世界の物言う株主の提案、昨年最多 アジア、3年で3倍 企業に非公開化の動き(資本騒乱)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1431文字 PDF有 書誌情報]
世界のアクティビスト(物言う株主、総合2面きょうのことば)の提案・要求が2024年に過去最多を更新した。日本を含むアジア圏がここ数年で急増し、世界全体の2割強を占める。株主提案が市場評価の改善につながったケースがある一方、アクティビストの動きを警戒し株式の非公開化を選択する企業も出てきた。
米投資銀行ラザードによると、アクティビストの提案は全世界で258件に達し、前年比で6件増えた。2年連続で過去最多を更新し3年前から5割増えた。
地域別では、アジア太平洋地域が24年に前年比30%増の57件の提案があり、3年前から3倍と急増している。アジアの6割強が日本で、24年は過去最多の37件の提案があり、過去最多だった。25年も6月の定時株主総会に向け、提案・要求活動が活発になっている。
韓国の提案も14件と、前年から10件増えた。オーストラリアや香港でも1件ずつ増えた。
北米は世界全体の半数を占めるが、2年前の60%や10年前の85%からは減った。欧州はアジアより5件多い62件だった。
日本での追い風は13年からの企業統治(コーポレートガバナンス)改革と、23年に東証が企業に株価意識を高めるよう要請したことだ。東証は自社株買いや配当ではなく、設備投資や不採算部門の売却など長期的な成長戦略を促してきた。
目立つのは投資リターンを狙った資本配分の要求だ。24年の日本での活動の51%を占め、過去5年平均の32%を大幅に上回る。米ダルトン・インベストメンツは江崎グリコの株主総会で、配当内容などを取締役会だけでなく株主総会でも決められるよう定款を変更する議案を出した。
否決されたものの4割強の賛成を集め、グリコ側は翌25年3月の総会で配当などを総会でも決められるようにする会社提案を出して可決した。
英パリサー・キャピタルは24年に東京建物の株式を取得し、政策保有株のヒューリック株の売却などを通じて資本効率を改善させれば企業価値を高められると主張した。
不動産の地価上昇に伴う含み益を狙った提案も増えてきた。オフィスやホテルといった不動産は売却すればすぐに大きな利益を得られ、配当に回すことができるからだ。
米エリオット・インベストメント・マネジメントは24年の三井不動産に続き、25年は住友不動産の株式を取得した。今後、保有不動産の売却を求める見込みだ。ダルトンも4月16日にフジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングスに送った書簡で、独自の取締役選任案に加え、不動産事業の切り離しを提案した。
アクティビストの提案をきっかけに、市場評価が改善した企業も多い。
エレベーター大手のフジテックでは、香港のオアシス・マネジメントの圧力で創業家の内山高一会長が解職された23年3月から株価が8割上昇した。建設業の浅沼組はストラテジックキャピタルの政策保有株売却などの株主提案を21年まで3年連続で否決したが、その後、株主還元を強化したことで株価は上昇基調に入った。
アクティビストの動きを警戒し、非公開化で身を守る企業も出てきた。
豊田自動織機は株式の非公開化を検討する。24年に欧米の複数の投資ファンドから親子上場の解消や自社株買いを求められ、仮に同社の経営権が外部に渡れば同社が株式を保有するトヨタ自動車に影響を及ぼしかねないと指摘されていた。「(トヨタが)予防措置として非公開化の提案に踏み切った可能性がある」(投資銀行筋)との見方も出ている。
三菱商事、AIスキルの資格取得を管理職要件に 全社員必修へ IT業界以外に拡大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 1ページ 992文字 PDF有 書誌情報]
三菱商事は2027年度から人工知能(AI)資格の取得を管理職の昇格要件にする。データ分析や業務管理でAIを使いこなす人材を増やす狙いで、いずれは役員を含む5000人超の全社員に資格の取得を義務付ける。日本企業で社員にAIスキルを求める動きが本格化してきた。
まずは入社8~10年目ごろの課長級に昇格する時期に、日本ディープラーニング協会が運営するAI関連資格の「G(ジェネラリスト)検定」の取得を義務化する。同協会はAI研究の第一人者である松尾豊東大教授や、ディープラーニング(深層学習)を事業の核とする企業を中心に設立された一般社団法人だ。
G検定の取得者は深層学習の基礎知識を有し、深い洞察力を持ってデータ分析できる能力を持つとされる。試験ではAIに関わる数理・統計知識や法律・契約などの知識が問われ、合格には50時間程度の勉強時間が必要とされている。
三菱商事は数年をかけて経営陣や海外出向者も含めて単体の約5400人すべての社員に同検定の取得を必須にする方向だ。同社は管理職に英語能力テスト「TOEIC」や簿記で一定レベルの取得を求めている。昇格要件にAI資格も求めるのはIT(情報技術)企業以外では珍しい。
さらに高い専門性を持つエキスパート人材も育成していく。24年度からは高度なデータ分析などのスキルを持つ高度人材を育成するため、海外大学への短期留学制度を新設した。25年度以降は派遣人数を年10~20人(24年度は7人)に増やす。
30年には全社員の5~10%をデータサイエンティストなどの専門人材に近い水準の知識を持ち、ほかの社員との会話で橋渡しができる日本ディープラーニング協会の「E(エンジニア)資格」保有レベルの人材にする。
日本企業でAIスキルを高める動きは広がっている。クボタは米マイクロソフトと連携し、このほど海外含む全社員約5万2000人に生成AIの使い方などの教育を始めた。サッポロホールディングスは2月から全社員約6000人を対象に指示文に様々な条件をつける「プロンプトエンジニアリング」の基礎などを学べる研修を始めた。
日本企業でのAI活用は遅れている。米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の24年調査によると、日本で生成AIを日常的に業務に利用している人の割合は従業員で16%、管理職では31%といずれも主要国・地域で最低だった。
証券口座乗っ取り、国内100社の株価操作か 中小銘柄狙う[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 1ページ 644文字 PDF有 書誌情報]
証券会社の顧客口座が乗っ取られた問題で、少なくとも国内100社の株価が操作されたとみられることが28日、金融当局関係者への取材で分かった。売りと買いの注文を高値で同時に出し株価をつり上げる手法で、金融商品取引法が禁じる相場操縦罪に当たる疑いが強い。証券取引等監視委員会は注文の動向や株価の推移を分析している。
国内の各市場に株式を上場する企業は約4000社。過去に発覚した相場操縦事件で価格を操作された株は、集団によるものでも数銘柄だった。上場企業全体の2.5%にあたる100社もの株価が同時期に不正に変動させられた疑いが浮上するのは異例だ。
証券口座の乗っ取り被害は楽天証券、野村証券、SBI証券、SMBC日興証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、三菱UFJeスマート証券の計8社で確認された。犯罪集団が偽サイトなどで顧客のID・パスワードを盗み、不正アクセスしたとみられる。
乗っ取られた口座では当初、香港や上海の取引所に上場する海外企業銘柄が取引された。不正売買の疑いを把握した楽天証券などは3月末までに一部の海外銘柄についての買い注文を停止。これを受け、犯罪集団は売買対象を国内株に移したとみられる。
金融当局関係者によると、乗っ取られた口座で不正に売買された国内株は3月末時点で少なくとも100銘柄あった。標的とされたのは中小銘柄が目立ち、一部の銘柄は4月以降も複数回の操作が確認された。平時の売買量が少なく、一定量の注文によって株価を動かしやすい銘柄を狙った疑いがある。
ベトナム脱炭素に2.9兆円 首相、首脳会談で表明 自由貿易の重要性確認[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 1ページ 497文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=手塚悟史】石破茂首相は28日、ベトナム首相府でファム・ミン・チン首相と会談した。洋上風力発電や送電網の整備計画など、ベトナムの脱炭素事業に最大200億ドル(約2兆9000億円)を官民で投じると表明した。米国の関税措置を踏まえ、自由貿易体制の重要性を確かめた。
石破首相は共同記者発表で「世界経済が不透明性を増し、東南アジア地域への影響も懸念されている。ベトナムの声に誠実に耳を傾けていく」と述べた。チン首相は世界経済に関し「多角化主義を重視し、国際努力を呼びかけることの重要性を確認した」と強調した。
ベトナムは経済成長を維持するための電力確保と環境への負荷軽減の両立が課題だ。日本企業に強みがある脱炭素の取り組みへの投資を通じて、中国が影響力を持つベトナムで日本の貢献をアピールする狙いがある。
第1弾として10件超の投資計画を選定した。住友商事や丸紅などが最大100億ドル(約1兆4500億円)規模を投じる洋上風力発電の案件などを選んだ。
安全保障協力の推進でも合意した。外務・防衛担当の次官級協議(2プラス2)を創設する。南シナ海で中国の海洋進出を抑止する方策を議論していく。
生後100日を祝うしきたりは、東アジアに広く分布する(春秋)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 1ページ 560文字 PDF有 書誌情報]
生後100日を祝うしきたりは、東アジアに広く分布する。日本では「お食い初め」の風習がいまも廃れていないし、中国では「百日宴」が盛大に開かれるという。韓国の「ペギル」はずばり「100日」という意味だ。慌ただしくも喜ばしい、大きな節目なのである。
▼米国でも、カリフォルニア州などで「100days of school」なるお祝いをするそうだ。こちらは新学期から100日の学校イベントである。さて……と話を変えるのも苦々しいのが、トランプ米大統領である。就任から100日。わずかな間にこの超大国の信頼をひどく傷つけ、全世界をカオスに陥れた。
▼罪状を繰り返し挙げよう。ずさんな計算式で設定した高関税の愚かさ。ロシアの侵略を是認しかねないウクライナ和平案の理不尽さ。DEI(多様性、公平性、包摂性)を切って捨て、移民も留学生も締め付け、学術や文化の息の根を止めようとする施策の忌まわしさ。2025年の、こうした出来事を忘れてはならない。
▼政権が生まれたとき、楽観論も少しは報じられていた。わずかな期待を抱いたのはなんと甘かったことだろう。ネット空間などには独裁者の所作への共鳴も広がっている。それもまたトランプ氏の罪ではないか。世界は、あっという間に変わってしまう。祝福とは無縁の、恐るべき現実を教えた「100日」を脳裏に刻む。
出光、脱炭素の利益水準引き下げへ 30年度、アンモニア・水素事業遅れ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 2ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
出光興産は2030年度の脱炭素事業の利益水準見通しを引き下げる検討に入った。事業収益ベースで次世代燃料などの非化石燃料事業の比率を5割以上とする計画だったが、アンモニアや水素など新領域での事業化が遅れる。
次世代燃料は資材高などによる採算悪化もあり、欧州石油大手は化石燃料回帰を進めている。日本の石油大手にも戦略見直しが広がる。
酒井則明社長が日本経済新聞の取材で明らかにした。酒井社長は「次世代燃料の開発だけでなく、ガソリンなど足元で必要なエネルギーの安定供給とのバランスをとりたい」と話した。26年度からの中期経営計画に新たな目標を盛り込む。
グーグル排除命令、外れた公取委の思惑 収益分配望む声 国内メーカーの苦境映す(真相深層)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1575文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が米グーグルの検索サービスを巡って排除措置命令を出した。競合サービスの排除を条件にしたスマホ端末メーカーとの契約を「不当な拘束」と判断する一方、自社アプリの優先配置に応じたメーカーへの広告収益の分配は存続を認めた。
公取委が審査で直面したのは、分配金を貴重な収益源とする国内メーカーの苦境だった。
口つぐむ企業
15日に出した処分で公取委が独占禁止法違反を認定した行為は2つある。一つはアプリストアを搭載する代わりに検索やブラウザーの初期搭載などを求めたこと。もう一つが他社の検索サービスを搭載しないことやアプリを複数の位置に配置することを条件に検索連動型広告の収益を分配する契約を結んだことだ。
グーグルの基本ソフト(OS)を搭載したアンドロイド端末は世界シェアで約7割を超える。OSをメーカーに開放する戦略をとり、世界中でアンドロイドを普及させた。公取委は分配契約によりメーカーの選択肢が狭まり、検索サービス分野の競争を妨げていることを問題視した。
「(メーカーの)事業活動を不当に拘束した疑いがある」。公取委は2023年10月、審査開始を公表した。審査の初期段階で事業者名を公表して、第三者の意見を募集する手続きは異例で、巨大IT企業を前に声を上げづらいメーカーなどの意見を幅広く集める狙いがあった。
ソニーやシャープなどのメーカーは排除措置命令や収益分配契約について、表向きは口をつぐむ。関係者によると、メーカーの反応は公取委の見立てと異なるものだったという。
「分配契約は重要な収益源だ」。公取委の矛先が収益分配契約の廃止に向かうのを避けるため、意見書を提出した日本企業もあったという。グーグル側も契約の違法性を否定した。
結果的に公取委は自社サービスを目立つ位置に配置してもらうために、対価を支払うビジネス自体に違法性はないと判断。競合サービスの排除を禁じる一方で、アプリを配置する位置に応じて分配契約を結ぶことは認めた。
差別化難しく
端末メーカーが分配契約の廃止に後ろ向きだった理由は、国内スマホメーカーが置かれた立場がある。
日本では08年に「iPhone」が発売されて以降、アップルの人気が根強い。アンドロイド端末は共通のOSを使う特性上、差別化が難しく、国内メーカーは中国や韓国など海外勢とのコスト競争に押されてきた。
OSをメーカーに提供するグーグル自身も自社端末の開発・販売に余念がなかった。18年に自社ブランドの「Pixel(ピクセル)」を日本で発売して以降、同社はシェアを拡大している。
調査会社のMM総研(東京・港)によると、09年度の携帯電話の国内出荷台数の上位にはシャープや富士通などの日本メーカーが並んだが、23年度のスマートフォン出荷台数はアップルが首位でシェアは50%を超えた。グーグル(11%)もシャープを抜き、2位となった。
日本勢の収益環境は悪化の一途をたどり、23年にはバルミューダと京セラが個人向けスマホからの撤退を発表。富士通の携帯事業を引き継いだFCNTも経営破綻した。
国内メーカーが消極的だったにも関わらず、公取委がグーグルに排除措置命令を出したのは人工知能(AI)技術の台頭によって競争環境が変わりつつあるからだ。米調査会社のガートナーは24年、AIなどの台頭で従来の検索エンジンの使用量は26年までに25%減少するとの予測を公表した。
公取委幹部は「グーグル『一強』だった検索市場に変化の機運が高まっている今だからこそ、競争環境を整える必要がある。メーカーの選択肢が増えれば、よりよい検索サービスや端末が消費者の手に届く可能性も高まるはずだ」と処分の意義を強調した。
(藤田このり)
【図・写真】米グーグルに対する排除措置命令について記者会見する公取委(15日、東京都千代田区)
針路を聞く 「譲れぬ一線」貫く交渉を 豪州元WTO貿易交渉担当 ドミトリー・グロゾビンスキー氏(崩れる自由貿易)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1155文字 PDF有 書誌情報]
米国は関税を利用し、複数の目標を同時に達成しようとしている。貿易赤字の削減、製造業の米国への回帰、サプライチェーン(供給網)の中国依存の脱却、市場の障壁の開放、政府の歳入拡大の5つだ。これらは個々に達成可能かもしれないが、同時に目指すとなると様々な矛盾が生じる。
追加関税は本来、対象を慎重に絞り込み、段階的に導入する必要がある。影響を受ける国民への補助金も十分に用意しなければならない。米国はこれらのプロセスを単純化し、乱暴な措置をとった。自国民を含む世界中の人に一度でけんかを売る愚かな方法だ。
トランプ氏は決断力があり、大胆な言動が支持されて大統領選で勝利した。選挙戦では財政赤字の削減を掲げた。現実には簡単にいかないことに気づき、高関税政策を世界中の国との交渉材料に利用したのだろう。
オーストラリアから世界貿易機関(WTO)に派遣されて貿易交渉に携わった経験から感じるのは、通商交渉の難しさだ。2国間での交渉でさえ相互の利害が対立するなか、政策を変えれば思わぬところに多大な影響を及ぼすことがある。
日本政府が早期に米国との交渉に乗り出したのは賢明な判断だった。会合の雰囲気は建設的で前向きだったと報じられている。トランプ政権の行動は相手国の態度や姿勢に左右される傾向がある。日本が協力的な姿勢で対話に臨んだのはワシントンの日本への評価にプラスに働くだろう。
米国の要求事項の選択肢には貿易に関連するものとそうでないものが混在し、不満の集積のようだ。例えば米軍の駐留経費を問題視するのは通常の貿易交渉では見られないもので、関税と結びつけるのは奇妙だ。
一方で、米国市場への影響や政治の混乱を考慮すると、トランプ政権は提案にオープンである可能性が高い。日本はどの程度譲歩できるか検討しつつ、国民が受け入れられる範囲を超えた提案を避けるようバランスを模索する必要がある。
日本にはいくつもの強力な交渉カードがある。経済規模は世界でもトップクラスで、日本市場へのアクセスは多くの米国企業にとって軽視できない。先進技術も多く、半導体産業の分野なども交渉の材料となりうる。
必要以上に譲歩しない姿勢を貫くことが重要だ。条件がまとまったとしても、再び交渉を求めてくる可能性もある。トランプ氏が日本との取引において「勝利」と誇れるような成果を提示しつつ、さらに圧力がかかる可能性に備えて「これ以上の譲歩はしない」という姿勢を明確にすべきだ。
(聞き手は芦川美奈)
=随時掲載
Dmitry Grozoubinski 豪モナシュ大学で修士号。オーストラリア政府を代表して世界貿易機関(WTO)で貿易交渉に関わった。現在はジュネーブ国際開発高等研究所が設置する貿易政策などの助言組織でエグゼクティブディレクターを務める。
高校無償化の大波(2) 私立値上げ「便乗にあらず」(迫真)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1004文字 PDF有 書誌情報]
多くの学校改革にアドバイザーとして携わってきたベネッセ教育総合研究所の小村俊平(50)は最近、私立高校関係者からこんな相談を受けることが増えた。「学費を値上げしたいのですが……」
2026年度から全国で本格的に始まる無償化は、私立高にとって生徒獲得の好機といえる。だがカリキュラムや設備面で強みを打ち出そうにも、先立つものがなければ絵に描いた餅に終わる。「物価や光熱費の上昇を考えれば今が保護者の理解を得やすいタイミングでは」。こう助言すると、相手の表情に安堵の色が浮かぶという。
24年度から先行導入した東京都と大阪府では、支援金支給額の上限付近まで授業料を引き上げる私立高が相次いでいる。
大阪私立中学校高等学校連合会によると、府内ではさらに8校が25年度から授業料とは別に入学金の値上げに踏み切った。無償化に便乗したのでは――。批判もあがる中、学校側は「施設改修費のため」と説明する。
大阪府では年間授業料が63万円を超えると学校側が負担する「キャップ制」が採用されている。学校経営上、引き上げが難しくなれば「教員数や給与水準を抑えざるをえなくなるかもしれない」。同連合会の会長を務める興国高校(大阪市)の草島葉子理事長は懸念する。
文部科学省の調査によると、私立高に3年間通うのに必要な平均費用は公立高の2倍超の228万円。このうち授業料が占めるのは3割で、入学金や施設費は保護者側の負担となる。
授業料の無償化とはいえ、その他の費用が膨らむ可能性は否定できない。それでも保護者が私立高に寄せる期待は大きい。
「補習も充実していて手厚く面倒を見てくれる」。今春、長女が東京農業大第二高校(群馬県高崎市)に入学した50代の会社員女性は胸をなで下ろす。
地方では公立のトップ校が難関大学への高い進学実績を誇る一方、私立高は学習指導やスポーツなどの特色を磨き教育の幅を広げてきた。東京や大阪で先行する「私立シフト」は、そんな地方の高校の勢力図を塗り替える可能性を漂わせている。
少子化の中で生き残りを目指す私立高にとって、公費投入による無償化はこの先も追い風となるのか。ベネッセの小村は懐疑的だ。「学費設定により厳しい目を向ける保護者もいるだろう。もし必要な値上げができず、私立の『色』を出せなくなるなら元も子もない」
(敬称略)
【図・写真】無償化で私立高に寄せる保護者の期待は大きい(8日、群馬県高崎市)
米国の科学力と多様性そぐ学術への介入(社説)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 2ページ 920文字 PDF有 書誌情報]
米トランプ政権が学術や科学への圧力を強めている。大学や研究機関への助成を停止した。
自らに従わない学者らを締めつける振る舞いはナチスドイツや中国の文化革命を想起させる。米国の競争力をそぎ、西側諸国にも影響が及ぶ。行き過ぎた介入を直ちにやめるべきだ。
学生や職員採用の多様性プログラムや反ユダヤ主義への対応を口実に介入を始めた。拒否したハーバード大学への助成を一部停止し、免税資格の剥奪を当局に指示した。同大を含む複数の大学が憲法違反などと提訴している。
気候変動や基礎科学、宇宙、医療でも研究費が切られた。米国立衛生研究所(NIH)や米航空宇宙局(NASA)など複数の政府機関が人員を減らし、がんの治療や次世代エネルギーなどの研究事業も止まった。ノーベル賞受賞者を含む約2000人の学者が攻撃を止めるよう声明を出した。
科学や学術の進歩には様々な考え方が不可欠で、多様性の重視は自然だ。トランプ政権はあらゆる権限を駆使し、自らの考えを強要している。米憲法が定める「思想の自由」を否定するものだ。
トランプ氏は有力大をリベラルの牙城とみているが、介入は合理的ではない。攻撃に熱中するあまり見落としている点がある。
第2次世界大戦時、ユダヤ人迫害やファシズム政治を嫌った学者らが欧州から米国へ移住した。米政府は多額の政府資金で支援し、科学技術や学術が発展した。ITや航空・宇宙、医療など先端産業が育ち、経済の繁栄や圧倒的な防衛力につながった。このままでは繁栄の基盤が崩れてしまう。
米産業界からも反対の声が上がっている。グーグル元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏は「科学への攻撃」と指摘し、メタの研究幹部も「魔女狩り」と反発した。
海外に拠点を移す研究者や留学先を変える学生も出始めた。欧州やカナダは在米研究者を受け入れようとしており、米国からの頭脳流出の動きが加速するだろう。こうした動きは中国を利する可能性が高い。
米国は海外での研究も助成しており、科学や学術での国際協調路線への余波も心配である。日本は研究者の獲得や米国との共同研究の維持などで対応が遅れている。世界から取り残されないためにも政府は支援を急ぐ必要がある。
中国EVの急速な進化直視を(社説)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 2ページ 790文字 PDF有 書誌情報]
中国の電気自動車(EV)メーカーが技術力を急速に高めている。エンジンを補助動力として使う新型車を相次いで発売し、高度なITの活用も加速してきた。日本などの自動車メーカーは現実を直視し、対策を急ぐ必要がある。
世界最大級の自動車展示会、上海国際自動車ショーの開幕に合わせ、小鵬汽車(シャオペン)などがエンジンを搭載して航続距離を伸ばしたプラグインハイブリッド車(PHV)の発売について説明した。大手の比亜迪(BYD)もPHVを拡充すると公表した。
さらに最先端のITを応用した先進運転支援システムの採用が増え、華為技術(ファーウェイ)やモメンタといった中国企業がソフトの開発力を高めてEVメーカーを支える構図が鮮明だ。
中国のEVメーカーに対しては政府から不公正な補助金を受け取っているといった批判もある。それでもソフト技術者などを大量に採用して海外メーカーを上回るスピードで性能を高めている事実は無視できない。
日本などのメーカーは中国で苦戦が目立ち、今後は他の地域でも中国EVメーカーとの競争が激化する可能性が高い。輸出強化を掲げる中国各社は米国販売がほぼゼロで、トランプ米政権の高関税政策の影響が軽微なのも追い風だ。
中国勢との競争で重要になってくるのは開発のスピードを上げることだ。トヨタ自動車は中国向けの新型EVを現地主導で開発し、中国企業から調達したソフトを搭載する。現地の先進的な技術を活用し、消費者が求める製品を適時に供給することが欠かせない。
中国とその他の市場で消費者のニーズが異なる状況への配慮は要るが、成果の一部を海外に応用する視点も重要だ。一部の欧州メーカーは欧州向けEVの開発拠点を中国に開いており、参考になる。
ただ、中国メーカーに追随するだけでは違いを出すことが難しい。日本メーカーは強みとしてきた品質に加えて何を特徴とするか、真剣に考えるべきだ。
25年産米、はや集荷競争 JA買い取り3~4割高 「秋も高値」現実味[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1664文字 PDF有 書誌情報]
今秋に収穫予定の2025年産米を巡り、主要産地で数量確保に向けた動きが強まっている。各地のJAはコメ農家から買い取る金額を24年産比で3~4割引き上げる。政府備蓄米の放出が続くものの品薄感は解消せず、民間の集荷業者との競争は激しい。新米の店頭価格を押し上げる要因となる。
JAグループは生産者からコメを買い集め、卸や小売りなどに販売する。例年、全体の生産量の4割をJAが取り扱う。生産者からの買い取り価格は「概算金」と呼ばれ、その年のコメの流通価格の指標になる。
コメの生産量が全国3位の秋田県はJA全農あきた(秋田市)がこのほど、25年産のあきたこまちの概算金の目安を60キログラムあたり2万2000~2万4000円とする方針をJA関係者に示した。24年産の概算金(昨夏時点)は1万6800円。中心値(2万3000円)でみると、引き上げ幅は6200円(37%)となる。上昇率はおおむね前年産並みだ。
JA福井県(福井市)も25年産のコシヒカリで同2万2000円とした。24年産当初から4800円(28%)引き上げる。JA福井県はこの水準を「下限であり最低保証金額」とし、夏に改めて価格を提示する。
概算金は例年、収穫期が近づく8~9月に水準が決まる。今年は田植えが本格化する前の4月末までに大幅な引き上げが広がる異例の事態となっている。
背景にあるのが長引くコメの需給逼迫だ。農林水産省がまとめた民間在庫は2月末時点で205万トンと、前年同月比で39万トン(16%)少ない。JAグループなどの集荷業者と卸売業者との相対取引価格は3月、玄米60キログラムあたり2万5876円(全銘柄平均、税・諸経費を含む)だった。前年同月をなお68%上回る。
備蓄米が3月下旬以降店頭に並び始めたものの、品薄感は強い。民間の集荷業者やコメ卸などとの買い付け競争は激しさを増す。JA全農あきたの担当者は「年明けから民間の業者が25年産米の商談のために農家のもとへ来ている」と打ち明ける。
こうした動きにJAグループは25年産米を想定通りに確保できるか、危機感を強めている。24年の全国農業協同組合連合会(JA全農)の集荷量は179万トンと、23年から29万トン(14%)減った。生産量全体に占めるシェアも5ポイント低下し、26%にとどまった。
24年は収穫期の前後に農家を直接訪問し、現金で買い付ける民間業者へコメが流れたとの指摘が多い。集荷を増やすには、早い時期に概算金を引き上げる姿勢を生産者に示す必要があるとJAグループは判断した。
秋田県内のあるJAの組合長は「近年は大雨や猛暑が続き、農家を取り巻く環境は厳しい。農家の稲作を続ける意欲をかきたて、安定した価格と量でコメを消費者に届けたい」と話す。
既に生産量首位の新潟県では3月、JA全農にいがた(新潟市)が25年産のコシヒカリの概算金の下限を60キログラムあたり2万3000円にすると決めた。24年産(昨夏時点)に比べ6000円(35%)高い。
各地のJAが概算金の引き上げ決定を前倒ししたことで、民間の集荷業者がコメ農家に提示する買い取り価格も上がりそうだ。新潟県内のコメ農家には、JA全農にいがたより高い2万円台後半の買い取り希望がコメ卸などから届いている。「JA系が動いたことで民間業者の動きが活発になった」(新潟県のコメ農家)
関東のあるJA関係者は「他県の動向は注視しているが、いまの段階で引き上げを提示するのはリスクもある」とこぼす。
小売り段階のコメの高値は収まらない。農水省が28日発表したコメの平均店頭価格(4月14~20日時点、5キログラム)は、前週比3円(0.1%)高い4220円。16週連続で値上がりした。一般の銘柄米に比べて安価な政府備蓄米が店頭に並びだしているものの、品薄感は解消せず、前年同期の2倍を超える。
概算金の上昇は、コメ卸やスーパーの25年産米の仕入れ価格を押し上げる要因になる。新米が出回る時期になっても店頭価格が高止まりする可能性がある。
米国「威圧」で不法入国95%減 トランプ政権100日 送還減でも成果誇示 大量追放なら成長下押し[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1375文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領が就任してから29日で100日を迎える。公約に掲げたウクライナとパレスチナ自治区ガザの停戦が実現せず、関税政策は世界経済に混乱をもたらすなか、政権が成果として誇示するのが新たな不法入国の減少だ。「脅しの効果」で過去最低に抑え込んだ。
米税関・国境取締局(CBP)の統計によると、3月に米国とメキシコの南西部国境を越えて拘束された不法入国者は約7200人だった。前年同月から95%減り過去最低を記録した。ホワイトハウスは「トランプ効果だ」と強調する。
トランプ氏は2024年の大統領選で不法移民対策を最優先公約の一つに掲げた。就任初日に南部国境に「国家緊急事態宣言」を発令し、国境に米兵を派遣した。
劣悪な環境との批判を受けてきたキューバのグアンタナモ米海軍基地やエルサルバドル刑務所に不法移民を送る方針も発表。恐怖心から不法入国をためらわせる抑止効果が奏功したとみられる。
対照的にトランプ氏が豪語した米国内の不法移民の「史上最大の強制送還」は停滞している。
シラキュース大学のデータ分析サイト「TRAC」によると、米移民・税関捜査局(ICE)が1月26日~3月8日に強制送還した不法移民の数は約2万8000人で、1日当たりの平均送還数は661人とバイデン前政権下だった24年の742人を下回った。
米メディアは不法入国の減少をうけ国境での送還数が減ったことに加え、取り締まりのための予算や人員の不足が背景にあると指摘する。
政権は送還数を増やそうと躍起だ。当初は暴力犯罪歴のある不法移民の送還を優先させる方針だったが「不法入国・滞在も犯罪」として摘発の網を広げている。
米国土安全保障省は日本の国税庁にあたる米内国歳入庁(IRS)の捜査官を不法移民の摘発に協力させると発表。IRSが不法移民の納税者情報をICEに提供することも決めた。
不法移民に「自主国外退去」を迫る戦略も強化してきた。CBPはバイデン前政権が亡命申請をしやすくするために導入したスマートフォンのアプリを、自主国外退去の申請用に変更した。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、バイデン前政権下でこのアプリを利用した亡命希望者が、現政権になって即時退去を命じる通知を受け取っているという。
同紙などは米社会保障局が実際には生きている移民6千人以上を記録上「死亡」扱いにしたとも報じた。死亡扱いにして社会保障の受給や雇用を不可能にし、出国を促す狙いとみられる。
米国内にいる不法移民は約1100万人に上ると推計される。トランプ政権が公約通りに大量強制送還を実施した場合、労働力不足などを通じ米国の国内総生産(GDP)を最大で7%押し下げかねないとの試算もある。
米ゴールドマン・サックスは滞在許可を持たない移民は米国の労働力の4~5%を占めると推計する。農業や食品加工、建設業では就業者の15~20%が不法移民とみる。大量の強制送還は不法移民が支えた生産現場に打撃を与え、供給の減少に伴う物価上昇を引き起こす恐れもある。
米ピーターソン国際経済研究所は2024年秋の報告書で、不法移民の労働者130万人を強制送還すれば28年のGDPを1.2%下押しすると試算した。送還人数が830万人に拡大した場合は押し下げ率が7.4%に拡大するとはじいた。
米国「威圧」で不法入国95%減 トランプ政権100日――誤算の取引外交 ウクライナ・ガザ、遠い終結[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1068文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は戦後最多の大統領令で政策の実行力を誇示する一方、ウクライナと中東の停戦交渉は誤算が続く。硬軟で相手国に譲歩を迫る「取引(ディール)外交」は袋小路に追い込まれている。支持率は歴代政権と比べても低水準にある。
「それは比喩的な表現で、誇張して言った。冗談だったと皆わかっている」。トランプ氏は25日公開の米タイム誌のインタビューで、2024年大統領選でウクライナ停戦を1月20日の就任初日に実現すると豪語していたと問われて言い訳を口にした。
26年11月の中間選挙までに目に見える外交成果を有権者に示したいトランプ氏は合意に前のめりになる。しかし、ロシアが侵略してから3年以上が経過し停戦交渉は「非常に複雑」(トランプ氏)で、双方とも歩み寄る姿勢は見せない。
「成果」として胸を張ったパレスチナ自治区ガザを巡るイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意も事実上崩壊した。
就任目前に一度は停戦にこぎ着けたがイスラエル軍は3月半ばに軍事行動を再開した。ハマスに非があると指弾し、イスラエルに肩入れするトランプ政権にアラブ諸国は不信感を募らせる。
政権の命運も握る2つの停戦交渉の最前線に立つのは、ウィットコフ中東担当特使だ。イランとの核問題の交渉も担う。不動産業を営む実業家で、トランプ氏と40年来の付き合いがあるゴルフ仲間でもある。
米国の外交政策に詳しい米シンクタンク・新アメリカ安全保障センター(CNAS)のリチャード・フォンテーン最高経営責任者(CEO)は「トランプ氏は個別の交渉を通じて相手国に圧力をかけ、優位性を得られると考えている」と話す。
ウィットコフ氏はトランプ氏との近さを武器に権限を集中させるが、外交に関わったのは24年の大統領選後からにすぎない。停戦交渉が合意に至っても細部の詰めで甘さが露呈すれば火種となり、恒久停戦を実現できるかは見通せない。
米リアル・クリア・ポリティクスが集計した平均支持率をみると、就任100日の支持率は46%で第1次政権の同時期と比べて3ポイントほど高い。とはいえ就任直後は50%を超えていた支持率は下落傾向で、3月中旬に不支持が支持を上回った。
過去の政権と比べても低水準だ。1981年のレーガン氏以降の大統領で就任100日時点で支持率が50%を下回るのは第1次を含むトランプ氏だけだ。トランプ氏が好んで出演する米保守系FOXニュースが4月半ばに実施した調査では、外交政策への支持は40%、外交交渉にフル活用する関税への支持は33%にとどまった。
米国「威圧」で不法入国95%減 トランプ政権100日――ロシア「来月、72時間停戦」 8日から、実現は不透明[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 3ページ 396文字 PDF有 書誌情報]
ロシア大統領府は28日、プーチン大統領が5月9日の対ドイツ戦勝記念日に合わせ、モスクワ時間の同月8日午前0時(日本時間同日午前6時)から11日午前0時まで72時間の停戦を決めたと発表した。ウクライナ側に同調を求めた。
プーチン氏は4月にも20日のイースター(復活祭)に合わせ、30時間の停戦を一方的に宣言した。ロシア、ウクライナ双方ともに攻撃が続いていると非難の応酬となり、実現しなかった。今回も履行されるか不透明だ。
ウクライナのシビハ外相は28日、ロシアが和平を望むなら即時停戦すべきだと訴えた。
ロシア大統領府によると、戦勝記念日に合わせた停戦は「人道的な理由」とした。ウクライナ紛争の根本原因を取り除くため、前提条件なしに交渉に参加する準備があると表明。米国が仲介する停戦交渉が停滞する中、一方的な停戦の宣言で「和平」を主張し、トランプ米政権に交渉継続の姿勢を訴える狙いとみられる。
物言う株主 企業に戦略・還元提案(きょうのことば)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 3ページ 403文字 PDF有 書誌情報]
▽…株主として企業に経営戦略や株主還元について幅広く提案し、株価を高めて利益を得ようとする投資家を指す。米投資銀行ラザードによると、日本では2024年にM&A(合併・買収)関連の提案が19%と過去5年間の平均よりも4ポイント増えた。
▽…東京証券取引所が23年に上場企業にPBR(株価純資産倍率)改善を要請したほか、経済産業省が合理的な条件や対価などを示す「真摯な買収提案」を受けた取締役会に、買収の是非を真摯に検討するよう求めた。これらの取り組みを受けて活動が活発化。取締役の選解任を通じて企業の支配権に影響を及ぼしたり、低収益事業の売却を促したりする提案も目立つ。
▽…00年代は敵対的TOB(株式公開買い付け)など強圧的な面があったため「ハゲタカ」との批判が出やすかった。物言う株主の圧力で企業の経営が改善したり、業界再編につながったりすることから、市場の規律を保つ上で必要な存在として認知されつつある。
米造船、日韓連携で挽回 建造能力は東アジア安保直結 中国と差、共同生産促す[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1584文字 PDF有 書誌情報]
ジョン・フェラン米海軍長官は28日、防衛省で中谷元防衛相と面会し、米国の造船業への協力を求めた。中国との造船能力の差が米国の安全保障上の隙になっているからだ。トランプ大統領の「米製造業復活」の掛け声と相まって、同盟国の日本や韓国に造船を巡る要求を強めている。
防衛省によると、フェラン氏は面会で米国に船舶の増産といった問題意識があると言及した。
フェラン氏は来日を前に日本経済新聞のインタビューで、日米で軍民両用船を建造する案を示していた。「トランプ大統領が非常に気に入っている」と述べた。「日本や韓国のような造船に優れた同盟国と協力することは不可欠だ」と強調した。
米国の造船業はかつて世界最強といわれ、第2次世界大戦中の1944年のピーク時は140万人の雇用を抱えた。戦後、高度成長期に入った日本の造船業の存在感が高まり、米国は衰退の一途をたどる。
2000年代以降は日本も世界シェアを落とし、韓国、中国と首位の座は移った。この間、米国の造船業は一貫して低迷した。足元の建造能力は中国が米国の200倍を超えるといわれる。
米国勢はコスト競争で日韓や中国に敗れた。造船の基盤となる鉄鋼業の衰退も大きな要因になった。フェラン氏は日本企業に米西海岸の造船所への投資を促す方針だ。
造船業は海軍の能力に直結する。米戦略国際問題研究所(CSIS)は「中国は軍民両用の造船システムで成功し、世界の海軍の軍事バランスまで急速に変えた」と分析する。軍民両用での開発が需要の確保、コストの削減、技術革新につながったとみている。
米海軍は中国に対抗するため艦艇の数を増やす計画だ。造船業が現状では船の建造はままならない。トランプ政権は軍事力で中国に追い越される安保上の懸念への対応と、米国内の製造業の復活という狙いを持つ。
日本企業で米国との共同生産や投資に加われそうな候補となるのは三菱重工業などだ。水上艦は同社とジャパンマリンユナイテッド(JMU)、潜水艦は三菱重工と川崎重工業がそれぞれ手掛けている。
水上艦は最近、少人数で運用できるFFMと呼ばれる最新鋭護衛艦「もがみ型」を年間2隻程度のペースで海上自衛隊に引き渡している。
日本勢の強みは自前での造船能力だ。FFMについて12隻の建造計画があり、6隻が既に就役した。船体のほかレーダー類も三菱電機といった国内企業が手掛ける。潜水艦ではリチウムイオン電池搭載艦などで世界トップクラスの技術を持つとされる。
日本より企業規模や世界シェアの大きい韓国勢も既に動いている。
韓国は米国との関税交渉を巡り、造船業を有効なカードとみる。中国に次ぐ造船大国で、液化天然ガス(LNG)運搬船など付加価値の高い船舶を製造できる。トランプ氏は24年の再当選直後から造船業での韓国の支援に期待する発言をしている。
韓国の造船各社は米国内の造船所への投資を進めている。最大手のHD現代重工業は8日、米国最大の防衛産業造船会社ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)と生産性の向上や造船技術の分野で連携すると発表した。
HIIのインガルス造船所は米海軍向けの水上艦の主要施設だ。HD現代の工程ノウハウを導入して生産性の向上をめざす。HD現代は今回の提携を通じて米軍艦市場への参入と最新の建造技術の獲得を期待する。
韓国2番手のハンファオーシャンも24年に米大手フィリー造船所を買収し、米国内で軍艦を修理・保全する体制をつくり始めた。
韓国勢は国ぐるみで防衛産業の輸出に積極的だ。装備品輸出の規制がある日本よりも柔軟に海外に進出している。ハンファオーシャンによる米造船所の買収も艦艇の輸出を狙ったものではないかと日本の業界関係者はみている。
【図・写真】中谷防衛相(右)を表敬訪問し、握手するフェラン米海軍長官(28日、防衛省)=代表撮影
量子研究、日英が覚書 政府、EUとも文書策定検討 対中国念頭に連携拡大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1095文字 PDF有 書誌情報]
日英両政府は28日、量子技術の研究開発で協力する覚書を交わした。日本は英国に続き、欧州連合(EU)とも協力文書の策定を検討する。安全保障に密接に関わる技術のため、中国への対抗を念頭に同志国との連携を矢継ぎ早に広げる。
城内実科学技術相がロンドンで英国のバランス科学・研究・イノベーション担当閣外相と覚書に署名した。国際規格づくりで協調するほか、最新の研究の知見に関する情報交換の枠組みを設ける。人材育成や若手研究者の交流でも連携する。
世界の量子関連企業への民間投資で米国に次ぐ2位の英国と組むことで実用化を早める狙いだ。英国は日本のものづくり技術などに期待する。バランス氏は署名後「基礎から応用まで多くの可能性を秘める」と述べた。
日本が量子分野で連携するのは2019年に共同声明をまとめた米国と今年1月に覚書を交わしたデンマークに続いて3カ国目。城内氏は「価値観を共有する国とのいっそうの協力関係の強化が重要だ」と語った。
次の相手としてEUに狙いを定め、量子コンピューターなどに関する協力の覚書をまとめる調整をしている。日本とEUが4月にブリュッセルで開いた科学技術協力に関する会合でEU側から日本の量子技術に期待する意見が出た。
国際協力をめぐっては、日米と英国、デンマークに、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア、韓国などを加えた13カ国の対話の枠組みもある。日本は茨城県つくば市での次回会合の開催を提案中だ。これらの国々とも2国間の協力体制を順次整える。
同志国との連携を急ぐのは安保と切り離せないからだ。
量子技術はコンピューターや高感度の計測・センシング、通信などに幅広く応用される。いずれも軍事転用でき、量子コンピューターの暗号解読能力による機密情報の窃取やセンシング技術を使った潜水艦の位置の特定などが可能になる。
米マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、中国政府は25年までに最大150億ドル(約2兆2000億円)を量子技術の研究に投資する。量子コンピューターに力を入れ、公開特許数で米国を抜き首位に立つ。ロシアも量子技術の研究を進めている。
日英の覚書には量子技術が安保に与える影響を話し合う「安保政策対話」の設置も記した。安保分野での技術の使われ方や、同志国間の供給網の構築を議論する。
城内氏は28日、経済安全保障と通商政策を担う英国のアレクサンダー閣外相とも会談した。30日にはシェフチョビチ欧州委員と初の日EU経済安保相会談を実施する。
(ロンドン=江渕智弘、ブリュッセル=辻隆史)
【図・写真】日英の科学技術担当相が覚書に署名した(28日、ロンドン)
超党派の日中友好議連、党序列3位ときょう会談 人的交流など協議へ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 342文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国を訪れている超党派の日中友好議員連盟(会長・森山裕自民党幹事長)は28日、北京で中国人民対外友好協会トップの楊万明会長と会談した。楊氏は中国共産党序列3位の趙楽際(ジャオ・ルォージー)政治局常務委員が29日に議連と会うと説明した。
趙氏は中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の常務委員長を務める。会談で日中間の人的交流や懸案を話し合う見通しだ。議連は28日、中国共産党外交を担う中央対外連絡部(中連部)の劉建超部長と夕食会を開いた。
森山氏は楊氏との会談で「両国の国民感情が良好とは言いがたいなか、日中関係を改善基調に乗せていくうえで人的交流と相互理解が不可欠だ」と述べた。楊氏は議連の訪中について「中日関係の改善と発展に重要な意義をもつ」と語った。
岩屋外相が訪米 核拡散防止条約維持を呼びかけ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 219文字 PDF有 書誌情報]
岩屋毅外相は28日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備会合に出席するため米ニューヨークを訪れた。同会議への日本の外相の出席は7年ぶり。一般討論演説で、NPT体制の維持と再検討会議に向けた一致団結を訴えた。
NPT再検討会議はおよそ5年おきに開く。次回は26年を予定する。前回の22年は当時の岸田文雄首相が日本の首相として初めて出席した。会議の間に開く「準備委員会」は18年に当時の河野太郎外相が出た後、外務副大臣らが出席していた。
高市氏「半導体供給網、日台で構築を」 頼総統と会談[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 206文字 PDF有 書誌情報]
【台北=羽田野主】訪台している自民党の高市早苗前経済安全保障相は28日、台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)総統と台北市で会談した。会談後に記者会見した高市氏は「経済安全保障を担保するクリーンな供給網(サプライチェーン)を半導体や先端技術製品の面で構築していく必要がある」と述べた。
中国の動向に左右されないハイテク製品の供給網づくりの必要性を訴えた。頼氏と「防衛面で情報共有していく」方針でも一致したと説明した。
4月28日(首相官邸)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 229文字 PDF有 書誌情報]
(現地時間)
〈28日〉
午前 ベトナム・ハノイの英雄烈士慰霊碑で献花。ホーチミン廟(びょう)で献花。国家主席府で歓迎式典。首相府でファム・ミン・チン首相と首脳会談少人数会合、同拡大会合。文書交換式、共同記者発表。国家主席府でルオン・クオン国家主席と会談。
午後 国会議事堂でチャン・タイン・マン国会議長と会談。首相府で高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラム。日越大学訪問。学生と懇談。首相府でチン氏主催夕食会。宿泊先の「ホテル・デュ・パルク・ハノイ」。
梅村みずほ氏、参院会派退会 維新離党受け(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
参院は28日、日本維新の会を離党した梅村みずほ氏が参院会派「日本維新の会」を退会したと発表した。新たな会派別勢力は次の通り。
自民党113▽立憲民主・社民・無所属41▽公明党27▽日本維新の会17▽国民民主党・新緑風会12▽共産党11▽れいわ新選組5▽沖縄の風2▽NHKから国民を守る党2▽無所属10▽欠員8
議連、パンダ貸与要請 和歌山の4頭返還踏まえ(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
【北京=共同】超党派でつくる日中友好議員連盟の森山裕会長(自民党幹事長)らは28日、訪問先の中国・北京で中国人民対外友好協会の楊万明会長と会談し、ジャイアントパンダの貸与を要請した。日本では、和歌山県で飼育されていた4頭が6月末ごろに中国に返還されることが決まっており、惜しむ声が広がっている。
国民民主・平岩氏が離党届提出 不倫騒動で(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
国民民主党の平岩征樹衆院議員は28日、自身のホームページで離党届を提出したと明らかにした。22日に既婚者であることや本名を隠して妻とは別の女性と交際していたと認め、謝罪していた。
鹿角市長(秋田県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 80文字 PDF有 書誌情報]
鹿角市長(秋田県)
当 5268笹本 真司 無新
4746関 厚 無前
2367金沢 大輔 無新
754奈良 大気 無新
436藤井 陽光 無新
登米市長(宮城県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 66文字 PDF有 書誌情報]
登米市長(宮城県)
当15995熊谷 康信 無新
12846熊谷 盛広 無現
5609永島 順子 無新
1274吉田 裕 無新
銚子市長(千葉県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 66文字 PDF有 書誌情報]
銚子市長(千葉県)
当11629越川 信一 無現
7297石川 善昭 無新
2011石上 允康 無新
572黒木 尚長 無新
自民、プロダンサー擁立 夏の参院選比例(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
自民党は28日、夏の参院選比例代表候補としてプロダンサーの中田フィッシュ氏(39)を擁立すると発表した。
うるま市長(沖縄県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
うるま市長(沖縄県)
当25699中村 正人 無現
18725照屋 大河 無新
8069照屋 守之 無新
石巻市長(宮城県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
石巻市長(宮城県)
当26456斎藤 正美 無現
9393木村 紀斗 無新
5177青木満里恵 無新
日光市長(栃木県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
日光市長(栃木県)
当12449瀬高 哲雄 無新
9714武田 幸雄 無新
9560粉川 昭一 無現
豊岡市長(兵庫県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
豊岡市長(兵庫県)
当15226門間 雄司 無新
10652関貫久仁郎 無現
9806前野 文孝 無新
淡路市長(兵庫県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
淡路市長(兵庫県)
当 8354戸田 敦大 無新
7501門 康彦 無現
3824村田 沙織 無新
宍粟市長(兵庫県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
宍粟市長(兵庫県)
当11599福元 晶三 無現
6911大畑 利明 無新
1386赤硲 康之 諸新
国民民主、比例に新人 夏の参院選(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
国民民主党は28日、夏の参院選比例代表に、会社役員の新人大谷由里子氏(62)を擁立すると発表した。
十日町市長(新潟県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
十日町市長(新潟県)
当18570関口 芳史 無現
7886樋口 明弘 無新
各務原市長(岐阜県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
各務原市長(岐阜県)
当22171浅野 健司 無現
18468杉山 元則 無新
田辺市長(和歌山県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
田辺市長(和歌山県)
当24216真砂 充敏 無現
6524中本 恵三 無新
栗原市長(宮城県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
栗原市長(宮城県)
当18720佐藤 智 無現
16198千葉 健司 無元
真岡市長(栃木県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
真岡市長(栃木県)
当19805中村 和彦 無新
7122佐々木重信 無新
海津市長(岐阜県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
海津市長(岐阜県)
当 9821横川 真澄 無現
5447二ノ宮一貴 無新
彦根市長(滋賀県)(選挙)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
彦根市長(滋賀県)
当19514田島 一成 無新
18669和田 裕行 無現
春の叙勲3990人 菅直人元首相ら[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 326文字 PDF有 書誌情報]
政府は2025年春の叙勲受章者を29日付で発表した。今回最高位の桐花大綬章は菅直人元首相(78)と大島理森元衆院議長(78)に授与。旭日小綬章に映画字幕翻訳者の戸田奈津子さん(88)、狂言大蔵流の茂山七五三(本名・茂山真吾)さん(77)らが選ばれた。(関連記事を社会1面に。各地域の受章者一覧は紙面ビューアーの「地域経済・叙勲」からご覧いただけます)
受章者は桐花大綬章2人、旭日章949人、瑞宝章3039人の計3990人。このうち女性は旭日中綬章の作家皆川博子さん(95)ら436人で、全体の10.9%だった。民間人は1888人で47.3%を占めた。
旭日大綬章は甘利明元経済再生担当相(75)、元最高裁判事長嶺安政さん(71)ら12人に決まった。
「ミニ統一地方選」終了、「対決」うるま市は与党系[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 4ページ 288文字 PDF有 書誌情報]
4月に首長選が相次ぐ「ミニ統一地方選」は27日、最後となる4回目の投開票日を迎え、10県の16市長選が投開票された。夏の参院選に向けた各党の勢いを測る選挙として注目されていた。
これまで自民党系候補の敗北が目立ったが、与野党対決型となった沖縄県うるま市長選では自民、公明両党推薦の現職が勝利した。
うるま市長選では国政与党系の現職が、玉城デニー知事を支持する「オール沖縄」が推し、立憲民主、共産、社民各党と沖縄社会大衆党が推薦する元県議らを破った。参院選をにらみ双方の陣営とも国会議員らが応援に駆けつけるなど熱を帯びた。滋賀県彦根市長選は、元民主党衆院議員が現職に勝利した。
ガソリン減税、地方打撃 旧暫定税率廃止で5100億円減収 総務省試算、愛知・北海道が最大級 家計には恩恵[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1241文字 PDF有 書誌情報]
ガソリン税などの旧暫定税率を廃止した場合、愛知県や北海道で税収の減少額がそれぞれ300億円を超えることが総務省の試算でわかった。自家用車を多く使う地方の家計負担が軽減され、物流コストの低下も期待できる半面、自治体にとっては道路インフラの補修などにかかる財源の確保が課題となる。
旧暫定税率とは、主に国の収入となるガソリン税や、地方の収入となる軽油引取税の本来の税金に、特例的に上乗せしている部分を指す。自民、公明、国民民主の3党が2024年12月、旧暫定税率の廃止で合意したものの廃止の時期は決まっていない。
総務省が23年度の税収実績をもとに試算したところ、上乗せ分を廃止した場合の税収の減少額が最も大きいのは愛知県で、330億円だった。9割は軽油引取税で、残りはガソリン税のうち国から地方に分配される分の減少だ。
2位は北海道で318億円、3位は埼玉県で287億円だった。物流拠点が集積し、トラックなどへの軽油の販売が多い地域だ。
全国の合計は約5100億円で、このうち軽油引取税は約4800億円、ガソリン税の地方分が約300億円だった。
税の上乗せ分はガソリンで1リットルあたり25.1円、軽油で17.1円だ。廃止すれば自家用車の利用が多い地方を中心に、家計の負担軽減が期待される。運送会社などの輸送コストも下がるため、食料品や日用品の価格が下がるとの見方もある。
国や地方の財政には痛手となる。自動車燃料からの税収は燃費性能の高い自動車の普及などを背景に減少し、25年度は過去最低の約3兆1千億円を見込む。このうち約1兆5千億円が旧暫定税率で、廃止した場合は税収がほぼ半減する。
総務省が各都道府県の地方税収入に占める軽油引取税の割合も調べたところ、地方ほど高い傾向がみられた。25年度予算で首位は岩手県の9.16%、2位が佐賀県の8.55%だった。人口や企業数が少なく、他の税財源が乏しい地域ほど旧暫定税率を廃止した場合の影響は大きくなる。
ガソリン税や軽油引取税には道路整備のための財源という側面がある。インフラの維持や更新にかかる費用は今後増える見通しで、代わりとなる財源の確保が課題となる。全国知事会は3月、旧暫定税率の廃止を巡り、代替の恒久財源を措置するよう要請した。
廃止時は旧暫定税率を上乗せした価格で仕入れたガソリンスタンドに上乗せ分を還付する作業が必要になる。価格の引き下げ前の買い控えや、引き下げ直後の販売増への対応も必要になる。燃料の価格が下がればエンジン車の利用が増えるため、脱炭素の流れを妨げるとの声も上がる。
国は道路財源の充実などを目的に1974年にガソリン税の旧暫定税率を導入し、その後は延長や税率の引き上げを繰り返してきた。2009年に一般財源化し、道路関連以外にも使えるようにした。
国民民主党と日本維新の会は旧暫定税率の廃止を主張し、それぞれ与党と協議を進める。立憲民主党は4月中旬、7月から廃止するための法案を国会に単独で提出した。
老朽空き家処分、高額取引にご用心 非宅建業者3割、トラブル懸念[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1174文字 PDF有 書誌情報]
価値が低い空き家や山林などを業者が有料で引き取るサービスが増えている。国土交通省によると全国で59社が手掛けており、うち3割強は宅地建物取引の資格がない。いわゆる「負動産」を巡って高額取引や管理不全への懸念の声が上がる。
愛知県に住む50代の女性は2023年に、高齢の父が持つ同県内の2つの土地およそ1700平方メートルを引き取り業者に売却すると決めた。支払った手数料は合計で80万円超だった。
土地の一部は道路沿いの斜面に木が生えている。女性は「災害時に倒木が原因で通行人が負傷した際に賠償責任が生じることを考えると、一刻も早く手放したかった」と振り返る。「他の方法で引き取り手を探したが、難しかった」と話す。
価値の低い空き家や空き地、山林でも保有を続けていれば、固定資産税などの負担が生じる。売りたくてもすぐに買い手を見つけるのは難しい。引き取り料を支払って業者に所有権を移すのが「不動産引き取りサービス」だ。後に売り先が見つかれば、引き取り料と売却額の合計が業者の売り上げになる。
相続の増加に伴い、利用が拡大している。KLC(東京・港)によると、同社が引き取った土地の区画は24年におよそ400件と、23年(約240件)の1.7倍に増えた。小林弘典社長は「相談は増えており、手間をかけずに『負動産』を早く処分したいという需要は大きい」と語る。
通常の不動産取引では、もとの所有者が買い手から代金を受け取る。同サービスの場合は業者側に金銭を支払って所有権を移す。国交省の担当者は「宅地建物取引業法が想定する取引に当たらず、法の規制が及ばない可能性がある」との考えを示す。
国交省の24年10月の調査で、同サービスを手掛ける59社のうち宅建免許を取得しているのは38社にとどまった。免許がなくても引き取りは可能だが、国交省の監督の目が届かず、不動産の知識の有無も不明でトラブル発生の懸念が指摘される。
事業者への聞き取りでは引き取り料がおよそ500万円と高額なケースもあった。宅建業者への売却と比較するなどしてサービスを利用する視点も欠かせない。
サービス業者は引き取った後に自社で整備したり、個人や企業への売却を探ったりする。業者が土地の管理を怠れば、周囲に悪影響を及ぼす恐れがある。
不動産の問題に詳しい荒井達也弁護士は「実際には買い手の見つかる土地も多いため、本当に業者を活用しないと処分できないのかは慎重に見極めてほしい」と話す。
業界内ではKLCとEINZ(東京・渋谷)、AlbaLink(東京・江東)、LandIssues(東京・千代田)の4社による任意団体の不動産有料引取業協議会が23年に自主規制を策定した。営業実態のある事務所の住所や連絡先の掲載、管理地について近隣からの苦情があれば放置せず対処することなどを盛り込んだ。
新興技術の試験導入促す 経産省指針 大企業との協業後押し[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 5ページ 726文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省は大企業にスタートアップがもつ技術の試験的な利用を促す。試験購入の指針やモデル契約書を近く公表する。製品やサービスを「お試し」して効果を検証する機会を増やし、共同開発などの協業を後押しする。
本格的な協業の前段階で効果を検証する取り組みについての指針を4月中にも公表する。製品購入時に用いる趣意書と契約書の標準的な仕様をつくった。2社の間で前もって製品を使う目的や検証期間、本格採用に進むかどうかを判断するための指標を決める。効果の検証後、具体的な協業に進むかどうかを判断しやすくする。
大企業とスタートアップの連携には共同開発や事業性を確かめる概念実証、出資、M&A(合併・買収)などがあり、経産省は指針策定や補助金で後押ししている。業務提携では数千万~数億円規模の資金が必要となり、大企業側の意思決定に時間がかかる。知的財産権の扱いなどでも交渉が難航しがちだ。
試験取引は検証に必要な最小限の量の購入を促す。費用は数百万円ほどに抑えられると想定する。指針や契約書では、企業が検証後にスタートアップの製品への助言や評価をしても知的財産権を求めないようにするほか、製品の効果検証以外での使用禁止を明記した。技術流出に配慮する。
スタートアップの製品・サービスの研究開発費は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の基金から支援する。
政府は2022年に「スタートアップ育成5カ年計画」を策定し、大企業との連携を促すオープンイノベーションを柱に位置づけた。国内スタートアップの資金調達額は足元で約7800億円まで伸びた。一方で、ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)は海外と比べて少なく、大企業との連携が重要になるとみている。
経財相「特別扱い求める」 あす訪米、2回目の関税交渉へ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 5ページ 370文字 PDF有 書誌情報]
30日に日米関税交渉のため訪米する赤沢亮正経済財政・再生相は28日、「私どもとしては特別扱いを求めようとしてるが、しっかり折り合えるようやっていきたい」と記者団に意気込みを語った。「一連の関税措置を全て撤廃してくれと、強く求めるポジションに変わりはない」と述べた。
赤沢氏は「関税以外の投資など、それ以外の経済的措置で折り合えないのかを探る」と話した。赤沢氏は日本の自動車産業は米国に対し累積で600億ドル(8兆6000億円)以上の投資をしているほか、足元で230万人の雇用を生んでいると説明。「優等生として扱ってもらって全くおかしくない」と訴えた。対米直接投資が5年連続で世界トップであることも強調した。
赤沢氏は16日(日本時間17日)に米国と初めての関税交渉を実施した。30日に再び訪米し、ベッセント米財務長官と2回目の協議に臨む。
経財相「特別扱い求める」 あす訪米、2回目の関税交渉へ――ドル安望む発言、米側から「ない」 日米会談巡り財務官[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 5ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
財務省の三村淳財務官は28日、現地時間24日の米首都ワシントンでの日米財務相会談に関して「米国の側から円高・ドル安が望ましいというような発言は会談の中ではなかった」と述べた。ベッセント米財務長官からこうした発言があったとの一部報道は「百パーセント事実無根だ」と語った。
財務省内で記者団の質問に答えた。三村氏は「会談では為替の水準や目標について米国側から全く話はなかった」と重ねて説明した。
加藤勝信財務相も26日に自身のX(旧ツイッター)に「全くもって事実と反しており、大変驚かされた」と投稿した。会談後の記者会見では「米国から例えば為替水準の目標や、それに対する枠組みの話は全くなかった」と話していた。
WithAI(1)仕事で使いこなせる? 人手不足の制約の突破口に[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1442文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)が深く経済に浸透し始めた。AI技術の「民主化」はヒトの能力を拡張させ、生産性を飛躍的に伸ばす。日本が抱える人材不足という成長制約を突破する解となる。
「2030年の排出量削減目標は記述あり」「25年は言及なし」――。時に100ページを超すESG(環境・社会・企業統治)報告書。大手運用会社、ニッセイアセットマネジメントが社内用に作ったAIは情報を抽出し、要約までこなす。かかる時間は5分ほど。
企業ごとに用語や書式が異なってもAIが文脈を理解し、分析する。10時間かかっていた企業ヒアリングの準備は3時間に減った。
総額40兆円のお金を市場で動かす同社がAIを使い2年たった。会社全体で1人1日あたりで約30分間の業務効率化につながったという。
「生成AIというパワフルなツールを社内でどれだけ使えているかが、企業の戦闘力を左右する」と大関洋社長は話す。社長含め12人の役員全員が年3回AIを学ぶ。「役員自身が効果を感じることが必要だ」と大関社長は考える。
AI研究の第一人者で「AIのゴッドマザー」とも呼ばれる米スタンフォード大学のフェイ・フェイ・リー教授は17年、誰でもAIを手にする「AIの民主化」との概念を打ち出した。
それから8年。生成AI技術の発展で、プログラミングが不得手でも対話を通じAIが使える時代が到来した。米オープンAIの対話型AI「Chat(チャット)GPT」はすでに世界5億人のユーザーがおり、米有力企業「フォーチュン500」の9割で使われる。
アニメの制作でもAI活用が進む。
今まで長編作品は約2年かかるというのが常識だった。何人ものアニメーターが机を並べて作り上げる。「それが3年後には2~3カ月でできるようになる」。アニメに特化した生成AI開発のスタートアップを率いる新井モノ最高技術責任者(CTO)は話す。
手書きのラフスケッチを複数のAIアルゴリズムを組み合わせたモデル基盤に読み込ませるだけで、きれいな線画に整え、着彩や背景まで設定する。音声を入れて動画まで作る。途中で微修正も可能だ。
制作現場の厳しさはアニメ産業の課題だ。国連は24年の報告書で「アニメーターの初任給は年間でわずか150万円。3割が労働関連法で保護されておらず、搾取されやすい」と指摘した。AIはその搾取からクリエーターを解放させる。
日本はAIの活用が進んでいない。総務省が昨年公表した調査では、生成AIの活用方針を定めている企業は中国が95%、米国で79%に上る中、日本は43%にとどまる。PwCが各国の企業に聞いたところ、AIを「限られた範囲のみ信頼している」と慎重な回答をした経営者は日本は45%。世界全体は24%だった。
AIには働いている人の職を奪うとの警戒感も強い。それでも、スタンフォード大学のエリック・ブリニョルフソン教授が企業の顧客問い合わせ窓口に業務支援AIを導入し検証したところ、生産性は平均14%向上し、中でも低スキル労働者に限っては34%改善した。対応力の改善につなげれば、顧客満足の向上による売り上げ拡大の好循環が期待できる結果だ。
労働政策研究・研修機構の推計によると、日本の労働力人口は40年に向け、最大900万人の減少が見込まれる。
豊かさを維持するためにもうヒトだけには頼れない。AIをいかに生かすかは、日本経済の未来を決める。
【図・写真】ニッセイアセットマネジメントは社長を含め役員が参加するAI勉強会を実施してきた
福島原発処理水、12回目放出完了 今年度で初[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 5ページ 111文字 PDF有 書誌情報]
東京電力は28日、12回目となる福島第1原子力発電所での処理水の海洋放出を完了したと発表した。2025年度では初めてで、およそ7800トンを海に流した。原発周辺の海水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度に異常はなかった。
ドル安阻止こそ米国の急務(DeepInsight)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 7ページ 2139文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が高関税によって最も得たい果実はドル高の是正――。そんな市場の思惑は、いったんは鎮まるかもしれない。
24日、米ワシントンでの日米財務相会談。市場はベッセント米財務長官の出方に気をもんだが、加藤勝信財務相は米側から特段の要求はなかったと明かした。
米政権は高関税ショックで米国債を含むトリプル安の憂き目に遭ったばかりだ。目下、最も欲するのはドルの下落ではなく、米国債とドルの安定ではないのか。
ドル高是正の思惑は、「マールアラーゴ合意」なる構想が市場で独り歩きした面が大きい。
狭い意味でいえば、米大統領経済諮問委員会(CEA)のミラン委員長がヘッジファンドにいた昨秋に書いたリポートの主張だ。
軍事と経済の両面から米国の負担が重すぎる。とくに各国が外貨準備としてため込むからドルが構造的に過大に評価され、貿易赤字の膨張と製造業の弱体化をもたらす。そんな問題意識がある。
まず懲罰的な関税を課し、無理やり各国を交渉のテーブルに着かせる。米国の防衛力に頼りたいのなら、外貨準備のドル資金を売れと迫る。米国債の売りによる金利上昇圧力を消すため、手元に残るドル準備を100年物国債に切り替え、ずっと塩漬けにさせる。
100年債は最後まで利息を生まない割引債との解釈が多く、専門家には「一方的な条件変更はデフォルト(債務不履行)以外の何物でもない」との声も上がる。仮に強行すれば、ドルや米国債の信認は深く傷つくだろう。現実味がある策とはとても思えない。
「我々がひそかにその文書が示す政策路線に従っていると疑う人が多い。これほど真実からかけ離れているものはない」。当のミラン氏も4月の講演でリポートを重視しないよう念を押した。
ミラン氏の主張に軽視できない点があるとすれば、安全保障とドル高の負担がともに米経済を傷つけている、との認識をベッセント氏も共有していることだ。
ベッセント氏は打開策として基軸通貨の座を保ちつつドル高の重荷を軽くしたいと願う。為替変動のリスクを気にしないまま国外で活動ができ、世界中からマネーを集めて自国の成長に振り向ける。これが基軸通貨ならではの「法外な特権」と呼ばれるものだ。
元財務官の渡辺博史氏(国際通貨研究所理事長)は基軸通貨の本質を「使い勝手の良さ」と語る。「ドルを使いにくくするなら基軸通貨として信頼したくない人が増えるという話。基軸通貨の座を堅持しつつドルの評価を落とそうとするのは完全に二律背反だ」
世界のドル準備の増加は1990年代後半のアジア通貨危機の教訓で新興国が蓄えた成果でもある。渡辺氏は「米国の銀行は新興国に多く融資する。その損失リスクを和らげているのに、ドル準備が多くてけしからん、というのは間違っている」とクギを刺す。
市場ではマールアラーゴ合意を85年に日米欧がドル高是正で協調したプラザ合意の再来と広くとらえる向きも多い。だが中国が主な相手となる今回、自主的な合意は望み薄。だからこそミラン氏の奇抜な構想が生まれ現実も関税頼みの一対一の交渉となっている。
関税という脅しや実弾がないと各国が交渉のテーブルに着かないが、市場の混乱を生み現実には秩序あるドル安は難しい。関税を取り下げて市場の安定を待つと相手の妥協はもう引き出せない。
米中貿易戦争に拍車がかかれば、中国が米国債の本格売却に動くリスクもゼロではない。
中国の保有額データが話題だが中国勢はベルギーなどにも勘定を持つ。市場のプロにならい両国の合算値を追うと、第1次トランプ政権下の貿易戦争ではほぼ横ばいだった。外貨準備の動きに反して2022~23年に減ったあと復元に転じた。それだけに減少したときのインパクトは大きい。
米コロンビア大のエドワード・フィッシュマン氏は米誌への寄稿でこう本質を突く。「トランプ氏の法秩序への攻撃と、米経済の優位性を武器化しようとする不器用で一貫性のない試みは、ドルの基軸通貨としての地位にこれまでにない脅威を突きつけている」
ベッセント氏が市場の警鐘を真剣に受け止めたのなら、ドルと米国債の安定を重視しつつ国際貿易秩序の再編を狙う、いわばベッセント・ドクトリン(原則)を模索することになるのではないか。
それでも為替問題がディールの舞台から消えたと考えるのは早計だ。ある金融関係者は各国の中央銀行関係者が集まる会合でマールアラーゴ合意が話題にのぼったとき、こんな声を聞いた。「何でも最初はジョークとして始まる」
米国が本気で為替に手を付けたいなら、やがては姿を変えて各国に選択を迫る。そんな意味だ。
浮上するのが、海外の中央銀行が持つ米国債の保有年限を長期化するアイデア。海外公的機関が保有する米国債は6割以上が満期まで5年未満だ。短期債などを売り、20~30年債に振り替える余地はある。100年物国債案の縮小版にも思えるが、重要なのは、目的がドルの押し下げからドルの価値安定にすり替わっている点だ。
ドル準備が急増しないよう、日本を軸にアジア各国間で通貨を融通し合う通貨スワップ協定の拡充も検討する価値はありそうだ。米国債の最大保有国である日本。米国の思いを見極めつつ、金融のカードを練る好機も訪れるだろう。
欧州安保、頼りはトルコか(TheEconomist)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 7ページ 0文字 書誌情報]
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生保主要10社、国債1兆円超削減 今年度計画、規制対応一巡で 従来の増加基調を転換[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1821文字 PDF有 書誌情報]
生命保険会社が保有する国債を減らす見通しだ。2025年度の運用計画では、主要10社の合計で保有額が1兆3000億円減少する。24年度は全体で数千億円の積み増しだった。新規制導入に対応する国債の購入が一巡し、従来の増加基調から転換する。日銀に続く生保の国債保有減額は国債の安定消化の不安材料になりそうだ。
28日に住友生命保険が発表し、主要10社の25年度上期の運用計画が出そろった。主要10社のうち、4社が国債残高を削減する方針だ。日本生命保険は25年度に、16年度以来9年ぶりに国債残高を減らす。
背景にあるのは、市中金利の上昇だ。生保が主な買い手となる20年債利回りは2.2%と昨年末比で0.3ポイント上昇。30年債も2.7%と同じく0.4ポイント上昇した。金利が上昇すると、債券価格は下落する。購入時の簿価よりも低い価格で保有債券を売却しその資金で高い利率の国債に再投資するため、資産の入れ替えを進めるほど国債保有額が減少する。
日本生命は24年度に2兆円規模で低利回りの国債の入れ替えを実施し、25年度も継続する。24日に記者会見した都築彰執行役員財務企画部長は「(入れ替え規模が24年度を上回る)可能性はある」と述べた。
明治安田生命保険も24年度に引き続き国債を削減する方針だ。前年度は国債や社債を含めた国内債を3900億円削減しており、25年度も同程度減少する。かんぽ生命保険は国内債を最大で1兆円買い入れる方針だが、償還が多いため24年度に引き続き保有残高は減少する見込みだ。
生保は負債にあたる保険契約が長期に及ぶため、契約期間にあわせて主に償還期間の長い債券を購入する。25年に導入される新しい資本規制では、金利変動に伴う損失リスクを減らすために資産と負債の年限差を縮めるよう求められる。各社は新規制導入を見据えて国債の買い入れを進め、データのある20年度以降は残高を積み増してきた。この流れが転機を迎えた。
日銀に続く主要生保の国債保有減は国債市場の不安材料になりつつある。日銀は24年7月の金融政策決定会合で、同年8月以降、国債の買い入れ額を月5.7兆円程度から原則として四半期ごとに4000億円程度ずつ減らす方針を決めた。生保が主要な買い手である30年債や40年債など年限の長いゾーンの金利の上昇スピードがあがる可能性がある。
もっとも、大きく金利が上昇した局面では一定の買いも見込めそうだ。大同生命保険は超長期債を中心に国内債を積み増す方針だ。佐藤孝明運用企画部長は「負債の残存期間が24年と長く、資産の年限を延ばす余地があるので30年債と40年債を買いたい」と述べた。大同生命は24年度に国内債を3000億円超積み増しており、25年度も同程度増やす方針だ。
将来の金利上昇にともなう含み損の拡大を見越して国債購入を抑えてきた富国生命保険は、25年度に国債を積み増す。森実潤也財務企画部長は「国債の利回りは投資目線に見合う水準まで上昇している」と話す。
外債への投資動向は各社で対応が分かれた。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の利下げで為替のヘッジコストが下がるとみて、日本生命はヘッジ外債への投資を増やす方針だ。国内金利の上昇で国内債券の投資妙味は相対的に高まっており、かんぽ生命は金利動向次第でヘッジ外債から円債にシフトしたい考えを示す。
トランプ米政権による相互関税に端を発する貿易摩擦の激化により、市場が不安定となっている。各社の不安を映すのが、伝統資産と値動きの相関が低いオルタナティブ(代替)資産への関心の高まりだ。主要10社の全社が代替資産への投資を増やす方針を示した。日本生命の都築氏は「領域としてはインフラなどに積極的に取り組む」と話した。
第一生命保険も代替資産を積み増す方針だ。不動産やインフラをはじめとする実物資産やプライベートエクイティ(PE=未公開株)に継続して資金を配分するほか、25年度はヘッジファンドやプライベートデット(ファンドなどによる融資)にも注力する。
米中貿易摩擦の行方やFRBの金融政策動向など25年は例年以上に市場を動かす変数が多い。明治安田生命保険の北村乾一郎執行役員運用企画部長は「25年度は前年度以上に不確実性が高い。適宜計画を見直しつつ取り組む」と語る。計画をベースに運用する生保にとっても機動性を求められる局面が増えそうだ。
(日高大)
NFT市場、閉鎖相次ぐ 取引量はピーク比8割減 売買のみでは継続困難[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1390文字 PDF有 書誌情報]
デジタル資産の所有を証明できる非代替性トークン(NFT)の取引市場の閉鎖が相次いでいる。30日に海外大手の「X2Y2」が終了するほか、米暗号資産(仮想通貨)交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2月に運営を終えた。足元のNFT取引量はピーク比8割減。デジタルアート作品に億円単位の価格がつくようなバブルは崩壊し、NFT売買単独での事業運営は難しくなっている。
「プラットフォームは完全に閉鎖される。一時停止ではなく、完全に終止符を打つ」。3月31日、X2Y2のウェブサイトで4月末の閉鎖が通告された。X2Y2は2022年2月に開設され、年間取引量は約5000万ドルと世界で3位だ。閉鎖理由の一つとして、21年のピーク時から取引量が90%減少したことを説明した。
NFTはブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、複製を不可能にしたデジタル資産を指す。21年から22年にかけてデジタルアート作品のNFTが活発に取引され、なかには7000万ドルという高値で落札されたアートNFTもあった。
ブームは長くは続かなかった。分析プラットフォームのDappRadar(ダップレーダー)によれば、22年は572億ドルの取引量を記録したが、24年には137億ドルと8割近く減少。足元も回復しないままだ。交換業者ビットバンク(東京・品川)の長谷川友哉マーケット・アナリストは「価値があるとの思い込みから大金が一時集まったが、そこまで価値がないことにみんなが気づき、バブルがはじけた」と指摘する。
NFT市場は、2~3%の取引手数料収入で運営を成り立たせている。取引が低調な状況では継続は難しくなっている。クラーケンが運営するNFT市場は2月に運営を終了。仮想通貨交換業者バイビットも4月上旬にNFT取引サービスを終えた。
日本も例外ではない。航空関連のデジタルコンテンツを展開していたANAホールディングスグループのNFT市場は2月に終了。サービス開始からわずか1年ほどで姿を消すことになった。運営を担っていたANA NEO(東京・港)は「これ以上の事業継続が困難と判断した」と説明する。
国内NFT市場関係者は「中小規模のマーケットプレイスはこれまでも閉鎖されてきたが、比較的体力のあった主要な事業者がここに来てサービスを終了している」と指摘する。
一方、NFTを投資対象ではなく、マーケティングに活用する企業が増えている。ソニー銀行は昨夏からNFTを閲覧できるアプリの提供を始めた。ソニーグループのアーティストの音楽ライブへの参加者限定で配布されるNFTなどを収集することができる。
SBIグループのSBINFT(東京・港)が運営するSBINFTマーケットは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」と連携する。NFTの売買でポンタがたまる仕組みで、「ポイ活」に熱心な顧客を呼び込む狙いがある。SBINFTの高長徳取締役は「売買サービス単体では継続が大変。収益源の多角化に取り組んでいる」と話す。
NFTバブルが崩壊したのは、仮想通貨と同じように価格の値上がりに期待しすぎる人が群がったためだ。本来、NFTはクリエーターに収益を還元する仕組みや、保有を通じて生まれるファンコミュニティーにこそ魅力がある。この魅力を生かしたデジタルサービスを生み出せるかが、事業者に問われている。
(相松孝暢)
ブラジル銀、ESG向け融資3割増 CEO「30年まで12.5兆円」[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 698文字 PDF有 書誌情報]
国営ブラジル銀行は環境配慮型の融資を拡大する。タルシアナ・メデイロス最高経営責任者(CEO、写真)はESG(環境・社会・企業統治)向けの融資を「2030年までに5000億レアル(12兆5000億円)に引き上げる」との目標を示した。脱炭素につながる設備投資に低利で融資し、現状から3割引き上げる。
都内で日本経済新聞の取材に応じた。環境保護に力を注ぐルラ政権と歩調を合わせ、金融面から後押しする。24年12月時点のESG向け融資は3867億レアルだった。取引先に「環境負荷の低い機械や電気自動車(EV)の導入を促して、その場合はより低い金利で融資する」と言及した。
同時に「森林を伐採しているような企業、化石燃料を用いていたり、温暖化ガスの排出が多い事業には高い金利を提示することで、行動変化につなげたい」と語った。
ブラジルでは電源の9割弱を水力や風力など再生可能エネルギーが占めている。規模の大きい電力プロジェクトは「同じ国営のブラジル経済社会開発銀行(BNDES)と協力する。太陽光や風力には依然として大きな可能性がある」と指摘した。
メデイロス氏は23年1月に女性として初めてブラジル銀行のCEOに就いた。「人口の半分を占める女性が、企業の意思決定において重要な役割を果たすことは当然だ」と指摘し、幹部職への女性の登用拡大に取り組む考えを示した。
1月のトランプ米大統領就任によって、国際社会では気候変動対策への逆風が吹く。温暖化ガス排出量を実質ゼロとすることを目標とする国際的銀行連合「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から脱退が相次ぐが、ブラジル銀行は加盟していない。
コインチェック全サービス一時停止 「X」不正ログインで[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 550文字 PDF有 書誌情報]
暗号資産(仮想通貨)交換業大手のコインチェック(東京・渋谷)は28日、同社のX(旧ツイッター)のアカウントが第三者に不正ログインされたことを受けて全サービスを一時停止した。仮想通貨取引の基幹システムへの影響は確認されていない。安全性の確認を進め、同日夜までに全サービスを再開した。
同社によると、28日午前8時ごろからXアカウントが第三者に不正ログインされた。
顧客情報を盗み取るフィッシングサイトへ誘導する第三者による投稿があった。情報が盗まれる被害があったかどうかや、不正ログインされた理由について調査を進めている。
不正ログインを受け、コインチェックのウェブやアプリでの全ての機能やサービスを午後0時半から一時停止した。同社はウェブサイトに「当社サービスには影響が確認されていないが、フィッシング被害の拡大を防ぐため、全てのサービスを一時的に停止した」と説明している。
不正ログインへの対応は完了し、第三者にアカウントを乗っ取られる状況は解消した。第三者による投稿は既に削除した。コインチェックは「ご不便とご心配をおかけし深くおわびする」とのコメントを出した。
コインチェックは2024年末時点で220万口座を保有する。顧客の預かり資産は約1兆1000億円に上り、業界で25%のシェアがある。
三井住友海上、火災保険窓口を一本化 保険金受け取り速く[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 470文字 PDF有 書誌情報]
三井住友海上火災保険は住宅設備が破損した際の事故受付などの窓口を2027年10月にも一本化する。修理業者の手配や修理費用の見積もり、保険金支払いをワンストップで提供できるようにする。顧客の手間を少なくすることで、保険金を受け取るまでの期間を約20%短縮する。
保険金請求と修理手配の窓口は別々になっているのが一般的だ。住宅設備などの事故状況をその都度説明する場合もあり、顧客の負担になっていた。三井住友海上が火災保険に関する保険金を請求した462人を対象にした調査によると、7割が手続きが複雑だと感じていた。
一本化した窓口の運営は、住宅設備設計のエプコが担う。同社が持つ修理業者とのネットワークや修理見積もりのノウハウを活用する。希望する顧客には同社が優良な修理業者を紹介し、顧客が手配する手間を削減する。
修理見積もりの透明性を高めるため、修理費の算定基準も作成する。火災保険分野では住宅設備の部品や事業者が多岐にわたっていることから、統一した算定基準がなかった。エプコの知見を活用して基準を策定し、適切な額の保険金支払いにつなげる。
大和証券G、前期純利益27%増 富裕層向け好調[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 215文字 PDF有 書誌情報]
大和証券グループ本社が28日発表した2025年3月期の連結純利益は、前の期比27%増の1543億円だった。売上高にあたる純営業収益は9%増の6459億円だった。個人向けや富裕層部門が好調だったほか、資産運用部門や投資銀行部門も寄与した。
年間配当は1株当たり56円(前の期は44円)とした。500億円を上限とする自社株買いを実施することも発表した。
25年3月期はウェルスマネジメント部門の経常利益が22%増の806億円だった。
JPXのCEO、乗っ取り対策「業界密に連携」[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 203文字 PDF有 書誌情報]
日本取引所グループ(JPX)の山道裕己最高経営責任者(CEO)はサイバー犯罪集団が証券口座を乗っ取る事例が相次いだことを受け「証券会社や日本証券業協会、証券取引等監視委員会などと密に連携していく」と述べた。傘下の日本取引所自主規制法人に特別チームを設けて監視にあたっていることも明らかにした。
被害の拡大について「証券市場全体の信頼を大きく揺るがしかねないものとして重く受け止めている」との見解を示した。
自主規制法人理事長に中島氏 JPX[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 8ページ 196文字 PDF有 書誌情報]
日本取引所グループ(JPX)は28日、傘下の日本取引所自主規制法人の細溝清史理事長の後任に、中島淳一前金融庁長官(62)を充てる人事を発表した。6月20日付で就任する予定。中島氏は2021~23年に金融庁長官を務めた。
中島 淳一氏(なかじま・じゅんいち)85年(昭60年)東大工卒、旧大蔵省(現財務省)入省。金融庁企画市場局長を経て、20年総合政策局長。21年に長官に就任。神奈川県出身。
中国株買い支え 国家頼み 中銀も自社株買い促す 低金利融資が過去最大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1508文字 PDF有 書誌情報]
中国の株式相場が底堅さを見せている。米中関税合戦による景気減速観測が強まっているにもかかわらず、上海総合指数は日米の指数よりも落ち込みが小さい。背景には国家主導の下支え策がある。企業に自社株買いを促す中央銀行による低金利融資額は4月、過去最大に膨らんだ。市場には需給頼みの限界を指摘する声もある。
トランプ米大統領が大規模な相互関税の詳細を明らかにしたのは米国東部時間2日午後。その後の日米中の主要株価指数の推移をみると、中国・上海株の落ち込みは浅かった。2024年末から25日までの下落率をみると、1.7%安にとどまり、米S&P500種株価指数(同6%安)や日経平均株価(同10%安)に比べ底堅さが目立つ。
株価の相対的な強さとは裏腹に、中国経済の先行きについては不透明感が強まっている。累計で145%にのぼる米国の対中関税は事実上の禁輸措置に近いという評価が多い。UBSは今月中旬に2025年の経済成長率予想を4%から3.4%に下方修正した。米ゴールドマン・サックスもこのほど成長率見通しを引き下げた。
実体経済の悪化見通しを無視したような上海総合指数の動きについて、政府関与を指摘する声は多い。具体的には(1)「国家隊」と呼ばれる政府系ファンドによる上場投資信託(ETF)買い(2)企業の集団的な自社株買い――という2つの効果が大きい。
まず国家隊の積極的な動きを示唆するのは、銀行株だ。時価総額が最大の中国工商銀行は2日終値に比べて5%上昇した。中国人民銀行(中央銀行)は「対米輸出の減少を見越しさらなる金融緩和に踏み切る可能性が高い」(大和総研の斎藤尚登経済調査部長)。利ざやで稼ぐ銀行は低金利が逆風になるはずだが、異例の強さをみせる。
国家隊が購入するETFはCSI300指数に連動するETFなどだ。同指数は上海・深上場の優良企業300社で構成する。時価総額加重方式で個別株を組み入れており、国家隊がETFを購入すれば、銀行のような時価総額が大きい銘柄ほど多く買われる。直接的に銀行株を買い入れるケースもあり、銀行株の逆行高を演出している。
次に企業による自社株買い。足元で自社株買いを使途とする人民銀の低利融資制度を利用する企業が増えている。みずほ証券によると、4月は285億元(約5700億円)と既に3月の2.5倍の水準に膨らむ。人民銀が昨年10月にこの仕組みを導入して以来、月間では過去最大となった。
手元の余剰資金を使って自社株の購入に動く企業も多いようだ。中国国営中央テレビ(CCTV)は7日から24日までに上場企業が合計615億元の自社株買い計画を公表したと伝えた。中国共産党は25日に中央政治局会議を開き、金融市場の安定を重視する姿勢を示した。上場企業の自社株買いもこうした方針に沿ったものとみられる。
国家の関与が民間投資家のマネーをどこまで呼び込めるか。みずほ証券の王申申シニア中国株式ストラテジストは「今の株価上昇は需給が支えており、持続性には疑問符がつく」と話す。米モルガン・スタンレーで中国株ストラテジストを務めるローラ・ワン氏は、取引量などのデータを分析した上で「投資家のセンチメントは低下している」と指摘する。
上海総合指数は3300を超えると利益確定売りに押される場面が目立つ。CSI300の構成銘柄のうち4月2日から25日にかけ株価が上昇した銘柄は3割。24年9月下旬から10月上旬にかけ、景気刺激への期待から中国株式相場が騰勢を強めた時期には99%の銘柄が上昇していた。今回の局面のように景気下振れへの警戒が根強いなかでは、株式相場の人為的な買い支えには限界がある。
米国売り再燃、解けぬ緊張 雇用指標悪化ならドル安 トランプ氏言動なお懸念[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1414文字 PDF有 書誌情報]
金融市場でトランプ米政権の政策運営を巡る過度な警戒感が和らぎつつある。前週は米国の株式・債券・通貨がそろって売られる「トリプル安」が一服した。だが市場参加者は、米国売りが再燃するのではと緊張の糸を緩めていない。米雇用指標の結果次第では平穏が破られかねない。
前週の外国為替市場では4月に入ってから続いたドル安基調に歯止めがかかった。対主要通貨での総合的な強さを示す「ドル指数」は約3年ぶりにつけた97台を底に、25日には99台まで戻した。通貨を売買する権利をやりとりする通貨オプション市場では円高・ドル安への備えが和らいだ。
相互関税の一部の90日間凍結、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任取り下げ――。2度のトランプ米大統領の方針転換が市場での警戒感を解きほぐしている。いずれも米トリプル安がきっかけとなった。「米政権は市場の動きを見ていると確認できた」(SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジスト)
日米財務相会談も為替水準などが話題にはならなかったとして無難に通過した。こちらも米政権が市場に刺激を与えまいと配慮したものだと受け止められている。
もっとも「(トランプ氏の不規則発言への)不信感は拭えない」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)「トランプ氏は秩序を壊すような政策を打ってきており、米資産からお金が流出しやすい状況は大きく変わらない」(りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジスト)というのが市場の思いだ。
複数のデータは市場の疑心暗鬼を映す。米国債の予想変動率を示す「MOVE指数」は25日時点で105台と、なお高水準だ。「短期的に米景気下押し圧力が意識されやすく、市場の警戒感は当面残る」(SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト)
株式市場では投資家が米国株投資の指標とするS&P500種株価指数は25日に5525.21まで上昇し、相互関税の内容が株価に織り込まれる前の2日以来の高値水準を回復した。だが同指数の予想変動率を示すVIXは25日に24.8で、2日時点(21.5)と比べなお高止まりしている。
UBS証券の足立正道チーフエコノミストは14~17日に米東海岸の投資家20組を訪問した。ほとんどが今後1年で米国が景気後退に陥るとの予想で「米国株は景気後退を織り込んだ水準まで下げていない」との見方で一致していたという。
S&P500の11業種で10業種が2日比の下げ幅を5%未満にまで縮めたが、「エネルギー」だけが12%安と出遅れている。景気敏感業種の底ばいは相場全体の先行きを映しているとも取れる。
5月2日には4月の米雇用統計が発表される。FRBのウォラー理事は24日、「労働市場がひどく悪化し始めたとわかれば、より多く、より早く利下げをすることになる」と語った。グローバルマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「雇用統計が持つ意味合いは極端に重くなった」と言う。
金利先物市場の値動きから先々の政策金利を予想する「フェドウオッチ」で5月のFRB利下げ予想は約1割で、6月も約6割にとどまる。松井証券の鈴木翔マーケットアナリストは「失業率が上昇したら6月の利下げも視野に入る」とみる。「仮に経済指標の悪化に伴いトランプ氏のパウエル氏批判が再燃すれば、ドル売りが再開する」と野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは話す。(生田弦己、今堀祥和)
ビットコイン9万ドル回復 無国籍・安全資産 金との相関強まる[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 598文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が再び上昇している。足元では約9万5000ドル(約1350万円)と約2カ月ぶりの高値水準にあり、「安全資産」として買われる金との相関を強めている。特定の国と結びつかない無国籍資産として逃避マネーの受け皿となっている。
ビットコイン価格の上昇に弾みを付けたのが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を巡る騒動だ。トランプ大統領はFRBに対し利下げを要求した。FRBの独立性への懸念が高まって米ドルの信認が揺らぐ事態となり、米国資産から流出したマネーが金(ゴールド)に向かった。国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は、22日のアジア時間で初めて1トロイオンス3500ドルを超えた。
金と同じ局面でビットコインにも買いが集まった。22日は、わずか1日で6000ドル近く値上がりした。
ビットコインと金の連動性の高さを示すのが相関係数だ。相関係数はプラス1からマイナス1の数値で推移し、プラスが大きいほど同じ方向に動く傾向が強い。直近30日間のビットコインと金の相関係数は足元で0.65まで上昇した。
「国の信用リスクが高まる局面でビットコインは買われやすく、金との相関も強まる」(マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリスト)。13年に発生したキプロスの金融危機の際、ビットコインと金の価格が連動するように上がったこともあるという。
ブラックアウト期間 中銀が外部へ口閉ざす(市場を知るニュースワード)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 534文字 PDF有 書誌情報]
日銀の政策決定会合が30日から始まり、米連邦準備理事会(FRB)も5月6日から米連邦公開市場委員会(FOMC)を開きます。中央銀行では、このような金融政策決定会合前になると、関係者たちが金融政策や経済情勢について外部へ口を閉ざすようになります。これを「ブラックアウト期間」といいます。
会合の直前に関係者が発言すると、市場が思惑で先走って政策発表の効果が小さくなってしまう恐れがあります。ブラックアウト期間は金融政策が与える影響を最大限に発揮するための措置です。
日銀の場合、ブラックアウト期間は決定会合の2営業日前から会合終了当日の総裁記者会見の終了時刻までと決められています。今回は25日からブラックアウト期間に入っています。
日銀は1999年4月に「金融政策に関する対外発言についての申し合わせ」としてブラックアウトのルールを明文化しました。発言禁止の対象となるのは総裁、副総裁、審議委員、監事、理事、参与の役員です。日銀の職員も役員に倣って期間中の発言は控えています。ただ、ルールを破っても罰則の規定はありません。
世界の主要中銀でブラックアウト期間が最も長いのはFRBです。FOMCが始まる前々週の土曜日からFOMC終了日の翌日までおよそ2週間になります。
三協立山(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1128文字 PDF有 書誌情報]
三協立山
(6月1日、地名は支店長)事業開発統括室長(物流統括管理担当)取締役兼常務執行役員経営企画統括室長黒畑靖之
▽三協アルミ社開発統括部管掌(開発統括部担当)常務執行役員改革推進統括室長白井克芳
▽国際事業代表兼国際事業統括室長(技術統括室長兼三協マテリアル社技術開発統括室長兼国際事業技術管掌)同三協マテリアル社副社長花木悟
▽三協アルミ社社長付住宅事業改革担当(住宅事業部長)執行役員奥谷和正
▽同社生産統括室モビリティ生産担当兼新湊東工場長(生産統括部長)同山崎申之
▽タテヤマアドバンス社生産統括室長、執行役員船木肇
▽購買・物流統括室副統括室長(国際事業統括室副統括室長兼サンキョウタテヤマヨーロッパCEO)執行役員長谷和彦
▽三協アルミ社事業統括部販売会社管理担当(事業統括部販売会社管理部担当)同総務人事統括室副統括室長兼総務・嵐川洋至
▽同生産統括部長(三協マテリアル社生産統括室副統括室長兼射水工場長兼新湊東工場長)執行役員細橋俊彦
▽購買・物流統括室長兼物流統括管理・品質保証部担当(タテヤマアドバンス社生産調達統括室長)同水越孝司
▽執行役員、三協アルミ社開発統括部長柿沢秀則
▽同、経営企画統括室副統括室長兼経営管理・佐野正博
▽同タテヤマアドバンス社営業統括室副統括室長兼首都圏(北関東)土田浩司
▽同技術統括室長、技術研究・庵真砂代
〔三協アルミ社〕住宅統括部長(住宅事業部住宅建材)大石巌生
▽エンジニアリング統括部長(ビル事業部施工管理)宮下俊
▽北海道(ビル建材)野口雄司
▽関東ビル建材支店長(関東ビル建材支店副支店長)津川靖
▽北関東ビル建材支店長(同)永森隆
▽東海ビル建材支店長(九州支店副支店長兼ビル建材)大橋成人
▽東海住宅建材支店長(住宅建材)萩原卓
▽関西住宅建材支店長(関西住宅建材支店副支店長兼業務兼京都住宅建材)坂下幹夫
▽関西エクステリア建材支店長(中四国支店副支店長兼中国エクステリア)安田和彦
▽エクステリア統括部副統括部長(関西エクステリア建材支店長)押田英一郎
〔三協マテリアル社〕モビリティ統括室長兼モビリティ技術(輸送技術推進)梅田真一
▽営業統括室長兼北陸兼営業企画(関東)津島大輔
▽技術開発統括室長、技術革新推進・清水和紀
▽関東(東海)黒田直樹
▽東海、谷康史
▽射水工場長(三協アルミ社生産統括部モノづくり企画)正橋邦生
▽モビリティ統括室モビリティ営業兼営業統括室マグネシウム営業(北陸兼本社営業)瀬戸一哉
〔タテヤマアドバンス社〕開発統括室長(営業統括室副統括室長兼マーケティング)田嶋孝憲
▽北関東、金珍
▽関西(中四国)中村隆
▽中四国(商業施設営業)津田大輔
▽マーケティング(首都圏)脇本薫
▽商業施設営業(関西)野島真也
北陸電力(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 248文字 PDF有 書誌情報]
北陸電力
(6月26日)取締役地域共生本部長、常務執行役員原子力本部副本部長小田満広
▽取締役、フクビ化学工業会長兼CEO八木誠一郎
▽シニアフェロー(副社長兼副社長執行役員地域共生本部長兼イノベーション推進本部長)塩谷誓勝
▽退任(取締役)川田達男
▽同(同)宇野晶子
▽イノベーション推進本部長(イノベーション推進本部副本部長)常務執行役員林政義
▽常務執行役員(執行役員)塚本明
▽福井支店長(経営企画)執行役員梶崎晴康
▽執行役員、原子力本部原子力・布谷雅之
▽同人事労務、塚田修司
▽同経営企画、福村正人
水戸証券(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 190文字 PDF有 書誌情報]
水戸証券
(5月7日)顧問、浦辺紀行
(6月25日)相談役(副社長経営企画部・コンプライアンス部・業務指導部・審査部・法人営業部・地域法人部管掌)魚津亨
(6月下旬)常務法人営業部・地域法人部・経営企画部・リスク管理部・財務部・監査部管掌(顧問)浦辺紀行
▽コンプライアンス部・審査部・業務指導部管掌(リスク管理部・財務部管掌)取締役毛塚徹也
▽取締役、森本学
▽退任(取締役)瀬川章
長野計器(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 170文字 PDF有 書誌情報]
長野計器
(5月1日)経営統括本部担当、常務角龍徳夫
▽営業本部担当(経営統括本部担当)取締役小野明彦
(6月27日)取締役管理本部担当(上席執行役員管理本部長)原克実
▽同技術本部担当(同製造本部長)芹沢陽司
▽常勤監査役(取締役営業本部担当)小林豊茂
▽退任(常勤監査役)小田中衛
▽上席執行役員製造本部長(執行役員)丸子電子機器工場長宮原弘樹
日本ガイシ(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 163文字 PDF有 書誌情報]
日本ガイシ
(6月26日)副社長(専務執行役員)松田弘人
▽取締役、森潤
▽監査役、長谷川耕司
▽顧問(副社長)丹羽智明
▽同(同)岩崎良平
▽退任(常勤監査役)佐治信光
▽執行役員、杉浦由佳
▽同、高橋満雄
▽同、浜嶋一広
▽同、石居武之
▽同、小泉貴昭
▽専務執行役員(常務執行役員)宮嶋敦
▽常務執行役員(執行役員)則竹基生
▽同(同)藤田浩基
キッコーマン(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 149文字 PDF有 書誌情報]
キッコーマン
(6月24日)取締役、アーサーM.ミッチェル
▽同、国谷裕子
▽監査役、宮崎裕子
▽顧問(取締役兼常務執行役員)神山隆雄
▽退任(監査役)高後元彦
▽国際事業本部副本部長(海外事業部長)常務執行役員中村光伸
▽CFO、執行役員経理・佐藤俊行
▽執行役員、秘書部長大野裕子
▽海外事業部長、下田聖一郎
アドバンテスト(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
アドバンテスト
(5月1日)〔CorporateSupplyChainGroupグローバル生産本部〕サプライチェーン統括部OS、広瀬賢一
▽CostManagement統括部CM(調達業務)嘉数弘毅
▽同物流ソリューション、阿部祥和
▽ものづくり業務(CostManagement統括部CM)中村昭子
マキタ(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 144文字 PDF有 書誌情報]
マキタ
(6月25日)取締役、名古屋鉄道会長安藤隆司
▽同、福本美苗
▽同(総務)都築浩二
▽退任(取締役)杉野正博
▽同(同)若山光彦
▽同(同)井上尚司
▽執行役員国内営業本部副本部長(特販)市川浩
▽同国内営業本部副本部長(埼玉支店長)一ノ瀬幸太郎
▽同国内営業本部副本部長(大阪支店長)武井直樹
TDK(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
TDK
(6月1日)センサシステムズビジネスカンパニーチーフセールスオフィサー(電子部品ビジネスカンパニー営業&マーケティンググループデピュティゼネラルマネージャー)マイケル・チン
▽電子部品ビジネスカンパニー営業&マーケティンググループデピュティゼネラルマネージャー、ジョン・ネルソン
Abalance(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 130文字 PDF有 書誌情報]
Abalance
(6月28日)副会長(常務)藤沢元晴
▽代表取締役兼CEO(取締役相談役)龍潤生
▽同兼COO(執行役員グループ事業戦略室長)国本亮一
▽取締役経営管理本部管掌(管理本部経理)柴田一泰
▽同財務法務本部管掌(同財務)橋本公一
▽相談役(社長)岡田竜介
山陽電気鉄道(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 114文字 PDF有 書誌情報]
山陽電気鉄道
(6月)会長(社長)上門一裕
▽社長(代表取締役兼専務執行役員)伊東正博
▽常務執行役員(執行役員)取締役川久保文照
▽取締役(常勤監査役)金谷明彦
▽同(監査役)香川次朗
▽同(同)高田厚
▽執行役員(常勤監査役)今栄高志
エスクロー・エージェント・ジャパン(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 100文字 PDF有 書誌情報]
エスクロー・エージェント・ジャパン
(5月29日)取締役(監査役)山本隆
▽同、園田博之
▽退任(副会長)喜沢弘幸
▽同(取締役)台祐二
▽同(同)加川明彦
▽同(常勤監査役)小埜寺哲雄
▽同(監査役)野口正敏
大阪製鉄(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
大阪製鉄
(6月下旬)常務安全環境防災・生産技術・情報システム・設備技術・商品企画管掌、水谷友則
▽常勤監査役、沖垣佳宏
▽顧問(取締役)若月輝行
▽相談役(同)野村泰介
▽退任(監査役)白石宏司
東芝(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 94文字 PDF有 書誌情報]
東芝
(5月1日)Nextビジネス開発部DC事業推進室ゼネラルマネジャー、Nextビジネス開発部バイスプレジデント山田剛
▽産業システム事業部産業システム企画部ゼネラルマネジャー、中島壮一
エーアンドエーマテリアル(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
エーアンドエーマテリアル
(6月)常勤監査役(内部統制・リスクマネジメント本部副本部長兼内部統制)松井雄一郎
▽監査役、中谷内茂樹
▽顧問(常勤監査役)中村宏之
▽退任(監査役)森田泰
関西熱化学(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
関西熱化学
(6月20日)総務部・人事部・経理財務部管掌(経営企画部管掌)常務駒谷尚久
▽取締役経営企画部管掌、山本邦夫
▽退任(取締役)中島鉄平
▽同(同)三枝功
▽同(同)栗栖一基
キムラユニティー(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
キムラユニティー
(6月19日)専務、増田賢宏
▽取締役、水野重明
▽常勤監査役、横井良浩
▽監査役、藤田美咲
▽退任(取締役)平野善得
▽同(常勤監査役)吉村真
▽同(監査役)小野田誓
藤倉化成(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 86文字 PDF有 書誌情報]
藤倉化成
(6月)常務(取締役)川口浩俊
▽取締役、須藤和弘
▽同、石本貴幸
▽同、宮川浩
▽同、迎田由紀
▽退任(取締役)高野雅広
▽同(同)渡辺聡
▽同(同)中光好
▽同(同)渡辺孝
ダイハツインフィニアース(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
ダイハツインフィニアース
(5月2日よりダイハツディーゼルから社名変更)
(6月27日)取締役、菅野秀夫
▽監査役、小堀孝一
▽退任(取締役)津田多聞
▽同(監査役)中谷信樹
シナネンホールディングス(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 83文字 PDF有 書誌情報]
シナネンホールディングス
(6月25日)相談役(会長)山崎正毅
▽退任(取締役)村尾信尚
▽業務管理部・法務室担当、上席執行役員人事総務兼グループ改革推進室長日比野栄司
中電工(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 83文字 PDF有 書誌情報]
中電工
(6月25日)取締役(常務執行役員)東岡孝和
▽顧問(取締役)緒方秀文
▽専務執行役員(常務執行役員)大庭秀明
▽常務執行役員(執行役員)東光晴
▽同(同)野津交起
中外炉工業(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 79文字 PDF有 書誌情報]
中外炉工業
(6月18日)安全・品質管理部管掌、代表取締役兼社長執行役員尾崎彰
▽取締役、石丸寛二
▽執行役員(取締役兼執行役員)新谷昌徳
▽退任(取締役)佐藤良
キッコーマン食品(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 79文字 PDF有 書誌情報]
キッコーマン食品
(6月1日)首都圏支社営業第2、執行役員副ナショナル・セールス・マネジャー兼首都圏支社長赤城靖
▽北海道支社長(首都圏支社営業第2)倉島秀明
フジタ(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
フジタ
(5月1日)建築本部設計統括部副統括部長、構造設計第四・角田大輔
▽東京支店第二事業部副事業部長、大型プロジェクト統括部プロジェクト室長諸留幸治
トーエネック(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 68文字 PDF有 書誌情報]
トーエネック
(6月26日)取締役、細野秀一
▽同、伊藤歌奈子
▽同、佐藤英樹
▽退任(取締役)寺田修一
▽同(同)杉田勝彦
▽同(同)木村昌彦
オリエンタルランド(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
オリエンタルランド
(5月1日)人事本部管掌、常務執行役員堀川健司
▽同本部長、人事・滝沢雄一朗
(6月27日)退任(取締役)神原里佳
栗田工業(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
栗田工業
(6月25日)取締役(執行役員経営管理本部副本部長)可知宣和
▽同、松尾美枝
▽退任(取締役)武藤幸彦
▽同(同)田中径子
ダイエー(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
ダイエー
(5月26日)取締役商品担当、近畿支社近畿商品本部長奥平哲二
▽同開発担当、同開発本部長竹内健詞
▽退任(取締役)平田炎
コーナン商事(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 63文字 PDF有 書誌情報]
コーナン商事
(5月9日)PRO高松元山店長(PRO岡山豊成店長)川口貴史
▽PRO岡山豊成店長(PRO高松元山店長)磯山嘉猛
北陸電力送配電(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
北陸電力送配電
(6月27日)取締役(執行役員)川崎拓哉
▽退任(取締役)石丸哲也
石丸氏は北電テクノサービス社長に就任する
日本取引所自主規制法人(人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
日本取引所自主規制法人
(6月20日)理事長、中島淳一
▽理事、神作裕之
▽退任(理事長)細溝清史
▽同(理事)神田秀樹
積水化学工業(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
積水化学工業
(6月20日)取締役、浅野陽
▽常勤監査役、坂井道生
▽退任(取締役)上脇太
▽同(常勤監査役)竹友博幸
川崎重工業(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 56文字 PDF有 書誌情報]
川崎重工業
(5月1日)精密機械・ロボットカンパニー精密機械ディビジョン生産総括部生産技術、生産総括部長篠原敦
カワサキモータース(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 56文字 PDF有 書誌情報]
カワサキモータース
(4月15日)取締役、牛島浩
(5月1日)営業本部販売戦略(アジア・パシフィック)松浦雄一
川崎設備工業(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 56文字 PDF有 書誌情報]
川崎設備工業
(6月27日)専務執行役員(常務執行役員)取締役今井隆博
▽取締役兼常務執行役員(執行役員)高崎清
日本取引所グループ(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 56文字 PDF有 書誌情報]
日本取引所グループ
(6月20日)取締役、田中弥生
▽執行役(取締役兼執行役)横山隆介
▽同(同兼執行役)小沼泰之
小松ウオール工業(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
小松ウオール工業
(6月25日)退任(取締役)広瀬紀夫
▽生産本部長(生産本部副本部長)常務執行役員中野保
宮崎太陽銀行(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
宮崎太陽銀行
(4月1日)リテール企画、執行役員営業統括部長児玉拓三
▽コンプライアンス統括部長、新原輝彦
三井住友銀行(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
三井住友銀行
(4月28日)そよら長原駅前店所長、宮川愛
▽OliveLOUNGE鶴見店所長、冨永有希
北陸電気工事(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
北陸電気工事
(6月27日)取締役、多賀満
▽同、南果
▽退任(取締役)渡辺伸子
▽同(同)宮村樹
ヤマナカ(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
ヤマナカ
(6月11日)取締役(常勤監査役)笹尾清隆
▽同(監査役)横井陽子
▽同(同)奥谷浩之
日本軽金属(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
日本軽金属
(5月1日)船橋工場長(日軽新潟納期管理グループリーダー)金田賢治
ユアテック(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
ユアテック
(6月)取締役、宮城テレビ放送社長玉井忠幸
▽退任(取締役)高野恵一
日本興業(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
日本興業
(6月20日)取締役、エスアイイー取締役杉山直
▽顧問(取締役)白木渡
大阪取引所(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
大阪取引所
(6月20日)監査役、西念京祐
▽退任(監査役)松井俊輔
愛知陸運(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
愛知陸運
(4月25日)監査役、饗庭龍次
▽退任(監査役)尾上恭吾
ヤマックス(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
ヤマックス
(4月30日)監査役、井上勉
▽退任(監査役)長岡純生
いちよし証券(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
いちよし証券
(5月1日)システム本部長、副社長山崎昇一
東洋証券(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
東洋証券
(5月9日)法人、取締役兼上席執行役員松本誠
日本IBM(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
日本IBM
(6月24日)退任(常勤監査役)松尾美枝
東海エレクトロニクス(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
東海エレクトロニクス
(6月26日)取締役、山田智恵
きらぼし銀行(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
きらぼし銀行
(5月12日)麻布支店長、小松正明
いなげや(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
いなげや
(5月1日)横浜東蒔田店長、相沢貴之
北海道ガス(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
北海道ガス
(6月20日)監査役、本間あづみ
昭和鉄工(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
昭和鉄工
(4月23日)一時監査役、大島正信
丸三証券(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
丸三証券
(5月1日)執行役員調査、平井克典
シナネン(会社人事)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 21文字 PDF有 書誌情報]
シナネン
(6月)退任(取締役)黒川城光
World Market[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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中国車、独創アイデア前面 上海自動車ショー、EV乱立で知恵比べ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ 2180文字 PDF有 書誌情報]
中国の自動車メーカーが独創的なアイデアの車載機能を競っている。27日に一般公開が始まった自動車展示会「上海国際自動車ショー」では、映像にあわせて車体を揺らしたり、ハートマークのテールランプを備えたりユニークな機能を搭載した車が目立った。電気自動車(EV)メーカーの乱立で他社との違いを打ち出すのが難しくなるなか、知恵比べが熱を帯びている。
空を飛ぶと車全体が風を受けたように揺れ、地表に降り立つと地面の凹凸が振動として座席に伝わる。上海蔚来汽車(NIO)が新型EV「ET9」に搭載した車内の映像再生システムは、まるでテーマパークの没入型アトラクションのようだ。
車体を揺らすのはサスペンションだ。本来は路面から伝わる衝撃を和らげるバネのような役割を果たすこの部品。NIOの「アクティブ・サスペンション」は、路面状況に応じて能動的に車体の位置を調整し、衝撃の吸収度をさらに高める。
NIOは同サスペンションをあえて停車中に使うことで「揺れる映画館」を実現した。車内の照明と連動してムードを演出したり、エアコンから香りを吹き出したり、各所に臨場感を高める工夫を施した。
EV大手の比亜迪(BYD)も新たな発想でドライブの魅力度を高める。披露したのはドローン大手のDJIと開発した「ドローン搭載車」だ。車体のルーフに急速充電できるドローンの格納ボックスを設置。車を走らせながらドローンを離陸させると、ドローンが車両を自動追随して動画を撮る。さながら「ドローン母艦」だ。
追いかけ撮影は最大時速54キロメートルまで対応し、ドローンが車両から最大2キロ離れても安全に戻ってくる。大人数の撮影クルーをそろえなくても、愛車が疾走する様子を大手企業のCMのように上空から撮れる。
車内に豪華設備を設けた車も目立った。浙江吉利控股集団傘下のEVブランド「Zeekr(ジーカー)」が後部座席に設置したのは、車内用では超巨大な43インチの発光ダイオード(LED)ディスプレーだ。
コンテンツを楽しめるのはもちろんのこと、オンライン会議のアプリも備える。これだけ画面が大きいと、運転手はバックミラー越しに後方確認できない。Zeekrは思い切って運転席と後部座席を完全に切り離し、運転手はデジタルミラーで後ろを確認する。
NIO傘下の普及価格帯ブランド「楽道(ONVO)」がアピールしていたのは、荷室に52リットル収容の冷蔵庫を備えた多目的スポーツ車(SUV)「L60」だ。
冷蔵庫付きの乗用車は従来もあったが、L60の冷蔵庫は本格派。10度からマイナス18度まで庫内の温度を調整でき、内部を3室に分ければ冷凍食品やチルド商品を別々に冷やせる。様々な食材を詰め込んでバーベキューに出かけるなどの用途を見込む。
会場では、若い世代の女性を顧客として取り込もうとするメーカーの工夫も目に付いた。
長城汽車のEVブランド「欧拉(ORA)」は、体の冷えが不調につながりやすい月経時に座席やハンドルを連動させて温める機能を搭載した小型EVを出展した。座席下部には緊急ボタンを設置し、不審者との遭遇時には家族などに位置情報を伝えられる。
上海汽車集団の高級EVブランド「智己汽車」は、紫外線99.99%カットをうたったサンルーフ付きの新型セダン「L6」を展示した。中堅メーカーの賽力斯集団(セレス・グループ)が華為技術(ファーウェイ)と共同運営する「問界」ブランドの車両は、ハート形に表示できるテールランプをアピールした。
浙江零●科技(●はあしへんに包、リープモーター・テクノロジー)の新型車は助手席のダッシュボード部分をカスタマイズできるのが売りで、化粧台のように使える折り畳み式のテーブルを展示していた。
「中国市場は技術の先端を走るだけでなく、未来のモビリティーを創造する舞台の中心になっている」。ホンダの五十嵐雅行中国本部長は、モーターショー会場で開いた記者会見で語った。
もっとも各社が今回訴求した新機能の数々が、すべて将来の定番機能として普及するとは考えづらい。東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは「モーターショーはお祭りとしての側面がある。消費者の関心もめまぐるしく変わり、注目を集めた機能も大半は浸透しない」と指摘する。
ただこうした機能が来場者の耳目を集めていたのも確かだ。杉浦氏は「百花繚乱(りょうらん)の展示がにぎわいを生むのは、中国市場がまだ成長過程であることを示している」とも語る。
中国市場の主役になったEVは、部品点数が多いエンジン車より参入障壁が低いといわれる。実際、中国ではEVメーカーが乱立する。走行性能や安全性といった本筋の技術競争に加えてアイデア勝負の独自機能を前面に打ち出すメーカーが多いのは、それだけ中国市場の競争が激しい現実を映し出しているともいえる。
(上海で藤村広平、大倉悠美、東京=山中博文)
【図・写真】ルーフからDJI製のドローンが離着陸し、走行中に撮影できるBYDの車両(24日、上海市)=沢井慎也撮影
【図・写真】後部座席に43インチディスプレーを搭載したZeekr(ジーカー)のEV「009」(24日、上海市)
【図・写真】「楽道(ONVO)」は荷室部分に52リットル収容の冷蔵庫を備えたSUVを開発(23日、上海市)
世界軍事費9.4%増 昨年391兆円 伸び、冷戦後最大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1284文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=江渕智弘】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は28日、2024年の世界の軍事費が前年比9.4%増の2兆7180億ドル(約391兆円)で過去最高だったと発表した。欧州や中東で急激に増え、伸び率は1989年の冷戦終結後で最大となった。
冷戦後に減った軍事費は2000年ごろから再び増加基調をたどり、ロシアがウクライナを侵略した22年から拍車がかかった。24年までの3年間の伸び率は20%になる。世界の国内総生産(GDP)に占める比率は2.5%と前年比0.2ポイント高まった。
ウクライナと中東に加え、北アフリカなどでも紛争が激化する。軍事費を積み増した国は100以上にのぼった。SIPRIのシャオ・リャン氏は「安全保障を優先して他の予算を犠牲にするケースが増え、社会に重大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。
大きく増額したのが欧州だ。前年比17%増の6930億ドルとなり、物価変動の影響を除く実質ベースで冷戦末期の水準を超えた。マルタ以外の全ての国が増やした。
ロシアは38%増の1490億ドルで、欧州の増加の4割はロシアの大幅増による。ウクライナは2.9%増の647億ドルだった。
28%増の885億ドルを計上したドイツは米国、中国、ロシアに続く世界4位に浮上した。前年は7位だった。このうちウクライナへの軍事支援は米国に次ぐ77億ドル。ウクライナの隣国ポーランドは31%増の380億ドルとなり、16位から13位に上がった。
SIPRIの欧州担当のロレンツォ・スカラッツァート氏は「欧州は軍事費高騰の時代がしばらく続く」とみる。1月に発足したトランプ米政権は欧州の安全保障への関与に消極的で、西側の欧州諸国はこれまで以上に域内の安全保障を主体的に担う必要がある。
欧州連合(EU)は3月、8000億ユーロ(約130兆円)規模の「再軍備計画」を発表し、1500億ユーロ規模の資金支援の枠組みを盛り込んだ。ドイツは国防費の増額など財政出動に必要な基本法(憲法)の改正を成立させた。
英国は国防費のGDP比を2.3%から27年度に2.5%に引き上げる。財源を捻出するため、途上国などへの対外援助予算を削る。
中東の軍事費は2430億ドルで15%増えた。465億ドルを支出したイスラエルの増加率は65%となり、第2次中東戦争で93%増えた1956年以来の大きさだった。
イスラム組織ハマスと戦うパレスチナ自治区ガザに加え、レバノンでイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとの戦闘が広がった。レバノンは6億3500万ドルと58%増やした。
中国は7.0%増の3140億ドルを支出した。30年連続の増額は世界最長記録という。日本は21%増の553億ドルで世界10位。比較可能な53年以降で最大の伸び率だった。北朝鮮の脅威に直面する韓国は1.4%増の476億ドルを計上した。
米国は5.7%増の9970億ドルで、世界の37%を占めた。
【図・写真】ロシアのウクライナ侵略で世界の軍事費増加に拍車がかかる(19日、ウクライナ東部ドネツク州)=ロイター
TPPと連携意欲 デンマーク外相、貿易多角化狙う[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1213文字 PDF有 書誌情報]
北欧デンマークのラスムセン外相は都内で日本経済新聞の取材に答え、欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)締結を推進する考えを表明した。トランプ米政権の関税政策を踏まえ、環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国との連携にも意欲を示した。
デンマークは7月からEU議長国を務める。ラスムセン氏は「可能な限りFTAの締結を進めることが議長国としての優先課題だ」と強調した。進行中の東南アジアやインド、中東湾岸諸国との交渉を挙げたうえで、TPPとの連携も視野に入ると明言した。
日本が主導したTPPには12カ国が参加し、EUを離脱した英国も2024年に加わった。加入に向けての加盟国やEU内の合意形成は容易でないものの、EUのフォンデアライエン欧州委員長もTPP加盟国との協力に前向きな姿勢をみせている。
ラスムセン氏は「現在は先行きが不透明なため、貿易を多角化して強い経済を築く必要がある」と力説した。日本とは19年に発効した経済連携協定(EPA)をテコに「経済協力と取引を強化するためにさらに努力したい」と言及した。
トランプ政権は国・地域ごとに設定した相互関税の上乗せ部分を7月上旬まで90日間停止している。
ラスムセン氏は「貿易戦争は誰のためにもならない」と訴えるとともに、相互関税をめぐるEUと米国の交渉での合意を「諦めていない」と語った。
米国が北大西洋条約機構(NATO)加盟国に要求する国防費の増額には一定の理解を示した。「より強力な抑止力を必要とする新たな時代に入っており、米国民に我々の安全保障の『傘』を負担させることはできない」と主張した。
トランプ米大統領は国内総生産(GDP)比「2%以上」の目標を「5%」に引き上げるよう求めている。ラスムセン氏は「まず軍事目標が何で、どんな能力が必要かを議論すべきだ」と言明した。21年にGDP比1%台だったデンマークの国防費支出は25年に3%超となる見通しだ。
デンマーク領グリーンランドの領有に意欲を示すトランプ政権について「グリーンランドを購入、併合する必要があるという考えは論外だ」との認識を示した。北極圏に触手を伸ばすロシアや中国に対抗するため、米国に安保協力の強化を呼びかけた。
経済を成長させたうえで将来の独立をめざす立場をとり、4月に就任したグリーンランド自治政府のニールセン首相に関しては「非常に現実的なアプローチをとっている」と評価した。「拡張主義的な米国の影響を避ける賢明な戦略だ」とも述べた。
歳入のおよそ半分を補助金に頼るグリーンランドの現状を踏まえ「グリーンランドを『グリーンランド』として守る最良の方法は、デンマーク王国の枠組み内で協力し合うことだ」と唱えた。
欧州の情勢をめぐり、1期目のトランプ政権とも重なる自身の首相在任時と比べ「複数の危機に直面している現在の方がはるかに困難だ」と断言した。
(聞き手は児玉章吾)
【図・写真】ラスムセン氏
米関税にタイはどう対応 米農作物、加工し再輸出 タイ工業連盟 グリアングライ会長[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ 797文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権による高関税が東南アジアを揺さぶっている。米国向けの輸出が滞り、農産物などの市場開放も迫られる可能性がある。タイは東南アジアでカンボジアとベトナムに次ぐ36%の高税率を課された。タイ最大の民間企業団体、タイ工業連盟(FTI)のグリアングライ会長と、政府系シンクタンクのタイ開発研究所(TDRI)のソムキアット所長に、影響と対応を聞いた。
◇ ――トランプ関税の影響は。
「タイへの36%という税率は想定を超えていた。米国産製品などへの関税を考慮すると、米国がタイに課す相互関税は10~15%にとどまっていいはずだ。豚や牛など肉製品を含め、国内の規制が米国に不公平に映ったのが要因とみている。米国はタイの輸出量の約2割を占め、単一国では最大の輸出先だ。関税・非関税障壁を考えると、タイの経済損失は最大8000億バーツ(約3兆4000億円)に達すると試算する」
――どの産業で影響がありますか。
「タイは『アジアのデトロイト』と評される自動車産業の集積地だが、米国への完成車輸出はそれほど多くない。だが自動車部品は主要な輸出品目の一つだ。企業同士の合併や事業縮小、拠点閉鎖などにつながる可能性がある。シーフードなどの食品加工、樹脂などの製品の競争力にも悪影響がある。一方、ベトナムやカンボジアと比べてタイは関税が低く、靴生産など一部の産業では良い影響があるかもしれない」
――最大の民間団体としての対応策は。
「タイ政府と対応策を協議している。米国製品の輸入拡大、国内規制の見直し、現地生産証明の発行、関税・非関税を含めた貿易障壁の見直しが柱になるだろう。例えば、トウモロコシ、小麦、大豆などの農産物の輸入を増やし、加工して再輸出することで米国と相互利益を創出できる。米国からは原油、天然ガス、兵器、軍艦などの購入も選択肢だ。一部の製品では欧州から米国に調達先を切り替えるのも一案だ」
米関税にタイはどう対応――中国の投資、検証の時期 タイ開発研究所 ソムキアット所長[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ 650文字 PDF有 書誌情報]
――どのような影響がありますか。
「グローバリゼーションは過去のものになった。関税や非関税の問題もあるが、懸念しているのは米国に輸出できなくなった中国製品が東南アジアにダンピング製品として環流し、地場の産業を破壊することだ。欧州も中国製品に同様の関税をかける可能性があり、さらにダンピング製品の環流が激しくなる恐れがある」
――「チャイナ+1」で投資の恩恵を受けてきたタイの戦略はどう変わりますか。
「見直さざるを得ないだろう。政府直轄のタイ投資委員会(BOI)のボードメンバーを務めているが、中国からの外国直接投資が本当に有益なのかどうか検証する必要がある。中国からの投資を歓迎してきたが、それによって対米国の貿易黒字が拡大し、標的にされた。雇用などを含めて費用対効果を検証する仕組み作りが必要になっている」
――タイはどのような対応をとるべきだと考えますか。
「自由貿易を守る陣営にくみする努力をするべきだ。その上で日本の役割は非常に重要になる。タイは日本が1980年代以降に経験してきた2国間での米国との交渉を経験したことがなく、現在の日本政府の対米交渉を注視している」
「タイは米国と中国のいずれかを選ぶことはできないが、日本が自由貿易を守る枠組みの『コンビーナー(招集者)』になってくれれば喜んで参加するだろう。環太平洋経済連携協定(TPP)は、国内に反対の声があり参加できていない。自由貿易の価値が再認識された今、TPP参加の是非を判断する転機になるかもしれない」
(バンコク=赤間建哉)
CKハチソンのパナマ2港湾売却 中国「審査逃れ許さず」[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ 586文字 PDF有 書誌情報]
【香港=伊原健作】中国国家市場監督管理総局は27日、香港の大手複合企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)による中米パナマ運河周辺2港湾などの売却について、「いかなる審査逃れもしてはならない」と表明した。米ファンドなどへの売却を視野に、売却スキームを変更するとの観測が報道で浮上しており、同社の動きをけん制した。
報道官がスキーム変更についての記者の質問に答える形式の文書を公表し、「関連取引を注視し、法に基づき審査する」とした。承認前に取引を実行すれば「法的な責任を負う」と強調した。中国政府系香港紙の大公報は28日付の社説で、「(売却を)即刻停止しなければ重大な結果を招くというメッセージだ」と論じた。
CKハチソンは3月、米大手資産運用会社ブラックロックが率いる投資家連合に対し、パナマ運河周辺2港を含む世界43港湾の実質的な運営権を売却する基本合意を結んだ。トランプ米政権はCKハチソンを中国企業と同一視し、運河を「中国が支配している」などと批判していた。
売却で地政学リスクを回避したはずだったが、中国側の激しい反発を招いた。大公報は米国側への売却は「国家安全を損なう」「愛国的でない」との批判キャンペーンを展開し、中国共産党組織もホームページで批判記事を転載し、事実上の圧力を強めた。中国国家市場監督管理総局も3月に取引を調査する方針を示していた。
みずほ銀行 日本企業、インドに誘致 投資促進機関と提携[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 10ページ 424文字 PDF有 書誌情報]
【ムンバイ=岡部貴典】みずほ銀行は28日、日本企業をインドに誘致する取り組みを始めると発表した。インドの官民が出資する投資促進機関インベスト・インディアと提携した。進出する脱炭素分野の企業の立地探しから取引先の紹介まで、一貫して支援する。
みずほ銀の牛窪恭彦常務執行役員とインベスト・インディアのニブルティ・ライ最高経営責任者(CEO)が同日、ニューデリーで覚書を交わした。日本の金融機関がインベスト・インディアと提携するのは初めて。
インベスト・インディアはインド商工省と産業界が2009年に共同で設立し、国内外の投資家への支援を担う。日本専用の窓口も設け、投資前の相談から進出手続き、事業拡大などを支える。
みずほ銀は日本の技術力が期待される脱炭素分野でインドに関心を持つ日本企業を発掘し、インベスト・インディアに仲介する。融資などを通じてビジネスも後押しする。経済が急成長するインドはエネルギー需要の増加と環境対策の両立が課題となっている。
北朝鮮、ロシア派兵認める 「金総書記が条約発動で決定」[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1634文字 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】朝鮮中央通信は28日、ウクライナが越境攻撃していたロシア西部クルスク州を巡るロシア軍の奪還作戦を北朝鮮軍が支援したと報じた。北朝鮮がウクライナ侵略を続けるロシアに軍を派遣したことを認めるのは初めてだ。
ロシア政府は北朝鮮に感謝の意を表明したうえで、北朝鮮が必要とすれば今後、軍事支援する方針を示した。ロシアと北朝鮮の事実上の軍事同盟の関係はさらに深まる可能性があり、東アジア情勢にも影響しそうだ。
韓国軍合同参謀本部は2024年に1万1000人の北朝鮮軍がロシアに派遣され、4000人あまりが死傷したと推測する。
相当数がクルスク州の前線地域に送られたようだ。25年に入り、追加で3000人以上の兵を派遣したことも把握したと明らかにしている。
北朝鮮軍のロシア派遣について、朝鮮労働党中央軍事委員会は金正恩(キム・ジョンウン)総書記が「包括的戦略パートナーシップ条約の発動条件に当たると判断し、参戦を決定した」と説明した。
クルスク州の作戦で北朝鮮軍が「重大な貢献をした」と強調した。
ロシアと北朝鮮は24年に包括的戦略パートナーシップ条約を結び、事実上の同盟関係となった。同条約の第4条は相互の軍事支援について定める。
どちらかの国が武力侵攻を受けた場合、「国連憲章51条と両国の法に基づき、遅滞なく自らが保有するすべての手段で、軍事的およびその他の援助を提供する」とするものだ。
ロシアのプーチン大統領は28日、クルスク州の奪還作戦に北朝鮮軍が参戦したことについて「ロシア国民は北朝鮮兵の英雄的行為を決して忘れない」と表明した。
ロシア軍が26日にクルスク州でウクライナの武装勢力を壊滅させて戦闘は終結したとも述べた。
ロシアが北朝鮮の支援を受けてまでクルスク州の完全奪還を急いだ背景には停戦交渉がある。
米国がウクライナを巡る停戦交渉を仲介するなか、ウクライナにとって交渉材料となるはずだったクルスク州の早期の奪還を果たして同国に打撃を与える狙いとみられる。
ウクライナは24年8月、クルスク州への越境攻撃を開始した。ロシア領内の混乱が続けば、8割超の支持率を保つプーチン氏の支持層にも影響を与えかねない。
プーチン氏は25年3月、クルスク州の軍拠点を迷彩服姿で訪問し、ウクライナ軍の早期の全面排除を命じていた。
北朝鮮の支援を受けたロシアは「借り」を返す方針だ。ロシアのペスコフ大統領報道官は28日、ロシアは条約に基づき、必要であれば軍事的な支援を北朝鮮に提供すると記者団に述べた。
関係を深めるロ朝間の高官の往来は活発になっている。ロシアのショイグ安全保障会議書記は3月、金正恩氏と平壌で会談した。2月には北朝鮮高官がモスクワを訪問してプーチン氏と面会した。
プーチン氏は24年6月の訪朝時に「次回はモスクワで会談が開かれることを望む」と金正恩氏をロシアに招待した。軍事支援などの協力拡大に向けた今後の首脳会談の開催などが焦点となる。
ペスコフ氏は28日、プーチン氏と金正恩氏の接触について「今のところ計画はない」と述べた。
欧米による経済制裁を科されたロシアはウクライナ侵略の長期化をにらみ、北朝鮮との協力で継戦能力を高める考えとみられる。
プーチン氏は28日の声明で「戦場で鍛えられた両国の友好・協力関係が、今後もあらゆる分野でダイナミックに発展していくことを確信している」と述べた。
韓国国防省の報道官は28日の記者会見で、北朝鮮がロシアのウクライナ侵略を支援したことについて「犯罪行為を自認したものだ」と批判した。
「国連憲章や安保理決議に明白に違反する不法行為だ」と強調した。
【図・写真】ロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩総書記は2024年6月に「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した=AP
【図・写真】ロシア西部クルスク州の作戦に参加する北朝鮮兵士の射撃訓練。タス通信が28日に配信。撮影場所は不明=タス共同
ミャンマー地震1カ月 村落続く荒廃 都市復旧一歩[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1286文字 PDF有 書誌情報]
ミャンマー中部でマグニチュード(M)7.7の大地震が発生して28日で1カ月となった。軍事政権の集計で死者は3800人に迫る。都市の商業活動が復旧へと動き出す一方、荒廃した村落では必要な生活物資も十分に行き渡らない窮状が続く。
「先月は紛争避難民。今は震災避難民」。同国第2の都市マンダレーに隣接する町、ザガインの集落で25日、初老の男性がつぶやいた。見渡す限り1~2階建ての家屋の大半が崩れているが、修復やがれきの撤去は進んでいない。
同地から北方に広がるザガイン地域は2021年のクーデターで国の実権を握った国軍に抵抗する武装勢力の活動が盛んだ。この男性は治安が悪化した1年ほど前に北部から避難してきた。似た境遇の人々や僧侶ら集落の30人以上が地震で命を落とした。
ザガイン地域は支援物資も逼迫している。「また来てくれるらしいから」。気温40度の炎天下、女性らが木陰で何かを待っていた。聞くとこの日の朝、国際組織が物資を運んで来たものの、取り合いや言い争いが過熱し受け取れない住人が続出した。
3月28日の昼下がりに発生した大地震はマンダレーやザガイン地域、首都ネピドーなどに被害が及んだ。軍政によると27日時点で死者は3769人、負傷者は5106人、行方不明者は107人。紛争で集計が及ばない地域も含めるとより多いとみられる。
犠牲者の増加ペースは4月半ばから急減速した。最大の被災地とされるマンダレーやネピドーでは緊急の救援や医療活動に一定のめどがついた。下旬には日本やドイツ、インドネシアの医療チームがそれぞれの活動を終え帰国した。
マンダレーの交通や市場は表面上、震災の打撃が薄れてきている。21日から本格的に営業を再開した大型市場で衣類を売る女性は「震災前と客足は変わらない」と話す。セメントの増産や輸入拡大、労働者の賃金上昇といった「特需」の情報も出始めた。
地元ボランティアの男性によると、マンダレーの市内の被災者には外国支援や寄付を通じて食品や飲料が行き届きやすい。富裕層は家屋の修繕を進める。
しかし支援の格差は鮮明で、郊外や村落を中心になお多くの人々が苦境を強いられている。非政府組織(NGO)セーブ・ザ・チルドレンの24日の報告によると、約4万2千人がテントなど仮設の避難所で暮らす。衛生環境が悪化する5月の雨期入りに警鐘を鳴らした。
他方、戦闘が膠着しがちな雨期を前に、国軍と抵抗勢力の衝突はやむ気配がない。
国軍と主要勢力は地震後に相次いで一時的な戦闘休止を発表したが形骸化している。
選挙管理委員会は8日付で、震災の混乱をよそに12月に総選挙を実施すると発表した。軍政首脳が言及していた方針を改めて正式に発信した。抵抗勢力は反発している。ネピドーの省庁も被災で一部機能不全に陥るなか、政情の先行きはさらに混沌としてきた。
(ミャンマー中部ザガインで、渡辺禎央)
【図・写真】全壊を免れても居住や修復のめどが立たない住宅は数知れない(25日、ザガイン)
【図・写真】庶民に人気の「ゼージョー市場」は4月下旬に入って本格再開した(25日、マンダレー)
スエズ運河「米船無料」要求 トランプ氏 対フーシ攻撃見返りで[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1276文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は26日、自身のSNSにパナマ運河とスエズ運河で「米国の軍用船と商船は無料で通航できるようにすべきだ」と投稿した。奪還を公言する中米のパナマ運河に続き、欧州とアジアを結ぶ海上交通の要衝であるスエズ運河への影響力拡大に意欲を示した。
スエズ運河はエジプトが国有化している。これまでトランプ氏はスエズ運河に言及してこなかった。新たに標的に加えた背景には、米軍が紅海で商船を攻撃するイエメンの親イラン武装組織フーシを空爆し、同運河への航路確保に貢献している見返りを迫る狙いがあるとみられる。
米FOXニュースによると、米軍はフーシを無力化するため数十回の攻撃を実施。米国防総省当局者の話として「スエズ運河へ向かう商船の航行の自由を永久に回復するのが目標だ」と伝えた。米紙ニューヨーク・タイムズは28日、米軍の対フーシ作戦の費用は10億ドル超にのぼると報じた。
米ホワイトハウスのウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)は3月に始めたフーシ空爆の狙いを「海上航路の確保、貿易と商業の自由を維持することだ」と説明した。紅海周辺でフーシが船舶への攻撃を繰り返し、スエズ運河を回避する動きが広がったとの認識も示した。
ウォルツ氏は足元では米船舶の75%がスエズ運河を通航する代わりにアフリカ南端への迂回を余儀なくされているとの試算を明らかにした。日本企業を含め国際物流への影響は大きい。
米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)によると、2023年11月以降のフーシによる攻撃前は世界貿易の12%がスエズ航路を経由していた。フーシ攻撃の影響で、紅海を通る貨物量は7割減少したという。
エジプト北東部にあるスエズ運河は地中海と紅海を結ぶ全長193キロほどの運河で1869年に開通した。紅海とスエズ運河を通る航路は、欧州とアジアを結ぶ最も迅速な海上交通路になる。
トランプ氏はスエズ運河とパナマ運河に関し「米国なしには存在しなかった」と自説を唱えた。ルビオ米国務長官にただちに対処するよう指示した。
第2次トランプ政権は太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河について「中国が支配している」(トランプ氏)と主張する。1914年に米国が建設し、99年にパナマに返還された。かつて米国が事実上の治外法権区域として自由に支配してきた歴史があり、通航料金が高額だと不満を表明してきた。
トランプ政権は中国企業が重要インフラを建設し、パナマ運河の両側の港を運営する香港企業がデータを収集しているとの見方を示した。台湾有事の際に中国が運河を封鎖する可能性があるとしてパナマ政府を非難してきた。
ルビオ氏は2月にパナマを訪れた際に「中国共産党による運河地域の支配は容認できない」と伝達。パナマのムリノ大統領は中国の広域経済圏構想「一帯一路」からの離脱を表明した。パナマは17年に台湾と断交し、中国に接近していた。
香港の複合企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)はパナマ運河周辺2港を含む港湾の運営権の米国などの投資家連合への売却を決めた。
「土地は尊厳」離散警戒 ガザ難民キャンプルポ にじむハマスへの嫌悪[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1141文字 PDF有 書誌情報]
パレスチナ自治区ガザをリゾート地として開発するトランプ米大統領の構想が波紋を広げた。半世紀以上前にガザを追われヨルダンに暮らすガザ出身の難民たちは、住民たちがいったん移住を受け入れれば、離散につながり民族の大義が失われると警告する。口にはしないが、戦災を招き入れたハマスへの嫌悪感も垣間見える。
ヨルダン首都アンマン中心部から北へ1時間。「アルフセイン・キャンプ」はガザ出身の3万3千人の難民が暮らす。多くは1967年の第3次中東戦争(6日間戦争)で戦火を逃れたガザ出身の人々とその子孫だ。
「土地とは尊厳と名誉そのものだ」と語るのは金属加工店を経営するアドナン・アブヤシンさん(63)。「故郷で死ぬ夢をあきらめていない。子供や孫たちはいまもガザにおり、1メートルですら土地を譲るつもりはない」と話す。
難民キャンプで生まれた雑貨屋の店主ムラド・シャムシさん(48)は「ガザ人が離散すればパレスチナの大義そのものが失われてしまう」と訴える。
アラビア半島付け根のガザはサウジアラビアなどにみられる濃厚な部族社会だ。親族の連帯と土地への執着がある。もうひとつのパレスチナ自治区であるヨルダン川西岸とは同じアラビア語ながら言葉が微妙に異なる。
反ハマスのデモがガザで起きていることを尋ねると、人々はだまってうなずいた。恐怖か同調圧力なのか、いまもおおっぴらなハマス批判は難しい。それでもある人物は「テロによってイスラエル軍を招き入れ災厄をもたらしたハマスを純粋なガザ人のほとんどは嫌悪している」と教えてくれた。西岸出身者の間で支持者が多い一方、ハマス統治下のガザでは不満が広がる「ねじれ現象」となっている。
キャンプの人々は政府が提供した集合住宅に身を寄せあっている。穴だらけの道路に生ごみが散乱し、さび付いた衛星アンテナは今にも屋根から落ちてきそうだ。
援助に支えられた出口なきコミュニティー経済は孤立が続く。若者たちの多くは職がなく第1世代は高齢化が進んだ。
望郷の思いは世代を超えて引き継がれている。教師のナワル・ラダアさん(28)は「わたしたちは体をなくしてさまよう魂のような存在。いつかは故郷に戻るのだと子どもたちに伝えている」と話す。
「すぐに戻れるというウソを信じて故郷を離れた先祖の失敗を繰り返してはならない」と口調を強めた。
トランプ氏は「人々を追放するつもりはない」というが、イスラエル極右勢力は強制移住の構想に強く賛同している。
世界に離散(ディアスポラ)し差別や迫害を受けてきたユダヤ民族の悲願としてイスラエル国家は生まれた。その拡張主義が新たな離散の悲劇を引き起こしつつある。
(アンマンで、岐部秀光)
【図・写真】ガザ難民のコミュニティーは孤立と貧困に直面する
印パ、境界で連日銃撃戦 モディ氏「テロリストに報復」[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 842文字 PDF有 書誌情報]
【ニューデリー=岩城聡】インド北部のカシミール地方でのテロを受け、インドとパキスタンの両国境界を挟んで連日、銃撃戦が発生するなど対立がエスカレートしている。かつて何度も戦火を交え、互いに核兵器を保有する両国の緊張は高まる一方だ。
地元報道などによると、インド軍は24日の深夜ごろから、インド側とパキスタン側を分ける実効支配線(LOC)沿いで、パキスタン軍の数カ所の拠点から「挑発的な」小火器射撃を受け、これに応じたと発表した。
詳細な情報は明らかになっていないが、こうした小競り合いはここ数日続いているとみられる。双方に負傷者があったかなどは不明だ。
22日のテロは、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方のインド側支配地域で発生した。インド人25人、ネパール人1人の計26人が殺害された。パキスタンに拠点を置くイスラム過激派「ラシュカレトイバ」(LeT)との関連が指摘される組織が犯行を主張した。
インドのモディ首相は「すべてのテロリストとその支援者を特定し、追跡し、処罰する。地球の果てまで追跡する」とコメント。
パキスタン政府が関与したと断定し、両国を流れるインダス川の水資源利用にかかわる条約の履行停止措置や、国境封鎖を発表した。
また、インド海軍は27日、複数の対艦ミサイル発射試験を実施したと発表した。
「長距離精密攻撃能力のプラットフォーム、システム、乗組員の準備態勢を再確認し実証するため」としているが、パキスタン側への威嚇の意味合いが強い。
一方、パキスタンはテロへの関与を否定したうえで、対印貿易停止の対抗措置をとった。さらに、閣僚の一人はパキスタンの核ミサイル130発以上について「これらの弾道ミサイルはすべて、あなた方(インド人)を標的にしている」と警告を発し、インド国内では反発が広がっている。
テロ発生後、トランプ米大統領はモディ氏と電話しインドへの支持を伝達した。石破茂首相もモディ氏と電話し、同志国としてインドに寄り添う姿勢を明確にしている。
「土地は尊厳」離散警戒 ガザ難民キャンプルポ――新回廊拡張 ガザ分断着々 イスラエル軍、ハマスに圧力[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 642文字 PDF有 書誌情報]
【カイロ=岐部秀光】イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに新たに設置した軍事地域「モラグ回廊」を拡張し、ガザの分断を進めている。南部ハンユニスと最南部ラファを分断し、イスラム組織ハマス戦闘員を孤立させる狙いがある。
「モラグ回廊」はイスラエルが既存の「ネツァリム回廊」「フィラデルフィ回廊」に加えて新たに設置した軍事地域。ハマスによる武器や戦闘員の移動を阻む意図がある。道路の舗装作業が進められ、道路沿いに拠点が建設されている。
イスラエル軍は「回廊」を軍事的な緩衝地帯として広げようとしている。カッツ国防相はハマスとの停戦が合意しても緩衝地帯への駐留を続ける方針を示した。
イスラエルは3月からガザへの人道支援物資の搬入を認めていない。英国、ドイツ、フランスの外相は23日「人道支援を政治利用してはならない」との共同声明を発表し、即時の支援再開を求めた。
世界食糧計画(WFP)は25日、ガザの食料備蓄が底を突いたと発表した。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)も26日、小麦粉の供給ができなくなったと明かした。1月に成立した3段階のガザ停戦案は第1段階の実現後、第2段階に進むことができず事実上崩壊。イスラエル軍は3月18日からガザでの軍事行動を再開した。
仲介国のカタールとエジプトはハマスによる人質全員の解放と引き換えにイスラエルがパレスチナ囚人を釈放し5~7年の停戦を実現する案を提示した。トランプ米大統領が示唆したようなガザの住民の強制移住は提案に含まれていない。
シリアの未払い債務、世銀に返済[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 193文字 PDF有 書誌情報]
【ドバイ=福冨隼太郎】サウジアラビアとカタール両政府は27日、シリアが世界銀行に抱える未払い債務を返済すると発表した。債務は総額1500万ドル(約21億5000万円)にのぼる。
サウジとカタールは声明で、今回の決定が「14年にわたる世界銀行のシリア支援停止を解除し、シリアでの支援を再開する道筋を付けるものだ」と強調した。シリアが「重要な分野での開発を再開する道を開く」とも指摘した。
スエズ運河「米船無料」要求――米軍がイエメン空爆 68人が死亡[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 177文字 PDF有 書誌情報]
【カイロ=共同】イエメンの親イラン武装組織フーシ派系メディアは28日、イエメン北部サーダの移民収容施設に米軍の空爆があり、68人が死亡、40人以上が負傷したと報じた。フーシ派支配地域への攻撃を続ける米中央軍は27日、今年3月以降、800カ所以上の標的を空爆したと発表した。フーシ派の数百人の戦闘員や、ミサイルや無人機に関わる幹部らを殺害したとしている。
スペイン全土で大規模停電[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 123文字 PDF有 書誌情報]
【バルセロナ=共同】スペイン全土で28日、大規模な停電が発生し、首都マドリードや北東部バルセロナなど各地で交通網に大きな影響が出た。ポルトガルやフランスの一部でも停電が起きた。スペインなどのメディアが伝えた。スペインでこうした規模の停電は異例。
コンクラーベ、来月7日開始[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 11ページ 112文字 PDF有 書誌情報]
【ローマ=共同】ローマ教皇庁(バチカン)は28日、枢機卿会議を開き、次期教皇を決める選挙(コンクラーベ)を5月7日から始めると決めた。21日死去した教皇フランシスコの改革路線を継続する人物が選ばれるのかどうかが焦点になる。
「還暦電池」まだまだ稼ぐ FDK、ニッケル系の新製品量産 データセンター向けに[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1753文字 PDF有 書誌情報]
充電して繰り返し使える2次電池のうち、旧来型の技術であるニッケル系電池が再び注目されている。安全性の高さや軽量性を利点に、データセンター向けなどの需要が見込めるためだ。電池大手のFDKは2026年度にも新型の電池を本格量産する。ニッケル系電池は日本での生産開始から60年超の「還暦」製品だが、新たな技術開発で新風を吹き込む。
FDKが本格量産するのは「ニッケル亜鉛電池」。同社が長年手がけてきたニッケル水素電池をベースに開発した。負極材料を水素吸蔵合金から亜鉛化合物に置き換えることで、データセンターやエレベーターに使う鉛蓄電池からの代替需要を取り込みやすくした。
環境負荷小さく
鉛蓄電池は現在、こうした設備の非常用電源に使われる。安価だが、重いうえに鉛の環境負荷が大きい。ニッケル亜鉛電池は同じ出力の鉛蓄電池と比べて重さが半分になるほか、リサイクルや廃棄もしやすい。
2次電池の主力製品であるリチウムイオン電池と比べても発火リスクが小さく、ニッケル系がもともと持つ安全性の高さを生かせる。
FDKは5億~6億円を投じ、群馬県高崎市の工場などでニッケル亜鉛電池を量産する。当初は月間30万本を想定する。同工場では現在、ニッケル水素電池を生産している。この設備をニッケル亜鉛電池向けに生かし、量産コストを抑える。
ニッケル亜鉛電池はニッケル水素電池に比べて重さが3分の1で、生産コストも安いという有望製品だ。国内ではエナジーウィズ(旧昭和電工マテリアルズ)や日本ガイシなども研究開発を進めているが、FDKは競合に先駆けて量産にシフトする形だ。
FDKの長野良社長は「需要が拡大すれば、数年以内に高崎工場にニッケル亜鉛電池の新ラインを設けることも検討する」と語る。軽量性を生かし、電動の車椅子向けなどの需要も取り込みたい考えだ。
電池メーカーで構成する電池工業会によると、ニッケル系の2次電池が日本で初めて生産されたのは1960年代前半だ。三洋電機や松下電器産業(いずれも現パナソニックホールディングス)がニッケルとカドミウムを使った「ニカド電池」の生産を始めた。その後はニッケル水素電池が主流となり、電池メーカーの発展を支えた。
ただ90年代以降は携帯電話や電気自動車(EV)などの商品が普及し、2次電池も大容量化しやすいリチウムイオン電池が主流となった。
電池工業会によると、ニッケル水素電池が主力の「アルカリ蓄電池」の販売額は23年度で約270億円と、統計開始後のピークの10年度に比べて半減した。一方、過酷な環境でも安全性を保てるなどの利点を踏まえ、還暦を過ぎたニッケル系の再評価が進みつつある。
業績も上向きに
FDKは東芝の乾電池部門が源流で、50年に設立。72年に富士通の傘下に入り、市販の乾電池やニッケル水素電池を手がけてきた。ニッケル亜鉛電池のほか、従来のニッケル水素電池の新製品の開発にも熱心だ。
24年にはセ氏マイナス40度の環境下でも放電時間が従来品と比べて約6倍になるニッケル水素電池を開発したと発表し、8月から量産を始めた。特に自動車の緊急通報システム向けでの引き合いが強いという。欧州や中国で同システム搭載の義務化が進んでいることも追い風となる。
業績も上向いている。FDKが23日に発表した25年3月期連結決算は売上高が前の期比1%増の631億円、純利益は4.5倍の5億3600万円だった。増益は4期ぶりで回復を下支えしたのはニッケル水素電池だ。緊急通報システムのほか、電気シェーバーといった家電や産業機器など向けの需要が堅調だった。
FDKの最高技術責任者(CTO)で高崎工場長の柳川浩章氏は「ニッケル系電池の新たな市場が確実に生まれている」と手応えを語る。
一方、FDKは経営では大きな転機を迎えている。25年3月に富士通の連結対象から外れ、台湾電子部品大手の華新科技(PSAグループ)の傘下に入った。
数年内には富士通ブランドで販売している製品のブランド変更も予定する。華新科技との部材調達での協業や、台湾向けの販路拡大なども視野に入れる。磨き続けてきた技術力をグローバル展開できるかのカギとなる。
【図・写真】高崎工場でニッケル水素電池のセルを製造する様子(群馬県高崎市)
ネットスーパーの黒字化を後押し 10X、VCなどから21億円調達[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 868文字 PDF有 書誌情報]
ネットスーパー支援システムを手掛ける10X(テンエックス、東京・中央)はベンチャーキャピタル(VC)などから21億円を調達した。導入先であるアルピコホールディングス(HD)傘下のデリシア(松本市)では事業を黒字化に導いた。調達資金で小売業のデジタル化を支援するサービスを年内に開発し、事業の幅を広げる。
スーパーやドラッグストアの電子商取引(EC)を支援する10Xのシステム「ステイラー」は在庫データの作成、注文管理、店員による商品のピックアップや配達などに活用できる。小売業者は月額利用料金と、ネットスーパーの売上高に応じた費用を10Xに支払う。ライフコーポレーション、フレスタ(広島市)など計13社が導入している。
デリシアはネットスーパー事業で利用者が増えない状態が続いていたがステイラーを導入して1年で売上高が4割増えた。粗利から商品の取り出しや梱包、配達にかかる費用を除いた店舗営業利益で黒字を実現した。
10Xは今回調達した資金を活かし、ネットスーパー支援に加えて新規事業にも乗り出す。「小売業は労働力の確保が難しくなる一方でインフレが起こり、利益を出しにくくなっている」(矢本真丈・最高経営責任者=CEO)。こうした課題を解決するため、小売業のデジタル化を支援して労働生産性を改善する製品を開発する考えだ。
事業環境の悪化で一時は絞り込んでいた人材採用も再開する。従業員数は現状60人程度だが、エンジニアや事業担当者などを採用し年間10~15%ほど増員する計画だ。
複数の製品を投入することで顧客単価を引き上げ、業績を伸ばす考え。2025年3月期までは赤字だったようだが、矢本CEOは「通期の黒字化も遠くないうちに達成できる」と話す。
第三者割当増資はVCのグローバル・ブレインや政府系のJICベンチャー・グロース・インベストメンツなどが引き受けた。推計企業価値は21年の調達時の約150億円を下回ったようだ。
【図・写真】消費者が買い物するアプリ(左)だけではなく、店員が商品をピックアップするためのアプリも開発している
東京メトロ、4000億円投資枠 新中計発表 ホテル参入、非鉄道拡大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 862文字 PDF有 書誌情報]
東京地下鉄(東京メトロ)は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。新線建設などを含め4000億円の設備投資枠を設け、輸送効率や安全性の向上などにつなげる。ホテルの運営事業に新たに参入し、売上高の8割超を占める鉄道収入に依存する体質から脱却する。
24年10月に東証プライム市場に上場して以降、初めて中計を策定した。同日記者会見した山村明義社長は「安全なサービスに加え、投資家からは収益性の向上を期待されている。しっかりと中計に取り組んでいく」と述べた。
同社は有楽町線(豊洲―住吉間)と南北線(品川―白金高輪間)の延伸工事に着手している。30年代半ばの開業を目指しており、中計の期間中に500億円を投じる計画。大規模浸水などの安全性向上に向けて鉄道設備全体で1430億円を投資する。
同日には自社ブランドによるホテル運営に参画することを正式表明した。ブランド名や事業規模などの具体的な目標は今後詰める。山村社長は「インバウンド(訪日外国人)やビジネス向けには一定の需要があり、そうした客層をターゲットにしたブランドを検討していきたい」と述べた。
中計ではホテル建設に向け、不動産の取得・開発費用などとして1070億円を充てる。このほか、クレジットカードによるタッチ決済の導入、同社の乗車ポイント「メトポ」を活用したマーケティング策なども成長分野に位置付けて投資を進める。
一連の取り組みを通じ、28年3月期の営業利益は25年3月期比7%増の930億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同9.5%増を目指す。
同社は東京都心部に路線を構え、高い輸送密度に強みを持つ。一方で売上高に相当する営業収益のうち定期などの旅客運輸収入が8割を占める。鉄道への依存度が高く、今後は鉄道以外への事業多角化が課題となる。
同日発表した25年3月期の連結業績は営業収益が前の期比4.8%増の4078億円、営業利益が同13.9%増の869億円だった。インバウンド需要が引き続き堅調で輸送人員が増えた。
プラステ、単独店を再拡大 不採算店は閉鎖/知名度向上 ユニクロから「一人立ち」へ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 768文字 PDF有 書誌情報]
ファーストリテイリング傘下で低迷を続けていた「PLST(プラステ)」の業績が上昇基調に乗り始めた。不採算店を閉店してコストを圧縮し、ユニクロ内店舗を増やして知名度を高めた。2025年8月期は増収増益を見込み、単独店舗の再拡大にかじを切る。ユニクロという巨大な傘からの「一人立ち」へ動き出した。
プラステは24年8月期に5期ぶりに営業黒字化を達成した。25年8月期も上期は既存店売上高が大幅な増収となり、通期でも大幅な増収増益を見込む。
02年の誕生当初は「PLS+T(プラスセオリー)」として米高級ファッションブランド「セオリー」の運営会社が展開していた。09年にファストリが運営会社を完全子会社化し、ファストリのブランドとした。価格はユニクロの2~3倍の中価格帯ブランドだ。
近年は業績不振が続いた。新型コロナウイルス禍でオフィス着需要の低迷。在宅勤務が定着したことでビジネスカジュアルウエアとしてのニーズが落ち込み、20年8月期から4期連続で営業損益は赤字が続いた。
知名度が高くないことが課題の一つだった。23年3月のユニクロTOKYO(東京・中央)をはじめ、新宿本店(東京・新宿)やタマタカ店(東京・世田谷)など旗艦店や大型店にプラステを出店した。ユニクロと同じグループだという認識が広まった。
ブランドコンセプトも「きちんとしていたい時の『毎日服』」に変更。ユニクロのロゴを考案したデザイナーの佐藤可士和氏が新しいロゴをデザインした。
不採算店を閉鎖してコストを圧縮した。一時は単独店だけで100店を超えたプラステ店舗数は、ユニクロ内店舗も合わせて43店まで減った。親会社のファストリは「事業構造改革の期間を終え、業績も好転しつつある。より良い立地へ単独店舗も積極的に出店していきたい」と話す。
【図・写真】プラステの新宿本店
ニコン86%減益 前期最終、半導体製造装置が不振[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 639文字 PDF有 書誌情報]
ニコンは28日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比86%減の45億円になったと発表した。従来予想(同51%減の160億円)から115億円下方修正した。半導体製造装置事業の苦戦に伴う一時的な費用として約142億円を計上した。
25年3月期の通期純利益の下方修正は2度目。併せて、期末配当を従来計画の30円から5円引き下げて25円にすると公表した。年間配当は前の期と同じ50円になる。同社は前の期まで3期連続で増配を続けてきた。
半導体製造装置の苦戦が重荷となった。装置需要が想定より低調で、将来の生産拡大に向けて投資していた製造設備など固定資産について79億円の減損損失を計上した。主要顧客の米インテルの業績悪化を受けて、納入が見込めなくなった装置についても50億円の評価損を計上した。
需要の落ち込みを受けて半導体装置の保守サービスなどを手掛けるアメリカの子会社ニコンプレシジョンで人員削減など構造改革を実施し、13億円の一時費用も計上した。
25年3月期の売上高に当たる売上収益は前の期比微減の7150億円と、従来予想から50億円下方修正した。デジタルカメラや金属3D(3次元)プリンター事業などで販売計画が想定を下回った。営業利益は同94%減の25億円と165億円下方修正した。
半導体製造装置でニコンと競合するキヤノンは生成AI(人工知能)で需要が伸びる後工程向けの販路を開拓しているが、インテル依存を続けてきたニコンは新規顧客の開拓に出遅れている。
「還暦電池」まだまだ稼ぐ――リチウムイオン、日本勢は衰退[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 388文字 PDF有 書誌情報]
現在、2次電池の主流で電気自動車(EV)やスマートフォン向けに使われるリチウムイオン電池の市場を創出したのは日本だ。研究開発をリードしたほか、1991年にはソニーが世界に先駆けて商用化した。
だが中国や韓国メーカーが投資を加速するにつれて、日本勢の存在感は低下した。電池工業会に加盟する各社のリチウムイオン電池の販売額は2023年度で1456億円。統計を開始した09年度の半分に満たない。
EV向けでは劣勢が特に顕著だ。韓国のSNEリサーチによると、24年のEV向け販売量の首位は中国の寧徳時代新能源科技(CATL)で、全体の約4割を占める。日本企業ではパナソニックホールディングスが最高で6位(3.9%)だ。
次世代品では、リチウムイオン電池よりもエネルギー密度や安全性が高い全固体電池の開発競争が活発化している。電池市場で日本勢が挽回する一手となるかが焦点だ。
(郭秀嘉)
ディズニー日本法人、社長に日色氏 20年ぶりの日本人[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=中藤玲】米ウォルト・ディズニーの日本法人、ウォルト・ディズニー・ジャパンは5月1日付で、日本マクドナルドホールディングスで社長兼最高経営責任者(CEO)を務めた日色保氏(59)が社長兼マネージング・ディレクターに就任する。日本人社長は約20年ぶり。多国籍ブランドを率いてきた経験を生かす。
日色氏は米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の日本法人で30年ほど勤務し、12~18年に同社社長を務めた。19年に日本マクドナルド社長、21年に日本マクドナルドHD社長となり、24年3月に退任した。
映画のマーケティングや動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」など日本市場の開拓を進める。
どう見る反DEI(上)人材定着へ数値目標も必要 鹿島執行役員・人事部長 西沢直志氏[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1363文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が打ち出す反DEI(多様性、公平性、包摂性)方針を受け、米国ではマクドナルドやボーイングなど、採用や人材登用面の取り組みを縮小する企業が相次いでいる。日本企業の対応や今後のあり方を当事者の企業や専門家に聞く。第1回は2024年8月に目標数値を刷新した鹿島の西沢直志執行役員。
――女性登用や育児休業などの数値目標を引き上げたそうですね。
「総合職の女性採用比率を28年度までに30%にするなどの目標を掲げた。工学部の学生の女性比率は低く、土木・建築の技術系種別はエントリーの時点で女性が少ない。実情に考慮しつつ採用を増やしたい。男性の育児休業取得率は100%、30日以上では50%を目指す」
「目標より大事なのは実現するための施策だ。23年ごろから会議は原則午前9時から午後4時までに開催するようにした。現場作業終了後に開くのが普通だったが、時間に制約がある社員が参加できないためだ。現在7割程度の事業所で日中に会議ができている。子育てなどの人生設計とキャリアが二者択一とならないプランを考え、社員に提案している」
――米国では退潮する動きもあります。
「経営幹部らとも話題にはしたが、我々はこれまで通り進める。米国と日本の社会的背景に違いもあり、見直しの議論には値しない。確かに女性の比率を指標にするのは、特定層に特別な機会を与えるポジティブアクションに含まれるかもしれないが、様々な背景を持つ優秀な人材がいきいきと働けるように、選択肢を増やすのが目的だ」
「建設業は社員育成に時間を要する、転職が少ない業界だ。経験を積んだ人材に長く働いてもらわなければ、信頼される企業にはなれない。少子高齢化が進む中、生産性を維持するには働き方改革と、すべての優秀な人材が勤め続けられる環境整備の両輪が必要だと考えている」
「育児や家事の負担は女性に偏りがちなものの、彼女らは仕事でも重要な戦力になっており、辞めてもらっては困る。昨年実施した社内アンケートでは、育児をしながらでもキャリアを描けるか、所長や部長に昇進できるのかと不安の声があがった。社内の女性総合職は40代前半くらいまでしかいないのが実情で、ロールモデルがいないことにも起因している。職場の風土醸成や心理的安全性の改善には、ある程度の数値目標は必要だ」
――DEI推進の効果は。
「残業の削減にも間接的に効いているようだ。建設業は24年度から残業規制が適用された。正直に言えば、数年前までは(上限規制内の社員は)5割程度だった。24年度はほぼ達成する見込みとなり、安堵している」
「企業幹部が同質の人材ばかりで占められていると、不祥事の本質が顕在化されなくなるかもしれない。企業として透明性が担保できず、不健全な状態と言わざるを得ない。異なる考えを持つ人材が幹部にいれば、ほど良い緊張感でリスクを軽減できると期待している」
――今後の課題は。
「障害を持つ人にいきいき働いてもらうための施策を検討している。職種や業務を細分化して応募しやすいようにするなど体制を整えたい」
にしざわ・なおし 87年(昭62年)青山学院大経卒、鹿島入社。21年東京建築支店次長、22年執行役員・総務管理本部副本部長などを経て、24年4月から現職。
次回は5月1日に掲載します。
山陽電気鉄道 伊東正博氏(新トップ)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 114文字 PDF有 書誌情報]
◇山陽電気鉄道
伊東 正博氏(いとう・まさひろ)87年(昭62年)関西学院大商卒、山陽電気鉄道入社。22年取締役執行役員、24年代表取締役専務執行役員。兵庫県出身。61歳
(6月18日社長就任。上門一裕社長は代表権のある会長に)
Abalance 龍潤生氏(新トップ)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 12ページ 109文字 PDF有 書誌情報]
◇Abalance
龍 潤生氏(りゅう・じゅんせい)06年(平18年)WWB代表取締役。11年リアルコム(現Abalance)代表取締役、16年取締役。53歳
(6月28日代表取締役CEO就任。岡田竜介社長は相談役に)
OLC、客単価2万円超え視野 ディズニークルーズに3300億円 パークと好循環期待[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1176文字 PDF有 書誌情報]
東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は28日、2036年3月期を最終年度とする長期経営戦略を発表した。投資計画の柱となるのが29年度から通年稼働するクルーズ船事業で期間中に3300億円を投じる。テーマパークのある舞浜エリアの拡張余地が乏しくなる中、クルーズの成否は客単価引き上げにも直結する。
「既存の枠組みにとらわれない付加価値の創出に取り組む」。OLCの高橋渉社長は同日開いた記者会見で自信をのぞかせた。クルーズ船やテーマパークの大規模なエリア刷新計画を踏まえ、10カ年の長期戦略を掲げた。36年3月期には25年3月期比約1.5倍の売上高1兆円以上を目標にした。投資計画全体の額は明らかにしなかった。
24年に東京ディズニーシーに新エリア「ファンタジースプリングス」が開業したが、25年3月期の入園者数は2756万人と前の期比横ばいだった。舞浜では今後大きく拡張できる余地が少ない。目標達成には客単価(ゲスト1人当たり売上高)の引き上げが欠かせない。
25年3月期の客単価は1万7833円で前の期比7%増えた。断続的なチケット価格値上げが効いている。21年から変動価格制を導入、11年3月期に5800円だったワンデーパスは現在、7900~1万900円に上昇した。22年には有料の優先入場券も導入した。
相次ぐチケット値上げはパーク離れにつながりかねない。レジャー産業に詳しい桜美林大学の山口有次教授は「幅広い人に受け入れやすい価格設定を追求してきたが、最近は『値上げしすぎ』という声も目立ってきている」と指摘する。チケット代の値上げで、客単価2万円超えに挑むのは得策ではない。
命運を握るのがクルーズ船事業だ。クルーズ船の料金を2~4泊で1人10万~30万円とし、年間約40万人の乗客を見込む。富裕層も多いクルーズ船の乗客をTDRに送客できれば客単価の上昇に寄与する。SBI証券の栗原智也シニアアナリストは「TDRとクルーズのチケットをセットで販売するなど付加価値の高いサービスを導入できれば客単価のさらなる向上もみえてくる」とみる。
クルーズは29年度から黒字を想定し、2隻目の就航も検討する。高橋社長は「TDRでの集客基盤を活用し、クルーズ事業を成長させる好循環を生み出す」と話す。これから10年の「航路」はOLCの未来を左右する。
OLCは28日、26年3月期の連結純利益が前期比9%減の1133億円になる見通しだと発表した。最終減益は5期ぶり。入園者数は増加を見込むが、メンテナンス費や販促費などが膨らむ。
25年3月期は純利益が前の期比3%増の1241億円、売上高が10%増の6793億円と、ともに過去最高となった。ディズニーシーの新エリア開業と訪日客増で、主力のテーマパークやホテル事業が好調だった。
トヨタ系、思惑買い拡大 グループ資本再編浮上で 愛知製鋼株16%上昇[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1140文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車グループ各社に思惑買いが広がっている。豊田自動織機株は28日、制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前日比3000円(23%)高の1万6225円で配分された。25日夜に株式非公開化を検討していると伝わり、買い注文が殺到した。グループ資本の再編を連想した買いで、各社の株価は軒並み上昇した。
豊田織機株は28日の取引を終えるまで値が付かなかった。取引開始から買い注文が売り注文を大幅に上回り、取引が成立しなかった。25日夜に株式非公開化を検討していると伝わり、一定のプレミアム(上乗せ幅)を乗せたTOB(株式公開買い付け)をにらんだ買いが広がった。
トヨタなどが出資する特別目的会社(SPC)を立ち上げ、豊田織機に対してTOBを実施する案が浮上している。買収総額は6兆円規模になる可能性がある。買収総額を6兆円と仮定すると、25日終値ベースの単純計算で4割のプレミアムが乗ることになる。株価で約1万8500円の水準となり、ストップ高まで上昇してもまだ上回る。
豊田織機は26日、「資本効率の向上や特別目的会社を通じた非公開化などの様々な提案を受けているなか、企業価値向上のため、あらゆる可能性を検討している」と発表した。トヨタも「(トヨタの)一部出資も含めて、現在様々な可能性を検討している」とのコメントを出していた。
トヨタ株は一時6%高まで上昇した。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「グループの買収防衛への意識が強いことがわかり、(アクティビストなどに狙われないよう)株価を高める取り組みを進めるのではないか」との思惑が広がっているという。
別のアナリストからは「電動化対応などに迫られているなかで大きな資金が必要になる。市場が(非公開化案に)上昇で反応したのは正直サプライズ」との声も上がった。株式非公開化を巡って投じられる資金が、どの程度トヨタにリターンをもたらすのかを注視する向きがある。
主要グループで上昇率が目立ったのは愛知製鋼だ。一時17%高と年初来高値を更新した。2024年から旧村上ファンド系の投資会社などの保有が判明し、10%近くを持つ。アクティビストを株主に抱える境遇が豊田織機と近く、同様の資本再編を連想しやすかったもようだ。
アイシン(終値で3%高)や豊田合成(2%高)も上昇率が目立った。トヨタグループは23年秋のデンソーを皮切りに、政策保有株や持ち合い株の縮減が進んできた。豊田合成は持ち株比率の4割超をトヨタが保有している。他の主要グループ会社でもトヨタは2~3割を持つ。
アイシンは政策保有株の「ゼロ化」を掲げ、伊藤慎太郎副社長は「トヨタ株も対象として考えていくべきだ」と話す。投資家の関心を引く地合いが続きそうだ。
AI新興オルツ、株価急落 売上高過大計上の疑い 第三者委設置[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 873文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)開発のオルツで、主力の議事録作成サービスに関する売上高を過大計上している可能性が明らかになった。第三者委員会を設置して調査するため、2025年1~3月期の連結決算の発表を延期した。同社は24年10月に東証グロース市場に上場したばかり。グロース市場改革の議論が進む中で、新興企業のガバナンス(企業統治)が問われそうだ。
オルツ株は28日に急落。制限値幅の下限(ストップ安水準)である前週末比80円(19%)安の337円まで切り下げた。
オルツはメディアドゥで取締役を務めた米倉千貴社長が14年に設立した。AIを使ったサービス開発を主力とし、生成AIを活用して従業員の分身をつくる「デジタルクローン」も手掛ける。
売り上げの過大計上が疑われているのは、オルツの売上高の9割を占める議事録作成サービス「AI GIJIROKU」だ。自社で開発している音声認識技術などを使って、日本語や英語など35カ国語に対応する。20年にサービスを始め、25年1月時点で利用企業数は9000社となったとしている。
販売経路は自社で直接販売する場合と販売代理店を通じて顧客企業に販売する場合がある。4月初旬から証券取引等監視委員会の調査を受けており、「一部の販売パートナーから受注し計上した売り上げについて、有料アカウントが実際には利用されていないなど、過大に計上されている可能性が認められた」としている。
オルツは28日、日本経済新聞の取材に「現在第三者委員会の調査中のため、取材は差し控えたい」と答えた。
有価証券報告書によると、主要な販売代理店は3社あり、24年12月期の連結業績では売上高60億円のうち約5割をこのうちの1社に依存している。また、連結売上高に占める広告宣伝費比率は76%となっている。
上場前にはベンチャーキャピタル(VC)大手のジャフコグループなども出資している。新規株式公開(IPO)時には会計監査を監査法人シドー、主幹事証券は大和証券が務めた。大和証券は「事案は認識しているが、個別の案件のためコメントは差し控える」とした。
TOTO、中国2拠点閉鎖 不動産不況で採算悪化[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 740文字 PDF有 書誌情報]
TOTOは28日、中国にある衛生陶器の製造2拠点を閉鎖すると発表した。2026年3月期に関連費用を特別損失として計上する。中国は不動産不況に端を発した景気停滞が続いている。競合他社との価格競争に巻き込まれて採算が悪化したため、事業の見直しが必要だと判断した。
同社は中国国内に3つの製造拠点を抱える。このうち、北京市と上海市にある工場について同日、稼働を停止した。近く閉鎖し、運営会社も清算する。
2社の24年12月期の売上高は計約8億元(約157億円)、従業員数は今年4月1日時点で計約2000人。従業員の処遇は調整中としている。
今後は25年中に稼働を予定する遼寧省大連市の新工場を含めた2拠点体制に移行する。閉鎖で生産能力は現行より4割程度減るが、自動化が進む残りの拠点において稼働率と生産性の最適化を図る。
26年3月期に構造改革費用として計上する特別損失の金額については「精査中」としている。田村信也社長は「プラスに転じるための止血剤を入れる費用を計上している」と説明した。
中国は国内総生産(GDP)の3割程度を占めるとされる不動産とその関連産業が低迷し、その余波を受けて消費減退が続く。
同社は市場が拡大する中高級分野で新商品を順次投入し、巻き返しを図る。田村社長は「中国事業を安定した状態に戻すことが最大の課題」と強調した。
同日発表した25年3月期の連結業績は売上高が前の期比3%増の7244億円、純利益が67%減の121億円だった。工場閉鎖とは別に中国事業関連で発生した減損などで約340億円の特別損失を計上した。
26年3月期は売上高が前期比4%増の7535億円、純利益は2.5倍の310億円を見込む。半導体製造装置向けのセラミック事業が利益を押し上げる。
米アラスカのLNG開発 JERA、調達を検討[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 504文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAは28日、トランプ米政権が日本勢の参画を求めるアラスカでの液化天然ガス(LNG)開発事業に関連して、アラスカからのLNG調達を検討していく考えを示した。同日開いた決算説明会で前川尚大財務戦略統括部長が「色々な選択肢のなかで、当然検討していく」と語った。
具体的な日本政府とのやりとりの有無については明言を避けた。
トランプ米大統領は3月の施政方針演説でアラスカのLNG開発事業について「日本と韓国はパートナーになりたがっている」と話していた。米政権はこれまで、米国産LNGの輸出拡大方針も示してきた。
JERAのLNG取引量は3000万トン超と世界有数の規模で、調達先はアジアやオーストラリアの比率が高い。米国産LNGの調達拡大について「個別案件の供給安定性や経済性を見て判断する」(前川氏)とした。
JERAが28日に発表した2025年3月期の連結純利益は、前の期比54%減の1839億円だった。前の期は資源価格の急落で一過性の「期ずれ差益」を計上したが、前期は資源価格の変動が少なかったため反動がでた。LNGや石炭の燃料取引事業の利益も悪化した。
住商といすゞ、インド商用車会社を売却 価格競争で伸び悩み[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 419文字 PDF有 書誌情報]
住友商事といすゞ自動車は28日、インドで商用車を生産するSMLいすゞの全保有株式をインド自動車大手のマヒンドラ・アンド・マヒンドラに売却すると発表した。インドの商用車市場は現地企業の価格競争力が高く、販売台数が伸び悩んでいた。住商はSMLの株式の43.96%、いすゞは15%を保有する。マヒンドラによると、取得総額は約90億円。
SMLは現地でいすゞブランドの中型トラックやバスを生産している。2025年3月期の生産台数は約1万4000台だった。いすゞが部品供給していたが17年以降の供給実績はなく、現地のアフターサービスだけを担当していた。
いすゞはSMLとは別に三菱商事とインドで共同出資会社を運営しており、主に個人向けのピックアップトラックを生産している。いすゞは31年3月期までの中期経営計画でインドを「戦略地域」と位置づけている。インド事業はピックアップトラックの生産に集中するほか、新興国向けの車種の開発拠点として活用する。
住友ファーマ、前期黒字転換[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 203文字 PDF有 書誌情報]
住友ファーマは28日、2025年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が236億円の黒字(前の期は3149億円の赤字)になったと発表した。160億円の黒字を見込んでいた従来予想から76億円上方修正した。北米で前立腺がん治療薬「オルゴビクス」などの売り上げが想定を上回った。新薬の研究開発費や販管費の圧縮も寄与した。売上高にあたる売上収益は前の期比27%増の3988億円と従来予想から178億円上方修正した。
アンリツ オーストリアの測定器会社を買収[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 181文字 PDF有 書誌情報]
計測機器を手がけるアンリツは、オーストリアの測定器会社を買収すると発表した。買収額は5400万ユーロ(約88億円)。規制当局の承認などを経て、7月に全株式を取得し子会社化する。計測機器の販路拡大につなげるほか、自動車向けの試験装置の開発などで協業する。買収するのはDEWETRON(デュートロン)。電力量などを高速でデータ分析する計測機器を製造・販売している。
Sansan デジタル名刺交換時に効果音[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 178文字 PDF有 書誌情報]
名刺管理サービスを手掛けるSansanは同社の名刺管理アプリ「Eight(エイト)」でQRコードを使って名刺交換する際、スマートフォンから効果音が鳴るようにした。名刺情報が送られたタイミングで「エイト」という音と振動が発生する。受け取り側も名刺管理アプリを使っている場合は相手にも同様の反応がある。これまでは無音で、きちんと交換できたか分かりづらかった。
トクヤマの今期、営業最高益に[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 149文字 PDF有 書誌情報]
トクヤマは28日、2026年3月期の連結営業利益が前期比38%増の415億円になる見通しだと発表した。純利益を除いて過去最高益を見込む。人工知能(AI)やデータセンター向けの先端半導体の市況が回復し、多結晶シリコンの需要拡大を想定する。好業績を背景に年間配当は120円と、前期から20円増配する。
キーエンス前社長が取締役退任[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
キーエンス前社長の山本晃則氏(60)が6月13日付で取締役を退任する。2010年から19年まで社長を務め、海外展開を加速させた。キーエンスの利益率向上と事業規模拡大を両立させた山本氏には、大企業やスタートアップ問わず経営参画の引き合いが強いとみられ、進路が注目される。
九電工、「クラフティア」に変更[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
九電工は28日、10月から社名を「クラフティア」に変更すると発表した。関東や関西での売上高が全体の3割を超え、空調工事が伸びるなど電気工事から事業領域が広がっているため。社名変更は設立時の「九州電気工事」から現在の社名となった1989年以来、36年ぶりとなる。
日立、AI軸に5000億円投資 米テックと競わず共存 鉄道・エネ分野、強みで勝負(ビジネスTODAY)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1720文字 PDF有 書誌情報]
日立製作所は28日、2028年3月期を最終年度とする3カ年の経営計画を公表した。人工知能(AI)を成長の軸に据え、新事業の創出に5000億円を投資する。データセンターや鉄道など自社が強みを発揮できる領域を明確にし、米巨大テックと競わず共存する。日本企業がデジタルビジネスで生き残るうえで、一つの解を示そうとしている。
「日立を次のステージに引き上げる」。就任後初の記者会見となった28日、徳永俊昭社長は力を込めた。
所信表明といえる新中計で、成長のコアに据えたのはAIだ。デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤サービス「ルマーダ」にAIを組み合わせるほか、徳永社長の直轄組織として4月に新設した新事業部門「戦略SIBビジネスユニット」が中心となり、3年間で5000億円を事業開発投資に充てる。
09年3月期に巨額赤字を出した経営危機から10年以上かけて構造改革を進めてきた日立。日立金属など「御三家」を売却する一方、スイスABBの送配電事業など買収した事業を軸に稼ぐ力を身につけたのが22年から3年間の取り組みだった。
この間に起きたパラダイムシフトが22年11月に公開された米オープンAIの「Chat(チャット)GPT」をはじめとした生成AI技術の進化だ。独調査会社スタティスタによると、世界のAI市場は30年に8267億ドル(約118兆円)と24年から4.5倍に拡大する。
22年に公表した中計では、AIに関する表記はほとんどなかった。今回、徳永社長は「生成AIの進展を日立の成長に取り込む」と語り、戦略を練り上げてきた。
AIビジネスはアプリケーション、基盤モデル、クラウド、ハードウエア、電力設備の5層に分解できる。クラウドは米アマゾン・ドット・コムや米マイクロソフト、米グーグルの3強が世界シェア3分の2を占める。基盤モデルは米オープンAIなどが先行する。ハードウエアでも米エヌビディアが画像処理半導体(GPU)で世界シェア9割を持つ。
日立は巨大テックが強い領域では戦わず、電力設備とアプリケーションに注力する。自社で手掛けるエネルギー関連設備や鉄道、産業機器などの社会インフラ製品をデータを生み出す源泉と位置づけ、独自の強みを出そうとするのが戦略だ。
代表例はエヌビディアと協業して開発した鉄道の運用や保守向けAIソリューション「HMAX」だ。車両や信号などからリアルタイムにデータを収集してAIで分析し、保守コストや列車の遅延を削減する。新たな経営計画ではHMAXで培ったAI技術を他社の鉄道車両にも搭載したり、エネルギーなど他産業にも応用したりする方針を示した。
日立は3年間の年平均成長率として売上収益で7~9%(過去3年平均は8%)、28年3月期の調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)率で13~15%(25年3月期は11%)を目指す。ゴールドマン・サックス証券の原田亮アナリストは「エネルギーや鉄道などインフラビジネスをDXし、いかに継続収益を得られるモデルに転換できるかが課題」と指摘する。
次の一手も模索する。AIで需要が急増するデータセンターでは、空調や冷却技術、変圧器や小型モジュール炉(SMR)の事業を育成する。量子コンピューターや宇宙など次世代技術への研究開発投資には1兆3000億円を投じる。
「成長性や収益性が少ない事業は領域を選ばず対応を考える」(徳永社長)と事業構造改革を続ける考えも示した。
足元の事業環境は不透明さを増している。同日発表した25年3月期(国際会計基準、連結ベース)の売上収益は微増の9兆7833億円、純利益は前の期比4%増の6157億円だった。
26年3月期は売上収益で3%増、純利益で15%増を見込む。トランプ米政権の相互関税による業績への負の影響について、調整後EBITAで300億円を織り込んだ。
関税政策の影響は米国での現地生産や供給網の見直しなどを通じて対応する。不透明な環境で事業推進のスピード感をいかに高められるかが持続的な成長のカギを握る。
(杜師康佑)
【図・写真】徳永社長はAIを成長の軸に据える考えを示した(28日のオンライン説明会)
ファーストリテイリング 柳井会長兼社長(ニュース一言)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 13ページ 193文字 PDF有 書誌情報]
真のグローバルブランドを目指す全く新しいステージに入った。ここから先は誰もやったことがない斬新な発想で世界最高水準の商品やサービスを作り出すことが必要だ。
2025年8月期は連結純利益が5期連続で最高益を更新する見込みのファーストリテイリング。米国の関税政策で世界経済に不透明感が増すなか、柳井正会長兼社長は「発生する問題を一つ一つ解決し、失敗を恐れず新たな挑戦を続けていく」と話す。
星が見えなくなる日 人工衛星の光急増で邪魔に 天文研究存続の危機[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 2011文字 PDF有 書誌情報]
人工衛星が夜空を変え、科学への影響が出ている。衛星で反射した光が天体の繊細な光をかき消し、天文観測に支障をきたしているからだ。背景にあるのが、多数の衛星を一体運用する衛星コンステレーションの台頭だ。衛星がもたらす恩恵を享受しつつ暗く静かな夜空をいかに守るか――。共存に向けて模索が始まっている。
星々の間を一筋の光が線を描くように写る。その正体は流れ星でも飛行機でもない。はるか550キロメートル上空を周回する米スペースXの衛星通信網「スターリンク」の衛星の光跡だ。
衛星コンステレーションの急増は、天文学者の間で大きな懸念になり始めている。天文学者で国立天文台の平松正顕・周波数資源保護室長によると、米ハワイ島で運用している「すばる望遠鏡」では約10枚に1枚に衛星の反射光が観測画像に写り込むようになった。世界中の天文台でも同様の報告が相次ぐという。
2025年2月には国連の宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の科学技術小委員会で初めて衛星コンステレーションの光の問題が公式な議題にあがり、世界レベルで話し合われる機会となった。29年まで毎年議論を重ねることで合意した。
参加したチリ代表の外交官、ミラ・フランシスコ氏は「暗く静かな空を守りながら、技術の進歩を受け入れるバランスの取れたアプローチを見つけることが不可欠だ」と訴える。ただ、人工衛星を使った全地球測位システム(GPS)などはもはや生活に欠かせないインフラとなっており、どう折り合いをつけるかは難しい。
望遠鏡による撮像観測では、得られた画像データから天体の位置や明るさ、形といった様々な情報を読み取る。光跡が観測対象と重なると、正確な測定ができないこともあるが、同じ領域を複数回観測して画像処理を施すことでその影響を軽減できる。
ただ今後、衛星の数が大幅に増えると影響はより深刻になる。国立天文台ハワイ観測所の寺居剛氏は「より多くの観測画像を撮る必要に迫られたり、長時間露出の撮像が困難になったりし、観測効率が著しく低下する恐れがある」と話す。
実際に23年に英科学誌ネイチャー・アストロノミーに発表された論文によると、25年に初観測を迎える南米チリの「ベラ・ルービン天文台」では、今後10年間で観測できる天体の数が7.5%減少し、観測プロジェクトに約2180万ドルの追加費用がかさむと試算された。
天文学は人類の歴史とともに発展した最古の学問の一つだ。古代より人々は星を眺め、旅の道しるべにしたり、芸術活動のインスピレーションを得たりしてきた。宇宙の成り立ちや法則の解明は、人類がどのような世界に生き、ルーツを持っているのかを知るために欠かせない。「多くの人が宇宙に触れたいという欲求を潜在的に持っている。天文学は人類を知的に豊かにする意義がある」と平松氏は強調する。
宇宙の謎を解くために培われた技術は、暮らしや社会を支える技術に展開できる可能性も秘めている。例えば、無線でインターネットに接続するためのWi―Fiの基盤技術は、オーストラリアの電波天文学者が開発した。微弱な光や電波を捉える技術は、医療や次世代通信などに応用できる。
世界で運用中の衛星は9000基以上ある。内閣府によると、22年に打ち上げられた衛星は過去最多の2368基で、過去10年間で約11倍に増加した。けん引するのがスペースXで、これまでに7000基以上を打ち上げた。米アマゾン・ドット・コムといった欧米企業や中国も大規模な衛星コンステレーションの構築を進める。
天文学と衛星事業との共存に向け、世界の天文学者で構成される国際天文学連合(IAU)は22年、衛星コンステレーションの影響から天文学を守るための組織を傘下に新設した。衛星事業者も参加し、衛星による影響の評価や低減について議論を進めている。
対策に協力的な事業者も現れている。スペースXは衛星に特殊なフィルムを貼って反射光を抑える措置をとっている。IAUも衛星の位置と通過時間を予測するソフトウエアの開発を進める。そのデータを基に天文学者が観測計画を立てるなどし、衛星による影響の軽減を図る狙いがある。
各国で基準やルール作りを進めることも欠かせない。米国では、衛星の打ち上げを認可する政府機関が環境への影響を確認し、反射光の対策も要請している。
ただ、各国には自国の衛星事業者のビジネスの妨げになることを避けたい思惑もある。国際的な規制の枠組みを設けるのは難航必至とみられ、COPUOSの小委員会で今後どのように議論が進展するかが注目される。
平松氏は「天文学者と事業者はもちろん、様々なステークホルダーも巻き込みながら、様々な視点から共存への道のりを考えることが欠かせない」と訴える。
(桑村大)
【図・写真】チリのセロ・トロロ汎米天文台で撮影された観測画像。スターリンクの光跡が写り込んでいる=同天文台など提供
新型量子計算機が稼働 米社が理研に設置、国内初 スパコンと連携で演算[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1270文字 PDF有 書誌情報]
原子が電気的性質を帯びているイオンを使って計算をする「イオントラップ方式」の量子コンピューターが、日本で稼働を始めた。日本でこの方式の量子コンピューターが稼働するのは初めてとなる。スーパーコンピューターとの連携を目指しており、今までのコンピューターでは不可能だった演算を実現する可能性を秘める。
埼玉県にある理化学研究所和光キャンパス。一画に作られた専用のクリーンルームの中で、米クオンティニュアム社が開発したイオントラップ方式の量子コンピューター「黎明(れいめい)」が2月、稼働を始めた。
量子コンピューターの計算素子は「量子ビット」と呼ばれ、計算性能を示す指標にもなっている。黎明は20量子ビットまで拡大できる設計だ。同社の量子コンピューターとしては世界で3台目になり、米国以外で稼働するのは初となる。
専用の建物には厳重な免震構造を導入した。同社日本法人の結解秀哉CEO(最高経営責任者)は「施設の準備を含め、ベストなものを理研が用意してくれた。実機の設置は大きな一歩だ」と話す。
量子コンピューターは高効率な触媒や電池材料の開発、金融取引での活用など、幅広い分野への展開が期待されている。
量子コンピューターの計算に欠かせない量子状態をつくり出すために、様々な方法が提案されている。最も開発が進んでいるのは絶対零度近くまで素子を冷却して使う「超電導方式」だ。ただ、現状では量子ビットの数や冷凍機の大きさなどに制限があり、量子コンピューターの大規模・高性能化に向けた課題になっている。
同社が開発しているのはイオントラップ方式の量子コンピューターだ。イオンを量子ビットに使い、レーザーで操作や測定をして計算に利用する。量子状態を維持しやすく、エラーが起こりにくい。一方で、量子ビットを精密に操作する必要があるほか、イオンを移動させるなどの操作に時間がかかり、計算速度がほかの方式に劣る課題がある。
黎明は1インチ四方のチップ上にマイクロメートル単位の細かな溝が掘られている。ここでイオンを閉じ込めたり動かしたりする。チップはバスケットボールサイズの容器に格納され、セ氏マイナス250度ほどに冷却される。容器にあるいくつかの窓からレーザー光を照射し、イオンの冷却や移動、量子状態の測定をする。
同社は量子ビットを2つ使う「2量子ビットゲート」という操作に強みを持つ。電圧の力で量子ビットを自由に動かし、計算速度の上昇などにつながるという。
黎明は理研やソフトバンクと共同で、スーパーコンピューター「富岳」と組み合わせる研究に使われる。スパコンと組み合わせることでエラーの発生を抑える効果が見込まれる。
同社は25年中には96量子ビットの量子コンピューターである「Helios(ヘリオス)」を開発する。超電導方式以外にも光を使った量子コンピューターなど、本命はまだ定まっていない。ただ多くの開発企業が30年前後を実用化の一つの目安として設定している。
【図・写真】米クオンティニュアム社が理研に設置した量子コンピューター「黎明」=同社提供
動物大量死、衛星が見た主犯 温暖化で細菌増や餌減少[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1181文字 PDF有 書誌情報]
宇宙から地上を見張る人工衛星が、野生のゾウやフラミンゴの命を脅かす主犯の正体に迫る。湖やくぼ地にたまる水の反射率や動物の死骸の分布など、一見すると無関係に思えるデータを集めて解析した。すると、人間の活動が生んだ気候変動が病原体の急増や餌の減少を招き、野生動物を追い詰めた構図が見えてきた。
文明社会が動物に与える被害は、温暖化による暑さの影響を超えた段階に足を踏み入れた。
物事を俯瞰(ふかん)してみると、それまで別々に考えていた出来事の意外な関係性に気がつく。科学研究も同じだ。宇宙開発の進歩は、地上をくまなく観察する目を人類に与えた。近い場所からは見過ごす現象も、人工衛星から眺めれば解明の糸口が見つかる。衛星は気候変動が生物に与える予想外の影響を捉えた。
2020年の春から秋にアフリカ南部・ボツワナで350頭を超えるゾウが命を落とし、関係者に衝撃を与えた。同国には世界最多の約13万頭ものアフリカゾウが生息する。大量死は広大な湿地帯「オカバンゴ・デルタ」で見つかった。
多数のゾウはなぜ亡くなったのか。英キングス・カレッジ・ロンドンなどは、欧州の人工衛星「センチネル2」が集めた各種のデータを分析した。
そこで判明した死因は、水辺で光合成をする細菌のシアノバクテリアが生む神経毒だった。20年9月にはボツワナ政府も同様の調査結果を発表したが、確証を得ていなかった。
湿地帯にある約3000カ所の水辺と、ゾウの死骸との位置関係を調べた。光合成を担う葉緑体が含む色素の反射率をもとに、ゾウの死骸の近くで細菌が大量に発生した場所を20カ所突き止めた。毒を含む水を飲んだとみられるゾウは、水辺から平均で約16.5キロメートル移動し、おおむね88時間以内に命を落とした。
致死的な細菌はなぜ増えたのか。気温や降水量のデータを参照した。すると19年は数十年に一度のきわめて乾燥した気候だったのに対して、20年には極端な豪雨が起きていた。
干ばつで地面が蓄えた栄養分が豪雨で流出し、細菌が一気に増えた可能性がある。気候変動は暑さではなく、危険な病原体を通じてゾウの命を奪った。
広大なサバンナをピンク色に彩るフラミンゴにも危機が迫る。同大学の別のチームは、小型のコフラミンゴが生息数を減らした謎に挑んだ。東アフリカにある22カ所の湖を、20年以上監視した。
すると湖の面積が増え、葉緑体が含む色素の濃度は薄くなっていた。コフラミンゴが餌の植物プランクトンを得づらくなった状況を示す。実際に生息数の減少と相関があった。湖を悲劇の地に変えた主犯は、やはり気候変動だった。豪雨が餌を減らし、繁殖を難しくした。
今後も気候変動で極端な豪雨や干ばつが増える。アフリカはその影響を強く受ける地域だ。衛星は、生態系が被害を受ける証拠を抜け目なくつかむだろう。
(松添亮甫、黒田愛奈)
慶応大学、電力大幅減の光ファイバー データセンター向け AI拡大、懸念の消費電力削減へ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1111文字 PDF有 書誌情報]
慶応大学の小池康博特任教授らは、データセンターの消費電力や開設コストを大幅に削減できる新型光ファイバーを開発した。人工知能(AI)利用の拡大で懸念される消費電力の急増を低コストで解決できると期待される。
開発したプラスチック製光ファイバー(POF)は、データセンターのサーバーと呼ばれるコンピューター間を接続する用途に使う。
小池特任教授らは2021年にデータ伝送時の誤りがほとんどないプラスチック製光ファイバーを開発していた。今回、ファイバー内の不均一な構造を利用して光の散乱を制御するよう改良した。その結果、データセンター向けの次世代通信方式「PAM4」を使い、現在使われる速度の2倍にあたる毎秒106ギガ(ギガは10億)ビットでほとんど誤りなくデータを送ることに成功し、実用化にめどをつけた。
データエラーがガラス製光ファイバーの1万分の1から10万分の1になりエラー訂正の必要がない水準だという。データの伝送時に使われる電力の多くはエラー訂正のために消費されており、データを誤りなく伝える信号補正回路を使わずにすむことで伝送にかかる消費電力を25%から最大50%程度削減できる見込みで、遅延短縮にもつながる。
製造法の改良によって接続ケーブルのコストも大幅に抑えられる。複数のプラスチック製光ファイバーを一体化して製造する技術も開発した。精密な金型と樹脂の押し出し成型技術を組み合わせて、1本のケーブルの中に複数の光ファイバーを正確に並べられる。
現在のデータセンター用ケーブルは高速でデータを伝送するため主に8本の光ファイバーを束ねており、今後さらに2倍の16本へ増える見通しだ。従来は1本ずつ精密に位置を決めて束ねるために1個1万円程度のコネクターが必要だったが、新製法のプラスチック製光ファイバーを使えば同100円程度のものですむという。
大規模なデータセンターでは10万台を超えるサーバーが設置され、サーバー間を複数のケーブルで接続している。消費電力は10万キロワットを超えるが、AI向け半導体を搭載したサーバーは従来の10倍の電力を消費するとされ、AI利用の拡大で消費電力がさらに急増すると懸念されている。
国内でも複数の大規模データセンターの新設が計画されており、電力不足を招くのではないかと心配されていた。
プラスチック製光ファイバーはガラス製に比べて安価で折り曲げに強いなどの特徴がある。一方で長距離のデータ伝送には向かず、データセンター向けなど短距離用に開発が進んでいる。
成果は光通信分野で世界最大の国際会議「OFC 2025」で発表した。
【図・写真】複数の光ファイバーを一体化して製造できる
新型量子計算機が稼働――多様な実機、日本にそろう 部材開発競争の好機に[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
量子コンピューターは様々な方式が提案されている。イオントラップ方式は超電導方式と同じくらい古くから開発が進み、実機が動いている数少ない方式の一つだ。
国内研究機関では超電導方式や光方式の量子コンピューターも稼働している。
米クエラ・コンピューティングの中性原子方式の量子コンピューターが産業技術総合研究所で稼働予定だ。国内外の様々な方式の実機が日本にそろう。
その意義は大きい。日本総合研究所の間瀬英之氏は「イオントラップなどでは高度なレーザー技術や真空技術が必要だ。これらの技術力を持っている可能性がある日本の中小企業・メーカーは、海外企業も発掘したいのではないか」と話す。
実機が国内にあることで開発した部材の試験が容易になり、量子コンピューターに最適化された製品の開発につながるとされる。
日本にある実機を生かして量子コンピューター分野で産学が連携した上で、いかに世界の開発競争で存在感を発揮できるか。好機を生かす戦略が重要になる。
(福井健人)
ブラックホール閃光に条件(FromAcademia)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 222文字 PDF有 書誌情報]
名古屋大学などの国際研究グループは、銀河の中心にあるブラックホールからほぼ光の速度で出てきて閃光(せんこう)を発する「ジェット」と呼ばれる現象の発生条件を明らかにした。ブラックホールにガスが吸い込まれていく過程でガスの円盤構造が急速に小さくなり、内側の穴の半径が約64キロメートルに達したときに噴出するとわかった。
成果は日本天文学会欧文研究報告の「パブリケーションズ・オブ・ジ・アストロノミカル・ソサイエティ・オブ・ジャパン」に掲載された。
20万個の岩石を短時間解析(FromAcademia)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 220文字 PDF有 書誌情報]
東京大学の研究チームは、人工知能(AI)を活用して画像から岩石の形や向き、分布などを短時間で精度良く解析する手法を開発した。小惑星「リュウグウ」や「ベンヌ」の表面を日米の探査機が写した1万枚の画像で解析すると、約20万個の岩石を短時間で識別した。小惑星の形成過程の解明に役立つ。研究チームは約7万個の岩石一つずつの輪郭を縁取り、精度の高いデータを収集した。集めたデータをAIに学習させ、自動で高精度かつ高速に画像を解析する手法を開発した。
光免疫療法の経過を解析(FromAcademia)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 209文字 PDF有 書誌情報]
関西医科大学と島津製作所は、光を当ててがんを破壊する「光免疫療法」の効果を確かめる臨床研究を始めると発表した。光免疫療法の治療経過を特殊な分析装置で解析する。治療効果の改善などにつなげる。
光免疫療法は、がん細胞にくっつく抗体医薬を患者に投与する。抗体医薬には光に反応する色素がついており、この色素と光を反応させがん細胞を破壊する。今回の臨床研究は関西医科大付属病院で光免疫療法を受けている患者5人を対象に実施する。
同乗者といると事故減(FromAcademia)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 14ページ 208文字 PDF有 書誌情報]
筑波大学や東京大学などの研究チームは、車の運転時に同乗者がいると高齢運転者による事故が起きにくい傾向があると明らかにした。2014~20年の国内の交通事故のデータを分析した。
運転者は過失が重い「第1当事者」と、過失がなかったと考えられる「第2当事者」に分けられる。
今回の研究では第1当事者で同乗者がいた運転者の割合が少ないことを明らかにした。国際学術誌「ジャーナル・オブ・セーフティー・リサーチ」に掲載された。
コマツ、純利益30%減、今期 米関税で943億円下押し[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1296文字 PDF有 書誌情報]
コマツは28日、2026年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比30%減の3090億円になる見通しだと発表した。事前の市場予想(4030億円)を下回る。米政権の関税政策で総額943億円のマイナス影響が出る。為替を1ドル=135円(前期は152・8円)と、実勢より8円ほど円高に設定することも響く。
同日、1000億円もしくは4000万株を上限とする自社株買いを発表した。最大で発行済み株式総数(自己株式を除く)の4・3%にあたる。期間は4月30日から11月28日までで取得分はすべて消却する予定だ。
943億円の内訳は関税コストによる原価増で785億円、需要減による販売数量減で158億円。今吉琢也社長は「関税分はサーチャージのような形で価格転嫁することも検討する。環境を見ながら考えたい」と値上げも検討する。
コマツは米国向けの製品の約半分(金額ベース)を日本や中国などで生産する。主力の建設機械・車両部門では関税によるコスト増影響を1400億円としつつ、米国にある在庫を考慮し780億円と見積もった。産業機械の影響は5億円とした。
販売影響は名目GDP(国内総生産)をもとに分析。堀越健・最高財務責任者(CFO)は決算会見で「過去の建機需要と相関が強かったのは名目GDP。成長率が1・1%下がると建機需要が2・7%下がると判断した」。
今期の売上高は9%減の3兆7450億円、営業利益は27%減の4780億円を見込む。関税影響に加え、為替も建機・車両部門で約1300億円の営業減益要因になる。現状の予想には中国からの報復関税による影響のみを織り込んだ。もし各国からの報復関税が発動されれば業績をさらに圧迫しかねない。
建機・車両部門の売上高を地域別にみると、ほぼすべての地域で減収予想だ。北米が13%減、前期に好調だったオセアニアやアジア(日本・中国除く)もそれぞれ17%減、14%減となる。関税影響などで油圧ショベルなど主要7建機の需要見通し(台数ベース)は前年並み~5%減を見込む。地域別では、住宅着工件数が低迷する北米で5~10%減と落ち込みが目立つ。欧州や日本は前年並み~5%減の予想だ。
一方、市場は過度に悲観的ではない。株価は28日午後2時半の決算発表後に一時4016円(前営業日は4035円)に下がったが、再び上昇し終値は2%高の4127円だった。同社は自社株買い表明に加え、関税影響を可能な限り精査して算出した。為替レートも135円と慎重にみており、悪材料の多くが出たとの見方がある。
実際、円高影響を除くと増収見通しの地域もある。鉱山機械が堅調の中南米は為替変動を除くと9%の増収予想だ。ゴールドマン・サックス証券の足立武瑠アナリストは「コマツの鉱山機械売り上げの7割近くは部品・サービスが創出しており、新車需要が見通しづらい環境でも業績が影響されにくい」と評価する。
関税対策として、部品調達の体制変更などにも中長期的に取り組む方針だ。今吉社長は「日本からカナダに輸出する製品を米国経由で送らず、カナダに直送するなどの関税回避策にはすでに着手している」と話した。
米関税で明暗シナリオ、TDK、今期2割減益も[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 827文字 PDF有 書誌情報]
TDKは28日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が下限値で前期比19%減の1350億円になる見通しだと発表した。トランプ米政権の関税政策の影響でスマートフォンや自動車の市場が縮小し、小型2次電池や車載向け部品など幅広い製品の需要が減るとみている。純利益の上限値では2%増の1700億円と過去最高を見込む。
TDKの斎藤昇社長は同日のオンライン会見で「米関税政策により業績見通しが困難なため、2つのシナリオで業績を予想した」と説明した。米関税影響を一切織り込まない「ベースシナリオ」と、織り込んだ「リスクシナリオ」を開示した。いずれのシナリオでも年間配当は30円とし、株式分割後ベースでは前期比で横ばいとなる。
リスクシナリオの売上高は4%減の2兆1200億円、営業利益は20%減の1800億円を見込む。関税影響は、売上高で800億円の、営業利益で450億円の減少要因になると試算した。
斎藤社長は「関税はコントロールできない。品質向上や生産性の改善で自力を高めていく」と強調した。付加価値の高いシリコン素材を使った次世代2次電池の拡販で収益性を改善する。中国での増値税(付加価値税)の還付率引き下げによる税負担増加は、価格転嫁で補う方針だ。
為替想定レートは1ドル=140円と前期から10円以上円高方向に設定した。前期ベースでは、対ドルで1円の円高が20億円の営業減益要因になる。
ベースシナリオの売上高は微減の2兆2000億円、営業利益は微増の2250億円を見込む。車載向けの需要増が見込まれるセンサーやスマホ向けの電池(バッテリー)の販売増を見込む。
同日発表した25年3月期連結決算は、売上高が前の期比5%増の2兆2048億円、純利益が34%増の1671億円だった。純利益は3年ぶりに過去最高を更新した。スマホやノートPC向け2次電池やハードディスクドライブ(HDD)向け部品が好調で、純利益は従来の会社計画の1600億円を上回った。
三菱電、3期連続最高益、今期 自社株買い最大1000億円[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 763文字 PDF有 書誌情報]
三菱電機は28日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比5%増の3400億円になる見通しだと発表した。3年連続で過去最高を更新する。ビル設備の更新需要や防衛関連の需要が拡大する。トランプ米政権の関税政策については約300億円の減益影響を織り込んだ。追加関税次第で最大700億円強に膨らむ可能性があるとみている。
同日、1000億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。同社として過去最大規模となる。株式数では発行済み株式総数(自己株除く)の2・89%にあたる6000万株を上限とする。取得期間は4月30日から10月31日まで。
藤本健一郎最高財務責任者(CFO)は同日のオンライン説明会で「今後は総還元性向50%をメドにする」と明らかにした。
26年3月期の売上高は2%減の5兆4000億円を見込む。円高が約1900億円の減収要因になる。想定レートは1ドル=140円、1ユーロ=155円とした。
営業利益は10%増の4300億円を見込む。円高が470億円の減益要因になるものの、5事業部門のうち4つが増益となる。増益額はビル設備の更新需要や空調の値上げなどが寄与するライフ部門(267億円)などが大きい。
26年3月期の米国向け売上高は約6000億円の見込み。関連する仕入れの8割を米国外から輸入する。米関税については既に発動された一律適用の相互関税10%と鉄鋼・アルミ向けの追加関税の影響を業績予想に織り込んだ。約300億円の減益影響になると見込む。
藤本CFOは関税について「全額を価格転嫁することを基本方針とする」と説明した。90日間停止されている相互関税の上乗せ分が発動された場合には減益影響が最大700億円強に膨らみかねず、その場合は価格転嫁を進めることで影響を300億円程度に抑えることを目指す。
NEC、前期20円増配、純利益最高で 今期も実質増配へ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
NECが28日発表した2025年3月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比17%増の1751億円と過去最高を更新した。配当は20円増の140円とした。26年3月期は本業の利益が増える見通し。配当は32円とし5株にする分割考慮後で実質増配になる。
売上高にあたる売上収益は2%減の3兆4234億円、営業利益は36%増の2564億円だった。主力の国内IT(情報技術)サービス事業で行政を中心に需要が旺盛だった。社会インフラ事業も航空宇宙・防衛分野で政府の防衛予算の増額が追い風だった。
25年3月期は買収関連費用や構造改革費用など一過性の損益を除いた営業利益が3113億円となり、中計目標(26年3月期までで3000億円)を前倒しで達成した。森田隆之社長は同日の決算会見で「今期は次のスタート台をどのくらいしっかりつくれるかに目標が変わってきた。来期以降の方向性をにらみながら、今期の事業を遂行していく」と話した。
今期の売上収益は前期比2%減の3兆3600億円、一過性損益を除いた調整後純利益は2%増の2300億円を見込む。航空宇宙・防衛分野では前期に引き続き5000億円超の受注額を見込む。
レーザーテク最高益 7~3月最終[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 490文字 PDF有 書誌情報]
レーザーテックが発表した2024年7月~25年3月期の連結決算は、純利益が前年同期比27%増の526億円だった。同期間として過去最高を更新した。装置の保守などサービスが好調だった。一方で半導体メーカーの投資減速を受け、売上高の先行指標である受注高は25年6月期通期に前期の半分程度の1400億円超に減るとの見通しを示した。
純利益は事前の市場予想(592億円)を11%下回った。7~3月期の売上高は7%増の1688億円、営業利益は36%増の792億円といずれも最高だった。
同社は装置を出荷後、顧客の検収が完了した時点で売り上げ計上する。フォトマスク検査装置など半導体関連装置の売上高は1335億円と2%減ったが、保守などのサービスは61%増の310億円だった。為替の円安も追い風となった。
25年6月期の受注高は、1月に1800億円程度との見方を示していたが下振れする。
28日のオンライン説明会で仙洞田哲也社長は「(今期受注は)1400億円プラスアルファくらい。25年4~6月期から回復と見ていたが、弱い状況が続きそうだ」と話した。26年から本格回復するとの予想は維持した。
東ガス、純利益81%増、今期 米シェールガス事業好調[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 400文字 PDF有 書誌情報]
東京ガスは28日、2026年3月期の連結純利益が前期比81%増の1340億円になる見通しだと発表した。米国シェールガスの単価上昇などを主因に海外事業の利益が大きく伸びる。保有不動産の売却益も全体の利益を押し上げる。年間配当は横ばいの80円とする。
売上高は4%増の2兆7540億円を見込む。セグメント利益は海外事業が約3倍の671億円になると予想する。米国の天然ガスの価格は前期通年では100万BTU(英国熱量単位)当たり2ドル台で、昨秋以降は3~4ドル程度で推移する。
南琢最高財務責任者(CFO)は同日の記者会見で「今期は先物市場を活用して販売価格を3ドル台半ばで固定化できた」と強調した。
同日発表した25年3月期の連結純利益は前の期比55%減の741億円だった。原燃料費の下落分をガスなどの料金単価に遅れて反映することで生じる「期ずれ差益」が減った。売上高は1%減の2兆6368億円だった。
マキタ、32%減益、今期最終、北米向け苦戦[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 353文字 PDF有 書誌情報]
電動工具大手のマキタは28日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比32%減の540億円になる見通しだと発表した。トランプ米政権の高関税政策によって中国の対米輸出が縮小し、北米で大幅な売り上げ減を予想する。
売上高にあたる売上収益は7%減の7000億円を見込む。同社は米国で販売する製品の約6割を中国の自社工場から供給している。現状のサプライチェーン(供給網)を維持した場合、米関税の影響が約200億円の利益下押し要因になるという。
対応策として前期に積み増した米国在庫を活用するほか、中国以外の生産分を北米に振り向けることも視野に入れる。記者会見した後藤宗利社長は「ヨーロッパやタイ、中南米などにも工場を持っている。(今後の)関税の水準次第で中国の工場以外からの輸出を検討する」と話した。
積水化が最高益 前期最終5%増 自社株買い108億円[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 211文字 PDF有 書誌情報]
積水化学工業が28日発表した2025年3月期の連結決算は、純利益が前の期比5%増の819億円だった。3期連続で過去最高益を更新した。人工知能(AI)向け半導体の需要拡大を背景に高機能プラスチック関連事業が好調だった。25年3月期の年間配当は前の期比5円増の79円と従来予想から2円積み増す。
同日、最大108億円の自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の0・96%にあたる400万株を上限とする。
キッコマン、15期ぶり減益、今期最終3%減 円高進行を反映[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 207文字 PDF有 書誌情報]
キッコーマンは28日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比3%減の596億円になる見通しだと発表した。減益は11年3月期(当時は日本基準)以来15期ぶり。円高進行が利益を押し下げる。米国の新工場稼働に向けた設備投資も重荷になる。米国の金利低下で利息収益も減る。
あわせて自社株買いを実施すると発表した。発行済み株式総数(自己株除く)の1・70%にあたる1600万株、金額で200億円を上限とする。
ソシオネクス 今期46%減益 中国景気悪化響く[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
ソシオネクストは28日、2026年3月期の連結純利益が前期比46%減の105億円になる見通しだと発表した。中国景気の悪化で通信機器や民生品に使う半導体の販売が落ち込むほか、先端半導体の研究開発費も増える。同日、最大50億円の自社株買いを発表した。30日~5月30日に440万株を上限に取得する。
編集委員 田村正之、プラチナNISAは必要か(一目均衡)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1194文字 PDF有 書誌情報]
「プラチナNISA(少額投資非課税制度)」は本当に必要だろうか。
先週、岸田文雄前首相が会長を務める自民党の「資産運用立国議員連盟」が高齢者向けのプラチナNISAなどを盛り込んだ提言書を石破茂首相に提出した。焦点の一つは毎月分配型の投資信託の解禁。議連は記者会見で「インフレの中、運用しながら取り崩す必要性が高まった」とした。
□ ■ □
議連の指摘は正しい一方、毎月分配型は弊害も多い。運用しながら一定額を取り崩せる一方、分配金を毎月払い出すために複利効果が効きづらい。運用益でなく元本を取り崩して払う「タコ足分配」もよくみられる。金融派生商品を使って新興国通貨を組み込んだ、高リスクの通貨選択型も多く売られてきた。
「高い分配金=運用好調」との誤認を背景に毎月分配型は手数料を高くしやすい。QUICK投信分析評価サービスで計算すると、投信の保有コストである総経費率は3月末時点で毎月分配型が平均年1・7%。毎月分配型以外の平均(1・2%)より4割高く、金融庁が新NISAで長期の資産形成に適すると認める「つみたて投資枠」の平均(0・5%)の3・4倍だ。
2014年のNISA導入時、金融機関はこぞって毎月分配型を売り、金融機関の収益拡大に使われていると問題視された。このため森信親・元金融庁長官が、毎月分配型など長期の運用に向かない商品を除外して18年に導入したのが、つみたて投資枠の前身であるつみたてNISAだ。
24年からの新NISAでは毎月分配型は投信選択の対象が幅広い「成長投資枠」でも除外された。新NISAの利用者が大きく増えた理由の一つは「長期投資に適さない商品が除外されている」という制度の信認にもある。
□ ■ □
では「運用しながら取り崩す」にはどうすればいいか。楽天証券など数社が導入済みの投信の「定期売却サービス」なら毎月、無料で自由な金額を取り崩せる。株価が安い時に多くの口数を売ってしまう「定額売却」だけではなく、そうした弊害が起きづらい「定率売却」も選べる。
こうしたサービスが少ない背景には「顧客の残高を減らしてしまうシステムをわざわざ資金を使って作りたくない」「それより手数料の高い毎月分配型投信を使ってもらう方がいい」という売り手側の事情がある。高齢者の取り崩しの支援なら、毎月分配型の解禁より、定期売却サービスの導入を金融機関に要請する方が有益だろう。
新NISAでは中高年向きの低リスク商品の拡充を求める声もある。ただ、現在の新NISAでも、債券だけの投信や、債券も含んだバランス型投信を選べる。
議連の提言は企業統治や市場改革なども含む幅広いもので、家計の資産形成に資する内容は多い。ただプラチナNISA案については、結果的に利用者本位でない商品が追加されたり、資産形成層向けの枠が削減されたりすれば、制度そのものの信認が揺らぎかねない。
中外炉工業、エス・エム・エス、キッコーマン、積水化学工業、TOTO、コマツ、日立製作所、三菱電機、他(自社株取得枠設定)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 292文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
中外炉工業 15万株、4億円
エス・エム・エス 338万2600株、40億円
キッコーマン 1600万株、200億円
積水化学工業 400万株、108億円
TOTO 800万株、200億円
コマツ 4000万株、1000億円
日立製作所 1億4000万株、3000億円
三菱電機 6000万株、1000億円
ソシオネクスト 440万株、50億円
マキタ 700万株、200億円
大和証券グループ本社 5000万株、500億円
岡三証券グループ 250万株、15億円
水戸証券 200万株、12億円
日本取引所グループ 4000万株、200億円
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 15ページ 4777文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 25日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
GMOインタ 2 0 418 ▲119
アズジェント 750 0 285 ▲9
ネクスウェア 0 ▲10 1349 ▲491
ぷらっと 0 0 1099 ▲13
ベースフード 421 0 18412 △7
ファンデリー 292 ▲30 554 ▲4
ゼンムテック 0 0 135 ▲26
スターシーズ 0 0 989 ▲22
インタートレ 144 ▲11 1135 ▲25
サイトリ細研 0 0 1899 0
トミタ電機 0 0 238 0
HSHD 4 0 8966 △4
ReYuu 0 0 1350 △23
イオレ 4 △4 266 △4
Schoo 0 0 2995 ▲2
Syns 2 0 1389 ▲173
イントランス 0 0 8342 ▲74
BASE 288 ▲2 22834 ▲83
テクノロジー 0 0 4326 △2
アップバンク 0 0 2543 ▲5
BCC 0 0 217 0
グロームHD 0 0 2381 0
売れるG 64 △64 498 0
ピクセル 288 0 5852 0
LIEH 0 0 578 △11
ウイルコHD 0 0 487 △1
アクアライン 0 0 47 0
タマホーム 821 ▲3 342 △4
東建コーポ 459 △59 17 ▲3
アイケイケイ 448 ▲15 40 ▲49
柿安本店 468 △1 25 ▲40
くら寿司 737 ▲31 191 ▲90
BEENOS 7 0 4 0
CRE 0 0 5 ▲2
フリービット 960 △324 504 △1
プロト 0 0 1 0
ドリームI 15 0 180 △7
ヨータイ 23 0 191 ▲6
パイオラック 21 0 20 ▲1
牧野フ 4 0 68 △3
ヤーマン 945 ▲3 158 ▲117
富士通ゼ 6 0 160 △16
ジャムコ 8 0 14 ▲2
トプコン 123 0 383 ▲44
天馬 0 0 22 △4
トナミHD 0 0 14 0
内外トランス 0 0 7 △1
イオンディラ 2 0 3 △1
イメージワン 374 ▲45 1584 ▲15
PバンCOM 6 0 334 ▲6
Eストアー 0 0 7 0
HEROZ 288 ▲1 177 ▲37
オートサーバ 0 0 54 0
全保連 0 0 332 ▲3
AIメカ 78 ▲1 392 ▲10
インスペック 24 0 279 ▲2
ナカヨ 0 0 9 0
芝浦電子 0 0 458 △102
NEWART 0 0 29 0
永大産業 299 ― 195 ―
アールシー 6 0 67 0
MUTOH 0 0 120 0
丸藤パ 0 0 43 0
ファースト住 138 ▲7 108 ▲34
広電鉄 3 0 55 0
ユーラシア 0 0 68 0
グリンランド 0 0 20 0
シャルレ 80 ▲25 194 ▲77
アルテック 1 0 2445 ▲4
ヴレインS 153 0 434 △7
ジェネパ 19 0 342 ▲3
フィスコ 234 ▲6 3671 △6
エコモット 5 0 332 ▲8
ココペリ 75 ▲46 381 △26
WACUL 9 0 107 △8
ココナラ 586 ▲185 2940 △555
カオナビ 0 0 4 0
monoAI 570 ― 727 ―
WASHハウ 45 ▲27 273 ▲6
※ 野村4百Dイ 2206 ▲1329 8315 ▲130
※ 野村高配70 43 0 3075 ▲134
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 490 ▲20
※ SMT好配当 0 0 2200 0
※ SMD高配当 0 0 2420 0
※ GXオフ日R 0 0 81 △15
※ GX住宅日R 0 0 2302 0
※ iS米25ヘ 140 0 578450 ▲4710
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ SBIサウジ 0 0 1720 ▲2
※ 野村ESGコ 0 0 820 ▲60
※ 野村欧州株H 0 0 26110 △60
※ 野村独株H有 10 0 603880 ▲1510
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 0 223370 ▲27210
※ 野村米半導 0 0 9198 △2259
※ iF高配50 2025 0 2388 △247
※ GXSPCF 0 0 10 ▲5000
※ 阪急阪神R 543 ▲30 611 ▲61
世紀東急 352 0 192 ▲2
Rフィールド 1278 △347 36 ▲50
オイシックス 135 ▲7 370 ▲7
日本調剤 891 △42 186 ▲27
Jテック・C 11 △1 206 0
ケイアイ不 48 0 66 ▲1
グッドコムA 713 △22 478 ▲3
SMINOE 17 △2 65 △3
力の源HD 291 △2 293 0
さくらネット 1967 △32 2844 △43
gumi 707 △183 3790 ▲7
フジHD 7305 △92 8157 ▲323
ACCESS 735 0 1694 △5
小林製薬 94 0 283 △2
エニーカラー 311 △101 532 ▲34
千葉興 62 0 1484 ▲5
神電鉄 24 0 10 0
サンウェルズ 2065 △8 1505 ▲15
ギフトHD 1158 △487 76 ▲19
JESCO 2 0 216 0
佐田建 24 ▲1 1265 △1
植木組 0 0 52 0
三晃金 1 △1 88 ▲4
カンロ 87 ― 62 ―
焼肉坂井HD 10 △4 271 △50
テンポスHD 410 △217 20 ▲14
パレモ・HD 31 0 1334 △3
OCHIHD 6 ▲1 12 0
菊池製作 230 △58 252 ▲6
サツドラHD 45 △11 48 △10
マツオカ 12 0 628 ▲9
enish 639 △20 2752 △14
片倉コープ 16 0 160 0
SIGG 0 0 212 0
わかもと 227 △1 1260 △2
秀英 4 ▲3 71 0
富士興 1 0 40 0
日山村硝 3 0 237 ▲3
ノザワ 0 0 201 0
大阪製鉄 1404 0 1737 △3
虹技 1 0 78 0
アルメタクス 6 0 264 0
洋シャタ 0 0 146 0
デザインワン 8 ▲6 750 ▲64
土木管理 13 ▲2 344 ▲17
油研工 0 0 67 △3
ディスラプタ 11 △5 525 △13
サクサ 1 0 165 0
星和電 0 0 129 0
池上通 7 0 180 ▲1
沢藤電 1 0 110 0
大黒屋 1960 ▲751 9153 ▲96
upr 10 0 161 ▲2
近畿車 0 0 57 0
あんしん保証 26 △4 420 △10
日本モゲジS 5 0 601 ▲6
河西工 79 ▲6 1405 ▲2
エコーTD 2 0 265 0
パリミキHD 15 0 150 △5
マックハウス 108 ▲3 145 △1
テイツー 4233 ▲32 8703 ▲129
京都友禅HD 155 0 1105 ▲11
黒田精 8 0 77 0
岡本硝子 156 △42 1773 △37
タカノ 2 0 79 0
ホクシン 54 ▲14 913 ▲1
ナイガイ 16 0 291 0
OUGHD 1 0 26 0
トルク 140 △118 320 △1
オリンピック 0 0 92 0
東北銀 0 0 45 0
富山銀 25 0 67 △6
福島銀 165 △4 1280 0
太平発 1 0 155 0
明和地所 12 0 75 ▲1
東陽倉 0 0 84 0
乾汽船 72 0 197 0
ワイヤレスG 19 ▲3 434 △3
昭文社HD 7 ― 43 ―
テアトル 17 0 17 0
日邦産業 8 0 148 0
ショクブン 5 0 94 △1
MRKHLD 81 ▲11 1115 ▲21
やまや 3 0 4 0
タイミー 1452 ▲101 2330 △103
サンクゼール 70 0 56 0
すららネット 6 0 224 ▲3
T&S・G 86 △2 237 ▲4
プレイド 249 0 2867 ▲26
エーアイ 1 0 246 △2
Kudan 217 0 638 0
