ、7日にはマイナス23.6%まで悪化しました。これは株式相場が急落した2024年8月5日(マイナス25.7%)以来の低水準です。
前週の株価急落局面を振り返ると、日経平均株価は7日に前週末比2644円(8%)安の3万1136円で終え、翌8日に反発した後、翌9日は反落して終えました。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「7日に追い証回避のための手じまい売りが広がり、そこで発生した追い証の強制決済の売りが9日に出た」と解説しています。
ショッピファイ、ECインフラで開く次の成長[2025/04/14 02:00 日経速報ニュース 5436文字 画像有 ]
電子商取引(EC)サイト構築支援を手掛けるカナダのショッピファイが成長期に入った。直近は提携や買収を弾みに米国でのシェアや収益を拡大。物流部門売却後は、ECインフラの強化に再びかじを切った。投資案件などを分析すると、没入型買い物体験の提供や顧客データの収益化といったショッピファイの次の一手が見えてきた。
電子商取引(EC)サイト構築支援のカナダのショッピファイは成長モードに戻った。
2023年に物流部門を売却して中核のECインフラの強化に再び乗り出して以来、的を絞った提携や買収、製品開発で成長を加速している。米EC市場でのシェアは10%から12%に伸び、24年度の売上高は前年度比26%増えた。
今度は新たな挑戦に向けて布石を打っている。没入型買い物体験の提供からエンタープライズ(大企業)顧客のサポート、広告を通じたデータの収益化まで、世界の商取引でさらに広範な役割を果たそうと土台を固めている。
CBインサイツの投資、買収、連携、決算説明会などのデータを活用し、ショッピファイの次の動きが分かる3つの重要分野を特定した。
・没入型の統一された買い物体験を提供:ショッピファイはゲーム、決済のほか、人工知能(AI)などが消費者の代わりに意思決定する「エージェンティック・コマース」企業との関係構築により、いつでも利用できるクロスプラットフォームショッピングを実現しようとしている。エコシステム(生態系)の中核に据えるのは自社プラットフォームだ。
・大企業向けの定番ECプラットフォームに:システムインテグレーターとの提携、「コマースコンポーネント」など必要に応じて自由に組み合わせられるツール、「ショップペイ」などの別売りツールにより、自社を米セールスフォースや米アドビに代わるモジュール式プラットフォームと位置付けている。
・顧客データを新たな広告収入源に:「ショッピファイ・オーディエンス」のような自社ツールと顧客データプラットフォーム(CDP)やキャンペーンプラットフォームとの連携により、小売り発の新たな広告サービス「リテールメディア・ネットワーク」の土台を築き、加盟店と買い物客のデータを収益化する新たな方法を生み出そうとしている。
下の図では、ショッピファイがこの3つの戦略で既に活発に動いている分野と、次に踏み出すとみられる分野(将来の提携相手や買収企業の予想も含む)を示した。
こうした優先分野は、同社が買い物体験をどう再構築し、広告、法人向けソフトウエア、ECインフラで既存勢に挑もうとしているかを表している。
以下ではそれぞれの予想について詳しく説明する。
1.没入型の統一された買い物体験を提供
ショッピファイの米EC市場でのシェア拡大は、より多くのコンテクスト(文脈や背景)にコマース機能を組み込む周到な戦略を反映している。ゲーム配信プラットフォームの米ロブロックスやAI検索の米パープレキシティのようなプラットフォームとの連携は、ショッピファイのインフラが従来だけでなく新たな環境でも中核に位置するいつでもどのチャネルでも可能な買い物のビジョンを示している。
いつでもどのプラットフォームでもショッピング可能に
ショッピファイは24年後半、パープレキシティの新たなAI買い物支援機能「バイ・ウィズ・プロ」と連携し、エージェンティック・コマースの世界に踏み出した。これにより、消費者はパープレキシティのインターフェースで商品を閲覧し、ショップペイで直接精算できるようになった。
同時期にはロブロックスのEC初の連携パートナーにもなり、「ショッピファイ・チェックアウト」が組み込まれたゲーム内店舗で、加盟店に1日8000万人以上に上るロブロックス利用者へのアクセスを提供している。
ショッピファイはこの目的に向け、自社製品の機能を拡充している。例えば、24年にはPOS(販売時点情報管理)アプリに「タップ・トゥ・ペイ」を導入し、オフライン決済機能を採り入れてオンラインとリアルの体験の結びつきを強化した。さらに、ロイヤルティープログラムを手掛ける米ギャッツビー(Gatsby)と連携し、加盟店がオンラインとリアルの両方で顧客エンゲージメントを築けるようにした。
一方、その場でのカード処理を可能にするインドのキャッシュフリー・ペイメント(Cashfree Payments)との提携は、地域のPOSプロバイダーを通じて各国の経済圏に参入する広範な取り組みの一環だ。
企業の勢いを測るCBインサイツのモザイクスコアに基づき、ショッピファイが事業を拡大する可能性がある主な市場(欧州とアジア太平洋)のアーリーステージ(初期)とミッドステージ(中期)のPOS企業を選別した。さらに、小売業者向けサービスを提供する企業に対象を絞ったところ、ショッピファイの潜在的な提携パートナーとして次の3社が浮上した。
・フラットペイ(Flatpay、デンマーク、モザイクスコア783点):中小企業向けに簡素化した決済処理システムを提供
・英Teya(758点):欧州の中小企業向けに決済処理と金融サービスを提供
・dtcペイ(dtcpay、シンガポール、735点):法定通貨やステーブルコインに交換可能な多通貨スワップなどのサービスを手掛けるデジタル決済プラットフォーム
2.大企業の定番ECプラットフォームに
ショッピファイは従来の中小企業の顧客基盤にとどまらず、セールスフォースの「コマースクラウド」やアドビの「コマース」など大企業向けECプラットフォームと直接競合するための土台づくりを進めている。自社を「大規模で業務が複雑な加盟店のニーズを満たせる柔軟なモジュール式インフラレイヤー」と位置付けている。
移行支援サービスとの提携で大きな壁をクリア
大手の小売業者やブランドがショッピファイのプラットフォームに移行する際の最大の壁の1つは、レガシープラットフォームからの移行の複雑さだ。ショッピファイはこの問題に対処するため、22年からシステムインテグレーター網を徐々に拡大し、デロイト、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、KPMGとの提携により新規顧客の導入と活用を支援している。
24年4月には、エンドツーエンドのデジタルコマースサービスを提供するため、米グーグル・クラウド及びIT(情報技術)コンサルティングの米コグニザントと組み、戦略をさらに強化した。こうした提携はITシステムを購入しようとする大手企業の間でショッピファイの導入が増えており、同社の大企業向け市場参入の動きも進化していることを示している。
ショッピファイはアプリストアにもシステム移行や導入支援パートナーを加えている。24年8月にはデジタルコマース設計のピボツリー(Pivotree、カナダ)を加え、25年1月には企業の移行ニーズに対応するため米Anattaとの関係を拡大した。
大企業向けに精算と決済も効率化
決済ワークフローの効率化はショッピファイの大企業向けシステムでも主なセールスポイントだ。必要に応じてツールを選べる別売りのショップペイは、「コーチ」などの大手ブランドに採用されている。ショッピファイは決済全般をサポートするため重要な提携を重ねている。
・23年6月にはオランダの決済大手アディエンと提携し、グローバルに事業を展開する大手加盟店向けに処理を効率化した。
・24年9月には米決済大手ペイパルとの連携を拡充してペイパルはショッピファイのカードプロセッサーになり、注文管理や報告、ECサイトの売り上げを取り消す「チャージバック」を効率化した。
ショッピファイはアプリストアで暗号資産(仮想通貨)決済にも対応している。24年にはHelio(スイス、現在は米MoonPay傘下)のソラナペイが対応可能なトークン(電子証票)を拡大したほか、ロイヤルティープログラム、ステーブルコインの交換機能を追加し、ショッピファイの最先端の決済サービスの選択肢を拡大した。
さらに、大企業の加盟店のニーズに応えて他のポイントシステムも提供している。24年10月にはAI検索のコベオ(Coveo、カナダ)と提携し、知名度の高い小売業者にAIによる商品の発見、パーソナライズされたお薦めなどのツールを提供した。
税務テック大手の米バーテックス(Vertex)や米アバララ(Avalara)との連携で大企業向けサービスをさらに拡充し、越境取引に伴う複雑なコンプライアンス(法令順守)も支援している。
ショッピファイは大企業の開拓に取り組んでいるため、税務コンプライアンスのソフトウエア企業と提携する可能性がある。そこで、CBインサイツのツール(特定のテクノロジーの分野をリードする未上場企業を見つけ、ランク付けする「ESP」)に基づき、ショッピファイと有益な関係を築く可能性が高い勢いのある企業を特定した。
・米ソボス(Sovos):各国の税務コンプライアンスと規制当局への報告を支援するソフトを提供
・米Exactera:移転価格の算定、法人所得税、研究開発の税額控除に対応したAI税務コンプライアンスシステムを提供
・米ネオタックス(Neo.Tax):新興企業や中小企業向けにAIを活用した税務自動化ソフトを開発
ショッピファイのこうした動きは、必要な技術を自由に組み合わせられる大企業向け技術スタックへの移行を示している。迅速な導入、柔軟なツールの提供、グローバル事業に対応したサービスの提供により、既存ベンダーに対抗する構えだ。
3. 加盟店網とファーストパーティデータを活用し、加盟店向け広告を強化
ショッピファイはこれまでも加盟店にパーソナライゼーションと顧客獲得ツールを提供してきた。だが最近の製品アップグレードと技術提携からは、膨大な加盟店網と豊富なファーストパーティデータを武器に本格的な広告ビジネスに発展させようとするさらに大きな野心がうかがえる。
同社の活動は独自のリテールメディア・ネットワークの構築を進めていることを示唆している。これにより同社は加盟店や外部ブランドに広告スペースを販売できるようになり、米アマゾン・ドット・コムや米グーグル、米ウォルマートなどの広告大手と競合する。
ショッピファイはまず、2つの広告関連製品のアクセスを拡大した。
・24年6月に提供開始した顧客獲得ツール「ショッピファイ・オーディエンス」最新版(バージョン2.4)では、加盟店がさらに的を絞った顧客グループを対象にし、ネットワークやプラットフォームを横断して広告の成果を最大化できるよう支援している。顧客獲得コスト(CAC)が最大50%減った加盟店もある。
・24年12月には、米国とカナダの全ての加盟店が広告ツール「ショップ・キャンペーン」を使えるようにした。これまでは上位サービス「ショッピファイ・プラス」の加盟店に限られていた。
もっとも、ショッピファイの経営陣は自社製品以外にも広告の可能性を見いだしている。
ショッピファイは顧客データを集約して有効化するため、行動や取引に関する知見を集める外部プラットフォームと提携している。
・24年10月には、ショッピファイのアプリストアで米ブルーシートのツールが使えるようになった。このツールには顧客データプラットフォーム、お薦めの自動判断、クロスチャネルの販促プラットフォームなどが含まれている。
・同じ24年10月には、カナダのトレリスがショッピファイと連携すると発表した。これにより、買い物客データをアマゾン・マーケティング・クラウドに連携し、様々なプラットフォームの買い物客の知見に基づいてさらに効果的に的を絞ったメッセージを送れるようになった。
ショッピファイは今後、CDPやデータクリーンルームを独自に提供し、データオーケストレーション(収集・整理・調整)機能を強化する可能性がある。そこで、買収確率とモザイクスコア(600点以上)に基づき、CDP市場でショッピファイが買収しそうな企業を予測した。
・オプティムーブ(Optimove、イスラエル):AIを活用し、BtoC(消費者向け)企業を対象にパーソナライズされたマルチチャネルキャンペーンを調整
・米サイモン(Simon):小売り、旅行、サブスクリプション(定額課金)企業向けのパーソナライゼーションとカスタマージャーニーの調整
・米ハイタッチ(Hightouch):データのアクティベーション(有効化)とリバースETL(抽出・変換・ロード)サービスに特化した必要なツールを自由に組み合わせられる顧客データプラットフォーム
ショッピファイは加盟店向けに新たな需要チャネルも築こうとしている。24年には、ECサイト構築支援の仏ミラクル(Mirakl)と提携して外部マーケットプレイスを構築可能にしたほか、米小売り大手ターゲットと組んで加盟店の商品をターゲットのオンラインショップで取り扱えるようにした。
こうした動きはショッピファイが加盟店ツールの構築にとどまらず、既存の広告プラットフォームの牙城に挑み、ブランドが買い物客とつながる手段を再定義する可能性がある垂直統合型のコマースとメディアのスタックを築こうとしていることを示している。
「50代からの資産運用法」 東京・大手町で無料セミナー(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 夕刊 3ページ 237文字 PDF有 書誌情報]
リスクを抑えた資産運用法を解説。資産活用、資産の取り崩し、相続など、退職世代の方に知っていただきたい内容をお伝えします。
◇日時 2025年5月10日(土)午前10時~11時50時頃
◇会場 スペースニオ(日本経済新聞社東京本社ビル2階)
◇定員 50名※参加無料。応募多数の場合は抽選
◇講師 佐藤駿介さん(株式会社Fan)
◇申込締切 4月30日(水)午前9時半
◇申込 QRコードより
主催 日本経済新聞社エリアセールスユニット/日経ピーアール
協力 株式会社Fan
会場活況、事前予約14万人 「並ばない万博」早くも行列 不具合・混雑解消に課題[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。(1面参照)
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフらがずらりと並び、手を振りながら歓迎した。
米国やスペインなど各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を訴え、来場コントロールに力をそそいできた。背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけにアクセスは1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオンだけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。
準備遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期開業も来場者の満足度向上に不可欠。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。
うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
アフリカと向き合う――日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
【図・写真】いまい・としみつ 1988年早稲田大商卒、豊田通商入社。2018年にトヨタ自動車常務役員などを歴任し、25年4月から現職
「ウィーン国立歌劇場」一般販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 341文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の一般販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S7万9000円~E2万6000円、土・日S8万2000円~E2万9000円ほか
◇チケット販売 4月18日よりNBSほかにて発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
特集――NIKKEIAsia China eyes mature tech for chips[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1968文字 PDF有 書誌情報]
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EDITOR’S PICKS
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と協力関係にある中国の半導体製造装置メーカーの深市新凱来技術が、粛々と技術開発を進めているようです。半導体製造装置は日本や欧米の企業の独壇場でしたが、米国が対中輸出規制を強めるなかで中国勢が技術水準を高めています。日本経済新聞の英字媒体「Nikkei Asia」では中国内外の取材網を活用し、同国企業の技術動向を追っています。
中国半導体「成熟技術」フル活用
驚くべきは新凱来技術の技術範囲の幅広さ。2021年8月設立の新興企業でありながら、露光装置から蒸着、測定、エッチング、ALD(原子層堆積)に及んでいます。深市政府系の投資会社が出資し、ファーウェイとも緊密に連携しているといいます。他社の経験豊富なエンジニアを積極採用し、力をつけているようです。
同社の露光装置が描く回路線幅は28ナノ(ナノは10億分の1)メートル。数ナノ単位の線幅を競う最先端品に比べれば「枯れた」技術ですが、自動車やロボット用半導体の製造に応用できます。
毎週水曜日に掲載する特集「Tech Asia」でも、中国が「枯れた技術」を急速に蓄積し、炭化ケイ素(SiC)ウエハーなどの価格破壊を引き起こしていると指摘しています。最先端ではなくても、すでに広く使われて信頼性が高い点で優位性があります。最先端技術で半導体立国の再興を目指す日本とは対極的ともいえます。
国・地域別トップアクセス
@シンガポール 富裕層向け運用で横領
シンガポールにある中国人富裕層向け資産運用会社(ファミリーオフィス)で7400万シンガポールドル(81億円)規模の横領が起きたとして、同社のトップが元従業員4人を告発しました。同国警察がこの件の捜査を始めています。シンガポールはこれまでファミリーオフィスの誘致に積極的でしたが、2023年8月には大規模な資金洗浄事件も発生しました。相次ぐ問題にアジアの金融センターがどう対処していくのか注目が集まっています。
@フィリピン 日本発新興企業に注目
フィリピンでは日本発のフィンテック企業、グローバル・モビリティ・サービスの記事が読まれました。貧困から脱却しづらい三輪タクシーの運転手が経済的に自立できるよう支援しています。借り手となる運転手が同社独自のIoT機器を車体に装着することを条件に、金融機関が車両を購入するためのローンを提供します。働きぶりを数値化でき、支払いが滞ればエンジンを停止できることが返済を保証する「担保」になります。家を購入したり子供を大学に通わせたりできるようになる成功例も出始めています。
@台湾 第2野党「防衛予算、メリハリを」
台湾の第2野党の台湾民衆党党首で、与党・民主進歩党との対決を唱える黄国昌氏がインタビューに応じました。中国が軍事的威嚇を強めるなか、台湾は軍事支出を増やす方針ですが、黄党首は「税金を見境なく防衛費に使うべきではない」と述べました。台湾の防衛予算は域内総生産(GDP)の3%未満ですが、米国は10%程度にまで増やすよう要請しています。必要なところにメリハリをつけて予算を割くよう求めています。
QRコードから英文をお読みいただけます。
LIFE&ARTS
国外で花開くミャンマー料理
ミャンマー料理が世界各国に広がっています。ミャンマーの食文化は近隣のタイ、中国、インドの影響を受け発展してきました。2021年の国軍によるクーデター以降、ミャンマー人シェフたちが活躍の場をミャンマー国外に求め始めたのが、足元の急速な国際化の大きな要因です。
記事では、タイやマレーシア、韓国、日本、欧州などで活躍する多くの料理人らによる伝統的な豚肉料理やサラダ、西洋風の趣向を凝らしたカワエビと焼きナスの一品など約20点の写真とともに紹介しています。東京都内の店も紹介しており、お店選びのガイドとしても活用できます。
OPINION
「中国プラス2」の時代に?
専門家が寄稿するオピニオン欄では、保護主義の台頭やコストの増加を回避するために中国以外にサプライチェーン(供給網)を多様化する「チャイナプラス1」戦略について論じた記事が読まれました。
米トランプ政権の誕生で世界の不透明さが増すなか、同戦略を進めているのは欧米企業だけではありません。中国比亜迪(BYD)やファーウェイのような中国企業も東南アジアや欧州に拠点を広げています。米国の関税を回避する必要性が高まってきているためです。先の読めない状況に対応するため、生産拠点のさらなる多様化を迫られています。
【図・写真】中国は急速に半導体の生産能力を拡大している=ロイター
【図・写真】料理を盛り付けるミャンマー人シェフ
【図・写真】コンテナが並ぶ上海の洋山港=ロイター
デジタルガレージ オンライン完結型火災保険[2025/04/14 日経MJ(流通新聞) 4ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。
同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
25年04月18日
決済大手グローバル、同業を3.5兆円で買収 米最大手に[2025/04/18 06:04 日経速報ニュース 1119文字 画像有 ]
【ニューヨーク=三島大地】米決済処理サービス大手のグローバル・ペイメンツは17日、同業のワールドペイの全株式を取得すると発表した。既存株主の保有株を引き受ける。買収額は242億ドル(約3.5兆円)に達する。統合が実現すれば米国での決済処理額で最大手のJPモルガン・チェースを抜き、世界175カ国で年3.7兆ドルの決済を処理する巨大決済企業が誕生する。
グローバル・ペイメンツは米プライベート・エクイティ(PE)ファンドのGTCRと、米金融サービス大手フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)が保有するワールドペイ株を引き受ける。一方、カード発行会社向け事業を135億ドルでFISに売却する。
グローバル・ペイメンツやワールドペイは「アクワイアラー」と呼ばれ、クレジットカードなどキャッシュレス決済網の加盟店開拓や決済処理を手掛ける。アクワイアラーは小売店やオンラインショップなどから得る加盟店手数料が収益の柱となる。
米コンサルティング会社ストローヘッカーによると、2024年の米国での決済処理額(推定額)でグローバル・ペイメンツは9894億ドルで4位だった。一方、ワールドペイは1兆8510億ドルと3位で、両社が経営統合するとJPモルガン・チェース傘下のアクワイアラー事業の2兆6080億ドルを上回り、全米で首位に躍り出る。
グローバル・ペイメンツの24年12月期の売上高は101億ドル、純利益は15億ドルだった。グローバル・ペイメンツは統合によるシナジー(相乗効果)で費用を年6億ドル削減し、収益が年2億ドル拡大するとみる。
グローバル・ペイメンツのキャメロン・ブレディ最高経営責任者(CEO)は今回の経営統合を通じて、「戦略的焦点が明確になり、グローバル・ペイメンツが純粋な加盟店事業として簡素化される」とコメントした。
17日の米株式市場でグローバル・ペイメンツ株は前日比17%安となった。一方、FIS株は9%上昇した。米国みずほ証券のダン・ドレフ氏はリポートに「FISがクラウンジュエル(王冠の宝石)を獲得したのに対し、グローバル・ペイメンツは成長に課題を抱えるワールドペイに再投資する結果となった」と記した。
両社は規制当局の承認を条件に、26年上半期にも経営統合を完了する予定だ。統合が実現すれば全米最大規模のアクワイアラーとなる見通しで、当局の承認がスムーズに得られるかは不透明な部分がある。
米ブライトン証券のジョージ・コンボイ会長は、「バイデン前政権下では反企業的な動きが数多く見られたが、(トランプ米大統領が返り咲いたことで)米法務省が経営統合を承認する可能性は高まった」との見方を示す。
「中国は米国債を常識的には売らない」柯隆氏-Podcast 中国経済の真相[2025/04/18 05:00 日経速報ニュース 573文字 画像有 ]
中国の習近平(シー・ジンピン)政権が、保有する米国債の売却に動くのではないか。そんな臆測が絶えません。トランプ米政権が仕掛けた貿易戦争への報復として「米国債」は有効なカードになり得るからです。
東京財団政策研究所の柯隆・主席研究員はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し、中国が米国債を売却する可能性について「常識的にはやらない」との見方を示しました。
米国債の価格が下がれば、日本に次ぐ世界2位の保有国である中国にとっても痛手になるという理由だけではありません。トランプ政権が怒って、中国によるドル建ての決済を停止するといった金融制裁に踏み切る事態を警戒しているからだといいます。
ただ、習近平国家主席に権力が集中する中国では、間違った判断がそのまま通ってしまうかもしれません。金融の専門家が「常識的な」対応を進言しても、習氏がそれを受け入れないリスクがあるからです。
激しさを増す米中対立の着地点は見えてきません。中国による米国債の売却も、絶対にないと高をくくるのはやめた方がよさそうです。
柯隆氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。https://note.com/cnshinsou/n/n9c379a9d3391?sub_rt=share_pw
(編集委員 高橋哲史)
国内電力先物、1年で3倍 24年度取引高、変動リスクを回避 消費者は料金予測しやすく[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1666文字 PDF有 書誌情報]
日本の電力先物市場が急成長している。2024年度の年間取引高は前年比3倍超に膨らみ、他国の市場と比べて伸びが突出する。燃料高や電力の価格変動などを背景に、リスクをヘッジ(回避)する需要が膨らんだ。電力自由化で先行する欧米企業を中心に新規参入が増え、課題だった市場流動性が改善。電力価格の透明性が向上し、消費者や企業が電気代を予測しやすくなる可能性があるという。
電力先物は1年後など将来の電気を一定の価格で売買するデリバティブ(金融派生商品)取引。日本卸電力取引所(JEPX)などで取引する現物の電気との値差を決済する。
電力先物の取引所を手掛ける欧州エネルギー取引所(EEX)と、日本取引所グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)の合計取引高は24年度、約95テラワット時と、23年度の30テラワット時から3.1倍に急増した。日本卸電力取引所の現物取引量の37%に達する。
ドイツなど成熟した市場との差は依然大きいものの、伸び率は世界で突出する。EEXがまとめた24年1~12月の各国取引量の比較では、日本はオランダに次ぐ8位。
EEXの日本電力を取引する参加者は3月末時点で国内外合計で98社。23年度末から26社(36%)増えた。24年6月にはヘッジファンドのシタデルが国内電力卸の買収を決めて参入したほか、石油メジャーの英シェルなど海外エネルギー大手も取引を増やす。
電力取引仲介大手ヴァニアのジェームズ・ウィスラー最高経営責任者(CEO)は「市場アクセスの改善や流動性の向上と相まって、日本は海外勢にとって魅力的な投資先となっている」と話す。
日本の電力先物は19年、TOCOMに試験上場された。20年にはEEXも日本の電力取引を手掛けるようになったことで、欧米の電力トレーディング会社も売買をしやすくなり、23年ごろから本格的に取引が広がった。市場での売買が活発になるにつれて参加者も増えて流動性が高まり、市場規模は膨らみ続けている。
日本の大手電力や総合商社も、海外企業の買収などを通じて得たノウハウを生かし、先物取引の拡大を目指す動きが目立つ。
三菱商事は16年に買収したアイルランドの電力トレーディング会社、エレクトロルートの日本法人を22年に立ち上げ、23年度から日本で本格的に取引している。酒井岳幸トレーディング統括は「欧州での取引ノウハウをもとに、電力先物取引を通じて再エネ事業者など発電側の需給調整や、小売りなど需要側の電力の調達をサポートするサービスを提供している」と話す。
国内発電最大手のJERAも3月27日、フランスの大手電力EDFグループと、日本国内の電力トレーディング事業を統合し、先物取引などの事業に共同で取り組むと発表した。
大手電力がここにきて電力トレーディング部門を強化する背景には、電力市場の公正な競争環境が整備されてきたことも影響している。
かつて大手電力はグループ内へ優先して電力を売っていた。新電力など社外への卸取引よりも有利な条件でグループ内に相対の長期契約などで販売する「内外差別」の商慣行が広がっており、電力・ガス取引監視等委員会が20年に適正な競争をゆがめるとして是正を要請した。
これを受けて大手電力は、相対での電力販売の際、透明性が高く「内外無差別」を説明しやすい先物などの市場価格を参照した値決めに徐々に移行。併せて、価格変動のリスクヘッジのための先物取引の利用も強化している。
JERAは25年度までに東京電力グループなどと結ぶ長期契約が切れ、市場での電力販売が増える見通しだ。JERAの葛西和範常務執行役員は「先物を通じたリスクヘッジの必要性がさらに高まることで、市場は一段と活性化する」と話す。
昨年、TOCOMの電力先物市場に参入した三菱UFJ銀行の関浩之取締役副頭取執行役員は、電力先物取引の意義について「価格の透明性と予見性が高まること」だと指摘。「企業や消費者が将来の電力価格を予測しやすくなり、計画的な経済活動が可能になる」と話した。
(浜美佐)
ローソン、店舗DX加速 中計、日販3割増 嗜好捉え商品開発[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1057文字 PDF有 書誌情報]
ローソンは17日、2031年2月期までの中期経営計画を公表した。国内1店舗あたりの売上高(平均日販)を足元より3割多い70万円超とする。24年からローソンに50%を出資するKDDIのデータ基盤を活用し、店舗の購買履歴などと組み合わせた商品を開発する。自動化ロボットなども活用し、最大手のセブン―イレブンを追う。
平均日販はコンビニエンスストア各社の稼ぐ力を示す重要指標の一つだ。31年2月期に70万円超と25年2月期比で約3割伸ばし、同時期に75万円超を掲げるセブンを追う。25年2月期はセブンを約12万円下回る水準だった。今後6年でその差を7万円ほど縮める。
「リアルとテックを組み合わせたコンビニエンスグループに生まれ変わり、圧倒的なおいしさと成長で消費者の期待を超えていく」。竹増貞信社長は17日の記者会見で強調した。すでに国内のコンビニ市場は成熟しており、今後の大幅な出店増は期待しにくい。1店舗あたりの収益力を高める工夫が欠かせない。
要となるのは、KDDIと組んだ店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。
4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)には、先進技術を取り入れた店舗を開く。飲料の陳列を自動化するロボットや、来店客が専用アプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマートフォンレジの導入などを想定する。顧客の利便性を高めながら、小売業で深刻化する人手不足の対策につなげる。
両社の膨大な顧客データを生かした商品開発のDXにも取り組む。たとえば人工知能(AI)で足元の購買傾向を分析し、半年後に売れそうな商品を先読みする。競合他社に先んじて、各地域での嗜好を捉えた的確な商品の投入が見込める。
ローソンでは24年から、在庫量や天候をもとに売れ残り商品の値引き率などをAIが算出する独自の発注システム「AICO(アイコ)」を本格導入してきた。今後は揚げ物など店内調理品の準備に関わる提案もできるようにし、各店舗の収益性を高める。
同日発表した25年2月期の連結純利益は前の期比15%増の599億円で過去最高。平均日販も57万4000円と1万8000円伸び、ファミリーマート(57万3000円)をわずかに上回った。
海外にも成長の目を向ける。31年2月期の海外店舗数は約1万4000店と足元の水準から倍増させる。アジアを中心に経済成長で拡大する中間層の需要を取り込む。国内外での成長戦略を加速し、31年2月期の純利益は25年2月期比67%増の1000億円を目指す。
しっかり学ぶ財務(3)キャッシュフロー(CF)計算書 活動別、現金の増減反映、増益でも投資活発なら減[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1292文字 PDF有 書誌情報]
「キャッシュフロー(CF)計算書」は企業の「家計簿」のようなものだ。製品を売る、設備を買うといった活動ごとのお金の出入りが分かる。業績がよくても投資などがかさむ企業では、持っているお金が減る場合がある。
「ガスト」などを手がける外食大手のすかいらーくホールディングスをみてみよう。2024年12月期は最終的なもうけを示す純利益(国際会計基準)が139億円と1年前の約3倍に膨らんだ。一方で同社が持つお金は年初の267億円から年末には191億円へと減った。
背景を知るのに便利なのがCF計算書だ。企業の活動の性質別にお金が増えたか減ったかを示す。数字がプラスならお金の増加、マイナスなら減少を意味する。
「営業CF」は原材料の仕入れや製品販売など日々の事業での増減、「投資CF」は設備を買うなど投資に関わる増減だ。「財務CF」は金融機関などとのやり取りに伴う増減で、融資や返済などが含まれる。
すかいらーくの営業CFは679億円のプラスだった。主力の飲食店運営を通じてまとまったお金を稼いでいることが分かる。一方で投資CFは392億円のマイナスだった。マイナスの規模は1年前の2・6倍だ。北九州地盤の「資(すけ)さんうどん」運営会社を買収するのにお金がかかった。
さらに財務CFも364億円のマイナスとなった。主に店舗の賃料を支払ったり銀行から借りていたお金を返したりしたためだ。3つのCFを合わせると、入ってきたお金よりも出ていったお金の方が大きかったことが分かる。
損益計算書(PL)に出てくる利益と営業CFは似ているが、増減の方向感が食い違う場合がある。理由の一つがタイミングの違いだ。売り上げは販売時に計上できるが、すぐにお金を受け取れるとは限らない。お金の回収には数カ月かかることがある。
PLには現金の動きを伴わない項目もある。典型的なのが「減損損失」だ。設備などを使って得られる将来のもうけが、期待していたよりも大幅に小さくなりそうだと分かった時に計上する。PLでは損失になるが今現金が減ったわけではないため、CFには影響しない。
キヤノンの24年12月期がこれに当てはまる。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵略などの影響が大きかった医療機器部門で1651億円の減損を計上した。このためPLの純利益は前の期から1044億円減った。一方で営業CFは前の期よりも1556億円多い6068億円のプラスだった。
資金繰りの余裕をみるうえでは、営業CFと投資CFを足した「フリーCF(FCF)」が参考になる。プラスが大きいほど、経営者は追加の投資や借金の返済、配当などに自由にお金を使える。すかいらーくはFCFが286億円のプラスだった。
FCFがマイナスだと、持っている現金を使うか外部から調達するかで賄わないといけない。PLが黒字でも手元のお金が枯渇すれば支払いや返済で行き詰まり「黒字倒産」に陥る場合がある。投資家はPLに加えてCF計算書も確認した方がいい。(東浦秀明)
日経電子版のコンテンツ「入社1年目で知っておきたかった会計の基礎知識」はこちらのQRコードから。
特集――第73期将棋王座戦 挑戦者決定トーナメント24日開幕、伊藤叡王対山崎九段 ライブ中継、「展望」きょう配信[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 33ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
第73期王座戦2次予選の好取組を生配信してきた日経電子版「NIKKEI LIVE」では、挑戦者決定トーナメント(本戦)でも注目の対局を生中継する。本戦開幕に先立ち、18日に木村一基九段と中村太地八段をゲストに迎え「“観る将”のための王座戦講座 in 棋の音道場」と銘打ったトークショー(詳細はQRコード上)を開催。見どころを紹介する。木村九段と中村八段は昨年末にNIKKEI LIVEで配信した「2024年将棋界回顧」でも軽快なやり取りが好評を博した。
24日には開幕戦の一つ、伊藤匠叡王対山崎隆之九段戦のもようを午前10時の対局開始時から将棋AIの評価値付きで生中継する(QRコード下)。同日夕方からは中村八段によるテキスト解説も付く。王座戦本戦初出場の伊藤叡王に対し、関西の人気棋士で独創的な棋風の山崎九段がどんな指し回しを見せるのか注目だ。
【図・写真】NIKKEI LIVE「2024年将棋界回顧」でも共演した木村一基九段(右)と中村太地八段
PayPay、14カ国・地域に拡大[2025/04/18 日経MJ(流通新聞) 4ページ 427文字 PDF有 書誌情報]
PayPayはタイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」に対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。
店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。14日からカザフスタンで普及する「カスピ」を加えた4サービスと連携した。PayPayの連携先は14カ国・地域で使われる計25サービスまで増える。
PayPayは18年の「支付宝(アリペイ)」を皮切りに海外の決済サービスとの連携を進める。訪日客数で上位10カ国のうち7カ国の決済サービスに対応する。国内の電子決済市場の競争は激しく、訪日客の決済需要の取り込みにも力を入れる。
【図・写真】タイで普及する「ビッグペイ」や、ドイツで使われる「ブルーコード」などに対応する
流通・外食、大卒採用13.3%増、アインG、薬剤師確保に注力、26年春計画、本社調査[2025/04/18 日経MJ(流通新聞) 7ページ 3955文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社がまとめた2026年春の流通・外食企業の採用計画調査では、大卒の採用予定数が合計で2万3095人と25年春の実績と比べ13・3%増加した。インバウンド(訪日外国人)消費に沸く中、事業拡大に合わせた採用強化の機運が高まっている。人材確保に向けて初任給を引き上げるなど採用競争力を高める動きも見られた。
業種別ではドラッグストア・ディスカウントストアなど専門店が11・8%増えた。ドラッグストアは流通・外食企業全体の大卒採用計画数上位20社のうち半数以上を占め、25年春の実績比で10・3%増やす計画だ。
調剤薬局大手のアイングループは4・2%増の1370人とした。持ち株会社のアインホールディングス(HD)は調剤薬局事業の売上高を34年4月期に7000億円と、25年4月期の見込み比で84%増やす目標を掲げる。26年春も薬剤師600人を採用する計画で、アインHDの大谷喜一社長は「薬剤師を供給できるかが何より重要だ」と語る。クスリのアオキは19・8%増やし1000人とした。
家具・家電は42・2%増となった。ノジマグループは31・0%、ヤマダHDは84・1%増を計画する。
レストランは34・7%増えた。「かっぱ寿司」などを展開するコロワイドグループは13・6%増とした。4月に入社する大卒社員の初任給を28万900円と1万6400円引き上げるなど待遇向上を急ぐ。
背景には円安などによるインバウンド需要の高まりがある。日本政府観光局(JNTO)によると3月の訪日外客数(推計)は前年同月比13・5%増の349万7600人で、同月で過去最高を記録した。業績が好調な中、店舗や事業の拡大を計画し、人材の確保を急ぐ企業が増えている。
海外展開を見据えた人材確保に動く企業もある。ゼンショーグループは25・5%増を計画する。同社は23年に北米や英国などで持ち帰りのすし店を展開するスノーフォックス・トップコを買収するなど海外展開を進めている。25年4月入社の大卒社員の初任給を3万4000円増の31万2000円とするなど、採用競争力確保を急ぐ。
ジンズは大卒採用を61・5%増やす計画だ。26年4月入社の大卒・院卒社員は「グローバル社員」として採用し、海外での店舗運営に携わることを想定する。同社は中国や台湾、米国などで約260店舗を運営し、25年中にもベトナムに進出する。ジンズHDの近藤弘行執行役員は「顧客体験の要である店舗でより質の高いサービスを継続的に提供することが重要だ」と訴える。
一方で採用増に区切りをつけた会社もあった。ニトリグループは26年4月の大卒採用者数を約800人と25年春の実績比で3割減らす計画だ。過去2年間は新卒採用を増やしていたが「一定程度人材確保が進んだことや、中途採用者数も考慮して判断している」(同社)とした。良品計画も約200人と、前年実績の半数以下とした。
少子化で学生数が減る中、採用現場では学生優位の「売り手市場」の状況が続く。業種を超えた競争も激しく、企業にとっては優秀人材や必要人数が確保できないリスクもつきまとう。待遇の向上や働きやすい環境の整備をすることが、人材確保の第一歩となる。
(鈴木大洋)
〓〓-〓〓 ▲は減。Gはグループ、HDはホールディングス。総合計は短大・専門学校・高専卒、高卒を含む。―は公表していないもの、算出できないもの、内訳不明・区分けなし 〓〓-〓〓
順位 社 名 総合計〓(人) 前年比伸び率〓(%) 大卒〓(人) 前年比伸び率〓(%)
1 イオンG 2,600 ▲7.1 2,000 ▲9.1
2 アインG 1,375 4.2 1,370 4.2
3 クスリのアオキ 1,100 15.8 1,000 19.8
4 ノジマG 1,050 37.4 795 31.0
5 スギ薬局 1,000 13.1 1,000 20.9
6 バローG 800 15.1 540 13.4
6 ニトリG 約800 ▲30.4 約800 ▲30.4
8 ヤマダHD 770 60.8 486 84.1
9 ツルハG 768 19.3 748 24.3
10 サンドラッグG 690 0.0 600 1.7
11 コスモス薬品 630 43.8 600 62.2
12 セブン&アイHD 601 29.8 488 26.8
13 日本調剤G 588 ▲13.5 566 ▲14.0
14 ウエルシアHD 約570 ▲17.5 約500 ▲24.1
15 ゼンショーG 534 29.3 502 25.5
16 グリーンハウス 523 7.8 523 9.0
17 ファーストリテイリングG 450 4.7 ― ―
18 クリエイトエス・ディー 約400 8.1 約400 12.7
18 クオールHD 400 0.0 400 0.0
20 ゲンキー 395 30.4 315 30.2
21 コメリG 345 43.8 210 78.0
22 ビックカメラ 約330 20.9 約260 16.6
23 PPIHG 300 0.0 280 16.2
23 ジンズ 約300 47.8 約260 61.5
25 コロワイドG 260 3.2 150 13.6
25 アダストリア 約260 5.7 約200 0.5
25 大黒天物産 260 1.2 190 3.3
28 ライフコーポレーション 255 ▲2.7 215 ▲1.4
29 エディオン 250 9.6 160 36.8
30 FOOD&LIFE COMPANIES 212 ▲1.9 172 7.5
31 ケーズデンキG 約210 68.0 ― ―
32 AOKIHD 205 22.0 143 44.4
33 良品計画 約200 ▲58.7 約200 ▲58.3
33 物語コーポレーション 200 ▲8.7 約200 25.0
33 アークランズ 200 94.2 約140 169.2
33 ヤオコー 約200 38.9 約200 53.8
37 イズミ 190 38.7 150 36.4
38 薬王堂 175 32.6 約100 69.5
39 ベルク 170 ▲27.4 120 ▲31.8
39 すかいらーくHD 約170 14.9 約170 34.9
41 アークスG 約160 32.2 約90 95.7
41 サイゼリヤ 160 6.0 約150 6.4
41 ハローズ 160 ― 120 ―
44 マルエツ 150 47.1 120 69.0
44 カワチ薬品 150 28.2 115 49.4
46 コーナン商事 約140 64.7 約130 83.1
46 トレジャー・ファクトリー 140 6.9 140 23.9
48 サミット 130 16.1 100 17.6
48 ユナイテッドアローズ 約130 12.1 約120 37.9
50 王将フードサービス 120 20.0 70 29.6
50 G-7G 約120 48.1 ― ―
50 平和堂 120 ▲11.1 100 ▲8.3
(増減率は前年度実績比%、▲は減)
計画数(人) 2026年春計画 2025年春実績
総合計 大卒 総合計 大卒 総合計 大卒
百 貨 店 180 310 17.6 12.7 34.0 35.0
スーパー 5,425 4,349 5.8 9.3 ▲2.0 0.5
卸 773 875 19.5 11.6 9.3 7.9
専 門 店 16,892 14,623 9.0 11.8 2.1 2.0
服飾品 1,913 1,082 3.5 24.4 10.5 19.2
ドラッグ・ディスカウント 8,922 8,735 8.1 10.3 3.7 2.6
ホームセンター・カー用品 2,048 1,706 4.9 4.5 6.9 5.9
家具・家電 2,660 1,851 37.0 42.2 ▲18.0 ▲20.1
コンビニ 776 653 15.3 11.1 ▲14.6 ▲14.9
レストラン 2,972 2,284 17.9 34.7 20.3 15.5
全 体 26,979 23,095 9.6 13.3 3.1 3.1
(注)大卒が総合計より多くなるのは、総合計の計画を回答していない企業があるため
調査の方法 日経リサーチの協力を得てアンケート方式で実施した。調査対象は上場企業および日本経済新聞社が選んだ有力な非上場企業で497社。集計は3月13日までの回答を基にしており、回答企業数は採用人数の未確定企業を含めて198社。増減率の計算は採用計画が確定した企業で算出した。
スマートフォンでQRコードを読み込むと電子版ビジュアルデータ「初任給ランキング」をご覧いただけます。
【図・写真】新卒採用の競争が激化している(千葉市)
清水港、昨年のクルーズ船寄港最多 ライドシェアで周遊促す ドライバー確保課題に[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 静岡 6ページ 1297文字 PDF有 書誌情報]
静岡市の清水港を訪れたクルーズ船が2024年、87隻と過去最多となった。富士山観光や新鮮なマグロを楽しめる清水港は訪日外国人(インバウンド)に人気の寄港地で、埠頭のクルーズ受け入れ能力向上で25年の寄港回数はさらに増える見通しだ。クルーズ客の周遊を促すため、4月にはタクシー会社が運行を管理する「日本版ライドシェア」も始まった。
4日、清水港に寄港した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」から降りたオーストラリア出身の4人組の観光客がライドシェア車両を待っていた。「(ライドシェアは)簡単で使いやすい。運転手とのコミュニケーションも心配がいらない」と話し、車に乗り込んだ。
国土交通省によると、24年に清水港を訪れたクルーズ船は過去最多となり、大型客船の多い外国船社が81隻と大半を占めた。寄港回数は全国で見ると鹿児島港に続く6位だった。新型コロナウイルス禍の前から人気の那覇や博多などの港が上位に入るが、清水港はコロナ後に順位を上げている。
県と客船誘致委員会が欧米のクルーズ会社や旅行会社に営業活動を行ったことに加え、富士山と駿河湾を周遊できる豊富な観光資源がクルーズ客増加につながっている。また、クルーズ船が停泊する日の出埠頭にあったフェリーターミナルが4月に清水駅前へ移転し、受け入れ体制が拡充されたことも今後寄与する。県などは17日時点で25年の寄港回数が前年比28%増の111隻になると見込んでいる。
外国の大型クルーズは1隻に最大で5000人程度が乗っており、寄港地の交通需要は大きい。県によると、クルーズ船が寄港して地域にもたらす経済効果は1隻あたり2000万円ほど。観光客が周遊して飲食や買い物、文化体験などに消費すればさらに膨らむ。足を延ばしてもらうには移動手段の充実は欠かせない。
タクシー業務支援の一般社団法人静岡TaaSは25年度にクルーズ船客の需要に対して、平均でタクシー約17台が不足すると試算、24年12月に静岡市へライドシェア導入を求める要望書を提出した。市の申請を受けて、静岡運輸支局が3月中旬に承認した。
4月上旬から、静岡TaaSがクルーズ船客を対象に埠頭付近のサテライト配車室で利用申し込みを受け付けている。運行ルートと利用時間を算定し、乗客は料金を事前に決済する。車両の待機状況などに応じてタクシーとライドシェア用車両を適宜手配する仕組みだ。
もっとも、4日のライドシェアに参加した車両は1台。運転手を務めた県東部在住の会社役員、杉本哲也さんは「英語に触れたい思いで手を挙げた。観光客や地域の足が少なくなる中、(一般のドライバーが)料金をもらってサービスをする仕組みが重要だ」と話した。
現在はライドシェア車両として駿河交通の管理する2台が運行しているが、不足分を埋めるには遠い。今後は参加するタクシー会社を増やすほか、人材紹介事業者の認定を取得してドライバーを確保する考えだ。TaaSの清野吉光・代表理事は「副業として英語を使った仕事をしたいという人や、翻訳アプリを使って対応する乗務員にも加わってもらいたい」と期待を込める。
(佐伯太朗、村上和)
新幹線予約、15言語対応 JR東海、ネットで 海外旅行サイトと提携 訪日客底上げ図る[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1322文字 PDF有 書誌情報]
JR東海が東海道新幹線を核にしたインバウンド(訪日外国人)の受け入れ体制を一段と強化している。海外の旅行サイト会社と提携し、座席のインターネット予約を中国語など15言語に対応させた。旅行商品や上級座席も取り入れ、リピーターを掘り起こす。新型コロナウイルス禍からの回復が踊り場を迎え、訪日客の底上げを図る。
「今年度が勝負だ」。JR東海で訪日誘客を担う本田啓之担当部長は気を引き締める。コロナ禍で落ち込んだ東海道新幹線の利用は24年度にかけて、旅行客が主導する形で急回復した。25年度はこの底上げ効果が一巡する。働き方の多様化でビジネス客も大きな伸びを見込みづらい。成長が続くインバウンドの獲得がカギとなる。
進めているのが新幹線ネット予約の使い勝手の向上だ。このほど香港の旅行予約サイト「Klook(クルック)」と提携。アジアや米欧など15言語対応で予約を受け付け、約40通貨で代金を払えるようにした。
欧州の利用者が多いフランスの旅行サイト「ジャパン・エクスペリエンス」とも組んだ。いずれもスマートフォンに表示させたQRコードを乗車券として使い、円滑に乗車できる。
コロナ前は駅の券売機での乗車券販売が主流で、主要駅が混雑する一因だった。JR東海は独自のネット予約「EXサービス」で17年に外国人向けスマホアプリを開設。QRチケットなどの導入を進めているが、現状では対応言語が英語に限られるなど課題もある。認知度の高い海外の有力サイトを活用して訪日客の上積みを狙う。
JR東海の24年4~12月の訪日客収入は870億円と、運輸収入全体の約8%を占める。さらなる誘客のため、周遊レジャーなど移動先での楽しみ方も提案する。EXサービスを通じ、割安に京都の寺院などを巡る会員限定ツアーを訪日客に提供し始めた。本田氏は「会員企画を通じて大阪・関西万博などもアピールできれば」と話す。
新幹線の座席も訪日客の目線で磨き上げる。プライベートを重視した完全個室席を26年秋に設けるほか、27年度にはグリーン車の座席の一部を「半個室」に転換する。価格はいずれも現在のグリーン車より高くなる見通しだ。24年10~12月のグリーン車利用はコロナ前の18年の同時期から10%増えており、さらなる快適さを求める乗客の声に応える。
新幹線以外でも富裕なインバウンドの消費を取り込もうと、力を入れるのが高級ホテルの整備だ。25年夏には米ホテル大手のマリオット・インターナショナルと組み、京都市の四条烏丸エリアで新ホテル「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」を開く。
奈良市の近鉄奈良駅前では米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションと提携して高級ブランドの「ホテル 寧 奈良」を30年度に開業する。客室数も当初予定の70室から100室に増やすと4月に発表した。
JR東海グループは東海道新幹線が連結売上高の7割超を占める「一本足打法」と知られる。建設を進めるリニア中央新幹線に加え、既存の鉄道網の保守・拡大には継続的な投資が必要になる。将来にわたって安定収入を確保するため、リピーターや長期滞在の多い訪日客を収益の柱の一つに育てられるかが重要になる。
(石原誠樹)
富山2行、手形帳など発行終了へ[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8ページ 248文字 PDF有 書誌情報]
富山銀行と富山第一銀行は、手形帳と小切手帳の発行を2026年3月末に終了すると発表した。26年までに約束手形の廃止や小切手の全面的な電子化を進める政府の方針に合わせた対応となる。27年4月以降が期日となる手形などの代金取り立ての受け付けについては、富山第一銀は1日に終了しており、富山銀は21日に停止する。
両行は手形・小切手の代替手段として、インターネットバンキングを利用した振込・送金のほか、決めた期日に金融機関の間で代金を自動送金する「電子記録債権」など電子決済手段への移行を顧客に促す。
栃木銀、紙の手形・小切手発行終了[2025/04/18 日本経済新聞 地方経済面 北関東 41ページ 156文字 PDF有 書誌情報]
栃木銀行は紙の手形や小切手の発行を12月30日で終了すると発表した。政府や全国銀行協会が手形や小切手の全面的な電子化を促している。
手形や小切手の代わりに、法人・個人事業主向けのネットバンキングサービス「とちぎんビジネスダイレクト」による振り込みや「とちぎんでんさいネット」などの電子決済サービスの利用を促す。
清水港、クルーズ寄港最多 周遊へライドシェア導入[2025/04/17 20:00 日経速報ニュース 1298文字 画像有 ]
静岡市の清水港を訪れたクルーズ船が2024年、87隻と過去最多となった。富士山観光や新鮮なマグロを楽しめる清水港は訪日外国人(インバウンド)に人気の寄港地で、埠頭のクルーズ受け入れ能力向上で25年の寄港回数はさらに増える見通しだ。クルーズ客の周遊を促すため、4月にはタクシー会社が運行を管理する「日本版ライドシェア」も始まった。
4日、清水港に寄港した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」から降りたオーストラリア出身の4人組の観光客がライドシェア車両を待っていた。「(ライドシェアは)簡単で使いやすい。運転手とのコミュニケーションも心配がいらない」と話し、車に乗り込んだ。
国土交通省によると、24年に清水港を訪れたクルーズ船は過去最多となり、大型客船の多い外国船社が81隻と大半を占めた。寄港回数は全国で見ると鹿児島港に続く6位だった。新型コロナウイルス禍の前から人気の那覇や博多などの港が上位に入るが、清水港はコロナ後に順位を上げている。
県と客船誘致委員会が欧米のクルーズ会社や旅行会社に営業活動を行ったことに加え、富士山と駿河湾を周遊できる豊富な観光資源がクルーズ客増加につながっている。また、クルーズ船が停泊する日の出埠頭にあったフェリーターミナルが4月に清水駅前へ移転し、受け入れ体制が拡充されたことも今後寄与する。県などは17日時点で25年の寄港回数が前年比28%増の111隻になると見込んでいる。
外国の大型クルーズは1隻に最大で5000人程度が乗っており、寄港地の交通需要は大きい。県によると、クルーズ船が寄港して地域にもたらす経済効果は1隻あたり2000万円ほど。観光客が周遊して飲食や買い物、文化体験などに消費すればさらに膨らむ。足を延ばしてもらうには移動手段の充実は欠かせない。
タクシー業務支援の一般社団法人静岡TaaSは25年度にクルーズ船客の需要に対して、平均でタクシー約17台が不足すると試算、24年12月に静岡市へライドシェア導入を求める要望書を提出した。市の申請を受けて、静岡運輸支局が3月中旬に承認した。
4月上旬から、静岡TaaSがクルーズ船客を対象に埠頭付近のサテライト配車室で利用申し込みを受け付けている。運行ルートと利用時間を算定し、乗客は料金を事前に決済する。車両の待機状況などに応じてタクシーとライドシェア用車両を適宜手配する仕組みだ。
もっとも、4日のライドシェアに参加した車両は1台。運転手を務めた県東部在住の会社役員、杉本哲也さんは「英語に触れたい思いで手を挙げた。観光客や地域の足が少なくなる中、(一般のドライバーが)料金をもらってサービスをする仕組みが重要だ」と話した。
現在はライドシェア車両として駿河交通の管理する2台が運行しているが、不足分を埋めるには遠い。今後は参加するタクシー会社を増やすほか、人材紹介事業者の認定を取得してドライバーを確保する考えだ。TaaSの清野吉光・代表理事は「副業として英語を使った仕事をしたいという人や、翻訳アプリを使って対応する乗務員にも加わってもらいたい」と期待を込める。
(佐伯太朗、村上和)
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富山銀と富山第一銀、26年に手形・小切手帳の発行終了[2025/04/17 19:35 日経速報ニュース 248文字 ]
富山銀行と富山第一銀行は、手形帳と小切手帳の発行を2026年3月末に終了すると発表した。26年までに約束手形の廃止や小切手の全面的な電子化を進める政府の方針に合わせた対応となる。27年4月以降が期日となる手形などの代金取り立ての受け付けについては、富山第一銀は1日に終了しており、富山銀は21日に停止する。
両行は手形・小切手の代替手段として、インターネットバンキングを利用した振込・送金のほか、決めた期日に金融機関の間で代金を自動送金する「電子記録債権」など電子決済手段への移行を顧客に促す。
栃木銀行、紙の手形・小切手の発行終了 電子移行促す[2025/04/17 19:00 日経速報ニュース 260文字 ]
栃木銀行は紙の手形や小切手の発行を12月30日で終了すると発表した。政府や全国銀行協会が手形や小切手の全面的な電子化を促しており、発行終了はそれに沿った措置という。
手形や小切手の代わりに、法人・個人事業主向けのネットバンキングサービス「とちぎんビジネスダイレクト」による振り込みや「とちぎんでんさいネット」などの電子決済サービスの利用を促す。現物を紛失するリスクや事務負担が減り、印紙代などのコスト削減にもつながるとしている。
発行済みの手形や小切手については、発行終了日の12月30日を過ぎても引き続き利用できる。
ローソン、KDDIとデジタル店 セブン追走し日販3割増[2025/04/17 15:59 日経速報ニュース 1399文字 画像有 ]
ローソンは17日、2031年2月期までの中期経営計画を公表した。国内1店舗あたりの売上高(平均日販)を足元より3割多い70万円超とする。24年からローソンに50%を出資するKDDIのデータ基盤を活用し、店舗の購買履歴などと組み合わせた商品を開発する。自動化ロボットなども活用し、最大手のセブン―イレブンを追走する。
平均日販はコンビニエンスストア各社の稼ぐ力を示す重要指標の一つだ。31年2月期に70万円超と25年2月期比で約3割伸ばし、同時期に75万円超を掲げるセブンを追う。25年2月期はセブンを約12万円下回る水準だった。今後6年でその差を7万円ほど縮める。
「リアルとテックを組み合わせたコンビニエンスグループに生まれ変わり、圧倒的なおいしさと成長で消費者の期待を超えていく」。竹増貞信社長は17日の記者会見で強調した。すでに国内のコンビニ市場は成熟しており、今後の大幅な出店増は期待しにくい。1店舗あたりの収益力を高める工夫が欠かせない。
要となるのは、KDDIと組んだ店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。
4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)には、先進技術を取り入れた店舗を開く。飲料の陳列を自動化するロボットや、来店客が専用アプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマートフォンレジの導入などを想定する。顧客の利便性を高めながら、小売業で深刻化する人手不足の対策につなげる。
両社の膨大な顧客データを生かした商品開発のDXにも取り組む。たとえば人工知能(AI)で足元の購買傾向を分析し、半年後に売れそうな商品を先読みする。競合他社に先んじて、各地域での嗜好を捉えた的確な商品の投入が見込める。
ローソンでは24年から、在庫量や天候をもとに売れ残り商品の値引き率などをAIが算出する独自の発注システム「AICO(アイコ)」を本格導入してきた。今後は揚げ物など店内調理品の準備に関わる提案もできるようにし、各店舗の収益性を高める。
足元の業績は好調だ。同日発表した25年2月期の連結純利益は前の期比15%増の599億円で過去最高だった。平均日販も57万4000円と1万8000円伸び、ファミリーマート(57万3000円)をわずかに上回った。お得なクーポンを使えるKDDIとの会員制サービス「Ponta(ポンタ)パス」などの新たな販促施策が奏功しつつある。
海外にも成長の目を向ける。31年2月期の海外店舗数は約1万4000店と足元の水準から倍増させる。アジアを中心に経済成長で拡大する中間層の需要を取り込む。国内外での成長戦略を加速し、31年2月期の純利益は25年2月期比67%増の1000億円を目指す。
もっともライバルとの競争は激しい。ファミマは1万店超にデジタルサイネージ(電子看板)を設置する。顧客ごとの嗜好に合わせた商品を配信するなどリテールメディア(小売り広告)事業で先行している。セブンもドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶といったレジ横商品の品ぞろえを拡充することで来店頻度の向上をうかがう。
ローソンは6月に創業50周年を迎える。大手各社が次世代のコンビニ像を模索するなか、特色のある店づくりで集客力を高めるための土台を築けるか。中計6カ年でKDDIとの連携を具体的な結果として示すことが、次の50年の成長を左右する。
(石崎開)
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上新電機・日立・東武鉄道、生体認証サービス「SAKULaLa」を活用しデジタル格差解消などの社会課題解決に向け取組を開始[2025/04/17 15:38 日経速報ニュース 1448文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月17日
上新電機、日立、東武鉄道が、生体認証サービス「SAKULaLa」を活用し、デジタル格差の解消、商品購入時の不正防止に向けた取り組みを開始
家電量販店初、Joshinにおいて、指をかざすだけで安心・安全かつ手軽なポイント獲得と厳格な本人確認を実現
※イメージ画像は添付の関連資料を参照
上新電機株式会社(以下、上新電機)と、株式会社日立製作所(以下、日立)、東武鉄道株式会社(以下、東武鉄道)は、生体認証サービス「SAKULaLa(サクララ)」(以下、「SAKULaLa」)を活用し、幅広い世代の方々が店頭で使いやすいデジタルサービスの整備によるデジタル格差の解消や、限定商品の重複購入など商品購入時の不正防止といった社会課題の解決に向けて取り組みを開始します。
具体的には、家電量販店として初めて、上新電機の店舗(大阪府にあるジョーシン日本橋店、スーパーキッズランド本店の2店舗)において、4月24日より東武鉄道と日立が提供する「SAKULaLa」を導入し、指をかざすだけでポイント獲得と厳格な本人確認を実現し、誰もが安心・安全かつ手軽にサービスを利用できる環境を提供します。
デジタル技術に不慣れなお客さまであっても、一度登録(*1)すれば、専用端末に指をかざすだけで手軽に「SAKULaLa」を利用できるようになるため、今後さまざまな業界で「SAKULaLa」が普及した際も、新たに登録を行うことなく、手ぶらでポイントサービスの利用やお買い物(*2)ができるようになります。また、購入可能点数が限定されている商品を購入する際においても、生体認証により厳格な本人確認を行えるため、同一のお客さまによる不正な重複購入を防ぎ、多くのお客さまに限定商品をご購入いただけるようになります。
今後、上新電機は、「SAKULaLa」を導入した2店舗でのお客さまの声を反映しながら、全店舗への導入を順次進めていきます。そして、「SAKULaLa」を用いたJoshin webショップでの購入時の本人確認(*3)の強化など、安心・安全で便利なお買い物体験の提供を通して、リアル、オンラインを問わず、お客さまの暮らしに寄り添う店舗の実現をめざしていきます。
また、東武鉄道と日立は、人々の生活をより便利に、豊かにする社会インフラの構築をめざし、すでに展開している、スーパー、飲食店に加えて、家電量販店、鉄道、百貨店などさまざまな業界のお客さまへの「SAKULaLa」提供を通して、労働力不足、デジタル格差、不正・なりすましなどの社会課題の解決に取り組みます。
*1 関西エリアでは、今回導入するジョーシン日本橋店、スーパーキッズランド本店の2店舗で登録可能です。
*2 初期導入の2店舗では、「SAKULaLa」を用いて決済をする場合は、ジョーシンポイントでのお支払いのみとなります。
*3 Joshin webショップでの本人確認においては、スマートフォンのカメラを用いた顔認証対応を予定しています。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
イメージ画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689938/01_202504171537.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689938/02_202504171537.pdf
楽天生保・杉山社長「楽天ペイで保険、ほしい時に提案」[2025/04/17 15:30 日経速報ニュース 664文字 画像有 ]
楽天生命保険(東京・港)の杉山蘭房社長が17日までに日本経済新聞の取材に応じ、「楽天ペイのアプリ上で、利用者が保険を欲しい時に提案する仕組みを構築する」と述べた。主なやりとりは以下の通り。
――スマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で保険を提供する狙いは何ですか。
「顧客との接点を増やしたい。楽天ペイは毎日使われるため接触回数が多い。楽天生保にもアプリはあるが、生命保険は加入すると数年間連絡をとる必要がなくなってしまう。(日常的な)接点を確保するのが課題となっていた」
「決済データを活用すれば位置情報がわかる。必要な保険を、必要な時に提案することができるようになる。ゴルフ場の近くで買い物すればゴルフ保険を紹介する。簡単な手続きで購入できれば新しい需要を開拓でき、マーケティング費用も安くてすむ」
――利用者の利便性は変わりますか
「これまで保険は日常的に目にするものではなかった。もしもの時に備えるので利用者が探しにいくものだった。それがアプリ上で、ほしいタイミングで適時に提案されるものに変わる」
――(海外旅行保険などの)『少額短期保険』から始めるのはなぜですか。
「楽天生保の子会社が少額短期保険を販売している。保険期間が短く金額も安いことから商品の自由度は高い。利用者の需要に合わせた商品開発につなげたい」
「少額短期保険は低価格なことから収益化が難しい。保険の入り口として利用してもらい、より高単価な生命保険や損害保険の加入につなげていく。楽天ペイアプリ上でも提供できるようにしたい」
(聞き手は桜木浩己)
外為12時 円相場、下落 日米関税交渉の警戒後退、日銀総裁発言も重荷[2025/04/17 12:36 日経速報ニュース 865文字 ]
17日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=142円55~57銭と前日17時時点と比べて45銭の円安・ドル高だった。朝方に昨年9月以来7カ月ぶりの高値をつける場面があったものの、関税政策を巡る日米交渉で「為替が議題にならなかった」と伝わると、円は急速に売られた。日銀総裁や同審議委員の発言が追加利上げに慎重だったと受け止められたのも、相場の重荷となった。
円相場は8時すぎに141円62銭近辺まで上昇した。日本時間17日朝に始まった日米関税交渉を巡り、米政府から「円安是正」が求められるとの警戒感が高まり、円買い・ドル売りが先行した。16日の米株式相場の下落や米長期金利の低下も円買い・ドル売り圧力となった。
ただ、関税協議を終えた赤沢亮正経済財政・再生相が記者団に対し、「為替は議題にならなかった」と述べると、円安是正への警戒感がひとまず和らぎ、円に売りが広がった。10時すぎの中値決済で国内輸入企業の円売り・ドル買いが活発だったとの観測も相場を押し下げた。
10時半すぎには142円86銭近辺まで下落した。日銀の植田和男総裁は17日、参院財政金融委員会で「通商政策を巡る不確実性が高まっている状況は注視する」などと述べ、関税政策が国内経済の下押し圧力になるとの認識を示した。同日に群馬県金融経済懇談会で挨拶した中川順子審議委員も「関税政策の影響を含め、不確実性が一層高まっている状況」と話した。市場では「日銀が利上げに慎重な姿勢を示したと改めて意識されており、円売り・ドル買いを後押しした」(国内銀行のディーラー)との声があった。
円は対ユーロでも下落した。12時時点は1ユーロ=162円18~22銭と、同37銭の円安・ユーロ高だった。朝方は円買い・ユーロ売りが優勢だったものの、対ドルで円売りが膨らむと対ユーロでも下げに転じた。
ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.1379~80ドルと同0.0008ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、下げに転じる 142円台半ば 「円安是正」の警戒和らぐ[2025/04/17 10:29 日経速報ニュース 702文字 ]
17日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げに転じた。10時時点は1ドル=142円58~60銭と前日17時時点と比べて48銭の円安・ドル高だった。10時すぎには142円68銭近辺まで下落し、朝方から1円以上円安・ドル高が進んだ。日米の関税交渉を巡り、米政府から日本側に円安是正が求められるとの過度な警戒感が和らいだ。国内輸入企業による円売り・ドル買い観測も相場を押し下げた。
日米両政府は日本時間17日午前に関税交渉を実施した。協議後、赤沢亮正経済財政・再生相は記者団に対し「早期の合意を目指すことで両国が一致した」と述べたほか、「為替は議題にならなかった」などと話した。為替が議題にならなかったと伝わると、円安是正圧力への警戒感が和らぎ、円売り・ドル買いの勢いが加速した。
16日の米株安や米長期金利の低下に加え、円安是正への思惑から、円相場は朝方には141円62銭近辺まで上昇し、昨年9月以来7カ月ぶりの高値をつけていた。
10時前の中値決済に向けては、「ドル買い優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。欧州があす18日からイースター(復活祭)に伴う休暇に入るため、前倒しで円売り・ドル買いの取引に動く国内輸入企業などがみられたという。
円は対ユーロでも下げに転じた。10時時点では1ユーロ=162円02~05銭と、同21銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで下げに転じた。10時時点では1ユーロ=1.1365~66ドルと同0.0022ドルのユーロ安・ドル高だった。対円でのドル買いが進んだことで、対ユーロでもドル買いが優勢となった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
今日の株価材料(新聞など、17日)1~3月の訪日客1000万人、四半期で初[2025/04/17 07:22 日経速報ニュース 778文字 ]
▽三菱重(7011)、タービン増産 ガス火力を30年に1.2倍 石炭からシフト(日経)
▽帝ホテル(9708)など大手15社、カルテルの恐れ 公取委警告へ(日経)
▽1~3月の訪日客1000万人、四半期で初 中国人客回復がけん引、消費は微減 トランプ関税が影(日経)
▽東電HD(9501)の再建計画「覚悟聞きたい」 原賠機構幹部(日経)
▽SBI(8473)、韓国生保をグループ会社に 出資額計1000億円 海外事業拡大に弾み(日経)
▽三井住友FG(8316)、マネフォ(3994)と新会社設立 銀行機能を外部提供(日経)
▽ニデック(6594)、牧野フ(6135)の買収防衛策の差し止め申し立て(日経)
▽ミネベア(6479)、ヤゲオ主張「根拠欠ける」 芝浦電子(6957)へのTOBで(日経電子版)
▽三井物(8031)、合成燃料の米新興出資(日経)
▽すかいらーく(3197)、卵関連商品値上げ(日経)
▽信越化(4063)、合成石英医薬に展開 新規用途に拡大(日経)
▽楽天グループ(4755)、「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリ、経済圏の軸に(日経)
▽日本郵便とトナミHD(9070)TOB成立 「物流で価格競争力強化」(日経)
▽フジクラ(5803)が特損、和解金で48億円(日経)
▽サイバー(4751)、決算を訂正 子会社の不適切会計で(日経)
▽日産自(7201)、スナール氏などルノーからの取締役2人が退任へ 関係者(ブルームバーグ通信)
▽トランプ氏、赤沢経済再生相と面会 関税交渉を開始(日経電子版)
▽トランプ大統領 SNSで「大きな進展」 赤沢経済再生相と会談後に(NHK)
▽NY円相場、反発 1ドル=141円75~85銭 7カ月ぶり高値 米株安や日米関税交渉で(NQN)
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
電気の価格予測しやすく 先物取引が急増、透明性増す[2025/04/17 05:00 日経速報ニュース 1738文字 画像有 ]
日本の電力先物市場が急成長している。2024年度の年間取引高は前年比3倍超に膨らみ、他国の市場と比べて伸びが突出する。燃料高や電力の価格変動などを背景に、リスクをヘッジ(回避)する需要が膨らんだ。電力自由化で先行する欧米企業を中心に新規参入が増え、課題だった市場流動性が改善。電力価格の透明性が向上し、消費者や企業が電気代を予測しやすくなる可能性があるという。
電力先物は1年後など将来の電気を一定の価格で売買するデリバティブ(金融派生商品)取引。日本卸電力取引所(JEPX)などで取引する現物の電気との値差を決済する。
電力先物の取引所を手掛ける欧州エネルギー取引所(EEX)と、日本取引所グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)の合計取引高は24年度、約95テラワット時と、23年度の30テラワット時から3.1倍に急増した。日本卸電力取引所の現物取引量の37%に達する。
取引の中心はEEXだが、昨年後半以降はTOCOMの流動性も急速に高まっており、1~3月のTOCOMの取引量は24年の年間取引量を既に上回った。
ドイツなど成熟した市場との差は依然大きいものの、伸び率は世界で突出する。EEXがまとめた24年1~12月の各国取引量の比較では、日本はオランダに次ぐ8位。
EEXの日本電力を取引する参加者は3月末時点で国内外合計で98社。23年度末から26社(36%)増えた。24年6月にはヘッジファンドのシタデルが国内電力卸の買収を決めて参入したほか、石油メジャーの英シェルなど海外エネルギー大手も取引を増やす。
電力取引仲介大手ヴァニアのジェームズ・ウィスラー最高経営責任者(CEO)は「市場アクセスの改善や流動性の向上と相まって、日本は海外勢にとって魅力的な投資先となっている」と話す。
日本の電力先物は19年、TOCOMに試験上場された。20年にはEEXも日本の電力取引を手掛けるようになったことで、欧米の電力トレーディング会社も売買をしやすくなり、23年ごろから本格的に取引が広がった。市場での売買が活発になるにつれて参加者も増えて流動性が高まり、市場規模は膨らみ続けている。
日本の大手電力や総合商社も、海外企業の買収などを通じて得たノウハウを生かし、先物取引の拡大を目指す動きが目立つ。
三菱商事は16年に買収したアイルランドの電力トレーディング会社、エレクトロルートの日本法人を22年に立ち上げ、23年度から日本で本格的に取引している。酒井岳幸トレーディング統括は「欧州での取引ノウハウをもとに、電力先物取引を通じて再エネ事業者など発電側の需給調整や、小売りなど需要側の電力の調達をサポートするサービスを提供している」と話す。
国内発電最大手のJERAも3月27日、フランスの大手電力EDFグループと、日本国内の電力トレーディング事業を統合し、先物取引などの事業に共同で取り組むと発表した。
大手電力がここにきて電力トレーディング部門を強化する背景には、電力市場の公正な競争環境が整備されてきたことも影響している。
かつて大手電力はグループ内へ優先して電力を売っていた。新電力など社外への卸取引よりも有利な条件でグループ内に相対の長期契約などで販売する「内外差別」の商慣行が広がっており、電力・ガス取引監視等委員会が20年に適正な競争をゆがめるとして是正を要請した。
これを受けて大手電力は、相対での電力販売の際、透明性が高く「内外無差別」を説明しやすい先物などの市場価格を参照した値決めに徐々に移行。併せて、価格変動のリスクヘッジのための先物取引の利用も強化している。
JERAは25年度までに東京電力グループなどと結ぶ長期契約が切れ、市場での電力販売が増える見通しだ。JERAの葛西和範常務執行役員は「先物を通じたリスクヘッジの必要性がさらに高まることで、市場は一段と活性化する」と話す。
昨年、TOCOMの電力先物市場に参入した三菱UFJ銀行の関浩之取締役副頭取執行役員は、電力先物取引の意義について「価格の透明性と予見性が高まること」だと指摘。「企業や消費者が将来の電力価格を予測しやすくなり、計画的な経済活動が可能になる」と話した。(浜美佐)
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東海道新幹線ネット予約、中国など15言語 訪日客底上げ[2025/04/17 05:00 日経速報ニュース 1346文字 画像有 ]
JR東海が東海道新幹線を核にしたインバウンド(訪日外国人)の受け入れ体制を一段と強化している。海外の旅行サイト会社と提携し、座席のインターネット予約を中国語など15言語に対応させた。旅行商品や上級座席も取り入れ、リピーターを掘り起こす。新型コロナウイルス禍からの回復が踊り場を迎え、訪日客の底上げを図る。
コロナ禍からの回復一巡
「今年度が勝負だ」。JR東海で訪日誘客を担う本田啓之担当部長は気を引き締める。コロナ禍で落ち込んだ東海道新幹線の利用は24年度にかけて、旅行客が主導する形で急回復した。25年度はこの底上げ効果が一巡する。働き方の多様化でビジネス客も大きな伸びを見込みづらい。成長が続くインバウンドの獲得がカギとなる。
進めているのが新幹線ネット予約の使い勝手の向上だ。このほど香港の旅行予約サイト「Klook(クルック)」と提携。アジアや米欧など15言語対応で予約を受け付け、約40通貨で代金を払えるようにした。
欧州の利用者が多いフランスの旅行サイト「ジャパン・エクスペリエンス」とも組んだ。いずれもスマートフォンに表示させたQRコードを乗車券として使い、円滑に乗車できる。
コロナ前は駅の券売機での乗車券販売が主流で、主要駅が混雑する一因だった。JR東海は独自のネット予約「EXサービス」で17年に外国人向けスマホアプリを開設。QRチケットなどの導入を進めているが、現状では対応言語が英語に限られるなど課題もある。認知度の高い海外の有力サイトを活用して訪日客の上積みを狙う。
JR東海の24年4~12月の訪日客収入は870億円と、運輸収入全体の約8%を占める。さらなる誘客のため、周遊レジャーなど移動先での楽しみ方も提案する。EXサービスを通じ、割安に京都の寺院などを巡る会員限定ツアーを訪日客に提供し始めた。本田氏は「会員企画を通じて大阪・関西万博などもアピールできれば」と話す。
個室席や高級ホテルも
新幹線の座席も訪日客の目線で磨き上げる。プライベートを重視した完全個室席を26年秋に設けるほか、27年度にはグリーン車の座席の一部を「半個室」に転換する。価格はいずれも現在のグリーン車より高くなる見通しだ。24年10~12月のグリーン車利用はコロナ前の18年の同時期から10%増えており、さらなる快適さを求める乗客の声に応える。
新幹線以外でも富裕なインバウンドの消費を取り込もうと、力を入れるのが高級ホテルの整備だ。25年夏には米ホテル大手のマリオット・インターナショナルと組み、京都市の四条烏丸エリアで新ホテル「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」を開く。
奈良市の近鉄奈良駅前では米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションと提携して高級ブランドの「ホテル 寧 奈良」を30年度に開業する。客室数も当初予定の70室から100室に増やすと4月に発表した。
JR東海グループは東海道新幹線が連結売上高の7割超を占める「一本足打法」と知られる。建設を進めるリニア中央新幹線に加え、既存の鉄道網の保守・拡大には継続的な投資が必要になる。将来にわたって安定収入を確保するため、リピーターや長期滞在の多い訪日客を収益の柱の一つに育てられるかが重要になる。
(石原誠樹)
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「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリ、経済圏の軸に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1211文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループは6月にもスマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で、保険の提供を始める。第1弾としてグループの保険会社が少額短期保険を販売する。同保険は価格が安く海外旅行の際の事故などを補償する。日常的に使える保険サービスの販売でスマホ決済の利用拡大につなげる。顧客データ収集の場を増やす狙いもある。
財務局の認可を前提に、楽天Gのグループ会社である楽天少額短期保険(東京・港)が保険の販売を始める。少額短期保険には短い期間の海外旅行中の事故などを補償するものやゴルフをしている際の事故、熱中症になったときの補償をするものなどがある。まず同保険から始めて、生命保険といった高価格帯商品にも広げる。さらに保険以外のサービスの予約なども決済アプリでできるようにするもようだ。
楽天ペイメント(東京・港)が運営する楽天ペイの決済データを使えば、だれがどこで何を購入したかがわかる。利用客の需要に応じた保険商品を提案できるようになるとみている。空港で買い物をすれば海外旅行保険を、ゴルフ場の近くであればゴルフの保険をアプリで提案する仕組みも整える。
生命保険文化センターの2024年調査によるとネット経由で生命保険に加入した人の割合は6%にとどまる。楽天ペイでの保険提供は、決済もクレジットカードなどを使う他のネット販売に比べてより簡単で、開拓の余地は大きいとみる。
楽天Gは共通ポイント「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」、楽天カードの機能を決済アプリである楽天ペイに集約する計画だ。同アプリを電子商取引(EC)や銀行、証券、楽天ポイントなどさまざまなサービスを展開する「楽天経済圏」の入り口にしていく。決済アプリの魅力向上策は欠かせず、保険販売はその一環だ。
スマホ決済アプリは急成長している。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会のデータによるとスマホ経由のQRコード決済回数は24年に115億回と、18年の約230倍に増えた。経済産業省によるとQRコードによる決済額は24年に13兆5000億円。23年比の伸び率は24%増とキャッシュレス決済の中で最も高かった。
この流れの中で楽天ペイの利用も増えている。楽天Gの中で最も決済回数の多いアプリの一つだ。少額の決済が中心のためコンビニエンスストアでの買い物など、1日に複数回使われることもありお金を払う日常的な手段として浸透しつつある。
スマホ決済ではソフトバンク系のPayPayが決済額と回数の両方でシェアが7割近くに達し先行している。保険販売もすでに始めており、決済アプリ上で自転車事故の保険やペット保険などを幅広く展開する。
楽天Gの強みは楽天経済圏から得られる顧客のデータだ。決済アプリを軸とし、膨大なデータを人工知能(AI)で分析してマーケティングの解像度を上げる。適切な販促を進めたり、決済アプリの機能や魅力も高めたりして追い上げを急ぐ。
しっかり学ぶ財務(2)貸借対照表(BS) おカネとモノの動き示す、財務の健全性チェック[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1300文字 PDF有 書誌情報]
企業の経営が健全か知る上で大切なのはおカネをいくら稼いだかだけではない。おカネがどこから来て、何に形を変えたのか――。ある時点での企業の持ち物とお金の出どころを対比させたのが貸借対照表(バランスシート、BS)だ。安定して事業を続けられるかといった評価に重要な役割を果たしている。
乳製品やチョコレートなどで知られる明治ホールディングス(HD)。24年4~12月期は牛乳やヨーグルトなどのデイリー事業が増益だったが、中国での乳製品の苦戦やワクチンの評価減により連結純利益は前年同期比3%減となった。今の資産状況はどうか。貸借対照表を見てみよう。
企業が保有する資産は貸借対照表の左側に記載する。流動資産は比較的短い期間で現金になる資産だ。仕入れや製造、販売など通常の営業活動で生じた資産や現預金、短期売買する株式などが該当する。固定資産は長期間保有する土地や建物、工場などが代表的だ。
明治HDの24年12月末時点の流動資産は5763億円で、内訳は現預金が931億円、顧客から今後回収する受取手形と売掛金は2319億円、商品と製品は1225億円ある。固定資産は6410億円で、大きなものは建物や土地、機械装置などの有形固定資産だ。
貸借対照表の右側にはお金の調達先が記される。銀行からの借入金や社債など返済義務のある負債は右上に、株主の払い込みや過去の利益の蓄積など返済義務のない純資産が右下に記載される。負債と純資産の合計額は資産と一致する。
明治HDの負債をみると、仕入れ先への買掛金など1年以内に支払いを要する流動負債が3386億円ある。社債や長期借入金など返済期限が1年を超える固定負債は922億円ある。
純資産はほぼ横ばいの7864億円だった。株主から集めた資本金や、過去の利益の積み上げである利益剰余金などで構成される。会社法では単独の利益剰余金などから配当可能額が決まるため、株主にとって重要だ。
「資産」「負債」「純資産」のバランスから財務状況の健全性を確認できる。赤字が続いて蓄えを食い潰すと純資産がマイナスになる。負債が資産を上回り、全ての資産を売却しても借金が返済できない債務超過に陥る。融資を受けにくくなるほか、原則、債務超過を1年以内に解消できないと東京証券取引所の上場維持基準に抵触する。
財務状態の健全性を測る指標の一つが「自己資本比率」だ。調達したお金のうち返済義務のないお金の割合を表す。明治HDの24年12月末の自己資本比率は61%と、東証プライム上場企業の平均(43%)より高い。
流動資産を流動負債で割った「流動比率」が100%未満だと短期的に資金の手当てが必要になる可能性が高くなる。明治HDの流動比率は170%で資金繰りは安定しているといえる。
ブランド力や、社員の知識や経験といった人的資本などは「無形資産」と呼ばれ、企業に価値をもたらすが貸借対照表には載らない。近年は無形資産に着目する投資家も増えており、非財務情報の重要性が増している。
(久世真由美)
日経電子版のコンテンツ「入社1年目で知っておきたかった会計の基礎知識」はこちらのQRコードから。
博覧会国際事務局長「万博は平和共有の場」 共同宣言採択に意欲(EXPO2025)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 883文字 PDF有 書誌情報]
万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)などは、大阪・関西万博で「いのち」をテーマとした共同宣言採択を目指す。ケルケンツェス事務局長が日本経済新聞のインタビューで実現へ意欲を示した。国際社会の分断が深まる中「世界に対して強力なメッセージになる。閉幕日までに公表しなければならない」と話した。
参加する158カ国・地域などが人類共通の課題である「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」といった8分野を議論するテーマウイークを通じて合意を形成する。
各地で続く紛争やトランプ関税など、世界が揺れる現状に対し「地政学的に極めて困難な状況にある。世界は対話の必要性を忘れつつある」と警鐘を鳴らした上で「万博はこうした外部の『雑音』を遮断する。かつてないほど重要性が増す中、平和と連帯を共有する場となる」と強調した。
2015年ミラノ万博では食料を得る権利を基本的人権と位置づけた「ミラノ憲章」を、「より良い都市、より良い生活」をテーマとした10年上海万博では、持続可能な都市開発を目指す「上海宣言」を採択した。ケルケンツェス氏は「万博が地球規模の課題解決に向かうための一助になれば」と話す。
来場者に向け「各国は展示で技術やアイデアを共有し、未来に向かってともに前進する道を模索する。どのような姿を提示しているか、自分の目で見て考えてほしい」とメッセージを送った。
大阪万博には開幕日の13日、約12万人が来場した。事前予約などで「並ばない万博」を目指したものの、入場ゲートやパビリオン、最寄りの地下鉄駅の前には行列ができた。通信上の問題で電子チケットのQRコードが表示できないトラブルがあった。
ケルケンツェス氏は「万博は入退場のロジスティクス(輸送)が最大の課題となる。開幕から数日間、問題点を観察して改善を図る必要がある」と指摘。日本国際博覧会協会に対し「より多くの来場者をシャトルバスに誘導したり、退場時間の分散を検討したりすべきだ」と注文した。
(大阪・関西万博取材班)
【図・写真】インタビューに応じるBIEのケルケンツェス事務局長(大阪市此花区)
土産小箱にQRコード、住所打ち込み 冷凍味噌かつ、家に直送 矢場とん、手軽さアピール[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1423文字 PDF有 書誌情報]
味噌かつ店を展開する矢場とん(名古屋市)は冷凍の串かつなどを指定先に直送する商品を2025年度中にも全店で展開する。QRコードを活用し、指定先の住所に冷凍食品を送る仕組みで、かさばらない土産物として売り出す。人工知能(AI)を活用した販促活動もおこなうなど、店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通して観光客の来客増を狙う。
矢場とん中部国際空港店(愛知県常滑市)の店頭に「荷物にならないお土産」というポップが掲げられている。販売されているのはイメージキャラクターの「ぶーちゃん」があしらわれた名刺大の箱。中から出てくるのは、味噌かつではなくQRコードだ。同商品は送料を含め3800円で、「みそ串かつセット(5本入り3パック)」などから好みのものを選べる。
矢場とんが販売を始めたのは、QRコードからアクセスできるサイトに住所を打ち込むと、串かつなどの冷凍食品が入力された住所に配達されるギフトだ。購入者は保冷剤や保冷バッグを用意する必要がない。受け取る相手も家など希望の場所で受け取れるため、すぐに冷凍保存しやすい。
名古屋名物の味噌かつは国内外の旅行客からの人気が高いが、土産物として持ち運びにくいという難点があった。旅行中に冷凍食品を持ち運ぶハードルを取り払い、名古屋土産としての需要を取り込む。
矢場とんの栗原耕二執行役員は「冷凍食品は名古屋に来たばかりの客は買わない。帰る時にもしかしたら買う人がいるというのが現状だ」と話す。矢場とんに食事に来た観光客などが、旅程やタイミングを問わず買い求めやすくなると期待する。
販売する店舗のメリットも大きい。冷凍食品の在庫を店に置かないため、賞味期限を加味した発注の手間が省けるほか、店舗に冷凍ケースなどの設備がなくても販売できる。
同社は25年度中に全店で荷物にならないお土産を展開する方針だ。将来的にはインバウンド(訪日外国人)をターゲットとした海外発送への対応や、ミニギフトの形や配送商品の多様化も検討する。
DXは土産物だけでなく販促活動でも進めている。同社の中部国際空港店ではAIを活用して客と会話できる「AIぶーちゃん」を試験的に導入した。
「おいらは『ぶーちゃん』なも!」。AIぶーちゃんは店の入り口に設置されており、ボタンを押して話しかけるとマイクやカメラで客を感知する。「おなかいっぱい食べたい」という客におすすめのメニューを質問されると「ボリューム満点で大満足間違いなしなも」(AIぶーちゃん)と強調し、看板メニューの「わらじとんかつ」や「極上リブ鉄板とんかつ」を薦めた。
おすすめのメニューのほか、ぶーちゃんの自己紹介や矢場とんの歴史などを尋ねることができるという。日本語以外に、英語や中国語にも対応している。QRコードを読み込むと、事前にメニューを注文できるシステムも盛り込んだ。
同社がAIぶーちゃんを設置したのは従業員の負担軽減や、待ち時間のエンタメ化のためだ。例えば中部国際空港店では数十人が行列を作ることもあり、従業員が手作業でメニューなどを案内する。待ち時間中に会話ができることで客を楽しませるほか、商品をおすすめすることで販売促進につなげたい考えだ。
今後はサービスの認知度やAIの精度の向上を検討するという。栗原執行役員は「矢場とんに合わせたDXを進めたい」と説明し、矢場とんらしいエンタメ性と従業員の負担軽減や効率化の両立を目指す。
(山名直花)
サンエーとミスターマックス 低価格PB、増益けん引 前期最終 イオン九州は14%減益[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 1300文字 PDF有 書誌情報]
九州・沖縄の主要小売企業5社の2025年2月期決算が出そろった。沖縄の大手のサンエーが4期連続の増益で過去最高益となったほか、ミスターマックス・ホールディングス(HD)が2期ぶりの増益となった。物価高が続くなか、低価格を打ち出したプライベートブランド(PB)商品を展開する企業が軒並み好調だった。
連結純利益が前の期比7%増の114億円と過去最高を記録したサンエー。売上高に当たる営業収益も4%増の2371億円で55期連続で過去最高を達成したほか、本業のもうけを示す営業利益も3%増の169億円と好調が続く。
要因は物価高が長引くなか、「お得感」をアピールして生鮮食品から日用品、ペット用品などにまで幅広く展開しているPB商品「くらしモア」の拡充だ。既存店の売り上げ増につながっており、収益認識基準の変更を考慮しない単純比較では4.9%増となった。
ミスターマックスHDも好調で、連結純利益が1%増の24億円と2期ぶりの増益となった。売上高に相当する営業収益は5%増の1365億円で3期連続で増加した。
特に自社PBの売り上げが14%増と伸び、家電メーカーの旧型商品をミスターマックス専売の機種として割安な価格で販売する「リバイバルモデル」が好調だった。粗利益も19%伸びるなど利益面の改善に寄与した。平野能章社長は「売上高の増加が粗利益の増加に直結するのがPBの良さだ」と指摘する。
同社は29年2月期を最終年度とする中期経営計画でPB比率を現状の約2割から3割に引き上げる目標を掲げている。
イオン九州は連結純利益が60億円となり、14%減だった。繰り延べ税金資産の見直しにより前の期に計上した法人税等調整額の戻し入れがなくなったためで、営業利益は1%増の105億円と過去最高を記録。キャッシュレス決済の拡充や店舗の省力化をはかる電子値札の導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)施策が奏功した。
営業収益も4%増の5316億円となり、過去最高に。総菜や冷凍食品の種類を拡充したことで、食品の売り上げも好調だった。マックスバリュなどの食品スーパーで日用品や化粧品の品ぞろえを強化したことも売り上げ増につながった。
5月期決算のコスモス薬品も好調だ。九州や関東地方などに約80店を新規出店し、24年6月~25年2月期の連結決算は純利益が前年同期比29%増の223億円、売上高は7522億円で5%増えた。今期の売上高は前期比7%増の1兆370億円、純利益は微増の245億円を見込む。
百貨店の25年2月期決算では、インバウンド(訪日外国人)需要をどれだけ取り込めたかで、博多大丸(福岡市)と北九州市に地盤を置く井筒屋の明暗が分かれた。
インバウンド需要が好調だった博多大丸は免税品の売り上げが想定以上に増加。売上高は9%増の170億円だった。
これに対し、井筒屋は顧客全体に占めるインバウンドの割合が「1%程度」(担当者)という。婦人向け衣料を中心に衣料品全体の売り上げが鈍化し、連結売上高は2%減の221億円に。会計基準を変更した23年2月期を含めて3期連続の減収となった。
(中島芙美佳)
長電バス、信濃町・妙高経由 関西―長野・湯田中・飯山線 5~11月に[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 499文字 PDF有 書誌情報]
長電バス(長野市)は南海バス(堺市)と共同運行する高速バス「神戸・大阪・京都―長野・湯田中・飯山線」の路線を、5~11月は長野県信濃町や妙高高原駅(新潟県妙高市)も経由すると発表した。登山客が多い妙高山(妙高市)や高原リゾートとして人気が高まる野尻湖(信濃町)への旅行客の利用を狙う。
5月15日~11月30日の期間、毎日1往復する。関西発便は午後8時40分に「三宮バスターミナル」(神戸市)を出発して大阪駅前や京都駅を経由し、翌朝午前5時23分に長野駅前、「道の駅しなの」(信濃町)には午前7時25分、妙高高原駅は同7時39分にそれぞれ停車する。終点の飯山駅には同8時10分に到着する。長野発便は午後8時20分に飯山駅を出発し、翌朝関西に到着する。
運賃は三宮バスターミナルから道の駅しなのや妙高高原駅、終点の飯山駅まで乗った場合、ウェブ予約の事前決済で7000円からとしている。予約方法や乗車の曜日によって運賃は異なる。
同路線は従来、飯山駅の後に長野県野沢温泉村にも停車していたが、ほぼ満席のスキーシーズンに比べて夏は乗車率が7割程度になっていた。夏季の乗車率を高めるため、路線を変更する。
大分県信組、県の健康アプリダウンロードで金利0.45%[2025/04/16 18:00 日経速報ニュース 532文字 画像有 ]
大分県信用組合(大分市)は16日、大分県の公式健康アプリ「あるとっく」をダウンロードした県民を対象に優遇金利が受けられる「健康寿命日本一おうえん定期預金“あるとっく”」の取り扱いを始めた。
1口100万円以上で1000万円未満(1人1000万円以内)を1年間預けた場合、店頭表示金利に0.20%上乗せする。16日時点の金利は0.45%。募集は来年3月末まで。
大分県は「健康寿命日本一」を目標に掲げるが、2022年の調査では男性が全国25位(前回の19年は1位)、女性が全国10位(同4位)と大きく順位を落とした。大分県信組は県民の健康寿命延伸に向けて金融面から協力する。
歩くとポイントがたまる「あるとっく」は県が18年度から本格運用し、約10万人が登録。今年4月に内容を大幅にリニューアルし、県民に対して新たにダウンロードするよう呼びかけている。
これまではたまったポイントに応じて利用者のランクを決め、飲食店などで割引を受けられたが、リニューアルではランクに関係なくポイントを使ってサービスを受けられる方式に変更した。
県は6月末までにアプリをダウンロードした県内在住者を対象に抽選で2万人に電子マネー500円相当をプレゼントするキャンペーンも始めている。
楽天G、「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリを経済圏の軸に[2025/04/16 17:44 日経速報ニュース 1218文字 画像有 ]
楽天グループは6月にもスマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で、保険の提供を始める。第1弾としてグループの保険会社が少額短期保険を販売する。同保険は価格が安く海外旅行の際の事故などを補償する。日常的に使える保険サービスの販売でスマホ決済の利用拡大につなげる。顧客データ収集の場を増やす狙いもある。
財務局の認可を前提に、楽天Gのグループ会社である楽天少額短期保険(東京・港)が保険の販売を始める。少額短期保険には短い期間の海外旅行中の事故などを補償するものやゴルフをしている際の事故、熱中症になったときの補償をするものなどがある。まず同保険から始めて、生命保険といった高価格帯商品にも広げる。さらに保険以外のサービスの予約なども決済アプリでできるようにするもようだ。
楽天ペイメント(東京・港)が運営する楽天ペイの決済データを使えば、だれがどこで何を購入したかがわかる。利用客の需要に応じた保険商品を提案できるようになるとみている。空港で買い物をすれば海外旅行保険を、ゴルフ場の近くであればゴルフの保険をアプリで提案する仕組みも整える。
生命保険文化センターの2024年調査によるとネット経由で生命保険に加入した人の割合は6%にとどまる。楽天ペイでの保険提供は、決済もクレジットカードなどを使う他のネット販売に比べてより簡単で、開拓の余地は大きいとみる。
楽天Gは共通ポイント「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」、楽天カードの機能を決済アプリである楽天ペイに集約する計画だ。同アプリを電子商取引(EC)や銀行、証券、楽天ポイントなどさまざまなサービスを展開する「楽天経済圏」の入り口にしていく。決済アプリの魅力向上策は欠かせず、保険販売はその一環だ。
スマホ決済アプリは急成長している。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会のデータによるとスマホ経由のQRコード決済回数は24年に115億回と、18年の約230倍に増えた。経済産業省によるとQRコードによる決済額は24年に13兆5000億円。23年比の伸び率は24%増とキャッシュレス決済の中で最も高かった。
この流れの中で楽天ペイの利用も増えている。楽天Gの中で最も決済回数の多いアプリの一つだ。少額の決済が中心のためコンビニエンスストアでの買い物など、1日に複数回使われることもありお金を払う日常的な手段として浸透しつつある。
スマホ決済ではソフトバンク系のPayPayが決済額と回数の両方でシェアが7割近くに達し先行している。保険販売もすでに始めており、決済アプリ上で自転車事故の保険やペット保険などを幅広く展開する。
楽天Gの強みは楽天経済圏から得られる顧客のデータだ。決済アプリを軸とし、膨大なデータを人工知能(AI)で分析してマーケティングの解像度を上げる。適切な販促を進めたり、決済アプリの機能や魅力も高めたりして追い上げを急ぐ。
(桜木浩己)
大阪万博、「いのち」テーマに共同宣言へ BIE事務局長[2025/04/16 17:20 日経速報ニュース 847文字 画像有 ]
万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)などは、大阪・関西万博で「いのち」をテーマとした共同宣言採択を目指す。ケルケンツェス事務局長が日本経済新聞のインタビューで実現へ意欲を示した。国際社会の分断が深まる中「世界に対して強力なメッセージになる。閉幕日までに公表しなければならない」と話した。
参加する158カ国・地域などが人類共通の課題である「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」といった8分野を議論するテーマウイークを通じて合意を形成する。
各地で続く紛争やトランプ関税など、世界が揺れる現状に対し「地政学的に極めて困難な状況にある。世界は対話の必要性を忘れつつある」と警鐘を鳴らした上で「万博はこうした外部の『雑音』を遮断する。かつてないほど重要性が増す中、平和と連帯を共有する場となる」と強調した。
2015年ミラノ万博では食料を得る権利を基本的人権と位置づけた「ミラノ憲章」を、「より良い都市、より良い生活」をテーマとした10年上海万博では、持続可能な都市開発を目指す「上海宣言」を採択した。ケルケンツェス氏は「万博が地球規模の課題解決に向かうための一助になれば」と話す。
来場者に向けては「各国は展示で技術やアイデアを共有し、未来に向かってともに前進する道を模索する。どのような姿を提示しているか、自分の目で見て考えてほしい」とメッセージを送った。
大阪万博には開幕日の13日、約12万人が来場した。事前予約などで「並ばない万博」を目指したものの、入場ゲートやパビリオン、最寄りの地下鉄駅の前には行列ができた。通信上の問題で電子チケットのQRコードが表示できないトラブルがあった。
ケルケンツェス氏は「万博は入退場のロジスティクス(輸送)が最大の課題となる。開幕から数日間、問題点を観察して改善を図る必要がある」と指摘。日本国際博覧会協会に対し「より多くの来場者をシャトルバスに誘導したり、退場時間の分散を検討したりすべきだ」と注文した。
(大阪・関西万博取材班)
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JR東日本環境アクセス・三洋化成・長瀬産業、駅のトイレ清掃を効率化するため匂いセンサーを使用した実証実験を開始[2025/04/16 16:44 日経速報ニュース 1465文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月16日
匂いセンサーを活用したトイレ清掃の実証実験を開始
株式会社JR東日本環境アクセス(代表取締役社長 : 鈴木 均、以下「環境アクセス」)、三洋化成工業株式会社(本社 : 京都市東山区、代表取締役社長 : 樋口章憲、以下、三洋化成)と長瀬産業株式会社(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 上島 宏之、以下「長瀬産業」)は、駅のトイレ清掃を効率化するため、匂いセンサー『FlavoTone(R)』を使用した実証実験を2025年4月から開始しました。このセンサーを用いることで、遠隔からトイレの衛生状態をリアルタイムで把握し、以下の2つの目的を達成することを目指します。
1.トイレ清掃の効率化 : トイレの汚れ具合をセンサーで把握し、清掃が必要なタイミング・箇所を最適化します。
2.トイレ利用者の安心感向上 : 常に清潔なトイレ環境を提供することで、利用者の満足度を高めます。
この取り組みにより、少ない労力での高品質な清掃サービスの実現に貢献いたします。
*参考画像(1)・(2)は添付の関連資料を参照
環境アクセスは、JR東日本の首都圏にある駅の清掃業務を担当しており、近年の清掃員の不足に対応するため、センサーなどのデジタル技術を活用した業務の省力化(Condition Based Maintenance : CBM化)を進めています。
機能化学品の製造販売を行う三洋化成は、化学の力を活用してさまざまな課題に対するソリューションを提供しており、2023年11月から匂いセンサー『FlavoTone』の販売を開始しました。
長瀬産業は、三洋化成と共同で『FlavoTone』の事業開発(※)に取り組んでおり、広範なネットワークを活かし、『FlavoTone』の販路拡大やマーケティング活動を支援しています。
三社は2024年3月に1か月間の短期実証試験を実施しており、今回の長期実証試験では、本格導入に向けた検証を行う予定です。
【『FlavoTone』について】
『FlavoTone』は、人間の鼻と同じように、複雑な匂いを識別できるセンサーです。品質管理、特性比較、モニタリングなど、幅広い用途にご使用いただけます。センサーの販売に加え、レンタルや受託分析も提供しています。
※匂いセンサーのサイトでは様々な事例を紹介しています。
・ https://kaori.sanyo-chemical.co.jp/
*QRコード・参考画像(3)は添付の関連資料を参照
※三洋化成と長瀬産業が共同で「匂いセンサー」事業化(2021年7月13日発表)
・ https://www.nagase.co.jp/assetfiles/news/20210713.pdf
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/01_202504161631.jpg
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/02_202504161631.jpg
QRコード
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/03_202504161631.jpg
参考画像(3)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/04_202504161631.jpg
旧メルコ牧社長の資産管理会社、ベースフードへのTOB成立[2025/04/16 16:23 日経速報ニュース 240文字 ]
バッファロー(証券略称:BUF、旧メルコホールディングス、6676)の牧寛之社長の資産管理会社であるMBFアクセラレーション(東京・千代田)は16日、健康食品のベースフード(2936)に対して15日まで実施したTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。牧氏らの保有比率は議決権ベースで約4割に高まる。
応募株数が574万857株だった。買い付け予定数の上限(369万株)を上回ったため、案分比例で買い付ける。決済は22日に始める。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
長電バス、関西―妙高高原を季節運行 夏の観光需要狙う[2025/04/16 14:00 日経速報ニュース 499文字 ]
長電バス(長野市)は南海バス(堺市)と共同運行する高速バス「神戸・大阪・京都―長野・湯田中・飯山線」の路線を、5~11月は長野県信濃町や妙高高原駅(新潟県妙高市)も経由すると発表した。登山客が多い妙高山(妙高市)や高原リゾートとして人気が高まる野尻湖(信濃町)への旅行客の利用を狙う。
5月15日~11月30日の期間、毎日1往復する。関西発便は午後8時40分に「三宮バスターミナル」(神戸市)を出発して大阪駅前や京都駅を経由し、翌朝午前5時23分に長野駅前、「道の駅しなの」(信濃町)には午前7時25分、妙高高原駅は同7時39分にそれぞれ停車する。終点の飯山駅には同8時10分に到着する。長野発便は午後8時20分に飯山駅を出発し、翌朝関西に到着する。
運賃は三宮バスターミナルから道の駅しなのや妙高高原駅、終点の飯山駅まで乗った場合、ウェブ予約の事前決済で7000円からとしている。予約方法や乗車の曜日によって運賃は異なる。
同路線は従来、飯山駅の後に長野県野沢温泉村にも停車していたが、ほぼ満席のスキーシーズンに比べて夏は乗車率が7割程度になっていた。夏季の乗車率を高めるため、路線を変更する。
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外為10時 円相場、142円台後半に上げ拡大[2025/04/16 10:34 日経速報ニュース 509文字 ]
16日午前の東京外国為替市場で、円相場が上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=142円90~92銭と前日17時時点と比べて40銭の円高・ドル安だった。米中の貿易摩擦や世界景気の先行きに対する警戒感が根強く、「低リスク通貨」とされる円には買いが続いている。17日の日米協議で日本側が円安是正を求められるとの思惑も買いを後押し、9時半すぎに円相場は一時142円78銭近辺まで上昇した。
10時前の中値決済に向けて「ややドル需要はあったが、円相場を大きく動かすほどのボリュームはなかった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。輸入企業など国内実需筋による円売り・ドル買いが意識されたものの、円相場を方向付ける材料とはなっていないもようだ。
円は対ユーロでは上げ幅をやや縮めている。10時時点では1ユーロ=161円65~69銭と、同1円10銭の円高・ユーロ安だった。ユーロ安・ドル高の勢いが一服したことで、対円でもユーロを買い戻す動きが広がった。
ユーロは対ドルで下げ幅を縮小し、10時時点では1ユーロ=1.1317~19ドルと同0.0040ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
サンエーやミスターマックス、低価格PB伸びる 増益確保[2025/04/16 05:01 日経速報ニュース 1307文字 画像有 ]
九州・沖縄の主要小売企業5社の2025年2月期決算が出そろった。沖縄の大手のサンエーが4期連続の増益で過去最高益となったほか、ミスターマックス・ホールディングス(HD)が2期ぶりの増益となった。物価高が続くなか、低価格を打ち出したプライベートブランド(PB)商品を展開する企業が軒並み好調だった。
連結純利益が前の期比7%増の114億円と過去最高を記録したサンエー。売上高に当たる営業収益も4%増の2371億円で55期連続で過去最高を達成したほか、本業のもうけを示す営業利益も3%増の169億円と好調が続く。
要因は物価高が長引くなか、「お得感」をアピールして生鮮食品から日用品、ペット用品などにまで幅広く展開しているPB商品「くらしモア」の拡充だ。既存店の売り上げ増につながっており、収益認識基準の変更を考慮しない単純比較では4.9%増となった。
ミスターマックスHDも好調で、連結純利益が1%増の24億円と2期ぶりの増益となった。売上高に相当する営業収益は5%増の1365億円で3期連続で増加した。
特に自社PBの売り上げが14%増と伸び、家電メーカーの旧型商品をミスターマックス専売の機種として割安な価格で販売する「リバイバルモデル」が好調だった。粗利益も19%伸びるなど利益面の改善に寄与した。平野能章社長は「売上高の増加が粗利益の増加に直結するのがPBの良さだ」と指摘する。
同社は29年2月期を最終年度とする中期経営計画でPB比率を現状の約2割から3割に引き上げる目標を掲げている。
イオン九州は連結純利益が60億円となり、14%減だった。繰り延べ税金資産の見直しにより前の期に計上した法人税等調整額の戻し入れがなくなったためで、営業利益は1%増の105億円と過去最高を記録。キャッシュレス決済の拡充や店舗の省力化をはかる電子値札の導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)施策が奏功した。
営業収益も4%増の5316億円となり、過去最高に。総菜や冷凍食品の種類を拡充したことで、食品の売り上げも好調だった。マックスバリュなどの食品スーパーで日用品や化粧品の品ぞろえを強化したことも売り上げ増につながった。
5月期決算のコスモス薬品も好調だ。九州や関東地方などに約80店を新規出店した効果で、24年6月~25年2月期の連結決算は純利益が前年同期比29%増の223億円、売上高は5%増の7522億円だった。今期の売上高は前期比7%増の1兆370億円、純利益は微増の245億円を見込む。
百貨店の25年2月期決算では、インバウンド(訪日外国人)需要をどれだけ取り込めたかで、博多大丸(福岡市)と北九州市に地盤を置く井筒屋の明暗が分かれた。
インバウンド需要が好調だった博多大丸は免税品の売り上げが想定以上に増加。売上高は9%増の170億円だった。
これに対し、井筒屋は顧客全体に占めるインバウンドの割合が「1%程度」(担当者)という。婦人向け衣料を中心に衣料品全体の売り上げが鈍化し、連結売上高は2%減の221億円に。会計基準を変更した23年2月期を含めて3期連続の減収となった。
(中島芙美佳)
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矢場とん、DXで身軽な名古屋土産 冷凍味噌かつを直送[2025/04/16 05:00 日経速報ニュース 1424文字 画像有 ]
味噌かつ店を展開する矢場とん(名古屋市)は冷凍の串かつなどを指定先に直送する商品を2025年度中にも全店で展開する。QRコードを活用し、指定先の住所に冷凍食品を送る仕組みで、かさばらない土産物として売り出す。人工知能(AI)を活用した販促活動もおこなうなど、店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通して観光客の来客増を狙う。
矢場とん中部国際空港店(愛知県常滑市)の店頭に「荷物にならないお土産」というポップが掲げられている。販売されているのはイメージキャラクターの「ぶーちゃん」があしらわれた名刺大の箱。中から出てくるのは、味噌かつではなくQRコードだ。同商品は送料を含め3800円で、「みそ串かつセット(5本入り3パック)」などから好みのものを選べる。
矢場とんが販売を始めたのは、QRコードからアクセスできるサイトに住所を打ち込むと、串かつなどの冷凍食品が入力された住所に配達されるギフトだ。購入者は保冷剤や保冷バッグを用意する必要がない。受け取る相手も家など希望の場所で受け取れるため、すぐに冷凍保存しやすい。
名古屋名物の味噌かつは国内外の旅行客からの人気が高いが、土産物として持ち運びにくいという難点があった。旅行中に冷凍食品を持ち運ぶハードルを取り払い、名古屋土産としての需要を取り込む。
矢場とんの栗原耕二執行役員は「冷凍食品は名古屋に来たばかりの客は買わない。帰る時にもしかしたら買う人がいるというのが現状だ」と話す。矢場とんに食事に来た観光客などが、旅程やタイミングを問わず買い求めやすくなると期待する。
販売する店舗のメリットも大きい。冷凍食品の在庫を店に置かないため、賞味期限を加味した発注の手間が省けるほか、店舗に冷凍ケースなどの設備がなくても販売できる。
同社は25年度中に全店で荷物にならないお土産を展開する方針だ。将来的にはインバウンド(訪日外国人)をターゲットとした海外発送への対応や、ミニギフトの形や配送商品の多様化も検討する。
DXは土産物だけでなく販促活動でも進めている。同社の中部国際空港店ではAIを活用して客と会話できる「AIぶーちゃん」を試験的に導入した。
「おいらは『ぶーちゃん』なも!」。AIぶーちゃんは店の入り口に設置されており、ボタンを押して話しかけるとマイクやカメラで客を感知する。「おなかいっぱい食べたい」という客におすすめのメニューを質問されると「ボリューム満点で大満足間違いなしなも」(AIぶーちゃん)と強調し、看板メニューの「わらじとんかつ」や「極上リブ鉄板とんかつ」を薦めた。
おすすめのメニューのほか、ぶーちゃんの自己紹介や矢場とんの歴史などを尋ねることができるという。日本語以外に、英語や中国語にも対応している。QRコードを読み込むと、事前にメニューを注文できるシステムも盛り込んだ。
同社がAIぶーちゃんを設置したのは従業員の負担軽減や、待ち時間のエンタメ化のためだ。例えば中部国際空港店では数十人が行列を作ることもあり、従業員が手作業でメニューなどを案内する。待ち時間中に会話ができることで客を楽しませるほか、商品をおすすめすることで販売促進につなげたい考えだ。
今後はサービスの認知度やAIの精度の向上を検討するという。栗原執行役員は「矢場とんに合わせたDXを進めたい」と説明し、矢場とんらしいエンタメ性と従業員の負担軽減や効率化の両立を目指す。
(山名直花)
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グーグルに3方向審査 検索・広告・アプリ内課金 監視の実効性問われる[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1940文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が15日、米グーグルに初めて排除措置命令を出し、同社への審査は区切りを迎えた。審査は3年以上前にアプリ内課金を対象に始まり、最終的に3分野に及んだ。先行する欧米では規制や処分の「抜け穴」も指摘され始めている。今後は2025年末までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)による監視の実効性が問われる。(1面参照)
「(命令は)生活必需品となっているスマートフォン分野における競争環境の整備に大きく寄与する」。公取委の大胡勝審査局長は15日、記者会見でグーグルへの命令の意義を強調した。
関係者によると、公取委は15日の「検索」と24年に行政処分を出した「広告」に先行し、水面下で「アプリ内課金」を審査していた。
公取委が「本丸」と位置づけていたのが祖業である検索分野の審査だ。23年10月に始まり、巨大IT(情報技術)企業を念頭に導入した「第三者からの意見募集」を初めて実施した。「審査テーマを明らかにしたことで利害関係者が協力しやすくなる利点があった」(公取委幹部)。消費者からも情報が得られたという。
グーグル側は審査終盤、自主的な改善計画を公取委が認める「確約手続き」の利用を模索したが、公取委は認めなかった。明確に違反を認定する排除措置命令に踏み切り、命令では初となる5年間の報告期間も義務付けた。
一方、広告分野では公取委が24年4月にグーグル側の改善計画を認定し、確約手続きで矛を収めた。対象となったのは、グーグルが検索技術などを提供していたLINEヤフーに対し、取引先のポータルサイト側への検索連動型広告の配信を一部制限していた行為。グーグルは改善計画の履行状況を3年間報告するとした。
公表されていた審査はこの2件だが、公取委は3年以上前には、他の決済事業者を排除している恐れがあるとして、スマホアプリでの決済手段を巡る取引の審査も着手していた。
ゲームで使うアイテムや、サブスクリプション契約をアプリ内で購入する決済手段は、アプリストアを持つグーグルと米アップルの寡占状態にある。グーグルは規約で物理的な商品などを除く課金は同社の決済手段を原則利用するよう求めている。
アプリ事業者は最大30%の手数料を支払う必要があり、外部決済の利用や手数料減額を望む声は大きかった。
だが、独占禁止法に基づく措置は見送るもようだ。25年内に施行するスマホ新法に同様の行為を禁じる規定が盛り込まれ、立証のハードルが高い独禁法の措置ではなく、新法下での監視に委ねることが妥当だと判断したとみられる。
スマホ新法は米側から「非関税障壁」に当たるとの見方もされたが、米通商代表部(USTR)が3月31日に公表した報告書には盛り込まれなかった。
新法の施行を前に、モバイルゲームの分野ではアプリの外で決済が出来る「ウェブ課金」の仕組みが一部で広がりつつある。
デジタルガレージやGMOグループ、ソニー系の決済事業者が参入に名乗りを上げている。
グーグルに対する一連の審査は節目を迎えたが、今後はスマホ新法の「事前規制」が巨大IT企業の監視において大きな役割を担う。
新法は巨大ITによる独占是正を目的とし、指定された事業者に一定の義務を課す。検索サービスの自社優遇や、アプリストア・決済サービスで他社の参入を妨げる行為を禁じるなど、審査してきた対象と重なる部分が多い。
違反行為は売上高の20%の課徴金納付が課され、抑止効果も期待できる。公取委は3月末に新法の対象企業をグーグルとアップル、同子会社のiTunesの3社にすると発表した。担当する新部署を4月に発足し、今後はデジタル分野に関わる人員を現状の3倍の50人規模に増やす。
公取委は巨大IT向けの対応を強化しているが、法的措置や法規制で先行する海外では規制や処分の「抜け穴」を突いて支配力を維持しようとする動きも出始めている。
24年3月にデジタル市場法(DMA)が全面施行された欧州では、米アップルが他業者のアプリストア参入を認める一方で、ストアを利用する場合に別の新たな手数料を導入した。欧州委員会は同年6月、追加手数料の徴収がDMA違反にあたる可能性があるとして調査を始めると発表した。
米国でも司法省が反トラスト法(独禁法)訴訟でグーグルのネット閲覧ソフトやスマホ向け基本ソフト(OS)事業などの売却を求める策を示し、分割を拒否するグーグル側と対立の構図が続く。
巨大ITが新法の施行を受けて国内市場でどのように対応するか、不透明な部分も多い。公取委は新法でカバーできない分野でも競争を阻害する行為は独禁法に基づく措置も辞さないとみられる。審査と規制の車の両輪による監視体制の強化を急ぐ。
3月後半の消費4.1%増 飲食、値上げ前に駆け込み(短信)[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 5ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは15日、クレジットカード決済額に基づく3月後半の消費データを発表した。名目で前年同期比4.1%増えた。コンビニや酒屋など飲食料品小売業の消費が好調だった。アルコール大手各社による4月からの値上げ前に駆け込み需要が起きたとみられる。
三井住友FG、法人金融ワンストップ 中小の業務効率化[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 8ページ 621文字 PDF有 書誌情報]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を5月に始めると発表した。個人向けの「Olive(オリーブ)」に続き、1つの銀行口座で振り込みやカード決済など幅広い金融サービスを使える。デジタル人材の確保が難しい中小企業の業務効率化につなげ、法人口座や預金獲得を狙う。
スマホによる20分程度の手続きで最短翌営業日の口座開設を可能にする。1つの口座でカード決済や経費精算、資金管理を一括でできる仕組みだ。法人カード決済の利用限度額は最大10億円とする。
請求書の写真をスマホのアプリで読み込むと、振り込み予約までスマホで完結できるようになる。課題を与えると人工知能(AI)が情報を収集して判断する「AIエージェント」が資金調達手段などを助言する機能もつける。
中島達社長は同日の記者会見で「会社経営に必要な金融決済サービスをデジタルで切れ目なく提供する」と語った。
三井住友カードの大西幸彦社長は「人手不足の深刻化で中小はデジタル化が大きな課題だ。社長が自ら財務経理をこなす負担を下げたい」と話した。
中小の利用を想定して金融サービスの料金も下げる。三井住友銀行間の振込手数料は無料にし、他行宛は一律で145円とする。通常は数百円がかかる。法人カードは24年に資本業務提携した企業向け決済サービスのインフキュリオン(東京・千代田)と開発し、AIによる与信で新設法人の発行のスピードを速める。
ロシア投資、制裁でも活発 ヘッジファンドなど通貨・債券物色 停戦トレードに思惑[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1692文字 PDF有 書誌情報]
ルーブル3割高
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では80ルーブル台前半と3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
AWS、日本で一時障害 スマホ決済などに支障[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 13ページ 497文字 PDF有 書誌情報]
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供しているクラウドサービスで15日、午後4時40分ごろから約1時間にわたり障害が発生した。東京近郊のデータセンターでクラウド運営に必要な仮想サーバー向けの電源が停止し、スマートフォン決済など幅広い利用企業のサービスが利用しづらい状況になった。
スマホ決済大手のPayPayは、午後4時40分ごろから25分程度、支払いやチャージ機能が利用しにくくなったと明らかにした。問題はすでに解消した。
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)が提供しているスマホ決済「au PAY」も午後4時43分ごろから一時的にQRコードが表示されにくくなった。午後5時ごろに復旧した。AWSの障害が原因とみられる。
日本航空(JAL)は午後5時ごろから社内システムに障害が発生したことを明らかにした。AWSの障害が原因とみられるとしている。障害は30分ほど続いたがすでに復旧している。航空機の運航に影響はないという。
AWSは米アマゾン・ドット・コム傘下で世界のクラウドコンピューティング市場で約3割のシェアを握る最大手だ。国内でも利用企業が多く、広範なサービスに影響した。
しっかり学ぶ財務(1)損益計算書(PL) もうけ示す企業の成績表、過去・他社との物差しに[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1252文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策が企業のもうけやお金の出入りにどんな影響を及ぼすかが注目されている。上場企業は業績や財務の最新状況を公表することが義務付けられており、私たちはそれを見て企業の「体調」や「体質」を把握することができる。自分の会社や取引先はどうなっているのか。新社会人を中心にビジネスパーソンが知っておきたい企業財務の基本を5回にわたって解説する。
初回は損益計算書(PL)を取り上げる。一定期間の様々な収入や支出が書かれた企業の成績表だ。PLでは収入や支出を上から下に加えたり引いたりして、最終的なもうけ(純利益)を導く。
今回はニトリホールディングスが2月中旬に発表した2024年4~12月期の損益計算書を例に見てみよう。損益計算書などの財務諸表をまとめた「決算短信」は各企業のホームページや東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で入手できる。
最初の項目が「売上高」だ。商品やサービスを売って稼いだお金の総額を指す。ニトリHDの24年4~12月期の売上高は7049億円と前年の同じ期間を6%上回った。主力の家具量販店「ニトリ」で実施した期間限定値下げの効果で客足が回復した。
その次は、本業のもうけを示す「営業利益」だ。売上高から、原材料費などの「売上原価」や、広告宣伝費など販売にかかる「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引いて算出する。
ニトリHDの4~12月期は売上原価や販管費が膨らんだ。賃上げや社員数の増加に加え、為替の円安もコスト増要因となった。商品の約9割を海外で生産しているためだ。こうした費用増を売上高の伸びでカバーし、営業利益は1%増の989億円となった。
企業活動では、配当金の受け取りや利息の支払いなど、本業以外でもお金の出入りが発生する。こうした損益を反映させた項目が「経常利益」だ。
ほかにも株式、債券など有価証券を売った利益や損失、災害による損失などが発生することがある。これらの一時的に発生した損益を反映した「税引き前利益」から、法人税などを引いたのが「純利益」だ。これが最終的な利益で、配当金など株主還元の原資となる。ニトリHDの純利益は2%増の700億円と、円安の逆風が吹く中でも増益を確保した。
純利益が増えていても、本業でうまく稼げていない場合があるため注意が必要だ。日本企業の間では政策保有株の売却が進んでおり、これが一時的に純利益を押し上げているケースがある。
PLを使って簡単に計算できる指標も役立つ。代表例は本業で稼いだ利益(営業利益)が売上高に占める割合を示す「売上高営業利益率」だ。ニトリHDの場合は14%(24年4~12月期)で、良品計画(24年9月~25年2月期に9%)などライバルより高く、効率よく稼いでいることがわかる。こういった指標も活用し、過去の実績や競合他社と比べると収益力の現在地が見えてくる。
(富川実優)
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公取委、巨大ITに監視強める 寡占状態に危機感[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1776文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が巨大IT(情報技術)企業に初めて排除措置命令を出した。公取委は2010年代以降、米アップルやアマゾンジャパンも審査。早期の是正を優先し、これまでは違反行為を認定せずに改善策を提出させたり、規約を変更させたりして終わることが多かった。(1面参照)
米アップルは公取委審査を経て22年にアプリ決済手段の制限を改善。アマゾンジャパンは17~20年に電子商取引(EC)サイトの納入業者に最安値出品を保証させる条項を廃止し、納入元に値引き分を補填させる行為について約20億円を返金する改善計画を提出した。
デジタル市場は技術やサービスの変化が激しいため、自主的に必要な改善策を出させ、早期に是正する手法が有効とされてきた。グーグルが競合するLINEヤフーの広告配信を制限した問題でも、違反を認定せずに改善計画を認める「確約手続き」で審査を終えた。
公取委が命令に踏み切った背景に検索市場におけるグーグルの圧倒的な寡占状態への危機意識がある。利用データが集まるほど精度が上がり、広告収入も増える検索で、明確な違反認定が必要だと判断したとみられる。
公取委が巨大ITに対しても命令を出しうるとの認識が広がれば、事業者側が自ら改善策をとる動機が生まれやすい。公取委幹部は「競争確保のため、日本の競争当局の姿勢を示す必要があった」と意義を強調した。
(専門家の見方)
実態見抜く力を 違反認定に意義
ヴァンドゥワラ・サイモン東京大教授 欧州連合(EU)の欧州委員会も公取委と同様に、グーグルがスマホ端末メーカーと結んでいたアプリストアと検索サービスに関する契約を調査した。
18年に欧州委が違反認定をした後、グーグルは端末メーカーに対してアプリストアの搭載を有料化し、グーグル検索を初期搭載すれば割引する方針に変えた。事実上の「抱き合わせ」だった。
その後、検索エンジンの選択画面を導入したが、他の検索事業者が自社エンジンを表示するためにはグーグルのオークションに参加する必要があった。競合企業から公平性に欠けると批判を浴びた。
一連の出来事は巨大ITに効果的な措置を取らせることの難しさを示した。これらの経験は欧州委の教訓となり、デジタル市場法(DMA)制定につながった。
DMAは検索エンジンに加え、ブラウザーの選択画面の表示も義務付けた。グーグル、アップルの端末にブラウザーの選択画面が導入された。日本で施行を控えるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)にも検索の選択画面の導入が盛り込まれている。EUと似た流れといえる。
だが、複雑な取引を次々に展開する巨大ITと競争当局の間には「情報の非対称」の問題が常につきまとい、効果的な対策は簡単なことではない。巨大ITは規制の抜け穴をつく方法も編み出してくるだろう。新法導入以降も実態を見抜く力が求められる。
中島美香・中央大教授 グーグルへの命令に踏み切った意義は大きい。巨大IT企業はグローバル規模で事業展開する一方、競争当局は主として自国の市場の公正を維持する役割を果たす。競争に悪影響を及ぼす行為を放置すれば、日本の消費者が不利益を被ることになる。
人工知能(AI)の台頭で、検索の概念自体も変わろうとしている。違法行為があれば認定して、競争環境を事前に整えておくことが必須だ。
グーグルはユーザーに検索などのサービスを無料で提供し、端末メーカーにも基本ソフト(OS)を開放する。一見すると無料だが、ユーザーは検索・閲覧履歴などのデータを見返りに提供している。データ収集は検索技術の向上に欠かせず、収益源である検索広告の精度にもつながる。
グーグルが端末メーカーに多額の収益を分配してでも、デフォルト設定を確保し、できるだけ多くの端末で検索サービスを使ってもらう動機はこの仕組みにある。
今回の公取委の調査はアンドロイド端末に限られたが、日本市場ではアップル製のiOSのモバイル端末のシェアが6割を超える。iOSでのデフォルト設定が検索市場に与える影響は日本でも大きいのではないか。
「トランプ関税」を巡る各国間の交渉で、デジタル分野の規制が非関税障壁として取り沙汰される可能性も否定できない。政策も不透明さを増しており、巨大ITの動向に加え、各国の競争当局間での共通認識の醸成も求められる。
痴漢防止、池袋で啓発 都がイベント SNSで発信も[2025/04/16 日本経済新聞 地方経済面 東京 5ページ 390文字 PDF有 書誌情報]
東京都は15日、東武東上線池袋駅の南改札前で痴漢防止を訴える啓発イベントを開いた。新生活が始まる春に痴漢件数が多いという都の調査に基づいて企画した。2025年度より東京都、埼玉・千葉・神奈川県でSNSで情報発信にも取り組んでいる。
イベントには昭和鉄道高校と豊島学院高校の生徒が25人参加した。都のホームページにアクセスできるQRコードが載っているポケットティッシュを通行人に配った=写真。
参加した生徒は「痴漢の被害に遭う女性が少しでも減るようと気持ちを込めて配った」と話した。
都は周辺の3県と鉄道事業者にも協力を呼びかける。SNSなどでの痴漢対策に関する情報の発信もする。
24年度に実施した都の調べによると、痴漢の発生時期は4月が16.3%、5月は14.3%と春に集中している。都の担当者は「被害者が声をあげるのは難しい。周囲の人が声をかけることが痴漢を防ぐ」と話した。
東京都、池袋で痴漢防止の啓発 1都3県で情報発信も[2025/04/15 19:30 日経速報ニュース 387文字 画像有 ]
東京都は15日、東武東上線池袋駅の南改札前で痴漢防止を訴える啓発イベントを開いた。新生活が始まる春に痴漢件数が多いという都の調査に基づいて企画した。2025年度より東京都、埼玉・千葉・神奈川県でSNSで情報発信にも取り組んでいる。
イベントには昭和鉄道高校と豊島学院高校の生徒が25人参加した。都のホームページにアクセスできるQRコードが載っているポケットティッシュを通行人に配った。
参加した生徒は「痴漢の被害に遭う女性が少しでも減るようと気持ちを込めて配った」と話した。
都は周辺の3県と鉄道事業者にも協力を呼びかける。SNSなどでの痴漢対策に関する情報の発信もする。
24年度に実施した都の調べによると、痴漢の発生時期は4月が16.3%、5月は14.3%と春に集中している。都の担当者は「被害者が声をあげるのは難しい。周囲の人が声をかけることが痴漢を防ぐ」と話した。
三井住友FG、中小開拓へ新サービス 銀行・カード一体[2025/04/15 19:27 日経速報ニュース 755文字 画像有 ]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を5月に始めると発表した。個人向けの「Olive(オリーブ)」に続き、1つの銀行口座で振り込みやカード決済など幅広い金融サービスを使える。デジタル人材の確保が難しい中小企業の業務効率化につなげ、法人口座や預金獲得を狙う。
スマホによる20分程度の手続きで最短翌営業日の口座開設を可能にする。1つの口座でカード決済や経費精算、資金管理を一括でできる仕組みだ。法人カード決済の利用限度額は最大10億円とする。
請求書の写真をスマホのアプリで読み込むと、振り込み予約までスマホで完結できるようになる。課題を与えると人工知能(AI)が情報を収集して判断する「AIエージェント」が資金調達手段などを助言する機能もつける。
中島達社長は同日の記者会見で「会社経営に必要な金融決済サービスをデジタルで切れ目なく提供する」と語った。三井住友カードの大西幸彦社長は「人手不足の深刻化で中小はデジタル化が大きな課題だ。社長が自ら財務経理をこなす負担を下げたい」と話した。
中小の利用を想定して金融サービスの料金も下げる。三井住友銀行間の振込手数料は無料にし、他行宛は一律で145円とする。通常は数百円がかかる。法人カードは24年に資本業務提携した企業向け決済サービスのインフキュリオン(東京・千代田)と開発し、AIによる与信で新設法人の発行のスピードを速める。
銀行間の預金獲得の競争は激しさを増している。
三井住友銀行は中小企業中心に法人向けサービスを提供し、今後3年で30万口座の獲得を目指す。中島社長は「新しい顧客を取りに行く。1法人1000万円程度の預金をいただける想定で、30万口座だと3兆円になる」との目標を示した。
AWS、日本で一時障害 スマホ決済などに支障[2025/04/15 18:41 日経速報ニュース 499文字 画像有 ]
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供しているクラウドサービスで15日、午後4時40分ごろから約1時間にわたり障害が発生した。東京近郊のデータセンターでクラウド運営に必要な仮想サーバー向けの電源が停止し、スマートフォン決済など幅広い利用企業のサービスが利用しづらい状況になった。
スマホ決済大手のPayPayは、午後4時40分ごろから25分程度、支払いやチャージ機能が利用しにくくなったと明らかにした。問題はすでに解消した。
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)が提供しているスマホ決済「au PAY」も午後4時43分ごろから、一時的にQRコードが表示されにくくなった。午後5時ごろに復旧した。AWSの障害が原因とみられる。
日本航空(JAL)は午後5時ごろから社内システムに障害が発生したことを明らかにした。AWSの障害が原因とみられるとしている。障害は30分ほど続いたがすでに復旧している。航空機の運航に影響はないという。
AWSは米アマゾン・ドット・コム傘下で世界のクラウドコンピューティング市場で約3割のシェアを握る最大手だ。国内でも利用企業が多く、広範なサービスに影響した。
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Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初[2025/04/15 18:41 日経速報ニュース 2070文字 画像有 ]
自社の検索サービスをスマートフォンの初期画面に搭載するよう要求したのは独占禁止法違反(不公正な取引方法)に当たるとして、公正取引委員会は15日、米グーグルに排除措置命令を出した。「人工知能(AI)検索」の台頭を背景に、欧米の競争当局と足並みをそろえ公正な競争環境の整備を急ぐ。
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巨大IT(情報技術)企業への命令は初めて。グーグルへの行政処分はデジタル広告事業で自主改善を約束させた2024年4月の「確約手続き」に続き2回目。端末メーカーなどとの取引における違反行為の影響の大きさを重くみて、再発防止などを求める排除命令に踏み込んだ。
命令としては初めて、グーグルから独立した第三者が再発防止の履行状況を5年間報告することも求めた。
グーグルは15日、「調査結果に遺憾の意を表明する。当社と日本のパートナー企業との契約は、競争を促し、各社の製品イノベーションへの投資を促進することで、消費者の皆様により多くの選択肢を提供してきたと考えている。今回の命令を精査し、今後の対応を慎重に検討する」とコメントした。
公取委が違反認定したのはグーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホに関する端末メーカーや通信事業者との2つの取引だ。
グーグルは遅くとも20年7月以降、アプリストア「プレイストア」のライセンス契約時に、メーカー6社に対して検索サービス「サーチ」やブラウザー「クローム」をユーザーの目に留まりやすいスマホの初期画面に設定するよう求めていた。国内で販売されたアンドロイド端末の8割が契約の対象だった。
検索を通じて得た広告収益の一部を分配する契約もメーカーや通信事業者5社と結んでいた。収益分配を受けるために、自社サービスを初期画面に配置するほか、他社サービスを搭載しないといった条件を全て満たす必要があった。
独禁法は有力な事業者が取引先に対し競合他社との取引を制限する行為を「拘束条件付き取引」として禁止している。公取委はグーグルの2種の契約が新規参入や競合他社との取引を妨げていたと認定した。
命令は自社サービスをスマホ初期画面に搭載するよう強いる行為や他社サービスの実装を妨げる行為の取りやめを求めた。広告収益の分配契約も適用条件を緩和し、メーカーの選択肢を広げる。
ウェブ解析の「スタットカウンター」によると、検索エンジンにおけるグーグルの世界シェアは25年3月時点で約9割となり、日本国内でも8割を超える。広く浸透した検索におけるユーザーとの接触機会の多さは同社の収益力の源泉となってきた。
検索分野では近年、生成AI技術の活用が進む。AIが人の意図をくんで文章の形で答える「対話型検索」はグーグルが強みとした従来の「キーワード型検索」に比べて利便性が高く、新興勢力も多くのユーザーを獲得している。
公取委は検索の主戦場であるスマホでグーグルが優遇される状況を放置すれば、新たなプレーヤーの参入余地が小さくなるとみた。命令を出した背景に、検索の市場で公正な競争環境の整備を急ぐ公取委の意図が透ける。
グーグルの検索サービスや取引契約を巡っては、複数の市場にまたがって影響を及ぼし合うことで不当に同社の競争力を高めていないか、各国の競争当局が監視を強めてきた経緯がある。
欧州連合(EU)の欧州委員会は18年、アンドロイド端末を製造するスマホメーカーに対し、検索サービスをアプリストアと抱き合わせた行為などがEU競争法(独禁法)違反にあたるとして43億4000万ユーロ(約7000億円)の制裁金を科した。22年のEUの一般裁判所も決定の大筋を支持した。
米司法省はアンドロイド端末における問題に加え、米アップルとの契約が反トラスト法(独禁法)に違反しているとして、20年にグーグルを提訴。連邦地裁は24年8月にグーグルの検索サービスが独占状態になっていると認定し、司法省は是正案としてクロームやアンドロイドなどの事業分割を求めた。
今回の公取委の排除措置命令は世界の競争当局の監視強化と歩調を合わせた形といえる。今後は命令により競争環境がどれだけ回復するかに焦点が移る。
排除措置命令に事業者が従わなければ懲役や罰金など刑事罰の対象になる。命令に不服があれば事業者が処分の取り消しを求めて提訴することもできる。
公取委は独禁法に加え、25年12月までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)との両輪でグーグル側に対応を迫る見通しだ。
スマホ新法はスマホのOSやアプリ配信で企業の競争を促すことを目的とする。検索分野ではブラウザーなどをユーザーが選択できるよう複数サービスの表示を義務付けた。アプリ配信や決済でも他社の参入を妨害する行為を禁止する。違反が認定されれば、違反分野の売上高の20%を課徴金として納付するよう命じる。
公取委は3月、グーグルのほかアップルとその子会社のiTunesを対象にすると発表した。デジタル分野に関わる専門人員を拡充し、新法下で規制の実効性を高める方針だ。
【関連記事】
・巨大ITに監視強める公取委 過去にAmazon・Appleも審査
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外為17時 円相場、続落 米関税懸念が和らぐ 対ユーロは4日ぶり反発[2025/04/15 17:43 日経速報ニュース 745文字 ]
15日の東京外国為替市場で、円相場は続落した。17時時点では前日の同時点に比べ16銭の円安・ドル高の1ドル=143円22~24銭で推移している。トランプ米政権の関税政策を巡る懸念がいったんは和らぎ、世界景気が減速するとの過度な警戒感が後退した。日米の株式相場の上昇で投資家心理が改善し、「低リスク通貨」とされる円には売りが優勢だった。ただ、日米の関税交渉が始まるのを前に不透明感は強い。円売り・ドル買いが一巡すると、円相場は上昇に転じる場面があった。
トランプ米政権は相互関税の対象からスマートフォンや半導体製造装置などの電子関連製品を除外したほか、14日には自動車関税でも救済措置を検討する考えを示した。14日の米株式相場や15日の日経平均株価の上昇を受けて、これまで積み上がった円買い・ドル売りの持ち高をいったん解消する円売り・ドル買いが出て、一時は143円60銭近辺まで下落した。
15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。国内輸入企業など実需筋の円売り・ドル買い観測も円相場を押し下げた。
もっとも、円相場は上昇に転じる場面があった。15時すぎには142円台後半まで上げ幅を広げた。この先の関税政策を巡る不透明感は根強く、円買い・ドル売りが優勢となった。
円は対ユーロで4営業日ぶりに反発した。17時時点では同24銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=162円70~75銭で推移している。
ユーロは対ドルで5営業日ぶりに反落した。17時時点は同0.0029ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.1360~62ドルで推移している。前日までにユーロ買い・ドル売りが進んでいた反動で、持ち高調整目的の売りが優勢だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
Googleに3方向から迫った公取委、アプリ内課金も審査[2025/04/15 17:00 日経速報ニュース 1934文字 画像有 ]
公正取引委員会が15日、米グーグルに初めて排除措置命令を出し、同社への審査は区切りを迎えた。審査は3年以上前にアプリ内課金を対象に始まり、最終的に3分野に及んだ。先行する欧米では規制や処分の「抜け穴」も指摘され始めている。今後は2025年末までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)による監視の実効性が問われる。
【関連記事】Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初
「(命令は)生活必需品となっているスマートフォン分野における競争環境の整備に大きく寄与する」。公取委の大胡勝審査局長は15日、記者会見でグーグルへの命令の意義を強調した。
関係者によると、公取委は15日の「検索」と24年に行政処分を出した「広告」に先行し、水面下で「アプリ内課金」を審査していた。
公取委が「本丸」と位置づけていたのが祖業である検索分野の審査だ。23年10月に始まり、巨大IT(情報技術)企業を念頭に導入した「第三者からの意見募集」を初めて実施した。「審査テーマを明らかにしたことで利害関係者が協力しやすくなる利点があった」(公取委幹部)。消費者からも情報が得られたという。
グーグル側は審査終盤、自主的な改善計画を公取委が認める「確約手続き」の利用を模索したが、公取委は認めなかった。明確に違反を認定する排除措置命令に踏み切り、命令では最長となる5年間の報告期間も義務付けた。
一方、広告分野では公取委が24年4月にグーグル側の改善計画を認定し、確約手続きで矛を収めた。対象となったのは、グーグルが検索技術などを提供していたLINEヤフーに対し、取引先のポータルサイト側への検索連動型広告の配信を一部制限していた行為。グーグルは改善計画の履行状況を3年間報告するとした。
公表されていた審査はこの2件だが、公取委は3年以上前には、他の決済事業者を排除している恐れがあるとして、スマホアプリでの決済手段を巡る取引の審査も着手していた。
ゲームで使うアイテムや、サブスクリプション契約をアプリ内で購入する決済手段は、アプリストアを持つグーグルと米アップルの寡占状態にある。グーグルは規約で物理的な商品などを除く課金は同社の決済手段を原則利用するよう求めている。
アプリ事業者は最大30%の手数料を支払う必要があり、外部決済の利用や手数料減額を望む声は大きかった。
だが、独占禁止法に基づく措置は見送るもようだ。25年内に施行するスマホ新法に同様の行為を禁じる規定が盛り込まれ、立証のハードルが高い独禁法の措置ではなく、新法下での監視に委ねることが妥当だと判断したとみられる。
スマホ新法は米側から「非関税障壁」に当たるとの見方もされたが、米通商代表部(USTR)が3月31日に公表した報告書には盛り込まれなかった。
新法の施行を前に、モバイルゲームの分野ではアプリの外で決済が出来る「ウェブ課金」の仕組みが一部で広がりつつある。デジタルガレージやGMOグループ、ソニー系の決済事業者が参入に名乗りを上げている。
グーグルに対する一連の審査は節目を迎えたが、今後はスマホ新法の「事前規制」が巨大IT企業の監視において大きな役割を担う。
新法は巨大ITによる独占是正を目的とし、指定された事業者に一定の義務を課す。検索サービスの自社優遇や、アプリストア・決済サービスで他社の参入を妨げる行為を禁じるなど、審査してきた対象と重なる部分が多い。
違反行為は売上高の20%の課徴金納付が課され、抑止効果も期待できる。公取委は3月末に新法の対象企業をグーグルとアップル、同子会社のiTunesの3社にすると発表した。担当する新部署を4月に発足し、今後はデジタル分野に関わる人員を現状の3倍の50人規模に増やす。
公取委は巨大IT向けの対応を強化しているが、法的措置や法規制で先行する海外では規制や処分の「抜け穴」を突いて支配力を維持しようとする動きも出始めている。
24年3月にデジタル市場法(DMA)が全面施行された欧州では、米アップルが他業者のアプリストア参入を認める一方で、ストアを利用する場合に別の新たな手数料を導入した。欧州委員会は同年6月、追加手数料の徴収がDMA違反にあたる可能性があるとして調査を始めると発表した。
米国でも司法省が反トラスト法(独禁法)訴訟でグーグルのネット閲覧ソフトやスマホ向け基本ソフト(OS)事業などの売却を求める策を示し、分割を拒否するグーグル側と対立の構図が続く。
巨大ITが新法の施行を受けて国内市場でどのように対応するか、不透明な部分も多い。公取委は新法でカバーできない分野でも競争を阻害する行為は独禁法に基づく措置も辞さないとみられる。審査と規制の車の両輪による監視体制の強化を急ぐ。
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巨大ITに監視強める公取委 過去にAmazon・Appleも審査[2025/04/15 16:00 日経速報ニュース 583文字 画像有 ]
公正取引委員会が巨大IT(情報技術)企業に初めて排除措置命令を出した。公取委は2010年代以降、米アップルやアマゾンジャパンも審査。早期の是正を優先し、これまでは違反行為を認定せずに改善策を提出させたり、規約を変更させたりして終わることが多かった。
【関連記事】Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初
米アップルは公取委の審査を経て22年にアプリの決済手段の制限を改善。アマゾンジャパンは17~20年に電子商取引(EC)サイトの納入業者に最安値の出品を保証させる条項を廃止し、納入元に値引き分を補させる行為について約20億円を返金する改善計画を提出した。
デジタル市場は技術やサービスの変化が激しいため、自主的に必要な改善策を出させ、早期に是正する手法が有効とされてきた。グーグルが競合するLINEヤフーの広告配信を制限した問題でも、違反を認定せずに改善計画を認める「確約手続き」で審査を終えた。
今回、公取委が命令に踏み切った背景に、検索市場におけるグーグルの圧倒的な寡占状態への危機意識がある。ユーザーの利用データが集まるほど精度が上がり、広告収入も増える検索で、明確な違反認定が必要だと判断したとみられる。
公取委が巨大ITに対しても命令を出しうるとの認識が広がれば、事業者側が自ら改善策をとる動機が生まれやすい。公取委幹部は「競争確保のため、日本の競争当局の姿勢を示す必要があった」と命令の意義を強調した。
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外為12時 円相場、小幅安 143円台前半 米関税懸念が一巡[2025/04/15 12:33 日経速報ニュース 676文字 ]
15日午前の東京外国為替市場で、円相場は小幅に下落した。12時時点は1ドル=143円09~11銭と前日17時時点と比べて03銭の円安・ドル高だった。トランプ米政権の関税政策を巡る過度な警戒感がいったんは和らいだとして、日米の株式相場が上昇した。「低リスク通貨」とされる円に積み上がっていた円買い・ドル売りの持ち高を解消する円売り・ドル買いが優勢だった。実需の円売り・ドル買い観測も円相場の重荷だった。
円相場は一時、143円60銭近辺まで下落した。15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。10時前の中値決済に向けて「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との見方があり、国内輸入企業などによる実需の円売り・ドル買い観測が相場を押し下げた。
ただ、円売り・ドル買いが一巡した後は下値を探る動きは限られた。日本時間15日午前の取引で米長期金利が低下幅を広げており、日米金利差の縮小を意識した円買い・ドル売りが相場の下値を支えた。16日から日米関税交渉が始まるのを前に、為替が議論に上るとの思惑が根強いことも円相場の底堅い動きにつながった。
円は対ユーロで上昇した。12時時点は1ユーロ=162円44~47銭と、同50銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.1352~53ドルと同0.0037ドルのユーロ安・ドル高だった。米関税政策への警戒感から前週にユーロ買い・ドル売りが進んでいたため、持ち高調整を目的としたユーロ売りに押された。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
DTS、東北システムズ・サポートが超小型のウェアラブル型RFIDリーダーを発売[2025/04/15 12:13 日経速報ニュース 841文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月15日
【DTS】東北システムズ・サポートが超小型(5×6cm)のウェアラブル型RFIDリーダー発売
ハンズフリーでICタグ読み取り、ピッキング現場に業務革新を
株式会社DTS(東京都中央区、代表取締役社長 北村 友朗)のグループ会社で、RFIDの技術を活用した自動認識読み取り機器と、それに関連したソフトウェアソリューションを提供している株式会社東北システムズ・サポート(本社:仙台市青葉区/代表取締役社長:下川潤/以下、TSS)は、2025年4月15日(火)、近距離読み取りに特化したUHF帯RFIDリーダーとして、ウェアラブル型の「MR20」およびバーコードスキャン機能搭載のハンディ型「SR160」を発売しました。これまで個別アイテムを正確に識別する必要のあるピッキング業務には、RFIDの導入は難しいとされてきましたが、今回発売した近距離読み取りに特化したRFIDの誕生により、作業のスピードと正確性を飛躍的に向上させることが可能となります。
【RFIDとは】
RFID(Radio Frequency Identification)は、ICチップとアンテナを内蔵したタグの情報を、電波を利用して非接触で読み書きする自動認識技術です。バーコードが視認・スキャンによる「目で見る」作業を必要とするのに対し、RFIDはタグが見えなくても電波が届く範囲内で瞬時に読み取ることが可能なため、大量の商品や部品を高速に一括検知できる点を特徴としています。
※参考画像は添付の関連資料を参照
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689776/01_202504151211.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689776/02_202504151211.pdf
3月後半の消費、4.1%増 値上げ控え酒屋やコンビニ増加[2025/04/15 12:06 日経速報ニュース 383文字 ]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは15日、クレジットカード決済額に基づく3月後半の消費データを発表した。名目で前年同期比4.1%増えた。コンビニや酒屋など飲食料品小売業の消費が好調だった。アルコール大手各社による4月からの値上げ前に駆け込み需要が起きたとみられる。
「飲食料品小売業」は3月前半から0.3ポイント増加し、前年同期比では6.2%のプラスだった。業種別にみるとコンビニは前年同期比で4.7%、酒屋が13.4%増えた。
サービス消費では、ホテルや旅館など「宿泊」の消費は2.1%増だった。「外食」は3月前半から3.8ポイント減少したものの前年同期比では5.6%プラスだった。
ナウキャストは「3月全体で見ると各消費はおおむね良好である」と評価した。一部での値上げ前の駆け込み需要については「消費の反動減につながるため、注視する必要がある」と指摘した。
外為10時 円相場、下げ幅拡大 143円台半ば、中値「ドル需要強い」[2025/04/15 10:32 日経速報ニュース 434文字 ]
15日午前の東京外国為替市場で、円相場は下げ幅を広げている。10時時点は1ドル=143円48~49銭と前日17時時点と比べて42銭の円安・ドル高だった。国内輸入企業による実需の円売り・ドル買い観測が円相場の重荷となった。米関税政策への警戒感がやや和らぎ、積み上げた円買い・ドル売りの持ち高を巻き戻す動きも出ている。
15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。10時前の中値決済に向けては「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。実需筋の円売り・ドル買いが出たとの見方が円相場の下押し圧力となった。
円は対ユーロで伸び悩んでいる。10時時点では1ユーロ=162円56~59銭と、同38銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで下げ幅を広げた。10時時点では1ユーロ=1.1329~31ドルと同0.0060ドルのユーロ安・ドル高だった。対円でのドル買いが対ユーロに波及した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
PayPay決済、自動引き落とし可能に 傘下銀行口座から即時[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン決済のPayPayは買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。今は代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。システム開発を終える2025年末までにスタートする。
現在、PayPayを使うには2つの手法がある。一つは銀行口座からのチャージやATMからアプリに入金する「赤PayPay」。もう一つはクレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」だ。
新たに追加するのは「紺PayPay」。アプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組み。紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落とされる。PayPayの利用者は現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は約860万に上る。
PayPay銀行はこれに先駆け、15日にも口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能をアプリに搭載する。引き落とされる直前まで預金扱いになるため、利息を受け取れる。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
米テック株急落、新NISA苦戦 人気10投信、年初来17%下落 含み損で「様子見」強まる[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
(越智小夏、杵渕純平)
追い証 信用取引の追加保証金(市場を知るニュースワード)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式なども差し入れられます。担保は信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡り2つの売りが出るとされます。まず株価下落で含み損が大きくなり、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられないと証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
コンビニ、人材確保へ奔走 3社出店拡大 セブン、紹介料2倍も[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 987文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は出店拡大に向け、人材確保に奔走する。IT(情報技術)の活用による省人化策に加えて、人材紹介に報奨金を払うなどの施策も広がる。(1面参照)
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
勤務期間が他店を含め通算5年以上で、今のオーナーの店舗で2年以上働いていることが条件となる。候補者がその店舗でオーナー研修や店舗責任者の研修を両方受講した場合、従業員の紹介料は以前の100万円から倍増する。どちらかの研修だけの場合は150万円、候補者が退職した店で研修を受けた場合は100万円が渡される。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。
日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。働き手を呼び込むためには、デジタル技術を活用した従業員の負担軽減策も欠かせない。
ファミリーマートは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどに設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。ベテラン従業員が複数の店舗を管轄してサービスを向上させるといった使い方も想定される。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
PayPay、海外決済と連携[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 201文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」などに対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。
新社会人のクレカ選び 「会費」「還元率」「経済圏」を確認[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 35ページ 806文字 PDF有 書誌情報]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎)
3Graphicsのまとめサイトはこちら(https://www.nikkei.com/theme/?dw=23061500)
万博に長蛇の列、解消探る 来場者、正午ごろに集中 通信改善へ移動基地局(EXPO2025)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 1598文字 PDF有 書誌情報]
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大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐ。
(大阪・関西万博取材班)
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
盛岡の地域通貨「モリオペイ」 セブンで決済・入金可能に アプリ拡充 利用者・加盟店2割増へ[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 東北 2ページ 1142文字 PDF有 書誌情報]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは(1)スタンプラリー機能(2)会員証機能(3)ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
公共交通「万博仕様」に JR西、桜島駅へ臨時快速 大阪メトロは決済5種類に対応[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 528文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕し、公共交通機関も運行ダイヤや駅構内の設備を「万博仕様」にシフトした。JR西日本は会場近くの桜島駅につながる臨時快速を投入。大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅改札を、クレジットカードなど5種類の決済方式対応にした。開幕日の13日は改札機の利用でとまどう人など一部で混乱もみられた。
JR西は東海道・山陽新幹線の新大阪駅にボランティアが万博会場まで道案内する窓口を設置した。
新大阪駅と桜島駅を結ぶ臨時快速列車「エキスポライナー」は上下計26本運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連の映像を上映し、万博に向かう利用客のワクワク感を高めていた。
大阪メトロは夢洲駅で、交通系ICカードや磁気券に加え、クレカやQRコード決済、顔認証の機能がついた改札機をそろえた。外国人客などの利便性を高める目的があったが、クレカのタッチ通過がうまくいかず駅員に問い合わせる場面もあった。
13日は夢洲駅前で大規模な混雑が発生したが、関西国際空港や都心部のターミナル駅では目立つ混乱はなかった。
ただJR西の大阪環状線と夢洲駅につながる大阪メトロ中央線の乗り換えポイントである弁天町駅では、入場制限も行われた。
地方税の納付 スマホもOK 高知信金、手数料無料[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 418文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
JR元社長唐池氏が語る「感動経営」 工藤公康氏のリーダー論も、5月に福岡で[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 427文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社とTVQ九州放送は5月、地域経済の最前線を取材する映像記事コンテンツ「LBSローカルビジネスサテライト」の関連イベントを福岡市内で開きます。
豪華観光列車「ななつ星in九州」の開発を指揮したJR九州元社長の唐池恒二氏が「感動」をキーワードに地方創生や経営哲学を語ります。福岡ソフトバンクホークス元監督の工藤公康氏はチームを常勝集団に育てるリーダー論を話します。各氏の聞き手は日経編集委員が務めます。LBSで取り上げた地域企業の経営者らの対談も予定しています。
イベント終了後に登壇者らとのビジネス交流会を予定しています。
◇日時 5月29日(木)12時40分~17時35分(時刻は予定)
◇会場 電気ビルみらいホール(オンラインでも同時配信)
◇詳細・申し込み QRコードからご確認ください(参加無料、事前登録制。応募者多数の場合は抽選)
◇協賛 HESTA大倉、マネーフォワード、ワランティテクノロジーほか
◇協力 中小企業基盤整備機構
信越の地場スーパー、キャッシュレス決済拡充 綿半HD、クレカでポイント特典/アクシアル、日常購入品にクーポン[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 1366文字 PDF有 書誌情報]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高め、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
だんじり巡る街の近代建築、大阪・岸和田 細部に意匠光る 屋上で観覧も(街エクスプローラー)[2025/04/15 日本経済新聞 大阪夕刊 29ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
大阪府岸和田市には大正から昭和期に建てられた名建築が残る。紡績やレンガ製造を手掛けた地方財閥の栄華の歴史を映す。社交場の会館、教会、旧銀行などその数は10以上。建物内外に建築家の意匠が光る。街の魅力は山車が駆け巡るだんじり祭にとどまらない。官民で保存や活用も進む。
南海電気鉄道岸和田駅から西に徒歩10分。南欧風の洋館、自泉会館が立つ。ユニチカの前身の一つ、岸和田紡績の社交場は、関西ゆかりの建築家、渡辺節の設計。代表作「綿業会館」(大阪市)と同時期の1932年に建てられた。
イスラム調のタイル張りの暖炉に、コンクリートを木目調に仕上げた梁(はり)などの意匠が目を引く。渡辺建築の特徴である豪華な金属製の手すりや扉は戦時中の金属供出で失われた。岸和田市郷土文化課の山岡邦章さん(54)は「その歴史を含めて価値がある」。
会館は43年に市に寄贈された。文化施設となった現在は年約4千人が利用する。音響に優れ、弦楽器の演奏会で使われる。2022年には同市出身の現代美術家、塩田千春さんの展覧会も開かれた。
岸和田城の周辺1キロ圏内には10棟以上の近代建築が残る。なぜか。大阪歴史博物館の阿部文和学芸員(建築史)に聞くと「寺田財閥の影響が大きい」という。
寺田家は江戸時代から酒造業を営んだ。実業家の甚与茂は1887年、別の事業者と第一煉瓦製造(後の岸和田煉瓦)を設立し、94年には岸和田紡績を開業した。岸和田は府内でも有数の工業地帯に成長した。
岸和田紡績が1941年に大日本紡績に吸収合併された後も、甚与茂の息子、甚吉らは鉄道、金融業などで地域の発展に貢献したという。現存する近代建築の大半は寺田財閥の最盛期の大正時代から昭和前期に建てられたものだ。
100年以上の歴史がある日本聖公会岸和田復活教会は、レンガの街の歴史を伝える。日本家屋が立ち並ぶ通りで、赤レンガ塀が異彩を放つ。岸和田煉瓦製を示す×印は残っていないが、同社製との説が有力だ。
経年でレンガにひびが入り、司祭の石垣進さん(78)は撤去も考えた。信者の「残したい」との声を受け、2024年に補修した。見学者も絶えないという。
銀行や信用金庫も目立つ。赤と白のツートンカラーの旧四十三銀行岸和田支店や、渡辺節の門下生、村野藤吾設計の旧泉州銀行本店などが点在する。
旧和泉銀行本店は国の登録有形文化財だ。寺田家が1933年に建てた後、複数の銀行・信金の本支店として活用されてきた。2004年に信金から購入した市内在住の元会社経営者、久場共見子さん(83)は「屋上でだんじりを見たかったから」と豪快に笑う。
壁面にタイルを施した2階建ての建物は紀州街道沿いに立地。だんじり祭の山車が辻々を直角に曲がる「やりまわし」の観賞にはうってつけだ。毎年、祭りの日に屋上を開放し、100人以上が集まる。
改修で竣工当時の姿を再現した。後年設置されたつり天井は撤去する一方、金庫室の扉は残した。「壊すのは簡単だが二度と同じものはつくれない。街の人に大事に使ってもらい、次世代に引き継ぐ」(久場さん)。イベント会場としても貸し出す。
戦災を免れた岸和田には近代建築以外にも江戸時代の町屋が並ぶ本町地区など歴史的建造物が多い。学芸員の阿部さんは「江戸から現代に至る建築史の一端を短時間でたどれるのが岸和田の面白さだ」と話す。(中田みなみ)
推しビュー
五風荘の日本庭園
街のシンボル、岸和田城のすぐ南にある「五風荘」は純和風の近代建築だ。昭和初期、寺田家の邸宅として建てられた。茶の三千家の1つ、武者小路千家の三代木津宗詮が設計した。約7千平方メートルの広大な敷地に主邸と3つの茶室、日本式庭園をそなえる。建物はどれも良質な木材が使われている。柱の多くは四面全てに節のない最高級の角材「四方柾目」を採用した。同市郷土文化課の山岡さんは「材木への強いこだわりは、だんじり制作にも通じる」と話す。いまは料亭となり、庭園の景色を見ながら会席料理を楽しめる。
こちらのQRコードを読み込むと、インスタグラム「NIKKEI関西」の投稿をご覧いただけます。
【図・写真】経済人の社交場だった自泉会館のホールは音響に優れ、演奏会も開かれる
高知信用金庫、地方税の納付方法を拡大 スマホでも[2025/04/14 20:21 日経速報ニュース 418文字 画像有 ]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
信越のスーパー、キャッシュレス決済拡充 利便性を向上[2025/04/14 20:00 日経速報ニュース 1368文字 画像有 ]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高めつつ、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
「並ばない万博」なぜ行列 正午ごろ人出急増、対応に遅れ[2025/04/14 19:45 日経速報ニュース 1598文字 画像有 ]
大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐが、構造的な問題も多い。
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
(大阪・関西万博取材班)
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ポイント大手「モッピー」、覆面調査で還元 最大全額も[2025/04/14 18:38 日経速報ニュース 745文字 画像有 ]
ポイントサービスサイト大手の「モッピー」を運営するセレスは近く、覆面調査をしたサイトの会員にポイントを付与するサービスを始める。外食店での異物混入などが相次ぎ、企業側の覆面調査への需要は高い。会員である消費者側も物価高で家計負担を減らしたいと考える人が増えている。新サービスでサイト利用者拡大につなげる。
「モッピーフクモニ」の名称で新サービスを始める。覆面調査サービス大手であるファンくる(東京・千代田)と組み、全国約1万件の外食店や美容院などを対象に商品やサービスを企業側に知られずに評価してくれる会員をサイトで募集する。
応募して当選した会員は飲食店などを利用する。後日、接客態度や店内の清潔さといったアンケート項目に答えて、店などの利用時のレシートを提出すると最大全額分のポイントが還元される。今後、外食店や美容院など以外の分野も追加する予定だ。
モッピーは累計会員数(2025年3月末時点)が1200万人超にのぼる。企業から広告料を受け取ってポイントの原資に充て、会員に付与する形のポイントサイトでは国内最大級だ。
モッピーでは会員がサイトに掲載されている商品やサービスを買った場合に、広告主である企業が成果報酬をセレスに支払う。そのうち7割程度がポイントとして会員に還元される仕組み。1ポイント=1円相当で、PayPayなどの電子マネーや銀行振込を介した現金など約50種類のサービスに交換できる。
矢野経済研究所(東京・中野)によると、国内のポイントサービスの市場規模は2026年度には23年度比14%増の3兆円超となる見通しだ。物価高を受けて消費者の生活防衛意識が強まり、ポイントを足しにしたいと思う人が増えている。モッピーの会員数も市場規模拡大に合わせて堅調に伸びている。
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大阪万博、つながりにくさ改善へ移動基地局 通信各社[2025/04/14 18:29 日経速報ニュース 321文字 画像有 ]
大阪・関西万博初日の13日、混雑により会場でインターネットがつながりにくくなったことを受けて、通信キャリアが対策に乗り出した。ソフトバンクは14日までに自動車に通信設備を搭載した移動型基地局を配備した。今後も会場では多くの人出が予想され、事態の改善を急ぐ。
NTTドコモと楽天モバイルも移動型基地局の配備を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」としており、設置場所や台数について調整を進めている。KDDIも移動型基地局の配置を検討している。
13日は万博会場入り口となる東ゲート付近に多くの来場者が並び、一時的にスマートフォンなどがつながりづらくなった。入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルが発生していた。
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コンビニ3社、店舗増7年ぶり高水準へ 工場などに省人店-【イブニングスクープ】[2025/04/14 18:00 日経速報ニュース 1533文字 画像有 ]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は2025年度に最大で約400店増やす。純増数は18年度以来7年ぶりの高水準となる。国内市場が成熟するなか、小型店で企業のオフィスや工場の従業員向け需要を取り込む。無人レジやロボット技術を活用し、少ない人数でも出店できる体制を整えた。
セブンは223店の純増と、18年度以来の高水準となる。東京都や大阪府など都市圏で開業が相次ぐ大型再開発ビルの需要を取り込む。
ファミリーマートは100店程度と、20年度以来の純増を見込む。増加数はサークルKサンクスと経営統合した16年度以降で3番目の規模となる。ローソンは具体的な店舗数は明らかにしなかったが、3年連続の純増を計画する。
日本フランチャイズチェーン協会によると、24年末のコンビニの店舗数は5万5736店と、21年の5万5950店をピークに成長が頭打ちとなっている。ドラッグストアや電子商取引(EC)との競争も激しくなり、不採算店舗の閉店や移転など既存店の見直しを進めてきた。
新型コロナウイルス禍後の人流の回復などを受け、店舗数を増やす。ただ、市街地や道路沿いの出店余地は小さくなっており、効果的な店舗戦略を模索する。
セブンは企業の工場や研究所といった事業所内で床面積が従来の4分の1ほどの小型店の出店を増やす。ファミマは日本郵便と連携し、郵便局内に棚や冷蔵ケースを置いた小型店を出す。
事業所内の小型店舗は設置コストを抑えられるほか、来店者数の属性や商品の売れ行きを予想しやすい。受け入れ側の事業所も従業員や利用者の利便性向上につながるなどのメリットがある。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
出店には人材確保が欠かせない。24時間営業や多様なサービスに対応する従業員の負担軽減に向け、IT(情報技術)を導入する動きも広がる。
ファミマは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。2月末までに46店を出店しており、今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどにも設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
コンビニ各社は10年代半ばまで年1000店以上のペースで新規出店を続け、売り上げ規模や商品の調達力を高めてきた。25年度の純増数は当時に比べると小さい。コンビニ市場が成熟するなか、1店舗あたりの収益力向上が求められている。
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PayPay、傘下銀行から自動引き落としOK チャージ不要[2025/04/14 17:28 日経速報ニュース 633文字 画像有 ]
スマートフォン決済のPayPayは2025年、買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。現在は主に銀行口座やATMから代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。ATMなどからチャージする手間を省くことで利便性を高める。
現在、PayPayを使うには、銀行口座やATMから代金をチャージする「赤PayPay」と呼ぶ手法と、クレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」と呼ぶ手法がある。
新たに追加するのはアプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組みで、紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落としされる。PayPayの利用者が現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は、約860万にのぼる。
PayPayに先駆け、決済時に口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能を15日にもPayPay銀行のアプリに搭載する。銀行口座から引き落とされる直前までは預金扱いになるため、利用者は利息を受け取れるメリットがある。PayPay銀行では預金量に応じて金利が変わる。29歳以下の場合100万円以上預けると年0.4%と高水準な金利がつく。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
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三菱UFJ eスマート証券、「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービスを提供開始[2025/04/14 17:22 日経速報ニュース 1050文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービス提供開始へ(4月21日予定)
三菱UFJ eスマート証券株式会社(代表取締役社長 飛松 一樹、以下「当社」)は2025年4月21日(月)より、三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田 典彦、以下「三菱UFJニコス」)が発行している三菱UFJカードでの決済による投資信託の積立サービス(以下「三菱UFJカード積立(投資信託)」)のご提供を開始します(予定)。
当社は既に、「au PAY カード積立(投資信託)」をご提供していますが、今般の「三菱UFJカード積立(投資信託)」の追加により、お客さまの選択肢が増えることになります。
なお、これに伴うキャンペーンも計画していますので、どうぞご期待ください。
※参考画像(1)は添付の関連資料を参照
三菱UFJカード積立(投資信託)は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(取締役 代表執行役社長 グループCEO 亀澤 宏規、以下「MUFG」)のグループ各社との協働の一環としてご提供します。
※参考画像(2)は添付の関連資料を参照
また、当社を含むMUFGグループ各社は、インターネットバンキングの「三菱UFJダイレクト」を中心に、お客さまのお役に立つ各種サービスを準備しています。今後、各サービスの内容や開始時期などが決まり次第、適宜、ご案内します。
※参考画像(3)は添付の関連資料を参照
以上
●三菱UFJ eスマート証券株式会社
・金融商品取引業者登録 : 関東財務局長(金商)第61号
・銀行代理業許可 : 関東財務局長(銀代)第8号
・電子決済等代行業者登録 : 関東財務局長(電代)第18号
・加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 日本STO協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/01_202504141721.jpg
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/02_202504141721.jpg
参考画像(3)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/03_202504141721.jpg
シチズン・システムズ、業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売[2025/04/14 15:19 日経速報ニュース 1211文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2024年01月16日
カラータッチパネルを搭載、ビジュアルガイドにより操作性を向上した新製品
業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売
~高耐久・前面操作でご好評のロングセラー当社最上位モデル~
シチズン時計株式会社の連結子会社であるシチズン・システムズ株式会社(本社 : 東京都西東京市・社長 : 向島克敏、以下当社)は、カラータッチパネルによる新機能を搭載し、高速印字に対応した業務用ラベルプリンター「CL-S700III」及び「CL-S703III」を2024年1月16日より販売します。
<業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」>
■発売日 : 2024年1月16日
■モデル : 2モデル CL-S700III(印字解像度203dpi)、CL-S703III(印字解像度300dpi)
■価格 : オープン(参考価格 CL-S700III : 418,000円税込、CL-S703III : 440,000円税込)
*製品画像は添付の関連資料を参照
コロナ禍に、世界的に急拡大したECビジネスによりラベル需要は物流用途を中心に伸長する一方で、労働力不足に対応した業務の省力化が求められています。
当社の主力製品であるCL-S700シリーズは、熱転写リボンのテンションを自動で一定に保つシチズンオリジナルのARCP機構(※1)採用により、極小精密ラベルなど多様な用紙の印字ズレや汚れを防止。また、大容量リボン・大径ロール紙の搭載による長時間連続印刷に適した最上位モデルです。
今回の新製品「CL-S700III/CL-S703III」は、信頼性の高い耐久構造、素早い用紙セットと省スペースを両立し、任意の位置で止まる安全なカバーのフルオープンメカニズムはそのままに、新たにカラータッチパネルを搭載しました。ビジュアルガイドにより直観的な操作が可能となり、印刷時にはプレビュー表示により用紙の無駄を削減します。エラーが発生した際にはパネルに表示されるQRコード(R)からウェブマニュアルの参照ができ、トラブルや誤操作によるロスタイムを削減できます。また、当社前モデルから印字スピードを17%向上させた最大305mm/秒(※2)を実現し、ユーザーメモリーを6倍に増強(※3)、プリンターフォントの拡充(※4)といった基本機能を充実させ、ラベル発行の更なる効率化を図りました。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
製品画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/667039/01_202504111906.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/667039/02_202504111906.pdf
新NISAで人気の投信、年初来17%下落 米テック株安響く[2025/04/14 15:00 日経速報ニュース 1832文字 画像有 ]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
円高も逆風に
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数MSCI「オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
売却は焦らず
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
トランプ政権は11日に相互関税の対象からスマートフォンなどを除外したが、13日には新たな半導体関税に組み入れると表明した。政策の不安定さや世界経済の先行き不安は拭われていない。
(越智小夏、杵渕純平)
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・株価急落でもオルカン流入超 個人のパニック売り少なく
PayPay、タイ電子決済「ビッグペイ」などと連携[2025/04/14 13:32 日経速報ニュース 386文字 画像有 ]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」に対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。
店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。14日からカザフスタンで普及する「カスピ」を加えた4サービスと連携した。PayPayの連携先は14カ国・地域で使われる計25サービスまで増える。
PayPayは18年の「支付宝(アリペイ)」を皮切りに海外の決済サービスとの連携を進める。訪日客数で上位10カ国のうち7カ国の決済サービスに対応する。国内の電子決済市場の競争は激しく、訪日客の決済需要の取り込みにも力を入れる。
大阪万博、地下鉄は何度も入場規制 バスは予約優先[2025/04/14 13:08 日経速報ニュース 2474文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、会場の夢洲(ゆめしま)につながる公共交通機関がフル稼働した。関西国際空港や都心部のターミナル駅では混乱は見られなかったが、帰宅ラッシュ時にはシャトルバスなどが予約で埋まり、地下鉄に乗るための長い行列ができた。「並ばない万博」を掲げてパビリオン同様に交通利用も予約中心になったことで、柔軟な対応が難しくなる課題が浮き彫りとなった。
関空客「開催初めて知った」 バス予約アプリに不満
午前9時、関西国際空港第1ターミナルの国際線到着口から出てきた50代ドイツ人夫婦は、真上につり下がる万博のバナーを見上げて「エキスポが大阪で開催されるのは初めて知った」と笑う。関空からは会場へのシャトルバスも発着するが、10時発車のバスに乗り込んだのは近隣住民や国内客が大半。バス関係者は「まだ直行便の知名度がないからですかね」と話す。
利用には関西鉄道7社などが提供する「KANSAI MaaS」のアプリでの会員登録と便の予約が必要だ。バスを利用しようとした岡山県の男性は「予約が必要だと知らなかった。手続きがとても複雑だ」と眉をひそめた。
新大阪駅に案内ボランティア 臨時快速で機運醸成
東海道・山陽新幹線の新大阪駅には、大阪府・市がボランティアの案内窓口を設置し、万博客の道案内などを行った。東京都渋谷区から訪れた杉浦貴史・梅子さん夫妻は、「70年万博に行ったことがある92歳の父親を連れてきたい」と、車いすでも行きやすいルートを問い合わせていた。
JR西日本は新大阪からは、シャトルバスと接続する桜島駅への臨時快速「エキスポライナー」を運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連映像を流しながら、15分ほどで運行した。山陽新幹線では人気漫画「ワンピース」とコラボした車両の運行も12日から始め、万博を契機とした観光輸送の強化へ向けた準備が進んでいた。
会場行き地下鉄は増発、駅で入場制限も
夢洲に直接乗り入れる唯一の鉄道である大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線は、開会前の午前8時台には2分半間隔の臨時増発ダイヤを組んだ。大阪メトロ全体でピーク時に会場輸送の58.6%を担うとされる。会場へ向かう便では、開会式前後では大きな混乱はなかったが、昼ごろには御堂筋線と接続する本町駅や、JR大阪環状線と接続する弁天町駅で混雑が発生。弁天町駅では入場制限も行った。
万博開幕に向けて開業した夢洲駅は、広い改札口に16台の改札機を1列に配置。交通系ICカードや磁気券だけでなく、クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済、顔認証も導入し、各国の利用者の利便性を意識した。ただ、クレカのタッチがうまくいかず行列ができ、駅員に問い合わせる場面もあった。
会場行きシャトルバス、ピーク後は空席目立つ
南海難波駅直結のバスターミナルから万博会場に向かうシャトルバスは、12時過ぎまでのほぼ全便が満席で、外国人の姿も見られた。JR桜島駅から発着するシャトルバスは、午前8~10時発の便は完全予約制だったが、それ以外は予約なしでも空席が目立つ時間も。
桜島駅のバスターミナルの係員は「帰りは相当混雑すると予想されるので早めに予約を」と呼びかけた。ただ、シャトルバスを利用した東京都新宿区の医師、長西美和さん(50)は「(人気歌手の)Adoのコンサートを見て帰るのでまだ予約していない」と語った。
タクシー運転手「行列800人」 帰宅バス、予約で混乱
13日は日中に風雨が続いたことに加え、パビリオン予約ができないとして、午後の早い段階で帰宅する来場者が相次いだ。西ゲートのタクシー乗り場には「到着した午後4時ごろには800人は並んでいた」(タクシー運転手)。
午後9時台、愛知県豊川市から母親と来た30歳代の女性は、新大阪行きのシャトルバスが「予約客で満席です」と利用を断られた。「何でも予約が必要で不便ですよね」とこぼした。予約不要でピストン輸送を実施しているJR桜島駅行きのシャトルバスの乗り場へ向かった。
風雨で帰宅混乱、夢洲駅で入場制限相次ぐ
東ゲートの夢洲駅でも、早く帰宅する客と午後からの入場客が重なったことに加え、運行本数をピーク時より減らしたことも影響し、午後12時ごろから午後3時台にかけて断続的に入場規制がかけられた。
列車の大規模な遅延こそ起きなかったものの、帰宅客は季節外れの寒さの中で駅外での待機を強いられ、行列からの抜け出しを試みる人々も散見された。
午後9時前後から退場客が増え始め、夢洲駅への入場規制を再び行った。警備員らが「走らないでください」「ゆっくり歩いてください」と声を張り上げ、警笛が響く場面もあった。駅の外には一時200メートル以上の行列ができ、入場規制が解消されたのは午後10時過ぎのことだった。
予約中心・会場広さ、代替ルート選びづらく
「並ばない万博」に向け、パビリオンや交通機関は予約利用が中心だ。ただ、13日は天候不順で早めの帰宅を選択した来場者も多かった。実際にAdoさんのライブは予定の終了時刻を過ぎた。予約不要な大量輸送手段は地下鉄と桜島駅へのシャトルバスで、それ以外の選択肢を選びづらい側面もある。運行ダイヤ自体は大きな破綻はきたさなかっただけに、来場者が柔軟に交通モードを選択できなかった点が浮き彫りになった。
また、夢洲駅は東ゲートに、シャトルバスターミナルやタクシー乗り場は西ゲートにある。大人の足で徒歩15分はかかり、どちらかの利用が難しくなった場合、別のルートにすぐ切り替えるのは難しい。会場内では電気自動車(EV)バスが運行するが、存在を知らない来場者も多かった。
万博にはピーク時には1日22万人以上が訪れるとされる。国際空港や新幹線駅では観光誘客のチャンスとみて受け入れ態勢の準備を進める。夏季の猛暑や台風の襲来も今後想定されるなか、会場客が「ラストワンマイル」で柔軟に利用できる運用が、万博を契機とした観光振興のカギを握る。
(田村修吾、下田恵太)
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外為12時 円相場、下落 株高で 日米協議への思惑で一時急伸[2025/04/14 12:34 日経速報ニュース 972文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=142円96~99銭と前週末17時時点と比べて13銭の円安・ドル高だった。前週末の米株高や14日の日本の株高を背景に投資家心理が改善し、過去にリスクを避ける目的で積み上げられていた円の買い持ち高を減らす動きが出た。
ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、金融・資本市場が混乱した際に、米連邦準備理事会(FRB)は安定のために「確実に対処する準備ができる」と述べたと伝わっていた。FRBが施策対応に動くとの見方も市場のリスク回避ムードを和らげ、円の重荷となった。
円は急伸する場面もあった。日米の閣僚級協議などで為替が議題に上るとの思惑などから投機的な円買いが入ったほか、米関税政策を巡る先行き不透明感からドル売りも活発で、円は10時半すぎに142円25銭近辺と日本時間早朝につけた安値の144円台前半から2円超上げた。
ロイター通信は14日午前、赤沢亮正経済財政・再生相が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。17日に実施予定の赤沢氏とベッセント氏の日米協議では為替が議題の一つとして入っている。そのため「円安是正への思惑が高まった」(外為どっとコム総合研究所の中村勉研究員)との声があった。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。一方、先物では国内の輸出企業や機関投資家による為替差損回避(ヘッジ)の円買いがみられた。
日銀の植田和男総裁は14日午前の衆院予算委員会で、米関税政策を巡り「経済・物価を巡る不確実性が大きく高まる」としたうえで「経済・物価・金融情勢を点検し適切に政策判断をする」と述べた。従来通りの姿勢を維持したとの受け止めから、相場を方向付ける材料とはならなかった。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=162円58~62銭と、同28銭の円安・ユーロ高だった。対ドル相場に歩調をあわせて一時は強含んだ。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1372~73ドルと同0.0009ドルのユーロ高・ドル安だった。ドル安の流れに乗って1.1409ドル近辺まで上げ幅を広げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
大阪万博、開幕初日の一般来場者11万9000人[2025/04/14 12:05 日経速報ニュース 372文字 画像有 ]
日本国際博覧会協会は14日、大阪・関西万博開幕初日の13日の一般来場者数が約11万9000人だったと発表した。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者など約2万2000人が入場した。
同日は入場ゲートや米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前に長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」は、正午前時点で最長8時間20分待ちとなり、午前中に受け付けを終了した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生した。
大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日まで半年間にわたって大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開催する。日本での万博開催は2005年の愛知以来20年ぶり。過去最多となる158カ国・地域が参加する。
三井住友カードと三井住友海上プライマリー生命、「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに資産形成型保険2商品を追加[2025/04/14 11:12 日経速報ニュース 1266文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
三井住友カード「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに
三井住友海上プライマリー生命の資産形成型保険 2商品を追加
~業界初、資産形成型保険に対するポイントサービスを開始~
三井住友カード株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 社長執行役員 CEO:大西 幸彦、以下:「三井住友カード」)と、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藏田 順、以下:「プライマリー生命」)は、資産形成型保険((1)変額保険(有期型)「みらいふくらむ」、(2)生存保障重視型平準払個人年金保険(利率変動型)「積立年金保険」)を「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに追加し、2025年4月14日より販売を開始します。
人生100年時代において、「長期・積立・分散」投資による資産形成への社会的関心が高まっています。また、NISA・iDeCoなど資産形成型の金融制度が普及し、「貯蓄から投資」への流れが加速しています。こうした中、分散投資で長期にわたり資産形成を行いながら、生命保険ならではの機能による万一の場合の保障の準備や、ドルコスト平均法(*1)により株式や債券等または為替の変動リスクを低減できる資産形成型保険商品を発売します。
本商品の発売により、「Vポイントが貯まる保険」では、資産形成に関心のあるお客さまにご満足いただける貯蓄性商品の提供が可能となり、保障性と貯蓄性の両方からお客さまの多様なニーズにお応えできます。
さらに、資産形成型の保険商品に対するポイント還元は、業界初(*2)の取り組みです。月払保険料のお支払いで、通常のポイントに加えて1%相当のポイントも上乗せされ、合計で保険料の最大2%(*3)のVポイントが貯まるため、資産形成を効率よく行えます。
*1 「ドルコスト平均法」とは、価格が変動する商品を定期的に一定額購入して、平均購入単価を平準化することを期待する投資手法です。
*2 プライマリー生命の保険では、保険のお申し込みをWEBで完結することによる募集経費の削減効果をVポイントとしてお客さまに還元します。ポイントが還元される市場リスクを有する生命保険商品(特定保険契約)の発売は業界初となります。(2025年4月時点、プライマリー生命調べ)
*3 通常のポイント還元率はカードによって異なります。Vポイント2%還元となるのは、三井住友カードプラチナプリファード、Olive フレキシブルペイプラチナプリファード等、通常のカード利用で貯まるVポイントが1%還元のカードで決済した場合に限ります。通常のカード利用で貯まるVポイントが0.5%還元のカードで決済した場合は、1.5%還元となります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689689/01_202504141111.pdf
外為10時 円相場、上昇に転じる 一時142円30銭台 赤沢氏の発言で[2025/04/14 10:34 日経速報ニュース 653文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇に転じた。10時時点は1ドル=142円94~96銭と前週末17時時点と比べて11銭の円安・ドル高だったが、10時過ぎに同48銭円高の142円35銭近辺をつけた。赤沢亮正経済財政・再生相の発言をきっかけに円安を巡る日米協議への思惑が高まり、円買い・ドル売りが増えた。
ロイター通信は14日午前、赤沢氏が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。それに反応したのが海外ヘッジファンドなどの投機筋だ。「トランプ米政権は円安を批判しているため、円買いの材料となったようだ」(SMBC信託銀行の合沢史登シニアマーケットアナリスト)との声が多い。
米関税政策を巡る不透明感も引き続きドル全体の重荷となっている。ドルは対円だけでなく対ユーロでも売りが膨らんだ。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。半面、先物では国内輸出企業による円買い・ドル売り観測が出ている。
円は対ユーロでも上昇している。10時時点では1ユーロ=162円48~51銭と、同18銭の円安・ユーロ高だったが、その後は162円20銭台をつけた。前週末17時時点は162円30~34銭だった。
ユーロは対ドルで上げに転じた。10時時点では1ユーロ=1.1367~68ドルと同0.0004ドルのユーロ高・ドル安で、1.1385ドル前後まで買われている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
セブン、迫力欠くコンビニ戦略 買収案対抗決め手乏しく[2025/04/14 10:11 日経速報ニュース 2450文字 画像有 ]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、2026年2月期の連結営業利益が前期比1%増の4240億円になりそうだと発表した。2年ぶりの増益を見込む。リテールメディア(小売り広告)事業の本格展開などの成長戦略も示したが、カナダ社の買収提案に対抗するには物足りないとの声も広がる。
売上高に当たる営業収益は10%減の10兆7220億円を見込む。イトーヨーカ堂などを束ねるヨーク・ホールディングス(HD)とセブン銀行を今期中に非連結化する影響を受ける。純利益は前期に計上した特別損失の影響が小さくなり、47%増の2550億円となる見通しだ。
セブンは9日に営業収益予想を10兆7610億円と発表していたが、14日に10兆7220億円と訂正した。
米国コンビニ事業ではトランプ政権の関税政策による消費減速リスクを織り込み、25年度の米既存店売上高の増減率を1月時点の1.5%増から、1.5%減に引き下げた。9日夕にオンラインで開いた決算説明会で、スティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長は関税の影響について「経済や消費行動にはマイナスだ」と述べ、「他社よりも価値を提供するスピードを改善することで競合に打ち勝つ」との考えを示した。
【関連記事】セブン次期社長、コンビニ成長「スピードで打ち勝つ」
カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は7兆円規模の買収提案をセブンに提示している。セブンの時価総額は5兆円程度で、単独路線を進めるためには株価を上昇させる必要がある。
社長交代を発表した3月6日には米国コンビニ事業会社の新規株式公開(IPO)や2兆円の自社株買いといった資本政策を相次ぎ打ち出した。ただ、9日までの株価は13%安に落ち込む。市場の注目点はコンビニ事業の成長戦略に集まっていた。
新規出店623店、PBも強化
国内コンビニ事業は今期、営業利益を5%増の2447億円にする計画だ。コンビニの成長戦略の肝である新規出店は、都心部を中心に623店と高水準の出店を続ける。
24年秋に始めた低価格商品「うれしい値!」のほか、ドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶などレジ横商品の品ぞろえ強化で集客を図る。利益率の高いプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高を1兆5500億円と、前期から500億円増やす。
30年度までの長期戦略では、6年間で設備投資やM&A(合併・買収)に3兆2000億円を投じる。店舗のデジタルサイネージ(電子看板)などに広告を表示するリテールメディア事業を本格展開し、メーカーからの広告料で稼ぎながら、店舗に並べた商品の拡販にもつなげる。
まず25年に電子看板の設置店を現在の7倍の約3500店に拡大する。POS(販売時点情報管理)やスマートフォンアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。
ピザや焼き菓子などレジ横商品の拡充に向けて店内調理への投資を積み増すほか、最短20分で店から商品を届ける宅配サービス「7NOW(セブンナウ)」を通じて1店舗あたりの売上高を伸ばす戦略も盛り込んだ。省人化の取り組みも強化する。
ただ、小売り広告や宅配サービスは同業他社も力を入れている。ファミリーマートはすでに約1万店に電子看板を設置し、自社の決済アプリを使って食品メーカーの広告や割引クーポンを配信するサービスも行う。セブン関係者は「コンビニ成長策について手詰まり感がある」と新機軸を打ち出せない状況を認める。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「選択と集中をすすめ、主力のコンビニ事業で成長の絵を描く戦略だが、それにしては少し物足りない印象だ」と指摘する。
ACTの買収案か単独成長か 「5月末判断」を修正
セブンの買収を巡っては、ACTとの応酬が続いている。ACTはセブン全社を対象にしたデューデリジェンス(資産査定)を要請するが、セブンは買収交渉の前段階として、米独占禁止法の課題解決が必要不可欠との姿勢を鮮明にする。両社は米独禁法の解決のため、2000店規模に及ぶ店舗売却先候補を選ぶ作業を進めている。
セブンの社外取締役で構成する特別委員会は、セブン単独路線とACT案のどちらが企業価値向上につながるかを議論しているが、結論が出るにはなお時間がかかりそうだ。
セブンの丸山好道最高財務責任者(CFO)はACTの買収提案の受け入れ可否などについて、1月のアナリスト説明会では「5月の株主総会までに一定の判断をする」と表明していた。
丸山氏は9日の説明会で「(ACTと自社単独案について)現時点で比較できる状況にない。状況が変わり説明をできる時期になったら公表する」と話した。創業家主導の株式非公開化案が頓挫し、判断時期を事実上修正した。
企業価値を一気に高める施策を打ち出せない中、セブンがACTに対抗するためには加盟店オーナーや株主との対話が欠かせない。ただ、9日の決算説明会は次期社長のデイカス氏や丸山CFO、事業会社や関連会社の役員らが出席したが、現社長の井阪隆一氏の姿はなかった。説明会の方式もオンラインだった。
ある加盟店オーナーは「まずは実現可能なビジョンを示して取り組んでほしい。でなければ、オーナーは離反し優秀な社員も去っていく」とこぼした。
自社株買い最大6000億円、26年2月まで
同日、総額2兆円の自社株買いの方針の一環で、最大6000億円の自社株買いを始めると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の15.4%に当たる4億株を上限に取得する。取得期間は4月10日~26年2月28日。一連の発表後、セブン&アイ株は時間外取引で同日の東証終値比一時5%上昇した。
25年2月期の連結決算は営業収益が前の期比4%増の11兆9727億円、純利益が同23%減の1730億円だった。インフレの影響などで主力の日米コンビニ事業が低迷した。構造改革の一環で米コンビニ不採算店舗の閉店費用やイトーヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退関連費用を計上したことも利益を押し下げた。
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ロシア投資、制裁下でも物色活発 「停戦トレード」に思惑[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1878文字 画像有 ]
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では約85ルーブルと3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
西側に開かれる利点もある。3月に英シンクタンクZ/Yenグループが発表した25年の金融都市ランキングで、東欧・中央アジアでは首都アスタナ(首位)と最大都市アルマトイ(5位)の2都市が選ばれた。
金融特区アスタナ国際金融センターのレナト・ベクトロフ総裁は24年の日本経済新聞の取材に「英国のコモンロー(判例法)の法体系や独自の国際仲裁センターを持ち、海外投資家が活動しやすい」と話していた。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
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三井化学 輸送車両のアナログメーター、DXで遠隔監視へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1734文字 画像有 ]
三井化学が化学製品の安全な輸送に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。同社のプラント監視システムを応用し、輸送中のローリー車におけるタンク内の温度と圧力を監視する仕組みを開発した。アナログメーターの数値をデジタル化することで、乗務員が運転席から降りてタンクに登らなくても車両の様子を確認できるようにする。2025年3月までに実証実験を実施し、有効性を確認した。
三井化学が製造する化学品は、業務委託した物流事業者の専用車両で運搬する。製品の中には高い可燃性を持つものなど危険物も含まれる。危険物の輸送においては、高圧ガス保安法、消防法、毒物及び劇物取締法などの法規制を厳格に守る必要がある。
同社ではこうした法規制に加えて、「レスポンシブル・ケア(RC)」と呼ばれる化学品の安全な製造や使用に向けた業界の自主的な取り組みにも力を入れている。同社の中村淳デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部安全品質グループグループリーダーは「地域住民の安心・安全のため、法規制以上の取り組みを進めている」と語る。
プラントの監視システムを応用
三井化学は輸送における過去のトラブルを分析し、リスクの発生頻度や影響度別に対策を実施している。24年1月から実証実験を進めてきたのが、(1)輸送車両の動態監視(2)緊急連絡カード(イエローカード)のQRコード化――の2つだ。
(1)の輸送車両の動態監視を実現するため、車両のタンクに取り付けられている温度・圧力のアナログメーターの上から磁気センサーを設置した。アナログメーターの針の振れ幅を磁気センサーで計測し、運転席のパソコンに近距離無線通信「ブルートゥース(Bluetooth)」で送信する。従来はアナログメーターを目視確認するため、乗務員がいったん運転席から降りてタンクに登る必要があった。
温度や圧力のメーターそのものをデジタル式に取り換えれば、磁気センサーを設置する必要はないように見える。しかし、危険物の輸送車に取り付けられる温度・圧力のメーターには厳しい規定があり、「現状使用できるのはアナログメーターしかない」(依田馨デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部部長)という。
実は、この温度・圧力の遠隔監視は同社の化学品を製造するプラントで用いられている仕組みを応用したものだ。中村グループリーダーは「プラントと異なり、輸送時には振動がある。実証実験で正しい値を表示できるか検証した」と話す。
25年3月時点で、運転席にいながらタンク内の温度・圧力を確認できた。しきい値を設け、その値を外れた場合は警告を出すようにして、事故を未然に防止する工夫もしている。現在はもう1段階進み、遠隔の物流事業者の事業所で測定データを監視する方法も検討している。
紙のイエローカードをデジタル化
同じく実証実験を進めるのが(2)のイエローカードのデジタル化だ。イエローカードは、化学物質や高圧ガス輸送時の事故に備え、乗務員や消防・警察が取るべき消火方法などの処置を書いたものを指す。従来は紙で運転席に保管しており、事故発生時に素早く取り出すことが難しくなる可能性があった。そこで、イエローカードの内容をQRコード経由で読み取れるようにして、QRコードをタンクに貼り付ける方法に変更した。
イエローカードの内容を作成する作業もデジタル化している。イエローカードは、安全データシート(SDS)と呼ばれる化学品の取り扱い情報をまとめた文書から、事故発生時の対応に必要な情報を抽出して作成する。同社では22年度からイエローカード半自動出力システムの実運用を開始し、SDSからイエローカードに必要な項目を自動で抽出できるようにした。従来は人手で様式に合わせて抽出しており、人によって書き方に差が生じることがあった。
三井化学では化学品の共同物流に向けたシステム開発など、IT(情報技術)で物流を効率化・高度化する取り組みを多数進めている。依田部長は「業界を巻き込んだ取り組みを加速していきたい」と意気込む。
(日経クロステック/日経コンピュータ 渥美友里)
[日経クロステック 2025年3月26日付の記事を再構成]
新社会人のクレジットカード選び ポイント経済圏を吟味-3Graphics[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1257文字 画像有 ]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
コード決済との違いは?
コード決済はクレカのタッチ決済と似ているが、スマートフォンの電源が切れてしまうと使えないのが最大の弱点だ。一方、コード決済はクレカと比べ、自治体などが高還元や割引といった独自のキャンペーンを展開しやすい。買い物をする場所や店舗によって還元率が高い決済手段を選ぶような使い分けをすると、ポイントを多く獲得しやすくなる。
複数枚必要?
メインで利用するクレカに慣れたら、サブで使うカードを作るのも一案だ。何かしらの理由でメインのカードが使えなくなった時の代替にもなる。ただ枚数ばかり増えてしまうと浪費や不正利用に鈍感になりかねない。自分で管理できる範囲にとどめたい。サブのカードはメインと違う還元ポイントにするなど、異なる要素を選ぶと使い分けもしやすい。
滞納すると?
社会人になって作ったクレカの限度額が学生時代と比べて大幅に増えても、収入を上回る額を使うのは避けたい。支払期限に間に合わず滞納が続くと、信用情報機関に滞納した情報が記録されてしまう。「ブラックリスト」に載ると、新たなクレカを発行してもらえなくなるほか、住居の賃貸契約などにも影響を及ぼす可能性がある。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎、デザイン制作協力 タイドデザイン)
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盛岡のデジタル通貨、機能拡充で利用者・加盟店2割増へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1136文字 画像有 ]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは①スタンプラリー機能②会員証機能③ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
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追い証とは 信用取引の追加保証金、株価下落に影響も-市場を知るニュースワード[2025/04/14 04:00 日経速報ニュース 896文字 画像有 ]
株式市場は荒れ模様が続いています。株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式などを代用有価証券として差し入れることもできます。担保は法令で信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると、担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は証券会社によって異なりますが、義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡って2つの売りが出るとされます。第1の売りは、株価下落で含み損が大きくなりはじめた段階で、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。相場全体が一定程度下げると、手じまい売りが連鎖する展開になることがあります。
その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられなかった場合は証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
信用取引で株を買った投資家の含み損益の度合いは信用評価損益率という指標で示されます。一般にマイナス15%が投資家によっては追い証が発生する「黄信号」、マイナス20%はより広範に追い証が発生する「赤信号」とされます。松井証券の店内集計によると、4日にマイナス16.9%(全市場)をつけ、7日にはマイナス23.6%まで悪化しました。これは株式相場が急落した2024年8月5日(マイナス25.7%)以来の低水準です。
前週の株価急落局面を振り返ると、日経平均株価は7日に前週末比2644円(8%)安の3万1136円で終え、翌8日に反発した後、翌9日は反落して終えました。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「7日に追い証回避のための手じまい売りが広がり、そこで発生した追い証の強制決済の売りが9日に出た」と解説しています。
ショッピファイ、ECインフラで開く次の成長[2025/04/14 02:00 日経速報ニュース 5436文字 画像有 ]
電子商取引(EC)サイト構築支援を手掛けるカナダのショッピファイが成長期に入った。直近は提携や買収を弾みに米国でのシェアや収益を拡大。物流部門売却後は、ECインフラの強化に再びかじを切った。投資案件などを分析すると、没入型買い物体験の提供や顧客データの収益化といったショッピファイの次の一手が見えてきた。
電子商取引(EC)サイト構築支援のカナダのショッピファイは成長モードに戻った。
2023年に物流部門を売却して中核のECインフラの強化に再び乗り出して以来、的を絞った提携や買収、製品開発で成長を加速している。米EC市場でのシェアは10%から12%に伸び、24年度の売上高は前年度比26%増えた。
今度は新たな挑戦に向けて布石を打っている。没入型買い物体験の提供からエンタープライズ(大企業)顧客のサポート、広告を通じたデータの収益化まで、世界の商取引でさらに広範な役割を果たそうと土台を固めている。
CBインサイツの投資、買収、連携、決算説明会などのデータを活用し、ショッピファイの次の動きが分かる3つの重要分野を特定した。
・没入型の統一された買い物体験を提供:ショッピファイはゲーム、決済のほか、人工知能(AI)などが消費者の代わりに意思決定する「エージェンティック・コマース」企業との関係構築により、いつでも利用できるクロスプラットフォームショッピングを実現しようとしている。エコシステム(生態系)の中核に据えるのは自社プラットフォームだ。
・大企業向けの定番ECプラットフォームに:システムインテグレーターとの提携、「コマースコンポーネント」など必要に応じて自由に組み合わせられるツール、「ショップペイ」などの別売りツールにより、自社を米セールスフォースや米アドビに代わるモジュール式プラットフォームと位置付けている。
・顧客データを新たな広告収入源に:「ショッピファイ・オーディエンス」のような自社ツールと顧客データプラットフォーム(CDP)やキャンペーンプラットフォームとの連携により、小売り発の新たな広告サービス「リテールメディア・ネットワーク」の土台を築き、加盟店と買い物客のデータを収益化する新たな方法を生み出そうとしている。
下の図では、ショッピファイがこの3つの戦略で既に活発に動いている分野と、次に踏み出すとみられる分野(将来の提携相手や買収企業の予想も含む)を示した。
こうした優先分野は、同社が買い物体験をどう再構築し、広告、法人向けソフトウエア、ECインフラで既存勢に挑もうとしているかを表している。
以下ではそれぞれの予想について詳しく説明する。
1.没入型の統一された買い物体験を提供
ショッピファイの米EC市場でのシェア拡大は、より多くのコンテクスト(文脈や背景)にコマース機能を組み込む周到な戦略を反映している。ゲーム配信プラットフォームの米ロブロックスやAI検索の米パープレキシティのようなプラットフォームとの連携は、ショッピファイのインフラが従来だけでなく新たな環境でも中核に位置するいつでもどのチャネルでも可能な買い物のビジョンを示している。
いつでもどのプラットフォームでもショッピング可能に
ショッピファイは24年後半、パープレキシティの新たなAI買い物支援機能「バイ・ウィズ・プロ」と連携し、エージェンティック・コマースの世界に踏み出した。これにより、消費者はパープレキシティのインターフェースで商品を閲覧し、ショップペイで直接精算できるようになった。
同時期にはロブロックスのEC初の連携パートナーにもなり、「ショッピファイ・チェックアウト」が組み込まれたゲーム内店舗で、加盟店に1日8000万人以上に上るロブロックス利用者へのアクセスを提供している。
ショッピファイはこの目的に向け、自社製品の機能を拡充している。例えば、24年にはPOS(販売時点情報管理)アプリに「タップ・トゥ・ペイ」を導入し、オフライン決済機能を採り入れてオンラインとリアルの体験の結びつきを強化した。さらに、ロイヤルティープログラムを手掛ける米ギャッツビー(Gatsby)と連携し、加盟店がオンラインとリアルの両方で顧客エンゲージメントを築けるようにした。
一方、その場でのカード処理を可能にするインドのキャッシュフリー・ペイメント(Cashfree Payments)との提携は、地域のPOSプロバイダーを通じて各国の経済圏に参入する広範な取り組みの一環だ。
企業の勢いを測るCBインサイツのモザイクスコアに基づき、ショッピファイが事業を拡大する可能性がある主な市場(欧州とアジア太平洋)のアーリーステージ(初期)とミッドステージ(中期)のPOS企業を選別した。さらに、小売業者向けサービスを提供する企業に対象を絞ったところ、ショッピファイの潜在的な提携パートナーとして次の3社が浮上した。
・フラットペイ(Flatpay、デンマーク、モザイクスコア783点):中小企業向けに簡素化した決済処理システムを提供
・英Teya(758点):欧州の中小企業向けに決済処理と金融サービスを提供
・dtcペイ(dtcpay、シンガポール、735点):法定通貨やステーブルコインに交換可能な多通貨スワップなどのサービスを手掛けるデジタル決済プラットフォーム
2.大企業の定番ECプラットフォームに
ショッピファイは従来の中小企業の顧客基盤にとどまらず、セールスフォースの「コマースクラウド」やアドビの「コマース」など大企業向けECプラットフォームと直接競合するための土台づくりを進めている。自社を「大規模で業務が複雑な加盟店のニーズを満たせる柔軟なモジュール式インフラレイヤー」と位置付けている。
移行支援サービスとの提携で大きな壁をクリア
大手の小売業者やブランドがショッピファイのプラットフォームに移行する際の最大の壁の1つは、レガシープラットフォームからの移行の複雑さだ。ショッピファイはこの問題に対処するため、22年からシステムインテグレーター網を徐々に拡大し、デロイト、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、KPMGとの提携により新規顧客の導入と活用を支援している。
24年4月には、エンドツーエンドのデジタルコマースサービスを提供するため、米グーグル・クラウド及びIT(情報技術)コンサルティングの米コグニザントと組み、戦略をさらに強化した。こうした提携はITシステムを購入しようとする大手企業の間でショッピファイの導入が増えており、同社の大企業向け市場参入の動きも進化していることを示している。
ショッピファイはアプリストアにもシステム移行や導入支援パートナーを加えている。24年8月にはデジタルコマース設計のピボツリー(Pivotree、カナダ)を加え、25年1月には企業の移行ニーズに対応するため米Anattaとの関係を拡大した。
大企業向けに精算と決済も効率化
決済ワークフローの効率化はショッピファイの大企業向けシステムでも主なセールスポイントだ。必要に応じてツールを選べる別売りのショップペイは、「コーチ」などの大手ブランドに採用されている。ショッピファイは決済全般をサポートするため重要な提携を重ねている。
・23年6月にはオランダの決済大手アディエンと提携し、グローバルに事業を展開する大手加盟店向けに処理を効率化した。
・24年9月には米決済大手ペイパルとの連携を拡充してペイパルはショッピファイのカードプロセッサーになり、注文管理や報告、ECサイトの売り上げを取り消す「チャージバック」を効率化した。
ショッピファイはアプリストアで暗号資産(仮想通貨)決済にも対応している。24年にはHelio(スイス、現在は米MoonPay傘下)のソラナペイが対応可能なトークン(電子証票)を拡大したほか、ロイヤルティープログラム、ステーブルコインの交換機能を追加し、ショッピファイの最先端の決済サービスの選択肢を拡大した。
さらに、大企業の加盟店のニーズに応えて他のポイントシステムも提供している。24年10月にはAI検索のコベオ(Coveo、カナダ)と提携し、知名度の高い小売業者にAIによる商品の発見、パーソナライズされたお薦めなどのツールを提供した。
税務テック大手の米バーテックス(Vertex)や米アバララ(Avalara)との連携で大企業向けサービスをさらに拡充し、越境取引に伴う複雑なコンプライアンス(法令順守)も支援している。
ショッピファイは大企業の開拓に取り組んでいるため、税務コンプライアンスのソフトウエア企業と提携する可能性がある。そこで、CBインサイツのツール(特定のテクノロジーの分野をリードする未上場企業を見つけ、ランク付けする「ESP」)に基づき、ショッピファイと有益な関係を築く可能性が高い勢いのある企業を特定した。
・米ソボス(Sovos):各国の税務コンプライアンスと規制当局への報告を支援するソフトを提供
・米Exactera:移転価格の算定、法人所得税、研究開発の税額控除に対応したAI税務コンプライアンスシステムを提供
・米ネオタックス(Neo.Tax):新興企業や中小企業向けにAIを活用した税務自動化ソフトを開発
ショッピファイのこうした動きは、必要な技術を自由に組み合わせられる大企業向け技術スタックへの移行を示している。迅速な導入、柔軟なツールの提供、グローバル事業に対応したサービスの提供により、既存ベンダーに対抗する構えだ。
3. 加盟店網とファーストパーティデータを活用し、加盟店向け広告を強化
ショッピファイはこれまでも加盟店にパーソナライゼーションと顧客獲得ツールを提供してきた。だが最近の製品アップグレードと技術提携からは、膨大な加盟店網と豊富なファーストパーティデータを武器に本格的な広告ビジネスに発展させようとするさらに大きな野心がうかがえる。
同社の活動は独自のリテールメディア・ネットワークの構築を進めていることを示唆している。これにより同社は加盟店や外部ブランドに広告スペースを販売できるようになり、米アマゾン・ドット・コムや米グーグル、米ウォルマートなどの広告大手と競合する。
ショッピファイはまず、2つの広告関連製品のアクセスを拡大した。
・24年6月に提供開始した顧客獲得ツール「ショッピファイ・オーディエンス」最新版(バージョン2.4)では、加盟店がさらに的を絞った顧客グループを対象にし、ネットワークやプラットフォームを横断して広告の成果を最大化できるよう支援している。顧客獲得コスト(CAC)が最大50%減った加盟店もある。
・24年12月には、米国とカナダの全ての加盟店が広告ツール「ショップ・キャンペーン」を使えるようにした。これまでは上位サービス「ショッピファイ・プラス」の加盟店に限られていた。
もっとも、ショッピファイの経営陣は自社製品以外にも広告の可能性を見いだしている。
ショッピファイは顧客データを集約して有効化するため、行動や取引に関する知見を集める外部プラットフォームと提携している。
・24年10月には、ショッピファイのアプリストアで米ブルーシートのツールが使えるようになった。このツールには顧客データプラットフォーム、お薦めの自動判断、クロスチャネルの販促プラットフォームなどが含まれている。
・同じ24年10月には、カナダのトレリスがショッピファイと連携すると発表した。これにより、買い物客データをアマゾン・マーケティング・クラウドに連携し、様々なプラットフォームの買い物客の知見に基づいてさらに効果的に的を絞ったメッセージを送れるようになった。
ショッピファイは今後、CDPやデータクリーンルームを独自に提供し、データオーケストレーション(収集・整理・調整)機能を強化する可能性がある。そこで、買収確率とモザイクスコア(600点以上)に基づき、CDP市場でショッピファイが買収しそうな企業を予測した。
・オプティムーブ(Optimove、イスラエル):AIを活用し、BtoC(消費者向け)企業を対象にパーソナライズされたマルチチャネルキャンペーンを調整
・米サイモン(Simon):小売り、旅行、サブスクリプション(定額課金)企業向けのパーソナライゼーションとカスタマージャーニーの調整
・米ハイタッチ(Hightouch):データのアクティベーション(有効化)とリバースETL(抽出・変換・ロード)サービスに特化した必要なツールを自由に組み合わせられる顧客データプラットフォーム
ショッピファイは加盟店向けに新たな需要チャネルも築こうとしている。24年には、ECサイト構築支援の仏ミラクル(Mirakl)と提携して外部マーケットプレイスを構築可能にしたほか、米小売り大手ターゲットと組んで加盟店の商品をターゲットのオンラインショップで取り扱えるようにした。
こうした動きはショッピファイが加盟店ツールの構築にとどまらず、既存の広告プラットフォームの牙城に挑み、ブランドが買い物客とつながる手段を再定義する可能性がある垂直統合型のコマースとメディアのスタックを築こうとしていることを示している。
「50代からの資産運用法」 東京・大手町で無料セミナー(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 夕刊 3ページ 237文字 PDF有 書誌情報]
リスクを抑えた資産運用法を解説。資産活用、資産の取り崩し、相続など、退職世代の方に知っていただきたい内容をお伝えします。
◇日時 2025年5月10日(土)午前10時~11時50時頃
◇会場 スペースニオ(日本経済新聞社東京本社ビル2階)
◇定員 50名※参加無料。応募多数の場合は抽選
◇講師 佐藤駿介さん(株式会社Fan)
◇申込締切 4月30日(水)午前9時半
◇申込 QRコードより
主催 日本経済新聞社エリアセールスユニット/日経ピーアール
協力 株式会社Fan
会場活況、事前予約14万人 「並ばない万博」早くも行列 不具合・混雑解消に課題[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。(1面参照)
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフらがずらりと並び、手を振りながら歓迎した。
米国やスペインなど各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を訴え、来場コントロールに力をそそいできた。背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけにアクセスは1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオンだけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。
準備遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期開業も来場者の満足度向上に不可欠。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。
うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
アフリカと向き合う――日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
【図・写真】いまい・としみつ 1988年早稲田大商卒、豊田通商入社。2018年にトヨタ自動車常務役員などを歴任し、25年4月から現職
「ウィーン国立歌劇場」一般販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 341文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の一般販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S7万9000円~E2万6000円、土・日S8万2000円~E2万9000円ほか
◇チケット販売 4月18日よりNBSほかにて発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
特集――NIKKEIAsia China eyes mature tech for chips[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1968文字 PDF有 書誌情報]
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EDITOR’S PICKS
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と協力関係にある中国の半導体製造装置メーカーの深市新凱来技術が、粛々と技術開発を進めているようです。半導体製造装置は日本や欧米の企業の独壇場でしたが、米国が対中輸出規制を強めるなかで中国勢が技術水準を高めています。日本経済新聞の英字媒体「Nikkei Asia」では中国内外の取材網を活用し、同国企業の技術動向を追っています。
中国半導体「成熟技術」フル活用
驚くべきは新凱来技術の技術範囲の幅広さ。2021年8月設立の新興企業でありながら、露光装置から蒸着、測定、エッチング、ALD(原子層堆積)に及んでいます。深市政府系の投資会社が出資し、ファーウェイとも緊密に連携しているといいます。他社の経験豊富なエンジニアを積極採用し、力をつけているようです。
同社の露光装置が描く回路線幅は28ナノ(ナノは10億分の1)メートル。数ナノ単位の線幅を競う最先端品に比べれば「枯れた」技術ですが、自動車やロボット用半導体の製造に応用できます。
毎週水曜日に掲載する特集「Tech Asia」でも、中国が「枯れた技術」を急速に蓄積し、炭化ケイ素(SiC)ウエハーなどの価格破壊を引き起こしていると指摘しています。最先端ではなくても、すでに広く使われて信頼性が高い点で優位性があります。最先端技術で半導体立国の再興を目指す日本とは対極的ともいえます。
国・地域別トップアクセス
@シンガポール 富裕層向け運用で横領
シンガポールにある中国人富裕層向け資産運用会社(ファミリーオフィス)で7400万シンガポールドル(81億円)規模の横領が起きたとして、同社のトップが元従業員4人を告発しました。同国警察がこの件の捜査を始めています。シンガポールはこれまでファミリーオフィスの誘致に積極的でしたが、2023年8月には大規模な資金洗浄事件も発生しました。相次ぐ問題にアジアの金融センターがどう対処していくのか注目が集まっています。
@フィリピン 日本発新興企業に注目
フィリピンでは日本発のフィンテック企業、グローバル・モビリティ・サービスの記事が読まれました。貧困から脱却しづらい三輪タクシーの運転手が経済的に自立できるよう支援しています。借り手となる運転手が同社独自のIoT機器を車体に装着することを条件に、金融機関が車両を購入するためのローンを提供します。働きぶりを数値化でき、支払いが滞ればエンジンを停止できることが返済を保証する「担保」になります。家を購入したり子供を大学に通わせたりできるようになる成功例も出始めています。
@台湾 第2野党「防衛予算、メリハリを」
台湾の第2野党の台湾民衆党党首で、与党・民主進歩党との対決を唱える黄国昌氏がインタビューに応じました。中国が軍事的威嚇を強めるなか、台湾は軍事支出を増やす方針ですが、黄党首は「税金を見境なく防衛費に使うべきではない」と述べました。台湾の防衛予算は域内総生産(GDP)の3%未満ですが、米国は10%程度にまで増やすよう要請しています。必要なところにメリハリをつけて予算を割くよう求めています。
QRコードから英文をお読みいただけます。
LIFE&ARTS
国外で花開くミャンマー料理
ミャンマー料理が世界各国に広がっています。ミャンマーの食文化は近隣のタイ、中国、インドの影響を受け発展してきました。2021年の国軍によるクーデター以降、ミャンマー人シェフたちが活躍の場をミャンマー国外に求め始めたのが、足元の急速な国際化の大きな要因です。
記事では、タイやマレーシア、韓国、日本、欧州などで活躍する多くの料理人らによる伝統的な豚肉料理やサラダ、西洋風の趣向を凝らしたカワエビと焼きナスの一品など約20点の写真とともに紹介しています。東京都内の店も紹介しており、お店選びのガイドとしても活用できます。
OPINION
「中国プラス2」の時代に?
専門家が寄稿するオピニオン欄では、保護主義の台頭やコストの増加を回避するために中国以外にサプライチェーン(供給網)を多様化する「チャイナプラス1」戦略について論じた記事が読まれました。
米トランプ政権の誕生で世界の不透明さが増すなか、同戦略を進めているのは欧米企業だけではありません。中国比亜迪(BYD)やファーウェイのような中国企業も東南アジアや欧州に拠点を広げています。米国の関税を回避する必要性が高まってきているためです。先の読めない状況に対応するため、生産拠点のさらなる多様化を迫られています。
【図・写真】中国は急速に半導体の生産能力を拡大している=ロイター
【図・写真】料理を盛り付けるミャンマー人シェフ
【図・写真】コンテナが並ぶ上海の洋山港=ロイター
デジタルガレージ オンライン完結型火災保険[2025/04/14 日経MJ(流通新聞) 4ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。
同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
大阪万博、初日の来場予約14万人超 混雑解消など課題も[2025/04/13 19:30 日経速報ニュース 1235文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。
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午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、厳しい入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフら数十人がずらりと並び、来場者に手を振りながら歓迎した。会場の熱気に協会の十倉雅和会長は「この日を無事に迎えられて感無量だ」と話した。
米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を強く訴え、来場コントロールに力をそそいできた。その背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけに、アクセスは2025年1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば、不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオン、商業施設だけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。
大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、主要乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。協会も今後、ゲート前の混雑が見込まれる場合、午前9時の開場時間の前倒しを視野に入れる。
準備の遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期オープンも来場者の満足度向上には不可欠となる。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
「一部の国で内装が開幕に間に合わないのは過去の万博でもあった」(大阪府の吉村洋文知事)との指摘もあるが、来場者からは残念がる声が漏れる。
滋賀県から訪れた小森美香さん(58)は「ネパール館も行ってみたいパビリオンの一つだった。あまりにも工事途中でびっくりした」と指摘。兵庫県伊丹市に住む安福健也さん(62)は「完成していないパビリオンがあるのは残念。会期中にもう一度見に来たい」と話した。
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ドル信認問題、開いたパンドラの箱-客員編集委員 滝田洋一[2025/04/13 11:00 日経速報ニュース 2371文字 画像有 ]
米国株だけでなく米国債まで売られ、ドル相場の足元さえ揺らいでいる。トランプ関税を機に、ドルの信認問題という古くて新しいパンドラの箱が開けられた。
「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」。1997年6月23日、米コロンビア大学の講演で橋本龍太郎首相はそう述べた。
通商交渉での米国側の理不尽な要求を振り返っての発言だが、クリントン米政権の逆鱗(げきりん)に触れた。「もし売れば宣戦布告とみなす」とルービン財務長官周辺は受け止めた。
97年11月の日本の連鎖金融破綻に、米国は冷淡そのもの。98年6月の訪中で中国トップの江沢民氏と会談したクリントン大統領は、金融危機の渦中にあった日本を「アジアの不安定役」と突き放した。
それから幾星霜、今度は中国が外貨準備として保有する米国債を着実に売っている。2025年1月末の米国債保有額は7608億ドル。前年同月比で369億ドル減らしている。
トランプ大統領による2日の相互関税の発表以来、米中の関税をめぐる応酬はエスカレートの一途。そのさなかに中国による米国債売却の観測が市場を駆け巡っている。
中国はピーク時に1兆3000億ドルを超えた米国債保有を圧縮し続ける。背景は米中貿易摩擦だけだろうか。台湾統一を目指す習近平(シー・ジンピン)国家主席が、武力行使の選択肢を排除しないことも見逃せまい。有事の差し押さえに備えた動きとの見方は根強い。
米国にとって米国債市場の安定はドル基軸通貨体制の要である。2月7日のワシントン。トランプ氏との会談を終えた石破茂首相はベッセント財務長官と意気投合した。
石破首相が示した米国債保有額のグラフ
石破氏が指し示したのは日本と中国の米国債保有額のグラフ。中国の折れ線がつるべ落としなのに対し、日本の折れ線は1兆ドル台で安定している。1月末で1兆793億ドル。ベッセント長官は安定勢力である日本に破顔一笑した。
先例がある。1995年4月、円が初めて1ドル=80円を突破したころ、ワシントンにサマーズ財務次官(後に長官)を訪ねた加藤紘一自民党政調会長(当時)は日本やアジア諸国の外貨準備を示した表を見せ、ドルの信認を守るよう訴えた。
基軸通貨国であるドルは「途方もない特権」を持っている。仏大統領だったジスカールデスタン氏は財務相時代にそう述べた。
米国は外国から輸入しても、相手国にその代金としてドルを受け取ってもらえる。なので外貨を調達する必要がなく、ドル札を刷りさえすればよい。これが特権の中身だ。
貿易赤字国である米国の対外純債務は2023年末時点で2805兆円。フランスは129兆円、英国も149兆円の対外純債務国だが、文字通り桁が違う。
多くの国々はドル建てで貿易取引し、ドルで決済し、外貨準備で米国債を保有する。その結果、米国の対外赤字は米国債投資の形をとって米国に還流する。
1971年8月のニクソン・ショックでドルは金との交換可能性を失った。ドルは「不換紙幣」となったのに、米国の信用を担保に依然として基軸通貨として君臨している。うらやましい限りなのに、そう考えない向きがある。
「ドルは外貨準備の需要から割高に」
トランプ政権のミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長だ。「ドルは外貨準備の需要から割高になり、米国の製造業や貿易可能財の生産者がそのコストを負っている」
ヘッジファンドのストラテジスト時代の昨年11月に発表した論文「世界貿易システム再構築のためのユーザーガイド」。そのなかで、ミラン氏は喝破する。
強すぎるドルの負担を軽減するための通貨調整。1985年9月にドル高是正のためにG5(日米独英仏の主要5カ国)が一致したプラザ合意の現代版、フロリダのトランプ氏の邸宅になぞらえたマール・ア・ラーゴ合意が取り沙汰される。
だが一連のトランプ砲を、基本的には為替調整であるプラザ合意の現代版というのは妥当だろうか。
「トランプ政権の一連の施策は1971年のニクソン・ショックの再来だ」。相互関税をめぐる騒動にてんてこ舞いの内閣府幹部はそう漏らす。
71年のニクソン・ショックはドルの切り下げとして記憶に刻まれるが10%の輸入課徴金を同時に打ち出した。輸入課徴金とはトランプ関税よりストレートな表現である。
45年に第2次世界大戦が終わって四半世紀あまり。米国は経済と軍事の両面で西側世界を支えてきた。そのパクス・アメリカーナ(米国の平和)の重荷を日欧に分担させようとしたちゃぶ台返しが、71年のニクソン・ショックである。
同様に90年前後にソ連との冷戦に勝利した後のパクス・アメリカーナ第2幕にも、金属疲労が強まっている。そこに登場したトランプ政権が、打ち出したのが関税の連射。それに続くのはドル高是正だろう。
ニクソン氏を尊敬するトランプ氏が、71年のニクソン・ショックと同様な策をしつらえたのは偶然ではない。問題は時間軸。金との交換可能性を絶ったドルが、安定した強みを確立するには冷戦の終わりと米経済の復活を待つ必要があった。
ルービン財務長官が「強いドルは米国の国益」と宣言するのは実に95年1月。71年からそれまでの四半世紀近く、歴代の米政権は「ドル安容認→副作用の表面化→ドル防衛」のサイクルを繰り返し、何度も基軸通貨ドルに信認の危機が訪れた。
そして今、トランプ氏は71年と同じパンドラの箱を開けた。政権が目指す製造業の復権とテクノ覇権の融合。それがいつ、そして本当に実現するか分からない。しかも71年当時の日欧とは異なり、覇権を争う中国は経済でも軍事でも米国とガチンコ勝負である。
いきおいトランプ氏はかんしゃくを起こす。ドルは信認問題の歴史を繰り返しつつある。米国の単独行動が際立つ分、事態は厳しさを増している。
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アフリカとどう向き合う 国連機関高官ら3氏に聞く-アフナ・エザコンワ氏/今井斗志光氏/堀内俊彦氏[2025/04/13 05:00 日経速報ニュース 4275文字 画像有 ]
3年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)が8月に横浜市で開催される。世界の分断が進む中、潜在的な成長力やビジネスチャンスから「最後のフロンティア」といわれるアフリカと日本はどう向き合えばいいのか。日本企業による投資の出遅れも気がかりだ。関係者に聞いた。
◇ ◇ ◇
「自国第一」に対抗を UNDP総裁補兼アフリカ地域局長 アフナ・エザコンワ氏
米欧が途上国向け援助の削減に動いている。自国が利益を得られるプロジェクトだけに投資すべきだとの思考に陥っているようだが、あまりに近視眼的な判断だ。国際社会のあり方は長期的な視野に立って考えなければならない。繁栄する社会の一員であり続けるには、平和で繁栄を共有する世界が必要なのだから。
日本は高度に工業化された国だ。その経済は輸出などを通じて他の国々の消費が支えている。人口減少に直面する日本が長期的に成長を持続するには、ますます海外の市場に頼らざるを得ないだろう。
アフリカは人口の中央年齢が19歳と世界で最も若い大陸だ。15億人の巨大なマーケットもある。消費意欲が旺盛な中流階級が増加すれば、日本企業にとって大きなチャンスが生まれる。教育や医療といった「人への投資」の拡大は将来の中流階級を育成することにつながる。
日本はグローバルノース(先進国)とサウスの架け橋になる役割を果たせる国と考えている。米欧は遅れた途上国を援助するという発想が強すぎる。一種の依存関係になっており、必ずしも健全とはいえない。TICADをプラットフォームとして活用し、日本の持ち味である途上国とのより対等なパートナーシップを新たな南北関係として広げられるのではないか。
TICADはもっと日本の若者に焦点を当てるべきだろう。アフリカは若者の大陸であり、デジタルテクノロジーで大きな変革が起こりつつある。日本の若者がアフリカを訪れる機会を増やしてもらいたい。若者なら現地のニーズやアフリカの潜在力、チャンスをより深く感じ取れるはずだ。文化的な障壁なども打ち破れるだろう。
アフリカが地理的に日本から遠いのは確かだ。しかし、感覚的な距離感はそれよりも遠い。日本の若者がTICADに参加すれば、人と人との交流の拡大や新たな共創のアイデアにも期待できる。
TICADにおいて民間の役割は極めて重要だ。日本の経済界では、社会課題の解決を目指す現地のスタートアップへの投資拡大の取り組みが進んでいる。日本政府が民間企業としっかり連携し、大学やシンクタンクとも協力してくれることを望んでいる。
米欧や中国が開催するアフリカとの首脳会議はバイラテラル(2国間)だが、TICADは違う。国連開発計画(UNDP)や世界銀行を巻き込みながら日本が議論をリードする枠組みだ。単なる国家間の政治的協議ではない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)とも連動しやすい。
資金援助が開発協力のすべてではない。政府開発援助(ODA)はむしろ民間の投資や貿易促進のためのカタリスト(触媒)として使うべきだ。システムを改革することで多くの民間資金が開発分野に流入する可能性は大いにある。実態を反映しない不公正な格付けの是正や公的資金によるリスク軽減が有効だろう。
求められるのは国際協調と連携だ。グローバルな連帯は必要ないという主張に対抗する必要がある。日本のリーダーシップに期待したい。
(聞き手は下田敏)
◇ ◇ ◇
日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
◇ ◇ ◇
「25億人市場」が力 外務省アフリカ部長 堀内俊彦氏
TICADの1回目は、冷戦が終わり世界がアフリカに関心を失った1993年に開いた。当時アフリカ全体との枠組みを設けたのは日本がほぼ唯一で、その後欧米や中国などが追随した。
日本政府はTICADの枠組みを生かし、アフリカとのビジネスをつなぐ人材を育ててきた。アフリカの若者が日本の大学院で学んだり、企業でインターン生として経験を積んだりするプログラムも実施してきた。各国首脳が日本に集まることに伴い、日本企業とアフリカ各国との多様な合意も生んでいる。
日本が各国に供与する政府開発援助(ODA)の額は減ってきたものの、アフリカのためにこつこつと努力してきた日本はアフリカで仲間を増やしている。TICADは信頼されるブランドになっていると思う。
アフリカ諸国のほとんどは小麦や肥料の価格が上昇すれば大きな打撃を受けるし、気候変動による影響も大きく、まだまだ脆弱だ。世界の経済・社会的な変化を最も受ける地域であり、先進国や国際機関による開発援助のニーズは依然として高い。しかしそれだけではない。
そもそもなぜ日本がアフリカに関与すべきなのか。鉱物など資源が豊富なことのほかに、人口が増えており、日本企業にとって市場としての魅力が高まるのは間違いない。
アフリカでは先進国に対して開発よりもビジネス面での期待が強い。最近の世論は若者の高い失業率という雇用問題により関心を抱くようになってきた。労働力不足に直面する日本と補完できるはずで、日本企業が現地に生産拠点を築く可能性が広がる。
それに加えて、日本企業にとっては技術革新のパートナーにもなり得る。アフリカは日本など先進国に比べて規制が緩い国が多く、最先端技術を実証実験できる「サンドボックス」としても期待できる。
とはいえ、アフリカ事業に対して日本企業の動きは鈍い。各社がまだリスクが高いと考えているのが理由だ。人口動態を見れば、いま関わらないことがかえって将来の利益を逃すコストになるとみるべきだ。
アフリカがグローバルガバナンスに関して不公平感を持っていることも見逃せない。気候変動対策では先進国に途上国支援の資金拠出を迫った。アフリカ各国は不当に低い格付けにされ、資金調達に高い金利を課せられてきたことにも不満を持っている。
最近注目されるのが、アフリカ諸国が加盟するアフリカ連合(AU)の枠組みで「域内標準」を構築する動きだ。貿易における原産地証明や紛争解決、医薬品に関する規制などで統一規格作りが始まっている。
欧州連合(EU)のルールが世界標準のようになって各国に影響を及ぼすことを「ブリュッセル効果」と呼ぶ。やがて人口が25億人の市場となり、世界の重心がアフリカに傾いていく。AU本部があるエチオピア首都の名前から「アディスアベバ効果」に世界が注目する日が来るかもしれず、目が離せない。
(聞き手は野沢康二)
◇ ◇ ◇
〈アンカー〉対等な関係こそが国益に
アフリカの人口が増え続けるのは間違いない。2050年には世界の4人に1人がこの大陸に住む。アフリカは海外から投資を呼び込み、雇用を生み出し、所得と消費の好循環を実現する戦略を描く。
トランプ米政権の援助停止や相互関税はその戦略をゆがめ、ただでさえ脆弱なアフリカ経済に打撃を与える。だが、経済的な自立への動きはかえって加速する可能性がある。欧州や中国の収奪にさらされてきたアフリカには大国への根強い不信感がある。
日本はTICADを通じて、対等なパートナーシップを訴え続けてきた。技術支援や人材育成でアジアを経済発展に導いた実績もある。今こそアフリカに「メード・ウィズ・ジャパン」を呼びかける必要があるのではないか。官民で独自の経済外交を展開することが日本の国益につながる。
(編集委員 下田敏)
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花見のAI幹事は2万円 余興も提案、任せっぱなしはNG?[2025/04/13 02:00 日経速報ニュース 1208文字 画像有 ]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員 中村奈都子)
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日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 361文字 PDF有 書誌情報]
(1)軽率なトランプ関税、責任は米共和党に(7日)
(2)グローバル化の巻き戻し狙うトランプ氏の関税攻勢(上)(8日)
(3)トランプ関税 アクセサリー、バッグ、ビールも餌食に(5日)
(4)氾濫する「ジブリ風」画像、AIの限界も浮き彫りに(4日)
(5)あなたの仕事がまだAIに奪われていない理由(7日)
(6)トランプ氏が壊した同盟関係、修復困難に(社説)(8日)
(7)米国版「文革」にほくそ笑む中国 マーティン・ウルフ(7日)
(8)トランプ氏まるでマフィアのボス ギデオン・ラックマン(9日)
(9)トランプ関税を裏付ける「地経学」 ジリアン・テット(8日)
(10)米電力相次ぎ値上げへ、トランプ氏の公約に打撃(7日)
スマートフォンでQRコードを読み込むと「NIKKEI FT the World」の申し込みサイトに移ります。
25年04月17日
電気の価格予測しやすく 先物取引が急増、透明性増す[2025/04/17 05:00 日経速報ニュース 1734文字 画像有 ]
日本の電力先物市場が急成長している。2024年度の年間取引高は前年比3倍超に膨らみ、他国の市場と比べて伸びが突出する。燃料高や電力の価格変動などを背景に、リスクをヘッジ(回避)する需要が膨らんだ。電力自由化で先行する欧米企業を中心に新規参入が増え、課題だった市場流動性が改善。電力価格の透明性が向上し、消費者や企業が電気代を予測しやすくなる可能性があるという。
電力先物は1年後など将来の電気を一定の価格で売買するデリバティブ(金融派生商品)取引。日本卸電力取引所(JEPX)などで取引する現物の電気との値差を決済する。
電力先物の取引所を手掛ける欧州エネルギー取引所(EEX)と、日本取引所グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)の合計取引高は24年度、約95テラワット時と、23年度の30テラワット時から3.1倍に急増した。日本卸電力取引所(JEPX)の現物取引量の37%に達する。
取引の中心はEEXだが、昨年後半以降はTOCOMの流動性も急速に高まっており、1~3月のTOCOMの取引量は24年の年間取引量を既に上回った。
ドイツなど成熟した市場との差は依然大きいものの、伸び率は世界で突出する。EEXがまとめた24年1~12月の各国取引量の比較では、日本はオランダに次ぐ8位。
EEXの日本電力を取引する参加者は3月末時点で国内外合計で98社。23年度末から26社(36%)増えた。24年6月にはヘッジファンドのシタデルが国内電力卸の買収を決めて参入したほか、石油メジャーの英シェルなど海外エネルギー大手も取引を増やす。
電力取引仲介大手ヴァニアのジェームズ・ウィスラー最高経営責任者(CEO)は「市場アクセスの改善や流動性の向上と相まって、日本は海外勢にとって魅力的な投資先となっている」と話す。
日本の電力先物は19年、TOCOMに試験上場された。20年にはEEXも日本の電力取引を手掛けるようになったことで、欧米の電力トレーディング会社も売買をしやすく、23年ごろから本格的に取引が広がった。市場での売買が活発になるにつれて参加者も増えて流動性が高まり、市場規模は膨らみ続けている。
日本の大手電力や総合商社も、海外企業の買収などを通じて得たノウハウを生かし、先物取引の拡大を目指す動きが目立つ。
三菱商事は16年に買収したアイルランドの電力トレーディング会社、エレクトロルートの日本法人を22年に立ち上げ、23年度から日本で本格的に取引している。酒井岳幸トレーディング統括は「欧州での取引ノウハウをもとに、電力先物取引を通じて再エネ事業者など発電側の需給調整や、小売りなど需要側の電力の調達をサポートするサービスを提供している」と話す。
国内発電最大手のJERAも3月27日、仏の大手電力グループEDFと、日本国内の電力トレーディング事業を統合し、先物取引などの事業に共同で取り組むと発表した。
大手電力がここにきて電力トレーディング部門を強化する背景には、電力市場の公正な競争環境が整備されてきたことも影響している。
かつて大手電力はグループ内へ優先して電力を売っていた。新電力など社外への卸取引よりも有利な条件でグループ内に相対の長期契約などで販売する「内外差別」の商慣行が広がっており、電力・ガス取引等監視委員会が20年に適正な競争をゆがめるとして是正を要請した。
これを受けて大手電力は、相対での電力販売の際、透明性が高く「内外無差別」を説明しやすい先物などの市場価格を参照した値決めに徐々に移行。併せて、価格変動のリスクヘッジのための先物取引の利用も強化している。
JERAは25年度までに東京電力グループなどと結ぶ長期契約が切れ、市場での電力販売が増える見通しだ。JERAの葛西和範常務執行役員は「先物を通じたリスクヘッジの必要性がさらに高まることで、市場は一段と活性化する」と話す。
昨年、TOCOMの電力先物市場に参入した三菱UFJ銀行の関浩之取締役副頭取執行役員は、電力先物取引の意義について「価格の透明性と予見性が高まること」だと指摘。「企業や消費者が将来の電力価格を予測しやすくなり、計画的な経済活動が可能になる」と話した。
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東海道新幹線ネット予約、中国など15言語 訪日客底上げ[2025/04/17 05:00 日経速報ニュース 1347文字 画像有 ]
JR東海が東海道新幹線を核にしたインバウンド(訪日外国人)の受け入れ体制を一段と強化している。海外の旅行サイト会社と提携し、座席のインターネット予約を中国語など15言語に対応させた。旅行セット商品や上級座席も取り入れ、リピーターを掘り起こす。新型コロナウイルス禍からの回復が踊り場を迎え、訪日客の底上げを図る。
コロナ禍からの回復一巡
「今年度が勝負だ」。JR東海で訪日誘客を担う本田啓之担当部長は気を引き締める。コロナ禍で落ち込んだ東海道新幹線の利用は24年度にかけて、旅行客が主導する形で急回復した。25年度はこの底上げ効果が一巡する。働き方の多様化でビジネス客も大きな伸びを見込みづらい。成長が続くインバウンドの獲得がカギとなる。
進めているのが新幹線ネット予約の使い勝手の向上だ。このほど香港の旅行予約サイト「Klook(クルック)」と提携。アジアや米欧など15言語対応で予約を受け付け、約40通貨で代金を払えるようにした。
欧州の利用者が多いフランスの旅行サイト「ジャパン・エクスペリエンス」とも組んだ。いずれもスマートフォンに表示させたQRコードを乗車券として使い、円滑に乗車できる。
コロナ前は駅の券売機での乗車券販売が主流で、主要駅が混雑する一因だった。JR東海は独自のネット予約「EXサービス」で17年に外国人向けスマホアプリを開設。QRチケットなどの導入を進めているが、現状では対応言語が英語に限られるなど課題もある。認知度の高い海外の有力サイトを活用して訪日客の上積みを狙う。
JR東海の24年4~12月の訪日客収入は870億円と、運輸収入全体の約8%を占める。さらなる誘客のため、周遊レジャーなど移動先での楽しみ方も提案する。京都の寺院を巡るツアーと新幹線チケットのセット割引などを訪日客にも提供し始めた。本田氏は「会員企画を通じて大阪・関西万博などもアピールできれば」と話す。
個室席や高級ホテルも
新幹線の座席も訪日客の目線で磨き上げる。プライベートを重視した完全個室席を26年秋に設けるほか、27年度にはグリーン車の座席の一部を「半個室」に転換する。価格はいずれも現在のグリーン車より高くなる見通しだ。24年10~12月のグリーン車利用はコロナ前の18年の同時期から10%増えており、さらなる快適さを求める乗客の声に応える。
新幹線以外でも富裕なインバウンドの消費を取り込もうと、力を入れるのが高級ホテルの整備だ。25年夏には米ホテル大手のマリオット・インターナショナルと組み、京都市の四条烏丸エリアで新ホテル「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」を開く。
奈良市の近鉄奈良駅前では米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションと提携して高級ブランドの「ホテル 寧 奈良」を30年度に開業する。客室数も当初予定の70室から100室に増やすと4月に発表した。
JR東海グループは東海道新幹線が連結売上高の7割超を占める「一本足打法」と知られる。建設を進めるリニア中央新幹線に加え、既存の鉄道網の保守・拡大には継続的な投資が必要になる。将来にわたって安定収入を確保するため、リピーターや長期滞在の多い訪日客を収益の柱の一つに育てられるかが重要になる。
(石原誠樹)
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「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリ、経済圏の軸に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1211文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループは6月にもスマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で、保険の提供を始める。第1弾としてグループの保険会社が少額短期保険を販売する。同保険は価格が安く海外旅行の際の事故などを補償する。日常的に使える保険サービスの販売でスマホ決済の利用拡大につなげる。顧客データ収集の場を増やす狙いもある。
財務局の認可を前提に、楽天Gのグループ会社である楽天少額短期保険(東京・港)が保険の販売を始める。少額短期保険には短い期間の海外旅行中の事故などを補償するものやゴルフをしている際の事故、熱中症になったときの補償をするものなどがある。まず同保険から始めて、生命保険といった高価格帯商品にも広げる。さらに保険以外のサービスの予約なども決済アプリでできるようにするもようだ。
楽天ペイメント(東京・港)が運営する楽天ペイの決済データを使えば、だれがどこで何を購入したかがわかる。利用客の需要に応じた保険商品を提案できるようになるとみている。空港で買い物をすれば海外旅行保険を、ゴルフ場の近くであればゴルフの保険をアプリで提案する仕組みも整える。
生命保険文化センターの2024年調査によるとネット経由で生命保険に加入した人の割合は6%にとどまる。楽天ペイでの保険提供は、決済もクレジットカードなどを使う他のネット販売に比べてより簡単で、開拓の余地は大きいとみる。
楽天Gは共通ポイント「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」、楽天カードの機能を決済アプリである楽天ペイに集約する計画だ。同アプリを電子商取引(EC)や銀行、証券、楽天ポイントなどさまざまなサービスを展開する「楽天経済圏」の入り口にしていく。決済アプリの魅力向上策は欠かせず、保険販売はその一環だ。
スマホ決済アプリは急成長している。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会のデータによるとスマホ経由のQRコード決済回数は24年に115億回と、18年の約230倍に増えた。経済産業省によるとQRコードによる決済額は24年に13兆5000億円。23年比の伸び率は24%増とキャッシュレス決済の中で最も高かった。
この流れの中で楽天ペイの利用も増えている。楽天Gの中で最も決済回数の多いアプリの一つだ。少額の決済が中心のためコンビニエンスストアでの買い物など、1日に複数回使われることもありお金を払う日常的な手段として浸透しつつある。
スマホ決済ではソフトバンク系のPayPayが決済額と回数の両方でシェアが7割近くに達し先行している。保険販売もすでに始めており、決済アプリ上で自転車事故の保険やペット保険などを幅広く展開する。
楽天Gの強みは楽天経済圏から得られる顧客のデータだ。決済アプリを軸とし、膨大なデータを人工知能(AI)で分析してマーケティングの解像度を上げる。適切な販促を進めたり、決済アプリの機能や魅力も高めたりして追い上げを急ぐ。
しっかり学ぶ財務(2)貸借対照表(BS) おカネとモノの動き示す、財務の健全性チェック[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1300文字 PDF有 書誌情報]
企業の経営が健全か知る上で大切なのはおカネをいくら稼いだかだけではない。おカネがどこから来て、何に形を変えたのか――。ある時点での企業の持ち物とお金の出どころを対比させたのが貸借対照表(バランスシート、BS)だ。安定して事業を続けられるかといった評価に重要な役割を果たしている。
乳製品やチョコレートなどで知られる明治ホールディングス(HD)。24年4~12月期は牛乳やヨーグルトなどのデイリー事業が増益だったが、中国での乳製品の苦戦やワクチンの評価減により連結純利益は前年同期比3%減となった。今の資産状況はどうか。貸借対照表を見てみよう。
企業が保有する資産は貸借対照表の左側に記載する。流動資産は比較的短い期間で現金になる資産だ。仕入れや製造、販売など通常の営業活動で生じた資産や現預金、短期売買する株式などが該当する。固定資産は長期間保有する土地や建物、工場などが代表的だ。
明治HDの24年12月末時点の流動資産は5763億円で、内訳は現預金が931億円、顧客から今後回収する受取手形と売掛金は2319億円、商品と製品は1225億円ある。固定資産は6410億円で、大きなものは建物や土地、機械装置などの有形固定資産だ。
貸借対照表の右側にはお金の調達先が記される。銀行からの借入金や社債など返済義務のある負債は右上に、株主の払い込みや過去の利益の蓄積など返済義務のない純資産が右下に記載される。負債と純資産の合計額は資産と一致する。
明治HDの負債をみると、仕入れ先への買掛金など1年以内に支払いを要する流動負債が3386億円ある。社債や長期借入金など返済期限が1年を超える固定負債は922億円ある。
純資産はほぼ横ばいの7864億円だった。株主から集めた資本金や、過去の利益の積み上げである利益剰余金などで構成される。会社法では単独の利益剰余金などから配当可能額が決まるため、株主にとって重要だ。
「資産」「負債」「純資産」のバランスから財務状況の健全性を確認できる。赤字が続いて蓄えを食い潰すと純資産がマイナスになる。負債が資産を上回り、全ての資産を売却しても借金が返済できない債務超過に陥る。融資を受けにくくなるほか、原則、債務超過を1年以内に解消できないと東京証券取引所の上場維持基準に抵触する。
財務状態の健全性を測る指標の一つが「自己資本比率」だ。調達したお金のうち返済義務のないお金の割合を表す。明治HDの24年12月末の自己資本比率は61%と、東証プライム上場企業の平均(43%)より高い。
流動資産を流動負債で割った「流動比率」が100%未満だと短期的に資金の手当てが必要になる可能性が高くなる。明治HDの流動比率は170%で資金繰りは安定しているといえる。
ブランド力や、社員の知識や経験といった人的資本などは「無形資産」と呼ばれ、企業に価値をもたらすが貸借対照表には載らない。近年は無形資産に着目する投資家も増えており、非財務情報の重要性が増している。
(久世真由美)
日経電子版のコンテンツ「入社1年目で知っておきたかった会計の基礎知識」はこちらのQRコードから。
博覧会国際事務局長「万博は平和共有の場」 共同宣言採択に意欲(EXPO2025)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 883文字 PDF有 書誌情報]
万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)などは、大阪・関西万博で「いのち」をテーマとした共同宣言採択を目指す。ケルケンツェス事務局長が日本経済新聞のインタビューで実現へ意欲を示した。国際社会の分断が深まる中「世界に対して強力なメッセージになる。閉幕日までに公表しなければならない」と話した。
参加する158カ国・地域などが人類共通の課題である「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」といった8分野を議論するテーマウイークを通じて合意を形成する。
各地で続く紛争やトランプ関税など、世界が揺れる現状に対し「地政学的に極めて困難な状況にある。世界は対話の必要性を忘れつつある」と警鐘を鳴らした上で「万博はこうした外部の『雑音』を遮断する。かつてないほど重要性が増す中、平和と連帯を共有する場となる」と強調した。
2015年ミラノ万博では食料を得る権利を基本的人権と位置づけた「ミラノ憲章」を、「より良い都市、より良い生活」をテーマとした10年上海万博では、持続可能な都市開発を目指す「上海宣言」を採択した。ケルケンツェス氏は「万博が地球規模の課題解決に向かうための一助になれば」と話す。
来場者に向け「各国は展示で技術やアイデアを共有し、未来に向かってともに前進する道を模索する。どのような姿を提示しているか、自分の目で見て考えてほしい」とメッセージを送った。
大阪万博には開幕日の13日、約12万人が来場した。事前予約などで「並ばない万博」を目指したものの、入場ゲートやパビリオン、最寄りの地下鉄駅の前には行列ができた。通信上の問題で電子チケットのQRコードが表示できないトラブルがあった。
ケルケンツェス氏は「万博は入退場のロジスティクス(輸送)が最大の課題となる。開幕から数日間、問題点を観察して改善を図る必要がある」と指摘。日本国際博覧会協会に対し「より多くの来場者をシャトルバスに誘導したり、退場時間の分散を検討したりすべきだ」と注文した。
(大阪・関西万博取材班)
【図・写真】インタビューに応じるBIEのケルケンツェス事務局長(大阪市此花区)
土産小箱にQRコード、住所打ち込み 冷凍味噌かつ、家に直送 矢場とん、手軽さアピール[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1423文字 PDF有 書誌情報]
味噌かつ店を展開する矢場とん(名古屋市)は冷凍の串かつなどを指定先に直送する商品を2025年度中にも全店で展開する。QRコードを活用し、指定先の住所に冷凍食品を送る仕組みで、かさばらない土産物として売り出す。人工知能(AI)を活用した販促活動もおこなうなど、店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通して観光客の来客増を狙う。
矢場とん中部国際空港店(愛知県常滑市)の店頭に「荷物にならないお土産」というポップが掲げられている。販売されているのはイメージキャラクターの「ぶーちゃん」があしらわれた名刺大の箱。中から出てくるのは、味噌かつではなくQRコードだ。同商品は送料を含め3800円で、「みそ串かつセット(5本入り3パック)」などから好みのものを選べる。
矢場とんが販売を始めたのは、QRコードからアクセスできるサイトに住所を打ち込むと、串かつなどの冷凍食品が入力された住所に配達されるギフトだ。購入者は保冷剤や保冷バッグを用意する必要がない。受け取る相手も家など希望の場所で受け取れるため、すぐに冷凍保存しやすい。
名古屋名物の味噌かつは国内外の旅行客からの人気が高いが、土産物として持ち運びにくいという難点があった。旅行中に冷凍食品を持ち運ぶハードルを取り払い、名古屋土産としての需要を取り込む。
矢場とんの栗原耕二執行役員は「冷凍食品は名古屋に来たばかりの客は買わない。帰る時にもしかしたら買う人がいるというのが現状だ」と話す。矢場とんに食事に来た観光客などが、旅程やタイミングを問わず買い求めやすくなると期待する。
販売する店舗のメリットも大きい。冷凍食品の在庫を店に置かないため、賞味期限を加味した発注の手間が省けるほか、店舗に冷凍ケースなどの設備がなくても販売できる。
同社は25年度中に全店で荷物にならないお土産を展開する方針だ。将来的にはインバウンド(訪日外国人)をターゲットとした海外発送への対応や、ミニギフトの形や配送商品の多様化も検討する。
DXは土産物だけでなく販促活動でも進めている。同社の中部国際空港店ではAIを活用して客と会話できる「AIぶーちゃん」を試験的に導入した。
「おいらは『ぶーちゃん』なも!」。AIぶーちゃんは店の入り口に設置されており、ボタンを押して話しかけるとマイクやカメラで客を感知する。「おなかいっぱい食べたい」という客におすすめのメニューを質問されると「ボリューム満点で大満足間違いなしなも」(AIぶーちゃん)と強調し、看板メニューの「わらじとんかつ」や「極上リブ鉄板とんかつ」を薦めた。
おすすめのメニューのほか、ぶーちゃんの自己紹介や矢場とんの歴史などを尋ねることができるという。日本語以外に、英語や中国語にも対応している。QRコードを読み込むと、事前にメニューを注文できるシステムも盛り込んだ。
同社がAIぶーちゃんを設置したのは従業員の負担軽減や、待ち時間のエンタメ化のためだ。例えば中部国際空港店では数十人が行列を作ることもあり、従業員が手作業でメニューなどを案内する。待ち時間中に会話ができることで客を楽しませるほか、商品をおすすめすることで販売促進につなげたい考えだ。
今後はサービスの認知度やAIの精度の向上を検討するという。栗原執行役員は「矢場とんに合わせたDXを進めたい」と説明し、矢場とんらしいエンタメ性と従業員の負担軽減や効率化の両立を目指す。
(山名直花)
サンエーとミスターマックス 低価格PB、増益けん引 前期最終 イオン九州は14%減益[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 1300文字 PDF有 書誌情報]
九州・沖縄の主要小売企業5社の2025年2月期決算が出そろった。沖縄の大手のサンエーが4期連続の増益で過去最高益となったほか、ミスターマックス・ホールディングス(HD)が2期ぶりの増益となった。物価高が続くなか、低価格を打ち出したプライベートブランド(PB)商品を展開する企業が軒並み好調だった。
連結純利益が前の期比7%増の114億円と過去最高を記録したサンエー。売上高に当たる営業収益も4%増の2371億円で55期連続で過去最高を達成したほか、本業のもうけを示す営業利益も3%増の169億円と好調が続く。
要因は物価高が長引くなか、「お得感」をアピールして生鮮食品から日用品、ペット用品などにまで幅広く展開しているPB商品「くらしモア」の拡充だ。既存店の売り上げ増につながっており、収益認識基準の変更を考慮しない単純比較では4.9%増となった。
ミスターマックスHDも好調で、連結純利益が1%増の24億円と2期ぶりの増益となった。売上高に相当する営業収益は5%増の1365億円で3期連続で増加した。
特に自社PBの売り上げが14%増と伸び、家電メーカーの旧型商品をミスターマックス専売の機種として割安な価格で販売する「リバイバルモデル」が好調だった。粗利益も19%伸びるなど利益面の改善に寄与した。平野能章社長は「売上高の増加が粗利益の増加に直結するのがPBの良さだ」と指摘する。
同社は29年2月期を最終年度とする中期経営計画でPB比率を現状の約2割から3割に引き上げる目標を掲げている。
イオン九州は連結純利益が60億円となり、14%減だった。繰り延べ税金資産の見直しにより前の期に計上した法人税等調整額の戻し入れがなくなったためで、営業利益は1%増の105億円と過去最高を記録。キャッシュレス決済の拡充や店舗の省力化をはかる電子値札の導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)施策が奏功した。
営業収益も4%増の5316億円となり、過去最高に。総菜や冷凍食品の種類を拡充したことで、食品の売り上げも好調だった。マックスバリュなどの食品スーパーで日用品や化粧品の品ぞろえを強化したことも売り上げ増につながった。
5月期決算のコスモス薬品も好調だ。九州や関東地方などに約80店を新規出店し、24年6月~25年2月期の連結決算は純利益が前年同期比29%増の223億円、売上高は7522億円で5%増えた。今期の売上高は前期比7%増の1兆370億円、純利益は微増の245億円を見込む。
百貨店の25年2月期決算では、インバウンド(訪日外国人)需要をどれだけ取り込めたかで、博多大丸(福岡市)と北九州市に地盤を置く井筒屋の明暗が分かれた。
インバウンド需要が好調だった博多大丸は免税品の売り上げが想定以上に増加。売上高は9%増の170億円だった。
これに対し、井筒屋は顧客全体に占めるインバウンドの割合が「1%程度」(担当者)という。婦人向け衣料を中心に衣料品全体の売り上げが鈍化し、連結売上高は2%減の221億円に。会計基準を変更した23年2月期を含めて3期連続の減収となった。
(中島芙美佳)
長電バス、信濃町・妙高経由 関西―長野・湯田中・飯山線 5~11月に[2025/04/17 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 499文字 PDF有 書誌情報]
長電バス(長野市)は南海バス(堺市)と共同運行する高速バス「神戸・大阪・京都―長野・湯田中・飯山線」の路線を、5~11月は長野県信濃町や妙高高原駅(新潟県妙高市)も経由すると発表した。登山客が多い妙高山(妙高市)や高原リゾートとして人気が高まる野尻湖(信濃町)への旅行客の利用を狙う。
5月15日~11月30日の期間、毎日1往復する。関西発便は午後8時40分に「三宮バスターミナル」(神戸市)を出発して大阪駅前や京都駅を経由し、翌朝午前5時23分に長野駅前、「道の駅しなの」(信濃町)には午前7時25分、妙高高原駅は同7時39分にそれぞれ停車する。終点の飯山駅には同8時10分に到着する。長野発便は午後8時20分に飯山駅を出発し、翌朝関西に到着する。
運賃は三宮バスターミナルから道の駅しなのや妙高高原駅、終点の飯山駅まで乗った場合、ウェブ予約の事前決済で7000円からとしている。予約方法や乗車の曜日によって運賃は異なる。
同路線は従来、飯山駅の後に長野県野沢温泉村にも停車していたが、ほぼ満席のスキーシーズンに比べて夏は乗車率が7割程度になっていた。夏季の乗車率を高めるため、路線を変更する。
大分県信組、県の健康アプリダウンロードで金利0.45%[2025/04/16 18:00 日経速報ニュース 532文字 画像有 ]
大分県信用組合(大分市)は16日、大分県の公式健康アプリ「あるとっく」をダウンロードした県民を対象に優遇金利が受けられる「健康寿命日本一おうえん定期預金“あるとっく”」の取り扱いを始めた。
1口100万円以上で1000万円未満(1人1000万円以内)を1年間預けた場合、店頭表示金利に0.20%上乗せする。16日時点の金利は0.45%。募集は来年3月末まで。
大分県は「健康寿命日本一」を目標に掲げるが、2022年の調査では男性が全国25位(前回の19年は1位)、女性が全国10位(同4位)と大きく順位を落とした。大分県信組は県民の健康寿命延伸に向けて金融面から協力する。
歩くとポイントがたまる「あるとっく」は県が18年度から本格運用し、約10万人が登録。今年4月に内容を大幅にリニューアルし、県民に対して新たにダウンロードするよう呼びかけている。
これまではたまったポイントに応じて利用者のランクを決め、飲食店などで割引を受けられたが、リニューアルではランクに関係なくポイントを使ってサービスを受けられる方式に変更した。
県は6月末までにアプリをダウンロードした県内在住者を対象に抽選で2万人に電子マネー500円相当をプレゼントするキャンペーンも始めている。
楽天G、「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリを経済圏の軸に[2025/04/16 17:44 日経速報ニュース 1218文字 画像有 ]
楽天グループは6月にもスマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で、保険の提供を始める。第1弾としてグループの保険会社が少額短期保険を販売する。同保険は価格が安く海外旅行の際の事故などを補償する。日常的に使える保険サービスの販売でスマホ決済の利用拡大につなげる。顧客データ収集の場を増やす狙いもある。
財務局の認可を前提に、楽天Gのグループ会社である楽天少額短期保険(東京・港)が保険の販売を始める。少額短期保険には短い期間の海外旅行中の事故などを補償するものやゴルフをしている際の事故、熱中症になったときの補償をするものなどがある。まず同保険から始めて、生命保険といった高価格帯商品にも広げる。さらに保険以外のサービスの予約なども決済アプリでできるようにするもようだ。
楽天ペイメント(東京・港)が運営する楽天ペイの決済データを使えば、だれがどこで何を購入したかがわかる。利用客の需要に応じた保険商品を提案できるようになるとみている。空港で買い物をすれば海外旅行保険を、ゴルフ場の近くであればゴルフの保険をアプリで提案する仕組みも整える。
生命保険文化センターの2024年調査によるとネット経由で生命保険に加入した人の割合は6%にとどまる。楽天ペイでの保険提供は、決済もクレジットカードなどを使う他のネット販売に比べてより簡単で、開拓の余地は大きいとみる。
楽天Gは共通ポイント「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」、楽天カードの機能を決済アプリである楽天ペイに集約する計画だ。同アプリを電子商取引(EC)や銀行、証券、楽天ポイントなどさまざまなサービスを展開する「楽天経済圏」の入り口にしていく。決済アプリの魅力向上策は欠かせず、保険販売はその一環だ。
スマホ決済アプリは急成長している。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会のデータによるとスマホ経由のQRコード決済回数は24年に115億回と、18年の約230倍に増えた。経済産業省によるとQRコードによる決済額は24年に13兆5000億円。23年比の伸び率は24%増とキャッシュレス決済の中で最も高かった。
この流れの中で楽天ペイの利用も増えている。楽天Gの中で最も決済回数の多いアプリの一つだ。少額の決済が中心のためコンビニエンスストアでの買い物など、1日に複数回使われることもありお金を払う日常的な手段として浸透しつつある。
スマホ決済ではソフトバンク系のPayPayが決済額と回数の両方でシェアが7割近くに達し先行している。保険販売もすでに始めており、決済アプリ上で自転車事故の保険やペット保険などを幅広く展開する。
楽天Gの強みは楽天経済圏から得られる顧客のデータだ。決済アプリを軸とし、膨大なデータを人工知能(AI)で分析してマーケティングの解像度を上げる。適切な販促を進めたり、決済アプリの機能や魅力も高めたりして追い上げを急ぐ。
(桜木浩己)
大阪万博、「いのち」テーマに共同宣言へ BIE事務局長[2025/04/16 17:20 日経速報ニュース 847文字 画像有 ]
万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)などは、大阪・関西万博で「いのち」をテーマとした共同宣言採択を目指す。ケルケンツェス事務局長が日本経済新聞のインタビューで実現へ意欲を示した。国際社会の分断が深まる中「世界に対して強力なメッセージになる。閉幕日までに公表しなければならない」と話した。
参加する158カ国・地域などが人類共通の課題である「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」といった8分野を議論するテーマウイークを通じて合意を形成する。
各地で続く紛争やトランプ関税など、世界が揺れる現状に対し「地政学的に極めて困難な状況にある。世界は対話の必要性を忘れつつある」と警鐘を鳴らした上で「万博はこうした外部の『雑音』を遮断する。かつてないほど重要性が増す中、平和と連帯を共有する場となる」と強調した。
2015年ミラノ万博では食料を得る権利を基本的人権と位置づけた「ミラノ憲章」を、「より良い都市、より良い生活」をテーマとした10年上海万博では、持続可能な都市開発を目指す「上海宣言」を採択した。ケルケンツェス氏は「万博が地球規模の課題解決に向かうための一助になれば」と話す。
来場者に向けては「各国は展示で技術やアイデアを共有し、未来に向かってともに前進する道を模索する。どのような姿を提示しているか、自分の目で見て考えてほしい」とメッセージを送った。
大阪万博には開幕日の13日、約12万人が来場した。事前予約などで「並ばない万博」を目指したものの、入場ゲートやパビリオン、最寄りの地下鉄駅の前には行列ができた。通信上の問題で電子チケットのQRコードが表示できないトラブルがあった。
ケルケンツェス氏は「万博は入退場のロジスティクス(輸送)が最大の課題となる。開幕から数日間、問題点を観察して改善を図る必要がある」と指摘。日本国際博覧会協会に対し「より多くの来場者をシャトルバスに誘導したり、退場時間の分散を検討したりすべきだ」と注文した。
(大阪・関西万博取材班)
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JR東日本環境アクセス・三洋化成・長瀬産業、駅のトイレ清掃を効率化するため匂いセンサーを使用した実証実験を開始[2025/04/16 16:44 日経速報ニュース 1465文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月16日
匂いセンサーを活用したトイレ清掃の実証実験を開始
株式会社JR東日本環境アクセス(代表取締役社長 : 鈴木 均、以下「環境アクセス」)、三洋化成工業株式会社(本社 : 京都市東山区、代表取締役社長 : 樋口章憲、以下、三洋化成)と長瀬産業株式会社(本社 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 上島 宏之、以下「長瀬産業」)は、駅のトイレ清掃を効率化するため、匂いセンサー『FlavoTone(R)』を使用した実証実験を2025年4月から開始しました。このセンサーを用いることで、遠隔からトイレの衛生状態をリアルタイムで把握し、以下の2つの目的を達成することを目指します。
1.トイレ清掃の効率化 : トイレの汚れ具合をセンサーで把握し、清掃が必要なタイミング・箇所を最適化します。
2.トイレ利用者の安心感向上 : 常に清潔なトイレ環境を提供することで、利用者の満足度を高めます。
この取り組みにより、少ない労力での高品質な清掃サービスの実現に貢献いたします。
*参考画像(1)・(2)は添付の関連資料を参照
環境アクセスは、JR東日本の首都圏にある駅の清掃業務を担当しており、近年の清掃員の不足に対応するため、センサーなどのデジタル技術を活用した業務の省力化(Condition Based Maintenance : CBM化)を進めています。
機能化学品の製造販売を行う三洋化成は、化学の力を活用してさまざまな課題に対するソリューションを提供しており、2023年11月から匂いセンサー『FlavoTone』の販売を開始しました。
長瀬産業は、三洋化成と共同で『FlavoTone』の事業開発(※)に取り組んでおり、広範なネットワークを活かし、『FlavoTone』の販路拡大やマーケティング活動を支援しています。
三社は2024年3月に1か月間の短期実証試験を実施しており、今回の長期実証試験では、本格導入に向けた検証を行う予定です。
【『FlavoTone』について】
『FlavoTone』は、人間の鼻と同じように、複雑な匂いを識別できるセンサーです。品質管理、特性比較、モニタリングなど、幅広い用途にご使用いただけます。センサーの販売に加え、レンタルや受託分析も提供しています。
※匂いセンサーのサイトでは様々な事例を紹介しています。
・ https://kaori.sanyo-chemical.co.jp/
*QRコード・参考画像(3)は添付の関連資料を参照
※三洋化成と長瀬産業が共同で「匂いセンサー」事業化(2021年7月13日発表)
・ https://www.nagase.co.jp/assetfiles/news/20210713.pdf
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/01_202504161631.jpg
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/02_202504161631.jpg
QRコード
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/03_202504161631.jpg
参考画像(3)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689869/04_202504161631.jpg
旧メルコ牧社長の資産管理会社、ベースフードへのTOB成立[2025/04/16 16:23 日経速報ニュース 240文字 ]
バッファロー(証券略称:BUF、旧メルコホールディングス、6676)の牧寛之社長の資産管理会社であるMBFアクセラレーション(東京・千代田)は16日、健康食品のベースフード(2936)に対して15日まで実施したTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。牧氏らの保有比率は議決権ベースで約4割に高まる。
応募株数が574万857株だった。買い付け予定数の上限(369万株)を上回ったため、案分比例で買い付ける。決済は22日に始める。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
長電バス、関西―妙高高原を季節運行 夏の観光需要狙う[2025/04/16 14:00 日経速報ニュース 499文字 ]
長電バス(長野市)は南海バス(堺市)と共同運行する高速バス「神戸・大阪・京都―長野・湯田中・飯山線」の路線を、5~11月は長野県信濃町や妙高高原駅(新潟県妙高市)も経由すると発表した。登山客が多い妙高山(妙高市)や高原リゾートとして人気が高まる野尻湖(信濃町)への旅行客の利用を狙う。
5月15日~11月30日の期間、毎日1往復する。関西発便は午後8時40分に「三宮バスターミナル」(神戸市)を出発して大阪駅前や京都駅を経由し、翌朝午前5時23分に長野駅前、「道の駅しなの」(信濃町)には午前7時25分、妙高高原駅は同7時39分にそれぞれ停車する。終点の飯山駅には同8時10分に到着する。長野発便は午後8時20分に飯山駅を出発し、翌朝関西に到着する。
運賃は三宮バスターミナルから道の駅しなのや妙高高原駅、終点の飯山駅まで乗った場合、ウェブ予約の事前決済で7000円からとしている。予約方法や乗車の曜日によって運賃は異なる。
同路線は従来、飯山駅の後に長野県野沢温泉村にも停車していたが、ほぼ満席のスキーシーズンに比べて夏は乗車率が7割程度になっていた。夏季の乗車率を高めるため、路線を変更する。
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外為10時 円相場、142円台後半に上げ拡大[2025/04/16 10:34 日経速報ニュース 509文字 ]
16日午前の東京外国為替市場で、円相場が上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=142円90~92銭と前日17時時点と比べて40銭の円高・ドル安だった。米中の貿易摩擦や世界景気の先行きに対する警戒感が根強く、「低リスク通貨」とされる円には買いが続いている。17日の日米協議で日本側が円安是正を求められるとの思惑も買いを後押し、9時半すぎに円相場は一時142円78銭近辺まで上昇した。
10時前の中値決済に向けて「ややドル需要はあったが、円相場を大きく動かすほどのボリュームはなかった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。輸入企業など国内実需筋による円売り・ドル買いが意識されたものの、円相場を方向付ける材料とはなっていないもようだ。
円は対ユーロでは上げ幅をやや縮めている。10時時点では1ユーロ=161円65~69銭と、同1円10銭の円高・ユーロ安だった。ユーロ安・ドル高の勢いが一服したことで、対円でもユーロを買い戻す動きが広がった。
ユーロは対ドルで下げ幅を縮小し、10時時点では1ユーロ=1.1317~19ドルと同0.0040ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
サンエーやミスターマックス、低価格PB伸びる 増益確保[2025/04/16 05:01 日経速報ニュース 1307文字 画像有 ]
九州・沖縄の主要小売企業5社の2025年2月期決算が出そろった。沖縄の大手のサンエーが4期連続の増益で過去最高益となったほか、ミスターマックス・ホールディングス(HD)が2期ぶりの増益となった。物価高が続くなか、低価格を打ち出したプライベートブランド(PB)商品を展開する企業が軒並み好調だった。
連結純利益が前の期比7%増の114億円と過去最高を記録したサンエー。売上高に当たる営業収益も4%増の2371億円で55期連続で過去最高を達成したほか、本業のもうけを示す営業利益も3%増の169億円と好調が続く。
要因は物価高が長引くなか、「お得感」をアピールして生鮮食品から日用品、ペット用品などにまで幅広く展開しているPB商品「くらしモア」の拡充だ。既存店の売り上げ増につながっており、収益認識基準の変更を考慮しない単純比較では4.9%増となった。
ミスターマックスHDも好調で、連結純利益が1%増の24億円と2期ぶりの増益となった。売上高に相当する営業収益は5%増の1365億円で3期連続で増加した。
特に自社PBの売り上げが14%増と伸び、家電メーカーの旧型商品をミスターマックス専売の機種として割安な価格で販売する「リバイバルモデル」が好調だった。粗利益も19%伸びるなど利益面の改善に寄与した。平野能章社長は「売上高の増加が粗利益の増加に直結するのがPBの良さだ」と指摘する。
同社は29年2月期を最終年度とする中期経営計画でPB比率を現状の約2割から3割に引き上げる目標を掲げている。
イオン九州は連結純利益が60億円となり、14%減だった。繰り延べ税金資産の見直しにより前の期に計上した法人税等調整額の戻し入れがなくなったためで、営業利益は1%増の105億円と過去最高を記録。キャッシュレス決済の拡充や店舗の省力化をはかる電子値札の導入などデジタルトランスフォーメーション(DX)施策が奏功した。
営業収益も4%増の5316億円となり、過去最高に。総菜や冷凍食品の種類を拡充したことで、食品の売り上げも好調だった。マックスバリュなどの食品スーパーで日用品や化粧品の品ぞろえを強化したことも売り上げ増につながった。
5月期決算のコスモス薬品も好調だ。九州や関東地方などに約80店を新規出店した効果で、24年6月~25年2月期の連結決算は純利益が前年同期比29%増の223億円、売上高は5%増の7522億円だった。今期の売上高は前期比7%増の1兆370億円、純利益は微増の245億円を見込む。
百貨店の25年2月期決算では、インバウンド(訪日外国人)需要をどれだけ取り込めたかで、博多大丸(福岡市)と北九州市に地盤を置く井筒屋の明暗が分かれた。
インバウンド需要が好調だった博多大丸は免税品の売り上げが想定以上に増加。売上高は9%増の170億円だった。
これに対し、井筒屋は顧客全体に占めるインバウンドの割合が「1%程度」(担当者)という。婦人向け衣料を中心に衣料品全体の売り上げが鈍化し、連結売上高は2%減の221億円に。会計基準を変更した23年2月期を含めて3期連続の減収となった。
(中島芙美佳)
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矢場とん、DXで身軽な名古屋土産 冷凍味噌かつを直送[2025/04/16 05:00 日経速報ニュース 1424文字 画像有 ]
味噌かつ店を展開する矢場とん(名古屋市)は冷凍の串かつなどを指定先に直送する商品を2025年度中にも全店で展開する。QRコードを活用し、指定先の住所に冷凍食品を送る仕組みで、かさばらない土産物として売り出す。人工知能(AI)を活用した販促活動もおこなうなど、店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通して観光客の来客増を狙う。
矢場とん中部国際空港店(愛知県常滑市)の店頭に「荷物にならないお土産」というポップが掲げられている。販売されているのはイメージキャラクターの「ぶーちゃん」があしらわれた名刺大の箱。中から出てくるのは、味噌かつではなくQRコードだ。同商品は送料を含め3800円で、「みそ串かつセット(5本入り3パック)」などから好みのものを選べる。
矢場とんが販売を始めたのは、QRコードからアクセスできるサイトに住所を打ち込むと、串かつなどの冷凍食品が入力された住所に配達されるギフトだ。購入者は保冷剤や保冷バッグを用意する必要がない。受け取る相手も家など希望の場所で受け取れるため、すぐに冷凍保存しやすい。
名古屋名物の味噌かつは国内外の旅行客からの人気が高いが、土産物として持ち運びにくいという難点があった。旅行中に冷凍食品を持ち運ぶハードルを取り払い、名古屋土産としての需要を取り込む。
矢場とんの栗原耕二執行役員は「冷凍食品は名古屋に来たばかりの客は買わない。帰る時にもしかしたら買う人がいるというのが現状だ」と話す。矢場とんに食事に来た観光客などが、旅程やタイミングを問わず買い求めやすくなると期待する。
販売する店舗のメリットも大きい。冷凍食品の在庫を店に置かないため、賞味期限を加味した発注の手間が省けるほか、店舗に冷凍ケースなどの設備がなくても販売できる。
同社は25年度中に全店で荷物にならないお土産を展開する方針だ。将来的にはインバウンド(訪日外国人)をターゲットとした海外発送への対応や、ミニギフトの形や配送商品の多様化も検討する。
DXは土産物だけでなく販促活動でも進めている。同社の中部国際空港店ではAIを活用して客と会話できる「AIぶーちゃん」を試験的に導入した。
「おいらは『ぶーちゃん』なも!」。AIぶーちゃんは店の入り口に設置されており、ボタンを押して話しかけるとマイクやカメラで客を感知する。「おなかいっぱい食べたい」という客におすすめのメニューを質問されると「ボリューム満点で大満足間違いなしなも」(AIぶーちゃん)と強調し、看板メニューの「わらじとんかつ」や「極上リブ鉄板とんかつ」を薦めた。
おすすめのメニューのほか、ぶーちゃんの自己紹介や矢場とんの歴史などを尋ねることができるという。日本語以外に、英語や中国語にも対応している。QRコードを読み込むと、事前にメニューを注文できるシステムも盛り込んだ。
同社がAIぶーちゃんを設置したのは従業員の負担軽減や、待ち時間のエンタメ化のためだ。例えば中部国際空港店では数十人が行列を作ることもあり、従業員が手作業でメニューなどを案内する。待ち時間中に会話ができることで客を楽しませるほか、商品をおすすめすることで販売促進につなげたい考えだ。
今後はサービスの認知度やAIの精度の向上を検討するという。栗原執行役員は「矢場とんに合わせたDXを進めたい」と説明し、矢場とんらしいエンタメ性と従業員の負担軽減や効率化の両立を目指す。
(山名直花)
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グーグルに3方向審査 検索・広告・アプリ内課金 監視の実効性問われる[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1940文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が15日、米グーグルに初めて排除措置命令を出し、同社への審査は区切りを迎えた。審査は3年以上前にアプリ内課金を対象に始まり、最終的に3分野に及んだ。先行する欧米では規制や処分の「抜け穴」も指摘され始めている。今後は2025年末までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)による監視の実効性が問われる。(1面参照)
「(命令は)生活必需品となっているスマートフォン分野における競争環境の整備に大きく寄与する」。公取委の大胡勝審査局長は15日、記者会見でグーグルへの命令の意義を強調した。
関係者によると、公取委は15日の「検索」と24年に行政処分を出した「広告」に先行し、水面下で「アプリ内課金」を審査していた。
公取委が「本丸」と位置づけていたのが祖業である検索分野の審査だ。23年10月に始まり、巨大IT(情報技術)企業を念頭に導入した「第三者からの意見募集」を初めて実施した。「審査テーマを明らかにしたことで利害関係者が協力しやすくなる利点があった」(公取委幹部)。消費者からも情報が得られたという。
グーグル側は審査終盤、自主的な改善計画を公取委が認める「確約手続き」の利用を模索したが、公取委は認めなかった。明確に違反を認定する排除措置命令に踏み切り、命令では初となる5年間の報告期間も義務付けた。
一方、広告分野では公取委が24年4月にグーグル側の改善計画を認定し、確約手続きで矛を収めた。対象となったのは、グーグルが検索技術などを提供していたLINEヤフーに対し、取引先のポータルサイト側への検索連動型広告の配信を一部制限していた行為。グーグルは改善計画の履行状況を3年間報告するとした。
公表されていた審査はこの2件だが、公取委は3年以上前には、他の決済事業者を排除している恐れがあるとして、スマホアプリでの決済手段を巡る取引の審査も着手していた。
ゲームで使うアイテムや、サブスクリプション契約をアプリ内で購入する決済手段は、アプリストアを持つグーグルと米アップルの寡占状態にある。グーグルは規約で物理的な商品などを除く課金は同社の決済手段を原則利用するよう求めている。
アプリ事業者は最大30%の手数料を支払う必要があり、外部決済の利用や手数料減額を望む声は大きかった。
だが、独占禁止法に基づく措置は見送るもようだ。25年内に施行するスマホ新法に同様の行為を禁じる規定が盛り込まれ、立証のハードルが高い独禁法の措置ではなく、新法下での監視に委ねることが妥当だと判断したとみられる。
スマホ新法は米側から「非関税障壁」に当たるとの見方もされたが、米通商代表部(USTR)が3月31日に公表した報告書には盛り込まれなかった。
新法の施行を前に、モバイルゲームの分野ではアプリの外で決済が出来る「ウェブ課金」の仕組みが一部で広がりつつある。
デジタルガレージやGMOグループ、ソニー系の決済事業者が参入に名乗りを上げている。
グーグルに対する一連の審査は節目を迎えたが、今後はスマホ新法の「事前規制」が巨大IT企業の監視において大きな役割を担う。
新法は巨大ITによる独占是正を目的とし、指定された事業者に一定の義務を課す。検索サービスの自社優遇や、アプリストア・決済サービスで他社の参入を妨げる行為を禁じるなど、審査してきた対象と重なる部分が多い。
違反行為は売上高の20%の課徴金納付が課され、抑止効果も期待できる。公取委は3月末に新法の対象企業をグーグルとアップル、同子会社のiTunesの3社にすると発表した。担当する新部署を4月に発足し、今後はデジタル分野に関わる人員を現状の3倍の50人規模に増やす。
公取委は巨大IT向けの対応を強化しているが、法的措置や法規制で先行する海外では規制や処分の「抜け穴」を突いて支配力を維持しようとする動きも出始めている。
24年3月にデジタル市場法(DMA)が全面施行された欧州では、米アップルが他業者のアプリストア参入を認める一方で、ストアを利用する場合に別の新たな手数料を導入した。欧州委員会は同年6月、追加手数料の徴収がDMA違反にあたる可能性があるとして調査を始めると発表した。
米国でも司法省が反トラスト法(独禁法)訴訟でグーグルのネット閲覧ソフトやスマホ向け基本ソフト(OS)事業などの売却を求める策を示し、分割を拒否するグーグル側と対立の構図が続く。
巨大ITが新法の施行を受けて国内市場でどのように対応するか、不透明な部分も多い。公取委は新法でカバーできない分野でも競争を阻害する行為は独禁法に基づく措置も辞さないとみられる。審査と規制の車の両輪による監視体制の強化を急ぐ。
3月後半の消費4.1%増 飲食、値上げ前に駆け込み(短信)[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 5ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは15日、クレジットカード決済額に基づく3月後半の消費データを発表した。名目で前年同期比4.1%増えた。コンビニや酒屋など飲食料品小売業の消費が好調だった。アルコール大手各社による4月からの値上げ前に駆け込み需要が起きたとみられる。
三井住友FG、法人金融ワンストップ 中小の業務効率化[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 8ページ 621文字 PDF有 書誌情報]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を5月に始めると発表した。個人向けの「Olive(オリーブ)」に続き、1つの銀行口座で振り込みやカード決済など幅広い金融サービスを使える。デジタル人材の確保が難しい中小企業の業務効率化につなげ、法人口座や預金獲得を狙う。
スマホによる20分程度の手続きで最短翌営業日の口座開設を可能にする。1つの口座でカード決済や経費精算、資金管理を一括でできる仕組みだ。法人カード決済の利用限度額は最大10億円とする。
請求書の写真をスマホのアプリで読み込むと、振り込み予約までスマホで完結できるようになる。課題を与えると人工知能(AI)が情報を収集して判断する「AIエージェント」が資金調達手段などを助言する機能もつける。
中島達社長は同日の記者会見で「会社経営に必要な金融決済サービスをデジタルで切れ目なく提供する」と語った。
三井住友カードの大西幸彦社長は「人手不足の深刻化で中小はデジタル化が大きな課題だ。社長が自ら財務経理をこなす負担を下げたい」と話した。
中小の利用を想定して金融サービスの料金も下げる。三井住友銀行間の振込手数料は無料にし、他行宛は一律で145円とする。通常は数百円がかかる。法人カードは24年に資本業務提携した企業向け決済サービスのインフキュリオン(東京・千代田)と開発し、AIによる与信で新設法人の発行のスピードを速める。
ロシア投資、制裁でも活発 ヘッジファンドなど通貨・債券物色 停戦トレードに思惑[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1692文字 PDF有 書誌情報]
ルーブル3割高
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では80ルーブル台前半と3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
AWS、日本で一時障害 スマホ決済などに支障[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 13ページ 497文字 PDF有 書誌情報]
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供しているクラウドサービスで15日、午後4時40分ごろから約1時間にわたり障害が発生した。東京近郊のデータセンターでクラウド運営に必要な仮想サーバー向けの電源が停止し、スマートフォン決済など幅広い利用企業のサービスが利用しづらい状況になった。
スマホ決済大手のPayPayは、午後4時40分ごろから25分程度、支払いやチャージ機能が利用しにくくなったと明らかにした。問題はすでに解消した。
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)が提供しているスマホ決済「au PAY」も午後4時43分ごろから一時的にQRコードが表示されにくくなった。午後5時ごろに復旧した。AWSの障害が原因とみられる。
日本航空(JAL)は午後5時ごろから社内システムに障害が発生したことを明らかにした。AWSの障害が原因とみられるとしている。障害は30分ほど続いたがすでに復旧している。航空機の運航に影響はないという。
AWSは米アマゾン・ドット・コム傘下で世界のクラウドコンピューティング市場で約3割のシェアを握る最大手だ。国内でも利用企業が多く、広範なサービスに影響した。
しっかり学ぶ財務(1)損益計算書(PL) もうけ示す企業の成績表、過去・他社との物差しに[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1252文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策が企業のもうけやお金の出入りにどんな影響を及ぼすかが注目されている。上場企業は業績や財務の最新状況を公表することが義務付けられており、私たちはそれを見て企業の「体調」や「体質」を把握することができる。自分の会社や取引先はどうなっているのか。新社会人を中心にビジネスパーソンが知っておきたい企業財務の基本を5回にわたって解説する。
初回は損益計算書(PL)を取り上げる。一定期間の様々な収入や支出が書かれた企業の成績表だ。PLでは収入や支出を上から下に加えたり引いたりして、最終的なもうけ(純利益)を導く。
今回はニトリホールディングスが2月中旬に発表した2024年4~12月期の損益計算書を例に見てみよう。損益計算書などの財務諸表をまとめた「決算短信」は各企業のホームページや東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で入手できる。
最初の項目が「売上高」だ。商品やサービスを売って稼いだお金の総額を指す。ニトリHDの24年4~12月期の売上高は7049億円と前年の同じ期間を6%上回った。主力の家具量販店「ニトリ」で実施した期間限定値下げの効果で客足が回復した。
その次は、本業のもうけを示す「営業利益」だ。売上高から、原材料費などの「売上原価」や、広告宣伝費など販売にかかる「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引いて算出する。
ニトリHDの4~12月期は売上原価や販管費が膨らんだ。賃上げや社員数の増加に加え、為替の円安もコスト増要因となった。商品の約9割を海外で生産しているためだ。こうした費用増を売上高の伸びでカバーし、営業利益は1%増の989億円となった。
企業活動では、配当金の受け取りや利息の支払いなど、本業以外でもお金の出入りが発生する。こうした損益を反映させた項目が「経常利益」だ。
ほかにも株式、債券など有価証券を売った利益や損失、災害による損失などが発生することがある。これらの一時的に発生した損益を反映した「税引き前利益」から、法人税などを引いたのが「純利益」だ。これが最終的な利益で、配当金など株主還元の原資となる。ニトリHDの純利益は2%増の700億円と、円安の逆風が吹く中でも増益を確保した。
純利益が増えていても、本業でうまく稼げていない場合があるため注意が必要だ。日本企業の間では政策保有株の売却が進んでおり、これが一時的に純利益を押し上げているケースがある。
PLを使って簡単に計算できる指標も役立つ。代表例は本業で稼いだ利益(営業利益)が売上高に占める割合を示す「売上高営業利益率」だ。ニトリHDの場合は14%(24年4~12月期)で、良品計画(24年9月~25年2月期に9%)などライバルより高く、効率よく稼いでいることがわかる。こういった指標も活用し、過去の実績や競合他社と比べると収益力の現在地が見えてくる。
(富川実優)
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公取委、巨大ITに監視強める 寡占状態に危機感[2025/04/16 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1776文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が巨大IT(情報技術)企業に初めて排除措置命令を出した。公取委は2010年代以降、米アップルやアマゾンジャパンも審査。早期の是正を優先し、これまでは違反行為を認定せずに改善策を提出させたり、規約を変更させたりして終わることが多かった。(1面参照)
米アップルは公取委審査を経て22年にアプリ決済手段の制限を改善。アマゾンジャパンは17~20年に電子商取引(EC)サイトの納入業者に最安値出品を保証させる条項を廃止し、納入元に値引き分を補填させる行為について約20億円を返金する改善計画を提出した。
デジタル市場は技術やサービスの変化が激しいため、自主的に必要な改善策を出させ、早期に是正する手法が有効とされてきた。グーグルが競合するLINEヤフーの広告配信を制限した問題でも、違反を認定せずに改善計画を認める「確約手続き」で審査を終えた。
公取委が命令に踏み切った背景に検索市場におけるグーグルの圧倒的な寡占状態への危機意識がある。利用データが集まるほど精度が上がり、広告収入も増える検索で、明確な違反認定が必要だと判断したとみられる。
公取委が巨大ITに対しても命令を出しうるとの認識が広がれば、事業者側が自ら改善策をとる動機が生まれやすい。公取委幹部は「競争確保のため、日本の競争当局の姿勢を示す必要があった」と意義を強調した。
(専門家の見方)
実態見抜く力を 違反認定に意義
ヴァンドゥワラ・サイモン東京大教授 欧州連合(EU)の欧州委員会も公取委と同様に、グーグルがスマホ端末メーカーと結んでいたアプリストアと検索サービスに関する契約を調査した。
18年に欧州委が違反認定をした後、グーグルは端末メーカーに対してアプリストアの搭載を有料化し、グーグル検索を初期搭載すれば割引する方針に変えた。事実上の「抱き合わせ」だった。
その後、検索エンジンの選択画面を導入したが、他の検索事業者が自社エンジンを表示するためにはグーグルのオークションに参加する必要があった。競合企業から公平性に欠けると批判を浴びた。
一連の出来事は巨大ITに効果的な措置を取らせることの難しさを示した。これらの経験は欧州委の教訓となり、デジタル市場法(DMA)制定につながった。
DMAは検索エンジンに加え、ブラウザーの選択画面の表示も義務付けた。グーグル、アップルの端末にブラウザーの選択画面が導入された。日本で施行を控えるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)にも検索の選択画面の導入が盛り込まれている。EUと似た流れといえる。
だが、複雑な取引を次々に展開する巨大ITと競争当局の間には「情報の非対称」の問題が常につきまとい、効果的な対策は簡単なことではない。巨大ITは規制の抜け穴をつく方法も編み出してくるだろう。新法導入以降も実態を見抜く力が求められる。
中島美香・中央大教授 グーグルへの命令に踏み切った意義は大きい。巨大IT企業はグローバル規模で事業展開する一方、競争当局は主として自国の市場の公正を維持する役割を果たす。競争に悪影響を及ぼす行為を放置すれば、日本の消費者が不利益を被ることになる。
人工知能(AI)の台頭で、検索の概念自体も変わろうとしている。違法行為があれば認定して、競争環境を事前に整えておくことが必須だ。
グーグルはユーザーに検索などのサービスを無料で提供し、端末メーカーにも基本ソフト(OS)を開放する。一見すると無料だが、ユーザーは検索・閲覧履歴などのデータを見返りに提供している。データ収集は検索技術の向上に欠かせず、収益源である検索広告の精度にもつながる。
グーグルが端末メーカーに多額の収益を分配してでも、デフォルト設定を確保し、できるだけ多くの端末で検索サービスを使ってもらう動機はこの仕組みにある。
今回の公取委の調査はアンドロイド端末に限られたが、日本市場ではアップル製のiOSのモバイル端末のシェアが6割を超える。iOSでのデフォルト設定が検索市場に与える影響は日本でも大きいのではないか。
「トランプ関税」を巡る各国間の交渉で、デジタル分野の規制が非関税障壁として取り沙汰される可能性も否定できない。政策も不透明さを増しており、巨大ITの動向に加え、各国の競争当局間での共通認識の醸成も求められる。
痴漢防止、池袋で啓発 都がイベント SNSで発信も[2025/04/16 日本経済新聞 地方経済面 東京 5ページ 390文字 PDF有 書誌情報]
東京都は15日、東武東上線池袋駅の南改札前で痴漢防止を訴える啓発イベントを開いた。新生活が始まる春に痴漢件数が多いという都の調査に基づいて企画した。2025年度より東京都、埼玉・千葉・神奈川県でSNSで情報発信にも取り組んでいる。
イベントには昭和鉄道高校と豊島学院高校の生徒が25人参加した。都のホームページにアクセスできるQRコードが載っているポケットティッシュを通行人に配った=写真。
参加した生徒は「痴漢の被害に遭う女性が少しでも減るようと気持ちを込めて配った」と話した。
都は周辺の3県と鉄道事業者にも協力を呼びかける。SNSなどでの痴漢対策に関する情報の発信もする。
24年度に実施した都の調べによると、痴漢の発生時期は4月が16.3%、5月は14.3%と春に集中している。都の担当者は「被害者が声をあげるのは難しい。周囲の人が声をかけることが痴漢を防ぐ」と話した。
東京都、池袋で痴漢防止の啓発 1都3県で情報発信も[2025/04/15 19:30 日経速報ニュース 387文字 画像有 ]
東京都は15日、東武東上線池袋駅の南改札前で痴漢防止を訴える啓発イベントを開いた。新生活が始まる春に痴漢件数が多いという都の調査に基づいて企画した。2025年度より東京都、埼玉・千葉・神奈川県でSNSで情報発信にも取り組んでいる。
イベントには昭和鉄道高校と豊島学院高校の生徒が25人参加した。都のホームページにアクセスできるQRコードが載っているポケットティッシュを通行人に配った。
参加した生徒は「痴漢の被害に遭う女性が少しでも減るようと気持ちを込めて配った」と話した。
都は周辺の3県と鉄道事業者にも協力を呼びかける。SNSなどでの痴漢対策に関する情報の発信もする。
24年度に実施した都の調べによると、痴漢の発生時期は4月が16.3%、5月は14.3%と春に集中している。都の担当者は「被害者が声をあげるのは難しい。周囲の人が声をかけることが痴漢を防ぐ」と話した。
三井住友FG、中小開拓へ新サービス 銀行・カード一体[2025/04/15 19:27 日経速報ニュース 755文字 画像有 ]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は15日、法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を5月に始めると発表した。個人向けの「Olive(オリーブ)」に続き、1つの銀行口座で振り込みやカード決済など幅広い金融サービスを使える。デジタル人材の確保が難しい中小企業の業務効率化につなげ、法人口座や預金獲得を狙う。
スマホによる20分程度の手続きで最短翌営業日の口座開設を可能にする。1つの口座でカード決済や経費精算、資金管理を一括でできる仕組みだ。法人カード決済の利用限度額は最大10億円とする。
請求書の写真をスマホのアプリで読み込むと、振り込み予約までスマホで完結できるようになる。課題を与えると人工知能(AI)が情報を収集して判断する「AIエージェント」が資金調達手段などを助言する機能もつける。
中島達社長は同日の記者会見で「会社経営に必要な金融決済サービスをデジタルで切れ目なく提供する」と語った。三井住友カードの大西幸彦社長は「人手不足の深刻化で中小はデジタル化が大きな課題だ。社長が自ら財務経理をこなす負担を下げたい」と話した。
中小の利用を想定して金融サービスの料金も下げる。三井住友銀行間の振込手数料は無料にし、他行宛は一律で145円とする。通常は数百円がかかる。法人カードは24年に資本業務提携した企業向け決済サービスのインフキュリオン(東京・千代田)と開発し、AIによる与信で新設法人の発行のスピードを速める。
銀行間の預金獲得の競争は激しさを増している。
三井住友銀行は中小企業中心に法人向けサービスを提供し、今後3年で30万口座の獲得を目指す。中島社長は「新しい顧客を取りに行く。1法人1000万円程度の預金をいただける想定で、30万口座だと3兆円になる」との目標を示した。
AWS、日本で一時障害 スマホ決済などに支障[2025/04/15 18:41 日経速報ニュース 499文字 画像有 ]
米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供しているクラウドサービスで15日、午後4時40分ごろから約1時間にわたり障害が発生した。東京近郊のデータセンターでクラウド運営に必要な仮想サーバー向けの電源が停止し、スマートフォン決済など幅広い利用企業のサービスが利用しづらい状況になった。
スマホ決済大手のPayPayは、午後4時40分ごろから25分程度、支払いやチャージ機能が利用しにくくなったと明らかにした。問題はすでに解消した。
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)が提供しているスマホ決済「au PAY」も午後4時43分ごろから、一時的にQRコードが表示されにくくなった。午後5時ごろに復旧した。AWSの障害が原因とみられる。
日本航空(JAL)は午後5時ごろから社内システムに障害が発生したことを明らかにした。AWSの障害が原因とみられるとしている。障害は30分ほど続いたがすでに復旧している。航空機の運航に影響はないという。
AWSは米アマゾン・ドット・コム傘下で世界のクラウドコンピューティング市場で約3割のシェアを握る最大手だ。国内でも利用企業が多く、広範なサービスに影響した。
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Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初[2025/04/15 18:41 日経速報ニュース 2070文字 画像有 ]
自社の検索サービスをスマートフォンの初期画面に搭載するよう要求したのは独占禁止法違反(不公正な取引方法)に当たるとして、公正取引委員会は15日、米グーグルに排除措置命令を出した。「人工知能(AI)検索」の台頭を背景に、欧米の競争当局と足並みをそろえ公正な競争環境の整備を急ぐ。
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巨大IT(情報技術)企業への命令は初めて。グーグルへの行政処分はデジタル広告事業で自主改善を約束させた2024年4月の「確約手続き」に続き2回目。端末メーカーなどとの取引における違反行為の影響の大きさを重くみて、再発防止などを求める排除命令に踏み込んだ。
命令としては初めて、グーグルから独立した第三者が再発防止の履行状況を5年間報告することも求めた。
グーグルは15日、「調査結果に遺憾の意を表明する。当社と日本のパートナー企業との契約は、競争を促し、各社の製品イノベーションへの投資を促進することで、消費者の皆様により多くの選択肢を提供してきたと考えている。今回の命令を精査し、今後の対応を慎重に検討する」とコメントした。
公取委が違反認定したのはグーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホに関する端末メーカーや通信事業者との2つの取引だ。
グーグルは遅くとも20年7月以降、アプリストア「プレイストア」のライセンス契約時に、メーカー6社に対して検索サービス「サーチ」やブラウザー「クローム」をユーザーの目に留まりやすいスマホの初期画面に設定するよう求めていた。国内で販売されたアンドロイド端末の8割が契約の対象だった。
検索を通じて得た広告収益の一部を分配する契約もメーカーや通信事業者5社と結んでいた。収益分配を受けるために、自社サービスを初期画面に配置するほか、他社サービスを搭載しないといった条件を全て満たす必要があった。
独禁法は有力な事業者が取引先に対し競合他社との取引を制限する行為を「拘束条件付き取引」として禁止している。公取委はグーグルの2種の契約が新規参入や競合他社との取引を妨げていたと認定した。
命令は自社サービスをスマホ初期画面に搭載するよう強いる行為や他社サービスの実装を妨げる行為の取りやめを求めた。広告収益の分配契約も適用条件を緩和し、メーカーの選択肢を広げる。
ウェブ解析の「スタットカウンター」によると、検索エンジンにおけるグーグルの世界シェアは25年3月時点で約9割となり、日本国内でも8割を超える。広く浸透した検索におけるユーザーとの接触機会の多さは同社の収益力の源泉となってきた。
検索分野では近年、生成AI技術の活用が進む。AIが人の意図をくんで文章の形で答える「対話型検索」はグーグルが強みとした従来の「キーワード型検索」に比べて利便性が高く、新興勢力も多くのユーザーを獲得している。
公取委は検索の主戦場であるスマホでグーグルが優遇される状況を放置すれば、新たなプレーヤーの参入余地が小さくなるとみた。命令を出した背景に、検索の市場で公正な競争環境の整備を急ぐ公取委の意図が透ける。
グーグルの検索サービスや取引契約を巡っては、複数の市場にまたがって影響を及ぼし合うことで不当に同社の競争力を高めていないか、各国の競争当局が監視を強めてきた経緯がある。
欧州連合(EU)の欧州委員会は18年、アンドロイド端末を製造するスマホメーカーに対し、検索サービスをアプリストアと抱き合わせた行為などがEU競争法(独禁法)違反にあたるとして43億4000万ユーロ(約7000億円)の制裁金を科した。22年のEUの一般裁判所も決定の大筋を支持した。
米司法省はアンドロイド端末における問題に加え、米アップルとの契約が反トラスト法(独禁法)に違反しているとして、20年にグーグルを提訴。連邦地裁は24年8月にグーグルの検索サービスが独占状態になっていると認定し、司法省は是正案としてクロームやアンドロイドなどの事業分割を求めた。
今回の公取委の排除措置命令は世界の競争当局の監視強化と歩調を合わせた形といえる。今後は命令により競争環境がどれだけ回復するかに焦点が移る。
排除措置命令に事業者が従わなければ懲役や罰金など刑事罰の対象になる。命令に不服があれば事業者が処分の取り消しを求めて提訴することもできる。
公取委は独禁法に加え、25年12月までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)との両輪でグーグル側に対応を迫る見通しだ。
スマホ新法はスマホのOSやアプリ配信で企業の競争を促すことを目的とする。検索分野ではブラウザーなどをユーザーが選択できるよう複数サービスの表示を義務付けた。アプリ配信や決済でも他社の参入を妨害する行為を禁止する。違反が認定されれば、違反分野の売上高の20%を課徴金として納付するよう命じる。
公取委は3月、グーグルのほかアップルとその子会社のiTunesを対象にすると発表した。デジタル分野に関わる専門人員を拡充し、新法下で規制の実効性を高める方針だ。
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外為17時 円相場、続落 米関税懸念が和らぐ 対ユーロは4日ぶり反発[2025/04/15 17:43 日経速報ニュース 745文字 ]
15日の東京外国為替市場で、円相場は続落した。17時時点では前日の同時点に比べ16銭の円安・ドル高の1ドル=143円22~24銭で推移している。トランプ米政権の関税政策を巡る懸念がいったんは和らぎ、世界景気が減速するとの過度な警戒感が後退した。日米の株式相場の上昇で投資家心理が改善し、「低リスク通貨」とされる円には売りが優勢だった。ただ、日米の関税交渉が始まるのを前に不透明感は強い。円売り・ドル買いが一巡すると、円相場は上昇に転じる場面があった。
トランプ米政権は相互関税の対象からスマートフォンや半導体製造装置などの電子関連製品を除外したほか、14日には自動車関税でも救済措置を検討する考えを示した。14日の米株式相場や15日の日経平均株価の上昇を受けて、これまで積み上がった円買い・ドル売りの持ち高をいったん解消する円売り・ドル買いが出て、一時は143円60銭近辺まで下落した。
15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。国内輸入企業など実需筋の円売り・ドル買い観測も円相場を押し下げた。
もっとも、円相場は上昇に転じる場面があった。15時すぎには142円台後半まで上げ幅を広げた。この先の関税政策を巡る不透明感は根強く、円買い・ドル売りが優勢となった。
円は対ユーロで4営業日ぶりに反発した。17時時点では同24銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=162円70~75銭で推移している。
ユーロは対ドルで5営業日ぶりに反落した。17時時点は同0.0029ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.1360~62ドルで推移している。前日までにユーロ買い・ドル売りが進んでいた反動で、持ち高調整目的の売りが優勢だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
Googleに3方向から迫った公取委、アプリ内課金も審査[2025/04/15 17:00 日経速報ニュース 1934文字 画像有 ]
公正取引委員会が15日、米グーグルに初めて排除措置命令を出し、同社への審査は区切りを迎えた。審査は3年以上前にアプリ内課金を対象に始まり、最終的に3分野に及んだ。先行する欧米では規制や処分の「抜け穴」も指摘され始めている。今後は2025年末までに施行されるスマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)による監視の実効性が問われる。
【関連記事】Google「検索」に排除命令、公取委が違反認定 巨大ITで初
「(命令は)生活必需品となっているスマートフォン分野における競争環境の整備に大きく寄与する」。公取委の大胡勝審査局長は15日、記者会見でグーグルへの命令の意義を強調した。
関係者によると、公取委は15日の「検索」と24年に行政処分を出した「広告」に先行し、水面下で「アプリ内課金」を審査していた。
公取委が「本丸」と位置づけていたのが祖業である検索分野の審査だ。23年10月に始まり、巨大IT(情報技術)企業を念頭に導入した「第三者からの意見募集」を初めて実施した。「審査テーマを明らかにしたことで利害関係者が協力しやすくなる利点があった」(公取委幹部)。消費者からも情報が得られたという。
グーグル側は審査終盤、自主的な改善計画を公取委が認める「確約手続き」の利用を模索したが、公取委は認めなかった。明確に違反を認定する排除措置命令に踏み切り、命令では最長となる5年間の報告期間も義務付けた。
一方、広告分野では公取委が24年4月にグーグル側の改善計画を認定し、確約手続きで矛を収めた。対象となったのは、グーグルが検索技術などを提供していたLINEヤフーに対し、取引先のポータルサイト側への検索連動型広告の配信を一部制限していた行為。グーグルは改善計画の履行状況を3年間報告するとした。
公表されていた審査はこの2件だが、公取委は3年以上前には、他の決済事業者を排除している恐れがあるとして、スマホアプリでの決済手段を巡る取引の審査も着手していた。
ゲームで使うアイテムや、サブスクリプション契約をアプリ内で購入する決済手段は、アプリストアを持つグーグルと米アップルの寡占状態にある。グーグルは規約で物理的な商品などを除く課金は同社の決済手段を原則利用するよう求めている。
アプリ事業者は最大30%の手数料を支払う必要があり、外部決済の利用や手数料減額を望む声は大きかった。
だが、独占禁止法に基づく措置は見送るもようだ。25年内に施行するスマホ新法に同様の行為を禁じる規定が盛り込まれ、立証のハードルが高い独禁法の措置ではなく、新法下での監視に委ねることが妥当だと判断したとみられる。
スマホ新法は米側から「非関税障壁」に当たるとの見方もされたが、米通商代表部(USTR)が3月31日に公表した報告書には盛り込まれなかった。
新法の施行を前に、モバイルゲームの分野ではアプリの外で決済が出来る「ウェブ課金」の仕組みが一部で広がりつつある。デジタルガレージやGMOグループ、ソニー系の決済事業者が参入に名乗りを上げている。
グーグルに対する一連の審査は節目を迎えたが、今後はスマホ新法の「事前規制」が巨大IT企業の監視において大きな役割を担う。
新法は巨大ITによる独占是正を目的とし、指定された事業者に一定の義務を課す。検索サービスの自社優遇や、アプリストア・決済サービスで他社の参入を妨げる行為を禁じるなど、審査してきた対象と重なる部分が多い。
違反行為は売上高の20%の課徴金納付が課され、抑止効果も期待できる。公取委は3月末に新法の対象企業をグーグルとアップル、同子会社のiTunesの3社にすると発表した。担当する新部署を4月に発足し、今後はデジタル分野に関わる人員を現状の3倍の50人規模に増やす。
公取委は巨大IT向けの対応を強化しているが、法的措置や法規制で先行する海外では規制や処分の「抜け穴」を突いて支配力を維持しようとする動きも出始めている。
24年3月にデジタル市場法(DMA)が全面施行された欧州では、米アップルが他業者のアプリストア参入を認める一方で、ストアを利用する場合に別の新たな手数料を導入した。欧州委員会は同年6月、追加手数料の徴収がDMA違反にあたる可能性があるとして調査を始めると発表した。
米国でも司法省が反トラスト法(独禁法)訴訟でグーグルのネット閲覧ソフトやスマホ向け基本ソフト(OS)事業などの売却を求める策を示し、分割を拒否するグーグル側と対立の構図が続く。
巨大ITが新法の施行を受けて国内市場でどのように対応するか、不透明な部分も多い。公取委は新法でカバーできない分野でも競争を阻害する行為は独禁法に基づく措置も辞さないとみられる。審査と規制の車の両輪による監視体制の強化を急ぐ。
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巨大ITに監視強める公取委 過去にAmazon・Appleも審査[2025/04/15 16:00 日経速報ニュース 583文字 画像有 ]
公正取引委員会が巨大IT(情報技術)企業に初めて排除措置命令を出した。公取委は2010年代以降、米アップルやアマゾンジャパンも審査。早期の是正を優先し、これまでは違反行為を認定せずに改善策を提出させたり、規約を変更させたりして終わることが多かった。
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米アップルは公取委の審査を経て22年にアプリの決済手段の制限を改善。アマゾンジャパンは17~20年に電子商取引(EC)サイトの納入業者に最安値の出品を保証させる条項を廃止し、納入元に値引き分を補させる行為について約20億円を返金する改善計画を提出した。
デジタル市場は技術やサービスの変化が激しいため、自主的に必要な改善策を出させ、早期に是正する手法が有効とされてきた。グーグルが競合するLINEヤフーの広告配信を制限した問題でも、違反を認定せずに改善計画を認める「確約手続き」で審査を終えた。
今回、公取委が命令に踏み切った背景に、検索市場におけるグーグルの圧倒的な寡占状態への危機意識がある。ユーザーの利用データが集まるほど精度が上がり、広告収入も増える検索で、明確な違反認定が必要だと判断したとみられる。
公取委が巨大ITに対しても命令を出しうるとの認識が広がれば、事業者側が自ら改善策をとる動機が生まれやすい。公取委幹部は「競争確保のため、日本の競争当局の姿勢を示す必要があった」と命令の意義を強調した。
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外為12時 円相場、小幅安 143円台前半 米関税懸念が一巡[2025/04/15 12:33 日経速報ニュース 676文字 ]
15日午前の東京外国為替市場で、円相場は小幅に下落した。12時時点は1ドル=143円09~11銭と前日17時時点と比べて03銭の円安・ドル高だった。トランプ米政権の関税政策を巡る過度な警戒感がいったんは和らいだとして、日米の株式相場が上昇した。「低リスク通貨」とされる円に積み上がっていた円買い・ドル売りの持ち高を解消する円売り・ドル買いが優勢だった。実需の円売り・ドル買い観測も円相場の重荷だった。
円相場は一時、143円60銭近辺まで下落した。15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。10時前の中値決済に向けて「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との見方があり、国内輸入企業などによる実需の円売り・ドル買い観測が相場を押し下げた。
ただ、円売り・ドル買いが一巡した後は下値を探る動きは限られた。日本時間15日午前の取引で米長期金利が低下幅を広げており、日米金利差の縮小を意識した円買い・ドル売りが相場の下値を支えた。16日から日米関税交渉が始まるのを前に、為替が議論に上るとの思惑が根強いことも円相場の底堅い動きにつながった。
円は対ユーロで上昇した。12時時点は1ユーロ=162円44~47銭と、同50銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.1352~53ドルと同0.0037ドルのユーロ安・ドル高だった。米関税政策への警戒感から前週にユーロ買い・ドル売りが進んでいたため、持ち高調整を目的としたユーロ売りに押された。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
DTS、東北システムズ・サポートが超小型のウェアラブル型RFIDリーダーを発売[2025/04/15 12:13 日経速報ニュース 841文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月15日
【DTS】東北システムズ・サポートが超小型(5×6cm)のウェアラブル型RFIDリーダー発売
ハンズフリーでICタグ読み取り、ピッキング現場に業務革新を
株式会社DTS(東京都中央区、代表取締役社長 北村 友朗)のグループ会社で、RFIDの技術を活用した自動認識読み取り機器と、それに関連したソフトウェアソリューションを提供している株式会社東北システムズ・サポート(本社:仙台市青葉区/代表取締役社長:下川潤/以下、TSS)は、2025年4月15日(火)、近距離読み取りに特化したUHF帯RFIDリーダーとして、ウェアラブル型の「MR20」およびバーコードスキャン機能搭載のハンディ型「SR160」を発売しました。これまで個別アイテムを正確に識別する必要のあるピッキング業務には、RFIDの導入は難しいとされてきましたが、今回発売した近距離読み取りに特化したRFIDの誕生により、作業のスピードと正確性を飛躍的に向上させることが可能となります。
【RFIDとは】
RFID(Radio Frequency Identification)は、ICチップとアンテナを内蔵したタグの情報を、電波を利用して非接触で読み書きする自動認識技術です。バーコードが視認・スキャンによる「目で見る」作業を必要とするのに対し、RFIDはタグが見えなくても電波が届く範囲内で瞬時に読み取ることが可能なため、大量の商品や部品を高速に一括検知できる点を特徴としています。
※参考画像は添付の関連資料を参照
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689776/01_202504151211.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689776/02_202504151211.pdf
3月後半の消費、4.1%増 値上げ控え酒屋やコンビニ増加[2025/04/15 12:06 日経速報ニュース 383文字 ]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは15日、クレジットカード決済額に基づく3月後半の消費データを発表した。名目で前年同期比4.1%増えた。コンビニや酒屋など飲食料品小売業の消費が好調だった。アルコール大手各社による4月からの値上げ前に駆け込み需要が起きたとみられる。
「飲食料品小売業」は3月前半から0.3ポイント増加し、前年同期比では6.2%のプラスだった。業種別にみるとコンビニは前年同期比で4.7%、酒屋が13.4%増えた。
サービス消費では、ホテルや旅館など「宿泊」の消費は2.1%増だった。「外食」は3月前半から3.8ポイント減少したものの前年同期比では5.6%プラスだった。
ナウキャストは「3月全体で見ると各消費はおおむね良好である」と評価した。一部での値上げ前の駆け込み需要については「消費の反動減につながるため、注視する必要がある」と指摘した。
外為10時 円相場、下げ幅拡大 143円台半ば、中値「ドル需要強い」[2025/04/15 10:32 日経速報ニュース 434文字 ]
15日午前の東京外国為替市場で、円相場は下げ幅を広げている。10時時点は1ドル=143円48~49銭と前日17時時点と比べて42銭の円安・ドル高だった。国内輸入企業による実需の円売り・ドル買い観測が円相場の重荷となった。米関税政策への警戒感がやや和らぎ、積み上げた円買い・ドル売りの持ち高を巻き戻す動きも出ている。
15日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。10時前の中値決済に向けては「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。実需筋の円売り・ドル買いが出たとの見方が円相場の下押し圧力となった。
円は対ユーロで伸び悩んでいる。10時時点では1ユーロ=162円56~59銭と、同38銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで下げ幅を広げた。10時時点では1ユーロ=1.1329~31ドルと同0.0060ドルのユーロ安・ドル高だった。対円でのドル買いが対ユーロに波及した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
PayPay決済、自動引き落とし可能に 傘下銀行口座から即時[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン決済のPayPayは買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。今は代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。システム開発を終える2025年末までにスタートする。
現在、PayPayを使うには2つの手法がある。一つは銀行口座からのチャージやATMからアプリに入金する「赤PayPay」。もう一つはクレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」だ。
新たに追加するのは「紺PayPay」。アプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組み。紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落とされる。PayPayの利用者は現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は約860万に上る。
PayPay銀行はこれに先駆け、15日にも口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能をアプリに搭載する。引き落とされる直前まで預金扱いになるため、利息を受け取れる。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
米テック株急落、新NISA苦戦 人気10投信、年初来17%下落 含み損で「様子見」強まる[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
(越智小夏、杵渕純平)
追い証 信用取引の追加保証金(市場を知るニュースワード)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式なども差し入れられます。担保は信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡り2つの売りが出るとされます。まず株価下落で含み損が大きくなり、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられないと証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
コンビニ、人材確保へ奔走 3社出店拡大 セブン、紹介料2倍も[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 987文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は出店拡大に向け、人材確保に奔走する。IT(情報技術)の活用による省人化策に加えて、人材紹介に報奨金を払うなどの施策も広がる。(1面参照)
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
勤務期間が他店を含め通算5年以上で、今のオーナーの店舗で2年以上働いていることが条件となる。候補者がその店舗でオーナー研修や店舗責任者の研修を両方受講した場合、従業員の紹介料は以前の100万円から倍増する。どちらかの研修だけの場合は150万円、候補者が退職した店で研修を受けた場合は100万円が渡される。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。
日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。働き手を呼び込むためには、デジタル技術を活用した従業員の負担軽減策も欠かせない。
ファミリーマートは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどに設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。ベテラン従業員が複数の店舗を管轄してサービスを向上させるといった使い方も想定される。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
PayPay、海外決済と連携[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 201文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」などに対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。
新社会人のクレカ選び 「会費」「還元率」「経済圏」を確認[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 35ページ 806文字 PDF有 書誌情報]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎)
3Graphicsのまとめサイトはこちら(https://www.nikkei.com/theme/?dw=23061500)
万博に長蛇の列、解消探る 来場者、正午ごろに集中 通信改善へ移動基地局(EXPO2025)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 1598文字 PDF有 書誌情報]
QRコード 印刷呼びかけ
大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐ。
(大阪・関西万博取材班)
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
盛岡の地域通貨「モリオペイ」 セブンで決済・入金可能に アプリ拡充 利用者・加盟店2割増へ[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 東北 2ページ 1142文字 PDF有 書誌情報]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは(1)スタンプラリー機能(2)会員証機能(3)ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
公共交通「万博仕様」に JR西、桜島駅へ臨時快速 大阪メトロは決済5種類に対応[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 528文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕し、公共交通機関も運行ダイヤや駅構内の設備を「万博仕様」にシフトした。JR西日本は会場近くの桜島駅につながる臨時快速を投入。大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅改札を、クレジットカードなど5種類の決済方式対応にした。開幕日の13日は改札機の利用でとまどう人など一部で混乱もみられた。
JR西は東海道・山陽新幹線の新大阪駅にボランティアが万博会場まで道案内する窓口を設置した。
新大阪駅と桜島駅を結ぶ臨時快速列車「エキスポライナー」は上下計26本運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連の映像を上映し、万博に向かう利用客のワクワク感を高めていた。
大阪メトロは夢洲駅で、交通系ICカードや磁気券に加え、クレカやQRコード決済、顔認証の機能がついた改札機をそろえた。外国人客などの利便性を高める目的があったが、クレカのタッチ通過がうまくいかず駅員に問い合わせる場面もあった。
13日は夢洲駅前で大規模な混雑が発生したが、関西国際空港や都心部のターミナル駅では目立つ混乱はなかった。
ただJR西の大阪環状線と夢洲駅につながる大阪メトロ中央線の乗り換えポイントである弁天町駅では、入場制限も行われた。
地方税の納付 スマホもOK 高知信金、手数料無料[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 418文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
JR元社長唐池氏が語る「感動経営」 工藤公康氏のリーダー論も、5月に福岡で[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 427文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社とTVQ九州放送は5月、地域経済の最前線を取材する映像記事コンテンツ「LBSローカルビジネスサテライト」の関連イベントを福岡市内で開きます。
豪華観光列車「ななつ星in九州」の開発を指揮したJR九州元社長の唐池恒二氏が「感動」をキーワードに地方創生や経営哲学を語ります。福岡ソフトバンクホークス元監督の工藤公康氏はチームを常勝集団に育てるリーダー論を話します。各氏の聞き手は日経編集委員が務めます。LBSで取り上げた地域企業の経営者らの対談も予定しています。
イベント終了後に登壇者らとのビジネス交流会を予定しています。
◇日時 5月29日(木)12時40分~17時35分(時刻は予定)
◇会場 電気ビルみらいホール(オンラインでも同時配信)
◇詳細・申し込み QRコードからご確認ください(参加無料、事前登録制。応募者多数の場合は抽選)
◇協賛 HESTA大倉、マネーフォワード、ワランティテクノロジーほか
◇協力 中小企業基盤整備機構
信越の地場スーパー、キャッシュレス決済拡充 綿半HD、クレカでポイント特典/アクシアル、日常購入品にクーポン[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 1366文字 PDF有 書誌情報]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高め、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
だんじり巡る街の近代建築、大阪・岸和田 細部に意匠光る 屋上で観覧も(街エクスプローラー)[2025/04/15 日本経済新聞 大阪夕刊 29ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
大阪府岸和田市には大正から昭和期に建てられた名建築が残る。紡績やレンガ製造を手掛けた地方財閥の栄華の歴史を映す。社交場の会館、教会、旧銀行などその数は10以上。建物内外に建築家の意匠が光る。街の魅力は山車が駆け巡るだんじり祭にとどまらない。官民で保存や活用も進む。
南海電気鉄道岸和田駅から西に徒歩10分。南欧風の洋館、自泉会館が立つ。ユニチカの前身の一つ、岸和田紡績の社交場は、関西ゆかりの建築家、渡辺節の設計。代表作「綿業会館」(大阪市)と同時期の1932年に建てられた。
イスラム調のタイル張りの暖炉に、コンクリートを木目調に仕上げた梁(はり)などの意匠が目を引く。渡辺建築の特徴である豪華な金属製の手すりや扉は戦時中の金属供出で失われた。岸和田市郷土文化課の山岡邦章さん(54)は「その歴史を含めて価値がある」。
会館は43年に市に寄贈された。文化施設となった現在は年約4千人が利用する。音響に優れ、弦楽器の演奏会で使われる。2022年には同市出身の現代美術家、塩田千春さんの展覧会も開かれた。
岸和田城の周辺1キロ圏内には10棟以上の近代建築が残る。なぜか。大阪歴史博物館の阿部文和学芸員(建築史)に聞くと「寺田財閥の影響が大きい」という。
寺田家は江戸時代から酒造業を営んだ。実業家の甚与茂は1887年、別の事業者と第一煉瓦製造(後の岸和田煉瓦)を設立し、94年には岸和田紡績を開業した。岸和田は府内でも有数の工業地帯に成長した。
岸和田紡績が1941年に大日本紡績に吸収合併された後も、甚与茂の息子、甚吉らは鉄道、金融業などで地域の発展に貢献したという。現存する近代建築の大半は寺田財閥の最盛期の大正時代から昭和前期に建てられたものだ。
100年以上の歴史がある日本聖公会岸和田復活教会は、レンガの街の歴史を伝える。日本家屋が立ち並ぶ通りで、赤レンガ塀が異彩を放つ。岸和田煉瓦製を示す×印は残っていないが、同社製との説が有力だ。
経年でレンガにひびが入り、司祭の石垣進さん(78)は撤去も考えた。信者の「残したい」との声を受け、2024年に補修した。見学者も絶えないという。
銀行や信用金庫も目立つ。赤と白のツートンカラーの旧四十三銀行岸和田支店や、渡辺節の門下生、村野藤吾設計の旧泉州銀行本店などが点在する。
旧和泉銀行本店は国の登録有形文化財だ。寺田家が1933年に建てた後、複数の銀行・信金の本支店として活用されてきた。2004年に信金から購入した市内在住の元会社経営者、久場共見子さん(83)は「屋上でだんじりを見たかったから」と豪快に笑う。
壁面にタイルを施した2階建ての建物は紀州街道沿いに立地。だんじり祭の山車が辻々を直角に曲がる「やりまわし」の観賞にはうってつけだ。毎年、祭りの日に屋上を開放し、100人以上が集まる。
改修で竣工当時の姿を再現した。後年設置されたつり天井は撤去する一方、金庫室の扉は残した。「壊すのは簡単だが二度と同じものはつくれない。街の人に大事に使ってもらい、次世代に引き継ぐ」(久場さん)。イベント会場としても貸し出す。
戦災を免れた岸和田には近代建築以外にも江戸時代の町屋が並ぶ本町地区など歴史的建造物が多い。学芸員の阿部さんは「江戸から現代に至る建築史の一端を短時間でたどれるのが岸和田の面白さだ」と話す。(中田みなみ)
推しビュー
五風荘の日本庭園
街のシンボル、岸和田城のすぐ南にある「五風荘」は純和風の近代建築だ。昭和初期、寺田家の邸宅として建てられた。茶の三千家の1つ、武者小路千家の三代木津宗詮が設計した。約7千平方メートルの広大な敷地に主邸と3つの茶室、日本式庭園をそなえる。建物はどれも良質な木材が使われている。柱の多くは四面全てに節のない最高級の角材「四方柾目」を採用した。同市郷土文化課の山岡さんは「材木への強いこだわりは、だんじり制作にも通じる」と話す。いまは料亭となり、庭園の景色を見ながら会席料理を楽しめる。
こちらのQRコードを読み込むと、インスタグラム「NIKKEI関西」の投稿をご覧いただけます。
【図・写真】経済人の社交場だった自泉会館のホールは音響に優れ、演奏会も開かれる
高知信用金庫、地方税の納付方法を拡大 スマホでも[2025/04/14 20:21 日経速報ニュース 418文字 画像有 ]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
信越のスーパー、キャッシュレス決済拡充 利便性を向上[2025/04/14 20:00 日経速報ニュース 1368文字 画像有 ]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高めつつ、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
「並ばない万博」なぜ行列 正午ごろ人出急増、対応に遅れ[2025/04/14 19:45 日経速報ニュース 1598文字 画像有 ]
大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐが、構造的な問題も多い。
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
(大阪・関西万博取材班)
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ポイント大手「モッピー」、覆面調査で還元 最大全額も[2025/04/14 18:38 日経速報ニュース 745文字 画像有 ]
ポイントサービスサイト大手の「モッピー」を運営するセレスは近く、覆面調査をしたサイトの会員にポイントを付与するサービスを始める。外食店での異物混入などが相次ぎ、企業側の覆面調査への需要は高い。会員である消費者側も物価高で家計負担を減らしたいと考える人が増えている。新サービスでサイト利用者拡大につなげる。
「モッピーフクモニ」の名称で新サービスを始める。覆面調査サービス大手であるファンくる(東京・千代田)と組み、全国約1万件の外食店や美容院などを対象に商品やサービスを企業側に知られずに評価してくれる会員をサイトで募集する。
応募して当選した会員は飲食店などを利用する。後日、接客態度や店内の清潔さといったアンケート項目に答えて、店などの利用時のレシートを提出すると最大全額分のポイントが還元される。今後、外食店や美容院など以外の分野も追加する予定だ。
モッピーは累計会員数(2025年3月末時点)が1200万人超にのぼる。企業から広告料を受け取ってポイントの原資に充て、会員に付与する形のポイントサイトでは国内最大級だ。
モッピーでは会員がサイトに掲載されている商品やサービスを買った場合に、広告主である企業が成果報酬をセレスに支払う。そのうち7割程度がポイントとして会員に還元される仕組み。1ポイント=1円相当で、PayPayなどの電子マネーや銀行振込を介した現金など約50種類のサービスに交換できる。
矢野経済研究所(東京・中野)によると、国内のポイントサービスの市場規模は2026年度には23年度比14%増の3兆円超となる見通しだ。物価高を受けて消費者の生活防衛意識が強まり、ポイントを足しにしたいと思う人が増えている。モッピーの会員数も市場規模拡大に合わせて堅調に伸びている。
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大阪万博、つながりにくさ改善へ移動基地局 通信各社[2025/04/14 18:29 日経速報ニュース 321文字 画像有 ]
大阪・関西万博初日の13日、混雑により会場でインターネットがつながりにくくなったことを受けて、通信キャリアが対策に乗り出した。ソフトバンクは14日までに自動車に通信設備を搭載した移動型基地局を配備した。今後も会場では多くの人出が予想され、事態の改善を急ぐ。
NTTドコモと楽天モバイルも移動型基地局の配備を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」としており、設置場所や台数について調整を進めている。KDDIも移動型基地局の配置を検討している。
13日は万博会場入り口となる東ゲート付近に多くの来場者が並び、一時的にスマートフォンなどがつながりづらくなった。入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルが発生していた。
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コンビニ3社、店舗増7年ぶり高水準へ 工場などに省人店-【イブニングスクープ】[2025/04/14 18:00 日経速報ニュース 1533文字 画像有 ]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は2025年度に最大で約400店増やす。純増数は18年度以来7年ぶりの高水準となる。国内市場が成熟するなか、小型店で企業のオフィスや工場の従業員向け需要を取り込む。無人レジやロボット技術を活用し、少ない人数でも出店できる体制を整えた。
セブンは223店の純増と、18年度以来の高水準となる。東京都や大阪府など都市圏で開業が相次ぐ大型再開発ビルの需要を取り込む。
ファミリーマートは100店程度と、20年度以来の純増を見込む。増加数はサークルKサンクスと経営統合した16年度以降で3番目の規模となる。ローソンは具体的な店舗数は明らかにしなかったが、3年連続の純増を計画する。
日本フランチャイズチェーン協会によると、24年末のコンビニの店舗数は5万5736店と、21年の5万5950店をピークに成長が頭打ちとなっている。ドラッグストアや電子商取引(EC)との競争も激しくなり、不採算店舗の閉店や移転など既存店の見直しを進めてきた。
新型コロナウイルス禍後の人流の回復などを受け、店舗数を増やす。ただ、市街地や道路沿いの出店余地は小さくなっており、効果的な店舗戦略を模索する。
セブンは企業の工場や研究所といった事業所内で床面積が従来の4分の1ほどの小型店の出店を増やす。ファミマは日本郵便と連携し、郵便局内に棚や冷蔵ケースを置いた小型店を出す。
事業所内の小型店舗は設置コストを抑えられるほか、来店者数の属性や商品の売れ行きを予想しやすい。受け入れ側の事業所も従業員や利用者の利便性向上につながるなどのメリットがある。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
出店には人材確保が欠かせない。24時間営業や多様なサービスに対応する従業員の負担軽減に向け、IT(情報技術)を導入する動きも広がる。
ファミマは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。2月末までに46店を出店しており、今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどにも設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
コンビニ各社は10年代半ばまで年1000店以上のペースで新規出店を続け、売り上げ規模や商品の調達力を高めてきた。25年度の純増数は当時に比べると小さい。コンビニ市場が成熟するなか、1店舗あたりの収益力向上が求められている。
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PayPay、傘下銀行から自動引き落としOK チャージ不要[2025/04/14 17:28 日経速報ニュース 633文字 画像有 ]
スマートフォン決済のPayPayは2025年、買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。現在は主に銀行口座やATMから代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。ATMなどからチャージする手間を省くことで利便性を高める。
現在、PayPayを使うには、銀行口座やATMから代金をチャージする「赤PayPay」と呼ぶ手法と、クレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」と呼ぶ手法がある。
新たに追加するのはアプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組みで、紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落としされる。PayPayの利用者が現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は、約860万にのぼる。
PayPayに先駆け、決済時に口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能を15日にもPayPay銀行のアプリに搭載する。銀行口座から引き落とされる直前までは預金扱いになるため、利用者は利息を受け取れるメリットがある。PayPay銀行では預金量に応じて金利が変わる。29歳以下の場合100万円以上預けると年0.4%と高水準な金利がつく。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
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三菱UFJ eスマート証券、「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービスを提供開始[2025/04/14 17:22 日経速報ニュース 1050文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービス提供開始へ(4月21日予定)
三菱UFJ eスマート証券株式会社(代表取締役社長 飛松 一樹、以下「当社」)は2025年4月21日(月)より、三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田 典彦、以下「三菱UFJニコス」)が発行している三菱UFJカードでの決済による投資信託の積立サービス(以下「三菱UFJカード積立(投資信託)」)のご提供を開始します(予定)。
当社は既に、「au PAY カード積立(投資信託)」をご提供していますが、今般の「三菱UFJカード積立(投資信託)」の追加により、お客さまの選択肢が増えることになります。
なお、これに伴うキャンペーンも計画していますので、どうぞご期待ください。
※参考画像(1)は添付の関連資料を参照
三菱UFJカード積立(投資信託)は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(取締役 代表執行役社長 グループCEO 亀澤 宏規、以下「MUFG」)のグループ各社との協働の一環としてご提供します。
※参考画像(2)は添付の関連資料を参照
また、当社を含むMUFGグループ各社は、インターネットバンキングの「三菱UFJダイレクト」を中心に、お客さまのお役に立つ各種サービスを準備しています。今後、各サービスの内容や開始時期などが決まり次第、適宜、ご案内します。
※参考画像(3)は添付の関連資料を参照
以上
●三菱UFJ eスマート証券株式会社
・金融商品取引業者登録 : 関東財務局長(金商)第61号
・銀行代理業許可 : 関東財務局長(銀代)第8号
・電子決済等代行業者登録 : 関東財務局長(電代)第18号
・加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 日本STO協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/01_202504141721.jpg
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/02_202504141721.jpg
参考画像(3)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689746/03_202504141721.jpg
シチズン・システムズ、業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売[2025/04/14 15:19 日経速報ニュース 1211文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2024年01月16日
カラータッチパネルを搭載、ビジュアルガイドにより操作性を向上した新製品
業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売
~高耐久・前面操作でご好評のロングセラー当社最上位モデル~
シチズン時計株式会社の連結子会社であるシチズン・システムズ株式会社(本社 : 東京都西東京市・社長 : 向島克敏、以下当社)は、カラータッチパネルによる新機能を搭載し、高速印字に対応した業務用ラベルプリンター「CL-S700III」及び「CL-S703III」を2024年1月16日より販売します。
<業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」>
■発売日 : 2024年1月16日
■モデル : 2モデル CL-S700III(印字解像度203dpi)、CL-S703III(印字解像度300dpi)
■価格 : オープン(参考価格 CL-S700III : 418,000円税込、CL-S703III : 440,000円税込)
*製品画像は添付の関連資料を参照
コロナ禍に、世界的に急拡大したECビジネスによりラベル需要は物流用途を中心に伸長する一方で、労働力不足に対応した業務の省力化が求められています。
当社の主力製品であるCL-S700シリーズは、熱転写リボンのテンションを自動で一定に保つシチズンオリジナルのARCP機構(※1)採用により、極小精密ラベルなど多様な用紙の印字ズレや汚れを防止。また、大容量リボン・大径ロール紙の搭載による長時間連続印刷に適した最上位モデルです。
今回の新製品「CL-S700III/CL-S703III」は、信頼性の高い耐久構造、素早い用紙セットと省スペースを両立し、任意の位置で止まる安全なカバーのフルオープンメカニズムはそのままに、新たにカラータッチパネルを搭載しました。ビジュアルガイドにより直観的な操作が可能となり、印刷時にはプレビュー表示により用紙の無駄を削減します。エラーが発生した際にはパネルに表示されるQRコード(R)からウェブマニュアルの参照ができ、トラブルや誤操作によるロスタイムを削減できます。また、当社前モデルから印字スピードを17%向上させた最大305mm/秒(※2)を実現し、ユーザーメモリーを6倍に増強(※3)、プリンターフォントの拡充(※4)といった基本機能を充実させ、ラベル発行の更なる効率化を図りました。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
製品画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/667039/01_202504111906.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/667039/02_202504111906.pdf
新NISAで人気の投信、年初来17%下落 米テック株安響く[2025/04/14 15:00 日経速報ニュース 1832文字 画像有 ]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
円高も逆風に
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数MSCI「オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
売却は焦らず
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
トランプ政権は11日に相互関税の対象からスマートフォンなどを除外したが、13日には新たな半導体関税に組み入れると表明した。政策の不安定さや世界経済の先行き不安は拭われていない。
(越智小夏、杵渕純平)
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・株価急落でもオルカン流入超 個人のパニック売り少なく
PayPay、タイ電子決済「ビッグペイ」などと連携[2025/04/14 13:32 日経速報ニュース 386文字 画像有 ]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」に対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。
店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。14日からカザフスタンで普及する「カスピ」を加えた4サービスと連携した。PayPayの連携先は14カ国・地域で使われる計25サービスまで増える。
PayPayは18年の「支付宝(アリペイ)」を皮切りに海外の決済サービスとの連携を進める。訪日客数で上位10カ国のうち7カ国の決済サービスに対応する。国内の電子決済市場の競争は激しく、訪日客の決済需要の取り込みにも力を入れる。
大阪万博、地下鉄は何度も入場規制 バスは予約優先[2025/04/14 13:08 日経速報ニュース 2474文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、会場の夢洲(ゆめしま)につながる公共交通機関がフル稼働した。関西国際空港や都心部のターミナル駅では混乱は見られなかったが、帰宅ラッシュ時にはシャトルバスなどが予約で埋まり、地下鉄に乗るための長い行列ができた。「並ばない万博」を掲げてパビリオン同様に交通利用も予約中心になったことで、柔軟な対応が難しくなる課題が浮き彫りとなった。
関空客「開催初めて知った」 バス予約アプリに不満
午前9時、関西国際空港第1ターミナルの国際線到着口から出てきた50代ドイツ人夫婦は、真上につり下がる万博のバナーを見上げて「エキスポが大阪で開催されるのは初めて知った」と笑う。関空からは会場へのシャトルバスも発着するが、10時発車のバスに乗り込んだのは近隣住民や国内客が大半。バス関係者は「まだ直行便の知名度がないからですかね」と話す。
利用には関西鉄道7社などが提供する「KANSAI MaaS」のアプリでの会員登録と便の予約が必要だ。バスを利用しようとした岡山県の男性は「予約が必要だと知らなかった。手続きがとても複雑だ」と眉をひそめた。
新大阪駅に案内ボランティア 臨時快速で機運醸成
東海道・山陽新幹線の新大阪駅には、大阪府・市がボランティアの案内窓口を設置し、万博客の道案内などを行った。東京都渋谷区から訪れた杉浦貴史・梅子さん夫妻は、「70年万博に行ったことがある92歳の父親を連れてきたい」と、車いすでも行きやすいルートを問い合わせていた。
JR西日本は新大阪からは、シャトルバスと接続する桜島駅への臨時快速「エキスポライナー」を運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連映像を流しながら、15分ほどで運行した。山陽新幹線では人気漫画「ワンピース」とコラボした車両の運行も12日から始め、万博を契機とした観光輸送の強化へ向けた準備が進んでいた。
会場行き地下鉄は増発、駅で入場制限も
夢洲に直接乗り入れる唯一の鉄道である大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線は、開会前の午前8時台には2分半間隔の臨時増発ダイヤを組んだ。大阪メトロ全体でピーク時に会場輸送の58.6%を担うとされる。会場へ向かう便では、開会式前後では大きな混乱はなかったが、昼ごろには御堂筋線と接続する本町駅や、JR大阪環状線と接続する弁天町駅で混雑が発生。弁天町駅では入場制限も行った。
万博開幕に向けて開業した夢洲駅は、広い改札口に16台の改札機を1列に配置。交通系ICカードや磁気券だけでなく、クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済、顔認証も導入し、各国の利用者の利便性を意識した。ただ、クレカのタッチがうまくいかず行列ができ、駅員に問い合わせる場面もあった。
会場行きシャトルバス、ピーク後は空席目立つ
南海難波駅直結のバスターミナルから万博会場に向かうシャトルバスは、12時過ぎまでのほぼ全便が満席で、外国人の姿も見られた。JR桜島駅から発着するシャトルバスは、午前8~10時発の便は完全予約制だったが、それ以外は予約なしでも空席が目立つ時間も。
桜島駅のバスターミナルの係員は「帰りは相当混雑すると予想されるので早めに予約を」と呼びかけた。ただ、シャトルバスを利用した東京都新宿区の医師、長西美和さん(50)は「(人気歌手の)Adoのコンサートを見て帰るのでまだ予約していない」と語った。
タクシー運転手「行列800人」 帰宅バス、予約で混乱
13日は日中に風雨が続いたことに加え、パビリオン予約ができないとして、午後の早い段階で帰宅する来場者が相次いだ。西ゲートのタクシー乗り場には「到着した午後4時ごろには800人は並んでいた」(タクシー運転手)。
午後9時台、愛知県豊川市から母親と来た30歳代の女性は、新大阪行きのシャトルバスが「予約客で満席です」と利用を断られた。「何でも予約が必要で不便ですよね」とこぼした。予約不要でピストン輸送を実施しているJR桜島駅行きのシャトルバスの乗り場へ向かった。
風雨で帰宅混乱、夢洲駅で入場制限相次ぐ
東ゲートの夢洲駅でも、早く帰宅する客と午後からの入場客が重なったことに加え、運行本数をピーク時より減らしたことも影響し、午後12時ごろから午後3時台にかけて断続的に入場規制がかけられた。
列車の大規模な遅延こそ起きなかったものの、帰宅客は季節外れの寒さの中で駅外での待機を強いられ、行列からの抜け出しを試みる人々も散見された。
午後9時前後から退場客が増え始め、夢洲駅への入場規制を再び行った。警備員らが「走らないでください」「ゆっくり歩いてください」と声を張り上げ、警笛が響く場面もあった。駅の外には一時200メートル以上の行列ができ、入場規制が解消されたのは午後10時過ぎのことだった。
予約中心・会場広さ、代替ルート選びづらく
「並ばない万博」に向け、パビリオンや交通機関は予約利用が中心だ。ただ、13日は天候不順で早めの帰宅を選択した来場者も多かった。実際にAdoさんのライブは予定の終了時刻を過ぎた。予約不要な大量輸送手段は地下鉄と桜島駅へのシャトルバスで、それ以外の選択肢を選びづらい側面もある。運行ダイヤ自体は大きな破綻はきたさなかっただけに、来場者が柔軟に交通モードを選択できなかった点が浮き彫りになった。
また、夢洲駅は東ゲートに、シャトルバスターミナルやタクシー乗り場は西ゲートにある。大人の足で徒歩15分はかかり、どちらかの利用が難しくなった場合、別のルートにすぐ切り替えるのは難しい。会場内では電気自動車(EV)バスが運行するが、存在を知らない来場者も多かった。
万博にはピーク時には1日22万人以上が訪れるとされる。国際空港や新幹線駅では観光誘客のチャンスとみて受け入れ態勢の準備を進める。夏季の猛暑や台風の襲来も今後想定されるなか、会場客が「ラストワンマイル」で柔軟に利用できる運用が、万博を契機とした観光振興のカギを握る。
(田村修吾、下田恵太)
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外為12時 円相場、下落 株高で 日米協議への思惑で一時急伸[2025/04/14 12:34 日経速報ニュース 972文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=142円96~99銭と前週末17時時点と比べて13銭の円安・ドル高だった。前週末の米株高や14日の日本の株高を背景に投資家心理が改善し、過去にリスクを避ける目的で積み上げられていた円の買い持ち高を減らす動きが出た。
ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、金融・資本市場が混乱した際に、米連邦準備理事会(FRB)は安定のために「確実に対処する準備ができる」と述べたと伝わっていた。FRBが施策対応に動くとの見方も市場のリスク回避ムードを和らげ、円の重荷となった。
円は急伸する場面もあった。日米の閣僚級協議などで為替が議題に上るとの思惑などから投機的な円買いが入ったほか、米関税政策を巡る先行き不透明感からドル売りも活発で、円は10時半すぎに142円25銭近辺と日本時間早朝につけた安値の144円台前半から2円超上げた。
ロイター通信は14日午前、赤沢亮正経済財政・再生相が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。17日に実施予定の赤沢氏とベッセント氏の日米協議では為替が議題の一つとして入っている。そのため「円安是正への思惑が高まった」(外為どっとコム総合研究所の中村勉研究員)との声があった。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。一方、先物では国内の輸出企業や機関投資家による為替差損回避(ヘッジ)の円買いがみられた。
日銀の植田和男総裁は14日午前の衆院予算委員会で、米関税政策を巡り「経済・物価を巡る不確実性が大きく高まる」としたうえで「経済・物価・金融情勢を点検し適切に政策判断をする」と述べた。従来通りの姿勢を維持したとの受け止めから、相場を方向付ける材料とはならなかった。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=162円58~62銭と、同28銭の円安・ユーロ高だった。対ドル相場に歩調をあわせて一時は強含んだ。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1372~73ドルと同0.0009ドルのユーロ高・ドル安だった。ドル安の流れに乗って1.1409ドル近辺まで上げ幅を広げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
大阪万博、開幕初日の一般来場者11万9000人[2025/04/14 12:05 日経速報ニュース 372文字 画像有 ]
日本国際博覧会協会は14日、大阪・関西万博開幕初日の13日の一般来場者数が約11万9000人だったと発表した。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者など約2万2000人が入場した。
同日は入場ゲートや米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前に長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」は、正午前時点で最長8時間20分待ちとなり、午前中に受け付けを終了した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生した。
大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日まで半年間にわたって大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開催する。日本での万博開催は2005年の愛知以来20年ぶり。過去最多となる158カ国・地域が参加する。
三井住友カードと三井住友海上プライマリー生命、「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに資産形成型保険2商品を追加[2025/04/14 11:12 日経速報ニュース 1266文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
三井住友カード「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに
三井住友海上プライマリー生命の資産形成型保険 2商品を追加
~業界初、資産形成型保険に対するポイントサービスを開始~
三井住友カード株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 社長執行役員 CEO:大西 幸彦、以下:「三井住友カード」)と、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藏田 順、以下:「プライマリー生命」)は、資産形成型保険((1)変額保険(有期型)「みらいふくらむ」、(2)生存保障重視型平準払個人年金保険(利率変動型)「積立年金保険」)を「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに追加し、2025年4月14日より販売を開始します。
人生100年時代において、「長期・積立・分散」投資による資産形成への社会的関心が高まっています。また、NISA・iDeCoなど資産形成型の金融制度が普及し、「貯蓄から投資」への流れが加速しています。こうした中、分散投資で長期にわたり資産形成を行いながら、生命保険ならではの機能による万一の場合の保障の準備や、ドルコスト平均法(*1)により株式や債券等または為替の変動リスクを低減できる資産形成型保険商品を発売します。
本商品の発売により、「Vポイントが貯まる保険」では、資産形成に関心のあるお客さまにご満足いただける貯蓄性商品の提供が可能となり、保障性と貯蓄性の両方からお客さまの多様なニーズにお応えできます。
さらに、資産形成型の保険商品に対するポイント還元は、業界初(*2)の取り組みです。月払保険料のお支払いで、通常のポイントに加えて1%相当のポイントも上乗せされ、合計で保険料の最大2%(*3)のVポイントが貯まるため、資産形成を効率よく行えます。
*1 「ドルコスト平均法」とは、価格が変動する商品を定期的に一定額購入して、平均購入単価を平準化することを期待する投資手法です。
*2 プライマリー生命の保険では、保険のお申し込みをWEBで完結することによる募集経費の削減効果をVポイントとしてお客さまに還元します。ポイントが還元される市場リスクを有する生命保険商品(特定保険契約)の発売は業界初となります。(2025年4月時点、プライマリー生命調べ)
*3 通常のポイント還元率はカードによって異なります。Vポイント2%還元となるのは、三井住友カードプラチナプリファード、Olive フレキシブルペイプラチナプリファード等、通常のカード利用で貯まるVポイントが1%還元のカードで決済した場合に限ります。通常のカード利用で貯まるVポイントが0.5%還元のカードで決済した場合は、1.5%還元となります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689689/01_202504141111.pdf
外為10時 円相場、上昇に転じる 一時142円30銭台 赤沢氏の発言で[2025/04/14 10:34 日経速報ニュース 653文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇に転じた。10時時点は1ドル=142円94~96銭と前週末17時時点と比べて11銭の円安・ドル高だったが、10時過ぎに同48銭円高の142円35銭近辺をつけた。赤沢亮正経済財政・再生相の発言をきっかけに円安を巡る日米協議への思惑が高まり、円買い・ドル売りが増えた。
ロイター通信は14日午前、赤沢氏が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。それに反応したのが海外ヘッジファンドなどの投機筋だ。「トランプ米政権は円安を批判しているため、円買いの材料となったようだ」(SMBC信託銀行の合沢史登シニアマーケットアナリスト)との声が多い。
米関税政策を巡る不透明感も引き続きドル全体の重荷となっている。ドルは対円だけでなく対ユーロでも売りが膨らんだ。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。半面、先物では国内輸出企業による円買い・ドル売り観測が出ている。
円は対ユーロでも上昇している。10時時点では1ユーロ=162円48~51銭と、同18銭の円安・ユーロ高だったが、その後は162円20銭台をつけた。前週末17時時点は162円30~34銭だった。
ユーロは対ドルで上げに転じた。10時時点では1ユーロ=1.1367~68ドルと同0.0004ドルのユーロ高・ドル安で、1.1385ドル前後まで買われている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
セブン、迫力欠くコンビニ戦略 買収案対抗決め手乏しく[2025/04/14 10:11 日経速報ニュース 2450文字 画像有 ]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、2026年2月期の連結営業利益が前期比1%増の4240億円になりそうだと発表した。2年ぶりの増益を見込む。リテールメディア(小売り広告)事業の本格展開などの成長戦略も示したが、カナダ社の買収提案に対抗するには物足りないとの声も広がる。
売上高に当たる営業収益は10%減の10兆7220億円を見込む。イトーヨーカ堂などを束ねるヨーク・ホールディングス(HD)とセブン銀行を今期中に非連結化する影響を受ける。純利益は前期に計上した特別損失の影響が小さくなり、47%増の2550億円となる見通しだ。
セブンは9日に営業収益予想を10兆7610億円と発表していたが、14日に10兆7220億円と訂正した。
米国コンビニ事業ではトランプ政権の関税政策による消費減速リスクを織り込み、25年度の米既存店売上高の増減率を1月時点の1.5%増から、1.5%減に引き下げた。9日夕にオンラインで開いた決算説明会で、スティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長は関税の影響について「経済や消費行動にはマイナスだ」と述べ、「他社よりも価値を提供するスピードを改善することで競合に打ち勝つ」との考えを示した。
【関連記事】セブン次期社長、コンビニ成長「スピードで打ち勝つ」
カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は7兆円規模の買収提案をセブンに提示している。セブンの時価総額は5兆円程度で、単独路線を進めるためには株価を上昇させる必要がある。
社長交代を発表した3月6日には米国コンビニ事業会社の新規株式公開(IPO)や2兆円の自社株買いといった資本政策を相次ぎ打ち出した。ただ、9日までの株価は13%安に落ち込む。市場の注目点はコンビニ事業の成長戦略に集まっていた。
新規出店623店、PBも強化
国内コンビニ事業は今期、営業利益を5%増の2447億円にする計画だ。コンビニの成長戦略の肝である新規出店は、都心部を中心に623店と高水準の出店を続ける。
24年秋に始めた低価格商品「うれしい値!」のほか、ドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶などレジ横商品の品ぞろえ強化で集客を図る。利益率の高いプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高を1兆5500億円と、前期から500億円増やす。
30年度までの長期戦略では、6年間で設備投資やM&A(合併・買収)に3兆2000億円を投じる。店舗のデジタルサイネージ(電子看板)などに広告を表示するリテールメディア事業を本格展開し、メーカーからの広告料で稼ぎながら、店舗に並べた商品の拡販にもつなげる。
まず25年に電子看板の設置店を現在の7倍の約3500店に拡大する。POS(販売時点情報管理)やスマートフォンアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。
ピザや焼き菓子などレジ横商品の拡充に向けて店内調理への投資を積み増すほか、最短20分で店から商品を届ける宅配サービス「7NOW(セブンナウ)」を通じて1店舗あたりの売上高を伸ばす戦略も盛り込んだ。省人化の取り組みも強化する。
ただ、小売り広告や宅配サービスは同業他社も力を入れている。ファミリーマートはすでに約1万店に電子看板を設置し、自社の決済アプリを使って食品メーカーの広告や割引クーポンを配信するサービスも行う。セブン関係者は「コンビニ成長策について手詰まり感がある」と新機軸を打ち出せない状況を認める。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「選択と集中をすすめ、主力のコンビニ事業で成長の絵を描く戦略だが、それにしては少し物足りない印象だ」と指摘する。
ACTの買収案か単独成長か 「5月末判断」を修正
セブンの買収を巡っては、ACTとの応酬が続いている。ACTはセブン全社を対象にしたデューデリジェンス(資産査定)を要請するが、セブンは買収交渉の前段階として、米独占禁止法の課題解決が必要不可欠との姿勢を鮮明にする。両社は米独禁法の解決のため、2000店規模に及ぶ店舗売却先候補を選ぶ作業を進めている。
セブンの社外取締役で構成する特別委員会は、セブン単独路線とACT案のどちらが企業価値向上につながるかを議論しているが、結論が出るにはなお時間がかかりそうだ。
セブンの丸山好道最高財務責任者(CFO)はACTの買収提案の受け入れ可否などについて、1月のアナリスト説明会では「5月の株主総会までに一定の判断をする」と表明していた。
丸山氏は9日の説明会で「(ACTと自社単独案について)現時点で比較できる状況にない。状況が変わり説明をできる時期になったら公表する」と話した。創業家主導の株式非公開化案が頓挫し、判断時期を事実上修正した。
企業価値を一気に高める施策を打ち出せない中、セブンがACTに対抗するためには加盟店オーナーや株主との対話が欠かせない。ただ、9日の決算説明会は次期社長のデイカス氏や丸山CFO、事業会社や関連会社の役員らが出席したが、現社長の井阪隆一氏の姿はなかった。説明会の方式もオンラインだった。
ある加盟店オーナーは「まずは実現可能なビジョンを示して取り組んでほしい。でなければ、オーナーは離反し優秀な社員も去っていく」とこぼした。
自社株買い最大6000億円、26年2月まで
同日、総額2兆円の自社株買いの方針の一環で、最大6000億円の自社株買いを始めると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の15.4%に当たる4億株を上限に取得する。取得期間は4月10日~26年2月28日。一連の発表後、セブン&アイ株は時間外取引で同日の東証終値比一時5%上昇した。
25年2月期の連結決算は営業収益が前の期比4%増の11兆9727億円、純利益が同23%減の1730億円だった。インフレの影響などで主力の日米コンビニ事業が低迷した。構造改革の一環で米コンビニ不採算店舗の閉店費用やイトーヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退関連費用を計上したことも利益を押し下げた。
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ロシア投資、制裁下でも物色活発 「停戦トレード」に思惑[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1878文字 画像有 ]
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では約85ルーブルと3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
西側に開かれる利点もある。3月に英シンクタンクZ/Yenグループが発表した25年の金融都市ランキングで、東欧・中央アジアでは首都アスタナ(首位)と最大都市アルマトイ(5位)の2都市が選ばれた。
金融特区アスタナ国際金融センターのレナト・ベクトロフ総裁は24年の日本経済新聞の取材に「英国のコモンロー(判例法)の法体系や独自の国際仲裁センターを持ち、海外投資家が活動しやすい」と話していた。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
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三井化学 輸送車両のアナログメーター、DXで遠隔監視へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1734文字 画像有 ]
三井化学が化学製品の安全な輸送に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。同社のプラント監視システムを応用し、輸送中のローリー車におけるタンク内の温度と圧力を監視する仕組みを開発した。アナログメーターの数値をデジタル化することで、乗務員が運転席から降りてタンクに登らなくても車両の様子を確認できるようにする。2025年3月までに実証実験を実施し、有効性を確認した。
三井化学が製造する化学品は、業務委託した物流事業者の専用車両で運搬する。製品の中には高い可燃性を持つものなど危険物も含まれる。危険物の輸送においては、高圧ガス保安法、消防法、毒物及び劇物取締法などの法規制を厳格に守る必要がある。
同社ではこうした法規制に加えて、「レスポンシブル・ケア(RC)」と呼ばれる化学品の安全な製造や使用に向けた業界の自主的な取り組みにも力を入れている。同社の中村淳デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部安全品質グループグループリーダーは「地域住民の安心・安全のため、法規制以上の取り組みを進めている」と語る。
プラントの監視システムを応用
三井化学は輸送における過去のトラブルを分析し、リスクの発生頻度や影響度別に対策を実施している。24年1月から実証実験を進めてきたのが、(1)輸送車両の動態監視(2)緊急連絡カード(イエローカード)のQRコード化――の2つだ。
(1)の輸送車両の動態監視を実現するため、車両のタンクに取り付けられている温度・圧力のアナログメーターの上から磁気センサーを設置した。アナログメーターの針の振れ幅を磁気センサーで計測し、運転席のパソコンに近距離無線通信「ブルートゥース(Bluetooth)」で送信する。従来はアナログメーターを目視確認するため、乗務員がいったん運転席から降りてタンクに登る必要があった。
温度や圧力のメーターそのものをデジタル式に取り換えれば、磁気センサーを設置する必要はないように見える。しかし、危険物の輸送車に取り付けられる温度・圧力のメーターには厳しい規定があり、「現状使用できるのはアナログメーターしかない」(依田馨デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部部長)という。
実は、この温度・圧力の遠隔監視は同社の化学品を製造するプラントで用いられている仕組みを応用したものだ。中村グループリーダーは「プラントと異なり、輸送時には振動がある。実証実験で正しい値を表示できるか検証した」と話す。
25年3月時点で、運転席にいながらタンク内の温度・圧力を確認できた。しきい値を設け、その値を外れた場合は警告を出すようにして、事故を未然に防止する工夫もしている。現在はもう1段階進み、遠隔の物流事業者の事業所で測定データを監視する方法も検討している。
紙のイエローカードをデジタル化
同じく実証実験を進めるのが(2)のイエローカードのデジタル化だ。イエローカードは、化学物質や高圧ガス輸送時の事故に備え、乗務員や消防・警察が取るべき消火方法などの処置を書いたものを指す。従来は紙で運転席に保管しており、事故発生時に素早く取り出すことが難しくなる可能性があった。そこで、イエローカードの内容をQRコード経由で読み取れるようにして、QRコードをタンクに貼り付ける方法に変更した。
イエローカードの内容を作成する作業もデジタル化している。イエローカードは、安全データシート(SDS)と呼ばれる化学品の取り扱い情報をまとめた文書から、事故発生時の対応に必要な情報を抽出して作成する。同社では22年度からイエローカード半自動出力システムの実運用を開始し、SDSからイエローカードに必要な項目を自動で抽出できるようにした。従来は人手で様式に合わせて抽出しており、人によって書き方に差が生じることがあった。
三井化学では化学品の共同物流に向けたシステム開発など、IT(情報技術)で物流を効率化・高度化する取り組みを多数進めている。依田部長は「業界を巻き込んだ取り組みを加速していきたい」と意気込む。
(日経クロステック/日経コンピュータ 渥美友里)
[日経クロステック 2025年3月26日付の記事を再構成]
新社会人のクレジットカード選び ポイント経済圏を吟味-3Graphics[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1257文字 画像有 ]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
コード決済との違いは?
コード決済はクレカのタッチ決済と似ているが、スマートフォンの電源が切れてしまうと使えないのが最大の弱点だ。一方、コード決済はクレカと比べ、自治体などが高還元や割引といった独自のキャンペーンを展開しやすい。買い物をする場所や店舗によって還元率が高い決済手段を選ぶような使い分けをすると、ポイントを多く獲得しやすくなる。
複数枚必要?
メインで利用するクレカに慣れたら、サブで使うカードを作るのも一案だ。何かしらの理由でメインのカードが使えなくなった時の代替にもなる。ただ枚数ばかり増えてしまうと浪費や不正利用に鈍感になりかねない。自分で管理できる範囲にとどめたい。サブのカードはメインと違う還元ポイントにするなど、異なる要素を選ぶと使い分けもしやすい。
滞納すると?
社会人になって作ったクレカの限度額が学生時代と比べて大幅に増えても、収入を上回る額を使うのは避けたい。支払期限に間に合わず滞納が続くと、信用情報機関に滞納した情報が記録されてしまう。「ブラックリスト」に載ると、新たなクレカを発行してもらえなくなるほか、住居の賃貸契約などにも影響を及ぼす可能性がある。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎、デザイン制作協力 タイドデザイン)
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盛岡のデジタル通貨、機能拡充で利用者・加盟店2割増へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1136文字 画像有 ]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは①スタンプラリー機能②会員証機能③ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
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追い証とは 信用取引の追加保証金、株価下落に影響も-市場を知るニュースワード[2025/04/14 04:00 日経速報ニュース 896文字 画像有 ]
株式市場は荒れ模様が続いています。株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式などを代用有価証券として差し入れることもできます。担保は法令で信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると、担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は証券会社によって異なりますが、義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡って2つの売りが出るとされます。第1の売りは、株価下落で含み損が大きくなりはじめた段階で、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。相場全体が一定程度下げると、手じまい売りが連鎖する展開になることがあります。
その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられなかった場合は証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
信用取引で株を買った投資家の含み損益の度合いは信用評価損益率という指標で示されます。一般にマイナス15%が投資家によっては追い証が発生する「黄信号」、マイナス20%はより広範に追い証が発生する「赤信号」とされます。松井証券の店内集計によると、4日にマイナス16.9%(全市場)をつけ、7日にはマイナス23.6%まで悪化しました。これは株式相場が急落した2024年8月5日(マイナス25.7%)以来の低水準です。
前週の株価急落局面を振り返ると、日経平均株価は7日に前週末比2644円(8%)安の3万1136円で終え、翌8日に反発した後、翌9日は反落して終えました。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「7日に追い証回避のための手じまい売りが広がり、そこで発生した追い証の強制決済の売りが9日に出た」と解説しています。
ショッピファイ、ECインフラで開く次の成長[2025/04/14 02:00 日経速報ニュース 5436文字 画像有 ]
電子商取引(EC)サイト構築支援を手掛けるカナダのショッピファイが成長期に入った。直近は提携や買収を弾みに米国でのシェアや収益を拡大。物流部門売却後は、ECインフラの強化に再びかじを切った。投資案件などを分析すると、没入型買い物体験の提供や顧客データの収益化といったショッピファイの次の一手が見えてきた。
電子商取引(EC)サイト構築支援のカナダのショッピファイは成長モードに戻った。
2023年に物流部門を売却して中核のECインフラの強化に再び乗り出して以来、的を絞った提携や買収、製品開発で成長を加速している。米EC市場でのシェアは10%から12%に伸び、24年度の売上高は前年度比26%増えた。
今度は新たな挑戦に向けて布石を打っている。没入型買い物体験の提供からエンタープライズ(大企業)顧客のサポート、広告を通じたデータの収益化まで、世界の商取引でさらに広範な役割を果たそうと土台を固めている。
CBインサイツの投資、買収、連携、決算説明会などのデータを活用し、ショッピファイの次の動きが分かる3つの重要分野を特定した。
・没入型の統一された買い物体験を提供:ショッピファイはゲーム、決済のほか、人工知能(AI)などが消費者の代わりに意思決定する「エージェンティック・コマース」企業との関係構築により、いつでも利用できるクロスプラットフォームショッピングを実現しようとしている。エコシステム(生態系)の中核に据えるのは自社プラットフォームだ。
・大企業向けの定番ECプラットフォームに:システムインテグレーターとの提携、「コマースコンポーネント」など必要に応じて自由に組み合わせられるツール、「ショップペイ」などの別売りツールにより、自社を米セールスフォースや米アドビに代わるモジュール式プラットフォームと位置付けている。
・顧客データを新たな広告収入源に:「ショッピファイ・オーディエンス」のような自社ツールと顧客データプラットフォーム(CDP)やキャンペーンプラットフォームとの連携により、小売り発の新たな広告サービス「リテールメディア・ネットワーク」の土台を築き、加盟店と買い物客のデータを収益化する新たな方法を生み出そうとしている。
下の図では、ショッピファイがこの3つの戦略で既に活発に動いている分野と、次に踏み出すとみられる分野(将来の提携相手や買収企業の予想も含む)を示した。
こうした優先分野は、同社が買い物体験をどう再構築し、広告、法人向けソフトウエア、ECインフラで既存勢に挑もうとしているかを表している。
以下ではそれぞれの予想について詳しく説明する。
1.没入型の統一された買い物体験を提供
ショッピファイの米EC市場でのシェア拡大は、より多くのコンテクスト(文脈や背景)にコマース機能を組み込む周到な戦略を反映している。ゲーム配信プラットフォームの米ロブロックスやAI検索の米パープレキシティのようなプラットフォームとの連携は、ショッピファイのインフラが従来だけでなく新たな環境でも中核に位置するいつでもどのチャネルでも可能な買い物のビジョンを示している。
いつでもどのプラットフォームでもショッピング可能に
ショッピファイは24年後半、パープレキシティの新たなAI買い物支援機能「バイ・ウィズ・プロ」と連携し、エージェンティック・コマースの世界に踏み出した。これにより、消費者はパープレキシティのインターフェースで商品を閲覧し、ショップペイで直接精算できるようになった。
同時期にはロブロックスのEC初の連携パートナーにもなり、「ショッピファイ・チェックアウト」が組み込まれたゲーム内店舗で、加盟店に1日8000万人以上に上るロブロックス利用者へのアクセスを提供している。
ショッピファイはこの目的に向け、自社製品の機能を拡充している。例えば、24年にはPOS(販売時点情報管理)アプリに「タップ・トゥ・ペイ」を導入し、オフライン決済機能を採り入れてオンラインとリアルの体験の結びつきを強化した。さらに、ロイヤルティープログラムを手掛ける米ギャッツビー(Gatsby)と連携し、加盟店がオンラインとリアルの両方で顧客エンゲージメントを築けるようにした。
一方、その場でのカード処理を可能にするインドのキャッシュフリー・ペイメント(Cashfree Payments)との提携は、地域のPOSプロバイダーを通じて各国の経済圏に参入する広範な取り組みの一環だ。
企業の勢いを測るCBインサイツのモザイクスコアに基づき、ショッピファイが事業を拡大する可能性がある主な市場(欧州とアジア太平洋)のアーリーステージ(初期)とミッドステージ(中期)のPOS企業を選別した。さらに、小売業者向けサービスを提供する企業に対象を絞ったところ、ショッピファイの潜在的な提携パートナーとして次の3社が浮上した。
・フラットペイ(Flatpay、デンマーク、モザイクスコア783点):中小企業向けに簡素化した決済処理システムを提供
・英Teya(758点):欧州の中小企業向けに決済処理と金融サービスを提供
・dtcペイ(dtcpay、シンガポール、735点):法定通貨やステーブルコインに交換可能な多通貨スワップなどのサービスを手掛けるデジタル決済プラットフォーム
2.大企業の定番ECプラットフォームに
ショッピファイは従来の中小企業の顧客基盤にとどまらず、セールスフォースの「コマースクラウド」やアドビの「コマース」など大企業向けECプラットフォームと直接競合するための土台づくりを進めている。自社を「大規模で業務が複雑な加盟店のニーズを満たせる柔軟なモジュール式インフラレイヤー」と位置付けている。
移行支援サービスとの提携で大きな壁をクリア
大手の小売業者やブランドがショッピファイのプラットフォームに移行する際の最大の壁の1つは、レガシープラットフォームからの移行の複雑さだ。ショッピファイはこの問題に対処するため、22年からシステムインテグレーター網を徐々に拡大し、デロイト、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、KPMGとの提携により新規顧客の導入と活用を支援している。
24年4月には、エンドツーエンドのデジタルコマースサービスを提供するため、米グーグル・クラウド及びIT(情報技術)コンサルティングの米コグニザントと組み、戦略をさらに強化した。こうした提携はITシステムを購入しようとする大手企業の間でショッピファイの導入が増えており、同社の大企業向け市場参入の動きも進化していることを示している。
ショッピファイはアプリストアにもシステム移行や導入支援パートナーを加えている。24年8月にはデジタルコマース設計のピボツリー(Pivotree、カナダ)を加え、25年1月には企業の移行ニーズに対応するため米Anattaとの関係を拡大した。
大企業向けに精算と決済も効率化
決済ワークフローの効率化はショッピファイの大企業向けシステムでも主なセールスポイントだ。必要に応じてツールを選べる別売りのショップペイは、「コーチ」などの大手ブランドに採用されている。ショッピファイは決済全般をサポートするため重要な提携を重ねている。
・23年6月にはオランダの決済大手アディエンと提携し、グローバルに事業を展開する大手加盟店向けに処理を効率化した。
・24年9月には米決済大手ペイパルとの連携を拡充してペイパルはショッピファイのカードプロセッサーになり、注文管理や報告、ECサイトの売り上げを取り消す「チャージバック」を効率化した。
ショッピファイはアプリストアで暗号資産(仮想通貨)決済にも対応している。24年にはHelio(スイス、現在は米MoonPay傘下)のソラナペイが対応可能なトークン(電子証票)を拡大したほか、ロイヤルティープログラム、ステーブルコインの交換機能を追加し、ショッピファイの最先端の決済サービスの選択肢を拡大した。
さらに、大企業の加盟店のニーズに応えて他のポイントシステムも提供している。24年10月にはAI検索のコベオ(Coveo、カナダ)と提携し、知名度の高い小売業者にAIによる商品の発見、パーソナライズされたお薦めなどのツールを提供した。
税務テック大手の米バーテックス(Vertex)や米アバララ(Avalara)との連携で大企業向けサービスをさらに拡充し、越境取引に伴う複雑なコンプライアンス(法令順守)も支援している。
ショッピファイは大企業の開拓に取り組んでいるため、税務コンプライアンスのソフトウエア企業と提携する可能性がある。そこで、CBインサイツのツール(特定のテクノロジーの分野をリードする未上場企業を見つけ、ランク付けする「ESP」)に基づき、ショッピファイと有益な関係を築く可能性が高い勢いのある企業を特定した。
・米ソボス(Sovos):各国の税務コンプライアンスと規制当局への報告を支援するソフトを提供
・米Exactera:移転価格の算定、法人所得税、研究開発の税額控除に対応したAI税務コンプライアンスシステムを提供
・米ネオタックス(Neo.Tax):新興企業や中小企業向けにAIを活用した税務自動化ソフトを開発
ショッピファイのこうした動きは、必要な技術を自由に組み合わせられる大企業向け技術スタックへの移行を示している。迅速な導入、柔軟なツールの提供、グローバル事業に対応したサービスの提供により、既存ベンダーに対抗する構えだ。
3. 加盟店網とファーストパーティデータを活用し、加盟店向け広告を強化
ショッピファイはこれまでも加盟店にパーソナライゼーションと顧客獲得ツールを提供してきた。だが最近の製品アップグレードと技術提携からは、膨大な加盟店網と豊富なファーストパーティデータを武器に本格的な広告ビジネスに発展させようとするさらに大きな野心がうかがえる。
同社の活動は独自のリテールメディア・ネットワークの構築を進めていることを示唆している。これにより同社は加盟店や外部ブランドに広告スペースを販売できるようになり、米アマゾン・ドット・コムや米グーグル、米ウォルマートなどの広告大手と競合する。
ショッピファイはまず、2つの広告関連製品のアクセスを拡大した。
・24年6月に提供開始した顧客獲得ツール「ショッピファイ・オーディエンス」最新版(バージョン2.4)では、加盟店がさらに的を絞った顧客グループを対象にし、ネットワークやプラットフォームを横断して広告の成果を最大化できるよう支援している。顧客獲得コスト(CAC)が最大50%減った加盟店もある。
・24年12月には、米国とカナダの全ての加盟店が広告ツール「ショップ・キャンペーン」を使えるようにした。これまでは上位サービス「ショッピファイ・プラス」の加盟店に限られていた。
もっとも、ショッピファイの経営陣は自社製品以外にも広告の可能性を見いだしている。
ショッピファイは顧客データを集約して有効化するため、行動や取引に関する知見を集める外部プラットフォームと提携している。
・24年10月には、ショッピファイのアプリストアで米ブルーシートのツールが使えるようになった。このツールには顧客データプラットフォーム、お薦めの自動判断、クロスチャネルの販促プラットフォームなどが含まれている。
・同じ24年10月には、カナダのトレリスがショッピファイと連携すると発表した。これにより、買い物客データをアマゾン・マーケティング・クラウドに連携し、様々なプラットフォームの買い物客の知見に基づいてさらに効果的に的を絞ったメッセージを送れるようになった。
ショッピファイは今後、CDPやデータクリーンルームを独自に提供し、データオーケストレーション(収集・整理・調整)機能を強化する可能性がある。そこで、買収確率とモザイクスコア(600点以上)に基づき、CDP市場でショッピファイが買収しそうな企業を予測した。
・オプティムーブ(Optimove、イスラエル):AIを活用し、BtoC(消費者向け)企業を対象にパーソナライズされたマルチチャネルキャンペーンを調整
・米サイモン(Simon):小売り、旅行、サブスクリプション(定額課金)企業向けのパーソナライゼーションとカスタマージャーニーの調整
・米ハイタッチ(Hightouch):データのアクティベーション(有効化)とリバースETL(抽出・変換・ロード)サービスに特化した必要なツールを自由に組み合わせられる顧客データプラットフォーム
ショッピファイは加盟店向けに新たな需要チャネルも築こうとしている。24年には、ECサイト構築支援の仏ミラクル(Mirakl)と提携して外部マーケットプレイスを構築可能にしたほか、米小売り大手ターゲットと組んで加盟店の商品をターゲットのオンラインショップで取り扱えるようにした。
こうした動きはショッピファイが加盟店ツールの構築にとどまらず、既存の広告プラットフォームの牙城に挑み、ブランドが買い物客とつながる手段を再定義する可能性がある垂直統合型のコマースとメディアのスタックを築こうとしていることを示している。
「50代からの資産運用法」 東京・大手町で無料セミナー(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 夕刊 3ページ 237文字 PDF有 書誌情報]
リスクを抑えた資産運用法を解説。資産活用、資産の取り崩し、相続など、退職世代の方に知っていただきたい内容をお伝えします。
◇日時 2025年5月10日(土)午前10時~11時50時頃
◇会場 スペースニオ(日本経済新聞社東京本社ビル2階)
◇定員 50名※参加無料。応募多数の場合は抽選
◇講師 佐藤駿介さん(株式会社Fan)
◇申込締切 4月30日(水)午前9時半
◇申込 QRコードより
主催 日本経済新聞社エリアセールスユニット/日経ピーアール
協力 株式会社Fan
会場活況、事前予約14万人 「並ばない万博」早くも行列 不具合・混雑解消に課題[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。(1面参照)
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフらがずらりと並び、手を振りながら歓迎した。
米国やスペインなど各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を訴え、来場コントロールに力をそそいできた。背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけにアクセスは1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオンだけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。
準備遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期開業も来場者の満足度向上に不可欠。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。
うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
アフリカと向き合う――日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
【図・写真】いまい・としみつ 1988年早稲田大商卒、豊田通商入社。2018年にトヨタ自動車常務役員などを歴任し、25年4月から現職
「ウィーン国立歌劇場」一般販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 341文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の一般販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S7万9000円~E2万6000円、土・日S8万2000円~E2万9000円ほか
◇チケット販売 4月18日よりNBSほかにて発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
特集――NIKKEIAsia China eyes mature tech for chips[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1968文字 PDF有 書誌情報]
読まれた記事
EDITOR’S PICKS
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と協力関係にある中国の半導体製造装置メーカーの深市新凱来技術が、粛々と技術開発を進めているようです。半導体製造装置は日本や欧米の企業の独壇場でしたが、米国が対中輸出規制を強めるなかで中国勢が技術水準を高めています。日本経済新聞の英字媒体「Nikkei Asia」では中国内外の取材網を活用し、同国企業の技術動向を追っています。
中国半導体「成熟技術」フル活用
驚くべきは新凱来技術の技術範囲の幅広さ。2021年8月設立の新興企業でありながら、露光装置から蒸着、測定、エッチング、ALD(原子層堆積)に及んでいます。深市政府系の投資会社が出資し、ファーウェイとも緊密に連携しているといいます。他社の経験豊富なエンジニアを積極採用し、力をつけているようです。
同社の露光装置が描く回路線幅は28ナノ(ナノは10億分の1)メートル。数ナノ単位の線幅を競う最先端品に比べれば「枯れた」技術ですが、自動車やロボット用半導体の製造に応用できます。
毎週水曜日に掲載する特集「Tech Asia」でも、中国が「枯れた技術」を急速に蓄積し、炭化ケイ素(SiC)ウエハーなどの価格破壊を引き起こしていると指摘しています。最先端ではなくても、すでに広く使われて信頼性が高い点で優位性があります。最先端技術で半導体立国の再興を目指す日本とは対極的ともいえます。
国・地域別トップアクセス
@シンガポール 富裕層向け運用で横領
シンガポールにある中国人富裕層向け資産運用会社(ファミリーオフィス)で7400万シンガポールドル(81億円)規模の横領が起きたとして、同社のトップが元従業員4人を告発しました。同国警察がこの件の捜査を始めています。シンガポールはこれまでファミリーオフィスの誘致に積極的でしたが、2023年8月には大規模な資金洗浄事件も発生しました。相次ぐ問題にアジアの金融センターがどう対処していくのか注目が集まっています。
@フィリピン 日本発新興企業に注目
フィリピンでは日本発のフィンテック企業、グローバル・モビリティ・サービスの記事が読まれました。貧困から脱却しづらい三輪タクシーの運転手が経済的に自立できるよう支援しています。借り手となる運転手が同社独自のIoT機器を車体に装着することを条件に、金融機関が車両を購入するためのローンを提供します。働きぶりを数値化でき、支払いが滞ればエンジンを停止できることが返済を保証する「担保」になります。家を購入したり子供を大学に通わせたりできるようになる成功例も出始めています。
@台湾 第2野党「防衛予算、メリハリを」
台湾の第2野党の台湾民衆党党首で、与党・民主進歩党との対決を唱える黄国昌氏がインタビューに応じました。中国が軍事的威嚇を強めるなか、台湾は軍事支出を増やす方針ですが、黄党首は「税金を見境なく防衛費に使うべきではない」と述べました。台湾の防衛予算は域内総生産(GDP)の3%未満ですが、米国は10%程度にまで増やすよう要請しています。必要なところにメリハリをつけて予算を割くよう求めています。
QRコードから英文をお読みいただけます。
LIFE&ARTS
国外で花開くミャンマー料理
ミャンマー料理が世界各国に広がっています。ミャンマーの食文化は近隣のタイ、中国、インドの影響を受け発展してきました。2021年の国軍によるクーデター以降、ミャンマー人シェフたちが活躍の場をミャンマー国外に求め始めたのが、足元の急速な国際化の大きな要因です。
記事では、タイやマレーシア、韓国、日本、欧州などで活躍する多くの料理人らによる伝統的な豚肉料理やサラダ、西洋風の趣向を凝らしたカワエビと焼きナスの一品など約20点の写真とともに紹介しています。東京都内の店も紹介しており、お店選びのガイドとしても活用できます。
OPINION
「中国プラス2」の時代に?