スマレジ 250 △8 107 ▲4
ミンカブ 332 0 1057 ▲1
OTS 2449 △37 10333 △192
Pアンチエイ 80 0 215 0
FIXER 257 0 394 ▲4
弁護士COM 203 0 287 ▲4
MRT 1 0 101 0
レントラクス 4 0 337 ▲1
エヌピーシー 624 △12 1773 ▲23
アスタリスク 106 0 410 ▲11
PSS 227 0 994 ▲2
J・TEC 169 △9 570 △20
マイクロ波 460 ▲1 850 ▲2
日経300投信 1 0 8 △1
※ SPDR金 171 △35 3326 ▲29
※ 野村金連動 10340 △2160 109220 ▲5740
※ 日経2倍 4101 △52 30564 ▲5912
※ 日興高配低ボ 0 0 6 0
※ 日興米債ヘ有 30 0 4768 ▲91
※ One高配当 37 ▲23 6820 ▲1077
※ スタンダ20 10 0 1110 △20
※ H株ベア 240 ▲20 23520 ▲1230
※ WTI原油 41550 △1978 161621 ▲9026
※ 日興外債毎月 10 0 400 △270
※ GX印10+ 332 △197 50944 ▲1004
※ iSインド株 700 1021350
0 △14120
※ GXホリ日R 0 0 14789 △70
※ iF高リート 30 △30 14738 △500
※ MXダウヘ有 1650 0 5050 △220
※ GXウラン 50 ▲15 25435 △1236
※ iS米20 8780 ▲3020 616340 ▲1800
※ iS仏国債H 0 0 1110 ▲800
※ GX高配30 0 0 13729 △464
※ iS日本国債 562 ▲692 2748 0
※ MXナスダク 7218 ▲1710 40947 △3397
※ GXリー日株 5 0 1983 ▲4
※ iFEナ百無 18413 △835 163910 △4074
※ iFEナ百有 423 ▲4801 60732 ▲4358
※ 野村ナスH有 28600 ▲2930 127040 △3420
※ GX銀行高配 0 ▲2 49741 ▲1479
自社株買いを好感、日経平均、信越化などけん引[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
28日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、終値は前週末比134円(0・4%)高の3万5839円となった。けん引役は前週末に多額の自社株買いを発表した信越化学工業だ。米関税政策を巡る逆風下でも大規模自社株買いを打ち出す企業が多いことを市場は「自信」の表れと捉え、市場全体のムード改善につながっている。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「日本を含め貿易相手国との関税交渉が進展するというシナリオを市場は織り込み始めている」とし「投資家は『過度な悲観』から『中立』くらいのスタンスに戻ってきている」と指摘する。
信越化学株は一時前週末比359円(9%)上昇、1カ月ぶりの高値をつけた。日経平均を1銘柄で44円程度押し上げた。手掛かりは前週末の決算発表に併せて示した5000億円を上限とする自社株買いだ。発行済み株式(自己株式を除く)の約10%にあたる2億株を上限に買い付ける。同社としては過去最大の金額で、SMBC日興証券の担当アナリストである宮本剛氏は25日付のリポートで「業績への自信が感じられた」と評価した。
3月期企業の決算発表が本格化する中で、信越化学のように多額の自社株買いを発表する企業が相次いでおり、買いを集めている。4月に入り富士通は1700億円、アイシンは1200億円を上限とする自社株買いを打ち出した。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントは「還元策を打ち出した個別銘柄が相場を支えている」と話す。
野村証券が自社株取得枠の設定を発表した企業について東証株価指数(TOPIX)に対する相対株価を算出したところ、4月以降は自社株買いの株価インパクトが例年以上に大きい。発表の10営業日前を100とすると15営業日後は約106と、2023~24年の102程度を上回る。
同社の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは「投資家に現状の株価が割安だと示す『シグナリング効果』に加えて、逆風下でも耐久力がある財務への自信がある企業として投資家に安心感をもたらしている」と指摘する。もっとも自社株買いへの好反応には、強気一辺倒になれない市場のもどかしさも隠れている。
投機筋、ドル売り拡大、売越額7カ月ぶり高水準、円買い越し最大[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 378文字 PDF有 書誌情報]
みずほ銀行が米商品先物取引委員会(CFTC)のデータから算出した、ヘッジファンドなど非商業部門(投機筋)による主要8通貨に対する米ドル合成ポジション(持ち高)は22日時点で139・1億ドルの売り越しだった。前週(101億ドルの売り越し)から拡大し、2024年9月以来、7カ月ぶりの水準に膨らんだ。
トランプ米大統領が利下げに慎重な米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を検討していると報じられ、中央銀行の独立性が揺らぐとの懸念が広がった。ドルの信認低下が意識され、ドル売りにつながった。
ドル売りの動きが広がる中で、米関税政策を巡る日米交渉で円安是正が議題に上がるとの観測から、円には買いが集まった。CFTCによると、22日時点で対ドルの円の買い越し幅は17万7814枚と、過去最大を更新した。
もっとも、足元では円買いの動きに一服感が出ている。
小野薬前期 純利益61%減 予想から下振れ[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 202文字 PDF有 書誌情報]
小野薬品工業は28日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比61%減の500億円になったようだと発表した。従来予想から80億円下方修正した。慢性腎臓病薬の販売額が一定目標に達したため、開発元の米アストラゼネカ社に支払うマイルストーン支出が想定よりかさんだ。24年6月に買収した米バイオ薬品企業の棚卸し資産の償却費が増えたことも響いた。売上高にあたる売上収益は3%減の4870億円だった。
日証金、CRE株の貸借取引申し込み停止措置を一部解除[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
日証金、CRE株の貸借取引申し込み停止措置を一部解除 制度信用取引の買いの現引きに伴う申し込み停止措置を解除。30日約定分から。制度信用取引の新規売りに伴う貸株申し込みおよび融資返済申し込みは引き続き停止。
日証金、日本調剤株、シキノHT株、京都友禅HD株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
日証金、日本調剤株、シキノHT株、京都友禅HD株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。30日約定分から。
日証金、東建コーポ株、アイケイケイ株、柿安本店株、くら寿司株、フリービット株、他の貸借取引の申し込み停止措置を解除[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 100文字 PDF有 書誌情報]
日証金、東建コーポ株、アイケイケイ株、柿安本店株、くら寿司株、フリービット株、コスモHD株、全保連株、ヤーマン株、NEWART株、ファースト住株の貸借取引の申し込み停止措置を解除 30日約定分から。
日証金、テンポスHD株、Rフィールド株、菊池製作株、ケイアイ不株、gumi株、スマレジ株、他の貸借取引で注意喚起取り消し[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
日証金、テンポスHD株、Rフィールド株、菊池製作株、ケイアイ不株、gumi株、スマレジ株、エニーカラー株、ギフトHD株の貸借取引で注意喚起取り消し 貸株利用などで。28日付。
日証金、ヴレインS株、タマホーム株、キャンドゥ株、他の貸借取引の申し込み停止措置の解除および貸株利用等に関する注意喚起[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
日証金、ヴレインS株、タマホーム株、キャンドゥ株、バロック株、いちごオフィ投資証券の貸借取引の申し込み停止措置の解除および貸株利用等に関する注意喚起 30日約定分から。
東証、富士ソフト株の制度信用銘柄および貸借銘柄の選定取り消し[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 78文字 PDF有 書誌情報]
東証、富士ソフト株の制度信用銘柄および貸借銘柄の選定取り消し 26日付。日証金も同日付で貸借銘柄、28日付で貸借担保金代用有価証券適格銘柄の選定取り消し。
名証、パルマ株を制度信用銘柄に選定[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
名証、パルマ株を制度信用銘柄に選定 5月2日売買分から。日証金も同日約定分から貸借融資銘柄に追加。
東証、イオレ株の日々公表銘柄指定を解除[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 26文字 PDF有 書誌情報]
東証、イオレ株の日々公表銘柄指定を解除 28日付。
28日の相場表変更[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
▽整理銘柄に指定=〔東証プライム・監理〕富士ソフト
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 6627文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
■川崎設備工業(1777) 6.27
24.3 224 1354 845 70.7 22.0
25.3 291 2733 1958 163.7 50.0
26.3予 345 3200 2197 183.6 50.0
南海辰村建設(1850) 6.18
24.3 436 1625 1100 38.2 4.0
25.3 529 2388 1714 59.5 記6.0
26.3予 485 2240 1520 52.7 6.0
北陸電気工事(1930) 6.27
24.3 533 3645 2209 78.9 40.0
25.3 574 4611 3187 113.9 44.0
26.3予 610 4200 2900 103.6 44.0
ユアテック(1934) 6.27
24.3 2431 11885 7510 104.8 42.0
25.3 2572 17302 11982 169.9 68.0
26.3予 2670 17500 12200 177.7 72.0
中電工(1941) 6.25
24.3 2010 12742 7937 145.4 104.0
25.3 2218 23434 19895 366.9 120.0
26.3予 2300 23800 15800 291.8 130.0
関電工(1942) 6.27
24.3 5984 42648 27345 133.8 41.0
25.3 6718 59498 42380 207.4 記82.0
26.3予 7030 64000 46000 225.1 90.0
トーエネック(1946) 6.26
24.3 2528 12679 9345 499.8 200.0
25.3 2709 15360 10765 115.7 記130.0
26.3予 2770 17000 12000 129.3 52.0
九電工(1959) 6.26
24.3 4690 42362 28017 395.9 120.0
25.3 4739 44434 28883 408.4 140.0
26.3予 4900 47500 32000 452.4 180.0
中外炉工業(1964) 6.18
24.3 292 1714 2197 293.8 80.0
25.3 362 3003 2998 407.6 150.0
26.3予 375 3150 2800 381.4 150.0
エス・エム・エス(2175) 6.20
24.3 539 9901 7227 83.0 20.0
25.3 609 8357 6054 71.0 28.5
日鉄ソリューションズ(2327)〓国際基準 6.20
24.3 3106 35437 24241 265.0 85.0
25.3 3383 39076 27049 147.8 74.0
26.3予 3570 43700 29200 159.6 80.0
クシム(2345) 未定
23.10 9 ▲1401 ▲2742 ― 0
24.10 16 ▲1151 ▲1960 ― 0
コア(2359) 6.25
24.3 239 3219 2270 158.6 記50.0
25.3 245 3267 2242 156.2 55.0
26.3予 270 3600 2500 174.0 55.0
東京エレクトロン デバイス(2760) 6.20
24.3 2428 13922 9986 333.5 257.0
25.3 2163 11415 8874 295.7 119.0
26.3予 2000 10000 7000 237.5 96.0
キッコーマン(2801)国際基準 6.24
24.3 6608 75605 56441 296.0 104.0
25.3 7089 83754 61695 65.0 25.0
26.3予 7445 81800 59600 63.2 25.0
さくらインターネット(3778) 6.20
24.3 218 764 651 18.3 3.5
25.3 314 4060 2937 75.2 4.0
26.3予 404 3400 2400 60.0 5.0
トクヤマ(4043) 6.24
24.3 3419 26292 17751 246.7 80.0
25.3 3430 29588 23388 325.1 100.0
26.3予 3645 41500 29000 403.1 120.0
積水化学工業(4204) 6.20
24.3 12565 105921 77930 183.5 74.0
25.3 12977 110958 81925 195.9 79.0
26.3予 13645 116600 82000 196.4 80.0
クイック(4318) 6.20
24.3 294 5029 3505 187.4 94.0
25.3 325 4611 3583 191.6 96.0
26.3予 339 4620 3700 197.8 100.0
シーティーエス(4345) 6.20
24.3 110 2785 1858 43.9 22.5
25.3 118 3162 2190 52.5 25.0
26.3予 128 3500 2400 58.1 28.0
オリエンタルランド(4661) 6.27
24.3 6184 166005 120225 73.4 13.0
25.3 6793 173328 124160 75.6 14.0
26.3予 6933 160806 113375 69.2 14.0
菱友システムズ(4685) 6.25
24.3 370 3596 2416 379.8 120.0
25.3 427 4869 3383 531.1 170.0
26.3予 425 4900 3400 533.5 170.0
日本興業(5279) 6.20
24.3 136 464 295 101.9 30.0
25.3 147 640 393 135.7 40.0
26.3予 148 650 420 144.7 45.0
TOTO(5332) 6.24
24.3 7022 51515 37196 219.3 100.0
25.3 7244 50369 12168 71.7 100.0
26.3予 7535 52100 31000 182.7 100.0
日本ガイシ(5333) 6.26
24.3 5789 63042 40562 133.7 50.0
25.3 6195 78249 54933 186.0 60.0
26.3予 6300 70000 55000 187.7 66.0
大阪製鉄(5449) 6.25
24.3 1171 6304 3121 80.2 24.5
25.3 1164 4911 3227 82.9 34.0
日本鋳鉄管(5612) 6.26
24.3 168 896 475 147.9 44.0
25.3 169 267 ▲230 ― 25.0
日本精線(5659) 6.27
24.3 447 3699 2592 422.6 210.0
25.3 467 4585 3250 106.0 56.0
26.3予 435 3200 2300 75.0 42.0
SBIリーシングサービス(5834) 6.25
24.3 541 4944 3447 443.3 100.0
25.3 419 6084 4388 562.8 170.0
ダイハツディーゼル(6023) 6.27
24.3 817 5546 5149 162.9 49.0
25.3 887 7603 5717 180.9 62.0
26.3予 820 5000 3500 137.8 62.0
エスティック(6161) 6.19
24.3 71 1550 1133 114.0 25.0
25.3 78 1723 1181 118.7 28.0
コマツ(6301)米国基準 6.19
24.3 38651 575663 393426 416.0 167.0
25.3 41043 604838 439614 473.4 190.0
26.3予 37450 442000 309000 334.8 190.0
日立製作所(6501)国際基準 未定
24.3 97287 825801 589896 634.6 180.0
25.3 97833 962733 615724 133.9 43.0
三菱電機(6503)国際基準 6.24
24.3 52579 365853 284949 135.7 50.0
25.3 55217 437265 324084 155.7 50.0
ソシオネクスト(6526) 6.26
24.3 2212 37122 26134 148.4 140.0
25.3 1885 25118 19600 109.8 50.0
26.3予 1750 14000 10500 59.1 50.0
マキタ(6586)国際基準 6.25
24.3 7413 64017 43691 162.1 57.0
25.3 7531 108477 79338 294.9 記110.0
NEC(6701)国際基準 6.20
24.3 34772 185011 149521 561.3 120.0
25.3 34234 239771 175183 657.5 140.0
TDK(6762)国際基準 6.20
24.3 21038 179241 124687 328.7 116.0
25.3 22048 237808 167161 88.1 86.0
26.3予 21200 193000 135000 71.1 30.0
リオン(6823) 6.25
24.3 257 3562 2652 215.5 記55.0
25.3 278 4106 2859 232.2 記70.0
26.3予 289 4400 3150 255.7 70.0
日本車両製造(7102) 6.27
24.3 880 6306 5381 372.9 25.0
25.3 963 7297 6416 444.6 35.0
26.3予 930 5900 5900 408.9 40.0
KIMOTO(7908) 5.30
24.3 99 408 335 7.3 6.0
25.3 112 1378 989 21.5 8.0
26.3予 107 1150 800 17.7 7.0
■小松ウオール工業(7949) 6.25
24.3 435 3732 2775 298.1 125.0
25.3 446 3756 2650 145.6 95.0
26.3予 465 4130 2930 167.0 130.0
蝶理(8014) 6.20
24.3 3076 14476 9624 390.9 118.0
25.3 3115 16198 11658 473.1 142.0
26.3予 3300 16000 11000 446.3 144.0
豊田通商(8015)国際基準 6.20
24.3 101889 469639 331444 941.9 280.0
25.3 103095 536865 362506 343.4 105.0
東海エレクトロニクス(8071) 6.26
24.3 608 1658 491 233.2 114.0
25.3 569 1096 642 304.1 114.0
26.3予 420 620 330 156.3 114.0
ヤマナカ(8190) 6.11
24.3 860 966 471 24.6 9.0
25.3 845 730 296 15.6 10.0
26.3予 870 1200 800 42.0 10.0
三谷産業(8285) 6.17
24.3 958 2443 2068 33.6 9.0
25.3 1030 2656 2440 39.6 10.0
26.3予 1100 2950 2450 39.8 10.0
大和証券グループ本社(8601) 6.20
24.3 12774 174587 121557 84.9 44.0
25.3 13720 224716 154368 109.5 56.0
岡三証券グループ(8609) 6.27
24.3 845 18061 13167 64.3 30.0
25.3 819 15577 11652 57.6 30.0
丸三証券(8613) 6.20
24.3 186 4187 2925 44.6 60.0
25.3 188 4048 3792 57.4 60.0
東洋証券(8614) 6.25
24.3 120 1437 1305 16.4 10.0
25.3 112 1036 2653 34.5 50.0
■水戸証券(8622) 6.25
24.3 145 2803 2336 36.2 24.0
25.3 139 2328 2420 38.5 30.0
いちよし証券(8624) 6.21
24.3 188 2875 1929 57.1 34.0
25.3 188 2406 1564 47.1 34.0
■松井証券(8628) 6.29
24.3 368 15054 9790 38.1 40.0
25.3 392 15292 10501 40.8 40.0
日本取引所グループ(8697)国際基準 6.20
24.3 1528 87404 60822 116.9 91.0
25.3 1622 90277 61092 58.7 62.0
26.3予 1610 82500 55500 53.3 43.0
東京地下鉄(9023) 6.25
24.3 3892 65866 46262 79.6 32.0
25.3 4078 77008 53748 92.5 40.0
26.3予 4206 77400 58200 100.2 42.0
■大宝運輸(9040) 6.13
24.3 76 267 102 136.7 100.0
25.3 77 259 305 408.9 100.0
26.3予 81 300 180 241.2 100.0
シーユーシー(9158)国際基準 6.27
24.3 330 4138 2595 94.0 0
25.3 470 5246 3131 106.8 0
26.3予 582 5000 2880 98.2 0
キムラユニティー(9368) 6.19
24.3 614 4897 3168 144.2 55.0
25.3 611 5117 3300 155.0 63.0
26.3予 635 5400 3600 87.6 34.0
中部電力(9502) 6.26
24.3 36104 509295 403140 533.2 55.0
25.3 36692 276400 202087 267.4 60.0
26.3予 35500 230000 185000 245.0 70.0
北陸電力(9505) 6.26
24.3 8082 107931 56811 272.2 7.5
25.3 8582 91363 65148 312.0 20.0
26.3予 7800 45000 30000 143.6 20.0
東京ガス(9531) 6.27
24.3 26624 222766 165481 401.1 70.0
25.3 26368 113599 74194 192.2 80.0
26.3予 27540 147000 134000 362.6 80.0
北海道ガス(9534) 6.20
24.3 1738 15883 11627 659.9 80.0
25.3 1702 14428 10404 118.1 55.0
26.3予 1687 14500 10488 119.0 20.0
「関税緩和」見出しで買い、短期勢 外需銘柄を物色 長期勢 株高確信持てず(スクランブル)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1497文字 PDF有 書誌情報]
28日までの4日間で1600円超上げた日経平均株価。トランプ米政権の関税策の「緩和」をにおわせるヘッドライン(記事の見出し)が増え、ヘッジファンドなどの短期勢が外需などの日本株に買いで参入し始めた。ただし、長期投資家はこれ以上の株高に確信を持てず、外需株の本格買いには至っていない。
「時間軸不明の楽観論」。みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長は最近、顧客とのやり取りから、こんな見立てが市場にあると感じる。
米中が互いに100%を超える関税をかける状況は非現実的で、どこかで妥協点が見いだされる。米国が仮に景気後退に陥れば、米連邦準備理事会(FRB)が利下げなど手を打つ。これらは相場の支援材料になるはずだが、その時期が分からない――。
28日の日経平均は一時、取引時間中として相互関税発表直前の1日以来となる3万6000円台をつけた。株高の材料はトランプ関税の妥協点が確実に見つかったことでも、FRBの利下げでもない。関税の緩和をほのめかす「ヘッドライン」だ。
25日の昼休み、一部報道で「中国は一部の米製品を関税の対象外とすることを検討する」と伝わると、午後に日経平均が一時前日比800円近くまで上げた。22日にはベッセント米財務長官が「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」と話し、翌日の日経平均は648円高となっていた。
この動きは2018~19年、第1次トランプ政権下での米中貿易戦争のときと似る。18年夏からトランプ政権は産業機械、半導体、家具・家電など相次ぎ関税策を打ち出し中国も報復。ただ、19年9月に発動された関税は当初想定された品目の一部にとどまった。
相場を動かしたのは「トレードディール(貿易協定)」というワードだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツストラテジストは「貿易戦争関連の英語記事で『協定』が出てくるものの割合が3割を超えると、リスク資産が優位になる」と指摘する。貿易交渉に対する不透明感が後退して株式を買い戻す流れにつながった。
今回も足元までで記事の割合が16%まで高まっている。高田氏は、今回も3割を超えてくれば「過剰に売られた外需・シクリカル銘柄群への資金回帰が目立つだろう」とみる。
モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔株式ストラテジストは24日付のリポートで、外需株の保有リストを掲げた。2026年3月期の通期決算見通しが非開示でも「値上げなどにより業績へのダメージをコントロールしたり自社株買いなど株主還元を打ち出したりした銘柄は株価が上昇する可能性もある」とみる。
ただ、ここまでの株高をけん引したのはあくまで「株価変動が一時より落ち着き、多少ポジションを持てるようになったヘッジファンドなど短期の投資家」(国内運用会社トレーダー)。長期投資家は今回の上昇相場に無理について行かない姿勢が目立つ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー日本株、中塚浩二氏は運用するファンドの投資先を、関税の悪影響を経営の自助努力でカバーできる外需系の国際優良銘柄と内需系のディフェンシブ銘柄で固める。いわばバランス重視の布陣だ。「設備投資などが先送りされ、向こう半年で経済に悪影響が生じる可能性もある」と考えるのが理由という。「今のようなふわっとした戻りは実態を映していない。個別銘柄の動向をつぶさに見たい」(中塚氏)
投資家が持つ時間軸の長さにより、相場環境に対する判断は分かれる。続く決算発表を横目に、長期投資家が本格的な買い場を探る動きはなお続きそうだ。(坂部能生)
米国第一と戦後国際秩序の崩壊(大機小機)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 936文字 PDF有 書誌情報]
アメリカは、折に触れ、米国第一になる。渋沢栄一が明治末期、実業団を引き連れ渡米した時もそうだった。日露戦争勝利の頃から、日本製品や日本人移民を排斥、カリフォルニア州における排日土地法制定の動きなど、興隆日本を警戒する風潮が広がる。渋沢たちは大統領はじめ各界の要人に会い融和をはかるが、思うようにはいかなかった。
第1次世界大戦後、ウィルソン大統領が国際連盟創設を提唱するが、米国は議会の反対で加盟しなかった。第2次世界大戦で英チャーチル首相の強い要請にもかかわらずなかなか腰を上げない。日本の真珠湾攻撃で動いた。
関税を振りかざしメーク・アメリカ・グレート・アゲインを声高に叫ぶトランプ大統領。これまでの米国第一とは全く異なる。国際的地位の後退に対する深刻な危機感がある。80年ごろ、世界2位に駆け上がってきた日本経済に激しく構造改革を迫ったけれど、彼我の国内総生産(GDP、名目、兆ドル)は2・8対1・1と大差だった。
2024年の米中は29対19。背後に迫っている。中国は共産党オンリーの国家資本主義で「メーク・チャイナ・グレート・アゲイン」(英エコノミスト誌)をもくろむ。地政学的には、ロシア、イラン、北朝鮮と手を組んでいる。
70年ほど前、英国の経済学者ロイ・ハロッドは、著書「ドル」のおわりに「世界各国は絶えずアメリカ人の頭痛の種をまいてきた。そしてアメリカ人の高遠且つ友好的な希望は幾度か挫折を繰返す憂目をみてきた。しかしながら私は、この寛容さとこの忍耐力こそ(中略)将来私達すべてに大きな利益をもたらす指導者としての資格をアメリカ人に与えるものであると確信するものである」と記していた。戦後国際秩序の始まりだった。
それが今、トランプ氏の登場とタイミングを一にして崩壊しようとしている。通貨・貿易をめぐる秩序の早期立て直しは容易ではないだろう。
この状況でわが国は世界に自由貿易の原則を断固主張しなければならない。併せて国内生産拠点の再構築と人材育成によって供給力を高めなければならない。そして、国土をフル活用しながら1億2千万人の潜在需要を掘り起こす。すなわち、円相場や海外景況頼みの「反映」経済ではない、「自走」できる経済体質を心掛けるべきだ。(一礫)
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 871文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
オーテック(1736)
25.3 314 4200 2850
1株配(円)〓25.3予=170.0 (24.3=125.0)
日比谷総合設備(1982)
25.3 897 8100 5900
丸大食品(2288)
25.3 2349 6000 5400
■アズジェント(4288)
25.3 29 ▲218 ▲440
住友ファーマ(4506)
25.3 3988 ― 23600
小野薬品工業(4528)
25.3 4870 60000 50000
藤倉化成(4620)
25.3 555 ★ 500
城南進学研究社(4720)
25.3 56 ▲206 ▲388
■鶴弥(5386)
25.3 68 455 121
1株配(円) 25.3予=12.0 (24.3=5.0)
■日本ギア工業(6356)
25.3 95 2100 1500
栗田工業(6370)
25.3 4088 31800 20300
日本抵抗器製作所(6977)
24.12 64 ▲104 ▲181
アストマックス(7162)
25.3 206 ▲146 ▲146
1株配(円) 25.3予=7.0 (24.3=7.0)
河西工業(7256)
25.3 ★ ▲1500 ▲11000
キムラ(7461)
1株配(円) 25.3予=記16.0 (24.3=14.0)
ニコン(7731)
25.3 7150 4500 4500
1株配(円) 25.3予=50.0 (24.3=50.0)
ゼビオホールディングス(8281)
25.3 2506 7621 971
1株配(円) 25.3予=32.5 (24.3=30.0)
大光銀行(8537)
25.3 224 3890 2490
1株配(円) 25.3予=65.0 (24.3=50.0)
<数表>第3四半期(決算数字)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 617文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
■アトムリビンテック(3426)
23.7-24.3 77 313 217 54.6
24.7-25.3 77 457 316 79.4
レーザーテック(6920)
23.7-24.3 1572 58693 41521 460.4
24.7-25.3 1688 75394 52694 584.3
Genky DrugStores(9267)
23.7-24.3 1365 6688 4456 293.4
24.7-25.3 1473 7046 4873 160.3
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
美樹工業(1718)
24.1-3 74 480 258 236.1
25.1-3 88 861 536 490.7
Aiming(3911)
24.1-3 46 ▲42 ▲346 ―
25.1-3 51 503 362 7.8
東亜合成(4045)
24.1-3 390 4027 2717 23.6
25.1-3 398 3193 2000 18.0
住友重機械工業(6302)
24.1-3 2548 18766 13599 111.1
25.1-3 2415 10050 6495 54.0
マブチモーター(6592)
24.1-3 450 9226 6733 52.6
25.1-3 469 4746 3325 26.5
京葉ガス(9539)
24.1-3 371 425 212 19.8
25.1-3 376 2617 1828 56.9
<数表>財務短信[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 375文字 PDF有 書誌情報]
AIストーム(3719)
第三者割当増資=198万100株▽発行価格=202円▽払込日=5月14日▽割当先=スペース投資事業組合
第9回新株予約権3万9603個▽潜在株式数=396万300株▽発行価格=1個につき222円▽割当先=スペース投資事業組合▽払込日=5月14日▽行使期間=5月14日~2028年5月13日▽行使価格=1株につき202円
積水化学工業(4204)
自己株式消却=400万株(5月23日予定)
ライオン(4912)
自己株式消却=465万株(5月7日予定)
高砂香料工業(4914)
株式分割=9月30日現在の株式1株を5株
横浜ゴム(5101)
自己株式消却=315万2700株(5月30日予定)に変更
FPG(7148)
自己株式消却=74万株(5月9日予定)
東京ガス(9531)
自己株式消却=1780万3000株(5月23日予定)
株式 1カ月ぶり高値、売買活発(市場往来)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
28日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸し、終値は前週末比134円25銭(0.38%)高の3万5839円99銭と、1カ月ぶりの高値を付けた。主要企業の決算発表が相次ぐなか、業績や見通しを材料にした売買が活発で心理的な節目の3万6000円を上回った。赤沢亮正経済財政・再生相が訪米しベッセント米財務長官らと関税を巡る2回目協議が開かれるのを前に様子見も目立った。
<数表>第2四半期(決算数字)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 177文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
FPG(7148) 6.3
23.10-24.3 506 15995 11521 134.9 38.75
24.10-25.3 634 15828 10839 128.7 65.2
25.9予 1235 31700 22000 262.7 130.4
きんでん、日東電、ispace、東ガス(注目株概況)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 134文字 PDF有 書誌情報]
2026年3月期の連結純利益が市場予想を上回る。増配もあり好感の買い。
2026年3月期の連結純利益が市場予想を下回った。嫌気した売り。
宇宙航空研究開発機構の基金の支援対象に参画研究が採択され、材料視。
2026年3月期は大幅増益予想だが、米関税影響織り込まれず売られる。
金利 10年債利回り低下、1.320%(市場往来)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは低下(価格は上昇)。前週末比0.015%低い1.320%で取引を終えた。前週末の米長期金利が低下したことで、国内長期債にも買いが優勢となった。
為替 円続落、143円61~63銭(市場往来)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は続落した。午後5時時点は1ドル=143円61~63銭と、前週末の同時点に比べ22銭の円安・ドル高。米景気減速が避けられるとの見方から、ドルが買い戻された。
商品 原油続伸、持ち高調整で(市場往来)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 83文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で原油は小幅に続伸した。春の大型連休に入り、積極的な売買を手掛ける雰囲気に欠けるなか、持ち高調整の買いが優勢となった。金は下落。利益確定売りが出た。
南海電気鉄道(9044)(格付け)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
南海電気鉄道(9044)
発行登録債予備=A(JCR)
<数表>日経平均先物の主な建玉[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 305文字 PDF有 書誌情報]
日経平均先物の主な建玉
( 25 日現在、大取、単位枚)
差し引き 差し引き
▽ 6 月物 売り残 買い残
HSBC 29058 野 村 49700
Gサックス 17585 SMBC日興 9142
みずほ証 9083 大 和 5988
ソシエテ 6264 UBS 4576
ABNアムロ 4327 シティG証 2176
モルガンS 3965 ドイツ 2049
BNPパリバ 3479 バークレイ 1743
三菱UFJモ 1710 BofA証 1211
SBI証 1676 東海東京 1101
ナティクシス 739 日産証 953
<数表>金利一覧[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 211文字 PDF有 書誌情報]
金利一覧
(28日現在、年、%)
▽基準貸付金利(公定歩合)
日 本 0.75
▽誘導政策金利
日 本(翌日物) 0.50
米 国(FF金利)
4.25~4.50
ユーロ圏 2.40
(市場介入金利)
▽プライムレート
短 期 1.875
長 期 2.050
変動長期
(3年以内) 2.175
(3年超) 2.375
▽大口定期預金(3カ月)
5億円以上 0.2500
<数表>マネタリーベース、日銀帳尻[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 17ページ 133文字 PDF有 書誌情報]
マネタリーベース(日銀、億円)
25日 前日
6,645,200 6,641,900
……………………………………
日銀帳尻( 25日 、億円)
前日比
発券高 1,183,831 642
貸出高 968,118 0
国債残高 5,775,634 0
<数表>4月28日(市場体温計)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 16ページ 2665文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 35839円99銭(+134円25銭)
騰落率= +0.375%
東証株価指数(TOPIX) 2650.61 (+22.58)
騰落率= +0.859%
売買代金 4722169百万円 (+320149百万円)
売 買 高 201503万株 (+14249万株)
売買単価 2343.4円
売買高上位10銘柄の占有率 29.6%
〓-〓 上場銘柄数 1635 値上がり 1107 〓-〓
売買成立 1635 値下がり 487 変わらず 39
新値株 (年初来) 高 値 53 安 値 2
騰落レシオ(25日移動平均) 101.05%
時価総額 9199208億円 (+83842億円)
普通株式数(百万株) 499397 1株当たり時価(円) 1842.06
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 14.61 ( 15.53 ) 1.34 2.25 ( 1.98 )
JPX日経400採用銘柄 14.35 ( 14.76 ) 1.44 2.32 ( 2.14 ) 2.52 ( 2.22 )
東証プライム全銘柄 14.50 ( 15.49 ) 1.28 2.68 ( 2.40 ) 2.52 ( 2.22 )
東証スタンダード全銘柄 13.87 ( 15.85 ) 1.01 2.65 ( 2.52 ) 2.39 ( 2.45 )
東証グロース全銘柄 38.38 ( 157.88 ) 3.26 0.85 ( 0.74 ) 0.61 ( 0.55 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 6.89 %
前期基準 6.45 %
28
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 573.18 ( +6.09)
日経500種平均株価 3173円77銭 ( +18円92銭)
日経平均高配当株50指数 66868.98 ( +829.45)
日経連続増配株指数 48358.04 ( +389.39)
日経累進高配当株指数 44713.30 ( +544.88)
日経半導体株指数 7364.52 ( -111.89)
日経平均内需株50指数 27672.94 ( +307.48)
日経平均外需株50指数 33609.93 ( +30.07)
日経平均トータルリターン 64568.61 ( +241.86)
日経平均VI先物指数 6072.48 ( -0.93%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2584円99銭 ( +8円82銭)
東証規模別株価指数
大型 2605.01 ( +22.39)
中型 2830.61 ( +25.60)
小型 4471.21 ( +27.17)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1685.32 (+9.18)
…
ド ル/円 1 ド ル = 143.61~143.63円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 162.97~163.01円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1348~1.1349ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3288.4147 (-6.6453)
韓国総合(韓国) 2548.86 (+2.56)
ハンセン(香港) 21971.96 (-8.78)
加権(台湾) 20034.41 (+161.68)
VN(ベトナム) 1226.80 (-2.43)
クアラルンプール総合 1521.59 (+12.39)
ST(シンガポール) 3811.80 (-11.98)
ジャカルタ総合 6722.966 (+44.051)
SET(タイ) 1159.53 (+0.53)
オールオーディナリーズ(豪) 8203.9 (+28.8)
新発10年国債利回り 1.320% ( -0.015)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.476% ( -0.001)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15304 円 (-59円)
ドバイ原油(1キロリットル) 56050 円 (+190円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
658.03 (-0.09)
工業品 664.91 (-0.06)
始値 35962円80銭 高値 36075円26銭 ( 9時34分 )
午前終値 35887円89銭 安値 35773円49銭 ( 14時46分 )
JPX日経 インデックス400 23993.13 (+190.13)
JPX日経中小型 18828.67 (+93.30)
日経気候変動指数 35529円78銭 (+95円55銭)
JPXプライム150指数 1167.51 (+8.33)
東証プライム市場指数 1364.11 (+11.59)
東証スタンダード市場指数 1273.37 (+10.98)
東証グロース市場指数 857.64 (+4.98)
東証グロース市場250指数 671.94 (+4.10)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1705.48 (+2.31)
日経ESG―REIT指数 949.39 (+1.26)
日経高利回りREIT指数 1217.24 (-0.37)
……………………………………………………………………
日経平均VI 28.81 (-0.03)
日経配当指数(2025年) 24円37銭
<数表>4月28日商品先物[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 16ページ 5742文字 PDF有 書誌情報]
( 28 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
6月 15222 15296 15088 15180 ▲57
8月 15257 15308 15107 15200 ▲61
10月 15275 15351 15125 15215 ▲58
12月 15292 15357 15137 15232 ▲59
2月 15318 15405 15172 15268 ▲60
4月 15358 15443 15209 15304 ▲59
《金ミニ》(1グラム)
6月 15265.0 15265.0 15265.0 15180.0 ▲57.0
8月 15246.0 15246.0 15146.0 15200.0 ▲61.0
10月 15292.5 15292.5 15156.5 15215.0 ▲58.0
12月 15255.0 15340.0 15150.0 15232.0 ▲59.0
2月 15316.0 15401.0 15169.5 15268.0 ▲60.0
4月 15371.5 15450.0 15204.0 15304.0 ▲59.0
《金限日》(1グラム)
15700 15730 15562 15148 ▲61
《白金》(1グラム)
6月 4380 4461 4377 4454 △37
8月 4375 4446 4370 4432 △40
10月 4374 4438 4367 4429 △41
12月 4382 4439 4366 4429 △35
2月 4345 4406 4333 4390 △36
4月 4321 4380 4311 4367 △37
《白金ミニ》(1グラム)
6月 4386.0 4457.0 4384.5 4454.0 △37.0
8月 4415.0 4434.0 4415.0 4432.0 △40.0
10月 4391.5 4394.5 4391.5 4429.0 △41.0
12月 4411.0 4435.0 4397.5 4429.0 △35.0
2月 4354.0 4401.5 4333.5 4390.0 △36.0
4月 4325.0 4376.0 4303.5 4367.0 △37.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4362 4421 4348 4465 △41
《銀》(1グラム)
6月 ― ― ― 148.0 0
8月 ― ― ― 148.0 0
10月 152.0 152.0 152.0 152.0 △4.0
12月 ― ― ― 149.0 0
2月 ― ― ― 157.0 0
4月 ― ― ― 157.0 0
《パラジウム》(1グラム)
6月 ― ― ― 4300 0
8月 ― ― ― 4300 0
10月 ― ― ― 4300 0
12月 ― ― ― 4300 0
2月 ― ― ― 4300 0
4月 ― ― ― 4300 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 159.65 △0.75
6月 ― ― ― 157.95 △0.60
7月 ― ― ― 156.60 △0.55
8月 ― ― ― 155.45 △0.55
9月 ― ― ― 152.95 △0.55
10月 ― ― ― 152.10 △0.55
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 62080 62100 61850 61850 ▲150
5月 59980 60500 59980 60500 △50
6月 59050 59280 58870 59110 ▲320
7月 58440 58970 58440 58850 △100
8月 57810 58370 57600 58330 △170
9月 57630 57950 56600 57860 △180
10月 57140 57140 56920 57130 ▲180
11月 ― ― ― 57180 △210
12月 ― ― ― 56920 △210
1月 ― ― ― 56730 △210
2月 ― ― ― 56570 △210
3月 ― ― ― 56460 △210
4月 ― ― ― 56320 △200
5月 ― ― ― 56190 △200
6月 ― ― ― 56050 △190
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
11月 ― ― ― 87000 ―
《灯油》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
11月 ― ― ― 87000 ―
《軽油》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 90400 ▲200
7月 ― ― ― 90000 ▲200
8月 ― ― ― 89600 ▲200
9月 ― ― ― 89200 ▲200
10月 ― ― ― 88700 ▲200
11月 ― ― ― 88300 ―
《ゴムRSS3号》(1キロ)
5月 287.1 290.7 287.1 290.6 △6.8
6月 287.0 291.5 287.0 291.5 △0.4
7月 287.4 291.1 287.4 291.1 △2.7
8月 287.0 291.9 287.0 290.8 △0.9
9月 290.6 292.2 287.3 290.8 △1.7
10月 291.5 293.9 288.5 291.9 △2.6
11月 ― ― ― 293.0 0
12月 ― ― ― 293.0 0
1月 ― ― ― 293.0 0
2月 ― ― ― 293.0 0
3月 ― ― ― 293.0 0
4月 ― ― ― 293.0 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 236.0 ▲3.0
6月 ― ― ― 236.0 ▲3.0
7月 ― ― ― 237.0 ▲3.0
8月 ― ― ― 237.0 ▲3.0
9月 ― ― ― 237.0 ▲3.0
10月 ― ― ― 237.0 ▲3.0
11月 ― ― ― 237.0 ▲3.0
12月 ― ― ― 238.0 ▲3.0
1月 ― ― ― 238.0 ▲3.0
2月 ― ― ― 238.0 ▲3.0
3月 ― ― ― 238.0 ▲3.0
4月 ― ― ― 238.0 ▲3.0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
11月 ― ― ― 87000 ―
《中京灯油》(1キロリットル)
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
11月 ― ― ― 90000 ―
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 38900 0
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
10月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 11.51 ▲0.29
5月 ― ― ― 10.74 △0.09
6月 ― ― ― 11.85 ▲0.04
7月 ― ― ― 13.31 ▲0.12
8月 ― ― ― 14.28 ▲0.20
9月 ― ― ― 13.74 ▲0.06
10月 ― ― ― 12.75 ▲0.08
11月 ― ― ― 12.85 ▲0.05
12月 ― ― ― 13.15 ▲0.01
1月 ― ― ― 13.69 ▲0.01
2月 ― ― ― 13.51 ▲0.15
3月 ― ― ― 11.25 ▲0.18
4月 ― ― ― 11.35 ▲0.15
5月 ― ― ― 11.09 ▲0.15
6月 ― ― ― 11.95 ▲0.17
7月 ― ― ― 13.06 ▲0.34
8月 ― ― ― 14.92 ▲0.45
9月 ― ― ― 12.70 ▲0.50
10月 ― ― ― 11.34 ▲0.41
11月 ― ― ― 12.07 ▲0.31
12月 ― ― ― 13.16 ▲0.24
1月 ― ― ― 13.84 ▲0.24
2月 ― ― ― 13.20 ▲0.26
3月 ― ― ― 11.32 ▲0.20
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.49 ▲0.08
5月 ― ― ― 8.34 △0.04
6月 ― ― ― 9.56 ▲0.02
7月 ― ― ― 11.89 ▲0.13
8月 ― ― ― 12.79 ▲0.25
9月 ― ― ― 11.73 ▲0.09
10月 ― ― ― 9.90 ▲0.18
11月 ― ― ― 10.24 ▲0.16
12月 ― ― ― 10.95 ▲0.08
1月 ― ― ― 12.72 ▲0.21
2月 ― ― ― 11.86 ▲0.24
3月 ― ― ― 9.06 ▲0.29
4月 ― ― ― 9.52 ▲0.14
5月 ― ― ― 9.41 ▲0.08
6月 ― ― ― 10.09 ▲0.04
7月 ― ― ― 10.84 ▲0.04
8月 ― ― ― 12.39 ▲0.15
9月 ― ― ― 10.67 ▲0.19
10月 ― ― ― 9.57 ▲0.17
11月 ― ― ― 10.50 ▲0.09
12月 ― ― ― 11.87 ▲0.02
1月 ― ― ― 12.51 ▲0.07
2月 ― ― ― 11.82 ▲0.05
3月 ― ― ― 10.14 ▲0.03
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 38894 42659
金ミニ 11754 8006
金限日 1725 42061
白金 3925 28736
白金ミニ 2634 2273
白金限日 1531 42113
銀 1 125
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2060 25002
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 434 3259
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 1440 10899
電力西ベース 0 925
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 14267 54140
堂島白金 255 1957
堂島銀 46 1329
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15253.9 15360.0 15190.0 15197.3 ▲44.4
《白金》(1グラム)
4482.8 4482.8 4460.0 4506.3 △46.5
《銀》(1グラム)
156.39 156.39 154.26 151.62 ▲2.51
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月25日エネルギー・環境市場[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 16ページ 3474文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 28 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 13589
ソシエテ 10977
サスケハナ 3844
バークレイ 2053
Jモルガン 1945
Gサックス 1002
日産証 987
モルガンS 986
BofA証 885
SBI証 875
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.42 140.31 140.68 140.26 140.63 0.20
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.377 19112 136282 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
140.00 ― ― ― 10 139.00 ― ― ― 57
140.25 ― ― ― 7 139.25 ― ― ― 2
140.50 0.17 ― 20 35 139.50 0.06 ― 8 8
140.75 ― ― ― 6 139.75 ― ― ― 1
141.00 0.03 ― 5 10 140.00 0.03 ― 2 28
合計 25 259 合計 10 409
HV(年率) 6月 8.1
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.520 0 900 614
25 /6 99.447 -0.003 4301 794
25 /9 99.382 0 6300 776
25 /12 99.338 0 2000 2
合計 13501 3374
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5175 -0.0025 0 29645
25 /6 99.4500 0 46 13732
25 /9 99.3825 -0.0025 500 13869
25 /12 99.3500 +0.0050 412 8141
合計 1028 72588
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2630.0 2649.0 2670.0 2618.5 2653.5 +17.5 48869 421117
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 1900
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 662 671 672 658 669 +6 2458 31157
25 /9 653 656 659 650 658 +7 29 495
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 35700 35950 36100 35480 35910 +130 32334 175071
25 /9 35710 35990 36060 35480 35880 +120 462 6311
25 /12 35600 ― 35600 35600 35600 +150 1 21959
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 35695 35950 36100 35480 35905 +125 532157 289686
25 /9 35695 35935 36085 35470 35885 +125 18036 9486
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 35690 35970 36105 35480 35900 +125 455118 78181
25 /9 35700 35950 36085 35475 35885 +120 14788 9459
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 35825 35940 36100 35485 35895 +85 15207 73597
25 /9 ― ― ― ― 35865 +75 ― 377
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 23845 24025 24295 23730 24005 +120 4059 52296
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 35560 ― 0 5月 28.00 -0.65 15 150
25 /9 ― 35570 ― 0 6月 27.05 ― 2 22
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 792.0 ― 1334 25年 794.0 792.5 10 4412
26年 ― 771.0 ― 1334 26年 ― 761.9 ― 2395
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 35625 760 +90 6 360 ― ― ― 51 ―
35750 605 -30 45 574 1240 +20 2 455 ―
35875 575 +15 75 85 ― ― ― ― ―
36000 485 -40 2900 4050 1090 -10 213 3833 1385
36125 410 -20 35 60 1130 ― 3 12 ―
36250 360 -20 273 776 1065 ― 301 316 ―
36375 325 -10 30 153 985 +150 5 11 ―
36500 280 -30 2074 9165 865 +100 339 2497 1140
36625 270 +10 39 369 ― ― ― 3 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 35125 320 -150 8 10 910 -90 16 27 ―
35250 390 -80 54 570 940 -110 14 288 ―
35375 405 ― 64 6 975 -115 3 22 ―
35500 445 -100 456 666 1150 -10 726 2115 ―
35625 490 -115 108 320 ― ― ― 20 ―
35750 540 -140 290 384 ― ― 2 653 ―
35875 570 ― 2 9 1335 ― 2 0 ―
36000 650 -160 174 1847 1255 -155 116 4580 ―
36125 ― ― ― 11 ― ― ― 1 ―
総売買高コール 23837 枚 プット 27698 枚 日経平均HV 54.0
当日総建玉コール 334490 枚 プット 520449 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.80
ドイツ(1MWh、ユーロ) 67.86
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 10.975
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 10.850
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) ―
( 25 日)
<数表>4月28日外為市場[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1796文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
5月渡 144.62 142.12
6月〃 144.12 141.61
7月〃 143.67 141.13
8月〃 143.19 140.68
9月〃 142.72 140.20
10月〃 142.34 139.79
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 144.66 144.11
ユーロ 164.64 164.02
カナダドル 105.12 104.80
英ポンド 195.02 194.52
スイスフラン 174.42 173.26
デンマーククローネ 22.16 22.07
ノルウェークローネ 14.05 14.04
スウェーデンクローナ 15.24 15.26
豪ドル 93.76 93.62
ニュージーランドドル 87.51 87.67
香港ドル 18.95 18.87
シンガポールドル 110.05 109.86
サウジアラビアリヤル 39.19 39.03
U.A.E.ディルハム 39.86 39.71
タイバーツ 4.36 4.37
インドルピー 1.84 1.84
パキスタンルピー 0.67 0.66
クウェートディナール 478.86 477.06
カタールリヤル 40.21 40.06
インドネシア100ルピア 0.98 0.97
メキシコペソ 8.36 8.31
韓国100ウォン 10.21 10.20
フィリピンペソ 2.72 2.70
南アフリカランド 9.19 9.11
チェココルナ 6.66 6.64
ロシアルーブル 1.99 1.98
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.42 39.23
▽みずほ銀
中国人民元 19.99 19.93
トルコリラ 5.55 5.54
台湾ドル(参考値) 4.42 4.41
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 26.26 26.19
( 28 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 143.61 ― 143.63 143.39 ― 143.41
寄付 143.84 ― 143.86 142.86 ― 142.88
高値 143.30 142.68
安値 143.89 143.85
中心 143.38 143.00
直物売買高 50億2600万 ドル
スワップ売買高 596億3100万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 83.46
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.0
米ドル 103.9
ユーロ 103.2
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 191.16~191.20円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 91.500~91.535円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 172.80~172.85円
カナダドル /円 1 カナダドル = 103.50~103.54円
NZドル /円 1 NZドル = 85.23~85.27円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3303 ― 1.3307
(1ポンド=ドル) ( 1.3297 ― 1.3301 )
スイスフラン 0.8311 ― 0.8315
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8305 ― 0.8309 )
豪 ド ル 0.6370 ― 0.6374
(1豪ドル=ドル) ( 0.6401 ― 0.6405 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.2995 ( 7.2832 )
日本円(100円=元) 5.0792 ( 5.0792 )
<数表>4月28日債券市場[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 69.59 +0.09
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.82
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.53
中国471(2年) 27/4 0.9 100.42
中国177(5年) 29/12 1.1 101.04
長国378(10年) 35/3 1.4 100.78
超長国191(20年) 44/12 2 96.52
超長国86(30年) 55/3 2.4 95.11
超長国17(40年) 64/3 2.2 83.83
物価連動29(10年) 34/3 * 102.15
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.26
政保政投銀64 30/6 0.09 95.51
東京都(公)807 30/6 0.1 95.34
大和ハウス23 30/9 0.3 95.12
キリンHD17 30/6 0.37 95.85
王子HD40 30/7 0.37 95.36
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.22
日本製鉄6 30/6 0.42 95.53
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.11
OLC18 30/9 0.29 94.92
IHI48 30/9 0.49 94.98
ダイキン27 30/9 0.26 94.86
NEC58 30/4 0.54 95.75
パナソニック25 30/9 1.051 98.25
SUBARU6 30/9 0.42 95.01
三井物産77 30/7 0.28 95.41
JR東日本153 30/7 0.23 95.23
三井不77 30/4 0.48 96.29
中部電力544 30/9 0.3 94.99
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.19
( 28 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.310 % -0.020
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.93
中 期 債 1.19
長 期 債 1.96
◇日経国債インデックス 0.999
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 30日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.92 0.385
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.86 0.375
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.52 0.524
中 国471(2) 27/4 0.9 100.42 0.680
中 国157(5) 28/3 0.2 98.51 0.721
中 国167(5) 29/3 0.4 98.45 0.805
中 国177(5) 29/12 1.1 101.04 0.871
長 国362 31/3 0.1 95.33 0.915
長 国366 32/3 0.2 94.87 0.971
長 国370 33/3 0.5 95.71 1.068
長 国374 34/3 0.8 96.74 1.187
長 国377 34/12 1.2 99.22 1.286
超長国191 44/12 2.0 96.52 2.219
超長国(30)85 54/12 2.3 93.03 2.640
超長国(40)17 64/3 2.2 83.83 2.895
<数表>4月28日短期金融市場[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1444文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1302 回債 0.380 0
6カ月 1298 回債 0.405 0
1 年 1300 回債 0.540 -0.005
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.446 0.483
1週間 0.453 0.459
1カ月 0.452 0.453
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.60727 0.62091
3カ月 0.78364 0.78364
6カ月 0.85727 0.85727
1 年 0.80818 0.80818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49850 0.49696
6カ月 0.54144 0.54500
( 28 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.476 0.430
1週間 0.518 ―
2週間 ― ―
3週間 ― ―
1カ月 0.560 ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.598 ―
◇全国コール市場残高
( 25 日確報、億円) 118937
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月28日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/30 3627 3627 最高0.250
共通担保供給(全店)<固定金利方式> 4/30-5/14 8000 16016 8003
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/30 0 0
【4月25日通知分】
国債買い入れ(残存期間3年超5年以下) 4/28 2750 5896 2751 最低0.015
国債買い入れ(残存期間5年超10年以下) 4/28 3000 5467 3002 最低0.028
国債買い入れ(残存期間10年超25年以下) 4/28 1350 5325 1353 最低0.048
国債買い入れ(物価連動債) 4/28 500 1476 501 最高▲0.110
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/28 1826 1826 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/28 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5433200 ( 4905200 )
◇資金需給予想( 30 日、億円、実質) 2200 余剰
<数表>4月28日株式市場、先物市場[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 16ページ 566文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 43660 23333
売買高上位10銘柄占有率(%)
47.0 43.0
売買代金(百万円) 127921 149871
売買単価(円) 292.9 642.3
騰落銘柄数
上場銘柄 1575 614
売買成立 1555 613
値上がり 918 339
値下がり 504 221
新値株(年初来) 高値 74 28
安値 5 2
時価総額(億円) 281129 80146
普通株式数(百万株) 31015 10720
1株当たり時価(円) 906.41 747.60
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 28156.04 +0.49%
カバードコールATM 19990.36 +0.24%
リスクコントロール 23266.43 +0.09%
レバレッジ 34280.83 +0.75%
インバース 885.40 -0.37%
ダブルインバース (01年末=100000)
235.40 -0.75%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 543080
売買代金(百万円) 1303802
◇空売り比率(東証) 43.3 %
( 28 日)
水道管の改修、素材高が壁、ガラス繊維、5年で4割高[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1355文字 PDF有 書誌情報]
上下水道管の改修に必要な素材が値上がりしている。樹脂やガラス繊維、ヒューム管などの価格は2020年に比べ3~5割上昇した。国内の水道管は老朽化が問題となっているが、素材価格の上昇が改修のペースを遅らせる一因となっている。
「改修の需要は増えているが、工事の進捗が追いついていない」。水道管の製造や工事を手掛ける栗本鉄工所の担当者は明かす。上下水道管の改修を発注する自治体は年度ごとに予算が決まっている。素材などの費用が値上がりすると予算内に収めるために発注量や施工量を抑えるためだ。
国内に設置された水道管のうち20%超が法定耐用年数を超えている。全国で漏水などが後を絶たず、1月にも埼玉県八潮市で下水道管の腐食を要因とする道路陥没事故が起こった。
劣化した水道管の改修の方法には大きく、管を掘り出して新品と替える「敷設替え」と、掘り起こさずに既設管の内側に新しい管をつくる「更生」がある。日本管路更生工法品質確保協会(東京・千代田)によると、都市部では道路を掘り起こさない更生での対応が多いという。
更生ではマンホールから既設管へガラス繊維と合成樹脂でできた更生材を流し込んで硬化させるなどの方法で新しい管をつくる。ガラス繊維は腐食を防ぐために耐酸性のものが使われ、多くを海外から輸入する。
貿易統計によるとガラス繊維(チョップドストランド)の輸入単価は24年(月平均価格)に1キログラム166円と、20年に比べて4割上がった。エネルギー価格の高騰や円安で単価が押し上げられた。
合成樹脂の国内取引価格も上昇した。足元で塩化ビニールは1キログラムあたり264円、高密度ポリエチレンは同311円と、20年1月比で4~5割高い。国内メーカーが主原料のナフサ(粗製ガソリン)の値上がりや物流費などの上昇を価格に転嫁したためだ。
敷設替えに使うヒューム管も値上がりしている。水道管で利用が多い内径600ミリメートル長さ2・34メートル品の取引価格(東京地区)は1本4万4500円と20年に比べ3割上昇した。
工事にかかる人件費の上昇も改修費用を膨らませている。上下水道のコンサルティングを手掛けるNJSによると、水道管の調査をする技術者の25年度の労務単価は、前年度比1割上がった。
水道を含む公共事業は単年度の発注が多く、工事が年度後半に集中する。水道管の改修工事を自治体が発注しても「受注できる事業者がいない場合がある」(栗本鉄工所の担当者)。繁忙期に作業員が不足しやすいことも人件費の上昇につながっている。
改修工事の原資は水道料金で値上げは簡単ではない。企業はコスト抑制につながる商品の開発や工期短縮の工夫に取り組む。
栗本鉄工所は改修工事の設計と施工の一括受注を増やしている。従来のそれぞれ契約するやり方に比べ、事務的なコストを抑えられるほか、試掘や設計などを並行して進められるため工期を短くできる。
ヒューム管大手の日本ヒュームは腐食の原因になる塩害や酸への耐性を高めたコンクリートを1月に発売した。製造するヒューム管の価格は従来より上がるが、長期的には更生にかかる費用や人手を省くことができる。
下水道事業を手掛ける東京都下水道サービス(東京・千代田)と連携し、工事会社や自治体への普及を図っていく。
物流施設空室率 11%台に上昇、首都圏1~3月 郊外に余剰[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 953文字 PDF有 書誌情報]
不動産サービス大手シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)がまとめた首都圏の1~3月期の物流施設の空室率は11・1%と前四半期に比べて1・3ポイント上昇した。既に空室が発生していた郊外エリアで新規供給が重なり、賃料水準は低下した。2026年にかけて供給は続く見込みで、空室率は当面高止まりしそうだ。
CBREが延べ床面積が1万坪(1坪は3・3平方メートル)以上で、複数の入居者を募集するマルチテナント型の大型物流施設を対象に調査した。
物流施設は新型コロナウイルス禍の在宅生活に伴う電子商取引(EC)向け需要の拡大を受け、首都圏の各地で開発が加速した。22年ごろからは需要の伸びを供給ラッシュが上回り、空室率が上がっている。11%台をつけるのは2010年以来、15年ぶり。
首都圏の外縁部にあたる圏央道エリア(国道16号の外側のエリア)の空室率は16・8%と前四半期に比べ2ポイント上昇し、全体の空室率を押し上げた。同エリアで1~3月期に新規に竣工した4施設はすべて茨城県内だった。同県では24年までに既に多くの物件が空室を抱えたまま竣工しており、供給過多となっている。
国道16号エリア(外環道と国道16号に囲まれたエリア)でも空室率が1・7ポイント上昇し、10・5%となった。同エリアでは神奈川県内の海老名市や厚木市周辺での空きが目立つという。
圏央道エリアの賃料下落が響き、首都圏全体の実質賃料指数は1坪あたり4490円と、前四半期に比べて0・2%下がった。
調査を担当するCBREの高橋加寿子シニアディレクターは「都心から距離があるエリアはテナントの候補が限られるうえ、空室がかなりたまっているので、空室の消化ペースは上がりにくい」と指摘する。郊外エリアを中心に26年にかけて新規供給は続く見込みで、同社は空室率の予想を25年末に9・8%、26年末に9・7%としている。
一方、近畿圏では需給が引き締まった状態が続いているという。1~3月期は4棟の新規供給があったが、空室率は0・1ポイント高の3・8%にとどまった。実質賃料指数は0・5%上がり1坪あたり4230円となった。高橋氏は「25年は高水準の供給が見込まれているがテナント内定率は高く、近畿圏全域での需要の強さがうかがえる」と話した。
日本電力先物で「板取引」、欧州取引所で開始 価格に透明性――「日本の市場規模に期待」、仲介大手CEO 海外勢、投資前向き[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 645文字 PDF有 書誌情報]
欧州エネルギー取引所(EEX)による板取引の導入は、相対取引主体の日本の電力市場を変えるか。EEXが扱う日本の電力先物のブローカー(取引仲介)業務の最大手であるヴァニアのジェームズ・ウィスラー最高経営責任者(CEO)に聞いた。
――板取引の導入で日本の電力先物市場のあり方は変わりますか。
「ブローカーは(流動性が低く)取引相手が自然と現れない場合でも、取引がスムーズに行われるようにする役目を果たし、市場の効率的な価格発見を促す」
「板取引には価格透明性を高める利点があるが、ブローカーが提供する価格発見機能や効率的な取引執行を代替することはできない。板取引は現在の日本よりも一段高い流動性を必要とするためだ。日本の流動性の制約を考えれば、当面は店頭取引が取引執行の主要かつ最も効果的な方法であり続けるだろう」
――外資系の参加者を多く顧客に持ちます。日本市場が海外勢から注目を集めている理由は。
「海外市場には電力市場の専門知識を持つファンドが多数存在しており、特に2022~23年のエネルギー危機時には、これらのファンドに追加の資金が多く流入した。彼らは、専門知識と資本を生かせる市場分野を探している」
「彼らにとって最も重要な基準は規模だ。日本が他の新興市場と比べて優れているのは、日本の電力市場の規模の大きさが将来の成長を強く裏付けている点だ。このため彼らは日本市場への投資に非常に前向きで、今後も新たな参加者の流入は続くだろう」
(聞き手は浜美佐)
【図・写真】ジェームズCEO
日本電力先物で「板取引」、欧州取引所で開始 価格に透明性[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 582文字 PDF有 書誌情報]
欧州エネルギー取引所(EEX)は日本の電力先物で新たに「スクリーン(板)取引」を開始した。電子スクリーンに発注されている注文状況や約定価格が見えるようになる。これまではブローカー(取引仲介)経由などで相対で行う店頭(OTC)取引のクリアリング(清算)のみを提供してきた。板取引との併用により、価格透明性の向上が見込まれる。
板取引は、EEXに口座を持つ会員や、会員である金融機関などを通じて電力先物を取引する電力会社などが、一定の手続きを踏むことで現在の売り注文・買い注文を確認・取引できる。22日から開始し、24日に初取引が成立した。
約定したのは5月物で、価格が1キロワット時10・6円、枚数は1枚(電力量換算で744メガワット時)だった。
板取引では価格の透明性が担保されるほか、相対による交渉が不要なため、手早い取引が可能となる。EEXジャパンの高井裕之社長は「日次物や週次物など、短期取引での活用が見込める」と話す。
短期の先物は、天候の影響による電力需給のずれといった短期間の価格変動のヘッジなどに使われる。
一方、年間物など長期・大口の取引では、引き続きブローカーを経由した相対が主流になるとの見方が多い。EEXが運営する欧州市場でも、流動性が高く大量に取引するアルゴリズムトレーダーが多く参入するドイツを除いて、相対の比率が板取引を上回っている。
水道管の改修、素材高が壁、ガラス繊維、5年で4割高――パイプ用塩ビ出荷18%減、3月 人手不足で工事進まず[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 435文字 PDF有 書誌情報]
水道管に使われる塩化ビニール樹脂のパイプ向け出荷が鈍い。塩ビ工業・環境協会(東京・中央)によると、塩ビのパイプ向け出荷量は3月に1万6572トンと前年同月比18%減った。例年、公共工事が集中しパイプ向け出荷が増える3月に今年は伸びなかった。2024年度の年間も23年度比7%減と落ち込んだ。
藤井一彦会長(カネカ社長)は「公共工事の盛り上がる3月に、今年は期待したほどの伸びにならなかった。需要はあるものの、人手の確保が課題だ」と振り返った。1月の道路陥没事故などを受け、老朽化したパイプの更新需要は一段と高まっている。藤井会長は「簡便な施工方法の検討も進んでいる。いずれ動くだろう」と話した。
塩化ビニル管・継手協会(東京・港)によると、塩ビ管の出荷量は3月に前年同月比6%減った。24年度を通して3%減だった。
最大用途のパイプ向け需要の鈍さが響き、塩ビ全体の出荷も低調だ。塩ビ工業・環境協会の3月の国内出荷量は前年同月比6%減、24年度は23年度比5%減だった。
<数表>4月28日卸売市場(主要相場)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 971文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 2960頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=急騰上場280頭
和牛雌A ― ― 2128 2362 3050
和牛雌B ― ― 1930 2034 ―
和牛去勢A ― ― 2163 2314 2381
交雑種雌B ― 1507 1579 1606 ―
交雑種去勢B ― ― 1578 1588 ―
▽搬入物 上場208.5頭
和牛雌A ― 1321 1616 1882 2321
和牛雌B 918 1161 1405 ― ―
和牛去勢A ― ― ― 2417 2715
和牛去勢B ― 1463 ― ― ―
交雑種雌B ― 1544 1634 1677 ―
交雑種去勢B ― 1618 1605 1629 ―
乳牛雌C 841 966 ― ― ―
乳牛去勢B ― 1166 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場73頭
和牛雌A ― ― ― 2345 2497
和牛去勢A ― ― 2055 2280 2400
交雑種雌B ― ― 1668 1701 ―
交雑種去勢B ― 1563 1701 1929 2037
◇仙台=該当なし上場2頭
◇さいたま=―上場94頭
和牛雌A ― ― 1286 1297 ―
◇横浜=まちまち上場49頭
和牛雌A ― ― 2100 2242 2270
和牛去勢A ― ― ― 2218 2463
◇名古屋=弱もちあい上場71頭
和牛雌A ― ― ― 2434 2539
和牛去勢A ― ― ― 2353 2525
◇京都=もちあい上場108頭
和牛雌A ― ― 2183 2335 2646
和牛去勢A ― ― ― 2302 2629
交雑種雌B ― ― ― 1731 1885
交雑種去勢B ― ― 1577 1731 1837
◇神戸=―上場24頭
和牛雌A ― ― ― 4640 6083
和牛去勢A ― 4320 ― 4581 5365
◇広島=―上場23頭
和牛雌A ― ― 1620 ― 2528
◇福岡=弱含み上場130頭
和牛雌A ― ― 2188 2246 2441
和牛去勢A ― ― 2182 2278 2452
<数表>4月28日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 18ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
28日 227.182
前日比 +0.048
(1970年平均=100)
春の叙勲受章者――東京[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 5991文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
植芝守央 74 合気会理事長新宿
宇多正行 70 元最高裁司法研修所教官西東京
大木勇雄 75 日本建設体工事業団体連合会長国分寺
小川一夫 83 日本食肉市場卸売協会長品川
樫崎博 80 八王子商工会議所会頭八王子
久保英幸 70 元日弁連常務理事豊島
小林泉 77 太平洋協会理事長新宿
鈴木雅博 72 元日本税理士会連合会常務理事目黒
清野真司 74 元静岡中央銀行社長目黒
関口雅章 81 全国間税会総連合会副会長世田谷
高杉暢也 82 元ソウルジャパンクラブ理事長町田
田中一吉 74 元大田区議大田
戸田奈津子 88 映画字幕翻訳者港
野崎重弥 70 元東久留米市長東久留米
福島美男 77 全国氷雪販売業生活衛生同業組合連合会理事長立川
元木勇 86 元調布市議調布
宮薗千佳寿弥(山田和代)
74宮薗節三味線演奏家文京
山中尚邦 70 元日弁連常務理事世田谷
吉田輝幸 78 元日本鞄協会理事長目黒
吉野和之 72 元三鷹市議三鷹
五街道雲助(若林恒夫)
77落語家墨田
▽瑞宝小綬章
青柳達朗 70 元福岡国税不服審判所長江戸川
浅見憲司 72 元陸自北部方面施設隊長練馬
畔上淳 70 元特許庁審査業務部方式審査課長世田谷
荒井哲 70 元建築研究所総務部長豊島
荒木一彦 70 元国立公文書館業務課長中野
飯尾豊 71 元都都市整備局長三鷹
飯塚謙二 70 元総務省自治行政局公務員部福利課安全厚生推進室長杉並
飯野茂 70 元特許庁審判部審判長渋谷
猪狩稔 70 元東京国税局調査第四部長国分寺
石井末勝 70 元公立高校長八王子
市川朝子 79 大妻女子大名誉教授練馬
伊藤昭 70 元厚労省職業安定局総務課職業情報研究官町田
射場義彦 72 元空自防空指揮群司令多摩
岩切成夫 72 元空自航空総隊司令部幕僚長八王子
岩田博 72 元神奈川行政評価事務所長練馬
岩本隼人 70 元東北農政局次長八王子
植村敏紀 72 元技術研究本部航空装備研究所管理部長練馬
宇都昌治 72 元陸自中央情報隊副隊長練馬
江阪久雄 72 元防衛大学校教授大田
大重孝 74 元東北厚生局健康福祉部長練馬
大野史郎 72 平塚病院長港
大野輝之 71 元都環境局長世田谷
大道正夫 71 元中小企業庁事業環境部長中野
岡本修二 70 元東京消防庁消防司監武蔵村山
岡山いち 78 元女官世田谷
笠井謙一 71 元都総務局長稲城
梶太郎 76 元建設大学校副校長町田
梶山純一 76 元都福祉保健局技監杉並
粕谷明博 70 元環境省水・大気環境局総務課長足立
勝又正夫 72 元東京医療センター事務部長板橋
加藤宜男 75 元日本郵政公社信越支社保険事業部長板橋
金丸和行 70 元北海道警函館方面本部長杉並
上子秋生 70 元総務省大臣官房付港
河東義之 82 元栃木県文化財保護審議会委員練馬
木下賢司 70 元国土地理院参事官大田
木下雅敏 73 元海自厚木航空基地隊司令武蔵野
工藤敏夫 71 元鹿屋体育大副学長小平
国沢典生 70 元国交省道路局路政課道路利用分析官国立
窪田明 71 元経産省経済産業政策局調査統計部長世田谷
小谷孝一 70 元内閣府大臣官房会計課調査官武蔵村山
小林孝 78 元久里浜少年院長豊島
小亦斉 70 元麻布税務署長世田谷
小松貢 70 元内閣府大臣官房参事官文京
小室憲彦 70 元東京消防庁消防司監武蔵野
佐藤公俊 71 元東京入国管理局長町田
佐藤文隆 71 元川崎市消防正監渋谷
重松明夫 72 元空自幹部学校主任教官杉並
真家悟 70 元警察庁刑事局犯罪鑑識官町田
杉野学 70 元公立特別支援学校長日野
鈴木光男 73 元在済州日本総領事館総領事新宿
高岡辰栄 72 元北関東防衛局次長世田谷
高橋幸治 71 元新宿税務署長江戸川
高橋敏政 72 元防衛研究所主任研究官練馬
高山昇 70 元関東財務局管財第二部長世田谷
滝沢敬治 74 元警視庁交通部長町田
田中和之 72 元空自第3高射群司令練馬
田中謙治 70 元総務省東北総合通信局長杉並
辻川孝夫 70 元宮内庁管理部工務課長世田谷
筒井敏彦 79 日本獣医生命科学大名誉教授府中
角田元幸 70 元熊本国税不服審判所長江戸川
出口堅 72 元陸自幹部学校総務部長小平
戸沢秀実 70 元自動車検査理事杉並
富岡秀男 70 元内閣法制局長官総務室総務課長東久留米
冨永康男 70 元内閣府大臣官房厚生管理官新宿
中崎郁夫 71 元近畿運輸局次長杉並
長峰克己 72 元陸自幹部学校主任教官杉並
成清伸昭 74 元東京航空局次長荒川
二井田春喜 71 元自動車検査総務部長足立
野口裕樹 72 元駐留軍等労働者労務管理機構管理部長北
芳賀昭彦 70 元会計検査院第4局農林水産検査第4課長世田谷
羽中田圭子 70 元公立高校長町田
東内一明 81 元茨城労基局長新宿
平野均 72 元陸自航空学校霞ケ浦分校長江東
福田健志 70 元会計検査院第4局監理官練馬
藤森祥弘 70 元国土交通大学校副校長世田谷
星野義雄 71 元北陸農政局総務部長東大和
細井優 71 元都スポーツ振興局長足立
堀本修 70 元財務省財務総合政策研究所研修部長練馬
牧田不二男 70 元財務省理財局国庫課通貨企画調整室長世田谷
増子敦 71 元都水道局長杉並
松岡浩 70 元東北大教授文京
丸山和彦 71 元九州農政局次長練馬
三浦信男 73 元大分地方気象台長小平
水落雅之 70 元衆院事務局庶務部電気施設課長江戸川
水見洋 71 元関東農政局土地改良技術事務所長港
宮崎良治 70 元日本郵政公社調達部門調達部担当部長板橋
武藤修 70 元参院参事足立
村上文 70 元埼玉労働局長目黒
村上竹男 70 元厚労省職業安定局労働市場センター業務室長小平
村中明 73 元気象庁予報部予報課長杉並
村本弘 71 元衆院参事足立
村山令二 70 元厚労省保険局調査課長江東
目黒睦夫 72 元統計センター総務部次長北
矢崎和彦 72 元武蔵野簡裁判事中野
山岸信雄 71 元参院参事国分寺
山口順子 78 津田塾大名誉教授立川
山田篤司 71 元国土技術政策総合研究所高度情報化研究センター長大田
山田晴康 72 元技術研究本部総務部総務課長西東京
山田裕士 70 元立川税務署長文京
山本義信 70 元東北地方整備局用地部長小平
横井透 71 元北陸信越運輸局鉄道部長品川
吉岡司 70 元総務省中国総合通信局総務部長北
和才義光 70 元国交省港湾局総務課調整官東大和
▽旭日双光章
合川哲夫 81 元あきる野市議あきる野
石垣栄一 70 元都薬剤師会長板橋
金本哲男 70 元日本弁理士会副会長世田谷
桜田昭正 85 元三宅村長三宅
白山隆一 75 都水環境システム協会長世田谷
鈴木洋 75 元墨田区医師会長墨田
土屋美恵子 79 元武蔵野市議武蔵野
内藤吉起 70 元全国内航タンカー海運組合副会長港
中村邦生 71 能シテ方杉並
中山友春 77 元国立市歯科医師会長国立
清元梅寿太夫(長谷川茂)
77清元節太夫港
広瀬久雄 77 元御蔵島村長御蔵島
山崎博明 82 元全国すし商生活衛生同業組合連合会常任理事豊島
吉住小三代(吉住喬子)
84長唄三味線演奏家千代田
▽瑞宝双光章
青木靖 83 元公立小校長板橋
青柳康 78 元相模原病院事務部長中野
赤田留吉 77 学校歯科医町田
安達知子 85 元公立小校長小平
雨田幸雄 72 調停委員東村山
荒井正雄 80 行政相談委員三鷹
荒巻明子 74 保護司豊島
有吉玲子 70 調停委員大田
安細和彦 73 元在マーシャル日本大使館参事官北
池本龍二 73 元九州大学務部長江東
石橋忠男 74 保護司荒川
石渡隆男 75 元四国経済産業局資源エネルギー環境部長江戸川
糸井典子 71 調停委員杉並
稲川和夫 74 保護司立川
今井武雄 74 元関東地方整備局河川部河川情報管理官日野
今城康雄 73 元在サンフランシスコ日本総領事館領事世田谷
入江徹 74 元日本郵政公社簡易保険事業総本部コンプライアンス統括部専門役練馬
岩撫明 73 元在シアトル日本総領事館領事墨田
臼井雅明 66 元衆院参事渋谷
江川和孝 70 元内閣府事務官江戸川
遠藤憲史 79 元学校歯科医墨田
及川文夫 69 元衆院参事中野
小笠原功 87 元公立小校長府中
岡部信彦 78 元国立感染症研究所感染症情報センター長世田谷
奥山清満 71 元八丈町消防団長八丈
尾崎幸信 70 保護司国分寺
小沢英三 72 保護司新宿
加藤一俊 84 元公立中校長目黒
加藤英典 70 元国交省大臣官房総務課総合管理分析官足立
金広長俊 72 元空自航空警務隊東京地方警務隊長八王子
川崎恵弘 73 元在上海日本総領事館領事府中
神林喜彦 70 元総務省信越総合通信局無線通信部長江戸川
菊池秀興 78 元公立中校長小金井
菊池光男 72 元統計局統計調査部調査企画課首席精度管理情報官東村山
北村真治 80 元公立小校長八王子
櫛引繁雄 74 元関東地方整備局川崎国道事務所長中央
蔵方庸光 86 安方北町会長大田
小駒正人 75 保護司墨田
小島宏 82 元公立小校長東大和
小関栄寿 76 元浅草消防団長台東
後藤昭夫 84 元警察庁技官板橋
小林浩樹 70 元宮内庁長官官房総務課長補佐府中
小林茂 70 元会計検査院第4局文部科学検査第1課総括副長練馬
小林進 72 元公立特別支援学校長墨田
小山進 70 保護司墨田
坂通代 74 行政相談委員江東
坂岡敏 73 元在ミャンマー日本大使館参事官江東
渋谷政行 85 元町田市収入役町田
須賀勲 74 保護司豊島
鈴木邦男 70 元内閣事務官北
鈴木健 70 保護司北
鈴木正光 76 元赤坂消防団長港
高木洋子 84 元学校歯科医足立
高橋徹 71 学校歯科医国分寺
高橋三四吉 76 元長野地方法務局次長板橋
高浜広記 71 保護司江戸川
田崎武司 70 元内閣府事務官練馬
田中順子 75 学校薬剤師練馬
谷村俊宏 72 元防衛医科大学校学生部学生課学生課長補佐小平
田野倉秀雄 78 元稲城市副市長八王子
塚越英人 70 元内閣府事務官日野
徳安茂 74 元在バチカン日本大使館参事官文京
富沢邦明 74 元岡山大総務部長江東
冨田幸光 75 元国立科学博物館地学研究部古生物第三研究室長文京
永井孝三 73 元愛成会京浜総合病院長大田
中沢清美 72 元統計センター情報技術部共同利用システム課長中野
中島節夫 72 元新国立大学協会(仮称)設立準備室長江東
中村留美子 73 保護司葛飾
新野照代 72 保護司八王子
花岡広 75 元日本郵政公社職員府中
堀越冨士夫 70 元衆院議員秘書千代田
本間和久 74 元本郷消防団副団長文京
町田智恵子 72 元統計センター製表部製表グループ副マネージャー港
松田洋子 81 元公立小校長世田谷
松本幸次郎 70 元稲城市消防団長稲城
松本保枝 77 元公立小校長世田谷
松山武士 81 元公立小校長世田谷
三浦紀子 62 都立豊島病院看護部長大田
三浦美津枝 71 元内閣府事務官墨田
深須達男 75 保護司八王子
水野和美 77 元学校医新宿
水村豊 73 元内閣府事務官墨田
宮崎徹 70 元国交省水管理・国土保全局治水課治水企画官西東京
宮本幹雄 76 保護司町田
室屋喜久男 87 元警察庁事務官足立
森田喜代一 73 元在フランス日本大使館参事官西東京
矢沢直行 69 元昭和大藤が丘病院中央臨床検査部技師長江戸川
矢萩恵一 76 元公立小校長足立
山口能子 72 学校薬剤師北
山崎久雄 72 元長野行政評価事務所長多摩
山本恵一 72 元鳴門教育大総務部長小平
山本勝 72 元尾久消防団長荒川
横山俊晴 74 元上尾郵便局長小平
涌井久雄 72 元空自航空総隊司令部飛行隊支援飛行隊長府中
渡辺正文 70 元中部運輸局鉄道部長世田谷
▽旭日単光章
上竹誠一 75 都中華料理生活衛生同業組合副理事長墨田
大島研二 85 元港南町会長港
岡本直司 70 おかもとポンプ代表取締役荒川
亀山裕代 95 元稲城市平尾宅地分譲住宅自治会長稲城
佐藤英一 83 元狛江市駒井町会長狛江
田中敏文 70 元田中電気研究所社長世田谷
長沢幸三郎 83 元大和市公平委員会委員町田
松永政司 80 日生バイオ代表取締役墨田
▽瑞宝単光章
青木和男 66 元法務技官府中
阿部誠 65 元防衛技官青梅
飯村昭義 63 元京王電鉄富士見ケ丘検車区長八王子
井口兼市 70 元荻窪消防団副団長杉並
石上八郎 67 元北区清掃作業員足立
石崎健 66 元防衛技官調布
石津昭博 66 元国立印刷局職員足立
一戸信雄 62 元都立がん検診センター検査科技師長調布
植松豊 73 元大島町消防団長大島
浦西悦巳 65 元最高裁事務総局経理局電話交換手国分寺
大谷貴志 59 元檜原村消防団長檜原
小片徳之 77 元赤羽消防団副団長北
小島伸五 62 元東急電鉄鉄道事業本部運転車両部雪が谷大塚乗務区長大田
小根沢孝 77 元大森消防団分団長大田
加賀谷昭年 66 新青建設常務執行役員東久留米
粕谷昭 65 元最高裁事務総局経理局用度課車庫長江東
川崎政士 62 元大聖病院診療放射線技師福生
河行賢次 76 元目黒消防団副団長練馬
木田浩幸 65 元東京高裁副車庫長足立
吉川律子 87 元民生・児童委員清瀬
木下隆一 60 元小金井市消防団長小金井
熊沢修 62 元京王電鉄運輸指令長町田
栗和田和子 72 調停委員練馬
小林史朗 71 元向島消防団副団長墨田
小村真理 76 民生・児童委員中央
近藤八重子 61 元東京高輪病院看護部長中野
杉浦健 73 元金町消防団長葛飾
鈴木武光 70 元内閣府技官葛飾
瀬野英子 67 元法務技官豊島
高橋聡次 69 元三宅村消防団長三宅
高橋令子 73 元調停委員大田
田中孝之 73 元江戸川消防団分団長江戸川
田中正利 61 佐藤型枠工業職長足立
津田章 75 元日本橋消防団副団長中央
常岡裕道 76 民生・児童委員文京
永易正敏 64 元調布市消防団長調布
西川嘉弘 60 元東久留米市消防団長東久留米
根本一徳 72 元荒川消防団副団長荒川
羽倉信夫 74 元宮内庁式部職式部官補佐港
平礒和夫 92 自衛官募集相談員八王子
藤井孝子 71 元調停委員中央
星野誠 59 元東大和市消防団長東大和
星谷悦雄 76 東京銀器製造業従事者北
細川芳長 82 元王子消防団分団長北
保戸田一芳 65 元造幣局職員江戸川
本間陽子 71 元調停委員八王子
前島光 64 元法務教官北
牧野吉孝 74 元赤羽消防団副団長北
望月健太郎 88 元国勢調査員豊島
本橋勇 67 元石神井消防団副団長練馬
森太一 69 元小田急電鉄電気司令所長町田
山口久幸 77 民生・児童委員目黒
吉田実 77 元渋谷消防団副団長渋谷
吉野浩之 60 元三鷹市消防団長三鷹
春の叙勲受章者――北海道[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 4018文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
大河昭彦 79 元道議滝川
大谷亨 77 元道議芽室
小泉征男 82 元北斗市議北斗
谷一之 70 元下川町長札幌
三好昇 76 元江別市長札幌
善岡雅文 75 元砂川市長砂川
▽瑞宝小綬章
青木和敏 78 元公立高校長札幌
浅里慎也 73 元北星学園女子中学高校長札幌
遠藤敏晴 71 元札幌市消防司監札幌
大村義美 78 元公立高校長函館
甲斐裕司 71 元札幌簡裁判事札幌
川崎博巳 70 元道開発局事業振興部長札幌
川島正彬 87 元公立高校長札幌
岸徳光 75 元釧路工業高専校長室蘭
桐忠裕 72 元札幌簡裁判事札幌
小菅隆 75 元公立高校長札幌
崎山学 71 元海保交通部企画課海上交通法制総合研究官旭川
佐藤敏博 72 元空自第2航空団副司令千歳
杉田尚文 79 元千葉刑務所長札幌
続木一良 76 元道副出納長石狩
戸出秀邦 77 元公立高校長帯広
永沢義嗣 73 元高松地方気象台長札幌
西村泰弘 70 元道開発局札幌開発建設部長札幌
早川清 70 元札幌中税務署長札幌
平沖道治 77 元公立高校長安平
藤井勉 78 元公立高校長札幌
堀金忠 77 元道警釧路方面本部長札幌
本庄幸賢 71 元公立高校長当別
本間静雄 71 元横浜海上保安部巡視船やしま業務管理官釧路
前川克彦 73 元道監査委員事務局長札幌
三浦法久 76 元公立高校長札幌
村井茂 77 元札幌医科大事務局長札幌
山本由春 72 元陸自北部方面教育連隊長札幌
吉本靖俊 70 元道開発局留萌開発建設部長札幌
▽旭日双光章
伊藤勲 71 北海道道路標示・標識業協会長北見
伊藤喜代志 70 元比布町長比布
井山等 70 元北見方面公安委員長紋別
太田幸一 78 元深川市議深川
大竹登 85 元由仁町議由仁
大渕紀夫 78 元白老町議白老
大山新太郎 77 元羽幌町議羽幌
大山口良二 70 元雨竜町議雨竜
鹿能武司 70 元厚沢部町議厚沢部
川端茂夫 75 元道体育協会理事札幌
菊地康博 72 元森町議森
北野明宣 83 元道医師会常任理事小樽
国枝秀信 71 元北広島市議北広島
小原 道城(小原昇)
85書家札幌
西海正博 72 道ホテル旅館生活衛生同業組合理事長旭川
酒井誠一 78 元狩場利別土地改良区理事長せたな
坂田美栄子 76 元美幌町議美幌
佐藤芳治 76 元上川町長上川
佐野豊 74 元北竜町長北竜
鹿野重博 72 元南富良野町議南富良野
柴田正博 71 元芽室町議芽室
下田陽一 72 元岩内町議岩内
白鳥秀樹 74 元旭川市議旭川
田井秀吉 75 元池田町議池田
丹正臣 76 元士別市議士別
長名実 80 元新十津川町議新十津川
冨樫順悦 80 元蘭越町議蘭越
野尻秀隆 71 元陸別町長陸別
長谷川衛 76 元札幌市議札幌
畑井信男 75 元黒松内町議黒松内
畑中静一 84 元七飯町議七飯
林下孤芳 76 元小樽市議小樽
平間育子 77 元道女性団体連絡協議会長釧路
藤村忠明 76 元日本ペストコントロール協会理事札幌
藤原幸子 74 元愛別町議愛別
古石英仁 81 元岩見沢市議岩見沢
本多芳宏 71 元更別村議更別
前田時男 73 元旭川土地改良区理事長旭川
村上和子 87 元上富良野町議上富良野
村瀬優 73 元広尾町長広尾
村田均 77 元斜里町長斜里
山川孝義 82 元興部町議興部
山藤雄一 78 元新冠町選管委員長新冠
横山実 73 元壮瞥町議壮瞥
吉田稔 79 元鹿追町議鹿追
渡辺和寛 70 元帯広市議帯広
▽瑞宝双光章
東義海 75 保護司新冠
安藤義美 83 元日高東部消防組合浦河町消防団長浦河
石坂啓司 72 元参院参事網走
伊藤務 77 元遠軽地区広域組合湧別町消防団長湧別
稲川吉一 72 元道管区行政評価局行政相談部長札幌
江畠直彦 80 元公立小校長留萌
遠藤和夫 78 元旭川東郵便局長江別
景山倫照 79 学校医幕別
笠井秀敏 80 元公立小校長伊達
片岡格 70 元函館市副市長函館
片寄繁之 76 元上士幌消防団長上士幌
神山敦 82 元道経済産業局環境資源部石油課長札幌
川田義勝 79 元共和町副町長共和
川平敏 82 元公立小校長札幌
北山一幸 72 元三笠市副市長三笠
木村秀喜 70 元檜山広域行政組合厚沢部町消防団長厚沢部
熊谷唯志 75 保護司浜中
倉弘子 72 保護司稚内
畔川健一 76 元紋別地区消防組合雄武消防団長雄武
桑山英二 87 元公立小校長札幌
小市公三 73 元函館市椴法華消防団長函館
香田隆 74 保護司森
榊良康 77 元公立中校長旭川
坂下正弘 78 元道経済産業局産業部次長札幌
佐々木衿子 68 元滝川市立病院看護部長札幌
笹木健生 65 元北見地区消防組合端野消防団長北見
佐藤敬 81 元札幌南郵便局長札幌
佐藤美幸 66 元自衛隊札幌病院診療技術部研究検査課病理細胞検査主任札幌
佐藤安憲 78 元公立小校長滝川
芝木厚子 78 元「石山センター」施設長札幌
島不二彦 72 元砂川地区広域消防組合奈井江消防団長奈井江
鈴木史彦 77 学校歯科医札幌
高橋鉄已 79 元丘珠郵便局長札幌
高橋日出夫 74 元東室蘭郵便局長札幌
田川正人 73 元砂川地区広域消防組合砂川消防団長砂川
田口章 86 元公立小校長札幌
武山正明 77 元美幌・津別広域事務組合美幌消防団長美幌
田外清 72 元日本郵政公社職員新冠
筒渕美允 83 元道警技術吏員札幌
堤佳彦 79 元岩見沢郵便局長札幌
十鳥公韶 80 元公立小校長伊達
中井哲朗 74 元常陸太田航空衛星センター所長北広島
中平広美 72 元海自第202教育航空隊第202学生隊長札幌
西村良三 84 元警察庁技官札幌
野崎政一 78 元上川北部消防事務組合下川消防団長下川
浜田繁光 77 保護司札幌
樋爪光弘 85 元公立小校長新ひだか
広井弘 87 元公立小校長札幌
福井加代子 75 保護司旭川
藤田勝彦 84 元道警事務吏員石狩
三上良則 84 元横浜国立大施設部長札幌
水沢里美 62 元北海道医療センター看護部長函館
宮野郁子 76 保護司札幌
宮本光明 80 元公立芽室病院長芽室
六辻章子 80 元公立小校長旭川
森健 81 元公立中校長札幌
森本正行 78 元稚内郵便局長旭川
▽旭日単光章
佐藤義久 70 蘭越町商工会長蘭越
新谷則 89 元函館市大川町会長函館
永野拓也 94 元札幌市北区幌北第九町内会長札幌
畑山一洋 83 元本別町代表監査委員本別
三浦忠雄 74 室蘭うずら園代表取締役室蘭
山際栄二 70 元月形土地改良区理事長月形
山中忠典 85 札幌市白石区旭町内会長札幌
▽瑞宝単光章
姉崎一三 76 元大樹町大樹消防団分団長大樹
安藤彰 66 宮本運輸クレーン事業部長兼移動式クレーン運転士深川
飯田憲治 75 元釧路市消防団分団長釧路
伊勢正義 75 元南渡島消防事務組合北斗消防団分団長北斗
岩城清隆 73 元利尻礼文消防事務組合礼文町消防団分団長礼文
岩崎健次 83 元警察庁技官石狩
上杉紀子 66 「五天山園」看護課長札幌
小野博幸 73 元斜里地区消防組合小清水消防団副団長小清水
勝木裕子 71 元各種統計調査員砂川
加藤栄司 65 元旭川生コンサービス取締役常務旭川
加藤充 60 伊藤塗工部工事部課長補佐札幌
鎌田三義 74 元胆振東部消防組合鵡川消防団副団長むかわ
川村英一 66 道路建設道東事業所帯広工事事務所職長森
後藤武 83 元士別地方消防事務組合士別市消防団分団長士別
小山雅明 65 元防衛技官岩見沢
佐々木幸男 66 元防衛技官倶知安
佐藤和子 75 元道警事務職員札幌
佐藤博 77 元北見地区消防組合北見消防団分団長北見
塩谷和子 71 元各種統計調査員札幌
鈴木勝己 70 元釧路北部消防事務組合標茶消防団副団長標茶
鈴木良二 68 元江別市消防団分団長江別
諏訪部隆 76 元美唄市消防団副団長美唄
関口義昭 71 元小樽市消防団分団長小樽
関根修 87 元警察庁技官札幌
高木広志 72 元足寄消防団長足寄
高田勤 70 元音更町消防団副団長音更
田川学 66 元防衛技官岩見沢
竹内正雄 78 元檜山広域行政組合江差町消防団分団長江差
田宮馨 71 元岩内・寿都地方消防組合島牧消防団分団長島牧
塚本文恵 72 元各種統計調査員北見
津村章広 76 元幕別町消防団副団長幕別
中野平作 77 元札幌市南消防団副団長札幌
中村秀治 77 自衛官募集相談員旭川
中村正勝 76 元根室市消防団分団長根室
南部政志 63 福島建設工業職長札幌
西村秋雄 77 元檜山広域行政組合せたな町大成消防団分団長せたな
楡守 71 元旭川市消防団副団長旭川
野戸政秋 79 元渡島西部広域事務組合知内消防団分団長知内
早瀬章雄 66 木部建設職長函館
平井徳雄 77 元八雲町熊石消防団副団長八雲
平田郁実 65 元法務教官札幌
堀江昭一 74 元北留萌消防組合遠別町消防団副団長遠別
本田秀子 64 元北海道大病院看護部看護師長札幌
本間勝 85 元苫小牧市消防団分団長苫小牧
松本雄一 72 元稚内地区消防事務組合豊富消防団長豊富
松谷博子 80 元民生・児童委員函館
真鍋勲 82 元士別地方消防事務組合士別市消防団分団長士別
三浦和泰 67 元留萌消防組合留萌消防団分団長留萌
見上孝太郎 75 元石狩北部地区消防事務組合当別消防団副団長当別
水野稔 83 元深川地区消防組合深川消防団分団長深川
道塚信治 72 元羊蹄山ろく消防組合倶知安消防団副団長倶知安
森元昇治 75 元北海道電力室蘭支店静内電力所変電課長苫小牧
森谷秀哲 67 元北見地区消防組合訓子府消防団分団長訓子府
八木沼正見 72 元石狩北部地区消防事務組合石狩消防団副団長石狩
矢野光昭 76 元滝川地区広域消防事務組合新十津川消防団長新十津川
山崎一幸 76 元岩見沢地区消防事務組合岩見沢消防団副団長岩見沢
山崎保 78 元札幌市清田消防団長札幌
渡辺研史 78 元日高中部消防組合新冠消防団分団長新冠
春の叙勲受章者――埼玉[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 3606文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
斎藤詔治 80 元吉川市議吉川
獅子倉千代子 81 元朝霞市議朝霞
鈴木昌治 70 元日本公認会計士協会副会長川口
関口定男 77 元ときがわ町長ときがわ
醍醐清 72 元県議朝霞
友野紀夫 70 元FWD富士生命保険社長さいたま
長沼明 70 元志木市長志木
星野信吾 70 元富士見市長富士見
松本恒夫 77 元小川町長小川
松本徹 70 元蕨市議鴻巣
茂木喜明 73 日本自動車販売協会連合会県支部長さいたま
▽瑞宝小綬章
安彦正雄 72 元陸自仙台駐屯地業務隊長春日部
池田豊 71 元公立高校長さいたま
板倉清 76 元富士見中学校高校長所沢
一川高一 80 元武蔵越生高校長越生
伊藤輝 71 元九州管区警察学校長ふじみ野
井上勝 72 元空自幹部候補生学校長狭山
入子福司 70 元東京高裁民事首席書記官狭山
岩城征昭 72 元陸自化学学校長さいたま
岩崎稔 71 元名古屋地検事務局長新座
上野栄 72 元陸自第10後方支援連隊長さいたま
大内孝明 72 元千葉公安調査事務所長志木
大橋信彦 70 元特許庁審判部審判長草加
小原繁 72 元陸自第1高射特科団長富士見
笠原隆 71 元公立高校長上里
加地祥文 70 元厚労省医薬食品局食品安全部監視安全課長杉戸
金子健一 70 元児玉郡市広域市町村圏組合消防正監本庄
川崎裕嗣 72 元空自補給本部情報処理部長和光
川戸敏彦 72 元陸自東北補給処装備計画部長和光
神田正 72 元公立高校長鴻巣
国沢輝生 72 元陸自第2師団司令部幕僚長所沢
小島晴夫 70 元さいたま市消防司監さいたま
児玉浩澄 72 元陸自補給統制本部総務部長和光
小峯隆司 72 元金沢家裁首席家裁調査官川越
榊枝宗男 72 元陸自小平学校長さいたま
佐々悦雄 72 元空自第4補給処東北支処長和光
佐藤秀樹 72 元陸自中央業務支援隊長越谷
鮫島茂広 72 元陸自通信保全監査隊長富士見
篠原幸吉 72 元陸自東部方面後方支援隊副隊長久喜
庄田幸作 72 元空自第13飛行教育団司令飯能
白鳥昌夫 81 元労働省大臣官房会計課会計監査室長久喜
杉田勝 70 元公立高校長小川
傍島伸也 72 元陸自中央業務支援隊副隊長和光
高橋和男 72 元海自第4航空群司令富士見
高橋和彦 73 元県環境部長北本
武島裕 73 元県知事室長秩父
田中正一 70 元新潟税務署長さいたま
田中達浩 72 元陸自通信学校長狭山
田中保政 70 元土木研究所総務部長さいたま
田村博範 70 元深谷市消防正監深谷
鶴間宏司 77 元県警本部地域部長さいたま
時吉伸一 72 元陸自相馬原駐屯地業務隊長坂戸
徳成武治 71 元入国者収容所西日本入国管理センター所長川口
富井晴夫 70 元関東信越国税局徴収部長熊谷
冨永敏彦 72 元防衛医科大学校事務局経理部長川越
中島義則 72 元陸自研究本部総務部長川越
中嶋聡明 72 元空自航空総隊司令部飛行隊司令ふじみ野
野田一巳 72 元陸自第1空挺団副団長朝霞
萩原篤志 70 元東京地裁刑事首席書記官さいたま
原山進 71 元奈良県警本部長志木
日野直道 70 元福岡財務支局財務主幹所沢
降田宏 73 元県保健医療部長春日部
古保啓一 72 元陸自補給統制本部衛生部長所沢
門司佳久 72 元陸自高射学校第1教育部長和光
森安研 70 元九州地方整備局営繕部長さいたま
安川文夫 74 元新千歳空港事務所長所沢
山形克己 72 元陸自高等工科学校長和光
山田忠 72 元陸自帯広駐屯地業務隊長毛呂山
吉村俊 72 元陸自東部方面指揮所訓練支援隊長志木
渡辺睦夫 72 元陸自第13旅団副旅団長和光
▽旭日双光章
天野勉 77 元川越市薬剤師会長川越
新井保美 81 元吉見町長吉見
石井直彦 81 元行田市長行田
磯田久子 90 県女性防火クラブ連絡協議会長秩父
伊藤雄介 73 元朝霞地区歯科医師会長さいたま
井上奈保子 86 元滑川町議滑川
岩沢勝 83 元嵐山町長嵐山
大川戸岩夫 75 元日高市議日高
大久保和政 95 元県剣道連盟会長さいたま
大熊敏男 76 藍染技術者八潮
大野好夫 81 元北本市議北本
加藤則夫 76 元坂戸市議坂戸
加藤久子 77 元鴻巣市議鴻巣
金泉婦貴子 76 元鶴ケ島市議鶴ケ島
金子岩和 71 元日本臨床工学技士会副理事長入間
黒沢一雄 76 県納税貯蓄組合総連合会副会長皆野
高柳淳之助 71 元埼玉土地家屋調査士会長熊谷
野中信孝 75 元県建設業協会副会長加須
箱守和之 73 京葉流通倉庫社長桶川
福島悦雄 76 元深谷寄居医師会長深谷
村井敏夫 88 元全日本銃剣道連盟理事朝霞
▽瑞宝双光章
青柳邦忠 75 元埼玉大学生部学生課長戸田
石塚昭英 80 元加須市消防団大利根消防団長加須
市之瀬初男 71 元志木市消防団長志木
猪鼻幸正 70 元公立中校長川越
岡田義和 64 元県健康づくり事業団事業部放射線課長上尾
岡村好一 75 元さいたま市消防団長さいたま
荻野武克 76 学校歯科医熊谷
勝山勉 70 元公立中校長本庄
神谷恵次 72 元公立中校長北本
鴨田克之 70 元公立中校長熊谷
桐田直樹 76 保護司蓮田
小林守 66 元東京メトロ日比谷線乗務管区長さいたま
駒場福子 75 保護司川口
小柳光春 75 元公立小校長深谷
小山志津夫 70 元原子力安全・保安院企画調整課業務管理官さいたま
坂本雄 85 元警察庁技官和光
佐竹芳朗 65 元東京大医科学研究所付属病院診療放射線技師長久喜
佐藤勇治 71 元内閣府事務官越谷
佐野美香 62 元東京都立小児総合医療センター看護部長所沢
関根正夫 70 元内閣府政策統括官付参事官付管理審査官秩父
台克幸 65 元東京メトロ池袋駅務管区長加須
高篠美佐男 70 元内閣府技官鶴ケ島
高瀬賢一 74 元公立中校長羽生
高田勝 73 元川口市副市長川口
友山宏一 70 元入間市副市長入間
外山春男 70 元東京法務局民事行政部次長さいたま
永島圭子 72 元統計研修所統計図書館主幹さいたま
贄田美行 70 元東松山市副市長滑川
橋村恒男 71 元製品評価技術基盤機構企画管理部次長北本
春田盛男 70 元公立中校長行田
平野宣夫 70 元秩父市消防団長秩父
前田酒男 72 元空自南西航空警戒管制隊第54警戒隊長入間
水沢勉 74 元鴻巣市消防団長鴻巣
茂木照司 70 元公立中校長熊谷
山越博子 70 保護司越谷
横村久夫 70 保護司上里
吉田重信 70 元文科省研究振興局基礎研究振興課研究交流管理官所沢
渡辺英雄 74 元関東運輸局総務部長さいたま
▽旭日単光章
青木繁 70 坂戸市公団東坂戸団地自治会長坂戸
小宮山栄 85 元コミー代表取締役蕨
佐々木勲 81 草加市稲荷親和町会長草加
中島牡雄 85 元羽生市農業委員会長羽生
長島博高 73 長島鋳物社長川口
宮沢修 77 元長瀞町選管委員長長瀞
柳沢紀夫 83 元日本鳥類保護連盟理事入間
▽瑞宝単光章
青木千之 68 元比企広域市町村圏組合吉見消防団副団長吉見
石井貢 70 元内閣府技官草加
石田滋夫 67 元東京メトロ千住検車区長川口
大野義雄 76 元川口市消防団分団長川口
小野寺昭市 70 元JR東日本東京電気システム開発工事事務所新宿電気システム工事区助役久喜
金井信司 70 元NIPPO総合技術部生産機械グループ機械担当係長久喜
鯨井節子 77 元工業統計調査員熊谷
葛岡直行 67 元財務技官所沢
斎藤悦弥 70 元行田市消防団分団長行田
佐々木邦春 64 元江東区清掃作業員蕨
佐々木真知子 78 元各種統計調査員草加
茂野一三 67 元日本信号久喜事業所品質保証部信号保証3G係長鴻巣
新谷智子 66 元防衛医科大学校病院看護部副部長所沢
新屋晴美 72 元日本郵政公社職員上尾
鈴木忠良 79 元春日部市春日部消防団分団長春日部
鈴木良隆 69 元参院参事春日部
須藤勉 81 元県警技術吏員久喜
高塚豊 63 元東急電鉄鉄道事業本部運輸部武蔵小杉駅長川口
高野成一 71 元草加市消防団副団長草加
田中英雄 71 元高知県中芸広域連合奈半利町消防団副団長所沢
谷田順一 63 元西武鉄道上石神井電気所長狭山
鳥海新一 73 元越谷市消防団副分団長越谷
中猛保 69 中栄ペイント代表取締役秩父
野口良輝 73 民生・児童委員さいたま
野村孝行 75 元比企広域市町村圏組合東松山消防団副団長東松山
広瀬勉 72 元熊谷市消防団副分団長熊谷
細井聖也 65 元防衛医科大学校病院看護部看護師長所沢
堀江弘道 57 堀江工務店社長所沢
松浦弘明 63 元西武鉄道多摩湖線管理所長所沢
三谷和正 70 元鴻巣市消防団分団長鴻巣
宮内昇 69 元東京ガス導管部導管工事グループ工事監査チーム副課長杉戸
村田元子 84 元工業統計調査員朝霞
本村昌彦 71 デジタルファーム勤務鴻巣
渡辺範子 71 元日本郵政公社職員草加
渡辺二三雄 64 元桶川市消防団副団長桶川
春の叙勲受章者――千葉[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 3583文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
小倉純夫 72 元日弁連理事松戸
中川英孝 78 元松戸市議松戸
中村孝治 77 元佐倉市議佐倉
日暮栄治 80 元柏市議柏
福原敏夫 84 元富津市議富津
丸昭 75 元勝浦市議勝浦
三木祥史 70 元最高裁司法研修所教官市川
森茂樹 80 元千葉市議千葉
▽瑞宝小綬章
天野久昌 72 元北関東防衛局管理部長松戸
飯倉和夫 73 元在デンパサール日本総領事館総領事大網白里
石口純一 71 元東京地検事務局長千葉
一戸公俊 70 元四国地方整備局用地部長船橋
伊藤隆 72 元陸自第11旅団長大網白里
遠藤隆二 78 元公立高校長我孫子
大須賀操 70 元会計検査院第1局司法検査課長浦安
大塚雅彦 70 元山武郡市広域行政組合消防正監東金
岡村稔 71 元さいたま地検事務局長八千代
奥野保明 78 麗沢大名誉教授柏
葛西幸司 70 元松戸市消防正監松戸
柏敏之 72 元駐留軍等労働者労務管理機構企画調整部長千葉
片山幸太郎 72 元自衛隊中央病院第1歯科部長市川
加藤博 70 元総務省東海総合通信局無線通信部長千葉
加藤優 71 元千葉地検事務局長柏
鎌田庄平 70 元横浜税関監視部長浦安
橘高照忠 77 元警視庁警備部参事官松戸
木村孝彦 72 元海自岩国航空基地隊司令市川
京坂和憲 71 元公立特別支援学校長我孫子
桐山信一 70 元中国地方整備局総務部長市川
古賀弘徳 70 元習志野市消防正監佐倉
後藤一誠 70 元千葉東税務署長八千代
小林行雄 70 元東海財務局総務部長佐倉
今野孝一 70 元門司税関長八千代
佐々木幸男 70 元高松国税不服審判所長習志野
佐藤龍二 72 元装備施設本部誘導武器課長成田
清水和男 71 元東京税関監視部長市原
下野正基 79 東京歯科大名誉教授千葉
末村幸次 70 元安房郡市広域市町村圏事務組合消防正監館山
瀬尾勝成 72 元九州防衛局次長柏
田中仁 72 元空自航空保安管制群司令柏
田辺勝美 70 元厚労省大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課世帯統計室長千葉
種市百器 70 元通産省関東通商産業局産業振興部長船橋
千葉晃 71 元公立聾学校長富里
塚本賢二 72 元空自航空中央業務隊司令鎌ケ谷
寺谷猛 72 元陸自補給統制本部航空部長船橋
冨永康雄 71 元横浜地検事務局長柏
戸谷久子 72 元県環境生活部長市原
長尾秀樹 74 元関東運輸局海上安全環境部長市川
長島敏明 70 元神戸税関長印西
中村正弥 71 元空自補給本部総務部長野田
新山英孝 72 元空自航空教育隊副司令船橋
野田耕平 72 元空自航空総隊司令部装備部長柏
野呂修 70 元財務省大臣官房会計課管理室長我孫子
羽石清二 70 元柏市消防正監我孫子
林睦博 70 元板橋税務署長習志野
平嶋洋次 72 元空自第7航空団副司令我孫子
藤崎誠一 74 元厚労省社会・援護局地域福祉課長松戸
細谷美明 70 元全日本中学校長会長船橋
堀田健治 79 日本大名誉教授習志野
堀弘 72 元陸自九州補給処装備計画部長柏
前野一夫 75 元木更津工業高専校長千葉
牧野真憲 70 元参院参事流山
松田功 77 元国立病院機構東京病院事務部長浦安
松山守秀 72 元海自下総教育航空群司令千葉
水茎弥 70 元特許庁審判部審判長流山
三好文雄 72 元空自第3輸送航空隊副司令鴨川
山田孝仁 71 元近畿財務局金融安定監理官八千代
幸田勇二 70 元国交省港湾局技術企画課事業監理官千葉
渡辺茂通 71 元公立高校長千葉
綿谷久司 70 元沖縄国税事務所長千葉
▽旭日双光章
伊藤勝仁 76 元市川市医師会長市川
大矢吉明 79 元九十九里町長九十九里
小倉晴夫 73 県LPガス協会長習志野
片岡英雄 76 県青色申告会連合会副会長佐倉
加藤忠勝 77 元山武市議山武
岸田修 77 元習志野市歯科医師会長習志野
鈴木直登 71 日本料理研究会副会長柏
徳田訓康 85 鎌ケ谷市社会福祉協議会長鎌ケ谷
蜂谷良一 74 元県家畜商協同組合理事長千葉
松永修巳 85 元市川市議市川
▽瑞宝双光章
浅田和子 74 元公立中校長習志野
新井茂 74 元関東地方整備局総務部総括調整官野田
飯尾昭二 72 元成田航空地方気象台総務課長習志野
五十嵐俊哉 62 元東急電鉄鉄道事業本部運転車両部運輸司令所司令長柏
池田浩人 73 元在イタリア日本大使館一等書記官印西
石井和明 75 元公立小校長船橋
伊藤仁一 86 元公立小校長船橋
今野弘子 61 元千葉東病院看護部長千葉
岩立元夫 71 元公立小校長成田
内ケ嶋勇治 70 元国交省総合政策局総務課企画専門官柏
内山一代 71 保護司大網白里
宇津木章男 87 元警察庁技官市川
江沢俊行 84 元JR東日本千葉支社千葉駅長勝浦
大木百合子 73 元本多病院総看護師長銚子
小倉正己 93 元国鉄鉄道技術研究所土質研究室長我孫子
掛札守 72 元総務省人事・恩給局恩給業務課支給管理室長柏
片野善夫 74 元成田空港事務所総務部長成田
鎌田良一 69 元衆院参事柏
亀谷康治 72 元厚労省大臣官房会計課監査指導室会計監査官松戸
川口平 72 元千葉行政評価事務所長千葉
川島公治 74 元関東地方整備局営繕部営繕調査官我孫子
北川克洋 73 元在カナダ日本大使館一等書記官印西
木村俊幸 77 元公立中校長四街道
桐谷澄男 86 元公立小校長市原
小泉学 73 元公立中校長市原
佐々木崇支 74 元国交省航空局管制保安部運用課次席飛行検査官千葉
佐瀬俊之 78 元学校歯科医千葉
佐藤絹子 80 元人権擁護委員船橋
沢村節夫 72 元海自第205教育航空隊第205教育飛行隊長千葉
清水隆 74 元公立中校長市原
新屋敷早人 74 元大分空港事務所長松戸
鈴木拡治 70 元会計検査院第2局厚生労働検査第3課総括副長市川
鈴木正和 71 元公立小校長山武
高橋邦伯 72 元公立中校長千葉
高橋武 76 保護司千葉
高屋猛 74 元経産省産業技術環境局業務管理官室長柏
武富裕次 75 元四街道市副市長四街道
田中正衛 87 元警察庁技官船橋
鶴岡義一 80 元県警事務吏員八千代
内藤公夫 76 元県副企業庁長四街道
稗田政義 76 元県県土整備部理事東金
深川康 73 元在ドイツ日本大使館参事官兼領事市川
福留勉 74 元関東地方整備局地方事業評価管理官我孫子
藤井信明 82 元公立小校長市川
前田烈 86 元公立中校長船橋
松村学 74 元公立小校長市川
三浦孝二 73 元内閣府事務官印西
村越善子 75 「第二松丘園」施設長横芝光
村松文善 71 元警察庁事務官印西
諸持耕太郎 72 元公立中校長旭
安井兼光 73 保護司千葉
保川和弘 70 元日本郵政公社職員茂原
横井勝則 72 元中村古峡記念病院看護部長千葉
横田恒幸 74 元公立小校長市川
横山賢太郎 86 元公立小校長千葉
吉川淳子 65 元千葉大医学部付属病院看護部長四街道
米沢哲一 72 元統計局統計調査部調査企画課地理情報室長市川
渡辺恵之助 73 東浪見こども園長いすみ
渡辺亮司 70 元公立小校長いすみ
▽旭日単光章
井戸川員三 86 元四街道市監査委員四街道
大木茂秀 75 元多古町農業委員会長多古
川名正幸 75 川名デーリィ代表取締役館山
富沢昇 78 元野田市関宿商工会長野田
冨田清 77 市原市若宮五丁目町会長市原
山岸良二 74 習志野市文化財審議会長千葉
▽瑞宝単光章
青野平 70 元佐原市外五町消防組合下総消防団長成田
阿曽浩美 70 元内閣府事務官茂原
石川政明 67 元県職員南房総
岩沢紀子 67 元さんむ医療センター看護部長山武
岩瀬隆 68 元香取広域市町村圏事務組合東庄町消防団長東庄
鵜沢守 87 元警察庁技官東金
大嶋龍太 61 元京成電鉄湯川施設区長成田
大塚精一 71 元松戸市消防団副団長松戸
岡田実 71 元横須賀市清掃作業員市原
加瀬恵子 68 栄保育園保育士匝瑳
川間松代 76 元各種統計調査員館山
久保睦男 67 元新日鉄住金君津製鉄所設備部中央整備室班長袖ケ浦
桑原京子 68 みやくぼ保育園長市川
坂井真由美 72 民生・児童委員市原
佐久間幹夫 67 元県職員東金
柴田健一 66 元防衛技官木更津
霜鳥美江子 74 元各種統計調査員四街道
関根勇夫 68 元酒々井町消防団長酒々井
染谷克已 65 元東武エンジニアリング南栗橋軌道区長野田
田中健二 66 元国立印刷局職員千葉
田中俊雄 69 元長生郡市広域市町村圏組合消防団副団長茂原
玉井秀和 68 元東京メトロ東西線信通区長柏
筒井善則 70 元内閣府事務官市川
野口雅弘 70 元内閣技官君津
吉田喜一郎 74 元我孫子市消防団長我孫子
若尾邦江 67 元東京大医学部付属病院看護部看護師長柏
和田みどり 60 元千葉リハビリテーションセンター副看護部長茂原
渡辺郁子 67 元高根病院看護部長成田
春の叙勲受章者――神奈川[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 3509文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
浅井万富 70 元日本公認会計士協会副会長横浜
伊藤博 82 県商店街振興組合連合会理事長川崎
川島清嘉 71 元最高裁司法研修所教官横浜
草壁悟朗 71 元川崎信用金庫理事長川崎
小泉清隆 90 元県森林組合連合会代表理事会長小田原
角井基 70 元横須賀市議横須賀
鳥海弘 72 県獣医師会長伊勢原
柳沢祥二 72 大東京信用組合会長兼理事長横浜
綿森繁樹 73 元日本水先人会連合会理事横浜
▽瑞宝小綬章
渥美桂 70 元横浜税関調査部長相模原
阿部幸栄 70 元公立高校長座間
荒井真一郎 72 元装備施設本部調査研究室長横浜
井上健一 70 元金融庁総務企画局政策課金融サービス利用者相談室長川崎
上田隆茂 71 元東海農政局統計部長鎌倉
江越博昭 73 元四国経済産業局長横浜
大谷雅彦 71 元海保交通部企画課企画調査室長横浜
大畑多津雄 70 元公立高校長厚木
小野沢孝一 82 元県企画部長横浜
小俣五三巳 72 元横浜簡裁判事藤沢
加藤裕之 71 元国交省大臣官房審議官横浜
窪伍朗 72 元北関東防衛局企画部長平塚
小出憲博 71 元海保交通部計画運用課ディファレンシャルGPSセンター所長横浜
斉藤正明 70 元函館税関調査部長平塚
佐々木敬子 72 元東京簡裁判事茅ケ崎
佐藤譲二 77 元総武病院長横浜
佐藤太郎 77 元警視庁丸の内警察署長相模原
志和陽一郎 72 元技術研究本部先進技術推進センター特別研究官横浜
末吉栄 70 元東京区検副検事川崎
鈴木正一 72 元陸自青森駐屯地業務隊長鎌倉
鈴村利弘 72 元北海道防衛局次長横浜
瀬戸馨 70 元北陸地方整備局建政部長横浜
高橋卓 70 元鎌倉市消防正監鎌倉
竹井義晴 70 元航海訓練所理事長横浜
竹内政昭 74 元静岡保護観察所長横浜
中川正徳 72 元総務省統計審査官横浜
中薗善広 78 元皇宮警察本部護衛部長川崎
中村英俊 70 元科技庁原子力局研究技術課核融合開発室長横浜
原崎正志 70 元内閣法制局長官総務室会計課長横浜
原山和巳 70 元総務省自治行政局選挙部管理課長横浜
久松孝 74 元関東運輸局東京運輸支局長川崎
飛弾良一 70 元川崎市上下水道事業管理者川崎
平泉哲郎 70 元財務省主計局主計監査官横浜
広沢英治 70 元総務省自治財政局公営企業課公営企業経営室長横浜
藤内光武 70 元特許庁審判部審判長横浜
細川治 74 元横浜栄共済病院長横浜
本多満 70 元衆院調査局調査員横浜
宮沢彰夫 70 元総務省大臣官房付横浜
室屋充 70 元三国税務署長横浜
森康晃 71 元内閣府国民生活局物価政策課長茅ケ崎
山根洋 72 元陸自システム開発隊長横浜
横田浩 73 元中国経済産業局長川崎
吉水純子 70 元特許庁審判部審判長川崎
米沢由志美 70 元横浜区検副検事小田原
和田邦彦 70 元横浜区検副検事相模原
▽旭日双光章
飯沢清人 70 元横浜市議横浜
石渡徳一 72 元鎌倉市長鎌倉
岩田はるみ 73 元茅ケ崎市議茅ケ崎
佐々木竹見 83 元県騎手会長川崎
杉山祐一 70 元中井町長中井
鈴木美伸 73 元小田原市議小田原
関口美恵子 73 県エアロビック連盟会長横浜
田中肇 70 元県議横浜
藤間明男 70 元県議茅ケ崎
富田篤 83 元藤沢市歯科医師会長藤沢
西村章 74 流機エンジニアリング会長川崎
原田洋 89 元湯河原町議湯河原
宮川政久 87 元川崎市医師会長川崎
▽瑞宝双光章
有賀和彦 71 元横浜市南消防団長横浜
石井悦夫 75 元公立中校長平塚
石川将一 84 元学校薬剤師横浜
石田浩昭 70 元宮内庁侍従職事務主管補佐相模原
井上靖子 72 調停委員川崎
鵜養幸雄 70 元人事院事務総局公務員研修所教授横浜
大内幸敏 61 元川崎市立多摩病院画像診断部技術課長横浜
大久保泰明 69 元寒川町消防団長寒川
大橋倫人 82 元公立中校長横須賀
沖原次久 75 元公立小校長大和
桂林和子 85 元公立小校長茅ケ崎
壁宣昭 74 保護司川崎
木下弘 70 元大和市消防正監大和
木村泰久 76 元公立小校長平塚
黒川典功 78 元公立中校長横浜
小池美智子 64 元横須賀共済病院副院長兼看護部長事務取扱横須賀
神代香代 84 元東京学芸大学生部次長横浜
越田浩之 78 元公立中校長相模原
小西保勝 71 元公立中校長相模原
小林由紀子 81 元学校薬剤師川崎
小松康夫 74 保護司横浜
末吉一夫 75 保護司川崎
鈴木正弘 78 元公立小校長大磯
添田勝夫 69 元横浜市山手消防団長横浜
曽田高治 70 元公立中校長海老名
高塚恵市 72 元情報本部職員横浜
滝川隆雄 74 保護司横浜
滝口しげ子 75 保護司茅ケ崎
角田義信 74 元松山空港事務所長横浜
露木光夫 80 元民生・児童委員横浜
寺田和枝 77 保護司川崎
内藤武彦 81 元小田原市助役秦野
中田泰光 71 保護司川崎
中村芳治 72 元空自中部航空警戒管制団第44警戒隊長横浜
中村良之 78 元秦野市副市長秦野
野尻光子 74 保護司秦野
橋本道哉 89 元国鉄鹿児島鉄道管理局電気部長川崎
早川美智子 82 元公立小校長横須賀
藤井広江 81 元「旭ホーム」准看護師横浜
二上一朗 83 元筑波大図書館部長横浜
二見浩一 64 元湯河原町消防団長湯河原
本田恵美 61 元県立循環器呼吸器病センター医療技術局検査科長横浜
簔葉昭司 84 元厚木市助役厚木
元吉正典 70 元公立中校長横浜
安良岡靖史 70 元公立小校長茅ケ崎
山口治郎 74 元航空大学校仙台分校首席教官横浜
湯舟佳子 65 元横浜市医療局病院経営本部市民病院輸血部技師長横浜
吉野正巳 72 元総合地球環境学研究所管理部長横浜
▽旭日単光章
大舘達治 79 元松田町選管委員長松田
川瀬冨士子 77 元横須賀市代表監査委員横須賀
久保田角男 74 県中華料理業生活衛生同業組合副理事長川崎
柴原忠男 88 元川崎市宮前区土橋町内会長川崎
高橋寛 77 元県理容生活衛生同業組合副理事長厚木
冨田洋 71 ジオ・サーチ会長平塚
古谷欣治 87 元川崎市多摩区中野島町会長川崎
堀功生 78 横浜市保土ケ谷区初音岩崎自治会長横浜
▽瑞宝単光章
荒谷道郎 66 元防衛技官横須賀
池田高志 71 元国立印刷局職員秦野
池田久子 75 元川崎市立井田病院副院長兼看護部長横浜
池本節子 77 元各種統計調査員相模原
井沢与 75 民生・児童委員横須賀
石井正己 61 太平建設職長開成
井上清隆 70 元開成町消防団長開成
内田俊明 73 日本築炉協会勤務川崎
衛藤敏幸 61 元東急電鉄鉄道事業本部電気部電気司令所司令長相模原
遠藤好雄 62 元秦野市消防団副団長秦野
大竹巌 65 元国土交通技官相模原
小沢俊通 71 元厚木田園幼稚園長厚木
小野田誠二 63 千代一工業移動式クレーン運転士鎌倉
加藤良子 76 元帝京大医学部付属溝口病院中央検査部臨床検査技師長川崎
川口伸広 63 元海技教育機構海王丸甲板長横浜
黒木昌子 61 元自衛隊札幌病院医療安全評価官付副医療安全評価官大井
越井優子 73 調停委員横浜
小林正仁 77 香風苑代表取締役横浜
清水広樹 56 生田建設取締役工事部長川崎
杉山圭一 65 元平塚市消防団副団長平塚
杉山孝生 66 元NHK職員川崎
鈴木孝昭 66 元相鉄工務部上星川保線区保線区長横須賀
須永克子 77 元民生・児童委員秦野
醍醐潮 63 元法務教官相模原
高野武 62 元東急電鉄鉄道事業本部運輸営業部渋谷駅長横浜
角田伯雄 73 元横浜市神奈川消防団長横浜
露木健造 74 元横浜市緑消防団長横浜
露木隆丸 69 元山北町消防団分団長山北
寺崎美津子 74 元各種統計調査員横須賀
永井均 77 元川崎市宮前消防団副分団長川崎
中里栄一 71 元川崎市清掃作業員川崎
野本ヨシ子 83 元新日本保育園副園長川崎
芳賀格 55 芳賀工務店代表取締役横浜
細井博明 62 元東急電鉄鉄道事業本部運輸営業部長津田駅長川崎
堀田真一郎 76 元逗子市消防団分団長逗子
三上能樹 72 元川崎市中原消防団長川崎
南幅岳城 63 元東京ガス日立LNG基地操業部製造センターマネージャー横浜
武笠和師 73 元川崎市高津消防団長川崎
村崎由美子 71 元各種統計調査員川崎
山崎修男 63 元東急電鉄鉄道事業本部運転車両部長津田車掌区長横浜
湯山ともえ 72 元国立印刷局職員小田原
横溝尚樹 70 元横浜市青葉消防団長横浜
吉沢聖二 65 元法務教官横須賀
吉田孝志 81 元横須賀市消防団副団長横須賀
吉谷義雄 72 元大和市消防団分団長大和
六角利行 65 元総合車両製作所生産本部生産部ぎ装課ぎ装係長横浜
春の叙勲受章者――大阪[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2848文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
有本純子 76 元大阪市議大阪
佐藤徹哉 83 元日本書籍出版協会常任理事大阪
中河昭 81 元大東市議大東
中村信彦 70 元茨木市議茨木
福井浩二 70 元高槻市議高槻
望月誠 72 元日本水先人会連合会副会長茨木
吉田恭輔 82 元羽曳野市議羽曳野
▽瑞宝小綬章
青木瑠璃子 87 元公立養護学校長高槻
石田寿昌 78 大阪薬科大名誉教授東大阪
奥野佳秀 71 元堺市消防正監羽曳野
桂千恵子 82 元府エアロビック連盟会長茨木
川北明男 86 元公立高校長高石
北口悦司 70 元東大阪市消防正監東大阪
小佐井国久 72 元造幣局総務部人事課長大阪
金銅万知 71 元堺市消防正監羽曳野
白石修章 72 元関東地方整備局東京空港整備事務所長貝塚
寺満 70 元大阪税関調査部長高槻
土井修 70 元神戸税務署長東大阪
西島雄三 71 元高槻市消防正監島本
増田大三 78 近畿大名誉教授吹田
真舘尚志 78 北九州工業高専名誉教授島本
山口賢秀 74 元東京空港事務所施設部長豊中
山野博史 78 関西大名誉教授堺
米丸数馬 74 元神戸航空衛星センター所長豊中
渡部一成 70 元警察庁警備局警備企画課警備総合研究官大阪
▽旭日双光章
石部修平 85 元荒川化学工業社長池田
牛山隆之 73 大阪本場青果卸売協同組合理事長大阪
大竹浩司 70 元大阪聴力障害者協会長大阪
川本均 73 元吹田市議吹田
栗尾尚孝 72 茨木商工会議所副会頭茨木
小林康真 78 木村化工機会長兼社長豊中
坂田喜信 85 府トラック協会長大阪
武田温裕 72 元八尾市医師会長八尾
鶴見哲男 70 大阪セーフ・ファニチュア協同組合理事長大阪
土井一憲 70 元四條畷市長四條畷
冨田栄次 71 元日本屋外広告業団体連合会長大阪
西川和孝 70 日本不動産鑑定士協会連合会副会長・代表理事堺
丹羽つとむ 70 全国病院理学療法協会常任理事吹田
間昭夫 78 元大東市公平委員長大東
松尾浩 73 元高槻市薬剤師会長大阪
水上利夫 92 元豊中商工会議所副会頭豊中
森裕文 75 元泉南市議泉南
森頼信 71 元堺市議堺
▽瑞宝双光章
明石亮一 70 元府労委事務局長東大阪
一木重徳 87 元公立小校長岸和田
乾昇一 85 元公立中校長交野
井上裕美子 67 元千船病院看護部看護部長大阪
茨田勇 87 元公立中校長堺
上田正克 87 元公立小校長和泉
上野美加登 85 元府警事務吏員大阪
宇治茂 78 元大阪南医療センター診療放射線技師長富田林
氏川修道 87 元公立小校長和泉
内田恵久 87 元公立小校長茨木
大草亘 79 行政相談委員大阪
大西博 70 元近畿地方整備局企画部技術調整管理官枚方
岡田知子 61 元大阪はびきの医療センター看護部長松原
梶本邦光 80 元公立小校長泉南
勝田年和 73 元神戸運輸監理部兵庫陸運部長大阪
角野京子 72 調停委員堺
神田悌吉 84 元公立小校長豊中
久保木栄三 86 元公立小校長交野
久保田清 80 人権擁護委員大阪
河野順子 76 行政相談委員守口
古角利裕 74 元近畿運輸局大阪運輸支局長大阪
坂口豊 84 元公立小校長枚方
嶋崎豊 78 元公立中校長豊能
下條富美子 73 「鶴見老人保健施設ラガール」施設長大阪
杉本信夫 85 元府中央卸売市場長茨木
鈴木香苗 86 元公立中校長枚方
墨林浩 72 西日本成人矯正医療センター教誨師堺
田尻達朗 74 「高津学園」施設長大阪
田中治 70 元公立中校長寝屋川
丹家荘行 87 元公立小校長高槻
千頭孝史 70 元三国丘病院長大阪
茶円敏彦 73 元彦根地方気象台長大阪
辻久美子 72 幼保連携型認定こども園山本こども園長大阪狭山
辻岡進 73 元近畿経済産業局資源エネルギー環境部電源開発調整官枚方
津田貞夫 70 元近畿地方整備局主任監査官吹田
樋川利雄 71 保護司堺
道志年彦 84 元泉佐野市公平委員長泉佐野
那谷定彦 79 元公立中校長大阪狭山
西沖元裕 72 保護司堺
西本京子 62 元大阪医療センター看護部長門真
信岡悦子 73 保護司大阪
野村美代子 74 元阿倍野郵便局長大阪
畠山信龍 72 保護司豊中
樋口浩一 70 保護司大阪
福山勇 86 元公立高校長高槻
前田祥一 71 元造幣局貨幣部貨幣課長四條畷
前田勝 86 元公立中校長大阪
松村博史 87 元岸和田市助役岸和田
森畑通夫 73 元近畿経済産業局通商部国際化調整企画官大阪
矢倉龍男 72 保護司千早赤阪
山田幾久雄 74 元守口市消防団長守口
山西里夫 79 元公立小校長能勢
山本巌 87 元府土木部港湾管理監兼港湾局長吹田
吉岡達雄 75 元藤井寺市消防団長藤井寺
▽旭日単光章
大西英介 79 元忠岡町選管委員長忠岡
奥野英俊 84 阪南市商工会長阪南
勝間冨士男 72 泉佐野市農業委員会長泉佐野
田中正敏 78 元府産業廃棄物協会副会長堺
辻信夫 86 元大阪狭山市岩室自治会長大阪狭山
東司丘興一 73 府社交飲食業生活衛生同業組合副理事長大阪
野阪博美 72 元守口市八雲東町連合西町会長守口
山下修 70 アポロウエーブ代表取締役大阪
▽瑞宝単光章
稲富真由美 57 元「信太学園」副主任保育士和泉
今北嘉彦 78 元忠岡町消防団副団長忠岡
牛島幸子 70 調停委員大阪
大野真理子 62 元大阪母子医療センター副看護部長兼看護師長和泉
大村静正 65 元造幣局職員八尾
奥本弥生 58 「岸和田学園」児童指導員岸和田
鹿島健一 74 元富田林市消防団分団長富田林
川西利則 74 民生・児童委員門真
河野枝美子 76 「ビオラ和泉ヘルパーステーション」ホームヘルパー和泉
川端正典 64 元法務教官岸和田
河東裕子 71 元工業統計調査員太子
木戸宏美 65 元北野病院副看護部長大阪
斎藤浩司 62 元大阪ガス泉北製造所保安安全チーム安全推進グループチーフ堺
武本栄治 71 ユニオン技建代表取締役大阪
谷口紀子 77 元府立精神医療センター看護師長大阪
田原俊一 77 堺打刃物製造業従事者堺
田村靖子 72 元民生・児童委員茨木
檀上博幸 67 元大阪市清掃作業員大阪
佃昌範 64 元法務教官泉佐野
殿谷豊一 71 元泉南市消防団副団長泉南
中尾進 81 元大阪狭山市消防団分団長大阪狭山
中尾好美 72 元池田市消防団長池田
西川光明 71 淀川右岸水防事務組合水防団淀川筋下流部本部付部長大阪
二山芳和 72 元東大阪市消防団分団長東大阪
橋本大道 64 元京阪電鉄お客様サービス事業部営業課大阪エリア駅長東大阪
東義隆 65 元造幣局職員大阪
平井克浩 65 元造幣局職員守口
福井智永子 61 幼保連携型認定こども園第2聖心保育園主幹保育教諭大東
松野長次 77 民生・児童委員大阪
森永謙二 76 元産業医学総合研究所作業環境計測研究部長箕面
森本京 72 調停委員豊中
山口栄子 82 元工業統計調査員大阪
山田斎 64 元法務教官枚方
横山こと恵 67 「ケアハウスロータス」生活相談員門真
吉川徹夫 70 元河南町消防団副団長河南
春の叙勲受章者――愛知[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2537文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
市川博久 70 元日本税理士会連合会常務理事豊橋
内堀典保 72 県歯科医師会長名古屋
鎌田篤司 76 元蒲郡市議蒲郡
沓名俊裕 74 安城商工会議所会頭安城
杉江省一郎 78 元常滑商工会議所会頭常滑
竹内啓二 70 元阿久比町長阿久比
中村晋 70 元県議豊田
西村高史 70 元日本税理士会連合会副会長名古屋
村松幹彦 79 県森林組合連合会代表理事会長設楽
▽瑞宝小綬章
岩間博 70 元公立高校長安城
大引和也 72 元岐阜北税務署長名古屋
荻野弘 80 豊田工業高専名誉教授豊川
小沢良一 70 元名古屋国税局課税第一部長名古屋
葛山節弘 86 元県人事委員会事務局長東浦
沢田喜之 70 元公立高校長江南
棚田正之 71 元和歌山家裁首席家裁調査官名古屋
谷口勝司 70 元名古屋国税局調査部長名古屋
恒川好樹 79 豊田工業大名誉教授岡崎
橋口迪夫 78 元中村警察署長瀬戸
服部悟 75 元衣浦東部保健所長岡崎
林誉樹 70 元公立高校長豊橋
前川龍彦 70 元人事院事務総局職員福祉局補償課災害補償分析官名古屋
宮地克秀 70 元名古屋税関調査部長半田
三輪謙治 74 元産総研名古屋工業技術研究所材料プロセス部長清須
▽旭日双光章
浅井康正 74 元名古屋市議名古屋
稲垣正明 78 元西尾市議西尾
岩瀬計介 71 元武豊町議武豊
沖野温志 73 元刈谷市議刈谷
樫尾富二 75 元県医師会理事名古屋
加藤則之 72 元津島市議津島
金森和彦 70 元中部船員地労委委員尾張旭
金子慶太郎 73 県警備業協会副会長名古屋
黒田勝春 79 県漁業協同組合連合会副会長理事西尾
後藤澄江 71 あいち男女共同参画財団理事名古屋
斎藤誠 71 元東海市議東海
榊原洋二 75 元豊川市議豊川
関清文 81 元豊根村議豊根
高木裕明 72 元東海科学機器協会理事長名古屋
高笠原晴美 86 元知立市議知立
豊田一雄 75 元豊橋市議豊橋
西尾克彦 70 元日進市議日進
野田正治 72 元瀬戸旭医師会長瀬戸
服部猛 77 元稲沢市議稲沢
船橋厚 81 元小牧市議小牧
前川銑一 74 元春日井市議春日井
宮沢清人 77 県食品衛生協会副会長豊田
森利明 79 元一宮市議一宮
▽瑞宝双光章
青野正男 78 元名古屋医療センター臨床検査技師長一宮
安部隆俊 72 保護司名古屋
荒木弘一 70 元公立小校長弥富
安藤孝之 70 元日本郵政公社職員豊田
安藤正紀 70 元公立小校長豊橋
犬塚尊夫 70 元公立中校長岡崎
岩瀬幸夫 85 元豊田市収入役豊田
大原憲一 78 学校医岡崎
岡田元 63 元安城更生病院臨床検査室長知立
岡田昌之 70 元中部地方整備局企画部技術調整管理官名古屋
岡田豊 71 元公立小校長岡崎
岡本和裕 70 元日本郵政公社職員春日井
加藤通幸 70 名古屋拘置所教誨師名古屋
佐竹まり子 70 元調停委員小牧
佐藤信枝 58 中部労災病院看護部長名古屋
新谷澄男 77 元学校歯科医みよし
杉浦徹 70 元公立小校長新城
直里公司 73 元中部運輸局海事振興部長名古屋
田中和子 78 行政相談委員瀬戸
田村明彦 78 学校薬剤師名古屋
多和田憲孝 76 保護司新城
丹下哲夫 78 元東名古屋病院事務部長春日井
外山幸男 77 愛知陸上競技協会副会長豊明
中尾康子 70 元調停委員名古屋
中村彰宏 64 元名鉄名古屋幹事駅長豊橋
丹羽明男 70 元公立中校長一宮
丹羽玲子 65 元愛知医科大病院輸血部技師長名古屋
野々山密雄 77 保護司名古屋
長谷川しとみ 63 元県厚生連江南厚生病院看護部長岩倉
藤井憩 70 元公立中校長豊田
藤川順子 76 保護司名古屋
藤本久代 60 「明範荘」介護主任蟹江
古田伸次 73 元中部運輸局静岡運輸支局次長東浦
星野広美 70 元県建設部建築局長津島
堀場寿実 58 青い鳥医療療育センターリハビリテーション科長江南
真下よしみ 70 調停委員名古屋
松川保 72 元東北大企画調整官名古屋
三島秀明 77 元名古屋市辻消防団長名古屋
水田博和 70 元公立小校長春日井
宮島年夫 70 元公立小校長大府
森鋭一 70 元県産業労働部労政局長春日井
森乙平 70 元公立中校長春日井
森清行 89 県遺族連合会副会長名古屋
▽旭日単光章
川畑雅彦 72 トライボテックス社長東浦
颯田洪 87 元西尾市文化財保護委員会委員長西尾
吉川靖雄 80 元八開村土地改良区理事長愛西
▽瑞宝単光章
二代味岡映水(味岡延博)
72名古屋節句飾製造業従事者岡崎
安藤典子 74 元工業統計調査員豊田
石川正栄 64 半田同胞園保育所副園長半田
石黒三紀子 70 調停委員田原
石本つやこ 67 「愛厚新生寮」生活支援員南知多
伊藤緋奈子 77 民生・児童委員名古屋
浦美子 70 元各種統計調査員小牧
加藤ミカ 65 元長久手市立長湫東保育園長瀬戸
亀島里美 65 元県がんセンター病院副院長兼看護部長名古屋
川渕啓治 77 元岡崎市羽根消防団長岡崎
神戸卓朗 55 藤間工業執行役員工事部長名古屋
城戸理津子 75 元各種統計調査員名古屋
小久保好生 63 東海理化電機製作所人事部東海理化学園一般社員教育担当主任豊橋
小寺戛予 77 元工業統計調査員名古屋
五藤孝秋 61 元名古屋市立大病院診療技術部臨床検査技術科主幹一宮
桜井高志 67 元東邦ガス知多製造部電気課チーフ東海
佐藤正男 65 元名古屋市職員名古屋
鈴木正子 81 元工業統計調査員名古屋
鈴木洋子 81 元工業統計調査員稲沢
高橋克彦 60 豊徳工事部・安全部長名古屋
谷中ひさ子 77 元民生・児童委員蟹江
長尾日左哉 64 元法務教官岡崎
成瀬美恵 61 元金沢医療センター看護部長瀬戸
新美行雄 57 昭栄建設職長阿久比
林冨三 78 元名古屋市松栄消防団長名古屋
藤永隆志 57 隆一産業工務部課長代理津島
堀江好男 76 元名古屋市大高南消防団長名古屋
松本正子 77 栄和幼稚園長名古屋
水野雄二 65 元県職員西尾
村松由美江 67 元豊根村保健センター長豊根
山田賢 75 元名古屋市平和が丘消防団長名古屋
横井三千雄 73 元民生・児童委員愛西
吉田耕作 76 元名古屋市南押切消防団長名古屋
角山(渡辺角幸)
75常滑焼製造業従事者常滑
春の叙勲受章者――宮城[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2444文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
阿部秀保 70 元東松島市長東松島
伊藤拓哉 86 元色麻町長色麻
加藤善市 70 元大崎市議大崎
佐藤浩 82 元県商工会連合会長仙台
佐藤義信 70 元全国石油商業組合連合会副会長蔵王
佐藤わか子 72 元仙台市議仙台
▽瑞宝小綬章
浅野由栄 71 元仙台中税務署長塩釜
伊藤洋一 70 元山形地方法務局長仙台
岩渕英喜 70 元釧路地方法務局長美里
岩渕徳男 78 元大阪拘置所長仙台
遠藤和行 78 元県警本部交通部長多賀城
小野寺洋征 71 元公立高校長名取
唐沢信司 82 宮城工業高専名誉教授名取
熊谷正純 80 仙台電波工業高専名誉教授仙台
佐竹一夫 72 元花巻簡裁判事仙台
薩川昌則 71 元仙台地方振興事務所長仙台
鈴木悟 70 元公立高校長登米
鈴木雅人 72 元郡山簡裁判事仙台
高橋利道 71 元福島地検事務局長仙台
高橋秀樹 72 元空自航空医学実験隊総務部長仙台
竹井文雄 70 元特許庁審判部審判長多賀城
土井兼一 70 元石巻地区広域行政事務組合消防正監石巻
土井秀逸 70 元県監査委員事務局長塩釜
中井川英 70 元仙台高裁刑事首席書記官仙台
星合昊 79 近畿大名誉教授仙台
▽旭日双光章
明石圭生 71 石巻信用金庫理事長石巻
伊藤俊一 71 元日本左官業組合連合会副会長仙台
伊藤光芳 73 県労委委員仙台
鎌田修二 75 元大崎市医師会長大崎
佐々木浩司 71 元大崎薬剤師会副会長大崎
菅原博信 73 元気仙沼市議気仙沼
鈴木常義 74 元県薬剤師会副会長仙台
高橋栄一 75 元石巻市議石巻
高橋清秋 72 県建築士事務所協会長仙台
平間知一 73 元白石市議白石
三輪佳久 75 みやぎ被害者支援センター理事長仙台
村山一夫 80 元蔵王町議蔵王
谷津睦夫 70 元角田市議角田
吉田真悦 70 元美里町議美里
▽瑞宝双光章
赤川正一 70 元東北地方整備局東北技術事務所長利府
阿部良 72 元関東東北産業保安監督部産業保安監督管理官仙台
池田聡 72 元空自航空総隊司令部飛行隊隊本部企画部長仙台
内海啓二 72 元大崎市消防団長大崎
大川禎子 61 元仙台医療センター看護部長仙台
太田裕子 72 元東北経済産業局資源エネルギー環境部次長名取
沖津卓二 84 学校医仙台
小山洋 61 元県立病院機構がんセンター兼精神医療センター診療放射線技術部長仙台
加藤敬一 71 元公立小校長登米
久保田幸男 70 元日本郵政公社職員仙台
佐々木信次 86 元塩釜郵便局長仙台
佐沢史朗 79 学校歯科医加美
佐藤治 70 元日本郵政公社職員栗原
佐藤一男 71 元東北運輸局企画観光部計画調整官仙台
菅原善夫 70 元日本郵政公社職員栗原
鈴木佐紀 63 元仙台南病院看護部長仙台
鈴木俊雄 87 元酒田郵便局長富谷
清野喜久雄 70 元亘理町消防団長亘理
秦秀哉 71 元日本郵政公社職員大河原
畠山信弘 78 元公立中校長登米
原和子 78 行政相談委員仙台
原吉宏 70 元公立中校長栗原
針生弘 70 元公立小校長仙台
藤井神龍 73 保護司石巻
松本宏 70 元東北運輸局海上安全環境部首席海事技術専門官大崎
吉田市夫 84 元警察庁技官利府
吉田勝 78 元岩沼市副市長岩沼
▽旭日単光章
浅野一郎 71 元大衡村農業委員会長大衡
石垣英孝 73 元大和町金取南区行政区長大和
木村清徳 75 元県柔道連盟副会長石巻
木村長門 72 元木の屋石巻水産社長石巻
鈴木哲雄 76 県麺類飲食業生活衛生同業組合副理事長岩沼
平間邦子 77 元塩釜市選管委員長塩釜
▽瑞宝単光章
相沢逸雄 76 元仙台市泉消防団副団長仙台
赤井沢文造 76 元仙台市太白消防団副団長仙台
浅沼豊 68 日建工業仙台工事事務所機械課担当課長塩釜
阿部誠 74 日誠工業社長仙台
伊藤軍勝 87 元大崎市消防団分団長大崎
内田泉久子 58 中江保育園長仙台
内海新一郎 77 元塩釜市浦戸消防団分団長大和
内海義行 75 元気仙沼市消防団分団長気仙沼
大里るり 61 元東北大病院看護部看護師長仙台
大沼忠則 72 元仙台市青葉消防団副団長仙台
大野芳郎 72 元白石市消防団長白石
岡義憲 75 元栗原市消防団副団長栗原
尾形勝利 86 元塩釜市浦戸消防団副分団長塩釜
勝又秀悦 70 元大和町消防団副団長大和
加藤京子 72 元日本郵政公社職員柴田
加藤茂 86 元大崎市消防団分団長大崎
軽部透 65 元前田道路東北支店南岩手営業所機械課係長仙台
黒沢みゆき 61 元岩手病院看護部長仙台
今野恭市 66 元防衛技官松島
今野力也 71 元石巻市北上消防団副団長石巻
佐藤主彦 73 元美里町消防団分団長美里
佐藤英之 66 元防衛技官仙台
佐藤正志 70 元登米市消防団副団長登米
佐藤政已 83 元亘理町消防団副分団長亘理
佐藤雄一 76 元農林業センサス調査員栗原
白鳥二郎 70 元登米市消防団副団長登米
菅井浩子 61 元盛岡医療センター看護部長仙台
菅原昭一 76 元気仙沼市消防団分団長気仙沼
鈴木章子 69 仙台つばさ荘嘱託母子支援員仙台
鈴木博 57 向井建設職長仙台
鈴木弘美 61 元山形病院看護部長仙台
鈴木靖子 59 幼保連携型認定こども園荒井あおばこども園長仙台
須藤元晴 70 元登米市消防団副団長登米
大宮司美和子 71 調停委員大和
玉川金嘉 70 元仙台市太白消防団長仙台
丹野亮一 72 元川崎町消防団長川崎
千葉幸一 71 元石巻市北上消防団長石巻
千葉信義 82 元栗原市消防団分団長栗原
新井谷美代子 75 元「こころの樹」相談員塩釜
長谷部嘉勝 72 仙台笥製造業従事者仙台
松岡泰典 61 元JR東日本テクノロジー新幹線事業本部新幹線事業所副所長利府
道塚俊一 77 元加美町消防団分団長加美
三塚秀夫 74 元栗原市消防団分団長栗原
水戸克義 61 坂上建設所長柴田
村上利八 74 元蔵王町消防団分団長蔵王
山本正二 86 元警察庁技官亘理
結城一吉 70 元仙台市宮城消防団副団長仙台
吉野健市 71 元村田町消防団分団長村田
春の叙勲受章者――福岡[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2196文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
有吉哲信 79 元宮若市長宮若
城戸津紀雄 76 元県商工会連合会長みやこ
豊瀬尉 75 元行橋市議行橋
長崎武利 83 元新宮町長新宮
三好修 70 元全国賃貸住宅経営者協会連合会長福岡
▽瑞宝小綬章
荒木和謙 71 元公立高校長添田
池田吉夫 72 元空自飛行開発実験団飛行実験群司令北九州
石松秀樹 70 元福岡国税局調査査察部長福岡
今村一朗 70 元九州地方整備局総務部総括調整官福岡
内田政弘 70 元福岡国税局課税第二部長新宮
太田良俊 72 元陸自九州補給処副処長北九州
奥原広志 70 元公立高校長北九州
掛林誠 71 元経産省経済産業研修所次長福岡
葛城恵 70 元福岡市消防正監福岡
川口嘉久 71 元横浜植物防疫所長宗像
城戸秀明 70 元県教育委員会教育長久留米
下堀浩二 71 元公立高校長上毛
田川晃義 72 元鳥栖簡裁判事古賀
中川宏一郎 72 元福岡家裁事務局長古賀
浜寛海 75 元国交省航空局空港部環境・地域振興課周辺整備事業室長糸島
福山利昭 70 元県保健医療介護部長大川
待鳥順二 70 元公立高校長久留米
松尾剛史 72 元陸自九州補給処総務部長筑紫野
水上政嗣 70 元福岡区検副検事中間
美馬博 72 元空自西部航空警戒管制団副司令芦屋
森中信三 72 元福岡地裁民事首席書記官福岡
吉浦英治 71 元熊本地検事務局長福岡
吉武憲治 71 元関西空港海上保安航空基地長新宮
▽旭日双光章
赤坂周 80 元新宮町議新宮
江口和規 71 筑後信用金庫理事長うきは
大部正代 76 元県栄養士会長福岡
沢田保夫 78 元行橋市議行橋
柴田裕隆 70 元朝倉市議朝倉
土屋直知 79 元福岡貿易会長福岡
林聖邦 72 元中間商工会議所会頭中間
人見隆文 70 元飯塚市議飯塚
樋守英介 72 県消防設備安全協会副理事長飯塚
古庄信一郎 78 元志免町議志免
松崎正誠 75 元筑紫歯科医師会長筑紫野
山田登三雄 72 元全国鍍金工業組合連合会長福岡
▽瑞宝双光章
秋丸健児 72 元公立小校長嘉麻
麻生秀喜 70 元公立中校長うきは
岩満竹文 78 元国立病院機構福岡病院事務部長福岡
川田秀道 60 元久留米大医学部付属病院放射線部技師長久留米
橘原智司 81 元認定こども園本城西保育園長北九州
桑野康子 72 大善寺保育園長久留米
坂田正雄 71 元公立小校長福津
坂山敏二 70 元九州地方整備局大分川ダム工事事務所長久留米
首藤純司 72 元築上町消防団長築上
白石正子 76 保護司北九州
杉山邦博 73 元公立小校長大野城
瀬戸利三 73 保護司糸島
高宮史郎 72 元公立小校長宗像
宝木富美子 61 元熊本再春医療センター看護部長福岡
田代幸子 75 つくし保育園長春日
田中真紀 70 元久留米総合病院長久留米
田中雅一 72 元宮崎行政評価事務所長福岡
土手栄治 70 元調停委員北九州
長岡広通 70 元公立小校長みやま
中嶋政信 74 元桂川町消防団長桂川
中園明美 73 保護司北九州
永野美智代 63 元九州病院看護部長北九州
箱嶋次雄 74 保護司福岡
林田邦彦 82 元学校医久留米
火野坂徹 76 学校医筑前
藤井卓 75 保護司春日
藤川哲也 70 元公立小校長北九州
藤村君代 75 保護司朝倉
松尾欣也 73 元九州産業保安監督部産業保安監督管理官福岡
真鍋豊 74 元福岡市博多消防団分団長福岡
三浦俊一 71 元九州運輸局自動車技術安全部長嘉麻
三井章仁 71 元公立中校長北九州
向井敏博 77 元宮若市副市長宮若
師岡照房 75 元九州運輸局海事振興部長筑紫野
柳迫正俊 76 学校歯科医八女
山崎哲郎 71 元公立特別支援学校長朝倉
横田昌宏 70 元古賀市副市長古賀
和田孝義 71 元公立中校長北九州
▽旭日単光章
池上英俊 73 コスモツール代表取締役福津
長武志 80 トータルケア・システム代表取締役粕屋
松本等 88 福岡市東区馬出六丁目五区町内会長福岡
宗吉幸生 77 元川崎町代表監査委員川崎
村田省三 75 村田木型製作所会長宗像
▽瑞宝単光章
池田儀澄 75 元糸田町消防団長糸田
伊藤友博 75 元久留米市消防団分団長久留米
井上善雄 72 元北九州市八幡東消防団副団長北九州
今村和博 66 元大川市消防団長大川
荻島常雄 66 元西鉄鉄道事業本部施設部雑餉隈連立工事事務所電気係長柳川
奥野良一 74 元飯塚市消防団副団長飯塚
片本佐恵子 62 元第1中央保育園主任保育士福岡
河野広美 61 元自衛隊福岡病院看護部教育班看護師長筑紫野
川村清志 66 元北九送電社長北九州
木村建二 75 元川崎町消防団分団長川崎
武末秀生 74 元飯塚市消防団副団長飯塚
寺崎寛治 66 元防衛技官行橋
中務公子 61 元福岡東医療センター看護部長北九州
西畠正児 77 元豊前市消防団分団長豊前
野地崎せつ子 77 元各種統計調査員福岡
野田光博 63 日鉄テクノロジー九州事業所材料技術部主幹福津
羽田野智子 71 元調停委員福岡
林純一 73 元飯塚市消防団副団長飯塚
古野正夫 72 元行橋市消防団副団長行橋
堀口英之 55 元下川建設工務部長兼職長水巻
前田直市 67 元糸田町消防団副団長糸田
松浦司 74 元福岡市博多消防団分団長福岡
松本岸雄 73 元行橋市消防団長行橋
森住哲之 71 元福岡市南消防団副団長福岡
森田睦子 72 元調停委員太宰府
六山晃仁 58 中村工業職長宇美
春の叙勲受章者――茨城[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2147文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
稲葉薫 70 元全国燃料協会長常総
今川英明 77 元つくばみらい市議つくばみらい
薄井征記 83 元潮来市議潮来
坂本仙一 72 元鹿嶋市議鹿嶋
立原孝夫 75 元県高圧ガス保安協会長水戸
長谷川隆 77 元神栖市議神栖
伯耆田富夫 76 元守谷市議守谷
村田洋文 70 元北茨城市議北茨城
柳生修 71 ひたちなか商工会議所会頭ひたちなか
山口雄三 76 元県薬剤師会副会長土浦
▽瑞宝小綬章
池端伸夫 70 元文科省大臣官房人事課福利厚生室長つくば
今井康裕 70 元北海道警情報通信部長守谷
上野充 73 元気象研究所物理気象研究部長守谷
梅沢雅美 70 元警察大学校付属警察情報通信学校長五霞
梅原晶 71 元公立聾学校長常陸太田
加藤久晶 70 元国土技術政策総合研究所空港研究部長取手
河原井忠男 77 元県北地方総合事務所長水戸
桜井克信 70 元国交省河川局砂防部保全課海岸室長牛久
鈴木義長 72 元陸自第14旅団長笠間
砂川富朗 72 元横浜公安調査事務所長常陸大宮
武内新一 88 元郵政省大臣官房国際部国際協力課調査官稲敷
立川功 70 元特許庁審判部審判長守谷
堤義雄 78 元県西地方総合事務所長筑西
寺川陽 70 元国交省水管理・国土保全局河川環境課河川環境評価分析官つくば
戸島正巳 72 元県会計管理者水戸
鳥海清 72 元陸自航空学校霞ケ浦校総務課長ひたちなか
長沢俊郎 81 元筑波記念病院長つくば
林茂和 78 元公立ろう学校長土浦
政春尋志 70 元国土地理院基本図情報部基本図情報更新技術分析官つくば
松川隆行 71 元建築研究所研究専門役守谷
的場伸一 72 元公立高校長常総
三木博史 71 元土木研究所技術推進本部長つくば
本村光節 75 元国立塩原視力障害センター所長龍ケ崎
谷田部佳見 70 元公立高校長常総
▽旭日双光章
青木俊一 70 元日立市議日立
伊沢勝義 79 元県水質保全協会理事長土浦
小川賢治 83 元小美玉市議小美玉
栗原文隆 83 元水戸市議水戸
小室光博 84 元県中小企業団体中央会副会長ひたちなか
佐藤清 85 元取手市議取手
篠塚洋三 81 元鹿嶋市議鹿嶋
白土隆彦 86 元県青色申告会連合会副会長常陸太田
津田修 82 元筑西市議筑西
中山政博 70 元下妻市議下妻
若山昭雄 85 元守谷市選管委員長守谷
▽瑞宝双光章
明田任功 73 元関東経済産業局総務企画部次長古河
大内元一 78 元民生・児童委員水戸
大嶺和彦 73 元公立小校長笠間
岡野房子 76 元学校歯科医水戸
笠井三好 83 元水戸公共職業安定所長那珂
樫村雅子 74 「認定こども園十王幼稚園・保育園」園長日立
木元康夫 72 元空自幹部学校業務部通信課長取手
倉持宣昭 72 元公立小校長土浦
小圷健二 73 元公立小校長水戸
小泉哲男 70 元日本郵政公社職員日立
小林仁 70 元公立小校長下妻
小盛久男 71 元大子町消防団長大子
佐口謙一 72 元空自第7航空団司令部監理部長水戸
佐々木孝明 70 元公立中校長鹿嶋
佐藤浩 81 元県警事務吏員日立
沢辺仁一 74 保護司稲敷
篠崎英子 77 元古河赤十字病院看護部長常総
鈴木直文 71 県警嘱託医大子
立中幸江 84 元公立小校長土浦
寺田勝 77 学校薬剤師つくば
土信田政司 74 元つくば市消防団長つくば
豊田健司 71 元公立小校長北茨城
仲田周雄 72 茨城農芸学院教誨師小美玉
野口治美 69 元参院参事取手
橋本武典 86 元学校歯科医水戸
古橋康夫 70 元公立中校長常陸太田
保立三男 75 保護司神栖
堀越武 78 元龍ケ崎市消防団長龍ケ崎
皆川勇一 70 元会計検査院第4局文部科学検査第1課文部科学統括検査室長常陸大宮
山元隆 69 元日立総合病院検査技術科臨床検査技師日立
渡辺光雄 85 元水戸労基署長ひたちなか
▽旭日単光章
浅田盛芳 77 元県ダンススポーツ連盟副会長日立
川井正一 78 石岡市文化財保護審議会長石岡
志賀勝弘 84 日立市日高学区市民自治会長日立
滝正教 83 土浦市神立中央一・二丁目自治会長土浦
中島淳 83 牛久沼土地改良区理事長龍ケ崎
▽瑞宝単光章
秋元孝夫 67 元流山市消防団分団長つくば
浅野健司 66 元国土交通技官つくば
有田光代 73 元調停委員土浦
海野吉輝 86 元警察庁技官ひたちなか
大島三郎 77 元土浦市消防団副団長土浦
大吉良男 69 元筑西市消防団分団長筑西
神尾真理子 71 元各種統計調査員北茨城
菅具久美子 62 聖光学園保育部主任保育士水戸
木村隆志 75 元筑西市消防団副団長筑西
熊倉洋治 73 元調停委員下妻
関和江 60 元県立医療大付属病院看護部看護師長かすみがうら
関一孝 78 元農林業センサス調査員高萩
坪井日出男 66 元稲敷市消防団副団長稲敷
豊島民雄 72 元つくば市消防団副団長つくば
生井沢基博 70 調停委員鹿嶋
沼尻建 64 常盤工事代表取締役水戸
平塚利子 75 元「いなの里」施設長つくば
藤咲美輝 61 元西埼玉中央病院看護部長常陸太田
藤本春子 76 元「恵愛荘」介護職員坂東
堀川一枝 76 堀川保育園副園長ひたちなか
峯岸孝一 87 元警察庁技官水戸
谷口富士男 65 元笠間市消防団副団長笠間
渡辺彰一 67 元法務技官かすみがうら
春の叙勲受章者――兵庫[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1983文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
稲垣滋 77 元鳥取銀行頭取宝塚
谷口進一 72 元丹波市長丹波
▽瑞宝小綬章
諫武高行 71 元大阪簡裁判事芦屋
岡尾成美 76 元名古屋入国管理局中部空港支局長川西
岡本光弘 72 元公立高校長洲本
篠原正治 70 元四国地方整備局次長神戸
宿南敏行 71 元公立高校長芦屋
善部修 70 元県議会事務局長伊丹
野村昌志 70 元海難審判所首席理事官神戸
福田好宏 70 元東播磨県民局長三木
藤井淳一 71 元公立高校長明石
藤田隆司 70 元阪神南県民局長神戸
藤原雅人 72 元県防災監朝来
松本久司 80 神戸市立工業高専名誉教授神戸
村永次郎 72 元防衛大学校教授伊丹
山口才智 70 元神戸区検副検事神戸
山下雄嗣 70 元大阪国税局徴収部長加古川
▽旭日双光章
青木嘉孝 70 元広島県信用組合理事長神戸
明石元秀 74 元赤穂市長赤穂
上田周五 75 元高知県議神戸
石村健 71 淡路信用金庫理事長洲本
梅木百樹 77 元姫路市議姫路
大西賢一 77 県食肉生活衛生同業組合理事長相生
小林勝弘 83 元県子ども会連合会理事長加東
坂本泰三 70 県医師会常任理事神戸
佐野靖夫 72 県洋菓子協会長神戸
生野史朗 73 元寝屋川市歯科医師会長西宮
鈴木一誠 78 元県ゴルフ連盟会長神戸
高井国年 70 元福崎町議福崎
多木隆元 70 元多木化学社長加古川
多久和桂子 73 元川西市議川西
寺尾稔 70 元養父市議養父
西崎義晴 74 県消防設備保守協会副会長洲本
東根寿 75 元県漁業協同組合連合会副会長理事淡路
森田健治 83 元県遺族会副会長豊岡
横山義夫 70 元高砂市議高砂
▽瑞宝双光章
有馬光孝 72 元近畿運輸局海上安全環境部首席海事技術専門官三田
井内義延 77 元公立小校長姫路
磯部明良 72 磯部塗装専務取締役西宮
井上喜通 78 学校医たつの
大岡記代 78 幼保連携型認定こども園まゆか保育園長明石
大垣輝行 72 保護司姫路
木曽文人 75 元公立小校長赤穂
木下誠 74 元公立中校長三田
貴山好江 77 民生・児童委員西宮
久保英志 74 元公立中校長明石
久保健一 74 保護司神戸
桑村穆知 78 元公立小校長丹波
近藤優子 72 元県立がんセンター副院長兼看護部長伊丹
相馬美恵子 73 保護司神戸
高尾淳 72 元神戸市西消防団長神戸
滝淑郎 76 元「鹿児の郷」施設長加古川
立花福太郎 78 元公立中校長明石
田中尚 76 元大阪法務局堺支局長加東
出村多恵子 71 元公立高校長神戸
寺田朗子 70 調停委員神戸
長田公江 74 保護司上郡
中西政嗣 71 元神戸市垂水消防団長神戸
中山拓 71 元近畿地方整備局港湾空港部事業計画官神戸
平野光啓 72 元朝来市消防団長朝来
藤井薫 74 元公立小校長神戸
藤原茂 75 元市川町副町長市川
本條滋人 72 元公立中校長洲本
松風俊明 78 元尼崎市消防団長尼崎
松村高明 71 元学校薬剤師明石
▽旭日単光章
池上良成 82 赤穂化成社長赤穂
石川和夫 75 アイエスケー会長芦屋
喜多光子 85 元県愛育連合会副会長三田
中村一雄 86 宝塚市逆瀬台二丁目自治会長宝塚
西村芳博 84 堺商工会議所常議員宝塚
若狭幹雄 76 元丹波篠山市選管委員長丹波篠山
▽瑞宝単光章
石原豊文 67 元県職員西宮
磯本志信 71 元加古川市清掃作業員加古川
市橋良子 72 元調停委員宝塚
今後武司 65 元香美町消防団長香美
因谷良光 76 元西宮市消防団副分団長西宮
内山昌敏 56 三菱電機モビリティ姫路事業所生産設備製作技能主任姫路
尾崎日佐子 70 調停委員西宮
加島正 70 元尼崎市消防団副団長尼崎
梶山康人 70 元「春日苑」生活相談員伊丹
北沢真一 76 元姫路市姫路西消防団分団長姫路
桐月順子 74 元公立神崎総合病院看護部長神河
小西昌治 65 元宝塚市消防団副団長宝塚
小林葉子 71 幼保連携型認定こども園枚田みのり保育園長朝来
小山智 85 元警察庁技官神戸
椹泰造 64 元関西電力送配電兵庫支社神戸電力本部三田配電営業所員三田
清水昌義 69 丹波立杭焼製造業従事者丹波篠山
菅谷澄子 78 稲爪保育園副園長明石
竹中さや香 63 元法務教官加古川
田中護 68 元豊岡市城崎消防団副団長豊岡
辻禎 59 元阪急電鉄都市交通事業本部運輸部宝塚線運輸課運転係長西宮
中島英幸 64 元養父市消防団副団長養父
中野奈保子 61 元自衛隊阪神病院看護部副看護部長宝塚
灘儀勢一 77 元西宮市消防団副分団長西宮
拝原建 76 元淡路市消防団分団長淡路
長谷川喜之 65 元高砂市消防団分団長高砂
藤井健一 73 元姫路市姫路西消防団分団長姫路
古家学 65 元香美町消防団副団長香美
辺見八郎 69 元香美町消防団副団長香美
向野清継 75 元川西市消防団分団長川西
山口明彦 71 元姫路市姫路東消防団副団長姫路
春の叙勲受章者――広島[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1650文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
熊谷寿人 70 元福山市議福山
熊高一雄 76 元県商工会連合会長安芸高田
▽瑞宝小綬章
勝原斉 72 元空自航空教育集団司令部医務官広島
滝沢宏二 70 元広島市消防司監広島
寺田靖 70 元水産庁開洋丸船長広島
永井真一 72 元広島地裁民事首席書記官広島
西本勝昭 72 元岡山東税務署長呉
槙原晃二 70 元県労委事務局長広島
▽旭日双光章
内海正之 80 元府中市公平委員長府中
占部誠 77 県建設工業協会副会長福山
大田直樹 76 元坂町議坂
川頭省三 74 元日本型枠工事業協会副会長廿日市
北吉孝一郎 85 元倉橋町議府中
木原幹夫 76 元三原市医師会長三原
佐藤一乗 78 日本公衆電話会広島支部長福山
新家良和 78 元三次市議三次
向井浩三 80 元三次双三歯科医師会副会長三次
山根信行 81 元尾道市議尾道
山吹富邦 74 元熊野町議熊野
▽瑞宝双光章
浅津則行 74 元中国地方整備局総務部契約管理官呉
大島啓司 83 学校医府中
沖本正志 75 元中国運輸局海事振興部長竹原
小野孝明 80 元広島公共職業安定所長広島
河村美彦 74 元中国地方整備局営繕部営繕調査官坂
神田弘子 62 元呉医療センター看護部長東広島
貫目志保 61 元松江医療センター看護部長福山
熊谷昭雄 74 元日本郵政公社中国支社保険事業部長広島
桑原道子 76 保護司広島
佐々木哲夫 70 元公立中校長安芸高田
曽川恵二 74 保護司広島
宅重三十三 82 元県事務吏員廿日市
田辺克典 70 元人事院事務総局会計課上席経理監査官広島
谷口正人 75 元山口地方法務局次長呉
中本克州 75 元呉市副市長呉
西田正博 80 元三次市消防団長三次
能島昇三 76 保護司東広島
広田要 70 元福山市副市長福山
藤原弘登 72 元中国運輸局総務部長広島
二見吉康 75 元県教育委員会教育部指導第一課長安芸太田
船本修作 70 元広島市消防正監広島
宮地寿 71 元中国経済産業局資源エネルギー環境部次長広島
山口隆志 77 学校歯科医三原
山本雅照 70 元公立小校長庄原
若槻幹穂 74 元中国地方整備局企画部技術調整管理官広島
▽旭日単光章
岡本甫 80 県バドミントン協会副会長広島
川畑勝之 73 呉市海岸第一自治会長呉
蔵本明 83 広島市南区黄金山町内会長広島
▽瑞宝単光章
伊藤圭一 70 元呉市消防団副団長呉
稲垣寿計 70 元熊野町消防団分団長熊野
井口博之 65 元造幣局職員廿日市
今田正道 72 元三原市消防団分団長三原
今田光憲 84 元呉市消防団分団長呉
大石陽子 73 元各種統計調査員福山
岡村豊 71 元廿日市市消防団長廿日市
面出稔 65 元造幣局職員広島
金川茂樹 78 元江田島市消防団分団長江田島
金田洋幸 72 元安芸高田市消防団分団長安芸高田
鎌重正美 56 元田工務店職長安芸高田
北岡史郎 65 元造幣局職員広島
後藤勝司 77 元尾道市消防団副分団長尾道
佐伯妙子 77 元各種統計調査員広島
坂本幸秀 62 拓進建設社長広島
佐々木敏夫 70 元安芸太田町消防団長安芸太田
佐藤勢子 75 民生・児童委員福山
下宮弘行 69 元神辺町消防団副団長福山
正田敏江 87 元各種統計調査員広島
柄宣行 70 元東広島市消防団副団長東広島
内藤和弘 66 元NHK職員広島
中西励聡 71 元広島市安佐北消防団副団長広島
中本弘義 84 元警察庁技官広島
羽田博昭 72 元三原市消防団分団長三原
春田正治 72 元総領町消防団副分団長庄原
平岡辰士 73 元「大日学園」生活支援員尾道
平田吉壮 70 元日本電設工業西日本統括本部中国支店鉄道部長広島
平田信夫 77 元広島市安佐南消防団長広島
広井英治 70 元大竹市消防団長大竹
堀内幹夫 75 元広島市安芸消防団分団長広島
松川尚暁 70 元福山市消防団分団長福山
宮本則行 73 元呉市消防団分団長呉
宮脇保 71 元広島市安芸消防団長広島
森山靖 59 日特建設広島支店事業部工事部工事課上級主任広島
吉田直和 65 元造幣局職員廿日市
春の叙勲受章者――鹿児島[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1413文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
窪田伸一 75 県間税会連合会長肝付
小森孝文 75 元鹿児島市議鹿児島
正村幸雄 70 鹿児島学園理事長姶良
竹迫毅 84 元南九州市議南九州
脇田高徳 80 元鹿児島市議鹿児島
▽瑞宝小綬章
大迫勝次 74 元公立高校長鹿児島
川原公明 70 元鹿児島区検副検事鹿児島
佐多操 72 元鹿児島簡裁判事鹿児島
新川龍郎 70 元県環境林務部長鹿児島
祐名三佐男 70 元熊本地方法務局長姶良
高風勝治 73 元公立高校長鹿児島
徳永早美 70 元鹿児島区検副検事薩摩川内
西村辰朗 72 元北海道防衛局調達部長鹿屋
古川仲二 70 元県教育委員会教育長鹿児島
▽旭日双光章
内清治 71 元県柔道整復師会長日置
下田平幸一 75 元鹿児島市歯科医師会長鹿児島
田島賢一 75 県法人会連合会副会長薩摩川内
外内千里 70 元喜界町議喜界
肥後正司 70 元十島村長姶良
峯元時秀 77 元県広告協会長鹿児島
宮田到 76 元大和村議大和
▽瑞宝双光章
内野かおり 61 元熊本医療センター看護部長鹿児島
岡崎智治 66 大勝病院検査部長鹿児島
音山啓二 76 元福岡法務局民事行政部首席登記官姶良
上屋和夫 73 元公立小校長薩摩川内
川崎明 74 保護司いちき串木野
川村君子 80 元公立養護学校長鹿児島
重村洋一 74 元日本郵政公社職員龍郷
竹下浩児 73 元公立小校長鹿児島
冨永伸博 72 元日本郵政公社職員いちき串木野
豊山浩史 70 元日本郵政公社職員龍郷
中村孝 76 元霧島市副市長霧島
中村主税 72 元阿久根市消防団長阿久根
中村睦子 73 行政相談委員志布志
原園修二 73 元公立中校長鹿児島
福永泰二 76 元公立中校長鹿児島
福山義幸 74 保護司薩摩川内
藤田教夫 74 元公立小校長鹿児島
保池久 70 元宇検村消防団長宇検
山神良明 72 元肝付町消防団長肝付
湯田季明 77 学校歯科医鹿児島
横山浩彦 73 元公立小校長姶良
▽旭日単光章
今村和巳 71 県レクリエーション協会副会長鹿児島
尭文俊 86 元瀬戸内町農業委員会長瀬戸内
鶴岡和喜 72 元肝付町農業委員会長肝付
古田義富 70 元長島町商工会長長島
前山重一郎 70 元奄美市農業委員会長奄美
若林茂 77 元瀬戸内町松江自治会長瀬戸内
▽瑞宝単光章
有村逸雄 72 元錦江町消防団長錦江
勇一敏 74 元喜界町消防団長喜界
井上修二 73 元伊佐市消防団副団長伊佐
上野孝代 57 薬師保育園長鹿児島
江並京子 64 元鹿児島大病院看護部看護師長南さつま
上荒磯義丸 83 元鹿児島市消防団副分団長鹿児島
川原茂人 72 川辺仏壇製造業従事者南九州
栄夏代 81 本場大島紬製造業従事者奄美
下内軍三 78 元鹿児島市消防団分団長鹿児島
中村久代 57 西紫原保育園長鹿児島
原田高志 73 元鹿屋市消防団分団長鹿屋
光紘一 82 元奄美市消防団副分団長奄美
日高夏子 71 民生・児童委員鹿児島
比良敬一郎 83 元鹿児島市消防団副分団長鹿児島
平田幸次 72 元鹿屋市消防団分団長鹿屋
平田久夫 75 元鹿屋市消防団分団長鹿屋
福岡昭子 68 幼保連携型認定たいせいこども園主幹保育教諭指宿
松本和徳 64 元法務教官知名
丸岡みどり 77 元幼保連携型認定こども園やはた幼稚園長鹿児島
山口伸一 65 元国土交通技官霧島
山口政幸 70 元日置市消防団分団長日置
山下奈津美 57 下伊敷保育園長鹿児島
米倉公雄 76 元大口市消防団副分団長伊佐
春の叙勲受章者――静岡[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1404文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
石渡浩二 73 三島商工会議所会頭三島
大川敏雄 84 元下田市議下田
紀平幸一 85 元県医師会長伊豆
柳沢重夫 78 元御前崎市長御前崎
藪田宏行 78 元県議御前崎
山内致雄 83 元県中小企業団体中央会長浜松
▽瑞宝小綬章
井口広之 70 元公立特別支援学校長掛川
梅原通夫 70 元公立高校長長泉
加藤三男 70 元千葉地方法務局長静岡
輿石武裕 71 元清水簡裁判事富士
関口哲 79 元駿府学園長掛川
立石健二 74 元県選管委員長富士
土屋哲郎 72 元陸自富士学校普通科部副部長下田
府川博明 77 元県環境森林部長藤枝
八木諭 77 元中部地域支援局長藤枝
山田寧 77 元県公営企業管理者焼津
▽旭日双光章
板谷信 74 元川根本町議川根本
植松明義 70 元県議沼津
大沢博克 77 元御前崎市議御前崎
杉山利博 70 元裾野市議裾野
高木敏男 85 元県手をつなぐ育成会副会長掛川
土屋紀雄 84 県間税会連合会長下田
内藤洋介 70 元藤枝市議藤枝
村上仁 71 元静岡市清水医師会長静岡
森野善広 71 元清水町議清水
山本裕 71 県レンタカー協会長富士宮
▽瑞宝双光章
石井勇 77 元伊東市副市長伊東
石田義人 73 学校歯科医焼津
市川幸子 63 元菊川市立総合病院副院長兼看護部長菊川
岩崎幹生 70 元静岡市消防司監静岡
梅田欽也 72 元岐阜行政評価事務所長静岡
鎌田光裕 82 学校医静岡
川口勝 84 元千葉大総務部長伊東
佐藤千春 61 元埼玉病院看護部長静岡
佐藤みつほ 73 元公立小校長松崎
佐野恵三 70 元公立小校長磐田
鈴木秋弘 85 元浜松労基署長富士
鈴木三喜 70 元公立高校長三島
角野勝明 84 元県技術吏員静岡
芹田俊男 74 保護司函南
谷口卓 70 元公立小校長浜松
土屋龍太郎 73 保護司伊豆の国
伴野学 75 元公立中校長静岡
南荘宏 70 静岡刑務所教誨師静岡
服部勝彦 81 元学校薬剤師静岡
古郡文男 71 元静岡市消防団長静岡
水口勇 72 元三島市消防団長三島
矢部達樹 70 調停委員富士
山本英雄 66 元袋井市立聖隷袋井市民病院画像診断室技師長浜松
▽旭日単光章
岩間雄一 81 元県産業廃棄物協会長静岡
大嶽伊織 73 元沼津市青葉町自治会長沼津
小沢和男 79 浜松市中央区遠州浜第四自治会長浜松
佐野佳治 73 元さの萬社長富士宮
高山茂宏 82 静岡市清水区興津中町自治会長静岡
富田征彦 80 元浜松市北区選管委員長浜松
花嶋勇 82 元森町代表監査委員森
半沢敏夫 72 県料理業生活衛生同業組合副理事長富士
山本豪彦 72 元山本被服代表取締役沼津
山本雅司 87 静岡市駿河区南八幡町一区自治会長静岡
▽瑞宝単光章
飯沼むつみ 65 元県立静岡がんセンター看護部長御殿場
猪俣潔 65 元県職員静岡
荻野又一郎 74 元静岡市水防団副団長静岡
桐畑千枝子 78 元民生・児童委員浜松
小山雅人 67 元熱海市消防団副団長熱海
坂部明 75 元沼津市消防団副団長沼津
佐藤重孝 68 元富士市消防団副団長富士
鈴木哲雄 63 アトリエプールヴー代表浜松
瀬戸浩司 64 元日本機械保線小田原事業所長御殿場
長谷川弘樹 63 静岡西部建設職長兼工事部長静岡
服部美枝子 77 元工業統計調査員浜松
望月一人 69 元富士市消防団分団長富士
柳田重浩 63 元法務教官静岡
横川幸弘 69 元新生テクノス静岡支店新幹線信号通信部担当部長藤枝
春の叙勲受章者――岩手[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1360文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
勝部民男 78 元県建築士会長盛岡
工藤由春 77 元盛岡市議盛岡
菅原恒雄 74 元二戸市議二戸
高橋敏彦 70 元北上市長北上
樋下正信 70 元県議盛岡
向井田岳 71 県建設業協会長盛岡
▽瑞宝小綬章
青木俊明 71 元県企業局長盛岡
〓名勉 78 元県立磐井病院長一関
菅野洋樹 71 元県教育委員会教育長盛岡
須貝竹志 72 元公立高校長盛岡
藤原斉 70 元公立高校長花巻
▽旭日双光章
藤間秀之進(内沢誠)
86元県邦舞協会長盛岡
菊池孝 81 元釜石市議釜石
佐藤雅夫 76 元宮古医師会長宮古
沢里富雄 75 元久慈市議久慈
橋本周一 78 元一関市議一関
藤原晶幸 76 元花巻市議花巻
谷上淳 70 元日本アイスホッケー連盟常務理事盛岡
芳沢茎子 74 元県教育委員会委員奥州
▽瑞宝双光章
磯田望 72 元公立中校長盛岡
市ノ渡憲市 77 元盛岡赤十字病院放射線科部技師長盛岡
及川信勝 75 保護司奥州
小野寺源七 75 元日本郵政公社職員一関
今野洋二 73 元公立中校長大船渡
相模貞一 72 元公立小校長盛岡
沢尻義信 73 元一戸町消防団長一戸
雫石真一 75 元盛岡市消防団長盛岡
下田富幸 82 元滝沢市篠木自治会長滝沢
戸舘一宏 70 元二戸市消防団長二戸
藤原正志 87 元白石郵便局長一関
古舘英彦 71 元公立中校長一戸
八重畑諭 77 元県警事務吏員盛岡
吉田政 76 元公立小校長奥州
吉田正弘 70 元一関市消防正監一関
米内正 77 学校歯科医盛岡
▽旭日単光章
内宮真 80 元日本ボーイスカウト岩手連盟副連盟長盛岡
遠山瞳 81 元県医薬品配置協議会副会長奥州
畠山寿幸 85 元金ケ崎町選管委員金ケ崎
八重樫正昇 78 遠野市新町自治振興会長遠野
▽瑞宝単光章
安保弘巳 78 元安代町消防団副団長八幡平
岩舘佐吉 77 元紫波町消防団分団長紫波
小沢和人 56 岩手マイタック職長釜石
苅敷山菊夫 70 元軽米町消防団分団長軽米
苅宿俊雄 78 元岩手町消防団分団長岩手
後藤邦之 56 興和電設執行役員工務部長滝沢
昆定夫 71 元山田町消防団分団長山田
佐々木儀一 74 元盛岡市消防団分団長盛岡
佐々木源一 72 元岩泉町消防団分団長岩泉
佐々木正 76 元平泉町消防団分団長平泉
佐々木正人 81 元沢内村消防団副団長西和賀
佐藤忠志 75 元一関市消防団分団長一関
三ノ宮治 73 幼保連携型認定こども園しんじょう幼稚園長奥州
菅原秀子 73 元県立中央病院看護部長滝沢
高橋清悦 77 元雫石町消防団副分団長雫石
高橋登久雄 76 元北上市消防団副団長北上
高橋宏子 78 元県立中央病院看護部次長兼看護婦長金ケ崎
高宮光子 82 元冬部へき地保育園長葛巻
田口和子 77 元民生・児童委員二戸
田沢忠雄 74 元九戸村消防団分団長九戸
玉山長悦 74 元盛岡市消防団分団長盛岡
千田繁 76 元奥州市消防団分団長奥州
千葉茂 72 元釜石市消防団分団長釜石
千葉正明 74 元花巻市消防団分団長花巻
角掛仁 66 元防衛技官滝沢
中屋敷久男 75 元久慈市消防団分団長久慈
林栄治 70 元葛巻町消防団副団長葛巻
藤森俊勝 75 元野田村消防団分団長野田
松田克之 72 元遠野市消防団長遠野
森沢照男 71 元洋野町消防団分団長洋野
渡辺祥子 65 元鵜飼保育園長雫石
春の叙勲受章者――長野[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1350文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
池田清 70 元県議長野
小林義直 74 元長野市議長野
武井音兵衛 70 千曲商工会議所会頭千曲
平林明人 82 元松川村長松川
村上淳 70 元県議上松
和田重昭 80 元千曲市議千曲
▽瑞宝小綬章
大河原真美 70 群馬県労委委員軽井沢
窪田善雄 70 元公立高校長上田
佐藤尚登 71 元公立高校長信濃
島田一敏 70 元長野市消防正監長野
徳永英男 70 元特許庁審判部審判長軽井沢
中島幹夫 72 元国立病院機構本部職員厚生部長岡谷
二村清 80 元公立ろう学校長松本
原修二 70 元県労委事務局長長野
堀内良人 74 元上小地方事務所長長野
松本有司 70 元県会計管理者長野
山本浩司 70 元県環境部長長野
▽旭日双光章
柿沢潔 74 元松本市議松本
北島靖生 86 元県選管委員長中川
栗生勝由 79 元阿南町議阿南
小平吉保 75 元茅野市議茅野
立岩之博 81 元県バウンドテニス協会長長野
花村薫 77 県中小企業団体中央会副会長安曇野
浜幸平 73 元岡谷市議岡谷
前山健治 81 元筑北村議筑北
松山孝志 79 元県議茅野
宮坂圭一 77 元諏訪市医師会長諏訪
宮坂成一 71 元須坂市議須坂
宮下勝久 70 元上田商工会議所副会頭上田
山口高史 72 県納税貯蓄組合連合会副会長安曇野
山崎正寛 80 元全国管工事業協同組合連合会副会長上田
▽瑞宝双光章
有賀俊幸 70 元松本広域連合消防正監松本
伊藤忠 86 元高田郵便局長長野
江守光男 76 元飯田郵便局長長野
大河内忠則 75 元日本郵政公社職員松本
荻原寿夫 70 元佐久広域連合消防正監佐久
長田芳一 73 元鳥取地方気象台長長野
熊原正典 80 元三条郵便局長長野
小泉雅博 72 元海自第202教育航空隊第202教育飛行隊長須坂
小林雅彦 72 元公立中校長須坂
真田清史 72 保護司長野
渋沢利樹 78 元県警事務吏員飯綱
下平達朗 76 元公立小校長中川
菅谷晴彦 87 学校医千曲
本田孝三 80 元長野貯金事務センター副所長須坂
曲尾慎一 70 元日本郵政公社職員長野
松本あつ子 71 元信州大医学部付属病院看護部長松本
溝口勝彦 79 元上田郵便局長長野
峯村秀則 70 元公立小校長上田
宮坂伸 75 学校歯科医岡谷
森田敏彦 78 元新発田郵便局長長野
山元秀泰 71 保護司松本
油科淳太郎 83 元公立小校長長野
吉沢定幸 71 元北陸信越運輸局自動車技術安全部長松本
▽旭日単光章
上田文昭 77 元上松町選管委員長上松
羽山義輝 82 元松本市中町一丁目町会長松本
宮原友保 78 ナカムラマジック会長兼社長岡谷
▽瑞宝単光章
井出大広 65 元北相木村消防団長北相木
岡部忠美 81 元中部電力飯田支店伊那電力センター発変電課長飯田
木内稔 81 元県警技術吏員東御
黒岩修司 64 元法務教官大町
佐藤忠幸 71 元家畜改良センター職員佐久
塩川浩次 60 元小諸市消防団長小諸
林和敏 61 元岡谷市消防団分団長岡谷
藤巻隆夫 70 元TOSYS長野通信システム事業部施工部門東信事業所担当部長軽井沢
宮下勇 68 元中部電力飯田支店飯田営業所配電運営課班長飯田
望月重男 73 北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会相談役安曇野
山岸哲也 64 元法務教官上田
米窪潤司 64 元塩尻市消防団長塩尻
春の叙勲受章者――新潟[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1343文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
浅井守雄 70 元魚沼市議魚沼
阿部松雄 73 元新潟市議新潟
砂田徹也 70 元日弁連常務理事新潟
武藤正信 70 元上越市議上越
渡辺広吉 77 元聖籠町長聖籠
▽瑞宝小綬章
飯吉喜久雄 78 元上越警察署長新潟
太田恭利 70 元公立高校長新潟
大塚俊明 70 元公立高校長妙高
貝沼憲志 78 元県相撲連盟副会長上越
木村勇一 70 元新潟市副市長新潟
小島正芳 73 元公立高校長新潟
杉山順爾 72 元県知事政策局長新潟
村山裕 70 元新潟市消防正監新潟
▽旭日双光章
相田豊 86 元五泉市議五泉
伊藤宰 80 元県放射線技師会長新潟
稲毛明 74 元阿賀野市議阿賀野
岩城和男 70 元新津市議新潟
植木茂 72 元妙高市議妙高
大原伊一 70 元燕市議燕
木村貞雄 80 元村上市議村上
腰越晃 70 元南魚沼市議南魚沼
中村良夫 72 元佐渡市議佐渡
古川原直人 78 元長岡市議長岡
町田俊夫 76 元五泉市議五泉
水沢仁 74 元新潟市議新潟
村田幸多朗 70 元柏崎市議柏崎
山賀一雄 81 元小千谷市議小千谷
▽瑞宝双光章
石上和男 75 元県福祉保健部長新潟
加藤誠雄 70 元公立小校長上越
佐藤修一 70 元公立中校長関川
諏訪間満里美 71 調停委員新潟
関久志 70 元公立中校長新潟
高橋恒男 71 元北陸信越運輸局交通環境部長新潟
難波政行 77 元北陸地方整備局北陸技術事務所長新潟
西沢裕司 70 元北陸地方整備局用地部用地調整官長岡
麦谷誠一 96 元上越市下新田町内会長上越
橋本英俊 72 保護司長岡
藤本孝昭 70 元公立中校長上越
本間則昭 70 元公立小校長新潟
矢沢正知 74 元県立中央病院長上越
山岸真夫 70 元公立小校長長岡
若山正樹 78 元柏崎市副市長柏崎
鷲沢文雄 70 保護司燕
▽旭日単光章
今井宏樹 80 元新潟市江南区選管委員長新潟
捧謙二 70 元ササゲ工業社長燕
鈴木正雄 83 元新潟市中央区入船二自治会長新潟
反町嘉男 70 長岡市天神町町内会長長岡
深見政英 77 元二和地区商工会長長岡
▽瑞宝単光章
池田正 63 元県用員新発田
上田浩 63 元JR東日本メカトロニクス新潟支店長岡営業所技術課長新潟
江口誠一 76 元新発田市消防団副分団長新発田
大関正幸 69 元新潟市消防団副団長新潟
大野一正 73 元新潟市消防団副団長新潟
岡田明 55 松田組工事部長柏崎
北山茂 73 元糸魚川市消防団分団長糸魚川
小池勝見 80 元村上市消防団分団長村上
小池登 81 元加茂市消防団副分団長加茂
小林一也 65 元弥彦村消防団長弥彦
坂木伸行 76 大伸工業代表取締役新潟
桜井淑子 81 元工業統計調査員新潟
笹川政比己 75 元日本郵政公社職員柏崎
佐藤道子 78 元各種統計調査員長岡
白椿守 76 元三条市消防団副分団長三条
鈴木守 67 元長岡市消防団長長岡
寺沢正美 69 元柏崎市消防団副団長柏崎
外山正則 70 元佐渡市南佐渡消防団長佐渡
中村正 76 元日本郵政公社職員佐渡
比金敏明 74 元工業統計調査員出雲崎
保坂隆一 69 元十日町市消防団副団長十日町
本間信弘 78 元日本郵政公社職員佐渡
丸山敦 65 元法務教官長岡
本山政利 73 元上越市消防団副分団長上越
和田辰朗 73 元民生・児童委員新潟
春の叙勲受章者――新潟[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1343文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
浅井守雄 70 元魚沼市議魚沼
阿部松雄 73 元新潟市議新潟
砂田徹也 70 元日弁連常務理事新潟
武藤正信 70 元上越市議上越
渡辺広吉 77 元聖籠町長聖籠
▽瑞宝小綬章
飯吉喜久雄 78 元上越警察署長新潟
太田恭利 70 元公立高校長新潟
大塚俊明 70 元公立高校長妙高
貝沼憲志 78 元県相撲連盟副会長上越
木村勇一 70 元新潟市副市長新潟
小島正芳 73 元公立高校長新潟
杉山順爾 72 元県知事政策局長新潟
村山裕 70 元新潟市消防正監新潟
▽旭日双光章
相田豊 86 元五泉市議五泉
伊藤宰 80 元県放射線技師会長新潟
稲毛明 74 元阿賀野市議阿賀野
岩城和男 70 元新津市議新潟
植木茂 72 元妙高市議妙高
大原伊一 70 元燕市議燕
木村貞雄 80 元村上市議村上
腰越晃 70 元南魚沼市議南魚沼
中村良夫 72 元佐渡市議佐渡
古川原直人 78 元長岡市議長岡
町田俊夫 76 元五泉市議五泉
水沢仁 74 元新潟市議新潟
村田幸多朗 70 元柏崎市議柏崎
山賀一雄 81 元小千谷市議小千谷
▽瑞宝双光章
石上和男 75 元県福祉保健部長新潟
加藤誠雄 70 元公立小校長上越
佐藤修一 70 元公立中校長関川
諏訪間満里美 71 調停委員新潟
関久志 70 元公立中校長新潟
高橋恒男 71 元北陸信越運輸局交通環境部長新潟
難波政行 77 元北陸地方整備局北陸技術事務所長新潟
西沢裕司 70 元北陸地方整備局用地部用地調整官長岡
麦谷誠一 96 元上越市下新田町内会長上越
橋本英俊 72 保護司長岡
藤本孝昭 70 元公立中校長上越
本間則昭 70 元公立小校長新潟
矢沢正知 74 元県立中央病院長上越
山岸真夫 70 元公立小校長長岡
若山正樹 78 元柏崎市副市長柏崎
鷲沢文雄 70 保護司燕
▽旭日単光章
今井宏樹 80 元新潟市江南区選管委員長新潟
捧謙二 70 元ササゲ工業社長燕
鈴木正雄 83 元新潟市中央区入船二自治会長新潟
反町嘉男 70 長岡市天神町町内会長長岡
深見政英 77 元二和地区商工会長長岡
▽瑞宝単光章
池田正 63 元県用員新発田
上田浩 63 元JR東日本メカトロニクス新潟支店長岡営業所技術課長新潟
江口誠一 76 元新発田市消防団副分団長新発田
大関正幸 69 元新潟市消防団副団長新潟
大野一正 73 元新潟市消防団副団長新潟
岡田明 55 松田組工事部長柏崎
北山茂 73 元糸魚川市消防団分団長糸魚川
小池勝見 80 元村上市消防団分団長村上
小池登 81 元加茂市消防団副分団長加茂
小林一也 65 元弥彦村消防団長弥彦
坂木伸行 76 大伸工業代表取締役新潟
桜井淑子 81 元工業統計調査員新潟
笹川政比己 75 元日本郵政公社職員柏崎
佐藤道子 78 元各種統計調査員長岡
白椿守 76 元三条市消防団副分団長三条
鈴木守 67 元長岡市消防団長長岡
寺沢正美 69 元柏崎市消防団副団長柏崎
外山正則 70 元佐渡市南佐渡消防団長佐渡
中村正 76 元日本郵政公社職員佐渡
比金敏明 74 元工業統計調査員出雲崎
保坂隆一 69 元十日町市消防団副団長十日町
本間信弘 78 元日本郵政公社職員佐渡
丸山敦 65 元法務教官長岡
本山政利 73 元上越市消防団副分団長上越
和田辰朗 73 元民生・児童委員新潟
春の叙勲受章者――岡山[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1280文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
清水男 72 総社商工会議所会頭総社
土井雅人 73 元テレビせとうち社長岡山
的場真介 70 元日弁連常務理事岡山
森岡聡子 83 元笠岡市議笠岡
▽瑞宝小綬章
新井和夫 72 元公立高校長岡山
石井一郎 70 元公立高校長岡山
石田正人 70 元公立高校長岡山
立川隆雄 70 元農水省大臣官房検査・監察部検査課長岡山
谷口幸夫 70 元広島法務局民事行政部長倉敷
角田保彦 70 元県危機管理監倉敷
長瀬正典 70 元岡山市消防司監瀬戸内
難波一也 70 元備中県民局長岡山
西沢幸司 73 元公立高校長岡山
村井信子 78 元愛光女子学園長岡山
村下治 71 元中国管区警察学校長倉敷
▽旭日双光章
有元純一 70 元玉野市議玉野
崎本敏子 71 元岡山市議岡山
塩飽繁樹 73 県建築士会長井原
田中領 75 県測量設計業協会副会長倉敷
田淵和久 78 県医師会理事岡山
中西巧 85 県間税会連合会副会長岡山
永原知康 71 元浅口市議浅口
中元唯資 73 元真庭市議真庭
平岩弘 71 元県歯科医師会常務理事岡山
安原健二 70 県養鶏協会長井原
▽瑞宝双光章
井上民二 91 元国鉄天王寺鉄道管理局総務部長玉野
井上ひろ子 76 岡山刑務所篤志面接委員岡山
小川孝司 71 元公立小校長岡山
風早俊昭 70 元山手村消防団長総社
黒山靖弘 70 元公立支援学校長新見
清水史雄 84 元県警事務吏員備前
清水良周 71 元国立宮古海上技術短期大学校長岡山
谷田陽平 70 元公立中校長倉敷
豊田ひとみ 70 元県環境文化部長倉敷
中根正雄 80 元玉野市消防団長玉野
中村義和 71 元倉敷市消防団長倉敷
西野和美 75 保護司津山
船着哲夫 75 保護司玉野
安田隆洋 74 県警嘱託医津山
▽旭日単光章
大山隆歳 92 鏡野町久田地区長鏡野
加藤晃敏 88 元上原井領土地改良区理事長倉敷
白神増己 87 元総社市山之端町内会長総社
伏見公誠 70 岡山市南区芳明学区当新田西町内会長岡山
▽瑞宝単光章
井原申博 73 元津山市消防団分団長津山
植田育男 62 JFEプラントエンジ倉敷事業所教育推進室係長倉敷
植田貴昭 64 元新庄村消防団副団長新庄
太田秀雄 68 元岡山市消防団分団長岡山
岡崎明彦 65 元法務教官岡山
行司実夫 71 元国立印刷局職員岡山
行司康夫 74 元国立印刷局職員岡山
小林克己 76 元玉野市消防団副団長玉野
佐藤真治 74 元早島町消防団副団長早島
筒井信弘 64 元浅口市消防団副団長浅口
土居昌司 64 元美咲町消防団長美咲
橋爪操 79 奈良佐保短大付属倉敷幼稚園長岡山
平田明正 64 元津山市消防団副団長津山
藤本泉 55 大忠建工職長岡山
藤原基 65 元倉敷市消防団分団長倉敷
政田町子 78 民生・児童委員赤磐
松尾好明 66 元笠岡市消防団分団長笠岡
光井清 74 元津山市消防団分団長津山
守屋修平 66 元倉敷市消防団分団長倉敷
安井直人 72 わくわくサポートセンター施設長岡山
山口清貴 72 鵜石鼻灯台灯火監視協力者備前
吉井龍吾 66 元新見市消防団分団長新見
吉国澄 65 元新見市消防団分団長新見
春の叙勲受章者――青森[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1268文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
木村英敬 83 元県トラック協会長青森
森三郎 75 元三沢市議三沢
吉田豊 75 元六戸町長六戸
▽瑞宝小綬章
相川規 77 元公立高校長青森
小笠原靖介 71 元県総務部行政改革・危機管理監青森
小向洋一 70 元八戸地域広域市町村圏事務組合消防正監八戸
高橋憲悦 78 元県警本部交通部長青森
堀内芳男 74 元三八地域県民局長弘前
▽旭日双光章
相場博 77 元県建築士事務所協会長三沢
小山内柳一 70 県法人会連合会副会長平川
佐賀敏一 77 元風間浦村教育委員長風間浦
坂牛淳治 71 元鰺ケ沢町議鰺ケ沢
田島剛一 78 元八戸市医師会副会長三戸
中村弘 71 元県議平川
三角武男 76 元六ケ所村議六ケ所
▽瑞宝双光章
浅瀬石潤悦 69 元藤崎町消防団長藤崎
天内修 71 保護司青森
川端亜喜男 80 元公立小校長大間
菊池武利 73 元大間町副町長むつ
工藤協志 76 学校医青森
工藤勇蔵 96 元県銃剣道連盟副会長五所川原
斉藤勝 77 元公立小校長青森
宿野部良紀 84 元北上郵便局長青森
高山元延 75 青森刑務所教誨師八戸
対馬勉 70 調停委員五所川原
沼山奈々江 72 元「公立松風荘」総括主幹介護員東北
張間正儀 85 元青森労基署長青森
松田美知子 80 元公立小校長弘前
三浦和子 66 元県立さわらび医療療育センター技能技師弘前
山本実幸 70 元日本郵政公社職員青森
吉本睦子 82 民生・児童委員弘前
渡辺文行 71 調停委員むつ
▽旭日単光章
川畑好弘 90 元三沢市美野原一丁目町内会長三沢
佐藤忠志 85 元新郷村選管委員長新郷
下久保真信 82 下久保林業代表取締役十和田
関裕二郎 74 元県柔道整復師会副会長弘前
高瀬厚太郎 75 日本ボーイスカウト県連盟副連盟長むつ
▽瑞宝単光章
赤石英克 70 元弘前市消防団副団長弘前
川村勝義 87 元郵政事務官八戸
木下長造 72 元風間浦村消防団副分団長風間浦
工藤秀広 75 元青森市青森消防団分団長青森
工藤寛樹 74 元木造町消防団分団長つがる
栗山良蔵 73 元各種統計調査員十和田
滝沢収道 64 元法務教官青森
竹内香子 56 元弘前大医学部付属病院看護部副看護部長黒石
竹林勝幸 72 元東通村消防団分団長東通
橘友昭 70 元八戸市消防団長八戸
豊巻信一 72 元黒石市消防団副団長黒石
七日市登 71 元田子町消防団副団長田子
成田正隆 70 元板柳町消防団副団長板柳
縄田覚 70 元七戸町消防団副団長七戸
新山功一 74 元青森市青森消防団分団長青森
畠山新市 75 元十和田市消防団分団長十和田
馬場一政 71 元三沢市消防団分団長三沢
林利智子 70 元八戸市立市民病院副看護局長八戸
古林晴美 71 元野辺地町消防団分団長野辺地
松山茂 71 元三戸町消防団副団長三戸
水尻美喜穂 78 元農林業センサス調査員十和田
森淳一 70 元蓬田村消防団長蓬田
森林春夫 71 元南部町消防団副団長南部
吉田実 73 元六戸町消防団分団長六戸
吉田稔 70 元むつ市消防団長むつ
和田求 64 福田道路東京本店西関東営業所職長大間
春の叙勲受章者――岐阜[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
板津徳次 74 元富加町長富加
伊藤厳悟 76 元下呂市議下呂
葛谷寛徳 74 元飛市議飛
国島芳明 75 元高山市長高山
笹田参三 76 元日弁連理事大垣
土屋順紀 71 染織作家関
中川満也 70 元垂井町長垂井
藤橋礼治 86 元瑞穂市議瑞穂
美谷添生 76 元郡上市議郡上
渡辺友三 76 元郡上市議郡上
▽瑞宝小綬章
杉山英一 70 元公立高校長山県
古田健二 70 大垣日本大高校長大垣
正木朗 70 元中部経済産業局産業部長多治見
水野秀則 70 元公立高校長岐阜
横山公平 72 元近畿中部防衛局企画部長大垣
渡辺厚 72 元県会計管理者美濃加茂
▽旭日双光章
大高征 80 元飛市医師会長飛
加藤靖也 70 元土岐市長土岐
鈴木伸二 81 元名古屋帽子協同組合理事長笠松
平野博史 76 元県労委委員岐阜
前田裕三 76 元県ビルメンテナンス協会長可児
森知巳 71 美濃加茂商工会議所副会頭美濃加茂
安田敏雄 82 元笠松町議笠松
▽瑞宝双光章
青木広志 70 元公立中校長美濃
井上直寛 77 元「美谷学園」園長関
今井随祐 73 行政相談委員八百津
江崎俊夫 81 学校医岐阜
岡庭隆 75 保護司恵那
片岡由伸 70 元中部地方整備局適正業務管理官多治見
加知芳美 86 元笠原町助役多治見
工藤誠 74 保護司瑞浪
小林正徳 70 元公立中校長各務原
下畑勝弘 71 元日本郵政公社職員高山
正村洋一郎 72 元県林政部長揖斐川
杉原茂男 70 元公立高校長神戸
高田大嗣 70 元公立中校長岐阜
所俊彦 81 元学校医瑞穂
長尾賢 74 元大垣郵便局長岐阜
野尻真 76 元白川病院長白川
藤田信彦 79 元瑞浪市副市長瑞浪
堀知靖 82 元安八町消防団長安八
森明 73 元池田町消防団長池田
▽旭日単光章
岡田悠子 84 元笠松町商工会長笠松
徳田泰昭 70 徳田工業社長各務原
新田久 82 元東白川村商工会長東白川
▽瑞宝単光章
市原智子 83 美濃和紙製造業従事者美濃
伊藤友美 61 元岐阜大医学部付属病院看護部副看護部長岐阜
岩田準一 74 元法務技官各務原
大山安彦 64 元中津川市福岡消防団長中津川
川島幸次 64 元名鉄西部電気管理区長各務原
久野威 64 元大垣市消防団分団長大垣
倉地信也 66 元岐阜市金華水防団長岐阜
桜田浩徳 65 元高山市消防団分団長高山
佐藤真郷 64 元飛市消防団分団長飛
佐藤佳文 64 元郡上市消防団分団長郡上
須甲しのぶ 61 元「岐阜県立ひまわりの丘第三学園」リーダー関
高木敏彦 66 元県職員海津
高見登美子 74 元各種統計調査員大垣
冨田良平 66 元県職員高山
中島弘子 61 元下呂市立金山病院看護部長下呂
名和幸彦 69 元笠松町消防団副団長笠松
西脇慎治 68 元県職員養老
野村重隆 64 元下呂市消防団副団長下呂
橋本光宗 77 元民生・児童委員各務原
服部恵洋 72 元岐阜市中消防団長岐阜
森清実 64 元海津市消防団長海津
森俊子 59 元「いぶき苑」介護室長垂井
春の叙勲受章者――岐阜[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
板津徳次 74 元富加町長富加
伊藤厳悟 76 元下呂市議下呂
葛谷寛徳 74 元飛市議飛
国島芳明 75 元高山市長高山
笹田参三 76 元日弁連理事大垣
土屋順紀 71 染織作家関
中川満也 70 元垂井町長垂井
藤橋礼治 86 元瑞穂市議瑞穂
美谷添生 76 元郡上市議郡上
渡辺友三 76 元郡上市議郡上
▽瑞宝小綬章
杉山英一 70 元公立高校長山県
古田健二 70 大垣日本大高校長大垣
正木朗 70 元中部経済産業局産業部長多治見
水野秀則 70 元公立高校長岐阜
横山公平 72 元近畿中部防衛局企画部長大垣
渡辺厚 72 元県会計管理者美濃加茂
▽旭日双光章
大高征 80 元飛市医師会長飛
加藤靖也 70 元土岐市長土岐
鈴木伸二 81 元名古屋帽子協同組合理事長笠松
平野博史 76 元県労委委員岐阜
前田裕三 76 元県ビルメンテナンス協会長可児
森知巳 71 美濃加茂商工会議所副会頭美濃加茂
安田敏雄 82 元笠松町議笠松
▽瑞宝双光章
青木広志 70 元公立中校長美濃
井上直寛 77 元「美谷学園」園長関
今井随祐 73 行政相談委員八百津
江崎俊夫 81 学校医岐阜
岡庭隆 75 保護司恵那
片岡由伸 70 元中部地方整備局適正業務管理官多治見
加知芳美 86 元笠原町助役多治見
工藤誠 74 保護司瑞浪
小林正徳 70 元公立中校長各務原
下畑勝弘 71 元日本郵政公社職員高山
正村洋一郎 72 元県林政部長揖斐川
杉原茂男 70 元公立高校長神戸
高田大嗣 70 元公立中校長岐阜
所俊彦 81 元学校医瑞穂
長尾賢 74 元大垣郵便局長岐阜
野尻真 76 元白川病院長白川
藤田信彦 79 元瑞浪市副市長瑞浪
堀知靖 82 元安八町消防団長安八
森明 73 元池田町消防団長池田
▽旭日単光章
岡田悠子 84 元笠松町商工会長笠松
徳田泰昭 70 徳田工業社長各務原
新田久 82 元東白川村商工会長東白川
▽瑞宝単光章
市原智子 83 美濃和紙製造業従事者美濃
伊藤友美 61 元岐阜大医学部付属病院看護部副看護部長岐阜
岩田準一 74 元法務技官各務原
大山安彦 64 元中津川市福岡消防団長中津川
川島幸次 64 元名鉄西部電気管理区長各務原
久野威 64 元大垣市消防団分団長大垣
倉地信也 66 元岐阜市金華水防団長岐阜
桜田浩徳 65 元高山市消防団分団長高山
佐藤真郷 64 元飛市消防団分団長飛
佐藤佳文 64 元郡上市消防団分団長郡上
須甲しのぶ 61 元「岐阜県立ひまわりの丘第三学園」リーダー関
高木敏彦 66 元県職員海津
高見登美子 74 元各種統計調査員大垣
冨田良平 66 元県職員高山
中島弘子 61 元下呂市立金山病院看護部長下呂
名和幸彦 69 元笠松町消防団副団長笠松
西脇慎治 68 元県職員養老
野村重隆 64 元下呂市消防団副団長下呂
橋本光宗 77 元民生・児童委員各務原
服部恵洋 72 元岐阜市中消防団長岐阜
森清実 64 元海津市消防団長海津
森俊子 59 元「いぶき苑」介護室長垂井
春の叙勲受章者――香川[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1210文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
井上弘志 78 元東かがわ市議東かがわ
大浦澄子 87 元高松市議高松
三笠輝彦 82 元高松市議高松
▽瑞宝小綬章
尾上一水 79 元神戸拘置所長綾川
佐藤謙二 70 元公立高校長高松
塩田政義 80 詫間電波工業高専名誉教授三豊
白田公則 70 元西条区検副検事丸亀
高橋博之 70 元四国地方整備局総務部総括調整官高松
滝端博 70 元高松税務署長綾川
松下直祐 70 元松江地方法務局長高松
松下博志 71 元境海上保安部巡視船きそ業務管理官さぬき
柳浦清文 70 元高松高検検事丸亀
山本八朗 79 元県地労委事務局長東かがわ
▽旭日双光章
藍川佳津樹 81 元宇多津町議宇多津
大峯茂樹 76 元全国製麺協同組合連合会長土庄
粂井明人 82 元三木町議三木
佐藤宣幸 73 高松市薬剤師会副会長高松
島田新一 73 元県労委委員高松
多田一明 82 元さぬき市議さぬき
近沢亨 80 元丸亀商工会議所副会頭丸亀
名倉毅 83 元さぬき市議さぬき
林野忠弘 83 元善通寺市議善通寺
宮本宗雄 91 元県トラック協会副会長坂出
山下美博 76 県木材協会副会長まんのう
▽瑞宝双光章
池本美智代 67 元県立中央病院診療放射線技師高松
加藤悟史 70 元坂出市副市長坂出
鎌倉克英 73 「じきしん荘」施設長丸亀
坂井照明 70 元四国経済産業局資源エネルギー環境部電源開発調整官丸亀
高橋茂博 75 保護司観音寺
竹森正博 71 元公立小校長善通寺
田端五郎 70 丸亀少女の家篤志面接委員丸亀
長束崇仁 77 元学校歯科医高松
野村一夫 70 元公立小校長高松
広瀬義喜 74 元四国運輸局高知運輸支局長高松
藤田大基 72 元高知行政評価事務所長丸亀
松村孝雄 61 元県厚生連滝宮総合病院検査部技師長さぬき
森史郎 70 学校医善通寺
▽旭日単光章
白川正久 82 観音寺市大谷池土地改良区理事長観音寺
角田朝則 78 高松市新塩屋町地区城東町第三自治会長高松
▽瑞宝単光章
井原穂積 69 元さぬき市消防団長さぬき
井原良和 64 東洋土木興業工事部係長高松
入江祥光 80 元丸亀市消防団分団長丸亀
内海孝教 67 元丸亀市消防団副団長丸亀
緒方正敬 66 元綾川町消防団長綾川
香川ふみ子 67 元白樺保育園保育士高松
川田佳子 67 高松第二保育園保育士高松
小島英子 68 元引田愛育園主任保育士東かがわ
佐柳健 72 元善通寺市消防団長善通寺
神藤保義 74 元まんのう町消防団長まんのう
平田積 74 元東かがわ市消防団副団長東かがわ
松浦修 71 元琴平町消防団長琴平
真鍋守博 80 元三木町消防団副分団長三木
真部義弘 69 元さぬき市消防団副団長さぬき
三木稔 64 元土庄町消防団副団長土庄
三原由紀美 70 元県立白鳥病院看護部長高松
三輪憲夫 86 元警察庁技官宇多津
八木清文 66 元小豆島町消防団長小豆島
吉田順子 77 元民生・児童委員高松
吉原修 64 緑造園興業工務部長さぬき
春の叙勲受章者――福島[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1184文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
遠藤敏郎 75 元郡山市議郡山
西丸武進 80 元県議いわき
立谷耕一 76 元相馬市議相馬
山岸清 77 元福島市議福島
渡辺由紀雄 70 元本宮市議本宮
▽瑞宝小綬章
小浜宗一郎 70 元公立高校長郡山
高橋迪夫 79 日本大名誉教授郡山
南條英一 70 元須賀川地方広域消防組合消防正監石川
箱崎温夫 70 元公立高校長いわき
森合正典 70 元県企画調整部長福島
吉田丈己 70 元いわき市消防正監いわき
渡辺恵一 70 元公立養護学校長福島
▽旭日双光章
佐藤喜三郎 83 元川俣町議川俣
須藤利夫 76 元玉川村議玉川
関谷亮一 81 県土地改良事業団体連合会副会長白河
千葉隆 77 元県空調衛生工事業協会副会長桑折
筒井章 70 元会津若松歯科医師会長会津若松
長谷川元行 70 元田村市議田村
星迪子 80 元両沼郡医師会長会津坂下
▽瑞宝双光章
会田智康 70 元公立小校長伊達
秋山孝雄 73 保護司郡山
折笠春実 71 元「郡山せいわ園」副施設長郡山
神山英司 70 元調停委員郡山
小林吉範 83 元福島公共職業安定所長郡山
島影恵美子 70 調停委員会津若松
鈴木肇 73 元白河市消防団長白河
須田妙子 76 行政相談委員矢吹
関本良 70 元公立小校長会津坂下
善方明夫 71 元須賀川市消防団長須賀川
玉川邦夫 73 元公立中校長下郷
檜山利男 63 元矢祭町消防団長矢祭
星慶一 71 元南会津町消防団長南会津
本多博一 83 元県警事務吏員福島
安田明弘 79 元学校歯科医二本松
渡辺世子 74 元公立養護学校長田村
▽旭日単光章
清野直人 71 伊達市農業委員会長伊達
橋本栄一 73 元石川町商工会長石川
真部賢二 71 喜多方市菅井二区行政区長喜多方
山田慶太 70 アサカ理研会長郡山
▽瑞宝単光章
猪狩克夫 69 元川内村消防団分団長川内
薄祥男 70 元西会津町消防団分団長西会津
遠藤充 77 元いわき市消防団副団長いわき
大竹隆一 74 元喜多方市喜多方消防団分団長喜多方
小沼真一 71 元JR東日本仙台支社会津坂下駅長福島
菅野一意 69 元川俣町消防団長川俣
小林勇雄 73 元鏡石町消防団長鏡石
小室勝弘 65 元浅川町消防団長浅川
斎藤正勝 81 元県警技術吏員福島
斎藤裕司 71 元伊達市消防団長伊達
佐藤万雄 77 元飯野町消防団分団長福島
陳野原幸紀 77 元福島市消防団分団長福島
高村正博 70 元JR東日本仙台支社福島総合運輸区長国見
田村利夫 78 元総務事務官いわき
丹野正彦 69 元いわき市消防団副団長いわき
二瓶正一 76 元福島市消防団分団長福島
橋本良夫 66 元防衛技官福島
辺見錠司 76 元農林業センサス調査員白河
星勲 86 元郵政事務官須賀川
矢沢昇 77 元国勢調査員三島
山下秀人 66 元防衛技官西郷
吉村英博 70 調停委員いわき
藁谷一雄 77 元いわき市消防団副団長いわき
春の叙勲受章者――三重[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1183文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
伊藤庄吉 73 行政相談委員津
亀井喜久雄 70 県石油商業組合理事長名張
佐藤肇 84 元桑名市議桑名
田山雅敏 73 上野商工会議所会頭伊賀
中沢康哉 71 元桑名三重信用金庫理事長桑名
永富洋一 82 元県漁業協同組合連合会代表理事会長鳥羽
西井政彦 71 元県薬剤師会長南伊勢
野地洋正 73 元県木材組合連合会長熊野
▽瑞宝小綬章
石野忠彦 70 元中部地方整備局総務部総括調整官桑名
大橋真 76 元公立高校長いなべ
大林清 70 元県病院事業庁長津
鎌田敏明 72 元公立高校長鈴鹿
後藤善博 70 元四日市市消防正監四日市
新開輝夫 71 元名古屋市副市長亀山
住田安弘 72 元四日市羽津医療センター院長鈴鹿
中野和代 75 元公立高校長松阪
平岡一能 85 元県ウエイトリフティング協会副会長亀山
前島学 80 鳥羽商船高専名誉教授伊勢
▽旭日双光章
伊藤幸子 83 県新生活運動推進協議会長鈴鹿
今井俊郎 71 元鈴鹿市議鈴鹿
貝増吉郎 71 元県議桑名
三代加賀瑞山(加賀修)
80陶芸家桑名
杉谷育生 78 元津市議津
中出実 70 元松阪市議松阪
野呂政夫 80 県農業会議代表理事会長松阪
宮村吉麿 73 元亀山医師会長亀山
矢野仁志 76 元鈴鹿市議鈴鹿
山本陽一郎 83 元東員町議東員
渡辺清司 72 元桑名市議桑名
▽瑞宝双光章
大辻利栄子 69 元県立志摩病院看護部長志摩
木村清俊 77 元公立小校長伊賀
小林正人 71 保護司いなべ
坂本政英 74 保護司名張
柴原時男 75 元志摩市副市長志摩
庄山正敏 82 元愛知県技術吏員津
垂水泰敏 85 元学校医松阪
仲立治 77 元公立中校長伊勢
水谷隆久 65 元近鉄名古屋統括部運輸部近鉄名古屋駅長伊勢
宮崎耐輔 79 元公立中校長松阪
山北哲 78 元公立中校長桑名
▽旭日単光章
加藤勘次 70 おぼろタオル代表取締役津
西岡正行 75 元県美容業生活衛生同業組合副理事長四日市
西口初男 70 元明和町勝見第二自治会長明和
▽瑞宝単光章
青吉美 75 元津市消防団副団長津
安藤高広 66 元防衛技官明和
池田孝治 62 四日市タグサービス一等航海士四日市
今坂千秋 68 伊勢形紙製造業従事者鈴鹿
尾崎健治郎 83 元桑名市消防団副団長桑名
片岡幸一 68 ナカムラ工業図研専務取締役最高技術責任者兼YOKKAICHI OFFICE所長鈴鹿
北井宗徳 59 山下組職長志摩
北川賢一 77 元亀山市消防団分団長亀山
近藤俊彦 60 水谷建設取締役常務執行役員東日本事業部長東員
坂中英夫 65 元志摩市消防団分団長志摩
杉野成次 74 元四日市市消防団分団長四日市
高島清子 75 若葉保育園副園長松阪
竹川佐知子 78 元工業統計調査員川越
中川吉弘 64 元明和町消防団長明和
平岡美幸 61 元豊橋医療センター看護部長津
朴木博司 73 元松阪市消防団副団長松阪
春の叙勲受章者――三重[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1183文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
伊藤庄吉 73 行政相談委員津
亀井喜久雄 70 県石油商業組合理事長名張
佐藤肇 84 元桑名市議桑名
田山雅敏 73 上野商工会議所会頭伊賀
中沢康哉 71 元桑名三重信用金庫理事長桑名
永富洋一 82 元県漁業協同組合連合会代表理事会長鳥羽
西井政彦 71 元県薬剤師会長南伊勢
野地洋正 73 元県木材組合連合会長熊野
▽瑞宝小綬章
石野忠彦 70 元中部地方整備局総務部総括調整官桑名
大橋真 76 元公立高校長いなべ
大林清 70 元県病院事業庁長津
鎌田敏明 72 元公立高校長鈴鹿
後藤善博 70 元四日市市消防正監四日市
新開輝夫 71 元名古屋市副市長亀山
住田安弘 72 元四日市羽津医療センター院長鈴鹿
中野和代 75 元公立高校長松阪
平岡一能 85 元県ウエイトリフティング協会副会長亀山
前島学 80 鳥羽商船高専名誉教授伊勢
▽旭日双光章
伊藤幸子 83 県新生活運動推進協議会長鈴鹿
今井俊郎 71 元鈴鹿市議鈴鹿
貝増吉郎 71 元県議桑名
三代加賀瑞山(加賀修)
80陶芸家桑名
杉谷育生 78 元津市議津
中出実 70 元松阪市議松阪
野呂政夫 80 県農業会議代表理事会長松阪
宮村吉麿 73 元亀山医師会長亀山
矢野仁志 76 元鈴鹿市議鈴鹿
山本陽一郎 83 元東員町議東員
渡辺清司 72 元桑名市議桑名
▽瑞宝双光章
大辻利栄子 69 元県立志摩病院看護部長志摩
木村清俊 77 元公立小校長伊賀
小林正人 71 保護司いなべ
坂本政英 74 保護司名張
柴原時男 75 元志摩市副市長志摩
庄山正敏 82 元愛知県技術吏員津
垂水泰敏 85 元学校医松阪
仲立治 77 元公立中校長伊勢
水谷隆久 65 元近鉄名古屋統括部運輸部近鉄名古屋駅長伊勢
宮崎耐輔 79 元公立中校長松阪
山北哲 78 元公立中校長桑名
▽旭日単光章
加藤勘次 70 おぼろタオル代表取締役津
西岡正行 75 元県美容業生活衛生同業組合副理事長四日市
西口初男 70 元明和町勝見第二自治会長明和
▽瑞宝単光章
青吉美 75 元津市消防団副団長津
安藤高広 66 元防衛技官明和
池田孝治 62 四日市タグサービス一等航海士四日市
今坂千秋 68 伊勢形紙製造業従事者鈴鹿
尾崎健治郎 83 元桑名市消防団副団長桑名
片岡幸一 68 ナカムラ工業図研専務取締役最高技術責任者兼YOKKAICHI OFFICE所長鈴鹿
北井宗徳 59 山下組職長志摩
北川賢一 77 元亀山市消防団分団長亀山
近藤俊彦 60 水谷建設取締役常務執行役員東日本事業部長東員
坂中英夫 65 元志摩市消防団分団長志摩
杉野成次 74 元四日市市消防団分団長四日市
高島清子 75 若葉保育園副園長松阪
竹川佐知子 78 元工業統計調査員川越
中川吉弘 64 元明和町消防団長明和
平岡美幸 61 元豊橋医療センター看護部長津
朴木博司 73 元松阪市消防団副団長松阪
春の叙勲受章者――山口[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1178文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
井森浩視 81 元県建設業協会長柳井
岩川博 70 県納税貯蓄組合総連合会長防府
金子光夫 74 元県農業協同組合中央会代表理事会長下松
久保田后子 70 元宇部市長宇部
田村勇一 83 元周南市議周南
▽瑞宝小綬章
義満猛文 70 元下関市消防正監下関
十河悟 71 元公立高校長山口
竹本芳朗 71 元公立高校長防府
藤井哲男 71 元県総合企画部長山口
▽旭日双光章
伊藤実穂 71 元県放射線技師会長山陽小野田
片山原司 74 元岩国市議岩国
小林元壮 72 岩国市医師会長岩国
定宗正人 77 元下関市議下関
田中勇 77 元山口市議山口
▽瑞宝双光章
石貫国郎 71 元九州地方整備局港湾空港部航路施策分析官下関
今鶴勇二 70 元公立小校長宇部
大石勝美 74 元大阪航空局保安部長萩
佐藤清則 72 元海自第201教育航空隊副長下関
高田洋美 82 学校医岩国
田中薫 72 元上関町消防団長上関
田中豊弌 80 元厚労省労働基準局労災補償部補償課労災保険審理室長山口
中村正人 72 元公立中校長岩国
西生隆司 77 由宇保育園長岩国
能野祐司 70 元公立小校長阿武
原田美保子 73 行政相談委員下松
平井直実 82 元県事務吏員山口
平川和俊 71 元公立小校長下松
福田孝子 76 保護司周南
藤井輝久 70 元日本郵政公社職員周南
藤田恵 63 元済生会下関総合病院看護部長下関
藤本勲 85 元警察庁技官防府
村田弘 72 保護司岩国
本広正則 76 元下関市副市長山口
山内高史 75 学校歯科医宇部
▽旭日単光章
井上伊三郎 76 井上商店会長萩
坂井清美 76 元県柔道協会副会長山口
松山英治 71 ひびき精機代表取締役下関
安冨恵子 76 元下関市公平委員下関
▽瑞宝単光章
岡本美智子 66 玖珂保育園保育士岩国
蒲悟 74 元萩市消防団副団長萩
河済満代 67 「防府海北園」保育士防府
河野学 71 元宇部市消防団分団長宇部
河村吉人 73 元山口市消防団分団長山口
崎原孝就 80 元柳井市消防団分団長柳井
重枝勝則 70 元山陽小野田市消防団分団長山陽小野田
鈴木庸徳 84 元警察庁技官山口
高橋建造 70 元山陽小野田市消防団分団長山陽小野田
内藤清秋 73 元上関町消防団副団長上関
中原智弘 55 元「鹿野学園成人部」生活療育班主任周南
浜畠芳治 67 元下関市消防団分団長下関
浜本孝則 66 元周防大島町消防団副団長周防大島
福田美登里 68 元山口大医学部付属病院看護部副看護部長宇部
藤本教二 76 元山口市消防団分団長山口
村中喜文 73 元岩国市消防団長岩国
森川繁夫 80 民生・児童委員山陽小野田
守田宜生 72 元下松市消防団長下松
山手祐治 73 元岩国市消防団副団長岩国
山根範幸 74 元萩市消防団分団長萩
山野重慈 66 元下関市消防団分団長下関
山村美穂子 65 元姫井保育園保育士宇部
春の叙勲受章者――山口[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1178文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
井森浩視 81 元県建設業協会長柳井
岩川博 70 県納税貯蓄組合総連合会長防府
金子光夫 74 元県農業協同組合中央会代表理事会長下松
久保田后子 70 元宇部市長宇部
田村勇一 83 元周南市議周南
▽瑞宝小綬章
義満猛文 70 元下関市消防正監下関
十河悟 71 元公立高校長山口
竹本芳朗 71 元公立高校長防府
藤井哲男 71 元県総合企画部長山口
▽旭日双光章
伊藤実穂 71 元県放射線技師会長山陽小野田
片山原司 74 元岩国市議岩国
小林元壮 72 岩国市医師会長岩国
定宗正人 77 元下関市議下関
田中勇 77 元山口市議山口
▽瑞宝双光章
石貫国郎 71 元九州地方整備局港湾空港部航路施策分析官下関
今鶴勇二 70 元公立小校長宇部
大石勝美 74 元大阪航空局保安部長萩
佐藤清則 72 元海自第201教育航空隊副長下関
高田洋美 82 学校医岩国
田中薫 72 元上関町消防団長上関
田中豊弌 80 元厚労省労働基準局労災補償部補償課労災保険審理室長山口
中村正人 72 元公立中校長岩国
西生隆司 77 由宇保育園長岩国
能野祐司 70 元公立小校長阿武
原田美保子 73 行政相談委員下松
平井直実 82 元県事務吏員山口
平川和俊 71 元公立小校長下松
福田孝子 76 保護司周南
藤井輝久 70 元日本郵政公社職員周南
藤田恵 63 元済生会下関総合病院看護部長下関
藤本勲 85 元警察庁技官防府
村田弘 72 保護司岩国
本広正則 76 元下関市副市長山口
山内高史 75 学校歯科医宇部
▽旭日単光章
井上伊三郎 76 井上商店会長萩
坂井清美 76 元県柔道協会副会長山口
松山英治 71 ひびき精機代表取締役下関
安冨恵子 76 元下関市公平委員下関
▽瑞宝単光章
岡本美智子 66 玖珂保育園保育士岩国
蒲悟 74 元萩市消防団副団長萩
河済満代 67 「防府海北園」保育士防府
河野学 71 元宇部市消防団分団長宇部
河村吉人 73 元山口市消防団分団長山口
崎原孝就 80 元柳井市消防団分団長柳井
重枝勝則 70 元山陽小野田市消防団分団長山陽小野田
鈴木庸徳 84 元警察庁技官山口
高橋建造 70 元山陽小野田市消防団分団長山陽小野田
内藤清秋 73 元上関町消防団副団長上関
中原智弘 55 元「鹿野学園成人部」生活療育班主任周南
浜畠芳治 67 元下関市消防団分団長下関
浜本孝則 66 元周防大島町消防団副団長周防大島
福田美登里 68 元山口大医学部付属病院看護部副看護部長宇部
藤本教二 76 元山口市消防団分団長山口
村中喜文 73 元岩国市消防団長岩国
森川繁夫 80 民生・児童委員山陽小野田
守田宜生 72 元下松市消防団長下松
山手祐治 73 元岩国市消防団副団長岩国
山根範幸 74 元萩市消防団分団長萩
山野重慈 66 元下関市消防団分団長下関
山村美穂子 65 元姫井保育園保育士宇部
春の叙勲受章者――秋田[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1160文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
柴田一宏 71 元日弁連理事秋田
▽瑞宝小綬章
鈴木重一 79 元月形刑務所長秋田
柳原昌輝 81 秋田工業高専名誉教授秋田
▽旭日双光章
荒川正己 77 元五城目町議五城目
伊藤綏之 81 元県柔道連盟会長横手
亀田利美 77 元小坂町議小坂
倉部稲穂 78 元県労委委員秋田
佐々木謙吉 75 元東成瀬村議東成瀬
佐野元彦 70 秋田商工会議所副会頭秋田
菅原博文 70 元県議秋田
谷本博明 72 大館北秋田歯科医師会理事大館
平山晴彦 70 元県議五城目
藤原幸美 82 元藤里町議藤里
藤原要司 75 元羽後町議羽後
星野祥子 70 元県議潟上
矢野仁 74 元県鍼灸師会長秋田
▽瑞宝双光章
安部哲男 84 元公立小校長仙北
石井勲 80 元公立中校長鹿角
伊藤耕生 73 元公立高校長秋田
菊池了邦 71 秋田刑務所教誨師秋田
栗沢博士 70 元東北地方整備局用地部用地調整官美郷
小松奎一 87 元学校医大館
今野真保 70 幼保連携型認定こども園明星こども園長にかほ
佐々木昌良 73 元県総務部長秋田
清水洋子 74 保護司三種
武田和栄 74 元五城目町副町長五城目
藤井みはと 73 幼保連携型認定こども園本荘中央こども園長由利本荘
町本直克 75 元日本郵政公社職員横手
三浦憲一 81 障害福祉サービス事業所「きらっと」管理者秋田
三浦庄助 73 元県農林水産部長秋田
▽旭日単光章
佐藤辰雄 78 美郷町千畑土地改良区理事長美郷
▽瑞宝単光章
石川栄子 62 元秋田大医学部付属病院看護部看護師長秋田
石川嘉孝 72 元北秋田市消防団分団長北秋田
伊藤隆 57 富士工務店専務取締役兼職長秋田
大河智 65 元NHK職員仙北
大高敏夫 74 元秋田市消防団分団長秋田
大友金己知 71 元大仙市消防団副団長大仙
奥山幸誠 73 元美郷町消防団分団長美郷
奥山武雄 81 元大雄村消防団分団長横手
加藤祥一 75 元男鹿市消防団分団長男鹿
小玉多智美 72 元五城目町消防団長五城目
小林憲夫 69 元三種町消防団副団長三種
斎藤嘉憲 73 元秋田市消防団分団長秋田
嵯峨ヱミ子 79 元第一ルンビニ園長秋田
佐々木忠雄 71 元大仙市消防団副団長大仙
佐藤均 70 元横手市平鹿消防団副団長横手
佐藤養三 77 元横手市横手消防団分団長横手
菅原進 72 日誠工業代表取締役秋田
千田信男 71 元男鹿市消防団副団長男鹿
日景賢 73 元大館市消防団分団長大館
藤島勝政 75 元北秋田市消防団分団長北秋田
藤原宣一 69 元羽後町消防団長羽後
三浦京子 67 元にかほ保育園長にかほ
山県頼和 73 元秋田市消防団分団長秋田
山田昌行 70 元能代市消防団分団長能代
湯田欽一 73 元由利本荘市消防団分団長由利本荘
吉田初 71 元潟上市消防団副団長潟上
渡部良太郎 75 元大仙市消防団分団長大仙
春の叙勲受章者――栃木[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1150文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
加賀田敏雄 84 元県生活衛生同業組合協議会長宇都宮
佐山泰朗 70 佐山学園理事長佐野
▽瑞宝小綬章
臼井通夫 84 元公立高校長上三川
神野俊彦 79 元県保健福祉部長宇都宮
塩沢隆 70 元前橋地方法務局長宇都宮
渋江一雄 72 元公立高校長那須塩原
鈴木良四郎 79 元県出納局副出納長兼出納局長高根沢
橋本健 84 元公立高校長栃木
松下繁一 71 元公立高校長足利
松田美智子 72 元公立高校長栃木
▽旭日双光章
青木公平 86 元県精神衛生協会長足利
青木美智子 78 元小山市議小山
浅川信明 70 元宇都宮市議宇都宮
石塚洋史 72 元県労委委員矢板
伊藤優 74 元大田原市議大田原
岩崎栄市 74 県青色申告会連合会副会長佐野
大山寛 74 元全国野菜園芸技術研究会長栃木
瓦井昭二 72 元県歯科医師会常務理事鹿沼
黒田雄一 71 黒田養蜂園代表取締役鹿沼
小矢島重男 76 元県ビルメンテナンス協会長宇都宮
柴恵 75 元真岡市議真岡
三田隆俊 72 元県土地改良事業団体連合会理事足利
柳収一郎 82 元足利市議足利
▽瑞宝双光章
阿部久夫 80 元県事務吏員宇都宮
石塚清己 70 元高根沢町消防団長高根沢
稲葉信子 71 保護司上三川
印南等 72 学校歯科医矢板
薄羽豊典 70 調停委員益子
梅田国樹 70 元北海道厚生局麻薬取締部長宇都宮
落合泰彦 84 学校医足利
折井正幸 78 元那須塩原市副市長那須塩原
君島康久 70 「晴風園デイサービスセンター」介護士大田原
木村茂夫 76 元公立小校長宇都宮
小林恵 70 調停委員日光
古山大功 72 元宇都宮市消防団長宇都宮
斎藤孝雄 70 元公立中校長日光
島田昌司 73 元関東運輸局神奈川運輸支局長佐野
永井久男 70 元さくら市消防団長さくら
菱沼正二 70 菱沼設計事務所代表真岡
深野秀夫 71 元公立小校長足利
藤沢千栄美 61 元横浜医療センター看護部長那須塩原
藤田宏和 79 元大田原市副市長大田原
馬籠順子 59 元「杉の樹園」看護部長茂木
増田良二 84 元公立高校長宇都宮
▽旭日単光章
稲葉豊 76 宇都宮市高砂西友自治会長宇都宮
古沢勝司 82 宇都宮市清原台三丁目自治会長宇都宮
▽瑞宝単光章
石巻聖樹 74 元栃木市消防団分団長栃木
岩崎克己 72 元益子町消防団長益子
上野栄一 68 元県職員上三川
鶴見好道 72 元日光市藤原消防団長日光
長尾芳昭 73 元栃木市消防団分団長栃木
野沢浩一 62 パナソニックエンターテインメント&コミュニケーション直轄部門モノづくり統括宇都宮工場製造革新課勤務宇都宮
橋本一朗 72 元宇都宮市消防団副団長宇都宮
福田栄一 66 元法務教官宇都宮
藤生かよ 77 認定こども園やままえ保育園副園長足利
吉沢千恵子 75 民生・児童委員宇都宮
春の叙勲受章者――熊本[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1123文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
荒木幸介 70 元全国納税貯蓄組合連合会副会長熊本
坂本邦彦 72 元日弁連理事熊本
土井建 70 元県建設業協会長八代
浜口多美雄 75 元宇土市議宇土
益田龍朗 85 全国たばこ販売協同組合連合会長大津
森浩二 72 元県議玉名
▽瑞宝小綬章
阿部和昭 71 元九州農政局経営・事業支援部長熊本
石沢修 70 元八代広域行政事務組合消防正監八代
岡村範明 70 元県総務部長熊本
佐藤晃章 72 元陸自福岡駐屯地業務隊長熊本
松尾一 72 元陸自第5施設団副団長益城
森豊 70 元環境省大臣官房参事官水俣
柳田秀彦 70 元熊本国税局徴収部長熊本
▽旭日双光章
池田誠一 71 元山鹿市議山鹿
江郷国紘 80 元県弓道連盟会長上天草
高橋洋 82 元荒尾市医師会長荒尾
冨田セツコ 86 県女性防火防災クラブ連合会長益城
矢野悦生 72 県食肉生活衛生同業組合理事長熊本
▽瑞宝双光章
青木征輔 87 元警察庁技官菊池
池田英世 73 元弓削病院長熊本
池辺利昭 73 元公立小校長熊本
石井二三男 77 元公立小校長天草
大津山寿奈子 72 保護司熊本
重岡啓一 77 幼保連携型認定こども園たつだ保育園長熊本
田代佳行 75 元公立中校長熊本
田中和敏 74 元公立養護学校長山鹿
冨田寿人 80 元公立中校長八代
中山重臣 83 元県サッカー協会副会長熊本
服部秀月 74 保護司嘉島
開田清喜 77 元水俣市消防団長水俣
船津誠司 75 元公立高校長山鹿
真崎伸一 70 元県商工観光労働部長熊本
右田紀雄 84 学校医八代
水谷謙一郎 83 元八代市収入役八代
矢毛石陸男 81 元学校歯科医益城
山川武 64 元天草市消防団長天草
山村正人 70 学校薬剤師長洲
吉田精華 74 保護司熊本
吉野慎一 76 元公立小校長天草
渡辺朋子 63 元人吉医療センター看護部長芦北
▽旭日単光章
玉ノ木龍児 71 元長洲町上町区長長洲
松岡ひさし 78 熊本市中央区白山校区第二町内自治会長熊本
▽瑞宝単光章
植田久行 77 元泉村消防団分団長八代
上野浩信 64 元甲佐町消防団長甲佐
緒方勢一 70 元民生・児童委員八代
甲斐博臣 74 元西部電気工業熊本支社大分営業所長熊本
坂上秀子 68 元天草市立小宮地保育所長天草
竹原和宏 57 花谷工業工事部長氷川
田中智子 64 元防衛技官熊本
津田小百里 61 元自衛隊熊本病院看護部看護管理室看護師長益城
野中輝 71 元熊本市消防団分団長熊本
林淳一 65 元高森町消防団長高森
東智子 64 元熊本赤十字病院副院長兼看護部長菊陽
松岡政晴 76 元熊本市消防団副団長熊本
松嶋靖子 85 バンビ保育園長八代
森塚良二 72 元熊本市消防団分団長熊本
吉田護久 64 元産山村消防団長産山
春の叙勲受章者――奈良[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1103文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
甲村侑男 81 元県木材協同組合連合会長大和高田
福井英之 70 元日弁連理事奈良
和田 恵治(和田好輝)
76元県議桜井
▽瑞宝小綬章
有地正伸 79 元奈良警察署長奈良
池田静 79 元京都刑務所長奈良
石橋基志 70 元下京税務署長斑鳩
岩井保善 79 奈良工業高専名誉教授橿原
田沢新成 79 近畿大名誉教授奈良
平田昌也 78 大阪府立工業高専名誉教授奈良
宮谷太 74 元県くらし創造部長橿原
元根俊孝 72 元公立高校長広陵
▽旭日双光章
上田徳 76 元宇陀市議宇陀
小川和俊 76 元橿原市議橿原
竹村恵史 77 元県医師会副会長広陵
中村修 77 県理容生活衛生同業組合理事長桜井
中本明 70 元県建築士会副会長広陵
萩原茂 77 曽爾村農業委員会長曽爾
東充洋 74 元上牧町議上牧
平井洋行 74 大阪府労委委員奈良
松木雅徳 74 元橿原市議橿原
吉田稔 72 元日本弁理士会副会長橿原
吉村之宏 73 県機械工業協同組合理事長田原本
▽瑞宝双光章
飯尾美和 67 元大和高田市立病院看護局長天理
岡弘明 73 元公立小校長平群
尾上清男 73 元公立小校長曽爾
木村耕作 86 元公立中校長桜井
黒田八郎 74 元公立中校長生駒
島岡秀次郎 84 元警察庁技官桜井
辻井典子 74 元片岡台幼稚園長生駒
中北辰子 73 元「奈良県立登美学園」保育士奈良
錦成郎 66 元天理よろづ相談所病院放射線部技師長奈良
速見安且 74 元県こども家庭局長桜井
南儀行 72 「かなはし苑」施設長橿原
森本勉 87 元都祁村収入役奈良
山本通也 71 保護司広陵
吉村仁徳 77 元県警事務吏員橿原
▽旭日単光章
中浦和子 72 河合町星和台公団住宅自治会長河合
山口武 72 元山口農園社長宇陀