専門家が寄稿するオピニオン欄では、保護主義の台頭やコストの増加を回避するために中国以外にサプライチェーン(供給網)を多様化する「チャイナプラス1」戦略について論じた記事が読まれました。
米トランプ政権の誕生で世界の不透明さが増すなか、同戦略を進めているのは欧米企業だけではありません。中国比亜迪(BYD)やファーウェイのような中国企業も東南アジアや欧州に拠点を広げています。米国の関税を回避する必要性が高まってきているためです。先の読めない状況に対応するため、生産拠点のさらなる多様化を迫られています。
【図・写真】中国は急速に半導体の生産能力を拡大している=ロイター
【図・写真】料理を盛り付けるミャンマー人シェフ
【図・写真】コンテナが並ぶ上海の洋山港=ロイター
デジタルガレージ オンライン完結型火災保険[2025/04/14 日経MJ(流通新聞) 4ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。
同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
大阪万博、初日の来場予約14万人超 混雑解消など課題も[2025/04/13 19:30 日経速報ニュース 1235文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。
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・大阪万博開幕、想定来場者2800万人 158カ国・地域参加
・大阪万博、大屋根リングに明かり【開幕タイムライン】
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、厳しい入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフら数十人がずらりと並び、来場者に手を振りながら歓迎した。会場の熱気に協会の十倉雅和会長は「この日を無事に迎えられて感無量だ」と話した。
米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を強く訴え、来場コントロールに力をそそいできた。その背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけに、アクセスは2025年1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば、不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオン、商業施設だけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。
大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、主要乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。協会も今後、ゲート前の混雑が見込まれる場合、午前9時の開場時間の前倒しを視野に入れる。
準備の遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期オープンも来場者の満足度向上には不可欠となる。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
「一部の国で内装が開幕に間に合わないのは過去の万博でもあった」(大阪府の吉村洋文知事)との指摘もあるが、来場者からは残念がる声が漏れる。
滋賀県から訪れた小森美香さん(58)は「ネパール館も行ってみたいパビリオンの一つだった。あまりにも工事途中でびっくりした」と指摘。兵庫県伊丹市に住む安福健也さん(62)は「完成していないパビリオンがあるのは残念。会期中にもう一度見に来たい」と話した。
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ドル信認問題、開いたパンドラの箱-客員編集委員 滝田洋一[2025/04/13 11:00 日経速報ニュース 2371文字 画像有 ]
米国株だけでなく米国債まで売られ、ドル相場の足元さえ揺らいでいる。トランプ関税を機に、ドルの信認問題という古くて新しいパンドラの箱が開けられた。
「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」。1997年6月23日、米コロンビア大学の講演で橋本龍太郎首相はそう述べた。
通商交渉での米国側の理不尽な要求を振り返っての発言だが、クリントン米政権の逆鱗(げきりん)に触れた。「もし売れば宣戦布告とみなす」とルービン財務長官周辺は受け止めた。
97年11月の日本の連鎖金融破綻に、米国は冷淡そのもの。98年6月の訪中で中国トップの江沢民氏と会談したクリントン大統領は、金融危機の渦中にあった日本を「アジアの不安定役」と突き放した。
それから幾星霜、今度は中国が外貨準備として保有する米国債を着実に売っている。2025年1月末の米国債保有額は7608億ドル。前年同月比で369億ドル減らしている。
トランプ大統領による2日の相互関税の発表以来、米中の関税をめぐる応酬はエスカレートの一途。そのさなかに中国による米国債売却の観測が市場を駆け巡っている。
中国はピーク時に1兆3000億ドルを超えた米国債保有を圧縮し続ける。背景は米中貿易摩擦だけだろうか。台湾統一を目指す習近平(シー・ジンピン)国家主席が、武力行使の選択肢を排除しないことも見逃せまい。有事の差し押さえに備えた動きとの見方は根強い。
米国にとって米国債市場の安定はドル基軸通貨体制の要である。2月7日のワシントン。トランプ氏との会談を終えた石破茂首相はベッセント財務長官と意気投合した。
石破首相が示した米国債保有額のグラフ
石破氏が指し示したのは日本と中国の米国債保有額のグラフ。中国の折れ線がつるべ落としなのに対し、日本の折れ線は1兆ドル台で安定している。1月末で1兆793億ドル。ベッセント長官は安定勢力である日本に破顔一笑した。
先例がある。1995年4月、円が初めて1ドル=80円を突破したころ、ワシントンにサマーズ財務次官(後に長官)を訪ねた加藤紘一自民党政調会長(当時)は日本やアジア諸国の外貨準備を示した表を見せ、ドルの信認を守るよう訴えた。
基軸通貨国であるドルは「途方もない特権」を持っている。仏大統領だったジスカールデスタン氏は財務相時代にそう述べた。
米国は外国から輸入しても、相手国にその代金としてドルを受け取ってもらえる。なので外貨を調達する必要がなく、ドル札を刷りさえすればよい。これが特権の中身だ。
貿易赤字国である米国の対外純債務は2023年末時点で2805兆円。フランスは129兆円、英国も149兆円の対外純債務国だが、文字通り桁が違う。
多くの国々はドル建てで貿易取引し、ドルで決済し、外貨準備で米国債を保有する。その結果、米国の対外赤字は米国債投資の形をとって米国に還流する。
1971年8月のニクソン・ショックでドルは金との交換可能性を失った。ドルは「不換紙幣」となったのに、米国の信用を担保に依然として基軸通貨として君臨している。うらやましい限りなのに、そう考えない向きがある。
「ドルは外貨準備の需要から割高に」
トランプ政権のミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長だ。「ドルは外貨準備の需要から割高になり、米国の製造業や貿易可能財の生産者がそのコストを負っている」
ヘッジファンドのストラテジスト時代の昨年11月に発表した論文「世界貿易システム再構築のためのユーザーガイド」。そのなかで、ミラン氏は喝破する。
強すぎるドルの負担を軽減するための通貨調整。1985年9月にドル高是正のためにG5(日米独英仏の主要5カ国)が一致したプラザ合意の現代版、フロリダのトランプ氏の邸宅になぞらえたマール・ア・ラーゴ合意が取り沙汰される。
だが一連のトランプ砲を、基本的には為替調整であるプラザ合意の現代版というのは妥当だろうか。
「トランプ政権の一連の施策は1971年のニクソン・ショックの再来だ」。相互関税をめぐる騒動にてんてこ舞いの内閣府幹部はそう漏らす。
71年のニクソン・ショックはドルの切り下げとして記憶に刻まれるが10%の輸入課徴金を同時に打ち出した。輸入課徴金とはトランプ関税よりストレートな表現である。
45年に第2次世界大戦が終わって四半世紀あまり。米国は経済と軍事の両面で西側世界を支えてきた。そのパクス・アメリカーナ(米国の平和)の重荷を日欧に分担させようとしたちゃぶ台返しが、71年のニクソン・ショックである。
同様に90年前後にソ連との冷戦に勝利した後のパクス・アメリカーナ第2幕にも、金属疲労が強まっている。そこに登場したトランプ政権が、打ち出したのが関税の連射。それに続くのはドル高是正だろう。
ニクソン氏を尊敬するトランプ氏が、71年のニクソン・ショックと同様な策をしつらえたのは偶然ではない。問題は時間軸。金との交換可能性を絶ったドルが、安定した強みを確立するには冷戦の終わりと米経済の復活を待つ必要があった。
ルービン財務長官が「強いドルは米国の国益」と宣言するのは実に95年1月。71年からそれまでの四半世紀近く、歴代の米政権は「ドル安容認→副作用の表面化→ドル防衛」のサイクルを繰り返し、何度も基軸通貨ドルに信認の危機が訪れた。
そして今、トランプ氏は71年と同じパンドラの箱を開けた。政権が目指す製造業の復権とテクノ覇権の融合。それがいつ、そして本当に実現するか分からない。しかも71年当時の日欧とは異なり、覇権を争う中国は経済でも軍事でも米国とガチンコ勝負である。
いきおいトランプ氏はかんしゃくを起こす。ドルは信認問題の歴史を繰り返しつつある。米国の単独行動が際立つ分、事態は厳しさを増している。
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アフリカとどう向き合う 国連機関高官ら3氏に聞く-アフナ・エザコンワ氏/今井斗志光氏/堀内俊彦氏[2025/04/13 05:00 日経速報ニュース 4275文字 画像有 ]
3年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)が8月に横浜市で開催される。世界の分断が進む中、潜在的な成長力やビジネスチャンスから「最後のフロンティア」といわれるアフリカと日本はどう向き合えばいいのか。日本企業による投資の出遅れも気がかりだ。関係者に聞いた。
◇ ◇ ◇
「自国第一」に対抗を UNDP総裁補兼アフリカ地域局長 アフナ・エザコンワ氏
米欧が途上国向け援助の削減に動いている。自国が利益を得られるプロジェクトだけに投資すべきだとの思考に陥っているようだが、あまりに近視眼的な判断だ。国際社会のあり方は長期的な視野に立って考えなければならない。繁栄する社会の一員であり続けるには、平和で繁栄を共有する世界が必要なのだから。
日本は高度に工業化された国だ。その経済は輸出などを通じて他の国々の消費が支えている。人口減少に直面する日本が長期的に成長を持続するには、ますます海外の市場に頼らざるを得ないだろう。
アフリカは人口の中央年齢が19歳と世界で最も若い大陸だ。15億人の巨大なマーケットもある。消費意欲が旺盛な中流階級が増加すれば、日本企業にとって大きなチャンスが生まれる。教育や医療といった「人への投資」の拡大は将来の中流階級を育成することにつながる。
日本はグローバルノース(先進国)とサウスの架け橋になる役割を果たせる国と考えている。米欧は遅れた途上国を援助するという発想が強すぎる。一種の依存関係になっており、必ずしも健全とはいえない。TICADをプラットフォームとして活用し、日本の持ち味である途上国とのより対等なパートナーシップを新たな南北関係として広げられるのではないか。
TICADはもっと日本の若者に焦点を当てるべきだろう。アフリカは若者の大陸であり、デジタルテクノロジーで大きな変革が起こりつつある。日本の若者がアフリカを訪れる機会を増やしてもらいたい。若者なら現地のニーズやアフリカの潜在力、チャンスをより深く感じ取れるはずだ。文化的な障壁なども打ち破れるだろう。
アフリカが地理的に日本から遠いのは確かだ。しかし、感覚的な距離感はそれよりも遠い。日本の若者がTICADに参加すれば、人と人との交流の拡大や新たな共創のアイデアにも期待できる。
TICADにおいて民間の役割は極めて重要だ。日本の経済界では、社会課題の解決を目指す現地のスタートアップへの投資拡大の取り組みが進んでいる。日本政府が民間企業としっかり連携し、大学やシンクタンクとも協力してくれることを望んでいる。
米欧や中国が開催するアフリカとの首脳会議はバイラテラル(2国間)だが、TICADは違う。国連開発計画(UNDP)や世界銀行を巻き込みながら日本が議論をリードする枠組みだ。単なる国家間の政治的協議ではない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)とも連動しやすい。
資金援助が開発協力のすべてではない。政府開発援助(ODA)はむしろ民間の投資や貿易促進のためのカタリスト(触媒)として使うべきだ。システムを改革することで多くの民間資金が開発分野に流入する可能性は大いにある。実態を反映しない不公正な格付けの是正や公的資金によるリスク軽減が有効だろう。
求められるのは国際協調と連携だ。グローバルな連帯は必要ないという主張に対抗する必要がある。日本のリーダーシップに期待したい。
(聞き手は下田敏)
◇ ◇ ◇
日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
◇ ◇ ◇
「25億人市場」が力 外務省アフリカ部長 堀内俊彦氏
TICADの1回目は、冷戦が終わり世界がアフリカに関心を失った1993年に開いた。当時アフリカ全体との枠組みを設けたのは日本がほぼ唯一で、その後欧米や中国などが追随した。
日本政府はTICADの枠組みを生かし、アフリカとのビジネスをつなぐ人材を育ててきた。アフリカの若者が日本の大学院で学んだり、企業でインターン生として経験を積んだりするプログラムも実施してきた。各国首脳が日本に集まることに伴い、日本企業とアフリカ各国との多様な合意も生んでいる。
日本が各国に供与する政府開発援助(ODA)の額は減ってきたものの、アフリカのためにこつこつと努力してきた日本はアフリカで仲間を増やしている。TICADは信頼されるブランドになっていると思う。
アフリカ諸国のほとんどは小麦や肥料の価格が上昇すれば大きな打撃を受けるし、気候変動による影響も大きく、まだまだ脆弱だ。世界の経済・社会的な変化を最も受ける地域であり、先進国や国際機関による開発援助のニーズは依然として高い。しかしそれだけではない。
そもそもなぜ日本がアフリカに関与すべきなのか。鉱物など資源が豊富なことのほかに、人口が増えており、日本企業にとって市場としての魅力が高まるのは間違いない。
アフリカでは先進国に対して開発よりもビジネス面での期待が強い。最近の世論は若者の高い失業率という雇用問題により関心を抱くようになってきた。労働力不足に直面する日本と補完できるはずで、日本企業が現地に生産拠点を築く可能性が広がる。
それに加えて、日本企業にとっては技術革新のパートナーにもなり得る。アフリカは日本など先進国に比べて規制が緩い国が多く、最先端技術を実証実験できる「サンドボックス」としても期待できる。
とはいえ、アフリカ事業に対して日本企業の動きは鈍い。各社がまだリスクが高いと考えているのが理由だ。人口動態を見れば、いま関わらないことがかえって将来の利益を逃すコストになるとみるべきだ。
アフリカがグローバルガバナンスに関して不公平感を持っていることも見逃せない。気候変動対策では先進国に途上国支援の資金拠出を迫った。アフリカ各国は不当に低い格付けにされ、資金調達に高い金利を課せられてきたことにも不満を持っている。
最近注目されるのが、アフリカ諸国が加盟するアフリカ連合(AU)の枠組みで「域内標準」を構築する動きだ。貿易における原産地証明や紛争解決、医薬品に関する規制などで統一規格作りが始まっている。
欧州連合(EU)のルールが世界標準のようになって各国に影響を及ぼすことを「ブリュッセル効果」と呼ぶ。やがて人口が25億人の市場となり、世界の重心がアフリカに傾いていく。AU本部があるエチオピア首都の名前から「アディスアベバ効果」に世界が注目する日が来るかもしれず、目が離せない。
(聞き手は野沢康二)
◇ ◇ ◇
〈アンカー〉対等な関係こそが国益に
アフリカの人口が増え続けるのは間違いない。2050年には世界の4人に1人がこの大陸に住む。アフリカは海外から投資を呼び込み、雇用を生み出し、所得と消費の好循環を実現する戦略を描く。
トランプ米政権の援助停止や相互関税はその戦略をゆがめ、ただでさえ脆弱なアフリカ経済に打撃を与える。だが、経済的な自立への動きはかえって加速する可能性がある。欧州や中国の収奪にさらされてきたアフリカには大国への根強い不信感がある。
日本はTICADを通じて、対等なパートナーシップを訴え続けてきた。技術支援や人材育成でアジアを経済発展に導いた実績もある。今こそアフリカに「メード・ウィズ・ジャパン」を呼びかける必要があるのではないか。官民で独自の経済外交を展開することが日本の国益につながる。
(編集委員 下田敏)
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花見のAI幹事は2万円 余興も提案、任せっぱなしはNG?[2025/04/13 02:00 日経速報ニュース 1208文字 画像有 ]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員 中村奈都子)
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日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 361文字 PDF有 書誌情報]
(1)軽率なトランプ関税、責任は米共和党に(7日)
(2)グローバル化の巻き戻し狙うトランプ氏の関税攻勢(上)(8日)
(3)トランプ関税 アクセサリー、バッグ、ビールも餌食に(5日)
(4)氾濫する「ジブリ風」画像、AIの限界も浮き彫りに(4日)
(5)あなたの仕事がまだAIに奪われていない理由(7日)
(6)トランプ氏が壊した同盟関係、修復困難に(社説)(8日)
(7)米国版「文革」にほくそ笑む中国 マーティン・ウルフ(7日)
(8)トランプ氏まるでマフィアのボス ギデオン・ラックマン(9日)
(9)トランプ関税を裏付ける「地経学」 ジリアン・テット(8日)
(10)米電力相次ぎ値上げへ、トランプ氏の公約に打撃(7日)
スマートフォンでQRコードを読み込むと「NIKKEI FT the World」の申し込みサイトに移ります。
メタ、取締役にトランプ第1次政権の高官 規制回避狙う[2025/04/12 14:23 日経速報ニュース 588文字 画像有 ]
【シリコンバレー=清水孝輔】米メタは11日、トランプ第1次政権で大統領副補佐官を務めたディナ・パウエル氏らが新たに取締役に就任すると発表した。米欧で政治リスクが高まるなか、トランプ氏とつながりのある人物を起用して規制圧力を回避する狙いがあるとみられる。
パウエル氏は15日付でメタ取締役に就任する。米ゴールドマン・サックス元幹部で、トランプ氏の長女イバンカ氏と親交があることで知られる。トランプ第1次政権では国連大使の候補としても名前が挙がった。共和党系の人物でブッシュ政権(第43代)では国務次官補を務めた。
メタは11日にはパウエル氏に加えて米オンライン決済大手のストライプのパトリック・コリソン最高経営責任者(CEO)が取締役に就くと発表した。メタ取締役にはすでに米半導体大手ブロードコムのホック・タンCEOなど著名経営者らが名を連ねている。
メタは1月には米総合格闘技団体UFCのダナ・ホワイトCEOらが新たに取締役に就任すると発表した。同氏はトランプ氏の支援者として知られる。メタはトランプ氏の就任以降、共和党系の政府渉外担当を昇格させるなど政権との関係改善を模索してきた。
メタは米国や欧州で規制圧力に直面する。米国では14日に同社を訴えた米連邦取引委員会(FTC)との裁判の審理が始まる。トランプ政権への接近には規制に対応するための後ろ盾を得る思惑が透ける。
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JR東日本、12年前の「炎上」が教訓 データ企業へSuica改革[2025/04/12 05:00 日経速報ニュース 2280文字 画像有 ]
交通系ICサービス「モバイルSuica(スイカ)」のデータを使い、自動改札機を通らなくても鉄道に乗れるようにする――。JR東日本は2024年12月、今後10年かけてスイカを抜本改革する方針を明らかにした。乗降データをクラウドに集約し、新たなサービス開発に生かす。データの外販が中止に追い込まれた12年前の失敗を教訓に、国内屈指の「データカンパニー」に生まれ変わるための布石だ。だが、利用を想定する位置情報取得技術は数メートルの誤差が生じるなど、実現にはまだ課題が残る。
荷物で両手の塞がった人も
JR東が発表した計画では、現在は端末側に記録している運賃精算などの情報をセンターサーバーで管理するようにする。それに伴ってモバイルスイカにひも付く位置情報データをもとに、出発から到着駅までの運賃を徴収する。タッチしなくても、また改札機がない駅でも、位置情報を活用して改札を通過できるようになるという。
同社の営業エリアには約1600の駅がある。そのうち地方沿線など7割弱の駅には改札機が置かれておらず、駅員が運賃の精算に対応しているが、駅業務の省人化につなげる。改札機が不要になれば、杖を持った高齢者や荷物で両手の塞がった乗客がスムーズに乗り降りできるようになるほか、改札機の維持管理コストの削減が見込める。
この記事はNIKKEI Digital Governanceから転載しています。関連記事はこちら。
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現在、個々の改札機で処理している移動データは26年度までにクラウド化する。データを集約すれば、時間帯や曜日、スイカの決済額といった利用条件に応じた運賃の割引など柔軟なサービスを提供できる。
毎月3000円を払えば自宅の最寄り駅からどの駅に行っても運賃が50%割引になるようなサブスクリプション(定額課金)や、地域限定の周遊券など他の交通機関や店舗などと組み合わせたサービスも提供できるようになる。ビッグデータとしての質と量を両立させることで移動に関わる情報を的確に把握し、新たなサービス開発につなげる狙いもある。
Suicaサービスのクラウド化は01年の導入時も案はあったが、ラッシュ時の膨大なデータを自動改札機を通るわずかな時間で処理するのは難しいとの判断があった。サービス開始から約25年がたち、技術的に進んだことから導入が可能になった。
JR他社や私鉄と直通運転する区間の精算方法など具体的な計画は今後詰める。一定の検証を経て、10年以内の実用化を目指す。
13年の試みは批判殺到で中止
データの活用をめぐっては苦い過去がある。JR東は13年、スイカ利用者の乗降駅や生年月、性別などデータの外販サービスを試みた。企業のマーケティング戦略に生かせる新事業として注目された。だが、利用者から個人情報やプライバシーの保護への不安や懸念の声が上がり、中止に追い込まれた。
情報通信白書(2017年版)によると、利用者の不安を払拭できなかった一因は、JR東の事前説明が不十分だったためだ。加えて、匿名加工されたパーソナルデータの利用に関するルールが未整備だったことも影響した。ビッグデータ利用の議論のきっかけとなり、その後、改正個人情報保護法でルールが整備された。
JR東は教訓を踏まえ、今後の施策では、スイカの顧客情報はデータセンターのサーバー上で管理する。加工などを施したうえで必要な情報以外を扱うことがないようにする。同社マーケティング本部の田辺政昭マネジャーは「セキュリティーの強いシステムの奥の方でデータを管理し、外部からは接続できないようにする」と説明する。
ただデータを安全に管理できたとしても、サービスの実用化には技術上の課題がある。焦点になるのが、乗客の位置情報をどれだけ正確に把握できるかだ。
JR東が検討する案の一つは、駅構内にビーコン(電波受発信器)を設置し、スマートフォンのブルートゥース(近距離無線通信)と連携させることで位置情報を拾う手法だ。
出発駅と到着駅それぞれで特定の場所を通過したら電車に乗ったと見なし、その区間分の運賃を精算する。処理スピードも比較的速いとされるが、取得する位置情報に数メートルの誤差が生じる場合がある。首都圏など混雑した駅では運賃の誤精算につながる恐れがある。
顔認証は「抵抗感少なくない」
もう一つは超広帯域(UWB)技術を使う案だ。もともと主に軍事用レーダーとして開発が進められてきた技術で、位置情報の誤差も「数センチメートル以内に抑えられる」(JR東)という。しかし、こちらは標準搭載されていないスマホ機種も多く、サービスの普及に課題が残りそうだ。
このほか大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)がすでに導入している顔認証による改札通過システムも考えられるが「社内の声を聞いていても、自分の顔を読み取られることに抵抗感のある人は少なくない」(マーケティング本部の浜貴之マネジャー)。認証機の導入に相応のコストがかかることも想定される。
そもそもどの手法でも、モバイルスイカを持っていなければ電車に乗ることができない。改札機を一部残したとしても、スイカを持たない客が改札機のないエリアを通過して無銭乗車につながる可能性もある。JR東の田辺氏は「それぞれの技術的な改良など今後の進歩を見定めながら検討していく」と話す。
(石崎開)
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中国の製造強国化は道半ば シャミク・ダール氏-調査会社ファソム・コンサルティング特別顧問[2025/04/12 02:00 日経速報ニュース 1676文字 画像有 ]
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2015年5月、戦略的経済計画「中国製造2025」を発表した。その地政学的な野心は明白で、米国と肩を並べ、いくつかのハイテク産業を支配する狙いだった。
10年後の結果はどうか。ファソム・コンサルティングのデータベースで1800以上の品目を分析すると、製造2025が目標をおおむね達成したことがわかる。9つのハイテク産業で中国は世界最大の輸出国となった。
しかしそれが物語の全てではない。無視できないのは、輸出の伸びのかなりの部分は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟後の03年から製造2025の発表までに達成されていた点だ。中国が計画で対象とした品目の市場シェアは03年から13年の間に6ポイント増加したが、それ以降は2ポイントしか増加していない。中国は自国の強みを生かすというより、全ての産業を同時に支配することを目指している。
成功例のうち電気自動車(EV)を見てみよう。EVは製造2025の対象品目だが、最近まで大半の国の貿易データで独立した品目として報告されていなかった。しかし最近になって貿易収支にEVを加えると、製造2025に関連した貿易赤字の規模が約10%縮小した。20年時点でEVは赤字だったので、注目すべき変化だ。
EVは他分野における戦略の青写真になる可能性がある。まずは海外企業とのM&A(合併・買収)により、外国のノウハウと国内のイノベーションを組み合わせる。これが達成されれば、外国企業の買収はもはや必要なくなり、現地法人の設立や実際の生産が増加する可能性が高い。このパターンはまさにEVでみられた。
人工知能(AI)分野でも同様のことが起きるか。先端技術を低コストで急速に拡大しているDeepSeek(ディープシーク)は最新の事例だが、成功するかまだ断言はできない。
中国はIT(情報技術)の中間製品では依然として後れをとっており、特に半導体では大幅な輸入超過だ。最先端の半導体はいまだ台湾に依存している。
EV戦略は製造2025の貿易赤字を縮小するための青写真になるかもしれないが、現在の地政学的環境において課題に直面している。輸入の脆弱性や地政学的な緊張の高まりは15年時点では予期されていなかった。
製造2025は重商主義的で、名目金利を人為的に抑圧して産業向けの低利融資を可能にしている。このため家計の預金金利は低く抑えられた。こうした「金融抑圧」は急速な経済成長をもたらしたが、不動産投機や金融セクターの脆弱化にもつながった。
国内消費が中心の経済への移行は依然として課題であり、おそらく製造2025がリバランスを妨げている。さらにグローバルにみると、米国は自国が最終消費国となり、中国が世界の工場になるという構造を覆そうとしている。
結局、製造2025は成功したのか。計画が市場の支配と自給自足を目的としていたとすれば、前者は達成したが、後者はまだ達成していない。計画の発足当時から世界は変化しており、米中間の競争は現在、先端レベルの投入物を持つ大国と、それほど先端ではない投入物に頼っているが、最適化に優れた国との競争になっている。そしてこの競争は始まったばかりだ。
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窮境の底力は侮れない
米国が「中国製造2025」をやり玉に挙げたのは、第1次トランプ政権のときだ。中国がハイテク分野の覇権を握ろうとしている証しとみて、先端技術の対中輸出規制などでこの計画をつぶしにかかった。
習近平政権は公にこの計画を語らなくなったが、それは爪を隠したにすぎないとみるべきだろう。製造2025で掲げた目標はおおむね達成した。EVなどではすでに他を圧倒する力をつけている。
中国が先端半導体をまだ造れず、製造強国への道半ばなのはその通りだ。ただ、追い詰められたときに中国が発揮する底力は侮れない。ディープシークの台頭はその象徴だ。
常軌を逸した高関税で中国を追い込むトランプ米大統領のやり方には、やはり危うさを感じざるを得ない。
(編集委員 高橋哲史)
飛行機遅延→バス時間調整 旭川で実証[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 5ページ 358文字 PDF有 書誌情報]
国土交通省は、飛行機の遅れに応じて空港を出発する路線バスの発着時間を調整する実証実験に2025年度にも乗り出す。バス会社、北海道エアポート(北海道千歳市)などと旭川空港で試す。訪日客が増える中で、地方の2次交通の利便性を高める狙いだ。
旭川空港では飛行機が遅れた際に接続できるバスがないことや、車庫が遠く臨時便を出すにも時間がかかる課題があった。乗り換え検索大手のジョルダンがシステムを提供する。
国交省は11日に交通空白を解消する実証事業として新たに4つを選んだ。
JR四国、JR北海道、電脳交通(徳島市)は特急の車内にタクシーを配車できるQRコードを設置する事業に共同で取り組む。特急の到着時間に合わせて円滑にタクシーを呼ぶことができるかを確かめる。
国交省は実証事業の第1弾として3月に8事業を公表していた。
PayPay給与100社超 デジタル払い、導入広がる[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 15ページ 444文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいるという。PayPayでは労務管理ソフトとの連携を通じ、小規模な事業者にも呼びかける。
同日、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の労務管理ソフト「奉行Edge 労務管理電子化クラウド」との連携を始めた。従業員はPayPayの専用画面から申し込みをした後、管理ソフト側の連携ボタンを押すだけで入金用口座など必要な情報の入力を完了し振り込みを依頼できる。従来はソフト側でも口座情報などを入力しなければならず、入力ミスによる振り込みエラーの原因になっていた。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、PayPayは24年11月からソフトバンクグループ以外の企業へもサービス提供を始めた。労務管理ソフトは中小・零細企業との有力な接点になっている。
特集――大阪・関西万博開幕、平日券・夜間券も[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 21ページ 542文字 PDF有 書誌情報]
入場券は日本国際博覧会協会の専用サイトで購入できる電子チケットが主力となる。「万博ID」の取得が必要で、混雑防止の観点から来場日時の予約や利用交通手段の登録が求められる。ID取得後はパビリオンやイベントの観覧予約も可能となる。
会期中いつでも1回入場可能な「一日券」は18歳以上の大人7500円、12歳以上17歳以下が4200円、4歳以上11歳以下が1800円。3歳以下は無料。
有効期限内に何回でも入場できる「通期パス」や「夏パス」のほか、日時制限があるものの一日券より最大3800円割安な「平日券」「夜間券」も用意する。
全国のコンビニエンスストアでは紙の「引換券」を購入できる。
購入時に来場日時を予約しないタイプと予約するタイプの2種類あり、いずれもID取得は不要となる。来場当日、会場ゲート前でQRコード付きのチケットに引き換える。
来場日時を事前に決められない場合、会場ゲート前で「当日券」も購入できるが、来場予約が多い日や時間帯によって、販売を取りやめる場合がある。
スマートフォンでQRコードを読み込むと、電子版リッチコンテンツ「大阪万博、記者のイチ押しパビリオン8館 空から案内」(左)、「大阪万博のトリセツ 入場券・グルメ・アクセスは」(右)をご覧いただけます。
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。 小川たまか著(新書文庫)[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 35ページ 253文字 PDF有 書誌情報]
■『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』小川たまか著 著者は性暴力について取材するライター。2016年から2年間にわたり書いた文章と最近のエッセーが収められる。我々は小さな声を無視し続けてきたのではないか。加害者が自らの加害性を認め語ることの重要性を、著者は少なくとも9年前から訴えていた。昨今の芸能界の問題でも重要な指摘であり続けている。(ちくま文庫・924円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
関西の鉄道各社、万博記念の乗車券続々 京阪は入場券とセット[2025/04/12 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 672文字 PDF有 書誌情報]
京阪電気鉄道は11日、大阪・関西万博の一日券とセットになった1日乗車券を、万博期間中に数量限定で発売すると発表した。乗車券は万博仕様にラッピングされた列車の記念デザインとなる。7600円で、それぞれ単独で買うよりも1400円安くなる。
淀屋橋など主要8駅で購入でき、万博期間中の4月13日~10月13日に大津線を除く京阪全線と石清水八幡宮のケーブルカーで1日乗降が自由となる。
京阪ホールディングス(HD)傘下の叡山電鉄も、同種の乗車券を出町柳と修学院の2駅で購入できる。価格は7700円。それぞれ別々に買うよりも1900円安くなる。
南海電気鉄道も、13日から南海電鉄の電車が1日乗り降り自由となるデジタル乗車券を2500円で発売する。購入日から3カ月以内の好きな1日に利用できる。大阪のランドマークタワー「通天閣」の一般展望台が100円割引になる特典もつけた。同社は通年で販売する1日乗車券はないという。
一部の区間を除き、ケーブルカーを含む南海電鉄全線で利用できる。デジタル乗車券サービス「スルッとQRtto」公式サイトから購入し、スマートフォン上に表示されるQRコードを駅のQR対応改札機にかざすことで入退場する。
JR西日本は、万博を記念した特別デザインのICOCAを万博会場内のオフィシャルストアで販売する。
万博公式キャラクター「ミャクミャク」とICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」を描いたデザインで、オリジナルのパスケースも含めたセットは1万4800個限定でチャージ500円、デポジット500円を含み2650円。
暮らしつなぐ 伝統の町並み――観光とどう両立、同じ悩み抱える(何でもランキング)[2025/04/12 日経プラスワン 2ページ 2991文字 PDF有 書誌情報]
文化庁が伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の制度をつくって今年で50年。今回は特に価値の高い重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)を対象にした。僅差で並んだいにしえの町並みには、コロナ禍で消えた旅人の姿が増え、にぎわいを取り戻している。だが、そこには課題もにじむ。訪ねてみるとよくわかるが、どこも同じ悩みを抱えている。観光客には来てほしい。一方で多くなり過ぎると伝統的な環境が維持できない。生活空間を観光資源にする難しさに直面している。
江戸時代、東京と京都を結んだ東海道と中山道。東海道は開発が進み宿場町は廃れ、過疎化が進んだ中山道には伝統的な町並みが今も残る。来訪者は見るだけでなく歴史薫る町に滞在して文化と生活を学び、その観光収入が環境と暮らしを守る。京都の伊根町観光協会事務局長の吉田晃彦さんは「来訪者には地域の生活を静かに楽しんでもらい、住民も厳しい修理の基準を守りながら美しい環境を整え、どちらにも利点がある仕組みを模索しています」と話す。
【表】暮らしつなぐ 伝統の町並み
4 温泉津
(島根県大田市) 天然温泉湧く港町
<250>天然の温泉が出る港町。「名前通り『温泉』と『津(港)』からなり、石見銀山の積み出し港として繁栄した集落」(梅津さん)。世界遺産に登録されている。「連綿と発展してきた町並みは、江戸期から昭和初期の時の流れを感じることができる」(小林さん)。
「映画『男はつらいよ』のロケ地としても登場した、趣のある町並み。福光海岸まで足を延ばせば、日本海の絶景を望める」(山田さん)。温泉街として唯一の重伝建地区で、共同浴場も楽しめる。「大田市内のもう一つの重伝建地区の大森銀山と併せて訪ねたい」(後藤さん)。
https://www.ginzan―wm.jp/model_course_post/yunotsu/
5 坂本
(滋賀県大津市) 癒やされる石垣の道
<240>比叡山の麓に栄えた町。「山を越えた京都側とは異なるしっとりとした里坊(さとぼう)の庭や石垣の道に癒やされる」(山野井さん)。隠居した僧侶の住宅を兼ねた寺院群が美しい。「商家が並ぶ町並みとは異なる門前の風景を訪ねてほしい」(後藤さん)。
町を象徴する石垣は「戦国期から活躍した穴太衆(あのうしゅう)と呼ばれる石工職人によって積まれた野面(のづら)積み。穴太衆は多くの名城の石垣を施工しており、現代でも十分な強度がある」(小林さん)。春は桜、秋は紅葉が美しい。「比叡山や琵琶湖畔で歴史探訪も楽しめる」(山田さん)。
https://hieizansakamoto.jp/
6 竹富島
(沖縄県竹富町) 琉球の暮らし伝える色彩
<220>石垣島から船で約15分。円形の島の中央に平屋の集落がある。「沖縄独特の粘土を原料とする赤瓦の民家とサンゴ由来の白砂の道という沖縄らしい景観」(小林さん)に「フクギの緑、ハイビスカスの赤、海の青、そして屋根に飾られたシーサーが彩りを添える」(中尾さん)。
人口330人弱の島に年間50万人以上の観光客が訪れる。開発から土地を守る「竹富島憲章」で島民が集落の景観を維持している。「青空を見ながら三線の音色を聞いていると、琉球の暮らしが蘇る」(藤田さん)。集落を行く水牛車に乗れば「沖縄時間を感じられる」(山田さん)。
https://painusima.com/
7 元町末広町
(北海道函館市) 丘から港へ、異国の趣
<200>北の海の玄関口・函館には異国を思わせる町並みが広がる。その中心部が元町末広町だ。「海に下りていく道と、丘の上の函館ハリストス正教会の聖堂や旧函館区公会堂をはじめとする様々な洋館や和洋折衷建築が明治の香りと北海道開拓の精神を蘇らせる」(藤田さん)。
幕末期から開港場として発展し、「数度の大火を経て防火に配慮した町づくりがされている」(梅津さん)。港沿いには赤れんがの倉庫群が広がる。「貿易港として栄えた異国情緒豊かな町並みはロケーションジャパン大賞のグランプリにも輝いた」(山田さん)。
https://www.furutabi.com/machinami/hakodate.html
8 宿根木
(新潟県佐渡市) 江戸期の路地に迷う心地
<190>佐渡島の西南部にある海岸段丘に形成された狭い入り江に広がる集落で、「迷路のような路地に船大工の技術を生かした民家が見られる。簡素な外観とは対照的に内部は漆をふんだんに使った豪華な造りとなっているので、その技術の高さを体験してほしい」(梅津さん)。
江戸時代、北前船の寄港地として栄えた。100棟を超える板壁の民家は「日本海の強風に耐える、石を置いた屋根も特徴だ」(小林さん)。集落を歩けば「江戸期の路地に迷い込んだような気分が味わえる」(山田さん)。人々の暮らしと歴史が交錯する静かな時間が流れている。
https://shukunegi.com/
9 熊川宿
(福井県若狭町) 鯖街道、水路流れる宿場町
<180>若狭地方中央部、京都に向かう通称「鯖(さば)街道」にある宿場町。「1キロ以上も連なる民家が見事。電線も派手な看板もなく、生活の息遣いが懐かしく美しく感じられる」(中尾さん)。道沿いには生活にも利用される水路が。「古民家を利用した宿泊施設やシェアオフィスなどの取り組みが進み、新たな魅力を生んでいる」(後藤さん)。
「朝廷へ食材を献上する『御食国(みけつくに)』として、豊富な山海の幸を京に届けた往時のにぎわいを感じさせる風景が続く。絵になる町並みをぜひ歩いてほしい」(山田さん)。道の駅に車を止めて散策できる。
https://kumagawa―juku.com/
10 妻籠宿
(長野県南木曽町) 木曽路の「野外博物館」
<170>「木曽路はすべて山の中である」。島崎藤村「夜明け前」の冒頭にある通り、妻籠宿は山中に今も佇む宿場町だ。保存面積は重伝建地区では最大。周辺の山林も含め一体的に保存されている。「本陣、脇本陣、旅籠(はたご)、枡形(ますがた)、高札場などまるで宿場の野外博物館。町並み保存運動の先駆らしい信条と50年余りの努力が光る」(中尾さん)。
妻籠宿から馬籠宿(まごめじゅく)(岐阜県中津川市)までの約9キロの木曽路は散策に最適。「街灯も歴史的風致に配慮して最小限に抑え、江戸時代の雰囲気をとどめる。地区内の宿に泊まって夜も歩いてほしい」(梅津さん)。
https://tsumago.jp/
ランキングの見方 保存地区の名称(所在地)。数字は評価の合計点。URLは情報サイト。写真は1~5位が鈴木健、10位は三浦秀行撮影。6位は沖縄観光コンベンションビューロー、7位は函館市、8位は佐渡観光PHOTO、9位は若狭熊川宿まちづくり特別委員会の提供。
調査の方法 梅津章子さんと山田実希さんの協力で、全国129の重要伝統的建造物群保存地区から27地区をリスト化。(1)保存の取り組みも加味した町並み・集落の美しさ(2)観光地としての魅力――の観点から7人の専門家が1~10位を選び、総合点を集計した。(大久保潤が担当しました)
電子版有料会員の方はスマートフォンなどのカメラでこのQRコードを読み込むと、何でもランキングの過去記事(2019年7月20日付以降)をご覧になれます。
対応拡大 かざすだけで、タッチ決済 交通機関でも(学んでお得)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 1680文字 PDF有 書誌情報]
クレジットカードで「タッチ決済」という言葉を耳にする機会が多くなってきた。端末に差し込んで暗証番号を入力する手間が省け、かざすだけで支払いが完了する。最近は店舗だけでなく、電車やバスの乗車に使えるケースも増えてきた。
タッチ決済では1万円などと決められた金額までであれば、店頭の端末にカードを挿入して暗証番号を入力するといった操作なしに支払いができる。国際ブランド「Visa」によると、2024年時点で日本におけるクレジットカードの対面利用の約47%はタッチ決済になっているという。未対応のカードが一部残っているものの、更新時に切り替えが進んでいる。
クレジットカードにとどまらず、タッチ決済対応マークがついていれば、支払時に銀行口座から引き落とされるデビットカード、あらかじめお金を入金・チャージしておくプリペイドカード、対応するカードを設定したスマートフォンでも同様に使える。
現金を使わないキャッシュレス決済は政府が普及を後押ししている。24年の時点でその決済額の比率は4割を超えた。内訳を見ると、全体の8割超がクレジットカードの利用だ。従来は高額品購入時に使う印象が強かったが、コンビニエンスストアなど日常の支払いでも使われる場面が増えているようだ。
キャッシュレス決済を進める背景にはインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもあった。海外の都市ではタッチ決済が主流となっているところも多い。現金払いに慣れない外国人が両替をしなくても支払いができるのは大きな利点となる。
最近、日本国内でも目立つようになってきたのが交通機関のタッチ決済での利用だ。各地の鉄道やバスで導入が進む。13日に開幕する大阪・関西万博に向け、大阪の大手私鉄や地下鉄の改札ではタッチ決済対応が広がった。
このシステムを手掛けている三井住友カードのTransit本部長、石塚雅敏さんは「きっぷや交通系ICカードを買うことなく、手持ちのクレジットカードでそのまま乗れる仕組みは訪日外国人だけでなく、日本人にもメリットがある」と語る。
例えば地方での交通機関の担い手の負担軽減だ。近年は利用者減少や人手不足などで鉄道や路線バス網の縮小・廃止が進んでいる。バスの運転手は運転だけでなく、運賃の管理も求められている。「業務コスト全体を減らす必要がある。タッチ決済導入で現金が不要になる効果は大きい」(石塚さん)
三井住友カードのシステムは3月末時点で41都道府県の149社が採用。26年には47都道府県すべてでの導入を目指しているという。
タッチ決済での乗車はカードやスマホを改札の専用リーダー部分にかざせばよく、交通系ICカードとあまり変わらない。残高がなくなって駅の券売機でチャージをしていた人にとっては手間が減ってスムーズに乗り降りできる。「ショッピングも交通機関への乗車もカード1枚あれば済む。クレジットカードが持てない子どもの場合、子ども用プリペイドカードに親がカードでチャージして渡す方法もある」(Visa担当者)
店舗から交通機関まで、タッチ決済を利用すれば、残高チャージなどのために金融機関のATMや窓口で現金を引き出す必要がなくなるのが大きい。クレジットカード利用になってポイントをためられるのも利点だ。タッチ決済対象のポイント優遇やキャッシュバックといったキャンペーンが展開されている場合もある。調べてみよう。
便利になる一方、注意したい点もある。対応していない店舗があるほか、システム障害などで利用できないケースがあり得る。定められた金額を超えてしまうと、暗証番号の入力が必要になる。
交通機関でも複数路線を乗り継ぐ際には注意が必要だ。未対応の路線に乗り換えてしまうと精算が必要になる。自分のカードがタッチ決済乗車に対応した国際ブランドかどうかも確認しておきたい。
(消費経済ジャーナリスト
松崎 のり子)
あなたの家計の悩みをメールでお寄せください。plus1@nex.nikkei.co.jp
【図・写真】クレジットカードのタッチ決済で乗れる交通機関も増えてきた
物価高をポイ活でカバー、すぐに使って失効防止(ポイント賢者)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
ポイ活と節約をセットで取り上げるメディアは多いです。どちらも家計を助けるためのものですが、実際は方向性が異なります。
節約は我慢が必要で、「これを買いたいけど今は必要ないから諦める」「お金がたまったら買う」など、消費を抑える行為です。一方のポイ活は「これを買うにはどうすれば一番おトクになるのか」であり、消費に対するリターンを最大化する方法です。
自治体が地元経済を活性化させるため、対象のキャッシュレス決済を利用すると10%還元や20%還元などの大型キャンペーンをよく実施しています。
1回の買い物で20%のポイントがたまれば、そのポイントでさらに買い物をします。現金給付ではなくポイント還元する理由は、消費を複数回促すことができるからでしょう。
では、ポイ活だけで最近の物価高を乗り切ることはできるのでしょうか。
矢野経済研究所の発表資料によると、2024年度の国内発行のポイントは2・8兆円程度の見込みです。クレジットカードを申し込める18歳以上の人口(1億人強)で割ると、1人あたり年間で2万7000円程度、月間で2250円程度のポイントを獲得できていることになります。
足元の消費者物価指数の上昇率は3%前後です。これまでポイ活を一切していない人が、ポイ活を始めれば物価上昇をある程度はカバーできます。
ただ、これはあくまでも理論値で、ポイントが失効しなかった場合です。ポイントは年間3~4割失効しているといわれ、有効利用できているポイントはもっと少ないとみられます。
失効を防ぐには、獲得したポイントが使えるポイント数まで到達したらすぐに使うことです。どんどん消費して失効を防ぎ、生活に役立ててください。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
25年04月15日
PayPay決済、自動引き落とし可能に 傘下銀行口座から即時[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン決済のPayPayは買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。今は代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。システム開発を終える2025年末までにスタートする。
現在、PayPayを使うには2つの手法がある。一つは銀行口座からのチャージやATMからアプリに入金する「赤PayPay」。もう一つはクレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」だ。
新たに追加するのは「紺PayPay」。アプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組み。紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落とされる。PayPayの利用者は現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は約860万に上る。
PayPay銀行はこれに先駆け、15日にも口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能をアプリに搭載する。引き落とされる直前まで預金扱いになるため、利息を受け取れる。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
米テック株急落、新NISA苦戦 人気10投信、年初来17%下落 含み損で「様子見」強まる[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
(越智小夏、杵渕純平)
追い証 信用取引の追加保証金(市場を知るニュースワード)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式なども差し入れられます。担保は信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡り2つの売りが出るとされます。まず株価下落で含み損が大きくなり、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられないと証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
コンビニ、人材確保へ奔走 3社出店拡大 セブン、紹介料2倍も[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 987文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は出店拡大に向け、人材確保に奔走する。IT(情報技術)の活用による省人化策に加えて、人材紹介に報奨金を払うなどの施策も広がる。(1面参照)
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
勤務期間が他店を含め通算5年以上で、今のオーナーの店舗で2年以上働いていることが条件となる。候補者がその店舗でオーナー研修や店舗責任者の研修を両方受講した場合、従業員の紹介料は以前の100万円から倍増する。どちらかの研修だけの場合は150万円、候補者が退職した店で研修を受けた場合は100万円が渡される。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。
日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。働き手を呼び込むためには、デジタル技術を活用した従業員の負担軽減策も欠かせない。
ファミリーマートは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどに設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。ベテラン従業員が複数の店舗を管轄してサービスを向上させるといった使い方も想定される。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
PayPay、海外決済と連携[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 201文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」などに対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。
新社会人のクレカ選び 「会費」「還元率」「経済圏」を確認[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 35ページ 806文字 PDF有 書誌情報]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎)
3Graphicsのまとめサイトはこちら(https://www.nikkei.com/theme/?dw=23061500)
万博に長蛇の列、解消探る 来場者、正午ごろに集中 通信改善へ移動基地局(EXPO2025)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 1586文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐ。
(大阪・関西万博取材班)
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
盛岡の地域通貨「モリオペイ」 セブンで決済・入金可能に アプリ拡充 利用者・加盟店2割増へ[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 東北 2ページ 1142文字 PDF有 書誌情報]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは(1)スタンプラリー機能(2)会員証機能(3)ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
公共交通「万博仕様」に JR西、桜島駅へ臨時快速 大阪メトロは決済5種類に対応[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 528文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕し、公共交通機関も運行ダイヤや駅構内の設備を「万博仕様」にシフトした。JR西日本は会場近くの桜島駅につながる臨時快速を投入。大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は会場最寄りの夢洲(ゆめしま)駅改札を、クレジットカードなど5種類の決済方式対応にした。開幕日の13日は改札機の利用でとまどう人など一部で混乱もみられた。
JR西は東海道・山陽新幹線の新大阪駅にボランティアが万博会場まで道案内する窓口を設置した。
新大阪駅と桜島駅を結ぶ臨時快速列車「エキスポライナー」は上下計26本運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連の映像を上映し、万博に向かう利用客のワクワク感を高めていた。
大阪メトロは夢洲駅で、交通系ICカードや磁気券に加え、クレカやQRコード決済、顔認証の機能がついた改札機をそろえた。外国人客などの利便性を高める目的があったが、クレカのタッチ通過がうまくいかず駅員に問い合わせる場面もあった。
13日は夢洲駅前で大規模な混雑が発生したが、関西国際空港や都心部のターミナル駅では目立つ混乱はなかった。
ただJR西の大阪環状線と夢洲駅につながる大阪メトロ中央線の乗り換えポイントである弁天町駅では、入場制限も行われた。
地方税の納付 スマホもOK 高知信金、手数料無料[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 418文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
JR元社長唐池氏が語る「感動経営」 工藤公康氏のリーダー論も、5月に福岡で[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 427文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社とTVQ九州放送は5月、地域経済の最前線を取材する映像記事コンテンツ「LBSローカルビジネスサテライト」の関連イベントを福岡市内で開きます。
豪華観光列車「ななつ星in九州」の開発を指揮したJR九州元社長の唐池恒二氏が「感動」をキーワードに地方創生や経営哲学を語ります。福岡ソフトバンクホークス元監督の工藤公康氏はチームを常勝集団に育てるリーダー論を話します。各氏の聞き手は日経編集委員が務めます。LBSで取り上げた地域企業の経営者らの対談も予定しています。
イベント終了後に登壇者らとのビジネス交流会を予定しています。
◇日時 5月29日(木)12時40分~17時35分(時刻は予定)
◇会場 電気ビルみらいホール(オンラインでも同時配信)
◇詳細・申し込み QRコードからご確認ください(参加無料、事前登録制。応募者多数の場合は抽選)
◇協賛 HESTA大倉、マネーフォワード、ワランティテクノロジーほか
◇協力 中小企業基盤整備機構
信越の地場スーパー、キャッシュレス決済拡充 綿半HD、クレカでポイント特典/アクシアル、日常購入品にクーポン[2025/04/15 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 1366文字 PDF有 書誌情報]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高め、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
高知信用金庫、地方税の納付方法を拡大 スマホでも[2025/04/14 20:21 日経速報ニュース 418文字 画像有 ]
高知信用金庫が14日までに自動車税や固定資産税など地方税の納付方法を拡大した。自治体が発行した税金等納付書に表示されたQRコードを読み取ると、インターネットバンキングやATM、デジタル地域通貨アプリ「ジモッペイ」で支払うことができる。利便性を向上させ、窓口業務の軽減も図る。
2023年4月から納付書には地方税統一QRコードが表示されるようになり、同金庫もシステム開発を進めてきた。インターネットバンキングでは預金口座からの引き落とし、ATMでは口座からの引き落としか現金で、ジモッペイではアプリから支払うことができる。納付手数料は無料だ。
これまで利用者は納付のため店舗に行く必要があった。金融機関には納付済み通知書の集計や搬送の業務が生じ、自治体も光学式文字読み取り装置(OCR)の処理や集計などの業務が必要だった。
今後、利用者はスマートフォンからも納付でき、納税の結果はデータ送付ができるため、一連の作業の効率化が期待できる。
信越のスーパー、キャッシュレス決済拡充 利便性を向上[2025/04/14 20:00 日経速報ニュース 1368文字 画像有 ]
信越の地場スーパー各社は2025年度、キャッシュレス決済の拡充を軸に会員サービスを刷新した。綿半ホールディングスは既存のプリペイドカードに加えクレジットカードを導入、優良顧客には高いポイント還元率を設定する。「原信」などを運営するアクシアルリテイリングもスマートフォンのアプリを刷新、高頻度で購入する商品向けのクーポンも発行する。顧客の利便性を高めつつ、サービス強化による囲い込みを進める。
綿半HD傘下で仕入れや商品開発を担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は1日、独自のポイントカードにクレジット決済機能を付けた「goca クレジットカード」とスマートフォン向けの「goca アプリ」を投入した。
20年に開始した「goca プリペイドカード」の加入率は高まっているが、現金チャージの手間を省きたいという顧客からの要望が根強く、クレジットカード導入を決めた。他社との差別化や優良顧客へのサービス拡充のため、プリペイドにはない購入金額に応じて特典が受けられる3段階の会員ステージも導入した。
綿半スーパーセンターと綿半ホームエイド、綿半フレッシュマーケットの3業態計37店舗での半年間の購入額が10万円以上であれば、最上ランクのゴールドステージになる。綿半での還元率はブロンズとシルバーステージで2%、ゴールドでは2.5%になる。
アクシアルリテイリング傘下の食品スーパー「原信」と「ナルス」は1日、チラシや献立レシピなどを提供する「原信ナルスアプリ」を刷新した。旧アプリのダウンロード数は約50万だったが、顧客のさらなる利便性向上やシステム運用の安定性強化が主な目的という。
リニューアル版では新たに「スペシャルクーポン」を導入した。アプリの通常クーポンと別に、顧客が日常的に購入する商品を対象にしたクーポンだ。対象商品は適宜変更となるが、購買頻度の高いたまごや納豆、バナナといった商品をよりお得に購入できるようにすることで来店頻度や購入点数をさらに高める狙いがある。
さらにメールアドレスとパスワードを設定することで登録できる「アプリ会員」を新たに設けた。登録しなくてもクーポンは利用できるが、今後不定期で会員限定の優待割引や限定企画を実施する予定だ。
食品スーパーの長野県A・コープ(長野市)は1日から独自の電子マネー「A’kubo(エクボ)」の運用を全29店舗で始めた。従来のポイントカードに電子マネー機能を追加し、会員の利便性を高めると同時に再来店を促し顧客の囲い込みを図る。
従来のポイントカード「友の会カード」は会員登録数が約32万件。2月から先行してエクボカードへの切り替えキャンペーンを実施し、既に約10万人が申請したという。友の会のポイントはエクボに引き継がれる。友の会カードの使用期限は9月末まで。
チャージは店内の専用機のみで対応し、チャージ金額は最大10万円まで。毎月15日と30日のボーナスデーにはチャージ金額に応じた特典を提供する。ポイントは従来同様に買い物金額200円ごとに1ポイントを付与する。
食料品や日用品の価格高騰で消費者の財布のひもが固くなる中、スーパー各社はキャッシュレス強化による会計時間やレジ待ち時間の短縮といった利便性や、ポイント還元の拡充などによる「お得感」で来店頻度を維持する。
「並ばない万博」なぜ行列 正午ごろ人出急増、対応に遅れ[2025/04/14 19:45 日経速報ニュース 1598文字 画像有 ]
大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐが、構造的な問題も多い。
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
(大阪・関西万博取材班)
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ポイント大手「モッピー」、覆面調査で還元 最大全額も[2025/04/14 18:38 日経速報ニュース 745文字 画像有 ]
ポイントサービスサイト大手の「モッピー」を運営するセレスは近く、覆面調査をしたサイトの会員にポイントを付与するサービスを始める。外食店での異物混入などが相次ぎ、企業側の覆面調査への需要は高い。会員である消費者側も物価高で家計負担を減らしたいと考える人が増えている。新サービスでサイト利用者拡大につなげる。
「モッピーフクモニ」の名称で新サービスを始める。覆面調査サービス大手であるファンくる(東京・千代田)と組み、全国約1万件の外食店や美容院などを対象に商品やサービスを企業側に知られずに評価してくれる会員をサイトで募集する。
応募して当選した会員は飲食店などを利用する。後日、接客態度や店内の清潔さといったアンケート項目に答えて、店などの利用時のレシートを提出すると最大全額分のポイントが還元される。今後、外食店や美容院など以外の分野も追加する予定だ。
モッピーは累計会員数(2025年3月末時点)が1200万人超にのぼる。企業から広告料を受け取ってポイントの原資に充て、会員に付与する形のポイントサイトでは国内最大級だ。
モッピーでは会員がサイトに掲載されている商品やサービスを買った場合に、広告主である企業が成果報酬をセレスに支払う。そのうち7割程度がポイントとして会員に還元される仕組み。1ポイント=1円相当で、PayPayなどの電子マネーや銀行振込を介した現金など約50種類のサービスに交換できる。
矢野経済研究所(東京・中野)によると、国内のポイントサービスの市場規模は2026年度には23年度比14%増の3兆円超となる見通しだ。物価高を受けて消費者の生活防衛意識が強まり、ポイントを足しにしたいと思う人が増えている。モッピーの会員数も市場規模拡大に合わせて堅調に伸びている。
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大阪万博、つながりにくさ改善へ移動基地局 通信各社[2025/04/14 18:29 日経速報ニュース 321文字 画像有 ]
大阪・関西万博初日の13日、混雑により会場でインターネットがつながりにくくなったことを受けて、通信キャリアが対策に乗り出した。ソフトバンクは14日までに自動車に通信設備を搭載した移動型基地局を配備した。今後も会場では多くの人出が予想され、事態の改善を急ぐ。
NTTドコモと楽天モバイルも移動型基地局の配備を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」としており、設置場所や台数について調整を進めている。KDDIも移動型基地局の配置を検討している。
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コンビニ3社、店舗増7年ぶり高水準へ 工場などに省人店-【イブニングスクープ】[2025/04/14 18:00 日経速報ニュース 1533文字 画像有 ]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は2025年度に最大で約400店増やす。純増数は18年度以来7年ぶりの高水準となる。国内市場が成熟するなか、小型店で企業のオフィスや工場の従業員向け需要を取り込む。無人レジやロボット技術を活用し、少ない人数でも出店できる体制を整えた。
セブンは223店の純増と、18年度以来の高水準となる。東京都や大阪府など都市圏で開業が相次ぐ大型再開発ビルの需要を取り込む。
ファミリーマートは100店程度と、20年度以来の純増を見込む。増加数はサークルKサンクスと経営統合した16年度以降で3番目の規模となる。ローソンは具体的な店舗数は明らかにしなかったが、3年連続の純増を計画する。
日本フランチャイズチェーン協会によると、24年末のコンビニの店舗数は5万5736店と、21年の5万5950店をピークに成長が頭打ちとなっている。ドラッグストアや電子商取引(EC)との競争も激しくなり、不採算店舗の閉店や移転など既存店の見直しを進めてきた。
新型コロナウイルス禍後の人流の回復などを受け、店舗数を増やす。ただ、市街地や道路沿いの出店余地は小さくなっており、効果的な店舗戦略を模索する。
セブンは企業の工場や研究所といった事業所内で床面積が従来の4分の1ほどの小型店の出店を増やす。ファミマは日本郵便と連携し、郵便局内に棚や冷蔵ケースを置いた小型店を出す。
事業所内の小型店舗は設置コストを抑えられるほか、来店者数の属性や商品の売れ行きを予想しやすい。受け入れ側の事業所も従業員や利用者の利便性向上につながるなどのメリットがある。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
出店には人材確保が欠かせない。24時間営業や多様なサービスに対応する従業員の負担軽減に向け、IT(情報技術)を導入する動きも広がる。
ファミマは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。2月末までに46店を出店しており、今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどにも設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
コンビニ各社は10年代半ばまで年1000店以上のペースで新規出店を続け、売り上げ規模や商品の調達力を高めてきた。25年度の純増数は当時に比べると小さい。コンビニ市場が成熟するなか、1店舗あたりの収益力向上が求められている。
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PayPay、傘下銀行から自動引き落としOK チャージ不要[2025/04/14 17:28 日経速報ニュース 633文字 画像有 ]
スマートフォン決済のPayPayは2025年、買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。現在は主に銀行口座やATMから代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。ATMなどからチャージする手間を省くことで利便性を高める。
現在、PayPayを使うには、銀行口座やATMから代金をチャージする「赤PayPay」と呼ぶ手法と、クレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」と呼ぶ手法がある。
新たに追加するのはアプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組みで、紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落としされる。PayPayの利用者が現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は、約860万にのぼる。
PayPayに先駆け、決済時に口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能を15日にもPayPay銀行のアプリに搭載する。銀行口座から引き落とされる直前までは預金扱いになるため、利用者は利息を受け取れるメリットがある。PayPay銀行では預金量に応じて金利が変わる。29歳以下の場合100万円以上預けると年0.4%と高水準な金利がつく。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
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三菱UFJ eスマート証券、「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービスを提供開始[2025/04/14 17:22 日経速報ニュース 1050文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
「三菱UFJカード積立(投資信託)」のサービス提供開始へ(4月21日予定)
三菱UFJ eスマート証券株式会社(代表取締役社長 飛松 一樹、以下「当社」)は2025年4月21日(月)より、三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田 典彦、以下「三菱UFJニコス」)が発行している三菱UFJカードでの決済による投資信託の積立サービス(以下「三菱UFJカード積立(投資信託)」)のご提供を開始します(予定)。
当社は既に、「au PAY カード積立(投資信託)」をご提供していますが、今般の「三菱UFJカード積立(投資信託)」の追加により、お客さまの選択肢が増えることになります。
なお、これに伴うキャンペーンも計画していますので、どうぞご期待ください。
※参考画像(1)は添付の関連資料を参照
三菱UFJカード積立(投資信託)は、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(取締役 代表執行役社長 グループCEO 亀澤 宏規、以下「MUFG」)のグループ各社との協働の一環としてご提供します。
※参考画像(2)は添付の関連資料を参照
また、当社を含むMUFGグループ各社は、インターネットバンキングの「三菱UFJダイレクト」を中心に、お客さまのお役に立つ各種サービスを準備しています。今後、各サービスの内容や開始時期などが決まり次第、適宜、ご案内します。
※参考画像(3)は添付の関連資料を参照
以上
●三菱UFJ eスマート証券株式会社
・金融商品取引業者登録 : 関東財務局長(金商)第61号
・銀行代理業許可 : 関東財務局長(銀代)第8号
・電子決済等代行業者登録 : 関東財務局長(電代)第18号
・加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 日本STO協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
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参考画像(2)
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参考画像(3)
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シチズン・システムズ、業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売[2025/04/14 15:19 日経速報ニュース 1211文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2024年01月16日
カラータッチパネルを搭載、ビジュアルガイドにより操作性を向上した新製品
業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」を発売
~高耐久・前面操作でご好評のロングセラー当社最上位モデル~
シチズン時計株式会社の連結子会社であるシチズン・システムズ株式会社(本社 : 東京都西東京市・社長 : 向島克敏、以下当社)は、カラータッチパネルによる新機能を搭載し、高速印字に対応した業務用ラベルプリンター「CL-S700III」及び「CL-S703III」を2024年1月16日より販売します。
<業務用ラベルプリンター「CL-S700III/CL-S703III」>
■発売日 : 2024年1月16日
■モデル : 2モデル CL-S700III(印字解像度203dpi)、CL-S703III(印字解像度300dpi)
■価格 : オープン(参考価格 CL-S700III : 418,000円税込、CL-S703III : 440,000円税込)
*製品画像は添付の関連資料を参照
コロナ禍に、世界的に急拡大したECビジネスによりラベル需要は物流用途を中心に伸長する一方で、労働力不足に対応した業務の省力化が求められています。
当社の主力製品であるCL-S700シリーズは、熱転写リボンのテンションを自動で一定に保つシチズンオリジナルのARCP機構(※1)採用により、極小精密ラベルなど多様な用紙の印字ズレや汚れを防止。また、大容量リボン・大径ロール紙の搭載による長時間連続印刷に適した最上位モデルです。
今回の新製品「CL-S700III/CL-S703III」は、信頼性の高い耐久構造、素早い用紙セットと省スペースを両立し、任意の位置で止まる安全なカバーのフルオープンメカニズムはそのままに、新たにカラータッチパネルを搭載しました。ビジュアルガイドにより直観的な操作が可能となり、印刷時にはプレビュー表示により用紙の無駄を削減します。エラーが発生した際にはパネルに表示されるQRコード(R)からウェブマニュアルの参照ができ、トラブルや誤操作によるロスタイムを削減できます。また、当社前モデルから印字スピードを17%向上させた最大305mm/秒(※2)を実現し、ユーザーメモリーを6倍に増強(※3)、プリンターフォントの拡充(※4)といった基本機能を充実させ、ラベル発行の更なる効率化を図りました。
*以下は添付リリースを参照
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製品画像
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添付リリース
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新NISAで人気の投信、年初来17%下落 米テック株安響く[2025/04/14 15:00 日経速報ニュース 1832文字 画像有 ]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
円高も逆風に
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数MSCI「オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
売却は焦らず
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
トランプ政権は11日に相互関税の対象からスマートフォンなどを除外したが、13日には新たな半導体関税に組み入れると表明した。政策の不安定さや世界経済の先行き不安は拭われていない。
(越智小夏、杵渕純平)
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PayPay、タイ電子決済「ビッグペイ」などと連携[2025/04/14 13:32 日経速報ニュース 386文字 画像有 ]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」に対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。
店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。14日からカザフスタンで普及する「カスピ」を加えた4サービスと連携した。PayPayの連携先は14カ国・地域で使われる計25サービスまで増える。
PayPayは18年の「支付宝(アリペイ)」を皮切りに海外の決済サービスとの連携を進める。訪日客数で上位10カ国のうち7カ国の決済サービスに対応する。国内の電子決済市場の競争は激しく、訪日客の決済需要の取り込みにも力を入れる。
大阪万博、地下鉄は何度も入場規制 バスは予約優先[2025/04/14 13:08 日経速報ニュース 2474文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、会場の夢洲(ゆめしま)につながる公共交通機関がフル稼働した。関西国際空港や都心部のターミナル駅では混乱は見られなかったが、帰宅ラッシュ時にはシャトルバスなどが予約で埋まり、地下鉄に乗るための長い行列ができた。「並ばない万博」を掲げてパビリオン同様に交通利用も予約中心になったことで、柔軟な対応が難しくなる課題が浮き彫りとなった。
関空客「開催初めて知った」 バス予約アプリに不満
午前9時、関西国際空港第1ターミナルの国際線到着口から出てきた50代ドイツ人夫婦は、真上につり下がる万博のバナーを見上げて「エキスポが大阪で開催されるのは初めて知った」と笑う。関空からは会場へのシャトルバスも発着するが、10時発車のバスに乗り込んだのは近隣住民や国内客が大半。バス関係者は「まだ直行便の知名度がないからですかね」と話す。
利用には関西鉄道7社などが提供する「KANSAI MaaS」のアプリでの会員登録と便の予約が必要だ。バスを利用しようとした岡山県の男性は「予約が必要だと知らなかった。手続きがとても複雑だ」と眉をひそめた。
新大阪駅に案内ボランティア 臨時快速で機運醸成
東海道・山陽新幹線の新大阪駅には、大阪府・市がボランティアの案内窓口を設置し、万博客の道案内などを行った。東京都渋谷区から訪れた杉浦貴史・梅子さん夫妻は、「70年万博に行ったことがある92歳の父親を連れてきたい」と、車いすでも行きやすいルートを問い合わせていた。
JR西日本は新大阪からは、シャトルバスと接続する桜島駅への臨時快速「エキスポライナー」を運行。車内の発光ダイオード(LED)モニターで万博関連映像を流しながら、15分ほどで運行した。山陽新幹線では人気漫画「ワンピース」とコラボした車両の運行も12日から始め、万博を契機とした観光輸送の強化へ向けた準備が進んでいた。
会場行き地下鉄は増発、駅で入場制限も
夢洲に直接乗り入れる唯一の鉄道である大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線は、開会前の午前8時台には2分半間隔の臨時増発ダイヤを組んだ。大阪メトロ全体でピーク時に会場輸送の58.6%を担うとされる。会場へ向かう便では、開会式前後では大きな混乱はなかったが、昼ごろには御堂筋線と接続する本町駅や、JR大阪環状線と接続する弁天町駅で混雑が発生。弁天町駅では入場制限も行った。
万博開幕に向けて開業した夢洲駅は、広い改札口に16台の改札機を1列に配置。交通系ICカードや磁気券だけでなく、クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済、顔認証も導入し、各国の利用者の利便性を意識した。ただ、クレカのタッチがうまくいかず行列ができ、駅員に問い合わせる場面もあった。
会場行きシャトルバス、ピーク後は空席目立つ
南海難波駅直結のバスターミナルから万博会場に向かうシャトルバスは、12時過ぎまでのほぼ全便が満席で、外国人の姿も見られた。JR桜島駅から発着するシャトルバスは、午前8~10時発の便は完全予約制だったが、それ以外は予約なしでも空席が目立つ時間も。
桜島駅のバスターミナルの係員は「帰りは相当混雑すると予想されるので早めに予約を」と呼びかけた。ただ、シャトルバスを利用した東京都新宿区の医師、長西美和さん(50)は「(人気歌手の)Adoのコンサートを見て帰るのでまだ予約していない」と語った。
タクシー運転手「行列800人」 帰宅バス、予約で混乱
13日は日中に風雨が続いたことに加え、パビリオン予約ができないとして、午後の早い段階で帰宅する来場者が相次いだ。西ゲートのタクシー乗り場には「到着した午後4時ごろには800人は並んでいた」(タクシー運転手)。
午後9時台、愛知県豊川市から母親と来た30歳代の女性は、新大阪行きのシャトルバスが「予約客で満席です」と利用を断られた。「何でも予約が必要で不便ですよね」とこぼした。予約不要でピストン輸送を実施しているJR桜島駅行きのシャトルバスの乗り場へ向かった。
風雨で帰宅混乱、夢洲駅で入場制限相次ぐ
東ゲートの夢洲駅でも、早く帰宅する客と午後からの入場客が重なったことに加え、運行本数をピーク時より減らしたことも影響し、午後12時ごろから午後3時台にかけて断続的に入場規制がかけられた。
列車の大規模な遅延こそ起きなかったものの、帰宅客は季節外れの寒さの中で駅外での待機を強いられ、行列からの抜け出しを試みる人々も散見された。
午後9時前後から退場客が増え始め、夢洲駅への入場規制を再び行った。警備員らが「走らないでください」「ゆっくり歩いてください」と声を張り上げ、警笛が響く場面もあった。駅の外には一時200メートル以上の行列ができ、入場規制が解消されたのは午後10時過ぎのことだった。
予約中心・会場広さ、代替ルート選びづらく
「並ばない万博」に向け、パビリオンや交通機関は予約利用が中心だ。ただ、13日は天候不順で早めの帰宅を選択した来場者も多かった。実際にAdoさんのライブは予定の終了時刻を過ぎた。予約不要な大量輸送手段は地下鉄と桜島駅へのシャトルバスで、それ以外の選択肢を選びづらい側面もある。運行ダイヤ自体は大きな破綻はきたさなかっただけに、来場者が柔軟に交通モードを選択できなかった点が浮き彫りになった。
また、夢洲駅は東ゲートに、シャトルバスターミナルやタクシー乗り場は西ゲートにある。大人の足で徒歩15分はかかり、どちらかの利用が難しくなった場合、別のルートにすぐ切り替えるのは難しい。会場内では電気自動車(EV)バスが運行するが、存在を知らない来場者も多かった。
万博にはピーク時には1日22万人以上が訪れるとされる。国際空港や新幹線駅では観光誘客のチャンスとみて受け入れ態勢の準備を進める。夏季の猛暑や台風の襲来も今後想定されるなか、会場客が「ラストワンマイル」で柔軟に利用できる運用が、万博を契機とした観光振興のカギを握る。
(田村修吾、下田恵太)
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外為12時 円相場、下落 株高で 日米協議への思惑で一時急伸[2025/04/14 12:34 日経速報ニュース 972文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=142円96~99銭と前週末17時時点と比べて13銭の円安・ドル高だった。前週末の米株高や14日の日本の株高を背景に投資家心理が改善し、過去にリスクを避ける目的で積み上げられていた円の買い持ち高を減らす動きが出た。
ボストン連銀のコリンズ総裁は11日、金融・資本市場が混乱した際に、米連邦準備理事会(FRB)は安定のために「確実に対処する準備ができる」と述べたと伝わっていた。FRBが施策対応に動くとの見方も市場のリスク回避ムードを和らげ、円の重荷となった。
円は急伸する場面もあった。日米の閣僚級協議などで為替が議題に上るとの思惑などから投機的な円買いが入ったほか、米関税政策を巡る先行き不透明感からドル売りも活発で、円は10時半すぎに142円25銭近辺と日本時間早朝につけた安値の144円台前半から2円超上げた。
ロイター通信は14日午前、赤沢亮正経済財政・再生相が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。17日に実施予定の赤沢氏とベッセント氏の日米協議では為替が議題の一つとして入っている。そのため「円安是正への思惑が高まった」(外為どっとコム総合研究所の中村勉研究員)との声があった。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。一方、先物では国内の輸出企業や機関投資家による為替差損回避(ヘッジ)の円買いがみられた。
日銀の植田和男総裁は14日午前の衆院予算委員会で、米関税政策を巡り「経済・物価を巡る不確実性が大きく高まる」としたうえで「経済・物価・金融情勢を点検し適切に政策判断をする」と述べた。従来通りの姿勢を維持したとの受け止めから、相場を方向付ける材料とはならなかった。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=162円58~62銭と、同28銭の円安・ユーロ高だった。対ドル相場に歩調をあわせて一時は強含んだ。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1372~73ドルと同0.0009ドルのユーロ高・ドル安だった。ドル安の流れに乗って1.1409ドル近辺まで上げ幅を広げた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
大阪万博、開幕初日の一般来場者11万9000人[2025/04/14 12:05 日経速報ニュース 372文字 画像有 ]
日本国際博覧会協会は14日、大阪・関西万博開幕初日の13日の一般来場者数が約11万9000人だったと発表した。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者など約2万2000人が入場した。
同日は入場ゲートや米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前に長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」は、正午前時点で最長8時間20分待ちとなり、午前中に受け付けを終了した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生した。
大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日まで半年間にわたって大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開催する。日本での万博開催は2005年の愛知以来20年ぶり。過去最多となる158カ国・地域が参加する。
三井住友カードと三井住友海上プライマリー生命、「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに資産形成型保険2商品を追加[2025/04/14 11:12 日経速報ニュース 1266文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月14日
三井住友カード「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに
三井住友海上プライマリー生命の資産形成型保険 2商品を追加
~業界初、資産形成型保険に対するポイントサービスを開始~
三井住友カード株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 社長執行役員 CEO:大西 幸彦、以下:「三井住友カード」)と、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藏田 順、以下:「プライマリー生命」)は、資産形成型保険((1)変額保険(有期型)「みらいふくらむ」、(2)生存保障重視型平準払個人年金保険(利率変動型)「積立年金保険」)を「Vポイントが貯まる保険」の商品ラインナップに追加し、2025年4月14日より販売を開始します。
人生100年時代において、「長期・積立・分散」投資による資産形成への社会的関心が高まっています。また、NISA・iDeCoなど資産形成型の金融制度が普及し、「貯蓄から投資」への流れが加速しています。こうした中、分散投資で長期にわたり資産形成を行いながら、生命保険ならではの機能による万一の場合の保障の準備や、ドルコスト平均法(*1)により株式や債券等または為替の変動リスクを低減できる資産形成型保険商品を発売します。
本商品の発売により、「Vポイントが貯まる保険」では、資産形成に関心のあるお客さまにご満足いただける貯蓄性商品の提供が可能となり、保障性と貯蓄性の両方からお客さまの多様なニーズにお応えできます。
さらに、資産形成型の保険商品に対するポイント還元は、業界初(*2)の取り組みです。月払保険料のお支払いで、通常のポイントに加えて1%相当のポイントも上乗せされ、合計で保険料の最大2%(*3)のVポイントが貯まるため、資産形成を効率よく行えます。
*1 「ドルコスト平均法」とは、価格が変動する商品を定期的に一定額購入して、平均購入単価を平準化することを期待する投資手法です。
*2 プライマリー生命の保険では、保険のお申し込みをWEBで完結することによる募集経費の削減効果をVポイントとしてお客さまに還元します。ポイントが還元される市場リスクを有する生命保険商品(特定保険契約)の発売は業界初となります。(2025年4月時点、プライマリー生命調べ)
*3 通常のポイント還元率はカードによって異なります。Vポイント2%還元となるのは、三井住友カードプラチナプリファード、Olive フレキシブルペイプラチナプリファード等、通常のカード利用で貯まるVポイントが1%還元のカードで決済した場合に限ります。通常のカード利用で貯まるVポイントが0.5%還元のカードで決済した場合は、1.5%還元となります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689689/01_202504141111.pdf
外為10時 円相場、上昇に転じる 一時142円30銭台 赤沢氏の発言で[2025/04/14 10:34 日経速報ニュース 653文字 ]
14日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇に転じた。10時時点は1ドル=142円94~96銭と前週末17時時点と比べて11銭の円安・ドル高だったが、10時過ぎに同48銭円高の142円35銭近辺をつけた。赤沢亮正経済財政・再生相の発言をきっかけに円安を巡る日米協議への思惑が高まり、円買い・ドル売りが増えた。
ロイター通信は14日午前、赤沢氏が「為替は加藤勝信財務相とベッセント米財務長官で緊密に議論していく」などと述べたと伝えた。それに反応したのが海外ヘッジファンドなどの投機筋だ。「トランプ米政権は円安を批判しているため、円買いの材料となったようだ」(SMBC信託銀行の合沢史登シニアマーケットアナリスト)との声が多い。
米関税政策を巡る不透明感も引き続きドル全体の重荷となっている。ドルは対円だけでなく対ユーロでも売りが膨らんだ。
10時前の中値決済に向けては、「売買が交錯しているようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。半面、先物では国内輸出企業による円買い・ドル売り観測が出ている。
円は対ユーロでも上昇している。10時時点では1ユーロ=162円48~51銭と、同18銭の円安・ユーロ高だったが、その後は162円20銭台をつけた。前週末17時時点は162円30~34銭だった。
ユーロは対ドルで上げに転じた。10時時点では1ユーロ=1.1367~68ドルと同0.0004ドルのユーロ高・ドル安で、1.1385ドル前後まで買われている。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
セブン、迫力欠くコンビニ戦略 買収案対抗決め手乏しく[2025/04/14 10:11 日経速報ニュース 2450文字 画像有 ]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、2026年2月期の連結営業利益が前期比1%増の4240億円になりそうだと発表した。2年ぶりの増益を見込む。リテールメディア(小売り広告)事業の本格展開などの成長戦略も示したが、カナダ社の買収提案に対抗するには物足りないとの声も広がる。
売上高に当たる営業収益は10%減の10兆7220億円を見込む。イトーヨーカ堂などを束ねるヨーク・ホールディングス(HD)とセブン銀行を今期中に非連結化する影響を受ける。純利益は前期に計上した特別損失の影響が小さくなり、47%増の2550億円となる見通しだ。
セブンは9日に営業収益予想を10兆7610億円と発表していたが、14日に10兆7220億円と訂正した。
米国コンビニ事業ではトランプ政権の関税政策による消費減速リスクを織り込み、25年度の米既存店売上高の増減率を1月時点の1.5%増から、1.5%減に引き下げた。9日夕にオンラインで開いた決算説明会で、スティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長は関税の影響について「経済や消費行動にはマイナスだ」と述べ、「他社よりも価値を提供するスピードを改善することで競合に打ち勝つ」との考えを示した。
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カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は7兆円規模の買収提案をセブンに提示している。セブンの時価総額は5兆円程度で、単独路線を進めるためには株価を上昇させる必要がある。
社長交代を発表した3月6日には米国コンビニ事業会社の新規株式公開(IPO)や2兆円の自社株買いといった資本政策を相次ぎ打ち出した。ただ、9日までの株価は13%安に落ち込む。市場の注目点はコンビニ事業の成長戦略に集まっていた。
新規出店623店、PBも強化
国内コンビニ事業は今期、営業利益を5%増の2447億円にする計画だ。コンビニの成長戦略の肝である新規出店は、都心部を中心に623店と高水準の出店を続ける。
24年秋に始めた低価格商品「うれしい値!」のほか、ドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶などレジ横商品の品ぞろえ強化で集客を図る。利益率の高いプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高を1兆5500億円と、前期から500億円増やす。
30年度までの長期戦略では、6年間で設備投資やM&A(合併・買収)に3兆2000億円を投じる。店舗のデジタルサイネージ(電子看板)などに広告を表示するリテールメディア事業を本格展開し、メーカーからの広告料で稼ぎながら、店舗に並べた商品の拡販にもつなげる。
まず25年に電子看板の設置店を現在の7倍の約3500店に拡大する。POS(販売時点情報管理)やスマートフォンアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。
ピザや焼き菓子などレジ横商品の拡充に向けて店内調理への投資を積み増すほか、最短20分で店から商品を届ける宅配サービス「7NOW(セブンナウ)」を通じて1店舗あたりの売上高を伸ばす戦略も盛り込んだ。省人化の取り組みも強化する。
ただ、小売り広告や宅配サービスは同業他社も力を入れている。ファミリーマートはすでに約1万店に電子看板を設置し、自社の決済アプリを使って食品メーカーの広告や割引クーポンを配信するサービスも行う。セブン関係者は「コンビニ成長策について手詰まり感がある」と新機軸を打ち出せない状況を認める。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「選択と集中をすすめ、主力のコンビニ事業で成長の絵を描く戦略だが、それにしては少し物足りない印象だ」と指摘する。
ACTの買収案か単独成長か 「5月末判断」を修正
セブンの買収を巡っては、ACTとの応酬が続いている。ACTはセブン全社を対象にしたデューデリジェンス(資産査定)を要請するが、セブンは買収交渉の前段階として、米独占禁止法の課題解決が必要不可欠との姿勢を鮮明にする。両社は米独禁法の解決のため、2000店規模に及ぶ店舗売却先候補を選ぶ作業を進めている。
セブンの社外取締役で構成する特別委員会は、セブン単独路線とACT案のどちらが企業価値向上につながるかを議論しているが、結論が出るにはなお時間がかかりそうだ。
セブンの丸山好道最高財務責任者(CFO)はACTの買収提案の受け入れ可否などについて、1月のアナリスト説明会では「5月の株主総会までに一定の判断をする」と表明していた。
丸山氏は9日の説明会で「(ACTと自社単独案について)現時点で比較できる状況にない。状況が変わり説明をできる時期になったら公表する」と話した。創業家主導の株式非公開化案が頓挫し、判断時期を事実上修正した。
企業価値を一気に高める施策を打ち出せない中、セブンがACTに対抗するためには加盟店オーナーや株主との対話が欠かせない。ただ、9日の決算説明会は次期社長のデイカス氏や丸山CFO、事業会社や関連会社の役員らが出席したが、現社長の井阪隆一氏の姿はなかった。説明会の方式もオンラインだった。
ある加盟店オーナーは「まずは実現可能なビジョンを示して取り組んでほしい。でなければ、オーナーは離反し優秀な社員も去っていく」とこぼした。
自社株買い最大6000億円、26年2月まで
同日、総額2兆円の自社株買いの方針の一環で、最大6000億円の自社株買いを始めると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の15.4%に当たる4億株を上限に取得する。取得期間は4月10日~26年2月28日。一連の発表後、セブン&アイ株は時間外取引で同日の東証終値比一時5%上昇した。
25年2月期の連結決算は営業収益が前の期比4%増の11兆9727億円、純利益が同23%減の1730億円だった。インフレの影響などで主力の日米コンビニ事業が低迷した。構造改革の一環で米コンビニ不採算店舗の閉店費用やイトーヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退関連費用を計上したことも利益を押し下げた。
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ロシア投資、制裁下でも物色活発 「停戦トレード」に思惑[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1878文字 画像有 ]
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では約85ルーブルと3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
西側に開かれる利点もある。3月に英シンクタンクZ/Yenグループが発表した25年の金融都市ランキングで、東欧・中央アジアでは首都アスタナ(首位)と最大都市アルマトイ(5位)の2都市が選ばれた。
金融特区アスタナ国際金融センターのレナト・ベクトロフ総裁は24年の日本経済新聞の取材に「英国のコモンロー(判例法)の法体系や独自の国際仲裁センターを持ち、海外投資家が活動しやすい」と話していた。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
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三井化学 輸送車両のアナログメーター、DXで遠隔監視へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1734文字 画像有 ]
三井化学が化学製品の安全な輸送に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。同社のプラント監視システムを応用し、輸送中のローリー車におけるタンク内の温度と圧力を監視する仕組みを開発した。アナログメーターの数値をデジタル化することで、乗務員が運転席から降りてタンクに登らなくても車両の様子を確認できるようにする。2025年3月までに実証実験を実施し、有効性を確認した。
三井化学が製造する化学品は、業務委託した物流事業者の専用車両で運搬する。製品の中には高い可燃性を持つものなど危険物も含まれる。危険物の輸送においては、高圧ガス保安法、消防法、毒物及び劇物取締法などの法規制を厳格に守る必要がある。
同社ではこうした法規制に加えて、「レスポンシブル・ケア(RC)」と呼ばれる化学品の安全な製造や使用に向けた業界の自主的な取り組みにも力を入れている。同社の中村淳デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部安全品質グループグループリーダーは「地域住民の安心・安全のため、法規制以上の取り組みを進めている」と語る。
プラントの監視システムを応用
三井化学は輸送における過去のトラブルを分析し、リスクの発生頻度や影響度別に対策を実施している。24年1月から実証実験を進めてきたのが、(1)輸送車両の動態監視(2)緊急連絡カード(イエローカード)のQRコード化――の2つだ。
(1)の輸送車両の動態監視を実現するため、車両のタンクに取り付けられている温度・圧力のアナログメーターの上から磁気センサーを設置した。アナログメーターの針の振れ幅を磁気センサーで計測し、運転席のパソコンに近距離無線通信「ブルートゥース(Bluetooth)」で送信する。従来はアナログメーターを目視確認するため、乗務員がいったん運転席から降りてタンクに登る必要があった。
温度や圧力のメーターそのものをデジタル式に取り換えれば、磁気センサーを設置する必要はないように見える。しかし、危険物の輸送車に取り付けられる温度・圧力のメーターには厳しい規定があり、「現状使用できるのはアナログメーターしかない」(依田馨デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部部長)という。
実は、この温度・圧力の遠隔監視は同社の化学品を製造するプラントで用いられている仕組みを応用したものだ。中村グループリーダーは「プラントと異なり、輸送時には振動がある。実証実験で正しい値を表示できるか検証した」と話す。
25年3月時点で、運転席にいながらタンク内の温度・圧力を確認できた。しきい値を設け、その値を外れた場合は警告を出すようにして、事故を未然に防止する工夫もしている。現在はもう1段階進み、遠隔の物流事業者の事業所で測定データを監視する方法も検討している。
紙のイエローカードをデジタル化
同じく実証実験を進めるのが(2)のイエローカードのデジタル化だ。イエローカードは、化学物質や高圧ガス輸送時の事故に備え、乗務員や消防・警察が取るべき消火方法などの処置を書いたものを指す。従来は紙で運転席に保管しており、事故発生時に素早く取り出すことが難しくなる可能性があった。そこで、イエローカードの内容をQRコード経由で読み取れるようにして、QRコードをタンクに貼り付ける方法に変更した。
イエローカードの内容を作成する作業もデジタル化している。イエローカードは、安全データシート(SDS)と呼ばれる化学品の取り扱い情報をまとめた文書から、事故発生時の対応に必要な情報を抽出して作成する。同社では22年度からイエローカード半自動出力システムの実運用を開始し、SDSからイエローカードに必要な項目を自動で抽出できるようにした。従来は人手で様式に合わせて抽出しており、人によって書き方に差が生じることがあった。
三井化学では化学品の共同物流に向けたシステム開発など、IT(情報技術)で物流を効率化・高度化する取り組みを多数進めている。依田部長は「業界を巻き込んだ取り組みを加速していきたい」と意気込む。
(日経クロステック/日経コンピュータ 渥美友里)
[日経クロステック 2025年3月26日付の記事を再構成]
新社会人のクレジットカード選び ポイント経済圏を吟味-3Graphics[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1257文字 画像有 ]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
コード決済との違いは?
コード決済はクレカのタッチ決済と似ているが、スマートフォンの電源が切れてしまうと使えないのが最大の弱点だ。一方、コード決済はクレカと比べ、自治体などが高還元や割引といった独自のキャンペーンを展開しやすい。買い物をする場所や店舗によって還元率が高い決済手段を選ぶような使い分けをすると、ポイントを多く獲得しやすくなる。
複数枚必要?
メインで利用するクレカに慣れたら、サブで使うカードを作るのも一案だ。何かしらの理由でメインのカードが使えなくなった時の代替にもなる。ただ枚数ばかり増えてしまうと浪費や不正利用に鈍感になりかねない。自分で管理できる範囲にとどめたい。サブのカードはメインと違う還元ポイントにするなど、異なる要素を選ぶと使い分けもしやすい。
滞納すると?
社会人になって作ったクレカの限度額が学生時代と比べて大幅に増えても、収入を上回る額を使うのは避けたい。支払期限に間に合わず滞納が続くと、信用情報機関に滞納した情報が記録されてしまう。「ブラックリスト」に載ると、新たなクレカを発行してもらえなくなるほか、住居の賃貸契約などにも影響を及ぼす可能性がある。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎、デザイン制作協力 タイドデザイン)
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盛岡のデジタル通貨、機能拡充で利用者・加盟店2割増へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1136文字 画像有 ]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは①スタンプラリー機能②会員証機能③ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
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追い証とは 信用取引の追加保証金、株価下落に影響も-市場を知るニュースワード[2025/04/14 04:00 日経速報ニュース 896文字 画像有 ]
株式市場は荒れ模様が続いています。株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式などを代用有価証券として差し入れることもできます。担保は法令で信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると、担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は証券会社によって異なりますが、義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡って2つの売りが出るとされます。第1の売りは、株価下落で含み損が大きくなりはじめた段階で、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。相場全体が一定程度下げると、手じまい売りが連鎖する展開になることがあります。
その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられなかった場合は証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
信用取引で株を買った投資家の含み損益の度合いは信用評価損益率という指標で示されます。一般にマイナス15%が投資家によっては追い証が発生する「黄信号」、マイナス20%はより広範に追い証が発生する「赤信号」とされます。松井証券の店内集計によると、4日にマイナス16.9%(全市場)をつけ、7日にはマイナス23.6%まで悪化しました。これは株式相場が急落した2024年8月5日(マイナス25.7%)以来の低水準です。
前週の株価急落局面を振り返ると、日経平均株価は7日に前週末比2644円(8%)安の3万1136円で終え、翌8日に反発した後、翌9日は反落して終えました。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「7日に追い証回避のための手じまい売りが広がり、そこで発生した追い証の強制決済の売りが9日に出た」と解説しています。
ショッピファイ、ECインフラで開く次の成長[2025/04/14 02:00 日経速報ニュース 5436文字 画像有 ]
電子商取引(EC)サイト構築支援を手掛けるカナダのショッピファイが成長期に入った。直近は提携や買収を弾みに米国でのシェアや収益を拡大。物流部門売却後は、ECインフラの強化に再びかじを切った。投資案件などを分析すると、没入型買い物体験の提供や顧客データの収益化といったショッピファイの次の一手が見えてきた。
電子商取引(EC)サイト構築支援のカナダのショッピファイは成長モードに戻った。
2023年に物流部門を売却して中核のECインフラの強化に再び乗り出して以来、的を絞った提携や買収、製品開発で成長を加速している。米EC市場でのシェアは10%から12%に伸び、24年度の売上高は前年度比26%増えた。
今度は新たな挑戦に向けて布石を打っている。没入型買い物体験の提供からエンタープライズ(大企業)顧客のサポート、広告を通じたデータの収益化まで、世界の商取引でさらに広範な役割を果たそうと土台を固めている。
CBインサイツの投資、買収、連携、決算説明会などのデータを活用し、ショッピファイの次の動きが分かる3つの重要分野を特定した。
・没入型の統一された買い物体験を提供:ショッピファイはゲーム、決済のほか、人工知能(AI)などが消費者の代わりに意思決定する「エージェンティック・コマース」企業との関係構築により、いつでも利用できるクロスプラットフォームショッピングを実現しようとしている。エコシステム(生態系)の中核に据えるのは自社プラットフォームだ。
・大企業向けの定番ECプラットフォームに:システムインテグレーターとの提携、「コマースコンポーネント」など必要に応じて自由に組み合わせられるツール、「ショップペイ」などの別売りツールにより、自社を米セールスフォースや米アドビに代わるモジュール式プラットフォームと位置付けている。
・顧客データを新たな広告収入源に:「ショッピファイ・オーディエンス」のような自社ツールと顧客データプラットフォーム(CDP)やキャンペーンプラットフォームとの連携により、小売り発の新たな広告サービス「リテールメディア・ネットワーク」の土台を築き、加盟店と買い物客のデータを収益化する新たな方法を生み出そうとしている。
下の図では、ショッピファイがこの3つの戦略で既に活発に動いている分野と、次に踏み出すとみられる分野(将来の提携相手や買収企業の予想も含む)を示した。
こうした優先分野は、同社が買い物体験をどう再構築し、広告、法人向けソフトウエア、ECインフラで既存勢に挑もうとしているかを表している。
以下ではそれぞれの予想について詳しく説明する。
1.没入型の統一された買い物体験を提供
ショッピファイの米EC市場でのシェア拡大は、より多くのコンテクスト(文脈や背景)にコマース機能を組み込む周到な戦略を反映している。ゲーム配信プラットフォームの米ロブロックスやAI検索の米パープレキシティのようなプラットフォームとの連携は、ショッピファイのインフラが従来だけでなく新たな環境でも中核に位置するいつでもどのチャネルでも可能な買い物のビジョンを示している。
いつでもどのプラットフォームでもショッピング可能に
ショッピファイは24年後半、パープレキシティの新たなAI買い物支援機能「バイ・ウィズ・プロ」と連携し、エージェンティック・コマースの世界に踏み出した。これにより、消費者はパープレキシティのインターフェースで商品を閲覧し、ショップペイで直接精算できるようになった。
同時期にはロブロックスのEC初の連携パートナーにもなり、「ショッピファイ・チェックアウト」が組み込まれたゲーム内店舗で、加盟店に1日8000万人以上に上るロブロックス利用者へのアクセスを提供している。
ショッピファイはこの目的に向け、自社製品の機能を拡充している。例えば、24年にはPOS(販売時点情報管理)アプリに「タップ・トゥ・ペイ」を導入し、オフライン決済機能を採り入れてオンラインとリアルの体験の結びつきを強化した。さらに、ロイヤルティープログラムを手掛ける米ギャッツビー(Gatsby)と連携し、加盟店がオンラインとリアルの両方で顧客エンゲージメントを築けるようにした。
一方、その場でのカード処理を可能にするインドのキャッシュフリー・ペイメント(Cashfree Payments)との提携は、地域のPOSプロバイダーを通じて各国の経済圏に参入する広範な取り組みの一環だ。
企業の勢いを測るCBインサイツのモザイクスコアに基づき、ショッピファイが事業を拡大する可能性がある主な市場(欧州とアジア太平洋)のアーリーステージ(初期)とミッドステージ(中期)のPOS企業を選別した。さらに、小売業者向けサービスを提供する企業に対象を絞ったところ、ショッピファイの潜在的な提携パートナーとして次の3社が浮上した。
・フラットペイ(Flatpay、デンマーク、モザイクスコア783点):中小企業向けに簡素化した決済処理システムを提供
・英Teya(758点):欧州の中小企業向けに決済処理と金融サービスを提供
・dtcペイ(dtcpay、シンガポール、735点):法定通貨やステーブルコインに交換可能な多通貨スワップなどのサービスを手掛けるデジタル決済プラットフォーム
2.大企業の定番ECプラットフォームに
ショッピファイは従来の中小企業の顧客基盤にとどまらず、セールスフォースの「コマースクラウド」やアドビの「コマース」など大企業向けECプラットフォームと直接競合するための土台づくりを進めている。自社を「大規模で業務が複雑な加盟店のニーズを満たせる柔軟なモジュール式インフラレイヤー」と位置付けている。
移行支援サービスとの提携で大きな壁をクリア
大手の小売業者やブランドがショッピファイのプラットフォームに移行する際の最大の壁の1つは、レガシープラットフォームからの移行の複雑さだ。ショッピファイはこの問題に対処するため、22年からシステムインテグレーター網を徐々に拡大し、デロイト、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、KPMGとの提携により新規顧客の導入と活用を支援している。
24年4月には、エンドツーエンドのデジタルコマースサービスを提供するため、米グーグル・クラウド及びIT(情報技術)コンサルティングの米コグニザントと組み、戦略をさらに強化した。こうした提携はITシステムを購入しようとする大手企業の間でショッピファイの導入が増えており、同社の大企業向け市場参入の動きも進化していることを示している。
ショッピファイはアプリストアにもシステム移行や導入支援パートナーを加えている。24年8月にはデジタルコマース設計のピボツリー(Pivotree、カナダ)を加え、25年1月には企業の移行ニーズに対応するため米Anattaとの関係を拡大した。
大企業向けに精算と決済も効率化
決済ワークフローの効率化はショッピファイの大企業向けシステムでも主なセールスポイントだ。必要に応じてツールを選べる別売りのショップペイは、「コーチ」などの大手ブランドに採用されている。ショッピファイは決済全般をサポートするため重要な提携を重ねている。
・23年6月にはオランダの決済大手アディエンと提携し、グローバルに事業を展開する大手加盟店向けに処理を効率化した。
・24年9月には米決済大手ペイパルとの連携を拡充してペイパルはショッピファイのカードプロセッサーになり、注文管理や報告、ECサイトの売り上げを取り消す「チャージバック」を効率化した。
ショッピファイはアプリストアで暗号資産(仮想通貨)決済にも対応している。24年にはHelio(スイス、現在は米MoonPay傘下)のソラナペイが対応可能なトークン(電子証票)を拡大したほか、ロイヤルティープログラム、ステーブルコインの交換機能を追加し、ショッピファイの最先端の決済サービスの選択肢を拡大した。
さらに、大企業の加盟店のニーズに応えて他のポイントシステムも提供している。24年10月にはAI検索のコベオ(Coveo、カナダ)と提携し、知名度の高い小売業者にAIによる商品の発見、パーソナライズされたお薦めなどのツールを提供した。
税務テック大手の米バーテックス(Vertex)や米アバララ(Avalara)との連携で大企業向けサービスをさらに拡充し、越境取引に伴う複雑なコンプライアンス(法令順守)も支援している。
ショッピファイは大企業の開拓に取り組んでいるため、税務コンプライアンスのソフトウエア企業と提携する可能性がある。そこで、CBインサイツのツール(特定のテクノロジーの分野をリードする未上場企業を見つけ、ランク付けする「ESP」)に基づき、ショッピファイと有益な関係を築く可能性が高い勢いのある企業を特定した。
・米ソボス(Sovos):各国の税務コンプライアンスと規制当局への報告を支援するソフトを提供
・米Exactera:移転価格の算定、法人所得税、研究開発の税額控除に対応したAI税務コンプライアンスシステムを提供
・米ネオタックス(Neo.Tax):新興企業や中小企業向けにAIを活用した税務自動化ソフトを開発
ショッピファイのこうした動きは、必要な技術を自由に組み合わせられる大企業向け技術スタックへの移行を示している。迅速な導入、柔軟なツールの提供、グローバル事業に対応したサービスの提供により、既存ベンダーに対抗する構えだ。
3. 加盟店網とファーストパーティデータを活用し、加盟店向け広告を強化
ショッピファイはこれまでも加盟店にパーソナライゼーションと顧客獲得ツールを提供してきた。だが最近の製品アップグレードと技術提携からは、膨大な加盟店網と豊富なファーストパーティデータを武器に本格的な広告ビジネスに発展させようとするさらに大きな野心がうかがえる。
同社の活動は独自のリテールメディア・ネットワークの構築を進めていることを示唆している。これにより同社は加盟店や外部ブランドに広告スペースを販売できるようになり、米アマゾン・ドット・コムや米グーグル、米ウォルマートなどの広告大手と競合する。
ショッピファイはまず、2つの広告関連製品のアクセスを拡大した。
・24年6月に提供開始した顧客獲得ツール「ショッピファイ・オーディエンス」最新版(バージョン2.4)では、加盟店がさらに的を絞った顧客グループを対象にし、ネットワークやプラットフォームを横断して広告の成果を最大化できるよう支援している。顧客獲得コスト(CAC)が最大50%減った加盟店もある。
・24年12月には、米国とカナダの全ての加盟店が広告ツール「ショップ・キャンペーン」を使えるようにした。これまでは上位サービス「ショッピファイ・プラス」の加盟店に限られていた。
もっとも、ショッピファイの経営陣は自社製品以外にも広告の可能性を見いだしている。
ショッピファイは顧客データを集約して有効化するため、行動や取引に関する知見を集める外部プラットフォームと提携している。
・24年10月には、ショッピファイのアプリストアで米ブルーシートのツールが使えるようになった。このツールには顧客データプラットフォーム、お薦めの自動判断、クロスチャネルの販促プラットフォームなどが含まれている。
・同じ24年10月には、カナダのトレリスがショッピファイと連携すると発表した。これにより、買い物客データをアマゾン・マーケティング・クラウドに連携し、様々なプラットフォームの買い物客の知見に基づいてさらに効果的に的を絞ったメッセージを送れるようになった。
ショッピファイは今後、CDPやデータクリーンルームを独自に提供し、データオーケストレーション(収集・整理・調整)機能を強化する可能性がある。そこで、買収確率とモザイクスコア(600点以上)に基づき、CDP市場でショッピファイが買収しそうな企業を予測した。
・オプティムーブ(Optimove、イスラエル):AIを活用し、BtoC(消費者向け)企業を対象にパーソナライズされたマルチチャネルキャンペーンを調整
・米サイモン(Simon):小売り、旅行、サブスクリプション(定額課金)企業向けのパーソナライゼーションとカスタマージャーニーの調整
・米ハイタッチ(Hightouch):データのアクティベーション(有効化)とリバースETL(抽出・変換・ロード)サービスに特化した必要なツールを自由に組み合わせられる顧客データプラットフォーム
ショッピファイは加盟店向けに新たな需要チャネルも築こうとしている。24年には、ECサイト構築支援の仏ミラクル(Mirakl)と提携して外部マーケットプレイスを構築可能にしたほか、米小売り大手ターゲットと組んで加盟店の商品をターゲットのオンラインショップで取り扱えるようにした。
こうした動きはショッピファイが加盟店ツールの構築にとどまらず、既存の広告プラットフォームの牙城に挑み、ブランドが買い物客とつながる手段を再定義する可能性がある垂直統合型のコマースとメディアのスタックを築こうとしていることを示している。
「50代からの資産運用法」 東京・大手町で無料セミナー(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 夕刊 3ページ 237文字 PDF有 書誌情報]
リスクを抑えた資産運用法を解説。資産活用、資産の取り崩し、相続など、退職世代の方に知っていただきたい内容をお伝えします。
◇日時 2025年5月10日(土)午前10時~11時50時頃
◇会場 スペースニオ(日本経済新聞社東京本社ビル2階)
◇定員 50名※参加無料。応募多数の場合は抽選
◇講師 佐藤駿介さん(株式会社Fan)
◇申込締切 4月30日(水)午前9時半
◇申込 QRコードより
主催 日本経済新聞社エリアセールスユニット/日経ピーアール
協力 株式会社Fan
会場活況、事前予約14万人 「並ばない万博」早くも行列 不具合・混雑解消に課題[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。(1面参照)
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフらがずらりと並び、手を振りながら歓迎した。
米国やスペインなど各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を訴え、来場コントロールに力をそそいできた。背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけにアクセスは1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオンだけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。
準備遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期開業も来場者の満足度向上に不可欠。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。
うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
アフリカと向き合う――日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
【図・写真】いまい・としみつ 1988年早稲田大商卒、豊田通商入社。2018年にトヨタ自動車常務役員などを歴任し、25年4月から現職
「ウィーン国立歌劇場」一般販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 341文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の一般販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S7万9000円~E2万6000円、土・日S8万2000円~E2万9000円ほか
◇チケット販売 4月18日よりNBSほかにて発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
特集――NIKKEIAsia China eyes mature tech for chips[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1968文字 PDF有 書誌情報]
読まれた記事
EDITOR’S PICKS
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と協力関係にある中国の半導体製造装置メーカーの深市新凱来技術が、粛々と技術開発を進めているようです。半導体製造装置は日本や欧米の企業の独壇場でしたが、米国が対中輸出規制を強めるなかで中国勢が技術水準を高めています。日本経済新聞の英字媒体「Nikkei Asia」では中国内外の取材網を活用し、同国企業の技術動向を追っています。
中国半導体「成熟技術」フル活用
驚くべきは新凱来技術の技術範囲の幅広さ。2021年8月設立の新興企業でありながら、露光装置から蒸着、測定、エッチング、ALD(原子層堆積)に及んでいます。深市政府系の投資会社が出資し、ファーウェイとも緊密に連携しているといいます。他社の経験豊富なエンジニアを積極採用し、力をつけているようです。
同社の露光装置が描く回路線幅は28ナノ(ナノは10億分の1)メートル。数ナノ単位の線幅を競う最先端品に比べれば「枯れた」技術ですが、自動車やロボット用半導体の製造に応用できます。
毎週水曜日に掲載する特集「Tech Asia」でも、中国が「枯れた技術」を急速に蓄積し、炭化ケイ素(SiC)ウエハーなどの価格破壊を引き起こしていると指摘しています。最先端ではなくても、すでに広く使われて信頼性が高い点で優位性があります。最先端技術で半導体立国の再興を目指す日本とは対極的ともいえます。
国・地域別トップアクセス
@シンガポール 富裕層向け運用で横領
シンガポールにある中国人富裕層向け資産運用会社(ファミリーオフィス)で7400万シンガポールドル(81億円)規模の横領が起きたとして、同社のトップが元従業員4人を告発しました。同国警察がこの件の捜査を始めています。シンガポールはこれまでファミリーオフィスの誘致に積極的でしたが、2023年8月には大規模な資金洗浄事件も発生しました。相次ぐ問題にアジアの金融センターがどう対処していくのか注目が集まっています。
@フィリピン 日本発新興企業に注目
フィリピンでは日本発のフィンテック企業、グローバル・モビリティ・サービスの記事が読まれました。貧困から脱却しづらい三輪タクシーの運転手が経済的に自立できるよう支援しています。借り手となる運転手が同社独自のIoT機器を車体に装着することを条件に、金融機関が車両を購入するためのローンを提供します。働きぶりを数値化でき、支払いが滞ればエンジンを停止できることが返済を保証する「担保」になります。家を購入したり子供を大学に通わせたりできるようになる成功例も出始めています。
@台湾 第2野党「防衛予算、メリハリを」
台湾の第2野党の台湾民衆党党首で、与党・民主進歩党との対決を唱える黄国昌氏がインタビューに応じました。中国が軍事的威嚇を強めるなか、台湾は軍事支出を増やす方針ですが、黄党首は「税金を見境なく防衛費に使うべきではない」と述べました。台湾の防衛予算は域内総生産(GDP)の3%未満ですが、米国は10%程度にまで増やすよう要請しています。必要なところにメリハリをつけて予算を割くよう求めています。
QRコードから英文をお読みいただけます。
LIFE&ARTS
国外で花開くミャンマー料理
ミャンマー料理が世界各国に広がっています。ミャンマーの食文化は近隣のタイ、中国、インドの影響を受け発展してきました。2021年の国軍によるクーデター以降、ミャンマー人シェフたちが活躍の場をミャンマー国外に求め始めたのが、足元の急速な国際化の大きな要因です。
記事では、タイやマレーシア、韓国、日本、欧州などで活躍する多くの料理人らによる伝統的な豚肉料理やサラダ、西洋風の趣向を凝らしたカワエビと焼きナスの一品など約20点の写真とともに紹介しています。東京都内の店も紹介しており、お店選びのガイドとしても活用できます。
OPINION
「中国プラス2」の時代に?
専門家が寄稿するオピニオン欄では、保護主義の台頭やコストの増加を回避するために中国以外にサプライチェーン(供給網)を多様化する「チャイナプラス1」戦略について論じた記事が読まれました。
米トランプ政権の誕生で世界の不透明さが増すなか、同戦略を進めているのは欧米企業だけではありません。中国比亜迪(BYD)やファーウェイのような中国企業も東南アジアや欧州に拠点を広げています。米国の関税を回避する必要性が高まってきているためです。先の読めない状況に対応するため、生産拠点のさらなる多様化を迫られています。
【図・写真】中国は急速に半導体の生産能力を拡大している=ロイター
【図・写真】料理を盛り付けるミャンマー人シェフ
【図・写真】コンテナが並ぶ上海の洋山港=ロイター
デジタルガレージ オンライン完結型火災保険[2025/04/14 日経MJ(流通新聞) 4ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。
同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
大阪万博、初日の来場予約14万人超 混雑解消など課題も[2025/04/13 19:30 日経速報ニュース 1235文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。
【関連記事】
・大阪万博開幕、想定来場者2800万人 158カ国・地域参加
・大阪万博、大屋根リングに明かり【開幕タイムライン】
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、厳しい入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフら数十人がずらりと並び、来場者に手を振りながら歓迎した。会場の熱気に協会の十倉雅和会長は「この日を無事に迎えられて感無量だ」と話した。
米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を強く訴え、来場コントロールに力をそそいできた。その背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけに、アクセスは2025年1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば、不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオン、商業施設だけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。
大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、主要乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。協会も今後、ゲート前の混雑が見込まれる場合、午前9時の開場時間の前倒しを視野に入れる。
準備の遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期オープンも来場者の満足度向上には不可欠となる。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
「一部の国で内装が開幕に間に合わないのは過去の万博でもあった」(大阪府の吉村洋文知事)との指摘もあるが、来場者からは残念がる声が漏れる。
滋賀県から訪れた小森美香さん(58)は「ネパール館も行ってみたいパビリオンの一つだった。あまりにも工事途中でびっくりした」と指摘。兵庫県伊丹市に住む安福健也さん(62)は「完成していないパビリオンがあるのは残念。会期中にもう一度見に来たい」と話した。
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ドル信認問題、開いたパンドラの箱-客員編集委員 滝田洋一[2025/04/13 11:00 日経速報ニュース 2371文字 画像有 ]
米国株だけでなく米国債まで売られ、ドル相場の足元さえ揺らいでいる。トランプ関税を機に、ドルの信認問題という古くて新しいパンドラの箱が開けられた。
「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」。1997年6月23日、米コロンビア大学の講演で橋本龍太郎首相はそう述べた。
通商交渉での米国側の理不尽な要求を振り返っての発言だが、クリントン米政権の逆鱗(げきりん)に触れた。「もし売れば宣戦布告とみなす」とルービン財務長官周辺は受け止めた。
97年11月の日本の連鎖金融破綻に、米国は冷淡そのもの。98年6月の訪中で中国トップの江沢民氏と会談したクリントン大統領は、金融危機の渦中にあった日本を「アジアの不安定役」と突き放した。
それから幾星霜、今度は中国が外貨準備として保有する米国債を着実に売っている。2025年1月末の米国債保有額は7608億ドル。前年同月比で369億ドル減らしている。
トランプ大統領による2日の相互関税の発表以来、米中の関税をめぐる応酬はエスカレートの一途。そのさなかに中国による米国債売却の観測が市場を駆け巡っている。
中国はピーク時に1兆3000億ドルを超えた米国債保有を圧縮し続ける。背景は米中貿易摩擦だけだろうか。台湾統一を目指す習近平(シー・ジンピン)国家主席が、武力行使の選択肢を排除しないことも見逃せまい。有事の差し押さえに備えた動きとの見方は根強い。
米国にとって米国債市場の安定はドル基軸通貨体制の要である。2月7日のワシントン。トランプ氏との会談を終えた石破茂首相はベッセント財務長官と意気投合した。
石破首相が示した米国債保有額のグラフ
石破氏が指し示したのは日本と中国の米国債保有額のグラフ。中国の折れ線がつるべ落としなのに対し、日本の折れ線は1兆ドル台で安定している。1月末で1兆793億ドル。ベッセント長官は安定勢力である日本に破顔一笑した。
先例がある。1995年4月、円が初めて1ドル=80円を突破したころ、ワシントンにサマーズ財務次官(後に長官)を訪ねた加藤紘一自民党政調会長(当時)は日本やアジア諸国の外貨準備を示した表を見せ、ドルの信認を守るよう訴えた。
基軸通貨国であるドルは「途方もない特権」を持っている。仏大統領だったジスカールデスタン氏は財務相時代にそう述べた。
米国は外国から輸入しても、相手国にその代金としてドルを受け取ってもらえる。なので外貨を調達する必要がなく、ドル札を刷りさえすればよい。これが特権の中身だ。
貿易赤字国である米国の対外純債務は2023年末時点で2805兆円。フランスは129兆円、英国も149兆円の対外純債務国だが、文字通り桁が違う。
多くの国々はドル建てで貿易取引し、ドルで決済し、外貨準備で米国債を保有する。その結果、米国の対外赤字は米国債投資の形をとって米国に還流する。
1971年8月のニクソン・ショックでドルは金との交換可能性を失った。ドルは「不換紙幣」となったのに、米国の信用を担保に依然として基軸通貨として君臨している。うらやましい限りなのに、そう考えない向きがある。
「ドルは外貨準備の需要から割高に」
トランプ政権のミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長だ。「ドルは外貨準備の需要から割高になり、米国の製造業や貿易可能財の生産者がそのコストを負っている」
ヘッジファンドのストラテジスト時代の昨年11月に発表した論文「世界貿易システム再構築のためのユーザーガイド」。そのなかで、ミラン氏は喝破する。
強すぎるドルの負担を軽減するための通貨調整。1985年9月にドル高是正のためにG5(日米独英仏の主要5カ国)が一致したプラザ合意の現代版、フロリダのトランプ氏の邸宅になぞらえたマール・ア・ラーゴ合意が取り沙汰される。
だが一連のトランプ砲を、基本的には為替調整であるプラザ合意の現代版というのは妥当だろうか。
「トランプ政権の一連の施策は1971年のニクソン・ショックの再来だ」。相互関税をめぐる騒動にてんてこ舞いの内閣府幹部はそう漏らす。
71年のニクソン・ショックはドルの切り下げとして記憶に刻まれるが10%の輸入課徴金を同時に打ち出した。輸入課徴金とはトランプ関税よりストレートな表現である。
45年に第2次世界大戦が終わって四半世紀あまり。米国は経済と軍事の両面で西側世界を支えてきた。そのパクス・アメリカーナ(米国の平和)の重荷を日欧に分担させようとしたちゃぶ台返しが、71年のニクソン・ショックである。
同様に90年前後にソ連との冷戦に勝利した後のパクス・アメリカーナ第2幕にも、金属疲労が強まっている。そこに登場したトランプ政権が、打ち出したのが関税の連射。それに続くのはドル高是正だろう。
ニクソン氏を尊敬するトランプ氏が、71年のニクソン・ショックと同様な策をしつらえたのは偶然ではない。問題は時間軸。金との交換可能性を絶ったドルが、安定した強みを確立するには冷戦の終わりと米経済の復活を待つ必要があった。
ルービン財務長官が「強いドルは米国の国益」と宣言するのは実に95年1月。71年からそれまでの四半世紀近く、歴代の米政権は「ドル安容認→副作用の表面化→ドル防衛」のサイクルを繰り返し、何度も基軸通貨ドルに信認の危機が訪れた。
そして今、トランプ氏は71年と同じパンドラの箱を開けた。政権が目指す製造業の復権とテクノ覇権の融合。それがいつ、そして本当に実現するか分からない。しかも71年当時の日欧とは異なり、覇権を争う中国は経済でも軍事でも米国とガチンコ勝負である。
いきおいトランプ氏はかんしゃくを起こす。ドルは信認問題の歴史を繰り返しつつある。米国の単独行動が際立つ分、事態は厳しさを増している。
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アフリカとどう向き合う 国連機関高官ら3氏に聞く-アフナ・エザコンワ氏/今井斗志光氏/堀内俊彦氏[2025/04/13 05:00 日経速報ニュース 4275文字 画像有 ]
3年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)が8月に横浜市で開催される。世界の分断が進む中、潜在的な成長力やビジネスチャンスから「最後のフロンティア」といわれるアフリカと日本はどう向き合えばいいのか。日本企業による投資の出遅れも気がかりだ。関係者に聞いた。
◇ ◇ ◇
「自国第一」に対抗を UNDP総裁補兼アフリカ地域局長 アフナ・エザコンワ氏
米欧が途上国向け援助の削減に動いている。自国が利益を得られるプロジェクトだけに投資すべきだとの思考に陥っているようだが、あまりに近視眼的な判断だ。国際社会のあり方は長期的な視野に立って考えなければならない。繁栄する社会の一員であり続けるには、平和で繁栄を共有する世界が必要なのだから。
日本は高度に工業化された国だ。その経済は輸出などを通じて他の国々の消費が支えている。人口減少に直面する日本が長期的に成長を持続するには、ますます海外の市場に頼らざるを得ないだろう。
アフリカは人口の中央年齢が19歳と世界で最も若い大陸だ。15億人の巨大なマーケットもある。消費意欲が旺盛な中流階級が増加すれば、日本企業にとって大きなチャンスが生まれる。教育や医療といった「人への投資」の拡大は将来の中流階級を育成することにつながる。
日本はグローバルノース(先進国)とサウスの架け橋になる役割を果たせる国と考えている。米欧は遅れた途上国を援助するという発想が強すぎる。一種の依存関係になっており、必ずしも健全とはいえない。TICADをプラットフォームとして活用し、日本の持ち味である途上国とのより対等なパートナーシップを新たな南北関係として広げられるのではないか。
TICADはもっと日本の若者に焦点を当てるべきだろう。アフリカは若者の大陸であり、デジタルテクノロジーで大きな変革が起こりつつある。日本の若者がアフリカを訪れる機会を増やしてもらいたい。若者なら現地のニーズやアフリカの潜在力、チャンスをより深く感じ取れるはずだ。文化的な障壁なども打ち破れるだろう。
アフリカが地理的に日本から遠いのは確かだ。しかし、感覚的な距離感はそれよりも遠い。日本の若者がTICADに参加すれば、人と人との交流の拡大や新たな共創のアイデアにも期待できる。
TICADにおいて民間の役割は極めて重要だ。日本の経済界では、社会課題の解決を目指す現地のスタートアップへの投資拡大の取り組みが進んでいる。日本政府が民間企業としっかり連携し、大学やシンクタンクとも協力してくれることを望んでいる。
米欧や中国が開催するアフリカとの首脳会議はバイラテラル(2国間)だが、TICADは違う。国連開発計画(UNDP)や世界銀行を巻き込みながら日本が議論をリードする枠組みだ。単なる国家間の政治的協議ではない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)とも連動しやすい。
資金援助が開発協力のすべてではない。政府開発援助(ODA)はむしろ民間の投資や貿易促進のためのカタリスト(触媒)として使うべきだ。システムを改革することで多くの民間資金が開発分野に流入する可能性は大いにある。実態を反映しない不公正な格付けの是正や公的資金によるリスク軽減が有効だろう。
求められるのは国際協調と連携だ。グローバルな連帯は必要ないという主張に対抗する必要がある。日本のリーダーシップに期待したい。
(聞き手は下田敏)
◇ ◇ ◇
日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
◇ ◇ ◇
「25億人市場」が力 外務省アフリカ部長 堀内俊彦氏
TICADの1回目は、冷戦が終わり世界がアフリカに関心を失った1993年に開いた。当時アフリカ全体との枠組みを設けたのは日本がほぼ唯一で、その後欧米や中国などが追随した。
日本政府はTICADの枠組みを生かし、アフリカとのビジネスをつなぐ人材を育ててきた。アフリカの若者が日本の大学院で学んだり、企業でインターン生として経験を積んだりするプログラムも実施してきた。各国首脳が日本に集まることに伴い、日本企業とアフリカ各国との多様な合意も生んでいる。
日本が各国に供与する政府開発援助(ODA)の額は減ってきたものの、アフリカのためにこつこつと努力してきた日本はアフリカで仲間を増やしている。TICADは信頼されるブランドになっていると思う。
アフリカ諸国のほとんどは小麦や肥料の価格が上昇すれば大きな打撃を受けるし、気候変動による影響も大きく、まだまだ脆弱だ。世界の経済・社会的な変化を最も受ける地域であり、先進国や国際機関による開発援助のニーズは依然として高い。しかしそれだけではない。
そもそもなぜ日本がアフリカに関与すべきなのか。鉱物など資源が豊富なことのほかに、人口が増えており、日本企業にとって市場としての魅力が高まるのは間違いない。
アフリカでは先進国に対して開発よりもビジネス面での期待が強い。最近の世論は若者の高い失業率という雇用問題により関心を抱くようになってきた。労働力不足に直面する日本と補完できるはずで、日本企業が現地に生産拠点を築く可能性が広がる。
それに加えて、日本企業にとっては技術革新のパートナーにもなり得る。アフリカは日本など先進国に比べて規制が緩い国が多く、最先端技術を実証実験できる「サンドボックス」としても期待できる。
とはいえ、アフリカ事業に対して日本企業の動きは鈍い。各社がまだリスクが高いと考えているのが理由だ。人口動態を見れば、いま関わらないことがかえって将来の利益を逃すコストになるとみるべきだ。
アフリカがグローバルガバナンスに関して不公平感を持っていることも見逃せない。気候変動対策では先進国に途上国支援の資金拠出を迫った。アフリカ各国は不当に低い格付けにされ、資金調達に高い金利を課せられてきたことにも不満を持っている。
最近注目されるのが、アフリカ諸国が加盟するアフリカ連合(AU)の枠組みで「域内標準」を構築する動きだ。貿易における原産地証明や紛争解決、医薬品に関する規制などで統一規格作りが始まっている。
欧州連合(EU)のルールが世界標準のようになって各国に影響を及ぼすことを「ブリュッセル効果」と呼ぶ。やがて人口が25億人の市場となり、世界の重心がアフリカに傾いていく。AU本部があるエチオピア首都の名前から「アディスアベバ効果」に世界が注目する日が来るかもしれず、目が離せない。
(聞き手は野沢康二)
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〈アンカー〉対等な関係こそが国益に
アフリカの人口が増え続けるのは間違いない。2050年には世界の4人に1人がこの大陸に住む。アフリカは海外から投資を呼び込み、雇用を生み出し、所得と消費の好循環を実現する戦略を描く。
トランプ米政権の援助停止や相互関税はその戦略をゆがめ、ただでさえ脆弱なアフリカ経済に打撃を与える。だが、経済的な自立への動きはかえって加速する可能性がある。欧州や中国の収奪にさらされてきたアフリカには大国への根強い不信感がある。
日本はTICADを通じて、対等なパートナーシップを訴え続けてきた。技術支援や人材育成でアジアを経済発展に導いた実績もある。今こそアフリカに「メード・ウィズ・ジャパン」を呼びかける必要があるのではないか。官民で独自の経済外交を展開することが日本の国益につながる。
(編集委員 下田敏)
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花見のAI幹事は2万円 余興も提案、任せっぱなしはNG?[2025/04/13 02:00 日経速報ニュース 1208文字 画像有 ]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員 中村奈都子)
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日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 361文字 PDF有 書誌情報]
(1)軽率なトランプ関税、責任は米共和党に(7日)
(2)グローバル化の巻き戻し狙うトランプ氏の関税攻勢(上)(8日)
(3)トランプ関税 アクセサリー、バッグ、ビールも餌食に(5日)
(4)氾濫する「ジブリ風」画像、AIの限界も浮き彫りに(4日)
(5)あなたの仕事がまだAIに奪われていない理由(7日)
(6)トランプ氏が壊した同盟関係、修復困難に(社説)(8日)
(7)米国版「文革」にほくそ笑む中国 マーティン・ウルフ(7日)
(8)トランプ氏まるでマフィアのボス ギデオン・ラックマン(9日)
(9)トランプ関税を裏付ける「地経学」 ジリアン・テット(8日)
(10)米電力相次ぎ値上げへ、トランプ氏の公約に打撃(7日)
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メタ、取締役にトランプ第1次政権の高官 規制回避狙う[2025/04/12 14:23 日経速報ニュース 588文字 画像有 ]
【シリコンバレー=清水孝輔】米メタは11日、トランプ第1次政権で大統領副補佐官を務めたディナ・パウエル氏らが新たに取締役に就任すると発表した。米欧で政治リスクが高まるなか、トランプ氏とつながりのある人物を起用して規制圧力を回避する狙いがあるとみられる。
パウエル氏は15日付でメタ取締役に就任する。米ゴールドマン・サックス元幹部で、トランプ氏の長女イバンカ氏と親交があることで知られる。トランプ第1次政権では国連大使の候補としても名前が挙がった。共和党系の人物でブッシュ政権(第43代)では国務次官補を務めた。
メタは11日にはパウエル氏に加えて米オンライン決済大手のストライプのパトリック・コリソン最高経営責任者(CEO)が取締役に就くと発表した。メタ取締役にはすでに米半導体大手ブロードコムのホック・タンCEOなど著名経営者らが名を連ねている。
メタは1月には米総合格闘技団体UFCのダナ・ホワイトCEOらが新たに取締役に就任すると発表した。同氏はトランプ氏の支援者として知られる。メタはトランプ氏の就任以降、共和党系の政府渉外担当を昇格させるなど政権との関係改善を模索してきた。
メタは米国や欧州で規制圧力に直面する。米国では14日に同社を訴えた米連邦取引委員会(FTC)との裁判の審理が始まる。トランプ政権への接近には規制に対応するための後ろ盾を得る思惑が透ける。
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JR東日本、12年前の「炎上」が教訓 データ企業へSuica改革[2025/04/12 05:00 日経速報ニュース 2280文字 画像有 ]
交通系ICサービス「モバイルSuica(スイカ)」のデータを使い、自動改札機を通らなくても鉄道に乗れるようにする――。JR東日本は2024年12月、今後10年かけてスイカを抜本改革する方針を明らかにした。乗降データをクラウドに集約し、新たなサービス開発に生かす。データの外販が中止に追い込まれた12年前の失敗を教訓に、国内屈指の「データカンパニー」に生まれ変わるための布石だ。だが、利用を想定する位置情報取得技術は数メートルの誤差が生じるなど、実現にはまだ課題が残る。
荷物で両手の塞がった人も
JR東が発表した計画では、現在は端末側に記録している運賃精算などの情報をセンターサーバーで管理するようにする。それに伴ってモバイルスイカにひも付く位置情報データをもとに、出発から到着駅までの運賃を徴収する。タッチしなくても、また改札機がない駅でも、位置情報を活用して改札を通過できるようになるという。
同社の営業エリアには約1600の駅がある。そのうち地方沿線など7割弱の駅には改札機が置かれておらず、駅員が運賃の精算に対応しているが、駅業務の省人化につなげる。改札機が不要になれば、杖を持った高齢者や荷物で両手の塞がった乗客がスムーズに乗り降りできるようになるほか、改札機の維持管理コストの削減が見込める。
この記事はNIKKEI Digital Governanceから転載しています。関連記事はこちら。
「乗客の声」月7万件、AI分析で有事も即応 JR西とELYZA
個人情報守る「クリーンルーム」 KDDI、匿名化など3段階
大成建設、若手指導は「AI」で 全回答を人がチェック
現在、個々の改札機で処理している移動データは26年度までにクラウド化する。データを集約すれば、時間帯や曜日、スイカの決済額といった利用条件に応じた運賃の割引など柔軟なサービスを提供できる。
毎月3000円を払えば自宅の最寄り駅からどの駅に行っても運賃が50%割引になるようなサブスクリプション(定額課金)や、地域限定の周遊券など他の交通機関や店舗などと組み合わせたサービスも提供できるようになる。ビッグデータとしての質と量を両立させることで移動に関わる情報を的確に把握し、新たなサービス開発につなげる狙いもある。
Suicaサービスのクラウド化は01年の導入時も案はあったが、ラッシュ時の膨大なデータを自動改札機を通るわずかな時間で処理するのは難しいとの判断があった。サービス開始から約25年がたち、技術的に進んだことから導入が可能になった。
JR他社や私鉄と直通運転する区間の精算方法など具体的な計画は今後詰める。一定の検証を経て、10年以内の実用化を目指す。
13年の試みは批判殺到で中止
データの活用をめぐっては苦い過去がある。JR東は13年、スイカ利用者の乗降駅や生年月、性別などデータの外販サービスを試みた。企業のマーケティング戦略に生かせる新事業として注目された。だが、利用者から個人情報やプライバシーの保護への不安や懸念の声が上がり、中止に追い込まれた。
情報通信白書(2017年版)によると、利用者の不安を払拭できなかった一因は、JR東の事前説明が不十分だったためだ。加えて、匿名加工されたパーソナルデータの利用に関するルールが未整備だったことも影響した。ビッグデータ利用の議論のきっかけとなり、その後、改正個人情報保護法でルールが整備された。
JR東は教訓を踏まえ、今後の施策では、スイカの顧客情報はデータセンターのサーバー上で管理する。加工などを施したうえで必要な情報以外を扱うことがないようにする。同社マーケティング本部の田辺政昭マネジャーは「セキュリティーの強いシステムの奥の方でデータを管理し、外部からは接続できないようにする」と説明する。
ただデータを安全に管理できたとしても、サービスの実用化には技術上の課題がある。焦点になるのが、乗客の位置情報をどれだけ正確に把握できるかだ。
JR東が検討する案の一つは、駅構内にビーコン(電波受発信器)を設置し、スマートフォンのブルートゥース(近距離無線通信)と連携させることで位置情報を拾う手法だ。
出発駅と到着駅それぞれで特定の場所を通過したら電車に乗ったと見なし、その区間分の運賃を精算する。処理スピードも比較的速いとされるが、取得する位置情報に数メートルの誤差が生じる場合がある。首都圏など混雑した駅では運賃の誤精算につながる恐れがある。
顔認証は「抵抗感少なくない」
もう一つは超広帯域(UWB)技術を使う案だ。もともと主に軍事用レーダーとして開発が進められてきた技術で、位置情報の誤差も「数センチメートル以内に抑えられる」(JR東)という。しかし、こちらは標準搭載されていないスマホ機種も多く、サービスの普及に課題が残りそうだ。
このほか大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)がすでに導入している顔認証による改札通過システムも考えられるが「社内の声を聞いていても、自分の顔を読み取られることに抵抗感のある人は少なくない」(マーケティング本部の浜貴之マネジャー)。認証機の導入に相応のコストがかかることも想定される。
そもそもどの手法でも、モバイルスイカを持っていなければ電車に乗ることができない。改札機を一部残したとしても、スイカを持たない客が改札機のないエリアを通過して無銭乗車につながる可能性もある。JR東の田辺氏は「それぞれの技術的な改良など今後の進歩を見定めながら検討していく」と話す。
(石崎開)
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・JR東日本、Suicaの位置情報で改札フリー 個人間送金も
中国の製造強国化は道半ば シャミク・ダール氏-調査会社ファソム・コンサルティング特別顧問[2025/04/12 02:00 日経速報ニュース 1676文字 画像有 ]
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2015年5月、戦略的経済計画「中国製造2025」を発表した。その地政学的な野心は明白で、米国と肩を並べ、いくつかのハイテク産業を支配する狙いだった。
10年後の結果はどうか。ファソム・コンサルティングのデータベースで1800以上の品目を分析すると、製造2025が目標をおおむね達成したことがわかる。9つのハイテク産業で中国は世界最大の輸出国となった。
しかしそれが物語の全てではない。無視できないのは、輸出の伸びのかなりの部分は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟後の03年から製造2025の発表までに達成されていた点だ。中国が計画で対象とした品目の市場シェアは03年から13年の間に6ポイント増加したが、それ以降は2ポイントしか増加していない。中国は自国の強みを生かすというより、全ての産業を同時に支配することを目指している。
成功例のうち電気自動車(EV)を見てみよう。EVは製造2025の対象品目だが、最近まで大半の国の貿易データで独立した品目として報告されていなかった。しかし最近になって貿易収支にEVを加えると、製造2025に関連した貿易赤字の規模が約10%縮小した。20年時点でEVは赤字だったので、注目すべき変化だ。
EVは他分野における戦略の青写真になる可能性がある。まずは海外企業とのM&A(合併・買収)により、外国のノウハウと国内のイノベーションを組み合わせる。これが達成されれば、外国企業の買収はもはや必要なくなり、現地法人の設立や実際の生産が増加する可能性が高い。このパターンはまさにEVでみられた。
人工知能(AI)分野でも同様のことが起きるか。先端技術を低コストで急速に拡大しているDeepSeek(ディープシーク)は最新の事例だが、成功するかまだ断言はできない。
中国はIT(情報技術)の中間製品では依然として後れをとっており、特に半導体では大幅な輸入超過だ。最先端の半導体はいまだ台湾に依存している。
EV戦略は製造2025の貿易赤字を縮小するための青写真になるかもしれないが、現在の地政学的環境において課題に直面している。輸入の脆弱性や地政学的な緊張の高まりは15年時点では予期されていなかった。
製造2025は重商主義的で、名目金利を人為的に抑圧して産業向けの低利融資を可能にしている。このため家計の預金金利は低く抑えられた。こうした「金融抑圧」は急速な経済成長をもたらしたが、不動産投機や金融セクターの脆弱化にもつながった。
国内消費が中心の経済への移行は依然として課題であり、おそらく製造2025がリバランスを妨げている。さらにグローバルにみると、米国は自国が最終消費国となり、中国が世界の工場になるという構造を覆そうとしている。
結局、製造2025は成功したのか。計画が市場の支配と自給自足を目的としていたとすれば、前者は達成したが、後者はまだ達成していない。計画の発足当時から世界は変化しており、米中間の競争は現在、先端レベルの投入物を持つ大国と、それほど先端ではない投入物に頼っているが、最適化に優れた国との競争になっている。そしてこの競争は始まったばかりだ。
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窮境の底力は侮れない
米国が「中国製造2025」をやり玉に挙げたのは、第1次トランプ政権のときだ。中国がハイテク分野の覇権を握ろうとしている証しとみて、先端技術の対中輸出規制などでこの計画をつぶしにかかった。
習近平政権は公にこの計画を語らなくなったが、それは爪を隠したにすぎないとみるべきだろう。製造2025で掲げた目標はおおむね達成した。EVなどではすでに他を圧倒する力をつけている。
中国が先端半導体をまだ造れず、製造強国への道半ばなのはその通りだ。ただ、追い詰められたときに中国が発揮する底力は侮れない。ディープシークの台頭はその象徴だ。
常軌を逸した高関税で中国を追い込むトランプ米大統領のやり方には、やはり危うさを感じざるを得ない。
(編集委員 高橋哲史)
飛行機遅延→バス時間調整 旭川で実証[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 5ページ 358文字 PDF有 書誌情報]
国土交通省は、飛行機の遅れに応じて空港を出発する路線バスの発着時間を調整する実証実験に2025年度にも乗り出す。バス会社、北海道エアポート(北海道千歳市)などと旭川空港で試す。訪日客が増える中で、地方の2次交通の利便性を高める狙いだ。
旭川空港では飛行機が遅れた際に接続できるバスがないことや、車庫が遠く臨時便を出すにも時間がかかる課題があった。乗り換え検索大手のジョルダンがシステムを提供する。
国交省は11日に交通空白を解消する実証事業として新たに4つを選んだ。
JR四国、JR北海道、電脳交通(徳島市)は特急の車内にタクシーを配車できるQRコードを設置する事業に共同で取り組む。特急の到着時間に合わせて円滑にタクシーを呼ぶことができるかを確かめる。
国交省は実証事業の第1弾として3月に8事業を公表していた。
PayPay給与100社超 デジタル払い、導入広がる[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 15ページ 444文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいるという。PayPayでは労務管理ソフトとの連携を通じ、小規模な事業者にも呼びかける。
同日、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の労務管理ソフト「奉行Edge 労務管理電子化クラウド」との連携を始めた。従業員はPayPayの専用画面から申し込みをした後、管理ソフト側の連携ボタンを押すだけで入金用口座など必要な情報の入力を完了し振り込みを依頼できる。従来はソフト側でも口座情報などを入力しなければならず、入力ミスによる振り込みエラーの原因になっていた。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、PayPayは24年11月からソフトバンクグループ以外の企業へもサービス提供を始めた。労務管理ソフトは中小・零細企業との有力な接点になっている。
特集――大阪・関西万博開幕、平日券・夜間券も[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 21ページ 542文字 PDF有 書誌情報]
入場券は日本国際博覧会協会の専用サイトで購入できる電子チケットが主力となる。「万博ID」の取得が必要で、混雑防止の観点から来場日時の予約や利用交通手段の登録が求められる。ID取得後はパビリオンやイベントの観覧予約も可能となる。
会期中いつでも1回入場可能な「一日券」は18歳以上の大人7500円、12歳以上17歳以下が4200円、4歳以上11歳以下が1800円。3歳以下は無料。
有効期限内に何回でも入場できる「通期パス」や「夏パス」のほか、日時制限があるものの一日券より最大3800円割安な「平日券」「夜間券」も用意する。
全国のコンビニエンスストアでは紙の「引換券」を購入できる。
購入時に来場日時を予約しないタイプと予約するタイプの2種類あり、いずれもID取得は不要となる。来場当日、会場ゲート前でQRコード付きのチケットに引き換える。
来場日時を事前に決められない場合、会場ゲート前で「当日券」も購入できるが、来場予約が多い日や時間帯によって、販売を取りやめる場合がある。
スマートフォンでQRコードを読み込むと、電子版リッチコンテンツ「大阪万博、記者のイチ押しパビリオン8館 空から案内」(左)、「大阪万博のトリセツ 入場券・グルメ・アクセスは」(右)をご覧いただけます。
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。 小川たまか著(新書文庫)[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 35ページ 253文字 PDF有 書誌情報]
■『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』小川たまか著 著者は性暴力について取材するライター。2016年から2年間にわたり書いた文章と最近のエッセーが収められる。我々は小さな声を無視し続けてきたのではないか。加害者が自らの加害性を認め語ることの重要性を、著者は少なくとも9年前から訴えていた。昨今の芸能界の問題でも重要な指摘であり続けている。(ちくま文庫・924円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
関西の鉄道各社、万博記念の乗車券続々 京阪は入場券とセット[2025/04/12 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 672文字 PDF有 書誌情報]
京阪電気鉄道は11日、大阪・関西万博の一日券とセットになった1日乗車券を、万博期間中に数量限定で発売すると発表した。乗車券は万博仕様にラッピングされた列車の記念デザインとなる。7600円で、それぞれ単独で買うよりも1400円安くなる。
淀屋橋など主要8駅で購入でき、万博期間中の4月13日~10月13日に大津線を除く京阪全線と石清水八幡宮のケーブルカーで1日乗降が自由となる。
京阪ホールディングス(HD)傘下の叡山電鉄も、同種の乗車券を出町柳と修学院の2駅で購入できる。価格は7700円。それぞれ別々に買うよりも1900円安くなる。
南海電気鉄道も、13日から南海電鉄の電車が1日乗り降り自由となるデジタル乗車券を2500円で発売する。購入日から3カ月以内の好きな1日に利用できる。大阪のランドマークタワー「通天閣」の一般展望台が100円割引になる特典もつけた。同社は通年で販売する1日乗車券はないという。
一部の区間を除き、ケーブルカーを含む南海電鉄全線で利用できる。デジタル乗車券サービス「スルッとQRtto」公式サイトから購入し、スマートフォン上に表示されるQRコードを駅のQR対応改札機にかざすことで入退場する。
JR西日本は、万博を記念した特別デザインのICOCAを万博会場内のオフィシャルストアで販売する。
万博公式キャラクター「ミャクミャク」とICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」を描いたデザインで、オリジナルのパスケースも含めたセットは1万4800個限定でチャージ500円、デポジット500円を含み2650円。
暮らしつなぐ 伝統の町並み――観光とどう両立、同じ悩み抱える(何でもランキング)[2025/04/12 日経プラスワン 2ページ 2991文字 PDF有 書誌情報]
文化庁が伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の制度をつくって今年で50年。今回は特に価値の高い重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)を対象にした。僅差で並んだいにしえの町並みには、コロナ禍で消えた旅人の姿が増え、にぎわいを取り戻している。だが、そこには課題もにじむ。訪ねてみるとよくわかるが、どこも同じ悩みを抱えている。観光客には来てほしい。一方で多くなり過ぎると伝統的な環境が維持できない。生活空間を観光資源にする難しさに直面している。
江戸時代、東京と京都を結んだ東海道と中山道。東海道は開発が進み宿場町は廃れ、過疎化が進んだ中山道には伝統的な町並みが今も残る。来訪者は見るだけでなく歴史薫る町に滞在して文化と生活を学び、その観光収入が環境と暮らしを守る。京都の伊根町観光協会事務局長の吉田晃彦さんは「来訪者には地域の生活を静かに楽しんでもらい、住民も厳しい修理の基準を守りながら美しい環境を整え、どちらにも利点がある仕組みを模索しています」と話す。
【表】暮らしつなぐ 伝統の町並み
4 温泉津
(島根県大田市) 天然温泉湧く港町
<250>天然の温泉が出る港町。「名前通り『温泉』と『津(港)』からなり、石見銀山の積み出し港として繁栄した集落」(梅津さん)。世界遺産に登録されている。「連綿と発展してきた町並みは、江戸期から昭和初期の時の流れを感じることができる」(小林さん)。
「映画『男はつらいよ』のロケ地としても登場した、趣のある町並み。福光海岸まで足を延ばせば、日本海の絶景を望める」(山田さん)。温泉街として唯一の重伝建地区で、共同浴場も楽しめる。「大田市内のもう一つの重伝建地区の大森銀山と併せて訪ねたい」(後藤さん)。
https://www.ginzan―wm.jp/model_course_post/yunotsu/
5 坂本
(滋賀県大津市) 癒やされる石垣の道
<240>比叡山の麓に栄えた町。「山を越えた京都側とは異なるしっとりとした里坊(さとぼう)の庭や石垣の道に癒やされる」(山野井さん)。隠居した僧侶の住宅を兼ねた寺院群が美しい。「商家が並ぶ町並みとは異なる門前の風景を訪ねてほしい」(後藤さん)。
町を象徴する石垣は「戦国期から活躍した穴太衆(あのうしゅう)と呼ばれる石工職人によって積まれた野面(のづら)積み。穴太衆は多くの名城の石垣を施工しており、現代でも十分な強度がある」(小林さん)。春は桜、秋は紅葉が美しい。「比叡山や琵琶湖畔で歴史探訪も楽しめる」(山田さん)。
https://hieizansakamoto.jp/
6 竹富島
(沖縄県竹富町) 琉球の暮らし伝える色彩
<220>石垣島から船で約15分。円形の島の中央に平屋の集落がある。「沖縄独特の粘土を原料とする赤瓦の民家とサンゴ由来の白砂の道という沖縄らしい景観」(小林さん)に「フクギの緑、ハイビスカスの赤、海の青、そして屋根に飾られたシーサーが彩りを添える」(中尾さん)。
人口330人弱の島に年間50万人以上の観光客が訪れる。開発から土地を守る「竹富島憲章」で島民が集落の景観を維持している。「青空を見ながら三線の音色を聞いていると、琉球の暮らしが蘇る」(藤田さん)。集落を行く水牛車に乗れば「沖縄時間を感じられる」(山田さん)。
https://painusima.com/
7 元町末広町
(北海道函館市) 丘から港へ、異国の趣
<200>北の海の玄関口・函館には異国を思わせる町並みが広がる。その中心部が元町末広町だ。「海に下りていく道と、丘の上の函館ハリストス正教会の聖堂や旧函館区公会堂をはじめとする様々な洋館や和洋折衷建築が明治の香りと北海道開拓の精神を蘇らせる」(藤田さん)。
幕末期から開港場として発展し、「数度の大火を経て防火に配慮した町づくりがされている」(梅津さん)。港沿いには赤れんがの倉庫群が広がる。「貿易港として栄えた異国情緒豊かな町並みはロケーションジャパン大賞のグランプリにも輝いた」(山田さん)。
https://www.furutabi.com/machinami/hakodate.html
8 宿根木
(新潟県佐渡市) 江戸期の路地に迷う心地
<190>佐渡島の西南部にある海岸段丘に形成された狭い入り江に広がる集落で、「迷路のような路地に船大工の技術を生かした民家が見られる。簡素な外観とは対照的に内部は漆をふんだんに使った豪華な造りとなっているので、その技術の高さを体験してほしい」(梅津さん)。
江戸時代、北前船の寄港地として栄えた。100棟を超える板壁の民家は「日本海の強風に耐える、石を置いた屋根も特徴だ」(小林さん)。集落を歩けば「江戸期の路地に迷い込んだような気分が味わえる」(山田さん)。人々の暮らしと歴史が交錯する静かな時間が流れている。
https://shukunegi.com/
9 熊川宿
(福井県若狭町) 鯖街道、水路流れる宿場町
<180>若狭地方中央部、京都に向かう通称「鯖(さば)街道」にある宿場町。「1キロ以上も連なる民家が見事。電線も派手な看板もなく、生活の息遣いが懐かしく美しく感じられる」(中尾さん)。道沿いには生活にも利用される水路が。「古民家を利用した宿泊施設やシェアオフィスなどの取り組みが進み、新たな魅力を生んでいる」(後藤さん)。
「朝廷へ食材を献上する『御食国(みけつくに)』として、豊富な山海の幸を京に届けた往時のにぎわいを感じさせる風景が続く。絵になる町並みをぜひ歩いてほしい」(山田さん)。道の駅に車を止めて散策できる。
https://kumagawa―juku.com/
10 妻籠宿
(長野県南木曽町) 木曽路の「野外博物館」
<170>「木曽路はすべて山の中である」。島崎藤村「夜明け前」の冒頭にある通り、妻籠宿は山中に今も佇む宿場町だ。保存面積は重伝建地区では最大。周辺の山林も含め一体的に保存されている。「本陣、脇本陣、旅籠(はたご)、枡形(ますがた)、高札場などまるで宿場の野外博物館。町並み保存運動の先駆らしい信条と50年余りの努力が光る」(中尾さん)。
妻籠宿から馬籠宿(まごめじゅく)(岐阜県中津川市)までの約9キロの木曽路は散策に最適。「街灯も歴史的風致に配慮して最小限に抑え、江戸時代の雰囲気をとどめる。地区内の宿に泊まって夜も歩いてほしい」(梅津さん)。
https://tsumago.jp/
ランキングの見方 保存地区の名称(所在地)。数字は評価の合計点。URLは情報サイト。写真は1~5位が鈴木健、10位は三浦秀行撮影。6位は沖縄観光コンベンションビューロー、7位は函館市、8位は佐渡観光PHOTO、9位は若狭熊川宿まちづくり特別委員会の提供。
調査の方法 梅津章子さんと山田実希さんの協力で、全国129の重要伝統的建造物群保存地区から27地区をリスト化。(1)保存の取り組みも加味した町並み・集落の美しさ(2)観光地としての魅力――の観点から7人の専門家が1~10位を選び、総合点を集計した。(大久保潤が担当しました)
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対応拡大 かざすだけで、タッチ決済 交通機関でも(学んでお得)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 1680文字 PDF有 書誌情報]
クレジットカードで「タッチ決済」という言葉を耳にする機会が多くなってきた。端末に差し込んで暗証番号を入力する手間が省け、かざすだけで支払いが完了する。最近は店舗だけでなく、電車やバスの乗車に使えるケースも増えてきた。
タッチ決済では1万円などと決められた金額までであれば、店頭の端末にカードを挿入して暗証番号を入力するといった操作なしに支払いができる。国際ブランド「Visa」によると、2024年時点で日本におけるクレジットカードの対面利用の約47%はタッチ決済になっているという。未対応のカードが一部残っているものの、更新時に切り替えが進んでいる。
クレジットカードにとどまらず、タッチ決済対応マークがついていれば、支払時に銀行口座から引き落とされるデビットカード、あらかじめお金を入金・チャージしておくプリペイドカード、対応するカードを設定したスマートフォンでも同様に使える。
現金を使わないキャッシュレス決済は政府が普及を後押ししている。24年の時点でその決済額の比率は4割を超えた。内訳を見ると、全体の8割超がクレジットカードの利用だ。従来は高額品購入時に使う印象が強かったが、コンビニエンスストアなど日常の支払いでも使われる場面が増えているようだ。
キャッシュレス決済を進める背景にはインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもあった。海外の都市ではタッチ決済が主流となっているところも多い。現金払いに慣れない外国人が両替をしなくても支払いができるのは大きな利点となる。
最近、日本国内でも目立つようになってきたのが交通機関のタッチ決済での利用だ。各地の鉄道やバスで導入が進む。13日に開幕する大阪・関西万博に向け、大阪の大手私鉄や地下鉄の改札ではタッチ決済対応が広がった。
このシステムを手掛けている三井住友カードのTransit本部長、石塚雅敏さんは「きっぷや交通系ICカードを買うことなく、手持ちのクレジットカードでそのまま乗れる仕組みは訪日外国人だけでなく、日本人にもメリットがある」と語る。
例えば地方での交通機関の担い手の負担軽減だ。近年は利用者減少や人手不足などで鉄道や路線バス網の縮小・廃止が進んでいる。バスの運転手は運転だけでなく、運賃の管理も求められている。「業務コスト全体を減らす必要がある。タッチ決済導入で現金が不要になる効果は大きい」(石塚さん)
三井住友カードのシステムは3月末時点で41都道府県の149社が採用。26年には47都道府県すべてでの導入を目指しているという。
タッチ決済での乗車はカードやスマホを改札の専用リーダー部分にかざせばよく、交通系ICカードとあまり変わらない。残高がなくなって駅の券売機でチャージをしていた人にとっては手間が減ってスムーズに乗り降りできる。「ショッピングも交通機関への乗車もカード1枚あれば済む。クレジットカードが持てない子どもの場合、子ども用プリペイドカードに親がカードでチャージして渡す方法もある」(Visa担当者)
店舗から交通機関まで、タッチ決済を利用すれば、残高チャージなどのために金融機関のATMや窓口で現金を引き出す必要がなくなるのが大きい。クレジットカード利用になってポイントをためられるのも利点だ。タッチ決済対象のポイント優遇やキャッシュバックといったキャンペーンが展開されている場合もある。調べてみよう。
便利になる一方、注意したい点もある。対応していない店舗があるほか、システム障害などで利用できないケースがあり得る。定められた金額を超えてしまうと、暗証番号の入力が必要になる。
交通機関でも複数路線を乗り継ぐ際には注意が必要だ。未対応の路線に乗り換えてしまうと精算が必要になる。自分のカードがタッチ決済乗車に対応した国際ブランドかどうかも確認しておきたい。
(消費経済ジャーナリスト
松崎 のり子)
あなたの家計の悩みをメールでお寄せください。plus1@nex.nikkei.co.jp
【図・写真】クレジットカードのタッチ決済で乗れる交通機関も増えてきた
物価高をポイ活でカバー、すぐに使って失効防止(ポイント賢者)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
ポイ活と節約をセットで取り上げるメディアは多いです。どちらも家計を助けるためのものですが、実際は方向性が異なります。
節約は我慢が必要で、「これを買いたいけど今は必要ないから諦める」「お金がたまったら買う」など、消費を抑える行為です。一方のポイ活は「これを買うにはどうすれば一番おトクになるのか」であり、消費に対するリターンを最大化する方法です。
自治体が地元経済を活性化させるため、対象のキャッシュレス決済を利用すると10%還元や20%還元などの大型キャンペーンをよく実施しています。
1回の買い物で20%のポイントがたまれば、そのポイントでさらに買い物をします。現金給付ではなくポイント還元する理由は、消費を複数回促すことができるからでしょう。
では、ポイ活だけで最近の物価高を乗り切ることはできるのでしょうか。
矢野経済研究所の発表資料によると、2024年度の国内発行のポイントは2・8兆円程度の見込みです。クレジットカードを申し込める18歳以上の人口(1億人強)で割ると、1人あたり年間で2万7000円程度、月間で2250円程度のポイントを獲得できていることになります。
足元の消費者物価指数の上昇率は3%前後です。これまでポイ活を一切していない人が、ポイ活を始めれば物価上昇をある程度はカバーできます。
ただ、これはあくまでも理論値で、ポイントが失効しなかった場合です。ポイントは年間3~4割失効しているといわれ、有効利用できているポイントはもっと少ないとみられます。
失効を防ぐには、獲得したポイントが使えるポイント数まで到達したらすぐに使うことです。どんどん消費して失効を防ぎ、生活に役立ててください。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
関西鉄道各社、大阪万博記念の乗車券 京阪は入場券付き[2025/04/11 19:02 日経速報ニュース 670文字 画像有 ]
京阪電気鉄道は11日、大阪・関西万博の一日券とセットになった1日乗車券を、万博期間中に数量限定で発売すると発表した。乗車券は万博仕様にラッピングされた列車の記念デザインとなる。7600円で、それぞれ単独で買うよりも1400円安くなる。
淀屋橋など主要8駅で購入でき、万博期間中の4月13日~10月13日に大津線を除く京阪全線と石清水八幡宮のケーブルカーで1日乗降が自由となる。京阪ホールディングス(HD)傘下の叡山電鉄も、同種の乗車券を出町柳と修学院の2駅で購入できる。価格は7700円。それぞれ別々に買うよりも1900円安くなる。
南海電気鉄道も、13日から南海電鉄の電車が1日乗り降り自由となるデジタル乗車券を2500円で発売する。購入日から3カ月以内の好きな1日に利用できる。大阪のランドマークタワー「通天閣」の一般展望台が100円割引になる特典もつけた。同社は通年で販売する1日乗車券はないという。
一部の区間を除き、ケーブルカーを含む南海電鉄全線で利用できる。デジタル乗車券サービス「スルッとQRtto」公式サイトから購入し、スマートフォン上に表示されるQRコードを駅のQR対応改札機にかざすことで入退場する。
JR西日本は、万博を記念した特別デザインのICOCAを万博会場内のオフィシャルストアで販売する。万博公式キャラクター「ミャクミャク」とICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」を描いたデザインで、オリジナルのパスケースも含めたセットは1万4800個限定でチャージ500円、デポジット500円を含み2650円。
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全保連の茨木社長「沖縄の本社移転しない」 TOB成立受け[2025/04/11 18:21 日経速報ニュース 443文字 画像有 ]
家賃保証の全保連の茨木英彦社長は11日、三菱UFJニコスによるTOB(株式公開買い付け)の成立を受けて那覇市の本社で記者会見した。創業の地である沖縄からの本社移転や社名の変更はしないと説明した。
茨木氏は「離れることは考えていない。少しでも沖縄の経済発展に貢献したい」と述べた。全保連は2023年10月に東証スタンダードに上場した。10日付で三菱UFJニコスが筆頭株主となったが、上場は維持する。1日に創業者の迫幸治氏が社長から会長に就き、副社長だった茨木氏が社長に昇格した。
茨木氏は「カード会社、信販会社が家賃保証ビジネスに進出してきている。競争に不可欠なのが家賃のカード決済だった」とTOBを受け入れた理由を説明した。26年春の繁忙期をめざし、三菱UFJニコスと協力して家賃のクレジットカード払いを導入する考えを示した。
「三菱UFJフィナンシャル・グループという大きな金融グループと一緒にやっていくことでシナジーを発揮できる」と述べた。「対等な関係、ウィンウィン」を強調した。
飛行機の遅延、バスに共有 国交省が旭川空港で実証[2025/04/11 14:25 日経速報ニュース 519文字 ]
国土交通省は、飛行機の遅れに応じて空港を出発する路線バスの発着時間を調整する実証実験に2025年度にも乗り出す。バス会社、北海道エアポート(北海道千歳市)などと旭川空港で試す。訪日客が増える中で、地方の2次交通の利便性を高める狙いだ。
旭川空港では飛行機が遅れた際に接続できるバスがないことや、車庫が遠く臨時便を出すにも時間がかかる課題があった。乗り換え検索大手のジョルダンがシステムを提供する。
国交省は11日に交通空白を解消する実証事業として新たに4つを選んだ。JR四国、JR北海道、電脳交通(徳島市)は特急の車内にタクシーを配車できるQRコードを設置する事業に共同で取り組む。特急の到着時間に合わせて円滑にタクシーを呼ぶことができるかを確かめる。
国交省は実証事業の第1弾として3月に8事業を公表していた。相乗りタクシーを手掛けるニアミー(東京・中央)と連携し、相乗りタクシーを即時にマッチングできるかを試す。タクシーの配車システムの共通化も実験する。
25年度はおよそ20事業を選ぶ考え。運転手などが減少する中で事業者間の連携を促す取り組みや、訪日客が地方を訪れやすくなる利便性の向上策を試して、成果が出た事業は全国に展開する。
PayPayのデジタル給与サービス、飲食など100社超が導入[2025/04/11 13:54 日経速報ニュース 444文字 画像有 ]
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいるという。PayPayでは労務管理ソフトとの連携を通じ、小規模な事業者にも呼びかける。
同日、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の労務管理ソフト「奉行Edge 労務管理電子化クラウド」との連携を始めた。従業員はPayPayの専用画面から申し込みをした後、管理ソフト側の連携ボタンを押すだけで入金用口座など必要な情報の入力を完了し振り込みを依頼できる。従来はソフト側でも口座情報などを入力しなければならず、入力ミスによる振り込みエラーの原因になっていた。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、PayPayは24年11月からソフトバンクグループ以外の企業へもサービス提供を始めた。労務管理ソフトは中小・零細企業との有力な接点になっている。
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ネットプロテクションズ、後払い決済「atone」がEC通販プラットフォーム「リピスト」「PRECS」と連携[2025/04/11 12:04 日経速報ニュース 1064文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月11日
ネットプロテクションズ、後払い決済「atone」がEC通販プラットフォーム「リピスト」「PRECS」と連携
※ロゴは添付の関連資料を参照
株式会社ネットプロテクションズ(所在地 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 柴田 紳、以下「当社」)は、後払い決済サービス「atone」を、株式会社リピスト(所在地 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 信川 亮太)が提供するD2C・定期購入・単品リピート通販向けプラットフォーム「リピスト」およびEC構築システム「PRECS」と連携いたしました。これにより、「リピスト」「PRECS」を利用するEC事業者は、開発費用や導入負担を抑えながら「atone」をスムーズに導入できるようになります。
■「atone」連携について
後払い決済サービス「atone」と、通販向けプラットフォーム「リピスト」「PRECS」が新たに連携しました。これにより、両サービスを利用するEC事業者は、追加の開発負担をかけずに「atone」をスピーディに導入することが可能となります。導入期間の短縮や工数負担の軽減により、事業者の業務効率が向上し、購入者の利便性向上にも寄与します。その結果、カゴ落ちの防止やコンバージョン率の向上が期待できます。
「リピスト」は、定期購入や単品リピート通販に特化したプラットフォームで、柔軟な購買プランの提供やLTV向上を支援する多彩な機能を備えています。「PRECS」は、高いカスタマイズ性と拡張性を兼ね備えたECサイト構築プラットフォームです。今回の連携により、既存の「リピスト」「PRECS」利用事業者はもちろん、新規導入を検討する事業者も、短期間で後払い決済を導入できるようになります。決済手段の選択肢が広がることで、より多くの消費者ニーズに対応し、売上拡大につなげることが可能です。
今後も両社は、さらなる連携強化を視野に入れながら、EC事業者のビジネス成長を支援し、より多くの消費者に快適で便利な購買体験を提供できるよう、サービスの向上に取り組んでまいります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
ロゴ
https://release.nikkei.co.jp/attach/689630/01_202504111118.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689630/02_202504111118.pdf
外為10時 円相場、上げ幅拡大 143円台前半 日経平均下落で[2025/04/11 10:29 日経速報ニュース 547文字 ]
11日午前の東京外国為替市場で、円相場は上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=143円35~38銭と前日17時時点と比べて2円91銭の円高・ドル安だった。9時半すぎには一時1ドル=142円88銭近辺まで上昇した。11日の日経平均株価が下げ幅を広げると、歩調を合わせるように「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。
トランプ米政権の中国に対しての追加関税が計145%になると明らかになった。両国の対立激化が意識され、円やユーロなど主要通貨に対してのドル売りが膨らんでいる。一方、10時前の中値決済に向けては「輸入企業など実需筋によるドルの押し目買いが入った」(国内銀行の為替担当者)との声も聞かれた。
ユーロも対ドルで一段高となっている。10時時点では1ユーロ=1.1296~99ドルと同0.0270ドルのユーロ高・ドル安だった。9時半すぎに1ユーロ=1.1385ドル近辺まで上昇する場面があった。市場では「ドル売りが広がるなかで、次に規模の大きい通貨であるユーロに消去法的な買いが入っている」(同)との見方があった。
円は対ユーロで下げ幅を広げている。10時時点では1ユーロ=161円93銭~162円02銭と、同66銭の円安・ユーロ高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
<東証>木材加工のウッドFがストップ高買い気配 長谷工が1株1720円でTOB[2025/04/11 09:38 日経速報ニュース 465文字 ]
(9時35分、スタンダード、監理、コード8886)東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドFが買い注文を集めている。気配値を制限値幅の上限(ストップ高水準)である前日比150円(15.78%)高の1100円まで切り上げた。現時点で売買は成立していない。長谷工(プライム、1808)が10日、ウッドFに1株1720円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。TOB価格にさや寄せする形で買いが集まっている。
TOB価格は9日終値を9割上回る。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。ウッドFはTOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表した。TOBに応じない株主にはTOB成立後、長谷工が強制買い取り(スクイーズアウト)を実施する。その後ウッドFは上場廃止となる見通し。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
タッチ決済、電車やバスでも 乗降便利でポイント付与も-学んでお得[2025/04/11 05:00 日経速報ニュース 1603文字 画像有 ]
クレジットカードで「タッチ決済」という言葉を耳にする機会が多くなってきた。端末に差し込んで暗証番号を入力する手間が省け、かざすだけで支払いが完了する。最近は店舗だけでなく、電車やバスの乗車に使えるケースも増えてきた。
タッチ決済では1万円などと決められた金額までであれば、店頭の端末にカードを挿入して暗証番号を入力するといった操作なしに支払いができる。国際ブランド「Visa」によると、2024年時点で日本におけるクレジットカードの対面利用の約47%はタッチ決済になっているという。未対応のカードが一部残っているものの、更新時に切り替えが進んでいる。
クレジットカードにとどまらず、タッチ決済対応マークがついていれば、支払時に銀行口座から引き落とされるデビットカード、あらかじめお金を入金・チャージしておくプリペイドカード、対応するカードを設定したスマートフォンでも同様に使える。
現金を使わないキャッシュレス決済は政府が普及を後押ししている。24年の時点でその決済額の比率は4割を超えた。内訳を見ると、全体の8割超がクレジットカードの利用だ。従来は高額品購入時に使う印象が強かったが、コンビニエンスストアなど日常の支払いでも使われる場面が増えているようだ。
キャッシュレス決済を進める背景にはインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもあった。海外の都市ではタッチ決済が主流となっているところも多い。現金払いに慣れない外国人が両替をしなくても支払いができるのは大きな利点となる。
最近、日本国内でも目立つようになってきたのが交通機関のタッチ決済での利用だ。各地の鉄道やバスで導入が進む。13日に開幕する大阪・関西万博に向け、大阪の大手私鉄や地下鉄の改札ではタッチ決済対応が広がった。
このシステムを手掛けている三井住友カードのTransit本部長、石塚雅敏さんは「きっぷや交通系ICカードを買うことなく、手持ちのクレジットカードでそのまま乗れる仕組みは訪日外国人だけでなく、日本人にもメリットがある」と語る。
例えば地方での交通機関の担い手の負担軽減だ。近年は利用者減少や人手不足などで鉄道や路線バス網の縮小・廃止が進んでいる。バスの運転手は運転だけでなく、運賃の管理も求められている。「業務コスト全体を減らす必要がある。タッチ決済導入で現金が不要になる効果は大きい」(石塚さん)
三井住友カードのシステムは3月末時点で41都道府県の149社が採用。26年には47都道府県すべてでの導入を目指しているという。
タッチ決済での乗車はカードやスマホを改札の専用リーダー部分にかざせばよく、交通系ICカードとあまり変わらない。残高がなくなって駅の券売機でチャージをしていた人にとっては手間が減ってスムーズに乗り降りできる。「ショッピングも交通機関への乗車もカード1枚あれば済む。クレジットカードが持てない子どもの場合、子ども用プリペイドカードに親がカードでチャージして渡す方法もある」(Visa担当者)
店舗から交通機関まで、タッチ決済を利用すれば、残高チャージなどのために金融機関のATMや窓口で現金を引き出す必要がなくなるのが大きい。クレジットカード利用になってポイントをためられるのも利点だ。タッチ決済対象のポイント優遇やキャッシュバックといったキャンペーンが展開されている場合もある。調べてみよう。
便利になる一方、注意したい点もある。対応していない店舗があるほか、システム障害などで利用できないケースがあり得る。定められた金額を超えてしまうと、暗証番号の入力が必要になる。
交通機関でも複数路線を乗り継ぐ際には注意が必要だ。未対応の路線に乗り換えてしまうと精算が必要になる。自分のカードがタッチ決済乗車に対応した国際ブランドかどうかも確認しておきたい。
(消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子)
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長谷工、ウッドフレンズを買収へ[2025/04/11 日本経済新聞 夕刊 3ページ 260文字 PDF有 書誌情報]
長谷工コーポレーションは10日、東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドフレンズにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。住宅のラインアップを広げ、木造マンションの競争力を磨く。TOB価格は9日終値(900円)に対して91%のプレミアムをつけた1株あたり1720円。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。
イオンFS社長に深山氏、監査機能直轄 統治を強化 スマホ決済の収益磨く[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1379文字 PDF有 書誌情報]
イオンの金融子会社、イオンフィナンシャルサービス(FS)は10日、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を担当する深山友晴氏(51)が社長に就く人事を発表した。傘下のイオン銀行でマネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があり前社長が引責辞任した。改革の統括役をトップにし、再発防止などの体制整備を急ぐ。
5月23日に開く株主総会後の取締役会を経て正式に就任する。社長を兼務していた白川俊介会長(61)は代表権のない会長となる。
イオン銀行を巡っては金融庁が2024年12月、マネロン対策の不備で銀行法に基づく業務改善命令を出した。経営責任を明確にするため25年1月にイオンFSの藤田健二社長が引責辞任し、イオン銀行の小林裕明社長も解任した。
深山氏は海外事業の経験が長い。20年に香港に上場するイオンクレジットサービス(アジア)社長に就いたほか、24年にはベトナムの事業拡大の責任者も務めた。マネロン対策の不備を受けて25年3月に「グループガバナンス改革担当」になり、体制整備の責任者となった。
最優先課題はガバナンスの強化になる。
3月に経営監査部を社長直轄の組織とし、三井住友フィナンシャルグループで監査部長の経験がある谷新一郎氏(63)を新たな常勤監査役に招くことも決めた。銀行だけでなく海外事業や保険事業など各部門のリスクの洗い出しなどを横断的に実施できるようにする。
クレジットカード「イオンカード」でも昨夏から不正利用が多発した。対応が遅れたことなどもあり、数万人の会員が被害を受けた。マネロン不祥事と併せて再発を防止し、株主や利用者の信頼を取り戻したい考えだ。
イオンFSの業績は堅調だ。
10日に発表した25年2月期の連結決算は売上高にあたる営業収益が前の期に比べて10%増の5332億円、営業利益は23%増の614億円だった。クレカの分割払いやキャッシングが増えたほか、香港などでは個人ローンの残高も伸びた。純利益は7%減の195億円だった。クレカの不正利用の被害に関連する費用として99億円の特別損失を計上した。
今後の成長の柱は決済サービスの利用者増と海外事業の拡大になる。
スマートフォン決済の「AEON Pay(イオンペイ)」をいかに伸ばすかがカギを握る。イオングループ以外の加盟店の増加を急いでいる。クレカなどと異なって小口決済が中心のため若者の利用者も多く、スマホ決済大手のPayPayに対抗する上で欠かせない。
スマホ決済や銀行口座、電子マネーの「WAON(ワオン)」などを組み込んだ金融アプリ「イオンウォレット」を通じ、イオングループが小売りから金融まで経済圏を拡大する要になる。
海外事業の拡大も不可欠だ。
営業利益に占める割合は6割ある一方、営業収益に占める割合は3割にとどまる。アジアなど海外は日本より金利が高く利益率が高い。すでにタイやマレーシア、中国など約10カ国・地域に進出しており、新規進出国の増加よりも現在の市場での利用者の底上げが重要になる。現地市場に精通した深山氏は海外事業の拡大でも重責を担うことになる。
深山 友晴氏(ふかやま・ともはる)97年(平9年)イオンクレジットサービス(現・イオンフィナンシャルサービス)入社。20年イオンクレジットサービス(アジア)社長、25年グループガバナンス改革担当
三菱UFJ信託、ネット株主優待の事務受託[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 8ページ 585文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJ信託銀行は上場企業向けにインターネットで手続きする株主優待制度の事務受託サービスを始めた。通販サイトで利用できる共通ポイントを株主に配る場合などが対象になる。株主優待を導入しやすくして企業の個人株主増加に向けた施策を後押しする。
サービスを受託する専門サイトをこのほど立ち上げた。企業側はサイト上で優待制度の詳細を設計して株主総会の招集通知などにQRコードを掲載する。株主はサイトにアクセスして優待を受ける仕組みだ。価格は各社の内容ごとに異なり、年800万~900万円程度を想定する。5年で100社への導入を目指す。
企業側は株主の対応など優待関連の事務負担を三菱UFJ信託に委ねることができる。株主名簿の管理を業務とする信託銀行がサービスを手掛けるため、名簿の外部提供に抵抗がある企業の需要を取り込む。
株主優待で紙のギフト券などを配布する場合、優待を実施する企業側は発送の受け付けなどで事務負担がかかってきた。
株主優待制度は優待の活用が難しい機関投資家や海外投資家からは不公平だとの批判も根強い。三菱UFJ信託の調べによると、減少傾向が続いていた優待制度の実施社数は2024年12月までに増加に転じた。政策保有株の売却が増える中で長期で保有する個人株主の開拓を目指す企業が増えており、ネットで作業を完結できる今回のサービスは一定の需要があるとみている。
KDDI、解は「外」にあり パートナー企業と提携促進 松田社長「自前主義こだわらず」[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1383文字 PDF有 書誌情報]
1日付で就任したKDDIの松田浩路社長が10日、東京都内で記者会見を開き、パートナー企業との提携戦略を加速する方針を示した。日本でつくり上げたサービスの海外展開にも注力する。日本電信電話公社(現NTT)の独占に挑む形でKDDIの前身企業が誕生してから約40年。業界首位へのカギは外部の知見と海外、異業種の3つの「外」だ。
「自前主義にはこだわらない。パートナーと組んで大きなことに素早く取り組むのがKDDIの使命だ」。松田社長は会社の戦略についてこう語った。
主力の携帯電話事業が人口減少により大きな成長を見込みにくい中で、前任の高橋誠会長は金融や動画配信などのコンテンツといった非通信事業を育てて次への道筋を付けた。さらなる成長に向けては海外でのサービス拡大が急務となる。その担い手として後任に選んだのが、米アップルといった海外企業との交渉を担ってきた松田社長だった。
人口減や高齢化をはじめ諸課題についても先進国である日本で培ったサービスを海外展開する。ドローンを使ったインフラ点検や監視サービスなどを想定する。
スタートアップとの提携も加速する。米国で人工知能(AI)といった分野に投資するベンチャーキャピタル(VC)などに出資すると10日発表した。KDDIが新たに立ち上げるファンドと合わせて300億円規模の投資を検討する。松田社長はエンジニア出身だ。AIや通信などに精通しており、先端技術を有する企業との協業は今後さらに増えるとみられる。
KDDIがいち早く提携した米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」についても新しい動きがあった。スマートフォンと衛星が直接通信するサービスの提供を10日から始めた。国内の通信事業者が直接通信を手掛けるのは初めてとなり、米アップルのiPhoneなど、約600万台が対象となる。auの利用者であれば当面は無料で使えるようにしてアピールする。
KDDIは研究開発費などの投資規模がNTTに見劣りすることから、それを補う形で外部の技術や知見を積極的に取り込んできた。NTTドコモの2025年3月期の売上高予想が6兆2440億円なのに対し、KDDIは5兆7700億円とまだ差がある。
同業他社にない強みの領域として成長期待をかけるのがコンビニエンスストアのローソンだ。全国約1万4000店で新サービスを展開すれば、携帯電話や金融との相乗効果も生まれるとみる。
先進技術を取り入れたローソンの新店舗がKDDIの新本社(東京・港)で開業する予定だ。飲料の陳列をロボットで自動化したり、来店客が専用のアプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了したりするスマホレジの導入などを想定している。顧客の利便性を高めるだけでなく、小売業で深刻な人手不足の対策にもなる。
小売りの現場をデジタル技術で効率化する「リテールテック」は他社への販売も検討する。松田社長は「高輪の新本社で培った技術を世界展開していきたい」と述べた。
外部連携、海外、外から招いたコンビニという異業種。どれもお手本があるわけではない。特に活路とみる海外事業は松田社長自身「現状はまだまだと感じる」とハードルは高いと認める。高橋会長がまいた種を育ててKDDIの次をみせられるか。
【図・写真】就任の記者会見に登壇したKDDIの松田社長(10日、東京都千代田区)
「死に筋の密林」 だから賑わう ハンズマンは反効率、店員が何でも揃える 九州から首都圏めざす[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 1ページ 2831文字 PDF有 書誌情報]
九州地盤のホームセンター(HC)のハンズマンが逆張り戦略で話題だ。園芸用品売り場では、商品を使って店内をジャングルに。取扱品目は20万以上と一般的なHCの3倍。その7割が「年に十数個しか売れない」。ネット通販並みの品ぞろえで「ハンズマンに来れば何でもある」という信頼感と発見する楽しみが強み。大阪に続き今後は首都圏への出店を見据える。
ハンズマンは宮崎県都城市に本社を構える。祖業は1914年創業のガラス建材店で、86年に同市で1号店を開業。佐賀と長崎を除く九州5県に11店舗を展開後、2023年に関西進出を果たした。同年10月に大阪府松原市で開業した松原店では、最初1年間の売上高が計画を2%上回る46億円と好調に推移した。
■ヤシの木・噴水……「1日中いられる」 2月末の平日、同店を訪れると多くの顧客でにぎわっていた。店内に足を踏み入れると、高さ10メートルほどのヤシの木(125万円)や噴水(198万円)が目に飛び込んでくる。約2500種類の植物や輸入品のオーナメントが並ぶ園芸売り場は、まるでジャングル。床のタイルや壁紙なども含め、内装に使っている資材は全て売り物だ。
「SNSでたまたま見つけて、面白そうなお店だと思って見に来ました」。週末のデートの場所に選んだという大城沙樹さん(30)は、店内を携帯で撮影。「これだけ広いと1日中いられますね」と、一緒に訪れた山本龍さん(36)も楽しげだ。「最初は何も買う予定がありませんでしたが、かわいい作業靴を見つけて思わず購入しました」
店内の設計コンセプトは「大人のテーマパーク」。大薗誠司社長は「買い物をする時間を楽しめるのが、リアル店舗の存在意義だ。『こんな商品もあるんだ!』という発見と感動を演出したい」と話す。内装はDIYの資格を持つ社員などによる手作り。松原店の場合、大薗社長が構想したデザインをもとに約300人の社員が半年かけて完成。商品の陳列方法をはじめ、タイルの並べ方まで細かく指定する徹底ぶりだ。
中央の園芸用品売り場の天井は高さ15メートルで、吹き抜けになっているのが特徴。2階から見下ろしてもどこに何の商品があるかわかるよう、陳列にこだわる。2階の日用品売り場でも壁や天井まで使った展示を施し、遠くからでも目当ての商品を見つけられる。
松原店の売り場面積は約1万9834平方メートルと、既存店で最大だった菊陽店(熊本県菊陽町)の1.5倍。売り場の植物を適切に管理するため、湿度が高くなると天井が開いて調節できるようになっている。
一般的なHCでは約7~8万品目を取り扱うというが、ハンズマンは各店おおむね21万品目を展開。特に松原店では4倍の約28万品目をそろえている。例えば植木鉢は親指大のものから、大人が数人入れるほどのものまで数多く用意する。
■品ぞろえはお客のメモで決める 多くの商品をそろえるのは「品ぞろえはお客様が決めるもの」という大薗社長の考えからだ。単に売れ筋に絞って効率的に売る手法では、同質化し価格競争に巻き込まれ生き残れない。各店のスタッフが顧客から欲しい商品を聞き取ってまとめた「要望商品メモ」を元に決められている。
「コタツに使う円柱型の脚」「陸上養殖用の小型水槽」といった要望が日々寄せられている。メモは大薗社長自ら全てに目を通している。社長が開発したシステムでは要望のあった商品と、その数が記録され一覧できるようになっており、希望が多く寄せられた商品から順に仕入れている。これまで寄せられたメモは累計で83万枚。欲しい商品が見つからない場合はメーカーに新たに発注することもあるといい、新規導入数は10年間で1万8646点に上る。
商品の7割が年間販売十数個以下の「死に筋」だ。他社が売れ筋に絞って在庫を抑える中、非効率的ともいえる戦略を貫く理由について、大薗社長はこう話す。「業態の都合上、同業他社は同じ商品を扱うので値下げして集客するしかなく、売り上げも利益も縮小する。一方で我々は接客や品ぞろえで差別化をはかる。他の店では手に入らない商品がハンズマンにはあるという発見が、お客様の感動につながる」
数年前、ある客が「このボールペンに合うバネはないですか」と訪ねてきた。ハンズマンで販売する約1000種類のバネから、ぴったりのものを見つけることができた。「亡くなった家族の形見が再び使えるようになってよかった」と話していた。品ぞろえの豊富さを前面に押し出し、ファンを増やしている。
広大な売り場で多品種を扱うため、店舗のスタッフの丁寧な接客と豊富な知識が満足度の要になる。スタッフに対し約250項目の評価基準をもとに、接客の内容などを中心に評価し昇給に反映。「要望商品メモを提出した数」なども集計している。
■同業他社「効率無視での成立がすごい」 各店舗では平均150人が働く。社員全体の9割を占めており、売り場の案内や商品の説明にいつでも対応できるようにしている。特に松原店では、売り場担当として約200人を確保。専門的な質問に回答できるDIY検定の資格保持者も、400人以上いる。
多品目を抱えながら、あえてPOS(販売時点情報管理)システムを導入していない。在庫を従業員の目で確認し、「販売が一定数を超えるとX個発注する」というルールを策定。その積み重ねで、独自の在庫管理ノウハウを構築してきた。
商品にバーコードを付与する手間やコストを省くのも、理由の1つ。仕入れた際に袋売りだった商品でも、希望があればバラ売りで提供する。「作業用軍手の利き手のみがすり減るので右手だけ欲しい」といった要望にも、袋を切り裂いて販売。クギ1本、シャープペンシルの芯1本といった通常はまとめ売りの商品も、スタッフの判断で1つから提供可能だ。
「バラ売りしたら残った商品は廃棄にする。売り上げが下がるのではと言われるが、むしろバラ売りを始めてから売り上げは上がっている」(大薗社長)。顧客の要望に応えてくれることで、リピートにつながるケースが増えているという。同業他社の幹部は「戦い方が全く違う。小売店であれば在庫回転など効率を重視するのが昔からの流れだが、ここを無視した上でも成立するのがすごい」と一目置く。
松原店の成功を皮切りに、今後は東名阪を中心に九州以外にも「4年に1店舗のペースで出店をしていく」方針。多品目を扱うには広大な売り場面積と大きな商圏が必要になるため、ふさわしい用地を探しているところだという。
コスモス薬品やトライアルホールディングスなど、安さを売りに全国展開を進める九州発祥の流通業が増える中、ハンズマンは逆張り戦略で東進をめざす。「ハンズマンがない地域では、お店に行っても欲しい商品がないことが当たり前になっている。ハンズマンを全国に広げて、この常識を変えたい」。大薗社長は語る。
(宮月子)
【図・写真】ハンズマン松原店(大阪府松原市)
花見の幹事、AIが2万円で 余興も提案、丸投げはNG?(中村奈都子の消費を斬る)[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 3ページ 1288文字 PDF有 書誌情報]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員)
【図・写真】パソコンを使って宴会の趣旨に合ったメニューを注文していく
【図・写真】AIエージェントが食事を手配し、Helpfeelの新入社員歓迎お花見会が始まった(東京・中央)
三井不、NYにシェアオフィス[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 5ページ 600文字 PDF有 書誌情報]
三井不動産は、法人向けシェアオフィスサービス「ワークスタイリング」で海外初の拠点を米ニューヨーク市に開くと発表した。同日から予約を開始し、15日に開業する。日系企業の会員向けに海外出張時での利用を想定する。海外拠点の拡大に向けてシェアオフィスの米企業とも連携する。
三井不の米国子会社がニューヨーク市マンハッタンに所有する高層オフィスビル「1251 Avenue of the Americas」のラウンジスペース(約25席)をワークスタイリング会員も利用できるようにする。
料金は午前8時~午後5時の営業時間のうち午前・午後の枠で各6000円。会員向けサイトで予約するとQRコードで入退室できる。ビルは地下鉄駅に直結し、地下通路でロックフェラーセンターとつながる。
三井不は4月からシェアオフィス事業を手がける米Industrious(インダストリアス)と連携し、ワークスタイリング会員が同社の欧米約130カ所の施設を通常料金の2割引きで使えるようにする。アジアにも対象の拡大を目指す。
三井不はワークスタイリング事業を2017年に始めた。3月時点で約1200社、約32万人が契約。全拠点を利用できるプラン料金は毎月の登録管理料(税別5万円~)と1人あたり10分ごとの利用料(同290円~)のほか諸経費がかかる。
【図・写真】三井不動産が米NYの自社ビルに開設したシェアオフィスのラウンジ=同社提供
札幌市営地下鉄 クレカ決済、試験導入 全駅、26日から[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 北海道 1ページ 308文字 PDF有 書誌情報]
札幌市は26日から、市営地下鉄全駅でクレジットカードなどのタッチ決済を試験的に導入する。現金で切符を購入する必要がなく、クレジットカードやスマートフォンで乗車できるようになる。事前にチャージが必要な交通系ICカードを持たないインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもある。
クレカなど向けタッチ決済の読み取り機が付いた改札を、市営地下鉄全49駅の各改札口に1台ずつ設置した。インバウンドの利用客が多い南北線さっぽろ駅には、各改札口に2台ずつ配置した。
利用者数など今後の運用状況を踏まえ、2026年度以降に本格的に導入する。同市は25年度中に、路面電車(札幌市電)の全車両にもタッチ決済機器を搭載する予定だ。
都、福祉人材の復職促進 研修充実、離職防止にも力 就労半年で奨励金[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 東京 5ページ 1423文字 PDF有 書誌情報]
東京都は、人手不足が深刻化している介護福祉士、社会福祉士、保育士など福祉人材の有資格者や介護支援専門員(ケアマネジャー)らの復職支援を強化する。相談員による伴走支援やリスキリング施策を充実させ、実際に就職した人への奨励金なども用意する。資格や経験のある即戦力人材の活躍を促し、効果的な人材確保につなげる。
介護、保育、障害福祉分野などの求人情報を掲載する都の情報サイト「ふくむすび」を用いた復職支援を強化する。2025年度から介護福祉士などの資格のある人が同サイトに登録した場合、決済アプリで使える500円相当のポイントを付与。現在は福祉分野で働いていない潜在人材の登録や利用拡大を目指す。
登録者には最新の介護保険制度に関する座学や実技演習などのリスキリングメニュー、東京都福祉人材センターによる就職相談の機会も提供。「福祉の仕事から離れていた人が不安なく復職できるように支援する」(都福祉局生活福祉部)
都はキャリアアップの仕組みや研修制度を充実させている福祉事業所の認定制度を設けている。都による復職支援では優良事業所への紹介に力を入れることで、職員の待遇改善や就職後のミスマッチも防ぐ。相談員とやりとりして実際に就職した場合には、5000円相当のポイントも給付する。
東京都によると、就職していなかったり他の仕事をしている介護福祉士は、把握できるだけでも20年度時点で約9000人いた。サイト登録者数は24年度末時点で約3000人にとどまるが、ポイント付与などの取り組みを通じ、25年度には新たに1万人の登録者増、相談員を介した約740人の就職を目標とする。
25年度には要介護者や要支援者の相談を受けて対応策を作成するケアマネジャーの再就職支援も始める。就職や転職を希望する人向けに相談窓口を新たに設置し、就職後、6カ月間働き続けた人には10万円の奨励金を給付する。
都内では2万2300人がケアマネジャーに登録されているが、資格を使って働いていない「潜在人材」は3割超の約7500人にのぼる。ケアマネジャーは業務量の増加や処遇改善の遅れが指摘されており、復職するうえでのハードルとなっている。介護従事者への最大2万円の手当支給や事業所向けの経費補助なども用意し、処遇改善を後押しする。
高齢化に伴い、都内では福祉職場の人手不足が深刻化している。都内の高齢者(65歳以上)は20年時点で319万人と、人口の23%を占めた。都の推計では45年には396万人、29%に上昇する見通しだ。介護保険の要介護認定を受けている人は22年度時点で65万人だが、30年度には76万人になる見込みだ。
一方、東京労働局によると25年2月の「介護サービス職業従事者」の有効求人倍率(原数値)は8.04倍と職業全体(1.53倍)を上回る。都の推計では、高齢化に伴い30年度に都内で約4万7000人の介護職員が不足する見通しだという。
介護人材の確保は全国的な課題となっており、在留資格「特定技能」の活用など外国人の受け入れも進んでいる。都は25年度、人材紹介費用の補助や国家資格の取得支援も始め、幅広い人材確保策を講じる。有資格者の復職を後押しする支援策や業界の待遇改善などを通じて、資格や経験がある即戦力が活躍できる仕組みの整備もより重要となりそうだ。
(久保田皓貴)
【図・写真】資格があり復職を検討する人を伴走支援する(東京都福祉人材センター)=イメージ
中部電、太陽光で住宅ローン優遇 戸建て向け来年度メド 電気+金融で新電力に対抗[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
中部電力の販売子会社、中部電力ミライズは金融事業を拡大する。提携先の住信SBIネット銀行を通し、2026年度をめどに太陽光発電などを導入する環境型住宅に対しローンを優遇する個人向けサービスを始める。電力自由化で東邦ガスや新電力が電力契約を増やしている。中部電は金融サービスと組み合わせて戸建て家庭の契約で反転攻勢をかける。
中部電力ミライズは家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」を始めた。住信SBIの銀行口座から電力料金などを口座振替で支払うと、最大5%をポイント還元する。家庭向けの新サービスはカテエネBANKの加入者を対象とする。
カテエネBANK拡充の一環として住宅ローン優遇を26年度をめどに始める。既に住信SBI銀行を通した住宅ローンの提供を行っているが、環境型住宅向けの優遇ローンを提供することを検討する。窓口は太陽光パネルや住設機器などを販売する中部電力ミライズ運営の「ミライズショップ」となる公算が大きい。
カテエネBANKの拡充と並行し、出店拡大も検討する。現在、ミライズショップはイオンモールナゴヤドーム前(名古屋市)に限られている。
3月末に閉店した家庭向けサービスショップ「カテエネショップ」があった岡崎市に、新たにミライズショップを出店することを視野に入れる。中部電力ミライズの神谷泰範社長は「弊社の顔が見える接点として期待したい」と話す。
法人向けのサービスも始める。25年度から住信SBIネット銀がシステム連携を通じて預金や決済などの銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を始める。中部電力は銀行免許よりハードルが低い銀行代理業の許可を得て、企業向けの融資に関与する。
BaaSを活用し、電気の支払い状況や使用量を信用情報とした融資も視野に入れる。電力データに問題がないと判断された場合、融資や家賃保証の条件を緩和したり、手続きが簡素になったりするようなサービスを提供したい考えだ。太陽光発電など脱炭素設備を導入した企業に対する融資優遇も今後検討していく。
金融サービスを拡大する背景にあるのは、電気事業の競争激化がある。中部では中電以外のインフラ企業による電力事業が活発になっている。東邦ガスの電気事業は、加入件数が昨年12月末で約67万件と前年同期比で10%増えた。サーラコーポレーションも子会社を通して愛知県豊橋市内の蓄電所を25年夏に稼働させる見通しだ。
ポイントサービスを武器に、携帯電話会社の電気事業も伸長している。中部電力ミライズの神谷社長は「当社は大手企業など大口顧客には強い接点があるが、家庭や中小企業などには課題を抱えている。単に電気を提供するだけでは存在価値を発揮できない」と話す。
今後は金融データを活用し、「電力のみならず暮らし全体に向けたサービスを拡充する」(神谷社長)狙いだ。子どものいる家庭に対する教育ローンの提供や、家計管理の提案などを視野に入れる。暮らし関連のサービスの拡充で、電力を利用する顧客の確保につなげたい考えだ。
インフラ関連など非金融事業者がBaaSに参入する事例は増えている。24年8月には、関西電力が東京きらぼしフィナンシャルグループとBaaSサービスで提携すると発表した。関西電も再エネ事業への投融資や環境配慮型住宅向けのローン開発に取り組むとしている。
(川路洋助)
長谷工、ウッドフレンズを買収へ 木造マンションを強化[2025/04/10 22:50 日経速報ニュース 485文字 画像有 ]
長谷工コーポレーションは10日、東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドフレンズにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。住宅のラインアップを広げ、木造マンションの競争力を磨く。
TOB価格は9日終値(900円)に対して91%のプレミアムをつけた1株あたり1720円。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。
ウッドフレンズはTOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表した。TOBに応じない株主にはTOBの成立後、長谷工が強制買い取り(スクイーズアウト)を実施する。その後ウッドフレンズは上場廃止となる見通し。
ウッドフレンズは東海地方で中所得者向けの戸建て住宅や林業を手掛ける。長谷工は自社グループの営業網をウッドフレンズに提供する。長谷工は鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせたマンションを開発しており、木材調達を強化してコスト競争力を高める。
【関連記事】長谷工、大型マンションに「木造ハイブリッド」 都内で
イオンFS社長に深山氏 マネロン不祥事で企業統治強化[2025/04/10 19:35 日経速報ニュース 1378文字 画像有 ]
イオンの金融子会社、イオンフィナンシャルサービス(FS)は10日、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を担当する深山友晴氏(51)が社長に就く人事を発表した。傘下のイオン銀行でマネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があり前社長が引責辞任した。改革の統括役をトップにし、再発防止などの体制整備を急ぐ。
5月23日に開く株主総会後の取締役会を経て正式に就任する。社長を兼務していた白川俊介会長(61)は代表権のない会長となる。
イオン銀行を巡っては金融庁が2024年12月、マネロン対策の不備で銀行法に基づく業務改善命令を出した。経営責任を明確にするため25年1月にイオンFSの藤田健二社長が引責辞任し、イオン銀行の小林裕明社長も解任した。
深山氏は海外事業の経験が長い。20年に香港に上場するイオンクレジットサービス(アジア)社長に就いたほか、24年にはベトナムの事業拡大の責任者も務めた。マネロン対策の不備を受けて25年3月に「グループガバナンス改革担当」になり、体制整備の責任者となった。
最優先課題はガバナンスの強化になる。
3月に経営監査部を社長直轄の組織とし、三井住友フィナンシャルグループで監査部長の経験がある谷新一郎氏(63)を新たな常勤監査役に招くことも決めた。銀行だけでなく海外事業や保険事業など各部門のリスクの洗い出しなどを横断的に実施できるようにする。
クレジットカード「イオンカード」でも昨夏から不正利用が多発した。対応が遅れたことなどもあり、数万人の会員が被害を受けた。マネロン不祥事と併せて再発を防止し、株主や利用者の信頼を取り戻したい考えだ。
イオンFSの業績は堅調だ。
10日に発表した25年2月期の連結決算は売上高にあたる営業収益が前の期に比べて10%増の5332億円、営業利益は23%増の614億円だった。クレカの分割払いやキャッシングが増えたほか、香港などでは個人ローンの残高も伸びた。純利益は7%減の195億円だった。クレカの不正利用の被害に関連する費用として99億円の特別損失を計上した。
今後の成長の柱は決済サービスの利用者増と海外事業の拡大になる。
スマートフォン決済の「AEON Pay(イオンペイ)」をいかに伸ばすかがカギを握る。イオングループ以外の加盟店の増加を急いでいる。クレカなどと異なって小口決済が中心のため若者の利用者も多く、スマホ決済大手のPayPayに対抗する上で欠かせない。
スマホ決済や銀行口座、電子マネーの「WAON(ワオン)」などを組み込んだ金融アプリ「イオンウォレット」を通じ、イオングループが小売りから金融まで経済圏を拡大する要になる。
海外事業の拡大も不可欠だ。
営業利益に占める割合は6割ある一方、営業収益に占める割合は3割にとどまる。アジアなど海外は日本より金利が高く利益率が高い。すでにタイやマレーシア、中国など約10カ国・地域に進出しており、新規進出国の増加よりも現在の市場での利用者の底上げが重要になる。現地市場に精通した深山氏は海外事業の拡大でも重責を担うことになる。
深山 友晴氏(ふかやま・ともはる)97年(平9年)イオンクレジットサービス(現・イオンフィナンシャルサービス)入社。20年イオンクレジットサービス(アジア)社長、25年グループガバナンス改革担当
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札幌市営地下鉄、クレカ使用可能に 海外客も使いやすく[2025/04/10 19:18 日経速報ニュース 308文字 画像有 ]
札幌市は26日から、市営地下鉄全駅でクレジットカードなどのタッチ決済を試験的に導入する。現金で切符を購入する必要がなく、クレジットカードやスマートフォンで乗車できるようになる。事前にチャージが必要な交通系ICカードを持たないインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもある。
クレカなど向けタッチ決済の読み取り機が付いた改札を、市営地下鉄全49駅の各改札口に1台ずつ設置した。インバウンドの利用客が多い南北線さっぽろ駅には、各改札口に2台ずつ配置した。
利用者数など今後の運用状況を踏まえ、2026年度以降に本格的に導入する。同市は25年度中に、路面電車(札幌市電)の全車両にもタッチ決済機器を搭載する予定だ。
外為17時 円相場、反落 146円台前半 米関税の一時停止で[2025/04/10 17:30 日経速報ニュース 557文字 ]
10日の東京外国為替市場で、円相場は反落した。17時時点では前日の同時点に比べ70銭の円安・ドル高の1ドル=146円23~25銭で推移している。トランプ米大統領が9日、一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を一時停止すると発表した。世界景気が減速するとの懸念が和らいで「低リスク通貨」とされる円に売りが出た。
日米の株式相場の大幅上昇を受け、投資家心理が改善し、関税政策への警戒感から膨らんでいた円買い・ドル売りの持ち高が巻き戻された。
ただ、円相場が一段と下値を探る動きは限られた。きょうは事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。国内輸出企業などによる円買い・ドル売り観測が円相場の支えとなった。トランプ氏は9日、中国に対して累計125%の関税を課す方針を示した。10%の一律関税も維持しており「関税政策の先行きへの懸念は残っている」(国内銀行の為替担当者)との見方も根強く、円相場の下値は堅かった。
円は対ユーロでも反落した。17時時点では同97銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=161円26~32銭で推移している。
ユーロは対ドルで続伸した。17時時点は同0.0015ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.1029~30ドルで推移している。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
KDDI松田社長「自前こだわらず」 NTT超え、解は外にあり[2025/04/10 17:09 日経速報ニュース 1533文字 画像有 ]
1日付で就任したKDDIの松田浩路社長が10日、東京都内で記者会見を開き、パートナー企業との提携戦略を加速する方針を示した。日本でつくり上げたサービスの海外展開にも注力する。日本電信電話公社(現NTT)の独占に挑む形でKDDIの前身企業が誕生してから約40年。業界首位へのカギは外部の知見と海外、異業種の3つの「外」だ。
「自前主義にはこだわらない。パートナーと組んで大きなことに素早く取り組むのがKDDIの使命だ」。松田社長は会社の戦略についてこう語った。
主力の携帯電話事業が人口減少により大きな成長を見込みにくい中で、前任の高橋誠会長は金融や動画配信などのコンテンツといった非通信事業を育てて次への道筋を付けた。さらなる成長に向けては海外でのサービス拡大が急務となる。その担い手として後任に選んだのが、米アップルといった海外企業との交渉を担ってきた松田社長だった。
人口減や高齢化をはじめ諸課題についても先進国である日本で培ったサービスを海外展開する。人工知能(AI)を使った自律飛行型ドローン(小型無人機)を開発・製造する米スカイディオとKDDIは24年5月に資本業務提携した。ドローンを使ったインフラ点検や監視サービスなどを想定する。
スタートアップとの提携も加速する。米国でAIといった分野に投資するベンチャーキャピタル(VC)などに出資すると10日発表した。KDDIが新たに立ち上げるファンドと合わせて300億円規模の投資を検討する。松田社長はエンジニア出身だ。AIや通信などに精通しており、先端技術を有する企業との協業は今後さらに増えるとみられる。
KDDIがいち早く提携した米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」についても新しい動きがあった。スマートフォンと衛星が直接通信するサービスの提供を10日から始めた。国内の通信事業者が直接通信を手掛けるのは初めてとなり、米アップルのiPhoneなど、約600万台が対象となる。auの利用者であれば当面は無料で使えるようにしてアピールする。
KDDIは、1984年に発足した第二電電という前身企業も含めて生まれながらにしてNTT対抗が運命付けられた企業だ。研究開発費などの投資規模はNTTに見劣りすることから、それを補う形で外部の技術や知見を積極的に取り込んできた。NTTドコモの2025年3月期の売上高予想が6兆2440億円なのに対し、KDDIは5兆7700億円とまだ差がある。
同業他社にない強みの領域として成長期待をかけるのがコンビニエンスストアのローソンだ。5000億円を投じて、24年に三菱商事と共同経営することになった。KDDIは通信会社として唯一、全国展開する小売りチェーンをグループに引き入れた。全国の約1万4000店舗で新サービスを展開すれば、携帯電話や金融との相乗効果も生まれるとみる。
先進技術を取り入れたローソンの新店舗がKDDIの新本社(東京・港)で開業する予定だ。飲料の陳列をロボットで自動化したり、来店客が専用のアプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマホレジの導入などを想定している。顧客の利便性を高めるだけでなく、小売業で深刻な人手不足の対策にもなる。
小売りの現場をデジタル技術で効率化する「リテールテック」は他社への販売も検討する。松田社長は「高輪の新本社で培った技術を世界に展開していきたい」と述べた。
外部連携、海外、外から招いたコンビニという異業種。どれもお手本があるわけではない。特に活路とみる海外事業は松田社長自身「現状はまだまだと感じる」とハードルは高いと認める。高橋会長がまいた種を育ててKDDIの次をみせられるか。
(桜木浩己)
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ウルシステムズ、サントリービバレッジソリューションの自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発を支援[2025/04/10 16:46 日経速報ニュース 1328文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
サントリーの自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発を支援
~シンプルな決済体験を15万台のサントリー自販機へ拡大~
ウルシステムズ株式会社(本社 : 東京都中央区、代表取締役社長 : 横山芳成、以下、ウルシステムズ)はこのたび、サントリービバレッジソリューション株式会社(本社 : 東京都新宿区、代表取締役社長 : 森祐二、以下、SBS)の自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発プロジェクトを立ち上げからローンチまで全面的に支援しました。
※参考画像は添付の関連資料を参照
SBSは自販機による飲料水の販売やウォーターサーバーの提供などを手掛けるサントリーグループの企業です。このほど自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」をリリース。同社が運用するジハンピ対応自販機で、「ジハンピ」に連携することでクレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済を可能にしました。自販機での煩わしい端末操作を必要としないシンプルな決済体験が好評を博し、2024年12月に北海道で提供開始して以来、利用者数を着実に伸ばしています。スマホアプリや自販機向け決済端末などキャッシュレス決済に必要な仕組みを独自で用意することにより、低コストでの導入を実現しました。2025年中にサントリーの自販機約15万台をジハンピに対応させる予定です。
ウルシステムズはデジタル技術を駆使したビジネス変革や大規模プロジェクトマネジメントに関する知見を評価されてプロジェクトの初期から参画しました。「自販機のキャッシュレス決済をシンプルにする」というコンセプトを具現化すべく、PoC(概念実証)やフィジビリティスタディを通じたサービスのブラッシュアップ、業務プロセスとシステムの設計、決済端末の機能や通信方式の検討、システム開発会社の選定、システム全体の品質管理など多岐にわたる活動をSBSのプロジェクトチームのメンバーとともに推進しました。自販機キャッシュレス決済として過去に類を見ない優れた利用体験と高いポテンシャルを備えたサービスに仕上がったと自負しております。
SBSの本プロジェクトリーダーの井上尊之氏(マーケティング本部・副部長)は次のようにコメントしています。
「自販機を小売店と考える私達にとってキャッシュレス決済への対応は不可欠でした。圧倒的にシンプルな決済体験を多くのお客様へ提供したい。そんなアイディアをよりスピーディーに実現すべく、支援を受けることにしました。ウルシステムズを選んだのはソリューションを押し売りするのではなく、寄り添ってくれると感じたからです。事業会社とコンサルティング会社という組織の壁を超え、SBSのプロジェクトチームのコアメンバーとしてプロジェクトの成功に向けて全面的に支援してくれました。」
ウルシステムズはこれからもサントリーグループのビジネス変革をご支援してまいります。
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689606/01_202504101716.jpg
三菱UFJ信託、ネット優待の事務受託 個人株主増加後押し[2025/04/10 16:30 日経速報ニュース 585文字 画像有 ]
三菱UFJ信託銀行は上場企業向けにインターネットで手続きする株主優待制度の事務受託サービスを始めた。通販サイトで利用できる共通ポイントを株主に配る場合などが対象になる。株主優待を導入しやすくして企業の個人株主増加に向けた施策を後押しする。
サービスを受託する専門サイトをこのほど立ち上げた。企業側はサイト上で優待制度の詳細を設計して株主総会の招集通知などにQRコードを掲載する。株主はサイトにアクセスして優待を受ける仕組みだ。価格は各社の内容ごとに異なり、年800万~900万円程度を想定する。5年で100社への導入を目指す。
企業側は株主の対応など優待関連の事務負担を三菱UFJ信託に委ねることができる。株主名簿の管理を業務とする信託銀行がサービスを手掛けるため、名簿の外部提供に抵抗がある企業の需要を取り込む。
株主優待で紙のギフト券などを配布する場合、優待を実施する企業側は発送の受け付けなどで事務負担がかかってきた。
株主優待制度は優待の活用が難しい機関投資家や海外投資家からは不公平だとの批判も根強い。三菱UFJ信託の調べによると、減少傾向が続いていた優待制度の実施社数は2024年12月までに増加に転じた。政策保有株の売却が増える中で長期で保有する個人株主の開拓を目指す企業が増えており、ネットで作業を完結できる今回のサービスは一定の需要があるとみている。
外為12時 円相場、下落 米相互関税の一時停止で 実需の買いが支え[2025/04/10 12:32 日経速報ニュース 662文字 ]
10日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=146円73~75銭と前日17時時点と比べて1円20銭の円安・ドル高だった。トランプ米大統領が9日に、相互関税の上乗せ分の一時停止を発表した。投資家のリスク回避姿勢が和らいだことで円売り・ドル買いが優勢となった。一方、輸出企業など国内実需勢の円買い・ドル売り観測が相場を下支えし、円は次第に底堅さを増した。
トランプ大統領は9日に自身のSNSで、同日発動した相互関税について、一部の国と地域で90日間の一時停止を許可する考えを示した。世界経済が減速するとの警戒感が後退したことで日米の株式相場が急反発し、「低リスク通貨」とされる円には売りが先行した。
もっとも、円相場は昼過ぎにかけて下げ渋った。9日の海外市場で約半年ぶりの高値をつけたあと148円台まで売られるなど、急速に円安が進んだ反動で、10日の東京市場では利益確定目的の円買い・ドル売りも入りやすかった。10日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたり、輸出企業など国内実需筋による円買い・ドル売り観測も相場の支えとなった。
円は対ユーロでも下落した。朝方に161円台後半まで円売り・ユーロ買いが進んだ後は、下げ渋った。12時時点は1ユーロ=160円99銭~161円03銭と、同70銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルでは下落した。12時時点は1ユーロ=1.0971~72ドルと同0.0043ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
オリコとイオンフィナンシャルサービス、イオングループの取引先中小企業・個人事業主向けにビジネスカードを共同発行で合意[2025/04/10 12:21 日経速報ニュース 1208文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
オリコ、イオンフィナンシャルサービス(株)とビジネスカードを共同発行
~イオンフィナンシャルサービスとの業務提携に係る基本合意に基づく第三弾~
株式会社オリエントコーポレーション(東京都千代田区、代表取締役社長 : 梅宮 真、以下「オリコ」)と、イオンフィナンシャルサービス株式会社(東京都千代田区、代表取締役会長兼社長 : 白川 俊介、以下「イオンフィナンシャルサービス」)は2024年3月25日付 業務提携に係る基本合意書に基づく協業の第三弾として、イオングループの取引先中小企業・個人事業主向けに、共同でビジネスカードの発行を行う事で合意いたしましたので、お知らせいたします。なお、ビジネスカードの募集開始は2025年9月を予定しています。
また、その他の協業分野では、コールセンター業務において生成AIを活用したロールプレイングツールに共通コンテンツを導入することやオリコ加盟店に対するAEONPay導入促進を目的とした契約を締結するなど協働案件は着実に進展しております。
【ビジネスカード_狙い・背景】
国内の中小企業では、生産年齢人口の減少等を背景として慢性的な人手不足が経営上の課題として最も強く認識されています。また、運転資金の確保やコスト削減などの財務面においても課題として認識されています。これらの課題解決に向け、オリコが持つ法人・個人事業主に対する与信ノウハウや法人向けの商品サービスを活用し、イオングループ約300社のお取引先やイオンフィナンシャルサービスの法人・個人事業主のお客さまへ利便性の高い決済ツールの提供を行ってまいります。また、WAONPOINT付与等のイオングループならではの特典を付帯することで、他のビジネスカードとの差別化を図ることが可能となるなど、協業による効果が発揮できると考えております。
※参考画像は添付の関連資料を参照
【ビジネスカード_スキームの概要】
本ビジネスカードは、カードの審査・発行・管理はオリコが実施、イオンフィナンシャルサービスはカード獲得や利用促進等の営業を担います。オリコが与信リスク管理を担うことで幅広いお客さまへビジネスカードの発行が実現し、イオンフィナンシャルサービスが営業を担うことでオリコ単独ではアプローチすることができなかったイオングループの取引先にサービスを提供することが可能となるなど双方にとって価値のある取り組みになります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689581/01_202504101159.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689581/02_202504101159.pdf
東急建設とアイリッジ、共同開発を行う工具管理DXサービス「工具ミッケ」の改良版「工具ミッケII」を提供開始[2025/04/10 11:20 日経速報ニュース 900文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
東急建設とアイリッジ、まとめてQRスキャンが可能な工具管理DX「工具ミッケII」を提供開始
使いやすいインターフェースにリニューアル
登録フローをより簡素化し、働き方改革をサポート
東急建設株式会社(本社 : 東京都渋谷区、代表取締役社長 : 寺田 光宏、東京証券取引所プライム : 1720、以下「東急建設」)と株式会社アイリッジ(本社 : 東京都港区、代表取締役社長 : 小田 健太郎、東京証券取引所グロース : 3917、以下「アイリッジ」)は、両社が共同開発を行う工具管理DXサービス「工具ミッケ」の改良版となる「工具ミッケII」を、2025年4月より提供開始したことをお知らせします。
「工具ミッケ」は、RFID(無線自動識別)タグとスマートフォンアプリを活用した工具管理DXサービスとして2022年10月に販売を開始しました。これまで東急建設をはじめ、建設会社や鉄道事業者などの現場で導入される中で出てきた利用者からの要望にお応えして、このたび、アプリインターフェースの改良と工具登録フローの簡素化を行うとともに、工具識別用タグとしてQRコード(※1)も使えるようにしました。SCANDIT社の技術を採用することで、QRコード利用の場合も複数工具をアプリでまとめて読み取れるようにし、さらに利用のハードルを下げました。今後も引き続き導入拡大を目指してまいります。
※1)QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です
*イメージ画像は添付の関連資料を参照
※「工具ミッケ」は、東急建設株式会社と株式会社アイリッジの登録商標(登録第6653258号、登録第6671163号)です。
*以下は添付リリースを参照
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添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689572/02_202504101112.pdf
外為10時 円相場、146円台後半に下げ渋り 中値「ドル売り」の声[2025/04/10 10:28 日経速報ニュース 572文字 ]
10日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げ渋っている。10時時点は1ドル=146円82~85銭と前日17時時点と比べて1円29銭の円安・ドル高だった。10日午前の取引で日経平均株価は急反発し、上げ幅は一時2800円を超えた。投資家のリスク回避姿勢が和らいでいるのは「低リスク通貨」とされる円売り・ドル買いを促した一方、輸出企業など国内実需筋の円買い・ドル売り観測が相場の支えとなった。
10時前には146円69銭近辺と、朝方につけた147円台後半から1円程度下げ幅を縮める場面があった。中値決済に向けては、「ドル売りが優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。10日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」で、国内輸出企業による円買い・ドル売り観測が相場の支えとなった。「年末にかけて円相場は現時点より円高・ドル安に進むとみている輸出企業は多く、少しでも円安方向に進むと円買い・ドル売りを入れている」(同担当者)との指摘があった。
円は対ユーロでも下げ渋っている。10時時点では1ユーロ=161円30~34銭と、同1円01銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルでは下落幅を縮めた。10時時点では1ユーロ=1.0985~86ドルと同0.0029ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
デジタルガレージ、オンラインで火災保険の申請完結[2025/04/10 09:00 日経速報ニュース 266文字 画像有 ]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
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中部電力、太陽光で住宅ローン優遇 戸建て向け反転攻勢[2025/04/10 05:00 日経速報ニュース 1390文字 画像有 ]
中部電力の販売子会社、中部電力ミライズは金融事業を拡大する。提携先の住信SBIネット銀行を通し、2026年度をめどに太陽光発電などを導入する環境型住宅に対しローンを優遇する個人向けサービスを始める。電力自由化で東邦ガスや新電力が電力契約を増やしている。中部電は金融サービスと組み合わせて戸建て家庭の契約で反転攻勢をかける。
中部電力ミライズは家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」を始めた。住信SBIの銀行口座から電力料金などを口座振替で支払うと、最大5%をポイント還元する。家庭向けの新サービスはカテエネBANKの加入者を対象とする。
カテエネBANK拡充の一環として住宅ローン優遇を26年度をめどに始める。既に住信SBI銀行を通した住宅ローンの提供を行っているが、環境型住宅向けの優遇ローンを提供することを検討する。窓口は太陽光パネルや住設機器などを販売する中部電力ミライズ運営の「ミライズショップ」となる公算が大きい。
カテエネBANKの拡充と並行し、出店拡大も検討する。現在、ミライズショップはイオンモールナゴヤドーム前(名古屋市)に限られている。
3月末に閉店した家庭向けサービスショップ「カテエネショップ」があった岡崎市に、新たにミライズショップを出店することを視野に入れる。中部電力ミライズの神谷泰範社長は「弊社の顔が見える接点として期待したい」と話す。
法人向けのサービスも始める。25年度から住信SBIネット銀がシステム連携を通じて預金や決済などの銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を始める。中部電力は銀行免許よりハードルが低い銀行代理業の許可を得て、企業向けの融資に関与する。
BaaSを活用し、電気の支払い状況や使用量を信用情報とした融資も視野に入れる。電力データに問題がないと判断された場合、融資や家賃保証の条件を緩和したり、手続きが簡素になったりするようなサービスを提供したい考えだ。太陽光発電など脱炭素設備を導入した企業に対する融資優遇も今後検討していく。
金融サービスを拡大する背景にあるのは、電気事業の競争激化がある。中部では中電以外のインフラ企業による電力事業が活発になっている。東邦ガスの電気事業は、加入件数が昨年12月末で約67万件と前年同期比で10%増えた。サーラコーポレーションも子会社を通して愛知県豊橋市内の蓄電所を25年夏に稼働させる見通しだ。
ポイントサービスを武器に、携帯電話会社の電気事業も伸長している。中部電力ミライズの神谷社長は「当社は大手企業など大口顧客には強い接点があるが、家庭や中小企業などには課題を抱えている。単に電気を提供するだけでは存在価値を発揮できない」と話す。
今後は金融データを活用し、「電力のみならず暮らし全体に向けたサービスを拡充する」(神谷社長)狙いだ。子どものいる家庭に対する教育ローンの提供や、家計管理の提案などを視野に入れる。暮らし関連のサービスの拡充で、電力を利用する顧客の確保につなげたい考えだ。
インフラ関連など非金融事業者がBaaSに参入する事例は増えている。24年8月には、関西電力が東京きらぼしフィナンシャルグループとBaaSサービスで提携すると発表した。関西電も再エネ事業への投融資や環境配慮型住宅向けのローン開発に取り組むとしている。
(川路洋助)
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東京都、介護福祉士やケアマネらの復職を支援 奨励金も[2025/04/10 05:00 日経速報ニュース 1385文字 画像有 ]
東京都は、人手不足が深刻化している介護福祉士、社会福祉士、保育士など福祉人材の有資格者や介護支援専門員(ケアマネジャー)らの復職支援を強化する。相談員による伴走支援やリスキリング施策を充実させ、実際に就職した人への奨励金なども用意する。資格や経験のある即戦力人材の活躍を促し、効果的な人材確保につなげる。
介護、保育、障害福祉分野などの求人情報を掲載する東京都の情報サイト「ふくむすび」を用いた復職支援を強化する。2025年度から介護福祉士などの資格のある人が同サイトに登録した場合、決済アプリで使える500円相当のポイントを付与。現在は福祉分野で働いていない潜在人材の登録や利用拡大を目指す。
登録者には最新の介護保険制度に関する座学や実技演習などのリスキリングメニューや、東京都福祉人材センターによる就職相談の機会も提供する。「福祉の仕事から離れていた人が不安なく復職できるように支援する」(都福祉局生活福祉部)
都はキャリアアップの仕組みや研修制度を充実させている福祉事業所の認定制度を設けている。都による復職支援では優良事業所への紹介に力を入れることで、職員の待遇改善や就職後のミスマッチも防ぐ。相談員とやりとりして実際に就職した場合には、5000円相当のポイントも給付する。
東京都によると、就職していなかったり他の仕事をしている介護福祉士は、把握できるだけでも20年度時点で約9000人いた。サイト登録者数は24年度末時点で約3000人にとどまるが、ポイント付与などの取り組みを通じて、25年度には新たに1万人の登録者増、相談員を介した約740人の就職を目標とする。
25年度には要介護者や要支援者の相談を受けて対応策を作成するケアマネジャーの再就職支援も始める。就職や転職を希望する人向けに相談窓口を新たに設置し、就職後、6カ月間働き続けた人には10万円の奨励金を給付する。
都内では2万2300人がケアマネジャーに登録されているが、資格を使って働いていない「潜在人材」は3割超の約7500人にのぼる。ケアマネジャーは業務量の増加や処遇改善の遅れが指摘されており、復職するうえでのハードルとなっている。介護従事者への最大2万円の手当支給や事業所向けの経費補助なども用意し、処遇改善を後押しする。
高齢化に伴い、都内では福祉職場の人手不足が深刻化している。都内の高齢者(65歳以上)は20年時点で319万人と、人口の23%を占めた。都の推計では45年には396万人、29%に上昇する見通しだ。介護保険の要介護認定を受けている人は22年度時点で65万人だが、30年度には76万人になる見込みだ。
一方、東京労働局によると25年2月の「介護サービス職業従事者」の有効求人倍率(原数値)は8.04倍と職業全体(1.53倍)を上回る。都の推計では、高齢化に伴い30年度に都内で約4万7000人の介護職員が不足する見通しだという。
介護人材の確保は全国的な課題となっており、在留資格「特定技能」の活用など外国人の受け入れも進んでいる。都は25年度、人材紹介費用の補助や国家資格の取得支援も始め、幅広い人材確保策を講じる。有資格者の復職を後押しする支援策や業界の待遇改善などを通じて、資格や経験がある即戦力が活躍できる仕組みの整備もより重要となりそうだ。(久保田皓貴)
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NF銀行ランキング、SMBC信託が首位 上位3行に信託銀 相続や不動産、専門性に支持[2025/04/10 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1380文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社は商品力やサービスの使いやすさで利用者がどの銀行を評価しているのかを分析する2025年の「NIKKEI Financial(NF)銀行ランキング」をまとめた。総合首位はSMBC信託銀行だった。貯蓄から投資への流れが加速するなか、外貨預金から相続まで幅広く資産運用サービスを提供する信託銀行が上位を占めた。
利便性、商品サービス、接客応対、企業姿勢、収益性の5つの項目について利用者への調査などを日経リサーチと実施し、各項目の得点の合算を偏差値にして順位を付けた。有効回答数50以上の78行でランキングにした。詳細は金融デジタルメディア「NIKKEI Financial」で公開した。
前回の24年ランキングでは新NISA(少額投資非課税制度)を背景に、スマホアプリなどの使い勝手が良いインターネット銀行が上位を席巻した。投資家の裾野が広がり顧客の相談内容も多様になるなか、今回の25年ランキングでは相続や不動産、富裕層向けのビジネスにも強い信託銀行が評価を得た。
SMBC信託銀行は顧客数が約70万人、店舗数は20程度で規模はメガバンクに及ばないが富裕層にも強い。米ドルやユーロなどの17種類の外貨預金、海外で外貨決済できるデビットカードなど商品サービスの評価が高かった。萩原攻太郎社長は「外貨にエッジをきかせられている」と話す。
2位の野村信託銀行は富裕層向けだけでなく預金にも力を入れる。支店を持たない軽量運営の強みを生かし1年物の定期預金金利を0.55%とし、0.275%の3メガバンクを上回る水準だ。3位にはみずほ信託銀行が入った。24年度から本部ではなく各支店が営業目標を独自に決める仕組みにし、顧客体験をどう高めるかを重視する。
信託協会の調べによると、24年9月末の信託財産総額は1746兆円と10年前に比べ約2倍に伸びた。投資信託だけでなく老後資産の運用として年金信託も増えた。信託銀行は相続の相談時に遺言信託などを組み合わせた提案ができる。預金や投資信託が窓口での営業の中心になる銀行に比べ、幅広い相談に対応できる人材をそろえる。
ネット銀行も存在感を示した。24年首位だったPayPay銀行は4位だった。スマホ決済サービスのPayPayから手軽に預金残高を確認でき、決済アプリの残高を銀行口座に移す際の手数料が無料だ。楽天銀行は6位だった。取引状況に応じて通販などに使えるポイントの付与が評価された。
メガバンクで最も順位が高かったのは、24年に続き三井住友銀行(5位)だった。金利上昇の恩恵で業績が拡大し、商業施設への積極出店やセキュリティー対策を評価する声があった。
地銀で最も順位が高かったのは山梨中央銀行(8位)だ。支店窓口の電子端末やスマホアプリの導入で間接業務を減らし、個人の資産運用などの相談に乗るアドバイザーを増やしている。ネット銀行などとの競争が激しさを増すなか、サービスのデジタル化に力を入れる地銀が評価された。上位には福岡銀行(13位)、琉球銀行(16位)が入った。
日銀がマイナス金利政策を解除して1年余りたち「金利ある世界」が日本にも戻りつつある一方、トランプ米政権の関税政策で株式を中心に金融市場の混乱が続く。顧客に動揺が走るなか、対面とデジタルを駆使した息の長い資産運用サービスの重要性が増す。
イオンFSが法人カード 9月にも発行、取引先囲い込み狙う[2025/04/10 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
イオン金融子会社のイオンフィナンシャルサービス(FS)は信販大手のオリエントコーポレーションと9月にも法人向けのクレジットカードを発行する。5000万人の個人会員を持つイオン経済圏を法人分野にも広げ、取引先の囲い込みを図る。
メガバンクなどは2025年度中に紙の約束手形や小切手の発行を終了する計画で、企業の商取引などでキャッシュレス化が進むことが見込まれている。
イオンFSは個人向けクレカで持つ強固な会員基盤が強みで、法人分野も強化することで決済額をさらに増やしたい考えだ。
総合スーパー(GMS)やドラッグストアを手掛けるイオングループ約300社と日常的に取引のあるメーカーや卸売業者などの中小企業を主な顧客層として見込む。生産から販売までのサプライチェーン(供給網)内で発生する商取引での法人クレカの利用を促す。
法人に対して与信する「コーポレートカード」と、個人事業主や中小企業の経営者に対して与信する「ビジネスカード」の2種類を発行する。
25年04月14日
ロシア投資、制裁下でも物色活発 「停戦トレード」に思惑[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1878文字 画像有 ]
ロシア関連の通貨や債券を物色する動きが広がっている。ウクライナ停戦協議の開始でロシア経済の正常化への思惑が浮上したことがきっかけだ。ヘッジファンドなどが経済制裁下でも可能な投資手段を模索し、投機的な利益の獲得を試みている。
「ヘッジファンドが金融派生商品(デリバティブ)を使って、ロシアの通貨ルーブルを保有した場合と同じような利益を得られる取引を進めている。1~2週間で持ち高を解消するなど機動的に動いているようだ」。米シティグループのルイス・コスタ新興市場戦略グローバルヘッドは話す。
代表的なデリバティブが「ノン・デリバラブル・フォワード(NDF)」の取引という。「フォワード(先渡し)取引」のひとつで、通貨の受け渡しをせずにドル建てで取引開始と終了時の為替レートの差額を決済する。欧米の大手銀もデリバティブの売り手として参加する。
米欧日など西側各国の経済制裁でルーブルに取引制限がかかる中で、現物のやり取りを避けられるメリットがある。一般的にはインドといった資本規制がある国や、新興国よりも経済発展の初期段階にある「フロンティア市場」の流動性が乏しい通貨で使われる仕組みが活用されている。
こうした「停戦トレード」はトランプ米大統領の下で盛り上がった。1月の就任時から意欲を示し、3月下旬に米国はロシアとウクライナの両政府と黒海の船舶の安全確保などで合意したと発表した。ロシア側は履行の条件として国際的なドル決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(Swift)」への復帰を求める。
ロシアの金融取引や経済の正常化への思惑から、ルーブルは対ドルで2024年末の1ドル=約110ルーブルから足元では約85ルーブルと3割のルーブル高・ドル安となった。
カザフスタンの通貨テンゲへの買いも入っている。旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)」の1国でロシア経済回復の恩恵を受けやすいとの見方から、ルーブルの代替投資として扱われたためだ。対ドルで一時1割弱上昇した。
西側に開かれる利点もある。3月に英シンクタンクZ/Yenグループが発表した25年の金融都市ランキングで、東欧・中央アジアでは首都アスタナ(首位)と最大都市アルマトイ(5位)の2都市が選ばれた。
金融特区アスタナ国際金融センターのレナト・ベクトロフ総裁は24年の日本経済新聞の取材に「英国のコモンロー(判例法)の法体系や独自の国際仲裁センターを持ち、海外投資家が活動しやすい」と話していた。
債券市場ではロシア社債への注目が集まる。米ブルームバーグ通信によると、中東のファミリーオフィスがロシアの国営ガス企業ガスプロムのドル建て社債の買い注文を出して、ロンドンの証券会社のトレーダーが売り手となる社債保有者探しに奔走しているという。経済制裁が解除されれば価格が急騰するとの読みだ。
欧州連合(EU)の経済制裁の一環で、米S&Pグローバル・レーティングなどの大手格付け会社は22年4月までに、ロシア社債の格付けをすべて取り下げる措置をとった。西側の主要な機関投資家は格付けのない債券への投資は難しくポートフォリオからの処分を急いで、長らくロシア社債の需要が発生しない状態が続いていた。
停戦は戦時下の財政拡大に歯止めをかけて、ウクライナ政府の信用力を改善させるという見方もある。シティグループのルイス・コスタ氏は「24年11月のトランプ氏が当選した米大統領選にかけて、ウクライナのドル建て国債が人気を集めた」と話す。
株式市場ではロシア融資に強みを持つ東欧の銀行株が大幅高だ。オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルとハンガリーのOTP銀行の株価は25年3月末までに24年末比で2割高と、欧ストックス600の5%高を上回る。
モーニングスターDBRSによると、24年の税引き前利益にロシア関連事業が占める割合はライファイゼンが4割、OTP銀行が1割を占める。ライファイゼンはウクライナ侵略後にロシアからの事業撤退が不十分として米バイデン前政権から問題視されてきたが、経済正常化を仮定すればかえって追い風が吹くことになる。
香港で上場するロシアのアルミニウム大手OKルサールの株価も3割高となった。
もっとも米国が手がけた合意は順守されていないもようで停戦協議の進展は見えない。EUはロシアの金融制裁緩和はウクライナからの完全撤退が条件との方針で強硬姿勢を貫く。思惑先行の停戦トレードは、交渉頓挫の兆しが見えれば巻き戻される可能性もある。
(ロンドン=大西康平)
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三井化学 輸送車両のアナログメーター、DXで遠隔監視へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1734文字 画像有 ]
三井化学が化学製品の安全な輸送に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。同社のプラント監視システムを応用し、輸送中のローリー車におけるタンク内の温度と圧力を監視する仕組みを開発した。アナログメーターの数値をデジタル化することで、乗務員が運転席から降りてタンクに登らなくても車両の様子を確認できるようにする。2025年3月までに実証実験を実施し、有効性を確認した。
三井化学が製造する化学品は、業務委託した物流事業者の専用車両で運搬する。製品の中には高い可燃性を持つものなど危険物も含まれる。危険物の輸送においては、高圧ガス保安法、消防法、毒物及び劇物取締法などの法規制を厳格に守る必要がある。
同社ではこうした法規制に加えて、「レスポンシブル・ケア(RC)」と呼ばれる化学品の安全な製造や使用に向けた業界の自主的な取り組みにも力を入れている。同社の中村淳デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部安全品質グループグループリーダーは「地域住民の安心・安全のため、法規制以上の取り組みを進めている」と語る。
プラントの監視システムを応用
三井化学は輸送における過去のトラブルを分析し、リスクの発生頻度や影響度別に対策を実施している。24年1月から実証実験を進めてきたのが、(1)輸送車両の動態監視(2)緊急連絡カード(イエローカード)のQRコード化――の2つだ。
(1)の輸送車両の動態監視を実現するため、車両のタンクに取り付けられている温度・圧力のアナログメーターの上から磁気センサーを設置した。アナログメーターの針の振れ幅を磁気センサーで計測し、運転席のパソコンに近距離無線通信「ブルートゥース(Bluetooth)」で送信する。従来はアナログメーターを目視確認するため、乗務員がいったん運転席から降りてタンクに登る必要があった。
温度や圧力のメーターそのものをデジタル式に取り換えれば、磁気センサーを設置する必要はないように見える。しかし、危険物の輸送車に取り付けられる温度・圧力のメーターには厳しい規定があり、「現状使用できるのはアナログメーターしかない」(依田馨デジタルトランスフォーメーション推進本部物流部部長)という。
実は、この温度・圧力の遠隔監視は同社の化学品を製造するプラントで用いられている仕組みを応用したものだ。中村グループリーダーは「プラントと異なり、輸送時には振動がある。実証実験で正しい値を表示できるか検証した」と話す。
25年3月時点で、運転席にいながらタンク内の温度・圧力を確認できた。しきい値を設け、その値を外れた場合は警告を出すようにして、事故を未然に防止する工夫もしている。現在はもう1段階進み、遠隔の物流事業者の事業所で測定データを監視する方法も検討している。
紙のイエローカードをデジタル化
同じく実証実験を進めるのが(2)のイエローカードのデジタル化だ。イエローカードは、化学物質や高圧ガス輸送時の事故に備え、乗務員や消防・警察が取るべき消火方法などの処置を書いたものを指す。従来は紙で運転席に保管しており、事故発生時に素早く取り出すことが難しくなる可能性があった。そこで、イエローカードの内容をQRコード経由で読み取れるようにして、QRコードをタンクに貼り付ける方法に変更した。
イエローカードの内容を作成する作業もデジタル化している。イエローカードは、安全データシート(SDS)と呼ばれる化学品の取り扱い情報をまとめた文書から、事故発生時の対応に必要な情報を抽出して作成する。同社では22年度からイエローカード半自動出力システムの実運用を開始し、SDSからイエローカードに必要な項目を自動で抽出できるようにした。従来は人手で様式に合わせて抽出しており、人によって書き方に差が生じることがあった。
三井化学では化学品の共同物流に向けたシステム開発など、IT(情報技術)で物流を効率化・高度化する取り組みを多数進めている。依田部長は「業界を巻き込んだ取り組みを加速していきたい」と意気込む。
(日経クロステック/日経コンピュータ 渥美友里)
[日経クロステック 2025年3月26日付の記事を再構成]
新社会人のクレジットカード 「ポイント経済圏」も確認-3Graphics[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1257文字 画像有 ]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
コード決済との違いは?