▽瑞宝単光章
石橋光男 85 元奈良職業能力促進開発センター指導員大淀
市原光留 74 元十津川村消防団副団長十津川
大川明義 81 元上北山村消防団分団長上北山
北田和夫 70 元内閣府事務官五條
竹島正智 70 元上牧町消防団副分団長上牧
竹田弘 70 元川西町消防団副団長川西
谷口享 70 元田原本町消防団分団長田原本
冨岡恵子 58 飛鳥学院保育所学年主任保育士桜井
林正子 64 幼保連携型認定こども園極楽坊あすかこども園リーダー保育教諭奈良
桝崎洋 83 元警察庁技官奈良
増春雅孝 70 元黒滝村消防団副団長黒滝
松尾繁一 78 元御所市消防団分団長御所
松本匡司 73 元宇陀市大宇陀消防団副団長宇陀
吉岡和保 65 元大阪高裁車庫長桜井
吉田小夜子 80 元民生・児童委員大和高田
吉原雅彦 65 元近鉄大阪統括部運輸部橿原神宮前駅長五條
渡部淳 64 元法務教官奈良
春の叙勲受章者――京都[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1078文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
木村要 85 元精華町長精華
斎藤彰 70 元舞鶴市長舞鶴
茂山七五三(茂山真吾)
77狂言師京都
▽瑞宝小綬章
井関康宏 70 元公立高校長福知山
岡本寛昭 78 舞鶴工業高専名誉教授舞鶴
倉田孝雄 71 元大阪簡裁判事京都
高尾正信 74 元伏見郵便局長向日
高橋修 76 元京都市会計管理者宇治
野口秀明 73 元在ハバロフスク日本総領事館総領事京都
野村治和 70 元京都区検副検事京都
▽旭日双光章
上野博史 85 元府中華料理生活衛生同業組合理事長京都
巽昭 70 元府議京丹後
田中繁信 73 京都電業協会副会長京都
檀野晴一 76 元京都水泳協会長京都
増田徳兵衛 70 増田徳兵衛商店会長京都
渡辺正義 75 元丹後織物工業組合理事長与謝野
▽瑞宝双光章
上田義昭 76 元京都市中京消防団長京都
岡弘子 72 元公立小校長京都
岡本喜八 75 元京都市東山消防団長京都
尾張惣一 71 元公立小校長京都
角尾誠 77 元公立小校長与謝野
鞍掛孝 77 元府農林水産部長木津川
嶋田友則 70 元舞鶴市祖母谷消防団長舞鶴
新谷衛 81 元学校歯科医京都
園部敏英 72 元公立中校長宇治
高橋雄三 81 元学校歯科医京都
田中雅道 72 元光明幼稚園長京都
長尾茂 76 保護司京都
東千世子 75 元公立幼稚園長京都
村上正治 71 元公立中校長京都
山内幸雄 78 元「ヴィラ端山」施設長京都
吉田五十春 77 元府保健環境研究所次長長岡京
▽旭日単光章
小川美知 75 ワックジャパン社長京都
片山一雄 72 片山文三郎商店社長京都
山本賀則 75 元寺内製作所社長京都
吉里年和 87 元府遺族会副会長京都
▽瑞宝単光章
井上佳三 76 京鹿の子絞製造業従事者京都
大西厚二 75 元京都市伏見消防団長京都
片山智文 64 元南丹市消防団副団長南丹
小林健二 65 元近鉄大阪統括部施設部工務課西大寺保線区長木津川
三田清治 80 西陣織製造業従事者京都
嶋田晃次 64 元長岡京市消防団長長岡京
竹島耕三 78 元京都市東山消防団副団長京都
徳舛秀治 64 甍技塾徳舛瓦店代表取締役京都
中村英美 64 元たんぽぽ保育園主任保育士京丹後
中村正和 75 元京都市下京消防団副団長京都
南條隆 74 京友禅製造業従事者京都
西山有紀子 61 元京都大医学部付属病院検査部臨床検査技師長京都
深江憲秀 64 日商建材取締役工事部長京都
前田昌美 64 元「長生園」介護次長兼生活相談員亀岡
桝村昌弘 64 元宇治田原町消防団長宇治田原
松野友美 61 元京都大医学部付属病院看護部副看護部長京都
若松勝彦 66 元防衛技官京都
春の叙勲受章者――京都[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1078文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
木村要 85 元精華町長精華
斎藤彰 70 元舞鶴市長舞鶴
茂山七五三(茂山真吾)
77狂言師京都
▽瑞宝小綬章
井関康宏 70 元公立高校長福知山
岡本寛昭 78 舞鶴工業高専名誉教授舞鶴
倉田孝雄 71 元大阪簡裁判事京都
高尾正信 74 元伏見郵便局長向日
高橋修 76 元京都市会計管理者宇治
野口秀明 73 元在ハバロフスク日本総領事館総領事京都
野村治和 70 元京都区検副検事京都
▽旭日双光章
上野博史 85 元府中華料理生活衛生同業組合理事長京都
巽昭 70 元府議京丹後
田中繁信 73 京都電業協会副会長京都
檀野晴一 76 元京都水泳協会長京都
増田徳兵衛 70 増田徳兵衛商店会長京都
渡辺正義 75 元丹後織物工業組合理事長与謝野
▽瑞宝双光章
上田義昭 76 元京都市中京消防団長京都
岡弘子 72 元公立小校長京都
岡本喜八 75 元京都市東山消防団長京都
尾張惣一 71 元公立小校長京都
角尾誠 77 元公立小校長与謝野
鞍掛孝 77 元府農林水産部長木津川
嶋田友則 70 元舞鶴市祖母谷消防団長舞鶴
新谷衛 81 元学校歯科医京都
園部敏英 72 元公立中校長宇治
高橋雄三 81 元学校歯科医京都
田中雅道 72 元光明幼稚園長京都
長尾茂 76 保護司京都
東千世子 75 元公立幼稚園長京都
村上正治 71 元公立中校長京都
山内幸雄 78 元「ヴィラ端山」施設長京都
吉田五十春 77 元府保健環境研究所次長長岡京
▽旭日単光章
小川美知 75 ワックジャパン社長京都
片山一雄 72 片山文三郎商店社長京都
山本賀則 75 元寺内製作所社長京都
吉里年和 87 元府遺族会副会長京都
▽瑞宝単光章
井上佳三 76 京鹿の子絞製造業従事者京都
大西厚二 75 元京都市伏見消防団長京都
片山智文 64 元南丹市消防団副団長南丹
小林健二 65 元近鉄大阪統括部施設部工務課西大寺保線区長木津川
三田清治 80 西陣織製造業従事者京都
嶋田晃次 64 元長岡京市消防団長長岡京
竹島耕三 78 元京都市東山消防団副団長京都
徳舛秀治 64 甍技塾徳舛瓦店代表取締役京都
中村英美 64 元たんぽぽ保育園主任保育士京丹後
中村正和 75 元京都市下京消防団副団長京都
南條隆 74 京友禅製造業従事者京都
西山有紀子 61 元京都大医学部付属病院検査部臨床検査技師長京都
深江憲秀 64 日商建材取締役工事部長京都
前田昌美 64 元「長生園」介護次長兼生活相談員亀岡
桝村昌弘 64 元宇治田原町消防団長宇治田原
松野友美 61 元京都大医学部付属病院看護部副看護部長京都
若松勝彦 66 元防衛技官京都
春の叙勲受章者――長崎[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1041文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
白川博一 75 元壱岐市長壱岐
▽瑞宝小綬章
畔林一喜 78 元県警本部刑事部長長崎
金子正司 77 元公立高校長佐々
長尾哲男 76 元日本作業療法士協会副会長時津
福本恵介 70 元長崎市消防正監時津
宮原照彦 73 元公立高校長島原
▽旭日双光章
相川和義 73 元時津町議時津
西田実伸 71 元長崎市議長崎
▽瑞宝双光章
尼崎靖久 86 元吉井町助役佐世保
石丸邦子 78 保護司諫早
大津正行 76 元公立盲学校長大村
岡信子 74 元公立小校長平戸
押淵徹 78 元平戸市民病院長松浦
垣内司郎 75 元公立中校長長崎
木村優仁 73 行政相談委員南島原
小渕美樹子 60 元長崎大病院看護部長長崎
高尾潤 75 元県理事兼県北振興局長長崎
竹下菊雄 86 学校医諫早
土肥猛 74 元海難審判所書記課長長崎
永田悦弘 70 元新上五島町消防団副団長新上五島
中野篤司 70 元佐世保市消防団長佐世保
福田徹 60 元長崎大病院医療技術部診療放射線技師長長崎
松尾幸紀 72 元近畿運輸局海上安全環境部首席外国船舶監督官長崎
牟田恒昭 76 保護司五島
本村陽二 85 元西有家町助役南島原
柳堂慎徹 90 元向陵保育園長島原
▽旭日単光章
太田和憲 76 元佐世保中央信用組合理事長佐世保
北村征彦 83 県水泳連盟副会長長崎
郡勝寿 83 元西海町土地改良区理事長西海
志岐好春 76 南島原土地改良区理事長南島原
谷美絵 73 県手をつなぐ育成会副会長長崎
西尾弘毅 82 元佐々町選管委員長佐々
開徹也 81 県料飲業生活衛生同業組合副理事長大村
森義春 75 雲仙市小浜町小地獄自治会長雲仙
吉田寛 75 元壱岐市商工会長壱岐
▽瑞宝単光章
石田直人 72 元西海市消防団分団長西海
梅谷三郎 74 元平戸市消防団分団長平戸
小川忠弘 87 元福江市消防団分団長五島
新立和美 84 沖ノ六ツ瀬灯浮標灯火監視協力者佐世保
田中政已 78 元佐世保市消防団分団長佐世保
辻博文 70 元長崎市消防団副団長長崎
鉄川恵一 72 元長崎市消防団長長崎
戸村若広 76 元新上五島町消防団副団長新上五島
中村芳明 77 鹿町海老曽根灯浮標灯火監視協力者佐世保
萩原隆 67 元佐世保市消防団副団長佐世保
橋本忠成 65 元五島市消防団副団長五島
浜口文雄 79 針尾瀬戸弁天島灯台灯火監視協力者西海
宮川喜善 86 元福江市消防団分団長五島
村上三国 70 元壱岐市消防団副団長壱岐
山内啓 65 元壱岐市消防団副団長壱岐
山下一正 71 元長崎市消防団副団長長崎
春の叙勲受章者――大分[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1026文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
長尾博通 70 元県歯科医師会長玖珠
▽瑞宝小綬章
江田雅紹 71 元公立高校長大分
園田幸吉 77 元公立高校長大分
高木啓次 70 元公立高校長大分
高橋泰夫 78 元大分少年鑑別所長大分
中村太 72 元陸自幹部候補生学校教育部長大分
浜岡祐一 71 元海保海洋情報部測量船昭洋船長別府
藤田太 72 元陸自西部方面指揮所訓練支援隊長大分
▽旭日双光章
新井一徳 70 元由布市議由布
大友一夫 78 元県商工会連合会副会長中津
清末健一 72 元県酪農業協同組合代表理事組合長国東
小谷栄作 70 元津久見市議津久見
斎藤文博 70 元宇佐市議宇佐
田中晶美 76 全国喫茶飲食生活衛生同業組合連合会副会長大分
林寛 74 元宇佐市議宇佐
平野文活 76 元別府市議別府
幸勝美 70 県建築士会長別府
▽瑞宝双光章
畔津義彦 70 元県土木建築部長大分
岩本正士 70 元県議会事務局長中津
大野伝一郎 78 元別府医療センター臨床検査技師長別府
岡本美枝子 71 元公立支援学校長大分
小野孝義 76 元臼杵市消防団長臼杵
甲斐文江 68 「偕生園」介護職員豊後大野
香川春紀 71 元杵築市消防団長杵築
繁田博之 68 元玖珠町消防団長玖珠
二宮孝則 76 元由布市消防団長由布
久恒正典 72 保護司別府
牧弘志 71 元公立中校長大分
森竹嗣夫 70 元県企画振興部観光・地域局長大分
▽旭日単光章
小野悟 79 大分市新貝自治会長大分
下川芳夫 78 元佐伯市野岡区自治会長佐伯
原孝彰 77 元玖珠町商工会長玖珠
三浦隆 75 元県鍼灸マッサージ師会長大分
▽瑞宝単光章
池田昭文 75 元豊後高田市消防団分団長豊後高田
石田和宏 66 元防衛技官由布
岩尾一裕 78 元別府市消防団分団長別府
衛藤一郎 69 元三重町消防団分団長豊後大野
草地真由美 63 元大分大医学部付属病院看護部副看護部長大分
佐藤真寿美 67 元「介護保険サービスセンター玖珠園」介護支援専門員玖珠
嶋田隆徳 72 元大分市消防団分団長大分
清水和枝 74 元「ヘルパーステーション竹田」介護職員竹田
高倉敬子 76 元各種統計調査員日田
高倉稔 72 元日田市消防団副団長日田
竹中純一 66 元臼杵市消防団分団長臼杵
浜田康博 62 藤工務店工事部長大分
日野一生 77 元九州電力大分支店中津営業所設備建設グループ副長中津
堀下正夫 75 元別府市消防団分団長別府
丸井悟 70 丸井植樹園代表大分
室井敬二 73 元中津市消防団副団長中津
春の叙勲受章者――佐賀[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1005文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
喜多島俊一 75 県商店街振興組合連合会理事長唐津
▽瑞宝小綬章
鵜池常範 74 元県農林水産商工本部生産振興部長佐賀
織田良範 75 元公立高校長嬉野
梶原直樹 70 元唐津区検副検事唐津
古川伊佐夫 72 元公立高校長伊万里
丸山徹 77 元佐賀警察署長佐賀
▽旭日双光章
飯守康洋 71 元多久市議多久
織田繁実 76 県山林種苗緑化協同組合理事長嬉野
岸川英樹 70 元小城市議小城
小嶋秀夫 76 元伊万里・有田地区医師会長有田
富吉賢太郎 75 元県労委委員佐賀
藤瀬正男 77 大町町商工会長大町
松隈邦博 70 元日本造園組合連合会副理事長鳥栖
村山優 74 元県造園建設業協会長唐津
▽瑞宝双光章
池田豊 75 元「虹の松原学園」専門児童自立支援専門員唐津
井上定保 85 元「慈光園」園長唐津
岩本茂満 74 保護司唐津
浦郷宜代 56 「杏花苑」グループリーダー介護職員佐賀
江頭文則 65 元神埼市消防団長神埼
尾崎喜秋 69 元鹿島市消防団長鹿島
香月るり子 70 麓刑務所篤志面接委員鳥栖
川崎啓義 78 元白石町副町長白石
木下豊 70 元唐津市呼子消防団長唐津
小佐々良徹 76 元「済昭園」施設長嬉野
白川武人 90 元鹿島市文化財保護審議会長神埼
手塚邦明 65 元上峰町消防団長上峰
中島信 72 保護司佐賀
新岡治生 78 元公立小校長唐津
野中修身 75 県バレーボール協会副会長多久
原田清人 76 元日本郵政公社職員唐津
弘川忠司 84 元佐賀公共職業安定所長伊万里
福島徳正 85 元公立中校長白石
藤満幸子 62 元佐賀大医学部付属病院看護部長佐賀
山野みどり 76 元兵庫労働局雇用均等室長基山
▽旭日単光章
堤武彦 73 唐津農協代表理事組合長唐津
野口守次 88 元神埼市東山地区長神埼
広田国重 87 県遺族会副会長唐津
山口仁司 73 農業武雄
▽瑞宝単光章
安部明美 65 元立野川内保育園長武雄
池之迫紀代子 70 巨勢保育園主任保育士佐賀
市丸弘子 62 元大島保育園長唐津
伊藤三儀 74 元唐津市鎮西消防団副団長唐津
岩屋悟 66 元防衛技官みやき
大石隆敬 82 元三間坂幼稚園長武雄
川添博信 83 元県営林巡視員唐津
古賀明 72 元佐賀市大和町消防団長佐賀
筑紫広志 76 元鳥栖市消防団長鳥栖
永尾忠博 72 元「すみよしの里」施設長武雄
山口弘乃 64 元「たちばな」施設長佐賀
吉冨美紀 57 元「からつ学園」支援主任唐津
春の叙勲受章者――群馬[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 984文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
木村芳之 70 元県獣医師会長高崎
茂原荘一 77 元甘楽町長甘楽
▽瑞宝小綬章
清水謙一 70 元前橋市消防正監前橋
関勤 73 元県企業管理者前橋
中沢勇一 70 元前橋市消防正監前橋
▽旭日双光章
飯塚邦広 80 元高崎市議高崎
岡田武二 79 元下仁田町議下仁田
小川卓 74 元前橋市歯科医師会長前橋
金井則夫 75 元県間税会連合会副会長沼田
金子正一 82 元邑楽町長邑楽
木村康夫 77 元太田市議太田
栗原信幸 73 元県建築士事務所協会長高崎
佐藤幸雄 76 元桐生市議桐生
田中信宏 77 県水泳連盟会長みなかみ
堤盛吉 74 元昭和村長昭和
中屋光雄 72 元前橋市医師会長前橋
早川健一 73 県聴覚障害者連盟理事長館林
宮地由高 77 桐生商工会議所副会頭桐生
山崎雄平 77 元渋川市議渋川
▽瑞宝双光章
岩井房夫 75 保護司藤岡
遠藤一誠 74 元県環境森林部長高崎
岡田文雄 77 元公立小校長桐生
金田浩光 72 元公立中校長高崎
後閑隆之 62 元みさと診療所診療放射線技師伊勢崎
鈴木武雄 80 元学校医前橋
高沢準次 76 人権擁護委員桐生
滝沢孝樹 77 元公立小校長伊勢崎
中村芳美 76 学校薬剤師高崎
根岸章 79 元公立小校長前橋
原沢正美 61 元栃木医療センター看護部長高崎
古舘均司 73 行政相談委員甘楽
松沢義文 78 元公立小校長千代田
水嶋浩平 79 元公立中校長安中
宮内実 70 元川場村副村長川場
森平文男 78 元幼保連携型認定こども園ねむの木こどもの森園長高崎
和田幸司 74 保護司桐生
▽旭日単光章
小内敬一 74 農業みどり
桜井宏機 78 草津町泉水区長草津
須田育男 74 元県浄化槽協会長伊勢崎
茂木和男 78 元高崎市吉井商工会長高崎
▽瑞宝単光章
大橋香織 65 元県立心臓血管センター看護部長桐生
上村正光 66 元防衛技官榛東
剣持典夫 65 元法務教官藤岡
小林浩二 65 元高崎市消防団副団長高崎
田村幸子 65 元公立藤岡総合病院看護部長藤岡
富沢敬 69 元桐生市消防団分団長桐生
仲沢義全 73 元上野村消防団分団長上野
平形次男 77 共同技建会長渋川
松本幹男 74 元JR東日本高崎車両センター高崎支所長前橋
茂木ことじ 70 幼保連携型認定こども園茂呂こども園副園長伊勢崎
山口忠一朗 64 元大胡町消防団長前橋
吉田功 70 元安中市消防団分団長安中
春の叙勲受章者――愛媛[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 961文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
佐伯正夫 81 元東温市議東温
佐々木龍 70 元新居浜市長新居浜
▽瑞宝小綬章
上野恵 72 元陸自中部方面混成団長松山
大原義英 72 元海自第24航空隊司令松山
川上千代 70 元公立高校長松山
黒瀬満明 71 元県会計管理者松山
中村悟 78 元県警本部生活安全部長松山
野上完治 71 元公立高校長東温
平岡三千雄 70 元公立高校長大洲
藤本信隆 72 元今治簡裁判事松山
宮岡博 71 元公立高校長伊予
弓崎秀二 70 元県えひめ国体推進局長松山
▽旭日双光章
小野正昭 79 元西予市議西予
久保栄 75 元伊予市議伊予
佐川秀紀 75 元砥部町長砥部
清水雅文 74 元愛南町長愛南
中野憲行 76 元県医師会副会長八幡浜
宮内芳郎 70 元県薬剤師会長松山
▽瑞宝双光章
浅井謙次 74 学校歯科医松山
上路茂 75 元四国地方整備局四国技術事務所長西条
加藤孝高 81 元民生・児童委員今治
門田和明 73 保護司松山
城戸日出男 75 元四国地方整備局総務部契約管理官大洲
久世和孝 72 学校薬剤師八幡浜
久米幸一 75 元四国中央市消防団長四国中央
清水利久 87 元警察庁技官松山
福本純一 71 元公立小校長松山
藤山伸夫 82 元学校歯科医新居浜
堀内秀樹 71 元公立中校長松山
山之内恵一 74 元兵庫教育大総務部長久万高原
▽旭日単光章
岩田真教 73 愛研化工機会長松山
豊田正俊 89 元愛南町選管委員長愛南
▽瑞宝単光章
岡本文枝 58 香川労災病院看護部長新居浜
加地英雄 76 元四国中央市消防団副団長四国中央
亀岡誠 65 元伊予市消防団長伊予
河内一男 78 元松山市消防団分団長松山
菊池勝 86 元警察庁技官松山
木下敏明 76 元松山市消防団分団長松山
高橋忠親 76 元西条市消防団分団長西条
中須賀啓次 72 元四国電力宇和島支店電力部大洲送電センター副長松山
永田秀明 65 元内子町消防団副団長内子
成田貴宏 65 元宇和島市消防団副団長宇和島
福田寿賀乃 73 元「在宅介護支援センターきぼうの苑」ソーシャルワーカー新居浜
政岡一弥 65 元砥部町消防団副団長砥部
松本敏子 74 元今治第一病院看護部長今治
矢野吉男 76 元新居浜市消防団分団長新居浜
好光吉晴 68 ニコー工事部塗装課統括部長松山
渡部和久 65 元大洲市消防団副団長大洲
春の叙勲受章者――石川[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 880文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
瀬戸順一 71 日本税理士会連合会副会長金沢
山岸一男 71 漆芸作家輪島
▽瑞宝小綬章
大野耕司 70 元金沢市消防正監金沢
橋本政人 71 元県参事金沢
水橋恵子 72 元県監査委員事務局長金沢
▽旭日双光章
荒川一義 71 元七尾市議七尾
上野良夫 76 元珠洲市議珠洲
大西治夫 73 元県セーリング連盟会長白山
金田之治 80 元宝達志水町議宝達志水
北敏一 76 全国旅行業協会副会長川北
久木拓栄 74 元志賀町議志賀
黒沢和規 74 元金沢市議金沢
忠田秀敏 71 元金沢信用金庫理事長金沢
羽柴厚 74 元金沢市医師会長金沢
山先守夫 78 元川北町議川北
▽瑞宝双光章
池広厳雄 71 元公立小校長金沢
石黒和彦 71 元公立中校長小松
桂吉一 75 元宝達志水町消防団長宝達志水
北山吉郎 72 元公立小校長羽咋
田畑秀良 87 元武生郵便局長白山
中田啓治 70 元白山市南消防団長白山
平一彦 73 学校歯科医金沢
前川悦雄 86 元警察庁技官金沢
松村一美 70 元県参事小松
宮河哲夫 78 元金沢医療センター薬剤科長加賀
村沢勉 72 元公立高校長金沢
村田南美 66 元「石川療育センター」地域支援課長金沢
森田直子 73 元「能登穴水聖頌園」介護課長穴水
山口隆治 77 加賀市文化財保護審議会長加賀
山崎玲子 79 幼保連携型認定こども園小木こども園長能登
山本敏明 79 保護司小松
▽旭日単光章
小野島政孝 70 元川北町商工会長川北
西村信彦 70 金沢市交信会町会長金沢
能任信介 72 元能任七社長かほく
前川幸子 80 元県美容業生活衛生同業組合理事長金沢
▽瑞宝単光章
荒井早苗 65 幼保連携型認定こども園月津こども園長小松
酒尾良一 74 元金沢市第一消防団分団長金沢
酒村清昭 65 元法務教官金沢
島村俊子 70 調停委員金沢
中出裕美 63 元金沢大付属病院看護部看護師長金沢
松崎政彦 70 元小松市消防団分団長小松
宮下彰雄 71 元能登町消防団副団長能登
山下順子 64 元能美市立病院看護部長能美
山本篤 68 九谷焼製造業従事者小松
横井吉則 69 金沢仏壇製造業従事者金沢
春の叙勲受章者――富山[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 867文字 PDF有 書誌情報]
▽瑞宝小綬章
天坂幸治 70 元県会計管理者富山
坂井孝行 72 元富山税務署長高岡
高木哲弘 78 元県警本部刑事部長滑川
立野幸雄 74 元公立高校長富山
平岩善雄 70 元富山赤十字病院長富山
▽旭日双光章
河崎雅都美(河崎雅子)
79県邦楽協会長高岡
高橋賢治 77 元射水市議射水
飛世悦雄 75 元魚津市議魚津
吉山泉 70 元富山市医師会長富山
渡辺徹 70 全日本司厨士協会北陸地方富山県本部会長富山
▽瑞宝双光章
五十嵐信夫 70 元県生活環境文化部長富山
上田安伸 81 元日本郵政公社職員富山
窪照子 66 元「アルテン赤丸」主任介護職員射水
小島伸也 70 わかばにこにこ園長富山
高木要志男 70 元公立小校長富山
寺田健一 71 保護司魚津
長井忍 70 元公立小校長射水
中野登 73 県体操協会副会長高岡
西田良正 77 元公立中校長上市
浜田政利 74 元黒部市消防団長黒部
保科勝文 82 元富山公共職業安定所長富山
▽旭日単光章
冨川茂樹 78 元魚津市室田区長魚津
松村浩史 70 松村精型代表取締役高岡
村田稔 70 元県ろうあ福祉協会副会長射水
▽瑞宝単光章
上里昭 81 元魚津市消防団分団長魚津
稲村睦子 66 元県立中央病院副院長・看護部長富山
加藤法明 70 元富山市消防団副団長富山
酒井智恵子 89 元郵政事務官滑川
坂田隆司 82 元総務事務官高岡
沢辺明雄 78 元射水市消防団分団長射水
瀬戸幸光 66 元石川県職員氷見
塚越英秋 74 元射水市消防団分団長射水
辻堂紀一 78 元富山市消防団分団長富山
中村敏 69 元富山市消防団副団長富山
西村一郎 76 元南砺市消防団副団長南砺
野原 孝之(野原秋広)
73井波彫刻製造業従事者南砺
藤村良昭 76 元小矢部市消防団分団長小矢部
古栃久成 76 元北陸電力魚津支社電力部送電課副課長高岡
堀誠 62 元「新川ヴィーラデイサービスセンター」管理者兼生活相談員係長黒部
前田健次 67 元高岡市消防団副団長高岡
山辺慎治 76 元高岡市消防団分団長高岡
山元繁幸 71 元立山町消防団副団長立山
春の叙勲受章者――山形[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 826文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
安部三十郎 71 元米沢市長米沢
安房毅 78 元県中小企業団体中央会長高畠
斎藤武弘 77 元山形市議山形
佐貝全健 74 元県議南陽
鈴木正法 73 元県議河北
中沢洋 78 元鶴岡市議鶴岡
中目千之 77 元県医師会長鶴岡
新田嘉一 91 元酒田商工会議所会頭酒田
山崎諭 76 元天童市議天童
▽瑞宝小綬章
阿部伸一 72 元公立盲学校長山形
石垣立郎 72 元公立高校長東根
小野隆之 72 元仙台地裁民事首席書記官天童
加藤康志郎 78 鶴岡工業高専名誉教授鶴岡
九里広志 78 九里学園高校長米沢
斎藤和久 72 元公立高校長鶴岡
佐藤正夫 78 元県警本部警備部長山形
新沢陽英 78 元日本海病院長山形
松田洋一 73 元県人事委員会事務局長山形
▽旭日双光章
阿部政喜 73 県自動車整備振興会副会長東根
五十嵐直太郎 74 元県農業会議会長酒田
伊藤脩 78 元米沢市歯科医師会長米沢
▽瑞宝双光章
加藤芳秀 73 元公立中校長長井
斎藤忠男 76 元置賜総合支庁長山形
斎藤靖雄 87 元石巻郵便局長山形
佐竹恵子 72 「山形市社会福祉協議会」訪問介護員山形
中村俊一 73 保護司鶴岡
長谷川昌宏 68 元「総合コロニー希望が丘あさひ寮」寮長長井
坂東清一 74 保護司鶴岡
布施美子 70 元東北中央病院看護部長山形
本間信行 71 元尾花沢市消防団長尾花沢
本間立 71 元公立小校長鶴岡
鑓水謹二 81 元山形公共職業安定所長山形
▽旭日単光章
柿崎喜一 70 元金山町農業委員会長金山
星川昭男 79 元金山町選管委員長金山
▽瑞宝単光章
伊藤勝一 70 元最上町消防団分団長最上
遠藤勇 65 元鶴岡市消防団副団長鶴岡
兼子やす子 74 元工業統計調査員酒田
後藤義光 66 元酒田市消防団副団長酒田
佐々香代子 67 元米沢市立病院看護部次長米沢
庄司仁 68 元酒田市消防団副団長酒田
菅原尚也 69 元庄内町消防団長庄内
鈴木直喜 65 元大江町消防団長大江
山本哲之 64 元法務教官天童
春の叙勲受章者――福井[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 817文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
稲山幹夫 74 大野商工会議所会頭大野
清水嗣能 70 全日本ホテル連盟会長福井
山口治太郎 82 元美浜町長美浜
▽瑞宝小綬章
伊藤達彦 73 元県立すこやかシルバー病院長福井
新谷邦弘 78 福井工業高専名誉教授越前
高村一男 70 元金沢地方法務局長福井
中野多郎右エ門 78 元県警本部刑事部長福井
山腰賢二 71 元津地検事務局長福井
▽旭日双光章
川端義秀 78 元大野市議大野
辰巳嘉一 72 元県医薬品配置協議会長鯖江
西村高治 82 元福井市議福井
藤田善平 76 元小浜市議小浜
山本達雄 78 元県建設業協会副会長越前
▽瑞宝双光章
石田和幸 72 元公立小校長福井
小田英明 83 元県商工労働部参与福井
片野正人 70 元公立高校長越前
加藤憲一 78 学校歯科医福井
加藤幸久 64 元福井赤十字病院検査部技師長大野
田中住江 70 調停委員福井
寺阪真 79 元公立小校長越前
福田洋一郎 74 保護司大野
水島三雄 77 元福井市消防団長福井
薬袋俊次 80 学校医大野
米木貫 67 元「足羽利生苑」課長兼生活相談員福井
▽旭日単光章
伊藤久美男 73 堀兼土地改良区理事長大野
川畑茂 76 県ソフトテニス連盟会長福井
木水継一郎 76 県喫茶飲食業生活衛生同業組合副理事長鯖江
野端一已 83 元高間川土地改良区理事長あわら
▽瑞宝単光章
打它正人 67 元敦賀美方消防組合敦賀消防団長敦賀
北山弘美 62 元福井大医学部付属病院看護部看護師長福井
久保福治 60 元鯖江・丹生消防組合越前消防団長越前
中西真由美 65 元市立敦賀病院看護部次長美浜
浜田淳次 65 元関西電力大飯発電所タービン保修課タービン係長高浜
水野忠範 67 元勝山市消防団分団長勝山
水野房代 75 元高瀬保育園長越前
村井祐嗣 70 福井デリカ専務取締役福井
山崎英己 70 元南越消防組合越前市消防団副団長越前
山田克則 71 元福井市消防団分団長福井
山本正男 75 民生・児童委員福井
春の叙勲受章者――和歌山[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 769文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
清水義隆 74 元県社会保険労務士会長湯浅
松原敏美 70 元日弁連理事和歌山
森下正紀 74 保護司和歌山
▽瑞宝小綬章
立野淑郎 77 元公立高校長御坊
丹後正己 71 元第11管区海上保安本部次長田辺
冨上健次郎 79 和歌山工業高専名誉教授湯浅
畑崎周定 77 元公立高校長みなべ
林正義 70 元和歌山市消防正監和歌山
▽旭日双光章
尾崎達哉 72 県行政書士会副会長日高川
小松英夫 74 元湯浅町議湯浅
高誠 70 県歯科医師会常務理事和歌山
味村正弘 73 県調理師会長和歌山
▽瑞宝双光章
赤松進 76 元公立中校長有田
稲田賢 75 元串本町消防団長串本
河原洪三 85 元大阪府村野浄水場長橋本
古居富茂 75 元公立中校長みなべ
津田成章 74 元公立小校長和歌山
七滝恵子 74 行政相談委員白浜
東本義雄 70 元近畿地方整備局用地部用地調整官和歌山
堀切卓 71 学校歯科医橋本
松本兼一 75 元県県土整備部技監かつらぎ
宮本三郎 76 元白浜町消防団長白浜
▽旭日単光章
恩賀要 74 紀の川市商工会長紀の川
中村静男 74 県職業能力開発協会理事田辺
畠中真澄 73 広川町南之町区長広川
増田和則 72 マスメン代表取締役和歌山
森川要 75 元アイエムティー代表取締役印南
▽瑞宝単光章
池田宏 77 元古座川町消防団副団長古座川
井畑透 76 民生・児童委員和歌山
尾崎史直 74 元橋本市消防団分団長橋本
神谷幹夫 76 元紀美野町消防団分団長紀美野
重田義明 69 元大阪府職員和歌山
庄司正幸 72 元紀の川市消防団長紀の川
竹井広幸 77 元湯浅町消防団副団長湯浅
堂ノ浦進 76 元九度山町消防団副団長九度山
橋爪孝 64 元近鉄大阪統括部工機部検車課古市検車区長海南
山崎武信 76 元海南市消防団副団長海南
山添伸 66 元かつらぎ町消防団副団長かつらぎ
春の叙勲受章者――沖縄[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 735文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
大湾清之 78 琉球古典音楽演奏家那覇
金城棟啓 70 元琉球銀行頭取那覇
仲田弘毅 77 元県議うるま
与世田兼稔 74 元日弁連理事那覇
▽瑞宝小綬章
伊江朝睦 81 元県サッカー協会長浦添
大浜高伸 78 元県企画部八重山支庁長那覇
工藤金寛 70 元那覇税務署長浦添
玉城則雄 70 元那覇市消防正監糸満
多良間吉高 72 元沖縄防衛局管理部次長那覇
松原敏夫 70 元那覇地検検事南城
宮城敏夫 83 元浦添総合病院長浦添
宮里朝光 79 元公立高校長うるま
▽旭日双光章
池間雅昭 75 元宮古島市議宮古島
上里康雄 72 県トラック協会理事南城
幸地政和 75 元うるま市議うるま
新城寛三 86 八重山古典民謡三線演奏家那覇
長浜正 70 元南部地区歯科医師会長那覇
与那嶺清子 80 元県母子寡婦福祉連合会長うるま
▽瑞宝双光章
勝目和夫 73 元県観光商工部長那覇
兼城克夫 78 元県企画部宮古支庁長宜野湾
儀間裕芳 71 元公立小校長宮古島
金城弘一 82 元公立中校長南城
金城安政 72 元鹿児島行政評価事務所長糸満
幸地賢治 74 元学校医宜野湾
小橋川春武 82 元公立小校長国頭
下地達男 75 保護司宮古島
玉城英人 70 学校歯科医糸満
知念茂 75 元日本郵政公社職員那覇
手登根稔 64 元浦添総合病院臨床検査部長浦添
平川善徳 87 元那覇労基署長宜野湾
牧志好雄 82 元公立中校長那覇
山城賢栄 86 元警察庁技官宜野湾
▽旭日単光章
宮城洋幸 74 元中城村屋宜自治会長中城
▽瑞宝単光章
市川俊哉 65 元国土交通技官南城
新里善秀 66 元防衛技官豊見城
照屋末子 65 元国土交通事務官那覇
仲里護 66 元防衛技官糸満
比嘉早苗 70 元調停委員名護
山城正己 65 元国土交通技官糸満
春の叙勲受章者――徳島[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 694文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
出口治男 83 元阿波市議阿波
▽瑞宝小綬章
大竹将夫 75 元県企業局長鳴門
斎藤晴比古 76 元徳島逓信病院長徳島
福家清司 74 元県教育委員会教育長徳島
前田昭博 70 元高松高裁民事首席書記官勝浦
森浩一 73 元県農林水産部長鳴門
▽旭日双光章
秋山佳弘 70 県歯科技工士会長阿波
島田啓二 70 徳島市歯科医師会副会長徳島
田島淳次 73 県法人会連合会副会長吉野川
中岸雅夫 70 元県エルピーガス協会長鳴門
冨浦良治 71 元県議徳島
丸若祐二 71 元県議阿波
▽瑞宝双光章
片山和義 73 元「加茂愛育園」施設長東みよし
国重雅嗣 71 元徳島労基署長徳島
小角正二 71 保護司美馬
小谷卓宏 65 元鳴門病院診療放射線技師徳島
近藤良樹 80 学校歯科医吉野川
佐藤文子 74 元公立中校長徳島
新久保真度 78 元公立中校長三好
杉本孝司 80 人権擁護委員三好
福本吉宏 77 元公立小校長美波
三木真澄 61 元吉野川医療センター看護部長吉野川
▽旭日単光章
岸野保幸 86 元阿南市選管委員長徳島
後藤祥二 76 うずしお食品会長鳴門
坂東二三男 74 元川内土地改良区理事長徳島
▽瑞宝単光章
内山和行 63 元牟岐町消防団分団長牟岐
亀井正勝 75 ゆうあいホスピタル診療放射線技師石井
川端恵子 70 元公立幼稚園長鳴門
沢口巧 67 元鳴門市消防団副団長鳴門
数胴清治 67 元板野町消防団副団長板野
内藤敦史 65 元徳島市消防団分団長徳島
福田是宏 66 元鳴門市消防団副団長鳴門
堀雅彦 65 元徳島市消防団分団長徳島
南堅応 78 元民生・児童委員阿波
森順一 55 四電工香川支店設備工事部副部長徳島
春の叙勲受章者――滋賀[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 690文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
石谷八郎 77 県森林組合連合会代表理事会長長浜
石野富志三郎 73 元全日本ろうあ連盟理事長大津
後藤充啓 76 元日本鍛造協会長大津
村西浩 78 元県司法書士会長愛荘
▽瑞宝小綬章
杉沢慎一 71 元神戸地検事務局長草津
寺田利雄 73 元公立高校長草津
宮前英之 70 元湖北地域消防組合消防正監長浜
横井三男 70 元高松法務局民事行政部長大津
▽旭日双光章
井元敏雄 72 元滋賀ビルメンテナンス協会長大津
浦部善弘 82 元豊郷町公平委員長豊郷
尾松素樹 71 元日本歯科医師会常務理事大津
西村和典 75 元日本臨床工学技士会副会長大津
文村俊治 70 元県歯科医師会彦根地域歯科医師会長彦根
▽瑞宝双光章
今井俊博 70 元大津市消防団長大津
大橋克己 76 元大阪法務局民事行政部首席登記官米原
北村久雄 76 元彦根市消防団長彦根
田中一文 78 元公立中校長東近江
野沢剛 71 元公立小校長長浜
橋本悟 70 元公立小校長甲良
林邦彦 70 学校薬剤師彦根
平井寿一 73 元守山市消防団長守山
藤田幸夫 68 元守山市民病院臨床検査科技師長東近江
富士原要一 75 「美松苑」施設長彦根
松並睦美 62 元済生会滋賀県病院副院長兼看護部長野洲
美濃部博 70 元県土木交通部長大津
▽旭日単光章
片山 英伸(片山保)
75元京都科学社長大津
▽瑞宝単光章
鞍留哲也 65 元京阪電鉄電気部電気課大阪信通係長大津
小西芳樹 70 元国立印刷局職員甲良
坂田庄司 71 元湖南市消防団長湖南
堀井長幸 77 自衛隊医療協力者高島
吉岡新次 70 元東近江市消防団長東近江
渡辺美子 71 元各種統計調査員湖南
春の叙勲受章者――鳥取[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 670文字 PDF有 書誌情報]
▽瑞宝小綬章
青木正篤 71 元東北森林管理局次長智頭
滝山親則 73 元県東部総合事務所長鳥取
竹内賢治 70 元鳥取区検副検事鳥取
田中清治 70 元公立高校長倉吉
藤田忠義 81 米子工業高専名誉教授米子
安川敦子 87 元公立養護学校長境港
▽旭日双光章
有松数紀 70 元鳥取市議鳥取
岩本章嗣 84 元県スケート連盟会長鳥取
川上富夫 72 元江府町議江府
野坂美仁 70 元県西部医師会長米子
林憲二 72 東中国卸酒販組合理事長鳥取
深田栄 70 県小売酒販組合連合会長米子
松本熙 79 元境港市議境港
宮城定幸 70 元県労委委員鳥取
山口隆之 71 元大山町長大山
▽瑞宝双光章
安藤敦仁 72 元公立中校長八頭
石川和枝 61 元浜田医療センター看護部長鳥取
石田正紀 71 元公立中校長倉吉
伊野木秀子 65 元養和病院臨床検査技師米子
山根武史 66 元鳥取大医学部付属病院放射線部診療放射線技師長米子
▽旭日単光章
北邑義一 70 元鳥取市東商工会長鳥取
沢田明則 82 元琴浦町桜ケ丘区長琴浦
高橋誠一 75 米子市清和自治会長米子
▽瑞宝単光章
稲田麻里子 62 福生保育園長米子
沖好子 65 元鳥取医療センター看護部長鳥取
杉本泰則 70 元米子市消防団分団長米子
清涼亜紀子 62 みのり保育園長倉吉
谷本弓美子 65 「ヴェルヴェチア」サービス管理責任者係長倉吉
橋本要一 73 元岩美町消防団副団長岩美
福田和博 71 元倉吉市消防団副団長倉吉
細田秀樹 65 「もみの木作業所」臨時支援員南部
三谷徹 70 元家畜改良センター職員琴浦
矢倉英雄 85 元警察庁技官米子
春の叙勲受章者――宮崎[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 656文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
田島逸男 74 元県歯科医師会長日南
林田洋二 75 元宮崎太陽銀行頭取宮崎
▽瑞宝小綬章
中島悟 70 元公立高校長宮崎
浜砂英一 76 元九州厚生局健康福祉部長宮崎
前田哲司 70 元公立高校長宮崎
渡辺亮一 73 元県病院局長宮崎
▽旭日双光章
赤木欣康 72 元日向市長日向
新井敏文 70 元延岡市議延岡
黒木茂夫 74 県社会福祉協議会副会長宮崎
杉元豊人 75 元小林市議小林
中村利春 75 元串間市議串間
山村善教 75 元宮崎市郡医師会副会長宮崎
▽瑞宝双光章
今門幸蔵 74 元公立小校長宮崎
江谷信一 71 元公立中校長西都
甲斐文雄 66 元美郷町消防団長美郷
河野吉孝 75 元都農町副町長都農
黒木耕作 74 保護司日向
黒木新一 77 元日南市消防団長日南
小池祐一 86 元学校医延岡
田上信夫 73 元気象衛星センター情報伝送部伝送第一課長宮崎
戸高孝明 73 保護司宮崎
西山久介 80 民生・児童委員宮崎
福尾正彦 70 元宮内庁書陵部陵墓課陵墓調査官宮崎
三田明 87 元公立小校長日向
宮本尊 76 元県福祉保健部長宮崎
▽旭日単光章
甲斐千尋 71 元ミツワハガネ社長延岡
後藤和博 74 元高千穂町商工会長高千穂
山中誠 71 農林業椎葉
▽瑞宝単光章
甲斐孝徳 72 元北方町消防団分団長延岡
児玉延幸 72 元延岡市消防団分団長延岡
佐藤高明 64 元高千穂町消防団長高千穂
中窪民子 78 民生・児童委員宮崎
藤岡次夫 82 元警察庁技官国富
村山洋志 69 元曽於市消防団副団長都城
早稲田睦子 73 元各種統計調査員宮崎
春の叙勲受章者――高知[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 554文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
浜憲司 74 元須崎市議須崎
▽瑞宝小綬章
木下吉成 71 元公立高校長越知
田中譲 75 元県病院局長高知
東好男 71 元県水産振興部長高知
平田健一 74 元公立高校長南国
▽旭日双光章
大岸真弓 73 元香美市議香美
川村雅士 79 元土佐町議土佐
戸梶真幸 71 元日高村長日高
浜口太作 77 元室戸市議室戸
山本裕久 73 元YAMAKIN会長高知
吉村保利 74 元県電気工事業工業組合理事長高知
▽瑞宝双光章
大石美佐子 76 元公立小校長南国
笹方一正 73 保護司高知
清水雅明 76 元県放射線技師会常務理事高知
高橋晶子 77 民生・児童委員須崎
竹身良文 73 元北陸先端科学技術大学院大総務部長南国
中野金夫 80 行政相談委員室戸
福島善彦 78 学校歯科医土佐
宮英司 75 元公立中校長高知
村井康利 71 元日本郵政公社職員香南
▽瑞宝単光章
井上章夫 66 元中芸広域連合安田町消防団副団長安田
黒川裕史 64 元高幡消防組合津野消防団分団長津野
杉村寛 68 元南国市消防団副団長南国
友村承蔵 81 元高知市消防団長高知
前田昭彦 71 元本山町消防団長本山
松沢章夫 73 元高幡消防組合中土佐消防団分団長中土佐
矢野悦男 68 元高幡消防組合須崎消防団分団長須崎
矢野川禎男 80 元四万十市消防団分団長四万十
春の叙勲受章者――山梨[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 530文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
山本国臣 81 元中央市議中央
▽瑞宝小綬章
天野竹久 78 元県警本部刑事部長甲府
市川今朝則 77 元公立高校長山梨
笹本英一 73 元県会計管理者甲府
神宮寺禎巳 70 元県立中央病院長甲府
▽旭日双光章
河口喜久雄 80 元県グラウンド・ゴルフ協会長甲府
田草川憲男 78 元県栄養士会長笛吹
渡辺昭夫 81 県間税会連合会副会長富士河口湖
▽瑞宝双光章
大芝克夫 80 元甲府公共職業安定所長甲府
荻原浩洋 72 保護司甲州
吉川幸枝 78 元公立小校長笛吹
斎藤修 80 元公立中校長富士河口湖
坂本誠二郎 77 元公立小校長笛吹
中沢朋子 71 調停委員甲斐
仁科義民 86 元猿橋幼稚園長大月
比志保 79 元公立中校長中央
平賀和久 74 元調停委員甲斐
山西政昭 76 学校医甲府
渡辺正乗 74 保護司大月
▽瑞宝単光章
岩下英二 65 元甲府市消防団長甲府
臼井久 66 元都留市消防団長都留
大田博文 72 元道志村消防団長道志
坂本富子 61 元県立中央病院副院長兼看護局長北杜
桜井彰一 73 インテリア桜井代表者北杜
関部喜彦 70 元市川三郷町消防団長市川三郷
花井正示 87 元警察庁技官笛吹
樋口芳良 65 元法務教官笛吹
渡辺俊治 81 甲州水晶貴石細工製造業従事者中央
春の叙勲受章者――島根[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 24ページ 479文字 PDF有 書誌情報]
▽旭日小綬章
櫨山陽介 76 浜田商工会議所会頭浜田
▽瑞宝小綬章
大国羊一 70 元県防災部長松江
舟木宏 70 元松江市消防正監松江
松本善美 74 元公立高校長松江
三代正 77 元公立養護学校長松江
▽旭日双光章
小林一郎 71 元県診療放射線技師会長松江
立石幸 72 元県森林組合連合会副会長雲南
弘中英樹 71 元益田市議益田
▽瑞宝双光章
打田理成 75 学校医出雲
岡田憲二 74 元中国地方整備局広報広聴対策官松江
神門良明 77 元公立小校長松江
沢田秀樹 73 元飯南町消防団長飯南
竹村一秀 71 保護司大田
土居達也 73 元公立小校長邑南
溝繁一郎 79 元県警事務吏員松江
毛利義喜 85 元松江公共職業安定所長松江
▽旭日単光章
池田由岐夫 73 元益田市多田自治会長益田
▽瑞宝単光章
岡田正人 67 元松江市消防団副団長松江
金崎光文 71 元益田市消防団副団長益田
林至 67 元大田市消防団分団長大田
三角正一 67 元松江市消防団副団長松江
森藤公夫 67 元安来市消防団分団長安来
森山喜芳 78 元松江病院臨床検査技師長松江
渡部世津夫 67 元雲南市消防団副団長雲南
春の叙勲受章者――桐花大綬章、旭日大綬章[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 25ページ 777文字 PDF有 書誌情報]
<桐花大綬章>
大島理森 78 元衆院議長
青森
慶大卒、環境庁長官、文相、農相、自民党国会対策委員長、幹事長、副総裁、衆院議長などを歴任。
菅直人 78 元首相
東京
東工大卒、厚相、民主党代表、国家戦略相、財務相、副総理、首相などを歴任。
<旭日大綬章>
甘利明 75 元経済財政・再生相
東京
慶大卒、労相、経済産業相、行政改革相、経済財政・再生相、自民党政調会長、幹事長などを歴任。
荒井正吾 80 元奈良県知事
奈良
東大卒、海上保安庁長官、参院議員、外務政務官、奈良県知事などを歴任。
江崎鉄磨 81 元沖縄・北方相
愛知
立教大卒、外務政務次官、国土交通副大臣、沖縄・北方相などを歴任。
奥野信亮 81 元総務副大臣
東京
慶大卒、日産自動車取締役、法務政務官、法務副大臣、総務副大臣などを歴任。
金田勝年 75 元法相
東京
一橋大卒、農林水産政務次官、外務副大臣、法相、衆院予算委員長などを歴任。
桜田義孝 75 元五輪相
千葉
明大卒、経済産業政務官、内閣府副大臣、文部科学副大臣、五輪相などを歴任。
長嶺安政 71 元最高裁判事
東京
東大卒、外務審議官、駐オランダ、韓国、英国各大使、最高裁判事などを歴任。
中村邦晴 74 元住友商事社長
東京
阪大卒、住友商事社長、会長、日本貿易会会長、経団連副会長などを歴任。
松本純 75 元国家公安委員長
神奈川
東京薬科大卒、総務政務官、官房副長官、国家公安委員長などを歴任。
横光克彦(武藤勝彦) 81 元環境副大臣
東京
北九州大卒、社民党副党首、衆院環境委員長、環境副大臣などを歴任。
山口厚 71 元最高裁判事
東京
東大卒、東大教授、司法試験委員会委員長、法制審議会委員、最高裁判事などを歴任。
山田啓二 71 元京都府知事
京都
東大卒、内閣法制局参事官、京都府副知事、知事、全国知事会会長などを歴任。
春の叙勲受章者――旭日重光章、瑞宝重光章、旭日中綬章、瑞宝中綬章[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 25ページ 7279文字 PDF有 書誌情報]
(敬称略)
▽旭日重光章
大西英男 78 元国土交通副大臣東京
北村雅良 77 元電源開発社長東京
内藤晴夫 77 エーザイ代表執行役CEO 東京
中村法道 74 元長崎県知事長崎
西川太一郎 82 元経済産業副大臣東京
▽瑞宝重光章
青沼隆之 70 元名古屋高検検事長東京
飯倉立也 70 元福岡地検検事正東京
石井忠雄 72 元東京高裁判事・部総括東京
岡本全勝 70 元復興庁事務次官東京
奥田正昭 72 元東京地裁所長北海道
春日雅人 77 元国立国際医療研究センター理事長東京
加藤敏員 70 元高松地検検事正大阪
金子順一 72 元大阪高裁判事・部総括東京
金高雅仁 70 元警察庁長官東京
菊池洋一 71 元広島高裁長官東京
北村隆志 71 元海保長官東京
北村俊昭 76 元経済産業審議官東京
北村道夫 73 元福岡高検検事長千葉
斉藤雄彦 70 元広島高検検事長大阪
坂本森男 70 元消防庁長官東京
笹野明義 72 元大阪高裁判事・部総括兵庫
佐藤直良 72 元国土交通事務次官茨城
志田博文 72 元大阪高裁判事・部総括東京
島田泰助 71 元林野庁長官東京
清水節 71 元知的財産高裁所長東京
白浜清貴 70 元仙台地検検事正東京
鈴木正規 70 元環境事務次官神奈川
鈴木庸一 74 元駐フランス大使東京
田内正宏 70 元東京高検検事長神奈川
玉木林太郎 71 元財務官東京
服部悟 73 元福岡高裁判事・部総括千葉
板東久美子 71 元消費者庁長官東京
古田浩 73 元さいたま家裁所長東京
本川一善 70 元農林水産事務次官東京
真砂靖 70 元財務事務次官東京
三島良直 75 元東京工業大学長東京
水野谷幸夫 70 元最高検検事北海道
三輪昭 75 元駐ブラジル大使東京
山根英嗣 70 元さいたま地検検事正大阪
吉崎正弘 72 元総務審議官富山
▽旭日中綬章
大石幼一 72 元CBCテレビ社長愛知
大田弘 72 元熊谷組社長東京
小熊豊 75 元全国自治体病院協議会長北海道
小畠久弥 74 元福岡市議福岡
鹿島勇 77 神奈川歯科大理事長神奈川
小林幹夫 71 元栃木県議栃木
斎藤和紀 72 元日弁連副会長千葉
佐々木知子 70 元厚生労働政務官東京
佐藤一郎 79 四国大理事長徳島
佐藤邦義 83 元新潟県田上町長新潟
佐藤浩雄 80 元新潟県議新潟
篠辺修 72 元全日空社長東京
関根福一 73 元住友大阪セメント社長埼玉
高橋康三 82 元上毛新聞社長群馬
高山松太郎 75 元伊勢原市長神奈川
武井雅昭 72 元東京都港区長東京
中沢幸男 84 元宮城県議宮城
中村隆 70 元日弁連副会長北海道
中村正典 74 元日弁連副会長愛知
難波幸一 72 元日弁連副会長埼玉
橋本副孝 70 元日弁連副会長東京
花川与惣太 90 元東京都北区長東京
春山文典 79 金工作家東京
藤田博久 72 元池田泉州銀行頭取大阪
星野伊佐夫 85 元新潟県議新潟
堀之内芳平 72 元鹿児島県議鹿児島
前島浩一 78 元神戸市議兵庫
正木靖子 70 元日弁連副会長兵庫
三林憲忠 72 元全国〓油工業協同組合連合会長三重
皆川博子 95 作家東京
宮地忠明 81 元国立音楽大理事長埼玉
森山一正 81 元摂津市長大阪
矢野真之 70 元日弁連副会長愛媛
山本信夫 74 元日本薬剤師会長東京
幸和範 77 元阪神高速道路社長大阪
和才博美 78 元NTTコミュニケーションズ社長東京
渡辺惇夫 86 元新潟県議新潟
▽瑞宝中綬章
青竹正一 81 小樽商科大名誉教授北海道
赤井裕司 70 元内閣府大臣官房審議官愛知
赤居正美 76 元国立障害者リハビリテーションセンター病院長東京
赤司淳也 70 元人事院職員福祉局次長神奈川
秋葉弘哉 79 早稲田大名誉教授東京
秋山和美 70 元横浜税関長東京
秋山仁 78 東京理科大名誉教授東京
浅田幸善 71 防衛大学校名誉教授東京
安達忠夫 80 埼玉大名誉教授群馬
渥美千尋 74 元駐アイルランド大使東京
安部真一 78 熊本大名誉教授熊本
阿部政孝 71 元東京矯正管区長神奈川
新井勉 74 元駐カメルーン大使東京
有川貫太郎 81 名古屋大名誉教授愛知
有野一馬 70 元北陸信越運輸局長東京
安東俊六 80 岐阜大名誉教授岐阜
五十嵐太乙 71 元東北農政局長東京
五十嵐副夫 80 大分大名誉教授大分
猪狩勝寿 80 愛媛大名誉教授愛媛
池川博士 70 元総務省政策統括官神奈川
池本幸雄 70 元国立国会図書館副館長東京
伊坂勝生 81 徳島大名誉教授東京
石川義憲 70 元総務省自治大学校副校長東京
泉多恵子 80 山形大名誉教授宮城
磯部文雄 75 元厚労省老健局長東京
伊藤貢士 80 山形大名誉教授山形
伊藤寛 78 香川大名誉教授香川
犬井正 77 元独協大学長埼玉
井上義夫 78 一橋大名誉教授奈良
井原好英 70 元人事院事務総局公平審査局長神奈川
今井康文 80 長崎大名誉教授長崎
今泉勝己 79 九州大名誉教授福岡
岩男雅之 72 元海保警備救難監東京
岩谷滋雄 74 元駐オーストリア大使東京
岩渕明 75 元岩手大学長宮城
上田邦彦 71 元最高検検事東京
上野淳 76 元東京都立大学長東京
上村直 70 元国税不服審判所次長神奈川
牛島恵輔 81 九州大名誉教授福岡
牛田克己 70 元警察庁長官官房技術審議官奈良
牛田憲行 80 愛知教育大名誉教授愛知
宇津宮孝一 79 大分大名誉教授大分
海野八尋 80 金沢大名誉教授石川
江頭誠 81 長崎大名誉教授福岡
江口孝雄 72 防衛大学校名誉教授神奈川
榎戸武揚 81 北海道大名誉教授北海道
大崎功雄 80 北海道教育大名誉教授北海道
大沢清二 78 大妻女子大名誉教授埼玉
大島俊之 78 北見工業大名誉教授北海道
大須賀英郎 70 元国交省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官神奈川
大高保二郎 79 早稲田大名誉教授神奈川
大塚忠 79 関西大名誉教授奈良
大藤俊行 70 元財務省関税局長東京
大西一夫 70 元関東管区行政評価局長東京
大矢裕 70 元近畿地方更生保護委員長千葉
岡弘文 71 元宮内庁管理部長千葉
岡田俊夫 70 元北陸地方整備局副局長神奈川
岡田光彦 70 元東北地方整備局長東京
小川全夫 81 九州大名誉教授山口
奥井啓史 70 元衆院常任委員会専門員三重
奥林康司 81 神戸大名誉教授兵庫
奥村淳 80 山形大名誉教授山形
奥本大三郎 81 埼玉大名誉教授東京
奥山徹 81 明治薬科大名誉教授神奈川
生越利昭 78 兵庫県立大名誉教授兵庫
影井清一郎 80 横浜国立大名誉教授神奈川
上総周平 70 元国土技術政策総合研究所長東京
片岡勝子 81 広島大名誉教授広島
片岡義篤 71 元九州管区警察局長東京
加藤茂 72 元海保海洋情報部長神奈川
加藤泰建 78 埼玉大名誉教授東京
門野坂修一 70 元津地検検事正神奈川
金子之史 81 香川大名誉教授香川
神谷俊広 70 元関東運輸局長東京
亀田哲 70 元札幌法務局長兵庫
河合隆裕 80 京都大名誉教授京都
川崎正彦 70 元四国地方整備局長茨城
川崎有三 72 防衛大学校名誉教授東京
川嶋宗継 78 滋賀大名誉教授滋賀
川西徹 72 元国立医薬品食品衛生研究所長東京
河原功 72 元第8管区海上保安本部長千葉
北潔 74 東京大名誉教授長崎
北川薫 79 元中京大学長愛知
鬼頭繁治 78 愛知工業大名誉教授愛知
木下タロウ 73 大阪大名誉教授大阪
木下信行 70 元証券取引等監視委員会事務局長神奈川
吉良裕臣 70 元総務省総合通信基盤局長東京
久我泰博 73 元仙台高裁秋田支部長埼玉
工藤洋一 70 元国土交通政策研究所副所長神奈川
窪木稔 70 元仙台家裁所長東京
久保田誠之 71 元総務省大臣官房総括審議官東京
熊谷幸三 74 元徳島県副知事徳島
熊谷竹生 71 元札幌矯正管区長東京
倉持隆雄 71 元内閣府政策統括官東京
桑原裕史 75 元都城工業高専校長三重
桑山信也 70 元経産省大臣官房地域経済産業審議官東京
小池一郎 70 元国土交通大学校長東京
小池勇三 71 元特許庁特許審査第一部長東京
古賀和文 78 佐賀大名誉教授佐賀
古賀満明 77 元嬉野医療センター院長長崎
五條堀孝 73 情報・システム研究機構国立遺伝学研究所名誉教授静岡
小西康生 81 神戸大名誉教授兵庫
小林泉 70 元広島矯正管区長神奈川
小林敏弘 78 九州工業大名誉教授山口
今野弘 76 元東北工業大学長宮城
最相元雄 80 熊本大名誉教授熊本
斉藤昭 72 元農水省大臣官房統計部長東京
斎藤哲夫 70 元内閣官房内閣審議官東京
斉藤兆古 78 法政大名誉教授東京
佐藤英明 77 東北大名誉教授神奈川
佐藤謙二 70 元北海道開発局建設部長北海道
佐藤兼郎 70 元岡山県副知事岡山
佐藤三三 78 弘前大名誉教授青森
佐藤洋志 70 元最高検検事福岡
佐野淳 70 元警察庁情報通信局長東京
沢本光男 73 京都大名誉教授京都
椎橋隆幸 78 中央大名誉教授東京
塩沢文朗 72 元内閣府大臣官房審議官神奈川
塩見政幸 71 元参院常任委員会専門員東京
静井元義 70 元会計検査院事務総長官房審議官東京
篠原総一 79 同志社大名誉教授大阪
柴田尚志 75 元一関工業高専校長茨城
柴生田敦夫 70 元経産省貿易経済協力局長東京
島崎篤子 80 福井大名誉教授福井
清水敦 70 元衆院参事群馬
清水 聖策(清水正和)
82宮崎大名誉教授宮崎
下川悦郎 78 鹿児島大名誉教授鹿児島
進士五十八 81 元東京農業大学長神奈川
神野直彦 79 東京大名誉教授埼玉
神保道夫 73 東京大名誉教授千葉
末井誠史 70 元警察庁交通局長東京
末永国紀 82 同志社大名誉教授京都
杉田陸海 80 滋賀大名誉教授滋賀
杉本稔 78 日本大名誉教授神奈川
須沢通 80 信州大名誉教授長野
鈴木修 78 浜松医科大名誉教授静岡
鈴木幸一 78 愛媛大名誉教授愛媛
鈴木広一 70 大阪府警嘱託医、大阪医科薬科大名誉教授大阪
鈴木法日児 80 宮城教育大名誉教授宮城
鈴木英明 70 元国際復興開発銀行理事茨城
鈴木保高 80 新潟大名誉教授新潟
鈴木佳秀 81 新潟大名誉教授新潟
角田豊 70 元農水省大臣官房審議官東京
関博之 70 元国交省北海道局長北海道
関口章 73 筑波大名誉教授茨城
関根弘 70 元衆院常任委員会専門員千葉
曽和将容 81 電気通信大名誉教授神奈川
多賀敏行 74 元駐ラトビア大使兵庫
高瀬康夫 74 元駐ジャマイカ大使東京
高田等 81 鹿児島大名誉教授福岡
高野勝男 80 茨城大名誉教授茨城
高松淳一 77 元菊池病院長熊本
武田広 75 元神戸大学長兵庫
竹谷広之 70 元農水省消費・安全局長東京
田中秀幸 80 静岡大名誉教授静岡
谷口渓山 80 鹿児島大名誉教授鹿児島
種倉紀昭 81 岩手大名誉教授岩手
田丸典彦 81 北海道教育大名誉教授北海道
田村進一 81 大阪大名誉教授兵庫
田村照子 83 文化学園大名誉教授埼玉
千葉茂樹 70 元岩手県副知事岩手
長清 70 元農林水産政策研究所長東京
塚原大弐 74 元駐ベナン大使埼玉
辻省次 73 東京大名誉教授東京
辻岡明 70 元航空・鉄道事故調査委員会事務局長東京
津田吉広 81 大分大名誉教授東京
都築邦春 81 埼玉大名誉教授埼玉
徳弘好 80 東京学芸大名誉教授東京
徳本守彦 81 信州大名誉教授長野
富田英治 70 元中部地方整備局長千葉
冨永格 77 元下総精神医療センター院長千葉
富山哲雄 71 元参院常任委員会専門員神奈川
友田博通 75 昭和女子大名誉教授神奈川
外山千也 71 元厚労省健康局長新潟
豊田東雄 80 山形大名誉教授茨城
鳥越皓之 81 元大手前大学長兵庫
内藤純一 73 元金融庁総務企画局長東京
中尾淳子 70 元衆院常任委員会専門員東京
中川利幸 70 元中部地方更生保護委員長東京
中川秀空 70 元国立国会図書館専門調査員東京
中沢隆雄 78 宮崎大名誉教授宮崎
中野忠夫 81 大分大名誉教授大分
中野正則 70 元中国地方整備局副局長茨城
中野雅之 70 元厚労省労働基準局長神奈川
中宮光隆 78 熊本県立大名誉教授千葉
中村隆夫 80 北海道教育大名誉教授北海道
中村丁次 76 日本栄養士会代表理事会長、元神奈川県立保健福祉大学長東京
中村満紀男 80 筑波大名誉教授茨城
中村弓子 81 お茶の水女子大名誉教授東京
生井智紹 78 元高野山大学長大阪
並木芳治 74 元駐コスタリカ大使東京
西信之 79 自然科学研究機構分子科学研究所名誉教授石川
西種子田弘芳 81 鹿児島大名誉教授鹿児島
西林克彦 81 宮城教育大名誉教授宮城
西藤洋 81 成蹊大名誉教授東京
二宮晏 78 信州大名誉教授長野
野口博 78 千葉大名誉教授神奈川
野口文雄 70 元公取委事務総局審査局長東京
野津正明 70 元総務省近畿総合通信局長茨城
能登裕 77 元金沢医療センター院長石川
則次俊郎 75 元津山工業高専校長岡山
橋田充 73 京都大名誉教授京都
橋本牧 70 元水産庁漁港漁場整備部長東京
馬場恒嘉 72 元福岡矯正管区長佐賀
早川正士 81 電気通信大名誉教授東京
林正彦 70 元山形地・家裁所長東京
林部史明 70 元関東地方整備局副局長東京
原徳寿 71 元厚労省医政局長静岡
原島博 79 東京大名誉教授東京
原田伸一 71 元東京高裁事務局次長群馬
原田宗宏 70 元関東管区警察局長東京
日当博喜 72 元海上保安大学校副校長広島
美谷島実 81 信州大名誉教授長野
平木幸二郎 81 信州大名誉教授長野
平野伸二 77 元舞鶴医療センター院長京都
平野温美 80 北見工業大名誉教授北海道
平野良雄 71 元厚労省労働基準局安全衛生部長東京
平之山俊作 70 元九州森林管理局長神奈川
平原孝明 82 宮崎大名誉教授宮崎
広田彰 82 宮崎大名誉教授宮崎
福井洋之 80 北見工業大名誉教授北海道
福島康志 70 元北海道労働局長千葉
福田米蔵 74 元駐ジンバブエ大使東京
福富光彦 70 元国交省政策統括官東京
藤倉功也 71 元人事院事務総局関東事務局長群馬
藤崎健一 70 元会計検査院第5局長東京
藤田康宏 70 元九州公安調査局長千葉
藤田佳久 70 元北海道開発局港湾空港部長東京
藤原孝行 70 元島根県副知事島根
藤部秀則 72 元山口県副知事山口
細見寛 70 元国交省水管理・国土保全局水資源部長神奈川
粗信仁 74 元駐スリランカ大使東京
堀照夫 78 福井大名誉教授福井
本田悦朗 70 元財務省大臣官房政策評価審議官東京
前川剛志 78 山口大名誉教授山口
前川秀和 70 元国交省道路局長千葉
牧島聡 70 元長野地検検事正東京
牧原康隆 71 元仙台管区気象台長東京
馬路泰蔵 81 岐阜大名誉教授兵庫
増沢隆久 81 東京大名誉教授神奈川
松井三郎 81 京都大名誉教授京都
松井利幸 81 愛知教育大名誉教授愛知
松井正顕 81 名古屋大名誉教授愛知
松尾正幸 80 佐賀大名誉教授福岡
松田忠三 78 千葉大名誉教授千葉
松田敏明 70 元内閣府政策統括官東京
松永是 75 元東京農工大学長東京
松永守央 75 元九州工業大学長福岡
松原義昭 73 元最高裁大法廷首席書記官茨城
松村祥子 81 放送大名誉教授東京
松本邦弘 73 名古屋大名誉教授愛知
松本純夫 77 元東京医療センター院長東京
松本治男 72 元近畿管区警察局長徳島
馬渕貞利 78 東京学芸大名誉教授東京
三木基実 72 元第3管区海上保安本部長大阪
水原昂広 80 山形大名誉教授山形
南孝一 71 元特許庁特許技監千葉
皆村武一 80 鹿児島大名誉教授鹿児島
宮口〓廸 78 早稲田大名誉教授富山
宮村弘明 72 元海保装備技術部長東京
三好旦六 81 神戸大名誉教授兵庫
無藤隆 78 白梅学園大名誉教授東京
村上和也 70 元関東財務局長東京
村上武則 80 大阪大名誉教授大阪
村木太郎 71 元厚労省大臣官房総括審議官埼玉
村沢由利子 80 鳴門教育大名誉教授徳島
村瀬儀祐 80 高知大名誉教授高知
村瀬憲夫 78 近畿大名誉教授和歌山
村田裕 71 元三重県労委委員、元名城大教授三重
村松郁延 78 福井大名誉教授福井
村本孜 79 成城大名誉教授神奈川
目賀田周一郎 74 元駐メキシコ大使東京
本村裕三 70 元近畿中国森林管理局長東京
森和紀 79 日本大名誉教授東京
森征洋 81 香川大名誉教授香川
森川雅行 70 元近畿地方整備局副局長神奈川
森棟公夫 78 元椙山女学園大学長愛知
家島彦一 85 東京外国語大名誉教授東京
安原一 79 昭和大名誉教授東京
山内一良 70 元第5管区海上保安本部長東京
山川宏 78 早稲田大名誉教授千葉
山崎穣一 70 元税務大学校長東京
山崎まさよ 72 元静岡家裁所長東京
山下晃正 73 元京都府副知事京都
山下泰弘 70 元国交省大臣官房総括監察官東京
山田優 82 大阪市立大名誉教授大阪
山本一彦 73 東京大名誉教授東京
山本哲 80 和歌山大名誉教授和歌山
山本忠通 74 元駐ハンガリー大使神奈川
山本博司 70 元四国管区警察局長東京
山本勝 80 名古屋工業大名誉教授愛知
山本雄二 81 九州大名誉教授福岡
山本芳治 71 元航海訓練所理事神奈川
油井雄二 76 元成城大学長神奈川
斧谷弥守一 79 甲南大名誉教授大阪
横田漠 82 宮崎大名誉教授宮崎
横山勝三 81 熊本大名誉教授熊本
吉田泰三 70 元税務大学校副校長千葉
吉田孝宣 78 元下志津病院長千葉
吉村武彦 79 明治大名誉教授東京
力石国男 80 弘前大名誉教授青森
若林克彦 83 元国士舘大学長東京
渡辺和敏 78 愛知大名誉教授静岡
渡辺洋己 70 元消防庁消防大学校消防研究センター所長神奈川
渡辺義公 80 北海道大名誉教授千葉
綿貫茂 72 元中部管区警察局長埼玉
渡会修 70 元総務省行政評価局長神奈川
受章者の肩書は現職以外は元職にしました。
春の叙勲受章者――外国人受章者、在外邦人[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 26ページ 4942文字 PDF有 書誌情報]
外国人受章者
◇在外外国人
▽旭日大綬章
ウィリアム・ハガティ 4 世(65)
元駐日米大使 米国
リッキー・ラップ( 60 )
元在日米軍司令官兼第 5 空軍司令
官 米国
ラデン・モハマド・マルティ・ムリアナ・ナタレガワ( 62 )
元外相 インドネシア
ウィリアム・ブラックレッジ・ボーモント( 73 )
元ワールドラグビー会長 英国
アフマド・アブルゲイト( 82 )
元外相、アラブ連盟事務総長 エジプト
ソパラ・チア( 72 )
元副首相兼国土整備都市計画建設
相 カンボジア
リー・シェンロン( 73 )
元首相 シンガポール
トーマス・バッハ( 71 )
国際オリンピック委員会(IOC)
会長 ドイツ
イエンス・ストルテンベルグ( 66 )
元北大西洋条約機構(NATO)
事務総長 ノルウェー
アンドルー・パーソンズ( 48 )
国際パラリンピック委員会(IP
C)会長 ブラジル
ホルヘ・カルロス・ラミレス・マリン( 63 )
元連邦下院議長 メキシコ
ソーンサイ・シーパンドン( 59 )
首相 ラオス
▽旭日重光章
ウィリアム・M・ジャーニー( 61 )
元太平洋海兵隊司令官 米国
シーラ・A・スミス( 66 )
元日米文化教育交流会議(CUL
CON)米側委員長 米国
マイケル・フロマン( 62 )
元米通商代表部(USTR)代表
米国
ジョルジ・テネチェジウ( 65 )
元駐日アルバニア大使 アルバニア
ラダークリシュナン・ハリ・クマール( 63 )
元海軍参謀長 インド
アイルランガ・ハルタルト( 62 )
経済担当調整相 インドネシア
アンドリュー・デイビッド・ランズリー( 68 )
元日英 21 世紀委員会英側座長 英国
ジョン・コーツ( 74 )
元2020東京オリンピック競技大会
調整委員会委員長 オーストラリア
ジェームス・ロイド・マンソン( 78 )
元カナダ・日本議員連盟共同議長 カナダ
オルランド・ニコラス・エルナンデス・ギジェン( 78 )
元駐日キューバ大使 キューバ
ベンソン・H・O・オグトゥ( 64 )
元駐日ケニア大使 ケニア
アブドッラー・ビン・ファイサル・ビン・トルキー・アール・サウード( 74 )
元サウジアラビア総合投資庁総裁
サウジアラビア
マティアス・ナス( 72 )
元日独フォーラム共同議長 ドイツ
クレーメンス・フォンゲッツェ( 63 )
元駐日ドイツ大使 ドイツ
ジャック・アッシェンブロワ( 70 )
元ヴァレオグループ会長兼CEO フランス
ミシェル・デネケン( 67 )
元ストラスブール大学長 フランス
ステファン・イブ・ポール・ミル( 59 )
元航空宇宙軍参謀総長 フランス
イドリス・ムハンマド( 91 )
元駐日ブルネイ大使 ブルネイ
グエン・バン・ザウ( 67 )
元国会対外委員長 ベトナム
グエン・クオック・クオン( 65 )
元駐日ベトナム大使 ベトナム
ラミリソン・ジャンセット・アラン・ハリフィディ( 61 )
元農業・畜産相 マダガスカル
▽旭日中綬章
シェルドン・M・ギャロン( 73 )
プリンストン大歴史学教授 米国
ビクター・J・ザウ( 79 )
全米医学アカデミー会長 米国
ヘンリー・ガブリエル・シスネロス( 77 )
白根直子記念財団理事長 米国
レオナード・J・ショッパ・ジュニア( 62 )
バージニア大人文科学部政治学科
教授 米国
カート・ウォルター・トン( 62 )
元アジア太平洋経済協力(APE
C)担当大使 米国
ケント・ナガノ( 73 )
元バイエルン州立歌劇場および同
管弦楽団総合音楽監督 米国
ジェシー・J・フリーデル( 51 )
元在日米空軍第 5 空軍副司令官お
よび太平洋空軍統合航空調整所長 米国
アンドリュー・L・ラダン( 51 )
元在日米空軍第 374 空輸航空団司
令官兼在日米軍横田基地司令官 米国
アンドリュー・バー( 52 )
オーストラリア首都特別地域首席
大臣 オーストラリア
ハンス・カイパース( 58 )
元シーボルトハウス館長 オランダ
金基炳( 87 )
韓日協力委員会常勤副会長兼理事
長 韓国
ミヒャエル・キンスキー( 62 )
元テュービンゲン大同志社日本研
究センター長 ドイツ
ユッシ・ヌオルテバ( 70 )
元フィンランド国立公文書館長 フィンランド
エドゥアルド・エウジェニオ・ゴウベア・ビエイラ( 77 )
日伯戦略的経済パートナーシップ
賢人会議ブラジル側座長 ブラジル
渡部一誠( 80 )
ブラジル日本研究者協会長 ブラジル
ピート・スティール( 74 )
在フランダース日本名誉総領事 ベルギー
ラクトゥマナナ・ファヌメザンツ・ハジャニリナ( 60 )
国立アンタナナリボ大理学部動物
学・動物生物多様性学科教授 マダガスカル
ジェフリー・チェア・フック・リン( 80 )
サンウェイグループ会長 マレーシア
エクトル・バスコンセロス( 80 )
元連邦上院外交委員長 メキシコ
ユーセフ・アハメッド・アルフネイティ( 66 )
ヨルダン・アラブ軍統合参謀本部
議長 ヨルダン
▽瑞宝中綬章
木立ジョン明( 59 )
在ポートランド日本領事事務所顧
問弁護士 米国
セチカイ・アンドラーシュ( 76 )
在ハンガリー日本大使館顧問弁護
士 ハンガリー
ホルヘ・ルイス・トオヤマ・ミヤグスク( 55 )
在ペルー日本大使館顧問弁護士 ペルー
▽旭日小綬章
デレック・オオクボ( 65 )
元コロラド日米協会長 米国
姜豊子( 77 )
グアム大名誉教授 米国
ランディ・バース( 71 )
元阪神タイガース選手、元オクラ
ホマ州議会上院議員 米国
メアリ・G・マクドナルド( 77 )
元ハワイ大マノア校社会科学学部
地理学科准教授 米国
スティーブン・ジョン・ピッツ( 74 )
欧州保護観察連合担当大使 英国
スティーブン・ジョン・フィップス( 52 )
タスマニア豪日協会長 オーストラリア
エテリ・スバニゼ( 75 )
ジョージアン・スクール・トビリ
シ校長 ジョージア
パパ・マガトゥ・ゲイ( 72 )
日セネガル友好協会長 セネガル
ハビーブ・ガムラ( 66 )
汎アフリカ介入心臓学会議共同創
設者兼議長 チュニジア
アドナン・クアジャ( 64 )
チュニジア・日本友好協会第一副
会長 チュニジア
ジャメル・ブジュダリア( 66 )
元外務・移民・在外チュニジア人
省米州・アジア局アジア部長 チュニジア
イメド・ベン・アンマール( 61 )
元ブルギバ現代言語学院長 チュニジア
ビム・ベンダース( 79 )
映画監督 ドイツ
ビーダル・ハレーン( 69 )
元国立装飾芸術・デザイン美術館
長 ノルウェー
税田パウロ清七( 75 )
サンパウロ日伯援護協会長 ブラジル
ダルシー・ピアナ( 83 )
パラナ州商業・サービス業・観光
業連盟会長 ブラジル
▽旭日双光章
クレイ・ジャクソン( 71 )
元ナッシュビル桜祭り諮問委員会
共同議長 米国
リチャード・デル・ベッキオ( 73 )
マイアミ日本庭園友の会会長 米国
グラハム・E・ローウェル( 71 )
米国F― 35 ジョイントプログラム
オフィス日本担当マネージャー 米国
アジャヌオ・ベルホ( 63 )
コヒマ日本人遺骨収集チーム代表 インド
スミット・マリック( 67 )
元マハラシュトラ州政府首席次官 インド
コスタス・パパコスタス( 76 )
キプロス・オリンピアン協会長 キプロス
メリタ・ラチュキ( 81 )
建築家 クロアチア
トシュテン・リーマン( 73 )
元スウェーデン盆栽協会長 スウェーデン
フランシス・デベ( 56 )
元在ソロモン「世界青年の船」同
窓会長 ソロモン
イスマエル・ミノル・カサハラ・ガリド( 78 )
元バルパライソ日系人協会長 チリ
マリア・ロザリオ・ピケロ・バレスカス( 73 )
元フィリピン元国費留学生協会セ
ブ支部長 フィリピン
カイ・ニエミネン( 74 )
詩人、翻訳家 フィンランド
エリザベッチ・ミチエ・フクダ( 62 )
元ロライマ日伯協会長 ブラジル
張昌彦( 83 )
日本映画評論家・翻訳家 台湾
▽瑞宝双光章
ナガ・ベンカタ・バピラジュ・コトラ( 62 )
元在インド日本大使館現地職員 インド
ジャスミット・シン・ベディ( 62 )
元在インド日本大使館現地職員 インド
アルレッチ・シューマン( 61 )
元在ポルトアレグレ領事事務所現
地職員 ブラジル
邱美富( 65 )
元日本台湾交流協会高雄事務所現
地職員 台湾
▽旭日単光章
ビッキー・スー・シャプラー( 70 )
レガシー・オブ・ザ・プレーンズ
博物館日本ホール館長兼コーディ
ネーター 米国
マルタ・ノエミ・セトゥール( 83 )
元いけばな小原流アルゼンチン支
部会長 アルゼンチン
カラム・ファーカー( 62 )
東スコットランド地域スカウト理
事 英国
ウィリー・ベシ( 59 )
ガダルカナル州バラナ村コミュニ
ティリーダー ソロモン
ラスアナイボ・アンジアマヌイスア( 77 )
元国立アンタナナリボ大日本語講
師 マダガスカル
▽瑞宝単光章
ジェニファー・オコナー( 66 )
元在アイルランド日本大使館現地
職員 アイルランド
アーネスト・アギアー( 52 )
元在マイアミ日本総領事館現地職
員 米国
グスタボ・アドルフォ・ロペス・ミランダ( 73 )
元在米国日本大使館現地職員 米国
プラカーシュ・クニール・クンダンチェリ( 60 )
元在オマーン日本大使館現地職員 インド
アマンダ・コツィア( 61 )
元在南アフリカ共和国日本大使館
現地職員 南アフリカ共和国
マーク・エイドリアン・ミラー( 67 )
元在メルボルン日本総領事館現地
職員 オーストラリア
曽雪貞( 60 )
元在香港日本総領事館現地職員 中国
謝彬( 60 )
元在香港日本総領事館現地職員 中国
楊永超( 62 )
元在中国日本大使館現地職員 中国
ワジ・ウル・イスラム・アッバーシー( 61 )
元在パキスタン日本大使館現地職
員 パキスタン
モハンマド・アスラム( 60 )
元在パキスタン日本大使館現地職
員 パキスタン
ジョアン・ワトキンス( 61 )
元在南アフリカ共和国日本大使館
現地職員 南アフリカ共和国
在外邦人
▽瑞宝中綬章
鷺山郁子( 72 )
元フィレンツェ大教授 イタリア
▽旭日双光章
伊与田明( 77 )
元レシフェ日本文化協会長 ブラジル
正法地延光( 75 )
リスボン日本語補習授業校長 ポルトガル
鈴木貞男( 85 )
元南日伯援護協会長 ブラジル
竹内浩之( 72 )
アビラ亭オーナーシェフ ベネズエラ
中村剛( 71 )
元日墨協会長 メキシコ
八巻晴夫( 73 )
元日本ニカラグア東洋医学大学長 ニカラグア
山田康夫( 73 )
元ブラジル日本都道府県人会連合
会長 ブラジル
▽瑞宝双光章
川村やよい( 70 )
オビエド大哲学・文学部美術史准
教授 スペイン
白井万記子( 71 )
元在ロサンゼルス日本総領事館現
地職員 米国
長島要一( 78 )
コペンハーゲン大名誉教授 デンマーク
ペイン三千代( 72 )
元在米日本大使館現地職員 米国
▽旭日単光章
白石和幸( 74 )
バレンシア日本人会長 スペイン
藤田喜美子( 71 )
元オレンジ郡日系協会長 米国
堀川心洞(堀川満、 74 )
パラグアイ書道芸術院会長 パラグアイ
▽瑞宝単光章
小野崎忠士( 71 )
元在タイ日本大使館現地職員 タイ
矢野英輔( 73 )
元在フランス日本大使館現地職員 フランス
山中進( 75 )
元在米日本大使館現地職員 米国
観光立国の課題(中) 懸念多い「二重価格」の導入 西川亮・立教大学准教授(経済教室)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 27ページ 2837文字 PDF有 書誌情報]
姫路城への入場料を外国人観光客のみ値上げしたいという兵庫県姫路市長の2024年6月の発言が世の中をにぎわせ、「二重価格」という言葉がメディアに登場する機会が増えた。
二重価格とは同一サービスに対して客により異なる金額設定がなされることを意味し、最近は「外国人を高く、日本人を安く」という意味で用いられる。しかし日本国籍と外国籍で分けるべきなのか、日本在住者と外国在住者で分けるべきなのか、といった点も曖昧に議論されている。
同一サービスに異なる金額設定ということだけであれば、公共交通の子供料金や民間のレディースデー、公共施設の市民割や県民割などが既にある。しかし外国人と日本人の金額を変える二重価格は人権的な視点を含め、様々な観点から慎重になる必要がある。
民間アンケートでは7割弱の回答者が二重価格に賛成という結果もあるが、安易な議論は避けるべきだ。姫路城は26年3月に市民と市民以外で分ける二重価格を導入するが、外国人のみ値上げする案は見送った。
日本国憲法14条(平等の原則)のとおり、国や地方自治体は日本国内のすべての市民を平等に扱う必要がある。これは在留外国人にも適用される。民間サービスも憲法の間接適用説が通説・判例となっている。
また政府は外国人観光客に対して「事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない差別的な取り扱いは許されない(18年の質問主意書に対する答弁書)」との見解を示している。
国会でも、すでに二重価格の議論がなされている。国際観光ホテル整備法の登録を受けている宿泊施設では宿泊料金等について外国人客とその他の客との間で不当な差別的取り扱いをしてはならない、公共交通でも道路運送法に定められている特定旅客に対する不当な差別的取り扱いになる可能性がある、との趣旨の政府からの回答があった。
仮に日本で二重価格の導入を目指す場合、憲法や法律上乗り越えるべき課題が多い。また実際にどのように二者を区別するのかという問題もある。それらを前提としつつ、まず二重価格が先行的に実施されている海外における英語論文をレビューしてみよう。
論文はスリランカやイラン、ネパールなど観光産業が重要な発展途上国における、主に公共の文化施設における二重価格の導入と、それに対する観光客の意識がテーマになっている。先進国からの観光客が多少の不快感や不平等感を抱きつつも、一定の理解を示して二重価格を受け入れている様子が論じられている。
それは先進国の豊かさに由来する心のゆとりで、また旅行という非日常体験ゆえに、多少の負担を強いられても観光欲求がそれを上回るということでもある。
他国では支払う立場の外国人が理解を示しているのだから日本でも二重価格は導入すべきだ、という論理もあるかもしれないが、日本のような経済大国で導入する是非については、多面的な観点からさらに議論を深める必要がある。
そこで経済や心理、観光などの多様な視点から、主に国や地方自治体が二重価格を導入する是非について検討を重ねてみたい。
経済的にみると、円安で外国人は日本での物価安をより実感できるため、多くの支出を求めるべきだとの論調も散見される。しかしサービスの対価として金銭を支払う以上、同一サービスなのに金額が異なる理由を説明できるかどうかが問われる。仮に国籍で金額を分けるなら、外国人に対してより深い日本文化体験を提供するといった追加サービスが求められる。
むしろ二重価格の議論よりも先に、どういう付加価値を外国人が求めているか、そしてどのような追加サービスを提供できるか、という検討がなされる必要がある。その結果としての価格差であるべきだ。
二重価格を外国人がどのように感じるか、という心理的側面も無視できない。前述の通り海外の研究では外国人が不快感や不平等感を抱くことが指摘されている。日本は外国人に優しくないというイメージが形成されたり、観光満足度の低下につながったりするという懸念もあり、中長期的には日本の観光に損失を与える可能性も否めない。
高い金額を設定することでそれに見合った価値を外国人が期待するようになるが、期待に反して質が伴わない場合、外国人の不満につながることも海外の研究では言及されている。
発展途上国や新興国の二重価格は「その国の経済を支えたい」「発展途上国の文化遺産保全に貢献したい」といった、先進国の観光客による理解があるからこそ受け入れられている側面がある。先進国である日本の場合、同様の受け止め方がなされる保証はない。
観光学的見地からは、二重価格の導入が、国際観光の本質的な価値と矛盾する可能性を指摘したい。
国際観光は人との直接的な交流を通して異文化への理解を高め、国や人種に対する差別や偏見を低減させる側面を持つ。しかし繰り返しになるが、二重価格は受け手が不平等感を抱く可能性があり、観光が本来果たすべき役割を失わせてしまう矛盾をはらむ。また、学生や若者のような支出能力の低い人々の観光体験の機会を奪う可能性も海外の研究では指摘される。
仮に二重価格で観光地や公共交通の混雑を解消する思惑があるとすれば、外国人観光客のみを排除する必然性はなく、倫理上の問題も懸念される。
他方、地方自治の観点からは、宿泊税や入湯税のような地方税法による徴収と同様に、二重価格も地方自治体の財源確保手段として捉えることができる。
自治体が観光客や住民へのサービス向上に生かすために独自財源を確保しようとする姿勢は評価されるべきだ。しかし二重価格ありきではなく、あらゆる財源確保方法を俎上(そじょう)に載せたうえで最善策を採る必要があるだろう。自治体はおのおのの創意工夫で様々な財源確保策を練ることが可能なはずだ。
国や地方自治体が二重価格の導入に踏み切ると、民間事業者による追従も起こりうる。日本中に二重価格があふれるのは、政府が目指す「観光先進国」として適切ではなかろう。
訪日外国人による年間消費額は24年に8兆円を超え、日本経済への貢献も少なくない。さらに外国人から搾り取るような二重価格は両刃の剣ともなりうる。
かつて1990年代後半の円高時代、外国人観光客に日本文化への理解を深めてもらうと同時に、外国人との交流を通じた地域の国際化を期待し、日本は外国人観光客の旅行低廉化を目的とする割引クーポンを配る政策を行っていた。
翻って2020年代の円安時代、二重価格の議論は日本が外国人観光客の来訪に何を期待するかが試されているとも言える。それは金銭か、それ以外なのか。二重価格導入の是非以前に、国が観光に対する理念を持つ必要がある。
<ポイント>
○二重価格は途上国や新興国で導入が先行
○海外の研究では外国人が不快感抱く恐れ
○価格を変えるなら追加サービスが必要に
にしかわ・りょう 85年生まれ、東京大博士(工学)。専門は観光政策。日本交通公社研究員を経て現職
資金循環で見る日本企業の姿(4) 巨額な内部留保の使い道 帝京大学教授 田中賢治(やさしい経済学)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 27ページ 849文字 PDF有 書誌情報]
2010年代からの企業収益は大幅に拡大しています。財務省の「法人企業統計年報」で金融・保険を除くデータを見ると、フローの内部留保の蓄積に相当する利益剰余金は23年度末で601兆円に達します。
ただし、この利益剰余金が直ちに企業の「ため込み」を示すわけではありません。内部留保の積み上がりは企業が稼いだ成果です。この資金が将来に向けた投資につながっていれば「ため込み」ではありません。この資金はどこへ向かったのでしょうか。
10年度から23年度にかけて、利益剰余金は307兆円増加しました。その間、設備投資の伸びは鈍く、有形固定資産は69兆円しか増加していません。無形固定資産も18兆円の増加にとどまっています。
同じ期間に、自己株式の保有は22兆円増加しました。いわゆる自社株買いです。成長期待が小さく、有望な投資プロジェクトを見つけにくい中、ここ2、3年は、株主への利益還元策として自社株買いを活用する動きが広がっています。
さらに、企業が保有する現預金は137兆円も増加し、23年度末で302兆円に達します。ただし、この現預金もすべてが保守的な企業経営による「ため込み」を示すわけではありません。国内に有望な投資プロジェクトがないため、当面は現預金として保有し、将来の投資機会を見据えて来たるべき時期に備えるケースもあります。
また、1990年代初めのバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックを経験し、企業は流動性ショックへの備えとして現預金保有のニーズを高めています。神戸大学の本田朋史特命准教授らの研究でも、売り上げの変動が大きい企業は、コロナ禍で現預金保有を拡大していました。
一方、現預金よりも増加幅の大きい項目があります。「投資その他の資産」が313兆円増えているのです。主な内容は、国内あるいは海外での子会社設立や他社の買収による株式など有価証券の取得です。設備投資と現預金だけを見ると保守的な企業経営を連想しがちですが、企業は設備投資とは別の形で大規模な投資をしているのです。
夜間中学、独自の教育の確立を 中央大学教授(日本語教育学) 中川康弘(私見卓見)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 27ページ 0文字 書誌情報]
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阿部一ら小兵が熱気 きょう全日本柔道 体重無差別 「脚取り」解禁 軽量級に勝機[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 1154文字 PDF有 書誌情報]
体重無差別で争う柔道の全日本選手権が29日、東京・日本武道館で行われる。今年は男子66キロ級で五輪2連覇の阿部一二三(パーク24)ら、軽量級のパリ五輪メダリストがそろって挑戦する。大会独自のルールで下半身への攻撃が一部認められ、小兵にも勝機が広がる。真の「日本一」を決める伝統の大会は例年以上の熱気を帯びている。
「一度は柔道家として立ってみたい舞台。最初で最後のつもりで出たい」。3月、阿部一は全日本選手権に初参加する意向を表明した。五輪メダリストや世界選手権覇者には推薦選手として出場権が与えられる。阿部一にもこれまで何度か出場のチャンスはあったが、けがのリスクを考慮して回避していた。
今年は阿部一のほかにもパリ五輪男子60キロ級銅メダルの永山竜樹、同73キロ級銅メダルの橋本壮市(いずれもパーク24)ら軽量級の強豪が続々参加。近年の全日本は注目度が低下していたが、既に指定席のチケットは完売状態という。
阿部一は6月中旬に5度目の優勝が懸かる世界選手権(ブダペスト)を控えている。過去と同様に出場しない選択肢もあっただろう。決断の背景には全日本選手権のルール改正がある。今年は立ち姿勢で相手と組んだ状態であれば、帯から下への攻撃が認められる。国際ルールでは罰則対象とされている「脚取り」が解禁されるのだ。
軽量級の選手は「すくい投げ」など重量級に対抗できる技が出せるようになる。レスリングのタックルのような技が横行したため、国際ルールでは2013年から下半身への攻撃が全面的に禁止されていたが、全日本柔道連盟の大迫明伸審判委員長は「下半身への攻撃は(本来)素晴らしいテクニック。その魅力を日本から発信するべきだと考えた」と説明する。
近年の全日本は独自路線を歩む。昨年からは国際ルールの延長戦が廃止され、旗判定が復活。ポイントは奪えずとも積極的に技を出した姿勢が評価されるため、中軽量級の選手にとっては戦いやすくなったといえる。
同じルールで開催された20日の全日本女子選手権ではパリ五輪48キロ級金メダルの角田夏実(SBC湘南美容クリニック)が重量級相手に2勝を挙げた。
男子で有名なのが1992年バルセロナ五輪71キロ級王者の故・古賀稔彦さんだろう。89年世界選手権を制していた古賀さんは、90年大会で重量級の選手を次々破って決勝に進出。最重量級の世界王者だった小川直也さんの足車に沈み頂点には立てなかったが、その戦いは今も語り草だ。
阿部一は3勝を目標に掲げる。「古賀先生みたいな、軽量級でも重量級と戦えるんだと子供に夢を与えられるような柔道をしたい」。「柔よく剛を制す」戦いでトーナメントをかき回せるか。
(木村祐太)
【図・写真】男子66キロ級で五輪2連覇の阿部一(右)は全日本選手権初挑戦
大相撲夏場所新番付 高安、小結に復帰 霧島は関脇に[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 424文字 PDF有 書誌情報]
日本相撲協会は28日、大相撲夏場所(5月11日初日、両国国技館)の新番付を発表した。先場所に東前頭4枚目で12勝を挙げ、優勝決定戦で敗れて初賜杯を逃した高安が東小結に座った。小結復帰は2024年初場所以来となる。霧島は24年九州場所以来3場所ぶりに関脇に返り咲いた。
先場所12勝3敗で優勝決定戦を制して3度目の優勝を果たし、今場所で綱とりに挑む大の里は東の大関に座った。先場所前頭筆頭で9勝6敗とした若隆景が2場所ぶりに小結に復帰した。
24年6月に中村親方(元関脇嘉風)が独立して創設した中村部屋からは、嘉陽が新入幕となる東前頭16枚目に座り、同部屋初の幕内力士となった。東前頭18枚目の栃大海は、春日野部屋からでは11年の栃乃若以来14年ぶりの新入幕となる。先場所新関脇で6勝9敗と負け越した王鵬は西前頭筆頭。元大関御獄海は十両筆頭に落ちた。元大関朝乃山は西三段目21枚目まで番付を下げていた先場所で7戦全勝とし、西幕下14枚目に上がった。
有村智恵 変わる「試合勘」の磨き方(スポートピア)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 1106文字 PDF有 書誌情報]
4月、女子ツアーのヤマハレディースオープン葛城とKKT杯バンテリンレディースに出場した。昨年の出産を経て2年ぶりのツアー復帰。結果は通算10オーバーの113位タイと同5オーバーの77位タイで、予選突破はかなわなかった。
4ラウンド連続オーバーパーだったが、思ったよりやれたというのが本音だ。ヤマハの前は緊張感があった。舞台の葛城GCは距離が長いことに加えて砲台グリーンが多く、高い弾道で止めるショットが求められる。どうなることかと思ったが、同組の選手にティーショットで大きくおいていかれることはなかったし、技術面でもまだまだいけると手応えを得られた。
故郷で開催されたKKT杯は距離よりも正確性が問われる熊本空港CCが合っていて、バーディーチャンスを多くつくれた。子どもたちの世話で直前までせわしなく、緊張する暇さえなかったことも良かったのだろう。今後はこういう感じで試合を迎えることが増えるのだろう。
ブランクを感じたのは「試合勘」と呼ばれる部分だ。実戦で結果を残すには良い球を打てるだけでは足りない。グリーン上で球がどういう転がり方をするのか。ショットに対して、風がどれぐらい影響するのか。試合に出続けていると自然にわいてくるこうしたイメージが、いまはなかなか出てこない。正しいイメージを持てないと、体が思うように動かなかったり、うまく打ててもボールが思わぬ方向に行ったりする。だからチャンスをモノにできない。
多くの大会に出て試合勘を取り戻すのは現実的ではないが、プライベートのラウンドでもできることはある。グリーンのラインや風をしっかり読み、スコアもつけてアンダーパーで回る意識をもつこと。それを続けるだけで徐々に変わってくるはずだ。
KKT杯の初日、不動裕理さん、横峯さくらさんとのラウンドでは色々な話が聞けて楽しかった。若手選手はハードなトレーニングや練習を積んで結果を出していくが、ベテランになり、家庭もあるとそれは無理。不動さんもいまは短時間集中で練習しているという。さくらさんは負荷をかけるトレーニングより、ウオーミングアップやストレッチに時間を割くとのことだった。私は時間がないとハードなメニューを選択し、体を痛めてしまうことがあるので勉強になった。
次の試合は9月の日本女子プロ選手権になるだろうか。今季、私より年上の選手が活躍しているのは励みになる。結果にしがみついていた頃とは違うが、納得できる一打を増やしたいのはゴルファーの本能だ。全盛期のように8割とまではいかなくても、6割ぐらいは目指したい。まずは優勝を考えられるレベルまで早く戻りたいとヤル気になっている。
(プロゴルファー)
カーリング混合ダブルス、日本2勝1敗(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 182文字 PDF有 書誌情報]
【フレデリクトン(カナダ)=共同】来年のミラノ・コルティナ冬季五輪出場枠が懸かるカーリング混合ダブルスの世界選手権第2日は27日、カナダのフレデリクトンで1次リーグが行われ、B組で日本代表の松村千秋(中部電力)谷田康真組はノルウェーに5―8で敗れ、チェコには7―6で勝って2勝1敗とした。チェコ戦は第8エンドの2点で追い付き、延長の第9エンドに1点スチールした。
プレーオフで八村23得点、チーム3敗目 NBA(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 177文字 PDF有 書誌情報]
【ミネアポリス=共同】米プロバスケットボールNBAは27日、各地でプレーオフ1回戦(7回戦制)が行われ、西カンファレンスでレーカーズの八村塁は敵地ミネアポリスでのティンバーウルブズとの第4戦に先発し、41分9秒プレーして23得点、5リバウンドだった。第3シードのレーカーズは第6シードのティンバーウルブズに113―116で競り負け、対戦成績は1勝3敗。
3冠牝馬リバティアイランド、香港で安楽死(短信)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 133文字 PDF有 書誌情報]
2023年の3冠牝馬リバティアイランドが27日、安楽死の処置を受けた。同馬が所属するサンデーサラブレッドクラブが公式サイトで発表した。同日、香港で行われたクイーンエリザベス2世カップ(GⅠ)に出走し、最後の直線で故障。競走を中止した後、獣医師が予後不良と診断した。
(シェブロン女子ゴルフ)西郷劇的メジャー初V プレーオフ5人、バーディー決めた[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 1667文字 PDF有 書誌情報]
あきらめず夢へ1打集中 日本勢全5大大会制覇
【ウッドランズ(米テキサス州)=共同】女子ゴルフのメジャー初戦、シェブロン選手権は27日、米テキサス州ウッドランズのカールトンウッズ・クラブ(パー72)で最終ラウンドが行われ、23歳の西郷真央が通算7アンダーの281で並んだ5人のプレーオフを制してメジャー初優勝を果たした。米ツアーも初制覇で賞金120万ドル(約1億7280万円)を得た。
日本勢はこの大会の勝利も初で、これで女子メジャー5大会全てで勝った。メジャー制覇は昨年のエビアン選手権の古江彩佳以来で5人目(6度目)。トップから出た西郷は3バーディー、5ボギーの74とスコアを落としたが、プレーオフ1ホール目でただ一人バーディーを決めた。
その他の日本勢は古江、岩井千怜、山下美夢有が通算2オーバーの30位で、吉田優利は40位となった。
◇
優勝インタビューで勝者恒例の儀式をやるかどうか聞かれた西郷は「ジャンプ!」と応じた。仲間と手を取り、池に歓喜のダイブ。「夢にまで見たメジャー優勝」の喜びに浸った。
「もう勝てないのではと思った。あきらめないでよかった」。米女子ツアー参戦1年目の昨季、「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」(新人王)を受賞した栄光は敗戦の悔しさと背中合わせ。トップ10入り7回を数え、うち2回がメジャーの全米女子プロと全英女子オープン(ともに7位)だった。
ネバーギブアップの真骨頂が今大会72ホール目の18番で決めた、上りの約3メートルのバーディーパット。外せばプレーオフに残れないという崖っぷち。「あれをど真ん中で決め切れたのが、プレーオフでも自信になった」
世界の女子ゴルフのトップを競い合う米国、韓国、中国、タイ、日本の5人による豪華なプレーオフ。メジャーで5人のプレーオフは史上初めてだった。優勢、劣勢がワンショットでめまぐるしく入れ替わる中、1打集中を貫いた西郷が最後に1メートルのバーディーパットを沈め、かっこよく「サヨナラ勝ち」だ。「手だけじゃない、全身が震えた」
尾崎将司が主宰するゴルフアカデミー1期生として高校1年で弟子入り。原英莉花、笹生優花、佐久間朱莉らとともに師匠が造った練習場で腕を磨いた。最も評価されているのが「日本一のゴルフ脳」。冷静な判断力と緻密なマネジメントで2019年日本女子アマを優勝。新型コロナウイルス禍と重なるプロ転向後の4年間で何度も惜敗を繰り返しながら国内6勝をマークした。
シェブロン選手権は、これまで日本勢が唯一未勝利だったパワーヒッター有利のメジャータイトル。6911ヤードと距離もあるコースのパー3で4日間、決勝進出者最多の6アンダーとスコアを稼ぐことで優勝につなげた。
今季米女子ツアーに参戦する13人のツアーメンバー全員が出場権を確保して挑み、11人が決勝ラウンドをプレー。今季ツアーの全試合で誰かがトップ10入りを続けてきたチームニッポン全員で勝ち取った金星といえそうだ。
1977年全米女子プロで樋口久子が男女を通じ初めて日本にメジャータイトルをもたらしてから48年。日本勢に残された最後のとりでを攻略し、日本女子ゴルフ界は現行の女子メジャー5大会をすべて制覇した。
2019年全英女子オープンで初出場初優勝という鮮烈な世界デビューを飾った渋野日向子が「ジャパン・グランドスラム」の火付け役となった。同じ学年の畑岡奈紗、勝みなみ、小祝さくらといった1998年度生まれの多士済々の「黄金世代」が国内外で活躍。その背中を後輩たちが追いかける。
昨年エビアン選手権優勝の古江彩佳は2000年生まれの「ミレニアム世代」、01年生まれの西郷、すでに米女子ツアー2勝を挙げている竹田麗央は03年生まれで「新世紀世代」。1998年全米女子オープンを制した朴セリが韓国女子ゴルフを隆盛に導いた時と似たような現象がいま、日本で起きている。
(編集委員 串田孝義)
【図・写真】最終ラウンド、2番でティーショットを放つ西郷=共同
【図・写真】メジャー初優勝を果たした西郷=共同
(サッカー)川崎初の4強 ACLE 脇坂が決勝弾 延長制す[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 31ページ 749文字 PDF有 書誌情報]
【ジッダ(サウジアラビア)=共同】サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)は27日、集中開催地のサウジアラビアのジッダで準々決勝が行われ、川崎がアルサド(カタール)を延長の末に3―2で下し、初めて4強入りした。2度先行しながらも同点とされて延長戦に突入、98分に脇坂が勝ち越し点を挙げた。
ベスト4が出そろい、準決勝で川崎はポルトガル代表FWロナルドを擁するアルナスル(サウジアラビア)と30日(日本時間5月1日未明)に対戦する。
もう1カードはアルヒラル―アルアハリのサウジアラビア勢対決で29日(同30日)に行われる。
◇
ついに8強の壁を破った。2―2で延長戦に突入した98分、川崎は相手のミスから瀬川、山田とつなぐと、脇坂が気力を振り絞って走り込んだ。脚をつりながらも、チームをアジアの舞台で初の4強へ導くゴール。死闘を制し「自分が出せるものを全部ピッチで出した」と喜びを爆発させた。
2度先行し、そのたびに追い付かれる展開だった。夜でも気温30度ほどの条件で、川崎だけでなく、気候に慣れているはずのアルサドの選手も後半途中からは足が止まり始めた。その中で個々が球際で負けず勝利への執念で上回った。脇坂は「主将として、チームを同じ方向に向かせることができた」と胸を張った。
国内三大タイトルを全て取ってきた川崎にとってアジア制覇は悲願だ。過去、ACLでは3度もベスト8で涙をのんできた。今回は食事面で協賛企業からのサポートを受けるなどクラブの総力を挙げた戦いが実った。
中東の地で東地区勢として唯一4強入りを果たした。長谷部監督は「西側が強い、というイメージを準決勝でもまた変えたい」と意気込んだ。
(共同)
【図・写真】延長前半、決勝ゴールを決める川崎・脇坂(奥)=共同
公立高校、デジタル併願で門戸広く 志望順・共通試験で合否判定 中堅以下「定員割れも」[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 1328文字 PDF有 書誌情報]
公立高校入試で1人1校しか受験できない「単願制」の是正に向け、政府が検討を始めた。共通試験によって自動で合否を決める「デジタル併願制」を想定している。志望校に挑戦しやすくなるとの期待がある一方、中堅以下の高校や専門高校の定員割れが進む可能性を指摘する声もある。
「公立に行ってもらうために、受験する高校のレベルを1つ下げてもらった。息子に申し訳ない」。この春に長男が大阪府立高に入学した40代女性はこう明かす。
大阪府では高校無償化が進んでいるものの、女性は「私立は授業料以外の費用がかさむ。子どもが5人おり、経済的な負担から私立は難しかった」と話す。
単願制では、本来の希望や学力に見合った高校を選べないという課題が指摘されてきた。私立との併願は可能だが、経済的な事情から公立に絞り、確実な合格を目指して志望校を下げる現象が起きるからだ。
そこで浮上したのがデジタル併願制だ。経済学者が政府に提出した案では、受験生は志望順位をつけて複数校を受験。共通試験などの結果に応じて、受け入れ保留(DA)アルゴリズムが入学先を決定する。受験生の挑戦回避や不公平感の解消につながるとされている。
石破茂首相が22日、文部科学省やデジタル庁などに検討を指示した。
愛知県は1989年から併願制を実施している。学校をAとBの2グループに分割。生徒は各グループから1校ずつ選び、計2校受験できる。
学力検査は全校共通で採点基準をそろえるためにマークシート式を採用している。各校が学力検査の成績と調査書を点数化して校内順位をつけ、県のコンピューターに集約。県の独自システムによって合否が決まる。
同県教育委員会の担当者は「目標の学校と安全圏にある学校の両方を受験できる」と説明する。
一方、デジタル併願制で公立上位校の志望者が増え、中堅以下の高校や専門高校で定員割れが進むとの指摘もある。
全国高等学校長協会の内田隆志会長(東京都立三田高校長)は「定員割れが起きそうな学校への施策の充実について考えないと、安易な進路選択と過度な受験競争につながってしまう」とする。
愛知県では近年、私立高を「滑り止め」にして公立は上位校だけを受験する生徒が増加。上位校の志願倍率が高くなる傾向にあるほか、2校とも不合格になる「ダブル落ち」が多くなり、25年度入試では計約2400人の欠員が生じたという。
筑波大学の藤田晃之教授(キャリア教育学)は「共通試験などの単一的な指標で合否を決めると、学校が序列化される。偏差値が重視されるようになり、学習は受験の手段と考えて、受験が終わった後は学びに関心を持たない子どもが増えてしまう」と危惧する。内田氏は「特色や理念、教育内容では学校が選ばれなくなるのではないか」と話す。
実務面でも課題はありそうだ。東京都立高校の一般入試では、共通試験がある一方で、「進学指導重点校」などに指定された学校は独自の入試問題を課している。共通試験では採点のばらつきがでやすい記述式を出しにくくなる可能性もある。
公立高校の入試は各自治体が担う。デジタル併願制についても、各自治体が高校の教育や入試のあるべき姿を定め、導入の是非や制度設計を検討していくことになる。
春の叙勲 喜びの声――旭日大綬章/中村邦晴氏 元住友商事社長 自由貿易の意義 発信に力[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 472文字 PDF有 書誌情報]
住友商事や日本貿易会のトップとして、自由貿易の意義を発信し続けた。「これまで国際経済秩序の維持・強化に微力ながら尽力してきた。不確実性が高まる中、日本が貿易・投資立国としての役割と期待にこたえていくことが重要だ」と力を込める。
2012年に自動車部門出身として初めて住友商事の社長に就任した。後に世界2位の保有・管理機体数に成長する航空機リース事業に同年参入した。14年には欧州で洋上風力への参画を発表し、再生可能エネルギー事業の礎も築いた。
18年には日本貿易会会長に就いた。第1次トランプ米政権下、報復関税の応酬となった米中貿易戦争を念頭に「日本が自由貿易の旗振り役になろう」と呼びかけた。新型コロナウイルスが流行し始めた20年初めにはサプライチェーン(供給網)の混乱にいち早く警鐘を鳴らした。
直近は住友グループの万博推進委員会の委員長としてパビリオンの整備やPRに奔走し、社会貢献と事業の両立をうたう住友商事の事業精神「自利利他公私一如」を体現した。「受章を励みにいのち輝く未来社会を築き、次世代に引き継げるように精進したい」と話す。
春の叙勲 喜びの声――旭日大綬章/リー・シェンロン氏 前シンガポール首相 日本と深い信頼関係築く[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 463文字 PDF有 書誌情報]
2024年まで20年にわたりシンガポールの首相を務め、同国の発展をけん引した。財務相や副首相などを務めた後、04年に第3代首相に就任。24年5月にローレンス・ウォン氏に首相職を譲った後も閣内に残り、現在は上級相としてウォン氏を支えている。
「建国の父」であるリー・クアンユー初代首相の息子としての知名度を生かし、国家戦略を主導。金融・貿易ハブとしての機能を高め、金融機関や企業の東南アジア統括拠点としての地位を固めた。マリーナベイやセントーサ島などの観光資源を開発し観光客を呼び込んだ。
東南アジアを代表する政治家の一人として、大国間でバランスを取る外交を展開し、アジア全体の平和や安定について積極的に発言してきた。
受章についてリー氏は「深く光栄に感じる」と述べ、「両国の指導者と国民は長年かけて深く、実質を伴うパートナーシップを築いてきた」と振り返った。
シンガポールと日本は来年、国交の樹立から60周年を迎える。「シンガポールと日本の友好関係が、今後とも世代を超えてさらに発展していくことを心より願っている」と述べた。
春の叙勲 喜びの声――旭日重光章/内藤晴夫氏 エーザイ代表執行役CEO 革新的新薬、創出を後押し[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 460文字 PDF有 書誌情報]
1988年にエーザイの経営トップに就いた。経営トップとして認知症やがんなど患者のニーズの大きい領域で革新的な新薬の創出を後押しした。熱帯病への取り組みなどグローバルヘルスにも尽力した。「旭日重光章受章の栄に浴したことを大変光栄に思う」と話す。
患者中心の「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念」を経営の軸に据えた。功績の一つがアルツハイマー病の原因に対処する世界初の薬「レカネマブ」の開発だ。米バイオジェンと2023年に発売し、世界の認知症治療を先導する。
「顧みられない熱帯病」への取り組みにも力を注いだ。自社開発のリンパ系フィラリア症薬の無償提供を続ける。業界活動も精力的に関わり、12年には日本製薬団体連合会会長に就き、医療の質の向上と業界の発展に貢献した。
エーザイは社員が就業時間内に患者と過ごすなど、患者を中心としたイノベーション創出を重視する。「患者様こそヘルスケアの主役と定めてきた。患者様の満足の増大と健康福祉への貢献は自身の使命だ。人々の健康憂慮の解消と医療格差の是正を目指し精進していく」と語る。
春の叙勲 喜びの声――桐花大綬章/大島理森氏 元衆院議長 与野党に人脈、熟議へ動く[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 451文字 PDF有 書誌情報]
青森県議などをへて故河本敏夫元通産相らの後押しをうけ1983年の衆院選で初当選した。環境庁長官、文相、農相と政府の重職を歴任した。
自民党の野党時代は幹事長、副総裁として当時の谷垣禎一総裁を支えた。2012年の政権復帰へ道筋をつけた。国会対策が長く自民党の国対委員長を2度つとめた。与野党に広い人脈をもつ。
人脈づくりの秘訣を「意見の違いがあっても好き嫌いがあってはいけない。最後は人間の誠実性。違いは違いとして認め、寛容性とともに自己を律し感情をどう乗り越えるかがどの社会でも大事だ」と語る。
15年に衆院議長へ就任した。在任期間は2336日と歴代最長になった。上皇さまの天皇退位特例法のとりまとめに尽力した。
受章について「衆院や内閣、公のために働いたこと、政治の道を歩み続けたことに対しての受章と思い、心から感謝するとともに身に余る栄誉を感じている」と話す。
いまの政治に「熟議が国会のテーマになっているが、個別の政策だけでなく日本がどうなっていくかの姿を大いに議論してほしい」と注文をつけた。
古田佑紀氏(元最高裁判事)(死去)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 126文字 PDF有 書誌情報]
古田 佑紀氏(ふるた・ゆうき=元最高裁判事)3月20日、間質性肺炎のため死去、82歳。告別式は近親者で行った。
最高検刑事部長や次長検事を歴任し、2005~12年まで最高裁判事。東芝の不正会計問題発覚後に社外取締役となり、同社監査委員会委員も務めた。
岩井国臣氏(元参院議員)(死去)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 121文字 PDF有 書誌情報]
岩井 国臣氏(いわい・くにおみ、元参院議員)4月21日、肺血栓塞栓症のため死去、87歳。お別れの会は6月3日正午から静岡県東伊豆町稲取1624の1の稲取銀水荘。喪主は次男、茂樹氏。
1995年に自民党から比例代表に出馬し初当選、2期務めた。
高山俊隆氏(元三和ホールディングス社長)(死去)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 93文字 PDF有 書誌情報]
高山 俊隆氏(たかやま・としたか=元三和ホールディングス社長)4月21日、病気のため死去、85歳。連絡先は同社秘書課。お別れの会を行うが日取りなどは未定。喪主は同社社長で長男、靖司氏。
朝倉龍夫氏(元日本合成ゴム〈現JSR〉社長)(死去)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 77文字 PDF有 書誌情報]
朝倉 龍夫氏(あさくら・たつお=元日本合成ゴム〈現JSR〉社長)3月23日死去、96歳。連絡先は同社総務部。告別式は近親者で行った。喪主は長男、琢磨氏。
私大「受験→入学費」が最高、首都圏231万円 宿泊代高騰[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 318文字 PDF有 書誌情報]
2024年4月に首都圏の私立大に入学し、自宅外から通う学生の受験費用や入学金、敷金・礼金といった「受験から入学までの費用」は、前年から1万2600円増え、過去最高の231万4781円だったことが28日までに、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査で分かった。
1人当たりの受験回数がやや減った一方で、交通費や宿泊代を含む受験費用は前年比2万円増の27万3800円となり、同教連は「宿泊費の高騰が影響した」とみている。
下宿生の毎月の仕送り額(6月以降の平均)は前年比800円減の8万8500円だった。
調査は24年5~7月に実施。栃木、埼玉、東京の3都県の8大学1短大に入った学生の保護者約3910人から有効回答を得た。
鳥居愼譽氏(元真言宗豊山派管長、元総本山長谷寺化主)(死去)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 138文字 PDF有 書誌情報]
鳥居 愼譽氏(とりい・しんよ=元真言宗豊山派管長、元総本山長谷寺化主)3月1日死去、91歳。自宅は東京都豊島区巣鴨3の21の21の眞性寺。
2004年から08年まで真言宗豊山派第30世管長。宗葬式は6月13日午後1時から東京都文京区大塚5の40の1の大本山護国寺で行われる。
国内最高齢女性、岐阜の115歳死去[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 32ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省は28日、国内最高齢の115歳だった岐阜県土岐市の林おかぎさんが4月26日、心不全のため同市内の病院で死去したと発表した。新たな国内最高齢は愛知県幸田町に住む114歳の近藤ミネさんとなった。
リチウムイオン電池廃棄、ルール浸透せず 発火事故急増 適切な分別の周知必要 ごみ処理場の被害額、年100億円[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 1696文字 PDF有 書誌情報]
電化製品に用いられるリチウムイオン電池が分別せずに捨てられて発火する事故が急増している。ごみ処理施設の被害額は年100億円との推計もあり、環境省は全ての市町村に分別回収を求める通知を出した。様々な用途が広がるなかで廃棄方法のルールが浸透しておらず、適切な処分方法の周知が求められる。
1月3日、埼玉県川口市のごみ処理施設「朝日環境センター」で火災が起きた。火元は可燃ごみを一時的に保管する場所。鎮火まで26時間以上かかった。原因は特定できていないが、ごみに紛れたリチウムイオン電池が発火した可能性があるという。
市はごみ収集を一時停止し、集積所に年末年始のごみがあふれる地域もあった。クレーンや電気設備が損傷し、同センターは2025年末まで稼働できない見込み。市内の別の処理施設に加え、さいたま市など近隣自治体や民間業者にも処理を委託している。
設備の修繕は24年度の補正予算に盛り込んだ分だけで6億6000万円。さらに膨らむ可能性が高い。市担当者は「分別せずに捨てると、大きな事故につながる」と訴える。
リチウムイオン電池は電極間をリチウムイオンが行き来することによって放電を繰り返す。高出力で小型化しやすいため、スマートフォンやモバイルバッテリー、加熱式たばこをはじめ、様々な製品に使われるようになった。
強い圧力や衝撃が加わると発火する危険性があり、自治体は他の可燃ごみなどと一緒に出さないよう呼びかけているが、分別せずに捨てる人は後を絶たない。収集車の回転板の圧力で発火してしまうケースも増えている。
「依然として不燃ごみに出す住民が多い」。愛知県春日井市の担当者は語る。21年度から金属類として指定の袋で集めるルールにしたが、22年1月にリチウムイオン電池が原因とみられる火災が発生。処理施設の修繕に8億円かかった。施設内に熱を感知する機器を導入したところ、今も1日3件ほど感知しているという。
環境省によると、23年度の収集や処理時に起きた発火や発煙は2万1751件。19年度(9732件)から倍増し、過去最多を更新した。
国立環境研究所の寺園淳上級主席研究員はリチウムイオン電池の火災による全国の処理施設の被害額が年100億円と推計。「報道されている被害金額は氷山の一角だ。修理費に加え、停止期間中の処理の外部委託費もかかる。処理中に頻発する発火への対応にも労力を要する。自治体にとって『見えない被害』も深刻だ」と話す。
人員不足や処理コストなどを理由に回収業務を行っていない自治体も少なくない。23年度時点で分別回収を実施している自治体は全体の約75%にとどまる。
神奈川県茅ケ崎市は業界団体の一般社団法人JBRCが市庁舎や電器店などに置く回収ボックスを活用するよう住民に求めており、「市が処理するものではないとの認識だった」(担当者)。環境省の通知を受け、回収や処理の方法を今後検討する。
福島県玉川村は「専門の業者に処理を依頼するため費用負担が重い」と説明。これまでは販売店に引き取りを頼むよう住民に伝えていたという。
分別回収に取り組む自治体が今後増える可能性はあるが、適切な方法での廃棄を徹底できなければ発火を防げない。
使用済み電池から希少金属を取り出せることもあり、資源有効利用促進法はスマホなど29品目について使用済み製品の回収をメーカーに求めるが、同法が回収対象としていない携帯型扇風機やワイヤレスイヤホンにも使用が広がっている。
環境省の通知は「どのような製品に使われているのか十分に周知されていない」とし、リチウムイオン電池を用いる品目を具体的に住民に示すよう自治体に求めた。不適切な捨て方をすればごみ収集が止まるリスクの注意喚起も促した。
リサイクルに詳しい早稲田大の所千晴教授は「ごみに混ぜて捨てると、火災を引き起こすことを認識する必要がある。リサイクルや適正処分に配慮されている電池を選び、適切な場所や方法で処分することが消費者に求められている」と話す。
【図・写真】リチウムイオン電池が発火し、全焼したリサイクル工場=日本容器包装リサイクル協会提供
IC誤進入、3キロ逆走か 東北道の事故、死亡男性[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 725文字 PDF有 書誌情報]
栃木県那須塩原市の東北自動車道上り線で計3人が死亡し、10人が重軽傷を負った逆走多重事故で、逆走車は黒磯板室の料金所からインターチェンジ(IC)に入り、反対車線に誤進入したとみられることが28日、捜査関係者への取材で分かった。
3キロ以上逆走し、追い越し車線で正面衝突していた。県警は誤進入した経緯を調べる。
黒磯板室ICは料金所を抜けると信号のある丁字路となり、右折して上り線に入る構造。左からは本線を降り料金所に向かう車が合流する。逆走車は左折して、この車線に入ったとみられる。
この車線には進入禁止の標識があり、路面が赤と青に色分けされているものの、物理的に遮る構造物はない。栃木県内の東北道では2024年8月にも逆走事故が2件あった。
逆走して衝突し死亡したのは宇都宮市峰町の職業不詳、前原勇太さん(42)。事故は那須IC―黒磯板室IC間で発生した。
捜査関係者によると前原さんは26日午後10時ごろ、東側の路肩を走行し、黒磯板室ICから500メートルほどの場所で接触事故を起こした。その後約2.7キロ北上し、乗用車と正面衝突。岩手県北上市の男性会社員(56)が亡くなった。2台は走行車線を走り、お互いに避けようとハンドルを切り、追い越し車線で衝突した。目立ったブレーキ痕もなかった。
別の2台も巻き込まれた。影響で渋滞が発生し、衝突現場から約1キロ離れた地点で午後10時20分ごろ、トラックが追突し埼玉県川越市の女性(60)が亡くなるなど6台が絡む事故となった。
県警はドライブレコーダーの映像や、目撃者の証言から事故の詳細を調べる。
【図・写真】東北自動車道で正面衝突し大破した2台の乗用車。右が逆走した車両(27日、栃木県内の警察施設)
信長の朱印状、100年ぶり再発見 滋賀の百済寺 「天下布武」、寺の権利を保障[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 462文字 PDF有 書誌情報]
滋賀県東近江市の百済寺で所在不明だった織田信長の朱印状の原本が約100年ぶりに発見され、28日、同市が発表した。初期の「天下布武」の朱印で寺の権利や財産などを保障する内容。寺を信長の祈願所と位置づけて対抗勢力の来訪を禁止した条文もあり、寺を特別視していることが珍しいという。
市によると、朱印状は縦31センチ、横43.6センチ。信長が永禄11年(1568年)9月に足利義昭を伴って岐阜から上洛(じょうらく)した途中、対抗勢力であった六角氏の居城だった観音寺城(滋賀県近江八幡市)を落とし、周辺を支配下に収める際に地域の有力な寺社である百済寺に発給した。
条文は信長の右筆だった武井夕庵によって書かれたとみられる。信長は前年11月ごろから「天下布武」の朱印を使用したとされ、初期の朱印の可能性が高い。
この朱印状は1929年刊行の郷土史「近江愛智郡志」に掲載されたが、その後、所在不明だった。2022年度から市が百済寺の古文書約千点を調査する中で見つけた。
【図・写真】発見された織田信長の朱印状に押印された「天下布武」の朱印
橋本元五輪相の事務担当者は「不起訴不当」 裏金事件で検察審議決[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 305文字 PDF有 書誌情報]
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、東京第1検察審査会は28日までに、東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑で不起訴とした橋本聖子元五輪相(参院比例)の関連政治団体の事務担当者について、「不起訴不当」を議決した。
10日付。特捜部は再捜査し、改めて刑事処分の可否を判断する。橋本氏や団体の会計責任者の不起訴については「相当」と判断した。検審は、1855万円に上った政治資金収支報告書の不記載額が「国民感覚からすれば高額」と指摘。不記載を繰り返し悪質だとし、事務担当者の処分を「見直すべきだ」と強調した。橋本氏らの不起訴には、判断を覆す理由がないとした。
神戸学院大の上脇博之教授が審査を申し立てていた。
高1の息子殺害、容疑の父親逮捕 宮城[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 237文字 PDF有 書誌情報]
自宅で高校1年の息子(15)の背中を刃物で刺すなどして殺害したとして、宮城県警は28日、同県石巻市流留七勺の会社員、佐々木嘉志容疑者(48)を殺人の疑いで逮捕した。「間違いない」と容疑を認めている。
逮捕容疑は28日午前7時ごろ、自宅で息子の慧太さんの背中を刃物で刺し、首を絞めるなどして殺害した疑い。背中には複数の刺し傷があり、首にはロープの痕があった。
県警は血の付いた調理用ナイフとロープを押収。動機などを調べる。
県警によると、佐々木容疑者は慧太さんと2人暮らし。
知床の観光船、運航開始 事故から3年、波高く小型は欠航[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 228文字 PDF有 書誌情報]
北海道・知床沖で2022年に沈没した観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が拠点とした斜里町ウトロ地区の港で28日、他の事業者の観光船が今シーズンの営業を開始した。初日はやや波が高く、2社が運航する小型船はいずれも欠航。大型船1隻だけが出航した。
午前8時半ごろ、曇り空の下、大型船「おーろら」が約60人の客を乗せて出港。運航会社によると、事故後に地元業者間で定めた自主ルールに基づき、航路の波の高さが1メートル以上に達すると判断して小型船の運航を中止した。
ハワイアン機が羽田に緊急着陸 携帯電話が発火[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 163文字 PDF有 書誌情報]
28日午後6時40分ごろ、ホノルル発羽田行きハワイアン航空457便エアバスA330が羽田空港に緊急着陸した。国土交通省によると、機内で携帯電話が発火。防火かばんに格納し、延焼はなかった。乗客乗員は計約140人で、けが人はいなかった。
東京空港事務所が点検のため、緊急着陸したC滑走路を一時閉鎖。運航への大きな影響はなかった。
川崎の工事現場、資材落下で1人死亡 4人重軽傷[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 33ページ 146文字 PDF有 書誌情報]
28日午前9時40分ごろ、川崎市川崎区東扇島の物流倉庫の建設工事現場で建築資材が落下し、作業員5人が巻き込まれた。神奈川県警によると、50代男性が鉄骨などの資材の下敷きとなり、搬送先の病院で死亡が確認された。
他に10~70代の男性4人が頭から出血するなどして1人が重傷、3人が軽傷だった。
日本脚本家連盟 未払い2億円超 著作権料「分配漏れ」対応急ぐ 団体共通のルールも視野[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 34ページ 1430文字 PDF有 書誌情報]
合わせて2億円を超える著作権使用料の未払いがあったとして、日本脚本家連盟(日脚連)が文化庁から業務改善命令を受けた。「一部にどうしても著作権者を特定できないものがあった」などと日脚連は説明するが、ドラマやアニメなど日本のコンテンツの流通が世界で拡大する中、著作権料の分配に漏れがある現実が浮き彫りになった。
業務改善命令が出たのは3月7日。「2011年度から21年度に収受した使用料のうち約6800万円、10年度以前に収受した使用料のうち少なくとも約1億6800万円について、権利者への支払いが行われていなかった」ことなどについて、著作権等管理事業法に基づく指導がなされている。外部からの通報をもとに文化庁が調査したところ明らかになった。
日脚連はテレビドラマや映画、アニメなどの脚本家の協同組合。著作権料は文化庁が認める著作権等管理事業者(現在は28団体)にまず支払われ、著作権者に分配されることが多い。日脚連はそのひとつで現在、故人を含めて約2500人の著作権を管理している。脚本家全体の55%ほどにあたるという。
未払いが発生した理由について、日脚連は一例として「海外の著作権管理団体から、どの作品のものか分からない、作品名が分かっても、何話のものかなどが不明なものについて入金があり、問い合わせても返事がないことがあった」と説明する。ドラマやアニメでは複数人が脚本を執筆することが少なくない。詳しい情報がないと、分配先を特定できないのだ。
海外ドラマや洋画の吹き替え翻訳者で、著作権管理を委託されていない人の使用料も受け取り、返金せず正しい分配も一部だったことも問題になった。これは「個人情報保護の強化で権利者を捜しにくくなった」ことも背景にあるという。
日脚連の金谷祐子常務理事は「全体の99%以上は正しく分配している。それでもどうしても権利者を特定できないものが残る。どの著作権管理団体にも似た悩みはあると思う」と説明する。
解決策として日脚連では、未分配の著作権料について「新たに規定を作り、10年以上、分配先が分からないお金は、日脚連に著作権管理を委託している脚本家全体の利益になる事業に使うことにした。例えば、著作権料の管理システムの更新に使うことを考えている」という。ただし著作権者が判明した場合は、10年以上たっていても支払うとしている。
これに対し、文化庁著作権課は「未払い金で、返金できるものは返金すべきだ」「契約の見直しにも取り組むべきだ」と課題を提起する。
こうした分配不能金は全体から見ればごく一部だろう。しかしすべての著作権管理団体にあるとすれば相当な額にのぼる。しかも本来は作家らが受け取るべきお金を、日本では管理団体が内部で規定を作れば、ある程度自由に使える。権利者捜しも義務ではない。
こうした現状について、知的財産法が専門の早稲田大学の上野達弘教授は「海外には著作権料の分配不能金を、文化振興や普及啓発など特定の事業に使うことを法令で定めた国もある。日本も著作権管理団体全体に通じるルールや法令を定めることを検討してもよいのではないか」という。
日脚連の高瀬陽丞(ようすけ)著作権部長は今後について「国際的な著作権管理団体とも連携して、海外ではどうしているのか調べたい」とする。文化庁は4月30日までに具体的な改善計画を提出するよう求めている。
(編集委員 瀬崎久見子)
【図・写真】日本脚本家連盟に出された業務改善命令
平井一夫(28) 卒業 機上で打ち明けた引退 成長モード、吉田さんに託す(私の履歴書)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 34ページ 1367文字 PDF有 書誌情報]
ソニーの最高経営責任者(CEO)は膨大な時間を飛行機の中で過ごす。年明けもゆっくり過ごす暇などない。米ラスベガスで開かれるテクノロジー見本市の「CES」に向かうためだ。2017年は1月5日の開幕に先駆けて4日にソニー単独の記者会見を予定していた。
その会場へと向かう飛行機の中でのこと。同乗するCEO室長の井藤安博さんがこの1年の経営方針についてのブリーフィングを始めた。私はこう言って口を挟んだ。
「いや、実は俺もそろそろ潮時かなと思っていてね」
一瞬、キョトンとした井藤さんが「ええっ!」と大声を上げた。以前、本連載で辞任すべきだと考えたことがあると告白したが、その時とは違う。今度は本当に引退の意思を打ち明けたのだ。
当時は前回で触れた映画事業の立て直しのため井藤さんを伴ってロスに飛ぶ少し前のこと。引退と言っても、私が考えていたのは1年余り後の18年4月でのことだ。
この時はすでに意思が固まっていた。理由は様々だが、第1に体がボロボロで、120%の力を出し切れないと感じるようになっていたこと。そして第2に、あの「オートパイロット」の感覚が戻ってきてしまったことだ。
思えばこれが3度目だ。人心が荒廃し空中分解寸前だった米ゲーム子会社「SCEA」、そしてプレイステーション3の大不振に揺れたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、当時)でも、危機を乗り越えた後に私を襲った感覚だった。
「私がいなくてもソニーは自走してくれる」。こう実感したのは、井藤さんと同様にすぐ近くで私を支えてくれたスタッフの何気ないひと言だった。あれはなにかの飲み会の席だった。
「平井さんって、クライシスの時は火の中に飛び込むのに、平時になると人に任せてしまうんですね」
決して皮肉などではなく本音だったと思う。だからこそ、グサッときた。「その通りだ」と思ったのだ。四面楚歌(そか)の状態で、なにを言ってもネガティブに捉えられた頃とはどうも違う。燃えるものがないわけではないが、あの頃とはなにか感覚が違うといえば良いだろうか。
ただし、まだ油断できない。ソニーは巨額赤字からV字回復を果たしたが、それは危機を脱しただけで成長に向かうのはこれからだ。
そんな時に、私がトップにいていいのか。火の中に飛び込む情熱が足りない状態で、ソニーを正しく導けるのか。ほかに適任者がいるんじゃないだろうか。
こんなことを考えるようになったのだが、適任者はすぐ近くにいた。私の右腕となって奔走してくれている吉田憲一郎さんだ。彼なら成長モードに入ったソニーをドライブさせてくれる。私は、そんな思いを率直に吉田さんに伝えた。幸い、吉田さんは私の考えを理解してくれた。
こうして迎えた最後の決算報告会議。2018年4月のことで、すでに吉田さんへのバトンタッチは済ませている。幹部陣が集まる中で、財務部門の幹部が「最終的な数字はこうなりました」といってスライドに映る「734860」の数字を指し示した。
連結営業利益が7348億円に達したのだ。20年ぶりに過去最高を更新するものだった。予想していた水準だが、社内外の誰からも信頼されなかった6年前を思えば感無量。こうして私はソニーから「卒業」することになった。
(ソニー元社長)
【図・写真】吉田さん(右)に後を託した
動物の命、人の心(3)ジャン・シメオン・シャルダン「猿の画家」 府中市美術館学芸員 音ゆみ子(十選)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 34ページ 587文字 書誌情報]
人間は動物の支配者、特別な存在だと信じてきた西洋の人々にとって、人間と他の動物を区別するものは理性だった。そんな理性尊重の思想が行き着いた先が、17世紀フランスの哲学者デカルトが唱えた「理性を持たない動物は機械にすぎない」という極論だ。さすがにこれには異論が噴出し、激しい論争となった。18世紀まで続いたこの議論の論点を突き詰めれば、人間と動物の境界はどこにあるのか、ということだろう。
同じ頃、たびたび描かれたのが人のように振る舞う猿の絵である。フランスの画家シャルダンが描いたのは猿の画家。一丁前に腕鎮(わんちん)で腕を支えながら、イーゼルの前で大画家のようにポーズを決める姿は、滑稽だが愛らしい。
西洋で猿は、罪や悪の象徴、悪魔の手先などとされ良いイメージがない。理由は人間と外見が似ているからで、人の出来損ないと考えられたことさえあった。だから人まねをする猿の絵はコミカルでも風刺や皮肉がある。要は、猿は人より劣るという前提の下に描かれているのだ。
人まね猿のモチーフは陶器や室内装飾でも大流行し、本作もブームの一端である。それは、動物機械論に端を発する人間と動物の境界を巡る深刻な問いから目を背け、人まね猿の愛らしさをただひたすら楽しもうとする風潮にも思える。
(1739~40年ごろ、油彩、カンバス、73×59.5センチ、ルーヴル美術館蔵)
【図・写真】アフロ提供
DX推進の同志 三村真宗(交遊抄)[2025/04/29 日本経済新聞 朝刊 34ページ 538文字 PDF有 書誌情報]
慶応大学の同級生の高村正大・法務副大臣とは、大学公認のテニスサークルで一緒だった。今の細身の体形とは異なり筋骨隆々で迫力が半端なかった。「塾高組」(慶応高校出身)ではない自分とは別世界の人にみえたものの、互いにテニス初心者で筋トレや格闘技好きなど趣味が一緒。ダブルスを組んだりスキー合宿に行ったりする仲になった。
卒業後は無沙汰していたが、約20年後の2015年に縁が復活した。当時は経費精算サービスの米コンカーテクノロジーズの日本法人の社長として、規制緩和のためのロビー活動を展開するも苦戦。自民党副総裁の父・正彦氏の秘書だった高村さんに相談した。デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性で意気投合。スマートフォンの領収書画像が紙の代わりになる法改正につながった。
コンカーを辞めた現在、DXがライフワークで新会社も立ち上げた。富士通執行役員専務の福田譲さんも縁を感じる同志だ。SAPジャパン新卒の4年後輩だが、新人の時に営業先の会社で「最高情報責任者(CIO)に説教した」と語る大物感そのままに39歳で社長に就任。コンカーがSAPに買収され、一時は親会社と子会社の関係になったが、今はともに日本の会社で改革にまい進している。
(みむら・まさむね=U―ZERO代表)
25年04月28日
マレーシア沖でCO2地下貯留、海外で初 政府間合意へ 三井物産や関電参画[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1114文字 PDF有 書誌情報]
日本とマレーシアは二酸化炭素(CO2)の地下貯留で協力する。日本国内の火力発電所などから出たCO2を液体にして専用船で運び、マレーシア沖の天然ガス田跡に封入する事業が2030年にも始まる。国際条約で国外への輸送には2国間合意が必要で、日本にとって初の海外事例となる。
三井物産や関西電力などがマレーシアの国営石油会社ペトロナスと事業を進めている。マレーシア沖には大規模ガス田が複数あり、枯渇後の空洞部への圧入を計画する。3事業が進行中で、合計で最大年1000万トン程度を貯留できるとみる。
日本は50年の温暖化ガスの実質排出ゼロを目指す。太陽光や風力といった再生可能エネルギーによる発電、電気自動車(EV)の導入を拡大させている。加えて、政府は50年に年1.2億~2.4億トン分のCO2を地下に埋める目標を立てた。日本の23年度のCO2総排出量で見ると1~2割分にあたる。
24年に関連法を成立させ、国内でも試掘できるようになった。日本に地下貯留の候補地は現在11ある。合計の地下貯留の規模は160億トンと推定されている。北海道・苫小牧沖の事業が25年中に動き始める見通しだが、多くの事業で本格調査や開発はこれからとなる。
日本政府は海外への輸送と地下貯留が不可欠だとみて国際協力に乗り出した。今夏までにマレーシアとの覚書に署名する。CO2の海外輸送に関してはロンドン条約の議定書で、海洋汚染しないことなどを定めた当事国間の合意を求めている。
日本は2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、40年度の電源構成の3~4割を火力に頼る方針を打ち出した。発電時のCO2の発生は当面避けられない。
国内の発電所や工場などで回収し、液体にして専用船で輸送する際もCO2の排出が想定される。輸送時は水素やアンモニアといった環境負荷の低い燃料を使用し、新たに大型船を開発して大量に運ぶことで低炭素につなげる。
CO2の地下貯留を巡る国際協力では、ノルウェーがオランダやデンマークと協定を結んだ。受け入れたCO2を海底にためる事業に着手している。日本はマレーシアのほか、オーストラリアなどとの協力も模索する。INPEXと中部電力が現地企業と連携して計画を推進している。
政府はCO2の地下貯留に今後10年間で4兆円程度が必要になると試算する。民間企業の負担は大きくGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債などを活用し、投資を後押しする。
CO2の回収・貯留(CCS)は既存の火力発電を稼働させながら、CO2の排出減につながる技術として世界的に導入が進んでいる。米国や英国でも政府の補助金による支援が進む。国際的なルール整備は途上だ。
米海軍長官「日本で軍民両用造船」要請 米国内投資も促す[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1416文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】米政府が造船業を巡り日本に安全保障と経済の両面で協力を求めることが分かった。ジョン・フェラン米海軍長官が日本経済新聞に明らかにした。日米で商業船舶を軍事転用可能な仕様で建造するほか、日本企業に米西海岸の造船業へ投資を要請する。
フェラン氏が日本を訪問し、28日に中谷元防衛相らとの会談で伝える。日本企業との面会や造船所の視察も予定する。同氏は米投資会社の創業者でトランプ大統領と関係が近く、海軍長官に3月に就任した。訪日を前にワシントン近郊でインタビューに応じた。
世界の造船能力の5割は中国が占め、米国の200倍を超える。軍事用と商業用の境目なく国家主導で造船を進める中国は海軍の規模でも米軍を引き離す。
フェラン氏は同盟国である世界造船2位の韓国、3位の日本と一体で米国の復活を目指すと説明した。商業船舶を軍事用に転換できる設計で製造するよう日本に提案する。建造需要を高く保ち、技術革新やコスト削減につなげる効果を見込む。
フェラン氏は「トランプ氏が非常に気に入っている」案だと指摘した。大型フェリーや砕氷船などが念頭にあるとみられる。米シンクタンクによると、先行する中国では商業船の甲板も戦車を搭載できる強度を持つ。
フェラン氏は「私たちは(中国と)同じ事をしているとは思わない」と述べ、日米では新しい取り組みになると示唆した。
平時での協力の強化も打診する。横須賀などに前方展開している米軍艦船を日本の民間造船所で試験的に整備・修理・オーバーホール(MRO)しているが、これを拡大する。インド太平洋地域で活動した船舶が米国に頻繁に戻るコストと時間が削減でき、同盟の強化にも寄与する。
フェラン氏は日本企業に米国の造船所への投資を促すと明らかにした。日本の技術や資金を生かして、衰退した米国内の造船所の再生を狙う。米国企業との共同事業が望ましいと触れた。
韓国の大手造船企業が最近、相次ぎ米国に投資したのに触れて、日本への期待を示した。韓国政府はトランプ政権との関税交渉でアピール材料に使う。フェラン氏は日本との交渉でも「(造船は)全ての選択肢をテーブルの上に置くべきだ。可能性のある措置の一つで、間違いない」と語った。
日米両首脳は2月の会談で発表した共同声明に防衛産業協力を盛り込んだ。「サプライチェーン(供給網)と海洋」と分野を明記し、共同での生産、開発、維持整備を推進する姿勢を確認した。造船や艦艇整備が念頭にある。
フェラン氏は、トランプ氏から20日に「米国は常に先手をとらなければならない」との趣旨のテキストメッセージを受け取ったと明かした。日本や韓国を訪ねる予定を報告すると「首相によろしく伝えてくれ」と返事があった。
造船を巡る米国の状況について「我々はすぐに行動する必要がある。今が分岐点だ」と危機感を示した。「日本や韓国のような造船に優れた同盟国と協力することは不可欠だ」と強調した。
日本の造船業は韓国や中国に比べて企業の規模が小さく、人員不足で生産基盤が弱まっている一方、技術力は世界的にみても高い。海上警備や防衛力の確保のため自国の造船業をどう維持するかが課題になっている。日米で組み、それぞれの産業の課題を解決するための協力を模索する動きがある。
日本の艦艇メーカーは現在、三菱重工業とジャパンマリンユナイテッド(JMU)、川崎重工業の3社がある。
【図・写真】フェラン氏
韓国大統領選、野党候補に李在明氏 国益最優先を主張[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 1ページ 750文字 PDF有 書誌情報]
【高陽(韓国北西部)=小林恵理香】韓国の最大野党「共に民主党」は27日、6月3日投開票の韓国大統領選(総合・経済面きょうのことば)の公認候補に李在明(イ・ジェミョン)前代表を選出した。国益最優先の外交政策を掲げる。汚職疑惑などをめぐり刑事裁判を抱えるが、党内で圧倒的な支持を得た。(関連記事国際面に)
ソウル近郊の京畿道高陽市で予備選の結果が発表され、李氏は党所属の国会議員や地方議員、党員から9割の票を得た。選出後の演説で「必ず勝利して政権を奪還する」と力を込めた。
世論調査会社、韓国ギャラップの4月第4週の調査で、「将来の政治指導者として好ましい人物」との質問で李氏は38%の支持を獲得しトップを独走する。与党「国民の力」は支持が分散し各候補10%以下にとどまっている。
外交については国益を最優先する「実用主義」だと主張する。15日公開のユーチューブ番組で「韓米同盟を尊重し、韓日米3カ国の協力体制をしっかり構築しつつ、ロシアや中国との関係も適切に管理する必要がある」と説明した。
日本との関係については「大局的にみれば協力しないといけない関係だ」と言及した。「歴史や領土問題と、経済や社会・文化的側面とは分けて対応しなければいけない」と強調した。
李氏はこれまで日本や米国に対して批判的な発言が目立っていた。熱狂的な支持者が多い一方で、反感も受けていた。李氏は大統領選への出馬を表明して以降は、現実主義者としてのイメージを打ち出し過激な言動は抑えている。
李氏は市長時代の都市開発を巡る汚職など複数の刑事裁判を抱える。3月に公職選挙法違反に問われた刑事裁判で、一審の有罪から逆転して無罪判決となったが、韓国最高裁の担当判事らの見解が割れ、判事全員が参加する全員合議体での審理が続いている。
日銀、金利据え置きへ 成長率、下方修正の公算[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 1ページ 571文字 PDF有 書誌情報]
日銀は4月30日と5月1日に金融政策決定会合を開く。政策金利は0.5%のまま据え置く方針だ。トランプ米政権による関税政策そのものや経済に与える影響が見通しにくく不確実性が高いため動向を見極める。2025年度以降の実質国内総生産(GDP)の成長率も下方修正する見通しだ。
1日の会合後は3カ月ごとに更新する経済・物価情勢の展望(展望リポート)を示す。1月時点で実質GDPの見通し(9人の政策委員の中央値)は25年度で前年度比1.1%、26年度は1.0%だった。消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の上昇率は25年度で2.4%、26年度で2.0%だった。今回は27年度の見通しも新たに示す。
新たな見通しは現時点で想定する関税の影響を踏まえ、25~26年度の実質GDPの前年度比は1%を下回る水準に、25年度のCPI(除く生鮮食品)も2%程度に下方修正する可能性がある。
関税が経済成長率を鈍化させるとの見方が強い。米中が高関税をかけあうことで世界の景気減速を招く「間接的な影響の方が大きい」(日銀関係者)との声もある。
経済の下振れは物価の下押し要因になる一方、供給網の混乱や再構築が生じれば逆に押し上げる方向に作用する。
日銀内部では定着した人手不足が賃上げを後押しし、26年の春季労使交渉も高い水準で賃上げが続くと見込む声が少なくない。
病気なら療養につとめ、元気でも実力を内に蓄えつつ規律と節制を心がけるべきである(春秋)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 1ページ 561文字 PDF有 書誌情報]
病気なら療養につとめ、元気でも実力を内に蓄えつつ規律と節制を心がけるべきである。財政をそんなふうに人の健康に例えたのは池田勇人だった。蔵相をしていた頃の著書「均衡財政」で説いている。のちに首相として所得倍増計画を主導するよりだいぶ前のことだ。
▼予算編成は、国民の大多数が「なるほど、国民の利益が十分考えられている」と共感する中身でなければならぬ。国債発行も国家の財布に余力があることが前提。財政の健全性を堅持しながら経済を強化していくべきだ――。そんな訴えである。非効率な企業経営を排し、技術と生産性を高めることが肝要とも語っていた。
▼1千兆円を超す借金を抱える日本は、健康体とはいえまい。なのに選挙を前に永田町で響く〝減税コール〟である。トランプ関税の衝撃は無論あろう。ただ精緻な財源論が置き去りにされかねない流れはやはり危うい。心から「なるほど」と共感できるのは、目先だけでなく子や孫にも十分に目配りした政治ではなかろうか。
▼戦費を国債からひねりだし、資金面でも暴走に歯止めがきかなくなって、この国が転げ落ちてゆくさまを池田はつぶさにみた。財政規律とは単に使えるお金の限度ではなく、針路を誤らぬための規律でもあるはずだ。人類は自らを律する力を持つと信ずる、と池田は言った。その信頼を、私たちが裏切るわけにはいかない。
参院選占う沖縄・うるま市長選で自公勝利 知事派に懸念[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1264文字 PDF有 書誌情報]
参院沖縄選挙区の情勢を占う沖縄県うるま市長選が27日投開票され、国政与党の自民、公明両党が推薦した現職の中村正人氏が当選を確実にした。玉城デニー知事を支持する「オール沖縄」の新人らを破った。参院選を前に県内11市に知事系の市長がゼロという状況が続く。
沖縄は2014年の知事選の際、米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対などを旗印にオール沖縄が結成された。それ以降の参院選と知事選はオール沖縄系と自公系の対決構図が続き、オール沖縄系が全勝している。
この夏の参院選の沖縄選挙区も両者が競う見通しだ。自公は13年参院選から4連敗しており、議席奪還を狙う。前哨戦となった今回のうるま市長選は中村氏を推薦し、国会議員も含めた応援態勢をとった。
18日の中村陣営の総決起集会には自民党の小渕優子組織運動本部長が足を運んだ。「党沖縄振興調査会の会長として、これからも中村市政、うるま市をサポートしたい」と訴えた。自民党が参院選で公認する奥間亮・元那覇市議も登壇した。
オール沖縄側もうるま市長選を参院選の前哨戦とみて、新人の照屋大河元県議の応援態勢を充実させた。国政野党の立憲民主、共産、社民各党や地域政党「沖縄社会大衆党」が推薦を出した。大河氏は社民党の故・照屋寛徳元衆院議員を父に持つ。
13日の街頭演説会には玉城氏やオール沖縄の国会議員全5氏が顔をそろえた。オール沖縄が夏の参院選への擁立を決めた高良沙哉沖縄大教授も駆けつけた。玉城氏はたびたびうるま市入りし、26日の最後の訴えでもマイクを握った。
それだけに玉城氏は27日、敗北が明らかになると「非常に厳しい結果になった」と挨拶した。
オール沖縄には足元に不安材料がある。参院選や知事選で勝ち続けているものの、得票率は年を経るごとに下がっている。前回22年の参院沖縄選挙区は自民党候補におよそ3000票差まで迫られた。
辺野古移設は県が国との間の訴訟で敗訴し続け、工事が進む。県民の主な関心は子どもの貧困や物価高などに移っているとの指摘がある。オール沖縄を支持してきた県内の経済人も距離を置くようになった。
実際に生活など身近なテーマが争点になりやすい首長選は敗北が相次いでいる。県内のオール沖縄系の市長は1月の宮古島市長選の現職敗北でゼロになった。
今回のうるま市長選は保守勢力が割れ、元自民党で県連会長なども務めた照屋守之元県議が出馬した。オール沖縄は三つどもえの戦いを県内市長選の「連敗」をとめる機会ととらえた。自公は参院議席の奪還へ市長の座を守る重要選挙とみた。
玉城氏は27日、国政選挙への影響に関し記者団に「地域の首長や議員の選挙とは違う争点、観点で審判が行われる」と強調した。同氏の2期目の知事任期は26年9月に満了を迎える。「知事選も国政選挙並みの全県選挙になるだろう」と力を込めた。
うるま市の人口は4月1日時点で12万7千人ほどと県内3番目に多い。在沖縄米海兵隊の司令部があるキャンプ・コートニー、米原子力潜水艦が寄港するホワイトビーチがある。
首相、米関税「非報復」で共闘探る ベトナム・フィリピン訪問[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 656文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=手塚悟史】石破茂首相は27日、政府専用機でベトナムに到着した。29日にはフィリピンを訪れる。トランプ米政権の関税措置を踏まえ、両国との首脳会談で自由貿易の重要性を確かめる。東南アジア諸国連合(ASEAN)が掲げる「非報復」の方針に同調する考えを伝える。
首相は27日の出発前、首相公邸で記者団に「米国の関税措置によって両国とも経済に大きな影響がある」と話した。両国に進出している日本企業の意見も聞いて政策に役立てる考えを示した。
「南・東シナ海での力による一方的な現状変更の試みがある。安全保障の協力も一層強化したい」とも強調した。
27日はベトナムで最高指導者のトー・ラム共産党書記長に会った。これに先立ち住友商事が開発したタンロン工業団地を訪れ、キヤノン・ベトナムの工場を視察した。進出企業の代表者らと意見交換した。
28日にファム・ミン・チン首相との首脳会談に臨む。フィリピンでは29日にマルコス大統領と会談し、経済や安全保障分野の協力を打ち出す。
今回の訪問は米国の関税措置への対応で足並みをそろえる目的がある。米国はベトナムに46%、フィリピンに17%の相互関税率を提示している。石破首相は透明性や公平性の高い自由貿易の体制が重要だという立場で、両国との協調をめざす。
ASEANは10日の経済相特別会合で、米国への報復関税の発動を見送ることで一致した。トランプ米政権との交渉の余地を探りつつ、ASEAN内外との貿易を促進する。日本も米国との経済関係を重視し、報復関税は打ち出さない構えだ。
外国人材の「育成就労」 大都市集中に歯止め 東京や大阪への転職制限[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
政府は2027年4月から始まる外国人材の「育成就労」制度で、東京や大阪など8都府県の転職者受け入れを制限する。在籍する育成就労の外国人のうち、転職者が占める割合を6分の1以下に制限する。「大都市圏」への移動を抑制し、地方の人材確保に影響が及びにくくする。
政府がまとめた省令・告示案に明記した。パブリックコメント(意見公募)を経て正式に決める。
「大都市圏」として埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫の8都府県を制限の対象とする。8都府県でも東京都の奥多摩町といった人口が少ない市町村、ほかの39道県は転職者の割合を3分の1まで認める。
高校無償化の大波(1) 公立、名門校も定員割れ(迫真)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1710文字 PDF有 書誌情報]
「頑張って勉強したのに定員割れなんて悔しい」。7日、大阪府寝屋川市の府立寝屋川高校で、満開の桜に迎えられて入学式に臨んだ女子生徒(16)は唇をかんだ。多くの友人は「授業料が無償なら」と早く合否が出る私立を選んだ。
同校は1909年創立の名門校だ。しかし2025年度の一般選抜の倍率は0.94倍。現行の入試が始まった16年度以降で初めて1倍を切り、SNSで「寝屋川ショック」と波紋が広がった。
長男の入学式に参加した森田尚樹(44)は築80年以上の校舎を眺めながら「学費の壁がなくなれば、施設がきれいな私立を選びたくなるだろうな」とつぶやく。
自民、公明、日本維新の会の3党は2月、高校授業料の無償化に合意した。26年度から世帯年収に関係なく、年45万7000円を上限に就学支援金を支給する。
無償化によって何が起きるか。国に先行した自治体で始まったのは受験生の「私立シフト」だ。
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24年春の入試で、大阪府では私立専願が過去20年で初めて受験生の3割を超えた。公立131校のうち半数近くが定員割れし、無償化以前から急増した。
東京都では都立高(全日制)の応募倍率が25年春入試で平均1.29倍となり、比較できる1994年度以降で最低になった。出願したが受験しない「棄権率」がトップ校でも上昇傾向にある。
特に私立志向が高まりそうなのは、学力で中位層の受験生だ。「公立はトップ校以外は特色を出しにくい。進路指導の手厚さなどを踏まえて、私立を選ぶ中堅層が増えるのではないか」。府立高の関係者はこう話す。
「公私が切磋琢磨(せっさたくま)してよりよい教育を」。無償化を推し進める維新は狙いの一つをこう定める。私立シフトは競争の結果ともいえるが、その実態や余波の検証は十分ではない。
学校現場が懸念するのは学習意欲の低下だ。公立高の一般入試は原則5科目。私立は3科目かそれ以下が多い。
慶応大学教授の赤林英夫(61)は「入試科目の少なさや校舎のきれいさで競争するのは不毛。私立には入試科目に縛りをかけるなど一定の規律が不可欠だ」と強調する。
さらに公立の会計面での自由度や独立性を高めたり、退学率といった教育・指導に関するデータを公表したりして、平等な競争条件を整えることを提案する。
大学までの授業料が全額公費負担のスウェーデンでは、規制緩和が進んだ90年代以降に私立の参入が加速。同国の教育事情に詳しい信州大学准教授の林寛平(44)は「公立も私立も生徒募集のために広告を打ち合っている。公費を原資に教育の質とは無縁の競争が起きている」とする。
□ □
一方、危機感の高まりは公立の「横並び意識」を変える契機になる。
「半導体業界は人手不足が見込まれる。実践的な授業によって専門性を持ち、現場のリーダーとなる生徒を地域に送り出したい」。熊本県立熊本工業高校の教諭、大橋貴幸(54)は意気込む。
同県では2024年に半導体受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の日本初の工場が完成。これを受け、同校電子科は全国初だという科目「半導体技術」を3年生の必修とした。
25年春の同科の一般入試の倍率は1.9倍となり、普通科を含めた全県立高校の平均(0.9倍)を大きく上回った。
工業高卒業者への求人倍率は24年春卒で27.2倍と過去最高だった。全国の工業高の多くは定員割れに悩むが、地域や社会のニーズに耳を傾け、存在意義をより高める余地は十分ある。
高校進学率は約99%に達し、実質的に義務教育に近い存在になった。公立の淘汰が進めば、生徒の不利益や地域の衰退につながる可能性もある。
首相の石破茂(68)は22日、大半の都道府県で1人1校しか受験できない公立高の「単願制」を是正するよう関係閣僚に指示。公立を選びやすい環境づくりを急ぐ。
「何が公立の強みなのか」。生き残りに向け、ある都立高の校長は自問自答を始めた。
(敬称略)
◇
私立も含めた高校の完全無償化は学校運営や家計にとどまらず、日本の教育に大きな影響を及ぼす。激変に備える関係者の動きを追った。
【図・写真】ロボットを操作する熊本工業高校の生徒=同校提供
米価抑制とコメ不足解消へあらゆる手を(社説)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 920文字 PDF有 書誌情報]
長引く米価の高騰が家計を圧迫し続けている。農林水産省はこれまでの対策の問題点を洗い出し、着実に米価の抑制につながるようあらゆる手を打つべきだ。
農水省は政府備蓄米の放出に向けて3回に分けて入札を実施した。コメの供給量を増やし、不足感を和らげるのが目的だ。
だがスーパーでは5キロ4000円台に高止まりしている銘柄が多く、空の棚も目立つ。放出が消費者の期待するような効果をあげていないのは明らかだ。
備蓄米の放出は新米が出回る前の7月ごろまで続く。高米価が続く現状を踏まえ、放出のやり方を改めることが必要だ。
まず考えるべきなのは、放出したコメを原則1年以内に買い戻す入札要件の見直しだ。備蓄水準を回復させるのが狙いだが、これが入札への参加のハードルになっているとの指摘がある。
対象を大規模な集荷業者に限っている入札の参加条件の緩和も課題になる。広く素早く行き渡るように、集荷業者からコメを買う立場にある卸会社なども対象にすることを考えてほしい。
併せて検討すべきなのが、関税ゼロで国が輸入する「ミニマムアクセス(MA)」のコメの活用だ。これまで加工用などに回しており、在庫は常時36万トン以上ある。
農水省は100万トンをメドに政府備蓄米を運営している。すでに約30万トンが放出の対象になっており、今後も入札が続く。必要ならMA米を主食用に使うことも排除すべきではないだろう。
米価が上昇し始めて以降、農政は迷走し続けている。24年産米の流通が始まれば混乱は収まるとの読みが外れ、備蓄米放出の決断も手間取り、いざ放出しても思うように効果が上がらない。
背景に透けて見えるのは、米価の下落で稲作が圧迫されるのを避けたいとの発想だ。だが高米価はコメ離れを加速させ、経営環境を悪化させる恐れもある。
主食を支えるコメの生産を維持するのはもちろん大切だ。その目的は国民にコメを安定的に供給することにある。それが揺らいでいる現在の状況は、農政への国民の不信感を招きかねない。
生産調整の見直しや政府備蓄の増強、農地保全、稲作の担い手の確保などコメ政策は課題が山積している。国民の不安を払拭しない限り、政策の再構築はおぼつかないことを自覚すべきだ。
証券口座乗っ取り対策を急げ(社説)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 786文字 PDF有 書誌情報]
株式などを取引する証券口座が乗っ取られ、勝手に売買される被害が急増している。注意喚起を徹底し、官民あげて早急な対策で被害の拡大を止めるべきだ。
口座乗っ取りによる不正は楽天証券や野村証券など少なくとも8社で確認された。金融庁の調査では、4月16日までの約3カ月で起きた不正取引は1454件、売買額は合計954億円にのぼる。
メールなどで偽サイトに誘い込んでIDやパスワードを入力させる「フィッシング」や悪意あるプログラムで口座情報を盗み取り、本人になりすまして売買するのが不正の手口だ。中国株などが取引され損失を被る例が出ている。
背後には犯罪集団が存在するとされる。自分たちは安値で株式を仕込み、乗っ取った口座で買い注文を出して株価をつり上げ、売り抜ける手法もささやかれる。
不正防止には複数の手段を使って本人確認を行う「多要素認証」が有効とされる。ただ証券会社が多要素認証を用意していても投資家の設定が任意で、セキュリティー水準が低い口座は多かった。
日本証券業協会は会員の58社が多要素認証を原則必須化すると発表した。とはいえ実施時期や具体策は個々に委ねる。各社は最善の手立てを急いで整えるべきだ。巧妙になる不正に対し、対策を更新し続ける姿勢も欠かせない。
取引する個人もパスワード管理や多要素の本人確認が自らの資産を守ると理解してほしい。
新しい少額投資非課税制度(NISA)の利用が増えるなど、家計にも投資が広がり始めたばかりだ。安心して取引できる環境づくりへ全力を尽くすべきだ。
被害への補償については確定の難しさなどが指摘されるが、個別の状況に応じた誠実な対応の検討が望まれる。
不正に関し、警察当局や証券取引等監視委員会は情報収集を進めている。海外からの犯行の場合の摘発は容易でないとみられるが、各国と連携して犯罪集団の特定や被害防止を急がねばならない。
4月27日(首相官邸)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 186文字 PDF有 書誌情報]
▽9時52分 公邸で報道各社のインタビュー。
▽10時16分 羽田空港。37分 東南アジア歴訪のため、妻佳子さんと共に政府専用機でベトナムに向け出発。
(現地時間)
午後 政府専用機でベトナム・ハノイのノイバイ国際空港。ハノイ近郊のタンロン工業団地視察。日本企業関係者と車座対話。共産党本部でトー・ラム書記長と会談。ラム氏主催夕食会。宿泊先の「ホテル・デュ・パルク・ハノイ」。
立民代表が不信任案言及 年金法案先送りなら(短信)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表は27日、政府が年金制度改革法案を早期に提出しなければ内閣不信任案を出す可能性に言及した。フジテレビ番組で「政権担当能力がないと示すことだ。厚生労働相の不信任ではとどまらない」と述べた。
梅村みずほ氏が維新離党(短信)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
日本維新の会は27日、梅村みずほ参院議員の離党届を受理した。梅村氏は夏の参院選大阪選挙区の候補を決める維新党内の予備選で落選し、公認を得られなかった。16日付で離党届を提出していた。
維新、兵庫・福岡に新人 参院選(短信)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 2ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
日本維新の会は27日、夏の参院選で兵庫選挙区(改選数3)に元三菱商事社員の吉平敏孝氏、福岡選挙区(改選数3)に元国会議員秘書の伊藤博文氏をそれぞれ擁立すると発表した。いずれも新人。
トランプ政権、ドル下落率が歴代最大 ぶれる関税の裏に金利 あす政権発足100日[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1818文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=三島大地、竹内弘文】トランプ米政権が29日、発足から100日を迎える。金融市場では米国の株式と債券、米ドルがそろって下落する「トリプル安」となり、ハネムーン期間中の米ドルの下落率は歴代政権で最も大きくなる見通しだ。トランプ相場の足跡をチャートとともに振り返る。
1月20日に第2次トランプ政権が発足すると、直後から株価は緩やかに下落基調をたどった。中国やカナダ、メキシコなどへの追加関税を振りかざす強硬姿勢が、それまで「プロ(親)ビジネス」と見られていた政権への期待を後退させたためだ。
4月2日にトランプ氏が相互関税の詳細を明らかにすると、想定を上回る高関税への警戒感から株価は急落した。4日にはロスカット(損失限定)の動きも巻き込んで一段と売り込まれ、ダウ工業株30種平均の前日比の下げ幅は2231ドル安と史上3番目の水準を記録した。
9日にトランプ氏が相互関税の上乗せ分について、中国を除き90日間停止すると表明すると、株価は急反発した。上昇幅は2962ドルと史上最大となった。歴代でもきわだって、株式相場が乱高下した政権になる。
■株8%安、フォード政権以来の水準
政策への先行き不透明感から投資家は警戒姿勢を崩しておらず、ダウ平均は政権発足後、8%安となった。下落率はウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任を受けて1974年に発足したフォード政権以来の水準を記録した。当時の米国はオイルショックの影響で戦後最悪と言われる景気後退局面にあった。
09年1月に発足したオバマ政権の100日間の株価は、リーマン危機の影響がくすぶっていたこともあってマイナスだった。バイデン政権は新型コロナウイルス禍の21年1月に立ち上がり、ワクチン接種の進展と経済再開への期待感から株価は上昇した。
関税を巡り強硬路線を貫いていた米政権を「翻意」させたのが長期金利の急上昇(債券価格は下落)だ。景気悪化に伴う米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待から、長期金利の指標となる10年物国債利回りは4日に一時3.86%まで低下した。
だが9日午前に突如、4.5%超まで急騰。中国が米国の追加関税に反発し、米国債を売却したとの観測も浮上した。
同日午後には相互関税の上乗せ部分の一時停止を表明。トランプ氏は記者団に「債券市場はやっかいだ」と述べ、決断の背後に金利の急騰があったことを示唆した。ベッセント財務長官は14日、米金利の急上昇はヘッジファンドなどによるレバレッジ解消の動きだとの見方を示した。
外国為替市場では政権発足以来、ドル安基調が続いている。株式や債券など米金融資産からの資金流出に伴い、ドル売り圧力が強まっていることが底流にある。
主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」はトランプ氏の就任から9%下げた。発足100日間のハネムーン期間中としては、歴代でも最大の下落率となる見通しだ。
米ドルの急落に伴い、円は対ドルで急速に上昇した。トランプ政権発足後の円相場の上昇幅は一時、15円以上に達した。
日米財務相会談で米国が日本に円安・ドル高を是正するよう要求するとの観測が円を一段と押し上げた。だが会談前後にベッセント米財務長官や加藤勝信財務相がこうした観測を否定したことで、足元で円買いは一服している。
■レーガン政権はドル高
トランプ政権と対照的な動きとなったのがレーガン政権だ。強いドルを標榜してFRBのボルカー議長の下で金融引き締めを強め、政権発足当初からドル高が加速した。クリントン政権は日本の貿易黒字を問題視し、日本政府に是正を迫った。為替市場では円高・ドル安が進んだ。
米国債と双璧をなす「安全資産」の金(ゴールド)には買いが殺到した。国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は22日に一時1トロイオンス=3509ドルと最高値を付けた。物価上昇と景気後退が併存する「スタグフレーション」の局面では、歴史的に金が買われる傾向がある。
一方、「デジタルゴールド」とも評された暗号資産(仮想通貨)のビットコインは政権発足後に一時、3割近く下落した。米国を「仮想通貨超大国」にするとのトランプ氏の発言から政権発足前に大きく買い込まれていた。足元ではトランプ政権への政策期待もあり、1BTC(ビットコインの単位)=9万ドルを上回る水準で取引されている。
【図・写真】米資産からの資本流出がトリプル安を招いた=AP
ひび割れ・漏水… 国の庁舎、半分超に老朽化の兆し 災害時、対応滞る恐れ[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 3ページ 923文字 PDF有 書誌情報]
国の庁舎の半分超の物件で老朽化の兆しが現れている。国土交通省の調査によると、約6000のうち50.9%で外壁の一部のひび割れや軽い漏水が確認された。国の施設は南海トラフ巨大地震など自然災害の際にも拠点として想定されており、対策が急務になっている。
3月に公表した2024年の調査では対象庁舎は8659あった。小規模なものや借用しているものなどを除いて、6015施設の回答を分析した。
国交省は外壁の浮きやひび割れ、一部の天井や壁からの水漏れ、設備機器の故障の3点が特に経年劣化の影響が現れるとみる。3点のうちどれかで老朽化の兆候がある庁舎は3063件に上った。同省が3点をまとめて集計するのは初となる。参考として前回の23年分を集計したところ、老朽化の兆候がある施設は49.3%だった。24年調査で既に支障があった施設は3.9%、残りの45.2%は管理状況が良好だった。
庁舎では実際に、屋上の排水溝の周辺に雑草が茂っており排水不良による水漏れにつながりかねないケースや室内の通気口前に物品が置かれており機器の機能が低下していたケースがあった。
さらに深刻なのは地方自治体だ。東京一極集中を防ぐために、近年も首都圏などに大規模な庁舎が建設された国に比べ、都道府県や市町村では高度経済成長期やバブル期に建設された施設の比率が高い。
国交省によると、12年度末時点で庁舎や学校、公営住宅など公共建築物で築30年以上の面積の割合は国が36.0%だった。都道府県は46.2%、政令市は47.0%でより古い施設が多かった。国の割合は21年度末に49.0%まで上昇しており、地方自治体でも老朽化がさらに深刻になっているとみられる。
庁舎の老朽化は巨大地震の際に応急対策などが滞るリスクに直結する。政府が3月31日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、国や自治体の庁舎が地震の揺れや津波浸水により被災する可能性を指摘した。
対策をまとめた報告書では、応急対策の拠点や避難所となりうる施設で、「天井の脱落対策などの地震対策を推進する必要がある」と指摘した。人口の減少が続く中で、集約可能な施設は集約などを検討し、全体のコストを引き下げることも求められる。
中古本が映す節約志向 資格教材や「赤本」に需要 バリューブックス社長 鳥居希氏(月曜経済観測)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1421文字 PDF有 書誌情報]
物価の上昇が続き、家計は節約志向を強める。景気の影響を受けやすいとされる書籍の売れ行きはどうか。中古本売買を主力とする有力ネット書店、バリューブックス(長野県上田市)の鳥居希社長に聞いた。
――物価高のほか、若者の活字離れなどもあって本が売れないと言われます。実感はいかがですか。
「古本に関していえば、活発に流通しているものも少なくありません。勉強のための本やビジネス書への需要が強いようです」
「たとえば、医療関係の資格試験のためのテキストや、受験のための『赤本』はコンスタントに売れています。大学入試の準備にお金がかかるようになっており、過去問集を何冊も新品で買うのは負担が大きいようです。節約意識がはたらいています」
引き取りも増加
――本を売って家計の足しにしようというニーズが強まっていると聞きます。本当でしょうか。
「引き取る数量は確実に増えています。当社の場合だと、2年前は一日に2万冊が持ち込まれていましたが、現在は3万冊ほどです。このうちの半分は値段をつけて再版し、あとの半分は古紙リサイクルやアウトレットでの格安販売などに回します」
「売上高は2022年6月期の28億円から、24年6月期には36億円へと増えています。一般的に生活防衛の意識が強くなると、古本の売買は活発になるとされます。さらに広告などによって買い取りの努力も強めた結果でしょう」
活字離れ感じず
――活字離れや本離れの実感はありませんか。
「活字離れは感じないですね。SNSなども文字だらけでしょう。本に関していえば、『書籍を買う』という消費の性質が少し変わってきているのではないかと思います」
――具体的にはどういうことでしょうか。
「たとえば若い方がコスメなどを買う時、インフルエンサーとよばれる人物のSNSでの紹介が影響する場合が多いですよね。それと同じことが本でも起きています」
「当社社員がユーチューブで『積読チャンネル』という番組を配信しています。文学や哲学やビジネス、漫画など様々なジャンルを軽妙に紹介するもので、登録者は7万人。ここで紹介した本がネットでよく売れます。最近、1000冊くらいと思っていた医療関係の同人誌漫画が8000冊売れたこともあります」
――消費者の本に対する購買意欲は潜在的には強いのですね。
「需要の喚起によると思います。逆に、短期間に急速に売れた本は人気の沈静化も早いですね。メタバースとか、最近ではAI(人工知能)。NISA(少額投資非課税制度)の入門書もモノによっては在庫がだぶつき気味です。本のつくり方や消費が、ファストファッションのようになってきました」
――古本の取引をさらに活発にさせる施策を考えていますか。
「ネット販売に必要なISBN(国際標準図書番号)がない本を送っていただいても、当社では値段をつけて売るのはとても難しい。ISBNがない希少本や古い学術書などは貴重ですが、価格がつけられないのです。AIなどを使って価値を鑑定できるようにすれば、流通市場はもっと広がります」
――最近、公益重視を示すBコープの認証を取得しましたね。
「これからも認証をとる日本企業は確実に増えるとみています。コロナ禍などをきっかけに、格差や差別、企業の社会的責任に対する意識が強まってきました。そうした感性は個人消費に確実に反映するようになっていますし、企業経営にも不可欠です」
(聞き手は編集委員 小平龍四郎)
韓国大統領選 当日は公休、決選投票なし(きょうのことば)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 3ページ 432文字 PDF有 書誌情報]
▽…満18歳以上の有権者による直接投票で、最多票を獲得した候補者が当選者となる。過半数の得票を獲得する候補者がいない場合でも決選投票は行わない。今回の投票日である6月3日は公休日とし、官庁や学校、多くの企業が休みとなる。
▽…各党の予備選を勝ち抜いた各党の公認候補が大統領の椅子を争う。大統領の任期は5年で、再選はない。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の任期は2027年5月までだった。「非常戒厳」宣言を巡る一連の騒動で尹氏が罷免となったため大統領選が前倒しされ、選挙後すぐに新政権がスタートする。
▽…韓国は1948年の建国後、長期間にわたり独裁的な軍事政権による支配が続いていた。87年の民主化宣言を受け、憲法改正で直接選挙による大統領選が実施されるようになった。韓国は保守派と革新派という理念や地域ごとの対立が明確で、大統領選でも両勢力の候補が接戦を繰り広げてきた。2022年大統領選で尹氏は李在明(イ・ジェミョン)候補に得票率1ポイント以下の僅差で勝利した。
ウクライナ、見えぬ打開策 米が迫るロシア配慮の仲裁案 資源協定の合意難航[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1401文字 PDF有 書誌情報]
【ローマ=金子夏樹】ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、訪問先のバチカンでトランプ米大統領と会談した。停戦交渉の停滞でギクシャクする米国との関係を改善する足がかりとする狙い。トランプ氏はロシアに配慮した仲裁案の受け入れを強く迫り、追い込まれるウクライナに打開策は見えてこない。
「歴史的な会談となりえる」。ゼレンスキー氏は教皇フランシスコの葬儀直前の時間を縫い、トランプ氏と15分ほど膝詰めで会談した成果を誇示した。
激しい口論を繰り広げた2月以来の直接会談で、ゼレンスキー氏にはトランプ氏との和解を世界にアピールする思惑もある。SNSには「全面的かつ無条件の停戦」や「戦争が繰り返されるのを防ぐ確実で永続的な平和」を協議したと投稿した。
ウクライナは今回の会談を機に米国の歩み寄りを期待するが、先行きは不透明だ。会談では平和維持に必要な「安全の保証」などを訴えたが、米国から具体的な回答はなかったとみられる。米政府高官は「非常に生産的な話し合いをした」と述べるにとどめた。
英紙タイムズは26日、米国のウィットコフ中東担当特使に近い情報筋の話として、トランプ氏には米国の仲裁案に変更を加える考えはないと報じた。ウクライナが受け入れを拒否すれば、来週にも交渉から離脱する可能性があるという。
米紙などによると、米国の仲裁案はロシアが2014年に一方的に宣言したクリミア半島の併合承認に加え、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念、ウクライナ東・南部4州におけるロシア占領地の実効支配を実質的に容認など、ロシアに配慮した条件が並ぶ。
ウクライナは「クリミアをロシア領と法的に認めることは憲法違反である」と主張。ゼレンスキー氏は拒否する方針を明確にしているが、交渉のカードは乏しい。
ロシア軍は26日、ウクライナ軍が越境攻撃を続けていたロシア西部クルスク州を完全に奪還したと公表した。ウクライナ側は否定しているが、前線で押し込まれる状況が続く。クルスク州の占領地を失えば、停戦交渉の材料を一つ失う。
ウクライナが米国との関係改善の糸口に期待する資源協定の締結もずれ込む。トランプ氏は26日までに締結できるとの見方を示していたが、法的な問題など詰めの交渉が難航しているもよう。トランプ氏は25日に「ウクライナは最終書類に署名していない。ただちに署名するよう望む」と圧力をかけた。
ロシアは揺さぶりをかける。ペスコフ大統領報道官は26日、プーチン大統領とウィットコフ氏が25日にモスクワで会談した際、プーチン氏が「ロシアは前提条件なしにウクライナと交渉を再開する用意がある」と伝えたと述べた。和平合意を急ぐトランプ政権をにらみ、交渉に前向きな姿勢を演出する狙いが浮かぶ。
ウクライナの政治アナリスト、イーホル・ペトレンコ氏は、ロシアは交渉を長引かせることで、ウクライナ国内の団結を乱す意図もあると説明する。首都キーウのクリチコ市長は24日、英BBCの取材において、クリミアを含む領土放棄について「公平ではないが、平和のために解決策になるかもしれない」と語った。
ペトレンコ氏は日本経済新聞に対して「ウクライナの政治エリートの間で、平和支持者と勝利絶対主義者の分裂が生まれかねない」との警戒感を示した。
【図・写真】バチカンでトランプ氏(手前)と会談するゼレンスキー氏=ウクライナ大統領府提供・AP
ウクライナ、見えぬ打開策――トランプ氏、対ロ制裁に再言及[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 577文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は26日、自身のSNSでロシア軍によるウクライナの首都キーウ空爆などを念頭に「プーチン(ロシア大統領)は戦争を止めたくないのかもしれない」と批判した。ロシアと取引する第三国を制裁対象にする「2次制裁」に踏み切る可能性に言及した。
トランプ氏は3月30日、ロシアが停戦に合意しなければ1カ月以内に制裁を科すと期限を定めた経緯がある。当時の発言を意識したか判然としないものの、「銀行(制裁)や2次的制裁で別の対処をしなければならないのか」と警告したのは停戦交渉が進まないいら立ちを映す。
トランプ氏に近い共和党のリンゼー・グラム上院議員はトランプ氏の投稿直後、X(旧ツイッター)に「ロシアへの追加制裁について石油、ガス、ウラン、その他の製品を購入する国に2次関税をかける超党派の法案を準備している」と明かした。
連邦議会上院(定数100)から60人近い賛同者がいると説明し「ロシアが公正で恒久的な和平を受け入れなければ、上院は動く用意がある」と記した。
念頭にあるのは、ロシアと取引する第三国の金融機関や企業を制裁する「2次制裁(secondary sanctions)」だ。ロシアとの取引に関われば米国から制裁を科されるおそれがある。トランプ氏はロシア産石油などを購入すれば「米国でビジネスはできなくなる」と話す。
米と核協議継続で一致 イラン外相「相違は残る」[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 512文字 PDF有 書誌情報]
【ドバイ=福冨隼太郎】米国とイランは26日、核問題をめぐる3回目の高官協議を中東オマーンの首都マスカットで開き、交渉の継続で一致した。次回は5月3日に開かれる見込み。イランのアラグチ外相は協議後、国営メディアに「(両国の立場の)相違は残っている」と話した。
アラグチ氏は「米国との協議は以前よりも真剣な雰囲気で行われた。米国もイランも真剣だが、まだ合意に達するには至っていない」と強調した。「意見の違いをどのように縮められるかを確認する必要がある」とも述べた。
トランプ米大統領はこれまで、イランが核兵器を持つことを認めない姿勢を示している。イランは核開発は平和利用目的だと主張する。米側はイランのウラン濃縮活動そのものを制限する可能性を示唆しており、イラン側は反発している。
26日の協議はこれまでと同様にオマーン政府が仲介する間接協議のかたちで実施された。アラグチ氏と米国のウィットコフ中東担当特使らが出席した。技術的な課題について話し合う実務者による会合も開かれた。
仲介役のオマーンのバドル外相はX(旧ツイッター)への投稿で、26日の協議について「基本的な原則や目標、技術的な懸案が取り上げられた」と明らかにした。
中国、中央アジアと貿易拡大へ 5カ国と外相会合 トランプ関税念頭に[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 484文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国と中央アジア5カ国は26日、カザフスタンのアルマトイで外相会合を開き貿易規模の拡大を合意した。トランプ米政権による関税引き上げを念頭に「一方的な保護主義への反対」で一致した。中国外務省が発表した。
王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相のほかカザフ、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの各外相が出席した。中国はトランプ関税を受け東南アジア諸国連合(ASEAN)など周辺国との関係強化を重視する。
王氏は米国について「多国間貿易体制を損ない、グローバル経済の安定を破壊している」と批判した。
中央アから農産物輸入を増やし、広域経済圏構想「一帯一路」に基づくインフラ投資を拡大すると表明した。
中央アジア側は中国との貿易の円滑化やサプライチェーン(供給網)の連結に意欲を示した。中国はキルギスやウズベキスタンを経由し、欧州とつなぐ鉄道網「中央回廊」などの建設を推進している。
外相会合では6月にカザフの首都アスタナで開催する中国・中央アジア首脳会議の地ならしもした。中国は習近平(シー・ジンピン)国家主席の出席を検討している。
李氏、成長戦略前面に――韓首相辞任へ、立候補にらむ[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 308文字 PDF有 書誌情報]
大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)氏は月内にも首相を辞任し、大統領選立候補に向けて動き出す可能性が出てきた。複数の韓国メディアが報じた。
韓氏は無所属で立候補した後に、与党「国民の力」と候補者の一本化を図るとみられる。国民の力は党員投票と世論調査を実施した上で、29日に現在4人の候補者を2人に絞り込む。4人の中で50%を超える支持を集めた候補が出た場合は、決選投票は実施せずに公認候補として選出する予定だ。
韓氏は元経済官僚で手堅い行政手腕に定評がある。革新政権でも要職を歴任するなど危機下での国政運営の経験もあり尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免に伴う今回の大統領選への出馬に注目が集まっていた。
トランプ氏、記者会の夕食会欠席[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】トランプ米大統領は26日に開催したホワイトハウス記者会主催の夕食会を欠席した。時の大統領が出席し、普段、自身を取材する記者団と親睦の機会を設けるのが慣例だが、トランプ氏は第1次政権に続き、出席を見送った。夕食会は1921年に始まり、24年に初めて現職大統領が出席した。トランプ氏は米主要メディアの報道を「フェイクニュース」などとやゆして、対決姿勢を続けている。
米EU首脳会談「開催で合意」[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 173文字 PDF有 書誌情報]
【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は26日、ローマ教皇フランシスコの葬儀に参列するため訪問したバチカンでトランプ米大統領と短時間話し合った。
EU報道官によると、米EU首脳会談の開催で合意した。
EUの執行機関である欧州委員会の報道官が「短い意見交換のなかで、両氏は(正式に)会うことで合意した」と明かした。
李氏、成長戦略前面に 3割占める中道層確保へ 福祉重視からシフト(韓国大統領選2025)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1369文字 PDF有 書誌情報]
【高陽(韓国北西部)=小林恵理香】韓国大統領選で李在明(イ・ジェミョン)氏が最大野党「共に民主党」の公認候補となった。同氏はこれまで格差是正のための分配政策や社会福祉を中心に訴えてきたが、今回の大統領選では成長戦略を重視する姿勢を打ち出す。
(1面参照)
予備選を通して李氏の共に民主党内での圧倒的な支持が明らかになった。世論調査会社、韓国ギャラップによると、同党を中心とした革新(進歩)系政党への支持層は有権者の2割強だった。今後は約3割を占める中道層まで支持を広げるため、企業支援や成長産業への投資、地方での特区設置などの経済政策をアピールする。
李氏は今回の大統領選で、韓国が経済分野などで世界をけん引する「Kイニシアチブ」構想を訴える。重点分野には「技術投資、研究開発、人材育成などを国家単位で支援していくべきだ」と力説する。
14日には、大統領選への出馬宣言後初の公式日程としてソウル市内にある人工知能(AI)・半導体関連のスタートアップ企業を訪問した。「AI投資100兆ウォン(約10兆円)時代を開く。AIで世界3大強国に浮上させる」と訴えた。
かつて自身が知事を務めたソウル郊外の京畿道を半導体産業の中心地にするため、規制緩和などで投資を呼び込む考えを表明する。
金融市場への積極関与も強調する。SNSで「株式市場の活性化が国民の資産増加の近道だ」と言及した。韓国株式市場の総合株価指数(KOSPI)を現在の約2倍にあたる5000の水準にまで引き上げるとの目標を掲げた。
韓国検察当局は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の夫人、金建希(キム・ゴンヒ)氏に関して、資本市場法違反の容疑などで再捜査に乗り出すと現地メディアが25日報じた。李氏は株価操作などへの不正に対して罰則を強化する考えも示している。
これまで共に民主党は貧富の格差是正や福祉の充実を政策の中心に据え、与党「国民の力」が市場経済の成長を重要視してきた点とは一線を画してきた。
李氏は貧農の家庭に生まれ中学、高校に通えず、少年工として働き家計を支えた。その後高卒認定試験を受け、大学に進学した経歴がある。2022年の大統領選ではベーシックインカム(最低所得保障)を看板政策としていた。
共に民主党内で盤石な支持を得た今回の大統領選では、従来の支持層以外からの票獲得を見据える。24日に発表された1~3月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は成長率が前期比で0.2%減だった。米国による関税政策への警戒感が強まるなか、福祉政策より経済成長策を前面に出す戦略に打って出た。
李氏は方針修正により、国民の力の候補と政策主張が一部重なり始めた。国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)前代表は15日の記者会見で「AI世界3大強国に飛躍させる。AIインフラ整備に150兆ウォンなど、全体で200兆ウォンの投資を提案する」と述べた。同党の複数候補が同様の政策方針を提示している。
26日に国民の力の金文洙(キム・ムンス)前雇用労働相も資本市場に関する公約を発表した。5000万ウォン以下の配当金には所得税を廃止するとした。李氏と同様にインサイダー取引などへの罰則を強めると主張した。
【図・写真】27日、韓国大統領選に向け最大野党「共に民主党」の公認候補に選出された李氏=ロイター
カナダで祭りに車、9人死亡[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 5ページ 198文字 PDF有 書誌情報]
【オタワ=共同】カナダ西部バンクーバーで26日、祭りに集まっていた群衆に車が突っ込んだ。地元警察は9人が死亡し、運転していた30歳の男を容疑者として拘束したとX(旧ツイッター)で発表した。当時の状況を捜査しているが「現時点でテロではないと確信している」との見方を示した。容疑者の詳しい身元は明らかにしていない。カナダメディアによると、現場ではフィリピンの歴史や文化を伝える祭りが開催されていた。
トランプ禍100日の作戦図 論説委員長 菅野幹雄(核心)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 6ページ 2115文字 PDF有 書誌情報]
大動乱の100日間は米国の歴史的な衰退の始まりとして後世に刻まれるのか。それとも自ら強弁する復活の序章になるのか。トランプ米大統領が29日、いわゆる「ハネムーン期間」を終える。史上空前の大統領令を乱発し、「自国第一」のもと全世界に相互関税の脅しをかける。強権的な手法と朝令暮改の連続で、米国という超大国の信頼が傷ついたのは間違いない。
ドルの信認や同盟国との協調、戦後の国際秩序を弄ぶ振る舞いを正当だと開き直るトランプ氏の行状を、世界は冷ややかにみている。日本はそんな米国とどう向き合い、トランプ禍ともいえる国際政治と経済の激動に、いかに自らを変えていくのか。目先の関税交渉にとどまらない、重厚な思考と行動が欠かせない。
トランプ第2期政権のスタートダッシュは8年前の第1期をはるかに超越した。雌伏の4年間に積み上げた「米国第一」の理論武装、トランプ氏の忠臣で固めた人事、「洪水戦略」ともいわれる大量な情報の一方的な発信。純化した「MAGA(米国を再び偉大に)」の路線を支持者に強力に印象づけた。
その過程で進むのは既存秩序の広い範囲での破壊だ。
自由貿易の体制は「最も美しい言葉」と賛美する関税を刃物のように振り回すトランプ氏によって、すでに瀕死(ひんし)の状態になった。ウクライナ侵略という国際法に明確に違反する行為を犯したロシアをトランプ氏は不問に付した。かつて「1日でなし遂げる」とも豪語した停戦の実現に腐心する。
西側諸国の政権も不安定でトランプ氏への歯止めを欠く。東大の遠藤乾教授は「トランプ現象は格差や文化対立など米国の矛盾を映す『症状』にとどまらず、いまや周囲に混乱を拡散する『触媒』にもなっている」と指摘する。ロシアにとっても中国にとっても心地よい状態が訪れたことが、皮肉にもトランプ2.0での最大の変化だとみる。
文化や高等教育といった知的な基盤に対する破壊も始まった。DEI(多様性、公平性、包摂性)の排除、政権の意に沿わない米名門大への助成停止や留学生の排除といった実力行使だ。
同志社大学の三牧聖子教授は、白人男性などの支持層の怒りの矛先を公約のインフレ退治から「文化戦争」に向けさせるトランプ氏の戦術だとみている。「自分が敵対し、嫌いな相手を苦しめることへの満足感をかきたて、支持を維持しようとする。インフレの解決ができなくても、支持率が確保されるシナリオは十分にありうる」と語る。
だが、いとも簡単に壊した秩序を再建するのは至難の業だ。民主主義の盟主であるはずの米国に対する世界的な信頼も、確実に低下した。
トランプ大統領、そして政権の融通むげは目に余る。算出根拠もあいまいな相互関税の上乗せ発動から13時間で90日間の猶予を決めた迷走。SNSに「解任する」と書き込み、辞任も迫った米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を「解任しない」と明言したトランプ氏の開き直り。いずれも株、為替、債券と3重の「米国売り」による金融市場の警告に突き動かされた決定だった。
不確実性や脅しをつくり上げ、相手を恐怖に陥れて有利なディール(取引)に誘い込む。お得意の手法の極みともいえる2つの例は、はからずも威嚇戦略の底の浅さをさらけだした。
政府効率化省(DOGE)を率いた実業家イーロン・マスク氏と政権幹部との衝突、安全保障を巡るずさんな情報管理など、当然ながらほころびも見えてきた。移民政策などで政権と一定の距離を置く連邦最高裁判所の動きは「トランプ強権」への歯止めとして淡い期待をつなぐものだ。
赤沢亮正経済財政・再生相や加藤勝信財務相による、関税を巡る対米協議が本格化している。石破茂首相は「国難」と呼び、日本経済の安定に向けた決意をにじませる。相手の術中にはまらないよう、慎重かつ細心な対米交渉の戦略を練りあげてほしい。
同時に求めたいのは「関税をまけてもらう交渉」を超えた、新しい現実に対処する変革の見取り図を正面から議論し、定めることだ。
米国が背を向ける自由貿易体制を堅持していくことは日本の国益であり、責務だ。環太平洋経済連携協定(TPP)はその軸となる。欧州連合(EU)が持ちかけた両者の連携強化も有効だろう。
「米国の過剰消費と過剰投資に頼る世界の自由貿易というのも、虫のいい話だった」(丸紅経済研究所の今村卓社長)というのも事実だ。米国への依存度が低下するとすれば、どの地域、どの分野を軸に貿易や投資の体制を築くのか。自動車産業の「一本足打法」といわれた産業構造をどう再構築するのか。大きな視点で再考する必要がある。
経済政策も転機にある。「いま最もやってはいけないのは、単なる現状維持の政策に走ることだ」と、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはいう。トランプ関税という定まらない影に右往左往して、単に「どの企業も破綻させない」という延命策に頼ったり、物価高対策の名目で多額の給付金や補助金、減税を広範囲にばらまいたりするのは中長期的な日本の力をそぐことになりかねない。
「トランプ禍」の100日を冷静に見極め、大局的な作戦図を描く。これこそ乱世を率いるリーダーの仕事だ。
揺らぐ北極圏の多国間主義 マーティン・サンブー(FINANCIALTIMES)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 6ページ 0文字 書誌情報]
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気候変動対策の先行きは 途上国支援にAIや衛星 分断でODA減少、警戒 国連開発計画総裁 アヒム・シュタイナー氏(時論)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 7ページ 2871文字 PDF有 書誌情報]
2024年の世界平均気温は観測史上最も高く、気候災害が相次ぐ。トランプ米大統領は就任早々に気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱を決めた。国連最大の開発機関、国連開発計画(UNDP)のアヒム・シュタイナー総裁は世界の分断に危機感を示す。気候変動対策での先端技術の活用や途上国支援継続の重要性を訴える。
――UNDPは気候変動対策や持続可能な開発支援のリーダー役です。あなた自身も環境問題に携わってきました。ただトランプ氏ら温暖化の懐疑派も少なくありません。
「気候変動は人類と生物の未来にとって最大の脅威だ。医師10人のうち9人が『これをやめなければあなたは死ぬ』と説明し、残りの1人が『続けたらいい』と話したとしたら、あなたはどちらの意見を聞くだろうか」
――国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)は24年、温暖化対策で先進国から途上国への資金提供を年3000億ドル(約42兆円)以上に増やすと決めました。この金額は少ないと批判されています。
「世界はより多くの資金提供で脱炭素化への移行を加速する方法をみつけようとしていたはずだ。世界は24年に新しい発電インフラに対して3兆ドルを投じたとみられる。それに比べ3000億ドルは1割に過ぎず、合意は期待外れだった」
「先進国は新型コロナウイルス禍で多額の財政赤字を抱え、途上国に対する資金提供に対する世論の支持も低い。ただ今後10~15年でみれば、経済の抜本的な脱炭素化が進むだろう。24年には2兆ドルが再生可能エネルギー発電に投資されたとみられる。エネルギーや自動車などの移動システムが変わっていくはずだ」
――気候変動対策に先端技術を活用すべきだと主張しています。
「気候変動は、人類の脅威であると同時に、発展の原動力にもなり得る。最新技術の活用が、世界を公平にするか、ますます不平等にするかを決めるという意味で重要だ。うまく活用できない国は取り残されてしまう」
「デジタルや人工知能(AI)、量子コンピューティング技術などは今後数年でみて、成長の機会があると言える。人工衛星で撮影した画像を使えば、地球の表面を監視してデータを取り込み、森林火災など環境変化の把握に生かせる」
――エネルギー分野でも活用の余地があります。
「太陽光や風力関連の技術発展によって、1キロワット時あたりのコストで化石燃料に対抗できるエネルギー革命が可能だ。次世代の蓄電能力を整備すると、化石燃料中心の経済から脱却することも可能になる」
「天候や時間帯に左右されない地熱資源でもより深く安全で効果的に掘削する技術の開発が進んでおり、天候などに発電量が大きく影響される太陽光や風力発電を補完できるようになってきた」
――AI活用の可能性をどう考えていますか。
「AIを使って送電線を効率化すれば、100倍から1000倍もの能力向上が実現できるはずだ。農業、移動、都市インフラでも生かせる」
――先端技術は気候変動以外の開発分野にも生かせるのでしょうか。
「デジタル時代の途上国にとっては、先端技術が社会問題を克服するための強い力になる。アフリカ中部のルワンダでは、首都キガリの郊外に小型ドローンの発着施設を備えている。全土の医療機関とつながっており、地方の医師が薬などを注文すると、ドローンが薬を短時間で届ける仕組みが既にできあがっている。金融部門では、AIの活用で銀行を使っていなかった貧困層がお金を借りたり、返済したりできる」
――UNDPは人間開発報告書の最新版で、貧困削減の流れが世界で逆行し悪化する裏で、豊かな者はより富を増やしていると警鐘を鳴らしました。
「コロナ禍で先進国と途上国との経済格差がより広がった。先進国の経済は回復途上にある一方で、途上国は債務危機に直面し、医療や教育に使うべき予算を債務の利払いに充てる事態に陥っている。世界が地政学的に分極化する中、開発協力は各国が連携できる重要な基盤になるはず。途上国支援は単なる慈善事業ではなく、世界をより安全にすることができる」
――途上国の開発支援には民間企業の役割が重要との声がある一方、民間側は政府が責務を担うべきだと主張することが多いです。
「政府と企業は両輪で動くべきだ。気候変動対策で言えば、民間が新エネルギーや移動システムへ投資し、政府は優遇策を与える必要がある。金融機関は、融資の際にクリーンエネルギーに資金が流れるよう企業に促すべきだ」
「石油・ガス産業については、米国でのシェール革命やウクライナでの戦争に伴うエネルギー情勢の変化などを受けて、クリーンエネルギーに力を入れるという約束を忘れてしまっている(のは残念だ)」
――日本ではアフリカへの関心が高くありません。
「アフリカには債務負担を軽減する必要がある国が多いことが大きい。開発援助で重要なのは、やはりクリーンエネルギーや移動システムに関わる最先端の技術だ。アフリカは(まだ貧しく)コンピューター技術などを導入しても活用できないという見方があるが、アフリカ人の多くがいまスマートフォンを持っていることからも間違いだと分かるだろう」
「アフリカは13億人の人口を抱え、電力、移動システム、交通インフラ、通信分野などの巨大市場だ。日本が強い自動車産業などには大きなチャンスがあるはずだ。莫大なニーズに目を向けなければ、日本企業は敗者になりかねない」
――国連はウクライナや中東などの紛争を抑止する機能を果たせていません。国連がいま担うべき役割は何でしょうか。
「各地の紛争によって、アフリカなど多くの地域では先進国からの政府開発援助(ODA)が実質的に減少したことが課題になっている。ただ国連は持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ、人道や開発、環境への対応では成果を上げてきた。気候変動、感染症、サイバー犯罪、テロリズムなどの脅威は、1つの国の対応が他の国の未来に影響を与えることになるため国際的な協調は欠かせない」
――世界では多国間主義を否定する声もあります。
「欧米では、移民問題が政治における主要な論点になってきた。欧州での反移民の動きはシリア内戦などによる移民や難民が大規模に流入したことが大きい。気候変動による長期的な打撃を受けている地域からも、経済的な豊かさを求めて先進国に移り住もうとする人の流れが続いている」
「多くの国で政治が不確実性と恐怖心に支配され、急進化と分極化が進んでいる。しかし孤立主義やナショナリズム、過激主義は社会を破壊するだけで、その国にとってプラスにはならない」
【図・写真】Achim Steiner 国際自然保護連合(IUCN)事務局長や国連環境計画(UNEP)事務局長などとして、持続可能な開発と国際協力の分野で活動した後、英オックスフォード大学のオックスフォード・マーティン・スクールでトップを務めた。2017年から現職。国連開発グループの副議長も兼務し、国連の社会開発機関を束ねている。ドイツ出身。63歳。
気候変動対策の先行きは 途上国支援にAIや衛星――<聞き手から>多国間外交、日本が主導を(時論)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 7ページ 591文字 PDF有 書誌情報]
世界中に高い関税をかけると脅しをかけるトランプ米政権は発足直後から自国優先主義に基づいて、2国間での取引を最優先し多国間の枠組みも遠ざけている。
気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」だけでなく、新型コロナウイルスの流行で感染症対策の重要性が改めて認識されたはずの世界保健機関(WHO)からの離脱も決めた。
政府予算の抜本的な削減を進めるトランプ政権はさらに途上国の人道支援を担う米国際開発局(USAID)を事実上閉鎖に追い込んだ。米国の支援を受けてきた、国連の人道機関などによる途上国支援の事業継続が危ぶまれる事態が相次いでいる。
インタビューでシュタイナー氏は、国連を中心とした多国間主義の流れが崩れ、豊かな国がより富を蓄え、貧しい国の人々の苦境が深まることに焦りをみせた。欧米で移民の受け入れを巡って非寛容な考えが広まり、世界では民主主義が後退していることを戒める発言にも力を込めた。
深刻さを増している気候変動に伴う災害や感染症の流行、頻発する紛争で、いま特に困難に直面しているのがアフリカ諸国だ。
日本は8月、UNDPなどと共催で第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を横浜で開く。こんな時代こそ日本が多国間外交を引っ張る覚悟が必要になってくる。そうすれば経済力の衰えを補って、グローバルサウスからも頼られる存在になることができるのではないか。
(シニアライター 野沢康二)
H&M、実在モデルAIで「分身」 活用方針アパレルで波紋 雇用の減少、業界懸念[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1575文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=湯前宗太郎】スウェーデンのアパレル大手、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が打ち出した人工知能(AI)活用策が波紋を呼んでいる。実在モデルの「分身」をAIで生成して活用する予定だが、雇用が失われることを危惧する業界関係者からは反発が相次いでいる。
「AIは創造的なプロセスの質を高めるもので、その恩恵を取り込んでいく」。H&Mのヨルゲン・アンダーソンCCO(最高クリエイティブ責任者)は、AIを活用した新たな取り組みについてこう述べた。
同社はこのほど、マーケティングなどに使う画像をAIでつくる方針を打ち出した。実際のモデルを撮影して得たデータをベースに画像を生成。動きの特徴から肌の様子まで忠実に再現し、モデルとうり二つの「デジタルクローン」として活用する。
画像生成にはスウェーデンのAI新興企業の技術を使い、2025年中に30にのぼる分身をつくる。AIは権利関係が問題となることも多いが、H&Mはこうした点にも配慮していると説明する。
生成した画像の権利はモデルに帰属させ、どの企業に画像の使用を許可するかなどを、本人が決められるという。AIモデルが広告などで使用される際の報酬も、実際に撮影へ参加した時と同様に受け取れる仕組みだ。
米オープンAIの生成AI「ChatGPT(チャットGPT)」が22年11月に登場して以降、作業の効率化などにAIが浸透する。H&Mは多くの人手を要していた撮影などの仕事が、AIにより簡潔で低コストになると期待している。
「ZARA(ザラ)」を展開するスペインのインディテックスも、H&Mのような生成画像の導入は明言していないが「我々の仕事を改善する手段」とAIの活用に前向きだ。同社は自社の電子商取引(EC)サイトや、物流といった分野でAIを使っている。
だが、H&Mがモデルのクローンを生成することについては反発の声は強い。「深刻な懸念を抱いている」。ファッション業界で働く人の権利保護に取り組む米国の非営利団体ザ・モデル・アライアンスは、H&Mの方針を受けて声明を出した。
同団体が危惧するのが、モデルやカメラマン、メーキャップアーティストなどの雇用が失われることだ。国連によるとクリエーティブ産業の雇用の数は、世界で約5000万人にのぼる。幅広い業種に影響しかねないとみている。
モデルからも「撮影現場の仕事が失われる」など、SNSを中心にH&Mへの否定的な意見が相次いだ。エンターテインメント産業などで構成する英国の労働組合Bectuによると、加入する労働者の半数以上がAIがファッション業界にマイナス影響をもたらすと捉えている。
クリエーティブな領域にAIを使おうとして、批判されたアパレル企業の事例はこれまでもある。米ジーンズ大手のリーバイ・ストラウス(リーバイス)は23年、AIで生成したモデルの導入を打ち出したが、非難を受けて計画は進んでいない。女性向けの新興ブランド、米国のセルキーもドレスなどのデザインにAIを使ったことでネット上で炎上した。
雇用への不安だけでなく、人が創造したモノにこそ価値があるという考え方などから、AIに対しては一定の拒否反応がある。
こうした傾向は他のクリエーティブ産業にもみられる。米国ハリウッドでは、AIが浸透することを危惧した映画俳優組合によるストライキが起きた。
H&Mも現時点で「(AIに関して)人々の意見は割れるだろう」(アンダーソン氏)と認める。米オープンAIの生成AIアプリがつくるアニメ風の画像を巡っては、著作権の議論が巻き起こった。権利などを意識しつつAIを活用することが、様々な産業で課題となっている。
【図・写真】H&Mの米ニューヨークにある店舗=AP
【図・写真】リーバイスがAIで生成したモデル画像(同社ホームページから)
東京メトロ、自社ブランドでホテル参入 運輸依存から脱却[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 747文字 PDF有 書誌情報]
東京地下鉄(東京メトロ)はホテルの運営事業に参入する。自社ブランドを立ち上げ、東京都内の沿線沿いに展開する計画。同社は定期などの旅客運輸収入が売上高全体の8割強を占める。2024年10月に東証プライム市場へ上場しており、企業価値向上に向けて事業の多角化が欠かせないと判断した。
28日に発表予定の28年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画に盛り込む。自社ブランドでのホテル参入は初めてとなる。
都内に保有する遊休地などから候補地を選定する。地下鉄駅と直結させられる場所を想定している。投資額や事業規模を含め、具体的な計画は今後詰める。
事業構造の転換を進め、ポートフォリオを多角化する。インバウンド(訪日外国人)などの旺盛な宿泊需要を取り込み新たな収益基盤にする。
東京メトロは都内中心部に沿線があり、短距離で多くの乗客を運べる高い輸送密度に強みを持つ。23年度の輸送人員は23億人と、私鉄で最大規模だ。
強固な営業基盤に支えられる半面、売上高の大半を定期や運賃収入などに依存する。24年3月期は売上高に当たる営業収益のうち、定期などの旅客運輸収入が3240億円と全体の83%を占めた。ホテルや商業施設などを抱える同業他社(1~2割)に比べても、その差は際立つ。
昨年10月に上場したことで、今後は投資家からさらなる成長戦略を求められる。ホテル運営への参画はその一環で、事業多角化を通じて多様な収益源を確保する狙いがある。
東京都区部の宿泊費はインバウンド需要を背景に高騰が続いている。国の消費者物価指数によると宿泊料は2020年度比で5割以上上昇している。足元では円高や「トランプ関税」に伴い、訪日客の減少が懸念される。ただ東京メトロは中長期では一定の需要が見込めるとみているようだ。
プログリット、高校生向け授業開発 英語力、海外大進学水準に[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
英語学習サービスを手掛けるプログリットは、21日に開校した「HR高等学院」と連携する。HR高等学院はNTTドコモ発のスタートアップ、RePlayce(リプレイス、東京・渋谷)が運営する通信制高校のサポート校。英語学習のカリキュラムを共同開発し、3年間で海外大学に進学できるレベルを目指す。
HR高等学院の授業ではプログリットのアプリを使う。プログリットの英語コーチングのノウハウを使い、生徒が毎日1時間程度の英語学習を続けられるよう、同校のコーチが伴走する。3年間で英語力を中学校レベルから海外大に進学できる水準に引き上げる。
入学1年目には発音トレーニングや人工知能(AI)英会話、2年目には聞き取った英語をまねて発音するシャドーイングや定型文を瞬時に日本語から訳す「口頭英作文」といった実践的な学習に取り組む。3年目は英語能力テスト「TOEFL iBT」や 「IELTS」などのスコア獲得に向けた学習を進め、英検1級や「TOEIC L&R」(聞く・読む)900点相当の英語力を身につけさせることを目指す。
プログリットはコンサルタントが伴走して短期間で英語力を高める英語コーチングを主力とする。
マイナビ、異動希望いつでも申告可能に[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 379文字 PDF有 書誌情報]
マイナビは4月から従業員が異動希望をいつでも申告できるようにした。これまで年2回の申告期間のみだったが、異動希望などを記入した「キャリアレジュメ」を随時更新できる。キャリアプランを検討する際の相談役も新たに配置し、自律的なキャリア構築を促して成長につなげてもらう。
約8000人の正社員を対象とし、年次は問わない。レジュメに記載した職務内容や今後のキャリアプランを参考に、人事担当者が異動調整を検討する。
中途採用の経験もある社内の業務内容に詳しい従業員「キャリアエージェント」を集めた組織を設け、相談者の強みなどの自己分析やキャリア設計などに助言する。
社内公募への応募も促していく。同社は2017年に公募制度を導入したが、「異動する従業員は限定的だった」(粟井俊介取締役)という。挑戦する機会を増やすことで、従業員のキャリア意識や定着率の向上を目指す。
流通再編も多様性の時代 「小さくなる」巨象イオン 編集委員 中村直文(経営の視点)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1228文字 PDF有 書誌情報]
経営規模の大きさを求め、価格決定権を握るというのがイオンの長年のテーマだ。基本姿勢は変わっていないが、10年単位で見ると、広域型の大型商業施設から、近隣型の小型店舗を優先する事業構成に様変わりしている。
代表的なのがドラッグストア。イオン系のウエルシアホールディングス(HD)とツルハHDが2025年内の経営統合を決め、当初計画を2年前倒しにした。10年前の15年2月期のイオングループのドラッグストア数はわずか980店。しかし25年2月期には3千店を突破。そして今回の統合で今期中に6000店規模になる計算だ。
近隣型と言えば、食品スーパーの拡大も著しい。15年2月期に2030店だったのが、カスミやいなげやなどとの経営統合で25年2月期には5000店を超えた。相乗効果は弱く、同業のライフコーポレーションなどに比べると収益力は見劣りするものの、顧客基盤は大きく広がった。
M&A(合併・買収)だけではない。特売もチラシもしないミニスーパー「まいばすけっと」は約1200店と倍増している。コンビニエンスストアなど小型店の経営は苦手というイメージも変わりつつある。
一方、大型店の成長は一段落。総合スーパー(GMS)事業の連結売上高比率は15年2月期に50%弱を占めたが、25年2月期は35%台に低下している。
デベロッパー事業も、国内のモール数を見ると15年2月期の139から10年後に148で、近年は年平均約1カ所と緩やかだ。しかも地域の特色に応じて小ぶりの施設が増えている。
イオンは地方都市の「百貨店」としてのイメージが強かったが、成長分野はかなり「ダウンサイジング」しているわけだ。
00年代は小売業のM&Aが活発だった。量販店ではイオンが中心で経営破綻したダイエーやマイカルなどを買収した。イオンの攻勢に危機感を持ったアークスなど地域の有力スーパーも近隣の同業を傘下に収めるケースが目立つ。
しかし近年はイオンが圧倒的な主役ではなく、流通再編も多様化しつつある。
ディスカウント店大手のトライアルHDが3月に約3800億円という破格の金額で西友を買収すると発表した。
かつてドンキホーテHD(現パン・パシフィック・インターナショナルHD)がユニーを傘下に収め、一大勢力にのし上がった。トライアルも知名度を上げ、ポスト「イオン」の一角に食い込もうとしている。
これまでM&Aの実績がないライフコーポレーションの岩崎高治社長は「食品スーパーは大型再編が起きそうで起きてこなかった。(コスト上昇で)新店も出しにくい状況。いい話があれば、M&Aも選択肢」と公言する。同業の首脳も「いよいよ大手同士が統合する決勝戦の段階」と話す。
少子高齢化、人件費などコストアップ、単身世帯の増加、所得格差の拡大、消費者志向の多様化などを背景に、M&Aの担い手も広がる。「巨象イオン」も小さく踊る時代。規模以上に企業の戦略ポジションに応じた争奪戦が活発になりそうだ。
エヌビディア ファンCEO(ニュース一言)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 8ページ 196文字 PDF有 書誌情報]
知能を生成し創造する人工知能(AI)工場という産業が出現する。情報インフラとしてインターネットがあったように、今後はAIという新たなインフラが必要になる。
米半導体エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は石破茂首相と面談し「日本に新たなインフラを構築すべき」と説いた。トレードマークの革ジャンではなくスーツを着用し、AIと日本の製造業を組み合わせる絶好の機会だと熱弁した。
松竹、歌舞伎黒字へ伝統打破 演目一括公表、ルパン三世など新作[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1996文字 書誌情報]
松竹が祖業の歌舞伎事業のテコ入れに動いている。集客不振の中、主要演目を一括公表し予約を取りやすくし、ゲーム原作など新作も増やす。今年創業130年を迎えたが、伝統にとらわれない施策で新規客やインバウンド(訪日外国人)を取り込む。演劇は映画、不動産にならぶ3本柱の一つだ。歌舞伎事業の立て直しが松竹の業績回復のカギを握る。
「仮名手本忠臣蔵」「木挽町のあだ討ち」「刀剣乱舞」……。1月23日、松竹は初の試みとして演劇と映像合同でラインアップ発表会を開催し、歌舞伎役者も出席して今年の主要な演目を披露した。歌舞伎の演目は公演2カ月前の公表が長年の伝統だった。高橋敏弘社長は発表会で「時代の変化のスピードは確実に増しており、グループ一丸で歩んでいく」と力を込めた。
歌舞伎を含めた松竹の演劇事業は不振が続く。2025年2月期の演劇事業のセグメント損益は11億円の赤字だった。21年2月期以降、5期連続で赤字を計上している。
演劇市場全体は好調だ。ぴあ総研の調査では国内の演劇を含む「ステージ」の市場規模は23年で2099億円と、すでに新型コロナ禍前(19年の2058億円)を上回っており、歌舞伎の苦戦が目立つ。
団体客が減少
差がついた理由は団体客の減少だ。新型コロナ禍で企業や学校などの貸し切り公演が激減した。歌舞伎の主要劇場「歌舞伎座」(東京・銀座)は東京観光で訪れる名所の一つ。地方からツアーなど団体で歌舞伎を鑑賞に来る観客もおり、個人客が多い一般的な演劇とは異なる。
コロナ禍前は地方からの団体客が全体の25%程度を占める柱だった。それが落ち込み、地方団体客は当時の6割程度までしか回復していない。
松竹は立て直しに向け、コアなファンの呼び戻し、訪日客の取り込み、新規客の掘り起こしの3点に注力する。
演目公表の前倒しもその一環だ。早い時期に演目が分かると団体客や訪日客が予定を立てやすくなる。23年6月からは歌舞伎の演目のうち一部だけを鑑賞できる「一幕見席」に予約できる席を設けた。予約なしで入れるのが幕見席の魅力とされてきたが、訪日客などは事前に予約が取れないと予定を立てにくい。歌舞伎の1公演は通常3~4時間かかるため、40分程度で見られる一幕見席の需要を見込む。
従来は音声案内だけだった翻訳も、24年にリアルタイムで文字を表示するタブレット端末を貸し出し始めた。こうした取り組みにより、演目によっては訪日客が観客の2割を占める日も出てきた。
歌舞伎事業を統括する山根成之取締役副社長執行役員は「役者のファンなどコアな客層は戻ってきている。歌舞伎座単体でみれば黒字にはなっている」と話す。ただ、客数の少ない新橋演舞場や制作費のかさむ東京都以外の劇場など、歌舞伎興行全体では補い切れていない。
歌舞伎や演劇の専門書店「木挽堂書店」(東京・中央)店主の小林順一さんは「娯楽が多様化し、料金が高く上演時間も長い歌舞伎は選ばれにくくなっている。十八代目中村勘三郎さんのようにスター役者の人気だけで集客できた時期もあったが、今はそんな時代ではない」と指摘する。
新作から古典誘導
松竹は「ワンピース」「ルパン三世」など漫画やアニメ原作の新作に力を入れる。山根氏は「古典以外を上演すると批判も受けるが、新作には積極的に取り組みたい」と話す。古典に比べて制作費はかさむが、話題性の高さで新規層をつかみ、重厚な古典の鑑賞につなげる戦略だ。
4月29日には尾上菊之助さんが八代目尾上菊五郎を、尾上丑之助さんが六代目尾上菊之助を親子で襲名する。こうした名跡の襲名は、ファンと役者ともに世代交代を促す意味もある。
松竹の創業は1895年。芝居小屋の売店の経営が家業だった大谷竹次郎が、京都の新京極阪井座(現在の京都松竹阪井座ビル)の興行責任者になったことから始まる。京都南座、歌舞伎座などの経営権を取得し、事業を拡大。その後は撮影所や映画配給会社、映画館などを設立し、映画館網を再開発して不動産事業にも乗り出した。
歌舞伎興行は過去には東宝など複数社が手掛けていたが撤退した。国立劇場での公演や、役者の主催公演など一部を除き、現在も継続して興行を続けているのは松竹だけだ。松竹衣装や歌舞伎座舞台なども傘下に持つ。劇場から衣装、大道具、劇場内の飲食店にいたるまでグループで手掛けるのが強みだ。
松竹は26年2月期の連結営業利益を前期比86%増の31億円と見込む。映画事業での一定のヒットを見込んだ数字だが、演劇事業の黒字回復が前提だ。山根氏は「伝統はただ守るだけではなく、続けられてこそだ。新作と古典、両輪で進んでいく」と話す。
世界では日本文化といえばアニメや漫画が注目されがちだが、伝統芸能の潜在力は大きい。新規客をつかみ、伝統を支える次世代のファンを育てれば歌舞伎は世界に名乗りをあげられる。
(鈴木卓郎)
大学の3割留学生 英語での授業必須 18歳人口減、人材確保へ就職支援も[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1855文字 PDF有 書誌情報]
日本に留学する若者が増えている。一部の大学では多国籍なキャンパスが既に実現。勢いを保てば学生の2~3割が留学生、英語での授業は当たり前という未来が近づく。2050年の18歳人口は今より4割近く減るかもしれないが、日本で就職する留学生も増え、職場に活気をもたらすはずだ。
大分県別府市の市街地からバスで15分。立命館アジア太平洋大学(APU)のキャンパスに未来図の一端が垣間見える。食堂では多言語の会話が響き、豚肉などを禁忌とするイスラム教徒のためのメニューもある。
定時のお祈りができるスペースに、体調について英語で相談できる看護師も。多様な宗教・文化的背景を持つ学生が共に学ぶ環境が整う。
2000年開学のAPUは日本の大学国際化の先駆けだ。100を超える国・地域から来た留学生は約3000人で日本人学生とほぼ同数。東南アジア出身が多く、米山裕学長は「インドや中東、アフリカからの学生を増やしたい」と意気込む。
福岡県出身で2年生の須藤美空さん(19)は「留学生が下宿を探すときに不動産屋に同行した。互いに助け合っている」と話す。「将来はどの国で働きたい?」などと話す友人から刺激をもらう日々だ。
比率は国際平均未満
25年に109万人の18歳人口は50年には68万人まで減るとの文部科学省の推計もある。大学の経営だけではなく、産業人材確保の観点からも留学生の受け入れ拡大が必要だ。
政府は、23年で約28万人の留学生を33年までに40万人に増やす計画に取り組む。新型コロナウイルス禍による落ち込みから回復し増加傾向にあり、数だけなら達成は難しくなさそうだ。
問題は、高度人材が育つ場である大学などで学ぶ層が少ないことだ。経済協力開発機構(OECD)加盟国で見ると、日本は学部の留学生比率が3%にとどまり、政府は平均並みの5%にする目標を掲げる。そのためには、APUのような大学を増やさなくてはならない。
大学も動き出している。国立大学協会は3月にまとめた将来像で国立大の留学生比率を40年までに3割に高めるとした。
東京大は27年に修士まで5年一貫の新課程を創設し、約半数を留学生とする。優秀な頭脳を集める考えだ。早稲田大も32年に全学生の2割に当たる1万人の受け入れを目指す。
海外の若者も日本に熱視線を送る。インドネシアの首都ジャカルタに住む高校生のタキ・ファティ・アクバルさん(18)は生物学を学ぶため、日本の国立大進学を希望。「農業や工学など理工系で学術的な評価が高い」ことが理由だ。欧米に比べて安い授業料も魅力だという。
ベトナムの国立ハノイ大に通うドー・ブイ・トゥ・ザンさん(19)は和食やアニメなどの日本文化にひかれ、日本学部で学ぶ。「将来は日本や日本企業で働きたい」と目を輝かせる。
治安の良さ、学問の自由、異文化に比較的寛容など、日本の強みは少なくない。米国や英国、カナダといった人気国が、政治事情から受け入れを絞り始めたのも間接的な追い風となる。
温かく迎える社会に
とはいえ「留学生受け入れ大国」への道は険しい。日本同様に少子化が進む韓国や台湾も獲得に力を入れている。乗り越えるべきハードルは多い。
例えば教育内容。英語を使った魅力的な授業を数多く設けることは不可欠だが、それができる教員は少ない。参加する日本人学生にも高い英語力がないと授業の質は向上しない。
日本語教育の充実も必須だ。日本の学生や住民との交流があってこそ留学経験が豊かになる。学業や生活を支える大学職員のスキルと熱意も欠かせない。留学生が7割を占める大阪観光大の山本健慈理事長は「集めるのは簡単でも、4年後の卒業まで導くには丁寧な指導と支援が必要だ」と強調する。
日本での就職を望む学生は多く、政府は留学生(国内進学者を除く)の国内就職率を22年の53.3%から33年に60%に高める方針。達成には企業の協力を得る必要がある。
そして、最も大切なのは社会が温かく迎えることだ。留学生政策に詳しい上智大の杉村美紀学長は「一つ一つ課題を解決していくべきだ。大学は英語の授業を設け、留学生も日本語を学ぶ。互いに歩み寄る双方向性が大事では」と語る。
単に人口減の補完ではなく「持続可能な社会を共に考える仲間」(山本理事長)と捉えたい。その先に留学生であふれる50年のキャンパスが見えてくる。
(中丸亮夫、斎藤さやか)
【図・写真】立命館アジア太平洋大では多様なバックグラウンドを持つ学生が授業や課外活動を共にする(大分県別府市)
大学の3割留学生 英語での授業必須――教育の国際競争力、向上を 京都精華大元学長 ウスビ・サコ氏[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 11ページ 578文字 PDF有 書誌情報]
日本が留学生大国になれる可能性はある。それには大学と社会に留学生を受け入れる文化と構造がないといけない。
大学は入試の多様化が要る。日本人学生には一般入試や推薦入試など色々な入試があるが、留学生にはない。日本語ができる留学生は日本人と同じ土俵で競争できるようにすべきだ。
出口の支援も大切だ。今は就職も起業も難しく卒業後、日本社会で活躍できるイメージがない。学長を務めた京都精華大では入試改革と就職支援を頑張った結果、2021年度には留学生比率が28%まで高まった。
留学先として人気の米英両国などがビザ発給に厳しくなり、世界の留学生の流れは変わる。だが日本に向かうとは限らない。アジアの多くの国が急速に教育内容を充実させている。
例えばベトナムの大学はオーストラリアの大学と組み、両方の学位を取れるようにしている。そうした仕組みは日本ではまだ非常に少ない。
日本は教育の国際競争力を上げる必要がある。議論やワークショップのように誰もが参加できる授業を増やすべきだ。学部縦割りの構造を改め、学際的な教育プログラムを拡充して冒険心に富む留学生が伸びやかに学べるようにしてほしい。
日本の安心・安全や文化にひかれる海外の若者を逃すのはもったいない。留学生を国の将来を支える人材とみてはどうか。そうすれば奨学金のような形で投資することにも前向きになれるはずだ。
観光立国の課題(上) 混雑・渋滞 規制や課税で緩和 田中俊徳・九州大学准教授(経済教室)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 12ページ 2853文字 PDF有 書誌情報]
富士山や京都をはじめ、日本の多くの地域でオーバーツーリズム(観光公害)が問題となっている。
欧州では地価や物価の上昇で、住民が地域に「住めなくなる」という現象も深刻化している。スペインのバルセロナやイタリアのベネチアでは混雑や渋滞・騒音・物価の上昇・治安への不安から、住民らがオーバーツーリズムを「侵略」と表現し、対策を政府に求めるデモが発生している。
日本でも、近年の地価上昇率の全国上位(住宅地)には観光地が多くランクインし、対岸の火事と言っていられない状況が生まれつつある(図表参照)。オーバーツーリズムの解決は、政府が掲げる観光立国の大前提となる。
そもそも、オーバーツーリズムにはどういう時に陥るのだろうか。端的に言えば「キャパシティー(収容力)を超えた観光客が押し寄せたとき」である。ではキャパシティーとは何か。国連の世界観光機関は、次のように定義している。
「物理的、経済的、社会文化的環境を破壊することなく、また、訪問者が許容できないほど満足度を低下させることなく、1カ所の目的地を同時に訪れることができる最大人数」
道路やトイレ、駐車場など、観光地やそのインフラには「適切な収容人数」が存在する。このキャパシティーを超えてしまうのがオーバーツーリズムである。対策には「キャパシティーを拡大する」「キャパシティー内に観光客を抑制する」という選択肢がある。
例えば交通渋滞が慢性化している場合や、トイレの数が絶対的に足りない場合、キャパシティーをどう拡大するかを議論する。
一方で拡大が物理的に不可能な場所や、拡大が望ましくない場合も多く存在する。例えば世界遺産では、森林を切りひらいて登山道や駐車場を増設するといった対応が法的にも社会的にも許容されない。また、年に数日だけ観光客であふれかえるという場合、キャパシティー拡大は維持管理費用をいたずらに増加させ、持続的ではない。
その場合「キャパシティー内に観光客を抑制する」ことが優先される。予約制や許可制で一定時間内に入域できる人数を制限したり、特定の期間を定めて立ち入り禁止の措置をとったりするという対応がある。
いずれの場合でも、オーバーツーリズム対策は行政需要を増加させ、財源や人手不足が問題となる。現状、多くの自治体が乏しい一般財源から対策費用を捻出している。看板の設置、交通整理要員の雇用、各種情報発信、各所との調整――。業務は多岐にわたり、コストも増大している。
一方、主に地方税と地方交付税からなる日本の地方財政システムは住民のみを考慮して構築され、訪問客増大で発生する行政需要を賄いきれない。ギャップを埋めるために多くの自治体で、宿泊税や入域料の導入が実施・検討されている。
オーバーツーリズム対策は(1)規制的手法(2)経済的手法(3)情報的手法――を組み合わせて用いるのが一般的である。例えば富士山では1日の入域者数を定めて許可制とし((1))、入域手数料として1人4千円を徴収する(2025年予定、(2))。さらに混雑カレンダーを提供して人が少ない日への誘導を図り、登山マナー向上のための各種情報の提供が行われている((3))。
「苔寺」として知られる世界文化遺産の西芳寺(京都市)は1日の利用者数を約150人に制限し、完全予約制とし、冥加料として4千円を徴収する。参拝者は必ず写経を行い、心を落ち着けたうえで、初めて美しいコケを見ることができる。これは単にオーバーツーリズムを抑制するだけではなく、訪問客の体験の質をも向上させる仕組みであり、特筆に値する。
もっとも、こうした対策の常道を実施できる場所ばかりとは限らない。京都や鎌倉のように入域に際して「関所」を設けられない都市部もある。店の上に富士山が乗ったような写真が撮影できると話題になり観光客が押し寄せた「富士山コンビニ」など、SNSで急激にオーバーツーリズムが生じる場合もある。
これは世界が直面する難問だが、希望はある。例えばバルセロナ市は、観光客の混雑が顕著なバス路線をスマホの地図アプリから削除するよう要請を行い、効果を発揮している。これは観光客に「情報を与えない」という逆転の発想に基づく混雑の抑制方法で、日本でも活用が望まれる。
京都の市バスも混雑するのは一部路線で、アプリから削除すれば別の路線や地下鉄に観光客を分散させられる。富士山コンビニのような場合も、アクセス方法をアプリで表示させないよう自治体は企業に要請すべきである。アプリなどの運営会社に対策を義務化することも考えられる。
オーバーツーリズムを誘引するマクロ要因としてほかに格安航空会社(LCC)、クルーズ船、民泊がある。いずれも旅行を安く身近にするが、地域との摩擦や家賃上昇による住民の締め出し、環境破壊等、様々な「負の外部性」がある。利益は主に観光産業と観光客が得ているが、不利益や迷惑は地域住民が被ることも多い。この非対称性こそが、オーバーツーリズムの根源的課題である。
重要なのは、こうした負の外部性を規制や課税により内部化することである。
例えばオーバーツーリズムに悩むバルセロナでは、28年11月までにすべての民泊を禁止する方針を打ち出し、スペインの憲法裁判所もこの判断を支持した。
ベネチアでは21年より大型クルーズ船の運河への乗り入れを禁止している。オランダのアムステルダムは団体旅行を禁止するなど、各地がオーバーツーリズムの根本原因に直接対処する方策を採り始めている。
もちろん全てにおいて規制強化が正しいわけではない。民泊に関しては現在、日本では年間180日の営業日数規制があるが、別荘地やリゾート地など地域が合意している場所では規制緩和もあり得るだろう。一方、地域で合意が取れていない場所では規制強化するなど、メリハリのある仕組みの検討が欠かせない。
観光が過熱すると、外国人が投機的に不動産を買い始める。欧州で問題となっているように、一部の富裕層の金もうけのために地域コミュニティーや自然環境が破壊される事態は絶対に避けなければならない。
観光に伴う負の外部性を内部化する方法がもう一つある。現在、日本を出国する旅客全員に課せられている千円の国際観光旅客税(出国税)を増額し、地域や環境を守るための保全対策費用とするものである。
日本では税金を観光振興に使うことが主流となっているが、これは改めるべきである。ニュージーランドやパラオでは主に環境保全を目的として、外国人のみに入国税を課している。
観光を楽しめるのは、平和で安全な時に限られる。日本は自然災害などのリスクも冷静に分析し、地に足の着いた観光立国を目指すことが肝要である。
<ポイント>
○日本の多くの地域でも観光公害が深刻化
○対策には複数手法の組み合わせが一般的
○アプリからの情報削除なども対策に有効
たなか・としのり 83年生まれ。京都大博士(地球環境学)。専門は環境政策。東京大准教授を経て現職
資金循環で見る日本企業の姿(3) 成長期待低下が招く投資不足 帝京大学教授 田中賢治(やさしい経済学)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 12ページ 846文字 PDF有 書誌情報]
投資不足が話題になったのは日本だけではありません。2008年に米リーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界同時不況へ発展した際には、多くの国で投資不足が見られました。
その際、米国の経済学者ローレンス・サマーズ氏は「長期停滞論」を提示しました。需要急減により先進国の多くで潜在成長率が下がり、それに伴う投資の減少で貯蓄と投資のバランスが崩れ、完全雇用に見合う均衡金利が低下したとの主張です。国際通貨基金(IMF)も、設備投資の停滞で潜在成長率が低下すると将来の成長期待が押し下げられ、足元の設備投資は一層抑制されるという悪循環を指摘しました。
前回説明したように、設備投資は「今」の便益を犠牲にして「将来」の便益を得る企業行動です。将来の利益が期待できれば設備投資するのが合理的です。しかし、成長期待が低下すると、大きな利益が期待できる投資プロジェクトは見つけにくくなります。
内閣府の「企業行動に関するアンケート調査」(24年度)によると、今後5年の日本の経済成長率見通しは年平均1.2%にとどまります。企業は経済成長に見合ったペースで供給能力を高めるのが合理的です。将来の成長期待が小さいと、国内で設備投資が鈍化するのは当然の帰結です。
世界同時不況から脱し、12年からの景気回復局面で企業収益は力強く伸びました。設備投資も増え始めましたが、その伸びは企業収益の伸びをはるかに下回ってしまいます。
その原因について筆者が実証分析したところ、成長期待の低下が強く影響していたことが確認できました。設備投資は将来の利益を見込めるかという点が重要です。将来が見通しにくい時期には設備投資に慎重になると考えられます。それを裏付けるように、将来の不確実性も設備投資を押し下げていました。
さらに、過去の設備投資が期待した収益を生み出さない失敗経験は、その後の設備投資の意思決定に悪影響を及ぼしていました。そのほか、企業の業歴が長くなり社齢が上昇すると、設備投資に負の影響が及ぶという傾向も見られます。
AIが解決する資産形成の壁 400F社長・CEO 中村仁(私見卓見)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 12ページ 0文字 書誌情報]
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米独禁法の壁は厚いか セブン買収、ぶつかる見解 商圏の認定カギに[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 13ページ 2558文字 PDF有 書誌情報]
カナダ流通大手のアリマンタシォン・クシュタール(ACT)によるセブン&アイ・ホールディングス(HD)の買収提案で、米独占禁止法の見解を巡る両社の対立が続いている。競争当局の審査では、商圏ごとに統合後の競争状況を分析するのが鉄則だ。米国で計約2万店の店舗網を持つ両社にとって、独禁法は壁になるのか。その「厚さ」を巡っては、専門家の見解が分かれている。
「米独禁法上のハードルが大きな障壁になる」。買収提案に反対しているセブン側は3月25日に公表した声明文で強調した。米国のコンビニ業界でセブンの市場シェア(店舗ベース)は8.5%で首位、ACTは2位の3.8%だ。大型のM&A(合併・買収)に競争当局の審査は避けて通れない。セブン側は「米連邦取引委員会(FTC)から承認を得るのに極めて長い時間がかかる」とする。
ACT側は「セブンは独禁法を盾にしている」(関係者)と反論する。同社は2003年に「サークルK」を買収するなど、M&Aで成長してきた。3月13日に都内で記者会見したACT首脳らは、各国当局と交渉してきた経験や70社に上る買収実績を強調。「過半が米国の案件で、今回も実現できる。(FTCの)承認取得に2年はかからない」と強気の姿勢を見せた。
米独禁法の「壁の厚さ」を巡るセブンとACTの主張は正反対だが、専門家の見解も一様ではない。
一般的に、競争当局のM&A審査では、まず市場の地理的範囲(商圏)が争点になる。商圏ごとに競合の数やシェアなどの競争環境が、M&Aでどう変化するかを分析。競合が不在になるなど競争を阻害しかねない商圏がある場合、店舗売却などの問題解消措置を求めることがある。
問題解消措置の内容はFTCが商圏をどう設定するかで大きく変わるため、全米での市場シェアだけでは見通しにくい。
セブンとACTの市場シェア(店舗数ベース)を合わせると単純計算で10%超だが、独禁法に詳しい井上朗弁護士は「需要者の行動範囲は米国全域ではなく、店舗近隣の地域だ。判断対象となる商圏は細かく絞られるだろう」とみる。車社会の米国では多くのコンビニがガソリンスタンドに併設され、消費者は給油のついでに買いものをするのが一般的だ。FTCも、そうした消費者行動をもとに商圏を設定するとみられる。
店舗売却を求められた場合、売却先の選定や確保も審査の鍵となる。井上弁護士は競争環境を維持するため「承認を得るには買い手がコンビニ経営のノウハウを持ち、両社の統合後に競合になりえることが必要」と話す。
セブンが21年に米国の同業「スピードウェイ」を買収した際は、FTCは「ガソリン小売りの関連市場は地域によって数ブロックから数マイルの局地的な範囲」として「計293のローカル市場で独立系の競合が3社以下に減少する」と分析。293店を競合3社に売却する措置を条件に買収を承認した。
買収規模の影響
スピードウェイ買収前のセブンの米国内の店舗数は約9500店(20年時点)。スピードウェイは約3800店舗だった。現在のセブンは約1万3000店に拡大しており、約7000店を持つACTとの統合は、過去のM&Aの規模を大きく上回ることになる。
買収規模が審査のハードルにどう影響するかは判断が難しい。専門家には「これだけ大規模な買収では、コンビニに加え(米小売り大手の)ウォルマートなども競合として考慮され、商圏は広くなる可能性もある」との見方もある。コンビニ以外の小売大手も競合とみなされれば、必要な店舗売却数が限定的になる可能性がある。一方でセブン側は「(買収実現には)2000店規模の売却が必要」と、大規模な売却が求められるとの見方を示す。
海外の当局対応に詳しい弁護士は「地域によって店舗の特性・資産価値は様々。当事者にとって重要な店舗や事業の売却を当局から迫られることもあり、審査中に当事者が(統合を)諦めてしまうケースもある」と話す。
当局の姿勢見えず
またトランプ政権におけるFTCが、M&A審査にどのくらい厳しい姿勢で臨むかも不透明だ。
バイデン前政権ではM&Aの阻止が相次いだ。
FTCは24年2月、米食品スーパー大手、クローガーによる同業アルバートソンズの買収を「食料品やその他の必需品が値上がりする。提案された事業売却も不十分」として提訴。連邦地裁も24年12月にFTCの判断を支持し、買収を差し止める判決を出した。現在は合併の破談に伴う違約金や損害賠償を巡り、両社による訴訟合戦に発展している。
24年11月には高級ブランド「COACH(コーチ)」を展開する米タペストリーが「マイケル・コース」などを傘下に持つ米カプリ・ホールディングスの買収断念を発表した。競合2社の合併が消費者に不利益をもたらすとしてFTCが提訴し、24年10月に連邦地裁が差し止め判決を出していた。
トランプ政権の発足に伴い、産業界からはM&A審査の厳しさが緩和することへの期待も上がっている。だがFTCの新委員長に就いたファーガソン氏は2月、バイデン政権下で策定された審査基準を維持する方針を示した。一方で、職員向けの声明では「完璧な基準はない」などと含みも持たせ、実務がどう進むのか独禁法の専門家の間でも見通しが立っていない。
ACTがセブンに買収提案したのは24年8月だが、現在も買収交渉の道筋は見えず、両社の応酬が続いている。独禁法を含めた買収の論点が深まらないままいたずらに時間が経過すれば、株主などにとっても不安定な状態が続くことになる。
(藤田このり)
企業結合審査とは 企業がM&A(合併・買収)で市場を独占して競争がなくなると、商品などの値上げや品質の低下が起きても消費者は他社を選べない。そうした消費者の不利益を防ぐため、多くの国では独占禁止法(競争法)で、競争を制限する合併や株式取得などの「企業結合」を禁じる。
ただ合併や買収の完了後に問題が発生しても元に戻すのは難しい。そのため各国当局は事前の届け出を求めており、企業結合による競争環境への影響を審査している。米当局は2月、届け出に関する規則を改定し、必要な取引関連の書類などが大幅に増加した。
【図・写真】M&Aに対する米当局の姿勢は不透明だ(米連邦取引委員会)
「減給処分」廃止広がる 国際人権ルールで思わぬ問題視[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1253文字 PDF有 書誌情報]
懲戒処分制度を見直して「減給」を廃止する企業が増えている。減給は日本の労働法では問題ないが、国際的な人権規範に照らすと「強制労働」に該当するとして批判されかねないことがわかってきたからだ。電機メーカーをはじめ、国際基準に合わせる機運が高まった。各社は懲戒制度全体のバランスを整えることも課題になっている。
「世界を見渡すと懲戒に減給を認める国は少なく、日本のローカルルールだったことに気付いた」。リコーの羽田野洋充ESG戦略部室長はそう話す。同社はグループ全社向けの人権方針で2022年に減給規定の廃止を決めた。
リコーはタイや中国に拠点やサプライチェーン(供給網)企業を抱える。羽田野室長は「働いた分の賃金を払わない減給は国際的には強制労働などとみられかねない。グローバルスタンダードな『RBA(責任ある企業同盟)行動規範』に沿って決めた」と説明した。
RBA行動規範は04年に米ヒューレット・パッカードやIBMなどの世界的電機メーカーが中心となってまとめた。RBAには現在、リコー、キヤノン、ソニーグループやエヌビディア、ハイセンスなど国内外の250社以上が中心メンバーとして加盟する。
同規範は労働基準、安全衛生、環境保全、倫理の4分野について人権保護を求める。加盟各社は自社の実情や国内法に照らしながら規範の要素を調達方針や人権方針に落とし込んでいる。しかし減給廃止は日本企業にとって就業規則の変更が必要なため、対応していない企業もある。
そうした中、21年にキヤノンは同規範をサプライヤー行動規範として採用。自前の規範として18年に設けたガイドラインを置き換えた。就業規則も変更済みで減給規定はない。
労務現場には戸惑いもある。日本企業は懲戒処分の種類を、軽い方から譴責(けんせき)、減給、出勤停止、懲戒解雇などと定めているのが一般的。この中で労働基準法91条の「反則行為1回につき減給額は賃金1日分の半額を超えられない」など上限規定を就業規則に取り込み、減給を中程に位置付けてきたからだ。
減給を廃止した大手メーカーの人事部門幹部は「最も軽い戒告から出勤停止に飛ぶのはバランスが悪く、グループ企業の人事担当を集めた説明会が必要だった」と話す。関東地方の派遣会社は「法令で認められていても当社は減給を禁止する」と宣言したが、「取引先の要請によるもので主体的ではない」と明かす。
関西大学の後藤健太教授は「日本企業のRBA重視と減給処分の廃止は、サプライヤー労働者の人権を重視する近年の欧米の影響を受けた動きだ。この過程では業界ごとに欧米発の人権ガイドラインが林立し混乱が生じた。日本企業は業種を問わない統一基準として既存のRBA行動規範を選択した」と解説する。24年には自動車製造大手がRBAに新加盟するなど、業種を超えて減給廃止が議論される機運は高まっている。企業社会全体で考えるべき課題だろう。
(礒哲司)
【図・写真】RBA行動規範について話し合うリコーのESG戦略部の幹部ら(東京都大田区)
景表法「確約計画」で自浄作用 弁護士 木川和広氏(法トーク)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 13ページ 334文字 PDF有 書誌情報]
2024年10月施行の改正景品表示法で導入された「確約手続き制度」について、広告規制に詳しい木川和広弁護士は「事業者は自浄作用を発揮したとアピールできる」と活用を期待する。
違反の疑いがある行為について、自主的に改善計画を提出し、認定されると措置命令などが回避できる。消費者庁は2月、期限までに無料体験して当日入会すれば入会金を値引きすると宣伝しながら、期限後も値引きしていたパーソナルジム運営会社に初適用した。同社は正規の入会金を払った人に差額を返金することなどを公表した。
木川氏は「返金措置の場合、総額は課徴金納付命令より高額になるだろう」とみる。ただ、自主的な改善は信頼回復につながり、「上場審査などでのネガティブな影響を抑えられる可能性もある」と指摘する。
高度医療の危機、国立大病院赤字 薄い利幅に物価高直撃 診療水準の維持困難(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1851文字 PDF有 書誌情報]
全国各地で高度な医療を提供し、医師の育成も担う国立大学付属病院の経営が危機に直面している。高度医療の多くは利幅が少ない上に、資材費や人件費の増加が続き、大半が赤字となった。老朽化した施設の建て替えを遅らせ、古い医療機器を使い続けてしのぐが、経営努力も限界に近づく。放置すれば、患者に十分な医療サービスを提供できなくなる。
茨城県つくば市にある筑波大学付属病院の外来診療棟に入ると、完成から約50年たった建物の古さが目に付いた。穴があきぼろぼろのソファがいたるところにある。
築約50年建て替え困難 狭い廊下で患者苦労
当時より患者数が約3倍に増えたため、カーテンで仕切って診察室を増やした。話し声が隣の診察室にまで聞こえることもある。廊下は狭く、車椅子の患者が壁にぶつかるなど弊害は多い。同病院の平松祐司病院長は「建て替えのめどはたたない」と嘆く。
2024年度の現金収支は20億円以上の赤字を見込む。売り上げから費用を差し引き、医療機器の購入や借り入れ金の返済なども考慮して算出した。薬代などの診療経費や人件費の増加が響いた。平松病院長は「高度な医療は患者の安全を確保するのに手間や時間がかかるうえ、診療材料費も高騰している。経営のことだけを考えるなら、高度医療には消極的になり得る」と話す。
例えば、これまで治療が難しかった血液がんの患者を救えるようになったがん免疫療法「CAR―T」。薬品代が約3000万円にのぼるが、血液内科の医師は「手間がかかり、病院側の利幅は数万円、場合によっては赤字になる」とこぼす。
手術ロボットなど先端機器を使う治療も、消耗品の価格などが高く「やればやるほど赤字になる」との声もある。高度な医療を担う国立大病院として、撤退はできない。経営努力で赤字を回避していたが、昨今の物価高が重くのしかかる。
全国に42ある国立大病院の病院長で組織する国立大学病院長会議によると、24年度の経常損益は全体で約250億円の赤字になったようだ。減価償却費などが例年と同様とみなして推計した。23年度に初めて赤字に転落し、2年連続となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って支給されていた補助金がなければ、20年度から赤字になっていたという。
収入上回る経費 材料費6割増
現金収支は42病院のうち8割近い32病院が24年度に赤字となり、23年度の22病院から大幅に増えたもようだ。赤字分は大学本部からの借り入れなどで対応する病院が多い。
高齢化によって患者数は増え、収入は増加しても、支出の伸びが大きい。マスク、手袋といった消耗品や薬代などが高騰している。23年度の材料費は12年度比1.6倍、医薬品費は1.9倍となった。人件費も24年度は前年度比310億円増となったようだ。
同会議の大鳥精司会長(千葉大学医学部付属病院長)は「今のままでは国立大病院は業務を縮小せざるを得なくなり、地域医療が崩壊するかもしれない」と訴える。
国立大病院は臓器移植などの高度な医療の提供、研修医らの育成、地域への医師派遣などを担ってきた。高度な医療を提供する病院を国が指定する全国の特定機能病院88の約半数を占める。1999年に始まった脳死者からの臓器移植の約6割を実施してきた。
国立大学が2004年度に国から独立した法人となったことに伴い、国立大病院は約1兆円の負債を国から継承し、借金返済を続ける。法人化で経営の自由度は高まった一方で、研究や教育にかかる経費の基盤となる国からの交付金は約3割減った。
経費を抑えるために、国立大病院全体で消耗品や医療機器を共同購入し、16年から合計約25億円の節約につなげた。価格の安い後発医薬品の活用を促すシステムを27病院が導入する。ベッド数を減らした病院も多い。
しかし、そうした努力も限界が近づく。MRIなど数億円の医療機器を耐用年数を超えて使う病院は珍しくない。ある病院の関係者は「いつ壊れてもおかしくない古い機器を使っている」という。医師や看護師などの雇用を減らす病院も出始めた。北海道大学の豊嶋崇徳教授は「このままでは犠牲になるのは患者だ」と懸念する。
経営改善の抜本策は見当たらない。高齢化に伴って国全体の医療費は右肩上がりで、診療報酬を安易に引き上げられない。診療報酬全体の見直しの中で、高度な医療を提供し続けられる仕組みを模索する必要がある。人間ドックなどの保険外収入を増やし、リユース製品の活用といった病院側のさらなる自助努力も不可欠だ。
高度医療の危機、国立大病院赤字――研究力低下に拍車(Review記者から)(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 15ページ 590文字 PDF有 書誌情報]
国立大病院は診療や医師の教育だけでなく、研究も大きな役割の一つだ。病気の原因解明から新しい薬や治療技術、診断法の開発まで幅広く担う。臨床医学研究の主要な担い手になっているが、日本の研究力は低下している。
文部科学省科学技術・学術政策研究所がまとめた調査によると、臨床医学の「注目論文数」の日本の順位は2000年の4位から20年には9位に後退した。この論文数は他の論文からの引用回数が全体の上位10%に入る質の高い研究成果の数を示す。
同研究所の資料によると、20年の日本の論文のうち、ほかの論文での引用数が0~3回しかなかった論文が48.7%を占めた。他の先進国と比べて「ほとんど読まれない」論文の割合が高い。
研究を担う医師が多忙で研究時間の確保が難しくなっていることが一因だ。国立大学病院長会議が23年春に実施した調査によると、研究の主力となっていく助教の約半数は、週平均の研究時間が0~5時間だった。研究時間が0時間の助教も15%を占めた。同会議は「多くの患者を診察する必要があり、研究する余力がなくなっている」と指摘する。
臨床医学の研究の遅れは国民の損失につながる。世界では革新的な医療技術が生まれている。患者数が少なく、利益につながりにくい治療薬などの開発は製薬会社は敬遠しがちだ。医師が主導して研究開発する機会が減れば、治療薬や医療機器の開発が遅れる。
(藤井寛子)
高度医療の危機、国立大病院赤字――国立大学付属病院(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 15ページ 307文字 PDF有 書誌情報]
■国立大学付属病院 北海道から沖縄まで全国に42の国立大病院がある。その多くは江戸末期に幕府や各藩が西洋医学を導入するために設立した教育・研究機関が母体となった。例えば東京大学付属病院は、1858年に当時、猛威を振るっていた天然痘の治療のために設立された種痘所が始まりだ。国立大病院は日本の近代医学の発展を支えてきた。
医学部職員のほか、病院が雇用する医師や看護師、技師らが働く。医学生や医師の研修だけでなく、毎年3万人前後の薬剤師や看護師の研修、薬剤師や看護師を目指す数十万人の学生の実習も受け入れる。国内に病院自体は8000以上ある。国立大病院の数は全体の0.5%に過ぎないものの、果たしている役割は大きい。
ガイド 特別展「世界探検の旅」奈良国立博物館で開催、他(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1180文字 書誌情報]
■特別展「世界探検の旅」奈良国立博物館で開催 古代文明やシルクロード由来の考古資料、世界の民族資料など約220件を展示。世界中を旅する体験ができる展覧会を開催。写真は「儀礼劇チャロナランの仮面 魔女ランダ」(部分、インドネシア、20世紀前半、天理大学附属天理参考館蔵)。
◇会期・会場 2025年7月26日(土)~9月23日(火・祝) 奈良国立博物館(奈良市)
◇公式サイト https://art.nikkei.com/tanken/(QRコード参照)
■日経サイエンス2025年6月号 25日発売 「特集:好奇心に好奇心」脳が興味を生み出すとき「やる気」の源泉に迫る・私たちはなぜ知りたくなるのか?好奇心の存在理由/「特集:アハ!体験の脳科学」/特別解説:2025年アーベル賞に柏原正樹氏 代数解析学を確立/1秒の定義を変える 原子時計のいま/超新星残骸カシオペヤ座A ほか
書店、日経販売店でお求めください。特別価格1650円(10%税込)。詳細はhttps://www.nikkei-science.com/
■日経サイエンス別冊277号 販売中 『こころのサイエンス 感情・意識・コミュニケーション』▼生命科学から工学まで,さまざまな分野の科学者が多彩な研究を繰り広げる現代の心理学。AIをはじめ新たな研究手法を取り入れたアプローチも見逃せません。ここ数年の注目記事を集め,こころのサイエンスの今を紹介します。
書店、日経販売店でお求めください。鈴木光太郎 編 定価2420円(10%税込)詳細はhttps://www.nikkei-science.com/
■『やすらぎスイッチ』販売中 人間関係でストレスを感じたとき、心と体の疲れがとれないときに役立つセルフケアとは? 本書は『ずぼらヨガ』『ひとりほぐし』などで累計75万部突破の人気イラストレーターが、身体心理学者や心療内科医など心の専門家9人に取材し、漫画で解説したストレスケア図鑑。うつと向き合ってきた著者が選んだ、呼吸法など心が和らぐケアが満載です。
崎田ミナ著、A5判、192ページ、定価1870円(10%税込)、日経BP。
■求む!「未来からの留学生」 日経ビジネススクールは、慶應義塾大学SFC研究所と共同で「未来創造リーダー養成塾~2040年の未来を切り拓く先導者の集まる場~」を開講します。
安宅和人、田中浩也の各氏ほか一流講師陣から、未来社会を切り拓くための知識や技術を学びます。
◇日時 未来探索編 6月24日(火)~8月9日(土)全7回、共創実践編 10月4日(土)~12月6日(土) 全6回 ◇受講料 2編一括は23万1000円(早割価格は20万9000円)、未来探索編15万4000円、共創実践編11万5500円
◇詳細 https://s.nikkei.com/psfc03pr
NIKKEIFORUM 「アジアの未来」開催、「試練の世界、挑むアジア」を議論(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 696文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社はアジアを代表する重要な国際会議の一つである日経フォーラム 第30回「アジアの未来」を5月29、30の両日、東京都内のホテル会場で開催します。
今回のメインテーマは「試練の世界、挑むアジア」。「選挙の年」だった2024年を経て、主要国を中心に分断が一層深まっています。「トランプ関税」で自由貿易体制が揺らぎ、韓国では大統領の罷免、選挙へと風雲急を告げる展開となりました。
内戦状態のミャンマーでは未曽有の大地震で人道危機が深刻化。激動が続く2025年、アジアが連携して繁栄と成長に挑む方策を議論します。
節目となる30回を迎える今回は記念のセッションや企画などもご用意しています。
各国首脳らの講演に加えて「韓国次期政権の行方は」「30年後のアジア経済を大胆予測」「インド太平洋の安全保障、どう変わる」「アジアの地政学リスク最前線」などをテーマに産官学のリーダーが意見を交わすパネル討論も行います。
参加料には会場での昼食のほか、ライブ配信、アーカイブ配信の視聴も含まれます。
◇主な登壇者(写真右上から左回り) ムハマド・ユヌス・バングラデシュ暫定政権首席顧問、フン・マネット・カンボジア首相、トンルン・シスリット・ラオス国家主席、スランゲル・ウィップス・パラオ大統領、ガン・キムヨン・シンガポール副首相、グエン・チー・ズン・ベトナム副首相
◇参加料 7万9800円(税込み、同時通訳あり。5月21日締め切り)
◇詳細・申し込み ウェブサイト(https://nikkeiforum.com/foa25jp/)より
協賛=PwC、フマキラー
アカデミックパートナー=上智大学
アジアユースオーケストラ日本公演2025 8月23日茨城、25・26日東京(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 483文字 PDF有 書誌情報]
アジアの若き精鋭が集結
アジアユースオーケストラ=写真=は、故リチャード・パンチャスが1990年に創立し、2010年高松宮殿下記念世界文化賞若手芸術家奨励賞、15年日経アジア賞(文化・社会部門)を受賞。アジア10カ国以上から選び抜かれた若き音楽家100名が、3週間のリハーサル・キャンプに続き、著名な指揮者やソリストと3週間にわたるアジアツアーの一環として日本公演を行います。国境・宗教・政治を越えて集う若き精鋭たちの演奏をお楽しみください。
◇日時・会場 8月23日(土)午後3時 ザ・ヒロサワ・シティ会館大ホール(茨城)、25日(月)・26日(火)午後7時 東京オペラシティコンサートホール
◇出演 指揮=ジョセフ・バスティアン(首席指揮者)、ヤデル・ビニャミーニ、ソリスト=ジョージ・リー(ピアノ)、セルゲイ・クリロフ(ヴァイオリン)
◇入場料(税込み、全指定席)茨城公演=S席4000円、A席3000円、東京公演=4000円 5月1日(木)一斉発売
◇問い合わせ (電)03・5433・3380
主催 アジアユースオーケストラ実行委員会
共催 日本経済新聞社
日経ホールイベント情報(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 326文字 PDF有 書誌情報]
◆5月21日(水)午後6時半開演「ノエ・乾&滝千春 究極のヴァイオリン二重奏コンサート」=フランコ・ベルギー・ヴァイオリン楽派の正統後継者のノエ・乾と日本音楽界が誇る天才女流ヴァイオリニストの滝千春による超絶デュオの夕べ。イザイ、プロコフィエフ、モーツァルトの二重奏などバラエティに富んだプログラムをお届けします。◆6月26日(木)午後6時半開演「ワルター・アウアー フルート・リサイタル」=多数の国際コンクールで入賞経験を持つ、名門ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者が登場。ボルヌやシューベルトなどを披露します。共にファンケル協賛、詳細は日経公演事務局(電)03・5227・4227、https://art.nikkei.com/muse/
キャリア採用の応募受付中(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 269文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社は就業経験があり、高い専門性を持つキャリア人材の採用活動を進めています。
《募集職種》取材記者や写真映像記者、デザイナー、エンジニア、マーケティング、人事など幅広い職種で応募を受け付けています。入社後の業務は適性や希望などに応じて決めます。
《選考方法》書類選考と面接(オンライン、対面)を実施します。具体的な募集職種や応募方法などの詳細は本社の採用サイト(https://www.nikkei.co.jp/saiyo/)をご覧ください。
《問い合わせ》本社人財育成室採用担当(saiyo@nex.nikkei.co.jp)へ。
「西洋絵画、どこから見るか?」展、楽天ブックスで図録販売中(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 263文字 PDF有 書誌情報]
国立西洋美術館(東京・台東)で6月8日(日)まで開催中の「西洋絵画、どこから見るか?」展の公式図録=写真=を楽天ブックスウェブサイトで販売中です。米サンディエゴ美術館・国立西洋美術館の名品から厳選した出品作全点をカラー掲載しています。
232ページ、3000円(税込)。詳細はQRコードから。
本展は一部構成を変えて京都に巡回します。京都会場の前売券を6月24日(火)まで販売中。一般2000円(当日2200円)ほか。詳細は展覧会公式サイトから。
◇会期 6月25日(水)~10月13日(月・祝)
◇会場 京都市京セラ美術館
「ニュースフォレスト」スタート!、ラジオNIKKEIの新番組(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 208文字 PDF有 書誌情報]
ラジオNIKKEIで新番組「ニュースフォレスト」の放送が始まりました。2025年1月にデビューしたガールズグループ「Rain Tree」のメンバーで、公務員として勤務した経験を持つ仲俣美希さんがパーソナリティを務める経済番組です。最新のニュースを読み解きながら、話題の業界やトレンドをわかりやすく紹介。
毎週金曜日の午後6時45分から放送。ラジオNIKKEI第1放送やradiko、Podcastでお聴きください。
ザ・ニュースペーパー、6月5日チケット販売開始(日経グループからのお知らせ)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 16ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
政治家の形態模写で人気のコント集団「ザ・ニュースペーパー」=写真=の抱腹絶倒のステージにご期待ください。
◇日時 9月27日(土)午後1時半と5時
◇会場 日経ホール(東京・千代田)
◇入場料(税込み、全席指定) 6500円。6月5日(木)午前10時から前売開始。詳細はQRコードから
◇問い合わせ 日経公演事務局(電)03・5227・4227
協賛 飯田電機工業
イスラム墓地不足 受容の壁に 技能実習生など信者急増/動く県や寺も[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 17ページ 2012文字 PDF有 書誌情報]
外国人を中心にイスラム教徒(ムスリム)が急増する中、墓地問題が深刻になってきた。イスラムでは火葬ではなく土葬しなければならないが、信者用墓地の建設が住民に反対されるケースが相次ぐ。労働者不足で外国人の受け入れに動く日本にとって、多文化共生社会を築く上での大きな問題になりつつある。
「一度OKが出たけれど、結局あきらめなければならなかった」。在日インドネシアムスリム協会で2024年まで事務局長を務めたワイス・アルキンディさんが嘆く。茨城県桜川市に土葬墓地をつくる計画を立て23年に市の許可を得たものの、住民の理解が得られずに断念せざるをえなくなったからだ。
店田廣文・早稲田大学名誉教授の推計では、日本に住むイスラム教徒は2023年末時点で日本人信者も含めて約35万人に上る。出身国別ではインドネシアが13万人強で最も多く、バングラデシュ2万5000人弱、パキスタン2万4000人強と続く。
日本に住むインドネシア人は特定技能や技能実習生として介護や建設、水産業などに従事する人が急増しており、24年末では同国出身のイスラム教徒数が18万人程度に膨らんでいるとみられる。
ワイスさんによると、仕事中に命を落とす人も目立ってきた。遺体を祖国に移送するには多額の費用がかかる上、日本で家族と暮らす人も多くなり、日本での埋葬を望む例も増えているという。
イスラム教では遺体を土葬するのが決まりだ。日本でも以前は土葬も多く、今も法律上は可能だが、実際は99%以上が火葬されているため、土葬できる墓地は国内で10カ所程度にとどまる。「仲間に不幸があるたびに墓探しに苦労する。イスラム教徒は増え続けているので、これからどんどん深刻になる」とワイスさんは打ち明ける。
国内各地では同じような問題が起きている。例えば大分県の別府ムスリム協会は、パキスタン出身で日本国籍を取った信者を中心に別府市近くの土地を取得したものの、水質汚染などを心配する住民の反対で長年計画が進んでいない。
対応に乗り出す動きも出てきた。
京都府南山城村の高麗寺国際霊園。仏教式の墓を見ながら坂道を上がると「イスラム教区」の看板が立ち、墓石にはアラビア語の文字が彫られている。3年ほど前から土葬墓地を整備し、3人のイスラム教徒が土葬された。信者団体などが約20区画を押さえている。
霊園では仏教徒を火葬で埋葬していたが、高麗寺を管轄する宗教法人の崔炳潤代表役員が土葬墓地不足を耳にして整備に踏み切った。在日韓国人を中心に建てられた禅宗の寺で、信者数が減って財政的に厳しく、霊園を広げて埋葬を増やしたいと考えていたという。
「たまたま行政から土葬許可が下りていたことに加え、村で土葬が長く続いてきた歴史もあり、墓地開発に地元からの理解も得られた」と崔氏は説明する。
この霊園は宗教や国籍を問わず受け入れており、土葬用としてキリスト教や仏教徒向けも用意した。キリスト教区には日本で死去した外国人宣教師らが埋葬され、仏教区には土葬を望んだ日本人数人も眠る。崔氏は「イスラム教徒以外の人も含めて土葬を希望する例も増えそうで、今後も墓地を広げる」と計画する。
外国人向けの葬送サービスを手掛ける燈台舎(東京都立川市)では、死去した外国人を祖国に空輸する事業が中心だったが、日本での土葬支援も増えてきたという。松木修平社長は「別の地域にいる同業者と連携するネットワークを作りたい」と語る。
自治体として動くのが宮城県だ。村井嘉浩知事が24年、土葬墓地の設置を検討すると表明し、他地域の状況などを調査している。
背景には東日本大震災からの復興を進める中で大きな課題になっている人手不足がある。特に介護や建設、水産加工業などで深刻で県はアジア諸国からの労働者受け入れを促進している。日本を終(つい)の棲家(すみか)にしたいと考える外国人の生活環境を向上させるためにも土葬墓地の建設を進めたい考えだ。
県内外からは批判が上がる。2月上旬までにメールや電話など計1200件の意見が届き、多くが否定的なものだという。村井氏は特定宗教だけの話ではないとことわった上で「日本の経済、社会のために貢献をしようという人が亡くなった後のことを考えるのは当然で、そういった人に寄り添う姿勢が必要」と、方針の堅持を強調する。
宮城県に限らず、全国で外国人労働者の受け入れが進んでおり、24年10月末時点でその数は10年前の3倍近い230万人に達した。24年平均の国内労働力人口の3.3%に当たる。
相愛大学の三木英客員教授(宗教社会学)は「日本が労働不足に悩む中で外国人に来ないでというのは無理な話だ。なじみのない宗教や文化を背景にした移民たちをどのように受け入れるかを真剣に考えなければならない」と指摘する。
【図・写真】イスラム教徒の土葬向けに整備した墓地の一画(京都府南山城村の高麗寺国際霊園)
イスラム墓地不足 受容の壁に――先行組の各国に学べ[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 17ページ 352文字 PDF有 書誌情報]
「郷に入れば郷に従え」「祖国に帰れ」。イスラム教徒の土葬墓地に反対する人の多くがこんな声を上げている。欧米人に多いキリスト教に比べイスラム教になじみがないことから来る差別の意識が見え隠れする。
少子高齢化に直面する日本は外国人労働者を受け入れる選択肢しかない。政府も技能実習制度などを通じて門戸を開き始めている。
外国人の定着が増えるにつれて、その子どもが日本社会を自分の居場所と感じる例も多くなっている。結婚などを通じた日本人のイスラム教徒らが増えているのも現実だ。しかし医療や教育などの現場では、こうした人たちへの対応を巡って混乱が続く。
欧米や韓国、台湾は日本より早くイスラム教徒を受け入れ、経験を積んできた。後発組の日本は各国の知見を学び、課題の克服に生かすべきだ。
(シニアライター 野沢康二)
高齢者の生活、家族に頼らずとも 確定拠出年金アナリスト 大江加代氏(多様性私の視点)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 17ページ 840文字 PDF有 書誌情報]
年金法案がいまだに国会に提出されず気になっている。多くの人の暮らしに影響を与える制度の変更は、決定してから相当な時間をかけて施行される。そのため時代に合わせたアップデートは急がねばならない。
医療、介護、遺体や遺品の始末についても、そろそろ仕組みを変えるべき時期になっていると思う。それは夫の配偶者として入院、治療、介護、葬儀、相続を経験してみて、すべて家族がいる前提になっているということを実感したからだ。
例えば入院時にはかかった費用の支払保証人が求められ、治療も本人が意思表示できない状態になると家族がその処置のリスクやデメリットを理解した上で同意することを求められる。本人が延命治療などについて意思を記したリビングウィルがあったとしてもだ。
介護保険を利用する際の申請・サービス提供業者との契約、施設入所に伴う引っ越しの手配も多くは家族が行っている。日常では、家の中の取り出しにくい場所にある物を使いやすい場所に動かしたり、スマホやパソコンの買い替えに付き添ったり、といった「ちょっとしたこと」を家族が行うことによって高齢者の生活は維持されている。
身元保証等高齢サポート事業を行う民間事業者、NPOも増えてきているが、この「ちょっとしたこと」まで依頼しようと思うと契約が複雑になる上、非常に高額になる。
未婚率が上昇し、子供のいない夫婦も増えている中で、身寄りのないおひとりさま高齢者は今後確実に増える。2024年に出された国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によれば、65歳以上の未婚の高齢者は50年に20年の3倍となり、男性が269万人、女性が191万人となることが見込まれている。
国も高齢社会対策大綱の中で「一人暮らし高齢者の増加に対応できる環境整備」を挙げているが、相当な時間がかかることは容易に想像がつく。
個人としては、いつかお任せする人を想像し、その負担軽減のため金融機関の代理人登録サービスの活用など、できるところから対策してみてはいかがだろうか。
ヤマト運輸、イラスト指さしだけで宅急便の発送可能に(News)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 17ページ 489文字 PDF有 書誌情報]
■ヤマト運輸、イラスト指さしだけで宅急便の発送可能に ヤマト運輸は、聴覚障害のある人や外国語ユーザー向けに、イラストを指差しするだけで宅急便の発送ができる「コミュニケーションボード」を導入した。送り状の作り方や送る品物の種類、お届け希望日などをボードに描かれた選択肢から選んで指さす。
13日から開幕した大阪・関西万博の会場内にある宅配・手荷物一時預かりカウンターをはじめ、東京都内と関西エリアの営業所に先行導入。2025年秋をめどに全国展開予定で、日本語と英語に対応する。
■SUUMO、車椅子ユーザーの部屋探し支援 不動産・住宅情報サイトの「SUUMO」は、車椅子ユーザーが内見前に部屋の広さを判断できるよう、車椅子の実寸を示した「車いすマット」と「車いすメジャー」を開発した。車椅子ユーザーは通常、物件を内見する前に、車椅子で通ったり旋回したりできる広さがあるか、どんな段差があるかを確かめる必要がある。マットやメジャーを物件の室内に敷いて写真を撮影することで、物件紹介のページから判別できるようになる。2024年8月から首都圏や東海エリアの不動産事業者に配布している。
米高等教育の危機 大学、思想の多様性保て 大森不二雄・東北大学名誉教授[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 19ページ 2364文字 PDF有 書誌情報]
米トランプ政権の大学への圧力は目に余る。一方で大学が社会の分断を助長した面はないだろうか。高等教育論が専門の大森不二雄・東北大名誉教授に寄稿してもらった。
米トランプ政権は常識では考えられない攻撃的な政策を矢継ぎ早に打ち出し、大学も対象の一つとなっている。
科学研究予算の削減に続き、反イスラエルデモの舞台となったコロンビア大学への補助金を取り消した。
「反ユダヤ主義」的活動の取り締まり強化やDEI(多様性・公平性・包括性)推進の取りやめを拒否したハーバード大学に対しても補助金などを凍結した。DEIは学生の選考や職員の雇用に当たって少数派に配慮するアファーマティブアクション(積極的差別是正措置)などを指す。
学問の自由や大学の自治が脅かされていると大学人が危機感を抱くのは当然である。
米国の大学は人材の吸引・育成と高度な科学研究によって国力の源泉の一つとなっているのに、それを自ら壊そうとするかのように敵視する背景には何があるのか。本稿はそこに焦点を当てる。
一連の報道を通じて浮かび上がるイメージはトランプ政権のやりたい放題による民主主義の危機、そして民主主義を支える大学教育や学問の自由の危機、といった構図であろう。
本稿では、あえて逆向きの危機の構図を読み解いていく。日本ではあまり知られていない米国の大学に内在する危機的な状況を紹介し、それが社会の分断と政治の二極化を促進する要因ともなっていることを明らかにする。
内在する危機的な状況とは教員の思想・視点の多様性が失われつつあることだ。米国の大学教員の政治的志向については数々の調査により、世紀をまたいで左傾化が加速していることが明らかにされている。
左派(リベラル)と右派(保守)の比率は教授に限っても1999年には5対1だったものが、2006年には8対1にまで偏りが拡大したとのデータがある。
偏りは教授より准教授以下の若手教員、教員より大学院生で大きく、世代交代とともに一層の左傾化が進行中だ。特に人文・社会科学の場合、今やほぼすべての主要分野で左右の比率は10対1以上の偏りとなり、唯一例外の経済学でも4対1だといわれる。
政治的志向の極端な偏りは大学教育や学術研究にとって危惧すべき状況をもたらす。例えば、保守派の外部講師による講演会が学生・教員の反対運動・妨害によって中止に追い込まれたり、特定の教員が辞職を求められたりするなどの事態が珍しくない。
より本質的な問題はアカデミアの日常にある。視点の多様性の不足は研究面では投稿論文の採否や教員の採用・昇任の審査に影響することが避け難い。これがさらなる左傾化につながり、同調圧力が学問に必要な独創性の妨げともなる。
教育面では学生の批判的思考力の育成に支障を来しかねない。加えて、以下に述べるように社会の分断と政治の二極化を促進する要因ともなっている。
米国では大卒以上の学歴の有無で支持政党や価値観の分断・二極化が進んだことが知られる。近年の一大変化として、民主党が労働者階級の政党から大卒以上の専門職・管理職などの高学歴エリートを主たる支持層とする政党へと変貌する一方、富裕層の政党とみなされてきた共和党が高等教育の学位を持たない白人非エリート層を主要な支持基盤とする政党となった。
この変化と表裏の関係で「文化戦争」と呼ばれる価値観の分断も進んできた。
リベラルな文化が支配的な大学の輩出する高学歴エリート層が人種・ジェンダー・性的指向・地球環境などを巡って社会正義とする価値観を各界に流布する中、反感を抱く白人低学歴層は各界専門家への不信を募らせ、教育や科学への懐疑にまで至っている。
近年の共和党とトランプ政権のポピュリスト的な大学攻撃は、支持層とする後者へ訴えるものである。
以上のような社会的・政治的変化と高等教育の結びつきは米国だけの現象ではない。欧州でも高学歴エリートによるリベラルでコスモポリタン的な政治的志向と、これに反発する白人低学歴層を支持基盤として反移民政策などを掲げるポピュリスト的な政治勢力との対峙が見られる。
大学における思想の多様性の危機を巡っても、英国の大学でも同様の左傾化状況が存在するがゆえに「2023年高等教育における言論の自由法」という法律が保守党政権下で立法された。
民主主義の危機と大学の危機は構造的に結びついている。法の支配を軽視するトランプ政権による大学攻撃は、到底容認できるものではない。同時に、政治・社会の分断と二極化が進む中で「大学は二極化の一方の当事者でよいのか?」も問われている。
米大学の左傾化に対しては保守派以外の大学人からも危惧する声が上がっている。例えば、ジョンズ・ホプキンズ大学の政治学の教授スティーブン・M・テレス氏は高等教育クロニクル誌への24年7月1日付寄稿で、大学の左傾化は保守派だけではなく「リベラルな制度主義者」さえも減少するほど進行していると指摘した。
リベラルな制度主義者とは、大学は学問の自由な探究を守る「知的多元主義」の場であるべきだという大学制度の理念へのコミットメントを、自らの政治的イデオロギーより重視する立場だという。保守派を含む思想の多様性回復のカギを握る存在だ。
多様な視点・思想が共存する知的多元主義の場としての大学制度のあり方は学問の自由や教育・研究の発展のために必須である。さらに、学歴による社会の分断が招く民主主義の危機への対処にもつながる。
欧米における民主主義と大学の危機は日本にとっても他人事ではない。大学制度とその運用のあり方について、内省が必要な時代が到来しているといえよう。
【図・写真】米政権による圧力が強まるなか、抗議活動をするハーバード大の学生ら(4月)=AP
米高等教育の危機 大学、思想の多様性保て――同質性への指向 日本も注意必要[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 19ページ 341文字 PDF有 書誌情報]
大学の教員構成に問題があるにしても、ただすのは大学自身だ。ハーバード大などが独立性の放棄につながる要求を拒否したのは正当であり、米政権は大学の自律性を尊重すべきだ。
政権の攻撃をはね返しても社会の分断は残る。社会との関係で大学に自省が求められる点はないか。例えば大学が「二極化の一方の当事者」(大森氏)になってしまうと、もう一方の当事者は知的な応援を得られないが、それでよいのか。思想の多様性とDEIの両立は不可能なのか。素朴な疑問が次々にわく。
学問の自由が現実の世界で外部の介入に対する防壁として機能するのは、研究テーマの選択と並んで教員人事の場面だろう。自分と同じような人を採用してしまう同質性への指向に注意したい。日本の大学も自戒が必要かもしれない。
(編集委員 中丸亮夫)
特色ある私学 なじめぬリスクも念頭に(受験考)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 19ページ 745文字 PDF有 書誌情報]
この春、難関私立大の文系学部に進学したリコ(仮名)が母親とあいさつに来た。3人で入塾当初の思い出話に花を咲かせた。
リコは英語教育に力を入れていることで知られる中高一貫校の出身だ。家庭ではグローバル時代に対応できる学力を身につけてほしいと考え、入学を熱望。リコは中学入試を突破し、第1志望で進学した。
入学してみると帰国子女の同級生も多く、英語教育熱の高さは聞いていた通りだったそうだ。
ところが、リコは入学後早々に英語で落ちこぼれてしまう。授業の多くがオールイングリッシュで、チンプンカンプンなまま進んでいく。
もちろん、初学では見よう見まねで英語に触れる必要もある。ただ、リコは中学受験対策をする中で、理詰めで物事を考える姿勢を身につけていた。
仕組みが分からないまま英語をたくさん聞かされ、納得感がないまま授業が進行していく。リコはモヤモヤを解消できず、勉強法もつかめないまま、高校に進学したころには英語に対する苦手意識ばかりが膨らんでしまった。
入塾はその時期だった。英語力の基礎ができていなかったので、初めは文法を概念として理屈で教えることを徹底した。英語の仕組みを理解したリコは模試の成績が飛躍的に伸び、学習意欲を取り戻した。
リコは振り返る。学校の英語指導を否定したくはない。現に周りの友人はそれで伸びていた。でも、自分はもっと納得のできる勉強がしたかったと。
私学は近年、各学校が独自色の強い教育方針を打ち出している。そこに魅力を感じて選ぶ家庭も多いだろう。
だが、独自性の強さは子どもがなじめなかった場合に劣等感を与えてしまうリスクを伴う。その時、学校の指導方針に従う以外に、一歩引いてほかの学び方を模索する必要が生じる場面もあることは知っておいた方がよいだろう。
(歩)
目標へまっすぐ(下)(アイデア工房)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 19ページ 358文字 PDF有 書誌情報]
机に広げられた丸い手作りの硬貨。手に取った2人の表情に笑みがこぼれた。「これでやっとフレームの材料が買える」と中学2年生の富田湊太さん=写真(右)=は目を輝かせる。自動車の燃費を競う秋の大会に向けて、初めての車両製作のスタートだ。
関東学院中学・高校の技術部では部内通貨「KG(ケージー)」が流通する。1KGは1円相当。校内のイスの修理や部活での後輩の指導など1時間の手伝いで500KGがもらえる。
導入の狙いはネジ1本でも大事にしてもらうこと。購入する部品が必要かどうかチーム内で話し合う。
4年間KGで部品を購入してきた高校2年生の山口鳴海さんは小遣い帳をつけ始めた。「部活や個人的な買い物でも本当に必要か考えるようになった」。部品一つ一つの大切さを学び、一人一人の小さな働きが車両の完成につながる。
(横浜市)
未来面――切り替えましょう。 課題01 次のステージに上がるために大切なことは? 双日植村幸祐社長 講評[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 21ページ 2402文字 PDF有 書誌情報]
苦手なことにも挑戦する力が大切だと思う。
私は人前で話したり意見を発表したりするのが苦手だった。失敗するのが怖かったし、他人からの評価も気になってしまう。頭が真っ白になり、言いたいことがうまく伝えられないことが何度もあった。
それではいけないと、大学のゼミに入る際に一念発起。緊張せず堂々と話す力を身につけることを目標にした。それ以来、ゼミで発表するときには、自信が持てるまで事前に何度も繰り返し練習した。どんな質問をされても答えられるように、質疑応答もシミュレーションするようになった。それだけ準備しても失敗してしまったときには、焦らず落ち着いて対応するために気持ちを整理することを意識した。
ゼミで経験を重ねるうち、今では少しずつだが人前で自信を持って話せるようになり、自分の緊張を和らげる方法も身についた。苦手から逃げずに挑戦したからこそ、次のステージに上がれたのだと思う。
私は自分と関わりのある人たちへ感謝することが、次のステージに上がるために必要なことだと思う。
「謙虚な姿勢」は就活生の常套(じょうとう)句のひとつだが、そこには周囲への感謝が関わっている。例えば、慢心して、プレゼンの事前準備に時間をかけなかったり、人に相談を持ちかけたのに相手の言葉に素直にうなずけなかったり。誰しもそんな経験はあるだろう。
私もそのひとりだが、これでは自分の成長など見込めるわけがない。「相手に感謝する気持ち」が欠けていたと反省した。自分のために時間を割いてくれた人のことを思えば、準備に時間をかけたり、人のアドバイスに耳を傾けたりできる。結果として自分の成長にもつながる。まさにそれが「謙虚な姿勢」ではないだろうか。
自分ひとりでは社会の中で成長するのは難しい。自分自身が成長し、次のステージに上がった際に、いったい誰のおかげなのかをその都度、考えるようにしたい。
新たなステージに足を踏み入れるときは、「納豆の精神」を持つことが大切だ。「なんで納豆? 納豆なんて嫌い!」と感じる人は少なくないだろうし、これは辞書やインターネットにも載っていないだろう。私が勝手に名付けた言葉だ。しかしこの考え方は、挑戦しようとする人の背中を押してくれるに違いない。
まず粘り強さを持つことで、自分の好きなことにとことんまとわりつき、熱心に取り組める。新しいことに挑戦するには多くの努力が必要になるが、苦労が多い上にストレスを感じて避けてしまうこともある。しかし、夢中になって没頭できる「しつこくまとわりつく力」を持っていれば、どんな逆境にも立ち向かうことができる。納豆もわらに包まれたままでは粘り気はなく、手間暇かけて混ぜることで完璧な状態になる。初めての試みを理解されないのではと不安に駆られ孤独を感じるときは、糸を引いてつながる納豆の粒のように周囲との関係や協力をいとわず、大切にすることも重要だ。
多くの読者に「次のステージに上がるために大切なことは?」という私の問いかけに向き合ってもらい、ありがたく思っています。特に、日常生活の中で接する機会が少ない高校や大学で学ぶ若い読者の考え方に触れることができ、粗削りな部分も含めて興味深く拝見しました。世代が異なっても共通する価値観が少なくないと分かったのも発見でした。
ステージを変えるためにチャレンジが必要なことは誰もが認めるでしょう。「苦手なことにも挑戦する力」を選ばせてもらったのは真っ先に必要になることをズバリと指摘していたからです。新年度が始まり新たな環境で挑戦している方も少なくないと思います。不安半分、楽しみ半分で新たな教室や職場に足を踏み入れるときの気持ちを思い起こさせてくれました。
「周囲への感謝忘れず」も大事なポイントを指摘しています。どのような場面でも一人でできることは限られており、周囲の人と同じ方向を向いて協力することが欠かせません。このような場面で過剰な自信やおごりは禁物。もちろん後から感謝することも大切ですが、初めからリスペクトすることが円滑なチームワークを実現する秘訣です。
そして1回や2回の失敗で諦めない「『ねばー』ギブアップ」です。私自身は関西出身で、実は納豆はあまり得意ではないのですが、提言には共感しました。もっとも単なる根性論に陥ってしまっては駄目ですね。粘り強く挑戦を続けるための方法を冷静に考えるのも大事なことだと強く感じています。
皆さんに問いかけてから「トランプ関税」などにより世の中は大きく動いています。もちろんアンテナを高く張って対応することが必要ですが、同時に目先の動きに一喜一憂しすぎないことも大切と考えています。どのような状況でも一人ひとりが新たなステージに向けて着実に歩を進めることが重要との考えを新たにしました。
投稿では勇気や覚悟といった挑戦する際に必要な心構えに言及した内容が目立ちました。新年度を迎え、多くの人が新たな目標に向けて一歩を踏み出していることを感じさせる結果です。
ただ、挑戦には失敗がつきものです。特に日本では失敗を過度に恐れる傾向が強いとの指摘があります。失敗しても「ナイストライ」とたたえ、学びを共有する。こうした姿勢が広がれば挑戦する人が増え、次のステージへの近道になると感じました。(編集委員 奥平和行)
未来面は読者の皆さんや企業経営者とともに議論する紙面です。双日の植村幸祐さんが提示した「次のステージに上がるために大切なことは?」の課題に、多数の投稿をいただきました。ここで紹介したのはほんの一部です。紙面に掲載できなかったアイデアの一部を日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/future/)で紹介しています。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどってください。次回の未来面は5月7日付の予定です。
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、関東[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 22ページ 3426文字 PDF有 書誌情報]
◇茨城
▽緑 綬
筑西市岡芹女性会在宅福祉等奉仕団体
荷見紀世美 75 食生活改善推進員
▽黄 綬
飯田保二 74 水戸通信工業代表取締役
大内美代子 67 「盲老人ホームナザレ園」介護職員
▽藍 綬
飯泉孝司 77 民生・児童委員
井坂隆一 77 保護司
石島邦行 80 県スポーツ推進委員協議会長
小磯実 67 保護司
坂本行哉 68 土浦市消防団長
佐々木秀二 76 保護司
佐々木章格 73 保護司
柴田修 68 大子町消防団長
寺田光浩 67 下妻市消防団長
長塚光男 70 常総市消防団長
藤田佳史 71 常陸大宮市消防団長
◇栃木
▽黄 綬
市毛政雄 84 市毛自動車整備工場代表兼整備主任者
田口敏郎 72 農業
▽藍 綬
安納ミツ子 77 保護司
岩渕容子 71 元民生・児童委員
上野賢治 59 下野市消防団副団長
上野昇 75 保護司
君島智明 62 那須塩原市消防団副団長
桜井慶子 69 調停委員
高山誠 61 下野市消防団副団長
橋本房子 74 保護司
長谷部厚志 58 小山市消防団副団長
◇群馬
▽緑 綬
住吉素子 76 点訳奉仕者
▽黄 綬
小菅正治 68 小菅林業代表取締役
高橋徹 59 司法書士
松崎一浩 62 元三菱電機静岡製作所群馬工場主任技員
山口幸一 63 カットスタジオかみゆい代表
▽藍 綬
安中隆一 77 保護司
大谷晴一 77 保護司
木闇裕治 59 高崎市消防団副団長
永沢木の実 68 調停委員
堀越徹也 52 前橋市消防団長
宮沢代美子 75 元民生・児童委員
茂木鏡子 81 元民生・児童委員
山田雅人 65 補導受託者
横尾美子 72 元国勢調査員
◇埼玉
▽黄 綬
小沢幸男 67 小沢建築代表
木田満 88 行政書士
三浦幸治 53 栄広電設会長
▽藍 綬
五十嵐ひろみ 61 小売物価統計調査員
薄田守利 75 民生・児童委員
栗原基 57 「草加キングス・ガーデン」施設長
黒須勇 76 保護司
駒崎恭子 77 保護司
堺俊治 77 保護司
佐藤由香子 64 元労働力調査員
真田宏子 78 保護司
沢田真理 61 家計調査員
正田政一郎 64 県医師会理事
高橋登喜子 66 小売物価統計調査員
高橋弘 68 調停委員
高橋光晴 62 上里町消防団長
長岡恵美子 81 行政相談委員
柳生幸子 77 保護司
◇千葉
▽紅 綬
大山真一 53 人命救助者
小笹啓輔 73 人命救助者
鈴木淳 47 人命救助者
堀越あゆみ 42 人命救助者
▽緑 綬
内久根深雪 70 社会教育奉仕者
たんぽぽの会
医療施設等奉仕団体
▽黄 綬
大森章生 64 元日航整備本部副本部長
黒川幹 62 クロカワストック代表取締役
増田幸徳 70 一宮運輸社長執行役員
深山茂雄 63 富士電機千葉工場工務部生産管理課主任
▽藍 綬
秋元直人 70 元全国給食事業協同組合連合会長
遠藤孝二 75 保護司
大木孝宣 73 保護司
岡野敦 66 人権擁護委員
十川喜代一 57 山武市消防団副団長
冨田健嗣 69 保護司
内藤富江 77 民生・児童委員
長門勉 74 保護司
松本英明 60 千葉市消防団副団長
◇東京
▽紅 綬
紫村俊之 24 人命救助者
簑谷昇陽 26 人命救助者
▽黄 綬
伊藤夫臣子 64 元日航成田第1客室乗員部長
加藤敏之 63 元京王プラザホテル調理部副部長兼セントラルキッチン調理長
神田康裕 74 大成交通社長
熊井秀樹 60 東京湾水先区水先人
篠原直男 63 元第一工業社長
柴野和夫 81 行政書士
荘司礼子 76 国際文化学園理事長
鈴木一彦 62 鈴幸装備代表取締役
立本宗一 62 司法書士
谷合ひろよ 65 グロブナー建物管理代表取締役
塚本和夫 71 塚本和裁研究所長
恒川久美 60 元全日空客室センター客室乗務二部長
飛田良樹 66 飛田鉄筋工業社長
中沢昇一 59 和田精密歯研歯科技工士
畠山弘 71 畠山七宝製作所代表
浜田繁敏 71 アップタウン社長
細井元 60 ホーチキ社長執行役員
三浦慎 63 元三英社長
三国清三 70 ソシエテミクニ代表取締役
村松絵里子 60 元全日空客室センター副センター長兼客室センターグローバル推進部長
八島昌栄 68 司法書士
山口和見 65 ビューティフクダ
(福元和見) 経営者
吉村誠 59 吉村興業代表取締役
米沢章 66 元都市ぷろ計画事務所代表取締役
▽藍 綬
青柳尚毅 67 練馬消防団長
秋山秀阿 70 光徳保育園長
渥美哲夫 75 保護司
宇賀神清孝 65 元日本配電制御システム工業会会長
沖山規正 57 八丈町消防団副団長
加藤正八 70 光が丘消防団長
金子恵津子 77 保護司
金子賢治 63 江戸川消防団副団長
岸本明 76 保護司
酒井きみ子 60 小売物価統計調査員
榊藍子 77 保護司
佐藤利彦 69 四谷消防団長
鹿野英幸 71 小岩消防団副団長
杉野あけみ 75 保護司
鈴木幸夫 77 保護司
高木真澄 75 保護司
高山真行 76 保護司
内藤孝雄 74 民生・児童委員
中沢仁 67 城東消防団副団長
長浜益男 71 本郷消防団副団長
南雲幸子 76 保護司
野本渉 77 豊島消防団分団長
浜野馨 53 青梅市消防団長
前野繁男 75 保護司
増山実 69 大井消防団副団長
松下幸博 77 保護司
松永聖弘 77 保護司
松本ちづ子 75 保護司
松本なか子 77 王子消防団副団長
松本浩子 82 人権擁護委員
三谷久夫 72 臨港消防団副団長
三橋優子 77 保護司
守屋恵子 66 小売物価統計調査員
矢萩早苗 76 保護司
山本昌 72 京橋消防団副団長
吉本みな子 75 民生・児童委員
和栗栄一 69 町消防団副団長
サック・キャロル・ミリアム・マンフレッド 74 篤志面接委員
◇神奈川
▽紅 綬
清国正巳 68 人命救助者
▽緑 綬
江ノ島湾護美さぁくる環境美化奉仕団体
グループあいうえお社会福祉施設等奉仕団体
本町第五友愛チーム在宅福祉等奉仕団体
▽黄 綬
有海和寿 63 元JALエンジニアリング羽田航空機整備センター運航整備部長
金子敏夫 63 伊豆箱根交通タクシー運転者
紙谷繁昭 62 司法書士
小林正利 62 ANAエアポートサービスオペレーションマネジメント部担当部長
斎藤守 59 いすゞ自動車藤沢工場PT技術部工機設備課上級工師
志賀耕次 58 関電工営業統轄本部施工品質ユニット技術企画部長技能チームリーダー
園田勝志 60 全日空フライトオペレーションセンターB777部シニア機長
高橋一郎 80 公衆電話受託者
高橋豊 69 トヨテック社長
長坂孝之 65 日航767運航乗員部シニアエキスパート運航乗務員機長
畠山純一 61 はたけ工房自営
三橋義人 60 三橋ビル代表取締役
山本直充 63 湘南美装代表
▽藍 綬
秋山満江 76 元人権擁護委員
阿久津如生 79 保護司
池沼雅弘 65 川崎市宮前消防団分団長
遠藤厳留 55 川崎市多摩消防団分団長
遠藤隆三 75 保護司
神永繁 82 湯河原町選管委員長
唐沢波江 75 保護司
草柳昭彦 67 横浜市旭消防団副団長
小林達夫 77 民生・児童委員
小松博 67 横浜市緑消防団副団長
斎藤明夫 78 保護司
高桑国夫 55 川崎市麻生消防団分団長
高橋伸昌 66 横浜市中消防団長
竹原由美恵 73 元民生・児童委員
照井誠 75 保護司
中村祥子 76 保護司
中村剛 70 横浜市港北消防団副団長
野沢学 58 日本試薬協会長
野本芳明 69 横浜市金沢消防団分団長
藤井弥一郎 69 横浜市港南消防団分団長
宮崎八重子 77 元民生・児童委員
森本浩吉 83 県遺族会長
安田伸行 62 横須賀市消防団副団長
山野井正郎 81 自衛官募集相談員
◇山梨
▽緑 綬
コモアシニアクラブ街をきれいにする会環境美化奉仕団体
▽黄 綬
清水正盛 70 清水林業代表取締役
▽藍 綬
岸野正美 73 元調停委員
田中裕仁 61 元甲府市消防団分団長
塚田崇史 50 中央市消防団副団長
林和仁 75 保護司
深沢英夫 73 保護司
桃園一豊 66 甲府市消防団分団長
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、東北[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 22ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
◇青森
▽黄 綬
小林要蔵 65 土地家屋調査士
千葉進 73 青森消防設備会長
▽藍 綬
岸修 75 保護司
菅原偉久 59 むつ市消防団長
田沢順造 63 弘前市消防団長
原博文 56 五戸町消防団副団長
◇岩手
▽緑 綬
おはなしたまて箱社会教育奉仕団体
浄土ケ浜をきれいにする会環境美化奉仕団体
▽黄 綬
阿部栄子 75 阿部鍼灸院自営
▽藍 綬
松木迪子 79 行政相談委員
山本理悦子 76 保護司
横田博安 66 全国飲食業生活衛生同業組合連合会副会長
◇宮城
▽黄 綬
安部明朗 67 個人タクシー運転者
内海一富 62 瑞鳳園代表取締役
片倉義男 71 郵便集配受託者
片野浩一 63 個人タクシー運転者
木川田明弘 71 城不動産商事代表取締役
成田賢 71 元応用地質社長
松坂卓夫 66 松栄不動産社長
▽藍 綬
石垣明子 54 労働力調査員
一條武 65 日本医薬品卸売業連合会副会長
色川恵子 70 調停委員
橋本正 76 保護司
畠山泰子 78 元民生・児童委員
宮城三恵子 69 調停委員
◇秋田
▽黄 綬
相場忠義 65 行政書士
伊藤清光 61 小林工業製造部長付設計統括役兼知的財産チームリーダー
伊藤隆喜 73 創和技術代表取締役
大森三四郎 75 大森建設代表取締役
籾山国雄 72 元籾山工業代表取締役
鷲沢幸治 78 農業
▽藍 綬
安倍良行 74 保護司
金昭彦 67 八郎潟町消防団分団長
松岡一志 77 秋田労働局地方労災医員
◇山形
▽黄 綬
太田政往 64 太田建設代表取締役
大築義雅 72 大築園芸取締役
▽藍 綬
井上和也 46 元南陽市消防団長
黒沼祐蔵 70 「山形県リハビリセンター」総括施設長
菅野熟 76 元大蔵村選管委員長
高橋隆文 69 保護司
難波一之 55 元鶴岡市消防団副団長
◇福島
▽黄 綬
鈴木セツ子 74 郵便集配受託者
水野征夫 82 郵便集配受託者
▽藍 綬
井上康弘 66 会津若松市消防団分団長
大山純 59 南会津町消防団副団長
金沢利広 59 矢祭町消防団長
佐藤喜市郎 76 保護司
羽田美子 74 保護司
緑川勝人 52 棚倉町消防団副団長
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、北陸[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 22ページ 433文字 PDF有 書誌情報]
◇富山
▽緑 綬
八尾おはなしの会読み聞かせ奉仕団体
▽黄 綬
磯野豊 71 土地家屋調査士
小野沢幸造 69 小野沢家具店社長
志鷹新樹 71 丸新志鷹建設社長
長田宏泰(長田達明) 80 ジャパンパック会長
星野克己 71 行政書士
▽藍 綬
朝倉貞子 78 元国勢調査員
近松裕子 77 保護司
中川由紀子 76 元民生・児童委員
広田勉 68 調停委員
◇石川
▽黄 綬
新木洋満 66 新木プラスチック工業所社長
川辺俊彦 68 ウロコ水産社長
菅原博之 65 土地家屋調査士
田畑秀樹 72 田畑建設代表取締役
和田内洋子 71 元和田内潜建代表取締役
▽藍 綬
石浦隆 56 野々市市消防団副団長
森山典子 76 保護司
◇福井
▽緑 綬
谷口敏子 73 手話奉仕者
山本裕子 83 食生活改善推進員
▽黄 綬
伊藤利彦 95 元土地家屋調査士
坪川貞子 62 行政書士
原田進男 80 漁業
▽藍 綬
竹沢浩子 69 調停委員
久光遵子 77 保護司
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、北海道[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 22ページ 419文字 PDF有 書誌情報]
(敬称略)
▽緑 綬
浜辺と海をきれいにする会環境美化奉仕団体
▽黄 綬
栗原康 68 大八栗原蒲鉾店代表取締役
竹内良典 62 日鉄鉱業東鹿越鉱業所生産課主任
中路幹雄 71 日の出交通社長
村上正人 75 マルイゲタ社長
▽藍 綬
荒井明子 73 保護司
伊藤むつみ 77 保護司
岩崎弘 78 元農林業センサス調査員
岩田慈照 75 保護司
大野啓子 76 保護司
岡島省一 75 保護司
上島きそ子 76 保護司
菊地重美 78 元京極町選管委員長
後藤哲子 77 保護司
笹本洋一 65 日本医師会常任理事
杉村武一 74 元農林業センサス調査員
竹鼻朋子 68 元労働力調査員
玉川裕史 73 保護司
十河るみ子 77 保護司
西山佐代子 75 保護司
浜野修二 65 元「おにしか更生園」施設長
福原育夫 70 自衛隊医療協力者
古川裕志 66 学校給食物資開発流通研究協会長
山本英二 66 網走地区消防組合網走消防団分団長
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、信越[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 22ページ 181文字 PDF有 書誌情報]
◇新潟
▽黄 綬
青木光達 64 あおき味噌代表取締役
高坂光一 64 高坂防災代表取締役
▽藍 綬
岩崎茂 72 保護司
川上克義 81 篤志面接委員
◇長野
▽黄 綬
清沢進 66 宝屋土地建物代表取締役
小林智 69 千曲技研代表取締役
高村秋光 72 高村商店代表社員
▽藍 綬
西沢美知子 76 保護司
宮沢俊明 76 保護司
村上崇子 76 保護司
春の褒章受章者――紫綬褒章[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 22ページ 414文字 PDF有 書誌情報]
福岡淳 66 北海道大名誉教授(北海道)
藤掛英夫 64 東北大教授(宮城)
谷口尚 65 物質・材料研究機構フェロー(茨城)
津村義彦 65 筑波大名誉教授(茨城)
青木節子 65 慶応義塾大名誉教授(東京)
阿部郁朗 64 東京大教授(東京)
柳亭市馬(右藤泰幸) 63 落語家(東京)
岡本隆司 59 早稲田大教授(東京)
近藤良平 56 ダンサー・振付家(東京)
佐竹健治 66 東京大名誉教授(東京)
柴崎幸三 67 撮影監督(東京)
杵屋勝四郎(村治崇光) 66 長唄唄方(東京)
星田剛司 54 富士通フォトニクスシステム事業本部先行技術開発室長(神奈川)
山口真史 79 豊田工業大名誉教授(神奈川)
般若泰樹 52 金工作家(富山)
田中義光 54 漆芸作家(石川)
木本恒暢 61 京都大教授(京都)
柴田大 59 京都大教授(京都)
西田幸二 62 大阪大教授(大阪)
松井利郎 62 九州大教授(福岡)
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、近畿[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 23ページ 1749文字 PDF有 書誌情報]
◇滋賀
▽黄 綬
仲野薫 72 杢兵衛造船所社長
西村功司 81 西村家畜繁殖技術研究所代表
安居助広 74 農業
▽藍 綬
飯塚季也 64 県鍼灸師会長
井野泰雄 77 保護司
岡田史枝 70 調停委員
高月賢瑩 77 保護司
中村陽子 71 元民生・児童委員
西村俊幸 66 東近江市消防団長
吉田真二 67 湖南市消防団長
◇京都
▽緑 綬
福知山ハーモニカ同好会演奏奉仕団体
▽黄 綬
足立ヨシ子 79 足立和裁研究所取締役
茨木和幸 67 茨木春草園会長
大入達男 74 百太郎代表
谷則男 62 農業
八木裕有 73 八木一級建築士事務所代表者
▽藍 綬
井尻里子 65 元労働力調査員
白石敏幸 59 京田辺市消防団長
高原保幸 75 保護司
田島茂 79 元民生・児童委員
浜田昭 71 元調停委員
藤本明弘 64 嵯峨学園理事長
武曽恵理 74 日本女性腎臓病医の会代表世話人
本井義憲 78 保護司
渡辺勉 77 保護司
◇大阪
▽緑 綬
大垣純一 82 地域交流支援活動奉仕者
▽黄 綬
岩井喜照 64 ミライト・ワン特別参与総務人事本部人材育成部
上西好幸 55 富士電子工業加工部副部長
神丸豊 71 八栄ハウジング代表取締役
北口義明 74 行政書士
木下良三 83 農業
広江満男 90 シマネヤ洋服店主
前重興亮 73 松前木材店代表取締役
大和孝資 78 JAPAN大和グループ会長
湯浅桂輔 70 松島建築設計事務所取締役
吉村美好 59 吉村社長
▽藍 綬
荒木裕美 61 人権擁護委員
安西勝美 75 人権擁護委員
石原節美 76 保護司
井上誠二 67 枚方市消防団副団長
射場一之 59 元日本石材産業協会長
岩根保誠 65 富田林市消防団副団長
上野高晴 75 保護司
上脇靖代 56 元小売物価統計調査員
川北和敏 76 保護司
絹田文男 76 保護司
栗山隆信 69 府医師会理事
佐藤正敏 66 豊中市消防団長
城塚政行 66 泉佐野市消防団副団長
菅谷信江 87 上島会理事長
高浦忠司 75 保護司
高安正志 75 保護司
巽正博 61 池田市消防団副団長
田林則夫 84 自衛官募集相談員
玉成修司 75 保護司
辻道子 76 保護司
中江良一 63 元関西ねじ協同組合理事長
中村陽子 54 元労働力調査員
松本良平 57 太子町消防団副団長
◇兵庫
▽黄 綬
大野剛 56 クボタ阪神工場鉄管製造課統括職長
佐々木孝行 60 コーアツ社長
白石元宏 65 フジックス社長
竹内繁吉 68 エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン業務本部技術部主席
谷川定隆 73 農業
玉江陽一 62 神戸製鋼所加古川製鉄所制御部制御技術室専門技師
平野利一 58 三菱重工業原子力セグメント原子力工作部生産技術課主任
三枝俊雄 65 三枝左官工業所社長
水沢賢二 73 内海水先区水先人
水橋英樹 62 ダイハツ工業グローバル生産推進センター基本・専門技能室副主任
安田薫 75 三和鉄工会長
安原優 66 日本港運会長
山下公弘 66 大阪湾水先区水先人
▽藍 綬
井村渡 76 保護司
浦岡貴与美 79 民生・児童委員
大塚章生 69 神戸市須磨消防団長
岡野泉美 68 元労働力調査員
小野弘子 70 調停委員
梶原好博 76 保護司
川崎ムツ子 74 保護司
小林芳成 70 相生市明るい選挙推進協議会委員
長岡恵美 75 民生・児童委員
中本敏彦 70 神戸市灘消防団長
人見嘉伸 61 元兵庫ビルメンテナンス協会長
藤田耕二 76 保護司
山口久美子 64 元小売物価統計調査員
吉岡一博 58 生活衛生同業組合県興行協会理事長
◇奈良
▽黄 綬
梅本司 68 司法書士
河村正英 62 元日本料理天平倶楽部総料理長
水野博巳 67 水野設備代表取締役
▽藍 綬
岡田治子 70 人権擁護委員
門田容子 77 保護司
田仲孝介 67 御所市消防団副団長
萩原隆夫 76 保護司
森本茂仁 63 五條市消防団副団長
◇和歌山
▽藍 綬
大嶋昌代 72 調停委員
亀邦弘 69 和歌山市消防団副団長
玉井良弘 78 保護司
古久保久代 75 保護司
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、九州[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 23ページ 1587文字 PDF有 書誌情報]
◇福岡
▽緑 綬
有田太鼓地域交流支援活動奉仕団体
大楠満 77 環境美化奉仕者
ごみゼロ青春探検隊いとしま環境美化奉仕団体
▽黄 綬
宮内久滋 65 丸柏不動産社長
森川明智 65 技建工務所工務部長兼香春作業所長
森坪清則 77 きのこの森坪会長
▽藍 綬
足達留美子 69 労働力調査員
内林潤一 78 保護司
岡本幸代 76 民生・児童委員
柿内よし子 76 北九州市若松区明るい選挙推進協議会副会長
柿添博文 77 保護司
草垣哲治 57 小郡市消防団副団長
合原久美子 69 民生・児童委員
古賀英明 75 保護司
近藤貴美子 76 行政相談委員
柴田友子 76 保護司
白水隆二 57 春日市消防団副団長
世羅修次 73 糸田町消防団長
田中文夫 70 桂川町消防団長
田畑友徳 64 飯塚市消防団副団長
田守健治 62 田川市消防団副団長
鳥越一郎 66 久留米市消防団副団長
永田忠則 70 香春町消防団長
中山佐和子 76 保護司
縄田緑 72 調停委員
西英治 58 岡垣町消防団副団長
林田良三 70 元済生会日田病院長
松田慶子 60 元小売物価統計調査員
山本静雄 78 保護司
吉久安則 78 保護司
◇佐賀
▽黄 綬
金丸由子 68 巨勢保育園長
古賀京子 77 古賀書店社長
中島構治 65 ナカシマファーム取締役
福島裕充 71 西日本総合コンサルタント代表取締役
▽藍 綬
久保千代 75 保護司
指山健次郎 55 有明ふたば保育園長
宗田銀也 71 全国海運組合連合会副会長
田口英信 67 基山町商工会長
友田諭 49 友桝飲料社長
中島富貴子 72 幼保連携型認定こども園日新こども園長
宝蔵寺美喜子 74 保護司
松尾健司 61 「シルバーケア武雄」施設長
無津呂幸子 84 元民生・児童委員
吉田幸子 77 保護司
◇長崎
▽黄 綬
門田治男 65 門田建設社長
竹山重行 64 西肥自動車バス運転士
田中俊晴 74 九州消火器材代表取締役
寺尾祐輔 62 農業
吉崎忠敏 74 畜産業
▽藍 綬
垣内一幸 76 保護司
花田幸規 76 保護司
村木昭一郎 63 長崎旅客船協会長
◇熊本
▽黄 綬
菊池武 71 菊池組代表取締役
中島孝 66 土地家屋調査士
藤木徳昭 72 藤木運送会長
▽藍 綬
赤星友宥 77 保護司
池田武 65 玉名市商工会長
大家隆 70 民生・児童委員
岡本伸也 60 熊本市消防団副団長
松岡紀子 70 家計調査員
山隈保美 72 民生・児童委員
山崎龍道 77 保護司
吉永正弘 72 調停委員
和田健 51 元県社会保険労務士会長
◇大分
▽黄 綬
小手川直樹 60 岩崎礦業事業部長
山上誠二 77 大分魚市社長
▽藍 綬
黒川拡 74 保護司
泊一秀 70 元国家公務員共済組合連合会新別府病院長
矢野福美 81 元九重町選管委員長
◇宮崎
▽黄 綬
荻原晴巳 70 行政書士
▽藍 綬
小山田民男 70 都城市消防団分団長
小林内外 73 保護司
清水美博 77 保護司
南寿敏郎 64 人権擁護委員
長谷場平 68 都城市消防団副団長
山名智広 53 延岡市消防団分団長
◇鹿児島
▽黄 綬
市坪孝志 71 市坪建装代表取締役
関雄太 67 関電気商会代表取締役
塚田洋一 70 川原建設代表取締役
▽藍 綬
上野すみ子 75 保護司
椨学 77 保護司
深水勝子 81 民生・児童委員
丸山由紀 61 元小売物価統計調査員
◇沖縄
▽緑 綬
新垣安伴 71 環境美化奉仕者
▽黄 綬
下地達雄 81 染織製作技術者
高江洲順也 59 日本トランスオーシャン航空運航点検整備部第2点検整備課長
▽藍 綬
沖山恒久 74 保護司
喜名京子 77 元労働力調査員
比嘉美奈子 78 保護司
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、中部[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 23ページ 1524文字 PDF有 書誌情報]
(敬称略)
◇岐阜
▽緑 綬
手話サークルかにっ子手話奉仕団体
多治見アイパートナーの会朗読奉仕団体
山本さちよ 71 食生活改善推進員
▽黄 綬
中斎陽吉 69 元高山グリーンホテルサービス推進本部料飲部宴会サービス参与
疋田智人 66 土地家屋調査士
増島健三 64 川崎重工業航空宇宙システムカンパニー航空宇宙生産本部生産調査部技能教育課主任技士
横山実 63 川崎重工業航空宇宙システムカンパニー航空宇宙品質保証本部完成機品質保証部飛行検査課プロシニア
▽藍 綬
秋山惣司 59 中津川市消防団副団長
安藤広彰 75 保護司
上野隆文 59 飛市消防団副団長
江尾利広 75 瑞穂市消防団副団長
遠藤孝行 72 郡上市消防団長
河合了宣 73 教誨師
小沢秀生 70 郡上市選管委員長
島崎茂人 57 中津川市消防団副団長
杉本保 60 羽島市消防団副団長
鷲見洋一 78 神戸町選管委員長
竹中孝一 75 保護司
塚腰雅春 62 高山市消防団副団長
早川みどり 63 元家計調査員
本田順一 76 民生・児童委員
溝俣聖一 60 高山市消防団副団長
矢野亮一 58 多治見市消防団副団長
◇静岡
▽黄 綬
岩田顕彦 79 大和文庫社長
金丸智昭 62 金丸建築設計事務所代表取締役
国井均 58 芳和建設工業社長
倉田七郎 76 行政書士
佐野良子 78 かやの里代表取締役
鈴木文三 61 サンコー防災代表取締役
藤田一 61 フジタ看板店代表
古橋敏彦 69 土地家屋調査士
山本純夫 75 テクニカルサポート会長
▽藍 綬
池谷敬一 77 保護司
勝又その 77 保護司
斎藤昌一 70 自衛隊医療協力者
高成田和子 82 民生・児童委員
山田綾子 70 調停委員
◇愛知
▽緑 綬
杉本貞三 84 清掃奉仕者
チャレンジハウス弥富ボランティア社会福祉施設等奉仕団体
明徳産業環境美化奉仕団体
▽黄 綬
大橋芳幸 58 アイシンものづくり人事部アイシン学園室長
尾崎隆弘 73 弁理士
加藤徹 58 元加藤建設社長
河江芳久 72 元福田道路社長
川口博敬 48 川口木工所代表
小嶋真介 68 土地家屋調査士
近藤博樹 69 コンドウ建築代表
丹羽拓也 46 丹羽ふとん店寝具仕立工
畑内康孝 70 伊勢三河湾水先区水先人
波多野忠明 64 蒲郡クラシックホテル総料理長
福井博文 57 デンソー技能人財養成部人材養成推進室階層別研修課担当課長
藤田義明 73 TTK代表取締役
村田全弘 71 国光自動車整備工場社長兼自動車整備士
山田敏之 73 司法書士
横井豊 77 行政書士
▽藍 綬
有馬健治 77 保護司
井上宏子 77 保護司
岡田英理子 71 知立市選管委員
小栗照夫 77 元民生・児童委員
粕谷はり江 77 保護司
加藤恒二 79 元民生・児童委員
加藤春彦 77 保護司
小塚基樹 67 名古屋市福春消防団長
仙田逸二 81 元県スポーツ推進委員連絡協議会長
成田安代 77 保護司
早川千恵子 77 保護司
早川典夫 75 名古屋市星崎消防団長
古橋和子 64 労働力調査員
吉江一泰 76 保護司
吉村登 76 保護司
◇三重
▽緑 綬
門みち子 90 地域交流支援活動奉仕者
▽黄 綬
内藤博之 71 タスク代表取締役
安田千代 73 司法書士
▽藍 綬
打田守 68 鈴鹿市消防団分団長
奥田政彦 53 名張市消防団副団長
北川広一 76 保護司
滝本洋一 69 亀山市消防団分団長
中林年美 69 調停委員
橋本則夫 72 津市消防団副団長
福森辰明 71 四日市市消防団分団長
森川とよ子 76 保護司
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、中国[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 23ページ 492文字 PDF有 書誌情報]
◇鳥取
▽緑 綬
全国手話通訳問題研究会鳥取支部中部グループ手話奉仕団体
▽藍 綬
滝洋子 68 保護司
田畑洋子 77 民生・児童委員
◇島根
▽黄 綬
赤名健司 74 富士ビルド代表取締役
▽藍 綬
勝島徹正 75 保護司
平井利枝子 67 元小売物価統計調査員
◇岡山
▽黄 綬
青山仁 77 農業
神谷司 63 パニック会長
▽藍 綬
恵谷龍二 72 元日本フードサービス協会副会長
大川智義 66 和気町消防団副分団長
片岡政則 74 保護司
神原一男 75 保護司
中塚徳子 71 元調停委員
若原美津子 76 保護司
◇広島
▽黄 綬
岸田孝美 65 元リーガロイヤルホテル広島調理部レストラン料理長兼リーガトップシェフ
幸元秀守 59 コウモト重機社長
深山隆一 73 山陽建設社長
吉永利行 73 行政書士
▽藍 綬
佐々木勉 77 保護司
松岡幸彦 77 保護司
◇山口
▽緑 綬
さやま蟻の会地域交流支援活動奉仕団体
麻里府地域ふるさと運動海岸清掃実行委員会環境美化奉仕団体
▽藍 綬
寺内毅一郎 82 民生・児童委員
広重敏男 77 保護司
藤田典敬 75 保護司
春の褒章受章者――紅綬・緑綬・黄綬・藍綬褒章、四国[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 23ページ 345文字 PDF有 書誌情報]
◇徳島
▽緑 綬
お話し玉手箱
読み聞かせ奉仕団体
▽藍 綬
近藤一史 75 保護司
松本侯 64 県歯科医師会長
山野明美 70 調停委員
◇香川
▽黄 綬
二宮知央 61 二宮塗装代表取締役
細谷芳久 68 城北建設代表取締役
▽藍 綬
西岡学 64 栗林学園理事長
真鍋信一 75 保護司
森潤 76 元民生・児童委員
横田正寛 75 保護司
◇愛媛
▽緑 綬
南宇和ライオンズクラブ環境美化奉仕団体
▽黄 綬
泉川孝三 70 司法書士
近藤誠 74 近藤書店代表社員
▽藍 綬
小川良明 75 保護司
松浦愛子 76 保護司
宮部高至 60 松山市選管委員
◇高知
▽黄 綬
藤村光一 57 日鉄鉱業鳥形山鉱業所生産1課主任技術員
▽藍 綬
出木勉 78 保護司
戸梶祥子 78 保護司
(男子ゴルフ)小西、苦節13年の初V 17番起死回生バーディー――今平、18番に泣く 風耐えるも「最後残念」[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 254文字 PDF有 書誌情報]
ツアー10勝、賞金王2回の今平が最終18番パー4のボギーでプレーオフ進出を逃した。3打目のアプローチを1メートル半に寄せながら「ちょっと右に押し出した」というパーパットが外れ、万事休した。
風が強まり、硬く乾いたグリーンは1メートルでも油断ならなくなっていた。2番のボギーで「異変」を察知した百戦錬磨の32歳はそこから手堅いマネジメントで4バーディーを積み重ね、13番で単独トップに。昨年10月の日本オープン以来のツアー優勝がみえていただけに「風の中を耐えて、いいゴルフができた。最後だけ残念」と悔やんだ。
(男子ゴルフ)小西、苦節13年の初V 17番起死回生バーディー――欧州ツアー、中島11位 全米プロ出場権獲得[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 213文字 PDF有 書誌情報]
欧州男子ゴルフのDPワールドツアー、海南クラシックは27日、中国のミッションヒルズリゾート海口(パー72)で最終ラウンドが行われ中島啓太が70で通算9アンダー、279として11位に入った。桂川有人は20位。同17アンダーのマルコ・ペンジ(英国)が優勝した。
中島は同ツアーのアジア4連戦のポイントでトップとなり、20万ドルのボーナスを獲得。メジャー第2戦、全米プロ選手権(5月15~18日・クエイルホローC)の出場権を得た。
(男子ゴルフ)小西、苦節13年の初V 17番起死回生バーディー 攻守両立、粘り勝ち(バックスピン)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 931文字 PDF有 書誌情報]
前沢杯(27日・千葉県MZ・GC=6652ヤード、パー70)
首位タイから出た小西たかのりが4バーディー、1ボギーの67で通算17アンダー、263として新規大会の初代王者に輝いた。33歳でのツアー初優勝、賞金4000万円を獲得した。
1打差の2位にこの日68の今平周吾、3打差の3位に69のマイケル・ヘンドリー(ニュージーランド)、4打差の4位に開幕戦優勝の生源寺龍憲と李尚熹(韓国)が入った。主催者推薦で出場した女子の菅沼菜々は75で同7オーバーの89位、寺西飛香留は71で同8オーバー、91位だった。PR事務局によると、4日間合計の観客数は3641人。
◇ 最終18番ホールを先にパーでホールアウトした小西は17アンダーで並んでいた今平の短いパーパットをグリーン脇で見守った。よもやの結末にしばしぼうぜん。敵失での勝利に喜びを爆発させるのは控えたが、大会を企画・発案した前沢友作氏から「うちの大会で初優勝してくれてうれしい。気持ち強いねー」と祝福された。
首位で並んで出た今平と競り合った最終日。圧巻は1打ビハインドで迎えた17番パー5だ。ピン奥15メートルからのバーディーパットをねじ込み、追い付いた。「入っちゃった」。優勝争いの重圧の中、劣勢でもあきらめなかった。「コーチからは、マスターズのマキロイのように何が起きるかわからないぞと言われていた。おかげで慌てなかった」
乾いたグリーンの傾斜に切られた難しいピン位置が選手を苦しめた。前日までとはマネジメントが一変、攻め一辺倒から守りのゴルフを強いられたが、4日間パーキープ率1位(97%)と攻守を両立。最終日を3パットなしでまとめたグリーン上の粘りが初優勝の扉をこじ開けた。
史上最年少の15歳でツアー優勝を果たした同学年の石川遼に触発され、18歳で研修生としてゴルフコースに就職。2012年に日本プロゴルフ協会のプロテストに合格した。石川、松山英樹の活躍を横目に「うらやましく思いながら、『ああなりたい』と頑張ってきた。きょうやっと勝てた」。初代王者の誕生に感激した前沢氏は「男子プロにはこんないい選手がいる。来年もやります」と宣言した。
(串田孝義)
【図・写真】最終日、通算17アンダーで優勝した小西
(パラ陸上)兎沢がアジア新、目標の5メートル迫る パラ陸上日本選手権 女子走り幅跳び[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 719文字 PDF有 書誌情報]
パラ陸上の日本選手権最終日は27日、愛媛県のニンジニアスタジアムで行われ、男子100メートル(視覚障害T13)はパリ・パラリンピック銅メダルの川上秀太(アスピカ)が2.6メートルの追い風参考ながら、自身の持つ日本記録を0秒06上回る10秒64で優勝した。
女子走り幅跳び(義足・機能障害T63)はパリ・パラ5位の兎沢朋美(富士通)が4メートル96(追い風参考)で制覇。男子100メートル(脳性まひT36)は松本武尊(AC・KITA)が12秒03の日本記録で勝った。
◇ 前日の100メートルに続くアジア新を、メインの走り幅跳びでも記録した兎沢。達成感をより深くしたのが、3本目の跳躍だ。追い風3.5メートルの参考記録ながら、4メートル96の大ジャンプ。「5メートルが見えるラインまで来られたのは評価できる」と胸を張った。
毎冬恒例となっているドイツでの武者修行で、体幹を安定させるドリルに取り組んだ。走力が上がったことで、助走の早い段階でスピードを出し、それを維持したまま踏み切りができるようになり、記録につながったという。
メダルを期待された東京パラリンピックでは4位。3位が5メートル01だったため、神棚に飾るように「5メートル」をずっと目標に掲げてきた。だが、昨年のパリ・パラでも4メートル台で5位。5メートルなら表彰台だっただけに、悔しさがあふれた。
「何年言い続けているんだ、というものが今日、すごく具体的に現実的になった。いい流れのまま、今季を走り抜けたい」。パラ陸上女子期待の26歳が、いよいよ覚醒の時を迎えるか。
(摂待卓)
【図・写真】女子走り幅跳び(義足・機能障害T63)でアジア記録となる4メートル88をマークした兎沢
(女子ゴルフ)西郷、首位タイ浮上 ショットで強風打開[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 701文字 PDF有 書誌情報]
【ウッドランズ(米テキサス州)=共同】女子ゴルフのメジャー第1戦、シェブロン選手権は26日、米テキサス州ウッドランズのカールトンウッズ・クラブ(パー72)で日没サスペンデッドとなった第2ラウンド残りと第3ラウンドが行われ、米ツアー未勝利の西郷真央が第3ラウンドを69で回り、通算9アンダーの207でユ・ヘラン(韓国)と首位に並んだ。
1打差3位にリンディ・ダンカン(米国)。通算1アンダーの24位が竹田麗央で、イーブンパーの31位に渋野日向子と山下美夢有がつけた。岩井明愛と古江彩佳が1オーバーの38位で、西村優菜は2オーバーの45位。岩井千怜は3オーバーの51位で、勝みなみは4オーバーの58位、畑岡奈紗と吉田優利は6オーバーの68位となった。
◇ ツアー初優勝を狙う西郷が4バーディー、1ボギーの69でトップに並んだ。「気持ちをリセットしながら一打一打プレーしたことがいい方向につながった」とうなずいた。予選より強い風と難しいピンの位置に多くの選手が苦しむ中、好調なショットでスコアをつくった。
池越えの3番(パー3)で1メートルにつけて初のバーディーを奪うと、グリーンを外した6、13番はともにチップインバーディー。「運が良かった。外から入ってくれて少し心も落ち着いた」と、最後まで崩れる気配はなかった。
1打及ばず予選落ちした昨年のシェブロン選手権を「すごく悔しい思いをした。改めて(ゴルフへの)気持ちを入れ替えた思い出のある大会」と語る。その後は優勝争いを経験し、ツアー新人賞を受賞するなど大きく成長。雪辱を果たす絶好機が巡ってきた。(共同)
【図・写真】西郷は第3ラウンドを69で回った=AP
(サッカー)セルティック4連覇、一皮むけた前田と旗手 リーグ最多の16得点/中盤の要、全試合出場[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 499文字 PDF有 書誌情報]
【ダンディー(英国)=共同】サッカーのスコットランド・プレミアリーグで26日、セルティックがダンディー・ユナイテッドに5―0で勝ち、4連覇を決めた。加入4季目の前田大然と旗手怜央は主軸として一皮むけた姿を見せ、チームを通算55度目の優勝に導いた。
前田はリーグ最多(26日時点)の16点をマーク。古橋亨梧が1月にレンヌ(フランス)へ移籍した後は中央での出場が増え、得点を量産した。「(要因は)日々の積み重ね」と多くを語らないが、チャンスでの落ち着きやクロスへの鋭い反応が光った。チャンスメーカーでもあり、ダンディーU戦では左クロスで2点を呼び込んだ。計9アシストもリーグ最多だ。
旗手は中盤の要だった。昨季は負傷もあって出場機会が限られたが、今季はここまで全34試合に出場。攻守をつなぐ役目を担いつつ、9ゴールと得点力も発揮した。
今季は欧州チャンピオンズリーグで前田は4ゴール1アシスト、旗手は1ゴール2アシストを記録。強豪にも力を示したシーズンで、旗手は「グループとしても、個人としても戦えている」と手応えを示す。5月24日のスコットランド・カップ決勝で勝てば、2季ぶりの国内3冠も達成する。
(サッカー)三笘2戦連発 海外サッカー――頼れる町野、先制&決勝弾[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 452文字 PDF有 書誌情報]
残留争いの正念場に立つキールに、町野が希望の光を照らした。25歳の日本代表FWは先制点、決勝点と値千金の2ゴールで勝利に導き「この瞬間のためにやっている。最高」と余韻に浸った。ドイツ1部デビューシーズンでの10得点は、ドルトムント時代の香川真司がマークした8点を抜いて日本人最多だ。
15分の左CKでは相手との駆け引きを制して近いサイドへ走り込み、鋭く頭を振ってゴール右に流し込んだ。「前日に同じようなトレーニングで決めていた」という狙い通りの一発で、チームに勢いをもたらした。
点の取り合いとなり、クライマックスは3―3の後半追加タイムだった。ゴール前の混戦でこぼれ球に反応。半身の体勢から左足シュートをゴール右に決めた。数分前のプレーで脚をつっていたが、気力を振り絞り「最後は集中した。大仕事ができた」と自賛した。
2部で戦った昨季からドイツで着実に力を磨いてきた。降格圏脱出を狙う残り3試合へ「まだまだ取れる」と自信を漂わせた。
(キール=共同)
【図・写真】決勝ゴールを決め、喜ぶキールの町野=共同
(サッカー)横浜M大敗、4強逃す ACLE――ミスから崩れ4失点[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 424文字 PDF有 書誌情報]
横浜Mはロナルドらスター選手による相手の攻撃をうまくしのいでいたが、27分、クロスをDFデンがクリアミスしたところから先制を許した。Jリーグでの悪い流れを象徴する1点で、チームは緊張の糸が切れたように失点を重ねた。準優勝だった前回大会の雪辱はならず、主将の喜田は「自分たちは全てにおいて足りなかった」と現実を受け止めた。
2点目は攻守の切り替えが鈍く、3点目は中途半端な形でボールを失ってから逆襲を浴びた。最初の失点から10分余りで一気にリードを広げられた。GK朴一圭は「俺が(シュートを)止めなきゃいけないけど、全体として気落ちしている感じがもったいなかった」と、先制された後の試合運びを悔やんだ。反撃は途中出場の渡辺皓の1点のみで、実力差を見せつけられた。
J1では7試合勝ちなしで最下位に沈む。ACLEで仕切り直しを期したが、状況は好転しなかった。喜田は「本当に一から出直さないと。僕にできることは全てやる」と危機感をあらわにした。
(共同)
(女子ゴルフ)西郷、首位タイ浮上 ショットで強風打開――「セミリタイア」トンプソン6位[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 231文字 PDF有 書誌情報]
2014年大会覇者のレキシー・トンプソン(米国)が70と伸ばし、6位につけた。連続ボギーとつまずいたが「バーディーホールが必ず来るから我慢」と言い聞かせたという。4、5番でスコアを伸ばし、後半も3バーディー。スター選手として活躍してきたが昨年5月、ツアーのフル参戦からの引退を表明した。それでも完全撤退ではなく「出たいと思う試合には出場する」とし、今年も4戦目となる。
〝セミリタイア〟を楽しみ「以前のような重圧はもうない」とリラックスした表情だった。(共同)
(サッカー)三笘2戦連発 海外サッカー[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 226文字 PDF有 書誌情報]
【キール(ドイツ)=共同】サッカーの海外各リーグなどは26日、各地で行われ、ドイツ1部でキールの町野修斗はボルシアMG戦にフル出場して2得点した。今季通算10ゴールで、同リーグ挑戦1季目では日本選手最多。15分に先制し、3―3の後半追加タイムには決勝点を挙げて4―3の勝利に導いた。
イングランド・プレミアリーグでブライトンの三笘薫は3―2で競り勝ったウェストハム戦で2試合連続ゴールをマーク。後半途中から出場し、1―2の89分に今季9点目を決めた。
(サッカー)横浜M大敗、4強逃す ACLE[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 206文字 PDF有 書誌情報]
【ジッダ(サウジアラビア)=共同】サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)は26日、集中開催地のサウジアラビアのジッダで準々決勝が行われ、横浜Mはアルナスル(サウジアラビア)に1―4で敗れた。前半にロナルドのゴールなどで3点を先取されると、後半立ち上がりにも1点を失い、反撃は渡辺皓の得点での1点にとどまった。
アルアハリ(サウジアラビア)はブリラム(タイ)に3―0で快勝して4強入りした。
(男子ゴルフ)小西、苦節13年の初V 17番起死回生バーディー――久常・金谷組、2位浮上 米男子ゴルフ[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
2人一組で争う米男子ゴルフのチューリッヒ・クラシックは26日、ルイジアナ州エーボンデールのTPCルイジアナ(パー72)で第3ラウンドが行われ、ホールごとに良い方のスコアを採用するフォアボールで久常涼、金谷拓実組が61をマークして通算24アンダーの192で首位と3打差2位に浮上した。
アンドルー・ノバク、ベン・グリフィン組(米国)が61で回り、通算27アンダーでトップに立った。
(共同)
(女子ゴルフ)西郷、首位タイ浮上 ショットで強風打開――耐えた渋野31位[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 24ページ 0文字 書誌情報]
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DeNA・バウアー「中4日」奮投 窮地で連続三振、日本復帰初勝利(プロ野球)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 682文字 PDF有 書誌情報]
日本のプロ野球では異例の中4日での登板のうえに、七回までに113球を要していた。さすがに交代、と思われた八回のマウンドに登ったDeNA・バウアーが、最大のピンチに見舞われた。
広島の代打中村奨に三塁打を喫し1死三塁。「打球をインフィールドに飛ばされたら、まず点が入る」と振り返った1点リードの場面で、狙いにいったのは三振だった。バットに当てさせないため、独特の握りで、鋭く曲がり落ちるナックルカーブを選んだ。これを多投し田村、羽月の1、2番をともに空振り三振に仕留めた。
雄たけびをあげても、しぐさは控えめだったバウアーより、大きなガッツポーズをみせたのは捕手の松尾だった。「何度か首を振ったかもしれないけれど」といいながら、バウアーは大阪桐蔭高を出て3年目の捕手に、基本的に配球を任せていた。この脱出劇はメジャーでサイ・ヤング賞に輝いた投手にとっては造作もないことだったかもしれないが、若い松尾には貴重な経験となった。
「欲をいえば九回も投げたかった」と話すほど、スタミナはまだあり余っていた。一昨年のDeNA在籍時にも、中4日の奮闘が話題になった。先発が中3日、4日で、球数に糸目もつけず投げていた昭和の野球を思い出させる存在だ。
次の登板は? 「土曜日(中5日)、金曜日(中4日)でも、行けといわれたら自分の役割を果たしたい」
野球評論家の権藤博氏がかねて指摘しているように、プロ野球のお約束になった中6日では先発投手のヒーローは現れにくい。密度の高い稼働で、投手族をあおってほしい。
(篠山正幸)
【図・写真】8回1失点で今季初勝利を挙げたDeNAのバウアー
代打・中村剛、サヨナラ打(プロ野球)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 341文字 PDF有 書誌情報]
終盤の勝負どころで西武はとっておきのカードを切った。九回2死一、二塁で送り込んだのは中村剛。直前の代打平沼が申告敬遠で歩かされた後、2ボール1ストライクの打撃カウントから前進守備の左中間を破る二塁打。持ち前の柔らかな打撃でサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
24年目の今季は半数が代打出場だ。その心構えについて「あまり入り込みすぎると良くない。スタメンでいくくらいの感覚で」と説く。
本塁打王6回の41歳がベンチに控えている頼もしさに、「いい形で打席に入ってくれている」と西口監督。何度も味わってきたサヨナラ打でも自然体を貫くベテランは「投手陣に助けてもらって援護できないことが多い。これからは打撃陣でサポートしたい」と力強かった。
【図・写真】九回に代打・中村剛が左中間にサヨナラ打を放つ
(ラグビー)東京SG7勝目――横浜、PO進出遠のく[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 323文字 PDF有 書誌情報]
リーグ7位からプレーオフ進出を目指す横浜は3点ビハインドの終盤、何度も敵陣深くまで迫った。だが、あと一歩のところでこぼれたボールは静岡のSH北村の手に。そのまま長駆を許し、息の根を止めるトライを奪われた。勝ち点のボーナス点も手放す10点差での手痛い敗北となった。
21―0で先行した序盤の勢いがのよう。細かく速いパスで主導権を握り、快勝も予感させたが、要所のスクラムなどで反則を取られた。沢木監督は「(今季は)後半立ち上がりに自分たちから崩れ、相手に流れを渡してしまう」と嘆いた。
レギュラーシーズンは残り2試合。プレーオフ進出圏内の6位東京SGとの勝ち点差は6ポイントと苦しい状況だが、指揮官は「もう一回信念を持って戦いたい」と前を向いた。
阪神戦の連敗、巨人「5」で止める 岸田、九回に殊勲打(プロ野球)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 206文字 PDF有 書誌情報]
巨人が阪神戦の開幕からの連敗を5で止めた。1―1の九回1死三塁、代打・岸田が前進守備の三遊間を破る勝ち越し打を放ち、接戦に決着をつけた。岸田を起用した理由を聞かれた阿部監督は「試合に出たくてうずうずしているから」。甲斐の加入で出番が減った控え捕手の反骨心に期待してのことだったという。殊勲の28歳は「(結果が出て)正直ほっとしている。(出番減は)悔しいけど、与えられたところでしっかりやっていきたい」と話した。
(大リーグ)朗希粘投、93球3失点[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 726文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米大リーグは26日、各地で行われ、ドジャースの大谷はロサンゼルスでのパイレーツ戦に「1番・指名打者」で出場し、七回に同点二塁打を放つなど5打数3安打1打点だった。一回に右中間二塁打、五回に右翼線三塁打を放ち、今月14日以来の1試合3安打。佐々木は先発して5回2/3を投げ、5安打3失点でメジャー初勝利はならなかった。チームは8―4で勝ち、連敗を3で止めた。
カブスの鈴木はフィリーズ戦に「2番・指名打者」で出場し、2本の適時打を放って4打数2安打3打点だった。チームは4―10で敗れた。エンゼルスの菊池はツインズ戦に先発し、2回0/3を9安打4失点で4敗目(0勝)を喫した。試合は1―5だった。
パドレスの松井はレイズ戦の五回途中から2番手で登板し、1回1/3を無安打無失点だった。
◇
ドジャースの佐々木は登板6試合目でメジャー自己最多93球を投げたが、またもメジャー初勝利はお預けとなった。最速約157キロの直球を軸に、六回途中まで3失点とゲームメーク。「ブルペンから真っすぐが良かった。いい軌道で投げられている」と満足げだ。
一回、プレーボール直後の初球で先頭打者本塁打を浴びた。だがその後は走者を出しても崩れず、粘り強く抑えた。五回は厳しいコースを攻めながら2点を失ったものの「配球を間違えたところがあるかな。もう一回振り返って、次に生かしたい」と反省する様子は前向きだった。
ただ最速165キロを誇り「令和の怪物」と称される右腕にしては、まだ物足りなさが残る。「あとは球速や球威が上がってきたら、もっと楽になると思う」とさらなる飛躍を期した。
(ロサンゼルス=共同)
【図・写真】ドジャース・佐々木は六回途中まで3失点=共同
(大リーグ)大谷3長打、打線けん引 劣勢打開の立役者[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 484文字 PDF有 書誌情報]
ドジャースの大谷が打線をけん引し、チームの連敗ストップに貢献した。産休制度の「父親リスト」から復帰後は調子を落としていたが、この日は鋭い当たりを連発し、今季初の1試合3長打をマーク。パパになって初打点も挙げ「最近あまり打てていなかったので、いいきっかけの1試合になればいい」と前向きに捉えた。
劣勢打開の立役者だった。1点を追う一回は内角の変化球を右中間に運んで二塁打とし、後続の適時二塁打で同点のホームを踏んだ。2―3の五回には右翼線へ三塁打を放って再び追い付くきっかけをつくり、1点を勝ち越された直後の七回1死一塁では、左中間を割る同点二塁打で試合を振り出しに戻した。
本塁打こそ5試合出ていないが、3打席で打球速度100マイル(約161キロ)超を記録。ロバーツ監督も「今夜は本当に良かった」と目を細めた。
今季初の4連敗を免れたチームともども上昇気流に乗れるか。大谷は「全員が打っていい試合になった。切り替えて、これよりいいパフォーマンスができるように毎日頑張りたい」と力を込めた。
(ロサンゼルス=共同)
【図・写真】七回、同点二塁打を放つドジャース・大谷=共同
ヤクルト・茂木が奮起 逆転3ラン(プロ野球)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 383文字 PDF有 書誌情報]
持ち前のパンチ力を敵地で知らしめた。0―2の四回無死二、三塁。ヤクルトの茂木は高めの速球を思い切り良く捉え、右翼スタンドへ逆転の2号3ランを運んだ。バンテリンドームではプロ10年目で初の一発となり「広いので入るとは思わなかった。本当に本塁打になってくれて良かった」と実感を込めた。
主砲の村上が上半身を再び痛めて今月中旬に離脱し、昨季最多安打に輝いた長岡もけがでこの日、出場選手登録を外れた。主力野手のアクシデントが続く中で中軸の働きを果たし、カード勝ち越しに大きく貢献。「レギュラーの人に離脱者が出た中で、勝てたのはすごく大きなこと」と手応えがにじんだ。
近年は打撃不振に苦しんだが、楽天から国内フリーエージェント(FA)で加入した今季はバットが振れている。「まだ31歳なので若々しく(プロ)1年目の気持ちで頑張っている」。苦境のチームを強打で浮上に導いていく。
(ラグビー)東京SG7勝目――東京SGは前進、トヨタに力示す[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 319文字 PDF有 書誌情報]
東京SGがPOへ前進した。小野ヘッドコーチが「すごく大事な試合」と位置づけた一戦で、下位に低迷するトヨタに力の差を見せつけた。
前半7分にペナルティートライを与え、同25分ごろにはWTBコルビが思わぬ落球でトライを逃した。SH流は「フラストレーションがたまる展開だった」と言うが、19―14で折り返した後半にFWが中心となって次々とトライを重ねた。
試合終了間際に「ボーナス点を意識していた」という途中出場のSH福田が飛び込んで3トライ差とし、最大勝ち点5を手にした。レギュラーシーズン残り2試合で7位横浜に6差をつけ、次戦は8差の8位BR東京が相手。フランカーのケインは「一歩進んだが、次が大事」と、PO切符が懸かる試合へ目を向けた。
女子単独マラソン世界新 ロンドン大会 アセファ、2時間15分50秒[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 310文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=共同】ロンドン・マラソンは27日、ロンドン市街のコースで行われ、女子はパリ五輪銀メダルのティギスト・アセファ(エチオピア)が女子単独レースの世界新記録となる2時間15分50秒で初優勝した。ジョイシリン・ジェプコスゲイ(ケニア)が2位、パリ五輪覇者のシファン・ハッサン(オランダ)は3位だった。
男子はセバスチャン・サウェ(ケニア)が2時間2分27秒で初制覇。2位はジェーコブ・キプリモ(ウガンダ)で、実業団のNDソフト所属で前回大会優勝のアレクサンダー・ムティソ(ケニア)は3位だった。
車いすの部で日本勢は男子の鈴木朋樹(トヨタ自動車)が2位に入った。女子は土田和歌子(ウィルレイズ)の9位が最高だった。
(大リーグ)菊池は4敗目[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 244文字 PDF有 書誌情報]
菊池は今季最短2回0/3での降板に「いいところがなかった」とうつむいた。立ち上がりからチェンジアップを立て続けに軽打されてピンチが連続。「真っすぐが走っていなかったから変化球に絞ってきたのは間違いなくあるが、(相手打者が)全くチェンジアップに体勢は崩れていなかった。癖も含めて見直さないと」と自己分析した。投球動作に入るタイミングが早過ぎるという理由で3度も投球違反をとられたのも浮かない表情の理由。「とられたことがなかった。気を付けたい」と言いつつ首をひねった。
(ミネアポリス=共同)
SVリーグ、大阪Mなど決勝に進出[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 211文字 PDF有 書誌情報]
バレーボールの大同生命SVリーグは27日、川崎市とどろきアリーナなどで2戦先勝方式のプレーオフ準決勝第3戦が行われ、女子はレギュラーシーズン(RS)1位の大阪Mが4位デンソーを、2位NEC川崎が3位SAGA久光をいずれも3―0で下して2勝1敗で決勝に進んだ。
男子はRS2位のサントリーが3位名古屋を3―1で退け、2勝1敗で勝ち上がった。決勝では4位愛知と対戦する。
決勝は女子が5月2日から、男子は同3日から行われる。
(ラグビー)東京SG7勝目[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 25ページ 193文字 PDF有 書誌情報]
ラグビーのNTTリーグワン1部第16節最終日は27日、大阪・花園ラグビー場などで2試合が行われ、上位6チームによるプレーオフ(PO)進出を狙う6位の東京SGはトヨタを45―28で下し、7勝目(2分け7敗)を挙げて勝ち点36とした。トヨタは3連敗で3勝1分け12敗。
7位の横浜は静岡に28―38で逆転負けし6勝10敗で勝ち点30のまま。既にPO進出を決めている静岡は12勝4敗の4位。
サイバー捜査に民間の力 セコム・NECから専門人材 官民の交流継続がカギ[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1562文字 PDF有 書誌情報]
サイバー犯罪に対する捜査能力を高めるため、警察当局が民間技術者の確保を急いでいる。警察庁はセコム、警視庁はNECからスペシャリストを採用した。高まるサイバー攻撃の脅威が、官公庁と民間を行き来するリボルビングドア(回転扉)を回し始めた形だ。巧妙化する犯罪に対抗するためにも交流を継続させられるかが問われる。
警視庁は1日、NECでセキュリティー技術の研究開発に従事していた高橋佑典警部(34)を2年間の任期で採用した。同庁が任期付き職員を民間から招くのは初めて。高橋警部は「自らの経験を生かし、サイバー攻撃を止める犯罪捜査に貢献したい」と抱負を語る。
警視庁では秘匿性の高い通信アプリの解析といった業務にあたることが想定される。同庁担当者は「サイバー攻撃の手口は日々高度化している。民間で活躍する人材によるノウハウが警察に共有される意義は大きい」と期待を寄せる。
警察庁も2023年10月、セコムで先端技術を研究するIS研究所(東京都三鷹市)研究員の浜石佳孝氏を同庁では初となる「リボルビングドア人材」として、上から4番目の階級にあたる「警視正」として採用。25年4月にはさらに、NTTデータグループとNECから、フィッシング攻撃の分析業務などに携わる2人の専門人材が警部として組織に加わった。
警察当局が民間登用を急ぐのは、サイバー空間の脅威がかつてないほど高まっているためだ。サイバー攻撃とみられる不審なアクセス数は増加の一途をたどり、24年は1日に1IPアドレス当たり平均9520件と過去最高を更新。ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)やインターネットバンキングの不正送金被害なども高水準で推移する。
世界最大のサイバーセキュリティー資格団体「ISC2」の試算によると、日本はサイバー人材が11万人足りないとされる。専門家の確保は官民に共通する悩みで、厚待遇で迎える企業も少なくない。新卒採用では警察当局が苦戦する場面も目立っている。
効果的な一手となっているのが、民間人材が企業を辞めずに各省庁に出向できる仕組みだ。「官民人事交流制度」と呼ばれ00年に導入された。人事院によると、同制度で各省庁で働く職員は24年末時点で計791人(前年比37人増)と過去最多だった。
地方警察も同様の仕組みを取り入れ始めた。出向職員は国家公務員法などに基づく守秘義務が課される。
出向前より給与水準が下がるケースもあるが、官公庁ならではの経験を積める。企業にとっても社員がサイバー防衛での経験を積めるほか有事に備えた政府機関との人脈を構築できるメリットがある。
警察幹部は「捜査の最前線で活躍できる強みが警察にはある。官民の交流は民間人材がキャリアアップを図る上でも好機になる」と指摘する。人事院の担当者も「重要な課題には、専門知識を持つ民間人材に即戦力としてのニーズが高まっている」と強調する。
参考になるのが英国の事例だ。英政府通信本部(GCHQ)傘下の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が毎年100人以上の人材を民間企業から受け入れサイバー攻撃の分析業務を任せるなど、官民の人材交流が進んでいる。
元警察庁サイバー捜査課長の棚瀬誠氏は「専門的な解析作業が得意な人材もいれば、指揮官として捜査の全体像を描く素養のある人材もいる。一度迎えて帰すのではなく、2回目、3回目と迎えるために、個性に応じて活躍できる環境を警察側が整備すべきだ」と指摘する。
その上で「企業と人材、警察当局の3者がウィンウィンとなることが重要だ。リボルビングドア人材を公共財として社会が共有できるよう、官民で仕組みづくりを協議していく必要がある」と話している。
(斉陸、小林伶)
【図・写真】事件の証拠品の解析にあたる高橋警部(4月)=警視庁提供
天皇陛下、彬子さまの講演を聴講 学習院大訪問(短信)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 169文字 PDF有 書誌情報]
天皇陛下は27日、学習院大目白キャンパス(東京・豊島)を私的に訪れ、霞会館記念学習院ミュージアムのリニューアルオープンを記念した講座を聴講された。三笠宮家の彬子さまによる「手袋と帽子が伝えてくれるもの」と題した基調講演に耳を傾けられた。
講演はおよそ30分間で、彬子さまは女性皇族が公務などの場面で手袋や帽子を着用する理由を解説された。
秋篠宮さま、教皇の追悼ミサ参列(短信)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
秋篠宮さまは27日、東京都文京区の東京カテドラル聖マリア大聖堂で営まれたローマ教皇フランシスコの追悼ミサに、天皇陛下の名代として参列された。天皇、皇后両陛下はミサに花輪を贈られた。
春の褒章607人・22団体 紫綬褒章、落語家・柳亭市馬さんら[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 749文字 PDF有 書誌情報]
政府は2025年春の褒章受章者を28日付で発表した。受章者は607人(うち女性145人)と22団体で、29日に発令される。学問や芸術で功績を残した人に贈る紫綬褒章に、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」「ゴジラ―1.0(マイナスワン)」を手がけた撮影監督の柴崎幸三さん(67)、落語家の柳亭市馬(本名・右藤泰幸)さん(63)らが選ばれた。
(受章者一覧は紙面ビューアーでご覧いただけます)
紫綬褒章は20人(うち女性1人)に決まった。ダンサーで振付家の近藤良平さん(56)、長唄唄方の杵屋勝四郎(本名・村治崇光)さん(66)、石川県輪島市の漆芸作家田中義光さん(54)が受章。地震学が専門で東大名誉教授の佐竹健治さん(66)や、東洋史を研究する早稲田大教授の岡本隆司さん(59)、半導体分野で省電力化に貢献した京大教授の木本恒暢さん(61)にも贈られる。
その道一筋に励んだ人を対象とする黄綬褒章には、フレンチシェフの三国清三さん(70)ら194人(うち女性16人)が選ばれた。
危険を顧みず人命救助に当たった人をたたえる紅綬褒章は7人(うち女性1人)。東京都文京区の紫村俊之さん(24)と台東区の簑谷昇陽さん(26)は川でおぼれかけた女性を助けた。紫村さんは今回の最年少受章者。
社会奉仕活動をたたえる緑綬褒章は11人(うち女性7人)と22団体。食生活改善推進員として長年食育を推進してきた岐阜県恵那市の山本さちよさん(71)や、障害者福祉に尽力してきた愛知県弥富市の「チャレンジハウス弥富ボランティア」などに決まった。
公共の利益に貢献した人に贈る藍綬褒章は375人(うち女性120人)。京都市の武曽恵理さん(74)は腎臓内科医として活動しながら、女性医師のキャリア形成や女性活躍推進に寄与した。
闇バイト、疑似体験で防げ LINEで実際の事件再現 大阪府警、高校生らと開発[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 570文字 PDF有 書誌情報]
「ホワイト案件」「簡単にもうかります」――。SNSを通じた投資詐欺や、闇バイトに端を発した事件が相次ぐ中、大阪府警は、LINEで犯罪グループの手口を疑似体験できるツールを高校生らと開発した。言葉巧みなやり口を知り、被害防止につなげる狙いだ。
ツールは闇バイトのほか、SNS型投資詐欺、恋愛感情に乗じたロマンス詐欺の3バージョン。ロマンス詐欺では男女別々のパターンもある。LINEで友達登録すれば、リクルーターや詐欺師に扮(ふん)したアカウントと、実際の事件を基にしたやりとりが体験できる。
闇バイトのアカウントでは、「求人募集」に応募する形でやりとりがスタート。身分証の写真や携帯番号が求められ、仕事を断ろうとすると「親に迷惑かけることになるぞ」と脅される。途中で連絡を絶っても個人情報がネットにさらされるなど、一度要求に応じたら最後、いずれも悲惨な末路をたどってしまう。
開発に携わったのはサイバーセキュリティーが専門の香川大の平野敏範客員研究員と、平野氏が特別講師を務める大阪府立都島工業高(大阪市)のコンピュータ研究部。
24日には同校で生徒約200人が参加する体験会が開かれた。2年の平野虎太郎さんは以前、SNSで闇バイトと疑われる求人を見たことがある。やりとりを体験し「簡単に引っかかりそうになった。今後気を付けたい」と話した。
陥没事故の埼玉・八潮「地盤、極めて軟弱」 産総研、3Dで可視化[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 497文字 PDF有 書誌情報]
産業技術総合研究所(産総研)は27日までに、埼玉県南東部の地質構造を3次元で可視化する地質地盤図を公開した。1月に県道が陥没しトラックが転落した事故が起きた同県八潮市付近は泥層が目立つ中川低地にあり、深さ約30メートルまで極めて軟弱な地盤だと明らかになった。
産総研は、県環境科学国際センターと共同で1万地点以上のボーリング調査データを解析した。
その結果、荒川低地は泥層を主体としながら砂層をやや多く含む傾向があり、地盤強度が緩い地点が目立つことが判明。台地は地盤が安定しているとされるが、荒川低地と中川低地に挟まれた大宮台地に軟弱層を含むことが分かった。
軟弱層は地震の揺れを増幅させたり、地盤沈下の原因になったりするため、研究グループの中沢努さんは、大宮台地には固い層の下に軟らかい層があり「大きな建物を造る際は注視する必要がある」と話した。
地質地盤図は、地質の固さや構成する岩石の種類を色分けし、軟弱な地層の分布を分かりやすく紹介しており、ハザードマップ作成や都市計画に活用できる。
ホームページで公開しており、無料で利用可能だという。
既に千葉県北部、東京23区が公開されている。
春の褒章607人・22団体――黄綬褒章に三国清三さん 素材こだわり、食育活動も[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 381文字 PDF有 書誌情報]
素材を生かしたフランス料理で高い評価を集め、「世界のミクニ」と称されるシェフ。黄綬褒章が決まり「70歳までずっと続けてきたことが評価されて、非常に感無量です」と喜びを語る。
北海道増毛町に生まれ、漁師の父と畑で野菜を作る母の下で育った。15歳で料理人を志し、海外での修業をへて30歳で東京・四谷にレストラン「オテル・ドゥ・ミクニ」を開いた。
シェフの仕事の傍ら、長年にわたって小学生への食育活動やボランティア活動などにも力を注いできた。「料理人の地位を向上させるためには、いかに社会貢献できるかに尽きると思う。これからも一生懸命に取り組みたい」と精力的だ。
37年続けた四谷の店を改築し、8席だけの「三國」を9月にオープン予定。「市場へ朝行き、一番良い材料を仕入れ、お客さまと話しながら料理を作りたい。1から10まで自分の手で」。現場にこだわる職人の腕が鳴る。
福島復興の中核、研究拠点起工式 新産業の創出めざす[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 325文字 PDF有 書誌情報]
国が東京電力福島第1原発事故からの復興の中核拠点と位置付ける「福島国際研究教育機構」の起工式が26日、福島県浪江町で開かれた。敷地造成工事に続いて研究棟などの施設を順次建設し、2031年3月末までの整備完了を目指す。
県沿岸部での新産業創出を目指す「福島イノベーション・コースト構想」の一環として、23年4月に機構が発足。現在、機構本部は浪江町内の別の施設を間借りし、既存の研究機関や大学に委託する形で研究開発を始めている。
施設予定地はJR浪江駅の西側で、敷地面積は東京ドーム約3.5個分に当たる約16万9千平方メートル。研究施設のほか、国内外から訪れる研究者の宿泊施設なども備え、ロボットやエネルギーなど5分野の研究開発や人材育成を担う予定だ。
大宮エリーさん(画家、作家、映画監督)(死去)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 26ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
大宮 エリーさん(おおみや・えりー=画家、作家、映画監督)4月23日、病気のため死去、49歳。告別式は近親者で行う。
2006年に映画「海でのはなし。」で映画監督デビュー。23年には、ベネチア国際映画祭で、仮想現実(VR)作品を集めたエクステンデッドリアリティー(XR)部門で「周波数」がノミネートされた。絵画の制作のほか、テレビドラマや舞台の脚本なども手がけた。
万博会場冷やす「霧」 サーモグラフィー測定 暑さ対策、移動エアコンも[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 27ページ 846文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕し、春の大型連休を迎えた。大阪市は既に気温が25度以上の夏日を記録し、暑さ対策が必要だ。会場ではパビリオン入館のために並ぶなど、屋外で長時間過ごすことが多い。4月中旬、会場内で涼しさを感じられるスポットをサーモグラフィーを使って調べた。
会場中央近くの「いのちパーク」では、全身を瞬時にミストが包み込む演出がある。およそ15分ごとに人工の霧が地面の装置から噴き出し、「雲海」に包まれるような体験ができる。
サーモグラフィーは温度が高い部分から赤、黄、緑、青などの順に表示。霧の行き渡った範囲が黄から緑になり、体温や地面の温度より低くなった。地面のあたりは23度程度だったのに対し、霧のかかる部分は11度前後だった。
会場西側にある「団体休憩所西」は大阪湾に面する。団体利用の予約が入っていない場合は一般客も利用できる。
サーモグラフィーで測定すると、海側に近いテーブルの表面は11~16度と、温度の低さが顕著だった。一方、海から遠いベンチ近くは18~23度だった。
会場中央部にある約2.3ヘクタールの「静けさの森」は樹木約1500本が植えられ、木陰の面積が大きくなるように設計されている。
木造建築物「大屋根リング」(全周約2キロ)下の日陰と周辺の日なたの路面では10度程度の温度差を確認できた。
大阪万博は10月13日までの184日間、開催される。2024年の同期間、大阪市内では最高気温が30度を超える真夏日を95日記録した。今年も同様の暑さが続けば、会場での体調管理が欠かせない。
日本国際博覧会協会は、暑さ対策に取り組む。夏にかけ休憩所や東西ゲート外に移動式のエアコンを配備する。イベントが連日催される屋外ステージ周辺にはミスト扇風機も設ける。会場には持参したボトルに給水できるウオーターサーバーも各所に設置されている。
【図・写真】「いのちパーク」で、サーモグラフィーで測定すると緑色部分は11度前後を示した
【図・写真】ミストが地面から噴き出る「いのちパーク」
万博会場冷やす「霧」 サーモグラフィー測定――空飛ぶクルマの飛行を当面中止 丸紅が運航、部品落下で[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 27ページ 419文字 PDF有 書誌情報]
日本国際博覧会協会は27日、大阪・関西万博会場での「空飛ぶクルマ」のデモ飛行について、安全性が確認されるまで運航を中止すると発表した。26日、丸紅によるデモ飛行中に米リフト・エアクラフト社製の機体の部品が落下。協会が丸紅に原因究明を行うよう要請していた。
協会によると、当該機は同日午後2時53分ごろに飛行を開始。午後3時ごろに部品が会場内のポート(離着陸場)に落下した。調査の結果、プロペラとモーターがセットになった18の部品のうちの1つと、機体フレームの一部が破損していた。人的被害はないという。
丸紅は7月中旬までデモ飛行を担う。以後、同月中旬~8月下旬がスカイドライブ。9月下旬~10月はANAホールディングス(HD)による米ジョビー・アビエーションの機体がフライトする予定。10月には再び丸紅が使用機材を英バーティカル・エアロスペース社製に変更して担当する。
【図・写真】万博会場で丸紅がデモ飛行をした「空飛ぶクルマ」(14日)
「週休3日」選べる世の中に 希望者と企業つなぐ決意(Answers)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1783文字 PDF有 書誌情報]
週休3日をうたう企業や自治体が少しずつ出てきているが、社会に定着しているとはいえない。そこで、決意も込めて社名にした。
「株式会社週休3日」
永井宏明さん(48)が代表を務める、人材紹介などを手掛ける会社だ。求職者を週休3日で勤務可能な会社にマッチングしたり、働き方の見直しを進める経営者を支援したりしている。
仕事と家庭、趣味のバランスに苦労した経験に加え、「なぜ多くの会社が週休2日なのか」という疑問が、起業を後押しした。
大学卒業は2000年。就職氷河期で採用活動は冷え込んでいた。景気に左右される会社に頼るより「自分一人でやっていけるようにならないと」と心に決めた。独り立ちも視野に情報発信のスキルを高めるため、浜松市内の会社に4年間勤めた後、ウェブコンサルティング会社に転職した。
その一方で、仕事だけの人生にならないよう、社会人1年目に仲間と演劇チームを立ち上げた。
仕事と演劇に没頭する日々は、ほどなく子どもが生まれたことで大きく変わった。
妻は教員で平日は忙しく、自身も午前7時から午後10時過ぎまで働いていた。保育園の迎えで会社を何回か早退すると、社長から呼び出され「奥さんに仕事をやめてもらったらどうか」と言われた。
「このままでは子育てできない」
思い切って仕事を辞め、子育ての時間を確保するため、次の仕事には週1回勤務となる専門学校の非常勤講師を選んだ。
退職直前、顧客だった企業から「うちで働かないか」と声をかけられた。講師の仕事もあるので正社員として働けないと伝えると、「出勤は講師の仕事がある日以外の週4日でいい」「週休3日の正社員で、給料も5分の4支払う」と説得された。
無理な働き方ではないと思い直し、06年に入社した。
当時は「働き方改革」という言葉もなく、「なぜ休みが多いのか」と同僚の反発もあった。淡々とやるべき仕事を達成することで信頼を積み重ね、2年後に会社の事業の一つである介護施設長になった。子育てが一段落したこともあり、非常勤講師を辞め、週休2日に戻った。
施設長に就くと職員の人手不足に直面した。そのとき思い出したのが、かつての自身の働き方だ。「週5日働けず、あきらめている人に届くかも」。募集の際に「週3日休めます」と掲げると、数えるほどだった応募が次第に増えた。人手が確保され職員も明るくなったような気がした。
ひとり親世帯や、介護などに向き合う人からの応募が多かった。家庭環境が落ち着くと「週休2日にしてください」と申し出る人もいた。元から在籍していた社員も、余裕がないときは週休3日に切り替え、離職率は大きく下がった。
意外な反応もあった。施設の見学者から「3日休めるなら、職員も心に余裕があるだろう。安心して施設に入れる」との声が寄せられた。
「ニーズがある」
持続可能な働き方の仕組みと確信した。16年に退職し、「株式会社週休3日」を起業した。
滑り出しは大赤字だった。医療機関や福祉施設などと提携したが「週休2日で働いてきた今の従業員が『不公平』と強く反対している」と断られ、紹介先がゼロに。資金が底をつきかけた。
そんなとき、調剤薬局から相談があった。薬剤師が採用できず、従業員が疲弊しているという。週休3日という働き方を打ち出していけば応募が増えると提案したところ、導入を決めてくれた。
地方の調剤薬局を中心に依頼が増え、今は薬剤師業界の人材紹介を柱に事業展開している。
仕事と並行して続けてきた演劇チームは活動が25年を超え、地元で知られる存在になった。限られた人数で回す演劇は、マネジメントに生きている。仕事も環境も異なるメンバーが参加するため、練習や出演方法を工夫したことは、持続可能な働き方と通じるものがあった。
収入の増減にも関わるため、一律で休みを増やせばよいとは思っていない。「年齢や価値観にあわせ、その時々に最適な働き方を柔軟に選べるようになる」ことが理想だ。
正社員とパート・アルバイトの間の選択肢を増やすことを目指す。雇う側と雇われる側の視点と、演劇で培ったマネジメント力を糧に、よりよい働き方を探し続ける。
文 中川紗帆
写真 今村幸祐
【図・写真】「株式会社週休3日」の代表を務める永井さん(浜松市)
【図・写真】永井さんは、仕事の傍ら演劇チームを立ち上げて活動を続けている
栃木の東北道で逆走、3人死亡 多重事故、10人重軽傷[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 27ページ 0文字 書誌情報]
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原爆ドーム、祈りの肖像写真 国籍を超えた多様な人々の平和への願い、25年で2000組超撮影 宮角孝雄[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1408文字 書誌情報]
口元をわずかにほころばせる人や真剣な表情で空を仰ぐ人――。「目を閉じて平和について考えてみてください」と頼んでカメラのシャッターを何度か切ると、緊張がほどけてくるのがわかる。ここは広島市にある原爆ドームの前。訪れた人たちに声をかけ、肖像写真を撮らせてもらうようになって25年がたつ。これまでに撮影したのは2000組以上になる。
こうした取り組みを始めたのは、私が被爆2世であることが大きく関係している。1945年8月6日、広島駅で被爆した父は屋根の下敷きになり、五寸くぎが頬を貫通した。幸い命は助かったが、10年以上たっても、体のあちこちからガラス片が皮膚を突き破って出てきた。痛みに堪える父の姿は今も記憶に残っている。
そうした経験から、東京で主に雑誌や広告の写真を手がける傍ら、広島の被爆建造物などを撮っていた。そんな時、通りかかったフランス人アーティストから声をかけられた。原爆ドームの前で目を閉じている姿を撮影してほしいという。完成した写真を見て「これだ!」とひらめいたのが活動のきっかけだ。
けれど初めは声をかけても不審がられ、素通りされるばかり。ところが、あるイタリア人の男女に出会ったことが転機となる。
2人は世界を自転車で巡るグループツアーの中で親しくなり、結婚を考える間柄となったという。戦争の負の遺産である原爆ドームの前でキスを交わす姿を捉えたことで、続けようという気持ちがわきあがった。
被写体は修学旅行生や国内外の観光客など、国籍も年齢も多種多様。撮影後には、妻の智子がアンケート用紙を手渡して、名前や住所、原爆ドームを訪れた理由や平和に関する考えを記入してもらう。撮影した写真は現像して送るが、宛先不明で戻ってくることも少なくない。少し寂しさを感じる瞬間だ。
さらに人づてに依頼して被爆者にも会うようになった。その1人である高齢女性は当初、写真に収まるのを嫌がった。聞けば、原爆投下前に家族写真を撮ったが、自分だけが助かり負い目を感じ続けてきたという。何度か話して、ようやく承諾してくれた。出来上がった写真では、車いすに座って娘とともに穏やかな笑みを浮かべている。
北欧のノルウェーからはるばる訪ねてきた親子3人連れも思い出深い。徴兵制のある母国で息子の1人が近く志願する予定で、それを止めたい母親が戦争の悲惨さを知ってもらおうと原爆ドームを訪れたという。今でも気になる存在だ。
写真展を各地で開いたり、2010年に写真集「GROUND ZERO 希望の神話」(文工舎)を出版したりしたことで、被写体になることを申し出てくれる人も増えてきた。著名人にも協力してもらっている。広島県出身の俳優、東ちづるさんや詩人のアーサー・ビナードさん、音楽評論家のピーター・バラカンさんなどだ。バラカンさんが「暴力を振るわないことが最低限だと思います」とおっしゃっていたのは忘れがたい。
第2弾の写真集「GROUND ZERO HIROSHIMA LOVE and PEACE」をまもなくまとめる予定だ。また、5月27日から6月2日まで大乗山経王寺(東京・新宿)で写真展も開く。
今でも撮影を断られることも多く、苦労は尽きない。けれど、私の命のある限り、続けたい。世界中の人たちに戦争の愚かさを知ってもらいたいと願っている。
(みやかく・たかお=写真家)
【図・写真】撮影第1号となったフランス人アーティスト
平井一夫(27) 自走するソニー 「全社分社化」身軽に強く 映画子会社再建へ自らロスに(私の履歴書)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1401文字 PDF有 書誌情報]
26年ぶりの公募増資に先立つ2015年2月、我々は新しい3カ年の中期経営計画を発表した。株主から預かったお金をどれだけ有効に使って稼いでいるかを示すROE(自己資本利益率)を最も重視する経営指標とし、高収益企業へと生まれ変わるということが最大のメッセージだ。
ただ、メディアやアナリストが注目したのは、そのためにソニーが抱える事業をどんどん分社していくという方針だった。すでに分社していたテレビに続きビデオ&サウンド事業も切り出す。ほかの事業も分社化に向けた準備を進めると明言した。いってみれば「全社分社化」である。
私の狙いは「間接部門など重いものは本社に置いて、ビジネスに専念してください」だった。一見すると就任当時に掲げていた「ワン・ソニー」と逆行するようだが、そうではない。各事業が身軽になってそれぞれが強い集団になることが先決と考えた。
ちなみに、私が社長のバトンを託した吉田憲一郎さんは「各事業の進化を促進し、ポートフォリオの多様性を強みとする」ため、これを発展させた。21年に吉田さんはグループ本社機能に特化したソニーグループを設立し、各事業が子会社として連なる形へと大きく経営体制を変更したのだ。
実は吉田さんはかつて、右腕の十時裕樹さん(現ソニーグループ社長)らとともに「ソニー連邦制」なる構想を作ったという。1997年ごろのことで、出井伸之社長による「2010年のソニーを考える」というプロジェクトの一環だった。吉田さんにとっても胸に秘め続けた構想だったわけだ。
12年に社長に就任してからすでに3年が過ぎた。懸案のテレビは黒字化し、リストラは一巡した。半導体のイメージセンサーは供給が追いつかない状況だ。いよいよ坂道を上り始めたソニー。ただ、弱点も存在していた。映画子会社のソニー・ピクチャーズエンタテインメントだ。
もともとは1989年に買収したコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメントなのだが、30年近くがたって初めて営業権の価値を見直すことにした。すると1121億円もの減損処理を迫られた。17年1月のことだ。当時はヒット作に恵まれず、収益源だったDVDの販売もネット配信に追いやられていた。
長年、ソニー・ピクチャーズのトップに君臨してきたマイケル・リントンさんは退任したが、後任が見当たらない。そこで私自身がロサンゼルスに渡って立て直しの陣頭指揮をとることになった。社長が子会社再建のために本社を空けるという異常な事態なのだろうが問題はない。東京には吉田さんがいるからだ。
ロスに渡った私には心強い相棒がいた。CEO室長の井藤安博さんだ。本連載で彼はEQ(心の知能指数)が高い男だと紹介したが、実務能力もピカイチだ。帰国子女ではないが実に流ちょうな英語も話す。渡米するとすぐに現地の幹部たちの懐に飛び込んだ。ハリウッドの世界は実に狭く、おしなべてプライドが高い。その壁を悠々と乗り越えていく「ヤス」にどれだけ助けられたことか。
結局、FOXテレビなどで活躍したアンソニー・ヴィンシクエラの獲得に成功し、トップを任せることになったが、井藤さんも兼務という形で映画に残ることになった。
優秀な人材に囲まれて自走し始めたソニーの経営。するとまたあの感覚が戻ってきた。「オートパイロット」だ。
(ソニー元社長)
【図・写真】井藤さん(右)は映画事業の立て直しでも活躍してくれた
動物の命、人の心(2)ルーラント・サーフェリー「神の救済に感謝するノア」 府中市美術館学芸員 音ゆみ子(十選)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 28ページ 556文字 書誌情報]
サーフェリーは神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世のお抱え画家である。アルチンボルドら才能ある画家たちが腕を競った宮廷で、サーフェリーが皇帝の心をつかんだのは、たくさんの動物を描いた絵の巧みなアイデアだった。
身近な動物からライオンや駱駝(らくだ)まで、様々な種類の動物が描かれている。どれも図鑑のように正確に特徴が捉えられているのは、珍しい動物にも実物のモデルがいたからだ。それはルドルフ2世が世界中から集めた動物だった。
古来、権力者が珍しい動物を飼うことは各地で行われてきたが、西洋では神の創造した地上の楽園を再現するという意味も込められ特に盛んだった。だからサーフェリーは、皇帝ご自慢の動物コレクションを描くことで、その威光を神になぞらえ、讃(たた)えたのである。
キリスト教では、神の創造した動物を支配するのは、人間の役目だと諭す。大洪水の後、神がノアに動物の支配を命じる場面は、その一例だ。動物に気を取られて見落としそうだが、本作でも水辺の向こうに、神に感謝するノアの姿がごく小さく描かれている。
人間を動物の支配者と見なす考え方は、前回見た、死んだ獲物の絵も生み出した。平和な楽園図と残酷な獲物の絵の裏には、実は同じ動物観があるのだ。
(1625年、油彩、カンバス、52.7×99センチ、ランス美術館蔵)
コロンブスの卵 中谷昇(交遊抄)[2025/04/28 日本経済新聞 朝刊 28ページ 513文字 PDF有 書誌情報]
慶応大学教授の土屋大洋さんとの出会いは約10年前。警察庁から国際刑事警察機構(ICPO)に出向し、サイバー部門の総責任者を務めていた私に「会いたい」と連絡をくれたのがきっかけだ。
サイバー安全保障が専門の土屋さんが異国のレストランで熱を帯びて訴えたのが海外とつながる海底通信ケーブルの保全・維持の重要性だった。当然のことながらケーブルが物理的に切断されたり、破壊されたりすればインターネットは利用できない。
最近、台湾周辺やバルト海でケーブル切断が相次ぎ、安全保障上の問題として認識され始めたが、当時の私は不正アクセス対策など仮想空間の秩序維持がサイバーセキュリティーだと思っていた。その当然の危険性にいち早く気づき、警鐘を鳴らしたのはまさに「コロンブスの卵」だった。私は仮想空間と現実世界の全体でサイバーセキュリティーを考えるようになった。
帰国後もワインを片手にサイバー対策を定期的に議論する仲になった。本質を捉えたクリアな見解や知恵を共有できる時間は過ぎるのが早い。「誰もが安全に通信サービスを利用できる社会を」。共通の目標を持てる同志との関係を大事にしていきたい。
(なかたに・のぼる=NEC最高セキュリティー責任者)
25年04月26日
自由貿易「盟主」降りる米国 G20で関税に批判集中 次の均衡探る世界[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1686文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=竹内宏介、高見浩輔】米首都ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行会議は24日、議長総括を出さずに閉幕した。自由貿易の旗を振ってきたはずの米国は高関税を振りかざし、各国の批判を浴びる側に回った。国際協調の盟主の座を超大国は自ら降りた。世界は次の均衡を手探りしている。(関連記事総合2面に)
「米国の内外で成長に害をもたらす」(フランスのロンバール経済・財務相)
「貿易の不確実性が世界経済に大きな逆風となっている」(カナダのシャンパーニュ財務相)
G20財務相会議に参加した各国の閣僚らは関連イベントなどの場も含め米国の一方的な関税政策への批判を繰り返した。
議長国・南アフリカのクガニャゴ中銀総裁は閉幕後の記者会見で「報復合戦によって話し合いが成立していない可能性がある」と懸念を示した。
南アのケープタウンで2月に開いた前回会合では共同声明は見送りつつ、米関税を念頭に「保護主義への抵抗を再確認した」との議長総括は公表していた。今回、そうした総括はなかった。
トランプ米政権は全方位の相互関税などにより、平均関税率を第2次世界大戦前の水準まで引き上げた。圧倒的な購買力も背景に積み上がる貿易赤字に不満を隠さず「不均衡」の是正を声高に唱える。今回のG20の場でも公正な貿易体制をつくるといった主張を繰り返したとみられる。
中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は「貿易戦争に勝者はなく、保護主義に活路はない」「自由貿易のルールを支持する」などと会議で強調した。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。米国が不公正な貿易慣行を続けていると糾弾してきた中国と立場が逆転したかのようにも映る。
中国は米相互関税について自由貿易をつかさどる世界貿易機関(WTO)に提訴もした。そのWTOは米国が上級委員会の委員補充に反対し続けることで長く機能不全に陥っている。
米国は中国がWTOに加盟した2001年以降、貿易赤字が急速に膨らんだ。製造業の雇用は26%も減った。トランプ大統領は不均衡を是正できない多国間枠組みへの不信感を募らせてきた。
17年に誕生した第1次政権にはまだ多国間枠組みを利用しようとする姿勢があった。
「公正な経済競争と自由で公正かつ相互的な貿易に基づく世界経済システムを推進しよう」。トランプ氏は18年のG20ブエノスアイレス・サミットでこう訴え、その場で米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に署名した。
この協定は狭い範囲ながらもサプライチェーン(供給網)を効率化する内容だった。第2次政権は仲間だったはずのカナダやメキシコにも高関税を突きつけた。
G20は大きな節目を迎える。リーマン危機の起きた08年に始まった持ち回りのサミットは南アが最後の未開催国だった。次の11月のヨハネスブルクの会合で議長国を再び米国に引き継ぐ。
米政権はまだ孤立主義を固めたわけではない。
保守系シンクタンクがまとめた政策集「プロジェクト2025」は国際通貨基金(IMF)や世界銀行からの脱退や財政支援の終了を勧めていた。しかし、ベッセント米財務長官は23日の講演で「米国第一とは、米国の単独路線を意味するものではない」と述べ、むしろ関与を強めると表明した。
米国に歩み寄る動きもある。英国のリーブス財務相は23日のイベントで「貿易の障壁を削減する用意がある」と発言した。追加関税の軽減を求めて交渉を進めており、米国製自動車の輸入関税を引き下げる案が取り沙汰される。
リーブス氏は「米国が巨額で永続的な貿易黒字を計上する国に抱く懸念は理解している」と、表だっての批判は控えた。
米アトランティック・カウンシルのハン・トラン氏は「米国抜きの『G19』で国際社会が相互信頼を維持・再構築することは難しい」とみる。「戦後の世界秩序が崩れていく中、国際関係の再編成の重要な試練に直面している」
トランプ政権が拳を振り上げれば「不均衡」が解消するわけではない。対話の枠組みの再強化こそが要る。G20のような場を通じた多国間協調の重要性は増している。
AIが政策立案を補助 政府、既存5000事業を解析[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 1ページ 968文字 PDF有 書誌情報]
政府は人工知能(AI)を政策立案の補助に活用するための検証を始める。5000以上の助成事業や公共事業について目標設定と成果、予算などをAIで解析し、有効な政策の立案と予算配分につなげる。1年間で施策やデジタル技術の事例を集め、2028年度からの導入を目指す。
4月から民間のコンサルティング会社に委託し、1年ほどかけて既存事業の調査、分析を進める。事業ごとの予算や成果をまとめた「行政事業レビューシート」のデータを学習・分析させてAIの精度と提案力を高める。
AIが評価したコスト低減や省力化の工夫、事業間で共通にできる技術などを蓄積する。
現在、レビューシートは予算を伴うすべての事業で作成されている。概要と予算の執行状況、実績、目標に対する達成度合いを数値化して管理する。
省庁の職員が事業の目標や成果を定めている。事業によっては目的や課題に応じた目標を適切に設定できなかったり、成果を公正に評価しづらかったりする例もあるという。
事務局の担当者は「所管する事業が多い省庁では、担当者が事業ごとの進捗やシートの記載内容を把握するのに限界がある」と話す。
政府は準備期間を経て、28年度からAIを行政事業の管理に本格導入する計画だ。現在使用するシステムの更新時期にあわせる。
導入段階ではAIによる事業概要の下地づくりや目標と成果が正しく結びついているかの分析、成果判定のポイント整理といった活用を想定する。
将来は政策立案の段階からAIを関与させる方針だ。例えばインフラ事業の場合には、適正な規模・予算とメンテナンス時期の設定、地域での経済効果などをはじき出す。過去の好事例や失敗例をもとにした施策と事業改善の提案を通じて適正な財政支出とサービスの効率化を図る。
政府の行政改革推進本部は25年1月、行革にAIを取り入れるプロジェクトを始めた。5月にはAIを用いた行政の課題解決をテーマに、官民から技術とアイデアを募るイベントを初めて開く。
海外では政策の策定や実務にAIを活用する事例が増えている。
英国は低所得者向けの生活支援制度の承認にAIを採用し、給付の判断や不正申請の検知に役立てている。シンガポールは幹線道路の渋滞や市街の監視カメラの映像をAIがリアルタイムで解析し、交通インフラの整備や防犯体制の強化につなげている。
豊田織機、非公開化を検討 トヨタグループが出資[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 1ページ 719文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車の源流企業である豊田自動織機が、株式非公開化を検討していることがわかった。トヨタなどが出資する特別目的会社(SPC)を立ち上げ、豊田織機に対してTOB(株式公開買い付け)を実施して買収する案が浮上している。
SPCにはトヨタやトヨタのグループ企業が出資するほか、金融機関からの融資で買収資金を賄う方向で検討している。ただ巨額な資金を調達できるかや、トヨタ株主の理解を得られるかなどは不透明で、実現性は流動的になっている。
豊田織機の時価総額は25日終値で4.3兆円となっている。TOBで一定のプレミアム(上乗せ幅)をつけると、買収総額は6兆円規模となる可能性がある。出資する企業の株主からすると、見合う投資効果を見込めなければ出資を支持できない。
豊田織機はトヨタ株9%分(3.2兆円相当)を保有する主要株主で、豊田織機の一部株主が資産を有効活用するよう求めていた。2024年には英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が豊田織機の上場子会社アイチコーポレーションとの親子上場の解消を求めたほか、仏ファンドのロンシャン・SICAVも積極的な自社株買いを求めた。
豊田織機は株主還元を強化する方針を打ち出したが、長期の事業戦略が描けなくなることへの危機感もあり、資本市場から独立した形で成長の道を模索しているようだ。
豊田織機は25日、「当社グループの企業価値向上のための資本政策を含めた、あらゆる可能性を検討しているが、現時点で何ら決定された事項はない」とのコメントを出した。
トヨタも同日「当社が保有するトヨタグループ株式については常に最適なあり方を検討しているが、現時点で決定した事実はない」とした。
立民「食品消費税ゼロ」 「1年間」参院選公約に[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 1ページ 588文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表は25日の記者会見で、1年間に限り食料品の消費税率をゼロに引き下げることをめざす考えを表明した。夏の参院選公約に盛り込む。中低所得者の消費税負担を軽減する「給付付き税額控除」を導入するまでの一時的な措置と位置づける。(関連記事総合4面に)
経済情勢によっては、1回限り、期間を延長可能とする。
野田氏は食料品の消費税率ゼロを打ち出す理由について、物価高対策と米国の関税措置への懸念をあげた。「財政規律ばかり考えていたら国民の生活にゆがみが出る可能性もある。現実の生活が厳しいときには現実的な対策をとる」と強調した。
「赤字国債に頼ることなく、地方財政にも未来世代にも負担を及ぼさないように財源を確保する」と述べた。財源の確保策を検討するように重徳和彦政調会長に指示した。同日に国会内で開いた執行役員会で決定した。物価高対策として(1)消費税率を一律で5%に引き下げ(2)食料品の消費税を時限的にゼロに引き下げたうえで給付付き税額控除に移行(3)当初から給付付き税額控除を導入――の3案を議論した。党内では(2)の採用を求める声が多かった。
給付付き税額控除は中低所得者の負担軽減のため、税金から一定額を控除し、控除しきれない分を給付する税制の仕組みだ。カナダなどが導入している。
野田氏は財政規律を重視し、これまで消費税減税に慎重な考えを示していた。
「不急旅行の全廃」。掛け紙と呼ばれる駅弁の包装紙に、そんな呼びかけが躍る時代があった(春秋)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 1ページ 560文字 PDF有 書誌情報]
「不急旅行の全廃」。掛け紙と呼ばれる駅弁の包装紙に、そんな呼びかけが躍る時代があった。文言は「全輸送力を戦力増強のために」と続く。第2次大戦下の日本で、駅弁も戦意高揚の一翼を担った。掛け紙5000枚を所蔵する福井県立歴史博物館の展示で学んだ。
▼鉄道駅の構内で売る駅弁について、戦前の日本では中身や価格などに細かいルールがあったそうだ。掛け紙の内容もしかり。そんな中でも各地の名所案内や各種広告など、工夫を凝らしていて楽しい。デザインも色づかいもしゃれている。それが戦争とともに色も文言も変わっていく。生活史の優れた資料だと同館はみる。
▼平和な時代が訪れ駅弁は全盛期を迎える。かつて駅弁業者の団体が「全国駅弁案内」という冊子を発行していた。1983年版を開くと各社の広告、カラーの現物写真、名前のみの商品一覧と、いずれも旅情をそそる。列車は遅く、停車時間は長い。窓を開け、ホームを歩く駅弁売りとやりとりするのも旅の楽しみだった。
▼きょうから大型連休。安く近く短い旅が今年の傾向だそうだ。旅に出る人の数も昨年より7%ほど少ないらしい。長距離、長時間、少しぜいたく。そうした旅が育てた駅弁には逆風か。業者の数は全盛期の5分の1。しかし土地の素材を生かし、小さな箱に文化と風土を詰め込む技はなお健在だ。平和の味をかみしめたい。
巨大テック悩ます米国第一 グーグルは中国EC広告減 相互関税、対抗措置の矛先に[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1290文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=渡辺直樹】米グーグル持ち株会社のアルファベットは24日、2025年1~3月期の純利益が前年同期比46%増だったと発表した。伸び盛りのクラウドサービスを中心に好調を保ったものの、トランプ米政権に接近する取り組みは奏功していない。むしろ追加関税をはじめとする「米国第一」の政策が事業活動の足かせになりだした。
1~3月期の売上高は12%増の902億ドル(約12兆9000億円)だった。事業別では主力のネット広告部門が8%伸び、成長をけん引するクラウド部門も28%増だった。1株当たりの利益水準は事前の市場予測を上回った。
好調な業績と対照的に、株価は前日まで年初から2割近く下げてきた。多くの投資家はトランプ米大統領が発表した相互関税などの悪影響を懸念する。24日の米国市場の時間外取引でアルファベット株は同日終値に比べ一時5%上昇したものの、これは決算にあわせて発表した最大700億ドルの自社株買いや増配の効果が大きい。
スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は同日開いたアナリスト説明会で、米通商政策の影響について「アジア・太平洋地域の小売企業からの広告減が若干の逆風となる」と述べた。関税発動で米国内の値上げを余儀なくされている中国発の電子商取引(EC)サービス「Temu(テム)」や「SHEIN(シーイン)」が念頭にあるとみられる。
バイデン前米政権で政府との反トラスト法(独占禁止法)訴訟に直面した米ビッグテック各社は政権交代を関係改善の好機とみて、トランプ氏に歩み寄る姿勢をみせてきた。
各社はテクノロジー分野の規制緩和を期待したものの、現実にはトランプ氏の政策に翻弄され始めている。特に影響が大きいのは米国の関税政策に反発する欧州などで高まりつつある米ビッグテック批判だ。
トランプ氏は追加関税の根拠として年間約1兆2000億ドルに上る米国の貿易赤字をあげる。一方でクラウドをはじめとするデジタルサービスに限れば23年の収支は2668億ドルの黒字で、輸出が輸入を大きく上回る。
米ビッグテックの地域別売上高は税や会計処理によって必ずしも実態を反映していないが、米国外の売上高比率はアルファベットとマイクロソフトが約5割、アップルとメタは約6割に上る。トランプ関税に対する貿易相手国の不満が米国の製品・サービスの不買運動を招けば、各社の収益基盤を傷つけるのは避けられない。
欧州連合(EU)は23日に巨大テクノロジー企業を規制するデジタル市場法(DMA)に違反したとしてアップルとメタに制裁金を科すと発表した。米関税策への事実上の対抗措置として、米国を代表するテック企業に矛先が向かった。
相互関税の余波は各社が力を入れる人工知能(AI)分野にも及ぶ。今のところGPU(画像処理半導体)などの半導体は対象から除外されているが、サーバー部品や電源、冷却装置、鋼板、アルミニウムといったデータセンターに関連する幅広い品目に影響を与え始めている。
米国はこうした品目の多くを中国や東南アジアからの輸入に依存しており、価格が2~3割上昇するとの試算もある。
データセンター、廃熱を熱源利用 東電、周辺地域に供給[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 2ページ 579文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングスはデータセンターの廃熱利用(総合2面きょうのことば)の技術を開発する。回収した熱を近隣の工場の空調機などに供給するシステムを2027年度に実用化する。生成AI(人工知能)の普及に伴って電力消費が増大するデータセンターを周辺の熱源とする。局地的な電力需給ギャップを低減し、地域全体の環境負荷を抑える。
生成AIの計算に使われる画像処理半導体(GPU)は従来の半導体に比べ大量の電力を消費する。電力広域的運営推進機関(OCCTO)によると、国内のデータセンターの消費電力は34年度までの10年間で15倍の440億キロワット時に増加する見通しだ。
データセンターは動作を安定させるために、装置の内部の温度を一定に保つ必要がある。現在は空気を送り込んで冷やす手法が主流だが排出される空気の温度はセ氏30度前後と低く、熱源として利用するのは難しい。
東電は高温・高圧の蒸気で発電機を動かす技術を転用し、水を使ってサーバーを冷却するシステムを開発する。サーバーの周囲に水を通した配管をめぐらせ、水を熱して蒸気を作る。
水蒸気の温度は100度を超えるため、工場の空調や塗装工程の乾燥機に利用できる。日本の市街地などに点在する受電容量1メガ(メガは100万)ワット級のデータセンターの廃熱を住宅の給湯に利用した場合、約400戸分をまかなえるという。
「アニメ聖地を」熱さらに 最多36都道府県で選定 長崎は公開3年前、ロケ地提案(データで読む地域再生)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1442文字 書誌情報]
アニメの舞台を訪ねる「アニメの聖地巡礼」の経済効果を取り込もうと、我が町に「聖地」をつくる動きが全国で熱気を帯びている。国内外のファン投票に基づく「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に1カ所以上選ばれた都道府県は2025年で36と過去最多に並んだ。長崎県では作品への登場実現へロケ地提案などで積極支援している。(関連記事を東京・首都圏経済面に)
政府は24年9月のコンテンツ産業官民協議会で、インバウンド(訪日外国人)に潜在するアニメの「聖地巡礼者」が年間310万人で、4700億円の国内消費支出が期待されると試算した。
「アニメ聖地88」はアニメツーリズム協会(東京・千代田)が18年から毎年、四国遍路にならい88作品を選ぶ。複数の地域が舞台となる作品なども多く、選定自治体・地域は25年で延べ124件だった。都道府県別に選定割合(シェア)の伸びを集計すると、長崎県は25年のシェアが8.1%で、18年からの伸びが1位の6.9ポイントだった。2位は埼玉県の3.7ポイント、3位は愛知県の3.2ポイントが続いた。
長崎県は24年8月公開の映画「きみの色」に登場したドンドン坂や赤迫停留所がある長崎市、旧五輪教会堂がある五島市など25年は6作品で5市町計10件が選定された。
県は10年以上前から多くの映像制作関係者らが集う商談会などで実写・アニメ映画のロケ地にと県観光連盟が地元を売り込んできた。適した場所をまとめた「ロケーションガイド」を見せながら魅力を説明し、作り手に印象づける。実写含め年約100件の支援を重ね、つながりができた映像関係者が同業に長崎を薦める好循環も生まれた。
「きみの色」では公開3年前の21年9月ごろプロデューサーから声が掛かり、観光連盟が長崎市や五島列島、佐世保市などを3回にわたり案内した。ドンドン坂など県側提案のロケ地も作品に採用され、作品に登場する路面電車の図面も提供した。
公開後は長崎市がラッピング路面電車で作品を推し、県観光連盟発行のロケーションマップは3万部となった。県は25年度予算に聖地巡礼ツアー企画などで680万円を計上した。
群馬県はシェアの伸びが2.4ポイントで4位だった。テレビアニメ「菜なれ花なれ」の放送で25年は高崎市と沼田市が選ばれた。4月に「前橋ウィッチーズ」の放送も始まり、山本一太知事は「伸びしろしかない」と期待する。
自動車が基幹産業のためトランプ米政権の関税政策の影響は大きく、山本知事は「一本足打法ではだめ。クリエーティブ産業の振興に力を入れる」と意気込む。県内が主な舞台の「頭文字(イニシャル)D」の旅行商品を開発し、アニメ制作会社や作り手養成機関の誘致も視野に入れる。
アニメツーリズムに詳しい近畿大学の岡本健教授は「自治体との連携は制作側にとって住民との調整など意義がある。隠れた名所を取り上げると作品の魅力も高まる。連携は今後も広がる」とみる。
映画「君の名は。」に登場する東京都新宿区や岐阜県飛騨市は18年に選定されたが、人気が過熱し著作権者や地元自治体の要請で、その後は対象から外れた。テレビアニメ「スラムダンク」に登場する神奈川県鎌倉市も得票は多いが、選定されていない。
アニメツーリズム協会には全国から「地元が登場するアニメを探している」などの問い合わせが相次ぐ。多くの作品が毎年制作されており、これまでアニメと縁遠かった自治体にも新たな「聖地」が誕生するチャンスはある。
(桜井佑介、藤井太郎)
米国は政策への不安払拭し為替の安定を(社説)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 2ページ 942文字 PDF有 書誌情報]
日米両国の財務相が24日に米ワシントンで会談し、為替の動向について引き続き緊密に連携すると確認した。円相場を特定の水準に押し上げよ、といった無理な要求は米国側から少なくとも表立ってはなされなかったようだ。
安心はできない。トランプ米大統領は高関税政策をめぐって二転三転するなど、市場を混乱に陥れる言動は目にあまる。政策の不確実性を和らげ、為替市場の安定に万全を期してほしい。
日米関税交渉で為替問題もテーマになるとあって財務相会談への関心は高かった。加藤勝信財務相は会談後「米国から例えば為替水準の目標や、それに対する枠組みの話は全くなかった」と語った。
ベッセント財務長官は会談に先立つ23日、通貨目標を求める考えはないと表明し、日本が「主要7カ国(G7)の合意を尊重するよう期待している」と述べていた。G7合意にある「競争的な通貨切り下げはしない」との表現を念頭に、円安誘導に動かぬようクギを刺した可能性がある。
そもそも日本は円安誘導などしていない。むしろ近年は円買い介入で過度な円安を阻止しようとする場面も目立った。それなのにトランプ氏は日本が中国とともに通貨の押し下げに動いているかのような発言をしてきた。日本は繰り返し実情を説明すべきだ。
今回、米国が為替で強硬な要求をしなかったとすれば、相互関税の表明後に市場が動揺したことに配慮した面もあるのだろう。ドル高の是正をテコに貿易赤字の縮小を望むトランプ氏の姿勢は変わらないとみられ、今後の言動や協議にはなお注意が必要である。
トランプ氏は一時、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長に早急な利下げを求め、更迭にも言及した。自らが市場をかく乱している現実を自覚すべきだ。
円安の是正を狙って、日銀に追加利上げの圧力を強めることがあってはならない。日銀は円相場の変動が物価に及ぼす影響をよく見極めて金融政策の運営に生かすべきだ。その際に判断の基準はあくまで経済や物価をめぐる現状認識や見通しがどう変わったかだ。
今回、ワシントンで開いたG7や20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は目立った成果がなく、米関税の議論は深まらなかった。世界経済の下振れ懸念が強まるなか、各国は協調して米国に軌道修正を促してほしい。
巨額赤字の日産は再生を急げ(社説)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 2ページ 778文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車は2025年3月期の連結最終損益が最大7500億円の巨額の赤字になる見通しだと発表した。同社の経営は迷走を続ける。トランプ関税の導入や足元の円高など逆風が吹くなかで、再生に残された時間は多くない。
取引の裾野の広い自動車メーカーの経営不振が長引けば、地域経済や取引先にも負の影響が及ぶのは必至だ。日産の経営執行陣と取締役会は強力なリーダーシップを発揮し、再生に向けた方向性を早急に打ち出す必要がある。
巨額赤字の主因は北米や日本の工場などの資産の減損で、5千億円を超える損失を計上する。さらに人員削減などに伴う600億円超のリストラ費用も発生する。
こうした財務の痛みも深刻だが、それと並んで懸念されるのは経営の軸足が定まらないことだ。24年末にはホンダとの経営統合の協議開始を発表したが、1カ月あまりであっさり白紙に戻った。
その後もやや唐突に経営陣が刷新され、対外的には無名に近いイバン・エスピノーサ氏が4月に社長兼最高経営責任者に就任した。新社長は記者会見を開いておらず、どんな方針で日産を再生するのかまだ見えない。
日産は競合するトヨタ自動車などに比べて、組織に遠心力が働きがちで、一枚岩になりにくいという指摘がある。
だが、日本の自動車産業をめぐる環境は厳しく、内輪でもめている場合ではない。トランプ関税のほか、電気自動車やソフトウエア定義車両で急成長する中国勢など新たなライバルも台頭する。
エスピノーサ社長は社内のベクトルを統一し、立て直しへ組織の総力をあげる必要がある。
同社は5月13日に25年3月期の決算を発表し、その際に今期の見通しや再建案も明らかにするとみられる。関係者の不安を払拭するような説得力のある再生のシナリオを期待したい。
経営迷走の責任の一半は同社の取締役会にもある。再建に向けた適切な意思決定が求められる。
関税摩擦で強気貫く中国 米と交渉、「全廃」条件 長期対立視野、G20で陣営作り[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1490文字 PDF有 書誌情報]
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で米中の閣僚級会談は実現しなかった。米国は交渉を呼びかけるものの、中国は急がない姿勢をみせ、対中関税の全廃が条件だと突き返す。中国は米国との長期対立を視野に陣営作りを急いでいる。(1面参照)
中国財政省は25日、藍仏安財政相がG20財務相会議に合わせて日本や英国、ドイツ、インドネシア、南アフリカなどの財務相と個別に顔を合わせたと発表した。
いずれもトランプ米政権が貿易赤字を抱えているとの理由で、高い相互関税を提示した国・地域が中心だ。個別の会談ではトランプ関税に対抗し、自由貿易の維持に向けて協力を呼びかけたとみられる。
中国財政省が明らかにした会談相手に、ベッセント米財務長官ら米政府高官の名前はなかった。高官同士が対話しなければ緊張緩和の糸口を見つけるのも難しい。
各国は米中対立が長引いて世界経済に悪影響を及ぼすのを警戒している。G20財務相会議に参加したインドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は24日の記者会見で「米中の関係は依然として流動的だ」と懸念を示した。
強硬姿勢を貫いてきたトランプ米大統領は中国との交渉に前向きな姿勢を見せ始めた。22日、145%の対中追加関税について「とても高い」と述べ、中国側の出方によっては大幅な引き下げもあり得ると表明した。
23日には中国との「公正な取引」が今後2~3週間で進む可能性があると、交渉の前進もにおわせた。
中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は対米交渉を急いでいない。
中国商務省の何亜東報道官は24日の記者会見で「米国が問題を解決したければ、すべての関税措置を撤廃すべきだ」と答えた。「貿易戦争は米国が一方的に引き起こした」と強調し、米国がまず対応するよう求めた。
「すべて偽情報だ」。中国外務省の郭嘉昆副報道局長も同日の会見で、米中が協議を始めたかを問われて否定した。
米中双方が相手に課す追加関税を100%超まで高める引き上げ競争は止まったものの、中国が緊張緩和に向けて妥協するような動きはまだ見えない。むしろ貿易交渉を担う閣僚級人事からは、米国への対抗意識がうかがえる。
各国との貿易交渉を担う事務方トップ、商務省の国際貿易交渉代表は16日、前任の王受文氏から世界貿易機関(WTO)の中国大使を務めた李成鋼氏に代わった。
王氏は第1次トランプ政権下での米中貿易戦争の交渉に携わった経験があるものの「米政府による過度な関税引き上げに対処できず更迭された」(商務省関係者)という。
対する李氏は2月に開いたWTOの会合で米国を名指しで批判した。「関税ショックはグローバル貿易を混乱させた。さらにインフレを起こし市場をゆがめ、世界同時不況をもたらす」とまくし立てた。
習指導部には自由貿易の原則を重視するWTOの大使経験者を要職に据えて、自由貿易の旗振り役を演じ、トランプ関税に反発する世界を味方に付けたい意図も透ける。
習国家主席は14~18日にベトナム、マレーシア、カンボジアを訪れ、経済面での関係強化を確認した。
王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相は22日、英国のラミー外相、オーストリアのライジンガー外相とそれぞれ電話協議し、自由貿易体制の維持で連携を訴えた。
習指導部は今世紀半ばまでに経済から軍事まで米国に並ぶ「社会主義現代化強国」を実現させるという目標を掲げる。
米国産大豆の輸入抑制など関税競争への備えを進めて米国に妥協せず、さらにトランプ関税を口実に積極的な経済外交を進める背景に、この長期戦略がある。
(北京=塩崎健太郎、ワシントン=八十島綾平)
為替目標「要求全くなし」 日米財務相会談 日本側に安堵感[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 3ページ 976文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=竹内宏介】加藤勝信財務相は24日(日本時間25日)、米首都ワシントンでベッセント米財務長官と会談した。加藤氏は会談後「米国から為替水準の目標や枠組みの話は全くなかった」と語った。為替政策を巡り、日本側には安堵感が広がっている。
加藤氏とベッセント氏が直接会ったのは今回が初めて。面会は当初予定より遅れながら、面会時間は予定よりも長い50分に及んだ。
加藤氏は会談後の記者会見で、為替について「レートは市場において決定される」「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済・金融の安定に悪影響を与える」ことを日米で再確認したと述べた。いずれも主要7カ国(G7)の過去の合意内容に沿ったものだ。
同行した財務省幹部は「(財務相の説明通り)両者の議論の中で改めて再確認した」と振り返った。2017年5月のG7合意は「全ての国が競争的な通貨切り下げを行わない」とも記す。
金融市場で懸念がくすぶる、ドル安誘導に向けた為替操作の可能性はいったん後退したとみられる。
トランプ米大統領はかねてドル高の是正を訴えてきた。日米財務相会談ではG7合意に反するような為替を巡る要求が米国側から浮上するとの見方があった。別の財務省幹部は「今のトランプ米政権ともG7合意が通じると再確認できたのは大きい」と会談の成果を強調する。
加藤氏は会談で「米国の一連の関税措置は極めて遺憾だ」と表明した。日米貿易協定と整合的でない一連の関税引き上げについて見直しを強く求めたという。賃上げをはじめ日本経済の動向についても話題にのぼり「生産的な議論となった」と述べた。
次の面会日程は決まっていないという。加藤氏は「現在進行中の日米貿易交渉に関連しては、為替に関しても引き続き緊密かつ建設的に協議を進めていくことで一致した」と述べるにとどめた。
ベッセント氏は日米関税交渉の主導役を務める。赤沢亮正経済財政・再生相は30日に訪米し2回目の日米関税交渉にのぞむ。
日銀の植田和男総裁も23日、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁とワシントンで会談した。マクロ経済や金融情勢、金融面での協力などについて意見を交わした。人民銀行が発表した。
【図・写真】24日、ワシントンで会談する加藤財務相(右から2人目)とベッセント米財務長官(左から3人目)=財務省提供、一部画像処理しています
関税摩擦で強気貫く中国 米と交渉、「全廃」条件――中国、政府債発行前倒し 政治局会議 インフラ投資で内需刺激[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 3ページ 848文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国共産党は25日、中央政治局会議を開き超長期の特別国債や地方政府によるインフラ債(専項債)の「発行と活用を加速する」と打ち出した。米国との貿易摩擦が激化するなか、政府債の発行前倒しで補助金などを増やし、景気を下支えする。
国営新華社が伝えた。中央政治局会議は習近平総書記(国家主席)が毎月開いている。3カ月ごとに経済の現状を点検し、当面のマクロ経済運営の方向性を定めてきた。
米国との関税応酬を念頭に「雇用や企業、市場を安定させる」と強調した。償還までの期間が10年を超す超長期債や、地方政府によるインフラ開発などを目的とした専項債の発行と活用の前倒しを指示した。
中国政府は3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、2025年に超長期特別国債を1兆3000億元(約25兆円)発行すると決めた。このうち24年から上積みした3000億元分を、耐久消費財の買い替えを促す個人向けの補助金に充てる。
専項債の発行枠は前年より5000億元多い4兆4000億元とした。地方政府によるインフラの更新などを後押しする。
米国との貿易摩擦で外需が低迷すれば景気停滞に追い打ちをかける。政府債の発行加速による補助金やインフラ投資の拡大で内需を刺激する狙いがある。
24年も同様の政策を打ち出している。今回の内容も新味に欠け、目立った効果が出るかは見通せない。
第2次トランプ米政権は累計145%の対中追加関税を発動した。中国も報復措置として、米国に125%の追加関税を課している。
会議では関税の影響を大きく受ける企業を対象に、失業者に支払う失業保険の給付率を高めることを容認すると決めた。対米関税による輸入コストの上昇を踏まえ、穀物などを増産して農産物の価格を安定させると言及した。
中低所得層の所得の引き上げにも触れた。家計は雇用への不安感から節約志向を強めている。消費者の余力を高めて消費を上向かせ、経済成長の原動力につなげる考えだが、落ち込む消費の回復につながるかは不透明だ。
関税摩擦で強気貫く中国 米と交渉、「全廃」条件――半導体、対米報復から除外 現地報道 中国、景気悪化を警戒[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 3ページ 768文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国メディアの財経は25日、中国政府が米国から輸入する半導体製品の一部を報復関税の対象から除外したと伝えた。上海の企業が24日午後、8品目の半導体製品が除外対象になるとの通知を当局から受け取ったという。
除外対象に半導体のメモリーは含まれない。10日から24日までに対象の半導体を輸入した場合には関税を還付する。
自国の半導体産業を守るため、製造に必要な特定の品目を免税の対象とした可能性がある。追加関税は輸入コストを押し上げて国内企業の負担増にもなるため、企業などの負担を和らげる狙いもあるとみられる。
トランプ米政権も中国製品向けの相互関税からスマートフォンや半導体製造装置を除外した。
米中の高関税は輸出と輸入をそれぞれ減らし双方の経済に打撃となる。
第2次トランプ政権は中国からのすべての輸入品に累計145%の追加関税を課した。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米ゴールドマン・サックスは、家電や玩具を米国に輸出する中国企業が1000万~2000万人を雇用していると試算する。
事実上の禁輸とも言える100%超の関税で輸出企業が行き詰まると、最大で全就業者の3%近くの労働者が職を失う恐れがある。
長引く不動産不況に伴い就職難は若者を中心に深刻だ。高関税の打撃も重なって雇用や賃金に対する不安が一段と強まると、市民の不満が政府に向かいかねない。
習指導部は言論統制を強める。中国政府系シンクタンクの中国社会科学院は6日、経済研究所傘下の公共政策研究センターを2日付で廃止したと発表した。
台湾メディアによると同センターの研究員だった賀濱氏が中国による対米追加関税を批判する内容をSNS上に書き込んだのが原因だと伝えた。
習指導部の異論排除という引き締めは、関税摩擦への焦りの裏返しとも言えそうだ。
為替目標「要求全くなし」――トランプ氏「日本と合意近い」[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 3ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領は25日、日本との関税交渉について「合意にとても近づいている」と述べた。ローマ教皇フランシスコの葬儀に参列するためホワイトハウスを出発する際、記者団に語った。
トランプ氏は「日本とは非常にうまくやっている」と話した。日米交渉の具体的な進捗については明らかにしなかった。
データセンターの廃熱利用 欧州は暖房向けで拡大(きょうのことば)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 3ページ 468文字 PDF有 書誌情報]
▽…サーバーなどの機器から回収された熱を暖房や給湯などに利用すること。あまりに高温になるとシステムダウンや故障につながるため、冷却して熱を回収する必要がある。従来なら「廃熱」として捨てられてきたが、高温のまま回収できれば熱エネルギーとして活用できる。
▽…データの学習に膨大な計算が必要となる生成AI(人工知能)が普及したことを受け、1棟当たりの消費電力は急増している。欧州のデータセンターが集まるアイルランドでは送電線など地域の電力インフラの負荷が高まっているとして、2028年まで新規開発を制限している。廃熱利用が進めば、地域全体のエネルギーが循環し、消費電力を抑えることにもつながる。
▽…欧州ではデータセンターの廃熱を暖房や温水プールに使う取り組みが広がっている。米グーグルは24年、北欧で回収した熱を周辺地域の暖房用に無償で提供すると発表した。サーバーなどの廃熱を外部に提供するのは同社として初となる。ドイツでは28年から一定規模のデータセンターに廃熱の2割の再利用を義務付ける。エネルギーの効率活用は世界共通の課題となっている。
「自由貿易圏」米抜きで拡大、首相、東南ア訪問で訴え TPP軸、関税交渉と並行[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1701文字 PDF有 書誌情報]
政府はトランプ米政権との関税交渉と並行して「自由貿易圏」の拡大に取り組む。日本が主導した包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)の枠組みを軸に、米国以外の国・地域と連携を強める。主に英国や東南アジアと協調し、経済成長の基盤を固める。
トランプ米大統領が2日に相互関税の詳細を発表して以降、日本はツートラックで通商戦略を展開する。米国に関税撤廃を働きかけると同時に、価値観を共有する仲間づくりに重きを置く。日米交渉の長期化への懸念が背景にある。
石破茂首相は27~30日の日程でベトナムとフィリピンを訪れる。長年、東南アジアを支援してきた立場から、成長型経済を維持するために自由貿易の体制強化が欠かせないと互いに確認しあう狙いがある。
ベトナムはTPPに加盟し、日本と経済連携協定(EPA)を結んでいる。米国から46%の相互関税を提示され苦しい立場に置かれている。日フィリピンの間にもEPAがある。
トランプ関税への反発が広がり、米国に対抗する中国の存在感が東南アジアで強まれば、同地域の自由貿易が揺るぎかねない。首相訪問で日本が自由貿易体制の安定や域内成長に貢献する姿勢をアピールする。
首相周辺は「大型連休は欧州に行く案もあったが、首相が東南アジアを選んだ」と明かした。「いまの国際情勢なら近くの国との関係を強固にしておくことが必須だ」と解説した。
首相は電話協議の機会も使い、働きかけを強めている。10日は英国のスターマー首相、14日はシンガポールのウォン首相、16日にマレーシアのアンワル首相、フランスのマクロン大統領と米関税措置で意見交換した。
フランス以外の3カ国はTPPの加盟国だ。英国は2024年12月に加盟した。日本は国の政治体制や産業構造が似ている英国を「準同盟国」と位置づけて経済、安全保障の協調を深めている。TPP入りも日本が後押しした経緯がある。
自由貿易を巡る枠組みは複数あるが、政府が最も重視するのはTPPだ。関税の撤廃や引き下げだけではなく、サービス貿易の自由化、知的財産、投資などを含む包括的な協定のためだ。
域内の人口は5億8000万人に上り、世界の国内総生産(GDP)の15%を占める。
政府のTPP対策本部によると、23年の日本からTPP加盟10カ国向けの輸出額は18年比で26%増えた。同期間の世界全体に対する輸出額の24%増を上回る伸びだった。自由貿易の恩恵を受けて市場が拡大している。
これまでTPPが拡大する局面で日本は役割を果たしてきた。日本が13年にTPP加盟交渉を始めた際、米国が同じく交渉に臨む東南アジアの国々に対し自国に有利な条件を突きつけた。日本が国によって立場が違うと米国に訴えて仲介した。
米国が第1次トランプ政権の17年にTPPを離脱した後も、日本が残る11カ国の交渉をリードした。18年に発効にこぎ着け、現在は12カ国が加盟する。
外務省幹部は「米国の関税措置を受けて、TPPが発効したときのような日本の役割を各国が期待しているように感じる」と語る。
政府はTPPの枠組みや機能をさらに広げる構想を描く。
首相は23日の党首討論で立憲民主党の野田佳彦代表から自由貿易圏を拡大する手段としてTPPを活用すべきだと指摘を受けた。
TPPは現在、運用状況の確認や加盟を希望する国を審査する事務局の設置を検討している。これまでは持ち回りの議長国が作業を担ってきた。野田氏が日本が事務局を担うことを求めると首相は「真剣に考えたい」と回答した。
岩屋毅外相は24日、TPP加盟交渉の開始が決定したばかりの中米コスタリカと外務事務次官の対話枠組みを設けると打ち出した。多層的な通商関係を追求する。
TPPへの欧州連合(EU)の加盟を求める声もあがる。斎藤健・前経済産業相は日本経済新聞のインタビューで「日本が主導してEUとの連携を深め、加盟も視野に入れた構想を進めるべきだ」と提言した。
TPPには中国、台湾、エクアドル、ウルグアイ、ウクライナ、インドネシアが加盟申請している。高水準の通商ルールを維持した上で仲間を広げる工夫が必要になる。
米戦略爆撃機、空自と訓練、中国念頭、F35など計21機参加[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1144文字 PDF有 書誌情報]
防衛省は25日、航空自衛隊と米軍が24日に共同訓練したと発表した。東シナ海から沖縄県南東の西太平洋の上空で、空自の戦闘機や、米軍の核兵器を搭載できる戦略爆撃機など計21機が参加した。台湾への武力侵攻を排除しない姿勢の中国を念頭に抑止力を高める狙いがある。
訓練には空自の主力である「F15」戦闘機や米軍の「B1」戦略爆撃機、最新鋭の「F35」戦闘機などが加わった。3月に発足した統合作戦司令部の指揮のもと、防空戦闘などの訓練をした。
防衛省・自衛隊は「力による一方的な現状変更を起こさせないとの日米の強い意志と自衛隊と米軍の即応態勢を確認した」と表明した。「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化した」と強調した。
日米が積極的にメッセージ性のある訓練を実施するのは珍しい。
これまで同様の枠組みで実施した共同訓練はいずれも日本周辺での動きに対する事実上の対抗措置の形式だった。北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射、中国とロシアの爆撃機の長距離共同飛行などの動きに対応した。
米空軍は15日から、訓練に参加したB1を三沢基地(青森県)に一時的に展開している。米軍は日韓など「同盟国との訓練」や「戦略的抑止」を支援する目的だと説明する。
防衛省によると同型機の飛来実績はあるものの、一定期間にわたり日本を拠点として訓練などに臨むのはまれだ。
B1は米国が核兵器を含む戦力で日本をはじめとする同盟国を守る「拡大抑止」に必要な装備となる。大量の兵器を搭載し、長距離を超音速で飛行できる。
日本周辺では中国が核戦力を急速に増やし、北朝鮮も核・ミサイル開発を進める。核兵器を持たない日本にとって米国の「核の傘」の実効性の向上は重要性を増す。
日米両政府は2024年7月に外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)とあわせ、初めて拡大抑止に関する閣僚会合を開いた。同年12月には拡大抑止に関するガイドライン(指針)も策定した。米国が核を使う場合は連絡を取り合うとの内容を盛り込んだ。
B1は25年1月に実施した九州北西の空域での日米韓の共同訓練や、4月の朝鮮半島上空での米韓空軍の共同訓練にも参加した。
韓国国防軍は北朝鮮の核・ミサイル開発などによる脅威を念頭に「米韓戦力の相互運用性を強化するため」などと説明していた。
今回、日米が戦略爆撃機を含めた新しい形式で訓練を実施したことは、北朝鮮や中国へ抑止力を示すことにつながる。
北朝鮮の朝鮮中央通信は25日、米国がB1を三沢基地に展開したことについて「地域諸国との対立の激しさを過去最高に高めようと試みている」と反発した。「明らかに地域の安全保障にとって非常に危険な展開である」と指摘した。
【図・写真】米空軍の「B1」戦略爆撃機=米国防総省提供
旧文通費、選挙目的は禁止、衆参議運委が議決 収支は3年公開[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 458文字 PDF有 書誌情報]
参院議院運営委員会は25日、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革に関する規定を議決した。選挙運動の費用に充てることを禁じ、収支はインターネット上に3年間公開する。衆院議運委は24日に同じ規定を議決しており、8月の支給分から適用する。
旧文通費は国会議員に歳費とは別に非課税で毎月100万円を支給する。
歳費法で国政に関する調査研究や広報などを使途と定めるが事実上、制限はない。今回の規定で1万円を超える支出は日付や金額、支出目的を報告書に記載するとした。ネット上で3年間公開する。
使途を報告する際は人件費、光熱水費などの経常経費、調査研究費や滞在費といった議員活動費に分類して明示する必要がある。選挙運動目的の支出は認めない。
報告書は毎年12月31日締めとし、翌年5月31日までにネットを通じて所属する院の議長に提出する。議長は11月30日までに公開する。
衆院は当初、施行は7月1日を想定していた。夏の参院選の時期と重なるとして、参院から事務が混乱する可能性があるとの指摘を受けて8月に遅らせた。
氷河期世代支援3本柱 就労 社会参加 高齢期の備え、6月メドにとりまとめ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 448文字 PDF有 書誌情報]
政府は25日、首相官邸で就職氷河期世代の支援に向けた関係閣僚会議の初会合を開いた。石破茂首相は就労・処遇の改善、社会参加、高齢期への備えの3つを柱に据え、閣僚に支援策の拡充を指示した。
6月をめどに対策をとりまとめ、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込む。
会議の議長は首相が務める。首相は重点政策としてリスキリング(学び直し)の支援や農業・建設業・物流業の分野における就労拡大を求めた。公務員や教員の積極的な採用も挙げた。資産形成や住宅確保の強化にも言及した。
就職氷河期世代は一般的に1973~82年ごろに生まれた世代をさす。就職時期に金融危機などの影響で企業の新卒採用が少なかった。希望の職につけず非正規雇用の期間が長くなる傾向があった。
首相は「今もなお様々な困難を抱えておられる方々が大勢いらっしゃる。ニーズに応じた適切かつ効果的な支援は待ったなしの課題だ」と述べた。
【図・写真】「就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議」の初会合で発言する石破首相(25日、首相官邸)
洋上風力のEEZ展開意欲、首相、海洋政策本部で言及[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 222文字 PDF有 書誌情報]
政府は25日、首相官邸で「総合海洋政策本部」の会合を開いた。本部長を務める石破茂首相は「洋上風力発電を最大限導入するため、排他的経済水域(EEZ)への展開に向けて制度整備を加速する」と述べた。今国会に提出している関連法案の早期成立に意欲を示した。
日本の領海内では、洋上風力発電は比較的強い風が見込める地域で開発が進む。沖合は水深の深い場所が多く、領海内だけでは適地が限られてくる。四方を海に囲まれた日本の特性を生かし、導入の拡大につなげる。
外相5カ国訪問 バチカンや米国 NPT準備委に出席[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 179文字 PDF有 書誌情報]
岩屋毅外相は25日の記者会見で、同日から5月4日までの日程でバチカンと米国、セネガル、サウジアラビア、フランスを訪問すると表明した。米ニューヨークの国連本部では核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会で一般討論演説をする。
岩屋氏は「多国間主義の拠点の国連を皮切りに中東、アフリカ、欧州の主要国で対話と協調により連携を深めたい」と語った。
予算委集中審議 自民・立民が合意 衆院、来月中旬にも[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 116文字 PDF有 書誌情報]
自民党の坂本哲志、立憲民主党の笠浩史両国会対策委員長は25日、石破茂首相が出席する衆院予算委員会の集中審議を5月中旬にも開催することで合意した。野党は年金制度改革法案の国会への提出が遅れている理由などの説明を首相に求める見込みだ。
4月25日(首相官邸)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 581文字 PDF有 書誌情報]
▽7時11分 公邸から官邸。21分 就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議。38分 米国の関税措置に関する総合対策本部。
▽8時 総合海洋政策本部会合。18分 閣議。35分 外務省の鯰外務審議官、宮本南部アジア部長、経産省の飯田次官、松尾経産審議官、伊吹製造産業局長、畠山資源エネルギー庁次長。
▽9時36分 大和防衛省防衛政策局長。
▽10時20分 市川官房副長官補、原内閣情報官。36分 内閣情報官。53分 城内経済安保相。
▽12時10分 森山幹事長。52分 松尾農水省農産局長。
▽13時45分 林官房長官、赤沢経財相、片平外務省経済局長、土谷財務省国際局長、荒井経産省通商政策局長。
▽14時36分 青木官房副長官、小林内閣広報官、長島、森両補佐官、今川総務審議官、外務省の鯰外務審議官、北村外務報道官、南部アジア部長、石月国際協力局長、経産審議官、加野防衛審議官。
▽15時33分 東京・丸の内のパレスホテル東京。
▽16時22分 みどりの式典に出席。あいさつ。
▽17時6分 官邸。17分 公明党の斉藤鉄夫代表、竹谷とし子代表代行、平林晃衆院議員。
▽18時25分 衆院第2議員会館。
▽19時22分 東京都港区のホテル「メズム東京」。レストラン「宮崎牛専門店 銀座みやちく竹芝店」で鳥取県出身の経営者らでつくる「大山会」の会合に出席。あいさつ。
▽20時23分 公邸。
辻元・福重氏が資産訂正(短信)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 230文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の辻元清美参院議員(比例)は、2024年7月に公開した資産補充報告書の訂正を参院事務局に届けた。参院が25日、発表した。辻元氏は250万円としていた預貯金を0円とした。事務所は「事務的なミスだ」と説明した。
公明党の福重隆浩衆院議員(比例北関東)は、22年4月公開の資産報告書の訂正を衆院事務局に届け出た。群馬県高崎市に所有する土地の固定資産税の課税標準額を963万円から164万円に改めた。事務所は「別の金額を誤って記入してしまった」としている。
統合幕僚長任期1年延長 吉田氏、「統合司令部」受け(短信)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 134文字 PDF有 書誌情報]
防衛省は25日、自衛隊制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長の任期を1年延長すると発表した。発令は30日付で、新しい任期は2026年4月29日までとなる。陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」が3月に発足し、円滑な連携のため任期延長が必要だと判断したとみられる。
高市氏、頼総統と会談へ あすから訪台(短信)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 97文字 PDF有 書誌情報]
自民党の高市早苗前経済安全保障相は27日から台湾を訪問し、頼清徳(ライ・チンドォー)総統と会談する。日台間の安全保障・経済両面での関係深化を確かめる狙いがある。蔡英文前総統とも面会を予定する。
<数表>日経ナウキャスト日次物価指数[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 4ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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参院選にらみ減税ドミノ 立民・野田氏が一転容認 財源の議論置き去り 公明も主張[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1143文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表が消費税減税を容認する立場に転じた。物価高対策として家計負担の軽減を優先すべきだという党内の主張を抑えきれなかった。主要野党が消費税減税をめざす方針でそろい、公明党も「減税」を推進する。夏の参院選に向けて財源の議論を後回しにした減税ドミノが広がる。(1面参照)
野田氏は25日の記者会見で「給付も減税もばらまきと言うが、何もやらないわけにはいかない状況だ」と説明した。物価高や米国の関税措置によって生活不安が広がり、消費税減税はやむを得ないとの認識を示した。
決断に衝撃が広がるのは野田氏が消費税率の引き上げを決めた当事者だからだ。民主党政権時の2012年に首相として自民、公明の3党で税と社会保障の一体改革をまとめ、消費税を5%から10%に引き上げると打ち出した。
一体改革に「政治生命をかける」と断言し、反発した小沢一郎氏らが集団離党した。関連法案が成立すれば「近いうちに」衆院解散・総選挙に踏み切ると言明し、自公党首に協力を迫った。24年の立民代表選でも「安易に減税すべきではない」と断じた。
路線転換したのは躍進する国民民主党が消費税減税を打ち出していることが大きい。国民民主は消費税を一律5%に下げると主張する。
立民は党勢が振るわず消費税減税を求める党内の意見を無視できなくなった。日本経済新聞が19~21日にした世論調査では支持率が10%にとどまり、5カ月連続で国民民主を下回った。
日本維新の会も食料品を対象に消費税をゼロにすると訴える。立民が現状維持とすれば負担軽減に消極的とみなされるリスクがある。
財源論は置き去りにした主張が目立つ。野田氏は減税の財源を示さなかった。国民民主の玉木雄一郎代表は赤字国債の発行を提起し、将来世代の負担増が懸念される。
主要野党が消費税減税でまとまり、影響は与党に波及する。公明党は25日、参院選に向けた重点政策を発表した。物価高対策として減税を盛り込み、実現までのつなぎ策として給付金を唱えた。
斉藤鉄夫代表は記者会見で「食料品を中心とする物価高にどのように対応していくかが問われている」と述べた。具体的な税目に触れていないものの、公明党内では食料品に限った消費税減税を求める声が出ている。
自民党でも減税論が広がる。松山政司参院幹事長は24日に党本部で森山裕幹事長と会い、党所属の参院議員の8割が消費税減税を要望していると伝えた。そのうち7割が食料品の税率の引き下げを求める意見という。
森山氏は減税に慎重な立場を堅持している。公明党が掲げた減税に関し「消費税を下げる気持ちはないと理解している」と主張。25日に都内で記者団の質問に答えた。連立を組む公明党が一方的に消費税減税を決めないようクギを刺した。
温暖化ガス排出量4%減 23年度、再エネ・原発稼働が寄与 中小の削減促進課題[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 931文字 PDF有 書誌情報]
環境省が25日発表した2023年度の温暖化ガス排出量は、前年度比4%減の10億7100万トンだった。2年連続で減り、遡れる1990年度以降で最も低かった。同日の記者会見で浅尾慶一郎環境相は「2050年の排出量実質ゼロへ直線的に削減が進んでいるが、まだ道半ばだ」と評価した。
温暖化ガスを出さない再生可能エネルギーや原子力で発電した電気の割合が増えたことが寄与した。排出量は13年度比でみると23.3%減少した。部門別の二酸化炭素(CO2)排出量では家庭部門の減少率が前年度比6.8%減と最も大きく、オフィスや商業施設などが入る「業務その他部門」(6.2%減)、工場などの産業部門(4%減)と続いた。
森林などによる温暖化ガスの吸収分を差し引いた「排出・吸収量」は前年度より4.2%少ない10億1700万トンだった。13年度比では27.1%の減少となった。
政府は50年に温暖化ガスの実質ゼロを掲げている。その実現に向け排出・吸収量を13年度比で、30年度に46%、35年度に60%、40年度に73%減らす目標を掲げている。今のところは減少傾向が続いているものの、目標達成には一段と排出量削減を進める必要がある。
エネルギー消費量そのものを減らす努力も欠かせない。23年度は自動車など運輸部門の排出量削減率が前年比0.7%減にとどまった。新型コロナウイルス禍で抑えられていた移動需要が回復し、自家用車や鉄道、航空便による旅客輸送が増えたことで、減少幅が他部門よりも小さかった。
石破茂首相は5月から、物価高などへの対策としてガソリン価格を1リットルあたり10円引き下げると表明。参院選をにらんだ家計の負担軽減策だが、新たな補助はガソリン車の利用促進につながり、脱炭素には逆行する。
部門別で最もCO2を排出しているのは工場などの産業部門だ。ある環境省幹部は「大手企業のサプライチェーン(供給網)に組み込まれていない中小企業にどう排出削減を促すかが今後の課題になる」と話す。
米国では温暖化ガスの排出削減に後ろ向きなトランプ米大統領が就任し、気候変動の国際枠組み「パリ協定」の離脱を決めた。他方、浅尾環境相は「多くの国が引き続き脱炭素目標を掲げている」と強調する。
「多要素認証」証券58社必須 日証協、口座乗っ取り対策[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 698文字 PDF有 書誌情報]
日本証券業協会は25日、複数手段で本人確認する「多要素認証」について、ネット取引に対応する会員証券会社の6割超にあたる58社がログイン時に原則必須化すると発表した。犯罪集団による証券口座乗っ取りへの対策の一環で、対面・ネットの大手10社は全て必須化する。
日証協が多要素認証の必須化に賛同する証券会社を聞き取り、公表した。野村証券や大和証券など対面大手5社とSBI証券や楽天証券などネット大手5社は全て必須化する。このほかPayPay証券やGMOクリック証券などのネット証券、岡三証券や東海東京証券などの対面証券が賛同した。地銀傘下の証券会社やフィンテック企業も同意した。
多要素認証を望まないと明示する顧客には強制しない前提で聞き取った。25日までに必須化を決めた58社をホームページで公開し、新たに必須化を報告した証券会社は随時追加公表する。必須化の時期は「一刻も早く」(日証協の松尾元信専務理事)として明示しなかった。
サイバー犯罪集団が、証券会社をかたるサイトなどで個人にIDやパスワードを入力させる「フィッシング」や、マルウエア(悪意のあるプログラム)による個人端末への感染などを通じて口座情報を盗み取っているとみられる。不正にログインした口座を使って株価を操作し、利益を得ている可能性が高い。
通常のパスワード入力に加えて電話番号や指紋などを組み合わせて本人確認する多要素認証が有効な対策とされるが、ログイン時の多要素認証に対応していなかった証券会社もある。必須化の手法は各証券会社に委ねるものの、多要素認証を顧客が設定しなければログインできないようにするシステム改修を念頭に置く。
トウモロコシ輸入拡大案 対米関税交渉、飼料・燃料向け[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 519文字 PDF有 書誌情報]
対米関税交渉で、政府内に米国産トウモロコシの輸入拡大が浮上してきた。飼料用のほか、燃料に加工した「バイオエタノール」としての輸入を増やす案が出ている。米中の対立で米国から中国への輸出が減るなか、日本が肩代わりして輸入を増やし、米国から譲歩を引き出す狙いがある。
日本にとって最大のトウモロコシの輸入元は米国だ。2024年は輸入量全体の8割近くを米国産が占めた。主に飼料用に使われている。
米国は中国向けにも輸出しているが、中国は高関税を課す米国への報復として農産品輸入を減らしてきている。
バイオエタノールは再生航空燃料「SAF」や自動車向けのガソリンに混ぜての活用も可能だ。化石燃料の脱炭素を進めるなかでの需要を見込む。政府は30年度までに、ガソリンにバイオエタノールを混合する割合を現在の3%から10%に引き上げる目標を掲げる。
主な輸入元は米国やブラジルだ。米国はトウモロコシを原料としたバイオエタノールの輸出に力を入れており、米通商代表部(USTR)の報告書でも日本に利用を増やすよう求めていた。
日本政府はトウモロコシや大豆の輸入拡大が日米交渉のカードとして有効とみている。自民党の森山裕幹事長も25日、容認する考えを示した。
政府、ラピダス出資可能に 改正法成立[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
次世代半導体企業を支援するための情報処理促進法などの改正法が25日の参院本会議で可決・成立した。最先端半導体の量産を目指すラピダスを念頭に、政府が出資や融資の債務保証をできるようになる。今後は株主として政府がどう経営に関与するかが論点となる。
経済産業省が所管する情報処理推進機構(IPA)に金融業務を追加する。同機構を通じて政府が出資できるようになる。対象事業者は公募で選ぶとしており、ラピダスを想定する。同省は2025年度当初予算で出資金向けに1000億円を確保している。
IPAが次世代半導体事業者による民間金融機関からの借り入れに債務保証も付けられるようになる。IPAは今後、金融機関などから専門人材の受け入れを予定する。
ラピダスは4月、北海道千歳市の工場で試作ラインを立ち上げた。27年に回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端半導体の量産を目指しており、政府はこれまで研究開発向けに計1兆7000億円超の支援を決めてきた。
全農、備蓄米出荷24%どまり 納入完了6~7月ごろ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 402文字 PDF有 書誌情報]
全国農業協同組合連合会(JA全農)は25日、備蓄米の販売状況を発表した。これまで2回の放出でJAが落札した備蓄米約20万トンのうち、コメ卸会社に出荷した量は4月24日時点で24%(約4万7000トン)にとどまる。全量渡し終えるのは6~7月と見込まれる。
政府が備蓄米を放出しても、市場ではコメの不足と価格の高止まりが続く。JAの3月末時点の出荷量は3%で、一部消費者にはJAの流通が停滞しているとの見方もあった。25日の説明で足元の出荷増を示したかたちだが、コメ不足の解消にはなお距離がある。
JAは放出分の94%を落札。全国の卸売会社に搬送している。卸から受注してから納品完了まで2~3週間かかるという。
出庫や配送作業は4月以降に本格化し、日量2000~3000トンの玄米を米穀卸に販売している。今後、卸の納品希望日を聞きながら毎月5万トン程度を搬送し「最大限速やかな受け渡しに努める」としている。
三井住友DS最多受賞 R&Iファンド大賞[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 276文字 PDF有 書誌情報]
格付投資情報センター(R&I)は25日、優れた運用実績をあげた投資信託を表彰する「R&Iファンド大賞2025」の選考結果を発表した。最も受賞数が多かったのは、2年連続で三井住友DSアセットマネジメントだった。「三井住友DS日本バリュー株ファンド」や「三井住友・配当フォーカスオープン」などが21の賞に選ばれた。
同大賞は19回目。リスクに見合ったリターンを得られたかを示す「シャープレシオ」を基準に、純粋な運用実績のみに基づいて優れたファンドを表彰する。受賞ファンド総数は166本で、昨年より11本増加した。表彰会社数は昨年より9社多い42社だった。
日本郵便への特別監査開始 国交省[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 190文字 PDF有 書誌情報]
全国の郵便局で配達員への法定の点呼が不適切に行われていた問題で、国土交通省は25日、貨物自動車運送事業法に基づき、日本郵便への特別監査を開始した。23日に調査対象の7割超で点呼に不備があったとする同社の報告を受け、実施した。
25日午前、国交省の職員が東京都港区の高輪郵便局に立ち入り検査に入った。特別監査は今後も順次実施し、違反が確認されれば車両使用停止などの行政処分を出す。
サービス価格伸び幅が拡大 都区部物価4月3%台[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 142文字 PDF有 書誌情報]
総務省が25日発表した4月の消費者物価指数(東京都区部の中旬速報値)は生鮮食品を除く総合指数で前年同月比3.4%上昇し、1年9カ月ぶりに3%台に乗せた。サービス価格は2.0%上昇し、前月の0.8%からプラス幅が拡大した。高校授業料支援の反動といった特殊要因を除いても加速がみられた。
ビットコインの価格指標を公表 QUICK[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 137文字 PDF有 書誌情報]
QUICKは暗号資産(仮想通貨)価格の指標の公表を始めた。まず25日から代表的な仮想通貨のビットコインを対象に、円建ての取引価格に基づき試験的に算出する。仮想通貨で運用する上場投資信託(ETF)が国内でも将来的に組成されることを見据え、市場の実勢価格を示す指標を開発した。
じもとHD、優先株への復配決定 6月総会で脱「国有化」[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
きらやか銀行と仙台銀行を傘下に持つじもとホールディングス(HD)は25日、国が保有する優先株への配当を復活させると正式に発表した。現在は無配に伴い国が63%の議決権を持っており、実質的な「国有化」状態にある。6月の定時株主総会に諮り、承認されれば国の議決権はなくなる。
デブリ、国の研究機関に搬入完了[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 115文字 PDF有 書誌情報]
国の研究機関である日本原子力研究開発機構(JAEA)は25日、東京電力福島第1原子力発電所2号機から取り出された溶融燃料(デブリ)を大洗原子力工学研究所(茨城県大洗町)に搬入したと発表した。搬入は2024年11月に続いて2回目。
野村HD、前期純利益2.1倍で最高 3部門が増益[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 112文字 PDF有 書誌情報]
野村ホールディングスが25日に発表した2025年3月期連結決算(米国会計基準)は、純利益が前の期比約2.1倍の3407億円だった。06年3月期以来、19年ぶりに過去最高を更新した。個人、投資運用、法人の3部門が増益だった。
最高裁(人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 5ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
最高裁(26日)仙台高裁部総括判事(福島家裁所長)大嶋洋志
▽福島家裁所長、田口治美
建設費高騰止まらず 昨年度、資材・人件費上昇で受注額5%増 工事需要旺盛も着工面積は減少[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1590文字 PDF有 書誌情報]
建設大手などが加盟する日本建設業連合会(日建連、東京・中央)が25日発表した2024年度の国内建設受注額は前年度比5%増の18兆6333億円だった。資材価格などのコスト高が続き過去20年で最高だ。一方で新築着工面積は減少が止まらない。受発注者が工事費で折り合えずに計画が頓挫しており、需要の取りこぼしが深刻となる。
加盟92社の受注額を集計した。民間からの受注額は10%増の13兆8977億円。このうち製造業が11%増の3兆1949億円、非製造業が9%増の10兆7028億円。官公庁からの受注は5%減の4兆6709億円だった。
25日に記者会見した日建連の担当者は「設備投資など建設需要は堅調で、顧客への価格転嫁も進んだ」と述べた。
金額を押し上げる要因の一つが、民間工事の旺盛な需要だ。受注額が500億円を超えるオフィスやマンションの工事が全体を押し上げた。生成AI(人工知能)関連も好調で、近畿や関東地方で100億円を超えるデータセンターの受注が複数あった。
資材価格と人件費といった建設コストの高騰も大きい。21年ごろから鋼材を中心に価格が上昇。足元では横ばい程度で推移するが、建設物価調査会(東京・中央)の調べでは鉄筋やH形鋼の価格(東京地区)は21年初頭に比べて3~4割高い水準にある。
人件費の指標となる公共工事設計労務単価は、25年3月に全国全職種平均で2万4852円。前年同月から1000円以上も増えた。約10年前(15年2月)と比べると5割近く高い。
このため、25年3月の東京地区の建築費指数(建設物価調査会調べの速報値、2015年=100)はオフィスビルで136.6と前年同期より4%、マンションは5%それぞれ伸びた。
一方で新築着工面積は減少が続く。国土交通省がまとめた建築着工統計では、24年通年の新築着工床面積は前年比8%減の1億200万平方メートルと、高度成長期の1966年以来の最低水準となった。足元でも減少傾向は変わっていない。
受注額は伸びるものの、着工面積は減る。2つの事象から浮かぶのが、建設業者による機会ロスだ。
発注者が依頼した工事費の見積もりが想定を上回り、工事契約が成立しにくくなっている。ゼネコンの下請けに入る設備工事会社も人手確保に苦しんでおり「設備工事の見積金額が想定より高いが、言い値を受け入れるしかない」(建設大手幹部)とこぼす。
経済調査会(東京・港)が下請けの業種ごとに人手不足の状況を指数化した調査によると、設備工事では「やや逼迫」の目安となる4を上回る。鉄骨や内装が需給が落ち着く状態の3に近づいているのとは対照的だ。
結果として建設計画の見送りが相次ぐ。京王電鉄は3月、新宿駅西南口地区の再開発計画で南街区の工事完了時期を「28年度」から「未定」へ変更すると発表した。JR中野駅前の複合施設「中野サンプラザ」(東京・中野)も工事費の上振れをきっかけに、中野区が再開発計画の見直しを決めた。
JR北海道は札幌駅(札幌市)直結の再開発プロジェクトで、タワー棟の完成目標時期を34年度に延期する。岐阜市でもJR岐阜駅北側で野村不動産などが計画中の再開発ビルの規模を縮小する。
ゼネコン大手は失注を少しでも防ごうと、省人化や生産性向上に力を入れる。清水建設や竹中工務店は自動で移動する搬送ロボットを開発。夜間などに資機材を移動し、作業員が運ぶ手間を減らす。
大成建設は市街地でも超高層ビルをスムーズに解体する工法を標準化した。粉じんが周囲に漏れるのを防ぐ覆いを最上階に設け、下降させながら解体作業を進める。大林組や鹿島は溶接の手作業をロボットに代替させる技術を開発した。
それでも建設費高騰が収まらない限り、当面は受発注者の契約合意が難しい状況に変わりはない。取りこぼしが続けば、ゼネコン各社の業績に響く可能性がある。
日産、市場の不安拭えず 最大赤字発表、株価上昇勢い弱く 追加リストラ不可避[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1530文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車は2025年3月期に過去最大となる赤字に転落する。25日の株式市場で日産株は一時4%高となったが、上昇基調は続かないとの見方が根強い。主力の米国や中国市場の低迷により、工場の稼働率は低水準が続く。追加のリストラや保有資産の減損損失の計上は避けられないとの懸念がくすぶる。
25日の日産株は一時前日比4%(11円60銭)高の341円30銭まで上昇した。ただ午後になると株価上昇の勢いが弱まり終値は2%高だった。
日産は24日、25年3月期の連結最終損益が最大7500億円の赤字(前の期は4266億円の黒字)になったと発表した。北米や中南米の工場を中心とした資産の価値を見直し、5000億円を超える減損損失などが出る。
SBI証券の遠藤功治氏は「再建に向けて前期(25年3月期)に確定した範囲の損失を出し切ろうという姿勢はある」と受け止めた。
市場では再建への道は険しいとの見方が強い。SMBC日興証券の牧一統氏は24日付のリポートで、26年3月期に追加費用の可能性を指摘し、「アク抜けとは言いがたい状況」と警戒感をにじませる。
日産は米国や中国で競争力が低下している。英調査会社グローバルデータによると、米国の工場の稼働率は24年に57.7%だった。中国は45.3%、日本も56.7%で、自動車業界で稼働率で損益分岐点とされる8割前後を大きく下回る。
25年3月期の世界販売台数は前の期比3%減の335万台となり、従来計画を5万台下回った。日産の世界生産の能力は約500万台。生産能力と実際の販売の乖離(かいり)は大きく、収益の重荷となっている。
足元では構造改革に乗り出している。24年11月に生産能力の2割(100万台)縮小や、9000人の削減などを掲げた。人員は世界の管理部門で2500人、工場で6500人を減らし、世界3工場を閉鎖する。
市場関係者は現在のリストラ策だけでは業績回復は難しいとの見方が多い。日産幹部も新たな構造改革の可能性は否定していない。ただ、別の幹部は「すぐに実行できる追加の構造改革は正直乏しい」と打ち明ける。
日産は業績不振でキャッシュの流出が続いてきたが、販売金融会社に貸し付けていた資金を戻す取り組みにより、25年1~3月期にフリーキャッシュフロー(純現金収支)が改善した。
自動車事業で手元資金から有利子負債を除いたネットキャッシュは25年3月末時点で1兆4980億円と、24年3月末時点(1兆5460億円)とほぼ同じ水準を確保した。ただ、日産は26年3月期に自動車事業で5800億円規模の社債の償還を迎える。大規模な償還に備え、手元資金を厚くする重要性が増す。
格付投資情報センター(R&I)は25日、日産の発行体格付け(シングルAマイナス)の方向性を「安定的」から「ネガティブ」に変更した。ネットキャッシュは確保しているものの、収益構造が安定化していない点を不安視した。
フィッチ・レーティングスも25日、日産の発行体格付けをダブルBプラスからダブルBに引き下げた。フィッチを含む海外の格付け大手3社全てが投資不適格を指す「投機的等級」としており、借り換えができたとしても金利負担が重くなる。
米国の追加関税の影響もあり、26年3月期の業績回復は難しいとの見方がある。SBIの遠藤氏は「25年3月期は金融事業を除くと自動車事業単体では赤字だ。トランプ米政権による関税の影響もあり、26年3月期の自動車事業の黒字化は難しい」とみる。
日産は5月13日に決算説明会を開催する。24日の下方修正の発表では、メディア向けの会見を開催しなかった。イバン・エスピノーサ社長が具体的な再生プランを説明できるかが焦点となる。
石炭、狭まる包囲網 開発・輸送に規制拡大 貿易量、33年に2割減[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 7ページ 889文字 PDF有 書誌情報]
世界で石炭の利用に対する包囲網が狭まってきた。投融資や保険の規制強化は炭鉱開発から輸送にも広がり、オーストラリアは炭鉱の閉山ラッシュが控える。石炭貿易量は今後10年で2割減る見通しだ。金融機関は脱炭素の国際的な枠組みから相次ぎ離脱するが、石炭への規制は変わらず、日本は難しい立場にある。
2月に政府が閣議決定した次期エネルギー基本計画では40年度に火力発電を電源の3~4割まで減らすとしたが、石炭火力の将来の利用量や退出の道筋は示さなかった。日本では石炭火力は発電量に占める割合が28%(23年度速報値)と、液化天然ガス(LNG)火力と並んで高い。
石炭は燃焼時の二酸化炭素(CO2)排出が天然ガスの2倍程度と環境負荷が大きく、金融機関は規制を強化している。仏非政府組織(NGO)リクレイム・ファイナンスの2月の調査では、邦銀を含む世界の銀行上位60行の7割が投融資の制限を公表。仏銀大手BNPパリバなど約4割が原則40年までの撤退を目指すと表明している。
「炭鉱関連の資金調達が難しく拡張が途絶えている」。24年8月に日本製鉄と共同で豪州の炭鉱権益を取得したJFEスチールの調達担当者はこう話す。豪州では最大手や同3位の銀行が30年までに石炭採掘への融資を縮小する方針を示す。
保険業界でも再保険大手のスイス・リーが21年から石炭の採掘や海上貨物への保険の提供条件を厳格化した。エネルギー経済社会研究所(東京・千代田)の松尾豪氏は「すでに保険料率は上昇しており、30年以降は保険の提供が制限される可能性もある」とみる。
日本郵船によると、燃料用の石炭の海上荷動きは今後10年間、年率換算で3.1%のペースで減少し、33年には7.6億トンと23年比で27%減となる見通しだ。同社調査グループの竹内暢博氏は「特にインドネシアで環境基準を満たせない炭鉱の淘汰が進む」とみる。
日本は燃料用の石炭の99%を輸入に頼り、約7割は豪州が占める。豪州では30年から炭鉱の閉山ラッシュが始まり、エネルギー経済社会研究所の松尾氏は「30年代初頭から日本の調達への影響が顕在化する」と指摘する。
インテル再建険しく 5四半期連続赤字、人員削減を検討[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 7ページ 707文字 PDF有 書誌情報]
米半導体大手インテルが経営再建に苦しんでいる。製造受託事業は停滞し、稼ぎ頭のCPU(中央演算処理装置)もシェアを奪われる。24日の決算発表では、2025年12月期の設備投資を20億ドル(約2800億円)減らすと表明した。人員削減でコスト抑制を急ぐものの、本業の立て直し策は見えないままだ。
「顧客の信頼を取り戻し、成長軌道に乗せる」。インテル最高経営責任者(CEO)に3月就いたリップブー・タン氏は24日の説明会で語った。
同日発表の25年1~3月期の連結最終損益は8億2100万ドルの赤字。前年同期(3億8100万ドルの赤字)から赤字幅は拡大し、最終赤字は5四半期連続となった。
復権を託されたタンCEOは経営効率化に軸足を置く。24日には公表済みの設計子会社アルテラの株式売却に加え、非中核資産の追加売却も検討すると明かした。従業員の追加削減も検討。規模は明かさなかったものの、米ブルームバーグ通信は従業員数を2割以上減らすと報じた。
実際にインテルの組織は肥大化した。従業員数は直近ピークの22年に13万人を超えた。24年の従業員1人あたり売上高はインテルが約49万ドル。台湾積体電路製造(TSMC)が約107万ドル(従業員8万3825人)と、2倍以上の差をつけられているのが現状だ。
タンCEOは組織の硬直化を指摘し「企業文化と運営方法の根本的な変革が必要」と強調した。ただ、無駄を削るリストラだけでは再建はままならない。
成長戦略の要とするのが製造受託ビジネスだ。競合に差をつけられた製造技術にも投資を重ね、25年中に「18Aプロセス」と呼ぶ先端品の量産を目指す。
(江口良輔、シリコンバレー=清水孝輔)
米向けiPhone生産、中国からインドに移管 FT報道[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 7ページ 609文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、米アップルが米国で販売するスマートフォン「iPhone」の全量を2026年にもインドで組み立てる計画だと報じた。中国から生産を移管する。トランプ米政権の関税政策の影響を抑えるため、中国に依存してきた調達網を抜本的に見直す。
アップルは現在、米国向けiPhoneの大半を中国で組み立てている。FTは関係者の話として、同社が米国に輸入する年間6000万台超について、26年末までに全てインドからの調達に切り替える目標を立てていると伝えた。日本経済新聞はアップルに問い合わせしたが、回答は得られていない。
アップルは主要サプライヤーの台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業などを通じ、中国にiPhoneのサプライチェーン(供給網)を築いてきた。近年は上位機種を含めてインドで組み立てを始め、生産地の分散を図ってきた。
インドでは鴻海や現地財閥のタタ・グループなどがiPhone生産を担っている。米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)はアップルが4月時点でインドから年1500万台規模を米国に出荷できると推定する。
26年までに年6000万台超をインドで生産するには、生産能力を2年足らずで大幅に引き上げる必要がある。
完成品の組み立てをインドに移管しても、電子部品については中国製を多く採用している。供給網全体を中国から分離するのは難しいとの見方がある。
新興国、「無秩序」に身震い(DeepInsight)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 9ページ 2048文字 PDF有 書誌情報]
主だった新興国の間では、2024年末までトランプ米大統領の復活を喜ぶ向きが多かった。人権問題などで説教される心配はなく、経済のディール(取引)に応じさえすれば、良い関係を築ける。こんな読みがあった。
米大統領選後の24年11月、欧州外交問題評議会(ECFR)が実施した世論調査では、トランプ政権の復活を前向きに受け止める空気が新興国で目立った。
トランプ氏の当選は「良いことだ」との答えが、インドで84%、サウジアラビアで61%にのぼった。インドネシア、南アフリカ、トルコ、ブラジルでも、「良い」が「悪い」を軒並み上回った。
インドの政府高官は24年12月、首都ニューデリーで筆者にこう語った。「トランプ氏は人権問題でインドの内政に干渉しないだろうし、戦略上、インドの重要性も分かっている。彼の復活はインドに有利だ」
しかし、こうした楽観論は急速にしぼみつつある。トランプ政権が世界にもたらす混乱が、新興国にとっても大きく想定を超えているからだ。トランプ氏による自国最優先の外交は、1期目の比ではない。
ニューデリーで3月17~19日、国際情勢を討論するレイジナ対話が開かれた。アジアや中東の新興国の論客が顔をそろえた分科会では、不安の声が飛び交った。
「(トランプ氏は)世界をリセットしようとしている。今後、多くのことが揺れ動くだろう」。インドのシンクタンク、オブザーバー研究財団(ORF)のサンジョイ・ジョッシ会長は、こう懸念を示した。
デンマーク領のグリーンランドやカナダをトランプ氏が手に入れたがっていることを巡っては、インドネシアの元高官から戸惑いの声が上がった。「米国は領土的な野心を持っている。『トランプ1.0』にはなかった事態であり、極めて不可解だ」
グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国は国力や思惑が異なり、一枚岩とはほど遠い。それでも、20カ国・地域(G20)を構成するインド、インドネシア、ブラジル、南アフリカ、サウジアラビア、メキシコといった有力国には、おおむね共通の夢がある。
戦後、米欧が主導してきた国際秩序を改め、自分たちの声がより反映される体制を築くという目標だ。ひと言でいえば、世界の多極化の実現である。
国際システムが米欧中心に回っているという新興国の不満は、今に始まったことではない。国力を増すにつれ、そうした不満は怒りに発展している。
各国がよく批判するのが、国連安全保障理事会の常任理事国の構成だ。5カ国中、3つを米英仏が占めている。南アフリカの政府高官は「グローバルサウスの国力がここまで高まっているのに、全く考慮されていない。不公平な構造だ」と憤る。
こうした観点から、新興国は当初、トランプ氏の復活はチャンスとみた。民主主義サミットなどを主催し、米国主導の秩序にこだわったバイデン前大統領と異なり、米国の利益にしか関心がないトランプ氏の方が世界の多極化を進めやすい、と思ったからだ。
しかし、新興国の読みは甘すぎた。トランプ氏の過激な行動は多極化どころか、「秩序なき乱世」に各国を引きずり込んでいく恐れがある。
言うまでもなく、新興国にとって最大の誤算は米政権による相互関税だ。インドのモディ首相は2月上旬に訪米し、米国産エネルギーの輸入増を約束した。それなのに、26%の関税を通告された。インドネシア(32%)やベトナム(46%)も、破壊的な相互関税にさらされている。
もっとも、金融市場への影響を恐れるトランプ氏が今後、関税圧力を和らげる可能性がないわけではない。米側との交渉により、高関税の適用を逃れる国々も出てくるだろう。
しかし、問題の大きな解決にはならない。関税戦争で世界経済が冷えれば、新興国の成長シナリオは狂ってしまう。国際通貨基金(IMF)は4月22日の予測で、今年の世界成長率の見通しを前回1月時点から0.5ポイント下げ、2.8%にした。
インドネシアのディノ・パティ・ジャラル元駐米大使は語る。「インドネシアにとって、トランプ政権がもたらす最大の脅威は高関税だ。最悪のシナリオは、主要国間の関税戦争が過熱し、世界経済が冷え込むことだ」
中期でみると、トランプ氏の安全保障政策も、新興国の成長を脅かしかねない。ウクライナ停戦を急ぐあまり、彼はロシア寄りの条件で合意をまとめたがっている。そうなれば、ロシアが近い将来、再侵略する危険が高まる。最悪の場合、食料やエネルギー危機が再び深まり、新興国や途上国を直撃する恐れがある。
リスクを減らすため、新興国は中国ともパイプを強めようと急ぐ。インドネシアは今月、外相・国防相による「2プラス2」の初会合を中国と開いた。マレーシア、カンボジアも今月、同様の枠組みを中国と設けることを決めた。
ロシアのウクライナ侵略後、新興諸国は西側と中ロのどちらにもくみせず、「第3の極」に台頭するかにみえた。だが、トランプ氏がもたらした想定以上の嵐に揺れ、当面はそれどころではないように映る。
インド経済は「障壁」だらけ インドノミクスコンサルティング創業者 リテシュ・クマール・シン氏(Asiaを読む)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1409文字 PDF有 書誌情報]
インドのモディ政権は1991年以来の経済改革を反転させ、厳格な許可制による統治を復活させている。これによってインドの企業と消費者の経済・金融における自由が萎縮している。
コスト効率を追求する企業は国内外を問わず、最も安価な供給先から原材料を調達する自由が必要だ。インドの川下産業は過剰な輸入規制と貿易救済措置によってこの自由を奪われている。2019年以降、政府は輸入を阻止するため、品質管理を口実とした命令の適用範囲を拡大している。こうした非関税障壁は、鉄鋼や繊維などを支配する数社の大企業を利するため導入されている。
繊維原料のコストが上昇すれば、糸や生地を製造する川下の繊維産業がコスト競争力を失うことは容易に理解できる。その結果、インドの衣料品輸出は過去10年間停滞している。輸入競争から守られたインドの鉄鋼も世界で最も高価な部類に入るので、自動車や資本財のコストも上昇する。結果としてインドの国内総生産(GDP)に占める製造業の比率は過去10年ほど10%台で停滞したままだ。
インドの輸出規制も、海外で利益を上げる機会を企業から奪っている。同様に価格上限があるため医薬品や医療機器のメーカーは正当な利益を得られない。これらの政策による規制リスクは民間投資を抑制し、政府が資本支出を肩代わりする事態を招いている。
成長を支える歳出増の財源を確保するには、高い税率の維持か公的債務の増加が必要だ。財政赤字が拡大すれば政府は税負担を重くするしかない。需要の減退が成長を抑制する悪循環を招く。
それだけではない。輸出の伸びの鈍化によってインドの貿易赤字は高水準にとどまり、インドルピーの下押し圧力となっている。
ルピー安は輸入企業や、外貨建て債務を抱える大手インフラ企業に打撃となる。このためインド政府はルピーを下支えし、企業の借り入れコストを低く抑えるために資本流出を制限している。
結果として個人投資家は金融面での自由を制限されることになる。例えば経済規模が大きくなったのに、外国株式の投資信託への投資には09年以来、70億ドル(約1兆円)の上限が設定されたままだ。
外国株式への投資は資産形成に有効な戦略だが、投資上限は機会の利用を阻んでいる。資本流出を抑え、インドルピーを支えるための規制は世帯の金融面での自由を制限しているのだ。
またモディ政権は、携帯電話の生産優遇策の財源にするため、携帯電話の輸入関税を0%から20%に引き上げた。にもかかわらずインド製の携帯電話は主に組み立てにとどまり、本当の意味での製造は行われていない。それでも関税によってインドの消費者は高い価格を払わされている。
要約すると、輸入障壁の強化は川下企業だけでなく、消費者にも負の影響を及ぼしている。大企業を必要以上に優遇する政策を修正しなければ、インドの長期的な潜在成長力が損なわれるだろう。
インドの政策当局は狭量な国内重視ではなく、グローバルな視点を持つ必要がある。モディ政権は特定の産業を優遇するのではなく、すべての企業が直面する共通の課題である契約履行の難しさや過剰な規制への対応に重点を置くべきだ。このような制度的な課題の解決は、より公平で包摂的な成長環境につながるだろう。
【図・写真】Ritesh Kumar Singh インド政府や民間企業での調査や助言を経て、2018年にコンサルタント会社を設立。専門はマクロ経済
インド経済は「障壁」だらけ――保護主義のワナ体現(Asiaを読む)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 9ページ 332文字 PDF有 書誌情報]
1990年ごろ、中国とインドの1人当たりGDPは同等だった。それが今や中国がインドの約5倍と差がついた。
輸出産業育成のため輸入も自由化した中国が驚異的な経済発展を遂げたのに対し、植民地時代の搾取のトラウマを引きずり保護主義から抜けきれないインドの経済発展は遅れた。シン氏が指摘するインド経済の構造的弱さは、保護主義の弊害の最も鮮烈な実例だ。
訪印したバンス米副大統領は夫人がインド系ということもあり、モディ首相となごやかに早期の貿易協定締結を約束し合った。インドには関税でも非関税障壁でも切れるカードが山ほどあり、合意は案外楽かもしれない。一方、米国民はインドが体現する保護主義のワナを認識しているのか。実に皮肉な2国間交渉になりそうだ。
(編集委員 小柳建彦)
米国債連動のデジタル資産、時価総額が1年で5倍 ブラックロックがけん引[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1169文字 PDF有 書誌情報]
米国債の動きに連動したデジタル資産の投資商品が市場規模を急拡大させている。時価総額は24日時点で約60億ドル(約8500億円)となり、1年間でおよそ5倍になった。特に米運用大手ブラックロックが手掛ける商品の伸びが著しく、ブロックチェーン(分散型台帳)関連企業の資産運用手段として活用されている。
ブロックチェーンの技術を使って発行、流通するデジタル資産の「トークン」が、短期の米国債などで運用するMMF(マネー・マーケット・ファンド)の価値に連動する。社債や不動産を裏付けにした投資商品もあるが、足元で急成長している。
買い手となる主な機関投資家の一つは、法定通貨などに価値が連動するステーブルコインの発行企業だ。ステーブルコインは、米ドルや米国債などを裏付け資産として発行されるケースが多い。「裏付け資産のポートフォリオにMMFのトークンを組み込む動きが増えており、市場規模の拡大につながっている」(セキュリタイズジャパンの森田悟史テックコンサルタント)
時価総額が最も大きいのは、ブラックロックの「米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド(BUIDL、ビドル)」だ。純資産残高は約25億ドル(約3500億円)と1年前に比べ約7倍に拡大した。ファンドが立ち上がったのは24年3月と後発ながら、市場拡大をけん引している。
ビドルを購入した投資家は分配金を受け取れる。投資家への販売や分配金の支払いなどは、デジタル証券の発行を支援する米セキュリタイズが担っている。
ビドルのほかにも、米運用大手フランクリン・テンプルトンが21年にMMFのトークン「フランクリン・オンチェーン・米国政府証券マネーファンド」を発行し、足元で約7億ドル(約1000億円)の規模がある。大手金融機関が運用を手掛けていることが、投資家の安心につながっている面も大きい。
現状では日本国債を裏付けにしたトークンは存在していないが、3メガバンクが出資し、デジタル資産のインフラ基盤を手掛けるProgmat(プログマ、東京・千代田)がシステムの開発を始めている。25年度中に日本国債などで運用するMMFのトークンの発行を目指している。
もっとも、デジタル資産になじみの薄い投資家にとっては、まだメリットを享受しにくいのが現状だ。利回りなどは従来のMMFと基本的に同じであるため、あえてトークン化されたMMFを買う理由は見いだしにくい。
ただ、ビドルは契約を自動執行できるというブロックチェーンの機能を生かし、分配金を投資家が毎日受け取れるようにしている。投資家にとっては分配金をすぐに再投資に回せるため投資効率を高められる利点もある。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「ブロックチェーンを使った金融商品が増えていけば投資家層の裾野も広がるだろう」と話す。
大豆2カ月ぶり高値 米国産の需要懸念が後退[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 10ページ 335文字 PDF有 書誌情報]
豚などの飼料やバイオ燃料の原料になる大豆の国際価格が回復している。指標となる米シカゴ商品取引所の先物価格(中心限月)は一時前日に比べ1.3%ほど高い1ブッシェル10.6ドル台を付けた。4月上旬には10ドルを割る場面も出ていたが、2月下旬以来で2カ月ぶりの高値に回復している。終値でも4日続伸した。
トランプ米大統領は交渉次第で累計145%の対中追加関税を引き下げる可能性もあるとしており、米中貿易摩擦による米国産大豆などの需要減への懸念が後退した。4月末から実施される日米閣僚らの関税交渉で、日本政府が米国産大豆の輸入拡大を検討していることも分かった。2025~26年の穀物年度で米国の農家が大豆の作付面積を減らす意向を示しており、需給が引き締まるとの見方も出ている。
中国株「上場廃止」の誘惑 米、危うい市場の武器化(MarketBeat)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 10ページ 2201文字 PDF有 書誌情報]
米国と中国が互いに高関税をかけてにらみ合うなか、米金融市場への飛び火に警戒感が高まっている。トランプ米政権が対中交渉で行き詰まれば、米国に上場する300社近い中国企業の上場廃止に動くとの観測が流れる。政権1期目にも部分的に実施した「市場の武器化」がエスカレートすれば何が起きるのか。
きっかけはベッセント米財務長官の発言だった。「すべての選択肢がテーブルの上にある」。9日の米FOXのインタビューで米市場から中国株を排除する可能性を問われ、こう答えた。
ベッセント氏は、踏み込んだ措置は「トランプ大統領の決断になる」と述べ、トランプ氏と習近平(シー・ジンピン)国家主席の「個人的な関係は非常に良好だ」と言い添えた。すぐに実現する可能性は低いと示唆した。
それでも市場はざわめく。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどの大手金融機関は中国企業の米上場廃止リスクを分析するリポートを顧客に送った。
軍事活動を指摘
この話がにわかに信ぴょう性を帯びたのは、下敷きとなる文書があるためだ。ホワイトハウスが2月21日に公表した「米国第一の投資政策」。米投資の促進と経済安全保障の両立について記したメモには中国への警戒感が色濃くにじむ。
具体的には中国が米国資本を使って軍事・諜報(ちょうほう)活動を進化させていると指摘した。資金調達手段として米国内外に上場する中国株を米国の投資家に販売し、中国株の株価指数やファンドへの組み入れを働きかけているとも主張。米投資家による中国の軍事関連・テック分野への投資制限の強化を検討すると明記している。
中国勢の米市場排除の観測は株価にも影を落とす。米市場で中国銘柄は米預託証券(ADR)として売買されている。主要な中国ADRの値動きを示す米ナスダックのゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は4月2日の相互関税発表後に急落し、ほかの主要な中国・香港株指数より戻りが鈍い。投資家は上場廃止リスクを意識する。
トランプ政権は1期目にも対中貿易戦争の激化後、中国企業を米市場から追い出そうと動いた。
米国投資家に中国軍と関係が深い中国企業の株式の購入を禁じる大統領令に署名し、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は中国の通信大手3社の上場廃止を決めた。米上場の中国企業の会計監査を強化する法律も成立し、米当局の「介入」を嫌った中国国有企業はバイデン政権時代にかけて全社が米市場から去った。
現状では、ネット通販大手のアリババ集団や検索大手の百度(バイドゥ)といった多くの民間企業は米上場を維持している。米議会の超党派諮問機関の米中経済安全保障再考委員会(USCC)によると、3月7日時点で中国企業286社が米の主要取引所に上場し、時価総額は計1.1兆ドル(約156兆円)にのぼる。
IPO3倍に
米調査会社ディールロジックによると、中国企業の米新規株式公開(IPO)も回復し、2024年は34件と2年前の3倍になった。25年も4月下旬で15件と勢いを保つ。
「中国企業は米国での資金調達もさることながら、国際的な財務・会計基準を満たすグローバル企業だとアピールするためNYSEやナスダックに上場している」。中国の動向に詳しい外交問題評議会(CFR)のゾンギュアン・ゾーイ・リュー氏は話す。
こうした動きは足元の米上場廃止リスクの浮上で一変しかねない。投資銀行TDカウエンは、トランプ政権が1期目に講じた大統領令の対象範囲拡大や会計監査の厳格化、「変動持ち分事業体(VIE)」と呼ぶ規制回避目的の海外上場スキームの禁止といった方法で中国勢の排除に動きうると予想する。
仮に実現すれば市場の大混乱は不可避だ。
大半の中国企業は香港市場に重複上場し、株取引ができなくなるわけではない。だが新興ネット通販「Temu」運営のPDDホールディングスや電気自動車(EV)の「Zeekr(ジーカー)」など米単独上場の企業には強力な売り圧力がかかる。重複上場組も米国で売買できなくなれば、投資家が運用対象から外すといった影響が出る。
ゴールドマンは米投資家が中国株への投資を禁止される「極端なシナリオ」だと、8000億ドル相当の中国株の売却ニーズが生じると試算する。中国勢の米国資産の報復売りも招き、米株3700億ドルと米債1.3兆ドルが売り圧力にさらされるとみる。
「実現可能性はゼロではないが低いだろう。大半の人が不公平だと感じ、米国の貿易交渉を助けるというよりも傷つける措置だ」。米投資顧問サミット・グローバル・インベストメンツの創業者、デービッド・ハーデン氏は語る。
米国が覇権を握る金融を武器に使うのは、現実的にはあり得ないのか。
22年にはウクライナに侵略したロシアに対し、ドル建て資産の凍結や国際決済網からの排除に動いた。当時との違いは日米欧が対ロで結束し、金融制裁も協調して実行した点だ。今はトランプ政権の仕掛ける貿易戦争に同盟国も困惑し、強硬策に国際的な理解が得られる可能性は低い。
CFRのリュー氏は「米国が中国株の上場廃止カードを近い将来に切ることはないとしても、手元には持ち続けるだろう」と指摘する。そして「米国がグローバルな株式市場での優位性を武器化したら、しっぺ返しを招きかねない」と警告した。さらなる米国資産売りを招く火種はくすぶり続ける。
(ニューヨーク=斉藤雄太)
金ほど上がらぬ銀、値差大きく 産業需要、米中摩擦が重荷(MarketSCOPE)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 10ページ 519文字 PDF有 書誌情報]
金(ゴールド)価格の上昇に比べ、銀(シルバー)の出遅れが目立つ。国際指標のニューヨーク先物(中心限月)の年初からの値動きは金が25%高に対し、銀が15%高にとどまる。銀は同じ貴金属の金と連動しやすい側面があるが、産業用需要も多く米中関税や景気懸念が重荷となっている。
金需要は現物や上場投資信託(ETF)など投資向けが大半だ。銀は太陽光発電や電子機器などの需要が約半分を占め米中摩擦や景況感の影響を受けやすい。金のニューヨーク(NY)先物は22日、初めて一時1トロイオンス3500ドルを超えた。
4月上旬に一時1トロイオンス30ドルを下回った銀のNY先物は33ドル近辺で推移する。市場規模が小さく値動きが荒くなりやすい銀だが、金ほど上昇していない。「割安感が目立つ際に資金が流入する程度で、相場が上に抜けるほどではない」(マーケットエッジの小菅努代表)という。
金は中央銀行が外貨準備の多様化に向け買い増しを続ける。トランプ米政権の発足以降は米国債回避の需要もある。マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎代表は「通貨として捉える動きが金価格を押し上げる独自要因だ」と指摘する。金と銀の価格差拡大はなお続く可能性がある。
World Market[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 10ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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米「アラスカLNG参画を」 関税巡る交渉、台湾前向き 採算疑問視、日韓は慎重[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1803文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美、台北=龍元秀明】関税を巡る米国との交渉で、アラスカの液化天然ガス(LNG)開発事業への関与が焦点になっている。トランプ米政権は日本、韓国、台湾に参画を求める。対中国で米国と協調したい台湾が前向きな一方、日韓は米国の出方をうかがう。
韓国の崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相と安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源相は24日、ワシントンで米通商代表部(USTR)のグリア代表やベッセント米財務長官と関税問題を協議した。
会談後の記者会見で安氏は「エネルギー分野を含む産業全般で協力の余地は幅広い」と米側に伝えたと説明した。
アラスカLNGについては「参入してもうまくいかなければ国家に大きな問題が生じかねない」と主張。「韓国だけで事業の妥当性を確保するのは難しい」と日本や台湾、ベトナムなどと足並みをそろえたいと語った。
アラスカのLNG開発事業は北極圏のガス田から1300キロメートルほどのパイプラインを設置し、南部に新設する液化プラントで年2000万トンのLNGを東アジアに出荷する構想だ。2030年代の稼働開始を見込む。
需要地である東アジアに近いのが強みで、出荷から到着まで1週間ほどと中東などからに比べて半分以下になる。東アジアにはLNG輸入で世界1位の中国、2位の日本、3位の韓国、6位の台湾と有望市場が並ぶ。
総事業費は440億ドル(6兆4000億円)にのぼり、インフレでさらに膨らむ可能性がある。米国はLNG消費国・地域に参画・購入を求める。第1次トランプ政権下では中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がアラスカを訪れ州政府とLNG開発を協議したが、米中の摩擦激化で交渉は立ち消えになった。
第2次トランプ政権が照準を合わせるのが日韓台だ。なかでも台湾が積極的な姿勢をみせる。公営の石油大手、台湾中油(CPC)は3月、アラスカ州ガスライン開発公社とLNG開発・購入に向けた基本合意書を結んだ。年600万トンの購入を検討する。
郭智輝・経済部長(経済相)は4月9日、LNG輸入に占める米国産比率を現状の1割から2~3割に高める考えを示した。中国の軍事的圧力が増すなか、LNG調達を通じて米台経済のつながりを強め、トランプ政権の関心をひき付ける狙いがある。
LNGにエネルギー源を依存する事情もある。台湾の電源構成に占める原子力発電の比率は09年に2割あったが、東日本大震災などを受けて脱却を進め、25年5月に台湾で最後の原発が稼働を停止する。LNG火力の割合は4割で上昇傾向だ。
米国は韓国に対しても関与を求める動きを強める。アラスカ州のダンリービー州知事が3月に訪韓し、安氏や崔氏と面会した。「韓国がアラスカのガス購入に合意してこそ関税を議論できる」と協力を求めた。
24日の米韓協議に向け、韓国は準備を続けた。参画する場合に主体となる韓国ガス公社は15日、アラスカのLNG開発を手がける米グレンファーンと会議し、現地の視察日程などを話し合った。
韓国では採算性を疑問視する声があがる。韓国政府系の研究機関は4月中旬、米国産LNGの報告書で、アラスカ開発事業のLNGはロシア産などに比べ割高だと指摘した。投資リスクの大きさから慎重論が根強い。
韓国は原発と再生可能エネルギーを増やし、石炭火力を段階的に減らす。LNGを温暖化ガス排出削減の切り札と位置づけ、備蓄を増やすため港湾にターミナルの建設を進めてインフラを整備してきた。
韓国ガス公社はLNG価格の上昇を料金に転嫁しきれず、24年末時点の負債総額が自己資本のおよそ4倍の47兆ウォン(約4兆7000億円)に膨らんだ。LNG輸入を独占してきた同公社の経営が振るわず、大型の長期契約を担うのは難しいとの指摘もある。
崔氏は15日に国会でアラスカのLNG開発事業が関税交渉のカードになるか問われ「もっぱら国益だけが判断基準だ」と米国の出方をうかがう姿勢を示した。
日本も「カードの一つとしてはありえるかもしれない」との認識を示すが、採算性が課題になるとの見方が出ている。
米ニューヨーク・タイムズによると、トランプ米大統領が設けた「国家エネルギー支配会議」は6月初旬、LNGに関する会合を計画している。その場で日韓に台湾と同様の基本合意書を交わすよう働きかけているといい、米国に踏み絵を迫られる可能性がある。
欧州・ウクライナ 停戦案報道 「強固な安全の保証」求める 米案と相違[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1037文字 PDF有 書誌情報]
ロシアとウクライナの停戦交渉を巡り、ロイター通信は25日、ウクライナと欧州諸国が米国に示した提案の内容を報じた。領土の交渉よりも停戦が優先事項だと主張した。米国などによるウクライナへの「強固な安全の保証」も求めた。
ウクライナに対して、領土などで譲歩を迫るトランプ米政権の仲裁案とは相違がある。
ロイター通信によると、ウクライナと欧州諸国は停戦合意が成立するまで、領土に関する詳細な議論は先送りにすると提案した。提案に、ウクライナ領をロシアが支配することを容認するような記述はないという。
米紙などによると、米国は17日にウクライナに示した仲裁案に、ロシアが2014年に一方的に宣言したウクライナ領クリミア半島の併合承認を盛り込んだ。ゼレンスキー大統領は「クリミアをロシア領と法的に認めることは憲法違反で、あり得ない」と拒否した。
トランプ米大統領はクリミア断念を拒むゼレンスキー氏の姿勢を「和平交渉に極めて有害」と批判する。トランプ氏は25日公開の米タイム誌のインタビューで「クリミアはロシアに残る」と述べた。ロシアによる侵略は、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を議論し始めたのが原因だとの考えを示した。
米ロはウクライナの頭越しに交渉を進めている。タス通信によると、米国のウィットコフ中東担当特使は25日、ロシアのプーチン大統領とモスクワで会談した。両氏の会談は11日に続き4回目。
これまでに報じられた米国の仲裁案にはロシアの主張に配慮した項目が並ぶ。ウクライナにNATOの加盟を断念するように要求し、対ロシア制裁の段階的な縮小なども検討しているもようだ。
ゼレンスキー氏は24日、訪問先の南アフリカで米国の仲裁案について「米国がロシアに対して強い圧力をかけているようには見えない」と不満を示した。
トランプ氏は停戦交渉の停滞にいら立つ。24日、自身のSNSでロシア軍によるウクライナ攻撃を批判し、プーチン氏を名指しして「止めろ」と迫った。停戦交渉に「期限がある」と記者団に語り、前向きに取り組むように双方に求めた。
記者団にプーチン氏が要求に応じない場合の対応を問われ「その質問には1週間以内に答えたい。ロシアには大きな圧力をかけている」と話した。ルビオ米国務長官は今週末に関係国と協議するとの見通しを示した。
トランプ氏は「ゼレンスキー氏との交渉の方が簡単だと思っていたが、現時点でより難しい」とも述べた。早期停戦の行方は一段と不透明感が増している。
トランプ氏に投票の有権者「最高の大統領だ」「関税痛み一時的」 支持脱落、10人中1人に満たず[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1026文字 PDF有 書誌情報]
トランプ氏は米大統領に再び就任した後、高関税や移民の強制送還などを打ち出し、世界経済と金融市場、米国社会を揺さぶった。2024年11月の大統領選でトランプ氏に投票した有権者はどう見ているのか。当時、出会った人々に聞いた。
「史上最高の大統領だ」。製造業で栄え「スチールバレー」と呼ばれたオハイオ州マホニング郡のジノ・ディファビオさんは切り出した。
かつては労働組合に所属し、民主党を応援したが、製造業の衰退を目の当たりにしてトランプ支持者となった。関税引き上げで株価が下落し「受け取る年金額が減少した」と妻や友人は不満を漏らす。それでも「(関税引き上げという)手術を受けると、完全に治るまで痛むことは分かっている」と意に介さない。
ミシガン州の元自動車メーカー勤務、エリス・ヴァン・フーシアーさんも「とても満足している」と話す。米中西部から東部にかけての「ラストベルト(さびた工業地帯)」で働き、輸入製品との競争で雇用が失われる様子を見てきた。関税の経済への影響は「あっても一時的」と楽観的だ。
「他人が侵入してくることはなくなった。いまはより安全だと感じる」。メキシコとの国境から数キロのテキサス州ウェスラコで、両親がメキシコ出身の移民2世、フアン・ベガさんは移民政策を高く評価した。経営する保険代理店に移民・税関捜査局(ICE)の捜査官が来るなど、取り締まり強化を実感している。
投票を悔やむ人もいる。アラブ人が多く住むミシガン州デトロイト郊外。IT(情報技術)企業に勤めるアハマドさんは中東のイエメン出身。投票したのは戦争を止めると約束したからだが「戦争は終わっていない。本当にひどい」と憤る。
イエメンでは米軍による空爆が続いた。「米国民の税金を使い、私の母国にこんなことをしているのを見るのはとても嫌だ」と嘆く。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏の支持率は株価急落で一時40%台前半まで低下したが、その後は40%台後半を回復した。大統領選の総得票率が49.8%だったことを踏まえると、脱落したトランプ支持者は10人中1人に満たない計算になる。
高関税でインフレや景気後退が深刻になれば、有権者が離れていく可能性もある。岩盤支持層がトランプ氏に力を与え、より大胆にさせてきたのだとすれば、ブレーキがかかるかどうかも支持者次第だ。
(朝田賢治、川上梓)
【図・写真】ディファビオさんはかつて民主党を支持していた(大統領選取材時に撮影)
米「アラスカLNG参画を」 関税巡る交渉、台湾前向き――経済安保・為替で協力案 米韓、4分野協議で合意[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 11ページ 685文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美】米韓両政府が24日にワシントンで開いた関税協議では、関税撤廃を視野に経済安全保障や為替の分野で具体的な協力案を協議することで合意した。
韓国側は経済協力への悪影響の懸念を伝え、追加関税の免除を求めた。対米輸出の主要品目である自動車と鉄鋼について重点的に説明した。
韓国は相互関税の上乗せ分の一時停止が終了する前の7月8日までに、関税撤廃に向けた「7月パッケージ」を用意する方針を示した。重点分野を(1)関税・非関税措置(2)経済安全保障(3)投資協力(4)通貨(為替レート)政策――の4つに絞り込むことで米国と合意した。
近く米韓で通商担当者の実務者協議を始めるほか、5月15日から韓国で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合でも追加協議する。為替政策については、財務担当省が別途協議することになった。
崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相は会談後、「両国間の認識を共有できた」と評価した。ベッセント米財務長官は「予想より早く進展している」と述べ、早ければ来週にもおおまかな理解を共有する合意に達する可能性があると明らかにした。
ベッセント氏は24日、加藤勝信財務相とも会談した。日本と韓国は対米貿易の構造が似通う。ほぼ同時期に対米交渉を始めた先頭集団として、交渉の参考にもなる。
韓国の対米交渉の重点分野には通貨政策が含まれた。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「ウォン安是正を目的とした協調介入は実現のハードルが高く、最終的には『過度なウォン安は容認しない』と圧力をかける程度で落ち着くのではないか」と話す。
インドとの貿易停止 パキスタン、テロ報復に対抗[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 11ページ 482文字 PDF有 書誌情報]
【ニューデリー=岩城聡】パキスタン政府は24日、インド北部の観光地パハルガムで起きたテロを受けたインドの報復措置に対抗し、インドとの全ての貿易を即座に停止すると発表した。カシミール地方の領有権を争う両国は非難の応酬を続けており、核保有国同士の緊張が高まっている。
パキスタンのシャリフ首相は24日、国家安全保障会議(NSC)を招集した。インドが23日に発表した国境封鎖や、ニューデリーに駐在するパキスタン軍関係者の国外退去といった措置を「一方的で不当な、政治的な動機に基づくもので極めて無責任だ」と非難した。
パキスタン上空をインドの航空会社の航空機が飛行することを禁じた。イスラマバードのインド高等弁務官事務所(大使館に相当)の軍関係者の国外退去も命じた。
パキスタンが最も反発しているのが、インドが決めたインダス川の水資源の配分を定めた条約の履行の即時停止だ。条約は1960年に世界銀行の仲介で、両国の間の水分配を取り決めた。
NSCは「パキスタンに帰属する水の流れを止めたり、迂回させたりするなどのいかなる試みも戦争行為とみなし全力で対応する」と警告した。
欧州・ウクライナ 停戦案報道――ロシア軍中将 車爆発で死亡 モスクワ郊外[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 11ページ 231文字 PDF有 書誌情報]
【モスクワ=共同】ロシア連邦捜査委員会は25日、モスクワ郊外で車が爆発し、ロシア軍中将のヤロスラフ・モスカリク参謀次長が死亡したと発表した。暫定捜査の結果、手製の爆発物が作動したのが原因だとした。ウクライナによる爆殺との見方も浮上している。
昨年12月にもモスクワ東部の住宅入り口付近で電動キックボードに仕掛けられた爆発物が爆発し、ロシア軍中将のイーゴリ・キリロフ放射線化学生物学防護部隊長とその補佐官が死亡した。ウクライナ治安筋は特殊作戦で殺害したと認めた。