コード決済はクレカのタッチ決済と似ているが、スマートフォンの電源が切れてしまうと使えないのが最大の弱点だ。一方、コード決済はクレカと比べ、自治体などが高還元や割引といった独自のキャンペーンを展開しやすい。買い物をする場所や店舗によって還元率が高い決済手段を選ぶような使い分けをすると、ポイントを多く獲得しやすくなる。
複数枚必要?
メインで利用するクレカに慣れたら、サブで使うカードを作るのも一案だ。何かしらの理由でメインのカードが使えなくなった時の代替にもなる。ただ枚数ばかり増えてしまうと浪費や不正利用に鈍感になりかねない。自分で管理できる範囲にとどめたい。サブのカードはメインと違う還元ポイントにするなど、異なる要素を選ぶと使い分けもしやすい。
滞納すると?
社会人になって作ったクレカの限度額が学生時代と比べて大幅に増えても、収入を上回る額を使うのは避けたい。支払期限に間に合わず滞納が続くと、信用情報機関に滞納した情報が記録されてしまう。「ブラックリスト」に載ると、新たなクレカを発行してもらえなくなるほか、住居の賃貸契約などにも影響を及ぼす可能性がある。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎、デザイン制作協力 タイドデザイン)
盛岡のデジタル通貨、機能拡充で利用者・加盟店2割増へ[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 1136文字 画像有 ]
盛岡市のデジタル地域通貨「MORIO Pay(モリオペイ)」が2025年度中に大幅に機能を拡充させる。盛岡エリアのセブン―イレブン・ジャパンの店舗で現金をチャージ(入金)できるようにして利便性を高める。商店街などの要望に応じてミニアプリ(アプリ内のアプリ)も充実させる。利用者と加盟店をそれぞれ2割程度増やし、「市民アプリ」を目指す。
モリオペイの運用は盛岡Value City(盛岡市)が21年3月に始めた。同社は市や盛岡商工会議所、商店街などが14年に設立した。
3月25日から盛岡エリアにあるセブンの約6割にあたる26店舗で、モリオペイの電子マネーを決済手段として使用できるようになった。今後は使える店舗数を増やす。同日付で市とセブンは包括連携協定を結んだ。
さらに年内にも予定するモリオペイアプリの大幅なアップデート(更新)で、セブン店内のATMでの現金チャージを可能にする。盛岡バリューシティによれば「コンビニATMでのチャージ」は利用者の4割が「チャージ頻度を増やす方法」として希望した点だ。
モリオペイの加盟店(25年2月末現在)は1022店だが、チャージ加盟店は85店、モリオペイ専用現金チャージ機は6台にとどまる。利用者のチャージ機会の拡大が課題だった。
一方、新しく付け加えるミニアプリは①スタンプラリー機能②会員証機能③ポイントの景品交換機能――などを柱に検討している。
スタンプラリーは市内の商店街などで度々実施されているが、台紙の印刷やスタンプ台の準備といった手間がかかる。電子マネーの付加機能にすれば参加者の集計も簡便になるため、商店街から要望があるという。
会員証機能の付加は市から打診を受けている。紙の会員証では規約が変わった際に対応しづらいといった事情がある。市外からの転入者に特典をつけることで移住者を呼び込む一助にしたいとの思惑もありそうだ。
ポイントをためて交換する景品についてはモリオペイならではの体験型の特典を設け、利用促進につなげる。ポイントを単に電子マネーに移すだけでは差別化は難しいが、景品の魅力が高まれば「地域限定ポイ活」として経済活性化も期待できる。
参考にしているのは24年7月にさいたま市でサービスが始まった「みんなのアプリ」だ。デジタル地域通貨のほか、図書館利用者カード、ゴミ出し情報といった機能も持たせている。
モリオペイは現在、電子マネーの機能に特化している。開始時に約6000人だった登録ユーザーは4万1000人程度に増えたものの、伸び悩んでいる。今回の機能拡充で店舗数を1200店、利用者を5万人に増やしたい考えだ。
アプリ改修に必要な資金調達はクラウドファンディング(CF)などの手法を研究している。
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PayPay、次は「紺」 銀行子会社の口座から代金引き落とし[2025/04/14 05:00 日経速報ニュース 639文字 画像有 ]
スマートフォン決済のPayPayは2025年、買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。現在は主に銀行口座やATMから代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。ATMなどからチャージする手間を省くことで利便性を高める。
現在、PayPayを使うには、銀行口座からのチャージやATMからアプリに入金する「赤PayPay」と呼ぶ手法と、クレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」と呼ぶ手法がある。
新たに追加するのはアプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組みで、紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落としされる。PayPayの利用者が現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は、約860万にのぼる。
PayPayに先駆け、決済時に口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能を15日にもPayPay銀行のアプリに搭載する。銀行口座から引き落とされる直前までは預金扱いになるため、利用者は利息を受け取れるメリットがある。PayPay銀行では預金量に応じて金利が変わる。29歳以下の場合100万円以上預けると年0.4%と高水準な金利がつく。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
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追い証とは 信用取引の追加保証金、株価下落に影響も-市場を知るニュースワード[2025/04/14 04:00 日経速報ニュース 896文字 画像有 ]
株式市場は荒れ模様が続いています。株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式などを代用有価証券として差し入れることもできます。担保は法令で信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると、担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は証券会社によって異なりますが、義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡って2つの売りが出るとされます。第1の売りは、株価下落で含み損が大きくなりはじめた段階で、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。相場全体が一定程度下げると、手じまい売りが連鎖する展開になることがあります。
その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられなかった場合は証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
信用取引で株を買った投資家の含み損益の度合いは信用評価損益率という指標で示されます。一般にマイナス15%が投資家によっては追い証が発生する「黄信号」、マイナス20%はより広範に追い証が発生する「赤信号」とされます。松井証券の店内集計によると、4日にマイナス16.9%(全市場)をつけ、7日にはマイナス23.6%まで悪化しました。これは株式相場が急落した2024年8月5日(マイナス25.7%)以来の低水準です。
前週の株価急落局面を振り返ると、日経平均株価は7日に前週末比2644円(8%)安の3万1136円で終え、翌8日に反発した後、翌9日は反落して終えました。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「7日に追い証回避のための手じまい売りが広がり、そこで発生した追い証の強制決済の売りが9日に出た」と解説しています。
ショッピファイ、ECインフラで開く次の成長[2025/04/14 02:00 日経速報ニュース 5436文字 画像有 ]
電子商取引(EC)サイト構築支援を手掛けるカナダのショッピファイが成長期に入った。直近は提携や買収を弾みに米国でのシェアや収益を拡大。物流部門売却後は、ECインフラの強化に再びかじを切った。投資案件などを分析すると、没入型買い物体験の提供や顧客データの収益化といったショッピファイの次の一手が見えてきた。
電子商取引(EC)サイト構築支援のカナダのショッピファイは成長モードに戻った。
2023年に物流部門を売却して中核のECインフラの強化に再び乗り出して以来、的を絞った提携や買収、製品開発で成長を加速している。米EC市場でのシェアは10%から12%に伸び、24年度の売上高は前年度比26%増えた。
今度は新たな挑戦に向けて布石を打っている。没入型買い物体験の提供からエンタープライズ(大企業)顧客のサポート、広告を通じたデータの収益化まで、世界の商取引でさらに広範な役割を果たそうと土台を固めている。
CBインサイツの投資、買収、連携、決算説明会などのデータを活用し、ショッピファイの次の動きが分かる3つの重要分野を特定した。
・没入型の統一された買い物体験を提供:ショッピファイはゲーム、決済のほか、人工知能(AI)などが消費者の代わりに意思決定する「エージェンティック・コマース」企業との関係構築により、いつでも利用できるクロスプラットフォームショッピングを実現しようとしている。エコシステム(生態系)の中核に据えるのは自社プラットフォームだ。
・大企業向けの定番ECプラットフォームに:システムインテグレーターとの提携、「コマースコンポーネント」など必要に応じて自由に組み合わせられるツール、「ショップペイ」などの別売りツールにより、自社を米セールスフォースや米アドビに代わるモジュール式プラットフォームと位置付けている。
・顧客データを新たな広告収入源に:「ショッピファイ・オーディエンス」のような自社ツールと顧客データプラットフォーム(CDP)やキャンペーンプラットフォームとの連携により、小売り発の新たな広告サービス「リテールメディア・ネットワーク」の土台を築き、加盟店と買い物客のデータを収益化する新たな方法を生み出そうとしている。
下の図では、ショッピファイがこの3つの戦略で既に活発に動いている分野と、次に踏み出すとみられる分野(将来の提携相手や買収企業の予想も含む)を示した。
こうした優先分野は、同社が買い物体験をどう再構築し、広告、法人向けソフトウエア、ECインフラで既存勢に挑もうとしているかを表している。
以下ではそれぞれの予想について詳しく説明する。
1.没入型の統一された買い物体験を提供
ショッピファイの米EC市場でのシェア拡大は、より多くのコンテクスト(文脈や背景)にコマース機能を組み込む周到な戦略を反映している。ゲーム配信プラットフォームの米ロブロックスやAI検索の米パープレキシティのようなプラットフォームとの連携は、ショッピファイのインフラが従来だけでなく新たな環境でも中核に位置するいつでもどのチャネルでも可能な買い物のビジョンを示している。
いつでもどのプラットフォームでもショッピング可能に
ショッピファイは24年後半、パープレキシティの新たなAI買い物支援機能「バイ・ウィズ・プロ」と連携し、エージェンティック・コマースの世界に踏み出した。これにより、消費者はパープレキシティのインターフェースで商品を閲覧し、ショップペイで直接精算できるようになった。
同時期にはロブロックスのEC初の連携パートナーにもなり、「ショッピファイ・チェックアウト」が組み込まれたゲーム内店舗で、加盟店に1日8000万人以上に上るロブロックス利用者へのアクセスを提供している。
ショッピファイはこの目的に向け、自社製品の機能を拡充している。例えば、24年にはPOS(販売時点情報管理)アプリに「タップ・トゥ・ペイ」を導入し、オフライン決済機能を採り入れてオンラインとリアルの体験の結びつきを強化した。さらに、ロイヤルティープログラムを手掛ける米ギャッツビー(Gatsby)と連携し、加盟店がオンラインとリアルの両方で顧客エンゲージメントを築けるようにした。
一方、その場でのカード処理を可能にするインドのキャッシュフリー・ペイメント(Cashfree Payments)との提携は、地域のPOSプロバイダーを通じて各国の経済圏に参入する広範な取り組みの一環だ。
企業の勢いを測るCBインサイツのモザイクスコアに基づき、ショッピファイが事業を拡大する可能性がある主な市場(欧州とアジア太平洋)のアーリーステージ(初期)とミッドステージ(中期)のPOS企業を選別した。さらに、小売業者向けサービスを提供する企業に対象を絞ったところ、ショッピファイの潜在的な提携パートナーとして次の3社が浮上した。
・フラットペイ(Flatpay、デンマーク、モザイクスコア783点):中小企業向けに簡素化した決済処理システムを提供
・英Teya(758点):欧州の中小企業向けに決済処理と金融サービスを提供
・dtcペイ(dtcpay、シンガポール、735点):法定通貨やステーブルコインに交換可能な多通貨スワップなどのサービスを手掛けるデジタル決済プラットフォーム
2.大企業の定番ECプラットフォームに
ショッピファイは従来の中小企業の顧客基盤にとどまらず、セールスフォースの「コマースクラウド」やアドビの「コマース」など大企業向けECプラットフォームと直接競合するための土台づくりを進めている。自社を「大規模で業務が複雑な加盟店のニーズを満たせる柔軟なモジュール式インフラレイヤー」と位置付けている。
移行支援サービスとの提携で大きな壁をクリア
大手の小売業者やブランドがショッピファイのプラットフォームに移行する際の最大の壁の1つは、レガシープラットフォームからの移行の複雑さだ。ショッピファイはこの問題に対処するため、22年からシステムインテグレーター網を徐々に拡大し、デロイト、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、KPMGとの提携により新規顧客の導入と活用を支援している。
24年4月には、エンドツーエンドのデジタルコマースサービスを提供するため、米グーグル・クラウド及びIT(情報技術)コンサルティングの米コグニザントと組み、戦略をさらに強化した。こうした提携はITシステムを購入しようとする大手企業の間でショッピファイの導入が増えており、同社の大企業向け市場参入の動きも進化していることを示している。
ショッピファイはアプリストアにもシステム移行や導入支援パートナーを加えている。24年8月にはデジタルコマース設計のピボツリー(Pivotree、カナダ)を加え、25年1月には企業の移行ニーズに対応するため米Anattaとの関係を拡大した。
大企業向けに精算と決済も効率化
決済ワークフローの効率化はショッピファイの大企業向けシステムでも主なセールスポイントだ。必要に応じてツールを選べる別売りのショップペイは、「コーチ」などの大手ブランドに採用されている。ショッピファイは決済全般をサポートするため重要な提携を重ねている。
・23年6月にはオランダの決済大手アディエンと提携し、グローバルに事業を展開する大手加盟店向けに処理を効率化した。
・24年9月には米決済大手ペイパルとの連携を拡充してペイパルはショッピファイのカードプロセッサーになり、注文管理や報告、ECサイトの売り上げを取り消す「チャージバック」を効率化した。
ショッピファイはアプリストアで暗号資産(仮想通貨)決済にも対応している。24年にはHelio(スイス、現在は米MoonPay傘下)のソラナペイが対応可能なトークン(電子証票)を拡大したほか、ロイヤルティープログラム、ステーブルコインの交換機能を追加し、ショッピファイの最先端の決済サービスの選択肢を拡大した。
さらに、大企業の加盟店のニーズに応えて他のポイントシステムも提供している。24年10月にはAI検索のコベオ(Coveo、カナダ)と提携し、知名度の高い小売業者にAIによる商品の発見、パーソナライズされたお薦めなどのツールを提供した。
税務テック大手の米バーテックス(Vertex)や米アバララ(Avalara)との連携で大企業向けサービスをさらに拡充し、越境取引に伴う複雑なコンプライアンス(法令順守)も支援している。
ショッピファイは大企業の開拓に取り組んでいるため、税務コンプライアンスのソフトウエア企業と提携する可能性がある。そこで、CBインサイツのツール(特定のテクノロジーの分野をリードする未上場企業を見つけ、ランク付けする「ESP」)に基づき、ショッピファイと有益な関係を築く可能性が高い勢いのある企業を特定した。
・米ソボス(Sovos):各国の税務コンプライアンスと規制当局への報告を支援するソフトを提供
・米Exactera:移転価格の算定、法人所得税、研究開発の税額控除に対応したAI税務コンプライアンスシステムを提供
・米ネオタックス(Neo.Tax):新興企業や中小企業向けにAIを活用した税務自動化ソフトを開発
ショッピファイのこうした動きは、必要な技術を自由に組み合わせられる大企業向け技術スタックへの移行を示している。迅速な導入、柔軟なツールの提供、グローバル事業に対応したサービスの提供により、既存ベンダーに対抗する構えだ。
3. 加盟店網とファーストパーティデータを活用し、加盟店向け広告を強化
ショッピファイはこれまでも加盟店にパーソナライゼーションと顧客獲得ツールを提供してきた。だが最近の製品アップグレードと技術提携からは、膨大な加盟店網と豊富なファーストパーティデータを武器に本格的な広告ビジネスに発展させようとするさらに大きな野心がうかがえる。
同社の活動は独自のリテールメディア・ネットワークの構築を進めていることを示唆している。これにより同社は加盟店や外部ブランドに広告スペースを販売できるようになり、米アマゾン・ドット・コムや米グーグル、米ウォルマートなどの広告大手と競合する。
ショッピファイはまず、2つの広告関連製品のアクセスを拡大した。
・24年6月に提供開始した顧客獲得ツール「ショッピファイ・オーディエンス」最新版(バージョン2.4)では、加盟店がさらに的を絞った顧客グループを対象にし、ネットワークやプラットフォームを横断して広告の成果を最大化できるよう支援している。顧客獲得コスト(CAC)が最大50%減った加盟店もある。
・24年12月には、米国とカナダの全ての加盟店が広告ツール「ショップ・キャンペーン」を使えるようにした。これまでは上位サービス「ショッピファイ・プラス」の加盟店に限られていた。
もっとも、ショッピファイの経営陣は自社製品以外にも広告の可能性を見いだしている。
ショッピファイは顧客データを集約して有効化するため、行動や取引に関する知見を集める外部プラットフォームと提携している。
・24年10月には、ショッピファイのアプリストアで米ブルーシートのツールが使えるようになった。このツールには顧客データプラットフォーム、お薦めの自動判断、クロスチャネルの販促プラットフォームなどが含まれている。
・同じ24年10月には、カナダのトレリスがショッピファイと連携すると発表した。これにより、買い物客データをアマゾン・マーケティング・クラウドに連携し、様々なプラットフォームの買い物客の知見に基づいてさらに効果的に的を絞ったメッセージを送れるようになった。
ショッピファイは今後、CDPやデータクリーンルームを独自に提供し、データオーケストレーション(収集・整理・調整)機能を強化する可能性がある。そこで、買収確率とモザイクスコア(600点以上)に基づき、CDP市場でショッピファイが買収しそうな企業を予測した。
・オプティムーブ(Optimove、イスラエル):AIを活用し、BtoC(消費者向け)企業を対象にパーソナライズされたマルチチャネルキャンペーンを調整
・米サイモン(Simon):小売り、旅行、サブスクリプション(定額課金)企業向けのパーソナライゼーションとカスタマージャーニーの調整
・米ハイタッチ(Hightouch):データのアクティベーション(有効化)とリバースETL(抽出・変換・ロード)サービスに特化した必要なツールを自由に組み合わせられる顧客データプラットフォーム
ショッピファイは加盟店向けに新たな需要チャネルも築こうとしている。24年には、ECサイト構築支援の仏ミラクル(Mirakl)と提携して外部マーケットプレイスを構築可能にしたほか、米小売り大手ターゲットと組んで加盟店の商品をターゲットのオンラインショップで取り扱えるようにした。
こうした動きはショッピファイが加盟店ツールの構築にとどまらず、既存の広告プラットフォームの牙城に挑み、ブランドが買い物客とつながる手段を再定義する可能性がある垂直統合型のコマースとメディアのスタックを築こうとしていることを示している。
会場活況、事前予約14万人 「並ばない万博」早くも行列 不具合・混雑解消に課題[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。(1面参照)
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフらがずらりと並び、手を振りながら歓迎した。
米国やスペインなど各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を訴え、来場コントロールに力をそそいできた。背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけにアクセスは1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオンだけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。
準備遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期開業も来場者の満足度向上に不可欠。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。
うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
アフリカと向き合う――日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
【図・写真】いまい・としみつ 1988年早稲田大商卒、豊田通商入社。2018年にトヨタ自動車常務役員などを歴任し、25年4月から現職
「ウィーン国立歌劇場」一般販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 341文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の一般販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S7万9000円~E2万6000円、土・日S8万2000円~E2万9000円ほか
◇チケット販売 4月18日よりNBSほかにて発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
特集――NIKKEIAsia China eyes mature tech for chips[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1850文字 PDF有 書誌情報]
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と協力関係にある中国の半導体製造装置メーカーの深市新凱来技術が、粛々と技術開発を進めているようです。半導体製造装置は日本や欧米の企業の独壇場でしたが、米国が対中輸出規制を強めるなかで中国勢が技術水準を高めています。日本経済新聞の英字媒体「Nikkei Asia」では中国内外の取材網を活用し、同国企業の技術動向を追っています。
驚くべきは新凱来技術の技術範囲の幅広さ。2021年8月設立の新興企業でありながら、露光装置から蒸着、測定、エッチング、ALD(原子層堆積)に及んでいます。深市政府系の投資会社が出資し、ファーウェイとも緊密に連携しているといいます。他社の経験豊富なエンジニアを積極採用し、力をつけているようです。
同社の露光装置が描く回路線幅は28ナノ(ナノは10億分の1)メートル。数ナノ単位の線幅を競う最先端品に比べれば「枯れた」技術ですが、自動車やロボット用半導体の製造に応用できます。
毎週水曜日に掲載する特集「Tech Asia」でも、中国が「枯れた技術」を急速に蓄積し、炭化ケイ素(SiC)ウエハーなどの価格破壊を引き起こしていると指摘しています。最先端ではなくても、すでに広く使われて信頼性が高い点で優位性があります。最先端技術で半導体立国の再興を目指す日本とは対極的ともいえます。
シンガポールにある中国人富裕層向け資産運用会社(ファミリーオフィス)で7400万シンガポールドル(81億円)規模の横領が起きたとして、同社のトップが元従業員4人を告発しました。同国警察がこの件の捜査を始めています。シンガポールはこれまでファミリーオフィスの誘致に積極的でしたが、2023年8月には大規模な資金洗浄事件も発生しました。相次ぐ問題にアジアの金融センターがどう対処していくのか注目が集まっています。
フィリピンでは日本発のフィンテック企業、グローバル・モビリティ・サービスの記事が読まれました。貧困から脱却しづらい三輪タクシーの運転手が経済的に自立できるよう支援しています。借り手となる運転手が同社独自のIoT機器を車体に装着することを条件に、金融機関が車両を購入するためのローンを提供します。働きぶりを数値化でき、支払いが滞ればエンジンを停止できることが返済を保証する「担保」になります。家を購入したり子供を大学に通わせたりできるようになる成功例も出始めています。
台湾の第2野党の台湾民衆党党首で、与党・民主進歩党との対決を唱える黄国昌氏がインタビューに応じました。中国が軍事的威嚇を強めるなか、台湾は軍事支出を増やす方針ですが、黄党首は「税金を見境なく防衛費に使うべきではない」と述べました。台湾の防衛予算は域内総生産(GDP)の3%未満ですが、米国は10%程度にまで増やすよう要請しています。必要なところにメリハリをつけて予算を割くよう求めています。
QRコードから英文をお読みいただけます。
国外で花開くミャンマー料理
ミャンマー料理が世界各国に広がっています。ミャンマーの食文化は近隣のタイ、中国、インドの影響を受け発展してきました。2021年の国軍によるクーデター以降、ミャンマー人シェフたちが活躍の場をミャンマー国外に求め始めたのが、足元の急速な国際化の大きな要因です。
記事では、タイやマレーシア、韓国、日本、欧州などで活躍する多くの料理人らによる伝統的な豚肉料理やサラダ、西洋風の趣向を凝らしたカワエビと焼きナスの一品など約20点の写真とともに紹介しています。東京都内の店も紹介しており、お店選びのガイドとしても活用できます。
「中国プラス2」の時代に?
専門家が寄稿するオピニオン欄では、保護主義の台頭やコストの増加を回避するために中国以外にサプライチェーン(供給網)を多様化する「チャイナプラス1」戦略について論じた記事が読まれました。
米トランプ政権の誕生で世界の不透明さが増すなか、同戦略を進めているのは欧米企業だけではありません。中国比亜迪(BYD)やファーウェイのような中国企業も東南アジアや欧州に拠点を広げています。米国の関税を回避する必要性が高まってきているためです。先の読めない状況に対応するため、生産拠点のさらなる多様化を迫られています。
【図・写真】中国は急速に半導体の生産能力を拡大している=ロイター
【図・写真】料理を盛り付けるミャンマー人シェフ
【図・写真】コンテナが並ぶ上海の洋山港=ロイター
デジタルガレージ オンライン完結型火災保険[2025/04/14 日経MJ(流通新聞) 4ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。
同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
大阪万博、初日の来場予約14万人超 混雑解消など課題も[2025/04/13 19:30 日経速報ニュース 1235文字 画像有 ]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。
【関連記事】
・大阪万博開幕、想定来場者2800万人 158カ国・地域参加
・大阪万博、大屋根リングに明かり【開幕タイムライン】
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、厳しい入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフら数十人がずらりと並び、来場者に手を振りながら歓迎した。会場の熱気に協会の十倉雅和会長は「この日を無事に迎えられて感無量だ」と話した。
米国やフランス、スペインなどの各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を強く訴え、来場コントロールに力をそそいできた。その背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけに、アクセスは2025年1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば、不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオン、商業施設だけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。
大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、主要乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。協会も今後、ゲート前の混雑が見込まれる場合、午前9時の開場時間の前倒しを視野に入れる。
準備の遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期オープンも来場者の満足度向上には不可欠となる。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
「一部の国で内装が開幕に間に合わないのは過去の万博でもあった」(大阪府の吉村洋文知事)との指摘もあるが、来場者からは残念がる声が漏れる。
滋賀県から訪れた小森美香さん(58)は「ネパール館も行ってみたいパビリオンの一つだった。あまりにも工事途中でびっくりした」と指摘。兵庫県伊丹市に住む安福健也さん(62)は「完成していないパビリオンがあるのは残念。会期中にもう一度見に来たい」と話した。
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ドル信認問題、開いたパンドラの箱-客員編集委員 滝田洋一[2025/04/13 11:00 日経速報ニュース 2375文字 画像有 ]
米国株だけでなく米国債まで売られ、ドル相場の足元まで揺らいでいる。トランプ関税を機に、ドルの信認問題という古くて新しいパンドラの箱が開けられた。
「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」。1997年6月23日、米コロンビア大学の講演で橋本龍太郎首相はそう述べた。
通商交渉での米国側の理不尽な要求を振り返っての発言だが、クリントン米政権の逆鱗(げきりん)に触れた。「もし売れば宣戦布告とみなす」とルービン財務長官周辺は受け止めた。
97年11月の日本の連鎖金融破綻に、米国は冷淡そのもの。98年6月の訪中で中国トップの江沢民氏と会談したクリントン大統領は、金融危機の渦中にあった日本を「アジアの不安定役」と突き放した。
それから幾星霜、今度は中国が外貨準備として保有する米国債を着実に売っている。2025年1月末の米国債保有額は7608億ドル。前年同月比で369億ドル減らしている。
トランプ大統領による2日の相互関税の発表以来、米中の関税をめぐる応酬はエスカレートの一途。そのさなかに中国による米国債売却の観測が市場を駆け巡っている。
中国はピーク時に1兆3000億ドルを超えた米国債保有を圧縮し続ける。背景は米中貿易摩擦だけだろうか。台湾統一を目指す習近平(シー・ジンピン)国家主席が、武力行使の選択肢を排除しないことも見逃せまい。有事の差し押さえに備えた動きとの見方は根強い。
米国にとって米国債市場の安定はドル基軸通貨体制の要である。2月7日のワシントン。トランプ氏との会談を終えた石破茂首相は、ベッセント財務長官と意気投合した。
石破首相が示した米国債保有額のグラフ
石破氏が指し示したのは日本と中国の米国債保有額のグラフ。中国の折れ線がつるべ落としなのに対し、日本の折れ線は1兆ドル台で安定している。1月末で1兆793億ドル。ベッセント長官は安定勢力である日本に破顔一笑した。
先例がある。1995年4月、円が初めて1ドル=80円を突破したころ、ワシントンにサマーズ財務次官(後に長官)を訪ねた加藤紘一自民党政調会長(当時)は日本やアジア諸国の外貨準備を示した表を見せ、ドルの信認を守るよう訴えた。
基軸通貨国であるドルは「途方もない特権」を持っている。仏大統領だったジスカールデスタン氏は財務相時代にそう述べた。
米国は外国から輸入しても、相手国にその代金としてドルを受け取ってもらえる。なので外貨を調達する必要がなく、ドル札を刷りさえすればよい。これが特権の中身だ。
貿易赤字国である米国の対外純債務は2023年末時点で2805兆円。フランスは129兆円、英国も149兆円の対外純債務国だが、文字通り桁が違う。
多くの国々はドル建てで貿易取引し、ドルで決済し、外貨準備で米国債を保有する。その結果、米国の対外赤字は米国債投資の形をとって米国に還流する。
1971年8月のニクソン・ショックでドルは金との交換可能性を失った。ドルは「不換紙幣」となったのに、米国の信用を担保に依然として基軸通貨として君臨している。うらやましい限りなのに、そう考えない向きがある。
「ドルは外貨準備の需要から割高に」
トランプ政権のミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長だ。「ドルは外貨準備の需要から割高になり、米国の製造業や貿易可能財の生産者がそのコストを負っている」
ヘッジファンドのストラテジスト時代の昨年11月に発表した論文「世界貿易システム再構築のためのユーザーガイド」。そのなかで、ミラン氏は喝破する。
強すぎるドルの負担を軽減するための通貨調整。1985年9月にドル高是正のためにG5(日米独英仏の主要5カ国)が一致したプラザ合意の現代版、フロリダのトランプ氏の邸宅になぞらえたマール・ア・ラーゴ合意が取り沙汰される。
だが一連のトランプ砲を、基本的には為替調整であるプラザ合意の現代版というのは妥当だろうか。
「トランプ政権の一連の施策は1971年のニクソン・ショックの再来だ」。相互関税をめぐる騒動にてんてこ舞いの内閣府幹部はそう漏らす。
71年のニクソン・ショックはドルの切り下げとして記憶に刻まれるが、10%の輸入課徴金を同時に打ち出した。輸入課徴金とはトランプ関税よりストレートな表現である。
45年に第2次世界大戦が終わって4半世紀あまり。米国は経済と軍事の両面で西側世界を支えてきた。そのパクス・アメリカーナ(米国の平和)の重荷を日欧に分担させようとしたちゃぶ台返しが、71年のニクソン・ショックである。
同様に90年前後にソ連との冷戦に勝利した後のパクス・アメリカーナ第2幕にも、金属疲労が強まっている。そこに登場したトランプ政権が、打ち出したのが関税の連射。それに続くのはドル高是正だろう。
ニクソン氏を尊敬するトランプ氏が、71年のニクソン・ショックと同様な策をしつらえたのは偶然ではない。問題は時間軸。金との交換可能性を絶ったドルが、安定した強みを確立するには冷戦の終焉と米経済の復活を待つ必要があった。
ルービン財務長官が「強いドルは米国の国益」と宣言するのは実に95年1月。71年からそれまでの4半世紀近く、歴代の米政権は「ドル安容認→副作用の表面化→ドル防衛」のサイクルを繰り返し、何度も基軸通貨ドルに信認の危機が訪れた。
そして今、トランプ氏は71年と同じパンドラの箱を開けた。政権が目指す製造業の復権とテクノ覇権の融合。それがいつ、そして本当に実現するか分からない。しかも71年当時の日欧とは異なり、覇権を争う中国は経済でも軍事でも米国とガチンコ勝負である。
いきおいトランプ氏はかんしゃくを起こす。ドルは信認問題の歴史を繰り返しつつある。米国の単独行動が際立つ分、事態は厳しさを増している。
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アフリカとどう向き合う 国連機関高官ら3氏に聞く-アフナ・エザコンワ氏/今井斗志光氏/堀内俊彦氏[2025/04/13 05:00 日経速報ニュース 4275文字 画像有 ]
3年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)が8月に横浜市で開催される。世界の分断が進む中、潜在的な成長力やビジネスチャンスから「最後のフロンティア」といわれるアフリカと日本はどう向き合えばいいのか。日本企業による投資の出遅れも気がかりだ。関係者に聞いた。
◇ ◇ ◇
「自国第一」に対抗を UNDP総裁補兼アフリカ地域局長 アフナ・エザコンワ氏
米欧が途上国向け援助の削減に動いている。自国が利益を得られるプロジェクトだけに投資すべきだとの思考に陥っているようだが、あまりに近視眼的な判断だ。国際社会のあり方は長期的な視野に立って考えなければならない。繁栄する社会の一員であり続けるには、平和で繁栄を共有する世界が必要なのだから。
日本は高度に工業化された国だ。その経済は輸出などを通じて他の国々の消費が支えている。人口減少に直面する日本が長期的に成長を持続するには、ますます海外の市場に頼らざるを得ないだろう。
アフリカは人口の中央年齢が19歳と世界で最も若い大陸だ。15億人の巨大なマーケットもある。消費意欲が旺盛な中流階級が増加すれば、日本企業にとって大きなチャンスが生まれる。教育や医療といった「人への投資」の拡大は将来の中流階級を育成することにつながる。
日本はグローバルノース(先進国)とサウスの架け橋になる役割を果たせる国と考えている。米欧は遅れた途上国を援助するという発想が強すぎる。一種の依存関係になっており、必ずしも健全とはいえない。TICADをプラットフォームとして活用し、日本の持ち味である途上国とのより対等なパートナーシップを新たな南北関係として広げられるのではないか。
TICADはもっと日本の若者に焦点を当てるべきだろう。アフリカは若者の大陸であり、デジタルテクノロジーで大きな変革が起こりつつある。日本の若者がアフリカを訪れる機会を増やしてもらいたい。若者なら現地のニーズやアフリカの潜在力、チャンスをより深く感じ取れるはずだ。文化的な障壁なども打ち破れるだろう。
アフリカが地理的に日本から遠いのは確かだ。しかし、感覚的な距離感はそれよりも遠い。日本の若者がTICADに参加すれば、人と人との交流の拡大や新たな共創のアイデアにも期待できる。
TICADにおいて民間の役割は極めて重要だ。日本の経済界では、社会課題の解決を目指す現地のスタートアップへの投資拡大の取り組みが進んでいる。日本政府が民間企業としっかり連携し、大学やシンクタンクとも協力してくれることを望んでいる。
米欧や中国が開催するアフリカとの首脳会議はバイラテラル(2国間)だが、TICADは違う。国連開発計画(UNDP)や世界銀行を巻き込みながら日本が議論をリードする枠組みだ。単なる国家間の政治的協議ではない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)とも連動しやすい。
資金援助が開発協力のすべてではない。政府開発援助(ODA)はむしろ民間の投資や貿易促進のためのカタリスト(触媒)として使うべきだ。システムを改革することで多くの民間資金が開発分野に流入する可能性は大いにある。実態を反映しない不公正な格付けの是正や公的資金によるリスク軽減が有効だろう。
求められるのは国際協調と連携だ。グローバルな連帯は必要ないという主張に対抗する必要がある。日本のリーダーシップに期待したい。
(聞き手は下田敏)
◇ ◇ ◇
日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
◇ ◇ ◇
「25億人市場」が力 外務省アフリカ部長 堀内俊彦氏
TICADの1回目は、冷戦が終わり世界がアフリカに関心を失った1993年に開いた。当時アフリカ全体との枠組みを設けたのは日本がほぼ唯一で、その後欧米や中国などが追随した。
日本政府はTICADの枠組みを生かし、アフリカとのビジネスをつなぐ人材を育ててきた。アフリカの若者が日本の大学院で学んだり、企業でインターン生として経験を積んだりするプログラムも実施してきた。各国首脳が日本に集まることに伴い、日本企業とアフリカ各国との多様な合意も生んでいる。
日本が各国に供与する政府開発援助(ODA)の額は減ってきたものの、アフリカのためにこつこつと努力してきた日本はアフリカで仲間を増やしている。TICADは信頼されるブランドになっていると思う。
アフリカ諸国のほとんどは小麦や肥料の価格が上昇すれば大きな打撃を受けるし、気候変動による影響も大きく、まだまだ脆弱だ。世界の経済・社会的な変化を最も受ける地域であり、先進国や国際機関による開発援助のニーズは依然として高い。しかしそれだけではない。
そもそもなぜ日本がアフリカに関与すべきなのか。鉱物など資源が豊富なことのほかに、人口が増えており、日本企業にとって市場としての魅力が高まるのは間違いない。
アフリカでは先進国に対して開発よりもビジネス面での期待が強い。最近の世論は若者の高い失業率という雇用問題により関心を抱くようになってきた。労働力不足に直面する日本と補完できるはずで、日本企業が現地に生産拠点を築く可能性が広がる。
それに加えて、日本企業にとっては技術革新のパートナーにもなり得る。アフリカは日本など先進国に比べて規制が緩い国が多く、最先端技術を実証実験できる「サンドボックス」としても期待できる。
とはいえ、アフリカ事業に対して日本企業の動きは鈍い。各社がまだリスクが高いと考えているのが理由だ。人口動態を見れば、いま関わらないことがかえって将来の利益を逃すコストになるとみるべきだ。
アフリカがグローバルガバナンスに関して不公平感を持っていることも見逃せない。気候変動対策では先進国に途上国支援の資金拠出を迫った。アフリカ各国は不当に低い格付けにされ、資金調達に高い金利を課せられてきたことにも不満を持っている。
最近注目されるのが、アフリカ諸国が加盟するアフリカ連合(AU)の枠組みで「域内標準」を構築する動きだ。貿易における原産地証明や紛争解決、医薬品に関する規制などで統一規格作りが始まっている。
欧州連合(EU)のルールが世界標準のようになって各国に影響を及ぼすことを「ブリュッセル効果」と呼ぶ。やがて人口が25億人の市場となり、世界の重心がアフリカに傾いていく。AU本部があるエチオピア首都の名前から「アディスアベバ効果」に世界が注目する日が来るかもしれず、目が離せない。
(聞き手は野沢康二)
◇ ◇ ◇
〈アンカー〉対等な関係こそが国益に
アフリカの人口が増え続けるのは間違いない。2050年には世界の4人に1人がこの大陸に住む。アフリカは海外から投資を呼び込み、雇用を生み出し、所得と消費の好循環を実現する戦略を描く。
トランプ米政権の援助停止や相互関税はその戦略をゆがめ、ただでさえ脆弱なアフリカ経済に打撃を与える。だが、経済的な自立への動きはかえって加速する可能性がある。欧州や中国の収奪にさらされてきたアフリカには大国への根強い不信感がある。
日本はTICADを通じて、対等なパートナーシップを訴え続けてきた。技術支援や人材育成でアジアを経済発展に導いた実績もある。今こそアフリカに「メード・ウィズ・ジャパン」を呼びかける必要があるのではないか。官民で独自の経済外交を展開することが日本の国益につながる。
(編集委員 下田敏)
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花見のAI幹事は2万円 余興も提案、任せっぱなしはNG?[2025/04/13 02:00 日経速報ニュース 1208文字 画像有 ]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員 中村奈都子)
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日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 361文字 PDF有 書誌情報]
(1)軽率なトランプ関税、責任は米共和党に(7日)
(2)グローバル化の巻き戻し狙うトランプ氏の関税攻勢(上)(8日)
(3)トランプ関税 アクセサリー、バッグ、ビールも餌食に(5日)
(4)氾濫する「ジブリ風」画像、AIの限界も浮き彫りに(4日)
(5)あなたの仕事がまだAIに奪われていない理由(7日)
(6)トランプ氏が壊した同盟関係、修復困難に(社説)(8日)
(7)米国版「文革」にほくそ笑む中国 マーティン・ウルフ(7日)
(8)トランプ氏まるでマフィアのボス ギデオン・ラックマン(9日)
(9)トランプ関税を裏付ける「地経学」 ジリアン・テット(8日)
(10)米電力相次ぎ値上げへ、トランプ氏の公約に打撃(7日)
スマートフォンでQRコードを読み込むと「NIKKEI FT the World」の申し込みサイトに移ります。
メタ、取締役にトランプ第1次政権の高官 規制回避狙う[2025/04/12 14:23 日経速報ニュース 588文字 画像有 ]
【シリコンバレー=清水孝輔】米メタは11日、トランプ第1次政権で大統領副補佐官を務めたディナ・パウエル氏らが新たに取締役に就任すると発表した。米欧で政治リスクが高まるなか、トランプ氏とつながりのある人物を起用して規制圧力を回避する狙いがあるとみられる。
パウエル氏は15日付でメタ取締役に就任する。米ゴールドマン・サックス元幹部で、トランプ氏の長女イバンカ氏と親交があることで知られる。トランプ第1次政権では国連大使の候補としても名前が挙がった。共和党系の人物でブッシュ政権(第43代)では国務次官補を務めた。
メタは11日にはパウエル氏に加えて米オンライン決済大手のストライプのパトリック・コリソン最高経営責任者(CEO)が取締役に就くと発表した。メタ取締役にはすでに米半導体大手ブロードコムのホック・タンCEOなど著名経営者らが名を連ねている。
メタは1月には米総合格闘技団体UFCのダナ・ホワイトCEOらが新たに取締役に就任すると発表した。同氏はトランプ氏の支援者として知られる。メタはトランプ氏の就任以降、共和党系の政府渉外担当を昇格させるなど政権との関係改善を模索してきた。
メタは米国や欧州で規制圧力に直面する。米国では14日に同社を訴えた米連邦取引委員会(FTC)との裁判の審理が始まる。トランプ政権への接近には規制に対応するための後ろ盾を得る思惑が透ける。
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JR東日本、12年前の「炎上」が教訓 データ企業へSuica改革[2025/04/12 05:00 日経速報ニュース 2280文字 画像有 ]
交通系ICサービス「モバイルSuica(スイカ)」のデータを使い、自動改札機を通らなくても鉄道に乗れるようにする――。JR東日本は2024年12月、今後10年かけてスイカを抜本改革する方針を明らかにした。乗降データをクラウドに集約し、新たなサービス開発に生かす。データの外販が中止に追い込まれた12年前の失敗を教訓に、国内屈指の「データカンパニー」に生まれ変わるための布石だ。だが、利用を想定する位置情報取得技術は数メートルの誤差が生じるなど、実現にはまだ課題が残る。
荷物で両手の塞がった人も
JR東が発表した計画では、現在は端末側に記録している運賃精算などの情報をセンターサーバーで管理するようにする。それに伴ってモバイルスイカにひも付く位置情報データをもとに、出発から到着駅までの運賃を徴収する。タッチしなくても、また改札機がない駅でも、位置情報を活用して改札を通過できるようになるという。
同社の営業エリアには約1600の駅がある。そのうち地方沿線など7割弱の駅には改札機が置かれておらず、駅員が運賃の精算に対応しているが、駅業務の省人化につなげる。改札機が不要になれば、杖を持った高齢者や荷物で両手の塞がった乗客がスムーズに乗り降りできるようになるほか、改札機の維持管理コストの削減が見込める。
この記事はNIKKEI Digital Governanceから転載しています。関連記事はこちら。
「乗客の声」月7万件、AI分析で有事も即応 JR西とELYZA
個人情報守る「クリーンルーム」 KDDI、匿名化など3段階
大成建設、若手指導は「AI」で 全回答を人がチェック
現在、個々の改札機で処理している移動データは26年度までにクラウド化する。データを集約すれば、時間帯や曜日、スイカの決済額といった利用条件に応じた運賃の割引など柔軟なサービスを提供できる。
毎月3000円を払えば自宅の最寄り駅からどの駅に行っても運賃が50%割引になるようなサブスクリプション(定額課金)や、地域限定の周遊券など他の交通機関や店舗などと組み合わせたサービスも提供できるようになる。ビッグデータとしての質と量を両立させることで移動に関わる情報を的確に把握し、新たなサービス開発につなげる狙いもある。
Suicaサービスのクラウド化は01年の導入時も案はあったが、ラッシュ時の膨大なデータを自動改札機を通るわずかな時間で処理するのは難しいとの判断があった。サービス開始から約25年がたち、技術的に進んだことから導入が可能になった。
JR他社や私鉄と直通運転する区間の精算方法など具体的な計画は今後詰める。一定の検証を経て、10年以内の実用化を目指す。
13年の試みは批判殺到で中止
データの活用をめぐっては苦い過去がある。JR東は13年、スイカ利用者の乗降駅や生年月、性別などデータの外販サービスを試みた。企業のマーケティング戦略に生かせる新事業として注目された。だが、利用者から個人情報やプライバシーの保護への不安や懸念の声が上がり、中止に追い込まれた。
情報通信白書(2017年版)によると、利用者の不安を払拭できなかった一因は、JR東の事前説明が不十分だったためだ。加えて、匿名加工されたパーソナルデータの利用に関するルールが未整備だったことも影響した。ビッグデータ利用の議論のきっかけとなり、その後、改正個人情報保護法でルールが整備された。
JR東は教訓を踏まえ、今後の施策では、スイカの顧客情報はデータセンターのサーバー上で管理する。加工などを施したうえで必要な情報以外を扱うことがないようにする。同社マーケティング本部の田辺政昭マネジャーは「セキュリティーの強いシステムの奥の方でデータを管理し、外部からは接続できないようにする」と説明する。
ただデータを安全に管理できたとしても、サービスの実用化には技術上の課題がある。焦点になるのが、乗客の位置情報をどれだけ正確に把握できるかだ。
JR東が検討する案の一つは、駅構内にビーコン(電波受発信器)を設置し、スマートフォンのブルートゥース(近距離無線通信)と連携させることで位置情報を拾う手法だ。
出発駅と到着駅それぞれで特定の場所を通過したら電車に乗ったと見なし、その区間分の運賃を精算する。処理スピードも比較的速いとされるが、取得する位置情報に数メートルの誤差が生じる場合がある。首都圏など混雑した駅では運賃の誤精算につながる恐れがある。
顔認証は「抵抗感少なくない」
もう一つは超広帯域(UWB)技術を使う案だ。もともと主に軍事用レーダーとして開発が進められてきた技術で、位置情報の誤差も「数センチメートル以内に抑えられる」(JR東)という。しかし、こちらは標準搭載されていないスマホ機種も多く、サービスの普及に課題が残りそうだ。
このほか大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)がすでに導入している顔認証による改札通過システムも考えられるが「社内の声を聞いていても、自分の顔を読み取られることに抵抗感のある人は少なくない」(マーケティング本部の浜貴之マネジャー)。認証機の導入に相応のコストがかかることも想定される。
そもそもどの手法でも、モバイルスイカを持っていなければ電車に乗ることができない。改札機を一部残したとしても、スイカを持たない客が改札機のないエリアを通過して無銭乗車につながる可能性もある。JR東の田辺氏は「それぞれの技術的な改良など今後の進歩を見定めながら検討していく」と話す。
(石崎開)
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・JR東日本、駅利用者の購買力を算出 Suicaデータを外販
・JR東日本、Suicaの位置情報で改札フリー 個人間送金も
中国の製造強国化は道半ば シャミク・ダール氏-調査会社ファソム・コンサルティング特別顧問[2025/04/12 02:00 日経速報ニュース 1676文字 画像有 ]
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2015年5月、戦略的経済計画「中国製造2025」を発表した。その地政学的な野心は明白で、米国と肩を並べ、いくつかのハイテク産業を支配する狙いだった。
10年後の結果はどうか。ファソム・コンサルティングのデータベースで1800以上の品目を分析すると、製造2025が目標をおおむね達成したことがわかる。9つのハイテク産業で中国は世界最大の輸出国となった。
しかしそれが物語の全てではない。無視できないのは、輸出の伸びのかなりの部分は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟後の03年から製造2025の発表までに達成されていた点だ。中国が計画で対象とした品目の市場シェアは03年から13年の間に6ポイント増加したが、それ以降は2ポイントしか増加していない。中国は自国の強みを生かすというより、全ての産業を同時に支配することを目指している。
成功例のうち電気自動車(EV)を見てみよう。EVは製造2025の対象品目だが、最近まで大半の国の貿易データで独立した品目として報告されていなかった。しかし最近になって貿易収支にEVを加えると、製造2025に関連した貿易赤字の規模が約10%縮小した。20年時点でEVは赤字だったので、注目すべき変化だ。
EVは他分野における戦略の青写真になる可能性がある。まずは海外企業とのM&A(合併・買収)により、外国のノウハウと国内のイノベーションを組み合わせる。これが達成されれば、外国企業の買収はもはや必要なくなり、現地法人の設立や実際の生産が増加する可能性が高い。このパターンはまさにEVでみられた。
人工知能(AI)分野でも同様のことが起きるか。先端技術を低コストで急速に拡大しているDeepSeek(ディープシーク)は最新の事例だが、成功するかまだ断言はできない。
中国はIT(情報技術)の中間製品では依然として後れをとっており、特に半導体では大幅な輸入超過だ。最先端の半導体はいまだ台湾に依存している。
EV戦略は製造2025の貿易赤字を縮小するための青写真になるかもしれないが、現在の地政学的環境において課題に直面している。輸入の脆弱性や地政学的な緊張の高まりは15年時点では予期されていなかった。
製造2025は重商主義的で、名目金利を人為的に抑圧して産業向けの低利融資を可能にしている。このため家計の預金金利は低く抑えられた。こうした「金融抑圧」は急速な経済成長をもたらしたが、不動産投機や金融セクターの脆弱化にもつながった。
国内消費が中心の経済への移行は依然として課題であり、おそらく製造2025がリバランスを妨げている。さらにグローバルにみると、米国は自国が最終消費国となり、中国が世界の工場になるという構造を覆そうとしている。
結局、製造2025は成功したのか。計画が市場の支配と自給自足を目的としていたとすれば、前者は達成したが、後者はまだ達成していない。計画の発足当時から世界は変化しており、米中間の競争は現在、先端レベルの投入物を持つ大国と、それほど先端ではない投入物に頼っているが、最適化に優れた国との競争になっている。そしてこの競争は始まったばかりだ。
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窮境の底力は侮れない
米国が「中国製造2025」をやり玉に挙げたのは、第1次トランプ政権のときだ。中国がハイテク分野の覇権を握ろうとしている証しとみて、先端技術の対中輸出規制などでこの計画をつぶしにかかった。
習近平政権は公にこの計画を語らなくなったが、それは爪を隠したにすぎないとみるべきだろう。製造2025で掲げた目標はおおむね達成した。EVなどではすでに他を圧倒する力をつけている。
中国が先端半導体をまだ造れず、製造強国への道半ばなのはその通りだ。ただ、追い詰められたときに中国が発揮する底力は侮れない。ディープシークの台頭はその象徴だ。
常軌を逸した高関税で中国を追い込むトランプ米大統領のやり方には、やはり危うさを感じざるを得ない。
(編集委員 高橋哲史)
飛行機遅延→バス時間調整 旭川で実証[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 5ページ 358文字 PDF有 書誌情報]
国土交通省は、飛行機の遅れに応じて空港を出発する路線バスの発着時間を調整する実証実験に2025年度にも乗り出す。バス会社、北海道エアポート(北海道千歳市)などと旭川空港で試す。訪日客が増える中で、地方の2次交通の利便性を高める狙いだ。
旭川空港では飛行機が遅れた際に接続できるバスがないことや、車庫が遠く臨時便を出すにも時間がかかる課題があった。乗り換え検索大手のジョルダンがシステムを提供する。
国交省は11日に交通空白を解消する実証事業として新たに4つを選んだ。
JR四国、JR北海道、電脳交通(徳島市)は特急の車内にタクシーを配車できるQRコードを設置する事業に共同で取り組む。特急の到着時間に合わせて円滑にタクシーを呼ぶことができるかを確かめる。
国交省は実証事業の第1弾として3月に8事業を公表していた。
PayPay給与100社超 デジタル払い、導入広がる[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 15ページ 444文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいるという。PayPayでは労務管理ソフトとの連携を通じ、小規模な事業者にも呼びかける。
同日、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の労務管理ソフト「奉行Edge 労務管理電子化クラウド」との連携を始めた。従業員はPayPayの専用画面から申し込みをした後、管理ソフト側の連携ボタンを押すだけで入金用口座など必要な情報の入力を完了し振り込みを依頼できる。従来はソフト側でも口座情報などを入力しなければならず、入力ミスによる振り込みエラーの原因になっていた。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、PayPayは24年11月からソフトバンクグループ以外の企業へもサービス提供を始めた。労務管理ソフトは中小・零細企業との有力な接点になっている。
特集――大阪・関西万博開幕、平日券・夜間券も[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 21ページ 542文字 PDF有 書誌情報]
入場券は日本国際博覧会協会の専用サイトで購入できる電子チケットが主力となる。「万博ID」の取得が必要で、混雑防止の観点から来場日時の予約や利用交通手段の登録が求められる。ID取得後はパビリオンやイベントの観覧予約も可能となる。
会期中いつでも1回入場可能な「一日券」は18歳以上の大人7500円、12歳以上17歳以下が4200円、4歳以上11歳以下が1800円。3歳以下は無料。
有効期限内に何回でも入場できる「通期パス」や「夏パス」のほか、日時制限があるものの一日券より最大3800円割安な「平日券」「夜間券」も用意する。
全国のコンビニエンスストアでは紙の「引換券」を購入できる。
購入時に来場日時を予約しないタイプと予約するタイプの2種類あり、いずれもID取得は不要となる。来場当日、会場ゲート前でQRコード付きのチケットに引き換える。
来場日時を事前に決められない場合、会場ゲート前で「当日券」も購入できるが、来場予約が多い日や時間帯によって、販売を取りやめる場合がある。
スマートフォンでQRコードを読み込むと、電子版リッチコンテンツ「大阪万博、記者のイチ押しパビリオン8館 空から案内」(左)、「大阪万博のトリセツ 入場券・グルメ・アクセスは」(右)をご覧いただけます。
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。 小川たまか著(新書文庫)[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 35ページ 253文字 PDF有 書誌情報]
■『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』小川たまか著 著者は性暴力について取材するライター。2016年から2年間にわたり書いた文章と最近のエッセーが収められる。我々は小さな声を無視し続けてきたのではないか。加害者が自らの加害性を認め語ることの重要性を、著者は少なくとも9年前から訴えていた。昨今の芸能界の問題でも重要な指摘であり続けている。(ちくま文庫・924円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
関西の鉄道各社、万博記念の乗車券続々 京阪は入場券とセット[2025/04/12 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 672文字 PDF有 書誌情報]
京阪電気鉄道は11日、大阪・関西万博の一日券とセットになった1日乗車券を、万博期間中に数量限定で発売すると発表した。乗車券は万博仕様にラッピングされた列車の記念デザインとなる。7600円で、それぞれ単独で買うよりも1400円安くなる。
淀屋橋など主要8駅で購入でき、万博期間中の4月13日~10月13日に大津線を除く京阪全線と石清水八幡宮のケーブルカーで1日乗降が自由となる。
京阪ホールディングス(HD)傘下の叡山電鉄も、同種の乗車券を出町柳と修学院の2駅で購入できる。価格は7700円。それぞれ別々に買うよりも1900円安くなる。
南海電気鉄道も、13日から南海電鉄の電車が1日乗り降り自由となるデジタル乗車券を2500円で発売する。購入日から3カ月以内の好きな1日に利用できる。大阪のランドマークタワー「通天閣」の一般展望台が100円割引になる特典もつけた。同社は通年で販売する1日乗車券はないという。
一部の区間を除き、ケーブルカーを含む南海電鉄全線で利用できる。デジタル乗車券サービス「スルッとQRtto」公式サイトから購入し、スマートフォン上に表示されるQRコードを駅のQR対応改札機にかざすことで入退場する。
JR西日本は、万博を記念した特別デザインのICOCAを万博会場内のオフィシャルストアで販売する。
万博公式キャラクター「ミャクミャク」とICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」を描いたデザインで、オリジナルのパスケースも含めたセットは1万4800個限定でチャージ500円、デポジット500円を含み2650円。
暮らしつなぐ 伝統の町並み――観光とどう両立、同じ悩み抱える(何でもランキング)[2025/04/12 日経プラスワン 2ページ 2801文字 PDF有 書誌情報]
文化庁が伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の制度をつくって今年で50年。今回は特に価値の高い重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)を対象にした。僅差で並んだいにしえの町並みには、コロナ禍で消えた旅人の姿が増え、にぎわいを取り戻している。だが、そこには課題もにじむ。訪ねてみるとよくわかるが、どこも同じ悩みを抱えている。観光客には来てほしい。一方で多くなり過ぎると伝統的な環境が維持できない。生活空間を観光資源にする難しさに直面している。
江戸時代、東京と京都を結んだ東海道と中山道。東海道は開発が進み宿場町は廃れ、過疎化が進んだ中山道には伝統的な町並みが今も残る。来訪者は見るだけでなく歴史薫る町に滞在して文化と生活を学び、その観光収入が環境と暮らしを守る。京都の伊根町観光協会事務局長の吉田晃彦さんは「来訪者には地域の生活を静かに楽しんでもらい、住民も厳しい修理の基準を守りながら美しい環境を整え、どちらにも利点がある仕組みを模索しています」と話す。
<250>天然の温泉が出る港町。「名前通り『温泉』と『津(港)』からなり、石見銀山の積み出し港として繁栄した集落」(梅津さん)。世界遺産に登録されている。「連綿と発展してきた町並みは、江戸期から昭和初期の時の流れを感じることができる」(小林さん)。
「映画『男はつらいよ』のロケ地としても登場した、趣のある町並み。福光海岸まで足を延ばせば、日本海の絶景を望める」(山田さん)。温泉街として唯一の重伝建地区で、共同浴場も楽しめる。「大田市内のもう一つの重伝建地区の大森銀山と併せて訪ねたい」(後藤さん)。
https://www.ginzan―wm.jp/model_course_post/yunotsu/
<240>比叡山の麓に栄えた町。「山を越えた京都側とは異なるしっとりとした里坊(さとぼう)の庭や石垣の道に癒やされる」(山野井さん)。隠居した僧侶の住宅を兼ねた寺院群が美しい。「商家が並ぶ町並みとは異なる門前の風景を訪ねてほしい」(後藤さん)。
町を象徴する石垣は「戦国期から活躍した穴太衆(あのうしゅう)と呼ばれる石工職人によって積まれた野面(のづら)積み。穴太衆は多くの名城の石垣を施工しており、現代でも十分な強度がある」(小林さん)。春は桜、秋は紅葉が美しい。「比叡山や琵琶湖畔で歴史探訪も楽しめる」(山田さん)。
https://hieizansakamoto.jp/
<220>石垣島から船で約15分。円形の島の中央に平屋の集落がある。「沖縄独特の粘土を原料とする赤瓦の民家とサンゴ由来の白砂の道という沖縄らしい景観」(小林さん)に「フクギの緑、ハイビスカスの赤、海の青、そして屋根に飾られたシーサーが彩りを添える」(中尾さん)。
人口330人弱の島に年間50万人以上の観光客が訪れる。開発から土地を守る「竹富島憲章」で島民が集落の景観を維持している。「青空を見ながら三線の音色を聞いていると、琉球の暮らしが蘇る」(藤田さん)。集落を行く水牛車に乗れば「沖縄時間を感じられる」(山田さん)。
https://painusima.com/
<200>北の海の玄関口・函館には異国を思わせる町並みが広がる。その中心部が元町末広町だ。「海に下りていく道と、丘の上の函館ハリストス正教会の聖堂や旧函館区公会堂をはじめとする様々な洋館や和洋折衷建築が明治の香りと北海道開拓の精神を蘇らせる」(藤田さん)。
幕末期から開港場として発展し、「数度の大火を経て防火に配慮した町づくりがされている」(梅津さん)。港沿いには赤れんがの倉庫群が広がる。「貿易港として栄えた異国情緒豊かな町並みはロケーションジャパン大賞のグランプリにも輝いた」(山田さん)。
https://www.furutabi.com/machinami/hakodate.html
<190>佐渡島の西南部にある海岸段丘に形成された狭い入り江に広がる集落で、「迷路のような路地に船大工の技術を生かした民家が見られる。簡素な外観とは対照的に内部は漆をふんだんに使った豪華な造りとなっているので、その技術の高さを体験してほしい」(梅津さん)。
江戸時代、北前船の寄港地として栄えた。100棟を超える板壁の民家は「日本海の強風に耐える、石を置いた屋根も特徴だ」(小林さん)。集落を歩けば「江戸期の路地に迷い込んだような気分が味わえる」(山田さん)。人々の暮らしと歴史が交錯する静かな時間が流れている。
https://shukunegi.com/
<180>若狭地方中央部、京都に向かう通称「鯖(さば)街道」にある宿場町。「1キロ以上も連なる民家が見事。電線も派手な看板もなく、生活の息遣いが懐かしく美しく感じられる」(中尾さん)。道沿いには生活にも利用される水路が。「古民家を利用した宿泊施設やシェアオフィスなどの取り組みが進み、新たな魅力を生んでいる」(後藤さん)。
「朝廷へ食材を献上する『御食国(みけつくに)』として、豊富な山海の幸を京に届けた往時のにぎわいを感じさせる風景が続く。絵になる町並みをぜひ歩いてほしい」(山田さん)。道の駅に車を止めて散策できる。
https://kumagawa―juku.com/
<170>「木曽路はすべて山の中である」。島崎藤村「夜明け前」の冒頭にある通り、妻籠宿は山中に今も佇む宿場町だ。保存面積は重伝建地区では最大。周辺の山林も含め一体的に保存されている。「本陣、脇本陣、旅籠(はたご)、枡形(ますがた)、高札場などまるで宿場の野外博物館。町並み保存運動の先駆らしい信条と50年余りの努力が光る」(中尾さん)。
妻籠宿から馬籠宿(まごめじゅく)(岐阜県中津川市)までの約9キロの木曽路は散策に最適。「街灯も歴史的風致に配慮して最小限に抑え、江戸時代の雰囲気をとどめる。地区内の宿に泊まって夜も歩いてほしい」(梅津さん)。
https://tsumago.jp/
ランキングの見方 保存地区の名称(所在地)。数字は評価の合計点。URLは情報サイト。写真は1~5位が鈴木健、10位は三浦秀行撮影。6位は沖縄観光コンベンションビューロー、7位は函館市、8位は佐渡観光PHOTO、9位は若狭熊川宿まちづくり特別委員会の提供。
調査の方法 梅津章子さんと山田実希さんの協力で、全国129の重要伝統的建造物群保存地区から27地区をリスト化。(1)保存の取り組みも加味した町並み・集落の美しさ(2)観光地としての魅力――の観点から7人の専門家が1~10位を選び、総合点を集計した。(大久保潤が担当しました)
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対応拡大 かざすだけで、タッチ決済 交通機関でも(学んでお得)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 1680文字 PDF有 書誌情報]
クレジットカードで「タッチ決済」という言葉を耳にする機会が多くなってきた。端末に差し込んで暗証番号を入力する手間が省け、かざすだけで支払いが完了する。最近は店舗だけでなく、電車やバスの乗車に使えるケースも増えてきた。
タッチ決済では1万円などと決められた金額までであれば、店頭の端末にカードを挿入して暗証番号を入力するといった操作なしに支払いができる。国際ブランド「Visa」によると、2024年時点で日本におけるクレジットカードの対面利用の約47%はタッチ決済になっているという。未対応のカードが一部残っているものの、更新時に切り替えが進んでいる。
クレジットカードにとどまらず、タッチ決済対応マークがついていれば、支払時に銀行口座から引き落とされるデビットカード、あらかじめお金を入金・チャージしておくプリペイドカード、対応するカードを設定したスマートフォンでも同様に使える。
現金を使わないキャッシュレス決済は政府が普及を後押ししている。24年の時点でその決済額の比率は4割を超えた。内訳を見ると、全体の8割超がクレジットカードの利用だ。従来は高額品購入時に使う印象が強かったが、コンビニエンスストアなど日常の支払いでも使われる場面が増えているようだ。
キャッシュレス決済を進める背景にはインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもあった。海外の都市ではタッチ決済が主流となっているところも多い。現金払いに慣れない外国人が両替をしなくても支払いができるのは大きな利点となる。
最近、日本国内でも目立つようになってきたのが交通機関のタッチ決済での利用だ。各地の鉄道やバスで導入が進む。13日に開幕する大阪・関西万博に向け、大阪の大手私鉄や地下鉄の改札ではタッチ決済対応が広がった。
このシステムを手掛けている三井住友カードのTransit本部長、石塚雅敏さんは「きっぷや交通系ICカードを買うことなく、手持ちのクレジットカードでそのまま乗れる仕組みは訪日外国人だけでなく、日本人にもメリットがある」と語る。
例えば地方での交通機関の担い手の負担軽減だ。近年は利用者減少や人手不足などで鉄道や路線バス網の縮小・廃止が進んでいる。バスの運転手は運転だけでなく、運賃の管理も求められている。「業務コスト全体を減らす必要がある。タッチ決済導入で現金が不要になる効果は大きい」(石塚さん)
三井住友カードのシステムは3月末時点で41都道府県の149社が採用。26年には47都道府県すべてでの導入を目指しているという。
タッチ決済での乗車はカードやスマホを改札の専用リーダー部分にかざせばよく、交通系ICカードとあまり変わらない。残高がなくなって駅の券売機でチャージをしていた人にとっては手間が減ってスムーズに乗り降りできる。「ショッピングも交通機関への乗車もカード1枚あれば済む。クレジットカードが持てない子どもの場合、子ども用プリペイドカードに親がカードでチャージして渡す方法もある」(Visa担当者)
店舗から交通機関まで、タッチ決済を利用すれば、残高チャージなどのために金融機関のATMや窓口で現金を引き出す必要がなくなるのが大きい。クレジットカード利用になってポイントをためられるのも利点だ。タッチ決済対象のポイント優遇やキャッシュバックといったキャンペーンが展開されている場合もある。調べてみよう。
便利になる一方、注意したい点もある。対応していない店舗があるほか、システム障害などで利用できないケースがあり得る。定められた金額を超えてしまうと、暗証番号の入力が必要になる。
交通機関でも複数路線を乗り継ぐ際には注意が必要だ。未対応の路線に乗り換えてしまうと精算が必要になる。自分のカードがタッチ決済乗車に対応した国際ブランドかどうかも確認しておきたい。
(消費経済ジャーナリスト
松崎 のり子)
あなたの家計の悩みをメールでお寄せください。plus1@nex.nikkei.co.jp
【図・写真】クレジットカードのタッチ決済で乗れる交通機関も増えてきた
物価高をポイ活でカバー、すぐに使って失効防止(ポイント賢者)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
ポイ活と節約をセットで取り上げるメディアは多いです。どちらも家計を助けるためのものですが、実際は方向性が異なります。
節約は我慢が必要で、「これを買いたいけど今は必要ないから諦める」「お金がたまったら買う」など、消費を抑える行為です。一方のポイ活は「これを買うにはどうすれば一番おトクになるのか」であり、消費に対するリターンを最大化する方法です。
自治体が地元経済を活性化させるため、対象のキャッシュレス決済を利用すると10%還元や20%還元などの大型キャンペーンをよく実施しています。
1回の買い物で20%のポイントがたまれば、そのポイントでさらに買い物をします。現金給付ではなくポイント還元する理由は、消費を複数回促すことができるからでしょう。
では、ポイ活だけで最近の物価高を乗り切ることはできるのでしょうか。
矢野経済研究所の発表資料によると、2024年度の国内発行のポイントは2・8兆円程度の見込みです。クレジットカードを申し込める18歳以上の人口(1億人強)で割ると、1人あたり年間で2万7000円程度、月間で2250円程度のポイントを獲得できていることになります。
足元の消費者物価指数の上昇率は3%前後です。これまでポイ活を一切していない人が、ポイ活を始めれば物価上昇をある程度はカバーできます。
ただ、これはあくまでも理論値で、ポイントが失効しなかった場合です。ポイントは年間3~4割失効しているといわれ、有効利用できているポイントはもっと少ないとみられます。
失効を防ぐには、獲得したポイントが使えるポイント数まで到達したらすぐに使うことです。どんどん消費して失効を防ぎ、生活に役立ててください。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
関西鉄道各社、大阪万博記念の乗車券 京阪は入場券付き[2025/04/11 19:02 日経速報ニュース 670文字 画像有 ]
京阪電気鉄道は11日、大阪・関西万博の一日券とセットになった1日乗車券を、万博期間中に数量限定で発売すると発表した。乗車券は万博仕様にラッピングされた列車の記念デザインとなる。7600円で、それぞれ単独で買うよりも1400円安くなる。
淀屋橋など主要8駅で購入でき、万博期間中の4月13日~10月13日に大津線を除く京阪全線と石清水八幡宮のケーブルカーで1日乗降が自由となる。京阪ホールディングス(HD)傘下の叡山電鉄も、同種の乗車券を出町柳と修学院の2駅で購入できる。価格は7700円。それぞれ別々に買うよりも1900円安くなる。
南海電気鉄道も、13日から南海電鉄の電車が1日乗り降り自由となるデジタル乗車券を2500円で発売する。購入日から3カ月以内の好きな1日に利用できる。大阪のランドマークタワー「通天閣」の一般展望台が100円割引になる特典もつけた。同社は通年で販売する1日乗車券はないという。
一部の区間を除き、ケーブルカーを含む南海電鉄全線で利用できる。デジタル乗車券サービス「スルッとQRtto」公式サイトから購入し、スマートフォン上に表示されるQRコードを駅のQR対応改札機にかざすことで入退場する。
JR西日本は、万博を記念した特別デザインのICOCAを万博会場内のオフィシャルストアで販売する。万博公式キャラクター「ミャクミャク」とICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」を描いたデザインで、オリジナルのパスケースも含めたセットは1万4800個限定でチャージ500円、デポジット500円を含み2650円。
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全保連の茨木社長「沖縄の本社移転しない」 TOB成立受け[2025/04/11 18:21 日経速報ニュース 443文字 画像有 ]
家賃保証の全保連の茨木英彦社長は11日、三菱UFJニコスによるTOB(株式公開買い付け)の成立を受けて那覇市の本社で記者会見した。創業の地である沖縄からの本社移転や社名の変更はしないと説明した。
茨木氏は「離れることは考えていない。少しでも沖縄の経済発展に貢献したい」と述べた。全保連は2023年10月に東証スタンダードに上場した。10日付で三菱UFJニコスが筆頭株主となったが、上場は維持する。1日に創業者の迫幸治氏が社長から会長に就き、副社長だった茨木氏が社長に昇格した。
茨木氏は「カード会社、信販会社が家賃保証ビジネスに進出してきている。競争に不可欠なのが家賃のカード決済だった」とTOBを受け入れた理由を説明した。26年春の繁忙期をめざし、三菱UFJニコスと協力して家賃のクレジットカード払いを導入する考えを示した。
「三菱UFJフィナンシャル・グループという大きな金融グループと一緒にやっていくことでシナジーを発揮できる」と述べた。「対等な関係、ウィンウィン」を強調した。
飛行機の遅延、バスに共有 国交省が旭川空港で実証[2025/04/11 14:25 日経速報ニュース 519文字 ]
国土交通省は、飛行機の遅れに応じて空港を出発する路線バスの発着時間を調整する実証実験に2025年度にも乗り出す。バス会社、北海道エアポート(北海道千歳市)などと旭川空港で試す。訪日客が増える中で、地方の2次交通の利便性を高める狙いだ。
旭川空港では飛行機が遅れた際に接続できるバスがないことや、車庫が遠く臨時便を出すにも時間がかかる課題があった。乗り換え検索大手のジョルダンがシステムを提供する。
国交省は11日に交通空白を解消する実証事業として新たに4つを選んだ。JR四国、JR北海道、電脳交通(徳島市)は特急の車内にタクシーを配車できるQRコードを設置する事業に共同で取り組む。特急の到着時間に合わせて円滑にタクシーを呼ぶことができるかを確かめる。
国交省は実証事業の第1弾として3月に8事業を公表していた。相乗りタクシーを手掛けるニアミー(東京・中央)と連携し、相乗りタクシーを即時にマッチングできるかを試す。タクシーの配車システムの共通化も実験する。
25年度はおよそ20事業を選ぶ考え。運転手などが減少する中で事業者間の連携を促す取り組みや、訪日客が地方を訪れやすくなる利便性の向上策を試して、成果が出た事業は全国に展開する。
PayPayのデジタル給与サービス、飲食など100社超が導入[2025/04/11 13:54 日経速報ニュース 444文字 画像有 ]
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいるという。PayPayでは労務管理ソフトとの連携を通じ、小規模な事業者にも呼びかける。
同日、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の労務管理ソフト「奉行Edge 労務管理電子化クラウド」との連携を始めた。従業員はPayPayの専用画面から申し込みをした後、管理ソフト側の連携ボタンを押すだけで入金用口座など必要な情報の入力を完了し振り込みを依頼できる。従来はソフト側でも口座情報などを入力しなければならず、入力ミスによる振り込みエラーの原因になっていた。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、PayPayは24年11月からソフトバンクグループ以外の企業へもサービス提供を始めた。労務管理ソフトは中小・零細企業との有力な接点になっている。
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ネットプロテクションズ、後払い決済「atone」がEC通販プラットフォーム「リピスト」「PRECS」と連携[2025/04/11 12:04 日経速報ニュース 1064文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月11日
ネットプロテクションズ、後払い決済「atone」がEC通販プラットフォーム「リピスト」「PRECS」と連携
※ロゴは添付の関連資料を参照
株式会社ネットプロテクションズ(所在地 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 柴田 紳、以下「当社」)は、後払い決済サービス「atone」を、株式会社リピスト(所在地 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 信川 亮太)が提供するD2C・定期購入・単品リピート通販向けプラットフォーム「リピスト」およびEC構築システム「PRECS」と連携いたしました。これにより、「リピスト」「PRECS」を利用するEC事業者は、開発費用や導入負担を抑えながら「atone」をスムーズに導入できるようになります。
■「atone」連携について
後払い決済サービス「atone」と、通販向けプラットフォーム「リピスト」「PRECS」が新たに連携しました。これにより、両サービスを利用するEC事業者は、追加の開発負担をかけずに「atone」をスピーディに導入することが可能となります。導入期間の短縮や工数負担の軽減により、事業者の業務効率が向上し、購入者の利便性向上にも寄与します。その結果、カゴ落ちの防止やコンバージョン率の向上が期待できます。
「リピスト」は、定期購入や単品リピート通販に特化したプラットフォームで、柔軟な購買プランの提供やLTV向上を支援する多彩な機能を備えています。「PRECS」は、高いカスタマイズ性と拡張性を兼ね備えたECサイト構築プラットフォームです。今回の連携により、既存の「リピスト」「PRECS」利用事業者はもちろん、新規導入を検討する事業者も、短期間で後払い決済を導入できるようになります。決済手段の選択肢が広がることで、より多くの消費者ニーズに対応し、売上拡大につなげることが可能です。
今後も両社は、さらなる連携強化を視野に入れながら、EC事業者のビジネス成長を支援し、より多くの消費者に快適で便利な購買体験を提供できるよう、サービスの向上に取り組んでまいります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
ロゴ
https://release.nikkei.co.jp/attach/689630/01_202504111118.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689630/02_202504111118.pdf
外為10時 円相場、上げ幅拡大 143円台前半 日経平均下落で[2025/04/11 10:29 日経速報ニュース 547文字 ]
11日午前の東京外国為替市場で、円相場は上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=143円35~38銭と前日17時時点と比べて2円91銭の円高・ドル安だった。9時半すぎには一時1ドル=142円88銭近辺まで上昇した。11日の日経平均株価が下げ幅を広げると、歩調を合わせるように「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。
トランプ米政権の中国に対しての追加関税が計145%になると明らかになった。両国の対立激化が意識され、円やユーロなど主要通貨に対してのドル売りが膨らんでいる。一方、10時前の中値決済に向けては「輸入企業など実需筋によるドルの押し目買いが入った」(国内銀行の為替担当者)との声も聞かれた。
ユーロも対ドルで一段高となっている。10時時点では1ユーロ=1.1296~99ドルと同0.0270ドルのユーロ高・ドル安だった。9時半すぎに1ユーロ=1.1385ドル近辺まで上昇する場面があった。市場では「ドル売りが広がるなかで、次に規模の大きい通貨であるユーロに消去法的な買いが入っている」(同)との見方があった。
円は対ユーロで下げ幅を広げている。10時時点では1ユーロ=161円93銭~162円02銭と、同66銭の円安・ユーロ高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
<東証>木材加工のウッドFがストップ高買い気配 長谷工が1株1720円でTOB[2025/04/11 09:38 日経速報ニュース 465文字 ]
(9時35分、スタンダード、監理、コード8886)東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドFが買い注文を集めている。気配値を制限値幅の上限(ストップ高水準)である前日比150円(15.78%)高の1100円まで切り上げた。現時点で売買は成立していない。長谷工(プライム、1808)が10日、ウッドFに1株1720円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。TOB価格にさや寄せする形で買いが集まっている。
TOB価格は9日終値を9割上回る。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。ウッドFはTOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表した。TOBに応じない株主にはTOB成立後、長谷工が強制買い取り(スクイーズアウト)を実施する。その後ウッドFは上場廃止となる見通し。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
タッチ決済、電車やバスでも 乗降便利でポイント付与も-学んでお得[2025/04/11 05:00 日経速報ニュース 1603文字 画像有 ]
クレジットカードで「タッチ決済」という言葉を耳にする機会が多くなってきた。端末に差し込んで暗証番号を入力する手間が省け、かざすだけで支払いが完了する。最近は店舗だけでなく、電車やバスの乗車に使えるケースも増えてきた。
タッチ決済では1万円などと決められた金額までであれば、店頭の端末にカードを挿入して暗証番号を入力するといった操作なしに支払いができる。国際ブランド「Visa」によると、2024年時点で日本におけるクレジットカードの対面利用の約47%はタッチ決済になっているという。未対応のカードが一部残っているものの、更新時に切り替えが進んでいる。
クレジットカードにとどまらず、タッチ決済対応マークがついていれば、支払時に銀行口座から引き落とされるデビットカード、あらかじめお金を入金・チャージしておくプリペイドカード、対応するカードを設定したスマートフォンでも同様に使える。
現金を使わないキャッシュレス決済は政府が普及を後押ししている。24年の時点でその決済額の比率は4割を超えた。内訳を見ると、全体の8割超がクレジットカードの利用だ。従来は高額品購入時に使う印象が強かったが、コンビニエンスストアなど日常の支払いでも使われる場面が増えているようだ。
キャッシュレス決済を進める背景にはインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもあった。海外の都市ではタッチ決済が主流となっているところも多い。現金払いに慣れない外国人が両替をしなくても支払いができるのは大きな利点となる。
最近、日本国内でも目立つようになってきたのが交通機関のタッチ決済での利用だ。各地の鉄道やバスで導入が進む。13日に開幕する大阪・関西万博に向け、大阪の大手私鉄や地下鉄の改札ではタッチ決済対応が広がった。
このシステムを手掛けている三井住友カードのTransit本部長、石塚雅敏さんは「きっぷや交通系ICカードを買うことなく、手持ちのクレジットカードでそのまま乗れる仕組みは訪日外国人だけでなく、日本人にもメリットがある」と語る。
例えば地方での交通機関の担い手の負担軽減だ。近年は利用者減少や人手不足などで鉄道や路線バス網の縮小・廃止が進んでいる。バスの運転手は運転だけでなく、運賃の管理も求められている。「業務コスト全体を減らす必要がある。タッチ決済導入で現金が不要になる効果は大きい」(石塚さん)
三井住友カードのシステムは3月末時点で41都道府県の149社が採用。26年には47都道府県すべてでの導入を目指しているという。
タッチ決済での乗車はカードやスマホを改札の専用リーダー部分にかざせばよく、交通系ICカードとあまり変わらない。残高がなくなって駅の券売機でチャージをしていた人にとっては手間が減ってスムーズに乗り降りできる。「ショッピングも交通機関への乗車もカード1枚あれば済む。クレジットカードが持てない子どもの場合、子ども用プリペイドカードに親がカードでチャージして渡す方法もある」(Visa担当者)
店舗から交通機関まで、タッチ決済を利用すれば、残高チャージなどのために金融機関のATMや窓口で現金を引き出す必要がなくなるのが大きい。クレジットカード利用になってポイントをためられるのも利点だ。タッチ決済対象のポイント優遇やキャッシュバックといったキャンペーンが展開されている場合もある。調べてみよう。
便利になる一方、注意したい点もある。対応していない店舗があるほか、システム障害などで利用できないケースがあり得る。定められた金額を超えてしまうと、暗証番号の入力が必要になる。
交通機関でも複数路線を乗り継ぐ際には注意が必要だ。未対応の路線に乗り換えてしまうと精算が必要になる。自分のカードがタッチ決済乗車に対応した国際ブランドかどうかも確認しておきたい。
(消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子)
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長谷工、ウッドフレンズを買収へ[2025/04/11 日本経済新聞 夕刊 3ページ 260文字 PDF有 書誌情報]
長谷工コーポレーションは10日、東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドフレンズにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。住宅のラインアップを広げ、木造マンションの競争力を磨く。TOB価格は9日終値(900円)に対して91%のプレミアムをつけた1株あたり1720円。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。
イオンFS社長に深山氏、監査機能直轄 統治を強化 スマホ決済の収益磨く[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1379文字 PDF有 書誌情報]
イオンの金融子会社、イオンフィナンシャルサービス(FS)は10日、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を担当する深山友晴氏(51)が社長に就く人事を発表した。傘下のイオン銀行でマネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があり前社長が引責辞任した。改革の統括役をトップにし、再発防止などの体制整備を急ぐ。
5月23日に開く株主総会後の取締役会を経て正式に就任する。社長を兼務していた白川俊介会長(61)は代表権のない会長となる。
イオン銀行を巡っては金融庁が2024年12月、マネロン対策の不備で銀行法に基づく業務改善命令を出した。経営責任を明確にするため25年1月にイオンFSの藤田健二社長が引責辞任し、イオン銀行の小林裕明社長も解任した。
深山氏は海外事業の経験が長い。20年に香港に上場するイオンクレジットサービス(アジア)社長に就いたほか、24年にはベトナムの事業拡大の責任者も務めた。マネロン対策の不備を受けて25年3月に「グループガバナンス改革担当」になり、体制整備の責任者となった。
最優先課題はガバナンスの強化になる。
3月に経営監査部を社長直轄の組織とし、三井住友フィナンシャルグループで監査部長の経験がある谷新一郎氏(63)を新たな常勤監査役に招くことも決めた。銀行だけでなく海外事業や保険事業など各部門のリスクの洗い出しなどを横断的に実施できるようにする。
クレジットカード「イオンカード」でも昨夏から不正利用が多発した。対応が遅れたことなどもあり、数万人の会員が被害を受けた。マネロン不祥事と併せて再発を防止し、株主や利用者の信頼を取り戻したい考えだ。
イオンFSの業績は堅調だ。
10日に発表した25年2月期の連結決算は売上高にあたる営業収益が前の期に比べて10%増の5332億円、営業利益は23%増の614億円だった。クレカの分割払いやキャッシングが増えたほか、香港などでは個人ローンの残高も伸びた。純利益は7%減の195億円だった。クレカの不正利用の被害に関連する費用として99億円の特別損失を計上した。
今後の成長の柱は決済サービスの利用者増と海外事業の拡大になる。
スマートフォン決済の「AEON Pay(イオンペイ)」をいかに伸ばすかがカギを握る。イオングループ以外の加盟店の増加を急いでいる。クレカなどと異なって小口決済が中心のため若者の利用者も多く、スマホ決済大手のPayPayに対抗する上で欠かせない。
スマホ決済や銀行口座、電子マネーの「WAON(ワオン)」などを組み込んだ金融アプリ「イオンウォレット」を通じ、イオングループが小売りから金融まで経済圏を拡大する要になる。
海外事業の拡大も不可欠だ。
営業利益に占める割合は6割ある一方、営業収益に占める割合は3割にとどまる。アジアなど海外は日本より金利が高く利益率が高い。すでにタイやマレーシア、中国など約10カ国・地域に進出しており、新規進出国の増加よりも現在の市場での利用者の底上げが重要になる。現地市場に精通した深山氏は海外事業の拡大でも重責を担うことになる。
深山 友晴氏(ふかやま・ともはる)97年(平9年)イオンクレジットサービス(現・イオンフィナンシャルサービス)入社。20年イオンクレジットサービス(アジア)社長、25年グループガバナンス改革担当
三菱UFJ信託、ネット株主優待の事務受託[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 8ページ 585文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJ信託銀行は上場企業向けにインターネットで手続きする株主優待制度の事務受託サービスを始めた。通販サイトで利用できる共通ポイントを株主に配る場合などが対象になる。株主優待を導入しやすくして企業の個人株主増加に向けた施策を後押しする。
サービスを受託する専門サイトをこのほど立ち上げた。企業側はサイト上で優待制度の詳細を設計して株主総会の招集通知などにQRコードを掲載する。株主はサイトにアクセスして優待を受ける仕組みだ。価格は各社の内容ごとに異なり、年800万~900万円程度を想定する。5年で100社への導入を目指す。
企業側は株主の対応など優待関連の事務負担を三菱UFJ信託に委ねることができる。株主名簿の管理を業務とする信託銀行がサービスを手掛けるため、名簿の外部提供に抵抗がある企業の需要を取り込む。
株主優待で紙のギフト券などを配布する場合、優待を実施する企業側は発送の受け付けなどで事務負担がかかってきた。
株主優待制度は優待の活用が難しい機関投資家や海外投資家からは不公平だとの批判も根強い。三菱UFJ信託の調べによると、減少傾向が続いていた優待制度の実施社数は2024年12月までに増加に転じた。政策保有株の売却が増える中で長期で保有する個人株主の開拓を目指す企業が増えており、ネットで作業を完結できる今回のサービスは一定の需要があるとみている。
KDDI、解は「外」にあり パートナー企業と提携促進 松田社長「自前主義こだわらず」[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1383文字 PDF有 書誌情報]
1日付で就任したKDDIの松田浩路社長が10日、東京都内で記者会見を開き、パートナー企業との提携戦略を加速する方針を示した。日本でつくり上げたサービスの海外展開にも注力する。日本電信電話公社(現NTT)の独占に挑む形でKDDIの前身企業が誕生してから約40年。業界首位へのカギは外部の知見と海外、異業種の3つの「外」だ。
「自前主義にはこだわらない。パートナーと組んで大きなことに素早く取り組むのがKDDIの使命だ」。松田社長は会社の戦略についてこう語った。
主力の携帯電話事業が人口減少により大きな成長を見込みにくい中で、前任の高橋誠会長は金融や動画配信などのコンテンツといった非通信事業を育てて次への道筋を付けた。さらなる成長に向けては海外でのサービス拡大が急務となる。その担い手として後任に選んだのが、米アップルといった海外企業との交渉を担ってきた松田社長だった。
人口減や高齢化をはじめ諸課題についても先進国である日本で培ったサービスを海外展開する。ドローンを使ったインフラ点検や監視サービスなどを想定する。
スタートアップとの提携も加速する。米国で人工知能(AI)といった分野に投資するベンチャーキャピタル(VC)などに出資すると10日発表した。KDDIが新たに立ち上げるファンドと合わせて300億円規模の投資を検討する。松田社長はエンジニア出身だ。AIや通信などに精通しており、先端技術を有する企業との協業は今後さらに増えるとみられる。
KDDIがいち早く提携した米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」についても新しい動きがあった。スマートフォンと衛星が直接通信するサービスの提供を10日から始めた。国内の通信事業者が直接通信を手掛けるのは初めてとなり、米アップルのiPhoneなど、約600万台が対象となる。auの利用者であれば当面は無料で使えるようにしてアピールする。
KDDIは研究開発費などの投資規模がNTTに見劣りすることから、それを補う形で外部の技術や知見を積極的に取り込んできた。NTTドコモの2025年3月期の売上高予想が6兆2440億円なのに対し、KDDIは5兆7700億円とまだ差がある。
同業他社にない強みの領域として成長期待をかけるのがコンビニエンスストアのローソンだ。全国約1万4000店で新サービスを展開すれば、携帯電話や金融との相乗効果も生まれるとみる。
先進技術を取り入れたローソンの新店舗がKDDIの新本社(東京・港)で開業する予定だ。飲料の陳列をロボットで自動化したり、来店客が専用のアプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了したりするスマホレジの導入などを想定している。顧客の利便性を高めるだけでなく、小売業で深刻な人手不足の対策にもなる。
小売りの現場をデジタル技術で効率化する「リテールテック」は他社への販売も検討する。松田社長は「高輪の新本社で培った技術を世界展開していきたい」と述べた。
外部連携、海外、外から招いたコンビニという異業種。どれもお手本があるわけではない。特に活路とみる海外事業は松田社長自身「現状はまだまだと感じる」とハードルは高いと認める。高橋会長がまいた種を育ててKDDIの次をみせられるか。
【図・写真】就任の記者会見に登壇したKDDIの松田社長(10日、東京都千代田区)
「死に筋の密林」 だから賑わう ハンズマンは反効率、店員が何でも揃える 九州から首都圏めざす[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 1ページ 2831文字 PDF有 書誌情報]
九州地盤のホームセンター(HC)のハンズマンが逆張り戦略で話題だ。園芸用品売り場では、商品を使って店内をジャングルに。取扱品目は20万以上と一般的なHCの3倍。その7割が「年に十数個しか売れない」。ネット通販並みの品ぞろえで「ハンズマンに来れば何でもある」という信頼感と発見する楽しみが強み。大阪に続き今後は首都圏への出店を見据える。
ハンズマンは宮崎県都城市に本社を構える。祖業は1914年創業のガラス建材店で、86年に同市で1号店を開業。佐賀と長崎を除く九州5県に11店舗を展開後、2023年に関西進出を果たした。同年10月に大阪府松原市で開業した松原店では、最初1年間の売上高が計画を2%上回る46億円と好調に推移した。
■ヤシの木・噴水……「1日中いられる」 2月末の平日、同店を訪れると多くの顧客でにぎわっていた。店内に足を踏み入れると、高さ10メートルほどのヤシの木(125万円)や噴水(198万円)が目に飛び込んでくる。約2500種類の植物や輸入品のオーナメントが並ぶ園芸売り場は、まるでジャングル。床のタイルや壁紙なども含め、内装に使っている資材は全て売り物だ。
「SNSでたまたま見つけて、面白そうなお店だと思って見に来ました」。週末のデートの場所に選んだという大城沙樹さん(30)は、店内を携帯で撮影。「これだけ広いと1日中いられますね」と、一緒に訪れた山本龍さん(36)も楽しげだ。「最初は何も買う予定がありませんでしたが、かわいい作業靴を見つけて思わず購入しました」
店内の設計コンセプトは「大人のテーマパーク」。大薗誠司社長は「買い物をする時間を楽しめるのが、リアル店舗の存在意義だ。『こんな商品もあるんだ!』という発見と感動を演出したい」と話す。内装はDIYの資格を持つ社員などによる手作り。松原店の場合、大薗社長が構想したデザインをもとに約300人の社員が半年かけて完成。商品の陳列方法をはじめ、タイルの並べ方まで細かく指定する徹底ぶりだ。
中央の園芸用品売り場の天井は高さ15メートルで、吹き抜けになっているのが特徴。2階から見下ろしてもどこに何の商品があるかわかるよう、陳列にこだわる。2階の日用品売り場でも壁や天井まで使った展示を施し、遠くからでも目当ての商品を見つけられる。
松原店の売り場面積は約1万9834平方メートルと、既存店で最大だった菊陽店(熊本県菊陽町)の1.5倍。売り場の植物を適切に管理するため、湿度が高くなると天井が開いて調節できるようになっている。
一般的なHCでは約7~8万品目を取り扱うというが、ハンズマンは各店おおむね21万品目を展開。特に松原店では4倍の約28万品目をそろえている。例えば植木鉢は親指大のものから、大人が数人入れるほどのものまで数多く用意する。
■品ぞろえはお客のメモで決める 多くの商品をそろえるのは「品ぞろえはお客様が決めるもの」という大薗社長の考えからだ。単に売れ筋に絞って効率的に売る手法では、同質化し価格競争に巻き込まれ生き残れない。各店のスタッフが顧客から欲しい商品を聞き取ってまとめた「要望商品メモ」を元に決められている。
「コタツに使う円柱型の脚」「陸上養殖用の小型水槽」といった要望が日々寄せられている。メモは大薗社長自ら全てに目を通している。社長が開発したシステムでは要望のあった商品と、その数が記録され一覧できるようになっており、希望が多く寄せられた商品から順に仕入れている。これまで寄せられたメモは累計で83万枚。欲しい商品が見つからない場合はメーカーに新たに発注することもあるといい、新規導入数は10年間で1万8646点に上る。
商品の7割が年間販売十数個以下の「死に筋」だ。他社が売れ筋に絞って在庫を抑える中、非効率的ともいえる戦略を貫く理由について、大薗社長はこう話す。「業態の都合上、同業他社は同じ商品を扱うので値下げして集客するしかなく、売り上げも利益も縮小する。一方で我々は接客や品ぞろえで差別化をはかる。他の店では手に入らない商品がハンズマンにはあるという発見が、お客様の感動につながる」
数年前、ある客が「このボールペンに合うバネはないですか」と訪ねてきた。ハンズマンで販売する約1000種類のバネから、ぴったりのものを見つけることができた。「亡くなった家族の形見が再び使えるようになってよかった」と話していた。品ぞろえの豊富さを前面に押し出し、ファンを増やしている。
広大な売り場で多品種を扱うため、店舗のスタッフの丁寧な接客と豊富な知識が満足度の要になる。スタッフに対し約250項目の評価基準をもとに、接客の内容などを中心に評価し昇給に反映。「要望商品メモを提出した数」なども集計している。
■同業他社「効率無視での成立がすごい」 各店舗では平均150人が働く。社員全体の9割を占めており、売り場の案内や商品の説明にいつでも対応できるようにしている。特に松原店では、売り場担当として約200人を確保。専門的な質問に回答できるDIY検定の資格保持者も、400人以上いる。
多品目を抱えながら、あえてPOS(販売時点情報管理)システムを導入していない。在庫を従業員の目で確認し、「販売が一定数を超えるとX個発注する」というルールを策定。その積み重ねで、独自の在庫管理ノウハウを構築してきた。
商品にバーコードを付与する手間やコストを省くのも、理由の1つ。仕入れた際に袋売りだった商品でも、希望があればバラ売りで提供する。「作業用軍手の利き手のみがすり減るので右手だけ欲しい」といった要望にも、袋を切り裂いて販売。クギ1本、シャープペンシルの芯1本といった通常はまとめ売りの商品も、スタッフの判断で1つから提供可能だ。
「バラ売りしたら残った商品は廃棄にする。売り上げが下がるのではと言われるが、むしろバラ売りを始めてから売り上げは上がっている」(大薗社長)。顧客の要望に応えてくれることで、リピートにつながるケースが増えているという。同業他社の幹部は「戦い方が全く違う。小売店であれば在庫回転など効率を重視するのが昔からの流れだが、ここを無視した上でも成立するのがすごい」と一目置く。
松原店の成功を皮切りに、今後は東名阪を中心に九州以外にも「4年に1店舗のペースで出店をしていく」方針。多品目を扱うには広大な売り場面積と大きな商圏が必要になるため、ふさわしい用地を探しているところだという。
コスモス薬品やトライアルホールディングスなど、安さを売りに全国展開を進める九州発祥の流通業が増える中、ハンズマンは逆張り戦略で東進をめざす。「ハンズマンがない地域では、お店に行っても欲しい商品がないことが当たり前になっている。ハンズマンを全国に広げて、この常識を変えたい」。大薗社長は語る。
(宮月子)
【図・写真】ハンズマン松原店(大阪府松原市)
花見の幹事、AIが2万円で 余興も提案、丸投げはNG?(中村奈都子の消費を斬る)[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 3ページ 1288文字 PDF有 書誌情報]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員)
【図・写真】パソコンを使って宴会の趣旨に合ったメニューを注文していく
【図・写真】AIエージェントが食事を手配し、Helpfeelの新入社員歓迎お花見会が始まった(東京・中央)
三井不、NYにシェアオフィス[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 5ページ 600文字 PDF有 書誌情報]
三井不動産は、法人向けシェアオフィスサービス「ワークスタイリング」で海外初の拠点を米ニューヨーク市に開くと発表した。同日から予約を開始し、15日に開業する。日系企業の会員向けに海外出張時での利用を想定する。海外拠点の拡大に向けてシェアオフィスの米企業とも連携する。
三井不の米国子会社がニューヨーク市マンハッタンに所有する高層オフィスビル「1251 Avenue of the Americas」のラウンジスペース(約25席)をワークスタイリング会員も利用できるようにする。
料金は午前8時~午後5時の営業時間のうち午前・午後の枠で各6000円。会員向けサイトで予約するとQRコードで入退室できる。ビルは地下鉄駅に直結し、地下通路でロックフェラーセンターとつながる。
三井不は4月からシェアオフィス事業を手がける米Industrious(インダストリアス)と連携し、ワークスタイリング会員が同社の欧米約130カ所の施設を通常料金の2割引きで使えるようにする。アジアにも対象の拡大を目指す。
三井不はワークスタイリング事業を2017年に始めた。3月時点で約1200社、約32万人が契約。全拠点を利用できるプラン料金は毎月の登録管理料(税別5万円~)と1人あたり10分ごとの利用料(同290円~)のほか諸経費がかかる。
【図・写真】三井不動産が米NYの自社ビルに開設したシェアオフィスのラウンジ=同社提供
札幌市営地下鉄 クレカ決済、試験導入 全駅、26日から[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 北海道 1ページ 308文字 PDF有 書誌情報]
札幌市は26日から、市営地下鉄全駅でクレジットカードなどのタッチ決済を試験的に導入する。現金で切符を購入する必要がなく、クレジットカードやスマートフォンで乗車できるようになる。事前にチャージが必要な交通系ICカードを持たないインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもある。
クレカなど向けタッチ決済の読み取り機が付いた改札を、市営地下鉄全49駅の各改札口に1台ずつ設置した。インバウンドの利用客が多い南北線さっぽろ駅には、各改札口に2台ずつ配置した。
利用者数など今後の運用状況を踏まえ、2026年度以降に本格的に導入する。同市は25年度中に、路面電車(札幌市電)の全車両にもタッチ決済機器を搭載する予定だ。
都、福祉人材の復職促進 研修充実、離職防止にも力 就労半年で奨励金[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 東京 5ページ 1423文字 PDF有 書誌情報]
東京都は、人手不足が深刻化している介護福祉士、社会福祉士、保育士など福祉人材の有資格者や介護支援専門員(ケアマネジャー)らの復職支援を強化する。相談員による伴走支援やリスキリング施策を充実させ、実際に就職した人への奨励金なども用意する。資格や経験のある即戦力人材の活躍を促し、効果的な人材確保につなげる。
介護、保育、障害福祉分野などの求人情報を掲載する都の情報サイト「ふくむすび」を用いた復職支援を強化する。2025年度から介護福祉士などの資格のある人が同サイトに登録した場合、決済アプリで使える500円相当のポイントを付与。現在は福祉分野で働いていない潜在人材の登録や利用拡大を目指す。
登録者には最新の介護保険制度に関する座学や実技演習などのリスキリングメニュー、東京都福祉人材センターによる就職相談の機会も提供。「福祉の仕事から離れていた人が不安なく復職できるように支援する」(都福祉局生活福祉部)
都はキャリアアップの仕組みや研修制度を充実させている福祉事業所の認定制度を設けている。都による復職支援では優良事業所への紹介に力を入れることで、職員の待遇改善や就職後のミスマッチも防ぐ。相談員とやりとりして実際に就職した場合には、5000円相当のポイントも給付する。
東京都によると、就職していなかったり他の仕事をしている介護福祉士は、把握できるだけでも20年度時点で約9000人いた。サイト登録者数は24年度末時点で約3000人にとどまるが、ポイント付与などの取り組みを通じ、25年度には新たに1万人の登録者増、相談員を介した約740人の就職を目標とする。
25年度には要介護者や要支援者の相談を受けて対応策を作成するケアマネジャーの再就職支援も始める。就職や転職を希望する人向けに相談窓口を新たに設置し、就職後、6カ月間働き続けた人には10万円の奨励金を給付する。
都内では2万2300人がケアマネジャーに登録されているが、資格を使って働いていない「潜在人材」は3割超の約7500人にのぼる。ケアマネジャーは業務量の増加や処遇改善の遅れが指摘されており、復職するうえでのハードルとなっている。介護従事者への最大2万円の手当支給や事業所向けの経費補助なども用意し、処遇改善を後押しする。
高齢化に伴い、都内では福祉職場の人手不足が深刻化している。都内の高齢者(65歳以上)は20年時点で319万人と、人口の23%を占めた。都の推計では45年には396万人、29%に上昇する見通しだ。介護保険の要介護認定を受けている人は22年度時点で65万人だが、30年度には76万人になる見込みだ。
一方、東京労働局によると25年2月の「介護サービス職業従事者」の有効求人倍率(原数値)は8.04倍と職業全体(1.53倍)を上回る。都の推計では、高齢化に伴い30年度に都内で約4万7000人の介護職員が不足する見通しだという。
介護人材の確保は全国的な課題となっており、在留資格「特定技能」の活用など外国人の受け入れも進んでいる。都は25年度、人材紹介費用の補助や国家資格の取得支援も始め、幅広い人材確保策を講じる。有資格者の復職を後押しする支援策や業界の待遇改善などを通じて、資格や経験がある即戦力が活躍できる仕組みの整備もより重要となりそうだ。
(久保田皓貴)
【図・写真】資格があり復職を検討する人を伴走支援する(東京都福祉人材センター)=イメージ
中部電、太陽光で住宅ローン優遇 戸建て向け来年度メド 電気+金融で新電力に対抗[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
中部電力の販売子会社、中部電力ミライズは金融事業を拡大する。提携先の住信SBIネット銀行を通し、2026年度をめどに太陽光発電などを導入する環境型住宅に対しローンを優遇する個人向けサービスを始める。電力自由化で東邦ガスや新電力が電力契約を増やしている。中部電は金融サービスと組み合わせて戸建て家庭の契約で反転攻勢をかける。
中部電力ミライズは家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」を始めた。住信SBIの銀行口座から電力料金などを口座振替で支払うと、最大5%をポイント還元する。家庭向けの新サービスはカテエネBANKの加入者を対象とする。
カテエネBANK拡充の一環として住宅ローン優遇を26年度をめどに始める。既に住信SBI銀行を通した住宅ローンの提供を行っているが、環境型住宅向けの優遇ローンを提供することを検討する。窓口は太陽光パネルや住設機器などを販売する中部電力ミライズ運営の「ミライズショップ」となる公算が大きい。
カテエネBANKの拡充と並行し、出店拡大も検討する。現在、ミライズショップはイオンモールナゴヤドーム前(名古屋市)に限られている。
3月末に閉店した家庭向けサービスショップ「カテエネショップ」があった岡崎市に、新たにミライズショップを出店することを視野に入れる。中部電力ミライズの神谷泰範社長は「弊社の顔が見える接点として期待したい」と話す。
法人向けのサービスも始める。25年度から住信SBIネット銀がシステム連携を通じて預金や決済などの銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を始める。中部電力は銀行免許よりハードルが低い銀行代理業の許可を得て、企業向けの融資に関与する。
BaaSを活用し、電気の支払い状況や使用量を信用情報とした融資も視野に入れる。電力データに問題がないと判断された場合、融資や家賃保証の条件を緩和したり、手続きが簡素になったりするようなサービスを提供したい考えだ。太陽光発電など脱炭素設備を導入した企業に対する融資優遇も今後検討していく。
金融サービスを拡大する背景にあるのは、電気事業の競争激化がある。中部では中電以外のインフラ企業による電力事業が活発になっている。東邦ガスの電気事業は、加入件数が昨年12月末で約67万件と前年同期比で10%増えた。サーラコーポレーションも子会社を通して愛知県豊橋市内の蓄電所を25年夏に稼働させる見通しだ。
ポイントサービスを武器に、携帯電話会社の電気事業も伸長している。中部電力ミライズの神谷社長は「当社は大手企業など大口顧客には強い接点があるが、家庭や中小企業などには課題を抱えている。単に電気を提供するだけでは存在価値を発揮できない」と話す。
今後は金融データを活用し、「電力のみならず暮らし全体に向けたサービスを拡充する」(神谷社長)狙いだ。子どものいる家庭に対する教育ローンの提供や、家計管理の提案などを視野に入れる。暮らし関連のサービスの拡充で、電力を利用する顧客の確保につなげたい考えだ。
インフラ関連など非金融事業者がBaaSに参入する事例は増えている。24年8月には、関西電力が東京きらぼしフィナンシャルグループとBaaSサービスで提携すると発表した。関西電も再エネ事業への投融資や環境配慮型住宅向けのローン開発に取り組むとしている。
(川路洋助)
長谷工、ウッドフレンズを買収へ 木造マンションを強化[2025/04/10 22:50 日経速報ニュース 485文字 画像有 ]
長谷工コーポレーションは10日、東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドフレンズにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。住宅のラインアップを広げ、木造マンションの競争力を磨く。
TOB価格は9日終値(900円)に対して91%のプレミアムをつけた1株あたり1720円。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。
ウッドフレンズはTOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表した。TOBに応じない株主にはTOBの成立後、長谷工が強制買い取り(スクイーズアウト)を実施する。その後ウッドフレンズは上場廃止となる見通し。
ウッドフレンズは東海地方で中所得者向けの戸建て住宅や林業を手掛ける。長谷工は自社グループの営業網をウッドフレンズに提供する。長谷工は鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせたマンションを開発しており、木材調達を強化してコスト競争力を高める。
【関連記事】長谷工、大型マンションに「木造ハイブリッド」 都内で
イオンFS社長に深山氏 マネロン不祥事で企業統治強化[2025/04/10 19:35 日経速報ニュース 1378文字 画像有 ]
イオンの金融子会社、イオンフィナンシャルサービス(FS)は10日、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を担当する深山友晴氏(51)が社長に就く人事を発表した。傘下のイオン銀行でマネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があり前社長が引責辞任した。改革の統括役をトップにし、再発防止などの体制整備を急ぐ。
5月23日に開く株主総会後の取締役会を経て正式に就任する。社長を兼務していた白川俊介会長(61)は代表権のない会長となる。
イオン銀行を巡っては金融庁が2024年12月、マネロン対策の不備で銀行法に基づく業務改善命令を出した。経営責任を明確にするため25年1月にイオンFSの藤田健二社長が引責辞任し、イオン銀行の小林裕明社長も解任した。
深山氏は海外事業の経験が長い。20年に香港に上場するイオンクレジットサービス(アジア)社長に就いたほか、24年にはベトナムの事業拡大の責任者も務めた。マネロン対策の不備を受けて25年3月に「グループガバナンス改革担当」になり、体制整備の責任者となった。
最優先課題はガバナンスの強化になる。
3月に経営監査部を社長直轄の組織とし、三井住友フィナンシャルグループで監査部長の経験がある谷新一郎氏(63)を新たな常勤監査役に招くことも決めた。銀行だけでなく海外事業や保険事業など各部門のリスクの洗い出しなどを横断的に実施できるようにする。
クレジットカード「イオンカード」でも昨夏から不正利用が多発した。対応が遅れたことなどもあり、数万人の会員が被害を受けた。マネロン不祥事と併せて再発を防止し、株主や利用者の信頼を取り戻したい考えだ。
イオンFSの業績は堅調だ。
10日に発表した25年2月期の連結決算は売上高にあたる営業収益が前の期に比べて10%増の5332億円、営業利益は23%増の614億円だった。クレカの分割払いやキャッシングが増えたほか、香港などでは個人ローンの残高も伸びた。純利益は7%減の195億円だった。クレカの不正利用の被害に関連する費用として99億円の特別損失を計上した。
今後の成長の柱は決済サービスの利用者増と海外事業の拡大になる。
スマートフォン決済の「AEON Pay(イオンペイ)」をいかに伸ばすかがカギを握る。イオングループ以外の加盟店の増加を急いでいる。クレカなどと異なって小口決済が中心のため若者の利用者も多く、スマホ決済大手のPayPayに対抗する上で欠かせない。
スマホ決済や銀行口座、電子マネーの「WAON(ワオン)」などを組み込んだ金融アプリ「イオンウォレット」を通じ、イオングループが小売りから金融まで経済圏を拡大する要になる。
海外事業の拡大も不可欠だ。
営業利益に占める割合は6割ある一方、営業収益に占める割合は3割にとどまる。アジアなど海外は日本より金利が高く利益率が高い。すでにタイやマレーシア、中国など約10カ国・地域に進出しており、新規進出国の増加よりも現在の市場での利用者の底上げが重要になる。現地市場に精通した深山氏は海外事業の拡大でも重責を担うことになる。
深山 友晴氏(ふかやま・ともはる)97年(平9年)イオンクレジットサービス(現・イオンフィナンシャルサービス)入社。20年イオンクレジットサービス(アジア)社長、25年グループガバナンス改革担当
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札幌市営地下鉄、クレカ使用可能に 海外客も使いやすく[2025/04/10 19:18 日経速報ニュース 308文字 画像有 ]
札幌市は26日から、市営地下鉄全駅でクレジットカードなどのタッチ決済を試験的に導入する。現金で切符を購入する必要がなく、クレジットカードやスマートフォンで乗車できるようになる。事前にチャージが必要な交通系ICカードを持たないインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもある。
クレカなど向けタッチ決済の読み取り機が付いた改札を、市営地下鉄全49駅の各改札口に1台ずつ設置した。インバウンドの利用客が多い南北線さっぽろ駅には、各改札口に2台ずつ配置した。
利用者数など今後の運用状況を踏まえ、2026年度以降に本格的に導入する。同市は25年度中に、路面電車(札幌市電)の全車両にもタッチ決済機器を搭載する予定だ。
外為17時 円相場、反落 146円台前半 米関税の一時停止で[2025/04/10 17:30 日経速報ニュース 557文字 ]
10日の東京外国為替市場で、円相場は反落した。17時時点では前日の同時点に比べ70銭の円安・ドル高の1ドル=146円23~25銭で推移している。トランプ米大統領が9日、一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を一時停止すると発表した。世界景気が減速するとの懸念が和らいで「低リスク通貨」とされる円に売りが出た。
日米の株式相場の大幅上昇を受け、投資家心理が改善し、関税政策への警戒感から膨らんでいた円買い・ドル売りの持ち高が巻き戻された。
ただ、円相場が一段と下値を探る動きは限られた。きょうは事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。国内輸出企業などによる円買い・ドル売り観測が円相場の支えとなった。トランプ氏は9日、中国に対して累計125%の関税を課す方針を示した。10%の一律関税も維持しており「関税政策の先行きへの懸念は残っている」(国内銀行の為替担当者)との見方も根強く、円相場の下値は堅かった。
円は対ユーロでも反落した。17時時点では同97銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=161円26~32銭で推移している。
ユーロは対ドルで続伸した。17時時点は同0.0015ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.1029~30ドルで推移している。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
KDDI松田社長「自前こだわらず」 NTT超え、解は外にあり[2025/04/10 17:09 日経速報ニュース 1533文字 画像有 ]
1日付で就任したKDDIの松田浩路社長が10日、東京都内で記者会見を開き、パートナー企業との提携戦略を加速する方針を示した。日本でつくり上げたサービスの海外展開にも注力する。日本電信電話公社(現NTT)の独占に挑む形でKDDIの前身企業が誕生してから約40年。業界首位へのカギは外部の知見と海外、異業種の3つの「外」だ。
「自前主義にはこだわらない。パートナーと組んで大きなことに素早く取り組むのがKDDIの使命だ」。松田社長は会社の戦略についてこう語った。
主力の携帯電話事業が人口減少により大きな成長を見込みにくい中で、前任の高橋誠会長は金融や動画配信などのコンテンツといった非通信事業を育てて次への道筋を付けた。さらなる成長に向けては海外でのサービス拡大が急務となる。その担い手として後任に選んだのが、米アップルといった海外企業との交渉を担ってきた松田社長だった。
人口減や高齢化をはじめ諸課題についても先進国である日本で培ったサービスを海外展開する。人工知能(AI)を使った自律飛行型ドローン(小型無人機)を開発・製造する米スカイディオとKDDIは24年5月に資本業務提携した。ドローンを使ったインフラ点検や監視サービスなどを想定する。
スタートアップとの提携も加速する。米国でAIといった分野に投資するベンチャーキャピタル(VC)などに出資すると10日発表した。KDDIが新たに立ち上げるファンドと合わせて300億円規模の投資を検討する。松田社長はエンジニア出身だ。AIや通信などに精通しており、先端技術を有する企業との協業は今後さらに増えるとみられる。
KDDIがいち早く提携した米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」についても新しい動きがあった。スマートフォンと衛星が直接通信するサービスの提供を10日から始めた。国内の通信事業者が直接通信を手掛けるのは初めてとなり、米アップルのiPhoneなど、約600万台が対象となる。auの利用者であれば当面は無料で使えるようにしてアピールする。
KDDIは、1984年に発足した第二電電という前身企業も含めて生まれながらにしてNTT対抗が運命付けられた企業だ。研究開発費などの投資規模はNTTに見劣りすることから、それを補う形で外部の技術や知見を積極的に取り込んできた。NTTドコモの2025年3月期の売上高予想が6兆2440億円なのに対し、KDDIは5兆7700億円とまだ差がある。
同業他社にない強みの領域として成長期待をかけるのがコンビニエンスストアのローソンだ。5000億円を投じて、24年に三菱商事と共同経営することになった。KDDIは通信会社として唯一、全国展開する小売りチェーンをグループに引き入れた。全国の約1万4000店舗で新サービスを展開すれば、携帯電話や金融との相乗効果も生まれるとみる。
先進技術を取り入れたローソンの新店舗がKDDIの新本社(東京・港)で開業する予定だ。飲料の陳列をロボットで自動化したり、来店客が専用のアプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマホレジの導入などを想定している。顧客の利便性を高めるだけでなく、小売業で深刻な人手不足の対策にもなる。
小売りの現場をデジタル技術で効率化する「リテールテック」は他社への販売も検討する。松田社長は「高輪の新本社で培った技術を世界に展開していきたい」と述べた。
外部連携、海外、外から招いたコンビニという異業種。どれもお手本があるわけではない。特に活路とみる海外事業は松田社長自身「現状はまだまだと感じる」とハードルは高いと認める。高橋会長がまいた種を育ててKDDIの次をみせられるか。
(桜木浩己)
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ウルシステムズ、サントリービバレッジソリューションの自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発を支援[2025/04/10 16:46 日経速報ニュース 1328文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
サントリーの自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発を支援
~シンプルな決済体験を15万台のサントリー自販機へ拡大~
ウルシステムズ株式会社(本社 : 東京都中央区、代表取締役社長 : 横山芳成、以下、ウルシステムズ)はこのたび、サントリービバレッジソリューション株式会社(本社 : 東京都新宿区、代表取締役社長 : 森祐二、以下、SBS)の自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発プロジェクトを立ち上げからローンチまで全面的に支援しました。
※参考画像は添付の関連資料を参照
SBSは自販機による飲料水の販売やウォーターサーバーの提供などを手掛けるサントリーグループの企業です。このほど自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」をリリース。同社が運用するジハンピ対応自販機で、「ジハンピ」に連携することでクレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済を可能にしました。自販機での煩わしい端末操作を必要としないシンプルな決済体験が好評を博し、2024年12月に北海道で提供開始して以来、利用者数を着実に伸ばしています。スマホアプリや自販機向け決済端末などキャッシュレス決済に必要な仕組みを独自で用意することにより、低コストでの導入を実現しました。2025年中にサントリーの自販機約15万台をジハンピに対応させる予定です。
ウルシステムズはデジタル技術を駆使したビジネス変革や大規模プロジェクトマネジメントに関する知見を評価されてプロジェクトの初期から参画しました。「自販機のキャッシュレス決済をシンプルにする」というコンセプトを具現化すべく、PoC(概念実証)やフィジビリティスタディを通じたサービスのブラッシュアップ、業務プロセスとシステムの設計、決済端末の機能や通信方式の検討、システム開発会社の選定、システム全体の品質管理など多岐にわたる活動をSBSのプロジェクトチームのメンバーとともに推進しました。自販機キャッシュレス決済として過去に類を見ない優れた利用体験と高いポテンシャルを備えたサービスに仕上がったと自負しております。
SBSの本プロジェクトリーダーの井上尊之氏(マーケティング本部・副部長)は次のようにコメントしています。
「自販機を小売店と考える私達にとってキャッシュレス決済への対応は不可欠でした。圧倒的にシンプルな決済体験を多くのお客様へ提供したい。そんなアイディアをよりスピーディーに実現すべく、支援を受けることにしました。ウルシステムズを選んだのはソリューションを押し売りするのではなく、寄り添ってくれると感じたからです。事業会社とコンサルティング会社という組織の壁を超え、SBSのプロジェクトチームのコアメンバーとしてプロジェクトの成功に向けて全面的に支援してくれました。」
ウルシステムズはこれからもサントリーグループのビジネス変革をご支援してまいります。
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https://release.nikkei.co.jp/attach/689606/01_202504101716.jpg
三菱UFJ信託、ネット優待の事務受託 個人株主増加後押し[2025/04/10 16:30 日経速報ニュース 585文字 画像有 ]
三菱UFJ信託銀行は上場企業向けにインターネットで手続きする株主優待制度の事務受託サービスを始めた。通販サイトで利用できる共通ポイントを株主に配る場合などが対象になる。株主優待を導入しやすくして企業の個人株主増加に向けた施策を後押しする。
サービスを受託する専門サイトをこのほど立ち上げた。企業側はサイト上で優待制度の詳細を設計して株主総会の招集通知などにQRコードを掲載する。株主はサイトにアクセスして優待を受ける仕組みだ。価格は各社の内容ごとに異なり、年800万~900万円程度を想定する。5年で100社への導入を目指す。
企業側は株主の対応など優待関連の事務負担を三菱UFJ信託に委ねることができる。株主名簿の管理を業務とする信託銀行がサービスを手掛けるため、名簿の外部提供に抵抗がある企業の需要を取り込む。
株主優待で紙のギフト券などを配布する場合、優待を実施する企業側は発送の受け付けなどで事務負担がかかってきた。
株主優待制度は優待の活用が難しい機関投資家や海外投資家からは不公平だとの批判も根強い。三菱UFJ信託の調べによると、減少傾向が続いていた優待制度の実施社数は2024年12月までに増加に転じた。政策保有株の売却が増える中で長期で保有する個人株主の開拓を目指す企業が増えており、ネットで作業を完結できる今回のサービスは一定の需要があるとみている。
外為12時 円相場、下落 米相互関税の一時停止で 実需の買いが支え[2025/04/10 12:32 日経速報ニュース 662文字 ]
10日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=146円73~75銭と前日17時時点と比べて1円20銭の円安・ドル高だった。トランプ米大統領が9日に、相互関税の上乗せ分の一時停止を発表した。投資家のリスク回避姿勢が和らいだことで円売り・ドル買いが優勢となった。一方、輸出企業など国内実需勢の円買い・ドル売り観測が相場を下支えし、円は次第に底堅さを増した。
トランプ大統領は9日に自身のSNSで、同日発動した相互関税について、一部の国と地域で90日間の一時停止を許可する考えを示した。世界経済が減速するとの警戒感が後退したことで日米の株式相場が急反発し、「低リスク通貨」とされる円には売りが先行した。
もっとも、円相場は昼過ぎにかけて下げ渋った。9日の海外市場で約半年ぶりの高値をつけたあと148円台まで売られるなど、急速に円安が進んだ反動で、10日の東京市場では利益確定目的の円買い・ドル売りも入りやすかった。10日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたり、輸出企業など国内実需筋による円買い・ドル売り観測も相場の支えとなった。
円は対ユーロでも下落した。朝方に161円台後半まで円売り・ユーロ買いが進んだ後は、下げ渋った。12時時点は1ユーロ=160円99銭~161円03銭と、同70銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルでは下落した。12時時点は1ユーロ=1.0971~72ドルと同0.0043ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
オリコとイオンフィナンシャルサービス、イオングループの取引先中小企業・個人事業主向けにビジネスカードを共同発行で合意[2025/04/10 12:21 日経速報ニュース 1208文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
オリコ、イオンフィナンシャルサービス(株)とビジネスカードを共同発行
~イオンフィナンシャルサービスとの業務提携に係る基本合意に基づく第三弾~
株式会社オリエントコーポレーション(東京都千代田区、代表取締役社長 : 梅宮 真、以下「オリコ」)と、イオンフィナンシャルサービス株式会社(東京都千代田区、代表取締役会長兼社長 : 白川 俊介、以下「イオンフィナンシャルサービス」)は2024年3月25日付 業務提携に係る基本合意書に基づく協業の第三弾として、イオングループの取引先中小企業・個人事業主向けに、共同でビジネスカードの発行を行う事で合意いたしましたので、お知らせいたします。なお、ビジネスカードの募集開始は2025年9月を予定しています。
また、その他の協業分野では、コールセンター業務において生成AIを活用したロールプレイングツールに共通コンテンツを導入することやオリコ加盟店に対するAEONPay導入促進を目的とした契約を締結するなど協働案件は着実に進展しております。
【ビジネスカード_狙い・背景】
国内の中小企業では、生産年齢人口の減少等を背景として慢性的な人手不足が経営上の課題として最も強く認識されています。また、運転資金の確保やコスト削減などの財務面においても課題として認識されています。これらの課題解決に向け、オリコが持つ法人・個人事業主に対する与信ノウハウや法人向けの商品サービスを活用し、イオングループ約300社のお取引先やイオンフィナンシャルサービスの法人・個人事業主のお客さまへ利便性の高い決済ツールの提供を行ってまいります。また、WAONPOINT付与等のイオングループならではの特典を付帯することで、他のビジネスカードとの差別化を図ることが可能となるなど、協業による効果が発揮できると考えております。
※参考画像は添付の関連資料を参照
【ビジネスカード_スキームの概要】
本ビジネスカードは、カードの審査・発行・管理はオリコが実施、イオンフィナンシャルサービスはカード獲得や利用促進等の営業を担います。オリコが与信リスク管理を担うことで幅広いお客さまへビジネスカードの発行が実現し、イオンフィナンシャルサービスが営業を担うことでオリコ単独ではアプローチすることができなかったイオングループの取引先にサービスを提供することが可能となるなど双方にとって価値のある取り組みになります。
※以下は添付リリースを参照
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参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689581/01_202504101159.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689581/02_202504101159.pdf
東急建設とアイリッジ、共同開発を行う工具管理DXサービス「工具ミッケ」の改良版「工具ミッケII」を提供開始[2025/04/10 11:20 日経速報ニュース 900文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
東急建設とアイリッジ、まとめてQRスキャンが可能な工具管理DX「工具ミッケII」を提供開始
使いやすいインターフェースにリニューアル
登録フローをより簡素化し、働き方改革をサポート
東急建設株式会社(本社 : 東京都渋谷区、代表取締役社長 : 寺田 光宏、東京証券取引所プライム : 1720、以下「東急建設」)と株式会社アイリッジ(本社 : 東京都港区、代表取締役社長 : 小田 健太郎、東京証券取引所グロース : 3917、以下「アイリッジ」)は、両社が共同開発を行う工具管理DXサービス「工具ミッケ」の改良版となる「工具ミッケII」を、2025年4月より提供開始したことをお知らせします。
「工具ミッケ」は、RFID(無線自動識別)タグとスマートフォンアプリを活用した工具管理DXサービスとして2022年10月に販売を開始しました。これまで東急建設をはじめ、建設会社や鉄道事業者などの現場で導入される中で出てきた利用者からの要望にお応えして、このたび、アプリインターフェースの改良と工具登録フローの簡素化を行うとともに、工具識別用タグとしてQRコード(※1)も使えるようにしました。SCANDIT社の技術を採用することで、QRコード利用の場合も複数工具をアプリでまとめて読み取れるようにし、さらに利用のハードルを下げました。今後も引き続き導入拡大を目指してまいります。
※1)QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です
*イメージ画像は添付の関連資料を参照
※「工具ミッケ」は、東急建設株式会社と株式会社アイリッジの登録商標(登録第6653258号、登録第6671163号)です。
*以下は添付リリースを参照
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添付リリース
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外為10時 円相場、146円台後半に下げ渋り 中値「ドル売り」の声[2025/04/10 10:28 日経速報ニュース 572文字 ]
10日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げ渋っている。10時時点は1ドル=146円82~85銭と前日17時時点と比べて1円29銭の円安・ドル高だった。10日午前の取引で日経平均株価は急反発し、上げ幅は一時2800円を超えた。投資家のリスク回避姿勢が和らいでいるのは「低リスク通貨」とされる円売り・ドル買いを促した一方、輸出企業など国内実需筋の円買い・ドル売り観測が相場の支えとなった。
10時前には146円69銭近辺と、朝方につけた147円台後半から1円程度下げ幅を縮める場面があった。中値決済に向けては、「ドル売りが優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。10日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」で、国内輸出企業による円買い・ドル売り観測が相場の支えとなった。「年末にかけて円相場は現時点より円高・ドル安に進むとみている輸出企業は多く、少しでも円安方向に進むと円買い・ドル売りを入れている」(同担当者)との指摘があった。
円は対ユーロでも下げ渋っている。10時時点では1ユーロ=161円30~34銭と、同1円01銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルでは下落幅を縮めた。10時時点では1ユーロ=1.0985~86ドルと同0.0029ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
デジタルガレージ、オンラインで火災保険の申請完結[2025/04/10 09:00 日経速報ニュース 266文字 画像有 ]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
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中部電力、太陽光で住宅ローン優遇 戸建て向け反転攻勢[2025/04/10 05:00 日経速報ニュース 1390文字 画像有 ]
中部電力の販売子会社、中部電力ミライズは金融事業を拡大する。提携先の住信SBIネット銀行を通し、2026年度をめどに太陽光発電などを導入する環境型住宅に対しローンを優遇する個人向けサービスを始める。電力自由化で東邦ガスや新電力が電力契約を増やしている。中部電は金融サービスと組み合わせて戸建て家庭の契約で反転攻勢をかける。
中部電力ミライズは家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」を始めた。住信SBIの銀行口座から電力料金などを口座振替で支払うと、最大5%をポイント還元する。家庭向けの新サービスはカテエネBANKの加入者を対象とする。
カテエネBANK拡充の一環として住宅ローン優遇を26年度をめどに始める。既に住信SBI銀行を通した住宅ローンの提供を行っているが、環境型住宅向けの優遇ローンを提供することを検討する。窓口は太陽光パネルや住設機器などを販売する中部電力ミライズ運営の「ミライズショップ」となる公算が大きい。
カテエネBANKの拡充と並行し、出店拡大も検討する。現在、ミライズショップはイオンモールナゴヤドーム前(名古屋市)に限られている。
3月末に閉店した家庭向けサービスショップ「カテエネショップ」があった岡崎市に、新たにミライズショップを出店することを視野に入れる。中部電力ミライズの神谷泰範社長は「弊社の顔が見える接点として期待したい」と話す。
法人向けのサービスも始める。25年度から住信SBIネット銀がシステム連携を通じて預金や決済などの銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を始める。中部電力は銀行免許よりハードルが低い銀行代理業の許可を得て、企業向けの融資に関与する。
BaaSを活用し、電気の支払い状況や使用量を信用情報とした融資も視野に入れる。電力データに問題がないと判断された場合、融資や家賃保証の条件を緩和したり、手続きが簡素になったりするようなサービスを提供したい考えだ。太陽光発電など脱炭素設備を導入した企業に対する融資優遇も今後検討していく。
金融サービスを拡大する背景にあるのは、電気事業の競争激化がある。中部では中電以外のインフラ企業による電力事業が活発になっている。東邦ガスの電気事業は、加入件数が昨年12月末で約67万件と前年同期比で10%増えた。サーラコーポレーションも子会社を通して愛知県豊橋市内の蓄電所を25年夏に稼働させる見通しだ。
ポイントサービスを武器に、携帯電話会社の電気事業も伸長している。中部電力ミライズの神谷社長は「当社は大手企業など大口顧客には強い接点があるが、家庭や中小企業などには課題を抱えている。単に電気を提供するだけでは存在価値を発揮できない」と話す。
今後は金融データを活用し、「電力のみならず暮らし全体に向けたサービスを拡充する」(神谷社長)狙いだ。子どものいる家庭に対する教育ローンの提供や、家計管理の提案などを視野に入れる。暮らし関連のサービスの拡充で、電力を利用する顧客の確保につなげたい考えだ。
インフラ関連など非金融事業者がBaaSに参入する事例は増えている。24年8月には、関西電力が東京きらぼしフィナンシャルグループとBaaSサービスで提携すると発表した。関西電も再エネ事業への投融資や環境配慮型住宅向けのローン開発に取り組むとしている。
(川路洋助)
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東京都、介護福祉士やケアマネらの復職を支援 奨励金も[2025/04/10 05:00 日経速報ニュース 1385文字 画像有 ]
東京都は、人手不足が深刻化している介護福祉士、社会福祉士、保育士など福祉人材の有資格者や介護支援専門員(ケアマネジャー)らの復職支援を強化する。相談員による伴走支援やリスキリング施策を充実させ、実際に就職した人への奨励金なども用意する。資格や経験のある即戦力人材の活躍を促し、効果的な人材確保につなげる。
介護、保育、障害福祉分野などの求人情報を掲載する東京都の情報サイト「ふくむすび」を用いた復職支援を強化する。2025年度から介護福祉士などの資格のある人が同サイトに登録した場合、決済アプリで使える500円相当のポイントを付与。現在は福祉分野で働いていない潜在人材の登録や利用拡大を目指す。
登録者には最新の介護保険制度に関する座学や実技演習などのリスキリングメニューや、東京都福祉人材センターによる就職相談の機会も提供する。「福祉の仕事から離れていた人が不安なく復職できるように支援する」(都福祉局生活福祉部)
都はキャリアアップの仕組みや研修制度を充実させている福祉事業所の認定制度を設けている。都による復職支援では優良事業所への紹介に力を入れることで、職員の待遇改善や就職後のミスマッチも防ぐ。相談員とやりとりして実際に就職した場合には、5000円相当のポイントも給付する。
東京都によると、就職していなかったり他の仕事をしている介護福祉士は、把握できるだけでも20年度時点で約9000人いた。サイト登録者数は24年度末時点で約3000人にとどまるが、ポイント付与などの取り組みを通じて、25年度には新たに1万人の登録者増、相談員を介した約740人の就職を目標とする。
25年度には要介護者や要支援者の相談を受けて対応策を作成するケアマネジャーの再就職支援も始める。就職や転職を希望する人向けに相談窓口を新たに設置し、就職後、6カ月間働き続けた人には10万円の奨励金を給付する。
都内では2万2300人がケアマネジャーに登録されているが、資格を使って働いていない「潜在人材」は3割超の約7500人にのぼる。ケアマネジャーは業務量の増加や処遇改善の遅れが指摘されており、復職するうえでのハードルとなっている。介護従事者への最大2万円の手当支給や事業所向けの経費補助なども用意し、処遇改善を後押しする。
高齢化に伴い、都内では福祉職場の人手不足が深刻化している。都内の高齢者(65歳以上)は20年時点で319万人と、人口の23%を占めた。都の推計では45年には396万人、29%に上昇する見通しだ。介護保険の要介護認定を受けている人は22年度時点で65万人だが、30年度には76万人になる見込みだ。
一方、東京労働局によると25年2月の「介護サービス職業従事者」の有効求人倍率(原数値)は8.04倍と職業全体(1.53倍)を上回る。都の推計では、高齢化に伴い30年度に都内で約4万7000人の介護職員が不足する見通しだという。
介護人材の確保は全国的な課題となっており、在留資格「特定技能」の活用など外国人の受け入れも進んでいる。都は25年度、人材紹介費用の補助や国家資格の取得支援も始め、幅広い人材確保策を講じる。有資格者の復職を後押しする支援策や業界の待遇改善などを通じて、資格や経験がある即戦力が活躍できる仕組みの整備もより重要となりそうだ。(久保田皓貴)
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NF銀行ランキング、SMBC信託が首位 上位3行に信託銀 相続や不動産、専門性に支持[2025/04/10 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1380文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社は商品力やサービスの使いやすさで利用者がどの銀行を評価しているのかを分析する2025年の「NIKKEI Financial(NF)銀行ランキング」をまとめた。総合首位はSMBC信託銀行だった。貯蓄から投資への流れが加速するなか、外貨預金から相続まで幅広く資産運用サービスを提供する信託銀行が上位を占めた。
利便性、商品サービス、接客応対、企業姿勢、収益性の5つの項目について利用者への調査などを日経リサーチと実施し、各項目の得点の合算を偏差値にして順位を付けた。有効回答数50以上の78行でランキングにした。詳細は金融デジタルメディア「NIKKEI Financial」で公開した。
前回の24年ランキングでは新NISA(少額投資非課税制度)を背景に、スマホアプリなどの使い勝手が良いインターネット銀行が上位を席巻した。投資家の裾野が広がり顧客の相談内容も多様になるなか、今回の25年ランキングでは相続や不動産、富裕層向けのビジネスにも強い信託銀行が評価を得た。
SMBC信託銀行は顧客数が約70万人、店舗数は20程度で規模はメガバンクに及ばないが富裕層にも強い。米ドルやユーロなどの17種類の外貨預金、海外で外貨決済できるデビットカードなど商品サービスの評価が高かった。萩原攻太郎社長は「外貨にエッジをきかせられている」と話す。
2位の野村信託銀行は富裕層向けだけでなく預金にも力を入れる。支店を持たない軽量運営の強みを生かし1年物の定期預金金利を0.55%とし、0.275%の3メガバンクを上回る水準だ。3位にはみずほ信託銀行が入った。24年度から本部ではなく各支店が営業目標を独自に決める仕組みにし、顧客体験をどう高めるかを重視する。
信託協会の調べによると、24年9月末の信託財産総額は1746兆円と10年前に比べ約2倍に伸びた。投資信託だけでなく老後資産の運用として年金信託も増えた。信託銀行は相続の相談時に遺言信託などを組み合わせた提案ができる。預金や投資信託が窓口での営業の中心になる銀行に比べ、幅広い相談に対応できる人材をそろえる。
ネット銀行も存在感を示した。24年首位だったPayPay銀行は4位だった。スマホ決済サービスのPayPayから手軽に預金残高を確認でき、決済アプリの残高を銀行口座に移す際の手数料が無料だ。楽天銀行は6位だった。取引状況に応じて通販などに使えるポイントの付与が評価された。
メガバンクで最も順位が高かったのは、24年に続き三井住友銀行(5位)だった。金利上昇の恩恵で業績が拡大し、商業施設への積極出店やセキュリティー対策を評価する声があった。
地銀で最も順位が高かったのは山梨中央銀行(8位)だ。支店窓口の電子端末やスマホアプリの導入で間接業務を減らし、個人の資産運用などの相談に乗るアドバイザーを増やしている。ネット銀行などとの競争が激しさを増すなか、サービスのデジタル化に力を入れる地銀が評価された。上位には福岡銀行(13位)、琉球銀行(16位)が入った。
日銀がマイナス金利政策を解除して1年余りたち「金利ある世界」が日本にも戻りつつある一方、トランプ米政権の関税政策で株式を中心に金融市場の混乱が続く。顧客に動揺が走るなか、対面とデジタルを駆使した息の長い資産運用サービスの重要性が増す。
イオンFSが法人カード 9月にも発行、取引先囲い込み狙う[2025/04/10 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
イオン金融子会社のイオンフィナンシャルサービス(FS)は信販大手のオリエントコーポレーションと9月にも法人向けのクレジットカードを発行する。5000万人の個人会員を持つイオン経済圏を法人分野にも広げ、取引先の囲い込みを図る。
メガバンクなどは2025年度中に紙の約束手形や小切手の発行を終了する計画で、企業の商取引などでキャッシュレス化が進むことが見込まれている。
イオンFSは個人向けクレカで持つ強固な会員基盤が強みで、法人分野も強化することで決済額をさらに増やしたい考えだ。
総合スーパー(GMS)やドラッグストアを手掛けるイオングループ約300社と日常的に取引のあるメーカーや卸売業者などの中小企業を主な顧客層として見込む。生産から販売までのサプライチェーン(供給網)内で発生する商取引での法人クレカの利用を促す。
法人に対して与信する「コーポレートカード」と、個人事業主や中小企業の経営者に対して与信する「ビジネスカード」の2種類を発行する。
イオン経済圏拡大へ、オリコと法人カード 取引先囲う[2025/04/09 19:23 日経速報ニュース 596文字 画像有 ]
イオン金融子会社のイオンフィナンシャルサービス(FS)は信販大手のオリエントコーポレーションと9月にも法人向けのクレジットカードを発行する。5000万人の個人会員を持つイオン経済圏を法人分野にも広げ、取引先の囲い込みを図る。
メガバンクなどは2025年度中に紙の約束手形や小切手の発行を終了する計画で、企業の商取引などでキャッシュレス化が進むことが見込まれている。イオンFSは個人向けクレカで持つ強固な会員基盤が強みで、法人分野も強化することで決済額をさらに増やしたい考えだ。
総合スーパー(GMS)やドラッグストアを手掛けるイオングループ約300社と日常的に取引のあるメーカーや卸売業者などの中小企業を主な顧客層として見込む。生産から販売までのサプライチェーン(供給網)内で発生する商取引での法人クレカの利用を促す。
法人に対して与信する「コーポレートカード」と、個人事業主や中小企業の経営者に対して与信する「ビジネスカード」の2種類を発行する。
イオングループのWAON(ワオン)ポイントを0.5%還元するほか、クレカで支払いたい事業者とクレカ支払いを受け付けない事業者間の仲介や、資金繰りが厳しい取引先の売掛債権を現金化する機能も合わせて提供する方針だ。決済のみならず経営を財務面でも支援する。
クレカの審査と発行はオリコ、募集はイオンFSが担う。年1万枚を目標にクレカを発行する。
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セブン、迫力欠くコンビニ戦略 買収案対抗決め手乏しく[2025/04/09 18:58 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、2026年2月期の連結営業利益が前期比1%増の4240億円になりそうだと発表した。2年ぶりの増益を見込む。リテールメディア(小売り広告)事業の本格展開などの成長戦略も示したが、カナダ社の買収提案に対抗するには物足りないとの声も広がる。
売上高に当たる営業収益は10%減の10兆7610億円を見込む。イトーヨーカ堂などを束ねるヨーク・ホールディングス(HD)とセブン銀行を今期中に非連結化する影響を受ける。純利益は前期に計上した特別損失の影響が小さくなり、47%増の2550億円となる見通しだ。
米国コンビニ事業ではトランプ政権の関税政策による消費減速リスクを織り込み、25年度の米既存店売上高の増減率を1月時点の1.5%増から、1.5%減に引き下げた。9日夕にオンラインで開いた決算説明会で、スティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長は関税の影響について「経済や消費行動にはマイナスだ」と述べ、「他社よりも価値を提供するスピードを改善することで競合に打ち勝つ」との考えを示した。
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カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は7兆円規模の買収提案をセブンに提示している。セブンの時価総額は5兆円程度で、単独路線を進めるためには株価を上昇させる必要がある。
社長交代を発表した3月6日には米国コンビニ事業会社の新規株式公開(IPO)や2兆円の自社株買いといった資本政策を相次ぎ打ち出した。ただ、9日までの株価は13%安に落ち込む。市場の注目点はコンビニ事業の成長戦略に集まっていた。
新規出店623店、PBも強化
国内コンビニ事業は今期、営業利益を5%増の2447億円にする計画だ。コンビニの成長戦略の肝である新規出店は、都心部を中心に623店と高水準の出店を続ける。
24年秋に始めた低価格商品「うれしい値!」のほか、ドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶などレジ横商品の品ぞろえ強化で集客を図る。利益率の高いプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高を1兆5500億円と、前期から500億円増やす。
30年度までの長期戦略では、6年間で設備投資やM&A(合併・買収)に3兆2000億円を投じる。店舗のデジタルサイネージ(電子看板)などに広告を表示するリテールメディア事業を本格展開し、メーカーからの広告料で稼ぎながら、店舗に並べた商品の拡販にもつなげる。
まず25年に電子看板の設置店を現在の7倍の約3500店に拡大する。POS(販売時点情報管理)やスマートフォンアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。
ピザや焼き菓子などレジ横商品の拡充に向けて店内調理への投資を積み増すほか、最短20分で店から商品を届ける宅配サービス「7NOW(セブンナウ)」を通じて1店舗あたりの売上高を伸ばす戦略も盛り込んだ。省人化の取り組みも強化する。
ただ、小売り広告や宅配サービスは同業他社も力を入れている。ファミリーマートはすでに約1万店に電子看板を設置し、自社の決済アプリを使って食品メーカーの広告や割引クーポンを配信するサービスも行う。セブン関係者は「コンビニ成長策について手詰まり感がある」と新機軸を打ち出せない状況を認める。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「選択と集中をすすめ、主力のコンビニ事業で成長の絵を描く戦略だが、それにしては少し物足りない印象だ」と指摘する。
ACTの買収案か単独成長か 「5月末判断」を修正
セブンの買収を巡っては、ACTとの応酬が続いている。ACTはセブン全社を対象にしたデューデリジェンス(資産査定)を要請するが、セブンは買収交渉の前段階として、米独占禁止法の課題解決が必要不可欠との姿勢を鮮明にする。両社は米独禁法の解決のため、2000店規模に及ぶ店舗売却先候補を選ぶ作業を進めている。
セブンの社外取締役で構成する特別委員会は、セブン単独路線とACT案のどちらが企業価値向上につながるかを議論しているが、結論が出るにはなお時間がかかりそうだ。
セブンの丸山好道最高財務責任者(CFO)はACTの買収提案の受け入れ可否などについて、1月のアナリスト説明会では「5月の株主総会までに一定の判断をする」と表明していた。
丸山氏は9日の説明会で「(ACTと自社単独案について)現時点で比較できる状況にない。状況が変わり説明をできる時期になったら公表する」と話した。創業家主導の株式非公開化案が頓挫し、判断時期を事実上修正した。
企業価値を一気に高める施策を打ち出せない中、セブンがACTに対抗するためには加盟店オーナーや株主との対話が欠かせない。ただ、9日の決算説明会は次期社長のデイカス氏や丸山CFO、事業会社や関連会社の役員らが出席したが、現社長の井阪隆一氏の姿はなかった。説明会の方式もオンラインだった。
ある加盟店オーナーは「まずは実現可能なビジョンを示して取り組んでほしい。でなければ、オーナーは離反し優秀な社員も去っていく」とこぼした。
自社株買い最大6000億円、26年2月まで
同日、総額2兆円の自社株買いの方針の一環で、最大6000億円の自社株買いを始めると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の15.4%に当たる4億株を上限に取得する。取得期間は4月10日~26年2月28日。一連の発表後、セブン&アイ株は時間外取引で同日の東証終値比一時5%上昇した。
25年2月期の連結決算は営業収益が前の期比4%増の11兆9727億円、純利益が同23%減の1730億円だった。インフレの影響などで主力の日米コンビニ事業が低迷した。構造改革の一環で米コンビニ不採算店舗の閉店費用やイトーヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退関連費用を計上したことも利益を押し下げた。
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明治、おいしさも環境も考えたチョコレート「アグロフォレストリーミルクチョコレート」をリニューアル発売[2025/04/09 17:00 日経速報ニュース 1245文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月09日
持続可能なカカオづくりを表現した新デザイン
商品のサステナブルな価値を伝える二次元バーコード付きで登場
おいしさも環境も考えたチョコレート
「アグロフォレストリーミルクチョコレート」
2025年4月15日リニューアル発売/全国(一部経路除く)
株式会社明治(代表取締役社長 : 松田 克也)は、おいしさも環境も考えたチョコレート「アグロフォレストリーミルクチョコレート」を、森とカカオの共存による、持続可能なカカオづくりから生まれた商品であることを伝えるパッケージにリニューアルし、2025年4月15日から全国で、コンビニエンスストアと駅売店を除く全経路にてリニューアル発売します。
●「森とともに生きるカカオ」と記載し、森とカカオの“共存”による、持続可能なカカオづくりの大切さを伝えるパッケージへ
●二次元バーコード付きパッケージで、詳しい商品情報の動画も見られる
*商品画像は添付の関連資料を参照
「アグロフォレストリーミルクチョコレート」は、「森をつくる農業」と呼ばれるアグロフォレストリーという農法によって栽培されたカカオ豆をカカオマス(※)に使用したチョコレートです。ブラジル トメアスー産カカオ豆の特長であるフルーティーな香りを生かしつつ、ミルクのコクに合うロースト感をお楽しみいただけるよう仕立てています。
カカオの生産は、森林伐採による自然環境破壊や生物多様性の損失という重大な社会課題を抱えています。当社は、これらの課題を解決する農法として注目されているアグロフォレストリーに2009年から取り組んでいます。今回のパッケージ変更では、森とカカオの共存が持続可能なカカオづくりにつながるというメッセージを込めた「森とともに生きるカカオ」を大きくあしらい、カカオポッドの中に植物・動物のイラストをデザインしてさまざまな生態系との共存を表現しました。また、当商品の詳細説明サイトへリンクする二次元バーコードや、当社独自のカカオ農家支援活動「メイジ・カカオ・サポート」のロゴをパッケージに配置することで、これまではなかなか伝えきれていなかった、商品のサステナブルな価値をお客さまへ伝えていきます。
当社は、本商品の発売を通じてチョコレートによるおいしさや楽しさを提供するとともに、森林の再生に貢献するなどのサステナビリティ活動を推進し、持続可能なカカオ生産に向けた社会課題の解決に貢献してまいります。
※カカオマスとは、カカオ豆から外皮を取り除いて磨砕して出来るペースト状のもの
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
商品画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689550/01_202504091657.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689550/02_202504091657.pdf
福岡市の施設にペロブスカイト太陽電池 80㎡に設置[2025/04/09 16:30 日経速報ニュース 527文字 画像有 ]
福岡市は9日、創業支援拠点「Fukuoka Growth Next(FGN)」の屋上に設置した薄くて曲げられる次世代の「ペロブスカイト太陽電池」を報道陣に公開した。積水化学工業が開発を進める防水材一体型の製品の商用化に向けた実証実験で、公共施設での取り組みは全国で初めてという。
ペロブスカイト太陽電池はフィルム型の次世代太陽電池で、軽量で折り曲げられることから壁面などにも設置できる。従来の太陽光発電設備の設置が難しかった場所への導入が期待されている。積水化学工業は2025年度中の商用化を目指している。
今回FGNへ導入されたのは、建物の屋根に使われる防水材と一体になったもの。設置枚数は28枚で、面積はFGNの屋根全体の2分の1から4分の1にあたる約80平方メートル。出力は約3~5キロワットを想定している。実証期間は2025年度いっぱいで、発電効率や耐久性などを検証する。
FGNと同様に市立香椎浜小学校の体育館の屋根にも設置しており、設置面積は約200平方メートルと国内最大規模になる。福岡市は30年度までにみずほPayPayドーム福岡の屋根などにペロブスカイト太陽電池の設置を目指すなど、都市圏での再生可能エネルギーの活用に力を入れている。
外為12時 円相場、大幅高 145円台後半 米関税発動前にリスク回避[2025/04/09 12:25 日経速報ニュース 853文字 ]
9日午前の東京外国為替市場で、円相場は大幅高となった。12時時点は1ドル=145円70~72銭と前日17時時点と比べて1円69銭の円高・ドル安だった。米関税政策で貿易摩擦が激化し、米国などの景気が悪化するとの懸念が強まっている。日本時間9日午後に米相互関税の発動を控え、日経平均株価が大幅安となり「低リスク通貨」とされる円の買いを誘った。
トランプ米政権は、報復関税を撤回しない中国に対し104%の関税を課す方針を示した。前日の米株安を受けて9日の日経平均は一時前日比1300円あまり下落した。日本株の下落に歩調を合わせて円買い・ドル売りが増え、9時50分ごろには145円13銭近辺まで買われた。
日米関税交渉について、ベッセント米財務長官は「通貨問題」も議論する姿勢だと伝わっている。「米国は(日本の)通貨安を批判しているため、円相場の押し上げ材料になっている」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)との声が聞かれた。
日銀の植田和男総裁は9日午前の衆院財務金融委員会で、トランプ米政権の相互関税について「内外の経済・物価を巡る不確実性は高まった」と語った。従来通りの姿勢を維持したとの受け止めは円の買い材料となった。10時前の中値決済に向けては、「若干、ドル余剰のようだ」(国内銀行の為替担当者)との見方があったものの「相場のボラティリティー(変動率)が高く、商いは薄い」(同)との声が聞かれた。
日本時間9日午後の取引で、米長期金利は4.36%前後と8日の米債券市場の終値(4.29%前後)から上昇し、円相場の上値を抑える場面もあった。
円は対ユーロでも上昇した。12時時点は1ユーロ=160円51~55銭と、同49銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1016~17ドルと同0.0093ドルのユーロ高・ドル安だった。米景気への懸念が高まり、ユーロや主要通貨に対してドル売りが進んだ。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
株1300円安 米関税に追い証のダブルパンチ 業績予想「未定」リスクも[2025/04/09 12:09 日経速報ニュース 1180文字 ]
9日午前の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落した。一時は3万1708円と、前日と比べた下げ幅を1300円まで広げた。トランプ米政権が掲げる相互関税で国・地域別の上乗せ税率が日本時間9日午後1時過ぎに発動されるのを前に、輸出関連株を中心に幅広い銘柄が大きく下げた。足元の相場急落で個人投資家の懐具合は悪化している。決算シーズンに向けて業績の先行きにも不透明感が漂うなか、早期の相場回復は見込みづらくなっている。
8日の日経平均は海外短期筋を中心とした自律反発狙いの買いで1876円高と大幅反発したものの、9日は米株式相場の下げを受けて多くの銘柄が再び売りを浴びている。日経平均が2644円安と歴代3番目の下げ幅を記録した今週7日、個人投資家の間では信用買いの追加証拠金(追い証)が発生していたようだ。外部環境の悪化だけでなく、追い証発生を受けた需給悪化も相場の重荷になっている。
信用取引では最低限守る必要がある「最低保証金維持率」が定められており、ネット証券では20%が多い。相場下落によって含み損が膨らみ、最低保証金維持率を下回ると追加の保証金を差し入れる義務が発生する。追い証発生の翌々営業日つまり今回の場合は9日が強制決済日にあたるケースが多いとみられる。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストによると、9日の後場寄りが追い証の強制決済に絡む大手ネット証券からの売りのボリュームゾーンのようだ。ただでさえ、米関税警戒で下げているところに追い証の売りでダブルパンチとなり、後場は一段安になりかねないというわけだ。
具体的にどの銘柄が追い証の対象になっているかは分からないが、個人の参加の多いグロース市場ではサンバイオやGENDAといった主力株が大幅安となった。プライム市場でも信用買い残の多いメガバンクやアドテストなどの下げが目立った。
後場に相場の下げが加速した場合、「先回りして売っていた投資家にとっては安く買い戻せるチャンス」(松井証券の窪田氏)と見ることもできる。もっとも、米関税が企業業績にどの程度の影響を与えるか足元では読むのが難しく、輸出関連銘柄に買いが広がるとは考えにくい。今後、日本政府が米政権との交渉を経て関税の引き下げなどにこぎ着ければ企業業績にはプラスだが、業績予想の前提条件が大きく変わることにもなる。自動車メーカーなどの生産計画も立てづらくなるとみられる。そのため「3月期決算では業績予想を『未定』とする企業が相次ぐリスクがある」とも窪田氏は話す。
目先の日経平均の下値めどについて、直近7日に付けた安値近辺の3万1000円とみる市場関係者は多い。しかし、24年8月の急落後のような戻りを、4月下旬から5月にかけての決算シーズンで再現するのは難しいだろう。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
外為10時 円相場、上げ幅拡大 145円台半ば 株安と歩調合わせる[2025/04/09 10:35 日経速報ニュース 736文字 ]
9日午前の東京外国為替市場で、円相場は上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=145円40~42銭と前日17時時点と比べて1円99銭の円高・ドル安だった。9時50分ごろには145円13銭近辺まで上昇した。米関税政策による景気下振れ懸念を背景に、9日午前の日経平均株価が下げ足を速めるのに歩調を合わせて「低リスク通貨」とされる円に買いが集まった。
米中の貿易戦争の激化を懸念して、9日の日経平均株価は一時前日比1300円あまり下落した。日銀の植田和男総裁は9日午前の衆院財務金融委員会で、トランプ米政権の相互関税について「内外の経済・物価を巡る不確実性は高まった」と語り、「(米関税の先行きを)注視しながら適切に政策運営していきたい」との考えを示した。「従来通りの姿勢を維持した」(国内銀行の為替担当者)との見方は円相場の支えとなった。
10時前の中値決済に向けては、外為市場で円高が進んでいるため「若干ドル余剰のようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。輸出企業などの円買い・ドル売りが観測が相場を押し上げた。「相場のボラティリティー(変動率)が高まっており、実需筋の売買は手控えられている」(同)との声も聞かれた。
円は対ユーロでも上昇した。10時時点では1ユーロ=160円18~21銭と、同82銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上げ幅を拡大した。10時時点では1ユーロ=1.1016~17ドルと同0.0093ドルのユーロ高・ドル安だった。米景気への懸念が高まり、ユーロや主要通貨に対してドル売りが進んだ。「損失覚悟(ストップロス)のユーロ買い・ドル売りが増えたようだ」(銀行担当者)との声も聞かれた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
日経銀行ランキング、SMBC信託が首位 上位3行に信託[2025/04/09 05:00 日経速報ニュース 1601文字 画像有 ]
日本経済新聞社は商品力やサービスの使いやすさで利用者がどの銀行を評価しているのかを分析する2025年の「NIKKEI Financial 銀行ランキング」をまとめた。総合首位はSMBC信託銀行だった。貯蓄から投資への流れが加速するなか、外貨預金から相続まで幅広く資産運用サービスを提供する信託銀行が上位を占めた。
利便性、商品サービス、接客応対、企業姿勢、収益性の5つの項目について利用者への調査などを日経リサーチと実施し、各項目の得点の合算を偏差値にして順位を付けた。有効回答数50以上の78行でランキングにした。項目別の順位など詳細は金融デジタルメディア「NIKKEI Financial(https://financial.nikkei.com)」で公開した。
2位に野村信託銀行、3位にみずほ信託銀行が入った。信託銀行は相続の相談時に遺言信託などを組み合わせた提案ができ、不動産の売却にも強い。預金や投資信託が窓口での営業の中心になる銀行に比べ、幅広い相談に対応できる人材をそろえる。
24年の銀行ランキングで上位を席巻したネット銀行も存在感を示した。昨年首位だったPayPay銀行は4位、楽天銀行は6位、住信SBIネット銀行は7位だった。スマホアプリの使いやすさ、取引状況に応じて通販などに使えるポイントの還元などが評価された。
メガバンクで最も順位が高かったのは24年に続き三井住友銀行(5位)だった。金利上昇の恩恵で業績が拡大し、商業施設への積極出店やセキュリティー対策を評価する声があった。地銀で最も順位が高かったのは山梨中央銀行(8位)で、商品サービスや接客応対の評価が高い。
信託、外貨預金に相続も 運用立国で存在感
総合首位のSMBC信託銀行は顧客数が約70万人、店舗数は20程度で規模はメガバンクに及ばないが富裕層にも強い。米ドルやユーロなどの17種類の外貨預金、海外で外貨決済できるデビットカードなど商品サービスの評価が高かった。萩原攻太郎社長は「外貨にエッジをきかせられている」と話す。
2位の野村信託銀行は富裕層向けだけでなく預金にも力を入れる。支店を持たない軽量運営の強みを生かし1年物の定期預金金利を0.55%とし、0.275%の3メガバンクを上回る水準だ。3位のみずほ信託銀行は接客応対の評価が高い。24年度から本部ではなく各支店が営業目標を独自に決める仕組みにし、顧客体験をどう高めるかを重視する。
信託協会の調べによると、24年9月末の信託財産総額は1746兆円と10年前に比べ約2倍に伸びた。投資信託だけでなく老後資産の運用として年金信託も増えた。新NISA(少額投資非課税制度)が追い風となり、ウェルスマネジメント(富裕層向け運用)にも強みを持つ信託銀行の存在感を示す結果となった。
ネット銀も2年連続上位、メガ銀トップは三井住友
24年の銀行ランキングで上位4行を占めたネット銀行も評価が高い。PayPay銀行はスマホ決済サービスのPayPayから手軽に預金残高を確認でき、決済アプリの残高を銀行口座に移す際の手数料が無料だ。楽天銀行は取引状況に応じてネット通販で利用できる「楽天ポイント」が付く。
地銀で最も順位が高かったのは8位の山梨中央銀行だった。支店窓口の電子端末やスマホアプリの導入で間接業務を減らし、個人の資産運用などの相談に乗るアドバイザーを増やしている。ネット銀行などとの競争が激しさを増すなか、サービスのデジタル化に力を入れる地銀が評価された。上位には福岡銀行(13位)、琉球銀行(16位)が入った。
日銀がマイナス金利政策を解除して1年余りたち「金利ある世界」が日本にも戻りつつある一方、トランプ米政権の関税政策で株式を中心に金融市場の混乱が続く。顧客に動揺が走るなか、対面とデジタルを駆使した息の長い資産運用サービスの重要性が増す。
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ドンキ、「まねきねこ」とタッグ アプリ会員拡大 クーポン配布、若年層取り込む[2025/04/09 日経MJ(流通新聞) 2ページ 1453文字 PDF有 書誌情報]
ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(HD)がカラオケや料理宅配と組み、若年層を開拓する。コシダカホールディングスやウーバーイーツジャパン(東京・港)と連携し、割引クーポンを提示するなどして相互送客する。若年層と親和性の高い小売り以外の企業と組むことで、アプリ会員の拡大につなげる。
4月1日にドンキとまねきねこの双方の公式X(旧ツイッター)で、店舗名が「まねきホーテ」になったドンキの外観画像、看板が「ドンキねこ」になったカラオケ店の画像が投稿された。これはエープリルフールにかけた企画だ。
パンパシHDとまねきねこを運営するコシダカホールディングスは1日付で業務提携を結んだ。パンパシHDはこれまで商品で他社と協業することはあったが、販促や会員向けの施策で協業するのは初めてという。
ドンキ利用時にまねきねこで使える10%割引きクーポンを発行するほか、まねきねこ利用時にはパンパシHDの自社アプリ「majica(マジカ)」のポイントを付与する。さらに、ドンキで使える5%割引きクーポンも配布する。2024年11月から一部の店舗で実証実験を実施しており、一定の効果があるとみて提携を決めた。
協業はクーポン以外にも広げる方針だ。まねきねこの店舗でマジカのアプリをダウンロードした来店客には、ドンキのプライベートブランドの菓子やおつまみを無料で提供することも検討する。カラオケ機器の画面を使って、ドンキを宣伝するリテールメディア(小売り広告)でも連携を見込む。
パンパシHDの狙いは若年層の取り込みだ。まねきねこは1500万人のアプリ会員を抱え、若年層の利用が多い。一方でマジカは1600万人の会員を持つが、40代が主要層で若年層は3割弱にとどまる。大学生を中心に人気の高いまねきねこと連携することで、マジカで若年層の会員を増やしたい考えだ。
パンパシHDは15~24歳の若年層人口の半分をマジカ会員として獲得することを目標に掲げている。学生など若い時期にドンキに来店し、その後結婚したら家族連れで利用してもらえるようにする。顧客に継続してもらうためにマジカの利用を広げ、最終的にはパンパシHDが提供するクレジットカード「UCSカード」の会員獲得につなげていく。
ウーバーイーツジャパンや、ふるさと納税の返礼品事業を手掛けるさとふる(東京・中央)とも、連携を始めた。マジカにウーバーイーツで使えるクーポンを配布し相互送客を狙う。
パンパシHD傘下で金融事業を手掛けるパン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス(東京・目黒)の岩淵功太郎社長は「エンターテインメントや旅行、飲食など小売り以外の分野と提携を広げて、マジカが様々な場所で使えるようにしたい」と話す。
決済を中心とした経済圏を巡っては、ソフトバンク系のPayPayのアプリ登録者数が24年8月時点で6500万人を超え、先行する。岩淵社長は「ポイント還元で戦うことはせず、ドン・キホーテが強みとする買い物のエンタメ性や(店舗で大幅に値引きして販売する)『マジ価格』で差異化したい」とした。
(平岡大輝)
【図・写真】ドン・キホーテ利用時にまねきねこで使える割引きクーポンを配布する(大阪府貝塚市にあるドン・キホーテ貝塚店)
【図・写真】「まねきねこ」と「ドン・キホーテ」が1日、エープリルフール企画で連携し、コラボ店名に「改名」した(カラオケまねきねこ公式Xアカウントから)
「auPAY」でデジタル給与払い提供 auペイメント[2025/04/09 日経MJ(流通新聞) 5ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)は、スマートフォン決済「au PAY」を通じて給与をデジタル払いすることができるサービスの提供を始めたと発表した。厚生労働省が指定事業者として認定した。デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目となる。
すでにKDDIのグループ会社の一部が導入した。給与のデジタル払いを導入したい事業者は、従業員が専用の給与受取口座を開設する方式か、口座を開設せずにau PAYの会員情報を通じて直接受け取る方式を選ぶことができる。
給与としてau PAYにチャージできる金額の上限は10万円とした。給与口座からauじぶん銀行の口座に出金する場合の手数料は無料とした。他の金融機関では月に1回まで無料とし、2回目以降は220円とした。
【図・写真】デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目
佐渡汽船、体制刷新後初の減益 変動運賃制 夏に計画――若い外国人採用、新陳代謝進む 尾渡英生社長[2025/04/09 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 658文字 PDF有 書誌情報]
佐渡汽船の尾渡英生社長の一問一答は以下の通り。
――人材確保はどのように進めていますか。
「世界的に不足している船員については4月に12人を新卒採用できた。来年も同様に採用できればなんとかなると見込んでいる。宿泊・物流では24年から技能実習生の採用も始めていて、島内のSADO二ツ亀ビューホテルはインドネシアから3人、グループの佐渡汽船運輸の自動車整備工場のメカニックはカンボジアから2人に来てもらった」
――技能実習生の採用で気をつけている点は。
「まず職場や地域、佐渡の自然条件になじんでくれるかは本当に心配で手厚くケアしてる。指導員がついて仕事を教えるのは当たり前のこととして、仕事以外のところのメンターもついて、何か悩みがないか聞いたり、地域の人たちと交流ができる場を設けて参加してもらったりしている」
「外国人だからコストは抑えられるわけではなく、逆に住み込みのための設備投資など色々な費用がかかる。ただ若い人たちに入ってもらうことで新陳代謝が進み、トータルでは年配の人を採用するよりも費用を下げることができる」
――利用者の利便性向上に向けた施策は。
「インターネット予約の際にチケット情報やQRコードを携帯に送り、そのままフェリーに乗れるシステムを25年に作る予定だ。レンタカーでは3月から同様のシステムの運用を始めていて、佐渡に着いたらすぐに車に乗っていけるようにしている。フェリーとレンタカーでデータベースは異なるが、なるべく同じ情報を二度打ちしなくていいように工夫している」
(聞き手は高垣祐郷)
千曲運輸 青果、脱当日発送で労働負荷軽減 冷蔵技術+DX 鮮度保つ(信越企業攻めの一手)[2025/04/09 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 1005文字 PDF有 書誌情報]
千曲運輸(長野県小諸市)が2024年問題の解決に向け、青果物流の長年の慣習だった当日発送からの脱却に挑んでいる。鮮度第一の青果物流ではトラック運転手の長時間労働などによって収穫から市場までのリードタイム短縮を実現してきた。同社は「時間」ではなく、冷蔵性能向上や情報システムなど「技術」の力で当日発送並みの鮮度を目指す。
前職がシステムエンジニアだった中嶋剛登社長が提案するのがDX(デジタルトランスフォーメーション)などで青果物流を根本から変える「ベジロジ・ナカジマメソッド」。翌日発送にリードタイムを延ばすことで生産者、物流業者、卸売業者の労働負荷を軽減しつつ青果を高鮮度のまま届ける。柱は高機能な冷蔵倉庫と冷蔵トラック、情報システムの3つだ。
葉物野菜は鮮度を維持するため収穫後に予冷が必要になる。そこで新たに高鮮度冷蔵倉庫を大阪市の企業と開発した。庫内温度を0度、湿度を100%に保つことで野菜の鮮度を最低48時間保持できる。「実際にレタスを予冷したところ、当日発送と見た目も触感も見分けが付かなかった」(中嶋社長)という。
高機能冷蔵トラックは荷室の断熱材の見直しや冷風を循環させるエアフローの向上で冷蔵性能を大幅に改善した。断熱材の厚みを抑えて積載量を維持しつつ、冷風を室内にくまなく行き渡らせて運搬中の室内温度を一定に保つ。現在1台を試験運用中で、近く2台目を導入予定だ。
3つ目の情報システムは出荷場から卸売市場までのデータ連携だ。伝票や車両の位置・積み荷情報・到着時間を共有し業務を効率化する。システムはスマホアプリに実装、従来は紙伝票でやりとりしていた納品情報がQRコードを読み込むだけで送れる。データの受け渡し時間が短縮され、運転手の待ち時間が減らせるという。
ベジロジ実現に向けて2023年2月に「青果物物流DX推進協議会」を設立し農水省の補助金も受けた。25年2月に行った実証実験では、卸売業者で「従来6人がかりで6時間10分かかった作業がデータ連携により3人で4時間で終えられる効果が確認できた」(同)。情報システムは今年度中に実装を始める計画だ。
「先代の父親が他社に先駆けて青果物流に保冷車を採用するなど当社は節目節目で変わったことをやってきた」と中嶋社長。今後はデータ連携の拡張などを進めベジロジを実用化し、翌日発送を青果物流のスタンダードにするべく意欲を燃やす。
(羽田洋子)
25年04月13日
アフリカとどう向き合う 国連機関高官ら3氏に聞く-アフナ・エザコンワ氏/今井斗志光氏/堀内俊彦氏[2025/04/13 05:00 日経速報ニュース 4275文字 画像有 ]
3年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)が8月に横浜市で開催される。世界の分断が進む中、潜在的な成長力やビジネスチャンスから「最後のフロンティア」といわれるアフリカと日本はどう向き合えばいいのか。日本企業による投資の出遅れも気がかりだ。関係者に聞いた。
◇ ◇ ◇
「自国第一」に対抗を UNDP総裁補兼アフリカ地域局長 アフナ・エザコンワ氏
米欧が途上国向け援助の削減に動いている。自国が利益を得られるプロジェクトだけに投資すべきだとの思考に陥っているようだが、あまりに近視眼的な判断だ。国際社会のあり方は長期的な視野に立って考えなければならない。繁栄する社会の一員であり続けるには、平和で繁栄を共有する世界が必要なのだから。
日本は高度に工業化された国だ。その経済は輸出などを通じて他の国々の消費が支えている。人口減少に直面する日本が長期的に成長を持続するには、ますます海外の市場に頼らざるを得ないだろう。
アフリカは人口の中央年齢が19歳と世界で最も若い大陸だ。15億人の巨大なマーケットもある。消費意欲が旺盛な中流階級が増加すれば、日本企業にとって大きなチャンスが生まれる。教育や医療といった「人への投資」の拡大は将来の中流階級を育成することにつながる。
日本はグローバルノース(先進国)とサウスの架け橋になる役割を果たせる国と考えている。米欧は遅れた途上国を援助するという発想が強すぎる。一種の依存関係になっており、必ずしも健全とはいえない。TICADをプラットフォームとして活用し、日本の持ち味である途上国とのより対等なパートナーシップを新たな南北関係として広げられるのではないか。
TICADはもっと日本の若者に焦点を当てるべきだろう。アフリカは若者の大陸であり、デジタルテクノロジーで大きな変革が起こりつつある。日本の若者がアフリカを訪れる機会を増やしてもらいたい。若者なら現地のニーズやアフリカの潜在力、チャンスをより深く感じ取れるはずだ。文化的な障壁なども打ち破れるだろう。
アフリカが地理的に日本から遠いのは確かだ。しかし、感覚的な距離感はそれよりも遠い。日本の若者がTICADに参加すれば、人と人との交流の拡大や新たな共創のアイデアにも期待できる。
TICADにおいて民間の役割は極めて重要だ。日本の経済界では、社会課題の解決を目指す現地のスタートアップへの投資拡大の取り組みが進んでいる。日本政府が民間企業としっかり連携し、大学やシンクタンクとも協力してくれることを望んでいる。
米欧や中国が開催するアフリカとの首脳会議はバイラテラル(2国間)だが、TICADは違う。国連開発計画(UNDP)や世界銀行を巻き込みながら日本が議論をリードする枠組みだ。単なる国家間の政治的協議ではない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)とも連動しやすい。
資金援助が開発協力のすべてではない。政府開発援助(ODA)はむしろ民間の投資や貿易促進のためのカタリスト(触媒)として使うべきだ。システムを改革することで多くの民間資金が開発分野に流入する可能性は大いにある。実態を反映しない不公正な格付けの是正や公的資金によるリスク軽減が有効だろう。
求められるのは国際協調と連携だ。グローバルな連帯は必要ないという主張に対抗する必要がある。日本のリーダーシップに期待したい。
(聞き手は下田敏)
◇ ◇ ◇
日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
◇ ◇ ◇
「25億人市場」が力 外務省アフリカ部長 堀内俊彦氏
TICADの1回目は、冷戦が終わり世界がアフリカに関心を失った1993年に開いた。当時アフリカ全体との枠組みを設けたのは日本がほぼ唯一で、その後欧米や中国などが追随した。
日本政府はTICADの枠組みを生かし、アフリカとのビジネスをつなぐ人材を育ててきた。アフリカの若者が日本の大学院で学んだり、企業でインターン生として経験を積んだりするプログラムも実施してきた。各国首脳が日本に集まることに伴い、日本企業とアフリカ各国との多様な合意も生んでいる。
日本が各国に供与する政府開発援助(ODA)の額は減ってきたものの、アフリカのためにこつこつと努力してきた日本はアフリカで仲間を増やしている。TICADは信頼されるブランドになっていると思う。
アフリカ諸国のほとんどは小麦や肥料の価格が上昇すれば大きな打撃を受けるし、気候変動による影響も大きく、まだまだ脆弱だ。世界の経済・社会的な変化を最も受ける地域であり、先進国や国際機関による開発援助のニーズは依然として高い。しかしそれだけではない。
そもそもなぜ日本がアフリカに関与すべきなのか。鉱物など資源が豊富なことのほかに、人口が増えており、日本企業にとって市場としての魅力が高まるのは間違いない。
アフリカでは先進国に対して開発よりもビジネス面での期待が強い。最近の世論は若者の高い失業率という雇用問題により関心を抱くようになってきた。労働力不足に直面する日本と補完できるはずで、日本企業が現地に生産拠点を築く可能性が広がる。
それに加えて、日本企業にとっては技術革新のパートナーにもなり得る。アフリカは日本など先進国に比べて規制が緩い国が多く、最先端技術を実証実験できる「サンドボックス」としても期待できる。
とはいえ、アフリカ事業に対して日本企業の動きは鈍い。各社がまだリスクが高いと考えているのが理由だ。人口動態を見れば、いま関わらないことがかえって将来の利益を逃すコストになるとみるべきだ。
アフリカがグローバルガバナンスに関して不公平感を持っていることも見逃せない。気候変動対策では先進国に途上国支援の資金拠出を迫った。アフリカ各国は不当に低い格付けにされ、資金調達に高い金利を課せられてきたことにも不満を持っている。
最近注目されるのが、アフリカ諸国が加盟するアフリカ連合(AU)の枠組みで「域内標準」を構築する動きだ。貿易における原産地証明や紛争解決、医薬品に関する規制などで統一規格作りが始まっている。
欧州連合(EU)のルールが世界標準のようになって各国に影響を及ぼすことを「ブリュッセル効果」と呼ぶ。やがて人口が25億人の市場となり、世界の重心がアフリカに傾いていく。AU本部があるエチオピア首都の名前から「アディスアベバ効果」に世界が注目する日が来るかもしれず、目が離せない。
(聞き手は野沢康二)
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〈アンカー〉対等な関係こそが国益に
アフリカの人口が増え続けるのは間違いない。2050年には世界の4人に1人がこの大陸に住む。アフリカは海外から投資を呼び込み、雇用を生み出し、所得と消費の好循環を実現する戦略を描く。
トランプ米政権の援助停止や相互関税はその戦略をゆがめ、ただでさえ脆弱なアフリカ経済に打撃を与える。だが、経済的な自立への動きはかえって加速する可能性がある。欧州や中国の収奪にさらされてきたアフリカには大国への根強い不信感がある。
日本はTICADを通じて、対等なパートナーシップを訴え続けてきた。技術支援や人材育成でアジアを経済発展に導いた実績もある。今こそアフリカに「メード・ウィズ・ジャパン」を呼びかける必要があるのではないか。官民で独自の経済外交を展開することが日本の国益につながる。
(編集委員 下田敏)
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花見のAI幹事は2万円 余興も提案、任せっぱなしはNG?[2025/04/13 02:00 日経速報ニュース 1208文字 画像有 ]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員 中村奈都子)
日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 361文字 PDF有 書誌情報]
(1)軽率なトランプ関税、責任は米共和党に(7日)
(2)グローバル化の巻き戻し狙うトランプ氏の関税攻勢(上)(8日)
(3)トランプ関税 アクセサリー、バッグ、ビールも餌食に(5日)
(4)氾濫する「ジブリ風」画像、AIの限界も浮き彫りに(4日)
(5)あなたの仕事がまだAIに奪われていない理由(7日)
(6)トランプ氏が壊した同盟関係、修復困難に(社説)(8日)
(7)米国版「文革」にほくそ笑む中国 マーティン・ウルフ(7日)
(8)トランプ氏まるでマフィアのボス ギデオン・ラックマン(9日)
(9)トランプ関税を裏付ける「地経学」 ジリアン・テット(8日)
(10)米電力相次ぎ値上げへ、トランプ氏の公約に打撃(7日)
スマートフォンでQRコードを読み込むと「NIKKEI FT the World」の申し込みサイトに移ります。
メタ、取締役にトランプ第1次政権の高官 規制回避狙う[2025/04/12 14:23 日経速報ニュース 588文字 画像有 ]
【シリコンバレー=清水孝輔】米メタは11日、トランプ第1次政権で大統領副補佐官を務めたディナ・パウエル氏らが新たに取締役に就任すると発表した。米欧で政治リスクが高まるなか、トランプ氏とつながりのある人物を起用して規制圧力を回避する狙いがあるとみられる。
パウエル氏は15日付でメタ取締役に就任する。米ゴールドマン・サックス元幹部で、トランプ氏の長女イバンカ氏と親交があることで知られる。トランプ第1次政権では国連大使の候補としても名前が挙がった。共和党系の人物でブッシュ政権(第43代)では国務次官補を務めた。
メタは11日にはパウエル氏に加えて米オンライン決済大手のストライプのパトリック・コリソン最高経営責任者(CEO)が取締役に就くと発表した。メタ取締役にはすでに米半導体大手ブロードコムのホック・タンCEOなど著名経営者らが名を連ねている。
メタは1月には米総合格闘技団体UFCのダナ・ホワイトCEOらが新たに取締役に就任すると発表した。同氏はトランプ氏の支援者として知られる。メタはトランプ氏の就任以降、共和党系の政府渉外担当を昇格させるなど政権との関係改善を模索してきた。
メタは米国や欧州で規制圧力に直面する。米国では14日に同社を訴えた米連邦取引委員会(FTC)との裁判の審理が始まる。トランプ政権への接近には規制に対応するための後ろ盾を得る思惑が透ける。
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JR東日本、12年前の「炎上」が教訓 データ企業へSuica改革[2025/04/12 05:00 日経速報ニュース 2280文字 画像有 ]
交通系ICサービス「モバイルSuica(スイカ)」のデータを使い、自動改札機を通らなくても鉄道に乗れるようにする――。JR東日本は2024年12月、今後10年かけてスイカを抜本改革する方針を明らかにした。乗降データをクラウドに集約し、新たなサービス開発に生かす。データの外販が中止に追い込まれた12年前の失敗を教訓に、国内屈指の「データカンパニー」に生まれ変わるための布石だ。だが、利用を想定する位置情報取得技術は数メートルの誤差が生じるなど、実現にはまだ課題が残る。
荷物で両手の塞がった人も
JR東が発表した計画では、現在は端末側に記録している運賃精算などの情報をセンターサーバーで管理するようにする。それに伴ってモバイルスイカにひも付く位置情報データをもとに、出発から到着駅までの運賃を徴収する。タッチしなくても、また改札機がない駅でも、位置情報を活用して改札を通過できるようになるという。
同社の営業エリアには約1600の駅がある。そのうち地方沿線など7割弱の駅には改札機が置かれておらず、駅員が運賃の精算に対応しているが、駅業務の省人化につなげる。改札機が不要になれば、杖を持った高齢者や荷物で両手の塞がった乗客がスムーズに乗り降りできるようになるほか、改札機の維持管理コストの削減が見込める。
この記事はNIKKEI Digital Governanceから転載しています。関連記事はこちら。
「乗客の声」月7万件、AI分析で有事も即応 JR西とELYZA
個人情報守る「クリーンルーム」 KDDI、匿名化など3段階
大成建設、若手指導は「AI」で 全回答を人がチェック
現在、個々の改札機で処理している移動データは26年度までにクラウド化する。データを集約すれば、時間帯や曜日、スイカの決済額といった利用条件に応じた運賃の割引など柔軟なサービスを提供できる。
毎月3000円を払えば自宅の最寄り駅からどの駅に行っても運賃が50%割引になるようなサブスクリプション(定額課金)や、地域限定の周遊券など他の交通機関や店舗などと組み合わせたサービスも提供できるようになる。ビッグデータとしての質と量を両立させることで移動に関わる情報を的確に把握し、新たなサービス開発につなげる狙いもある。
Suicaサービスのクラウド化は01年の導入時も案はあったが、ラッシュ時の膨大なデータを自動改札機を通るわずかな時間で処理するのは難しいとの判断があった。サービス開始から約25年がたち、技術的に進んだことから導入が可能になった。
JR他社や私鉄と直通運転する区間の精算方法など具体的な計画は今後詰める。一定の検証を経て、10年以内の実用化を目指す。
13年の試みは批判殺到で中止
データの活用をめぐっては苦い過去がある。JR東は13年、スイカ利用者の乗降駅や生年月、性別などデータの外販サービスを試みた。企業のマーケティング戦略に生かせる新事業として注目された。だが、利用者から個人情報やプライバシーの保護への不安や懸念の声が上がり、中止に追い込まれた。
情報通信白書(2017年版)によると、利用者の不安を払拭できなかった一因は、JR東の事前説明が不十分だったためだ。加えて、匿名加工されたパーソナルデータの利用に関するルールが未整備だったことも影響した。ビッグデータ利用の議論のきっかけとなり、その後、改正個人情報保護法でルールが整備された。
JR東は教訓を踏まえ、今後の施策では、スイカの顧客情報はデータセンターのサーバー上で管理する。加工などを施したうえで必要な情報以外を扱うことがないようにする。同社マーケティング本部の田辺政昭マネジャーは「セキュリティーの強いシステムの奥の方でデータを管理し、外部からは接続できないようにする」と説明する。
ただデータを安全に管理できたとしても、サービスの実用化には技術上の課題がある。焦点になるのが、乗客の位置情報をどれだけ正確に把握できるかだ。
JR東が検討する案の一つは、駅構内にビーコン(電波受発信器)を設置し、スマートフォンのブルートゥース(近距離無線通信)と連携させることで位置情報を拾う手法だ。
出発駅と到着駅それぞれで特定の場所を通過したら電車に乗ったと見なし、その区間分の運賃を精算する。処理スピードも比較的速いとされるが、取得する位置情報に数メートルの誤差が生じる場合がある。首都圏など混雑した駅では運賃の誤精算につながる恐れがある。