百度「ディープシークより安く」 生成AI刷新、広告の苦戦補う 25~40%相当、巻き返し[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1781文字 PDF有 書誌情報]
【湖北省武漢=多部田俊輔】中国ネット大手の百度(バイドゥ)は25日、生成AI(人工知能)を支える基盤モデルを刷新すると発表した。新興のDeepSeek(ディープシーク)のモデルの25~40%に相当する低価格を実現したという。主力のネット検索の広告収入がAIアプリの台頭で落ち込んでおり、巻き返しを図る。
「ディープシークの40%相当の低価格を実現した」。百度が同日、湖北省武漢市で開いたAI開発者大会で、李彦宏(ロビン・リー)董事長兼最高経営責任者(CEO)は新しく開発した基盤モデル「文心大模型4.5ターボ」をアピールした。
3月中旬に発表したばかりの「文心大模型4.5」からコストを80%減らした。低コストで高性能な生成AIで注目を集めるディープシークが24年末に発表した基盤モデル「V3」と同等の性能で、40%程度の価格で企業向けに提供するという。
理解、計画、考察などの専門分野向けに推論能力を高めた基盤モデル「文心大模型X1ターボ」も発表した。同モデルについても、ディープシークが1月に発表した基盤モデル「R1」の25%の価格に設定。李CEOは「イノベーションの本質はコスト低減だ」と強調し、価格競争力で顧客を引き留める姿勢を鮮明にした。
いずれも顧客企業はAIに専門知識を学ばせたり仕様を変更したりすることで、社内の業務や顧客対応などの効率化に活用できる。百度はこれらの最新のAIを自動運転などの自社の事業に活用して競争力を高める狙いもありそうだ。
百度は3月下旬に対話型AIアプリを全面刷新していた。矢継ぎ早にAI分野の立て直しを図るのは、同社の収益を支えてきたネット検索サービスが、かつてない大きな壁に直面しているためだ。中国では規制当局が米国のグーグルなど有力ネットサービスを排除する「ネットの長城」を築き、百度は検索分野でトップを走ってきた。
ウェブ解析サービスのスタットカウンターによると、中国での3月のスマートフォンの検索シェアは百度が67%に達し、米マイクロソフトが手掛ける2位の「Bing(ビング)」(16%)を大きく上回る。
ただディープシークなど新たなAIサービスの台頭で状況は変わりつつある。中国メディアによると、米調査会社ガートナーは24年、百度のような伝統的な検索サービスの利用数は26年までに25%減り、AIなどにシェアを奪われると予測した。
実際、中国メディアの新浪科技が25年1月に中国のSNS「微博」(ウェイボ)を使って数百人に日常的に使う検索手段を調査したところ、59%がAI検索サービスと回答し、伝統的な検索サービスは22%に過ぎなかったという。
百度は危機感を強める。自社の検索サービスを土台に、利用者に対して外部企業の広告を表示して収入の柱としてきた。ただ多くの人がAIサービスを選び検索の利用頻度が減れば、収益基盤が根本から揺らぐ事態となり看過できない。
百度もAIについて手を打ってはきた。中国企業としてはいち早く23年に生成AIサービスの提供を始めた。ただ字節跳動(バイトダンス)やアリババ集団などの競合が追随し、23年設立のディープシークなど新興企業も急速に存在感を高めた。
中国の調査サイト「AI産品榜」によると、3月のAIサービスのアクセス数でディープシークは4億9400万回となり、首位を独走する。バイトダンスの「豆包(ドウバオ)」やアリババの「通義千問(Qwen)」にも先行され、百度のサービスは6位以下に沈んだ。
百度の24年12月期決算では、売上高全体の約6割を占めるネット広告中心のオンラインマーケティング事業が前の期比3%減り、全体の売上高も微減となった。AIを駆使する自動運転分野もまだ収益にはつながっていないとみられる。
百度は2000年設立で、中国の代表的なネット関連企業として激しい競争を生き残ってきた。25周年を迎えた25年初め、李CEOは「AI領域の競争は(過去の)どんな時よりも激烈で、我々が直面している困難はかつてなかった」と危機感を示した。今後も成長を続け中国のネット業界をけん引していけるのか。新たに打ち出したAIサービスがどこまで受け入れられるかが試金石となる。
【図・写真】百度の李CEOはディープシークに比べ低価格であることを強調した(25日、湖北省武漢市)
ストラテジック代表、親子上場 日産に足かせ 株主提案巡り[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1377文字 PDF有 書誌情報]
物言う株主(アクティビスト)のストラテジックキャピタル(SC、東京・渋谷)が日産自動車に株主提案した。親子上場を問題視し、株を持つ意味があるのかを毎年検証して結果を開示するよう求めた。25日にSCの丸木強代表が取材に応じ「日産車体が上場子会社でいることは日産のリストラの足かせになる」と指摘した。
丸木氏は野村証券に勤務後、1999年に村上世彰氏とともにファンドを立ち上げ、アクティビストの世界に身を投じた。2012年には自らSCを立ち上げた。ダイドーリミテッドや大阪製鉄、日本証券金融など中小型株を中心に投資し、活発に毎年株主提案をしている。
日産車体は親会社の日産が50%の株を持つ上場子会社。日産車体株の3.4%を持つSCは昨年も少数株主保護を要求する株主提案を出したが否決された。今年は日産車体ではなく、親会社の日産に株主提案をした。SCは去年、株主提案する権利がある株数だけ、日産株を購入済みだ。
丸木氏は「去年は少数株主の多くの支持をもらったが、日産の反対で株主提案は否決された。最大の議決権を持つ日産を動かさなければ意味がないと改めて感じた」と、今年は矛先を親会社の日産に向けた理由を述べた。
特に日産車体が日産に預け金や貸付金として会社の資金を提供していることを問題視する。「日産は業績不振で投資不適格に転落した。そんな会社に900億円もの資金を預けっぱなしというのは日産車体の株主として看過できない」と批判する。
日産車体は売り上げの大半が日産向けで、社長も日産出身者が就いている。日産の影響力が強く、少数株主がないがしろにされているという問題意識がある。
ガバナンス(企業統治)の透明性を高めるため、「本当は完全子会社化、吸収合併すべきだという株主提案をしたい。日産の一工場に過ぎない日産車体が上場すべきではないし、グローバル企業として恥ずかしい」と言う。
日産にとっても、日産車体が上場子会社でいることはデメリットだと主張する。日産は業績不振で一段のリストラが不可避だが「良識ある経営者ならば、日産車体の少数株主に気を使って(日産車体の)工場リストラをしにくい」とみる。日産車体が上場子会社でいることが「日産の経営立て直しの足かせになる」との見解だ。
SCは今年の株主総会のテーマの一つに、親子上場を含めた会社間の出資関係の見直しを掲げる。複数の上場子会社を抱える日本製鉄にも、日産同様の株主提案をしている。
日本では資本市場で批判が多い親子上場の解消が進み始めているが、「日立製作所やソニーグループはさっさと対応した。日本製鉄やGMOインターネットグループなど変わらないところは変わらない。対応は二極化している。株主に言われて変えたくない、という頑固な感じを受ける」とみている。
丸木氏は親子上場だけでなく、持ち分法適用会社も問題視する。「単なる業務提携ではだめなのか、資本を持っていないと取引や協力ができないというのはおかしい」と話す。
日産が三菱自動車を持ち分法適用会社にしていることについては「三菱自の株を持つ意味があるのか、投資リターンは上がっているのか、日産の取締役会は定期的に検証すべき」とも主張した。
(聞き手は編集委員 奥貴史)
【図・写真】「日産車体はリストラの足かせになる」と語る丸木代表(25日、東京都渋谷区)
京王「非鉄道」で稼ぐ 前期売上高 34年ぶり小田急逆転へ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 924文字 PDF有 書誌情報]
京王電鉄が2025年3月期連結業績で、営業収益(売上高に相当)が小田急電鉄を抜く見通しとなった。逆転すれば34年ぶり。両社は東京都を東西で結ぶ路線を抱え、新宿にターミナル駅を構える競合関係にある。不動産やホテルといった「非鉄道」事業の稼ぐ力が明暗を分けた。
「頑張ってきた成果が出ている」。京王の都村智史社長は不動産事業が収益の柱に育ったことに自信を深める。
京王は25年3月通期業績で、営業収益が前の期比15%増の4700億円、本業のもうけを示す営業利益が25%増の550億円を見込む。それぞれ2期連続で過去最高を更新する見通しだ。
対する小田急の業績見通しは営業収益が同3%増の4240億円、営業利益が微増の510億円、純利益が46%減の440億円。5月上旬に予定する決算発表において、京王が小田急を営業収益で逆転すれば1991年3月期以来となる。
要因は鉄道以外の事業強化にある。人口減で主力の運輸収入の先細りは避けられない。京王は25年3月期を最終年度とする中期経営計画で、販売用不動産の取得に計1385億円を投資する方針を掲げた。23年12月には富裕層向け分譲マンションに強みを持つサンウッドをTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化した。
こうした取り組みが奏功した。セグメント別の営業利益の構成比をみると、不動産事業は25年3月期に35%となったもようで、鉄道などの運輸(30%)を上回った。
一方、小田急は営業利益に占める交通業が5割以上と、京王電鉄(3割弱)より依存度が高い。沿線周辺には新百合ケ丘や海老名といった乗降客数が多い駅があり、開発余地が残る。30年度までに不動産事業で営業利益300億円を目指す。
京王にも課題は残る。3月には新宿駅西南口地区の再開発計画で南街区の工事完了時期を「28年度」から「未定」に変更した。新築工事の建設会社が決まらないためで、今後の業績に響く恐れがある。時価総額でも京王(約5千億円)と小田急(約5800億円)の差は大きい。
JPモルガン証券の姫野良太氏は「経営効率が悪い鉄道会社に対し、投資家からのプレッシャーが強まる」とみる。非鉄道事業の拡大に加え、株主の評価を高める施策が求められる。
ビンファスト赤字4200億円 前期最終 EV好調も販促費重く[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 815文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=新田祐司】ベトナムの電気自動車(EV)メーカーのビンファストが24日に発表した2024年12月期の連結決算は、最終損益が77兆ドン(約4200億円)の赤字だった。赤字額は前の期から17兆ドン膨らんだ。EVの販売台数は3倍近くに増えたが、販売促進のための費用などがかさみ収益が悪化した。
売上高は58%増の44兆ドンだった。EVの販売は9万7399台で、目標の8万台を上回った。24年に発売した小型EV「VF3」や「VF5」が好調だった。ベトナム国内でトヨタ自動車などを上回りブランド別でシェア首位になった。一方で顧客が無料で充電ステーションを利用できる取り組みなどの費用が膨らみ、利益を圧迫した。
25年のEV販売は20万台以上をめざす。VF3の販売が堅調に推移しているほか、複数の新型車種の投入を計画する。
25年内にはインドネシアとインドで、部品を輸入して完成車を組み立てるノックダウン方式の新工場を稼働させる予定だ。国内外の工場を合計した生産能力は、25年末までに現状の2倍の最大60万台まで増える見通し。
ビンファストのレ・ティ・トゥ・トゥイ会長は決算の説明会で、25年のEV販売台数について「海外市場が(全体の)10%以上になるとみている」と話した。
同社は米国でもEVを販売しており、トランプ米政権の高関税政策が逆風となる恐れがある。トゥイ氏は「すでに十分な在庫を輸出し、全体の販売台数に占める割合も4%にとどまる」ため、現時点では影響は限定的との見方を示した。米ノースカロライナ州で計画する新工場の建設は中断しているが、「米国の重要性は変わらない」(トゥイ氏)という。
ビンファスト創業者のファム・ニャット・ブオン氏は24日、親会社ビングループの株主総会でアジアのEV市場の開拓を優先する考えを強調した。米国市場については「急ぐ必要はない」と説明した。
【図・写真】小型EV「VF3」の売れ行きが伸びている
マルチ・スズキ最高益 前期最終 インドからの輸出けん引[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 612文字 PDF有 書誌情報]
【ムンバイ=岡部貴典】スズキ子会社でインド乗用車大手のマルチ・スズキが25日発表した2025年3月期の連結決算は、純利益が前の期比8%増の1450億ルピー(約2500億円)で過去最高を更新した。インドからの輸出が好調で国内販売の成長減速を補った。
売上高は8%増の1兆5291億ルピーだった。販売台数は過去最高の223万4266台で5%伸びた。このうち国内販売は3%増の190万1681台、輸出は18%増の33万2585台だった。
同社が得意としてきた小型車の販売は減った一方、近年人気の高まる多目的スポーツ車(SUV)を中心に消費者の需要を取り込み、売り上げを増やした。
同社のバルガバ会長は25日に開いた記者会見で、堅調な輸出が業績を支えたと強調した。26年3月期に向けて「輸出をさらに20%ほど増やすのが目標だ。これが生産や販売、利益の成長ドライバーとなる」と語った。
バルガバ氏はトランプ米政権による自動車関税の引き上げについて、同社は米国向けに輸出していないことを挙げて「影響を受けるとは思わない」と述べた。
インド自動車工業会(SIAM)が15日発表した24年度の新車販売統計によると、乗用車市場のシェアはマルチ・スズキが41%を占めた。首位の座は維持したものの前の年度よりおよそ1ポイント下落し、目標とする50%には及ばなかった。
【図・写真】EV「eビターラ」をインドから世界に輸出する(1月、ニューデリー)
BYD純利益2倍 1~3月 PHVが大幅増[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
【上海=田辺静】中国自動車大手の比亜迪(BYD)が25日発表した2025年1~3月期決算は、純利益が前年同期比2倍の91億元(約1800億円)だった。同期間の増益は5期連続。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の販売が増えた。為替差益を計上したことも増益に寄与した。
売上高は36%増の1703億元だった。売上高の8割を占める自動車関連事業が好調だった。自動車販売台数は60%増の100万台だった。乗用車でPHVが76%増の56万台と大幅に増えた。
同社は2月、主力ブランドの「海洋」「王朝」のほぼ全てにあたる21車種で、価格を上げずに運転支援機能を追加すると発表した。消費者への負担が少ない形で機能が向上し、支持を集めた。
乗用車の海外販売は2倍の20万台だった。為替による業績への影響が大きくなっているとみられ、為替差益の発生などが利益を押し上げた。
BYDは22日、4隻目となる自社専用の自動車運搬船が納入されたと発表した。9200台を積載できるという。中国メディアはBYDが25年の自動車販売を前年比3割増の550万台、海外販売は9割増の80万台とする目標にしたと報じた。
イオン系、清掃・警備員を遠隔管理 大阪万博向けアプリ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 390文字 PDF有 書誌情報]
商業施設の設備管理などを手掛けるイオンディライトは、大阪・関西万博向けに清掃や警備スタッフを遠隔管理するスマートフォンアプリを開発した。全地球測位システム(GPS)機能を使って約200人の場所をリアルタイムで把握し、作業内容を指示できる。従来の電話でのやり取りに比べて、作業時間を1割減らせる。
イオンディライトは大阪・関西万博会場での清掃や警備、監視業務を請け負う。今回導入したアプリはスタッフへの指示のほか、勤怠や作業報告、トイレットペーパーといった消耗品の在庫発注などを全てアプリ上で管理できる。急な清掃依頼が発生した場合は、最寄りの清掃スタッフを派遣することができ、作業の着手から完了までの時間を短縮できる。
イオンディライトは商業施設のほか、テーマパークの清掃業務も請け負っている。今後はテーマパークなど広大な屋外施設での清掃や警備業務にもアプリを活用していく計画だ。
韓国、マラソン熱でデジタル化(アジア便り)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 391文字 PDF有 書誌情報]
韓国でマラソンがブームだ。マラソン大会への参加者が増え、デジタルの活用で運営の効率化も進む。企業の協賛も増えブース出店や記念品の提供も活発だ。
ロッテグループは20日、高さ555メートルの「ロッテワールドタワー」を最上階の123階まで駆け上がる「垂直マラソン大会」を開いた。2017年に初開催し、延べ1万人以上が参加する名物行事になった。
ゼッケンについたチップで時間を計り、完走後すぐにスマートフォンのショートメッセージで記録が届く。ホームページで完走証や写真も見られる。ゼッケンを着けて立つだけで自分の記録が電光掲示板に出る撮影スポットも設けた。
業界団体によると韓国のフルマラソンは年間450大会を超え、マラソン人口は約600万人と直近5年間で1.5倍に増えた。「協賛企業のお土産が増えて楽しい」という参加者も多く、競技人口はさらに広がる可能性がある。
(ソウル=松浦奈美)
ダバオ産チョコレート(フィリピン) ドリアンに続く名産に(アジア発ヒット)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 357文字 PDF有 書誌情報]
フィリピン南部ミンダナオ島のダバオ市で、地元産チョコレートの人気が高まっている。生チョコやチョコドリンクなど商品の幅が広がり、ドリアンに続く地域を代表する土産品になりつつある。
ダバオ市中心部に店を構える「カカオカルチャー」は地元産カカオを使ったチョコの人気店の一つだ。生チョコはミルクや抹茶など好きな味を選べ、5つで150ペソ(約380円)。ホットチョコやカカオティーも楽しめる。
ダバオ地域のカカオ生産量は国内のおよそ8割を占める。カカオカルチャーは自社農園を持つほか小規模農家とも契約し、地元産カカオにこだわる。店舗も現時点でダバオだけ。フィリピン各地からチョコを求める人が訪れるという。
(マニラ=藤田祐樹)
【図・写真】「カカオカルチャー」は多彩なチョコのほかカカオの粉末なども販売する(3月、ダバオ市)
中国女性、家庭の負担重く(数字で読むASIA)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 12ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
中国国家統計局が満6歳以上の国民10万人超を対象に2024年実施した「全国時間利用調査」によると、仕事など有償労働に費やしている時間は男性が1日平均6時間44分、女性は5時間55分。男女差は49分だった。
一方で家事・子育てなど無償労働に費やしている時間は男性の1時間52分に対し、女性が3時間29分。男女差は97分に開く。女性のほうが家庭の運営負担が重い事実を映し出す。
負担の偏りは婚姻や出生数の減少に直結する問題だ。同時にフードデリバリーや時短家電といった家事の負担を軽減できるサービスや商品の成長余地が大きいことも物語る。
(大連=藤村広平)
キーエンス、海外に伸びしろ 4期連続最高益/売上高1兆円突破 強みの提案営業磨く[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1906文字 PDF有 書誌情報]
キーエンスが25日発表した2025年3月期の連結決算は、純利益が8%増の3986億円と4期連続で過去最高となった。売上高は9%増の1兆591億円で、初めて1兆円を超えた。成長をけん引するのは海外だが、同業と比べて海外売上高比率は低い。キーエンス流の提案営業を海外でさらに浸透させられるかが株価上昇の鍵になる。
米州やアジアでの販売が好調で、営業利益は11%増の5497億円だった。初めて5000億円に達し、営業利益率は11期連続で50%を超えた。
前身のリード電機を設立した1974年から50年がたち、売上高は1兆円の大台に達した。25年3月期の売上高内訳は国内が8%増の3727億円、海外は10%増の6863億円だった。海外比率は65%まで高まった。
キーエンスの本格的な海外展開の歴史は意外に浅い。2000年に社長に就任した佐々木道夫氏は、当時10%超だった海外売上高比率を50%に高める目標を掲げた。01年に中国、11年にインドやブラジル、14年にベトナムなどに次々と現地法人を設立した。
海外での人材採用も加速している。連結従業員数から、ほぼ国内に相当する単体を引いた従業員数は24年3月下旬に9244人と、3年前から6割増えた。
岡三証券の諸田利春シニアアナリストは「従業員数を急速に増やしたことで人件費も増加し、一時的に営業利益率は低下したものの、粗利率は過去最高水準でキーエンスの強みは薄れていない」と指摘する。海外での採用は一巡し、採用した従業員が利益創出に貢献していくとみられる。
海外にはまだ成長余地がある。キーエンスも含めて「FA(ファクトリーオートメーション)御三家」とされるファナックの海外売上高比率は86%(25年3月期)、SMCは80%(24年3月期)と先行する。
25日の決算記者会見でキーエンスの中田有社長は「我々の認知度は海外の方が低いのは事実。自然な形であれば徐々に海外の売上高シェアは上がっていく」と話した。岡三証券の諸田氏は「キーエンスの海外比率は80%まで高まる余地がある」とみる。
キーエンス流の営業術を海外に浸透させられるかが注目される。キーエンスの営業担当者は顧客が欲しがる商品をそのまま販売するのではなく、聞き取りなどコンサルティングを通じて実現したい目的を聞き出し、最適な商品の組み合わせを提案する。
購入後のフォローもきめ細かい。顧客企業のクボタの筑波工場(茨城県つくばみらい市)の担当者は、キーエンスの担当者が「複数の事業部あわせて週に1度は必ず訪問してくれる」と話す。
海外法人では基本的に現地で営業担当者を採用している。ただ日本国内と比べると営業ノウハウの浸透に時間がかかるケースもありそうだ。
キーエンスは通常、業績予想を開示しておらず、26年3月期も非開示とした。焦点となるのはトランプ米政権の関税政策だ。キーエンスは製品を主に日本と中国で生産しているものの、一時的に日本国内の倉庫に集めてから海外に輸出していることもあり「影響は限定的」(ゴールドマン・サックス証券の諌山裕一郎アナリスト)との見方もある。
間接的な影響はあるとみられる。トランプ関税による先行きの不透明さによって、キーエンスの顧客となる米製造業が設備投資を絞っているためだ。ゴールドマン・サックス証券の諌山氏は「米国企業は設備投資をいったん停止することが予想され、その分のマイナス面は織り込む必要がある」と指摘する。
ただ米国では人件費の高騰により工場の機械化需要も高まっている。キーエンス製品は製造ライン新設などの大規模な投資ではなく、既存ラインの改良で済むことも多い。大和証券の田井宏介チーフアナリストは「市場を自ら創出するキーエンスは他の企業と比べて顧客動向の影響は小さい」と指摘する。
課題は投資家からの評価だ。日経平均株価や同業他社よりも下落幅は小さいが、キーエンスの株価は1年前から5%ほど下がっている。市場からは「株主還元や投資単位の引き下げに期待したい」(大和証券の田井氏)との声も上がる。
東京証券取引所は、株式投資に必要な最低投資金額を10万円程度に引き下げるよう全上場企業に要請する。キーエンスの最低投資額は613万円(25日終値ベース)だ。投資単位の引き下げに踏み切れば、市場は好意的に反応しそうだ。
中田社長は25日の会見で株式分割の可能性について「高いイコール買いにくいとすればその通りだが、投資信託などの買い方も増えている。現時点で確定して言えることはない」と話した。
【図・写真】決算会見に臨むキーエンスの中田有社長(右)(25日、大阪市中央区)
セブン次期社長「世界で供給網見直し」 買収協議は言及せず[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 941文字 PDF有 書誌情報]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)のスティーブン・ヘイズ・デイカス次期社長が25日までに日本経済新聞などの取材に応じ、「世界でサプライチェーン(供給網)を見直す」と語った。カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けるなか、単独路線の成長に向けてコスト削減と質の高い商品供給を両立させる。
デイカス氏はACTとの買収協議の進捗に関する質問に対し、「特別委員会のメンバーを外れており、(ACTについて)言えることはほとんどない」と明確な回答を避けた。
セブンは協議を進める前提条件に米国の独占禁止法の解決を挙げている。両社は対応策の一環で、米国の約2000店の売却先を探している。デイカス氏は「実現できないものはディール(取引)でない」と述べた。
セブン単独による成長を続ける一環で、コンビニエンスストア専業化を進めている。デイカス氏はセブンの課題で「スピード感を高めること」を挙げた。日本で培った高品質の食品を海外店舗に広げていく。米国では日本企業がセブン向けの専用工場を増やしており、消費者ニーズに寄り添った商品を拡充して店舗売上高を伸ばす。
デイカス氏は「グローバル企業として、商品を運ぶ供給網が不十分だ」とも述べた。中でも米国では販管費が高いとの見解を示した。米ウォルマートやユニクロの良い点を見習いつつ、「供給網を見直し、コスト削減も図っていく」との考えを示した。具体的な内容への言及はなかった。
セブンは2030年度にグループ売上高を24年度比63%増の30兆円まで伸ばす計画だ。同期間で設備投資やM&A(合併・買収)に約3兆円を投じる方針だが、デイカス氏は「投資する内訳など詳細な内容は現時点で話せない」と述べた。今夏までに策定する新たな中期経営計画に盛り込む。
セブン&アイ株の24日の終値は2100円と24年末比で16%安の水準だ。デイカス氏は「サステナブル(持続可能)な成長できる会社をつくりたい。そうすれば未来は明るくなる」と強気な姿勢を貫いたが、供給網見直しや設備投資など成長戦略の具体論を自らの言葉で話さないままでは株主を振り向かせるのは容易でない。
【図・写真】インタビューに答えるデイカス次期社長(24日、東京都千代田区)
オリンパス、社長にホワイト氏 GE系幹部歴任[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 643文字 PDF有 書誌情報]
オリンパスは25日、6月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)にボブ・ホワイト氏(62)が就く人事を発表した。ホワイト氏は欧米の医療機器大手で幹部を歴任しており、現在は同じく大手の英スミス・アンド・ネフューの社外取締役を務める。業界に詳しい人材を外部から招き、前CEOの突然の退任で混乱した経営を立て直す。
竹内康雄会長兼社長兼CEO(68)は会長専従となる。違法薬物を譲り受け有罪判決を受けた前CEOのシュテファン・カウフマン氏が2024年10月に退任し、竹内氏が4月から暫定的に社長を兼務していた。
ホワイト氏は米国出身。医療機器大手の米GEヘルスケアの幹部を務め、同じく大手のメドトロニック(アイルランド)では日本を担当した。現在米国在住だが、グローバル本社がある東京に居住する予定としている。
竹内氏はホワイト氏について「ヘルスケア業界の世界的企業で培った豊富な経験を有している。幅広い知識と専門性をいかしてオリンパスに貢献してくれることを期待する」とコメントした。
オリンパスは24年11月にトップを選定する「アドバイザリー・サーチ・コミッティー」を設け、社内外から候補者探しを続けてきた。「医療機器業界における長年の経営経験と実績」や「多文化組織での企業変革・文化変革をけん引し成功させた経験」といった基準からホワイト氏を選んだ。
ボブ・ホワイト氏 85年(昭60年)米クリーブランド州立大卒。GEヘルスケア・テクノロジーズやメドトロニックで幹部を歴任。米国出身、62歳。
6G向け部品 村田製が量産 160億円投資[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 573文字 PDF有 書誌情報]
村田製作所は次世代通信規格「6G」でスマートフォンなどの通信に使う電子部品を量産する。石川県白山市の工場で近く生産を開始し、2028年までに164億円を投じて設備を増強する。多くのデータを計算処理する生成AI(人工知能)の普及などで、高速大容量通信がさらに広がるとみて商機をねらう。
中島規巨社長が日本経済新聞の取材に「通信の高速化で高周波の電波を使う部品の需要が高まっており、生産体制を立ち上げる」と話した。通信に必要な周波数を選ぶ部品「フィルター」の先端品を量産する。5~10ギガ(ギガは10億)ヘルツなど高周波に対応する「XBARフィルター」と呼ばれる製品で、6Gのほか、Wi―Fiの次世代規格で使われる。
石川県の工場で通信機器や自動車用の電子部品の製造棟の空きスペースを活用する。28年には生産能力を年4億8000万個まで高める。今回の事業は経済産業省から先端電子部品の安定供給に向けた計画として認定を受けた。国が総投資額の約3分の1にあたる最大54億円を助成する。
村田製は5Gなどで使われ、現在主流の3ギガヘルツ未満の周波数に対応する「SAWフィルター」で世界市場の5割を占める。生成AIのほか仮想化技術の発展などで、高速大容量通信の需要は高まることが予想される。22年に買収した米レゾナント(テキサス州)の部品設計技術も生かす。
NTT次世代通信「IOWN」 量子技術と連動めざす[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 535文字 PDF有 書誌情報]
【ストックホルム=林英樹】NTTなどによる次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」が新たな段階に入る。IOWNの普及を目指す国際団体の参加企業が連携し、量子コンピューターや正確な光格子時計などの量子技術を通信網に連動させる。高速大容量、低遅延、低消費電力という従来目標に加え、デジタルの領域を超える技術を第4の柱に据える。
IOWNは通信網から半導体内部まで光信号で情報を伝送する通信基盤だ。
NTTは2020年、ソニーグループや米インテルと技術開発や標準化を進める団体「IOWNグローバルフォーラム」を立ち上げた。
NTTが東京大学などと共同開発し300億年で1秒しか狂わない光格子時計との連動だ。フォーラム会長の川添雄彦・NTT副社長は25日までストックホルムで開かれた年次総会で日本経済新聞の取材に応じ「光格子時計をIOWNで伝送しあえれば、インターネットの世界で捉えられない情報を観測できる」と話した。
現実世界よりも時計の流れを早めれば「(現実世界をサイバー空間上に高精度で再現した)デジタルツインで未来予測も可能になる」という。量子コンピューターとIOWNの連動で、大がかりな冷却装置が不要になる。処理能力が向上し、量子コンピューターの実用化が一気に早まる。
荷積み時間、3割短縮 サントリー[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 514文字 PDF有 書誌情報]
サントリーホールディングス(HD)はトラック搬送で、荷役にかかる時間の短縮に取り組む。商品出荷量が同社最大級の長津田配送センター(横浜市)で自動搬送棚を導入し、平均積み込み時間を3割減らす。運転手不足が深刻になる中、無駄な待ち時間を減らして物流事業者の負担を抑える。
同社は25日、自動搬送棚を導入した長津田配送センターを報道関係者に公開した。同センターはビール「ザ・プレミアム・モルツ」「サントリー生ビール」のほか、「サントリー天然水」やコーヒー「BOSS」なども扱う。神奈川や静岡、山梨の各県への配送を担い、1日の平均出荷量は約8万ケースだ。
数億円を投じて豊田自動織機が設計した自動搬送棚2基を設置し、4月から本格的に稼働させた。自動搬送棚には27のスペースがあり、出荷予定の製品をピッキングした後、2次元コードで管理する「パレット」(荷役台)に載せ、搬送棚に投入すると指定のスペースに自動で搬送する。
これまではフォークリフトなどで積み込み前の仮置き場まで運んでいた。仮置き場スペースの不足などの課題があった。
自動搬送棚を導入後、仮置きのスペースが従来の2倍になったほか、積み込み前の搬送にかかる工数も1割削減した。
免税売上高 3年ぶり減 百貨店、3月10.7%マイナス[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 412文字 PDF有 書誌情報]
日本百貨店協会(東京・中央)が25日に発表した全国百貨店の3月の免税売上高(既存店)は前年同月比10.7%減の442億円で、22年3月以来3年ぶりに前年実績を下回った。好調だった前年の反動があったほか、世界経済の先行き不透明感も強まって高級ブランドなど高額品の販売が伸び悩んだ。
インバウンド(訪日外国人)の購買客数は13.4%増の51万5千人で、3月として過去最多を記録した一方、1人当たりの購買単価が21.3%減った。
同協会の西阪義晴専務理事は「為替や経済悪化懸念による消費マインドの低下がある」と分析した。国・地域別では中国客のシェア低下も見られるという。
全国の百貨店売上高(既存店)は2.8%減の4953億円で、2カ月連続で前年を割り込んだ。商品別では高級ブランドを含む身のまわり品(8.9%減)と衣料品(3.6%減)がそれぞれ2カ月連続でマイナスだった。化粧品は1.4%増と37カ月連続で前年実績を上回った。
5月電気代、東電など値下げ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 222文字 PDF有 書誌情報]
大手電力10社は25日、6月請求分(5月使用分)の家庭向け電気代を発表した。発電用燃料となる液化天然ガス(LNG)、石炭の価格下落を受け、関西、九州を除く8電力で値下げとなる。平均的な使用量で5月請求分よりも44~94円安くなる。政府は暖房需要の増える2~4月請求分に補助を出していたが、5月と6月請求分はいずれも補助はない。大手ガス4社も同日、原料価格に基づく6月請求分のガス代を発表した。平均的な使用量でガス代は18~24円値下がりする。
ヨーカ堂、大量閉店後初の出店[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 162文字 PDF有 書誌情報]
イトーヨーカ堂は25日、東京都小金井市に食品スーパーの新店舗を開業した。2月末までの約2年間で旧ヨーカ堂の店舗を計34店を閉鎖した経緯があり、構造改革後の初の新規開業となる。出店した地域は若いファミリー層を中心に人口が増えており、総菜や簡単に調理できる温野菜などを拡充。低価格のプライベートブランド(PB)商品を増やした。
アサヒ系、帝人目黒研究所を買収[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 160文字 PDF有 書誌情報]
アサヒグループ食品は25日、機能性食品素材を製造する帝人子会社の帝人目黒研究所(大阪市)を買収すると発表した。アサヒグループ食品は独自素材の「L―92乳酸菌」や「CP2305ガゼリ菌」を製造販売しているが、乳酸菌の培養は外部工場へ委託していた。買収により乳酸菌の培養技術の内製化を進め、将来的な生産能力の拡充を目指す。
外食売上高、3月7%増[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 144文字 PDF有 書誌情報]
日本フードサービス協会(東京・港)が25日発表した3月の外食売上高(全店べース)は前年同月比7%増だった。プラスは40カ月連続。歓送迎会や春休み期間の家族利用が増えた。インバウンド(訪日客)需要も取り込んだ。客数は2.5%増だった。訪日客数が3月として過去最高を更新したことが影響した。
味の素AGFがコーヒーサブスク[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 137文字 PDF有 書誌情報]
味の素AGFは25日、コーヒースティックなどを定期配達する新サービスを始めると発表した。在宅勤務が多い消費者向けで、自社商品をセットにして売り込む。アンケートに基づいて商品構成も変更する。ライフスタイルや嗜好に合わせたサービスを増やすことで、消費者との接点を増やしていく。
エン・ジャパン、「エン」に社名変更[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 130文字 PDF有 書誌情報]
エン・ジャパンは25日、10月に社名を「エン」に変更すると発表した。理由について「グローバル企業の日本拠点と誤解されることが少なからずあり、それを解消するため」とした。6月24日の定時株主総会で承認を諮る。日本発のグローバル企業としてのブランド確立を目指す。
サムスン、低関税国で生産へ スマホ・家電、海外拠点使い分け(トランプ2.0ビジネス大転換)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1155文字 PDF有 書誌情報]
韓国のサムスン電子がトランプ米政権の関税政策に身構えている。主力のスマートフォンや家電で米国向けの販売規模が大きい一方、生産拠点は米政権が高関税を課す東南アジアなどに集中するためだ。世界20カ国・地域以上にまたがる工場を使い分けながら、中国事業もてこ入れし、リスクの分散を急ぐ。
「米国政府の関税政策を鋭意注視し、直ちに対応するために努力している」。サムスン幹部はトランプ関税への備えを強調してきた。ただトランプ氏が2日に相互関税の税率を公表した後、同社の株価は急落した。主要生産拠点を置くベトナムの関税率が46%と想定を超えて高かったためだ。
韓国のDS投資証券は「スマホや家電の事業に米国の関税政策が直接的な影響を及ぼす可能性がある」と指摘。9日に相互関税の90日間停止が発表された後に株価は持ち直したが、なお低水準で推移している。
サムスンの24年の売上高(単体)は約20兆円で、このうち9割超を海外が占めた。地域別では中国が31%と最大で、北米と南米をあわせた米国地域が29%と続いた。
工場も世界各地で運営し、なかでも人件費の低い東南アジアや南米などに主要拠点を持つ。スマホの大半はベトナムやインド、テレビは主にメキシコで生産する。
新興国でコストを抑えながら生産し、米国などで製品を販売するサムスンの戦略はこれまで成果を収めてきた。米調査会社トラックラインによると、冷蔵庫や洗濯機など家電の売上高でサムスンの米国シェアは23年に21%と首位だった。米国ではスマホでも台数ベースで首位の米アップルに次いで2~3割前後のシェアを保っている。
トランプ関税は、こうしたサムスンの成功の方程式を覆しかねない。
サムスンは相対的に関税が低い地域への生産シフトを模索する。テレビなどを統括する映像ディスプレー部門の龍錫雨(ヨン・ソクウ)事業部長は、「世界の製造拠点10カ所ほどを使い分けてリスクに対処する」と説明する。米国内やブラジルでの生産拡大を検討しているとみられる。
中国市場にも目を向ける。韓国や中国のメディアによると、サムスンの李在鎔(イ・ジェヨン)会長は3月末、2年ぶりに訪中した。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と外国企業トップの会談に参加したほか、自動車大手の比亜迪(BYD)やスマホ大手の小米の拠点も訪問し、電子部品の「トップセールス」に励んだという。
サムスンは80年代から海外での事業展開を本格化し、韓国を代表するグローバル企業として成長を続けてきた。それだけにトランプ関税の影響は競合よりも大きくなる恐れがある。保護主義の時代に突入するリスクが高まるなか、サムスンは世界で築き上げた販売網や生産網をどう組み替えて対応するのか、市場は注視している。
(ソウル=松浦奈美)
=随時掲載
ニアミー 高原社長(ニュース一言)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 178文字 PDF有 書誌情報]
終電後の駅ではタクシー待ちの列ができる。相乗りタクシーで安く帰宅できれば、手ごろなホテルが少ない都市部でも終電や終バスを気にせず過ごせる。
相乗りタクシーを手掛けるニアミー(東京・中央)は駅に集まる人を狙って、重点配車したり、アプリ上で利用を促す通知を出したりといったサービスの改良を検討する。高原幸一郎社長は「電車の乗降データも活用したい」と意気込む。
モリタホールディングス 加藤雅義氏(新トップ)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 132文字 PDF有 書誌情報]
◇モリタホールディングス
加藤 雅義氏(かとう・まさよし)92年(平4年)久留米工業大工卒、森田ポンプ(現モリタホールディングス)入社。22年モリタ社長、24年モリタホールディングス取締役執行役員。大阪府出身。55歳
(6月20日社長就任。金岡真一社長は副会長に)
和井田製作所 和井田光生氏(新トップ)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 114文字 PDF有 書誌情報]
◇和井田製作所
和井田 光生氏(わいだ・みつお)69年(昭44年)成城大経卒、山善機械器具(現山善)入社。95年和井田製作所取締役、06年社長、22年会長。岐阜県出身。78歳
(6月24日社長就任、会長を兼務。森下博社長は退任)
トオカツフーズ 河田篤治氏(新トップ)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
◇トオカツフーズ
河田 篤治氏(かわだ・あつじ)90年(平2年)中大商卒、日清製粉(現日清製粉グループ本社)入社。24年トオカツフーズ副社長。岡山県出身。58歳
(6月30日社長就任。池田晋一社長は取締役に)
ブルボン 吉田匡慶氏(新トップ)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 13ページ 102文字 PDF有 書誌情報]
◇ブルボン
吉田 匡慶氏(よしだ・まさよし)05年(平17年)明治大経営卒、日本アジア投資入社。20年ブルボン執行役員、24年代表取締役専務。43歳
(6月27日社長就任。吉田康社長は代表権のある会長に)
伊藤園(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 839文字 PDF有 書誌情報]
伊藤園
(5月1日、Gはグループ、Mはマネジャーの略)GシステムDX本部長、副社長兼執行役員兼CDO営業統括本部長本庄周介
▽G経営推進部・サプライチェーン戦略部担当、取締役兼専務執行役員神谷茂
▽CFO(コンプライアンス担当)取締役兼専務執行役員兼CHRO管理本部長平田篤
▽執行役員管理本部副本部長兼広報(伊藤園産業取締役管理)福島雅人
▽執行役員、生産本部副本部長永田幸三
▽専務執行役員(常務執行役員)関西地域営業本部長吉田秀樹
▽同(同)中部地域営業本部長佐々木貴浩
▽常務執行役員(執行役員)生産本部副本部長岡野敏之
▽コンプライアンス担当(サステナビリティ推進)常務執行役員管理本部副本部長兼法務・新井毅
▽GシステムDX本部副本部長兼DXセキュリティ推進(管理本部副本部長兼広報)三好正記
▽サプライチェーン戦略(総合企画)羽鳥雅春
▽抹茶事業部長(飲料)横道泰隆
▽東京・南関東地域営業本部副本部長(関西量販店)薬師神繁明
▽神奈川東地区営業(堺支店長)堺亮磨
▽兵庫地区営業(北・東関東量販店)渡辺和夫
▽北・東関東量販店(兵庫地区営業)石井裕明
▽北・東関東拠点管理、加治木浩則
▽関西量販店、堀浩士郎
▽統括運営管理、岩本兼六
▽統括販売管理、林美左子
▽事務オペレーション、成瀬豊
▽人事、岡健太郎
▽サステナビリティ推進、鈴木和志
▽財務経理、西勉
▽販売促進、田中晶子
▽センター物流、大久保吉晴
▽総合企画(財務経理)佐藤規夫
▽飲料(新カテゴリー創造GブランドM)小林素子
▽第一製造、伊藤貴章
▽生産本部管理(伊藤園関西茶業管理)小暮隆之
▽生産計画、大見浩朗
▽リーフブランドGブランドM、鍋谷卓哉
▽緑茶ブランドGブランドM(リーフブランドGブランドM)吉田達也
▽コーヒー・エビアン・炭酸ブランドGブランドM(コーヒー・炭酸・水ブランドGブランドM)相沢治
▽野菜・果汁・乳酸菌ブランドGブランドM(野菜・果汁・乳酸菌・機能性・フードブランドGブランドM)山口哲生
▽新カテゴリー創造GブランドM、塚本働
きんでん(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 802文字 PDF有 書誌情報]
きんでん
(4月25日)国際事業本部長、常務執行役員首都圏事業部長榎本謙司
(6月25日)代表取締役兼経営執行役員副社長(副社長)東京本社代表兼東京営業本部長林弘之
▽経営執行役員常務(常務執行役員)取締役伊崎幸治
▽取締役、石原美幸
▽顧問(取締役兼専務執行役員電力本部長兼安全衛生環境室担当)西村博
▽経営執行役員副社長大阪営業本部担当(同兼専務執行役員大阪営業本部長)佐藤守良
▽経営執行役員専務(同兼常務執行役員)福田隆
▽同(同兼常務執行役員)技術企画室長兼情報通信本部長堀切正則
▽経営執行役員常務(同兼常務執行役員)技術本部長吉増憲二
▽退任(取締役)森川桂造
▽経営執行役員常務大阪営業本部長(専務執行役員大阪支社長)島田守
▽同営業担当(常務執行役員)国際事業本部長兼首都圏事業部長榎本謙司
▽同電力本部長兼安全衛生環境室担当(執行役員神戸支店長)垣内康男
▽常務執行役員(執行役員)小寺正憲
▽同(同)経理・吉原紳悟
▽同(同)佐藤友昭
▽同(同)滋賀支店長岡井克之
▽同(同)東関東支社長末次好英
▽同(同)中部支社長鷲田勇二
▽同(同)東北支社長及川正記
▽執行役員、東京営業本部副本部長兼営業第一兼開発営業・米倉康之
▽同、電力本部副本部長兼業務企画・毛利幸博
▽情報セキュリティ・DX推進担当(経営企画)執行役員西田正郁
▽執行役員、秘書部長堀田昇英
▽同、総務法務・小林広明
▽同、業務監理室長林之恭
▽同神戸支店長(神戸支店副支店長兼施工)田野貞雄
▽同和歌山支店長(和歌山支店副支店長兼業務)羽原俊哉
▽同大阪支社長(大阪支社副支社長)営業・高原英明
▽同四国支社長(大阪営業本部営業第三)新井達也
▽東京営業本部副本部長、営業第三・魚谷昇
▽技術本部副本部長(大阪支社副支社長兼安全品質保証)平沢利明
▽和歌山支店副支店長(大阪営業本部営業第一)松穂文人
▽経営企画、加藤岡正智
▽大阪営業本部営業第一、奥村孝
▽同営業第三、島田英陽
ニデック(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 351文字 PDF有 書誌情報]
ニデック
(5月1日、SLはソリューションの略)技術戦略企画部担当(知的財産部担当)専務執行役員兼最高技術責任者戒田理夫
▽経営企画部担当、常務執行役員兼最高財務責任者佐村彰宣
▽半導体インテリジェンス(SL企画・戦略)常務執行役員兼副最高技術責任者半導体SLセンター所長大村隆司
▽総務・サステナビリティ推進部担当(総務部担当)執行役員兼最高コンプライアンス責任者兼最高人事責任者南井正之
▽技術戦略企画、生産技術研究所副所長豊嶋直穂子
▽半導体SLセンター半導体SL開発(SL第1兼技術インテリジェンス)石森義則
▽製品技術研究所研究第2(研究第4)井上旭
▽同研究第1(研究第2)上田智哉
▽総務・サステナビリティ推進(総務)大山直子
▽製品技術研究所研究第3(研究第5)花野雅昭
▽同研究第4(研究第6)和田浩典
日東電工(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 341文字 PDF有 書誌情報]
日東電工
(6月20日)上席執行役員基盤機能材料事業部門長(執行役員情報機能材料事業部門副部門長)金川仁紀
▽同EMEA副エリア長兼NittoEMEA取締役(同ICT事業部門長)杉野洋一郎
▽北・南米エリア長兼Nitto代表取締役(基盤機能材料事業部門長)執行役員吹田真悟
▽アドバンストフィルムソリューション事業部長(調達本部長)同松本純一
▽ヒューマンライフソリューション事業部門長、執行役員メンブレン事業部長片山博之
▽全社技術部門研究開発本部長兼デジタル推進本部長(IT本部長兼業務改革本部長)執行役員中村圭
▽執行役員SCM本部長(情報機能材料事業部門製造統括本部長)高橋直樹
▽同ICT事業部門長、モバイル回路材事業部長大藪恭也
▽同情報機能材料事業部門副部門長、事業統括本部長河内慎
日本エスコン(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 295文字 PDF有 書誌情報]
日本エスコン
(4月25日)専務執行役員(常務執行役員)開発事業本部長江頭智彦
▽常務執行役員(執行役員)名古屋支店長水野谷明
▽上席執行役員(同)北海道支店長加藤嘉朗
▽同経営企画本部副本部長(同財務経理)財務・若山勝志
▽コーポレート本部長(経営企画本部副本部長)執行役員内藤聖健
▽同本部副本部長兼人事兼広報(管理本部管理)同中堂薗芽美
▽執行役員コンプライアンス、管理本部副本部長坪内優和
▽戦略事業本部長、海外事業部長熊木徹
(6月25日)取締役コンプライアンス担当、執行役員管理本部副本部長兼コンプライアンス・坪内優和
▽取締役、JR東海取締役木場弘子
▽退任(取締役)松沢光彦
▽同(同)川島敦
池田泉州銀行(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 287文字 PDF有 書誌情報]
池田泉州銀行
(6月25日)会長(頭取兼CEO)鵜川淳
▽頭取兼CEO(取締役兼専務執行役員)阪口広一
▽副頭取(同兼専務執行役員)塚越治
▽専務執行役員(常務執行役員)取締役藤原孝嘉
▽取締役、常務執行役員篠原共幸
▽同、執行役員山本哲生
▽同(監査役)田中和幸
▽同、杉山健博
▽同、坂田信以
▽特別顧問(会長)太田享之
▽監査等委員会事務局長(監査役)平松勝己
▽退任(取締役)入江努
▽同(同)中川喜博
▽同(監査役)堀内修
▽同(同)福田健次
入江氏は池田泉州キャピタル社長に就任する
常務執行役員(執行役員)飯室良一
▽同(同)乾正英
▽同(同)上林康二
▽同(同)土岐隆宏
▽執行役員、西山伸一
池田泉州ホールディングス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 286文字 PDF有 書誌情報]
池田泉州ホールディングス
(6月25日)会長(社長兼CEO)鵜川淳
▽執行役社長兼CEO(専務執行役員)取締役阪口広一
▽執行役副社長(同)同塚越治
▽取締役兼執行役専務(常務執行役員)藤原孝嘉
▽取締役、坂田信以
▽同、福田健次
▽同、山村輝治
▽執行役専務(取締役兼専務執行役員)和田季之
▽執行役常務(常務執行役員)松下恭子
▽同(同)篠原共幸
▽同(執行役員)飯室良一
▽執行役(同)西川章
▽同(同)永井一生
▽同(同)成田敬宣
▽同(同)米本哲志
▽監査委員会事務局長(監査役)有元英也
▽退任(会長)太田享之
▽同(取締役)中川喜博
▽同(監査役)前野博生
▽同(同)森信静治
▽同(同)中西孝平
愛媛銀行(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
愛媛銀行
(6月27日)副頭取(専務)豊田将光
▽専務(常務)矢野紀行
▽常務(常務執行役員)松井宏治
▽同(同)向井正知
▽取締役、服部守親
▽常勤監査役(監査)黒河勝久
▽監査役、児玉光載
▽退任(専務)松木久和
▽同(常務)仲本範之
▽同(取締役)真鍋正臣
▽同(常勤監査役)小網強史
▽同(同)安部和彦
松木氏は愛媛パートナーエージェント社長、愛媛ビル社長、仲本氏は愛媛ジェーシービー社長に就任する
常務執行役員(執行役員)佐々木哲也
▽同(同)中村哲也
▽同(同)渡辺義人
▽同(同)月岡純
▽執行役員、渡辺稔
▽同、伊東秀訓
▽同、明賀洋志
▽同、田原隆史
CIJ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 259文字 PDF有 書誌情報]
CIJ
(7月1日)第一プライムビジネス事業部第二プライムソリューション(第一プライムソリューション)執行役員第一プライムビジネス事業部長河原啓
▽社会基盤・金融ビジネス事業部長(社会基盤ビジネス事業部長)執行役員横井大輔
▽第一プライムビジネス事業部副事業部長兼第一プライムソリューション(第二プライムソリューション)野村祐宗
▽ADM本部総務人事、早崎文力
▽社会基盤・金融ビジネス事業部第二サービス・ソリューション、伊藤孝朗
▽同第三サービス・ソリューション(社会基盤ビジネス事業部第二サービス・ソリューション)磯矢大介
合同製鉄(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 179文字 PDF有 書誌情報]
合同製鉄
(6月24日)常勤監査役(経営企画部担当部長)福田隆樹
▽退任(常勤監査役)神内信和
▽執行役員大阪製造所副所長兼技術管理(トーカイ取締役工場長)宮川賢二
▽同船橋製造所副所長兼技術管理兼製造(朝日工業取締役生産統括部長)高宮仁成
▽常務執行役員営業総括部長(執行役員線材営業)形鋼営業・桜木健二
▽常務執行役員(同大阪製造所技術管理)大阪製造所長有働由幸
神鋼商事(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 171文字 PDF有 書誌情報]
神鋼商事
(6月25日)金属本部鉄鋼ユニット管掌(鉄鋼ユニット長)代表取締役兼専務執行役員西村悟
▽機械・溶接本部長、取締役兼常務執行役員機械ユニット長浦出信次
▽常務執行役員(執行役員経営企画兼新事業推進室長)取締役高橋淳
▽金属本部鉄鋼ユニット長(鉄鋼ユニット担当)常務執行役員三原雄二
▽常務執行役員(執行役員)金属本部原料ユニット長刈込光晴
関東電化工業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 167文字 PDF有 書誌情報]
関東電化工業
(6月27日)サステナビリティ推進室・法務・総務部・広報・IR室・人事部・業務サポート室担当、取締役兼常務執行役員新美和生
▽事業本部長(技術本部副本部長兼脱炭素・品質保証担当)上席執行役員大矢浩三
▽執行役員経理財務(事業本部管理)高田俊一
▽人事兼業務サポート室長(資材)徳升聡司
▽資材(人事兼業務サポート室長)吉田晴重
モリタホールディングス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 150文字 PDF有 書誌情報]
モリタホールディングス
(6月20日)副会長(代表取締役兼社長執行役員)金岡真一
▽代表取締役兼社長執行役員(取締役兼執行役員グループコーポレート本部副本部長兼経理財務部・人事部担当)加藤雅義
▽副社長執行役員(執行役員)取締役グループ戦略本部長福西宏之
▽監査役、矢野奈保子
▽退任(常勤監査役)浅田栄治
ダイセル(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
ダイセル
(5月1日)マテリアルSBU担当、専務執行役員事業支援本部長杉本幸太郎
▽セイフティSBU担当、同生産本部長川口尚孝
▽SCM本部担当、常務執行役員事業支援本部副本部長兼グループガバナンス・財務統括部長根本洋一
(6月1日)マテリアルSBUケミカルBU長、マテリアルSBU副SBU長坂東研
西松建設(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
西松建設
(6月下旬)取締役IR担当、専務執行役員管理統括室長渋井修
▽取締役、常務執行役員経営戦略室長浜崎伸介
▽同、菊地美佐子
▽顧問(代表取締役)河埜祐一
▽同(取締役)高瀬伸利
▽同(同)沢井良之
▽専務執行役員(取締役兼専務執行役員)浜田一豊
▽退任(取締役)松坂英孝
▽同(同)鈴木乃里子
YKKAP(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 136文字 PDF有 書誌情報]
YKKAP
(5月1日)感性工学研究所長(商品開発本部長)専務執行役員姫野賢
▽常務執行役員商品開発本部長(ビル商品開発)合林勝則
▽商品開発本部ビル商品開発、酒井順也
(6月10日)取締役、大谷裕明
▽同、本田聡
▽監査役、大谷渡
▽退任(取締役)猿丸雅之
▽同(監査役)永田清貴
ニチレキグループ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 125文字 PDF有 書誌情報]
ニチレキグループ
(6月27日)常務上級執行役員(上級執行役員)安全品質環境兼コーポレート本部副本部長兼情報システム兼事業戦略本部副本部長兼物流企画・寺田実
▽同(同)事業戦略本部副本部長兼デジタル改革戦略・近藤成則
▽上級執行役員(上席執行役員)王平
鈴与(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 113文字 PDF有 書誌情報]
鈴与
(5月1日)ソリューション開発室担当、専務ロジスティクス事業本部長西ケ谷嘉明
▽物流企画室・マーケティング室担当(営業企画室担当)取締役野村博
▽ソリューション開発室長(営業企画室長)大塚大輔
▽マーケティング室長、千葉和也
古河電池(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 112文字 PDF有 書誌情報]
古河電池
(6月24日)取締役兼常務執行役員(執行役員)産業機器事業本部長外崎直人
▽同兼執行役員戦略企画本部長(戦略企画本部副本部長)小林慶太
▽ESH本部長(取締役戦略企画本部長)常務執行役員清水信明
▽退任(取締役)千葉徹
東洋紡(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 103文字 PDF有 書誌情報]
東洋紡
(6月下旬)取締役、ダイフク取締役神崎夕紀
▽同(常勤監査役)田保高幸
▽同(監査役)入江昭彦
▽同(同)新免和久
▽常務執行役員(取締役兼常務執行役員)稲田武彦
▽退任(取締役)磯貝恭史
▽同(同)桜木君枝
パナソニック(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 102文字 PDF有 書誌情報]
パナソニック
(5月1日)中国・北東アジア社監査役員兼くらしアプライアンス社監査役員兼コールドチェーンソリューションズ社監査役員、斉藤宏
▽くらしアプライアンス社副社長(くらしアプライアンス社常務)藤本勝
ティラド(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 96文字 PDF有 書誌情報]
ティラド
(5月1日)顧問(常務執行役員調達管掌兼調達本部長)岩崎智
▽調達管掌兼調達本部長、常務執行役員生産本部長浦野浩和
(6月24日)常勤監査役(顧問)岩崎智
▽退任(常勤監査役)金井典夫
三晃金属工業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
三晃金属工業
(6月27日)取締役、花里利一
▽常勤監査役、堀江秀明
▽相談役(取締役相談役)佐藤宏明
▽顧問(常任監査役)古田陽一
▽常務執行役員製造技術(監査役)渡辺勉
▽退任(取締役)高山英幸
中外製薬(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 94文字 PDF有 書誌情報]
中外製薬
(7月1日)信頼性保証ユニットクオリティ推進、山崎明子
▽研究本部創薬企画推進(ChugaiPharmabodyResearch取締役兼CEO兼ResearchHead)嶋田英輝
ティーケーピー(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
ティーケーピー
(5月30日)取締役兼COO、長尾宗尚
▽取締役、小林栄三
▽同(常勤監査役)曽我部義矩
▽同(監査役)長与明子
▽同(同)古瀬智子
▽退任(取締役)渡辺康平
▽同(同)辻晴雄
クレハ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
クレハ
(5月1日)PGA事業管掌、取締役兼常務執行役員高機能製品事業部長田中宏幸
(6月下旬)取締役、西尾啓治
▽監査役、吉田麗子
▽退任(取締役)戸坂修
▽同(監査役)奥野克男
森永乳業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
森永乳業
(5月1日)コーポレート戦略本部法務知的財産、小野賢一
(6月1日)研究本部食品機能研究所長(基礎研究所長)執行役員田中美順
▽同バイオティクス研究所長、小田巻俊孝
ブルボン(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
ブルボン
(6月27日)会長(社長)吉田康
▽社長(専務)吉田匡慶
▽国際経営計画推進担当、常務兼執行役員井手規秀
▽取締役、執行役員チャネル営業・高橋久宣
▽退任(常務)大竹一弘
旭コンクリート工業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
旭コンクリート工業
(6月26日)人事、取締役総務・大舘一夫
▽取締役、島田知子
▽常勤監査役、野村公康
▽監査役、小畠明
▽同、吉田正史
▽退任(監査役)福田康昭
▽同(同)二宮照興
ひらまつ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 86文字 PDF有 書誌情報]
ひらまつ
(6月25日)CEO、社長三須和泰
▽取締役兼COO(上席執行役員事業統括本部長)服部かおり
▽取締役、勝丸千晶
▽同、三上秀樹
▽退任(取締役)韓俊
▽同(同)笹尾佳子
和井田製作所(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 80文字 PDF有 書誌情報]
和井田製作所
(6月24日)会長兼社長(会長)和井田光生
▽取締役管理本部長兼経営企画、法務・上小家崇
▽取締役、中屋利洋
▽退任(社長)森下博
▽同(取締役)渡辺一
朝日広告社(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 72文字 PDF有 書誌情報]
朝日広告社
(6月27日)取締役、奥田東
▽監査役(取締役兼上席執行役員統合マーケティングコミュニケーション統括)清水浩
▽退任(監査役)和田好弘
ポケットカード(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 72文字 PDF有 書誌情報]
ポケットカード
(5月1日)執行役員経営管理本部長補佐、竹内功二
(5月27日)取締役、執行役員竹内功二
▽執行役員(取締役兼執行役員)野崎勝久
JCRファーマ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 70文字 PDF有 書誌情報]
JCRファーマ
(6月25日)監査役、三津家正之
▽同、深山美弥
▽退任(監査役)山田一彦
▽同(同)宮武健次郎
▽同(同)小村武
▽同(同)谷修一
秋田銀行(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
秋田銀行
(6月25日)取締役、常務執行役員保坂英明
▽相談役(会長)新谷明弘
▽退任(取締役)三浦寛剛
三浦氏は秋田共立社長に就任する
オリンパス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 66文字 PDF有 書誌情報]
オリンパス
(6月1日)執行役会長(執行役会長兼社長兼CEO)取締役兼ESGオフィサー竹内康雄
▽執行役社長兼CEO、ボブ・ホワイト
IHI(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 65文字 PDF有 書誌情報]
IHI
(5月1日)事業開発統括本部事業開発部事業戦略グループ長、事業開発部次長中村太一
▽同企画管理部管理グループ長、中村興一郎
YKK(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 65文字 PDF有 書誌情報]
YKK
(6月27日)取締役、執行役員副社長事業戦略本部長敷田透
▽監査役、浅野慎一
▽退任(取締役)猿丸雅之
▽同(監査役)永田清貴
日本化学産業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
日本化学産業
(7月1日)薬品事業統括本部担当(薬品事業統括本部長)社長角谷博樹
▽総務、取締役兼専務執行役員管理本部長太田武之
ユークス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
ユークス
(4月25日)取締役、コーポレート本部長吉原謙太
▽同、五島洋
▽常勤監査役(コーポレート本部法務・知財担当部長)下出一
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 63文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
(5月1日)横浜支店総務管理、川和田智美
▽大宮支店総務管理(横浜支店総務管理)津田雄一郎
日本精鉱(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 60文字 PDF有 書誌情報]
日本精鉱
(6月26日)取締役、山本佳久栄
▽監査役、岡田佳幸
▽同、芹沢真澄
▽退任(取締役)大西宏章
▽同(監査役)上野研
KVK(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 59文字 PDF有 書誌情報]
KVK
(6月)取締役海外事業室担当兼大連北村閥門副董事長(執行役員海外事業室副担当)山田康司
▽退任(取締役)竹中智
日本高純度化学(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
日本高純度化学
(6月20日)取締役(監査役)林博司
▽同(常勤監査役)富国重遠
▽同(監査役)高野雅典
▽同、大竹裕子
アンリツ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
アンリツ
(6月25日)取締役、小林昭夫
▽同、天野嘉之
▽退任(取締役)窪田顕文
▽同(同)五十嵐則夫
▽同(同)脇永徹
ソフトバンクグループ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ
(6月27日)監査役、西橋久仁子
▽同、金丸祐子
▽退任(監査役)宇野総一郎
▽同(同)大塚啓一
クオンタムソリューションズ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
クオンタムソリューションズ
(5月29日)取締役、福島昇
▽社長室上級顧問(取締役)三牧博至
▽退任(会長)河村建夫
エム・ユー・フロンティア債権回収(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 56文字 PDF有 書誌情報]
エム・ユー・フロンティア債権回収
(6月1日)経営管理本部長(サービシング本部長)取締役兼常務執行役員大森健司
キーエンス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 55文字 PDF有 書誌情報]
キーエンス
(6月13日)取締役、寺田一彦
▽監査役、平山新洋
▽退任(取締役)山本晃則
▽同(監査役)小村貢一郎
AREホールディングス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
AREホールディングス
(6月17日)取締役、山本明紀
▽同、中村亨
▽同、片田薫
▽退任(取締役)木村美代子
中西製作所(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
中西製作所
(6月27日)取締役(執行役員)経営企画室長吉川日出行
▽同、秋吉忍
▽退任(取締役)辻井一成
ミスミグループ本社(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
ミスミグループ本社
(6月19日)取締役、フィゲン・ウルゲン
▽監査役、市川静代
▽退任(監査役)野末寿一
セントラルスポーツ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
セントラルスポーツ
(6月27日)顧問(取締役兼執行役員営業部・営業企画部・アカデミー部担当)木本匡
ハブ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
ハブ
(5月28日)取締役、松本里絵
▽監査役、太田慈子
▽退任(取締役)今野誠一
▽同(監査役)網谷充弘
サクサ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
サクサ
(6月26日)取締役、トプコン会長平野聡
▽同、八十二銀行取締役浜野京
▽退任(取締役)栗林勉
東京計器(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
東京計器
(5月7日)執行役員財務企画兼財務、吉村靖
▽経理統括部長(財務経理兼財務)執行役員篠美徳
山九(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
山九
(6月1日)インベスター・リレーションズ、金子正弘
▽企業価値向上タスクフォース班長、横地栄治
KOKUSAIELECTRIC(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
KOKUSAI ELECTRIC
(5月1日)ビジネストランスフォーメーション推進室長、宮守秀勝
ホクシン(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
ホクシン
(6月26日)取締役、山田公徳
▽同、桂川恵利子
▽退任(取締役)田中一生
▽同(同)太田励
小森コーポレーション(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
小森コーポレーション
(6月18日)取締役(監査役)尼子晋二
▽同(同)大塚雅広
▽同、山口留美
東海染工(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
東海染工
(6月27日)取締役、八代英次朗
▽相談役(会長)八代芳明
▽退任(取締役)河西勝
クオールホールディングス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
クオールホールディングス
(6月)常務、柄沢忍
▽取締役、鈴木裕司
▽顧問(常務)恩地ゆかり
キオクシア(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 44文字 PDF有 書誌情報]
キオクシア
(5月1日)メモリ事業部先端メモリ開発センター先端メモリ研究開発、関根克行
プレサンスコーポレーション(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 44文字 PDF有 書誌情報]
プレサンスコーポレーション
(6月1日)経営管理本部管掌(経営管理本部長)取締役土井豊
東洋エンジニアリング(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
東洋エンジニアリング
(5月1日)営業統括本部国内営業本部長代行、営業第一・野原崇雅
アジアパイルホールディングス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
アジアパイルホールディングス
(6月26日)取締役、五十嵐久枝
▽退任(取締役)上前修
オークワ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
オークワ
(5月6日)阿田和店長、西村隆宏
▽ザ・ロウズ鳴神店長(阿田和店長)辻幸一郎
東邦化学工業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
東邦化学工業
(4月25日)IR部門担当、取締役経理本部長兼情報管理本部長川崎正一
マツダ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
マツダ
(5月1日)デザイン本部長、木元英二
▽戦略人事(組織風土変革推進)子籠一弘
日本郵政(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
日本郵政
(5月8日)退任(常務執行役)小池信也
(5月9日)常務執行役、三苫倫理
アセットマネジメントOne(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
アセットマネジメントOne
(6月16日)取締役、柳原聡人
▽退任(取締役)前田道治
レスター(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
レスター
(5月1日)コーポレートヘッドオフィス情報デジタル推進本部長、大木良明
富士通ゼネラル(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
富士通ゼネラル
(5月1日)財務経理本部事業経理部長代理(IT推進室長)松田保
ダイワボウ情報システム(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
ダイワボウ情報システム
(5月7日)東京本社担当、取締役販売推進本部長竹渕正治
GENDAGiGOEntertainment(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
GENDA GiGO Entertainment
(4月22日)監査役、秦裕一
トリニティ工業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
トリニティ工業
(6月24日)専務(常務)高林伸二
▽同(同)久米潤一郎
大成建設(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
大成建設
(5月1日)土木本部土木設計部土木設計第1、土木設計・山本平
学研ホールディングス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
学研ホールディングス
(5月1日)サステナビリティ推進室長、代田雪絵
ヤマハ発動機(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
ヤマハ発動機
(5月1日)マリン事業本部開発統括部機能設計、入手俊輔
フジテック(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
フジテック
(5月1日)生産本部ビッグウィング製作所物流、内園篤史
京阪神ビルディング(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
京阪神ビルディング
(5月1日)サステナビリティ推進室長、田岡郁子
東洋鋼鈑(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
東洋鋼鈑
(5月1日)業務・IT改革推進、情報システム・藪田正己
ユニチカ(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
ユニチカ
(5月11日)ガラス繊維事業部電子材料営業、服部剛士
JR東日本(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
JR東日本
(5月1日)JR東日本健康推進センター所長、石井徹
ナック(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
ナック
(6月27日)取締役、吉田隆司
▽退任(取締役)宮島賢一
名古屋電機工業(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 31文字 PDF有 書誌情報]
名古屋電機工業
(6月24日)取締役、三山明秀
▽同、石川敏光
北の達人コーポレーション(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 31文字 PDF有 書誌情報]
北の達人コーポレーション
(5月22日)取締役管理、三浦淳一
ディーブイエックス(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 30文字 PDF有 書誌情報]
ディーブイエックス
(6月27日)退任(取締役)堂垣内重晴
琉球銀行(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
琉球銀行
(6月)監査役、上野大
▽退任(監査役)北川洋
トヨタ紡織(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ紡織
(5月1日)グローバル技能育成、山本直輝
GENDA(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
GENDA
(4月25日)社長兼CEO(会長)片岡尚
三菱UFJ銀行(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJ銀行
(4月25日)米州金融市場、片岡大輔
技術承継機構(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 26文字 PDF有 書誌情報]
技術承継機構
(4月25日)退任(監査役)小暮克夫
日本CMK(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
日本CMK
(5月1日)開発技術、執行職井戸義幸
東光高岳(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
東光高岳
(6月27日)取締役、常務執行役員磯守
スーパーツール(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
スーパーツール
(6月6日)退任(取締役)小中渉
北海道放送(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
北海道放送
(6月24日)退任(取締役)小玉満
ネクストジェン(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
ネクストジェン
(6月26日)取締役、西明珠紀
アルペン(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
アルペン
(4月28日)人材戦略室長、並木梢
井関農機(会社人事)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 15ページ 19文字 PDF有 書誌情報]
井関農機
(5月1日)総務、飯田晃久
5000億円自社株買い、信越化、過去最大、米関税「すべて価格転嫁」[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 951文字 PDF有 書誌情報]
信越化学工業は25日、5000億円を上限とする自社株買いをすると発表した。同社としては過去最大となる。保有現預金の上限は約1兆6000億円とする。3月末時点で1兆7084億円抱えており、株主還元の拡充に充てる。
斉藤恭彦社長は同日の決算説明会で「今回の自社株買いは自己資本利益率(ROE)を1・5ポイント押し上げる効果がある」と説明した。2025年3月期のROEは12%で、斉藤社長は「足元の水準には満足していない。(ROE向上に向け)収益を上げることに集中しつつ、総還元性向を考慮した資本政策も行っていく」と語った。
発行済み株式(自社株を除く)の10・2%にあたる2億株を上限に東京証券取引所で買い付ける。取得期間は5月21日から26年4月24日までとなる。
同日、26年3月期の業績予想について「合理的な算定が困難」として開示を見送る一方、25年4~6月期の連結業績については売上高が前年同期比2%増の6100億円、純利益は17%減の1200億円になるとの見通しを公表した。住宅向けの配管などに使う塩化ビニール樹脂関連の生活環境基盤材料事業は市況悪化の影響を受ける。塩ビは中国の増産を受けて世界的に需給の緩みが続く。
為替の円高も重荷になる。信越化学は対ドルで1円円高になると、経常利益ベース(前期実績)で年約47億円のマイナス要因になる。
もっとも、事業環境の先行きには改善の兆しが見えつつある。米国向けの塩ビはハリケーンの復興需要やデータセンターなど産業向け需要が生じつつある。もう一つの収益の柱であるシリコンウエハーなどの電子材料事業も「主力の300ミリウエハーでは顧客の在庫水準がピークを越え、徐々に半導体デバイスメーカーの受注が上がってきている」(轟正彦取締役)という。
トランプ米政権が発動した相互関税について斉藤社長は「関税の影響を直接受ける製品の割合は2%弱と低い」と説明した。関税にかかるコストはすべて顧客への価格転嫁で補う方針だという。
同日発表した25年3月期の連結決算は、売上高が前の期比6%増の2兆5612億円、純利益が3%増の5340億円だった。主力の塩ビが市況悪化のあおりを受けた一方、ウエハー事業では人工知能(AI)などの先端向け需要を取り込み、増益を確保した。
トヨタ系6社増益、今期最終、デンソーは最高、米関税織り込みきれず[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 815文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車系列の主要7社の業績が25日出そろった。2026年3月期見通しでデンソーやアイシンなど6社が最終増益を見込むが、トランプ米政権による米国への輸入車に対する追加関税などの影響は織り込み切れないとの声が相次ぐ。米景気悪化や円安是正の思惑で進む円高も利益を押し下げ、先行きの業績動向には不透明感が拭えない。
デンソーの2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)は前期比23%増の5150億円と、2期連続の過去最高を見込む。合理化や対応力強化が為替の円高や原材料高などを補う。
ただ、同日記者会見した林新之助社長は「当社にとって変化への対応力が求められる新年度となった」と警戒感を示した。米国では自動車輸入への関税に加え、5月3日までにはエンジンやトランスミッション(変速機)など自動車の基幹部品も対象となる。
期初予想には「(米国関税の)税率が確定していない」(松井靖副社長)として影響を加味しない。第1四半期(4~6月)にかけて確定していく段階で織り込んでいく考えを示した。
フォークリフト世界首位の豊田自動織機は純利益が9%減の2400億円を見込む。人件費増や円高、原材料費などが利益を押し下げる。
関税影響については織り込めないとの見方が目立つ。豊田織機の伊藤浩一社長は「できれば算定基準を置きたかったが、直接的な影響も非常に難しい」とする。46%増の200億円とするジェイテクトも「非常に変化が大きい」(近藤禎人社長)とした。
一方で、トランスミッションを手掛けるアイシンは関税が200億円営業利益を下押しすると試算した。伊藤慎太郎副社長は自助努力や顧客との負担分担などを見極め、「第1四半期から見えてくる。仮置きして市場の動向を見る」と話した。
豊田合成は売上高で200億円、営業利益で50億円の下押し影響が出るとみる。北米の景気減速で、北米の生産車や日本から米国への完成車輸出がそれぞれ5%下振れするとみる。
ANAHD営業益1900億円、前期1割減、会社計画上回る 国際線好調 旅客13%増[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 690文字 PDF有 書誌情報]
ANAホールディングス(HD)の2025年3月期の連結営業利益は会社計画(1800億円)を上回り、前の期比1割減の1900億円前後になったようだ。国際線はインバウンド(訪日外国人)需要や日本から欧米に向かうビジネス客利用が好調だった。国内線もレジャー需要が伸びた。
24年4月~25年2月までの国際線の旅客数は前年同期比13%増の735万人だった。特に1月は前年同月比22%増、2月は15%増だった。インバウンド需要を取り込んだ。日本から欧米に向かうビジネス客利用も伸びた。
国内線の24年4月~25年2月の旅客数も速報値で前年同期比8%増の4008万人だった。レジャー需要がけん引した。割安な早期予約で旅客を取り込んだほか、利用率が高い便には強気の価格を設定するなど柔軟な価格設定で収益を伸ばした。連結全体の売上高は10%増の2兆2550億円とする会社計画を上回ったようだ。
旅客需要の伸びで営業利益は会社予想を上回るものの、前の期比で減益となるのは整備費の上昇などが主な要因だ。同社は海外の整備費などをドル建てで払っている。25年3月期の期中平均の為替相場は1ドル=152円程度となり、前の期より円安に振れたため円換算した金額が膨らんだ。安全確保のために整備機会も増やした。
決算発表は4月30日を予定する。市場予想平均(QUICKコンセンサス)では26年3月期の売上高は25年3月期の会社計画比5%増の2兆3785億円、純利益は同6%減の1312億円の見通しだ。トランプ米政権の関税政策の影響で中国の越境EC(電子商取引)の荷物などが減れば航空貨物運賃が下がる懸念もある。
アドバンテスト最高益、2年連続、今期最終 前期減損の反動[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 619文字 PDF有 書誌情報]
アドバンテストは25日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比11%増の1790億円になる見通しだと発表した。2年連続で過去最高を更新する。前期に計上した米子会社関連の減損損失がなくなる。生成AI(人工知能)半導体向け試験装置も堅調に推移する。事前の市場予想(QUICKコンセンサス)は18%下回った。
発行済み株式(自社株除く)の2・6%にあたる1900万株、金額で700億円を上限とする自社株買いも発表した。
営業利益は6%増の2420億円を見込む。20年3月期に買収した米子会社について、大口顧客向けの販売低調などを受けて25年1~3月期に約214億円の減損損失を計上した反動が出る。半導体の複数機能を1つのチップに集約したSoC(システム・オン・チップ)向けではAI半導体の生産増加や、半導体構造の複雑化に伴う試験時間の長期化などが引き続き追い風になる。
為替の円高や不透明なマクロ環境を踏まえ、売上高は3%減の7550億円とした。ダグラス・ラフィーバ最高経営責任者(CEO)は業績予想について「慎重なアプローチをとっている」と述べた。
トランプ米政権の関税政策についてラフィーバCEOは「直接的な影響は軽微だ。懸念があるとすれば間接的なマクロ影響で、グローバルで景気後退となれば問題だ」とした。そのうえで「高性能コンピューター(HPC)やAIの領域はそうしたリスクに対して相対的に耐性があるのではないか」とした。
日立建機、純利益2%増 今期[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 509文字 PDF有 書誌情報]
日立建機は25日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比2%増の830億円になる見通しだと発表した。事前の市場予想の平均(QUICKコンセンサス、861億円)は下回った。トランプ米政権による関税の影響額は300億円程度と試算したものの、業績予想には織り込んでいない。
売上高にあたる売上収益は微増の1兆3750億円、調整後営業利益は4%増の1510億円を見込む。調整後営業利益ベースで建機の販売台数の増加などが263億円の増益要因となる一方、為替の円安効果の落が利益を141億円押し下げる。今期の想定為替レートは1ドル=145円と前期実績(1ドル=152円60銭)より円高に設定した。
地域別売上収益の見通しは北米が4%減の2991億円となるが、欧州で9%増の1744億円を見込む。塩嶋慶一郎最高財務責任者(CFO)は25日の決算説明会で「欧州は市況が良くなり、在庫の正常化も進んできた」と話した。中国では大型ショベルが好調で14%増収を見込む。新会社を設立した中南米は販売・サービス網の拡充に注力し2%増収となる。ただ各国の需要動向には関税の影響を織り込んでいないため、見通しが変わる可能性がある。
第一三共、自社株買い、最大2000億円、年18円増配[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 391文字 PDF有 書誌情報]
第一三共は25日、最大で2000億円の自社株買いを実施すると発表した。2026年3月期の年間配当は1株78円と前期比で18円増配する。主力の抗がん剤「エンハーツ」が伸び、26年3月期の連結純利益(国際会計基準)は1%増の3000億円となる見通しで、株主還元を拡充する。
自社株買いは発行済み株式総数(自己株式を除く)の4・29%にあたる8000万株を上限に東京証券取引所で市場買い付けする。取得期間は25年5月1日から26年3月24日までとなる。26年3月期の売上高にあたる売上収益は6%増の2兆円、本業のもうけを示すコア営業利益は12%増の3500億円を見込む。
奥沢宏幸社長兼最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、トランプ米政権が医薬品への関税の導入を表明していることについて「現時点で関税導入は決定されておらず影響の算定は困難で、業績予想に関税影響は含めていない」とした。
清水建設、純利益3.8倍、前期 採算改善、配当3円増[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 332文字 PDF有 書誌情報]
清水建設は25日、2025年3月期の連結純利益が前の期比3・8倍の660億円になったと発表した。従来予想を60億円上回った。国内の建築や土木工事の施工が順調に進み、完成工事高が想定を上回った。国内土木工事の採算が改善した。
好業績を踏まえ25年3月期の年間配当を従来予想から3円増やし1株38円(前の期は20円)とした。売上高は3%減の1兆9443億円、営業損益は710億円の黒字(前の期は246億円の赤字)だった。従来予想から843億円、150億円それぞれ上振れした。国内の土木工事では設計の見直しに伴う追加工事の獲得で利益率が高まった。国内の建築工事も価格転嫁が進んだ。
25日午後1時の発表後、清水建設の株価は上昇し、終値は前日比4%高の1472円だった。
アステラス純利益2.6倍、今期 配当年78円に上げ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
アステラス製薬は25日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比2・6倍の1300億円になる見通しだと発表した。眼疾患治療薬「アイザーヴェイ」や尿路上皮がん向け治療薬「パドセブ」の販売が好調に推移する。年間配当は1株78円と、前期比で4円増配する。
売上高にあたる売上収益は1%増の1兆9300億円を見込む。主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の売り上げは5%減の8680億円を想定するが、同社が重点戦略製品と位置づけるアイザーヴェイなど5製品の売上高が40%増の4700億円になる。
富士電機今期 純利益12%減[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 161文字 PDF有 書誌情報]
富士電機は25日、2026年3月期の連結純利益が前期比12%減の810億円になる見通しだと発表した。25年3月期に政策保有株の売却益166億円を特別利益に計上した反動が出る。半導体事業が車載向けの販売減や原材料価格の高騰により減益となるのも響く。
売上高は1%増の1兆1400億円、営業利益は微増の1180億円を見込む。
富士通ゼネラルへのTOB(期間などの決定)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 121文字 PDF有 書誌情報]
▼富士通ゼネラルへのTOB(期間などの決定)
買い手=パロマ・リームホールディングス、株数=予定数5864万4707株(2372万2800株を下限)、価格=普通株式2808円、総額1646億7433万7256円、期間=4月28日~5月28日
<数表>ETF収益分配[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 824文字 PDF有 書誌情報]
〓〓 2025年4月24日 〓〓
計算期末
グローバルX US REIT・トップ20 ETF(2018)
100口分配(円)=500.0
グローバルX オフィス・J-REIT ETF(2096)
100口分配(円)=900.0
グローバルX レジデンシャル・J-REIT ETF(2097)
100口分配(円)=700.0
グローバルX ホテル&リテール・J-REIT ETF(2098)
100口分配(円)=800.0
グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETF(2564)
100口分配(円)=5800.0
グローバルX ロジスティクス・J-REIT ETF(2565)
100口分配(円)=1100.0
グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF(2644)
100口分配(円)=1300.0
グローバルX レジャー&エンターテインメント-日本株式 ETF(2645)
100口分配(円)=800.0
グローバルX メタルビジネス-日本株式 ETF(2646)
100口分配(円)=2800.0
グローバルX 新成長インフラ-日本株式 ETF(2847)
100口分配(円)=1400.0
グローバルX MSCI 気候変動対応-日本株式 ETF(2848)
100口分配(円)=0
グローバルX Morningstar 高配当 ESG-日本株式 ETF(2849)
100口分配(円)=5500.0
グローバルX テック・トップ20-日本株式 ETF(2854)
100口分配(円)=800.0
グローバルX グリーン・J-REIT ETF(2855)
100口分配(円)=900.0
グローバルX 日経225 カバード・コール ETF(プレミアム再投資型)(2858)
100口分配(円)=200.0
グローバルX ロジスティクス・REIT ETF(2864)
100口分配(円)=700.0
グローバルX 銀行 高配当-日本株式 ETF(315A)
100口分配(円)=1400.0
<数表>財務短信[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 662文字 PDF有 書誌情報]
ソフトフロントホールディングス(2321)
第三者割当増資=670万7300株▽払込日=4月25日
アサヒグループホールディングス(2502)
第27回無担保社債400億円▽償還期限=2030年5月2日▽利率=1.329%
第28回無担保社債100億円▽償還期限=2035年5月2日▽利率=1.928%
第27回・第28回債の申込日=4月25日▽払込日=5月2日▽発行価格=100円
ジグザグ(340A)
第三者割当増資=10万7000株に確定(一部失権)
トヨコー(341A)
第三者割当増資=55万5000株に確定
ボードルア(4413)
株式分割=5月31日現在の株式1株を2株
サワイグループホールディングス(4887)
自己株式消却=1601万6600株(4月30日予定)
TORICO(7138)
第9回新株予約権4573個▽潜在株式数=45万7300株▽発行価格=1個につき389円▽割当先=GP上場企業出資投資事業有限責任組合▽払込日=5月13日▽行使期間=5月14日~2030年5月13日▽当初行使価格=1株につき656円
第1回無担保新株予約権付社債3億円▽潜在株式数=45万7300株▽償還期限=2030年5月13日▽払込日=5月13日▽利率=3.0%▽発行価格=100円▽割当先=GP上場企業出資投資事業有限責任組合▽行使期間=5月14日~2030年5月13日▽当初転換価格=656円
アイシン(7259)
自己株式消却=5000万株(5月30日予定)
泉州電業(9824)
自己株式消却=50万株(5月14日予定)
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 595文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
十六フィナンシャルグループ(7380)
25.3 ― 31200 20800
1株配(円)〓25.3予=180.0 (24.3=160.0)
第一実業(8059)
25.3 2210 13500 8800
1株配(円)〓25.3予=92.0 (24.3=記123.0)
※23.10.1付で1:3分割
木曽路(8160)
25.3 532 2750 3160
1株配(円) 25.3予=45.0 (24.3=18.0)
富山銀行(8365)
25.3 ― 1250 950
ほくほくフィナンシャルグループ(8377)
25.3 ― 51000 39000
1株配(円) 25.3予=50.0 (24.3=40.0)
インテリックス(8940)
25.5 458 2000 1524
1株配(円) 25.5予=記46.0 (24.5=19.0)
ギックス(9219)
25.6 23 ▲180 ▲140
広島ガス(9535)
25.3 915 1900 1680
ソフトバンクグループ(9984)
1株配(円)〓25.4-9予=22.0 26.3予=44.0
高橋カーテンウォール工業、信越化学工業、四国化成ホールディングス、日本ゼオン、第一三共、CIJ、他(自社株取得枠設定)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 256文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
高橋カーテンウォール工業 10万株、6000万円
信越化学工業 2億株、5000億円
四国化成ホールディングス 160万株、30億6240万円
日本ゼオン 1000万株、100億円
第一三共 8000万株、2000億円
CIJ 50万株、2億円
SEMITEC 120万株、14億円
アドバンテスト 1900万株、700億円
アイシン 1億3000万株、1200億円
野村ホールディングス 1億株、600億円
泉州電業 20万株、10億円
杉本商事 250万株、30億円
アイシン自社株買い 最大1200億円(短信)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 147文字 PDF有 書誌情報]
アイシンは25日、最大で1200億円の自社株買いを実施すると発表した。発行済み株式総数(自己株式除く)の17・2%に相当する。取得期間は5月1日から2026年3月31日まで。取得する株式の総数は1億3000万株にのぼる。また5月30日を予定日として発行株の6・2%にあたる株式消却も発表した。
アサヒグループホールディングス(2502)(格付け)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
アサヒグループホールディングス(2502)
第27回・第28回無担保社債=Aプラス(R&I)、AAマイナス(JCR)
リクルートホールディングス(自社株取得枠変更)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠変更
リクルートホールディングス 5200万株を6200万株に変更
いすゞ自動車(7202)(格付け)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
いすゞ自動車(7202)
長期発行体=A3(ムーディーズ)
北海道電力(9509)(格付け)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
北海道電力(9509)
長期発行体=BBBプラス(S&P)
パルマ(新規上場承認)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
〈新規上場承認〉
◇名証メイン◇
パルマ
上場予定日=5月2日
アルバック(6728)(格付け)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
アルバック(6728)
長期発行体=A(JCR)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 16ページ 4681文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 24日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
GMOインタ 2 ▲37 537 ▲84
ネクスウェア 10 ▲68 1841 △197
ぷらっと 0 0 1112 △18
ベースフード 421 0 18404 △3
ファンデリー 322 △23 559 △39
ゼンムテック 0 ▲3 161 ▲4
スターシーズ 0 0 1012 △24
インタートレ 155 0 1161 ▲18
サイトリ細研 0 0 1898 △5
アズジェント 750 ▲5 294 ▲2
トミタ電機 0 0 237 ▲3
HSHD 4 0 8961 △105
ReYuu 0 0 1327 ▲5
イオレ 0 ▲1 262 △1
Schoo 0 0 2998 △20
Syns 2 △2 1562 ▲85
イントランス 0 0 8416 ▲3
BASE 290 0 22917 ▲71
テクノロジー 0 0 4323 ▲8
アップバンク 0 0 2548 △9
BCC 0 0 217 0
グロームHD 0 0 2381 ▲3
売れるG 0 ▲19 499 △70
ピクセル 288 0 5852 ▲35
LIEH 0 0 567 0
ウイルコHD 0 0 485 ▲3
アクアライン 0 0 47 △3
タマホーム 824 0 337 △6
東建コーポ 400 ― 21 ―
アイケイケイ 464 △103 89 △9
柿安本店 466 ▲2 65 0
くら寿司 769 △207 282 △13
BEENOS 7 0 3 0
CRE 0 0 7 △4
プロト 0 0 1 0
ドリームI 15 ▲1 172 ▲3
ヨータイ 23 0 197 △18
パイオラック 21 0 21 ▲3
牧野フ 4 0 64 0
ヤーマン 949 0 276 ▲14
富士通ゼ 5 0 143 △11
ジャムコ 8 0 16 △2
トプコン 123 0 427 ▲87
天馬 0 0 17 0
トナミHD 0 0 14 ▲1
内外トランス 0 0 6 0
イオンディラ 2 0 2 ▲2
イメージワン 419 ▲36 1600 ▲4
PバンCOM 6 0 341 0
Eストアー 0 0 7 0
HEROZ 290 ▲2 214 ▲6
オートサーバ 0 0 55 ▲2
全保連 0 0 336 ▲3
AIメカ 79 0 402 △7
インスペック 25 0 281 △1
ナカヨ 0 0 9 0
芝浦電子 0 0 355 △24
NEWART 0 0 29 0
アールシー 6 0 67 △1
MUTOH 1 0 119 0
丸藤パ 0 0 43 0
ファースト住 146 △31 143 △2
広電鉄 3 0 55 0
ユーラシア 0 0 68 △1
グリンランド 0 0 19 0
シャルレ 105 ▲11 272 △1
アルテック 1 0 2449 ▲7
ヴレインS 153 0 427 ▲13
ジェネパ 19 0 345 ▲10
フィスコ 240 ▲4 3664 △26
エコモット 5 ▲6 340 ▲2
ココペリ 122 ― 355 ―
WACUL 9 0 99 △11
ココナラ 772 ― 2385 ―
カオナビ 0 0 4 0
WASHハウ 72 △30 279 △43
※ 野村4百Dイ 3535 ▲9 8445 ▲397
※ 野村高配70 43 0 3209 ▲3
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 510 ▲10
※ SMT好配当 0 0 2200 0
※ SMD高配当 0 0 2420 0
※ GXオフ日R 0 0 66 △20
※ GX住宅日R 0 0 2302 0
※ iS米25ヘ 140 0 583160 ▲19150
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ SBIサウジ 0 0 1722 ▲44
※ 野村ESGコ 0 0 880 0
※ 野村欧州株H 0 0 26050 △730
※ 野村独株H有 10 0 605390 △8610
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 0 250580 △4770
※ 野村米半導 0 0 6939 △4406
※ iF高配50 2025 0 2141 ▲96
※ GXSPCF 0 0 5010 ▲517
※ 阪急阪神R 573 0 672 △119
世紀東急 352 0 194 △2
Rフィールド 931 △103 87 △11
オイシックス 142 ▲3 377 ▲9
日本調剤 849 △35 214 ▲10
Jテック・C 10 0 207 0
ケイアイ不 48 0 67 △1
グッドコムA 690 ▲14 481 ▲21
SMINOE 14 △1 61 0
力の源HD 289 △3 293 ▲1
さくらネット 1934 △15 2800 ▲16
フリービット 635 △50 503 0
gumi 523 △28 3798 △35
フジHD 7213 △114 8481 △507
ACCESS 736 ▲79 1688 ▲19
小林製薬 95 ▲2 280 △4
エニーカラー 209 △2 567 ▲14
千葉興 63 0 1489 ▲3
神電鉄 24 0 9 0
サンウェルズ 2057 ▲53 1521 △45
ギフトHD 670 ― 96 ―
JESCO 2 0 216 ▲5
佐田建 25 △1 1263 △6
植木組 0 0 52 0
三晃金 0 0 93 0
焼肉坂井HD 6 ▲5 221 ▲6
テンポスHD 193 ― 35 ―
パレモ・HD 32 ▲7 1331 △29
OCHIHD 7 ▲1 12 0
菊池製作 172 △23 259 △5
サツドラHD 33 ― 38 ―
マツオカ 11 0 637 ▲4
enish 618 △48 2737 △116
片倉コープ 16 0 160 0
SIGG 0 0 213 0
わかもと 226 0 1257 ▲9
秀英 7 △1 70 △1
富士興 1 0 41 0
日山村硝 3 0 241 △1
ノザワ 0 0 201 0
大阪製鉄 1404 ▲1 1733 0
虹技 1 0 78 ▲1
アルメタクス 5 0 265 ▲3
洋シャタ 0 0 147 △1
デザインワン 15 ▲57 814 ▲86
土木管理 15 0 362 △3
油研工 0 0 64 0
ディスラプタ 5 0 511 △1
サクサ 1 0 165 0
星和電 0 0 129 △2
池上通 6 0 181 △1
沢藤電 0 0 110 0
大黒屋 2711 ▲1079 9250 ▲12
upr 10 0 163 △1
近畿車 0 0 57 0
あんしん保証 21 △1 409 △7
日本モゲジS 5 0 608 △2
河西工 85 ▲30 1407 △53
エコーTD 1 0 266 0
パリミキHD 15 0 145 ▲1
マックハウス 111 ▲3 144 0
テイツー 4265 △78 8832 △412
京都友禅HD 154 ▲1 1117 △34
黒田精 8 0 77 0
岡本硝子 113 ▲10 1735 ▲8
タカノ 1 0 79 ▲1
ホクシン 69 ▲3 915 △1
ナイガイ 16 ▲2 291 0
OUGHD 1 0 26 0
トルク 21 0 319 ▲1
オリンピック 0 0 93 △1
東北銀 0 0 45 0
富山銀 25 0 61 0
福島銀 160 △1 1280 △57
太平発 1 ▲1 155 0
明和地所 12 0 76 △1
東陽倉 0 0 85 0
乾汽船 71 △2 198 ▲21
ワイヤレスG 23 ▲2 431 0
テアトル 17 0 18 ▲1
日邦産業 8 0 147 0
ショクブン 5 △1 92 △5
MRKHLD 92 ▲6 1136 △45
やまや 3 0 4 0
タイミー 1554 △70 2227 ▲70
サンクゼール 69 0 56 0
すららネット 6 0 227 ▲4
T&S・G 83 0 242 0
プレイド 250 △3 2894 △40
エーアイ 2 0 243 0
Kudan 217 ▲5 638 ▲6
スマレジ 241 ▲1 112 ▲18
ミンカブ 333 ▲1 1058 0
OTS 2412 △25 10140 ▲37
Pアンチエイ 81 0 215 ▲1
FIXER 256 0 398 0
弁護士COM 203 △3 292 ▲2
MRT 1 0 101 0
レントラクス 5 0 338 ▲1
エヌピーシー 611 △17 1796 ▲64
アスタリスク 106 ▲5 421 0
PSS 227 0 996 △19
J・TEC 159 ▲102 549 ▲81
マイクロ波 462 △6 852 ▲5
日経300投信 1 0 7 0
※ SPDR金 136 ▲34 3355 △85
※ 野村金連動 8180 ▲1630 114960 ▲5740
※ 日経2倍 4049 △237 36476 ▲1061
※ 日興高配低ボ 0 0 6 ▲1
※ 日興米債ヘ有 30 0 4859 ▲10
※ One高配当 60 △4 7897 △365
※ スタンダ20 10 ▲40 1090 ▲40
※ H株ベア 260 △70 24750 ▲750
※ WTI原油 39572 ▲11831 170647 △417
※ 日興外債毎月 10 0 130 0
※ GX印10+ 135 △5 51948 △23
※ iSインド株
700 1007230
▲6000 ▲30020
※ GXホリ日R 0 0 14719 ▲31
※ iF高リート 0 0 14238 0
※ MXダウヘ有 1650 △10 4830 ▲1010
※ GXウラン 65 △15 24199 △120
※ iS米20 11800 ▲1550 618140 △5830
※ iS仏国債H 0 0 1910 0
※ GX高配30 0 ▲20 13265 ▲459
※ iS日本国債 1254 0 2748 0
※ MXナスダク 8928 ▲231 37550 ▲616
※ GXリー日株 5 0 1987 ▲4
※ iFEナ百無 17578 △9444 159836 ▲7922
※ iFEナ百有 5224 △5179 65090 △2046
※ 野村ナスH有 31530 ▲50 123620 ▲440
※ GX銀行高配 2 ▲252 51220 ▲2555
くすぶる円高リスク、ドル買い戻し限定的 米への不信根強く[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1318文字 PDF有 書誌情報]
25日の外国為替市場で、対ドルの円相場は一時1ドル=143円台まで下落した。日本時間25日の日米財務相会談で円安・ドル高を是正する具体策の言及はなかった。円売り・ドル買いが勢いづいてもおかしくないが、ドルを買い戻す動きは限定的だ。根底には米国への根強い不信感があり、円高の動きが再加速するとの観測も浮上する。
「もう少し円安・ドル高方向に進んでもおかしくないはずだが、動きが重く見える」。三井住友銀行為替トレーディンググループの納谷巧グループ長は25日午前の相場に関してこう語る。
為替市場では円売り・ドル買いの動きが目立ち、一時1ドル=143円台まで下落した。だが、前日夕時点では142円台半ばで推移しており、下落幅は限られる。円売りにつながる大きな手掛かりはあった。日米財務相会談での発言だ。
「米国から例えば為替水準の目標や、それに対する枠組みの話は全くなかった」。加藤勝信財務相はベッセント米財務長官との会談後の記者会見でこう言い切った。トランプ米大統領の関税政策を巡る交渉の一環として行われた日米財務相会談では、米国側が日本側に円安・ドル高を是正するよう要求するとの観測が市場で高まっていた。
なかでも警戒されていたのが、1985年のプラザ合意のように主要国が協調してドル高是正に動く「第2プラザ合意」だ。「マールアラーゴ合意」とも称される。実際には具体的なドル高是正策は打ち出されず、「為替レートは市場で決定されること」などを確認するにとどまった。
市場は米国に対する不信感をぬぐえていない。4月以降、相互関税を巡る二転三転の対応に加え、トランプ氏が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長解任を検討していると報じられたことが懸念を増大した。ドル売りの動きが加速し、22日に円相場は一時139円台まで上昇。2024年9月以来の円高・ドル安水準をつけた。
市場の動揺を受け、トランプ氏はパウエル議長解任を否定するなど事態の鎮静化を図ったが、主要通貨に対するドルの総合的な強さを示すドル指数の年間の下落率は17年以来の水準に広がっており、全面的なドル買い戻しにはほど遠い現状だ。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストも「米国への不信感は多少後退しているとはいえ拭い切れていない。日米交渉もまだ最初の段階にあり、円高進行のリスクも残っている」と指摘する。
今後の焦点は関税政策の行方と、米国経済の先行きに移るとの見方が多い。トランプ氏は対中関税の引き下げに前向きな姿勢を示すが、対決姿勢はまだ解かれていない。あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「米中の協議が丸く収められなければ、市場が混乱し円が買われることになるだろう」とみる。
来週には4月の米雇用統計や1~3月期の米国内総生産(GDP)速報値など、重要経済指標の発表も多く控える。
りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジストは「トランプ氏の発言とファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の両にらみで方向感を探っていくことになる。今までは悪い材料に反応しやすかったが、よい材料にもある程度反応する地合いになっていくのではないか」と話した。
外需株指数が高水準、3週間ぶり 米関税の懸念後退[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 236文字 PDF有 書誌情報]
外需株を買い戻す動きが広がっている。トランプ米政権の高関税政策に伴う景気減速懸念が後退し、海外売上高比率の高い銘柄群の値動きを示す日経平均外需株50指数は25日、約3週間ぶりの高水準を付けた。
一時前日比13%高まで急伸したニデックなどが指数の上昇をけん引した。
日経平均外需株50指数は、日経平均株価を構成する銘柄のうち、トヨタ自動車やソニーグループなど直近の海外売上高比率が高い50銘柄の値動きから算出している。25日終値時点で33579と2日以来の高水準を付けた。
ラクス前期 純利益91%増[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 229文字 PDF有 書誌情報]
ラクスは25日、2025年3月期の連結純利益が前の期比91%増の80億円になったと発表した。従来予想から6億9300万円上方修正し、最高益を更新した。年間配当は従来予想から40銭増やし1株4円50銭(前の期は2円35銭)とする。経費精算システム「楽楽精算」などのクラウド事業とエンジニア派遣などのIT人材事業が好調に推移した。
売上高は27%増の489億円、営業利益は83%増の101億円だった。それぞれ従来予想を4億400万円、7億9200万円上回った。
ミスミG今期 純利益12%減[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 212文字 PDF有 書誌情報]
ミスミグループ本社は25日、2026年3月期の連結純利益が前期比12%減の320億円になる見通しと発表した。トランプ米政権の関税措置を受け、世界で工場向け投資が減速し機械部品の販売が低迷する。為替が円高に振れることも利益を圧迫する。
売上高は微減の4000億円、営業利益は6%減の435億円を見込む。同日記者会見した高波徹最高財務責任者(CFO)は「米国中心に設備投資が落ち込むというシミュレーションで試算した」と述べた。
東証、アズジェント株の信用取引に関する臨時措置[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 134文字 PDF有 書誌情報]
東証、アズジェント株の信用取引に関する臨時措置 委託保証金率を28日売買分から50%以上(うち現金20%以上)とする。日証金も同日以降、貸借取引自己取引分および非清算参加者ごとの清算取次貸借取引自己取引分にかかる貸借担保金率を現行30%から50%(同20%)とする。
日証金、monoAI株、永大産業株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 97文字 PDF有 書誌情報]
日証金、monoAI株、永大産業株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。28日約定分から。
日証金、フリービット株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
日証金、フリービット株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。25日午後立会約定分から。
25日の相場表変更[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
▽新規上場=〔札証アンビシャス〕エレベーターコミュニケーションズ(エレコミ、サービス)▽上場廃止=〔東証スタンダード・整理〕アスコット▽整理銘柄に指定=〔東証スタンダード・監理〕シンニッタン
日証金、カンロ株、昭文社HD株の貸借取引で注意喚起[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
日証金、カンロ株、昭文社HD株の貸借取引で注意喚起 貸株利用などで。25日付。
銘柄管理情報=整理銘柄に指定[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
▽整理銘柄に指定=〔東証プライム〕富士ソフトは4月25日(上場廃止は5月16日)
東証、制限値幅を拡大[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 アズジェント株を上限のみ600円に拡大。28日に実施。
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 5762文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
きんでん(1944) 6.25
24.3 6545 45982 33553 165.3 63.0
25.3 7050 64546 47250 236.3 記90.0
26.3予 7300 70000 52000 261.6 100.0
■三晃金属工業(1972) 6.27
24.3 429 3709 2593 672.6 200.0
25.3 453 4139 2941 762.8 380.0
26.3予 460 3800 2660 689.9 345.0
ブルボン(2208) 6.27
24.3 1037 4283 3071 127.9 27.0
25.3 1134 7585 5566 231.2 記37.0
26.3予 1180 6200 4300 177.9 40.0
トヨタ紡織(3116)国際基準 6.11
24.3 19536 88008 58521 315.2 86.0
25.3 19542 47096 16719 93.7 86.0
26.3予 20000 83000 50000 279.9 86.0
信越化学工業(4063) 6.27
24.3 24149 787228 520140 259.4 100.0
25.3 25612 820543 534021 269.5 106.0
日本ゼオン(4205) 6.27
24.3 3822 26906 31101 147.2 45.0
25.3 4206 33051 26199 127.4 70.0
26.3予 4095 28000 25000 126.7 72.0
アステラス製薬(4503)国際基準 6.19
24.3 16036 24969 17045 9.5 70.0
25.3 19123 31237 50747 28.4 74.0
26.3予 19300 150000 130000 72.6 78.0
第一三共(4568)国際基準 6.23
24.3 16016 237234 200731 104.7 50.0
25.3 18862 355631 295756 156.0 60.0
26.3予 20000 370000 300000 161.1 78.0
JFEシステムズ(4832) 6.24
24.3 620 7452 4969 316.4 記121.0
25.3 639 7667 5442 346.5 122.0
26.3予 586 6400 4260 135.6 68.0
コニシ(4956) 6.24
24.3 1329 10806 7344 108.9 46.5
25.3 1358 11194 8084 121.0 記38.0
26.3予 1420 11200 8100 122.1 38.0
■日本高純度化学(4973) 6.20
24.3 114 553 548 95.3 101.0
25.3 126 657 1579 273.7 126.0
26.3予 140 670 500 86.6 126.0
MARUWA(5344) 6.20
24.3 615 21121 15216 1233.3 86.0
25.3 718 27033 19242 1559.5 94.0
合同製鉄(5410) 6.24
24.3 2228 20301 15193 1038.8 280.0
25.3 2051 15422 11322 774.2 240.0
26.3予 2000 14000 9500 649.6 200.0
■東京製鉄(5423) 6.25
24.3 3672 39719 27958 253.5 50.0
25.3 3267 31612 21203 198.0 50.0
26.3予 3050 20000 13000 124.8 50.0
愛知製鋼(5482)国際基準 6.18
24.3 2965 10947 6593 334.0 100.0
25.3 2992 11907 7820 398.0 160.0
26.3予 3000 14000 9500 497.4 462.0
日本鋳造(5609) 6.25
24.3 159 1277 651 135.1 35.0
25.3 143 387 236 49.1 30.0
■日本鋳造(5609)
26.3予 128 600 520 107.9 30.0
AREホールディングス(5857)〓国際基準 6.17
24.3 3222 12426 24490 319.5 90.0
25.3 5062 20483 14319 187.1 80.0
26.3予 4481 21895 16179 211.2 80.0
エムケー精工(5906) 6.17
24.3 284 2253 713 48.7 8.0
25.3 282 2111 1334 90.8 10.0
26.3予 275 1200 700 47.6 10.0
スーパーツール(5990) 6.6
24.3 58 446 305 131.6 70.0
25.3 52 378 ▲238 ― 70.0
26.3予 60 485 330 140.2 70.0
豊田自動織機(6201)国際基準 6.10
24.3 38332 309190 228778 736.9 240.0
25.3 40849 351463 262312 857.0 280.0
26.3予 40000 310000 240000 796.3 280.0
日立建機(6305)国際基準 6.23
24.3 14059 160476 93294 438.7 150.0
25.3 13712 134168 81428 382.8 175.0
26.3予 13750 135000 83000 390.2 175.0
トリニティ工業(6382) 6.24
24.3 369 3007 2058 128.0 40.0
25.3 402 3521 2403 149.2 60.0
26.3予 390 2700 1800 111.7 50.0
モリタホールディングス(6455) 6.20
24.3 952 9627 6011 137.1 48.0
25.3 1117 13744 9472 217.5 58.0
26.3予 1150 14300 9500 222.3 58.0
ジェイテクト(6473)国際基準 6.25
24.3 18915 72513 40257 117.4 36.0
25.3 18843 30876 13713 40.4 50.0
26.3予 17700 45000 20000 62.8 60.0
富士電機(6504) 6.25
24.3 11032 107822 75353 527.6 135.0
25.3 11234 118759 92239 642.7 160.0
山洋電気(6516)国際基準 6.19
24.3 1129 13323 10477 867.5 145.0
25.3 978 8003 5637 472.8 165.0
26.3予 1071 11950 8500 712.4 210.0
東光高岳(6617) 6.27
24.3 1073 8017 4668 290.3 60.0
25.3 1066 6302 3824 238.4 50.0
26.3予 1080 6300 3900 243.0 74.0
アンリツ(6754)国際基準 6.25
24.3 1099 9951 7675 58.3 40.0
25.3 1129 12737 9257 70.4 40.0
26.3予 1230 15000 11000 86.0 40.0
富士通ゼネラル(6755) 6.26
24.3 3164 14375 3067 29.3 36.0
25.3 3540 13867 ▲3900 ― 19.0
マクセル(6810) 6.26
24.3 1291 9786 7544 164.6 50.0
25.3 1298 9770 4090 93.1 50.0
アドバンテスト(6857)国際基準 6.27
24.3 4865 78170 62290 84.5 83.0
25.3 7797 224774 161177 218.7 39.0
キーエンス(6861) 6.13
24.3 9672 519295 369642 1524.1 300.0
25.3 10591 561010 398656 1643.8 350.0
デンソー(6902)国際基準 6.13
24.3 71447 436237 312791 105.0 130.0
25.3 71617 578005 419081 145.0 64.0
26.3予 70500 743000 515000 182.8 64.0
日東電工(6988)国際基準 6.20
24.3 9151 138901 102679 719.6 260.0
25.3 10138 185329 137237 195.7 168.0
26.3予 9840 170000 125000 179.9 60.0
■今村証券(7175) 6.20
24.3 48 1503 1009 190.7 70.0
25.3 41 1018 760 148.7 55.0
太平洋工業(7250) 6.14
24.3 2073 18836 16974 289.5 77.0
25.3 2061 17273 13221 229.7 58.0
26.3予 2020 15500 11000 192.3 58.0
アイシン(7259)国際基準 6.17
24.3 49095 149877 90813 336.9 170.0
25.3 48961 173440 107586 137.8 120.0
26.3予 49000 215000 125000 165.0 65.0
豊田合成(7282)国際基準 6.19
24.3 10711 71801 51454 400.2 95.0
25.3 10597 59168 36331 286.0 105.0
26.3予 10000 58000 38000 298.7 110.0
■ホクシン(7897) 6.26
24.3 109 190 158 5.6 2.0
25.3 102 ▲64 20 0.7 2.0
26.3予 110 30 20 0.7 2.0
カノークス(8076) 6.24
24.3 1724 2834 1952 202.6 101.0
25.3 1730 2857 1987 218.1 102.0
26.3予 1687 2910 2015 215.4 104.0
野村ホールディングス(8604)〓米国基準 6.24
24.3 41572 273850 165863 55.0 23.0
25.3 47367 471964 340736 115.3 記57.0
極東証券(8706) 6.24
24.3 77 3706 4341 136.1 110.0
25.3 79 3453 4446 139.4 110.0
岩井コスモホールディングス(8707) 6.27
24.3 240 8003 5554 236.5 120.0
25.3 257 9150 6725 286.3 145.0
アイザワ証券グループ(8708) 6.26
24.3 189 1941 2975 79.4 39.0
25.3 205 2571 3172 100.2 96.0
NECキャピタルソリューション〓(8793) 6.25
24.3 2558 11818 7034 326.7 130.0
25.3 2548 9437 6611 307.0 150.0
26.3予 2950 16000 10000 464.3 150.0
日本エスコン(8892) 6.25
◆24.3 1188 16585 10050 105.4 48.0
25.3 1136 17320 11193 117.2 48.0
26.3予 1330 17500 11500 120.2 48.0
相鉄ホールディングス(9003) 6.27
24.3 2700 26995 16080 164.1 50.0
25.3 2921 34812 22407 228.8 65.0
26.3予 3163 32500 21300 219.0 65.0
スカパーJSATホールディングス〓(9412) 6.20
24.3 1218 27128 17739 61.7 21.0
25.3 1237 27290 19106 67.4 27.0
26.3予 1276 31500 21000 74.1 38.0
ゼンリン(9474) 6.20
24.3 613 2060 2078 38.9 28.5
25.3 643 3936 2606 48.8 35.0
26.3予 655 4400 3000 56.2 42.0
ピー・シー・エー(9629) 6.20
24.3 150 2343 1611 80.5 81.0
25.3 162 2688 1741 86.9 87.0
26.3予 176 2865 1897 94.6 95.0
杉本商事(9932) 6.18
24.3 466 2824 1876 186.2 70.0
25.3 494 2906 1917 98.2 62.0
26.3予 518 2960 1935 101.0 54.0
ミスミグループ本社(9962) 6.19
24.3 3676 41265 28152 99.8 27.47
25.3 4019 49901 36549 132.0 43.21
26.3予 4000 44500 32000 116.5 40.78
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 2218文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
清水建設(1803)
25.3 19443 71600 66000
1株配(円) 25.3予=38.0 (24.3=20.0)
銭高組(1811)
25.3 1206 5090 3540
1株配(円)〓25.3予=120.0 (24.3=100.0)
西松建設(1820)
25.3 3668 20200 17500
名工建設(1869)
25.3 931 6912 5184
1株配(円) 25.3予=42.0 (24.3=36.0)
日本リーテック(1938)
25.3 686 5900 4700
高砂熱学工業(1969)
25.3 3810 34900 27500
1株配(円)〓25.3予=167.0 (24.3=記129.0)
朝日工業社(1975)
25.3 918 7500 6200
1株配(円)〓25.3予=記120.0 (24.3=120.0)
※24.4.1付で1:2分割
明星工業(1976)
25.3 660 11200 8450
1株配(円) 25.3予=60.0 (24.3=記55.0)
ダイダン(1980)
25.3 2620 23400 17200
1株配(円)〓25.3予=161.0 (24.3=103.0)
※23.10.1付で1:2分割
■大冷(2883)
25.3 257 884 ▲543
■ディーブイエックス(3079)
25.3 503 537 407
■スターアジア不動産投資法人(3468)
25.7 99 4723 4723
1口分配(円) 25.7予=1790.0
■エレベーターコミュニケーションズ(353A)
25.5 40 218 126
1株配(円) 25.5予=0 (24.5=0)
※25.1.10付で1:20分割
東海染工(3577)
1株配(円) 25.3予=25.0 (24.3=20.0)
ネクストジェン(3842)
25.3 36 250 200
中越パルプ工業(3877)
25.3 ★ ★ 1600
巴川コーポレーション(3878)
25.3 340 1550 750
■アイビーシー(3920)
24.10-25.3 10 262 184
ラクス(3923)
25.3 489 10218 8003
1株配(円) 25.3予=4.5 (24.3=2.35)
積水化成品工業(4228)
25.3 1360 200 ▲7400
1株配(円) 24.10-25.3予=0〓25.3予=3.0 (24.3=13.0)
■クラスターテクノロジー(4240)
25.3 10 110 100
1株配(円) 25.3予=4.0 (24.3=0)
ダイトーケミックス(4366)
25.3 186 819 820
1株配(円) 25.3予=16.0 (24.3=10.0)
■広栄化学(4367)
25.3 200 350 280
ボードルア(4413)
1株配(円) 26.2予=7.58 (25.2=0)
※25.6.1付で1:2分割
■わかもと製薬(4512)
25.3 77 ▲407 50
WOWOW(4839)
25.3 767 2900 600
イトーヨーギョー(5287)
1株配(円) 25.3予=記20.0 (24.3=15.0)
大平洋金属(5541)
25.3 131 ▲1622 ▲1667
日本精鉱(5729)
1株配(円)〓25.3予=記200.0 (24.3=80.0)
ホッカンホールディングス(5902)
25.3 924 5100 3200
1株配(円) 25.3予=93.0 (24.3=78.0)
■川岸工業(5921)
24.10-25.3 117 1089 711
■アルメタックス(5928)
25.3 83 ▲70 27
■中西製作所(5941)
25.3 399 2780 1800
■旭精機工業(6111)
25.3 117 ▲35 287
和井田製作所(6158)
25.3 75 749 410
1株配(円) 25.3予=34.0 (24.3=40.0)
日本郵政(6178)
25.3 114500 810000 360000
タカトリ(6338)
24.10-25.3 38 495 333
小森コーポレーション(6349)
25.3 1109 7500 7200
1株配(円) 25.3予=68.0 (24.3=記60.0)
SEMITEC(6626)
25.3 253 4059 3113
協栄産業(6973)
25.3 577 1165 1576
TORICO(7138)
25.3 36 ▲255 ▲436
じもとホールディングス(7161)
25.3 ― 2100 1500
25.4-9 ― 800 700
26.3 ― 2200 1700
1株配(円) 25.3予=5.0〓25.4-9予=0 26.3予=5.0
ミクニ(7247)
25.3 1020 2900 2200
SBIインシュアランスグループ(7326)
25.3 1184 9474 1988
日本株、見えた「大底」 相互関税発表後の下落分埋める、割安・還元で回復リード(スクランブル)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1755文字 PDF有 書誌情報]
25日の日経平均株価は続伸して3万5705円で終え、トランプ米大統領が2日に相互関税を発表した後の下落分をほぼ埋めた。市場関係者の間では4月上旬の急落過程でみた安値が「大底」との解釈が広がり始めている。米国株頼みを脱し、持続的な株高に回帰できるか。一部の投資家は動き始めている。
「米中間で高い関税率が放置されるとは思えない。(相互関税発表の)2日より環境が厳しくなることはない」。三菱UFJアセットマネジメントの石金淳エグゼクティブファンドマネジャーは、国内外の株式と債券に投資する担当ファンドで日本株の下げ局面に買い向かってきた。株式相場の底はすでに見えたと判断したという。
底入れ機運は空売り状況からも垣間見える。米S&Pグローバルによると、トヨタ自動車株では発行済み株式に占める貸株(空売り)残高の比率が月初の2・3%から23日時点で0・9%へ下がった。下落局面の損失を回避しようと空売りしていた向きが、これ以上は下がらないとみて、いったん買い戻しに動いた可能性がある。
日経平均は7日の年初来安値3万1136円から4569円戻し、2日からの最大下げ幅の99%を埋めた。一時的な反発後に再び下落して安値をつける「二番底」の不安は完全に拭えないものの、3万1000円台が一番底との見方が有力になってきた。関税の一部停止など米政権の軟化が続いているためだ。
市場は米国発の株高シナリオを探り始めた。24日にはウォラー理事ら複数の米連邦準備理事会(FRB)高官から今後の利下げを示唆する発言が伝わり、市場心理の改善に一役買った。金利先物市場が織り込む6月までの利下げ確率は足元6割ほどで大きな動きはないが、仮に経済指標が悪化すれば緩和再開が意識される。
4月上旬には米上下院で法案作成に向けた予算決議案が可決され、25年末が期限の個人所得減税(トランプ減税)延長へ前進した。東京海上アセットマネジメントの若山哲志シニアファンドマネージャーは「関税問題が一山越えれば減税に焦点が移る」と話す。
2日比でみると、円相場上昇でも日経平均の回復は米ダウ工業株30種平均(24日時点で5%安)や欧州のストックス600(同3%安)を一歩リードしていた。相対的な割安感は一つの支えだ。
QUICK・ファクトセットによると東証株価指数(TOPIX)の予想PER(株価収益率、12カ月先ベース)は12倍台後半で、14倍弱の欧州より低い。
予想1株当たり利益(EPS)も日本は24年末比で4%増えている。25年4月に入って足踏みしているが米国(1%増)や欧州(2%減)より高い。「日本は企業収益は悪くない。関税の不透明感が払拭されれば評価されていく」(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの小松高広・運用投資戦略部長)との声がある。
過度な売りの一巡は個別株の決算反応にも表れている。
例えばキヤノン。24日に2025年12月期の連結営業利益予想を従来計画に比べて530億円下げた。事前の市場予想平均を下回る水準への修正だが25日の株価は一時4%上げた。会社側は追加関税のコスト増は原則値上げで対応する方針や、現時点で想定する収益影響を詳しく説明し、担当アナリストからは一定の好評価が出ていた。
日本固有の手掛かりとして企業の資本効率改善の動きも見逃せない。25日は午後の取引時間中に最大2000億円の自社株買いを表明した第一三共が6%高と急伸した。
著名個人投資家から投資助言会社の経営者に転じた井村俊哉氏は、買い場到来に意気込む。「急落から戻りきっていない銘柄がまだ多くあり好機だ」。1月に独立系運用会社fundnoteと組み、投資先との対話を通じた企業価値向上を目指す公募投資信託を立ち上げた。新規設定から3カ月弱で純資産残高が250億円を超えた。
海外投資家の日本株売りには歯止めがかかっている。日本取引所グループの投資部門別売買動向によると、4月第3週(14~18日)は円相場の上昇が続く中でも現物株、株価指数先物ともに1500億円超買い越した。関税をめぐる過度な懸念が和らいでも「米1強」修正は止まらないとの声は多い。資金の移し先としての優位性が輝ければ、独自にもう一段の戻りを試せるだろう。(篠崎健太)
反自由主義の愚に気づく好機か(大機小機)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 921文字 PDF有 書誌情報]
「諸悪の根源は新自由主義にある」。さかんに聞かれるのがこうした主張だ。市場原理を絶対視する考えが格差を拡大させ、弱者が大量に生まれたと説く。そこに一理はあるが、問題は「新自由主義」から脱却しさえすれば課題が一挙に解決するかのような幻想をうみだしていることだ。
優勝劣敗を原則とする競争市場は必然的に敗者を生み出す。倒産する企業や仕事を失う人が出てくるのは避けられない。そのメカニズムを象徴的に示すのが自由貿易だ。
海外との競争で工場がつぶれ、地域や人々が苦しみを味わう現象はグローバル化の進展とともにあちらこちらで見られるようになった。そうなると自由貿易の放棄こそが解決への道と感じる人が増えてもおかしくない。経済学者が比較優位に基づく自由貿易の効用をいくら説いても人々の頭にはすんなりと入ってこないのがこれまでの姿だった。
そんな状況を一変させるかもしれないのがトランプ米政権の高関税政策だ。自由貿易体制を壊すと何が起きるのかを人々が実地で体験できる機会を作り出しているからだ。
輸入関税を大幅に引き上げれば何が起きるか。「今年のクリスマスは危うい」。米国玩具協会のトップはメディアにこう語っている。米国で販売されるおもちゃの大半は中国製だが、高関税の影響で取引解約が続出し、生産が止まっているという。生産がクリスマスに間に合ったとしても人々のプレゼント代がはねあがるのは必至だろう。
やはり大半が中国製のアップルのスマホは一時的に関税の対象外になったが、ここで問題になるのは政権に近づく企業だけが得をする政治と企業の癒着問題だ。政府の経済への介入が腐敗につながる実例を映し出している。
自由貿易の悪影響をこうむる人たちがいるのは確かだ。だが、そうした問題に対する正しい処方箋はマイナスの影響を受ける人たちへの安全網強化などの社会政策だ。
貿易問題に限らず、市場機能を損なう政府の介入は経済活動の停滞を通じて人々の暮らしの悪化につながりうる。官民癒着によって民主主義が劣化するリスクもある。
欠点があるからといって競争市場を圧殺する行為は愚の骨頂だ。それに気づく機会をつくってくれたのがトランプ氏の唯一の功績といえるかもしれない。(冬至)
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 740文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
山崎製パン(2212)
24.1-3 3066 17382 10944 53.6
25.1-3 3187 16550 10979 55.4
■カンロ(2216)
24.1-3 76 1217 941 67.5
25.1-3 82 1407 993 70.7
ヒューリック(3003)
24.1-3 1075 21241 15858 20.8
25.1-3 1566 28010 17175 22.6
モバイルファクトリー(3912)
24.1-3 7 171 113 14.7
25.1-3 6 175 128 17.4
四国化成ホールディングス(4099)
24.1-3 173 2903 1803 36.7
25.1-3 168 2811 1925 43.1
■鳥居薬品(4551)
24.1-3 134 1166 878 31.3
25.1-3 146 1859 1391 49.5
カナレ電気(5819)
24.1-3 31 425 342 50.4
25.1-3 33 514 387 56.8
太洋テクノレックス(6663)
24.1-3 8 3 6 1.0
25.1-3 7 ▲60 ▲20 ―
■東邦レマック(7422)
24.1-3 11 ▲0 ▲0 ―
25.1-3 11 ▲18 ▲19 ―
三菱鉛筆(7976)
24.1-3 200 3468 2137 39.3
25.1-3 225 2340 1459 26.4
コクヨ(7984)
24.1-3 960 12565 11978 105.5
25.1-3 994 13029 10012 88.4
<数表>第3四半期(決算数字)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 630文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
アクシーズ(1381)
23.7-24.3 192 1327 922 164.3
24.7-25.3 195 1316 1153 205.4
25.6予 259 1500 1200 213.7
■タウンニュース社(2481)
23.7-24.3 29 694 475 86.1
24.7-25.3 28 588 389 70.5
CIJ(4826)
23.7-24.3 191 1589 1018 26.3
24.7-25.3 201 1711 1104 19.2
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
―――――――――――――――
<数表>第2四半期(決算数字)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 501文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
三菱総合研究所(3636) 6.9
23.10-24.3 665 9341 6212 391.2 80.0
24.10-25.3 654 7640 4881 310.1 80.0
25.9予 1220 7500 4100 260.3 160.0
■PLANT(7646) 5.16
23.10-24.3 489 1300 911 120.7 20.0
24.10-25.3 482 1056 751 108.8 30.0
25.9予 974 1900 1350 195.5 75.0
SHOEI(7839)
23.10-24.3 164 5345 3738 70.6 0
24.10-25.3 145 4343 3040 57.9 0
25.9予 339 8760 6220 118.3 59.0
■ホウライ(9679)
23.10-24.3 24 326 227 162.7 0
24.10-25.3 26 215 120 86.3 0
25.9予 58 650 450 107.5 22.0
株式 続伸、米中摩擦緩和に期待(市場往来)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 174文字 PDF有 書誌情報]
25日の東京株式市場で日経平均株価は3日続伸し、終値は前日比666円59銭(1.9%)高の3万5705円74銭。米中貿易摩擦が緩和するとの期待感から買い優勢となった。日米財務相会談で為替への具体的な言及がなく、円安・ドル高が進んだことも追い風となった。米政権が「相互関税」の詳細を発表する直前の2日終値(3万5725円87銭)以来の水準となった。
第一三共、ステップ、ミネベアミツミ、東宝(注目株概況)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
今期の業績見通しが市場予想上回る。自社株買い計画の公表も好感された。
決算発表で通期業績見通しを据え置き。利益確定売りが優勢に。
芝浦電子を巡るTOB(株式公開買い付け)合戦で価格引き上げを検討。
米中対立の緩和期待で資金は外需株へ。エンタメ株の一角が換金売り対象に。
金利 10年債利回り、1.335%に上昇(市場往来)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは上昇(価格は下落)。前日比0.025%高い1.335%で終えた。4月の都区部消費者物価指数の伸びが市場予想を上回ったことが材料となった。
為替 円続落、143円39~41銭(市場往来)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は3日続落した。午後5時時点は1ドル=143円39~41銭と、前日の同時点に比べ82銭の円安・ドル高だった。日米交渉後に円安是正への思惑が後退した。
商品 原油反発、停戦交渉に不透明感(市場往来)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 86文字 PDF有 書誌情報]
25日の国内商品先物市場で原油は反発。ウクライナとロシアの停戦交渉を巡る不透明感から、日本時間25日の取引でニューヨーク原油先物相場が上昇。国内原油先物にも買いが優勢に。
<数表>公社債投信基準価格[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 17ページ 505文字 PDF有 書誌情報]
公社債投信基準価格 ( 24 日・円)
野村 三菱U 日興 大和 みずほ 太陽
1月 10011 9991 10006 10009 10006 10007
2月 10008 9997 10005 10007 10005 10005
3月 10004 10002 10003 10004 10003 10002
4月 10000 9995 10001 10001 10001 10000
5月 10022 9999 10013 10022 10016 10018
6月 10020 9994 10012 10021 10015 10017
7月 10020 9990 10011 10020 10014 10016
8月 10019 9989 10011 10018 10013 10015
9月 10018 9989 10010 10017 10012 10014
10月 10015 9993 10009 10015 10011 10012
11月 10014 9990 10008 10013 10010 10011
12月 10013 9991 10007 10012 10008 10009
長期投資に生かす決算「勘所」 短信1枚目で実力を確認(トップストーリー)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2180文字 PDF有 書誌情報]
上場企業の2025年3月期の決算発表が5月にピークを迎える。1年を締めくくる決算は企業の経営状況を示すいわば「成績表」。多くの数字が並び、個人投資家に難しいと思われがちだが、有望な銘柄を選ぶ大事な手掛かりになる。トランプ米大統領の関税政策で不安定な相場環境が続くなか、企業の実力をどのように見極めればいいのか。プロのファンドマネジャーの視点から、長期投資に生かせる決算の勘所を探った。
決算発表で企業が開示する代表的な資料が決算短信だ。東京証券取引所が要請する統一書式で、1年間の売上高や利益、財務の状態、配当などの情報を最初のページで一覧できるほか、損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)といった財務諸表も掲載される。これを読み取るのが第一歩となる。
では、具体的に何に着目すればいいか。農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)の奥野一成・最高投資責任者は「売上高と営業利益が伸びているかチェックしたい」と助言する。売上高は文字通りモノやサービスを売って得た金額で、企業の事業規模を表す。売上高が増えていれば、本業が順調である可能性が高い。
企業が受け取った収益から費用を差し引いて残るのが利益だ。利益には様々な種類があるが、プロの投資家が特に重視するのが営業利益。売上高から売上原価や広告宣伝費、研究開発費などのコストを引いた本業のもうけを示す。本業で安定した利益を出している企業の株価は上がりやすい。
売上高と営業利益を組み合わせて考えることも大切だ。売上高に対する営業利益率はまさに本業の稼ぐ力を表す。「同業他社と比べ利益率が高い企業は、逆風下でも自社製品の強みを価格転嫁できるなど競争優位性に優れるケースが目立つ」(NVICの奥野氏)。これらの数値は短信1枚目の連結経営成績の項目にまとめて掲載されるので、まず確認してみよう。
○ ○
トランプ関税による業績下押し懸念が強まるなか、財務基盤の健全度合いにも注意を払いたい。その指標の一つが、総資本に対する自己資本の割合を示す自己資本比率だ。数値が高いほど借金に依存せず、財務の安全性が高いとされる。日本企業の平均は40%程度。三井住友DSアセットマネジメントの古賀直樹シニアファンドマネージャーは「自己資本比率が50%以上の企業は財務基盤が非常に堅固で、事業環境が急変する危機時でも耐久力が高い」とみる。
もっとも、自己資本は単純に多ければいいというわけではない。株主から預かった資本でいかに効率的に利益を上げたかを示すのが自己資本利益率(ROE)。PLの純利益をBSの自己資本で割って算出する。高いほど資本効率が優れていることを意味する。業種によって投資家が求める水準は異なるが、ROEが日本に浸透するきっかけとなった経済産業省の「伊藤リポート」では8%を上回るのが望ましいとされている。
企業経営の効率性を測る物差しとしては、総資産利益率(ROA)も重要だ。BSの総資産に対するPLの利益の比率で、これが高い企業は無駄な資産を持たずに効率よく利益を生み出していると判断できる。同じ業界にあってもROAが優れた企業は、それだけ収益性の高い資産を保有しているともいえる。ROAやROEは、同業種の企業の収益性を比較する際に特に有用だ。
○ ○
現金の増減を表すキャッシュフロー(CF)を重視するプロも多い。商取引ではモノ・サービスの提供から代金回収まで一定期間かかるケースが多い。PLで利益が出ていても現金は実際に入っておらず、資金不足で経営が悪化することもあり得る。CFは本業で稼いだお金の出入りを示す営業CF、将来の事業に向けた投資を表す投資CF、資金調達や借り入れを示す財務CFの3種類。各数値は短信1枚目に載るほか、現金流出入の詳細はCF計算書で確認できる。CF計算書はPLとBSに並ぶ第3の財務諸表といわれる。
CFのうち、営業CFと投資CFを足した指標をフリーCFと呼ぶ。プラスなら事業活動と投資をしても現金が残り、株主還元や負債の返済に充てられるなど財務や事業判断で自由がききやすい。逆にマイナスなら資金調達の必要が出てくる。投資を加速している段階など一時的なマイナスは必ずしも悪くはないが、フリーCFが大きいほど経営状態は一般に良好とされる。ニューバーガー・バーマンの窪田慶太・日本株式運用部長は「CF創出力が高い会社こそ、中長期で成長が見込める『良い会社』だ」と話す。一つの目安として、時価総額に占めるフリーCFの比率で5%以上を挙げる。
長期運用では配当も大切な要素だ。株価が下がっても、長く保有すれば配当収入が運用収益を下支えする効果が見込める。配当は企業がもうけを株主に還元するもの。安定配当を続けている企業や、配当を増やしている企業は減配リスクが低く、投資先としての魅力を判断する手掛かりになる。配当方針は様々だが、純利益に占める配当の割合である配当性向などで目標値を掲げる企業も多い。
短信1枚目には配当の状況が載っている。直近の配当や次期の配当の増減をみてみよう。配当性向が高すぎる企業は無理をして配当を出している可能性がある。配当の原資である純利益の成長が伴っているかも要注意だ。経営状況によるが、一般に配当性向が30~40%程度なら無理がない水準とされる。
長期投資に生かす決算「勘所」――会社計画、市場予想と比較(トップストーリー)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 18ページ 537文字 PDF有 書誌情報]
企業が1年間の決算を発表する際は通常、次の決算期、すなわち今期の売上高や利益の予想を開示する。業績予想は市場の関心が高く、株価が動く要因になりやすい。利益の増減は注目ポイントだが、プロの投資家は市場予想と比べて先行きを判断することが多い。
証券会社のアナリストは、財務分析や事業環境の状況、企業取材など独自の視点から収益を予想する。各銘柄ごとにアナリスト予想を平均した数値が「コンセンサス」だ。増収増益計画でもコンセンサスに届いてなければ失望売りにつながるケースが少なくない。
決算発表では企業独自の決算説明会資料や中期経営計画が公表されることも多い。統一書式の決算短信は企業を比較しやすい半面、データは直近2年分のみ。説明会資料は決算の詳細をグラフなどで説明し、近年の業績動向をつかみやすい。中計は3~5年後の目標や株主還元策が記載される。日経会社情報デジタルでも予想を含む6期分の財務データやQUICKコンセンサスを入手できる。
トランプ関税を巡り、業績予想が未定の企業が出てくるとの見方がある。三井住友DSの古賀氏は「不透明な環境では実績が重要な手掛かり」として、過去5年分の業績を確認するよう助言する。業績推移をチェックし、長期の銘柄選びに役立てたい。
(阿部真也)
新社会人おカネの基本 給与明細で読む社会保険 病気・失業、「備え」の費用確認(備える&生かす)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1777文字 PDF有 書誌情報]
4月入社の新社会人は、そろそろ初めての給与を手にした人もいるのではないだろうか。配布される給与明細には様々な数字が書いてある。多くの人が最も気になるのは「手取り額」だろう。だが、他の項目にも目をこらせば、社会の仕組みを知るきっかけになり、将来に役立てられる。新社会人が知っておくべきお金の基本を解説する連載の1回目は給与明細の読み解き方について。
「給与明細で確認するのは主に手取り額。様々な費用が天引きされているのは把握しているが、何に使われているのかよく知らないまま1年が過ぎてしまった」。こう話すのは、神奈川県の入社2年目の女性会社員Aさん(23)だ。目先の不安は、2年目は天引き額が1年目と比べてさらに増えると先輩から聞いたことだ。「将来の自分のためにもお金をためやすい仕組み作りをしなくてはならないと思っているが、多忙で後回しになっている」と打ち明ける。
ファイナンシャルプランナーの小林美智子氏は「給与明細に書いてある情報の中身を知れば、キャリア形成や生活設計に役立つ」と指摘する。「お金は主に『稼ぐ』『使う』『ためる』『増やす』『守る』に分けられるが、行動の選択に必要な情報が明細に盛り込まれている」(小林氏)ためだ。
明細は主に「勤怠」「支給」「控除」の3つの項目で構成されている。勤務状況を表す「勤怠」をもとに支払われるのが「支給」で、そこから社会保険料などが「控除」で差し引かれる。残ったものが「手取り額」だ。
それぞれの項目を詳しく見てみよう。「勤怠」は、働き方が反映されている。残業時間や休日出勤時間、欠勤日数などが実際の勤務実態と合っているか確認しよう。社会保険労務士の北村庄吾氏は「顧問先の給与計算の検算をすると、9割の企業で誤りが見つかる。大多数が端数処理のミスで軽微だが、会社が出してくるものが間違っている可能性があることは知っておきたい」と指摘する。
「支給」はボーナスや退職金の計算の基になる基本給や、各種手当などが記載されており、稼ぐ力を把握できる。手当は勤務先や職種で異なるが、一般的なものは時間外手当や家族手当などだ。基本給や手当の額は、勤務先の就業規則などで定められている。
「控除」は税金や社会保険料など天引き項目が載っている。天引きされる税金は所得税と住民税だが、住民税は前年の所得に対して課税される仕組みで入社1年目は通常は天引きがない。Aさんが先輩に2年目は手取り額が減ると言われたのは、住民税の天引きが加わるためだ。
控除の大部分を占めるのは健康保険や厚生年金保険といった社会保険料だ。天引き額は、総支給額を所定の等級に当てはめ、法律で決められた料率をかけて算出する。昇進するなどで給料が上がれば、保険料も上がる。
社会保険は人生の危機が訪れた時に助けになる制度で、社会全体で支え合う仕組みになっている。若くて元気なうちは天引きされる額の多さに気を取られがちだろう。北村氏は「若い人でも活用できる給付はあるが、証明書や申請が必要で、制度を知らないと使えない。内容を理解して活用できるようにするのが重要」と指摘する。
入社1年目でも使うであろう社会保険の代表例は健康保険だ。学生までは親の健康保険の被扶養者だった人でも、就職後は健康保険に加入する。医療費の自己負担割合が3割で済むほか、入院などで1カ月の医療費が高額になった時は「高額療養費制度」を使える。
厚生年金保険は、老後に受け取る年金のイメージが強いが、障害を負った時に受け取れる年金や、死亡した時に遺族が受け取れる年金もある。小林氏は「若くても精神面で不調になることはある。精神疾患でも要件を満たせば障害年金を受け取れるケースがあることを知っておきたい」と話す。
雇用保険には、失業時の給付や、育児・介護による休業時に給料の一定割合が支給される制度があるが、受給には条件がある。例えば、失業等給付は離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12カ月以上なくてはならない。
社会保険料を負担することでどんな保障を受けられるのかを理解していれば、必要なときに制度を活用することができる。公的な保障で足りると判断するなら、民間の保険などに入る必要はないかもしれない。小林氏は「余計な出費を抑えられれば、家計の節約にもつながる」と助言する。
(岸田幸子)
<数表>4月25日(市場体温計)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 20ページ 2655文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 35705円74銭(+666円59銭)
騰落率= +1.902%
東証株価指数(TOPIX) 2628.03 (+35.47)
騰落率= +1.368%
売買代金 4402020百万円 (+256913百万円)
売 買 高 187254万株 (-1543万株)
売買単価 2350.8円
売買高上位10銘柄の占有率 30.9%
〓-〓 上場銘柄数 1635 値上がり 1067 〓-〓
売買成立 1635 値下がり 510 変わらず 58
新値株 (年初来) 高 値 31 安 値 0
騰落レシオ(25日移動平均) 94.92%
時価総額 9115365億円 (+113155億円)
普通株式数(百万株) 499326 1株当たり時価(円) 1825.53
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 14.54 ( 15.61 ) 1.33 2.25 ( 1.97 )
JPX日経400採用銘柄 14.23 ( 14.80 ) 1.43 2.32 ( 2.14 ) 2.53 ( 2.21 )
東証プライム全銘柄 14.43 ( 15.51 ) 1.27 2.68 ( 2.40 ) 2.53 ( 2.22 )
東証スタンダード全銘柄 13.76 ( 15.74 ) 1.00 2.66 ( 2.52 ) 2.41 ( 2.47 )
東証グロース全銘柄 38.02 ( 156.61 ) 3.23 0.85 ( 0.75 ) 0.61 ( 0.55 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 6.92 %
前期基準 6.44 %
25
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 567.09 ( +7.79)
日経500種平均株価 3154円85銭 ( +44円55銭)
日経平均高配当株50指数 66039.53 ( +543.40)
日経連続増配株指数 47968.65 ( +155.95)
日経累進高配当株指数 44168.42 ( +293.74)
日経半導体株指数 7476.41 ( +286.10)
日経平均内需株50指数 27365.46 ( +133.95)
日経平均外需株50指数 33579.86 ( +781.17)
日経平均トータルリターン 64326.75 ( +1200.92)
日経平均VI先物指数 6130.04 ( -1.56%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2576円17銭 ( +21円48銭)
東証規模別株価指数
大型 2582.62 ( +42.10)
中型 2805.01 ( +25.09)
小型 4444.04 ( +20.45)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1676.14 (+20.41)
…
ド ル/円 1 ド ル = 143.39~143.41円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 162.88~162.92円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1359~1.1360ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3295.0600 (-2.2281)
韓国総合(韓国) 2546.30 (+23.97)
ハンセン(香港) 21980.74 (+70.98)
加権(台湾) 19872.73 (+393.92)
VN(ベトナム) 1229.23 (+5.88)
クアラルンプール総合 1509.20 (+2.68)
ST(シンガポール) 3823.78 (-8.14)
ジャカルタ総合 6678.915 (+65.437)
SET(タイ) 1159.00 (+12.14)
オールオーディナリーズ(豪) 休 場
新発10年国債利回り 1.335% ( +0.025)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( 0)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15363 円 (―円)
ドバイ原油(1キロリットル) 55860 円 (+1000円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
658.12 (+2.96)
工業品 664.97 (+3.14)
始値 35387円67銭 高値 35835円28銭 ( 13時8分 )
午前終値 35527円39銭 安値 35337円98銭 ( 9時1分 )
JPX日経 インデックス400 23803.00 (+335.10)
JPX日経中小型 18735.37 (+152.55)
日経気候変動指数 35434円23銭 (+690円87銭)
JPXプライム150指数 1159.18 (+19.43)
東証プライム市場指数 1352.52 (+18.25)
東証スタンダード市場指数 1262.39 (+7.20)
東証グロース市場指数 852.66 (+10.32)
東証グロース市場250指数 667.84 (+8.63)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1703.17 (-1.55)
日経ESG―REIT指数 948.13 (-0.96)
日経高利回りREIT指数 1217.61 (-3.09)
……………………………………………………………………
日経平均VI 28.84 (-1.22)
日経配当指数(2025年) 24円37銭
<数表>4月25日商品先物[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 20ページ 5770文字 PDF有 書誌情報]
( 25 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
6月 15274 15436 15204 15237 ▲63
8月 15323 15467 15173 15261 △16
10月 15304 15474 15273 15273 ▲31
12月 15310 15503 15199 15291 △14
2月 15360 15545 15238 15328 △16
4月 15521 15577 15307 15363 ―
《金ミニ》(1グラム)
6月 15256.5 15435.5 15198.0 15237.0 ▲63.0
8月 15282.5 15456.0 15228.5 15261.0 △16.0
10月 15325.5 15469.5 15199.0 15273.0 ▲31.0
12月 15309.0 15487.5 15197.0 15291.0 △14.0
2月 15357.0 15537.5 15237.0 15328.0 △16.0
4月 15530.0 15577.5 15306.0 15363.0 ―
《金限日》(1グラム)
15722 15862 15631 15209 ▲88
《白金》(1グラム)
6月 4413 4445 4395 4417 ▲13
8月 4395 4431 4388 4392 ▲12
10月 4416 4430 4388 4388 ▲17
12月 4404 4436 4385 4394 ▲20
2月 4379 4410 4350 4354 ▲31
4月 4388 4388 4329 4330 ―
《白金ミニ》(1グラム)
6月 ― ― ― 4417.0 ▲13.0
8月 ― ― ― 4392.0 ▲12.0
10月 4425.0 4429.0 4412.5 4388.0 ▲17.0
12月 4400.5 4423.0 4390.0 4394.0 ▲20.0
2月 4379.5 4404.5 4351.0 4354.0 ▲31.0
4月 4385.0 4389.0 4316.0 4330.0 ―
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4441 4450 4365 4424 ▲18
《銀》(1グラム)
6月 ― ― ― 148.0 △1.0
8月 ― ― ― 148.0 0
10月 ― ― ― 148.0 0
12月 ― ― ― 149.0 0
2月 ― ― ― 157.0 0
4月 ― ― ― 157.0 ―
《パラジウム》(1グラム)
6月 ― ― ― 4300 0
8月 ― ― ― 4300 0
10月 ― ― ― 4300 0
12月 ― ― ― 4300 0
2月 ― ― ― 4300 0
4月 ― ― ― 4300 ―
《CME原油》
5月 ― ― ― 158.90 △1.35
6月 ― ― ― 157.35 △1.35
7月 ― ― ― 156.05 △1.35
8月 ― ― ― 154.90 △1.40
9月 ― ― ― 152.40 △1.45
10月 ― ― ― 151.55 △1.45
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 62000 62000 62000 62000 △170
5月 59730 60470 59070 60450 △690
6月 58640 59430 58640 59430 △880
7月 58140 58970 57890 58750 △720
8月 57490 58390 57100 58160 △730
9月 56980 57910 56240 57680 △860
10月 56760 57310 56760 57310 △1090
11月 ― ― ― 56970 △920
12月 ― ― ― 56710 △950
1月 ― ― ― 56520 △980
2月 ― ― ― 56360 △1010
3月 ― ― ― 56250 △1030
4月 ― ― ― 56120 △1020
5月 ― ― ― 55990 △1010
6月 ― ― ― 55860 △1000
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 91000 0
6月 ― ― ― 90600 0
7月 ― ― ― 90200 0
8月 ― ― ― 89800 0
9月 ― ― ― 89400 0
10月 ― ― ― 88900 0
《ゴムRSS3号》(1キロ)
5月 283.6 288.9 283.6 283.8 ▲4.2
6月 291.0 291.1 291.0 291.1 △3.2
7月 285.2 289.2 285.2 288.4 △0.7
8月 288.0 290.6 286.8 289.9 △1.9
9月 288.9 292.0 286.8 289.1 △0.2
10月 290.3 292.2 287.0 289.3 ▲0.7
11月 ― ― ― 293.0 △5.0
12月 ― ― ― 293.0 △5.0
1月 ― ― ― 293.0 △4.0
2月 ― ― ― 293.0 △4.0
3月 ― ― ― 293.0 △4.0
4月 ― ― ― 293.0 △4.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 239.0 △5.0
6月 ― ― ― 239.0 △5.0
7月 ― ― ― 240.0 △5.0
8月 ― ― ― 240.0 △5.0
9月 ― ― ― 240.0 △5.0
10月 ― ― ― 240.0 △5.0
11月 ― ― ― 240.0 △5.0
12月 ― ― ― 241.0 △5.0
1月 ― ― ― 241.0 △5.0
2月 ― ― ― 241.0 △5.0
3月 ― ― ― 241.0 △5.0
4月 ― ― ― 241.0 △5.0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 82090 82090 80000 80590 ▲9410
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 38900 0
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
10月 ― ― ― 12300 ―
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 11.80 ▲0.08
5月 ― ― ― 10.65 △0.02
6月 ― ― ― 11.89 ▲0.24
7月 13.30 13.30 13.30 13.43 ▲0.18
8月 14.30 14.30 14.30 14.48 ▲0.21
9月 13.65 13.65 13.65 13.80 ▲0.17
10月 ― ― ― 12.83 ▲0.12
11月 12.90 12.90 12.90 12.90 ▲0.14
12月 ― ― ― 13.16 ▲0.18
1月 ― ― ― 13.70 ▲0.11
2月 ― ― ― 13.66 △0.21
3月 ― ― ― 11.43 △0.05
4月 ― ― ― 11.50 ▲0.33
5月 ― ― ― 11.24 △0.33
6月 ― ― ― 12.12 △0.03
7月 ― ― ― 13.40 ▲0.39
8月 ― ― ― 15.37 △0.51
9月 ― ― ― 13.20 ▲0.90
10月 ― ― ― 11.75 ▲1.09
11月 ― ― ― 12.38 ▲0.66
12月 ― ― ― 13.40 ▲0.28
1月 ― ― ― 14.08 △0.30
2月 ― ― ― 13.46 ▲0.27
3月 ― ― ― 11.52 △0.13
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.57 ▲0.07
5月 ― ― ― 8.30 △0.01
6月 ― ― ― 9.58 ▲0.21
7月 ― ― ― 12.02 ▲0.18
8月 13.00 13.00 13.00 13.04 △0.02
9月 ― ― ― 11.82 ▲0.17
10月 ― ― ― 10.08 △0.01
11月 ― ― ― 10.40 △0.01
12月 ― ― ― 11.03 △0.07
1月 ― ― ― 12.93 △0.15
2月 ― ― ― 12.10 △0.16
3月 ― ― ― 9.35 △0.12
4月 ― ― ― 9.66 △0.05
5月 ― ― ― 9.49 △0.05
6月 ― ― ― 10.13 ▲0.08
7月 ― ― ― 10.88 ▲0.08
8月 ― ― ― 12.54 ▲0.08
9月 ― ― ― 10.86 ▲0.08
10月 ― ― ― 9.74 ▲0.07
11月 ― ― ― 10.59 ▲0.08
12月 ― ― ― 11.89 ▲0.07
1月 ― ― ― 12.58 ▲0.08
2月 ― ― ― 11.87 ▲0.08
3月 ― ― ― 10.17 ▲0.08
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 36002 41968
金ミニ 12924 7588
金限日 1675 41975
白金 5432 28883
白金ミニ 458 2161
白金限日 1684 41528
銀 0 125
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2066 25235
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 507 3307
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 56 58
中京灯油 0 7
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 266 11379
電力西ベース 121 925
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 13702 53776
堂島白金 47 2192
堂島銀 20 1373
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15283.0 15530.0 15220.0 15241.7 △6.0
《白金》(1グラム)
4518.1 4545.3 4505.8 4459.8 ▲26.9
《銀》(1グラム)
155.63 157.05 155.63 154.13 △1.19
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月24日エネルギー・環境市場[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 20ページ 3522文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 25 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 17395
ソシエテ 13729
サスケハナ 4714
バークレイ 4059
Jモルガン 2593
野 村 2413
日産証 1740
モルガンS 1340
SBI証 1165
Gサックス 985
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.70 140.50 140.79 140.23 140.43 -0.26
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.393 29807 134950 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
140.00 ― ― ― 10 137.75 0.01 ― 51 69
140.25 ― ― ― 7 138.00 ― ― ― 25
140.50 ― ― ― 15 138.25 ― ― ― 30
140.75 0.06 ― 6 6 138.50 0.04 -0.01 20 66
141.00 ― ― ― 10 138.75 ― ― ― 10
合計 6 239 合計 77 404
HV(年率) 6月 8.2
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.520 0 0 614
25 /6 99.450 +0.002 0 513
25 /9 99.382 -0.012 650 346
25 /12 99.338 -0.012 0 2
合計 650 2663
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5200 -0.0025 16 29645
25 /6 99.4500 -0.0125 594 13743
25 /9 99.3850 -0.0100 662 13558
25 /12 99.3450 -0.0150 177 8171
合計 1519 72287
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2586.0 2629.0 2640.5 2574.5 2636.0 +45.5 58980 423480
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 1900
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 657 663 668 653 663 +5 4210 31064
25 /9 642 651 655 641 651 +4 35 485
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 34940 35590 35870 34790 35780 +750 40101 177105
25 /9 34900 35580 35830 34770 35760 +700 415 6249
25 /12 35300 35300 35500 35300 35450 +250 13 21960
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 34950 35590 35875 34790 35780 +755 640616 285878
25 /9 34940 35565 35855 34775 35760 +745 18701 9510
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 34950 35600 35875 34790 35775 +755 467453 79520
25 /9 34945 35575 35855 34775 35765 +760 17982 9213
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 35040 35585 35875 34795 35810 +780 21967 73883
25 /9 35610 35610 35710 35610 35790 +780 8 377
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 23425 23780 23915 23320 23885 +415 2987 52213
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 35460 ― 0 5月 28.65 -0.25 5 163
25 /9 ― 35470 ― 0 6月 ― ― ― 22
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 792.0 ― 1334 25年 795.0 792.5 19 4388
26年 ― 770.0 ― 1334 26年 757.0 762.9 13 2382
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 35500 790 +305 437 1564 1265 +205 15 3184 ―
35625 670 +225 32 360 ― ― ― 51 ―
35750 635 +255 180 577 1220 +285 301 455 ―
35875 560 +210 30 89 ― ― ― ― ―
36000 525 +225 3079 4388 1100 +275 139 3932 ―
36125 430 +160 68 60 ― ― ― 12 ―
36250 380 +145 216 929 ― ― ― 29 ―
36375 335 +130 51 153 835 +150 1 11 ―
36500 310 +135 3698 10477 765 +130 67 2500 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 35000 390 -310 1448 2396 965 -310 151 6815 ―
35125 470 -265 20 8 1000 -235 16 20 ―
35250 470 -210 111 571 1050 ― 8 288 ―
35375 ― ― ― 4 1090 ― 8 22 ―
35500 545 -395 224 723 1160 ― 49 1643 ―
35625 605 ― 22 316 ― ― ― 20 ―
35750 680 -210 115 417 ― ― ― 653 ―
35875 ― ― ― 7 ― ― ― ― ―
36000 810 -460 52 1754 1410 ― 3 4480 ―
総売買高コール 26793 枚 プット 28065 枚 日経平均HV 55.9
当日総建玉コール 336287 枚 プット 516185 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.80
ドイツ(1MWh、ユーロ) 70.17
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 11.400
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.202
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) 63.93
( 24 日)
<数表>4月25日外為市場[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1796文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
5月渡 144.02 141.52
6月〃 143.53 141.02
7月〃 143.09 140.54
8月〃 142.60 140.11
9月〃 142.15 139.61
10月〃 141.75 139.20
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 144.11 143.96
ユーロ 164.02 163.60
カナダドル 104.80 104.67
英ポンド 194.52 193.82
スイスフラン 173.26 173.37
デンマーククローネ 22.07 22.01
ノルウェークローネ 14.04 13.89
スウェーデンクローナ 15.26 15.18
豪ドル 93.62 92.97
ニュージーランドドル 87.67 87.03
香港ドル 18.87 18.85
シンガポールドル 109.86 109.53
サウジアラビアリヤル 39.03 38.99
U.A.E.ディルハム 39.71 39.67
タイバーツ 4.37 4.35
インドルピー 1.84 1.84
パキスタンルピー 0.66 0.66
クウェートディナール 477.06 476.72
カタールリヤル 40.06 40.02
インドネシア100ルピア 0.97 0.97
メキシコペソ 8.31 8.29
韓国100ウォン 10.20 10.23
フィリピンペソ 2.70 2.70
南アフリカランド 9.11 9.17
チェココルナ 6.64 6.61
ロシアルーブル 1.98 1.98
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.23 39.01
▽みずほ銀
中国人民元 19.93 19.89
トルコリラ 5.54 5.53
台湾ドル(参考値) 4.41 4.39
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 26.19 26.03
( 25 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 143.39 ― 143.41 142.57 ― 142.59
寄付 142.86 ― 142.88 143.18 ― 143.20
高値 142.68 142.57
安値 143.85 143.33
中心 143.00 142.91
直物売買高 42億6500万 ドル
スワップ売買高 471億7800万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 84.01
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.3
米ドル 103.9
ユーロ 103.1
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 190.68~190.73円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 91.755~91.795円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 172.58~172.64円
カナダドル /円 1 カナダドル = 103.30~103.35円
NZドル /円 1 NZドル = 85.64~85.69円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3297 ― 1.3301
(1ポンド=ドル) ( 1.3291 ― 1.3295 )
スイスフラン 0.8305 ― 0.8309
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8267 ― 0.8271 )
豪 ド ル 0.6401 ― 0.6405
(1豪ドル=ドル) ( 0.6380 ― 0.6384 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.2832 ( 7.2931 )
日本円(100円=元) 5.0792 ( 5.1129 )
<数表>4月25日債券市場[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 69.50 -2.00
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.81
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.53
中国471(2年) 27/4 0.9 100.42
中国177(5年) 29/12 1.1 101.04
長国378(10年) 35/3 1.4 100.61
超長国191(20年) 44/12 2 96.33
超長国86(30年) 55/3 2.4 95.11
超長国17(40年) 64/3 2.2 83.83
物価連動29(10年) 34/3 * 101.95
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.21
政保政投銀64 30/6 0.09 95.46
東京都(公)807 30/6 0.1 95.29
大和ハウス23 30/9 0.3 95.07
キリンHD17 30/6 0.37 95.80
王子HD40 30/7 0.37 95.31
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.18
日本製鉄6 30/6 0.42 95.48
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.06
OLC18 30/9 0.29 94.87
IHI48 30/9 0.49 94.93
ダイキン27 30/9 0.26 94.81
NEC58 30/4 0.54 95.70
パナソニック25 30/9 1.051 98.20
SUBARU6 30/9 0.42 94.96
三井物産77 30/7 0.28 95.36
JR東日本153 30/7 0.23 95.18
三井不77 30/4 0.48 96.24
中部電力544 30/9 0.3 94.94
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.15
( 25 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.330 % +0.020
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.91
中 期 債 1.16
長 期 債 1.94
◇日経国債インデックス 1.013
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 28日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.92 0.384
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85 0.375
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.52 0.520
中 国471(2) 27/4 0.9 100.42 0.681
中 国157(5) 28/3 0.2 98.49 0.726
中 国167(5) 29/3 0.4 98.43 0.809
中 国177(5) 29/12 1.1 101.03 0.873
長 国362 31/3 0.1 95.25 0.929
長 国366 32/3 0.2 94.74 0.990
長 国370 33/3 0.5 95.56 1.087
長 国374 34/3 0.8 96.58 1.206
長 国377 34/12 1.2 99.05 1.305
超長国191 44/12 2.0 96.34 2.231
超長国(30)85 54/12 2.3 93.02 2.640
超長国(40)17 64/3 2.2 83.84 2.895
<数表>4月25日短期金融市場[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1397文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1301 回債 0.375 0
6カ月 1298 回債 0.405 0
1 年 1300 回債 0.545 0.005
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.483 0.484
1週間 0.459 0.460
1カ月 0.453 0.452
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.78364 0.78364
6カ月 0.85727 0.85727
1 年 0.80818 0.80818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49696 0.49625
6カ月 0.54500 0.53625
( 25 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 0.560 ―
2週間 0.478 ―
3週間 ― ―
1カ月 0.560 ―
2カ月 ― ―
3カ月 ― ―
◇全国コール市場残高
( 24 日確報、億円) 114851
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月25日通知分】
国債買い入れ(残存期間3年超5年以下) 4/28 2750 5896 2751 最低0.015
国債買い入れ(残存期間5年超10年以下) 4/28 3000 5467 3002 最低0.028
国債買い入れ(残存期間10年超25年以下) 4/28 1350 5325 1353 最低0.048
国債買い入れ(物価連動債) 4/28 500 1476 501 最高▲0.110
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/28 1826 1826 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/28 0 0
【4月24日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/25 2437 2437 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/25 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5414800 ( 4895700 )
◇資金需給予想( 28 日、億円、実質) 21500 余剰
<数表>4月25日株式市場、先物市場[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 20ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 38261 20194
売買高上位10銘柄占有率(%)
71.6 54.3
売買代金(百万円) 103537 162009
売買単価(円) 270.6 802.2
騰落銘柄数
上場銘柄 1575 614
売買成立 1555 613
値上がり 870 351
値下がり 515 220
新値株(年初来) 高値 49 20
安値 2 0
時価総額(億円) 278659 79496
普通株式数(百万株) 31015 10713
1株当たり時価(円) 898.45 742.04
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 28017.90 +1.41%
カバードコールATM 19941.34 +0.53%
リスクコントロール 23244.58 +0.47%
レバレッジ 34024.97 +3.80%
インバース 888.74 -1.90%
ダブルインバース (01年末=100000)
237.18 -3.80%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 250477
売買代金(百万円) 574146
◇空売り比率(東証) 39.8 %
( 25 日)
都内客室単価5万7000円、日系の2.6倍、外資系高級ホテル続々、採算性重視「5つ星」強化[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1464文字 PDF有 書誌情報]
外資系大手によるラグジュアリー(高級)ホテルの開業が日本で増えてきた。訪日外国人(インバウンド)需要の増加が主因だが、資材費の高騰などを背景に採算面から5つ星をはじめとする高額帯への投資を強化してきたとの見方もある。東京都内では外資系ホテルの客室平均単価が5万7000円と5年で6割上昇し、日系の2・6倍になった。
米ヒルトンは4月、大阪に最上級ブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」を開いた。2030年までに国内に100軒の開業を目指すという。「ザ・リッツ・カールトン」などを展開する米マリオット・インターナショナルは30年までに、すべての都道府県へのホテル進出を見込む。
とりわけ高級ホテルは開業の余地が大きいという。「フォーブス・トラベルガイド」によると、日本の5つ星ホテルは25年に13軒と、米国(79軒)や英国(22軒)を下回る。米マリオットのカール・ハドソン日本・グアムエリアバイスプレジデントは「日本は旅館が多く5つ星の数は少なかったが、四季があり、地方を含めて魅力的な場所は多い」と評価する。
ヒルトンの藤本博久日本・ミクロネシア地区開発担当副社長が指摘するのは「外資系大手ホテルの世界的な顧客基盤の強さ」だ。マリオットやヒルトンなどは世界に約2億人の会員をそれぞれ有する。
ビジネススクールなどを展開する宿屋大学の近藤寛和代表は「外資系大手の会員数は日系ホテルの数十倍、数百倍で、宿泊予約の過半数は会員で埋まる」と指摘。「会員は世界各地を旅行する際、慣れ親しんでいる安心感に加え、予約のしやすさやポイントがたまるメリットから、会員になっているホテルを選ぶ傾向にある」と説明する。
一方、足元の資材費や人件費の高騰を理由に、建設段階で5つ星が選好されやすい事情もあるようだ。オラガ総研の牧野知弘代表は、資材費は新型コロナウイルス禍前の19年から約4割上昇したと分析したうえで「ホテル開業にあたり4つ星以下では採算が合わないだろう」と話す。
ある世界大手ホテルチェーンの担当者は「コスト増の中、5つ星ホテルであれば投資家が開業に納得するという都合もある」と明かす。
足元ではホテルの建設ではなく、既存ホテルの運営主体や内装などを変える「リブランド」も増えている。ヒルトンは現在日本にある31軒のホテルのうち、11がリブランドだ。「土地から取得して建設した場合、開業まで5年程度かかるのに対し、リブランドは早ければ1年から1年半で開業できる」(牧野氏)という利点がある。
高額帯の外資系ホテルの増加を受けて、日系ホテルとの客室単価の差は拡大している。不動産データ分析大手、米コスター・グループ傘下のSTRの調査によると、24年の都内外資系ホテルの平均客室単価は5万7225円と、日系ホテル(2万1952円)の2・6倍だった。5年前の19年と比べた価格上昇率は日系(33%)を上回る57%だった。
STRの桜井詩織マネージャーによると、外資系ホテルは客室数ベースで都内全体の10%(24年時点)を占める。外資系は少数派だが、集客力や価格競争力の高さを前に日系は危機感を強める。
4月には日系の大手ホテルによるカルテルにつながりかねない慣行の疑いが浮上した。透明性の低い値付けなどにつながっていた可能性がある。利用者の不利になるような業界慣行を一掃していかないと、ブランド力や信頼性でも日系は外資系に引き離されかねない。
(井沢ひとみ)
【図・写真】4月に米ヒルトンの最上級ブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」が開業
国産ナフサ、小幅上昇 1~3月、円安が押し上げ、原油安で下落予測 7万円割れ視野[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1152文字 PDF有 書誌情報]
石油化学製品の基礎原料ナフサ(粗製ガソリン)の1~3月期の国産価格が、前四半期比0・3%高と小幅に上昇した。主に1月の円安で輸入価格が押し上げられたため。足元では原油価格の下落と円高が進行し、4~6月期は下げに転じそうだ。原油安・円高の基調が続けば1年半続いた1キロリットル7万円の大台割れが視野に入り、合成樹脂などの値下がり要因になる。
ナフサは原油の精製時にガソリンや灯油、軽油などの石油製品と同時に生産する。ナフサからエチレンやプロピレン、ベンゼンなどの基礎化学品をつくり、これらを使い合成樹脂や合成繊維を生産する。国産ナフサは輸入した原油を国内で精製した際にでき、国内のナフサ使用量の4割ほどを占める。
1~3月期の国産価格は1キロリットル7万3400円でほぼ確定した。2024年10~12月と比べ200円(0・3%)高い。
国産価格は輸入ナフサの平均価格と連動し、輸入ナフサの1~3月期の価格は主にアジアで取引する24年11月~25年1月ごろのスポット(随時契約)価格を反映する。この期間のアジアのスポット価格は、1トン600~700ドルほどで推移し、前の期からほぼ横ばいだった。
動きがあったのが外国為替相場だ。1月に1ドル=160円に迫る円安水準となり、輸入価格を押し上げた。
4月に入り、アジアのスポット価格は1トン600ドルを下回り500ドル台で推移している。トランプ米政権による関税引き上げや各国の対抗措置により世界経済が冷え込む懸念から、原油価格が急落したためだ。
加えて、一時1ドル=139円台を付けるなど円高も急速に進む。1~3月と比べて4~6月は円高水準で推移するとの声は多く、輸入価格を下押ししそうだ。
石油取引仲介会社のアメレックス・エナジー・コム(東京・港)が先物価格から算出した国産ナフサの理論値は4~6月に6万6100円と、1~3月から10%下がる見込みだ。近年の円安で23年10~12月以降1年半にわたり7万円台で高止まりしていた。節目の7万円を下回って価格が下がれば、ナフサを使う化学メーカーにとっては原料コストの低下となる。
合成樹脂の買い手であるフィルムメーカーの調達担当者は「国産ナフサの下落見通しを受けて、樹脂メーカーに値下げを打診する」という。ナフサに連動して自動で計算式に反映する契約を結ぶ買い手のほか、都度交渉で決める買い手の間でも値下げ圧力を強める可能性がある。
ただ、物流費や人件費、設備修繕費など原料以外のコストを転嫁する動きがあり、取引価格は大きく下がらない可能性もある。合成樹脂では、旭化成がポリエチレンを1キログラムあたり10円以上引き上げると発表している。樹脂を加工したシートでも、デンカや三菱ケミカルグループが値上げを打ち出した。
コンテナ輸送量8.8%減、2月アジア→欧州 中国発が減速[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 21ページ 650文字 PDF有 書誌情報]
日本海事センター(東京・千代田)がまとめた2月のアジア発欧州向け海上コンテナ輸送量は、前年同月比8・8%減の109万914個(20フィートコンテナ換算)だった。これまで好調だった中国発の荷動きが鈍った。スポット(随時契約)運賃の相場も下げ基調が続いている。
輸送量の7割以上を占める中華地域発(中国と香港の合計)が10・7%減と落ち込んだ。日本などを含む北東アジア発は9・9%減、東南アジア発は2%増となった。
単月の輸送量として過去最高を記録した1月の輸送量と比べると4割近く減少した。1月までは内需不振が長引いている中国が輸出に活路を見いだし、欧州への荷動きを膨らませていた。
日本海事センターは「2月の輸送量は春節の影響などで例年少ない傾向があるが、今年の減り方はいつも以上に大きい。欧州の消費力が弱含んだ影響がありそうだ」とみる。大手コンテナ船会社は「欧州航路は春節の連休明け以降、荷動きに勢いが感じられなくなった」と指摘していた。
2月の荷動きを目的地別にみると、主要港の多い北欧向けが16・3%減となった。西地中海向けは3・1%増、東地中海向けは5・4%増だった。
欧州向けでは運賃市況の下げも続いている。上海航運交易所によると、上海発欧州向けの運賃は3月末時点で20フィートコンテナ1個あたり1318ドルだった。2024年末と比べて56%下がった。4月に入り小幅に上昇に転じる場面もあったが、米国の関税強化で欧州経済の不透明感も強まるなか、本格的な反転は当面期待しにくいとの声がある。
求人広告、33.4%増、3月 輸送・機械運転大幅伸び[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 21ページ 489文字 PDF有 書誌情報]
人材サービス会社でつくる全国求人情報協会(全求協、東京・千代田)が25日発表した3月の求人広告件数(週平均、職種別)は、前年同月比33・4%増の275万1618件だった。年明け以降は増加ペースが加速し、3割以上の伸びが続いている。
全求協が主要各社のネット媒体の求人広告件数を集計した。主要職種では「輸送・機械運転」が169・5%増の24万3573件と高い伸びが続いた。事務が42万2276件で40・6%増えた。
人材サービス「エン転職」事業責任者の岩崎拓央氏は、輸送関連の伸びを「トラック運転手は慢性的な人手不足の解消に向けた増員や、年度末の退職を見越した欠員補充もあり求人が増えている」と説明。アルバイト・パートでは保育士を中心に求人が伸び、「保育士・教員・講師・インストラクター」の大幅増の要因になっているとみる。
全求協は人材サービス会社の営業担当者らに企業の求人意欲を聞いた「求人広告ウォッチャー調査」も発表した。求人意欲の指数(100に近づくほど高い)は3月が正社員、バイトとも71・3だが、3カ月後予想を聞いたところ正社員が64・4、バイトが62・2に低下した。
国産合板在庫 3月末5.7%増 2カ月連続プラス[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 21ページ 160文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省がまとめた合板統計によると、住宅の壁や床に使う国産針葉樹合板の3月末の在庫量は前月比5・7%増の17万7809立方メートルだった。前月比でプラスとなるのは2カ月連続。
出荷量は同2・7%多い21万377立方メートル。一定量の出荷はあったものの、合板メーカーが生産を増やした背景もあり、在庫の増加につながった。
<数表>4月25日卸売市場(主要相場)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 21ページ 969文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4010頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=弱もちあい上場348頭
和牛雌A ― ― 2167 2257 2493
和牛去勢A ― 1882 2123 2300 2462
和牛去勢B ― ― ― 2024 ―
交雑種雌B ― 1481 1597 1686 ―
交雑種去勢B ― 1511 1621 1770 1908
乳牛去勢B ― 1226 ― ― ―
▽搬入物 上場262.5頭
和牛雌A ― 1261 1374 1675 2322
和牛雌B 992 1224 1368 ― ―
和牛去勢A ― ― 2228 2285 2420
交雑種雌B ― 1269 1518 1568 ―
交雑種去勢B ― 1440 1590 1753 ―
乳牛雌C 836 935 ― ― ―
乳牛去勢B ― 1181 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場67頭
和牛雌A ― ― ― 2391 2783
和牛雌B ― ― 1980 ― ―
和牛去勢A ― ― ― 2297 2657
交雑種雌B ― 1458 1678 1871 ―
交雑種去勢B ― ― 1642 ― 2047
◇仙台=もちあい上場37頭
和牛雌A ― 1242 ― 1462 ―
和牛去勢A ― ― ― 2055 2362
乳牛雌B 815 767 ― ― ―
◇さいたま=上場なし
◇横浜=まちまち上場50頭
和牛雌A ― ― ― 2271 2389
和牛去勢A ― ― ― 2273 2296
◇名古屋=上場なし
◇京都=弱もちあい上場51頭
和牛雌A ― ― ― 2231 2447
和牛去勢A ― ― ― 2269 2483
交雑種雌B ― ― 1717 1760 ―
◇神戸=―上場79頭
和牛雌A ― ― ― 2327 2609
和牛去勢A ― ― ― ― 2479
◇広島=―上場30頭
和牛去勢A ― ― 2084 2430 2614
乳牛雌B ― 1166 ― ― ―
◇福岡=もちあい上場132頭
和牛雌A ― ― ― 2452 2499
和牛去勢A ― ― 2157 2391 2554
<数表>4月25日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 21ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
25日 227.134
前日比 +0.571
(1970年平均=100)
認知症薬の治療、地方でも 病院連携で地域格差を解消へ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1448文字 PDF有 書誌情報]
認知症の新しい治療薬を使える環境が地方でも整い始めている。検査設備や医療スタッフが整った都内などと違い、地方都市では複数の医療機関が連携して患者をサポートすることがカギとなる。先行する金沢大学付属病院の取り組みをもとに課題を探った。
「『最近、同じことを何回も言ってる』と言われ、薬が出たと聞いてぜひ使いたいと思った」
こう話すのは金沢市在住でアルツハイマー病と診断された70代男性。2024年6月からエーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の投与を受けている。
レカネマブの国内での発売は23年12月。25年1月末時点で治療を受けている患者は全国に約6800人で、初回から投与できる施設は約660にのぼる。
臨床試験(治験)の結果によると、症状の進行を27%遅らせるが、認知機能の改善効果はない。男性の妻は「(夫の症状は)改善してはいないが、火を使わない料理や家の掃除を続けられている。できるだけ施設に入らずにいるためにも薬を使い続けたい」と話す。
男性は当初、石川県内でも最大規模の金沢大学病院で治療を受けていた。初回投与から6カ月がたった段階で、自宅に近く車で10分の金沢西病院に移った。大学病院までは約40分だったため、男性は「通院しやすく便利になった」と話す。
レカネマブを初回から投与できる医療機関は限られる。厚生労働省の定めるガイドラインでは、学会の認定を受けた専門医の配置や、磁気共鳴画像装置(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)の検査ができることなどが求められている。
石川県内にはレカネマブの初回投与が可能な病院が8つあり、金沢大学病院はその1つ。レカネマブと、米イーライ・リリーが24年11月に発売した「ドナネマブ」を合わせ、3月までに84人の患者が治療を受けた。
金沢大学病院ではガイドラインに沿い、投与から6カ月後、患者の居住地域の医療機関に紹介する仕組みを設けた。連携施設は25年3月末時点で10施設あり、48人の患者を紹介した。主導する金沢大の小野賢二郎教授は「治療を始める段階で半年後には移ってもらうと説明している」と話す。
レカネマブやドナネマブは点滴で、1時間近くかけて投与する。大学病院の場合は様々な患者で点滴用の椅子やベッドが混雑しやすい。金沢大学病院でレカネマブの投与を受けた70代の男性は「早朝に家を出て朝一番に来ても投与が終わるのは昼ごろだ。大体午前中いっぱいかかる」と話す。
レカネマブの投与は2週間に1度で、通院は患者や家族への負担が大きい。自宅の近くで投与を受けられれば患者が治療を継続しやすくなり、大規模病院にとっても対応能力に見合った患者の受け入れが可能になる。
課題は脳出血など副作用の発生時の対応だ。金沢大では重大な副作用で治療を中断した患者は4人いた。同大以外で治療を受ける際も迅速に対応するため、24時間365日つながる緊急連絡先を連携施設に伝えている。投与の手順書を作成し、施設見学も受け入れる。小野教授は「患者が困らないよう今後も拡大していきたい」と話す。
大都市圏でも病院連携はあるが、医療資源が限られる地方ではより重要だ。連携には多くの調整や配慮を必要とし、旗振り役となる医師の有無に左右される部分もある。取り組みを広げるには、医師の交流や病院間での問題意識の共有といった地道な作業が不可欠になる。
(坂野日向子)
【図・写真】アルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」の投与を受ける男性(金沢市)
認知症薬の治療、地方でも――薬以外のケアも必須に[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 26ページ 272文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省によると認知症の患者数は日本では2030年には523万人と推計され、軽度認知障害を含めると約1000万人になると予想される。これまでの薬は進行を抑えられなかったが、23年以降相次いでレカネマブやドナネマブという新しい認知症薬が登場した。
両剤とも費用は高額で年間300万円前後にのぼる。高額療養費制度で患者の負担は少なくなるとはいえ、費用対効果を疑問視する声もある。患者が自分らしい生活を続けられる期間を延長できるのは少なくとも大きな一歩だ。今後は治療薬のより効果的な使い方の模索や、薬以外の認知症ケアを充実させることも求められる。
筋強直性ジストロフィー患者会事務局長 妹尾みどりさん(4) 治験情報、患者団体も提供を(向き合う)終[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 26ページ 828文字 PDF有 書誌情報]
次第に筋肉がこわばり、筋力が低下する難病の筋強直性ジストロフィーに関する情報は少なかった。厚生労働省の研究班が2015年1月に大阪大学中之島センターで開催した市民公開講座「知っておきたい 筋強直性ジストロフィー」には120人の定員を超える人が押し寄せた。福井や広島など遠方から訪れる患者や家族もいた。
研究班は各地で市民公開講座を開催し、私や39歳で診断された妹、籏野あかねは登壇して患者の現状を伝えた。
私はフェイスブックで「筋強直性ジストロフィー情報集」(DM―info)のページを立ち上げ、国内外の研究情報や公開講座など案内を拡散した。グラフィックデザイナーの夫にも協力してもらい、患者会や研究班のロゴやホームページ、パンフレットなどの作成も支えた。
妹が専門医に出会うまで約3年を要したように、この病気を知る医師は少ない。知識を広げようと日本神経学会は20年に診療ガイドラインを作成し、妹は患者の立場で作成に協力した。
根治療法がない中、新薬の治験への期待は大きい。海外では製薬企業からの情報を患者団体のサイトで掲載している。日本では「未承認薬の広告」を禁じる医薬品医療機器法(薬機法)68条が壁になっている。厚労省のガイドラインでは患者や患者団体から求めがあった場合、製薬会社は治験情報を提供できるとする。だが「要求者に限定」しており、患者団体のサイトへの掲載は同省が「要求者に限定していない」と認めていない。
海外の患者団体は製薬企業と連携し、治験への準備を推進している。日本の難病患者は国際共同治験にほとんど参加できていない例もある。私は国際会議に参加し、24年3月から英語サイトも公開して日本の患者情報や現状を発信している。
25年3月には政府の規制改革推進会議の作業部会で治験情報の規制見直しを訴えた。治療薬が開発中と知るだけでも患者は前向きになれる。海外と同等に患者や家族が治験に関する情報を得られるよう尽力したい。
(この項おわり)
同期や先輩との会話、大事に(こころの健康学)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 26ページ 664文字 書誌情報]
先週は、入社してすぐにやめてしまう新入社員の話題を取り上げた。そうした若手には、すぐに決断せず、ひと息入れて、自分が置かれている状況の良い面、良くない面の両方に目を向けて考えてほしいと書いた。
一人で考えずに、まわりの人に相談してみることも役に立つ。一人で考えていると、どうしても自分の目線でしか考えられなくなってしまうことが増えてくる。そのようなときに、同期や先輩、上司などに思い切って相談してみると、違った視点から助言してもらえて新しい気づきが生まれることもある。
若い人に思い切って相談しろといっても、慣れない環境のなかで大先輩に相談するのはかなり勇気がいる。上司や先輩が、相談しやすい環境をつくるのも大切だ。私が医者に成り立てのころ、医局と呼ばれる小さい部屋で話し合えたことがとても役に立った。
診療の合間や診療後に、若手や先輩医師と話し合うことができた。内容は診療に関することもあれば、たわいない世間話のこともあった。話し好きの先輩がいるときには、会話が深夜まで続くこともあった。そのため、狭いアパート住まいの私は、銭湯が開いている時間までに帰ることができず、何日も風呂に入れない日もあった。
しかしそこで教わったことは身になったし、今でも覚えていることが多い。なにより、一人ではないという安心感を持てたことが、新米医師の私にはうれしかった。職場によって事情の違いはあるだろうが、そのように安心して話ができる環境は、こころの健康にとって大切だ。
(認知行動療法研修開発センター 大野裕)
【図・写真】イラスト・大塚いちお
書はいつから「書」か?、実用文書も美しく書いた(漢字そぞろ歩き阿辻哲次)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1871文字 PDF有 書誌情報]
文字は音声の連続として話される言葉を紙などに定着させるツールだが、それが中国や日本などでは美的鑑賞の対象となる。もちろん文字の美しさを鑑賞する行為は東洋だけでなく、中世ヨーロッパの写本には意匠を凝らした華美な文字が使われ、イスラム教の聖典コーランにも“Islamic calligraphy”と呼ばれる美しい文字が書かれている。
しかし西洋と東洋の文字に対する美的追求を比べると、歴史的蓄積や芸術的達成度の面で大きな違いがある。だがそれなら、中国で書道という芸術が萌芽(ほうが)したのは、いったいいつ頃だったのだろう。
文字の美しさを鑑賞するためには、鑑賞者が書かれた文字を理解し、自分でもその文字を書けることが前提となる。中国で漢字を読み書きできる人が増えだしたのは、秦の始皇帝が大帝国を作りあげてからで、道路網でつながる中央と地方の役所の間には、日常的に行政文書がやりとりされていた。
このような行政形態を可能にするには、各地の役所に文書を記録し、保管し、伝送する書記がいなければならない。書記は大量に必要で、たえず補充する必要があるから、そのために文字教育がおこなわれ、試験を実施して書記を採用する制度が確立された。
書記たちは各地の役所で文書の作成にあけくれた。彼らが書いた文書の実物が今では遺跡から大量に発見されているが、この中に書記たちが仕事の余暇などに漢字の練習をしたものが混じっていて、同じ文字を何度も繰り返して書いたものや、ピンとひげを張ったような独特の払いだけを何度も練習したものがある。
書記たちは文字を美しく書こうと努力していた。だが彼らが書く文書は詔勅や命令の写し、備品台帳、給与支給のための名簿などきわめて実用的な用途をもつ文書であり、文字の美しさを鑑賞させるためのものではなかった。
この時代の書記たちが文書に使った書体を「史書」といい、前漢の歴史を書いた『漢書』がしばしばそれに言及する。たとえば幼い時に両親を亡くした王尊は叔父に引き取られて羊飼いをしていたが、労働の合間に勉強にいそしみ、やがて「史書」が書けるようになったので、監獄の役人に採用された。
厳罰主義で政治をおこなった厳延年(げんえんねん)は、自分に忠誠を誓う部下の面倒を非常によく見たが、憎んだ人物に対しては徹底的に攻撃を加え、平素から習熟していた「史書」で弾劾書を作成し、裁判を起こして相手を簡単に罪に落とした。
ほかにもあと少しあるが、そんな「史書」を書いた官吏たちとは別に、もう二人「史書を善くした」意外な人物がいた。それは前漢末期の元帝(在位前49~前33年)と、その後をうけた成帝(在位前33~前7年)の皇后であった許皇后である。
元帝は多芸多才な人だったらしく、伝記末尾に「元帝は材芸多く、史書を善くし、琴瑟(きんしつ)を鼓し、洞簫(どうしょう)を吹き、自ら曲を度(つく)り、歌声に被(の)す」とある。また許皇后についても、伝記には「后は聡慧(そうけい)にして、史書を善くす」と記されている。
彼らは皇帝あるいは皇后である。このいわば雲上人ともいうべき朝廷の貴人が「史書」を上手に書くという話は、後漢になると例がさらに多くなる。『後漢書』によれば安帝(在位106~125年)は10歳の時に「史書」を善くしたというし、皇后では和帝の陰皇后と鄧皇后(この人はなんと6歳で「史書」が書けたという)、それに順帝の梁皇后らが「史書」を上手に書いたという。それ以外にも、地方の大名や皇帝の実母などが史書の名手として名を挙げられている。
貴人が日常生活の中で、役所の行政文書などを書くはずがない。だから彼らが書いた「史書」にはまったく使い道がなかったはずだが、しかしそれでも貴人たちは好んで「史書」を書き、その傾向は後漢になると一層顕著になった。それはいったいなぜなのか。貴人たちはもしかしたら、自分が書いた文字の美しさを他人に鑑賞させようとしたのではなかったか。
現代では人気のある書家がテレビ番組のタイトルを書いたり、あるいは前衛的な書が中央に大きく目立つポスターが駅に貼られるなど、実用的な用途を持った文字が芸術的鑑賞の対象とされることも珍しくない。しかし伝統的な状況に限定して考えれば、美しさを鑑賞されるのは実用的な用途を持たない文字だった。文字が実用性から離れ、文字そのものの美を主張しだした時に書道芸術が成立する。前漢の元帝や許皇后など、皇帝や皇后などが才芸として文字を書いたのは、まさに書道の萌芽を示すものなのである。(漢字学者)
神野紗希選(俳壇)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 27ページ 751文字 PDF有 書誌情報]
裏垢の方で蒜すりおろす
松 原 たろりずむ
恋果ててはうれん草のスムージー
大野城 野分 のわ
AIなんか要らんのちゃうか桜餅
府 中 佐藤 秀酔
「春休みどうする?」放課後のファミマ
北 杜 三井 朝美
ミャンマーの国旗振る人花の冷
東村山 副島 健
春の風邪まぶたの裏はキュービズム
東 京 関塚このは
蕗の薹ひらくつばさのうすみどり
尼 崎 池田 誠喜
採血の管に残る血春愁ひ
横 浜 吉田みち子
梅若忌こっちの大統領が好き
札 幌 島田 清純
山笑ふ口開けて待つ旅かばん
町 田 松尾 正晴
梅はもう細き実を持ち四月かな
横 浜 島田あき子
鎖捲く自由の女神に春の雪
東 京 東濃 誠
たろりずむさん。SNSの匿名の裏アカウント。公的な場では言えない本音の生々しさを、癖の強いニンニクに重ねた。のわさん。恋が終わっても日常は続く。ほうれん草の健やかな緑に、心の平穏の戻った安堵も匂う。秀酔さん。AIに頼る未来へ、打開力をもつ関西弁で一石を。桜餅の柔らかな質量に生の実存を思い出す。朝美さん。会話文に季語をなじませ自然体の雰囲気を醸した。他愛のないモラトリアム、無為の日々の尊さ。健さん。大地震のミャンマー、追悼と復興への祈りをこめて。
はがき1枚に3首(句)まで、未発表の自作。住所、電話番号、氏名(本名でも筆名でも可。筆名の場合はカッコ内に本名を書き添えてください)、希望選者名を明記。同じ作品を2人の選者に送ることはできません。〒100―8658、日本郵便銀座郵便局私書箱113号、日本経済新聞「歌壇」「俳壇」係。【メールでも受け付けます】shiika@nex.nikkei.co.jp =表題に希望選者名を明記(横澤放川先生ははがき、縦書きのみ受け付け)。1週に3首(句)まで。入選作品は電子版にも掲載します。
三枝タカ之選(歌壇)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 27ページ 673文字 PDF有 書誌情報]
友となり連れ合いになり親になり祖父母になりて幾代年月川 崎 野呂 純子
春耕のあとの田圃に雨水の季 土黒々と力貯めをり枚 方 衞藤 聰一
テレビ観に近所の子らが集まってぎゅうぎゅう詰めの昭和の社宅倉 敷 中路 修平
八畳にごろり寝そべる立春や古きがよろし夫と畳は上 尾 菅原 玲子
モルヒネの切れて小窓にしがみつきしらじら見やる冬の三日月富士宮 〓村富士郎
白梅の林の隅の小さき家嫁ぎ来し日は花の散るとき調 布 熊澤美恵子
起重機が静かな位置を保ちおり青空にあるあこがれとして甲 府 佐野 玄
じじばばはぢぢいばばあで腹が立ちぢいぢばあばで財布がゆるむ越 谷 横山 隆一
「これがまあ終の住処」と一茶の句自然の脅威も仲間の意識名古屋 立川 哲夫
第四の権力としてのテレビだが権力らしく腐敗していた東 京 野上 卓
コーヒーは一首浮かんだあとに飲む上出来ならばカステラ添えて東 京 黒〓 康夫
聞き分けのない子が好きだ「おばあちやん帰つちや駄目」と言ふ子が好きだ岡山 岩藤由美子
野呂さんは四度重ねる「なり」に遠く連れ合う感慨が生きて、共に歩む人生の幸福を改めて教えている。衞藤さんの春耕は作物を植える準備のための作業。時は草木が芽生える頃の雨水、土の質感を生かして「力貯めをり」が見事。中路さんは時代を蘇(よみがえ)らせる「ぎゅうぎゅう詰め」が効果的。いち早く購入した近所の家で力道山のプロレスを観(み)たわが少年時代が思い出される。菅原さんは緩んだ季節感が「古きがよろし」をなぜか納得させる。〓村さんはしがみつきながら見る三日月が印象鮮やか。
穂村弘選(歌壇)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 27ページ 665文字 PDF有 書誌情報]
焼肉の後の飴さえ真剣に選ぶ夜の星空はきれい
春日井 福島さわ香
杭あれば杭の頭を絶対に撫でる翁を抜かずに歩む東 京 田中有芽子
トッピングにダブルチーズ選ぶ僕をいいねと君はトリプルチーズ東久留米 中里 正樹
妹と「猿の惑星」観た館は超高層の見上げるビルに東 京 影山 博
よたよたとキッチンへゆく春眠のあとのパウンドケーキを焼きに大 阪 吉野 夏海
故里の変貌を嘆くわたくしにおまえだってと故里が言う千 葉 高橋 好美
改札であなたに振つた手のひらをメトロの窓にうすく浮かべた東 京 鈴木美紀子
川の音聞こえてきたの久しぶり冬の間は凍ってたんだ金 沢 林 まゆ美
本棚を横にずらせばドアがありドアを開けばそこに本棚守 口 小杉なんぎん
弦月が彼岸の空にかかりいて未明の世をば照らしておりぬ防 府 中村 清女
土筆にも早生と中生と晩生ありまず卵とじ天ぷら佃煮松 山 中矢 尚
花びらを集めて掬い投げ上げて吹雪に突っ込む女の子たち東 京 岡 純
〇福島さわ香氏。確かに「焼肉の後の飴(あめ)」は適当に選びがちだ。「飴」と「星」が二重写しに感じられてくる。〇田中有芽子氏。「翁」は何故「杭の頭を絶対に撫(な)でる」のか。そして、〈私〉は何故そんな「翁を抜かずに歩む」のか。謎のルールが妙に可笑(おか)しい。〇中里正樹氏。「トリプルチーズ」の驚き。響きもいい。〇影山博氏。一首の主題が「猿の惑星」の内容とも遠く響き合っているようだ。〇吉野夏海氏。冬眠のあとの動物を思わせる姿がユーモラス。「春眠」と「パウンドケーキ」の組み合わせもいい。
横澤放川選(俳壇)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 27ページ 528文字 PDF有 書誌情報]
長生きを詫びてひたすら春田打
志 木 谷村 康志
裾端折り御祖母は今朝も水菜抜く
久 喜 小澤 淳二
雛飾る暮らしも知らで老いにけり
愛 西 小川 弘
地球儀を回して燕来たりけり
兵 庫 小林 恕水
鎮圧やいくつもの山桜の死
大船渡 桃心地
木の芽時殿の乱心収まらず
広 島 山根 吉久
点滴の落下の間合ひ遅日なる
倉 敷 山本 一穂
熱飯に醤油香るや白子干
枚 方 秋岡 実
百度も見たはずの花齢数
八 代 長廣 陽佑
何事もなき日の夕餉花菜漬
東 京 森川 雅美
密に干潟にいのち無尽やオリンピア
オリンピア 荒谷 穎明
春の歌指の数よりもつと知る
佐 久 青木 孝
〇谷村氏。お幾つになられたか存知(ぞんじ)あげないが、加齢というはなにかとこんな詫(わ)び心を生みもするのかな。それでもの春田打とは磊落(らいらく)でいい。〇小澤氏。水菜はさっと茹(ゆ)でてもいいし、しゃぶしゃぶや汁物に放ってもいい。使い勝手のいいその菜を抜く。朝な朝なの老の楽しみなのだ。〇小川氏。ひとの暮(くら)しは家族史も含めてそれこそひとそれぞれだ。さびしく生(うま)れついてもなあそれはそれ。〇小林氏。こういう大きなをつけるのも、たまには俳句の楽しさだ。〇桃心地氏。孤高の山桜さえもか。
The Nvidia Way エヌビディアの流儀 テイ・キム著 GAFA超え 人材活用の妙(読書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1026文字 PDF有 書誌情報]
NVIDIAは生成AIブームの中、2024年夏にGAFAを上回る時価総額3兆ドルを達成したシリコンバレーのファブレス半導体メーカーで売上高ランクでもトップとなった。CEOのジェンスン・ファン氏は黒い革ジャン姿がトレードマーク、逸話も多い。同社の凄さは高価で高性能のチップ、ハードソフトの技術力、CUDA(クーダ)を基盤としたエコシステム(ダウンロード数4500万回/年、開発者400万人)によるビジネスモデルだ。結果としてAIサーバで断トツ90%超のシェア、高成長性と70%超の粗利率を誇る。
雑誌等記事は多いが、意外にも同社やファン氏について書かれた本は無かった。『エヌビディア 半導体の覇者が作り出す2040年の世界』(津田建二著、24年10月)はあるが半導体全体の記載が多く、同社について絞った初の書籍だ。著者は株式アナリストを経て、バロンズのテクノロジーライターとして1990年代から同社をフォローしてきたテイ・キム氏である。
ファン氏以下、数多くの関係者の取材等に基づき、技術、経営、金融等の面から俯瞰(ふかん)的な考察になっている。ファン氏の言葉「わが社は廃業30日前」は、インテルのグローブ氏の「パラノイアだけが生き残る」や華為技術の「冬は必ず来る」を想起させる。「1日25時間、週8日働く」はTSMC以上の猛烈さである。『イノベーションのジレンマ』が愛読書であるファン氏はインテル技術戦略の研究もしており、タイミング考慮の「2季3チーム」、性能差活用の「牛の丸ごと出荷戦略」は興味深い。強烈なのは「全員の前での直接的なフィードバック」「直属の幹部は60人強」で氏しかできない。他方、「トップ5メール活用」や終章の人材採用や報酬制度は見習うべき点が多い。
TSMCとの馴れ初め漫画、ポンチ絵も面白い。「妄想」絵活用やホワイトボードによる動的会議はMOT教育と同じで驚いた。
チップの競合比較や量子コンピュータの取り組み、熱問題対応についても分析がほしかった。関係が深いスーパーマイクロ社等や、AMDのリサCEOについての記載もあれば良かった。
とはいえ、日本で課題の企業文化やリーダーシップや人事制度について、参考になる。最後の語録だけでも一見の価値があるだろう。
《評》熊本大学卓越教授 若林 秀樹
(千葉敏生訳、ダイヤモンド社・2640円)
▼著者は経営コンサルタントなどを経てライターに。米半導体企業やゲーム会社を取材。本書が初の著書。
日本企業の対応 阻むものは…、ビジネスと人権を知る(活字の海で)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1025文字 PDF有 書誌情報]
「ビジネスと人権」という言葉を耳にすることが増えた。元々はグローバルなサプライチェーン上にある新興国での強制労働などに先進国企業がどう対応するかが中心的課題だった。昨今は日本国内の問題に焦点が当たることも多くなった。セクハラやパワハラなど人権に関わる不祥事が取引先や株主を巻き込み、企業を存続の危機に陥れることもある。
企業がビジネスと人権に対応する際に実務の観点から役立つのが、弁護士の塚田智宏氏が著した『ビジネスと人権』(2024年4月、商事法務)と、コンサルティング会社代表の羽生田慶介氏による『すべての企業人のためのビジネスと人権入門』(22年8月、日経BP)だ。前者は日本政府の人権尊重ガイドラインなどに沿った取り組みを分かりやすく解説する。塚田氏は本書の出版による自身の収益全額を子供の権利保護団体に寄付する。人権侵害のリスクは多岐にわたるなか、後者の付録が示す業種別の要注意リスク例は具体的かつ簡潔で、各企業の対応の端緒になる。
国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」副理事長で弁護士の伊藤和子氏は、25年2月出版の『ビジネスと人権』(岩波新書)で、「人権というレンズで、企業活動を改めて見直すと問題山積」と指摘する。特に日本企業の問題は、同質性が強化された集団内で形成される独自ルールが、往々にして人権と相いれない点だ。本書は、花見の場所取りや歓迎会での一気飲みなどを若手に押しつけるルールを例にとる。社員を接待要員として扱うことから生じる「接待セクハラ」も根は同じだろう。仕事とプライベートの境が曖昧なことがそもそも問題なのだが、ましてや「仕事だから人権を犠牲にしても当たり前」という考え方は間違っていると、伊藤氏は強調する。
この独自ルールを生み出す土壌が、不祥事企業の第三者委員会報告書でも度々言及されてきた企業風土だ。その風土を形成する大本は人事権のあり方と処遇の積み重ねだということも、様々な企業の調査報告書が繰り返し指摘している。
人権対応を阻む要因のひとつに「他人ごと感」を挙げるのは、弁護士の湯川雄介氏が書いた『「人」から考える「ビジネスと人権」』(24年10月、有斐閣)だ。特に長時間労働で疲弊した日本の企業人には市民社会を担う意識が乏しい。日本人の働き方そのものが、企業の内からも外からも社会課題の解決に主体的に取り組む妨げになっているという。(編集委員 瀬川奈都子)
【図・写真】専門家による解説本の出版が相次ぐ
「女子マネージャー」の社会学 関めぐみ著、大学スポーツと無償の労働(読書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1007文字 PDF有 書誌情報]
本書のタイトルだけを見れば、男性のスポーツ選手に進んで奉仕する女子マネージャーたちに浸透している性別役割規範を批判的に論じるような内容を想像するかもしれない。そうした要素も含まれているが、本書の重心はそれとは異なる点に置かれている。著者は、まだ日本ではほとんど研究例が無いインスティテューショナル・エスノグラフィー(IE)という手法を用いて、マネージャーだけでなくトレーナー(TR)、アナライジング・スタッフ(AS)、チアといった大学アメフト部の学生スタッフが日々行っている「ワーク」を詳細に描き出している。「ワーク」とは、「時間、努力、意思を必要とする人々の行いすべて」を意味しており、IEはそれがいかなる制度や社会関係に埋め込まれているかを当事者の視点から把握することを主眼としている。
6大学の66人(うち59人が女性)に及ぶ学生スタッフの記述や語りから浮かび上がるのは、学生スタッフらが部の活動を支えるために、練習や試合の動画撮影・編集、広報、学生連盟対応、チケット販売、テーピング練習、物品管理、データ分析といった膨大な業務に、グラウンド、部室、自宅などで日々深夜まで従事している実態であった。時間に加えて部費や交通費など費用もかかる場合が多い。しかも、これらの「ワーク」は選手やスタッフ相互の間でも見えにくいため、特に選手からは「何でも屋」「お母さん」扱いされるなど対等な扱いを受けていない。TRやASは必要とされる医療や競技の専門的知識を身につけようと努力しているが、その専門性が制度的に保証されているとは限らないことが、スタッフの立場の弱さをもたらしている。
このような、多くは女性から成る学生スタッフの、過重な無償労働によって、大学スポーツはようやく支えられている。いわば、学生スタッフに選手や大学、学生連盟、企業などが依存している構造がその背景には歴然と存在しているのであり、「やりがい搾取」と形容されうる事態を本書は明るみに出しているのである。
濃密な質的実証研究に対して敬意を評したい。ただ、濃密であるだけに、たとえば就職での有利さなど、当事者によって語られなかったことについても、もっと知りたい気持ちに駆られた。
《評》東京大学教授 本田 由紀
(左右社・3300円)
せき・めぐみ 甲南大准教授。専門はジェンダーとセクシュアリティーの社会学。著書に『〈女子マネ〉のエスノグラフィー』など。
詩人たちの自然誌 時田郁子著、旅・科学・芸術一体の独語文学(読書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 28ページ 992文字 PDF有 書誌情報]
ヨーロッパの各言語は、それぞれに独自の文学的伝統を育んできた。その中にあってドイツ語文学の魅力の大きな部分は、自然をめぐる想像力にある。自然力の介入や地形の変化に敏感に反応しつつ、人間はみずからの運命を生きる。ロマン主義以後の読者にとっては馴染(なじ)みやすいそんな見方は、しかし今でも強い力を保っているのではないか。
本書はそんなドイツ語文学の魅力の根底にあるものを、特に19世紀初頭に強調点をおきながら、よく教えてくれる。全体は3章に分かれる。まず、地水火風という四大元素が、精霊のかたちをとりながら、民間伝承に見られるように人々の想像をかきたて、文学者たちの創作をいかに支えてきたか。ついで、18世紀後半の世界周航の時代にあって、フィールドワークと博物学と文業をみごとに一致させた、知の巨人たちの仕事ぶり。最後に、自然という不可思議な対象になんとかして働きかけようとする人間の夢がもたらした、霊視、メスメリズム(動物磁気による治療)、蝋(ろう)人形、人造人間といった超自然的主題。
冒頭から目をひらかれることの連続だ。19世紀初頭の「ドイツ語圏」は今日よりはるかに広かった。詩人たちは軍人・官僚・医師・技師などとして働き、広範な教養をもち最先端の自然科学に通じていた。ロマン派文学者の代表ノヴァーリスが鉱山技師だったことに見られるように、かれらは手応えのある生(なま)の自然をつねに意識しつつ考え、書いた。
なんといっても圧倒されるのは第2章だ。フォルスター、フンボルト、シャミッソーという3人の探検博物学者がとりあげられる。おりしもジェイムズ・クック船長の世界周航後の時代。クックに同行したフォルスターを筆頭に、かれらは地球を広範に旅し、調査し、記述した。知力はいうに及ばず、絵のうまさにも特筆すべきものがある。旅と科学と芸術が分離していない、みずみずしい総合知の黄金時代といえそうだ。
人間の活動により地球生命の多くが危機に瀕(ひん)している現代、博物学的意識と想像力の回復は急務だろう。シャミッソーをはじめ、かれらの多くが多言語使用者だったことも見過ごせない事実。翻訳が精神を育てる。取り戻したい感覚だ。
《評》詩人 管 啓次郎
(国書刊行会・3520円)
ときた・ゆうこ 成城大教授。博士(文学)。近代ドイツ語圏の文学・文化・思想を研究する。著書に『ムージルと生命の樹』。
飴屋法水、予感に満ちた尾辻克彦の短編集 音は、きっと生き物なんだ(半歩遅れの読書術)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 28ページ 991文字 PDF有 書誌情報]
著者は尾辻克彦となっているが、それまで美術家として知られていた赤瀬川原平さんが、別名で初めて出した短編小説集が『父が消えた』(文芸春秋)である。40年ほど前のことか。
表題作「父が消えた」は、父親が死んで、その墓を探しに霊園を見学に行く話だが、なぜ死んだのではなく消えたのか?
父親の死後、寝たきりだった父の部屋の片付けに行く。父が使ってた風呂場を掃除する。しばらく使ってないので木の風呂桶(おけ)が乾燥し、ひび割れてしまったから隙間から水が漏れていく。すでに死んでるにもかかわらず、ダラダラと漏れ続ける、その水の音を聞きながら、決定的な「不在の訪れ」を予感する。
5作の最後は、タイトルからしてずばり「お湯の音」である。
父子家庭である父親と小学2年の娘が、銭湯に電話して出前を取る。お風呂の出前などもちろん妄想の産物だろうが、小説の中では、ちゃんと銭湯の出前が自宅に届く。銭湯なので真ん中には番台もあり、娘が父親と入るのは男湯なのだが、向こう側には女湯もある。
風呂の中で父親は娘に「花子のドル平」という、2人と同じ父子家庭の話を聞かせる。ドル平というのはドルフィン平泳ぎの略で、花子が川に流れてきた大きな桃に向かって泳ぐ時の「トーン、トーン、待って、パッ」という掛け声が素晴らしい。トーントーンで手で水をかき、パッで息継ぎするのだろう。
ここでも予感がある。桃の中から桃太郎ならぬ母親が、きっと生まれてくるだろう予感。
やがて隣の女湯から「ピチャン」というお湯の音が聞こえる。2人は耳を澄ます。また「ピチャン」と音。娘は女湯に走っていく。無音になる。今度は息を殺して、じっと音の正体を見きわめてるのだろうと父は思う。
人の認識はおよそ視覚に頼っているという。にもかかわらず、音には独特の「手触り」がある。体の見た目は視覚に宿るが、魂は、音の方に宿るのだろうか?