顔認証は「抵抗感少なくない」
もう一つは超広帯域(UWB)技術を使う案だ。もともと主に軍事用レーダーとして開発が進められてきた技術で、位置情報の誤差も「数センチメートル以内に抑えられる」(JR東)という。しかし、こちらは標準搭載されていないスマホ機種も多く、サービスの普及に課題が残りそうだ。
このほか大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)がすでに導入している顔認証による改札通過システムも考えられるが「社内の声を聞いていても、自分の顔を読み取られることに抵抗感のある人は少なくない」(マーケティング本部の浜貴之マネジャー)。認証機の導入に相応のコストがかかることも想定される。
そもそもどの手法でも、モバイルスイカを持っていなければ電車に乗ることができない。改札機を一部残したとしても、スイカを持たない客が改札機のないエリアを通過して無銭乗車につながる可能性もある。JR東の田辺氏は「それぞれの技術的な改良など今後の進歩を見定めながら検討していく」と話す。
(石崎開)
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中国の製造強国化は道半ば シャミク・ダール氏-調査会社ファソム・コンサルティング特別顧問[2025/04/12 02:00 日経速報ニュース 1676文字 画像有 ]
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2015年5月、戦略的経済計画「中国製造2025」を発表した。その地政学的な野心は明白で、米国と肩を並べ、いくつかのハイテク産業を支配する狙いだった。
10年後の結果はどうか。ファソム・コンサルティングのデータベースで1800以上の品目を分析すると、製造2025が目標をおおむね達成したことがわかる。9つのハイテク産業で中国は世界最大の輸出国となった。
しかしそれが物語の全てではない。無視できないのは、輸出の伸びのかなりの部分は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟後の03年から製造2025の発表までに達成されていた点だ。中国が計画で対象とした品目の市場シェアは03年から13年の間に6ポイント増加したが、それ以降は2ポイントしか増加していない。中国は自国の強みを生かすというより、全ての産業を同時に支配することを目指している。
成功例のうち電気自動車(EV)を見てみよう。EVは製造2025の対象品目だが、最近まで大半の国の貿易データで独立した品目として報告されていなかった。しかし最近になって貿易収支にEVを加えると、製造2025に関連した貿易赤字の規模が約10%縮小した。20年時点でEVは赤字だったので、注目すべき変化だ。
EVは他分野における戦略の青写真になる可能性がある。まずは海外企業とのM&A(合併・買収)により、外国のノウハウと国内のイノベーションを組み合わせる。これが達成されれば、外国企業の買収はもはや必要なくなり、現地法人の設立や実際の生産が増加する可能性が高い。このパターンはまさにEVでみられた。
人工知能(AI)分野でも同様のことが起きるか。先端技術を低コストで急速に拡大しているDeepSeek(ディープシーク)は最新の事例だが、成功するかまだ断言はできない。
中国はIT(情報技術)の中間製品では依然として後れをとっており、特に半導体では大幅な輸入超過だ。最先端の半導体はいまだ台湾に依存している。
EV戦略は製造2025の貿易赤字を縮小するための青写真になるかもしれないが、現在の地政学的環境において課題に直面している。輸入の脆弱性や地政学的な緊張の高まりは15年時点では予期されていなかった。
製造2025は重商主義的で、名目金利を人為的に抑圧して産業向けの低利融資を可能にしている。このため家計の預金金利は低く抑えられた。こうした「金融抑圧」は急速な経済成長をもたらしたが、不動産投機や金融セクターの脆弱化にもつながった。
国内消費が中心の経済への移行は依然として課題であり、おそらく製造2025がリバランスを妨げている。さらにグローバルにみると、米国は自国が最終消費国となり、中国が世界の工場になるという構造を覆そうとしている。
結局、製造2025は成功したのか。計画が市場の支配と自給自足を目的としていたとすれば、前者は達成したが、後者はまだ達成していない。計画の発足当時から世界は変化しており、米中間の競争は現在、先端レベルの投入物を持つ大国と、それほど先端ではない投入物に頼っているが、最適化に優れた国との競争になっている。そしてこの競争は始まったばかりだ。
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窮境の底力は侮れない
米国が「中国製造2025」をやり玉に挙げたのは、第1次トランプ政権のときだ。中国がハイテク分野の覇権を握ろうとしている証しとみて、先端技術の対中輸出規制などでこの計画をつぶしにかかった。
習近平政権は公にこの計画を語らなくなったが、それは爪を隠したにすぎないとみるべきだろう。製造2025で掲げた目標はおおむね達成した。EVなどではすでに他を圧倒する力をつけている。
中国が先端半導体をまだ造れず、製造強国への道半ばなのはその通りだ。ただ、追い詰められたときに中国が発揮する底力は侮れない。ディープシークの台頭はその象徴だ。
常軌を逸した高関税で中国を追い込むトランプ米大統領のやり方には、やはり危うさを感じざるを得ない。
(編集委員 高橋哲史)
飛行機遅延→バス時間調整 旭川で実証[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 5ページ 358文字 PDF有 書誌情報]
国土交通省は、飛行機の遅れに応じて空港を出発する路線バスの発着時間を調整する実証実験に2025年度にも乗り出す。バス会社、北海道エアポート(北海道千歳市)などと旭川空港で試す。訪日客が増える中で、地方の2次交通の利便性を高める狙いだ。
旭川空港では飛行機が遅れた際に接続できるバスがないことや、車庫が遠く臨時便を出すにも時間がかかる課題があった。乗り換え検索大手のジョルダンがシステムを提供する。
国交省は11日に交通空白を解消する実証事業として新たに4つを選んだ。
JR四国、JR北海道、電脳交通(徳島市)は特急の車内にタクシーを配車できるQRコードを設置する事業に共同で取り組む。特急の到着時間に合わせて円滑にタクシーを呼ぶことができるかを確かめる。
国交省は実証事業の第1弾として3月に8事業を公表していた。
PayPay給与100社超 デジタル払い、導入広がる[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 15ページ 444文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいるという。PayPayでは労務管理ソフトとの連携を通じ、小規模な事業者にも呼びかける。
同日、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の労務管理ソフト「奉行Edge 労務管理電子化クラウド」との連携を始めた。従業員はPayPayの専用画面から申し込みをした後、管理ソフト側の連携ボタンを押すだけで入金用口座など必要な情報の入力を完了し振り込みを依頼できる。従来はソフト側でも口座情報などを入力しなければならず、入力ミスによる振り込みエラーの原因になっていた。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、PayPayは24年11月からソフトバンクグループ以外の企業へもサービス提供を始めた。労務管理ソフトは中小・零細企業との有力な接点になっている。
特集――大阪・関西万博開幕、平日券・夜間券も[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 21ページ 542文字 PDF有 書誌情報]
入場券は日本国際博覧会協会の専用サイトで購入できる電子チケットが主力となる。「万博ID」の取得が必要で、混雑防止の観点から来場日時の予約や利用交通手段の登録が求められる。ID取得後はパビリオンやイベントの観覧予約も可能となる。
会期中いつでも1回入場可能な「一日券」は18歳以上の大人7500円、12歳以上17歳以下が4200円、4歳以上11歳以下が1800円。3歳以下は無料。
有効期限内に何回でも入場できる「通期パス」や「夏パス」のほか、日時制限があるものの一日券より最大3800円割安な「平日券」「夜間券」も用意する。
全国のコンビニエンスストアでは紙の「引換券」を購入できる。
購入時に来場日時を予約しないタイプと予約するタイプの2種類あり、いずれもID取得は不要となる。来場当日、会場ゲート前でQRコード付きのチケットに引き換える。
来場日時を事前に決められない場合、会場ゲート前で「当日券」も購入できるが、来場予約が多い日や時間帯によって、販売を取りやめる場合がある。
スマートフォンでQRコードを読み込むと、電子版リッチコンテンツ「大阪万博、記者のイチ押しパビリオン8館 空から案内」(左)、「大阪万博のトリセツ 入場券・グルメ・アクセスは」(右)をご覧いただけます。
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。 小川たまか著(新書文庫)[2025/04/12 日本経済新聞 朝刊 35ページ 253文字 PDF有 書誌情報]
■『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』小川たまか著 著者は性暴力について取材するライター。2016年から2年間にわたり書いた文章と最近のエッセーが収められる。我々は小さな声を無視し続けてきたのではないか。加害者が自らの加害性を認め語ることの重要性を、著者は少なくとも9年前から訴えていた。昨今の芸能界の問題でも重要な指摘であり続けている。(ちくま文庫・924円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
関西の鉄道各社、万博記念の乗車券続々 京阪は入場券とセット[2025/04/12 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 672文字 PDF有 書誌情報]
京阪電気鉄道は11日、大阪・関西万博の一日券とセットになった1日乗車券を、万博期間中に数量限定で発売すると発表した。乗車券は万博仕様にラッピングされた列車の記念デザインとなる。7600円で、それぞれ単独で買うよりも1400円安くなる。
淀屋橋など主要8駅で購入でき、万博期間中の4月13日~10月13日に大津線を除く京阪全線と石清水八幡宮のケーブルカーで1日乗降が自由となる。
京阪ホールディングス(HD)傘下の叡山電鉄も、同種の乗車券を出町柳と修学院の2駅で購入できる。価格は7700円。それぞれ別々に買うよりも1900円安くなる。
南海電気鉄道も、13日から南海電鉄の電車が1日乗り降り自由となるデジタル乗車券を2500円で発売する。購入日から3カ月以内の好きな1日に利用できる。大阪のランドマークタワー「通天閣」の一般展望台が100円割引になる特典もつけた。同社は通年で販売する1日乗車券はないという。
一部の区間を除き、ケーブルカーを含む南海電鉄全線で利用できる。デジタル乗車券サービス「スルッとQRtto」公式サイトから購入し、スマートフォン上に表示されるQRコードを駅のQR対応改札機にかざすことで入退場する。
JR西日本は、万博を記念した特別デザインのICOCAを万博会場内のオフィシャルストアで販売する。
万博公式キャラクター「ミャクミャク」とICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」を描いたデザインで、オリジナルのパスケースも含めたセットは1万4800個限定でチャージ500円、デポジット500円を含み2650円。
暮らしつなぐ 伝統の町並み――観光とどう両立、同じ悩み抱える(何でもランキング)[2025/04/12 日経プラスワン 2ページ 2801文字 PDF有 書誌情報]
文化庁が伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の制度をつくって今年で50年。今回は特に価値の高い重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)を対象にした。僅差で並んだいにしえの町並みには、コロナ禍で消えた旅人の姿が増え、にぎわいを取り戻している。だが、そこには課題もにじむ。訪ねてみるとよくわかるが、どこも同じ悩みを抱えている。観光客には来てほしい。一方で多くなり過ぎると伝統的な環境が維持できない。生活空間を観光資源にする難しさに直面している。
江戸時代、東京と京都を結んだ東海道と中山道。東海道は開発が進み宿場町は廃れ、過疎化が進んだ中山道には伝統的な町並みが今も残る。来訪者は見るだけでなく歴史薫る町に滞在して文化と生活を学び、その観光収入が環境と暮らしを守る。京都の伊根町観光協会事務局長の吉田晃彦さんは「来訪者には地域の生活を静かに楽しんでもらい、住民も厳しい修理の基準を守りながら美しい環境を整え、どちらにも利点がある仕組みを模索しています」と話す。
<250>天然の温泉が出る港町。「名前通り『温泉』と『津(港)』からなり、石見銀山の積み出し港として繁栄した集落」(梅津さん)。世界遺産に登録されている。「連綿と発展してきた町並みは、江戸期から昭和初期の時の流れを感じることができる」(小林さん)。
「映画『男はつらいよ』のロケ地としても登場した、趣のある町並み。福光海岸まで足を延ばせば、日本海の絶景を望める」(山田さん)。温泉街として唯一の重伝建地区で、共同浴場も楽しめる。「大田市内のもう一つの重伝建地区の大森銀山と併せて訪ねたい」(後藤さん)。
https://www.ginzan―wm.jp/model_course_post/yunotsu/
<240>比叡山の麓に栄えた町。「山を越えた京都側とは異なるしっとりとした里坊(さとぼう)の庭や石垣の道に癒やされる」(山野井さん)。隠居した僧侶の住宅を兼ねた寺院群が美しい。「商家が並ぶ町並みとは異なる門前の風景を訪ねてほしい」(後藤さん)。
町を象徴する石垣は「戦国期から活躍した穴太衆(あのうしゅう)と呼ばれる石工職人によって積まれた野面(のづら)積み。穴太衆は多くの名城の石垣を施工しており、現代でも十分な強度がある」(小林さん)。春は桜、秋は紅葉が美しい。「比叡山や琵琶湖畔で歴史探訪も楽しめる」(山田さん)。
https://hieizansakamoto.jp/
<220>石垣島から船で約15分。円形の島の中央に平屋の集落がある。「沖縄独特の粘土を原料とする赤瓦の民家とサンゴ由来の白砂の道という沖縄らしい景観」(小林さん)に「フクギの緑、ハイビスカスの赤、海の青、そして屋根に飾られたシーサーが彩りを添える」(中尾さん)。
人口330人弱の島に年間50万人以上の観光客が訪れる。開発から土地を守る「竹富島憲章」で島民が集落の景観を維持している。「青空を見ながら三線の音色を聞いていると、琉球の暮らしが蘇る」(藤田さん)。集落を行く水牛車に乗れば「沖縄時間を感じられる」(山田さん)。
https://painusima.com/
<200>北の海の玄関口・函館には異国を思わせる町並みが広がる。その中心部が元町末広町だ。「海に下りていく道と、丘の上の函館ハリストス正教会の聖堂や旧函館区公会堂をはじめとする様々な洋館や和洋折衷建築が明治の香りと北海道開拓の精神を蘇らせる」(藤田さん)。
幕末期から開港場として発展し、「数度の大火を経て防火に配慮した町づくりがされている」(梅津さん)。港沿いには赤れんがの倉庫群が広がる。「貿易港として栄えた異国情緒豊かな町並みはロケーションジャパン大賞のグランプリにも輝いた」(山田さん)。
https://www.furutabi.com/machinami/hakodate.html
<190>佐渡島の西南部にある海岸段丘に形成された狭い入り江に広がる集落で、「迷路のような路地に船大工の技術を生かした民家が見られる。簡素な外観とは対照的に内部は漆をふんだんに使った豪華な造りとなっているので、その技術の高さを体験してほしい」(梅津さん)。
江戸時代、北前船の寄港地として栄えた。100棟を超える板壁の民家は「日本海の強風に耐える、石を置いた屋根も特徴だ」(小林さん)。集落を歩けば「江戸期の路地に迷い込んだような気分が味わえる」(山田さん)。人々の暮らしと歴史が交錯する静かな時間が流れている。
https://shukunegi.com/
<180>若狭地方中央部、京都に向かう通称「鯖(さば)街道」にある宿場町。「1キロ以上も連なる民家が見事。電線も派手な看板もなく、生活の息遣いが懐かしく美しく感じられる」(中尾さん)。道沿いには生活にも利用される水路が。「古民家を利用した宿泊施設やシェアオフィスなどの取り組みが進み、新たな魅力を生んでいる」(後藤さん)。
「朝廷へ食材を献上する『御食国(みけつくに)』として、豊富な山海の幸を京に届けた往時のにぎわいを感じさせる風景が続く。絵になる町並みをぜひ歩いてほしい」(山田さん)。道の駅に車を止めて散策できる。
https://kumagawa―juku.com/
<170>「木曽路はすべて山の中である」。島崎藤村「夜明け前」の冒頭にある通り、妻籠宿は山中に今も佇む宿場町だ。保存面積は重伝建地区では最大。周辺の山林も含め一体的に保存されている。「本陣、脇本陣、旅籠(はたご)、枡形(ますがた)、高札場などまるで宿場の野外博物館。町並み保存運動の先駆らしい信条と50年余りの努力が光る」(中尾さん)。
妻籠宿から馬籠宿(まごめじゅく)(岐阜県中津川市)までの約9キロの木曽路は散策に最適。「街灯も歴史的風致に配慮して最小限に抑え、江戸時代の雰囲気をとどめる。地区内の宿に泊まって夜も歩いてほしい」(梅津さん)。
https://tsumago.jp/
ランキングの見方 保存地区の名称(所在地)。数字は評価の合計点。URLは情報サイト。写真は1~5位が鈴木健、10位は三浦秀行撮影。6位は沖縄観光コンベンションビューロー、7位は函館市、8位は佐渡観光PHOTO、9位は若狭熊川宿まちづくり特別委員会の提供。
調査の方法 梅津章子さんと山田実希さんの協力で、全国129の重要伝統的建造物群保存地区から27地区をリスト化。(1)保存の取り組みも加味した町並み・集落の美しさ(2)観光地としての魅力――の観点から7人の専門家が1~10位を選び、総合点を集計した。(大久保潤が担当しました)
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対応拡大 かざすだけで、タッチ決済 交通機関でも(学んでお得)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 1680文字 PDF有 書誌情報]
クレジットカードで「タッチ決済」という言葉を耳にする機会が多くなってきた。端末に差し込んで暗証番号を入力する手間が省け、かざすだけで支払いが完了する。最近は店舗だけでなく、電車やバスの乗車に使えるケースも増えてきた。
タッチ決済では1万円などと決められた金額までであれば、店頭の端末にカードを挿入して暗証番号を入力するといった操作なしに支払いができる。国際ブランド「Visa」によると、2024年時点で日本におけるクレジットカードの対面利用の約47%はタッチ決済になっているという。未対応のカードが一部残っているものの、更新時に切り替えが進んでいる。
クレジットカードにとどまらず、タッチ決済対応マークがついていれば、支払時に銀行口座から引き落とされるデビットカード、あらかじめお金を入金・チャージしておくプリペイドカード、対応するカードを設定したスマートフォンでも同様に使える。
現金を使わないキャッシュレス決済は政府が普及を後押ししている。24年の時点でその決済額の比率は4割を超えた。内訳を見ると、全体の8割超がクレジットカードの利用だ。従来は高額品購入時に使う印象が強かったが、コンビニエンスストアなど日常の支払いでも使われる場面が増えているようだ。
キャッシュレス決済を進める背景にはインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもあった。海外の都市ではタッチ決済が主流となっているところも多い。現金払いに慣れない外国人が両替をしなくても支払いができるのは大きな利点となる。
最近、日本国内でも目立つようになってきたのが交通機関のタッチ決済での利用だ。各地の鉄道やバスで導入が進む。13日に開幕する大阪・関西万博に向け、大阪の大手私鉄や地下鉄の改札ではタッチ決済対応が広がった。
このシステムを手掛けている三井住友カードのTransit本部長、石塚雅敏さんは「きっぷや交通系ICカードを買うことなく、手持ちのクレジットカードでそのまま乗れる仕組みは訪日外国人だけでなく、日本人にもメリットがある」と語る。
例えば地方での交通機関の担い手の負担軽減だ。近年は利用者減少や人手不足などで鉄道や路線バス網の縮小・廃止が進んでいる。バスの運転手は運転だけでなく、運賃の管理も求められている。「業務コスト全体を減らす必要がある。タッチ決済導入で現金が不要になる効果は大きい」(石塚さん)
三井住友カードのシステムは3月末時点で41都道府県の149社が採用。26年には47都道府県すべてでの導入を目指しているという。
タッチ決済での乗車はカードやスマホを改札の専用リーダー部分にかざせばよく、交通系ICカードとあまり変わらない。残高がなくなって駅の券売機でチャージをしていた人にとっては手間が減ってスムーズに乗り降りできる。「ショッピングも交通機関への乗車もカード1枚あれば済む。クレジットカードが持てない子どもの場合、子ども用プリペイドカードに親がカードでチャージして渡す方法もある」(Visa担当者)
店舗から交通機関まで、タッチ決済を利用すれば、残高チャージなどのために金融機関のATMや窓口で現金を引き出す必要がなくなるのが大きい。クレジットカード利用になってポイントをためられるのも利点だ。タッチ決済対象のポイント優遇やキャッシュバックといったキャンペーンが展開されている場合もある。調べてみよう。
便利になる一方、注意したい点もある。対応していない店舗があるほか、システム障害などで利用できないケースがあり得る。定められた金額を超えてしまうと、暗証番号の入力が必要になる。
交通機関でも複数路線を乗り継ぐ際には注意が必要だ。未対応の路線に乗り換えてしまうと精算が必要になる。自分のカードがタッチ決済乗車に対応した国際ブランドかどうかも確認しておきたい。
(消費経済ジャーナリスト
松崎 のり子)
あなたの家計の悩みをメールでお寄せください。plus1@nex.nikkei.co.jp
【図・写真】クレジットカードのタッチ決済で乗れる交通機関も増えてきた
物価高をポイ活でカバー、すぐに使って失効防止(ポイント賢者)[2025/04/12 日経プラスワン 3ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
ポイ活と節約をセットで取り上げるメディアは多いです。どちらも家計を助けるためのものですが、実際は方向性が異なります。
節約は我慢が必要で、「これを買いたいけど今は必要ないから諦める」「お金がたまったら買う」など、消費を抑える行為です。一方のポイ活は「これを買うにはどうすれば一番おトクになるのか」であり、消費に対するリターンを最大化する方法です。
自治体が地元経済を活性化させるため、対象のキャッシュレス決済を利用すると10%還元や20%還元などの大型キャンペーンをよく実施しています。
1回の買い物で20%のポイントがたまれば、そのポイントでさらに買い物をします。現金給付ではなくポイント還元する理由は、消費を複数回促すことができるからでしょう。
では、ポイ活だけで最近の物価高を乗り切ることはできるのでしょうか。
矢野経済研究所の発表資料によると、2024年度の国内発行のポイントは2・8兆円程度の見込みです。クレジットカードを申し込める18歳以上の人口(1億人強)で割ると、1人あたり年間で2万7000円程度、月間で2250円程度のポイントを獲得できていることになります。
足元の消費者物価指数の上昇率は3%前後です。これまでポイ活を一切していない人が、ポイ活を始めれば物価上昇をある程度はカバーできます。
ただ、これはあくまでも理論値で、ポイントが失効しなかった場合です。ポイントは年間3~4割失効しているといわれ、有効利用できているポイントはもっと少ないとみられます。
失効を防ぐには、獲得したポイントが使えるポイント数まで到達したらすぐに使うことです。どんどん消費して失効を防ぎ、生活に役立ててください。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
関西鉄道各社、大阪万博記念の乗車券 京阪は入場券付き[2025/04/11 19:02 日経速報ニュース 670文字 画像有 ]
京阪電気鉄道は11日、大阪・関西万博の一日券とセットになった1日乗車券を、万博期間中に数量限定で発売すると発表した。乗車券は万博仕様にラッピングされた列車の記念デザインとなる。7600円で、それぞれ単独で買うよりも1400円安くなる。
淀屋橋など主要8駅で購入でき、万博期間中の4月13日~10月13日に大津線を除く京阪全線と石清水八幡宮のケーブルカーで1日乗降が自由となる。京阪ホールディングス(HD)傘下の叡山電鉄も、同種の乗車券を出町柳と修学院の2駅で購入できる。価格は7700円。それぞれ別々に買うよりも1900円安くなる。
南海電気鉄道も、13日から南海電鉄の電車が1日乗り降り自由となるデジタル乗車券を2500円で発売する。購入日から3カ月以内の好きな1日に利用できる。大阪のランドマークタワー「通天閣」の一般展望台が100円割引になる特典もつけた。同社は通年で販売する1日乗車券はないという。
一部の区間を除き、ケーブルカーを含む南海電鉄全線で利用できる。デジタル乗車券サービス「スルッとQRtto」公式サイトから購入し、スマートフォン上に表示されるQRコードを駅のQR対応改札機にかざすことで入退場する。
JR西日本は、万博を記念した特別デザインのICOCAを万博会場内のオフィシャルストアで販売する。万博公式キャラクター「ミャクミャク」とICOCAのキャラクター「カモノハシのイコちゃん」を描いたデザインで、オリジナルのパスケースも含めたセットは1万4800個限定でチャージ500円、デポジット500円を含み2650円。
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全保連の茨木社長「沖縄の本社移転しない」 TOB成立受け[2025/04/11 18:21 日経速報ニュース 443文字 画像有 ]
家賃保証の全保連の茨木英彦社長は11日、三菱UFJニコスによるTOB(株式公開買い付け)の成立を受けて那覇市の本社で記者会見した。創業の地である沖縄からの本社移転や社名の変更はしないと説明した。
茨木氏は「離れることは考えていない。少しでも沖縄の経済発展に貢献したい」と述べた。全保連は2023年10月に東証スタンダードに上場した。10日付で三菱UFJニコスが筆頭株主となったが、上場は維持する。1日に創業者の迫幸治氏が社長から会長に就き、副社長だった茨木氏が社長に昇格した。
茨木氏は「カード会社、信販会社が家賃保証ビジネスに進出してきている。競争に不可欠なのが家賃のカード決済だった」とTOBを受け入れた理由を説明した。26年春の繁忙期をめざし、三菱UFJニコスと協力して家賃のクレジットカード払いを導入する考えを示した。
「三菱UFJフィナンシャル・グループという大きな金融グループと一緒にやっていくことでシナジーを発揮できる」と述べた。「対等な関係、ウィンウィン」を強調した。
飛行機の遅延、バスに共有 国交省が旭川空港で実証[2025/04/11 14:25 日経速報ニュース 519文字 ]
国土交通省は、飛行機の遅れに応じて空港を出発する路線バスの発着時間を調整する実証実験に2025年度にも乗り出す。バス会社、北海道エアポート(北海道千歳市)などと旭川空港で試す。訪日客が増える中で、地方の2次交通の利便性を高める狙いだ。
旭川空港では飛行機が遅れた際に接続できるバスがないことや、車庫が遠く臨時便を出すにも時間がかかる課題があった。乗り換え検索大手のジョルダンがシステムを提供する。
国交省は11日に交通空白を解消する実証事業として新たに4つを選んだ。JR四国、JR北海道、電脳交通(徳島市)は特急の車内にタクシーを配車できるQRコードを設置する事業に共同で取り組む。特急の到着時間に合わせて円滑にタクシーを呼ぶことができるかを確かめる。
国交省は実証事業の第1弾として3月に8事業を公表していた。相乗りタクシーを手掛けるニアミー(東京・中央)と連携し、相乗りタクシーを即時にマッチングできるかを試す。タクシーの配車システムの共通化も実験する。
25年度はおよそ20事業を選ぶ考え。運転手などが減少する中で事業者間の連携を促す取り組みや、訪日客が地方を訪れやすくなる利便性の向上策を試して、成果が出た事業は全国に展開する。
PayPayのデジタル給与サービス、飲食など100社超が導入[2025/04/11 13:54 日経速報ニュース 444文字 画像有 ]
PayPayは11日、デジタル給与払いのサービス導入先が100社を超えたと発表した。2024年に参入してから初めて実績について明らかにした。サカイ引越センターや吉野家など業界大手が採用したことで、運送や飲食業の中小企業を中心に導入が進んでいるという。PayPayでは労務管理ソフトとの連携を通じ、小規模な事業者にも呼びかける。
同日、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の労務管理ソフト「奉行Edge 労務管理電子化クラウド」との連携を始めた。従業員はPayPayの専用画面から申し込みをした後、管理ソフト側の連携ボタンを押すだけで入金用口座など必要な情報の入力を完了し振り込みを依頼できる。従来はソフト側でも口座情報などを入力しなければならず、入力ミスによる振り込みエラーの原因になっていた。
デジタル給与払いは23年4月に解禁され、PayPayは24年11月からソフトバンクグループ以外の企業へもサービス提供を始めた。労務管理ソフトは中小・零細企業との有力な接点になっている。
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ネットプロテクションズ、後払い決済「atone」がEC通販プラットフォーム「リピスト」「PRECS」と連携[2025/04/11 12:04 日経速報ニュース 1064文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月11日
ネットプロテクションズ、後払い決済「atone」がEC通販プラットフォーム「リピスト」「PRECS」と連携
※ロゴは添付の関連資料を参照
株式会社ネットプロテクションズ(所在地 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 柴田 紳、以下「当社」)は、後払い決済サービス「atone」を、株式会社リピスト(所在地 : 東京都千代田区、代表取締役社長 : 信川 亮太)が提供するD2C・定期購入・単品リピート通販向けプラットフォーム「リピスト」およびEC構築システム「PRECS」と連携いたしました。これにより、「リピスト」「PRECS」を利用するEC事業者は、開発費用や導入負担を抑えながら「atone」をスムーズに導入できるようになります。
■「atone」連携について
後払い決済サービス「atone」と、通販向けプラットフォーム「リピスト」「PRECS」が新たに連携しました。これにより、両サービスを利用するEC事業者は、追加の開発負担をかけずに「atone」をスピーディに導入することが可能となります。導入期間の短縮や工数負担の軽減により、事業者の業務効率が向上し、購入者の利便性向上にも寄与します。その結果、カゴ落ちの防止やコンバージョン率の向上が期待できます。
「リピスト」は、定期購入や単品リピート通販に特化したプラットフォームで、柔軟な購買プランの提供やLTV向上を支援する多彩な機能を備えています。「PRECS」は、高いカスタマイズ性と拡張性を兼ね備えたECサイト構築プラットフォームです。今回の連携により、既存の「リピスト」「PRECS」利用事業者はもちろん、新規導入を検討する事業者も、短期間で後払い決済を導入できるようになります。決済手段の選択肢が広がることで、より多くの消費者ニーズに対応し、売上拡大につなげることが可能です。
今後も両社は、さらなる連携強化を視野に入れながら、EC事業者のビジネス成長を支援し、より多くの消費者に快適で便利な購買体験を提供できるよう、サービスの向上に取り組んでまいります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
ロゴ
https://release.nikkei.co.jp/attach/689630/01_202504111118.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689630/02_202504111118.pdf
外為10時 円相場、上げ幅拡大 143円台前半 日経平均下落で[2025/04/11 10:29 日経速報ニュース 547文字 ]
11日午前の東京外国為替市場で、円相場は上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=143円35~38銭と前日17時時点と比べて2円91銭の円高・ドル安だった。9時半すぎには一時1ドル=142円88銭近辺まで上昇した。11日の日経平均株価が下げ幅を広げると、歩調を合わせるように「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。
トランプ米政権の中国に対しての追加関税が計145%になると明らかになった。両国の対立激化が意識され、円やユーロなど主要通貨に対してのドル売りが膨らんでいる。一方、10時前の中値決済に向けては「輸入企業など実需筋によるドルの押し目買いが入った」(国内銀行の為替担当者)との声も聞かれた。
ユーロも対ドルで一段高となっている。10時時点では1ユーロ=1.1296~99ドルと同0.0270ドルのユーロ高・ドル安だった。9時半すぎに1ユーロ=1.1385ドル近辺まで上昇する場面があった。市場では「ドル売りが広がるなかで、次に規模の大きい通貨であるユーロに消去法的な買いが入っている」(同)との見方があった。
円は対ユーロで下げ幅を広げている。10時時点では1ユーロ=161円93銭~162円02銭と、同66銭の円安・ユーロ高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
<東証>木材加工のウッドFがストップ高買い気配 長谷工が1株1720円でTOB[2025/04/11 09:38 日経速報ニュース 465文字 ]
(9時35分、スタンダード、監理、コード8886)東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドFが買い注文を集めている。気配値を制限値幅の上限(ストップ高水準)である前日比150円(15.78%)高の1100円まで切り上げた。現時点で売買は成立していない。長谷工(プライム、1808)が10日、ウッドFに1株1720円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。TOB価格にさや寄せする形で買いが集まっている。
TOB価格は9日終値を9割上回る。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。ウッドFはTOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表した。TOBに応じない株主にはTOB成立後、長谷工が強制買い取り(スクイーズアウト)を実施する。その後ウッドFは上場廃止となる見通し。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
タッチ決済、電車やバスでも 乗降便利でポイント付与も-学んでお得[2025/04/11 05:00 日経速報ニュース 1603文字 画像有 ]
クレジットカードで「タッチ決済」という言葉を耳にする機会が多くなってきた。端末に差し込んで暗証番号を入力する手間が省け、かざすだけで支払いが完了する。最近は店舗だけでなく、電車やバスの乗車に使えるケースも増えてきた。
タッチ決済では1万円などと決められた金額までであれば、店頭の端末にカードを挿入して暗証番号を入力するといった操作なしに支払いができる。国際ブランド「Visa」によると、2024年時点で日本におけるクレジットカードの対面利用の約47%はタッチ決済になっているという。未対応のカードが一部残っているものの、更新時に切り替えが進んでいる。
クレジットカードにとどまらず、タッチ決済対応マークがついていれば、支払時に銀行口座から引き落とされるデビットカード、あらかじめお金を入金・チャージしておくプリペイドカード、対応するカードを設定したスマートフォンでも同様に使える。
現金を使わないキャッシュレス決済は政府が普及を後押ししている。24年の時点でその決済額の比率は4割を超えた。内訳を見ると、全体の8割超がクレジットカードの利用だ。従来は高額品購入時に使う印象が強かったが、コンビニエンスストアなど日常の支払いでも使われる場面が増えているようだ。
キャッシュレス決済を進める背景にはインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもあった。海外の都市ではタッチ決済が主流となっているところも多い。現金払いに慣れない外国人が両替をしなくても支払いができるのは大きな利点となる。
最近、日本国内でも目立つようになってきたのが交通機関のタッチ決済での利用だ。各地の鉄道やバスで導入が進む。13日に開幕する大阪・関西万博に向け、大阪の大手私鉄や地下鉄の改札ではタッチ決済対応が広がった。
このシステムを手掛けている三井住友カードのTransit本部長、石塚雅敏さんは「きっぷや交通系ICカードを買うことなく、手持ちのクレジットカードでそのまま乗れる仕組みは訪日外国人だけでなく、日本人にもメリットがある」と語る。
例えば地方での交通機関の担い手の負担軽減だ。近年は利用者減少や人手不足などで鉄道や路線バス網の縮小・廃止が進んでいる。バスの運転手は運転だけでなく、運賃の管理も求められている。「業務コスト全体を減らす必要がある。タッチ決済導入で現金が不要になる効果は大きい」(石塚さん)
三井住友カードのシステムは3月末時点で41都道府県の149社が採用。26年には47都道府県すべてでの導入を目指しているという。
タッチ決済での乗車はカードやスマホを改札の専用リーダー部分にかざせばよく、交通系ICカードとあまり変わらない。残高がなくなって駅の券売機でチャージをしていた人にとっては手間が減ってスムーズに乗り降りできる。「ショッピングも交通機関への乗車もカード1枚あれば済む。クレジットカードが持てない子どもの場合、子ども用プリペイドカードに親がカードでチャージして渡す方法もある」(Visa担当者)
店舗から交通機関まで、タッチ決済を利用すれば、残高チャージなどのために金融機関のATMや窓口で現金を引き出す必要がなくなるのが大きい。クレジットカード利用になってポイントをためられるのも利点だ。タッチ決済対象のポイント優遇やキャッシュバックといったキャンペーンが展開されている場合もある。調べてみよう。
便利になる一方、注意したい点もある。対応していない店舗があるほか、システム障害などで利用できないケースがあり得る。定められた金額を超えてしまうと、暗証番号の入力が必要になる。
交通機関でも複数路線を乗り継ぐ際には注意が必要だ。未対応の路線に乗り換えてしまうと精算が必要になる。自分のカードがタッチ決済乗車に対応した国際ブランドかどうかも確認しておきたい。
(消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子)
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長谷工、ウッドフレンズを買収へ[2025/04/11 日本経済新聞 夕刊 3ページ 260文字 PDF有 書誌情報]
長谷工コーポレーションは10日、東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドフレンズにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。住宅のラインアップを広げ、木造マンションの競争力を磨く。TOB価格は9日終値(900円)に対して91%のプレミアムをつけた1株あたり1720円。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。
イオンFS社長に深山氏、監査機能直轄 統治を強化 スマホ決済の収益磨く[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1379文字 PDF有 書誌情報]
イオンの金融子会社、イオンフィナンシャルサービス(FS)は10日、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を担当する深山友晴氏(51)が社長に就く人事を発表した。傘下のイオン銀行でマネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があり前社長が引責辞任した。改革の統括役をトップにし、再発防止などの体制整備を急ぐ。
5月23日に開く株主総会後の取締役会を経て正式に就任する。社長を兼務していた白川俊介会長(61)は代表権のない会長となる。
イオン銀行を巡っては金融庁が2024年12月、マネロン対策の不備で銀行法に基づく業務改善命令を出した。経営責任を明確にするため25年1月にイオンFSの藤田健二社長が引責辞任し、イオン銀行の小林裕明社長も解任した。
深山氏は海外事業の経験が長い。20年に香港に上場するイオンクレジットサービス(アジア)社長に就いたほか、24年にはベトナムの事業拡大の責任者も務めた。マネロン対策の不備を受けて25年3月に「グループガバナンス改革担当」になり、体制整備の責任者となった。
最優先課題はガバナンスの強化になる。
3月に経営監査部を社長直轄の組織とし、三井住友フィナンシャルグループで監査部長の経験がある谷新一郎氏(63)を新たな常勤監査役に招くことも決めた。銀行だけでなく海外事業や保険事業など各部門のリスクの洗い出しなどを横断的に実施できるようにする。
クレジットカード「イオンカード」でも昨夏から不正利用が多発した。対応が遅れたことなどもあり、数万人の会員が被害を受けた。マネロン不祥事と併せて再発を防止し、株主や利用者の信頼を取り戻したい考えだ。
イオンFSの業績は堅調だ。
10日に発表した25年2月期の連結決算は売上高にあたる営業収益が前の期に比べて10%増の5332億円、営業利益は23%増の614億円だった。クレカの分割払いやキャッシングが増えたほか、香港などでは個人ローンの残高も伸びた。純利益は7%減の195億円だった。クレカの不正利用の被害に関連する費用として99億円の特別損失を計上した。
今後の成長の柱は決済サービスの利用者増と海外事業の拡大になる。
スマートフォン決済の「AEON Pay(イオンペイ)」をいかに伸ばすかがカギを握る。イオングループ以外の加盟店の増加を急いでいる。クレカなどと異なって小口決済が中心のため若者の利用者も多く、スマホ決済大手のPayPayに対抗する上で欠かせない。
スマホ決済や銀行口座、電子マネーの「WAON(ワオン)」などを組み込んだ金融アプリ「イオンウォレット」を通じ、イオングループが小売りから金融まで経済圏を拡大する要になる。
海外事業の拡大も不可欠だ。
営業利益に占める割合は6割ある一方、営業収益に占める割合は3割にとどまる。アジアなど海外は日本より金利が高く利益率が高い。すでにタイやマレーシア、中国など約10カ国・地域に進出しており、新規進出国の増加よりも現在の市場での利用者の底上げが重要になる。現地市場に精通した深山氏は海外事業の拡大でも重責を担うことになる。
深山 友晴氏(ふかやま・ともはる)97年(平9年)イオンクレジットサービス(現・イオンフィナンシャルサービス)入社。20年イオンクレジットサービス(アジア)社長、25年グループガバナンス改革担当
三菱UFJ信託、ネット株主優待の事務受託[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 8ページ 585文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJ信託銀行は上場企業向けにインターネットで手続きする株主優待制度の事務受託サービスを始めた。通販サイトで利用できる共通ポイントを株主に配る場合などが対象になる。株主優待を導入しやすくして企業の個人株主増加に向けた施策を後押しする。
サービスを受託する専門サイトをこのほど立ち上げた。企業側はサイト上で優待制度の詳細を設計して株主総会の招集通知などにQRコードを掲載する。株主はサイトにアクセスして優待を受ける仕組みだ。価格は各社の内容ごとに異なり、年800万~900万円程度を想定する。5年で100社への導入を目指す。
企業側は株主の対応など優待関連の事務負担を三菱UFJ信託に委ねることができる。株主名簿の管理を業務とする信託銀行がサービスを手掛けるため、名簿の外部提供に抵抗がある企業の需要を取り込む。
株主優待で紙のギフト券などを配布する場合、優待を実施する企業側は発送の受け付けなどで事務負担がかかってきた。
株主優待制度は優待の活用が難しい機関投資家や海外投資家からは不公平だとの批判も根強い。三菱UFJ信託の調べによると、減少傾向が続いていた優待制度の実施社数は2024年12月までに増加に転じた。政策保有株の売却が増える中で長期で保有する個人株主の開拓を目指す企業が増えており、ネットで作業を完結できる今回のサービスは一定の需要があるとみている。
KDDI、解は「外」にあり パートナー企業と提携促進 松田社長「自前主義こだわらず」[2025/04/11 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1383文字 PDF有 書誌情報]
1日付で就任したKDDIの松田浩路社長が10日、東京都内で記者会見を開き、パートナー企業との提携戦略を加速する方針を示した。日本でつくり上げたサービスの海外展開にも注力する。日本電信電話公社(現NTT)の独占に挑む形でKDDIの前身企業が誕生してから約40年。業界首位へのカギは外部の知見と海外、異業種の3つの「外」だ。
「自前主義にはこだわらない。パートナーと組んで大きなことに素早く取り組むのがKDDIの使命だ」。松田社長は会社の戦略についてこう語った。
主力の携帯電話事業が人口減少により大きな成長を見込みにくい中で、前任の高橋誠会長は金融や動画配信などのコンテンツといった非通信事業を育てて次への道筋を付けた。さらなる成長に向けては海外でのサービス拡大が急務となる。その担い手として後任に選んだのが、米アップルといった海外企業との交渉を担ってきた松田社長だった。
人口減や高齢化をはじめ諸課題についても先進国である日本で培ったサービスを海外展開する。ドローンを使ったインフラ点検や監視サービスなどを想定する。
スタートアップとの提携も加速する。米国で人工知能(AI)といった分野に投資するベンチャーキャピタル(VC)などに出資すると10日発表した。KDDIが新たに立ち上げるファンドと合わせて300億円規模の投資を検討する。松田社長はエンジニア出身だ。AIや通信などに精通しており、先端技術を有する企業との協業は今後さらに増えるとみられる。
KDDIがいち早く提携した米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」についても新しい動きがあった。スマートフォンと衛星が直接通信するサービスの提供を10日から始めた。国内の通信事業者が直接通信を手掛けるのは初めてとなり、米アップルのiPhoneなど、約600万台が対象となる。auの利用者であれば当面は無料で使えるようにしてアピールする。
KDDIは研究開発費などの投資規模がNTTに見劣りすることから、それを補う形で外部の技術や知見を積極的に取り込んできた。NTTドコモの2025年3月期の売上高予想が6兆2440億円なのに対し、KDDIは5兆7700億円とまだ差がある。
同業他社にない強みの領域として成長期待をかけるのがコンビニエンスストアのローソンだ。全国約1万4000店で新サービスを展開すれば、携帯電話や金融との相乗効果も生まれるとみる。
先進技術を取り入れたローソンの新店舗がKDDIの新本社(東京・港)で開業する予定だ。飲料の陳列をロボットで自動化したり、来店客が専用のアプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了したりするスマホレジの導入などを想定している。顧客の利便性を高めるだけでなく、小売業で深刻な人手不足の対策にもなる。
小売りの現場をデジタル技術で効率化する「リテールテック」は他社への販売も検討する。松田社長は「高輪の新本社で培った技術を世界展開していきたい」と述べた。
外部連携、海外、外から招いたコンビニという異業種。どれもお手本があるわけではない。特に活路とみる海外事業は松田社長自身「現状はまだまだと感じる」とハードルは高いと認める。高橋会長がまいた種を育ててKDDIの次をみせられるか。
【図・写真】就任の記者会見に登壇したKDDIの松田社長(10日、東京都千代田区)
「死に筋の密林」 だから賑わう ハンズマンは反効率、店員が何でも揃える 九州から首都圏めざす[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 1ページ 2831文字 PDF有 書誌情報]
九州地盤のホームセンター(HC)のハンズマンが逆張り戦略で話題だ。園芸用品売り場では、商品を使って店内をジャングルに。取扱品目は20万以上と一般的なHCの3倍。その7割が「年に十数個しか売れない」。ネット通販並みの品ぞろえで「ハンズマンに来れば何でもある」という信頼感と発見する楽しみが強み。大阪に続き今後は首都圏への出店を見据える。
ハンズマンは宮崎県都城市に本社を構える。祖業は1914年創業のガラス建材店で、86年に同市で1号店を開業。佐賀と長崎を除く九州5県に11店舗を展開後、2023年に関西進出を果たした。同年10月に大阪府松原市で開業した松原店では、最初1年間の売上高が計画を2%上回る46億円と好調に推移した。
■ヤシの木・噴水……「1日中いられる」 2月末の平日、同店を訪れると多くの顧客でにぎわっていた。店内に足を踏み入れると、高さ10メートルほどのヤシの木(125万円)や噴水(198万円)が目に飛び込んでくる。約2500種類の植物や輸入品のオーナメントが並ぶ園芸売り場は、まるでジャングル。床のタイルや壁紙なども含め、内装に使っている資材は全て売り物だ。
「SNSでたまたま見つけて、面白そうなお店だと思って見に来ました」。週末のデートの場所に選んだという大城沙樹さん(30)は、店内を携帯で撮影。「これだけ広いと1日中いられますね」と、一緒に訪れた山本龍さん(36)も楽しげだ。「最初は何も買う予定がありませんでしたが、かわいい作業靴を見つけて思わず購入しました」
店内の設計コンセプトは「大人のテーマパーク」。大薗誠司社長は「買い物をする時間を楽しめるのが、リアル店舗の存在意義だ。『こんな商品もあるんだ!』という発見と感動を演出したい」と話す。内装はDIYの資格を持つ社員などによる手作り。松原店の場合、大薗社長が構想したデザインをもとに約300人の社員が半年かけて完成。商品の陳列方法をはじめ、タイルの並べ方まで細かく指定する徹底ぶりだ。
中央の園芸用品売り場の天井は高さ15メートルで、吹き抜けになっているのが特徴。2階から見下ろしてもどこに何の商品があるかわかるよう、陳列にこだわる。2階の日用品売り場でも壁や天井まで使った展示を施し、遠くからでも目当ての商品を見つけられる。
松原店の売り場面積は約1万9834平方メートルと、既存店で最大だった菊陽店(熊本県菊陽町)の1.5倍。売り場の植物を適切に管理するため、湿度が高くなると天井が開いて調節できるようになっている。
一般的なHCでは約7~8万品目を取り扱うというが、ハンズマンは各店おおむね21万品目を展開。特に松原店では4倍の約28万品目をそろえている。例えば植木鉢は親指大のものから、大人が数人入れるほどのものまで数多く用意する。
■品ぞろえはお客のメモで決める 多くの商品をそろえるのは「品ぞろえはお客様が決めるもの」という大薗社長の考えからだ。単に売れ筋に絞って効率的に売る手法では、同質化し価格競争に巻き込まれ生き残れない。各店のスタッフが顧客から欲しい商品を聞き取ってまとめた「要望商品メモ」を元に決められている。
「コタツに使う円柱型の脚」「陸上養殖用の小型水槽」といった要望が日々寄せられている。メモは大薗社長自ら全てに目を通している。社長が開発したシステムでは要望のあった商品と、その数が記録され一覧できるようになっており、希望が多く寄せられた商品から順に仕入れている。これまで寄せられたメモは累計で83万枚。欲しい商品が見つからない場合はメーカーに新たに発注することもあるといい、新規導入数は10年間で1万8646点に上る。
商品の7割が年間販売十数個以下の「死に筋」だ。他社が売れ筋に絞って在庫を抑える中、非効率的ともいえる戦略を貫く理由について、大薗社長はこう話す。「業態の都合上、同業他社は同じ商品を扱うので値下げして集客するしかなく、売り上げも利益も縮小する。一方で我々は接客や品ぞろえで差別化をはかる。他の店では手に入らない商品がハンズマンにはあるという発見が、お客様の感動につながる」
数年前、ある客が「このボールペンに合うバネはないですか」と訪ねてきた。ハンズマンで販売する約1000種類のバネから、ぴったりのものを見つけることができた。「亡くなった家族の形見が再び使えるようになってよかった」と話していた。品ぞろえの豊富さを前面に押し出し、ファンを増やしている。
広大な売り場で多品種を扱うため、店舗のスタッフの丁寧な接客と豊富な知識が満足度の要になる。スタッフに対し約250項目の評価基準をもとに、接客の内容などを中心に評価し昇給に反映。「要望商品メモを提出した数」なども集計している。
■同業他社「効率無視での成立がすごい」 各店舗では平均150人が働く。社員全体の9割を占めており、売り場の案内や商品の説明にいつでも対応できるようにしている。特に松原店では、売り場担当として約200人を確保。専門的な質問に回答できるDIY検定の資格保持者も、400人以上いる。
多品目を抱えながら、あえてPOS(販売時点情報管理)システムを導入していない。在庫を従業員の目で確認し、「販売が一定数を超えるとX個発注する」というルールを策定。その積み重ねで、独自の在庫管理ノウハウを構築してきた。
商品にバーコードを付与する手間やコストを省くのも、理由の1つ。仕入れた際に袋売りだった商品でも、希望があればバラ売りで提供する。「作業用軍手の利き手のみがすり減るので右手だけ欲しい」といった要望にも、袋を切り裂いて販売。クギ1本、シャープペンシルの芯1本といった通常はまとめ売りの商品も、スタッフの判断で1つから提供可能だ。
「バラ売りしたら残った商品は廃棄にする。売り上げが下がるのではと言われるが、むしろバラ売りを始めてから売り上げは上がっている」(大薗社長)。顧客の要望に応えてくれることで、リピートにつながるケースが増えているという。同業他社の幹部は「戦い方が全く違う。小売店であれば在庫回転など効率を重視するのが昔からの流れだが、ここを無視した上でも成立するのがすごい」と一目置く。
松原店の成功を皮切りに、今後は東名阪を中心に九州以外にも「4年に1店舗のペースで出店をしていく」方針。多品目を扱うには広大な売り場面積と大きな商圏が必要になるため、ふさわしい用地を探しているところだという。
コスモス薬品やトライアルホールディングスなど、安さを売りに全国展開を進める九州発祥の流通業が増える中、ハンズマンは逆張り戦略で東進をめざす。「ハンズマンがない地域では、お店に行っても欲しい商品がないことが当たり前になっている。ハンズマンを全国に広げて、この常識を変えたい」。大薗社長は語る。
(宮月子)
【図・写真】ハンズマン松原店(大阪府松原市)
花見の幹事、AIが2万円で 余興も提案、丸投げはNG?(中村奈都子の消費を斬る)[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 3ページ 1288文字 PDF有 書誌情報]
2025年は「AI(人工知能)エージェント元年」としばしば聞く。ビジネスの世界はともかく、消費者にとってどんなメリットがあるのだろうか。考えていたところ「AIエージェントが幹事を務める新入社員歓迎お花見会」の案内が届いたので早速、出かけてみた。
主催したのはFAQ検索エンジン開発のHelpfeel(ヘルプフィール、京都市)。当日は4月とは思えない寒さと雨のため、オフィスにゴザを敷いての宴会になった。
AIエキスパートエンジニアである寺本大輝さんのもとで幹事を務めるAIエージェントは米スタートアップが開発した「Devin(デヴィン)」だ。「ウーバーイーツのサイトから近くの店を教えて」と指示されると、配達時間が短いお店からいくつかピックアップする。
寺本さんが店を決め、「オフィスでお花見をやるから、それっぽいものを10人分くらい注文して」と頼むと、BLTエッグサンドや発芽玄米入りおむすび、スープなどを選び出し、ごぼうサラダも追加した。寺本さんの了解を得て注文を完了。合計金額は6850円だった。
商品が届く間、どうしてこのメニューを選んだのかデヴィンに聞いてみた。「お花見には伝統的な和食(おむすび)とオフィスでの取り分けやすさを考慮したサンドイッチを組み合わせた。特に季節感を意識し、様々な具材のおむすびで春の多様性を表現。ごぼうサラダは根菜の力強さで新年度の活力を象徴しています」と賢い回答。頼りになる。
寺本さんによればAIエージェントは目的達成のために、人間と同様に道具を使って必要な情報を収集し自ら考えて決める。デヴィンの場合、道具はパソコンだ。寺本さんのパソコン画面を見せてもらうと、画面の左側では2人のやりとりが記録され、右側ではデヴィンがパソコンで調べたり注文したり、決済したりする動きがわかる。
乾杯のスピーチもデヴィンだ。宴会も盛り上がってきたところで余興の時間。デヴィンが事前に作った桜にまつわるクイズで場は盛り上がった。
「活力の象徴ならごぼうじゃなくてレンコンでもいいんじゃない?」という意地悪な問いかけにも「次回メニュー選定の際には考慮に入れたいと思います」と冷静に対応する。新たな情報を取り込んで、どんどん利用者好みのAIエージェントへと成長するに違いない。ただし発注ミスをしたり、ミスをごまかしたりすることもあるから任せっぱなしは禁物という。
歓迎会の店選びや居酒屋でのメニュー選びなどもAIエージェントに任せることで、人間幹事の負担は激減する。機嫌を損ねることなく、24時間働いてくれるのもありがたい。
今回はあくまでもデモンストレーションだが、料理宅配や飲食店予約の運営会社などが導入すれば「1年後には実現しそう」と寺本さんは話す。来年の花見風景は大きく変わるかもしれない。ちなみに今回のデヴィンの働きの対価は約2万円。人間幹事とどちらを選ぶ?
(編集委員)
【図・写真】パソコンを使って宴会の趣旨に合ったメニューを注文していく
【図・写真】AIエージェントが食事を手配し、Helpfeelの新入社員歓迎お花見会が始まった(東京・中央)
三井不、NYにシェアオフィス[2025/04/11 日経MJ(流通新聞) 5ページ 600文字 PDF有 書誌情報]
三井不動産は、法人向けシェアオフィスサービス「ワークスタイリング」で海外初の拠点を米ニューヨーク市に開くと発表した。同日から予約を開始し、15日に開業する。日系企業の会員向けに海外出張時での利用を想定する。海外拠点の拡大に向けてシェアオフィスの米企業とも連携する。
三井不の米国子会社がニューヨーク市マンハッタンに所有する高層オフィスビル「1251 Avenue of the Americas」のラウンジスペース(約25席)をワークスタイリング会員も利用できるようにする。
料金は午前8時~午後5時の営業時間のうち午前・午後の枠で各6000円。会員向けサイトで予約するとQRコードで入退室できる。ビルは地下鉄駅に直結し、地下通路でロックフェラーセンターとつながる。
三井不は4月からシェアオフィス事業を手がける米Industrious(インダストリアス)と連携し、ワークスタイリング会員が同社の欧米約130カ所の施設を通常料金の2割引きで使えるようにする。アジアにも対象の拡大を目指す。
三井不はワークスタイリング事業を2017年に始めた。3月時点で約1200社、約32万人が契約。全拠点を利用できるプラン料金は毎月の登録管理料(税別5万円~)と1人あたり10分ごとの利用料(同290円~)のほか諸経費がかかる。
【図・写真】三井不動産が米NYの自社ビルに開設したシェアオフィスのラウンジ=同社提供
札幌市営地下鉄 クレカ決済、試験導入 全駅、26日から[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 北海道 1ページ 308文字 PDF有 書誌情報]
札幌市は26日から、市営地下鉄全駅でクレジットカードなどのタッチ決済を試験的に導入する。現金で切符を購入する必要がなく、クレジットカードやスマートフォンで乗車できるようになる。事前にチャージが必要な交通系ICカードを持たないインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもある。
クレカなど向けタッチ決済の読み取り機が付いた改札を、市営地下鉄全49駅の各改札口に1台ずつ設置した。インバウンドの利用客が多い南北線さっぽろ駅には、各改札口に2台ずつ配置した。
利用者数など今後の運用状況を踏まえ、2026年度以降に本格的に導入する。同市は25年度中に、路面電車(札幌市電)の全車両にもタッチ決済機器を搭載する予定だ。
都、福祉人材の復職促進 研修充実、離職防止にも力 就労半年で奨励金[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 東京 5ページ 1423文字 PDF有 書誌情報]
東京都は、人手不足が深刻化している介護福祉士、社会福祉士、保育士など福祉人材の有資格者や介護支援専門員(ケアマネジャー)らの復職支援を強化する。相談員による伴走支援やリスキリング施策を充実させ、実際に就職した人への奨励金なども用意する。資格や経験のある即戦力人材の活躍を促し、効果的な人材確保につなげる。
介護、保育、障害福祉分野などの求人情報を掲載する都の情報サイト「ふくむすび」を用いた復職支援を強化する。2025年度から介護福祉士などの資格のある人が同サイトに登録した場合、決済アプリで使える500円相当のポイントを付与。現在は福祉分野で働いていない潜在人材の登録や利用拡大を目指す。
登録者には最新の介護保険制度に関する座学や実技演習などのリスキリングメニュー、東京都福祉人材センターによる就職相談の機会も提供。「福祉の仕事から離れていた人が不安なく復職できるように支援する」(都福祉局生活福祉部)
都はキャリアアップの仕組みや研修制度を充実させている福祉事業所の認定制度を設けている。都による復職支援では優良事業所への紹介に力を入れることで、職員の待遇改善や就職後のミスマッチも防ぐ。相談員とやりとりして実際に就職した場合には、5000円相当のポイントも給付する。
東京都によると、就職していなかったり他の仕事をしている介護福祉士は、把握できるだけでも20年度時点で約9000人いた。サイト登録者数は24年度末時点で約3000人にとどまるが、ポイント付与などの取り組みを通じ、25年度には新たに1万人の登録者増、相談員を介した約740人の就職を目標とする。
25年度には要介護者や要支援者の相談を受けて対応策を作成するケアマネジャーの再就職支援も始める。就職や転職を希望する人向けに相談窓口を新たに設置し、就職後、6カ月間働き続けた人には10万円の奨励金を給付する。
都内では2万2300人がケアマネジャーに登録されているが、資格を使って働いていない「潜在人材」は3割超の約7500人にのぼる。ケアマネジャーは業務量の増加や処遇改善の遅れが指摘されており、復職するうえでのハードルとなっている。介護従事者への最大2万円の手当支給や事業所向けの経費補助なども用意し、処遇改善を後押しする。
高齢化に伴い、都内では福祉職場の人手不足が深刻化している。都内の高齢者(65歳以上)は20年時点で319万人と、人口の23%を占めた。都の推計では45年には396万人、29%に上昇する見通しだ。介護保険の要介護認定を受けている人は22年度時点で65万人だが、30年度には76万人になる見込みだ。
一方、東京労働局によると25年2月の「介護サービス職業従事者」の有効求人倍率(原数値)は8.04倍と職業全体(1.53倍)を上回る。都の推計では、高齢化に伴い30年度に都内で約4万7000人の介護職員が不足する見通しだという。
介護人材の確保は全国的な課題となっており、在留資格「特定技能」の活用など外国人の受け入れも進んでいる。都は25年度、人材紹介費用の補助や国家資格の取得支援も始め、幅広い人材確保策を講じる。有資格者の復職を後押しする支援策や業界の待遇改善などを通じて、資格や経験がある即戦力が活躍できる仕組みの整備もより重要となりそうだ。
(久保田皓貴)
【図・写真】資格があり復職を検討する人を伴走支援する(東京都福祉人材センター)=イメージ
中部電、太陽光で住宅ローン優遇 戸建て向け来年度メド 電気+金融で新電力に対抗[2025/04/11 日本経済新聞 地方経済面 中部 7ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
中部電力の販売子会社、中部電力ミライズは金融事業を拡大する。提携先の住信SBIネット銀行を通し、2026年度をめどに太陽光発電などを導入する環境型住宅に対しローンを優遇する個人向けサービスを始める。電力自由化で東邦ガスや新電力が電力契約を増やしている。中部電は金融サービスと組み合わせて戸建て家庭の契約で反転攻勢をかける。
中部電力ミライズは家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」を始めた。住信SBIの銀行口座から電力料金などを口座振替で支払うと、最大5%をポイント還元する。家庭向けの新サービスはカテエネBANKの加入者を対象とする。
カテエネBANK拡充の一環として住宅ローン優遇を26年度をめどに始める。既に住信SBI銀行を通した住宅ローンの提供を行っているが、環境型住宅向けの優遇ローンを提供することを検討する。窓口は太陽光パネルや住設機器などを販売する中部電力ミライズ運営の「ミライズショップ」となる公算が大きい。
カテエネBANKの拡充と並行し、出店拡大も検討する。現在、ミライズショップはイオンモールナゴヤドーム前(名古屋市)に限られている。
3月末に閉店した家庭向けサービスショップ「カテエネショップ」があった岡崎市に、新たにミライズショップを出店することを視野に入れる。中部電力ミライズの神谷泰範社長は「弊社の顔が見える接点として期待したい」と話す。
法人向けのサービスも始める。25年度から住信SBIネット銀がシステム連携を通じて預金や決済などの銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を始める。中部電力は銀行免許よりハードルが低い銀行代理業の許可を得て、企業向けの融資に関与する。
BaaSを活用し、電気の支払い状況や使用量を信用情報とした融資も視野に入れる。電力データに問題がないと判断された場合、融資や家賃保証の条件を緩和したり、手続きが簡素になったりするようなサービスを提供したい考えだ。太陽光発電など脱炭素設備を導入した企業に対する融資優遇も今後検討していく。
金融サービスを拡大する背景にあるのは、電気事業の競争激化がある。中部では中電以外のインフラ企業による電力事業が活発になっている。東邦ガスの電気事業は、加入件数が昨年12月末で約67万件と前年同期比で10%増えた。サーラコーポレーションも子会社を通して愛知県豊橋市内の蓄電所を25年夏に稼働させる見通しだ。
ポイントサービスを武器に、携帯電話会社の電気事業も伸長している。中部電力ミライズの神谷社長は「当社は大手企業など大口顧客には強い接点があるが、家庭や中小企業などには課題を抱えている。単に電気を提供するだけでは存在価値を発揮できない」と話す。
今後は金融データを活用し、「電力のみならず暮らし全体に向けたサービスを拡充する」(神谷社長)狙いだ。子どものいる家庭に対する教育ローンの提供や、家計管理の提案などを視野に入れる。暮らし関連のサービスの拡充で、電力を利用する顧客の確保につなげたい考えだ。
インフラ関連など非金融事業者がBaaSに参入する事例は増えている。24年8月には、関西電力が東京きらぼしフィナンシャルグループとBaaSサービスで提携すると発表した。関西電も再エネ事業への投融資や環境配慮型住宅向けのローン開発に取り組むとしている。
(川路洋助)
長谷工、ウッドフレンズを買収へ 木造マンションを強化[2025/04/10 22:50 日経速報ニュース 485文字 画像有 ]
長谷工コーポレーションは10日、東海地方で木材加工や戸建て住宅の施工、販売を手掛けるウッドフレンズにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。約25億円を投じて完全子会社化を目指す。住宅のラインアップを広げ、木造マンションの競争力を磨く。
TOB価格は9日終値(900円)に対して91%のプレミアムをつけた1株あたり1720円。買い付け予定数は2月末時点の発行済み株式総数から自己株式を除いた145万8083株で、買い付けの下限は97万2100株とする。期間は11日から5月27日までで、6月3日に決済を予定する。
ウッドフレンズはTOBへの賛同を表明し、株主に応募を推奨すると発表した。TOBに応じない株主にはTOBの成立後、長谷工が強制買い取り(スクイーズアウト)を実施する。その後ウッドフレンズは上場廃止となる見通し。
ウッドフレンズは東海地方で中所得者向けの戸建て住宅や林業を手掛ける。長谷工は自社グループの営業網をウッドフレンズに提供する。長谷工は鉄筋コンクリート造と木造を組み合わせたマンションを開発しており、木材調達を強化してコスト競争力を高める。
【関連記事】長谷工、大型マンションに「木造ハイブリッド」 都内で
イオンFS社長に深山氏 マネロン不祥事で企業統治強化[2025/04/10 19:35 日経速報ニュース 1378文字 画像有 ]
イオンの金融子会社、イオンフィナンシャルサービス(FS)は10日、コーポレートガバナンス(企業統治)改革を担当する深山友晴氏(51)が社長に就く人事を発表した。傘下のイオン銀行でマネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があり前社長が引責辞任した。改革の統括役をトップにし、再発防止などの体制整備を急ぐ。
5月23日に開く株主総会後の取締役会を経て正式に就任する。社長を兼務していた白川俊介会長(61)は代表権のない会長となる。
イオン銀行を巡っては金融庁が2024年12月、マネロン対策の不備で銀行法に基づく業務改善命令を出した。経営責任を明確にするため25年1月にイオンFSの藤田健二社長が引責辞任し、イオン銀行の小林裕明社長も解任した。
深山氏は海外事業の経験が長い。20年に香港に上場するイオンクレジットサービス(アジア)社長に就いたほか、24年にはベトナムの事業拡大の責任者も務めた。マネロン対策の不備を受けて25年3月に「グループガバナンス改革担当」になり、体制整備の責任者となった。
最優先課題はガバナンスの強化になる。
3月に経営監査部を社長直轄の組織とし、三井住友フィナンシャルグループで監査部長の経験がある谷新一郎氏(63)を新たな常勤監査役に招くことも決めた。銀行だけでなく海外事業や保険事業など各部門のリスクの洗い出しなどを横断的に実施できるようにする。
クレジットカード「イオンカード」でも昨夏から不正利用が多発した。対応が遅れたことなどもあり、数万人の会員が被害を受けた。マネロン不祥事と併せて再発を防止し、株主や利用者の信頼を取り戻したい考えだ。
イオンFSの業績は堅調だ。
10日に発表した25年2月期の連結決算は売上高にあたる営業収益が前の期に比べて10%増の5332億円、営業利益は23%増の614億円だった。クレカの分割払いやキャッシングが増えたほか、香港などでは個人ローンの残高も伸びた。純利益は7%減の195億円だった。クレカの不正利用の被害に関連する費用として99億円の特別損失を計上した。
今後の成長の柱は決済サービスの利用者増と海外事業の拡大になる。
スマートフォン決済の「AEON Pay(イオンペイ)」をいかに伸ばすかがカギを握る。イオングループ以外の加盟店の増加を急いでいる。クレカなどと異なって小口決済が中心のため若者の利用者も多く、スマホ決済大手のPayPayに対抗する上で欠かせない。
スマホ決済や銀行口座、電子マネーの「WAON(ワオン)」などを組み込んだ金融アプリ「イオンウォレット」を通じ、イオングループが小売りから金融まで経済圏を拡大する要になる。
海外事業の拡大も不可欠だ。
営業利益に占める割合は6割ある一方、営業収益に占める割合は3割にとどまる。アジアなど海外は日本より金利が高く利益率が高い。すでにタイやマレーシア、中国など約10カ国・地域に進出しており、新規進出国の増加よりも現在の市場での利用者の底上げが重要になる。現地市場に精通した深山氏は海外事業の拡大でも重責を担うことになる。
深山 友晴氏(ふかやま・ともはる)97年(平9年)イオンクレジットサービス(現・イオンフィナンシャルサービス)入社。20年イオンクレジットサービス(アジア)社長、25年グループガバナンス改革担当
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札幌市営地下鉄、クレカ使用可能に 海外客も使いやすく[2025/04/10 19:18 日経速報ニュース 308文字 画像有 ]
札幌市は26日から、市営地下鉄全駅でクレジットカードなどのタッチ決済を試験的に導入する。現金で切符を購入する必要がなく、クレジットカードやスマートフォンで乗車できるようになる。事前にチャージが必要な交通系ICカードを持たないインバウンド(訪日外国人)の利便性を高める狙いもある。
クレカなど向けタッチ決済の読み取り機が付いた改札を、市営地下鉄全49駅の各改札口に1台ずつ設置した。インバウンドの利用客が多い南北線さっぽろ駅には、各改札口に2台ずつ配置した。
利用者数など今後の運用状況を踏まえ、2026年度以降に本格的に導入する。同市は25年度中に、路面電車(札幌市電)の全車両にもタッチ決済機器を搭載する予定だ。
外為17時 円相場、反落 146円台前半 米関税の一時停止で[2025/04/10 17:30 日経速報ニュース 557文字 ]
10日の東京外国為替市場で、円相場は反落した。17時時点では前日の同時点に比べ70銭の円安・ドル高の1ドル=146円23~25銭で推移している。トランプ米大統領が9日、一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を一時停止すると発表した。世界景気が減速するとの懸念が和らいで「低リスク通貨」とされる円に売りが出た。
日米の株式相場の大幅上昇を受け、投資家心理が改善し、関税政策への警戒感から膨らんでいた円買い・ドル売りの持ち高が巻き戻された。
ただ、円相場が一段と下値を探る動きは限られた。きょうは事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたる。国内輸出企業などによる円買い・ドル売り観測が円相場の支えとなった。トランプ氏は9日、中国に対して累計125%の関税を課す方針を示した。10%の一律関税も維持しており「関税政策の先行きへの懸念は残っている」(国内銀行の為替担当者)との見方も根強く、円相場の下値は堅かった。
円は対ユーロでも反落した。17時時点では同97銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=161円26~32銭で推移している。
ユーロは対ドルで続伸した。17時時点は同0.0015ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.1029~30ドルで推移している。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
KDDI松田社長「自前こだわらず」 NTT超え、解は外にあり[2025/04/10 17:09 日経速報ニュース 1533文字 画像有 ]
1日付で就任したKDDIの松田浩路社長が10日、東京都内で記者会見を開き、パートナー企業との提携戦略を加速する方針を示した。日本でつくり上げたサービスの海外展開にも注力する。日本電信電話公社(現NTT)の独占に挑む形でKDDIの前身企業が誕生してから約40年。業界首位へのカギは外部の知見と海外、異業種の3つの「外」だ。
「自前主義にはこだわらない。パートナーと組んで大きなことに素早く取り組むのがKDDIの使命だ」。松田社長は会社の戦略についてこう語った。
主力の携帯電話事業が人口減少により大きな成長を見込みにくい中で、前任の高橋誠会長は金融や動画配信などのコンテンツといった非通信事業を育てて次への道筋を付けた。さらなる成長に向けては海外でのサービス拡大が急務となる。その担い手として後任に選んだのが、米アップルといった海外企業との交渉を担ってきた松田社長だった。
人口減や高齢化をはじめ諸課題についても先進国である日本で培ったサービスを海外展開する。人工知能(AI)を使った自律飛行型ドローン(小型無人機)を開発・製造する米スカイディオとKDDIは24年5月に資本業務提携した。ドローンを使ったインフラ点検や監視サービスなどを想定する。
スタートアップとの提携も加速する。米国でAIといった分野に投資するベンチャーキャピタル(VC)などに出資すると10日発表した。KDDIが新たに立ち上げるファンドと合わせて300億円規模の投資を検討する。松田社長はエンジニア出身だ。AIや通信などに精通しており、先端技術を有する企業との協業は今後さらに増えるとみられる。
KDDIがいち早く提携した米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」についても新しい動きがあった。スマートフォンと衛星が直接通信するサービスの提供を10日から始めた。国内の通信事業者が直接通信を手掛けるのは初めてとなり、米アップルのiPhoneなど、約600万台が対象となる。auの利用者であれば当面は無料で使えるようにしてアピールする。
KDDIは、1984年に発足した第二電電という前身企業も含めて生まれながらにしてNTT対抗が運命付けられた企業だ。研究開発費などの投資規模はNTTに見劣りすることから、それを補う形で外部の技術や知見を積極的に取り込んできた。NTTドコモの2025年3月期の売上高予想が6兆2440億円なのに対し、KDDIは5兆7700億円とまだ差がある。
同業他社にない強みの領域として成長期待をかけるのがコンビニエンスストアのローソンだ。5000億円を投じて、24年に三菱商事と共同経営することになった。KDDIは通信会社として唯一、全国展開する小売りチェーンをグループに引き入れた。全国の約1万4000店舗で新サービスを展開すれば、携帯電話や金融との相乗効果も生まれるとみる。
先進技術を取り入れたローソンの新店舗がKDDIの新本社(東京・港)で開業する予定だ。飲料の陳列をロボットで自動化したり、来店客が専用のアプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマホレジの導入などを想定している。顧客の利便性を高めるだけでなく、小売業で深刻な人手不足の対策にもなる。
小売りの現場をデジタル技術で効率化する「リテールテック」は他社への販売も検討する。松田社長は「高輪の新本社で培った技術を世界に展開していきたい」と述べた。
外部連携、海外、外から招いたコンビニという異業種。どれもお手本があるわけではない。特に活路とみる海外事業は松田社長自身「現状はまだまだと感じる」とハードルは高いと認める。高橋会長がまいた種を育ててKDDIの次をみせられるか。
(桜木浩己)
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ウルシステムズ、サントリービバレッジソリューションの自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発を支援[2025/04/10 16:46 日経速報ニュース 1328文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
サントリーの自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発を支援
~シンプルな決済体験を15万台のサントリー自販機へ拡大~
ウルシステムズ株式会社(本社 : 東京都中央区、代表取締役社長 : 横山芳成、以下、ウルシステムズ)はこのたび、サントリービバレッジソリューション株式会社(本社 : 東京都新宿区、代表取締役社長 : 森祐二、以下、SBS)の自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」の企画・開発プロジェクトを立ち上げからローンチまで全面的に支援しました。
※参考画像は添付の関連資料を参照
SBSは自販機による飲料水の販売やウォーターサーバーの提供などを手掛けるサントリーグループの企業です。このほど自販機キャッシュレスアプリ「ジハンピ」をリリース。同社が運用するジハンピ対応自販機で、「ジハンピ」に連携することでクレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済を可能にしました。自販機での煩わしい端末操作を必要としないシンプルな決済体験が好評を博し、2024年12月に北海道で提供開始して以来、利用者数を着実に伸ばしています。スマホアプリや自販機向け決済端末などキャッシュレス決済に必要な仕組みを独自で用意することにより、低コストでの導入を実現しました。2025年中にサントリーの自販機約15万台をジハンピに対応させる予定です。
ウルシステムズはデジタル技術を駆使したビジネス変革や大規模プロジェクトマネジメントに関する知見を評価されてプロジェクトの初期から参画しました。「自販機のキャッシュレス決済をシンプルにする」というコンセプトを具現化すべく、PoC(概念実証)やフィジビリティスタディを通じたサービスのブラッシュアップ、業務プロセスとシステムの設計、決済端末の機能や通信方式の検討、システム開発会社の選定、システム全体の品質管理など多岐にわたる活動をSBSのプロジェクトチームのメンバーとともに推進しました。自販機キャッシュレス決済として過去に類を見ない優れた利用体験と高いポテンシャルを備えたサービスに仕上がったと自負しております。
SBSの本プロジェクトリーダーの井上尊之氏(マーケティング本部・副部長)は次のようにコメントしています。
「自販機を小売店と考える私達にとってキャッシュレス決済への対応は不可欠でした。圧倒的にシンプルな決済体験を多くのお客様へ提供したい。そんなアイディアをよりスピーディーに実現すべく、支援を受けることにしました。ウルシステムズを選んだのはソリューションを押し売りするのではなく、寄り添ってくれると感じたからです。事業会社とコンサルティング会社という組織の壁を超え、SBSのプロジェクトチームのコアメンバーとしてプロジェクトの成功に向けて全面的に支援してくれました。」
ウルシステムズはこれからもサントリーグループのビジネス変革をご支援してまいります。
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
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https://release.nikkei.co.jp/attach/689606/01_202504101716.jpg
三菱UFJ信託、ネット優待の事務受託 個人株主増加後押し[2025/04/10 16:30 日経速報ニュース 585文字 画像有 ]
三菱UFJ信託銀行は上場企業向けにインターネットで手続きする株主優待制度の事務受託サービスを始めた。通販サイトで利用できる共通ポイントを株主に配る場合などが対象になる。株主優待を導入しやすくして企業の個人株主増加に向けた施策を後押しする。
サービスを受託する専門サイトをこのほど立ち上げた。企業側はサイト上で優待制度の詳細を設計して株主総会の招集通知などにQRコードを掲載する。株主はサイトにアクセスして優待を受ける仕組みだ。価格は各社の内容ごとに異なり、年800万~900万円程度を想定する。5年で100社への導入を目指す。
企業側は株主の対応など優待関連の事務負担を三菱UFJ信託に委ねることができる。株主名簿の管理を業務とする信託銀行がサービスを手掛けるため、名簿の外部提供に抵抗がある企業の需要を取り込む。
株主優待で紙のギフト券などを配布する場合、優待を実施する企業側は発送の受け付けなどで事務負担がかかってきた。
株主優待制度は優待の活用が難しい機関投資家や海外投資家からは不公平だとの批判も根強い。三菱UFJ信託の調べによると、減少傾向が続いていた優待制度の実施社数は2024年12月までに増加に転じた。政策保有株の売却が増える中で長期で保有する個人株主の開拓を目指す企業が増えており、ネットで作業を完結できる今回のサービスは一定の需要があるとみている。
外為12時 円相場、下落 米相互関税の一時停止で 実需の買いが支え[2025/04/10 12:32 日経速報ニュース 662文字 ]
10日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=146円73~75銭と前日17時時点と比べて1円20銭の円安・ドル高だった。トランプ米大統領が9日に、相互関税の上乗せ分の一時停止を発表した。投資家のリスク回避姿勢が和らいだことで円売り・ドル買いが優勢となった。一方、輸出企業など国内実需勢の円買い・ドル売り観測が相場を下支えし、円は次第に底堅さを増した。
トランプ大統領は9日に自身のSNSで、同日発動した相互関税について、一部の国と地域で90日間の一時停止を許可する考えを示した。世界経済が減速するとの警戒感が後退したことで日米の株式相場が急反発し、「低リスク通貨」とされる円には売りが先行した。
もっとも、円相場は昼過ぎにかけて下げ渋った。9日の海外市場で約半年ぶりの高値をつけたあと148円台まで売られるなど、急速に円安が進んだ反動で、10日の東京市場では利益確定目的の円買い・ドル売りも入りやすかった。10日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」にあたり、輸出企業など国内実需筋による円買い・ドル売り観測も相場の支えとなった。
円は対ユーロでも下落した。朝方に161円台後半まで円売り・ユーロ買いが進んだ後は、下げ渋った。12時時点は1ユーロ=160円99銭~161円03銭と、同70銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルでは下落した。12時時点は1ユーロ=1.0971~72ドルと同0.0043ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
オリコとイオンフィナンシャルサービス、イオングループの取引先中小企業・個人事業主向けにビジネスカードを共同発行で合意[2025/04/10 12:21 日経速報ニュース 1208文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
オリコ、イオンフィナンシャルサービス(株)とビジネスカードを共同発行
~イオンフィナンシャルサービスとの業務提携に係る基本合意に基づく第三弾~
株式会社オリエントコーポレーション(東京都千代田区、代表取締役社長 : 梅宮 真、以下「オリコ」)と、イオンフィナンシャルサービス株式会社(東京都千代田区、代表取締役会長兼社長 : 白川 俊介、以下「イオンフィナンシャルサービス」)は2024年3月25日付 業務提携に係る基本合意書に基づく協業の第三弾として、イオングループの取引先中小企業・個人事業主向けに、共同でビジネスカードの発行を行う事で合意いたしましたので、お知らせいたします。なお、ビジネスカードの募集開始は2025年9月を予定しています。
また、その他の協業分野では、コールセンター業務において生成AIを活用したロールプレイングツールに共通コンテンツを導入することやオリコ加盟店に対するAEONPay導入促進を目的とした契約を締結するなど協働案件は着実に進展しております。
【ビジネスカード_狙い・背景】
国内の中小企業では、生産年齢人口の減少等を背景として慢性的な人手不足が経営上の課題として最も強く認識されています。また、運転資金の確保やコスト削減などの財務面においても課題として認識されています。これらの課題解決に向け、オリコが持つ法人・個人事業主に対する与信ノウハウや法人向けの商品サービスを活用し、イオングループ約300社のお取引先やイオンフィナンシャルサービスの法人・個人事業主のお客さまへ利便性の高い決済ツールの提供を行ってまいります。また、WAONPOINT付与等のイオングループならではの特典を付帯することで、他のビジネスカードとの差別化を図ることが可能となるなど、協業による効果が発揮できると考えております。
※参考画像は添付の関連資料を参照
【ビジネスカード_スキームの概要】
本ビジネスカードは、カードの審査・発行・管理はオリコが実施、イオンフィナンシャルサービスはカード獲得や利用促進等の営業を担います。オリコが与信リスク管理を担うことで幅広いお客さまへビジネスカードの発行が実現し、イオンフィナンシャルサービスが営業を担うことでオリコ単独ではアプローチすることができなかったイオングループの取引先にサービスを提供することが可能となるなど双方にとって価値のある取り組みになります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689581/01_202504101159.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689581/02_202504101159.pdf
東急建設とアイリッジ、共同開発を行う工具管理DXサービス「工具ミッケ」の改良版「工具ミッケII」を提供開始[2025/04/10 11:20 日経速報ニュース 900文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月10日
東急建設とアイリッジ、まとめてQRスキャンが可能な工具管理DX「工具ミッケII」を提供開始
使いやすいインターフェースにリニューアル
登録フローをより簡素化し、働き方改革をサポート
東急建設株式会社(本社 : 東京都渋谷区、代表取締役社長 : 寺田 光宏、東京証券取引所プライム : 1720、以下「東急建設」)と株式会社アイリッジ(本社 : 東京都港区、代表取締役社長 : 小田 健太郎、東京証券取引所グロース : 3917、以下「アイリッジ」)は、両社が共同開発を行う工具管理DXサービス「工具ミッケ」の改良版となる「工具ミッケII」を、2025年4月より提供開始したことをお知らせします。
「工具ミッケ」は、RFID(無線自動識別)タグとスマートフォンアプリを活用した工具管理DXサービスとして2022年10月に販売を開始しました。これまで東急建設をはじめ、建設会社や鉄道事業者などの現場で導入される中で出てきた利用者からの要望にお応えして、このたび、アプリインターフェースの改良と工具登録フローの簡素化を行うとともに、工具識別用タグとしてQRコード(※1)も使えるようにしました。SCANDIT社の技術を採用することで、QRコード利用の場合も複数工具をアプリでまとめて読み取れるようにし、さらに利用のハードルを下げました。今後も引き続き導入拡大を目指してまいります。
※1)QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です
*イメージ画像は添付の関連資料を参照
※「工具ミッケ」は、東急建設株式会社と株式会社アイリッジの登録商標(登録第6653258号、登録第6671163号)です。
*以下は添付リリースを参照
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イメージ画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689572/01_202504101112.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689572/02_202504101112.pdf
外為10時 円相場、146円台後半に下げ渋り 中値「ドル売り」の声[2025/04/10 10:28 日経速報ニュース 572文字 ]
10日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げ渋っている。10時時点は1ドル=146円82~85銭と前日17時時点と比べて1円29銭の円安・ドル高だった。10日午前の取引で日経平均株価は急反発し、上げ幅は一時2800円を超えた。投資家のリスク回避姿勢が和らいでいるのは「低リスク通貨」とされる円売り・ドル買いを促した一方、輸出企業など国内実需筋の円買い・ドル売り観測が相場の支えとなった。
10時前には146円69銭近辺と、朝方につけた147円台後半から1円程度下げ幅を縮める場面があった。中値決済に向けては、「ドル売りが優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。10日は事業会社の決済が集中する「5・10日(ごとおび)」で、国内輸出企業による円買い・ドル売り観測が相場の支えとなった。「年末にかけて円相場は現時点より円高・ドル安に進むとみている輸出企業は多く、少しでも円安方向に進むと円買い・ドル売りを入れている」(同担当者)との指摘があった。
円は対ユーロでも下げ渋っている。10時時点では1ユーロ=161円30~34銭と、同1円01銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルでは下落幅を縮めた。10時時点では1ユーロ=1.0985~86ドルと同0.0029ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
デジタルガレージ、オンラインで火災保険の申請完結[2025/04/10 09:00 日経速報ニュース 266文字 画像有 ]
決済システムのデジタルガレージは新築マンション購入時の火災保険の申し込みがオンライン上で完結するサービスを6月に始める。同社がこれまで不動産デベロッパー向けに展開していた新築マンションの契約管理サービス上にある購入者情報を取り込む。購入者は紙の保険申込書に記入する手間がなくなる。
サービス名は「Musubell(ムスベル)保険」で、東京海上日動火災保険の保険代理店向けに展開する。これまでマンションの購入者情報はシステム上で共有されていなかったため、購入者に記入してもらった申込書を基に、代理店が再度システム上に手入力していた。
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中部電力、太陽光で住宅ローン優遇 戸建て向け反転攻勢[2025/04/10 05:00 日経速報ニュース 1390文字 画像有 ]
中部電力の販売子会社、中部電力ミライズは金融事業を拡大する。提携先の住信SBIネット銀行を通し、2026年度をめどに太陽光発電などを導入する環境型住宅に対しローンを優遇する個人向けサービスを始める。電力自由化で東邦ガスや新電力が電力契約を増やしている。中部電は金融サービスと組み合わせて戸建て家庭の契約で反転攻勢をかける。
中部電力ミライズは家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」を始めた。住信SBIの銀行口座から電力料金などを口座振替で支払うと、最大5%をポイント還元する。家庭向けの新サービスはカテエネBANKの加入者を対象とする。
カテエネBANK拡充の一環として住宅ローン優遇を26年度をめどに始める。既に住信SBI銀行を通した住宅ローンの提供を行っているが、環境型住宅向けの優遇ローンを提供することを検討する。窓口は太陽光パネルや住設機器などを販売する中部電力ミライズ運営の「ミライズショップ」となる公算が大きい。
カテエネBANKの拡充と並行し、出店拡大も検討する。現在、ミライズショップはイオンモールナゴヤドーム前(名古屋市)に限られている。
3月末に閉店した家庭向けサービスショップ「カテエネショップ」があった岡崎市に、新たにミライズショップを出店することを視野に入れる。中部電力ミライズの神谷泰範社長は「弊社の顔が見える接点として期待したい」と話す。
法人向けのサービスも始める。25年度から住信SBIネット銀がシステム連携を通じて預金や決済などの銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を始める。中部電力は銀行免許よりハードルが低い銀行代理業の許可を得て、企業向けの融資に関与する。
BaaSを活用し、電気の支払い状況や使用量を信用情報とした融資も視野に入れる。電力データに問題がないと判断された場合、融資や家賃保証の条件を緩和したり、手続きが簡素になったりするようなサービスを提供したい考えだ。太陽光発電など脱炭素設備を導入した企業に対する融資優遇も今後検討していく。
金融サービスを拡大する背景にあるのは、電気事業の競争激化がある。中部では中電以外のインフラ企業による電力事業が活発になっている。東邦ガスの電気事業は、加入件数が昨年12月末で約67万件と前年同期比で10%増えた。サーラコーポレーションも子会社を通して愛知県豊橋市内の蓄電所を25年夏に稼働させる見通しだ。
ポイントサービスを武器に、携帯電話会社の電気事業も伸長している。中部電力ミライズの神谷社長は「当社は大手企業など大口顧客には強い接点があるが、家庭や中小企業などには課題を抱えている。単に電気を提供するだけでは存在価値を発揮できない」と話す。
今後は金融データを活用し、「電力のみならず暮らし全体に向けたサービスを拡充する」(神谷社長)狙いだ。子どものいる家庭に対する教育ローンの提供や、家計管理の提案などを視野に入れる。暮らし関連のサービスの拡充で、電力を利用する顧客の確保につなげたい考えだ。
インフラ関連など非金融事業者がBaaSに参入する事例は増えている。24年8月には、関西電力が東京きらぼしフィナンシャルグループとBaaSサービスで提携すると発表した。関西電も再エネ事業への投融資や環境配慮型住宅向けのローン開発に取り組むとしている。
(川路洋助)
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東京都、介護福祉士やケアマネらの復職を支援 奨励金も[2025/04/10 05:00 日経速報ニュース 1385文字 画像有 ]
東京都は、人手不足が深刻化している介護福祉士、社会福祉士、保育士など福祉人材の有資格者や介護支援専門員(ケアマネジャー)らの復職支援を強化する。相談員による伴走支援やリスキリング施策を充実させ、実際に就職した人への奨励金なども用意する。資格や経験のある即戦力人材の活躍を促し、効果的な人材確保につなげる。
介護、保育、障害福祉分野などの求人情報を掲載する東京都の情報サイト「ふくむすび」を用いた復職支援を強化する。2025年度から介護福祉士などの資格のある人が同サイトに登録した場合、決済アプリで使える500円相当のポイントを付与。現在は福祉分野で働いていない潜在人材の登録や利用拡大を目指す。
登録者には最新の介護保険制度に関する座学や実技演習などのリスキリングメニューや、東京都福祉人材センターによる就職相談の機会も提供する。「福祉の仕事から離れていた人が不安なく復職できるように支援する」(都福祉局生活福祉部)
都はキャリアアップの仕組みや研修制度を充実させている福祉事業所の認定制度を設けている。都による復職支援では優良事業所への紹介に力を入れることで、職員の待遇改善や就職後のミスマッチも防ぐ。相談員とやりとりして実際に就職した場合には、5000円相当のポイントも給付する。
東京都によると、就職していなかったり他の仕事をしている介護福祉士は、把握できるだけでも20年度時点で約9000人いた。サイト登録者数は24年度末時点で約3000人にとどまるが、ポイント付与などの取り組みを通じて、25年度には新たに1万人の登録者増、相談員を介した約740人の就職を目標とする。
25年度には要介護者や要支援者の相談を受けて対応策を作成するケアマネジャーの再就職支援も始める。就職や転職を希望する人向けに相談窓口を新たに設置し、就職後、6カ月間働き続けた人には10万円の奨励金を給付する。
都内では2万2300人がケアマネジャーに登録されているが、資格を使って働いていない「潜在人材」は3割超の約7500人にのぼる。ケアマネジャーは業務量の増加や処遇改善の遅れが指摘されており、復職するうえでのハードルとなっている。介護従事者への最大2万円の手当支給や事業所向けの経費補助なども用意し、処遇改善を後押しする。
高齢化に伴い、都内では福祉職場の人手不足が深刻化している。都内の高齢者(65歳以上)は20年時点で319万人と、人口の23%を占めた。都の推計では45年には396万人、29%に上昇する見通しだ。介護保険の要介護認定を受けている人は22年度時点で65万人だが、30年度には76万人になる見込みだ。
一方、東京労働局によると25年2月の「介護サービス職業従事者」の有効求人倍率(原数値)は8.04倍と職業全体(1.53倍)を上回る。都の推計では、高齢化に伴い30年度に都内で約4万7000人の介護職員が不足する見通しだという。
介護人材の確保は全国的な課題となっており、在留資格「特定技能」の活用など外国人の受け入れも進んでいる。都は25年度、人材紹介費用の補助や国家資格の取得支援も始め、幅広い人材確保策を講じる。有資格者の復職を後押しする支援策や業界の待遇改善などを通じて、資格や経験がある即戦力が活躍できる仕組みの整備もより重要となりそうだ。(久保田皓貴)
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NF銀行ランキング、SMBC信託が首位 上位3行に信託銀 相続や不動産、専門性に支持[2025/04/10 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1380文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社は商品力やサービスの使いやすさで利用者がどの銀行を評価しているのかを分析する2025年の「NIKKEI Financial(NF)銀行ランキング」をまとめた。総合首位はSMBC信託銀行だった。貯蓄から投資への流れが加速するなか、外貨預金から相続まで幅広く資産運用サービスを提供する信託銀行が上位を占めた。
利便性、商品サービス、接客応対、企業姿勢、収益性の5つの項目について利用者への調査などを日経リサーチと実施し、各項目の得点の合算を偏差値にして順位を付けた。有効回答数50以上の78行でランキングにした。詳細は金融デジタルメディア「NIKKEI Financial」で公開した。
前回の24年ランキングでは新NISA(少額投資非課税制度)を背景に、スマホアプリなどの使い勝手が良いインターネット銀行が上位を席巻した。投資家の裾野が広がり顧客の相談内容も多様になるなか、今回の25年ランキングでは相続や不動産、富裕層向けのビジネスにも強い信託銀行が評価を得た。
SMBC信託銀行は顧客数が約70万人、店舗数は20程度で規模はメガバンクに及ばないが富裕層にも強い。米ドルやユーロなどの17種類の外貨預金、海外で外貨決済できるデビットカードなど商品サービスの評価が高かった。萩原攻太郎社長は「外貨にエッジをきかせられている」と話す。
2位の野村信託銀行は富裕層向けだけでなく預金にも力を入れる。支店を持たない軽量運営の強みを生かし1年物の定期預金金利を0.55%とし、0.275%の3メガバンクを上回る水準だ。3位にはみずほ信託銀行が入った。24年度から本部ではなく各支店が営業目標を独自に決める仕組みにし、顧客体験をどう高めるかを重視する。
信託協会の調べによると、24年9月末の信託財産総額は1746兆円と10年前に比べ約2倍に伸びた。投資信託だけでなく老後資産の運用として年金信託も増えた。信託銀行は相続の相談時に遺言信託などを組み合わせた提案ができる。預金や投資信託が窓口での営業の中心になる銀行に比べ、幅広い相談に対応できる人材をそろえる。
ネット銀行も存在感を示した。24年首位だったPayPay銀行は4位だった。スマホ決済サービスのPayPayから手軽に預金残高を確認でき、決済アプリの残高を銀行口座に移す際の手数料が無料だ。楽天銀行は6位だった。取引状況に応じて通販などに使えるポイントの付与が評価された。
メガバンクで最も順位が高かったのは、24年に続き三井住友銀行(5位)だった。金利上昇の恩恵で業績が拡大し、商業施設への積極出店やセキュリティー対策を評価する声があった。
地銀で最も順位が高かったのは山梨中央銀行(8位)だ。支店窓口の電子端末やスマホアプリの導入で間接業務を減らし、個人の資産運用などの相談に乗るアドバイザーを増やしている。ネット銀行などとの競争が激しさを増すなか、サービスのデジタル化に力を入れる地銀が評価された。上位には福岡銀行(13位)、琉球銀行(16位)が入った。
日銀がマイナス金利政策を解除して1年余りたち「金利ある世界」が日本にも戻りつつある一方、トランプ米政権の関税政策で株式を中心に金融市場の混乱が続く。顧客に動揺が走るなか、対面とデジタルを駆使した息の長い資産運用サービスの重要性が増す。
イオンFSが法人カード 9月にも発行、取引先囲い込み狙う[2025/04/10 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
イオン金融子会社のイオンフィナンシャルサービス(FS)は信販大手のオリエントコーポレーションと9月にも法人向けのクレジットカードを発行する。5000万人の個人会員を持つイオン経済圏を法人分野にも広げ、取引先の囲い込みを図る。
メガバンクなどは2025年度中に紙の約束手形や小切手の発行を終了する計画で、企業の商取引などでキャッシュレス化が進むことが見込まれている。
イオンFSは個人向けクレカで持つ強固な会員基盤が強みで、法人分野も強化することで決済額をさらに増やしたい考えだ。
総合スーパー(GMS)やドラッグストアを手掛けるイオングループ約300社と日常的に取引のあるメーカーや卸売業者などの中小企業を主な顧客層として見込む。生産から販売までのサプライチェーン(供給網)内で発生する商取引での法人クレカの利用を促す。
法人に対して与信する「コーポレートカード」と、個人事業主や中小企業の経営者に対して与信する「ビジネスカード」の2種類を発行する。
イオン経済圏拡大へ、オリコと法人カード 取引先囲う[2025/04/09 19:23 日経速報ニュース 596文字 画像有 ]
イオン金融子会社のイオンフィナンシャルサービス(FS)は信販大手のオリエントコーポレーションと9月にも法人向けのクレジットカードを発行する。5000万人の個人会員を持つイオン経済圏を法人分野にも広げ、取引先の囲い込みを図る。
メガバンクなどは2025年度中に紙の約束手形や小切手の発行を終了する計画で、企業の商取引などでキャッシュレス化が進むことが見込まれている。イオンFSは個人向けクレカで持つ強固な会員基盤が強みで、法人分野も強化することで決済額をさらに増やしたい考えだ。
総合スーパー(GMS)やドラッグストアを手掛けるイオングループ約300社と日常的に取引のあるメーカーや卸売業者などの中小企業を主な顧客層として見込む。生産から販売までのサプライチェーン(供給網)内で発生する商取引での法人クレカの利用を促す。
法人に対して与信する「コーポレートカード」と、個人事業主や中小企業の経営者に対して与信する「ビジネスカード」の2種類を発行する。
イオングループのWAON(ワオン)ポイントを0.5%還元するほか、クレカで支払いたい事業者とクレカ支払いを受け付けない事業者間の仲介や、資金繰りが厳しい取引先の売掛債権を現金化する機能も合わせて提供する方針だ。決済のみならず経営を財務面でも支援する。
クレカの審査と発行はオリコ、募集はイオンFSが担う。年1万枚を目標にクレカを発行する。
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セブン、迫力欠くコンビニ戦略 買収案対抗決め手乏しく[2025/04/09 18:58 日経速報ニュース 2398文字 画像有 ]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、2026年2月期の連結営業利益が前期比1%増の4240億円になりそうだと発表した。2年ぶりの増益を見込む。リテールメディア(小売り広告)事業の本格展開などの成長戦略も示したが、カナダ社の買収提案に対抗するには物足りないとの声も広がる。
売上高に当たる営業収益は10%減の10兆7610億円を見込む。イトーヨーカ堂などを束ねるヨーク・ホールディングス(HD)とセブン銀行を今期中に非連結化する影響を受ける。純利益は前期に計上した特別損失の影響が小さくなり、47%増の2550億円となる見通しだ。
米国コンビニ事業ではトランプ政権の関税政策による消費減速リスクを織り込み、25年度の米既存店売上高の増減率を1月時点の1.5%増から、1.5%減に引き下げた。9日夕にオンラインで開いた決算説明会で、スティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長は関税の影響について「経済や消費行動にはマイナスだ」と述べ、「他社よりも価値を提供するスピードを改善することで競合に打ち勝つ」との考えを示した。
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カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は7兆円規模の買収提案をセブンに提示している。セブンの時価総額は5兆円程度で、単独路線を進めるためには株価を上昇させる必要がある。
社長交代を発表した3月6日には米国コンビニ事業会社の新規株式公開(IPO)や2兆円の自社株買いといった資本政策を相次ぎ打ち出した。ただ、9日までの株価は13%安に落ち込む。市場の注目点はコンビニ事業の成長戦略に集まっていた。
新規出店623店、PBも強化
国内コンビニ事業は今期、営業利益を5%増の2447億円にする計画だ。コンビニの成長戦略の肝である新規出店は、都心部を中心に623店と高水準の出店を続ける。
24年秋に始めた低価格商品「うれしい値!」のほか、ドーナツや焼き菓子、入れたて紅茶などレジ横商品の品ぞろえ強化で集客を図る。利益率の高いプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高を1兆5500億円と、前期から500億円増やす。
30年度までの長期戦略では、6年間で設備投資やM&A(合併・買収)に3兆2000億円を投じる。店舗のデジタルサイネージ(電子看板)などに広告を表示するリテールメディア事業を本格展開し、メーカーからの広告料で稼ぎながら、店舗に並べた商品の拡販にもつなげる。
まず25年に電子看板の設置店を現在の7倍の約3500店に拡大する。POS(販売時点情報管理)やスマートフォンアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。
ピザや焼き菓子などレジ横商品の拡充に向けて店内調理への投資を積み増すほか、最短20分で店から商品を届ける宅配サービス「7NOW(セブンナウ)」を通じて1店舗あたりの売上高を伸ばす戦略も盛り込んだ。省人化の取り組みも強化する。
ただ、小売り広告や宅配サービスは同業他社も力を入れている。ファミリーマートはすでに約1万店に電子看板を設置し、自社の決済アプリを使って食品メーカーの広告や割引クーポンを配信するサービスも行う。セブン関係者は「コンビニ成長策について手詰まり感がある」と新機軸を打ち出せない状況を認める。
楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「選択と集中をすすめ、主力のコンビニ事業で成長の絵を描く戦略だが、それにしては少し物足りない印象だ」と指摘する。
ACTの買収案か単独成長か 「5月末判断」を修正
セブンの買収を巡っては、ACTとの応酬が続いている。ACTはセブン全社を対象にしたデューデリジェンス(資産査定)を要請するが、セブンは買収交渉の前段階として、米独占禁止法の課題解決が必要不可欠との姿勢を鮮明にする。両社は米独禁法の解決のため、2000店規模に及ぶ店舗売却先候補を選ぶ作業を進めている。
セブンの社外取締役で構成する特別委員会は、セブン単独路線とACT案のどちらが企業価値向上につながるかを議論しているが、結論が出るにはなお時間がかかりそうだ。
セブンの丸山好道最高財務責任者(CFO)はACTの買収提案の受け入れ可否などについて、1月のアナリスト説明会では「5月の株主総会までに一定の判断をする」と表明していた。
丸山氏は9日の説明会で「(ACTと自社単独案について)現時点で比較できる状況にない。状況が変わり説明をできる時期になったら公表する」と話した。創業家主導の株式非公開化案が頓挫し、判断時期を事実上修正した。
企業価値を一気に高める施策を打ち出せない中、セブンがACTに対抗するためには加盟店オーナーや株主との対話が欠かせない。ただ、9日の決算説明会は次期社長のデイカス氏や丸山CFO、事業会社や関連会社の役員らが出席したが、現社長の井阪隆一氏の姿はなかった。説明会の方式もオンラインだった。
ある加盟店オーナーは「まずは実現可能なビジョンを示して取り組んでほしい。でなければ、オーナーは離反し優秀な社員も去っていく」とこぼした。
自社株買い最大6000億円、26年2月まで
同日、総額2兆円の自社株買いの方針の一環で、最大6000億円の自社株買いを始めると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の15.4%に当たる4億株を上限に取得する。取得期間は4月10日~26年2月28日。一連の発表後、セブン&アイ株は時間外取引で同日の東証終値比一時5%上昇した。
25年2月期の連結決算は営業収益が前の期比4%増の11兆9727億円、純利益が同23%減の1730億円だった。インフレの影響などで主力の日米コンビニ事業が低迷した。構造改革の一環で米コンビニ不採算店舗の閉店費用やイトーヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退関連費用を計上したことも利益を押し下げた。
【関連記事】
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明治、おいしさも環境も考えたチョコレート「アグロフォレストリーミルクチョコレート」をリニューアル発売[2025/04/09 17:00 日経速報ニュース 1245文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月09日
持続可能なカカオづくりを表現した新デザイン
商品のサステナブルな価値を伝える二次元バーコード付きで登場
おいしさも環境も考えたチョコレート
「アグロフォレストリーミルクチョコレート」
2025年4月15日リニューアル発売/全国(一部経路除く)
株式会社明治(代表取締役社長 : 松田 克也)は、おいしさも環境も考えたチョコレート「アグロフォレストリーミルクチョコレート」を、森とカカオの共存による、持続可能なカカオづくりから生まれた商品であることを伝えるパッケージにリニューアルし、2025年4月15日から全国で、コンビニエンスストアと駅売店を除く全経路にてリニューアル発売します。
●「森とともに生きるカカオ」と記載し、森とカカオの“共存”による、持続可能なカカオづくりの大切さを伝えるパッケージへ
●二次元バーコード付きパッケージで、詳しい商品情報の動画も見られる
*商品画像は添付の関連資料を参照
「アグロフォレストリーミルクチョコレート」は、「森をつくる農業」と呼ばれるアグロフォレストリーという農法によって栽培されたカカオ豆をカカオマス(※)に使用したチョコレートです。ブラジル トメアスー産カカオ豆の特長であるフルーティーな香りを生かしつつ、ミルクのコクに合うロースト感をお楽しみいただけるよう仕立てています。
カカオの生産は、森林伐採による自然環境破壊や生物多様性の損失という重大な社会課題を抱えています。当社は、これらの課題を解決する農法として注目されているアグロフォレストリーに2009年から取り組んでいます。今回のパッケージ変更では、森とカカオの共存が持続可能なカカオづくりにつながるというメッセージを込めた「森とともに生きるカカオ」を大きくあしらい、カカオポッドの中に植物・動物のイラストをデザインしてさまざまな生態系との共存を表現しました。また、当商品の詳細説明サイトへリンクする二次元バーコードや、当社独自のカカオ農家支援活動「メイジ・カカオ・サポート」のロゴをパッケージに配置することで、これまではなかなか伝えきれていなかった、商品のサステナブルな価値をお客さまへ伝えていきます。
当社は、本商品の発売を通じてチョコレートによるおいしさや楽しさを提供するとともに、森林の再生に貢献するなどのサステナビリティ活動を推進し、持続可能なカカオ生産に向けた社会課題の解決に貢献してまいります。
※カカオマスとは、カカオ豆から外皮を取り除いて磨砕して出来るペースト状のもの
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
商品画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689550/01_202504091657.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689550/02_202504091657.pdf
福岡市の施設にペロブスカイト太陽電池 80㎡に設置[2025/04/09 16:30 日経速報ニュース 527文字 画像有 ]
福岡市は9日、創業支援拠点「Fukuoka Growth Next(FGN)」の屋上に設置した薄くて曲げられる次世代の「ペロブスカイト太陽電池」を報道陣に公開した。積水化学工業が開発を進める防水材一体型の製品の商用化に向けた実証実験で、公共施設での取り組みは全国で初めてという。
ペロブスカイト太陽電池はフィルム型の次世代太陽電池で、軽量で折り曲げられることから壁面などにも設置できる。従来の太陽光発電設備の設置が難しかった場所への導入が期待されている。積水化学工業は2025年度中の商用化を目指している。
今回FGNへ導入されたのは、建物の屋根に使われる防水材と一体になったもの。設置枚数は28枚で、面積はFGNの屋根全体の2分の1から4分の1にあたる約80平方メートル。出力は約3~5キロワットを想定している。実証期間は2025年度いっぱいで、発電効率や耐久性などを検証する。
FGNと同様に市立香椎浜小学校の体育館の屋根にも設置しており、設置面積は約200平方メートルと国内最大規模になる。福岡市は30年度までにみずほPayPayドーム福岡の屋根などにペロブスカイト太陽電池の設置を目指すなど、都市圏での再生可能エネルギーの活用に力を入れている。
外為12時 円相場、大幅高 145円台後半 米関税発動前にリスク回避[2025/04/09 12:25 日経速報ニュース 853文字 ]
9日午前の東京外国為替市場で、円相場は大幅高となった。12時時点は1ドル=145円70~72銭と前日17時時点と比べて1円69銭の円高・ドル安だった。米関税政策で貿易摩擦が激化し、米国などの景気が悪化するとの懸念が強まっている。日本時間9日午後に米相互関税の発動を控え、日経平均株価が大幅安となり「低リスク通貨」とされる円の買いを誘った。
トランプ米政権は、報復関税を撤回しない中国に対し104%の関税を課す方針を示した。前日の米株安を受けて9日の日経平均は一時前日比1300円あまり下落した。日本株の下落に歩調を合わせて円買い・ドル売りが増え、9時50分ごろには145円13銭近辺まで買われた。
日米関税交渉について、ベッセント米財務長官は「通貨問題」も議論する姿勢だと伝わっている。「米国は(日本の)通貨安を批判しているため、円相場の押し上げ材料になっている」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)との声が聞かれた。
日銀の植田和男総裁は9日午前の衆院財務金融委員会で、トランプ米政権の相互関税について「内外の経済・物価を巡る不確実性は高まった」と語った。従来通りの姿勢を維持したとの受け止めは円の買い材料となった。10時前の中値決済に向けては、「若干、ドル余剰のようだ」(国内銀行の為替担当者)との見方があったものの「相場のボラティリティー(変動率)が高く、商いは薄い」(同)との声が聞かれた。
日本時間9日午後の取引で、米長期金利は4.36%前後と8日の米債券市場の終値(4.29%前後)から上昇し、円相場の上値を抑える場面もあった。
円は対ユーロでも上昇した。12時時点は1ユーロ=160円51~55銭と、同49銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1016~17ドルと同0.0093ドルのユーロ高・ドル安だった。米景気への懸念が高まり、ユーロや主要通貨に対してドル売りが進んだ。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
株1300円安 米関税に追い証のダブルパンチ 業績予想「未定」リスクも[2025/04/09 12:09 日経速報ニュース 1180文字 ]
9日午前の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落した。一時は3万1708円と、前日と比べた下げ幅を1300円まで広げた。トランプ米政権が掲げる相互関税で国・地域別の上乗せ税率が日本時間9日午後1時過ぎに発動されるのを前に、輸出関連株を中心に幅広い銘柄が大きく下げた。足元の相場急落で個人投資家の懐具合は悪化している。決算シーズンに向けて業績の先行きにも不透明感が漂うなか、早期の相場回復は見込みづらくなっている。
8日の日経平均は海外短期筋を中心とした自律反発狙いの買いで1876円高と大幅反発したものの、9日は米株式相場の下げを受けて多くの銘柄が再び売りを浴びている。日経平均が2644円安と歴代3番目の下げ幅を記録した今週7日、個人投資家の間では信用買いの追加証拠金(追い証)が発生していたようだ。外部環境の悪化だけでなく、追い証発生を受けた需給悪化も相場の重荷になっている。
信用取引では最低限守る必要がある「最低保証金維持率」が定められており、ネット証券では20%が多い。相場下落によって含み損が膨らみ、最低保証金維持率を下回ると追加の保証金を差し入れる義務が発生する。追い証発生の翌々営業日つまり今回の場合は9日が強制決済日にあたるケースが多いとみられる。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストによると、9日の後場寄りが追い証の強制決済に絡む大手ネット証券からの売りのボリュームゾーンのようだ。ただでさえ、米関税警戒で下げているところに追い証の売りでダブルパンチとなり、後場は一段安になりかねないというわけだ。
具体的にどの銘柄が追い証の対象になっているかは分からないが、個人の参加の多いグロース市場ではサンバイオやGENDAといった主力株が大幅安となった。プライム市場でも信用買い残の多いメガバンクやアドテストなどの下げが目立った。
後場に相場の下げが加速した場合、「先回りして売っていた投資家にとっては安く買い戻せるチャンス」(松井証券の窪田氏)と見ることもできる。もっとも、米関税が企業業績にどの程度の影響を与えるか足元では読むのが難しく、輸出関連銘柄に買いが広がるとは考えにくい。今後、日本政府が米政権との交渉を経て関税の引き下げなどにこぎ着ければ企業業績にはプラスだが、業績予想の前提条件が大きく変わることにもなる。自動車メーカーなどの生産計画も立てづらくなるとみられる。そのため「3月期決算では業績予想を『未定』とする企業が相次ぐリスクがある」とも窪田氏は話す。
目先の日経平均の下値めどについて、直近7日に付けた安値近辺の3万1000円とみる市場関係者は多い。しかし、24年8月の急落後のような戻りを、4月下旬から5月にかけての決算シーズンで再現するのは難しいだろう。
〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕
外為10時 円相場、上げ幅拡大 145円台半ば 株安と歩調合わせる[2025/04/09 10:35 日経速報ニュース 736文字 ]
9日午前の東京外国為替市場で、円相場は上げ幅を広げている。10時時点は1ドル=145円40~42銭と前日17時時点と比べて1円99銭の円高・ドル安だった。9時50分ごろには145円13銭近辺まで上昇した。米関税政策による景気下振れ懸念を背景に、9日午前の日経平均株価が下げ足を速めるのに歩調を合わせて「低リスク通貨」とされる円に買いが集まった。
米中の貿易戦争の激化を懸念して、9日の日経平均株価は一時前日比1300円あまり下落した。日銀の植田和男総裁は9日午前の衆院財務金融委員会で、トランプ米政権の相互関税について「内外の経済・物価を巡る不確実性は高まった」と語り、「(米関税の先行きを)注視しながら適切に政策運営していきたい」との考えを示した。「従来通りの姿勢を維持した」(国内銀行の為替担当者)との見方は円相場の支えとなった。
10時前の中値決済に向けては、外為市場で円高が進んでいるため「若干ドル余剰のようだ」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。輸出企業などの円買い・ドル売りが観測が相場を押し上げた。「相場のボラティリティー(変動率)が高まっており、実需筋の売買は手控えられている」(同)との声も聞かれた。
円は対ユーロでも上昇した。10時時点では1ユーロ=160円18~21銭と、同82銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上げ幅を拡大した。10時時点では1ユーロ=1.1016~17ドルと同0.0093ドルのユーロ高・ドル安だった。米景気への懸念が高まり、ユーロや主要通貨に対してドル売りが進んだ。「損失覚悟(ストップロス)のユーロ買い・ドル売りが増えたようだ」(銀行担当者)との声も聞かれた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
日経銀行ランキング、SMBC信託が首位 上位3行に信託[2025/04/09 05:00 日経速報ニュース 1601文字 画像有 ]
日本経済新聞社は商品力やサービスの使いやすさで利用者がどの銀行を評価しているのかを分析する2025年の「NIKKEI Financial 銀行ランキング」をまとめた。総合首位はSMBC信託銀行だった。貯蓄から投資への流れが加速するなか、外貨預金から相続まで幅広く資産運用サービスを提供する信託銀行が上位を占めた。
利便性、商品サービス、接客応対、企業姿勢、収益性の5つの項目について利用者への調査などを日経リサーチと実施し、各項目の得点の合算を偏差値にして順位を付けた。有効回答数50以上の78行でランキングにした。項目別の順位など詳細は金融デジタルメディア「NIKKEI Financial(https://financial.nikkei.com)」で公開した。
2位に野村信託銀行、3位にみずほ信託銀行が入った。信託銀行は相続の相談時に遺言信託などを組み合わせた提案ができ、不動産の売却にも強い。預金や投資信託が窓口での営業の中心になる銀行に比べ、幅広い相談に対応できる人材をそろえる。
24年の銀行ランキングで上位を席巻したネット銀行も存在感を示した。昨年首位だったPayPay銀行は4位、楽天銀行は6位、住信SBIネット銀行は7位だった。スマホアプリの使いやすさ、取引状況に応じて通販などに使えるポイントの還元などが評価された。
メガバンクで最も順位が高かったのは24年に続き三井住友銀行(5位)だった。金利上昇の恩恵で業績が拡大し、商業施設への積極出店やセキュリティー対策を評価する声があった。地銀で最も順位が高かったのは山梨中央銀行(8位)で、商品サービスや接客応対の評価が高い。
信託、外貨預金に相続も 運用立国で存在感
総合首位のSMBC信託銀行は顧客数が約70万人、店舗数は20程度で規模はメガバンクに及ばないが富裕層にも強い。米ドルやユーロなどの17種類の外貨預金、海外で外貨決済できるデビットカードなど商品サービスの評価が高かった。萩原攻太郎社長は「外貨にエッジをきかせられている」と話す。
2位の野村信託銀行は富裕層向けだけでなく預金にも力を入れる。支店を持たない軽量運営の強みを生かし1年物の定期預金金利を0.55%とし、0.275%の3メガバンクを上回る水準だ。3位のみずほ信託銀行は接客応対の評価が高い。24年度から本部ではなく各支店が営業目標を独自に決める仕組みにし、顧客体験をどう高めるかを重視する。
信託協会の調べによると、24年9月末の信託財産総額は1746兆円と10年前に比べ約2倍に伸びた。投資信託だけでなく老後資産の運用として年金信託も増えた。新NISA(少額投資非課税制度)が追い風となり、ウェルスマネジメント(富裕層向け運用)にも強みを持つ信託銀行の存在感を示す結果となった。
ネット銀も2年連続上位、メガ銀トップは三井住友
24年の銀行ランキングで上位4行を占めたネット銀行も評価が高い。PayPay銀行はスマホ決済サービスのPayPayから手軽に預金残高を確認でき、決済アプリの残高を銀行口座に移す際の手数料が無料だ。楽天銀行は取引状況に応じてネット通販で利用できる「楽天ポイント」が付く。
地銀で最も順位が高かったのは8位の山梨中央銀行だった。支店窓口の電子端末やスマホアプリの導入で間接業務を減らし、個人の資産運用などの相談に乗るアドバイザーを増やしている。ネット銀行などとの競争が激しさを増すなか、サービスのデジタル化に力を入れる地銀が評価された。上位には福岡銀行(13位)、琉球銀行(16位)が入った。
日銀がマイナス金利政策を解除して1年余りたち「金利ある世界」が日本にも戻りつつある一方、トランプ米政権の関税政策で株式を中心に金融市場の混乱が続く。顧客に動揺が走るなか、対面とデジタルを駆使した息の長い資産運用サービスの重要性が増す。
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ドンキ、「まねきねこ」とタッグ アプリ会員拡大 クーポン配布、若年層取り込む[2025/04/09 日経MJ(流通新聞) 2ページ 1453文字 PDF有 書誌情報]
ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(HD)がカラオケや料理宅配と組み、若年層を開拓する。コシダカホールディングスやウーバーイーツジャパン(東京・港)と連携し、割引クーポンを提示するなどして相互送客する。若年層と親和性の高い小売り以外の企業と組むことで、アプリ会員の拡大につなげる。
4月1日にドンキとまねきねこの双方の公式X(旧ツイッター)で、店舗名が「まねきホーテ」になったドンキの外観画像、看板が「ドンキねこ」になったカラオケ店の画像が投稿された。これはエープリルフールにかけた企画だ。
パンパシHDとまねきねこを運営するコシダカホールディングスは1日付で業務提携を結んだ。パンパシHDはこれまで商品で他社と協業することはあったが、販促や会員向けの施策で協業するのは初めてという。
ドンキ利用時にまねきねこで使える10%割引きクーポンを発行するほか、まねきねこ利用時にはパンパシHDの自社アプリ「majica(マジカ)」のポイントを付与する。さらに、ドンキで使える5%割引きクーポンも配布する。2024年11月から一部の店舗で実証実験を実施しており、一定の効果があるとみて提携を決めた。
協業はクーポン以外にも広げる方針だ。まねきねこの店舗でマジカのアプリをダウンロードした来店客には、ドンキのプライベートブランドの菓子やおつまみを無料で提供することも検討する。カラオケ機器の画面を使って、ドンキを宣伝するリテールメディア(小売り広告)でも連携を見込む。
パンパシHDの狙いは若年層の取り込みだ。まねきねこは1500万人のアプリ会員を抱え、若年層の利用が多い。一方でマジカは1600万人の会員を持つが、40代が主要層で若年層は3割弱にとどまる。大学生を中心に人気の高いまねきねこと連携することで、マジカで若年層の会員を増やしたい考えだ。
パンパシHDは15~24歳の若年層人口の半分をマジカ会員として獲得することを目標に掲げている。学生など若い時期にドンキに来店し、その後結婚したら家族連れで利用してもらえるようにする。顧客に継続してもらうためにマジカの利用を広げ、最終的にはパンパシHDが提供するクレジットカード「UCSカード」の会員獲得につなげていく。
ウーバーイーツジャパンや、ふるさと納税の返礼品事業を手掛けるさとふる(東京・中央)とも、連携を始めた。マジカにウーバーイーツで使えるクーポンを配布し相互送客を狙う。
パンパシHD傘下で金融事業を手掛けるパン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス(東京・目黒)の岩淵功太郎社長は「エンターテインメントや旅行、飲食など小売り以外の分野と提携を広げて、マジカが様々な場所で使えるようにしたい」と話す。
決済を中心とした経済圏を巡っては、ソフトバンク系のPayPayのアプリ登録者数が24年8月時点で6500万人を超え、先行する。岩淵社長は「ポイント還元で戦うことはせず、ドン・キホーテが強みとする買い物のエンタメ性や(店舗で大幅に値引きして販売する)『マジ価格』で差異化したい」とした。
(平岡大輝)
【図・写真】ドン・キホーテ利用時にまねきねこで使える割引きクーポンを配布する(大阪府貝塚市にあるドン・キホーテ貝塚店)
【図・写真】「まねきねこ」と「ドン・キホーテ」が1日、エープリルフール企画で連携し、コラボ店名に「改名」した(カラオケまねきねこ公式Xアカウントから)
「auPAY」でデジタル給与払い提供 auペイメント[2025/04/09 日経MJ(流通新聞) 5ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)は、スマートフォン決済「au PAY」を通じて給与をデジタル払いすることができるサービスの提供を始めたと発表した。厚生労働省が指定事業者として認定した。デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目となる。
すでにKDDIのグループ会社の一部が導入した。給与のデジタル払いを導入したい事業者は、従業員が専用の給与受取口座を開設する方式か、口座を開設せずにau PAYの会員情報を通じて直接受け取る方式を選ぶことができる。
給与としてau PAYにチャージできる金額の上限は10万円とした。給与口座からauじぶん銀行の口座に出金する場合の手数料は無料とした。他の金融機関では月に1回まで無料とし、2回目以降は220円とした。
【図・写真】デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目
佐渡汽船、体制刷新後初の減益 変動運賃制 夏に計画――若い外国人採用、新陳代謝進む 尾渡英生社長[2025/04/09 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 658文字 PDF有 書誌情報]
佐渡汽船の尾渡英生社長の一問一答は以下の通り。
――人材確保はどのように進めていますか。
「世界的に不足している船員については4月に12人を新卒採用できた。来年も同様に採用できればなんとかなると見込んでいる。宿泊・物流では24年から技能実習生の採用も始めていて、島内のSADO二ツ亀ビューホテルはインドネシアから3人、グループの佐渡汽船運輸の自動車整備工場のメカニックはカンボジアから2人に来てもらった」
――技能実習生の採用で気をつけている点は。
「まず職場や地域、佐渡の自然条件になじんでくれるかは本当に心配で手厚くケアしてる。指導員がついて仕事を教えるのは当たり前のこととして、仕事以外のところのメンターもついて、何か悩みがないか聞いたり、地域の人たちと交流ができる場を設けて参加してもらったりしている」
「外国人だからコストは抑えられるわけではなく、逆に住み込みのための設備投資など色々な費用がかかる。ただ若い人たちに入ってもらうことで新陳代謝が進み、トータルでは年配の人を採用するよりも費用を下げることができる」
――利用者の利便性向上に向けた施策は。
「インターネット予約の際にチケット情報やQRコードを携帯に送り、そのままフェリーに乗れるシステムを25年に作る予定だ。レンタカーでは3月から同様のシステムの運用を始めていて、佐渡に着いたらすぐに車に乗っていけるようにしている。フェリーとレンタカーでデータベースは異なるが、なるべく同じ情報を二度打ちしなくていいように工夫している」
(聞き手は高垣祐郷)
千曲運輸 青果、脱当日発送で労働負荷軽減 冷蔵技術+DX 鮮度保つ(信越企業攻めの一手)[2025/04/09 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 1005文字 PDF有 書誌情報]
千曲運輸(長野県小諸市)が2024年問題の解決に向け、青果物流の長年の慣習だった当日発送からの脱却に挑んでいる。鮮度第一の青果物流ではトラック運転手の長時間労働などによって収穫から市場までのリードタイム短縮を実現してきた。同社は「時間」ではなく、冷蔵性能向上や情報システムなど「技術」の力で当日発送並みの鮮度を目指す。
前職がシステムエンジニアだった中嶋剛登社長が提案するのがDX(デジタルトランスフォーメーション)などで青果物流を根本から変える「ベジロジ・ナカジマメソッド」。翌日発送にリードタイムを延ばすことで生産者、物流業者、卸売業者の労働負荷を軽減しつつ青果を高鮮度のまま届ける。柱は高機能な冷蔵倉庫と冷蔵トラック、情報システムの3つだ。
葉物野菜は鮮度を維持するため収穫後に予冷が必要になる。そこで新たに高鮮度冷蔵倉庫を大阪市の企業と開発した。庫内温度を0度、湿度を100%に保つことで野菜の鮮度を最低48時間保持できる。「実際にレタスを予冷したところ、当日発送と見た目も触感も見分けが付かなかった」(中嶋社長)という。
高機能冷蔵トラックは荷室の断熱材の見直しや冷風を循環させるエアフローの向上で冷蔵性能を大幅に改善した。断熱材の厚みを抑えて積載量を維持しつつ、冷風を室内にくまなく行き渡らせて運搬中の室内温度を一定に保つ。現在1台を試験運用中で、近く2台目を導入予定だ。
3つ目の情報システムは出荷場から卸売市場までのデータ連携だ。伝票や車両の位置・積み荷情報・到着時間を共有し業務を効率化する。システムはスマホアプリに実装、従来は紙伝票でやりとりしていた納品情報がQRコードを読み込むだけで送れる。データの受け渡し時間が短縮され、運転手の待ち時間が減らせるという。
ベジロジ実現に向けて2023年2月に「青果物物流DX推進協議会」を設立し農水省の補助金も受けた。25年2月に行った実証実験では、卸売業者で「従来6人がかりで6時間10分かかった作業がデータ連携により3人で4時間で終えられる効果が確認できた」(同)。情報システムは今年度中に実装を始める計画だ。
「先代の父親が他社に先駆けて青果物流に保冷車を採用するなど当社は節目節目で変わったことをやってきた」と中嶋社長。今後はデータ連携の拡張などを進めベジロジを実用化し、翌日発送を青果物流のスタンダードにするべく意欲を燃やす。
(羽田洋子)
長野・千曲運輸、青果物流DXで効率化 脱・当日発送-信越企業 攻めの一手[2025/04/08 18:40 日経速報ニュース 1006文字 画像有 ]
千曲運輸(長野県小諸市)が2024年問題の解決に向け、青果物流の長年の慣習だった当日発送からの脱却に挑んでいる。鮮度第一の青果物流ではトラック運転手の長時間労働などによって収穫から市場までのリードタイム短縮を実現してきた。同社は「時間」ではなく、冷蔵性能向上や情報システムなど「技術」の力で当日発送並みの鮮度を目指す。
前職がシステムエンジニアだった中嶋剛登社長が提案するのがDX(デジタルトランスフォーメーション)などで青果物流を根本から変える「ベジロジ・ナカジマメソッド」。翌日発送にリードタイムを延ばすことで生産者、物流業者、卸売業者の労働負荷を軽減しつつ青果を高鮮度のまま届ける。柱は高機能な冷蔵倉庫と冷蔵トラック、情報システムの3つだ。
葉物野菜は鮮度を維持するため収穫後に予冷が必要になる。そこで新たに高鮮度冷蔵倉庫を大阪市の企業と開発した。庫内温度を0度、湿度を100%に保つことで野菜の鮮度を最低48時間保持できる。「実際にレタスを予冷したところ、当日発送と見た目も触感も見分けが付かなかった」(中嶋社長)という。
高機能冷蔵トラックは荷室の断熱材の見直しや冷風を循環させるエアフローの向上で冷蔵性能を大幅に改善した。断熱材の厚みを抑えて積載量を維持しつつ、冷風を室内にくまなく行き渡らせて運搬中の室内温度を一定に保つ。現在1台を試験運用中で、近く2台目を導入予定だ。
3つ目の情報システムは出荷場から卸売市場までのデータ連携だ。伝票や車両の位置・積み荷情報・到着時間を共有し業務を効率化する。システムはスマホアプリに実装、従来は紙伝票でやりとりしていた納品情報がQRコードを読み込むだけで送れる。データの受け渡し時間が短縮され、運転手の待ち時間が減らせるという。
ベジロジ実現に向けて2023年2月に「青果物物流DX推進協議会」を設立し農水省の補助金も受けた。25年2月に行った実証実験では、卸売業者で「従来6人がかりで6時間10分かかった作業がデータ連携により3人で4時間で終えられる効果が確認できた」(同)。情報システムは今年度中に実装を始める計画だ。
「先代の父親が他社に先駆けて青果物流に保冷車を採用するなど当社は節目節目で変わったことをやってきた」と中嶋社長。今後はデータ連携の拡張などを進めベジロジを実用化し、翌日発送を青果物流のスタンダードにするべく意欲を燃やす。
(羽田洋子)
ローソン銀行、ローソン銀行ATMから「メルペイ」への現金チャージが可能に[2025/04/08 17:34 日経速報ニュース 969文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月08日
ローソン銀行ATMから「メルペイ」への現金チャージが可能に
当行は、株式会社メルペイ(本社 : 東京都港区、代表取締役 CEO : 永沢 岳志、以下「メルペイ」)と「ATMチャージ」(※1)の利用について連携し、全国のローソン店舗などに設置しているローソン銀行ATMで、メルペイが運営するフリマアプリ「メルカリ」のスマホ決済サービス「メルペイ」(※2)への現金チャージが2025年4月8日(火)からできるようになりました(※3)。
*参考画像は添付の関連資料を参照
このたびの連携により、全国のローソン店舗などに設置している13,800台を超えるローソン銀行ATMで、24時間365日(※4)、入金手数料無料で「メルペイ」への現金でのチャージが可能となり、お客さまの利便性が大きく向上いたします。
※1 「ATMチャージ」は株式会社セブン銀行の登録商標です。「ATMチャージ」の詳細はこちら( https://www.lawsonbank.jp/lp/atmcharge/ )をご参照ください。
※2 「メルペイ」のサービスの詳細はこちら( https://www.merpay.com/ )をご参照ください。
※3 2025年4月8日(火)より「メルカリ」アプリを利用のお客さまは段階的に利用が可能になります。なお、「メルカリ」アプリを最新バージョンにアップデートいただく必要がございます。また、本サービスを利用するには、銀行口座の登録または「アプリでかんたん本人確認」による本人確認が必要となります。
※4 利用可能時間に関わらず、システムメンテナンスを実施する場合は、一定期間停止することがあります。
※ローソン銀行ATMについてはこちら( https://www.lawsonbank.jp/atm/ )をご参照ください。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689486/01_202504081733.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689486/02_202504081733.pdf
三井不動産、シェアオフィスで海外初拠点 米NYに開設[2025/04/08 14:00 日経速報ニュース 698文字 画像有 ]
三井不動産は8日、法人向けシェアオフィスサービス「ワークスタイリング」で海外初の拠点を米ニューヨーク市に開くと発表した。同日から予約を開始し、15日に開業する。日系企業の会員向けに海外出張時での利用を想定する。海外拠点の拡大に向けてシェアオフィスの米企業とも連携する。
三井不の米国子会社がニューヨーク市マンハッタンに所有する高層オフィスビル「1251 Avenue of the Americas」のラウンジスペース(約25席)をワークスタイリング会員も利用できるようにする。
料金は午前8時~午後5時の営業時間のうち午前・午後の枠で各6000円。会員向けサイトで予約するとQRコードで入退室できる。ビルは地下鉄駅に直結し、地下通路でロックフェラーセンターとつながるなど交通の利便性が高い。
三井不は4月からシェアオフィス事業を手がける米Industrious(インダストリアス)と連携し、ワークスタイリング会員が同社の欧米約130カ所の施設を通常料金の2割引きで使えるようにする。今後アジアにも対象施設の拡大を目指す。
日系企業の会員から「ホテルにチェックインするまでの間に仕事をする場所が欲しい」などと海外拠点に対する要望が高まっていたことに対応する。三井不の担当者は「海外でも柔軟な働き方の選択肢を提供したい」としている。
三井不はワークスタイリング事業を2017年に始め、コワーキングスペースやレンタルオフィスを全国約550カ所で展開する。3月時点で約1200社、約32万人が契約する。全拠点を利用できるプラン料金は、1人あたり10分ごとの利用料(同290円~)のほか諸経費がかかる。
外為10時 円相場、147円台半ばに下げ渋り 日米の貿易交渉に思惑も[2025/04/08 10:38 日経速報ニュース 603文字 ]
8日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げ渋っている。10時時点は1ドル=147円47~49銭と前日17時時点と比べて1円68銭の円安・ドル高だった。8日午前の国内債券市場で長期金利が急上昇し、円買い・ドル売りが増えた。米相互関税を巡る日米の貿易交渉では為替も議題となる見込みで、日本側が円安是正を迫られるとの思惑がくすぶっているのも相場を下支えした。
7日にトランプ米政権が日本との貿易交渉の主導役にベッセント財務長官を指名すると決め、交渉では日本の関税政策に加えて円の対ドル相場も議題になる見通しだ。トランプ政権が自国の輸出産業を重視するためにドル安を志向するとの見方が根強く「積極的に円売り・ドル買いには動ける状況ではない」(国内銀行の為替担当者)という。
輸出企業など国内実需筋の円買い・ドル売り観測も相場の支えとなった。トランプ米政権は9日に相互関税で国別の上乗せ税率を発動する予定で、10時前の中値決済に向けては「米関税への警戒が根強く、実需筋の円買い・ドルの観測もあった」(同)との声が聞かれた。
円は対ユーロで安値圏で小動き。10時時点では1ユーロ=161円42~46銭と、同1円03銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで下げ幅を縮めている。10時時点では1ユーロ=1.0946~47ドルと同0.0055ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
佐渡汽船、夏の変動運賃制を計画 体制刷新後初の減益で[2025/04/08 05:00 日経速報ニュース 2004文字 画像有 ]
みちのりホールディングス(HD)傘下で経営再建を進める佐渡汽船(新潟県佐渡市)は、人件費増加などの影響を受けて2024年12月期の連結純損益が経営体制刷新後、初の減益に転じた。今後30年にかけて船の更新時期を相次いで迎えるためキャッシュ確保は急務だ。繁忙期となる夏場の料金を高く設定するダイナミックプライシング(変動運賃制)の導入を計画するなど、収益力強化を急ぐ。
佐渡汽船は新型コロナウイルス禍の影響で20年12月期に債務超過に陥り、22年からみちのりHD傘下で経営再建を進めてきた。24年12月期の売上高は前年同期比5%増の127億円だった一方、純利益は29%減の9億円だった。減益の最大の要因は賃上げに伴う人件費の高騰で24年12月期は50億円と前年同期より4億円余り増えた。燃料費も2億円余り増加した。
今後は大型の設備更新が相次ぐ。27年には老朽化が進む貨物船「日海丸」に代わる船を建造することにしていて、25年中に造船会社と契約を結ぶ。物流取引の拡大に向けて現状の2.5倍にあたる5トンのコンテナを積み下ろしできる設計にする予定で、投資額は20億円規模となる見通しだ。さらに30年前後にはカーフェリー「おけさ丸」「こがね丸」「ときわ丸」の3船が順次、更新時期を迎える。新船建造には1船あたり90億~100億円程度かかると見込む。
全船の更新費を捻出する難易度は相当に高い。同社は24年から既存借入金80億円余りの返済を始めていて、船の償却期間と同じ15年間をかけて返済する義務を負う。また黒字化の見通しが立たない直江津(上越市)―小木(佐渡市)航路の運航も、島民向けサービスとして容易には止められない事情もある。
尾渡英生社長は「運賃を極端に引き上げない限り高価なカーフェリーは自力更新ができない。国や新潟県による購入補助や船の貸し出しなど抜本的な支援が不可欠だ」と訴える。
行政からのサポートを勝ち取るためにも自社でできる経営改革を急ぐ。25年12月期は旅客輸送人員数を前期より1割増やして増収に転換する目標を打ち出す。24年7月に「佐渡島の金山」が世界遺産に登録された追い風をいかすため、「佐渡島、忘るべからず。」をテーマに2億円余りを佐渡のプロモーション活動に投資する。
尾渡社長自らの働きかけでJR東日本と日本航空(JAL)から協力を得られることになった。JR東日本には駅で動画広告を放映してもらうほか、上越新幹線と佐渡汽船のフェリーのチケットと島内のホテルの宿泊プランとを組み合わせた旅行商品を開発してもらう。JALには新潟空港の利用者を増やすために外国人などに佐渡の情報を発信してもらう方向で調整を進める。
運賃自体も見直す。繁忙期の料金を高めに設定するダイナミックプライシングの導入を計画していて、まずは座席の予約料金などで採用する。「将来的には運輸局の許可が必要な基礎運賃自体も値上げはやらざるを得ない」(尾渡社長)
佐渡汽船の尾渡英生社長の一問一答は以下の通り。
――人材確保はどのように進めていますか。
「世界的に不足している船員については4月に12人を新卒採用できた。来年も同様に採用できればなんとかなると見込んでいる。宿泊・物流では24年から技能実習生の採用も始めていて、島内のSADO二ツ亀ビューホテルはインドネシアから3人、佐渡汽船運輸の自動車整備工場のメカニックはカンボジアから2人に来てもらった」
――技能実習生の採用で気をつけている点は。
「まず職場や地域、佐渡の自然条件になじんでくれるかは本当に心配で手厚くケアしてる。指導員がついて仕事を教えるのは当たり前のこととして、仕事以外のところのメンターもついて、何か悩みがないか聞いたり、地域の人たちと交流ができる場を設けて参加してもらったりしている」
「外国人だからコストは抑えられるわけではなく、逆に住み込みのための設備投資など色々な費用がかかる。ただ若い人たちに入ってもらうことで新陳代謝が進み、トータルでは年配の人を採用するよりも費用を下げることができる」
――利用者の利便性向上に向けた施策は。
「インターネット予約の際にチケット情報やQRコードを携帯に送り、そのままフェリーに乗れるシステムを25年に作る予定だ。レンタカーでは3月から同様のシステムの運用を始めていて、佐渡に着いたらすぐに車に乗っていけるようにしている。フェリーとレンタカーでデータベースは異なるが、なるべく同じ情報を二度打ちしなくていいように工夫している」
「夢としては佐渡の観光に特化した観光交通アプリを作りたい。地図上でレストランなどを地図上で確認できて、クリックすると営業時間やメニューを地図上で見られるようなイメージだ。グーグルマップも使いやすいが、旅行と交通に特化したツールではないので、よりいいものを作ることができる」
(聞き手は高垣祐郷)
【関連記事】
・佐渡汽船、ターミナルの案内をAIで多言語化
・佐渡航路、世界遺産契機に利用促進を 関係者協議会
大阪万博は「顔パス」乗車で 究極の認証、世界に発信-いざ開幕、大阪万博(2)[2025/04/08 02:00 日経速報ニュース 1018文字 画像有 ]
「思った以上にスムーズに『顔パス』できた」。3月31日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の梅田駅改札口にある顔認証ゲートから台湾のテレビ局記者、施勗皓(34)が出てきた。
ゲート左右の2台のカメラが利用者の顔を認識し、右わきの小型モニターに「お通りください」のサインがともる。ICカードをかざす従来の改札とかわらない速さで通過できる。マスク着用でもほぼ問題ない。
大阪・関西万博の取材で訪れた施だが「この顔認証ゲートも台湾で話題になっていた。近未来の交通体験だ」と満足げだ。
両手に荷物でも素通り 利便性追求で発案
大阪メトロは3月25日、130駅でこのゲートの運用を始めた。スマホのアプリで顔画像を登録して利用する。「万博に間に合った」。技術担当の辻正義(44)は胸をなで下ろす。
万博に向け、顔認証ゲートの導入を決めたのは2019年のことだ。当時オフィスなどで顔認証ドアが広まっていたが、動作を止めてカメラに向き合う必要があった。動く人物の画像から顔部分を瞬時に抽出することは難しく、改札での利用など考えられなかった。両手に荷物を抱えたままでも通れる利便性を追求してアイデアが生まれた。
人工知能(AI)を取り入れた実証機の開発から始まり、カメラや照明の位置も調整を繰り返して、ほぼ確実に顔画像を捉えることができるようになった。辻によると「他の鉄道会社から問い合わせも来ている」。スーパーなど小売りの決済にも応用でき、将来のビジネス機会は大きい。
未来のエネルギー、「お披露目」の場に
万博を成長のきっかけにしようとする企業は多い。産業ガス大手の岩谷産業は燃料電池船「まほろば」を完成させた。水素を動力源とし、航行中に二酸化炭素を出さない。会期中には大阪中心部と会場を水路で結ぶ。
同社は未来のエネルギーの有力候補である水素の量産に力を入れる。社長の間島寛(66)は「水素活用のモデルとしてまほろばを世界中に知ってもらえれば」と期待を寄せる。
関西国際空港はターミナル施設で過去最大の改修を終えたばかり。国際線エリアを大幅に広げ、海外からの旅客の受け入れ能力を年4000万人と新型コロナウイルス流行前の18年実績から2倍近く引き上げた。
空港運営会社社長の山谷佳之(68)は「空の玄関口である関空が万博の『ファーストパビリオン』の役割を果たす」と意気込む。万博開幕に向けて各社が万全を期し、世界の反応を静かに待っている。(敬称略)
【関連記事】
・大阪メトロ、顔認証改札をほぼ全駅で運用開始 25日から
・万博はビジネスチャンス 159カ国・地域の出会い逃すな
いざ開幕、大阪万博(2) 近未来の「顔パス」乗車(迫真)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1020文字 PDF有 書誌情報]
「思った以上にスムーズに『顔パス』できた」。3月31日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の梅田駅改札口にある顔認証ゲートから台湾のテレビ局記者、施勗皓(34)が出てきた。
ゲート左右の2台のカメラが利用者の顔を認識し、右わきの小型モニターに「お通りください」のサインがともる。ICカードをかざす従来の改札とかわらない速さで通過できる。マスク着用でもほぼ問題ない。
大阪・関西万博の取材で訪れた施だが「この顔認証ゲートも台湾で話題になっていた。近未来の交通体験だ」と満足げだ。
大阪メトロは3月25日、130駅でこのゲートの運用を始めた。スマホのアプリで顔画像を登録して利用する。「万博に間に合った」。技術担当の辻正義(44)は胸をなで下ろす。
万博に向け、顔認証ゲートの導入を決めたのは2019年のことだ。当時オフィスなどで顔認証ドアが広まっていたが、動作を止めてカメラに向き合う必要があった。動く人物の画像から顔部分を瞬時に抽出することは難しく、改札での利用など考えられなかった。両手に荷物を抱えたままでも通れる利便性を追求してアイデアが生まれた。
人工知能(AI)を取り入れた実証機の開発から始まり、カメラや照明の位置も調整を繰り返して、ほぼ確実に顔画像を捉えることができるようになった。辻によると「他の鉄道会社から問い合わせも来ている」。スーパーなど小売り決済にも応用でき、ビジネス機会は大きい。
万博を成長のきっかけにしようとする企業は多い。産業ガス大手の岩谷産業は燃料電池船「まほろば」を完成させた。水素を動力源とし、航行中に二酸化炭素を出さない。会期中には大阪中心部と会場を水路で結ぶ。
同社は未来のエネルギーの有力候補である水素の量産に力を入れる。社長の間島寛(66)は「水素活用のモデルとしてまほろばを世界中に知ってもらえれば」と期待を寄せる。
関西国際空港はターミナル施設で過去最大の改修を終えたばかり。国際線エリアを大幅に広げ、海外からの旅客の受け入れ能力を年4000万人と新型コロナウイルス流行前の18年実績から2倍近く引き上げた。
空港運営会社社長の山谷佳之(68)は「空の玄関口である関空が万博の『ファーストパビリオン』の役割を果たす」と意気込む。万博開幕に向けて各社が万全を期し、世界の反応を静かに待っている。
(敬称略)
【図・写真】大阪メトロは130駅で顔認証技術を使った改札ゲートの運用を始めた(大阪市西区)
独自規定、新陳代謝阻む 戸別訪問・ビラ・ポスター… 有権者の政治参加に負担(男子普通選挙100年のいま)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1356文字 PDF有 書誌情報]
男子普通選挙の実現とともに現在まで続く戸別訪問の禁止といった選挙運動のルールもうまれた。ポスターや街頭演説を中心とする選挙文化は今や海外から日本独自のガラパゴス制度に映る。細かい規定が候補者の負担となったり、有権者の政治参加を阻んだりする弊害もある。
初の男子普通選挙が実施された1928年、内務省は戸別訪問や演説妨害など19項目を「犯罪になります」と赤字で列挙したポスターを配布した。投票率を高める啓発活動をしつつ有権者の政治活動を萎縮させかねない周知活動に「当局者たちも混乱していた部分があった」と慶大の玉井清名誉教授は指摘する。
納税要件の撤廃に加え、中選挙区制への移行もあり1選挙区の有権者数は従来の数千人から一転、十数万人に激増した。
本格的に活用が始まった選挙ポスターが民家の塀に隙間なく貼られたり、鉄橋や船、雪だるまにまで掲示されるなど街中にあふれかえる事態になった。これが戦後の公営掲示板の設置やビラなどの数量規制につながっていく。
規制の隙間をつく陣営と法改正のいたちごっこは現在も続く。
2024年7月の東京都知事選ではほぼ全裸の女性や有料サイトに誘導するQRコードを載せたポスターが物議を醸し、ポスターの「品位保持」規定を設ける改正公職選挙法につながった。他候補の当選を目的に立候補する「2馬力」行為の禁止やSNSの偽情報対策も議論が続く。
「有権者が知りたい情報を知れる環境をつくり、適正な新陳代謝と多様性を確保することが大事だ」。超党派の法改正協議に加わった自民党の鈴木英敬氏は理想の選挙ルールをこう説明する。
およそ100年前から続く規制は新陳代謝の足かせになっている。候補者は選挙管理委員会が発行する証紙を貼ったビラしか配れない。何万枚も証紙貼りを担う人員を確保しづらい新人に不利に働く。SNSでの発信に量的規制はなく、制度の整合性も疑問が残る。
規制の曖昧さもハードルになる。例えば戸別訪問は禁止されている一方、道路などで偶然会った有権者に投票を呼びかけるのは自由だ。国民民主党の長友慎治氏は「初めて選挙に出るときは何が禁止か分からない。シンプルにすべきだ」と主張する。
立憲民主党の石川香織氏は自身に関する事実と異なる情報がSNSで拡散されたとき戸別訪問などによって「実際に会う体験が対抗手段になる」と唱える。
13年にネット選挙が一部解禁されたものの、有権者にとって分かりづらい規制もある。候補者のウェブサイトを印刷して配ることはできないなど細かい線引きに注意が必要だ。
海外の多くの国で戸別訪問は政治活動の自由として保護される。カナダは選挙期間中に候補者が集合住宅に入るのを管理人が阻むことを禁じる。
ビラやポスターなどの数に細かい規定があるのも珍しい。英国は選挙運動全体の費用を制限し、その枠内でビラやポスターの数や配布方法は各陣営が自由に決められる。
選挙プランナーの三浦博史氏は現行の選挙運動ではビラ配りや証紙貼りなどに追われ、選挙ボランティアが自分の強みを生かした貢献をするのは難しいと指摘する。
ボランティアが戸別訪問などを通じて個性を発揮しながら支持を呼びかける米国の選挙活動を例に「楽しんでやるのがボランティア。選挙は感動だ」と説き、多様な政治参加を訴える。
ゆうちょ銀、システム障害 送金・決済一時使えず[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
ゆうちょ銀行は7日、インターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」などで一時、システム障害が起きたと発表した。午前8時57分ごろから送金や決済といったサービスを利用できなくなっていた。午前11時30分ごろに復旧し、サービスを再開した。原因を調べている。
バンカメ、IT投資6000億円 10年前の倍に モイニハンCEO、ステーブルコインにも意欲[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は3月7日、東京都内で日本経済新聞のインタビューを受けた。「責任ある成長」を掲げ、惜しみなくテクノロジーへの投資を続ける狙いを聞いた。
BofAは2008年のリーマン・ショック前後に、フリート・ボストンやメリルリンチなどの銀行を傘下に収めてきた。10年に就任したモイニハン氏が掲げたのが「責任ある成長」だった。その意味は「正しい進め方で言い訳なく成長を遂げる意思表示」という。
モイニハン氏はCEO就任後、3000億ドルの資産と50近くの事業売却で成長の基盤をつくった。24年の純利益は3年ぶりに最終増益だった。
注力してきたのが先端テックへの投資だ。年間投資額は40億ドル(約6000億円)と10年前の2倍に拡大した。個人向け部門はデジタル経由でのやりとりが9割以上になり、「先端技術の導入で顧客の預金残高は5年前と比べて30%増えた」という。
BofAは18年、業界に先駆けて独自開発した人工知能(AI)チャットで金融取引などを支援する「エリカ」を投入し、累計の利用回数は24年末時点で25億回に到達した。17年開始の送金サービスの「ゼル」も利用者は2370万人にのぼる。
モイニハン氏はテック投資について「株主のために収益を上げるのに加え、チームの仕事をやりやすくすることで社員の満足度も上がる」と述べた。自社で3万5000人のプログラマーを抱え、外部も合わせると5万人規模の開発体制を維持している。23年には米金融機関で最も多くの特許を取得した。
国際送金などを含む企業向けインターネットバンキング「キャッシュプロ」ではエリカの機能を組み込むことで利用者数が伸びた。24年の送金承認額が1兆ドルを超えるなど、先端技術の投資の効果が表れている。
トランプ米政権が法制化をめざすドル建てのステーブルコインへの参入にも意欲を示した。ステーブルコインは法定通貨や金など裏付けとなる資産を担保に発行する電子決済手段で「USDコイン」や「テザー」が流通している。モイニハン氏は「我々は複数のブロックチェーンの特許を持っており、法律上可能になった場合は何らかの形で採用するだろう」との見解を示した。
急増するプライベートクレジット(ファンドによる直接融資)については、「銀行のように資本基準やルール、検査があるのかというところに規制当局は注意しないといけない」と提起した。ファンドとの協業関係について「様々な会社と連携しており、特定のところと排他的にやるつもりはない」と述べた。
日本事業については「様々な日本企業のCEOと会って、競争力を高めてグローバルで事業を伸ばしたいという非常に強い熱意を感じる」と語った。自社株買いやM&A(合併・買収)といったニーズに世界で培った知見を活用できる点について「我々は企業が戦略を実行する上で様々な手伝いができる」と意欲を示した。
(上田志晃)
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援 購買データで動向把握[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1587文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループが取引先である小売りや外食企業の経営支援に人工知能(AI)の活用を進めている。保有する大量の顧客データや購買情報をAIで分析し客離れの兆候を予知、対応を促す取り組みだ。AIを基盤とした取引先との連携を通じて楽天経済圏の安定・拡大につなげる。
「自分たちの課題をデータが示してくれる。改善を続けることが業績につながっている」。富山県を中心に54店舗のスーパーマーケットを運営する大阪屋ショップ(富山市)の尾崎弘明社長は楽天Gとの連携についてこう語る。
169項目で分析
大阪屋ショップは2018年に楽天ポイントカードを導入し、現在は来店客の9割がレジで提示するほど浸透する。蓄積した購買データなどを顧客の来店動向の把握に生かそうと、新たに楽天Gが開発したAIツールを取り入れた。
従来のコンサルタントのみによるデータ分析との違いは将来を予測する点にある。膨大な情報から、買い物の回数や金額が多いといった「大切な顧客」の行動変化を読み取り、他のスーパーに流出する兆候を察知することができる。
具体的な方法のひとつとして、顧客の属性や販促日の来店動向、生鮮食品の購買頻度など169の項目に分け、顧客流出との相関を分析してみた。すると、大きな販促を打ち出している火曜日の来店頻度や日持ちのしない野菜の購買頻度が落ちこんだ顧客は他店に流出しやすい傾向にあることがわかった。
AIツールを導入した他の小売りチェーンでは、流出の可能性がある顧客に対して割引クーポンを発行し、購買金額を増やした。
小売業界では、物価高を受けて消費者が利用店舗を厳選する傾向を強めている。企業間の競争環境は厳しさを増している。富山県内最大手の大阪屋ショップの場合、好立地には既に自陣営の店舗があるため、業績拡大には既存店の売り上げアップが不可欠だ。
「全国チェーンと地域で戦うための基礎となるのが楽天のデータだ」(尾崎社長)。AIツール導入により、販促を実施している期間中の顧客への売上高は3~5%増を見込む。全体の売上高は2028年6月期に24年同期比36%増の1300億円をめざす。
見えない客類推
AIはポイントカードの利用が少ない場合にも役に立つ。吉野家ホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン、はなまる(高松市)では「見えない顧客」の可視化にAIを活用しようとしている。
高口裕之最高マーケティング責任者(CMO)によると、足元では楽天ポイントカードをはなまるのレジで提示する来店客は5割を下回る。データの収集は不十分で、楽天Gと共同でカードを提示していない顧客の情報を推論するAIツールの開発を進めている。
データを基に、売れ筋商品などの購買傾向が類似している店舗を分類する。その上で外部データも組み合わせてAIに顧客像を類推させる。25年秋にも対象となる店舗を選定して導入し、メニュー開発などに生かす計画だ。「顧客の『解像度』が高まり、売上高は2割増えると見込んでいる」(高口氏)
楽天Gは通常のコンサルティング費用に追加料金を上乗せする形でAIツールを提供する。コスト増が受け入れられる背景には、データの質の高さがある。
楽天ポイントは電子商取引(EC)の楽天市場や楽天系の金融サービスなどグループ内に加えて、全国600万カ所にある小売店や飲食店といった加盟店で利用されている。ポイント発行額は23年に6500億円相当と国内最大規模で、大量の購買データが日々蓄積されている。
AIはデータが多ければ多いほど広範で高度な分析ができる特性を持つ。楽天ペイメント(東京・港)でAIツールの導入に携わる林宏憲氏は「人だけでは作業量が多すぎて物理的に不可能な分析でも短時間でできるようになる」と話す。
【図・写真】大阪屋ショップの店舗では楽天ポイントカードを提示する人が9割と多い(富山市)
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援――ポイント発行、各社競う 顧客確保へ共通化・統合も進む[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 648文字 PDF有 書誌情報]
AIサービスの提供はポイントを利用できる加盟店を開拓する有力な手段で楽天経済圏の拡大につながる。加盟店が増えれば利用者数も多くなり、ポイントの消費先として楽天が提供するサービスに誘導しやすくなる。自社の経済圏の競争力に直結するだけにポイント各社は利便性を高め、提携や共通化などを進めている。
楽天Gは取引先に担当のコンサルタントを配置し、データを使って業績改善を支援できる点で他社に先行する。AI活用により提案の精度が向上すればさらなる加盟店の獲得につながる可能性がある。
決済の強化も進めている。24年には楽天ペイのアプリに「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」を統合すると発表した。クレジットカード「楽天カード」のアプリ機能も追加した。決済回数の多い楽天ペイを中核に据えることでスマホ決済の成長に弾みをつける。
スマホを通じたQRコード決済の首位はPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当(23年度は非開示)と規模は楽天ポイントに次ぐ。共通ポイント事業にも参入し、23年にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングスとの提携を発表した。
利用者数と比例するポイントの発行総額を増やすための合従連衡も進んでいる。カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントは加盟店の減少から巻き返そうと、24年に三井住友フィナンシャルグループのVポイントと統合した。dポイントを運営するNTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)とポイントや決済で提携している。
(桜木浩己)
万博、待ち時間が課題 リハで判明、来場者に協力要請[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 641文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博会場に来場者を入れて動線や運営上の課題を確認する3日間の「テストラン」を終え、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が7日、記者会見を開いた。入場ゲート通過に長いときで1時間以上を要したことを受け、13日の開幕へ向け、来場者に「スムーズな入場がより可能になるよう協力いただきたい」などと呼びかけた。
協会は入場日時の事前予約制を導入することなどで「並ばない万博」を目指してきたが、協賛企業関係者や無料招待の府民ら計約9万8000人を招いた4~6日のテストランでは、入場ゲート前などに長い行列ができた。
石毛氏は「来場される方が準備をされている状態と、到達してからかばんを開けるのでは(ゲート通過の)時間のかかり方が違う。チケットもQRコードを印刷したものを出して準備していると早く通過できる」と指摘。「明らかになった課題について改善を図って、万全の体制でお客様をお迎えしたい」と述べた。
来場者は4日が約4000人、5日が約4万6000人、6日が約4万7000人だった。5日午前に入場を予定していた人がゲート前で1時間以上並ぶケースがあったほか、6日にはゲートに人が殺到。会場につながる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の夢洲(ゆめしま)駅の階段の通行を一時停止し、駅構内に人が滞留する場面がみられた。
万博は1日最大22万人超の来場者を見込む。初日は既に予約だけで約14万人にのぼるという。
【図・写真】大阪万博の「テストラン」に訪れた人たち(5日、大阪市此花区の夢洲)
水運で繁栄 延暦寺門前町、大津・坂本 穴太衆の石垣に歴史の深み(街エクスプローラー)[2025/04/08 日本経済新聞 大阪夕刊 29ページ 1720文字 PDF有 書誌情報]
広く「比叡山坂本」と呼ばれる大津市坂本の中心地は天台宗総本山、比叡山延暦寺の門前町として栄えた。延暦寺が織田信長の焼き打ちにあってからも琵琶湖を通じて集まる物資を京へ運ぶ役割は重視された。いまも延暦寺を支える多くの僧侶が住み、春の山王祭は往時の栄華を伝える。
坂本を楽しむには、坂本比叡山口駅(京阪電気鉄道・石山坂本線)が格好の出発点になる。ここから西方の一帯を文化庁が重要伝統的建造物群保存地区に選び、多くの寺社や歴史的建造物が残っているからだ。比叡山に向かい真っすぐに伸びるのが目抜き通りの「日吉馬場」。日吉大社への参道でもある。大社は全国に約3800社ある「山王さん」の総本宮で、京を守り、延暦寺の護法神としても信仰されてきた。
日吉大社の山王祭は12日に始まる。791年、当時の桓武天皇が大社に2基の神輿(みこし)を寄進したのが始まりとされ、いまでは7基が琵琶湖を渡る「船渡御」がクライマックスになる。期間中、大社の「日吉茶園」で摘んだ茶を一部の神輿に献じる儀式がある。延暦寺を開いた最澄が唐から持ち帰った茶を受け継いだとされる。
日吉大社は坂がきつくなる比叡山の麓のあたりに広がる。この地形が地名「坂本」の由来だとの説もある。およそ2100年前に設けられたと自認するが、禰宜(ねぎ)の須原紀彦さんは「かつては延暦寺の領地の一部だった」と証言する。
延暦寺には桓武天皇が遷都した平安京の鬼門(北東)を抑える役割があり、朝廷と関係を深めた。寄進された荘園は九州、東北を含む各地に広がり、日吉大社も飲み込まれた。琵琶湖畔の坂本は東国、北陸と京を結ぶ水運物流の拠点で、大津市歴史博物館の元学芸員、和田光生さんは「荘園からの税である物資も集まった」と解説する。
延暦寺を脅威と受け止めた信長は1571年、焼き打ちに踏み切った。その後、坂本城を築き、明智光秀に任せた。琵琶湖の水運ルートを確保するためだ。光秀が心を砕いたのは焼失した坂本の北部、西教寺の復興だった。光秀一族の墓があり、歴史ファンをはじめ参拝が絶えない。
1868年に元号が慶応から明治に変更される前、神仏分離令が出されると延暦寺は日吉大社を切り離した。それでも坂本の「大地主」は延暦寺だ。日吉馬場を挟んで東西に広がる寺の多くは「延暦寺の社宅」(延暦寺参拝部長の星野最宥さん)と表現される。延暦寺で働く50人以上の住職の大半が坂本の寺に住み、様々な手段で比叡山に通勤する。かつて、この地域では一線を退いた延暦寺の僧が余生を送っていた。
日吉馬場沿いの「芙蓉(ふよう)園本館」も延暦寺からの借地で豆腐料理などを出している。立派な石垣を配した表門の立て札には「穴太(あのう)衆積み」と書かれている。穴太衆とは戦国時代を中心に活躍した石工集団で、城壁も得意にした。日吉馬場の両側だけでなく坂本の街路の多くが穴太衆積みの石垣で仕切られる。その外観が坂本独特の歴史の深みを感じさせる。地元には穴太衆の技術を受け継ぐ企業もある。
300年以上前に創業した「手打蕎麦(そば)鶴喜」の初代は、延暦寺の「シェフ」だった。坂本に店を出した後も山上の延暦寺に蕎麦を「上げ」てきた。「それに報いる形でいまの姓をいただいたと聞く」と、9代目にあたる運営会社社長の上延昌洋さんは話す。時を超えて延暦寺と坂本は絆を保っている。
(加賀谷和樹)
推しビュー
坂本ケーブルと沿線
坂本と延暦寺を結ぶ「坂本ケーブル」は延長が2025メートルで日本一長いケーブルカーだ。麓のケーブル坂本駅と、これより484メートル高いケーブル延暦寺駅を11分ほどで結ぶ。乗客の2割程度は外国人。両駅とも大正時代の完成でレトロ感があふれる。
1両編成の車両は10月の大阪・関西万博閉幕まで公式キャラクター「ミャクミャク」のヘッドマーク付き。途中、琵琶湖を望む絶景に歓声があがる。事前に告げれば途中の2駅(ほうらい丘、もたて山)で降り、「土佐日記」の歌人、紀貫之の墓なども散策できる。
こちらのQRコードを読み込むと、インスタグラム「NIKKEI関西」の投稿をご覧いただけます。
【図・写真】日吉大社に通じる目抜き通り「日吉馬場」(大津市)
25年04月09日
日経銀行ランキング、SMBC信託が首位 上位3行に信託[2025/04/09 05:00 日経速報ニュース 1601文字 画像有 ]
日本経済新聞社は商品力やサービスの使いやすさで利用者がどの銀行を評価しているのかを分析する2025年の「NIKKEI Financial 銀行ランキング」をまとめた。総合首位はSMBC信託銀行だった。貯蓄から投資への流れが加速するなか、外貨預金から相続まで幅広く資産運用サービスを提供する信託銀行が上位を占めた。
利便性、商品サービス、接客応対、企業姿勢、収益性の5つの項目について利用者への調査などを日経リサーチと実施し、各項目の得点の合算を偏差値にして順位を付けた。有効回答数50以上の78行でランキングにした。項目別の順位など詳細は金融デジタルメディア「NIKKEI Financial(https://financial.nikkei.com)」で公開した。
2位に野村信託銀行、3位にみずほ信託銀行が入った。信託銀行は相続の相談時に遺言信託などを組み合わせた提案ができ、不動産の売却にも強い。預金や投資信託が窓口での営業の中心になる銀行に比べ、幅広い相談に対応できる人材をそろえる。
24年の銀行ランキングで上位を席巻したネット銀行も存在感を示した。昨年首位だったPayPay銀行は4位、楽天銀行は6位、住信SBIネット銀行は7位だった。スマホアプリの使いやすさ、取引状況に応じて通販などに使えるポイントの還元などが評価された。
メガバンクで最も順位が高かったのは24年に続き三井住友銀行(5位)だった。金利上昇の恩恵で業績が拡大し、商業施設への積極出店やセキュリティー対策を評価する声があった。地銀で最も順位が高かったのは山梨中央銀行(8位)で、商品サービスや接客応対の評価が高い。
信託、外貨預金に相続も 運用立国で存在感
総合首位のSMBC信託銀行は顧客数が約70万人、店舗数は20程度で規模はメガバンクに及ばないが富裕層にも強い。米ドルやユーロなどの17種類の外貨預金、海外で外貨決済できるデビットカードなど商品サービスの評価が高かった。萩原攻太郎社長は「外貨にエッジをきかせられている」と話す。
2位の野村信託銀行は富裕層向けだけでなく預金にも力を入れる。支店を持たない軽量運営の強みを生かし1年物の定期預金金利を0.55%とし、0.275%の3メガバンクを上回る水準だ。3位のみずほ信託銀行は接客応対の評価が高い。24年度から本部ではなく各支店が営業目標を独自に決める仕組みにし、顧客体験をどう高めるかを重視する。
信託協会の調べによると、24年9月末の信託財産総額は1746兆円と10年前に比べ約2倍に伸びた。投資信託だけでなく老後資産の運用として年金信託も増えた。新NISA(少額投資非課税制度)が追い風となり、ウェルスマネジメント(富裕層向け運用)にも強みを持つ信託銀行の存在感を示す結果となった。
ネット銀も2年連続上位、メガ銀トップは三井住友
24年の銀行ランキングで上位4行を占めたネット銀行も評価が高い。PayPay銀行はスマホ決済サービスのPayPayから手軽に預金残高を確認でき、決済アプリの残高を銀行口座に移す際の手数料が無料だ。楽天銀行は取引状況に応じてネット通販で利用できる「楽天ポイント」が付く。
地銀で最も順位が高かったのは8位の山梨中央銀行だった。支店窓口の電子端末やスマホアプリの導入で間接業務を減らし、個人の資産運用などの相談に乗るアドバイザーを増やしている。ネット銀行などとの競争が激しさを増すなか、サービスのデジタル化に力を入れる地銀が評価された。上位には福岡銀行(13位)、琉球銀行(16位)が入った。
日銀がマイナス金利政策を解除して1年余りたち「金利ある世界」が日本にも戻りつつある一方、トランプ米政権の関税政策で株式を中心に金融市場の混乱が続く。顧客に動揺が走るなか、対面とデジタルを駆使した息の長い資産運用サービスの重要性が増す。
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ドンキ、「まねきねこ」とタッグ アプリ会員拡大 クーポン配布、若年層取り込む[2025/04/09 日経MJ(流通新聞) 2ページ 1453文字 PDF有 書誌情報]
ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(HD)がカラオケや料理宅配と組み、若年層を開拓する。コシダカホールディングスやウーバーイーツジャパン(東京・港)と連携し、割引クーポンを提示するなどして相互送客する。若年層と親和性の高い小売り以外の企業と組むことで、アプリ会員の拡大につなげる。
4月1日にドンキとまねきねこの双方の公式X(旧ツイッター)で、店舗名が「まねきホーテ」になったドンキの外観画像、看板が「ドンキねこ」になったカラオケ店の画像が投稿された。これはエープリルフールにかけた企画だ。
パンパシHDとまねきねこを運営するコシダカホールディングスは1日付で業務提携を結んだ。パンパシHDはこれまで商品で他社と協業することはあったが、販促や会員向けの施策で協業するのは初めてという。
ドンキ利用時にまねきねこで使える10%割引きクーポンを発行するほか、まねきねこ利用時にはパンパシHDの自社アプリ「majica(マジカ)」のポイントを付与する。さらに、ドンキで使える5%割引きクーポンも配布する。2024年11月から一部の店舗で実証実験を実施しており、一定の効果があるとみて提携を決めた。
協業はクーポン以外にも広げる方針だ。まねきねこの店舗でマジカのアプリをダウンロードした来店客には、ドンキのプライベートブランドの菓子やおつまみを無料で提供することも検討する。カラオケ機器の画面を使って、ドンキを宣伝するリテールメディア(小売り広告)でも連携を見込む。
パンパシHDの狙いは若年層の取り込みだ。まねきねこは1500万人のアプリ会員を抱え、若年層の利用が多い。一方でマジカは1600万人の会員を持つが、40代が主要層で若年層は3割弱にとどまる。大学生を中心に人気の高いまねきねこと連携することで、マジカで若年層の会員を増やしたい考えだ。
パンパシHDは15~24歳の若年層人口の半分をマジカ会員として獲得することを目標に掲げている。学生など若い時期にドンキに来店し、その後結婚したら家族連れで利用してもらえるようにする。顧客に継続してもらうためにマジカの利用を広げ、最終的にはパンパシHDが提供するクレジットカード「UCSカード」の会員獲得につなげていく。
ウーバーイーツジャパンや、ふるさと納税の返礼品事業を手掛けるさとふる(東京・中央)とも、連携を始めた。マジカにウーバーイーツで使えるクーポンを配布し相互送客を狙う。
パンパシHD傘下で金融事業を手掛けるパン・パシフィック・インターナショナルフィナンシャルサービス(東京・目黒)の岩淵功太郎社長は「エンターテインメントや旅行、飲食など小売り以外の分野と提携を広げて、マジカが様々な場所で使えるようにしたい」と話す。
決済を中心とした経済圏を巡っては、ソフトバンク系のPayPayのアプリ登録者数が24年8月時点で6500万人を超え、先行する。岩淵社長は「ポイント還元で戦うことはせず、ドン・キホーテが強みとする買い物のエンタメ性や(店舗で大幅に値引きして販売する)『マジ価格』で差異化したい」とした。
(平岡大輝)
【図・写真】ドン・キホーテ利用時にまねきねこで使える割引きクーポンを配布する(大阪府貝塚市にあるドン・キホーテ貝塚店)
【図・写真】「まねきねこ」と「ドン・キホーテ」が1日、エープリルフール企画で連携し、コラボ店名に「改名」した(カラオケまねきねこ公式Xアカウントから)
「auPAY」でデジタル給与払い提供 auペイメント[2025/04/09 日経MJ(流通新聞) 5ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)は、スマートフォン決済「au PAY」を通じて給与をデジタル払いすることができるサービスの提供を始めたと発表した。厚生労働省が指定事業者として認定した。デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目となる。
すでにKDDIのグループ会社の一部が導入した。給与のデジタル払いを導入したい事業者は、従業員が専用の給与受取口座を開設する方式か、口座を開設せずにau PAYの会員情報を通じて直接受け取る方式を選ぶことができる。
給与としてau PAYにチャージできる金額の上限は10万円とした。給与口座からauじぶん銀行の口座に出金する場合の手数料は無料とした。他の金融機関では月に1回まで無料とし、2回目以降は220円とした。
【図・写真】デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目
佐渡汽船、体制刷新後初の減益 変動運賃制 夏に計画――若い外国人採用、新陳代謝進む 尾渡英生社長[2025/04/09 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 658文字 PDF有 書誌情報]
佐渡汽船の尾渡英生社長の一問一答は以下の通り。
――人材確保はどのように進めていますか。
「世界的に不足している船員については4月に12人を新卒採用できた。来年も同様に採用できればなんとかなると見込んでいる。宿泊・物流では24年から技能実習生の採用も始めていて、島内のSADO二ツ亀ビューホテルはインドネシアから3人、グループの佐渡汽船運輸の自動車整備工場のメカニックはカンボジアから2人に来てもらった」
――技能実習生の採用で気をつけている点は。
「まず職場や地域、佐渡の自然条件になじんでくれるかは本当に心配で手厚くケアしてる。指導員がついて仕事を教えるのは当たり前のこととして、仕事以外のところのメンターもついて、何か悩みがないか聞いたり、地域の人たちと交流ができる場を設けて参加してもらったりしている」
「外国人だからコストは抑えられるわけではなく、逆に住み込みのための設備投資など色々な費用がかかる。ただ若い人たちに入ってもらうことで新陳代謝が進み、トータルでは年配の人を採用するよりも費用を下げることができる」
――利用者の利便性向上に向けた施策は。
「インターネット予約の際にチケット情報やQRコードを携帯に送り、そのままフェリーに乗れるシステムを25年に作る予定だ。レンタカーでは3月から同様のシステムの運用を始めていて、佐渡に着いたらすぐに車に乗っていけるようにしている。フェリーとレンタカーでデータベースは異なるが、なるべく同じ情報を二度打ちしなくていいように工夫している」
(聞き手は高垣祐郷)
千曲運輸 青果、脱当日発送で労働負荷軽減 冷蔵技術+DX 鮮度保つ(信越企業攻めの一手)[2025/04/09 日本経済新聞 地方経済面 信越 22ページ 1005文字 PDF有 書誌情報]
千曲運輸(長野県小諸市)が2024年問題の解決に向け、青果物流の長年の慣習だった当日発送からの脱却に挑んでいる。鮮度第一の青果物流ではトラック運転手の長時間労働などによって収穫から市場までのリードタイム短縮を実現してきた。同社は「時間」ではなく、冷蔵性能向上や情報システムなど「技術」の力で当日発送並みの鮮度を目指す。
前職がシステムエンジニアだった中嶋剛登社長が提案するのがDX(デジタルトランスフォーメーション)などで青果物流を根本から変える「ベジロジ・ナカジマメソッド」。翌日発送にリードタイムを延ばすことで生産者、物流業者、卸売業者の労働負荷を軽減しつつ青果を高鮮度のまま届ける。柱は高機能な冷蔵倉庫と冷蔵トラック、情報システムの3つだ。
葉物野菜は鮮度を維持するため収穫後に予冷が必要になる。そこで新たに高鮮度冷蔵倉庫を大阪市の企業と開発した。庫内温度を0度、湿度を100%に保つことで野菜の鮮度を最低48時間保持できる。「実際にレタスを予冷したところ、当日発送と見た目も触感も見分けが付かなかった」(中嶋社長)という。
高機能冷蔵トラックは荷室の断熱材の見直しや冷風を循環させるエアフローの向上で冷蔵性能を大幅に改善した。断熱材の厚みを抑えて積載量を維持しつつ、冷風を室内にくまなく行き渡らせて運搬中の室内温度を一定に保つ。現在1台を試験運用中で、近く2台目を導入予定だ。
3つ目の情報システムは出荷場から卸売市場までのデータ連携だ。伝票や車両の位置・積み荷情報・到着時間を共有し業務を効率化する。システムはスマホアプリに実装、従来は紙伝票でやりとりしていた納品情報がQRコードを読み込むだけで送れる。データの受け渡し時間が短縮され、運転手の待ち時間が減らせるという。
ベジロジ実現に向けて2023年2月に「青果物物流DX推進協議会」を設立し農水省の補助金も受けた。25年2月に行った実証実験では、卸売業者で「従来6人がかりで6時間10分かかった作業がデータ連携により3人で4時間で終えられる効果が確認できた」(同)。情報システムは今年度中に実装を始める計画だ。
「先代の父親が他社に先駆けて青果物流に保冷車を採用するなど当社は節目節目で変わったことをやってきた」と中嶋社長。今後はデータ連携の拡張などを進めベジロジを実用化し、翌日発送を青果物流のスタンダードにするべく意欲を燃やす。
(羽田洋子)
長野・千曲運輸、青果物流DXで効率化 脱・当日発送-信越企業 攻めの一手[2025/04/08 18:40 日経速報ニュース 1006文字 画像有 ]
千曲運輸(長野県小諸市)が2024年問題の解決に向け、青果物流の長年の慣習だった当日発送からの脱却に挑んでいる。鮮度第一の青果物流ではトラック運転手の長時間労働などによって収穫から市場までのリードタイム短縮を実現してきた。同社は「時間」ではなく、冷蔵性能向上や情報システムなど「技術」の力で当日発送並みの鮮度を目指す。
前職がシステムエンジニアだった中嶋剛登社長が提案するのがDX(デジタルトランスフォーメーション)などで青果物流を根本から変える「ベジロジ・ナカジマメソッド」。翌日発送にリードタイムを延ばすことで生産者、物流業者、卸売業者の労働負荷を軽減しつつ青果を高鮮度のまま届ける。柱は高機能な冷蔵倉庫と冷蔵トラック、情報システムの3つだ。
葉物野菜は鮮度を維持するため収穫後に予冷が必要になる。そこで新たに高鮮度冷蔵倉庫を大阪市の企業と開発した。庫内温度を0度、湿度を100%に保つことで野菜の鮮度を最低48時間保持できる。「実際にレタスを予冷したところ、当日発送と見た目も触感も見分けが付かなかった」(中嶋社長)という。
高機能冷蔵トラックは荷室の断熱材の見直しや冷風を循環させるエアフローの向上で冷蔵性能を大幅に改善した。断熱材の厚みを抑えて積載量を維持しつつ、冷風を室内にくまなく行き渡らせて運搬中の室内温度を一定に保つ。現在1台を試験運用中で、近く2台目を導入予定だ。
3つ目の情報システムは出荷場から卸売市場までのデータ連携だ。伝票や車両の位置・積み荷情報・到着時間を共有し業務を効率化する。システムはスマホアプリに実装、従来は紙伝票でやりとりしていた納品情報がQRコードを読み込むだけで送れる。データの受け渡し時間が短縮され、運転手の待ち時間が減らせるという。
ベジロジ実現に向けて2023年2月に「青果物物流DX推進協議会」を設立し農水省の補助金も受けた。25年2月に行った実証実験では、卸売業者で「従来6人がかりで6時間10分かかった作業がデータ連携により3人で4時間で終えられる効果が確認できた」(同)。情報システムは今年度中に実装を始める計画だ。
「先代の父親が他社に先駆けて青果物流に保冷車を採用するなど当社は節目節目で変わったことをやってきた」と中嶋社長。今後はデータ連携の拡張などを進めベジロジを実用化し、翌日発送を青果物流のスタンダードにするべく意欲を燃やす。
(羽田洋子)
ローソン銀行、ローソン銀行ATMから「メルペイ」への現金チャージが可能に[2025/04/08 17:34 日経速報ニュース 969文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月08日
ローソン銀行ATMから「メルペイ」への現金チャージが可能に
当行は、株式会社メルペイ(本社 : 東京都港区、代表取締役 CEO : 永沢 岳志、以下「メルペイ」)と「ATMチャージ」(※1)の利用について連携し、全国のローソン店舗などに設置しているローソン銀行ATMで、メルペイが運営するフリマアプリ「メルカリ」のスマホ決済サービス「メルペイ」(※2)への現金チャージが2025年4月8日(火)からできるようになりました(※3)。
*参考画像は添付の関連資料を参照
このたびの連携により、全国のローソン店舗などに設置している13,800台を超えるローソン銀行ATMで、24時間365日(※4)、入金手数料無料で「メルペイ」への現金でのチャージが可能となり、お客さまの利便性が大きく向上いたします。
※1 「ATMチャージ」は株式会社セブン銀行の登録商標です。「ATMチャージ」の詳細はこちら( https://www.lawsonbank.jp/lp/atmcharge/ )をご参照ください。
※2 「メルペイ」のサービスの詳細はこちら( https://www.merpay.com/ )をご参照ください。
※3 2025年4月8日(火)より「メルカリ」アプリを利用のお客さまは段階的に利用が可能になります。なお、「メルカリ」アプリを最新バージョンにアップデートいただく必要がございます。また、本サービスを利用するには、銀行口座の登録または「アプリでかんたん本人確認」による本人確認が必要となります。
※4 利用可能時間に関わらず、システムメンテナンスを実施する場合は、一定期間停止することがあります。
※ローソン銀行ATMについてはこちら( https://www.lawsonbank.jp/atm/ )をご参照ください。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689486/01_202504081733.png
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689486/02_202504081733.pdf
三井不動産、シェアオフィスで海外初拠点 米NYに開設[2025/04/08 14:00 日経速報ニュース 698文字 画像有 ]
三井不動産は8日、法人向けシェアオフィスサービス「ワークスタイリング」で海外初の拠点を米ニューヨーク市に開くと発表した。同日から予約を開始し、15日に開業する。日系企業の会員向けに海外出張時での利用を想定する。海外拠点の拡大に向けてシェアオフィスの米企業とも連携する。
三井不の米国子会社がニューヨーク市マンハッタンに所有する高層オフィスビル「1251 Avenue of the Americas」のラウンジスペース(約25席)をワークスタイリング会員も利用できるようにする。
料金は午前8時~午後5時の営業時間のうち午前・午後の枠で各6000円。会員向けサイトで予約するとQRコードで入退室できる。ビルは地下鉄駅に直結し、地下通路でロックフェラーセンターとつながるなど交通の利便性が高い。
三井不は4月からシェアオフィス事業を手がける米Industrious(インダストリアス)と連携し、ワークスタイリング会員が同社の欧米約130カ所の施設を通常料金の2割引きで使えるようにする。今後アジアにも対象施設の拡大を目指す。
日系企業の会員から「ホテルにチェックインするまでの間に仕事をする場所が欲しい」などと海外拠点に対する要望が高まっていたことに対応する。三井不の担当者は「海外でも柔軟な働き方の選択肢を提供したい」としている。
三井不はワークスタイリング事業を2017年に始め、コワーキングスペースやレンタルオフィスを全国約550カ所で展開する。3月時点で約1200社、約32万人が契約する。全拠点を利用できるプラン料金は、1人あたり10分ごとの利用料(同290円~)のほか諸経費がかかる。
外為10時 円相場、147円台半ばに下げ渋り 日米の貿易交渉に思惑も[2025/04/08 10:38 日経速報ニュース 603文字 ]
8日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げ渋っている。10時時点は1ドル=147円47~49銭と前日17時時点と比べて1円68銭の円安・ドル高だった。8日午前の国内債券市場で長期金利が急上昇し、円買い・ドル売りが増えた。米相互関税を巡る日米の貿易交渉では為替も議題となる見込みで、日本側が円安是正を迫られるとの思惑がくすぶっているのも相場を下支えした。
7日にトランプ米政権が日本との貿易交渉の主導役にベッセント財務長官を指名すると決め、交渉では日本の関税政策に加えて円の対ドル相場も議題になる見通しだ。トランプ政権が自国の輸出産業を重視するためにドル安を志向するとの見方が根強く「積極的に円売り・ドル買いには動ける状況ではない」(国内銀行の為替担当者)という。
輸出企業など国内実需筋の円買い・ドル売り観測も相場の支えとなった。トランプ米政権は9日に相互関税で国別の上乗せ税率を発動する予定で、10時前の中値決済に向けては「米関税への警戒が根強く、実需筋の円買い・ドルの観測もあった」(同)との声が聞かれた。
円は対ユーロで安値圏で小動き。10時時点では1ユーロ=161円42~46銭と、同1円03銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで下げ幅を縮めている。10時時点では1ユーロ=1.0946~47ドルと同0.0055ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
佐渡汽船、夏の変動運賃制を計画 体制刷新後初の減益で[2025/04/08 05:00 日経速報ニュース 2004文字 画像有 ]
みちのりホールディングス(HD)傘下で経営再建を進める佐渡汽船(新潟県佐渡市)は、人件費増加などの影響を受けて2024年12月期の連結純損益が経営体制刷新後、初の減益に転じた。今後30年にかけて船の更新時期を相次いで迎えるためキャッシュ確保は急務だ。繁忙期となる夏場の料金を高く設定するダイナミックプライシング(変動運賃制)の導入を計画するなど、収益力強化を急ぐ。
佐渡汽船は新型コロナウイルス禍の影響で20年12月期に債務超過に陥り、22年からみちのりHD傘下で経営再建を進めてきた。24年12月期の売上高は前年同期比5%増の127億円だった一方、純利益は29%減の9億円だった。減益の最大の要因は賃上げに伴う人件費の高騰で24年12月期は50億円と前年同期より4億円余り増えた。燃料費も2億円余り増加した。
今後は大型の設備更新が相次ぐ。27年には老朽化が進む貨物船「日海丸」に代わる船を建造することにしていて、25年中に造船会社と契約を結ぶ。物流取引の拡大に向けて現状の2.5倍にあたる5トンのコンテナを積み下ろしできる設計にする予定で、投資額は20億円規模となる見通しだ。さらに30年前後にはカーフェリー「おけさ丸」「こがね丸」「ときわ丸」の3船が順次、更新時期を迎える。新船建造には1船あたり90億~100億円程度かかると見込む。
全船の更新費を捻出する難易度は相当に高い。同社は24年から既存借入金80億円余りの返済を始めていて、船の償却期間と同じ15年間をかけて返済する義務を負う。また黒字化の見通しが立たない直江津(上越市)―小木(佐渡市)航路の運航も、島民向けサービスとして容易には止められない事情もある。
尾渡英生社長は「運賃を極端に引き上げない限り高価なカーフェリーは自力更新ができない。国や新潟県による購入補助や船の貸し出しなど抜本的な支援が不可欠だ」と訴える。
行政からのサポートを勝ち取るためにも自社でできる経営改革を急ぐ。25年12月期は旅客輸送人員数を前期より1割増やして増収に転換する目標を打ち出す。24年7月に「佐渡島の金山」が世界遺産に登録された追い風をいかすため、「佐渡島、忘るべからず。」をテーマに2億円余りを佐渡のプロモーション活動に投資する。
尾渡社長自らの働きかけでJR東日本と日本航空(JAL)から協力を得られることになった。JR東日本には駅で動画広告を放映してもらうほか、上越新幹線と佐渡汽船のフェリーのチケットと島内のホテルの宿泊プランとを組み合わせた旅行商品を開発してもらう。JALには新潟空港の利用者を増やすために外国人などに佐渡の情報を発信してもらう方向で調整を進める。
運賃自体も見直す。繁忙期の料金を高めに設定するダイナミックプライシングの導入を計画していて、まずは座席の予約料金などで採用する。「将来的には運輸局の許可が必要な基礎運賃自体も値上げはやらざるを得ない」(尾渡社長)
佐渡汽船の尾渡英生社長の一問一答は以下の通り。
――人材確保はどのように進めていますか。
「世界的に不足している船員については4月に12人を新卒採用できた。来年も同様に採用できればなんとかなると見込んでいる。宿泊・物流では24年から技能実習生の採用も始めていて、島内のSADO二ツ亀ビューホテルはインドネシアから3人、佐渡汽船運輸の自動車整備工場のメカニックはカンボジアから2人に来てもらった」
――技能実習生の採用で気をつけている点は。
「まず職場や地域、佐渡の自然条件になじんでくれるかは本当に心配で手厚くケアしてる。指導員がついて仕事を教えるのは当たり前のこととして、仕事以外のところのメンターもついて、何か悩みがないか聞いたり、地域の人たちと交流ができる場を設けて参加してもらったりしている」
「外国人だからコストは抑えられるわけではなく、逆に住み込みのための設備投資など色々な費用がかかる。ただ若い人たちに入ってもらうことで新陳代謝が進み、トータルでは年配の人を採用するよりも費用を下げることができる」
――利用者の利便性向上に向けた施策は。
「インターネット予約の際にチケット情報やQRコードを携帯に送り、そのままフェリーに乗れるシステムを25年に作る予定だ。レンタカーでは3月から同様のシステムの運用を始めていて、佐渡に着いたらすぐに車に乗っていけるようにしている。フェリーとレンタカーでデータベースは異なるが、なるべく同じ情報を二度打ちしなくていいように工夫している」
「夢としては佐渡の観光に特化した観光交通アプリを作りたい。地図上でレストランなどを地図上で確認できて、クリックすると営業時間やメニューを地図上で見られるようなイメージだ。グーグルマップも使いやすいが、旅行と交通に特化したツールではないので、よりいいものを作ることができる」
(聞き手は高垣祐郷)
【関連記事】
・佐渡汽船、ターミナルの案内をAIで多言語化
・佐渡航路、世界遺産契機に利用促進を 関係者協議会
大阪万博は「顔パス」乗車で 究極の認証、世界に発信-いざ開幕、大阪万博(2)[2025/04/08 02:00 日経速報ニュース 1018文字 画像有 ]
「思った以上にスムーズに『顔パス』できた」。3月31日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の梅田駅改札口にある顔認証ゲートから台湾のテレビ局記者、施勗皓(34)が出てきた。
ゲート左右の2台のカメラが利用者の顔を認識し、右わきの小型モニターに「お通りください」のサインがともる。ICカードをかざす従来の改札とかわらない速さで通過できる。マスク着用でもほぼ問題ない。
大阪・関西万博の取材で訪れた施だが「この顔認証ゲートも台湾で話題になっていた。近未来の交通体験だ」と満足げだ。
両手に荷物でも素通り 利便性追求で発案
大阪メトロは3月25日、130駅でこのゲートの運用を始めた。スマホのアプリで顔画像を登録して利用する。「万博に間に合った」。技術担当の辻正義(44)は胸をなで下ろす。
万博に向け、顔認証ゲートの導入を決めたのは2019年のことだ。当時オフィスなどで顔認証ドアが広まっていたが、動作を止めてカメラに向き合う必要があった。動く人物の画像から顔部分を瞬時に抽出することは難しく、改札での利用など考えられなかった。両手に荷物を抱えたままでも通れる利便性を追求してアイデアが生まれた。
人工知能(AI)を取り入れた実証機の開発から始まり、カメラや照明の位置も調整を繰り返して、ほぼ確実に顔画像を捉えることができるようになった。辻によると「他の鉄道会社から問い合わせも来ている」。スーパーなど小売りの決済にも応用でき、将来のビジネス機会は大きい。
未来のエネルギー、「お披露目」の場に
万博を成長のきっかけにしようとする企業は多い。産業ガス大手の岩谷産業は燃料電池船「まほろば」を完成させた。水素を動力源とし、航行中に二酸化炭素を出さない。会期中には大阪中心部と会場を水路で結ぶ。
同社は未来のエネルギーの有力候補である水素の量産に力を入れる。社長の間島寛(66)は「水素活用のモデルとしてまほろばを世界中に知ってもらえれば」と期待を寄せる。
関西国際空港はターミナル施設で過去最大の改修を終えたばかり。国際線エリアを大幅に広げ、海外からの旅客の受け入れ能力を年4000万人と新型コロナウイルス流行前の18年実績から2倍近く引き上げた。
空港運営会社社長の山谷佳之(68)は「空の玄関口である関空が万博の『ファーストパビリオン』の役割を果たす」と意気込む。万博開幕に向けて各社が万全を期し、世界の反応を静かに待っている。(敬称略)
【関連記事】
・大阪メトロ、顔認証改札をほぼ全駅で運用開始 25日から
・万博はビジネスチャンス 159カ国・地域の出会い逃すな
いざ開幕、大阪万博(2) 近未来の「顔パス」乗車(迫真)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1020文字 PDF有 書誌情報]
「思った以上にスムーズに『顔パス』できた」。3月31日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の梅田駅改札口にある顔認証ゲートから台湾のテレビ局記者、施勗皓(34)が出てきた。
ゲート左右の2台のカメラが利用者の顔を認識し、右わきの小型モニターに「お通りください」のサインがともる。ICカードをかざす従来の改札とかわらない速さで通過できる。マスク着用でもほぼ問題ない。
大阪・関西万博の取材で訪れた施だが「この顔認証ゲートも台湾で話題になっていた。近未来の交通体験だ」と満足げだ。
大阪メトロは3月25日、130駅でこのゲートの運用を始めた。スマホのアプリで顔画像を登録して利用する。「万博に間に合った」。技術担当の辻正義(44)は胸をなで下ろす。
万博に向け、顔認証ゲートの導入を決めたのは2019年のことだ。当時オフィスなどで顔認証ドアが広まっていたが、動作を止めてカメラに向き合う必要があった。動く人物の画像から顔部分を瞬時に抽出することは難しく、改札での利用など考えられなかった。両手に荷物を抱えたままでも通れる利便性を追求してアイデアが生まれた。
人工知能(AI)を取り入れた実証機の開発から始まり、カメラや照明の位置も調整を繰り返して、ほぼ確実に顔画像を捉えることができるようになった。辻によると「他の鉄道会社から問い合わせも来ている」。スーパーなど小売り決済にも応用でき、ビジネス機会は大きい。
万博を成長のきっかけにしようとする企業は多い。産業ガス大手の岩谷産業は燃料電池船「まほろば」を完成させた。水素を動力源とし、航行中に二酸化炭素を出さない。会期中には大阪中心部と会場を水路で結ぶ。
同社は未来のエネルギーの有力候補である水素の量産に力を入れる。社長の間島寛(66)は「水素活用のモデルとしてまほろばを世界中に知ってもらえれば」と期待を寄せる。
関西国際空港はターミナル施設で過去最大の改修を終えたばかり。国際線エリアを大幅に広げ、海外からの旅客の受け入れ能力を年4000万人と新型コロナウイルス流行前の18年実績から2倍近く引き上げた。
空港運営会社社長の山谷佳之(68)は「空の玄関口である関空が万博の『ファーストパビリオン』の役割を果たす」と意気込む。万博開幕に向けて各社が万全を期し、世界の反応を静かに待っている。
(敬称略)
【図・写真】大阪メトロは130駅で顔認証技術を使った改札ゲートの運用を始めた(大阪市西区)
独自規定、新陳代謝阻む 戸別訪問・ビラ・ポスター… 有権者の政治参加に負担(男子普通選挙100年のいま)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1356文字 PDF有 書誌情報]
男子普通選挙の実現とともに現在まで続く戸別訪問の禁止といった選挙運動のルールもうまれた。ポスターや街頭演説を中心とする選挙文化は今や海外から日本独自のガラパゴス制度に映る。細かい規定が候補者の負担となったり、有権者の政治参加を阻んだりする弊害もある。
初の男子普通選挙が実施された1928年、内務省は戸別訪問や演説妨害など19項目を「犯罪になります」と赤字で列挙したポスターを配布した。投票率を高める啓発活動をしつつ有権者の政治活動を萎縮させかねない周知活動に「当局者たちも混乱していた部分があった」と慶大の玉井清名誉教授は指摘する。
納税要件の撤廃に加え、中選挙区制への移行もあり1選挙区の有権者数は従来の数千人から一転、十数万人に激増した。
本格的に活用が始まった選挙ポスターが民家の塀に隙間なく貼られたり、鉄橋や船、雪だるまにまで掲示されるなど街中にあふれかえる事態になった。これが戦後の公営掲示板の設置やビラなどの数量規制につながっていく。
規制の隙間をつく陣営と法改正のいたちごっこは現在も続く。
2024年7月の東京都知事選ではほぼ全裸の女性や有料サイトに誘導するQRコードを載せたポスターが物議を醸し、ポスターの「品位保持」規定を設ける改正公職選挙法につながった。他候補の当選を目的に立候補する「2馬力」行為の禁止やSNSの偽情報対策も議論が続く。
「有権者が知りたい情報を知れる環境をつくり、適正な新陳代謝と多様性を確保することが大事だ」。超党派の法改正協議に加わった自民党の鈴木英敬氏は理想の選挙ルールをこう説明する。
およそ100年前から続く規制は新陳代謝の足かせになっている。候補者は選挙管理委員会が発行する証紙を貼ったビラしか配れない。何万枚も証紙貼りを担う人員を確保しづらい新人に不利に働く。SNSでの発信に量的規制はなく、制度の整合性も疑問が残る。
規制の曖昧さもハードルになる。例えば戸別訪問は禁止されている一方、道路などで偶然会った有権者に投票を呼びかけるのは自由だ。国民民主党の長友慎治氏は「初めて選挙に出るときは何が禁止か分からない。シンプルにすべきだ」と主張する。
立憲民主党の石川香織氏は自身に関する事実と異なる情報がSNSで拡散されたとき戸別訪問などによって「実際に会う体験が対抗手段になる」と唱える。
13年にネット選挙が一部解禁されたものの、有権者にとって分かりづらい規制もある。候補者のウェブサイトを印刷して配ることはできないなど細かい線引きに注意が必要だ。
海外の多くの国で戸別訪問は政治活動の自由として保護される。カナダは選挙期間中に候補者が集合住宅に入るのを管理人が阻むことを禁じる。
ビラやポスターなどの数に細かい規定があるのも珍しい。英国は選挙運動全体の費用を制限し、その枠内でビラやポスターの数や配布方法は各陣営が自由に決められる。
選挙プランナーの三浦博史氏は現行の選挙運動ではビラ配りや証紙貼りなどに追われ、選挙ボランティアが自分の強みを生かした貢献をするのは難しいと指摘する。
ボランティアが戸別訪問などを通じて個性を発揮しながら支持を呼びかける米国の選挙活動を例に「楽しんでやるのがボランティア。選挙は感動だ」と説き、多様な政治参加を訴える。
ゆうちょ銀、システム障害 送金・決済一時使えず[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
ゆうちょ銀行は7日、インターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」などで一時、システム障害が起きたと発表した。午前8時57分ごろから送金や決済といったサービスを利用できなくなっていた。午前11時30分ごろに復旧し、サービスを再開した。原因を調べている。
バンカメ、IT投資6000億円 10年前の倍に モイニハンCEO、ステーブルコインにも意欲[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は3月7日、東京都内で日本経済新聞のインタビューを受けた。「責任ある成長」を掲げ、惜しみなくテクノロジーへの投資を続ける狙いを聞いた。
BofAは2008年のリーマン・ショック前後に、フリート・ボストンやメリルリンチなどの銀行を傘下に収めてきた。10年に就任したモイニハン氏が掲げたのが「責任ある成長」だった。その意味は「正しい進め方で言い訳なく成長を遂げる意思表示」という。
モイニハン氏はCEO就任後、3000億ドルの資産と50近くの事業売却で成長の基盤をつくった。24年の純利益は3年ぶりに最終増益だった。
注力してきたのが先端テックへの投資だ。年間投資額は40億ドル(約6000億円)と10年前の2倍に拡大した。個人向け部門はデジタル経由でのやりとりが9割以上になり、「先端技術の導入で顧客の預金残高は5年前と比べて30%増えた」という。
BofAは18年、業界に先駆けて独自開発した人工知能(AI)チャットで金融取引などを支援する「エリカ」を投入し、累計の利用回数は24年末時点で25億回に到達した。17年開始の送金サービスの「ゼル」も利用者は2370万人にのぼる。
モイニハン氏はテック投資について「株主のために収益を上げるのに加え、チームの仕事をやりやすくすることで社員の満足度も上がる」と述べた。自社で3万5000人のプログラマーを抱え、外部も合わせると5万人規模の開発体制を維持している。23年には米金融機関で最も多くの特許を取得した。
国際送金などを含む企業向けインターネットバンキング「キャッシュプロ」ではエリカの機能を組み込むことで利用者数が伸びた。24年の送金承認額が1兆ドルを超えるなど、先端技術の投資の効果が表れている。
トランプ米政権が法制化をめざすドル建てのステーブルコインへの参入にも意欲を示した。ステーブルコインは法定通貨や金など裏付けとなる資産を担保に発行する電子決済手段で「USDコイン」や「テザー」が流通している。モイニハン氏は「我々は複数のブロックチェーンの特許を持っており、法律上可能になった場合は何らかの形で採用するだろう」との見解を示した。
急増するプライベートクレジット(ファンドによる直接融資)については、「銀行のように資本基準やルール、検査があるのかというところに規制当局は注意しないといけない」と提起した。ファンドとの協業関係について「様々な会社と連携しており、特定のところと排他的にやるつもりはない」と述べた。
日本事業については「様々な日本企業のCEOと会って、競争力を高めてグローバルで事業を伸ばしたいという非常に強い熱意を感じる」と語った。自社株買いやM&A(合併・買収)といったニーズに世界で培った知見を活用できる点について「我々は企業が戦略を実行する上で様々な手伝いができる」と意欲を示した。
(上田志晃)
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援 購買データで動向把握[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1587文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループが取引先である小売りや外食企業の経営支援に人工知能(AI)の活用を進めている。保有する大量の顧客データや購買情報をAIで分析し客離れの兆候を予知、対応を促す取り組みだ。AIを基盤とした取引先との連携を通じて楽天経済圏の安定・拡大につなげる。
「自分たちの課題をデータが示してくれる。改善を続けることが業績につながっている」。富山県を中心に54店舗のスーパーマーケットを運営する大阪屋ショップ(富山市)の尾崎弘明社長は楽天Gとの連携についてこう語る。
169項目で分析
大阪屋ショップは2018年に楽天ポイントカードを導入し、現在は来店客の9割がレジで提示するほど浸透する。蓄積した購買データなどを顧客の来店動向の把握に生かそうと、新たに楽天Gが開発したAIツールを取り入れた。
従来のコンサルタントのみによるデータ分析との違いは将来を予測する点にある。膨大な情報から、買い物の回数や金額が多いといった「大切な顧客」の行動変化を読み取り、他のスーパーに流出する兆候を察知することができる。
具体的な方法のひとつとして、顧客の属性や販促日の来店動向、生鮮食品の購買頻度など169の項目に分け、顧客流出との相関を分析してみた。すると、大きな販促を打ち出している火曜日の来店頻度や日持ちのしない野菜の購買頻度が落ちこんだ顧客は他店に流出しやすい傾向にあることがわかった。
AIツールを導入した他の小売りチェーンでは、流出の可能性がある顧客に対して割引クーポンを発行し、購買金額を増やした。
小売業界では、物価高を受けて消費者が利用店舗を厳選する傾向を強めている。企業間の競争環境は厳しさを増している。富山県内最大手の大阪屋ショップの場合、好立地には既に自陣営の店舗があるため、業績拡大には既存店の売り上げアップが不可欠だ。
「全国チェーンと地域で戦うための基礎となるのが楽天のデータだ」(尾崎社長)。AIツール導入により、販促を実施している期間中の顧客への売上高は3~5%増を見込む。全体の売上高は2028年6月期に24年同期比36%増の1300億円をめざす。
見えない客類推
AIはポイントカードの利用が少ない場合にも役に立つ。吉野家ホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン、はなまる(高松市)では「見えない顧客」の可視化にAIを活用しようとしている。
高口裕之最高マーケティング責任者(CMO)によると、足元では楽天ポイントカードをはなまるのレジで提示する来店客は5割を下回る。データの収集は不十分で、楽天Gと共同でカードを提示していない顧客の情報を推論するAIツールの開発を進めている。
データを基に、売れ筋商品などの購買傾向が類似している店舗を分類する。その上で外部データも組み合わせてAIに顧客像を類推させる。25年秋にも対象となる店舗を選定して導入し、メニュー開発などに生かす計画だ。「顧客の『解像度』が高まり、売上高は2割増えると見込んでいる」(高口氏)
楽天Gは通常のコンサルティング費用に追加料金を上乗せする形でAIツールを提供する。コスト増が受け入れられる背景には、データの質の高さがある。
楽天ポイントは電子商取引(EC)の楽天市場や楽天系の金融サービスなどグループ内に加えて、全国600万カ所にある小売店や飲食店といった加盟店で利用されている。ポイント発行額は23年に6500億円相当と国内最大規模で、大量の購買データが日々蓄積されている。
AIはデータが多ければ多いほど広範で高度な分析ができる特性を持つ。楽天ペイメント(東京・港)でAIツールの導入に携わる林宏憲氏は「人だけでは作業量が多すぎて物理的に不可能な分析でも短時間でできるようになる」と話す。
【図・写真】大阪屋ショップの店舗では楽天ポイントカードを提示する人が9割と多い(富山市)
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援――ポイント発行、各社競う 顧客確保へ共通化・統合も進む[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 648文字 PDF有 書誌情報]
AIサービスの提供はポイントを利用できる加盟店を開拓する有力な手段で楽天経済圏の拡大につながる。加盟店が増えれば利用者数も多くなり、ポイントの消費先として楽天が提供するサービスに誘導しやすくなる。自社の経済圏の競争力に直結するだけにポイント各社は利便性を高め、提携や共通化などを進めている。
楽天Gは取引先に担当のコンサルタントを配置し、データを使って業績改善を支援できる点で他社に先行する。AI活用により提案の精度が向上すればさらなる加盟店の獲得につながる可能性がある。
決済の強化も進めている。24年には楽天ペイのアプリに「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」を統合すると発表した。クレジットカード「楽天カード」のアプリ機能も追加した。決済回数の多い楽天ペイを中核に据えることでスマホ決済の成長に弾みをつける。
スマホを通じたQRコード決済の首位はPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当(23年度は非開示)と規模は楽天ポイントに次ぐ。共通ポイント事業にも参入し、23年にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングスとの提携を発表した。
利用者数と比例するポイントの発行総額を増やすための合従連衡も進んでいる。カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントは加盟店の減少から巻き返そうと、24年に三井住友フィナンシャルグループのVポイントと統合した。dポイントを運営するNTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)とポイントや決済で提携している。
(桜木浩己)
万博、待ち時間が課題 リハで判明、来場者に協力要請[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 641文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博会場に来場者を入れて動線や運営上の課題を確認する3日間の「テストラン」を終え、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が7日、記者会見を開いた。入場ゲート通過に長いときで1時間以上を要したことを受け、13日の開幕へ向け、来場者に「スムーズな入場がより可能になるよう協力いただきたい」などと呼びかけた。
協会は入場日時の事前予約制を導入することなどで「並ばない万博」を目指してきたが、協賛企業関係者や無料招待の府民ら計約9万8000人を招いた4~6日のテストランでは、入場ゲート前などに長い行列ができた。
石毛氏は「来場される方が準備をされている状態と、到達してからかばんを開けるのでは(ゲート通過の)時間のかかり方が違う。チケットもQRコードを印刷したものを出して準備していると早く通過できる」と指摘。「明らかになった課題について改善を図って、万全の体制でお客様をお迎えしたい」と述べた。
来場者は4日が約4000人、5日が約4万6000人、6日が約4万7000人だった。5日午前に入場を予定していた人がゲート前で1時間以上並ぶケースがあったほか、6日にはゲートに人が殺到。会場につながる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の夢洲(ゆめしま)駅の階段の通行を一時停止し、駅構内に人が滞留する場面がみられた。
万博は1日最大22万人超の来場者を見込む。初日は既に予約だけで約14万人にのぼるという。
【図・写真】大阪万博の「テストラン」に訪れた人たち(5日、大阪市此花区の夢洲)
水運で繁栄 延暦寺門前町、大津・坂本 穴太衆の石垣に歴史の深み(街エクスプローラー)[2025/04/08 日本経済新聞 大阪夕刊 29ページ 1720文字 PDF有 書誌情報]
広く「比叡山坂本」と呼ばれる大津市坂本の中心地は天台宗総本山、比叡山延暦寺の門前町として栄えた。延暦寺が織田信長の焼き打ちにあってからも琵琶湖を通じて集まる物資を京へ運ぶ役割は重視された。いまも延暦寺を支える多くの僧侶が住み、春の山王祭は往時の栄華を伝える。
坂本を楽しむには、坂本比叡山口駅(京阪電気鉄道・石山坂本線)が格好の出発点になる。ここから西方の一帯を文化庁が重要伝統的建造物群保存地区に選び、多くの寺社や歴史的建造物が残っているからだ。比叡山に向かい真っすぐに伸びるのが目抜き通りの「日吉馬場」。日吉大社への参道でもある。大社は全国に約3800社ある「山王さん」の総本宮で、京を守り、延暦寺の護法神としても信仰されてきた。
日吉大社の山王祭は12日に始まる。791年、当時の桓武天皇が大社に2基の神輿(みこし)を寄進したのが始まりとされ、いまでは7基が琵琶湖を渡る「船渡御」がクライマックスになる。期間中、大社の「日吉茶園」で摘んだ茶を一部の神輿に献じる儀式がある。延暦寺を開いた最澄が唐から持ち帰った茶を受け継いだとされる。
日吉大社は坂がきつくなる比叡山の麓のあたりに広がる。この地形が地名「坂本」の由来だとの説もある。およそ2100年前に設けられたと自認するが、禰宜(ねぎ)の須原紀彦さんは「かつては延暦寺の領地の一部だった」と証言する。
延暦寺には桓武天皇が遷都した平安京の鬼門(北東)を抑える役割があり、朝廷と関係を深めた。寄進された荘園は九州、東北を含む各地に広がり、日吉大社も飲み込まれた。琵琶湖畔の坂本は東国、北陸と京を結ぶ水運物流の拠点で、大津市歴史博物館の元学芸員、和田光生さんは「荘園からの税である物資も集まった」と解説する。
延暦寺を脅威と受け止めた信長は1571年、焼き打ちに踏み切った。その後、坂本城を築き、明智光秀に任せた。琵琶湖の水運ルートを確保するためだ。光秀が心を砕いたのは焼失した坂本の北部、西教寺の復興だった。光秀一族の墓があり、歴史ファンをはじめ参拝が絶えない。
1868年に元号が慶応から明治に変更される前、神仏分離令が出されると延暦寺は日吉大社を切り離した。それでも坂本の「大地主」は延暦寺だ。日吉馬場を挟んで東西に広がる寺の多くは「延暦寺の社宅」(延暦寺参拝部長の星野最宥さん)と表現される。延暦寺で働く50人以上の住職の大半が坂本の寺に住み、様々な手段で比叡山に通勤する。かつて、この地域では一線を退いた延暦寺の僧が余生を送っていた。
日吉馬場沿いの「芙蓉(ふよう)園本館」も延暦寺からの借地で豆腐料理などを出している。立派な石垣を配した表門の立て札には「穴太(あのう)衆積み」と書かれている。穴太衆とは戦国時代を中心に活躍した石工集団で、城壁も得意にした。日吉馬場の両側だけでなく坂本の街路の多くが穴太衆積みの石垣で仕切られる。その外観が坂本独特の歴史の深みを感じさせる。地元には穴太衆の技術を受け継ぐ企業もある。
300年以上前に創業した「手打蕎麦(そば)鶴喜」の初代は、延暦寺の「シェフ」だった。坂本に店を出した後も山上の延暦寺に蕎麦を「上げ」てきた。「それに報いる形でいまの姓をいただいたと聞く」と、9代目にあたる運営会社社長の上延昌洋さんは話す。時を超えて延暦寺と坂本は絆を保っている。
(加賀谷和樹)
推しビュー
坂本ケーブルと沿線
坂本と延暦寺を結ぶ「坂本ケーブル」は延長が2025メートルで日本一長いケーブルカーだ。麓のケーブル坂本駅と、これより484メートル高いケーブル延暦寺駅を11分ほどで結ぶ。乗客の2割程度は外国人。両駅とも大正時代の完成でレトロ感があふれる。
1両編成の車両は10月の大阪・関西万博閉幕まで公式キャラクター「ミャクミャク」のヘッドマーク付き。途中、琵琶湖を望む絶景に歓声があがる。事前に告げれば途中の2駅(ほうらい丘、もたて山)で降り、「土佐日記」の歌人、紀貫之の墓なども散策できる。
こちらのQRコードを読み込むと、インスタグラム「NIKKEI関西」の投稿をご覧いただけます。
【図・写真】日吉大社に通じる目抜き通り「日吉馬場」(大津市)
大阪万博来場者に「円滑な入場」協力要請 リハ混雑で協会[2025/04/07 19:16 日経速報ニュース 602文字 画像有 ]
大阪・関西万博会場に来場者を入れて動線や運営上の課題を確認する3日間の「テストラン」を終え、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が7日、記者会見を開いた。入場ゲート通過に長いときで1時間以上を要したことを受け、13日の開幕へ向け、来場者に「スムーズな入場がより可能になるよう協力いただきたい」などと呼びかけた。
【関連記事】大阪万博リハ、全日程終了 駅構内で来場者一時滞留も
協会は入場日時の事前予約制を導入することなどで「並ばない万博」を目指してきたが、協賛企業関係者や無料招待の府民ら計約9万8000人を招いた4~6日のテストランでは、入場ゲート前などに長い行列ができた。
石毛氏は「来場される方が準備をされている状態と、到達してからかばんを開けるのでは(ゲート通過の)時間のかかり方が違う。チケットもQRコードを印刷したものを出して準備していると早く通過できる」と指摘。「明らかになった課題について改善を図って、万全の体制でお客様をお迎えしたい」と述べた。
来場者は4日が約4000人、5日が約4万6000人、6日が約4万7000人だった。5日午前に入場を予定していた人がゲート前で1時間以上並ぶケースがあったほか、6日にはゲートに人が殺到。会場につながる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の夢洲(ゆめしま)駅の階段の通行を一時停止し、駅構内に人が滞留する場面がみられた。
万博は1日最大22万人超の来場者を見込む。初日は既に予約だけで約14万人にのぼるという。
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BofAモイニハン氏、6000億円テック投資「責任ある成長」[2025/04/07 19:05 日経速報ニュース 1319文字 画像有 ]
米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材で、自ら掲げる「責任ある成長」に向け、テクノロジーへの投資に力を入れる考えを示した。先端テックへの投資は年40億ドル(約6000億円)規模になり、新たな技術やアプリに投じる。
BofAは2008年のリーマン・ショック前後に、フリート・ボストンやメリルリンチなどの銀行を傘下に収めてきた。10年に就任したモイニハン氏が掲げたのが「責任ある成長」という方針だ。
モイニハン氏は「責任ある正しい進め方で、言い訳なく成長を遂げるという意思表示だった」と振り返る。CEO就任後、3000億ドルの資産と50近くの事業売却で成長の基盤をつくった。24年の純利益は3年ぶりの最終増益になった。
注力してきたのが先端テックへの投資だ。年間投資額は40億ドルと10年前の2倍に拡大した。モイニハン氏は「顧客は日々の生活でデジタルを活用しており、それを可能にしなければ離れてしまう」と話した。個人向け部門はデジタル経由でのやりとりが9割以上になり「先端技術の導入で顧客の預金残高は5年前と比べて30%増えた」という。
BofAは18年、業界に先駆けて独自開発した人工知能(AI)チャットで金融取引などを支援する「エリカ」を投入し、累計の利用回数は24年末時点で25億回に到達した。17年開始の送金サービスの「ゼル」も利用者は2370万人にのぼる。
モイニハン氏はテック投資について「株主のために収益を上げるのに加え、チームの仕事をやりやすくすることで社員の満足度も上がる」と述べた。自社で3万5000人のプログラマーを抱え、外部も合わせると5万人規模の開発体制を維持している。23年には米金融機関で最も多くの特許を取得した。
国際送金などを含む企業向けインターネットバンキング「キャッシュプロ」ではエリカの機能を組み込むことで利用者数が伸びた。24年の送金承認額が1兆ドルを超えるなど、先端技術の投資の効果があらわれている。
トランプ米政権が法制化をめざすドル建てのステーブルコインへの参入にも意欲を示した。ステーブルコインは法定通貨や金など裏付けとなる資産を担保に発行する電子決済手段で「USDコイン」や「テザー」が流通している。モイニハン氏は「我々は複数のブロックチェーンの特許を持っており、法律上可能になった場合は何らかの形で採用するだろう」との見解を示した。
急増するプライベートクレジット(ファンドによる直接融資)については、「銀行のように資本基準やルール、検査があるのかというところに規制当局は注意しないといけない」と提起した。ファンドとの協業関係について「様々な会社と連携しており、特定のところと排他的にやるつもりはない」と述べた。
日本事業については「様々な日本企業のCEOと会って、競争力を高めてグローバルで事業を伸ばしたいという非常に強い熱意を感じる」と語った。自社株買いやM&A(合併・買収)といったニーズに世界で培った知見を活用できる点について「我々は企業が戦略を実行する上で様々な手伝いができる」と意欲を示した。
(上田志晃)
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セブン、小売り広告用サイネージ7倍 コンビニ成長の柱に[2025/04/07 19:00 日経速報ニュース 1016文字 画像有 ]
セブン―イレブン・ジャパンはリテールメディア(小売り広告)事業の本格展開に向け、2025年にデジタルサイネージ(電子看板)の設置店を現在の7倍の約3500店に増やす。外部企業への購買データの販売も検討する。小売り広告の売上高を5年で200億円規模に拡大し、コンビニエンスストアを中心とした成長戦略の新たな柱に育てる。
小売り広告は食品メーカーなどから広告料を得て、店舗の電子看板などに商品やサービスの情報を表示する。消費者が訪れる店舗を広告媒体として使うことで広告効果を高め、店舗の商品の販売拡大につなげる。
セブンは新たに首都圏の約3000店に電子看板を導入する計画で、今夏から設置作業を始める。これまでは東京都内や四国地方の約500店への導入にとどまっていた。
広告の配信場所が増えれば広告の認知度が高まるため、新たな広告の出稿につながるという。約2600万人が利用するスマートフォンアプリ「セブン-イレブンアプリ」と電子看板を連動させた施策も検討する。例えば、消費者のニーズにあったクーポンをアプリに配信して来店を促し、その消費者らの興味を引く広告を大画面で流すといった連携が想定される。
POS(販売時点情報管理)やアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。メーカーなどの新商品開発やマーケティング戦略の策定に活用してもらう。消費者個人が特定されないようにデータを加工するなどプライバシーに配慮する。
親会社のセブン&アイ・ホールディングスを巡っては、カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)が買収提案をしている。セブンはコンビニを中心とした自社の単独路線を鮮明にしている。セブンの小売り広告は「現状では大きな売上高ではない」(同社幹部)が、今後のコンビニの成長戦略の一つに位置付ける。
小売り広告で先行するファミリーマートは、電子看板を約1万店に設置しており、自社の決済アプリを使って食品メーカーなどによる独自の広告や割引クーポンを表示するサービスも始めている。28年度に同事業の税引き後利益で約100億円を目指す。
電通グループ傘下のCARTA HOLDINGSの予測によると、小売り広告の国内市場規模は28年に1兆845億円と24年の2.3倍になる見通しだ。「小売事業よりも粗利率が高い」(小売り関係者)との声も聞かれ、取り組みの巧拙が店舗の販売や会社全体の収益に影響する。
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三菱総研、山梨県都留市・アイネスとオンデマンド交通「AI(あい)つる~と」の実証運行を実施[2025/04/07 17:44 日経速報ニュース 1126文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月07日
AI自動音声応答による電話予約で送迎車が停留所に
都留市でオンデマンド交通の実証運行、AIが導く高齢者のサービス利便性向上
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長 : 籔田健二、以下MRI)は、2月17日から2月28日の間、山梨県都留市(市長 : 堀内富久、以下 都留市)、株式会社アイネス(本社 : 東京都中央区、代表取締役社長 : 服部修治、以下アイネス)とともに、AI自動音声応答による乗車予約が可能なオンデマンド交通「AI(あい)つる~と」の実証運行を実施しました。この結果、95%以上の予約がAI自動音声応答で正常に完了し、7割以上の利用者が「大変満足」「満足」と回答しました。
1.背景
地域公共交通は住民生活や地域経済の基盤であり、地域活性化においても重要な役割を果たしています。しかし、日本の特に地方部では、人口減少や自家用車の普及などによる輸送需要の減少、担い手不足といった課題に直面しています。こうした中、持続性確保と利便性向上に活用すべき新技術・デジタル技術として、「AIオンデマンド交通」「AI自動音声応答」「キャッシュレス決済」などが注目されています。
MRIは都留市、アイネスと昨年8月に締結した「デジタル社会の実現に向けた包括連携協定(※1)(以下 包括連携協定)」による事業化案の第1弾として、アプリではなく電話による予約を可能とすることで高齢者層の利便性向上を図るAIオンデマンド交通「AI(あい)つる~と」の実証運行を実施しました。
*参考画像は添付の関連資料を参照
※1 : デジタル社会の実現に向けた包括連携協定 : 都留市および各社が、互いに有する資源を積極的に活用するとともに、知的・人的資源の交流を図り、幅広い分野で協力することでそれぞれの発展と充実に寄与することを目的として、昨年8月1日に締結。
・「デジタル社会の実現に向けた包括連携協定」を5者で締結( https://www.mri.co.jp/news/press/20240801.html )
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689432/01_202504071743.jpg
参考画像(2)
https://release.nikkei.co.jp/attach/689432/02_202504071743.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689432/03_202504071743.pdf
トキハインダストリー、サイバー攻撃の復旧見通し立たず[2025/04/07 14:19 日経速報ニュース 374文字 画像有 ]
百貨店「トキハ」(大分市)のサーバーがサイバー攻撃を受けた問題で、グループ会社のスーパー「トキハインダストリー」(同市)は7日、完全復旧の見通しは立っていないことを明らかにした。クレジットカード決済や会員ポイント付与などが利用できないままだという。
トキハインダストリーによると、3月30日午後、商品の発注システムが動かなくなった。その後の調査でトキハグループのサーバーがランサムウエア(身代金要求型ウイルス)による被害を受けていることが判明した。
POS(販売時点情報管理)システムが使えず、商品の発注や受注、売り上げの集計などができなくなり、31日は全23店舗が臨時休業した。人手で作業して4月1日から営業を再開したが、クレジットカード決済などが使えない状態が続く。一部の店舗ではポイントが付かないことに顧客からのクレームが入っているという。
料理宅配、値下げ三つどもえ ウォルトは店頭と同額[2025/04/07 12:57 日経速報ニュース 1945文字 画像有 ]
料理宅配の「Wolt(ウォルト)」は7日、札幌市内の宅配商品について店頭価格と同額での提供を始めた。物価高による節約志向で宅配離れが進み、国内最大手のウーバーイーツや2位の出前館もサービスの実質値下げに踏み切るなど競争が激化している。市場縮小で撤退する企業も相次ぐ中、割高なイメージを刷新して顧客を囲い込む。
ウォルトのアプリ、「北海道らーめん 奥原流 久楽 本店」(札幌市)のページ。人気商品の欄の「白味噌らーめん」はこれまで1380円で提供していたが、店頭と同額の980円に値下げした。ウォルトジャパン(東京・渋谷)の藤川誠矢エリアマネジャーは「デリバリーは高いというイメージをもたれている。手に取りやすい価格にし、新規の利用者からの注文を増やしたい」と話す。
店舗側は料理宅配側に手数料を支払うことなどから、宅配商品は店頭より4割ほど高い価格に設定することが多い。ウォルトジャパンと店舗が割り増し分を負担し、店頭価格と同額に引き下げる。送料は別途、距離に応じてかかる。今回、ウォルトが対象とするのは地元の飲食店を中心とした約120店舗だ。
ウォルトは6月までに、札幌市内の値下げ対象店を500店舗まで増やすことを目指す。その先に見据えるのは全国展開だ。藤川氏は「今後、札幌の取り組みをロールモデルにして全国に広げる可能性はある」と話す。「本格導入は業界でも初とみられる」(同)といい、シェア拡大の起爆剤になり得る。
フィンランド発のウォルトは20年に日本事業を始め、東京や大阪などの三大都市圏以外の地域に注力してきた。データ分析のヴァリューズ(東京・港)によると、北海道で料理宅配ユーザーの3割弱がウォルトを利用している。全国ではKDDI傘下のmenu(メニュー、東京・新宿)に次ぐ4位だが、北海道ではウーバーイーツと出前館の2強に肉薄する。
「値下げ」激化、静観する企業も
ウォルトジャパンが思い切った値下げに踏み切るのは、物価高で落ち込む需要を喚起するためだ。調査会社のサカーナ・ジャパン(東京・港)によると、24年の国内デリバリー市場は23年比8%減の7967億円だった。同社の東さやかフードサービスディレクターは「節約によるメリハリ消費と出勤増加で、デリバリーを利用する機会が減少している」とみる。
新型コロナウイルス禍の特需が落して市場が縮小に転じるなか、競合大手も値下げに動いている。
口火を切ったのは出前館だ。これまでは1回当たりの注文総額によって送料を設定していたが、3月17日から総額のほか、配達距離と時間帯によって送料を変えた。混雑する時間帯を避けた注文や近所の店舗からの配達だと従来より安くなる。詳細な試算は開示していないが「割安な送料になる注文が大幅に増える見込みだ」(同社の担当者)という。
ウーバーイーツジャパン(東京・港)も4月から、一部店舗で持ち帰り注文を店頭価格と同額に値下げした。アプリ上から予約・決済して店頭で待ち時間なく商品を受け取れるサービスで、従来は大半の店舗で店頭より2~4割高い価格に設定していた。
3社が値下げに動く中、静観を続けるのがメニューだ。同社はもともと持ち帰り商品は店頭価格と同額で、通常の料理宅配の価格も据え置いている。
代わりに力を入れるのが、KDDIが経営に参加するローソンで使えるクーポンなどを提供する月額制サービス「Ponta(ポンタ)パス」との連携だ。同サービスの有料会員に向け、メニューでも使えるクーポンなどを配布する。メニューの担当者は「グループのサービスを活用することでKDDI経済圏として発展していきたい」と話す。
過当競争、撤退相次ぐ
こうした過当競争からいち早く抜け出す動きもある。22年だけで独デリバリーヒーロー、中国の滴滴出行といった海外大手が日本から撤退している。23年には国内勢「Chompy(チョンピー)」の運営会社もサービスを終えた。
市場に踏みとどまる各社は顧客の囲い込みに動くが、競争は激しい。ウーバーイーツジャパン、ウォルトジャパンの足元の最終損益はそれぞれ黒字を確保する一方、集客の要となる広告宣伝の費用が重荷となっている。出前館の24年8月期の連結最終損益は37億円の赤字と6期連続の最終赤字だった。
集客が不発に終われば業績の悪化を招く可能性がある。顧客の印象を考慮すると、一度値下げすればやすやすとは元の値段には戻せない。ボストン・コンサルティング・グループで消費財・流通グループの日本リーダーを務める森田章氏は値下げ競争について「値下げをしないと客数が確保できないのは苦しい。(過当競争は)新たな脱落に繋がる可能性があるのではないか」との見方を示している。
(佐藤諒)
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ゆうちょ銀行で一時障害発生 ネット振り込みできず[2025/04/07 12:57 日経速報ニュース 309文字 ]
ゆうちょ銀行は7日、インターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」や決済サービス「ゆうちょPay」など複数のデジタルサービスでシステム障害が一時発生したと発表した。振り込みや決済などができない状態となった。原因を調査している。
ゆうちょ銀によると、7日午前9時ごろから11時半ごろまでの間、障害が発生した。スマートフォン向けの通帳アプリや家計簿アプリなどでも障害が起きた。
現時点でサイバー攻撃を受けたとの情報はないといい、ゆうちょ銀は「お客さまにご不便をおかけし、深くおわび申し上げる」としている。銀行や郵便局の窓口、ATMでの手続きは可能だったため、手続きにかかった手数料は後日返金すると説明している。〔共同〕
外為12時 円相場、下げに転じる 持ち高整理や実需の売りで[2025/04/07 12:37 日経速報ニュース 856文字 ]
7日の東京外国為替市場で、円相場が朝高後に下げに転じた。12時時点は1ドル=146円58~59銭と前週末17時時点と比べて31銭の円安・ドル高だった。トランプ関税を警戒する動きから朝方は144円80銭台まで急伸したが、反動で円売りが次第に増えた。日経平均株価が下げ幅を縮小するのにあわせて持ち高整理を目的とした円売りが出たほか、国内輸入企業の円売り・ドル買いも相場を押し下げた。
円相場は前週末に続いて144円台を試した。トランプ米政権の関税政策の影響で貿易摩擦が激化すれば、世界景気が悪化するとの見方から4日に欧米の株式相場が大きく下落した。アジア株の下値不安も強く、投資家のリスク回避姿勢が続くなかで「低リスク通貨」とされる円には買いが先行した。
一方、投機的な円の買い持ち高は高水準にあり、逆回転が起こりやすくなっている。円は徐々に伸び悩んで10時半ごろに下げに転じた。
7日の取引開始後に2900円超下落する場面があった日経平均株価は、次第に下げ渋った。市場では「商いが薄い朝方の時間帯に144円台をつけた後、取引に厚みが戻らぬ中で持ち高調整を目的とした円売りが広がり、相場の振れ幅が大きくなった」(国内銀行のディーラー)との声があった。さらに10時前の中値決済に向けて、円売り・ドル買いに動く輸入企業が多かったという。
林芳正官房長官は7日午前の記者会見で「内外の経済、金融市場の動向などについて緊張感を持って注視する」などと発言した。今のところ円相場を方向付ける材料とはなっていない。
円は対ユーロでは上昇した。12時時点は1ユーロ=160円24~30銭と、同72銭の円高・ユーロ安だった。対ドルでの円安進行を受けて、朝方からは徐々に上げ幅を縮小した。
ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.0933~34ドルと同0.0071ドルのユーロ安・ドル高だった。日本時間7日午前の取引で米長期金利がやや上昇し、ユーロ売り・ドル買いが出た。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
ローソン銀行、高知信用金庫が発行の「ジモッペイ」にローソン銀行ATMから現金でチャージができるサービスを開始[2025/04/07 11:58 日経速報ニュース 1120文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月07日
ローソン銀行ATMから高知県のデジタル地域通貨「ジモッペイ」への現金チャージが可能に
当行は、高知信用金庫(高知県高知市、理事長 : 山崎 久留美)と「ATMチャージ」(※1)の利用について合意し、高知信用金庫が発行するデジタル地域通貨「ジモッペイ」(※2)にローソン銀行ATMから現金でチャージができるサービスを開始いたしました。
これにより、全国のローソン店舗などに設置している13,500台を超えるローソン銀行ATMで、24時間365日(※3)、「ジモッペイ」への現金でのチャージが可能となり、お客さまの利便性が大きく向上いたします。
「ジモッペイ」は高知県内の小売店や飲食店、タクシー会社などの2,800を超える加盟店での買い物にご利用いただけるデジタル地域通貨です。利用者はスマートフォンの「ジモッペイ」アプリに現金をチャージすることで、加盟店でのキャッシュレス決済やユーザー同士での送金ができます。
「ジモッペイ」は、2024年7月に当行が連携を開始した、株式会社フィノバレー(本社 : 東京都港区、代表取締役社長 : 川田 修平、以下「フィノバレー」)が提供するデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」(※4)を活用しています。今般のサービス提携により、ローソン銀行ATMで現金チャージができるデジタル地域通貨は5通貨となります。
当行は、ATMのサービス拡充とともに、提携先の拡大によるお客さまの利便性向上に引き続き取り組んでいきます。
※1 「ATMチャージ」は株式会社セブン銀行の登録商標です。
「ATMチャージ」の詳細は https://www.lawsonbank.jp/lp/atmcharge/をご参照ください。
※2 「ジモッペイ」のサービス詳細はこちら( https://www.combank.co.jp/jimoppei/user/)をご参照ください。
※3 利用可能時間に関わらず、システムメンテナンスを実施する場合は、一定期間停止することがあります。
※4 デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」のサービス詳細は https://finnovalley.jp/をご参照ください。
※ローソン銀行ATMについては https://www.lawsonbank.jp/atm/をご参照ください。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689392/01_202504071154.pdf
外為10時 円相場、上げ幅縮小 146円台前半 中値「ドル買い優勢」[2025/04/07 10:32 日経速報ニュース 517文字 ]
7日午前の東京外国為替市場で、円相場は上げ幅を縮小している。10時時点は1ドル=145円83~85銭と前週末17時時点と比べて44銭の円高・ドル安だった。10時過ぎに146円25銭近辺まで伸び悩んだ。朝方に144円82銭近辺まで大きく上げた反動で持ち高整理の円売りが膨らんだ。国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測も相場の重荷となった。
中値決済に向けては「ドル買いが優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。数カ月先の先物予約で円を売る動きも出た。日経平均株価が安値から大幅に値を戻していることも持ち高調整の円売りを促した。
「米関税政策の影響で米連邦準備理事会(FRB)の利下げ、日銀の利上げの双方が進みにくくなった」(国内銀行の為替担当者)として、円の一段高に懐疑的な見方が出たのも円売りにつながった。
円は対ユーロでも上値が重い。10時時点では1ユーロ=159円91~97銭と、同1円05銭の円高・ユーロ安だった。その後は160円台前半まで押し戻された。
ユーロは対ドルで軟調。10時時点では1ユーロ=1.0966~68ドルと同0.0038ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
3月末の外貨準備高1.5%増、前月比 米国債の評価額上昇[2025/04/07 10:18 日経速報ニュース 344文字 ]
財務省が7日発表した3月末時点の外貨準備高は1兆2725億ドル(およそ185兆円)だった。2月末と比べて192億ドル(1.5%)増えた。増加は3カ月連続。保有債券の利息収入が増えたことに加え、米国の長期金利の低下で保有する米国債の時価評価額が上昇した。
外貨準備高のうち外国債券などの証券は9432億ドルと100億ドル(1.1%)増えた。財務省によると、保有債券の多くを占める米国の10年債利回りは2月末に4.209%だったが、3月末には4.207%に低下した。
海外の中央銀行や国際決済銀行(BIS)などへの預金は1600億ドルで2億2700万ドル増えた。
金相場の上昇で保有する金の時価評価額も上がった。3月末の金相場は1トロイオンス3115ドルで、2月末と比べて9.9%上昇した。
博報堂がITコンサル参入 AIで危機感、共同出資2社設立[2025/04/07 05:00 日経速報ニュース 4438文字 画像有 ]
2025年1月、博報堂は立て続けに2社との共同出資会社設立を発表した。相手はNTTデータと、アプリ開発会社のアイリッジだ。これによりITコンサル事業に本格参入する。ただ、そこは外資系を中心とする大手コンサルティング企業という強力なライバルがいる世界。激しい競争が待ち受けるにもかかわらず、なぜ博報堂は「参戦」を決めたのか。同事業を担当する、博報堂常務執行役員の青木雅人氏に話を聞いた。
「NTTデータと協業を進めているのは、もしかして青木さんのところですか。だとしたら、すごい気持ち悪いです」
2024年秋ごろ、博報堂常務執行役員の青木雅人氏は、ある競合会社の幹部にこう言葉をかけられて驚いた。水面下で、NTTデータとの協業、さらに指摘はされなかったが、アプリ開発会社のアイリッジと資本業務提携をまさに進めていたからだ。
この「気持ち悪い」という言葉は、博報堂が強力なライバルになり得ることに対する、競合会社の警戒心の表れだ。
正式に博報堂が発表したのは、25年1月。同月16日、まずアイリッジと資本業務提携および共同出資会社の設立を発表。共同出資会社の株式は博報堂が51%を握る。加えて同月24日、今度はNTTデータと共同出資会社を設立することも公にした。こちらの共同出資会社では、博報堂は80%の株式を持つ。
2つの共同出資会社とも営業開始は25年4月の予定で、博報堂で既存広告業務以外の新規事業を管轄する、コマースデザイン事業ユニットが統括する。要は、博報堂が経営の主導権を握る構図となる。
今後博報堂は、アプリ開発の力、そしてバックエンドのシステム開発・実装の案件を受注する力を身に付け、ITコンサルティング事業を大幅に強化することになる。
かねてITコンサルの主戦場は、企業の基幹・業務システムを手掛けるバックエンドの開発力を得意とする、アクセンチュアやデロイトトーマツといったコンサルティング企業が主役を務める。広告業界では、電通が傘下の電通総研や電通デジタルで対抗しているものの、競合は続いていなかった。
従来、博報堂もコンサルティング事業は手掛けていたものの、ウェブサイトなどフロントエンドの開発に限定した取り組みにとどめていた。セキュアな環境で顧客情報を管理することが求められる本格的なアプリ開発や、バックエンドの開発力を持たなかったからだ。
自前のシステム開発力を持たなければ、仕事を奪われる
博報堂がITコンサル事業に本格参入する背景には、人工知能(AI)時代の到来に対する強烈な危機感がある。
「マーケティングが常時、基幹システムや業務システムと連係して、実施されるようになった。我々もそれに触れるようにならないと、マーケティングの仕事も他社に奪われてしまう」(青木氏)
危機感とは、具体的にどういったものか。
例えば、AIエージェントを活用して顧客との商談を効率的・自動的にしたいと考えた場合だ。それぞれの顧客に対して、AIエージェントが適切な回答をしたり、商品を薦めたりするには、日々の営業で顧客と会話した内容や個人情報などを記録する業務システムと、AIエージェントを連係する必要がある。
複数の業界・業種に事業を展開しているコングロマリット(複合企業)であれば、各事業の顧客データを一元的に管理できるようにCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を整備する必要もある。
さらに商談を経て、購入の決済、また商品の発送までAIエージェントが担う場合、それらの業務システムとも連係しなければならない。AIを活用したマーケティングシステムを有効に利用しようとするとき、様々な基幹・業務システムを整備し、連係させることが必要不可欠になるのだ。
そのため、その開発能力がない代理店には、マーケティングの案件すら仕事が回ってこなくなる可能性がある。この状況が近い将来訪れることに、危機感を抱いているのだ。
「今まではマーケティングだけ独立したシステムになっていても成立してきたが、今は、(マーケティングも)基幹システムとデータを連係して活用する、という時代に変わってきている。基幹システムの在り方なども計算して実装できないと、UI(ユーザーインターフェース)が優れたAIチャットを導入したとしても、問い合わせが殺到したときにシステムが対応できず止まる、といったトラブルが起きてしまう」と、青木氏はシステム開発の重要性を話す。
こうしたバックエンドのシステム開発力を持つNTTデータとの共同出資会社を設立することで、顧客企業にシステム開発を含めたマーケティング施策が提案可能になる。
顧客データをどこから取得するかも重要だ。近年では、自社アプリがその役割を担うようになってきている。会員証をアプリで提示し、利用額に応じて会員ステータスが上昇するポイントプログラムを搭載する企業や、アプリにたまる自社ポイントを決済に利用できるようにする企業が増加してきた。
さらにその顧客情報を自社の電子商取引(EC)サイトと連係して、顧客の好みに合わせた商品情報を表示するなど、アプリを中心にマーケティング施策を組み立てるケースも多くなってきた。
企業の需要は高まっているものの、博報堂は従来、本格的なアプリを開発する力を持っていなかった。「広告キャンペーンの応募用の簡易的なアプリや、商品ブランドごとにアプリをつくることはできた。だが、決済やポイントプログラムなど、個人情報もセキュアな環境が求められるアプリの開発はできなかった」(青木氏)
そこで目を付けたのが、アプリ開発会社との協業であり、白羽の矢を立てたのがアイリッジというわけだ。
アイリッジをパートナーに選んだのは、手掛けてきたクライアントの業種が小売り、鉄道が多かったからである。「セキュアで、相当堅牢(けんろう)な仕組みをつくらないと成り立たない業種」(青木氏)で経験を積んでいるため、博報堂が求める能力と一致したのだ。
新しい買い物体験を構築、新市場開拓でトップライン拡大に貢献
本格参入するITコンサル業界は、実に競争関係が熾烈(しれつ)な世界だ。巨大資本の外資系コンサルが大手を振るが、博報堂はコミュニケーション領域で培ってきた、生活者発想を生かすことで活路を見いだせると考えている。
共同出資会社をコマースデザイン事業ユニット所属としたのは、既存クライアントを含め、従来のコミュニケーション領域の提案にプラスして、ITコンサル領域を一気通貫で提案することで、差異化を目指せるため。アプローチできる企業数は限られるが、1社に深く入り込んで支援するイメージだ。
ライバルは、コンサルティング部門やシステム開発支援部門の経営を本体から切り離すことで、広範な業種のクライアントを獲得する戦略を採ることが多く、この点でも差異化を図れるとする。
手掛ける案件が、他社と一線を画す点も見逃せない。
まずNTTデータとの共同出資会社では、「新市場創造によるトップライン(売り上げ)拡大」を提供価値として標榜する。「多くのITコンサルでは、人員削減や費用削減による業務効率化が提供価値の中心だ。それだけでなく、新しい買い物体験の構築など、新市場を開拓してトップラインの拡大に貢献したい」(青木氏)
多くのITコンサルが注力する、物流や製造工程のコンサルなどの業務効率化は、博報堂が得意な領域ではない。そこで同社は、生活総合研究所で生活者の意識調査を1992年から隔年で実施するなどして培ってきた、生活者理解という強みを生かして、生活者視点で買い方、売り方を進化させることを目指す。
青木氏が例として挙げたのが「バーチャル販売員」だ。これは、顧客が商品・サービスについて気になったことを、好きな時間に営業担当者を模倣したAIエージェントに相談できるというアイデア。営業担当者の個性や特徴を反映したAIエージェントが、顧客の質問に回答する。さらに、その会話履歴を営業担当者に連携することで、消費者の状況やニーズに合わせた接客ができるようになる。
こうした生活者視点で、体験が変わるサービスの開発を志向する。
NTTデータとの共同出資会社の売り上げ目標は、5年目で50億円、利益は2桁億円。従来、博報堂のフィー型のコンサル案件は高額でも1億円程度だったというが、狙うのは10億円規模の案件。一気に案件の規模を大きくできると見ている。
アプリ開発で「顧客データのインフラ」を押さえる
もう一つのアイリッジとの共同出資会社はどうか。
顧客データのインフラをつくることを目指すのは、先述した通りだ。アイリッジのメインクライアントは鉄道や小売りであり、「アプリを起点に新たなサービスを開発したり、このインフラと連携する企業が出てきたりすることを目指す」と青木氏。
近年、ECサイトの広告や小売店舗へのサイネージ広告などのリテールメディアに代表されるように、メディア事業者以外のサービスが広告媒体になるケースが増えてきた。その中でも、小売りや交通は利用者が多く、購買データや位置情報データなど、豊富な顧客データを持ち、利用者の利用頻度も高い。
生活者のインフラになる、これらの業種のアプリ開発を獲得することで、広告事業へと拡大したり、新サービスをアプリ起点で開発したりするなど、さらなるビジネス展開を図れる可能性が高いというわけだ。
アイリッジとの共同出資会社では、5年で1億~2億円の利益を見込む。NTTデータとの共同出資会社と比べると低い目標だが、「アプリを持つと他の案件にも広がる」と青木氏は見る。アプリ開発起点による、博報堂グループの他案件獲得などの波及効果を含めると、数十億円の利益効果があると期待を寄せる。
「マーケティングが他(の多くの会社)でもできると見せられる時代」と青木氏は現在の広告業界を評する。デジタル広告の台頭により、地上波テレビCMといった一部の大手広告代理店しか扱えなかった広告商品の重要性が、相対的に低下してきた。
一方デジタル広告は、あらゆる企業が取り扱えるため、多くの企業がマーケティング支援をできるようになり、広告運用の支援だけでは差別化が難しくなった。
だからこそ博報堂をはじめとした大手広告代理店は、企業のシステム開発・実装を担い、より大規模なマーケティング案件の獲得を図り、自社独自のソリューションを提供することを狙う。
マーケティング施策を起点に、新たにシステム開発まで含めた受注をもくろむ広告会社。対抗して、システム開発を起点に広告会社が得意とするマーケティング施策を奪おうとするコンサルティング会社。コンサル業界と広告業界の壁がなくなり、熾烈な受注合戦の火蓋が切られた。
(日経クロストレンド 石飛大和、撮影 山田愼二)
[日経クロストレンド 2025年3月18日の記事を再構成]
楽天G、データ×AIで客離れ予知 小売り・外食を支援[2025/04/07 05:00 日経速報ニュース 2200文字 画像有 ]
楽天グループが取引先である小売りや外食企業の経営支援に人工知能(AI)の活用を進めている。保有する大量の顧客データや購買情報をAIで分析し客離れの兆候を予知、対応を促す取り組みだ。AIを基盤とした取引先との連携を通じて楽天経済圏の安定・拡大につなげる。
169項目で分析
「自分たちの課題をデータが示してくれる。改善を続けることが業績につながっている」。富山県を中心に54店舗のスーパーマーケットを運営する大阪屋ショップ(富山市)の尾崎弘明社長は楽天Gとの連携についてこう語る。
大阪屋ショップは2018年に楽天ポイントカードを導入し、現在は来店客の9割がレジで提示するほど浸透する。蓄積した購買データなどを顧客の来店動向の把握に生かそうと、新たに楽天Gが開発したAIツールを取り入れた。
従来のコンサルタントのみによるデータ分析との違いは将来を予測する点にある。膨大な情報から、買い物の回数や金額が多いといった「大切な顧客」の行動変化を読み取り、他のスーパーに流出する兆候を察知することができる。
具体的な方法のひとつとして、顧客の属性や販促日の来店動向、生鮮食品の購買頻度など169の項目に分け、顧客流出との相関を分析してみた。すると、大きな販促を打ち出している火曜日の来店頻度や日持ちのしない野菜の購買頻度が落ちこんだ顧客は他店に流出しやすい傾向にあることがわかった。
AIツールを導入した他の小売りチェーンでは、流出の可能性がある顧客に対して割引クーポンを発行し、購買金額を増やした。
小売業界では、物価高を受けて消費者が利用店舗を厳選する傾向を強めている。企業間の競争環境は厳しさを増している。富山県内最大手の大阪屋ショップの場合、好立地には既に自陣営の店舗があるため、業績拡大には既存店の売り上げアップが不可欠だ。
「全国チェーンと地域で戦うための基礎となるのが楽天のデータだ」(尾崎社長)。AIツール導入により、販促を実施している期間中の顧客への売上高は3~5%増を見込む。全体の売上高は2028年6月期に24年同期比36%増の1300億円をめざす。
見えない客類推
AIはポイントカードの利用が少ない場合にも役に立つ。吉野家ホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン、はなまる(高松市)では「見えない顧客」の可視化にAIを活用しようとしている。
高口裕之最高マーケティング責任者(CMO)によると、足元では楽天ポイントカードをはなまるのレジで提示する来店客は5割を下回る。データの収集は不十分で、楽天Gと共同でカードを提示していない顧客の情報を推論するAIツールの開発を進めている。
データを基に、売れ筋商品などの購買傾向が類似している店舗を分類する。その上で外部データも組み合わせてAIに顧客像を類推させる。25年秋にも対象となる店舗を選定して導入し、メニュー開発などに生かす計画だ。「顧客の『解像度』が高まり、売上高は2割増えると見込んでいる」(高口氏)
楽天Gは通常のコンサルティング費用に追加料金を上乗せする形でAIツールを提供する。コスト増が受け入れられる背景には、データの質の高さがある。
楽天ポイントは電子商取引(EC)の楽天市場や楽天系の金融サービスなどグループ内に加えて、全国600万カ所にある小売店や飲食店といった加盟店で利用されている。ポイント発行額は23年に6500億円相当と国内最大規模で、大量の購買データが日々蓄積されている。
AIはデータが多ければ多いほど広範で高度な分析ができる特性を持つ。楽天ペイメント(東京・港)でAIツールの導入に携わる林宏憲氏は「人だけでは作業量が多すぎて物理的に不可能な分析でも短時間でできるようになる」と話す。
ポイント発行、各社競う
AIサービスの提供はポイントを利用できる加盟店を開拓する有力な手段で楽天経済圏の拡大につながる。加盟店が増えれば利用者数も多くなり、ポイントの消費先として楽天が提供するサービスに誘導しやすくなる。自社の経済圏の競争力に直結するだけにポイント各社は利便性を高め、提携や共通化などを進めている。
楽天Gは取引先に担当のコンサルタントを配置し、データを使って業績改善を支援できる点で他社に先行する。AI活用により提案の精度が向上すればさらなる加盟店の獲得につながる可能性がある。
決済の強化も進めている。24年には楽天ペイのアプリに「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」を統合すると発表した。クレジットカード「楽天カード」のアプリ機能も追加した。決済回数の多い楽天ペイを中核に据えることでスマホ決済の成長に弾みをつける。
スマホを通じたQRコード決済の首位はPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当(23年度は非開示)と規模は楽天ポイントに次ぐ。共通ポイント事業にも参入し、23年にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングスとの提携を発表した。
利用者数と比例するポイントの発行総額を増やすための合従連衡も進んでいる。カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントは加盟店の減少から巻き返そうと、24年に三井住友フィナンシャルグループのVポイントと統合した。dポイントを運営するNTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)とポイントや決済で提携している。
(桜木浩己)
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ファミマ店長、学びはオンライン 26年までに全店導入[2025/04/07 02:00 日経速報ニュース 1244文字 画像有 ]
ファミリーマートは、コンビニエンスストアの店長が商品や労務管理の知識を学べるオンライン学習システムを導入する。4月から順次始めて、2026年2月までに全約1万6000店の店長が利用できるようにする。従来は本部の社員がメールや電話、対面で店長に内容を伝えていた。社員の業務負担を軽減するほか、店長の学習の効率を高める。
3~5分の動画、約80種類
まず4月末にかけて全国の1000店に導入して、26年にかけて全店に広げる。店長は店にあるタブレット端末を使って、自身の業務の都合に合わせて学習する仕組み。コンビニチェーンでは本部社員やアルバイト向けにオンライン学習を提供する取り組みはあったが、店長向けは珍しいという。
学習内容は約80種類でスタートし、25年度中に100超に増やす。コンプライアンス(法令順守)や商品、食品衛生、独自の決済アプリ「ファミペイ」に関する知識を学べるほか、サステナビリティー(持続可能性)やカスタマーハラスメント(カスハラ)などの社会課題に沿ったコンテンツも用意する。
テーマごとに1本あたり3~5分の動画を視聴する形式で、オンライン上のテストを受けて知識を定着させる。
本部社員の関連業務が半分に
これまでは、スーパーバイザーと呼ばれる本部の社員が店長に情報を伝えていた。店長向けの研修は、店長の着任前などの一部の機会に限られていた。オンライン学習システムを導入することで、本部社員の関連業務にかかる時間を従来から約半分に短縮できる見通しだ。
社員は空いた時間を活用して、個店の状況に応じた売り場や商品の提案により注力できるようにする。
ファミリーマートでオンライン学習システムを担当するFC研修部の吉田浩士部長は「店長から『知りたい』と要望のある内容は商品から労務管理まで多岐にわたり、時期によっても様々だ。オンライン学習の仕組みを整えることで、店長のニーズに的確に応えられるようになる」と話す。
本部による管理も効率化できる。本部側で店長に学習してほしいコンテンツを推奨して、テストの結果を通じ、全国の店長の理解度を把握できるようになる。
新しいITの活用を促す
ファミリーマートはIT(情報技術)を活用した店舗業務の効率化に取り組んでいる。発注業務を支援する人工知能(AI)「レイチェル」を採用している。23年から本格導入し、24年7月末時点で約7000店まで広がった。店長が音声でタブレット端末に前週の売り上げ順位やこれまでの販促施策の販売傾向などを聞くと、女性のキャラクター「レイチェル」が画面上にデータを提示する。
コンビニ業界が採用しているフランチャイズチェーン(FC)制度では、FCオーナーは本部から独立した経営主体になる。社員が運営する直営店型の小売りチェーンと比べて、店長がもつ知識やノウハウには個人差がでやすいとされる。
ファミマは全国規模で店長の知識を底上げすることで、店舗の経営ノウハウや運営力を向上させる狙いがある。
(平岡大輝)
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日経MJ・7日[2025/04/07 00:00 日経速報ニュース 308文字 ]
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日経ミューズサロン クリストフ・コワン チェロ・リサイタル(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 夕刊 3ページ 522文字 PDF有 書誌情報]
伝説的巨匠アーノンクール、サヴァール、ナヴァラに学び、モザイク四重奏団を長年率いるチェリスト、クリストフ・コワン=写真=の演奏会を開催します。古楽とモダン楽器とを自由に行き来する世界屈指のカリスマ演奏家の一人で、音楽にすべてをささげる姿から、“本物の音楽家”として評価されるコワンが6年ぶりに来日。ブラームスやメンデルスゾーンというドイツ・ロマン派音楽の王道、チェロとピアノのために書かれた傑作を披露します。パリを拠点に国際的な演奏活動をするピアニスト、金子陽子=同右上=が共演します。
◇とき 4月18日(金)午後6時半開演◇ところ 日経ホール(東京・大手町)◇曲目 メンデルスゾーン/協奏的変奏曲作品17ニ長調、メンデルスゾーン/チェロ・ソナタ第1番作品45変ロ長調、J・B・グロス/セレナード ハ長調、ブラームス/チェロ・ソナタ第1番作品38ホ短調◇入場料 一般4000円、子供(小学生以上高校生以下)2500円(税込み、全席指定)。ぴあ、イープラスほかで販売中。ただし、子供券は日経公演事務局のみで販売。詳細はQRコードより
◇問い合わせ・申し込み 日経公演事務局(電)03・5227・4227
主催 日本経済新聞社
協賛 ファンケル
デジタル移民 アナログ世界からやって来た(令和なコトバ)[2025/04/07 日本経済新聞 夕刊 8ページ 1270文字 書誌情報]
基本はセルフレジ、店員さんに用があるときだけ有人レジ。そんなコンビニが増えてきた。自分は、どちらも空いているときは、必ずセルフレジに行くようにしている。「若いもんになめられたくない」という一心もあるが、一番はスーパーのレジ打ち係が昔の憧れだったから。
とくに圧巻は商品バーコードが登場する前の、打ち込み式のレジだ。「○○円?」「○○○円?」と価格を読み上げながらブラインドタッチで打ち込んでいき、1円だって間違えないパートのおばちゃんのレジテクニックのかっこよさと言ったら!
いつか私もあんなレジ打ち職人になるんだと、心に決めていたのにさ。気がつけばいつのまにかレジ打ちは消滅し、バーコードでピッの時代に。というわけで、かっこよさのレベルが違うが、喜んでセルフレジのピッをやっている今日このごろだ。
まあ、なんで自分のセルフレジ好きの理由を読者のみなさまが延々と聞かされているかというと、今週のお題が「デジタル移民」だから。生まれながらにしてデジタルに触れていたミレニアル世代やZ世代が「デジタルネーティブ」と呼ばれるが、こちらその反対にある人たちのこと。今となればはるか遠くのアナログの世界から、デジタルの新時代に移民してきた、1980年くらいまでに生まれた今の中高年をこう呼ぶ。
そもそもデジタルネーティブという言葉は、米国人作家、マーク・プレンスキー氏の2001年の論文から生まれた。そのタイトルからして「デジタルネーティブ、デジタルイミグラント(移民)」。デジタルが当たり前のネーティブ世代と、そうでない移民世代の区別が二十数年前には始まっていたわけだ。
ただし、この論文を読むと、かつてのデジタル移民像は、現在のそれとは相当違う。例えば情報取得の速度。プレンスキー氏はデジタル移民の特徴をこう定義している。「デジタルネーティブが高速で情報を受け取ることに慣れているのに対し、デジタル移民は比較的ゆっくりとしたペースで情報を処理する」
ネットワークの接続については、「デジタルネーティブは常にネットワークに接続されていることが前提だが、デジタル移民はオフラインでの活動も重視する」とか。まあ、デジタル環境が大きく変わったとはいえ、今やシニアのスマホ保有率はどんな調査でも90%以上。例えばうちの母(90)のデジタルライフを、当時のプレンスキーさんに教えてあげたいと思う。
朝起きたら布団の中で猫動画か韓流ドラマの短編。その後テレビを見ながら関連ニュースをSNSで流れてきた動画などでチェックする。午後はLINEで連絡を取りながら友人と待ち合わせてお茶。キャッシュレスで買い物し、帰宅後はお昼寝もはさんでネット三昧を始める。その間、驚くようなニュースを拾ったので娘(自分)に教えてあげたのに「それはフェイク!」と怒られる。そんなデジタル移民を誰が予想しただろう。
とはいえネット情報なら何でもうのみにしてしまう脇のゆるさが、いつかデジタル世界の移民問題につながらないことを祈って!
(ライター 福光 恵)
【図・写真】イラスト 江口修平
「日本美術の鉱脈展」概要(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 547文字 書誌情報]
(1面参照)
◇会期 6月21日(土)~8月31日(日)、午前10時~午後5時。7月18、19、20、25、26、8月1、2、8、9、10、15、16、22、23、29、30日は午後7時まで(入場は閉館30分前まで)。月曜日(7月21日、8月11日は開館)と7月22日(火)休館
◇会場 大阪中之島美術館
◇観覧料 一般1800円(前売り1600円)、高大生1500円(同1300円)、小中生500円(同300円)。グッズ付チケットなどは詳細が決まり次第、公式サイト(QRコード参照)にてお知らせします。前売り券は4月21日(月)から6月20日(金)まで、美術館サイトまたは各種プレイガイドなどで販売
◇主な作品 伝岩佐又兵衛「妖怪退治図屏風」(江戸時代・17世紀)、式部輝忠「巖樹遊猿図」(写真右は六曲一双屏風のうち左隻、重要文化財、室町時代・16世紀、京都国立博物館蔵、7月29日から8月31日まで展示)、牧島如鳩「魚籃観音像」(1952年、足利市民文化財団蔵)、狩野一信「五百羅漢図」(江戸時代・19世紀、増上寺蔵)、「人体文様付有孔鍔付土器」(同左、重要文化財、縄文時代中期、南アルプス市教育委員会蔵)ほか
◇詳細・問い合わせ (電)06・4301・7285(大阪市総合コールセンター)
「ウィーン国立歌劇場」先行販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 404文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の先行販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S席7万9000円~E席2万6000円、土・日S席8万2000円~E席2万9000円。全公演に寄付金付きのサポーター席があります(各S席料金に5万円を加えた金額)。
◇チケット販売 4月7日午後9時NBS WEBにて2演目セット券先行販売開始。以降順次発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
新サービス『金融DXインサイド』開始 デジタル活用やフィンテックの記事を厳選(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 275文字 書誌情報]
日経BPは4月9日(水)から、有料ニューズレターサービス「金融DXインサイドby日経クロステック」を始めます。日経BPの技術系デジタルメディア「日経クロステック」から、金融DXやフィンテックに関わる記事を厳選し、メールやウェブサイトを通じてお届けします。金融DXインサイド有料会員(月額1100円)に加入すると、有料会員限定記事を読むことができます。日経クロステック有料会員の方は追加料金なしで利用いただけます。
◇配信日時 4月9日(水)以降、毎週水曜日(祝日、年末年始を除く)
◇料金 月額1100円(メール受信は無料)
◇詳細 QRコード参照
ファミマ、店長にオンライン学習 商品・決済アプリなど80種類 全店導入、26年2月までに[2025/04/07 日経MJ(流通新聞) 13ページ 1331文字 PDF有 書誌情報]
ファミリーマートは、コンビニエンスストアの店長が商品や労務管理の知識を学べるオンライン学習システムを導入する。4月から順次始めて、2026年2月までに全約1万6000店の店長が利用できるようにする。従来は本部の社員がメールや電話、対面で店長に内容を伝えていた。社員の業務負担を軽減するほか、店長の学習の効率を高める。
まず4月末にかけて全国の1000店に導入して、26年にかけて全店に広げる。店長は店にあるタブレット端末を使って、自身の業務の都合に合わせて学習する仕組み。コンビニチェーンでは本部社員やアルバイト向けにオンライン学習を提供する取り組みはあったが、店長向けは珍しいという。
学習内容は約80種類でスタートし、25年度中に100超に増やす。コンプライアンス(法令順守)や商品、食品衛生、独自の決済アプリ「ファミペイ」に関する知識を学べるほか、サステナビリティー(持続可能性)やカスタマーハラスメント(カスハラ)などの社会課題に沿ったコンテンツも用意する。
テーマごとに1本あたり3~5分の動画を視聴する形式で、オンライン上のテストを受けて知識を定着させる。
これまでは、スーパーバイザーと呼ばれる本部の社員が店長に情報を伝えていた。店長向けの研修は、店長の着任前などの一部の機会に限られていた。オンライン学習システムを導入することで、本部社員の関連業務にかかる時間を従来から約半分に短縮できる見通しだ。
社員は空いた時間を活用して、個店の状況に応じた売り場や商品の提案により注力できるようにする。
ファミリーマートでオンライン学習システムを担当するFC研修部の吉田浩士部長は「店長から『知りたい』と要望のある内容は商品から労務管理まで多岐にわたり、時期によっても様々だ。オンライン学習の仕組みを整えることで、店長のニーズに的確に応えられるようになる」と話す。
本部による管理も効率化できる。本部側で店長に学習してほしいコンテンツを推奨して、テストの結果を通じ、全国の店長の理解度を把握できるようになる。
ファミリーマートはIT(情報技術)を活用した店舗業務の効率化に取り組んでいる。発注業務を支援する人工知能(AI)「レイチェル」を採用している。23年から本格導入し、24年7月末時点で約7000店まで広がった。店長が音声でタブレット端末に前週の売り上げ順位やこれまでの販促施策の販売傾向などを聞くと、女性のキャラクター「レイチェル」が画面上にデータを提示する。
コンビニ業界が採用しているフランチャイズチェーン(FC)制度では、FCオーナーは本部から独立した経営主体になる。社員が運営する直営店型の小売りチェーンと比べて、店長がもつ知識やノウハウには個人差がでやすいとされる。
ファミマは全国規模で店長の知識を底上げすることで、店舗の経営ノウハウや運営力を向上させる狙いがある。
(平岡大輝)
【図・写真】ファミマは店長がタブレット端末で運営に必要な知識やスキルを動画で学べるようにする
【図・写真】ファミリーマートは食品ロスを減らす取り組みなど、新しい施策が多い
【図・写真】店長向けのオンライン学習では決済アプリ「ファミペイ」の仕組みなどを勉強できる
日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/06 日本経済新聞 朝刊 6ページ 374文字 PDF有 書誌情報]
(1)「中国ショック」に苦しむ中国(上) 製造業の優位性低下(31日)
(2)トランプ氏の関税、世界経済に1兆4000億ドルの打撃(3日)
(3)トランプ氏、関税を徹底重視の理由 ラナ・フォルーハー(3日)
(4)米か欧かの「幼稚な選択せず」 伊首相インタビュー(上)(2日)
(4)フランス極右ルペン氏に対する衝撃的な判決(社説)(1日)
(6)整合性欠くトランプ氏の石油政策 ジリアン・テット(1日)
(7)米国、ウクライナ資源の全面管理を要求(28日)
(8)AIでホワイトカラーの世界から新人が消える?(28日)
(9)米港湾の中国製船への手数料、農業界から悲鳴 輸出に影(28日)
(10)米国の自動車関税、中国製EVの追い風に(社説)(31日)
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「M7」2日間で12%下落、ダウ平均ではボーイングが2割安[2025/04/05 14:20 日経速報ニュース 2857文字 ]
【NQNニューヨーク=横内理恵】米トランプ政権の関税引き上げを発端とした米株安に歯止めがかからない。米トランプ政権の「相互関税」に対抗し、4日には中国が米国の輸入品に高関税を課す方針を示した。関税の応酬による貿易戦争と世界景気の悪化への警戒が強まり、米株式市場では打撃の大きそうな銘柄への売りが加速している。
4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4万ドルを割り込み、昨年5月以来の安値で終えた。2日間の下げ幅は3900ドルを超えた。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は2日間で11%超下げ、昨年12月に付けた最高値からの下落率が「弱気相場」入りの目安とされる2割を上回った。
この2日間に幅広い銘柄が売られ、時価総額の大きいハイテク7銘柄「M7」の下げもきつかった。下落率の首位はアップルで16%近く下がった。「iPhone(アイフォーン)」などをアジア諸国で生産しており、関税が利益を押し下げる可能性が高い。テスラも15%あまり下落した。中国の売上高が大きく、米中摩擦はすでに低迷する電気自動車(EV)販売に一段の影を落とす。
エヌビディアの下げも大きかった。貿易戦争を背景とした不透明感で企業が人工知能(AI)関連などIT(情報技術)投資を手控えるとの観測が浮上している。メタプラットフォームズは世界景気悪化による広告事業への逆風が懸念されている。M7で構成する上場投資信託(ETF)の「ラウンドヒル・マグニフィゼント・セブン」は2日間で約12%下げた。
■M7下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
アップル ▲15.8% ▲ 7.2%
テスラ ▲15.3% ▲10.4%
エヌビディア ▲14.5% ▲ 7.3%
メタプラットフォームズ ▲13.5% ▲ 5.0%
アマゾン・ドッド・コム ▲12.7% ▲ 4.1%
アルファベット ▲ 7.2% ▲ 3.3%
マイクロソフト ▲ 5.8% ▲ 3.5%
M7ETF ▲12.3% ▲ 5.8%
半導体株も全般に売られた。マイクロン・テクノロジーは2日間で27%近く下げ、マーベル・テクノロジーも2割超下げた。半導体は今回の相互関税の対象からは除外された。ただ、パソコンなどの電子機器から自動車、医療機器と様々な用途で使われ、関税に起因した供給網(サプライチェーン)の混乱の影響が大きいとみられている。
トランプ大統領は近く半導体への関税も発表する考えを示している。AI投資の減速懸念と相まって先行き不透明感は強い。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2日間で16%超下げた。
■主要な半導体関連銘柄の下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
マイクロン・テクノロジー ▲26.9% ▲12.9%
マーベル・テクノロジー ▲21.8% ▲11.1%
クアルコム ▲17.2% ▲ 8.5%
AMD ▲16.7% ▲ 8.5%
ブロードコム ▲14.9% ▲ 5.0%
AMAT ▲14.0% ▲ 6.3%
インテル ▲ 9.6% ▲11.5%
ダウ平均の構成銘柄でこの2日間の下げがもっとも大きかったのはボーイングで、ほぼ2割安となった。米中の関税引き上げで航空部品の価格上昇が避けられないとみられている。中国販売拡大が見込まれていたため、同国の景気懸念も売りを誘った。
ゴールドマン・サックスなど金融の売りも目立った。景気懸念から米長期金利が半年ぶりに節目の4%近辺に低下し、利ざやの縮小につながる。金融市場の混乱を受けて決済大手クラーナなどが新規株式公開(IPO)延期を検討していることも伝わった。個人消費の落ち込みやカードローンの債務不履行などを見越してクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなどへの売りも目立った。
■ダウ平均構成銘柄下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
(1)ボーイング ▲18.9% ▲9.4%
(2)ゴールドマン・サックス ▲16.3% ▲7.9%
(3)アップル ▲15.8% ▲7.2%
(4)アメリカン・エキスプレス ▲15.1% ▲5.7%
(5)ウォルト・ディズニー ▲14.6% ▲5.9%
(6)エヌビディア ▲14.5% ▲7.3%
(7)JPモルガン・チェース ▲14.4% ▲8.0%
(8)スリーエム ▲14.1% ▲9.1%
(9)シェブロン ▲13.9% ▲8.2%
(10)キャタピラー ▲13.9% ▲5.7%
一方、3日に14%あまり下落したナイキは4日は反発した。トランプ大統領がベトナム政府と交渉していると伝わり、同国での生産比率が高いナイキに買い戻しが入った。ダウ平均の構成銘柄では唯一、ユナイテッドヘルス・グループが小幅に上げた。
それ以外、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数の構成銘柄ではデル・テクノロジーズやヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、HPなどサーバーやパソコンを手掛けるIT(情報技術)関連銘柄の下げが目立った。インフレによる消費の落ち込みを見込んでユナイテッド航空ホールディングスやクルーズ船のノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングスなど娯楽・レジャー関連も下げた。
関税を巡る混乱は尾を引きそうな気配で投資家の不安は強まっている。貿易戦争のあおりを受ける銘柄の選別売りは続きそうだ。
令和なコトバ「デジタル移民」 アナログ国より訪れし者[2025/04/05 05:00 日経速報ニュース 1421文字 画像有 ]
誰もが知る流行語なき時代の新語を採掘し、世の中を知る「令和なコトバ」。Z世代など今どきの若者はデジタルネーティブと呼ばれます。彼らの流儀の「デジタルの国」に移住してきたのが中高年、ということで「デジタル移民」という言葉が最近使われています。ライターの福光恵さんが身近なところから考えます。
基本はセルフレジ、店員さんに用があるときだけ有人レジ。そんなコンビニが増えてきた。自分は、どちらも空いているときは、必ずセルフレジに行くようにしている。「若いもんになめられたくない」という一心もあるが、一番はスーパーのレジ打ち係が昔の憧れだったから。
とくに圧巻は商品バーコードが登場する前の、打ち込み式のレジだ。「○○円?」「○○○円?」と価格を読み上げながらブラインドタッチで打ち込んでいき、1円だって間違えないパートのおばちゃんのレジテクニックのかっこよさと言ったら!
いつか私もあんなレジ打ち職人になるんだと、心に決めていたのにさ。気がつけばいつのまにかレジ打ちは消滅し、バーコードでピッの時代に。というわけで、かっこよさのレベルが違うが、喜んでセルフレジのピッをやっている今日このごろだ。
◇ ◇
まあ、なんで自分のセルフレジ好きの理由を読者のみなさまが延々と聞かされているかというと、今週のお題が「デジタル移民」だから。生まれながらにしてデジタルに触れていたミレニアル世代やZ世代が「デジタルネーティブ」と呼ばれるが、こちらその反対にある人たちのこと。今となればはるか遠くのアナログの世界から、デジタルの新時代に移民してきた、1980年くらいまでに生まれた今の中高年をこう呼ぶ。
そもそもデジタルネーティブという言葉は、米国人作家、マーク・プレンスキー氏の2001年の論文から生まれた。そのタイトルからして「デジタルネーティブ、デジタルイミグラント(移民)」。デジタルが当たり前のネーティブ世代と、そうでない移民世代の区別が二十数年前には始まっていたわけだ。
◇ ◇
ただし、この論文を読むと、かつてのデジタル移民像は、現在のそれとは相当違う。例えば情報取得の速度。プレンスキー氏はデジタル移民の特徴をこう定義している。「デジタルネーティブが高速で情報を受け取ることに慣れているのに対し、デジタル移民は比較的ゆっくりとしたペースで情報を処理する」
ネットワークの接続については、「デジタルネーティブは常にネットワークに接続されていることが前提だが、デジタル移民はオフラインでの活動も重視する」とか。まあ、デジタル環境が大きく変わったとはいえ、今やシニアのスマホ保有率はどんな調査でも90%以上。例えばうちの母(90)のデジタルライフを、当時のプレンスキーさんに教えてあげたいと思う。
朝起きたら布団の中で猫動画か韓流ドラマの短編。その後テレビを見ながら関連ニュースをSNSで流れてきた動画などでチェックする。午後はLINEで連絡を取りながら友人と待ち合わせてお茶。キャッシュレスで買い物し、帰宅後はお昼寝もはさんでネット三昧を始める。その間、驚くようなニュースを拾ったので娘(自分)に教えてあげたのに「それはフェイク!」と怒られる。そんなデジタル移民を誰が予想しただろう。
とはいえネット情報なら何でもうのみにしてしまう脇のゆるさが、いつかデジタル世界の移民問題につながらないことを祈って!
(福光 恵)
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決済大手クラーナ、米IPO延期へ 関税による市場混乱で[2025/04/05 04:35 日経速報ニュース 503文字 画像有 ]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きと見られる。
クラーナは3月に米証券取引委員会(SEC)にIPOに関する登録届を公式に提出したと発表した。売り出し株数や公開価格は未定としていた。
同社は2005年にスウェーデンのストックホルムで設立。BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)と呼ばれる後払い決済サービスを手がける。ドイツや米国、英国を中心に市場を拡大し、ユーザー数は約9300万人(24年末時点)にのぼる。日本のソフトバンクグループもビジョン・ファンドを通じて21年に出資した。
足元の相場急落を受けて、米IPO市場に逆風が吹いている。大型案件として注目を集めていたチケット売買サイト運営の米スタブハブも、貿易戦争の激化による株安でIPO計画を延期したと報じられている。4日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比で一時2100ドル超下げた。
台湾は米国に見捨てられるのか ブライアン・ヒュー氏-作家[2025/04/05 02:00 日経速報ニュース 1702文字 画像有 ]
トランプ政権の発足で米国と伝統的な同盟国との関係が疑問視されるようになった。その象徴が2月末、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との間で起きた激しい応酬だろう。トランプ氏はウクライナ戦争に関してロシアのプーチン大統領の肩を持っているようにもみえる。
台湾はウクライナと同様、領土的野心を持つ巨大な敵対国に隣接する。ロシアがウクライナへの主権を正当化するのと同様、中国も台湾への主権を訴えている。
台湾は米国と安全保障関係を維持しており、米国が主要な武器供給国だ。しかし3年前にウクライナ戦争が始まって以来、米国は直接的な関与を控えている。台湾も自らを単独で守らなければならなくなるとの懸念を抱える。その意味で「今日のウクライナは明日の台湾」というスローガンを集会でよく見かけるようになった。
かつてトランプ氏は台湾が米国の半導体産業を盗んでいると非難した。ゼレンスキー氏とトランプ氏の口論がテレビで放映された数日後、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は米国で1000億ドル(約15兆円)を追加投資する計画を発表した。この投資は台湾がトランプ氏を満足させようとしている表れと解釈された。
トランプ氏とゼレンスキー氏の論争は、民主主義や人権といった価値観が、米国の新政権にとって重要でないと物語っている。そしてゼレンスキー氏のようにトランプ氏に歯向かう指導者は罰を受けるだろう。トランプ氏は自分に敬意を払う指導者を好むようだ。
台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)総統もトランプ氏にこびへつらうかもしれない。しかしウクライナ人が自国の指導者を支持したように、民主主義の論理をあっさり捨て去る指導者を台湾の人々が受け入れるかはわからない。
台湾は過去10年間、進歩的な実績を上げてきた。2016年には初の女性総統を選出し、19年にはアジアで初めて同性婚を合法化した。若者による14年の「ひまわり学生運動」後、台湾の若い世代の政治家は大半が進歩派だ。
台湾が進歩的な価値観を受け入れるようになった動機のひとつは国際社会への参加を確実にすることだった。トランプ氏の機嫌をとるために進歩的なアイデンティティーを放棄するとは思えない。
台湾には、トランプ氏を声高に支持する少数派もいることには留意が必要である。トランプ氏が台湾を心から支持し、中国に敵対的だと確信している人々だ。また台湾には、ゼレンスキー氏との対立はトランプ氏の交渉戦術の一部と解釈しようとする向きもある。
トランプ政権1期目の帰結として、台湾では「米国懐疑論」が台頭した。米国は味方として信頼できないという主張も広がった。このような主張は陰謀論的な性質のものであることが多く、中国の情報工作に端を発している。
米国懐疑論は根深く、冷戦時代に見放されたというトラウマ(心理的外傷)は深く残っている。多くの台湾人は、1979年に中国との国交を樹立したことで米国は台湾を見捨てたと考えている。
そして台湾は今、ウクライナの状況をみて、味方であるはずの国に置き去りにされる不安に駆られている。台湾は新たな盟邦を探す時期なのかもしれない。それはおそらく、国際政治が予測不能な時代を同様に切り抜けていかねばならない国々になるだろう。
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発想の転換が必要に
トランプ政権はロシアに融和的な一方で中国を強く警戒していて、台湾をウクライナと同列に位置づけることはないだろう。ただ、ヒュー氏も指摘するように民主主義や人権といった価値観を重んじているわけではない。リベラルな民主主義体制より非リベラルな権威主義を好む傾向が目立つ。米国は中国と取引して台湾を「見捨てる」のでは、との心配も無理はない。
世界の安全保障情勢は変わった。マクロン仏大統領が自らの「核の傘」を欧州全域に広げる考えを打ち出したこと、その背景にドイツの次期首相と目されるメルツ氏の提案があったことが示すように、かつてない発想と戦略が求められている。新たな同盟相手を探る時期だ、とのヒュー氏の示唆も、飛躍が過ぎるとはいえない。
(編集委員 飯野克彦)
クラーナ、米IPO延期検討[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きとみられる。
駅と旅 砂村かいりほか著(新書文庫)[2025/04/05 日本経済新聞 朝刊 27ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
■『駅と旅』砂村かいりほか著 浜松、西宮、唐津など6つの都市を舞台にした「旅小説」を編んだアンソロジー。置き手紙だけを残して実家に帰省してしまった夫と子を追って、義姉と共に札幌へ向かう妻の旅路をたどる君嶋彼方の「雪花の下」など、6人の作家の作品を収録した。閉塞感の漂う日常に、旅での出会いや発見が風穴を開けていく。爽やかで小気味よい解放感に満ちた一冊。(創元文芸文庫・858円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
伊豆箱根バス タッチ決済導入 クレカで、15日から[2025/04/05 日本経済新聞 地方経済面 静岡 6ページ 307文字 PDF有 書誌情報]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
パリッと本格派、ご当地ソーセージ――味付けとして、パスタなどにも(何でもランキング)[2025/04/05 日経プラスワン 2ページ 2923文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム・ソーセージ工業協同組合によれば、ソーセージは紀元前15世紀に古代バビロニアで作られ、語源は「塩漬け」を意味するラテン語のsalsusとも、英語のSow(雌豚)とSage(ハーブの一種)ともいわれる。日本には明治期に伝わった。
現代ソーセージ研究家の村上武士さんによると、地元食材や手作りなどを売りにした「ご当地ソーセージ」は道の駅やふるさと納税の返礼品などで広まった。人気は粗挽きのウインナーソーセージだが、「愛好家にはジューシーな生ソーセージやドイツ伝統のふんわりしたバイスブルストが好評」という。
おいしく食べるにはまず添付の説明書に従って調理することだと村上さんは話す。ボイルは一般的にお湯が沸騰したら加熱を止め、蓋をして余熱で8~10分温める。沸騰したまま煮込むと皮が破れてうまみが逃げる。おいしい商品に出合ったら「味付きの自由に使える便利なお肉」と考えて、「適度にカットしパスタやシチューのコクだしなどに使うのがお勧め」(村上さん)。
【表】パリッと本格派、ご当地ソーセージ
4 焼きソーセージ
(へんじんもっこ) かんきつのさっぱりした後味
<330>新潟県産の豚肉だけを使った粗挽きのジューシーな商品。ドイツ・チューリンゲン地方のソーセージを参考にしたという。隠し味に甘い香りのハーブのマジョラムとかんきつ系の香辛料を加え、さっぱりした後味に仕上げた。
新潟県佐渡島でドイツの製法で作り続けて約40年の生産者の看板商品だ。生地にはサラミ用に肉を成形した際に出る切れ端も利用している。「かむほどにうまみが増す。コスパもよく、幅広い年齢に好まれる味」(島本さん)。表面に焼き色が付く程度に焼いて食べるのがお勧めという。
(1)780円(5本合計160グラム)(2)新潟県佐渡市
4 あらびき (仙台勝山館手作りソーセージ)
食感と香辛料のバランス
<330>ドイツ農業協会のコンテスト(ハム・ソーセージ部門)で金賞を2回受賞し、グルメマンガ「美味しんぼ」にも登場した。「パリッとした食感、味、香辛料の使い方などバランスのとれた本物の味」(照井勇次さん)
1982年から完全無添加を続けてきた生産者の看板商品で、豚肉、羊腸、香辛料、調味料のみを使用。豚肉は岩手県奥州市の胆沢養豚が育てた臭みがなく脂の質が良いという「SPF地養豚」だ。黒コショウと根野菜の風味が様々な料理に合うという。
同じブランドで純米吟醸の酒かすを使った商品もある。
(1)648円(3本合計115グラム)(2)仙台市
6 ウインナー レギュラー
(朝霧ハム) 豚トロ使用もしつこすぎず
<320>長野県で特別に飼育された「朝霧ヨーグル豚(とん)」を主原料にしたウインナー。一般的な品種の豚に小麦類などをヨーグルト状に加工した独自の飼料を与えることで、軟らかく脂の甘さが味わえるようにしたという。「クラシックだけれどバランスがよく、繊細で自然な味。ミンチの食感も良い」(ポコさん)
独自の調味料で数日間味をなじませた豚肉をひき肉にし、一部に豚トロを使うことで、肉汁があふれる作りでありながら、しつこすぎない仕上がりにした。「肉のうまみを引き出していて後味も良い」(佐藤健一さん)
(1)740円(5~7本合計200グラム)(2)静岡県富士宮市
7 生ウインナー (プレーン)
(糸島手造りハム) 九州素材のジューシーな食感
<300>加熱処理をしない生ウインナー。本場ドイツでは「ブラードブルスト」と呼ばれるタイプ。焼くと脂が溶け出しジューシーな食感を楽しめる。
「豚肉のおいしさがダイレクトに伝わる」(猪口由美さん)「あっさりとしながら肉のうまみを感じる」(佐藤さん)など、肉本来の味が好評だった。
1979年の創業以来ドイツの製法を続ける生産者の人気商品で、本社工場と同じ敷地にある洋風レストランと炭火焼き店でも食べられる。地元糸島や熊本県産の豚肉など九州産の素材を使い、チーズやレモンなどを入れた種類もある。
(1)615円(6本合計150グラム)(2)福岡県糸島市
8 ポークソーセージ
(けむり屋) スモークの上品な香り
<260>北海道のエゾヤマザクラのチップでゆっくりいぶした燻香(くんこう)が好評だった。経営者自ら設計した燻製器は、しっかりと香りが付く直火(じかび)式。「スモークの上品な香りと食感で、うまみもしっかりしている」(照井さん)
1997年創業の生産者が家族3人で手作りし、直売所と通信販売を中心に販売している。北海道産の新鮮な豚肉と塩、香辛料だけを使い、保存料や着色料などは使わない。
家族が毎日食べても飽きない商品がコンセプトだ。「軟らかく肉汁が多めで、子供も食べやすい」(猪口さん)という声もあった。
(1)670円(5本合計120グラム)(2)北海道上富良野町
9 TESIOフランク
(TESIO) はじける歯応え、沖縄の豚肉
<250>パキッとはじけるような歯応えと沖縄県産豚肉を中心に肉の味わいを楽しめるシンプルでジューシーなスモークソーセージ。2019年には国際見本市IFFAのコンテストで金賞を獲得した。「食感がよく甘めの優しい味」(森本さん)が支持された。
作り手は沖縄ならではの素材を使ったハム・ソーセージの専門店。伝統的なドイツ製法で作る。22年にはIFFAに出品した全ての商品が金賞を受賞した実力派だ。「しっかりと肉の味が感じられる。ピルスナータイプのビールに合う」(野田さん)
(1)850円(3本合計180グラム)(2)沖縄市
10 粗挽きソーセージ
(大江ノ郷自然牧場) 無添加のシンプルな味
<240>鳥取県東南部の山あいにある大江ノ郷自然牧場が、県内産の豚を中心に使って製造する。「余計なものが入っていないシンプルな味で、大人から子供まで年齢を問わず楽しめる」(猪口さん)
一般的な商品に使われる防腐剤やうま味調味料、でんぷん、結着剤も使わず作った無添加も売りだ。「ドイツで食べたソーセージの味と同じ。小さいながらもしっかりしている」(照井さん)という評価もあった。
牧場内の複合施設では、家族連れでガラス越しに製造工程を見ることができる。
(1)918円(5本合計135グラム)(2)鳥取県八頭町
ランキングの見方 商品名(製造元または発売元)。数字は専門家の評価を点数化。(1)取り寄せできる最小単位の税込み本体価格(本数と内容量)(2)製造元・発売元の所在地。写真は鈴木健撮影。スタイリングは島本美由紀。
調査の方法 通信販売で購入できる地域密着型生産者の商品で、100グラムあたり800円以下を条件に、井上真一(食文化取締役)、初鹿美佐子(おとなの週末お取り寄せ倶楽部バイヤー)、村上武士(現代ソーセージ研究家)の3氏の協力で22商品を選定。専門家7人による試食会で味や価格、地域の個性を考慮して1~10位を選んでもらい、編集部で集計した。(堀聡が担当しました)
電子版有料会員の方はスマートフォンなどのカメラでこのQRコードを読み込むと、何でもランキングの過去記事(2019年7月20日付以降)をご覧になれます。
銀行でポイント獲得、デビット決済で高還元も(ポイント賢者)[2025/04/05 日経プラスワン 3ページ 733文字 PDF有 書誌情報]
銀行取引でポイントを獲得できるサービスが増えています。みずほ銀行は4月中旬から「みずほポイントモール」を始めます。現在の「みずほマイレージクラブ」をリニューアルし、ATMの時間外手数料が無料になるなどの特典にポイントサービスを追加します。
例えば、給与の受け取りで毎月20ポイント、クレジットカードの「みずほマイレージクラブカード」や「みずほ楽天カード」、デビットカードの「みずほJCBデビット」の利用などで1キャッシュレス商品あたり10ポイント獲得できます。たまったポイントは楽天ポイント、PayPayポイント、dポイントに1ポイント=1円相当で交換できます。
Vポイントがたまる銀行サービス「V NEOBANK」のポイントプログラムも3月に変更となりました。V NEOBANKはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ企業が住信SBIネット銀行の銀行代理業者として提供するサービスです。口座振替など様々な銀行取引でVポイントを獲得できます。
マスターカードのスマホデビットを月に1000円以上利用で1・5%のVポイント還元も始まりました。従来のスマホデビット利用でポイント付与はありませんでした。スマホデビットは実店舗でスマホタッチ決済を利用するか、オンライン決済で使います。クレカでも還元率が1・5%のカードは少なく、おトクです。
月末と翌月1~5日の毎日の円普通預金残高が10万円以上の場合、50ポイント獲得できる特典も追加され、銀行取引でVポイントがたまりやすくなりました。
銀行サービスのポイントは、一度利用を始めれば自動的にたまっていきます。新年度が始まったのを機に、利用する銀行口座を見直してもよいでしょう。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
三井住友銀行、関西初の新型店「オリーブラウンジ」公開[2025/04/04 20:15 日経速報ニュース 717文字 画像有 ]
三井住友銀行は4日、大阪市内で7日開業する新型店舗「オリーブラウンジ」を報道公開した。窓口やATMなど従来の店舗機能に加えてカフェやシェアラウンジを設けた。関西では初出店。日常的に使うカフェやラウンジを併設させることで、銀行サービスをより身近に感じられるようにする。
報道公開した「オリーブラウンジ船場」は三井住友銀の船場支店・御堂筋支店を改装して開業する。1階には個人向け窓口とスターバックス、2階には法人向け窓口と新型店舗で連携したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手掛けたシェアラウンジを設けた。
上村明生専務執行役員は「仕事や日常、遊びと、どんな時でも集まれる場所として活用してほしい。大阪のビジネス街に位置し、歴史ある船場にふさわしい交流の場にしたい」と語った。「カフェやラウンジ、ATMなどもあわせて、1日当たり2000~3000人が来場するだろう」と期待を込めた。
新型店舗を開く狙いの一つには、同行が手掛ける総合金融サービス「オリーブ」の導入促進がある。オリーブは銀行口座やクレジット、デビットや保険を一括で管理できるサービスで、会員数は2024年度末時点で500万人を超え、28年に1200万人の会員登録を見込む。
新型店舗では同サービスの使い方を指南する役割も兼ね備える。オリーブの会員専用の作業スペースや、オリーブを利用したスマートフォン決済によるポイント還元などの特典もつける。
今後はオリーブラウンジ船場を大阪府の旗艦店に位置づけ、関西の他地域でもオリーブラウンジを広く展開したい考え。7月には旧塚口支店(兵庫県尼崎市)、秋ごろには南森町支店(大阪市)の拠点にそれぞれ新型店舗を新設する計画だ。
auペイメント、「au PAY」でデジタル給与払い提供[2025/04/04 19:04 日経速報ニュース 342文字 画像有 ]
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)は4日、スマートフォン決済「au PAY」を通じて給与をデジタル払いすることができるサービスの提供を始めたと発表した。同日に厚生労働省が指定事業者として認定した。デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目となる。
すでにKDDIのグループ会社の一部が導入した。給与のデジタル払いを導入したい事業者は、従業員が専用の給与受取口座を開設する方式か、口座を開設せずにau PAYの会員情報を通じて直接受け取る方式を選ぶことができる。
給与としてau PAYにチャージできる金額の上限は10万円とした。給与口座からauじぶん銀行の口座に出金する場合の手数料は無料とした。他の金融機関では月に1回まで無料とし、2回目以降は220円とした。
伊豆箱根バス、クレカのタッチ決済導入 15日から[2025/04/04 18:55 日経速報ニュース 307文字 画像有 ]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
イオン4割減益に下振れ 前期、小売り苦戦や構造改革で[2025/04/04 18:44 日経速報ニュース 1328文字 画像有 ]
イオンは4日、2025年2月期の連結純利益が前の期比36%減の285億円だったと発表した。3%増の460億円とする従来予想から一転減益となる。主力の小売事業で経費がかさみ苦戦。クレジットカードの不正利用被害や中国のショッピングモールの店舗閉鎖に関するコスト、国内ドラッグストアの減損損失なども響いた。
純利益の悪化は最終赤字になった21年2月期以来4年ぶり。売上高にあたる営業収益は6%増の10兆1340億円、営業利益は6%減の2370億円だった。プライベートブランド(PB)の販売を伸ばすことなどで営業収益は同社として初めて10兆円を超えたものの、営業利益で8%増の2700億円としていた会社計画には届かなかった。純利益は事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、346億円)も下回った。
主力の小売事業では経費増を吸収しきれなかった。イオンは24年春にパート従業員の時給を平均7%引き上げ人件費が増えた。グループの共通アプリで独自ポイント「WAON(ワオン)」やクーポン配布などで誘客に力を入れ販促経費もかさんだ。
消費者の節約志向の高まりを受け、イオンは前期下期からPBの「トップバリュ」の低価格帯シリーズで約500品目の新商品を出し、一部を実質値下げした。PBの販売量を伸ばし粗利総額を保って経費増を補う戦略だったが、増収効果で補えなかった。
一方、総合金融とショッピングセンター(SC)開発、アミューズメント施設などのサービス・専門店事業の3事業は増益だった。クリスマスや年末商戦でのイベント施策が奏功し、SCの客足回復とテナントの専門店の売り上げが伸びた。クレジットカードの利用が増えて金融事業も増益を確保した。
クレジットカード「イオンカード」の不正利用被害に関連する費用を計上し、利益を押し下げた。イオンカードでは24年夏ごろから、NTTドコモの非接触決済システム「iD(アイディ)」を使った本人認証を必要としない少額決済(オフライン取引)で不正利用が相次いで報告されており、被害は数万人にのぼる。被害者の損失補などの費用がかさんだ。
構造改革に伴う損失も響く。中国では不動産不況のあおりを受け、中国本土の沿岸部を中心に消費が低迷。同社は北京などの収益性の低い店舗を閉鎖し、武漢など比較的消費が活発な地域へ出店計画を見直しており、閉店関連の損失を計上した。
国内では、傘下のイオンモールが手掛ける都市型ショッピングセンター事業が24年2月期まで6年連続の最終赤字を計上しており、立て直しを急ぐ。25年2月期は聖蹟桜ケ丘オーパ(東京都多摩市)や心斎橋オーパ(大阪市)の閉店に伴う損失がでた。ドラッグストアを手掛けるヘルス&ウエルネス事業では一部の収益性の低い店舗で減損損失が発生した。
節約志向は今後も続きそうだ。帝国データバンクの調査によると、4月の食品の値上げ品目は4225品目と月別で1年半ぶりの多さだ。25年2月期決算と26年2月期の見通しの発表は11日を予定する。岡三証券の金森淳一シニアアナリストは「急に消費がよくなると思えない。低価格帯だけでなく高付加価値PBも拡充し全体で粗利を改善させていけるかが焦点だ」と指摘する。
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三菱UFJニコス、全保連株式に対する公開買付けの結果などに関して発表[2025/04/04 17:08 日経速報ニュース 898文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード:5845)に対する公開買付けの結果及び連結子会社(孫会社)の異動に関するお知らせ
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤宏規、以下「当社」といいます。)の完全子会社である三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田典彦、以下「公開買付者」といいます。)は、2025年2月14日開催の取締役会において、全保連株式会社(以下「対象者」といいます。)の普通株式を公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議し、同年2月17日より本公開買付けを実施しておりましたが、本公開買付けが2025年4月3日をもって終了いたしましたので、以下の添付資料のとおりお知らせいたします。
また、本公開買付けの結果、2025年4月10日(本公開買付けの決済の開始日)付で対象者は当社の連結子会社(孫会社)となる予定ですので、併せてお知らせいたします。
記
I 当社完全子会社(三菱UFJニコス株式会社)による公開買付けの結果
本公開買付けの結果につきましては、添付資料「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」をご覧ください。
II 連結子会社(孫会社)の異動
1.異動の理由
本公開買付けの結果、対象者は本公開買付けの決済の開始日である2025年4月10日をもって当社の連結子会社(孫会社)となる予定です。本公開買付けの目的等につきましては、2025年2月14日に公表しております「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの開始及び同社との資本業務提携契約の締結に関するお知らせ」をご覧ください。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689373/01_202504041712.pdf
マリオット・インターナショナル、JWマリオット・ホテル奈良がフォーブス・トラベルガイドのサステナビリティ認証を取得[2025/04/04 16:02 日経速報ニュース 801文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
【JWマリオット・ホテル奈良】フォーブス・トラベルガイドの「Responsible Hospitality」認証を取得
奈良県で唯一、日本国内では2軒目の快挙
JWマリオット・ホテル奈良(所在地 : 奈良県奈良市三条大路 1丁目1-1、総支配人 : クラウス・クリスタンドル)はこのたび、世界的権威のある「フォーブス・トラベルガイド」が設けるサステナビリティ認証『Responsible Hospitality』を取得いたしました。本認証は、環境保護や従業員・ゲスト・地域社会の福祉を考慮しながらも、優れたゲスト体験を提供するホテルに与えられるフォーブス・トラベルガイドの公式の認証であり、当ホテルは奈良県内で唯一、日本国内では2軒目の取得となります。
※参考画像は添付の関連資料を参照
JWマリオット・ホテル奈良では、「サステナビリティ」をテーマに、以下のような環境負荷の低減に向けたさまざまな取り組みを展開しております。
・EV車充電器の設置
・ペーパーレス化の推進(チェックイン・チェックアウト時、QRコードを活用した施設案内など)
・奈良県産の食材や平飼い卵を使用した地産地消の促進
・フードロス削減への取り組み
・児童養護施設「愛染寮」へのチャリティプログラムの実施
JWマリオット・ホテル奈良は、これからも地域社会との共生を大切にしながら、より良い未来に向けた努力を続けてまいります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/01_202504041600.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/02_202504041600.pdf
auペイメント、「au PAY 給与受取」を提供開始[2025/04/04 16:00 日経速報ニュース 1101文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
au PAY、給与デジタル払いを開始
~「au PAY 給与受取」をKDDIグループの一部で先行導入~
auペイメントは2025年4月4日、資金移動業者の口座への賃金支払(以下 給与デジタル払い)に対応する資金移動業者として厚生労働大臣の指定を受けました。これにより、スマホ決済「au PAY」で給与受け取りが可能な給与デジタル払いのサービスとして「au PAY 給与受取」を提供開始します。
事業者が「au PAY 給与受取」を導入することで、当該事業者の下で勤務するau PAYご利用者(注1)は、従来の現金や金融機関口座での給与受け取りに加え、au PAY給与残高(注2)での給与受け取りが可能になります。
KDDIおよびauフィナンシャルグループをはじめとするKDDIグループ各社(以下 KDDIグループ各社)は、「au PAY 給与受取」の提供開始に伴い、2025年5月以降分の給与支払いから順次、希望する従業員を対象に、au PAY給与残高への給与デジタル払いを導入します。
<導入を決定または検討しているKDDIグループ各社(注3)>
・KDDI株式会社
・auフィナンシャルホールディングス株式会社
・auペイメント株式会社
・auじぶん銀行株式会社
・auフィナンシャルサービス株式会社
・auアセットマネジメント株式会社
・au損害保険株式会社
・auフィナンシャルパートナー株式会社
なお、auペイメントはすべてのau PAYご利用者へのサービス提供開始を見据えた準備を進めており、受付開始の際は改めてお知らせします。
auペイメントは「au PAY 給与受取」の提供を通じて、給与受け取り方法の選択肢を拡げ、従業員エンゲージメント強化に取り組むためのサポートをしていきます。
「au PAY 給与受取」の詳細は別紙および以下のウェブサイトをご参照ください。
・「au PAY 給与受取」事業者向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/index.html )
・「au PAY 給与受取」従業員向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/service.html )
以上
※別紙は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
別紙
https://release.nikkei.co.jp/attach/689366/01_202504041559.pdf
外為12時 円相場、上昇し146円台前半 景気不安・株安進行で[2025/04/04 12:34 日経速報ニュース 817文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇している。12時時点は1ドル=146円11~13銭と前日17時時点と比べて1円13銭の円高・ドル安だった。トランプ米大統領による相互関税の発表を受け、世界的に景気不安が高まっている。日経平均株価が連日で大幅安となるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。
日経平均株価の午前の下げ幅は900円を超えた。3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドルと新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさとなった。日米の株安進行を受けて投資家心理が悪化し、相対的にリスクが低いとされる円に買いが向かった。
円は朝方に145円55銭近辺まで上昇する場面があったが、その後は上げ幅を縮めた。国内債券市場は長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。金融・資本市場の混乱を受け、日銀が追加利上げに動きにくくなるとの見方が円相場の上値を抑えた。直近の円上昇に伴い、10時前の中値決済に向けては国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測もあった。
植田和男総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済を下押しする方向に働く」などと述べたが、円相場への影響は限られた。
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日公表した3月の非製造業(サービス業)景況感指数は市場予想を下回った。関税強化に伴うインフレ圧力の高まりと景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」への懸念もくすぶり、主要通貨に対してのドル売りも広がっている。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=161円60~63銭と、同6銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1060~61ドルと同0.0090ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、堅調 146円台前半、日銀総裁発言への反応は限定的[2025/04/04 10:34 日経速報ニュース 682文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は堅調だ。10時時点は1ドル=146円02~03銭と前日17時時点と比べて1円22銭の円高・ドル安だった。米関税による世界的な景気不安の高まりに加え、日米の株安進行への警戒感が高まり、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。日銀の植田和男総裁の国会での発言への反応は今のところ限られている。
実需勢の円売り・ドル買い観測や国内金利低下は上値を抑えている。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。直近の円相場の急上昇もあり、10時前の中値決済に向けては「国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。
植田総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済に下押し」になるとの認識などを示した。
国内債券市場では長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。日経平均株価の下げ幅が一時900円を超えるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、相対的に安全資産とされる国内債は買いが優勢だった。トランプ米政権の相互関税が国内企業の輸出の落ち込みなどを通じて景気減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測を後退させており、円相場の重荷となっている。
円は対ユーロでもやや上げ幅を縮小している。10時時点では1ユーロ=161円50~55銭と、同4銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルでやや上げ幅を広げている。10時時点では1ユーロ=1.1061ドル近辺と同0.0091ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
今日の東京円相場 上昇、145円台 日米株安でリスク回避強まる[2025/04/04 08:00 日経速報ニュース 972文字 ]
4日の東京外国為替市場で円相場は上昇しそうだ。1ドル=145円台を中心とした動きが見込まれる。3日のニューヨーク市場で主要通貨に対してドル売りが進み、対円で一時145円台前半と半年ぶりの円高・ドル安水準をつけた。トランプ米大統領が発表した「相互関税」は市場の想定より厳しい内容となり、世界的に景気の先行き不安が強まった。前日の東京の取引時間帯で米相互関税の織り込みは進んだが、その後の日米の株安加速もあって「低リスク通貨」とされる円に買いが集まりそうだ。
3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドル安と新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさだった。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物の中心限月である6月物は前日比1230円安の3万3620円で終えた。前日に続いて日本株が大幅安となれば投資家のリスク回避姿勢は高まり、相対的にリスクが低い円には買い圧力の強い状況が続きそうだ。
4日早朝の円相場は145円台後半と前日17時時点と比べて2円近くの円高・ドル安となっている。市場関係者が有力とみていた日米金利差の縮小シナリオが後退する可能性は円相場の重荷となる。トランプ米政権の関税発動は米国のインフレ懸念を増幅させ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを難しくする要因になる。日本では米関税による輸出の落ち込みが経済減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測の後退につながっている。
円相場の急上昇に伴い、国内実需筋に動きがあれば上値を抑える要因となる。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まる可能性もある。
4日は3月の米雇用統計の発表を控える。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想は非農業部門の雇用者数が前月比14万人増、失業率が4.1%と前月から横ばいの予想だ。イーロン・マスク氏が率いる米政府効率化省(DOGE)が主導する人員削減が影響するとの見方がある。米景気の動向を見極めるため、市場では次第に様子見姿勢が強まりそうだ。
国内は総務省が2月の家計調査を発表するほか、3カ月物国庫短期証券の入札を予定している。海外はパウエルFRB議長などが講演を予定している。
〔日経QUICKニュース(NQN) 加治屋雄基〕
サムスンのAIスマホ、日本で販促に力 日本法人CMO ライブと連携、補正機能PR[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 4ページ 1376文字 PDF有 書誌情報]
サムスン電子ジャパンが日本で携帯通信会社との連携を深めている。10年ぶりにソフトバンクがサムスンのスマートフォン「ギャラクシー」の取り扱いを再開し、KDDIやNTTドコモとも共同販促を打ち出す。iPhone1強体制の日本でいかにシェアを高めていくか。日本法人で最高マーケティング責任者(CMO)を務める小林謙一氏に聞いた。
――2025年のマーケティング戦略は。
「大きく2つのテーマがある。信頼と納得だ。消費者の信頼を獲得するためには、携帯通信会社など第三者からの客観的な評価が大切。通信事業者と『Co―Marketing(共同マーケティング)』に注力する」
「NTTドコモは若年層開拓にギャラクシーを積極活用し、KDDIは『推し活』と組み合わせた販促を展開してくれている。ソフトバンクはギャラクシーの取り扱い再開をニュースとして起爆剤にしたいと言ってくれている」
――ソフトバンクが取り扱いを再開しました。
「人工知能(AI)に注力するソフトバンクグループにとって『頼れるAIパートナー』としてサムスンの技術力に注目してくれた。グループとしてAIに経営資源を集中しており、サムスンブランドのテーマ設定とうまく適合した」
――もう1つの納得とは。
「ギャラクシーの最大の訴求ポイントであるAIエージェントは体験してもらわないと納得感は得られない。スマホはコモディティー(汎用品)化が進む。どれだけ日々の生活を変えてくれるか、を実感してもらうことが重要なマーケティングだ。体験の場をつくることにこだわった」
「東京の原宿と大阪の難波での自社販促拠点だけでなく、ポップアップ型の販促活動も積極的に展開した。S25シリーズの最大の武器はカメラ性能。暗い場所での動画撮影におけるAI補正のレベルを高めた。不要な音声を消す機能も評価されている。これらは実際に体感してもらって価値を認識してもらえる」
――新しいマーケティングの取り組みは。
「若年層の開拓のために音楽ライブとの連携を重視した。ライブ中の撮影可能な時間帯にギャラクシーの100倍ズームで撮影し、前の観客やノイズを消すこともできる。『推し』のライブシーンを残せると評判を呼んだ」
「KDDIとは『新しい学校のリーダーズ』のライブを企画した。映画の試写会では、舞台上から俳優陣と観客を撮影し、その場で独自アプリを通して観客全員に高精細画像を共有した。ソフトバンクホークスの試合では観客にギャラクシーを使ってもらう販促活動も展開する」
――日本でのiPhone牙城は突き崩せるか。
「手応えはある。『ギャラクシーらしさ』とはスマホ+α。米国や韓国に比べて遅れていたウエアラブル機器も早期に投入していく。健康管理の『フィット』、指輪型端末『リング』などセンシング技術を組み合わせたトータルサービスを提供していく」
「折り畳み端末、バッテリー性能、強力なMPU(超小型演算処理装置)といったハードの強みに加えて、決済サービスなど使いやすいアプリ設計も重要となる。かゆいところに手が届く性能を訴えて日本でもギャラクシーの価値を訴えていきたい」
(聞き手は細川幸太郎)
【図・写真】サムスン電子ジャパンの小林謙一CMO
【図・写真】KDDIとは「新しい学校のリーダーズ」のライブを企画した=サムスン電子ジャパン提供
PayPay(会社人事)[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 7ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
PayPay
(4月1日)営業統括本部ポイントソリューション営業本部長(パートナー営業本部ポイント営業1)渡辺哲平
高知信金 決済アプリ、チャージ金融機関を拡充 メガバンクなど300以上対応 「アニクリ祭」へ利便性向上[2025/04/04 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 590文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫は高知県内で使える決済アプリ「ジモッペイ」にチャージできる金融機関を拡充した。メガバンクや地銀など全国300以上の金融機関に対応する。同信金が中心となって開催するイベント「高知アニクリ祭2025」を控え、利用者の利便性を向上させた。
ジモッペイは2024年3月に始まった電子決済サービスで、同信金が独自に開発。スマートフォンのアプリで店頭のQRコードを読み込み支払う。県内約3000店舗で利用でき、アプリのユーザーは約4万4000人となっている。
これまでは同信金の口座やATM、セブン銀行のATMなどでチャージしていた。新たに取引のある金融機関の預金口座を登録することで、アプリに直接チャージできるようにした。アプリ上でマイナンバーカードなどによる本人確認を行い、早ければ当日から利用できるという。
一方、アニクリ祭は高知県が共催し、5~6日に開催する。高知市内の県民体育館や中心商店街、公園など5カ所が会場で、アニメ制作体験や人気声優のステージ、コスプレーヤーらによるパレード、グッズ販売などがある。大手出版社などが後援しており、大勢の来場者が予想される。
混雑を避けるため会場内での飲食やグッズ購入はキャッシュレス決済を推奨しており、ジモッペイはオフィシャル通貨となっている。利用者がアプリを提示すると、300ポイントをプレゼントするなどの特典を用意している。
25年04月08日
佐渡汽船、夏の変動運賃制を計画 体制刷新後初の減益で[2025/04/08 05:00 日経速報ニュース 2004文字 画像有 ]
みちのりホールディングス(HD)傘下で経営再建を進める佐渡汽船(新潟県佐渡市)は、人件費増加などの影響を受けて2024年12月期の連結純損益が経営体制刷新後、初の減益に転じた。今後30年にかけて船の更新時期を相次いで迎えるためキャッシュ確保は急務だ。繁忙期となる夏場の料金を高く設定するダイナミックプライシング(変動運賃制)の導入を計画するなど、収益力強化を急ぐ。
佐渡汽船は新型コロナウイルス禍の影響で20年12月期に債務超過に陥り、22年からみちのりHD傘下で経営再建を進めてきた。24年12月期の売上高は前年同期比5%増の127億円だった一方、純利益は29%減の9億円だった。減益の最大の要因は賃上げに伴う人件費の高騰で24年12月期は50億円と前年同期より4億円余り増えた。燃料費も2億円余り増加した。
今後は大型の設備更新が相次ぐ。27年には老朽化が進む貨物船「日海丸」に代わる船を建造することにしていて、25年中に造船会社と契約を結ぶ。物流取引の拡大に向けて現状の2.5倍にあたる5トンのコンテナを積み下ろしできる設計にする予定で、投資額は20億円規模となる見通しだ。さらに30年前後にはカーフェリー「おけさ丸」「こがね丸」「ときわ丸」の3船が順次、更新時期を迎える。新船建造には1船あたり90億~100億円程度かかると見込む。
全船の更新費を捻出する難易度は相当に高い。同社は24年から既存借入金80億円余りの返済を始めていて、船の償却期間と同じ15年間をかけて返済する義務を負う。また黒字化の見通しが立たない直江津(上越市)―小木(佐渡市)航路の運航も、島民向けサービスとして容易には止められない事情もある。
尾渡英生社長は「運賃を極端に引き上げない限り高価なカーフェリーは自力更新ができない。国や新潟県による購入補助や船の貸し出しなど抜本的な支援が不可欠だ」と訴える。
行政からのサポートを勝ち取るためにも自社でできる経営改革を急ぐ。25年12月期は旅客輸送人員数を前期より1割増やして増収に転換する目標を打ち出す。24年7月に「佐渡島の金山」が世界遺産に登録された追い風をいかすため、「佐渡島、忘るべからず。」をテーマに2億円余りを佐渡のプロモーション活動に投資する。
尾渡社長自らの働きかけでJR東日本と日本航空(JAL)から協力を得られることになった。JR東日本には駅で動画広告を放映してもらうほか、上越新幹線と佐渡汽船のフェリーのチケットと島内のホテルの宿泊プランとを組み合わせた旅行商品を開発してもらう。JALには新潟空港の利用者を増やすために外国人などに佐渡の情報を発信してもらう方向で調整を進める。
運賃自体も見直す。繁忙期の料金を高めに設定するダイナミックプライシングの導入を計画していて、まずは座席の予約料金などで採用する。「将来的には運輸局の許可が必要な基礎運賃自体も値上げはやらざるを得ない」(尾渡社長)
佐渡汽船の尾渡英生社長の一問一答は以下の通り。
――人材確保はどのように進めていますか。
「世界的に不足している船員については4月に12人を新卒採用できた。来年も同様に採用できればなんとかなると見込んでいる。宿泊・物流では24年から技能実習生の採用も始めていて、島内のSADO二ツ亀ビューホテルはインドネシアから3人、佐渡汽船運輸の自動車整備工場のメカニックはカンボジアから2人に来てもらった」
――技能実習生の採用で気をつけている点は。
「まず職場や地域、佐渡の自然条件になじんでくれるかは本当に心配で手厚くケアしてる。指導員がついて仕事を教えるのは当たり前のこととして、仕事以外のところのメンターもついて、何か悩みがないか聞いたり、地域の人たちと交流ができる場を設けて参加してもらったりしている」
「外国人だからコストは抑えられるわけではなく、逆に住み込みのための設備投資など色々な費用がかかる。ただ若い人たちに入ってもらうことで新陳代謝が進み、トータルでは年配の人を採用するよりも費用を下げることができる」
――利用者の利便性向上に向けた施策は。
「インターネット予約の際にチケット情報やQRコードを携帯に送り、そのままフェリーに乗れるシステムを25年に作る予定だ。レンタカーでは3月から同様のシステムの運用を始めていて、佐渡に着いたらすぐに車に乗っていけるようにしている。フェリーとレンタカーでデータベースは異なるが、なるべく同じ情報を二度打ちしなくていいように工夫している」
「夢としては佐渡の観光に特化した観光交通アプリを作りたい。地図上でレストランなどを地図上で確認できて、クリックすると営業時間やメニューを地図上で見られるようなイメージだ。グーグルマップも使いやすいが、旅行と交通に特化したツールではないので、よりいいものを作ることができる」
(聞き手は高垣祐郷)
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大阪万博は「顔パス」乗車で 究極の認証、世界に発信-いざ開幕、大阪万博(2)[2025/04/08 02:00 日経速報ニュース 1018文字 画像有 ]
「思った以上にスムーズに『顔パス』できた」。3月31日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の梅田駅改札口にある顔認証ゲートから台湾のテレビ局記者、施勗皓(34)が出てきた。
ゲート左右の2台のカメラが利用者の顔を認識し、右わきの小型モニターに「お通りください」のサインがともる。ICカードをかざす従来の改札とかわらない速さで通過できる。マスク着用でもほぼ問題ない。
大阪・関西万博の取材で訪れた施だが「この顔認証ゲートも台湾で話題になっていた。近未来の交通体験だ」と満足げだ。
両手に荷物でも素通り 利便性追求で発案
大阪メトロは3月25日、130駅でこのゲートの運用を始めた。スマホのアプリで顔画像を登録して利用する。「万博に間に合った」。技術担当の辻正義(44)は胸をなで下ろす。
万博に向け、顔認証ゲートの導入を決めたのは2019年のことだ。当時オフィスなどで顔認証ドアが広まっていたが、動作を止めてカメラに向き合う必要があった。動く人物の画像から顔部分を瞬時に抽出することは難しく、改札での利用など考えられなかった。両手に荷物を抱えたままでも通れる利便性を追求してアイデアが生まれた。
人工知能(AI)を取り入れた実証機の開発から始まり、カメラや照明の位置も調整を繰り返して、ほぼ確実に顔画像を捉えることができるようになった。辻によると「他の鉄道会社から問い合わせも来ている」。スーパーなど小売りの決済にも応用でき、将来のビジネス機会は大きい。
未来のエネルギー、「お披露目」の場に
万博を成長のきっかけにしようとする企業は多い。産業ガス大手の岩谷産業は燃料電池船「まほろば」を完成させた。水素を動力源とし、航行中に二酸化炭素を出さない。会期中には大阪中心部と会場を水路で結ぶ。
同社は未来のエネルギーの有力候補である水素の量産に力を入れる。社長の間島寛(66)は「水素活用のモデルとしてまほろばを世界中に知ってもらえれば」と期待を寄せる。
関西国際空港はターミナル施設で過去最大の改修を終えたばかり。国際線エリアを大幅に広げ、海外からの旅客の受け入れ能力を年4000万人と新型コロナウイルス流行前の18年実績から2倍近く引き上げた。
空港運営会社社長の山谷佳之(68)は「空の玄関口である関空が万博の『ファーストパビリオン』の役割を果たす」と意気込む。万博開幕に向けて各社が万全を期し、世界の反応を静かに待っている。(敬称略)
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・大阪メトロ、顔認証改札をほぼ全駅で運用開始 25日から
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いざ開幕、大阪万博(2) 近未来の「顔パス」乗車(迫真)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1020文字 PDF有 書誌情報]
「思った以上にスムーズに『顔パス』できた」。3月31日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の梅田駅改札口にある顔認証ゲートから台湾のテレビ局記者、施勗皓(34)が出てきた。
ゲート左右の2台のカメラが利用者の顔を認識し、右わきの小型モニターに「お通りください」のサインがともる。ICカードをかざす従来の改札とかわらない速さで通過できる。マスク着用でもほぼ問題ない。
大阪・関西万博の取材で訪れた施だが「この顔認証ゲートも台湾で話題になっていた。近未来の交通体験だ」と満足げだ。
大阪メトロは3月25日、130駅でこのゲートの運用を始めた。スマホのアプリで顔画像を登録して利用する。「万博に間に合った」。技術担当の辻正義(44)は胸をなで下ろす。
万博に向け、顔認証ゲートの導入を決めたのは2019年のことだ。当時オフィスなどで顔認証ドアが広まっていたが、動作を止めてカメラに向き合う必要があった。動く人物の画像から顔部分を瞬時に抽出することは難しく、改札での利用など考えられなかった。両手に荷物を抱えたままでも通れる利便性を追求してアイデアが生まれた。
人工知能(AI)を取り入れた実証機の開発から始まり、カメラや照明の位置も調整を繰り返して、ほぼ確実に顔画像を捉えることができるようになった。辻によると「他の鉄道会社から問い合わせも来ている」。スーパーなど小売り決済にも応用でき、ビジネス機会は大きい。
万博を成長のきっかけにしようとする企業は多い。産業ガス大手の岩谷産業は燃料電池船「まほろば」を完成させた。水素を動力源とし、航行中に二酸化炭素を出さない。会期中には大阪中心部と会場を水路で結ぶ。
同社は未来のエネルギーの有力候補である水素の量産に力を入れる。社長の間島寛(66)は「水素活用のモデルとしてまほろばを世界中に知ってもらえれば」と期待を寄せる。
関西国際空港はターミナル施設で過去最大の改修を終えたばかり。国際線エリアを大幅に広げ、海外からの旅客の受け入れ能力を年4000万人と新型コロナウイルス流行前の18年実績から2倍近く引き上げた。
空港運営会社社長の山谷佳之(68)は「空の玄関口である関空が万博の『ファーストパビリオン』の役割を果たす」と意気込む。万博開幕に向けて各社が万全を期し、世界の反応を静かに待っている。
(敬称略)
【図・写真】大阪メトロは130駅で顔認証技術を使った改札ゲートの運用を始めた(大阪市西区)
独自規定、新陳代謝阻む 戸別訪問・ビラ・ポスター… 有権者の政治参加に負担(男子普通選挙100年のいま)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1356文字 PDF有 書誌情報]
男子普通選挙の実現とともに現在まで続く戸別訪問の禁止といった選挙運動のルールもうまれた。ポスターや街頭演説を中心とする選挙文化は今や海外から日本独自のガラパゴス制度に映る。細かい規定が候補者の負担となったり、有権者の政治参加を阻んだりする弊害もある。
初の男子普通選挙が実施された1928年、内務省は戸別訪問や演説妨害など19項目を「犯罪になります」と赤字で列挙したポスターを配布した。投票率を高める啓発活動をしつつ有権者の政治活動を萎縮させかねない周知活動に「当局者たちも混乱していた部分があった」と慶大の玉井清名誉教授は指摘する。
納税要件の撤廃に加え、中選挙区制への移行もあり1選挙区の有権者数は従来の数千人から一転、十数万人に激増した。
本格的に活用が始まった選挙ポスターが民家の塀に隙間なく貼られたり、鉄橋や船、雪だるまにまで掲示されるなど街中にあふれかえる事態になった。これが戦後の公営掲示板の設置やビラなどの数量規制につながっていく。
規制の隙間をつく陣営と法改正のいたちごっこは現在も続く。
2024年7月の東京都知事選ではほぼ全裸の女性や有料サイトに誘導するQRコードを載せたポスターが物議を醸し、ポスターの「品位保持」規定を設ける改正公職選挙法につながった。他候補の当選を目的に立候補する「2馬力」行為の禁止やSNSの偽情報対策も議論が続く。
「有権者が知りたい情報を知れる環境をつくり、適正な新陳代謝と多様性を確保することが大事だ」。超党派の法改正協議に加わった自民党の鈴木英敬氏は理想の選挙ルールをこう説明する。
およそ100年前から続く規制は新陳代謝の足かせになっている。候補者は選挙管理委員会が発行する証紙を貼ったビラしか配れない。何万枚も証紙貼りを担う人員を確保しづらい新人に不利に働く。SNSでの発信に量的規制はなく、制度の整合性も疑問が残る。
規制の曖昧さもハードルになる。例えば戸別訪問は禁止されている一方、道路などで偶然会った有権者に投票を呼びかけるのは自由だ。国民民主党の長友慎治氏は「初めて選挙に出るときは何が禁止か分からない。シンプルにすべきだ」と主張する。
立憲民主党の石川香織氏は自身に関する事実と異なる情報がSNSで拡散されたとき戸別訪問などによって「実際に会う体験が対抗手段になる」と唱える。
13年にネット選挙が一部解禁されたものの、有権者にとって分かりづらい規制もある。候補者のウェブサイトを印刷して配ることはできないなど細かい線引きに注意が必要だ。
海外の多くの国で戸別訪問は政治活動の自由として保護される。カナダは選挙期間中に候補者が集合住宅に入るのを管理人が阻むことを禁じる。
ビラやポスターなどの数に細かい規定があるのも珍しい。英国は選挙運動全体の費用を制限し、その枠内でビラやポスターの数や配布方法は各陣営が自由に決められる。
選挙プランナーの三浦博史氏は現行の選挙運動ではビラ配りや証紙貼りなどに追われ、選挙ボランティアが自分の強みを生かした貢献をするのは難しいと指摘する。
ボランティアが戸別訪問などを通じて個性を発揮しながら支持を呼びかける米国の選挙活動を例に「楽しんでやるのがボランティア。選挙は感動だ」と説き、多様な政治参加を訴える。
ゆうちょ銀、システム障害 送金・決済一時使えず[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
ゆうちょ銀行は7日、インターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」などで一時、システム障害が起きたと発表した。午前8時57分ごろから送金や決済といったサービスを利用できなくなっていた。午前11時30分ごろに復旧し、サービスを再開した。原因を調べている。
バンカメ、IT投資6000億円 10年前の倍に モイニハンCEO、ステーブルコインにも意欲[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は3月7日、東京都内で日本経済新聞のインタビューを受けた。「責任ある成長」を掲げ、惜しみなくテクノロジーへの投資を続ける狙いを聞いた。
BofAは2008年のリーマン・ショック前後に、フリート・ボストンやメリルリンチなどの銀行を傘下に収めてきた。10年に就任したモイニハン氏が掲げたのが「責任ある成長」だった。その意味は「正しい進め方で言い訳なく成長を遂げる意思表示」という。
モイニハン氏はCEO就任後、3000億ドルの資産と50近くの事業売却で成長の基盤をつくった。24年の純利益は3年ぶりに最終増益だった。
注力してきたのが先端テックへの投資だ。年間投資額は40億ドル(約6000億円)と10年前の2倍に拡大した。個人向け部門はデジタル経由でのやりとりが9割以上になり、「先端技術の導入で顧客の預金残高は5年前と比べて30%増えた」という。
BofAは18年、業界に先駆けて独自開発した人工知能(AI)チャットで金融取引などを支援する「エリカ」を投入し、累計の利用回数は24年末時点で25億回に到達した。17年開始の送金サービスの「ゼル」も利用者は2370万人にのぼる。
モイニハン氏はテック投資について「株主のために収益を上げるのに加え、チームの仕事をやりやすくすることで社員の満足度も上がる」と述べた。自社で3万5000人のプログラマーを抱え、外部も合わせると5万人規模の開発体制を維持している。23年には米金融機関で最も多くの特許を取得した。
国際送金などを含む企業向けインターネットバンキング「キャッシュプロ」ではエリカの機能を組み込むことで利用者数が伸びた。24年の送金承認額が1兆ドルを超えるなど、先端技術の投資の効果が表れている。
トランプ米政権が法制化をめざすドル建てのステーブルコインへの参入にも意欲を示した。ステーブルコインは法定通貨や金など裏付けとなる資産を担保に発行する電子決済手段で「USDコイン」や「テザー」が流通している。モイニハン氏は「我々は複数のブロックチェーンの特許を持っており、法律上可能になった場合は何らかの形で採用するだろう」との見解を示した。
急増するプライベートクレジット(ファンドによる直接融資)については、「銀行のように資本基準やルール、検査があるのかというところに規制当局は注意しないといけない」と提起した。ファンドとの協業関係について「様々な会社と連携しており、特定のところと排他的にやるつもりはない」と述べた。
日本事業については「様々な日本企業のCEOと会って、競争力を高めてグローバルで事業を伸ばしたいという非常に強い熱意を感じる」と語った。自社株買いやM&A(合併・買収)といったニーズに世界で培った知見を活用できる点について「我々は企業が戦略を実行する上で様々な手伝いができる」と意欲を示した。
(上田志晃)
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援 購買データで動向把握[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1587文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループが取引先である小売りや外食企業の経営支援に人工知能(AI)の活用を進めている。保有する大量の顧客データや購買情報をAIで分析し客離れの兆候を予知、対応を促す取り組みだ。AIを基盤とした取引先との連携を通じて楽天経済圏の安定・拡大につなげる。
「自分たちの課題をデータが示してくれる。改善を続けることが業績につながっている」。富山県を中心に54店舗のスーパーマーケットを運営する大阪屋ショップ(富山市)の尾崎弘明社長は楽天Gとの連携についてこう語る。
169項目で分析
大阪屋ショップは2018年に楽天ポイントカードを導入し、現在は来店客の9割がレジで提示するほど浸透する。蓄積した購買データなどを顧客の来店動向の把握に生かそうと、新たに楽天Gが開発したAIツールを取り入れた。
従来のコンサルタントのみによるデータ分析との違いは将来を予測する点にある。膨大な情報から、買い物の回数や金額が多いといった「大切な顧客」の行動変化を読み取り、他のスーパーに流出する兆候を察知することができる。
具体的な方法のひとつとして、顧客の属性や販促日の来店動向、生鮮食品の購買頻度など169の項目に分け、顧客流出との相関を分析してみた。すると、大きな販促を打ち出している火曜日の来店頻度や日持ちのしない野菜の購買頻度が落ちこんだ顧客は他店に流出しやすい傾向にあることがわかった。
AIツールを導入した他の小売りチェーンでは、流出の可能性がある顧客に対して割引クーポンを発行し、購買金額を増やした。
小売業界では、物価高を受けて消費者が利用店舗を厳選する傾向を強めている。企業間の競争環境は厳しさを増している。富山県内最大手の大阪屋ショップの場合、好立地には既に自陣営の店舗があるため、業績拡大には既存店の売り上げアップが不可欠だ。
「全国チェーンと地域で戦うための基礎となるのが楽天のデータだ」(尾崎社長)。AIツール導入により、販促を実施している期間中の顧客への売上高は3~5%増を見込む。全体の売上高は2028年6月期に24年同期比36%増の1300億円をめざす。
見えない客類推
AIはポイントカードの利用が少ない場合にも役に立つ。吉野家ホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン、はなまる(高松市)では「見えない顧客」の可視化にAIを活用しようとしている。
高口裕之最高マーケティング責任者(CMO)によると、足元では楽天ポイントカードをはなまるのレジで提示する来店客は5割を下回る。データの収集は不十分で、楽天Gと共同でカードを提示していない顧客の情報を推論するAIツールの開発を進めている。
データを基に、売れ筋商品などの購買傾向が類似している店舗を分類する。その上で外部データも組み合わせてAIに顧客像を類推させる。25年秋にも対象となる店舗を選定して導入し、メニュー開発などに生かす計画だ。「顧客の『解像度』が高まり、売上高は2割増えると見込んでいる」(高口氏)
楽天Gは通常のコンサルティング費用に追加料金を上乗せする形でAIツールを提供する。コスト増が受け入れられる背景には、データの質の高さがある。
楽天ポイントは電子商取引(EC)の楽天市場や楽天系の金融サービスなどグループ内に加えて、全国600万カ所にある小売店や飲食店といった加盟店で利用されている。ポイント発行額は23年に6500億円相当と国内最大規模で、大量の購買データが日々蓄積されている。
AIはデータが多ければ多いほど広範で高度な分析ができる特性を持つ。楽天ペイメント(東京・港)でAIツールの導入に携わる林宏憲氏は「人だけでは作業量が多すぎて物理的に不可能な分析でも短時間でできるようになる」と話す。
【図・写真】大阪屋ショップの店舗では楽天ポイントカードを提示する人が9割と多い(富山市)
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援――ポイント発行、各社競う 顧客確保へ共通化・統合も進む[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 648文字 PDF有 書誌情報]
AIサービスの提供はポイントを利用できる加盟店を開拓する有力な手段で楽天経済圏の拡大につながる。加盟店が増えれば利用者数も多くなり、ポイントの消費先として楽天が提供するサービスに誘導しやすくなる。自社の経済圏の競争力に直結するだけにポイント各社は利便性を高め、提携や共通化などを進めている。
楽天Gは取引先に担当のコンサルタントを配置し、データを使って業績改善を支援できる点で他社に先行する。AI活用により提案の精度が向上すればさらなる加盟店の獲得につながる可能性がある。
決済の強化も進めている。24年には楽天ペイのアプリに「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」を統合すると発表した。クレジットカード「楽天カード」のアプリ機能も追加した。決済回数の多い楽天ペイを中核に据えることでスマホ決済の成長に弾みをつける。
スマホを通じたQRコード決済の首位はPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当(23年度は非開示)と規模は楽天ポイントに次ぐ。共通ポイント事業にも参入し、23年にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングスとの提携を発表した。
利用者数と比例するポイントの発行総額を増やすための合従連衡も進んでいる。カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントは加盟店の減少から巻き返そうと、24年に三井住友フィナンシャルグループのVポイントと統合した。dポイントを運営するNTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)とポイントや決済で提携している。
(桜木浩己)
万博、待ち時間が課題 リハで判明、来場者に協力要請[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 641文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博会場に来場者を入れて動線や運営上の課題を確認する3日間の「テストラン」を終え、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が7日、記者会見を開いた。入場ゲート通過に長いときで1時間以上を要したことを受け、13日の開幕へ向け、来場者に「スムーズな入場がより可能になるよう協力いただきたい」などと呼びかけた。
協会は入場日時の事前予約制を導入することなどで「並ばない万博」を目指してきたが、協賛企業関係者や無料招待の府民ら計約9万8000人を招いた4~6日のテストランでは、入場ゲート前などに長い行列ができた。
石毛氏は「来場される方が準備をされている状態と、到達してからかばんを開けるのでは(ゲート通過の)時間のかかり方が違う。チケットもQRコードを印刷したものを出して準備していると早く通過できる」と指摘。「明らかになった課題について改善を図って、万全の体制でお客様をお迎えしたい」と述べた。
来場者は4日が約4000人、5日が約4万6000人、6日が約4万7000人だった。5日午前に入場を予定していた人がゲート前で1時間以上並ぶケースがあったほか、6日にはゲートに人が殺到。会場につながる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の夢洲(ゆめしま)駅の階段の通行を一時停止し、駅構内に人が滞留する場面がみられた。
万博は1日最大22万人超の来場者を見込む。初日は既に予約だけで約14万人にのぼるという。
【図・写真】大阪万博の「テストラン」に訪れた人たち(5日、大阪市此花区の夢洲)
大阪万博来場者に「円滑な入場」協力要請 リハ混雑で協会[2025/04/07 19:16 日経速報ニュース 602文字 画像有 ]
大阪・関西万博会場に来場者を入れて動線や運営上の課題を確認する3日間の「テストラン」を終え、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が7日、記者会見を開いた。入場ゲート通過に長いときで1時間以上を要したことを受け、13日の開幕へ向け、来場者に「スムーズな入場がより可能になるよう協力いただきたい」などと呼びかけた。
【関連記事】大阪万博リハ、全日程終了 駅構内で来場者一時滞留も
協会は入場日時の事前予約制を導入することなどで「並ばない万博」を目指してきたが、協賛企業関係者や無料招待の府民ら計約9万8000人を招いた4~6日のテストランでは、入場ゲート前などに長い行列ができた。
石毛氏は「来場される方が準備をされている状態と、到達してからかばんを開けるのでは(ゲート通過の)時間のかかり方が違う。チケットもQRコードを印刷したものを出して準備していると早く通過できる」と指摘。「明らかになった課題について改善を図って、万全の体制でお客様をお迎えしたい」と述べた。
来場者は4日が約4000人、5日が約4万6000人、6日が約4万7000人だった。5日午前に入場を予定していた人がゲート前で1時間以上並ぶケースがあったほか、6日にはゲートに人が殺到。会場につながる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の夢洲(ゆめしま)駅の階段の通行を一時停止し、駅構内に人が滞留する場面がみられた。
万博は1日最大22万人超の来場者を見込む。初日は既に予約だけで約14万人にのぼるという。
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BofAモイニハン氏、6000億円テック投資「責任ある成長」[2025/04/07 19:05 日経速報ニュース 1319文字 画像有 ]
米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材で、自ら掲げる「責任ある成長」に向け、テクノロジーへの投資に力を入れる考えを示した。先端テックへの投資は年40億ドル(約6000億円)規模になり、新たな技術やアプリに投じる。
BofAは2008年のリーマン・ショック前後に、フリート・ボストンやメリルリンチなどの銀行を傘下に収めてきた。10年に就任したモイニハン氏が掲げたのが「責任ある成長」という方針だ。
モイニハン氏は「責任ある正しい進め方で、言い訳なく成長を遂げるという意思表示だった」と振り返る。CEO就任後、3000億ドルの資産と50近くの事業売却で成長の基盤をつくった。24年の純利益は3年ぶりの最終増益になった。
注力してきたのが先端テックへの投資だ。年間投資額は40億ドルと10年前の2倍に拡大した。モイニハン氏は「顧客は日々の生活でデジタルを活用しており、それを可能にしなければ離れてしまう」と話した。個人向け部門はデジタル経由でのやりとりが9割以上になり「先端技術の導入で顧客の預金残高は5年前と比べて30%増えた」という。
BofAは18年、業界に先駆けて独自開発した人工知能(AI)チャットで金融取引などを支援する「エリカ」を投入し、累計の利用回数は24年末時点で25億回に到達した。17年開始の送金サービスの「ゼル」も利用者は2370万人にのぼる。
モイニハン氏はテック投資について「株主のために収益を上げるのに加え、チームの仕事をやりやすくすることで社員の満足度も上がる」と述べた。自社で3万5000人のプログラマーを抱え、外部も合わせると5万人規模の開発体制を維持している。23年には米金融機関で最も多くの特許を取得した。
国際送金などを含む企業向けインターネットバンキング「キャッシュプロ」ではエリカの機能を組み込むことで利用者数が伸びた。24年の送金承認額が1兆ドルを超えるなど、先端技術の投資の効果があらわれている。
トランプ米政権が法制化をめざすドル建てのステーブルコインへの参入にも意欲を示した。ステーブルコインは法定通貨や金など裏付けとなる資産を担保に発行する電子決済手段で「USDコイン」や「テザー」が流通している。モイニハン氏は「我々は複数のブロックチェーンの特許を持っており、法律上可能になった場合は何らかの形で採用するだろう」との見解を示した。
急増するプライベートクレジット(ファンドによる直接融資)については、「銀行のように資本基準やルール、検査があるのかというところに規制当局は注意しないといけない」と提起した。ファンドとの協業関係について「様々な会社と連携しており、特定のところと排他的にやるつもりはない」と述べた。
日本事業については「様々な日本企業のCEOと会って、競争力を高めてグローバルで事業を伸ばしたいという非常に強い熱意を感じる」と語った。自社株買いやM&A(合併・買収)といったニーズに世界で培った知見を活用できる点について「我々は企業が戦略を実行する上で様々な手伝いができる」と意欲を示した。
(上田志晃)
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セブン、小売り広告用サイネージ7倍 コンビニ成長の柱に[2025/04/07 19:00 日経速報ニュース 1016文字 画像有 ]
セブン―イレブン・ジャパンはリテールメディア(小売り広告)事業の本格展開に向け、2025年にデジタルサイネージ(電子看板)の設置店を現在の7倍の約3500店に増やす。外部企業への購買データの販売も検討する。小売り広告の売上高を5年で200億円規模に拡大し、コンビニエンスストアを中心とした成長戦略の新たな柱に育てる。
小売り広告は食品メーカーなどから広告料を得て、店舗の電子看板などに商品やサービスの情報を表示する。消費者が訪れる店舗を広告媒体として使うことで広告効果を高め、店舗の商品の販売拡大につなげる。
セブンは新たに首都圏の約3000店に電子看板を導入する計画で、今夏から設置作業を始める。これまでは東京都内や四国地方の約500店への導入にとどまっていた。
広告の配信場所が増えれば広告の認知度が高まるため、新たな広告の出稿につながるという。約2600万人が利用するスマートフォンアプリ「セブン-イレブンアプリ」と電子看板を連動させた施策も検討する。例えば、消費者のニーズにあったクーポンをアプリに配信して来店を促し、その消費者らの興味を引く広告を大画面で流すといった連携が想定される。
POS(販売時点情報管理)やアプリなどを通じて収集した購買データの外部企業への販売も視野に入れる。メーカーなどの新商品開発やマーケティング戦略の策定に活用してもらう。消費者個人が特定されないようにデータを加工するなどプライバシーに配慮する。
親会社のセブン&アイ・ホールディングスを巡っては、カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)が買収提案をしている。セブンはコンビニを中心とした自社の単独路線を鮮明にしている。セブンの小売り広告は「現状では大きな売上高ではない」(同社幹部)が、今後のコンビニの成長戦略の一つに位置付ける。
小売り広告で先行するファミリーマートは、電子看板を約1万店に設置しており、自社の決済アプリを使って食品メーカーなどによる独自の広告や割引クーポンを表示するサービスも始めている。28年度に同事業の税引き後利益で約100億円を目指す。
電通グループ傘下のCARTA HOLDINGSの予測によると、小売り広告の国内市場規模は28年に1兆845億円と24年の2.3倍になる見通しだ。「小売事業よりも粗利率が高い」(小売り関係者)との声も聞かれ、取り組みの巧拙が店舗の販売や会社全体の収益に影響する。
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三菱総研、山梨県都留市・アイネスとオンデマンド交通「AI(あい)つる~と」の実証運行を実施[2025/04/07 17:44 日経速報ニュース 1126文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月07日
AI自動音声応答による電話予約で送迎車が停留所に
都留市でオンデマンド交通の実証運行、AIが導く高齢者のサービス利便性向上
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長 : 籔田健二、以下MRI)は、2月17日から2月28日の間、山梨県都留市(市長 : 堀内富久、以下 都留市)、株式会社アイネス(本社 : 東京都中央区、代表取締役社長 : 服部修治、以下アイネス)とともに、AI自動音声応答による乗車予約が可能なオンデマンド交通「AI(あい)つる~と」の実証運行を実施しました。この結果、95%以上の予約がAI自動音声応答で正常に完了し、7割以上の利用者が「大変満足」「満足」と回答しました。
1.背景
地域公共交通は住民生活や地域経済の基盤であり、地域活性化においても重要な役割を果たしています。しかし、日本の特に地方部では、人口減少や自家用車の普及などによる輸送需要の減少、担い手不足といった課題に直面しています。こうした中、持続性確保と利便性向上に活用すべき新技術・デジタル技術として、「AIオンデマンド交通」「AI自動音声応答」「キャッシュレス決済」などが注目されています。
MRIは都留市、アイネスと昨年8月に締結した「デジタル社会の実現に向けた包括連携協定(※1)(以下 包括連携協定)」による事業化案の第1弾として、アプリではなく電話による予約を可能とすることで高齢者層の利便性向上を図るAIオンデマンド交通「AI(あい)つる~と」の実証運行を実施しました。
*参考画像は添付の関連資料を参照
※1 : デジタル社会の実現に向けた包括連携協定 : 都留市および各社が、互いに有する資源を積極的に活用するとともに、知的・人的資源の交流を図り、幅広い分野で協力することでそれぞれの発展と充実に寄与することを目的として、昨年8月1日に締結。
・「デジタル社会の実現に向けた包括連携協定」を5者で締結( https://www.mri.co.jp/news/press/20240801.html )
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像(1)
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添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689432/03_202504071743.pdf
トキハインダストリー、サイバー攻撃の復旧見通し立たず[2025/04/07 14:19 日経速報ニュース 374文字 画像有 ]
百貨店「トキハ」(大分市)のサーバーがサイバー攻撃を受けた問題で、グループ会社のスーパー「トキハインダストリー」(同市)は7日、完全復旧の見通しは立っていないことを明らかにした。クレジットカード決済や会員ポイント付与などが利用できないままだという。
トキハインダストリーによると、3月30日午後、商品の発注システムが動かなくなった。その後の調査でトキハグループのサーバーがランサムウエア(身代金要求型ウイルス)による被害を受けていることが判明した。
POS(販売時点情報管理)システムが使えず、商品の発注や受注、売り上げの集計などができなくなり、31日は全23店舗が臨時休業した。人手で作業して4月1日から営業を再開したが、クレジットカード決済などが使えない状態が続く。一部の店舗ではポイントが付かないことに顧客からのクレームが入っているという。
料理宅配、値下げ三つどもえ ウォルトは店頭と同額[2025/04/07 12:57 日経速報ニュース 1945文字 画像有 ]
料理宅配の「Wolt(ウォルト)」は7日、札幌市内の宅配商品について店頭価格と同額での提供を始めた。物価高による節約志向で宅配離れが進み、国内最大手のウーバーイーツや2位の出前館もサービスの実質値下げに踏み切るなど競争が激化している。市場縮小で撤退する企業も相次ぐ中、割高なイメージを刷新して顧客を囲い込む。
ウォルトのアプリ、「北海道らーめん 奥原流 久楽 本店」(札幌市)のページ。人気商品の欄の「白味噌らーめん」はこれまで1380円で提供していたが、店頭と同額の980円に値下げした。ウォルトジャパン(東京・渋谷)の藤川誠矢エリアマネジャーは「デリバリーは高いというイメージをもたれている。手に取りやすい価格にし、新規の利用者からの注文を増やしたい」と話す。
店舗側は料理宅配側に手数料を支払うことなどから、宅配商品は店頭より4割ほど高い価格に設定することが多い。ウォルトジャパンと店舗が割り増し分を負担し、店頭価格と同額に引き下げる。送料は別途、距離に応じてかかる。今回、ウォルトが対象とするのは地元の飲食店を中心とした約120店舗だ。
ウォルトは6月までに、札幌市内の値下げ対象店を500店舗まで増やすことを目指す。その先に見据えるのは全国展開だ。藤川氏は「今後、札幌の取り組みをロールモデルにして全国に広げる可能性はある」と話す。「本格導入は業界でも初とみられる」(同)といい、シェア拡大の起爆剤になり得る。
フィンランド発のウォルトは20年に日本事業を始め、東京や大阪などの三大都市圏以外の地域に注力してきた。データ分析のヴァリューズ(東京・港)によると、北海道で料理宅配ユーザーの3割弱がウォルトを利用している。全国ではKDDI傘下のmenu(メニュー、東京・新宿)に次ぐ4位だが、北海道ではウーバーイーツと出前館の2強に肉薄する。
「値下げ」激化、静観する企業も
ウォルトジャパンが思い切った値下げに踏み切るのは、物価高で落ち込む需要を喚起するためだ。調査会社のサカーナ・ジャパン(東京・港)によると、24年の国内デリバリー市場は23年比8%減の7967億円だった。同社の東さやかフードサービスディレクターは「節約によるメリハリ消費と出勤増加で、デリバリーを利用する機会が減少している」とみる。
新型コロナウイルス禍の特需が落して市場が縮小に転じるなか、競合大手も値下げに動いている。
口火を切ったのは出前館だ。これまでは1回当たりの注文総額によって送料を設定していたが、3月17日から総額のほか、配達距離と時間帯によって送料を変えた。混雑する時間帯を避けた注文や近所の店舗からの配達だと従来より安くなる。詳細な試算は開示していないが「割安な送料になる注文が大幅に増える見込みだ」(同社の担当者)という。
ウーバーイーツジャパン(東京・港)も4月から、一部店舗で持ち帰り注文を店頭価格と同額に値下げした。アプリ上から予約・決済して店頭で待ち時間なく商品を受け取れるサービスで、従来は大半の店舗で店頭より2~4割高い価格に設定していた。
3社が値下げに動く中、静観を続けるのがメニューだ。同社はもともと持ち帰り商品は店頭価格と同額で、通常の料理宅配の価格も据え置いている。
代わりに力を入れるのが、KDDIが経営に参加するローソンで使えるクーポンなどを提供する月額制サービス「Ponta(ポンタ)パス」との連携だ。同サービスの有料会員に向け、メニューでも使えるクーポンなどを配布する。メニューの担当者は「グループのサービスを活用することでKDDI経済圏として発展していきたい」と話す。
過当競争、撤退相次ぐ
こうした過当競争からいち早く抜け出す動きもある。22年だけで独デリバリーヒーロー、中国の滴滴出行といった海外大手が日本から撤退している。23年には国内勢「Chompy(チョンピー)」の運営会社もサービスを終えた。
市場に踏みとどまる各社は顧客の囲い込みに動くが、競争は激しい。ウーバーイーツジャパン、ウォルトジャパンの足元の最終損益はそれぞれ黒字を確保する一方、集客の要となる広告宣伝の費用が重荷となっている。出前館の24年8月期の連結最終損益は37億円の赤字と6期連続の最終赤字だった。
集客が不発に終われば業績の悪化を招く可能性がある。顧客の印象を考慮すると、一度値下げすればやすやすとは元の値段には戻せない。ボストン・コンサルティング・グループで消費財・流通グループの日本リーダーを務める森田章氏は値下げ競争について「値下げをしないと客数が確保できないのは苦しい。(過当競争は)新たな脱落に繋がる可能性があるのではないか」との見方を示している。
(佐藤諒)
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ゆうちょ銀行で一時障害発生 ネット振り込みできず[2025/04/07 12:57 日経速報ニュース 309文字 ]
ゆうちょ銀行は7日、インターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」や決済サービス「ゆうちょPay」など複数のデジタルサービスでシステム障害が一時発生したと発表した。振り込みや決済などができない状態となった。原因を調査している。
ゆうちょ銀によると、7日午前9時ごろから11時半ごろまでの間、障害が発生した。スマートフォン向けの通帳アプリや家計簿アプリなどでも障害が起きた。
現時点でサイバー攻撃を受けたとの情報はないといい、ゆうちょ銀は「お客さまにご不便をおかけし、深くおわび申し上げる」としている。銀行や郵便局の窓口、ATMでの手続きは可能だったため、手続きにかかった手数料は後日返金すると説明している。〔共同〕
外為12時 円相場、下げに転じる 持ち高整理や実需の売りで[2025/04/07 12:37 日経速報ニュース 856文字 ]
7日の東京外国為替市場で、円相場が朝高後に下げに転じた。12時時点は1ドル=146円58~59銭と前週末17時時点と比べて31銭の円安・ドル高だった。トランプ関税を警戒する動きから朝方は144円80銭台まで急伸したが、反動で円売りが次第に増えた。日経平均株価が下げ幅を縮小するのにあわせて持ち高整理を目的とした円売りが出たほか、国内輸入企業の円売り・ドル買いも相場を押し下げた。
円相場は前週末に続いて144円台を試した。トランプ米政権の関税政策の影響で貿易摩擦が激化すれば、世界景気が悪化するとの見方から4日に欧米の株式相場が大きく下落した。アジア株の下値不安も強く、投資家のリスク回避姿勢が続くなかで「低リスク通貨」とされる円には買いが先行した。
一方、投機的な円の買い持ち高は高水準にあり、逆回転が起こりやすくなっている。円は徐々に伸び悩んで10時半ごろに下げに転じた。
7日の取引開始後に2900円超下落する場面があった日経平均株価は、次第に下げ渋った。市場では「商いが薄い朝方の時間帯に144円台をつけた後、取引に厚みが戻らぬ中で持ち高調整を目的とした円売りが広がり、相場の振れ幅が大きくなった」(国内銀行のディーラー)との声があった。さらに10時前の中値決済に向けて、円売り・ドル買いに動く輸入企業が多かったという。
林芳正官房長官は7日午前の記者会見で「内外の経済、金融市場の動向などについて緊張感を持って注視する」などと発言した。今のところ円相場を方向付ける材料とはなっていない。
円は対ユーロでは上昇した。12時時点は1ユーロ=160円24~30銭と、同72銭の円高・ユーロ安だった。対ドルでの円安進行を受けて、朝方からは徐々に上げ幅を縮小した。
ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.0933~34ドルと同0.0071ドルのユーロ安・ドル高だった。日本時間7日午前の取引で米長期金利がやや上昇し、ユーロ売り・ドル買いが出た。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
ローソン銀行、高知信用金庫が発行の「ジモッペイ」にローソン銀行ATMから現金でチャージができるサービスを開始[2025/04/07 11:58 日経速報ニュース 1120文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月07日
ローソン銀行ATMから高知県のデジタル地域通貨「ジモッペイ」への現金チャージが可能に
当行は、高知信用金庫(高知県高知市、理事長 : 山崎 久留美)と「ATMチャージ」(※1)の利用について合意し、高知信用金庫が発行するデジタル地域通貨「ジモッペイ」(※2)にローソン銀行ATMから現金でチャージができるサービスを開始いたしました。
これにより、全国のローソン店舗などに設置している13,500台を超えるローソン銀行ATMで、24時間365日(※3)、「ジモッペイ」への現金でのチャージが可能となり、お客さまの利便性が大きく向上いたします。
「ジモッペイ」は高知県内の小売店や飲食店、タクシー会社などの2,800を超える加盟店での買い物にご利用いただけるデジタル地域通貨です。利用者はスマートフォンの「ジモッペイ」アプリに現金をチャージすることで、加盟店でのキャッシュレス決済やユーザー同士での送金ができます。
「ジモッペイ」は、2024年7月に当行が連携を開始した、株式会社フィノバレー(本社 : 東京都港区、代表取締役社長 : 川田 修平、以下「フィノバレー」)が提供するデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」(※4)を活用しています。今般のサービス提携により、ローソン銀行ATMで現金チャージができるデジタル地域通貨は5通貨となります。
当行は、ATMのサービス拡充とともに、提携先の拡大によるお客さまの利便性向上に引き続き取り組んでいきます。
※1 「ATMチャージ」は株式会社セブン銀行の登録商標です。
「ATMチャージ」の詳細は https://www.lawsonbank.jp/lp/atmcharge/をご参照ください。
※2 「ジモッペイ」のサービス詳細はこちら( https://www.combank.co.jp/jimoppei/user/)をご参照ください。
※3 利用可能時間に関わらず、システムメンテナンスを実施する場合は、一定期間停止することがあります。
※4 デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」のサービス詳細は https://finnovalley.jp/をご参照ください。
※ローソン銀行ATMについては https://www.lawsonbank.jp/atm/をご参照ください。
*以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689392/01_202504071154.pdf
外為10時 円相場、上げ幅縮小 146円台前半 中値「ドル買い優勢」[2025/04/07 10:32 日経速報ニュース 517文字 ]
7日午前の東京外国為替市場で、円相場は上げ幅を縮小している。10時時点は1ドル=145円83~85銭と前週末17時時点と比べて44銭の円高・ドル安だった。10時過ぎに146円25銭近辺まで伸び悩んだ。朝方に144円82銭近辺まで大きく上げた反動で持ち高整理の円売りが膨らんだ。国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測も相場の重荷となった。
中値決済に向けては「ドル買いが優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。数カ月先の先物予約で円を売る動きも出た。日経平均株価が安値から大幅に値を戻していることも持ち高調整の円売りを促した。
「米関税政策の影響で米連邦準備理事会(FRB)の利下げ、日銀の利上げの双方が進みにくくなった」(国内銀行の為替担当者)として、円の一段高に懐疑的な見方が出たのも円売りにつながった。
円は対ユーロでも上値が重い。10時時点では1ユーロ=159円91~97銭と、同1円05銭の円高・ユーロ安だった。その後は160円台前半まで押し戻された。
ユーロは対ドルで軟調。10時時点では1ユーロ=1.0966~68ドルと同0.0038ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
3月末の外貨準備高1.5%増、前月比 米国債の評価額上昇[2025/04/07 10:18 日経速報ニュース 344文字 ]
財務省が7日発表した3月末時点の外貨準備高は1兆2725億ドル(およそ185兆円)だった。2月末と比べて192億ドル(1.5%)増えた。増加は3カ月連続。保有債券の利息収入が増えたことに加え、米国の長期金利の低下で保有する米国債の時価評価額が上昇した。
外貨準備高のうち外国債券などの証券は9432億ドルと100億ドル(1.1%)増えた。財務省によると、保有債券の多くを占める米国の10年債利回りは2月末に4.209%だったが、3月末には4.207%に低下した。
海外の中央銀行や国際決済銀行(BIS)などへの預金は1600億ドルで2億2700万ドル増えた。
金相場の上昇で保有する金の時価評価額も上がった。3月末の金相場は1トロイオンス3115ドルで、2月末と比べて9.9%上昇した。
博報堂がITコンサル参入 AIで危機感、共同出資2社設立[2025/04/07 05:00 日経速報ニュース 4438文字 画像有 ]
2025年1月、博報堂は立て続けに2社との共同出資会社設立を発表した。相手はNTTデータと、アプリ開発会社のアイリッジだ。これによりITコンサル事業に本格参入する。ただ、そこは外資系を中心とする大手コンサルティング企業という強力なライバルがいる世界。激しい競争が待ち受けるにもかかわらず、なぜ博報堂は「参戦」を決めたのか。同事業を担当する、博報堂常務執行役員の青木雅人氏に話を聞いた。
「NTTデータと協業を進めているのは、もしかして青木さんのところですか。だとしたら、すごい気持ち悪いです」
2024年秋ごろ、博報堂常務執行役員の青木雅人氏は、ある競合会社の幹部にこう言葉をかけられて驚いた。水面下で、NTTデータとの協業、さらに指摘はされなかったが、アプリ開発会社のアイリッジと資本業務提携をまさに進めていたからだ。
この「気持ち悪い」という言葉は、博報堂が強力なライバルになり得ることに対する、競合会社の警戒心の表れだ。
正式に博報堂が発表したのは、25年1月。同月16日、まずアイリッジと資本業務提携および共同出資会社の設立を発表。共同出資会社の株式は博報堂が51%を握る。加えて同月24日、今度はNTTデータと共同出資会社を設立することも公にした。こちらの共同出資会社では、博報堂は80%の株式を持つ。
2つの共同出資会社とも営業開始は25年4月の予定で、博報堂で既存広告業務以外の新規事業を管轄する、コマースデザイン事業ユニットが統括する。要は、博報堂が経営の主導権を握る構図となる。
今後博報堂は、アプリ開発の力、そしてバックエンドのシステム開発・実装の案件を受注する力を身に付け、ITコンサルティング事業を大幅に強化することになる。
かねてITコンサルの主戦場は、企業の基幹・業務システムを手掛けるバックエンドの開発力を得意とする、アクセンチュアやデロイトトーマツといったコンサルティング企業が主役を務める。広告業界では、電通が傘下の電通総研や電通デジタルで対抗しているものの、競合は続いていなかった。
従来、博報堂もコンサルティング事業は手掛けていたものの、ウェブサイトなどフロントエンドの開発に限定した取り組みにとどめていた。セキュアな環境で顧客情報を管理することが求められる本格的なアプリ開発や、バックエンドの開発力を持たなかったからだ。
自前のシステム開発力を持たなければ、仕事を奪われる
博報堂がITコンサル事業に本格参入する背景には、人工知能(AI)時代の到来に対する強烈な危機感がある。
「マーケティングが常時、基幹システムや業務システムと連係して、実施されるようになった。我々もそれに触れるようにならないと、マーケティングの仕事も他社に奪われてしまう」(青木氏)
危機感とは、具体的にどういったものか。
例えば、AIエージェントを活用して顧客との商談を効率的・自動的にしたいと考えた場合だ。それぞれの顧客に対して、AIエージェントが適切な回答をしたり、商品を薦めたりするには、日々の営業で顧客と会話した内容や個人情報などを記録する業務システムと、AIエージェントを連係する必要がある。
複数の業界・業種に事業を展開しているコングロマリット(複合企業)であれば、各事業の顧客データを一元的に管理できるようにCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を整備する必要もある。
さらに商談を経て、購入の決済、また商品の発送までAIエージェントが担う場合、それらの業務システムとも連係しなければならない。AIを活用したマーケティングシステムを有効に利用しようとするとき、様々な基幹・業務システムを整備し、連係させることが必要不可欠になるのだ。
そのため、その開発能力がない代理店には、マーケティングの案件すら仕事が回ってこなくなる可能性がある。この状況が近い将来訪れることに、危機感を抱いているのだ。
「今まではマーケティングだけ独立したシステムになっていても成立してきたが、今は、(マーケティングも)基幹システムとデータを連係して活用する、という時代に変わってきている。基幹システムの在り方なども計算して実装できないと、UI(ユーザーインターフェース)が優れたAIチャットを導入したとしても、問い合わせが殺到したときにシステムが対応できず止まる、といったトラブルが起きてしまう」と、青木氏はシステム開発の重要性を話す。
こうしたバックエンドのシステム開発力を持つNTTデータとの共同出資会社を設立することで、顧客企業にシステム開発を含めたマーケティング施策が提案可能になる。
顧客データをどこから取得するかも重要だ。近年では、自社アプリがその役割を担うようになってきている。会員証をアプリで提示し、利用額に応じて会員ステータスが上昇するポイントプログラムを搭載する企業や、アプリにたまる自社ポイントを決済に利用できるようにする企業が増加してきた。
さらにその顧客情報を自社の電子商取引(EC)サイトと連係して、顧客の好みに合わせた商品情報を表示するなど、アプリを中心にマーケティング施策を組み立てるケースも多くなってきた。
企業の需要は高まっているものの、博報堂は従来、本格的なアプリを開発する力を持っていなかった。「広告キャンペーンの応募用の簡易的なアプリや、商品ブランドごとにアプリをつくることはできた。だが、決済やポイントプログラムなど、個人情報もセキュアな環境が求められるアプリの開発はできなかった」(青木氏)
そこで目を付けたのが、アプリ開発会社との協業であり、白羽の矢を立てたのがアイリッジというわけだ。
アイリッジをパートナーに選んだのは、手掛けてきたクライアントの業種が小売り、鉄道が多かったからである。「セキュアで、相当堅牢(けんろう)な仕組みをつくらないと成り立たない業種」(青木氏)で経験を積んでいるため、博報堂が求める能力と一致したのだ。
新しい買い物体験を構築、新市場開拓でトップライン拡大に貢献
本格参入するITコンサル業界は、実に競争関係が熾烈(しれつ)な世界だ。巨大資本の外資系コンサルが大手を振るが、博報堂はコミュニケーション領域で培ってきた、生活者発想を生かすことで活路を見いだせると考えている。
共同出資会社をコマースデザイン事業ユニット所属としたのは、既存クライアントを含め、従来のコミュニケーション領域の提案にプラスして、ITコンサル領域を一気通貫で提案することで、差異化を目指せるため。アプローチできる企業数は限られるが、1社に深く入り込んで支援するイメージだ。
ライバルは、コンサルティング部門やシステム開発支援部門の経営を本体から切り離すことで、広範な業種のクライアントを獲得する戦略を採ることが多く、この点でも差異化を図れるとする。
手掛ける案件が、他社と一線を画す点も見逃せない。
まずNTTデータとの共同出資会社では、「新市場創造によるトップライン(売り上げ)拡大」を提供価値として標榜する。「多くのITコンサルでは、人員削減や費用削減による業務効率化が提供価値の中心だ。それだけでなく、新しい買い物体験の構築など、新市場を開拓してトップラインの拡大に貢献したい」(青木氏)
多くのITコンサルが注力する、物流や製造工程のコンサルなどの業務効率化は、博報堂が得意な領域ではない。そこで同社は、生活総合研究所で生活者の意識調査を1992年から隔年で実施するなどして培ってきた、生活者理解という強みを生かして、生活者視点で買い方、売り方を進化させることを目指す。
青木氏が例として挙げたのが「バーチャル販売員」だ。これは、顧客が商品・サービスについて気になったことを、好きな時間に営業担当者を模倣したAIエージェントに相談できるというアイデア。営業担当者の個性や特徴を反映したAIエージェントが、顧客の質問に回答する。さらに、その会話履歴を営業担当者に連携することで、消費者の状況やニーズに合わせた接客ができるようになる。
こうした生活者視点で、体験が変わるサービスの開発を志向する。
NTTデータとの共同出資会社の売り上げ目標は、5年目で50億円、利益は2桁億円。従来、博報堂のフィー型のコンサル案件は高額でも1億円程度だったというが、狙うのは10億円規模の案件。一気に案件の規模を大きくできると見ている。
アプリ開発で「顧客データのインフラ」を押さえる
もう一つのアイリッジとの共同出資会社はどうか。
顧客データのインフラをつくることを目指すのは、先述した通りだ。アイリッジのメインクライアントは鉄道や小売りであり、「アプリを起点に新たなサービスを開発したり、このインフラと連携する企業が出てきたりすることを目指す」と青木氏。
近年、ECサイトの広告や小売店舗へのサイネージ広告などのリテールメディアに代表されるように、メディア事業者以外のサービスが広告媒体になるケースが増えてきた。その中でも、小売りや交通は利用者が多く、購買データや位置情報データなど、豊富な顧客データを持ち、利用者の利用頻度も高い。
生活者のインフラになる、これらの業種のアプリ開発を獲得することで、広告事業へと拡大したり、新サービスをアプリ起点で開発したりするなど、さらなるビジネス展開を図れる可能性が高いというわけだ。
アイリッジとの共同出資会社では、5年で1億~2億円の利益を見込む。NTTデータとの共同出資会社と比べると低い目標だが、「アプリを持つと他の案件にも広がる」と青木氏は見る。アプリ開発起点による、博報堂グループの他案件獲得などの波及効果を含めると、数十億円の利益効果があると期待を寄せる。
「マーケティングが他(の多くの会社)でもできると見せられる時代」と青木氏は現在の広告業界を評する。デジタル広告の台頭により、地上波テレビCMといった一部の大手広告代理店しか扱えなかった広告商品の重要性が、相対的に低下してきた。
一方デジタル広告は、あらゆる企業が取り扱えるため、多くの企業がマーケティング支援をできるようになり、広告運用の支援だけでは差別化が難しくなった。
だからこそ博報堂をはじめとした大手広告代理店は、企業のシステム開発・実装を担い、より大規模なマーケティング案件の獲得を図り、自社独自のソリューションを提供することを狙う。
マーケティング施策を起点に、新たにシステム開発まで含めた受注をもくろむ広告会社。対抗して、システム開発を起点に広告会社が得意とするマーケティング施策を奪おうとするコンサルティング会社。コンサル業界と広告業界の壁がなくなり、熾烈な受注合戦の火蓋が切られた。
(日経クロストレンド 石飛大和、撮影 山田愼二)
[日経クロストレンド 2025年3月18日の記事を再構成]
楽天G、データ×AIで客離れ予知 小売り・外食を支援[2025/04/07 05:00 日経速報ニュース 2200文字 画像有 ]
楽天グループが取引先である小売りや外食企業の経営支援に人工知能(AI)の活用を進めている。保有する大量の顧客データや購買情報をAIで分析し客離れの兆候を予知、対応を促す取り組みだ。AIを基盤とした取引先との連携を通じて楽天経済圏の安定・拡大につなげる。
169項目で分析
「自分たちの課題をデータが示してくれる。改善を続けることが業績につながっている」。富山県を中心に54店舗のスーパーマーケットを運営する大阪屋ショップ(富山市)の尾崎弘明社長は楽天Gとの連携についてこう語る。
大阪屋ショップは2018年に楽天ポイントカードを導入し、現在は来店客の9割がレジで提示するほど浸透する。蓄積した購買データなどを顧客の来店動向の把握に生かそうと、新たに楽天Gが開発したAIツールを取り入れた。
従来のコンサルタントのみによるデータ分析との違いは将来を予測する点にある。膨大な情報から、買い物の回数や金額が多いといった「大切な顧客」の行動変化を読み取り、他のスーパーに流出する兆候を察知することができる。
具体的な方法のひとつとして、顧客の属性や販促日の来店動向、生鮮食品の購買頻度など169の項目に分け、顧客流出との相関を分析してみた。すると、大きな販促を打ち出している火曜日の来店頻度や日持ちのしない野菜の購買頻度が落ちこんだ顧客は他店に流出しやすい傾向にあることがわかった。
AIツールを導入した他の小売りチェーンでは、流出の可能性がある顧客に対して割引クーポンを発行し、購買金額を増やした。
小売業界では、物価高を受けて消費者が利用店舗を厳選する傾向を強めている。企業間の競争環境は厳しさを増している。富山県内最大手の大阪屋ショップの場合、好立地には既に自陣営の店舗があるため、業績拡大には既存店の売り上げアップが不可欠だ。
「全国チェーンと地域で戦うための基礎となるのが楽天のデータだ」(尾崎社長)。AIツール導入により、販促を実施している期間中の顧客への売上高は3~5%増を見込む。全体の売上高は2028年6月期に24年同期比36%増の1300億円をめざす。
見えない客類推
AIはポイントカードの利用が少ない場合にも役に立つ。吉野家ホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン、はなまる(高松市)では「見えない顧客」の可視化にAIを活用しようとしている。
高口裕之最高マーケティング責任者(CMO)によると、足元では楽天ポイントカードをはなまるのレジで提示する来店客は5割を下回る。データの収集は不十分で、楽天Gと共同でカードを提示していない顧客の情報を推論するAIツールの開発を進めている。
データを基に、売れ筋商品などの購買傾向が類似している店舗を分類する。その上で外部データも組み合わせてAIに顧客像を類推させる。25年秋にも対象となる店舗を選定して導入し、メニュー開発などに生かす計画だ。「顧客の『解像度』が高まり、売上高は2割増えると見込んでいる」(高口氏)
楽天Gは通常のコンサルティング費用に追加料金を上乗せする形でAIツールを提供する。コスト増が受け入れられる背景には、データの質の高さがある。
楽天ポイントは電子商取引(EC)の楽天市場や楽天系の金融サービスなどグループ内に加えて、全国600万カ所にある小売店や飲食店といった加盟店で利用されている。ポイント発行額は23年に6500億円相当と国内最大規模で、大量の購買データが日々蓄積されている。
AIはデータが多ければ多いほど広範で高度な分析ができる特性を持つ。楽天ペイメント(東京・港)でAIツールの導入に携わる林宏憲氏は「人だけでは作業量が多すぎて物理的に不可能な分析でも短時間でできるようになる」と話す。
ポイント発行、各社競う
AIサービスの提供はポイントを利用できる加盟店を開拓する有力な手段で楽天経済圏の拡大につながる。加盟店が増えれば利用者数も多くなり、ポイントの消費先として楽天が提供するサービスに誘導しやすくなる。自社の経済圏の競争力に直結するだけにポイント各社は利便性を高め、提携や共通化などを進めている。
楽天Gは取引先に担当のコンサルタントを配置し、データを使って業績改善を支援できる点で他社に先行する。AI活用により提案の精度が向上すればさらなる加盟店の獲得につながる可能性がある。
決済の強化も進めている。24年には楽天ペイのアプリに「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」を統合すると発表した。クレジットカード「楽天カード」のアプリ機能も追加した。決済回数の多い楽天ペイを中核に据えることでスマホ決済の成長に弾みをつける。
スマホを通じたQRコード決済の首位はPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当(23年度は非開示)と規模は楽天ポイントに次ぐ。共通ポイント事業にも参入し、23年にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングスとの提携を発表した。
利用者数と比例するポイントの発行総額を増やすための合従連衡も進んでいる。カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントは加盟店の減少から巻き返そうと、24年に三井住友フィナンシャルグループのVポイントと統合した。dポイントを運営するNTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)とポイントや決済で提携している。
(桜木浩己)
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ファミマ店長、学びはオンライン 26年までに全店導入[2025/04/07 02:00 日経速報ニュース 1244文字 画像有 ]
ファミリーマートは、コンビニエンスストアの店長が商品や労務管理の知識を学べるオンライン学習システムを導入する。4月から順次始めて、2026年2月までに全約1万6000店の店長が利用できるようにする。従来は本部の社員がメールや電話、対面で店長に内容を伝えていた。社員の業務負担を軽減するほか、店長の学習の効率を高める。
3~5分の動画、約80種類
まず4月末にかけて全国の1000店に導入して、26年にかけて全店に広げる。店長は店にあるタブレット端末を使って、自身の業務の都合に合わせて学習する仕組み。コンビニチェーンでは本部社員やアルバイト向けにオンライン学習を提供する取り組みはあったが、店長向けは珍しいという。
学習内容は約80種類でスタートし、25年度中に100超に増やす。コンプライアンス(法令順守)や商品、食品衛生、独自の決済アプリ「ファミペイ」に関する知識を学べるほか、サステナビリティー(持続可能性)やカスタマーハラスメント(カスハラ)などの社会課題に沿ったコンテンツも用意する。
テーマごとに1本あたり3~5分の動画を視聴する形式で、オンライン上のテストを受けて知識を定着させる。
本部社員の関連業務が半分に
これまでは、スーパーバイザーと呼ばれる本部の社員が店長に情報を伝えていた。店長向けの研修は、店長の着任前などの一部の機会に限られていた。オンライン学習システムを導入することで、本部社員の関連業務にかかる時間を従来から約半分に短縮できる見通しだ。
社員は空いた時間を活用して、個店の状況に応じた売り場や商品の提案により注力できるようにする。
ファミリーマートでオンライン学習システムを担当するFC研修部の吉田浩士部長は「店長から『知りたい』と要望のある内容は商品から労務管理まで多岐にわたり、時期によっても様々だ。オンライン学習の仕組みを整えることで、店長のニーズに的確に応えられるようになる」と話す。
本部による管理も効率化できる。本部側で店長に学習してほしいコンテンツを推奨して、テストの結果を通じ、全国の店長の理解度を把握できるようになる。
新しいITの活用を促す
ファミリーマートはIT(情報技術)を活用した店舗業務の効率化に取り組んでいる。発注業務を支援する人工知能(AI)「レイチェル」を採用している。23年から本格導入し、24年7月末時点で約7000店まで広がった。店長が音声でタブレット端末に前週の売り上げ順位やこれまでの販促施策の販売傾向などを聞くと、女性のキャラクター「レイチェル」が画面上にデータを提示する。
コンビニ業界が採用しているフランチャイズチェーン(FC)制度では、FCオーナーは本部から独立した経営主体になる。社員が運営する直営店型の小売りチェーンと比べて、店長がもつ知識やノウハウには個人差がでやすいとされる。
ファミマは全国規模で店長の知識を底上げすることで、店舗の経営ノウハウや運営力を向上させる狙いがある。
(平岡大輝)
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日経MJ・7日[2025/04/07 00:00 日経速報ニュース 308文字 ]
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◇ファミマ、店長にオンライン学習 商品・決済アプリなど80種類
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日経ミューズサロン クリストフ・コワン チェロ・リサイタル(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 夕刊 3ページ 522文字 PDF有 書誌情報]
伝説的巨匠アーノンクール、サヴァール、ナヴァラに学び、モザイク四重奏団を長年率いるチェリスト、クリストフ・コワン=写真=の演奏会を開催します。古楽とモダン楽器とを自由に行き来する世界屈指のカリスマ演奏家の一人で、音楽にすべてをささげる姿から、“本物の音楽家”として評価されるコワンが6年ぶりに来日。ブラームスやメンデルスゾーンというドイツ・ロマン派音楽の王道、チェロとピアノのために書かれた傑作を披露します。パリを拠点に国際的な演奏活動をするピアニスト、金子陽子=同右上=が共演します。
◇とき 4月18日(金)午後6時半開演◇ところ 日経ホール(東京・大手町)◇曲目 メンデルスゾーン/協奏的変奏曲作品17ニ長調、メンデルスゾーン/チェロ・ソナタ第1番作品45変ロ長調、J・B・グロス/セレナード ハ長調、ブラームス/チェロ・ソナタ第1番作品38ホ短調◇入場料 一般4000円、子供(小学生以上高校生以下)2500円(税込み、全席指定)。ぴあ、イープラスほかで販売中。ただし、子供券は日経公演事務局のみで販売。詳細はQRコードより
◇問い合わせ・申し込み 日経公演事務局(電)03・5227・4227
主催 日本経済新聞社
協賛 ファンケル
デジタル移民 アナログ世界からやって来た(令和なコトバ)[2025/04/07 日本経済新聞 夕刊 8ページ 1270文字 書誌情報]
基本はセルフレジ、店員さんに用があるときだけ有人レジ。そんなコンビニが増えてきた。自分は、どちらも空いているときは、必ずセルフレジに行くようにしている。「若いもんになめられたくない」という一心もあるが、一番はスーパーのレジ打ち係が昔の憧れだったから。
とくに圧巻は商品バーコードが登場する前の、打ち込み式のレジだ。「○○円?」「○○○円?」と価格を読み上げながらブラインドタッチで打ち込んでいき、1円だって間違えないパートのおばちゃんのレジテクニックのかっこよさと言ったら!