アニメーション、人形劇やラジオドラマを不思議に思う。絵だろうが人形だろうが、一本の棒であろうが何も見えてなかろうが、人はそこに生命を見立てることをする。それでも音は、声だけは、どうしようもなく生の声、生の音を置こうとする。
音とは振動だ。寄せては返す波のように、揺れて、震えながらそこに在る。震えるのを止めれば、たちどころに消えてしまう。だから音は時間というものでもある。きっと、音は生き物なんだろう。(演出家)
天使も踏むを畏れるところ(上・下) 松家仁之著、新宮殿の実体と戦後の象徴(読書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 28ページ 981文字 PDF有 書誌情報]
要するに建物をひとつ建てる話である。そのために著者は上下巻、合計1000ページ以上もの小説を書いた。
その建物とは、皇居内の新宮殿だ。天皇が儀式をおこなったり、晩餐会(ばんさんかい)をひらいたりする場所。もともとあったものは太平洋戦争の空襲で焼けてしまって、戦後かなり経(た)ってから再建が決まり、設計は村井俊輔が担当することになった。村井は本所緑町の和菓子屋に生まれた建築家、この物語の主人公のひとりである。
読者は村井とともに、あるいは侍従の西尾滋成や園芸家の藤沢衣子などとともに、昭和30年(1955年)前後の東京の空気を吸うことになる。そこでまず気づくのは皇居というものの実体のなさだ。大都会のまんなかにあって企業がなく、人がまばらで、自然が豊かに残っている。
まるでドーナツの穴のよう。その穴の主人というべき天皇も、戦前はともかく、戦後は国民統合の「象徴」なる(つか)みどころのない存在になってしまった。
しかしながら建物とは、実体のなかの実体なのである。雨が降れば濡(ぬ)れもする、地震が来れば揺れもする。すなわち村井がここで立ち向かうのは虚と実の糸の複雑にからんだ巨大な何かにほかならないので、著者はその糸の一本一本をじつにていねいに引っぱり出しては太さを測り、色つやを眺め、読者に示す。
なるほど紙数が必要なわけである。そうしてその繊細な作業の先にあるのは、おそらく私たちの「戦後」という時代そのものだった。
誰もが戦前の失敗を反省しないまま得意顔で民主主義を口にする軽薄さ。そのいっぽうで史上まれにみる高度経済成長を達成し、東京オリンピックを成功させた勤勉さ。
はたして空騒ぎなのか、それとも豊かな生産なのか。こういう不思議な時代のまさしく象徴であり実体であるものとして、村井俊輔の新宮殿は、少しずつ完成に近づいていくのである。
全体に叙述は流れるようだが、特に細部に魅力がある。特に皇居内の自然描写。「これだけ池だの草むらだのがあるのだから、もともと皇居は藪蚊(やぶか)の天国だ。そのぶん、天敵のトンボや魚、蛙(かえる)もたくさんいて」……一気読みは勿体(もったい)ない。
《評》作家 門井 慶喜
(新潮社・各2970円)
まついえ・まさし 58年東京都生まれ。編集者を経て、2012年『火山のふもとで』で作家デビュー。著書に『光の犬』など。
幕末女性の生活 村上紀夫氏、現代とひと続き リアルな日常(あとがきのあと)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 28ページ 854文字 PDF有 書誌情報]
ご近所の嫌がらせに悩み、不出来な婿に頭を抱え、迷子の猫を探し、大地震の余震におびえる――。幕末と言えばペリー来航や坂本龍馬暗殺など、大きな歴史の中の激動の時代を想像するが、そんな中でも庶民の日常はあった。4人の女性の日記をひもとくと「現代とひと続き」な身近でリアルな日常が浮かび上がる。
河内国の新興商家・種屋の長女、サク19才。問題を起こす夫と離縁し、事実上の女主人として一家を切り盛りする。ひな祭りの時にはあられを煎り、奉公人にも配る。「サクの日記を大学の授業で教材にしたら、同年代の学生たちも面白がってくれた」
男性の記録はどちらかというと業務日誌になりがちだが、女性の日記には日々の悩み、年中行事、食の喜びなどリアルな感情の起伏がつづられる。「暗記科目とは違う歴史、時代を問わず精いっぱい生きる等身大の人間を伝えたい」とあえて女性の日記を取り上げた。
「誕生祝いをするなんて」。当時は数え年を使っていたが、それでも誕生日には赤飯を炊いていたことを知った。日記を読むと小さな発見がある。また、占いで治療法を決めたり、火であぶったナメクジを白湯に混ぜた薬を使ったり、現在とはだいぶ違う「医療」があった。健康を望み、おいしいものを喜ぶのはいつの時代も変わらない。
ペリー来航は「ふらんす船」と、誤情報も交えた噂話として日記に記された。「才谷梅太郎」なる人物の京都での暗殺も書かれている。実は坂本龍馬の変名だ。「ガセネタを洗浄するのが歴史学だが、先が見えない不安の中、飛び交う情報に翻弄されるのがリアル」。彼女たちの姿は、一国の大統領の言動を注視する現代の私たちとも重なる。
ある日記は、病に伏せた本人に代わり娘が続け、最期が記録されている。「今晩はさびしく御座候」。日記の書き手たちはもういないのは分かっているが、感情移入せずにはいられない。(創元社・1980円)
【図・写真】 むらかみ・のりお 70年愛媛県生まれ。奈良大教授。専門は日本文化史。著書に『怪異と妖怪のメディア史』『まちかどの芸能史』など。
慶応義塾大学教授 土居丈朗、トランプ関税のその先、人的資本投資の重要性 購買力平価が物語るもの(経済論壇から)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 29ページ 2435文字 PDF有 書誌情報]
4月9日、トランプ米大統領が相互関税を発動した。ほどなく一時停止となったが、相互関税をめぐって、経済論壇では多くの論考が出された。
日本銀行前総裁の黒田東彦氏(週刊エコノミスト4月8日号)は、追加関税で米国経済がインフレになると断じる。中国などが報復関税に踏み切れば米国からの輸出は減り、景気後退、そしてスタグフレーションに陥る。世界全体で不確実性が高まり、設備投資や技術投資が沈滞する恐れがある。米国は外国の資源や市場に依存せず、すべて自国の中で生産して完結するという方向性で、「保護主義」というより「孤立主義」だという見方を示す。
神奈川大学特別招聘(しょうへい)教授の岩井克人氏(中央公論5月号)は、米国は覇権国ではなく、基軸国であるとみる。覇権国は自らの経済力や軍事力で多くの国を支配する国だが、米国はそうではなく、国際関係においてネットワークのハブとなっている。ドルは世界の基軸通貨である。ドルが基軸通貨であるが故に、国内景気が過熱気味でも世界的に不況の場合、それに配慮してドルの供給を縮小しすぎないことが要請される。自由貿易体制や安全保障体制においても類似の役割を果たしている。
このように、世界全体の利益のために基軸国に一定の規律が要請されることは、「世界のために米国が犠牲になっている」とも映る。この見方が米国第一主義の根幹にあるという。
しかし、ドルの基軸性が揺らぐと、世界中のドルが米国に還流してハイパーインフレを起こし、不況を招く。集団的安全保障体制の解体は、軍事技術を分散させ、米国の優位性を消す可能性がある。それらによって、米国自身が没落すると危惧する。
慶応義塾大学名誉教授の木村福成氏(世界経済評論5・6月号)は、トランプ関税の不確実性を踏まえつつも、たくましく事業を展開しようとする日本企業の活力を見抜く。米大統領選直後の2024年度の輸出見通しに関する調査で、約5割の輸出企業が前年比で輸出数量が増えると回答。減少するとした企業を上回り、海外での新規拠点設置の意欲を示す企業も急増した。
木村氏が心配するのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)における東西バランスが大きく揺らぐ危険性である。中国は経済実利では最重要だが信頼感は薄く、西側諸国はその反対だったが、ここにきて米国への好感度が急速に減退している。日本として、米国とうまく付き合いつつ、西側の「価値」の大切さを訴えるべきだと説く。
今年も新入社員を迎える季節となった。人的資本投資は、経済成長の主要因であると主張するのは、一橋大学教授の小野浩氏(日本労働研究雑誌4月号)である。特に、企業が行う従業員の人的資本投資が重要とみる。日本ではバブル崩壊を契機に過剰に労働を抱え込み、人はコストであるとの見方が強まった。正規雇用を抑え非正規雇用者を増やしたことで、総じて人的資本のストックが低下し、生産性も賃金も伸びず、経済成長は停滞した。
人的資本への投資は自分自身で行うとの見方もある。企業は従業員に対する普遍的な教育・訓練を避けたがる。それは、従業員が転職するリスクが高まるからでもある。しかし、働き始めてから企業が行う教育・訓練は、企業ニーズと一致しており生産性と直接結びつきやすい。また、能力の劣化を防ぐ陳腐化対策が必要であり、企業が真剣に人材教育をして、育成に取り組んでいる姿勢は、市場に有益なシグナルを発し、優秀な人材を引き付ける効果があるとされる。今後日本の活力を取り戻すために、企業による人的資本への投資は不可欠である。
一橋大学教授の森口千晶氏(4月18日付やさしい経済学)は、教育が子の将来に与える影響に言及する。教育がもたらす本人へのメリットとして、教育年数が長いほど、社会経済的な地位が高く、人生の満足度も上がる一方で、失業率や離婚率は低く、有病率や死亡率も下がるという研究を紹介する。
ただ、これが因果関係とは断定できない。遺伝的素質や家庭環境など観察困難な「第三の要因」が双方に影響している可能性があるからだ。そこで、学校の増設など、教育年数だけを変化させるような制度改革を自然実験に用いる方法が有用だと指摘している。
今年年始に1ドル=150円台後半だったドル円レートも、いまや140円まで円高が進んだ。購買力平価に基づけば、日本の物価が外国の物価と比べて上昇(低下)すると、円安(円高)が進むことを意味する。ただ、購買力平価は、基準時点や物価指数の選択によって見え方が変わりうる点に留意を促すのは、横浜国立大学教授の佐藤清隆氏(週刊エコノミスト4月15日号)である。
佐藤氏は、2022年以降、急速に円安方向に動いた実勢レートは、購買力平価と乖離(かいり)していることを示す。そして、日本企業の生産性が海外諸国と比較して伸びていないという指摘や輸出競争力が低下しているといった指摘に対し、そのような証拠はないと断じる。貿易財ベースで見ても、購買力平価は依然として現在の円安が是正されるべきであることを示唆しており、もっと円高になってよいと考察する。
法政大学教授の小黒一正氏(週刊ダイヤモンド4月19日号)は、購買力平価と実勢レートの乖離は、中長期的には、実勢レートが円安になって平価に寄っていくシナリオは考えにくいとみる。それよりも、購買力平価が上昇して実勢レートに寄っていくと読む。
その背景には、日本のインフレ率が米国よりも高い状態が前提にある。日米金利差の拡大や、貿易赤字の定着といった構造的な変化に伴い、実勢レートが円安になると日本の物価上昇につながる。日本は人口減少で既に本格的な人手不足経済に突入しており、今後も賃金上昇の圧力が継続するはずである。中長期的にインフレ基調が継続する可能性も念頭に、政策当局者は施策を立案すべきだと小黒氏は説く。
【図・写真】黒田 東彦氏
【図・写真】岩井 克人氏
【図・写真】小野 浩氏
【図・写真】佐藤 清隆氏
サンパウロ発、ブラジル、極右台頭の背景分析 「奪われた」白人層の怒り(世界の話題書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 29ページ 1056文字 PDF有 書誌情報]
この苦しさの正体は何か――。有数の多様性を誇るブラジルでも、世界で広がる他者への不寛容から逃れられそうにない。社会学者ジェシ・ソウザ氏の『極右の貧困層 ろくでなしの逆襲』は、政治が二分されるブラジル社会で権利を主張し、憤慨する人々が極右に固執する理由を記した。
ブラジルでは2000年代以降、現職で左派のルラ大統領が強い存在感を示してきた。10年の任期満了時には国民の8割以上が支持した。汚職疑惑での投獄を経て、23年に大統領職に返り咲いた。出身地の北東部を中心に、恵まれない人々のヒーローのはずだった。
ルラ氏が返り咲くまでにはひずみも蓄積していた。極右的な考えが広がり、18年の大統領選では物議を醸す言動で「熱帯のトランプ」と呼ばれたボルソナロ氏が当選。支持したのは、従来左派と関連が強い貧しい人々、特に見捨てられたと感じる白人層だった。
著者は同氏の目新しさがブラジルの「パンドラの箱」を開けたと主張する。根底にあるのが国民が目を背けてきた人種問題という。
1930年から長年、政権を率いたバルガス時代には、混血文化こそが国の柱だとする肯定的な自国像を構築した。今、世界を魅了するサンバもその一例だ。
人種間の対立や差別が少ないとする社会的特徴は「人種民主主義」とも表現されたが、政治的に利用された面も強く、後に実態と異なると否定された。ベールに包まれた人種問題が、米国よりも陰湿だとの見方は著者以外にも多い。
表向きの平等主義や寛容さに耐えかねた白人層の屈辱や苦しさを、ボルソナロ氏がすくい上げたという。ルラ政権は貧困層への給付金を拡大し、黒人や混血の多い北部が恩恵を受けたとみえた。
「白人の権利が奪われた」とする物語は米国と共通。トランプ氏の言動を巧みにまねたとの主張も合点がいく。サンパウロや人口の7割弱が白人の南部に支持者が多い。本書では、ドイツ系住民が欧州人としての自意識を語る。「北部にはパスポートで訪れたい」
抑圧されてきた黒人層も極右に賛同しているという。キリスト教保守の福音派として、倫理観などを理由にボルソナロ氏を支持する。「怠惰な人々」との偏見や屈辱から逃れようと、白人の道徳規範を採用したとの主張は過激だ。
「屈辱の経験は何事にも代えがたい痛みを伴う」。親しみやすいブラジル人の心に潜む痛みを突くだけに、24年の発刊から強い反発も招いた一冊だ。(水口二季)
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NEXUS(上・下) ユヴァル・ノア・ハラリ著、AIが生む民主主義の危機(この一冊)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 29ページ 1024文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)革命は、歴史上の印刷革命や産業革命とは異質なものだ。過去の二大革命は、科学的発見や民主主義の創意工夫いがいに、宗教戦争や全体主義といった情報ネットワークの悪用をもたらした。人類はAI革命によって、過去の教訓や歴史の実験を踏まえて過ちと試練を克服できるのだろうか。
著者の答えはあまり楽観的とはいえない。AIは、自ら決定を下しながら新しい考えを生み出す最初のテクノロジーであり、独自の行為主体性を持つからだ。AIは人間の思考と違う決定を下し、特異な考えを生み出す以上、民主制の存続や富の公正な分配にまったく思いがけない判断を示すかもしれない。
著者は、Qアノンとして知られる陰謀論を引き合いに出す。2017年に或(あ)る掲示板サイトに現れたQドロップなるオンラインメッセージは、米国はじめ各国政府内部に「魔王を崇拝する小児性愛者」らが潜入しているという過激な世界観を売り込み、何百万人もの支持者を獲得した。その活動家は21年の米国議会議事堂襲撃にも重要な役割を果たし、カナダのトルドー首相宅を襲う計画やフランス政府転覆の陰謀が発覚したばかりではない。20年の米国連邦選挙では24人の候補者がQアノンの支持者だと告白した。その一人は、トランプ氏こそ陰謀団を排除できる人物だと礼賛したのだ。
AIの開発は国威を賭けた競争となっているが、先見性のある民間起業家のおかげで米国が首位を走っているようだ。勝者が獲得する景品は「世界制覇」であり、トランプ氏がシンガポールの半導体大手ブロードコムによる米クアルコムの買収を阻止したのも、中国の影を感じたからだろう。他方、情報テクノロジーの未来はもはやバラ色だけとはいえない。AIの力で人間の対立が激化し、AIの軍拡競争は人類の破滅につながりかねない。それは、AIに「全体主義的な潜在能力」も隠されているからだ。
重要なのは我々が歴史をいかに理解するかである。著者によれば、国や国民の利益は数学や物理学の方程式からは導かれない。AIの支配的幻想に沈まないためには、強力な自己修正システムを持つ民主主義の制度を構築する困難な仕事に取り組むほかない。著者の一見平凡そうな結論に私も深く同意したい。
《評》富士通フューチャースタディーズ・センター特別顧問 山内 昌之
(柴田裕之訳、河出書房新社・各2200円)
▼著者は76年生まれ。イスラエルの歴史学者・哲学者。著書に『サピエンス全史』『ホモ・デウス』など。
砂の器 映画の魔性 樋口尚文著、70年代邦画大作の冒険心(読書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 29ページ 552文字 PDF有 書誌情報]
映画斜陽期の1974年に大ヒットした「砂の器」の制作・興行の舞台裏に迫る労作だ。70年代の邦画大作を見て育った映画評論家が、新資料である野村芳太郎監督の遺品をもとに、原作から脚本、脚本から映画が作られる過程を解き明かす。
著者はまず松本清張の原作にはミステリーとしての弱点が多いと指摘する。返り血を浴びたシャツを刻んで列車からまく。超音波で人を殺す。そんな無理筋を脚本家の橋本忍は簡略化したり、ばっさり切ったりした。
橋本は原作に数行しかない父子の流浪の旅を膨らませ、後半を構成。電子音楽を壮大なピアノ協奏曲に変え、演奏会と旅を重ねた。戦後文化人の虚飾を描く悪漢小説は、悲劇的境遇の芸術家のメロドラマに一変した。
野村はドキュメンタリータッチの明晰(めいせき)な演出が身上だが、橋本の意図をくみ、後半はメロドラマ的な叙情へと振り切った。
興行不振が続く70年代、橋本は企画に物足りなさを感じ、野村は職人仕事に飽きていた。2人は魔性のギャンブル性をもつ「砂の器」の企画にのめり込んだ。それが著者の見立てだ。
音楽家や俳優の証言も収録。大胆な原作改変や長期のロケ、スターの顔のないポスターなどから、突破口を探る70年代邦画大作の冒険心と共に、現在の日本映画が失ったものも見えてくる。(筑摩書房・2750円)
日本と韓国の「眺め合い」を考察する 小針進著、「変化」と「ずれ」あぶり出す(読書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 29ページ 544文字 PDF有 書誌情報]
日本人がわかっているようでわかっていないのが隣国の韓国だ。その振る舞いが日本の常識で理解できなかったり、逆に悪いイメージが覆されたりした経験もあるのではないか。
単純計算で1年間に国民のおよそ5人に1人が訪日する一方で、火が着けば日本製品の不買運動が全土に広がる。本書は日韓双方からの「眺め」をキーワードに、韓国社会と日韓関係で進む構造変化と両国民の認識のずれをあぶり出す。
尹(ユン)錫悦(ソンニョル)政権の対日政策の分析や、記憶に新しい非常戒厳宣言などを取り上げた第三章は秀逸だ。当時の尹氏と政界をはじめ、メディア、市民、海外の反応を丹念に追いかけ、軍事独裁以来の歴史的な事件を冷静な目で客観的に検証している。
韓国社会で深刻な分断や政治的な分極化の底流に「陣営論理」があるという。「特定の理念や支持政党が異なると、食事すら付き合わない、あるいは付き合いづらいという意識を持つ人が増えている」などの例えは日本と比較してわかりやすい。
本書はあらゆる引用について、いつ、だれの・どこの、どの場でなされたものかを一つ一つ明示し、資料としての価値も高い。韓国は好きでも政治には興味がないという若者から嫌韓を自認する人まで「新しい韓国」を発見できるはずだ。(霞山アカデミー新書・1540円)
アニメーションと国家 雪村まゆみ著、戦争がつくったシステム(読書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 29ページ 535文字 PDF有 書誌情報]
現在、年間に放送されるアニメーション作品は300本に及ぶ。制作は複雑な分業体制に支えられているが、その起源は太平洋戦争の時期にさかのぼるという。本書は社会学者がその歴史を考察する一巻だ。
アニメーションは大衆的で言語の壁を超える点に価値を見いだされた。大東亜共栄圏にプロパガンダを拡散するメディアとして利用されていったのは、実写映画と同様である。
興味深いのは効率的な制作システムが短期間でできあがっていった点だ。未経験者をかき集め、わずか1カ月で技能を仕込んだ。召集で男性の描き手が抜けることが多かったため、女性を積極起用したという。
本書が特に関心を向けるのが「桃太郎 海の神兵」(1945年公開)という作品だ。落下傘部隊の活躍を描いたこの漫画映画は、物語の各場面とそこに登場する白人や南洋の人々ら「他者」の描き方に巧妙なしかけがあり、軍国主義の世界観を反映していると著者は指摘する。
日本と同じくアニメーションを戦中の国威発揚に利用したフランスの事例なども紹介。さらに作品の舞台となった場所を訪問する「聖地巡礼」のブームなど現代の事象も論じている。専門書だが、サブカルチャーの背後にあるものを考える上で有用な視点を提供してくれる。(フィルムアート社・2860円)
新書 4月13日~19日(ランキング)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 29ページ 245文字 PDF有 書誌情報]
(1)沈む祖国を救うには内田樹著(マガジンハウス)
(2)世界は利権で動いている島田洋一著(扶桑社)
(3)歴史のダイヤグラム〈3号車〉原武史著(朝日新聞出版)
(4)日本史 敗者の条件呉座勇一著(PHP研究所)
(5)新・古代史NHKスペシャル取材班著(NHK出版)
(6)女80歳の壁和田秀樹著(幻冬舎)
(7)新書 昭和史井上寿一著(講談社)
(8)ラジオの、光と闇高橋源一郎著(岩波書店)
(9)ケアと編集白石正明著(岩波書店)
(10)マイ仏教みうらじゅん著(新潮社)
(横浜・有隣堂伊勢佐木町本店)
阪神・村上、受け継ぐ制球力 小山さん追悼、8回無四球(プロ野球)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 673文字 PDF有 書誌情報]
阪神などで活躍し、18日に亡くなった通算320勝投手、小山正明さんを追悼する喪章を腕につけた当代の虎のエース・村上も強みは制球力だ。偉大な先人のように「精密機械」とまでは言えなくても、ストライク先行の投球で8回を無四球、6安打1失点。「きょうは四球がなく、テンポよく投げられた」と特別な日に勝ち切って安堵の表情だ。
前回登板の18日の広島戦で4回を投げ3四球を与えて5失点し、今季初黒星を喫した。「前回よくなかったので払拭したいと思って投げた」。自らの名誉挽回もかけて腕を振った。
三回2死から投手・赤星に初安打を許した。さらに連打されて満塁のピンチを招いたものの、吉川の風に流された飛球を中堅・近本が倒れ込みながら捕球し、無失点で切り抜けた。
「あそこで(投手に打たれてから)ピンチを招いたことが、手綱を締め直すことになった」と藤川監督。四回以降は連打を許さず、111球を投げ六回の内野ゴロの間の1失点のみに封じた。
最優秀防御率のタイトルを獲得した2023年、144回1/3を投げ、わずか15四球。この日も持ち味の精密なコントロールで巨人打線を寄せ付けなかった。
今も昔も、投手にとって一番大切なのは制球力であることを改めて感じさせた。
ピンチでも制球が乱れない肝っ玉の据わった右腕も、21年同期入団の佐藤輝の中堅左への3ランには度肝を抜かれた様子。ベンチで目が点になった理由を聞かれ、「あれが入るのかと驚いた」。相手打線に佐藤輝がいなくてよかったと言いたげだった。
(田村城)
【図・写真】小山正明さんを悼み、喪章を着けて力投する阪神・村上
(サッカー)京都競り勝ち首位キープ[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 287文字 PDF有 書誌情報]
京都は攻守が目まぐるしく入れ替わる横浜FCとの競り合いを制し、首位を堅持した。15分、原がドリブルで切れ込み、ペナルティーエリア外から左足を振り抜く先制弾。今季初得点で波に乗った191センチの長身FWは1―1の70分、頭でゴール前へパスを流し、途中出場の奥川の決勝ゴールをアシストした。
「首位に立ち続けるには絶対に自分のゴールが必要だと思う。またいい準備をしていきたい」と原。ポストプレーや守備面などで原の献身的な動きを高く評価する曺監督は「彼のゴールでチームに勢いが出る」と喜び、「この順位にいることはまぐれじゃない。欲を出して上を狙っていきたい」と手応え十分だった。
DeNA・東、粘りの投球で連敗ストップ(プロ野球)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 277文字 PDF有 書誌情報]
5連敗中のDeNAをエースの東が救った。重苦しいムードの中でのマウンドだったが「完璧を求めすぎないことを意識した」。力の抜けた姿勢が奏功し、ストライク先行を貫いて7回を4安打1失点にまとめた。
二回、末包に先制ソロを浴びたが「まだ1点。しのげば打線がひっくり返してくれる」と切り替えた。粘りの投球につられるように、三回に犠飛で同点、七回は敵失で勝ち越しと粘っこく逆転。連敗脱出のきっかけをつくった左腕に、三浦監督は「高さや緩急、奥行き、すべてを効果的に使って打ち取ってくれた」とねぎらった。
【図・写真】五回、ピンチを切り抜けガッツポーズするDeNA・東
守護神・平良、逃げ切れず 西武4連敗(プロ野球)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 264文字 PDF有 書誌情報]
西武は守護神・平良で勝ちを落とした。2―0の九回に先頭の杉本から連打を浴び、簡単に1点を献上。なお1死二塁でバッテリーに痛恨のミスが出た。平良が暴投し、慌てた古賀悠の三塁送球もそれて同点。延長十回に佐藤隼が4失点で4連敗と、厳しい決着を迎えた。
先発・今井は7回無失点と圧巻の投球だったが、平良は1敗目を喫した前回登板に続く救援失敗となった。西口監督は「絶対に今井に勝ちをつけないといけなかった。痛い負けになった」と肩を落としながらも、自身が任命した守護神の続投には「もちろん」。何とか「明日の戦いが大事になる」と前を向いた。
(サッカー)町田、黒田体制3年目で初の3連敗[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 256文字 PDF有 書誌情報]
後半追加タイムに湘南・池田の決勝ゴールが決まると、町田・黒田監督が拳を地に打ちつけて悔しがる。「ゴールを割らなければ勝利はない。選手はよく走り、タイトにやってくれたが、最後は個人のスキル」。就任3シーズン目で初の3連敗、いずれも完封負けだ。
前半に相次いだチャンスをことごとくフイにした。昨季、J1初挑戦のチームを3位に導いた監督も、ゴール欠乏症に効く薬は持っていないという。「方向性は悪くない。あとは(得点を)決める選手がいるかどうか。魔法のトレーニングはなく、地道にやるしかない」と凡事の徹底を説いていた。
(ゴルフ)前沢杯、米沢が単独首位[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 243文字 PDF有 書誌情報]
前沢杯(25日・千葉県MZ・GC=6652ヤード、パー70)
1打差の2位から出たツアー2勝の米沢蓮が5バーディー、ボギーなしの65と伸ばし、通算13アンダーで単独首位に立った。マイケル・ヘンドリー(ニュージーランド)が1打差の2位につけ、さらに1打差で今平周吾が続く。
10アンダーの4位に単独首位から出た大岩龍一、堀川未来夢ら6人が並んだ。石川遼は6打伸ばし、谷原秀人、木下稜介らと7アンダーで19位グループ。女子の寺西飛香留はイーブンパーで88位、菅沼菜々は1オーバーで91位。
(ゴルフ)シェブロン選手権、勝が暫定10位[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 786文字 PDF有 書誌情報]
【ウッドランズ(米テキサス州)=共同】女子ゴルフのメジャー初戦、シェブロン選手権は24日、米テキサス州ウッドランズのカールトンウッズ・クラブ(パー72)で第1ラウンドが行われたが、雷雲が接近したためサスペンデッドとなった。順位は全て暫定。勝みなみが69をマークし、首位と4打差の10位となった。
西郷真央は70で16位、古江彩佳は71の24位につけた。岩井明愛、千怜の姉妹が72の34位で73の61位に畑岡奈紗、渋野日向子、竹田麗央、山下美夢有、吉田優利が並んだ。笹生優花と西村優菜は75の92位で馬場咲希は77の118位と出遅れた。
トップは65をマークした劉艶(中国)とユ・ヘランで2打差の3位にキム・ヒョージュ(ともに韓国)が続いた。
◇
最終18番で4メートルのパットを沈め、この日7つ目のバーディーを奪った勝が69で日本勢トップの暫定10位につけた。それでも「もったいないボギーが多かった。悔いの残るラウンドになってしまった」とやや不満げ。昨年は9位に入り、シェブロン選手権は「イメージがいい大会」だけに求めるレベルは高い。
序盤の3連続バーディーが大きかった。7番アイアンを使った2番の第2打は残り170ヤードから追い風に乗ってピンそば1メートル強にぴたり。パー3の3番は3メートルにつけ、パー5の4番も3打目を1メートル弱に運んでスコアを伸ばした。
スタートダッシュで首位をうかがう勢いだった後は気まぐれな風に翻弄されて4ボギー。「前の人と自分が打つときで全く違う風が吹くことがあった」と語るなど、対応力が第2ラウンド以降の課題となる。
日本では日本女子オープン選手権を2連覇するなどアマチュア時代を含めて通算8勝の実績があるが、米ツアーは未勝利。3年目でそろそろ真価を発揮したいところだ。「もっと上位にいける。自分を信じてやれたら」と気合を入れた。
(共同)
(サッカー)鹿島、J1初の600勝 手堅く「らしさ」全開[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 33ページ 715文字 PDF有 書誌情報]
首位の京都は奥川の2試合連続ゴールなどで横浜FCに2―1で競り勝ち、2連勝で勝ち点24とした。鹿島は名古屋を1―0で退け、J1初の600勝に到達した。勝ち点22。知念が得点した。
浦和は広島を1―0で下し、4連勝。福岡は1―1で岡山と引き分け、勝ち点20とした。湘南は町田、東京VはC大阪に、それぞれ1―0で勝った。FC東京はG大阪を3―0で下した。
◇
鹿島の決勝点はフリーキックを植田が高い打点で折り返し、知念が押し込んだもの。名古屋の長谷川監督が「本当に『鹿島らしい』得点を取られてしまった。セットプレー以外はそんなに危ない場面はなかったのだが……」とほぞをかんだ。
確かに前半の出来が良かったのは名古屋だった。鹿島・鬼木監督は、ハーフタイムで2人選手を替えて立ち位置も修正。すると一気に前向きの圧力が高まり、続けざまに獲得したセットプレーをゴールに結びつけた。
1点を守り切ったチームはJ1史上初の600勝に到達した。記念すべき1勝目は1993年5月16日の名古屋戦。その試合でハットトリックを決めたジーコ氏がこの日はスタンドで見守った。一方、同年に鹿島に入団した鬼木監督は初勝利をスタンドで見ていたという不思議な巡り合わせ。普段は記録ごとに興味を示さない指揮官も「感慨深いものがある」とクラブの歩みに思いをはせた。
エースの鈴木も「鹿島というクラブが偉大なんだというのを改めて感じるし誇りに思う」。セットプレーによる得点と、その後の手堅い試合運び。華やかさはないのだが、それがかえって600勝という節目にふさわしいようにも思えてくる。
(木村慧)
【図・写真】前半、競り合う名古屋・和泉(左)と鹿島・荒木(左から2人目)ら
JR福知山線脱線20年 事故後入社7割、継承探る 車両保存施設は12月完成[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 1125文字 PDF有 書誌情報]
乗客106人と運転士が死亡し、562人が負傷したJR福知山線脱線事故の追悼慰霊式が25日、兵庫県尼崎市の現場であり、遺族らが犠牲者を悼んだ。JR西日本では2005年の事故後に入社した社員が7割を超えた。経験や教訓の継承は重みを増す。
現場に整備された慰霊施設「祈りの杜(もり)」では発生時刻の午前9時18分に遺族と負傷者、事故を起こしたJR西の役員らが黙とうをささげた。
同社の長谷川一明社長は式典で「事故を風化させないことの重要性を強く認識している。事故の悲惨さと命の大切さを心に刻み、教訓を継承する。たゆまぬ努力で安全な鉄道を築き上げる」と述べた。
同社によると、式典には300人超が参列。現場を訪れるのがつらい遺族、負傷者の心情に配慮し、中継会場も用意した。
次男(当時18)を亡くした上田弘志さん(70)=神戸市=は妻と参列した。「20年は本当に早く感じた。『息子を返してほしい』との思いは消えない。今朝も涙が込み上げた」と明かす。
重傷を負った福田裕子さん(41)=兵庫県宝塚市=は事故当時、芸術大生だった。リハビリを経て、負傷者らの団体が再発防止を願って配る「空色の栞(しおり)」の挿絵を担当してきた。JR西に向けて「率先して風化防止に努め、当事者意識をもって安全を考え続けてほしい」と語った。
増田和代さん(55)=同県伊丹市=は発生時間帯、JR伊丹駅(同市)前で黙とうをささげた。母と愛知万博(愛・地球博)に向かう途中、3両目で重傷を負った。後遺症で足が痛み、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩む。「毎年4月になると苦しくなる。生き残った者として、思いを次につなぎたい」と述べた。
JR西によると、事故後入社の社員は1日時点で約1万7600人と全体の71%を占める。同社はベテラン社員が若手に事故の記憶を伝える。月命日やその前後に催す「安全ミーティング」はその一つだ。
尼崎列車区(尼崎市)では3月下旬、運転士や車掌ら十数人が参加した。幹部社員が「厳しく、個人に頼るような指導が中心だった。上意下達でもあった」と振り返り、運転士らが聞き入った。
JR西は大阪府吹田市の自社敷地内に事故車両を保存する施設を建設中で、12月ごろに完成する見込み。甚大な被害を学ぶため、社内研修で利用するという。
一般向けには保存施設を原則非公開とする。公開に抵抗感を持つ遺族らの声に配慮した。公開を求める声もあり意見が分かれていた。
高齢化に伴い遺族、負傷者の活動は減少傾向にある。ある遺族は「JR西は社内教育にとどまらず、社会全体に教訓を伝え続けてほしい」と望む。
【図・写真】脱線事故現場にある「祈りの杜」で献花する人たち(25日、兵庫県尼崎市)
JR福知山線脱線20年 事故後入社7割、継承探る――事故の企業に「組織罰」を 遺族ら訴え[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 613文字 PDF有 書誌情報]
JR福知山線脱線事故を巡り、遺族らは重大事故を起こした企業に刑事罰を科す「組織罰」の導入を求めている。法制化が先行する欧米では企業に罰金を科す例もある。日本での議論は深まっていない。
「経営幹部の責任が問われなければ安全に配慮した組織に生まれ変わらない」。脱線事故で長女(当時23)を亡くした大森重美さん(76)は25日、兵庫県尼崎市内で組織罰の創設を求める署名活動を行った。
脱線事故では現場付近に自動列車停止装置(ATS)を整備していなかったJR西日本の経営判断に焦点が当たった。業務上過失致死傷罪に問われた歴代4人の経営幹部はいずれも無罪だった。
刑法以外で刑事罰がある法人税法、独占禁止法、金融商品取引法などは企業に罰金を科す「両罰規定」がある。刑法の業務上過失致死傷罪は個人を対象にする。脱線事故遺族には法人への罰則を求める声もあるが、現状で国民的な議論は高まっていない。
組織罰に詳しい同志社大学の川崎友巳教授(刑法)によると、英国では死亡事故を起こした企業の安全管理の不備などに罰金を科す「法人故殺罪」が制定された。地盤調査の崩落事故で適用例があるという。フランス、ドイツなどの欧州連合(EU)加盟国も規定を整備した。
米国は罰金のほか「保護観察」を科す。企業のコンプライアンス(法令順守)体制の改善に向け、履行状況を一定期間チェックする。企業と当局が司法取引をする際、和解内容に盛り込まれることが少なくない。
万博テーマウィーク始動 「平和と人権」など議論[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 406文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博で25日、「平和と人権」など地球規模の8つの課題について対話を通して解決策を模索する「テーマウィーク」が始まった。半年間の万博会期中、パビリオンや催事施設でテーマごとに対話プログラムや展示、ビジネス交流を実施する。
25日~5月6日のテーマは「未来への文化共創」。このあと「食と暮らしの未来」「地球の未来と生物多様性」などを順次取り上げる。
25日は国際協力機構(JICA)が対話プログラムを開催した。島根県海士町で地域おこしに取り組む大江和彦町長や海外協力隊OBでNPO法人「自然塾寺子屋」の矢島亮一理事長らが登壇。「地域の国際化」を議論した。
テーマウィークには日本経済新聞社も協賛企業として参加する。5月2日にはテーマウィークスタジオで「日経 地方創生フォーラム」「文楽の夕べ 特別編」の2つのイベントを主催する。
【図・写真】JICAのプログラムでは地域の国際化を議論した(25日、大阪市)
「血栓リスク減」避妊薬を了承 厚労省部会、女性の選択肢拡大[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 379文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省の専門部会は25日、あすか製薬の経口避妊薬「スリンダ」の承認を了承した。血栓症のリスクとなるエストロゲン成分を含まない国内初の経口薬となる。女性の選択肢の拡大につながる。
今後3週間以内をメドに厚生労働相が承認して、メーカーが販売価格を決定して発売する。
国内では現在、「合成エストロゲン」と「プロゲスチン」という2種類の女性ホルモンの混合型の経口避妊薬が使われている。合成エストロゲンは服用により血栓症のリスクが高まるとされており、国内のガイドラインでは40歳以上や喫煙者、肥満、高血圧、片頭痛、血栓症などの場合に使用の制約があった。
今回了承されたスリンダはプロゲスチンの一種であるドロスピレノンのみ含有する。世界保健機関のガイドラインでは、プロゲスチンのみの経口避妊薬は喫煙者、肥満、高血圧などの場合に混合型に比べて推奨度が高くなっている。
性暴力で国に賠償命令――仕事上の性暴力認定、弁護団「社会の変化が影響」[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 263文字 PDF有 書誌情報]
判決について、元記者の女性の弁護団はフジテレビを巡る一連の問題に触れ「(判決の背景に)性暴力への理解の深まりがある」との見方を示した。
「これまで見逃されてきた仕事上の性暴力をはっきり認めた」。24日に都内で記者会見した女性の代理人の角田由紀子弁護士は評価した。
元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルを巡っては、フジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会の報告書が「業務の延長線上の性暴力だった」と認定した。角田弁護士は「女性の人権侵害を認めるようになった社会の変化が今回の判決にも影響したと思う」と語った。
京都ノートルダム女子大、来年度以降の学生募集停止[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 202文字 PDF有 書誌情報]
学校法人ノートルダム女学院(京都市)は25日、運営する京都ノートルダム女子大学の2026年度以降の学生募集を停止すると発表した。入学者数の定員割れが続いていたことなどを理由に挙げている。今春入学した学生の卒業をもって、大学院を含めて閉学する見通しだ。
学校法人の22日の理事会で決めた。大学によると急速な少子化などで近年は入学者数が減少傾向にあり、24年度は定員330人に対し186人にとどまっていた。
ダウンタウンが動画配信 今夏にも、コンビ復帰(短信)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 168文字 PDF有 書誌情報]
吉本興業がお笑いコンビ「ダウンタウン」によるインターネット配信サービス「ダウンタウンチャンネル(仮称)」を今夏にも始めることが25日、関係者への取材で分かった。コンビの松本人志さん(61)は週刊誌で女性への性的行為強要疑惑が報じられた影響で、浜田雅功さん(61)は体調不良を理由に、ともに活動休止中だが、配信開始までに復帰する見通し。
両陛下、みどりの式典出席(短信)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 105文字 PDF有 書誌情報]
天皇、皇后両陛下は25日、パレスホテル東京(東京・千代田)で開かれた第19回みどりの式典に出席された。式典では、植物や自然保護に関する研究で功績があった個人や、緑化活動の推進に尽力した個人や団体が表彰された。
性暴力で国に賠償命令 参院議員の公設秘書、「職務に付随」 地裁判決[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 659文字 PDF有 書誌情報]
上田清司参院議員の公設秘書(故人)から取材中に性暴力を受けたとして、記者だった女性が国を相手取り1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日までに国に440万円の賠償を命じた。中村心裁判長は性暴力が「秘書の職務に付随して行われた」と判断した。
公設秘書は特別職の国家公務員。国家賠償法は国家公務員が職務上の行為で違法な損害を与えた場合に国が賠償責任を負うと規定する。裁判では秘書の行為が職務に関連しているといえるかが主な争点だった。
中村裁判長は24日の判決で、公設秘書の業務は広範で報道関係者への対応や会食出席も職務に含まれると指摘。その上で、会合や会食と性的暴行に「時間的・場所的な密接性がある」とし「公設秘書としての職務執行の外形を備える行為だ」と判断した。
上田議員が秘書を指揮監督する義務があったとの女性側の主張は退けた。
判決を受け、国は「判決内容を精査し、適切に対応する」とした。上田議員の事務所は「訴訟当事者ではなく、申し上げることはない」とのコメントを出した。
判決によると、秘書は2020年3月24日、医療関係者らとの会合後にタクシー内や路上で無理やりキスするなどしたほか、27日には政党の動向に関する情報を提供すると呼び出して飲食店で会食した後、飲酒の影響で抵抗できない状態にし、ホテルで性行為に及んだ。
秘書は20年8月に準強制性交などの疑いで埼玉県警に書類送検され、数日後に自殺。その後に不起訴となった。女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受け、記者職を離れた。
セクハラ事案、TBSで4件 アナが出演者から被害[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 34ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
TBSテレビは25日、約15~25年前に同社のアナウンサーが番組出演者から体を触られたり、交際を迫られたりするセクハラ事案を4件確認したと発表した。いずれも「当社の対応が不十分だった」とし、再発防止に努めたいとしている。
同社によると、約25年前、アナウンサーが番組収録中に舞台袖で身体接触の被害を受けた。本人が「やめてください」と直接伝えたが、出演者の態度は変わらなかった。
約20年前にはアナウンサーが出演者に食事に誘われ交際を迫られた。責任者が出演者に注意したが降板にならず、アナウンサーは会社の対応に強い不満を持ったという。
アマゾンに3500万円賠償命令 医療機器の出品巡り 東京地裁、偽造品の申告「調査せず」[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 35ページ 1349文字 PDF有 書誌情報]
通販サイトの偽造品対応を巡り、医療機器販売会社など2社がアマゾンジャパン(東京・目黒)に約2億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(新谷祐子裁判長)は25日、3500万円を支払うようアマゾンに命じた。出品者から偽造品についての申告を受けたのに調査せず、アマゾン側の対処に不備があったと認めた。
判決は強い影響力や交渉力を持つデジタルプラットフォーマーに対して、出品者への丁寧な対応を促したといえる。
提訴したのは医療機器メーカー「トライアンドイー」(神戸市)と医療機器販売会社「エクセルプラン」(同)。トライ社が血中の酸素濃度を測る機器「パルスオキシメーター」を製造し、エクセル社がアマゾンの運営する「マーケットプレイス」上で販売していた。
判決などによると新型コロナウイルス禍でパルスオキシメーターの需要が急拡大した2021年8月ごろ、価格が10分の1ほどの偽造品が出回り始めた。これに伴いエクセル社の売り上げが減少した。
マーケットプレイスでは同じ商品を複数の業者が出品すると、同一のページに集約される「相乗り出品」と呼ばれる仕組みがある。当時、サイト上では正規品と偽造品が区別されずに表示される状態になっていた。
相乗り出品のうち、販売価格が平均値から大きく離れている出品は「価格設定が誤っている可能性がある」として自動的に停止する措置もあった。偽造品の出品を受けて21年9月、エクセル社が販売する正規品は不当に高額として出品を停止された。
エクセル社は21年8月から、偽造品への対応をアマゾン側へ断続的に要請。同年9月にはサイトのオンラインフォームから商標権侵害を申告した。しかしその後、同社が扱う一部の商品についてページ全体が削除されたという。
判決はサイトの仕様上、偽造品の出品が容易な構造だったとして、アマゾン側は出品者から具体的な被害申告があった場合には調査や出品停止などの義務を負うと指摘した。調査や出品停止に応じなかった対応は義務違反に当たると認定した。
エクセル社の出品を自動停止した措置についても、誤った適用との連絡を受けた場合には調査して出品停止措置を解除すべきだったのに怠ったとして義務違反を認めた。
一方、アマゾン側が調査したとしても偽造品と見抜けたとまでは認められず、自動停止措置そのものにも価格を誤って設定した出品を防止するために合理性があるとした。この2点については賠償責任を認めなかった。
商品ページ全体を削除した措置は「偽造品が出品されているかどうかを調査せずに削除した。故意または少なくとも重過失がある」として賠償責任を認定。原告側が訴えた損害額のうち3500万円の支払いを命じた。
出品に関する契約には「(アマゾン側は)収入やデータ損失、間接的損害についていかなる者に対しても責任を負わない」などとする免責条項があった。しかし判決は「出品者の権利を制限し、利益を一方的に害する内容と言わざるをえない」として効力を否定した。
訴訟で原告側は、アマゾン側が偽造品の出品者が医療機器の販売資格を保有するかまで確認すべきだったとも訴えた。判決は不正出品対策としてどのような措置を講じるかはサイト側の裁量に委ねられているとして義務違反を認めなかった。
火山、降灰3センチで「警報」 気象庁 避難・インフラ対策促す[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 35ページ 1231文字 PDF有 書誌情報]
富士山をはじめとする火山の大規模噴火に備え、気象庁は降灰量に応じた「火山灰警報・注意報」を導入する。政府が3月にまとめた対応指針と組み合わせ、住民に避難を促すほか、インフラ企業の防災対応につなげる。数年後に本格運用する見通しで、予測精度の向上が課題となる。
気象庁の有識者検討会は25日、降り積もる火山灰の予想量を区分けした情報発信のあり方について提言をまとめた。
報告書によると、降灰量が0.1ミリ~3センチ未満の場合は断水や降雨時に停電の恐れがあるとして「注意報」を、3~30センチ未満の場合は車が通行できなくなる恐れがあるとして「警報」を出す。30センチ以上だと木造家屋が倒壊する危険が高まるため「一段強い呼びかけ」とする。
火山灰の予測情報は首都圏などに影響が広域に及ぶ事態を想定し、市町村単位で発表する。気象庁は今後5年以内の運用開始を目指し、「一段強い呼びかけ」を特別警報とするかどうかなど詳細を詰める。
警報を解除するタイミングは「一定期間火山灰が降らない場合」を基本とし、期間をどれくらいの長さに設定するか検討する。
内閣府は3月、富士山の大規模噴火を想定し首都圏の降灰対策の指針を初めてまとめた。交通機関やライフラインへの影響を抑えるため、平時から必要な備えのほか、線路や電気設備に付着した灰の除去など噴火後に取るべき対応を降灰量ごとに整理した。
例えば30センチ以上の場合、住民に原則避難を求める。3~30センチ未満であれば自宅で生活を続けることを基本とし、ライフラインの障害が深刻であれば他の地域への移動や避難を促す。
一方、気象庁が2008年から運用を始めた降灰予報は最も多い場合でも「1ミリ以上」で、富士山のような大規模噴火に対応できていなかった。
同庁は内閣府による降灰対策の指針づくりに合わせて「警報・注意報」の導入に向けた検討を重ねてきた。そのうえで課題となるのが、降灰量の予測精度だ。
大規模噴火は発生の頻度が大雨などと比べて少ないこともあり、噴火直後の段階で規模や噴火活動の推移を正確に予測するのは難しい。噴煙が立ち上る高さが予想と異なれば、広域に降る火山灰の量や範囲の誤差が大きくなる。
検討会の報告書は「不確実性による誤差を減らすよう、予測技術の高度化を進めるべきだ」と強調。気象庁はこれまでの降灰予想のモデルを改良し、噴煙の立ち上り方や風の影響を踏まえた誤差の小さい手法を取り入れるという。担当者は「地域の防災計画などの実情も踏まえ、運用方法などを各自治体と調整していく」と説明する。
火山防災に詳しい静岡大の小山真人名誉教授は「予報と実際の降灰量が食い違うことを前提に、自治体の防災計画や企業の事業継続計画(BCP)に幅を持たせることで柔軟な避難行動などにつなげることが大切だ」と指摘する。各地の地域気象観測システム(アメダス)に機器を取り付け、灰が積もる状況をリアルタイムで把握するといった方法も有効だとしている。
アマゾンに3500万円賠償命令 医療機器の出品巡り――不正対策、消費者保護にも[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 35ページ 564文字 PDF有 書誌情報]
アマゾンジャパンに賠償を命じた25日の東京地裁判決は、偽造品への対処を巡る不備を指摘した。インターネット通販の利用が拡大するなか、偽造品対策の強化は消費者の保護にもつながる。
アマゾン側は2019年、メーカーと製品やロゴの情報を共有し、人工知能(AI)を活用した画像認識を通じて偽造品の疑いがある商品を検知する機能を導入した。有名ブランドの偽造品の出品を止めるといった一定の効果があったとみられる。
一方、アマゾンだけでも世界で50億件以上の出品があるとされる。通販サイトへの偽造品の混入を完全に防ぐのは難しい状況だ。
国民生活センターによると、ネット通販を巡り24年度に全国の消費生活センターに寄せられた偽造品に関する相談は4692件に上った。ネット通販の普及に伴って増加し、20年度から5年連続で4000件を超えた。
龍谷大の中田邦博教授(民法・消費者法)は判決について「消費者の保護や出品者の取引環境を整備する観点から、アマゾン側の義務違反を認めた点には意義がある」と評価した。
そのうえで「医療機器や薬品などで法令に違反した販売が行われれば、通販サイト市場全体の信頼が損なわれる」と指摘。「健康や生命に関わる商品は厳しいチェックが必要で、通販サイトは消費者らに不利益が生じないようさらに対策を講じるべきだ」と強調した。
特定秘密問題で114人を追加処分 防衛省、不適切運用巡り[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 35ページ 284文字 PDF有 書誌情報]
防衛省は25日、特定秘密の不適切な運用問題に関する追加処分を発表した。情報を取り扱う資格がない隊員を業務に就かせたなどとして、海上自衛隊の幹部2人を減給の懲戒処分とした。このほか112人を訓戒や注意などとした。
同問題を巡る一連の処分は2024年4月以降、計250人となった。防衛省は今回の発表で調査を終結した。
新たに懲戒処分となった2人は護衛艦に所属していた40代の3等海佐と、大湊造修補給所(青森県)に所属していた50代の2等海佐。訓戒などの112人は、異動により特定秘密を扱う資格を失った隊員らを「適性評価」を再度受けさせる必要があったのに怠るなどしていた。
ビル型納骨堂、経営許可認める 大阪地裁判決[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 35ページ 412文字 PDF有 書誌情報]
大阪市淀川区の住宅地に建てられたビル型納骨堂が市の基準を満たしていないとして、周辺住民らが市に経営許可の取り消しを求めた訴訟の差し戻し審判決で、大阪地裁は25日、住民側の請求を棄却した。
横田典子裁判長は、市には許可を出す広い裁量があり、公衆衛生や公共の福祉の観点から経営の違法性は認められないと指摘。原告側は(1)人家から約300メートル以内での墓地設置を原則禁じた市の細則に反する(2)寺とは別の会社が実質的な経営を担っており、営利目的の名義貸しに当たる――と市の調査義務違反を主張したが、いずれも退けた。
判決によると、市は2017年2月、大阪府門真市の宗教法人に経営許可を出した。20年4月から、6階建てビルに約6千基を収納できる「宝蔵寺大阪御廟」が運営されている。
地裁は21年、住民らには訴訟を起こす資格がないとして訴えを却下したが、大阪高裁は22年に取り消した。最高裁も支持したため、審理が差し戻されていた。
岩手・大船渡の山火事、「仮の住まい」入居手続き[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 35ページ 277文字 PDF有 書誌情報]
岩手県大船渡市の山林火災で、自宅が被災して住めなくなった住民らの「仮の住まい」となる県営住宅への入居手続きが25日、始まった。東日本大震災の被災者向けに整備された災害公営住宅の空室も一部活用する。当面は7世帯が対象で、追加入居も調整する。火災は26日で発生から2カ月。市によると、24日時点でなお約190人が避難生活を送っている。
入居先はいずれも大船渡市内にある集合住宅タイプの部屋で、家賃は最長3年間免除。テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電が備わっている。
【図・写真】「仮の住まい」への入居手続きについて説明する県職員(左)(25日、岩手県大船渡市)
新生児取り違え、都が生みの親調査へ 控訴を断念[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 35ページ 178文字 PDF有 書誌情報]
東京都立墨田産院(閉院)で1958年の出生直後、他の新生児と取り違えられた江蔵智さん(67)が都に実親の調査などを求めた訴訟で、小池百合子都知事は25日、調査を命じた東京地裁判決について、控訴しないと明らかにした。「原告や関係者に多大なご心痛をおかけし、深くおわびを申し上げる」と謝罪、調査を実施すると述べた。江蔵さん側も控訴しない方針で判決が確定する。
独立願った民族の魂を表現、「若きポーランド」展、日本美術を再生のヒントに[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 36ページ 2127文字 書誌情報]
19世紀末から20世紀初めのポーランド美術を紹介する展覧会が、京都市で開かれている。周辺の大国に占領され国土を失った時代に、ポーランドの画家たちは国民芸術の創造をめざした。その際、糧となった日本美術に、彼らは何を発見したのだろう。
ウクライナと国境を接するポーランドは、ロシアをはじめとする周辺の大国に国土を脅かされ支配された長い歴史がある。
18世紀後半、周辺のロシア、プロイセン、オーストリアの3国がポーランドの領土を次々分割占領し、1795年の分割でその国土は地図から消滅した。独立を回復するのは、第1次世界大戦終結後の1918年。123年間も独立した国家を失う時代が続いた。
京都国立近代美術館で開催中の「若きポーランド―色彩と魂の詩(うた) 1890―1918」は、19世紀末から独立回復までの28年の間に盛んになった文学・芸術運動「若きポーランド」の美術を本格的に紹介する日本で初めての展覧会だ。出展は絵画を中心に、版画、家具や工芸品まで約130点。その約9割が、日本初公開という。
◆
オルガ・ボズナンスカの「菊を抱く少女」は、この女性画家に特徴的な灰色がかった沈んだ色調で描かれている。白菊の束を両手で握る少女の大きな瞳は真正面を向き、静謐(せいひつ)な画面に緊張をもたらしている。この凍りついたような不安げな表情は、どこから生まれてくるのだろう。
ボズナンスカが生まれたのは、ポーランド南部の古都、クラクフである。19世紀末は、オーストリア=ハンガリー帝国の支配下にあったが、自治が認められて、ポーランド語の使用が許された。ロシア領となり、ロシア語の使用が義務づけられた北のワルシャワとは対照的な環境だった。
自由な空気を求めて、クラクフには多くの才能ある芸術家が集まり、「若きポーランド」の潮流が生まれた。今展は、そんな若者たちをクラクフ美術学校校長として指導した画家、ヤン・マテイコの作品からスタートする。
マテイコの教え子だったヤツェク・マルチェフスキら「若きポーランド」の画家たちは、この巨匠の壮麗な歴史画の古い様式には満足せず、西欧の新しい芸術の動向に敏感に反応し、ミュンヘンやパリへと赴いた。ボズナンスカも、ミュンヘン留学を経てパリで活躍している。
マテイコの教え子だったレオン・ヴィチュウコフスキの「日没のギェヴォント山」は、クラクフの南方、現在のスロバキアとの国境にそびえるタトリ山地の山の夕暮れを描く。中腹までを黒と紺の濃淡で描き、山頂は燃えるような朱色で表す。その鮮烈な色彩感覚は、ヴィチュウコフスキが大きな影響を受けたフランス印象派よりも、人間の情念を映す象徴主義に近づいている。空飛ぶ一羽の鷲(わし)が、ポーランドを支配したオーストリアとプロイセンの国章に使われた鳥であったのも、偶然ではないだろう。
展示される風景画や人物群像には、ポーランド色の強い題材が多く描かれた。クラクフの人が憧れた山岳風景や雪景色、それに地方の民俗衣装や風習などである。
「彼らはポーランド固有のモチーフを取り上げることで、人々の中に眠っている民族意識をかき立てようとした。占領され、蜂起しても鎮圧された悲劇の歴史の悲しみや、そこから生まれてくる祖国再生への情熱が象徴的に描かれている」
京都市立芸術大学の加須屋明子教授は、そう話す。ヴィチュウコフスキが描く残照の山は、夜明けを待つポーランドの象徴に見えてくる。先に触れたボズナンスカの少女像が注目を集めてきたのも、底知れない不安の表情が、ポーランド人の心の琴線に触れるからではないか。
◆
展示で目を引くのは、主催者でもあるクラクフ国立博物館が所蔵する江戸期の浮世絵を、併せて並べた構成だ。この浮世絵コレクションは、1901年にクラクフへ移住した批評家で大コレクターだったフェリクス・ヤシェンスキの寄贈品だ。
日本美術を愛し研究したヤシェンスキは「若きポーランド」の画家たちと深く交流し、歌川広重、葛飾北斎ら浮世絵の名匠の版画や版本、日本の工芸品を、展覧会や自邸で惜しげもなく公開した。
「我々は日本人から学ぼうではないか、いかにしてポーランド的であるべきか」。このヤシェンスキの言葉を、今展を監修した池田祐子氏が図録所収の論文で紹介している。ヤシェンスキは画家たちに、日本美術の独創性を見つめてもらうことで、独自の国民芸術の創造を促したのである。
斬新な配色、大胆な構図、精緻な線描、動植物と共生する自然へのまなざし……。そんな浮世絵のエッセンスを摂取して、個性あふれる作品を描いた画家は数知れない。著名な劇作家で詩人でもあったスタニスワフ・ヴィスピャンスキもその一人である。
今展は、大国に翻弄されてきた民族の魂に光を当てた。過酷な歴史に芸術の力で立ち向かおうとしたポーランドと日本との深い関わりに、ハッと目を開かれた。発見が内省を誘う希少な展示といっていい。6月29日まで。
(宮川匡司)
【図・写真】オルガ・ボズナンスカ「菊を抱く少女」(1894年、クラクフ国立博物館蔵)
【図・写真】レオン・ヴィチュウコフスキ「日没のギェヴォント山」(1898年、個人蔵、ポズナン国立博物館寄託)
平井一夫(25) 「もう潮時です」 無配決め自ら辞任を口に 考え改め 資金調達に乗り出す(私の履歴書)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 36ページ 1348文字 PDF有 書誌情報]
2014年は私にとって最も厳しい一年となった。
2月にテレビの分社やパソコン売却、人員削減などを決めたが、9月にはモバイル事業で1800億円の減損が出ることを公表した。さらなる業績悪化は避けられない。私と財務を預かる吉田憲一郎さんは、1958年の上場以来初となる無配を決めた。
経営者にとって株主からの信頼を裏切る無配は悪夢だ。もちろん私にも抵抗があった。だが、断固として譲らなかったのが吉田さんだった。この年から最高財務責任者(CFO)として市場との対話の責任者を務めてくれていた彼にとっては、私以上に苦痛を伴う決断だったはずだ。
記者会見で私は黒字化に向けて「不退転の決意だ」と話したが、この年度も最終損益は2年連続の赤字に沈んだ。
ちょうどこの頃だったと思う。これまで明かしたことがない事実なのだが、私は辞任を口にしたことがある。
「もう責任を取って自分で自分のクビを切るしかないですよね」
メンバーは覚えていないが、ごく少人数でのミーティングの席上だった。「もう潮時です」。諦めたように言うと、皆が言葉を飲み込んだ。ここまでマスコミや株主、OBなどから散々たたかれてきた。四面楚歌(そか)の状況でも「言わせておけばいいさ」と考えてきた。だが、結果が出ないのなら経営者は責任を取らなければならない。
「こんなヤツが社長をやっていたら社員がかわいそうじゃないか」とも思った。どんなに暗い時でも、厳しい時でもネアカに振る舞ってきたが、あの時の私はすっかり自信を失っていたのだろう。「やっぱりソニーの社長はおまえじゃダメなんだ」。心の中の自分がこう言うのだ。
正直、誰にどう留意されたのかも覚えていないが結局、自分自身で「もう少し踏ん張ってみよう」と考えを変えたのだと思う。
ソニーを取り巻く厳しい環境は変わらない。ただ、希望の芽がないわけではない。テレビは悲願の黒字化を果たし、スマホやクルマなどの「目」に使うイメージセンサーという半導体は飛ぶように売れた。ただし、強みを補うための資金が限られる。そこで決めたのがソニーにとって26年ぶりとなる公募増資だ。
公募増資3200億円に、1200億円分の新株予約権付社債(転換社債)を加えて4400億円の調達に乗り出した。無配に続き希薄化によって株主にはご迷惑をかけることになる。15年6月に機関決定すると、3チームに分かれて世界中を飛び回る旅に出た。
9日間で世界10都市で合計132回の投資家ミーティングを開く。どこに行っても腕組みにしかめっ面が待っていた。思えば、あの時ほどメンタルをすり減らした時期はなかった。
「なぜ公募増資に頼るんだ」。毎回、ありとあらゆるネガティブな質問を浴びる。資料を投げられることもあった。毎晩、ホテルに戻る頃には疲れ果てていた。部屋にミニバーがあればウイスキーのミニボトルをぐいっとあおって眠りについた。
だから、5倍の注文が入ったと聞いたときには、驚くと同時に全身の力が抜ける思いだった。IR(投資家向け広報)の担当者によると、半導体への投資という明確な目的が支持されたのだという。思えばこの頃がどん底。私のソニー再建はここから反撃のフェーズに入るのだった。(ソニー元社長)
【図・写真】内心では追い込まれていた
米国に行こうよ 馬場正尊(交遊抄)[2025/04/26 日本経済新聞 朝刊 36ページ 560文字 PDF有 書誌情報]
作家・原田マハさんと米国を旅したのは2002年。都市をテーマにしたインディーズ雑誌の編集長だった僕は設計の実務へ戻ろうと模索し、原田さんはキュレーターとして森美術館の立ち上げにメドをつけて独立するところだった。
突然「米国に行こうよ」と言い出した原田さんの勢いに、気押されながら太平洋を渡った。ニューヨーク近代美術館(MoMA)勤務の経験を持つ原田さんの人脈を頼りアーティストや最先端の感性を持つ人を数珠つなぎに訪ね歩いた。
心を奪われたのはロサンゼルスのデパート跡を使った子ども向けミュージアムやニューヨークの再開発地区。今や日本でも人口に膾炙(かいしゃ)した「リノベーション」の手法を活用した施設や都市の現場だった。その面白さや新しい美学、デザイン手法、経済的な価値。この旅でつかんだものが、今も続く東京R不動産や公共空間の再生など僕の仕事の基盤になっている。
原田さんはいつも好奇心に満ち溢(あふ)れた目で、既存の秩序を壊しながら新たなものを創造していく。Do the something! と原田さんはよく口にする。社会がこうなったら面白いと思ったらまず実践してみよう。そんな創造の根本にある姿勢を共有する原田さんの存在に、僕は励まされ、勇気を貰(もら)い、どこか安心感も覚えるのだ。(ばば・まさたか=建築家)
25年04月25日
コメの民間輸入、今年度20倍 兼松や神明、米国産が過半 関税上乗せでも割安[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1553文字 PDF有 書誌情報]
主食用の外国産米の民間輸入が拡大している。2025年度の輸入量は兼松や神明(東京・中央)など主要商社・コメ卸だけで約70万人分の年間消費量に相当する4万トンを超え、24年度の20倍前後に達する見通しだ。米国産が過半を占める。政府備蓄米の放出後も国産米の価格は高止まりしている。イオンなど小売り・外食大手は安定供給に向けて割安な輸入米を活用する。
トランプ米政権の関税措置をめぐる日米交渉で、日本政府は米国産米の無関税での輸入拡大を交渉カードの一つとして検討している。猛暑による収穫量の減少などで国産米の価格は高騰しており、一定の関税を払っても割安に調達できる外国産米の輸入が実需主導で先行し始めた。
兼松は米国産を中心に2万トンを12月までに民間輸入する。当初は1万トンを見込んでいた。すでに外食や小売りなどの取引先と1万トン超が成約済みで、今後も需要が拡大するとみて取り扱いを増やす。
輸入米は年間77万トンを国が関税なしで輸入する。こうしたコメは「ミニマムアクセス」と呼ばれ、うち最大10万トンを主食用として入札にかける。24年度はコメ卸などによって全量が落札された。民間輸入はミニマムアクセスの枠外で、事業者が1キログラムあたり341円の関税を払って調達する。
コメ卸の神明は7月ごろまでに約2万トンを民間輸入する。既にほとんどが成約済みだ。「輸入米は(外食など向けの)業務用と家庭用の需要が半々程度で、家庭用では大手量販店のほか、地方スーパーからも引き合いがある」(同社)
木徳神糧は政府輸入分と民間輸入分を合わせて25年に輸入米を計1万トン弱調達する。24年は政府輸入分から4000~5000トンを仕入れていたが、25年は民間輸入分を加えることで輸入米の取り扱いを2倍程度に増やす。大手商社では伊藤忠商事や丸紅、住友商事なども外国産米を民間輸入するとみられる。
従来、関税負担のある民間輸入米は国産米よりも販売価格が割高となってしまうケースが多かった。日本でほぼ栽培されていない品種を除き輸入実績はほとんどなかったが、猛暑や水不足によるコメ不足で前提が変わった。24年度の民間輸入量は25年2月までの11カ月間の暫定値で1497トンとなり、23年度の4倍超に膨らんだ。
コメの流通を円滑にするため政府備蓄米の初回入札が実施された25年3月以降も、需給は逼迫している。農林水産省が21日発表したコメの平均店頭価格(5キログラム)は前週比3円(0.1%)高い4217円となり、15週連続で値上がりした。備蓄米の流通範囲は限られ前年同期の2倍を超える水準が続く。
都内のコメ卸によると、輸入米は関税を払って輸入しても店頭価格で5キログラムあたり3000円ほどという。国産の銘柄米は同4000~5000円程度、備蓄米は3500円程度で販売されており、備蓄米放出後も輸入米の価格優位性は際立つ。「国産米の供給不足が落ち着いても、安い輸入米の需要は一定程度継続するのではないか」(コメ卸)との声も出ている。
イオンは4月から米国産米と国産米を8対2でブレンドした「二穂の匠(にすいのたくみ)」を北海道や東北などを除く「イオン」や「まいばすけっと」など約2000店で販売を始めた。価格は4キログラムで2780円(税抜き)と割安感を出す。西友も24年11月から台湾産米の「むすびの郷」(5キログラム、税抜き3490円)を関東地方の店で販売している。
外食でも外国産米の活用が広がる。コロワイドは「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」などの一部店舗で2月から米カリフォルニア産「カルローズ」の使用を始めた。吉野家ホールディングスや松屋フーズホールディングスも一部店舗で24年から国産米と輸入米のブレンド米に切り替えた。
日産、最終赤字7500億円 前期、過去最大 日米の工場で減損[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 1ページ 952文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車は24日、2025年3月期の連結最終損益が最大7500億円の赤字(前の期は4266億円の黒字)になったと発表した。従来予想は800億円の赤字を見込んでいた。リストラに関わる費用が増えた。赤字幅は00年3月期の6843億円を上回り、過去最大になる。今後は米トランプ政権による関税政策の影響もあり、再建は道半ばだ。(関連記事ビジネス1面に)
日産は5月13日に25年3月期の決算発表を予定している。世界販売台数は前の期比3%減の335万台となり、従来計画を5万台下回った。
最終赤字見通しは7000億~7500億円とし、4年ぶりの赤字になる。大幅な下方修正の主因は北米や日本などの工場を中心とした資産の価値を見直し、5000億円を超える減損損失が発生することだ。人員削減など構造改革費用600億円超も発生する。未定としていた年間配当はゼロ(前の期は20円)とし、4年ぶりの無配に転落する。
4月から新社長に就任したイバン・エスピノーサ社長兼最高経営責任者(CEO)は24日のリリースで「生産に関わる資産を精査し修正した。主因は減損と事業安定化に向けたリストラ費用だ。強い意志を持って再建に取り組む」とのコメントを発表した。
営業利益は前の期比85%減の850億円と従来予想を350億円下回る。主力市場の北米を中心とした販売低迷などが響く。売上高は微減の12兆6000億円だった。
26年3月期以降は世界的な景況感の悪化に加え、米関税政策の影響が懸念される。日産は日本やメキシコから米国向けに輸出しており、米国における輸入車の追加関税で一定の影響が出る。九州工場の米国向け車種の一部生産を米国に移管するなど対策を進める方針だが、業績の改善効果は限定的とみられる。
経営不振を受け、足元では抜本的な構造改革に乗り出している。24年11月に生産能力の2割(100万台)縮小や、9000人の削減などを掲げた。人員は世界の管理部門で2500人、工場で6500人を減らし、世界3工場を閉鎖する。
日産では業績不振やホンダとの経営統合協議の破談を受け、内田誠前社長が3月末で退任した。エスピノーサ氏が新社長になり再建を進めている。今後は人員や生産・販売体制の見直しなど、さらなる構造改革に踏み込む可能性がある。
チャットGPT活用「AIエージェント」 NTTデータが世界販売 社員の業務代行、オープンAIと提携[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 1ページ 754文字 PDF有 書誌情報]
NTTデータグループは24日、生成AI(人工知能)開発の米オープンAIと提携したと発表した。5月から情報の安全性を高めた法人向け生成AIサービスを日米欧・アジアなど世界で販売する。人に代わり営業活動などをこなす「AIエージェント」(総合2面きょうのことば)も開発する。世界に販路を持つIT(情報技術)サービス大手が導入を支援することで、産業界の生成AI活用はより高度な段階に移る。
NTTデータはオープンAIが手掛ける対話型の生成AIサービス「Chat(チャット)GPT」の法人版に関してこのほど販売代理店契約を結んだ。大手会計事務所のPwCに次いで世界で2社目となる。5月から営業活動を始め、まず国内大手100社を対象に専門の人材による導入コンサルティングやシステム構築支援、運用代行などのサービスを併せて提供する。
一般的な生成AIには入力したデータをAIが意図せず学習して外部に情報が流出するリスクがある。オープンAIは法人版ChatGPTについては顧客の入力データを学習せず、同社側も閲覧できない仕組みにした。機密性の高い情報をAIで安全に扱いたい企業の需要に応える。
NTTデータは提携により、ChatGPTの基盤となる大規模言語モデルの安全性を開発段階から検証できるようになる。顧客に最先端の生成AIをいち早く提供することも可能だ。さらに法人版ChatGPTを組み込んだAIエージェントを世界で提供する。
AIエージェントは企業が持つ社内データを追加して複雑な業務を自動化するもの。生成AIの中でも注目の分野だ。コールセンターへの問い合わせにAIが回答したり、過去の取引データを分析して最適な営業戦略を立案したりできる。日常業務はAIに任せ、人的資源を経営判断といった戦略的な業務に充てられる。
量子の規格、日英で協力 覚書締結へ 技術開発、優位狙う[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 1ページ 506文字 PDF有 書誌情報]
日英両政府は量子技術に関する初の覚書をまとめ、自国の技術に有利な国際規格づくりで協力する。量子分野への投資に力を入れる中国を念頭に、経済安全保障の観点から技術面での連携を深める。
城内実科学技術相が28日、英国でバランス科学・研究・イノベーション担当閣外相と会談し協力覚書に署名する。英国は量子技術に強みを持つほか、世界の量子関連企業への民間投資が米国に次ぐ2位となっている。
量子分野は米中を先頭に、各国が技術開発を競う段階だ。国際規格は広く確立していない。日本政府は英国といった同志国との連携を通じて国際ルールづくりに関与し、日本企業のビジネスチャンスにつなげる。
量子技術と安保は切り離せない。量子暗号通信は解読が不可能で、機密情報を送信する際への活用の動きが広がる。量子センシング技術は潜水艦の位置特定などにも使われる。
日英は量子技術が安保に与える影響などを話し合う枠組み「安保政策対話」を新たに立ち上げる。量子技術の開発に必要な部品や素材のサプライチェーン(供給網)確保についても議題にする見通しだ。
商業化に向けてスタートアップとベンチャーキャピタル(VC)の連携や研究機関の協力推進も盛り込む。
初めて取材でヘリコプターに乗ったのは20年前のきょうだった(春秋)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 1ページ 566文字 PDF有 書誌情報]
初めて取材でヘリコプターに乗ったのは20年前のきょうだった。脱線しグニャッと曲がった電車に言葉を失いながら、何度も数え直したことを覚えている。7両編成のはずが1両少ない。先頭車両は線路脇のマンション内に突っ込んだのだと、地上に降りた後で知った。
▼事故前、福知山線には何度か乗ったことがある。人びとの日常を縫うように走る路線で、これほどの大惨事が起きるとは頭の片隅にもなかった。今週現場を訪れると、衝撃を刻んだくだんのマンションの一部を含む、慰霊施設が立っていた。7年前に完成した「祈りの杜(もり)」。追悼式の準備が進む横で、そっと手を合わせた。
▼「なぜ息子は人生の夢を絶たれたのか」「運転ミスの背景に何があったか」。事故を取材してきた柳田邦男さんの近著「それでも人生にYesと言うために」は遺族らがいくつもの「なぜ」をJR西日本にぶつけ、企業風土まで省みようとする幹部の姿をつまびらかにする。真摯な対話が安全構築への礎になると思いたい。
▼施設で「天国のお父さんへ」と題した中学生の手紙を読んだ。「JRの方へ 二度とこのような悲劇が起こらないようによろしくお願い致します」と末尾にあった。丁寧な文面が胸を打つ。JR西の社員の7割が事故後の入社という。この先も「なぜ」を問い、考え続けること。遺児の願いを聞くべきは、同社だけではない。
中国、世界の企業「支配」 出資データ2億件分析 日本では自動車に食指 米中「資本戦争」が激化[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1318文字 PDF有 書誌情報]
日経ビジネスが早稲田大学や国立情報学研究所と協力し、約2億件のデータを使って世界の企業の資本構造を分析したところ、中国政府が各国で強い支配力を持つ実態が浮かび上がった。米国勢も大手ファンドが支配力で上位に入った。米国企業と中国政府による「資本戦争」が繰り広げられている。
分析には、早大の栗崎周平准教授と国立情報学研究所の水野貴之准教授が開発した独自指数「NPF(ネットワーク・パワー・フロー)」を採用した。特定の組織や企業が、株主として影響力を持つ企業などの売上高の規模を「支配力」ととらえるものだ。子会社や孫会社など、間接出資を含めた出資関係をネットワークとして把握し、持ち株比率を勘案して算出する。
圧倒的な差をつけて1位となったのが中国政府だ。NPFはネットワーク上にあるすべての傘下企業を計算に含める。中国政府は各産業の中核企業を国有化して支配下に置いていることから高いスコアになった。
中国政府のNPFを、出資先企業が本社を置く国・地域別に分類すると、中国以外で最も多いのはオーストラリアだった。NPFは約5460億ドル(約77兆円)。インフラや資源関連の企業に強い支配力を持つ。
中国政府の日本に対するNPFは209億ドルで、そのうち97億ドルが「自動車および自動車部品・用品」を手掛ける企業に対する支配力だ。
米国でも日本と同様に「自動車および自動車部品・用品」が多い。韓国は「半導体および電子部品」、英国は「事業支援サービス業」、ブラジルは「金属鉱石採掘業」と、各国が強みを持つ産業に食指を動かしていることが分かる。
特定の産業分野に中国政府や中国企業などの支配力がどの程度あるのかも調べた。米中対立の火種となる半導体や半導体を使った製品では、台湾を拠点とする企業に対して18%、米国の企業に対して9%、日本の企業に対しては6%の支配力を持つことが分かった。「日本の企業」には、中国レノボ・グループが買収した富士通のパソコン事業会社など、日本にある外国資本の現地法人を含む。
一方で人工知能(AI)などのソフトウエアでは、日米台のいずれの企業に対しても中国の支配力は1%に満たなかった。
中国の支配力は政府が担っているのに対し、NPFランキングで上位に入った米国勢は個々の独立した企業体だ。むしろ米国勢上位2社だけで中国政府の約4分の1の支配力を有している事実は中国にとって脅威になる。
今回の調査では、これまで見えなかった「米国企業の真の支配構造」も浮き彫りになった。
米国の投資会社の株主をたどっていくと、互いに株式を持ち合っているのが分かる。こうした構造を形成したことで「誰かが倒れても(経営状況が悪化しても)総崩れになることはない」(水野准教授)という強さを手に入れた。逆に中国のピラミッド構造は、頂点の中国政府が失敗すると全体が崩れるためもろい。
分析の概要 世界最大規模の企業情報データベース「Orbis」の8億6000万件に上る2023年時点のデータを取得。株主情報が記載された約2億件の企業データを抜き出して分析した。持ち株比率は議決権行使における影響力などを勘案した独自の計算式で重み付けしている。
赤沢氏、30日訪米 車関税撤廃「重点的に」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 2ページ 355文字 PDF有 書誌情報]
赤沢亮正経済財政・再生相は30日に訪米し、2回目の日米関税交渉に臨む。日本政府は主力産業である自動車など品目別の追加関税の撤廃を優先して議論する構えだ。自動車は対米輸出の3割を占め、譲歩を引き出すハードルは高い。交渉のテーブルに乗せることが最初の関門になる。
赤沢氏は2回目の協議のため30日午前に日本を出発し、5月2日午後に帰国する。24日、自民党本部で記者団に「交渉の土俵に何を入れ、何を重点的に話し合うのかをおおよそ決めたい」と話した。
日本政府は交渉にあたりカードの洗い出し作業を続けている。自動車の安全基準の緩和やコメの無関税輸入枠の拡大といった案が浮上している。
トランプ米大統領が9日に発動した相互関税は、一律10%を除く上乗せ部分が90日間停止している。米国側は、この間に交渉を進める方針だ。
針路を聞く 「第2のプラザ合意」ない みずほリサーチ&テクノロジーズ 門間一夫氏(崩れる自由貿易)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1315文字 PDF有 書誌情報]
みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミスト 門間一夫氏
トランプ米大統領が掲げる「米国第一主義」的な発想は今後も底流に残る。トランプ氏だけでなく周囲のブレーンがこの考えを支持しているほか、米国ではより若い世代のほうがこうした認識を持っている。
今までのグローバリゼーションが米国にとってうまくいかない部分が大きかったという受け止めが背景にある。他国も一定の負担を担うべき安全保障コストを、米国が過度に肩代わりしているとの認識も根強い。
関税を回避するため、製造拠点の一部を米国に移す動きが出てくる。当面は需要の落ち込みに対する景気下支え策が必要となる一方、中長期的には新たな成長分野への資源配分を進めなければならない。
ドル高是正を目的とした「第2のプラザ合意」は、議論としては出ても実現しないだろう。1985年のプラザ合意の時とは経済構造が全く異なっているからだ。
当時、米国との間で貿易摩擦や経済対立が問題になったのは日本と西ドイツで、事実上は3国合意だった。日独ともに第2次世界大戦の敗戦国であり、米国の安全保障の枠内にあった。米国に協力せざるを得ない立場だった。
現在対米貿易で大きいのは中国、メキシコ、カナダだ。人民元の切り上げを要請しても実現しないと分かっているから関税をかけている。仮に日本と為替で何らかの合意を結んだとしても、米国の貿易赤字の解消にとってはほとんど意味をなさない。
仮にドル安誘導を行う場合、米国債券市場に悪影響が及ばないようにするために、同盟国に100年物米国債を無理やり購入させるという観測も市場の一部にはある。だが、償還まで100年を要するような債券に投資家の需要が見込めるとは考えにくく、現実的な政策手段とは言い難い。
日銀は今年中は追加利上げに踏み切れないだろう。よほどの円安が再燃しない限り、トランプ関税は内外の景気減速を通じて物価下振れに働く。
日銀は一貫して中長期的な物価上昇率を念頭に金融政策を決めており、それは今も2%に届いていないという判断だ。それがさらに下振れるのだから、利上げの理由はしばらくなくなる。
日本は米国向けの輸出に依存しないビジネスモデルを構築する方向にかじを切るべきだ。国内で満たされていない潜在需要は大きい。対応が遅れれば潜在成長率の低下は避けられない。
例えば、建設業は人手不足の問題に直面している。企業が投資をしたくても建設工事が進まず、再開発が滞っている。老朽インフラの整備や高齢化社会への対応もある。米国に依存しない成長産業をつくっていかなければならない。
中国の技術力向上の勢いはすさまじい。トランプ関税に限らず、より根本的なところで中国との競争に負けていく局面が訪れるだろう。日本が得意だと思っている自動車、ロボットなどもこのままでは危ない。かなりの危機感を持って、日本の産業基盤の再強化に国を挙げて取り組むべきだ。
(聞き手は南泰葉)
=随時掲載
もんま・かずお 1981年東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。調査統計局長、企画局長を経て2012年理事。16年からみずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミスト。67歳
賃上げ持続の春(4) 最低賃金は推進役不在(迫真)終[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1023文字 PDF有 書誌情報]
「みんなニコニコ顔で私どもはプレッシャーを頂いている」
3月7日の帝国ホテル東京(東京・千代田)。中小企業の経済団体である日本商工会議所会頭の小林健(76)は、懇談会で向かい合った連合会長の芳野友子(59)に語りかけた。
芳野が満面の笑みを浮かべた理由は、前日発表した春季労使交渉の賃上げ要求の集計だ。特に組合員300人未満の中小企業が平均6.57%と31年ぶりの高水準。前年比0.60ポイント上がり、要求の上昇幅・水準ともに大企業を上回った。連合が全体を上回る「6%以上」の賃上げ目標を掲げたことが奏功した。
大企業より遅れていた中小企業の賃上げを進める考えは、政労使に通じる。日商の小林は懇談で「ベクトルは一緒。同床異夢ではなく同床同夢だ」と述べた。首相の石破茂(68)も3月12日「中小企業などの賃上げに政策を総動員する」と語った。
4月17日の連合集計で中小企業の回答は4.97%と33年ぶりの高水準。目標の「6%以上」に届かないが連合に焦りはない。賃上げ率の上昇幅は0.22ポイントで大企業を上回る。高い目標が賃上げ機運につながったとみる。連合幹部は「大企業は放っておいても勝手に上がる。中小をいかに伸ばせるかだ」と語る。
春季交渉と違い、今後の賃上げ継続を占う最低賃金では足並みがそろわない。「本日のテーマではないが一言申し上げる」。日商の小林は3月12日、首相官邸の政労使会議で石破らに直訴した。「最低賃金引き上げのスピードは、地方の中小企業の実態を十分に踏まえるべきだ」
最低賃金の全国平均は現在1055円だが、石破政権はこれを2020年代に1500円まで引き上げる目標を掲げる。小林は急速な引き上げが地方の中小企業に深刻な打撃を与えるとの懸念を示した。
最低賃金上げの旗を振るはずの連合の立ち位置も微妙だ。「年数を区切ってやることに慎重であるべきだ」。事務局長の清水秀行(66)は1月、政府目標に否定的な見解を示した。政府主導の引き上げは労働者・経営者・学識者の3者で議論する最低賃金制度への「介入」に映る。
米トランプ政権の関税引き上げにより自動車産業を中心に業績の不透明感が広がる。厚生労働省幹部は「追い風がない」と漏らす。トランプ関税の荒波を乗り越えて賃上げを継続できるか正念場を迎えた。
(敬称略)
松井亮佑、窪田真奈、山下美菜子、嶋井健太が担当しました。
【図・写真】政労会見で発言する連合の芳野会長(14日、首相官邸)
世界の同時不況起こさぬ道を早急に探れ(社説)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 2ページ 958文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の高関税政策により世界が同時不況のリスクにさらされている。国際通貨基金(IMF)は最新の経済予測で2025年の世界の成長率を2.8%と見込み、前回の1月時点から一気に0.5ポイント引き下げた。
大幅な下方修正だが、さらに下振れする可能性が高い。世界中でモノやカネの動きが滞り、企業の設備投資が急速に細るような事態は避けなければならない。
IMFが22日公表した世界経済見通しによれば、25年の世界全体の貿易量の伸びは1.7%と昨年の3.8%から急減速し、各国・地域経済への下押し圧力となる。
高関税の震源地である米国について、25年の成長率予測を前回より0.9ポイント低い1.8%に変更した。日本は0.6%と前回の1.1%からの減速を見込む。中国は0.6ポイントの下方修正で4.0%成長となる見通しだ。メキシコはマイナス成長の予想に転じた。
IMFは米相互関税を受け、ほぼ確定していた当初予測を急きょ差し替えた。問題は下方修正を経てもなお、結果的に甘い見通しになってしまう懸念が強いことだ。
IMFは「貿易戦争の激化に加え、政策の不確実性が一段と高まれば、短期・長期的な成長をさらに抑制しうる」と指摘。「より広範な金融の不安定性」を含め、下振れリスクが大きいと認めた。
世界不況の目安となる2%成長を割り込む確率は30%近くと、昨年10月の17%から急伸した。
米国が中国だけでなく、それ以外の国・地域とも相互に高い関税をかけ合う「貿易戦争」を想定した推計も公表した。悲観的な政策シナリオの場合、不確実性の高まりや金融市場の緊張と相まって世界経済を25年に1.3%、26年には1.9%下押しする。
世界不況のリスクを高めた責任は言うまでもなく米国にある。方針撤回や軌道修正は不可欠だ。中国にも報復の自制を求めたい。
IMFは一方で「一部の国による非関税障壁の幅広い適用や貿易をゆがめる措置」といった積年の課題を指摘し、それらに対処する「十分に機能するルールに基づいた制度」の必要性を訴えた。
このままでは世界中で生産が非効率に陥り、中長期的な成長力まで損ねてしまう。日本を含めた国際社会は、米国と個別に関税引き下げを交渉するだけでなく、多国間でより自由・公正な貿易体制を築く取り組みを急ぐ必要がある。
福知山線事故が刻む重い教訓(社説)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 2ページ 786文字 PDF有 書誌情報]
制限速度をはるかに超える高速でカーブに突っ込んだ電車が曲がりきれずに脱線し、乗客106人の尊い命を奪ったのは、20年前の2005年4月25日のことだ。
JR西日本の引き起こした福知山線事故はまれに見る惨事であり、安全の追求に終わりはないことを教えてくれる。鉄道のみならず運輸の安全確保のために何をすべきか、改めて考えたい。
事故を振り返ってまず浮かび上がるのは、組織風土や企業文化の重要性だ。事故以前のJR西は故意ではないヒューマンエラー(うっかりミス)に対しても個人の責任を厳しく問い、懲罰的ともいえる再教育を施していた。
事故を起こした運転士は前の駅で停止位置を大幅に行き過ぎるミスを犯しており、再教育の対象になる恐れがあった。国の運輸安全委員会によると、その言い訳などを考えていたことから注意が運転からそれ、ブレーキの使用が遅れたと考えられるという。
事故を受けてJR西は、個人への責任追及ではなく「組織全体で安全を確保する仕組み」を重視するようかじを切った。うっかりミスは懲戒の対象から外し、職場の心理的安全性の改善に努めた。
その結果、自分のミスや「ヒヤリハット」の経験を組織全体で共有できるようになり、「立木が伸びて信号が見えにくい」といった危険因子に早めに手を打てるようになった。
行き過ぎた厳罰主義や上意下達はミスの隠蔽や創意工夫の低下につながり、逆に安全を損なう。それが福知山線事故の教訓だろう。
他の運輸事業者や労働災害が起こりやすい生産・建設現場などを抱える企業は肝に銘じ、安全のさらなる向上に努めてほしい。
ほかにも自動列車停止装置の導入といったハード面の対応や、安全に関わる技能の伝承も課題だ。
人材確保が年々難しくなるなかで、JR東日本はインドネシアやベトナムから車両保守などの特定技能人材の受け入れを始めた。外国人の活用も積極的に進めたい。
米、対日交渉「貿易」を最優先 財務長官「通貨協定求めず」 非関税障壁を問題視 「不均衡」是正、明確に[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1908文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】ベッセント米財務長官は23日、関税を巡る日米交渉で「特定の通貨目標を求める考えはない」と述べた。通貨協定などを通じた為替操作の可能性は後退したが、トランプ米大統領が掲げるドル高の是正方針に変化は見えない。日米関税交渉では、貿易不均衡を問題視し貿易赤字の削減を優先する姿勢を鮮明にした。
加藤勝信財務相は24日(日本時間25日未明)、ワシントンでベッセント氏と会談する。
ベッセント氏はこれに先立つ23日、日本経済新聞など一部メディアとの質疑応答で、為替水準に目標を置く強引なドル安・円高誘導はしないと語った。日本に特定の「通貨協定」や「通貨目標」を求めることはないかと聞かれて「その通りだ」と答えた。
「主要7カ国(G7)の合意を尊重するよう期待している」と述べた。2017年5月のG7合意は「全ての国が競争的な通貨切り下げを行わない」としている。
トランプ政権は貿易不均衡を是正する手段として、高関税政策を掲げてきた。だが大規模な相互関税を発動した9日以降、金融市場では景気悪化懸念からドルと米国債、株式が同時に売られるトリプル安の「米国売り」が複数回起きた。
「市場の混乱を望まないというメッセージだ」。日本の財務省幹部からはファンド運営で外国為替市場に精通するベッセント氏の発言に安堵する声が聞かれた。23日のニューヨーク外国為替市場で対ドルの円相場は一時143円台半ばまで下落した。
トランプ氏はかねて中国と並び、輸出に有利な通貨安に誘導していると日本を批判してきた。24日の財務相会談で米側が円の水準切り上げなどの強い措置を求めないとしても、円相場の是正に向けて具体策に言及する余地は残っている。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「米国が日本に内需拡大や日銀の利上げなどを求め、円高方向に誘導してくる可能性はある」と話す。
財務相会談が終われば、本丸は赤沢亮正経済財政・再生相が担当する関税交渉に移るが難航必至だ。ベッセント氏は23日の質疑で「米国にとって公正な貿易体制をつくりあげる」と述べた。
ベッセント氏は他国との交渉は「関税、非関税貿易障壁、為替操作、労働や設備投資への政府補助金」が対象になると言い続けてきた。23日の質疑では日本への要求を聞かれ、まったく同じフレーズを繰り返した。的は絞り切れていない。
日本は自動車に課せられた25%の関税の撤廃を目指すが、ラトニック商務長官などはこうした分野別関税は安全保障に関わるため交渉に応じないと明言している。
ベッセント氏は貿易不均衡是正という目標を明確にしたうえで、ドル高是正や関税、国際金融システムの変革などを是正の手段と位置づける。
23日のワシントンでの講演でも国際金融システムの枠組み変更に意欲を示した。戦後の秩序を築いたブレトンウッズ体制の目的が国際経済のバランスを回復・維持することにあったと説明したうえで、自らが「国際金融システムの均衡を回復させる青写真を描く」と宣言した。
ブレトンウッズ体制は第2次世界大戦後に米国主導で決めた国際経済・通貨の安定化メカニズムだ。国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(世界銀行)を発足させ、戦後復興とともに為替や国際収支を安定させる仕組みを作った。
ベッセント氏は講演でIMFと世銀に批判の矛先を向けた。「米国が強いリーダーシップの役割を受け入れる」と強調し、改革に積極的に関与すると表明した。
要求したのは中国への対応見直しだ。「IMFは中国のように数十年にわたり世界経済をゆがめる政策や不透明な為替政策を追求してきた国々を批判すべきだ」と迫った。
別の講演でも、過剰な生産を抱えつつ国内の需要を抑えて輸出に依存するのは「世界に害を及ぼす持続不可能なモデルだ」と中国を糾弾した。
世銀にも中国を支援対象から「卒業」させるよう求めた。「世界第2位の経済規模を誇る中国を『発展途上国』として扱うことは荒唐無稽だ」と批判し、支援対象から外す明確なスケジュールを設定すべきだと訴えた。
IMFや世銀は米国が最大出資国だが、出資比率で2位の日本はすでに中国に経済規模で大きく抜かれている。
中国の国際機関への影響力拡大も予想されるなか、ベッセント氏は国際金融機関を再び西側諸国の価値観に引き寄せる考えだ。
ベッセント氏は講演で「米国第一とは、米国の単独路線を意味するものではない」と強調した。米高官らは貿易赤字の拡大は米国の製造業の衰退を背景にしており持続不可能だとみる。ベッセント氏は目指すのは持続可能な成長であって、米国の「一人勝ち」ではないと理解を求めた。
日本株の大衆化へ一歩 東証指針「最低投資10万円に」 個人、政策株の受け皿に[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1525文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所は24日、株式の最低投資金額を10万円程度に引き下げるよう上場会社に求める方針を正式発表した。企業に株式分割などを検討するよう促す。企業が進める政策保有株の削減の受け皿となり得る。日本株の保有構造が変わり、大衆化へ一歩進むことになる。
個人の取引環境整備について議論してきた「少額投資の在り方に関する勉強会」の報告書に個人が求める水準を示した。個人投資家向けのアンケートで最低投資金額は10万円程度が望ましいとの回答が最も多かったことを踏まえた。現在は上場規程で50万円未満を努力義務として定める。
東証が最低投資額の引き下げを求める方針を受け、個人からは歓迎の声があがった。「投資の選択肢が広がる」(東京都の男性会社員、28歳)、「米関税の影響で相場変動が大きく運用資産を縮小しており、引き下げはありがたい」(東京都の女性専業投資家、40歳)といった声があった。
上場企業では現状、海外投資家が主体別で日本株最大の保有者で、個人投資家は長期でみると存在感を失ってきた。1970年度に4割弱と最大の持ち手だったが、低下傾向をたどり足元では2割を切る。
企業は市場から厳しい目を向けられる政策株の解消に動くなか、長期で株式を持ってくれる個人の開拓が喫緊の課題となっている。
米国に比べて最低投資額の水準はなお高い。23年から24年にかけて株式を分割した340社の最低投資額の平均は足元で22万円程度で、10万円未満は90社弱にとどまる。1株から購入できる米国ではアップルが約2万9000円、エヌビディアは1万5000円弱から投資できる。日本株を買いやすくするには一段の分割などが必要になる。
株式分割で個人株主を増やした代表例がNTTだ。23年7月1日に1株を25株に分割した。24年末の株主数は過去最高の247万人と分割公表前の2.7倍になった。最低投資額は1万5000円程度で、配当利回りは3%台と預金より高い。
NTTの株主の年齢構成は分割後に大きく変わった。40代未満が占める割合は20年12月の10%から24年12月は45%になった。「若年層株主の増加を受け、従来の対面型説明会に加え、オンラインの個人投資家説明会の開催や動画コンテンツを拡充している」という。
政策株を売却する受け皿として個人株主を取り込む企業が出てきた。
デンソーは23年に4分割後、株主のトヨタ自動車や豊田自動織機などが株式を売り出した。デンソーは「株式分割と持ち合い株の売り出しをセットにしたことで個人が投資しやすい環境をつくり、投資家層を拡大したかった」と話す。分割後の24年3月末の個人株主数は17.2万人と1年前から10万人近く増え、個人比率も約18%と5ポイント上昇した。
上場企業が株式分割を進めるうえで課題の一つは株主総会やIR(投資家向け広報)など株主の管理に伴うコストの軽減だ。
東証によると招集通知と議決権行使書などは上場企業全体で年約2.2億件あり郵便料金は307億円かかる。現状のまま株式分割すると管理コストがさらに増える可能性がある。一部をハガキに変えたり電子化したりする工夫が必要だ。
もう一つが株主提案権だ。株主提案のハードルが下がり、株主提案の乱用が増えるとの指摘もある。大和総研の鈴木裕主席研究員は「個人による株主提案が増える可能性は十分ある」という。企業側からは「乱用的な権利行使への対応策が必要」との声が上がる。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「個人の投資環境を整えた点は評価できる。企業の負担にも配慮したうえで(バーチャル株主総会などの)法規制の見直しと両輪で進めていく必要がある」と話す。
米、対日交渉「貿易」を最優先 財務長官「通貨協定求めず」――交渉は2段階・為替操作も注目 一問一答[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 3ページ 924文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=河浪武史】ベッセント米財務長官は23日、日本経済新聞など一部メディアの取材に答えた。主な一問一答は以下の通り。
――日本との交渉では通貨問題も取り上げると表明している。具体的な要求は何か。
「我々は日本に対して(通貨については)主要7カ国(G7)の合意を尊重することを期待している。これまでも何回か言及してきたが、我々は貿易交渉で複数の要素に注目している。関税、非関税貿易障壁、為替操作、それから労働や設備投資への政府補助金だ。すべてまとめて交渉する」
――日本に対して特定の通貨協定や通貨目標を求めることはない、ということか。
「その通り。通貨目標のようなものはない」
――各国との貿易交渉で第1号の合意はいつごろか。
「インドとの交渉は合意が極めて近い。インドは多くの品目に高い関税を課しているが、非関税障壁は少なく為替操作もしていない。政府補助金も極めて少ない水準だ」
「貿易交渉は2段階で進めて緊張を緩和していくことになる。満足のいく合意というのは必ずしも実際の貿易文書というわけではない。原則面での合意に達し、それから実務面に落とし込んでいくことになる」
――中国への関税を引き下げる可能性は。
「両国ともこの状況が持続可能でないことは理解していると思う。(100%を超える関税は)禁輸措置と等しく、両国の貿易断絶は誰の利益にもならない。両者とも対話に向けて待ちの状態だ。交渉開始の時期がみえているわけではない」
――各国との交渉が何年もかかるという可能性もあるのか。
「そうは思わない。米通商代表部(USTR)が作成した分厚い報告書には、非関税障壁にしろ関税にしろ、我々が求めるものが記されている。そのため、交渉に長く時間がかかるとは思っていない。相互関税の引き上げは各国にとって魅力的な選択肢ではないだろう」
――ウォール街は混乱している。貿易戦争の最終目標は何なのか。
「それは米国にとって公正な貿易体制をつくりあげることにある。関税と非関税障壁を引き下げ、交渉の最終段階ではほかの事項も盛り込むことができるだろう」
【図・写真】日本経済新聞など一部メディアの取材に答えるベッセント氏(左)(23日、ワシントン)=AP
AIエージェント 具体的指示なくても作業(きょうのことば)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 3ページ 445文字 PDF有 書誌情報]
▽…AI(人工知能)と「代理人」を意味する英語のエージェントを組み合わせた造語。人間が具体的な指示をしなくても、AIが必要な作業を自ら考えて実行するサービスを指す。「自律型AI」とも呼ばれ、文章や画像を生成する際に具体的な指示を必要とする「対話型AI」に続く技術として注目を集める。
▽…コールセンターでの柔軟な顧客対応、経営計画や営業戦略の立案、会議の活性化を促す資料の自動作成などに強みを発揮するとみられている。必要な作業を推測したり、実際に作業をしたりといった役割を分け、それぞれを担う生成AIやAIを組み合わせた仕組みが多い。
▽…2024年は米セールスフォースや米マイクロソフトなどテクノロジー大手が関連サービスを始め、「AIエージェント元年」と呼ばれた。インドの調査会社マーケッツ・アンド・マーケッツの予想によると、世界市場は30年に471億ドル(約7兆円)と、24年の約9倍に膨らむ見通し。当初は法人向けが中心だが、NTTドコモのように個人を対象に事業化を目指す企業も増えている。
財政再建、米関税が揺らす 自民の税収増前提に影 来年度目標 「基礎収支黒字」広がらず[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1867文字 PDF有 書誌情報]
自民党は5月中にも2026年度以降の新しい財政目標をまとめる。「トランプ関税」の影響で、財政再建に向けた議論の前提は揺らぐ。企業収益が悪化したり、家計への打撃が広がったりすれば、税収が減少して景気下支えのための歳出拡大につながる可能性があるためだ。
財政再建へのスタンスを巡る党内の財政健全派と積極財政派の論争が激しさを増している。
自民党の財政改革検討本部は24日の会合で財政運営を議論した。積極派の中村裕之衆院議員は「国民の負担がいまは重すぎる」と発言し、財政出動が必要だと説いた。与野党で浮上する消費税減税に慎重な意見も出た。
5月中にも提言をまとめ、政府に提出する見通しだ。焦点のひとつが基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標の扱いだ。少なくとも今の目標を堅持するよう主張する財政健全派に対し、積極財政派は柔軟な財政出動を縛りかねないと否定的な姿勢を示す。
政府は財政目標として(1)25年度のPB黒字化(2)債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げ――を掲げる。26年度以降の目標が決まっておらず、財政本部で議論の焦点になる。
PB黒字化は新しい借金をせずに政策にかかる予算を賄えている状態を示す。財政健全派のひとりは新目標に関してPB黒字化を最低ラインと位置付けたうえで、さらに2つの高めの新目標に言及する。
ひとつが目標とするPBの黒字幅を定める考えだ。東京財団が3月にまとめた試算によると、PB黒字が対GDP比で2%に達すると債務残高の対GDP比が下がる。同試算は4月上旬の財政本部の会合でも議論になった。
2つ目が「構造的財政収支」だ。景気変動が税収に与える影響などを除いた収支指標で、政府が歳出・歳入改革を断行しなければ収支が改善しにくい。PBに比べて改善が難しく、欧州連合(EU)が加盟国の財政状況を診断する指標としてきた。
新目標の策定をめざす財政健全派に同調する動きは党内で広がりを欠く。夏の参院選を控えて与野党が減税などを競い、財政再建を論じる機運は乏しい。
米関税が日本経済に打撃となって賃上げの機運が後退すれば、自民党内でも積極財政派を中心に、家計への支援策を求める意見が強まる公算が大きい。
産業支援を迫るシナリオもある。自民党が22日にまとめた提言は自動車への追加関税の影響を見極めたうえで「国内需要対策のための効果的な措置を講じる」と記した。党幹部は一例としてエコカー補助金などを挙げる。
歳入面でも、PB赤字の縮小を支えてきた税収増の先行きに不透明感が強まる。24年度の税収は73兆4000億円と5年間で15兆円増えるとみられる。伸びの半分を法人税収が占める。政府は25年度予算でも税収を6年連続で過去最大の77兆8000億円と見積ったが、トランプ関税の影響は反映していない。
企業収益を押し上げた円安は米関税の発動後に円高基調へ転じた。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「企業業績の悪化で法人税収が伸び悩む公算が大きく、政府は税収見込みを下方修正せざるをえないだろう」と話す。
財政健全派の閣僚経験者は「トランプ関税で財政健全化を主張しにくくなった」と話す。石破茂首相は米関税を「国難」としており、関税への対応を最優先する構えだ。
財政本部の提言は取りまとめが難航する可能性が大きい。自民党は今春、財政健全派と積極財政派の2つに分かれていた財政本部を統合した。本部長を務める小野寺五典政調会長の下、副本部長に健全派の古川禎久氏、積極派の西田昌司氏を配し、互いににらみをきかせる。
両派の立場はすれ違ってきた。古川氏が主導する健全派は24年の提言でPB目標を巡り「25年度の黒字化をめざす」と明記した。西田氏ら積極派は25年度のPB黒字化目標に関し「固執することに断固反対」と反論していた。
これまでもPB黒字化の目標が選挙などで遠のいた過去がある。内閣府は24年7月、25年度に国と地方をあわせたPBが8000億円の黒字になると試算したが、25年1月の試算では一転して赤字となった。
大きな要因は13.9兆円の24年度補正予算だ。首相は24年10月の衆院選で、有権者にアピールしようと23年度を上回る規模の補正予算を組むと明言していた。
与野党に広がる消費税率の引き下げ論が現実味を帯びれば、財政目標を巡る議論が土台から崩れていく懸念もある。夏の参院選に向けて、中長期的な財政健全化目標よりも、目先の消費税減税の方が大きな争点になる可能性も膨らむ。
政府、米関税受け緊急対策案 消費喚起や資金繰り支援[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 710文字 PDF有 書誌情報]
米国の関税措置に伴う国内産業や生活への影響に対する政府の総合対策案がわかった。国内消費喚起や企業の資金繰り支援など5つの柱で構成する。影響拡大が見込まれれば「ちゅうちょなく追加的に必要な対応をする」と明記した。25日に首相官邸で開く総合対策本部で決定する予定だ。
自民、公明両党は22日、それぞれ石破茂首相に関税措置を踏まえた国内対策の提言案を提出していた。政府はこれらを踏まえ総合対策「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」の案をまとめた。
対策案は(1)相談体制の整備(2)企業の資金繰り支援の強化(3)雇用維持と人材育成(4)国内の消費喚起(5)産業構造の転換と競争力強化――の5つの柱をたてた。米国との交渉を続けつつ、国内のダメージを減らすことを狙う。
米国はすでに自動車への25%の関税を発動した。自動車部品にも5月から同率の関税を課す方針で、日本の産業界に懸念が広がる。対策案は「必要に応じ国内需要対策に効果的な施策を講じる」と強調した。
首相が22日に表明した1リットルあたり10円のガソリン価格の引き下げを盛り込んだ。7~9月の電気・ガス料金の補助も含めた。
中小企業向けの融資に関し、5月以降に金利引き下げの対象を広げることを検討する方針を掲げた。従業員を解雇せずに休業などで雇用を維持した場合に支給する「雇用調整助成金」なども必要に即して要件の緩和を検討すると盛り込んだ。
米国への輸出減で業績が悪化した場合に国内雇用を維持できるようにする狙いがある。納税の猶予も柔軟に運用すると打ち出した。
【図・写真】首相官邸で開かれた、トランプ米政権の高関税政策への対応を協議する総合対策本部の初会合(8日)
公明新旧代表、相次ぎ訪中 参院選向け友好アピール[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 350文字 PDF有 書誌情報]
公明党の斉藤鉄夫代表は24日、3日間の中国訪問を終えた。関税を巡る米中対立が激しい状況でも中国共産党幹部と会談し、緊密な関係を発信した。歴代代表の山口那津男、石井啓一両氏も28日から中国を訪れる。夏の参院選をにらみ日中友好を重視する支持基盤を固める思惑が透ける。
山口氏は24日に首相官邸で石破茂首相と会談し、教育・文化交流として天津市を訪問すると伝えた。同市内の日本人学校などを視察する。
今回の斉藤氏の外遊は山口氏が23年11月に中国を訪れて以来、およそ1年半ぶりの公明党代表の訪中となった。同党代表と習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談は2017年以降実現せず、独自のパイプに限界もみえる。
27日からは超党派の日中友好議員連盟も訪中する。与党の要人が短期間で相次いで訪中するのは珍しい。
農産品除外要求を明記せず 自民決議案、日米貿易交渉巡り[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 319文字 PDF有 書誌情報]
自民党はトランプ米政権との貿易交渉を巡り、農林水産分野の決議案をまとめた。「自動車関税の引き下げのためなどに農林水産品を犠牲にするような交渉方針は断じて受け入れられない」と明記した。農産品を交渉対象から除外するようには求めていない。
自民党食料安全保障強化本部(本部長・森山裕幹事長)など5機関が25日にも決議を採択する。
2019年に結んだ日米貿易協定などに触れ「農林水産品に関する合意内容はギリギリの交渉の結果として受け入れた」と説いた。4月中旬に始まった日米交渉で譲歩の余地が乏しいとの見方を示した。
政府に厳しい交渉姿勢を要求しつつ、農産品を対米交渉の対象とすることには反対していない。政府の対米交渉のカードを制約しないためだ。
参院自民の8割、消費減税を要望[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 181文字 PDF有 書誌情報]
自民党の松山政司参院幹事長は24日、党本部で参院選に向けた政策要望に関して集約した意見を森山裕幹事長、小野寺五典政調会長に伝達した。消費税率の引き下げを求める声が8割に上ったことなどを伝えた。参院選公約の策定に向けて今後党内で議論を進める。
参院自民は意見集約のため、全参院議員を対象にしたアンケート調査や、夏に改選を迎える所属議員向けのヒアリングをしてきた。
AI法案が衆院通過 人権侵害に対応[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 137文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)の開発促進と安全確保の両立をめざす「AI関連技術の研究開発・活用推進法案」が24日の衆院本会議で与野党の賛成多数で可決、参院に送付された。今国会で成立する見通しだ。AIによる著しい人権侵害を確認した場合に開発事業者や活用事業者らを公表することが可能になる。
立民、消費減税の是非を代表一任 参院選公約で[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 121文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党は24日、党の政策を決める「次の内閣」(ネクストキャビネット=NC)を国会内で開いた。夏の参院選を巡り、公約に消費税の減税を盛り込むかどうかについて議論した。判断は野田佳彦代表に一任する。25日の臨時執行役員会で協議する見通しだ。
4月24日(首相官邸)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 778文字 PDF有 書誌情報]
▽8時6分 公邸から官邸。15分 副大臣会議に出席し、あいさつ。44分 参院第2別館。歯科診療所で歯のクリーニング。
▽9時6分 官邸。8分 小渕組織運動本部長。30分 ゴードン米ワイオミング州知事、ルハングリシャム米ニューメキシコ州知事の表敬。
▽10時 文化庁の都倉長官、森田、合田両次長。34分 日越大学推進議員懇話会の平沢勝栄会長らから要望書受け取り。森補佐官同席。51分 市川官房副長官補。
▽11時31分 アジア・アジアパラ競技大会推進議員連盟の橋本聖子会長らから要請書受け取り。阿部文科相同席。56分 参院議員会館。「ヘアーサロン銀座マツナガ議員会館店」で散髪。
▽12時32分 官邸。
▽13時2分 東京都千代田区の在日ローマ教皇庁大使館。故ローマ教皇フランシスコの弔問の記帳。27分 官邸。
▽14時 青木官房副長官、小林内閣広報官、長島、森両補佐官、今川総務審議官、外務省の鯰外務審議官、北村外務報道官、宮本南部アジア部長、石月国際協力局長、井上文科省科学技術・学術政策局長、渡辺農水審議官、松尾経産審議官、加野防衛審議官。
▽15時4分 三原共生社会相、阪田官房副長官補、内閣府の井上次官、林内閣府審議官、木村政策統括官、朝川厚労省政策統括官。28分 長橋復旧・復興支援総括官、高橋内閣府政策統括官、内田国交省都市局長。55分 鈴木法相、阪田副長官補、丸山出入国在留管理庁長官、堀井厚労省人材開発統括官。
▽16時41分 山口那津男公明党元代表。
▽17時57分 ルクセンブルクのフリーデン首相を出迎え。58分 儀仗(ぎじょう)隊による栄誉礼、儀仗。
▽18時8分 フリーデン首相と首脳会談。56分 公邸。石破首相主催の夕食会。
▽20時26分 フリーデン首相を見送り。55分 インドのモディ首相と電話。
▽21時16分 青木副長官。29分 青木副長官出る。
衆院、旧文通費規程を議決 8月から適用(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 133文字 PDF有 書誌情報]
衆院は24日の議院運営委員会で、国会議員に月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)改革を巡り、選挙運動への支出禁止や使途を記した報告書の公開を柱とする規程を議決した。参院議運委も近く同様の規程を議決する見通しで、8月支給分から適用される。
公明、自民不記載議員を推薦へ 参院選で3人(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 132文字 PDF有 書誌情報]
公明党は24日の党中央幹事会で、政治資金収支報告書に不記載があった3人の自民党議員を夏の参院選で推薦すると決めた。各候補者が説明責任を果たし再発防止の意思を示していると判断した。公明党が夏の参院選に向け不記載があった自民党議員に推薦を出すのは今回が初めてとなる。
放送制作に「外部資金活用を」 自民が提言案(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 120文字 PDF有 書誌情報]
自民党の「放送法の改正に関する小委員会」は24日、放送コンテンツの競争力強化に関する提言案をまとめた。外部資金の活用など広告収入に依存しない資金調達の多様化を放送事業者に求めた。同日開いた会合での意見などを踏まえ5月に提言をとりまとめる。
古川元法相が資産訂正(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 117文字 PDF有 書誌情報]
自民党の古川禎久元法相(衆院宮崎3区)は24日、国会議員資産公開法に基づき7日に公開した資産報告書の訂正を衆院事務局に届けた。貸付金の総額を565万4239円から945万4239円に改めた。事務所は「事務的なミスだ」と説明している。
「公的補助、物価高対応を」 自民PTが基準の点検提言(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 113文字 PDF有 書誌情報]
物価上昇に合わせた公的な制度の見直しを議論する自民党のプロジェクトチーム(PT)は24日、提言策定に向けた論点案を示した。物価上昇が続くなか、公的補助の支給ルールが現状の物価水準に追いついているか総点検するよう政府に求めた。
自民、国家ビジョン策定へ会合 結党100年見据え(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 107文字 PDF有 書誌情報]
自民党は24日、結党から100年の節目にあたる30年後を見据えた国家ビジョンを策定するための初会合を開いた。会合の本部長を務める森山裕幹事長は冒頭「自民党のあるべき姿や国家像について議論していきたい」と強調した。
連合会長、夫婦別姓の導入を要請 国民・玉木氏に(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
連合の芳野友子会長は24日、国会内で国民民主党の玉木雄一郎代表と会談し、選択的夫婦別姓制度の導入を要請した。今国会中の法案成立を求めた。「30年間待たされている課題だ。政治の怠慢ではないか」と訴えた。
社民、参院神奈川に新人(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
社民党は24日の持ち回り常任幹事会で、夏の参院選神奈川選挙区(改選数4)に公認候補として、新人で元相模原市議の金子豊貴男氏(75)を擁立すると決めた。
公明新旧代表、相次ぎ訪中 参院選向け友好アピール――公明・斉藤氏、連立枠組み「模索したい」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 4ページ 110文字 PDF有 書誌情報]
【北京=共同】公明党の斉藤鉄夫代表は24日、中国・北京で記者団の取材に応じ、少数与党として2025年度予算成立までに野党の修正要求に応じざるを得なかった経緯を踏まえ、今後の連立の枠組みに関し「よく模索したい」と述べた。
日本のEV充電規格、米「補助金で不利」 非関税障壁と指摘 テスラ用は支給対象外[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1255文字 PDF有 書誌情報]
日米関税交渉で電気自動車(EV)の急速充電規格が非関税障壁のひとつとしてテーマに挙がっている。米国はテスラ車などの充電設備が補助金の支給対象になっていないことに不満を募らせる。2回目の閣僚級の関税交渉に向け、日本は対応の検討を急ぐ。
日本国内の大半の急速充電設備は日本独自の規格「チャデモ」で整備されている。米通商代表部(USTR)は3月末に公表した報告書でチャデモを「時代遅れの技術」と批判した。米国車の普及を妨げる要因としてやり玉に挙げた。
経済産業省の幹部は「米国側の批判をどうすれば解消できるか、諦めずに打ち手を考えたい」と話す。武藤容治経産相は22日の記者会見で、日米関税交渉でのチャデモの扱いについて「議題の俎上(そじょう)に載ってくる」と述べた。
経産省によると、2024年3月時点の充電設備の設置数は約4万口。30年までに充電設備を30万口まで整備する目標を掲げる。EVは普段は自宅などで充電し、走行中に残量が少なくなれば急速充電設備を使う方法が一般的だ。商業施設やマンションに置く普通充電設備は27万口、高速道などの急速充電設備は3万口を目指す。
チャデモ規格の充電設備は専用のアダプターを使えばテスラ車を充電できる。一方、テスラ規格の設備はチャデモ規格を採用する車の充電ができない。
経産省は原則として充電設備の補助金支給にチャデモ規格への適合を条件とする。「補助金の原資は税金で、充電設備は多くの車が利用できる公共性が求められる」(経産省幹部)ためだ。米テスラは日本での販売において、チャデモに対応する専用アダプターを別途用意してきた。
長距離移動には高速道路のサービスエリア(SA)のEV充電設備が不可欠だ。設置の公募は13年に始まった。24年度末時点で、高速道路会社3社(NEXCO東日本、中日本、西日本)のSAなどの充電設備は全てチャデモだ。
公募時に充電設備の規格は指定しておらず、補助金の対象がチャデモだったことなどを踏まえて設置主体が判断したとみられる。USTRは日本の高速道路で米国車が不便な状況だと批判する。
自動車販売会社の業界団体が発表した日本国内の販売台数を基に集計したところ、24年の乗用EVの国内販売台数(軽自動車含む、貨物車など除く)は前年比33%減の5万9736台だった。首位は日産自動車で、約5割を占めた。テスラのシェアは1割ほどだった。
充電規格の主導権争いは激しい。欧米では「コンボ(CCS)」が先行していたもののテスラ規格が北米で台頭した。米ゼネラル・モーターズやフォード・モーターなどがテスラ規格の採用を表明した。中国も独自規格「GB/T」の普及を進めてきた。
トランプ米大統領は日米関税交渉で対日貿易赤字の削減を訴える。日本は米国の関税措置の撤廃に向けて「パッケージとして合意する」(赤沢亮正経済財政・再生相)ことを目指している。交渉は急速充電規格を巡る駆け引きも焦点となる。
【図・写真】日本国内は米テスラの専用充電設備が少ない(福島県郡山市)
G20財務相会議開幕 「経済の不確実性高まる」 米関税や中国生産、各国言及[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1162文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=竹内宏介】20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が23日(日本時間24日)開幕した。米トランプ政権の関税措置を巡り各国から「不確実性が経済にもたらす影響や懸念がいっそう高まった」との主張が出たほか、中国の過剰生産の問題への批判も目立った。
米国が一律10%の相互関税を発動してから初の主要な国際会議となった。初日の23日は経済情勢を協議し、日本は加藤勝信財務相、米国はベッセント財務長官が出席した。24日(同25日)まで2日間開催し、共同声明は採択しない予定だ。
加藤氏は「米国の関税措置と一部の国の対抗措置などがもたらす不確実性が足元の為替を含む金融市場を不安定にし、実体経済に悪影響を及ぼしている」と指摘した。初日の会合終了後、記者団に明らかにした。
ベッセント氏は一連の関税措置などの狙いを述べたといい「米国の立場に立った発言があった」と紹介。他国の関税や非関税障壁を引き下げ、公正な貿易体制をつくるといった従来の主張を繰り返したとみられる。
日本の財務省の同行筋は「激しいやり取りや応酬はなかった」と説明する。「根源的な原因であるグローバルな不均衡に対処すべきだ」といった米国の主張に沿った意見も多く出たという。
不透明な補助金などを背景とした中国の過剰生産が念頭にある。G20の直前に開いた主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議は「解決すべき課題」に挙げた。
国際通貨基金(IMF)は22日、2025年の世界の成長率見通しを前回1月時点の予測から0.5ポイント下げて2.8%とした。トランプ米政権の関税措置の影響ですべての地域が下方修正となった。
会議では世界経済の「不確実性」が広がり、貿易など直接的な経済活動にマイナス影響が及ぶことへの懸念に加え、投資や消費など心理面でも間接的に影響するとの声が上がった。
米国の関税措置を尻目に、中国は多国間貿易の「旗振り役」を演じている。
習近平(シー・ジンピン)国家主席は18日までにベトナムやマレーシアなど東南アジア各国を訪れた。王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相は22日、英国やオーストリアの外相と電話協議し、自由貿易体制の維持で連携を訴えた。
財務省幹部は「正しいファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映した、特定国の不公正な慣行がない世界になれば、他の関税も必要なくなるかもしれない」と話す。中国の過剰生産の解決が先決との考えをにじませる。
米国は中国からの輸入品に既存のものと合わせて累計145%の関税をかけた。中国も米国からの輸入品に125%を課す報復措置を取った。ベッセント氏は報復合戦が「双方にとって持続可能ではない」との考えを示した。
【図・写真】G20会合後、記者の取材に答える加藤勝信財務相(23日、米ワシントン)
米産大豆の輸入拡大を検討 中国への減少分引き受け[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 610文字 PDF有 書誌情報]
日米の関税交渉で政府が米産大豆の輸入拡大を検討していることがわかった。米国が輸出する大豆は2023年時点で中国向けが半数以上を占める。米中の貿易摩擦を受け、米国の大豆輸出量が減る分を日本が引き受け、米側の軟化を誘う。
米国との関税交渉を担う赤沢亮正経済財政・再生相は4月30日から5月2日まで訪米し、ベッセント米財務長官らと協議する。赤沢氏は「パッケージとして合意」を目指す意向で、米産大豆の輸入拡大案が日本側の交渉カードの一つにあがる。
日本の大豆輸入は民間企業が行っている。24年の輸入量は前年比0.5%増の317万トン。うち米国が65.7%、ブラジルが23.4%、カナダが10.4%を占めた。政府は民間企業に米国からの輸入量を増やしてもらう案を検討している。
米国の23年大豆輸出は54.3%が中国向けだった。トランプ米政権が中国からの輸入品にかける関税は現時点で累計145%に達する。中国側も報復措置として米国からの輸入品への関税を125%に引き上げている。
足元で中国は米産大豆輸入量を大幅に減らしている。業界団体の米大豆協会は国内農家への悪影響を懸念し、トランプ政権に中国と早期に交渉し協定を結ぶよう促した。
米中摩擦が激化していたトランプ政権1期目の19年には、日本政府は国内の害虫被害を理由に、米国などの海外から飼料用トウモロコシを購入すると表明した。農水省が購入時の保管料を全額補助する制度を設けた。
大江戸線延伸、40年ごろに 都が素案、鉄道空白地域を解消[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 568文字 PDF有 書誌情報]
東京都は都営地下鉄大江戸線について、2040年ごろの延伸開業を想定する事業計画の素案をまとめた。現在の終点の光が丘駅から約4キロメートル延ばす計画で、延伸開業から36年目に累積損益が黒字化すると試算した。総事業費は約1600億円を見込む。都心部へのアクセスを改善し、首都の競争力を高める。
国による鉄道事業の許可は、開業から40年以内の累積損益の黒字転換が要件とされる。都は素案で「事業性に一定程度の見通しが立った」としており、今後、国土交通省との調整に入る。
計画は光が丘駅から延伸し、土支田駅、大泉町駅、大泉学園町駅(いずれも仮称)の3駅を新設する。最寄り駅まで1キロ以上離れた「鉄道空白地域」を解消する。
約1600億円の総事業費のうち、建設費など約1250億円は東京都交通局のほか、国や自治体の補助などで分担する想定だ。補助対象外の車両費など約300億円は、練馬区が200億円を負担する。
都内では地下鉄ネットワークの拡充が複数の路線で同時進行している。東京地下鉄(東京メトロ)は24年、有楽町線の延伸(豊洲―住吉間)と南北線の延伸(品川―白金高輪間)の工事に着手した。30年代半ばの開業をめざす。
都は東京駅を起点に銀座や再開発を進める築地などを経由し、東京ビッグサイト(東京・江東)までを結ぶ「臨海地下鉄」も検討している。
年金法案「来月中旬に提出」 自民、立民に伝達[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 400文字 PDF有 書誌情報]
自民党の坂本哲志国会対策委員長は24日、国会内で立憲民主党の笠浩史国対委員長と会談し、年金制度改革法案の国会提出が5月中旬ごろになるとの見通しを示した。従来説明していた4月中の提出が難しいと伝え、陳謝した。両氏が会談後、記者団に語った。
笠氏は提出日を明示するよう坂本氏に求め、25日中に回答がない場合は福岡資麿厚生労働相の不信任決議案の提出に向けた準備を進める考えを伝達した。
与野党は年金法案を本会議や委員会の質疑に首相が出席する「重要広範議案」に指定していた。笠氏は24日、記者団に「提出延期の状況を招いたのは政府の大きな責任で、厚労相の責任を明確にするべく行動に出ざるを得ない」と強調した。
自民党は24日の厚労部会で法案を審査し、今後の対応を長坂康正部会長に一任。出席した議員から提出に反対する意見が出たものの長坂氏は会合後、記者団に法案提出に向けて党内手続きを急ぎたいとの考えを述べた。
「マイナ救急」全国で 保険証読み取り、今秋にも 持病把握や搬送先選び[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 362文字 PDF有 書誌情報]
政府はマイナンバーカードに健康保険証の機能を載せた「マイナ保険証」を今秋にも全国で救急搬送に活用する。傷病者のマイナ保険証を読み取ると専用端末に受診歴などが表示される。会話が難しい状態でも救急隊員が持病や服薬状況を把握でき、応急処置や搬送先選びに役立つ。
「マイナ救急」と呼ばれる総務省消防庁の実証事業で、24年度は67消防本部の660隊で試した。25年度は全720消防本部に拡大する。
救急隊が現場に到着後、傷病者のマイナ保険証をカードリーダーにかざすと氏名や生年月日、受診した医療機関名、既往歴、薬剤情報などを閲覧できる。読み取りは本人が同意したか、緊急の場合に限定する。
実証事業では会話が困難なケースで役立った。
息苦しさで説明が不明確だった60代男性は使用薬剤から慢性腎不全だと分かり、かかりつけ医に連絡できた。
人口減の都市再開発評価「中長期目線を」 国交省懇談会[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 213文字 PDF有 書誌情報]
人口減少下の都市再開発を議論する国土交通省の懇談会が24日、中間とりまとめ案を公表した。事業者が長期的に広場や公園の管理運営を担うといったソフト面の計画を事業評価時に考慮することで、中長期的なまちづくりにつなげるべきだと指摘した。
とりまとめ案は都市が画一化せず固有の魅力を高めるためには、歴史的な建造物を残したり、人が集まる緑地や公共スペースを確保したりする必要があると指摘。そうした再開発を政策的に後押しするよう求めた。
福島原発デブリ、2回目0.2グラム採取 核燃料成分含む可能性[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 5ページ 161文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)は24日、福島第1原子力発電所2号機における2回目の取り出し作業で採取した溶融燃料(デブリ)の重さが0.2グラムだったと発表した。
核燃料に由来する成分を含む可能性がある。原発敷地外への搬出に向けた作業を続ける。
今回取り出したデブリは複数の粒で、最大で4~5ミリメートルほどとみられる。
「高額療養費」の議論とデータ 渡辺安虎 東大教授(エコノミスト360°視点)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1194文字 PDF有 書誌情報]
高額療養費制度は医療費の自己負担額に上限を設ける制度だ。政府はその上限を引き上げようとしたが、様々な観点から議論がなされ、一旦凍結となった。しかし、早晩同じような議論が繰り返される可能性は高いだろう。
上限引き上げとなれば、重病の際に健康保険から支払われる費用は減る。このリスクを各個人や家計が追加的に負担することになり、上限を引き上げた分だけ保険の機能は失われる。
問題は、健康リスクに関する保険は市場に任せても適切に供給されないことだ。上限引き上げで失われた保険の機能は、以下のような理由から市場や民間企業が適切に代替できない。
保険には経済学で「逆淘汰」と呼ばれる問題がある。「市場の失敗」の典型例の一つだ。リスクの高い被保険者ばかりが集まると保険費用が上昇し、低リスクの人には見合わなくなってしまう。結果として高リスクの人だけが残るようになれば保険は成立しなくなり、保険自体が提供されなくなるという問題だ。
この問題が顕著に現れているのが米国だ。いわゆるオバマケアと呼ばれる制度改革によって改善はしたものの、逆淘汰の問題は残り続けている。例えば、オバマケアに先立って実施されたマサチューセッツ州の改革では、保険加入を強制的にすることでこの逆淘汰の問題が緩和され、年間1人あたり約3万5千円の厚生改善効果があったとする研究もある。
日本は公的医療保険への強制加入により、個人のリスクの高低に関わらず大きなプールにまとめることで、この逆淘汰の問題を防いでいる。その中でも高額療養費制度は、多くの人にとって公的保険でしか対処しようのない健康ショックへの備えを提供している。公的保険の中核ともいえる制度だ。
もちろん、高額療養費制度そのものの持続可能性や、モラルハザードに関する議論はあるだろう。医療の効率化という課題も大きい。しかし、この健康保険の中核的な機能を低下させるのであれば、事前にその影響を丁寧に分析する必要がある。
今回の議論で最も欠けていたのはこの点であろう。大まかな「機械的なモデル試算」はあっても、制度変更に伴う詳細なシミュレーションなどは行われていない。
医療経済学者はこのような分析を行う専門家だ。しかしながら、今回の政府案を考えようとしても、保険診療のレセプトデータと個人の所得を結びつけたデータは利用できない。そのため現状ではこのような分析は不可能だ。
また、健康ショックの問題は単に健康保険だけの問題ではない。大きな健康ショックはそのまま所得ショックに直結し、医療費よりもはるかに大きなリスクとなる。
重要なのは、保険診療のレセプトデータと、所得をはじめとするその他の行政データを結合して利用できるようにすることだ。そうすることで初めてこの問題に直面するリスクや、直面している人の現状や行動についての把握が可能になり、制度変更の影響が分析できるようになる。
狂った「王」が招く経済混乱 チーフ・エコノミクス・コメンテーター マーティン・ウルフ(FINANCIALTIMES)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 6ページ 0文字 書誌情報]
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地銀再編の波、県境越す 第四北越FG・群馬銀が統合合意、総資産規模で第5勢力に[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1360文字 PDF有 書誌情報]
新潟県地盤の第四北越フィナンシャルグループ(FG)と群馬銀行は24日、2027年4月の経営統合に向け基本合意したと発表した。県境をまたぐ有力地銀の経営統合は約10年ぶりで総資産規模で5位の地銀グループとなる。人口減や金利ある世界で事業環境が厳しさを増す中、生き残りを模索し、大手地銀が主導する合従連衡が加速してきた。
「規模と質両面で地銀トップクラスにステップアップできる」。第四北越FGの殖栗道郎社長と群馬銀行の深井彰彦頭取は同日、都内で開いた記者会見でこう強調した。両者の総資産は単純合計で21兆円を超える。
群馬銀行は28年3月期に600億円、第四北越FGは27年3月期に400億円の連結純利益の目標をそれぞれ掲げている。統合が実現すれば1000億円規模の利益水準に達する見通しだ。
26年3月にも正式に経営統合の契約を結び、臨時株主総会を経て持ち株会社に2行がぶら下がる形で統合する予定だ。統合比率や新名称、持ち株会社の人事などは今後詰める。
両行は新潟と群馬でそれぞれ県内の貸し出しシェアはトップだ。21年12月に提携し協力関係にあるものの、上位地銀同士の組み合わせは市場関係者からも「サプライズ」(国内証券のアナリスト)と受け止められた。
人口減少や金融サービスの多様化が進み「シナジーを出すことが非常に大事になってきた」(第四北越FGの殖栗道郎社長)。群馬銀行の深井頭取はさらなる収益の拡大に向けて、「(経営統合を)私の方からお声がけをした」と会見で明らかにした。
両者が見込む統合効果は大きく3つある。群馬銀行は、千葉銀行や第四北越銀行など5行が使う「TSUBASA基幹系システム」に29年1月をめどに移行するとともに、2行の本部機能を持ち株会社に集約することでコスト削減効果を見込む。
18年に県内地銀が統合して誕生した第四北越FGにとって、群馬銀行との統合により一段のコスト削減が見込める。
群馬銀行が力を入れるストラクチャードファイナンス(仕組み金融)を第四北越銀行と共同組成することなどで、県境を越えたM&A(合併・買収)仲介など預貸業務以外の収益力拡大もはかれる。群馬銀行の海外拠点や首都圏の店舗を新潟県の顧客につなぐことも考える。
IT(情報技術)や先端金融などの専門人材を相互に活用する利点もある。慢性的な採用難で地銀の人材確保は厳しさを増している。
大手地銀による再編の最初の盛り上がりは日銀がマイナス金利を導入した15~16年ころ。収益の先細りを警戒し横浜銀行や肥後銀行、常陽銀行といった有力地銀が再編に動いた。
その後しばらくは、福井銀行による福邦銀行の子会社化や八十二銀行と長野銀行の経営統合など人口減少を見据えた県内での再編が主流だった。
今は地銀再編の第3のうねりが来ているといえる。24年3月に日銀がマイナス金利を解除し、17年ぶりに利上げを進めたことで、今回のように県を越え、広域化と規模拡大で生き残りを目指す動きにつながった。
直近では3月に、静岡銀行と山梨中央銀行、八十二銀行の3行が包括業務提携に踏み切り、独立独歩を維持してきた有力地銀の広域連携に弾みがついている。
【図・写真】群馬銀行の深井頭取(左)と第四北越フィナンシャルグループの殖栗社長(24日、東京都港区)
オリックス、「ガチャガチャの森」運営会社を買収 約100億円[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 7ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
オリックスは「ガチャガチャの森」などを運営するカプセルトイ販売大手のルルアーク(福岡市)を買収する。金額は100億円程度とみられる。アミューズメント事業への出資は約20年ぶりになる。米トランプ政権など事業環境の不確実性が高まるなか、内需成長型の事業に投資することで収益確保を図る。
「事業投資・コンセッション事業」から投資する。国内でのPE投資を指し、資産残高は約9800億円に達する。2024年末時点で17の企業などに投資している。
ルルアークは1980年から国内でカプセルトイの自販機事業を手掛ける。2014年に専門店運営を始め、ショッピングモールを中心に全国に約90の直営店をもつ。デジタル化にも力を入れており、自販機にはそれぞれ専用センサーが付いている。販売個数や売れた商品の種類などをほぼリアルタイムで把握できるという。
日本カプセルトイ協会によると、2024年度の国内の市場は1410億円と前年度から2割増えた。推し活グッズや企業とのコラボ商品などが人気だ。単価も円安や輸送費の値上がりで上昇しており、400~500円が中心になっている。
オリックスは投資で見込まれる利回りを示す内部収益率(IRR)で15%以上を目標とする。事業投資で中小型企業を主な対象に12年以降で30件超の投資をしてきた。「IT(情報技術)サービス」、「物流・レンタル」、「ヘルスケア」の3分野を掲げるが、「業種無差別」として3分野にこだわらず投資機会の発掘に力を入れる。
ルルアークの現社長は当面続投するが、将来的にオリックスが経営を承継する方向だ。近年の後継者不足を背景に事業承継ニーズが高まっており、オリックスは今後の案件獲得の好機になるとみている。
池田泉州HD社長、阪口氏 7年ぶり交代、鵜川氏は会長に[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 7ページ 525文字 PDF有 書誌情報]
大阪市に本店を置く池田泉州銀行の持ち株会社、池田泉州ホールディングス(HD)は、阪口広一取締役専務執行役員(60)が社長に昇格する人事を固めた。社長交代は7年ぶりとなる。6月25日に予定する定時株主総会と取締役会での承認を経て就任する。鵜川淳社長(68)は代表権のない会長に就く。
25日にも発表する。阪口氏は持ち株会社の社長就任と同時に池田泉州銀の頭取も兼務する。鵜川氏は同銀の会長に就く。
阪口氏は池田銀行(現池田泉州銀)出身で、融資部門の経験が長い。23年にHDと銀行の取締役専務執行役員となり、事実上のナンバー2として経営を支えてきた。
池田泉州HDは2025年度内にも法人向け融資に特化したデジタルバンク「01(ゼロワン)銀行」を開業する方針だ。2月には金融庁から営業免許を取得し、開業に向けて準備を進めている。25年度は2年間の中期経営計画の最終年度でもあり、節目のタイミングで経営体制を刷新し、さらなる成長につなげたい考えだ。
阪口 広一氏(さかぐち・ひろひと)88年(昭63年)立命館大経営卒、池田銀行(現池田泉州銀行)入行。22年池田泉州ホールディングス取締役常務執行役員、23年取締役専務執行役員。大阪府出身。
【図・写真】阪口氏
トレードワークス系、個人向けAI短期売買 運用、ヘッジファンド並みに[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 7ページ 489文字 PDF有 書誌情報]
金融機関向けシステムを手掛けるトレードワークスの子会社が、個人投資家向けに人工知能(AI)を活用した投資助言システムを開発した。証券会社などを通じて個人が利用できる。AIのきめ細かい市場分析に基づいた助言を活用し、ヘッジファンドのように短期で売買できる運用環境を提供する。
AIを使って運用を任せる個人向けの投資一任サービスは、長期の積み立て投資での活用が一般的だ。短期売買も想定したサービスは珍しい。
まずは暗号資産(仮想通貨)や外国為替証拠金取引(FX)取引向けに投資助言サービスを始める。将来的には日本株や米国株などの株取引や信用取引向けにも拡大する計画だ。
仮想通貨交換業者のGMOコインがFX取引で、近くこのサービスの提供を始める。楽天証券系の仮想通貨交換業者もすでに導入した。
新システムはAI分析による売買の助言を個人に通知する。通知内容と実際の取引を連動させた自動売買も提供可能だ。
トレードワークスは特に値動きが激しいデリバティブ(金融派生商品)の取引で効果を発揮するとみている。AIに取引を24時間任せた運用も選択肢に加えることで顧客離れの防止を期待する。
金融庁四半世紀(下)民間人材登用は道半ば 官民キャリア往復少なく、「回転扉」の充実が課題に[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1661文字 PDF有 書誌情報]
金融機関を処分する権限を持ち、こわもてのイメージも漂う金融庁。実はそのなかで働く人の出身は多様で、新卒一括採用がなお中心の霞が関の中央省庁のなかでは異色の存在だ。
「業界全体を見渡して公的な立場から貢献したかった」。社会人10年目ごろに金融庁に転職した金融犯罪対策室長の斎藤豊氏は話す。前職は監査法人で、金融庁への出向経験があった。「金融機関の健全な業務運営促進に関わるという当時の希望は実現している」と満足げだ。
金融庁ではこうした転職組は珍しくない。背景には2000年の発足直後から「霞が関の外へ」と人材を求めてきたことがある。
もともと発足時は財金分離を反映し、旧大蔵省の出身者が大半を占めていた。だが、不良債権処理や国際規制の交渉、証券市場の整備など業容が拡大するにつれて、旧大蔵省の人材や新卒プロパー採用だけではすぐに間に合わなくなった。
活路を見いだしたのが民間からの登用だ。法律・会計事務所や証券、銀行、ファンド関係者など出向者や中途採用は多岐にわたる。「金融庁は変化の早い金融業界や市場と対峙する。民間人材の知見を生かし、受け入れやすい土壌もあった」とある幹部は語る。
積極的な外部登用もあり、金融庁の発足後に700人ほどだった職員数は、直近でほぼ2倍強の1600人ほどに拡大。発足から四半世紀でこれだけ人員が増えた省庁は近年例がない。発足当初から入居していた中央合同庁舎第4号館は手狭になり、新しく建てた現在の7号館に08年に移転した。
金融庁秘書課によると、24年10月時点で財務省など他省庁からの出向は10%まで減ったのに対し、民間出身者や企業からの出向者は全体の4分の1の約25%に増えた。出向者から転籍する人も多い。同じ基準で集計した霞が関の全体像はないものの「民間出身の職員の割合はかなり多い方ではないか」(同課)とみられる。
もっとも、民間から移る人が増える一方でその逆もしかりだ。「転職すればいまより高収入になるのは確実で、仕事に満足できなければすぐに辞めてしまう」。金融庁幹部は漏らす。
「給与の差は仕方ないが、昇進のスピードも遅い」。外資系証券などを経て金融庁に任期付きの職員として勤務した男性は振り返る。
公的機関で働きたいと金融庁の門をたたいたが「民間出身者をうまく使いこなせない上司も目立った」という。「少なくとも5年ぐらいは働いてもいいと思っていた」が、同年代のプロパー職員との待遇の差が解消せず、2年で辞めて民間に戻った。
民間企業から金融庁、金融庁から民間企業という一方通行のキャリアしか描けなければ、思っていたような働き方ができなかった場合、双方の距離をますます遠ざけることになりかねない。希望するキャリアに応じて意欲的に民間と行き来する「リボルビングドア(回転扉)」はミスマッチ解消のカギになる。
現状ではリボルビングドア人材として知られるのが堀本善雄政策立案総括審議官だ。1990年に旧大蔵省に入省。金融庁への出向を経て首相補佐官秘書官を務めたあと、民間の金融コンサルティング企業の役員を経験し、5年後に金融庁に戻った。ただこうした事例は霞が関全体を含めて極めて少数だ。
海外の金融当局では官民を行き来しやすい環境が整っている。例えば、英国の金融行為監督機構(FCA)や中央銀行イングランド銀行。あらゆる職階でほぼ常時人材を募集しており、部門長など採用時の年収が4000万円以上などになるポストも民間から積極的に採用。「ブロックチェーン」などプロジェクトごとに短期契約することも多い。政府内の人脈作りやキャリアを積み、興味があれば再び戻る場として人気がある。
人工知能(AI)やサイバーセキュリティー、フィンテックなど、金融庁が挑むべき領域は広がり続けている。海外と互角に競い、後れを取らない金融業を後押しするために、金融庁自身が幅広い人材を「回転扉」で大胆に回し、柔軟な組織に変身する。そんな未来図が求められている。
小滝麻理子、学頭貴子、南畑竜太が担当しました。
ジブラルタ生命保険社長 蕪木広義氏(新トップ)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 7ページ 123文字 PDF有 書誌情報]
◇ジブラルタ生命保険社長
蕪木 広義氏(かぶらぎ・ひろよし)02年(平14年)千葉大院修了、第一生命保険入社。08年ジブラルタ生命入社、18年執行役員、23年プルデンシャル生命保険取締役。東京都出身、48歳
(7月1日就任。添田毅司社長は退任)
日銀利上げ「0.5%の壁」 関税詳細公表後に金利急低下 債券市場で打ち止め観測[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1367文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で日銀の利上げに打ち止め観測が浮上している。トランプ米大統領の関税政策を受けて世界経済への懸念が広がり、日銀が追加利上げに動けないとの思惑がある。日銀は過去30年間、政策金利について0.5%を上回る水準に引き上げられていない。今回も「0.5%の壁」が立ちはだかるのか、市場では日銀の動向に注目が強まっている。
24日の国内債券市場で金融政策の見通しを反映しやすい新発2年物国債利回りは0.665%で推移した。
2年債利回りは3月下旬まで日銀の利上げを織り込みながら上昇(債券価格は下落)して、同26日には0.88%まで上昇していた。しかし、トランプ氏が4月2日に相互関税の詳細を明らかにしたことで、金利は急速に低下した。7日には一時0.54%と現在の日銀政策金利(0.5%程度)とほぼ同水準まで低下した。その後の上昇も限られる。
翌日物金利スワップ(OIS)市場が織り込む利上げ確率を見ても、日銀の利上げは織り込みが回復していない。4月2日時点では100%を超えていた年内の利上げ確率は、相互関税が発動して金融市場が動揺した9日に1割を割り込んだ。市場の落ち着きとともに再び上昇したものの、なお5~6割程度にとどまる。
日銀は「基調的な物価上昇率は徐々に高まっている」(植田和男総裁)と利上げ路線を崩していない。それでも債券市場は利上げ打ち止めの可能性を織り込む。
トランプ政権の関税政策で国内景気が落ち込みかねず、日銀が利上げ路線を断念するとの思惑が背景にある。加えて日銀が過去30年にわたって政策金利を0.5%から引き上げたことがないという事実も利上げ織り込みの鈍さにつながる。
日銀は1995年に当時の政策金利だった公定歩合を1%から0.5%まで引き下げた。以降、金利の引き上げ局面でも0.5%を超えられず、政策金利は一時マイナスまで引き下げられた。仮に日銀が政策金利を今より引き上げれば、30年ぶりの高水準になる。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などと比べて利上げが遅れがちな日銀は、過去の利上げ局面でもその後の景気後退に見舞われてきた。07年に政策金利を0.5%まで引き上げた時は、直後に生じたパリバ・ショックやリーマン・ショックで金融緩和に再びカジを切ることになった。
今回も同様に、トランプ関税の影響で世界経済がリセッション(景気後退)に陥り、日銀が利上げ路線を断念するとのシナリオを債券市場は意識せざるを得なくなっている。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは「市場は今後2~3年でみても利上げをあと1回分しか織り込んでいない」と指摘する。「利上げ1回という期待形成は、今後の相互関税を巡るシナリオの判断がつかないため『2回以上の利上げ』と『利上げができない』という2つのシナリオの中間を取った状態だ」(奥村氏)
日銀は4月30日~5月1日に金融政策決定会合を開く。トランプ関税の影響に対する見極めが必要との判断から、市場では今回利上げに動くとの観測はない。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「植田総裁が利上げ見送りの理由を丁寧に説明すれば市場は利上げに後ろ向きな『ハト派』的だと受け取り、中期債利回りは一段と低下する可能性がある」と指摘する。
(佐伯遼)
NY原油一時4%安 OPECプラス、増産観測報道で[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 9ページ 417文字 PDF有 書誌情報]
原油価格が急落した。米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は23日に、一時前日比4%安い1バレル61.53ドルまで下げた。主要産油国が供給を増やすとの観測が伝わり、需給の緩みを警戒した売りが広がった。
終値は前日比3%安の62.27ドル。期近物の限月交代に絡む下落要因を除いても、1.40ドル(2%)の下げとなった。
ロイター通信は23日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」の有志国が、6月の原油生産を増やす提案をする見通しだと伝えた。有志国は5月5日に会合を開き、6月の生産方針について話し合う予定だ。
OPECプラスの一部有志国は、日量220万バレルの自主減産を4月から段階的に縮小し、原油の生産を増やしている。4月3日の会合では、5月の増産量を当初計画の約3倍にすると発表していた。ロイターによれば、6月も同程度の増産を望む声が加盟国から出ているという。
米国売りは続くのか 受け皿候補は欧州 仏アムンディグループCIO ヴァンサン・モルティエ氏(Foresight)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 9ページ 921文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の政策は金融市場における米国資産の地位を揺るがせている。投資戦略や今後のシナリオを米国と欧州の運用大手の責任者に聞いた。
◇
――米政権の関税政策は市場にどのような変化を起こしていますか。
「米国から米国外への『グレートローテーション(大規模な資金シフト)』が始まっている。もはや米国の資産を従来と同じペースで買い続け、資金配分をオーバーウエート(強気)のままにすることはできない。世界の投資家は中長期的に米国への投資割合を過剰に増やしすぎたとして減らし、米国からの資金流出が続く」
「関税発動は米国の消費減退とインフレをもたらす。これまで輸入していた商品を米国で代わりに生産することも、労働力や製造能力の不足で難しく、政権が期待するような効果は見込めない」
「我々は米国経済の見通しを下方修正した。2026年までは景気停滞が続くと予測するが、貿易戦争が激化すれば、景気後退に陥る可能性は高いとみる。不動産などの資産価格が下落して消費を押し下げる『逆資産効果』が発生するシナリオを懸念している」
――米国外への資金流出先で有力な地域は。
「欧州は有望だ。トランプ氏が利下げを強く訴える米連邦準備理事会(FRB)と違い、独立性の高い欧州中央銀行(ECB)の政策への信頼感も増している。米国債はもはや単独では安全資産として機能せず、ドイツ国債や日本円、金に分散投資する必要がある」
――今後の見通しは。
「米国債の価格急落に米国景気の後退が重なれば、(株式相場の暴落を招く)『猛毒のカクテル』が誕生したというべき危険な状況になる。1987年10月のブラックマンデー(暗黒の月曜日)では国債価格の下落をきっかけに株式市場が暴落した。歴史的に危機は債券市場から訪れる」
「2008年のリーマン・ショックのように構造的な変化を伴い、経済への悪影響が長引く金融危機となる可能性がある。だからこそ米国1強の終わりという中長期的な大転換を意識して、米国外への分散投資を進める必要がある」
(聞き手はロンドン=大西康平)
Vincent Mortier 仏ソシエテ・ジェネラルのグローバルバンキング最高財務責任者(CFO)などを経て、22年から現職
米国売りは続くのか――米の地位揺るがず 米ヌビーンCIO サイラ・マリク氏(Foresight)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 9ページ 857文字 PDF有 書誌情報]
――米国株は二番底を探るような動きも一時見られました。
「米国株は関税交渉の進展次第で上下に大きく振れる展開が続きそうだ。ただ米国株はトランプ氏が相互関税を公表した『解放の日』の後が大底だったと考えている。(S&P500種株価指数が終値で5000を割った8日の)安値を再び下回ることはないだろう」
「前提にあるのは深刻な景気後退には陥らないという見通し。各国に対する10%程度の関税が実施されたとすると米国内総生産(GDP)を1.5%程度押し下げ、インフレ率を1%引き上げると推計している。対中国の関税率は不確定要素だが、それでも米国は景気後退を回避するか、陥っても軽度にとどまるというのが基本シナリオだ」
――金融市場における米国資産の地位が揺らいでいませんか。
「株価の下落や長期金利の上昇(債券価格の下落)、ドル安は現時点ではリスク要因として意識すべきで、まだ取り返しのつかないポイントに到達したわけではない。関税政策に対する緊張が和らぐ方向に進めば、米国は再び信頼に足る貿易パートナーであるということが確認されるだろう」
――資産の投資配分をどう考えていますか。
「1.3兆ドル(約185兆円)もの巨額資産を運用する以上、長期投資家として頻繁に大きなポジションの変更はしない。スタンスは一貫しており株式については中立だ。高格付けの債券を中心に債券セクターはオーバーウエート(多めの配分)としている」
――警戒すべきリスクシナリオは何ですか。
「もし米国が安全資産としての信認を本当に失えば、高金利環境下で債務返済を続けられるのかということを議論しなくてはいけない」
「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の進退に関するトランプ氏のコメントに市場は敏感になっている。市場参加者はFRBの独立性を信じている。だから独立性が疑問視されれば、非常にネガティブだ」
(聞き手は石川智尋)
Saira Malik 株式・債券統括責任者兼最高投資責任者。JPモルガン・アセット・マネジメントで小型成長株の運用者など歴任
仮想通貨、「冬」の兆候指摘 米交換業大手が弱気(MarketSCOPE)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 9ページ 497文字 PDF有 書誌情報]
「暗号資産(仮想通貨)の冬の到来の兆候だ」。米仮想通貨交換業大手コインベースは仮想通貨の価格について4月中旬に発表したリポートでこう指摘した。取引を増やしたい交換業者が、市況低迷が長引く可能性に言及するのは珍しい。
代表的な仮想通貨であるビットコインの価格や、時価総額上位50の仮想通貨の価格でつくる指数「COIN50」は3月以降、200日移動平均を一時下回った。「長期的な弱気トレンド入りの可能性を示す」という。
2022年の米交換業大手の経営破綻など不祥事や不正流出に起因する冬の時代が繰り返されてきた。取引が長期低迷した18~19年や22~23年にも価格は200日移動平均を下回った。
交換業者は強気なリポートを出すことが多い。マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは「米国では仮想通貨を保有する機関投資家が増えている。データに基づく中立的、客観的な分析がより求められている」と指摘する。
「米政権の業界振興策が具体化し、25年後半の相場は上昇基調になる可能性がある」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)との声もある。実際に冬が到来するか、市場の見方は分かれている。
World Market[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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中国勢、PHVにアクセル 上海自動車ショー 吉利系や小鵬が初投入 EV上回る成長率[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1712文字 PDF有 書誌情報]
中国の新車市場で主要メーカーがプラグインハイブリッド車(PHV)のてこ入れを急ぐ。浙江吉利控股集団傘下の電気自動車(EV)ブランド「Zeekr(ジーカー)」やEV専業の小鵬汽車(シャオペン)が初めてPHVを投入する。PHVは航続距離の長さが支持され、EVを上回る伸び率で成長が続く。今後は機能や価格を巡る競争が激化する見通しだ。
23日に開幕した世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」で、ジーカーは大型多目的スポーツ車(SUV)のPHV「9X」を披露した。安聡慧最高経営責任者(CEO)は「新エネルギー時代の最高のSUVだ」と胸を張った。
9Xは7~9月期に発売する予定だ。車載電池をフル充電した際の航続距離(中国独自のCLTCモード)は380キロメートル。エンジンでの走行も含めれば、さらに距離を伸ばせる。高電圧のシステムを採用し、自前でハイブリッドシステムを開発して性能を高めた。
大手の比亜迪(BYD)も主力の「海洋」シリーズのSUV2車種で新型PHVを投入すると発表した。それぞれ10万元(約200万円)台と手ごろな価格になる見通し。PHVの品ぞろえを増やし、旺盛な需要を取り込む。
国有自動車大手の広州汽車集団は、7~9月期に投入するPHVについて電池の性能を売り物にする。車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)がPHV向けに開発した最新の「驍遥(シャオヤオ)電池」を採用。15分間で充電状態を30%から80%に高めることができ、マイナス40度の環境でも正常に動くという。シャオヤオはジーカーの9Xにも搭載され、車各社のPHVシフトを後押ししている。
PHVに分類されるレンジエクステンダーEV(EREV)と呼ばれる駆動モデルの投入も相次ぐ。EVに発電用の小型エンジンを積み航続距離を伸ばした点が特徴だ。
独フォルクスワーゲン(VW)はEREVで同社初のコンセプト車「ID.ERA」を発表した。電気で300キロメートル走ることができ、エンジンを使えば1000キロまで伸ばせる。オリバー・ブルーメ社長は「明確なデザイン言語と最先端技術を駆使し、中国の顧客ニーズに合わせた製品を展開する」と説明し、中国市場での生き残りをかける。
マツダは新型SUV「EZ―60」を初公開し、25年中に発売すると発表した。24年にEVとEREVをそろえたセダン「EZ―6」を発売しており、今回も両タイプを展開する。小鵬はEV専業メーカーだが、PHVの需要増を見据えて25年10~12月期にEREVを投入する。航続距離はフル充電でエンジンの発電も活用する場合、1400キロメートルを超える見通し。
中国ではEVの普及に伴い、大型連休時などに充電ステーションで大行列ができることも珍しくなくなった。一方でPHVは電気だけでなくガソリンでも走るため、EVに不安や不満を感じる消費者の受け皿として需要が拡大している。
24年のPHVの新車販売(輸出含む)は23年比83%増の514万台となり、15%増で771万台だったEVを上回る勢いだ。新車販売全体に占めるシェアも、エンジン車が9ポイント減の59%、EVが2ポイント増の25%だったのに対し、PHVは7ポイント増の16%となった。
輸出されるPHVも増え続けている。24年はEVの輸出が23年比10%減の98万台だった一方、PHVは29万台で3倍に増えた。コンサルティング会社、アリックスパートナーズの鈴木智之マネージングディレクターは「EVが一定程度普及した後、消費者はPHVに現実解を求めているようだ」と指摘し、PHV人気は一過性にとどまらないとみる。
中国の車市場では飽和感も強まるなか、中国製EVは欧州や東南アジアなどへの輸出が増え、日米欧メーカーの強力なライバルとして台頭した。今後はPHVでも海外への攻勢が強まり、中国勢の存在感が一段と高まる可能性がある。
(上海=田辺静、若杉朋子)
【図・写真】「Zeekr(ジーカー)」が発表した初のPHV「9X」(23日、中国・上海市)=沢井慎也撮影
【図・写真】フォルクスワーゲンのコンセプト車「ID.ERA」=沢井慎也撮影
TSMC、28年1.4ナノ量産 処理速度と省電力向上[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 11ページ 695文字 PDF有 書誌情報]
【台北=龍元秀明】半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は24日、回路線幅1.4ナノ(ナノは10億分の1)メートルの超先端半導体を2028年に量産する計画を公表した。25年後半の量産を予定する2ナノ品を上回る性能となる。人工知能(AI)向けなどの先端半導体で独走態勢の維持を狙う。
米カリフォルニア州で米国時間23日に開いた技術シンポジウムで説明した。技術名称は「A14」。2ナノ品に比べて処理速度を15%高められ、消費電力は30%抑えられるという。AIやスマートフォン向けを見込む。
魏哲家・董事長兼最高経営責任者(CEO)は「当社の顧客は常に未来を見据える。TSMCの技術リーダーシップと卓越した製造能力は、顧客のイノベーションに確かなロードマップを提供する」とコメントした。
生産拠点は示さなかったが、台湾メディアによると台湾北部・新竹や中部・台中などが候補とされる。
TSMCは半導体の受託生産最大手で6割の世界シェアを持つ。米アップルや米半導体大手で工場を持たない「ファブレス」の米エヌビディアなどに供給する。先端半導体の性能の良さや歩留まり(良品率)で競合を圧倒している。
追い上げる米インテルや韓国サムスン電子も1.4ナノ品の量産計画を公表済み。TSMCを軸に開発競争は激しくなる。
TSMCは複数のチップを1つのパッケージに収めて効率よく作動させる「先端パッケージング」の次世代技術も公表した。従来に比べ多くのチップを集積でき、AI処理に必要な計算能力の増大に対応する。27年の量産を計画する。
【図・写真】2ナノ品に続く技術となる(台湾北部・新竹の研究開発センター)
米AI半導体を大量確保 中国テック、輸出規制前に[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 11ページ 591文字 PDF有 書誌情報]
アリババ集団や字節跳動(バイトダンス)、騰訊控股(テンセント)など中国の大手ネット企業が、米エヌビディアの人工知能(AI)半導体「H20」を大量に確保していることがNikkei Asiaの取材でわかった。H20は4月に米政府による輸出規制の対象となっており、中国企業は規制前から百十数億ドル相当の在庫を確保していたもようだ。
関係者によると3社はエヌビディアに対し、従来の1年分の供給に相当する計約100万個のH20を早ければ5月末までに出荷するよう要請していたという。別の関係者によると、これらの緊急注文の総額は計120億ドル(約1兆7000億円)を超え、輸出規制が発効する前に数十億ドル相当が出荷されたという。
エヌビディアは輸出規制に触れないようにするため、中国向けに性能を落とした製品を出荷してきた。H20は米企業向けに供給するAI半導体には劣るが中国では需要が高かった。エヌビディアは15日、H20も輸出規制の対象になったことを受け2025年2~4月期に最大55億ドルの費用が生じる見込みと発表した。
中国企業は米政府の輸出規制の対象外である中国外でエヌビディアの半導体を購入する方法も模索している。複数の業界関係者によると、海外に子会社や関連会社を設立したり通信会社などと組んだりすることで半導体を調達する取り組みがみられるという。
(台北=鄭方、黎子荷、香港=周衛)
鉄道レール鋼材参入 越ホアファット、770億円投資[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 11ページ 479文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=新田祐司】ベトナムの鉄鋼最大手ホアファットは鉄道レール用の鋼材に参入する。中部クアンガイ省で5月から工場建設を始める。投資額は約14兆ドン(約770億円)になる見込みだ。南北高速鉄道などベトナム各地での鉄道プロジェクトへの参画を狙う。
チャン・ディン・ロン会長が首都ハノイで開いた株主総会で明らかにした。同省でこのほど完成したズンクアット第2工場に、鉄道レール用鋼材の生産拠点を設ける。「経験のない新たなプロジェクトになる」としながらも「ベトナム各地で進む主な鉄道計画に参画できる」と自信を見せた。
ズンクアット第2工場の稼働は「第1フェーズ」にあたる。「今年9月から第2フェーズに移る。2026年には年1500万トンの鉄鋼を生産する」との見方を示した。
ベトナム政府は各地で鉄道計画を立ち上げている。ハノイとホーチミンを結ぶ南北高速鉄道や都市部の地下鉄だ。
インフラ開発で経済成長を下支えしたい狙いがある。ファム・ミン・チン首相は地場のホアファットにレール用鋼材の生産を要請してきた。
【図・写真】ホアファットのズンクアット第1工場(24年3月)
韓国SK、営業益2.6倍 1~3月 AI向け半導体好調[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 11ページ 414文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美】韓国半導体大手のSKハイニックスが24日発表した2025年1~3月期連結決算は、営業利益が前年同期比2.6倍の7兆4405億ウォン(約7400億円)だった。生成AI(人工知能)の駆動に必要な広帯域メモリー(HBM)が堅調に推移したことが寄与した。
売上高は42%増の17兆6391億ウォンだった。売上高と営業利益は1~3月期としてはいずれも過去最高を更新した。営業利益率は24年10~12月期と比べて1ポイント上昇の42%だった。米大手テック企業による生成AI向けサーバーへの投資が活発だった。
金祐賢(キム・ウヒョン)最高財務責任者(CFO)は決算発表後の投資家向け説明会で、25年のHBM売上高は従来予想通り、24年と比べて2倍以上増えると説明した。
ただリスク要因として米国の関税政策などを指摘。「HBMを中心とする高収益製品の販売に注力することで、市場変動などの影響を最小限に抑えたい」と強調した。
<寄稿>アジアに送配電網を 再エネ開発の基盤不可欠 バンダインサイツ創業者 バンダナ・ハリ氏(NIKKEIAsia)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 11ページ 699文字 PDF有 書誌情報]
世界各国の再生可能エネルギーへの取り組み強化を背景に、風力・太陽光発電容量が増加している。ところが送配電網の整備が追いついていない。
国際エネルギー機関(IEA)によると2024年7月現在、世界各地で約1650ギガ(ギガは10億)ワット相当の風力・太陽光発電プロジェクトが送配電網への接続を待っている。世界の風力・太陽光発電の設置容量の約52%に相当する数字だ。
とりわけアジアの新興国ではこのミスマッチで電力需要の急増に対応できないなど負の影響が出ている。送配電網の多くを政府が押さえているため、手続きに時間がかかったり政治的な制約を受けやすかったりする。資金難による投資不足、変圧器や高圧電線などの主要機材の価格高騰、長時間の納品待ちの問題もある。
機器メーカーもサプライチェーン(供給網)の制約やコスト増、技能労働者不足に悩まされている。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が促しているように、東南アジア諸国は送配電インフラの近代化や拡張に向けた投資が不可欠だ。さもなければエネルギーの安定供給が不安定になり、投資家は風力・太陽光プロジェクトに投じた資金を引き揚げてしまうかもしれない。
まずは送配電網の整備を政策立案の優先課題とし、業界でもこの問題をよく議論することだろう。近年、再エネなどを使った「グリーンな」発電は石油・ガス関連の会議で議題に上ることが増えたが、送配電網は取り上げられていない。
企業や政策当局、投資家、シンクタンクの間でノウハウを交換しやすくし、協力の機会を増やすために、発電から送配電まで電力部門のエコシステム全体をテーマとする会議やセミナーがもっと必要だ。
中国製品の迂回輸出摘発 米に配慮、関税回避防ぐ 韓国は寝具、ベトナムも過去に靴[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1355文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=新田祐司、ソウル=小林恵理香】ベトナムと韓国は、両国を経由して米国に中国製品を運ぶ「迂回輸出」への取り締まりを強める。対中関税を避けようとする中国の取り組みに加担しないようトランプ米政権が求めていることに対応する。
両国は相互関税の全面適用を避けるためトランプ政権と交渉を進めている。米国の要望を受け入れる姿勢を示し、関税交渉で譲歩を引き出す狙いだ。
「米国が懸念する原産地偽装や密輸、貿易詐欺に対する制度を整備せよ」。ベトナムのファム・ミン・チン首相は22日、政府会合で指示を出した。「米国との交渉に向け、抜かりない準備を」と発破をかけた。
商工省はこのほど原産地証明書の発行機関に対し、原産地の偽装を防ぐための対策を強化するよう求めた。
特に原産地証明書の申請件数が急増している企業を対象に、生産拠点で検査し、ベトナムで生産されているか確認するよう求めた。
商工省の指示は、米国による相互関税に触れ「貿易摩擦の激化により、制裁回避のために原産地偽装が増加し、より複雑化する」と記した。中国から米国への迂回輸出が念頭にあるとみられる。
トランプ政権は迂回輸出を問題視する。中国企業が第三国に拠点をつくり、中国から持ち込んだ半製品の簡単な組み立てをしたり、ラベルを貼り替えたりして原産地と偽り、米国に輸出していると疑う。
特にベトナムは迂回輸出の拠点として米国が疑惑の目を向けてきた。対米輸出が伸び、2024年の対米貿易黒字は1000億ドル(約14兆円)を上回った。
過去にはベトナム国内でテレビや靴の事業者が原産地偽装や迂回輸出の摘発を受けたことがある。米国はベトナムから輸出された一部の鉄鋼製品を迂回輸出と認定した。
米国も迂回輸出への対策を強めている。
米商務省は21日、ベトナムとカンボジア、タイ、マレーシアからの太陽光パネル輸入に最大3521%の制裁関税を課すと発表した。輸出の経路となっている国にも高関税を課し、抜け穴を塞ぐ狙いがある。
ベトナムは対米交渉で迂回輸出対策も訴えて、相互関税の撤回を求めるとみられる。
韓国も迂回輸出の対策に乗り出す。関税庁が21日、取り締まるための特別チームを立ち上げた。1~3月に韓国製と偽装した輸出品の摘発額は295億ウォン(およそ30億円)に上ったという。輸出先は97%が米国向けだった。
関税庁が具体例に挙げるのは、中国産マットレスだ。中国人名義で設立した韓国法人の倉庫に保管した後、韓国産と偽り米国に輸出していた。電池材料の包装を変えて韓国産と表記したケースもあった。
米国に協力すれば、中国の反発を招く可能性がある。
中国商務省は21日、各国との関税交渉で中国との貿易制限を迫る米国について「中国の利益を犠牲にした取引に断固反対する」と非難した。
韓国メディアは22日、中国政府が最近、韓国企業に書簡を送り、中国のレアアースを含む製品を米国の防衛関連企業に輸出しないよう要請したと報じた。電気自動車(EV)や電池、医療機器を生産する韓国企業が対象だ。
この要請に違反した場合、中国政府は韓国企業に制裁を科す可能性があるという。
【図・写真】ベトナムには中国の太陽光パネルメーカーが相次いで進出した(24年6月、中国ジンコソーラーのベトナム工場)
カナダ、28日に総選挙 対トランプ政権で舌戦 与党は強硬路線[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1330文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=三島大地】カナダ総選挙が28日に投開票される。カナダを「51番目の州」と呼ぶトランプ米大統領への対応が焦点となる。カーニー首相率いる与党・自由党は米国への強硬路線を貫き、トランプ氏に反発する国民の支持を固める。野党・保守党は自由党政権の物価高対策を批判。トランプ氏に対しても、早期の交渉で関税を撤廃させると訴える。
今回の総選挙は日本の衆議院にあたる庶民院(下院)の議員を選ぶ。カーニー氏が議席を持たないまま首相に就任したため、慣習にのっとって下院の解散か補選を早期に実施する必要があった。カーニー氏は3月23日に下院の解散を決めた。
下院選は小選挙区制で全343議席を争う。これまでは自由党が152議席、最大野党の保守党が120議席で、いずれも単独過半数に届いていなかった。
カナダ公共放送CBCによると、自由党の支持率が43%に対し、保守党は38%。CBCによる選挙区分析では自由党150~223議席、保守党が97~157議席確保する見通しで、与党が過半数をうかがう情勢になっている。
最大の争点はカナダを「51番目の州」と呼び、カナダに追加関税を課すトランプ氏への対応だ。
カーニー氏は17日のテレビ討論会で、トランプ氏の目的は「我々を破壊して支配することだ」と述べ、国民に結束を呼びかけた。
トランプ氏を「経済に対する最大のリスク」と位置づけ、報復関税で対抗する構えを崩していない。貿易戦争の長期化に備え、米国製品に対する関税収入で基金を新設し、国内産業を保護する考えも示す。
自由党はトルドー前政権時代から、追加関税を課す米国に対し報復関税で対抗している。
米国への強硬姿勢に対する国民の支持は高まっており、カーニー政権も対米戦略でトルドー路線を踏襲する。防衛費を早期に国内総生産(GDP)比で2%まで引き上げ、安全保障の面でも米国への依存を減らす意向を示す。
一方、保守党のポワリエーブル党首は首相就任後すぐにトランプ氏を訪問し、関税の即時撤廃を訴えるとともに、カナダ主導で米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を再協議すると約束する。政府部門の無駄を省き、大型の所得減税を実施することも公約に掲げる。
ポワリエーブル氏は、カーニー氏をトルドー氏の「経済顧問」と呼び、物価高で支持率の低迷にあえいだトルドー氏に重ねる戦略を採る。
一方、カーニー氏はかねて「私とトルドー氏は全く違う人間だ」と反論。中央銀行総裁として経済危機を乗り切った実績を訴求し、トランプ氏に対抗できると主張する。
大型減税を掲げるポワリエーブル氏は「カナダのトランプ」などと評され、保守党は一時、トルドー氏率いる自由党を大きくしのぐ支持を集めていた。だがトランプ氏の「51番目の州」発言以降、同氏と近すぎる関係があだとなり、支持が伸びない。
カナダでは15年の総選挙以来、自由党が政権与党を務める。自由党が勝利すれば、10年を超える長期政権を敷く公算が大きい。
一方、保守党が第1党となった場合、慣例でポワリエーブル氏が首相に就任し、10年ぶりの政権交代となる。その場合、3月14日に首相に就任したカーニー氏は在任期間でカナダ憲政史上最短となる公算が大きい。
トランプ氏、対中関税引き下げ示唆 市場の鎮静化図る[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1016文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米政権が関税を巡る交渉に応じるよう中国に連日呼びかけている。トランプ米大統領は交渉次第で、累計145%の対中追加関税を下げる可能性もあるとしたうえで「公正な取引」を求めた。活発に交渉が進むという見通しを示し、対立激化を懸念する市場の鎮静化も図った。
トランプ氏は23日、記者団に「(中国と)公正な取引をする。全てが活発に進む」と話した。
トランプ氏は関税交渉について「(各国と)素晴らしい取引になると思う。取引にならなければ関税を設定するだけだ。今後2~3週間でそうなると思う。中国ともあり得る」と述べた。
先立つ22日には「145%はとても高い」との認識を記者団に示し、これ以上税率を上げないことを示唆した。中国の出方次第では145%から「かなり下がる」としつつ「ゼロにはならない」とも話した。
一方的な譲歩と取られることを恐れたのか、米ホワイトハウスのレビット大統領報道官は23日、「(米国側から)一方的に関税を下げることはない」と述べた。中国が関税と非関税障壁を先に見直すことが、引き下げの条件だとした。
市場の懸念緩和に向け、トランプ政権は対中交渉への積極姿勢を示すが、話し合いが円滑に進む見通しはまだ立っていないもようだ。
ベッセント米財務長官は23日、米中協議はまだ始まっていないとしたうえで「首脳同士の協議から始まることはない」と言及、事務レベル協議の枠組みを模索している段階にあることを示唆した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは同日、米政府が対中追加関税を50~65%に下げる可能性があると報じた。ベッセント氏は「私の知るところではない。(報道に)驚いている」と否定したが「米中双方に緊張緩和が必要だ」という認識も示した。
ベッセント氏は高関税のかけ合いは「持続不可能」で、実質的な「禁輸措置」に当たるという考えを改めて表明した。
米中の交易停滞は「誰の利益にもならない」と指摘し、トランプ政権に米中関係をデカップリング(分断)する意図はないと強調した。
ひとまず緊張緩和の意図をにじませた米国側だが、自国が先に折れることを絶対に避けたいのは中国と同じだ。
今後の米中協議に明確な「時間軸はない」(ベッセント氏)状況でにらみ合いが続けば、再び市場の懸念を再燃させる恐れもある。
【図・写真】市場の鎮静化を図るトランプ政権だが、米中協議が円滑に進むめどはまだ立っていない=AP
文元大統領を在宅起訴 韓国検察、収賄罪で[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 13ページ 552文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国南西部の全州地検は24日、文在寅(ムン・ジェイン)元大統領を特定犯罪加重処罰法違反(収賄)罪で在宅起訴した。最大野党「共に民主党」は「検察による政治的弾圧」と反発している。
地検によると文氏が大統領在任時に、当時与党だった「共に民主党」の元国会議員が設立した航空会社に娘の元夫を採用させ、給与や住居費を提供させた疑いがある。
2018年8月~20年4月に文氏の娘の元夫に給与や住居費として支払われたおよそ2億1700万ウォン(約2170万円)を賄賂とみなした。
18年3月、航空会社の設立者である元国会議員が政府系公共機関・公団の理事職に就いた。地検は元夫の採用と関連があるとみている。
地検は元夫が航空業界での勤務経験もなく、採用の必要性もなかったと指摘した。元国会議員を背任などの疑いで在宅起訴した。文氏の娘と元夫は起訴猶予となった。
韓国の大統領は任期中の不祥事を政権交代後に捜査される例が多い。盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は検察の聴取後に投身自殺し、李明博(イ・ミョンバク)氏と朴槿恵(パク・クネ)氏は実刑判決を受けた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏も内乱罪で起訴され公判が続いている。
21年に市民団体が刑事告発した。地検は文氏の出頭を要請したが、文氏は応じていなかった。
トランプ氏、対中関税引き下げ示唆――中大型トラック関税検討[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 13ページ 376文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米政権は23日、中型と大型トラックへの追加関税を視野に入れた調査を始めたことを明らかにした。連邦官報で告知した。中大型トラックは3日に発動した自動車関税の対象に入っていなかった。通常でも25%の高関税をかけており、追加関税も上乗せすれば米国への輸出はさらに難しくなる。
調査は通商拡大法232条に基づくもので、米商務省が22日に開始した。トランプ政権は3日に乗用車への25%の追加関税を発動済みだが、中大型トラックは対象外だった。
商務省の通知によると、中型トラックは車両総重量1万ポンド(約4.5トン)~2.6万ポンド(約11.7トン)で、大型トラックは中型を超えるトラックを指す。物資の輸送に使うトラック全般が対象になる。
トラック本体のほか、エンジンやトランスミッション(変速機)などの部品も調査対象に含めた。
トランプ氏、対中関税引き下げ示唆――中国外務省「解決望むなら圧力の放棄を」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 13ページ 226文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国外務省の郭嘉昆副報道局長は24日、記者会見で「米国が交渉で問題を解決したいのなら、極限の圧力をかける手法を放棄すべきだ」と話した。
郭氏は米中両国の関税交渉は始まっていないと説明した。「この関税戦争は米国が仕掛けたものだ。交渉の門は開かれているが、対話は平等で尊重し合い、互恵的でなければならない」と語った。
郭氏は「米側が関税を乱用し、世界貿易機関(WTO)のルールを深刻に破壊し、各国人民の共通利益を損ねている」と批判した。
クリミア断念拒否を批判 トランプ氏「和平交渉に有害」 ゼレンスキー氏と応酬 米軍事支援撤退に懸念も[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1620文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は23日、ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ領クリミア半島の奪還断念を拒んだ同国のゼレンスキー大統領を批判した。自身のSNSでクリミアについて「何年も前に失われ、議論の対象ですらない。ロシアとの和平交渉に極めて有害だ」と主張した。両者の溝は再び深まりつつあり、米国が協議や軍事支援から撤退するシナリオもちらつく。
トランプ氏は23日、ホワイトハウスで記者団に「ロシアは準備ができているし、我々はロシアと合意していると思う」と話した。「ゼレンスキー氏と合意しなければならない。彼との交渉の方が簡単だと思っていたが、現時点でより難しい。しかし双方と合意できると考えている」と語った。
トランプ氏とゼレンスキー氏は26日にバチカンでのローマ教皇フランシスコの葬儀に参列する。記者団から現地でゼレンスキー氏と会うかと聞かれ「多くの会談を予定している。たくさんある」と述べるにとどめた。
米紙などによると、ルビオ米国務長官が17日のパリでの高官協議でウクライナ側に提示した仲裁案には、米国によるロシアのクリミア併合承認やウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念などロシアに配慮する内容が並んだ。
ウクライナはクリミアがロシアの事実上の支配下に入ることを認めないとする立場を崩さない。ゼレンスキー氏は22日、「クリミアをロシア領と法的に認めることはウクライナの憲法に違反し、あり得ない」と強調した。
トランプ氏はSNSに「誰もゼレンスキー氏にクリミアをロシアの領土と認めるよう求めていない」とも書き込んだ。米国の仲裁案にクリミアの扱いが含まれると事実上認めた形だ。米国によるクリミア併合の承認であり、ウクライナの承認は求めていないとの考えが念頭にあるとみられる。
そのうえでゼレンスキー氏を「何のカードもない男」と断じ「やり遂げるべきだ」と歩み寄りを迫った。
ロシアによるクリミア併合を巡り、米国は戦後秩序を形成してきた「領土保全」の原則が侵害されたと厳しく批判し、ロシア領と認めてこなかった。承認すれば大きな方針転換になる。来週にトランプ氏が就任100日を迎えるのを控え、早期の進展へ焦りがにじむ。
トランプ氏は「クリミアが欲しいのなら、なぜ11年前にロシアと戦わなかったのか。ゼレンスキー氏の扇動的な発言が、この戦争の解決を難しくしている」と非難した。「彼には自慢できるものは何もない。状況は深刻で、彼は平和を選ぶか、戦い続けて国全体を失うかだ」と決めつけた。
バンス米副大統領は23日、ウクライナとロシアに提示している停戦交渉の仲裁案を巡り「彼らがイエスと言うか、米国がこのプロセスから離脱する決断を下すときだ」と表明した。訪問先のインドで記者団に、米国を含む3カ国の合意成立に「楽観的だ」と述べた。
米国の提案内容について「現在双方がいる場所に近い形で領土の境界線を凍結し、長期的な和平につながる外交的解決策を講じる」と説明した。記者団から現在の戦線を維持するということかと問われ「そうではない。現在の戦線付近のどこかに、最終的に新たな境界線を引く」と話した。
バンス氏は「ウクライナとロシアの両方が現在保有する領土の一部を放棄しなければならないという意味だ。領土の交換が必要になるだろう」と強調した。「ロシアとウクライナが中間点で合意するよう望む」と提起した。
英紙フィナンシャル・タイムズは22日、ロシアのプーチン大統領が11日に米国のウィットコフ中東担当特使と会談した際にウクライナ侵略を現在の前線で停止する用意があると伝えたと報じた。
プーチン氏は停戦条件として、22年9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州全域からのウクライナ軍撤退を挙げてきた。ウクライナが統治する地域の領有権は主張しないと歩み寄りを示す一方、見返りに米国から大幅な譲歩を引き出したもようだ。
クリミア断念拒否を批判 トランプ氏「和平交渉に有害」――ウクライナ戦線維持、暗雲[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1214文字 PDF有 書誌情報]
米英独仏と高官協議、停戦描けず 欧州に支援負担集中
【ロンドン=江渕智弘、ウィーン=金子夏樹】ウクライナと米英独仏が23日にロンドンで開いた高官協議で、停戦の道筋はつかなかった。
23日は始まる前に波乱があった。米国が22日にルビオ国務長官とトランプ大統領側近のウィットコフ中東担当特使の欠席を突如発表したため、予定していた外相会合を開けなくなった。実務者会合に格下げし、米国からはケロッグ・ウクライナ担当特使が出席した。
ロイター通信によると、ウクライナが22日、停戦実現まで領土問題を協議しない方針を示したことが米国の不興を買った。ロシアによるクリミア半島の併合承認という米国の提案をウクライナが拒否する以上、協議しても進展を見込めないと判断したようだ。
ロシアに近づくトランプ米政権とウクライナの立場の隔たりがあらためて浮き彫りになった。
米国はトランプ政権の発足以来、新たなウクライナ支援を表明していない。41カ国・地域と欧州連合(EU)の支援を集計する独キール世界経済研究所によると、最新の1~2月の総額94億5000万ユーロ(約1兆5300億円)のうち、米国の軍事支援はバイデン前政権末期に表明した防空ミサイルなど4億8000万ユーロだけだ。
武器供与やエネルギーインフラなどに69億2000万ユーロの支援を打ち出した欧州が全体の73%を担う。24年通年の44%から跳ね上がった。すでに負担が集中している。
キール研究所の3月時点の分析によると、欧州各国の国内総生産(GDP)に占めるウクライナ支援の比率は平均0.1%となる。米国の支援を欧州が代替するにはGDP比率を0.21%に引き上げる必要がある。財政状況は厳しく、すぐに倍増させるのは難しい。
ウクライナではバイデン前政権時代に決めた米国からの武器の供給がまだ続いているものの、防空ミサイルや弾薬の不足が指摘される。
ウクライナ最高会議(議会)の防衛委員会委員であるフェディル・ベニスラフスキー議員は3月時点で、米国からの支援が停止すれば、兵器の在庫は6カ月ほどで尽きるとの見方を示していた。
特に影響が大きいのは防空体制だ。首都キーウなどの主要都市や軍事施設はロシア軍の弾道ミサイルや巡航ミサイルを迎撃できる米国製の地対空ミサイルシステム「パトリオット」などの防空システムに守られてきた。
ロシア軍がミサイル攻撃を繰り返すなか、ゼレンスキー大統領は米欧にパトリオットの追加供与を訴えてきた。米国からの供与がなくなれば、数カ月で防空体制が弱体化し、民間人の犠牲者が増えるおそれがある。
ウクライナの軍事専門家、アナトリー・クラプチンスキー氏は地元メディアで、ロシアは北朝鮮が開発した「KN23」など複数種の短距離弾道ミサイルを改良して使っており、迎撃が難しくなっていると指摘した。
【図・写真】協議に臨む英国とウクライナの外相ら(23日、ロンドン)=英外務省提供
イラン、核問題で中ロと連携 対米交渉で優位狙う[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1076文字 PDF有 書誌情報]
【ドバイ=福冨隼太郎】米国との核問題をめぐる交渉が続くなか、イランが中国、ロシアとの連携を強めている。アラグチ外相は23日、北京で中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と協議した。17日にはロシアのプーチン大統領とも意見を交わした。中ロとの結束を確認し、米国との交渉を有利に進める狙いとみられる。
中国外務省の発表によると、王氏は会談で核兵器の開発意図はないとするイランの立場を評価。イランが原子力を平和利用する権利を尊重するとし、「イランが交渉を通じて権利と利益を守ることを支持する」と伝えた。
アラグチ氏は「イラン核問題の外交的な解決を進めるうえで中国が果たした役割を評価する」と表明した。中国との緊密な連携を続ける考えも示した。イラン外務省によると、アラグチ氏は米国との協議の状況を中国側に報告した。
同氏は王氏との会談に先立ち、中国共産党序列6位の丁薛祥(ディン・シュエシアン)筆頭副首相とも面会した。
アラグチ氏は17日にはモスクワを訪れ、プーチン氏やラブロフ外相と核協議について意見交換した。アラグチ氏はX(旧ツイッター)に「ロシアは戦略的パートナーであり、共通の利益を追求する」と投稿。ロシアとの関係をアピールした。
中国とロシアは2015年に結ばれたイラン核合意の当事国だ。今年3月にも北京で3カ国の次官級会合が開かれており、イランの原子力利用の権利を尊重する方針を確認した。米国による対イラン制裁に反対する姿勢を示した。
核合意はイランの核開発を制限する見返りに欧米が対イラン制裁を緩和する内容だった。18年に1期目のトランプ米政権が一方的に離脱し、制裁を再発動したことで機能不全に陥った。イランはウラン濃縮などの核開発を加速させている。
トランプ大統領は2期目も「イランは核兵器を持つことはできない」と繰り返し主張し、イランに交渉を呼びかけた。米国とイランは4月12日に中東オマーンで核問題をめぐる高官協議を開催。19日にイタリアのローマで2回目を開いた。
26日には3回目の高官協議がオマーンで予定されている。過去2回の協議について両国は「前向きだった」と発表しているが、主張の隔たりが大きい部分もあり、交渉の行方は見通せない。
中国は関税をめぐって、ロシアはウクライナ侵略をめぐって、それぞれ米国と対立する。イランは自国と同様に米国との対立を続ける中ロとの連携を誇示することで、対米交渉を優位に進めたい思惑がある。
【図・写真】アラグチ氏(左)は中国共産党序列6位の丁氏とも面会した(23日、北京)=イラン外務省提供・AP
タイ王室外交、本格始動 国王がブータン訪問へ 即位後初、国内情勢安定で[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 15ページ 692文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=井上航介】タイのワチラロンコン国王=写真はロイター=が25日から南アジアの小国ブータンを訪れる。2016年に即位して以降、初めての海外公式訪問となる。タイの国内情勢が安定期に入り、王室外交が本格的に始まる。
王室外交は君主制を保持する国同士の交流を促す役割がある。タイ社会において絶対的な権威を持つ国王が他国の君主と良好な関係を持てば、国民同士の友好促進につながるとの期待がある。
ワチラロンコン国王は25~28日までブータンに滞在し、同国のワンチュク国王と面会する。両国は1989年に国交が樹立されて以来、ワチラロンコン国王が皇太子だった90年代前半にブータンを訪れるなどして友好関係を築いてきた。
ワチラロンコン国王の海外公式訪問が実現するまでに8年以上かかったのは不安定な国内情勢が影響したとの見方が強い。
国王が即位した16年当時はプラユット陸軍司令官が主導したクーデターによる軍政下にあった。19年の民政移管後もプラユット政権が続き、同氏の辞任を求めるデモは王室改革を求める運動にも飛び火し、国内で混乱が広がった。
23年の下院総選挙後にはタクシン元首相派の「タイ貢献党」と親軍派を中心とする大連立政権が発足。王室への侮辱を罰する「不敬罪」の改正を掲げていた民主派の台頭を阻止した。現在まで与党間の対立は続くが、政情はおおむね安定している。
初の公式訪問国としてブータンを選んだのは国外への配慮もにじむ。政府高官は2月に「中国政府が年末に国王を招待する」と明らかにしたが、「大国との関係のバランスも傾きかねない」(バンコクの外交筋)との懸念が影響したもようだ。
インド、パキスタンとの国境封鎖[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 15ページ 385文字 PDF有 書誌情報]
【シンガポール=岩城聡】インド政府は23日、パキスタンとの国境を封鎖した。領有権を争うカシミール地方のインド側支配地域でテロが発生したため。「パキスタンがテロを支援した」と報復措置に踏み切った。
インド外務省は23日夜、パキスタンとの陸路の国境にあるアタリ検問所を即時に閉鎖すると発表した。首都ニューデリーに駐在するパキスタン軍関係者にも、1週間以内の国外退去を命じた。
在パキスタンのインド高等弁務官事務所(大使館に相当)の人員は、5月1日までに55人から30人に減らす。インダス川の水源管理を定めた条約の効力停止も宣言した。
テロは22日、カシミール地方の観光地パハルガムで起きた。武装集団が観光客らを銃撃し、ネパール人1人を含む26人が死亡。パキスタンに拠点を置くイスラム過激派との関連が指摘される組織が犯行を主張した。パキスタン政府は関与を否定しているという。
クリミア断念拒否を批判 トランプ氏「和平交渉に有害」――キーウにミサイル、12人死亡[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 15ページ 293文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】ウクライナの首都キーウで24日、ロシア軍による大規模攻撃があり、地元当局によると、少なくとも12人が死亡した。子供や妊婦を含む90人が負傷した。南アフリカを訪問中だったゼレンスキー大統領は24日、攻撃を受けて一部予定を中止して帰国すると明らかにした。
報道によると、弾道ミサイルや無人機による攻撃があり、集合住宅などが損壊した。ロイター通信によると、北朝鮮製の短距離弾道ミサイル「KN23」による攻撃も含まれる。
ウクライナのシビハ外相はX(旧ツイッター)への投稿で「平和の障害になっているのはウクライナではなく、ロシアであることを示す」と訴え、攻撃を非難した。
日産、自力再建なお遠く 赤字最大、構造改革に5600億円 ホンダと破談で危機感[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1569文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車は24日、2025年3月期の連結最終損益が過去最大の赤字になったと発表した。拡大路線を掲げたカルロス・ゴーン元会長時代からの負の遺産に踏み込み、日米の工場など保有資産の価値を大幅に引き下げた。ただ、5600億円以上の構造改革費用を計上したが、抜本的なリストラは盛り込まなかった。販売の低迷から抜け出せておらず、自力再建はなおハードルが高い。(1面参照)
「今回はできる範囲で減損処理をした。ただ構造改革は道半ばで、今年度も踏み込んだ対応を模索しなければならない」。日産幹部は厳しい表情で語った。
日産は25年3月期の最終損益が最大7500億円の赤字(前の期は4266億円の黒字)になると発表した。00年3月期以来の過去最大の赤字になるが、主因をみるとV字回復が遠いことがわかる。
大幅な下方修正の要因は収益力が低下した日米の工場資産を中心に簿価を見直したことにより、5000億円超の減損損失が発生するためだ。
日産は19年以降、ゴーン元会長の拡大路線の修正を続けてきた。販売低迷を受けて車種や生産能力の削減を行い、生産拠点や設備の収益性は大きく低下していた。
巨額の減損を計上すれば、経営が苦境に陥っていると映る。「いずれは販売台数は回復する」。そんな甘い経営判断で減損を先送りにしてきた。
「大企業を変革するのは簡単ではない。決意を持って変革する」。4月に内田誠前社長に代わり社長に就いたイバン・エスピノーサ氏は経営の現状を精査し、販売が大きく伸びない現実を直視した。このまま販売低迷が続けば、いずれは大きな減損を迫られる。エスピノーサ氏は経営再建へ修正が必要だと判断した。
それは危機感の裏返しでもある。
日産はホンダとの経営統合を模索してきた。24年8月に包括的な業務提携を結び、車載ソフトウエアや部品の共通化などを協議。12月には経営統合の協議に入った。三菱自動車含め世界3位の自動車グループの誕生で生き残る考えだった。
統合会社の社長をホンダが選ぶなど一定の譲歩はした。経営の主導権が完全に奪われる子会社化はのめず、25年2月に協議が破談し自力再建への道を選んだ。
今回の減損の計上は再建への一歩にすぎない。発表では抜本的なリストラ策は盛り込まなかった。日産は24年11月に生産能力の2割縮小や9000人の削減などを掲げた。これまでにタイの完成車工場のうち1工場を閉鎖するほか、26年度までに2工場を追加閉鎖する計画を表明していた。だが、減損など構造改革費用の内訳は明らかにしていなかった。
本格的な業績回復には追加の工場閉鎖が必要だと指摘する市場関係者は多い。日産の24年の世界販売は334万台でピーク時から4割以上減った。直近の24年10~12月ではメーカー別の世界販売の順位で11位となり、04年以降で初めてトップ10の圏外となった。稼働率の低下は著しい。
東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司氏は「今回の修正は過去を清算するという意味では前向きだが、競争力が上がったわけではない」と指摘する。
日産の経営再建には「ホンダや台湾の鴻海精密工業との連携が必要になる」とみる。
市場からの評価はさえない。2月にホンダとの経営統合に向けた協議を打ち切ると発表して株価が下がり続け、4月7日には年初来安値の306円をつけた。発表を受けた24日夜の時間外取引では、日産株が一時、同日の東証終値比6%安の311円を付けた。
経営環境は厳しさを増す。トランプ米大統領による自動車輸入への追加関税の影響は大きい。関税の行方によっては、大きな損失を迫られる可能性もある。
先行きが不透明ななか自力再建のハードルは高く、他社との連携は避けられない。エスピノーサ氏の下で決断できる日産に変われるかが、将来を左右する。(落合修平)
TOB価格上げ検討 ミネベアミツミ、芝浦電子買収で[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 941文字 PDF有 書誌情報]
ミネベアミツミが温度センサー大手の芝浦電子の買収で、TOB(株式公開買い付け)価格を引き上げる方向で検討していることが24日わかった。これまで1株4500円を提案していた。芝浦電子に対し同意なき買収を提案していた台湾の電子部品大手、国巨(ヤゲオ)が17日に5400円に上げたのに対抗する方向だ。
ミネベアミツミの貝沼由久会長最高経営責任者(CEO)が、日本経済新聞社のインタビューで「取引から撤退するつもりは当然ない。価格条件を含めて再検討している。今の価格で勝てるとは思っていない」と述べた。温度センサーで世界シェア首位の芝浦電子の技術を海外資本から守り、自社の成長につなげる姿勢を強く示した。
ヤゲオの価格を超えるかについては明らかにしなかった。ミネベアミツミは当初「23日をめどにTOBを開始する」としていた。しかしヤゲオが買い付け価格を引き上げたことを受け、買い付け条件の変更を検討し実質的に延期していた。TOBについては「あまり遅くならないうちに始めたい」とした。
ミネベアミツミは10日、芝浦電子に対する事実上のホワイトナイト(友好的な買収者)として名乗り出ていた。投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(東京・港)と組み、同社が買い付け資金の一部を負担する枠組みをつくった。買い付け価格の変更を見越し、TOB合戦に備えた。
ヤゲオは17日、芝浦電子株のTOB価格を5400円にまで引き上げると発表。2月に発表した5月7日からのTOB開始を維持する姿勢を示した。芝浦電子の24日の終値は5690円と、ヤゲオとミネベアミツミの買い付け価格を上回る。
貝沼氏は10日の記者会見で「日本の優れた技術を守るというメッセージを込め(ホワイトナイトに)踏み切った」と語っていた。芝浦電子とのシナジー(相乗効果)にも期待しており、買収でセンサー部門の利益を「数年以内に(足元のおよそ6倍の)100億円の規模にできる」と述べていた。
芝浦電子は「サーミスタ」と呼ばれる半導体温度センサーを手がける。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)向けに需要が増え、産業用ロボットや風力発電機など工業製品の温度管理に欠かせない。同社によると2023年度の世界シェアは13.5%で首位だった。
任天堂スイッチ2 狂騒曲 公式サイトに220万人殺到 家電量販店、転売防止に躍起[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 665文字 PDF有 書誌情報]
任天堂は24日、新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の自社の公式通販サイトでの第1回抽選販売の当選結果を応募者に通知した。転売対策で応募に厳しい条件を設けたが、想定を大幅に上回る約220万人が殺到した。同日、全国の量販店でも抽選販売の受け付けを始めたが、旺盛な需要を満たすには相当の時間がかかるとみられる。
24日夜、公式サイトなどで応募者に抽選結果を通知した。「スイッチ2落選。残念」「悲しい」。X(旧ツイッター)では当選を待ち望んだユーザーからは落胆の声が次々とあがった。
公式通販では現行機のプレー時間50時間以上、継続課金サービス「ニンテンドースイッチオンライン」の加入1年以上の厳しい応募条件を設けた。
結果発表の前日の23日夜、任天堂の古川俊太郎社長は日本だけで約220万人の応募があったと、Xで明かした。「想定を大幅に上回り、相当数が当選しないことが想定される」として陳謝した。
24日に抽選販売の受け付けを始めた家電量販店各社は、アプリやメールマガジンの登録を応募条件とする。先着順の販売は実施せず、普段から店を利用している顧客への販売を優先した。
ビックカメラは直近2年間で同グループ店舗と通販サイトで5万円以上の購入履歴があることを条件とする。ヤマダデンキも直近1年間で店舗やアプリでの購入履歴がある人に限定する。
17年の現行機発売時は転売目的の購入により、定価でユーザーに商品が行き渡らず問題視された。「ピーク時で半数が転売された」(国内証券)との見方もある。
日産、自力再建なお遠く――上場子会社株巡り要求 日産にアクティビスト[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 529文字 PDF有 書誌情報]
アクティビスト(物言う株主)として知られるストラテジックキャピタル(東京・渋谷)は24日、日産自動車が6月に開催予定の定時株主総会に向け株主提案をしたと発表した。日産が保有する上場関係会社の株式について、保有や売却などの対応の検討を年1回以上行うことや、検討結果を開示することを定款に盛り込むよう求めた。
日産の上場関係会社のうち、特に上場廃止の恐れがある会社については「具体的な対応方針を速やかに決定」することも求める。東証スタンダード市場に上場する子会社の日産車体は2024年3月時点で、流通株式比率が上場維持基準に満たないと判定されていた。日産車体は25年3月時点で満たしているかは確認中としている。
日産車体のほか、日産の持ち分法適用会社である三菱自動車と日産東京販売ホールディングス(HD)もそれぞれ上場している。ストラテジックキャピタルは日産が業績改善に向けた構造改革を進めるなかで、上場関係会社への配慮から十分な改革が実施されないと主張。日産車体などとの関係の検証を求めている。
ストラテジックキャピタルは日産の議決権を300個以上保有するほか、日産車体株を約3.4%持っており、24年には日産車体に対し少数株主の保護を求める株主提案をした。
ニデック、純利益19%増 今期、米関税の影響限定的[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 523文字 PDF有 書誌情報]
ニデックは24日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比19%増の2000億円になる見通しだと発表した。データセンター用発電機などが伸び2期連続で過去最高になる。アジアから欧米まで生産拠点を分散させる戦略で、トランプ米政権の関税政策の影響を抑える。関税が顧客企業の生産や販売に与える影響が計画達成の焦点になる。
売上高は前期から微減の2兆6000億円、営業利益は8%増の2600億円を見込む。トランプ関税の詳細が明らかになる前に出た市場予想をわずかに下回る程度の水準で「強気な見通しだ」(国内証券アナリスト)との声が上がる。
ニデックは顧客に近い場所で生産し、部品なども現地で調達する地産地消を進めてきた。海外生産比率は9割以上で、米国や欧州、アジアに生産拠点を分散させている。
米国での現地生産を進めていることもあり、関税の大きな影響は受けていないという。一方、企業経営者や消費者のマインド低迷を警戒する。
28年3月期まで3カ年の中期経営計画も発表した。最終年度の連結売上高を25年3月期実績から11%増の2兆9000億円、営業利益を46%増の3500億円とする。売上高営業利益率は最終年度に12%と、約3ポイント引き上げる。
日産、自力再建なお遠く――EV2車種、米で開発中止[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 372文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】日産自動車が米国で生産を計画していた電気自動車(EV)2車種の開発を中止したことが分かった。当初は多目的スポーツ車(SUV)とセダンで4車種を計画していたが、セダンの開発を中止する。米国はEVシフトの遅れで市場環境が変化している。経営が厳しいなか、開発車種を絞り効率化を進める。
計画を中止したのは、米ミシシッピ州キャントン工場で2028年から生産を計画していたEV4車種のうち、セダン2車種。SUVの開発は続ける。
日産の米国法人は23日、「最近の市場の状況の変化に対応し、セダンの開発を中止し、新しいEVの計画を検討することを決定した」とコメントした。一連の計画変更は「トランプ政権の関税政策とは関係がない」としている。日産は24年時点で米国でEV5車種の生産を計画していたが、既に小型SUVの開発は中止している。
「グッチ」のケリング14%減収[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 206文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=湯前宗太郎】「グッチ」を展開する仏ケリングが23日発表した2025年1~3月期の売上高は、前年同期比14%減の38億8300万ユーロ(約6300億円)だった。中国に加えて米国も減少した。米関税対応で各社が値上げに動く中、富裕層向けの「超高級」ブランドだけは好調さを維持している。ケリングの主要地域別の小売売上高は、日本を除くアジア太平洋が25%減、北米が13%減、西欧も13%減と軒並み落ち込んだ。
APB、破産手続き開始決定[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 189文字 PDF有 書誌情報]
福井県越前市の次世代型リチウムイオン電池メーカー、APBが福井地裁から破産手続きの開始決定を受けていたことが24日、分かった。足元の資金繰りが悪化しており、3月には税金滞納を理由に県と同市から企業立地促進補助金の交付取り消しと返還命令を通知されていた。APBは次世代型のリチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発に取り組んできたが、直近では工場を停止するなど事業化に苦戦していた。
京成に英ファンドが社外取提案[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=山下晃】英ファンドのパリサー・キャピタルは24日、2025年の定時株主総会に向けて投資先の京成電鉄に対し4人の社外取締役候補の人事案を提示した。一段の企業価値向上に向け社外取締役メンバーの入れ替えが必要と主張している。会社側が受け入れない場合は、臨時株主総会を招集する準備を始めるとしている。
TBSHD、買収防衛策を継続[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
TBSホールディングス(HD)は24日、買収防衛策を継続すると発表した。株式の大規模買い付けを企図する投資家が現れた場合、検討結果に応じて新株予約権の無償割り当てなどの策を発動する。併せて全ての外国人株主に配当を支払うことや、2026年3月期に保有株の売却で約93億円の特別利益を計上することも公表した。
テレ東「人権問題、グループ対応」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
テレビ東京の石川一郎社長は24日に開いた定例記者会見で、人権問題について「テレビ東京グループとして対応している」と話した。フジテレビジョンで発覚した元タレントによる問題を受けた質問に答えた。フジテレビの第三者委員会が公表した調査報告書については「きちんと受け止め、今後の仕事に生かす」と述べた。
USJ「ミニオン・パーク」拡張[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 137文字 PDF有 書誌情報]
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営するユー・エス・ジェイは24日、人気エリア「ミニオン・パーク」の敷地を約4割拡張し、2025年夏に新たなアトラクション「ミニオン・ハチャメチャ・ミッション」をオープンすると発表した。集客に向けた夏休みの目玉コンテンツとする。
ドコモ、付加価値競う最安 データ無制限+DAZNで8000円台(ビジネスTODAY)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1329文字 PDF有 書誌情報]
NTTドコモは2年ぶりに料金プランを改める。24日、定番プランとしていた「エクシモ」の代わりに「ドコモMAX」を新設すると発表した。スポーツ動画配信の「DAZN(ダゾーン) for docomo」を見放題とし、データ無制限の基本料金を月8448円(以下全て税込み)とする。料金やデータ量に限らず、エンターテインメントのサービスと組み合わせて新たな競争を仕掛ける。
同日付でスポーツ専門配信を手掛ける英DAZNグループの日本法人と包括協業契約を結んだ。さらに関係を深める。ドコモの会員データをもとに、DAZNで契約者の嗜好に応じて広告を配信する事業も検討する。
ドコモMAXは月4200円のDAZNのサービスを盛り込む。24日に記者会見したドコモの斎藤武副社長は「顧客の興味やドコモならではのサービスを軸に、様々な『バリュー』を盛り込んだ料金プランに一新する」と話した。
DAZNをセットとしたプランではKDDIの「au」などでも提供している。ドコモによるとDAZN付きの同条件下では業界最安になるという。光回線などとのセット割も適用できる。ドコモMAXのデータ無制限は最大限の割引を活用すれば、最低5148円からと基本料金より3300円(4割)安い。
ドコモMAXは6月5日からサービスを始める。オンライン受け付け専用で、月30GBで2970円からと手ごろな値段の「アハモ」は継続する。2023年7月から始めたエクシモと、低価格プランの「イルモ」は25年6月4日で新規の受け付けを止める。
イルモの代わりには「ドコモmini」を設ける。最低料金は月4GBで2750円と、イルモの月0.5GBでの550円から大幅に引き上げる。ただドコモminiはセット割を最大限活用すれば880円からに抑えられる。
ドコモの料金プラン刷新には、契約者の獲得競争の軸をこれまで主だった価格、データ量から付加価値型のサービスへと変える狙いがある。
ドコモは24年10月、アハモで料金を据え置いたまま毎月のデータ上限を10GB増やした。これは実質的な値下げともいえた。しかし同年11月、ソフトバンクが「ワイモバイル」や「ラインモ」、KDDIは「UQモバイル」「povo」という競合ブランドで対抗策を打ち出し、優位性はすぐに失われた。
ドコモ幹部は「『乗り換え割引』でキャリアを頻繁に変える利用者より、自社を長く使ってくれる『ロイヤルカスタマー』に予算を割きたい」と本音を語る。今回打ち出した新プランも付加価値の創出がテーマだ。
ドコモは他社に比べて契約純増数が伸び悩む。電気通信事業者協会の基準で試算すると、24年7~12月は76万台と、ソフトバンクの189万台、KDDIの167万台に大きく水をあけられている。「何かを仕掛けていかないと競争に勝てない。想定通りにならないならアジャイル(機敏)に対応すればいい」。ドコモ幹部はこう話した。定番プランでのDAZN導入は、携帯キャリア王者であるドコモの危機感の現れともいえる。大胆な一手は業界でこれまでとは違う風を吹かせられるかが試される。
(野口和弘)
【図・写真】NTTドコモとDAZNが開いた協業契約の発表会(24日、東京都渋谷区)
ルミネ 表社長(ニュース一言)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 17ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
人口減少が進む日本で商業施設が成長するためには外国人の誘客がかかせない。金太郎あめのような画一的施設ではなく、駅や街の個性を生かした店づくりが必要だ。
ルミネ(東京・渋谷)は2025年秋に本格開業する商業施設「ニュウマン高輪」で都市型農場を運営する。表輝幸社長は「地域発企業と連携した商業施設の成功事例をつくる」と述べ、28年度の売上高を5000億円とする目標達成の原動力にする。
ボーイング再建、関税リスク 部品輸入コストや輸出停滞、日本製の比率は35%[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1499文字 PDF有 書誌情報]
【ヒューストン=大平祐嗣】米ボーイングの経営再建に関税リスクが浮上している。23日発表の1~3月期決算は収益が改善したが、航空機の生産は国際分業を前提としており、関税が新たな負担になりかねない。対中輸出が多い米製造業の代表企業として、貿易戦争に翻弄されている。
2025年1~3月期の売上高は前年同期比18%増の194億ドル(約2兆7500億円)、最終損益は3100万ドルの赤字(前年同期は3億5500万ドルの赤字)だった。最終赤字は11四半期連続だが赤字幅は縮小した。
24年は事故による品質問題や労働組合のストライキの影響で生産が落ちていた。24年8月に最高経営責任者(CEO)に就任したケリー・オルトバーグ氏は「再建計画の効果が出てきた。納入機数は内部計画を上回った」と述べた。
25年1~3月には直近1年間の四半期で最も多い130の民間機を納入した。主力小型機「737MAX」の生産量は月産30機台の前半だ。事故後の米連邦航空局(FAA)の規制で生産上限は38機とされているが、数カ月以内にこの上限に達し、25年後半にはFAAに42機への引き上げを申請する予定だ。
18年の墜落事故から6年以上を経て再建の芽が出始めたが、今度はトランプ政権の関税が立ちはだかる。
ボーイングにとって影響は2つある。米政権が関税をかけたため米国への部品の輸入コストがあがることと、中国のような報復関税で航空機の輸出が滞ることだ。
ボーイングの主力中型機「787」は国際分業で製造されている。同社によると、787のうち日本勢の製造比率は35%。主翼は三菱重工業、前部胴体は川崎重工業、中央翼はSUBARUが供給している。エンジンは英ロールス・ロイス、胴体部分などの製造はイタリアのレオナルドが協力している。
ボーイングは輸入部品に10%の関税を支払っている。オルトバーグ氏は部品のコスト増について「現在のキャッシュフロー計画内で対応可能だ」と説明した。
同社は米国での製造を強調したが、航空機の安全基準の観点からもサプライヤーの変更は簡単ではない。今後影響が増える可能性をはらむ。
財務面では資金流出が続いている。25年1~3月期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は22億ドルの赤字だった。運転資金の確保のため、前四半期にも新株発行で200億ドル超を調達した。22日にはソフト事業の一部を投資ファンドに105億5千万ドルで年内に売却すると発表した。
ボーイングの格付けは複数の会社が「投資適格級」とする。さらに引き下がれば「投資不適格級」となり資金調達が難しくなる。関税による横やりを避けたいオルトバーグ氏は「(関税関連の)交渉で合意が成立し、前進することを強く望んでいる」とも話した。
報復関税を打ち出す中国では、航空会社がボーイングの航空機の輸入を止めた。ボーイングは25年には50機ほどを中国に輸出する予定だった。オルトバーグ氏は「製造済みの機体を他の顧客に再分配できるか検討する」と述べた。
ボーイングは従来も貿易交渉の象徴的な材料とされてきた。第1次トランプ政権時の米中対立でも中国当局は一部機体の納入を止めた。23年11月に訪米した習近平(シー・ジンピン)国家主席にアピールし、24年から再び納入が増え始めたばかりだった。
ボーイングは42年まで中国の航空機需要は20%を占め続けると予想する。競合は欧州エアバスや中国メーカーの中国商用飛機(COMAC)など数社に限られる。中国から締め出されれば、ボーイングは長期戦略の再構築を迫られる。
【図・写真】ボーイングの主力小型機「737」=ロイター
帝人が機能性食品撤退 伊藤忠などに事業譲渡[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
帝人は24日、機能性食品素材事業から今春撤退すると発表した。日本と台湾における機能性大麦の商標権・独占販売権を伊藤忠商事に、善玉菌などの開発を手掛ける帝人目黒研究所(大阪市)をアサヒグループ食品にそれぞれ譲渡する。成長領域に位置付けるモビリティーやヘルスケアに経営資源を集中する。
このほか、乳酸菌やビフィズス菌事業はクリスチャン・ハンセン・ジャパンに譲渡する。一連の撤退に伴い、関係する従業員は帝人グループ内で異動するか、アサヒグループ食品に転籍する。事業撤退に伴う業績への影響は軽微だという。
帝人は2025年度までの中期経営計画で非注力事業を見極めるなど構造改革を進め、収益力の回復を目指している。24年11月には赤字が続いていた北米の自動車部品子会社の売却を発表。事業を整理し、ヘルスケアや欧州などでのモビリティー分野に力を入れる。
「黒ひげ」危機から勝利一発へ お蔵入りは敗北じゃない(ヒットのクスリ)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1346文字 PDF有 書誌情報]
新入社員も入社して約1カ月。経営論や企業の歴史、マナーなど研修を通じてビジネスの「イロハ」を学んでいる段階だろうか。
さて大型連休前。紙面研修というわけではないが、今回のテーマはモノやサービスの価値の相対性について。今年7月にパーティーゲーム「黒ひげ危機一発」(タカラトミー)は発売から50周年を迎える。仲間の海賊を救出するという設定のため、当初は「黒ひげを飛ばしたら勝ち」というルールだった。
それから4年後。勝ち負けは自由設定に変わり、1995年には「飛び出させたら負け」になり、初期のアイデアはボツになる。罰ゲーム的に黒ひげを利用した人気クイズ番組の影響や、飛び出ると驚く様子が「負け」っぽい感じだったからだ。
しかし今年7月に「飛んだら勝ちで喜ぶ方が、より楽しさを共有できるのではないか?」と原点回帰に踏み切る。喜びのシェアなんて今っぽい。だが人は「得より損」に気をとられやすく、負けの方がドキドキ感があり、元に戻るのではないかと筆者は見る。購入者はどう動くか、ドキドキだ。
企業が「これは当たる」と考え、押しつけるアイデアもすべりがち。ガリガリ君の赤城乳業(埼玉県深谷市)が平成レトロブームに乗り、2024年末に発売したギャルをイメージしたアイスは見事にすべった。消費者にとってギャルかどうかはアイスのニーズに関係がないし、市場としてのギャル人口もたかがしれているからだ。
チョコ菓子の「ブラックサンダー」の有楽製菓(東京都小平市)も「肩に力が入ったネタは売れにくい」と分析する。例えば朝専用のブラックサンダー。用途の多様化を狙ったが、ほぼ意味不明だ。ブラックサンダーを食べるのに、朝も昼も夜もない。19年9月に発売し、21年3月にお蔵入りとなった。
しかし時代が変われば、ボツネタからビジネスチャンスを生むこともある。アサヒビールの「スーパードライ 生ジョッキ缶」はその典型だ。缶をすべて外すフルオープン技術は11年には存在したが、開けたところで薄暗い缶の中に金色のビールがあるだけ。おいしそうに見えず、日の目を見なかった。
そして泡立ち技術は17年に技術陣から提案があったが、小さなビールの飲み口から泡が見えるだけではインパクトも小さく、製品化には至らない。しかし「家で生ジョッキを飲みたい」との消費者インタビューに可能性を感じ、ボツネタを合体した。21年に売り出すとコロナ下での家飲み需要の急増に伴い、大ヒット。他ブランドにも広げている。
アイデア商品のサンコーでもボツ復活はある。10年代半ばに電源コード式の電動ナイフが話題になり、サンコーでも提案されたが、一度ボツに。その後SNS(交流サイト)で食べ物の美しい断面に萌える「萌え断」ブームも重なり、20年にスリムなコードレスタイプを企画・販売したところ、ヒットしたという。
何がウケるかは、時代で変わる。ギャルアイスも朝専用ブラックサンダーも復活する可能性は十分にある。「今、いい」と思ったら提案すべきだ。そして会社側は意見を言いやすい組織の柔軟さを育む努力が大事。アイデアはすべって転んで、飛んでいくものだ。
(編集委員 中村直文)
【図・写真】1975年発売の初代の「黒ひげ危機一発」。このころは「飛ばしたら勝ち」だった
高卒、大卒を上回る伸び 戦力確保へ競争激化、セコムが首位(採用計画調査から)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 920文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社がまとめた採用計画調査で、2026年春入社の高卒採用計画の人数は前年実績比13.6%増の2万135人となった。伸び率は2年連続で大卒(11.5%増)を上回った。高卒の就職希望者が減り続けるなか、現場の主力としての活躍を期待して計画数を増やす企業は多く、採用競争は激しさを増している。
製造業は14.1%増、非製造業は13.1%増だった。ランキングでは前年実績比9.2%増の380人を計画するセコムグループが首位になった。同社人材採用部の田村浩章部長は「将来的にリーダーとして警備事業をけん引する人材の採用を強化している」と説明する。特に機械警備で駆け付け対応する緊急対処員の計画数を増やす。昨年相次いだ強盗事件を受けて機械警備の契約件数も増えており、サービスの品質や提供体制の維持・強化を図る。
採用計画数で2位のヤマト運輸は前年実績比2倍の約360人を計画する。ドライバーの高齢化に伴う将来の労働力不足に備える。
同じく2位の村田製作所グループはモノづくりの生産技術やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支える人材の採用に力を入れ、前年の水準を維持した。電気科・機械科・情報システム科など「プログラミングに取り組んでいる学生の採用を重視している」という。
業種別では紙・パルプ(62.7%増)、窯業(29.8%増)、陸運(34.7%増)、その他小売業(23.6%増)などの伸びが目立つ。全43業種のうち、27業種が2桁増以上だった。
高卒の採用環境は依然として厳しい。25年春入社の採用計画人数に対する「充足率」は87.6%と、大卒(92.4%)を下回る。特に精密機械(充足率60.7%)、紙・パルプ(66.3%)、百貨店・スーパー(67.1%)や陸運(70.2%)などで採用難が顕著だった。
文部科学省によると、25年春に高校を卒業予定の就職希望者数は24年12月末時点で12万8145人と10年前から3割減った。少子化に加え、大学に進学する生徒が増えたことで、卒業生に占める割合も減っている。厚生労働省によると、求人倍率は24年9月末時点で3.91倍とバブル期を超え、同月時点では過去最高だった。
(随時掲載)
小糸製作所(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 551文字 PDF有 書誌情報]
小糸製作所
(6月27日)副社長、豊田淳
▽専務、勝田隆之
▽同、柴田英祐
▽同、大嶽孝仁
▽取締役、川田善正
▽生産本部副本部長兼相良工場長兼安全環境部・生産改善部担当兼品質保証部副担当(ノース・アメリカン・ライティング会長)常務執行役員小林学
▽同兼経営企画部担当兼人事部副担当(経営企画部副担当)同大嶽昌之
▽第2製品開発部・静岡第2設計部担当(センサ開発部・静岡第1設計部担当)同国際本部副本部長兼技術本部副本部長島倉浩司
▽技術管理部・センサ開発部担当兼品質保証部副担当、常務執行役員技術本部副本部長吉岡憲一
▽常務執行役員営業本部副本部長兼営業管理(コイト運輸社長)豊田晃一
▽同総務(執行役員)経理本部副本部長兼財務・山崎耕平
▽常務執行役員(同)営業本部副本部長兼東京支店長青島一博
▽同(同)国際本部副本部長兼営業本部副本部長兼豊田支店長田中利幸
▽同サステナビリティ推進室・物流部担当(同相良工場長兼生産改善部・生産技術部・富士川工機部担当兼サステナビリティ推進室副担当)生産本部副本部長兼榛原工場長宮島徹
▽執行役員調達品質・技術部担当兼品質保証部副担当(第1製品開発)中沢秀昭
▽同調達本部副本部長、調達・武藤真
▽同技術本部副本部長兼デザイン開発部・広州小糸車灯技術センター設計部担当、静岡第1設計・高橋徹
アインファーマシーズ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 462文字 PDF有 書誌情報]
アインファーマシーズ
(5月1日)専務(常務)山中修
▽常務医薬事業部長(取締役医薬事業部副事業部長)渡辺薦
▽医薬事業部西日本営業管掌(西日本統括)取締役吉村輝美
▽同東日本営業管掌(東日本統括)同生駒忠史
〔Francfranc事業部〕事業部長、佐伯佑介
▽管理本部長(物販事業部店舗管理)肥沼龍太朗
▽販売本部長(店舗管理本部長)北村洋介
▽事業開発本部長(販売本部長兼店舗管理本部FHK管理)服部隆次
〔医薬事業部〕副事業部長、木村嘉之
▽関西支店長(東海支店長)河田稔
▽東海支店長(上信支店長)水嶋崇夫
▽九州支店長、畑中高行
物販事業部店舗管理、沢谷るみ子
▽Francfranc事業部管理本部海外、孫偉超
▽同経営企画、福田洋介
▽Francfranc事業部販売本部Ff販売(バザー販売)堀江絵美子
▽事業開発本部マーケティング、Francfranc事業部販売本部コミュニケーション・市之瀬育絵
▽Francfranc事業部事業開発本部事業企画(販売本部Ff販売)中村さゆり
▽同販売本部バザー販売、安原智央
▽同ECストア運営、中川陽平
日清製粉グループ本社(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 394文字 PDF有 書誌情報]
日清製粉グループ本社
(6月1日)技術本部環境管理室長、長谷川仁
(6月26日)代表取締役兼専務執行役員オリエンタル酵母工業担当(執行役員人事・労務本部人事・労務企画室長)人事・労務本部長坂本賢二
▽顧問(代表取締役兼専務執行役員総務本部・人事・労務本部管掌兼オリエンタル酵母工業・日清アソシエイツ・信和開発担当)増島直人
▽常務執行役員企画本部長兼総務本部管掌(執行役員総務本部長)取締役会事務局室長藤田重光
▽日清ファルマ・NBCメッシュテック担当、執行役員企画本部副本部長山田浩之
▽執行役員人事・労務本部副本部長兼人事兼人事・労務企画室長兼日清アソシエイツ担当(総務本部総務)田中正裕
▽同総務本部長兼CR総括・信和開発担当、法務・戸塚勝博
▽総務本部総務(秘書室長)城北顕司
▽同本部秘書室長、杉村拓哉
▽R&D・品質保証本部基礎研究所長(日清製粉プレミックス取締役R&Dセンター長)柳下隆弘
あすか製薬(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
あすか製薬
(5月1日)国際事業本部国際事業第2、常務国際事業本部長西岡裕康
▽同国際事業第1(国際事業部長)大塩啓介
(6月24日)東日本第1統括部長、取締役兼常務執行役員営業本部長海堀寛
▽監査役(執行役員情報提供プロモーション監督室長)知久一博
▽退任(監査役)福井雄一郎
▽生産本部いわき工場長、製造・杉原光治
▽フェムテック事業推進室長兼あすか製薬メディカル取締役(営業本部東日本第1統括部長)堀英紀
▽情報提供プロモーション監督室長(管理本部副本部長兼フェムテック事業推進室長)執行役員長尾智仁
▽生産本部長(いわき工場長)同中島俊隆
あすか製薬ホールディングス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 227文字 PDF有 書誌情報]
あすか製薬ホールディングス
(5月1日)〔グループ国際事業本部〕本部長兼グループ国際事業第2、西岡裕康
▽副本部長、大窪教道
▽グループ国際事業第1、大塩啓介
(6月24日)会長(社長)山口隆
▽社長(専務)山口惣大
▽取締役、加藤聖子
▽監査役、山下功起
▽同(執行役員グループ監査・グループ法務・コンプライアンス担当)知久一博
▽退任(取締役)吉村泰典
▽同(監査役)福井雄一郎
▽同(同)福地啓子
▽執行役員グループ監査・グループ法務・コンプライアンス担当、長尾智仁
セントラル硝子(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 207文字 PDF有 書誌情報]
セントラル硝子
(6月27日)代表取締役兼専務執行役員(取締役兼常務執行役員)金井哲男
▽取締役(常勤監査役)村田正徳
▽同(監査役)西村俊英
▽同(同)三箇山俊文
▽同(同)後藤昌子
▽同、照井恵光
▽常務執行役員(取締役兼常務執行役員)赤松佳則
▽退任(会長)清水正
▽同(取締役)西出徹雄
▽同(常勤監査役)冨岡孝夫
▽常務執行役員(執行役員)岡村真一
▽同(同)森野譲
▽執行役員、経営管理室長矢儀信之
▽同硝子事業管理、末岡基久
日清製粉(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 203文字 PDF有 書誌情報]
日清製粉
(6月1日)業務本部次長、計画グループリーダー桝田裕二
▽生産本部生産管理グループリーダー兼日清サイロ施設、大渕康彦
▽千葉工場長(鶴見工場次長)小林亮
▽名古屋工場長(技術開発本部次長)貴島聡
▽技術開発本部次長(加工技術開発チームリーダー)広瀬哲也
▽東灘工場長(生産本部生産管理グループリーダー兼日清サイロ施設)伊藤大輔
▽大阪営業(関東営業)関野修策
▽関東営業(福岡営業)安斎恵一
▽福岡営業、村松篤
ダスキン(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 200文字 PDF有 書誌情報]
ダスキン
(6月下旬)IT戦略統括本部担当、代表取締役兼社長執行役員大久保裕行
▽COO訪販グループ担当(執行役員本社企画グループ担当)取締役江村敬一
▽取締役兼CFO本社企画グループ担当(同本社人的資本グループ担当)飯田健司
▽取締役本社人的資本グループ担当(秘書部・新規事業開発部担当)執行役員根本誠之
▽執行役員(COO訪販グループ担当)住本和司
▽法務・コンプライアンス部担当、執行役員人事・松重泰子
日清製粉ウェルナ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 195文字 PDF有 書誌情報]
日清製粉ウェルナ
(6月1日)営業本部・商品開発本部担当(商品開発本部長)常務伊藤俊二
▽DX推進部・人財開発部担当、取締役経営企画・森忠則
▽商品開発本部長(商品開発本部副本部長)取締役東雅文
(6月26日)取締役ロジスティクス部担当(ロジスティクス)DX推進・須貝竜生
▽取締役、品質保証・水野恭行
▽同管理兼人財開発部担当、原裕太
▽退任(取締役)石村英司
▽同(同)吉田久紀
▽同(同)鈴木隆一
オリエンタル酵母工業(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 169文字 PDF有 書誌情報]
オリエンタル酵母工業
(6月1日)研究開発推進室・事業開発推進室担当、社長新井秀夫
▽OYインド副社長(技術・研究・品質保証本部長兼技術兼研究統括部長)取締役田中雄一
(6月26日)取締役管理本部長、岩波裕行
▽取締役、技術・品質保証本部長渡辺肇
▽同、坂本賢二
▽監査役、山田浩司
▽退任(取締役)中野圭介
▽同(同)増島直人
▽同(監査役)藤森浩
アインホールディングス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 163文字 PDF有 書誌情報]
アインホールディングス
(5月1日)サステナビリティ推進本部長(リスクマネジメント管掌)取締役高倉信行
▽経営監査室長(アイン中央社長)上席執行役員森沢あずさ
▽リテール運営統括本部リテール戦略、執行役員槙珠美
▽医薬運営統括本部副本部長(ダイチク社長)執行役員石黒貴子
▽同統括本部マーケティング、染谷清史
▽同運営企画、八木下敏彰
トーメンデバイス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
トーメンデバイス
(6月26日)取締役、営業本部長代理兼車載統括部長西本博
▽同、豊田通商デジタルソリューション本部COO山田強
▽同、同デジタルソリューション本部デジタルソリューション企画・世古昌平
▽常勤監査役、岡本正
▽退任(副社長)小井戸信夫
▽同(取締役)松崎英治
▽同(同)小松洋介
▽同(常勤監査役)清水厚志
ラサ商事(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 129文字 PDF有 書誌情報]
ラサ商事
(6月25日)会長(社長)ラサ・リアルエステート代表取締役井村周一
▽社長(専務物資営業本部長)青井邦夫
▽常務物資営業本部長(取締役物資営業本部副本部長)川内裕之
▽取締役管理本部副本部長、旭テック社長早川一郎
▽取締役、龍田俊之
▽退任(取締役)原田彰
加賀電子(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 126文字 PDF有 書誌情報]
加賀電子
(6月26日)取締役、上席執行役員塚本剛
▽同、同管理本部長石原康広
▽同兼上席執行役員(執行役員)経営企画室長糀谷仁志
▽取締役(常勤監査役)川村英治
▽同(監査役)橘内進
▽同(同)佐藤陽一
▽同(同)大柳京子
▽顧問(取締役兼専務執行役員)筧新太郎
イリソ電子工業(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 124文字 PDF有 書誌情報]
イリソ電子工業
(5月1日)製造本部SCM(営業統括本部営業企画)肥田知尚
▽管理本部業務改革・DX推進室長(情報システム)松田仁
▽同本部情報システム、渡辺太一
▽同コーポレート・コミュニケーション、足立生
(6月1日)品質保証本部品質保証、原沢正明
日本酸素ホールディングス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
日本酸素ホールディングス
(6月1日)顧問、柴田利喜
▽監査室長、尾崎亮
(6月18日)取締役、矢部尚登
▽常勤監査役(顧問)柴田利喜
▽退任(取締役)トーマス・スコット・カルマン
▽同(常勤監査役)橋本明博
信越ポリマー(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
信越ポリマー
(6月24日)取締役、村田珠美
▽退任(取締役)轟茂道
▽専務執行役員(常務執行役員)経営管理本部長柴田靖
▽常務執行役員(執行役員)営業本部長小林直樹
▽同(同)生産本部長佐藤光男
清水建設(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 94文字 PDF有 書誌情報]
清水建設
(5月1日)北陸支店建築第二(リニューアル工事統括部長)溝渕康晴
▽同支店リニューアル工事統括部長、中出秀人
▽建築総本部生産技術本部企画開発、生産技術本部副本部長兼管理・大貫浩嗣
フジシールインターナショナル(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
フジシールインターナショナル
(6月24日)取締役、植村公彦
▽同、執行役梅田英明
▽執行役、矢代祐子
▽同、佐竹紀男
▽同、稲川義則
▽同、大前秀喜
▽退任(取締役)塩路広海
▽同(同)矢田彰一
日本郵便(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
日本郵便
(5月9日)常務執行役員近畿支社長(執行役員兼社長室・総務・人事部・人事戦略部担当兼人事戦略)三苫倫理
▽社長室・総務・人事部・人事戦略部担当、執行役員小川真郷
帝人(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 84文字 PDF有 書誌情報]
帝人
(5月1日)財務、浜島直樹
▽コーポレート新事業本部ビオリエ・ニュートラシューティカル部門ビオリエ事業部長兼品質保証グループ長、アライアンスマネジメント・西川敏彦
中央発条(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 83文字 PDF有 書誌情報]
中央発条
(6月)社長(執行役員)北浦啓一
▽代表取締役兼執行役員(監査役)脇坂一行
▽監査役、加藤貴己
▽執行役員(代表取締役兼執行役員)米倉浩司
▽退任(社長)小出健太
トオカツフーズ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 80文字 PDF有 書誌情報]
トオカツフーズ
(6月30日)社長(副社長)河田篤治
▽取締役(社長)池田晋一
▽同管理本部長、鈴木健二
▽同冷食事業部長兼冷食生産、佐藤緑朗
▽退任(取締役)野村諭
国分フレッシュ・フードトランス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 78文字 PDF有 書誌情報]
国分フレッシュ・フードトランス
(国分フードクリエイトと国分フレッシュリンクが合併し、5月1日より新社名)
(5月1日)代表取締役兼社長執行役員、山崎佳介
富士電機(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 77文字 PDF有 書誌情報]
富士電機
(5月1日)インダストリー事業本部放射線機器事業部放射線事業企画、土屋浩幸
▽半導体事業本部事業統括部業務変革プロジェクト、事業統括部長太田裕之
ソフトバンク(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンク
(6月26日)取締役、唐木秀明
▽同、仲條亮子
▽監査役、ティモシー・マキ
▽退任(取締役)上釜健宏
▽同(同)大木一昭
▽同(監査役)君和田和子
タイム(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 74文字 PDF有 書誌情報]
タイム
(5月20日)営業統括(営業本部長)社長吉原重治
▽常務営業本部長(取締役販売)岡本広志
▽取締役販売、高橋健次
▽取締役、商品統括部長古川智和
飯野海運(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
飯野海運
(6月26日)常勤監査役、清水紀和
▽退任(常勤監査役)神宮知茂
▽経理部管掌、常務執行役員鮒子田修
▽執行役員経理部担当兼経理、千葉浩一郎
フェリシモ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
フェリシモ
(5月29日)取締役、執行役員新事業開発本部長兼神戸ポートタワー事業本部長小池弘之
▽同、ダイズ代表取締役平井直人
▽退任(取締役)森聡
第一生命保険(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 71文字 PDF有 書誌情報]
第一生命保険
(5月1日)CX推進、阿久沢優
▽東日本マーケット統括部長(CX推進)江尻晶
▽札幌総合支社長(東日本マーケット統括部長)岸健二郎
ニッポン高度紙工業(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 69文字 PDF有 書誌情報]
ニッポン高度紙工業
(6月19日)取締役、井上浩之
▽同、奥村陽子
▽常勤監査役、産田稔雄
▽退任(取締役)岩城孝章
▽同(常勤監査役)鍋島宣彦
ニチレキグループ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 68文字 PDF有 書誌情報]
ニチレキグループ
(6月27日)専務(常務)事業戦略本部長戸塚浩行
▽常務(取締役)コーポレート本部長山本淳
▽同(同)企画本部長伊藤達也
かどや製油(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 65文字 PDF有 書誌情報]
かどや製油
(6月26日)常勤監査役、富山文雄
▽監査役、横尾俊弘
▽退任(取締役)中山裕章
▽同(監査役)植松博司
▽同(同)松沢修一
松竹(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 63文字 PDF有 書誌情報]
松竹
(5月27日)取締役、東急社長兼社長執行役員堀江正博
▽同、野間自子
▽退任(取締役相談役)高橋和夫
▽同(取締役)田中早苗
かんぽ生命保険(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 61文字 PDF有 書誌情報]
かんぽ生命保険
(4月24日)内部監査部担当補佐(内部監査担当)執行役木村善久
▽執行役内部監査部担当、内部監査・米沢保信
プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 60文字 PDF有 書誌情報]
プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン
(7月1日)チーフ・アクチュアリー、シニアオフィサージェフリー・シモン
ニデックコンポーネンツ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
ニデックコンポーネンツ
(5月1日)エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツ事業部グローバル生産管理、菅原晃広
日本液炭(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 54文字 PDF有 書誌情報]
日本液炭
(6月1日)顧問、小川恭一
(6月13日)常勤監査役(顧問)小川恭一
▽退任(常勤監査役)郡司正男
フコク(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 54文字 PDF有 書誌情報]
フコク
(5月1日)営業本部第2営業(開発営業室長)執行役員営業本部長布村康幸
▽同第3営業(第2営業)林純
プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 54文字 PDF有 書誌情報]
プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険
(7月1日)会長(取締役)蕪木広義
▽退任(会長)添田毅司
フォーラムエンジニアリング(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
フォーラムエンジニアリング
(5月1日)FECRM戦略部・FEキャスティング戦略部管掌、執行役員小島拓郎
クエスト(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
クエスト
(6月24日)取締役兼副社長執行役員、鈴木裕二
▽上席執行役員(取締役兼上席執行役員)山内豊志
ジャパンディスプレイ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
ジャパンディスプレイ
(5月1日)AutoTech事業部石川工場製造技術(鳥取工場製造技術)亀谷雅之
秩父鉄道(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
秩父鉄道
(6月)取締役、執行役員荒船慎一
▽同、曽根原正宏
▽監査役、藤野孝男
▽退任(取締役)中山高明
ジブラルタ生命保険(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
ジブラルタ生命保険
(7月1日)社長兼最高経営責任者(取締役)蕪木広義
▽退任(社長)添田毅司
NBCメッシュテック(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
NBCメッシュテック
(6月27日)取締役管理本部長、吉田久紀
▽退任(取締役)針金屋研司
帝人ファーマ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 44文字 PDF有 書誌情報]
帝人ファーマ
(5月1日)生物医学総合研究所創薬研究所長、生物医学総合研究所長長谷直樹
マーキュリー(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
マーキュリー
(5月29日)代表取締役兼COO(取締役)大寺利幸
▽退任(同)河村隆博
神戸製鋼所(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
神戸製鋼所
(5月1日)大阪支社長、関清重
▽高砂製作所長(大阪支社長)大溝貴史
明光ネットワークジャパン(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
明光ネットワークジャパン
(6月1日)上席執行役員明光義塾事業本部長、斎藤勝己
大水(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
大水
(6月24日)上席執行役員経営企画室担当、取締役三谷拓己
▽取締役、谷内満
大戸屋ホールディングス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
大戸屋ホールディングス
(6月25日)取締役(執行役員)日下好広
▽同、大場睦子
SBIグローバルアセットマネジメント(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
SBIグローバルアセットマネジメント
(6月18日)退任(取締役)大鶴基成
三菱商事プラスチック(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
三菱商事プラスチック
(5月1日)監査役、名田賢悟
▽退任(監査役)栗原雄介
アレンザホールディングス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
アレンザホールディングス
(5月20日)事務センター岡山事務所長、出口賢一
アルトナー(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
アルトナー
(5月1日)エンジニア事業本部ワイドバリューグループ、西尾剛
東洋アルミニウム(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
東洋アルミニウム
(6月20日)常務執行役員(執行役員)取締役永田俊哉
ASTI(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
ASTI
(6月20日)取締役、広瀬史乃
▽退任(取締役)捻橋かおり
プロテリアル(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
プロテリアル
(5月1日)磁性材料事業部熊谷磁材工場長、俣野敏光
ポールトゥウィンホールディングス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
ポールトゥウィンホールディングス
(4月24日)取締役、志村和昭
東海理化(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
東海理化
(6月13日)監査役、弟子丸昭宏
▽退任(監査役)地田稔
オリエンタルランド(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
オリエンタルランド
(5月1日)技術本部安全品質監理室長、川村功
植松商会(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
植松商会
(6月19日)取締役、植松慎一郎
▽退任(常務)菅野省一
ニデック(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
ニデック
(6月20日)取締役、吉井浩
▽顧問(取締役)村上和也
テイクアンドギヴ・ニーズ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
テイクアンドギヴ・ニーズ
(6月25日)取締役、若林達二
ミガロホールディングス(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
ミガロホールディングス
(4月)執行役員兼COO、永井敦
丹青社(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
丹青社
(4月24日)執行役員経営企画センター長、山岡礼
クロスキャット(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
クロスキャット
(6月26日)取締役、幸重孝典
野村総合研究所(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
野村総合研究所
(6月下旬)取締役、中川隆之
大豊工業(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
大豊工業
(6月19日)常勤監査役、芦原克宏
日特建設(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
日特建設
(6月23日)顧問(副社長)山田浩
チヨダ(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 22文字 PDF有 書誌情報]
チヨダ
(5月1日)内部監査室長、立沢克司
未来工業(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 21文字 PDF有 書誌情報]
未来工業
(6月17日)取締役、弓削幸恵
大陽日酸(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 20文字 PDF有 書誌情報]
大陽日酸
(6月1日)監査室長、尾崎亮
FPG(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 18ページ 18文字 PDF有 書誌情報]
FPG
(5月1日)財務、中村重史
旅行会社、海外営業に活路 国内発の旅客、コロナ後も低迷続く[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 2108文字 PDF有 書誌情報]
東京都品川区にあるJTBの本社。21日、アジア・オセアニア地域にある11拠点のマネジャーを集めた会議が開かれた。会議の目玉は、今春に始めるアジア・オセアニアでのMICEの受注拡大に向けた戦略説明だ。
MICEは、シンガポールなどアジア各国が開催誘致に力を入れるなど成長分野と注目を集めている。JTBはこれまで日本国内を中心にMICE関連の事業を展開してきた。国際会議の運営代行や宿泊の手配、参加者に同行する配偶者の観光プログラムなどMICEに関連するサービスを一括して手がける強みを持つ。
今後は成長するアジア・オセアニアのMICE市場を狙おうと、MICE専門の社員など数人を同地域に派遣する。
日本で培ったノウハウを現地スタッフに共有して法人への営業力を高めるほか、日本からデジタルマーケティングも支援する。アジア・オセアニアの各拠点間で国際会議や展示会の運営ノウハウを共有するなど連携も深めることで、同地域での競争力を高めていく。
市場規模14億人
JTBがアジア・オセアニアのMICE市場に力を入れる背景には、日本から海外への旅行関連の売上高が、新型コロナ前から回復していないことがある。
JTBの24年4~9月期の海外旅行の売上高は、コロナ前の5割の水準にとどまる。一方で海外MICEの売上高は、24年3月期に232億円とコロナ前の水準を3割上回る。
JTBの山北栄二郎社長は「海外拠点はこれまで日本人旅行客の受け入れが中心だった」と指摘し、将来的には「粗利益の半分を海外MICEなどのグローバル事業で稼ぎたい」と意気込む。
国連世界観光機関によると、24年に世界の海外旅行者は推定14億人に上り、コロナ前の99%の水準まで回復した。世界の観光業(旅客輸送も含む)の総輸出収入も1兆9000億ドル(約270兆円)と過去最高が見込まれる。
世界の観光需要がコロナ禍から回復してきた一方、出入国在留管理庁によると日本の出国者数は1300万人とコロナ前の65%の水準に伸び悩む。直近の円安基調や世界的なインフレが、海外旅行控えも生んでいる。
日本の旅行会社は旅行取扱額の9割以上を日本人に依存し、インバウンド(訪日外国人)を含む世界の旅行客取り込みが喫緊の課題だ。
エイチ・アイ・エス(HIS)は北米や欧州、東南アジアに置く旅行子会社を中心に現地発の海外旅行予約の獲得をめざしている。24年8~10月の海外子会社の海外発旅行の取扱高は19年同期の2倍に伸びた。
HISの海外拠点も、JTBと同じように現地を訪れた日本人旅行者のホテルやオプションツアーの手配が中心だった。フィリピン・マニラの拠点で世界各国で受けた予約を一括で手配する体制を整えることで、世界の旺盛な旅行需要取り込みを急ぐ。
多言語対応できるスタッフをマニラの拠点に集中して置くことで、各国の人件費など販売管理費を抑制する。すでに20カ国・地域の業務を集約した。26年10月期までに旅行手配業務の6割を集中させ、スタッフも23年10月期から6割増の320人に増やす計画だ。
訪日対応も拡充
日本政府観光局(JNTO)によると25年1~3月のインバウンド数が四半期として初めて1000万人を超えた。ただ、海外から日本への旅券や宿泊の手配はそれぞれの国の旅行会社などで済ませている場合が多く、日本の旅行会社はインバウンド需要を取り込めていない。
KNT―CTホールディングスはフランスやオーストラリア、米国拠点で訪日対応ができるスタッフを育成する。小山佳延社長は「日本からの旅行客受け入れ機能も維持して、発着双方の顧客対応ができる拠点に改革する」と意気込む。
コロナ禍で集約した海外拠点も、現在の19拠点から将来的に倍増の規模に拡大する計画だ。25年度中にオランダのアムステルダムに新たに設け、26年4月以降に東南アジアや中東でも増やしていく。
JR西日本傘下の日本旅行も海外で現地旅行会社と日本の観光事業者の商談会を増やしていく。24年11月にフランス・パリで開いた商談会では、日本のホテルや旅館も参加した。
現地の異文化交流イベントの前に、日本旅行や顧客企業がツアーや施設の魅力を営業できる場を設けることで、訪日旅行の売り上げを伸ばす狙いだ。小谷野悦光社長は「日本の観光業者と双方向でビジネスができる環境を整えた。その関係が継続すれば、当社の長期的な売り上げにもなる」と語る。
大手旅行会社はコロナ禍の業績悪化により、海外拠点の多くで統廃合や撤退を余儀なくされた。国内の収益力が完全に回復しないなかで、海外拠点の拡充に投資するには資金も人材も限られている。柔軟な営業網の構築がこれからの旅行各社の競争力を左右しそうだ。
(丸山景子)
国内の大手旅行会社が海外拠点で外国人旅行者の需要開拓を急いでいる。世界の旅行者数は2024年に推定14億人に達し、新型コロナウイルス前の水準に戻った。円安や物価高で国内の旅行需要の回復が遅れるなか、JTBは成長する海外のMICE(国際会議や展示会)市場を開拓する。各社は日本人の旅行手配に依存するポートフォリオを見直す。
東エレク、製造装置生産3倍速へ 宮城に新開発棟[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 973文字 PDF有 書誌情報]
東京エレクトロンは24日、宮城県で半導体製造装置の新開発棟の竣工式を開いた。人工知能(AI)用半導体など中長期的な半導体市場の成長を見据え、積極的な設備投資を続ける。生産棟を含む宮城の拠点で、装置生産にかかる時間を3分の1に短縮することを目指す。台頭する中国の装置メーカーに追い上げる隙を与えない戦略だ。
新棟では半導体材料を削って回路をつくるプラズマエッチング装置を開発する。この拠点にはすでに生産棟1つと開発棟が2つあり、第3開発棟の建設には約520億円を投じた。3階建てで延べ床面積は約4万6000平方メートル、従業員数は300人となる。
最先端の半導体を造る技術は難しくなり、装置も大型化している。半導体メーカーを招いて試作するため、新たなスペースが必要になっていた。
運営する東京エレクトロン宮城(宮城県大和町)の神原弘光社長は「新開発棟で高効率に開発量を増やし、世界一の工場を目指す」と強調した。第3開発棟は2階層の大型クリーンルームを備え、天井には無人搬送設備を設置する。ウエハーの処理枚数を増やし、性能評価の時間を短縮する。
新棟を活用して、2027年に同地で稼働する新工場での生産リードタイムを3分の1に縮める。需要増への対応と、顧客の設備立ち上げ期間の短縮をはかる。
生成AIの急速な普及で半導体市場は急拡大している。半導体の国際団体SEMIによると、24年の半導体製造装置の世界市場は前年比10%増の1170億ドル(約16兆円)と過去最高だった。
東京エレクトロンは半導体製造装置の売上高で世界4位、日本勢では最大手だ。主要8機種で世界首位や2位の製品を抱え盤石のようにもみえるが、不安の種がないわけではない。
東京エレクトロンの地域別売上高比率で4割を占める中国市場でひしめく地場メーカーの台頭だ。東京エレクトロンの河合利樹社長は「回路形成の装置メーカーが9社ほど立ち上がり、9社合わせてわが社の中国売上高と同じくらいの規模になってきた」と警戒する。
中国最大手で政府系の北方華創科技集団(NAURA)は成膜やエッチングなど幅広く手掛け、政府系大手の中微半導体設備(AMEC)もエッチング装置の販売を伸ばしている。
東京エレクトロンは中国勢を突き放せるか。生産効率やサービスに磨きをかける場としての新開発棟の役割は重い。
中央発条が再発防止策 爆発事故、社長に北浦氏[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 754文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車系で車用ばねを手掛ける中央発条は24日、爆発事故を起こした藤岡工場(愛知県豊田市)について復旧対応や安全対策などで約9億円の影響額があると明らかにした。専門業者による点検や圧力を測る計器の異常を検知すれば全設備を止めるなどの再発防止策を講じる。また同日、小出健太社長(65)が退任する人事も発表した。
藤岡工場の第3工場で3月6日に生産ラインの一部で鉄の粉じんを集める「集じん機」が爆発し、従業員1人が死亡した。トヨタ自動車やスズキなど納品先の車大手で完成車工場の稼働が部品不足の影響で止まった。2023年10月にも藤岡工場内で爆発事故が起こっている。
今回の事故原因について集じん機が詰まって圧力を測る計器で異常を検知し、従業員の作業中に粉じんが静電気などを起こしたと推定したが、「はっきりとはわかっていない」(小出社長)とした。異常警報が鳴っても設備を止めないまま掃除するマニュアルだったという。
再発防止策では計器の異常が起きれば全ての設備を停止するようにマニュアルを改訂し、外部の専門業者に点検させ、集じん機のフィルターを交換する頻度を上げるなどで対応する。小出社長は「マニュアルが不十分だった。異常を検知して設備を止めていれば事故は起きなかった。多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる」と陳謝した。
中央発条は同日、小出社長が退任し、北浦啓一執行役員(60)が社長に昇格する人事を発表した。小出社長は事実上の引責辞任とみられ、「経緯は言えないが、2度の事故を起こしてお騒がせした重大な責任をとらなければいけない」と語った。
北浦 啓一氏(きたうら・けいいち)90年(平2年)秋田大鉱山卒、中央発条入社。20年執行役員。愛知県北名古屋市出身。60歳(6月就任。小出健太社長は退任)
米テック、EUに反発 制裁金「関税への対抗措置」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 692文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=中藤玲、渡辺直樹】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は23日、米アップルと同メタに対し、巨大テクノロジー企業を規制するデジタル市場法(DMA)違反で制裁金を科すと発表した。ビジネスモデルの転換を迫られるテック側は反発し、トランプ米政権の関税策への「実質的な対抗措置だ」と批判した。
DMAはテック企業の寡占を防ぐため競争を阻害する商慣習を事前規制できる新法で、EUは従来の独禁訴訟に代わる強力な対抗策として運用を始めた。今回、初めての制裁金となった。
EUはアップルがアプリの外部配信をしにくくしている仕組みや、メタがSNSのデータ提供を実質的に強制していることを問題視した。それぞれ5億ユーロ(約800億円)、2億ユーロ(約300億円)の制裁金を科す。
DMAは重大な違反には年間売上高の最大10%、繰り返せば最大20%の制裁金を科すと定める。今回、欧州委が科した制裁金はアップル、メタの売上高と比べると少額で、今回の制裁金額は「抑制的な水準」(欧州委関係者)とされている。
それでも、アップル、メタとも反発した。2社とも不服を申し立てる方針なのに加え、今回の措置を批判した。トランプ米大統領もEUのテック規制を「事実上のデジタル課税」として批判してきた。
EUは早くからアップルやメタのDMA違反を調査の中で指摘し、数カ月にわたって制裁金について議論を続けてきた。テック企業のある関係者はトランプ米政権が発足し、米国と各国との関税交渉が始まったことで「EUは制裁金の発表を遅らせた。つまり米テック企業を罰することを貿易戦争の一環としてみている」と話す。
日野自社長「三菱ふそうと統合前向き」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 592文字 PDF有 書誌情報]
日野自動車の小木曽聡社長は24日の決算会見で、三菱ふそうトラック・バスとの経営統合について「最終契約に向けて前向きな話を続けている。統合を一日でも早く実現したい」と述べた。両社は経営統合に最終合意する方向で調整に入っている。
トヨタ自動車と日野自、独ダイムラートラックと三菱ふそうの4社は2023年5月に24年末までの経営統合で基本合意したが、日野自のエンジン認証不正への対応が長期化して協議が滞っていた。認証不正を巡る米当局との今年1月の和解を受けて、小木曽社長は24日、「統合に向けた大きな課題を一つクリアした」と話した。
同日発表した2025年3月期の連結決算は、売上高は前の期比12%増の1兆6972億円、最終損益が2177億円の赤字(前の期は170億円の黒字)だった。製品の値上げや為替の円安が寄与して増収を確保したが、認証関連などの特別損失を2892億円計上した。
財務の健全性を示す自己資本比率は25年3月末に12%と、21年3月末に比べて33ポイント低下した。小木曽社長は「財務は危機的な状況にある」とし、財政基盤を立て直している。2月には本社に隣接する日野工場(東京都日野市)の一部敷地を野村不動産に売却したと発表した。今後も経営統合に向けて保有資産の売却などを進めていく。
26年3月期の連結純利益は200億円、売上高は前期比12%減の1兆5000億円を見込む。
車整備単価30年ぶり上げ 日車協連、東京海上と合意 作業員の待遇改善[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 329文字 PDF有 書誌情報]
日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)は24日、東京海上日動火災保険と整備代金を決める単価の引き上げについて合意したと発表した。日車協連によると、平均18.8%の引き上げで、単価の引き上げは約30年ぶり。整備士の待遇改善で一致し、人手不足に歯止めをかける。
車体整備士は自動車の車体の点検や修理、整備を担う技術者で、事故車両の修理などを手掛ける。整備の代金は自動車保険を提供する損害保険会社から受け取ることが多い。代金は作業ごとに定めた「標準作業時間」に「単価」を掛け合わせて決める。
日車協連は東京海上日動と12.1~27.9%の単価アップで合意した。単価は地域ごとに異なっており、単価の引き上げ率に差がある。人件費分の加算は一律で150円だった。
BYD、日本で軽EV 発表 来年後半投入めざす[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 314文字 PDF有 書誌情報]
中国の電気自動車(EV)大手比亜迪(BYD)の日本法人は24日、日本で軽乗用車を導入すると発表した。日本専用に軽EVを設計し、2026年後半の投入をめざす。軽EVの投入に向け、日本での事業拡大に向けた人材を募るウェブサイトを5月に開設する。
BYDは日本の軽自動車の規格に対応した新たな車台(プラットホーム)を独自に開発した。特定の国に特化した乗用車を造るのは初めて。日本の代表的な軽EVの価格帯である250万円程度を目安に、最安水準での販売を目指す。
軽事業の立ち上げに向け、軽自動車の販売などに詳しい人材を募る。専用ウェブサイトを5月中に立ち上げる。BYDは26年以降にEVトラックでも日本に参入し、その人材も同時に募る。
「AIの父」ヒントン氏反対 オープンAI営利企業化[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 261文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】2024年にノーベル物理学賞を受賞した人工知能(AI)開発の権威、カナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン名誉教授が、米オープンAIの営利企業化に反対を表明したことが明らかになった。
ヒントン氏は、オープンAIが営利企業中心の体制になる計画を阻止するよう求める書簡に署名した。
書簡は同社が本社を置く米西部カリフォルニア州と法人登記地の東部デラウェア州の司法長官宛てで、同社の元従業員らがまとめた。
ヒントン氏はAI開発に欠かせない深層学習の基盤技術を考案した「AIの父」として知られる。
あすか製薬ホールディングス 山口惣大氏(新トップ)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 136文字 PDF有 書誌情報]
◇あすか製薬ホールディングス
山口 惣大氏(やまぐち・そうた)08年(平20年)首都大学東京(現東京都立大)院修了、日立製作所入社。21年あすか製薬ホールディングス代表取締役専務、あすか製薬社長。神奈川県出身。41歳
(6月24日社長就任。山口隆社長は代表権のある会長に)
ラサ商事 青井邦夫氏(新トップ)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 99文字 PDF有 書誌情報]
◇ラサ商事
青井 邦夫氏(あおい・くにお)94年(平6年)神奈川大外国語卒。08年ラサ商事入社。19年取締役、24年専務。埼玉県出身。54歳
(6月25日社長就任。井村周一社長は代表権のある会長に)
朝日新聞社(会社人事)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 19ページ 428文字 PDF有 書誌情報]
朝日新聞社人事
(6月9日)退任(常務)金山達也
(6月24日)CEO(業務執行統括)社長角田克▽東京本社代表(コーポレート統括兼コンプライアンス担当)常務岡本順▽常務(取締役西日本統括)大阪本社代表兼文化事業エグゼクティブプロデューサー堀越礼子▽同コミュニケーション事業統括兼出版担当、藤嶋祥二▽同プリントメディア事業統括(執行役員)石井武志▽取締役(常務執行役員)社長室長長谷川玲▽同コーポレート統括兼コンプライアンス担当(同)宮田喜好▽同コンテンツ統括(同)ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長坂尻顕吾▽同事業創出統括(同)穂積貴弘▽監査役、坂井和則▽同、伊藤麻里▽顧問(取締役)小田桐則雄▽退任(同)宍道学▽同(監査役)金子圭子▽同(同)足立直樹▽技術担当(技術統括)常務執行役員林宏和▽常務執行役員(執行役員)田中悦二▽同(同)コーポレート本部長寺光太郎▽同(同)コンテンツ・デジタル戦略室長野村周▽事業戦略室長(事業創出担当)執行役員山川一基
キヤノン、純利益下振れ、今期、米関税影響340億円[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1160文字 PDF有 書誌情報]
キヤノンは24日、2025年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比2倍強の3330億円になる見通しだと発表した。従来予想から310億円下方修正した。トランプ米政権による関税政策は営業利益ベースで約340億円の下押し要因となる。想定為替レートを円高方向に見直したことも響く。
オンラインで記者会見した田中稔三最高財務責任者(CFO)は「トランプ米政権の関税政策は重荷だが、前期までの構造改革で増収増益は確保する」と説明した。
売上高は3%増の4兆6500億円、営業利益は67%増の4660億円の見通しで、それぞれ860億円、530億円引き下げた。年間の1株配当は前期比5円増の160円とする従来予想を据え置いた。
キヤノンの米国での売上高は全体の3割程度で、米国外で製造して輸入する製品も多い。中国以外の国から輸入する全製品に4月から一律で10%の関税がかかると仮定して関税影響を織り込んだ。関税分は価格転嫁で一部を吸収する方針だが、販売価格上昇により完成品の需要減が見込まれる。
事業別では米国の売上高のうち約6割をしめる「プリンティング」の影響が大きい。米国向けに販売する事務機などの輸出コストが増加する。「イメージング」もデジタルカメラなどの需要に影響が出る。
顧客と固定価格で契約している一部の複合機や医療機器などでは、関税分を価格転嫁しきれない可能性がある。
25年12月期通期の想定為替レートを円高、ドル安方向に見直したことも影響した。1ドル=144円台前半と従来予想から約6円、円高方向に見直した。海外収益の円換算額が目減りするなどで、営業利益ベースで従来予想に比べて190億円のマイナス要因になる。
一方で関税と為替の影響を除けば従来予想に大きな変更はない。前期まで海外の販売会社での人員削減などを進めたため、利益が出やすい体質になっている。米関税の影響を受けない国内や欧州などではカメラなどの販売は堅調に推移する見通しだ。田中CFOは「人員の適正化など構造改革が寄与する」と話す。
同日発表した25年1~3月期の連結決算は売上高が前年同期比7%増の1兆583億円、純利益は20%増の722億円だった。この期間としては18年ぶりに過去最高を更新した。監視カメラや商業印刷機の販売が堅調だった。生成AIの普及に伴い、半導体露光装置の販売も増えた。
決算発表を受けた24日夕の時間外取引で、株価は一時、同日の東証終値比3%安の4175円を付ける場面があった。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「関税が業績に与える影響を示せない企業が多い中、早期に外部環境の不確実性を織り込んだことは評価できる」と話す。一方で「市場はトランプ政権の政策をまだ見極めている段階で上値が重い展開は続くだろう」とみる。
富士通、純利益77%増、今期、10期連続増配も[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 708文字 PDF有 書誌情報]
富士通は24日、2026年3月期の連結純利益(国際会計基準)が継続事業ベースで前期比77%増の3900億円になる見通しだと発表した。年間配当は年30円と、前期から2円増やすほか、1700億円を上限とする自社株買いも実施する。今期を最終年度とする3年間の中期経営計画を踏まえ、株主還元を実施する。
売上高にあたる売上収益は3%減の3兆4500億円、営業利益は36%増の3600億円を見込む。ネットワークビジネスの需要低調などから減収となる。デジタルトランスフォーメーション(DX)やシステム刷新の需要から国内のITサービス事業が伸びるほか、採算性も向上する。25年1~3月期から電子部品などを扱うデバイスソリューションを非継続事業としている。
年間配当は2円積み増し、10期連続の増配を見込む。あわせて1700億円を上限とする自社株買いも実施する。発行済み株式(自己株式を除く)の6・75%にあたる1億2000万株を上限に買い付ける。買い付け期間は5月1日~26年3月31日。
配当総額と自社株買いをあわせた総還元額は2224億円で、総還元性向は57%となる。同社は中期経営計画で株主還元として合計6000億円を計画している。25年3月期までの総還元額は3820億円で、計画を達成する見込みだ。
同日発表した25年3月期の連結決算は継続事業ベースで売上収益が前の期比2%増の3兆5501億円、純利益が14%減の2198億円だった。
同日、ネットワーク事業に関する新会社を会社分割により7月1日に設立することも発表した。基地局装置を中心とする通信機器のハードウエア、ソフトウエアを扱い、研究開発から運用保守までを担う。
コニカミノルタ、最終赤字380億円、前期、構造改革費を計上[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 647文字 PDF有 書誌情報]
コニカミノルタは24日、2025年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が380億円の赤字(前の期は45億円の黒字)になったと発表した。従来予想はゼロ。人員削減にともなう費用増や情報機器事業の減損損失といった構造改革費用などが響いた。同日、26年3月期の最終黒字転換と2年ぶり復配を目指す方針も示した。米関税影響は160億円とした。
25年3月期の連結売上高(継続事業ベース)は前の期比2%増の1兆1250億円。減損は中国のヘルスケア事業やフランスの産業印刷事業などで計220億円を計上した。
26年3月期予想は中期経営計画の進捗状況の説明のなかで示した。売上高は前期推定比7%減の1兆500億円、営業損益は480億円の黒字(前期推定は530億円の赤字)、最終損益は240億円の黒字を見込む。年間配当は10円とし、2年ぶりの復配を目指す。
同社は26年3月期に追加の人員削減は実施しないとしている。大幸利充社長兼最高経営責任者(CEO)は24日の説明会で「事業の選択と集中は完遂した。25年度はさらなるのれんの減損など一過性の損失は発生しない」と強調した。
トランプ米政権の相互関税は事業貢献利益に約160億円の減益要因になると試算した。米国に輸出するオフィスプリンターなどの需要減や輸出コストの増加を見込む。一方で今後の米中の交渉次第では関税率や品目などの前提条件が変わるため、業績予想には織り込まなかった。関税影響額は製品構成の見直しや工場の生産性改善によるコスト削減などで吸収する考えだ。
味の素、前期一転減益、純利益14%減海外で減損計上[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 477文字 PDF有 書誌情報]
味の素は24日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比14%減の749億円だったと発表した。9%増の950億円を見込んでいた従来予想から一転、減益となった。米国で医薬品の充を手掛ける味の素アルテアの株式譲渡に伴い、のれんや有形固定資産の減損損失を298億円計上したのが響く。
売上高と本業のもうけを示す事業利益は従来の会社計画を据え置いた。25年3月期の決算発表は5月8日を予定している。
アルテアは医薬品を容器に無菌状態で充する事業を手掛けている。新型コロナウイルスの感染拡大が一服し、顧客のバイオベンチャーの資金流動性が低下。受注減少などが響き、24年3月期の時点で最終損益は3100万ドル(約44億円)の赤字となっていた。作業拠点の老朽化が進んで大型の追加投資が必要だったこともあり、事業継続を見送った。
味の素は31年3月期に向けた経営のロードマップで、医薬品などを手掛けるヘルスケア領域において遺伝子治療薬の開発製造受託(CDMO)などに注力する方針を掲げている。成長領域に経営資源を集中する施策の一環として撤退を決めた。
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 337文字 PDF有 書誌情報]
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
ルネサス純利益 1~3月67%減 市況回復遅れ[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 333文字 PDF有 書誌情報]
ルネサスエレクトロニクスが24日発表した2025年1~3月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比67%減の260億円だった。自動車や産業機器に搭載する半導体の市況回復が遅れており、販売を伸ばせなかった。柴田英利社長は「米国の関税で単価が上がれば販売数量は減る」と述べ、4~6月期の売上高にあたる売上収益予想は5%前後割り引いた数字を出したとした。
ルネサスは次四半期の業績予想では非経常項目を除いた非GAAPベースで開示している。同日発表した25年1~6月期の売上収益見通しは、前年同期比14%減の6107億円前後とした。円高の影響で収益が減る。工場の稼働率を抑えて代理店在庫の削減を進めるが、営業利益率は26・1%と前年同期から5・4ポイント悪化する。
カプコン前期 実質5円増配 新作「モンハン」好調[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 278文字 PDF有 書誌情報]
カプコンは24日、2025年3月期の期末配当について、従来予想から4円積み増し22円にすると発表した。年間配当は40円で、24年4月1日の株式分割を考慮すると前の期から実質5円の増配となる。2月に発売した主力タイトル「モンスターハンター(モンハン)」の新作が好調に推移し、25年3月期の連結業績を上方修正したことを受けて増配する。
25年3月期の連結純利益は前の期比12%増の484億円だった。従来予想から24億円引き上げた。発売から1カ月で1000万本の世界販売本数を記録した「モンハンワイルズ」のほか、利益率の高い旧作ゲームソフトの販売が好調だった。
IIJ、先見えぬCF改善、サイバー攻撃、収益前提に懸念、事業拡大で運転資金重く(記者の目)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1289文字 PDF有 書誌情報]
格安スマホやネットワーク事業を展開するインターネットイニシアティブ(IIJ)が不意打ちを食らった。サイバー攻撃による利用者情報の大規模な漏洩が発生。再発防止や信頼回復に手間取るようであれば、キャッシュフロー(CF、現金収支)の改善という経営課題の解決も遠のきかねない。
不正な外部アクセスで「IIJセキュアMXサービス」の顧客407万件分の情報が漏洩した可能性があるとの15日の発表を受け、株価は一時約8カ月ぶりの安値を付けた。これまでに他社製のソフトウエアに原因があったことが判明し、株価はやや持ち直した。5月13日に発表予定の2025年3月期の連結決算では6期連続の増益を見込んでいただけに、水を差された格好だ。
業績や営業にどのような影響があるかは「現時点では具体的な金額の想定は難しい」(野村証券の増野大作リサーチアナリスト)ものの、懸念は2つある。まず再発防止に向けた対策を徹底する必要があることから、人員を含めて一定のコスト増を余儀なくされる可能性。さらに今後の展開にもよるものの、長年築き上げてきた顧客との信頼関係やブランド価値へのマイナス影響だ。
収益の前提が狂えば、CFの改善も脅かされる。これまでIIJは好業績の割に営業CFの水準が低かった。営業CFの黒字額が最も多かったのは22年3月期の435億円で、その後は400億円前後で一進一退が続いている。
どうして営業CFが頭打ちとなっているのか。IIJの渡井昭久最高財務責任者(CFO)は「営業規模の拡大に伴って運転資金が増えている」と説明する。24年4~12月期では運転資金の負担増による影響は前年同期比で100億円規模だった。前払い費用の負担が重たくなっている。
主力のシステム開発事業で案件を獲得し、規模を拡大できているのは前向きなことだが、それだけではなく案件自体が大型化・長期化しているのも大きい。例えば直近で獲得した地銀向けのシステム開発・ネットワーク構築案件は受注額が110億円規模で、事業全体の期間は8年間にわたる。
デジタル化の進展で個々の案件が複雑になっている。仕掛かりが複数年度にまたがるプロジェクトも今や珍しくない。開発の遂行に必要なハードウエアなどの仕入れ時点から、収益として計上できるまでの期間が延びた分、在庫などの運転資金が先行して膨らみやすくなる。
まだあと数年は過渡期が続き営業CFを圧迫しそうだ。もっともプロジェクトが一巡し、現状の規模が当たり前の状態として定着すれば、運転資金もやがては落ち着く公算が大きい。その段階では順調に利益が伸びてさえいれば、営業CFも拡大しやすい環境が整ってくる。
近年のIIJの業績はデジタル化を追い風に順調に拡大していた。2025年3月期推定の売上高にあたる売上収益は3120億円、純利益は206億円と6年連続での増益を見込む。
「運転資金負担が平準化したあとにキャッシュフローが拡大」というシナリオが揺らぐことはないのか。問題はサイバー攻撃への技術的な対処にとどまらない。株価はやや持ち直したとはいえ、しばらくは注意が必要だ。(桜木浩己)
大買収時代当事者に聞く 「守るべき技術、企業と議論」、経産省 藤木産政局長 株主共同の利益が原則(資本騒乱)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1091文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省はM&A(合併・買収)を活性化する旗振り役を担ってきた。国内では「同意なき買収」の提案が増え、世界では投資管理政策に保護主義の色合いが強まる。経産省の藤木俊光経済産業政策局長にM&Aと経済安全保障のバランスを聞いた。
――経産省が2023年に策定した「企業買収における行動指針」はM&Aに大きな影響を与えています。一方、ファンドによる価格のつり上げ合戦も起きました。
「買収価格だけでなく、買収によってどう企業価値が高められるのかを議論し、望ましい買収かどうかの判断材料にすることが重要だ。指針でも、企業価値が高まり株主共同の利益にもなるかを原則として示している。値段のつり上げが起こっているとすると、趣旨としては残念ながら違う」
――海外からの買収も増える見通しです。米政府が日本製鉄に買収の中止命令を出すなど、投資管理政策に保護主義の高まりがみられます。
「対内直接投資が少ないのは間違いない。資本やノウハウ、技術、知恵が入ってくることで日本経済が活性化する可能性は高い。もっとオープンな国であるべきだし、海外の人やマネーに日本に関心を持ってもらうことは必要だ」
「経済安全保障の観点でなにをどう守るかが難しい世の中になってきたのも事実だ。(外為法の事前審査の)リストに書いていなければいいというのでは律しきれない。技術を持つ企業と政府との間で国益として何を守るかという相互理解を深める管理のあり方がいる」
――長期の目線で経営を判断してくれる投資家の層は十分でしょうか。
「投資家もあらかじめ長期や短期と決めているわけでは必ずしもない。会社が5年かける価値創造のストーリーを語った時、納得するならしっかり協力する。そうではないなら別の提案をする。多くの投資家はそうだ」
「一方、1年や半年のリターンを重視する株主も当然いる。日本でペイシェントな(忍耐強い)足の長い投資家がもう少しいたらいいというのは私もよく耳にする議論だ。海外に比べると規模が小さい。日本でも育っていくよう、我々もどう支援できるかを考えていかなければいけない」
――コーポレートガバナンス(企業統治)改革が始まり10年たちました。
「日本企業が成長投資を増やし日本経済を活性化する状況には至っていない。企業に投資家との対話を促したが、短期思考の株主とのやりとりに振り回されているという話も聞く。ガバナンスなど様々な仕組みの中心に成長戦略を据えたシステムを考えるべき時期だろう」(聞き手は石橋茉莉)
ふじき・としみつ 88年(昭63年)東大法卒、旧通産省へ。22年官房長を経て24年から現職。
<数表>財務短信[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 336文字 PDF有 書誌情報]
東海理化(6995)
自己株式消却=500万株(5月30日予定)
大日本印刷(7912)
第7回無担保社債(サステナビリティ・リンク・ボンド)400億円▽償還期限=2030年5月1日▽利率=1.253%
第8回無担保社債(同)200億円▽償還期限=2032年4月30日▽利率=1.474%
第7回・第8回目標未達時=寄付または排出権購入(発行額の最大0.1%相当)
第9回無担保社債400億円▽償還期限=2035年5月1日▽利率=1.923%
第7回~第9回債の申込日=4月24日▽払込日=5月1日▽発行価格=100円
スターツプロシード投資法人(8979)
自己投資口消却=1万62口(4月30日予定)
大阪ガス(9532)
自己株式消却=622万3500株(5月16日予定)
小糸製、52%減益 今期最終(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 172文字 PDF有 書誌情報]
小糸製作所は24日、2026年3月期の連結純利益が前期比52%減の220億円となる見通しだと発表した。自動車照明の工場や運転支援に使うセンサーの投資がかさむうえ、円高も重荷になる。トランプ米政権による関税政策の影響は織り込まなかった。経営トップの報酬額を決める指標に株価上昇率や配当額を踏まえた株主総利回り(TSR)を採用することも発表した。
しまむら株主提案反対 ファンドが還元拡充要求(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 171文字 PDF有 書誌情報]
しまむらは24日、5月に開かれる定時株主総会で、株主還元の拡充を求めたマネックス系の投資ファンドのマネックス・アクティビスト・マザーファンド(MAMF)による株主提案に反対すると発表した。24日に公表した株主総会の招集通知に「反対」と記載した。しまむらは「中長期的な経営課題の達成や安定した株主還元を困難にする懸念を生じさせる」としている。
アマノ、4期連続最高益 自社株買いも発表(短信)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
アマノは24日、2026年3月期の連結純利益が前期比1%増の180億円になる見通しだと発表した。4期連続で過去最高を更新し、事前の市場予想(QUICKコンセンサス)を4%上回る。働き方改革などを背景に、就業管理システムが好調に推移する。同社として最大の40億円を上限とする自社株買いも発表した。
丸千代山岡家、アマノ、富士通、チヨダ(自社株取得枠設定)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
丸千代山岡家 5万5000株、2億円
アマノ 90万株、40億円
富士通 1億2000万株、1700億円
チヨダ 190万株、15億円
大日本印刷(7912)(格付け)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
大日本印刷(7912)
第7回~第9回無担保社債=AAマイナス(R&I)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 20ページ 4613文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 23日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
GMOインタ 39 0 621 △93
ぷらっと 0 0 1094 ▲10
ベースフード 421 0 18400 ▲18
ゼンムテック 3 △2 165 ▲2
スターシーズ 0 0 987 0
インタートレ 156 ▲1 1179 ▲23
サイトリ細研 0 0 1892 0
ネクスウェア 79 △75 1643 △337
トミタ電機 0 0 241 ▲2
HSHD 4 0 8856 △1
ReYuu 0 0 1332 ▲5
イオレ 1 0 260 △4
Schoo 0 0 2977 △90
Syns 0 0 1647 ▲4
ファンデリー 299 ▲12 519 △7
イントランス 0 0 8419 △39
BASE 289 ▲1 22989 ▲9
テクノロジー 0 0 4332 △17
アップバンク 0 0 2539 ▲77
BCC 0 0 217 △4
グロームHD 0 0 2385 0
売れるG 19 ― 429 ―
ピクセル 288 0 5887 ▲12
LIEH 0 0 566 0
ウイルコHD 0 0 489 ▲4
アクアライン 0 0 44 0
タマホーム 824 0 331 ▲10
柿安本店 468 △41 65 △4
BEENOS 7 0 3 0
CRE 0 0 2 ▲4
プロト 0 0 0 ▲1
ドリームI 17 0 175 ▲3
ヨータイ 23 0 179 △4
パイオラック 21 0 25 0
牧野フ 4 0 64 ▲1
ヤーマン 949 ▲1 290 ▲11
富士通ゼ 5 0 131 ▲13
ジャムコ 8 0 14 0
トプコン 123 ▲7 514 ▲10
天馬 0 0 18 △2
トナミHD 0 0 15 ▲3
内外トランス 0 0 6 △1
イオンディラ 2 0 4 △3
イメージワン 456 ▲18 1604 ▲25
PバンCOM 6 0 340 △2
アズジェント 755 △751 297 △218
Eストアー 0 0 7 0
HEROZ 292 0 221 ▲8
オートサーバ 0 0 57 ▲1
全保連 0 0 339 △3
AIメカ 79 0 395 ▲7
インスペック 25 0 280 ▲1
ナカヨ 0 0 9 △6
芝浦電子 0 0 331 △17
NEWART 0 0 29 0
アールシー 6 0 65 △5
MUTOH 1 0 119 0
丸藤パ 0 0 43 0
広電鉄 3 0 55 △1
ユーラシア 0 0 67 ▲11
グリンランド 0 0 19 0
シャルレ 117 0 271 ▲7
アルテック 1 0 2457 ▲1
ヴレインS 153 ▲1 440 ▲2
ジェネパ 19 0 355 ▲3
フィスコ 244 ▲7 3638 △414
エコモット 11 △6 343 ▲8
WACUL 9 0 88 ▲6
カオナビ 0 0 4 0
※ 野村4百Dイ 3544 ▲2293 8842 ▲2961
※ 野村高配70 43 0 3212 ▲485
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 520 △50
※ SMT好配当 0 0 2200 0
※ SMD高配当 0 0 2420 ▲500
※ GXオフ日R 0 0 46 △15
※ GX住宅日R 0 0 2302 0
※ iS米25ヘ 140 0 602310 ▲24380
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ SBIサウジ 0 0 1766 ▲56
※ 野村ESGコ 0 0 880 ▲10
※ 野村欧州株H 0 0 25320 ▲150
※ 野村独株H有 10 0 596780 ▲8330
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 0 245810 ▲43250
※ 野村米半導 0 0 2533 △1975
※ iF高配50 2025 0 2237 △173
※ GXSPCF 0 0 5527 ▲911
※ 阪急阪神R 573 0 553 △111
世紀東急 351 0 192 ▲3
アイケイケイ 360 △59 80 ▲1
くら寿司 561 △85 268 ▲13
Rフィールド 827 △43 76 ▲5
オイシックス 146 △24 387 ▲47
日本調剤 813 △111 224 △6
Jテック・C 9 0 207 0
ケイアイ不 48 ▲1 66 0
グッドコムA 704 ▲117 503 ▲27
SMINOE 13 △6 60 △5
力の源HD 285 0 294 △4
さくらネット 1919 △28 2816 ▲19
フリービット 585 △29 503 0
gumi 495 △4 3763 ▲11
フジHD 7098 ▲233 7973 ▲630
ACCESS 815 ▲31 1708 ▲11
小林製薬 97 0 276 ▲10
エニーカラー 207 ▲1 581 ▲11
千葉興 62 ▲12 1493 ▲4
神電鉄 24 0 9 0
サンウェルズ 2110 △6 1476 ▲42
JESCO 2 0 222 0
佐田建 24 0 1256 ▲3
植木組 0 0 51 0
三晃金 0 0 92 ▲1
焼肉坂井HD 11 △5 227 ▲1
パレモ・HD 39 ▲4 1302 △3
OCHIHD 8 0 12 0
菊池製作 148 △7 253 ▲1
マツオカ 11 0 642 0
enish 570 ▲8 2621 △188
片倉コープ 16 0 160 △1