いつか私もあんなレジ打ち職人になるんだと、心に決めていたのにさ。気がつけばいつのまにかレジ打ちは消滅し、バーコードでピッの時代に。というわけで、かっこよさのレベルが違うが、喜んでセルフレジのピッをやっている今日このごろだ。
まあ、なんで自分のセルフレジ好きの理由を読者のみなさまが延々と聞かされているかというと、今週のお題が「デジタル移民」だから。生まれながらにしてデジタルに触れていたミレニアル世代やZ世代が「デジタルネーティブ」と呼ばれるが、こちらその反対にある人たちのこと。今となればはるか遠くのアナログの世界から、デジタルの新時代に移民してきた、1980年くらいまでに生まれた今の中高年をこう呼ぶ。
そもそもデジタルネーティブという言葉は、米国人作家、マーク・プレンスキー氏の2001年の論文から生まれた。そのタイトルからして「デジタルネーティブ、デジタルイミグラント(移民)」。デジタルが当たり前のネーティブ世代と、そうでない移民世代の区別が二十数年前には始まっていたわけだ。
ただし、この論文を読むと、かつてのデジタル移民像は、現在のそれとは相当違う。例えば情報取得の速度。プレンスキー氏はデジタル移民の特徴をこう定義している。「デジタルネーティブが高速で情報を受け取ることに慣れているのに対し、デジタル移民は比較的ゆっくりとしたペースで情報を処理する」
ネットワークの接続については、「デジタルネーティブは常にネットワークに接続されていることが前提だが、デジタル移民はオフラインでの活動も重視する」とか。まあ、デジタル環境が大きく変わったとはいえ、今やシニアのスマホ保有率はどんな調査でも90%以上。例えばうちの母(90)のデジタルライフを、当時のプレンスキーさんに教えてあげたいと思う。
朝起きたら布団の中で猫動画か韓流ドラマの短編。その後テレビを見ながら関連ニュースをSNSで流れてきた動画などでチェックする。午後はLINEで連絡を取りながら友人と待ち合わせてお茶。キャッシュレスで買い物し、帰宅後はお昼寝もはさんでネット三昧を始める。その間、驚くようなニュースを拾ったので娘(自分)に教えてあげたのに「それはフェイク!」と怒られる。そんなデジタル移民を誰が予想しただろう。
とはいえネット情報なら何でもうのみにしてしまう脇のゆるさが、いつかデジタル世界の移民問題につながらないことを祈って!
(ライター 福光 恵)
【図・写真】イラスト 江口修平
「日本美術の鉱脈展」概要(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 547文字 書誌情報]
(1面参照)
◇会期 6月21日(土)~8月31日(日)、午前10時~午後5時。7月18、19、20、25、26、8月1、2、8、9、10、15、16、22、23、29、30日は午後7時まで(入場は閉館30分前まで)。月曜日(7月21日、8月11日は開館)と7月22日(火)休館
◇会場 大阪中之島美術館
◇観覧料 一般1800円(前売り1600円)、高大生1500円(同1300円)、小中生500円(同300円)。グッズ付チケットなどは詳細が決まり次第、公式サイト(QRコード参照)にてお知らせします。前売り券は4月21日(月)から6月20日(金)まで、美術館サイトまたは各種プレイガイドなどで販売
◇主な作品 伝岩佐又兵衛「妖怪退治図屏風」(江戸時代・17世紀)、式部輝忠「巖樹遊猿図」(写真右は六曲一双屏風のうち左隻、重要文化財、室町時代・16世紀、京都国立博物館蔵、7月29日から8月31日まで展示)、牧島如鳩「魚籃観音像」(1952年、足利市民文化財団蔵)、狩野一信「五百羅漢図」(江戸時代・19世紀、増上寺蔵)、「人体文様付有孔鍔付土器」(同左、重要文化財、縄文時代中期、南アルプス市教育委員会蔵)ほか
◇詳細・問い合わせ (電)06・4301・7285(大阪市総合コールセンター)
「ウィーン国立歌劇場」先行販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 404文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の先行販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S席7万9000円~E席2万6000円、土・日S席8万2000円~E席2万9000円。全公演に寄付金付きのサポーター席があります(各S席料金に5万円を加えた金額)。
◇チケット販売 4月7日午後9時NBS WEBにて2演目セット券先行販売開始。以降順次発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
新サービス『金融DXインサイド』開始 デジタル活用やフィンテックの記事を厳選(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 275文字 書誌情報]
日経BPは4月9日(水)から、有料ニューズレターサービス「金融DXインサイドby日経クロステック」を始めます。日経BPの技術系デジタルメディア「日経クロステック」から、金融DXやフィンテックに関わる記事を厳選し、メールやウェブサイトを通じてお届けします。金融DXインサイド有料会員(月額1100円)に加入すると、有料会員限定記事を読むことができます。日経クロステック有料会員の方は追加料金なしで利用いただけます。
◇配信日時 4月9日(水)以降、毎週水曜日(祝日、年末年始を除く)
◇料金 月額1100円(メール受信は無料)
◇詳細 QRコード参照
ファミマ、店長にオンライン学習 商品・決済アプリなど80種類 全店導入、26年2月までに[2025/04/07 日経MJ(流通新聞) 13ページ 1331文字 PDF有 書誌情報]
ファミリーマートは、コンビニエンスストアの店長が商品や労務管理の知識を学べるオンライン学習システムを導入する。4月から順次始めて、2026年2月までに全約1万6000店の店長が利用できるようにする。従来は本部の社員がメールや電話、対面で店長に内容を伝えていた。社員の業務負担を軽減するほか、店長の学習の効率を高める。
まず4月末にかけて全国の1000店に導入して、26年にかけて全店に広げる。店長は店にあるタブレット端末を使って、自身の業務の都合に合わせて学習する仕組み。コンビニチェーンでは本部社員やアルバイト向けにオンライン学習を提供する取り組みはあったが、店長向けは珍しいという。
学習内容は約80種類でスタートし、25年度中に100超に増やす。コンプライアンス(法令順守)や商品、食品衛生、独自の決済アプリ「ファミペイ」に関する知識を学べるほか、サステナビリティー(持続可能性)やカスタマーハラスメント(カスハラ)などの社会課題に沿ったコンテンツも用意する。
テーマごとに1本あたり3~5分の動画を視聴する形式で、オンライン上のテストを受けて知識を定着させる。
これまでは、スーパーバイザーと呼ばれる本部の社員が店長に情報を伝えていた。店長向けの研修は、店長の着任前などの一部の機会に限られていた。オンライン学習システムを導入することで、本部社員の関連業務にかかる時間を従来から約半分に短縮できる見通しだ。
社員は空いた時間を活用して、個店の状況に応じた売り場や商品の提案により注力できるようにする。
ファミリーマートでオンライン学習システムを担当するFC研修部の吉田浩士部長は「店長から『知りたい』と要望のある内容は商品から労務管理まで多岐にわたり、時期によっても様々だ。オンライン学習の仕組みを整えることで、店長のニーズに的確に応えられるようになる」と話す。
本部による管理も効率化できる。本部側で店長に学習してほしいコンテンツを推奨して、テストの結果を通じ、全国の店長の理解度を把握できるようになる。
ファミリーマートはIT(情報技術)を活用した店舗業務の効率化に取り組んでいる。発注業務を支援する人工知能(AI)「レイチェル」を採用している。23年から本格導入し、24年7月末時点で約7000店まで広がった。店長が音声でタブレット端末に前週の売り上げ順位やこれまでの販促施策の販売傾向などを聞くと、女性のキャラクター「レイチェル」が画面上にデータを提示する。
コンビニ業界が採用しているフランチャイズチェーン(FC)制度では、FCオーナーは本部から独立した経営主体になる。社員が運営する直営店型の小売りチェーンと比べて、店長がもつ知識やノウハウには個人差がでやすいとされる。
ファミマは全国規模で店長の知識を底上げすることで、店舗の経営ノウハウや運営力を向上させる狙いがある。
(平岡大輝)
【図・写真】ファミマは店長がタブレット端末で運営に必要な知識やスキルを動画で学べるようにする
【図・写真】ファミリーマートは食品ロスを減らす取り組みなど、新しい施策が多い
【図・写真】店長向けのオンライン学習では決済アプリ「ファミペイ」の仕組みなどを勉強できる
日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/06 日本経済新聞 朝刊 6ページ 374文字 PDF有 書誌情報]
(1)「中国ショック」に苦しむ中国(上) 製造業の優位性低下(31日)
(2)トランプ氏の関税、世界経済に1兆4000億ドルの打撃(3日)
(3)トランプ氏、関税を徹底重視の理由 ラナ・フォルーハー(3日)
(4)米か欧かの「幼稚な選択せず」 伊首相インタビュー(上)(2日)
(4)フランス極右ルペン氏に対する衝撃的な判決(社説)(1日)
(6)整合性欠くトランプ氏の石油政策 ジリアン・テット(1日)
(7)米国、ウクライナ資源の全面管理を要求(28日)
(8)AIでホワイトカラーの世界から新人が消える?(28日)
(9)米港湾の中国製船への手数料、農業界から悲鳴 輸出に影(28日)
(10)米国の自動車関税、中国製EVの追い風に(社説)(31日)
スマートフォンでQRコードを読み込むと「NIKKEI FT the World」の申し込みサイトに移ります。
「M7」2日間で12%下落、ダウ平均ではボーイングが2割安[2025/04/05 14:20 日経速報ニュース 2857文字 ]
【NQNニューヨーク=横内理恵】米トランプ政権の関税引き上げを発端とした米株安に歯止めがかからない。米トランプ政権の「相互関税」に対抗し、4日には中国が米国の輸入品に高関税を課す方針を示した。関税の応酬による貿易戦争と世界景気の悪化への警戒が強まり、米株式市場では打撃の大きそうな銘柄への売りが加速している。
4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4万ドルを割り込み、昨年5月以来の安値で終えた。2日間の下げ幅は3900ドルを超えた。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は2日間で11%超下げ、昨年12月に付けた最高値からの下落率が「弱気相場」入りの目安とされる2割を上回った。
この2日間に幅広い銘柄が売られ、時価総額の大きいハイテク7銘柄「M7」の下げもきつかった。下落率の首位はアップルで16%近く下がった。「iPhone(アイフォーン)」などをアジア諸国で生産しており、関税が利益を押し下げる可能性が高い。テスラも15%あまり下落した。中国の売上高が大きく、米中摩擦はすでに低迷する電気自動車(EV)販売に一段の影を落とす。
エヌビディアの下げも大きかった。貿易戦争を背景とした不透明感で企業が人工知能(AI)関連などIT(情報技術)投資を手控えるとの観測が浮上している。メタプラットフォームズは世界景気悪化による広告事業への逆風が懸念されている。M7で構成する上場投資信託(ETF)の「ラウンドヒル・マグニフィゼント・セブン」は2日間で約12%下げた。
■M7下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
アップル ▲15.8% ▲ 7.2%
テスラ ▲15.3% ▲10.4%
エヌビディア ▲14.5% ▲ 7.3%
メタプラットフォームズ ▲13.5% ▲ 5.0%
アマゾン・ドッド・コム ▲12.7% ▲ 4.1%
アルファベット ▲ 7.2% ▲ 3.3%
マイクロソフト ▲ 5.8% ▲ 3.5%
M7ETF ▲12.3% ▲ 5.8%
半導体株も全般に売られた。マイクロン・テクノロジーは2日間で27%近く下げ、マーベル・テクノロジーも2割超下げた。半導体は今回の相互関税の対象からは除外された。ただ、パソコンなどの電子機器から自動車、医療機器と様々な用途で使われ、関税に起因した供給網(サプライチェーン)の混乱の影響が大きいとみられている。
トランプ大統領は近く半導体への関税も発表する考えを示している。AI投資の減速懸念と相まって先行き不透明感は強い。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2日間で16%超下げた。
■主要な半導体関連銘柄の下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
マイクロン・テクノロジー ▲26.9% ▲12.9%
マーベル・テクノロジー ▲21.8% ▲11.1%
クアルコム ▲17.2% ▲ 8.5%
AMD ▲16.7% ▲ 8.5%
ブロードコム ▲14.9% ▲ 5.0%
AMAT ▲14.0% ▲ 6.3%
インテル ▲ 9.6% ▲11.5%
ダウ平均の構成銘柄でこの2日間の下げがもっとも大きかったのはボーイングで、ほぼ2割安となった。米中の関税引き上げで航空部品の価格上昇が避けられないとみられている。中国販売拡大が見込まれていたため、同国の景気懸念も売りを誘った。
ゴールドマン・サックスなど金融の売りも目立った。景気懸念から米長期金利が半年ぶりに節目の4%近辺に低下し、利ざやの縮小につながる。金融市場の混乱を受けて決済大手クラーナなどが新規株式公開(IPO)延期を検討していることも伝わった。個人消費の落ち込みやカードローンの債務不履行などを見越してクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなどへの売りも目立った。
■ダウ平均構成銘柄下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
(1)ボーイング ▲18.9% ▲9.4%
(2)ゴールドマン・サックス ▲16.3% ▲7.9%
(3)アップル ▲15.8% ▲7.2%
(4)アメリカン・エキスプレス ▲15.1% ▲5.7%
(5)ウォルト・ディズニー ▲14.6% ▲5.9%
(6)エヌビディア ▲14.5% ▲7.3%
(7)JPモルガン・チェース ▲14.4% ▲8.0%
(8)スリーエム ▲14.1% ▲9.1%
(9)シェブロン ▲13.9% ▲8.2%
(10)キャタピラー ▲13.9% ▲5.7%
一方、3日に14%あまり下落したナイキは4日は反発した。トランプ大統領がベトナム政府と交渉していると伝わり、同国での生産比率が高いナイキに買い戻しが入った。ダウ平均の構成銘柄では唯一、ユナイテッドヘルス・グループが小幅に上げた。
それ以外、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数の構成銘柄ではデル・テクノロジーズやヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、HPなどサーバーやパソコンを手掛けるIT(情報技術)関連銘柄の下げが目立った。インフレによる消費の落ち込みを見込んでユナイテッド航空ホールディングスやクルーズ船のノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングスなど娯楽・レジャー関連も下げた。
関税を巡る混乱は尾を引きそうな気配で投資家の不安は強まっている。貿易戦争のあおりを受ける銘柄の選別売りは続きそうだ。
令和なコトバ「デジタル移民」 アナログ国より訪れし者[2025/04/05 05:00 日経速報ニュース 1421文字 画像有 ]
誰もが知る流行語なき時代の新語を採掘し、世の中を知る「令和なコトバ」。Z世代など今どきの若者はデジタルネーティブと呼ばれます。彼らの流儀の「デジタルの国」に移住してきたのが中高年、ということで「デジタル移民」という言葉が最近使われています。ライターの福光恵さんが身近なところから考えます。
基本はセルフレジ、店員さんに用があるときだけ有人レジ。そんなコンビニが増えてきた。自分は、どちらも空いているときは、必ずセルフレジに行くようにしている。「若いもんになめられたくない」という一心もあるが、一番はスーパーのレジ打ち係が昔の憧れだったから。
とくに圧巻は商品バーコードが登場する前の、打ち込み式のレジだ。「○○円?」「○○○円?」と価格を読み上げながらブラインドタッチで打ち込んでいき、1円だって間違えないパートのおばちゃんのレジテクニックのかっこよさと言ったら!
いつか私もあんなレジ打ち職人になるんだと、心に決めていたのにさ。気がつけばいつのまにかレジ打ちは消滅し、バーコードでピッの時代に。というわけで、かっこよさのレベルが違うが、喜んでセルフレジのピッをやっている今日このごろだ。
◇ ◇
まあ、なんで自分のセルフレジ好きの理由を読者のみなさまが延々と聞かされているかというと、今週のお題が「デジタル移民」だから。生まれながらにしてデジタルに触れていたミレニアル世代やZ世代が「デジタルネーティブ」と呼ばれるが、こちらその反対にある人たちのこと。今となればはるか遠くのアナログの世界から、デジタルの新時代に移民してきた、1980年くらいまでに生まれた今の中高年をこう呼ぶ。
そもそもデジタルネーティブという言葉は、米国人作家、マーク・プレンスキー氏の2001年の論文から生まれた。そのタイトルからして「デジタルネーティブ、デジタルイミグラント(移民)」。デジタルが当たり前のネーティブ世代と、そうでない移民世代の区別が二十数年前には始まっていたわけだ。
◇ ◇
ただし、この論文を読むと、かつてのデジタル移民像は、現在のそれとは相当違う。例えば情報取得の速度。プレンスキー氏はデジタル移民の特徴をこう定義している。「デジタルネーティブが高速で情報を受け取ることに慣れているのに対し、デジタル移民は比較的ゆっくりとしたペースで情報を処理する」
ネットワークの接続については、「デジタルネーティブは常にネットワークに接続されていることが前提だが、デジタル移民はオフラインでの活動も重視する」とか。まあ、デジタル環境が大きく変わったとはいえ、今やシニアのスマホ保有率はどんな調査でも90%以上。例えばうちの母(90)のデジタルライフを、当時のプレンスキーさんに教えてあげたいと思う。
朝起きたら布団の中で猫動画か韓流ドラマの短編。その後テレビを見ながら関連ニュースをSNSで流れてきた動画などでチェックする。午後はLINEで連絡を取りながら友人と待ち合わせてお茶。キャッシュレスで買い物し、帰宅後はお昼寝もはさんでネット三昧を始める。その間、驚くようなニュースを拾ったので娘(自分)に教えてあげたのに「それはフェイク!」と怒られる。そんなデジタル移民を誰が予想しただろう。
とはいえネット情報なら何でもうのみにしてしまう脇のゆるさが、いつかデジタル世界の移民問題につながらないことを祈って!
(福光 恵)
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決済大手クラーナ、米IPO延期へ 関税による市場混乱で[2025/04/05 04:35 日経速報ニュース 503文字 画像有 ]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きと見られる。
クラーナは3月に米証券取引委員会(SEC)にIPOに関する登録届を公式に提出したと発表した。売り出し株数や公開価格は未定としていた。
同社は2005年にスウェーデンのストックホルムで設立。BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)と呼ばれる後払い決済サービスを手がける。ドイツや米国、英国を中心に市場を拡大し、ユーザー数は約9300万人(24年末時点)にのぼる。日本のソフトバンクグループもビジョン・ファンドを通じて21年に出資した。
足元の相場急落を受けて、米IPO市場に逆風が吹いている。大型案件として注目を集めていたチケット売買サイト運営の米スタブハブも、貿易戦争の激化による株安でIPO計画を延期したと報じられている。4日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比で一時2100ドル超下げた。
台湾は米国に見捨てられるのか ブライアン・ヒュー氏-作家[2025/04/05 02:00 日経速報ニュース 1702文字 画像有 ]
トランプ政権の発足で米国と伝統的な同盟国との関係が疑問視されるようになった。その象徴が2月末、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との間で起きた激しい応酬だろう。トランプ氏はウクライナ戦争に関してロシアのプーチン大統領の肩を持っているようにもみえる。
台湾はウクライナと同様、領土的野心を持つ巨大な敵対国に隣接する。ロシアがウクライナへの主権を正当化するのと同様、中国も台湾への主権を訴えている。
台湾は米国と安全保障関係を維持しており、米国が主要な武器供給国だ。しかし3年前にウクライナ戦争が始まって以来、米国は直接的な関与を控えている。台湾も自らを単独で守らなければならなくなるとの懸念を抱える。その意味で「今日のウクライナは明日の台湾」というスローガンを集会でよく見かけるようになった。
かつてトランプ氏は台湾が米国の半導体産業を盗んでいると非難した。ゼレンスキー氏とトランプ氏の口論がテレビで放映された数日後、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は米国で1000億ドル(約15兆円)を追加投資する計画を発表した。この投資は台湾がトランプ氏を満足させようとしている表れと解釈された。
トランプ氏とゼレンスキー氏の論争は、民主主義や人権といった価値観が、米国の新政権にとって重要でないと物語っている。そしてゼレンスキー氏のようにトランプ氏に歯向かう指導者は罰を受けるだろう。トランプ氏は自分に敬意を払う指導者を好むようだ。
台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)総統もトランプ氏にこびへつらうかもしれない。しかしウクライナ人が自国の指導者を支持したように、民主主義の論理をあっさり捨て去る指導者を台湾の人々が受け入れるかはわからない。
台湾は過去10年間、進歩的な実績を上げてきた。2016年には初の女性総統を選出し、19年にはアジアで初めて同性婚を合法化した。若者による14年の「ひまわり学生運動」後、台湾の若い世代の政治家は大半が進歩派だ。
台湾が進歩的な価値観を受け入れるようになった動機のひとつは国際社会への参加を確実にすることだった。トランプ氏の機嫌をとるために進歩的なアイデンティティーを放棄するとは思えない。
台湾には、トランプ氏を声高に支持する少数派もいることには留意が必要である。トランプ氏が台湾を心から支持し、中国に敵対的だと確信している人々だ。また台湾には、ゼレンスキー氏との対立はトランプ氏の交渉戦術の一部と解釈しようとする向きもある。
トランプ政権1期目の帰結として、台湾では「米国懐疑論」が台頭した。米国は味方として信頼できないという主張も広がった。このような主張は陰謀論的な性質のものであることが多く、中国の情報工作に端を発している。
米国懐疑論は根深く、冷戦時代に見放されたというトラウマ(心理的外傷)は深く残っている。多くの台湾人は、1979年に中国との国交を樹立したことで米国は台湾を見捨てたと考えている。
そして台湾は今、ウクライナの状況をみて、味方であるはずの国に置き去りにされる不安に駆られている。台湾は新たな盟邦を探す時期なのかもしれない。それはおそらく、国際政治が予測不能な時代を同様に切り抜けていかねばならない国々になるだろう。
QRコードを読み取ると英文の記事が読めます。
発想の転換が必要に
トランプ政権はロシアに融和的な一方で中国を強く警戒していて、台湾をウクライナと同列に位置づけることはないだろう。ただ、ヒュー氏も指摘するように民主主義や人権といった価値観を重んじているわけではない。リベラルな民主主義体制より非リベラルな権威主義を好む傾向が目立つ。米国は中国と取引して台湾を「見捨てる」のでは、との心配も無理はない。
世界の安全保障情勢は変わった。マクロン仏大統領が自らの「核の傘」を欧州全域に広げる考えを打ち出したこと、その背景にドイツの次期首相と目されるメルツ氏の提案があったことが示すように、かつてない発想と戦略が求められている。新たな同盟相手を探る時期だ、とのヒュー氏の示唆も、飛躍が過ぎるとはいえない。
(編集委員 飯野克彦)
クラーナ、米IPO延期検討[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きとみられる。
駅と旅 砂村かいりほか著(新書文庫)[2025/04/05 日本経済新聞 朝刊 27ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
■『駅と旅』砂村かいりほか著 浜松、西宮、唐津など6つの都市を舞台にした「旅小説」を編んだアンソロジー。置き手紙だけを残して実家に帰省してしまった夫と子を追って、義姉と共に札幌へ向かう妻の旅路をたどる君嶋彼方の「雪花の下」など、6人の作家の作品を収録した。閉塞感の漂う日常に、旅での出会いや発見が風穴を開けていく。爽やかで小気味よい解放感に満ちた一冊。(創元文芸文庫・858円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
伊豆箱根バス タッチ決済導入 クレカで、15日から[2025/04/05 日本経済新聞 地方経済面 静岡 6ページ 307文字 PDF有 書誌情報]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
パリッと本格派、ご当地ソーセージ――味付けとして、パスタなどにも(何でもランキング)[2025/04/05 日経プラスワン 2ページ 2923文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム・ソーセージ工業協同組合によれば、ソーセージは紀元前15世紀に古代バビロニアで作られ、語源は「塩漬け」を意味するラテン語のsalsusとも、英語のSow(雌豚)とSage(ハーブの一種)ともいわれる。日本には明治期に伝わった。
現代ソーセージ研究家の村上武士さんによると、地元食材や手作りなどを売りにした「ご当地ソーセージ」は道の駅やふるさと納税の返礼品などで広まった。人気は粗挽きのウインナーソーセージだが、「愛好家にはジューシーな生ソーセージやドイツ伝統のふんわりしたバイスブルストが好評」という。
おいしく食べるにはまず添付の説明書に従って調理することだと村上さんは話す。ボイルは一般的にお湯が沸騰したら加熱を止め、蓋をして余熱で8~10分温める。沸騰したまま煮込むと皮が破れてうまみが逃げる。おいしい商品に出合ったら「味付きの自由に使える便利なお肉」と考えて、「適度にカットしパスタやシチューのコクだしなどに使うのがお勧め」(村上さん)。
【表】パリッと本格派、ご当地ソーセージ
4 焼きソーセージ
(へんじんもっこ) かんきつのさっぱりした後味
<330>新潟県産の豚肉だけを使った粗挽きのジューシーな商品。ドイツ・チューリンゲン地方のソーセージを参考にしたという。隠し味に甘い香りのハーブのマジョラムとかんきつ系の香辛料を加え、さっぱりした後味に仕上げた。
新潟県佐渡島でドイツの製法で作り続けて約40年の生産者の看板商品だ。生地にはサラミ用に肉を成形した際に出る切れ端も利用している。「かむほどにうまみが増す。コスパもよく、幅広い年齢に好まれる味」(島本さん)。表面に焼き色が付く程度に焼いて食べるのがお勧めという。
(1)780円(5本合計160グラム)(2)新潟県佐渡市
4 あらびき (仙台勝山館手作りソーセージ)
食感と香辛料のバランス
<330>ドイツ農業協会のコンテスト(ハム・ソーセージ部門)で金賞を2回受賞し、グルメマンガ「美味しんぼ」にも登場した。「パリッとした食感、味、香辛料の使い方などバランスのとれた本物の味」(照井勇次さん)
1982年から完全無添加を続けてきた生産者の看板商品で、豚肉、羊腸、香辛料、調味料のみを使用。豚肉は岩手県奥州市の胆沢養豚が育てた臭みがなく脂の質が良いという「SPF地養豚」だ。黒コショウと根野菜の風味が様々な料理に合うという。
同じブランドで純米吟醸の酒かすを使った商品もある。
(1)648円(3本合計115グラム)(2)仙台市
6 ウインナー レギュラー
(朝霧ハム) 豚トロ使用もしつこすぎず
<320>長野県で特別に飼育された「朝霧ヨーグル豚(とん)」を主原料にしたウインナー。一般的な品種の豚に小麦類などをヨーグルト状に加工した独自の飼料を与えることで、軟らかく脂の甘さが味わえるようにしたという。「クラシックだけれどバランスがよく、繊細で自然な味。ミンチの食感も良い」(ポコさん)
独自の調味料で数日間味をなじませた豚肉をひき肉にし、一部に豚トロを使うことで、肉汁があふれる作りでありながら、しつこすぎない仕上がりにした。「肉のうまみを引き出していて後味も良い」(佐藤健一さん)
(1)740円(5~7本合計200グラム)(2)静岡県富士宮市
7 生ウインナー (プレーン)
(糸島手造りハム) 九州素材のジューシーな食感
<300>加熱処理をしない生ウインナー。本場ドイツでは「ブラードブルスト」と呼ばれるタイプ。焼くと脂が溶け出しジューシーな食感を楽しめる。
「豚肉のおいしさがダイレクトに伝わる」(猪口由美さん)「あっさりとしながら肉のうまみを感じる」(佐藤さん)など、肉本来の味が好評だった。
1979年の創業以来ドイツの製法を続ける生産者の人気商品で、本社工場と同じ敷地にある洋風レストランと炭火焼き店でも食べられる。地元糸島や熊本県産の豚肉など九州産の素材を使い、チーズやレモンなどを入れた種類もある。
(1)615円(6本合計150グラム)(2)福岡県糸島市
8 ポークソーセージ
(けむり屋) スモークの上品な香り
<260>北海道のエゾヤマザクラのチップでゆっくりいぶした燻香(くんこう)が好評だった。経営者自ら設計した燻製器は、しっかりと香りが付く直火(じかび)式。「スモークの上品な香りと食感で、うまみもしっかりしている」(照井さん)
1997年創業の生産者が家族3人で手作りし、直売所と通信販売を中心に販売している。北海道産の新鮮な豚肉と塩、香辛料だけを使い、保存料や着色料などは使わない。
家族が毎日食べても飽きない商品がコンセプトだ。「軟らかく肉汁が多めで、子供も食べやすい」(猪口さん)という声もあった。
(1)670円(5本合計120グラム)(2)北海道上富良野町
9 TESIOフランク
(TESIO) はじける歯応え、沖縄の豚肉
<250>パキッとはじけるような歯応えと沖縄県産豚肉を中心に肉の味わいを楽しめるシンプルでジューシーなスモークソーセージ。2019年には国際見本市IFFAのコンテストで金賞を獲得した。「食感がよく甘めの優しい味」(森本さん)が支持された。
作り手は沖縄ならではの素材を使ったハム・ソーセージの専門店。伝統的なドイツ製法で作る。22年にはIFFAに出品した全ての商品が金賞を受賞した実力派だ。「しっかりと肉の味が感じられる。ピルスナータイプのビールに合う」(野田さん)
(1)850円(3本合計180グラム)(2)沖縄市
10 粗挽きソーセージ
(大江ノ郷自然牧場) 無添加のシンプルな味
<240>鳥取県東南部の山あいにある大江ノ郷自然牧場が、県内産の豚を中心に使って製造する。「余計なものが入っていないシンプルな味で、大人から子供まで年齢を問わず楽しめる」(猪口さん)
一般的な商品に使われる防腐剤やうま味調味料、でんぷん、結着剤も使わず作った無添加も売りだ。「ドイツで食べたソーセージの味と同じ。小さいながらもしっかりしている」(照井さん)という評価もあった。
牧場内の複合施設では、家族連れでガラス越しに製造工程を見ることができる。
(1)918円(5本合計135グラム)(2)鳥取県八頭町
ランキングの見方 商品名(製造元または発売元)。数字は専門家の評価を点数化。(1)取り寄せできる最小単位の税込み本体価格(本数と内容量)(2)製造元・発売元の所在地。写真は鈴木健撮影。スタイリングは島本美由紀。
調査の方法 通信販売で購入できる地域密着型生産者の商品で、100グラムあたり800円以下を条件に、井上真一(食文化取締役)、初鹿美佐子(おとなの週末お取り寄せ倶楽部バイヤー)、村上武士(現代ソーセージ研究家)の3氏の協力で22商品を選定。専門家7人による試食会で味や価格、地域の個性を考慮して1~10位を選んでもらい、編集部で集計した。(堀聡が担当しました)
電子版有料会員の方はスマートフォンなどのカメラでこのQRコードを読み込むと、何でもランキングの過去記事(2019年7月20日付以降)をご覧になれます。
銀行でポイント獲得、デビット決済で高還元も(ポイント賢者)[2025/04/05 日経プラスワン 3ページ 733文字 PDF有 書誌情報]
銀行取引でポイントを獲得できるサービスが増えています。みずほ銀行は4月中旬から「みずほポイントモール」を始めます。現在の「みずほマイレージクラブ」をリニューアルし、ATMの時間外手数料が無料になるなどの特典にポイントサービスを追加します。
例えば、給与の受け取りで毎月20ポイント、クレジットカードの「みずほマイレージクラブカード」や「みずほ楽天カード」、デビットカードの「みずほJCBデビット」の利用などで1キャッシュレス商品あたり10ポイント獲得できます。たまったポイントは楽天ポイント、PayPayポイント、dポイントに1ポイント=1円相当で交換できます。
Vポイントがたまる銀行サービス「V NEOBANK」のポイントプログラムも3月に変更となりました。V NEOBANKはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ企業が住信SBIネット銀行の銀行代理業者として提供するサービスです。口座振替など様々な銀行取引でVポイントを獲得できます。
マスターカードのスマホデビットを月に1000円以上利用で1・5%のVポイント還元も始まりました。従来のスマホデビット利用でポイント付与はありませんでした。スマホデビットは実店舗でスマホタッチ決済を利用するか、オンライン決済で使います。クレカでも還元率が1・5%のカードは少なく、おトクです。
月末と翌月1~5日の毎日の円普通預金残高が10万円以上の場合、50ポイント獲得できる特典も追加され、銀行取引でVポイントがたまりやすくなりました。
銀行サービスのポイントは、一度利用を始めれば自動的にたまっていきます。新年度が始まったのを機に、利用する銀行口座を見直してもよいでしょう。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
三井住友銀行、関西初の新型店「オリーブラウンジ」公開[2025/04/04 20:15 日経速報ニュース 717文字 画像有 ]
三井住友銀行は4日、大阪市内で7日開業する新型店舗「オリーブラウンジ」を報道公開した。窓口やATMなど従来の店舗機能に加えてカフェやシェアラウンジを設けた。関西では初出店。日常的に使うカフェやラウンジを併設させることで、銀行サービスをより身近に感じられるようにする。
報道公開した「オリーブラウンジ船場」は三井住友銀の船場支店・御堂筋支店を改装して開業する。1階には個人向け窓口とスターバックス、2階には法人向け窓口と新型店舗で連携したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手掛けたシェアラウンジを設けた。
上村明生専務執行役員は「仕事や日常、遊びと、どんな時でも集まれる場所として活用してほしい。大阪のビジネス街に位置し、歴史ある船場にふさわしい交流の場にしたい」と語った。「カフェやラウンジ、ATMなどもあわせて、1日当たり2000~3000人が来場するだろう」と期待を込めた。
新型店舗を開く狙いの一つには、同行が手掛ける総合金融サービス「オリーブ」の導入促進がある。オリーブは銀行口座やクレジット、デビットや保険を一括で管理できるサービスで、会員数は2024年度末時点で500万人を超え、28年に1200万人の会員登録を見込む。
新型店舗では同サービスの使い方を指南する役割も兼ね備える。オリーブの会員専用の作業スペースや、オリーブを利用したスマートフォン決済によるポイント還元などの特典もつける。
今後はオリーブラウンジ船場を大阪府の旗艦店に位置づけ、関西の他地域でもオリーブラウンジを広く展開したい考え。7月には旧塚口支店(兵庫県尼崎市)、秋ごろには南森町支店(大阪市)の拠点にそれぞれ新型店舗を新設する計画だ。
auペイメント、「au PAY」でデジタル給与払い提供[2025/04/04 19:04 日経速報ニュース 342文字 画像有 ]
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)は4日、スマートフォン決済「au PAY」を通じて給与をデジタル払いすることができるサービスの提供を始めたと発表した。同日に厚生労働省が指定事業者として認定した。デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目となる。
すでにKDDIのグループ会社の一部が導入した。給与のデジタル払いを導入したい事業者は、従業員が専用の給与受取口座を開設する方式か、口座を開設せずにau PAYの会員情報を通じて直接受け取る方式を選ぶことができる。
給与としてau PAYにチャージできる金額の上限は10万円とした。給与口座からauじぶん銀行の口座に出金する場合の手数料は無料とした。他の金融機関では月に1回まで無料とし、2回目以降は220円とした。
伊豆箱根バス、クレカのタッチ決済導入 15日から[2025/04/04 18:55 日経速報ニュース 307文字 画像有 ]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
イオン4割減益に下振れ 前期、小売り苦戦や構造改革で[2025/04/04 18:44 日経速報ニュース 1328文字 画像有 ]
イオンは4日、2025年2月期の連結純利益が前の期比36%減の285億円だったと発表した。3%増の460億円とする従来予想から一転減益となる。主力の小売事業で経費がかさみ苦戦。クレジットカードの不正利用被害や中国のショッピングモールの店舗閉鎖に関するコスト、国内ドラッグストアの減損損失なども響いた。
純利益の悪化は最終赤字になった21年2月期以来4年ぶり。売上高にあたる営業収益は6%増の10兆1340億円、営業利益は6%減の2370億円だった。プライベートブランド(PB)の販売を伸ばすことなどで営業収益は同社として初めて10兆円を超えたものの、営業利益で8%増の2700億円としていた会社計画には届かなかった。純利益は事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、346億円)も下回った。
主力の小売事業では経費増を吸収しきれなかった。イオンは24年春にパート従業員の時給を平均7%引き上げ人件費が増えた。グループの共通アプリで独自ポイント「WAON(ワオン)」やクーポン配布などで誘客に力を入れ販促経費もかさんだ。
消費者の節約志向の高まりを受け、イオンは前期下期からPBの「トップバリュ」の低価格帯シリーズで約500品目の新商品を出し、一部を実質値下げした。PBの販売量を伸ばし粗利総額を保って経費増を補う戦略だったが、増収効果で補えなかった。
一方、総合金融とショッピングセンター(SC)開発、アミューズメント施設などのサービス・専門店事業の3事業は増益だった。クリスマスや年末商戦でのイベント施策が奏功し、SCの客足回復とテナントの専門店の売り上げが伸びた。クレジットカードの利用が増えて金融事業も増益を確保した。
クレジットカード「イオンカード」の不正利用被害に関連する費用を計上し、利益を押し下げた。イオンカードでは24年夏ごろから、NTTドコモの非接触決済システム「iD(アイディ)」を使った本人認証を必要としない少額決済(オフライン取引)で不正利用が相次いで報告されており、被害は数万人にのぼる。被害者の損失補などの費用がかさんだ。
構造改革に伴う損失も響く。中国では不動産不況のあおりを受け、中国本土の沿岸部を中心に消費が低迷。同社は北京などの収益性の低い店舗を閉鎖し、武漢など比較的消費が活発な地域へ出店計画を見直しており、閉店関連の損失を計上した。
国内では、傘下のイオンモールが手掛ける都市型ショッピングセンター事業が24年2月期まで6年連続の最終赤字を計上しており、立て直しを急ぐ。25年2月期は聖蹟桜ケ丘オーパ(東京都多摩市)や心斎橋オーパ(大阪市)の閉店に伴う損失がでた。ドラッグストアを手掛けるヘルス&ウエルネス事業では一部の収益性の低い店舗で減損損失が発生した。
節約志向は今後も続きそうだ。帝国データバンクの調査によると、4月の食品の値上げ品目は4225品目と月別で1年半ぶりの多さだ。25年2月期決算と26年2月期の見通しの発表は11日を予定する。岡三証券の金森淳一シニアアナリストは「急に消費がよくなると思えない。低価格帯だけでなく高付加価値PBも拡充し全体で粗利を改善させていけるかが焦点だ」と指摘する。
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三菱UFJニコス、全保連株式に対する公開買付けの結果などに関して発表[2025/04/04 17:08 日経速報ニュース 898文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード:5845)に対する公開買付けの結果及び連結子会社(孫会社)の異動に関するお知らせ
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤宏規、以下「当社」といいます。)の完全子会社である三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田典彦、以下「公開買付者」といいます。)は、2025年2月14日開催の取締役会において、全保連株式会社(以下「対象者」といいます。)の普通株式を公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議し、同年2月17日より本公開買付けを実施しておりましたが、本公開買付けが2025年4月3日をもって終了いたしましたので、以下の添付資料のとおりお知らせいたします。
また、本公開買付けの結果、2025年4月10日(本公開買付けの決済の開始日)付で対象者は当社の連結子会社(孫会社)となる予定ですので、併せてお知らせいたします。
記
I 当社完全子会社(三菱UFJニコス株式会社)による公開買付けの結果
本公開買付けの結果につきましては、添付資料「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」をご覧ください。
II 連結子会社(孫会社)の異動
1.異動の理由
本公開買付けの結果、対象者は本公開買付けの決済の開始日である2025年4月10日をもって当社の連結子会社(孫会社)となる予定です。本公開買付けの目的等につきましては、2025年2月14日に公表しております「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの開始及び同社との資本業務提携契約の締結に関するお知らせ」をご覧ください。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689373/01_202504041712.pdf
マリオット・インターナショナル、JWマリオット・ホテル奈良がフォーブス・トラベルガイドのサステナビリティ認証を取得[2025/04/04 16:02 日経速報ニュース 801文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
【JWマリオット・ホテル奈良】フォーブス・トラベルガイドの「Responsible Hospitality」認証を取得
奈良県で唯一、日本国内では2軒目の快挙
JWマリオット・ホテル奈良(所在地 : 奈良県奈良市三条大路 1丁目1-1、総支配人 : クラウス・クリスタンドル)はこのたび、世界的権威のある「フォーブス・トラベルガイド」が設けるサステナビリティ認証『Responsible Hospitality』を取得いたしました。本認証は、環境保護や従業員・ゲスト・地域社会の福祉を考慮しながらも、優れたゲスト体験を提供するホテルに与えられるフォーブス・トラベルガイドの公式の認証であり、当ホテルは奈良県内で唯一、日本国内では2軒目の取得となります。
※参考画像は添付の関連資料を参照
JWマリオット・ホテル奈良では、「サステナビリティ」をテーマに、以下のような環境負荷の低減に向けたさまざまな取り組みを展開しております。
・EV車充電器の設置
・ペーパーレス化の推進(チェックイン・チェックアウト時、QRコードを活用した施設案内など)
・奈良県産の食材や平飼い卵を使用した地産地消の促進
・フードロス削減への取り組み
・児童養護施設「愛染寮」へのチャリティプログラムの実施
JWマリオット・ホテル奈良は、これからも地域社会との共生を大切にしながら、より良い未来に向けた努力を続けてまいります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/01_202504041600.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/02_202504041600.pdf
auペイメント、「au PAY 給与受取」を提供開始[2025/04/04 16:00 日経速報ニュース 1101文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
au PAY、給与デジタル払いを開始
~「au PAY 給与受取」をKDDIグループの一部で先行導入~
auペイメントは2025年4月4日、資金移動業者の口座への賃金支払(以下 給与デジタル払い)に対応する資金移動業者として厚生労働大臣の指定を受けました。これにより、スマホ決済「au PAY」で給与受け取りが可能な給与デジタル払いのサービスとして「au PAY 給与受取」を提供開始します。
事業者が「au PAY 給与受取」を導入することで、当該事業者の下で勤務するau PAYご利用者(注1)は、従来の現金や金融機関口座での給与受け取りに加え、au PAY給与残高(注2)での給与受け取りが可能になります。
KDDIおよびauフィナンシャルグループをはじめとするKDDIグループ各社(以下 KDDIグループ各社)は、「au PAY 給与受取」の提供開始に伴い、2025年5月以降分の給与支払いから順次、希望する従業員を対象に、au PAY給与残高への給与デジタル払いを導入します。
<導入を決定または検討しているKDDIグループ各社(注3)>
・KDDI株式会社
・auフィナンシャルホールディングス株式会社
・auペイメント株式会社
・auじぶん銀行株式会社
・auフィナンシャルサービス株式会社
・auアセットマネジメント株式会社
・au損害保険株式会社
・auフィナンシャルパートナー株式会社
なお、auペイメントはすべてのau PAYご利用者へのサービス提供開始を見据えた準備を進めており、受付開始の際は改めてお知らせします。
auペイメントは「au PAY 給与受取」の提供を通じて、給与受け取り方法の選択肢を拡げ、従業員エンゲージメント強化に取り組むためのサポートをしていきます。
「au PAY 給与受取」の詳細は別紙および以下のウェブサイトをご参照ください。
・「au PAY 給与受取」事業者向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/index.html )
・「au PAY 給与受取」従業員向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/service.html )
以上
※別紙は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
別紙
https://release.nikkei.co.jp/attach/689366/01_202504041559.pdf
外為12時 円相場、上昇し146円台前半 景気不安・株安進行で[2025/04/04 12:34 日経速報ニュース 817文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇している。12時時点は1ドル=146円11~13銭と前日17時時点と比べて1円13銭の円高・ドル安だった。トランプ米大統領による相互関税の発表を受け、世界的に景気不安が高まっている。日経平均株価が連日で大幅安となるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。
日経平均株価の午前の下げ幅は900円を超えた。3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドルと新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさとなった。日米の株安進行を受けて投資家心理が悪化し、相対的にリスクが低いとされる円に買いが向かった。
円は朝方に145円55銭近辺まで上昇する場面があったが、その後は上げ幅を縮めた。国内債券市場は長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。金融・資本市場の混乱を受け、日銀が追加利上げに動きにくくなるとの見方が円相場の上値を抑えた。直近の円上昇に伴い、10時前の中値決済に向けては国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測もあった。
植田和男総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済を下押しする方向に働く」などと述べたが、円相場への影響は限られた。
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日公表した3月の非製造業(サービス業)景況感指数は市場予想を下回った。関税強化に伴うインフレ圧力の高まりと景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」への懸念もくすぶり、主要通貨に対してのドル売りも広がっている。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=161円60~63銭と、同6銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1060~61ドルと同0.0090ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、堅調 146円台前半、日銀総裁発言への反応は限定的[2025/04/04 10:34 日経速報ニュース 682文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は堅調だ。10時時点は1ドル=146円02~03銭と前日17時時点と比べて1円22銭の円高・ドル安だった。米関税による世界的な景気不安の高まりに加え、日米の株安進行への警戒感が高まり、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。日銀の植田和男総裁の国会での発言への反応は今のところ限られている。
実需勢の円売り・ドル買い観測や国内金利低下は上値を抑えている。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。直近の円相場の急上昇もあり、10時前の中値決済に向けては「国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。
植田総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済に下押し」になるとの認識などを示した。
国内債券市場では長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。日経平均株価の下げ幅が一時900円を超えるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、相対的に安全資産とされる国内債は買いが優勢だった。トランプ米政権の相互関税が国内企業の輸出の落ち込みなどを通じて景気減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測を後退させており、円相場の重荷となっている。
円は対ユーロでもやや上げ幅を縮小している。10時時点では1ユーロ=161円50~55銭と、同4銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルでやや上げ幅を広げている。10時時点では1ユーロ=1.1061ドル近辺と同0.0091ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
今日の東京円相場 上昇、145円台 日米株安でリスク回避強まる[2025/04/04 08:00 日経速報ニュース 972文字 ]
4日の東京外国為替市場で円相場は上昇しそうだ。1ドル=145円台を中心とした動きが見込まれる。3日のニューヨーク市場で主要通貨に対してドル売りが進み、対円で一時145円台前半と半年ぶりの円高・ドル安水準をつけた。トランプ米大統領が発表した「相互関税」は市場の想定より厳しい内容となり、世界的に景気の先行き不安が強まった。前日の東京の取引時間帯で米相互関税の織り込みは進んだが、その後の日米の株安加速もあって「低リスク通貨」とされる円に買いが集まりそうだ。
3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドル安と新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさだった。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物の中心限月である6月物は前日比1230円安の3万3620円で終えた。前日に続いて日本株が大幅安となれば投資家のリスク回避姿勢は高まり、相対的にリスクが低い円には買い圧力の強い状況が続きそうだ。
4日早朝の円相場は145円台後半と前日17時時点と比べて2円近くの円高・ドル安となっている。市場関係者が有力とみていた日米金利差の縮小シナリオが後退する可能性は円相場の重荷となる。トランプ米政権の関税発動は米国のインフレ懸念を増幅させ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを難しくする要因になる。日本では米関税による輸出の落ち込みが経済減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測の後退につながっている。
円相場の急上昇に伴い、国内実需筋に動きがあれば上値を抑える要因となる。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まる可能性もある。
4日は3月の米雇用統計の発表を控える。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想は非農業部門の雇用者数が前月比14万人増、失業率が4.1%と前月から横ばいの予想だ。イーロン・マスク氏が率いる米政府効率化省(DOGE)が主導する人員削減が影響するとの見方がある。米景気の動向を見極めるため、市場では次第に様子見姿勢が強まりそうだ。
国内は総務省が2月の家計調査を発表するほか、3カ月物国庫短期証券の入札を予定している。海外はパウエルFRB議長などが講演を予定している。
〔日経QUICKニュース(NQN) 加治屋雄基〕
サムスンのAIスマホ、日本で販促に力 日本法人CMO ライブと連携、補正機能PR[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 4ページ 1376文字 PDF有 書誌情報]
サムスン電子ジャパンが日本で携帯通信会社との連携を深めている。10年ぶりにソフトバンクがサムスンのスマートフォン「ギャラクシー」の取り扱いを再開し、KDDIやNTTドコモとも共同販促を打ち出す。iPhone1強体制の日本でいかにシェアを高めていくか。日本法人で最高マーケティング責任者(CMO)を務める小林謙一氏に聞いた。
――2025年のマーケティング戦略は。
「大きく2つのテーマがある。信頼と納得だ。消費者の信頼を獲得するためには、携帯通信会社など第三者からの客観的な評価が大切。通信事業者と『Co―Marketing(共同マーケティング)』に注力する」
「NTTドコモは若年層開拓にギャラクシーを積極活用し、KDDIは『推し活』と組み合わせた販促を展開してくれている。ソフトバンクはギャラクシーの取り扱い再開をニュースとして起爆剤にしたいと言ってくれている」
――ソフトバンクが取り扱いを再開しました。
「人工知能(AI)に注力するソフトバンクグループにとって『頼れるAIパートナー』としてサムスンの技術力に注目してくれた。グループとしてAIに経営資源を集中しており、サムスンブランドのテーマ設定とうまく適合した」
――もう1つの納得とは。
「ギャラクシーの最大の訴求ポイントであるAIエージェントは体験してもらわないと納得感は得られない。スマホはコモディティー(汎用品)化が進む。どれだけ日々の生活を変えてくれるか、を実感してもらうことが重要なマーケティングだ。体験の場をつくることにこだわった」
「東京の原宿と大阪の難波での自社販促拠点だけでなく、ポップアップ型の販促活動も積極的に展開した。S25シリーズの最大の武器はカメラ性能。暗い場所での動画撮影におけるAI補正のレベルを高めた。不要な音声を消す機能も評価されている。これらは実際に体感してもらって価値を認識してもらえる」
――新しいマーケティングの取り組みは。
「若年層の開拓のために音楽ライブとの連携を重視した。ライブ中の撮影可能な時間帯にギャラクシーの100倍ズームで撮影し、前の観客やノイズを消すこともできる。『推し』のライブシーンを残せると評判を呼んだ」
「KDDIとは『新しい学校のリーダーズ』のライブを企画した。映画の試写会では、舞台上から俳優陣と観客を撮影し、その場で独自アプリを通して観客全員に高精細画像を共有した。ソフトバンクホークスの試合では観客にギャラクシーを使ってもらう販促活動も展開する」
――日本でのiPhone牙城は突き崩せるか。
「手応えはある。『ギャラクシーらしさ』とはスマホ+α。米国や韓国に比べて遅れていたウエアラブル機器も早期に投入していく。健康管理の『フィット』、指輪型端末『リング』などセンシング技術を組み合わせたトータルサービスを提供していく」
「折り畳み端末、バッテリー性能、強力なMPU(超小型演算処理装置)といったハードの強みに加えて、決済サービスなど使いやすいアプリ設計も重要となる。かゆいところに手が届く性能を訴えて日本でもギャラクシーの価値を訴えていきたい」
(聞き手は細川幸太郎)
【図・写真】サムスン電子ジャパンの小林謙一CMO
【図・写真】KDDIとは「新しい学校のリーダーズ」のライブを企画した=サムスン電子ジャパン提供
PayPay(会社人事)[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 7ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
PayPay
(4月1日)営業統括本部ポイントソリューション営業本部長(パートナー営業本部ポイント営業1)渡辺哲平
高知信金 決済アプリ、チャージ金融機関を拡充 メガバンクなど300以上対応 「アニクリ祭」へ利便性向上[2025/04/04 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 590文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫は高知県内で使える決済アプリ「ジモッペイ」にチャージできる金融機関を拡充した。メガバンクや地銀など全国300以上の金融機関に対応する。同信金が中心となって開催するイベント「高知アニクリ祭2025」を控え、利用者の利便性を向上させた。
ジモッペイは2024年3月に始まった電子決済サービスで、同信金が独自に開発。スマートフォンのアプリで店頭のQRコードを読み込み支払う。県内約3000店舗で利用でき、アプリのユーザーは約4万4000人となっている。
これまでは同信金の口座やATM、セブン銀行のATMなどでチャージしていた。新たに取引のある金融機関の預金口座を登録することで、アプリに直接チャージできるようにした。アプリ上でマイナンバーカードなどによる本人確認を行い、早ければ当日から利用できるという。
一方、アニクリ祭は高知県が共催し、5~6日に開催する。高知市内の県民体育館や中心商店街、公園など5カ所が会場で、アニメ制作体験や人気声優のステージ、コスプレーヤーらによるパレード、グッズ販売などがある。大手出版社などが後援しており、大勢の来場者が予想される。
混雑を避けるため会場内での飲食やグッズ購入はキャッシュレス決済を推奨しており、ジモッペイはオフィシャル通貨となっている。利用者がアプリを提示すると、300ポイントをプレゼントするなどの特典を用意している。
高知信用金庫の決済アプリ、銀行からもチャージ可能に[2025/04/03 18:59 日経速報ニュース 592文字 画像有 ]
高知信用金庫は高知県内で使える決済アプリ「ジモッペイ」にチャージできる金融機関を拡充した。メガバンクや地銀など全国300以上の金融機関に対応する。同信金が中心となって開催するイベント「高知アニクリ祭2025」を控え、利用者の利便性を向上させた。
ジモッペイは2024年3月に始まった電子決済サービスで、同信金が独自に開発した。スマートフォンのアプリで店頭のQRコードを読み込み支払う。県内約3000店舗で利用でき、アプリのユーザーは約4万4000人となっている。
これまでは同信金の口座やATM、セブン銀行のATMなどでチャージしていた。新たに取引のある金融機関の預金口座を登録することで、アプリに直接チャージできるようにした。アプリ上でマイナンバーカードなどによる本人確認を行い、早ければ当日から利用できるという。
一方、アニクリ祭は高知県が共催し、5~6日に開催する。高知市内の県民体育館や中心商店街、公園など5カ所が会場で、アニメ制作体験や人気声優のステージ、コスプレーヤーらによるパレード、グッズ販売などがある。大手出版社などが後援しており、大勢の来場者が予想される。
混雑を避けるため会場内での飲食やグッズ購入はキャッシュレス決済を推奨しており、ジモッペイはオフィシャル通貨となっている。利用者がアプリを提示すると、300ポイントをプレゼントするなどの特典を用意している。
外為17時 円相場、大幅反発 147円台前半 トランプ関税で3週ぶり高値[2025/04/03 17:29 日経速報ニュース 808文字 ]
3日の東京外国為替市場で、円相場は3日ぶりに大幅反発した。17時時点では前日の同時点に比べ2円43銭の円高・ドル安の1ドル=147円22~24銭で推移している。16時ごろに146円80銭近辺と3月11日以来、約3週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。トランプ米大統領が2日、世界各国・地域からの輸入品に「相互関税」をかけると公表した。米景気の悪化懸念が強まり、主要通貨に対してドル売りが優勢になった。
トランプ米大統領は2日に演説し、貿易相手に一律10%の関税を課し、国・地域ごとに異なる税率を上乗せする方針を示した。関税強化により米国経済が景気悪化と物価上昇が併存する「スタグフレーション」に至るとの警戒感もくすぶるなか、主要通貨に対してドルが大きく下落した。
3日の東京市場では米国の相互関税が企業業績を圧迫するとの懸念で、日経平均株価が900円あまり下げた。日本時間3日の取引で米株価指数先物が下落するなど投資家心理が悪化し、「低リスク通貨」とされる円の買いが優勢になった面もあった。
10時前の中値決済にかけては国内輸入企業による円売り・ドル買いが出たとの観測があった。もっとも投資家のリスク回避が加速する中で、円買い・ドル売りの圧力が増した。
円は対ユーロで小幅に反落した。17時時点では同6銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=161円55~59銭で推移している。対ドルでのユーロ買いが優勢になり、円安・ユーロ高が進んだ。もっとも対ドルでは円買いも入ったため、円の対ユーロ相場は底堅かった。
ユーロは対ドルで3日ぶりに反発した。17時時点は同0.0182ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.0973~75ドルで推移している。16時すぎに一時1.0990ドル近辺と2024年10月以来、約半年ぶりの高値をつけた。米景気の減速懸念でユーロ買い・ドル売りが集まった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為12時 円相場、大幅高 米関税発表受けリスク回避[2025/04/03 12:24 日経速報ニュース 660文字 ]
3日午前の東京外国為替市場で、円相場は大きく上昇した。12時時点は1ドル=147円74~76銭と前日17時時点と比べて1円91銭の円高・ドル安だった。11時半前には147円52銭近辺まで上げ幅を広げ、13日以来の高値を付ける場面があった。トランプ米政権の相互関税の詳細が日本時間早朝に発表された。3日の日経平均株価が大幅に下落するなど投資家心理の悪化に伴い、「低リスク通貨」とされる円に買いが向かった。
トランプ米政権は米国のすべての輸入品に対し、一律で10%の関税をかけるほか、一部の国・地域に対してさらに高い税率を課す見通し。欧州連合(EU)には20%、日本には24%の関税をかけるという。 米関税政策を受けた世界的な景気下押しの懸念が高まり、相対的にリスクが低い円や国債を買う動きが強まった。
10時前の中値決済に向けては、国内輸入企業による円売り・ドル買いの観測があった。 ベッセント米財務長官は発表した関税率について「上限である」と説明しており、関税を課した各国に交渉余地の可能性がある点も円相場の上値を抑えた。ただ、市場では「リスクオフ(回避)ムードが広がっており、円買い圧力のほうが強い」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。
円は対ユーロでも上昇した。12時時点は1ユーロ=161円22~26銭と、同27銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.0912~13ドルと同0.0121ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、堅調 148円ちょうど近辺 リスク回避の買い[2025/04/03 10:30 日経速報ニュース 573文字 ]
3日午前の東京外国為替市場で、円相場は堅調だ。10時時点は1ドル=148円00~01銭と前日17時時点と比べて1円65銭の円高・ドル安だった。9時50分すぎには147円69銭近辺ときょうの高値を付けた。トランプ米政権による相互関税の詳細が日本時間早朝に発表された。3日の日経平均株価が大幅に下落するなど投資家心理が悪化し「低リスク通貨」とされる円に買いが入っている。
米関税政策を受けた世界的な景気減速懸念が高まるなかで、相対的にリスクが低い円や国債を買う動きが強まっている。もっとも、円相場は買いが一巡した後に上値の重さも目立つ。ベッセント米財務長官は発表した関税率について「上限である」との認識を示しており、関税を課した各国に交渉余地の可能性がある点も円買いの勢いをやや鈍らせている。
10時前の中値決済に向けては、国内輸入企業による円売り・ドル買いの観測もあったが「リスクオフ(回避)ムードが強く、円買い圧力のほうが強い」(国内銀行の為替担当者)との声も聞かれた。
円は対ユーロで高い。10時時点では1ユーロ=161円13~17銭と、同36銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇している。10時時点では1ユーロ=1.0887~89ドルと同0.0096ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
三井住友FG、ステーブルコイン開発 米2社連携、企業間決済コスト減へ[2025/04/03 日本経済新聞 朝刊 7ページ 461文字 PDF有 書誌情報]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は法定通貨に連動するステーブルコインを米国企業と開発する。米国でブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ったステーブルコインの基盤をつくるアバラボ、デジタル資産の管理システムを開発するファイアブロックスの2社と連携する。
ステーブルコインの基盤をシステム会社のTISも交えて開発し、25年度下期にも実証実験する。企業間決済などで需要を探った上で、26年度をめどにステーブルコインの発行を検討する。ステーブルコインは三菱UFJ信託銀行などが発行を検討しており、三井住友FGも大企業などで潜在的な需要が見込めると判断した。
ブロックチェーン上でデータをやり取りするステーブルコインを使えば、企業間の決済にかかるコストが下がると期待されている。特に国際銀行間通信協会(Swift)を介する国際送金のコストの引き下げにつながる可能性がある。海外ではJPモルガン・チェースなどが活用へ動いている。
ステーブルコインを巡っては、同コインを電子決済手段と定義した改正資金決済法が23年に施行された。
特集――9年ぶり来日 ウィーン国立歌劇場 公演の概要[2025/04/03 日本経済新聞 朝刊 32ページ 1366文字 書誌情報]
《演目と予定される主な配役》
▼モーツァルト作曲「フィガロの結婚」
全4幕(指揮=ベルトラン・ド・ビリー 演出=バリー・コスキー)アルマヴィーヴァ伯爵:アンドレ・シュエン、アルマヴィーヴァ伯爵夫人:ハンナ=エリザベット・ミュラー、スザンナ:イン・ファン、フィガロ:リッカルド・ファッシ
▼R・シュトラウス作曲「ばらの騎士」
全3幕(指揮=フィリップ・ジョルダン 演出=オットー・シェンク)陸軍元帥ヴェルテンベルク侯爵夫人(マルシャリン):カミラ・ニールンド、オックス男爵:ピーター・ローズ、オクタヴィアン:サマンサ・ハンキー、ゾフィー:カタリナ・コンラディ
※掲載の配役は2025年4月2日現在のものです。病気やケガなどのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演します。ご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は公演当日発表とさせていただきます。
《開催概要》
◎演目/日程/会場/入場料(税込み)
▼「フィガロの結婚」=10月5日(日)午後2時、7日(火)午後3時、9日(木)午後6時、11日(土)午後2時、12日(日)午後2時
▼「ばらの騎士」=10月20日(月)午後3時、22日(水)午後3時、24日(金)午後3時、26日(日)午後2時
東京文化会館(東京・台東)
【平日】S席7万9000円~E席2万6000円、U39シート(公演当日、30歳から39歳までが対象)1万9000円、U29シート(公演当日、小学1年生から29歳までが対象)1万円。【土・日】S席8万2000円~E席2万9000円、U39シート2万1000円、U29シート1万3000円
全公演に寄付金付のサポーター席があります。(各S席料金に5万円を加えた金額)
◎チケット販売
(1)2演目セット券(S~B席&サポーター席)=NBS WEB先行:4月7日(月)午後9時~16日(水)午後6時。NBS電話受付:4月8日(火)午前10時~16日(水)午後4時
(2)単独券(S~E席&サポーター席)=NBS WEB先行:4月11日(金)午後9時~16日(水)午後6時
(3)一般発売=4月18日(金)午前10時からNBS、NBS WEBほか各プレイガイドで販売開始
(4)U39シート、U29シート=8月28日(木)午後9時からNBS WEBチケットのみで引換券を発売。座席指定はできません。座席指定券は公演当日のお渡しになります。公演当日、年齢が確認できる身分証を持参してください。
詳細はQRコードをご確認ください。
《ウィーン国立歌劇場来日記念特別イベント》
~アンサンブルとトークで贈る、ウィーン国立歌劇場への誘い~
出演(予定):ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)、クリスチャン・フローン(ヴィオラ)、タマーシュ・ヴァルガ(チェロ)、ボグダン・ロシチッチ(ウィーン国立歌劇場総裁)※トークは通訳付き
日程:10月7日(火)午後1時(予定)
会場:東京文化会館小ホール
入場料(税込み):全席指定一律3500円
チケット販売:4月18日(金)午前10時からNBS、NBS WEBほかで販売開始
◎以上、問い合わせ:NBS(電)03・3791・8888
滋賀銀、平和堂と連携 互いの顧客情報分析・活用[2025/04/03 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
滋賀銀行は2日、滋賀県を基盤とするスーパー大手、平和堂と包括連携協定を結んだ。地域の金融リテラシー向上と経済活性化で協力する。この夏にも京都府や滋賀県(京滋)の平和堂店舗で新NISA(少額投資非課税制度)、相続などに関して滋賀銀がセミナーを始める。双方が持つ顧客データの分析、活用も検討していく。
滋賀銀は地域金融を軸に事業を多角化しており、膨大なPOS(販売時点情報管理)を持つ流通大手との連携で可能性を広げる。平和堂は決済アプリを軸に顧客のライフスタイルを支援する独自の経済圏を構想し、フィンテックを巡る滋賀銀の技術に期待する。
25年04月07日
博報堂がITコンサル参入 AIで危機感、共同出資2社設立[2025/04/07 05:00 日経速報ニュース 4438文字 画像有 ]
2025年1月、博報堂は立て続けに2社との共同出資会社設立を発表した。相手はNTTデータと、アプリ開発会社のアイリッジだ。これによりITコンサル事業に本格参入する。ただ、そこは外資系を中心とする大手コンサルティング企業という強力なライバルがいる世界。激しい競争が待ち受けるにもかかわらず、なぜ博報堂は「参戦」を決めたのか。同事業を担当する、博報堂常務執行役員の青木雅人氏に話を聞いた。
「NTTデータと協業を進めているのは、もしかして青木さんのところですか。だとしたら、すごい気持ち悪いです」
2024年秋ごろ、博報堂常務執行役員の青木雅人氏は、ある競合会社の幹部にこう言葉をかけられて驚いた。水面下で、NTTデータとの協業、さらに指摘はされなかったが、アプリ開発会社のアイリッジと資本業務提携をまさに進めていたからだ。
この「気持ち悪い」という言葉は、博報堂が強力なライバルになり得ることに対する、競合会社の警戒心の表れだ。
正式に博報堂が発表したのは、25年1月。同月16日、まずアイリッジと資本業務提携および共同出資会社の設立を発表。共同出資会社の株式は博報堂が51%を握る。加えて同月24日、今度はNTTデータと共同出資会社を設立することも公にした。こちらの共同出資会社では、博報堂は80%の株式を持つ。
2つの共同出資会社とも営業開始は25年4月の予定で、博報堂で既存広告業務以外の新規事業を管轄する、コマースデザイン事業ユニットが統括する。要は、博報堂が経営の主導権を握る構図となる。
今後博報堂は、アプリ開発の力、そしてバックエンドのシステム開発・実装の案件を受注する力を身に付け、ITコンサルティング事業を大幅に強化することになる。
かねてITコンサルの主戦場は、企業の基幹・業務システムを手掛けるバックエンドの開発力を得意とする、アクセンチュアやデロイトトーマツといったコンサルティング企業が主役を務める。広告業界では、電通が傘下の電通総研や電通デジタルで対抗しているものの、競合は続いていなかった。
従来、博報堂もコンサルティング事業は手掛けていたものの、ウェブサイトなどフロントエンドの開発に限定した取り組みにとどめていた。セキュアな環境で顧客情報を管理することが求められる本格的なアプリ開発や、バックエンドの開発力を持たなかったからだ。
自前のシステム開発力を持たなければ、仕事を奪われる
博報堂がITコンサル事業に本格参入する背景には、人工知能(AI)時代の到来に対する強烈な危機感がある。
「マーケティングが常時、基幹システムや業務システムと連係して、実施されるようになった。我々もそれに触れるようにならないと、マーケティングの仕事も他社に奪われてしまう」(青木氏)
危機感とは、具体的にどういったものか。
例えば、AIエージェントを活用して顧客との商談を効率的・自動的にしたいと考えた場合だ。それぞれの顧客に対して、AIエージェントが適切な回答をしたり、商品を薦めたりするには、日々の営業で顧客と会話した内容や個人情報などを記録する業務システムと、AIエージェントを連係する必要がある。
複数の業界・業種に事業を展開しているコングロマリット(複合企業)であれば、各事業の顧客データを一元的に管理できるようにCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を整備する必要もある。
さらに商談を経て、購入の決済、また商品の発送までAIエージェントが担う場合、それらの業務システムとも連係しなければならない。AIを活用したマーケティングシステムを有効に利用しようとするとき、様々な基幹・業務システムを整備し、連係させることが必要不可欠になるのだ。
そのため、その開発能力がない代理店には、マーケティングの案件すら仕事が回ってこなくなる可能性がある。この状況が近い将来訪れることに、危機感を抱いているのだ。
「今まではマーケティングだけ独立したシステムになっていても成立してきたが、今は、(マーケティングも)基幹システムとデータを連係して活用する、という時代に変わってきている。基幹システムの在り方なども計算して実装できないと、UI(ユーザーインターフェース)が優れたAIチャットを導入したとしても、問い合わせが殺到したときにシステムが対応できず止まる、といったトラブルが起きてしまう」と、青木氏はシステム開発の重要性を話す。
こうしたバックエンドのシステム開発力を持つNTTデータとの共同出資会社を設立することで、顧客企業にシステム開発を含めたマーケティング施策が提案可能になる。
顧客データをどこから取得するかも重要だ。近年では、自社アプリがその役割を担うようになってきている。会員証をアプリで提示し、利用額に応じて会員ステータスが上昇するポイントプログラムを搭載する企業や、アプリにたまる自社ポイントを決済に利用できるようにする企業が増加してきた。
さらにその顧客情報を自社の電子商取引(EC)サイトと連係して、顧客の好みに合わせた商品情報を表示するなど、アプリを中心にマーケティング施策を組み立てるケースも多くなってきた。
企業の需要は高まっているものの、博報堂は従来、本格的なアプリを開発する力を持っていなかった。「広告キャンペーンの応募用の簡易的なアプリや、商品ブランドごとにアプリをつくることはできた。だが、決済やポイントプログラムなど、個人情報もセキュアな環境が求められるアプリの開発はできなかった」(青木氏)
そこで目を付けたのが、アプリ開発会社との協業であり、白羽の矢を立てたのがアイリッジというわけだ。
アイリッジをパートナーに選んだのは、手掛けてきたクライアントの業種が小売り、鉄道が多かったからである。「セキュアで、相当堅牢(けんろう)な仕組みをつくらないと成り立たない業種」(青木氏)で経験を積んでいるため、博報堂が求める能力と一致したのだ。
新しい買い物体験を構築、新市場開拓でトップライン拡大に貢献
本格参入するITコンサル業界は、実に競争関係が熾烈(しれつ)な世界だ。巨大資本の外資系コンサルが大手を振るが、博報堂はコミュニケーション領域で培ってきた、生活者発想を生かすことで活路を見いだせると考えている。
共同出資会社をコマースデザイン事業ユニット所属としたのは、既存クライアントを含め、従来のコミュニケーション領域の提案にプラスして、ITコンサル領域を一気通貫で提案することで、差異化を目指せるため。アプローチできる企業数は限られるが、1社に深く入り込んで支援するイメージだ。
ライバルは、コンサルティング部門やシステム開発支援部門の経営を本体から切り離すことで、広範な業種のクライアントを獲得する戦略を採ることが多く、この点でも差異化を図れるとする。
手掛ける案件が、他社と一線を画す点も見逃せない。
まずNTTデータとの共同出資会社では、「新市場創造によるトップライン(売り上げ)拡大」を提供価値として標榜する。「多くのITコンサルでは、人員削減や費用削減による業務効率化が提供価値の中心だ。それだけでなく、新しい買い物体験の構築など、新市場を開拓してトップラインの拡大に貢献したい」(青木氏)
多くのITコンサルが注力する、物流や製造工程のコンサルなどの業務効率化は、博報堂が得意な領域ではない。そこで同社は、生活総合研究所で生活者の意識調査を1992年から隔年で実施するなどして培ってきた、生活者理解という強みを生かして、生活者視点で買い方、売り方を進化させることを目指す。
青木氏が例として挙げたのが「バーチャル販売員」だ。これは、顧客が商品・サービスについて気になったことを、好きな時間に営業担当者を模倣したAIエージェントに相談できるというアイデア。営業担当者の個性や特徴を反映したAIエージェントが、顧客の質問に回答する。さらに、その会話履歴を営業担当者に連携することで、消費者の状況やニーズに合わせた接客ができるようになる。
こうした生活者視点で、体験が変わるサービスの開発を志向する。
NTTデータとの共同出資会社の売り上げ目標は、5年目で50億円、利益は2桁億円。従来、博報堂のフィー型のコンサル案件は高額でも1億円程度だったというが、狙うのは10億円規模の案件。一気に案件の規模を大きくできると見ている。
アプリ開発で「顧客データのインフラ」を押さえる
もう一つのアイリッジとの共同出資会社はどうか。
顧客データのインフラをつくることを目指すのは、先述した通りだ。アイリッジのメインクライアントは鉄道や小売りであり、「アプリを起点に新たなサービスを開発したり、このインフラと連携する企業が出てきたりすることを目指す」と青木氏。
近年、ECサイトの広告や小売店舗へのサイネージ広告などのリテールメディアに代表されるように、メディア事業者以外のサービスが広告媒体になるケースが増えてきた。その中でも、小売りや交通は利用者が多く、購買データや位置情報データなど、豊富な顧客データを持ち、利用者の利用頻度も高い。
生活者のインフラになる、これらの業種のアプリ開発を獲得することで、広告事業へと拡大したり、新サービスをアプリ起点で開発したりするなど、さらなるビジネス展開を図れる可能性が高いというわけだ。
アイリッジとの共同出資会社では、5年で1億~2億円の利益を見込む。NTTデータとの共同出資会社と比べると低い目標だが、「アプリを持つと他の案件にも広がる」と青木氏は見る。アプリ開発起点による、博報堂グループの他案件獲得などの波及効果を含めると、数十億円の利益効果があると期待を寄せる。
「マーケティングが他(の多くの会社)でもできると見せられる時代」と青木氏は現在の広告業界を評する。デジタル広告の台頭により、地上波テレビCMといった一部の大手広告代理店しか扱えなかった広告商品の重要性が、相対的に低下してきた。
一方デジタル広告は、あらゆる企業が取り扱えるため、多くの企業がマーケティング支援をできるようになり、広告運用の支援だけでは差別化が難しくなった。
だからこそ博報堂をはじめとした大手広告代理店は、企業のシステム開発・実装を担い、より大規模なマーケティング案件の獲得を図り、自社独自のソリューションを提供することを狙う。
マーケティング施策を起点に、新たにシステム開発まで含めた受注をもくろむ広告会社。対抗して、システム開発を起点に広告会社が得意とするマーケティング施策を奪おうとするコンサルティング会社。コンサル業界と広告業界の壁がなくなり、熾烈な受注合戦の火蓋が切られた。
(日経クロストレンド 石飛大和、撮影 山田愼二)
[日経クロストレンド 2025年3月18日の記事を再構成]
楽天G、データ×AIで客離れ予知 小売り・外食を支援[2025/04/07 05:00 日経速報ニュース 2200文字 画像有 ]
楽天グループが取引先である小売りや外食企業の経営支援に人工知能(AI)の活用を進めている。保有する大量の顧客データや購買情報をAIで分析し客離れの兆候を予知、対応を促す取り組みだ。AIを基盤とした取引先との連携を通じて楽天経済圏の安定・拡大につなげる。
169項目で分析
「自分たちの課題をデータが示してくれる。改善を続けることが業績につながっている」。富山県を中心に54店舗のスーパーマーケットを運営する大阪屋ショップ(富山市)の尾崎弘明社長は楽天Gとの連携についてこう語る。
大阪屋ショップは2018年に楽天ポイントカードを導入し、現在は来店客の9割がレジで提示するほど浸透する。蓄積した購買データなどを顧客の来店動向の把握に生かそうと、新たに楽天Gが開発したAIツールを取り入れた。
従来のコンサルタントのみによるデータ分析との違いは将来を予測する点にある。膨大な情報から、買い物の回数や金額が多いといった「大切な顧客」の行動変化を読み取り、他のスーパーに流出する兆候を察知することができる。
具体的な方法のひとつとして、顧客の属性や販促日の来店動向、生鮮食品の購買頻度など169の項目に分け、顧客流出との相関を分析してみた。すると、大きな販促を打ち出している火曜日の来店頻度や日持ちのしない野菜の購買頻度が落ちこんだ顧客は他店に流出しやすい傾向にあることがわかった。
AIツールを導入した他の小売りチェーンでは、流出の可能性がある顧客に対して割引クーポンを発行し、購買金額を増やした。
小売業界では、物価高を受けて消費者が利用店舗を厳選する傾向を強めている。企業間の競争環境は厳しさを増している。富山県内最大手の大阪屋ショップの場合、好立地には既に自陣営の店舗があるため、業績拡大には既存店の売り上げアップが不可欠だ。
「全国チェーンと地域で戦うための基礎となるのが楽天のデータだ」(尾崎社長)。AIツール導入により、販促を実施している期間中の顧客への売上高は3~5%増を見込む。全体の売上高は2028年6月期に24年同期比36%増の1300億円をめざす。
見えない客類推
AIはポイントカードの利用が少ない場合にも役に立つ。吉野家ホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン、はなまる(高松市)では「見えない顧客」の可視化にAIを活用しようとしている。
高口裕之最高マーケティング責任者(CMO)によると、足元では楽天ポイントカードをはなまるのレジで提示する来店客は5割を下回る。データの収集は不十分で、楽天Gと共同でカードを提示していない顧客の情報を推論するAIツールの開発を進めている。
データを基に、売れ筋商品などの購買傾向が類似している店舗を分類する。その上で外部データも組み合わせてAIに顧客像を類推させる。25年秋にも対象となる店舗を選定して導入し、メニュー開発などに生かす計画だ。「顧客の『解像度』が高まり、売上高は2割増えると見込んでいる」(高口氏)
楽天Gは通常のコンサルティング費用に追加料金を上乗せする形でAIツールを提供する。コスト増が受け入れられる背景には、データの質の高さがある。
楽天ポイントは電子商取引(EC)の楽天市場や楽天系の金融サービスなどグループ内に加えて、全国600万カ所にある小売店や飲食店といった加盟店で利用されている。ポイント発行額は23年に6500億円相当と国内最大規模で、大量の購買データが日々蓄積されている。
AIはデータが多ければ多いほど広範で高度な分析ができる特性を持つ。楽天ペイメント(東京・港)でAIツールの導入に携わる林宏憲氏は「人だけでは作業量が多すぎて物理的に不可能な分析でも短時間でできるようになる」と話す。
ポイント発行、各社競う
AIサービスの提供はポイントを利用できる加盟店を開拓する有力な手段で楽天経済圏の拡大につながる。加盟店が増えれば利用者数も多くなり、ポイントの消費先として楽天が提供するサービスに誘導しやすくなる。自社の経済圏の競争力に直結するだけにポイント各社は利便性を高め、提携や共通化などを進めている。
楽天Gは取引先に担当のコンサルタントを配置し、データを使って業績改善を支援できる点で他社に先行する。AI活用により提案の精度が向上すればさらなる加盟店の獲得につながる可能性がある。
決済の強化も進めている。24年には楽天ペイのアプリに「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」を統合すると発表した。クレジットカード「楽天カード」のアプリ機能も追加した。決済回数の多い楽天ペイを中核に据えることでスマホ決済の成長に弾みをつける。
スマホを通じたQRコード決済の首位はPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当(23年度は非開示)と規模は楽天ポイントに次ぐ。共通ポイント事業にも参入し、23年にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングスとの提携を発表した。
利用者数と比例するポイントの発行総額を増やすための合従連衡も進んでいる。カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントは加盟店の減少から巻き返そうと、24年に三井住友フィナンシャルグループのVポイントと統合した。dポイントを運営するNTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)とポイントや決済で提携している。
(桜木浩己)
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ファミマ店長、学びはオンライン 26年までに全店導入[2025/04/07 02:00 日経速報ニュース 1244文字 画像有 ]
ファミリーマートは、コンビニエンスストアの店長が商品や労務管理の知識を学べるオンライン学習システムを導入する。4月から順次始めて、2026年2月までに全約1万6000店の店長が利用できるようにする。従来は本部の社員がメールや電話、対面で店長に内容を伝えていた。社員の業務負担を軽減するほか、店長の学習の効率を高める。
3~5分の動画、約80種類
まず4月末にかけて全国の1000店に導入して、26年にかけて全店に広げる。店長は店にあるタブレット端末を使って、自身の業務の都合に合わせて学習する仕組み。コンビニチェーンでは本部社員やアルバイト向けにオンライン学習を提供する取り組みはあったが、店長向けは珍しいという。
学習内容は約80種類でスタートし、25年度中に100超に増やす。コンプライアンス(法令順守)や商品、食品衛生、独自の決済アプリ「ファミペイ」に関する知識を学べるほか、サステナビリティー(持続可能性)やカスタマーハラスメント(カスハラ)などの社会課題に沿ったコンテンツも用意する。
テーマごとに1本あたり3~5分の動画を視聴する形式で、オンライン上のテストを受けて知識を定着させる。
本部社員の関連業務が半分に
これまでは、スーパーバイザーと呼ばれる本部の社員が店長に情報を伝えていた。店長向けの研修は、店長の着任前などの一部の機会に限られていた。オンライン学習システムを導入することで、本部社員の関連業務にかかる時間を従来から約半分に短縮できる見通しだ。
社員は空いた時間を活用して、個店の状況に応じた売り場や商品の提案により注力できるようにする。
ファミリーマートでオンライン学習システムを担当するFC研修部の吉田浩士部長は「店長から『知りたい』と要望のある内容は商品から労務管理まで多岐にわたり、時期によっても様々だ。オンライン学習の仕組みを整えることで、店長のニーズに的確に応えられるようになる」と話す。
本部による管理も効率化できる。本部側で店長に学習してほしいコンテンツを推奨して、テストの結果を通じ、全国の店長の理解度を把握できるようになる。
新しいITの活用を促す
ファミリーマートはIT(情報技術)を活用した店舗業務の効率化に取り組んでいる。発注業務を支援する人工知能(AI)「レイチェル」を採用している。23年から本格導入し、24年7月末時点で約7000店まで広がった。店長が音声でタブレット端末に前週の売り上げ順位やこれまでの販促施策の販売傾向などを聞くと、女性のキャラクター「レイチェル」が画面上にデータを提示する。
コンビニ業界が採用しているフランチャイズチェーン(FC)制度では、FCオーナーは本部から独立した経営主体になる。社員が運営する直営店型の小売りチェーンと比べて、店長がもつ知識やノウハウには個人差がでやすいとされる。
ファミマは全国規模で店長の知識を底上げすることで、店舗の経営ノウハウや運営力を向上させる狙いがある。
(平岡大輝)
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日経MJ・7日[2025/04/07 00:00 日経速報ニュース 308文字 ]
◇サウナ、ライト層冷めた? 5年で人口4割減もエンタメ型で呼び戻す
◇資生堂、次世代美容液で国内深耕 インフルエンサーに発表会
◇長寿と革新でサクラサク サクラクレパス社長・西村彦四郎さんに聞く
◇傘のWpc.売上高8割増へ 新社長、積極路線にかじ
◇ゾフ、壊れないラバー製眼鏡「ガリレオ」大人にも人気 半年で1万本超
◇女性の転職が10年で4.7倍 リクルート系、正規雇用増加
◇比コンビニ、首位セブンに挑む SM財閥系アルファマート
◇ミカン産地、今世紀末は能登? 農研機構が適地予測マップ
◇ファミマ、店長にオンライン学習 商品・決済アプリなど80種類
◇韓国スイーツ、百菓争鳴(うめえ) 3カ月で変わる流行
「日本美術の鉱脈展」概要(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 547文字 書誌情報]
(1面参照)
◇会期 6月21日(土)~8月31日(日)、午前10時~午後5時。7月18、19、20、25、26、8月1、2、8、9、10、15、16、22、23、29、30日は午後7時まで(入場は閉館30分前まで)。月曜日(7月21日、8月11日は開館)と7月22日(火)休館
◇会場 大阪中之島美術館
◇観覧料 一般1800円(前売り1600円)、高大生1500円(同1300円)、小中生500円(同300円)。グッズ付チケットなどは詳細が決まり次第、公式サイト(QRコード参照)にてお知らせします。前売り券は4月21日(月)から6月20日(金)まで、美術館サイトまたは各種プレイガイドなどで販売
◇主な作品 伝岩佐又兵衛「妖怪退治図屏風」(江戸時代・17世紀)、式部輝忠「巖樹遊猿図」(写真右は六曲一双屏風のうち左隻、重要文化財、室町時代・16世紀、京都国立博物館蔵、7月29日から8月31日まで展示)、牧島如鳩「魚籃観音像」(1952年、足利市民文化財団蔵)、狩野一信「五百羅漢図」(江戸時代・19世紀、増上寺蔵)、「人体文様付有孔鍔付土器」(同左、重要文化財、縄文時代中期、南アルプス市教育委員会蔵)ほか
◇詳細・問い合わせ (電)06・4301・7285(大阪市総合コールセンター)
「ウィーン国立歌劇場」先行販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 404文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の先行販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S席7万9000円~E席2万6000円、土・日S席8万2000円~E席2万9000円。全公演に寄付金付きのサポーター席があります(各S席料金に5万円を加えた金額)。
◇チケット販売 4月7日午後9時NBS WEBにて2演目セット券先行販売開始。以降順次発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
新サービス『金融DXインサイド』開始 デジタル活用やフィンテックの記事を厳選(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 275文字 書誌情報]
日経BPは4月9日(水)から、有料ニューズレターサービス「金融DXインサイドby日経クロステック」を始めます。日経BPの技術系デジタルメディア「日経クロステック」から、金融DXやフィンテックに関わる記事を厳選し、メールやウェブサイトを通じてお届けします。金融DXインサイド有料会員(月額1100円)に加入すると、有料会員限定記事を読むことができます。日経クロステック有料会員の方は追加料金なしで利用いただけます。
◇配信日時 4月9日(水)以降、毎週水曜日(祝日、年末年始を除く)
◇料金 月額1100円(メール受信は無料)
◇詳細 QRコード参照
ファミマ、店長にオンライン学習 商品・決済アプリなど80種類 全店導入、26年2月までに[2025/04/07 日経MJ(流通新聞) 13ページ 1331文字 PDF有 書誌情報]
ファミリーマートは、コンビニエンスストアの店長が商品や労務管理の知識を学べるオンライン学習システムを導入する。4月から順次始めて、2026年2月までに全約1万6000店の店長が利用できるようにする。従来は本部の社員がメールや電話、対面で店長に内容を伝えていた。社員の業務負担を軽減するほか、店長の学習の効率を高める。
まず4月末にかけて全国の1000店に導入して、26年にかけて全店に広げる。店長は店にあるタブレット端末を使って、自身の業務の都合に合わせて学習する仕組み。コンビニチェーンでは本部社員やアルバイト向けにオンライン学習を提供する取り組みはあったが、店長向けは珍しいという。
学習内容は約80種類でスタートし、25年度中に100超に増やす。コンプライアンス(法令順守)や商品、食品衛生、独自の決済アプリ「ファミペイ」に関する知識を学べるほか、サステナビリティー(持続可能性)やカスタマーハラスメント(カスハラ)などの社会課題に沿ったコンテンツも用意する。
テーマごとに1本あたり3~5分の動画を視聴する形式で、オンライン上のテストを受けて知識を定着させる。
これまでは、スーパーバイザーと呼ばれる本部の社員が店長に情報を伝えていた。店長向けの研修は、店長の着任前などの一部の機会に限られていた。オンライン学習システムを導入することで、本部社員の関連業務にかかる時間を従来から約半分に短縮できる見通しだ。
社員は空いた時間を活用して、個店の状況に応じた売り場や商品の提案により注力できるようにする。
ファミリーマートでオンライン学習システムを担当するFC研修部の吉田浩士部長は「店長から『知りたい』と要望のある内容は商品から労務管理まで多岐にわたり、時期によっても様々だ。オンライン学習の仕組みを整えることで、店長のニーズに的確に応えられるようになる」と話す。
本部による管理も効率化できる。本部側で店長に学習してほしいコンテンツを推奨して、テストの結果を通じ、全国の店長の理解度を把握できるようになる。
ファミリーマートはIT(情報技術)を活用した店舗業務の効率化に取り組んでいる。発注業務を支援する人工知能(AI)「レイチェル」を採用している。23年から本格導入し、24年7月末時点で約7000店まで広がった。店長が音声でタブレット端末に前週の売り上げ順位やこれまでの販促施策の販売傾向などを聞くと、女性のキャラクター「レイチェル」が画面上にデータを提示する。
コンビニ業界が採用しているフランチャイズチェーン(FC)制度では、FCオーナーは本部から独立した経営主体になる。社員が運営する直営店型の小売りチェーンと比べて、店長がもつ知識やノウハウには個人差がでやすいとされる。
ファミマは全国規模で店長の知識を底上げすることで、店舗の経営ノウハウや運営力を向上させる狙いがある。
(平岡大輝)
【図・写真】ファミマは店長がタブレット端末で運営に必要な知識やスキルを動画で学べるようにする
【図・写真】ファミリーマートは食品ロスを減らす取り組みなど、新しい施策が多い
【図・写真】店長向けのオンライン学習では決済アプリ「ファミペイ」の仕組みなどを勉強できる
日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/06 日本経済新聞 朝刊 6ページ 374文字 PDF有 書誌情報]
(1)「中国ショック」に苦しむ中国(上) 製造業の優位性低下(31日)
(2)トランプ氏の関税、世界経済に1兆4000億ドルの打撃(3日)
(3)トランプ氏、関税を徹底重視の理由 ラナ・フォルーハー(3日)
(4)米か欧かの「幼稚な選択せず」 伊首相インタビュー(上)(2日)
(4)フランス極右ルペン氏に対する衝撃的な判決(社説)(1日)
(6)整合性欠くトランプ氏の石油政策 ジリアン・テット(1日)
(7)米国、ウクライナ資源の全面管理を要求(28日)
(8)AIでホワイトカラーの世界から新人が消える?(28日)
(9)米港湾の中国製船への手数料、農業界から悲鳴 輸出に影(28日)
(10)米国の自動車関税、中国製EVの追い風に(社説)(31日)
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「M7」2日間で12%下落、ダウ平均ではボーイングが2割安[2025/04/05 14:20 日経速報ニュース 2857文字 ]
【NQNニューヨーク=横内理恵】米トランプ政権の関税引き上げを発端とした米株安に歯止めがかからない。米トランプ政権の「相互関税」に対抗し、4日には中国が米国の輸入品に高関税を課す方針を示した。関税の応酬による貿易戦争と世界景気の悪化への警戒が強まり、米株式市場では打撃の大きそうな銘柄への売りが加速している。
4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4万ドルを割り込み、昨年5月以来の安値で終えた。2日間の下げ幅は3900ドルを超えた。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は2日間で11%超下げ、昨年12月に付けた最高値からの下落率が「弱気相場」入りの目安とされる2割を上回った。
この2日間に幅広い銘柄が売られ、時価総額の大きいハイテク7銘柄「M7」の下げもきつかった。下落率の首位はアップルで16%近く下がった。「iPhone(アイフォーン)」などをアジア諸国で生産しており、関税が利益を押し下げる可能性が高い。テスラも15%あまり下落した。中国の売上高が大きく、米中摩擦はすでに低迷する電気自動車(EV)販売に一段の影を落とす。
エヌビディアの下げも大きかった。貿易戦争を背景とした不透明感で企業が人工知能(AI)関連などIT(情報技術)投資を手控えるとの観測が浮上している。メタプラットフォームズは世界景気悪化による広告事業への逆風が懸念されている。M7で構成する上場投資信託(ETF)の「ラウンドヒル・マグニフィゼント・セブン」は2日間で約12%下げた。
■M7下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
アップル ▲15.8% ▲ 7.2%
テスラ ▲15.3% ▲10.4%
エヌビディア ▲14.5% ▲ 7.3%
メタプラットフォームズ ▲13.5% ▲ 5.0%
アマゾン・ドッド・コム ▲12.7% ▲ 4.1%
アルファベット ▲ 7.2% ▲ 3.3%
マイクロソフト ▲ 5.8% ▲ 3.5%
M7ETF ▲12.3% ▲ 5.8%
半導体株も全般に売られた。マイクロン・テクノロジーは2日間で27%近く下げ、マーベル・テクノロジーも2割超下げた。半導体は今回の相互関税の対象からは除外された。ただ、パソコンなどの電子機器から自動車、医療機器と様々な用途で使われ、関税に起因した供給網(サプライチェーン)の混乱の影響が大きいとみられている。
トランプ大統領は近く半導体への関税も発表する考えを示している。AI投資の減速懸念と相まって先行き不透明感は強い。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2日間で16%超下げた。
■主要な半導体関連銘柄の下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
マイクロン・テクノロジー ▲26.9% ▲12.9%
マーベル・テクノロジー ▲21.8% ▲11.1%
クアルコム ▲17.2% ▲ 8.5%
AMD ▲16.7% ▲ 8.5%
ブロードコム ▲14.9% ▲ 5.0%
AMAT ▲14.0% ▲ 6.3%
インテル ▲ 9.6% ▲11.5%
ダウ平均の構成銘柄でこの2日間の下げがもっとも大きかったのはボーイングで、ほぼ2割安となった。米中の関税引き上げで航空部品の価格上昇が避けられないとみられている。中国販売拡大が見込まれていたため、同国の景気懸念も売りを誘った。
ゴールドマン・サックスなど金融の売りも目立った。景気懸念から米長期金利が半年ぶりに節目の4%近辺に低下し、利ざやの縮小につながる。金融市場の混乱を受けて決済大手クラーナなどが新規株式公開(IPO)延期を検討していることも伝わった。個人消費の落ち込みやカードローンの債務不履行などを見越してクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなどへの売りも目立った。
■ダウ平均構成銘柄下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
(1)ボーイング ▲18.9% ▲9.4%
(2)ゴールドマン・サックス ▲16.3% ▲7.9%
(3)アップル ▲15.8% ▲7.2%
(4)アメリカン・エキスプレス ▲15.1% ▲5.7%
(5)ウォルト・ディズニー ▲14.6% ▲5.9%
(6)エヌビディア ▲14.5% ▲7.3%
(7)JPモルガン・チェース ▲14.4% ▲8.0%
(8)スリーエム ▲14.1% ▲9.1%
(9)シェブロン ▲13.9% ▲8.2%
(10)キャタピラー ▲13.9% ▲5.7%
一方、3日に14%あまり下落したナイキは4日は反発した。トランプ大統領がベトナム政府と交渉していると伝わり、同国での生産比率が高いナイキに買い戻しが入った。ダウ平均の構成銘柄では唯一、ユナイテッドヘルス・グループが小幅に上げた。
それ以外、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数の構成銘柄ではデル・テクノロジーズやヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、HPなどサーバーやパソコンを手掛けるIT(情報技術)関連銘柄の下げが目立った。インフレによる消費の落ち込みを見込んでユナイテッド航空ホールディングスやクルーズ船のノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングスなど娯楽・レジャー関連も下げた。
関税を巡る混乱は尾を引きそうな気配で投資家の不安は強まっている。貿易戦争のあおりを受ける銘柄の選別売りは続きそうだ。
令和なコトバ「デジタル移民」 アナログ国より訪れし者[2025/04/05 05:00 日経速報ニュース 1421文字 画像有 ]
誰もが知る流行語なき時代の新語を採掘し、世の中を知る「令和なコトバ」。Z世代など今どきの若者はデジタルネーティブと呼ばれます。彼らの流儀の「デジタルの国」に移住してきたのが中高年、ということで「デジタル移民」という言葉が最近使われています。ライターの福光恵さんが身近なところから考えます。
基本はセルフレジ、店員さんに用があるときだけ有人レジ。そんなコンビニが増えてきた。自分は、どちらも空いているときは、必ずセルフレジに行くようにしている。「若いもんになめられたくない」という一心もあるが、一番はスーパーのレジ打ち係が昔の憧れだったから。
とくに圧巻は商品バーコードが登場する前の、打ち込み式のレジだ。「○○円?」「○○○円?」と価格を読み上げながらブラインドタッチで打ち込んでいき、1円だって間違えないパートのおばちゃんのレジテクニックのかっこよさと言ったら!
いつか私もあんなレジ打ち職人になるんだと、心に決めていたのにさ。気がつけばいつのまにかレジ打ちは消滅し、バーコードでピッの時代に。というわけで、かっこよさのレベルが違うが、喜んでセルフレジのピッをやっている今日このごろだ。
◇ ◇
まあ、なんで自分のセルフレジ好きの理由を読者のみなさまが延々と聞かされているかというと、今週のお題が「デジタル移民」だから。生まれながらにしてデジタルに触れていたミレニアル世代やZ世代が「デジタルネーティブ」と呼ばれるが、こちらその反対にある人たちのこと。今となればはるか遠くのアナログの世界から、デジタルの新時代に移民してきた、1980年くらいまでに生まれた今の中高年をこう呼ぶ。
そもそもデジタルネーティブという言葉は、米国人作家、マーク・プレンスキー氏の2001年の論文から生まれた。そのタイトルからして「デジタルネーティブ、デジタルイミグラント(移民)」。デジタルが当たり前のネーティブ世代と、そうでない移民世代の区別が二十数年前には始まっていたわけだ。
◇ ◇
ただし、この論文を読むと、かつてのデジタル移民像は、現在のそれとは相当違う。例えば情報取得の速度。プレンスキー氏はデジタル移民の特徴をこう定義している。「デジタルネーティブが高速で情報を受け取ることに慣れているのに対し、デジタル移民は比較的ゆっくりとしたペースで情報を処理する」
ネットワークの接続については、「デジタルネーティブは常にネットワークに接続されていることが前提だが、デジタル移民はオフラインでの活動も重視する」とか。まあ、デジタル環境が大きく変わったとはいえ、今やシニアのスマホ保有率はどんな調査でも90%以上。例えばうちの母(90)のデジタルライフを、当時のプレンスキーさんに教えてあげたいと思う。
朝起きたら布団の中で猫動画か韓流ドラマの短編。その後テレビを見ながら関連ニュースをSNSで流れてきた動画などでチェックする。午後はLINEで連絡を取りながら友人と待ち合わせてお茶。キャッシュレスで買い物し、帰宅後はお昼寝もはさんでネット三昧を始める。その間、驚くようなニュースを拾ったので娘(自分)に教えてあげたのに「それはフェイク!」と怒られる。そんなデジタル移民を誰が予想しただろう。
とはいえネット情報なら何でもうのみにしてしまう脇のゆるさが、いつかデジタル世界の移民問題につながらないことを祈って!
(福光 恵)
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決済大手クラーナ、米IPO延期へ 関税による市場混乱で[2025/04/05 04:35 日経速報ニュース 503文字 画像有 ]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きと見られる。
クラーナは3月に米証券取引委員会(SEC)にIPOに関する登録届を公式に提出したと発表した。売り出し株数や公開価格は未定としていた。
同社は2005年にスウェーデンのストックホルムで設立。BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)と呼ばれる後払い決済サービスを手がける。ドイツや米国、英国を中心に市場を拡大し、ユーザー数は約9300万人(24年末時点)にのぼる。日本のソフトバンクグループもビジョン・ファンドを通じて21年に出資した。
足元の相場急落を受けて、米IPO市場に逆風が吹いている。大型案件として注目を集めていたチケット売買サイト運営の米スタブハブも、貿易戦争の激化による株安でIPO計画を延期したと報じられている。4日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比で一時2100ドル超下げた。
台湾は米国に見捨てられるのか ブライアン・ヒュー氏-作家[2025/04/05 02:00 日経速報ニュース 1702文字 画像有 ]
トランプ政権の発足で米国と伝統的な同盟国との関係が疑問視されるようになった。その象徴が2月末、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との間で起きた激しい応酬だろう。トランプ氏はウクライナ戦争に関してロシアのプーチン大統領の肩を持っているようにもみえる。
台湾はウクライナと同様、領土的野心を持つ巨大な敵対国に隣接する。ロシアがウクライナへの主権を正当化するのと同様、中国も台湾への主権を訴えている。
台湾は米国と安全保障関係を維持しており、米国が主要な武器供給国だ。しかし3年前にウクライナ戦争が始まって以来、米国は直接的な関与を控えている。台湾も自らを単独で守らなければならなくなるとの懸念を抱える。その意味で「今日のウクライナは明日の台湾」というスローガンを集会でよく見かけるようになった。
かつてトランプ氏は台湾が米国の半導体産業を盗んでいると非難した。ゼレンスキー氏とトランプ氏の口論がテレビで放映された数日後、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は米国で1000億ドル(約15兆円)を追加投資する計画を発表した。この投資は台湾がトランプ氏を満足させようとしている表れと解釈された。
トランプ氏とゼレンスキー氏の論争は、民主主義や人権といった価値観が、米国の新政権にとって重要でないと物語っている。そしてゼレンスキー氏のようにトランプ氏に歯向かう指導者は罰を受けるだろう。トランプ氏は自分に敬意を払う指導者を好むようだ。
台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)総統もトランプ氏にこびへつらうかもしれない。しかしウクライナ人が自国の指導者を支持したように、民主主義の論理をあっさり捨て去る指導者を台湾の人々が受け入れるかはわからない。
台湾は過去10年間、進歩的な実績を上げてきた。2016年には初の女性総統を選出し、19年にはアジアで初めて同性婚を合法化した。若者による14年の「ひまわり学生運動」後、台湾の若い世代の政治家は大半が進歩派だ。
台湾が進歩的な価値観を受け入れるようになった動機のひとつは国際社会への参加を確実にすることだった。トランプ氏の機嫌をとるために進歩的なアイデンティティーを放棄するとは思えない。
台湾には、トランプ氏を声高に支持する少数派もいることには留意が必要である。トランプ氏が台湾を心から支持し、中国に敵対的だと確信している人々だ。また台湾には、ゼレンスキー氏との対立はトランプ氏の交渉戦術の一部と解釈しようとする向きもある。
トランプ政権1期目の帰結として、台湾では「米国懐疑論」が台頭した。米国は味方として信頼できないという主張も広がった。このような主張は陰謀論的な性質のものであることが多く、中国の情報工作に端を発している。
米国懐疑論は根深く、冷戦時代に見放されたというトラウマ(心理的外傷)は深く残っている。多くの台湾人は、1979年に中国との国交を樹立したことで米国は台湾を見捨てたと考えている。
そして台湾は今、ウクライナの状況をみて、味方であるはずの国に置き去りにされる不安に駆られている。台湾は新たな盟邦を探す時期なのかもしれない。それはおそらく、国際政治が予測不能な時代を同様に切り抜けていかねばならない国々になるだろう。
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発想の転換が必要に
トランプ政権はロシアに融和的な一方で中国を強く警戒していて、台湾をウクライナと同列に位置づけることはないだろう。ただ、ヒュー氏も指摘するように民主主義や人権といった価値観を重んじているわけではない。リベラルな民主主義体制より非リベラルな権威主義を好む傾向が目立つ。米国は中国と取引して台湾を「見捨てる」のでは、との心配も無理はない。
世界の安全保障情勢は変わった。マクロン仏大統領が自らの「核の傘」を欧州全域に広げる考えを打ち出したこと、その背景にドイツの次期首相と目されるメルツ氏の提案があったことが示すように、かつてない発想と戦略が求められている。新たな同盟相手を探る時期だ、とのヒュー氏の示唆も、飛躍が過ぎるとはいえない。
(編集委員 飯野克彦)
クラーナ、米IPO延期検討[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きとみられる。
駅と旅 砂村かいりほか著(新書文庫)[2025/04/05 日本経済新聞 朝刊 27ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
■『駅と旅』砂村かいりほか著 浜松、西宮、唐津など6つの都市を舞台にした「旅小説」を編んだアンソロジー。置き手紙だけを残して実家に帰省してしまった夫と子を追って、義姉と共に札幌へ向かう妻の旅路をたどる君嶋彼方の「雪花の下」など、6人の作家の作品を収録した。閉塞感の漂う日常に、旅での出会いや発見が風穴を開けていく。爽やかで小気味よい解放感に満ちた一冊。(創元文芸文庫・858円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
伊豆箱根バス タッチ決済導入 クレカで、15日から[2025/04/05 日本経済新聞 地方経済面 静岡 6ページ 307文字 PDF有 書誌情報]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
パリッと本格派、ご当地ソーセージ――味付けとして、パスタなどにも(何でもランキング)[2025/04/05 日経プラスワン 2ページ 2678文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム・ソーセージ工業協同組合によれば、ソーセージは紀元前15世紀に古代バビロニアで作られ、語源は「塩漬け」を意味するラテン語のsalsusとも、英語のSow(雌豚)とSage(ハーブの一種)ともいわれる。日本には明治期に伝わった。
現代ソーセージ研究家の村上武士さんによると、地元食材や手作りなどを売りにした「ご当地ソーセージ」は道の駅やふるさと納税の返礼品などで広まった。人気は粗挽きのウインナーソーセージだが、「愛好家にはジューシーな生ソーセージやドイツ伝統のふんわりしたバイスブルストが好評」という。
おいしく食べるにはまず添付の説明書に従って調理することだと村上さんは話す。ボイルは一般的にお湯が沸騰したら加熱を止め、蓋をして余熱で8~10分温める。沸騰したまま煮込むと皮が破れてうまみが逃げる。おいしい商品に出合ったら「味付きの自由に使える便利なお肉」と考えて、「適度にカットしパスタやシチューのコクだしなどに使うのがお勧め」(村上さん)。
<330>新潟県産の豚肉だけを使った粗挽きのジューシーな商品。ドイツ・チューリンゲン地方のソーセージを参考にしたという。隠し味に甘い香りのハーブのマジョラムとかんきつ系の香辛料を加え、さっぱりした後味に仕上げた。
新潟県佐渡島でドイツの製法で作り続けて約40年の生産者の看板商品だ。生地にはサラミ用に肉を成形した際に出る切れ端も利用している。「かむほどにうまみが増す。コスパもよく、幅広い年齢に好まれる味」(島本さん)。表面に焼き色が付く程度に焼いて食べるのがお勧めという。
(1)780円(5本合計160グラム)(2)新潟県佐渡市
<330>ドイツ農業協会のコンテスト(ハム・ソーセージ部門)で金賞を2回受賞し、グルメマンガ「美味しんぼ」にも登場した。「パリッとした食感、味、香辛料の使い方などバランスのとれた本物の味」(照井勇次さん)
1982年から完全無添加を続けてきた生産者の看板商品で、豚肉、羊腸、香辛料、調味料のみを使用。豚肉は岩手県奥州市の胆沢養豚が育てた臭みがなく脂の質が良いという「SPF地養豚」だ。黒コショウと根野菜の風味が様々な料理に合うという。
同じブランドで純米吟醸の酒かすを使った商品もある。
(1)648円(3本合計115グラム)(2)仙台市
<320>長野県で特別に飼育された「朝霧ヨーグル豚(とん)」を主原料にしたウインナー。一般的な品種の豚に小麦類などをヨーグルト状に加工した独自の飼料を与えることで、軟らかく脂の甘さが味わえるようにしたという。「クラシックだけれどバランスがよく、繊細で自然な味。ミンチの食感も良い」(ポコさん)
独自の調味料で数日間味をなじませた豚肉をひき肉にし、一部に豚トロを使うことで、肉汁があふれる作りでありながら、しつこすぎない仕上がりにした。「肉のうまみを引き出していて後味も良い」(佐藤健一さん)
(1)740円(5~7本合計200グラム)(2)静岡県富士宮市
<300>加熱処理をしない生ウインナー。本場ドイツでは「ブラードブルスト」と呼ばれるタイプ。焼くと脂が溶け出しジューシーな食感を楽しめる。
「豚肉のおいしさがダイレクトに伝わる」(猪口由美さん)「あっさりとしながら肉のうまみを感じる」(佐藤さん)など、肉本来の味が好評だった。
1979年の創業以来ドイツの製法を続ける生産者の人気商品で、本社工場と同じ敷地にある洋風レストランと炭火焼き店でも食べられる。地元糸島や熊本県産の豚肉など九州産の素材を使い、チーズやレモンなどを入れた種類もある。
(1)615円(6本合計150グラム)(2)福岡県糸島市
<260>北海道のエゾヤマザクラのチップでゆっくりいぶした燻香(くんこう)が好評だった。経営者自ら設計した燻製器は、しっかりと香りが付く直火(じかび)式。「スモークの上品な香りと食感で、うまみもしっかりしている」(照井さん)
1997年創業の生産者が家族3人で手作りし、直売所と通信販売を中心に販売している。北海道産の新鮮な豚肉と塩、香辛料だけを使い、保存料や着色料などは使わない。
家族が毎日食べても飽きない商品がコンセプトだ。「軟らかく肉汁が多めで、子供も食べやすい」(猪口さん)という声もあった。
(1)670円(5本合計120グラム)(2)北海道上富良野町
<250>パキッとはじけるような歯応えと沖縄県産豚肉を中心に肉の味わいを楽しめるシンプルでジューシーなスモークソーセージ。2019年には国際見本市IFFAのコンテストで金賞を獲得した。「食感がよく甘めの優しい味」(森本さん)が支持された。
作り手は沖縄ならではの素材を使ったハム・ソーセージの専門店。伝統的なドイツ製法で作る。22年にはIFFAに出品した全ての商品が金賞を受賞した実力派だ。「しっかりと肉の味が感じられる。ピルスナータイプのビールに合う」(野田さん)
(1)850円(3本合計180グラム)(2)沖縄市
<240>鳥取県東南部の山あいにある大江ノ郷自然牧場が、県内産の豚を中心に使って製造する。「余計なものが入っていないシンプルな味で、大人から子供まで年齢を問わず楽しめる」(猪口さん)
一般的な商品に使われる防腐剤やうま味調味料、でんぷん、結着剤も使わず作った無添加も売りだ。「ドイツで食べたソーセージの味と同じ。小さいながらもしっかりしている」(照井さん)という評価もあった。
牧場内の複合施設では、家族連れでガラス越しに製造工程を見ることができる。
(1)918円(5本合計135グラム)(2)鳥取県八頭町
ランキングの見方 商品名(製造元または発売元)。数字は専門家の評価を点数化。(1)取り寄せできる最小単位の税込み本体価格(本数と内容量)(2)製造元・発売元の所在地。写真は鈴木健撮影。スタイリングは島本美由紀。
調査の方法 通信販売で購入できる地域密着型生産者の商品で、100グラムあたり800円以下を条件に、井上真一(食文化取締役)、初鹿美佐子(おとなの週末お取り寄せ倶楽部バイヤー)、村上武士(現代ソーセージ研究家)の3氏の協力で22商品を選定。専門家7人による試食会で味や価格、地域の個性を考慮して1~10位を選んでもらい、編集部で集計した。(堀聡が担当しました)
電子版有料会員の方はスマートフォンなどのカメラでこのQRコードを読み込むと、何でもランキングの過去記事(2019年7月20日付以降)をご覧になれます。
銀行でポイント獲得、デビット決済で高還元も(ポイント賢者)[2025/04/05 日経プラスワン 3ページ 733文字 PDF有 書誌情報]
銀行取引でポイントを獲得できるサービスが増えています。みずほ銀行は4月中旬から「みずほポイントモール」を始めます。現在の「みずほマイレージクラブ」をリニューアルし、ATMの時間外手数料が無料になるなどの特典にポイントサービスを追加します。
例えば、給与の受け取りで毎月20ポイント、クレジットカードの「みずほマイレージクラブカード」や「みずほ楽天カード」、デビットカードの「みずほJCBデビット」の利用などで1キャッシュレス商品あたり10ポイント獲得できます。たまったポイントは楽天ポイント、PayPayポイント、dポイントに1ポイント=1円相当で交換できます。
Vポイントがたまる銀行サービス「V NEOBANK」のポイントプログラムも3月に変更となりました。V NEOBANKはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ企業が住信SBIネット銀行の銀行代理業者として提供するサービスです。口座振替など様々な銀行取引でVポイントを獲得できます。
マスターカードのスマホデビットを月に1000円以上利用で1・5%のVポイント還元も始まりました。従来のスマホデビット利用でポイント付与はありませんでした。スマホデビットは実店舗でスマホタッチ決済を利用するか、オンライン決済で使います。クレカでも還元率が1・5%のカードは少なく、おトクです。
月末と翌月1~5日の毎日の円普通預金残高が10万円以上の場合、50ポイント獲得できる特典も追加され、銀行取引でVポイントがたまりやすくなりました。
銀行サービスのポイントは、一度利用を始めれば自動的にたまっていきます。新年度が始まったのを機に、利用する銀行口座を見直してもよいでしょう。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
三井住友銀行、関西初の新型店「オリーブラウンジ」公開[2025/04/04 20:15 日経速報ニュース 717文字 画像有 ]
三井住友銀行は4日、大阪市内で7日開業する新型店舗「オリーブラウンジ」を報道公開した。窓口やATMなど従来の店舗機能に加えてカフェやシェアラウンジを設けた。関西では初出店。日常的に使うカフェやラウンジを併設させることで、銀行サービスをより身近に感じられるようにする。
報道公開した「オリーブラウンジ船場」は三井住友銀の船場支店・御堂筋支店を改装して開業する。1階には個人向け窓口とスターバックス、2階には法人向け窓口と新型店舗で連携したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手掛けたシェアラウンジを設けた。
上村明生専務執行役員は「仕事や日常、遊びと、どんな時でも集まれる場所として活用してほしい。大阪のビジネス街に位置し、歴史ある船場にふさわしい交流の場にしたい」と語った。「カフェやラウンジ、ATMなどもあわせて、1日当たり2000~3000人が来場するだろう」と期待を込めた。
新型店舗を開く狙いの一つには、同行が手掛ける総合金融サービス「オリーブ」の導入促進がある。オリーブは銀行口座やクレジット、デビットや保険を一括で管理できるサービスで、会員数は2024年度末時点で500万人を超え、28年に1200万人の会員登録を見込む。
新型店舗では同サービスの使い方を指南する役割も兼ね備える。オリーブの会員専用の作業スペースや、オリーブを利用したスマートフォン決済によるポイント還元などの特典もつける。
今後はオリーブラウンジ船場を大阪府の旗艦店に位置づけ、関西の他地域でもオリーブラウンジを広く展開したい考え。7月には旧塚口支店(兵庫県尼崎市)、秋ごろには南森町支店(大阪市)の拠点にそれぞれ新型店舗を新設する計画だ。
auペイメント、「au PAY」でデジタル給与払い提供[2025/04/04 19:04 日経速報ニュース 342文字 画像有 ]
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)は4日、スマートフォン決済「au PAY」を通じて給与をデジタル払いすることができるサービスの提供を始めたと発表した。同日に厚生労働省が指定事業者として認定した。デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目となる。
すでにKDDIのグループ会社の一部が導入した。給与のデジタル払いを導入したい事業者は、従業員が専用の給与受取口座を開設する方式か、口座を開設せずにau PAYの会員情報を通じて直接受け取る方式を選ぶことができる。
給与としてau PAYにチャージできる金額の上限は10万円とした。給与口座からauじぶん銀行の口座に出金する場合の手数料は無料とした。他の金融機関では月に1回まで無料とし、2回目以降は220円とした。
伊豆箱根バス、クレカのタッチ決済導入 15日から[2025/04/04 18:55 日経速報ニュース 307文字 画像有 ]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
イオン4割減益に下振れ 前期、小売り苦戦や構造改革で[2025/04/04 18:44 日経速報ニュース 1328文字 画像有 ]
イオンは4日、2025年2月期の連結純利益が前の期比36%減の285億円だったと発表した。3%増の460億円とする従来予想から一転減益となる。主力の小売事業で経費がかさみ苦戦。クレジットカードの不正利用被害や中国のショッピングモールの店舗閉鎖に関するコスト、国内ドラッグストアの減損損失なども響いた。
純利益の悪化は最終赤字になった21年2月期以来4年ぶり。売上高にあたる営業収益は6%増の10兆1340億円、営業利益は6%減の2370億円だった。プライベートブランド(PB)の販売を伸ばすことなどで営業収益は同社として初めて10兆円を超えたものの、営業利益で8%増の2700億円としていた会社計画には届かなかった。純利益は事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、346億円)も下回った。
主力の小売事業では経費増を吸収しきれなかった。イオンは24年春にパート従業員の時給を平均7%引き上げ人件費が増えた。グループの共通アプリで独自ポイント「WAON(ワオン)」やクーポン配布などで誘客に力を入れ販促経費もかさんだ。
消費者の節約志向の高まりを受け、イオンは前期下期からPBの「トップバリュ」の低価格帯シリーズで約500品目の新商品を出し、一部を実質値下げした。PBの販売量を伸ばし粗利総額を保って経費増を補う戦略だったが、増収効果で補えなかった。
一方、総合金融とショッピングセンター(SC)開発、アミューズメント施設などのサービス・専門店事業の3事業は増益だった。クリスマスや年末商戦でのイベント施策が奏功し、SCの客足回復とテナントの専門店の売り上げが伸びた。クレジットカードの利用が増えて金融事業も増益を確保した。
クレジットカード「イオンカード」の不正利用被害に関連する費用を計上し、利益を押し下げた。イオンカードでは24年夏ごろから、NTTドコモの非接触決済システム「iD(アイディ)」を使った本人認証を必要としない少額決済(オフライン取引)で不正利用が相次いで報告されており、被害は数万人にのぼる。被害者の損失補などの費用がかさんだ。
構造改革に伴う損失も響く。中国では不動産不況のあおりを受け、中国本土の沿岸部を中心に消費が低迷。同社は北京などの収益性の低い店舗を閉鎖し、武漢など比較的消費が活発な地域へ出店計画を見直しており、閉店関連の損失を計上した。
国内では、傘下のイオンモールが手掛ける都市型ショッピングセンター事業が24年2月期まで6年連続の最終赤字を計上しており、立て直しを急ぐ。25年2月期は聖蹟桜ケ丘オーパ(東京都多摩市)や心斎橋オーパ(大阪市)の閉店に伴う損失がでた。ドラッグストアを手掛けるヘルス&ウエルネス事業では一部の収益性の低い店舗で減損損失が発生した。
節約志向は今後も続きそうだ。帝国データバンクの調査によると、4月の食品の値上げ品目は4225品目と月別で1年半ぶりの多さだ。25年2月期決算と26年2月期の見通しの発表は11日を予定する。岡三証券の金森淳一シニアアナリストは「急に消費がよくなると思えない。低価格帯だけでなく高付加価値PBも拡充し全体で粗利を改善させていけるかが焦点だ」と指摘する。
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三菱UFJニコス、全保連株式に対する公開買付けの結果などに関して発表[2025/04/04 17:08 日経速報ニュース 898文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード:5845)に対する公開買付けの結果及び連結子会社(孫会社)の異動に関するお知らせ
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤宏規、以下「当社」といいます。)の完全子会社である三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田典彦、以下「公開買付者」といいます。)は、2025年2月14日開催の取締役会において、全保連株式会社(以下「対象者」といいます。)の普通株式を公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議し、同年2月17日より本公開買付けを実施しておりましたが、本公開買付けが2025年4月3日をもって終了いたしましたので、以下の添付資料のとおりお知らせいたします。
また、本公開買付けの結果、2025年4月10日(本公開買付けの決済の開始日)付で対象者は当社の連結子会社(孫会社)となる予定ですので、併せてお知らせいたします。
記
I 当社完全子会社(三菱UFJニコス株式会社)による公開買付けの結果
本公開買付けの結果につきましては、添付資料「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」をご覧ください。
II 連結子会社(孫会社)の異動
1.異動の理由
本公開買付けの結果、対象者は本公開買付けの決済の開始日である2025年4月10日をもって当社の連結子会社(孫会社)となる予定です。本公開買付けの目的等につきましては、2025年2月14日に公表しております「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの開始及び同社との資本業務提携契約の締結に関するお知らせ」をご覧ください。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689373/01_202504041712.pdf
マリオット・インターナショナル、JWマリオット・ホテル奈良がフォーブス・トラベルガイドのサステナビリティ認証を取得[2025/04/04 16:02 日経速報ニュース 801文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
【JWマリオット・ホテル奈良】フォーブス・トラベルガイドの「Responsible Hospitality」認証を取得
奈良県で唯一、日本国内では2軒目の快挙
JWマリオット・ホテル奈良(所在地 : 奈良県奈良市三条大路 1丁目1-1、総支配人 : クラウス・クリスタンドル)はこのたび、世界的権威のある「フォーブス・トラベルガイド」が設けるサステナビリティ認証『Responsible Hospitality』を取得いたしました。本認証は、環境保護や従業員・ゲスト・地域社会の福祉を考慮しながらも、優れたゲスト体験を提供するホテルに与えられるフォーブス・トラベルガイドの公式の認証であり、当ホテルは奈良県内で唯一、日本国内では2軒目の取得となります。
※参考画像は添付の関連資料を参照
JWマリオット・ホテル奈良では、「サステナビリティ」をテーマに、以下のような環境負荷の低減に向けたさまざまな取り組みを展開しております。
・EV車充電器の設置
・ペーパーレス化の推進(チェックイン・チェックアウト時、QRコードを活用した施設案内など)
・奈良県産の食材や平飼い卵を使用した地産地消の促進
・フードロス削減への取り組み
・児童養護施設「愛染寮」へのチャリティプログラムの実施
JWマリオット・ホテル奈良は、これからも地域社会との共生を大切にしながら、より良い未来に向けた努力を続けてまいります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/01_202504041600.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/02_202504041600.pdf
auペイメント、「au PAY 給与受取」を提供開始[2025/04/04 16:00 日経速報ニュース 1101文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
au PAY、給与デジタル払いを開始
~「au PAY 給与受取」をKDDIグループの一部で先行導入~
auペイメントは2025年4月4日、資金移動業者の口座への賃金支払(以下 給与デジタル払い)に対応する資金移動業者として厚生労働大臣の指定を受けました。これにより、スマホ決済「au PAY」で給与受け取りが可能な給与デジタル払いのサービスとして「au PAY 給与受取」を提供開始します。
事業者が「au PAY 給与受取」を導入することで、当該事業者の下で勤務するau PAYご利用者(注1)は、従来の現金や金融機関口座での給与受け取りに加え、au PAY給与残高(注2)での給与受け取りが可能になります。
KDDIおよびauフィナンシャルグループをはじめとするKDDIグループ各社(以下 KDDIグループ各社)は、「au PAY 給与受取」の提供開始に伴い、2025年5月以降分の給与支払いから順次、希望する従業員を対象に、au PAY給与残高への給与デジタル払いを導入します。
<導入を決定または検討しているKDDIグループ各社(注3)>
・KDDI株式会社
・auフィナンシャルホールディングス株式会社
・auペイメント株式会社
・auじぶん銀行株式会社
・auフィナンシャルサービス株式会社
・auアセットマネジメント株式会社
・au損害保険株式会社
・auフィナンシャルパートナー株式会社
なお、auペイメントはすべてのau PAYご利用者へのサービス提供開始を見据えた準備を進めており、受付開始の際は改めてお知らせします。
auペイメントは「au PAY 給与受取」の提供を通じて、給与受け取り方法の選択肢を拡げ、従業員エンゲージメント強化に取り組むためのサポートをしていきます。
「au PAY 給与受取」の詳細は別紙および以下のウェブサイトをご参照ください。
・「au PAY 給与受取」事業者向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/index.html )
・「au PAY 給与受取」従業員向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/service.html )
以上
※別紙は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
別紙
https://release.nikkei.co.jp/attach/689366/01_202504041559.pdf
外為12時 円相場、上昇し146円台前半 景気不安・株安進行で[2025/04/04 12:34 日経速報ニュース 817文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇している。12時時点は1ドル=146円11~13銭と前日17時時点と比べて1円13銭の円高・ドル安だった。トランプ米大統領による相互関税の発表を受け、世界的に景気不安が高まっている。日経平均株価が連日で大幅安となるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。
日経平均株価の午前の下げ幅は900円を超えた。3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドルと新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさとなった。日米の株安進行を受けて投資家心理が悪化し、相対的にリスクが低いとされる円に買いが向かった。
円は朝方に145円55銭近辺まで上昇する場面があったが、その後は上げ幅を縮めた。国内債券市場は長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。金融・資本市場の混乱を受け、日銀が追加利上げに動きにくくなるとの見方が円相場の上値を抑えた。直近の円上昇に伴い、10時前の中値決済に向けては国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測もあった。
植田和男総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済を下押しする方向に働く」などと述べたが、円相場への影響は限られた。
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日公表した3月の非製造業(サービス業)景況感指数は市場予想を下回った。関税強化に伴うインフレ圧力の高まりと景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」への懸念もくすぶり、主要通貨に対してのドル売りも広がっている。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=161円60~63銭と、同6銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1060~61ドルと同0.0090ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、堅調 146円台前半、日銀総裁発言への反応は限定的[2025/04/04 10:34 日経速報ニュース 682文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は堅調だ。10時時点は1ドル=146円02~03銭と前日17時時点と比べて1円22銭の円高・ドル安だった。米関税による世界的な景気不安の高まりに加え、日米の株安進行への警戒感が高まり、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。日銀の植田和男総裁の国会での発言への反応は今のところ限られている。
実需勢の円売り・ドル買い観測や国内金利低下は上値を抑えている。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。直近の円相場の急上昇もあり、10時前の中値決済に向けては「国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。
植田総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済に下押し」になるとの認識などを示した。
国内債券市場では長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。日経平均株価の下げ幅が一時900円を超えるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、相対的に安全資産とされる国内債は買いが優勢だった。トランプ米政権の相互関税が国内企業の輸出の落ち込みなどを通じて景気減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測を後退させており、円相場の重荷となっている。
円は対ユーロでもやや上げ幅を縮小している。10時時点では1ユーロ=161円50~55銭と、同4銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルでやや上げ幅を広げている。10時時点では1ユーロ=1.1061ドル近辺と同0.0091ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
今日の東京円相場 上昇、145円台 日米株安でリスク回避強まる[2025/04/04 08:00 日経速報ニュース 972文字 ]
4日の東京外国為替市場で円相場は上昇しそうだ。1ドル=145円台を中心とした動きが見込まれる。3日のニューヨーク市場で主要通貨に対してドル売りが進み、対円で一時145円台前半と半年ぶりの円高・ドル安水準をつけた。トランプ米大統領が発表した「相互関税」は市場の想定より厳しい内容となり、世界的に景気の先行き不安が強まった。前日の東京の取引時間帯で米相互関税の織り込みは進んだが、その後の日米の株安加速もあって「低リスク通貨」とされる円に買いが集まりそうだ。
3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドル安と新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさだった。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物の中心限月である6月物は前日比1230円安の3万3620円で終えた。前日に続いて日本株が大幅安となれば投資家のリスク回避姿勢は高まり、相対的にリスクが低い円には買い圧力の強い状況が続きそうだ。
4日早朝の円相場は145円台後半と前日17時時点と比べて2円近くの円高・ドル安となっている。市場関係者が有力とみていた日米金利差の縮小シナリオが後退する可能性は円相場の重荷となる。トランプ米政権の関税発動は米国のインフレ懸念を増幅させ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを難しくする要因になる。日本では米関税による輸出の落ち込みが経済減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測の後退につながっている。
円相場の急上昇に伴い、国内実需筋に動きがあれば上値を抑える要因となる。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まる可能性もある。
4日は3月の米雇用統計の発表を控える。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想は非農業部門の雇用者数が前月比14万人増、失業率が4.1%と前月から横ばいの予想だ。イーロン・マスク氏が率いる米政府効率化省(DOGE)が主導する人員削減が影響するとの見方がある。米景気の動向を見極めるため、市場では次第に様子見姿勢が強まりそうだ。
国内は総務省が2月の家計調査を発表するほか、3カ月物国庫短期証券の入札を予定している。海外はパウエルFRB議長などが講演を予定している。
〔日経QUICKニュース(NQN) 加治屋雄基〕
サムスンのAIスマホ、日本で販促に力 日本法人CMO ライブと連携、補正機能PR[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 4ページ 1376文字 PDF有 書誌情報]
サムスン電子ジャパンが日本で携帯通信会社との連携を深めている。10年ぶりにソフトバンクがサムスンのスマートフォン「ギャラクシー」の取り扱いを再開し、KDDIやNTTドコモとも共同販促を打ち出す。iPhone1強体制の日本でいかにシェアを高めていくか。日本法人で最高マーケティング責任者(CMO)を務める小林謙一氏に聞いた。
――2025年のマーケティング戦略は。
「大きく2つのテーマがある。信頼と納得だ。消費者の信頼を獲得するためには、携帯通信会社など第三者からの客観的な評価が大切。通信事業者と『Co―Marketing(共同マーケティング)』に注力する」
「NTTドコモは若年層開拓にギャラクシーを積極活用し、KDDIは『推し活』と組み合わせた販促を展開してくれている。ソフトバンクはギャラクシーの取り扱い再開をニュースとして起爆剤にしたいと言ってくれている」
――ソフトバンクが取り扱いを再開しました。
「人工知能(AI)に注力するソフトバンクグループにとって『頼れるAIパートナー』としてサムスンの技術力に注目してくれた。グループとしてAIに経営資源を集中しており、サムスンブランドのテーマ設定とうまく適合した」
――もう1つの納得とは。
「ギャラクシーの最大の訴求ポイントであるAIエージェントは体験してもらわないと納得感は得られない。スマホはコモディティー(汎用品)化が進む。どれだけ日々の生活を変えてくれるか、を実感してもらうことが重要なマーケティングだ。体験の場をつくることにこだわった」
「東京の原宿と大阪の難波での自社販促拠点だけでなく、ポップアップ型の販促活動も積極的に展開した。S25シリーズの最大の武器はカメラ性能。暗い場所での動画撮影におけるAI補正のレベルを高めた。不要な音声を消す機能も評価されている。これらは実際に体感してもらって価値を認識してもらえる」
――新しいマーケティングの取り組みは。
「若年層の開拓のために音楽ライブとの連携を重視した。ライブ中の撮影可能な時間帯にギャラクシーの100倍ズームで撮影し、前の観客やノイズを消すこともできる。『推し』のライブシーンを残せると評判を呼んだ」
「KDDIとは『新しい学校のリーダーズ』のライブを企画した。映画の試写会では、舞台上から俳優陣と観客を撮影し、その場で独自アプリを通して観客全員に高精細画像を共有した。ソフトバンクホークスの試合では観客にギャラクシーを使ってもらう販促活動も展開する」
――日本でのiPhone牙城は突き崩せるか。
「手応えはある。『ギャラクシーらしさ』とはスマホ+α。米国や韓国に比べて遅れていたウエアラブル機器も早期に投入していく。健康管理の『フィット』、指輪型端末『リング』などセンシング技術を組み合わせたトータルサービスを提供していく」
「折り畳み端末、バッテリー性能、強力なMPU(超小型演算処理装置)といったハードの強みに加えて、決済サービスなど使いやすいアプリ設計も重要となる。かゆいところに手が届く性能を訴えて日本でもギャラクシーの価値を訴えていきたい」
(聞き手は細川幸太郎)
【図・写真】サムスン電子ジャパンの小林謙一CMO
【図・写真】KDDIとは「新しい学校のリーダーズ」のライブを企画した=サムスン電子ジャパン提供
PayPay(会社人事)[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 7ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
PayPay
(4月1日)営業統括本部ポイントソリューション営業本部長(パートナー営業本部ポイント営業1)渡辺哲平
高知信金 決済アプリ、チャージ金融機関を拡充 メガバンクなど300以上対応 「アニクリ祭」へ利便性向上[2025/04/04 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 590文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫は高知県内で使える決済アプリ「ジモッペイ」にチャージできる金融機関を拡充した。メガバンクや地銀など全国300以上の金融機関に対応する。同信金が中心となって開催するイベント「高知アニクリ祭2025」を控え、利用者の利便性を向上させた。
ジモッペイは2024年3月に始まった電子決済サービスで、同信金が独自に開発。スマートフォンのアプリで店頭のQRコードを読み込み支払う。県内約3000店舗で利用でき、アプリのユーザーは約4万4000人となっている。
これまでは同信金の口座やATM、セブン銀行のATMなどでチャージしていた。新たに取引のある金融機関の預金口座を登録することで、アプリに直接チャージできるようにした。アプリ上でマイナンバーカードなどによる本人確認を行い、早ければ当日から利用できるという。
一方、アニクリ祭は高知県が共催し、5~6日に開催する。高知市内の県民体育館や中心商店街、公園など5カ所が会場で、アニメ制作体験や人気声優のステージ、コスプレーヤーらによるパレード、グッズ販売などがある。大手出版社などが後援しており、大勢の来場者が予想される。
混雑を避けるため会場内での飲食やグッズ購入はキャッシュレス決済を推奨しており、ジモッペイはオフィシャル通貨となっている。利用者がアプリを提示すると、300ポイントをプレゼントするなどの特典を用意している。
高知信用金庫の決済アプリ、銀行からもチャージ可能に[2025/04/03 18:59 日経速報ニュース 592文字 画像有 ]
高知信用金庫は高知県内で使える決済アプリ「ジモッペイ」にチャージできる金融機関を拡充した。メガバンクや地銀など全国300以上の金融機関に対応する。同信金が中心となって開催するイベント「高知アニクリ祭2025」を控え、利用者の利便性を向上させた。
ジモッペイは2024年3月に始まった電子決済サービスで、同信金が独自に開発した。スマートフォンのアプリで店頭のQRコードを読み込み支払う。県内約3000店舗で利用でき、アプリのユーザーは約4万4000人となっている。
これまでは同信金の口座やATM、セブン銀行のATMなどでチャージしていた。新たに取引のある金融機関の預金口座を登録することで、アプリに直接チャージできるようにした。アプリ上でマイナンバーカードなどによる本人確認を行い、早ければ当日から利用できるという。
一方、アニクリ祭は高知県が共催し、5~6日に開催する。高知市内の県民体育館や中心商店街、公園など5カ所が会場で、アニメ制作体験や人気声優のステージ、コスプレーヤーらによるパレード、グッズ販売などがある。大手出版社などが後援しており、大勢の来場者が予想される。
混雑を避けるため会場内での飲食やグッズ購入はキャッシュレス決済を推奨しており、ジモッペイはオフィシャル通貨となっている。利用者がアプリを提示すると、300ポイントをプレゼントするなどの特典を用意している。
外為17時 円相場、大幅反発 147円台前半 トランプ関税で3週ぶり高値[2025/04/03 17:29 日経速報ニュース 808文字 ]
3日の東京外国為替市場で、円相場は3日ぶりに大幅反発した。17時時点では前日の同時点に比べ2円43銭の円高・ドル安の1ドル=147円22~24銭で推移している。16時ごろに146円80銭近辺と3月11日以来、約3週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。トランプ米大統領が2日、世界各国・地域からの輸入品に「相互関税」をかけると公表した。米景気の悪化懸念が強まり、主要通貨に対してドル売りが優勢になった。
トランプ米大統領は2日に演説し、貿易相手に一律10%の関税を課し、国・地域ごとに異なる税率を上乗せする方針を示した。関税強化により米国経済が景気悪化と物価上昇が併存する「スタグフレーション」に至るとの警戒感もくすぶるなか、主要通貨に対してドルが大きく下落した。
3日の東京市場では米国の相互関税が企業業績を圧迫するとの懸念で、日経平均株価が900円あまり下げた。日本時間3日の取引で米株価指数先物が下落するなど投資家心理が悪化し、「低リスク通貨」とされる円の買いが優勢になった面もあった。
10時前の中値決済にかけては国内輸入企業による円売り・ドル買いが出たとの観測があった。もっとも投資家のリスク回避が加速する中で、円買い・ドル売りの圧力が増した。
円は対ユーロで小幅に反落した。17時時点では同6銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=161円55~59銭で推移している。対ドルでのユーロ買いが優勢になり、円安・ユーロ高が進んだ。もっとも対ドルでは円買いも入ったため、円の対ユーロ相場は底堅かった。
ユーロは対ドルで3日ぶりに反発した。17時時点は同0.0182ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.0973~75ドルで推移している。16時すぎに一時1.0990ドル近辺と2024年10月以来、約半年ぶりの高値をつけた。米景気の減速懸念でユーロ買い・ドル売りが集まった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為12時 円相場、大幅高 米関税発表受けリスク回避[2025/04/03 12:24 日経速報ニュース 660文字 ]
3日午前の東京外国為替市場で、円相場は大きく上昇した。12時時点は1ドル=147円74~76銭と前日17時時点と比べて1円91銭の円高・ドル安だった。11時半前には147円52銭近辺まで上げ幅を広げ、13日以来の高値を付ける場面があった。トランプ米政権の相互関税の詳細が日本時間早朝に発表された。3日の日経平均株価が大幅に下落するなど投資家心理の悪化に伴い、「低リスク通貨」とされる円に買いが向かった。
トランプ米政権は米国のすべての輸入品に対し、一律で10%の関税をかけるほか、一部の国・地域に対してさらに高い税率を課す見通し。欧州連合(EU)には20%、日本には24%の関税をかけるという。 米関税政策を受けた世界的な景気下押しの懸念が高まり、相対的にリスクが低い円や国債を買う動きが強まった。
10時前の中値決済に向けては、国内輸入企業による円売り・ドル買いの観測があった。 ベッセント米財務長官は発表した関税率について「上限である」と説明しており、関税を課した各国に交渉余地の可能性がある点も円相場の上値を抑えた。ただ、市場では「リスクオフ(回避)ムードが広がっており、円買い圧力のほうが強い」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。
円は対ユーロでも上昇した。12時時点は1ユーロ=161円22~26銭と、同27銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.0912~13ドルと同0.0121ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、堅調 148円ちょうど近辺 リスク回避の買い[2025/04/03 10:30 日経速報ニュース 573文字 ]
3日午前の東京外国為替市場で、円相場は堅調だ。10時時点は1ドル=148円00~01銭と前日17時時点と比べて1円65銭の円高・ドル安だった。9時50分すぎには147円69銭近辺ときょうの高値を付けた。トランプ米政権による相互関税の詳細が日本時間早朝に発表された。3日の日経平均株価が大幅に下落するなど投資家心理が悪化し「低リスク通貨」とされる円に買いが入っている。
米関税政策を受けた世界的な景気減速懸念が高まるなかで、相対的にリスクが低い円や国債を買う動きが強まっている。もっとも、円相場は買いが一巡した後に上値の重さも目立つ。ベッセント米財務長官は発表した関税率について「上限である」との認識を示しており、関税を課した各国に交渉余地の可能性がある点も円買いの勢いをやや鈍らせている。
10時前の中値決済に向けては、国内輸入企業による円売り・ドル買いの観測もあったが「リスクオフ(回避)ムードが強く、円買い圧力のほうが強い」(国内銀行の為替担当者)との声も聞かれた。
円は対ユーロで高い。10時時点では1ユーロ=161円13~17銭と、同36銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇している。10時時点では1ユーロ=1.0887~89ドルと同0.0096ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
三井住友FG、ステーブルコイン開発 米2社連携、企業間決済コスト減へ[2025/04/03 日本経済新聞 朝刊 7ページ 461文字 PDF有 書誌情報]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は法定通貨に連動するステーブルコインを米国企業と開発する。米国でブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ったステーブルコインの基盤をつくるアバラボ、デジタル資産の管理システムを開発するファイアブロックスの2社と連携する。
ステーブルコインの基盤をシステム会社のTISも交えて開発し、25年度下期にも実証実験する。企業間決済などで需要を探った上で、26年度をめどにステーブルコインの発行を検討する。ステーブルコインは三菱UFJ信託銀行などが発行を検討しており、三井住友FGも大企業などで潜在的な需要が見込めると判断した。
ブロックチェーン上でデータをやり取りするステーブルコインを使えば、企業間の決済にかかるコストが下がると期待されている。特に国際銀行間通信協会(Swift)を介する国際送金のコストの引き下げにつながる可能性がある。海外ではJPモルガン・チェースなどが活用へ動いている。
ステーブルコインを巡っては、同コインを電子決済手段と定義した改正資金決済法が23年に施行された。
特集――9年ぶり来日 ウィーン国立歌劇場 公演の概要[2025/04/03 日本経済新聞 朝刊 32ページ 1366文字 書誌情報]
《演目と予定される主な配役》
▼モーツァルト作曲「フィガロの結婚」
全4幕(指揮=ベルトラン・ド・ビリー 演出=バリー・コスキー)アルマヴィーヴァ伯爵:アンドレ・シュエン、アルマヴィーヴァ伯爵夫人:ハンナ=エリザベット・ミュラー、スザンナ:イン・ファン、フィガロ:リッカルド・ファッシ
▼R・シュトラウス作曲「ばらの騎士」
全3幕(指揮=フィリップ・ジョルダン 演出=オットー・シェンク)陸軍元帥ヴェルテンベルク侯爵夫人(マルシャリン):カミラ・ニールンド、オックス男爵:ピーター・ローズ、オクタヴィアン:サマンサ・ハンキー、ゾフィー:カタリナ・コンラディ
※掲載の配役は2025年4月2日現在のものです。病気やケガなどのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演します。ご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は公演当日発表とさせていただきます。
《開催概要》
◎演目/日程/会場/入場料(税込み)
▼「フィガロの結婚」=10月5日(日)午後2時、7日(火)午後3時、9日(木)午後6時、11日(土)午後2時、12日(日)午後2時
▼「ばらの騎士」=10月20日(月)午後3時、22日(水)午後3時、24日(金)午後3時、26日(日)午後2時
東京文化会館(東京・台東)
【平日】S席7万9000円~E席2万6000円、U39シート(公演当日、30歳から39歳までが対象)1万9000円、U29シート(公演当日、小学1年生から29歳までが対象)1万円。【土・日】S席8万2000円~E席2万9000円、U39シート2万1000円、U29シート1万3000円
全公演に寄付金付のサポーター席があります。(各S席料金に5万円を加えた金額)
◎チケット販売
(1)2演目セット券(S~B席&サポーター席)=NBS WEB先行:4月7日(月)午後9時~16日(水)午後6時。NBS電話受付:4月8日(火)午前10時~16日(水)午後4時
(2)単独券(S~E席&サポーター席)=NBS WEB先行:4月11日(金)午後9時~16日(水)午後6時
(3)一般発売=4月18日(金)午前10時からNBS、NBS WEBほか各プレイガイドで販売開始
(4)U39シート、U29シート=8月28日(木)午後9時からNBS WEBチケットのみで引換券を発売。座席指定はできません。座席指定券は公演当日のお渡しになります。公演当日、年齢が確認できる身分証を持参してください。
詳細はQRコードをご確認ください。
《ウィーン国立歌劇場来日記念特別イベント》
~アンサンブルとトークで贈る、ウィーン国立歌劇場への誘い~
出演(予定):ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)、クリスチャン・フローン(ヴィオラ)、タマーシュ・ヴァルガ(チェロ)、ボグダン・ロシチッチ(ウィーン国立歌劇場総裁)※トークは通訳付き
日程:10月7日(火)午後1時(予定)
会場:東京文化会館小ホール
入場料(税込み):全席指定一律3500円
チケット販売:4月18日(金)午前10時からNBS、NBS WEBほかで販売開始
◎以上、問い合わせ:NBS(電)03・3791・8888
滋賀銀、平和堂と連携 互いの顧客情報分析・活用[2025/04/03 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
滋賀銀行は2日、滋賀県を基盤とするスーパー大手、平和堂と包括連携協定を結んだ。地域の金融リテラシー向上と経済活性化で協力する。この夏にも京都府や滋賀県(京滋)の平和堂店舗で新NISA(少額投資非課税制度)、相続などに関して滋賀銀がセミナーを始める。双方が持つ顧客データの分析、活用も検討していく。
滋賀銀は地域金融を軸に事業を多角化しており、膨大なPOS(販売時点情報管理)を持つ流通大手との連携で可能性を広げる。平和堂は決済アプリを軸に顧客のライフスタイルを支援する独自の経済圏を構想し、フィンテックを巡る滋賀銀の技術に期待する。
外為17時 円相場、横ばい圏 149円台後半 米相互関税を見極め[2025/04/02 17:25 日経速報ニュース 656文字 ]
2日の東京外国為替市場で、円相場は横ばい圏での小動きだった。17時時点では前日の同時点と同水準の1ドル=149円62~64銭で推移している。トランプ米大統領が日本時間3日早朝、貿易相手国と同水準まで米国が関税を引き上げる「相互関税」の詳細を公表する。関税の内容を見極めたいとして投資家の様子見姿勢が強かった。
円相場は15時30分ごろに150円ちょうど近辺まで下落する場面があった。ベッセント米財務長官が1日、相互関税は「上限」の役割を果たすものだと説明。関税の引き下げに向けた交渉の余地があると受け止められ、米関税政策に対する過度な警戒感が薄れて円売り・ドル買いが出た。10時前の中値決済にかけては「ややドル不足」との観測があった。国内輸入企業など実需勢の円売り・ドル買いが断続的に出て、円相場の重荷となった面もあるようだ。
もっとも円の下値は限られた。米政権が打ち出す相互関税の内容次第で投資家のリスク回避姿勢が強まるとの見方もある。持ち高調整の円買い・ドル売りも入り、相場の方向感は限られた。
円は対ユーロで反発した。17時時点では同13銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=161円47~50銭で推移している。持ち高調整の円買い・ユーロ売りが散発的に入った。
ユーロは対ドルでほぼ横ばいだった。17時時点は同0.0008ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.0792~93ドルで推移している。米相互関税を巡る警戒感から、持ち高を一方向に傾ける動きは限定的だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
滋賀銀行、平和堂と連携 京都・滋賀の店舗で金融セミナー[2025/04/02 16:49 日経速報ニュース 702文字 画像有 ]
滋賀銀行は2日、滋賀県を基盤とするスーパー大手、平和堂と包括連携協定を結んだ。地域の金融リテラシー向上と経済活性化で協力する。この夏にも京都府や滋賀県(京滋)の平和堂店舗で新NISA(少額投資非課税制度)、相続などに関して滋賀銀がセミナーを始める。双方が持つ顧客データの分析、活用も検討していく。
滋賀銀の久保田真也頭取と平和堂の平松正嗣社長が大津市内で記者会見した。滋賀銀は地域金融を軸に事業を多角化しており、膨大なPOS(販売時点情報管理)を持つ流通大手との連携で可能性を広げる。平和堂は決済アプリを軸に顧客のライフスタイルを支援する独自の経済圏を構想し、フィンテックを巡る滋賀銀の技術に期待する。
具体策の第1弾は金融セミナーの開催になりそうだ。平和堂が京滋で展開する10カ所ほどの大型店舗にあるオープンスペースを活用する。相続のような重いテーマでもカジュアルに参加しやすく、通りかかる買い物客の関心もひきやすいためだ。
3月30日には滋賀県彦根市の大型店舗で小学生向けの「投資家体験」イベントをオープンスペースで試行した。約40組の親子が参加し、周囲の注目も集めたという。
滋賀銀、平和堂はいずれも日本で初めてデータサイエンス学部を開設した滋賀大学とビッグデータ分析などで交流してきた。今後は、個人情報を保護しながら双方が持つデータを持ち寄り、新たな商品開発のヒントを探る方向で話し合っている。
平和堂の大型店舗には多くのテナントが入り、滋賀銀もATMを設けているケースがある。連携が軌道に乗れば、店舗に滋賀銀のデスクを置き、顧客の相談に乗りながら市場を広げることも視野に入れているもようだ。
人事、PayPay[2025/04/02 15:50 日経速報ニュース 51文字 ]
(4月1日)営業統括本部ポイントソリューション営業本部長(パートナー営業本部ポイント営業1)渡辺哲平
三井住友FG・三井住友銀行・TISなど、ステーブルコインの事業化に向けた共同検討に係る基本合意書を締結[2025/04/02 13:54 日経速報ニュース 1557文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月02日
ステーブルコインの事業化に向けた共同検討に係る基本合意書の締結について
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループCEO : 中島 達、以下 : グループを総称して「SMBCグループ」)と株式会社三井住友銀行(頭取 CEO : 福留 朗裕)、TIS株式会社(代表取締役社長 : 岡本 安史、以下 : TIS)、Ava Labs,Inc.(CEO : Emin Gun Sirer(◇)、以下 : Ava Labs)およびFireblocks Pte.Ltd.(CEO : Michael Shaulov、以下 : Fireblocks)は、将来的なステーブルコインの事業化を視野に入れた利活用に関する共同検討について、基本合意書(以下 : 本合意書)を2025年3月21日に締結したことを発表します。
◇CEO名の正式表記は添付の関連資料を参照
■本合意書の概要
このたび、SMBCグループとTIS、Ava LabsおよびFireblocksは、将来的なステーブルコインの事業化を視野に入れた利活用に関する共同検討(以下 : 本共同検討)を正式に開始することで合意しました。
本共同検討においては、金融機関や事業者間で行われるホールセール領域での決済利用に耐えうるステーブルコインを発行・流通させるにあたり、満たすべき具体的な要件の定義について検討を行います。また、ステーブルコインの特性を活かしたユースケースの探索・検討についても推進します。なお、本共同検討は、実証実験としての活用に留まらず、継続的な業務への活用を視野に入れたユースケースの具体化を目指すものです。
また、ステーブルコインについては、国債・社債等の伝統的金融資産や、不動産等に代表される現実世界の資産をトークンという形で表象するRWA(Real World Asset)の決済手段としてのニーズもあることから、各社連携し、トークンビジネスの普及を国内外で後押ししていきます。
■本合意書締結の背景
ステーブルコインは、日本円や米ドルなどの法定通貨と価値が連動するように設計されたデジタル通貨の一種です。ステーブルコインは一般的に、暗号資産と比べて価格の変動が非常に小さく価値が安定していることや、既存の送金手段と比較した際にコストやスピードに優れるという特性から、国際送金や企業間決済、少額高頻度決済等のユースケースにおける利活用が期待されています。また、欧米を中心にRWAの決済手段としてステーブルコインの活用が進んでいます。
日本国内においては、2023年6月1日に施行された改正資金決済法により、ステーブルコインが電子決済手段として定義され、利用が正式に認められました。現在では、複数の金融機関や事業者がステーブルコインの発行・流通に向けて検討や実証実験を進めています。
SMBCグループと、国内外でデジタルアセットをテーマとして先進的な取り組みを進めるTIS、Ava LabsおよびFireblocksが連携して、将来的に新しい決済インフラとなりえるステーブルコインに関する共同検討を行うことは、国内における金融機能の効率化や高度化を後押しするためにも意義がある取り組みと考え、本合意書の締結に至りました。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
CEO名の正式表記
https://release.nikkei.co.jp/attach/689223/01_202504021133.pdf
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689223/02_202504021133.pdf
外為12時 円相場、下落し149円台後半 米財務長官発言や実需の売りで[2025/04/02 12:19 日経速報ニュース 736文字 ]
2日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=149円77~79銭と前日17時時点と比べて15銭の円安・ドル高だった。米国のベッセント財務長官の発言を受けて米関税政策への過度な警戒感が薄れたほか、国内輸入企業などからの実需の円売り・ドル買い観測も相場を押し下げた。一時は149円94銭近辺まで下げ幅を広げた。
ベッセント氏は米東部時間1日、2日発表の「相互関税」は「上限」の役割を果たすものだと説明した。貿易相手国は関税の引き下げに向けた交渉余地があるといい、米関税の強化で世界経済全体が不安定になるとの市場の懸念がいったん和らいだ。日本時間2日午前の取引で安全資産とされる米国債に売りが出て、歩調をあわせるように「低リスク通貨」の円も売られた。 2日午前の国内長期金利が低下に転じると日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いも出た。
日銀の植田和男総裁は2日午前、衆院財務金融委員会に出席し、トランプ米政権の関税政策を含めた各種政策の経済・物価への影響を見極めつつ「金融政策を適切に運営する」と語った。市場では「目新しい発言はなく、円相場の反応は乏しかった」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)との見方があった。
10時前の中値決済に向けては「ややドル不足」との声が聞かれた。国内輸入企業からの円売りが断続的に出ていたとみられる。
円は対ユーロで小幅に下落した。12時時点は1ユーロ=161円66~68銭と、同6銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで弱含み。12時時点は1ユーロ=1.0793~94ドルと同0.0007ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、下げ幅拡大 149円台後半 中値「ややドル不足」[2025/04/02 10:28 日経速報ニュース 602文字 ]
2日午前の東京外国為替市場で、円相場は下げ幅を拡大している。10時時点は1ドル=149円82~83銭と前日17時時点と比べて20銭の円安・ドル高だった。10時過ぎには149円94銭近辺まで下げ幅を広げた。ベッセント米財務長官の発言を受けて米関税政策への過度な懸念が薄れ、リスク回避の姿勢を弱めた市場参加者から円売りが断続的に出ている。
ベッセント氏は米東部時間1日、2日発表の「相互関税」は基本的に「上限(cap)」の役割を果たすものだと議員に説明した。貿易相手国は引き下げに向け交渉する余地があることを示唆したといい、関税強化に伴って世界経済全体が不安定になるとの市場の懸念をいったん和らげた。日本時間2日午前の取引で安全資産とされる米国債に売りが出たこともあり、「低リスク通貨」とされる円を売ってドルを買う動きが出ている。
10時前の中値決済に向けては、「ややドル不足」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測も円を押し下げた。
円は対ユーロでは下げ渋っている。10時時点では1ユーロ=161円64~67銭と、同4銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで小安い。10時時点では1ユーロ=1.0789~1.0790ドルと同0.0011ドルのユーロ安・ドル高だった。米長期金利の上昇を受けてドル買いが入った。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
「オーバー140」円急騰に備えよ 実質金利マイナス脱出か(永井洋一)[2025/04/02 07:58 日経速報ニュース 1626文字 ]
米国の実質金利が低下する一方、日本は上昇し、その差が縮小している。米雇用統計などで米景気の先行きが危ぶまれると急速に円高・ドル安が進む可能性がある。日本株の浮揚力が失われているのも、実質金利の上昇が一因と考えられる。
いくら利息が多くとも物価との見合いでなければ実感できない。そのために経済学者が編み出したのが名目金利から物価上昇率を差し引いた「実質金利」という考え方だ。金融市場には、その代理指標として手っ取り早く使える金融商品がある。物価変動に応じて元金額が変わる物価連動債の利回りだ。
トランプ氏が2期目の米大統領に就任した1月20日から3月31日までに米国の名目金利(米10年物国債利回り)は4.61%から4.21%に0.4%低下した。米国の10年物の物価連動債の利回りも2.2%から1.85%に0.35%低下した。双方の差である0.05%は物価上昇率の低下分にあたる(名目金利=実質金利+物価上昇率)。
トランプ政権復活後、名目金利と実質金利が下がり、物価上昇率も少し下がった。トランプ関税がもたらす米景気の悪化懸念が背景だ。
ベッセント米財務長官の財政運営方針(財政均衡主義)に対する安心感も金利低下に働いている。米国はスタグフレーション(景気悪化と物価高の併存)の恐れがあるとの解説が多いが、実際はデフレを織り込んでいる。
日本の実質金利は上昇傾向だ。日本相互証券が算出する期待インフレ率を10年物国債の利回りから差し引いて実質金利を逆算すると、3月31日時点では0.01%前後(実質金利=名目金利-期待インフレ率)。3月下旬以降、約4年2カ月ぶりにプラス圏に浮上したとみられる。
昨年暮れから10年物国債の利回りは将来の政策金利の動向を反映する2年物国債と連動している。日本の実質金利の上昇は、米国とは反対に財政運営に対する不安もあるが、主として日銀による追加利上げ観測が主因とみられる。
日米の実質金利差とドルの対円相場との相関は強い。「金利差縮小=円高・ドル安」という関係だ。過去2年半の金利差とドル円相場から得られる回帰式(ドル円=日米実質金利差×16.785+108.24)により、円の理論値を計算すると直近は1ドル=140円とはじかれる。「オーバー140」の円急騰マグマだ。
現在の実勢レートである149円前後の水準は理論値から7%乖離(かいり)し、乖離率の大きさは24年7月以来だ。当時は日銀の利上げをきっかけに、円は1カ月足らずで161円台から144円台に17円も急騰した。
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長期的にも円高・ドル安を示すシグナルがある。国際決済銀行(BIS)によれば、様々な国との貿易額などを加味して一国の通貨の総合的な実力をみる指数「名目実効為替レート(64カ国・地域対象)」は1月20日のトランプ大統領就任から3月25日までに円は2.65%上昇し、ドルは2.69%下落した。
米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小に転じた2021年秋以降、日米の金融政策は「FRB引き締め・日銀緩和」、あるいは「FRB緩和・日銀引き締め」という具合に一貫して逆方向が続いている。その結果、円とドルの実効レートも「ドル高なら円安」、「円高ならドル安」というようにほぼ逆方向に動いている。
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円の実効レートは24年7月に底入れし、ドルは25年1月13日にピークアウトした公算が大きい。外国為替市場の中長期トレンドはすでに円高・ドル安に転じている。
〔日経QUICKニュース(NQN)編集委員 永井洋一〕
架空取引で破綻した貿易商社 従業員不正で4億円流出-信用調査ファイル[2025/04/02 05:00 日経速報ニュース 2186文字 画像有 ]
カジュアル衣料や服飾雑貨、日用品、食品などを輸入販売する井上通商(福岡市)は2月、福岡地裁から破産手続きの開始決定を受けた。実は3年ほど前の2021年後半、井上通商と専門商社は被告として裁判沙汰になっていたことが一部の関係者の間で話題となっていた。法的処理の進行で当時の内情が徐々に明らかになってきた。
売り上げ急伸の裏事情
1961年6月に設立された井上通商は、アジア圏に近い福岡の地の利を生かして、台湾や香港、中国などからの輸入を手掛けてきた。東アジア地域との貿易ノウハウに通じ、業績は堅調に推移。2000年代には、ウナギや籐製品、絹織物などを輸入販売することで40億円を超える年売上高をあげていた。
11年の東日本大震災後は景気低迷から売り上げは20億円台に落ち込んだが、利益は確保していた。この間、ウナギの不漁もあって、アパレル関連製品の扱いを増やしていく。
局面が変わったのは18年1月期からだ。従来の輸入販売に加えてアパレルの電子商取引(EC)モールへ出店するなど多角化を進め、年売上高は約50億円と前期比70%近い伸びをみせた。その後の期の売上高も78億円、123億円と伸長。21年1月期はコロナ禍でマスクやアルコール消毒などの衛生関連商品で112億円の売上高を記録した。
ところが、この売り上げ急伸には裏があった。ひとりの従業員(以下Xとする)が取引先担当者と共謀して、不正な取引を展開していたのだ。
冒頭の専門商社とは実際には商品の受け渡しがなされていない架空の循環取引があった。他の企業とも循環取引もあったほか、井上通商自体が認識しない簿外取引によるアパレル商品の仕入れ販売などが発生していたもようだ。結果、実態の損益は大幅に下振れし、多額のキャッシュが社外に流出。年売上高123億円と対外的なピークとなっていた20年1月期決算において、実態は約16億円の債務超過だった。
典型的な循環取引では、首謀者が販売した商品を最終的に自社で買い戻す。不正が発覚すると、企業は実態のない仕入れ代金の支払いを停止する。支払いを止められた側は「不正とは知らなかった。受領書も発行されている」として支払いを要求する。井上通商も例外ではなく、裁判になったものを含めて数社と立て続けに企業間の争いになった。
実際に商品の受け渡しがなされていない専門商社との架空循環取引については和解となった。井上通商自身が認識しない簿外取引によるアパレル商品の仕入れ販売などについては、取引先が井上通商と専門商社を相手取って裁判を起こしたが、こちらも和解が成立した。
従業員Xの不正は大胆で巧妙だった。Xは当時、無断でU社を設立し、井上通商の担当者としてこのU社との衣料品売買に関与した。井上通商からU社に売買代金として約4億円が支払われたとされるが、目的物が存在しない架空取引で、井上通商としては単なる資金の流出となってしまった。
井上通商は23年2月にU社に対し損害賠償請求訴訟を提起。裁判の過程で前述の専門商社も関係していることが明らかとなった。
概要はこうだ。18年春ごろより、井上通商は専門商社の指定先から仕入れを行い、専門商社に納入するという代行取引を始める。商品単価などの売買条件は専門商社と指定仕入れ先との間で決められ、商品の引き渡しも指定仕入れ先から専門商社へなされていた。この代行取引は繰り返し行われたが、井上通商の担当者はXただ一人だった。
そして20年、U社との架空取引が始まる。Xは専門商社の意向を理由にU社を新たな指定仕入れ先とする内容の申請を社内で出した。U社の代表はX自身だったにもかかわらず、申請の際は別の人物を代表取締役とするなど虚偽の報告も盛り込まれていた。
申請は認められ、U社を指定仕入れ先とする取引は数回実行された。U社への約4億円の支払いは21年3月17日。翌4月に専門商社で複数の仕入れ代行取引で不正が発覚したが、その頃にはXは井上通商に退職届を出し顔を見せなくなっていた。
U社を相手取った裁判では、井上通商は24年2月に勝訴の判決を受けたが、U社に資金力はなかった。やむなくU社から貸し付けをうけた企業に支払いを求める訴えを起こし、請求は認められたものの、実際の資金回収にはつながらなかった。
こうした事態を受け、井上通商は再建案を携えて金融機関に対しリスケジュールを要請する。ただ、もくろみに反して業績は低迷。自力再建のメドが立たない状況になり、スポンサー企業の支援による私的整理で事業再生を目指す方針に転換した。幸いスポンサー企業が見つかり、事業を譲渡。債務を残した井上通商は破産となった。
循環取引にご用心
日本公認会計士協会は、循環取引について「取引が存在するかのように仮装し、売上や利益を水増しする行為の総称」「不正会計に該当」と注意喚起する。井上通商が行っていた仕入れ代行取引は、循環取引の典型例の一つで帳簿上通過するだけの「スルー取引」に他ならない。
U社の本店所在地は月額2100円ほどで利用できるバーチャルオフィスだという。また、代表取締役の虚偽記載も商業登記簿で容易に確認できる。3月17日払いのような決済日の設定も不自然だ。破産申立書にはXの刑事告訴準備を進めているとある。果たして全貌は明らかになるのだろうか。
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戸別訪問やポスター規制 政治参画阻む「べからず」選挙-男子普通選挙100年のいま③[2025/04/02 05:00 日経速報ニュース 1359文字 画像有 ]
男子普通選挙の実現とともに現在まで続く戸別訪問の禁止といった選挙運動のルールもうまれた。ポスターや街頭演説を中心とする選挙文化は今や海外から日本独自のガラパゴス制度に映る。細かい規定が候補者の負担となったり、有権者の政治参加を阻んだりする弊害もある。
初めての男子普通選挙が実施された1928年、内務省は戸別訪問や演説妨害など19項目を「犯罪になります」と赤字で列挙したポスターを配布した。投票率を高める啓発活動をしつつ有権者の政治活動を畏縮させかねない周知活動に「当局者たちも混乱していた部分があった」と慶大の玉井清名誉教授は指摘する。
納税要件の撤廃に加え、中選挙区制への移行もあり1選挙区の有権者数は従来の数千人から一転、十数万人に激増した。
本格的に活用が始まった選挙ポスターが民家の塀に隙間なく貼られたり、鉄橋や船、雪だるまにまで掲示されるなど街中にあふれかえる事態になった。これが戦後の公営掲示板の設置やビラなどの数量規制につながっていく。
規制の隙間をつく陣営と法改正のいたちごっこは現在も続く。
2024年7月の東京都知事選ではほぼ全裸の女性や有料サイトに誘導するQRコードを載せたポスターが物議を醸し、ポスターの「品位保持」規定を設ける改正公選法につながった。他候補の当選を目的に立候補する「2馬力」行為の禁止やSNSの偽情報対策も議論が続く。
「有権者が知りたい情報を知れる環境をつくり、適正な新陳代謝と多様性を確保することが大事だ」。超党派の法改正協議に加わった自民党の鈴木英敬氏は理想的な選挙のルールをこう説明する。
およそ100年前の規定は新陳代謝の足かせになっている。候補者は選挙管理委員会が発行する証紙を貼ったビラしか配れない。何万枚も証紙貼りを担う人員を確保しづらい新人に不利に働く。SNSでの発信に量的規制はなく、制度の整合性も疑問が残る。
規制の曖昧さもハードルになる。例えば戸別訪問は禁止されている一方、道路などで偶然会った有権者に投票を呼びかけるのは自由だ。国民民主党の長友慎治氏は「初めて選挙に出るときは何が禁止か分からない、シンプルにすべきだ」と主張する。
立憲民主党の石川香織氏は自身に関する事実と異なる情報がSNSで拡散されたとき戸別訪問などによって「実際に会う体験が対抗手段になる」と唱える。
13年にネット選挙が一部解禁されたものの、有権者にとって分かりづらい規制もある。候補者のウェブサイトを印刷して配ることはできないなど細かい線引きに注意が必要だ。
海外の多くの国では戸別訪問は政治活動の自由として保護される。カナダは選挙期間中に候補者が集合住宅に入るのを管理人が阻むことを禁じる。
ビラやポスターなどの数に細かい規定があるのも珍しい。英国は選挙運動全体の費用を制限し、その枠内でビラやポスターの数や配布方法は各陣営が自由に決められる。
選挙プランナーの三浦博史氏は現行の選挙運動ではビラ配りや証紙貼りなどの業務に追われ、選挙ボランティアが自分の強みを生かした貢献をするのは難しいと指摘する。
ボランティアが戸別訪問などを通じて個性を発揮しながら支持を呼びかける米国の選挙活動を例に「楽しんでやるのがボランティア。選挙は感動だ」と説き、多様な政治参加を訴える。
【男子普通選挙100年のいま】
①選挙ショー、当選より動画再生 虚実まじるSNS情報
②狙い撃ち課税に反旗 「非課税世帯は票田」に変化の兆し
④町内会や労働組合、衰えゆく組織票 政策本位へ転換試す
3月前半の消費5.7%増 民間調査、外食など好調(短信)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 5ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく3月前半の消費データを発表した。外食などサービス関連の消費が好調で、名目の総合指数は前年同期に比べ5.7%増えた。
PayPay証券社長 栗尾圭一郎氏(新トップ)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 8ページ 110文字 PDF有 書誌情報]
◇PayPay証券社長
栗尾 圭一郎氏(くりお・けいいちろう)06年(平18年)立教大社会卒、森永乳業入社。08年ソフトバンク入社。22年PayPay金融戦略部長。千葉県出身。42歳
(4月1日就任。番所健児社長は退任)
デジタルガレージ、3社統合[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 13ページ 162文字 PDF有 書誌情報]
決済システムのデジタルガレージは1日、電子商取引(EC)関連のサービスを手掛けるグループ3社を経営統合した。新会社はDGビジネステクノロジー(DGBT、東京・渋谷)で、サイトの構築からマーケティングツールまで一気通貫で提供できる体制にする。各事業者が保有していたデータを連携させることにより新しいサービスの開発につなげる。
今治造船、作業服「綿100%」常識破る 新素材で防護・通気を両立 高コストでも「人に投資」[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1547文字 PDF有 書誌情報]
今治造船がおよそ30年ぶりに作業服を刷新した。防護性と、過酷な夏の現場でも快適に作業できる通気性の両立を追求。「作業服といえば綿100%」の常識を打ち破り独自の素材まで開発した。こだわりの裏には同社が進める「人への投資」がある。
作業服刷新のプロジェクトは人事総務本部の黒川裕司氏が檜垣幸人社長に提案したところから始まった。「社員が少しでも楽になるなら」と檜垣社長はあっさりOKを出し、23年3月、黒川氏率いるプロジェクトがスタートした。
造船所の現場では溶接作業の時などにスパッタ(火の粉)が飛ぶ。最近の気温上昇で熱中症のリスクも高まっている。通気性の高い「綿100%」が作業服の常識だ。
「綿ありきではなく、新素材をベースに進めよう」。プロジェクトチームは生地探しから始めた。様々な既存の生地を分析し難燃性や通気度を測定したが、今治造船が求める防護性と快適性の両方を高いレベルで満たす「万能生地」は存在しなかった。
そこで社員を業務でのやけどリスクの高低で2グループに分け、それぞれ夏用と通年用の4種類を作ることにした。そうすれば季節や作業に応じて生地を変えられる。ただ、やけどリスクの高い作業員の夏服に適した生地は見当たらなかった。
探しても見つからないなら作るしかない――。プロジェクトメンバーは作業服メーカーといっしょに、難燃性と通気性をバランス良く備えるオリジナルの生地を開発することを決めた。既存の防燃生地の組成をベースに織り方を工夫。スパッタの飛びやすい部分は難燃性に優れた既存の生地を貼り付けた二重構造にし安全性を高めた。
燃えないボタンや、スパッタが服に残らずに滑るような生地の縫い合わせ方など、生地だけでなく設計も細部までこだわった。腰の部分の生地をじゃばらにして伸びるようにすることで腰痛を防ぐ機能や自分で裾上げがしやすい仕様も加えた。色はアンケートをとって社員の意見を反映した。熱を吸収しない色にこだわりつつ、今治造船の象徴となる緑色をあしらった。
開発当初、黒川氏が費用などについて檜垣社長に相談したことがあった。「コストじゃないよ」と一言。「人への投資」を掲げる檜垣社長は金を惜しむことはなかった。試作品は36着にのぼり、試作にかかった費用は数百万円になった。
できあがった作業服は1着あたりコストが現行の作業服の3倍に膨らんだ。さすがに高い。黒川氏は万が一承認されなかった場合に備え、機能とコストを落とした他の2案も用意した。「松・竹・梅」の3プランをもって役員へのプレゼンに臨むと、社長は「松でいこう」と即答した。
今治造船のようにメーカーが自社で使う作業服をゼロから新しく作るのは珍しい。新しい作業服は日本産業規格(JIS)を取得した。この作業服を使わせてほしいと、すでにほかの舶用メーカーから問い合わせがあったという。黒川氏が許可を取りに行くと檜垣社長は「造船業界、地域全体が盛り上がらないといけない」と快諾した。
実は作業服は未完成ともいえる。作業服にはバーコードが付いていて1着ずつデータにひも付けられている。例えば作業服に穴が開いた場合、穴の場所やどんな作業をしたかなどを分析。作業着の「弱点」探しをして改良につなげていく構想があるという。
造船業は自動化が進む製造業の中でも人手に頼る部分が多い。危険な作業もあり、夏の酷暑も年々増している。そんな中、今治造船は働く環境の改善に力を入れている。3月1日には丸亀事業本部内の工作棟を50年ぶりにリニューアルした。新作業服は新卒採用にもつながるとみている。黒川氏は「人への投資をしてどんどん変わっている会社。効果は高いだろう」と期待を込める。
(鈴木麻佑子)
【図・写真】今治造船が生地から開発した新作業着
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(会社人事)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 16ページ 598文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
(4月1日、地名は支店長、Cはコンサルティングの略)本店C第一、中村慎太郎
▽本店C第五(大宮支店フィナンシャル・アドバイザリー)金沢賢
▽渋谷支店C第二、池田隼人
▽新宿支店C第一、円井隆史
▽同C第二、斉藤大喜
▽同フィナンシャル・アドバイザリー第一、保科裕章
▽大宮支店フィナンシャル・アドバイザリー、真藤稔
▽札幌(名古屋支店C第一)新川朋美
▽仙台、図師亨
▽名古屋支店C第一(岡山)福井鉄也
▽梅田支店C第一(新宿支店C第一)小林洋
▽同総務管理、山中英樹
▽高松(新潟)赤荻彰一
▽福岡支店副支店長(仙台)松本貴宏
▽新潟、大倉以作
▽岡山(本店C第一)有馬敬三
▽拠点統括部長(札幌)千葉孝博
▽アドバイザリー支援、和才潤
▽プロモーションセンター長(コールセンター長)長村優三
▽コールセンター長、持丸万弓
▽東日本プライベートバンキング第一(本店C第五)横山剛史
▽投資顧問(アドバイザリー支援)藤谷直昭
▽事業法人第三(名古屋事業法人)小平和宏
▽名古屋事業法人、河辺淳也
▽西日本事業法人(大阪事業法人)八田克利
▽ワークプレイス、津田哲郎
▽共同投資銀行統括部長、篠原淳
▽トランザクション・マネジメント、石井貴久
▽金融市場トレーディング、吉田佑馬
▽ウェルスマネジメントリサーチ(投資顧問)宮本諭
▽サイバーセキュリティ推進室長、IT企画・鯨井義晴
▽決済、飯岡哲
▽営業考査(高松)小沢剛正
ハイデ日高、営業益最高 前期2割増 6年ぶり、客足伸ばす、値上げ浸透、計画上回る[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1081文字 PDF有 書誌情報]
ハイデイ日高の2025年2月期の単独営業利益は前の期比2割増の55億円前後だったようだ。会社計画(52億円)を上回り、6年ぶりに最高益を更新した公算が大きい。値上げで食材価格や人件費の上昇を吸収した。期間限定商品の投入などで客数を伸ばした。
売上高は1割強増え560億円弱だったとみられる。2年続けて過去最高を更新し、会社計画(520億円)を上回ったもようだ。決算発表は11日を予定している。
業績拡大をけん引したのは既存店だ。25年2月期の既存店売上高は12%増となり、客数が9%増、客単価は3%増だった。期間限定のメニューが好評で、24年11月に中華食堂「日高屋」で発売した「チゲ味噌ラーメン」は、2月末までに約100万食を売り上げた。
販促キャンペーンも客数の伸びに奏功したようだ。24年9月からは「秋のサワー祭」を実施した。粗利が高いアルコール飲料を期間限定で値下げし、夜間の来店を喚起した。11月には冷凍ギョーザの割引キャンペーンを実施し、持ち帰り需要を取り込んだ。
コメや野菜などの食材価格や人件費の上昇を受け、24年12月にはこの年では2回目となる値上げを実施した。これまで価格を据え置いてきた定番商品「中華そば」など、約7割の商品を値上げし、コスト高を一定程度吸収した。
2回目の値上げ以降もポイント還元の強化やメニューの改良で客離れを防いだ。24年12月の値上げに合わせてPayPayポイントの還元キャンペーンを実施し、実質的な値ごろ感を打ち出した。「餃子」の皮を薄くするなど、値上げに先駆けて定番商品を改良した。郊外店ではデザートメニュー数を増やし、家族連れを取り込んだ。
デジタル機器の活用も採算改善に寄与した。25年2月期の売上高販管費率は前の期の62・4%を下回ったもようだ。タブレット式注文端末の導入店は2月末時点で320店舗と全店(461店)の約7割に拡大したほか、配膳ロボットの設置店も51店となった。24年3~11月期の販管費率は60・5%で前年同期より1・4ポイント下がった。
25年2月期の新規出店数は14店にとどまり、当初計画(20店)を下回った。好立地の物件を巡り、同業他社との競争が激しく、採算の見込める案件に絞り込んだ。
物価高を背景に消費者は節約志向を強めており、手ごろな価格が中心のハイデイ日高にとって事業環境は良好だ。「中華そば」のスープのリニューアルなど、既存メニューの改良も継続し客数増につなげる。26年2月期も増益基調が続く公算が大きい。
【図・写真】中華食堂「日高屋」では24年12月に値上げを実施した
ベンチャー魂のひと 李剛(交遊抄)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 40ページ 532文字 PDF有 書誌情報]
1997年に中国から来日して今年で28年になる。今年51歳になるから日本での生活が中国よりも長くなった。来日して大手システム会社で働いてきた私の日系大手企業に対する見方を大きく変えたのが、NTTドコモの井伊基之相談役だ。
6年前に初めてご挨拶する機会をいただいた。今だから率直に打ち明ければ、話が弾むのか一抹の不安を抱えていた。当時の私は国内では知名度の低かったQR決済のシステムを手掛けるスタートアップを起業して間もない時期だった。そしてお相手は、国内最大の通信会社であるNTT東日本のお偉いさんだ。緊張しない方が難しい。
「デジタル社会の今後についてどう思いますか」。話し始めると不安は一瞬にして吹き飛んだ。仮想現実やコード決済、デジタル領域で起きている最先端の話題を次々に井伊さんは投げかけてきた。日本での事業展開に悩んでいた私だったが「この人がいる限り日本でもやっていける」と妙に確信を得たのを覚えている。
去年NTTドコモの社長を退任されるタイミングでご挨拶に伺った。「お疲れさまでした」とお声がけする間もなく、「この間はネットフリックスを視察してきたんだ」と話す井伊さん。彼のベンチャースピリットに負けていられない。
(り・つよし=ネットスターズ社長)
能登の日本酒、蒸留酒「浄酎」に、広島のナオライ、酒蔵復興後押し[2025/04/02 日経MJ(流通新聞) 10ページ 1531文字 PDF有 書誌情報]
酒造スタートアップのナオライ(広島県呉市)は4月中に、鳥屋酒造(石川県中能登町)の日本酒「池月」を原料にした酒「浄酎(じょうちゅう)」の製造・販売を始める。浄酎は日本酒を低温で蒸留して造る酒で、ナオライが2020年ごろに広島の日本酒で製造を始めた。生産量の減っている日本酒を原料にして、酒蔵の収益向上にも一役買う。
浄酎は日本酒を40度以下の低い温度で蒸留して造り、アルコール度数は日本酒よりも25度ほど高い41度に上る。ナオライが日本酒、焼酎に次ぐ「第3の酒」として開発し、同社の三宅紘一郎代表取締役は「低温の蒸留により、日本酒の風味を残せる」と語る。
ナオライは15年の設立。当初は広島県産のレモンを蒸留した酒の製造などを手掛けていたが、17年頃から蒸留技術を日本酒に応用できないか検討を始めた。19年に低温の蒸留技術で特許を得て、足元では広島にある計3つの酒蔵の日本酒を使い浄酎を製造している。
ナオライは能登で事業を展開するにあたり、子会社のノトナオライを石川県中能登町に設立した。鳥屋酒造の敷地内に浄酎を造る蒸留所を準備し、4月からはきびだんご(東京・新宿)が運営するクラウドファンディング(CF)上で売る。価格は未定だが、約700ミリリットルの瓶数本で5千円~3万円ほどを想定する。
鳥屋酒造の田中博史社長は「売り上げを伸ばしたい中で、新たな販売先が見つかる意義は大きい」と話す。同社は24年、一升瓶で約4万5000本分の日本酒を販売したが、目標とする年間販売量は5万5000本ほど。日本酒市場全体の縮小が続く中で、すぐに販売量を伸ばすのは難しい。
田中社長は「ここ4~5年で若い女性などからの購入が増えてきたが、大きな流れとして販売量は減少が続いている」と話す。国税庁によると、22年度の日本酒の課税数量は1973年度のピーク時の2割強となった。ナオライは需要減に悩む酒造業者が全国にあるのを商機と捉える。
ノトナオライは鳥屋酒造と一升瓶で年間約4500本分にあたる8000リットルの日本酒を仕入れる契約を結んだ。計4000リットルの浄酎が造れる。蒸留所には余力があり、段階的に仕入れ量を増やすことも想定する。3年以内に1億5000万円以上を売り上げる目標を掲げる。蒸留所で勤務する職員として、中能登に住む計4人を採用した。
浄酎は日本酒が苦手な分野を克服できるのも、鳥屋酒造が連携する理由の1つだ。一般的にアルコール度数が高いほど長期の保存ができ「浄酎はコンテナを使い海外輸出もしやすい」(田中社長)。品質の維持に輸出時に冷蔵コンテナを使うのも一手だが、田中社長によると小規模な酒蔵では資金的に難しいという。
アルコール度数の高い浄酎は日本酒よりも保存期間が長く、鳥屋酒造はナオライの海外輸出を通じて、間接的に市場が広がることにも期待する。三宅社長は「目標は海外のバーなどにも浄酎が置かれること」とし、輸出にも力を入れる。
ノトナオライは1月、北国フィナンシャルホールディングス(FHD)傘下の投資会社、QRインベストメント(金沢市)が運営する「のとBeyond復興ファンド」から出資を受けた。
同ファンドは能登半島地震からの復興に貢献すると判断した事業に出資しており、ノトナオライは初めての投資先となった。
鳥屋酒造は24年1月の能登半島地震で建物や生産設備に被害は出なかったが、約300本の酒瓶が割れる被害を受けた。ナオライは能登での事業を足掛かりに、今後は他地域の酒蔵との連携も視野に入れることとしている。
(金沢支局 後藤圭次郎)
【図・写真】浄酎は日本酒を低温で蒸留して造る
【図・写真】ナオライは鳥屋酒造の酒を年間8000リットル仕入れる
車内でのきっぷ購入 JR四国、QR決済対応 車掌の負担軽減[2025/04/02 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 418文字 PDF有 書誌情報]
JR四国は1日、列車内で車掌が発行するきっぷ「車内補充券」の購入時の支払い方法としてQRコード決済を導入した。対応する決済手段を増やして利便性を高めるほか、現金の取り扱いを減らすことにより車掌の負担軽減につなげる。
JR四国管内で車掌が乗務する列車でサービスを利用できる。PayPay(ペイペイ)など4つのQRコード決済が対象で、車掌が携帯するスマートフォンでバーコードを読み取ると支払いが完了する。車内補充券購入時のQRコード決済への対応は全国のJRで初となる。
同社は2023年4月より、東洋電機製造が開発したスマートフォンの「車内補充券発行アプリ」を導入している。従来は現金決済だけに対応していたが、キャッシュレス決済へのニーズの高まりのなかでアプリ内の機能を拡充した。
今後は利用動向を見ながら、対応するQRコード決済の拡充を進める。増加するインバウンド(訪日外国人)への対応として海外のQRコード決済への対応も視野に入れる。
25年04月06日
「M7」2日間で12%下落、ダウ平均ではボーイングが2割安[2025/04/05 14:20 日経速報ニュース 2857文字 ]
【NQNニューヨーク=横内理恵】米トランプ政権の関税引き上げを発端とした米株安に歯止めがかからない。米トランプ政権の「相互関税」に対抗し、4日には中国が米国の輸入品に高関税を課す方針を示した。関税の応酬による貿易戦争と世界景気の悪化への警戒が強まり、米株式市場では打撃の大きそうな銘柄への売りが加速している。
4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4万ドルを割り込み、昨年5月以来の安値で終えた。2日間の下げ幅は3900ドルを超えた。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は2日間で11%超下げ、昨年12月に付けた最高値からの下落率が「弱気相場」入りの目安とされる2割を上回った。
この2日間に幅広い銘柄が売られ、時価総額の大きいハイテク7銘柄「M7」の下げもきつかった。下落率の首位はアップルで16%近く下がった。「iPhone(アイフォーン)」などをアジア諸国で生産しており、関税が利益を押し下げる可能性が高い。テスラも15%あまり下落した。中国の売上高が大きく、米中摩擦はすでに低迷する電気自動車(EV)販売に一段の影を落とす。
エヌビディアの下げも大きかった。貿易戦争を背景とした不透明感で企業が人工知能(AI)関連などIT(情報技術)投資を手控えるとの観測が浮上している。メタプラットフォームズは世界景気悪化による広告事業への逆風が懸念されている。M7で構成する上場投資信託(ETF)の「ラウンドヒル・マグニフィゼント・セブン」は2日間で約12%下げた。
■M7下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
アップル ▲15.8% ▲ 7.2%
テスラ ▲15.3% ▲10.4%
エヌビディア ▲14.5% ▲ 7.3%
メタプラットフォームズ ▲13.5% ▲ 5.0%
アマゾン・ドッド・コム ▲12.7% ▲ 4.1%
アルファベット ▲ 7.2% ▲ 3.3%
マイクロソフト ▲ 5.8% ▲ 3.5%
M7ETF ▲12.3% ▲ 5.8%
半導体株も全般に売られた。マイクロン・テクノロジーは2日間で27%近く下げ、マーベル・テクノロジーも2割超下げた。半導体は今回の相互関税の対象からは除外された。ただ、パソコンなどの電子機器から自動車、医療機器と様々な用途で使われ、関税に起因した供給網(サプライチェーン)の混乱の影響が大きいとみられている。
トランプ大統領は近く半導体への関税も発表する考えを示している。AI投資の減速懸念と相まって先行き不透明感は強い。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2日間で16%超下げた。
■主要な半導体関連銘柄の下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
マイクロン・テクノロジー ▲26.9% ▲12.9%
マーベル・テクノロジー ▲21.8% ▲11.1%
クアルコム ▲17.2% ▲ 8.5%
AMD ▲16.7% ▲ 8.5%
ブロードコム ▲14.9% ▲ 5.0%
AMAT ▲14.0% ▲ 6.3%
インテル ▲ 9.6% ▲11.5%
ダウ平均の構成銘柄でこの2日間の下げがもっとも大きかったのはボーイングで、ほぼ2割安となった。米中の関税引き上げで航空部品の価格上昇が避けられないとみられている。中国販売拡大が見込まれていたため、同国の景気懸念も売りを誘った。
ゴールドマン・サックスなど金融の売りも目立った。景気懸念から米長期金利が半年ぶりに節目の4%近辺に低下し、利ざやの縮小につながる。金融市場の混乱を受けて決済大手クラーナなどが新規株式公開(IPO)延期を検討していることも伝わった。個人消費の落ち込みやカードローンの債務不履行などを見越してクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなどへの売りも目立った。
■ダウ平均構成銘柄下落率(2日終値と4日終値を比較)
企業名 2~4日終値 4日
(1)ボーイング ▲18.9% ▲9.4%
(2)ゴールドマン・サックス ▲16.3% ▲7.9%
(3)アップル ▲15.8% ▲7.2%
(4)アメリカン・エキスプレス ▲15.1% ▲5.7%
(5)ウォルト・ディズニー ▲14.6% ▲5.9%
(6)エヌビディア ▲14.5% ▲7.3%
(7)JPモルガン・チェース ▲14.4% ▲8.0%
(8)スリーエム ▲14.1% ▲9.1%
(9)シェブロン ▲13.9% ▲8.2%
(10)キャタピラー ▲13.9% ▲5.7%
一方、3日に14%あまり下落したナイキは4日は反発した。トランプ大統領がベトナム政府と交渉していると伝わり、同国での生産比率が高いナイキに買い戻しが入った。ダウ平均の構成銘柄では唯一、ユナイテッドヘルス・グループが小幅に上げた。
それ以外、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数の構成銘柄ではデル・テクノロジーズやヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、HPなどサーバーやパソコンを手掛けるIT(情報技術)関連銘柄の下げが目立った。インフレによる消費の落ち込みを見込んでユナイテッド航空ホールディングスやクルーズ船のノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングスなど娯楽・レジャー関連も下げた。
関税を巡る混乱は尾を引きそうな気配で投資家の不安は強まっている。貿易戦争のあおりを受ける銘柄の選別売りは続きそうだ。
令和なコトバ「デジタル移民」 アナログ国より訪れし者[2025/04/05 05:00 日経速報ニュース 1421文字 画像有 ]
誰もが知る流行語なき時代の新語を採掘し、世の中を知る「令和なコトバ」。Z世代など今どきの若者はデジタルネーティブと呼ばれます。彼らの流儀の「デジタルの国」に移住してきたのが中高年、ということで「デジタル移民」という言葉が最近使われています。ライターの福光恵さんが身近なところから考えます。
基本はセルフレジ、店員さんに用があるときだけ有人レジ。そんなコンビニが増えてきた。自分は、どちらも空いているときは、必ずセルフレジに行くようにしている。「若いもんになめられたくない」という一心もあるが、一番はスーパーのレジ打ち係が昔の憧れだったから。
とくに圧巻は商品バーコードが登場する前の、打ち込み式のレジだ。「○○円?」「○○○円?」と価格を読み上げながらブラインドタッチで打ち込んでいき、1円だって間違えないパートのおばちゃんのレジテクニックのかっこよさと言ったら!
いつか私もあんなレジ打ち職人になるんだと、心に決めていたのにさ。気がつけばいつのまにかレジ打ちは消滅し、バーコードでピッの時代に。というわけで、かっこよさのレベルが違うが、喜んでセルフレジのピッをやっている今日このごろだ。
◇ ◇
まあ、なんで自分のセルフレジ好きの理由を読者のみなさまが延々と聞かされているかというと、今週のお題が「デジタル移民」だから。生まれながらにしてデジタルに触れていたミレニアル世代やZ世代が「デジタルネーティブ」と呼ばれるが、こちらその反対にある人たちのこと。今となればはるか遠くのアナログの世界から、デジタルの新時代に移民してきた、1980年くらいまでに生まれた今の中高年をこう呼ぶ。
そもそもデジタルネーティブという言葉は、米国人作家、マーク・プレンスキー氏の2001年の論文から生まれた。そのタイトルからして「デジタルネーティブ、デジタルイミグラント(移民)」。デジタルが当たり前のネーティブ世代と、そうでない移民世代の区別が二十数年前には始まっていたわけだ。
◇ ◇
ただし、この論文を読むと、かつてのデジタル移民像は、現在のそれとは相当違う。例えば情報取得の速度。プレンスキー氏はデジタル移民の特徴をこう定義している。「デジタルネーティブが高速で情報を受け取ることに慣れているのに対し、デジタル移民は比較的ゆっくりとしたペースで情報を処理する」
ネットワークの接続については、「デジタルネーティブは常にネットワークに接続されていることが前提だが、デジタル移民はオフラインでの活動も重視する」とか。まあ、デジタル環境が大きく変わったとはいえ、今やシニアのスマホ保有率はどんな調査でも90%以上。例えばうちの母(90)のデジタルライフを、当時のプレンスキーさんに教えてあげたいと思う。
朝起きたら布団の中で猫動画か韓流ドラマの短編。その後テレビを見ながら関連ニュースをSNSで流れてきた動画などでチェックする。午後はLINEで連絡を取りながら友人と待ち合わせてお茶。キャッシュレスで買い物し、帰宅後はお昼寝もはさんでネット三昧を始める。その間、驚くようなニュースを拾ったので娘(自分)に教えてあげたのに「それはフェイク!」と怒られる。そんなデジタル移民を誰が予想しただろう。
とはいえネット情報なら何でもうのみにしてしまう脇のゆるさが、いつかデジタル世界の移民問題につながらないことを祈って!
(福光 恵)
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決済大手クラーナ、米IPO延期へ 関税による市場混乱で[2025/04/05 04:35 日経速報ニュース 503文字 画像有 ]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きと見られる。
クラーナは3月に米証券取引委員会(SEC)にIPOに関する登録届を公式に提出したと発表した。売り出し株数や公開価格は未定としていた。
同社は2005年にスウェーデンのストックホルムで設立。BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)と呼ばれる後払い決済サービスを手がける。ドイツや米国、英国を中心に市場を拡大し、ユーザー数は約9300万人(24年末時点)にのぼる。日本のソフトバンクグループもビジョン・ファンドを通じて21年に出資した。
足元の相場急落を受けて、米IPO市場に逆風が吹いている。大型案件として注目を集めていたチケット売買サイト運営の米スタブハブも、貿易戦争の激化による株安でIPO計画を延期したと報じられている。4日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比で一時2100ドル超下げた。
台湾は米国に見捨てられるのか ブライアン・ヒュー氏-作家[2025/04/05 02:00 日経速報ニュース 1702文字 画像有 ]
トランプ政権の発足で米国と伝統的な同盟国との関係が疑問視されるようになった。その象徴が2月末、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との間で起きた激しい応酬だろう。トランプ氏はウクライナ戦争に関してロシアのプーチン大統領の肩を持っているようにもみえる。
台湾はウクライナと同様、領土的野心を持つ巨大な敵対国に隣接する。ロシアがウクライナへの主権を正当化するのと同様、中国も台湾への主権を訴えている。
台湾は米国と安全保障関係を維持しており、米国が主要な武器供給国だ。しかし3年前にウクライナ戦争が始まって以来、米国は直接的な関与を控えている。台湾も自らを単独で守らなければならなくなるとの懸念を抱える。その意味で「今日のウクライナは明日の台湾」というスローガンを集会でよく見かけるようになった。
かつてトランプ氏は台湾が米国の半導体産業を盗んでいると非難した。ゼレンスキー氏とトランプ氏の口論がテレビで放映された数日後、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は米国で1000億ドル(約15兆円)を追加投資する計画を発表した。この投資は台湾がトランプ氏を満足させようとしている表れと解釈された。
トランプ氏とゼレンスキー氏の論争は、民主主義や人権といった価値観が、米国の新政権にとって重要でないと物語っている。そしてゼレンスキー氏のようにトランプ氏に歯向かう指導者は罰を受けるだろう。トランプ氏は自分に敬意を払う指導者を好むようだ。
台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)総統もトランプ氏にこびへつらうかもしれない。しかしウクライナ人が自国の指導者を支持したように、民主主義の論理をあっさり捨て去る指導者を台湾の人々が受け入れるかはわからない。
台湾は過去10年間、進歩的な実績を上げてきた。2016年には初の女性総統を選出し、19年にはアジアで初めて同性婚を合法化した。若者による14年の「ひまわり学生運動」後、台湾の若い世代の政治家は大半が進歩派だ。
台湾が進歩的な価値観を受け入れるようになった動機のひとつは国際社会への参加を確実にすることだった。トランプ氏の機嫌をとるために進歩的なアイデンティティーを放棄するとは思えない。
台湾には、トランプ氏を声高に支持する少数派もいることには留意が必要である。トランプ氏が台湾を心から支持し、中国に敵対的だと確信している人々だ。また台湾には、ゼレンスキー氏との対立はトランプ氏の交渉戦術の一部と解釈しようとする向きもある。
トランプ政権1期目の帰結として、台湾では「米国懐疑論」が台頭した。米国は味方として信頼できないという主張も広がった。このような主張は陰謀論的な性質のものであることが多く、中国の情報工作に端を発している。
米国懐疑論は根深く、冷戦時代に見放されたというトラウマ(心理的外傷)は深く残っている。多くの台湾人は、1979年に中国との国交を樹立したことで米国は台湾を見捨てたと考えている。
そして台湾は今、ウクライナの状況をみて、味方であるはずの国に置き去りにされる不安に駆られている。台湾は新たな盟邦を探す時期なのかもしれない。それはおそらく、国際政治が予測不能な時代を同様に切り抜けていかねばならない国々になるだろう。
QRコードを読み取ると英文の記事が読めます。
発想の転換が必要に
トランプ政権はロシアに融和的な一方で中国を強く警戒していて、台湾をウクライナと同列に位置づけることはないだろう。ただ、ヒュー氏も指摘するように民主主義や人権といった価値観を重んじているわけではない。リベラルな民主主義体制より非リベラルな権威主義を好む傾向が目立つ。米国は中国と取引して台湾を「見捨てる」のでは、との心配も無理はない。
世界の安全保障情勢は変わった。マクロン仏大統領が自らの「核の傘」を欧州全域に広げる考えを打ち出したこと、その背景にドイツの次期首相と目されるメルツ氏の提案があったことが示すように、かつてない発想と戦略が求められている。新たな同盟相手を探る時期だ、とのヒュー氏の示唆も、飛躍が過ぎるとはいえない。
(編集委員 飯野克彦)
クラーナ、米IPO延期検討[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きとみられる。
駅と旅 砂村かいりほか著(新書文庫)[2025/04/05 日本経済新聞 朝刊 27ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
■『駅と旅』砂村かいりほか著 浜松、西宮、唐津など6つの都市を舞台にした「旅小説」を編んだアンソロジー。置き手紙だけを残して実家に帰省してしまった夫と子を追って、義姉と共に札幌へ向かう妻の旅路をたどる君嶋彼方の「雪花の下」など、6人の作家の作品を収録した。閉塞感の漂う日常に、旅での出会いや発見が風穴を開けていく。爽やかで小気味よい解放感に満ちた一冊。(創元文芸文庫・858円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
伊豆箱根バス タッチ決済導入 クレカで、15日から[2025/04/05 日本経済新聞 地方経済面 静岡 6ページ 307文字 PDF有 書誌情報]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
パリッと本格派、ご当地ソーセージ――味付けとして、パスタなどにも(何でもランキング)[2025/04/05 日経プラスワン 2ページ 2678文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム・ソーセージ工業協同組合によれば、ソーセージは紀元前15世紀に古代バビロニアで作られ、語源は「塩漬け」を意味するラテン語のsalsusとも、英語のSow(雌豚)とSage(ハーブの一種)ともいわれる。日本には明治期に伝わった。
現代ソーセージ研究家の村上武士さんによると、地元食材や手作りなどを売りにした「ご当地ソーセージ」は道の駅やふるさと納税の返礼品などで広まった。人気は粗挽きのウインナーソーセージだが、「愛好家にはジューシーな生ソーセージやドイツ伝統のふんわりしたバイスブルストが好評」という。
おいしく食べるにはまず添付の説明書に従って調理することだと村上さんは話す。ボイルは一般的にお湯が沸騰したら加熱を止め、蓋をして余熱で8~10分温める。沸騰したまま煮込むと皮が破れてうまみが逃げる。おいしい商品に出合ったら「味付きの自由に使える便利なお肉」と考えて、「適度にカットしパスタやシチューのコクだしなどに使うのがお勧め」(村上さん)。
<330>新潟県産の豚肉だけを使った粗挽きのジューシーな商品。ドイツ・チューリンゲン地方のソーセージを参考にしたという。隠し味に甘い香りのハーブのマジョラムとかんきつ系の香辛料を加え、さっぱりした後味に仕上げた。
新潟県佐渡島でドイツの製法で作り続けて約40年の生産者の看板商品だ。生地にはサラミ用に肉を成形した際に出る切れ端も利用している。「かむほどにうまみが増す。コスパもよく、幅広い年齢に好まれる味」(島本さん)。表面に焼き色が付く程度に焼いて食べるのがお勧めという。
(1)780円(5本合計160グラム)(2)新潟県佐渡市
<330>ドイツ農業協会のコンテスト(ハム・ソーセージ部門)で金賞を2回受賞し、グルメマンガ「美味しんぼ」にも登場した。「パリッとした食感、味、香辛料の使い方などバランスのとれた本物の味」(照井勇次さん)
1982年から完全無添加を続けてきた生産者の看板商品で、豚肉、羊腸、香辛料、調味料のみを使用。豚肉は岩手県奥州市の胆沢養豚が育てた臭みがなく脂の質が良いという「SPF地養豚」だ。黒コショウと根野菜の風味が様々な料理に合うという。
同じブランドで純米吟醸の酒かすを使った商品もある。
(1)648円(3本合計115グラム)(2)仙台市
<320>長野県で特別に飼育された「朝霧ヨーグル豚(とん)」を主原料にしたウインナー。一般的な品種の豚に小麦類などをヨーグルト状に加工した独自の飼料を与えることで、軟らかく脂の甘さが味わえるようにしたという。「クラシックだけれどバランスがよく、繊細で自然な味。ミンチの食感も良い」(ポコさん)
独自の調味料で数日間味をなじませた豚肉をひき肉にし、一部に豚トロを使うことで、肉汁があふれる作りでありながら、しつこすぎない仕上がりにした。「肉のうまみを引き出していて後味も良い」(佐藤健一さん)
(1)740円(5~7本合計200グラム)(2)静岡県富士宮市
<300>加熱処理をしない生ウインナー。本場ドイツでは「ブラードブルスト」と呼ばれるタイプ。焼くと脂が溶け出しジューシーな食感を楽しめる。
「豚肉のおいしさがダイレクトに伝わる」(猪口由美さん)「あっさりとしながら肉のうまみを感じる」(佐藤さん)など、肉本来の味が好評だった。
1979年の創業以来ドイツの製法を続ける生産者の人気商品で、本社工場と同じ敷地にある洋風レストランと炭火焼き店でも食べられる。地元糸島や熊本県産の豚肉など九州産の素材を使い、チーズやレモンなどを入れた種類もある。
(1)615円(6本合計150グラム)(2)福岡県糸島市
<260>北海道のエゾヤマザクラのチップでゆっくりいぶした燻香(くんこう)が好評だった。経営者自ら設計した燻製器は、しっかりと香りが付く直火(じかび)式。「スモークの上品な香りと食感で、うまみもしっかりしている」(照井さん)
1997年創業の生産者が家族3人で手作りし、直売所と通信販売を中心に販売している。北海道産の新鮮な豚肉と塩、香辛料だけを使い、保存料や着色料などは使わない。
家族が毎日食べても飽きない商品がコンセプトだ。「軟らかく肉汁が多めで、子供も食べやすい」(猪口さん)という声もあった。
(1)670円(5本合計120グラム)(2)北海道上富良野町
<250>パキッとはじけるような歯応えと沖縄県産豚肉を中心に肉の味わいを楽しめるシンプルでジューシーなスモークソーセージ。2019年には国際見本市IFFAのコンテストで金賞を獲得した。「食感がよく甘めの優しい味」(森本さん)が支持された。
作り手は沖縄ならではの素材を使ったハム・ソーセージの専門店。伝統的なドイツ製法で作る。22年にはIFFAに出品した全ての商品が金賞を受賞した実力派だ。「しっかりと肉の味が感じられる。ピルスナータイプのビールに合う」(野田さん)
(1)850円(3本合計180グラム)(2)沖縄市
<240>鳥取県東南部の山あいにある大江ノ郷自然牧場が、県内産の豚を中心に使って製造する。「余計なものが入っていないシンプルな味で、大人から子供まで年齢を問わず楽しめる」(猪口さん)
一般的な商品に使われる防腐剤やうま味調味料、でんぷん、結着剤も使わず作った無添加も売りだ。「ドイツで食べたソーセージの味と同じ。小さいながらもしっかりしている」(照井さん)という評価もあった。
牧場内の複合施設では、家族連れでガラス越しに製造工程を見ることができる。
(1)918円(5本合計135グラム)(2)鳥取県八頭町
ランキングの見方 商品名(製造元または発売元)。数字は専門家の評価を点数化。(1)取り寄せできる最小単位の税込み本体価格(本数と内容量)(2)製造元・発売元の所在地。写真は鈴木健撮影。スタイリングは島本美由紀。
調査の方法 通信販売で購入できる地域密着型生産者の商品で、100グラムあたり800円以下を条件に、井上真一(食文化取締役)、初鹿美佐子(おとなの週末お取り寄せ倶楽部バイヤー)、村上武士(現代ソーセージ研究家)の3氏の協力で22商品を選定。専門家7人による試食会で味や価格、地域の個性を考慮して1~10位を選んでもらい、編集部で集計した。(堀聡が担当しました)
電子版有料会員の方はスマートフォンなどのカメラでこのQRコードを読み込むと、何でもランキングの過去記事(2019年7月20日付以降)をご覧になれます。
銀行でポイント獲得、デビット決済で高還元も(ポイント賢者)[2025/04/05 日経プラスワン 3ページ 733文字 PDF有 書誌情報]
銀行取引でポイントを獲得できるサービスが増えています。みずほ銀行は4月中旬から「みずほポイントモール」を始めます。現在の「みずほマイレージクラブ」をリニューアルし、ATMの時間外手数料が無料になるなどの特典にポイントサービスを追加します。
例えば、給与の受け取りで毎月20ポイント、クレジットカードの「みずほマイレージクラブカード」や「みずほ楽天カード」、デビットカードの「みずほJCBデビット」の利用などで1キャッシュレス商品あたり10ポイント獲得できます。たまったポイントは楽天ポイント、PayPayポイント、dポイントに1ポイント=1円相当で交換できます。
Vポイントがたまる銀行サービス「V NEOBANK」のポイントプログラムも3月に変更となりました。V NEOBANKはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ企業が住信SBIネット銀行の銀行代理業者として提供するサービスです。口座振替など様々な銀行取引でVポイントを獲得できます。
マスターカードのスマホデビットを月に1000円以上利用で1・5%のVポイント還元も始まりました。従来のスマホデビット利用でポイント付与はありませんでした。スマホデビットは実店舗でスマホタッチ決済を利用するか、オンライン決済で使います。クレカでも還元率が1・5%のカードは少なく、おトクです。
月末と翌月1~5日の毎日の円普通預金残高が10万円以上の場合、50ポイント獲得できる特典も追加され、銀行取引でVポイントがたまりやすくなりました。
銀行サービスのポイントは、一度利用を始めれば自動的にたまっていきます。新年度が始まったのを機に、利用する銀行口座を見直してもよいでしょう。
(ポイ探代表 菊地 崇仁)
三井住友銀行、関西初の新型店「オリーブラウンジ」公開[2025/04/04 20:15 日経速報ニュース 717文字 画像有 ]
三井住友銀行は4日、大阪市内で7日開業する新型店舗「オリーブラウンジ」を報道公開した。窓口やATMなど従来の店舗機能に加えてカフェやシェアラウンジを設けた。関西では初出店。日常的に使うカフェやラウンジを併設させることで、銀行サービスをより身近に感じられるようにする。
報道公開した「オリーブラウンジ船場」は三井住友銀の船場支店・御堂筋支店を改装して開業する。1階には個人向け窓口とスターバックス、2階には法人向け窓口と新型店舗で連携したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手掛けたシェアラウンジを設けた。
上村明生専務執行役員は「仕事や日常、遊びと、どんな時でも集まれる場所として活用してほしい。大阪のビジネス街に位置し、歴史ある船場にふさわしい交流の場にしたい」と語った。「カフェやラウンジ、ATMなどもあわせて、1日当たり2000~3000人が来場するだろう」と期待を込めた。
新型店舗を開く狙いの一つには、同行が手掛ける総合金融サービス「オリーブ」の導入促進がある。オリーブは銀行口座やクレジット、デビットや保険を一括で管理できるサービスで、会員数は2024年度末時点で500万人を超え、28年に1200万人の会員登録を見込む。
新型店舗では同サービスの使い方を指南する役割も兼ね備える。オリーブの会員専用の作業スペースや、オリーブを利用したスマートフォン決済によるポイント還元などの特典もつける。
今後はオリーブラウンジ船場を大阪府の旗艦店に位置づけ、関西の他地域でもオリーブラウンジを広く展開したい考え。7月には旧塚口支店(兵庫県尼崎市)、秋ごろには南森町支店(大阪市)の拠点にそれぞれ新型店舗を新設する計画だ。
auペイメント、「au PAY」でデジタル給与払い提供[2025/04/04 19:04 日経速報ニュース 342文字 画像有 ]
KDDI傘下のauペイメント(東京・港)は4日、スマートフォン決済「au PAY」を通じて給与をデジタル払いすることができるサービスの提供を始めたと発表した。同日に厚生労働省が指定事業者として認定した。デジタル給与払いの事業者はPayPayなどに次いで4社目となる。
すでにKDDIのグループ会社の一部が導入した。給与のデジタル払いを導入したい事業者は、従業員が専用の給与受取口座を開設する方式か、口座を開設せずにau PAYの会員情報を通じて直接受け取る方式を選ぶことができる。
給与としてau PAYにチャージできる金額の上限は10万円とした。給与口座からauじぶん銀行の口座に出金する場合の手数料は無料とした。他の金融機関では月に1回まで無料とし、2回目以降は220円とした。
伊豆箱根バス、クレカのタッチ決済導入 15日から[2025/04/04 18:55 日経速報ニュース 307文字 画像有 ]
伊豆箱根バス(静岡県三島市)は15日、クレジットカードのタッチ決済を導入する。神奈川県小田原市や箱根町など小田原営業所管内の路線のほか、静岡県三島市と羽田空港を結ぶ高速バス「三島―羽田線(三島羽田シャトル)」が対象。利便性向上とピーク時の混雑緩和を図る。
三井住友カードの公共交通機関向けタッチ決済サービス「stera transit(ステラトランジット)」を使う。Visa(ビザ)やJCBなど7種類のクレカブランドに対応する。乗降時にタッチ決済ができるクレカや設定済みのスマートフォンなどを専用リーダーにかざすと運賃を支払える。
親会社の伊豆箱根鉄道(三島市)は2024年12月、駿豆線で同決済を導入している。
イオン4割減益に下振れ 前期、小売り苦戦や構造改革で[2025/04/04 18:44 日経速報ニュース 1328文字 画像有 ]
イオンは4日、2025年2月期の連結純利益が前の期比36%減の285億円だったと発表した。3%増の460億円とする従来予想から一転減益となる。主力の小売事業で経費がかさみ苦戦。クレジットカードの不正利用被害や中国のショッピングモールの店舗閉鎖に関するコスト、国内ドラッグストアの減損損失なども響いた。
純利益の悪化は最終赤字になった21年2月期以来4年ぶり。売上高にあたる営業収益は6%増の10兆1340億円、営業利益は6%減の2370億円だった。プライベートブランド(PB)の販売を伸ばすことなどで営業収益は同社として初めて10兆円を超えたものの、営業利益で8%増の2700億円としていた会社計画には届かなかった。純利益は事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、346億円)も下回った。
主力の小売事業では経費増を吸収しきれなかった。イオンは24年春にパート従業員の時給を平均7%引き上げ人件費が増えた。グループの共通アプリで独自ポイント「WAON(ワオン)」やクーポン配布などで誘客に力を入れ販促経費もかさんだ。
消費者の節約志向の高まりを受け、イオンは前期下期からPBの「トップバリュ」の低価格帯シリーズで約500品目の新商品を出し、一部を実質値下げした。PBの販売量を伸ばし粗利総額を保って経費増を補う戦略だったが、増収効果で補えなかった。
一方、総合金融とショッピングセンター(SC)開発、アミューズメント施設などのサービス・専門店事業の3事業は増益だった。クリスマスや年末商戦でのイベント施策が奏功し、SCの客足回復とテナントの専門店の売り上げが伸びた。クレジットカードの利用が増えて金融事業も増益を確保した。
クレジットカード「イオンカード」の不正利用被害に関連する費用を計上し、利益を押し下げた。イオンカードでは24年夏ごろから、NTTドコモの非接触決済システム「iD(アイディ)」を使った本人認証を必要としない少額決済(オフライン取引)で不正利用が相次いで報告されており、被害は数万人にのぼる。被害者の損失補などの費用がかさんだ。
構造改革に伴う損失も響く。中国では不動産不況のあおりを受け、中国本土の沿岸部を中心に消費が低迷。同社は北京などの収益性の低い店舗を閉鎖し、武漢など比較的消費が活発な地域へ出店計画を見直しており、閉店関連の損失を計上した。
国内では、傘下のイオンモールが手掛ける都市型ショッピングセンター事業が24年2月期まで6年連続の最終赤字を計上しており、立て直しを急ぐ。25年2月期は聖蹟桜ケ丘オーパ(東京都多摩市)や心斎橋オーパ(大阪市)の閉店に伴う損失がでた。ドラッグストアを手掛けるヘルス&ウエルネス事業では一部の収益性の低い店舗で減損損失が発生した。
節約志向は今後も続きそうだ。帝国データバンクの調査によると、4月の食品の値上げ品目は4225品目と月別で1年半ぶりの多さだ。25年2月期決算と26年2月期の見通しの発表は11日を予定する。岡三証券の金森淳一シニアアナリストは「急に消費がよくなると思えない。低価格帯だけでなく高付加価値PBも拡充し全体で粗利を改善させていけるかが焦点だ」と指摘する。
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三菱UFJニコス、全保連株式に対する公開買付けの結果などに関して発表[2025/04/04 17:08 日経速報ニュース 898文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード:5845)に対する公開買付けの結果及び連結子会社(孫会社)の異動に関するお知らせ
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(代表執行役社長 亀澤宏規、以下「当社」といいます。)の完全子会社である三菱UFJニコス株式会社(代表取締役社長 角田典彦、以下「公開買付者」といいます。)は、2025年2月14日開催の取締役会において、全保連株式会社(以下「対象者」といいます。)の普通株式を公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決議し、同年2月17日より本公開買付けを実施しておりましたが、本公開買付けが2025年4月3日をもって終了いたしましたので、以下の添付資料のとおりお知らせいたします。
また、本公開買付けの結果、2025年4月10日(本公開買付けの決済の開始日)付で対象者は当社の連結子会社(孫会社)となる予定ですので、併せてお知らせいたします。
記
I 当社完全子会社(三菱UFJニコス株式会社)による公開買付けの結果
本公開買付けの結果につきましては、添付資料「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」をご覧ください。
II 連結子会社(孫会社)の異動
1.異動の理由
本公開買付けの結果、対象者は本公開買付けの決済の開始日である2025年4月10日をもって当社の連結子会社(孫会社)となる予定です。本公開買付けの目的等につきましては、2025年2月14日に公表しております「三菱UFJニコス株式会社による全保連株式会社株式(証券コード : 5845)に対する公開買付けの開始及び同社との資本業務提携契約の締結に関するお知らせ」をご覧ください。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689373/01_202504041712.pdf
マリオット・インターナショナル、JWマリオット・ホテル奈良がフォーブス・トラベルガイドのサステナビリティ認証を取得[2025/04/04 16:02 日経速報ニュース 801文字 PDF有 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
【JWマリオット・ホテル奈良】フォーブス・トラベルガイドの「Responsible Hospitality」認証を取得
奈良県で唯一、日本国内では2軒目の快挙
JWマリオット・ホテル奈良(所在地 : 奈良県奈良市三条大路 1丁目1-1、総支配人 : クラウス・クリスタンドル)はこのたび、世界的権威のある「フォーブス・トラベルガイド」が設けるサステナビリティ認証『Responsible Hospitality』を取得いたしました。本認証は、環境保護や従業員・ゲスト・地域社会の福祉を考慮しながらも、優れたゲスト体験を提供するホテルに与えられるフォーブス・トラベルガイドの公式の認証であり、当ホテルは奈良県内で唯一、日本国内では2軒目の取得となります。
※参考画像は添付の関連資料を参照
JWマリオット・ホテル奈良では、「サステナビリティ」をテーマに、以下のような環境負荷の低減に向けたさまざまな取り組みを展開しております。
・EV車充電器の設置
・ペーパーレス化の推進(チェックイン・チェックアウト時、QRコードを活用した施設案内など)
・奈良県産の食材や平飼い卵を使用した地産地消の促進
・フードロス削減への取り組み
・児童養護施設「愛染寮」へのチャリティプログラムの実施
JWマリオット・ホテル奈良は、これからも地域社会との共生を大切にしながら、より良い未来に向けた努力を続けてまいります。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
参考画像
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/01_202504041600.jpg
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689367/02_202504041600.pdf
auペイメント、「au PAY 給与受取」を提供開始[2025/04/04 16:00 日経速報ニュース 1101文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月04日
au PAY、給与デジタル払いを開始
~「au PAY 給与受取」をKDDIグループの一部で先行導入~
auペイメントは2025年4月4日、資金移動業者の口座への賃金支払(以下 給与デジタル払い)に対応する資金移動業者として厚生労働大臣の指定を受けました。これにより、スマホ決済「au PAY」で給与受け取りが可能な給与デジタル払いのサービスとして「au PAY 給与受取」を提供開始します。
事業者が「au PAY 給与受取」を導入することで、当該事業者の下で勤務するau PAYご利用者(注1)は、従来の現金や金融機関口座での給与受け取りに加え、au PAY給与残高(注2)での給与受け取りが可能になります。
KDDIおよびauフィナンシャルグループをはじめとするKDDIグループ各社(以下 KDDIグループ各社)は、「au PAY 給与受取」の提供開始に伴い、2025年5月以降分の給与支払いから順次、希望する従業員を対象に、au PAY給与残高への給与デジタル払いを導入します。
<導入を決定または検討しているKDDIグループ各社(注3)>
・KDDI株式会社
・auフィナンシャルホールディングス株式会社
・auペイメント株式会社
・auじぶん銀行株式会社
・auフィナンシャルサービス株式会社
・auアセットマネジメント株式会社
・au損害保険株式会社
・auフィナンシャルパートナー株式会社
なお、auペイメントはすべてのau PAYご利用者へのサービス提供開始を見据えた準備を進めており、受付開始の際は改めてお知らせします。
auペイメントは「au PAY 給与受取」の提供を通じて、給与受け取り方法の選択肢を拡げ、従業員エンゲージメント強化に取り組むためのサポートをしていきます。
「au PAY 給与受取」の詳細は別紙および以下のウェブサイトをご参照ください。
・「au PAY 給与受取」事業者向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/index.html )
・「au PAY 給与受取」従業員向け専用ページ
( https://www.au-payment.co.jp/solution/payroll/service.html )
以上
※別紙は添付の関連資料を参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
別紙
https://release.nikkei.co.jp/attach/689366/01_202504041559.pdf
外為12時 円相場、上昇し146円台前半 景気不安・株安進行で[2025/04/04 12:34 日経速報ニュース 817文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇している。12時時点は1ドル=146円11~13銭と前日17時時点と比べて1円13銭の円高・ドル安だった。トランプ米大統領による相互関税の発表を受け、世界的に景気不安が高まっている。日経平均株価が連日で大幅安となるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。
日経平均株価の午前の下げ幅は900円を超えた。3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドルと新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさとなった。日米の株安進行を受けて投資家心理が悪化し、相対的にリスクが低いとされる円に買いが向かった。
円は朝方に145円55銭近辺まで上昇する場面があったが、その後は上げ幅を縮めた。国内債券市場は長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。金融・資本市場の混乱を受け、日銀が追加利上げに動きにくくなるとの見方が円相場の上値を抑えた。直近の円上昇に伴い、10時前の中値決済に向けては国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測もあった。
植田和男総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済を下押しする方向に働く」などと述べたが、円相場への影響は限られた。
米サプライマネジメント協会(ISM)が3日公表した3月の非製造業(サービス業)景況感指数は市場予想を下回った。関税強化に伴うインフレ圧力の高まりと景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」への懸念もくすぶり、主要通貨に対してのドル売りも広がっている。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=161円60~63銭と、同6銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.1060~61ドルと同0.0090ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、堅調 146円台前半、日銀総裁発言への反応は限定的[2025/04/04 10:34 日経速報ニュース 682文字 ]
4日午前の東京外国為替市場で、円相場は堅調だ。10時時点は1ドル=146円02~03銭と前日17時時点と比べて1円22銭の円高・ドル安だった。米関税による世界的な景気不安の高まりに加え、日米の株安進行への警戒感が高まり、「低リスク通貨」とされる円に買いが入った。日銀の植田和男総裁の国会での発言への反応は今のところ限られている。
実需勢の円売り・ドル買い観測や国内金利低下は上値を抑えている。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。直近の円相場の急上昇もあり、10時前の中値決済に向けては「国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。
植田総裁は4日午前の衆院財務金融委員会で、米関税政策について「世界経済、わが国経済に下押し」になるとの認識などを示した。
国内債券市場では長期金利が低下し、2月上旬以来の低水準をつけた。日経平均株価の下げ幅が一時900円を超えるなど投資家のリスク回避姿勢が強く、相対的に安全資産とされる国内債は買いが優勢だった。トランプ米政権の相互関税が国内企業の輸出の落ち込みなどを通じて景気減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測を後退させており、円相場の重荷となっている。
円は対ユーロでもやや上げ幅を縮小している。10時時点では1ユーロ=161円50~55銭と、同4銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルでやや上げ幅を広げている。10時時点では1ユーロ=1.1061ドル近辺と同0.0091ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
今日の東京円相場 上昇、145円台 日米株安でリスク回避強まる[2025/04/04 08:00 日経速報ニュース 972文字 ]
4日の東京外国為替市場で円相場は上昇しそうだ。1ドル=145円台を中心とした動きが見込まれる。3日のニューヨーク市場で主要通貨に対してドル売りが進み、対円で一時145円台前半と半年ぶりの円高・ドル安水準をつけた。トランプ米大統領が発表した「相互関税」は市場の想定より厳しい内容となり、世界的に景気の先行き不安が強まった。前日の東京の取引時間帯で米相互関税の織り込みは進んだが、その後の日米の株安加速もあって「低リスク通貨」とされる円に買いが集まりそうだ。
3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は昨年9月上旬以来の安値で終え、下げ幅は1679ドル安と新型コロナウイルス禍の2020年6月以来の大きさだった。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物の中心限月である6月物は前日比1230円安の3万3620円で終えた。前日に続いて日本株が大幅安となれば投資家のリスク回避姿勢は高まり、相対的にリスクが低い円には買い圧力の強い状況が続きそうだ。
4日早朝の円相場は145円台後半と前日17時時点と比べて2円近くの円高・ドル安となっている。市場関係者が有力とみていた日米金利差の縮小シナリオが後退する可能性は円相場の重荷となる。トランプ米政権の関税発動は米国のインフレ懸念を増幅させ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを難しくする要因になる。日本では米関税による輸出の落ち込みが経済減速につながるとの見方が日銀の追加利上げ観測の後退につながっている。
円相場の急上昇に伴い、国内実需筋に動きがあれば上値を抑える要因となる。4日は週末とあって事業会社の決済が集中しやすい。国内輸入企業などの円売り・ドル買い需要が高まる可能性もある。
4日は3月の米雇用統計の発表を控える。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想は非農業部門の雇用者数が前月比14万人増、失業率が4.1%と前月から横ばいの予想だ。イーロン・マスク氏が率いる米政府効率化省(DOGE)が主導する人員削減が影響するとの見方がある。米景気の動向を見極めるため、市場では次第に様子見姿勢が強まりそうだ。
国内は総務省が2月の家計調査を発表するほか、3カ月物国庫短期証券の入札を予定している。海外はパウエルFRB議長などが講演を予定している。
〔日経QUICKニュース(NQN) 加治屋雄基〕
サムスンのAIスマホ、日本で販促に力 日本法人CMO ライブと連携、補正機能PR[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 4ページ 1376文字 PDF有 書誌情報]
サムスン電子ジャパンが日本で携帯通信会社との連携を深めている。10年ぶりにソフトバンクがサムスンのスマートフォン「ギャラクシー」の取り扱いを再開し、KDDIやNTTドコモとも共同販促を打ち出す。iPhone1強体制の日本でいかにシェアを高めていくか。日本法人で最高マーケティング責任者(CMO)を務める小林謙一氏に聞いた。
――2025年のマーケティング戦略は。
「大きく2つのテーマがある。信頼と納得だ。消費者の信頼を獲得するためには、携帯通信会社など第三者からの客観的な評価が大切。通信事業者と『Co―Marketing(共同マーケティング)』に注力する」
「NTTドコモは若年層開拓にギャラクシーを積極活用し、KDDIは『推し活』と組み合わせた販促を展開してくれている。ソフトバンクはギャラクシーの取り扱い再開をニュースとして起爆剤にしたいと言ってくれている」
――ソフトバンクが取り扱いを再開しました。
「人工知能(AI)に注力するソフトバンクグループにとって『頼れるAIパートナー』としてサムスンの技術力に注目してくれた。グループとしてAIに経営資源を集中しており、サムスンブランドのテーマ設定とうまく適合した」
――もう1つの納得とは。
「ギャラクシーの最大の訴求ポイントであるAIエージェントは体験してもらわないと納得感は得られない。スマホはコモディティー(汎用品)化が進む。どれだけ日々の生活を変えてくれるか、を実感してもらうことが重要なマーケティングだ。体験の場をつくることにこだわった」
「東京の原宿と大阪の難波での自社販促拠点だけでなく、ポップアップ型の販促活動も積極的に展開した。S25シリーズの最大の武器はカメラ性能。暗い場所での動画撮影におけるAI補正のレベルを高めた。不要な音声を消す機能も評価されている。これらは実際に体感してもらって価値を認識してもらえる」
――新しいマーケティングの取り組みは。
「若年層の開拓のために音楽ライブとの連携を重視した。ライブ中の撮影可能な時間帯にギャラクシーの100倍ズームで撮影し、前の観客やノイズを消すこともできる。『推し』のライブシーンを残せると評判を呼んだ」
「KDDIとは『新しい学校のリーダーズ』のライブを企画した。映画の試写会では、舞台上から俳優陣と観客を撮影し、その場で独自アプリを通して観客全員に高精細画像を共有した。ソフトバンクホークスの試合では観客にギャラクシーを使ってもらう販促活動も展開する」
――日本でのiPhone牙城は突き崩せるか。
「手応えはある。『ギャラクシーらしさ』とはスマホ+α。米国や韓国に比べて遅れていたウエアラブル機器も早期に投入していく。健康管理の『フィット』、指輪型端末『リング』などセンシング技術を組み合わせたトータルサービスを提供していく」
「折り畳み端末、バッテリー性能、強力なMPU(超小型演算処理装置)といったハードの強みに加えて、決済サービスなど使いやすいアプリ設計も重要となる。かゆいところに手が届く性能を訴えて日本でもギャラクシーの価値を訴えていきたい」
(聞き手は細川幸太郎)
【図・写真】サムスン電子ジャパンの小林謙一CMO
【図・写真】KDDIとは「新しい学校のリーダーズ」のライブを企画した=サムスン電子ジャパン提供
PayPay(会社人事)[2025/04/04 日経MJ(流通新聞) 7ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
PayPay
(4月1日)営業統括本部ポイントソリューション営業本部長(パートナー営業本部ポイント営業1)渡辺哲平
高知信金 決済アプリ、チャージ金融機関を拡充 メガバンクなど300以上対応 「アニクリ祭」へ利便性向上[2025/04/04 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 590文字 PDF有 書誌情報]
高知信用金庫は高知県内で使える決済アプリ「ジモッペイ」にチャージできる金融機関を拡充した。メガバンクや地銀など全国300以上の金融機関に対応する。同信金が中心となって開催するイベント「高知アニクリ祭2025」を控え、利用者の利便性を向上させた。
ジモッペイは2024年3月に始まった電子決済サービスで、同信金が独自に開発。スマートフォンのアプリで店頭のQRコードを読み込み支払う。県内約3000店舗で利用でき、アプリのユーザーは約4万4000人となっている。
これまでは同信金の口座やATM、セブン銀行のATMなどでチャージしていた。新たに取引のある金融機関の預金口座を登録することで、アプリに直接チャージできるようにした。アプリ上でマイナンバーカードなどによる本人確認を行い、早ければ当日から利用できるという。
一方、アニクリ祭は高知県が共催し、5~6日に開催する。高知市内の県民体育館や中心商店街、公園など5カ所が会場で、アニメ制作体験や人気声優のステージ、コスプレーヤーらによるパレード、グッズ販売などがある。大手出版社などが後援しており、大勢の来場者が予想される。
混雑を避けるため会場内での飲食やグッズ購入はキャッシュレス決済を推奨しており、ジモッペイはオフィシャル通貨となっている。利用者がアプリを提示すると、300ポイントをプレゼントするなどの特典を用意している。
高知信用金庫の決済アプリ、銀行からもチャージ可能に[2025/04/03 18:59 日経速報ニュース 592文字 画像有 ]
高知信用金庫は高知県内で使える決済アプリ「ジモッペイ」にチャージできる金融機関を拡充した。メガバンクや地銀など全国300以上の金融機関に対応する。同信金が中心となって開催するイベント「高知アニクリ祭2025」を控え、利用者の利便性を向上させた。
ジモッペイは2024年3月に始まった電子決済サービスで、同信金が独自に開発した。スマートフォンのアプリで店頭のQRコードを読み込み支払う。県内約3000店舗で利用でき、アプリのユーザーは約4万4000人となっている。
これまでは同信金の口座やATM、セブン銀行のATMなどでチャージしていた。新たに取引のある金融機関の預金口座を登録することで、アプリに直接チャージできるようにした。アプリ上でマイナンバーカードなどによる本人確認を行い、早ければ当日から利用できるという。
一方、アニクリ祭は高知県が共催し、5~6日に開催する。高知市内の県民体育館や中心商店街、公園など5カ所が会場で、アニメ制作体験や人気声優のステージ、コスプレーヤーらによるパレード、グッズ販売などがある。大手出版社などが後援しており、大勢の来場者が予想される。
混雑を避けるため会場内での飲食やグッズ購入はキャッシュレス決済を推奨しており、ジモッペイはオフィシャル通貨となっている。利用者がアプリを提示すると、300ポイントをプレゼントするなどの特典を用意している。
外為17時 円相場、大幅反発 147円台前半 トランプ関税で3週ぶり高値[2025/04/03 17:29 日経速報ニュース 808文字 ]
3日の東京外国為替市場で、円相場は3日ぶりに大幅反発した。17時時点では前日の同時点に比べ2円43銭の円高・ドル安の1ドル=147円22~24銭で推移している。16時ごろに146円80銭近辺と3月11日以来、約3週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。トランプ米大統領が2日、世界各国・地域からの輸入品に「相互関税」をかけると公表した。米景気の悪化懸念が強まり、主要通貨に対してドル売りが優勢になった。
トランプ米大統領は2日に演説し、貿易相手に一律10%の関税を課し、国・地域ごとに異なる税率を上乗せする方針を示した。関税強化により米国経済が景気悪化と物価上昇が併存する「スタグフレーション」に至るとの警戒感もくすぶるなか、主要通貨に対してドルが大きく下落した。
3日の東京市場では米国の相互関税が企業業績を圧迫するとの懸念で、日経平均株価が900円あまり下げた。日本時間3日の取引で米株価指数先物が下落するなど投資家心理が悪化し、「低リスク通貨」とされる円の買いが優勢になった面もあった。
10時前の中値決済にかけては国内輸入企業による円売り・ドル買いが出たとの観測があった。もっとも投資家のリスク回避が加速する中で、円買い・ドル売りの圧力が増した。
円は対ユーロで小幅に反落した。17時時点では同6銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=161円55~59銭で推移している。対ドルでのユーロ買いが優勢になり、円安・ユーロ高が進んだ。もっとも対ドルでは円買いも入ったため、円の対ユーロ相場は底堅かった。
ユーロは対ドルで3日ぶりに反発した。17時時点は同0.0182ドルのユーロ高・ドル安の1ユーロ=1.0973~75ドルで推移している。16時すぎに一時1.0990ドル近辺と2024年10月以来、約半年ぶりの高値をつけた。米景気の減速懸念でユーロ買い・ドル売りが集まった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為12時 円相場、大幅高 米関税発表受けリスク回避[2025/04/03 12:24 日経速報ニュース 660文字 ]
3日午前の東京外国為替市場で、円相場は大きく上昇した。12時時点は1ドル=147円74~76銭と前日17時時点と比べて1円91銭の円高・ドル安だった。11時半前には147円52銭近辺まで上げ幅を広げ、13日以来の高値を付ける場面があった。トランプ米政権の相互関税の詳細が日本時間早朝に発表された。3日の日経平均株価が大幅に下落するなど投資家心理の悪化に伴い、「低リスク通貨」とされる円に買いが向かった。
トランプ米政権は米国のすべての輸入品に対し、一律で10%の関税をかけるほか、一部の国・地域に対してさらに高い税率を課す見通し。欧州連合(EU)には20%、日本には24%の関税をかけるという。 米関税政策を受けた世界的な景気下押しの懸念が高まり、相対的にリスクが低い円や国債を買う動きが強まった。
10時前の中値決済に向けては、国内輸入企業による円売り・ドル買いの観測があった。 ベッセント米財務長官は発表した関税率について「上限である」と説明しており、関税を課した各国に交渉余地の可能性がある点も円相場の上値を抑えた。ただ、市場では「リスクオフ(回避)ムードが広がっており、円買い圧力のほうが強い」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。
円は対ユーロでも上昇した。12時時点は1ユーロ=161円22~26銭と、同27銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇した。12時時点は1ユーロ=1.0912~13ドルと同0.0121ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、堅調 148円ちょうど近辺 リスク回避の買い[2025/04/03 10:30 日経速報ニュース 573文字 ]
3日午前の東京外国為替市場で、円相場は堅調だ。10時時点は1ドル=148円00~01銭と前日17時時点と比べて1円65銭の円高・ドル安だった。9時50分すぎには147円69銭近辺ときょうの高値を付けた。トランプ米政権による相互関税の詳細が日本時間早朝に発表された。3日の日経平均株価が大幅に下落するなど投資家心理が悪化し「低リスク通貨」とされる円に買いが入っている。
米関税政策を受けた世界的な景気減速懸念が高まるなかで、相対的にリスクが低い円や国債を買う動きが強まっている。もっとも、円相場は買いが一巡した後に上値の重さも目立つ。ベッセント米財務長官は発表した関税率について「上限である」との認識を示しており、関税を課した各国に交渉余地の可能性がある点も円買いの勢いをやや鈍らせている。
10時前の中値決済に向けては、国内輸入企業による円売り・ドル買いの観測もあったが「リスクオフ(回避)ムードが強く、円買い圧力のほうが強い」(国内銀行の為替担当者)との声も聞かれた。
円は対ユーロで高い。10時時点では1ユーロ=161円13~17銭と、同36銭の円高・ユーロ安だった。
ユーロは対ドルで上昇している。10時時点では1ユーロ=1.0887~89ドルと同0.0096ドルのユーロ高・ドル安だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
三井住友FG、ステーブルコイン開発 米2社連携、企業間決済コスト減へ[2025/04/03 日本経済新聞 朝刊 7ページ 461文字 PDF有 書誌情報]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は法定通貨に連動するステーブルコインを米国企業と開発する。米国でブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ったステーブルコインの基盤をつくるアバラボ、デジタル資産の管理システムを開発するファイアブロックスの2社と連携する。
ステーブルコインの基盤をシステム会社のTISも交えて開発し、25年度下期にも実証実験する。企業間決済などで需要を探った上で、26年度をめどにステーブルコインの発行を検討する。ステーブルコインは三菱UFJ信託銀行などが発行を検討しており、三井住友FGも大企業などで潜在的な需要が見込めると判断した。
ブロックチェーン上でデータをやり取りするステーブルコインを使えば、企業間の決済にかかるコストが下がると期待されている。特に国際銀行間通信協会(Swift)を介する国際送金のコストの引き下げにつながる可能性がある。海外ではJPモルガン・チェースなどが活用へ動いている。
ステーブルコインを巡っては、同コインを電子決済手段と定義した改正資金決済法が23年に施行された。
特集――9年ぶり来日 ウィーン国立歌劇場 公演の概要[2025/04/03 日本経済新聞 朝刊 32ページ 1366文字 書誌情報]
《演目と予定される主な配役》
▼モーツァルト作曲「フィガロの結婚」
全4幕(指揮=ベルトラン・ド・ビリー 演出=バリー・コスキー)アルマヴィーヴァ伯爵:アンドレ・シュエン、アルマヴィーヴァ伯爵夫人:ハンナ=エリザベット・ミュラー、スザンナ:イン・ファン、フィガロ:リッカルド・ファッシ
▼R・シュトラウス作曲「ばらの騎士」
全3幕(指揮=フィリップ・ジョルダン 演出=オットー・シェンク)陸軍元帥ヴェルテンベルク侯爵夫人(マルシャリン):カミラ・ニールンド、オックス男爵:ピーター・ローズ、オクタヴィアン:サマンサ・ハンキー、ゾフィー:カタリナ・コンラディ
※掲載の配役は2025年4月2日現在のものです。病気やケガなどのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても、代役を立てて上演します。ご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は公演当日発表とさせていただきます。
《開催概要》
◎演目/日程/会場/入場料(税込み)
▼「フィガロの結婚」=10月5日(日)午後2時、7日(火)午後3時、9日(木)午後6時、11日(土)午後2時、12日(日)午後2時
▼「ばらの騎士」=10月20日(月)午後3時、22日(水)午後3時、24日(金)午後3時、26日(日)午後2時
東京文化会館(東京・台東)
【平日】S席7万9000円~E席2万6000円、U39シート(公演当日、30歳から39歳までが対象)1万9000円、U29シート(公演当日、小学1年生から29歳までが対象)1万円。【土・日】S席8万2000円~E席2万9000円、U39シート2万1000円、U29シート1万3000円
全公演に寄付金付のサポーター席があります。(各S席料金に5万円を加えた金額)
◎チケット販売
(1)2演目セット券(S~B席&サポーター席)=NBS WEB先行:4月7日(月)午後9時~16日(水)午後6時。NBS電話受付:4月8日(火)午前10時~16日(水)午後4時
(2)単独券(S~E席&サポーター席)=NBS WEB先行:4月11日(金)午後9時~16日(水)午後6時
(3)一般発売=4月18日(金)午前10時からNBS、NBS WEBほか各プレイガイドで販売開始
(4)U39シート、U29シート=8月28日(木)午後9時からNBS WEBチケットのみで引換券を発売。座席指定はできません。座席指定券は公演当日のお渡しになります。公演当日、年齢が確認できる身分証を持参してください。
詳細はQRコードをご確認ください。
《ウィーン国立歌劇場来日記念特別イベント》
~アンサンブルとトークで贈る、ウィーン国立歌劇場への誘い~
出演(予定):ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)、クリスチャン・フローン(ヴィオラ)、タマーシュ・ヴァルガ(チェロ)、ボグダン・ロシチッチ(ウィーン国立歌劇場総裁)※トークは通訳付き
日程:10月7日(火)午後1時(予定)
会場:東京文化会館小ホール
入場料(税込み):全席指定一律3500円
チケット販売:4月18日(金)午前10時からNBS、NBS WEBほかで販売開始
◎以上、問い合わせ:NBS(電)03・3791・8888
滋賀銀、平和堂と連携 互いの顧客情報分析・活用[2025/04/03 日本経済新聞 地方経済面 関西経済 10ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
滋賀銀行は2日、滋賀県を基盤とするスーパー大手、平和堂と包括連携協定を結んだ。地域の金融リテラシー向上と経済活性化で協力する。この夏にも京都府や滋賀県(京滋)の平和堂店舗で新NISA(少額投資非課税制度)、相続などに関して滋賀銀がセミナーを始める。双方が持つ顧客データの分析、活用も検討していく。
滋賀銀は地域金融を軸に事業を多角化しており、膨大なPOS(販売時点情報管理)を持つ流通大手との連携で可能性を広げる。平和堂は決済アプリを軸に顧客のライフスタイルを支援する独自の経済圏を構想し、フィンテックを巡る滋賀銀の技術に期待する。
外為17時 円相場、横ばい圏 149円台後半 米相互関税を見極め[2025/04/02 17:25 日経速報ニュース 656文字 ]
2日の東京外国為替市場で、円相場は横ばい圏での小動きだった。17時時点では前日の同時点と同水準の1ドル=149円62~64銭で推移している。トランプ米大統領が日本時間3日早朝、貿易相手国と同水準まで米国が関税を引き上げる「相互関税」の詳細を公表する。関税の内容を見極めたいとして投資家の様子見姿勢が強かった。
円相場は15時30分ごろに150円ちょうど近辺まで下落する場面があった。ベッセント米財務長官が1日、相互関税は「上限」の役割を果たすものだと説明。関税の引き下げに向けた交渉の余地があると受け止められ、米関税政策に対する過度な警戒感が薄れて円売り・ドル買いが出た。10時前の中値決済にかけては「ややドル不足」との観測があった。国内輸入企業など実需勢の円売り・ドル買いが断続的に出て、円相場の重荷となった面もあるようだ。
もっとも円の下値は限られた。米政権が打ち出す相互関税の内容次第で投資家のリスク回避姿勢が強まるとの見方もある。持ち高調整の円買い・ドル売りも入り、相場の方向感は限られた。
円は対ユーロで反発した。17時時点では同13銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=161円47~50銭で推移している。持ち高調整の円買い・ユーロ売りが散発的に入った。
ユーロは対ドルでほぼ横ばいだった。17時時点は同0.0008ドルのユーロ安・ドル高の1ユーロ=1.0792~93ドルで推移している。米相互関税を巡る警戒感から、持ち高を一方向に傾ける動きは限定的だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
滋賀銀行、平和堂と連携 京都・滋賀の店舗で金融セミナー[2025/04/02 16:49 日経速報ニュース 702文字 画像有 ]
滋賀銀行は2日、滋賀県を基盤とするスーパー大手、平和堂と包括連携協定を結んだ。地域の金融リテラシー向上と経済活性化で協力する。この夏にも京都府や滋賀県(京滋)の平和堂店舗で新NISA(少額投資非課税制度)、相続などに関して滋賀銀がセミナーを始める。双方が持つ顧客データの分析、活用も検討していく。
滋賀銀の久保田真也頭取と平和堂の平松正嗣社長が大津市内で記者会見した。滋賀銀は地域金融を軸に事業を多角化しており、膨大なPOS(販売時点情報管理)を持つ流通大手との連携で可能性を広げる。平和堂は決済アプリを軸に顧客のライフスタイルを支援する独自の経済圏を構想し、フィンテックを巡る滋賀銀の技術に期待する。
具体策の第1弾は金融セミナーの開催になりそうだ。平和堂が京滋で展開する10カ所ほどの大型店舗にあるオープンスペースを活用する。相続のような重いテーマでもカジュアルに参加しやすく、通りかかる買い物客の関心もひきやすいためだ。
3月30日には滋賀県彦根市の大型店舗で小学生向けの「投資家体験」イベントをオープンスペースで試行した。約40組の親子が参加し、周囲の注目も集めたという。
滋賀銀、平和堂はいずれも日本で初めてデータサイエンス学部を開設した滋賀大学とビッグデータ分析などで交流してきた。今後は、個人情報を保護しながら双方が持つデータを持ち寄り、新たな商品開発のヒントを探る方向で話し合っている。
平和堂の大型店舗には多くのテナントが入り、滋賀銀もATMを設けているケースがある。連携が軌道に乗れば、店舗に滋賀銀のデスクを置き、顧客の相談に乗りながら市場を広げることも視野に入れているもようだ。
人事、PayPay[2025/04/02 15:50 日経速報ニュース 51文字 ]
(4月1日)営業統括本部ポイントソリューション営業本部長(パートナー営業本部ポイント営業1)渡辺哲平
三井住友FG・三井住友銀行・TISなど、ステーブルコインの事業化に向けた共同検討に係る基本合意書を締結[2025/04/02 13:54 日経速報ニュース 1557文字 PDF有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月02日
ステーブルコインの事業化に向けた共同検討に係る基本合意書の締結について
株式会社三井住友フィナンシャルグループ(執行役社長グループCEO : 中島 達、以下 : グループを総称して「SMBCグループ」)と株式会社三井住友銀行(頭取 CEO : 福留 朗裕)、TIS株式会社(代表取締役社長 : 岡本 安史、以下 : TIS)、Ava Labs,Inc.(CEO : Emin Gun Sirer(◇)、以下 : Ava Labs)およびFireblocks Pte.Ltd.(CEO : Michael Shaulov、以下 : Fireblocks)は、将来的なステーブルコインの事業化を視野に入れた利活用に関する共同検討について、基本合意書(以下 : 本合意書)を2025年3月21日に締結したことを発表します。
◇CEO名の正式表記は添付の関連資料を参照
■本合意書の概要
このたび、SMBCグループとTIS、Ava LabsおよびFireblocksは、将来的なステーブルコインの事業化を視野に入れた利活用に関する共同検討(以下 : 本共同検討)を正式に開始することで合意しました。
本共同検討においては、金融機関や事業者間で行われるホールセール領域での決済利用に耐えうるステーブルコインを発行・流通させるにあたり、満たすべき具体的な要件の定義について検討を行います。また、ステーブルコインの特性を活かしたユースケースの探索・検討についても推進します。なお、本共同検討は、実証実験としての活用に留まらず、継続的な業務への活用を視野に入れたユースケースの具体化を目指すものです。
また、ステーブルコインについては、国債・社債等の伝統的金融資産や、不動産等に代表される現実世界の資産をトークンという形で表象するRWA(Real World Asset)の決済手段としてのニーズもあることから、各社連携し、トークンビジネスの普及を国内外で後押ししていきます。
■本合意書締結の背景
ステーブルコインは、日本円や米ドルなどの法定通貨と価値が連動するように設計されたデジタル通貨の一種です。ステーブルコインは一般的に、暗号資産と比べて価格の変動が非常に小さく価値が安定していることや、既存の送金手段と比較した際にコストやスピードに優れるという特性から、国際送金や企業間決済、少額高頻度決済等のユースケースにおける利活用が期待されています。また、欧米を中心にRWAの決済手段としてステーブルコインの活用が進んでいます。
日本国内においては、2023年6月1日に施行された改正資金決済法により、ステーブルコインが電子決済手段として定義され、利用が正式に認められました。現在では、複数の金融機関や事業者がステーブルコインの発行・流通に向けて検討や実証実験を進めています。
SMBCグループと、国内外でデジタルアセットをテーマとして先進的な取り組みを進めるTIS、Ava LabsおよびFireblocksが連携して、将来的に新しい決済インフラとなりえるステーブルコインに関する共同検討を行うことは、国内における金融機能の効率化や高度化を後押しするためにも意義がある取り組みと考え、本合意書の締結に至りました。
※以下は添付リリースを参照
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
CEO名の正式表記
https://release.nikkei.co.jp/attach/689223/01_202504021133.pdf
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/689223/02_202504021133.pdf
外為12時 円相場、下落し149円台後半 米財務長官発言や実需の売りで[2025/04/02 12:19 日経速報ニュース 736文字 ]
2日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=149円77~79銭と前日17時時点と比べて15銭の円安・ドル高だった。米国のベッセント財務長官の発言を受けて米関税政策への過度な警戒感が薄れたほか、国内輸入企業などからの実需の円売り・ドル買い観測も相場を押し下げた。一時は149円94銭近辺まで下げ幅を広げた。
ベッセント氏は米東部時間1日、2日発表の「相互関税」は「上限」の役割を果たすものだと説明した。貿易相手国は関税の引き下げに向けた交渉余地があるといい、米関税の強化で世界経済全体が不安定になるとの市場の懸念がいったん和らいだ。日本時間2日午前の取引で安全資産とされる米国債に売りが出て、歩調をあわせるように「低リスク通貨」の円も売られた。 2日午前の国内長期金利が低下に転じると日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いも出た。
日銀の植田和男総裁は2日午前、衆院財務金融委員会に出席し、トランプ米政権の関税政策を含めた各種政策の経済・物価への影響を見極めつつ「金融政策を適切に運営する」と語った。市場では「目新しい発言はなく、円相場の反応は乏しかった」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)との見方があった。
10時前の中値決済に向けては「ややドル不足」との声が聞かれた。国内輸入企業からの円売りが断続的に出ていたとみられる。
円は対ユーロで小幅に下落した。12時時点は1ユーロ=161円66~68銭と、同6銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで弱含み。12時時点は1ユーロ=1.0793~94ドルと同0.0007ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為10時 円相場、下げ幅拡大 149円台後半 中値「ややドル不足」[2025/04/02 10:28 日経速報ニュース 602文字 ]
2日午前の東京外国為替市場で、円相場は下げ幅を拡大している。10時時点は1ドル=149円82~83銭と前日17時時点と比べて20銭の円安・ドル高だった。10時過ぎには149円94銭近辺まで下げ幅を広げた。ベッセント米財務長官の発言を受けて米関税政策への過度な懸念が薄れ、リスク回避の姿勢を弱めた市場参加者から円売りが断続的に出ている。
ベッセント氏は米東部時間1日、2日発表の「相互関税」は基本的に「上限(cap)」の役割を果たすものだと議員に説明した。貿易相手国は引き下げに向け交渉する余地があることを示唆したといい、関税強化に伴って世界経済全体が不安定になるとの市場の懸念をいったん和らげた。日本時間2日午前の取引で安全資産とされる米国債に売りが出たこともあり、「低リスク通貨」とされる円を売ってドルを買う動きが出ている。
10時前の中値決済に向けては、「ややドル不足」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。国内輸入企業などの円売り・ドル買い観測も円を押し下げた。
円は対ユーロでは下げ渋っている。10時時点では1ユーロ=161円64~67銭と、同4銭の円安・ユーロ高だった。
ユーロは対ドルで小安い。10時時点では1ユーロ=1.0789~1.0790ドルと同0.0011ドルのユーロ安・ドル高だった。米長期金利の上昇を受けてドル買いが入った。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
「オーバー140」円急騰に備えよ 実質金利マイナス脱出か(永井洋一)[2025/04/02 07:58 日経速報ニュース 1626文字 ]
米国の実質金利が低下する一方、日本は上昇し、その差が縮小している。米雇用統計などで米景気の先行きが危ぶまれると急速に円高・ドル安が進む可能性がある。日本株の浮揚力が失われているのも、実質金利の上昇が一因と考えられる。
いくら利息が多くとも物価との見合いでなければ実感できない。そのために経済学者が編み出したのが名目金利から物価上昇率を差し引いた「実質金利」という考え方だ。金融市場には、その代理指標として手っ取り早く使える金融商品がある。物価変動に応じて元金額が変わる物価連動債の利回りだ。
トランプ氏が2期目の米大統領に就任した1月20日から3月31日までに米国の名目金利(米10年物国債利回り)は4.61%から4.21%に0.4%低下した。米国の10年物の物価連動債の利回りも2.2%から1.85%に0.35%低下した。双方の差である0.05%は物価上昇率の低下分にあたる(名目金利=実質金利+物価上昇率)。
トランプ政権復活後、名目金利と実質金利が下がり、物価上昇率も少し下がった。トランプ関税がもたらす米景気の悪化懸念が背景だ。
ベッセント米財務長官の財政運営方針(財政均衡主義)に対する安心感も金利低下に働いている。米国はスタグフレーション(景気悪化と物価高の併存)の恐れがあるとの解説が多いが、実際はデフレを織り込んでいる。
日本の実質金利は上昇傾向だ。日本相互証券が算出する期待インフレ率を10年物国債の利回りから差し引いて実質金利を逆算すると、3月31日時点では0.01%前後(実質金利=名目金利-期待インフレ率)。3月下旬以降、約4年2カ月ぶりにプラス圏に浮上したとみられる。
昨年暮れから10年物国債の利回りは将来の政策金利の動向を反映する2年物国債と連動している。日本の実質金利の上昇は、米国とは反対に財政運営に対する不安もあるが、主として日銀による追加利上げ観測が主因とみられる。
日米の実質金利差とドルの対円相場との相関は強い。「金利差縮小=円高・ドル安」という関係だ。過去2年半の金利差とドル円相場から得られる回帰式(ドル円=日米実質金利差×16.785+108.24)により、円の理論値を計算すると直近は1ドル=140円とはじかれる。「オーバー140」の円急騰マグマだ。
現在の実勢レートである149円前後の水準は理論値から7%乖離(かいり)し、乖離率の大きさは24年7月以来だ。当時は日銀の利上げをきっかけに、円は1カ月足らずで161円台から144円台に17円も急騰した。
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長期的にも円高・ドル安を示すシグナルがある。国際決済銀行(BIS)によれば、様々な国との貿易額などを加味して一国の通貨の総合的な実力をみる指数「名目実効為替レート(64カ国・地域対象)」は1月20日のトランプ大統領就任から3月25日までに円は2.65%上昇し、ドルは2.69%下落した。
米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小に転じた2021年秋以降、日米の金融政策は「FRB引き締め・日銀緩和」、あるいは「FRB緩和・日銀引き締め」という具合に一貫して逆方向が続いている。その結果、円とドルの実効レートも「ドル高なら円安」、「円高ならドル安」というようにほぼ逆方向に動いている。
/home/member/news/202504/ucljpg_a64509f6e3296c6e27acad2f4ef037e1.jpg?format=raw
円の実効レートは24年7月に底入れし、ドルは25年1月13日にピークアウトした公算が大きい。外国為替市場の中長期トレンドはすでに円高・ドル安に転じている。
〔日経QUICKニュース(NQN)編集委員 永井洋一〕
架空取引で破綻した貿易商社 従業員不正で4億円流出-信用調査ファイル[2025/04/02 05:00 日経速報ニュース 2186文字 画像有 ]
カジュアル衣料や服飾雑貨、日用品、食品などを輸入販売する井上通商(福岡市)は2月、福岡地裁から破産手続きの開始決定を受けた。実は3年ほど前の2021年後半、井上通商と専門商社は被告として裁判沙汰になっていたことが一部の関係者の間で話題となっていた。法的処理の進行で当時の内情が徐々に明らかになってきた。
売り上げ急伸の裏事情
1961年6月に設立された井上通商は、アジア圏に近い福岡の地の利を生かして、台湾や香港、中国などからの輸入を手掛けてきた。東アジア地域との貿易ノウハウに通じ、業績は堅調に推移。2000年代には、ウナギや籐製品、絹織物などを輸入販売することで40億円を超える年売上高をあげていた。
11年の東日本大震災後は景気低迷から売り上げは20億円台に落ち込んだが、利益は確保していた。この間、ウナギの不漁もあって、アパレル関連製品の扱いを増やしていく。
局面が変わったのは18年1月期からだ。従来の輸入販売に加えてアパレルの電子商取引(EC)モールへ出店するなど多角化を進め、年売上高は約50億円と前期比70%近い伸びをみせた。その後の期の売上高も78億円、123億円と伸長。21年1月期はコロナ禍でマスクやアルコール消毒などの衛生関連商品で112億円の売上高を記録した。
ところが、この売り上げ急伸には裏があった。ひとりの従業員(以下Xとする)が取引先担当者と共謀して、不正な取引を展開していたのだ。
冒頭の専門商社とは実際には商品の受け渡しがなされていない架空の循環取引があった。他の企業とも循環取引もあったほか、井上通商自体が認識しない簿外取引によるアパレル商品の仕入れ販売などが発生していたもようだ。結果、実態の損益は大幅に下振れし、多額のキャッシュが社外に流出。年売上高123億円と対外的なピークとなっていた20年1月期決算において、実態は約16億円の債務超過だった。
典型的な循環取引では、首謀者が販売した商品を最終的に自社で買い戻す。不正が発覚すると、企業は実態のない仕入れ代金の支払いを停止する。支払いを止められた側は「不正とは知らなかった。受領書も発行されている」として支払いを要求する。井上通商も例外ではなく、裁判になったものを含めて数社と立て続けに企業間の争いになった。
実際に商品の受け渡しがなされていない専門商社との架空循環取引については和解となった。井上通商自身が認識しない簿外取引によるアパレル商品の仕入れ販売などについては、取引先が井上通商と専門商社を相手取って裁判を起こしたが、こちらも和解が成立した。
従業員Xの不正は大胆で巧妙だった。Xは当時、無断でU社を設立し、井上通商の担当者としてこのU社との衣料品売買に関与した。井上通商からU社に売買代金として約4億円が支払われたとされるが、目的物が存在しない架空取引で、井上通商としては単なる資金の流出となってしまった。
井上通商は23年2月にU社に対し損害賠償請求訴訟を提起。裁判の過程で前述の専門商社も関係していることが明らかとなった。
概要はこうだ。18年春ごろより、井上通商は専門商社の指定先から仕入れを行い、専門商社に納入するという代行取引を始める。商品単価などの売買条件は専門商社と指定仕入れ先との間で決められ、商品の引き渡しも指定仕入れ先から専門商社へなされていた。この代行取引は繰り返し行われたが、井上通商の担当者はXただ一人だった。
そして20年、U社との架空取引が始まる。Xは専門商社の意向を理由にU社を新たな指定仕入れ先とする内容の申請を社内で出した。U社の代表はX自身だったにもかかわらず、申請の際は別の人物を代表取締役とするなど虚偽の報告も盛り込まれていた。
申請は認められ、U社を指定仕入れ先とする取引は数回実行された。U社への約4億円の支払いは21年3月17日。翌4月に専門商社で複数の仕入れ代行取引で不正が発覚したが、その頃にはXは井上通商に退職届を出し顔を見せなくなっていた。
U社を相手取った裁判では、井上通商は24年2月に勝訴の判決を受けたが、U社に資金力はなかった。やむなくU社から貸し付けをうけた企業に支払いを求める訴えを起こし、請求は認められたものの、実際の資金回収にはつながらなかった。
こうした事態を受け、井上通商は再建案を携えて金融機関に対しリスケジュールを要請する。ただ、もくろみに反して業績は低迷。自力再建のメドが立たない状況になり、スポンサー企業の支援による私的整理で事業再生を目指す方針に転換した。幸いスポンサー企業が見つかり、事業を譲渡。債務を残した井上通商は破産となった。
循環取引にご用心
日本公認会計士協会は、循環取引について「取引が存在するかのように仮装し、売上や利益を水増しする行為の総称」「不正会計に該当」と注意喚起する。井上通商が行っていた仕入れ代行取引は、循環取引の典型例の一つで帳簿上通過するだけの「スルー取引」に他ならない。
U社の本店所在地は月額2100円ほどで利用できるバーチャルオフィスだという。また、代表取締役の虚偽記載も商業登記簿で容易に確認できる。3月17日払いのような決済日の設定も不自然だ。破産申立書にはXの刑事告訴準備を進めているとある。果たして全貌は明らかになるのだろうか。
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戸別訪問やポスター規制 政治参画阻む「べからず」選挙-男子普通選挙100年のいま③[2025/04/02 05:00 日経速報ニュース 1359文字 画像有 ]
男子普通選挙の実現とともに現在まで続く戸別訪問の禁止といった選挙運動のルールもうまれた。ポスターや街頭演説を中心とする選挙文化は今や海外から日本独自のガラパゴス制度に映る。細かい規定が候補者の負担となったり、有権者の政治参加を阻んだりする弊害もある。
初めての男子普通選挙が実施された1928年、内務省は戸別訪問や演説妨害など19項目を「犯罪になります」と赤字で列挙したポスターを配布した。投票率を高める啓発活動をしつつ有権者の政治活動を畏縮させかねない周知活動に「当局者たちも混乱していた部分があった」と慶大の玉井清名誉教授は指摘する。
納税要件の撤廃に加え、中選挙区制への移行もあり1選挙区の有権者数は従来の数千人から一転、十数万人に激増した。
本格的に活用が始まった選挙ポスターが民家の塀に隙間なく貼られたり、鉄橋や船、雪だるまにまで掲示されるなど街中にあふれかえる事態になった。これが戦後の公営掲示板の設置やビラなどの数量規制につながっていく。
規制の隙間をつく陣営と法改正のいたちごっこは現在も続く。
2024年7月の東京都知事選ではほぼ全裸の女性や有料サイトに誘導するQRコードを載せたポスターが物議を醸し、ポスターの「品位保持」規定を設ける改正公選法につながった。他候補の当選を目的に立候補する「2馬力」行為の禁止やSNSの偽情報対策も議論が続く。
「有権者が知りたい情報を知れる環境をつくり、適正な新陳代謝と多様性を確保することが大事だ」。超党派の法改正協議に加わった自民党の鈴木英敬氏は理想的な選挙のルールをこう説明する。
およそ100年前の規定は新陳代謝の足かせになっている。候補者は選挙管理委員会が発行する証紙を貼ったビラしか配れない。何万枚も証紙貼りを担う人員を確保しづらい新人に不利に働く。SNSでの発信に量的規制はなく、制度の整合性も疑問が残る。
規制の曖昧さもハードルになる。例えば戸別訪問は禁止されている一方、道路などで偶然会った有権者に投票を呼びかけるのは自由だ。国民民主党の長友慎治氏は「初めて選挙に出るときは何が禁止か分からない、シンプルにすべきだ」と主張する。
立憲民主党の石川香織氏は自身に関する事実と異なる情報がSNSで拡散されたとき戸別訪問などによって「実際に会う体験が対抗手段になる」と唱える。
13年にネット選挙が一部解禁されたものの、有権者にとって分かりづらい規制もある。候補者のウェブサイトを印刷して配ることはできないなど細かい線引きに注意が必要だ。
海外の多くの国では戸別訪問は政治活動の自由として保護される。カナダは選挙期間中に候補者が集合住宅に入るのを管理人が阻むことを禁じる。
ビラやポスターなどの数に細かい規定があるのも珍しい。英国は選挙運動全体の費用を制限し、その枠内でビラやポスターの数や配布方法は各陣営が自由に決められる。
選挙プランナーの三浦博史氏は現行の選挙運動ではビラ配りや証紙貼りなどの業務に追われ、選挙ボランティアが自分の強みを生かした貢献をするのは難しいと指摘する。
ボランティアが戸別訪問などを通じて個性を発揮しながら支持を呼びかける米国の選挙活動を例に「楽しんでやるのがボランティア。選挙は感動だ」と説き、多様な政治参加を訴える。
【男子普通選挙100年のいま】
①選挙ショー、当選より動画再生 虚実まじるSNS情報
②狙い撃ち課税に反旗 「非課税世帯は票田」に変化の兆し
④町内会や労働組合、衰えゆく組織票 政策本位へ転換試す
3月前半の消費5.7%増 民間調査、外食など好調(短信)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 5ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく3月前半の消費データを発表した。外食などサービス関連の消費が好調で、名目の総合指数は前年同期に比べ5.7%増えた。
PayPay証券社長 栗尾圭一郎氏(新トップ)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 8ページ 110文字 PDF有 書誌情報]
◇PayPay証券社長
栗尾 圭一郎氏(くりお・けいいちろう)06年(平18年)立教大社会卒、森永乳業入社。08年ソフトバンク入社。22年PayPay金融戦略部長。千葉県出身。42歳
(4月1日就任。番所健児社長は退任)
デジタルガレージ、3社統合[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 13ページ 162文字 PDF有 書誌情報]
決済システムのデジタルガレージは1日、電子商取引(EC)関連のサービスを手掛けるグループ3社を経営統合した。新会社はDGビジネステクノロジー(DGBT、東京・渋谷)で、サイトの構築からマーケティングツールまで一気通貫で提供できる体制にする。各事業者が保有していたデータを連携させることにより新しいサービスの開発につなげる。
今治造船、作業服「綿100%」常識破る 新素材で防護・通気を両立 高コストでも「人に投資」[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1547文字 PDF有 書誌情報]
今治造船がおよそ30年ぶりに作業服を刷新した。防護性と、過酷な夏の現場でも快適に作業できる通気性の両立を追求。「作業服といえば綿100%」の常識を打ち破り独自の素材まで開発した。こだわりの裏には同社が進める「人への投資」がある。
作業服刷新のプロジェクトは人事総務本部の黒川裕司氏が檜垣幸人社長に提案したところから始まった。「社員が少しでも楽になるなら」と檜垣社長はあっさりOKを出し、23年3月、黒川氏率いるプロジェクトがスタートした。
造船所の現場では溶接作業の時などにスパッタ(火の粉)が飛ぶ。最近の気温上昇で熱中症のリスクも高まっている。通気性の高い「綿100%」が作業服の常識だ。
「綿ありきではなく、新素材をベースに進めよう」。プロジェクトチームは生地探しから始めた。様々な既存の生地を分析し難燃性や通気度を測定したが、今治造船が求める防護性と快適性の両方を高いレベルで満たす「万能生地」は存在しなかった。
そこで社員を業務でのやけどリスクの高低で2グループに分け、それぞれ夏用と通年用の4種類を作ることにした。そうすれば季節や作業に応じて生地を変えられる。ただ、やけどリスクの高い作業員の夏服に適した生地は見当たらなかった。
探しても見つからないなら作るしかない――。プロジェクトメンバーは作業服メーカーといっしょに、難燃性と通気性をバランス良く備えるオリジナルの生地を開発することを決めた。既存の防燃生地の組成をベースに織り方を工夫。スパッタの飛びやすい部分は難燃性に優れた既存の生地を貼り付けた二重構造にし安全性を高めた。
燃えないボタンや、スパッタが服に残らずに滑るような生地の縫い合わせ方など、生地だけでなく設計も細部までこだわった。腰の部分の生地をじゃばらにして伸びるようにすることで腰痛を防ぐ機能や自分で裾上げがしやすい仕様も加えた。色はアンケートをとって社員の意見を反映した。熱を吸収しない色にこだわりつつ、今治造船の象徴となる緑色をあしらった。
開発当初、黒川氏が費用などについて檜垣社長に相談したことがあった。「コストじゃないよ」と一言。「人への投資」を掲げる檜垣社長は金を惜しむことはなかった。試作品は36着にのぼり、試作にかかった費用は数百万円になった。
できあがった作業服は1着あたりコストが現行の作業服の3倍に膨らんだ。さすがに高い。黒川氏は万が一承認されなかった場合に備え、機能とコストを落とした他の2案も用意した。「松・竹・梅」の3プランをもって役員へのプレゼンに臨むと、社長は「松でいこう」と即答した。
今治造船のようにメーカーが自社で使う作業服をゼロから新しく作るのは珍しい。新しい作業服は日本産業規格(JIS)を取得した。この作業服を使わせてほしいと、すでにほかの舶用メーカーから問い合わせがあったという。黒川氏が許可を取りに行くと檜垣社長は「造船業界、地域全体が盛り上がらないといけない」と快諾した。
実は作業服は未完成ともいえる。作業服にはバーコードが付いていて1着ずつデータにひも付けられている。例えば作業服に穴が開いた場合、穴の場所やどんな作業をしたかなどを分析。作業着の「弱点」探しをして改良につなげていく構想があるという。
造船業は自動化が進む製造業の中でも人手に頼る部分が多い。危険な作業もあり、夏の酷暑も年々増している。そんな中、今治造船は働く環境の改善に力を入れている。3月1日には丸亀事業本部内の工作棟を50年ぶりにリニューアルした。新作業服は新卒採用にもつながるとみている。黒川氏は「人への投資をしてどんどん変わっている会社。効果は高いだろう」と期待を込める。
(鈴木麻佑子)
【図・写真】今治造船が生地から開発した新作業着
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(会社人事)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 16ページ 598文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
(4月1日、地名は支店長、Cはコンサルティングの略)本店C第一、中村慎太郎
▽本店C第五(大宮支店フィナンシャル・アドバイザリー)金沢賢
▽渋谷支店C第二、池田隼人
▽新宿支店C第一、円井隆史
▽同C第二、斉藤大喜
▽同フィナンシャル・アドバイザリー第一、保科裕章
▽大宮支店フィナンシャル・アドバイザリー、真藤稔
▽札幌(名古屋支店C第一)新川朋美
▽仙台、図師亨
▽名古屋支店C第一(岡山)福井鉄也
▽梅田支店C第一(新宿支店C第一)小林洋
▽同総務管理、山中英樹
▽高松(新潟)赤荻彰一
▽福岡支店副支店長(仙台)松本貴宏
▽新潟、大倉以作
▽岡山(本店C第一)有馬敬三
▽拠点統括部長(札幌)千葉孝博
▽アドバイザリー支援、和才潤
▽プロモーションセンター長(コールセンター長)長村優三
▽コールセンター長、持丸万弓
▽東日本プライベートバンキング第一(本店C第五)横山剛史
▽投資顧問(アドバイザリー支援)藤谷直昭
▽事業法人第三(名古屋事業法人)小平和宏
▽名古屋事業法人、河辺淳也
▽西日本事業法人(大阪事業法人)八田克利
▽ワークプレイス、津田哲郎
▽共同投資銀行統括部長、篠原淳
▽トランザクション・マネジメント、石井貴久
▽金融市場トレーディング、吉田佑馬
▽ウェルスマネジメントリサーチ(投資顧問)宮本諭
▽サイバーセキュリティ推進室長、IT企画・鯨井義晴
▽決済、飯岡哲
▽営業考査(高松)小沢剛正
ハイデ日高、営業益最高 前期2割増 6年ぶり、客足伸ばす、値上げ浸透、計画上回る[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1081文字 PDF有 書誌情報]
ハイデイ日高の2025年2月期の単独営業利益は前の期比2割増の55億円前後だったようだ。会社計画(52億円)を上回り、6年ぶりに最高益を更新した公算が大きい。値上げで食材価格や人件費の上昇を吸収した。期間限定商品の投入などで客数を伸ばした。
売上高は1割強増え560億円弱だったとみられる。2年続けて過去最高を更新し、会社計画(520億円)を上回ったもようだ。決算発表は11日を予定している。
業績拡大をけん引したのは既存店だ。25年2月期の既存店売上高は12%増となり、客数が9%増、客単価は3%増だった。期間限定のメニューが好評で、24年11月に中華食堂「日高屋」で発売した「チゲ味噌ラーメン」は、2月末までに約100万食を売り上げた。
販促キャンペーンも客数の伸びに奏功したようだ。24年9月からは「秋のサワー祭」を実施した。粗利が高いアルコール飲料を期間限定で値下げし、夜間の来店を喚起した。11月には冷凍ギョーザの割引キャンペーンを実施し、持ち帰り需要を取り込んだ。
コメや野菜などの食材価格や人件費の上昇を受け、24年12月にはこの年では2回目となる値上げを実施した。これまで価格を据え置いてきた定番商品「中華そば」など、約7割の商品を値上げし、コスト高を一定程度吸収した。
2回目の値上げ以降もポイント還元の強化やメニューの改良で客離れを防いだ。24年12月の値上げに合わせてPayPayポイントの還元キャンペーンを実施し、実質的な値ごろ感を打ち出した。「餃子」の皮を薄くするなど、値上げに先駆けて定番商品を改良した。郊外店ではデザートメニュー数を増やし、家族連れを取り込んだ。
デジタル機器の活用も採算改善に寄与した。25年2月期の売上高販管費率は前の期の62・4%を下回ったもようだ。タブレット式注文端末の導入店は2月末時点で320店舗と全店(461店)の約7割に拡大したほか、配膳ロボットの設置店も51店となった。24年3~11月期の販管費率は60・5%で前年同期より1・4ポイント下がった。
25年2月期の新規出店数は14店にとどまり、当初計画(20店)を下回った。好立地の物件を巡り、同業他社との競争が激しく、採算の見込める案件に絞り込んだ。
物価高を背景に消費者は節約志向を強めており、手ごろな価格が中心のハイデイ日高にとって事業環境は良好だ。「中華そば」のスープのリニューアルなど、既存メニューの改良も継続し客数増につなげる。26年2月期も増益基調が続く公算が大きい。
【図・写真】中華食堂「日高屋」では24年12月に値上げを実施した
ベンチャー魂のひと 李剛(交遊抄)[2025/04/02 日本経済新聞 朝刊 40ページ 532文字 PDF有 書誌情報]
1997年に中国から来日して今年で28年になる。今年51歳になるから日本での生活が中国よりも長くなった。来日して大手システム会社で働いてきた私の日系大手企業に対する見方を大きく変えたのが、NTTドコモの井伊基之相談役だ。
6年前に初めてご挨拶する機会をいただいた。今だから率直に打ち明ければ、話が弾むのか一抹の不安を抱えていた。当時の私は国内では知名度の低かったQR決済のシステムを手掛けるスタートアップを起業して間もない時期だった。そしてお相手は、国内最大の通信会社であるNTT東日本のお偉いさんだ。緊張しない方が難しい。
「デジタル社会の今後についてどう思いますか」。話し始めると不安は一瞬にして吹き飛んだ。仮想現実やコード決済、デジタル領域で起きている最先端の話題を次々に井伊さんは投げかけてきた。日本での事業展開に悩んでいた私だったが「この人がいる限り日本でもやっていける」と妙に確信を得たのを覚えている。
去年NTTドコモの社長を退任されるタイミングでご挨拶に伺った。「お疲れさまでした」とお声がけする間もなく、「この間はネットフリックスを視察してきたんだ」と話す井伊さん。彼のベンチャースピリットに負けていられない。
(り・つよし=ネットスターズ社長)
能登の日本酒、蒸留酒「浄酎」に、広島のナオライ、酒蔵復興後押し[2025/04/02 日経MJ(流通新聞) 10ページ 1531文字 PDF有 書誌情報]
酒造スタートアップのナオライ(広島県呉市)は4月中に、鳥屋酒造(石川県中能登町)の日本酒「池月」を原料にした酒「浄酎(じょうちゅう)」の製造・販売を始める。浄酎は日本酒を低温で蒸留して造る酒で、ナオライが2020年ごろに広島の日本酒で製造を始めた。生産量の減っている日本酒を原料にして、酒蔵の収益向上にも一役買う。
浄酎は日本酒を40度以下の低い温度で蒸留して造り、アルコール度数は日本酒よりも25度ほど高い41度に上る。ナオライが日本酒、焼酎に次ぐ「第3の酒」として開発し、同社の三宅紘一郎代表取締役は「低温の蒸留により、日本酒の風味を残せる」と語る。
ナオライは15年の設立。当初は広島県産のレモンを蒸留した酒の製造などを手掛けていたが、17年頃から蒸留技術を日本酒に応用できないか検討を始めた。19年に低温の蒸留技術で特許を得て、足元では広島にある計3つの酒蔵の日本酒を使い浄酎を製造している。
ナオライは能登で事業を展開するにあたり、子会社のノトナオライを石川県中能登町に設立した。鳥屋酒造の敷地内に浄酎を造る蒸留所を準備し、4月からはきびだんご(東京・新宿)が運営するクラウドファンディング(CF)上で売る。価格は未定だが、約700ミリリットルの瓶数本で5千円~3万円ほどを想定する。
鳥屋酒造の田中博史社長は「売り上げを伸ばしたい中で、新たな販売先が見つかる意義は大きい」と話す。同社は24年、一升瓶で約4万5000本分の日本酒を販売したが、目標とする年間販売量は5万5000本ほど。日本酒市場全体の縮小が続く中で、すぐに販売量を伸ばすのは難しい。
田中社長は「ここ4~5年で若い女性などからの購入が増えてきたが、大きな流れとして販売量は減少が続いている」と話す。国税庁によると、22年度の日本酒の課税数量は1973年度のピーク時の2割強となった。ナオライは需要減に悩む酒造業者が全国にあるのを商機と捉える。
ノトナオライは鳥屋酒造と一升瓶で年間約4500本分にあたる8000リットルの日本酒を仕入れる契約を結んだ。計4000リットルの浄酎が造れる。蒸留所には余力があり、段階的に仕入れ量を増やすことも想定する。3年以内に1億5000万円以上を売り上げる目標を掲げる。蒸留所で勤務する職員として、中能登に住む計4人を採用した。
浄酎は日本酒が苦手な分野を克服できるのも、鳥屋酒造が連携する理由の1つだ。一般的にアルコール度数が高いほど長期の保存ができ「浄酎はコンテナを使い海外輸出もしやすい」(田中社長)。品質の維持に輸出時に冷蔵コンテナを使うのも一手だが、田中社長によると小規模な酒蔵では資金的に難しいという。
アルコール度数の高い浄酎は日本酒よりも保存期間が長く、鳥屋酒造はナオライの海外輸出を通じて、間接的に市場が広がることにも期待する。三宅社長は「目標は海外のバーなどにも浄酎が置かれること」とし、輸出にも力を入れる。
ノトナオライは1月、北国フィナンシャルホールディングス(FHD)傘下の投資会社、QRインベストメント(金沢市)が運営する「のとBeyond復興ファンド」から出資を受けた。
同ファンドは能登半島地震からの復興に貢献すると判断した事業に出資しており、ノトナオライは初めての投資先となった。
鳥屋酒造は24年1月の能登半島地震で建物や生産設備に被害は出なかったが、約300本の酒瓶が割れる被害を受けた。ナオライは能登での事業を足掛かりに、今後は他地域の酒蔵との連携も視野に入れることとしている。
(金沢支局 後藤圭次郎)
【図・写真】浄酎は日本酒を低温で蒸留して造る
【図・写真】ナオライは鳥屋酒造の酒を年間8000リットル仕入れる
車内でのきっぷ購入 JR四国、QR決済対応 車掌の負担軽減[2025/04/02 日本経済新聞 地方経済面 四国 12ページ 418文字 PDF有 書誌情報]
JR四国は1日、列車内で車掌が発行するきっぷ「車内補充券」の購入時の支払い方法としてQRコード決済を導入した。対応する決済手段を増やして利便性を高めるほか、現金の取り扱いを減らすことにより車掌の負担軽減につなげる。
JR四国管内で車掌が乗務する列車でサービスを利用できる。PayPay(ペイペイ)など4つのQRコード決済が対象で、車掌が携帯するスマートフォンでバーコードを読み取ると支払いが完了する。車内補充券購入時のQRコード決済への対応は全国のJRで初となる。
同社は2023年4月より、東洋電機製造が開発したスマートフォンの「車内補充券発行アプリ」を導入している。従来は現金決済だけに対応していたが、キャッシュレス決済へのニーズの高まりのなかでアプリ内の機能を拡充した。
今後は利用動向を見ながら、対応するQRコード決済の拡充を進める。増加するインバウンド(訪日外国人)への対応として海外のQRコード決済への対応も視野に入れる。
JR四国、車内でのきっぷ購入にQRコード決済 JRで初[2025/04/01 19:56 日経速報ニュース 418文字 画像有 ]
JR四国は1日、列車内で車掌が発行するきっぷ「車内補充券」の購入時の支払い方法としてQRコード決済を導入した。対応する決済手段を増やして利便性を高めるほか、現金の取り扱いを減らすことにより車掌の負担軽減につなげる。
JR四国管内で車掌が乗務する列車でサービスを利用できる。PayPay(ペイペイ)など4つのQRコード決済が対象で、車掌が携帯するスマートフォンでバーコードを読み取ると支払いが完了する。車内補充券購入時のQRコード決済への対応は全国のJRで初となる。
同社は2023年4月より、東洋電機製造が開発したスマートフォンの「車内補充券発行アプリ」を導入している。従来は現金決済だけに対応していたが、キャッシュレス決済へのニーズの高まりのなかでアプリ内の機能を拡充した。
今後は利用動向を見ながら、対応するQRコード決済の拡充を進める。増加するインバウンド(訪日外国人)への対応として海外のQRコード決済への対応も視野に入れる。
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100円玉の製造、前年度比で3割減計画 電子マネー普及で[2025/04/01 19:54 日経速報ニュース 232文字 ]
財務省は1日、2025年度の貨幣の製造計画を発表した。100円玉は前年度から33%減らして1億枚をつくる。電子マネーの普及などで、硬貨の需要は減少傾向にある。
硬貨全体では6億303万5000枚を製造する。うち3万5000枚が大阪・関西万博の記念硬貨で前年度の計画と同程度とした。
紙幣は計28億5000万枚を製造する。前年度から1億枚減らす。1万円札は16億4000万枚で前年度から1億9000万枚減らした。1000円札は9億9000万枚で8000万枚増やす。
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人事、三菱UFJモルガン・スタンレー証券[2025/04/01 19:53 日経速報ニュース 580文字 ]
(4月1日、地名は支店長、Cはコンサルティングの略)本店C第一、中村慎太郎▽本店C第五(大宮支店フィナンシャル・アドバイザリー)金沢賢▽渋谷支店C第二、池田隼人▽新宿支店C第一、円井隆史▽同C第二、斉藤大喜▽同フィナンシャル・アドバイザリー第一、保科裕章▽大宮支店フィナンシャル・アドバイザリー、真藤稔▽札幌(名古屋支店C第一)新川朋美▽仙台、図師亨▽名古屋支店C第一(岡山)福井鉄也▽梅田支店C第一(新宿支店C第一)小林洋▽同総務管理、山中英樹▽高松(新潟)赤荻彰一▽福岡支店副支店長(仙台)松本貴宏▽新潟、大倉以作▽岡山(本店C第一)有馬敬三▽拠点統括部長(札幌)千葉孝博▽アドバイザリー支援、和才潤▽プロモーションセンター長(コールセンター長)長村優三▽コールセンター長、持丸万弓▽東日本プライベートバンキング第一(本店C第五)横山剛史▽投資顧問(アドバイザリー支援)藤谷直昭▽事業法人第三(名古屋事業法人)小平和宏▽名古屋事業法人、河辺淳也▽西日本事業法人(大阪事業法人)八田克利▽ワークプレイス、津田哲郎▽共同投資銀行統括部長、篠原淳▽トランザクション・マネジメント、石井貴久▽金融市場トレーディング、吉田佑馬▽ウェルスマネジメントリサーチ(投資顧問)宮本諭▽サイバーセキュリティ推進室長、IT企画・鯨井義晴▽決済、飯岡哲▽営業考査(高松)小沢剛正
PayPay証券社長に栗尾圭一郎氏[2025/04/01 19:31 日経速報ニュース 109文字 画像有 ]
◇PayPay証券
栗尾 圭一郎氏(くりお・けいいちろう)06年(平18年)立教大社会卒、森永乳業入社。08年ソフトバンク入社。22年PayPay金融戦略部長。千葉県出身。42歳
(4月1日就任。番所健児社長は退任)
LINEヤフー、LINEペイから公的個人認証サービスを移管[2025/04/01 19:04 日経速報ニュース 298文字 画像有 ]
LINEヤフーは1日、マイナンバーカードを使った個人認証サービスをスマホ決済「LINEペイ」の運営子会社からLINEヤフーに移管したと発表した。4月末までに国内でLINEペイがサービスを終えるための措置だ。
サービスの名前も「LINEペイ 公的個人認証サービス」から「LINE 公的個人認証サービス(JPKI)」に変更した。
同サービスは3月時点で152の自治体と契約を結んでいる。引き続き自治体などから引き合いがあるため、親会社でサービスを引き継ぐ。行政手続きや企業の本人確認業務の効率化につながり、利用者もデータ改ざんの防止や銀行口座の開設時などに本人確認を簡素化できる点が評価されている。
三井住友信託、カード2社統合へ 「ダイナース」は存続[2025/04/01 18:19 日経速報ニュース 900文字 画像有 ]
三井住友信託銀行は1日、カード子会社の三井住友トラスト・カードと「ダイナース」ブランドを持つ三井住友トラストクラブを経営統合すると発表した。金利のある世界を迎え、持ち株会社の三井住友トラストグループ(TG)のリテール(個人向け金融)事業の強化に向けてカード子会社を再編し経営効率を高める狙いがある。
トラスト・カードが10月にもトラストクラブを吸収合併した上で、社名を「三井住友トラストクラブ」に変更する。ダイナースブランドは再編後も存続する見通しだ。
三井住友TGは企業オーナーや医師など高所得者の会員が多い「ダイナースクラブカード」などを発行するトラストクラブと、「三井住友トラストVISAカード」を発行するトラスト・カードの2つのカード会社を傘下に持つ。
三井住友信託銀行はメガバンクに比べて、グループ内のカードや信販などのノンバンクとの連携が弱い。カード会員に信託銀行の資産運用サービスを提供し、グループ全体の収益力を高める。
合併に伴い、両社のシステムを統合する。ダイナース、ビザ、マスターカードのカードを発行・管理できるトラストクラブのシステムに一元化する方針だ。
トラスト・カードは住友信託銀行、中央三井信託銀行、中央三井アセット信託銀行の合併に伴い2012年に誕生した。トラストクラブは三井住友信託銀行が15年に米シティグループからシティカードジャパン(当時)の全株式を400億円強で取得し、三井住友トラストクラブに社名変更した経緯がある。
トラスト・カードの会員数は17万人で取扱高は900億円にとどまる。トラストクラブはダイナースブランドで富裕層の顧客基盤を持つ一方「若年層にブランドが浸透していない」(同社関係者)課題がある。ダイナースクラブカードの会員数は非公表だが、30万人程度とみられている。
三井住友カードや三菱UFJニコスなど、大手銀行系カード会社は3000万人規模の会員を持つ。カード事業は国際ブランド手数料や加盟店管理など、コスト負担が大きく薄利になりがちだ。一定の規模がなければ、ポイント還元や年会費無料が一般化するキャッシュレス決済業界を勝ち抜くのは難しい。
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三井住友FG、ステーブルコインを共同開発 米2社と連携[2025/04/01 17:00 日経速報ニュース 491文字 ]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は法定通貨に連動するステーブルコインを米国企業と開発する。米国でブロックチェーン(分散型台帳)技術を使ったステーブルコインの基盤をつくるアバラボ、デジタル資産の管理システムを開発するファイアブロックスの2社と連携する。
ステーブルコインの基盤をシステム会社のTISも交えて開発し、25年度下期にも実証実験する。企業間決済などで需要を探った上で、26年度をめどにステーブルコインの発行を検討する。ステーブルコインは三菱UFJ信託銀行などが発行を検討しており、三井住友FGも大企業などで潜在的な需要が見込めると判断した。
ブロックチェーン上でデータをやり取りするステーブルコインを使えば、企業間の決済にかかるコストが下がると期待されている。特に国際銀行間通信協会(Swift)を介する国際送金のコストの引き下げにつながる可能性がある。海外ではJPモルガン・チェースなどが活用へ動いている。
ステーブルコインを巡っては、同コインを電子決済手段と定義した改正資金決済法が23年に施行された。法整備が進んだことで発行や導入に向けた環境整備が進んでいる。
琉球銀行、不正送金で1億円被害 法人振り込み一部停止[2025/04/01 16:30 日経速報ニュース 488文字 画像有 ]
琉球銀行は1日、法人向けのインターネット送金を一部停止したと発表した。同日に不正送金が複数確認されたことを受けた対応で、再開時期は未定。被害額は午後1時時点で1億円に上った。ネット送金サービスを利用する際に必要なパスワードが、銀行システム自体から盗み出された可能性はないという。
不正送金の被害があったのは、法人向けネットバンキングサービスの「りゅうぎんBizネット」で、他行宛ての当日の振り込みを停止した。翌日扱いの予約取引は、行員が1つずつ審査する形で継続する。顧客には窓口利用を呼びかけている。同サービスは1万8000社が利用している。
不正送金は、琉球銀をかたる自動音声のニセ電話でパスワードを聞き出し、他行へ送金する手口。同日午前に顧客からの問い合わせで発覚した。被害を受けたのはすべて県内企業で、県外向けに送金されていた。不正アクセス元とみられるIPアドレスは順次遮断しているものの、被害の全容は把握できていないという。
金城裕信・ペイメント事業部長は「システムに問題はなかった」と説明し、銀行側からの情報流出を否定した。今後は注意喚起を強化していくとしている。
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ハイデイ日高6年ぶり最高益 25年2月期、会社計画上回る[2025/04/01 16:00 日経速報ニュース 1068文字 画像有 ]
ハイデイ日高の2025年2月期の単独営業利益は前の期比2割増の55億円前後だったようだ。会社計画(52億円)を上回り、6年ぶりに最高益を更新した公算が大きい。値上げで食材価格や人件費の上昇を吸収した。期間限定商品の投入などで客数を伸ばした。
売上高は1割強増え560億円弱だったとみられる。2年続けて過去最高を更新し、会社計画(520億円)を上回ったもようだ。決算発表は11日を予定している。
業績拡大をけん引したのは既存店だ。25年2月期の既存店売上高は12%増となり、客数が9%増、客単価は3%増だった。期間限定のメニューが好評で、24年11月に中華食堂「日高屋」で発売した「チゲ味噌ラーメン」は、調理工程を見直して味のばらつきを抑え、2月末までに約100万食を売り上げた。
販促キャンペーンも客数の伸びに奏功したようだ。24年9月からは「秋のサワー祭」を実施した。粗利が高いアルコール飲料を期間限定で値下げし、夜間の来店を喚起した。11月には冷凍ギョーザの割引キャンペーンを実施し、持ち帰り需要を取り込んだ。
コメや野菜などの食材価格や人件費の上昇を受け、24年12月にはこの年では2回目となる値上げを実施した。これまで価格を据え置いてきた定番商品「中華そば」など、約7割の商品を値上げし、コスト高を一定程度吸収した。
2回目の値上げ以降もポイント還元の強化やメニューの改良で客離れを防いだ。24年12月の値上げに合わせてPayPayポイントの還元キャンペーンを実施し、実質的な値ごろ感を打ち出した。「餃子」の皮を薄くするなど、値上げに先駆けて定番商品を改良した。郊外店ではデザートメニュー数を増やし、家族連れを取り込んだ。
デジタル機器の活用も採算改善に寄与した。25年2月期の売上高販管費率は前の期の62.4%を下回ったもようだ。タブレット式注文端末の導入店は2月末時点で320店舗と全店(461店)の約7割に拡大したほか、配膳ロボットの設置店も51店となった。24年3~11月期の販管費率は60.5%で前年同期より1.4ポイント下がった。
25年2月期の新規出店数は14店にとどまり、当初計画(20店)を下回った。好立地の物件を巡り、同業他社との競争が激しく、採算の見込める案件に絞り込んだ。
物価高を背景に消費者は節約志向を強めており、手ごろな価格が中心のハイデイ日高にとって事業環境は良好だ。「中華そば」のスープのリニューアルなど、既存メニューの改良も継続し客数増につなげる。26年2月期も増益基調が続く公算が大きい。
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三井住友信託銀行、三井住友トラスト・カードと三井住友トラストクラブとの合併について発表[2025/04/01 15:10 日経速報ニュース 922文字 画像有 ]
【プレスリリース】発表日:2025年04月01日
三井住友トラスト・カード株式会社と三井住友トラストクラブ株式会社との合併について
三井住友信託銀行株式会社(取締役社長 : 大山 一也、以下「三井住友信託銀行」)は、子会社でクレジットカード事業を営む三井住友トラスト・カード株式会社(代表取締役社長 : 大石 道弘、以下「三井住友トラスト・カード」)と三井住友トラストクラブ株式会社(代表取締役社長 : 五十嵐 幸司、以下「三井住友トラストクラブ」)を再編し、2025年10月1日(予定)で両社を合併することとしますのでお知らせします。
1. 背景
三井住友信託銀行は、急速に変化する金融環境と多様化するお客さまのニーズに対応するため、当グループ内のクレジットカード事業の再編を決定しました。
この度の三井住友トラスト・カードと三井住友トラストクラブの合併は、経営資源の効率的活用とサービスの拡充を図るとともに、市場での競争力を強化することを目的としています。また、両社の経営資源を一本化することで、急速に進むデジタル化やキャッシュレス決済の拡大にも迅速に対応していきます。さらに、この統合により当グループ全体のシナジー効果を最大化し、金融サービスの提供を強化することで、お客さまにより良いサービスを提供し、社会の発展に貢献してまいります。
2. 合併の要旨
(1)三井住友トラスト・カードと三井住友トラストクラブの統合
三井住友トラスト・カードを存続会社として両社を合併いたします。三井住友トラストクラブの事業・サービスは全て三井住友トラスト・カードに引き継がれます。
(2)存続会社である三井住友トラスト・カードの商号及び本店所在地変更
合併後の商号は、消滅会社の商号である三井住友トラストクラブ株式会社に変更し、本店所在地も同様に、三井住友トラストクラブの本店所在地とします。
3. 合併当事会社の概要
※添付の関連資料を参照
以上
リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。
3. 合併当事会社の概要
https://release.nikkei.co.jp/attach/689189/01_202504011505.jpg
三井住友信託、カード子会社2社を合併 10月1日に[2025/04/01 14:20 日経速報ニュース 233文字 ]
三井住友トラストグループ(8309)傘下の三井住友信託銀行は1日、子会社の三井住友トラスト・カードと三井住友トラストクラブを10月1日に合併すると発表した。三井住友トラスト・カードを存続会社とし、三井住友トラストクラブの事業やサービスを引き継ぐ。なお、合併後の商号は、消滅会社の商号である「三井住友トラストクラブ」に変更する。
合併によって経営資源の効率化をはかり、デジタル化やキャッシュレス決済の拡大に対応するという。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
外為12時 円相場、下落 149円台後半 リスク回避一服[2025/04/01 12:24 日経速報ニュース 676文字 ]
1日午前の東京外国為替市場で、円相場は下落した。12時時点は1ドル=149円87~88銭と前日17時時点と比べて74銭の円安・ドル高だった。米景気減速への過度な懸念が和らぎ、円売り・ドル買いが出た。前日の米ダウ工業株30種平均や1日午前の日経平均株価が上昇し、投資家のリスク回避の雰囲気がいったん和らいだのも「低リスク通貨」とされる円の重荷となった。
3月31日発表の3月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は前月から低下するとの市場予想に反して上昇した。米景気の先行きに対する懸念がやや後退し、投資家が運用リスクをとる姿勢を回復させた。円売り・ドル買いが先行し、円相場は8時過ぎに150円13銭近辺まで下落した。
売りが一巡すると円相場は次第に下げ渋った。日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、日銀の利上げ継続を妨げる内容ではないと受け止められ、円相場の支えとなった。大企業・製造業の業況判断指数(DI)は市場予想に一致したほか、大企業・非製造業の業況判断DIは2四半期ぶりに改善し、1991年8月調査以来の高水準だった。10時前の中値決済に向けては「ドル売りが優勢」との声が聞かれ、輸出企業など国内実需筋の円買い・ドル売り観測も相場の押し上げにつながった。
円は対ユーロで下落した。12時時点は1ユーロ=162円22~24銭と、同69銭の円安・ユーロ高だった。ユーロは対ドルで下落した。12時時点は1ユーロ=1.0823~24ドルと同0.0008ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
3月前半の消費、5.7%増 外食などサービス好調[2025/04/01 10:39 日経速報ニュース 188文字 ]
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBは1日、クレジットカード決済額に基づく3月前半の消費データを発表した。外食などサービス関連の消費が好調で、名目の総合指数は前年同期に比べ5.7%増えた。
サービス消費は6.4%増だった。外食が9.2%増と大きく伸びたほか、宿泊や交通、旅行なども前年同期比でプラスだった。モノの消費も5.0%増だった。飲食料品や自動車が消費額を押し上げた。
外為10時 円相場、下げ渋り 149円台後半 日銀利上げ観測や実需の買いで[2025/04/01 10:37 日経速報ニュース 674文字 ]
1日午前の東京外国為替市場で、円相場が下げ渋っている。10時時点は1ドル=149円69~71銭と前日17時時点と比べて56銭の円安・ドル高だった。米景気懸念の後退で円売り・ドル買いが入った。ただ、1日発表の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)が、日銀の利上げ観測を支持する内容だったことから、円買い・ドル売りが増えた。輸出企業など国内実需筋による円買い・ドル売り観測も相場の支えとなった。
日銀が8時50分に発表した3月の短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス12と前回から悪化したものの、市場予想に一致した。大企業・非製造業のDIはプラス35と前回を上回った。「日銀にとっては経済が『オントラック』であることを確認できる内容で、利上げの方向感は変わらないとの見方から円が買われた」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)との声があった。
10時前の中値決済に向けては、「ドル売りが優勢」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。朝方に円相場が150円台を割り込んだことで、輸出企業など国内実需筋が円買い・ドル売りに動くきっかけになったという。日経平均が朝方から上げ幅を縮小しているのも円の底堅さにつながった。
円は対ユーロでも下げ幅を縮めた。10時時点では1ユーロ=162円05~08銭と、同52銭の円安・ユーロ高だった。ユーロは対ドルで安値圏で小幅な動きとなっている。10時時点では1ユーロ=1.0825~26ドルと同0.0006ドルのユーロ安・ドル高だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕
デジタルガレージ、グループ3社統合 ECサービス一体で[2025/04/01 09:00 日経速報ニュース 398文字 画像有 ]
決済システムのデジタルガレージは1日、電子商取引(EC)関連のサービスを手掛けるグループ3社を経営統合した。サイトの構築からマーケティングツールまで一気通貫で提供できる体制にする。各事業者が保有していたデータを連携させることにより新しいサービスの開発につなげる。
4月1日付で新会社DGビジネステクノロジー(DGBT、東京・渋谷)が事業を始めた。マーケティングツールを提供するナビプラス(同)が、ECサイト構築のDGコマース(同)、決済不正検知を手掛けるスクデット(東京・中央)を吸収合併した。デジタルガレージが新会社の全株式を保有する。
これまではECの検索データなどをグループ会社間で共有できていなかったが、統合を機に活用していく。デジタルガレージ子会社で決済サービスを手掛けるDGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、東京・渋谷)とも連携し、外食事業者などへのサービス展開も視野に入れる。
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マイナ保険証は45%が利用 サブスクは48%-日経郵送世論調査[2025/04/01 02:00 日経速報ニュース 427文字 画像有 ]
日本経済新聞社は2024年11~12月に実施した郵送世論調査でデジタルサービスの利用状況を探った。マイナンバーカードに健康保険証の機能を載せた「マイナ保険証」を使ったことがある人は45%だった。
従来型の保険証の新規発行は24年12月に終わり、政府はマイナ保険証への一本化を進める。23年の前回調査は24%で大きく伸びた。今回「サービスがわからない」は4%にとどまったが「利用したことはなく興味もない」が2割ほどいた。
動画・音楽などのサブスクリプション(定額課金)サービスの利用経験があると答えた人は48%(前回から3ポイント上昇)で過去最多になった。
キャッシュレス決済は74%が利用経験があり、前回の23年調査よりも5ポイント上がった。年代別で70代も53%と半数を上回った。
ネット会議システムは全体の34%の人が使った経験があると答えた。前回から5ポイント上昇で、地域別にみると東京、千葉、埼玉、神奈川の首都圏は42%と目立った。(随時掲載)
貸金庫のひな型「改定検討」、全銀協会長が表明[2025/04/01 00:00 日経速報ニュース 928文字 画像有 ]
全国銀行協会の会長に1日就任した半沢淳一・三菱UFJ銀行頭取は日本経済新聞のインタビューで、元行員による相次ぐ貸金庫での窃取事案について、「銀行界として再発防止と同様の事案を発生させない取り組みが求められている」と話した。会員各行が規定を作る際の指針となる全銀協の「貸金庫規定ひな型」の改定を検討する。
金融庁は3月27日、預金取扱金融機関向けの監督指針の改正案を公表。現金などマネーロンダリング(資金洗浄)リスクの高い物品を預け入れ不可にすることを規定などに盛り込むことを促した。顧客の金品などの窃取事案は公表することも原則とした。
半沢会長は監督指針を踏まえた検討事項に①不正防止のための管理体制の強化②マネロン対策も含めた貸金庫ビジネスのあり方③窃取事案の公表のあり方――を挙げた。
具体的には「格納物の範囲とその確認方法、顧客に利用目的を確認するかどうかなどの論点について具体的な対応策を考えたい」とし、「方向性の一つとして貸金庫のひな型の改定は検討しなければいけない」と語った。
窃取事案の公表基準については、個別行の見解とした上で「ステークホルダーに迅速かつ透明性を持って開示に努めていくのが原則だと思う」と述べた。
注力分野の一つとして「資金決済システムの将来像の検討にも着手したい」と語った。中央銀行デジタル通貨(CBDC)やステーブルコインなど新たな決済手段が発展するなか「日本が国際情勢から取り残されることを懸念している」と話した。
銀行界として長年緩和を求めている銀行と証券会社の情報共有を制限する「ファイアウオール規制」では24年に三菱UFJ銀行などが違反を指摘された。緩和議論については「個別行としても再発防止や体制整備、浸透に取り組むことを前提に、残る論点についても早期に議論してもらいたい」と話した。
金融機関でつくる脱炭素を目指す国際的な枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から脱退が相次いでいる。「(脱退後も各銀行は)脱炭素への支援は続けるとしており、銀行界として気候変動対応の取り組みの減速に直結するとは思っていない」とし、脱炭素に向けた「方針や目標、融資スタンスを変えるつもりはない」と話した。
スマホ競争促進法、アップル・グーグル対象に アプリ・決済、参入妨害を禁止[2025/04/01 日本経済新聞 朝刊 5ページ 370文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会は31日、年内に施行するスマホソフトウェア競争促進法の対象企業を米アップルと子会社のiTunes、米グーグルの3社にすると発表した。3社はスマホアプリの配信や決済で他社の参入を妨害することなどが禁じられる。
同法はスマホの基本ソフト(OS)やアプリ配信で企業の競争を促すことを目的として、2024年に成立した。25年末までの施行を予定している。国内のスマホOSはアップルとグーグルが9割以上のシェアを握る。公取委は新法で国内の中小IT(情報技術)企業などが新規参入しやすい環境を整える。
3社は法律の順守状況を年1回、公取委に報告する義務を負う。利用者が検索エンジンなどを複数のサービスから選べるよう、選択画面を表示することも求められる。
公取委はデジタル分野に携わる人員を現状の3倍の50人規模に増やし、施行準備を進める。
キャッシュレス比率、4割超 昨年、政府目標1年前倒し達成 不正利用や手数料が課題[2025/04/01 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1598文字 PDF有 書誌情報]
主要国とはなお開き
2024年の個人消費に占めるクレジットカードなどキャッシュレス決済額の比率が42.8%と、前年比3.5ポイント上昇して最高を更新した。「25年までに4割」とする政府目標を1年前倒しで達成した。
クレカのタッチ決済やQRコード決済の普及が背景にあるが、世界の主要国の中でキャッシュレス決済比率はいまだ低い。不正利用対策や加盟店手数料の高止まりといった課題も残る。
31日までに日本クレジット協会や日銀、キャッシュレス推進協議会が発表した統計を集計して算出した。対象はクレカ、電子マネー、デビットカード、QRコードで、合計した24年のキャッシュレス決済額は前年比11%増の141兆円だった。
決済額のうちクレカは116兆円で全体の8割を占めた。電子商取引(EC)サイトでの決済に加え、鉄道改札やコンビニなどでのタッチ決済の広がりにより、少額決済でクレカを利用する場面が増えた。国際ブランドの米ビザによると、24年の日本でのタッチ決済回数は前年比で2倍に増えた。
前年からの伸び率が最も大きかったのはPayPayなどのQRコード決済で、前年比24%増の13.5兆円となった。決済単価が小さく決済額ベースでは全体の1割にとどまるが、決済回数は23%増の115億回と全体の3割を占めた。
コード決済はPayPayなどのアプリを使った個人間送金需要を取り込んでいる。24年のコード送金回数は36%増の3.9億回と足元3年間は年1億回ずつ増えている。全国の銀行の国内振込の2割に相当する規模だ。チャージしたデジタルマネーを消費者同士で送金し、受け取ったマネーをそのまま決済に使うサイクルが構築されている。
24年はキャッシュレスに関する新たな動きも始まった。PayPayやリクルート子会社、楽天グループが厚生労働省からの指定を受け、給与をデジタルマネーで支払う「デジタル給与払い」のサービスを始めた。単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」に対し、週1回や隔週で給与を支払うといった利用の拡大が期待されている。
非金融事業者もキャッシュレス決済市場に熱視線を送る。JR西日本は今春にも鉄道事業者で初となるコード決済「WESMO(ウェスモ)」を始める。NTTドコモは24年11月にプラチナカードを発行した。想定を上回る申し込みが続いているという。
政府はキャッシュレス決済比率を将来的に8割にする目標を掲げるが、足元の状況は海外と比べなお開きがある。キャッシュレス推進協議会によると、一定以上の年商がある店舗にクレカ決済対応を義務化する韓国のキャッシュレス決済比率は99%、スマホ決済が普及する中国は83.5%と突出するが、英米も5~6割だ。
課題は大きく2つある。一つは店舗側の支援だ。手数料負担が生じる店舗は消費者ほどはキャッシュレス決済を導入するメリットを感じづらい。現金管理の手間を減らせるものの、手数料を嫌気して導入を拒む店舗は少なくない。特に小規模な店舗が支払うクレカの手数料は3.5~5%が多く、海外よりも1~3%程度高いとされている。
もう一つはクレカの不正利用だ。24年の被害額は前年比2.6%増の555億円と最も大きかった。直近では5000万人のクレカ会員基盤を持つイオンカードで本人認証を必要としない少額決済の悪用が相次ぎ、発行元であるイオン銀行親会社のイオンフィナンシャルサービス(FS)が99億円の特別損失を計上する事態となった。
こうした中、業界を挙げた対策も始まった。ジェーシービー(JCB)などが不審な取引情報をカード会社間で共有するシステムを構築し、三井住友カードなど約30のカード会社が参画を決めた。年100億円前後の不正利用を減らせると予測する。各社はシステム開発・運用のコスト負担を抑えられるメリットもある。
【図・写真】キャッシュレス決済比率は4割を超えた
NEC、顔認証で誤投与を防止 患者別がんワクチン向け[2025/04/01 日本経済新聞 朝刊 16ページ 367文字 PDF有 書誌情報]
NECは患者一人ひとりのがん細胞の特徴に合わせて薬剤をつくる「個別化がんワクチン」向けに、顔認証技術を使った誤投与防止システムを開発した。顔の特徴を暗号化し、プライバシーに配慮しながら本人確認ができる点が特徴となる。臨床試験(治験)に取り組む製薬会社や医療機関に売り込む。
患者の承諾をもらい、がん細胞の検体採取時に顔を撮影する。画像を基に目の位置や鼻の大きさといった特徴を暗号に変換して保存する。顔写真そのものを保存しないことで、プライバシーに配慮しつつ、データの悪用や漏洩といったリスクを減らす。
投薬時にはワクチンの瓶に貼られたQRコードを読み込み、暗号化したデータと照合して本人確認をする。
患者自身の専用ワクチンと確認できれば、パソコン画面に結果を表示する仕組みだ。実証実験では投与前に取り違えを検知できることを確認した。
りそな銀行(会社人事)[2025/04/01 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2648文字 PDF有 書誌情報]
りそな銀行
(4月1日、地名は支店長、Aはエリアの略)名古屋営業本部長兼名古屋A名古屋(秋葉原兼営業第一)北中伸明
▽新都心営業兼営業第一(日本橋・室町A日本橋兼営業第一)三浦正豊
▽京都滋賀営業本部長兼京都・滋賀A京都(淀川A新大阪駅前兼営業第一)竹原智記
▽渋谷・目黒A渋谷兼営業第一(法人・プレミア戦略)田村直也
▽浜松兼営業第一(営業サポート統括部長)小野勝也
▽信託年金営業(大阪営業第一)吉村直樹
▽国際事業部長(東京営業第二)今野大庫
▽虎ノ門・新橋A虎ノ門兼営業第一(大阪営業第二)萬代孝一
▽上野・日暮里A上野兼営業第一(東京営業第四)水原正樹
▽大阪不動産営業第一(大阪不動産営業第二)和泉博之
▽融資管理兼東京融資管理(東京承継ソリューション営業第一)西光崇
▽資産承継アドバイザリー室長(大阪承継ソリューション営業第一)二宮裕
▽外国為替業務オフィス所長(埼玉りそな銀行国際事業室長)尼田武志
▽神奈川県央A厚木(参議院)和田将治
▽内部監査(渋谷・目黒A渋谷兼営業第一)常木英一郎
▽湘南A長後(渋谷・目黒A中目黒)佐々木英雄
▽日本橋・室町A日本橋兼営業第一(五反田・品川A五反田)海老塚拓彦
▽神奈川県央A海老名(大森・蒲田A蒲田)渡辺俊行
▽秋葉原兼営業第一(世田谷A世田谷)鳩野亮司
▽淀川A新大阪駅前兼営業第一(上野・日暮里A上野兼営業第一)永田点
東京営業第四(江戸川南)岩崎喬
▽川崎A鶴見(湾岸A浦安)樋口美津穂
▽東京承継ソリューション営業第一(足立A千住)鈴木信貴
▽九段支店店頭サービス長兼神田支店店頭サービス長(同西新井)寺田満穂
▽東京営業第七(立川A昭島)広岡千佳
▽札幌(八王子)伊藤秀嗣
▽大森・蒲田A大森(東村山・東大和A久米川)小滝卓
▽宇都宮(横浜南A戸塚)中西栄一郎
▽渋谷・目黒A中目黒(川崎A鶴見)村井千織
▽神楽坂・早稲田A神楽坂(横浜北A新横浜)工藤弘貴
▽横浜A横浜支店営業第四(湘南A長後)石橋文子
▽青梅A東青梅(神奈川県央A海老名)曽根善弘
▽大阪営業第一(高槻A高槻)島田卓治
▽尼崎A尼崎(同高槻富田)桑原弘好
▽歌島橋(枚方・寝屋川A寝屋川)山下洋介
▽住道・四條畷A住道(茨木A茨木)原田泰志
▽大阪営業第八(住道・四條畷A住道)古久保仁子
▽貝塚・佐野A貝塚(豊中・箕面A箕面)北村紘一
▽難波兼営業第一(守口)藤野亮二
▽玉造(江坂)村田龍哉
神戸A神戸兼営業第一(北浜兼営業第一)北林功
▽法人・プレミア戦略兼大阪営業第六(御堂筋兼営業第一)上所克
▽堺A堺東支店営業第四(大阪みなとA大正)安井正憲
▽布施口・小阪・長瀬A布施口(同市岡)八木真男
▽奈良・郡山A東生駒(住吉・我孫子A平林)上田智生
▽法人・プレミア戦略(玉造)本多友之
▽枚方・寝屋川A香里(堺A堺)岩田守
▽御堂筋兼営業第一(貝塚・佐野A貝塚)木下純一
▽高槻A高槻富田(奈良・郡山A東生駒)山田久美
▽梅田A梅田支店営業第二(神戸A神戸岡本)稲田真之
▽茨木A茨木西(京都・滋賀A長岡天神)松田修
▽世田谷A世田谷(宇都宮)小玉卓也
▽立川A立川(埼玉りそな銀行朝霞)新庄明仁
▽北浜兼営業第一(名古屋A名古屋支店営業第一)上野匡人
▽江戸川南(芝・麻布A芝支店営業第二)畑山宜彦
▽東村山・東大和A久米川(墨田・江東A錦糸町支店営業第二)石川徹
▽堂島兼営業第一(梅田A梅田支店営業第二)溝口暁
▽足立A千住(天神橋A南森町支店営業第二)安原裕之
▽渋谷・目黒A渋谷支店営業第四(福岡支店営業第二)小谷庸一
▽日本橋支店店頭サービス長兼室町支店店頭サービス長兼東京中央支店店頭サービス長(九段支店店頭サービス長兼神田支店店頭サービス長)栗原聡美
枚方・寝屋川A寝屋川(難波支店営業第三)尾崎純二
▽東京ミッドタウン(渋谷・目黒A渋谷支店営業第四)滝口悠一
▽大阪営業第五(船場支店営業第四)高橋克承
▽渋谷・目黒A渋谷支店営業第六(日本橋支店店頭サービス長兼室町支店店頭サービス長兼東京中央支店店頭サービス長)黒木久世
▽藤沢ローンプラザ長(たまプラーザローンプラザ長)島崎英嗣
▽営業サポート統括部長、白石琢磨
▽守口、北川恵一郎
▽参議院、松本敏明
▽名古屋A名古屋支店営業第一、松原秀明
▽たまプラーザローンプラザ長、芳野通代
▽上野ローンプラザ長、宇佐美悟
▽堺東ローンプラザ長、村田克也
▽船場支店営業第四、有田将行
▽八王子、久米利史
▽芝・麻布A芝支店営業第二、玉沢晃
▽野田・福島A野田兼福島、西谷直樹
▽西宮A西宮北口、田代将大
▽江坂、永岡克浩
▽天神橋A南森町支店営業第二、後藤順一
▽大阪西区支店営業第二、草野義之
東京承継ソリューション営業第四、大浜辰也
▽大阪承継ソリューション営業第一、内田年信
▽川崎A川崎支店営業第二、太田賢吾
▽久留米、野間慎一
▽立川A村山、斉藤洋介
▽京都・滋賀A千本、高田泰慶
▽茨木A茨木、米倉崇
▽京都・滋賀A長岡天神、笠井寛幸
▽豊中・箕面A箕面、武蔵禎之
▽大阪不動産営業第二、塚田光則
▽不動産戦略営業、完城豊鎬
▽高槻A高槻、片田慎一
▽町田A相模大野、中村妹香
▽堺A初芝、荒木将光
▽神戸A三田、村田真里子
▽横浜南A戸塚、植野亜希子
▽淀川A三国、清水大生
▽神戸A神戸岡本、珍坂和宏
▽福岡支店営業第二、植田規夫
▽住吉・我孫子A平林、竹下恵
▽熊本、辻良典
堺A堺、前田知子
▽大阪みなとA大正、山岡美紀
▽渋谷ローンプラザ長、栗原隆行
▽墨田・江東A錦糸町支店営業第二、木村智晴
▽難波支店営業第三、坂東左知子
▽戦略ファイナンス室長兼東京営業第八、塩島健吾
▽小田原、大島圭介
▽前橋、中西俊介
▽大阪みなとA市岡、泉井美絵
▽貝塚・佐野A佐野、片岡るり子
▽業務サポート(カスタマーサクセス)福嶋史子
▽DX・決済ビジネス(DX企画)伊藤洋平
▽人財サービス(コーポレートガバナンス事務局)那須知也
▽住まいサポート、市村公男
▽個人(アジャイル推進室長)熊倉広将
▽コンプライアンス統括部長、岡田義雄
▽北九州(関西みらい銀行阪神尼崎兼尼崎兼立花)福永一仁
▽アジャイル推進室長、新槙祐輔
▽大阪営業第二、津久井誠二
▽五反田・品川A五反田、末吉陽
西宮A西宮、安達立洋
▽ファシリティ管理、近藤雅史
▽システム室長、三谷一
▽大阪公務部A営業第二、藤田美穂
▽東京営業第二、藤本祐良
▽足立A西新井、深沢早智代
▽湾岸A浦安、浜田恒男
▽大森・蒲田A蒲田、矢野智博
▽コーポレートガバナンス事務局、桑原香菜子
▽横浜北A新横浜、藤岡紀治
▽立川A昭島、比気真代
▽高槻A島本、田中暁子
トキハにサイバー攻撃 大分のスーパー、全23店臨時休業[2025/04/01 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ 415文字 PDF有 書誌情報]
百貨店「トキハ」(大分市)のグループ会社のスーパー「トキハインダストリー」(同市)は31日、トキハグループの一部サーバーがサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生したため、大分県内にある全23店舗を臨時休業にしたと発表した。4月1日から営業を再開するが、クレジットカードなどの一部決済サービスは使えないという。
トキハインダストリーによると、30日午後、商品の発注システムが動かなくなった。その後の調査でトキハグループの一部サーバーがランサムウエア(身代金要求型ウイルス)による被害を受けていることが判明した。
POS(販売時点情報管理)システムが使えず、商品の発注や受注、売り上げの集計などができなくなり、31日の臨時休業を決めた。攻撃された一部サーバーには客や従業員などの個人情報は保存されておらず、現時点で漏洩は確認されていないという。
百貨店トキハはトキハインダストリーとは異なるPOSシステムのため通常通り営業している。
飛行機「聖地」に公園整備、大阪・豊中大迫力の着陸、真下から観賞(街エクスプローラー)[2025/04/01 日本経済新聞 大阪夕刊 29ページ 1766文字 PDF有 書誌情報]
航空ファンから「聖地」と呼ばれる飛行機の絶景ポイントが大阪府豊中市にある。航空機を真下から見る着陸風景は、機体が自分に迫り来るようで迫力満点だ。豊中市は、グーグルのテレビCMの舞台となって人気に火が付いた千里川土手付近に公園を整備し、街づくりの起点にしようとしている。
阪急電鉄の大阪梅田駅から各駅停車で13分。3月の週末、曽根駅から歩いて住宅街や工場地帯を抜けると、15分ほどで伊丹空港の滑走路近くの千里川土手に到着した。家族連れやカップル、超望遠レンズなどのカメラを構えた人らおよそ60人でにぎわい、一様に南東の生駒山方面から近づく光を見つめていた。
ゴーーーッという轟音(ごうおん)とともに飛行機がこちらに向かってくる。自分にぶつかるのではないかと感じられ、見上げれば機体が眼前に広がった。その距離は体感で十数メートルくらいだろうか。迫力に圧倒され、あっという間に頭上を通過すると、「すごく近い!」「飛行機のおなかが見えた!」と周囲から驚きの声が上がった。
伊丹空港によると、1日約180便が上空を通過する。「17時半に大型機のボーイング787が羽田から来ます」。夕方の土手にアナウンスの声が響いた。ボランティアで到着便のガイドをするのは園部悦子さん(60)。常連から「えっちゃん」と呼ばれる名物的存在で、15年前から通っているという。「ここ10年でずいぶん人が増えた」と土手の人気上昇を実感する。
土手はもともと、40年ほど前から地元で夜景のきれいなデートスポットとして口コミが広まったという。国際便が発着していたころはボーイング747(ジャンボジェット)全盛期で、航空ファンを魅了した。
それが2017年のグーグルCMをきっかけに一般にも広く知られるようになった。19年には米大手旅行サイト「トリップアドバイザー」から、継続的に高評価を受けた観光スポットとして「エクセレンス認証」を獲得。朝ドラや人気歌手のミュージックビデオの撮影地にもなり、全国に浸透しつつある。
人気の高まりを受け、豊中市は土手に隣接する原田緑地を整備している。甲子園球場の1・5倍にあたる約6ヘクタールの広さの公園が27年に誕生する。遊具やバーベキューを楽しめる「飛行機鑑賞ゾーン」、地域の野菜販売や収穫もできる「農と自然体験ゾーン」などを備え、25年8月にも一部を先行開放。土手も遊歩道が整備され、30年の完成を見込む。航空ファンのみならず一日を満喫できそうだ。
市は空港に近い宅地への騒音対策を継続しながら、空港や公園を核とした街づくりで年間40万人の来園を目指す。大型バスを含め270台以上が収容できる駐車場を用意する計画で、担当者は「にぎわいづくりの場として、店舗出店の場や旅行ツアーの目玉の一つになっていければ」と新たな観光地になることを期待する。
飛行機の撮影地として国内では成田空港の「成田市さくらの山」、羽田空港の「京浜島つばさ公園」が有名だ。伊丹空港の滑走路の脇にある伊丹スカイパークにも足を運んだが、着陸を横からではなく、真下で見られるのは千里川土手ならではの魅力だろう。
取材で出会った、YouTubeのライブ配信をする60代男性は「ほかの空港の配信も見るけど、やっぱりここの迫力は唯一無二」と語る。航空ファン以外にも知られるようになったこの地が、公園の整備でさらに全国区へ飛躍しそうだ。(竹内なな子)
推しビュー
旧羽室家住宅
阪急曽根駅から歩いて6分の所にある旧羽室家住宅は、レトロな昭和モダンの雰囲気を味わえる。かつて中世の武将・原田氏の居城であった地の一角を、住友化学工業(現住友化学)の役員だった羽室廣一氏が買い取り、1937年に個人宅を建てた。
瓦屋根や茶室としても使える数奇屋風の離れがある一方、暖炉のある応接室や食堂など洋風の要素も備える。3月初旬に訪れると和室には7段のひな人形、庭に満開の梅が見え、春の訪れを感じた。当時の住宅洋風化の流れが示され、土日のみ公開でNPO法人のスタッフが建物のガイドをしてくれる。
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【図・写真】千里川土手では伊丹空港の滑走路へ向かう飛行機を真下から眺めることができる(3月、大阪府豊中市)
25年04月05日