SIGG 0 0 214 0
わかもと 226 △24 1267 ▲42
秀英 6 ▲2 69 0
富士興 1 0 40 0
日山村硝 3 0 240 0
ノザワ 0 0 202 0
大阪製鉄 1405 0 1733 0
虹技 1 0 79 △1
アルメタクス 5 0 268 0
洋シャタ 0 0 146 0
デザインワン 72 △60 901 ▲104
土木管理 15 0 358 △2
油研工 0 0 64 0
ディスラプタ 6 0 510 ▲2
サクサ 1 0 165 △2
星和電 0 0 126 0
池上通 6 0 179 0
沢藤電 0 0 109 ▲1
大黒屋 3791 △2130 9262 △346
upr 11 0 162 0
近畿車 0 0 57 0
あんしん保証 19 △2 402 ▲3
日本モゲジS 6 0 606 △1
河西工 116 △23 1354 ▲22
エコーTD 1 0 266 ▲1
パリミキHD 15 0 147 △2
マックハウス 115 △9 144 △5
テイツー 4187 △372 8420 ▲115
京都友禅HD 156 ▲145 1082 △34
黒田精 8 0 78 0
岡本硝子 124 △2 1744 △15
タカノ 1 0 81 0
ホクシン 73 ▲1 913 ▲12
ナイガイ 18 0 291 0
OUGHD 1 0 26 0
トルク 20 △1 321 ▲2
オリンピック 0 0 92 0
東北銀 0 0 45 ▲1
富山銀 25 0 62 0
福島銀 158 0 1223 △101
太平発 3 0 156 0
明和地所 12 0 75 △2
ファースト住 114 △28 141 △3
東陽倉 0 0 85 0
乾汽船 69 ▲4 219 ▲1
ワイヤレスG 25 ▲10 431 0
テアトル 17 0 19 0
日邦産業 8 0 147 0
ショクブン 4 0 86 △1
MRKHLD 99 ▲265 1090 △71
やまや 3 0 3 0
タイミー 1484 △65 2297 ▲207
サンクゼール 69 ▲2 56 ▲1
すららネット 6 0 231 0
T&S・G 83 0 242 △2
プレイド 247 ▲5 2853 ▲38
エーアイ 1 0 244 △4
Kudan 223 △5 644 ▲4
スマレジ 242 ▲10 130 ▲7
ミンカブ 334 ▲1 1058 ▲4
OTS 2386 ▲69 10178 △30
Pアンチエイ 81 0 216 △6
FIXER 256 0 399 △1
弁護士COM 200 △6 294 △3
MRT 1 0 101 0
レントラクス 5 0 339 △1
エヌピーシー 594 △44 1860 ▲48
アスタリスク 112 0 422 △2
WASHハウ 42 △2 235 ▲2
PSS 227 ▲9 977 △3
J・TEC 262 ▲172 630 ▲3
マイクロ波 456 0 858 ▲3
日経300投信 1 0 7 0
※ SPDR金 170 ▲1862 3270 △236
※ 野村金連動 9810 △4150 120700 △8850
※ 日経2倍 3812 △697 37537 ▲3016
※ 日興高配低ボ 0 0 7 ▲1
※ 日興米債ヘ有 30 0 4869 ▲10
※ One高配当 56 ▲13 7532 △1752
※ スタンダ20 50 ▲80 1130 ▲40
※ H株ベア 190 △20 25500 ▲2240
※ WTI原油 51403 △14354 170230 ▲24305
※ 日興外債毎月 10 0 130 ▲20
※ GX印10+ 130 ▲15 51925 ▲3176
※ iSインド株
6700 1037250
△6000 △2430
※ GXホリ日R 0 ▲100 14750 △4
※ iF高リート 0 0 14238 0
※ MXダウヘ有 1640 △20 5840 ▲1270
※ GXウラン 50 △50 24079 △29
※ iS米20 13350 △6050 612310 ▲32660
※ iS仏国債H 0 0 1910 ▲90
※ GX高配30 20 △5 13724 ▲611
※ iS日本国債 1254 0 2748 ▲125
※ MXナスダク 9159 △381 38166 ▲1003
※ GXリー日株 5 ▲175 1991 △172
※ iFEナ百無 8134 ▲9184 167758 △6765
※ iFEナ百有 45 △16 63044 ▲1272
※ 野村ナスH有 31580 ▲58100 124060 △1020
※ GX銀行高配 254 ▲5898 53775 △1047
ファナック「業績未定」も株高、関税で米が譲歩 投資家心理和らぐ[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1061文字 PDF有 書誌情報]
24日の東京株式市場で日経平均株価は続伸した。トランプ米政権が関税などの国際交渉で譲歩姿勢を示し、投資家心理が和らいだ。前日に業績予想を「未定」としたファナックの上昇がその象徴といえる。
ファナックは前日に2026年3月期の連結業績見通しを「未定」と発表したが、この日は一時5%高の3677円まで買われた。株式市場では新型コロナウイルス禍初期の経験則から「業績予想の未定は売り材料」との見方が多かった。今回、ファナックが上昇したのは大きく3つの要因がある。
1つ目はファナックが「期初時点では低めの予想を出し、四半期ごとに上方修正を繰り返すことが知られている」(生保運用担当者)ことだ。
仮に見通しを出していたら極めて悲観的なものとなっていた可能性があり、むしろ「出さないことがポジティブ」と捉えられたという。同社が期初時点で通期予想を出さないのは2000年以降で今回を含めて7回ある。「予想未定」がネガティブに受け取られにくかった可能性もある。
2つ目は米中デタント(雪解け)がこの日の市場の主旋律となっていたことだ。米ウォール・ストリート・ジャーナルは23日、政権高官の話として「中国に対する追加関税を現行の145%から50~65%程度に引き下げることを含め複数の案が検討されている」と伝えた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは「ファナックは『中国どまんなか銘柄』。きょうの株価反応は交渉の余地はあり、対立は和らぐとの市場の期待を映している」と指摘した。
3つ目はこれまでの相場急落で投資家の買い意欲が低下し、決算結果を先読みした取引が膨らんでいなかったことだ。「プレポジション(事前の持ち高構築)がなく、売る人がいなかった」と大手証券の機関投資家営業責任者は話す。
ファナックは主要3月期企業の決算開示では先頭集団の1社だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は「先に決算発表した企業の株価反応は他の企業も参考にする。通期予想を『未定』とする企業が増えてしまわないか心配だ」と話す。かんぽ生命の岩原央門市場運用部課長も「4月下旬から5月にかけてはガイダンスリスクから相場が押し下げられるとの見通しは変えていない」という。
この日は売られてきた銘柄が買われ、買われてきた銘柄が売られる「リバーサル」の動きが顕著だった。トヨタ自動車や東京エレクトロンが前日比一時5%高まで上昇するなど、トランプ関税や円高進行が業績の重荷になる主力輸出株が軒並み買われた。
国内勢、外債買い越し、7週ぶり、2237億円、米国債の割安さ好感[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 671文字 PDF有 書誌情報]
財務省が24日に公表した対外・対内証券売買契約等の状況によると、国内投資家は13~19日に海外中長期債を2237億円買い越した。買い越しに転じたのは7週ぶり。「米国債離れ」への懸念が一旦後退したことで割安さを好感した買いが入ったとの見方がある。
前週はトランプ米政権の通商政策が世界経済を減速させかねないとの不安感から、米長期金利は11日に一時4・5%台後半と約2カ月ぶりの高水準まで上昇していた。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「米国債の割安感に加え、金利の一段高を予想する見方が後退したことにより、買いが小規模に入った」と分析する。
外国為替市場での円高・ドル安進行も外債買いを後押しした。日米関税交渉を控えて米国側から円安是正を要求されるとの観測が高まっていた。
4月13~19日の対外・対内証券投資
(単位億円、指定報告機関ベース)
買い入れ 売却 差額
▽対外証券投資
株 式 21,699 15,595 6,104
中長期債 60,319 58,082 2,237
小 計 8,341
短 期 債 8,865 6,173 2,692
合 計 11,033
▽対内証券投資
株 式 178,678 171,622 7,056
中長期債 69,383 59,376 10,007
小 計 17,062
短 期 債 56,113 39,787 16,327
合 計 33,389
東証、ファンデリー株、ネクスウェア株の信用取引に関する臨時措置[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 142文字 PDF有 書誌情報]
東証、ファンデリー株、ネクスウェア株の信用取引に関する臨時措置 委託保証金率を25日売買分から50%以上(うち現金20%以上)とする。日証金も同日以降、貸借取引自己取引分および非清算参加者ごとの清算取次貸借取引自己取引分にかかる貸借担保金率を現行30%から50%(同20%)とする。
日証金、東建コーポ株、アイケイケイ株、くら寿司株、ココペリ株、ココナラ株、WASHハウ株、他の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 132文字 PDF有 書誌情報]
日証金、東建コーポ株、アイケイケイ株、くら寿司株、ココペリ株、ココナラ株、WASHハウ株、ファースト住株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。25日約定分から。
東証、東証REIT Core ETF受益証券を制度信用銘柄および貸借銘柄に選定[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 102文字 PDF有 書誌情報]
東証、東証REIT Core ETF受益証券を制度信用銘柄および貸借銘柄に選定 5月12日売買分から。日証金も同日約定分から貸借銘柄に、5月14日(受け入れ日)から貸借担保金代用有価証券適格銘柄に追加。
東証、Lクリエイト株を制度信用銘柄に選定[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 81文字 PDF有 書誌情報]
東証、Lクリエイト株を制度信用銘柄に選定 25日売買分から。日証金も同日約定分から貸借融資銘柄に、30日(受け入れ日)から貸借担保金代用有価証券適格銘柄に追加。
東証、シンニッタン株の制度信用銘柄の選定取り消し[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 69文字 PDF有 書誌情報]
東証、シンニッタン株の制度信用銘柄の選定取り消し 25日付。日証金も同日付で貸借融資銘柄と貸借担保金代用有価証券適格銘柄の選定取り消し。
日証金、テンポスHD株、サツドラHD株、ギフトHD株の貸借取引で注意喚起[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
日証金、テンポスHD株、サツドラHD株、ギフトHD株の貸借取引で注意喚起 貸株利用などで。24日付。
銘柄管理情報=整理銘柄に指定[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
▽整理銘柄に指定=〔東証スタンダード〕シンニッタンは4月24日(上場廃止は5月26日)
24日の相場表変更[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
▽新規上場=〔東証グロース〕LIFE CREATE(Lクリエイト、サービス)
東証、アズジェント株を日々公表銘柄に指定[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
東証、アズジェント株を日々公表銘柄に指定 25日から。
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 2838文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
カワチ薬品(2664) 6.11
24.3 2859 8609 4713 211.0 80.0
25.3 2878 8340 4884 218.7 80.0
26.3予 2920 8700 4900 219.4 80.0
トーメンデバイス(2737) 6.26
24.3 3706 6203 2096 308.2 200.0
25.3 4216 7377 5588 821.7 300.0
26.3予 4000 6500 4800 705.8 260.0
野村不動産ホールディングス(3231) 6.26
24.3 7347 98248 68164 392.3 140.0
25.3 7576 106740 74835 433.9 170.0
26.3予 9400 108000 75000 87.3 36.0
ホギメディカル(3593) 6.20
24.3 391 4245 2804 115.6 80.0
25.3 391 3645 1520 68.0 80.0
26.3予 417 4430 3020 140.1 95.0
ニッポン高度紙工業(3891) 6.19
24.3 148 2021 1479 139.0 50.0
25.3 160 2445 1781 167.6 60.0
26.3予 166 2600 1850 175.6 70.0
野村総合研究所(4307)国際基準 6.20
24.3 7365 117224 79643 136.9 53.0
25.3 7648 134161 93762 163.6 63.0
26.3予 8100 151000 104000 181.8 74.0
SBIグローバルアセットマネジメント(4765) 6.18
24.3 101 2510 1589 17.7 21.5
25.3 115 2565 1646 18.4 22.0
石塚硝子(5204) 6.17
24.3 578 5362 4707 1129.2 60.0
25.3 559 3713 3088 739.1 65.0
26.3予 600 3500 2350 561.6 65.0
中央発条(5992) 6.19
24.3 1009 3093 1990 78.8 20.0
25.3 1101 5148 1855 73.5 記40.0
26.3予 1100 3000 1900 75.3 40.0
アマノ(6436) 6.27
24.3 1528 20855 13141 182.5 135.0
25.3 1754 24642 17828 249.9 175.0
26.3予 1800 26000 18000 252.5 180.0
大豊工業(6470) 6.19
24.3 1120 3236 1747 60.6 20.0
25.3 1127 910 ▲4187 ― 20.0
26.3予 1170 2300 1100 38.9 20.0
ニデック(6594)国際基準 6.20
24.3 23471 201669 124455 216.6 75.0
25.3 26070 236528 167688 146.0 60.0
26.3予 26000 270000 200000 174.5 42.5
富士通(6702)国際基準 6.23
24.3 34769 165610 254478 1355.9 260.0
25.3 35501 273445 219807 120.9 28.0
スタンレー電気(6923) 6.25
24.3 4723 48064 26497 162.4 55.0
25.3 5095 55454 32058 205.7 72.0
新光電気工業(6967)
24.3 2099 27257 18609 137.7 25.0
25.3 2150 25125 17875 132.3 0
東海理化(6995) 6.13
24.3 6235 39592 24850 276.8 記75.0
25.3 6176 34479 27808 328.3 95.0
26.3予 5800 20000 14000 164.6 95.0
日野自動車(7205) 6.26
24.3 15162 ▲9233 17087 29.8 0
25.3 16972 39310 ▲217753 ― 0
フタバ産業(7241) 6.20
24.3 7958 18489 12831 143.4 35.0
25.3 7071 13281 6208 69.4 記38.0
26.3予 6800 16000 12000 134.1 40.0
小糸製作所(7276) 6.27
24.3 9502 63265 40879 130.9 53.0
25.3 9167 49147 46240 156.5 56.0
26.3予 8680 43000 22000 77.5 56.0
エクセディ(7278)国際基準 6.25
24.3 3083 ▲13274 ▲10023 ― 120.0
25.3 3095 20405 12744 304.1 250.0
26.3予 2850 18000 12000 328.6 250.0
愛三工業(7283) 6.13
24.3 3143 17201 11744 187.6 55.0
25.3 3372 19292 13234 211.9 68.0
26.3予 3100 18000 12000 210.5 75.0
未来工業(7931) 6.17
24.3 440 7477 5116 304.5 150.0
25.3 451 7067 4833 299.6 150.0
26.3予 469 6283 4241 262.7 130.0
信越ポリマー(7970) 6.24
24.3 1043 11530 8674 107.3 46.0
25.3 1105 13218 9430 117.0 52.0
メタウォーター(9551) 6.24
24.3 1655 10490 6875 157.7 46.0
25.3 1790 9951 6852 157.1 50.0
26.3予 2000 10900 7500 171.9 56.0
■植松商会(9914) 6.19
24.3 72 167 112 49.3 30.0
25.3 63 141 86 38.4 記32.5
26.3予 68 150 103 45.9 32.5
ジェコス(9991) 6.19
24.3 1281 6602 4455 131.8 40.0
25.3 1115 6794 4543 134.8 54.0
26.3予 1110 7000 4800 142.7 57.0
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1941文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
石油資源開発(1662)
25.3 3890 64221 81153
1株配(円) 24.10-25.3予=30.0〓25.3予=155.0 (24.3=300.0)
※24.10.1付で1:5分割
松井建設(1810)
25.3 992 3800 2700
四電工(1939)
25.3 1058 8530 5170
1株配(円) 24.10-25.3予=35.0〓25.3予=125.0 (24.3=140.0)
※24.10.1付で1:3分割
北浜キャピタルパートナーズ(2134)
25.3 7 ▲607 ▲823
クロスキャット(2307)
1株配(円) 25.3予=33.0 (24.3=28.0)
かどや製油(2612)
25.3 394 3390 2350
1株配(円)〓25.3予=100.0 (24.3=100.0)
味の素(2802)
25.3 ★ ― 74900
オーミケンシ(3111)
25.3 34 ★ 330
1株配(円) 25.3予=0 (24.3=0)
テクノフレックス(3449)
25.1-6 119 1500 1000
■LIFE CREATE(352A)
25.3 84 841 593
1株配(円) 25.3予=0 (24.3=0)
※25.2.1付で1:3分割
PCIホールディングス(3918)
◆25.3 132 697 489
キャピタル・アセット・プランニング(3965)
24.10-25.3 47 380 260
■細谷火工(4274)
25.3 20 297 219
1株配(円) 25.3予=17.0 (24.3=10.0)
ハイマックス(4299)
25.3 180 1820 1290
1株配(円) 25.3予=45.0 (24.3=43.5)
ブロードメディア(4347)
25.3 155 719 335
塩野義製薬(4507)
1株配(円) 24.10-25.3予=33.0〓25.3予=118.0 (24.3=160.0)
※24.10.1付で1:3分割
コニカミノルタ(4902)
25.3 11250 ― ▲38000
マンダム(4917)
25.3 761 2180 1860
日本興業(5279)
25.3 147 640 390
1株配(円) 25.3予=40.0 (24.3=30.0)
横河ブリッジホールディングス(5911)
25.3 1593 16200 12800
不二サッシ(5940)
25.3 1040 2700 2100
1株配(円) 25.3予=25.0 (24.3=2.0)
※24.10.1付で10:1併合
中国工業(5974)
25.3 138 500 370
冨士ダイス(6167)
25.3 165 570 370
インソース(6200)
24.10-25.3 70 2950 1960
25.9 146 6000 4050
ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)
25.3 555 140 3450
月島ホールディングス(6332)
25.3 1392 10200 6600
1株配(円) 25.3予=78.0 (24.3=42.0)
大井電気(6822)
25.3 290 1430 1050
日産自動車(7201)
25.3 126000 ― ▲750000~▲700000
1株配(円) 25.3予=0 (24.3=20.0)
オータケ(7434)
1株配(円) 25.5予=37.0 (24.5=35.0)
クボテック(7709)
25.3 16 ▲127 ▲201
アビックス(7836)
25.3 43 244 177
東リ(7971)
25.3 1057 4650 3500
1株配(円) 25.3予=21.0 (24.3=19.0)
■スターツプロシード投資法人(8979)
25.10 35 ★ ★
1口分配(円)〓25.4予=5164.0 25.10予=4564.0
誠建設工業(8995)
25.3 32 13 45
北海道電力(9509)
25.3 9020 64000 64000
カプコン(9697)
25.3 1696 65600 48400
1株配(円) 25.3予=40.0 (24.3=70.0)
※24.4.1付で1:2分割
日本空港ビルデング(9706)
25.3 2699 35700 27500
REIT改革「黒船」が裏目、スポンサーの買いが増加、尽きぬ利益相反の懸念(ポジション)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1857文字 PDF有 書誌情報]
シンガポールの投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズが年明け以降、2つの不動産投資信託(REIT)に仕掛けたTOB(公開買い付け)は、いずれも不成立に終わった。発表当初こそ、割安なREIT市場に新風をもたらす「黒船」の到来だと市場関係者は色めきたったが、むしろREITの防衛意識が浮き彫りになる結果となった。
3Dは1月28日にNTT都市開発リート投資法人、2月13日に阪急阪神リート投資法人へのTOBを相次ぎ発表した。買い付けの目的は「純投資」とした上で、TOB価格には発表直前の投資口価格に6~7%のプレミアム(上乗せ幅)をつけた。
発表後に投資口価格は急騰し、期間中はいずれのREITも買い付け価格を上回る日が続いた。既存の投資主としてはTOBに応募するよりも市場で売った方が有利だったため、応募口数は買い付け予定数の下限に届かず、NTT都市Rは3月、阪急阪神Rは4月に最終的に不成立となった。
主因は3Dが設定した買い付け価格にある。TOBのプレミアムは3~5割程度が相場とされており、市場参加者には物足りないと映った。
だが隠れた理由として指摘されるのが、REITに対して運用や物件供給で支援するスポンサー、いわば「親会社」の動きだ。
NTT都市RのスポンサーであるNTT都市開発が4月21日付で関東財務局に提出した大量保有報告書によると、TOB期間中の2月21日~3月21日の間に1日の投資口の売買高の2割前後を市場で取得していた。TOBが不成立となった後も取得を続けており、2024年10月期末時点で4%だった保有比率は6%にまで高まっている。
スポンサーが保有比率を高めて投資家と「セイムボート(同じ船)」に乗り、利害を一致させるというのはREIT業界では広く浸透した考え方だ。
ただ、みずほ証券の大畠陽介シニアアナリストは「スポンサーが持ち分を増やしても投資家にとっては必ずしも合理的な運用方針につながるとは限らない」と指摘する。
どういうことか。日本の上場REITは「外部運用」と呼ばれる仕組みを採用している。REITそのものは物件を保有する「箱」に過ぎず、実際の運用は別の資産運用会社が担う。スポンサーは資産運用会社を通じて運用報酬が入る。つまり、箱からの値上がり益や分配金収入を目的とする純投資の投資家と、それにさらに運用報酬が上乗せされるスポンサーでは前提とする期待リターンが異なる。同じ船ではないというわけだ。
もうひとつのTOBの対象である阪急阪神R。こちらのスポンサーである阪急阪神不動産もTOB期間中の3月19日に投資口の追加取得を発表している。26年3月19日までを取得期間とし、保有比率は取得前の3%超から最大14・90%となる見込みだ。あわせて大規模な物件入れ替えも公表し、スポンサーとの「共生」を強く打ち出した。
市場では、スポンサー企業が実質的に買収を防衛しようとしたのではとの見方が広がった。「取得の上限を示さないままとりあえず買収防衛のために買い出した印象」。ある国内機関投資家の運用担当者はNTT都市Rについてこう話す。「物件入れ替えなどスポンサーが関与を強めるメリットを示さないままでは投資家としても疑心暗鬼にならざるを得ず買いづらい」と明かす。
投資口取得についてNTT都市開発は日本経済新聞の取材に対し「TOBへの対応という位置付けではなく、あくまで当社独自の判断によるもの」と強調した。「投資家価値の向上に向けたスポンサーとしてのコミットメントを一層明確化できる」と取得の狙いを説明する。
企業統治改革を背景に、株式市場では親会社と子会社がともに上場する「親子上場」解消の動きが進む。みずほ証券の大畠氏は「日本株市場の価値観が変化している中でREITだけが離れ小島のように取り残されている」と指摘する。
3DがREITへのTOBを始めた2月以降、株式の自社株買いに相当する自己投資口買いが急増した。2月以降に取得を表明した13銘柄のうち7銘柄が初めて実施を表明した銘柄だった。
3DはNTT都市RへのTOBを届け出る資料で「利害関係者取引が多いという課題を一定程度抱えている」と盛り込んでいた。今回のTOB騒動で「割安な投資口価格に対する緊張感が生まれた」(野村証券の大村恒平リサーチアナリスト)のは事実だが、TOBを通じてREITが「守り」を強め、利益相反という日本のREITの構造問題がより鮮明になったのは皮肉と言うしかない。
(大久保希美)
消費減税論への7つの問い(大機小機)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 940文字 PDF有 書誌情報]
物価高や米関税措置への対策として、「時限的な消費税減税」を求める声がある。時事通信社の4月世論調査では、賛成が68・4%と反対の14・0%を大きく上回った。夏の参議院選挙を前に、この議論は与野党を巻き込んで盛り上がることだろう。
消費減税は現実的な選択肢となり得るのか。7つのチェックポイントを考えてみた。
(1)そもそも今はインフレである。景気刺激のための減税はインフレを加速する。「困っている人を助ける」ことが目的ならば受給対象を絞った給付金が適切なのではないか。
(2)今の日本経済は需要が足りないというよりは供給力不足が問題だ。コメが典型的だが、作る人が足りなくて値段が上がっている。消費減税という政策は人手不足という課題に対して全く無力である。
(3)いつから税率を下げるつもりなのか。消費税率を変えるには法改正が必要であり、国会が今すぐ取り掛かったとしても年内実施は容易ではない。年末商戦に間に合わせるために10月1日から減税するとしよう。その前にはかならず「買い控え」が発生する。つまり増税時の「駆け込み需要」の逆の現象が起きてしまう。消費減税という政策には即効性を期待しにくいのだ。
(4)時限的な消費減税を実施する場合は「いつ元に戻すのか」という問いがつきまとう。「3年後に戻す」など手法はあるだろうが、「一度下げたら二度と上げられない」という事態は避けたい。
(5)消費減税の際には、かならず増税時と同じコストがかかる。商店は値札を替えねばならず、会計ソフトなども更新することになる。納税する事業者の負担もお忘れなく。
(6)消費減税によって個人消費が増えるという保証はない。コロナ禍の際の10万円の給付金さえ、ほとんどは貯蓄に回った。「減税すれば税収が伸びる」という一部の議論は疑わしい。
(7)ひとつだけ確実なのは、減税によって国の財政赤字がさらに悪化することだ。日本国債の格下げリスクも無視できない。長期金利を上昇させ、企業のコストを増やすとともに住宅ローン金利などを通じて国民生活を圧迫しよう。
以上は初歩的なシミュレーションである。「減税は民意である」と唱える人たちは、せめてこの程度は考慮しておいていただきたい。神は細部に宿るのである。(四つ葉)
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 424文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
不二家(2211)
24.1-3 271 1230 834 32.4
25.1-3 280 1172 784 30.4
中外製薬(4519)国際基準
24.1-3 2369 99889 74401 45.2
25.1-3 2884 135829 97234 59.1
ルネサスエレクトロニクス(6723)〓国際基準
24.1-3 3517 91752 79866 44.9
25.1-3 3087 26769 26006 14.5
小野測器(6858)
24.1-3 30 94 95 9.1
25.1-3 37 327 236 22.9
キヤノン(7751)米国基準
24.1-3 9885 89222 59949 60.7
25.1-3 10583 98845 72231 77.3
25.12予 46500 481000 333000 360.3
株式 続伸、3万5000円台回復(市場往来)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 180文字 PDF有 書誌情報]
24日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、終値は前日比170円52銭(0.49%)高の3万5039円15銭だった。3万5000円台を終値で回復するのは、トランプ米政権が「相互関税」の詳細を発表する直前の2日以来約3週間ぶり。米中貿易摩擦が激化するとの懸念が後退し、前日の米株式相場が上昇。東京市場はこの流れを引き継ぎ、半導体関連など主力株に買いが先行した。
<数表>第2四半期(決算数字)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 168文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
■ステップ(9795) 5.12
23.10-24.3 77 2276 1565 96.4 37.0
24.10-25.3 81 2398 1652 104.3 40.0
25.9予 157 3709 2541 160.6 81.0
任天堂、シマノ、楽天グループ、航空電子(注目株概況)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 140文字 PDF有 書誌情報]
新型ゲーム機の初回抽選販売で想定を大幅に上回る応募があったと伝わる。
2025年12月期の純利益の予想を下方修正し前期比16%減になりそうだと発表。
通信衛星とスマートフォンをつなぐ高速通信の試験に成功したと発表。
2026年3月期の純利益見通しが市場予想を下回り、失望感の売りが出た。
<数表>第3四半期(決算数字)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
キングジム(7962)
23.7-24.3 285 24 ▲73 ―
24.7-25.3 287 715 388 13.8
為替 円続落、142円57~59銭(市場往来)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は続落した。午後5時時点は1ドル=142円57~59銭と、前日の同時点に比べ71銭の円安・ドル高。日米関税交渉で日本が円安是正を求められるとの思惑が後退した。
金利 10年債利回り、1.310%に低下(市場往来)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは低下(価格は上昇)した。前日比0.020%低い1.310%で取引を終えた。日銀の早期利上げ観測が後退して国内金利には低下圧力がかかった。
商品 原油反落、需給の緩み懸念(市場往来)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 84文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で、原油は反落した。産油国が6月の原油の生産を5月に続いてさらに増やすことを提案する見通しだと伝わり、需給が緩むとの思惑が重荷となった。金は反発した。
<数表>投資部門別売買代金差額[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 279文字 PDF有 書誌情報]
投資部門別売買代金差額
( 東証および名証、総合証券ベース )
4月第3週 前週
個 人
現 金 ▲2166 987
信 用 ▲139 ▲2164
海外投資家 1503 1582
法 人
生保・損保 ▲146 ▲148
都銀・地銀 ▲217 ▲174
信託銀行 919 1730
その他金融機関 48 68
投 信 714 691
事業法人 1849 3653
その他法人 ▲2 97
委託合計 2322 6539
自 己 ▲2290 ▲6736
(注)東証調べ、単位億円、億円未満切り捨て、▲は売り越し
<数表>東証グロース市場投資部門別売買代金差額[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 21ページ 174文字 PDF有 書誌情報]
東証グロース市場投資部門別売買代〓金差額(単位百万円、▲は売り越し)
4月第3週 前週
個 人 8196 ▲14680
現 金 ▲7954 ▲6668
信 用 16151 ▲8012
海外投資家 ▲6758 12852
法 人 781 3459
うち投信 1355 2107
委託合計 1883 1977
自 己 ▲2513 ▲1855
特集――NIKKEI BLUE OCEAN FORUM 相乗効果で海洋を保全[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 22ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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特集――NIKKEI BLUE OCEAN FORUM 日本の強み、世界に拡大[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 23ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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<数表>4月24日(市場体温計)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2657文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 35039円15銭(+170円52銭)
騰落率= +0.489%
東証株価指数(TOPIX) 2592.56 (+8.24)
騰落率= +0.318%
売買代金 4145107百万円 (-146338百万円)
売 買 高 188797万株 (+7117万株)
売買単価 2195.5円
売買高上位10銘柄の占有率 32.7%
〓-〓 上場銘柄数 1635 値上がり 605 〓-〓
売買成立 1635 値下がり 985 変わらず 45
新値株 (年初来) 高 値 40 安 値 1
騰落レシオ(25日移動平均) 91.95%
時価総額 9002209億円 (+17655億円)
普通株式数(百万株) 499652 1株当たり時価(円) 1801.69
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 14.23 ( 15.30 ) 1.31 2.29 ( 2.00 )
JPX日経400採用銘柄 14.06 ( 14.59 ) 1.40 2.36 ( 2.17 ) 2.57 ( 2.24 )
東証プライム全銘柄 14.17 ( 15.27 ) 1.25 2.70 ( 2.41 ) 2.56 ( 2.24 )
東証スタンダード全銘柄 13.74 ( 15.60 ) 0.99 2.68 ( 2.54 ) 2.42 ( 2.47 )
東証グロース全銘柄 37.67 ( 155.13 ) 3.20 0.86 ( 0.75 ) 0.62 ( 0.56 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.05 %
前期基準 6.54 %
24
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 559.30 ( +2.18)
日経500種平均株価 3110円30銭 ( -3円41銭)
日経平均高配当株50指数 65496.13 ( +361.81)
日経連続増配株指数 47812.70 ( -788.32)
日経累進高配当株指数 43874.68 ( -89.47)
日経半導体株指数 7190.31 ( +148.27)
日経平均内需株50指数 27231.51 ( -435.17)
日経平均外需株50指数 32798.69 ( +414.12)
日経平均トータルリターン 63125.83 ( +307.56)
日経平均VI先物指数 6227.72 ( +0.26%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2554円69銭 ( -12円49銭)
東証規模別株価指数
大型 2540.52 ( +19.19)
中型 2779.92 ( -15.10)
小型 4423.59 ( -23.16)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1655.73 (-2.01)
…
ド ル/円 1 ド ル = 142.57~142.59円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 162.24~162.28円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1379~1.1380ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3297.2881 (+0.9329)
韓国総合(韓国) 2522.33 (-3.23)
ハンセン(香港) 21909.76 (-162.86)
加権(台湾) 19478.81 (-160.33)
VN(ベトナム) 1223.35 (+12.35)
クアラルンプール総合 1506.52 (+5.33)
ST(シンガポール) 3831.92 (-0.40)
ジャカルタ総合 6613.478 (-20.899)
SET(タイ) 1146.86 (-6.91)
オールオーディナリーズ(豪) 8175.1 (+49.9)
新発10年国債利回り 1.310% ( -0.020)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( 0)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15312 円 (+130円)
ドバイ原油(1キロリットル) 54860 円 (-840円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
655.16 (-0.87)
工業品 661.83 (-1.06)
始値 35194円71銭 高値 35287円95銭 ( 9時8分 )
午前終値 35244円41銭 安値 34960円65銭 ( 14時57分 )
JPX日経 インデックス400 23467.90 (+49.41)
JPX日経中小型 18582.82 (-28.08)
日経気候変動指数 34743円36銭 (+176円99銭)
JPXプライム150指数 1139.75 (+5.70)
東証プライム市場指数 1334.27 (+4.25)
東証スタンダード市場指数 1255.19 (-3.52)
東証グロース市場指数 842.34 (-0.32)
東証グロース市場250指数 659.21 (-0.26)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1704.72 (-15.64)
日経ESG―REIT指数 949.09 (-8.68)
日経高利回りREIT指数 1220.70 (-11.77)
……………………………………………………………………
日経平均VI 30.06 (+0.18)
日経配当指数(2025年) 24円37銭
<数表>4月24日商品先物[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 24ページ 5670文字 PDF有 書誌情報]
( 24 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 15100 15170 15072 15170 ▲202
6月 15108 15439 14951 15300 △167
8月 15146 15467 14981 15245 △86
10月 15136 15487 14991 15304 △156
12月 15180 15505 15005 15277 △134
2月 15220 15542 15040 15312 △130
《金ミニ》(1グラム)
6月 15114.5 15394.0 14945.5 15300.0 △167.0
8月 15126.5 15375.0 15126.5 15245.0 △86.0
10月 15118.0 15431.0 15010.0 15304.0 △156.0
12月 15155.0 15495.5 15005.0 15277.0 △134.0
2月 15229.5 15538.0 15039.0 15312.0 △130.0
《金限日》(1グラム)
15551 15827 15450 15297 △177
《白金》(1グラム)
4月 4421 4460 4421 4422 △96
6月 4355 4430 4355 4430 △97
8月 4408 4423 4383 4404 △88
10月 4418 4420 4379 4405 △79
12月 4350 4425 4349 4414 △84
2月 4326 4400 4316 4385 △78
《白金ミニ》(1グラム)
6月 4404.0 4404.0 4404.0 4430.0 △97.0
8月 ― ― ― 4404.0 △88.0
10月 4365.0 4412.0 4365.0 4405.0 △79.0
12月 4344.5 4409.5 4344.5 4414.0 △84.0
2月 4325.0 4395.0 4313.5 4385.0 △78.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4381 4490 4365 4442 △102
《銀》(1グラム)
4月 ― ― ― 145.0 0
6月 ― ― ― 147.0 0
8月 ― ― ― 148.0 0
10月 ― ― ― 148.0 0
12月 ― ― ― 149.0 0
2月 157.0 157.0 157.0 157.0 △4.5
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4300 0
6月 ― ― ― 4300 0
8月 ― ― ― 4300 0
10月 ― ― ― 4300 0
12月 ― ― ― 4300 0
2月 ― ― ― 4300 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 157.55 ▲2.80
6月 ― ― ― 156.00 ▲2.65
7月 ― ― ― 154.70 ▲2.55
8月 ― ― ― 153.50 ▲2.45
9月 ― ― ― 150.95 ▲2.35
10月 ― ― ― 150.10 ▲2.20
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 61780 61830 61780 61830 ▲390
5月 61330 61330 59030 59760 ▲1770
6月 59170 59170 58550 58550 ▲1580
7月 57830 58080 57830 58030 ▲1280
8月 58590 58600 56870 57430 ▲1110
9月 57830 58130 55950 56820 ▲1140
10月 57650 57650 56220 56220 ▲1260
11月 ― ― ― 56050 ▲1060
12月 ― ― ― 55760 ▲1020
1月 ― ― ― 55540 ▲1000
2月 ― ― ― 55350 ▲980
3月 ― ― ― 55220 ▲950
4月 ― ― ― 55100 ▲910
5月 ― ― ― 54980 ▲880
6月 ― ― ― 54860 ▲840
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 91000 △200
6月 ― ― ― 90600 △200
7月 ― ― ― 90200 △200
8月 ― ― ― 89800 △200
9月 ― ― ― 89400 △200
10月 ― ― ― 88900 △200
《ゴムRSS3号》(1キロ)
5月 285.5 288.0 285.5 288.0 ▲2.0
6月 290.7 290.7 287.9 287.9 ▲1.7
7月 287.7 287.7 287.7 287.7 ▲1.5
8月 290.3 290.3 287.0 288.0 ▲2.3
9月 289.0 289.7 285.9 288.9 ▲1.0
10月 289.8 290.0 287.0 290.0 △3.8
11月 ― ― ― 288.0 △1.0
12月 ― ― ― 288.0 △1.0
1月 ― ― ― 289.0 △1.0
2月 ― ― ― 289.0 △1.0
3月 ― ― ― 289.0 △1.0
4月 ― ― ― 289.0 ―
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 234.0 △4.0
6月 ― ― ― 234.0 △4.0
7月 ― ― ― 235.0 △4.0
8月 ― ― ― 235.0 △4.0
9月 ― ― ― 235.0 △4.0
10月 ― ― ― 235.0 △4.0
11月 ― ― ― 235.0 △4.0
12月 ― ― ― 236.0 △4.0
1月 ― ― ― 236.0 △4.0
2月 ― ― ― 236.0 △4.0
3月 ― ― ― 236.0 △4.0
4月 ― ― ― 236.0 △4.0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 38900 0
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 11.88 0
5月 ― ― ― 10.63 ▲0.15
6月 ― ― ― 12.13 △0.02
7月 ― ― ― 13.61 ▲0.08
8月 ― ― ― 14.69 ▲0.08
9月 ― ― ― 13.97 ▲0.10
10月 ― ― ― 12.95 △0.03
11月 ― ― ― 13.04 △0.03
12月 ― ― ― 13.34 ▲0.14
1月 ― ― ― 13.81 0
2月 ― ― ― 13.45 ▲0.25
3月 ― ― ― 11.38 ▲0.04
4月 ― ― ― 11.83 △0.30
5月 ― ― ― 10.91 ▲0.34
6月 ― ― ― 12.09 ▲0.10
7月 ― ― ― 13.79 △0.38
8月 ― ― ― 14.86 ▲0.63
9月 ― ― ― 14.10 △0.95
10月 ― ― ― 12.84 △1.17
11月 ― ― ― 13.04 △0.68
12月 ― ― ― 13.68 △0.25
1月 ― ― ― 13.78 ▲0.39
2月 ― ― ― 13.73 △0.27
3月 ― ― ― 11.39 ▲0.18
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.64 ▲0.01
5月 ― ― ― 8.29 ▲0.02
6月 ― ― ― 9.79 △0.02
7月 ― ― ― 12.20 ▲0.06
8月 ― ― ― 13.02 ▲0.07
9月 ― ― ― 11.99 ▲0.19
10月 ― ― ― 10.07 △0.04
11月 ― ― ― 10.39 △0.04
12月 ― ― ― 10.96 ▲0.08
1月 ― ― ― 12.78 ▲0.02
2月 ― ― ― 11.94 ▲0.16
3月 ― ― ― 9.23 ▲0.13
4月 ― ― ― 9.61 △0.02
5月 ― ― ― 9.44 △0.01
6月 ― ― ― 10.21 △0.02
7月 ― ― ― 10.96 △0.01
8月 ― ― ― 12.62 △0.01
9月 ― ― ― 10.94 △0.02
10月 ― ― ― 9.81 △0.01
11月 ― ― ― 10.67 △0.01
12月 ― ― ― 11.96 △0.01
1月 ― ― ― 12.66 △0.03
2月 ― ― ― 11.95 △0.03
3月 ― ― ― 10.25 △0.03
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 58451 42326
金ミニ 25846 8056
金限日 3378 42179
白金 6509 30244
白金ミニ 883 2205
白金限日 1365 41184
銀 1 141
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2802 25587
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 208 3338
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 2
中京灯油 3 7
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 940 11142
電力西ベース 0 805
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 13093 52274
堂島白金 121 2146
堂島銀 11 1390
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15200.0 15510.0 15000.0 15235.7 △102.7
《白金》(1グラム)
4511.1 4511.1 4480.0 4486.7 △86.0
《銀》(1グラム)
155.55 157.25 155.55 152.94 △3.38
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月23日エネルギー・環境市場[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 24ページ 3489文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 24 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 13096
ソシエテ 11299
サスケハナ 3608
Gサックス 2302
モルガンS 1875
バークレイ 1825
野 村 1446
Jモルガン 1282
日産証 1149
SBI証 1132
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.46 140.08 140.72 139.93 140.69 0.21
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.372 26930 133465 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
139.50 ― ― ― 10 138.50 0.05 ― 10 46
139.75 ― ― ― ― 138.75 ― ― ― 10
140.00 0.48 ― 10 10 139.00 ― ― ― 57
140.25 0.51 ― 6 7 139.25 ― ― ― 2
140.50 ― ― ― 15 139.50 0.05 ― 5 5
合計 16 233 合計 15 355
HV(年率) 6月 8.2
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.520 0 1000 614
25 /6 99.448 -0.014 3050 513
25 /9 99.394 -0.014 2000 346
25 /12 99.350 -0.023 2 2
合計 6052 2663
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5225 +0.0025 788 29632
25 /6 99.4625 -0.0025 1319 13468
25 /9 99.3950 +0.0050 2309 13400
25 /12 99.3600 +0.0125 1116 8123
合計 6021 71816
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2596.0 2617.5 2629.0 2588.5 2590.5 +4.5 47378 422344
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 1900
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 657 665 669 655 658 +2 3602 30922
25 /9 651 652 654 644 647 +2 16 478
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 35000 35380 35510 34970 35030 +110 38226 178949
25 /9 34990 35370 35450 34980 35060 +170 348 6155
25 /12 35120 ― 35200 35120 35200 +500 2 21586
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 35000 35380 35520 34970 35025 +115 637411 289070
25 /9 34985 35345 35475 34955 35015 +115 16308 9137
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 34990 35400 35510 34970 35020 +110 530518 81001
25 /9 34955 35370 35475 34940 35005 +95 15803 9616
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 34865 35315 35500 34865 35030 +110 17497 74794
25 /9 ― ― ― ― 35010 +120 ― 378
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 23500 23765 23820 23440 23470 +10 2849 52107
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 34770 ― 0 5月 28.90 -0.10 3 163
25 /9 ― 34780 ― 0 6月 27.65 +0.25 6 22
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 784.0 ― 1334 25年 ― 785.6 ― 4388
26年 ― 755.0 ― 1334 26年 ― 752.6 ― 2382
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 34750 865 +50 11 1203 1490 ― 2 6 ―
34875 930 +195 7 44 ― ― ― 52 ―
35000 750 +80 823 4251 1335 +90 205 4913 ―
35125 675 +55 29 390 1260 +40 12 46 ―
35250 605 +50 102 620 ― ― 1 340 ―
35375 545 +70 11 41 1125 +75 1 39 ―
35500 485 +35 549 1523 1060 +30 54 3180 ―
35625 445 +55 279 356 1005 ― 7 51 ―
35750 380 +35 185 517 935 +80 4 454 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 34250 450 -35 455 989 ― ― ― 153 ―
34375 405 -155 32 30 ― ― ― 3 ―
34500 520 -55 488 1391 1085 -25 209 2303 ―
34625 565 -75 9 14 ― ― ― 10 ―
34750 530 -140 65 684 1085 -120 446 478 ―
34875 555 ― 22 13 ― ― ― 21 ―
35000 700 -80 739 2442 1275 -40 791 6932 ―
35125 735 ― 13 6 1235 ― 1 20 ―
35250 680 -235 29 544 ― ― 1 288 ―
総売買高コール 28030 枚 プット 33359 枚 日経平均HV 55.9
当日総建玉コール 334553 枚 プット 510870 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.76
ドイツ(1MWh、ユーロ) 71.15
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 11.575
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.392
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) ―
( 23 日)
<数表>4月24日外為市場[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1795文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 143.96 141.86
5月〃 143.86 141.36
6月〃 143.36 140.85
7月〃 142.92 140.37
8月〃 142.43 139.94
9月〃 141.98 139.46
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 143.96 143.10
ユーロ 163.60 163.32
カナダドル 104.67 104.36
英ポンド 193.82 193.01
スイスフラン 173.37 173.48
デンマーククローネ 22.01 21.97
ノルウェークローネ 13.89 13.97
スウェーデンクローナ 15.18 15.22
豪ドル 92.97 92.87
ニュージーランドドル 87.03 86.99
香港ドル 18.85 18.75
シンガポールドル 109.53 109.16
サウジアラビアリヤル 38.99 38.76
U.A.E.ディルハム 39.67 39.43
タイバーツ 4.35 4.32
インドルピー 1.84 1.83
パキスタンルピー 0.66 0.66
クウェートディナール 476.72 475.28
カタールリヤル 40.02 39.78
インドネシア100ルピア 0.97 0.97
メキシコペソ 8.29 8.25
韓国100ウォン 10.23 10.16
フィリピンペソ 2.70 2.67
南アフリカランド 9.17 9.16
チェココルナ 6.61 6.58
ロシアルーブル 1.98 2.00
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.01 39.02
▽みずほ銀
中国人民元 19.89 19.77
トルコリラ 5.53 5.52
台湾ドル(参考値) 4.39 4.37
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 26.03 25.84
( 24 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 142.57 ― 142.59 141.86 ― 141.88
寄付 143.18 ― 143.20 142.69 ― 142.72
高値 142.57 141.54
安値 143.33 143.21
中心 142.91 142.09
直物売買高 46億9200万 ドル
スワップ売買高 499億8400万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 83.65
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.5
米ドル 104.0
ユーロ 103.1
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 189.61~189.65円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 91.005~91.040円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 172.44~172.48円
カナダドル /円 1 カナダドル = 103.02~103.06円
NZドル /円 1 NZドル = 85.16~85.20円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3291 ― 1.3295
(1ポンド=ドル) ( 1.3303 ― 1.3307 )
スイスフラン 0.8267 ― 0.8271
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8223 ― 0.8227 )
豪 ド ル 0.6380 ― 0.6384
(1豪ドル=ドル) ( 0.6411 ― 0.6415 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.2931 ( 7.2955 )
日本円(100円=元) 5.1129 ( 5.1458 )
<数表>4月24日債券市場[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 71.50 +0.14
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.81
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.52
中国471(2年) 27/4 0.9 100.44
中国177(5年) 29/12 1.1 101.11
長国378(10年) 35/3 1.4 100.78
超長国191(20年) 44/12 2 96.72
超長国86(30年) 55/3 2.4 95.27
超長国17(40年) 64/3 2.2 84.42
物価連動29(10年) 34/3 * 102.00
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.29
政保政投銀64 30/6 0.09 95.53
東京都(公)807 30/6 0.1 95.38
大和ハウス23 30/9 0.3 95.18
キリンHD17 30/6 0.37 95.89
王子HD40 30/7 0.37 95.40
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.26
日本製鉄6 30/6 0.42 95.57
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.15
OLC18 30/9 0.29 94.98
IHI48 30/9 0.49 95.04
ダイキン27 30/9 0.26 94.92
NEC58 30/4 0.54 95.79
パナソニック25 30/9 1.051 98.32
SUBARU6 30/9 0.42 95.05
三井物産77 30/7 0.28 95.45
JR東日本153 30/7 0.23 95.37
三井不77 30/4 0.48 96.33
中部電力544 30/9 0.3 95.06
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.23
( 24 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.310 % -0.014
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.92
中 期 債 1.18
長 期 債 1.95
◇日経国債インデックス 0.994
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 25日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.92 0.380
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85 0.375
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.52 0.519
中 国471(2) 27/4 0.9 100.44 0.670
中 国157(5) 28/3 0.2 98.52 0.715
中 国167(5) 29/3 0.4 98.48 0.796
中 国177(5) 29/12 1.1 101.12 0.854
長 国362 31/3 0.1 95.35 0.910
長 国366 32/3 0.2 94.89 0.966
長 国370 33/3 0.5 95.74 1.063
長 国374 34/3 0.8 96.74 1.186
長 国377 34/12 1.2 99.22 1.286
超長国191 44/12 2.0 96.68 2.209
超長国(30)85 54/12 2.3 93.18 2.632
超長国(40)17 64/3 2.2 84.50 2.863
<数表>4月24日短期金融市場[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1295文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1301 回債 0.375 0
6カ月 1298 回債 0.405 0.015
1 年 1300 回債 0.540 -0.015
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.484 0.488
1週間 0.460 0.462
1カ月 0.452 0.453
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.78364 0.80182
6カ月 0.85727 0.85727
1 年 0.80818 0.80818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49625 0.49688
6カ月 0.53625 0.52156
( 24 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 0.528 ―
2週間 ― ―
3週間 ― ―
1カ月 ― ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.600 ―
◇全国コール市場残高
( 23 日確報、億円) 116289
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月24日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/25 2437 2437 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/25 0 0
【4月23日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/24 2638 2638 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/24 0 0
【4月22日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/23 1985 1985 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/23 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5412100 ( 4915600 )
◇資金需給予想( 25 日、億円、実質) 1000 不足
<数表>4月24日株式市場、先物市場[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 24ページ 564文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 35346 16936
売買高上位10銘柄占有率(%)
68.0 41.7
売買代金(百万円) 97615 153166
売買単価(円) 276.1 904.3
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 614
売買成立 1539 611
値上がり 689 270
値下がり 692 284
新値株(年初来) 高値 47 14
安値 0 2
時価総額(億円) 277740 78747
普通株式数(百万株) 31145 10713
1株当たり時価(円) 891.75 735.04
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 27628.17 +0.47%
カバードコールATM 19835.68 +0.34%
リスクコントロール 23134.55 +0.12%
レバレッジ 32777.83 +0.97%
インバース 905.98 -0.48%
ダブルインバース (01年末=100000)
246.56 -0.97%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 286506
売買代金(百万円) 602589
◇空売り比率(東証) 40.3 %
( 24 日)
ノルウェー水産物審議会CEO、米関税「価格転嫁できる」、多角販路強み、需要堅調の見方[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 25ページ 1253文字 PDF有 書誌情報]
世界最大級の水産物輸出国はノルウェーで、その最大の消費国は米国だ。トランプ米政権は水産物にも高関税を課す方針だが、政府の輸出戦略を担うノルウェー水産物審議会のクリスチャン・クラーマー最高経営責任者(CEO)は動じない。世界150カ国に販路拡大してきたのに加え、関税で米国内価格が1割ほど上昇しても消費者の強い需要で吸収できると予測する。
――2024年の水産物輸出額は米国の需要にけん引され、過去最高でした。高関税の影響は。
「サーモンやタラ、カニなどノルウェー産水産物を最も多く消費しているのが米国だ。25年1~3月の輸出額は前年同期比56%増、数量は34%増。消費者の実需は強く、関税による価格上昇分を吸収できるとみている」
「輸出額の7割を占めるのがサーモンだ。水産各社によって戦略は様々だが、米国以外への輸出比率を高める会社も出るだろう。サーモンの優位性はグリーンランドから南アフリカまで多くの国に輸出していること。多角な販路が輸出に強さと柔軟性をもたらす」
――米関税で世界経済の減速懸念も。サーモンと景気の連動性はありますか。
「サーモンは、レストランでもスーパーでも手に入るため、景気の影響は比較的少ない。人々は懐が厳しいと飲食店での支出を減らし、家で食事をする。家族とちょっとぜいたくなサーモンを囲む、これが今の欧州連合(EU)でのトレンドで、米国でもこの流れが起きつつある。我々は戦略的に家庭向け商品を充実させ、スモークサーモンの容量を3~4カット減らすなどして食のインフレーションに適応している」
「需要は堅調だ。イタリアのミラノではピザを扱う店より、サーモンのポキ(ハワイ料理の海鮮丼)の店の方が新規開店数が多い。東南アジアでは若者の支持が非常に高い」
――日本のサーモン消費はいかがですか。
「25年1~3月は前年同期比2~3%増えている。25年はノルウェー産の生産量が前年比15%増える見通しで、4月の卸値は過去最高値圏だった前年同月より4割低い。日本のすしに合う高品質な魚を届けていく」
――サーモン陸上養殖の近況は。
「陸上養殖には海水を掛け流す方式と、水をろ過して再利用する閉鎖循環方式の2種類ある。ノルウェーでは掛け流す方式を中心に研究が進んでいるが、商業化は途上にある。日本で投資が盛んな閉鎖循環方式は、水の冷却に莫大なエネルギーがかかり光熱費も技術的なハードルも高いため少数派だ」
――日本で消費するサバの5割がノルウェー産ですが、輸入価格は過去最高値圏です。
「資源保護のため今年度の漁獲枠は前年度比2割減り、日本への供給も減る。脂がのったサバを最優先で提供する。日本はノルウェー産サバ(切り身)に1割の関税をかけている。日本にサバを輸出する主要国の中で、これほどの高関税を課せられているのはノルウェーだけだ。米関税が話題の今、加工など水産業の成長や日本の消費者の負担減のため、貿易障壁を見直す契機としてほしい」(聞き手は佐々木たくみ)
【図・写真】クラーマーCEO
派遣料金、主要業種で上昇、今月 一般事務3年で1割高[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 25ページ 1094文字 PDF有 書誌情報]
人材派遣会社が顧客企業に請求する料金単価が主要業種すべてで上昇した。一般事務や販売、製造など4月からの料金は前月に比べ1~2%前後高い。派遣社員に支払う時給引き上げに合わせ原資となる請求料金も上昇。賃上げの機運が続く中、新型コロナウイルス禍以降の上昇基調がなお続いている。
派遣会社は企業から受け取った派遣料金のうち、社会保険料などを引いた残り7割程度をスタッフに時給として払う。契約は3カ月や半年ごとが多く新年度入りに合わせ4月は更新が最も多い。
一般事務職の1時間あたりの料金は2600~2900円となり中央値で25円(1%)上がった。事務の自動化などによる人員削減は一定の水準にとどまっており、ニーズは根強い。正社員の確保が難しくなる中、派遣社員の業務が増えている職場もある。パーソルテンプスタッフでは「料金は年間で2%程度の伸びが続いている」と話している。
販売職は2400~2700円で25円(1%)上昇。訪日外国人客の増加が背景にある。製造職も2100~2250円で50円(2%)上がった。人材の確保が一段と難しくなる中、「難航しがちだった中小企業でも料金引き上げを受け入れる動きが広がっている」(製造業派遣のテクノ・サービス)。「昨秋の最低賃金の大幅な引き上げの影響が大きい」(介護派遣のネオキャリア)という。
派遣社員の新規募集時の時給の引き上げが活発だ。エン・ジャパン調査の募集時平均時給(三大都市圏)は31カ月連続で前年同月を上回る。「職場選びに選択肢があり、より処遇のよい環境を求め転職していく」(マンパワーグループ)との指摘もあり、流出を防ぐためにも時給や料金の引き上げが進む。人材各社が研修など人材育成を強化し「高単価の案件獲得を強化してきた」(製造派遣などのウィルグループ)ことも単価アップに寄与している。
派遣料金は年間を通して随時、契約が更新されるため、需給が反映されやすい一方、正社員などの賃上げが優先される場面では値上げが進まない面もある。最近では「同一労働同一賃金」の制度導入を受け20年に大幅に上昇。コロナ禍での停滞を経て再び上がり、一般事務職は22年初めに比べ1割以上高くなった。
総務省の2月の労働力調査によると派遣社員として働く人は153万人で雇用者全体の3%程度だ。隙間時間を活用したスポットワークやフリーランスなど働き方が多様化する中でも安定している。派遣社員は景気が悪化する局面では人材需給の調整役となることもあるが、最近では正社員へのステップアップに活用する人や、自分のペースで働きやすい面に着目して、あえて選択する人も増えている。
ポリスチレン出荷5%減、24年度 食品向け回復鈍く[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 25ページ 693文字 PDF有 書誌情報]
汎用合成樹脂の一つで食品包装などに使うポリスチレンの需要回復が遅れている。日本スチレン工業会(東京・中央)によると、2024年度のポリスチレンの国内出荷量は51万7534トンと、前年度比5%減った。3年連続のマイナスだった。食品などの消費低迷に加え、輸入品の増加もあって、国内メーカーによる出荷が低調だ。
内需をみると、用途の5割近くを占める包装用が6%減、次に多い発泡用が4%減だった。雑貨・産業用が5%減、電機・工業用が6%減と全ての用途でマイナスだった。顕谷一平会長(PSジャパン社長)は「食品を中心とした消費低迷が続いている。所得と物価のバランスの改善が需要回復には必要だ」と指摘する。
発泡用のうち、食品トレーなどに使う発泡スチレンシートの国内出荷量は増加基調だ。食品メーカーや小売店が樹脂使用量を減らすため、空気を多く含む発泡素材に切り替える需要が高まっているため。発泡用の中でも建材などに使う発泡ボードや、発泡以外の食品包装用途で需要が弱く、ポリスチレン全体の出荷回復は遅れている。
需要全体の回復が鈍いなか、中国を中心としたアジア市場の需要低迷を受けて安値の輸入品が増えていることも国内出荷の逆風だ。直近2月の輸入量は5200トンと前年同月比37%増えた。建材向けなどで輸入品の使用が増えているようだ。
一方、輸出量は24年度に3万3468トンと前年度比7%増えた。22~23年度に大幅な落ち込みが続き、3年ぶりのプラスに転じた。アジアの需給環境は悪いものの、日本から輸出しているポリスチレンは他国メーカーと競合しにくいものが多いぶん、影響を受けにくかったとみられる。
備蓄米22年産来月放出、農相が試食会 味の懸念払拭躍起[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 25ページ 473文字 PDF有 書誌情報]
5月から2022年産の備蓄米が放出されることが24日わかった。農林水産省は7月まで毎月備蓄米を放出する方針だが、24年産と23年産はすでに在庫が薄いうえ各地の倉庫に分散しているため、まとまった量が出せる3年前のコメがあてられる見通しになった。
江藤拓農相は24日、備蓄米の試食会を開催した。22~24年に収穫した茨城県産米「にじのきらめき」について、収穫年を隠して3年分を試食し、農相は「私はグルメじゃないが、どれもうまい」と語った。
コメの需給逼迫を受けて政府は備蓄米を放出しているが、コメ不足の解消や価格の低下は進まず、消費者の不満は根強い。政府は「古米は食味が劣る」との消費者の懸念を払拭し、備蓄米に理解を得ようと躍起だ。
農水省は年間約290億円の予算を計上し、低温貯蔵という方法で備蓄米を管理している。温度は15度以下、湿度は60~65%で品質維持に努めているという。
5月以降に放出する備蓄米は22年産が中心となる。江藤農相は入札状況次第だが「価格も24年産より低くなると思う」との見方を示した。
【図・写真】備蓄米を試食する江藤農相
伸銅品生産量0.6%増、24年度 3年ぶりプラス[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 25ページ 299文字 PDF有 書誌情報]
日本伸銅協会(東京・台東)がまとめた2024年度の生産量(速報)は前年度比0・6%増の64万1689トンだった。前年度を上回るのは3年ぶり。全14品目のうち10品目で前年度を上回った。最も生産量が多い銅条やエアコンに使う銅管がけん引した。
半導体リードフレームや自動車用の端子・コネクターに使われる銅条は自動車向けの引き合いが好調で1・2%増となった。猛暑でルームエアコンの需要が強かった影響で銅管も7・5%増えた。
3月単月の伸銅品生産量(速報)は前年同月比2・6%増の5万7740トン。2カ月ぶりに前年同月を上回った。中国中心に日系自動車の販売がさえないものの半導体向けに回復の兆しが広がる。
<数表>4月24日卸売市場(主要相場)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 25ページ 1009文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 3700頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=弱もちあい上場397頭
和牛雌A ― ― 2146 2269 2509
和牛雌B ― ― ― ― 2219
和牛去勢A ― ― 2185 2291 2509
交雑種雌B ― 1542 1594 1629 ―
交雑種去勢B ― 1547 1649 1813 ―
▽搬入物 上場231.5頭
和牛雌A ― 1369 1435 1843 2057
和牛雌B 1207 1370 1409 1404 ―
和牛去勢A ― 2007 2125 2228 2368
交雑種雌B ― 1457 1594 1714 1905
交雑種去勢B ― 1477 1602 1792 1929
乳牛雌C 852 963 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場57頭
和牛雌A ― ― ― 2431 2615
和牛去勢A ― ― ― 2340 2567
交雑種雌B ― 1501 1614 1761 1858
交雑種去勢B ― ― 1636 1858 2060
◇仙台=小安い上場107頭
和牛雌A ― 1385 1378 1405 1546
和牛去勢A ― ― ― ― 2268
乳牛雌B 814 850 950 ― ―
◇さいたま=該当なし上場4頭
◇横浜=まちまち上場51頭
和牛雌A ― ― ― 2232 2498
和牛去勢A ― ― 2172 2253 2328
◇名古屋=上場なし
◇京都=もちあい上場89頭
和牛雌A ― ― ― 2401 2590
和牛去勢A ― ― 2132 2325 2581
交雑種雌B ― 1512 1677 1687 ―
交雑種去勢B ― ― 1460 1780 ―
◇神戸=―上場67頭
和牛雌A ― ― 1561 2736 2640
和牛去勢A ― ― ― 3823 3696
◇広島=―上場41頭
和牛雌A ― ― ― ― 2681
和牛去勢A ― ― ― 2376 2758
乳牛去勢B ― 1285 ― ― ―
◇福岡=もちあい上場124頭
和牛雌A ― ― 2078 2271 2510
和牛去勢A ― ― 2143 2365 2606
乳牛去勢B ― 1189 ― ― ―
<数表>4月24日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 25ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
24日 226.563
前日比 +0.152
(1970年平均=100)
無子化をどう捉えるか(下) 「草食化」の背景に雇用不安 坂元晴香・聖路加国際大学客員准教授(経済教室)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 37ページ 2849文字 PDF有 書誌情報]
2023年の合計特殊出生率は1.20と統計開始以来の最低を記録した。子供を持たない無子夫婦の割合も1977年に3.0%だったが、2021年には7.7%まで増加した。少子化対策の必要性が言われて久しいが、出生率が向上する兆しは見えない。
少子化の要因として最も大きいのは未婚者の増加だと言われている。1980年に生涯未婚の割合は男性で2.6%、女性で4.5%だったが、2020年にはそれぞれ28.3%、17.8%まで増加した。日本は婚姻関係が子供を持つことの前提であるため、未婚男女の増加は無子化に直結している。
なぜ未婚者は増えたのか。若い世代の価値観の変化やインターネットを含む娯楽の多様化、婚姻制度にとらわれない家族形態(同棲・事実婚)を望む人が増えたことなどが可能性として指摘されている。しかしこれらの指摘は結婚や出産を選ばない人たちへのステレオタイプを含んでいる。
その一つとして「草食化」の実態を説明したい。1992年から2015年の間に実施された合計6回分の出生動向基本調査では、18~39歳の男女が「異性との交際」についての質問に答えている。
回答は(1)既婚(2)未婚で交際相手あり(3)未婚で交際相手なし、の3カテゴリーに分かれ、(3)をシングルと分類することにする。
調査からは1992年から2015年の間に、シングルの割合は女性が27.4%から40.7%に、男性が40.4%から50.8%に増加したことがわかった。シングルの増加幅は同時期における未婚者の増加とほぼ一致する。同時期に交際相手のいる未婚の割合(同棲や事実婚)はほぼ変化がないので、婚姻の減少はそのままシングルの増加につながったのである。
15年の調査では18~39歳のシングルの約半数(女性全体の21.4%、男性全体の25.1%)が異性との交際に「関心がない」と回答していた。まず女性をみると、シングルで交際に関心がないと回答した人は、交際中の女性や交際に関心があるシングルに比べて無職である割合が高かった。さらに交際に関心がないシングル女性は、交際に関心があるシングル女性より高卒以下の学歴が多かった。
この傾向は男性でより顕著となり、収入や雇用状況と、異性との交際への関心が相関していた。定職につく割合は既婚者、交際中、交際に関心のあるシングル、交際に関心のないシングルの順に低くなる。年収も既婚男性が最も高く、交際に関心のないシングルの年収が最も低かった。
少子化の要因が語られる際、若者の「草食化」が原因のように語られることが多い。実態は安定した雇用や高収入の人の既婚割合は高い。逆に未婚で交際相手がおらず、かつ異性との交際相手にも興味がないと回答している人ほど無職や低所得層の割合が高くなっているのである。
子供の有無についても同様の傾向が見られる。かつては「貧乏子だくさん」という俗言もあったが、現在、特に男性は高学歴・高所得の人ほど子供がいる割合や3人以上の子供がいる割合が高い。一方、女性は結婚や出産を契機に専業主婦になったりパートになったりする層が一定数いるため所得と婚姻や出生に関しての解釈が難しい。
しかし女性も少なくとも学歴に関しては、大卒以上と大卒未満の女性の間で子供の有無に有意な差はなくなってきている。「女性の高学歴化が少子化の要因になった」というステレオタイプも現代の日本には当てはまらなくなっている。
さらにシングルや異性との交際をめぐる言説を検証してみよう。アニメなど2次元のメディアや「推し活」は若者の交際に影響しているのだろうか。
2017年に高校生を対象に実施した調査では、男子生徒の14%、女子生徒の17%が実際に2次元のアニメやゲームのキャラクターに恋愛感情を抱いたことがあると回答している。海外でも「フィクトセクシュアル(fictosexual)」と呼ばれる2次元に恋愛感情を抱く性的嗜好を自認する人は徐々に増えている。
アニメやゲームは最近始まった事象ではないが、少し前には「2次元アニメの女性と結婚した男性」が報じられた。アニメや漫画、ゲームが日本の誇るべき文化として確立される中、2次元への恋愛感情をオープンにできる風潮になったこと、多様な性に関する社会の理解や受容が高まったことなどがフィクトセクシュアルの増加に寄与している可能性は考えられる。
それでも草食化の主たる要因は、少なくとも過去の調査研究からわかる範囲では「不安定な雇用・低い収入」による面が大きい。「2次元の世界への傾倒」を安易に若い世代の恋愛観の変化に結びつけることには留意が必要である。
そもそもフィクトセクシュアリティに関する調査や研究は日本ではほぼ行われていない。まずは2次元に恋愛感情を抱く人の社会背景などについて、実態解明が必要だろう。
次にネットやSNSの影響である。筆者らが分析を行った2015年頃までは、少子化や未婚に娯楽の多様化やネットが与える影響は限定的だった。21年の出生動向基本調査でも8割以上の男女が結婚を望んでいるし、子供は少なくとも1人は欲しいと答える未婚男女の割合も9割近くを維持している。いつの時代もアイドルの追っかけに代表される「推し活」的な社会的現象は繰り返されてきたが、結婚や出産といった本能的な行動に対する価値観は大きく変わっていないようにも見受けられる。
他方、前回21年の調査から数年が経過し、インターネットやSNS、各種アプリケーションの発達や日常生活への浸透が相当な影響を持っていることも事実である。例えば我が国では子供の自殺者数が24年に過去最多を更新したが、実態として増えているのは中高生の女子である。子供の自殺の要因分析に関する研究はまだ乏しく臆測の域は出ないものの、女子中高生の自殺に関してはインターネットやSNSの影響が指摘されている。
思春期以降の対人関係やコミュニケーション、容姿への自信や自己肯定感がSNSやネットに影響を受けている可能性は高い。そうしたバーチャル世界と常につながる青少年期を過ごした若い世代が、どのような恋愛観・結婚観・子供を持つことに関する価値観を有していくのか、今後さらなる注目が必要であろう。
恋愛感情や交際、婚姻、子供を持つことに関しては誰もが何かしらの経験を持っている。そのため身近な経験をもとに語られることが多く、様々なステレオタイプが流布している。しかし特にフィクトセクシュアリティやネット、SNSの影響といった新たな領域に関してはまだまだ調査研究が少ない。今後、さらなる研究が進み、正しい実態把握とそれに基づいた政策的介入が行われるようになることを期待したい。
<ポイント>
○雇用が不安定な男女ほど交際への関心薄
○若者で増すアニメやゲームへの恋愛感情
○ネットやSNSの影響はまず実態解明を
さかもと・はるか 東大博士(公衆衛生学)。札幌医大卒業後、内科医に。厚生労働省勤務などを経て現職
資金循環で見る日本企業の姿(2) 投資不足は将来の便益に影響 帝京大学教授 田中賢治(やさしい経済学)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 37ページ 849文字 PDF有 書誌情報]
前回、日本企業の資金余剰について紹介しました。この事実は、日銀が公表する「資金循環統計」で確認できます。資金循環統計には、家計、企業、政府、金融機関、海外のそれぞれの金融資産と負債の動きが記録され、金融資産と負債の変化幅から資金過不足が分かります。非金融法人企業では、1998年度以降2006年度を除いて資金余剰が続いています。
金融面での資金過不足は、実物面での行動で生み出されます。企業の資金余剰の背景にあるのは、投資よりも貯蓄が多いという実物面での企業行動です。貯蓄超過は言い換えれば投資不足です。会計上、企業の貯蓄は税引き後当期純利益から配当金を引いたものにおおむね相当します。いわゆるフローの内部留保です。企業が資金余剰になるのは、フローの内部留保に減価償却費を加えた自己資金の範囲内に設備投資が収まっているためです。
内閣府が公表する「国民経済計算」によると、24年の設備投資は106兆円で、前年から4.7%増加しています。比較的高い伸びのように見えますが、物価の変動を除いた実質値で見ると前年比1.2%増にとどまります。設備投資の金額は、過去のピークである1991年を33年ぶりに昨年ようやく超えたばかりです。長期の視点で見ると、決して力強い伸びをしてきたとはいえません。
設備投資には多額の資金が必要になりますが、取得した設備を活用して将来にわたって利益を上げることができます。すなわち、設備投資とは「今」の便益を犠牲にして「将来」の便益を得るための企業行動といえます。「今」を犠牲にするわけですから、「今」何らかの制約があるなら、設備投資に慎重になるのもうなずけます。
しかし、2010年代に入ってからの企業収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大で企業活動が停滞した20年を除き堅調です。企業の財務体質は改善しており、企業にとって資金面での制約は大きくありません。「将来」にわたる便益を生み出すには「今」の設備投資が必要なのにもかかわらず、なぜ設備投資の伸びが鈍いのでしょうか。
医学生へ給付型奨学金の拡充を 公益財団法人 颯田医学奨学会事務局長 坂東俊輔(私見卓見)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 37ページ 0文字 書誌情報]
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「スタジアムに新観戦体験を」 新秩父宮ラグビー場設計参画の米社 建設ラッシュの日本に商機[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 1800文字 書誌情報]
スタジアム・アリーナ設計の世界的大手、米ポピュラスが日本事業に本腰を入れる。これまでは欧米が中心だったが、新秩父宮ラグビー場(東京・新宿)など国内の案件にも進出。新規プロジェクトが相次ぐ日本は商機が大きいとみる。同社の幹部は「世界各地で得た知見を生かしてファン、選手の体験価値を向上したい」と語る。
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会の決勝の舞台、温暖化ガスの排出ゼロをうたう米シアトルのアリーナ、大リーグ球団の多数の本拠地……。ポピュラスは2009年の設立以来、世界中で数百のスポーツ施設に関わってきた。21年東京五輪の仮設会場などイベントの運営にも携わる。「恐らく世界に類がない設計事務所」と井原摩子・日本事業統括代表は話す。
23年の売上高は3億9040万ドル(約550億円)で、21年から倍増した。さらなる成長の場と注目するのがアジアの先進国だ。「特に日本は野球、バスケットボール、サッカー、ラグビーなどプロスポーツを中心に様々な分野から多額の資金が投じられ、成長が著しい」。グローバルディレクターのブレット・ワイトマン氏は語る。
日本の競技場の伸びしろは大きいという。「サッカーの02年日韓W杯でできたスタジアムや野球場など素晴らしい施設が多いし、立地も優れている。ただ、そろそろ次の段階に移る必要があるのでは。大規模な改修が少なく、多くは完成当時のまま。バスケのアリーナはNBA(米プロバスケ)のように進化している過程にあるが、(日本全体では)ファンの観戦体験は米国に比べたらまだ改善の余地がある」
北米の施設はオフシーズンに頻繁に改修し、ファンサービスを向上する。上級設計者のグレッグ・シャーロック氏は「スタジアムやアリーナは完成して1~2年目から改修やアップデートを行うことで常に魅力的であり続けるし、若い世代の心にも響く」と強調する。
施設への投資の多寡がファンの行動の違いにつながっているとワイトマン氏は言う。「大リーグでは試合中にスタジアムを回遊しながら過ごす人が主流。コンコースがオープンだから売店にいてもプレーが見える。日本は席に座っている人が多い。試合に集中したいだけでなく、席を離れたらフィールドで起こっていることを見逃すのではと不安に思うのだろう」
「日本でもニーズの多様化に対応する必要がある。中高年や男性だけではなく、若年層や家族連れが楽しめるようにマーケットを細分化し、新しいアプローチで次の世代につなげることが必要」
ポピュラスが日本で力を入れるプロジェクトがある。東京・神宮外苑に29年に誕生する新秩父宮ラグビー場だ。「立地が本当に素晴らしい」とワイトマン氏。ニュージーランド、アイルランドなどでもラグビー場を設計してきた知見を踏まえ、「世界で類を見ない観戦体験を用意する」と鼻息が荒い。
「敷地の狭さをチャンスと捉え、観客がフィールドの近くで観戦できるようにする」。客席のバラエティーも増やす。家族連れ用のボックス席や、選手と同じ目線で観戦できる「フィールドバー」、30メートルの高さから見下ろす「スカイラウンジ」、斜め45度の位置から全体を見渡す「ラグビータワー」などだ。
同社は今秋開業のTOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京、東京・江東)や、兵庫県姫路市の複合スポーツ施設などにも参画する。
建設ラッシュの日本のアリーナには独自性があるという。「NBAは巨額の資金を持つクラブが自前で建てる。(日本のプロバスケの)Bリーグは資金力で及ばないから(収益源の多様化のため)エンターテインメントに重きを置く。小さな都市でもアリーナを建てるのも特徴的だ」。似た思想の施設が林立する状況は共倒れのリスクもはらむが、ワイトマン氏は「スポーツとエンタメがうまく融合すれば特有の強みになる」とみる。
国内では東京・築地の多目的スタジアムのほか、ZOZOマリンスタジアムや神宮球場などの改修・建て替え計画などが動く。サッカー場やラグビー場の新設構想も多い。「日本ではプロスポーツの波が来ている。行政が積極的に支援している点もいい。私たちはできる限り多くのプロジェクトに関わりたい」とワイトマン氏は期待している。
(谷口誠)
【図・写真】新秩父宮ラグビー場の客席は様々な角度から試合が楽しめるように(イメージ図、(C)秩父宮ラグビー場株式会社)
大岩が単独首位 ゴルフ前沢杯――菅沼、ショット好調 寺西は粘りの寄せワン 「男子ツアー」で女子初パープレー[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 727文字 PDF有 書誌情報]
性別や年齢による出場制限を設けていない日本ゴルフツアー機構(JGTO)の試合を「男子ツアー」と呼ぶのは厳密には正確ではない。異色の新規大会「前沢杯」の初日、存在感を見せたのは各組に同行する「ラウンドガール」ではなく、主催者推薦を受けた2人の女子ゴルファーだった。
女子ツアー2勝の菅沼は通算20勝の石川遼、同31勝の片山晋呉とラウンド。「テレビで見ていた2人。とにかく迷惑をかけないように」という緊張感が良い方向に働いた。
飛距離のハンディを好調なショットで埋めて2バーディー、2ボギー。片山と2打差、石川と1打差に食らいついた。
JGTOの試合には宮里藍、ミシェル・ウィー(米国)ら世界的な名選手も挑んできたが、女子のパープレーは初めて。女子ツアーでも振るわなかった直近とは見違える出来に「好調時のパッティングの感触を思い出してきた」と表情は明るい。
最終ホールのピンチを〝寄せワン〟でしのぎ、菅沼に続いてパープレーを達成したのは24歳の寺西。昨年、ツアー出場資格を懸けたJGTOの予選会を女子で初めて受験した。
セカンドステージ進出はならなかったが、女性初のツアープレーヤーとなった。残り3日間に向け「60位に入って賞金ランキングに名前を載せたい」と意気込む。
大会の舞台は企画者の前沢友作氏が所有するプライベートコース。男子にはやや物足りない総距離6652ヤードというかつての接待コースが、女子にはチャンスとなっている。
(吉野浩一郎)
【図・写真】14番でティーショットを放つ菅沼。「好調時のパッティングの感触を思い出してきた」と表情は明るい
【図・写真】10番でティーショットを放つ寺西。「60位に入って賞金ランキングに名前を載せたい」と意気込む
大岩が単独首位 ゴルフ前沢杯[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 310文字 PDF有 書誌情報]
前沢杯(24日・千葉県MZ・GC=6652ヤード、パー70)
今年始まった新規大会。ツアー未勝利の大岩龍一が9バーディー、ノーボギーの61で回り、首位発進した。1打差で米沢蓮が続き、さらに1打差の3位に稲森佑貴、宇喜多飛翔ら3人が並んだ。
開幕戦優勝の生源寺龍憲のほか、片山晋呉、杉浦悠太、木下稜介、池田勇太らが2アンダー、43位グループ。石川遼は1アンダーで67位。
ともに主催者推薦で出場している女子の寺西飛香留、女子ツアー通算2勝の菅沼菜々はイーブンパーで74位。
今大会は予選落ちなしで行われ、60位タイまでが賞金ランキングに加算される。観客数は非公表。
(賞金総額2億円、優勝賞金4000万円、出場100選手)
トラ、弔いの白星 4連勝、森下勝ち越し弾(プロ野球)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 273文字 PDF有 書誌情報]
阪神が逆転勝ちで今季初の4連勝を飾った。決勝2ランを放ったのは敵地、横浜生まれの森下。2―2と追い付いた直後の七回2死三塁、DeNA・森原が初球に投じた高めの速球を左翼席へ運んだ。「単打でいいと考えたことが、いいスイングと結果につながった」
18日に亡くなった球団OBの小山正明さんにもささげる白星。
小山さんが保持していた連続イニング無失点の球団記録を現役時代に更新した藤川監督は「優しい掛け声をくださった。偉大な大投手だった。その思いも背負って戦っていきたい」と思いをはせた。
【図・写真】七回阪神2死三塁、森下が左越えに勝ち越し2ランを放つ
「針の穴通す」抜群の制球力 歴代3位の320勝・小山正明さん死去(評伝)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 781文字 PDF有 書誌情報]
針の穴を通すような高い制球力から「精密機械」といわれ、プロ野球歴代3位の320勝をマークした小山正明さん(元阪神など)が亡くなった。外角低めをかすめる、あの速球が懐かしい。(社会1面参照)
小山、渡辺省三、大崎三男の阪神「若手三羽がらす」は常に競い合った。自分より遅い球で軽く相手を抑える渡辺がいい先生だった。「球は遅くても、勝つには制球を磨くこと」と渡辺の投球練習をいつも見守った。
制球が良くなり、勝てるようになってからも、速さより正確さを求める練習を貫いた。他人に見られることを嫌い、よく論争していた。コーチともしばしば口げんかをしたが、一歩も譲らなかった。それだけ自信があったのだろう。投球の論拠を求めても「他人に明かすものではない」と口をつぐんだ。
悲劇は1962年9月6日、川崎球場での大洋(現DeNA)戦前の練習で起こった。小山のウオームアップの球がそれ、同僚の三塁手、三宅秀史の左目を直撃。視力が低下した三宅は以後、輝きを失った。
小山と三宅は53年入団の同期で仲が良かったが、事故を境に2人の間には埋めがたい溝ができた。事故の状況については関係者全員が口を閉ざし、真相は闇に葬られた。
事故翌年の63年のオフ、小山と大毎(現ロッテ)・山内一弘の交換トレードが決まった。エースと主砲の交換という前代未聞の「世紀のトレード」の背景に、あの事故があったのは言うまでもない。
小山は移籍1年目の64年に200勝を達成したが、派手なお祝いはなかった。
引退後は西宮球場の近くで飲食店を開業。筆者も近くに住み、しばしば顔を合わせた。何度かあの事件の解明を試みたが、無駄だった。
どんなに悔やんだところで精密機械は戻らない。だが、あの正確無比の投球のことを一度でも話し合いたかった。
(スポーツライター浜田昭八)
【図・写真】阪神現役時代の小山さん=1962年
井上尚が練習公開 米で防衛戦 「判定決着望まない」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】ボクシングの世界スーパーバンタム級主要4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が23日、ロサンゼルス市内のジムで5月4日(日本時間5日・ラスベガス)の防衛戦に向けた練習を公開し「判定決着は望んでいない。盛り上がる試合をしたい」と引き締まった表情で話した。
23日の朝に米国に到着し、空港からジムに直行。同じく練習を公開した挑戦者の世界ボクシング協会(WBA)同級1位ラモン・カルデナス(米国)と顔を合わせた。
印象について「ボクシング自体はすごくまとまった選手なので、自分としてはやりやすいかな。一発には気をつけたい。そこだけ」と話し、王者の余裕を漂わせた。日米大勢のメディアに囲まれる中でシャドーボクシングやミット打ちを披露した。
米国での試合はこれが4戦目。重量級が人気の本場で軽量級の日本選手がメインイベントを務めるのは異例。「重量級の選手に負けないような迫力ある試合をしたい」と意気込んだ。
【図・写真】公開練習する井上尚=共同
大谷が3試合ぶり安打 大リーグ――父親で初安打も、本調子には遠く 監督「ガツガツしすぎ」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 411文字 PDF有 書誌情報]
ドジャースの大谷は三回、変化球に体勢を崩されながら右前へ運び、産休制度の「父親リスト」から復帰後初安打としたが、その後が続かなかった。
ボール球に手を出したり、甘いコースを打ち損じたり。本調子からほど遠い様子に、ロバーツ監督は「戻ってきてから少しガツガツしすぎている。スイングがいつもより大きい」と渋い表情だった。
六回が象徴的だった。パヘスの本塁打で1点差に追い上げ、さらに2死二、三塁で打席へ。逆転打が期待される場面で左腕ボイドの内角高めのボール球を振って、遊飛に倒れた。
カブスのカウンセル監督は「一塁が空いている興味深い場面だったが、後にも強打者が控えているし、状況を理解しているベテラン投手を信じた」と、してやったりだった。
九回は内角低めのボールになるスライダーにバットが空を切った。復帰後の3試合は12打数1安打と元気がない。チームは25日(日本時間26日)から本拠地に戻り、6連戦に臨む。
(シカゴ=共同)
「針の穴通す」抜群の制球力――長嶋さんが追悼「さびしい限り」 王さんもしのぶ[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 378文字 PDF有 書誌情報]
阪神などでエースとして活躍した小山正明さんが死去したことを受け、現役時代に対戦を重ねたプロ野球巨人の長嶋茂雄元監督(89)とソフトバンクの王貞治球団会長(84)が、それぞれ球団を通じて追悼のコメントを出した。
長嶋さんが村山実さんからサヨナラ本塁打を放ったことで知られる1959年の天覧試合では、阪神の先発投手が小山さんだった。長嶋さんはこの試合で小山さんからも本塁打を打っている。「コントロールの良さは抜群で天性のものと言われ、村山投手と並んで阪神を代表する名投手でした。さびしい限りです」と別れを惜しんだ。
巨人の新人だった王さんも天覧試合で小山さんからアーチをかけ、これが初の「ON」アベック本塁打だった。「針の穴を通すようなコントロールで、素晴らしい回転の伸びのある速球派で打ちにくかった。きれいな回転の真っすぐが印象的でした」と往時をしのんだ。
大谷が3試合ぶり安打 大リーグ[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 249文字 PDF有 書誌情報]
【シカゴ=共同】米大リーグは23日、各地で行われ、ドジャースの大谷はシカゴでのカブス戦に「1番・指名打者」で出場し、三回に3試合ぶりの安打となる右前打を放って5打数1安打だった。カブスの鈴木は右手首痛で欠場した。試合はカブスが7―6で勝った。
オリオールズの菅野はナショナルズ戦に先発し、7回でメジャー最多の94球を投げ、2本塁打を含む5安打3失点だった。勝敗は付かず、2勝1敗のまま。試合は3―4で負けた。
パドレスの松井はタイガース戦の八回に登板し、1回2安打2失点。チームは0―6で敗れた。
岩渕氏復職期待 ワールドラグビー[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 41ページ 234文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=共同】国際統括団体ワールドラグビー(WR)は23日、アジア地域の統括団体アジアラグビー(AR)が副会長の岩渕健輔氏を、行動規範に抵触した可能性があるとして職務停止としたことに関し「岩渕氏の行為はARの定款などへの違反を示唆するものではない」との声明を出し、復職を期待するとした。
岩渕氏は日本ラグビー協会の専務理事で、処分を不当としている。WRの調査によると、岩渕氏が秘密保持契約書などの内容についてARに問い合わせたことは妥当な質問だったと判断された。
東証元社員、部署内の「共有情報」伝達か インサイダー事件、起訴内容認める 東京地裁初公判[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 1201文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所の元社員が絡むインサイダー取引事件で、未公表のTOB(株式公開買い付け)情報を伝達したとして金融商品取引法違反(情報伝達)罪に問われた元社員、細道慶斗被告(27)らの初公判が24日、東京地裁であった。検察側は細道被告が業務上閲覧できた部署内の共有情報を父親に繰り返し伝えていたと明らかにした。
細道被告は罪状認否で「間違いありません」と述べた。伝えられた情報をもとに株を不正に取引したとして同法違反(インサイダー取引)の罪に問われた父親の正人被告(58)も起訴内容を認めた。
検察側は論告で「市場の公正性と健全性、一般投資家の信頼を低下させた程度が大きい」などとして、2人に対し懲役1年6月、罰金100万円を求刑。正人被告には追徴金約2116万円も求めた。弁護側は執行猶予付き判決などを求め結審した。判決は5月9日に言い渡される。
検察側の冒頭陳述によると、細道被告は2023年9月から「上場部開示業務室」に所属し、上場企業の未公表情報に関する相談を受けていた。同室に寄せられた情報は共有フォルダ内の「情報共有シート」への記入やメールを通じて担当者以外の社員にも共有されていた。
細道被告はシートやメール閲覧によってTOB情報を得て、対話アプリのLINEの電話機能などで正人被告に伝達。帰省中に同被告から「他にないの」と尋ねられ、業務用パソコンを開いてシートにアクセスしたこともあったという。
正人被告は23年5月、老後資金を蓄える目的で証券口座を開設したものの利益が出ていなかった。未公表情報を聞き出せば株取引で利益を上げられると考え、細道被告が同室に配属された同9月ごろから情報を求めるようになったという。
細道被告は被告人質問で断り切れなかった理由について「父親との関係があまり良くなく、改善したい気持ちがあった。インサイダー取引は必ず露呈すると認識していたが、喜んでもらいたいという気持ちを優先してしまった」と語った。
弁護側は細道被告は促されるまま未公表情報を教えており、やむなく犯行に及んだと指摘。正人被告が取引によって得た利益は約409万円で、同種事案に比べて高額ではないなどとして寛大な判決を求めた。
起訴状などによると、細道被告は24年1月下旬ごろから3月下旬ごろ、業務を通じて公表前のTOB情報を知り、利益を得させる目的で正人被告に伝達。同被告は公表前の同4月までに、計3銘柄1万5200株を計約1700万円で買い付けたとされる。
伝えた情報はKDDIが同2月に公表したローソンへのTOBのほか、同4月に公表されたヒューリックによるリソー教育へのTOBと、NTTデータによるジャステックへのTOBの3件だった。
証券取引等監視委員会は同年9月、細道被告の関係先を強制調査した。同12月に告発を受けた東京地検特捜部が2人を在宅起訴した。細道被告は同月、懲戒解雇された。
私大100法人に経営指導 文科省 学部新設を抑制、再編加速[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 1081文字 PDF有 書誌情報]
文部科学省は私立大学の再編を加速させる新ルールや施策を打ち出す。経営指導の対象を100法人程度と倍増させ、改善しない場合、計画的な縮小や撤退を促す。学部新設の規制を強化するとともに、大学統合などを伴う場合は規制の対象外とする。私大経営への国の関与を強め、少子化時代に見合った教育体制につなげる。
24日に開かれた同省の私大のあり方を検討する有識者会議で提案された。今後、具体的な議論を進める。
同省の試算によると、大学進学者数は2026年をピークに減少し、50年には41万人と21年比で3割減る。入学定員は50万人まで増えており、このままだと3割程度が埋まらない。既に24年度は4年制私大の6割が定員割れした。
私大を取り巻く環境は厳しく、同省は経営上の困難を抱える法人への指導を強化する。
現在は3年間の経常収支が赤字で債務超過に陥っている法人のうち、10年以内に資金ショートの恐れがある法人などを指導対象としている。25年度は42法人が対象。今後は直近の資金ショートの恐れが薄い法人なども対象とし、100法人程度に増やす方針だ。
指導対象になると、財務上の数値目標に加え、学部の再編や募集停止などを盛り込んだ「経営改善計画」を同省に提出する必要がある。3~5年間で改善しない場合、撤退や規模縮小を促す通知を出す。撤退に向けて支援する専門家チームも設置する。
経営が改善しない場合、私学助成金の減額対象とすることも調整している。減額はこれまで、法令違反や著しい定員超過などが確認されたケースに限られていた。
日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)の調査によると、私大を運営する全国571の学校法人のうち、2割にあたる136法人が債務超過などで経営困難な状況にある。
学部や大学の新設については、収容定員の充足率が7割以下の学部が一つでもあれば認めない。基準を「5割以下」から引き上げ、学生集めが順調ではない法人による安易な新設を防ぐ。少なくとも全国2割の大学が新たな規制に該当する。
定員充足率が7割以下の学部を廃止する具体的な計画がある場合は、全体の収容人数が増えない範囲で、新設を認める。大学同士の統合を伴う場合も、ルールの対象外とする。
私大には厳しい目が向けられている。財務省は15日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、一部の私大が四則演算や英語の「be動詞」などを教えているとし、「義務教育のような内容だ」と主張した。
文科省はこうした学び直しの内容について「高等教育への円滑な導入のために実施している」(阿部俊子文科相)と反論している。
大島本社「春秋」担当に 日本記者クラブ賞[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 501文字 PDF有 書誌情報]
日本記者クラブ(前田浩智理事長)は24日、2025年度の日本記者クラブ賞を日本経済新聞社論説委員会「春秋」担当兼総合解説センター編集委員の大島三緒氏(67)に贈ると発表した。日本経済新聞社からの受賞は6人目。特別賞は中国新聞社の「決別 金権政治」取材班と三重テレビ放送の「ハンセン病問題取材班」にそれぞれ贈る。
贈賞式は5月29日、同クラブで行われる。
大島氏は1982年に日本経済新聞社に入社。東京本社社会部次長、文化部次長、社会部編集委員兼論説委員、論説副委員長などを経て2021年から現職。06年に論説委員に就任して以来、現在まで朝刊1面の「春秋」執筆に携わっている。
日本記者クラブは賞を贈る理由として「足かけ20年春秋を担い、時代と世相、人々の哀歓を見つめ、風刺とユーモアのにじむ文を書き継いできた。自在な筆致で世相をときに辛辣に斬り、ときに情感豊かにつづり、新聞ならではの1面コラムの価値を高めた貢献は大きい」などとしている。
著書に「『春秋』うちあけ話」がある。
同賞は1972年に創設。報道・評論活動などを通じて顕著な業績をあげたジャーナリストに贈られる。
【図・写真】大島「春秋」担当
日本初IR、大阪の万博隣接地で着工 「非カジノ」で独自色探る[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 492文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博会場の隣接地で24日、2030年秋ごろの開業を目指し、日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)の本体工事が始まった。大阪府・市は万博後の経済成長のけん引役を託すが、カジノは各国間の顧客獲得競争が激化している上、オンライン化も進む。成否は「非カジノ」でいかに独自色を打ち出せるかに懸かっている。
万博会場北側にカジノや国際会議場、ホテルを整備する。大阪府・市と運営会社「大阪IR」が策定した計画によると、建設時の経済波及効果は関西2府4県に福井県を加えたエリアで約1兆9100億円に上る。
ただ、日本初として期待を集めるIRも、国際的にみれば「周回遅れ」といえる状況にある。
日本が関連法制定時に参考としたシンガポールは開業15年でマカオに続くアジア2番手の座を強固にした。オンラインカジノも急速に浸透する。
三井住友トラスト基礎研究所の大谷咲太・投資調査部長は「リアル市場の成長は今後ほぼ横ばいになる」と指摘する。
各国を押しのけるには明確な差別化が必要になる。計画では伝統芸能の舞台や華道・茶道などに最先端技術を組み合わせたシアター、スタジオを整備するとしている。
故村井史郎氏(シークス会長)のお別れの会[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 55文字 PDF有 書誌情報]
故村井史郎氏(シークス会長)のお別れの会 6月4日午前11時30分から大阪市北区のリーガロイヤルホテル大阪。
小山正明さん死去 90歳 320勝投手、「精密機械」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 397文字 PDF有 書誌情報]
プロ野球阪神、東京(現ロッテ)などで主力投手として活躍し、歴代3位の320勝を挙げた小山正明(こやま・まさあき)さんが4月18日午前11時20分、心不全のため死去した。90歳だった。家族葬を行った。(評伝をスポーツ面に)
兵庫・高砂高から1953年、テストで阪神入団。速球と優れた制球力が武器で「精密機械」「針の穴を通すコントロール」と称賛された。セ・リーグ優勝に貢献した62年は27勝11敗で、最高勝率と最多奪三振に輝き、沢村賞にも選ばれた。
64年から東京でプレーし、30勝で最多勝を獲得した。ただ一人セ、パ両リーグで100勝以上を挙げた。無四球試合73は歴代2位。
大洋(現DeNA)に移った73年限りで引退した後は阪神、西武、ダイエー(現ソフトバンク)でコーチを務めた。2001年に野球殿堂入り。
通算成績は856試合登板、320勝232敗、防御率2・45。3159奪三振は歴代3位。
和歌山のパンダ返還 全4頭、6月末ごろ中国に[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 316文字 PDF有 書誌情報]
和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」は24日、飼育する全4頭の雌のジャイアントパンダを、6月末ごろに中国に返還すると発表した。返還後、国内で飼育されるパンダは上野動物園(東京・台東)の2頭のみとなる。
現在、和歌山では24歳の良浜を筆頭に、結浜(8歳)、彩浜(6歳)、楓浜(4歳)が飼育されている。今津孝二園長は記者団の取材に応じ「今後新たにパンダを受け入れるかは決まっていない」と述べた。
アドベンチャーワールドによると、貸与契約が8月に期間満了となるのを理由に、中国の「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」に返還することが決まった。
【図・写真】竹を食べるジャイアントパンダの「結浜」(24日、和歌山県白浜町)
毎日放送の番組、放送倫理に違反 「ゼニガメ」でBPO意見[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 42ページ 187文字 PDF有 書誌情報]
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は24日、家の清掃や遺品の買い取りを行う業者への密着を巡り、虚偽の内容を放送した毎日放送のバラエティー番組「ゼニガメ」について「基本的な事実の確認が不十分で、放送倫理違反があった」との意見を公表した。
毎日放送は「指摘を真摯に受け止め、今後の番組制作において事実確認の徹底など、再発防止策を実行していく」とコメントした。
鉄道の安全問い続ける JR福知山線脱線きょう20年 ATS普及、運行改善進む 人的ミスなお「社員の意識に差」[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 43ページ 1125文字 PDF有 書誌情報]
兵庫県尼崎市で乗客106人と運転士が死亡し、562人が負傷したJR福知山線脱線事故は25日、発生から20年となる。自動列車停止装置(ATS)の設置などハード面の整備が進む一方、人的ミスの影響を抑える対策は途上だ。安全最優先の意識の浸透は事故を起こしたJR西日本のみならず、社会全体の課題として残る。
「事故を決して忘れません。安全第一を積み重ね、安心、信頼していただける鉄道を築き上げます」。JR西は今なお自社サイトのトップページで事故に言及する。
通勤・通学客で混み合う快速電車が時速約116キロで急カーブに突っ込み、脱線した。私鉄との競争は過密ダイヤを生んだ。直前にオーバーランを起こした運転士は懲罰的な「日勤教育」に気を取られていた可能性がある。最後の「抑止役」を果たすATSは現場付近になかった。
事故後にダイヤは見直され、国は急カーブなどにATSの設置を義務付けた。JR西単体の安全投資額は2024年度に1010億円(推計)まで達し、事故が起きた05年度(568億円)の倍近くに増えた。ハードと運行面は改善された。
誰しもミスを起こす。重大な事故・トラブルに至る前にリスクを察知する仕組みも整えた。
故意などを除くミスは懲戒処分の対象から外し、隠蔽行為を防ぐ「非懲戒」はその代表例だ。リスクを列挙した上で発生原因を探る「逆引きリスクアセスメント」のほか、24年からベテラン社員が現場を観察し、マニュアルにない「暗黙知」を若手に継承する試みが始まった。
それでも大きな問題は生じる。
17年12月に新幹線「のぞみ」の台車に亀裂が見つかった際は、異音や異臭がありながら約3時間運転を続けていた。23年1月に大雪で京都を中心に電車が立ち往生し、乗客が長時間閉じ込められた輸送障害では、降車を進言する現場の声が生かされなかった。
JR西の取り組みを長年検証する関西大学の安部誠治名誉教授(交通政策論)は「社内教育などの体制は充実した。しかし、社員の意識に濃淡がある。安全文化の浸透は道半ばだ」と指摘する。
京都橘大学の山口裕幸教授(組織心理学)は12~14年、遺族とJR西が脱線事故の原因究明を目指す「安全フォローアップ会議」に参加した。謝罪をする一方、安全軽視を否定する同社に「己の弱さ、足りなさを直視していない」と感じた。
JR西は事故後、各現場で安全対策を議論するミーティングを重ねてきた。山口氏は「利益を直接生まない安全分野は受け身の対応になりがちだ。課題解決に近道はない。職場で地道に対話を続け、当事者意識を養うしかない」と話す。
【図・写真】先輩社員(左)の指導を受けながら車両を点検するJR西日本の若手社員(3月31日、兵庫県明石市)
自転車「ながら運転」1.2万円 反則金、来年4月から[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 43ページ 982文字 PDF有 書誌情報]
警察庁は24日、自転車の交通違反に交通反則切符(青切符)を導入する改正道路交通法を2026年4月1日に施行する方針を明らかにした。対象となる113の違反行為に対する反則金額も初めて明示した。走行中の携帯電話使用(ながら運転)には1万2000円の納付を求める。自転車の違反処理の見直しは戦後初めてで、警察庁はルールの周知や安全教育の徹底を急ぐ。
反則金の金額などは道交法施行令を改正して定める方針で、警察庁は25日からパブリックコメント(意見公募)を始める。
反則金の対象となる違反行為の多くは原動機付き自転車(原付き)と重複するため、金額も原付きと同額とし、信号無視や逆走は6000円とした。
自転車固有の違反行為として4件の反則金を示した。2人乗りや2台以上の並走は3000円、ブレーキがない「ピスト自転車」での走行は5000円などとした。期限内に反則金を納付すれば、刑事罰は科されない。
自転車の安全走行に向けて自動車側のルールも加えた。自動車が車道を走る自転車を追い抜く際には、自転車との間に十分な間隔を確保するか、困難な場合には間隔に応じた安全な速度で走行することを義務付けた。
自転車も追い抜かれる際にはできるだけ道路の左側に寄って走ることが義務付けられた。違反すると5000円の反則金の納付が求められる。
自転車の違反行為が確認された場合は警察官がまず指導・警告する。警告に従わず違反行為を繰り返したり、歩行者の危険につながったりした場合には悪質性や危険性が高いとして青切符を交付する。
一方、酒酔い運転やあおり運転など重大な違反行為は引き続き刑事手続きの対象となる交通切符(赤切符)を交付する。
反則金はモータリゼーション時代の1967年に創設された交通反則通告制度に基づく。自動車やバイクを対象に「指定場所一時不停止」や「信号無視」といった違反行為に青切符を交付してきた一方、自転車は対象外となっていた。
自転車を対象に加える背景には交通違反の急増がある。自転車を巡る摘発は24年に5万1564件あり、15年(1万2018件)の4.3倍となった。
反則金の導入により違反者は一定額を納付して刑事手続きを省略できる。警察も違反行為を迅速に処理できる。
取り締まりが自転車利用の萎縮を招かないためにも、正しい交通ルールを啓発する安全教育が重要になる。
鉄道の安全問い続ける JR福知山線脱線きょう20年――JR・私鉄の3割、衝突時の衝撃緩和車両導入[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 43ページ 660文字 PDF有 書誌情報]
鉄道大手で衝突時の衝撃吸収構造(クラッシャブルゾーン)を備えた車両の導入が進む。日本経済新聞が調査したところ、JR各社と大手私鉄のうち3割の企業が導入していた。事故の被害拡大を抑える「最後のとりで」として徐々に活用が広がる。天井などの強度を相対的に弱め、衝撃を受け流す構造を指す。
3月末~4月中旬、JR貨物を除くJR6社、大手私鉄16社の計22社に通勤車両への導入状況を尋ねた。先頭車両は7社(全体の31%)が導入済みとした。
導入企業はJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、相模鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道。導入割合はJR東海(63%)がトップ。JR東(50%)が続いた。
導入を見送った15社のうち13社は大手私鉄。「線路の高架化・地下化やホームドア設置で、衝突事故の可能性を低くしている」「衝撃に耐えられるよう車体の強度を高めている」などとする。
1992年に千葉県内で列車とダンプ車が衝突し、運転士1人が死亡、多数の乗客が負傷した事故を受け、JR東は94年にクラッシャブルゾーンのある車両を投入した。
JR西は脱線事故後の2010~11年に約300億円をかけて新型車両を導入し、クラッシャブルゾーンを採用した。
明星大学の宮本岳史教授(鉄道車両工学)は数十年単位という鉄道車両の更新間隔を踏まえ、大手の3割が導入済みとする調査結果について「普及が徐々に進んでいる」と評価。導入企業間の情報共有を提案し、「有用性について議論を深めることが鉄道の安全性向上につながる」と話す。
(桜田優樹、浅野ジーノ)
鉄道の安全問い続ける JR福知山線脱線きょう20年――忘れない、追悼のあかり 記憶「つなぐ」願い込め[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 43ページ 264文字 PDF有 書誌情報]
JR福知山線脱線事故の現場で24日夜、遺族有志が企画した「追悼のあかり」が催された。遺族の高齢化が進み、事故から20年の節目となる今年で終了する。ろうそくの火で例年かたどる「2005・4・25 わすれない」の文字に「つなぐ」を添え、記憶の継承を願った。
企画者の一人で、事故で義弟(当時34)を亡くした上田誠さん(58)は「同じような事故を二度と起こしてはならない。遺族の思いを社会全体で受け継いでほしい」と話す。
【図・写真】JR福知山線脱線事故の追悼行事で浮かびあがった「わすれない」の文字(24日、兵庫県尼崎市)=代表撮影
車が水門衝突、3人死亡 長野・飯田、1人重体[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 43ページ 366文字 PDF有 書誌情報]
24日午後0時35分ごろ、長野県飯田市松尾清水で乗用車が市道脇の水門に衝突したと119番があった。県警によると、乗っていた男性4人のうち、運転していた技術専門校訓練生の池田稜生さん(20)=同県宮田村=ら3人が死亡した。別の男性1人は重体のもよう。県警が詳しい状況を調べる。4人はいずれも長野県飯田技術専門校の自動車整備科の訓練生という。
市道は天竜川に沿って位置しセンターラインがない。車が走行中に何らかの理由で市道から外れ土手を走って水門設備にぶつかったとみられる。
亡くなったのは他に、飯田市の近藤佑哉さん(19)と同県駒ケ根市の杉崎蓮さん(20)。
飯田技術専門校によると、4人は午前の授業に出席。事故当時は昼休み中だった。現場はJR飯田駅から南東約5キロ。近くの工場従業員が「車両の損傷が激しく救出できない」と通報した。
反ヘイト、訴えた「闘う本屋」 民主主義と教育を大切に大阪・梅田で60年、ビルの建て替えで歴史に幕 面屋洋[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 44ページ 1458文字 PDF有 書誌情報]
2月末に閉店した清風堂書店は、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)東梅田駅(大阪市)に直結するビル地下2階の230平方メートルほどの書店だった。「教育書の聖地」「ヘイト本を置かない本屋」とご愛顧いただいてきたが、ビルの建て替えに伴い約60年の歴史に幕を下ろした。入社して12年、社長になって3年目の私にとって、この本屋はどんな店だったのか。
共産党の刊行物を扱う専門店として、父の龍延(りゅうえん)が1967年に仲間と立ち上げた。その後、父は教育書の販売に力を入れ、客層は学校の先生が中心となり自主的な勉強会が開かれ、出版部門も生まれた。
全国の教師が集う「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(学力研)」と連携し、学校でコピーして使える「習熟プリント」シリーズや、神戸市の小学校教諭だった岸本裕史さんが考案した「100マス計算ドリル」などを刊行。それらは今も版を重ねている。
90年代に入ると、レンタルビデオのほか、一般書、コミック、雑誌なども置き始める。私が入社したころには、社会科学書、教育書、コミックが売り上げの柱になっていた。これまでの、民主主義と教育を大事にする、という方針を受け継ぎながら、今の時代に必要とされる棚を模索しだしたのもこのころだ。
気にしていたのは、SNSや全国各地で激化していたヘイトスピーチと、それを煽(あお)る「嫌韓・嫌中本」や「日本礼賛本」と呼ばれたヘイト本が数多く入荷していたことだった。見習いだった当初は横目で見ているしかなかったが、ヘイトスピーチ裁判の傍聴に通い、自分なりに勉強していくうちに「本屋が差別や排外主義に加担してはならない」と認識し、店長になってからはそれらの本は遠慮なく返本してきた。
2015年に、東京の大型書店が「民主主義」をテーマにしたフェアを開催したが、「反日的だ」などの苦情を受けて、本をセレクトし直した。その様子をネットで見ていた私は、外された40冊のタイトルを見て「どこが反日やねん」と疑念がわいた。書店のフェアが攻撃されて内容を変更させられてしまうことにも納得がいかなかった。
その40冊を店頭から探し集め、たった一段だけの「某大型書店から外された40冊」のコーナーをつくりSNSに上げると、思いのほか大きな反響をいただいた。応援のメッセージだけでなく批判も受けたが、私にとってはお門違いだった。排他的な思想に偏っている社会を安全な場所に戻したい、という思いだった。
そんなこんなで時に「闘う本屋」とも言われたが、実際の営業はのどかなもので、「昨日テレビで紹介していた本はある?」とタイトルも著者もわからないお客様の相手もするし、自費出版サロンには、定年を迎えた人たちが半生記や街歩きの本を作りたいとやってくる。梅田の繁華街で、常に忙しい大型書店にはなかった風景だと思う。
本屋は開かれた場所であり、当然、様々な被差別の当事者も来る。彼らの安全や安心が損なわれてはならない。差別を容認することは民主主義を破壊すること、それは本屋という商売までも否定することになると思う。
閉店前の最終日には1000人以上のお客様が来てくれた。常連客以外にも多くのお客様に愛されていたことに気づかされた。今後は、本屋であったことの思いを引き継ぎながら自費出版を含む出版部門を継続し、教育と出版文化の一翼を担いたいと思っている。いつの日か、書店再開を夢見て。
(おもや・ひろし=清風堂書店社長)
【図・写真】大阪メトロ東梅田駅(大阪市)に直結するビルの地下2階にあった
平井一夫(24) パソコン撤退 ノスタルジーとは決別 「異見」聞き大規模リストラ断行(私の履歴書)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 44ページ 1385文字 PDF有 書誌情報]
吉田憲一郎さんがソニー再建を目指す「チーム平井」に加わったのは2013年12月のことだ。肩書はエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)最高戦略責任者(CSO)兼デピュティ最高財務責任者(CFO代理)だ。なんとも長い。
CFO代理と言いつつ、リポートラインは当時のCFOではなく社長の私。すぐにCFOに昇格してもらうという意思を社内外に示すためだった。ただ、吉田さんの役割は財務のトップにとどまらず実質的に最高執行責任者(COO)を兼ねたものだった。
相棒となる吉田さんとは、いきなりシビアな局面を迎えた。14年2月に公表した構造改革では、パソコン「VAIO」の売却やテレビ事業の分社、5000人の追加削減に踏み切った。
社長就任直後だった2年前に続く大規模なリストラだ。私や他の経営陣に対して「先送りすることなく今決めるべきです」と強く主張したのが吉田さんだった。まさに私が求める「異見」である。
テレビについては今村昌志さんと高木一郎さんのコンビによる改革が軌道に乗り始めており、あまり心配することはない。一方、VAIOの売却は社内外で波紋を広げた。ソニーの歴史の中でエレクトロニクス分野の主力と呼べる事業から撤退するのは、実はこれが初めてだった。
今村・高木コンビが「ガオン(画と音)」を軸に差別化を打ち出していたのとは対照的に、パソコンではそれが難しいと判断した。
そもそもVAIOは「ビデオ・オーディオ・インテグレーテッド・オペレーション」の略称であり、まさに「ガオン」で違いを打ち出す商品だった。だが核となるCPUもOSも他社に握られている。もはやソニーの強みを発揮するのは難しいと考えた。
この時期に盛んに聞こえてきたのが、ソニーOBからの非難の声だ。ある方からは「ソニーのトップは技術者であるべきだ」と記された手紙が届いたが、そこに記されたご指摘は懐古主義にしか思えない。無視を決め込み、手紙を開封することもなくなった。
「あんなのどうでもいいよ」。投げやりに言い放つ私に面と向かって注意してくれたのが、井藤安博さんだ。「平井さん、そんな言い方をするものじゃないですよ」、と。
彼は私が米ゲーム子会社「SCEA」の社長を務めていた頃からの仲だ。ちょうど現地社員からの不満を毎日聞き「俺はセラピストか」と思っていた頃に、日本からの出張者ながら私の愚痴に付き合ってくれた男だ。
社長に就任した際に、「CEO室長は彼しかいない」と私からお願いした。その井藤さんにたしなめられて、ようやくOBの皆さんと直接対話する機会を設けることにした。「リーダーはEQ(心の知能指数)が高くあれ」が私の持論だと本連載でも書いてきたが、社長にビシッと注意するくらいだから井藤さんのEQの高さは計り知れない。
こうして本社の一室にソニーの最新の商品を並べて、皆さんの話をお聞きすることにした。
ただし、結論から言えばOBの話を聞いて新しい経営施策が生まれるほど甘いものではない。ソニーをつくってきた先人に敬意は持つが、ノスタルジーだけではソニーはよみがえらない。いつまでも「ウォークマンを生み出したソニー」の幻影を引きずっていては再建はおぼつかないし、世界と戦えない。これが私が出した答えだった。
(ソニー元社長)
【図・写真】2014年度の経営方針を発表する筆者(東京都港区)
動物の命人の心(1)ヤン・ウェーニクス「死んだ兎と鳥のいる静物」 府中市美術館学芸員 音ゆみ子(十選)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 44ページ 594文字 書誌情報]
西洋には動物の絵が少ない。絵の主役といえば人間で、動物を描いただけでは「芸術」にならないという考えが支配的だった。芸術観は時代とともに変わっていくが、背景には動物をどう捉えるかという動物観、つまり人の心の変化もあった。心の動きに注目しながら西洋絵画の動物を見ていこう。
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逆さ吊(づ)りにされた兎(うさぎ)と鳥。ぐったりとした体、柔らかな毛並みや羽毛も実にリアルだ。狩りの獲物を描いた絵の典型で、獲物の口から流れる血もお決まりである。こうした死んだ獲物の絵から静物画というジャンルが始まったとも言われる程、西洋ではごく一般的な画題である。人気も高く、17世紀を頂点に20世紀に入るころまで盛んに描かれた。
死んだ獲物の絵は、多くの文化圏で描かれてきた狩猟図から派生したものである。さらに死んだ動物のモチーフは、死や儚(はかな)さの象徴ともなった。ただ、そんな画題の成り立ちや意味を頭では理解しても、無残な死骸をわざわざ絵にして飾ることに現代人の心は追いつかない。さらに、その背景には「人間は動物の支配者である」というキリスト教の教えがあったと知れば、ますます当惑するだろう。
では、死んだ獲物の絵は、現代の我々には無縁なものと言い切れるのだろうか。そんな疑問からこの連載を始めたい。
(1681年、油彩、カンバス、123.5×110.4センチ、シュテーデル美術館蔵)
【図・写真】アフロ提供
現場重視の研究者 古城佳子(交遊抄)[2025/04/25 日本経済新聞 朝刊 44ページ 516文字 PDF有 書誌情報]
ケント・カルダー先生(現米ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究センター長)との出会いは博士課程で米プリンストン大学に留学していた1980年代のことだ。日本政治研究の第一人者で当時は助教授。私は先生のリサーチアシスタントを務めた。
日本語文献の英訳や調査の手伝いなどをして、進捗を1週間に1回報告する。「ヨシコはどう思う」。大学院生である自分のことを対等な存在として、意見を求めてくれる姿勢が新鮮だった。
2002年にワシントンD.C.で在外研究をした際には、先生が受け入れ教員となってくれた。先生の専門分野とは異なっていたが、時々ランチを一緒にして意見交換をした。
外に出るのを苦手とする研究者は少なくないが、現場を重視する人だ。政治家に話を聞きに日本を訪れることもしょっちゅうだ。私自身もその姿勢に触発されて、在外研究時には研究対象の方に直接取材したこともある。
今でも家族ぐるみの付き合いがある。先生の著書の出版記念会に参加したり、来日時に奥さんだけと会ったりすることもあった。出会いから約40年。一介の大学院生だった私が日本で教職を得て研究者になったことを喜んでくれている。
(こじょう・よしこ=東京大学名誉教授)
25年04月24日
株の最低投資額10万円に 東証、企業に引き下げ要請 若年層購入しやすく[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1273文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所は、株式投資に必要な最低投資金額を10万円程度に引き下げるよう全上場企業に要請する。現在は上場規程で50万円未満を努力義務として定める。投資単位の大幅な引き下げで若年層も少額から日本株を購入できる環境を整え、国民資産の「貯蓄から投資へ」のシフトを後押しする。(関連記事総合1面に)
有識者や実務家を集めた勉強会の報告書案を24日に公表する。個人の少額投資を後押しするための東証の行動計画を盛り込む。
東証が2024年10~11月に実施した約1万人の個人投資家アンケートでは、求める投資金額の水準として「10万円程度」とする回答比率が26.2%で最も多かった。この結果を踏まえ、10万円程度を意識した株式分割を上場企業に求める。23日現在では東証全上場企業の6割、プライム上場企業に限ると8割の最低投資金額が10万円を上回っている。
日本株の最低投資金額は海外市場と比べて高く、個人の個別株投資が広がりを欠く大きな理由になってきた。日本株には100株単位で売買する「単元株(総合2面きょうのことば)」というルールがある。株価が1000円の銘柄なら投資単位は10万円となる。東証全体の中央値(3月末時点)は13万円程度、プライムに限れば約20万円に達する。
一方、欧米市場では1株単位で株を購入できるため、米S&P500種株価指数の構成銘柄は1.8万円程度(中央値)と日本株の10分の1の金額で購入できる。ドイツやフランスは1万円を下回り、オーストラリアは数百円単位で買える。
最低投資金額が100万円を超える銘柄も東証には30銘柄ほどある。例えば「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング株を買うには約460万円がかかり、成長投資枠上限が年240万円の新NISA(少額投資非課税制度)の枠組みでは購入できない。一方、米アップル株は約200ドル(約2万8000円)で買える。
報告書案には、投資金額の引き下げに向けた課題も列挙する。企業の間には、投資金額の引き下げで株主数が大幅に増える結果、株主に送付する株主総会関連書類の費用が膨らんだり、株主総会の運営が煩雑になったりする点を懸念する声がある。
行動計画にはこうした課題の解決に向け、総会関連書類の電子化の周知や、書類そのものの削減に向けた関係団体との検討も盛り込む。「バーチャル株主総会」の普及に向けた対応策も協議する。
もっとも、今回は100株単位で売買する単元株制度そのものには手を付けない。単元株制度を定めた会社法改正の議論をにらみつつ、欧米市場と同様の1株単位への引き下げも中長期の検討事項として位置づける。
東証が個人株主数の拡大を企業に促すのは、政策保有株の売却が進む中、長期的に経営を支える株主づくりが重要な課題に浮上している現状がある。
機関投資家と異なった投資行動をとる個人の保有が増えれば、株価変動の抑制や株式の流動性向上にもつながる。東証は、投資単位の引き下げを企業価値を高める資本政策の中核のひとつと位置づけ、上場企業に自発的に方策を定めるよう求める。
EU、アップル制裁800億円 デジタル市場法違反で初 メタ300億円[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1025文字 PDF有 書誌情報]
【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は23日、巨大IT(情報技術)企業を規制するデジタル市場法(DMA)に違反したとして、米アップルに対する5億ユーロ(約800億円)の制裁金を発表した。利用者を自社サービスに不当に囲い込んだと判断した。(関連記事国際2面に)
2024年3月に本格運用が始まったDMAの違反で欧州委が制裁金を科すのは初めて。米メタにも2億ユーロ(約300億円)の制裁金を科す。
同委は両社に60日以内にビジネスモデルの変更を求める。不十分な場合には追加の制裁金を検討すると警告した。
DMAはプラットフォーマーの寡占を防ぐため、あらかじめ禁止行為や義務を定めて順守させる「事前規制」の手法を採る。自社サービスの優遇などを禁じ、重大な違反には年間売上高の最大10%、繰り返せば最大20%の制裁金を科すと定める。
欧州委はアップルのアプリ配信サービス「アップストア」を巡り、アプリ開発企業が利用者を他の割安な流通チャネルに誘導することを阻む仕組みがあるとみなした。
例えばiPhoneを使う消費者はアップル製と競合するアプリを使いにくい環境にあり、公正な競争が働きにくいと判断した。
アップルは以前、iPhoneでのアプリ配信を自社のアップストアに限定していた。DMAの本格運用を受け、24年3月にEU域内では外部のストアからもアプリを取得できるようにルールを変更した。
ただ人気アプリに対しては、新たにアップルに支払う「技術手数料」を設けるなどし、アプリ開発者が「制度の骨抜きだ」と強く反発していた。欧州委はアップルのこれまでの取り組みを評価する一方、さらなる改善が必要だと主張した。
メタに対しては動画共有アプリのインスタグラムやフェイスブックでの広告モデルがDMAに違反したと指摘した。
メタは欧州で18歳以上を対象に広告を表示しない有料プランのSNSを運営していた。無料サービスの利用者データを集めて追跡型広告に活用していたとみられるが、欧州委はこうした「有料か無料か」の二者択一を迫るビジネスモデルが不適切だとみなした。
アップル、メタの企業規模からすれば今回の制裁金額は「抑制的な水準」(欧州委関係者)だ。
トランプ米大統領は米テックを狙い撃ちにするEUのデジタル規制を批判する。EUは米国と関税を巡り交渉を続けており、トランプ政権との対立激化を避けるために巨額の制裁金を見送った可能性がある。
米財務長官、日米交渉「通貨目標求めず」 貿易赤字是正を軸に[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 1ページ 849文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=河浪武史】ベッセント米財務長官は23日、日本経済新聞など一部メディアに対して、関税を巡る日米交渉で「特定の通貨目標を求める考えはない」と述べた。交渉では「関税や非関税障壁、政府補助金など複数の要素をみている」として、対日貿易赤字の是正を主なテーマに据える考えを示唆した。
ベッセント氏はワシントンで日本経済新聞や主要米系メディアの一部記者を招いて質疑応答した。
同氏は日米関税交渉の主導役を務めており、訪米した赤沢亮正経済財政・再生相と16日に会って2国間協議をスタートした。訪米中の加藤勝信財務相と24日にも会談する見通しだ。
財務相会談で焦点となる為替政策については、円安・ドル高の直接的な是正を促す通貨目標や通貨協定を求める考えがないことを指摘した。一方で日本には「主要7カ国(G7)の合意を尊重するよう期待している」と述べ、通貨安誘導を目的とした為替操作には強く歯止めをかけた。
市場では米国と中国の貿易戦争の緩和に期待がある。ベッセント氏は報復関税合戦について「持続不可能なレベルにある」と述べ、両国の対話を通じて緊張緩和に向かうとの期待感を示した。ただ、両国の協議は「まだ始まっていない」と述べた。
トランプ米政権は日本に24%の相互関税を課すと表明したが9日に見直し、各国と交渉するため90日間の猶予期間を設けて税率を10%としている。ほかにも輸入自動車に25%の追加関税を課し、鉄鋼やアルミニウムの関税も引き上げている。
日本側は相互関税や自動車関税などの完全撤廃を要求しており、米国側と妥協点を探る展開となる。
ベッセント氏は一部記者との質疑応答を前に講演して「中国の現在の経済モデルは、輸出によって経済問題を解決することに基づいている」と指摘した。「我々はそれを変える手助けをしたい。我々もリバランスが必要だからだ」と述べた。
国際通貨基金(IMF)に対しては「ゆがんだ政策や不透明な慣行を世界で長年続けてきた中国のような国々を批判する必要がある」と呼びかけた。
証券大手10社、ネット取引で「多要素認証」必須に 口座乗っ取り対策[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 1ページ 738文字 PDF有 書誌情報]
対面とネットの大手証券10社が、オンライン取引のログイン時などに複数手段で本人確認する「多要素認証」を必須とする。サイバー犯罪集団が証券口座を乗っ取る事例が相次いだことを受け、本人確認を厳しくする。
日本証券業協会が必須化に賛同する証券会社の聞き取りを進めている。25日にも賛同した証券会社の一覧を公表する。
野村、大和、SMBC日興、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレーの対面大手5社とSBI、楽天、マネックス、松井、三菱UFJeスマートのネット大手5社が賛同する方針だ。
多要素認証を原則的に必須とし、システム対応の時期を検討する。
多要素認証は刻々と変化する「ワンタイムパスワード」や本人の指紋などで、通常のログイン操作と組み合わせて本人確認を求める。犯罪集団がIDやパスワードを盗み取ったとしても、あらかじめ登録したメールアドレスや指紋を通じて追加認証が済まなければ取引に進めない仕組みだ。
野村証券は必須化に先がけ、ワンタイムパスワードをネット上で設定する際の手間が減るよう手続きの仕様を変えた。出金時のみ多要素認証を求めていた大和証券はログイン時など取引前も多要素認証を導入する。
犯罪集団は、証券会社をかたるサイトで個人にIDやパスワードを入力させる「フィッシング」や、マルウエア(悪意のあるプログラム)による個人端末への感染などを通じて口座情報を盗み取っているとみられる。
楽天、SBI、野村、マネックス、SMBC日興、松井、大和、三菱UFJeスマートの8社で不正アクセスによる株の売買が確認されている。
金融庁が18日に公表した調査では、2月以降に1454件の不正取引があり、売買金額は約954億円にのぼる。不正なアクセス自体は、3000件を超えている。
私事ながら高校受験には悔しい記憶がある(春秋)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 1ページ 561文字 PDF有 書誌情報]
私事ながら高校受験には悔しい記憶がある。地元の県立高入試は当時、中学での学力テストと内申書が比重の7割を占めていた。それを基に中学の先生が生徒の受験先を決めるのだ。やや背伸びした志望校名を伝えると、担任は即答した。「君の成績では認められない」
▼中学で地道に努力しなかったのが悪い――。そう言われれば返す言葉もない。ないのだが、複数の公立高を併願可能にして挑戦させてくれればいいのにと、釈然としなかったのを思い出す。子供が今よりずっと多かった時代。生徒一人ひとりの思いを丁寧にくむより、大勢を円滑に進学させる方が優先だったということか。
▼公立高を併願できる仕組みを考えるよう、石破首相が指示した。デジタル技術を使った合否判定などを想定しているそうだ。生徒の希望がかないやすくなるのなら、悪くないかもしれぬ。他方で近年は点数ではなく、特色で受験生を呼び込もうと励む学校も多い。併願は偏差値での序列化を招く、と反対する声もあると聞く。
▼いずれにせよ本気で実現させるなら、相当突っ込んだ議論が必要だろう。少子化でも受験熱は高く、教育格差も広がる昨今である。目配りの利いた制度設計が欠かせまい。偏差値至上主義を離れて志望校をどう選ぶか、改めて考えるきっかけにもなればいい。個人的には本来の志望校でない高校での青春は、悪くなかった。
ウクライナ、「クリミア断念」瀬戸際 米が圧力 侵略容認の危機 ロシア提案「現状の前線で停戦」[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1370文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹、ロンドン=江渕智弘】ウクライナがロシアからのクリミア半島の奪還を断念するか否かの厳しい判断を迫られている。トランプ米政権はロシアによる2014年のクリミア併合を米国が承認するなど、ロシアに配慮した仲裁案を提示した。
ウクライナは受け入れに難色を示しており、停戦交渉は難航しそうだ。
ロイター通信によると、ウクライナは23日、ロンドンで米英仏独との高官協議を開き、停戦案を話し合った。
直前に米国のルビオ国務長官とウィットコフ中東担当特使が欠席を決め、英外務省は外相レベルでの交渉を先送りすると発表した。ウクライナが米国の仲裁案への態度を明確にしておらず、交渉の前進が難しいと判断したためとみられる。
米紙などによると、ルビオ氏が17日のパリでの高官協議でウクライナ側に提示した仲裁案には、ロシアに配慮する内容が並んだ。
(1)ロシアによるクリミア半島の併合を米国が承認(2)ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念(3)対ロシア制裁の段階的縮小――などが盛り込まれたという。
米ロがウクライナの頭越しに交渉を重ねた結果、ロシアに有利な仲裁案となった可能性が高い。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、ロシアのプーチン大統領は11日、米国のウィットコフ氏に対し、現在のウクライナとの戦闘ラインで停戦することを提案した。
一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州について、ウクライナが統治している地域の領有権は主張しない方針を示したという。4州の完全制圧を掲げていた従来の戦略から転換し、見返りに米国から大幅な譲歩を引き出したという。
米国のウィットコフ氏は週内にロシアを訪れる。ロシアに有利な条件で米国が停戦交渉を進めれば、米国がロシアの侵略を事実上容認する事態になる恐れがある。
ウクライナはクリミアの主権を棚上げし、ロシアの事実上の支配下に入ることを認めない立場を崩さない。ゼレンスキー大統領は22日、「クリミアをロシア領と法的に認めることはウクライナの憲法に違反し、あり得ない」と強調した。
領土の問題などは複雑で「即座にすべてに合意することは不可能だろう」とも主張し、米国の圧力に予防線を張った。
ウクライナは苦境に立つ。仲裁案を拒否して米国が停戦交渉から離脱すれば、ウクライナ支援の縮小につながりかねない。ロシア軍が5月にも前線で大規模攻勢をかける兆候があるなか、中長期的な継戦能力の維持が難しくなる。
ウクライナは米国に対して、ロシアが再侵略できないようにする「安全の保証」を再三求めている。
ロンドンの協議では停戦合意後に欧州がウクライナに部隊を派遣する計画についても議題になる見通し。米国は部隊を派遣せず、ロシアとウクライナ、第三国などで構成する停戦監視団に資金を拠出するプランが浮上しているという。
ウクライナの政治専門家、アナトリ・オクティシューク氏は日本経済新聞に対し「トランプ米大統領は今後の中国との対立激化を見据えている。ウクライナの国益を犠牲にしてでもロシアとの関係改善を進める可能性が高い」と警戒感を示す。
ゼレンスキー氏は米国の圧力をかわし、停戦協議の仕切り直しを模索する。26日のローマ教皇フランシスコの葬儀に参列する予定で、トランプ氏と会談したい考えを表明した。
日本株に大分割時代 新NISAでのマネー流出に危機感[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1302文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所が最低投資金額(投資単位)について10万円程度まで引き下げを求めることで、上場企業の株式分割が加速しそうだ。投資単位を下げるには株式の10分割以上が必要になる企業も少なくない。(1面参照)
大幅な分割が広がれば、投資金額が高すぎて日本株を敬遠してきた新NISA(少額投資非課税制度)経由の個人マネーの流入も期待できる。
「日本人が自国の素晴らしい企業の株を買いたくても買えない状況は本当にもったいない」「若年層はより少額から投資できる外国株に流れている」――。東証が今回踏み込んだ措置を取るのは、高すぎる投資金額が個人の日本株離れを招いているとの危機感が市場関係者の間で共有されているためだ。
2024年に始まった新NISAでは、若年層を中心にした個人の海外志向が浮き彫りになった。成長投資枠での月間買い付け額は10~30代で5万~10万円程度。70代の20万円前後とは開きが大きい。長期の株式保有が期待できる若年層の投資が、最低投資金額が小さい米国株や世界株投資信託に流れる傾向が強まっている。
東証は個人が望ましいと考える10万円程度の投資単位を意識し、企業に引き下げに向けた検討を働きかける。
23日終値時点ではプライム、スタンダード、グロースの東証3市場全体で6割にあたる2277社が超えている。東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)株も15万円台で、対応が求められることになる。
投資単位が上場企業で最も高いのはセンサー大手のキーエンスで587万円。昨年には700万円台にまで膨らむ場面もあった。株価の変動を考慮すると、10万円程度まで抑えるには少なくとも70分割程度が要る。10分割以上が求められる投資単位100万円超の銘柄も、半導体製造装置大手ディスコやゲーム大手のコナミグループなど3市場で30社ある。
これまでも東証は対策に動いてきた。22年10月には東証を傘下に持つJPXがホームページ上で投資単位が100万円を超える企業名を公表し、東証の山道裕己社長(現JPX最高経営責任者=CEO)名で株式分割を呼びかける異例の措置を取った。その効果はあり、22年に96件どまりだった株式分割の発表は23年に162件、24年に211件と急増した。
ファーストリテイリングは22年12月、およそ21年ぶりの株式分割を発表した。1株を3株に分ける措置で投資単位は800万円台から下がった。23年5月にはNTTが25分割と異例の規模の株式分割を決めた。NTT株の投資単位は40万円程度から1万円台にまで下がり、株主の年齢層が大きく若返った。
10万円程度への引き下げ要請は新NISAで買える株式の増加につながり、個人の長期投資を促進する制度の趣旨にもかなう。金融庁幹部は「(株式分割が進めば)個人が投資できる商品が増え、ポートフォリオの多様化にもつながるので、資産運用立国に資する」とした上で「企業にとっても株主層が広がることで株価の一方向の動きが減り、株価の安定に寄与する」と評価した。
投資単位の引き下げは、上場企業が個人投資家との距離をさらに近づけるための重要な一歩となる。
賃上げ持続の春(3) 「同じペースは無理」(迫真)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1004文字 PDF有 書誌情報]
「この春に頑張って2%程度賃上げしたけれど、同じペースでは今後は難しい」。自動車部品製造のTRC高田(浜松市)代表の高田修平(47)は苦しい胸の内を明かす。高田は約50人の従業員を抱える。主に静岡県に拠点のある自動車メーカーに直接部品を供給するティア1(1次サプライヤー)向けに四輪・二輪車部品を納めている。
高田は手元で電卓をたたき、2020年と比べて輸送費や副資材費のコストが部品あたり20%程度上昇していることに気づいた。取引先と粘り強く価格転嫁の交渉をしたが、「自動車業界は『毎年1~2%コストダウンしてね』というのが当たり前の世界。コストアップには強烈な抵抗があり難航した」。
なんとか実現させた2%。賃上げの機運が高まるなか、労務費について転嫁を認めるティア1は多かったというがそれでは足りない。原材料費や副資材費、輸送費といったコストまで転嫁が進まなければ、中小企業の継続的な賃上げは難しい。
連合が17日にまとめた25年春季労使交渉の集計では中小企業の平均賃上げ率は4.97%と前年同時期集計値を0.22ポイント上回った。およそ30年ぶりの高水準だったが、経営が苦しいなか、深刻な人手不足を背景に賃上げを迫られる中小企業の姿が浮かび上がる。
全国の中小企業の約6割を組織化する全国中小企業団体中央会(東京・中央)会長の森洋は課題を指摘する。「受注側企業の取引段階が深くなるにつれて価格転嫁の割合が低くなっていく」。特に中小企業同士の取引で価格転嫁を進める必要性を訴える。
ただ、東京都大田区にある車体部品メーカーの経営者は「取引先のコストカットの姿勢は20年以上変わっていない。価格上げを言い出せる状況ではない」と尻込みする。中小企業庁が24年11月公表した調査では同年4~9月に企業間で価格交渉が「行われなかった」との回答が13%あった。主要な取引先を失いかねないとの懸念から、そもそも交渉を実施しない中小企業は依然ある。
帝国データバンクによると、24年度の「人手不足倒産」は2年連続で過去最多を更新した。同社情報統括課で調査を担当する旭海太郎(29)は「適正な価格転嫁が進まない状況が続けば、賃上げ余力のない小規模事業者を中心に、今後も倒産は高水準で推移すると見込まれる」と警鐘を鳴らす。
(敬称略)
【図・写真】自動車業界はコストダウンが当たり前の世界で、価格転嫁の交渉は難航したという
党首討論で国難を乗り越える戦略競え(社説)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 2ページ 948文字 PDF有 書誌情報]
国会で23日、約半年ぶりに党首討論が開かれ、与野党トップが通商や外交・安全保障政策などを巡って議論した。トランプ米政権とどんな関係を築き、日本の国家戦略を描くのか。論点は示されたものの、議論が深まったとは言えない。国際秩序が揺らぐなか、夏の参院選に向けて国難を乗り越える戦略を競い合ってほしい。
党首討論は審議活性化を目的に2000年に正式導入した。石破茂首相と野党3党首は論客として知られ「国家の基本政策」を議論する場に近づいたといえる部分はあった。5、6月にも月1回の党首討論を予定する。政治リーダーとしての器をさらに見極めたい。
今回の党首討論は24年10月の衆院選で与党が過半数を失ってからは初めて。少数与党の国会で野党は発言力を増し、国家像を擦り合わせる場になり得る。
野党3党が取り上げた質問はそれぞれが重点を置く政策を映す。立憲民主党の野田佳彦代表はトランプ政権の関税措置を論点にした。日本が先頭に立って自由貿易のネットワークをつくる外交戦略が必要とし、環太平洋経済連携協定(TPP)の活用を訴えた。
首相は「世界の自由貿易体制は守らなければいけない」と応じた。野田氏は「足を引っ張るのではなくお尻をたたくつもりでこれからも提案したい」と締めくくった。トランプ政権に毅然とした態度を示し自由貿易を推進する方向で知恵を出し合うのが望ましい。
日本維新の会の前原誠司共同代表は、日本が米国を防衛する義務を負っていないとトランプ氏が不満を漏らす日米安全保障条約の見直しを提起した。首相は「不断の見直しが必要だ」と答えた。東アジアの厳しい安保環境の中で自衛隊の役割をどう位置づけるべきか、戦略的な視点が必要になる。
国民民主党の玉木雄一郎代表は物価高対策としてガソリン税の旧暫定税率を廃止するよう要求した。首相は「恒久的な財源の手当てを含め真摯な議論を重ねたい」と述べるにとどめた。安定財源の確保を含めて議論を深める責任は与党だけでなく野党にもある。
野党の持ち時間は勢力に応じて配分する。今回は全体で45分間のうち野田氏が30分、前原氏が9分、玉木氏が6分だった。質疑時間が足りないと実のある議論にならない。時間を延ばしたり、開催頻度を増やしたりするなど審議を促進する改善を急ぐべきだ。
ロシア利する仲裁案を許すな(社説)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 2ページ 776文字 PDF有 書誌情報]
ロシアによるウクライナ侵略を終わらせるためのトランプ米政権の外交が山場を迎えた。米国と国際社会はロシアを利する仲裁案を許さず、全面的な停戦と公正な和平の実現につなげてほしい。
内外に外交成果を早く示したいトランプ大統領はロシア寄りの姿勢を強めている。米国は週内に欧州とウクライナ、ロシアとの間でそれぞれ開く協議で、戦況が不利に傾くウクライナにより多くの譲歩を求める懸念がある。
米有力紙は、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島のロシア領有を米国が認める用意があると報じた。領土保全の原則を無視して力による現状変更を認めれば、言うまでもなく国際秩序の根幹が揺らぐ。
米国はロシアの戦争責任を厳しく問うことなく、米欧によるロシア制裁を一部緩和することも検討している。全面的な停戦と和平に応じなければ、米ロ関係の改善もありえないとの断固とした姿勢を示すべきだ。
米国は近く、ウクライナと同国内の鉱物資源を共同開発する協定案を再び協議する見通しだ。協定を結んで利権を獲得するのであれば、ウクライナの安全保障を約束し、軍事支援も続ける方針を明確にする必要がある。
トランプ氏はロシアとウクライナが全面的な停戦で早期に合意できなければ、仲介外交を取りやめる方針を示唆した。双方の主張に大きな隔たりが残る中で、侵略国のロシアにこそ強力な譲歩の圧力をかけるべきだろう。
トランプ氏の「最後通告」を受け、ロシアのプーチン大統領が20日のイースター(復活祭)に合わせて一方的に一時停戦を宣言した。停戦に積極姿勢を見せ、有利な停戦条件を引き出そうとする戦術に惑わされてはならない。
ウクライナの戦争をどう解決するかは、東アジアの安全保障に影響する。侵略国を利して世界の将来に禍根を残すことがないよう、日本も主要7カ国(G7)と結束して外交努力を尽くすべきだ。
マスク氏、政権参画の代償 不買運動響きテスラ66%減益 「来月から関与減らす」[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1613文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に、トランプ米政権に関与した代償が重くのしかかった。マスク氏の政治活動や発言への反発から世界中で不買運動が起き、テスラの1~3月期の営業利益は前年同期比で約7割減った。マスク氏は今後、政権よりテスラへの関与を増やす。関税リスクも増す中で政権入りがもたらした負の側面を無視できなくなっている。
22日発表の1~3月期決算はマスク氏に厳しい現実を突きつけた。
営業利益は66%減の3億9900万ドル(約560億円)と約5年ぶりの低水準だった。成長のけん引役となった「モデルY」を20年に発売して以来、減益幅は最大となった。全体の7割を占める自動車部門の売上高は20%減り、ピーク時に20%近くあった営業利益率は2%と10分の1にまで縮小した。
主因はマスク氏自身にある。トランプ政権の政府効率化省(DOGE)を率いて行った人員削減や欧州の極右政党支持に対する反発から、米国や欧州でテスラ車の不買運動が広がった。「私がDOGEで過ごした時間は一部から反感を買っている」。22日の決算発表でマスク氏はこう振り返った。
マスク氏がトランプ政権の一員となることを投資家は当初、追い風と見ていた。同社が注力する自動運転などの分野で規制緩和が進むと期待し、株価は大統領選後の24年末に史上最高値をつけた。
実際には政権入り後、逆風が吹き続けた。止まらぬ不買運動から株価は大きく下落した。マスク氏がワシントンでの活動に力を入れ、テキサス州オースティンのテスラ本社を不在にすることが多かったことも投資家を不安に駆り立てた。
「5月からはより多くの時間をテスラに割くことになるだろう」。マスク氏は同日、政権に割く時間を大幅に減らし、経営への関与を強めると話した。テスラの業績悪化が背景だとは明言しなかったが、顧客離れや株価低迷を無視できなくなったことは明らかだ。
経営への関与を強めるもう一つの背景が関税だ。マスク氏は「関税の決定は大統領に委ねられている」と前置きした上で、「私は関税を高くすることより、低くすることを主張し続ける」との見解を示した。政権入り以降、公の場では関税を批判してこなかったが、リスクに言及した。
テスラは米国で販売するEVは米国で組み立てているが、部品は輸入に頼る。米中間の関税の応酬は販売の約4割を占める中国事業の業績の下押し要因となる。
マスク氏は米中欧の各地域で現地生産が進んでいる点を強調し「テスラは関税の影響を最も受けない自動車会社だ」と強調した。しかし生産コストが上がれば成長を見込む低コストのEV生産も難しくなる。リスクが見えない中、従来、増収を見込んでいた25年の通期見通しを撤回し、言及を見送った。
トランプ政権内での立ち位置にも手詰まり感が出てきている。マスク氏が進めるDOGEの強引な手法に政権内でも反発が強まっているほか、利益相反の疑念も拭えない。
マスク氏は同日、DOGEについて「財政再建に取り組む大きな役目は終わった」と話した。
一方で政権から離脱するとは明言しなかった。トランプ政権の影響力や外交が、マスク氏自身のビジネスに対して追い風に働くことも事実だからだ。
政権入り以降、マスク氏はインドのモディ首相との会談や協議を通じて、技術や雇用面の協力を取り付けた。テスラはインドでEV販売や現地生産を目指している。マスク氏が率いる米スペースXの衛星通信事業なども政権内にいることによって、海外ビジネスが広がる可能性がある。
減益決算と政府業務への関与を減らすことを発表した22日、テスラの株価は市場外取引で5%上昇した。政権に関与した3カ月間に失ったものは大きいものの、市場では経営手腕への期待をつなぎとめている。
【図・写真】マスク氏はDOGEについて「大きな役目は終わった」と話した=ロイター
賃金上昇、医療費に消える 大企業健保料率が最高の9.34% 消費拡大に向かわず[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1421文字 PDF有 書誌情報]
健康保険組合連合会(健保連)が23日に発表した2025年度予算の早期集計で、大企業の従業員らが入る健康保険組合の平均保険料率は過去最高になった。高齢者医療への拠出が膨らんだのが要因だ。給付と負担のバランスを見直さなければ、賃上げが進んでも現役世代の消費拡大はおぼつかない。
およそ1400ある健保組合の平均保険料率は9.34%で、24年度予算比で0.03ポイント上昇する。赤字の健保組合は全体の76%にあたる1043組合にのぼる。
支出増の要因の一つは高齢者の医療費への拠出だ。
75歳以上が全員入る後期高齢者医療制度は、後期高齢者自身の保険料が約1割、税金が約5割、現役世代の支援金がおよそ4割を賄う。
65~74歳の前期高齢者も、勤め先を退職して自営業者らが中心の国民健康保険(国保)に入る場合が多いことから、健保組合などが納付金を支出して国保を支える制度がある。
25年に団塊の世代が全員75歳以上になり、健保組合から後期高齢者医療制度への支援金が前年度より2.5%増える。経常支出のうち加入者の医療費の支払いに充てる保険給付費は5割にとどまり、高齢者拠出金が4割を占める。
健保連の佐野雅宏会長代理は23日の記者会見で「現役世代の負担が重く、高齢者への『仕送り』の割合が高い傾向がずっと続いている」と説明した。高齢者拠出金は25年度の3兆8933億円から27年度は4兆円に達する可能性がある。
「若い人がなかなか消費に向かわない。社会保険料は右肩上がりで増えており、世代による分断や格差を避けて公正・公平な社会保障にしないといけない」。経団連の十倉雅和会長は24年12月にこう語り、税と社会保障の一体改革が必要だと訴えた。
厚生年金の保険料率は17年9月に18.3%で固定した。現役世代の負担を抑えるには医療・介護の歳出改革が欠かせない。
財務省によると、医療・介護の保険給付費は12~23年度に年2.9%のペースで伸びた。この間の雇用者報酬の伸びは年1.8%にとどまる。給付費の伸びに届かない部分は、保険料率の引き上げで穴埋めしてきた。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日に開いた分科会で「医療・介護給付費と雇用者報酬の伸びを同水準にする必要がある」と訴えた。
医療費の増加要因のうち、高齢化などの人口要因は半分ほどに過ぎない。ほかは新規医薬品の保険適用や医師数・医療機関の増加、診療報酬改定などの影響という。保険料負担を抑えるには、これらの改革が急務となる。
現役世代の負担抑制策はかねてから議論されてきた。現役世代と同じ窓口負担3割となる後期高齢者の対象拡大、市販薬と効果やリスクが似る「OTC類似薬」の保険適用からの除外などだ。
一方で日本医師会の松本吉郎会長は23日の記者会見で「賃金上昇と物価高騰、医療の技術革新への対応には十分な原資が必要だ」と述べ、診療報酬の引き上げを要求した。
25年の春季労使交渉の賃上げ率は2年連続で5%台の高水準になる見通しだが、同時に社会保険料も上がれば効果は薄れる。賃上げが消費拡大に結びつかなければ企業の設備投資意欲は高まらず、成長と分配の好循環は実現しない。
26年度は診療報酬改定の年にあたる。年末にかけた予算編成プロセスの中で、どれだけ医療の効率化を進められるかが問われる。
【図・写真】記者会見する健康保険組合連合会の佐野雅宏会長代理(中央)ら(23日、東京都千代田区)
賃金上昇、医療費に消える 大企業健保料率が最高の9.34%――「医師偏在を報酬改定で是正」 財制審議論 都市部は減額も[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 3ページ 730文字 PDF有 書誌情報]
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日の分科会で、2026年度の診療報酬改定に向けた議論の方向性を示した。医師が都市部に集中し、地方で不足する偏在問題の解決につながる報酬体系に見直すよう求めた。診療所の過剰地域での新規開業希望者に対し、必要に応じて報酬を減らす措置を検討すべきだとした。
26年度は2年に1度の診療報酬改定を予定しており、25年末に向けて議論が本格化する。財制審は高齢化や新型コロナウイルス禍後の受診行動の変化をふまえた医療提供体制を築くため、メリハリのある改定にすべきだと提言した。
政府が24年末にまとめた医師偏在対策の実現に向け、診療報酬上の仕組みを作るよう求めた。診療所が過度に多い地域での開業希望者に対し、都道府県が一定の要件を課すことができるようにし、都道府県の要請に従わない場合に診療報酬を減額することも視野に入れる。
25年度に始まった「かかりつけ医」に関する報告制度の普及にも取り組むよう訴えた。地域の医療ニーズを把握し、複数の慢性疾患を持つ患者に対して継続的に治療にあたるような医療機関を適切に評価する報酬体系に再構築すべきだとした。
薬の処方を巡っては、医療機関と薬局を切り離す「医薬分業」が定着したことをふまえ、薬局で薬を受け取った方が医療機関内で受け取るよりも報酬が高くなる現在の仕組みを見直すよう提言した。薬剤師が患者の希望を確認したうえで薬を減らすよう医師に提案するなど、対人業務に対する評価を拡充すべきだとした。
医療機関の収益を圧迫しているとして、看護師などの人材紹介会社に支払う手数料の拡大を問題視した。人材の定着状況によって紹介会社が選別される仕組みを進め、必要に応じて規制を強化すべきだと訴えた。
マスク氏、政権参画の代償 不買運動響きテスラ66%減益――米政府効率化省、歳出減は目標の2割以下[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 3ページ 578文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】トランプ米政権でイーロン・マスク氏が実質的に率いる政府効率化省(DOGE)の歳出削減が停滞している。22日までに公表している歳出削減額は1600億ドルと目標に掲げた1兆ドルの2割に満たない。
連邦議会が決めた予算の執行を一方的に停止する手法には、複数の裁判所から一時差し止め命令が出ている。
DOGEがこのまま行き詰まれば政権への打撃は大きい。2025年末に期限を迎える個人所得減税(トランプ減税)の延長に失敗すれば、米家計は実質的な増税に直面する。歳出削減が進まなければ、減税の財源を確保する目算も狂う。
与党・共和党内では、民主党のバイデン前政権が主張してきた富裕層増税を模索する動きがある。
米紙ワシントン・ポストは22日、政府内で年間所得100万ドルを超える層への増税を検討していると報じた。バンス副大統領などが賛意を示しているという。
営利企業を経営しながら「特別政府職員」という曖昧な立場で実質的に政権の中枢にいるマスク氏には深刻な矛盾を抱えているとの見方がある。
テスラは3月、通商代表部(USTR)のグリア代表に米政権の高関税政策を批判する書簡を送った。ホワイトハウスで関税政策を主導するナバロ大統領上級顧問がこれを批判したのに対し、マスク氏は4月8日、X(旧ツイッター)で「ナバロは本当にバカだ」とこき下ろした。
単元株 投資額は株価の100倍必要(きょうのことば)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 3ページ 435文字 PDF有 書誌情報]
▽…東京証券取引所をはじめとする国内証券取引所は、普通株式の売買単位を100株と定めている。米欧の証券取引所で主流の1株単位ではなく、1単元(100株)ごとに売買する日本独自の制度のことを単元株制度と呼ぶ。東証で個別株に投資するときに最低限必要な金額は株価の100倍になる。
▽…かつて単元株数は100株だけでなく、1株や1000株など多岐にわたった。銘柄によって売買単位が異なるのは投資家にとって使いづらく、大手証券による巨額の誤発注事件も起きた。そのため東証は2007年11月に100株への集約目標を掲げ、上場企業に対応を呼びかけた。全銘柄の売買単位が100株にそろったのは18年10月だった。
▽…会社法では株主総会の議決権単位を1単元と定めている。議題提案権を行使できるのは議決権の1%以上、または300個以上を総会の6カ月前から保有する株主に限られる(定款で引き下げ、短縮は可能)。1株を1単元に改めれば議題提案のハードルが一気に下がり、乱用されるとの懸念がある。
党首討論、対米交渉で舌戦 首相「自由貿易守る」 野田氏、赤沢氏を批判 「TPP拡大主導」は一致[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1542文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は23日、立憲民主、日本維新の会、国民民主の3党との党首討論に臨んだ。立民の野田佳彦代表とはトランプ米政権の関税政策に関して議論を交わした。「世界の自由貿易体制は守らなければいけない」と述べた。
首相は「日本と米国が共に手を携えて何ができるか、世界のために何ができるかを示していく」と話した。
野田氏はワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、日本の発信が重要だと迫った。
トランプ政権の関税政策について世界貿易機関(WTO)の協定違反を指摘した。「ルールを守る国際秩序を作っていかないといけないという立場を日本も表明すべきだ」と訴えた。
首相は「自由貿易によって、どれだけお互いが幸せになるかを説いていかなければならない」と強調した。
野田氏は日本が環太平洋経済連携協定(TPP)と欧州連合(EU)を連携させる窓口になるべきだとの認識を示した。
首相は「認識は一緒だ」と答弁した。各国の事情を考慮する必要性を挙げながら「EUと日本が自由貿易の観点から連携する意義は極めて大きい」と話した。
野田氏は1995年の日米交渉を振り返り「国益をかけたまさに交渉の前の気迫を感じた」と語った。当時の橋本龍太郎通産相が交渉相手に竹刀を贈り、その際に剣先をわざと自らののど元に突きつけさせた。
首相は「龍太郎さんらしい、本当に闘志の表れだった」と同意した。
野田氏は対照的に訪米した赤沢亮正経済財政・再生相を批判した。トランプ大統領のスローガン「米国を再び偉大に」と記された赤い帽子をかぶったのを問題視した。「朝貢外交をやっているように見えてしまったというのは非常にマイナスだ」と言及した。
米国はベッセント米財務長官ら複数の閣僚で交渉し、日本は赤沢氏のみだった。野田氏は「国難と言っている割には体制が弱すぎる」と苦言を呈した。
首相は「劣勢だったとは全く考えていない」と反論し、トランプ氏の就任前から政府全体で準備してきたと説いた。交渉体制について「さらに強化する」と明言した。
維新の前原誠司共同代表は日米同盟のあり方や憲法改正などで首相に論戦を挑んだ。国民民主の玉木雄一郎代表はガソリン税の旧暫定税率廃止や就職氷河期世代の年金問題などを議題にした。
6月まで毎月開催
23日の党首討論は2024年10月に与党が衆院で少数に転じて初めての開催だった。6月まで毎月開く予定だ。国会運営で主導権を握る野党は党首らが自ら発信できる場として積極的に活用する。夏の参院選を前に「首相候補」の力量を競う。
党首討論は45分間。予算案や法案の審議のような政府を問いただす一方通行の形式ではない。首相と野党党首のどちらが質問しても構わない。
前回開いたのは24年10月の衆院選前だった。政治資金問題が議論の軸になり、就任直後の首相に野党側が改革を迫った。
与野党は4~6月に党首討論を月1回ずつ開くと合意した。予定通りなら25年は自民党が12年に政権を奪還してから最も回数が多い年になる。
制度が始まった2000年の8回をピークに頻度は徐々に低下した。21~24年の岸田文雄政権下はおよそ3年でわずか1回にとどまった。
野党は首相出席の予算委員会の開催を優先してきた。自民党1強の国会で与党に予算委と党首討論の両方をのませるのは難しかった。より審議時間が長い予算委で政権を追及する機会を増やすことに力点を置いた。
与党が過半数を割り、状況は一変した。野党は国会日程への影響力が強まった。予算委員会の時間を確保できる。これに加えて党首討論の頻度を高めれば、自らの政策を訴える機会を増やせる。
【図・写真】党首討論に臨む石破首相と立憲民主・野田代表(写真下)=23日、国会内
自民議連、NISA全世代化提言 未成年や高齢者に重点[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 561文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は23日、首相官邸で岸田文雄前首相らと会い、資産運用立国を推進する議員連盟の提言を受け取った。議連は未成年者も少額投資非課税制度(NISA)の口座の開設が可能になるよう要望した。高齢者向けのNISAの新制度を導入する税制措置も求めた。
議連会長の岸田氏は面会後、記者団に「米国の関税措置によって金融市場が不透明だ。だからこそ日本の経済は賃上げと投資の好循環に基づく成長軌道を取り戻さなければならない」と強調した。
首相は「提言を受けて政府としても皆さまと連携をとりながら推進に努めていく」と答えた。
提言は10月にも資産運用立国の新たな政策パッケージを策定するよう政府に要請した。
子どもや高齢者も含めたNISAの全世代化を具体策の柱とする。「こども支援NISA」の導入を提案した。いま18歳となっているNISAの口座を開設できる年齢の下限の撤廃を促す。将来の教育資金の確保へ資産運用の環境を整える。
高齢者向けに資産の一部を取り崩して生活費に充てながら、運用を続けられる「プラチナNISA」と呼ぶ制度創設も訴えた。2026年度の税制改正要望に盛り込むよう金融庁に要求する。
会社勤めの人が個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)と企業型確定拠出年金(DC)を併用する場合、合計の拠出限度額の引き上げも掲げた。
党首討論、対米交渉で舌戦 私はこう見る――議論の深さ 与野党協力など消化不良[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 522文字 PDF有 書誌情報]
党首討論に臨んだ石破茂首相と立憲民主党の野田佳彦代表、日本維新の会の前原誠司共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表。各氏の主張はどう映ったのか。有識者に話を聞いた。
中央大・中北浩爾教授 党首討論は互いの根拠の弱さを突き合って理解を深めるべきだが、今回はそうならなかった。野田氏は自由貿易などの大所高所の話をしたものの、自民党と立民の対立点にはなりにくい。
野党第1党としてトランプ関税で足を引っ張らないと示す意図はわかる。協力姿勢を見せるならば、与野党で協力するための枠組みをどうつくるかといった答えを引き出したかった。
野田氏は「一致点を見いだせる議論ができれば」と言っていた。政治資金の公開強化などをテーマにすれば、丁々発止のやりとりで一致点も見いだせたかもしれない。
前原氏はなぜ憲法改正を取り上げたのか。形而上学的な討論に映り、やや期待外れだった。
最も目立ったのは玉木氏だ。ガソリンの旧暫定税率の廃止や就職氷河期世代への対策について、内容はともかく切り込もうとしていた。
首相は丁寧に回答したが反論しなかった。反論権があるのが党首討論の醍醐味の一つ。「あなたの党はどうするのか」と聞いてもよかった。全体的に消化不良に終わった印象だ。
党首討論、対米交渉で舌戦 私はこう見る――振る舞い トップの責任感じられず[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 441文字 PDF有 書誌情報]
佐藤綾子・ハリウッド大学院大教授 首相は時間配分が上手ではなかった。「おこのうべきでございます」など聞き慣れない丁寧語を多用していた。相手の質問を繰り返してから答える習慣も見直すべきだ。答えに時間がかかり討論が深まらない。
憲法改正の必要性やガソリンの旧暫定税率の廃止時期についても明確な回答を避けた。首相に求められるのはトップとしての決断力だ。責任感を示す言葉がないように感じた。
今回の何も答えない姿勢では若年層は石破政権を支持しないだろう。これまで比較的高い支持率だった60歳代以上からも「何も決断しない人だ」と判断される可能性がある。
野田氏は赤沢亮正経済財政・再生相がトランプ米大統領と面会しトランプ氏のキャッチコピーが書かれた帽子をかぶった場面を問題視した。仲間同士の反省会で取り上げるような話題だ。
前原氏は憲法改正の議論で具体的な中身を聞きたいと発言したが、首相に明確な返答をもっと迫るべきだった。質問も余分な言葉が多い。玉木氏は短い時間ながらも論旨が明快だった。
党首討論、対米交渉で舌戦 私はこう見る――攻防 首相、失敗せず守りきった[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 433文字 PDF有 書誌情報]
越直美・元大津市長(弁護士) 基本的には首相が守りきったのではないか。どの質問に対しても失敗の要素がなく、全体的に安定感があった。
前原氏が質問していた日米安保条約や憲法は重要な問題だが国民の関心事からテーマ設定がずれている。
自分が市長の時に(地域政党の)大阪維新の会は地域に密着し「身を切る改革」をやる勢いがあった。国政政党である維新との距離を感じた。
野田氏が言っていたトランプ政権に多国間で連携して対応すべきというのは理想的ではあると思う。ただ2国間でのディールを求めるトランプ氏を攻略するのは容易ではなく、立民に「政権を任せよう」という現実性と勢いはなかった。
党首討論を国会の中の議論と位置づける野田氏と前原氏に対して、玉木氏は国民へのPRの場として捉えている。物価高や就職氷河期世代への対策など、国民が一番気にしていることに言及していた。選挙でも国民にストレートに響くだろう。
今回の党首討論を見るかぎり、参院選で与党は過半数を守りきるのではないか。
中国党序列4位「自由貿易、日中共通の利益」 公明・斉藤代表に伝達[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 407文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国を訪れている公明党の斉藤鉄夫代表は23日、北京の人民大会堂で王滬寧(ワン・フーニン)全国政治協商会議主席と会談した。王氏は「自由貿易体制を守ることは日中共通の利益につながる」と述べた。
会談後、斉藤氏が北京市内で記者団に明かした。王氏は中国共産党序列4位で習近平(シー・ジンピン)指導部で台湾問題を統括する。斉藤氏は石破茂首相から預かった習国家主席への親書を王氏に渡した。
斉藤氏は会談でトランプ米政権による関税措置を巡り「日本として見直しを求めつつ、米政府と緊密に協議する」と説明した。関税の報復合戦を続ける米中について「関係安定は国際社会にとって極めて重要だ」と語った。
中国による日本産水産物の輸入禁止やレアアース(希土類)の輸出規制に触れ「経済大国の責任を果たすことが多角的貿易体制の重視につながる」と指摘した。王氏は日中の懸案は「対話の積み重ねによって解決される問題だ」と話した。
海自、「もがみ」型護衛艦公開 人員半数で運用[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 362文字 PDF有 書誌情報]
海上自衛隊は23日、最新鋭の「もがみ」型護衛艦の内部を報道各社に公開した。同型艦は従来の護衛艦のおよそ半数の人員で運用できる。海自は人手不足の切り札とする。政府は海外への売り込みも目指す。
海自が横須賀基地(神奈川県)で公開した護衛艦は「くまの」。海自は計12隻の同型艦の導入を予定している。すでに6隻が稼働する。三菱重工業が建造を担う。1隻あたりの建造費は450億円ほどだ。
従来艦は160人ほどの人員を必要とする。もがみ型は90人程度ですむ。
デジタル技術により省人化を実現した。従来艦は操縦や戦闘指揮、射撃管制などで部屋が分かれていた。もがみ型は「戦闘指揮所(CIC)」に集約する。CIC内を大型のスクリーンが囲み、外の様子などを把握できる。
【図・写真】「もがみ」型の護衛艦「くまの」(23日、海上自衛隊横須賀基地)
首相、AWSの技術「期待する」 CEOと面会[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 301文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は23日、首相官邸で米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のマット・ガーマン最高経営責任者(CEO)と面会した。首相は「地方の活性化は最重要課題だ。AWSの技術に期待する」と述べた。「日米同盟を強化する上で防衛面の効率化が重要だ」とも語った。
政府はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進でAWSと連携する。デジタル庁が整備する国と地方自治体の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」にAWSのサービスが使われている。
ガーマン氏は「日本はAWSにとって非常に重要な国だ」と話した。「クラウド、人工知能(AI)インフラにさらに投資し、日本経済を後押しする」と強調した。
4月23日(首相官邸)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 560文字 PDF有 書誌情報]
▽8時5分 公邸から官邸。33分 アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のガーマン最高経営責任者(CEO)の表敬。平デジタル相、赤沢経財相同席。
▽9時7分 経財相、河西新しい資本主義実現本部事務局長代理、藤木経産省経済産業政策局長、平田国交省不動産・建設経済局長。48分 2024年ミス・ユニバース優勝者のビクトリア・ケア・テイルビヒさん、同日本代表のチャクラボルティ雅さんの表敬。
▽10時 市川官房副長官補、外務省の船越次官、鯰外務審議官、金井アジア大洋州局長、宮本南部アジア部長、有馬北米局長、北川欧州局長。39分 岸田文雄前首相。53分 党の資産運用立国議員連盟の岸田文雄会長から要望書受け取り。
▽13時23分 党の保守系議員連盟「創生日本」の衛藤晟一幹事長、木原稔事務局長。
▽14時50分 国会。56分 林官房長官。
▽15時 党首討論。49分 衆院本会議場傍聴席。50分 母校の鳥取大付属中の生徒にスピーチ。
▽16時3分 官邸。5分 内倉防衛省航空幕僚長。49分 衆院第2議員会館。50分 原田省鳥取大学長。
▽17時4分 野坂道明鳥取県議。12分 官邸。18分 新しい資本主義実現会議。
▽18時31分 内堀雅雄福島県知事から被災地復興に関する要望書受け取り。
▽19時43分 東京・赤坂の衆院議員宿舎。56分 公邸。
立民・野田氏、内閣不信任案提出は関税考慮(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 133文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表は23日のラジオ日本番組で、今国会での内閣不信任決議案提出に関し、米政権の関税措置の影響も見極めて判断する考えを示した。「国難という状況で政治空白をつくらせることが責任ある態度かどうか。さまざまな要素があるため、まだ決められない」と述べた。
参政党代表選、3氏争い 来月1日告示(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 120文字 PDF有 書誌情報]
参政党は23日、党代表選(5月1日告示、1~8日投票、9日開票)に神谷宗幣代表、石川県議の川裕一郎副代表、吉川里奈衆院議員が立候補すると発表した。立候補手続きは締め切られており、3人による選挙戦となる。代表選は2020年の結党以来初めて。
外相、教皇の葬儀参列へ最終調整(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 115文字 PDF有 書誌情報]
岩屋毅外相は26日のローマ教皇フランシスコの葬儀に日本政府を代表して参列するためバチカンを訪問する方向で最終調整する。葬儀にはトランプ米大統領のほか各国の首脳級も出席する見通しだ。政府は日本からも閣僚級の派遣が必要だと判断した。
オンラインで訪日外国人の事前審査 28年度から(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 107文字 PDF有 書誌情報]
政府は2028年度から、短期滞在ビザが免除された外国人の入国の可否を渡航前にオンラインで事前審査する制度を始める方針だ。従来は30年までに導入するとしていた。インバウンド(訪日外国人)の増加を踏まえて前倒しする。
首相、ベトナム・フィリピン訪問へ 27日から(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
林芳正官房長官は23日、石破茂首相が27~30日にベトナムとフィリピンを訪問すると発表した。「安全保障や経済、地域・国際社会の諸課題への対応について連携強化を確認したい」と話した。
国民民主、東京2人公認 参院選(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
国民民主党は23日、夏の参院選の東京選挙区で元NHKアナウンサーの牛田茉友氏と会社員の奥村祥大氏を公認した。いずれも新人。比例代表の公認候補として元職の川崎稔氏の擁立も発表した。
日英伊防衛相会談が中止 日程調整つかず(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 82文字 PDF有 書誌情報]
次期戦闘機を共同開発する日本、英国、イタリアが5月上旬に予定していた3カ国の防衛相会談が見送りになった。防衛省幹部によると参加国の日程調整がつかなくなったという。
参政党、参院選に3新人(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 72文字 PDF有 書誌情報]
参政党は23日、夏の参院選の選挙区に擁立する3人を発表した。いずれも新人で次の通り。(敬称略)
青森 加藤勉▽福岡 中田優子▽鹿児島 牧野俊一
維新、和歌山で公認 参院選(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
日本維新の会は23日、夏の参院選の公認候補として、和歌山選挙区に県議の新人浦平美博氏(53)を擁立すると発表した。
党首討論、対米交渉で舌戦――党首討論 主なやりとり[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
党首討論の主なやりとりは次の通り。
【対米関税交渉】
野田佳彦立憲民主党代表 自由貿易の恩恵を一番受けてきたのは米国だ。世界貿易機関(WTO)のルールや2国間合意が、相互関税で一方的に覆っている。世界中が困惑し、憂慮している。
石破茂首相 米国と一緒に日本はどのように国を発展させていくか、日米共同でいかに世界に利益をもたらすかを話していかねばならない。
野田氏 赤沢亮正経済財政・再生相がトランプ大統領とホワイトハウスで会談した際、「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA、米国を再び偉大に)」と記された赤い帽子をかぶって喜んでいた。一線を越えている。朝貢外交に見え、非常にマイナスだ。
首相 国益全体を考えた時に、赤沢氏として可能な限りの対応をした。
野田氏 米国は交渉担当者に2人を選んできたのに日本は赤沢氏だけだ。首相は「国難」と言う割には体制が弱過ぎる。
首相 トランプ大統領の就任前から徹底して準備してきた。さらに体制は強化するが、不十分だったとは考えていない。
野田氏 多国間会議でトランプ氏の関税政策について再考を求め、WTOのルールや日米貿易協定に反していると表明すべきだ。米国が「第2プラザ合意」を考えているなら、間違っていると言わなければいけない。
首相 日米を取り巻く状況は変わり、日本がどれだけ努力をしてきたかは歴然としている。はっきり数字にして米国や世界に訴えていく。
野田氏 自由貿易の推進が日本の国益だ。
首相 自由貿易によって、どれだけお互いが幸せになるかを説いていかなければならない。
野田氏 自由貿易拡大の手段として、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)を活用すべきだ。日本が事務局を引き受けたらどうか。
首相 真剣に考えていきたい。
【日米安全保障条約】
前原誠司日本維新の会共同代表 米国が軍事協定を結んでいる国の中で、日本だけが防衛義務がない。日本に何かあった時、米国が本当に日本を守るのか。今後のリスクマネジメントとして、日米安保条約の在り方を見直すべきだ。
首相 不断の見直しが必要だ。米国は日本を守り、日本は米国に基地提供する義務を負っているから双務関係だ。集団的自衛権の問題は、なぜ国連憲章に書かれたかまでさかのぼって議論するのがあるべき姿だ。
【ガソリン税】
玉木雄一郎国民民主党代表 国民民主、自民、公明の3党幹事長が昨年12月、旧暫定税率の廃止を目指すと決めている。いつ廃止するのか。
首相 3党で真摯な議論が行われており、いつ廃止するかは申し上げられない。
玉木氏 廃止が最も効果的だ。物流コストや物価が下がり、みんなが喜ぶ。
首相 その場しのぎではなく、恒久的な財源の手当てを含め、真摯な議論を重ねたい。
【年金制度改革法案】
玉木氏 なぜ国会に提出しないのか。
首相 きちんとした形で出す方針に変わりはない。提出が遅れているのは、われわれが選挙対策などと考えているからではない。
郵便局の7割、点呼不正 社長「虚偽報告うのみに」 配送業務 国交省、監査の方針[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1328文字 PDF有 書誌情報]
日本郵便は23日、配送業務に携わる全国の約3200の郵便局の7割以上で法令で定められた点呼業務の不備があったと発表した。近畿支社の郵便局で違反が発覚したのをきっかけに全国調査した。虚偽報告が全国各地で横行していたことも明らかになった。
同日記者会見した千田哲也社長は「個別の郵便局ではなく会社全体の構造的な問題であることが明確になった」と話した。
同日、国土交通省と総務省に調査結果を報告した。総務省は再発防止策などで報告徴求命令を出した。国交省は点呼業務の不備があった事業所に対し、貨物自動車運送事業法に基づいた監査を行う方針だ。
中野洋昌国交相は3月、当初問題が発覚した後の記者会見で「輸送の安全確保を揺るがしかねず、精査した上で不備があれば厳正に対処したい」と述べていた。日本郵便の千田氏は「大変厳しい行政処分が下されると想定している。役職員の社内処分も検討する」と話した。
点呼業務は車やトラックの運転手の健康状態や飲酒の有無などを確認する。貨物自動車運送事業法に基づき、事業者などに実施を義務付けている。国交省は違反した場合の行政処分として、軽微なものから「車両停止処分」「事業停止」「事業許可の取り消し」の3段階を規定している。
日本郵便は3月、近畿支社管内の140局で点呼未実施などの不備があったことを発表した。全国3188の集配業務を手掛ける郵便局を対象に調査した結果、75%にあたる2391局で不備があったと判明。のべ件数は15万件にものぼった。実際に酒を飲んで運転した事例も複数あった。
不正が横行していた背景には、個別の郵便局に対し本社のガバナンスが行き届いていない実態がある。点呼不備のうち「かなりの数」について記録書類を偽って提出していたが、会社側のチェックが書面の確認にとどまっており、不正を検知する仕組みがなかった。千田氏は「我々(本社)が書面をうのみにしてきた結果として、現場で(虚偽報告が)慣行化した」と話した。
点呼の不備については過去に内部通報も複数あったが、個別の事業所の事案として対応するにとどまっていたという。法令順守姿勢が組織的に失われていたという実態に対し危機感が不十分だったことが浮き彫りになった。
同日公表した再発防止策では、防犯カメラやタブレットなどで点呼を映像記録すること、本社・支社の検査部門が映像確認をすることを盛り込んだ。点呼の記録をデジタル化する仕組みも全国で導入し、記録の改ざんを防ぐ。
日本郵政グループでは不祥事が相次ぐ。2024年に郵便局でゆうちょ銀行の顧客情報を不正にリスト化し、かんぽ生命保険の保険商品の営業に利用した問題が発覚した。その調査の過程で国の認可を受ける前の保険商品を販売目的で客に説明した事案も明らかになった。
郵便局は全国各地に散在している。特に地方で不適切な事案が目立ったという。千田氏は記者会見で「管理者などが十分でなく目が届いていなかった」と背景を説明した。「(点呼不備は)まだ氷山の一角である可能性が大いにある」との認識を示し、ほかにも法令違反の問題が生じている可能性があるとした。
【図・写真】記者会見で謝罪する日本郵便の千田社長(23日、東京都千代田区)
泊原発、安全審査合格へ 27年再稼働めざす ラピダス量産の支えに[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1073文字 PDF有 書誌情報]
原子力規制委員会は30日開く定例会合で、北海道電力泊原子力発電所(北海道泊村)3号機を巡り、安全審査の事実上の合格証となる「審査書案」を了承する見通しだ。北電は防潮堤工事を進め2027年の再稼働を目指す。
泊原発3号機は東京電力福島第1原発事故後の12年5月に停止し、その後は稼働していない。同機は09年に運転を始めた国内で最も新しい原発で、出力は91万2000キロワットだ。審査書案の了承後はパブリックコメント(意見公募)を経て、25年夏にも正式に合格となる。
北電が規制委に泊原発の再稼働を申請したのは13年だった。同時期に申請した他電力の原発の多くがすでに再稼働した一方、泊原発は敷地内にある断層が活断層かどうかの審査に時間がかかった。21年に敷地内断層は活断層ではないとの結論に至り、他の災害による影響や施設設計などの審査が進むようになった。
審査が長期化するなかで、北海道のエネルギー需給は変化した。これまで過疎化と人口減少で電力需要は減っていくとみられていた。近年になって道内では、最先端半導体の量産を目指すラピダスの工場や大規模データセンターといった、電力消費の多い施設が相次いで進出している。
このため、北海道の電力需要は増加する見通しだ。国の認可法人である電力広域的運営推進機関(OCCTO)は34年度の需要電力量を312億キロワット時と、25年度比で12%増えると試算する。
泊原発を再稼働するには、現在建設している新しい防潮堤の完成が前提となる。工事にはあと2年程度かかる見通しだ。ラピダスは既に工場の試作ラインが完成し、27年からの量産を計画している。北電はラピダスの量産開始にあわせた原発再稼働を「かなり意識している」(斎藤晋社長)。
ソフトバンクは北海道苫小牧市で26年度からデータセンターの運用を始める。規模を1ギガワットまで拡大させる構想もある。ソフトバンクの宮川潤一社長は泊原発の電力活用を「選択肢としてあり得る」と語る。
再稼働するためには地元の同意も必要だ。北海道の鈴木直道知事は賛否を明確にしていないものの「多様なエネルギー構成で安定的に供給されることが必要だ」としている。北海道のある幹部は「知事も最終的には同意するのではないか」とみる。
国内ではこれまでに17基の原発が規制委の審査に合格し、14基は再稼働している。温暖化ガスを抑制しつつ、データセンターの増設などによる電力需要にも対応が必要となる。政府は再生可能エネルギーとともに、原発についても有効活用を掲げている。
【図・写真】北海道電力の泊原発
G20財務相会合開幕へ 米、関税批判で孤立も トランプ2次政権 閣僚初参加[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1064文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=竹内宏介】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23日(日本時間24日)、米首都ワシントンで開幕する。第2次トランプ政権が発足して初めて米国の担当閣僚が出席する。米関税政策に各国から異論が相次ぐとみられる。
会議は2日間を予定する。世界経済や途上国支援などを話し合う。ここ数年はG20の一員でもあるロシアのウクライナ侵略や中東情勢を巡って各国が協調姿勢を打ち出せず、共同声明の発表を見送るケースが目立つ。
日本からは加藤勝信財務相と日銀の植田和男総裁が参加する。米国からはベッセント財務長官が出席し、加藤氏と現地時間24日に個別に会談する方向で調整している。為替も議題となる見通しだ。ベッセント氏は日米関税交渉で米国側の交渉役を担う。
今回は保護主義を強める米国が各国一律10%の相互関税を発動後に初めて開く会議となる。
関税引き上げの報復合戦を展開する中国のみならず、各国の閣僚がベッセント氏を直接非難する可能性がある。国際協調に水を差す米国の政策は、世界経済の先行きに影を落とす。
米国が孤立を深めれば、アジアやアフリカの途上国への支援を巡り、中国が存在感を高めかねない。中国は不透明な補助金などを背景とした過剰生産を指弾されてきた。米国が協調体制から退けば、中国が主導権を握る展開も予想される。
トランプ大統領は貿易赤字が米国の経済と安全保障を脅かすとして相互関税を導入した。他国の非関税障壁や通貨安も問題視する。ベッセント氏は2月の南アフリカでのG20会合を欠席しており、今回初めてG20の場で発言する。
議長国の南アは2月会合で、米国の関税引き上げ表明を念頭に「保護主義への抵抗を再確認した」とする議長総括を公表した。共同声明は出せずに閉幕した。今回も採択は見送る公算が大きい。
G20は為替に関して経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映して安定的に推移するのが望ましいとの合意を共有し、通貨切り下げ競争を非難してきた。トランプ氏はドル安を志向しているとみられ、この点でも米国への反発が強まる可能性がある。
市場では米経済の先行きが不透明になっていることから米国債の売り圧力が強まり、利回りが上昇(債券価格は下落)傾向にある。新興国はドルを中心とした外貨建ての債務の比率が高く金利上昇で返済負担は重くなる。
4月のG20財務相・中銀総裁会議は国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合にあわせて開く。主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議も並行して開き、ウクライナ支援などを協議する。
備蓄米3回目入札開始 卸業者間の取引可能に[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 448文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省は23日、備蓄米の放出に向けて3回目の入札を始めた。2023年産の10万トンを対象に、全国農業協同組合連合会(JA全農)など大手の集荷業者への放出を想定する。今回から卸業者間でも備蓄米が取引できるようにルールを見直し、各地の小規模店などにも行き渡るようにした。
落札者が決まらなかった場合は24日以降も実施する。青森県産のまっしぐらや福島県産の天のつぶなどを対象とする。全量が落札されれば、計3回の放出量は30万トンを超える。コメ価格の高騰が続くなか、放出拡大が値下がりにつながるかが焦点となる。
今回から、過去に取引実績がある卸業者間や小売業者間は、備蓄米を取引できるようにルールを変えた。これまでは備蓄米を調達した卸業者に対し、精米後に小売業者などの実需者に販売することを義務付けていた。落札業者と取引がない一部の中小卸や地域の小売店が備蓄米を調達できていなかった。
大手コメ卸は「地方や小規模な事業者にも備蓄米が行き渡れば、コメ価格の引き下げに寄与するのではないか」と分析する。
総務省、スマホ契約巡り店頭説明是正へ[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 384文字 PDF有 書誌情報]
総務省は23日、店頭でスマートフォンなど携帯電話を契約する時の説明手法を巡り会合を開いた。業界団体は契約前にも書面を再説明する改善策を示したが、有識者からは書面自体がわかりづらく、料金の内訳などを整理した契約の要旨を示すよう求める声が上がった。
スマホの契約を巡っては店頭で契約内容の説明をしても消費者が十分に理解しておらず、後にトラブルになる事例がある。総務省は改善に向けた検討を進めている。
同日の会合では「頭金」表示への対応も論点に挙がった。一般的には頭金は分割払いで商品を買う際に最初に払うお金を意味する。頭金を多く払えば月々の支払額は小さくなる。他方、携帯電話の販売現場では、店が頭金を分割払いの総支払額と関係なく設定することが多い。
店頭で「頭金ゼロ」と打ち出す販売形態により、総支払額が減ると誤認する消費者が多く、総務省と消費者庁は注意喚起をしている。
オンラインカジノ 接続強制遮断を議論 総務省有識者会議[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 323文字 PDF有 書誌情報]
総務省は23日、違法オンラインカジノ対策を議論する有識者会議の初会合を開いた。サイトへの接続を強制的に止める「ブロッキング(接続遮断)」の是非が大きな論点になっている。総務省は夏をめどに中間の論点整理をまとめる。
会合は憲法学者やインターネットの専門家などで構成する。カジノサイトへのアクセスを抑止する方策を検討する。年齢などに応じてアクセスできるサイトを制限する「フィルタリング」なども話し合う見通しだ。
ブロッキングは憲法が保障する「通信の秘密」の侵害にあたるとされ、総務省は慎重に検討する方針だ。出席した有識者は「ブロッキングは万能ではなく他にも回避手段はある。得られる利益と失われる利益をエビデンスベースで見ていく必要がある」と述べた。
泊原発、安全審査合格へ 27年再稼働めざす――デブリ採取増へ、次はロボットアーム式 福島第1原発[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 291文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)は23日、福島第1原子力発電所2号機で2回目の溶融燃料(デブリ)採取に成功したと発表した。取り出し規模の拡大に向け、次回からロボットアーム式の装置を使う方針。
デブリとは2011年の事故時に冷却できなくなった核燃料が、原子炉の一部とともに溶け落ちて固まったもの。福島第1原発の1~3号機で計約880トンあるとされる。東電は24年11月に初めてデブリの取り出しに成功した。
今回採取したのは7ミリ角の取り出し器具に収まる大きさだ。原子炉格納容器の底につながる開口部のうち、前回採取した場所から1~2メートル離れた、より容器の中心に近いところで取った。
最低賃金の目安「EUを参考に」 新資本主義会議[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
政府は23日に開いた新しい資本主義実現会議で、最低賃金の目安について話し合った。事務方が欧州連合(EU)が示す「賃金中央値の60%あるいは平均の50%」とのルールを取り上げ、日本も参考にすべきだとの見解を示した。
現状で日本の最低賃金はEU基準より「低い水準となっている」とも指摘した。政府は2020年代に最低賃金を全国平均1500円に引き上げる方針を掲げている。
副業や兼業も議論した。副業先を含めた割増賃金の支払いで労働時間を通算管理するルールについて見直しの必要性に言及し「(厚生労働省の)労働政策審議会で検討し、結論を得るべきだ」とした。
関税交渉2度目 農相、職員同行考えず[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 5ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
江藤拓農相は23日、2度目の日米関税交渉を巡り、赤沢亮正経済財政・再生相の訪米に農林水産省職員が同行するかについて「今のところは考えていない」と明かした。「職員の帯同は農林水産品が交渉対象であると認めることになる」と説明した。
衆院農林水産委員会で立憲民主党の野間健氏に答えた。江藤氏は対米関税交渉について「一番優先的に取り組むのは車と、各国一律の相互関税の取り下げ」と指摘した。
強靱企業にカネは集まる(DeepInsight)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 6ページ 2168文字 PDF有 書誌情報]
トランプ関税は世界の株式市場を荒らした。だからこそ浮き上がった事実がある。危機を何度も乗り越えてきた「強靱(きょうじん)企業」はマネーを引き付けた。
QUICK・ファクトセットによると、2000年度から23年度までの約四半世紀で、減収決算が3期以下となる日本の上場企業は104社にとどまる。08年のリーマン危機、11年の東日本大震災、20年からの新型コロナウイルス禍という歴史的逆境をはね返した。
企業買収を重ねれば見かけの収入は増える。そこで104社のうち、四半世紀で営業利益率も高めた企業に絞った。危機でも増収を止めず、かつ稼ぐ力も強めた企業は47社しかない。
47社の株価を平均して株価指数化し、市場全体と比べると、これらの強靱企業がいかに投資家の人気を集めたかが分かる。トランプ米大統領による関税攻撃が取り沙汰され始めた3月以降、日経平均株価は一時16%下落した。ところが「強靱47」が2月末の水準を下回ったのは2日のみだ。
「ディフェンシブ(守り)銘柄」。公益企業をはじめ、景気の悪化に業績が影響されにくい企業を想像する人がいるかもしれない。だがそれは誤りだ。市場全体が下げても逆行高を演じたのは、これまで危機に直面しても萎縮せずに攻め、成長を遂げた企業だった。
2社の戦略を紹介しよう。まず、貪欲さを発揮したユニ・チャームだ。この間の減収は、決算期変更などの特殊要因を除けば16年度の1回しかない。この期も円高による海外売り上げの目減りを反映しなければ増収だった。
数々の逆風をかわすことができたのは、成長するアジア市場を開拓してきたからだ。1990年代後半の金融危機のさなかインドネシアやマレーシアに進出し、中国でも投資を拡大した。海外売上高比率は13%から66%に上昇した。
利益率を高める戦略でもある。進出した地域は出生率が高いだけでなく高齢化の進展も進みつつある。ベビー用品より単価や付加価値が高い大人用排せつケア製品、生理用品、ペットケア関連製品の伸びが期待できる。こうして海外進出に伴う投資負担を吸収し、営業利益率を高めることができた。
積極策を率いたのは創業2代目である高原豪久社長のリーダーシップだ。「存続には攻めが欠かせない」という信条がある。会社を潰さないことが経営者として最優先だが、そのためには資金をためるだけでなく投資して稼ぐという考え方だ。今後はアフリカも開拓し、信用度が悪化しない範囲で海外の大型買収を視野に入れる。
北海道を本拠とする調剤薬局最大手のアインホールディングスは、リスクマネーを供給する株式市場の後押しで成長してきた。減収はこの間ゼロ回。全国で約250社もの調剤薬局を買収してきた。4000億円を超える売上高の4分の1以上は買収先が稼ぐ。
2.7%だった営業利益率は5.1%に拡大した。化粧品などの物販事業でメーカーと直接取引し、利益率の高い独自商品を共同で開発する改革が奏功した。
同社は市場が鍛えた。1994年の株式公開前はベンチャーキャピタル大手のジャフコが育てた。97年、メインバンクの北海道拓殖銀行が破綻した後は公募増資を繰り返して出店資金を賄った。投資家が好む利益率を高めた背景だ。
もっとも市場との関係は、蜜月から緊張に変わった。2023年に元幹部が公競売入札妨害の罪で逮捕され、コンプライアンスが問われた。株価は足元こそ堅調だが、18年につけた史上最高値の6割弱に沈んでいる。昨年の株主総会では、大株主に浮上した香港の「物言う株主」オアシス・マネジメントが、会社側が提案した取締役候補への反対を呼びかけた。
創業者の大谷喜一社長は先月、売上高を9年後に2倍以上の1兆円に引き上げる計画を打ち出した。出店や買収に4000億円を投じる強気の策だ。マネーは大谷氏が批判を蹴飛ばして会社を伸ばせるかを、冷徹に試しつつある。
米バンク・オブ・アメリカは毎月、世界のファンドマネジャーに「企業に現金をどう使ってほしいか」と聞いている。今月は借金の返済や現金の確保など「バランスシートの改善」を望む声が43%。先月の33%から急上昇し、設備投資や株主還元は大きく減った。関税ショックに直面し、「守り優先」を求める慎重な声とも取れる。
だが一般論を真に受けると危うい。鋭い決断を下す企業にマネーは向かう。08年のリーマン危機時、モルガン・スタンレーに9000億円出資した三菱UFJフィナンシャル・グループの株価は同年末から3倍以上になった。出資をためらったみずほフィナンシャルグループは30%高にとどまる。
今も投資家はリスクオフばかりではない。今月、同じ話を2人から聞いた。「魅力的な会社を割安に買うチャンスだ」。一人は米買収ファンド、もう一人は国内投資信託会社のトップだった。
94歳の米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏もそう考えているに違いない。自ら率いる投資会社バークシャー・ハザウェイはアップル株などの売却を進め、昨年末の手元資金は円換算で約47兆円と過去最高に膨らんでいる。どう使うのかが、5月3日に迫った株主総会の大きな焦点に浮上した。
「長期的に成長する強靱企業」こそがバフェット銘柄の特徴だ。守ってばかりの企業は、同氏の投資リストからもう消えている。
欧州防衛強化へEU債も選択肢 英ブランズウィック・グループ ブリュッセル事務所長ニック・ブロウ氏(グローバルオピニオン)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1519文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が相互関税などを発表した。欧州連合(EU)にとっての問題はこれにいつ、どのように対応すべきかだ。EU加盟国は米国による鉄鋼・アルミニウム関税への対抗措置として約220億ユーロ相当の米国製品(大豆、オートバイなど)への報復関税を承認した。
EUは4億人の消費者市場などを背景に、依然として優位な立場にあると自信を持っている。「大型バズーカ砲」といわれる反威圧措置の引き金を引けば、米テクノロジー企業や金融サービス大手が欧州各国で販売するサービスに懲罰的措置を講じることもできる。
EUはカナダ、日本、韓国といった国々との国際貿易の利益をいかに維持するかを検討している。欧州が内向きになり、4億人の消費者を取り囲む壁を築く可能性はきわめて低い。交渉が難航していた南米南部共同市場(メルコスル)との自由貿易協定(FTA)のように突如として軌道に乗る可能性もある。米国の孤立主義を迂回するため、各国・地域との合意を探るだろう。
ウクライナ戦争などを受け、欧州の防衛能力への投資の必要性については合意が得られている。EUの執行機関である欧州委員会が提案した「欧州再軍備計画」は、EU加盟国が2030年までに安全保障上のニーズを満たす方法を示した。
財政面の制約を撤廃し、国防費を1.5%(8000億ユーロ)増やすことを可能にする内容だ。その中核は共同調達と、欧州防衛市場の深化。EU予算を裏付けに共同で資金を調達し、融資を通じて加盟国に分配される。
3月のEU首脳会議では、資金が十分か、その資金を返済が必要な融資とすべきかという点に議論の大半が集中したが、いずれユーロ建てのEU債を発行すべきか否かをEU首脳は判断するだろう。EU加盟国が共同で借り入れをした方が、加盟国が個別に借り入れるよりもはるかに簡単にお金を集められるからだ。
「倹約家」である北部欧州のオランダ人は、財政に慎重でない南欧にお金を使うことを好まない。南欧は融資ではなく補助金の支給を望んでいる。しかし、欧州は正しい方向に進むと考える。オランダの中央銀行総裁でさえ「今は防衛について考える時であって、いつどのように支払うべきかを考える時ではない」と言っている。
実はこうした議論は2027年からのEU中期予算と密接に関係している。国防費はもちろん、ドラギ前欧州中央銀行(ECB)総裁が主張したように人工知能(AI)、ネットワークインフラ、スーパーコンピューティングなど、あらゆる分野に必要な財源をどこから捻出するか。
現在の財政ルールによると財政赤字は国内総生産(GDP)比3%、債務はGDP比60%を維持する必要がある。この範囲内だけでは、EUの野心を実現するには程遠いということだ。加盟国がEUへの直接拠出金を増やすつもりがないことも明らかだ。追加資金は他の手段で調達する必要がある。共同借り入れの拡大・ユーロ債の発行増加が前進への唯一の道と考える人もいる。
ドラギ氏はEUの経済競争力強化に向けた報告書をまとめた。フォンデアライエン欧州委員長はその実施を明確に約束している。たとえば、企業持続可能性報告指令(CSRD)の対象を大企業だけに限り、中堅・中小企業の負担軽減に焦点を当てた。
一般データ保護規則(GDPR)でも同様の措置をとると発表した。AIでは「市民を守る」「産業を守る」という考え方から、技術革新(イノベーション)へと力点が移りつつある。ビジネス環境が改善されるEUに日本企業は積極的に関与してほしい。
(談)
【図・写真】Nick Blow 欧州連合(EU)の欧州委員会勤務、欧州議会のアドバイザー、コンサルティング会社経営などを経て現職。
欧州防衛強化へEU債も選択肢――統合深化が焦点に(グローバルオピニオン)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 6ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
ロシアのウクライナ侵略、欧州防衛に後ろ向きなトランプ米政権の誕生を受け、欧州は戦略的自立を真剣に問われる局面に入った。「第二のウクライナはつくらない」。ロシアとの国境線を持つバルト3国や中東欧にそうした危機感は強く、EU加盟国の間で国防予算の増加そのものへの異論はほぼないだろう。
焦点はその財源。ブロウ氏が言及したEU債は有力な選択肢のひとつだ。2010年に本格化したユーロ危機を機にユーロ圏は金融安全網、欧州安定メカニズム(ESM)を創設した。新型コロナウイルス禍を受けてEUは復興基金をつくった。いずれもEUで一元的に資金を調達する仕組みを整えた。
欧州再軍備計画を実現するためのEU債はEUの財政統合への次の一歩となる可能性を秘める。ただ、EU中期予算は加盟国の全会一致が必要でハードルは高い。EU加盟国では一段の欧州統合に反対する極右政党が伸長した。「危機は統合の母」といわれる欧州で再び危機バネが働くか否かが問われる。
(編集委員 瀬能繁)
損保、新規契約偏重を是正 代理店への手数料支払い 顧客の満足度重視[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1448文字 PDF有 書誌情報]
損害保険会社が保険契約に基づく代理店への手数料の支払い基準を見直し始めた。契約が多いほど支払額を増やす仕組みを一部改め、顧客からの評価の高さや損保の社員に頼らない自立した店舗運営をすると収入が増すようにする。今年度から修正し、2026年度の支払いから反映する。
新規契約に偏重した査定は保険金の水増し請求を繰り返した旧ビッグモーターの不正にもつながった。手数料収入は代理店の経営に直結する。基準を見直すことで業務内容の改善を促す。損保は代理店への出向者も減らしている。顧客不在のなれ合いも生んだ両者のいびつな商慣行の是正に向けた動きが広がる。
損保は代理店にポイント制で手数料を支払っている。各社は20~30程度の査定項目を設け、達成度合いなどでポイントに差が出るようにしている。
例えば、年10億円以上の保険料を獲得している同規模の代理店でも、前年度からの増収率が「15%以上」だと「5%以上」の場合より多くのポイントを加算される。積み重ねたポイントは最大約5倍の差がつき、翌年の手数料率に反映される。同額の保険契約を獲得しても、率の違いで代理店が得る手数料には違いが出るようになっている。
各社は4月にポイントの査定基準を改め、保険料の大きさや増収率の比重を落とした。
三井住友海上火災保険は保険料などの契約額の大きさが全体に占める割合を約45%から約35%に下げた。逆に顧客評価などの割合を最大で60%に引き上げた。顧客満足度を測る10段階のアンケートを独立した項目にし、高評価の割合が高いとポイントに加算する仕組みにした。今後も契約額の比重を段階的に引き下げていく。
同じMS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下のあいおいニッセイ同和損害保険もアンケートの結果がより反映される仕組みに改めた。
東京海上日動火災保険も顧客アンケートの結果を代理店への支払い基準に組み込んだ。これまで6%だった顧客評価などの割合を最大42%へ引き上げた。損害保険ジャパンも4月から40%と2倍に高め、28年度までに50%とする。損保からの出向者に運営を頼るのではなく、業務を自立してできる代理店を評価する項目を取り入れた。
支払い基準の変更は売り上げを増やす動機付けが薄れることにもなる。損保ジャパンの担当者は「保険料の伸びが鈍る可能性は否定できない」と語る。それでも顧客評価などを重視する方向に改めるのは新規契約に偏った査定が不正につながる温床になっていた面があるからだ。
損保の一連の不祥事を受けて設置された金融庁の有識者会議は昨年6月の報告書で「(現行制度が)大規模な代理店に業務品質を軽視する不適切なインセンティブを与えているおそれがある」と指摘した。保険料の規模などに偏った支払い基準を見直し、顧客サービスの向上につながる「品質」を重視するよう求めた。
業界団体の日本損害保険協会も各社の取り組みを補完する代理店評価の共通基準をつくった。26年度から本格的に運用する。制度の実効性を高めるため各社の取り組み状況を確認する評議会も6月に立ち上げる。
保険代理店は経営者の高齢化などを背景に24年3月末時点で15万652店とこの10年で2割ほど減った。法令順守(コンプライアンス)の重視やデジタル化による生産性の向上には業務の高度化が必要になる。専業代理店の場合、年間収入の大半が手数料だ。長年続いた新規契約に偏重した支払い基準の見直しが進むことで代理店網の再編につながる可能性もある。
第四北越FG・群馬銀、統合 最終調整、実現なら総資産5位[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 7ページ 753文字 PDF有 書誌情報]
新潟県地盤の第四北越フィナンシャルグループ(FG)と群馬銀行が、2027年をめどに経営統合する方向で最終調整に入ったことが23日、わかった。ともに総資産が10兆円を超える有力地銀で、統合すれば規模で全国5位になる見通しだ。金利ある世界で、規模を追求した地銀の合従連衡が一段と進む可能性がある。
共同で新たに持ち株会社を設立し、2行がぶら下がる形での経営統合を目指している。近く発表する予定だ。統合比率や本社所在地のほか、新会社の社名などは今後詰める。両行は21年に連携協定を結んでおり、共同店舗の設置や協調融資などで協力関係にあった。
両者の総資産は合計で約21兆4000億円と千葉銀行などに次ぐ規模になる。県境をまたぐ有力地銀の広域グループでは、常陽銀行と足利銀行が経営統合しためぶきFG、肥後銀行と鹿児島銀行が合流して九州FGが発足している。
群馬銀行は、富士通の勘定系システムを採用しているものの、29年に次期システムへの更改を予定している。2行はともに、千葉銀行が主導する連携枠組みである「TSUBASAアライアンス」に加わっている。将来的には勘定系システムの共同利用も視野に入れているもようだ。
第四北越FGは、新潟県の第四銀行と北越銀行という長年のライバルが18年に経営統合し、21年に合併した。2行の合併から5年がたたないうちに他県の有力行と再編の道を選んだことになる。
重複店舗の整理などを進めてきたが、地盤である新潟県は人口減少スピードが速い。首都圏に連なり、横浜などに古くから支店網を築いてきた群馬銀行と合流することで首都圏のマーケットにアクセスしやすくなる。
第四北越銀行と群馬銀行は隣県同士であるものの、重複する支店が少なく2行の地盤や知名度を生かした経営統合が可能だと判断した。
米関税「リスク顕在化」 日銀リポート、邦銀は安定性を維持[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 7ページ 281文字 PDF有 書誌情報]
日銀は23日、金融システムの安定性を評価・検証する金融システムリポートを公表した。米国の関税政策などで金融市場の不確実性が高まっている。リーマン・ショック並みの金融危機が起きた場合でも「日本の金融システムは安定性を維持できる」とした。手厚い自己資本によって国内の銀行は危機時も経営を維持できるとみている。
関税政策について「様々なリスクが顕在化しうることに注意していく必要がある」と指摘した。金融機関が直面するリスクに関しては「グローバルな金融市場の変動や海外ファンドを通じた影響を受けやすくなっている可能性がある」と記した。リポートは半年に1度公表している。
金融庁四半世紀(中)マニュアル行政、脱しきれず 地銀に一律の「監督」なお 健全と自由の均衡保てるか[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1535文字 PDF有 書誌情報]
金融庁が全国の地方銀行首脳を集め、毎月1度開く定例の意見交換会。旧大蔵省銀行局の時代から続くとされる歴史のある慣例だ。常時30分ほどの会合では金融庁幹部らから集まった全頭取に対して今も細かい要求や注意事項が伝えられる。
「越境貸し出しの実態把握を」「複雑なリスク性の高いファンドへの投資は慎重に判断を」。年明けの会合では一部の地銀で増加する特殊な仕組み融資についても注意喚起されたことが話題になった。
金融庁からすると地銀に一挙に問題意識を伝えることができて効率がよい一方、参加地銀からは「あれもこれも言われ、すべてに応じているとキリがない」と戸惑いの声があがる。地銀と一口にいっても、規模も地域性も融資商品もさまざま。ある地銀首脳は「どの金融機関に向けての注意や指示なのかわからず対応が難しい」とこぼす。
平成金融危機のただ中に前身の金融監督庁が発足した金融庁は、不良債権処理など金融システムを正常化することを最優先事項としてきた。いきおい業界への強権的な検査・監督手法もいとわなかった。
業界を律する強力な武器となったのが1999年に導入され、銀行に一律の資産査定を義務付けた金融検査マニュアルだ。危機対応のための位置づけだったが、リーマン・ショックや東日本大震災でも同マニュアルは継続された。
その後金融機関の健全性が大きく改善したことで、金融庁は2019年、金検マニュアルをようやく廃止した。ある検査官OBは「銀行の不良債権のためのものが20年も続くとは思わなかった」と振り返る。
背景には健全性の維持を前提に、銀行の自由な競争とリスクテイクを促す路線へ転換する狙いがあった。にもかかわらず、随所に見えるのはマニュアル行政を脱しきれない監督のあり方だ。
金融庁はベンチャー投資やIT(情報技術)、商社への参入といった規制緩和を矢継ぎ早に打ち出しているものの、ビジネスモデルを大きく転換し収益を伸ばした地銀はごくわずか。毎月の意見交換会のように「地銀」という枠組みで監督やモニタリングする体制をマニュアル行政の名残と見る向きも多い。
西日本の地銀首脳は「銀行が手掛けられる領域は広がり、自由にやれといわれているが、何が金融庁のプルーデンス(健全性)の怒りを買うのかわからない」という。第一地銀を中心に事実上、金検マニュアルを引き継いでいる地銀が多いのもそのためだ。
健全性とのバランスも改めて問われる。
保険金の水増し請求を繰り返していた旧ビッグモーターなど不祥事が相次ぐ損害保険の分野はその一例だ。シェアを重視し、顧客の利益を無視した営業スタイルが業界でまかり通ってきた慣習は長年、有識者も問題視してきた。
だが、金融庁内で保険分野は長く後回しにされてきた。幹部は「預金取扱機関の手厚さに比べれば保険課ラインは人手も少なく、監督局でも傍流という位置づけだったと言われても仕方ない」と認める。15万店ある全国のディーラーなど代理店や生保レディーと呼ばれる営業人員は政治力が強く、機動的な指針や関連法の改正を先送りにした側面もある。結果的に不健全な業界体質が温存された。
健全性を強調しすぎると画一的なマニュアル行政で業界が萎縮し、自由を許容しすぎると制御が利かず健全性に跳ね返る――。長年、民間と学会をまたぎ金融行政を分析してきた東洋大学の野崎浩成教授は「金融庁が何をさせたいのか、金融機関が何をしたいのか、まずは双方向のコミュニケーションの濃度を高めることにしか正解はない」と指摘する。
少子高齢化で国内市場が縮小するなかで、金融のイノベーション促進は欠かせない。健全性と自由の均衡点をいかに見いだし金融行政のかじ取りをするか。それが金融機関の飛躍につながる。
20代で年収数千万円 ヘッジファンドが大学生争奪(YOUTHFINANCE)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1046文字 PDF有 書誌情報]
「この数字を用いた理由は何ですか?」。3月中旬、都内の施設でヘッジファンドのマネジャーらから矢継ぎ早に企業の業績や株価について質問が飛んだ。同僚や企業幹部にではない。目の前に並ぶのは大学生だ。
240人・100組参加
学生を対象にした企業業績分析の競技会「Gyoseki大会」でのやりとりだ。約240人・100組が参加し、東京大や早稲田大、米コロンビア大からの参加があった。米大手ヘッジファンドのポイント72がメインスポンサーを務める。
勝負の期間は2カ月。提示された3社の業績や株価の先行きをその間に分析する。優勝チームには15万円が贈られる。日々の実務を再現しているといい、会場には緊張感がみなぎる。開催は3回目となる。応募数は2022年の初回から3倍に増えた。9割の学生がヘッジファンドなど金融業界への就職を希望する。
「外資系証券会社の投資銀行部門を第1志望に就職活動をしている。プロから直接フィードバックをもらえる機会は非常に貴重だ。ヘッジファンドもキャリアの選択肢として関心がある」。優勝チームの柳翔太さんは語る。普段から株式などに投資しており、金融業界での活躍を夢見ている。
競技会を運営する加藤寛之氏は「単に株価などを当てるゲームではない。論理的な根拠をもって業績を見通す力が大事だ」と強調する。競技会での成績と採用は関係ないが、学生にとっては自身を売り込むまたとない機会となる。
学生にとってヘッジファンドが魅力的なのは報酬の高さだ。新卒採用は各社とも多くても年1~2人という狭き門だが、年収は20代で数千万円に達することもある。
10年間で2割増
ヘッジファンドは日本での存在感が増している。英調査会社のプレキンによると、日本への投資に特化したヘッジファンドの数は25年に306と10年間で2割増えた。今後も日本に安定的な基盤をつくるため若手の採用を増やしつつある。
世界で5兆円超の資産を運用するポイント72も日本で新卒採用を始め、人員数は増加傾向にある。ヘッジファンドは社員の入れ替わりが激しい業界だが、自社で育成した方が経験者よりも定着率が高いという。
採用などを担当する加藤敬氏は「競技会は学生にとってヘッジファンドでの仕事を知るきっかけになる。銀行や証券会社と並ぶ選択肢にしてもらいたい」と話す。
ヘッジファンドにベンチャーキャピタル――。これまでなじみのなかった業界が新卒に触手を伸ばす。国や業種の垣根を越え、金融業界の人材争奪戦が激しさを増している。
(秋田咲)
市場が促した「2度目のトランプ氏変心」 FRB議長解任否定 円急落、ドル高は距離[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1584文字 PDF有 書誌情報]
23日早朝の外国為替市場で対ドルの円相場が一時1ドル=143円台まで急落した。トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を否定したことがきっかけだ。相互関税の90日間停止に続き、市場での米国売りが再びトランプ氏の「変心」をもたらした。ただ、トランプ政策への疑心暗鬼は残り、ドル高進行の相場には距離がありそうだ。
「(パウエル氏を)解任するつもりはない」。米ホワイトハウスで日本時間23日、記者団にこう応じたトランプ氏。発言が伝わると円は対ドルで143円20銭台まで下落した。前日午後5時時点からは3円近い円安・ドル高水準だ。
トランプ氏の発言内容は前日までと百八十度異なる。「『予防的利下げ』が多くの人から求められている」「(パウエル氏を)一刻も早く解任すべきだ」。自身のSNSなどを通じてこう発信していた。手のひら返しの背景には、米国の株式・債券・通貨(ドル)がいずれも売られる「トリプル安」がある。
特にFRBの独立性への懸念から、ドルの基軸通貨としての信認低下も強く意識されていた。22日は幅広い通貨に対してドルが売られ、円も一時139円台と2024年9月以来の円高・ドル安水準をつけていた。こうした過度な警戒感がいったん和らいだことで、23日はドルの買い戻しが優勢となった。
トランプ氏の変心は2回目だ。4月2日に相互関税を公表した後、9日にはその一部を90日間停止すると発表した。このときも米国債売りが膨らみ、米長期金利が4.5%台まで急上昇(債券価格は急落)するなど米トリプル安の様相が際立っていた。
トランプ氏は市場に波乱が生じれば方針を修正する――。市場ではこんな見方が強まりつつある。
「結局、トランプ氏に対しては金融市場による監視が一番効果的だというのがよく分かった」。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストはこうこぼす。
SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストも「市場や米国民に完全に迎合するわけではないが、行き過ぎたところは修正するというスタンスだろう」と話す。
市場は手放しで安心感を抱いているわけではない。「トランプ氏の対応は朝令暮改で、政策運営全体に対する不確実性の高さはなお意識されている」(三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジスト)
実際、23日の東京市場で円相場は一時1ドル=141円台半ばまで戻すなど、143円台をつけていた朝方から下落幅を縮めた。国内銀行の為替ディーラーからも「パウエル氏の解任否定を材料にしたドル買いはすでに消化された。まださらなるドル買いを試しにいける環境ではない」との声が聞かれる。
関税を巡るディール(取引)がどう進んでいくかが焦点になる。その方向性が鮮明にならない限り、市場の疑心暗鬼は拭えない。SMBC日興証券の野地氏は「あくまで最後の一線は越えないものの、強硬なトランプ氏の基本スタンスは変わらない」との見立てで、なお不透明だ。
トランプ氏はFRBに対し、引き続き「政策金利を引き下げるというアイデアに、もう少し積極的になってほしい」と話している。「今後も中銀の政策に注文を付ける点は変わらず、その点で不安感は残る」(三井住友銀行の鈴木氏)との見方がある。
現地時間24日には加藤勝信財務相とベッセント米財務長官が個別に会談する方向で調整している。為替が議題の一つになる見通しで、注目度は高い。
SMBC信託銀行の合沢史登シニアマーケットアナリストは「会談を迎えるまでは143円台を下回って円がどんどん下落するとは考えにくい」と話す。
あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは日米会談について「『過度な円安は許容しない』といった内容が出てくればドル売り・円買いが進む」と指摘し、目先の上値メドは140円とみる。
(生田弦己)
自動売買、関税政策が翻弄 「順張り」ファンドCTA、年初来7%下落 相場乱高下で目立つ苦戦[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1554文字 PDF有 書誌情報]
金融市場で相場のトレンドに追随した自動売買によって収益を稼ぐ「順張り」戦略のファンド、CTAが苦戦している。主要CTAの年初来の運用成績は21日時点で7%のマイナスと、同時期として比較可能な2000年以降で最も下げ幅が大きい。朝令暮改で変わるトランプ米大統領の関税政策に、アルゴリズムも翻弄されている。
システマティカ・インベストメンツの主力CTA戦略「ブルートレンド」が急落に見舞われている。同戦略を採用する投資信託の基準価格は24年末比で2割安い。トランプ氏が相互関税の詳細を2日に発表した後の金融市場の混乱を受け運用成績が急激に悪化した。
英フィナンシャル・タイムズによると、天然ガス、銀、コーヒーなど商品相場の急変動に加えて、米株急落に対して米ドルや米国債が緩衝材の役割を果たさなかったことがブルートレンドに打撃となった。
CTAは一般に株価指数や債券、通貨、コモディティーなど世界の市場で取引される多数の先物を取引する。定量分析を駆使して相場の動きを分析し、人の判断を介さずに機械的に売買するのが特徴だ。
相場が上昇基調になったと判断すると買い持ち高を積み上げ、下落基調とみれば買い持ち高を縮小し次第に売り持ちに転換する。CTAが利益を出しやすいのは、上げでも下げでもトレンドが長続きしやすい局面だ。
今回はトランプ氏の相互関税策で相場が急速に下落し、その後乱高下を繰り返している。明確な相場の方向性が形成されず、CTAのような順張りファンドの苦戦が目立っている。
英マン・グループもその一つだ。14日時点の運用資産残高は推定1670億ドル(約23兆円)と3月末(1726億ドル)から3%減った。値動きを追う戦略の運用成績は4月だけで5%悪化した。
仏ソシエテ・ジェネラルが主要CTA(25年時点では20ファンド)のデータを集計した指数は21日時点で24年末比7.0%低い。同時期の年初来下落率としては09年の4.1%を上回り、過去25年間で最も悪い。通年で最も振るわなかった18年(5.8%)も超えている。
CTAは数百に及ぶ資産に分散投資し、相対的に値動きの安定性が高くなることが期待できる。英ウィントン・キャピタル・マネジメントのカーステン・シュミッツ共同CIO(最高投資責任者)は「株式や債券など伝統的資産に対する分散化目的でCTAに投資する投資家が多い」と話す。
ただCTA指数は12%安の米S&P500種株価指数と比べて「値持ちがいい」とは言いがたい。CTAの運用成績は今後持ち直すのか。実は、ソシエテ・ジェネラルのCTA指数が20%高と年間で最も高いパフォーマンスを示したのは22年だ。
ロシアのウクライナ侵略でインフレが加速し、米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする米欧中央銀行が金融引き締めに動き、S&P500は19%下落。米国債の値動きを示す指数も13%下げる「株と債券の同時安」局面で、CTAの好調さが光った。
リーマン・ショックのあった08年にもS&P500が4割安となる中で、CTA指数は13%のプラスを確保した。
CTA指数に組み入れられるファンドを手掛ける米アルファシンプレックスグループのチーフ・リサーチストラテジスト兼ポートフォリオマネジャー、キャスリン・カミンスキー氏は4月上旬のリポートで、20年の新型コロナウイルス禍のように、短期かつ急激に相場が下落した場合に順張り型の戦略のリターンは悪化するとした。
カミンスキー氏は「新たなトレンドの発生時には苦戦するが、その延長線上で成功する」と指摘する。トランプ関税下で収益を高められるかについては、世界景気に重大な危機をもたらし資産価格の下落トレンドが続くか、短期で相場が戻るかがカギを握るとみる。
(坂部能生)
自動売買、関税政策が翻弄――「持ち高転換、最短でも2週」 英ウィントン共同CIO[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 9ページ 805文字 PDF有 書誌情報]
英ウィントン・キャピタル・マネジメントは1997年創業の老舗CTAで、130億ドル規模の資産を全て、人の判断を介在させないシステム取引で運用する。カーステン・シュミッツ共同CIO(最高投資責任者)にCTAの投資手法や戦略を聞いた。
――世界的なマーケット急変動のファンドの運用成績への影響は。
「リバーサルが続く相場の影響は免れないがソシエテ・ジェネラルの指数に対しては年初来で上回っており、相対的には良好だ。最高値更新が続く金のロング(買い持ち)から恩恵を受けた。債券、通貨、非鉄金属では損失が出ている」
「他社よりも早く株式のロングポジションを縮小し、ショート(売り持ち)に転じられたところが相対的な優位性につながった。リスク管理フレームワークによって、イベント発生前の段階でレバレッジを抑制していたことも奏功した」
――過去は株安が続くとCTAの運用成績が良好な傾向があります。
「CTAは性質上、市場の将来の動きは予想しない。ただ世界の株価指数、債券市場、通貨市場において地域ごとのばらつきが拡大しており、今後は個別性の高いトレンドが生まれる可能性も高まってきている」
――相場にトレンドが出ないとCTAは利益を上げにくいのでしょうか。
「相場が横ばい推移すれば通常は少し損が出る。ただ全市場で大きなトレンドが必要なわけではない。例えば24年の最大の収益源はカカオ。21年からの円安基調も収益性が高かった。強いトレンドが1つ、2つあれば収益を上げられる」
――ポジション転換の時間軸は。
「マックスロング(最大水準の買い持ち高)状態の資産が急落した場合でも、それに反応して持ち高を転換するのに2週間くらいかける。平均的な相場環境ならば3~6カ月は1つの持ち高を維持している。これくらい『低速』な方が、運用成績が上がりやすいというのが業界のコンセンサスだ」
(聞き手は今堀祥和)
【図・写真】シュミッツ氏
米国株と金、10年運用で逆転 「米国売り」、1強揺らぐ象徴(MarketSCOPE)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 9ページ 504文字 PDF有 書誌情報]
米国の代表的な株価指数であるS&P500種株価指数は直近10年間の運用成績で金(ゴールド)価格を下回った。トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)に即時の利下げを要求するなど中央銀行の独立性を脅かす事態となっている。世界の株式相場をけん引してきた「米国株1強」の揺らぎを映している。
LSEGによると、2015年4月比の22日時点の上昇率はS&P500が154%だった。一方、金価格の国際指標となるニューヨーク先物相場は181%と米国株を上回る。
金価格は22日までに4営業日連続で最高値を更新した。ピクテ・ジャパンの松元浩シニア・フェローは「通貨体制や国際安全保障に漠然とした不安を抱える投資家は、資産を守るには株式や投資信託などのペーパーアセット(紙の資産)よりも現物資産しかないとみている」と話す。
株式も金もインフレに強い資産の代表格だが、物価上昇と景気停滞が同時に進む「スタグフレーション」懸念が強まる局面では、歴史的に金が選好されやすかった。トランプ氏は貿易赤字の縮小に向けて関税政策で強硬な姿勢を崩していない。スタグフレーションが現実化するようなら、リターン格差は一段と開く可能性がある。
World Market[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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香港ディズニー、拡張で海外誘客 「世界最小」魅力充実急ぐ 業績回復が追い風に[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1655文字 書誌情報]
【香港=伊原健作】香港ディズニーランドがエリア拡張に動き出した。年内にも「マーベル」作品などをテーマにした新施設の建設を始める計画。隣接する官有地の取得に向け政府との協議も進める。「世界最小」とやゆされる香港ディズニー。足元での業績復調をテコに相次ぐ拡張で手薄な東南アジア客を取り込む。
香港西部のランタオ島。香港ディズニーは17日、9月に控える開業20周年のイベントを事前披露した。6月28日から特別パレードなどを順次展開する計画だ。
お披露目会には日本やタイ、シンガポールなどアジア各国のメディアやインフルエンサー計500人超を招いた。参加した日本の女性インフルエンサーは「インスタグラムで紹介したい」。
米ウォルト・ディズニーによると、香港ディズニーは全体で126ヘクタールと、東京ディズニーリゾート(約200ヘクタール)の半分強の面積にすぎない。継続的に客を呼び込むにはイベントに加え、新エリアの創出が欠かせない。
そこで、香港ディズニーは拡張へと動く。
まず2025年にも米ピクサー・アニメーション・スタジオの作品やマーベルをテーマにした新エリアの着工に入る方針。文化スポーツ・観光局の羅淑佩局長は4月に立法会(議会)で、政府への借入金の返済資金の一部を使うことを認める方針を示した。
いずれも園内の空きスペースを活用するため、大規模開発には新たな土地の確保が欠かせない。香港ディズニーは隣接する約60ヘクタールに上る官有地の取得を本命視する。
香港ディズニーのマイケル・モリアーティ行政総裁は今年2月、用地確保について「株主と協議している」と表明。52%を出資する香港政府と取得協議に入った。新エリアの中身や開発費用などの詳細は、残りを出資するディズニーなどと話しているもようだ。
モリアーティ氏は協議の行方は「株主次第だ」としつつ「香港は(訪問客を増やす)準備ができている」と自信を見せる。観光産業に詳しいエコノミストの李兆波氏は「政府は迅速に承認するだろう」とみる。
香港ディズニーはもともと、将来のエリア拡張を見据え、官有地の購入権を保有していた。だが、15年以降に業績が低迷。16年の上海ディズニーランド開業に加え、新型コロナウイルス禍も重なり、最終赤字が続いた。
業を煮やした政府は、20年に購入権の契約を更新せずに事実上取り上げた。官有地はコロナ禍には隔離施設に活用され、宅地開発する案も浮上していた。
ここに来て再び取得に現実味が増した要因は、業績の復調だ。
24年9月期の最終損益は8億3800万香港ドル(約150億円)の黒字(前の期は3億5600万香港ドルの赤字)に転換した。最終黒字は10年ぶりで、過去最高益となった。
23年11月に世界初となる人気アニメ映画「アナと雪の女王」の新エリアがオープンしたのが奏功した。
入場者の内訳は香港客が40%、中国本土客が38%、東南アジア・東アジアが中心の「その他」が22%だった。エリア拡張で香港以外の顧客を呼び込み、収益拡大を狙う。
政府も観光客を呼び込む起爆剤になると期待する。香港では隣接する中国本土の広東省深へ出向き、買い物などを楽しむ「北上消費」が流行する。大規模抗議デモなどでイメージが悪化し、域外訪問客の伸びも鈍い。
課題は中国本土にあるテーマパークとの競合だ。米テーマエンターテインメント協会によると、上海ディズニーの入場者数(23年)は1400万人と、香港ディズニーの倍以上だ。
21年には北京市にユニバーサル・スタジオ北京(USB)も開業した。深にもデンマーク発のブロック玩具をテーマにした世界最大級の「レゴランド」が建設中だ。
東南アジアにディズニーのテーマパークがなく、前期も「入場者が増えた」(香港ディズニー)。それでも「価格に見合った価値を提供できなければ、日本などに需要が流れかねない」(香港の旅行会社)との声もある。
【図・写真】香港ディズニーは開園20周年のコンテンツをお披露目した(17日、香港)
LG、電池材生産計画撤退 インドネシア EV市場減速で[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 11ページ 637文字 PDF有 書誌情報]
【ジャカルタ=押切智義、ソウル=松浦奈美】韓国の電池大手LGエネルギーソリューションは、インドネシアでの電気自動車(EV)向け電池材料の生産計画から撤退すると明らかにした。世界的にEV市場が減速しており、十分な投資リターンが見込めないと判断した。
撤退を決めたのは、インドネシアでニッケル鉱山や製錬所、前駆体などの材料工場を立ち上げる計画。LGエネが2022年4月に発表していた。LGエネは今回の声明で「市場の状況や投資環境など様々な事項を考慮し最終的に撤回する」とした。
同社を中心に、インドネシアの国営ニッケル鉱山会社アネカ・タンバンなどでつくるコンソーシアムを通じて投資する方針だった。
韓国の聯合ニュースによると、投資額は77億ドル(約1兆800億円)を見込んでいた。
LGエネは24年7月、韓国の現代自動車と共同で、インドネシア初となるEV電池工場を稼働させた。今後も電池生産事業は継続するという。
インドネシアは、EV電池の主要材料のニッケルで世界生産の5割を占める。
LGエネは同国に鉱山や製錬所も含めた一貫生産体制を築き、材料を安定的に手に入れながら事業の収益性を高める計画だった。
しかしEV市場が減速し、材料価格の高騰も収まっており、計画の見直しを迫られていた。
インドネシア国内では、計画の進捗が遅いことが度々話題となっていた。同国のエネルギー・鉱物資源省の幹部は22日、記者団に「最初からこの計画は政府が定めた目標に間に合っていなかった」と語った。
鴻海、米にEV年内投入 自社設計では初めて[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 11ページ 405文字 PDF有 書誌情報]
【台北=龍元秀明】台湾電機大手の鴻海(ホンハイ)精密工業は23日、北米市場向けにカスタマイズした乗用車タイプの電気自動車(EV)を2025年中に現地投入すると明らかにした。鴻海は車大手やサービス業者などからEVの設計・製造を受託するビジネスモデルで海外顧客を開拓している。自社設計に基づくEVの北米供給は初めてとなる。
台北で同日開幕した自動車関連の展示会で広報担当の巫俊毅・副総経理が明らかにした。台湾車大手にも供給する多目的スポーツ車(SUV)の「モデルC」を、北米向けに仕様を変えて提供する。具体的な顧客名には言及しなかった。
巫氏は「25年は鴻海にとって力強い成長の年になる。けん引役は人工知能(AI)関連の製品で、EV事業のさらなる進展も期待する」と話した。鴻海は三菱自動車へのEV供給も調整中で、26年にオセアニア市場に投入する方針。巫氏は「協業の成果があれば顧客が発表する」と述べるにとどめた。
小米のEV研究開発、ドイツに拠点計画 技術やデザイン強化[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 11ページ 359文字 PDF有 書誌情報]
【上海=藤野逸郎】中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)がドイツ・ミュンヘンに電気自動車(EV)の研究開発拠点を計画していることが分かった。2027年から海外展開を目指すなどEV事業を拡大する方針で、技術やデザインの開発を強化する。
同社の広報担当者が23日、日本経済新聞に「計画中だが、詳細は開示しない」と回答した。中国メディアの一部は、50人に満たない規模で拠点を立ち上げたと報じた。小規模で運営し、全モデルのチューニングなどに携わるとも伝えている。
小米は24年、同社として初のEV「SU7」を中国で発売した。現在は国内のみで販売しており、24年に約13万7000台を納車した。
25年は35万台を目標に掲げ、多目的スポーツ車(SUV)タイプも投入する。車産業の集積する欧州に拠点を設け、ノウハウを取り込む。
検証中国製造2025(下)医薬品供給網、深まる依存 研究開発でも台頭 ロボット・農機は発展途上[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1097文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が半導体とともに関税導入に向けた調査を始めた医薬品は、中国が産業政策「中国製造2025」で重点分野として振興してきた。生産や研究開発の実力は向上が続き、米国が警戒を強める。中国はロボットや農機でも競争力を高めることを目指してきたが、国産化などで難航している面もある。
■ 医薬品
「中国はバイオテクノロジーの『戦略的要素』(教育、研究、起業家精神、製造)の主要分野で少なくとも米国と肩を並べる水準に達し、巨大な勢いを維持している」。米スタンフォード大学のドリュー・エンディ准教授は2月、米国公聴会でのリポートで総括した。
中国製造2025では医薬品産業で「世界的なリーダー」に躍り出る目標を掲げた。実際、世界のサプライチェーン(供給網)は中国への依存度を深めている。米国で製造される医薬品の基準を策定する非営利団体の米国薬局方協会(USP)によると、米国で報告された医薬品原料(有効成分)の製造地は中国が3割を占めた。
研究や開発能力などの実力もトップランクに躍り出た。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は、2019~23年の研究論文の引用数から算出した指数で研究の「影響力」をまとめた。
中国は医療医薬の関連7分野のうちバイオ製造技術など3分野で1位、残るゲノム配列解析など4分野でも2位となり、米国としのぎを削る。
医薬医療の調査を手掛ける米サイトラインによると、中国が開発する医薬品の数は24年に6000件超と、15年に比べ7倍強に膨れ上がった。
米国務長官のルビオ氏が就任前の24年にまとめた報告書では、中国のバイオ医薬産業について「今後数年のうちにファストフォロワー(追従者)からテクノロジーリーダーへと移行する兆しがある」と警戒感を示した。
■ 農機・ロボ
中国製造2025では農機も重点分野に掲げた。ただ調査会社ディールラボによると、23年の農機メーカーの売上高の世界シェアは米ディアなど日米欧が上位を占める。中国勢は第一托拉機が9位に入るのみだ。
ロボットも国産化の進捗は遅れている。中国製造2025では産業用ロボットで国産比率70%以上という目標を掲げたが、中国の調査会社MIRデータバンクによると24年は52%にとどまった。
一方で19日にはヒト型ロボットが参加するハーフマラソン大会が北京市内で開かれ、複数の企業でつくる研究拠点のロボット「天工」が約2時間40分で完走を果たした。
ヒト型ロボットでは宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)といった新興企業も育っており、今後は同分野の競争力が高まる可能性がある。
藤野逸郎、藤村広平、江口良輔が担当しました。
台湾有事にらみ米比演習 最新対艦ミサイル導入 日本、護衛艦を初派遣[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1805文字 PDF有 書誌情報]
【マニラ=藤田祐樹】米国、フィリピン両軍は21日から大規模演習「バリカタン」を始めた。中国が威圧的な行動を繰り返す南シナ海と台湾有事の両方を念頭に協力を深める。トランプ米政権は相互関税で東南アジアに圧力をかけるものの、安全保障面では同地域に関与を続ける姿勢を示す。
最も注目されているのが台湾有事を念頭に置いた訓練だ。米軍は米海兵隊が運用する最新式の無人式地対艦ミサイルシステム「NMESIS(ネメシス)」を今回初めて導入する。
対艦ミサイルを搭載した遠隔操作できる無人車両を中心とするシステムで、機動性が高くて相手から捕捉されにくい。中・長距離のミサイル能力を向上させる中国に対抗する狙いがある。
配備場所は明らかにしていないが、台湾海峡に近いルソン島北部や周辺離島での訓練に活用するとみられる。
米比両軍は21日、マニラ首都圏の比軍キャンプ・アギナルドで開会式を開いた。演習を統括する米太平洋海兵隊のジェームズ・グリン司令官は今年の演習を「本格的な戦闘試験だ」と位置づけた。「南シナ海をはじめ、直面する地域の安保上の課題すべてを考慮に入れる」と強調した。
比軍のフランシスコ・ロレンゾ少将は「特定の国を念頭に置いているわけではない」と説明。一方で台湾有事を想定しているのかとの問いには「演習が台湾における紛争の抑止力になる可能性はある」と語った。
演習名の「バリカタン」とはタガログ語で「肩を並べる」という意味で、米比両軍が毎年4月下旬から5月上旬にかけて実施する。今年は21日から5月9日までで、両軍あわせて1万5千人近くが参加する。
同志国からオーストラリア軍や日本の自衛隊が、東南アジア諸国連合(ASEAN)からはタイやベトナムが加わる。アジア以外ではポーランドやチェコが初めてオブザーバーに名を連ねる。自衛隊は150人ほどが参加し、今回初めて護衛艦「やはぎ」を派遣する。
全体の参加人数は2024年の1万6千人超を下回るが、今年は訓練の練度向上に主眼を置く。
陸海空からの迎撃や反撃を組み合わせる「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)やサイバー攻撃への対処能力を高める。NMESIS初導入もその一環だ。
米軍は24年の演習の際に持ち込んだ地上配備型のミサイル発射装置「タイフォン」を今回も使用する。迎撃ミサイル「SM6」や巡航ミサイル「トマホーク」を搭載でき、中国本土も射程に入る。
比軍は24年の演習後もタイフォンを国内にとどめ、将来的な同装置の導入を表明して中国の反発を招いた経緯がある。
中国と領有権を争う南シナ海に面する地域でも訓練を展開する。
フィリピンが実効支配するアユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)に近い同国西部のパラワン島や周辺海域で敵の上陸作戦を阻止する訓練を予定する。
米軍が最新鋭のミサイルシステムを導入して比軍と訓練するのは、米国が地政学上の要衝に位置するフィリピンへの防衛義務を果たすと内外に示す狙いがある。
南シナ海で中国から度重なる挑発行為を受けるフィリピンはASEAN内でも中国への警戒感が突出して高い。
一方で「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領がアジアでの安保協力を後退させれば、米軍の抑止力が低下しかねないとの懸念はくすぶる。
トランプ政権の閣僚は同盟国フィリピンの懸念を払拭するため、1951年に結んだ米比相互防衛条約に基づきフィリピンへの防衛義務を果たすと強調する。
ヘグセス米国防長官は3月下旬、就任後初めてインド太平洋地域を訪れフィリピンも訪問した。
フィリピンのテオドロ国防相との会談後の記者会見で「共産主義の中国の脅威を考慮するとフィリピンは特に重要だ。抑止力を再構築する」と明言。今回の大規模演習はその裏付けとなる。
中国は米比の大規模演習に反発する。中国外務省の郭嘉昆副報道局長は21日の記者会見で「域外国と軍事演習し、地域の安定を破壊している」とフィリピンを非難した。台湾海峡近くでの訓練に関し「火遊びをすれば自滅する」と警告した。
中国は演習初日と同じ21日、北京でインドネシアと初の外相・国防相による「2プラス2」を開催した。フィリピンと南シナ海の領有権を抱える他のASEAN加盟国との分断を狙ったものとの見方が出ている。
【図・写真】米軍の対艦ミサイル発射装置「ネメシス」(2024年10月、米ハワイ州)=米国防総省提供・共同
ASEANのミャンマー外交、反軍勢力とも対話 地震の被災者支援が後押し[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1443文字 PDF有 書誌情報]
【ヤンゴン=渡辺禎央】東南アジア諸国連合(ASEAN)が対ミャンマー外交で軍事政権に傾斜気味だった姿勢を修正しつつある。3月28日のミャンマーでの大地震を機に、議長国マレーシア首相が軍政への抵抗勢力を含む各者との直接対話に乗り出した。
軍政と抵抗勢力の双方と向き合う包括路線を通じ、ミャンマー国内の被災各地に支援が行き届きやすくなれば、ASEAN外交の成果となる。
「我々はすべての関係者を引き込み続ける」。マレーシアのアンワル首相は18日、自身のSNSで対ミャンマー外交の基本方針を強調した。
アンワル氏はその前日の17日、訪問先のタイでミャンマー軍政トップのミンアウンフライン国軍総司令官と会談。翌18日は反軍政の政治組織「挙国一致政府(NUG)」で首相を務めるマンウィンカインタン氏ともオンラインで協議した。
2021年2月にミャンマー国軍がクーデターを起こして以来、ASEAN議長国の首脳が軍政と抵抗勢力のトップと相次ぎ直接対話をするのは初めてだった。
一連の協議では大地震後の支援や戦闘休止の順守が議題となった。アンワル氏は「どちらの側も我々が対立相手に関与することに異議はなかった」と説明した。
ひとまず会談の効果は出た。軍政側は22日、同日を期限としていた国軍による抵抗勢力への攻撃の停止期間を30日まで延長すると発表した。
ASEANはミャンマー政変以降、軍政の首脳・閣僚を定例のASEAN首脳会議や外相会議から排除してきた。
24年に軍政に融和的なラオスが議長国になると首脳会議などに軍政高官の出席を認め、人道支援も積極化。ASEAN側でミャンマー軍政重視の姿勢が強まった。
震災後はオンラインの臨時外相会議に軍政のタンスエ外相が参加し、マレーシア・タイの両外相がミンアウンフライン氏と会談するなど、軍政側の外交攻勢も目立った。
今回、アンワル氏が対ミャンマー外交で軍政傾斜を改め、包括路線を鮮明にし始めた背景には震災支援への国際社会の厳しい視線がある。
もともとマレーシアは軍政に否定的で、議長国になってからも軍政との接触に慎重だった。ところが地震による死者数は当局発表で3750人を超えた。軍政と抵抗勢力の分断が続くミャンマー国内で被災地支援に支障をきたす例が相次いだ。
一部地域では震災前からNUG傘下の武装集団が国軍を駆逐していたため、隣接する国軍支配エリアからの支援物資が滞った。
マレーシアは野外病院設置の支援関係者のミャンマー派遣を計画していたが、設営予定地が非国軍支配地域だった。マレーシア国営ベルナマ通信によると、軍政側から安全な場所の選定に時間がかかるとして延期を求められた。
ASEAN議長国として対処を迫られたアンワル氏としては自ら軍政やNUGの首脳など関係する勢力と広く向き合う必要が出てきたといえる。
もっともNUGなど複数の抵抗勢力は震災後に戦闘休止を相次ぎ表明したものの、国軍と抵抗勢力の双方が互いに攻撃を受けたと主張し、衝突はやまない。NUGは停戦期限を直近の20日から延長していない。
軍政は12月に総選挙を実施する従来計画を変えていない。抵抗勢力は政変前の20年11月の選挙結果が正当だとして次回総選挙を認めておらず、国軍拠点への攻撃を続ける構えだ。マレーシアが主導するASEANの関与戦略も震災支援の勢い任せだけでは行き詰まりかねない。
【図・写真】NUG首相との協議を終えて記者会見するアンワル氏(18日、バンコク)=ロイター
シンガポール総選挙告示 米関税の影響、対応争点[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 12ページ 941文字 PDF有 書誌情報]
【シンガポール=佐藤史佳】シンガポールの総選挙が23日に告示され、5月3日の投開票に向けた選挙戦が始まった。与党・人民行動党(PAP)の優位は揺らがないものの、貿易立国である同国にトランプ米政権の新たな関税政策が影を落とす。
トランプ関税による景気減速への対策や生活支援などは争点の一つとなる。
「私たちは激動する変化の激しい世界にいます」。PAPを率いるローレンス・ウォン首相は23日の第一声で与党への支持を訴えた。今回は首相として臨む初めての総選挙だ。2024年5月の就任から1年の成果に加え、トランプ政権への対応力も問われる。
トランプ政権はシンガポールに新たに10%の一律関税を課した。シンガポールと米国は04年から自由貿易協定(FTA)を結んでおり、これまでは無関税だった。
ガン・キムヨン副首相は「多大なインパクトを与える」と懸念する。シンガポール貿易産業省は14日、25年の実質GDP(国内総生産)伸び率の見通しを従来予想の前年比1~3%増から、同0~2%増に引き下げた。
与党は不確実性の高い時期だからこそ、安定した政府・与党が必要だと訴える。政府も企業や労働者を支援するためのタスクフォースを立ち上げ、対策に取り組む姿勢を示す。
マニフェスト(政権公約)では商品券の配布や還付金などの生活支援を強調する。
「小さな子供がいる典型的な4人家族は今年度におよそ5000シンガポールドル(54万円)を受け取れます」。ウォン氏は25年度予算案に盛り込んだ生活支援策を説明する動画をSNSに投稿した。
最大野党の労働者党(WP)は公約で消費税にあたる物品・サービス税(GST)から生活必需品を除外することや最低賃金制度の導入を主張する。有力野党のシンガポール前進党(PSP)もGSTの引き下げや生活必需品の除外を唱える。
総選挙はPAPと複数の野党の候補者が33の選挙区で97の議席を争う。定数は前回の93議席から4議席増えた。
20年の前回総選挙でPAPの得票率は61.2%だった。過去最低は11年の60.1%で、今回も6割を保てるかが注目されている。PAPは支持拡大へ党内の若返りを進めており、60代のヘン・スイキャット副首相やウン・エンヘン国防相らが不出馬を決めた。
中国副首相、イラン外相と会談[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 12ページ 212文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国共産党序列6位の丁薛祥(ディン・シュエシアン)筆頭副首相は23日、北京で訪中しているイランのアラグチ外相と会談した。米国とイランとの間で進む核開発を巡る協議を念頭に、意見交換したとみられる。中国国営新華社が伝えた。丁氏は「緊密にハイレベル交流し、国際と地域問題で連携を強め、両国にさらなる利益をもたらしたい」と述べた。アラグチ氏は「互恵協力を深めて多国間協調を強化し、共通の利益を守りたい」と語った。
スペイン国防費、GDP比2%に[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 12ページ 171文字 PDF有 書誌情報]
【パリ=北松円香】スペインのサンチェス首相は22日、2025年の国防費が国内総生産(GDP)比で2%に達すると発表した。105億ユーロ(およそ1兆7000億円)を増額する。これまでGDP比で2%になるのは29年の見通しだったが、前倒しした。サンチェス氏は国防費上乗せの目的について「スペインと欧州の国防と抑止力の現代化を進める」と説明した。
イタリア首相、アフリカに接近 不法移民抑制狙う(英FT特約)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 12ページ 0文字 書誌情報]
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米軍備「レアアース危機」 中国の輸出制限で打撃 在庫枯渇で製造に影響[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1401文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】米中の貿易戦争で、レアアース(希土類)がトランプ米政権の弱点として浮上している。中国政府が導入した輸出管理の品目は米軍の最新戦闘機や原子力潜水艦の製造に不可欠だ。禁輸が数カ月続くと武器製造に影響が及び、貿易戦争の継続が難しくなるとの見方がある。
中国が4日から始めた輸出管理はレアアースの中でも特に希少価値の高い中・重希土類を対象にした。サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7種類だ。
中国依存が極めて高く、世界の99%近くを中国が加工しているとされる。輸出管理のリストに加えた15ほどの米企業のうち、1社を除いて防衛に関連する企業だった。米国の防衛産業への打撃を狙ったのは明らかだ。
米戦略国際問題研究所(CSIS)によると、米軍の主力戦闘機F35に必要なレアアースは900ポンド(約400キログラム)、最新鋭の原子力潜水艦には9000ポンド、主要艦船のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦は5000ポンドに及ぶ。
米国の軍需企業は、中国からの輸入が2~3カ月滞ると在庫が枯渇し始め、遅くとも半年ほどで製造に本格的な影響がでてくるとみられている。
中国政府の輸出管理は、国内企業に届け出を求める仕組みで、当局の裁量で輸出を止めることができる可能性がある。ロイター通信は15日までに米国向けの輸出が事実上、止まったと伝えた。
CSISのグレースリン・バスカラン氏は米中の武器生産のスピードは現時点でも差が出ていると指摘する。中国が生産体制を急速に拡充し、米国より5~6倍の速さで高度な武器システムや関連装備品を製造・調達しているという。
米国はレアアースなど武器生産の基盤となるサプライチェーン(供給網)が中国に比べて脆弱だ。米国防総省は2024年の国家防衛産業戦略で、27年までに中国依存から脱却したレアアースの供給網作りを目標に掲げた。国内の採掘拡大と、同盟国・友好国からの調達で実現を狙う算段だった。
米国が採掘を拡大できても、中国は加工技術で優位性を持つ。製造施設の建設と稼働開始までに1年以上かかるため、足元の貿易戦争の対応には間に合わない。中国の代わりとなる調達先の確保も容易ではない。
市場は巨額の米国債を保有する中国当局による「米国売り」をトランプ大統領の急所だと意識する。安全保障関係者の間ではレアアースの動向が「継戦力」を占う材料として注目を集める。
米国は1980年代にはレアアース生産で世界の3分の1を占めていた。その後、中国が能力を拡大すると同時に、米国の生産量は減少していった。
中国は独占的な地位を築いたレアアースを経済的威圧行為の武器に使う。2010年、沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を受けて対日輸出を規制し、日本は確保に追われた。
トランプ氏はウクライナに軍事支援を続ける見返りとして、同国のレアアース権益を確保する協定の締結に前のめりの姿勢を示す。デンマーク領グリーンランドの獲得に意欲を示す背景にもレアアースを含む地下資源がある。
レアアースの不足は武器だけでなく、自動車やドローンなど幅広い品目の生産に影響を与える。
米国内の製造業に打撃を与えれば、トランプ氏が重視する労働者層から反発を受ける可能性がでてくる。
【図・写真】レアアースを含む土が運ばれる中国の港湾=ロイター
EU、対米関係に苦慮 巨大IT制裁金 抑制か[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1131文字 PDF有 書誌情報]
【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が米アップルと米メタに計7億ユーロ(約1100億円)の制裁金を科したのは、巨大IT(情報技術)による市場の寡占を防ぐ方針を域内外に明確に示すためだ。(1面参照)
欧州委は23日、自社サービスの優遇などを禁じるデジタル市場法(DMA)による初の制裁金の発表に踏み切ったが、米国とは関税を巡る交渉を続ける。デジタル規制の推進と対米関係の両立に苦慮した結果、制裁金額を抑えた可能性がある。
「強固ながらバランスのとれた措置をとった」。EUのリベラ上級副委員長(競争政策担当)が23日発表した声明から、EU幹部らの苦慮がうかがえる。
2024年3月に本格運用が始まったDMAは世界的にも画期的なデジタル規制で、プラットフォーマーの将来の寡占を防ぐために禁止事項を定める事前規制型だ。すでに生じた寡占に対応する従来のEU競争法(日本の独占禁止法)と合わせて巨大テックにビジネスモデルの転換を迫る。
巨大企業が自社だけに有利なオンライン市場を形成すれば、競合や新興企業による新たな事業の芽を摘みかねない。消費者の選択肢も狭める。そうした懸念に対処するための規制としてEUは当初、強力な執行方針を検討していた。
トランプ米政権の発足で、EUは方針転換を迫られた。米国はEUからの一部輸入品に追加関税をかけたが、EUは「ディール(取引)」のための交渉期間を設け、対抗措置の発動を保留した。
米テックに対するDMAの調査を終え、巨額の罰金を科せばトランプ米大統領がさらなる報復をしかねない。米欧対立が激化すれば、米国による欧州の安全保障やウクライナ支援への関与が縮小するリスクもある。
一方で調査を終えたにもかかわらず、発表を先延ばしにするわけにもいかない。計7億ユーロという制裁金額はそうしたジレンマの末の折衷案だった可能性がある。EUのデジタル規制をかねて批判するトランプ氏が、金額の多寡に関係なく激怒する事態も想定される。
リベラ氏の前任のベステアー氏は巨額の制裁金を武器に、米テックの欧州事業の見直しを厳しく要求し続けた。今後は比較的軽い制裁金を示し、テック側とコミュニケーションをとりながら改革を求める手法に重きを置くとみられる。
EUの競争当局の関係者の一人は、トランプ氏への配慮でDMAの執行力が弱まれば、EUのデジタル規制の「ブリュッセル効果」が損なわれると分析する。強い規制やルールを設けて世界に波及させる戦略も、企業側が順守する動機づけが減ると成り立ちにくい。
日本を含めた世界の多くの国は、EUのデジタル規制を自国の制度整備の参考にしてきた。EUの執行方針は世界の規制戦略にも影響を与える。
新教皇選び 改革路線問う アジア・アフリカから候補[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 943文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】ローマ教皇庁(バチカン)は次期教皇を決める教皇選挙会(コンクラーベ)を5月上旬にも始める。教皇フランシスコはリベラルな改革を進め、教義に忠実な保守派と対立を深めた。改革路線の継承がテーマとなる一方、新教皇に教会内の融和を期待する声があがる。
教皇フランシスコの遺体は23日、バチカンのサンピエトロ大聖堂に移された。大聖堂は一般公開され、信者らが訪れた。
コンクラーベは服喪期間を経て、教皇が空位となってから15日後以降に実施する。教皇は慣例として、教皇に次ぐ高位聖職者の枢機卿から選ばれる。選挙は枢機卿のうち80歳未満が参加できる。
世界にいる枢機卿は252人で、投票権をもつのは135人。3分の2以上の得票者が出るまで無記名投票を繰り返す。
教皇フランシスコは教会における多様性を重視し、異なる宗教や宗派、信条の人々への寛容さや対話を訴えた。司祭が同性カップルに祝福を与えることを認め、教会での女性の権利向上にも前向きだった。
コンクラーベでは教皇が取り組んだリベラルな改革路線を継承するかが問われる。バチカン内では教皇の政策に抵抗してきた枢機卿も多く、対立が表面化していた。
リベラル派では教皇と関係が近かったパロリン国務長官(首相に相当)やズッピ枢機卿らの名前が有力候補に浮上している。より寛容な教会を目指し、異なる宗教との対話にも前向きだ。
保守派では、ハンガリー出身のエルドー枢機卿らを推す声がある。同性婚や離婚など家族のあり方や性道徳を巡る議論で、キリスト教の原理的な理念を重視する立場だ。
信者数を伸ばすアフリカやアジアなど新興国の枢機卿に白羽の矢が立つかも焦点となる。教皇は欧州中心主義からの脱却を唱え、枢機卿が不在だった新興国などで20人以上を任命した。
アジアではミャンマー出身のボ枢機卿、フィリピン出身のタグレ枢機卿などの名前が挙がる。リベラル派と保守派の対立から距離を置き、橋渡し役を期待する声もある。
アフリカではベスング枢機卿やサラ枢機卿などが取り沙汰される。ともに伝統的な家族観を重視し、リベラルな政策に批判的な立場で知られる。
【図・写真】教皇フランシスコの遺体を納めたひつぎがサンピエトロ大聖堂に移された(23日、バチカン)=AP
米と世界「経済の再均衡を」 バンス氏、インドで講演[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 912文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】米国のバンス副大統領は22日、トランプ大統領の経済運営について「米国と世界の経済関係をリバランス(再均衡)させようとしている」と述べた。関税引き上げや輸出拡大による貿易赤字の縮小をめざすことを念頭に、米国の製造業を立て直す狙いを説明した。
訪問先のインド西部ラジャスタン州で講演した。「他の国々にも影響するだろう。しかし、このリバランスが米国人労働者にとって大きな恩恵をもたらし、インドにも大きな利益をもたらすと信じている」と話した。
歴代の米政権に関し「インドを低コストの労働力と見なしながら、インド政府を批判してきた」と主張した。「この態度はインドだけでなく世界との経済関係の大部分を占め、米国は数多くの雇用を海外に流出させ、兵器を含む製造能力を失った」との認識を示した。
バンス氏は米中西部オハイオ州出身で、製造業が衰退したラストベルト(さびついた工業地帯)の実相を描いたベストセラー「ヒルビリー・エレジー」の著者でもある。鉄鋼業で栄えた故郷に触れ「(かつては)ものづくりの労働者の価値を重視する経済を築いた」と振り返った。
自由貿易を意識し「米国が自ら生み出した世界の繁栄に安住するにつれ、指導者は当然のものとして扱うようになった。産業支援、公平な取引、労働者を支援する重要性を忘れてしまった」と指摘。結果的に米国内の工場が閉鎖され、雇用が失われたと総括した。
バンス氏は「インドと米国が協力して成功を収めれば、21世紀は繁栄と平和の時代になるだろう。協力に失敗すれば人類全体にとって非常に暗い時代になる可能性もある」と提唱した。
トランプ政権はインドとの間の貿易赤字を問題視する。米国はインドにとって最大の輸出相手国で、2024年度の対米貿易黒字は412億ドル(5兆8000億円程度)で前年度から17%伸びた。
トランプ氏は2月にインドのモディ首相と会談し、貿易赤字を縮減するため、石油・天然ガスや防衛装備品の輸出を拡大すると確認した。年内に貿易協定を結ぶ方向で交渉を始めた。
【図・写真】バンス氏は「リバランスが米国人労働者、インドに大きな恩恵をもたらすと信じている」と主張した=ロイター
EU、対米関係に苦慮――事業モデル岐路に アップル・メタに変革迫る[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 852文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=中藤玲】米アップルと米メタに対し、成長の原動力となってきた事業モデルからの転換を迫る圧力が一段と強まってきた。デジタル市場法(DMA)に違反したとして、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が制裁金を科すと決定したことを受け、両社は不服を申し立てる方針だ。
「これは単なる制裁金の問題ではない。ビジネスモデルの変革を迫ることで事実上、数十億ドル規模の関税を課すことになる」。欧州委の発表を受け、メタのジョエル・カプラン最高国際問題責任者は日本経済新聞の取材にこうコメントした。
メタはフェイスブックやインスタグラムなど無料サービスの利用者データを集めて追跡型広告に活用していた。欧州委に問題視され、広告を表示しない有料プランなどを導入して対応してきたが、不十分とみなされた。
今後は広告モデルが根本的な修正を迫られる。利用者に合った緻密なターゲティング広告を強みにしてきたが、追跡型の精度が下がれば、利用者にとって関心のない広告が表示されやすくなる。カプラン氏は「個人に合わせた広告を不当に制限することで、欧州の企業や経済にも打撃を与えている」と主張する。
アップルも同様だ。欧州委はアプリ配信サービス「アップストア」に改善を求めた。アップルはDMAの本格適用を受け、EU域内で外部のストアからもアプリを取得できるようにしたが、アプリ開発企業に新しい手数料を設けたことが問題視された。さらに外部ストアの参入ハードルを下げることが求められる。
アップストアは2008年に始まった。外部の開発者に魅力的なアプリを生み出してもらい、アップルが流通を握ることでiPhoneのブランド力向上につなげてきた。アプリ販売や手数料などサービス部門の売上高比率は24年10~12月期でおよそ2割にのぼる。
市場飽和で大きな成長が見込めない端末に代わる鉱脈となり、中国で生産するiPhoneと異なり貿易戦争の影響を受けにくい安定的な収益基盤でもあった。今後は端末とサービスの相乗効果が弱まりかねない。
フジオーゼックス(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
フジオーゼックス
(6月19日)社長兼執行役員、杉江郁夫
▽品質保証部担当(生産部門統括兼設備部・静岡工場担当)取締役兼執行役員浜田章宏
▽取締役生産部門統括兼静岡工場・設備部・構造改革部担当兼FUJIOOZXMEXICO会長(静岡工場長)執行役員海野信一
▽同営業部門統括兼営業部・経営企画部・海外子会社担当兼オーゼックステクノ社長兼富士气門広東董事長(経営企画)同岩本順司
▽同管理部門統括兼経理部・人事総務部・国内子会社担当兼ジャトス社長(人事総務)同茨木徹
▽相談役(社長兼執行役員)辻本敏
▽退任(常務)市川修
▽同(同)藤川伸二
▽同(取締役)刀根清人
積水化成品工業(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
積水化成品工業
(6月24日)社長兼社長執行役員監査室担当(取締役兼専務執行役員事業本部統括担当)古林育将
▽取締役、常務執行役員第1事業本部長浅野泰正
▽同、同第2事業本部長今西康貴
▽同、其田真理
▽常勤監査役(執行役員)木間塚誠
▽監査役、近藤総一
▽同、吉井英雄
▽相談役(社長兼社長執行役員監査室担当)柏原正人
▽顧問(取締役兼常務執行役員情報システム部・PX推進部担当)広田徹治
▽退任(取締役)上原理子
▽同(常勤監査役)松本治
▽同(監査役)明石衛
▽情報システム部・PX推進部担当、執行役員コーポレート戦略本部経営企画兼PX推進・舟橋勝博
大成建設(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
大成建設
(5月1日)原子力本部副本部長(先端解析技術)猪野晋
▽同本部原子力(土木本部土木設計部土木設計第1)廻田貴志
▽同先端解析技術、村松晃次
▽土木本部副本部長、土木営業本部副本部長森井定和
▽建築本部デジタルプロダクトセンター長、白木宏
▽土木本部洋上風力事業推進(洋上風力発電プロジェクト)中村広規
▽東京支店土木部外環プロジェクト、東京支店副支店長兼土木兼日本橋プロジェクト・石丸智実
ネスレ日本(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
ネスレ日本
(7月1日)飲料事業本部長(デジタル&Eコマース本部長兼新規ビジネス開発)常務執行役員島川基
▽執行役員デジタル&Eコマース本部長(飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&システムビジネス)高岡二郎
星和電機(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
星和電機
(5月1日)常務生産事業本部長兼生産管理統括部長(取締役兼執行役員生産本部生産事業統括部長)水本和治
▽同研究開発担当(同兼常務執行役員生産本部長)乾勝典
▽常務(同兼常務執行役員)営業本部長春山雅彦
シチズン時計(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
シチズン時計
(6月25日)取締役(上席執行役員)小林啓一
▽同(常勤監査役)柳和徳
▽同(監査役)北代八重子
▽同、山中典子
▽上席執行役員(取締役)伊奈秀雄
▽退任(取締役相談役)佐藤敏彦
▽同(常勤監査役)赤塚昇
日本航空電子工業(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 103文字 PDF有 書誌情報]
日本航空電子工業
(6月19日)取締役、常務執行役員檜山憲孝
▽同、執行役員井原成人
▽常勤監査役(執行役員)青木和彦
▽特別顧問(会長)小野原勉
▽顧問(取締役兼常務執行役員)中村哲也
▽同(常勤監査役)荻野康俊
日本光電(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 102文字 PDF有 書誌情報]
日本光電
(6月26日)取締役、常務執行役員兼ChiefAdministrativeOfficer経営管理本部長加藤一弘
▽同、森田守
▽顧問(代表取締役)田村隆司
▽退任(取締役)長谷川正
▽同(同)笹谷秀光
パルコ(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
パルコ
(5月29日)取締役、J・フロントリテイリング執行役常務人財戦略統括部長柴田剛
▽同、同取締役大村恵実
▽監査役、岩田知幸
▽同(執行役員)岩田義美
▽退任(取締役)内田章
▽同(監査役)富永正生
ツルハ(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 97文字 PDF有 書誌情報]
ツルハ
(5月1日)管理本部人事兼ツルハホールディングス人材採用、坂本典平
▽同総務、菊地護
(5月21日)監査役、ツルハホールディングス執行役員財務経理本部長三宅隆太郎
▽退任(監査役)大船正博
イオン銀行(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
イオン銀行
(4月23日)審査・事務・業務改革・ALM担当兼審査本部長(審査・事務本部長)取締役兼執行役員田中悟司
▽事務本部長、執行役員幕張事務責任者奥雅代
▽ALM企画、金川稔
住友電気工業(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
住友電気工業
(5月1日)自動車コンプライアンス・リスク管理室長、統合企画・奥津武一
▽アドバンストマテリアル事業本部業務兼ハードメタル事業部業務兼ロジスティクス管理、金田泰幸
KOA(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 82文字 PDF有 書誌情報]
KOA
(6月21日)取締役、上席執行役員千原臣祐
▽常勤監査役、仲藤恭久
▽監査役、佐藤玲
▽退任(取締役)花形忠男
▽同(常勤監査役)五味正志
▽同(監査役)上拾石哲郎
ベクトル(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 75文字 PDF有 書誌情報]
ベクトル
(5月29日)副社長兼CFO、後藤洋介
▽取締役、井上正俊
▽退任(副社長)長谷川創
▽同(取締役)西木隆
▽同(同)富村隆一
▽同(監査役)玄君先
指月電機製作所(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
指月電機製作所
(6月26日)取締役、稲垣裕一
▽同、三野克也
▽同、松尾聡
▽同、御厨忠章
▽退任(取締役)大槻正教
▽同(同)谷和義
▽同(同)奥西啓祐
アーバネットコーポレーション(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
アーバネットコーポレーション
(5月1日)経営企画室長、常務兼上席執行役員管理本部長赤井渡
▽事業創発、取締役兼上席執行役員第二事業本部長猪野晃史
シチズン時計マニュファクチャリング(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 70文字 PDF有 書誌情報]
シチズン時計マニュファクチャリング
(6月13日)監査役、中山諭
▽同、森田光則
▽退任(取締役)三輪克弘
▽同(監査役)森島健
▽同(同)赤塚昇
ツルハホールディングス(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 68文字 PDF有 書誌情報]
ツルハホールディングス
(5月1日)人事、甲谷龍吾
(5月26日)退任(取締役)大船正博
(12月1日)取締役、桐沢英明
▽同、中山泰男
高砂鉄工(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 55文字 PDF有 書誌情報]
高砂鉄工
(6月下旬)取締役企画・営業第一・営業第二担当、山田光哉
▽取締役、中村俊介
▽退任(取締役)前田大輔
サトー商会(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
サトー商会
(6月25日)管理本部副本部長兼人事、取締役高貴一
▽取締役、小林崇
▽退任(取締役)藤原督大
王将フードサービス(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 48文字 PDF有 書誌情報]
王将フードサービス
(6月26日)監査役、根井大樹
▽退任(取締役)山田誠
▽同(監査役)中島重夫
シチズンマシナリー(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
シチズンマシナリー
(6月4日)監査役、柳和徳
▽退任(取締役)窪田守
▽同(監査役)赤塚昇
ベルシステム24ホールディングス(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
ベルシステム24ホールディングス
(5月29日)取締役、梅川健児
▽退任(取締役)小城郁夫
エレマテック(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 44文字 PDF有 書誌情報]
エレマテック
(6月25日)取締役、富永浩史
▽同、山田強
▽監査役、近藤祐子
▽同、岡本正
全保連(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 44文字 PDF有 書誌情報]
全保連
(6月)取締役兼専務執行役員オペレーション本部長、村上宏太郎
▽取締役、村上時弘
イオンリテール(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
イオンリテール
(5月19日)監査役、渡部まき
▽同、大西勝
▽退任(監査役)福西稔雄
幸楽苑(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
幸楽苑
(6月19日)専務(常務)芳賀正彦
▽常務(取締役)佐野篤
▽取締役、鹿野昌彦
ハウテレビジョン(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
ハウテレビジョン
(4月23日)取締役、奥谷直也
▽同、森下俊光
▽同、小栗久典
兼松(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
兼松
(6月1日)法務コンプライアンス、長島聡
▽車両・航空統括室長、町田幸一
シチズン・システムズ(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
シチズン・システムズ
(6月10日)監査役、柳和徳
▽退任(監査役)赤塚昇
ジャフコグループ(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
ジャフコグループ
(6月17日)取締役、土井俊範
▽退任(取締役)秋葉賢一
東北特殊鋼(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
東北特殊鋼
(6月23日)監査役、松崎慎治
▽退任(監査役)伊藤慎悟
アイザワ証券(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
アイザワ証券
(5月1日)町田支店長、沢辺大樹
▽引受審査、宮入茂典
シチズンファインデバイス(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
シチズンファインデバイス
(6月6日)退任(取締役相談役)篠原浩
トヨタ自動車東日本(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車東日本
(6月)退任(常勤監査役)中出裕之
日本コンクリート工業(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
日本コンクリート工業
(6月18日)社長室長、大坪祐介
ファナック(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 26文字 PDF有 書誌情報]
ファナック
(6月27日)特別顧問(会長)稲葉善治
そごう・西武(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
そごう・西武
(5月1日)池袋本店長、寺岡泰博
京極運輸商事(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
京極運輸商事
(6月25日)取締役、笹森良子
ジャパンマテリアル(会社人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 13ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
ジャパンマテリアル
(6月)取締役、松原幸男
中国EV、AIが主戦場 上海自動車ショー、自動運転など競う ホンダがディープシーク搭載[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1301文字 PDF有 書誌情報]
【上海=若杉朋子、藤野逸郎】中国の自動車市場で競争の軸が人工知能(AI)に移ってきた。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)はAIを使った自動運転システムを発表した。ホンダはAI新興のDeepSeek(ディープシーク)を搭載する。中国勢はAIの基盤となる国産半導体の供給網の構築を進めており、米中分断が独自の成長をさらに促そうとしている。
23日に上海市で開幕した世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」で、各社が最新技術を展示した。独アウディや国有の広州汽車集団、重慶長安汽車。ファーウェイの運転支援システムのブースでは提供先の自動車メーカーの車両がずらりと並んだ。
「2024年はレベル2を搭載する車を広げてきた。25年はレベル3の元年だ」。自動車事業の●(革へんに斤)玉志・最高経営責任者(CEO)は22日の技術発表会で意気込んだ。上海ショーに合わせて新たな運転支援システムを発表した。最上級のシステムは高速道路で「レベル3」の自動運転を実現する。
中国は政府による新エネルギー車の促進策などから電気自動車(EV)の普及が進んだ。競争の軸が自動運転など車の知能化に移っている。存在感を高めるのが、AI技術を持つテック勢だ。
ファーウェイはAIで車が遭遇する場面を作りだし、突発事象の回避方法などを学習する。車には高性能センサーとカメラを組み合わせた装置を搭載し安全性を高める。
「ファーウェイが発表したばかりの機能が全て搭載される」。広州汽車集団は高価格帯ブランド「伝祺(トランプチ)」の新型多目的スポーツ車(SUV)の説明で、ファーウェイの技術が目玉であると強調する。
中国では高度運転支援システムの搭載が進む。アリックス・パートナーズによると、昨年中国で販売された乗用車のうち、「レベル2」以上は60%近くに搭載された。米国では40%未満にとどまる。
ファーウェイは車事業部門の研究開発の体制を7000人から25年中に8000人にすると発表した。ファーウェイが完成車メーカーの駆け込み寺となっている。
車両との音声対話にAIを使う動きも広がる。ホンダは中国向けのEV「燁(イエ)」シリーズでディープシークが開発したAIの搭載を始めると発表した。独BMWも中国・アリババ集団と開発するAIに加え、分野に応じてディープシークも採用する。
AIの重要性が増すなか、半導体の国産化に向けた開発が進む。自動運転車では高い演算能力が求められるため、高度な半導体が必要だ。米エヌビディア製などが主流だが、トランプ米政権は半導体分野でも対中輸出規制を強めている。
小鵬汽車(シャオペン)は25年4~6月期に自社開発の半導体を量産し、EVに搭載する。自動運転に使う画像処理などの精度を高めることができる半導体を開発した。25年末にレベル3相当の車両を投入する方針。
中国は巨大なガラパゴス市場として急成長を遂げてきた。AIが競争力を左右するなか、米中分断が中国勢の成長を加速させようとしている。
【図・写真】ファーウェイの共同ブランド「AITO」の「問界」シリーズ(23日、中国・上海市)=沢井慎也撮影
米テック7社、時価総額24%減 トランプ政権支持に誤算 排他主義で打撃、規制緩和も進まず[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1178文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領に近寄り、同政権を支持した米巨大テックが代償を払う展開になっている。政権発足から3カ月で主要7社の時価総額は計4.2兆ドル(590兆円)目減りした。トランプ氏の排他主義がグローバル戦略を損なう懸念が現実となる一方、市場独占の監視緩和など期待した果実は得られていない。
アップル、マイクロソフト、エヌビディア、アルファベット(グーグル親会社)、アマゾン・ドット・コム、メタ、テスラの7社の時価総額をみると、21日の合計額はトランプ氏就任前と比べ24%減った。目減り額は4.2兆ドルで、日本の年間国内総生産(GDP、約600兆円)に匹敵する規模だ。
トランプ政権発足後3カ月のS&P500種株価指数の下落幅は14%にとどまり、米テック株の下げが目立つ。
市場の評価が厳しくなった理由の1つは、巨大テックの基本方針であるグローバル戦略が危機にさらされていることだ。
アップルは累計145%まで高まった対中追加関税に振り回された。スマートフォン「iPhone」は大半が中国製だ。スマホは一転して相互関税の対象を外れたが、アップルが構築したアジアからの調達体制が揺さぶられた。エヌビディアは中国向けの半導体輸出規制の強化に直面した。
米経済の柱となったテック産業は米国外でも稼ぐ。クラウドなどデジタル関連サービスの貿易黒字額は2670億ドル(23年)に上る。トランプ政権は各国との間の貿易赤字を問題視するが、米国は「デジタル黒字」を稼いでおり、各国が米関税に報復する際の標的になりかねない。欧州では米テックへの課税強化論も浮上する。テックの株価下落はこうした懸念も反映している。
1期目と異なり、テック各社は2期目のトランプ氏にすり寄った。
選挙戦を支援したイーロン・マスク氏に加え、メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)やアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏がそろった1月の大統領就任式は象徴的だった。
各社はテック大手に強硬姿勢で臨んだバイデン前政権からの方針転換に望みをかけたといえるが、今のところ空回りの感が強い。政権に後押しを期待した分野で目立った恩恵がみえていない。
独禁法を巡り、テック大手との対決姿勢を緩める兆しもまだない。グーグルは17日、ネット広告における独占状態を米連邦地裁から認定された。
トランプ氏の中核支持層と巨大テックは「水と油」の関係だ。著名投資家ピーター・ティール氏は、第1次政権でシリコンバレーの経営者とトランプ氏の仲介を図ったが、テック企業に有利な規制緩和が期待ほど進まなかった。今回、トランプ氏に最も近づいたマスク氏は政権の関税政策を批判し始めている。
(シリコンバレー=山田遼太郎)
【図・写真】トランプ氏の就任式に臨む(前列右から)マスク氏、グーグルのピチャイ氏、アマゾン創業者のベゾス氏=ロイター
KDDI社長、圏外ゼロ「auの価値に」 衛星直接通信を開始[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 590文字 PDF有 書誌情報]
KDDIの松田浩路社長が日本経済新聞の取材に応じた。米スペースXの衛星通信網「スターリンク」とスマートフォンとの直接通信について「(メインブランドの)auに移行してもらうための価値の一つ」と述べた。通信の圏外地域がなくなる利点を利用者に訴えて、自グループで低価格のUQモバイルなどから高単価ブランドへの移行を促す。
KDDIは10日、日本の通信キャリアで初となる衛星直接通信の商用サービスを始めた。米アップルの「iPhone 14」以降やサムスン電子のギャラクシーなど50機種に対応し、国内の600万台が対象となる。
auの契約者であれば当面は無料で利用できることから、高単価ブランドへの切り替えを狙う。
物価や人件費は上昇し、大手通信各社はコストを転嫁したいという意識を強めている。「先行投資の結果として直接通信が実現した。(高価格ブランドで)適切な対価を受け取り、さらなる投資やパートナーへの還元につなげる」(松田氏)
利用者には通信の空白地帯がなくなる利点がある。これまで山間部や離島など面積ベースで日本の約40%が圏外だった。衛星が空から通信環境を提供できるため、スマホがつながらなかったキャンプ場などでもメッセージの送受信や言葉の簡易な検索などができる。
現時点では通信量に限りがあるため、ネットや動画などを自由にみられるわけではない。直接通信は海外勢が先行している。
キーエンスがEC開始 FA部品、他社製も販売[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 579文字 PDF有 書誌情報]
キーエンスが子会社を通じてファクトリーオートメーション(FA)関連部品を扱う電子商取引(EC)を始めた。他社生産の部品も扱っているもようだ。センサー機器など自社開発品を顧客に直接販売する利益率の高いビジネスモデルを築いてきたキーエンスにとって異例の新規事業となる。
完全子会社のメイカーズ(大阪市)が開設したECサイトで販売するのは、機械の接続部品として使うアルミフレームやボルトから油圧ホースまで多岐にわたる。工場や倉庫作業の自動化に使うロボットや制御機器に使われる製品が多い。キーエンスによると同社のセンサー機器などはメイカーズでは販売しておらず、基本的には他社が生産した部品を扱う。
キーエンスは営業担当者が顧客の実現したい目的を聞き取りながら、コンサルティングを通じて生産性の向上につながる商品を販売してきた。新商品の粗利率が8割を超えるとされるキーエンスにとって、利益率がそこまで高くないとみられる部品販売は異例の新規事業だ。
キーエンスは新規事業の狙いについて「顧客への付加価値向上にいかに貢献できるかを、キーエンスグループとしては大切にしている」と説明する。これまで顧客企業の生産性改善などを付加価値と定義してきた。製造現場の効率化を急ぐ顧客企業に幅広くサービスを提供する。顧客との接点が広がれば、キーエンス製品の販売拡大にもつながりそうだ。
ボーイング、18%増収 1~3月、生産復調 なお最終赤字[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 471文字 PDF有 書誌情報]
【ヒューストン=大平祐嗣】米航空機大手ボーイングが23日発表した2025年1~3月期の決算は、売上高が前年同期比18%増の194億ドル(約2兆7500億円)だった。5四半期ぶりの増収となった。事故による品質問題に揺れ経営再建中の同社だが、民間機の納入実績は57%増となり生産が復調しつつある。
最終損益は3100万ドルの赤字(前年同期は3億5500万ドルの赤字)だった。赤字は11四半期連続。
24年は小型機の事故による品質問題や労働組合のストライキの影響で生産が落ちていた。25年1~3月期は民間機の納入実績が130機だった。前年同期より47機増え、前四半期より73機増えた。
ケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は「安全性と品質への注力により全事業で業績改善がみられた。業績を完全に回復するために必要な改革に取り組む」とコメントした。
ボーイングは格付けが「投資不適格級(ジャンク債)」の一歩手前の「投資適格級」となっており、財務改善が欠かせない。22日には非中核のソフト事業の一部を105億5千万ドルで売却すると発表していた。
中国EV、AIが主戦場――日産、2000億円投資 苦戦の中国事業[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 372文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車は23日、中国で2026年末までに100億元(約2000億円)を追加投資すると明らかにした。電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)など現地勢との競争が激化し、中国事業が苦戦している。現地勢に対抗できる新型車を増やし、世界最大の中国市場で巻き返しを図る。
同日、中国・上海市で開幕した上海国際自動車ショーで、中国事業を担当するスティーブン・マー氏が明らかにした。
日産はピックアップトラックのプラグインハイブリッド車(PHV)「フロンティア プロ」を公開した。年内に中国で発売し、海外展開も進める。東風汽車集団との合弁を通じてEVの戦略車「N7」も投入する。新エネルギー車など新車開発の強化により、業績を回復させたい考え。
日産の中国の23年度の販売台数は約79万台と、5年前の18年度(約156万台)と比べて半分程度に落ち込んだ。
日鉄ソリューションズ、インフォコムを買収 総額550億円[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 331文字 PDF有 書誌情報]
日鉄ソリューションズ(NSSOL)は23日、システム開発のインフォコムを買収すると発表した。約550億円を投じ、7月1日に全株式を取得する。情報システムの開発体制を強化して国内企業の旺盛なデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を取り込む。
インフォコムはシステム開発のほか電子コミック配信も手掛ける。今回の買収対象はシステム開発事業のみで、電子コミック配信事業はNSSOLへの売却前に切り離す。
インフォコムは2024年10月に米投資ファンドのブラックストーンが帝人から買収した。電子コミック事業はブラックストーン傘下で引き続き事業拡大を進める。
NSSOLは25年度から3カ年の中期経営計画でM&A(買収・合併)に1500億円を投じる計画を示している。
KDDI社長、圏外ゼロ「auの価値に」――楽天モバイル、スマホと衛星の直接通信成功[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 279文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループ傘下の楽天モバイルは23日、米ASTスペースモバイルの衛星とスマートフォンをつなぐ直接通信の実証実験に成功したと発表した。直接通信によるビデオ通話の実現は日本で初めて。2026年10~12月の商用化を目指す。
ASTスペースモバイルの衛星を使った直接通信はメッセージの送受信に加えて、動画視聴やビデオ通話もできるのが特徴だ。衛星に取り付けられるアンテナが大きいため、少ない衛星数でも強い電波を広範囲に送ることができる。
楽天モバイルの三木谷浩史会長は同日の説明会で「どんな時でも必ずつながる。衛星は通信という社会インフラを再定義する」と述べた。
ツルハ取締役にウエルシア社長[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 220文字 PDF有 書誌情報]
ツルハホールディングス(HD)は23日、ウエルシアホールディングス(HD)の桐沢英明社長が取締役に就く人事を発表した。両社は11日に2025年内の経営統合を発表し、ツルハHDがウエルシアHDから取締役2人を受け入れることを明らかにしていた。ウエルシアHDの社外取締役を務める中山泰男氏(セコム元社長)もツルハHDの社外取締役監査等委員に就く。5月の定時株主総会で人事案などが可決されれば、ウエルシアHDが完全子会社となる12月に就任する。
任天堂スイッチ2、抽選に220万人[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 182文字 PDF有 書誌情報]
任天堂の古川俊太郎社長は23日、X(旧ツイッター)で新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の、自社の公式通販サイトでの第1回の抽選販売に約220万人の応募があったと明かした。想定を大幅に上回り、相当数の落選が見込まれるとした。抽選結果は24日に発表され、落選した応募は自動的に28日午後以降に始める第2回抽選に繰り越す。
インテル、2割超の人員削減計画[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=清水孝輔】米ブルームバーグ通信は22日、米インテルが従業員の2割超の人員削減を計画していると報じた。同社は2024年にも当時の従業員の15%を削減しており、追加のリストラとなる。3月にリップブー・タン最高経営責任者(CEO)が就任したばかりで、新体制での経営の立て直し策が焦点となっている。
フジ、取締役候補差し替え案受領[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 145文字 PDF有 書誌情報]
フジ・メディア・ホールディングス(HD)は23日、同社に株主提案している米ダルトン・インベストメンツから取締役候補を差し替えたいとの書面を受領したと発表した。放送法上、日本国籍を持たない人がフジHDの取締役にはなれない規定があり、ダルトン側は法規制に対応して取締役候補を変更したもようだ。
シャープ、鴻海に半導体事業売却[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
シャープは23日、親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に半導体事業を9月めどに売却すると発表した。売却額は155億円。事業譲渡に伴い、評価額と売却額の差分で約51億円の売却損を計上する見通しだが、計上時期は未定。家電を中心とするブランド事業に経営資源を集中する戦略の一環となる。
民放連会長にテレ朝の早河会長[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 120文字 PDF有 書誌情報]
日本民間放送連盟の次期会長にテレビ朝日ホールディングス(HD)の早河洋会長(81)が就く見通しとなった。民放連の会長推薦委員会が25日に早河氏を指名する予定で、5月22日に開く臨時総会後の理事会で正式に決定する。任期は2026年6月まで。
ファナック、業績予想見送り 今期、米関税の影響に慎重(ビジネスTODAY)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1076文字 PDF有 書誌情報]
ファナックは23日、決算発表での2026年3月期通期業績見通しの開示を見送った。トランプ米政権の関税措置による設備投資や為替への影響を考慮した。ロボットなどの販売低迷リスクはあるが、製造業が米国にシフトし需要が膨らむ可能性もある。受注は足元で回復基調にある。先行きが見通しにくいなか影響を慎重に見極める方針だ。
「いくつかシミュレーションしたが、どれが確からしいか自信を持てなかった」。23日の決算説明会で山口賢治社長は業績見通しを控えた背景をこう説明した。関税影響を精査したい顧客から注文控えが相次ぐリスクがあるが、米国生産の顧客が増えれば自動化投資でロボットなどの販売増に結びつくとの想定もあるという。
為替の動向も、ファナックの業績見通し開示見送りに至った要因だ。25年3月期の通期為替レートは1ドル=152.58円だったが、足元は141円台と円高方向に動いている。国内生産が主力のファナックにとって円高はマイナス影響となるが、為替動向は米政権の関税政策の発表に大きく左右されるため、先行きの見通しが立ちにくい。
26年3月期の業績を占う上でヒントとなるのが足元の受注動向だ。25年1~3月期の受注高は前年同期比22%増の2114億円だった。金額としては四半期ベースで10期ぶりの高水準。山口氏は「好調」と評価する。
同社はロボットのほか、工作機械の頭脳となる数値制御(NC)装置を含むFA(ファクトリーオートメーション)、スマートフォン(スマホ)製造に使う金属加工機などのロボマシンの3部門を主力とする。1~3月期ではロボット部門が28%増の909億円で2期連続のプラスとなった。
FA部門は13%増の507億円と5期連続のプラス。中国で電気自動車(EV)向け需要が持続し、部品加工に使う工作機械の販売増でNCも追い風を受ける。ロボマシン部門は55%増の375億円と4期連続のプラス。スマホ製造などが中国から移るベトナムやインドの需要を取り込んだ。
同日発表した25年3月期決算は売上高が前の期比横ばいの7971億円、純利益が11%増の1475億円だった。FA部門やロボマシン部門が堅調に推移した。
大和証券の田井宏介チーフアナリストは米関税について「世界的に設備投資が止まることによる間接的な影響が出てくる」と指摘する。
ファナックは同日、稲葉善治会長が退任し取締役からも外れる人事を発表した。6月の定時株主総会終了後に特別顧問に就く。同社をけん引してきた稲葉氏のいない新たな経営陣が先行き不透明な局面でどうかじ取りするかも今後の注目点だ。
ヤーマン 山崎社長(ニュース一言)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 15ページ 177文字 PDF有 書誌情報]
長年、肌に向き合い、美顔器を使う人の気持ちを考えてきた。日本の技術で製品に志をふき込むことで、模倣品にはないヤーマンのブランドを確立する。
美顔器大手のヤーマンは中国を主要市場とするが、政府の規制で販売不振が続く。ベトナムやサウジアラビアなど「非中国」の開拓を急いでおり、山崎貴三代社長は「スキンケア製品も含め、美の新しい習慣を作っていきたい」と話す。
精神障害者、雇用しやすく 法定雇用率達成へ企業に橋渡し[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 16ページ 2103文字 PDF有 書誌情報]
精神の障害を持つ人を企業が雇用しやすくなるよう支援するサービスが広がっている。三菱地所はデジタル業務に特化した就労支援事業所を新興企業と開設した。人材サービスのレバレジーズ(東京・渋谷)は企業が直接雇用した障害者が働くサテライトオフィスを運営する。精神障害のある人が社会復帰できる道筋を作り、法定雇用率を達成したい企業につなぐ。
三菱地所と就労困難者支援のVALT JAPAN(東京・千代田)は今年2月、「デジタルイノベーションセンター丸の内(DIC丸の内)」を東京・大手町に開設した。デジタル業務に特化する就労支援事業所で、うつ病などの精神障害を持つ20~40代の8人が雇用契約を結んで働きながら技能を身に付けている。
精神障害を抱える人のなかには、対人関係やコミュニケーションが苦手な人もいるため、相手のペースに合わせたり、順序立てて丁寧に説明したりするなどの配慮が求められる。DIC丸の内では利用者の業務の進捗を管理したり、体調面を気にかけたりする複数の職員を配置して、顧客企業から受託した業務を行っている。
IT(情報技術)スキルを持つ利用者もおり、データ入力などの単純作業だけでなく、AI(人工知能)を活用して作業の一部を自動化するなど高度な業務も担う。書類整理などのアナログな事務作業を請け負う事業所はあるが、システム開発まで担う事業所は珍しい。
自社で雇用前提
業務を委託する企業は将来、自社での雇用を前提にしている。候補者に実務経験を積んでもらいながら、採用時には勤怠や障害についても把握でき、決めやすくなるという。DIC丸の内の和田滋之サービス管理責任者は「本社業務で採用したいが、どのレベルの仕事を頼めるのかわからない企業は多い」と指摘する。
企業が採用に前向きな背景には、義務付けられている障害者の法定雇用率がある。段階的に上がっており、2026年7月には現在の2.5%から2.7%に引き上げられる。高くなるハードルに、達成した企業は5割前後の状況が続く。24年6月時点は46%だった。
DIC丸の内の和田氏は「身体障害や知的障害を持つ人は既に働いていることも多い」と指摘する。精神障害が法定雇用の算定対象となったのは18年で、「雇用経験や受け入れの知見がある企業は少ない」と話す。
実際に精神障害を抱えながら働く人は増えている。厚生労働省によると、民間企業で働く障害者は24年6月時点で67万人と過去最多だ。そのうち精神障害の人は15万人と前年から16%増え、身体障害(2%増)や知的障害(4%増)に比べて伸び率が高い。
DIC丸の内の就業者も、能力や特性に合わせて経験を積むことで、希望の企業への再就職を目指す。同事業所で働く男性(24)は「IT関連の仕事ができる事業所はかなり少ない。ここで経験を積んでシステムエンジニアの正社員として復帰したい」と語る。
三菱地所とVALT JAPANは今後5年で全国に20の事業所を開設し、1000人規模の障害者を雇う計画だ。
レバレジーズは24年12月、企業が直接雇用した若年層の精神障害者が働けるサテライトオフィスを東京・秋葉原と千葉市に開設した。所属企業での就労に必要なスキル習得や体調管理を支援する。25年3月には渋谷にも開いた。
レバレジーズは企業の間接業務を請け負うビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業務で精神や発達障害を持つ約100人を雇っている。障害者を雇用したい企業に対し、レバレジーズで雇用する人を紹介したり、労務管理の相談も受けたりする。
転職仲介会社のApex(エイペックス、東京・渋谷)は2月から、レバレジーズを通して精神障害を持つ女性(23)を契約社員として雇用した。女性はサテライトオフィスで週3日、ヘッドハンティング候補の収集やデータ入力の作業をしている。
正社員へ転換も
障害者職業総合センター(千葉市)の17年発表の調査では、精神障害を持つ人の入社1年後の職場定着率は49.3%と、身体(60.8%)や知的障害(68.0%)に比べて低い。Apexの人事担当者やレバレジーズの現場マネージャーなどは毎月、女性の体調や就業環境について報告し合い、就業パフォーマンスが高まるようケアをしている。
障害の特性に合わせた業務の切り出しや適切な受け入れ体制の整備など手探りで雇用を進める企業は多い。Apexもこれまで障害者を雇用したことがなく、「知見もノウハウもなく、当初は受け入れるイメージがわかなかった」(労務担当の小島明氏)という。小島氏は「法定雇用率達成のためだけではなく、いち社員として本社業務に携わってもらいたかった」と語る。今後、正社員への転換も検討していく。
パーソル総合研究所の金本麻里研究員は「企業が社会的責任を果たし、法定雇用率を達成するためには、精神障害者の雇用を進めることが不可欠だ」としたうえで、「個人に合わせた配慮の意識や専門機関とのつながりをもちながら進める必要がある」と指摘する。
(丸山景子)
【図・写真】デジタル業務に特化する就労支援事業所「DIC丸の内」(東京都千代田区)
ブルーイッシュ、営業メールAIが代行 自動で最適文面[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 16ページ 661文字 PDF有 書誌情報]
業務自動化システムを手がけるBLUEISH(ブルーイッシュ、東京・港)は、ブラウザー上で操作する営業先へのメール送信などの業務を人工知能(AI)が自動で代行する新機能を4月に追加する。人の代わりに自律的に作業する「AIエージェント」の一種で、営業先を多く抱える大手企業の需要を狙う。
利用者は営業先企業をシステムにあらかじめ読み込ませた後、AIにチャットを通じて指示を出す。例えば「AI開発に強みのある企業に営業メールを送りたい」と打ち込むと、AIがウェブサイトの情報などから対象となる企業を絞り込む。
提示された企業へメールを送るように指示を出すと、AIが自動で最適な文面を生成する。製品情報などが書かれたウェブサイトを入力すれば、自社の強みやセールスポイントを内容に反映させることもできる。メールアドレスなどの利用者の情報も学習させると、企業の問い合わせページなどから営業メールを自動で送信する。
AIによる動作はシステムと連動したブラウザー上で実行する。ブラウザー経由の経費精算のシステムや自社サイトへの操作なども自動化できる。一度完了した業務はシステムに登録でき、基本情報を入力せずにいつでも同じ作業を実行できる。1アカウントあたり月額1000円から利用できる。
ブルーイッシュは2018年設立のスタートアップで、AIエージェントを活用した業務自動化システムを法人向けに販売している。エンジニアを多く抱え、生成AI関連のシステム開発が強みだ。
【図・写真】メール送信などをブラウザー上で代行する(新機能の利用画面)
英アストラゼネカ、新薬などの承認「30年までに40件以上」 治療の選択肢を拡充[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 16ページ 450文字 PDF有 書誌情報]
英アストラゼネカは日本で2030年までに新薬や既存製品の拡大も含め40件以上の承認取得を目指すと発表した。新しいモダリティー(治療手段)の開発やデータの活用を進め、治療の選択肢を拡充する。
24年には新薬で3件、適応拡大で8件が日本国内で承認された。19~24年までの6年間で取得した承認は合わせて42件に上る。今後は医療データを集積した「リアルワールドデータ」の活用にも力を入れる。
日本法人の堀井貴史社長は「常に最新のデータを分析し、日本独自のエビデンスを国内の臨床現場に届けたい」と話した。
同社の24年の日本での売上高は、薬価ベースで5141億円だった。成長率は前年比で3.3%増だった。がん治療薬を扱う領域は薬価改定を受けた影響で成長率が1%減となったが、呼吸器・免疫疾患の領域では18%増だった。
米トランプ政権の関税政策で世界貿易は不透明感を増している。堀井社長は「日本(事業)は米国に製品や原料を輸出しておらず、今すぐに直接の影響は出ない」と説明した。
【図・写真】日本法人の堀井社長
出光興産の研究(下)全国の製油所 多機能拠点に(TheStrategy)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1180文字 PDF有 書誌情報]
北海道で合成ガソリン売り込み 新エネ生産、将来の顧客開拓
出光興産の北海道製油所(北海道苫小牧市)で今年、二酸化炭素(CO2)の排出を減らせる合成ガソリンの売り込みが全国に先駆けて始まった。市内の企業に担当者らが足しげく通い、販売量の見込みやCO2排出の抑制効果などの情報を提供して将来の顧客をいち早く取り込む。
2030年度に水素とCO2を原料に年4万キロリットルの合成ガソリンの生産を始める計画で、近く製油所内の用地選定や設備設計を決める。担当者は「運転の知見をためて、規模を大きくする方法を探る」と話す。
出光は30年に全国の石油精製能力を現状から2割減らす一方、合成ガソリンの元となる合成メタノールを28万トン、再生航空燃料(SAF)を年50万キロリットル供給する。「今の用地や人員を生かしながら、次世代のエネルギー拠点に切り替える」。酒井則明社長は全7カ所の製油所・拠点を更地にしない方針だ。全製油所で手掛ける新エネルギー分野を具体的に示すのは元売り業界で出光だけだ。
産業構造やコンビナートの特性に合わせて多機能化を進める考えで、北海道製油所は合成ガソリンに重点を置く。所長の原英之執行役員は「北海道は自動車の移動距離が長く、暖房で多くの電気を使うため電気自動車(EV)は向かない」とみる。
他方、徳山事業所(山口県周南市)では30年までに年間100万トン超のアンモニアを供給する。周辺では化学メーカーなどが石炭火力発電を使っており、燃料転換の需要が見込める。羽田・成田空港に近い千葉事業所(千葉県市原市)では28年度までにSAFを年間10万キロリットルつくる。
次世代エネルギーを見据え、出光系の特約店も変化している。33店舗のガソリンスタンドを運営するアイックス(札幌市)は北海道千歳市で建設中のラピダス工場の建設機械向けに廃食油などを使いながら環境負荷を減らした軽油の販売を始めた。
値段は通常の軽油に比べて1~2割高いが、「工事の入札で環境配慮が重要になっており、引き合いが強い」(石油SSオート事業部の増谷竜一本部長)。新たな軽油は価格競争に巻き込まれにくい上に、新規顧客との接点を増やせる利点もある。
出光は30年までに各製油所の多機能化にメドをつけ、特約店の営業網も生かしながら、次世代燃料の販売を拡大する計画だ。ただ、石油元売り業界に詳しい桃山学院大学の小嶌正稔教授は「次世代エネルギーは国内だけでの収益化は難しい。海外ネットワークも生かして価格競争力を高める必要もある」と話す。
創業家のリーダーシップの下、独特な社風で元売り大手に成長した出光。19年に昭和シェル石油と経営統合してからは「角が取れて普通の会社になった」(同業の幹部)と言われる。独自路線を磨いて他社にいち早く先行できるかが試されている。
河野真央が担当しました。
ユニ・チャーム、失敗から学ぶ 国内外の人材育成 海外、幹部8割を現地化へ[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 2161文字 PDF有 書誌情報]
ユニ・チャームが国内外の社員の学びを推し進め、成長の原動力にしている。2代目の高原豪久社長は就任約25年で売上高を5倍にし、2025年12月期の連結売上高は初の1兆円超えを見込む。海外売上高比率は6割に達し、社員の8割が外国籍となった。成長の背景には「共振の経営」と掲げる幹部と社員の意識統一と徹底した教育がある。研修施設をのぞいた。
3月中旬、高松空港(高松市)から車で1時間ほど走ると、ユニ・チャームの研修施設「共振館」(愛媛県四国中央市)が現れた。創業の地であり、かつて生理用品などを作った金生工場の跡地にあたる。創業50周年の11年に建設されて以来、ほぼ外部には公開されてこなかった。入り口で出迎える創業者の故・高原慶一朗氏のパネルにはこう書かれている。
「この場所にはいくたびもの困難を乗り越えてきたユニ・チャームウェイの原点があります。高い志をもち、明確な目標を掲げ、挑戦し、感謝し続けてきた歴史でもあります。あなた自身でその原点に感動して下さい」
売上高5倍に
ユニ・チャームは1961年に創業した。84年に海外初となる台湾へ進出。現在は世界で約80カ国・地域に展開し、赤ちゃん用のおむつや女性用ナプキンなど衛生用品のほか、猫砂などペット関連用品まで幅広く製造・販売する。社員数は1万6000人に達し、このうち8割が外国籍だ。
24年12月期の連結決算は売上高が9889億円で営業利益率は14%と、競合の花王(9%)を上回り、日用品・生活用品の業界平均の6.5%の2倍以上だ。25年12月期には売上高で1兆250億円と初めて大台に達する見通しだ。
ここまでの成長をけん引してきたのは2代目の高原豪久社長だ。01年6月に就任すると世界展開を進め、売上高は約5倍になった。成長の原動力には高原社長が掲げた「共振の経営」がある。
経営層は現場の生の情報に触れ、現場の従業員は経営層の視点を学ぶ――。双方の知恵や工夫が振り子のように共鳴し合うことで全社員が一丸となって共通の目標に向かうことを「共振の経営」と表現した。
高原社長は「父(慶一朗氏)には『面従腹背』で表では忖度(そんたく)した態度だが、改善などの行動に移さない社員が多いことに危機感があった。経営層と現場が理解し合わなければ成長できないと考えた」と明かす。
社長就任後すぐに幹部候補生が2カ月間、社長の「かばん持ち」として社内外の会合や出張まで同行する制度を設けた。経営層の考え方を肌身で学ぶ機会になり、累計60人強が参加し、一部は実際に幹部社員になった。
社内の仕組みを整える一方、「創業精神を具体的に学ぶ機会が少なかった」(広岡直枝執行役員)という課題に直面した。解決策の一つとして建設したのが共振館だ。
共振館は企業の記念館としての役割も備え、歴代の商品や工場の復元設備を展示し、創業の歴史や精神性を知ることができる。「メモ魔」だった慶一朗氏の数千冊に及ぶノートなども並べ、社員に学ぶ大切さを伝える。
最大の特徴は失敗事例だ。例えば香川県宇多津町の観光施設「ゴールドタワー」。1988年に瀬戸大橋の開通に伴う観光需要を見込み、土地取得を含め60億円強を投資した。世界各国のトイレを集めた「トイレ館」などで話題だったが、2000年には年間来場者数がピークの4分の1に落ち込み、地場企業に譲渡した。
そのほか、幼児教育教室「どんちゃか才能教室」や結婚情報サービス「アカデミック ユニ・チャーム」などの失敗例が写真や実物とともにパネルで並ぶ。いずれも参入から撤退にいたった経緯まで細かく説明があり、「創業者の理念や過去の失敗、成功の歴史を社員が体感して具体的に学べる」(広岡氏)という。
21年には創業家の高原家の邸宅を改築し、宿泊・研修施設「令和共振館」(愛媛県四国中央市)を新設した。広いセミナールームのほか、実際の書斎が再現されて経営学など数百冊の本が並ぶ。宿泊部屋とテラスがあり、バーベキューなどもできる。広岡氏は「創業者が何をみてどう過ごしてきたのか体感して精神性を伝える」と語る。
茶の湯を体験
ユニ・チャームの喫緊の課題は海外の収益力だ。国・地域別の営業利益率は日本が20%に対し、中国は11%、アジアは9%と見劣りする。改善のため、30年までの長期経営計画で海外法人の経営層の8割を現地化する目標を掲げた。足元は5割程度だが、残り5年で3割引き上げる計画だ。
2月初旬には米国やインドなど16カ国・地域から幹部候補生が集まり、共振館や工場などを見学後、浅草公会堂(東京・台東)で茶道に取り組んだ。静まり返った部屋の中で講師が湯をくみ、茶をたてる。候補生らも実際に茶をたてた。インドからの参加者は「茶道では一つ一つの動きに意味がある。細部までこだわる日本の文化とものづくりを知った」と語った。
高原社長は「3年後には次期経営者になる素質がある。発祥の地の日本的経営を理解し、各地に戻って生かしてもらう」と狙いを語った。30年には売上高1兆5000億円の目標を立てている。海外の人材まで共通の意識をつくり、自律した「経営者」を育て世界一の企業を目指す。
(浅山亮)
【図・写真】高原豪久社長は「発祥の地の日本的経営を理解して生かしてもらう」と話す
UCC、水素焙煎コーヒー 世界初の量産 環境配慮、味にも自信[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 860文字 PDF有 書誌情報]
UCC上島珈琲(神戸市)は23日、世界で初めて水素を燃料に豆を焙煎(ばいせん)したコーヒーの量産を始めたと発表した。脱炭素の燃料である水素を使うことで、環境意識の高い企業や消費者を開拓する。3~5割コストは上がるが、流通網全体で費用を負担することで水素焙煎コーヒーの普及を目指す。
「水素焙煎は、世界のコーヒーや食品産業のなかでもユニークな事例だ」。UCC上島珈琲の親会社、UCCジャパンの上島昌佐郎社長は静岡県富士市で開いた発表会でこう述べた。水素焙煎コーヒーは焙煎機の燃料の全量に水素を使う。
富士工場(同市)に約10億円を投じ、4月から水素を燃料にする大型焙煎機を稼働させた。自社開発した大型焙煎機の処理能力は最大年約6000トン。UCCによると、年3000トン以上の処理能力をもつ大型焙煎機を用いた水素焙煎コーヒーの量産は世界初という。
コーヒー豆の焙煎は天然ガスなどを使うケースが一般的だが、UCCは22年から燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素活用を研究してきた。水素焙煎機がフル稼働すると、富士工場のCO2排出量は年間1~2割程度減少する見通し。水素は山梨県からグリーン水素を調達する。
UCCは業務用と家庭用の「水素焙煎コーヒー」を発売した。自社の電子商取引(EC)サイトや直営店を通じ、消費者に販売する。価格は商品によるが、当初はエチオピアの高級豆を対象にするため1杯あたり270円程度になる。同じ商品で水素焙煎でないモデルと比較すると、70~90円ほど高い。
業務用の豆は環境対応に積極的な企業などに購入を呼びかける。担当者は「業務用が成長のカギになるだろう」と話す。
23日に東京都内で開いたイベントに参加した白川隆貴さんは「すっきりとした後味で飲みやすい」と話した。水素焙煎についてUCCは「コクや甘さが加わり、より深みのある味わいになる」とし、環境面だけでなく味も消費者に受け入れられることを期待した。
【図・写真】UCCが開発した水素焙煎コーヒーの試飲イベント(23日、東京都中央区)
関西スーパー「春の陣」 低価格店、あえて激戦地に 因縁のオーケーを強く意識[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 740文字 PDF有 書誌情報]
エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)子会社の関西フードマーケット(旧関西スーパーマーケット)が23日、大阪市内に初の低価格スーパーを出店した。競合も多く店舗を構える激戦地だ。H2Oは関西スーパーの買収を争ったオーケー(横浜市)などに「安さ」で後手に回る。新店で巻き返しを図る。
関西スーパー市岡店が、「関西スーパーデイリーマート市岡店」として改装開業した。関西に進出が相次ぐ低価格スーパーへの対策として関西フードが検討していた新業態の店舗だ。
近隣にはライフや業務スーパー、川崎市が地盤のロピアといった競合店が多い。関西フードは店舗の競争力や需要を確かめるため、あえて激戦地に新業態の1号店を開いた。関西スーパーの名前を残して従来の顧客を離さない狙いもある。
「衝撃プライス」と店頭販促(POP)をつけた食品はオーケーと同等の価格に設定した。「エブリデー・ロー・プライス(EDLP=毎日安売り)」を強みとするオーケーの戦略をまねたものだといえる。
H2Oにとってオーケーは関西スーパーの争奪戦を繰り広げた因縁の相手だ。オーケーは24年11月に大阪府東大阪市に自前で関西1号店を開いた。26年には大阪と兵庫県で計13店とする。
関西フードは関西スーパーと阪急オアシス、イズミヤの3スーパーの統合から約3年、関西で勢力を伸ばす首都圏地盤のディスカウント店への対抗策を打ち出せていなかった。
「これからますますお客さんに近づいていくため変化が必要だ。今日はそのスタートだと認識している」。関西フードの林克弘社長は強調した。関西の低価格スーパーの「春の陣」はこれから正念場を迎える。
【図・写真】改装開業し多くの買い物客でにぎわう関西スーパーデイリーマート市岡店(23日午前、大阪市)
ローム、EV用パワー半導体 電力効率5割高、充電時間を短縮[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 566文字 PDF有 書誌情報]
ロームは電気自動車(EV)の車載充電器向けパワー半導体の新製品を開発した。省エネ性能の高い炭化ケイ素(SiC)を使い、設計の工夫で電力効率を一般的な競合製品より5割高めた。EVの充電時間の短縮や航続距離の延長につなげる。年間100億円の売上高をめざす。
EVの車載充電器のほか充電ステーションにも使える半導体を開発した。これまで提供していたパワー半導体を4~6個組み合わせてモジュールにした。車載充電器の出力が22キロワット級の大型EVにも対応する。耐圧などが異なる13種類を用意する。
車載充電器はEVを充電する際、電源から供給された電流をバッテリーに適した電圧に変換する装置だ。新製品は内部回路の設計を工夫し、電力効率を高めた。半導体を個別に使うときよりも合計の実装面積は半減し、軽量化できる。EVの航続距離の延長にもつながる。
サンプル価格は1個1万6500円で、すでに海外企業2社からの採用が決まっている。基板に回路を形成する前工程は福岡県や宮崎県内の工場、部品組み立ての後工程はタイの工場で手掛ける。当面は月産10万個をめざす。
ロームはSiC製EV部品に力を入れている。2024年には駆動装置「イーアクスル」向けにモーター制御で使うモジュールを開発し、フランスの自動車部品大手ヴァレオグループなどに提供した実績がある。
米オープンAI幹部、「クローム」買収に関心 グーグルに売却命令あれば[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 543文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】米オープンAIの幹部は22日、米裁判所が米グーグルにウェブ閲覧ソフト(ブラウザー)「クローム」の売却を命じた場合、事業の買収に関心があると述べた。グーグルのインターネット検索の独占を巡る裁判の審理で証言した。
オープンAIで対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」の製品責任者を務めるニック・ターリー氏が、原告である米司法省側の証人として出廷した。複数の米欧メディアが発言内容を伝えた。
米ブルームバーグ通信によると、可能ならクロームの買収を試みるかという質問に、ターリー氏は「他の多くの関係者と同様、当社もそうするだろう」と答えた。チャットGPTとクロームを統合すれば、サービスの利便性が高まると考えているという。
グーグルのネット検索の反トラスト法(独占禁止法)違反を巡る裁判で、独占の是正策を決めるためのヒアリングが21日に首都ワシントンの連邦地方裁判所で始まった。司法省はクロームの売却を求めている。地裁は24年8月、グーグルの独占状態は違法だと認める一審判決を出した。グーグルは控訴できるが、一審での是正措置の議論が先に進んでいる。ターリー氏は22日、オープンAIが検索技術についてグーグルに協業を打診して拒否されたことも明かした。
西武池袋本店店長に労組委員長[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 481文字 PDF有 書誌情報]
そごう・西武は23日、旗艦店の西武池袋本店(東京・豊島)の店長に労働組合の寺岡泰博中央執行委員長(54)をあてる人事を発表した。寺岡氏は2023年にセブン&アイ・ホールディングス(HD)によるそごう・西武の売却に反発してストライキを主導した。従業員の信頼が厚い寺岡氏を店長に据えて年内に予定する西武池袋本店の改装開業に備える。
就任は5月1日付。寺岡氏は1993年に西武百貨店(現そごう・西武)に入社。婦人服売り場などを経験し、2018年から中央執行委員長を務めている。
そごう・西武を巡っては23年に親会社だったセブンによる米ファンド、フォートレス・インベストメント・グループへの売却について、セブンとそごう・西武の労組の意見の違いが表面化した。労組は売却後の事業計画や、雇用継続についての情報開示姿勢などに不満を募らせ、百貨店業界で61年ぶりとなる店舗でのストライキを実施した。
そごう・西武は23日、今回の人事の狙いについて「会社の再生計画を十二分に理解し、創業以来の大規模改装を完遂する上での統率力を持つ。旗艦店舗の収益最大化をけん引できる」と述べた。
三菱地所、ロンドンでオフィス開発 総事業費1600億円[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 450文字 PDF有 書誌情報]
三菱地所は23日、英ロンドンで2件の大規模オフィスビルを着工すると発表した。英大手放送局ITVの旧本社・スタジオビルの再開発の総事業費は約1600億円と三菱地所で欧州最大規模となる。
ロンドンのテムズ川沿いにあるITVの旧本社・スタジオビル跡地をオフィスや飲食店が入る複数のビル棟に再開発し、2029年の完成を目指す。延べ床面積は約9万1200平方メートルでオフィスの貸し付け面積は約5万3400平方メートル。ロンドンでは優良オフィスの供給が逼迫しており高い需要を見込む。
もう一つの案件は、ロンドン中心部の国会議事堂やウェストミンスター寺院近くの保有物件をオフィスビルに改修する。総事業費は880億円で28年に竣工する。既存の構造部や資材を再活用して建設に伴う二酸化炭素(CO2)排出を抑える。環境意識の高い英国は、開発許認可を取得する際に既存建物の活用を求めている。
三菱地所は長期経営計画で30年までに海外事業の営業利益を900億円にする目標を掲げており、前倒しで達成する見通しを示している。
<訂正>17日付特集面「採用計画 2270社 本社調査」の表中[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 69文字 PDF有 書誌情報]
訂正 17日付特集面「採用計画 2270社 本社調査」の表中、ソニーグループの初任給について「固定残業代を含む」としていたのは誤りでした。
フジオーゼックス 杉江郁夫氏(新トップ)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
◇フジオーゼックス
杉江 郁夫氏(すぎえ・いくお)88年(昭63年)名古屋工業大工卒、大同特殊鋼入社。19年執行役員、23年常務執行役員。愛知県出身。59歳
(6月19日社長就任。辻本敏社長は相談役に)
積水化成品工業 古林育将氏(新トップ)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 93文字 PDF有 書誌情報]
◇積水化成品工業
古林 育将氏(ふるばやし・やすのぶ)92年(平4年)積水化成品工業入社。18年執行役員、24年取締役専務執行役員。57歳
(6月24日社長就任。柏原正人社長は相談役に)
NHK(人事)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 17ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
NHK人事
(4月25日)考査室長(プロジェクトセンター長)内藤誠吾▽リスクマネジメント室長、清水聡▽経営企画局長(広報局長)松村勝康▽総務局長、佐々木賢▽広報局長(リスクマネジメント室長)小形修一▽プロジェクトセンター長、小沢泰山▽デザインセンター長、内藤敦子
(5月1日)メディア技術局長、大人誠之▽視聴者局長、高橋敦▽放送文化研究所長、吉野真史
新国際課税、国内900社対象、データ集約コスト増、決算書反映、体制整備急ぐ[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1330文字 PDF有 書誌情報]
日本企業が新しくできた国際課税ルールへの対応に追われている。どの国にいても法人税の最低税率が15%になるまで支払いが課せられ、開示が本格化する2025年3月期決算書への反映が必要になる。税負担が急増する企業はほぼないとみられる一方、三菱商事などは各国からのデータ集約や複雑な計算といった事務作業の負担が重くなる。
新ルールは法人税の最低税率制度(グローバル・ミニマム課税)という。21年に経済協力開発機構(OECD)加盟国など約140の国・地域が合意した。例えば、ある日本企業の子会社が進出している海外の国での税率が15%を下回る場合、親会社は日本で差分を支払うという仕組みだ。課税逃れや各国での法人税率の引き下げ競争の歯止めなどを目的に、世界の主な国で適用が始まっている。
対象は売上高など収入額が7億5千万ユーロ(約1200億円)以上の企業で、日本では900社程度の見通し。日本企業は極端な節税策を行っておらず、食品やサービスなどの大手企業からは「法人税への影響は少ない見通し」との声が目立つ。
一方、作業負担は増える。企業は各国からの会計・税務データを集約して影響額を検証し、決算書に反映する必要がある。新ルールに関する税務申告書の26年9月末までの提出も欠かせない。専門家によると、日本企業はグローバルで会計データを集約する仕組みはあるが、実効税率や優遇税制など細かな税務データを集約する仕組みは十分に整っていないという。
三菱商事は「会計(決算)や税務(申告)において、これまで収集していなかった情報を多数求められるようになる。全世界の子会社などから新規に収集を行う必要があり、社内体制の構築やシステムの導入といった負担が大きい」とみている。
KPMG税理士法人の宮原雄一代表は「グローバル・ミニマム課税にかかる連年の法改正と事務負担の増加に対応するためには、税務専門家との連携が必要だ」と話す。
先進的な取り組みをしているのがリクルートホールディングスだ。12年の米インディード社買収によるグローバル展開の加速、多国籍企業の課税逃れに対抗するOECDの「税源浸食と利益移転(BEPS)」プロジェクトに対応するため、15年ごろから税務分野の取り組みを強化してきた。
日本、アイルランド、米国、オランダに各事業部門の税務を専門に扱う約50人の担当者を配置。日本にあるホールディングスの税務統括部がそれらを統括している。国境をまたぐ取引や資本取引は報告する、などという簡素で具体的な税務ポリシーを共有し、拠点の役割を明確化しているという。
また、税務申告書の作成などを世界中で同一の税理士法人に統一しており、プロの目を入れることで、ミスや情報の入力漏れなどを防いでいるという。
税務統括部の安妻貴裕部長は「世界中の正確な税務データを迅速に収集できるシステムも導入しており、ボタン1つで様々な情報が集約できる。最低税率制度への対応もそれほど大変ではない」と話す。「税務は工夫次第で大きなメリット(不要な税金や二重課税の排除など)を享受できる。経理部門の一部と見られがちだが、大きな価値創造ができる別部門だという認識が重要だ」とした。
(川瀬智浄、森国司)
JAL純利益1000億円超、前期1割増 訪日客増で国際線好調[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1091文字 PDF有 書誌情報]
日本航空(JAL)の2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)は1050億円前後と、前の期に比べて1割ほど増えたようだ。5%増の1000億円とする会社計画を上回ったとみられる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み国際線が好調だった。国内線も団体客や個人のレジャー需要で伸びた。
純利益が1000億円を超えるのは、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年3月期(1508億円)以来6期ぶり。25年3月期純利益の市場予想平均(QUICKコンセンサス)は1036億円だ。
業績拡大をけん引したのは国際線だ。25年3月期の国際線旅客数は速報値で14%増の758万人だった。アジアからの旺盛な訪日客需要が追い風になった。日本から米国や欧州へ向かうビジネス客の需要も拡大した。25年1~3月期では前年同期比21%増えた。
国際線の座席利用率は25年3月期で84%と5ポイント上がった。利用率が上がると顧客あたりの燃料費コストが下がる。
国際貨物も取り扱い重量が21%増えるなど好調だった。中国からの越境EC(電子商取引)を中心にアジアから米国向けの荷物の取り扱いが増えた。
国内線の旅客数は3%増の3612万人だった。九州や北海道などを目的地とした観光需要が拡大した。
決算発表は5月2日を予定する。JALは3月に26年3月期の業績予想を公表済みで、売上高にあたる売上収益は前期会社計画比で7%増の1兆9770億円、純利益は15%増の1150億円を見込む。国際線の伸びがけん引する。為替の前提は1ドル=145円だ。
国際線の旅客数は5%増の796万人と予想する。収益性が高い北米路線を中心に供給量を増やす。客数が増えるほど単価を下げても採算がとれるようになり、国際線のイールド(旅客1人を1キロメートル輸送して得る収入)は前期比で3%減る見込みだ。
4月に入って円高・ドル安が加速している。22日には一時1ドル=139円台まで円高が進んだ。市場ではトランプ米政権が日本に対し円安是正を求めるとの見方がある。
為替は旅客需要と燃料費を通じてJALの業績に影響する。円高はインバウンド需要を抑える一因になるが、日本から海外に向かうビジネス客需要には追い風だ。燃料費の抑制にもつながる。同社は135円程度を望ましい水準とみている。
JALは25~33年度にカタログ価格(定価)ベースで合計2兆円弱を投資し、国内線・国際線で新機材を導入する。国内線では小型機を導入し、国際線では機材を大型化して成長が続くインバウンド需要をさらに取り込む。
【図・写真】JALの純利益は6期ぶりに1000億円を超える
シマノ、純利益下方修正、今期16%減、為替差損響く、関税・ドル安 下振れリスク[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 741文字 PDF有 書誌情報]
シマノは23日、2025年12月期の連結純利益が前期比16%減の638億円になる見通しだと発表した。従来見通しから72億円引き下げた。円やアジア通貨に対してドル安となったことを受けて、1~3月期に計上した為替差損を反映した。今後は米トランプ政権の関税政策や一段のドル安によって、さらに下振れする可能性もある。
25年12月期の売上高は4%増の4700億円、営業利益は8%増の700億円の見通しで、それぞれ従来予想を据え置いた。経常利益は為替差損の影響で11%減の882億円に下方修正した。年間の配当予想は前期より30円多い339円で据え置いた。
ただ、為替レートは3月末の1ドル=149円に対し、足元では140円台前半までドル安が進んでいる。
このままの水準で推移すれば為替差損が膨らみ、営業利益の下押し要因にもなる。またトランプ関税にともない、完成車メーカーから部品に値下げ圧力がかかる恐れもある。
シマノの25年12月期の売上高見通しに占める地域別割合は欧州が46%、中国・台湾が34%で、北米の比率は6%しかない。
ただ世界の自転車市場で米国は2割近くを占めており、多くが中国・台湾から輸出されているとみられる。
同社によれば「今のところトランプ関税に絡めて値下げなどの要望はない」が、どこで自転車を生産するかを含めて、完成車メーカーの動向を注視していく構えだ。
シマノは23日、141万株の自社株を5月1日に消却すると発表した。消却前の発行済み株式数の1・58%にあたる。2月27日から4月23日にかけて約300億円で買い付けた株式が対象。シマノは26年12月期までの2年間に1000億円の自社株買いを目指しており、26年1月末までにさらに200億円程度を実施する方針だ。
大成建設、純利益上振れ、前期3.1倍 国内の大型工事が進捗[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 566文字 PDF有 書誌情報]
大成建設は23日、2025年3月期の連結純利益が前の期比3・1倍の1238億円になったようだと発表した。従来予想から408億円引き上げた。過去最高だった18年3月期(1267億円)に次ぐ高水準となる。国内の大型工事が想定以上に進捗した。政策保有株式の売却が計画より進んだことも利益を押し上げた。
同社が25年3月期の業績見通しを上方修正するのは2度目。堅調な業績を踏まえて年間配当を従来予想から80円上積みし、210円(前の期は130円)とする。
売上高は22%増の2兆1540億円、営業利益は4・5倍の1201億円だった。それぞれ1640億円、331億円上方修正した。土木工事では設計の見直しに伴う追加工事の獲得があり、利益率が上がった。一部の研究開発費の計上時期が後ろにずれ、販管費が想定より減った。国内のグループ会社も工事や不動産開発が好調だった。
取引時間中である午後2時の発表を受け、大成建設株は買われた。一時前日比6%高の7425円まで上昇し年初来高値を更新した。終値は6%高の7389円だった。
同日、安藤ハザマも25年3月期業績予想を上方修正した。連結純利益は前の期比91%増の265億円を見込む。従来予想から52億円引き上げた。国内工事の進捗が想定を上回ったほか建築工事で価格転嫁が進んだ。配当予想は据え置いた。
ジェイテクト減益幅縮小、前期純利益68%減 法人税が減少[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 370文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車系のジェイテクトは23日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比68%減の130億円になったと発表した。従来予想から80億円上方修正し、減益幅が縮小した。インド事業の収益改善による繰り延べ税金資産の計上や、米国での還付税金受け取りによる法人税減少が利益を押し上げた。
売上高は前の期比1%減の1兆8800億円、本業のもうけを示す事業利益は12%減の640億円だった。それぞれ従来予想より200億円、90億円上振れした。原価改善に加え、仕入れコスト上昇分の顧客への価格転嫁が採算改善に寄与した。
ジェイテクトは赤字が続く欧州で構造改革を進めている。1月には25年3月期の純利益予想を50%減の200億円から88%減の50億円に引き下げていた。日本や中国、欧州などの販売が苦戦しているが、想定より堅調だったようだ。
キヤノンMJ7%減益、1~3月最終 のれん償却かさむ[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 353文字 PDF有 書誌情報]
キヤノンマーケティングジャパン(MJ)が23日発表した2025年1~3月期の連結決算は、純利益が前年同期比7%減の88億円だった。企業向けのIT(情報技術)システムは好調だったが、のれんなどの償却費が膨らんだ。
売上高は6%増の1673億円だった。企業のITクラウドの保守・運用支援やパソコン販売などが伸びた。営業利益は5%減の131億円だった。のれんなどの償却費が9億円と前年同期の2億円から大きく増えたのが主因だ。同社は企業の間接業務を請け負うプリマジェストを24年3月に買収した。
キヤノン電子が同日発表した25年1~3月期の連結決算は、売上高が8%増の242億円、純利益が19%減の15億円だった。デジタルカメラ向けのシャッター部品などの販売が伸びたが、人件費などの経費が増えて利益を下押しした。
日本信号の前期 純利益が上振れ 59%増、券売機が伸長[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 296文字 PDF有 書誌情報]
日本信号は23日、2025年3月期の連結純利益が前の期比59%増の85億円になったようだと発表した。従来予想から28億円上方修正した。新紙幣に対応した券売機や精算機の需要が想定より伸びた。鉄道会社の業績が改善して設備投資意欲が上向き、ホームドアなどの販売も上振れした。
前の期に計上した子会社の訴訟関連の偶発損失引当金に関して、25年3月期に戻し入れ益を計上することも純利益の押し上げにつながる。年間配当予想は前回予想から12円引き上げて43円(前の期は31円)にする。
売上高は8%増の1068億円、営業利益は45%増の99億円を見込む。それぞれ従来予想から68億円、19億円引き上げた。
日本航空電子 純利益12%増 今期見通し[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 256文字 PDF有 書誌情報]
コネクターなどの電子部品を製造する日本航空電子工業は23日、2026年3月期の連結純利益が前期比12%増の130億円になる見通しだと発表した。産業機器関連の部品の需要が回復する。円高は利益の悪化要因になるが、売上高の増加が補う。
トランプ米政権が打ち出す関税政策の影響については「業績見通しの前提には含まれていない」とした。米国向け輸出などへの直接的な影響に加えて、スマートフォン関連の需要などで間接的な影響が生じる可能性があるという。売上高は8%増の2400億円、営業利益は18%増の185億円となる見通し。
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1181文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
安藤ハザマ(1719)
25.3 4251 34100 26500
日本電技(1723)
1株配(円) 24.10-25.3予=81.0〓25.3予=163.0 (24.3=記184.0)
※25.1.1付で1:2分割
大成建設(1801)
25.3 21540 134500 123800
1株配(円)〓25.3予=210.0 (24.3=130.0)
日本ドライケミカル(1909)
1株配(円) 25.3予=記70.0 (24.3=50.0)
東京エネシス(1945)
25.3 677 3300 2900
新日本空調(1952)
25.3 1376 11800 9600
1株配(円) 24.10-25.3予=50.0〓25.3予=110.0 (24.3=100.0)
※25.1.1付で1:2分割
アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)
1口分配(円) 25.11予=2927.0
※25.6.1付で1:3分割
タイガースポリマー(4231)
25.3 493 3280 3380
1株配(円) 25.3予=53.0 (24.3=47.0)
杏林製薬(4569)
25.3 1300 13200 9000
神東塗料(4615)
25.3 207 480 ▲50
高砂鉄工(5458)
25.3 121 521 333
■ストライク(6196)
24.10-25.3 89 2440 1739
野村マイクロ・サイエンス(6254)
1株配(円) 25.3予=80.0 (24.3=250.0)
※24.4.1付で1:4分割
ジェイテクト(6473)
25.3 18800 30000 13000
ワコム(6727)
25.3 1155 10000 5000
1株配(円) 25.3予=22.0 (24.3=20.0)
日本信号(6741)
25.3 1068 10700 8500
1株配(円) 25.3予=43.0 (24.3=31.0)
■SHINKO(7120)
25.3 169 689 509
1株配(円) 25.3予=97.0 (24.3=80.0)
■PLANT(7646)
24.10-25.3 482 1056 751
25.9 974 1900 1350
東海エレクトロニクス(8071)
25.3 569 1090 640
■丸八証券(8700)
25.3 30 599 392
富士急行(9010)
25.3 522 8100 5100
レノバ(9519)
25.3 702 ― 2700
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1134文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
令和アカウンティング・ホールディングス(296A) 6.16
24.3 44 824 574 15.3 11.5
25.3 49 1478 1014 27.0 記24.5
26.3予 56 1629 1113 29.3 25.0
サイバートラスト(4498) 6.27
24.3 64 1121 518 64.3 17.5
25.3 74 1454 961 118.3 23.0
26.3予 82 1570 970 120.5 23.0
オービーシステム(5576) 6.19
25.3 76 611 485 210.6 80.0
26.3予 94 767 590 255.9 100.0
TOYOイノベックス(6210) 6.24
24.3 288 ▲64 ▲1293 ― 35.0
25.3 270 ▲427 ▲845 ― 35.0
26.3予 300 400 150 7.3 35.0
アイチコーポレーション(6345) 6.13
24.3 531 7018 5270 70.3 40.0
25.3 593 8225 6334 85.0 55.0
26.3予 610 8300 6500 100.7 60.0
日本航空電子工業(6807) 6.19
24.3 2257 14762 12245 137.1 55.0
25.3 2216 14838 11592 172.1 60.0
26.3予 2400 17500 13000 192.9 60.0
ファナック(6954) 6.27
24.3 7952 181755 133159 140.2 84.14
25.3 7971 196738 147557 157.3 94.39
FDK(6955) 6.25
24.3 626 720 120 3.5 0
25.3 631 1261 536 15.6 0
26.3予 600 1300 600 17.4 0
KOA(6999) 6.21
24.3 648 4485 2769 74.7 50.0
25.3 641 1243 260 7.0 40.0
26.3予 655 800 310 8.4 30.0
野崎印刷紙業(7919) 6.25
24.3 141 667 573 33.7 5.0
25.3 145 751 522 31.5 7.5
26.3予 150 758 530 32.1 7.5
ジャフコ グループ(8595) 6.17
24.3 244 8822 7494 137.6 69.0
25.3 296 13205 9576 175.6 88.0
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 768文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
フューチャー(4722)
24.1-3 150 3240 2189 24.7
25.1-3 173 3253 1997 22.5
正興電機製作所(6653)
24.1-3 78 997 674 55.4
25.1-3 85 1162 746 55.3
シマノ(7309)
24.1-3 1005 28852 23687 263.7
25.1-3 1135 15404 9786 110.2
25.12予 4700 88250 63800 722.7
キヤノン電子(7739)
24.1-3 224 2064 1951 47.7
25.1-3 242 2043 1579 38.6
キヤノンマーケティングジャパン(8060)
24.1-3 1572 13968 9523 73.4
25.1-3 1673 13203 8809 80.9
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
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<数表>財務短信[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 462文字 PDF有 書誌情報]
ベースフード(2936)
減資=7月1日付で資本金の額を11億6485万7312円減少▽新資本金=1000万円
アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)
投資口分割=5月31日現在の投資口1口を3口
ブリヂストン(5108)
第15回無担保社債650億円▽償還期限=2030年4月30日▽利率=1.208%
第16回無担保社債350億円▽償還期限=2035年4月27日▽利率=1.768%
第15回・第16回債の申込日=4月23日▽払込日=4月30日▽発行価格=100円
ファナック(6954)
自己株式消却=1303万5392株(5月30日予定)
イクヨ(7273)
株式分割=5月31日現在の株式1株を10株
シマノ(7309)
自己株式消却=141万株(5月1日予定)
ローランド(7944)
自己株式消却=158万2379株(4月30日予定)
ニッコンホールディングス(9072)
第12回無担保社債100億円▽償還期限=2030年4月30日▽利率=1.408%▽申込日=4月23日▽払込日=4月30日▽発行価格=100円
ケイブ、レイ、ファナック、ジャフコグループ、大和証券オフィス投資法人(自社株取得枠設定)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 111文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数・口数、金額は上限)
ケイブ 10万株、1億円
レイ 80万株、4億円
ファナック 1250万株、500億円
ジャフコグループ 350万株、50億円
大和証券オフィス投資法人 5000口、10億円
いちご(2337)(格付け)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
いちご(2337)
発行体、第1回・第2回無担保社=BBBマイナスからBBB(R&I)
みずほフィナンシャルグループ(8411)(格付け)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
みずほフィナンシャルグループ(8411)
劣後債=BBBからBBBプラス(S&P)
ブリヂストン(5108)(格付け)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
ブリヂストン(5108)
第15回・第16回無担保社債=AAプラス(R&I)
ニッコンホールディングス(9072)(格付け)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
ニッコンホールディングス(9072)
第12回無担保社債=A(R&I)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 18ページ 4539文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 22日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
ぷらっと 0 ▲6 1104 ▲86
ベースフード 421 0 18419 △15
ゼンムテック 1 ▲5 167 ▲18
GMOインタ 40 ▲9 528 ▲25
スターシーズ 0 0 987 0
インタートレ 158 0 1202 ▲14
サイトリ細研 0 0 1892 △2
ネクスウェア 4 ― 1305 ―
トミタ電機 0 0 243 ▲5
HSHD 4 0 8855 ▲1
ReYuu 0 0 1338 ▲19
イオレ 0 0 255 △8
Schoo 0 0 2886 △97
Syns 0 ▲1 1652 ▲35
ファンデリー 311 ▲67 512 ▲32
イントランス 0 0 8380 ▲23
BASE 291 ▲2 22998 △81
テクノロジー 0 0 4314 △3
アップバンク 0 0 2616 ▲67
BCC 0 0 213 0
グロームHD 0 0 2384 0
ピクセル 288 0 5900 ▲2
LIEH 0 0 566 △13
ウイルコHD 0 0 493 ▲5
アクアライン 0 0 44 △3
タマホーム 824 0 341 ▲11
BEENOS 7 0 3 0
CRE 0 0 6 ▲2
プロト 0 0 1 0
ドリームI 17 0 179 △3
フジHD 7332 ▲11 8603 ▲75
ヨータイ 23 0 175 △6
パイオラック 21 0 25 0
牧野フ 4 0 66 ▲6
ヤーマン 951 ▲1 302 ▲5
富士通ゼ 5 0 145 ▲21
ジャムコ 8 0 14 0
トプコン 130 0 525 △52
天馬 0 0 15 0
トナミHD 0 0 19 0
内外トランス 0 0 4 ▲3
イオンディラ 2 0 1 ▲3
イメージワン 474 ▲6 1629 △9
PバンCOM 6 0 338 ▲2
Eストアー 0 0 8 0
HEROZ 293 ▲3 229 ▲5
オートサーバ 0 0 58 0
全保連 0 0 336 ▲5
AIメカ 79 0 403 △2
インスペック 25 0 282 △2
ナカヨ 0 0 2 △2
芝浦電子 0 0 313 △50
NEWART 0 0 28 0
アールシー 6 0 60 0
MUTOH 1 0 119 0
丸藤パ 0 0 42 0
広電鉄 3 0 53 0
ユーラシア 0 0 78 △3
グリンランド 0 0 19 0
シャルレ 117 ▲16 278 ▲7
アルテック 1 0 2458 ▲15
ヴレインS 154 0 442 ▲2
ジェネパ 19 0 358 ▲80
フィスコ 252 ▲1 3223 △14
エコモット 5 0 351 ▲9
WACUL 9 0 94 ▲82
カオナビ 0 0 4 0
※ 野村4百Dイ 5837 0 11803 △405
※ 野村高配70 43 0 3697 ▲77
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 470 0
※ SMT好配当 0 0 2200 ▲1
※ SMD高配当 0 0 2920 0
※ GXオフ日R 0 0 31 0
※ GX住宅日R 0 0 2302 0
※ iS米25ヘ
140 626690
0 ▲112230
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ SBIサウジ 0 0 1822 ▲100
※ 野村ESGコ 0 0 890 0
※ 野村欧州株H 0 0 25470 △810
※ 野村独株H有 10 0 605110 △8970
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 0 289060 △35100
※ 野村米半導 0 0 558 △17
※ iF高配50 2025 0 2064 △4
※ GXSPCF 0 0 6438 ▲214
※ 阪急阪神R 573 0 442 △1
世紀東急 352 0 195 ▲1
アイケイケイ 300 △27 81 0
柿安本店 426 △37 61 ▲25
くら寿司 476 △36 282 △1
Rフィールド 783 △16 81 △2
オイシックス 122 △7 434 ▲10
日本調剤 702 △61 217 △25
Jテック・C 8 △1 207 0
ケイアイ不 49 0 66 △1
グッドコムA 822 △2 530 △3
SMINOE 6 0 54 0
力の源HD 286 △2 289 0
さくらネット 1891 ▲13 2835 △161
フリービット 555 △12 504 ▲32
gumi 490 ▲8 3774 ▲94
ACCESS 846 ▲2 1720 △6
小林製薬 98 △2 287 0
エニーカラー 208 △1 593 △1
千葉興 75 △1 1497 ▲6
神電鉄 24 0 9 0
サンウェルズ 2103 ▲36 1518 ▲7
JESCO 2 0 221 0
佐田建 23 0 1260 △6
植木組 0 0 51 0
三晃金 0 0 93 0
焼肉坂井HD 6 ▲1 229 ▲8
パレモ・HD 43 △2 1299 △65
OCHIHD 9 0 11 0
菊池製作 140 △6 254 △3
マツオカ 11 0 641 ▲1
enish 578 △20 2432 ▲104
片倉コープ 16 0 159 0
アズジェント 4 0 79 0
SIGG 0 0 213 0
わかもと 201 △3 1310 △9
秀英 8 △4 69 ▲1
富士興 1 0 41 0
日山村硝 3 0 240 ▲2
ノザワ 0 0 201 0
大阪製鉄 1405 0 1733 0
虹技 1 0 77 0
アルメタクス 5 0 268 ▲1
洋シャタ 0 0 145 0
デザインワン 12 △6 1005 △2
土木管理 15 0 356 0
油研工 0 0 64 0
ディスラプタ 5 ▲7 512 0
サクサ 1 0 163 0
星和電 0 0 127 0
池上通 6 ▲4 179 ▲1
沢藤電 0 ▲6 111 △3
大黒屋 1660 △83 8915 ▲206
upr 10 0 162 △1
近畿車 0 0 58 △1
あんしん保証 17 0 406 △3
日本モゲジS 5 0 604 0
河西工 92 ▲74 1376 △28
エコーTD 1 0 267 ▲2
パリミキHD 15 ▲4 144 0
マックハウス 105 △2 138 ▲2
テイツー 3814 ▲80 8535 △43
京都友禅HD 301 ▲28 1048 ▲45
黒田精 8 0 78 0
岡本硝子 122 ▲1 1728 △14
タカノ 1 0 81 ▲1
ホクシン 75 △25 926 △75
ナイガイ 18 ▲3 290 0
OUGHD 1 0 26 0
トルク 18 △1 323 0
オリンピック 0 ▲1 92 ▲4
東北銀 0 0 46 ▲3
富山銀 25 0 62 0
福島銀 158 △1 1121 ▲8
太平発 3 0 157 ▲2
明和地所 12 0 72 0
ファースト住 86 △8 138 0
東陽倉 0 0 85 ▲1
乾汽船 74 0 220 0
ワイヤレスG 36 △19 430 ▲5
テアトル 17 0 19 0
日邦産業 8 0 147 0
ショクブン 4 ▲2 85 ▲3
MRKHLD 365 ― 1019 ―
やまや 3 0 3 0
タイミー 1418 ▲134 2505 △257
サンクゼール 72 0 57 0
すららネット 6 0 231 ▲1
T&S・G 83 △1 240 0
プレイド 252 ▲31 2892 △66
エーアイ 2 ▲1 240 0
Kudan 218 0 649 ▲3
スマレジ 252 ― 137 ―
ミンカブ 335 0 1062 0
OTS 2456 ▲16 10147 △85
Pアンチエイ 81 0 210 △1
FIXER 255 ▲1 397 0
弁護士COM 193 ▲5 291 △4
MRT 1 0 102 0
レントラクス 5 0 337 △4
エヌピーシー 549 ▲3 1909 ▲17
アスタリスク 112 ▲2 419 △5
WASHハウ 40 0 237 △20
PSS 237 ▲5 973 ▲1
J・TEC 434 △295 634 △189
マイクロ波 455 △1 861 △12
日経300投信 1 0 7 0
※ SPDR金 2032 △1809 3034 △158
※ 野村金連動 5660 △920 111850 △5200
※ 日経2倍 3115 ▲353 40553 △1025
※ 日興高配低ボ 0 0 8 0
※ 日興米債ヘ有 30 0 4879 ▲30
※ One高配当 69 △29 5780 ▲13
※ スタンダ20 130 △30 1170 △30
※ H株ベア 170 ▲10 27740 △160
※ WTI原油 37049 ▲52 194535 △883
※ 日興外債毎月 10 0 150 0
※ GX印10+ 145 △51 55101 △1868
※ iSインド株
700 1034820
▲8890 △4910
※ GXホリ日R 100 △100 14746 ▲1
※ iF高リート 0 0 14238 0
※ MXダウヘ有 1620 △90 7110 △310
※ GXウラン 0 0 24050 △50
※ iS米20 7300 △370 644970 △58540
※ iS仏国債H 0 0 2000 0
※ GX高配30 15 ▲10 14335 ▲1000
※ iS日本国債 1254 △30 2873 △125
※ MXナスダク 8778 △1665 39169 △636
※ GXリー日株 180 △180 1819 ▲79
※ iFEナ百無 17318 △6944 160993 △940
※ iFEナ百有 29 ▲29995 64316 ▲212
※ 野村ナスH有 89680 △650 123040 △120
※ GX銀行高配 6152 △6150 52728 △300
自動車・半導体株買い戻し、日経平均648円高 米中摩擦懸念和らぐ[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1004文字 PDF有 書誌情報]
23日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前日比648円(1・9%)高の3万4868円で終えた。上げ幅は一時900円を超えた。ベッセント米財務長官の発言をきっかけに米中貿易摩擦を巡る悲観が和らぎ、関税懸念で売られていた半導体関連株や自動車株などを買い戻す動きが広がった。
「中国との関税競争は持続的ではなく、状況は改善すると期待している」。米ブルームバーグ通信は22日、ベッセント氏が非公開の会合でこう発言したと報じた。関税による企業負担が軽くなるとの期待感で米ダウ工業株30種平均が急伸した。
こうした流れが23日の東京市場にも波及した。トランプ米政権の関税強化策が業績の重荷になるとの見方から下げが目立っていた自動車株、日銀の追加利上げが滞るとの思惑から売られていた銀行株などを中心に幅広い銘柄が上げた。トヨタ自動車は一時前日比5%高、三菱UFJフィナンシャル・グループは同5%高。半導体関連も上昇が目立った。
ただ、半導体関連や自動車株が継続的に買われるかどうかは疑問符も付く。
かんぽ生命保険の河崎隆博市場運用部長は「自動車株や半導体関連は最近売られていた反動で上昇したにとどまる。トレンド転換を見込んで積極的に買っていける投資家はいないだろう」とみる。
23日の半導体関連の一角は買い一巡後、伸び悩んだ。朝方3%高で始まったディスコは0・2%安で終えた。2%高で始まったSCREENホールディングスも同0・2%安だった。
日経平均の25日移動平均は23日時点で3万5118円。23日の高値は同水準を若干上回った程度だ。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「ここまでの上昇は自律反発の域を出ない。25日移動平均を明確に超えていけるか、攻防が始まった段階だ」とみる。
外部環境は厳しい。国際通貨基金(IMF)は22日、25年の世界の成長率見通しを前回1月時点の予測から0・5ポイント下げて2・8%とした。米国の高関税政策の影響で多くの国が下方修正となった。自動車への25%の分野別関税などで輸出が抑えられるとして、日本は0・5ポイント低い0・6%だった。
関税に加え、円高も懸念される。米国時間24日に予定される加藤勝信財務相とベッセント氏との会談。米国は関税交渉の一環として円安について議論する構えを示す。会談前後に円高が進む可能性もあり、輸出関連を中心に国内株高が続くかは微妙だ。
豪ドル、4カ月ぶり高値、ドル安基調 資源国通貨に買い[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 617文字 PDF有 書誌情報]
オーストラリア(豪)ドルが対米ドルで上昇し、約4カ月ぶりの高値圏にある。トランプ米政権の政策運営に対する不信感から米ドル売りが広がる中で、銅価格の上昇が資源国通貨である豪ドル高につながっている。米中の貿易摩擦への警戒感が和らいだことも中国と経済的な結びつきが強い豪ドルを押し上げた。
対米ドルの豪ドル相場は22日、一時2024年12月以来の高値をつけた。23日の東京外国為替市場でも一時1豪ドル=0・64米ドル台と高値圏で推移している。
相互関税を巡る混乱やトランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長解任を検討していると報じられたことを受け、外国為替市場ではドル安基調が続く。主要通貨に対する米ドル売りが進み、豪ドル高・米ドル安が進んだ。
米ドル安の局面では相対的な割安感が意識され、銅などの非鉄金属価格は上昇しやすい。銅価格の上昇を受け、代表的な資源国通貨として知られる豪ドル買いに拍車がかかった。
ベッセント米財務長官が22日、関税を巡る米中間の報復合戦について「持続可能ではない」と話したと、米ブルームバーグ通信が報じた。米中貿易摩擦への警戒感が後退し、米ドル安は一服したが、豪ドルは依然として高値圏にある。
SMBC日興証券の前田佑太新興国・資源国担当シニアエコノミストは「対中国でも交渉の余地があるとの見方から、オーストラリア経済が想定されていたほど悪くならないとの期待が豪ドル買いにつながった」と話した。
日証金、アズジェント株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 151文字 PDF有 書誌情報]
日証金、アズジェント株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。23日午後立会約定分から。また、24日申し込み分(25日品貸し申し込み受け付け分)から貸借取引にかかる品貸し料の最高料率を通常の10倍に。
東証、GMOインタ株の信用取引に関する臨時措置[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 134文字 PDF有 書誌情報]
東証、GMOインタ株の信用取引に関する臨時措置 委託保証金率を24日売買分から50%以上(うち現金20%以上)とする。日証金も同日以降、貸借取引自己取引分および非清算参加者ごとの清算取次貸借取引自己取引分にかかる貸借担保金率を現行30%から50%(同20%)とする。
日証金、柿安本店株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
日証金、柿安本店株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。24日約定分から。
日証金、フジHD株の貸借取引の申し込み停止措置の解除および貸株利用等に関する注意喚起[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
日証金、フジHD株の貸借取引の申し込み停止措置の解除および貸株利用等に関する注意喚起 24日約定分から。
福証、リード株を制度信用銘柄に選定[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
福証、リード株を制度信用銘柄に選定 24日売買分から。日証金も同日約定分から貸借融資銘柄に追加。
東証、東京メトロ株を貸借銘柄に選定[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
東証、東京メトロ株を貸借銘柄に選定 24日売買分から。日証金も同日約定分から貸借銘柄に追加。
銘柄管理情報=新規上場[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
▽新規上場=上場投資信託〔東証〕東証REIT Core ETF(360A)は5月12日
23日の相場表変更[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
▽上場廃止=〔東証プライム・整理〕山陽鋼、ウィズメタク
東証、売れるG株を日々公表銘柄に指定[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 26文字 PDF有 書誌情報]
東証、売れるG株を日々公表銘柄に指定 24日から。
鉄道株、不動産事業で明暗 再開発進める東急・JR東株が上昇、安全志向でも実力で選別(スクランブル)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1295文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策の不透明さを嫌気して、投資家の注目が内需株の代表格である鉄道株に向かっている。消去法的な投資行動に思えるが、長期でみた値動きは二極化している。業界間の競争が起きにくい鉄道で株価の明暗を分けているのが不動産事業の成長性だ。
「鉄道の株価は不動産の価値を織り込んでいない。駅や線路がオフィスやホテルに変わる可能性を秘めている」。ニューバーガー・バーマンの窪田慶太日本株式運用部長は不動産含み益のある銘柄をリスト化し、とくに鉄道株の組み入れを増やしている。含み益は銘柄を絞り込むための要素にすぎない。実際に銘柄を選ぶ際に重視するのは資産を利益に変える手腕だ。
長期で見れば、鉄道株の値動きは大きく二極化してきた。上昇している銘柄に共通するのが、窪田氏が指摘する「再開発の巧者」である点だ。
代表例が東急だ。株価は23日に年初来高値を更新し、2014年末比の長期でみても2割高い。東急は13年に、東急東横線の渋谷駅から代官山駅までの路線を地下化した。線路にすぎなかった特等地はオフィスやホテル、商業施設が入った「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」に変身した。
同社は非交通事業の成長が鮮明だ。売上高にあたる営業収益を事業別にみると、21年3月期に「不動産」が「交通」を上回った。24年3月期には交通事業の営業収益は全体の2割程度にとどまる。27年3月期まで3年間の中期経営計画では、2300億円の成長投資の大半を不動産開発に充てる。
JR東日本も株価は14年末比で7%高い。3月には再開発していた高輪ゲートウェイ駅周辺の「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」が開業した。同駅や浜松町駅、品川駅などの周辺で年商1000億円を目指す。
非交通事業と株価は深く関係する。QUICK・ファクトセットでセグメント別の営業利益をみたところ、非交通事業が営業利益全体に占める割合が6~7割に達する鉄道会社に投資家の評価が集まっている。
足元のインフレも「土地持ち」企業にとって有利に働く。オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、東京都心の平均募集賃料は3月まで14カ月連続で上昇している。モルガン・スタンレーMUFG証券の姉川俊幸株式アナリストは「賃料には一段の上昇余地がある」と話す。建設コストの上昇で事業総額が膨らみがちなことも「参入障壁」となる。
不動産の活用に注力する企業は増えつつある。京浜急行電鉄は品川駅西口をトヨタ自動車と協業して再開発する。27年3月期までの中期経営計画では、品川・横浜地区の都市再開発を成長戦略の主軸に置く。鉄道以外でもコンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の東日本銀行は、日本橋の本店を複合ビルに建て替える。
鉄道は日銭が入り、不動産の含み益もあるとして投資家の退避先となってきた。業種別日経平均株価の「鉄道・バス」は23日終値時点で24年末に比べ5%高く、日経平均(13%安)を上回る。だがトランプ関税に端を発する安全志向がいつまでも続くわけではない。嵐が去れば実力での選別が始まる。
(越智小夏)
株式市場、米国1強から多極化へ(大機小機)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 929文字 PDF有 書誌情報]
米国は物質的、道義的に比類なき存在だとする「米国例外主義」を信条とし経済の「米1強」は長期的に続くとの見方を根底に、世界の投資家は米国に資金を集中させてきた。米上場企業の時価総額は、今や世界の過半を占める。
だが、トランプ米大統領の相互関税は米国例外主義を真っ向から否定するものだ。相互関税の上乗せ分の90日停止は、債券相場の暴落、長期金利急上昇が金融危機を誘発する恐れがあったためだろう。大不況への不安もあり、米国が各国との2国間交渉である程度の妥協点を見いだせれば、トランプ氏は、数カ月で追加関税の矛を収めよう。
世界で富裕層が急増しており、巨額マネーが米市場に代わる新たな投資先を求めている。中国のスタートアップ企業、DeepSeek(ディープシーク)の人工知能(AI)新モデルが、中国ハイテク産業の評価を一挙に高めた。
仏金融大手、ソシエテ・ジェネラルは、中国の代表的ハイテク7社を選び、「セブン・タイタンズ(巨人)」と名付けた。2025年1~3月にセブン・タイタンズの株価は約40%上昇したが、時価総額では、同時期に株価が10%下落した米超巨大ハイテク銘柄「マグニフィセント・セブン」の10分の1程度にとどまり、上昇余地は大きい。
ドイツは23~24年の2年連続のマイナス成長や、トランプ政権への不信感で国民の危機意識が高まっている。議会の憲法改正で、インフラ投資と国防費の増額が可能となり、今後10年で追加支出は1兆ユーロの巨額となる。
次期首相が確実視される中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、欧州の自由と平和への脅威に対し、今こそ、できうることはなんでもやると断言した。積極果敢な財政政策で、ドイツ銀行の予測では27年にドイツ実質経済成長率は、2%に達しよう。
ドイツの株価は期待先行の理想買いの段階だが、現実買いへの移行は、企業業績の回復が期待される今秋になろう。米市場から資金流出が続いても、米大手ハイテクの株価は下げすぎており、買い時だろう。投資環境は今年半ばには落ち着きそうだ。株価回復の主役は、米中ハイテク株やドイツ株になるとみられるが、長期では、投資マネーは日本やインドにも広がり、多極化が趨勢となろう。(逗子)
株式 反発、FRB議長解任否定も支え(市場往来)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 182文字 PDF有 書誌情報]
23日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反発し、終値は前日比648円03銭(1.89%)高の3万4868円63銭だった。前日の米株式市場で米中摩擦の緩和観測から主要3指数が急伸し、投資家心理が上向いた。トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を否定したことも支えとなり、取引時間中としては約3週間ぶりに3万5000円を上回った。
富士フイルム、ブロンコB、トクヤマ、神戸物産(注目株概況)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
米製薬大手からバイオ医薬品の生産を受託。トランプ関税の影響回避を好感。
2025年1~3月期の純利益が前年同期比29%減。人件費などの上昇を懸念。
JSRの体外診断用医薬品事業を買収と発表。業績への寄与を期待した買い。
反落。外国為替市場のドル高・円安を受け、仕入れコスト上昇を警戒した売り。
金利 10年債利回り、1.330%に上昇(市場往来)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは上昇(価格は下落)した。前日比0.025%高い1.330%で取引を終えた。米中貿易摩擦を巡る警戒が和らぎ、安全資産とされる債券に売りが出た。
為替 4日ぶり反落、141円86~88銭(市場往来)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は4営業日ぶりに反落。午後5時時点は1ドル=141円86~88銭と、前日の同時点に比べ1円58銭の円安・ドル高だった。米中摩擦などを巡る懸念が和らいだ。
商品 原油、3日ぶり反発(市場往来)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 86文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で原油は3営業日ぶりに反発した。22日に米政府がイラン産の液化石油ガス(LPG)を輸出している企業に対して新たな制裁を発動したと伝わり、買いが優勢だった。
<数表>2市場信用取引残高、2市場買い残の評価損益率[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 396文字 PDF有 書誌情報]
2市場信用取引残高(確報)
( 4月18日現在、一般信用と制度信用の合計、カッコ内は前週比増、▲減 )
株 数 (千株) 金 額 (百万円)
売り残 326,518 ( 67,911 ) 596,587 ( 137,224 )
買い残 2,850,737 ( 3,709 ) 3,953,771 ( 2,954 )
店内〓食い合い 139,083 ( 23,422 )
自己融資 2,542,173 ( ▲1,640 ) 3,664,740 ( 612,066 )
信用倍率 8.73
………………………………………………………………
2市場買い残の評価損益率
(QUICK算出、▲は評価損。カッコ内は前週)
△3.31 % ( ▲13.32 % )
<数表>プログラム売買に伴う現物株売買と残高[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 318文字 PDF有 書誌情報]
プログラム売買に伴う現物株売買と残高
(単位千株、百万円、▲減)
▽売買高( 4月14日~18日)
┌─売 り─┐ ┌─買 い─┐
株 数 金 額 株 数 金 額
358,186 741,116 331,911 658,736
うち裁定取引の売買高
45,893 88,084 19,262 39,321
▽裁定取引の残高( 6 月物、 18 日現在)
┌─売 り─┐ ┌─買 い─┐
株 数 前週比 株 数 前週比
21,034 ▲6,980 662,481 ▲252,791
金 額 前週比 金 額 前週比
63,725 ▲19,765 1,386,450 ▲432,657
<数表>取引参加者別裁定取引状況[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 19ページ 259文字 PDF有 書誌情報]
取引参加者別裁定取引状況
4月14日~18日
売買高上位15取引参加者(単位千株)
参加者名 売 り 買 い
(1) 三菱UFJモ 39,445 7,680
(2) みずほ証 1,490 8,889
(3) ジェフリーズ 4,564 2,693
(4) ソシエテ 266 0
(5) 野 村 128 0
(6) ― ― ―
(7) ― ― ―
(8) ― ― ―
(9) ― ― ―
上位15社計 45,893 19,262
全社合計 45,893 19,262
<数表>4月23日(市場体温計)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ 2681文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 34868円63銭(+648円03銭)
騰落率= +1.893%
東証株価指数(TOPIX) 2584.32 (+52.20)
騰落率= +2.061%
売買代金 4291445百万円 (+1007594百万円)
売 買 高 181680万株 (+38621万株)
売買単価 2362.0円
売買高上位10銘柄の占有率 28.9%
〓-〓 上場銘柄数 1635 値上がり 1347 〓-〓
売買成立 1635 値下がり 244 変わらず 44
新値株 (年初来) 高 値 144 安 値 0
騰落レシオ(25日移動平均) 96.38%
時価総額 8984554億円 (+166818億円)
普通株式数(百万株) 499652 1株当たり時価(円) 1798.16
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 14.17 ( 15.22 ) 1.30 2.28 ( 2.01 )
JPX日経400採用銘柄 14.03 ( 14.55 ) 1.40 2.35 ( 2.16 ) 2.57 ( 2.25 )
東証プライム全銘柄 14.16 ( 15.25 ) 1.25 2.69 ( 2.40 ) 2.56 ( 2.24 )
東証スタンダード全銘柄 13.86 ( 15.67 ) 1.00 2.67 ( 2.54 ) 2.41 ( 2.46 )
東証グロース全銘柄 37.78 ( 158.89 ) 3.20 0.86 ( 0.75 ) 0.62 ( 0.55 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.05 %
前期基準 6.55 %
23
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 557.12 ( +11.45)
日経500種平均株価 3113円71銭 ( +41円07銭)
日経平均高配当株50指数 65134.32 ( +1221.52)
日経連続増配株指数 48601.02 ( +502.83)
日経累進高配当株指数 43964.15 ( +463.32)
日経半導体株指数 7042.04 ( +169.65)
日経平均内需株50指数 27666.68 ( +347.00)
日経平均外需株50指数 32384.57 ( +898.96)
日経平均トータルリターン 62818.27 ( +1167.47)
日経平均VI先物指数 6211.20 ( -4.79%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2567円18銭 ( +26円90銭)
東証規模別株価指数
大型 2521.33 ( +60.30)
中型 2795.02 ( +39.36)
小型 4446.75 ( +41.85)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1657.74 (+57.57)
…
ド ル/円 1 ド ル = 141.86~141.88円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 161.51~161.55円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1385~1.1386ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3296.3552 (-3.4019)
韓国総合(韓国) 2525.56 (+38.92)
ハンセン(香港) 22072.62 (+510.30)
加権(台湾) 19639.14 (+845.71)
VN(ベトナム) 1211.00 (+13.87)
クアラルンプール総合 1501.19 (+14.94)
ST(シンガポール) 3832.32 (+36.91)
ジャカルタ総合 6634.377 (+96.111)
SET(タイ) 1153.77 (+9.72)
オールオーディナリーズ(豪) 8125.2 (+111.5)
新発10年国債利回り 1.330% ( +0.025)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( +0.001)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15182 円 (-597円)
ドバイ原油(1キロリットル) 55700 円 (+1770円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
656.03 (-4.43)
工業品 662.89 (-4.21)
始値 34787円93銭 高値 35142円12銭 ( 9時7分 )
午前終値 34808円80銭 安値 34682円28銭 ( 10時41分 )
JPX日経 インデックス400 23418.49 (+443.02)
JPX日経中小型 18610.90 (+242.41)
日経気候変動指数 34566円37銭 (+622円78銭)
JPXプライム150指数 1134.05 (+26.27)
東証プライム市場指数 1330.02 (+26.90)
東証スタンダード市場指数 1258.71 (+7.74)
東証グロース市場指数 842.66 (+1.27)
東証グロース市場250指数 659.47 (+0.74)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1720.36 (-3.44)
日経ESG―REIT指数 957.77 (-1.97)
日経高利回りREIT指数 1232.47 (-4.12)
……………………………………………………………………
日経平均VI 29.88 (-3.76)
日経配当指数(2025年) 22円03銭
<数表>4月23日商品先物[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ 5750文字 PDF有 書誌情報]
( 23 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 15532 15533 15367 15372 ▲291
6月 15652 15652 15129 15133 ▲559
8月 15682 15688 15136 15159 ▲561
10月 15696 15698 15143 15148 ▲583
12月 15689 15711 15143 15143 ▲607
2月 15715 15748 15182 15182 ▲597
《金ミニ》(1グラム)
4月 ― ― ― 15372.0 ▲291.0
6月 15395.0 15395.0 15352.0 15133.0 ▲559.0
8月 15518.5 15539.5 15145.0 15159.0 ▲561.0
10月 15613.5 15616.0 15189.5 15148.0 ▲583.0
12月 15694.0 15704.0 15150.0 15143.0 ▲607.0
2月 15720.0 15742.0 15183.0 15182.0 ▲597.0
《金限日》(1グラム)
15984 15984 15570 15120 ▲549
《白金》(1グラム)
4月 4317 4366 4316 4326 ▲35
6月 4337 4345 4333 4333 ▲27
8月 4336 4350 4312 4316 ▲17
10月 4341 4342 4301 4326 ▲17
12月 4348 4357 4300 4330 ▲16
2月 4318 4334 4265 4307 ▲13
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4328.5 4331.5 4301.0 4326.0 ▲35.0
6月 ― ― ― 4333.0 ▲27.0
8月 4287.0 4287.0 4287.0 4316.0 ▲17.0
10月 4319.0 4319.0 4319.0 4326.0 ▲17.0
12月 4345.5 4345.5 4295.0 4330.0 ▲16.0
2月 4314.5 4329.0 4261.0 4307.0 ▲13.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4363 4401 4321 4340 ▲31
《銀》(1グラム)
4月 ― ― ― 145.0 0
6月 ― ― ― 147.0 0
8月 ― ― ― 148.0 0
10月 ― ― ― 148.0 0
12月 ― ― ― 149.0 0
2月 153.0 153.0 152.5 152.5 ▲0.5
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4300 ▲100
6月 ― ― ― 4300 ▲100
8月 ― ― ― 4300 ▲100
10月 ― ― ― 4300 ▲100
12月 ― ― ― 4300 ▲100
2月 ― ― ― 4300 ▲100
《CME原油》
5月 ― ― ― 160.35 △3.00
6月 ― ― ― 158.65 △2.95
7月 ― ― ― 157.25 △2.95
8月 ― ― ― 155.95 △2.90
9月 ― ― ― 153.30 △2.85
10月 ― ― ― 152.30 △2.75
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 62180 62220 62180 62220 △490
5月 61270 61530 60790 61530 △2140
6月 58800 60130 58800 60130 △1890
7月 57840 59410 57700 59310 △1790
8月 57230 58690 56810 58540 △1840
9月 56330 58120 56240 57960 △1800
10月 57310 57480 57310 57480 △1800
11月 ― ― ― 57110 △1820
12月 ― ― ― 56780 △1810
1月 ― ― ― 56540 △1820
2月 ― ― ― 56330 △1810
3月 ― ― ― 56170 △1790
4月 ― ― ― 56010 △1780
5月 ― ― ― 55860 △1780
6月 ― ― ― 55700 △1770
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90800 △300
6月 ― ― ― 90400 △300
7月 ― ― ― 90000 △300
8月 ― ― ― 89600 △300
9月 ― ― ― 89200 △300
10月 ― ― ― 88700 △300
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 295.0 297.8 295.0 297.1 △5.2
5月 287.4 296.1 287.4 290.0 ▲3.5
6月 287.3 292.7 287.3 289.6 △0.3
7月 287.0 291.0 281.0 289.2 △2.0
8月 286.5 291.1 281.8 290.3 △3.9
9月 286.0 292.0 281.0 289.9 △4.6
10月 288.0 290.0 285.0 286.2 ▲0.8
11月 ― ― ― 287.0 0
12月 ― ― ― 287.0 0
1月 274.1 274.1 274.1 288.0 0
2月 ― ― ― 288.0 0
3月 ― ― ― 288.0 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 230.0 0
6月 ― ― ― 230.0 0
7月 ― ― ― 231.0 0
8月 ― ― ― 231.0 0
9月 ― ― ― 231.0 0
10月 ― ― ― 231.0 0
11月 ― ― ― 231.0 0
12月 ― ― ― 232.0 0
1月 ― ― ― 232.0 0
2月 ― ― ― 232.0 0
3月 ― ― ― 232.0 0
4月 ― ― ― 232.0 0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 38900 0
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 11.88 △0.03
5月 ― ― ― 10.78 ▲0.15
6月 ― ― ― 12.11 0
7月 ― ― ― 13.69 ▲0.12
8月 ― ― ― 14.77 ▲0.11
9月 ― ― ― 14.07 ▲0.06
10月 ― ― ― 12.92 △0.06
11月 ― ― ― 13.01 ▲0.05
12月 ― ― ― 13.48 ▲0.22
1月 ― ― ― 13.81 △0.01
2月 ― ― ― 13.70 ▲0.05
3月 ― ― ― 11.42 △0.01
4月 ― ― ― 11.53 ▲0.07
5月 ― ― ― 11.25 ▲0.09
6月 ― ― ― 12.19 ▲0.08
7月 ― ― ― 13.41 ▲0.08
8月 ― ― ― 15.49 ▲0.08
9月 ― ― ― 13.15 ▲0.07
10月 ― ― ― 11.67 ▲0.08
11月 ― ― ― 12.36 ▲0.08
12月 ― ― ― 13.43 ▲0.07
1月 ― ― ― 14.17 ▲0.05
2月 ― ― ― 13.46 ▲0.04
3月 ― ― ― 11.57 ▲0.04
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.65 △0.04
5月 ― ― ― 8.31 ▲0.16
6月 ― ― ― 9.77 ▲0.01
7月 ― ― ― 12.26 ▲0.02
8月 ― ― ― 13.09 △0.02
9月 ― ― ― 12.18 ▲0.03
10月 ― ― ― 10.03 ▲0.26
11月 ― ― ― 10.35 ▲0.29
12月 ― ― ― 11.04 ▲0.31
1月 ― ― ― 12.80 ▲0.41
2月 ― ― ― 12.10 ▲0.25
3月 ― ― ― 9.36 ▲0.18
4月 ― ― ― 9.59 ▲0.08
5月 ― ― ― 9.43 ▲0.07
6月 ― ― ― 10.19 ▲0.07
7月 ― ― ― 10.95 ▲0.07
8月 ― ― ― 12.61 ▲0.08
9月 ― ― ― 10.92 ▲0.07
10月 ― ― ― 9.80 ▲0.07
11月 ― ― ― 10.66 ▲0.07
12月 ― ― ― 11.95 ▲0.06
1月 ― ― ― 12.63 ▲0.09
2月 ― ― ― 11.92 ▲0.09
3月 ― ― ― 10.22 ▲0.09
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 63085 41556
金ミニ 26648 8065
金限日 4521 42054
白金 5802 30334
白金ミニ 527 2456
白金限日 1161 40753
銀 6 140
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2816 25389
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 731 3360
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 2
中京灯油 2 4
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 960 11042
電力西ベース 0 805
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 22102 50048
堂島白金 3 2236
堂島銀 0 1389
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15689.9 15690.0 15150.0 15133.0 ▲567.9
《白金》(1グラム)
4410.0 4410.0 4403.6 4400.7 △5.0
《銀》(1グラム)
― ― ― 149.56 △2.16
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月22日エネルギー・環境市場[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ 3485文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 23 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 17937
ソシエテ 14891
サスケハナ 5052
バークレイ 3216
Gサックス 2574
Jモルガン 2507
野 村 2004
SBI証 1875
モルガンS 1612
日産証 1454
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.70 140.40 140.83 140.20 140.48 -0.22
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.389 20380 133764 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
139.50 ― ― ― 10 138.25 ― ― ― 30
139.75 ― ― ― ― 138.50 ― ― ― 36
140.00 ― ― ― ― 138.75 ― ― ― 10
140.25 ― ― ― 1 139.00 0.07 ― 1 57
140.50 0.35 ― 15 15 139.25 0.08 ― 1 2
合計 25 217 合計 2 340
HV(年率) 6月 8.2
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.520 0 1000 614
25 /6 99.462 0 1000 536
25 /9 99.408 0 0 346
25 /12 99.373 0 0 2
合計 2000 2686
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5200 0 0 29337
25 /6 99.4650 +0.0025 65 13358
25 /9 99.3900 -0.0175 65 12211
25 /12 99.3475 -0.0150 0 8947
合計 202 71143
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2540.5 2606.0 2613.0 2537.5 2586.0 +49.5 60577 422479
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 1900
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 659 673 673 654 656 -1 4716 31096
25 /9 647 662 662 645 645 +3 32 471
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 34330 35180 35400 34290 34920 +640 42919 179326
25 /9 34320 35160 35380 34320 34890 +640 568 5977
25 /12 34630 34700 34700 34630 34700 +800 2 21585
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 34320 35185 35400 34285 34910 +630 627218 294091
25 /9 34300 35150 35380 34270 34900 +635 17612 8844
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 34320 35175 35400 34285 34910 +630 538562 74570
25 /9 34315 35160 35375 34270 34910 +645 17114 8554
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 34350 35340 35395 34290 34920 +535 22466 73207
25 /9 34740 ― 34740 34740 34890 +535 1 378
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 23050 23675 23710 23040 23460 +445 4310 51932
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 34600 ― 0 5月 29.00 -1.40 5 166
25 /9 ― 34600 ― 0 6月 27.40 -1.45 2 19
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 782.0 ― 1334 25年 785.0 783.9 25 4309
26年 ― 752.0 ― 1334 26年 ― 747.4 ― 2382
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 34625 900 +240 1 25 ― ― ― 3 ―
34750 815 +240 33 1206 ― ― ― 4 ―
34875 735 +205 7 44 ― ― ― 52 ―
35000 670 +180 2937 4412 1245 +225 151 4893 ―
35125 620 +195 49 388 1220 +260 4 46 ―
35250 555 +160 210 576 1095 +190 18 339 ―
35375 475 +120 11 42 1050 +205 19 39 ―
35500 450 +135 534 1533 1030 +200 678 3163 ―
35625 390 +120 19 331 ― ― ― 51 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 34125 445 -360 21 22 995 -340 11 4 ―
34250 485 -355 123 695 1020 -395 29 153 ―
34375 560 -370 5 8 ― ― ― 3 ―
34500 575 -385 727 1316 1110 -415 4 2403 1530
34625 640 ― 7 14 1155 ― 14 10 ―
34750 670 ― 24 654 1205 -450 25 36 ―
34875 ― ― ― 7 1260 ― 7 21 ―
35000 780 -485 351 2214 1315 ― 110 7171 ―
35125 ― ― ― 2 ― ― ― 20 ―
総売買高コール 35638 枚 プット 27115 枚 日経平均HV 55.9
当日総建玉コール 330523 枚 プット 502714 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.83
ドイツ(1MWh、ユーロ) 67.91
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 11.650
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.551
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) 63.30
( 22 日)
<数表>4月23日外為市場[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1795文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 143.10 140.98
5月〃 142.98 140.47
6月〃 142.47 139.98
7月〃 142.03 139.50
8月〃 141.56 139.06
9月〃 141.11 138.59
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 143.10 141.96
ユーロ 163.32 163.38
カナダドル 104.36 103.39
英ポンド 193.01 192.36
スイスフラン 173.48 174.56
デンマーククローネ 21.97 21.98
ノルウェークローネ 13.97 13.88
スウェーデンクローナ 15.22 15.17
豪ドル 92.87 92.24
ニュージーランドドル 86.99 86.31
香港ドル 18.75 18.59
シンガポールドル 109.16 108.63
サウジアラビアリヤル 38.76 38.45
U.A.E.ディルハム 39.43 39.12
タイバーツ 4.32 4.32
インドルピー 1.83 1.82
パキスタンルピー 0.66 0.66
クウェートディナール 475.28 470.92
カタールリヤル 39.78 39.47
インドネシア100ルピア 0.97 0.96
メキシコペソ 8.25 8.15
韓国100ウォン 10.16 10.10
フィリピンペソ 2.67 2.66
南アフリカランド 9.16 9.02
チェココルナ 6.58 6.59
ロシアルーブル 2.00 1.99
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.02 39.15
▽みずほ銀
中国人民元 19.77 19.62
トルコリラ 5.52 5.50
台湾ドル(参考値) 4.37 4.34
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 25.84 25.30
( 23 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 141.86 ― 141.88 140.28 ― 140.30
寄付 142.69 ― 142.72 140.87 ― 140.88
高値 141.54 139.89
安値 143.21 141.17
中心 142.09 140.00
直物売買高 48億6300万 ドル
スワップ売買高 475億1600万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 84.66
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.8
米ドル 103.7
ユーロ 103.2
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 188.67~188.72円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 90.905~90.935円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 172.43~172.48円
カナダドル /円 1 カナダドル = 102.59~102.64円
NZドル /円 1 NZドル = 84.85~84.89円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3303 ― 1.3307
(1ポンド=ドル) ( 1.3376 ― 1.3380 )
スイスフラン 0.8223 ― 0.8227
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8108 ― 0.8112 )
豪 ド ル 0.6411 ― 0.6415
(1豪ドル=ドル) ( 0.6419 ― 0.6423 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.2955 ( 7.3145 )
日本円(100円=元) 5.1458 ( 5.2097 )
<数表>4月23日債券市場[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 71.36 -3.02
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.82
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.52
中国471(2年) 27/4 0.9 100.41
中国177(5年) 29/12 1.1 101.02
長国378(10年) 35/3 1.4 100.70
超長国191(20年) 44/12 2 96.59
超長国86(30年) 55/3 2.4 95.35
超長国17(40年) 64/3 2.2 84.80
物価連動29(10年) 34/3 * 101.70
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.20
政保政投銀64 30/6 0.09 95.45
東京都(公)807 30/6 0.1 95.28
大和ハウス23 30/9 0.3 95.08
キリンHD17 30/6 0.37 95.79
王子HD40 30/7 0.37 95.30
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.16
日本製鉄6 30/6 0.42 95.47
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.05
OLC18 30/9 0.29 94.88
IHI48 30/9 0.49 94.94
ダイキン27 30/9 0.26 94.82
NEC58 30/4 0.54 95.69
パナソニック25 30/9 1.051 98.22
SUBARU6 30/9 0.42 94.95
三井物産77 30/7 0.28 95.35
JR東日本153 30/7 0.23 95.27
三井不77 30/4 0.48 96.23
中部電力544 30/9 0.3 94.96
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.14
( 23 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.324 % +0.018
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.91
中 期 債 1.15
長 期 債 1.95
◇日経国債インデックス 1.011
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 24日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.92 0.380
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85 0.375
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.53 0.509
中 国471(2) 27/4 0.9 100.42 0.681
中 国157(5) 28/3 0.2 98.47 0.732
中 国167(5) 29/3 0.4 98.41 0.814
中 国177(5) 29/12 1.1 101.03 0.873
長 国362 31/3 0.1 95.25 0.928
長 国366 32/3 0.2 94.77 0.985
長 国370 33/3 0.5 95.60 1.082
長 国374 34/3 0.8 96.63 1.200
長 国377 34/12 1.2 99.09 1.300
超長国191 44/12 2.0 96.59 2.214
超長国(30)85 54/12 2.3 93.33 2.625
超長国(40)17 64/3 2.2 84.80 2.848
<数表>4月23日短期金融市場[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1213文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1301 回債 0.375 -0.015
6カ月 1298 回債 0.390 0.005
1 年 1300 回債 0.555 0.005
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.488 0.491
1週間 0.462 0.464
1カ月 0.453 0.453
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.80182 0.80091
6カ月 0.85727 0.85727
1 年 0.80818 0.80818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49688 0.49125
6カ月 0.52156 0.52156
( 23 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 0.538 ―
2週間 0.478 ―
3週間 ― ―
1カ月 ― ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.750 ―
◇全国コール市場残高
( 22 日確報、億円) 116595
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月23日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/24 2638 2638 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/24 0 0
【4月22日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/23 1985 1985 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/23 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5400600 ( 4897100 )
◇資金需給予想( 24 日、億円、実質) 7100 余剰
<数表>4月23日株式市場、先物市場[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 21ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 50424 22175
売買高上位10銘柄占有率(%)
60.6 49.1
売買代金(百万円) 126506 178918
売買単価(円) 250.8 806.8
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 613
売買成立 1540 610
値上がり 934 304
値下がり 458 254
新値株(年初来) 高値 54 20
安値 1 0
時価総額(億円) 278883 78653
普通株式数(百万株) 31145 10700
1株当たり時価(円) 895.41 735.05
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 27496.95 +1.75%
カバードコールATM 19768.46 +1.26%
リスクコントロール 23106.30 +0.47%
レバレッジ 32460.34 +3.78%
インバース 910.43 -1.89%
ダブルインバース (01年末=100000)
249.00 -3.78%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 224947
売買代金(百万円) 485443
◇空売り比率(東証) 40.7 %
( 23 日)
中古マンション4%高、都心6区全域「億ション」に、東京23区3月[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 921文字 PDF有 書誌情報]
不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)が23日発表した3月の中古マンションの平均希望売り出し価格は、東京23区で前月比4・0%高の70平方メートル当たり9501万円だった。調査を始めた2004年1月以降の最高を更新した。前年同月と比べると3割以上高かった。都心の物件への投資マネー流入が続き、文京区の平均価格は初めて1億円を超えた。
調査は事務所や店舗用を除いた専有面積が30平方メートル以上のファミリータイプの物件を対象としている。
国内外の富裕層の投資マネーが流入する東京都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)が、価格上昇をけん引する。都心6区は前月比3・3%高の1億5612万円で最高値を更新した。上昇は26カ月連続で、前年同月と比べて35・7%伸びた。文京区が初めて1億円を超えた。都心6区全域で中古マンションが平均価格で「億ション」となった。
実需層の買いも価格を押し上げている。東京カンテイの高橋雅之上席主任研究員は「高騰している新築の代替として築浅の中古を検討する人が増えており、中古価格が急上昇した」と話す。
首都圏(1都3県)の平均は前月比3・6%高の5408万円だった。東京都は3・7%高の8102万円、神奈川県は1・2%高の3841万円、埼玉県は0・8%高の2956万円、千葉県は0・4%高の2746万円だった。
近畿圏の平均は前月比0・3%高の2979万円となった。再開発が進む大阪が価格を押し上げた。大阪市中心6区(福島・西・天王寺・浪速・北・中央)の平均は1・6%高の7263万円と前年同月と比べて33・0%伸びた。
中部圏の平均は前月比0・5%高の2306万円だった。名古屋市中心3区(中・東・千種)の平均は0・8%高の3900万円で前年同月と比べて8・4%伸びた。前年同月からの伸び率は都心6区や大阪市中心6区と比べると小さい。
中古マンション価格は上昇が続いてきたが、トランプ関税によって先行きは不透明だ。高橋氏は「株価下落で資産が目減りした投資家が現金確保のために保有する物件を手放せば、供給が増えて価格が下がる可能性がある」と話す。
【図・写真】東京23区の中古マンション価格は過去最高だった
米牛肉先物、最高値、3週ぶり需要堅調も生産低迷、牛丼はコメ高と二重苦[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 714文字 PDF有 書誌情報]
米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引される食肉加工向けの生牛先物(期近)相場は現地22日に1ポンド2・11ドルとなり、過去最高値を3週ぶりに更新した。直近で安値をつけた7日から6%上昇した。米国内での需要に底堅さがある一方、生産は低迷しており上昇傾向が続いている。
牛肉の先物価格は2日に1ポンド2・10ドルの最高値をつけた。トランプ米大統領の相互関税発表を受け一時2ドルを割り込む水準まで下落したが、慢性的な供給不足が意識されて買い戻され、上昇基調となっている。
米農務省(USDA)が16日公表した2025年の牛肉生産量見通しは前年比1%減の267億ポンド(約1200万トン)。牛が自然増減するサイクルの底にあたり、干ばつによる飼料不足などの要因もあって飼育頭数はおよそ70年ぶりの低水準になる見込みだ。トランプ政権の関税政策によって米国内でカナダ産やメキシコ産の流通量が減り、自国産の需要が強まるとの観測も相場の押し上げ材料になっている。
米国産牛肉は日本国内では吉野家ホールディングスなど牛丼チェーンが大口需要家だが、米国産バラ肉(ショートプレート)の卸値は現在1キログラム1200~1300円程度と高止まりが続く。牛丼チェーンに供給する日本の商社と米国の生産者との交渉では生産コスト高などで価格が下がりづらくなっており、日本側が調達量を抑制し始めている。USDAによると1~2月の日本への輸出量は前年を6%下回った。
牛丼チェーンを巡っては牛肉のほかコメなど各種原材料も高騰し、収益を圧迫している。松屋フーズは22日に「牛めし」の価格を引き上げた。原材料高が長引き、各社の価格改定は今後も続く可能性がある。
ガソリン、4週ぶり下落、前週比1.4円安 補助金は復活[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 667文字 PDF有 書誌情報]
資源エネルギー庁が23日発表したレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均、21日時点)は、前週に比べ1・4円安い1リットル185・1円だった。下落は4週ぶりだ。原油の国際価格の下落と、外国為替市場で円高・ドル安が進んだことを反映した。17~23日に中断していたガソリン価格抑制のための補助金は復活する。
政府は全国平均のガソリン価格が185円程度になるよう、石油元売りに補助金を出している。17日から1週間の補助額はエネ庁が想定するガソリン価格が抑制基準の185円を下回ったことを背景に、2022年1月の制度導入以降で初めてゼロ円となっていた。
24日からの1週間については補助金が復活する。21日時点の調査価格はエネ庁の想定に反して185円を割らなかったため。原油調達コストの低下が店頭に反映されるまでに時間がかかる。高値で仕入れた在庫が一巡する必要もあり、利幅を維持するために店頭価格を下げない給油所も多かったとみられる。
エネ庁が想定する28日時点のガソリン価格は1リットル185・9円。抑制基準に抑えるため、0・9円が24日からの補助額となる。
5月22日からは新たな価格抑制策が始まる。185円を超えた分を全額補助していた現行制度から、1リットルあたり10円の定額引き下げに切り替える。急激な価格変動を抑えるため、初週の補助額を小売価格の変動が5円になるよう設定し、段階的に支給を増やす方針だ。
原油安と円高傾向が続けばガソリン価格は値下がりが見込まれ、家計には恩恵となる。燃料への補助は脱炭素政策と矛盾するとの指摘がある。
H形鋼在庫、4カ月連続増、3月末2.1%増 建設向け需要弱く[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 341文字 PDF有 書誌情報]
日本製鉄の鋼材を扱う流通事業者でつくる「ときわ会」がまとめた3月末時点のH形鋼在庫は、21万4900トンと前月末から4400トン(2・1%)増えた。増加は4カ月連続で、2024年8月末(21万6000トン)以来の多さだった。建設向けの需要が弱く、出荷量が入荷を下回る状況が続いている。
3月の入荷量は前月比10・9%多い6万7900トンと急増した。年度末を控え、鉄鋼メーカーの駆け込み販売が増えたとみられる。出荷は前月比5・2%増の6万3500トンだった。2月よりも営業日が多く、月間の販売量が増えた。
在庫量を出荷量で割った在庫率は3月末で3・39カ月と、2カ月続けて下がった。日本製鉄は「出荷量は回復基調にあるもののまだ低水準で、在庫の過剰感は変わっていない」との認識を示す。
「鉄は水より安い」再び 高炉休止 流通過当競争が冷や水、米関税、需要減に追い打ち(価格は語る)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 2023文字 PDF有 書誌情報]
国内鉄鋼価格の下落が続いている。一因として指摘されるのが流通業者の値下げ合戦だ。2020年以降、大手の鉄鋼メーカーが生産能力の削減を進めたことで鋼材の需給環境が一変し値上がりが続いたが、ここにきて流通の過当競争が「高炉改革」の効果を薄めている。鉄鋼製品の重量当たりの価格は、飲料水を下回った。
全国のスーパーなどの販売情報を集めた日経POS(販売時点情報管理)によると、「サントリー天然水」1リットルの平均単価は3月時点で156円ほどで、前年同月から5%上がった。サントリー食品インターナショナルは原材料調達コストの上昇を理由に、24年10月から天然水を含む飲料商品を値上げしている。
一方、製造業などで幅広く使われる冷延鋼板(厚さ1・6ミリ品)の東京地区での流通価格は足元で1トンあたり14万1500円前後。1リットル分の水と同じ重さの1キログラムあたりでは約141円50銭で、水より15円ほど安い。同様に熱延鋼板(同)は約117円50銭で、いずれも前年比で4~6%値下がりしている。
「鉄は水より安い」はかつて鉄鋼業界での常とう句だった。メーカー各社が巨大な生産設備を抱える中で過当競争に陥り、薄利多売が常態化していた。
転機になったのが、20年以降大手メーカーが推し進めた高炉改革だ。日本製鉄は広島県呉市や和歌山市などで相次ぎ高炉を休止した。25年3月末には茨城県鹿嶋市の高炉が止まり、同社の抱える高炉は15基から10基に縮小した。JFEスチールも23年に川崎市で高炉1基を止めている。
経済産業省によると、国内の粗鋼生産能力は25年2月時点で年1億1000万トンと、19年比で約1300万トン(10%)減った。大手メーカーの高炉休止により過剰生産が一服し、無理な値下げが避けられるようになった。鉄の単価は21年ごろに「水超え」を果たした。
足元では一転して改革効果が息切れし、鉄の価格が下落している。要因のひとつが流通事業者間の安売り競争だ。
「引き合いが少ないため、どうしても安い値段で出さざるを得ない」。千葉県浦安市の鉄鋼問屋幹部はこう話す。鋼材の主な用途である建設業では人手不足で工事が進まず、自動車などの製造業向けも需要が不足する。「少数の注文を多くの問屋が取り合っている状況。他社が安売りして市況が崩れる前に売ってしまいたいという疑心暗鬼にかられている」
ある鉄鋼メーカーの営業担当は「メーカーの販売価格よりも安い値段で契約を取り、後からメーカーにそれ以下の価格を要求する事業者もいる」と話す。
鉄鋼メーカー側では合従連衡が進み、高炉をもつ企業は日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の3社に絞られた。鋼材の流通体系は入り組んだままで、特約店と呼ばれる2次商社は全国に1400社ほどあるとされる。
レコフデータによると、「鉄鋼・非鉄金属製品販売・卸」業界での国内企業同士のM&A(合併・買収)は24年に24件どまり。件数はこの20年間横ばいが続いている。国内全体ではM&Aが前年比2割増えたのに比べ低調ぶりが鮮明だ。
ある大手銀行の調査担当者は「鉄鋼問屋には都心に土地をもっている企業も多く、不動産収入があるため本業が低収益でも再編や廃業の危機感に乏しいのではないか」とみる。
流通業者の過剰はかねて指摘されてきた。日本製鉄の構造改革を主導した橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)は24年6月、流通事業者の集まりである全国鉄鋼販売業連合会での講演で「流通も再編・合理化が避けられない」と呼びかけた。生産側での過剰を削った身として、川下に改革のバトンを渡した格好だ。
SMBC日興証券の山口敦シニアアナリストは「流通がもう少し寡占化しなければ、業界全体の収益性重視に水を差す」と指摘する。
鉄鋼業界には「内憂」だけでなく「外患」も迫っている。トランプ米政権は鉄鋼製品や自動車の輸入に25%の追加関税をかけた。日本の鋼材はそのまま輸出するだけでなく、国内で自動車や工業製品に加工されて輸出に回る間接輸出も多いとされ、両面で影響が懸念される。
SMBC日興証券の山口氏は、日本の年間の粗鋼生産約8300万トンのうち3440万トンが直接輸出、2000万トンが間接輸出との予測のもと「トランプ関税や世界的な保護主義が続けば最悪の場合、直接・間接輸出あわせて年400万トンの需要減になりかねない」とみる。大型の高炉1基分の生産能力に匹敵する規模だ。
メーカーは既に対応を迫られている。JFEスチールは2日、岡山県倉敷市の高炉1基を5月中旬をめどに一時的に休止すると発表した。このまま景気の逆風が続けば再び本格的な能力削減が必要になるとの声も出始めている。それでも流通業界が手つかずのままでは、鋼材価格は支えきれない。水の背中は遠のくばかりだ。
(井口耕佑)
【図・写真】日本製鉄の構造改革は区切りを迎えた(3月で休止した同社の鹿島第3高炉)
<数表>4月23日卸売市場(主要相場)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 902文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4450頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=もちあい上場395頭
和牛雌A ― 1809 2201 2303 2539
和牛雌B ― ― ― ― 2379
和牛去勢A ― ― 2169 2289 2497
和牛去勢B ― ― ― 2023 ―
交雑種雌B ― 1558 1671 1772 ―
交雑種去勢B ― 1569 1666 1738 ―
▽搬入物 上場271頭
和牛雌A ― 1340 1462 1683 2263
和牛雌B 1069 1135 1341 1502 ―
和牛去勢A ― ― 2181 2116 2350
交雑種雌B ― 1220 1635 1714 ―
交雑種去勢B ― 1527 1677 1862 1914
乳牛雌C 882 922 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場104頭
和牛雌A ― ― 2075 2307 2590
和牛去勢A ― ― 2074 2335 2528
交雑種雌B ― 1451 1588 1801 ―
交雑種去勢B ― 1555 1660 1829 ―
乳牛去勢B ― ― 1251 ― ―
乳牛去勢C ― 1124 ― ― ―
◇仙台=もちあい上場44頭
和牛雌A ― 1051 1449 2237 2647
和牛去勢A ― ― ― 2245 2577
◇さいたま=―上場37頭
和牛雌A ― ― ― 1351 ―
◇横浜=堅調上場56頭
和牛雌A ― ― 2163 2260 2499
和牛去勢A ― ― ― 2251 2551
◇名古屋=上場なし
◇神戸=―上場22頭
和牛雌A ― ― ― 2428 3332
和牛去勢A ― ― ― 2427 3179
◇広島=―上場36頭
和牛雌A ― ― ― 2341 ―
和牛去勢A ― ― ― ― 2462
◇福岡=強もちあい上場128頭
和牛雌A ― ― ― 2219 2524
和牛去勢A ― ― 2137 2342 2667
銅建値3万円上げ JX金属(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
JX金属は23日、銅の国内相対取引の目安となる建値を3万円引き上げ、1トン138万円とした。国際価格の上昇などを反映した。
<数表>4月23日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 23ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
23日 226.411
前日比 +0.770
(1970年平均=100)
無子化をどう捉えるか(上) 支援策、広報と評価の充実を 茂木良平・南デンマーク大学助教(経済教室)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 33ページ 2834文字 PDF有 書誌情報]
2023年に岸田文雄首相(当時)が「異次元の少子化対策」を宣言してから、少子化への注目度は一段と高くなった。しかし「なぜ」少子化対策は必要なのか、という議論は十分なコンセンサスを得ていない。
少子化は本当に解決すべき課題なのだろうか。私は少子化が社会課題たるゆえんは「希望する子ども数を持てない人が増えている」ためだと考えている。希望するライフコースを歩めるようにするのは、広い意味での基本的人権の尊重であり、社会がサポートしていくべき課題である。ゆえに少子化対策は「希望する子ども数」を持つための支援といえる。
希望する子ども数と実際の子ども数に最も開きがあるのが無子人口である。無子とは子どもを持たない状態を意味するが、多くの場合、生殖可能年齢の後半である40~55歳のどこかの時点での割合を求め、生涯にわたり子どもを持たない人口を指す。
図は世界の無子割合が最も高い3カ国の44歳時の女性の無子割合を示している。日本が世界1位でスペイン、フィンランドと続く。
日本は1950年代初頭生まれの女性の無子割合は11%だったが、65年の22%までほぼ直線的に増加した。その後66年に26%へ急増し、若干減少したのち、27~28%の範囲で推移している。最新データである77、78年生まれの女性の無子割合は若干減少傾向ではあるものの、2位のスペインといまだ2ポイント離れている。
こうした無子人口の増加が人々の意図、つまり「子どもを持たない」という積極的な選択に基づく場合、無子割合の増加は社会の価値観として受け入れる必要がある。しかし複数のデータによれば、無子人口の約7~9割は適切なパートナーの不在、経済的な問題や不妊といった非意図的な理由で無子にとどまっている。つまりなんらかの理由で子どもを持ちたいのに持てない人が増加していることが無子の課題である。
多くの国で、無子割合の増加が出生率の低下に最も寄与していると報告されており、無子人口は少子化を理解する上で非常に重要な人口集団である。日本の場合、婚外出生率がわずか3%と結婚せず子どもを持つことはまれなので、未婚者のほぼ全員が無子となる。
未婚率は男女ともに1950年の2%から2020年の男性28%、女性の18%と上昇している。このため未婚率の増加が無子割合を押し上げている主因と言える。既婚者の無子割合も増加しており、国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、この40年で3.5%から9.9%に増えた。
無子人口の増加は少子化だけでなく、高齢化に関わる課題にも関係してくる。無子人口は特に高齢期に、孤立や健康リスクの増大に直面する可能性があるからだ。子どもを持たない高齢者は孤独感や経済的不安、介護サービスへのアクセス不足といったリスクに直面しやすくなる。
また日本の無子割合には未婚率の上昇が大きく起因しており、無子人口の増加は「パートナーも子どももいない人口」の増加を意味する。パートナーの有無は身体・精神的な支援、社会的ネットワーク、経済的リソースなどの観点で重要な役割を果たすが、無子人口はこうしたサポートが得られにくい傾向がある。
問題は現状の少子化対策のほとんどが子育て支援策にあてられていることだ。2022年の少子化対策予算のうち約99%が子育て支援策だった。つまり子どもがいない人たちが子どもを持つための支援がほとんどなされないまま、子どもができてからの支援ばかりが増えているのだ。
上述の通り、日本の無子人口の多くは未婚者であり、そのうち7割は交際相手がいない。このため無子人口への支援は結婚支援と結びつきやすい。しかし結婚や交際の支援は人々の価値観に踏み込むいっそう難しい政策介入となる。実際、いくつかの自治体が婚活事業を行ってきたが、芳しい成果は出ていない。
そこで無子人口の増加を踏まえた少子化対策の今後についていくつか提案をしたい。まず、追加的な少子化対策よりも既存の支援策を見つめ直すことが重要である。中でも既存施策の認知度向上が欠かせない。
意外に思うかもしれないが、日本の少子化対策は、他の先進国と比べて決して劣っていない。育児休業を例に挙げると、高福祉国で有名な北欧よりも優れている。さらに日本が優れているのが、国、都道府県、市区町村の3つの層で独自の少子化施策を実施していることである。しかしその弊害として、施策の認知度が低い。
中国社会科学院とシンガポール国立大学の研究者が21年に発表した論文によると、日本の被験者の83%が17ある日本の家族手当のうち5つ以下しか知らなかった。また筆者が調査の設計と分析を担当した福井県や佐賀市の調査でも、自治体が独自に行う少子化施策の認知度は低かった。
低い認知度は、現状の施策が必要な人に届いていないことを意味し、施策がないのとほぼ同義になってしまう。福井県の調査では、県が実施する子育て支援を知る際の主な情報源として「家族・親族」「友人・知人」を挙げる人が最も多かった。次は「自治体が発行するリーフレットや自治体窓口」で、自治体のホームページやSNSは情報源として十分に使われていないことがわかった。
短期的には、人が集まる公共施設や商業施設に、独自施策の情報をわかりやすくまとめた冊子を設置することが効果的であると考えられる。中期的には情報源として十分に機能していない行政のホームページやSNSの認知度を高める必要がある。例えばリーフレットや窓口対応でオンライン情報の存在を周知することや、SNS上で動画をはじめ親しみやすいコンテンツを発信することを検討してもよいだろう。
行政のホームページは情報を網羅している一方、利用者が得たい情報を「簡単に」得にくいことが多い。発信する情報を整理し、利用者にとってわかりやすいデザインにすることも求められる。
広報の充実に続き重要なのは、地域や自治体ごとに現状施策の評価を行うことだ。13年に地域少子化対策強化事業が創設され、自治体の少子化対策を支援する交付金が設けられた。現在では約93%の都道府県、95%の市区町村がなんらかの独自の少子化対策を実施している。しかしこうした施策の評価を行っている自治体は少ない。
無子化に関しては、若者の経済格差を長期的に解消していくことも重要になる。交際行動についての筆者の研究によると、社会経済的地位が低いと交際相手も見つけられない傾向にある。このため非交際→交際→結婚というプロセスを、経済格差により歩めない人が出てきている。就業支援や非正規雇用の是正を進めることは、回り回って、希望する子ども数を実現する助けになるだろう。
<ポイント>
○世界一の無子割合、日本の少子化の主因
○子育て支援の充実も無子人口は射程外に
○若者の経済格差縮小が交際や結婚を促進
もぎ・りょうへい 89年生まれ。バルセロナ自治大学博士(人口学)。専門は先進国の少子化
資金循環で見る日本企業の姿(1) 世界的に異常な資金余剰 帝京大学教授 田中賢治(やさしい経済学)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 33ページ 834文字 PDF有 書誌情報]
金融とは、資金に余裕がある人から必要とする人へお金を融通する仕組みです。経済学の教科書では、家計はお金を銀行に預けるので資金余剰主体、企業は設備投資に多額のお金を必要とするので資金不足主体とされています。
ここでの前提は、企業は設備投資をするために銀行を介して家計が預けたお金を借りるというものです。このストーリーに何ら違和感はなく、普通の経済では、家計が資金余剰で企業が資金不足です。
ところが、日本経済はこの普通の姿になっていません。企業が資金余剰になっているのです。もちろん、景気動向の影響で企業が一時的に資金余剰になることは外国でも珍しくはありません。しかし、日本企業の資金余剰は景気動向に伴う一時的なものではなく、1990年代終盤から四半世紀以上続いています。
ドイツでも企業の資金余剰が10年以上続いていますが、日本の方が期間は長く、余剰の幅もかなり大きくなっています。企業の資金余剰がこれほど長期にわたり大規模に続いている国は、主要国の中で日本以外に見当たりません。もちろん、資金が不足し設備資金を銀行から借りる企業も存在し、すべての企業が資金余剰ではありませんが、日本の企業部門全体では資金余剰になっているのです。
なぜ、日本企業は資金余剰なのでしょうか。設備投資に資金を使っていないからでしょうか。これが正しいならば、資金に余裕があるにもかかわらず、なぜ設備投資に資金が向かわないのでしょうか。設備投資が少ないと将来の経済成長に悪影響が及びます。余剰資金はどこへ向かっているのでしょうか。日本企業は稼いだお金をため込んでいるという話をよく耳にしますが、本当でしょうか。
この連載では、筆者が昨年メンバーだった財務省財務総合政策研究所の資金循環に関する研究会での議論を紹介しながら、日本企業の資金の使い方を検証するとともに、日本経済が持続的な成長をするための課題について考えます。
たなか・けんじ 埼玉大学博士(経済学)。専門は企業金融、設備投資
アフリカの発展、日印は連携せよ 社会経済進歩センター ベーダ・バイディヤナタン(私見卓見NIKKEIAsia)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 33ページ 0文字 書誌情報]
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特集――NIKKEI 日印経済・投資フォーラム 台頭するインド経済 「14億人」が成長けん引[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 34ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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特集――NIKKEI 日印経済・投資フォーラム 強みで連携、未来へ進む[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 35ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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特集――NIKKEI 日印経済・投資フォーラム 広がる市場、チャンスは十分 対談 基調講演[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 36ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
著作権等のため、本文は表示できません。
特集――NIKKEI 日印経済・投資フォーラム 優れたパートナー、技術と出会いも 基調講演 パネルディスカッション[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 37ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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いざアジアの頂へ ACLE、26日から準々決勝 横浜M、監督解任を反転の契機に 川崎はボール奪取の意識高く[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 1353文字 PDF有 書誌情報]
サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)は25日(日本時間26日)からサウジアラビアのジッダで準々決勝から決勝を集中開催し、日本からは横浜Mと川崎の2チームが参戦する。多くのスター選手を抱える中東勢にアウェーの環境で挑む不利は否めないが、アジア王者の称号と世界への切符をつかみたい。
昨季までのACLと大会方式が大幅に変わり、優勝賞金は2.5倍の1000万ドル(約14億円)に増えた。それ以上に重要なのは、2029年に開催予定のクラブワールドカップ(W杯)出場権という「副賞」だ。
浦和以来2大会ぶりの優勝へ、Jリーグを挙げた支援も手厚い。規定で海外渡航費のクラブ負担は準々決勝からは8割だが、Jリーグが約1億3000万円を全額負担して往路のチャーター機を用意した。サウジへは直行便がなく、少しでも良いコンディションで大会に臨んでもらうためだ。
個別クラブへの異例のサポートはクラブW杯出場権をつかむための投資といえる。「クラブW杯での8強入りはリーグのKGI(重要目標達成指標)。全60クラブにとって極めて重要で、全体で応援しようという合意を得た」とJリーグの樋口順也執行役員。対戦チームの走行距離などのトラッキングデータも提供するなど、情報面でもバックアップする。
ただ、両チームのピッチ内の状態は必ずしも万全ではない。特に深刻なのは、日本時間27日朝にポルトガル代表FWロナルドらを擁するアルナスル(サウジ)と対戦する横浜M。公式戦の白星が1カ月ほどない状況で大会を迎える。
18日にはホーランド監督を解任し、キスノーボ・ヘッドコーチが暫定的に指揮を執った20日は浦和に敗れてJ1で3連敗。消化試合数は多いのに最下位に転落した。新戦力のコロンビア人CBキニョーネスが左太もも裏を痛めて離脱しているのが痛い。かつての攻撃力が影を潜めたチームは、このCBの離脱後は失点も増えてきた。
明るい材料を挙げるなら、育成組織出身の21歳のボランチ、山根が浦和戦でJ1初ゴールを奪ったことか。キスノーボ・ヘッドコーチは「自分のキャリアでもこのような出来事はなかった。下を向いている暇はない。簡単な大会ではないが、前を向いて進んでいく」と話している。
川崎は日本時間28日未明に、カタール代表のエースFWアフィフらを擁するアルサド(カタール)と対戦する。J1の直近5試合は4分け1敗。MF大島やDFジェジエウら故障者が続出している影響もあって勝ち切れていないが、ボール奪取に主眼を置いた守備意識は少しずつチームに浸透している。
長谷部監督は「質だったり強さだったり速さが、体と考え方(の両方)で必要」とハイレベルな戦いを覚悟しつつ「自分たちの持っている力、スタイルをぶつけていきたい」と意気込む。マルシーニョらウイングのスピードを生かした速攻でゴールを仕留めたい。
過去10度の出場で最高成績は8強。「アジアでは浦和や鹿島といったACLで勝ったチームが『日本の雄』と見られている。そこの仲間入りをしたい」(竹内弘明強化本部長)というクラブの宿願を果たせるか。
(田中克二、本池英人)
【図・写真】横浜Mの山根。浦和戦でJ1初ゴールを決めた
【図・写真】川崎の伊藤(右)。守備意識はチームに浸透している
広島・大瀬良ようやく白星 7回1失点、打線も奮起(プロ野球)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 673文字 PDF有 書誌情報]
勝ち星がついていない投手がはまりやすい落とし穴、というのか。大量点に守られているはずの広島・大瀬良が三回にぐらついた。先頭の8番中村悠を歩かせたところから2死満塁とした。オスナを中飛に仕留めて事なきを得たが「いろいろ考えすぎて、よそ行きになってしまった」という。
今季、初登板から5回1失点、6回1失点だったが勝ち星はつかず。直近の登板は8回2失点で、ついてきたのは黒星。
「大地(大瀬良)に勝ちをつけてあげたいと、みんな思っていたと思う」(新井監督)。今度こそ、という野手の気持ちは序盤の猛攻や、こまめに声をかけてくれたことで、痛いほど伝わってきた。その気持ちがわかればこそ、余計「いい投球をして、こたえたい」となり、力みも出たのかもしれない。
失点した七回、悔しげな表情でマウンドを降りた。単に打たれたからではない。今度は自分が仲間を守る番、と思ったところで、守り切れなかったからだ。右翼末包がやや飛球の目測を誤り(記録は安打)走者を背負った回だった。
「あそこでゼロでかえってきたら、みんな気持ちよく次の攻撃に行けるかなと。(それなのに)ちょっと甘く入って打たれてしまったので」。西川に喫した唯一の適時打を悔やんだのは仲間を思えばこそだった。
仲間を思い、思われ手にした1勝。「やっと僕もスタートしたかな。いいときばかりじゃないと思うので、苦しいときに、僕がしっかりした投球で引っ張っていけるように」。いいときばかりでもないが、悪いときばかりでもない、と教えてくれた登板だった。
(篠山正幸)
【図・写真】7回1失点で今季初勝利を挙げた大瀬良
1枠100万円のプロアマ戦、石川とプレー「安いくらい」 ゴルフ「前沢杯」きょう開幕[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 651文字 PDF有 書誌情報]
衣料品販売大手ZOZO創業者の前沢友作氏が企画した男子ゴルフの新規大会「前沢杯」が24日、千葉県のMZ・GCで開幕する。大企業などの主催者に頼らず、10日間のプロアマ戦を1枠100万円で一般人に販売して賞金や運営費に充てる新たな試み。課題を残しつつ、参加者やプロからは好意的な声が聞かれた。
東京都内で不動産業などを手掛ける30代の男性はプロアマ戦最終日の23日、友人2人とともに石川遼とプレーした。100万円に加え、指名権落札にオークションで500万円を要したが「すごく親切に教えてくれた。いくらになっても落とす覚悟だったので、安いぐらい」とご満悦。
計7日間参加した石川は「楽しんでもらえたかなという感触はあるが(金額は)重いなあと思う」と恐縮する。
3日間参加した通算31勝の片山晋呉は「素晴らしい取り組み。スポンサーの招待ではなく、自分から出たいという方々なので、ゴルフ愛もちょっと違う」とうなずいた。
ただ、5億円以上を目指した収入は3億3000万円にとどまり、賞金総額は当初打ち上げた4億円から2億円と半減した。前沢氏は予定していた取材をキャンセルし「若手選手を中心に一部の枠が埋まらなかった。それも含めて、プロの価値や魅力を改めて問い直すきっかけになった」と声明を出した。
一方、ツアー30勝で日本ゴルフツアー機構副会長も務める倉本昌弘は「PRの仕方など改善点はいっぱいあるが、参加者はおおむね喜んでくれた」と評価。「新しいスキームをつくったのは大きい」と意義を強調した。
(吉野浩一郎)
ロッテ2年目・寺地が好リード、打っては2安打(プロ野球)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 305文字 PDF有 書誌情報]
ロッテ・種市とバッテリーを組んだのは高卒2年目の寺地。プレーボールからの1球目を、西武・西川に豪快に右翼席に運ばれた。「記憶から消そう」。出ばなをくじかれる展開にも19歳の捕手はひるまなかった。
前回登板で7失点を喫するなど直球に本来の球威がない種市に、変化球を生かしたリードをして7回2失点。ベンチで積極的に7歳上の右腕に語りかける姿も頼もしく、吉井監督は「見てて全然違和感がなかった」。
バットでは適時打を含む2安打をマーク。不振で登録抹消された佐藤に代わり、ますますマスクをかぶる機会が増えそうだ。
【図・写真】二回西武1死一、三塁、滝沢のスクイズで三走松原が本塁を突くが、ロッテの捕手寺地がタッチアウト
山崎が5回零封、連続無失点28回 巨人(プロ野球)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 243文字 PDF有 書誌情報]
巨人の先発・山崎が開幕からの連続無失点を28イニングに伸ばした。初回から2四球を出すなど「状態はよくなかった」。それでも捕手・甲斐から「こういう時もある。高さだけ間違えないように」などと助言を受け粘投。四回1死満塁のピンチでは、右打者の内角をえぐるようなシュートで2人をゴロに打ち取った。
要所を締め5回を無失点に抑えたが、打線の援護がなく4勝目はお預け。エース戸郷を欠く中で先発陣をけん引する右腕は「いつか点は取られる。その時にどう気持ちを入れて投げられるか」と次戦以降を見据えた。
選手支える監督の「顔」 権藤博(悠々球論)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 835文字 PDF有 書誌情報]
坂倉将吾や秋山翔吾を故障で欠きながら、広島が踏ん張っている。開幕前の順位予想で2位にした私は驚かないが、先発の九里亜蓮もオリックスに移籍し、不安視する声は多かった。
選手が落ち着いて自分の役目に徹している。非常事態でも、新井貴浩監督がいつも同じ微笑を浮かべているのがいいのだろう。なんだかんだいって、選手は監督の顔色をみているものだ。
投手が抑えて戻っても、大げさにねぎらう様子もなければ、打たれて渋い顔もしない。私とキャンプで雑談するときと同じ顔だ。人はいろいろな顔を持つもので、新井監督のように1つの顔だけ、みたいな人はいない。よほど腹がすわっているのだ。
ドラフト6位からのしあがった根性。そこにもう一段の強さを加えたのが、昨季の経験だろう。9月あたままで首位だったのが、最後は4位。巨人との首位攻防戦で、栗林良吏が打たれたのが痛かった。
絶対の守護神も、打たれるときは打たれる。新井監督は逆に腹を固めたのではないか。今季も新人の岡本駿らを大胆に起用している。監督が、どうせなるようにしかならない、という顔でいるから、選手も思い切っていける。
いつも書いているように、やるのは選手。監督は無力なものだが、少しだけ背中を押すことはできる。横浜(現DeNA)時代。負け試合の終盤、相手の強力な救援陣が出てくると、五十嵐英樹ら中継ぎ陣に話しかけた。「あいつらから、点を取れると思うか?」
横浜の強力打線でも、後ろの投手ほど強力になる現代野球の継投を打ち破るのは容易ではなかった。彼らが出てきたらほぼ負け……。「ということは、五十嵐よ、おまえたちも、そう見られているんだよ」というわけ。
「自信を持っていけ」などという監督の薄っぺらい言葉はすぐ、選手に見透かされる。それより勝ちパターンの投手は相手に恐れられているんだぞ、という方がいい。
新井監督の微笑にも、選手を勇気づける力がある。監督がベンチでいかにも心配げな顔つきをしているチームと違うのはそこだ。
(野球評論家)
不振のトラ大山、延長十回決勝弾(プロ野球)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 216文字 PDF有 書誌情報]
待望の今季初本塁打でチームを勝利に導いた。阪神の大山が延長十回、左越えに勝ち越しソロ。20試合目でようやくアーチを描き「チームが勝つことが一番。その力になれてよかった」と喜びをかみしめた。
この回から登板した山崎との対戦。フルカウントから真ん中付近に来た速球をフルスイングで捉えた。ここまで打率2割強と不振だっただけに「チームのみんなに助けられてきた。今度は助けたいと思っていたので、打ててよかった」と、安堵の表情で歓声を浴びた。
りくりゅうペア「最優秀選手」に スケート連盟表彰式[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 199文字 PDF有 書誌情報]
日本スケート連盟は23日、東京都内で2024~25年シーズンの表彰祝賀会を開き、フィギュアのペアで2年ぶりに世界選手権を制した三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)に最優秀選手に相当するJOC(日本オリンピック委員会)杯を授与した。木原はミラノ・コルティナ冬季五輪が控える来季へ「ここにいる選手を中心にチームジャパンが編成されると思う。一人一人が次の目標に向かって頑張っていきたい」と決意を述べた。
八村が11得点、5リバウンド バスケNBA[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 41ページ 180文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米プロバスケットボールNBAは22日、各地でプレーオフ1回戦(7回戦制)が行われ、西カンファレンスでレーカーズの八村塁は本拠地ロサンゼルスでのティンバーウルブズとの第2戦に先発出場し、34分12秒プレーして11得点、5リバウンドだった。第3シードのレーカーズは第6シードのティンバーウルブズに94―85で勝ち、対戦成績を1勝1敗とした。
海外遺族年金に課税「不服」 「相続税、国内は非課税」提訴 計算式変わり納税多額に[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 1550文字 PDF有 書誌情報]
外国の公的年金に加入していた夫を亡くした妻が受け取る遺族年金を巡り、妻側が国税当局に相続税の課税取り消しを求める訴訟が係争中だ。国内の遺族年金の受給権は相続税がかからないため、原告は海外分の課税を「不公平」だと訴えている。
「700万円の相続税支払いが必要です」。関東地方に住む女性(70)は2021年夏、税務署からの連絡に驚いた。
商社勤務だった夫は米国に計12年間駐在した。勤め先の指示もあり米国社会保障局の公的年金に加入し、保険料を支払った。20年に夫が亡くなり、女性は遺族年金を受け取る権利を得た。国内での遺族年金は非課税なため、女性も当然納付の必要はないと思っていた。
遺族年金は公的年金の被保険者が亡くなった後、残された配偶者や未成年の子どもらが受給する。所得税は、国内の国民年金・厚生年金と海外の公的年金のいずれも非課税だが、相続税は国内外で対応が分かれる。
遺族年金は、生命保険の死亡保険金などとともに、相続財産と同様の経済的効果を持つ「みなし相続財産」にあたる。国税庁によると、国内の遺族年金の受給権は国民年金法などで相続税を非課税とする規定があるが、海外で公的保険に加入した人の遺族年金の相続は国内法に定めがなく、課税対象になるという。
女性の代理人を務める三木義一弁護士は「日本の遺族年金受給権の非課税規定は所得税について言及したものと読め、相続税について明確な規定があるわけではない。外国からもらっているというだけで課税するのは公平性を欠く」と主張。海外の遺族年金を含めて非課税であるべきだと訴える。ほかにも少なくとも2件の同種訴訟が係争中だ。
さらに女性を困惑させたのが、納税額が700万円と多額に及んだことだ。2010年の改正相続税法の施行で、課税対象額の算出ルールが変わったことが影響した。
財務省の資料によると、法改正前は遺族年金など死亡するまで定期的に受け取ることができる権利について、受給権を得た時の年齢が70歳超なら受給額の1年分、61~70歳は2年分、最大(25歳以下)でも11年分を対象に課税されていた。
ところが受給額に比べ課税対象額の少なさが問題視され、相続税法が改正。毎年更新される平均寿命の調査をもとに平均余命を算出し、年間受給額とかけて課税対象額を計算する方式に改められた。
この女性の場合、旧方式であれば課税対象額は年間受給額2年分の400万円だった。今回通知された対象額は、今後もらうであろう約4800万円(24年分)で、相続税率をかけるなどして700万円という課税額が決まった。
「いつ死ぬか分からないのに、24年分も支払うなんて納得できない」。女性は国税不服審判所に申し立てたが退けられ、24年11月に課税処分取り消しを求め東京地裁に訴えを起こした。
制度は今回のケースのように配偶者だけではなく、子どもに及ぶ可能性もある。配偶者の場合、1億6000万円か法定相続分のどちらか多い金額までの財産額なら相続税がかからない「配偶者控除」が適用される。
ただ、遺族年金が課税対象になることで相続人全体の財産額が増え、子どもの納税額も膨らむ恐れが出てくる。
外務省によると、24年10月時点で海外で暮らす日本人は約130万人。国税庁出身で税理士法人チェスターの河合厚税理士は「同様の問題に直面する人が今後増えるだろう」とみる。ここ数年、国外の遺族年金に対する問い合わせが相次いでおり、現行制度では課税対象であると知らない人が多いと指摘する。
河合氏は国外で長年働いてきた人が日本に戻るのをためらう一因にもなると懸念。「残された人の生活の糧として設けられた遺族年金の原則に立ち返れば、日本の遺族年金と同様に非課税にするのが合理的ではないか」と話す。
故古屋勝彦氏(元松屋社長)のお別れの会[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
故古屋勝彦氏(元松屋社長)のお別れの会 6月5日正午から東京・帝国ホテル。
万博100万人突破や 協会「再訪意欲ある人多い」(EXPO2025)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 386文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博の総来場者が100万人を突破したとして、日本国際博覧会協会が23日、会場で記念セレモニーを開いた。関係者を含めた22日までの総来場者は約92万7800人。うち一般来場者は約76万2900人だった。
100万人目となったのは、大阪市から家族で訪れた宮森栄里子さん(39)、信(まこと)さん(37)、陽彩(ひいろ)さん(1)。信さんは「100万人目になるとは思ってもなかったのでびっくりした。とてもラッキーな一日だ」と話した。
協会の石毛博行事務総長は「会場にもう一回行きたいと言う方が非常に多く、いいスタートが切れている」と語った。
大阪万博は会期中、一般来場者2820万人(1日平均約15万3000人)を想定する。22日までの平均は約7万6000人となっている。
【図・写真】100万人目の来場者として、ミャクミャクらと記念撮影に応じる宮森さん一家(23日)
トランプとメディア 米コロンビア大・慶応大・日経がシンポ 6月14日、都内で(社告)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 306文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社と米コロンビア大ジャーナリズム大学院、慶応大メディア・コミュニケーション研究所は、学生応援プロジェクトのシンポジウムを開きます。「トランプとメディア」をテーマに専門家が討論。日経と英フィナンシャル・タイムズ(FT)の記者とエンジニアが、シンポに参加した学生と議論します。
◇日時・会場 6月14日(土)午後1~5時、慶応大三田キャンパス。入場無料。日英同時通訳付き。オンライン視聴可。
◇講師 コロンビア大大学院のジェラニ・コブ院長とマーガレット・サリバン教授、慶応大の水谷瑛嗣郎准教授、FTのアンナ・ニコラウ氏ほか
◇申し込み 次のQRコードから。日経IDの登録が必要。応募者多数の場合は抽選。
万博100万人突破や――ネパール館工事が中断 出展意向は変わらず(EXPO2025)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 266文字 PDF有 書誌情報]
日本国際博覧会協会は23日、大阪・関西万博で未開館となっているネパール館の工事が中断していると明らかにした。引き続き出展する意向を示しているといい、協会は「支援を続けていく」とコメントした。
ネパール館は自前建設型の「タイプA」。23日時点で内装展示工事の遅れなどで開館していないのは、ネパールに加え、日本側が建設を代行した簡易型「タイプX」のインド、1つの建物に複数の国が入居する「タイプB」のベトナム、複数国が共同利用する「タイプC」のブルネイの4館。このほか、開幕日の13日は開館したタイプXのアンゴラも、現在は閉館が続く。
向田邦子賞に兵藤さん 「マイダイアリー」(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
2024年度に放送されたテレビドラマの中から、優れた脚本を執筆した作家を表彰する第43回向田邦子賞(向田邦子賞委員会など主催)は23日、テレビ朝日系のドラマ「マイダイアリー」の兵藤るりさん(28)に決まった。賞金は150万円。兵藤さんは最年少での受賞となった。
両陛下、埼玉を来月訪問 全国植樹祭出席(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 102文字 PDF有 書誌情報]
宮内庁は23日、天皇、皇后両陛下が5月24~25日の日程で第75回全国植樹祭の式典出席などのため、埼玉県を訪問されると発表した。25日に開催される全国植樹祭の式典に出席し、天皇陛下がお言葉を述べられる。
両陛下、教皇弔問へ侍従長派遣(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 61文字 PDF有 書誌情報]
天皇、皇后両陛下は23日、ローマ教皇フランシスコの死去を受け、弔問のためローマ教皇庁大使館に別所浩郎侍従長を派遣された。
電動工具で事故多発 DIY普及、指切断や骨折 6年で186件確認[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 423文字 PDF有 書誌情報]
国民生活センターは23日、電動のこぎりなどの電動工具を使用中に起きた事故が2019年4月から今年1月にかけて186件確認され、手の指の切断や骨折といった重いけがが相次いでいると発表した。自宅で木材や金属を加工するDIYが広がり、電動工具が身近になったことが背景にあるとみている。
作動中は刃に手を近づけないようにするなど、注意を呼びかけた。
センターは医療機関を通じて事故情報を収集。円形の刃が高速回転する丸のこで木材を切る際に左手の指を切断したり、包丁の研磨に使う工具に指が巻き込まれたりする事例があった。
工具の刃が材料に挟まるなどした反動で急にはね返ってくる「キックバック」という現象による事故もあり、60代男性は丸のこの刃が右足に当たり骨折した。対策として、作業時に木材などを押さえる際に固定器具を活用し、手を近づけないようにすべきだとした。切りくずや破片から身を守るため、保護眼鏡や安全靴、防護ズボンを身に着けるのも有効だとしている。
全国知事会、公立高離れ「国は支援を」 私立向け拡充で[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 373文字 PDF有 書誌情報]
全国知事会は23日、公立高の環境改善に向けた財政支援の充実などを文部科学省に緊急提言した。自民、公明、日本維新の会の3党が2026年度から私立高の就学支援金を拡充すると合意したことを受け、公立離れが進むとの懸念を示した。
提言は、人口集中地域に多い私立への進学者が増えることで、公立の小規模化や再編統合が加速すると指摘。空調設備や教育のデジタル化など教育環境整備に向けた財政支援を求めた。
知事会で教育問題を担当する大村秀章・愛知県知事が阿部俊子文科相に提言を手渡した。大村氏は記者団に「学校選択に影響が出ないよう早く制度の骨格を示すべきだ」と強調。支援強化では「農業や工業など専門高校離れを防ぐためのてこ入れが必要だ」と訴えた。
3党は25年度から公立の授業料を実質的に無償化するほか、26年4月から私立対象の支援金を加算することで合意した。
埼玉県、下水管復旧の年度内完了案 八潮の陥没事故[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 217文字 PDF有 書誌情報]
埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、有識者による復旧工法を検討する県の委員会が23日、同市で開かれ、県側が破損した下水道管の復旧工事を2025年度内に完了する案を示した。
不明となっている70代の男性運転手は、下水道管内にある運転席部分に取り残されているとみられる。県は5月中旬に救出活動を行った後、本格的な復旧工事に着手する方針だ。
県の復旧案では、破損した下水道管を防菌剤が入ったコンクリート製の管に取り換える。
オリ山岡投手を不起訴 オンラインカジノ(短信)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 42ページ 0文字 書誌情報]
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マンション工事、修繕談合疑い30社超に 長年の慣習か 公取委、大京穴吹など立ち入り[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
マンション大規模修繕工事での談合疑惑を巡り、公正取引委員会が23日、新たに工事会社数社に独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査し、疑惑の対象が30社超に拡大した。公取委は談合には工事会社を選定する設計コンサルタントも関与し、各工事会社が専門知識に乏しい管理組合との取引で長年にわたって受注調整を繰り返したと見ている。
談合疑惑を巡っては、公取委が3月4日に長谷工コーポレーション傘下の長谷工リフォーム(東京・港)など約20社に立ち入り検査した。その後の調査で、業界の中で受注調整が幅広く行われている疑いが浮上。追加の立ち入り検査を繰り返してきた。
23日に新たに立ち入り検査に入ったのは、大京穴吹建設(高松市)のほか三井住友建設グループのSMCR(東京・中央)など数社。関東地方のマンション管理組合が発注した大規模修繕工事の見積もり合わせや入札で、事前に受注予定者を決定するなどしていた疑いが持たれている。
マンションの大規模修繕工事は、経年劣化に対応するため12~15年ごとに実施されることが多い。国土交通省が2021年度に行った実態調査によると、1回目の修繕工事の平均額は約1億5200万円だった。
建設業界は技能者の高齢化が進み、マンション修繕を含む工事現場では人手の確保が難しくなっている。
人件費の高騰に加え、21年ごろからはモルタルや塗料といった修繕に必要な建材をはじめ、資材価格が上がっている。建設物価調査会(東京・中央)によると建設資材物価指数の建物の補修部門(東京地区、15年=100)では、25年3月に136.8と上昇が続く。
公取委が調査のターゲットにしているのは「設計監理方式」と呼ばれる発注方法だ。管理組合が選定した設計コンサルタントが修繕計画を作成し、工事の進捗を監視する。コンサルが工事会社の選定を任されているケースも珍しくない。国交省の調査によると、マンション修繕工事の発注方法の8割を占める。
住民らでつくる管理組合は修繕工事のノウハウを持ち合わせていない場合が多い。本来であれば、コンサルに任せることでチェック機能が働くはずだが、実際にはコンサルがつながりの深い工事会社に便宜を図る慣習が続いてきたとされる。
国交省が17年にマンション管理組合の団体に出した通知では、一部の設計コンサルがバックマージンを受け取り、特定の業者が工事を受注できるよう工作しているとして注意を促している。マージンが上乗せされ、工事費が高騰するケースもあるとみられる。
こうした業界の構図は長年続いてきたとみられ、公取委もコンサルが受注調整に関わっている可能性があるとみて実態解明を進めている。
不透明な事業者選定がまかり通れば、管理組合が直接的な不利益を被ることとなる。国交省の23年度の調査によれば、実際の修繕積立金が計画に比べて不足しているマンションは全体の36%に及ぶ。談合によって修繕費が高止まりすれば、積立金の不足に拍車がかかる可能性も否定できない。
不動産コンサルティング会社のさくら事務所(東京・渋谷)の土屋輝之・マンション管理コンサルタントによると、こうした業界の慣習が始まったのは少なくとも20年以上前にさかのぼる。設計コンサルは管理組合から工事会社の選定や施工監理などの依頼を低価格で受ける代わりに、管理組合から見えない形で工事会社から総工事費の1~2割を非公式で受け取るケースがあるという。
土屋氏は「適切な工事を進めるための監督を担うはずのコンサルが受注調整の絵を描いているとなれば、設計監理方式の根幹が揺らぐ」と批判する。「コンサルが提示した見積もりが相場より高くても、専門家ではない管理組合側が見破るのは非常に難しい」という。
その上で「管理組合が複数の工事会社の提案から優れたものを選ぶ『プロポーザル方式』を採用するのも手だ。設計監理方式より時間と手間はかかるものの、競争原理が働きやすくなり、透明性も確保しやすい」と指摘した。
知床沈没3年 悲惨な事故「もう二度と」 追悼式典 観光船、死亡・不明26人[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 649文字 PDF有 書誌情報]
北海道・知床半島沖で2022年4月、観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没し乗客乗員計26人が死亡、行方不明となった事故から23日で3年となり、地元の斜里町で追悼式が開かれた。町によると、乗客の家族29人を含め約120人が出席。午後1時過ぎ、サイレンに合わせて黙とうをささげ、献花した。
山内浩彰町長は「二度と同じような事故を知床の海、山で起こしてはならない。安心安全を具体的に積み重ねることを誓う」と述べた。
一部の家族はカズワンが保管されている網走市を訪れ、船に献花した。
山内町長は式典後、取材に応じ、家族の一部が慰霊碑の建立を要望していることについて、町が主体となって建てるのは困難との認識を示す一方、「家族側と定期的に話したい」と述べた。
事故は22年4月23日、知床半島西側の海上で発生。運輸安全委員会は23年9月に公表した調査報告書で、船首甲板部のハッチが確実に閉鎖されないまま出航し、悪天候の中、揺れによってふたが開いて浸水したことが原因と指摘した。
釧路地検は24年10月、業務上過失致死罪で運航会社「知床遊覧船」社長の桂田精一被告(61)を起訴。乗客家族らは同7月、会社と被告に約15億円の損害賠償を求めて提訴しており、刑事、民事両面で責任追及が進む。
会社側は今年3月、民事訴訟初弁論で賠償責任については認める一方、桂田被告個人の責任を否定。賠償額を争い請求棄却を求めた。刑事裁判の初公判の見通しは立っていない。
【図・写真】追悼式会場で献花する男性(23日、北海道斜里町)
塾侵入容疑で男逮捕 埼玉・草加 ひき逃げなど20件関与か[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 506文字 PDF有 書誌情報]
埼玉県草加市の学習塾に全裸の男が侵入する事件があり、県警は23日までに住所、職業不詳の西村大輔容疑者(48)を建造物侵入の疑いで現行犯逮捕した。県警は同日、容疑者が事件前に車の当て逃げやひき逃げ、コンビニ窃盗など約20の事件や事故に関与した疑いがあると明らかにした。
いずれも逮捕までの約1時間半のうちに近距離で相次いで発生し、十数人がけがを負ったという。
塾では男性講師(59)をマグカップで殴ったり、女子生徒(14)の腕を引っ張ったりして、軽傷を負わせた疑いがある。
県警によると、一連の事件で最初の通報は21日午後8時15分ごろ。同県川口市で「入れ墨の男が住宅街を車両でゆっくり走行し不審だ」と目撃者の男性が110番した。同50分ごろには、近接するさいたま市緑区大間木の県道でバイク2台が相次いで車に衝突され、川口市の会社員、吉田光暢さん(46)が死亡。男性会社員(45)は重傷とみられる。
その後は川口市で5~10分刻みで発生が続いた。午後8時55分ごろ、車同士の事故があり、全裸の男が相手の車を奪って逃走。コンビニには全裸の男が入店し商品数点を盗んだ。乗客2人が乗ったタクシーが奪われる事件も起きた。
在沖縄20代米兵が不同意性交疑い 県内女性被害で書類送検[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 349文字 PDF有 書誌情報]
沖縄本島中部の米軍基地内で、県内の成人女性に性的暴行をしたとして、沖縄県警が不同意性交と傷害の疑いで在沖縄米海兵隊員の20代男性を書類送検していたことが23日、分かった。捜査関係者が明らかにした。書類送検は7日付で、起訴を求める意見を付けたもようだ。県警は同日中に県に通報した。
捜査関係者によると、事件は今年3月に発生。女性は基地従業員で、トイレで襲われた。米兵は助けに入った別の女性に暴行し、けがを負わせたという。県警が米側と協力し、基地内に立ち入り捜査。日米地位協定に基づき米兵の身柄は米側の管理下にあり、県警は任意で事情聴取した。
沖縄では2024年6月以降、米兵による性暴力事件が相次ぎ発覚。3事件で計3人が起訴された。米軍の再発防止策が実効性を欠いている実態が改めて浮き彫りとなった。
知床沈没3年 悲惨な事故「もう二度と」――海ながめ「おまえはここに」 知床の港、不明者思う家族[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 309文字 PDF有 書誌情報]
北海道・知床観光船沈没事故で行方不明となった福岡県久留米市出身の小柳宝大さん(当時34)の父親は追悼式の後、斜里町の港を訪れた。式への出席は他の乗客のため。「おまえはここにしかいないから」。海に向かって言った。
宝大さんのダウンジャケットは、事故後、船内から回収されたリュックに入っており家族に引き渡された。だが、宝大さんは帰ってこない。海水に手を浸し「骨の一つでも戻ってきてくれれば一緒にいられるけど」と漏らした。
7歳だった息子と元妻が行方不明となった帯広市の男性(52)は、式には参加せず、午後1時過ぎ、黙とうの合図のサイレンを港で聞いた。「2人のことを考えながら待ち続けていたい」。眼鏡を外して涙をぬぐった。
クロウサギを間近で観察 鹿児島・奄美に施設開所[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 279文字 PDF有 書誌情報]
国の特別天然記念物アマミノクロウサギの研究飼育施設「アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)」が23日までに、鹿児島県・奄美大島の大和村に開所した。夜行性のクロウサギを日中に間近で観察でき、保護と観光客呼び込みの両立を図る。
施設は、村が8億円超を投入して整備した。交通事故などで負傷したクロウサギを、獣医師らが保護・治療して野生復帰を目指すとともに、生態研究や見学者の受け入れも行う。施設名は奄美の方言で「黒々した」という意味で、クロウサギの姿をイメージした。
【図・写真】飼育展示されているアマミノクロウサギ(鹿児島県大和村)=同村提供
家宅捜索で逃走の50歳男公開手配 殺人未遂などの疑い[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 192文字 PDF有 書誌情報]
横浜市で殺人容疑での家宅捜索の際に住人の男が逃走した事件で、埼玉県警は23日、車で逃げる際に警察官4人をはね、うち3人にけがを負わせたとして、暴力団稲川会系組幹部の田村悟史容疑者(50)=横浜市神奈川区松本町4=を殺人未遂と公務執行妨害の疑いで公開手配した。
県警によると、容疑者は2023年1月、同県狭山市で起きた暴力団関係者とみられる男性の射殺事件の関連で捜査対象となっていた。
銅線窃盗容疑でベトナム人を逮捕 買い取り役も担う[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 43ページ 0文字 書誌情報]
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瀬戸芸 地域に溶け込む「型」破る 共鳴するアートとアート[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 44ページ 2117文字 書誌情報]
国内最大級の現代アートの祭典、瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)が開幕した。香川・岡山両県の瀬戸内海の島々を主な舞台に、250以上の作品が展示される。今や全国各地でアートイベントが開かれるなか、6回目となる瀬戸芸は「地域とアートの共鳴」のその先を提示する、挑戦的な試みが光る。
門をくぐり抜けた瞬間、無数の赤い糸が張り巡らされた古民家が目に飛び込む。赤い糸は、柱や床、中央に置かれた3台の製麺機を結びながら、互いに絡まり合い、ダイナミックにうねる。糸を使った作品で知られる塩田千春の新作インスタレーション「線の記憶」だ。豊島の集落の一角で、この空間だけがさえざえとした異質な空気をまとう。
製麺機は島内で60年以上そうめん作りに使われていた。地元の人から「もういらないけれど捨てられない大切なもの」として譲り受けたという。そうめんと言えば隣島の小豆島の特産と思われがちだが、ここ豊島でも人々の生活に根ざし食されてきた。糸の一本一本は製麺機からひかれたかのごとく方々に伸び、生き生きと脈動しているようにも、家と製麺機を執拗に同化させようとしているようにも見える。
各地の芸術祭では、アーティストが独自の視点で地域の文化を掘り起こしながら作品を制作・展示するのが魅力の一つだ。3年前の瀬戸芸では、新型コロナウイルスの影響でリモート制作を余儀なくされた者もいた。その反動か、今回は複数のアーティストが集うグループ展形式が目立つ。
瀬戸大橋エリアの瀬居島プロジェクト「SAY YES」は16人の作家が廃校となった旧校舎や岸壁、空き家に作品を展開する(春会期のみ)。瀬居島はもともと離島だったが、1960年代に埋め立てにより四国と地続きになった。出展作家の一人で、プロジェクトのディレクターを務める中崎透は「ここがかつて島だったことを鑑賞者に体感してもらうため、島を一周するように作品を点在させた」と話す。
中崎にはある狙いがあった。「いろんな芸術祭に参加するたびに、地域に入り込んで制作するのがだんだんと『型』になってしまっているなと。別の意図で作られた既存作品でも、力があれば地域と共鳴できるはず」と考え、展示場所とふさわしい作家の作品を選んだ。ただ「やっぱりみんな、現地に来たら作りたくなっちゃう」。それがある意味奏功し「地域とアートとアートが共鳴」する空間が醸成された。
旧瀬居中学校の一室では、山本晶と岩崎由実が新作絵画を並べる。瀬居島にある山の稜線(りょうせん)や学校のシルエットなどを力強い筆致で描く山本と、風情あふれるおぼろ月夜を表現した岩崎。具象と抽象を行き来するようなエネルギーと、曖昧な光が画面からにじみ出る柔和さが、一つの教室の中で溶け合う。「岩崎作品や彼女の創作姿勢に刺激を受けながら、私も自分の絵に向き合えた」と山本。
旧瀬居小学校の3階で展示する下道基行「津波石」は、先島諸島にある様々な岩を撮影した映像作品だ。津波が何度も押し寄せた歴史を物語る岩が、薄暗い教室内に浮かぶ。この下道作品を見た後で瀬居島を歩くと、道路わきなどで巨大な岩に巡り合い、その岩の来し方を考えさせられる。
2階には小瀬村真美による静物画のような写真の作品群、1階には鳥の目線で遊んだり羽を休めたりできる狩野哲郎のインスタレーションが展示される。小瀬村は「1階が明るくて3階が暗い展示なので、2階の自分はその中間にした。階を上がるごとに、明から暗へ、フィクションからドキュメンタリーへというグラデーションの中で、緩やかなつながりを感じてもらえれば」。
高松港エリアの外れにある屋島山上では、造形作家9人による「屋島アートどうぶつ園」が開園した。キリンや子ブタ、クジラなどの動物たちは素材も作風もバラバラだが、回廊型施設「やしまーる」の中庭にひしめくことで、遊び心に満ちた一体感を生む。そんななか、動物ではない木彫と流木の作品が異彩を放つ。上下から伸びた手が握手する造形は「人間を含めた地上のものと、宇宙や神とが和解するイメージ」と作者の安藤栄作。「地上の動物作品から、鑑賞者の目を天に向かわせる。そんな逸脱した作品があってもいいのでは」とニヤリ。
19年の瀬戸芸以来、女木島で展開する「小さなお店プロジェクト」は、今回さらに作家が加わり計9組が「お店」を出す。ガラスの釣具店、虚実が入り交じるコインランドリーに加え、仮想空間にいるようなカフェ、同島の少女をモデルにした迫力ある像がたたずむ書店などが新たにオープンした。
現代アートは、既存の枠組みや価値観を疑い、より自由な発想をもたらす力がある。今や全国各地で芸術祭が盛んだが、中崎が抱いた視点は、芸術祭が、そのフォーマットの中で固定化しつつある「型」を疑う段階に進んだことを示唆する。
瀬戸芸における試みの数々が、次の芸術祭のあり方を切り開いていくことに期待したい。
(安芸悟、伊得友翔)
【図・写真】塩田千春の「線の記憶」(香川県土庄町の豊島)
【図・写真】瀬居島プロジェクトの一つ、山本晶と岩崎由実の展示(香川県坂出市)
【図・写真】高松港エリアで作家9人が出展する「屋島アートどうぶつ園」(高松市)
平井一夫(23) 三顧の礼 ソネットへのTOB断行 吉田社長を迎え入れ 再建へ(私の履歴書)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 44ページ 1409文字 PDF有 書誌情報]
私がソニー社長に就任して4カ月後の2012年8月、子会社のソネットエンタテインメント(当時)へのTOB(株式公開買い付け)を決めた。商品やサービスのネットワーク化がソニーにとっての課題だったことは本稿でも何度か触れたが、ネットワークサービスを手掛けるソネットを100%取り込む必要があると考えていたからだ。
あえて言えばもうひとつ、この会社にはソニーの財産があると考えていた。ソネット社長の吉田憲一郎さんだ。
初めて会ったのは、まだ私がエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)だった頃だ。二人三脚でネットワーク関連の戦略を描いていた鈴木国正さん(後にインテル日本法人社長)から紹介されて飲みに行った記憶がある。「人当たりの良い穏やかな人」というのが第一印象だ。
会うたびに話はソニーの再建策へと広がっていった。吉田さんは課題をズバリと指摘するだけでなく、何をすべきかの具体策も持っていた。
「この人は子会社ではなくソニーで活躍してもらうべきじゃないか」。私がそう思ったのも当然だろう。実は当時ソニー会長兼社長CEO(最高経営責任者)だったハワード・ストリンガーも、何度も吉田さんを最高財務責任者(CFO)として招こうとしていたのだ。
吉田さんは首を縦に振らなかった。その理由は、私がソネットへのTOBを考え始めた頃に分かった。都内の中華料理店で吉田さんと話し合ったときのことだ。いつもは冷静沈着な吉田さんが強い口調でこう話した。「私は逃げも隠れもしません。でも、今のソニーにとってエレクトロニクスの再建が先決なはず。資金はそちらに使うべきです」
それでも私はTOBに踏み切った。当時のソネットの株価に7割強のプレミアムを上乗せしてカタをつけた。ソニーからの独立を志向していた吉田さんは当時のことを「失意の夏」と振り返っていると聞く。私に言わせれば、そこまでしてでもソネットと吉田さんを必要としたのだ。
年が明けて13年に入るとTOBは無事に完了し、私は本格的に吉田さんを口説き始めた。ソニーの経営再建を語り始めると、やはりこの人しかいないと確信したのだ。吉田さんにはこう伝えた。
「私はイエスマンなど求めていません」
さらに、吉田さんの右腕の十時裕樹さんも一緒にソニーに引き抜きたいとお願いした。十時さんはソニー銀行の立ち上げメンバーで、ソネットでは古い付き合いである吉田さんを経営企画や財務の担当として支えていた。この4月、吉田さんの後任としてソニーグループCEOとなったことからも分かる通り、吉田さんが全幅の信頼を置く人だ。
吉田さんにはCFO含みでソニーに復帰してもらった。十時さんも事業戦略など中枢を担うポジションに登用した。私としては三顧の礼を尽くしたつもりだ。
いずれも13年12月の人事だが、すでにソニー再建の青写真について何度も話し合っていた。翌14年2月にまとめる構造改革に、お二人の考えを反映させるためだ。
私は「異見を求む」を信念とする。吉田さんこそ「異見」を私にぶつけてくれるチーム平井のキーマンだ。吉田さんは海外販社の圧縮や不採算事業からの撤退は不可避であり、決断を先送りにすべきではないと主張した。当初はもう少し様子を見ようかと思っていた私も考えを改めた。こうして嵐の14年が始まった。
(ソニー元社長)
【図・写真】「チーム平井」の皆さんと(前列右から十時氏、吉田氏。後列中央が筆者)
まだまだだよ 森孝広(交遊抄)[2025/04/24 日本経済新聞 朝刊 44ページ 527文字 PDF有 書誌情報]
師と慕う人物がいる。ヒューマンウェア・コンサルティング代表取締役の渡辺昇さんだ。20年ほど前、OKI子会社のOKIデータでプリンター事業の営業推進課長をしていたとき、経営品質に関するコンサルタントとして入っていただき、一緒に仕事をするようになったのがきっかけだ。
ある日呼び出され、提案した企画について説明を求められた。当時の私は仕事に自信があった。意気揚々と説明を始めたが、2つか3つ質問を受けただけで口ごもってしまった。自分の論拠が甘すぎたのを悟った。すると一言、「もりちゃん、まだまだだよ」。天狗(てんぐ)になっていた鼻は一瞬にしてへし折られた。
勉強し直そうと決意し、とりあえず書店に駆け込んだ。このことを話すと月の本代について聞かれた。「5000円くらいです」と答えると「5万円は使わなきゃ」と一蹴された。今でも最高は月2万円と、渡辺さんには遠く及ばない。
仕事の関係を離れてからもゴルフや食事をさせていただき、現在は新規プロジェクトのコンサルティングをお願いし、再び仕事をご一緒している。80歳を超えた今でも現役で活躍され、指導にも当たるお姿には恐れ入る。渡辺さんに鼻を折っていただいていなければ今の私はない。
(もり・たかひろ=OKI社長)
25年04月23日
トヨタ、商用車で世界連合 日野自・三菱ふそう統合へ ダイムラーと対中連携[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1351文字 PDF有 書誌情報]
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが、経営統合で最終合意することで調整に入った。両社の親会社であるトヨタ自動車と独ダイムラートラックが持ち株会社を設立し、2026年4月を目標に上場をめざす。中大型トラックの分野では世界最大規模になる。中国勢が低価格を武器に商用車でも世界で攻勢をかけている。4社が技術力を結集して対抗する。(関連記事総合2面に)
トヨタと日野自、ダイムラートラックと三菱ふそうの4社は23年5月に24年末までの経営統合で基本合意した。だが、日野自のエンジン認証不正への対応が長期化し、最終契約の締結を無期限で延期していた。
4社は早ければ5月にも日野自と三菱ふそうの経営統合で最終合意する。日野自が認証不正に関して米当局と和解に合意し、一連の問題がほぼ終結した。公正取引委員会による審査のメドもたち、統合協議が前進した。
トヨタとダイムラートラックが持ち株会社を設立し、日野自と三菱ふそうを完全子会社にする。持ち株会社は26年4月を目標に、東京証券取引所プライム市場への上場をめざす。
現在、トヨタは日野自に50.1%を出資し、ダイムラーは三菱ふそうの株式を89.3%保有する。トヨタとダイムラートラックの持ち株会社に対する出資比率は同規模にするが、トヨタの持ち株会社への議決権比率は20%弱になる見通し。新会社はトヨタの持ち分法適用会社から外れる。
トヨタはいすゞ自動車にも出資しており、独占禁止法に基づき公取委から影響力の低減を求められたとみられる。トヨタと日野自の関係は薄まるが、トヨタとダイムラートラックを含めた4社で協業を進める想定で、トヨタは商用車事業の支援を継続する。
日野自とトヨタは日本経済新聞の報道を受けて、「経営統合について検討を進めている」とし、「現時点で決まっていることはない」とのコメントを出した。
日野自と三菱ふそうが統合するのは電動化や自動運転など次世代技術の対応に加え、中国勢の台頭への危機感がある。
統合を延期している間に、商用車では中国勢が存在感を高めている。中大型トラックの世界販売上位10社のうち4社が中国勢で、日本勢ではいすゞが9位と後れをとる。日本勢が得意としてきた東南アジアを中心にシェアを急拡大している。
電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は商用車事業で低価格攻勢をかける。BYDの25年1~3月の商用車の世界販売は前年同期比8倍の1万4706台と勢いを増す。日本ではEVバスでシェア首位で、EVトラック市場にも参入する。
調査会社S&Pグローバルモビリティによると、24年のダイムラートラックの中大型トラックの販売台数は40万7261台で世界2位。日野自は小型トラックやバスを含め13万199台に上る。基準が異なるため単純比較はできないが、中大型トラックの分野ではシェア14%を占め、世界最大規模の連合になる。
統合後は日本の商用車メーカーは日野自と三菱ふそう、いすゞと傘下のUDトラックスの2陣営に集約される。国内再編にメドがつき、各社は競争力を高めて中国勢に対抗したい考え。
自動車業界では再編の動きが広がっている。乗用車ではホンダと日産自動車が24年12月に経営統合へ協議入りをしたが、協議が難航し2月に破談となった。
世界成長予測0.5ポイント下げ IMF、今年2.8% 関税打撃、米国大きく[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ 993文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】国際通貨基金(IMF)は22日、2025年の世界の成長率見通しを前回1月時点の予測から0.5ポイント下げて2.8%とした。トランプ米政権の高関税政策の影響ですべての地域が下方修正で総崩れとなった。米国自身への打撃も重さが際立つ。「世界景気悪化」の目安となる2%割れも3割の確率で起きうると警鐘を鳴らした。
米政権の関税政策が二転三転するため、IMFは基本シナリオの予測を4月4日時点としたうえで途中段階で見込んでいた予測値も公表する異例の措置をとった。
25年の成長率は3月下旬時点では0.1ポイントの小幅な下方修正としていた。トランプ米大統領が4月2日に公表した大規模な相互関税で一気に見通しが悪化した。
25年は世界の貿易量の伸びが24年の3.8%から半分以下の1.7%程度に縮む。世界でモノの動きが止まった新型コロナウイルス禍のような供給ショックが成長を下押しする。
IMFチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は貿易摩擦の激化だけでなく「金融情勢が急激に悪化するリスク」も今後の懸念だと指摘した。
下方修正の幅が大きいのは震源地の米国だ。25年の成長率は0.9ポイント低い1.8%になり、24年の2.8%から急減速する。37%の確率で年内に景気後退に陥る。トランプ氏は景気減速を「短い移行期間」と軽視するが、IMFは26年も0.4ポイント下げて1.7%とした。
中国は25年を0.6ポイント下げて4.0%成長と見通した。もともと24年の高成長からの減速が見込まれていた米国と比べ、中国は財政刺激策が景気の下支えになる。米中とも試算には4日以降に激化した報復措置の応酬は含まれておらず、下げ幅はさらに大きくなる可能性がある。
日本の予測は0.5ポイントの下方修正で0.6%成長となった。自動車への25%の分野別関税などで輸出が抑えられる。下げ幅が最も大きかったのは当初から高関税の対象とされたメキシコで、1.7ポイント下げて0.3%のマイナス成長になった。
主要16カ国のうちロシアとスペインだけがわずかに上方修正だった。トランプ政権はロシアを相互関税の対象から外している。トランプ氏は「基本的に(米国と)ビジネスをしていないからだ」と説明している。
IMFは今回の予測について、短期的にも長期的にも悪化する可能性のほうが大きいとみている。
大企業健保料率が最高 今年度9.34% 高齢者医療、現役の拠出増[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ 872文字 PDF有 書誌情報]
大企業の従業員らが入る健康保険組合の平均保険料率が2025年度に過去最高の9.34%となることが分かった。団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、現役世代に拠出金負担がのしかかる。賃上げの効果が薄れ、成長と分配の好循環に向けた消費拡大の重荷になる。
健康保険組合連合会(健保連)が23日、25年度予算の早期集計結果を公表する。健保組合の経常収支の合計は3782億円の赤字を見込む。
賃上げやパート労働者の適用拡大によって保険料収入は24年度予算比で4.3%増の9兆2685億円となる。
一方、後期高齢者医療制度への支援金が2.5%増の2兆3353億円となる影響などで、経常支出は1.1%増の9兆7717億円を見込む。過去最大の赤字だった24年度予算(6582億円の赤字)からは改善するものの、3年連続の赤字となる。
平均保険料率は24年度から0.03ポイント上がる見込み。18年連続の上昇となる。後期高齢者医療制度が始まった08年度の実績値(7.38%)と比べると2ポイントほど上がった。
全国の健保組合のうち76%にあたる1043組合が赤字になる。149組合が25年度に保険料率の引き上げを予定する。すぐに引き上げない場合でも収入が足りなければ、積立金の取り崩しなどを迫られる。加入者の人間ドックの費用補助など健康増進のための保健事業費は増やしづらくなる。
中小企業の従業員らが入る全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率は平均10%で、これを上回ると企業が自前で健保組合を運営する利点は薄れる。保険料率10%が組合の解散を検討する際の目安とされる。全体の4分の1ほどにあたる335組合がこの水準に達する。
健保連は組合財政のさらなる悪化を懸念している。後期高齢者向けと65~74歳の前期高齢者向けを合わせた高齢者拠出金は25年度に3兆8933億円。健保連は65歳以上人口の増加に伴い、27年度は4兆円台になると概算する。
平均料率が1.74%の介護保険や厚生年金(18.3%)も含め、医療・介護・年金にかかる保険料率は30%に迫る。
公立高の併願可能に 首相が「単願制」是正指示[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ 369文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は22日のデジタル行財政改革会議で、大半の都道府県で1人1校しか公立高を受験できない「単願制」を是正するよう関係閣僚に指示した。受験生が志望順位をつけて複数校を受験し、基準を満たす希望校に行ける仕組みを想定する。
現在の公立高入試は1校しか出願できない場合が多い。確実な合格を目指す生徒は志望校のレベルを下げてしまう。結果として本来の志望校に、自分より点数の低い生徒が受かるケースも出てくる。
高校授業料の無償化で私立高人気の高まりが予想されることを踏まえ、公立高を選びやすくする環境を整える。首相は平将明デジタル相と阿部俊子文部科学相に対応を求めた。
「単願制の問題点とその解消策について提起をいただいた。希望する進学につながるメリットや現場の課題を丁寧に考慮し、希望する自治体での事例創出の具体化を図ってほしい」と述べた。
祈りの姿が美しい。群衆の歓呼にこたえる、穏やかなまなざし(春秋)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ 564文字 PDF有 書誌情報]
祈りの姿が美しい。群衆の歓呼にこたえる、穏やかなまなざし。そしてなんといっても、教皇フランシスコは胸の底まで届く言葉を持つ人であったろう。2023年公開のドキュメンタリー映画「旅するローマ教皇」は、この聖職者が抱きつづけた使命感に迫っている。
▼「私たちの社会が失ったのは、泣くという体験です」。北アフリカからの多くの難民が命を落とした地中海のランペドゥーサ島で、教皇はこう語りかけた。「無関心のグローバル化が泣くという力を奪ったのです」。不寛容が渦巻く世界と、それをあおる権力者への厳しい批判である。海外への旅は47回、66カ国に及んだ。
▼たくさんの困難を直視してきた人が88歳で亡くなった。キューバで、広島・長崎で、かつてカトリック教会が先住民の子への虐待に協力したカナダで、言葉を重ねた12年間である。出身国アルゼンチンからドイツに留学し、南部アウクスブルクの聖堂で「結び目をほどく聖母マリア」の絵に出合ったのがその原点だという。
▼聖母の手をくぐった白いひもは、固い結び目がするするとほどけていく――。自らもそんな役割を果たそうと誓ったにもかかわらず、なおほどけぬ数多くの結び目に苦悩していたに違いない。名匠ジャンフランコ・ロージ監督は作品のなかに、憂いをたたえた教皇の横顔を差し挟んだ。ラストは、孤独な祈りの場面である。
トランプ氏、FRBに利下げ再要求 ドルの信認揺らぐ――日米財務相会談、はらむリスク 協調介入、為替条項、利上げ要求[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 2ページ 949文字 PDF有 書誌情報]
加藤勝信財務相はベッセント米財務長官と米国時間24日に会談する方向で調整している。米国は関税交渉の一環として円安を議論する構えを示す。協調介入や為替条項、日銀への一段の利上げといった要求は、金融政策の自由度を奪うなどのリスクをはらむ。
日米財務相会談は、米首都ワシントンで現地時間23~24日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議にあわせて開かれる。加藤氏の訪米は22日の閣議で正式に決まった。
トランプ米大統領は21日には自身のSNSで非関税障壁として8項目を取り上げ、付加価値税や輸出補助金などと並んで為替操作を指弾した。
赤沢亮正経済財政・再生相が17日にベッセント氏らと閣僚級で協議した際は、為替は議題にしなかった。とはいえトランプ氏の目指す対日貿易赤字の削減は現実的ではなく、通商に加え為替や安全保障でも譲歩を迫られるとの見方がある。
財務省幹部は「ベッセント氏が何を求めてくるのかは分からない」と口をそろえる。米国側の要望と、日本側の対応が関税の交渉材料になるかの確認が急務となる。
JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉チーフ為替ストラテジストは「今回は合意文書も出さず、関税協議との関係にも踏み込まないだろう」と話す。
現実的には、日米協調の為替介入や関税交渉の合意事項への為替条項の導入、日銀への一段の利上げといった要求が想定される。
円安・ドル高是正に向けた協調介入は、米国自身によるドル安誘導に当たる。為替はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を映し安定的に推移すべきだと整理した主要7カ国(G7)の合意にも反する。
20年に発効した自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」では、為替レートの操作を避けるといった条項がある。
USMCAの為替条項は競争的な通貨切り下げを避けるといった内容で、同様の内容なら既存のG7の合意と大きく異ならないとの見方もある。ただ急激な円高が進行した場合に、政府・日銀は影響を緩和するための円売り・ドル買い介入に動きづらくなる。
ベッセント氏は最近の円高は「自然な流れ」だとも発言する。財務省内では、市場に精通したベッセント氏は介入などの人為的な手段を好まないとの見方もあり、一段の利上げを促す可能性もある。
トランプ氏、FRBに利下げ再要求 ドルの信認揺らぐ 円上昇、140円突破 金は先物3500ドル超え[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 2ページ 876文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長に対する「利下げ要求」が世界の市場を揺らしている。22日の東京外国為替市場ではドル売り・円買いが広がり、円相場は一時1ドル=139円台とおよそ7カ月ぶりの水準をつけた。(関連記事を国際1面に)
トランプ氏の中央銀行の独立性を軽視する発言でマネーの米国離れが止まらず、安全資産とされる金に流入。最高値を更新した。
円相場が140円を超えて円高が進むのは2024年9月以来。あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「ドル安の勢いが強く、1ドル=137円程度までは円に上昇余地があるのではないか」と指摘する。
主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す「ドル指数」は21日、約3年ぶりの低水準となった。ドル相場は対ユーロで約3年5カ月ぶりの安値を付けている。米債券市場でも、10年債や30年債など長期・超長期債は利回りが上昇(債券価格は下落)傾向だ。
根底にはFRBのパウエル議長に対するトランプ氏の攻撃がある。トランプ氏は21日、SNSへの投稿で「『予防的利下げ』が多くの人から求められている」と述べ、パウエル議長を「判断が遅すぎる男」と非難。「今すぐ政策金利を引き下げない限り、経済は減速するかもしれない」として即時の利下げを改めて要求した。
中央銀行の政府からの独立性は金融政策や財政に対する信認の基盤だ。米ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン為替戦略グローバルヘッドは「FRB、そして米国への信認を保つうえで、パウエル氏の解任は(決して越えてはならない一線)『ルビコン川』であるはずだ」と指摘する。
基軸通貨への信頼が揺らぎ、マネーは金(ゴールド)に流入する。アジア時間22日の取引で、国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)は前営業日比84.6ドル(2%)高い1トロイオンス3509.9ドルを付けた。
3500ドルを初めて超え、4営業日連続で最高値を更新した。15日終値から22日高値までの上昇幅は269.5ドル(8%)に達する。
(佐伯遼、ニューヨーク=竹内弘文)
針路を聞く 米国投資、交渉カードに みずほ証券社長 浜本吉郎氏(崩れる自由貿易)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1122文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を巡って想定以上に株価が乱高下した。足元は落ち着きを取り戻しているが、短期戦では終わらないだろう。トランプ氏の交渉もゲームの始まりに過ぎず、予断を許さない。
米国の最優先事項が準備通貨や安全保障などグローバルな公共財のコストを回収することや、米国に製造業の栄光を取り戻すことであれば、達成のためには手段を選ばないだろう。どんどんゴールポストが動く可能性がある。相互関税の一部上乗せ部分の延期はあくまでクールダウンだ。
トランプ氏の政策を受けてM&A(合併・買収)の執行は足踏み状態だ。米国の時価総額対比でのM&Aの規模は歴史的な低水準で推移している。
ただ、取引のマグマはたまっている。米国企業などのバリュエーション(投資尺度)は下がっており、高くて買えなかったものが買える価格になりつつある。米国への設備投資やM&Aのチャンスはある。交渉次第では政府の支援策の可能性もある。
報復合戦で経済がブロック化すれば、一番悪い影響を受けてしまうのは製造業比率の高い国だ。他地域を含めたリスク分散や地産地消の観点でも、コーポレートアクションは再び活性化するだろう。視界が開けてくれば動きは出てくる。投資は交渉のカードになりうる。官民一体の戦略連携が大事だ。
決め打ちの難しい情勢にあって、投資家は様子見の姿勢になりがちだ。これからの市場の関心は、交渉の帰結も踏まえた企業業績見通しの修正などファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)になってくる。相場の底値はそこで見極められることになるだろう。
交渉の推移によっては、関税の条件が緩和されていく可能性はある。その場合は株価を上げる要因になる。逆に報復合戦の泥仕合になれば、底割れリスクが残る。
今のところ、日本の個人投資家は日経平均株価が1日で4000円超下げた2024年8月に比べれば冷静だ。店頭では買いも多い。
個人投資家はいかなる場合でもゴールを決めることが大切になる。米国政府に、経済停滞を10年続ける意図はないはずだ。10年先、20年先を見据えている投資はここで降りる必要はない。むしろ買い場との見方もできる。ただし、1年先にお金が必要になる人が、いま株に手を出すのはリスクがある。
関税論争の激化は、米国債に対する外国投資家の需要の減少、ひいては売却につながる可能性もある。相互関税発動前後の債券市場の混乱は警鐘になった。今後も市場のシグナルを注視していく必要がある。
(聞き手は北川開)
=随時掲載
はまもと・よしろう 90年(平2年)慶大経卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。18年みずほセキュリティーズアジア社長、19年みずほ証券執行役員、21年から現職。58歳
賃上げ持続の春(2) 組合要求額の3倍「逆提案」(迫真)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 2ページ 999文字 PDF有 書誌情報]
「うちも5万円ぐらいベア上げられへんか?」。2024年10月、日本曹達の人事部長(当時)、羽田徹(53)は人事管掌役員の笹部理(61)に呼ばれ、役員室でこう切り出された。
高い水準での賃上げ回答が続出した25年春季労使交渉。日本曹達では基本給を底上げするベースアップ(ベア)で、一律5万円の賃上げを会社側が組合に「逆提案」した。組合からの要求額の約3倍だった。定期昇給分を合わせた賃上げ率は過去最高の18.8%にのぼる。羽田は「おもろいですね、やりましょう」と二つ返事で応えた。
羽田には笹部の指示にもの申す材料はひとつもなかった。20年から構造改革に取り組み、祖業の不採算事業などを整理し、23年3月期には過去最高益を計上していた。業績によって連動する賞与だけではなく、毎月の給与で社員に還元したかった。採用面接後に給与の説明をすると「御社は業績連動の割合が多いんですね」と辞退されることがあった。初任給が30万円の大台に乗れば採用活動も格段にやりやすくなる。
「事業環境が悪くなっても会社として利益を確保できるのか」。笹部と羽田は心配する社長を2カ月間かけて説得した。24年12月末、再び役員室に呼び出された羽田に、笹部は「OKとれたで」と笑みを浮かべた。
人材獲得に悩むのは民間だけではない。24年度のキャリア官僚と呼ばれる国家公務員総合職の採用試験の申込者は14年度と比べて2割減った。
50代の経済産業省幹部は「若手だけでなく課長や課長補佐などの中間層もベンチャーや待遇の良い外資のコンサルティングに流れている」と話す。「政策、法律を書ける人材がどんどん減っている。担当以外の業務も振られてきつい」
危機感を持つ人事院は公務員の報酬上げに動く。24年度に国家公務員の行政職の月給について定期昇給分も含めて4.4%の給与改善を勧告した。ただ5%を超える賃上げを進める民間企業には見劣りした。
人事院は23年に国家公務員の待遇など公務員制度を総合的に議論する有識者会議を立ち上げた。25年3月に公表された同会議の最終提言は「あらゆる国家公務員の人材確保が危機的状況にある」と指摘。キャリア官僚の給与は大企業に準じて改善すべきだとした。
「硬直的な給与体系の見直しを」。霞が関が抱える課題も大きい。
(敬称略)
【図・写真】労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員(3月、東京都中央区)
エネルギー補助を選挙目当てに使うな(社説)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 2ページ 934文字 PDF有 書誌情報]
夏の参院選に向けた露骨なバラマキと言われても仕方あるまい。政府・与党が物価高への対応だとしてガソリンや電気・ガス代への補助を再開する。月内にとりまとめる経済対策に盛り込む。
エネルギー補助は価格が上がれば需要が減るという市場原理をゆがめ、脱炭素の取り組みに逆行する。しかもいまは原油安や円高で価格が下落基調にある。合理性を欠く政策を集票目当てに乱用すべきではない。
ガソリン補助金は原油価格が急騰した2022年1月から支給している。当初は3カ月間の期間限定と位置づけていたのに、ずるずると延長を繰り返してきた。
現在は全国平均のガソリン価格を1リットル185円程度に抑えるよう調整している。トランプ米政権の高関税政策による世界経済の減速懸念などから原油安・円高が進み、直近では補助金が初めてゼロになった。にもかかわらず、今後は価格の目安をなくし、新たに同10円の定額補助を導入する。
補助の期限に関しては、ガソリンに上乗せされる旧暫定税率の廃止に向けた与野党協議を踏まえて判断するとみられる。
電気・ガス代の補助はロシアのウクライナ侵略に伴う燃料高騰への対応策として23年1月に始め、24年5月でいったん打ち切った。ところが岸田文雄前政権が朝令暮改で復活させ、先月末に終了したばかりだ。夏場の冷房代がかさむ7~9月に改めて再開する。
一連の支出はすでに計約12.5兆円に膨らんでいる。政府は23年に、脱炭素投資の呼び水とするため10年間で20兆円のグリーントランスフォーメーション(GX)経済移行債の発行を決めた。エネルギー補助はそれに迫る金額だ。
エネルギー補助はあくまで燃料価格高騰の激変緩和措置だったはずで、長期化は本来の趣旨に反する。ウクライナ戦争で多くの国が補助を実施したが、先進国でいまも続けるのは日本くらいだ。脱炭素のアクセルとブレーキを同時に踏むような施策は、税金の浪費だけでなく、日本が温暖化対策に消極的だという誤ったメッセージを国内外に送りかねない。
エネルギー補助が必要ならば、燃料費や夏の光熱費負担がとりわけ重い低所得世帯、零細企業に対象を絞るべきだ。貴重な財源を成長投資に振り向け、持続的な賃上げを後押しすることが、物価高対策の本筋である。
寛容と対話を貫いた教皇(社説)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 2ページ 779文字 PDF有 書誌情報]
約14億人の信者を有するカトリック教会の最高指導者、ローマ教皇フランシスコが死去した。12年の在位中は病をおして世界中を車椅子で飛び回り、貧困問題や核廃絶への対応を訴えた。異なる宗教や宗派、信条の人々への寛容さや対話を通じ、現代におけるキリスト教のあるべき姿を模索した。
アルゼンチン人のホルヘ・マリオ・ベルゴリオが、生前退位した保守派の教皇ベネディクト16世の後任に就任したのは2013年。南米出身の教皇は初めてだった。
清貧を重んじ、難民や貧困層などの社会的弱者に寄り添う姿は、歴代の教皇と比べても際立っていた。就任ミサでは「教皇の務めは最も貧しく弱い人たちに手を差し伸べ守ることだ」と言明した。19年には教皇として38年ぶりに訪日し、被爆地の広島や長崎で核兵器の廃絶を訴えた。
異なる宗教や宗派、所得格差などによる分断を埋めようとする姿勢でも一貫していた。16年には対メキシコ国境に壁を建設すると公約した当時の米大統領候補のトランプ氏について「壁を築くことだけを考え、橋を架けようと考えない人物はキリスト教徒ではない」と断じた。
25年2月にも公開書簡でトランプ政権の不法移民対策が「重大な危機」をもたらしていると指摘した。道徳的な権威として超大国のトップに対しても注文をいとわない姿勢は、カトリックの枠を超えた支持を集めた。
批判を恐れず、様々なタブーを打ち破った教皇でもあった。「神を求める同性愛者を裁くことはできない」とも述べ、司祭が同性カップルに祝福を与えることを認めた。共産主義を忌避してきた歴代教皇と異なり、ベトナムや中国との歩み寄りも進めた。
今後、新たな教皇選びが始まるが、バチカン(ローマ教皇庁)内では従来の改革路線に抵抗してきた枢機卿も少なくない。新教皇が寛容や対話、反戦の必要性を説いた前任の遺志を引き継ぐか、注視していきたい。
「名ばかり」成長企業にメス 東証グロース、時価100億円未満廃止 小粒上場抑制で新陳代謝促す[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1608文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所は22日の有識者会議で、新興企業が上場するグロース市場(きょうのことば)の新たな上場維持基準案を決めた。上場から5年で株式時価総額が100億円に達しない企業を上場廃止にする。新規株式公開(IPO)後に思うように株価が伸びない「名ばかり」成長企業の新陳代謝を促す。
グロースの上場維持基準を「10年経過後に時価総額40億円以上」から「5年経過後に100億円以上」とする。機関投資家への調査で、投資対象となり得る最低水準として時価総額100億円以上という意見が多く集まったことを踏まえた。パブリックコメント(意見募集)を経て最終決定する。
足元では約600社あるグロース上場のおよそ7割の企業が時価総額100億円に届いていない。東証は「十分な助走期間を確保」するため、2030年以降に上場から5年がたった企業に新基準を適用する意向だ。
東証は日本の株式市場に海外マネーを呼び込むため、22年4月に市場区分を再編した。資本コストや株価を意識した経営の要請などによって、プライム企業では一定の成果が出始めた半面、グロースの改革は遅れが指摘されてきた。
24年末の上場企業数(TOKYO PRO Marketを除く)は13年の大阪証券取引所との経営統合以降で初めて前年比で減少に転じた。それでも株式市場を引っ張る新興企業に欠け、およそ3800社ある上場企業にはさらなる新陳代謝が求められている。
グロース市場では上場したスタートアップが成長軌道に乗れず、新規の資金調達ができない企業が滞留する小粒上場の課題を抱える。東証によると、04年7月~24年12月に新興市場に上場した企業のうち、上場時の時価総額を下回る企業は45%にのぼる。
グロース企業のIPO時の平均時価総額は23年に約150億円と、米国(約3200億円)より小さい。時価総額が小さいままだと資金力のある機関投資家の投資対象になりにくくなる。売買が薄くなると新株発行による資金調達も難しくなり、成長を加速できない悪循環になる。
企業はグロースを上場廃止になっても、スタンダード市場や地方の証券取引所に再び上場すれば、株式売買の機会を確保できる。スタンダードの上場維持基準は一般投資家が市場で売買できる流通株の時価総額で10億円以上で、グロースでも要件を満たす企業は一定数ある。
ただ課題は少なくない。上場維持基準が厳しくなることで、「IPOの手続きを担う主幹事証券会社の目線は時価総額200億円程度になるだろう」(ベンチャーキャピタル=VC=幹部)との声がある。上場したくても証券会社がつかない「証券難民」の企業が増えると指摘する。
創業期から株式を保有する経営者やVCにとっては、上場時に株式を一部売却して現金を得る機会が遠のくことにもなる。上場前でも企業が十分な資金を調達できる手段が求められており、未上場株の投資家間の売買を活発にする仕組みなども必要になる。
日本には未上場企業の株式を自由に売買できる市場が事実上存在しない。特定の条件を満たしたプロ投資家向けに未上場株を販売するための制度もあるが、大手証券での利用例は野村証券による3件だけだ。
米投資銀行グリーンヒルによると、世界の未上場株の2次流通市場での売買金額は23年に1100億ドル程度(約16兆円)と10年で4倍弱に増え、スタートアップ成長の原動力につながっている。日本でも仲介業務に参入する企業の要件緩和が進むが、担い手は規模の小さいスタートアップが中心だ。
東証は単に規制を厳しくするだけでなく企業への伴走支援が欠かせない。バイオベンチャーなどが成長投資を抑制しないように、時価総額40億円以上のグロース企業については、あらかじめ決められた利益基準を満たさなくてもスタンダード市場への移行を申請できるようにする。セミナーの開催や機関投資家との接点づくりなどでもサポートする。
トヨタ、日野自を持ち分法適用外に 水素連携を優先 単独支援に限界[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1437文字 PDF有 書誌情報]
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合の最終調整に入ったことで、それぞれの親会社であるトヨタ自動車と独ダイムラートラックの協業も本格始動する。商用車事業の支援に加え、水素領域も共同で取り組む。競争法上の規制対応のため、日野自はトヨタの持ち分法適用会社から外れる見込みだが、トヨタは協業で得られる実利を優先する。(1面参照)
「ダイムラートラックからは水素活用を絶対に実現するという熱い思いを感じる。どのような形の提携になるか、日野自・三菱ふそうの件も含めて議論している」。トヨタ幹部は2月中旬に話した。当時、両社の経営統合は期限を定めず延期となっていたが、ダイムラートラックとの提携には意欲を示していた。
経営統合は2023年5月に公表し、トヨタとダイムラートラックも加えた4社による協業の枠組みを計画していた。24年中の経営統合完了を目標としていたが、日野自のエンジン認証不正や競争法への対応で延期となっていた。
経営統合は日野自と三菱ふそうを完全子会社とする持ち株会社を立ち上げる計画だ。トヨタの持ち株会社への議決権比率は20%弱になる見通しだ。日野自は現在、トヨタの子会社だが、両社の関係は薄まることになる。
トヨタは1966年に日野自と業務提携を結び、2001年に子会社化した。日野自はトヨタグループのなかで商用車戦略の中核を担ってきた。ただトヨタの佐藤恒治社長は経営統合を発表する記者会見で、日野自の製品開発に触れて「(トヨタの)ノウハウを生かすことが難しい。日野自を支えることに対する限界もあると正直思っている」と話していた。
今回の4社の枠組みで、トヨタは「限界」を認識した商用車に加え、水素の領域でも統合効果を得られる。ダイムラートラックもトヨタと同様、水素領域へ注力している。
水素利用はトヨタが先行して燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を投入したものの普及が進んでいない。トヨタは普及に向けて陣営作りを進めており、独BMWとも提携している。
ダイムラートラックは液体水素で走るFCVトラックの開発も進めている。水素は気体だとエネルギー密度が低く、航続距離が短くなるのが課題とされる。液化すると密度は高まるが、マイナス253度で管理する高い技術が必要となる。
ダイムラートラックは川崎重工業と欧州での液体水素の供給網(サプライチェーン)構築に向けた調査を進める覚書を締結している。中東を中心に欧州域外で作った水素を運んで欧州で利用する計画だ。トヨタもまだ、液体水素で走るFCVは実用化していない段階だ。
商用車は定まったルートで運行し、充填設備も整備しやすいことから、水素普及のカギを握る。トヨタも商用車を起点に水素の普及を進める戦略を描く。商用車の次世代技術開発を手がける国内自動車メーカーの共同出資会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」(CJPT)に一部出資し、水素で走る商用車の技術企画を進めている。
トヨタ幹部は2月、日野自の統合構想について「統合後も役割を果たさなければならないと思っている」と話していた。4社による枠組みは、トラックと水素というトヨタが単独では限界と認識していた領域への打ち手となり得る。
「4社で水素モビリティーの普及を商用車から加速させていきたい」(佐藤社長)。日野自との関係は薄まるものの、トヨタは水素の普及へ新たな枠組みへ動く。水素普及を含めての統合効果が今後の焦点となる。
「名ばかり」成長企業にメス――グロース企業、M&Aに活路[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1391文字 PDF有 書誌情報]
東証グロース市場の新たな上場維持基準案の決定を受け、低成長を打破し、基準を達成するためグロース企業を対象としたM&A(合併・買収)が増える可能性がある。
「かなりの数のグロース企業に証券会社やファンドからM&AやMBO(経営陣が参加する買収)の提案が届き始めた」。ベンチャーキャピタル(VC)大手ANRIの佐俣アンリ代表パートナーは明かす。M&A仲介サイトのM&Aクラウド(東京・千代田)にも直近で前年同期の2倍以上の相談が寄せられているという。
IT(情報技術)エンジニアを仲介するTWOSTONE&Sons(ツーストーン)は企業の買収に積極的に乗り出す。今回の基準厳格化を機に身売りなど、なんらかの対応が想定される企業に「御社はどうするのか」と持ちかけ、買収を提案していくという。
グロース企業は株価の底上げにはM&Aなど新たな成長戦略などに取り組んでいくことになるが、新基準の達成は容易ではない。空き部屋のシェアリングサービスを手掛けるスペースマーケットの重松大輔社長は「上場維持のハードルが上がれば上場が必ずしも是ではないという判断もあり得る」という。
株式の非公開化も有力な選択肢となる。あるAI(人工知能)企業の最高財務責任者(CFO)は「上場維持をめざすが成功するとは言い切れない。他の企業の傘下に入るなど『プランB』も検討しなければならない」と漏らす。
東証グロース市場指数は東証による2022年4月の市場区分の再編以降、1割以上下落している。資本コスト改革などへの期待から3割上昇したプライム市場指数に比べて見劣りする。
新規株式公開(IPO)にも影響が広がり始めた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券でスタートアップ支援業務を手掛ける高橋照典氏は「IPOの段階で100億円に届かなさそうな企業は一定の規模が視野に入ってから上場をめざすように変わりつつある」と語る。複数の企業が上場延期を検討しているという。
東証は新陳代謝を促す米国型の新興市場への改革をめざすが、取引所が基準を厳しくするだけで、ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)が多く誕生するようになるほど話は単純ではない。
日本経済新聞社の24年調査によると、現在、国内のユニコーン企業は5社にとどまる。
「スタートアップ大国」である米国と新興企業の育成環境の差は何か。1つはリスク資金を投じる担い手の少なさだ。KPMGによると年間のVC投資額(24年)は米国で年約30兆円に対し、日本では約8000億円にとどまる。日本では大型の機関投資家の関与が弱く新興投資に及び腰だ。
VCに起業経験者が少なく、投資先の経営に深く関与して事業を育てる支援者の不足もある。独立系VCから出資を受ける未上場企業の経営者は「伴走して経営を支援するとうたうVCは多いが役立つ助言をもらうことは少ない」とこぼす。
起業をめざす層が薄いことも響く。国際調査「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)」によると、3年以内に起業を計画する成人比率は日本で9.3%と米国(22.5%)に見劣りする。海外市場に挑戦する起業家が少なく、国内市場のパイを競う企業が乱立する。
企業の新陳代謝を促す東証改革はもちろんだが、リスク資金の出し手や経営を助言する起業家仲間といったエコシステム(生態系)の形成が欠かせない。
ボーイング、航空ソフト売却1.4兆円 米ファンドに 財務体質の改善図る[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 3ページ 436文字 PDF有 書誌情報]
【ヒューストン=大平祐嗣】航空機大手の米ボーイングは22日、デジタル航空ソリューション事業の一部を米投資ファンドのトーマ・ブラボーに売却すると発表した。売却金額は105億5千万ドル(約1兆4800億円)となる見込み。ボーイングは売却益で財務体質を改善し、航空機製造などの中核事業に専念する。
航空ナビゲーションなどのソフト事業の一部を売却する。2025年内に完了する見込み。ボーイングのデジタル関連部門には世界で3900人が働いている。社内に残る事業と売却する事業に分かれる。売却後も両社でデータを共有し連携していく。
ケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は「バランスシートを補完し、投資適格の信用格付けを優先させる戦略の重要な要素だ」と売却目的についてコメントした。
ボーイングは相次ぐ事故で品質問題が発覚するなど、24年12月期に6期連続の最終赤字に陥った。昨年は賃金水準を巡り労働組合もストライキを起こした。新CEOが昨年8月に就任し経営再建を進めている。
グロース市場 企業統治の水準など緩く(きょうのことば)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 3ページ 437文字 PDF有 書誌情報]
▽…東京証券取引所が2022年4月に設けた高い成長可能性を持つ新興企業向けの株式市場。150人以上の株主数、流通株式時価総額5億円以上など一定の条件を満たせば、損益が赤字の企業でも上場できる。プライム、スタンダードなど東証の他の市場区分に比べて求められているガバナンス(企業統治)などの水準が厳しくなく、成長途上のスタートアップでも上場しやすい。
▽…22年に市場区分を見直す前は東証1部、2部、マザーズ、JASDAQの4つの市場があり、マザーズに上場すると有利な条件で東証1部などに移行できる優遇措置があった。「成長企業の通過点になってしまう」といった課題も出てきたため、こうした優遇措置をなくし、独立した上場基準で審査するグロース市場を創設した。
▽…しかし市場再編後も実態は大きく変わらず、小粒で上場した後に成長が鈍化する企業が多い。22日時点で約610社がグロース市場に上場するが、時価総額が1000億円を超えるのはスポットワーク仲介のタイミーなど10社程度に限られる。
物価高対策、当座しのぎ ガソリン10円下げ、来月22日から 脱炭素推進に逆行[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1770文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は22日、物価高やトランプ米政権の関税への対策としてガソリン価格を5月22日から1リットルあたり10円引き下げると表明した。電気・ガス料金の補助も7月から再開する。参院選をにらみ与党が要求する家計負担の軽減を打ち出した。
首相官邸で記者団に「現在の1リットル185円程度の水準であれば175円程度になる。ウクライナ侵略開始直後の価格に下げられる」と述べた。
急激な価格変動を抑えるため、最初の週の補助額は価格の変動が5円になるよう調整する。重油と灯油についても5円、航空機燃料は4円引き下げる。財源は1兆円ほどの残高がある既存の基金を活用する。
首相の表明に先立ち、自民党の森山裕、公明党の西田実仁両幹事長が都内で会談し、ガソリン価格の引き下げを政府に求めると確認した。電気・ガス料金の補助も7月から9月までの実施を働きかけると一致した。政府・与党が迅速に連携する演出だった。
物価高対策のニーズは高い。日本経済新聞社が19~21日に実施した世論調査で、優先的な対応を求める政策のトップは物価対策の51%で、3月調査から11ポイント上昇した。参院議員から対策を求める声が強まっている。
全国民への一律4万~5万円支給案も浮上したものの、「バラマキ」との批判が相次いだ。野党の協力を得るメドがたたず補正予算による給付の案は立ち消えになった。
首相は当面の物価対策は策定済みという認識だった。3月末に成立したばかりの25年度予算と、昨年末の24年度補正予算に対策は盛り込んであった。20日のNHK番組「日曜討論」では家計支援のメニューをイラスト付きで説明した。
低所得者世帯向けの3万円の給付や、所得税減税による1人2万~4万円の負担軽減、育休給付の拡充などを強調した。低所得者向け給付は5月までにほぼ全自治体で支給が始まると即効性もアピールした。
ガソリン価格の引き下げや電気・ガス代補助の再開は、これらに追加する形になる。トランプ関税への懸念が強まるなか、地方などで実感を伴う対策を講じざるを得なくなった。
現行制度のガソリン補助は価格を1リットル185円ほどに抑える仕組みだ。原油安と円高進行によって小売価格が185円を下回り始め、補助金依存からの脱却がようやく見えてきたところだった。
新たな補助はガソリン車の利用につながり、脱炭素に逆行する面がある。首相はガソリンに上乗せされる旧暫定税率の扱いが決まるまでの対応だと説明し、終了時期を明らかにしなかった。
電気・ガス代の補助も与党の要求を踏まえて7~9月に実施する。電気代は脱炭素エネルギーの拡大によって化石燃料への依存を減らし、料金抑制につなげるのが本筋だ。補助再開は原子力発電所の再稼働などに向けた機運をしぼませかねない。
コメ政策も同様な課題がある。自民党が22日に首相へ渡した提言はコメ価格の高騰に対処するため、夏まで備蓄米の放出を続けるべきだと記した。日米関税交渉でコメを含む農産品がテーマに上がっている状況にもかかわらず、コメ農家の生産性向上のような改革への言及は乏しい。
「令和のコメ騒動」と呼ばれる供給不足や価格高騰が起きた背景には、値崩れしないように供給量を絞ってきた長年の政策がある。「減反政策」を18年に終了した後も補助金を通じた実質的な生産調整が続く。海外市場も視野に入れて生産余力を取り戻す改革への方向性は見えない。
経済対策はこれで打ち止めとは限らない。政府はトランプ米政権との交渉を見極めて必要があればもう一段の関税対策を練る方針だ。一律給付案が消えた後、与野党では消費税の減税論がくすぶり続けている。
公明党の西田氏は22日の記者会見で消費税の軽減税率8%に触れ「食料品はゼロにしてもらいたいという声が大変多くなっている」と語った。
首相の意向は読みにくい。18日の党会合では消費税に関し「社会保障の財源の重要性はより増していく」と述べた。消費税減税に否定的な発言とみられるが、これまで慎重姿勢を示す一方で、完全否定は避けてきた。
4月初めに松山政司参院幹事長と首相官邸で会談した際は「野党に転落したら何もできなくなる。腹をくくるときはくくる」と含みを持たせる発言があったという。
【図・写真】記者団の取材に答える石破首相(22日、首相官邸)
老朽インフラ管理、国主導 市町村から転換、デジタル活用促進 広域運営でコスト削減[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1191文字 PDF有 書誌情報]
政府は国主導でインフラの老朽化の対策に乗り出す。石破茂首相は22日に開いたデジタル行財政改革会議で上下水道などのインフラを広域で管理するよう関係閣僚に指示した。維持・管理にかかるコストの削減や人材の確保につなげる。デジタル技術の活用を支援し、事業の効率を高める。
首相は「2050年を見据えたあり方を検討してほしい」と強調した。インフラを市町村ごとに細かく管理するのでなく、都道府県や、都道府県をまたいだ単位で運営し、国が関与しやすくする方策を探る。
埼玉県八潮市で1月下旬、下水道管の破損をきっかけに道路が陥没する事故が起きた。老朽化しているインフラをどう管理するかが課題になった。
水道法は水道事業の運営の主体を原則、市町村と定めている。市町村の同意を得た場合、都道府県や民間事業者なども経営することができる。
現状は水道や道路などインフラの管理は市町村任せになっている。下水道の処理場では8割、道路と橋は7割程度を市町村などが管理・運営している。
道路や橋、トンネル、河川、水道、港湾などのインフラの多くは1950~70年代の高度経済成長期につくられた。耐用年数を過ぎたものも多い。
国土交通省によると、建設後、50年以上経過したインフラの割合は今後、加速度的に高くなる。2040年には道路橋で75%、港湾施設で68%、下水道で34%になる。
インフラの整備と維持・管理には膨大な費用がかかる。多くの地方自治体は人口減少が進んで財政が厳しい。予算を潤沢に確保することはすでに難しくなっている。このままでは財政難とインフラの老朽化が同時に進行する。
政府は4月、26~30年度に実行する国土強靱(きょうじん)化の次期5カ年計画の素案を公表した。事業規模は25年度までの現行の5カ年計画よりも約5兆円多い20兆円強に増やす。
素案で示した324の施策のうち、ライフラインの強靱化や地域の防災力の強化など116は「特に推進が必要」だと強調した。
複数の市区町村、都道府県が共同でインフラの経営を担えば、発注や維持・管理のコストを減らせる。単独では獲得が難しい専門的な人材を確保しやすくなる利点もある。
課題の解決には広域連携に加えてデジタル技術の活用も欠かせない。首相は2月のデジタル行財政改革会議で、人工衛星データやドローンを使って漏水のリスクを検知する技術を3年程度で全国すべての自治体で実用化するよう指示した。
1700ほどある全国の自治体の上下水道事業でデジタル技術の活用を推進する。人工知能(AI)が管の劣化度を判定して水漏れのリスクを検知したり、人工衛星から電磁波を放射し、跳ね返ってきた電磁波を分析して漏水部分を特定したりする。
デジタルを通じて自治体が業務やデータの共通化を進めれば広域の管理にも相乗効果をもたらす。優れた技術やノウハウは積極的に横展開する方針だ。
米関税巡る交渉「日韓で意思疎通を」 駐日韓国大使「互いに準備」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 736文字 PDF有 書誌情報]
韓国の朴喆熙(パク・チョルヒ)駐日大使は22日、都内で日本経済新聞のインタビューに答えた。トランプ米大統領の関税政策を巡る交渉について「あまり焦らない方がいい。韓国と日本は意思疎通をし、互いに相談しながら準備をする必要がある」との認識を示した。
朴氏はソウル大などで日本政治の研究に携わり日本の政財界に人脈を持つ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権下では大統領の外交ブレーンを務めた。2024年8月の着任後、日本メディアとのインタビューは初めて。
日韓は自動車・鉄鋼など対米輸出が多い品目が共通し、エネルギー需要や駐留米軍の費用負担など類似の課題が多い。
関税交渉を巡り「同盟国の米国に背を向けることはできない。緻密に準備をし、忍耐力を持って対話をすべきだ」と指摘。自由貿易体制を守るため、日韓は歩調を合わせる必要があると説いた。
包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)など多国間の自由貿易の枠組みが重要だと強調した。貿易の非関税障壁の撤廃など枠組みの維持や発展に向けて「日本はリーダーシップを発揮できる」と語った。
日韓関係は元徴用工問題の解決策を決めた尹政権の下で急速に改善した。「韓日が協力しないとお互いに損をする。協力は選択ではなく必須だ」と述べ、6月に発足する韓国の新政権下でも良好な関係を維持する努力を続けるべきだと訴えた。
韓国政府は政府傘下の財団を通じて元徴用工に賠償金や遅延利息を支払っている。財団の資金は枯渇状態にあり、かねて日韓の企業の自発的な寄付に期待する声がある。
朴氏は石破茂首相の外交姿勢を評価したうえで「韓日関係が揺らがないよう日本も誠意ある呼応措置をとり、問題を沈静化する努力を共にするのが望ましい」と話した。
【図・写真】朴喆熙氏
戸籍の読み仮名、通知書を公表 来月から全国民に郵送[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 268文字 PDF有 書誌情報]
法務省は22日、戸籍に記載する氏名の「読み仮名」の通知書を公表した。5月以降、本籍地のある市区町村から全国民向けに郵送する。読み仮名に誤りがないか確認してもらう。
戸籍に読み仮名表記を必須とする改正戸籍法が5月26日に施行する。1年以内に本人や親権者から修正の届け出がなければ自動的に戸籍に記載される。
修正を求める場合は自治体の窓口やマイナンバーカード所有者の個人向けサイト「マイナポータル」で届け出る。
鈴木馨祐法相は22日の記者会見で「国民への周知や広報に努めつつ、市区町村とも連携して円滑な運用開始に万全を期したい」と話した。
新駐日米大使が首相表敬「より安全なインド太平洋へ」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 262文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は22日、首相官邸で米国のジョージ・グラス新駐日大使の表敬訪問を受けた。冒頭にあいさつし「日米同盟がさらに強固になるよう手を携えて、世界のために力を尽くしていくことを期待している」と述べた。
首相は日米の関税交渉に関し「日米双方の利益になる幅広い協力を進めていきたい」と話した。グラス氏は首相の考えに賛同したという。北朝鮮の日本人拉致問題についても意見を交わした。
グラス氏は表敬後、記者団に「安全保障の面で我々は一緒に取り組むべきことがある。より安全、安心で平和なインド太平洋を築けると確信している」と語った。
ガソリン補助金、国民・玉木氏が批判 「選挙近いからは姑息」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 233文字 PDF有 書誌情報]
国民民主党の玉木雄一郎代表は22日の記者会見で、ガソリン価格を1リットルあたり10円値下げする政府・与党の方針について言及した。「選挙が近づいたから補助を復活し、10円下げようというのは姑息(こそく)だ」と批判した。
自民、公明両党と国民民主は4日にガソリン価格を定額で引き下げる方針で合意した。国民民主は補助金ではなく、ガソリン税の旧暫定税率の廃止を求めている。
玉木氏は夏の参院選後の政権のあり方を問われ「手取りを増やすような枠組みであれば協力する」と話した。
立民、食料品の消費税「ゼロ」賛成多数 あすにも党内提案[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 213文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党は22日、国会内で党の税制調査会などの合同会議を開き、夏の参院選に向けた経済政策について議論した。食料品の消費税を時限的にゼロにし、中低所得者向けの税額控除に移行する案への賛成意見が多かった。
食料品の消費税ゼロのほか、中低所得者の消費税負担を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」と、消費税率を一律で5%に引き下げる3つの案を24日にも党の政策を決める「次の内閣」(ネクストキャビネット=NC)に提出する。
4月22日(首相官邸)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 556文字 PDF有 書誌情報]
▽7時45分 公邸から官邸。
▽8時1分 閣議。14分 犯罪対策閣僚会議。
▽9時31分 ジョージ・グラス新駐日米大使による表敬。橘官房副長官同席。
▽10時24分 皇居。内奏。
▽11時13分 官邸。14分 原内閣情報官。31分 党「出産費用等の負担軽減を進める議員連盟」の小渕優子会長から提言書受け取り。
▽12時 党「米国の関税措置に関する総合対策本部」の小野寺五典本部長から提言書受け取り。
▽13時8分 東京・元赤坂の赤坂御苑。妻佳子さんと共に春の園遊会に出席。
▽14時16分 官邸。
▽15時 橘副長官、小林内閣広報官、松原駐ルクセンブルク大使、外務省の鯰外務審議官、北川欧州局長、加野防衛審議官。45分 小池百合子東京都知事、大村秀章愛知県知事から米国の関税措置に関する要望書受け取り。長島補佐官同席。
▽16時11分 小野寺政調会長、岡本三成公明党政調会長からガソリン価格の引き下げに関する提言書受け取り。36分 公明党「米国関税措置対策本部」の岡本三成本部長から提言書受け取り。
▽17時4分 デジタル行財政改革会議。
▽18時 国家安全保障会議。
▽19時2分 武藤経産相、飯田経産次官、村瀬資源エネルギー庁長官。25分 報道各社のインタビュー。32分 公邸。40分 中谷防衛相らと会食。
▽21時18分 全員出る。
自衛隊、ミャンマーで活動終了 大地震で物資輸送(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 120文字 PDF有 書誌情報]
中谷元防衛相は22日の記者会見で、ミャンマー中部で発生した地震を受けて現地に派遣していた自衛隊の活動が終了したと発表した。8~9日に航空自衛隊の「C130」輸送機で日本から医薬品や検査薬などを運んだ。輸送後も機体は日本国内で待機していた。
維新、旧姓使用の法案骨子議論 提出は未定(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
日本維新の会は22日、国会内で会合を開き、旧姓使用に法的根拠を与える法案の骨子を議論した。戸籍法を改正し、戸籍に結婚前の氏を記載できるようにする。法案を提出するかどうかは他党の動向や国会状況を踏まえて判断する。
自民、西村氏を支部長に選任 不記載処分が満了(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
自民党は22日、旧安倍派の西村康稔元経済産業相を次期衆院選の公認候補となる兵庫9区の支部長に選任した。西村氏は党派閥の政治資金問題をめぐり1年間の党員資格停止の処分を受け、3日に処分が満了した。
立民、衆・参院選3人公認(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党は22日の常任幹事会で、次期衆院選に2人、夏の参院選に1人を公認候補として内定した。いずれも新人。内定者は次の通り。
【衆院】栃木3区 伊賀央▽静岡5区 外山和之
【参院】大阪 橋口玲
首相、東京・愛知知事と面会 関税対応や中小支援(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は22日、首相官邸で東京都の小池百合子知事、愛知県の大村秀章知事と会談した。両知事は政府に対して米国の関税政策の見直しに向けての交渉や、中小企業への支援を要望した。
超党派議連が靖国参拝 春季例大祭に合わせ(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 70文字 PDF有 書誌情報]
超党派の議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーが22日午前、東京・九段北の靖国神社を春季例大祭に合わせ一斉参拝した。
れいわ、参院兵庫に新人(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 4ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
れいわ新選組は21日、夏の参院選兵庫選挙区(改選数3)に元大学教授の新人米村明美氏を擁立すると発表した。
コメ無関税枠「ミニマムアクセス」、米国向け設定 輸入拡大へ7万トン案、政府検討 農相は反発「食料安保懸念」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1080文字 PDF有 書誌情報]
日米関税交渉で政府が米国産のコメ輸入拡大を検討している。日本が無関税で輸入する「ミニマムアクセス(MA)」の枠内に米国産の特別枠として7万トン前後を新設する案がある。トランプ米大統領がコメなど農産品に日本が高い輸入障壁を設けていると主張していることに対応する。
米国との関税交渉を担う赤沢亮正経済財政・再生相は月内にもベッセント米財務長官らと次回の協議を調整している。米国が日本に課す一連の関税措置の撤廃に向け、「パッケージとしての合意」(赤沢氏)を目指す。米国産米の輸入拡大を交渉カードの一つとして考えている。
日本はMA米として国外から年77万トンほどを関税ゼロで輸入している。枠を超えて輸入する場合は1キログラムあたり341円の関税が課される。
農林水産省によると、2024年度のMA米の輸入量は76.7万トン。売買同時入札(SBS)などの結果、米国産は全体の45%にあたる34.6万トンと最多だった。現状は国ごとに割り当てはないが、米国産の輸入枠を個別に設ける案がある。
日本はガット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づき、コメの輸入許可制を1995年に変えた。無関税の輸入枠は世界貿易機関(WTO)ルールに基づいて設定され、見直しには全加盟国の合意が必要となる。
2016年に署名した環太平洋経済連携協定(TPP)では米国から最大7万トンのコメを関税ゼロで輸入する枠を設定する予定になっていた。米国はTPPに残っていれば、この枠を得られた。
しかし、トランプ政権1期目の17年に米国はTPPから離脱した。19年に結んだ日米貿易協定では、米国産米の輸入枠の設定は見送りとなった経緯がある。
輸入枠の拡大を巡っては、22年に米国産牛肉を輸入しやすくなるよう、関税を引き上げるセーフガード(緊急輸入制限)の発動要件を日米間で見直した。発動基準となる輸入量を33年度までに29万3000トンに段階的に増やすことで合意したことがあった。
主食であるコメの輸入拡大に関しては反対意見も少なくない。
江藤拓農相は22日の閣議後の記者会見で、米国産米の輸入を拡大する案について「食料安全保障の確立や国民の将来への不安に寄り添うことになるのか大いに疑問だ」と否定的な見解を示した。「主食で自給可能なコメを海外に頼ると国内生産が大幅に減少しかねない」と指摘した。
今夏に参院選を控え、自民党内には支持層であるコメ農家の反発を懸念する声が根強い。政府が輸入拡大に踏み切るには米国との交渉だけでなく、与党との調整も欠かせない。
【図・写真】記者会見する江藤農相(22日、農水省)
大学の先端技術は「営業秘密」 経産省、6年ぶり指針改定 AIや量子、漏洩防止[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1068文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省は大学や研究機関が持つ先端技術などの漏洩を防ぐため指針を改定した。不正競争防止法の保護対象となる「営業秘密」に該当すると明記した。人工知能(AI)や量子といった先端分野は国際共同研究など外国人の関与なしに成り立たない。研究の奨励と権威主義国への技術流出防止の両立を促す。
経済安全保障上の機密情報を扱う人を限定する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度を創設する重要経済安保情報保護・活用法が5月16日に施行される。企業や研究機関にも一層の情報保全が求められることを踏まえ、不正競争防止法による対策も強める。
経産省が不正競争防止法の保護を受けるために最低限必要な対策を示す管理指針を6年ぶりに改定した。
営業秘密の管理や保護の対象である「事業者」は「大学・研究機関についても該当し得る」と明確にした。従来は民間企業を念頭に置いた記載が目立っていた。
背景の一つに産業技術総合研究所の中国籍の研究員が自身の研究データを中国企業に漏らした事件がある。元研究員は研究データは営業秘密に該当しないなどとして無罪を主張したが、東京地裁は2025年2月に有罪判決を言い渡した。
不正競争防止法は営業秘密を(1)秘密としての管理(2)事業活動に有用な技術や情報(3)一般には知られていない――の3条件を満たすものと位置づける。地裁判決は営業秘密に当たると判断した。
経産省によると、過去にも同様の判例の積み重ねがあるという。指針改定によって明確にし、再発防止を徹底する。
研究者の間では研究成果が自身のものとの考えが根強いとされる。実際は大学などの設備を使ったり秘密として管理されていたりする研究成果が多い。
警察庁によると、24年に検挙した営業秘密の侵害事件は22件だった。6年連続で20件を上回った。転職や独立の際に秘密を持ち出す事例が多い。警察への相談は79件で10年前と比べて2.7倍となった。
新しい指針にはデジタル化や新しい技術の台頭を踏まえた改定もある。サイバー攻撃などで情報が匿名性の高い闇サイト群「ダークウェブ」に流出した場合でも、営業秘密としての要件がただちに失われないとの見解を示した。
市販された製品などを分解・解析して技術情報を再現したり学び取ったりするリバースエンジニアリングに関する記載も追加した。
解析によって情報が容易に得られる場合は「営業秘密自体を公開したに等しい」と記した。一方、解析に特殊な技術や時間を要する場合は製品を市販したからといって営業秘密が公開されたとはいえないと整理した。
病床削減5.4万床申請、想定の7.7倍 厚労相、第2弾も検討[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 380文字 PDF有 書誌情報]
福岡資麿厚生労働相は22日の閣議後の記者会見で、過剰な入院用のベッドを減らした場合に支給する補助金への申請が全国で計5万4000床に上ったと明らかにした。当初は計7000床程度の削減を見込んでおり、想定の7.7倍ほどに達した。
申請数は約200の公立病院などから8000床、約1800の民間病院などから4万6000床だった。厚労省は11日、まず第1弾として全国で7170床の削減分として294億2568万円の補助金の配分を決めた。
福岡氏は第2弾以降の実施も検討すると明言し、2024年度補正予算に計上した他の事業で執行しきれなかった予算の活用などで対応すると説明した。次回は6月中旬めどに配分を決める。
補助金は人口減少を踏まえ、医療の効率化や地域の実情に合った医療提供体制への転換を促すために設けた。1床削減するごとに410万4000円支給する仕組みだ。
日米交渉、EV充電規格を議論も 経産相が言及[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 279文字 PDF有 書誌情報]
武藤容治経済産業相は22日の閣議後の記者会見で、日本独自の電気自動車(EV)充電規格を米国政府が非関税障壁だと指摘していることについて、日米交渉の「議題の俎上(そじょう)に載ってくる」との見方を示した。
交渉を担う赤沢亮正経済財政・再生相らと連携し「検討しながら情報共有する必要がある」とした。
米通商代表部(USTR)は3月末に公表した報告書で、日本のEV急速充電規格「チャデモ」を非関税障壁として挙げた。
武藤氏は、米EV大手のテスラの規格と「日本のものが異なることは承知している」と語った。その上で「私の認識では補助器具をつければ使える」と指摘した。
国保の納付率、外国人は63% 厚労省が初調査[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 212文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省は22日、外国人の国民健康保険(国保)の納付率が63%だったとの調査結果を明らかにした。世帯主が外国人の場合を抜き出して集計できる全150市区町村の集計で、初の調査となる。同じ150市区町村で日本人も含めた全体の納付率は93%だった。外国人の納付率の低さが浮き彫りになった。
自民党の在留外国人の医療に関するワーキンググループ(WG)の会合に提示した。原則として2024年4~12月の金額ベースで納付率を調べた。
2040年の情報通信、時給6362円に倍増 経産省推計[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 208文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省は22日、同省などがまとめた2040年の産業構造ビジョンを産業構造審議会(経産相の諮問機関)に提示した。40年までに国内設備投資を年200兆円に高める官民目標を実現すれば、情報通信業の1時間あたりの名目賃金が6362円になると推計した。現状の2倍となる。
成長投資で生産性が上がり、付加価値が高まるとみる。
独立行政法人の経済産業研究所と共同で設備投資200兆円を前提とした40年の推計モデルを構築した。
AIで職業紹介、9月メドに全国10カ所で実験 厚労省[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 203文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省は22日、職業紹介に人工知能(AI)を活用する実証実験を9月メドに始めると発表した。全国10カ所のハローワークが対象となる。職員の勘や手作業に頼っていたマッチング業務の効率向上につなげる。
実証実験では、AIが過去3年間にハローワークを利用した求職者と企業からの求人のデータを学習する。
希望する給与や勤務地といった条件を入力すると、就職する可能性が高いとAIが判断した順番で求人を並べて示す。
日米交渉、EV充電規格を議論も 経産相が言及――車の衝突試験、国連基準と反論 トランプ氏批判で国交相[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 202文字 PDF有 書誌情報]
中野洋昌国土交通相は22日の閣議後の記者会見で、自動車の安全基準を巡ってトランプ米大統領が日本で実施している車のボンネットに球体を衝突させる試験を「ボウリング球試験」と呼んで批判していることに反論した。「国連で策定された基準」だと説明した。
日本での衝突試験は事故時の歩行者の頭部保護につながる車体性能を確認するため実施している。トランプ氏は自身のSNSで「非関税障壁による不正」の1項目としてあげた。
「緩やかに回復」景気判断を維持 財務省、4月報告[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 129文字 PDF有 書誌情報]
財務省は22日、4月の経済情勢報告をまとめた。全国の景気判断は「緩やかに回復しつつある」と据え置いた。2023年10月以降、7四半期連続で据え置いた。11地域すべてで3カ月前と同じ判断だった。製造業からはトランプ米政権による関税措置を懸念する声が目立った。
M&A増で経済安保リスク 経産省、頼りは国内ファンド(底流)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 5ページ 924文字 PDF有 書誌情報]
「経済安全保障の確保に価値を見いだす金融機関との連携を深めることも重要」
経済産業省は15日に開いた非公開の有識者会議で、経済安保について官民で取り組む行動計画の見直し方針を示した。現行の行動計画にはなかった「金融機関との連携」を新たに盛り込んだ。
計画の見直しについての会議のパワーポイント資料は100ページ以上あった。そのうち金融機関との連携について触れているのは1ページだけだ。それでも民間の企業経営者や学識者も含めて議論が白熱したのはここだったという。
経産省の念頭にある金融機関はプライベートエクイティ(PE)などを対象とした国内投資ファンドのことだ。
日本企業が関わるM&A(合併・買収)の件数は過去最多ペースで増えており、それに伴って技術流出リスクも高まっていることが背景にある。
特に「時価総額10億ドル(約1400億円)未満の中堅の製造企業の場合、株式市場の評価が割安にとどまっているケースが多い」(経産省幹部)。中国も含めた外国の投資家から目をつけられやすい。
教訓となった案件がある。2024年に民事再生法の適用を申請した、とある中堅の電子部材メーカーの事例だ。次世代高速通信にも利用される部材で、安全保障上の観点から管理すべき技術の対象にもなっている。
過大な投資や事業環境の悪化がたたって資金繰りが悪化したところ、海外との関係の深い企業が近づいてきたという。結果的に再生法を申請して国内ファンドの下で再建を進めることになり、技術流出の懸念は回避した。
海外からの投資を巡っては、安全保障上の問題になりうる取引を制限できる外為法の規制もある。ただ、外為法を厳しく運用しすぎれば自由な投資環境を損ねて経済の活力もそぎかねない。
日本のPE市場は他の先進国に比べて小さい。日本プライベート・エクイティ協会によると、経済規模に比べてドイツや米国の2分の1から3分の1程度にとどまる。
企業が持つ技術の価値を目利きできる国内ファンドなどがより存在感を高めることになれば、技術を抱える企業の価値と市場の活性度を両立できるとの算段がある。経済合理性か、安全保障か。経産省はブレーキとアクセルの微妙なさじ加減を模索している。
(牛込俊介)
年金なき氷河期支援は形骸だ 論説委員 柳瀬和央(中外時評)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1616文字 PDF有 書誌情報]
夏の参院選をにらみ、石破茂政権や野党が就職氷河期世代の支援策づくりを急いでいる。だが「不遇の世代」に追い打ちをかける年金の目減り問題に取り組まないなら、どんな対策も形骸でしかない。
首相は4月19日、氷河期世代など就労に困難を抱える人への支援策を練る閣僚会議を近く設置すると表明した。2026年度政府予算案の編成に向けた経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込むのだろう。国民民主党や立憲民主党も氷河期世代への支援を打ち出そうとしている。
氷河期世代は1973~82年生まれが中心で、現在は40歳代~50歳代前半。バブル崩壊後の1990年代半ばから2000年代にかけて就職活動の時期を迎えた。IT(情報技術)バブル崩壊や世界金融危機で企業の新卒採用は少なく、フリーターに流れる人も目立った。
経済が好転するにつれて正社員になる人は増えた。特に男性の正社員率は30代半ばごろには9割を超え、他世代と遜色ない水準にある。
ただし、彼らは企業が65歳までの雇用延長の対策として賃金カーブをなだらかにした影響を強く受けた世代でもある。上の世代と比べると、勤続年数が上がっても給与は増えにくくなった。
人手不足が深刻化した近年は初任給を含めた若年層の給与引き上げ競争が起きているが、この流れも届かない。上のバブル世代との昇進格差もあり、処遇面でも「不遇の世代」になっている。
そんな世代が引退したときに待ち受けるのが年金の目減りだ。現状を放置すると、全国民共通の1階部分である基礎年金の水準は、氷河期世代が年金生活に入る40年以降に今より3割も下がる。
年金の受取額は過去に納めた保険料の累積で決まる。低収入の非正規雇用に置かれた期間が長い人は報酬比例の2階部分が薄くなり、基礎年金への依存度が高くなる。正社員でも勤め先に事業主負担がある厚生年金が適用されていなかったり、給与が長く伸び悩んだりすれば、やはり同様の構図になるだろう。
頼みの綱の基礎年金が3割も下がれば、老後の生活は厳しくなる。生活保護との逆転が強まり、保護を申請する人が急増しかねない。
基礎年金が目減りする理由に氷河期世代の自己責任の要素はまったくない。すべて年金制度のあり方に起因する。少子高齢化を乗り切る対策として04年改革で導入した給付抑制に失敗したツケが、狙い撃ちしたかのように同世代に回ってしまうのだ。
少子高齢化が進む局面で年金を持続させるには世代間で痛みを分かち合う給付調整が避けて通れない。04年改革は23年までの19年間、年金の給付水準を毎年少しずつ下げることで財政余力を生み出し、それ以降は04年比で84%の基礎年金を将来にわたって安定的に確保する計画だった。
ところが現実はそうならなかった。24年までの20年間で給付水準は下がるどころか逆に上昇してしまい、財政は悪化した。デフレの長期化を想定しない制度設計になっていたため、物価・賃金の低迷局面で調整措置を発動しない規定があったり、賃金が物価よりも落ち込んだ局面で物価に合わせた年金額改定を行ったりしたことが原因だ。
04年改革の趣旨に反して年金を払いすぎたことが基礎年金が最終的に3割も目減りする原因なので、その対策は足元の年金水準を是正するのが筋のはずだ。政府が厚生年金の積立金を回して基礎年金を底上げする案を目指した真意もおそらくそこにある。実施すると厚生年金の水準は2039年まで、現行制度が続く場合よりも下回る。
ところが、自民党議員の一部は是正措置の影響を受ける国民の反発を恐れ、この案を了としなかった。年金制度改正案の国会提出を急ぎたい厚生労働省は、基礎年金の対策を断念し、法案から削除せざるを得なくなった。
氷河期世代は厳しい雇用の中でも団塊の世代やその上の世代の年金を支えてきた。その彼らが老後に受ける理不尽を放置して支援もへったくれもないだろう。氷河期世代はもっと怒っていい。
米金融、阻まれる世界制覇 USマネージング・エディター ブルック・マスターズ(FINANCIALTIMES)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 7ページ 0文字 書誌情報]
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野村、資産運用で米進出 豪大手から子会社買収 目標の1兆ドルに前進[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1248文字 PDF有 書誌情報]
野村ホールディングス(HD)が資産運用ビジネスで米国に本格進出する。22日に世界大手運用会社、オーストラリアのマッコーリー・グループから米子会社などを買収すると発表。2030年に運用資産1兆ドルを目指す目標へ前進する。
市場平均より高い成績をめざすアクティブ運用を手がける米欧の子会社を18億ドル(約2500億円)で取得する。買収事業の運用資産残高はおよそ1800億ドルで、株式が5割、債券が4割を占める。地域別にみると米国が9割にのぼる。
奥田健太郎社長は22日のオンライン記者会見で「米国内でしっかりとした運用ビジネスを根を張って続ける意味で大きな転換点にしたい」と強調した。奥田氏は2020年の就任以来、海外事業拡大に向けて資産運用会社の買収を経営目標に掲げてきた。
米株式相場はトランプ政権による相互関税の影響で下落が続いており、市場の先行きは不透明感を増す。それでも奥田氏は「足元のマーケットの動きは気になるが、中長期の観点から今回の投資は進めていくべきだと判断した」と述べた。
まず目先の効果を見込むのが、米国での金融商品の販売網の獲得だ。買収する米マッコーリー・マネジメントHDは、投資信託などを扱う米国の販社上位10社のうち9社と取引がある。米国の個人運用で存在感が増す独立系のアドバイザーにも結びつきがあり、重要なインフラとなる。
野村HDは近年、プライベートアセット(未公開資産)に特化した小規模な運用会社などを海外で取得してきたが、出口につながる販売網に課題があった。将来的には日本で野村アセットマネジメントが組成する商品を供給することも想定する。ハイイールド債や日本株を組み込んだ投資信託などが候補となる。
日本の投資家からの引き合いが強い米国株関連の商品も扱えるようになる。奥田氏は「パフォーマンスがしっかり出ている安定した商品を供給できるようになり、日本の資産運用立国にも貢献できる」と唱えた。
豪マッコーリー・グループは傘下に世界最大級のインフラ投資会社を抱えており、関係を深める狙いもある。2月には野村アセットなどと組んで米欧のインフラ資産を組み入れた日本初の公募投信を設定した。
今後はマッコーリーが運用するファンドに野村HDが出資するなど両社の協業の範囲を広げる。
奥田社長にとって運用事業のてこ入れは変動の大きい証券ビジネスからの脱却を進める上で最重要課題の一つだ。
24年4~12月期の税引き前利益の約3割は海外が占めるが、そのほとんどは投資銀行や市場取引など伝統的な証券事業だ。23年3月期は米州、24年3月期は欧州で数百億円規模の税引き前損失を計上しており、不安定な収益構造の改善がなお課題だ。
今回の米国進出を足がかりにアジアや欧州への拡大も探る。買収後、野村HDの運用残高は5900億ドルから7700億ドルに高まる。2030年に1兆ドルを超える目標を掲げている。
【図・写真】奥田社長はオーストラリア大手運用会社から米子会社などを買収すると発表した
「ヘッジファンドが変動増幅」 米金利巡りIMF警鐘[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 9ページ 707文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=三島大地】国際通貨基金(IMF)は22日、国際金融安定性報告書(GFSR)を公表した。過去10年で運用資産が約2倍に増えたヘッジファンドが、米金利の変動を一段と増幅させる可能性があると警鐘を鳴らした。
こうしたファンドは自らの資本に加え、負債を駆使して運用額を増やす。借り入れによるレバレッジ(てこ)の比率はマクロ系で自己資本の40倍、マルチストラテジーで15倍に上る。
IMFによると、2014年に2兆ドル強だったヘッジファンドの残高は24年に5兆ドル強に倍増した。高い投資リターンを受けて、とりわけ政治・経済情勢をもとに取引するマクロ系ファンドや、複数の投資戦略を束ねるマルチストラテジーファンドの存在感が高まっている。
IMFは米国の貿易政策が不透明な中で、こうしたファンドの動向を警戒している。「レポ(貸借)金利が上昇することで(ファンドの)取引の採算が低下し、米国債の強制的な売りを引き起こす可能性がある」(IMF)
米債務残高の増加も米金利相場急変動を招く懸念がある。残高は米国債の入札に参加できる「プライマリーディーラー」の資産規模の約5倍に達し、20年前の1.5倍から大幅に拡大している。
民間金融機関の引き受け余力が相対的に低下した状況では、ヘッジファンドの調達コストを高め、ポジションを逆回転させるリスクをはらんでいる。
トランプ米大統領が相互関税の90日間停止を表明した4月9日には一時、長期金利の指標となる10年物国債利回りが4.5%を上回った。IMFは「(米国の)貿易政策に対する不確実性は高く、レポ市場を含む金融市場でさらなる混乱が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らした。
物言う株主対策、人員1.3倍 みずほ信託・笹田社長 分析システムで提案強化[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 9ページ 659文字 PDF有 書誌情報]
みずほ信託銀行の笹田賢一社長はアクティビスト(物言う株主)対策の提案を強化するために専門人員を3割増強する方針を示した。2025年度中に企業の株主情報を精緻に分析し、提案に活用するデータベースも開発する。
インタビューで上場企業向けの提案サービスを強化する方針を語った。持ち合い株の解消で安定株主が減る一方、アクティビストは活発化している。笹田氏は「資本市場や株主に関わる戦略を再構築しようとするニーズが高い」と述べた。
25年度は投資家向け広報(IR)や株主との対話(SR)のコンサルティング人員を24年度比3割増やす。上場企業の株主名簿を管理する立場を生かし、膨大な株主の情報を精緻に分析できるシステムも構築中だ。
24年4月の就任以降、信託銀行を起点に企業の価値向上や事業承継を支援しグループビジネスの拡大に取り組んできた。資本効率の改善などをきっかけとする不動産関連収益は24年度に過去最高となった。
IRやSRの助言業務では、機関投資家やアクティビストの目線で企業の事業・財務面の脆弱性を分析し改善を提案する。笹田氏は「厳しいことも言うが、企業価値を上げるために一緒になって議論する」と強調する。
4月には組織体制を見直しコンサルティング部門を設置した。日本企業の97%を占めるファミリービジネス(同族企業)のガバナンス支援にも力を入れる。3月にはこのテーマの研究会が経済産業省で立ち上がり、みずほ信託から委員も出した。笹田氏は「中堅企業やファミリー企業を強くし、結果として国力の向上につなげたい」と話す。
独立系、未公開資産を直販 富裕層向け投信、売掛債権に投資[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 9ページ 402文字 PDF有 書誌情報]
独立系運用会社のベイビュー・アセット・マネジメント(東京・千代田)は22日、投資信託の直販事業を始めた。貿易時の売掛債権に投資する公募投信を販売する。プライベートアセット(未公開資産)を直販する事例は珍しい。
ベイビューは1兆円強の運用資産を持つ。2月には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から運用を受託した。機関投資家との取引が多く、個人向けは少ない。
フィンテック企業のスマートプラス(東京・千代田)から金融商品の販売に関するシステム基盤の提供を受け、オンラインで販売する。最低投資金額は100万円で、富裕層が主な対象となる。購入や換金は月に1回受け付け、解約が集中した時は換金制限をかける。
今回のファンドでは、アジアの中小企業などが日米欧の投資適格企業に対して有する輸出品の短期売掛債権をファクタリング(売掛債権買い取り)会社を通じて買い取る。製造業や小売業に関する取引が中心だという。
SMBC日興、未公開株販売 プロ投資家向け[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 9ページ 220文字 PDF有 書誌情報]
SMBC日興証券は、プロ個人投資家向けに非上場株式の個別銘柄の販売を始める。プロ投資家に絞って未公開株などを流通できる「特定投資家向け銘柄制度(J―Ships)」を活用する。富裕層を中心とした幅広い投資家の需要を取り込み、未公開株の流通を促す狙いがある。
現時点では個別銘柄の取り扱いに限定する方針だが、将来的には投資信託の取り扱いも視野に入れる。大手対面証券では22年に野村証券が、25年にみずほ証券がJ―Shipsの指定を受けている。
金融庁四半世紀(上) AIの積極活用「先頭に」 日本発の革新、なお課題 探るポスト育成庁[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1892文字 PDF有 書誌情報]
金融庁が2000年7月1日の発足からまもなく25年を迎える。バブル経済崩壊後の金融システム不安の払拭という目標を掲げて船出したものの、デジタル技術の発展や人工知能(AI)の登場で金融の領域は広がり、行政に求められる役割も変質しつつある。四半世紀を経た金融庁の現在地を点検する。
「もっと『金融庁が先頭に立つ』と明確にしないと」。3月4日に金融庁が発表した「AIディスカッションペーパー」。その2週間ほど前、井藤英樹長官は総合政策局が準備した「はじめに」の草稿に金融庁17階の執務室で自ら手を入れていた。
「金融犯罪への悪用リスク」などAI導入の障壁となりかねない課題への言及は第1段落から第3段落に回し、AIが「国民生活の向上や国民経済の発展に大きく寄与する可能性」を前面に出した。締めの部分の「金融庁として必要な対応を行っていく」は「環境整備に全力を尽くしていく決意である」になった。
「金融庁が新しい技術にこんなに前のめりなのは見たことがない」。AIディスカッションペーパーには当の金融機関から驚きの声が相次いだ。
金融機関の生成AIの活用は日米ですでに差がつき始めている。米金融大手のJPモルガン・チェースは米オープンAIの「Chat(チャット)GPT」をベースに、顧客が求めるテーマに沿った銘柄を自動で選定するシステムを昨年公開した。世界の大手金融機関で初めてとうたわれた。
一方、最新技術の大胆な活用に挑む金融機関は乏しい日本。金融庁の調査では、生成AIをすでに導入している金融機関でも多くが文書をデータにしたり、情報検索に使ったりといった業務効率化に活用するにとどまった。
金融庁内でも、生成AIが虚偽の事実をつくりあげる「ハルシネーション(幻覚)」などへの懸念は強い。ただ当局が慎重な姿勢を取り続けていては、金融機関は萎縮してしまう。「金融庁も変わらないといけないという庁内へのメッセージを込めた」(井藤氏)。AIへの対応は変化を迫られる金融庁の立ち位置を端的に示す。
この四半世紀で日本の金融の状況は激変した。1990年代終わりには平成金融危機や旧大蔵省の接待汚職事件などが相次ぎ、日本の金融への信頼は地に落ちた。旧大蔵省の金融監督機能を独立させる「財金分離」で98年に金融庁の前身の金融監督庁が発足。その2年後に金融庁に衣替えした。
2001年の中央省庁再編で金融再生委員会が廃止されると、金融機関の不良債権処理も金融庁の所管になった。銀行に不良債権処理を迫る姿は強権的にも映り、行政処分を連発する「金融処分庁」と長く揶揄(やゆ)された。
不良債権処理が一服し、産業としての金融を育てる「育成庁」への脱皮をめざしたのは2010年代。だが、いまや金融庁が金融機関を育てるだけではおぼつかない。井藤氏がこだわりを見せるAIに代表される最新技術、海外投資家が目を光らせるコーポレートガバナンス(企業統治)改革。金融庁が先頭に立たざるをえない場面が増えてきたのは事実だ。
金融をとりまく制度づくりの目線はプレーヤー中心からユーザーを含めたものへとひろがってきた。代表が少額投資非課税制度(NISA)だ。
「『プラチナNISA』も年齢の引き下げも、両方とりにいく」。4月中旬、金融庁幹部は力を込めて語った。自民党資産運用立国議員連盟(岸田文雄会長)が運用益などを分配金に回す「毎月分配型」の投資信託を高齢者に限って解禁することなどを求める提言案をまとめたときのことだ。
提言は議連が業界団体などへのヒアリングを重ねてとりまとめたが、作成過程では金融庁も密に関わってきた。非課税制度の拡充には財務省主税局の慎重論も予想されるが、後には引かないという金融庁幹部の宣言だった。
日本の金融業は海外と比べ、稼ぐ力が見劣りする。財務省の国際収支状況によると「保険・年金サービス」と「金融サービス」を合算した金融業に関するサービス収支は24年に2兆5000億円の赤字だ。こうした「金融赤字」はデジタルサービスの海外への支払いによる「デジタル赤字」に次ぐ規模で、日本発で競争力の高い金融商品を生み出せていない状況を示す。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングによると、金融業が国内総生産(GDP)に占める割合は日本の4%に対し、米英が9%弱、アジアを代表する金融都市であるシンガポールは14%と開きがある。裏を返せば、成長の余地は大きい。
NISAのような個人をひき付ける仕組みを整え、最新技術をフル活用した業者が多様なニーズに応えていく。金融業の発展に向け、金融庁の手探りが続く。
コーヒー豆「無関税」終幕 需要減退懸念で1割安 米、ベトナム産ロブスタ種に46%[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1624文字 PDF有 書誌情報]
高騰していたコーヒー豆の先物相場が水準を下げた。トランプ米大統領による関税政策によって、これまで無関税だったコーヒー豆にも賦課されることになり、需要が減退するとの思惑から相場は1~2月の最高値から1割安となった。現物の消費市場では供給懸念が払拭されておらず、強弱材料が交錯する。
コーヒー豆の高級種とされるアラビカ種は、国際指標となる米インターコンチネンタル取引所(ICE)のニューヨーク先物(中心限月)価格が17日、1ポンド372.6セントになった。終値で最高値だった2月13日の425.1セントから12%安い水準になっている。
インスタントコーヒーなどに使われるロブスタ種の相場も17日に1トン5277ドルと、高値だった2月12日の5821ドルと比べると9%下げている。
コーヒー豆の先物価格は供給懸念により2024~25年にかけて急騰。アラビカ種は25年1~2月に過去最高値を連続更新した。ロブスタ種も歴史的な高値圏になった。しかし、足元で相場の地合いが変わってきた。
コーヒー豆の主要生産地は熱帯・亜熱帯の一部の地域に限られる。そのため米国は国内で流通するコーヒー原料のほとんどを輸入に依存しており、コーヒー豆には関税がかかっていなかった。今回、トランプ米大統領が示した関税政策によって、コーヒー豆にも網が広がり、アラビカ種を主に生産するブラジルやコロンビアには10%の関税が課されることになる。
特にロブスタ種は最大生産国であるベトナムに46%、インドネシアには32%という一段と高い関税率が示された。東南アジアは第1次トランプ政権時に米中対立下で中国から移転された製造拠点の受け皿となり、対米貿易黒字が積み上がった結果、狙い撃ちされた。
コーヒー豆も高関税の対象になり、市場関係者らは「想定外の展開になっている」とこぼす。
その後、トランプ氏が中国を除く一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を90日間停止する考えを明らかにしたことで、先物市場では買い戻しの動きがでて、いったんは値下がりが止まっている。
ただ、先行して5日から始まっている一律10%の関税はそのまま。90日後に当初の予定通りに関税が課せられれば「一時的に需給バランスが崩れる可能性もある」(丸紅の都志道幸飲料原料第一課長)と、上値には重さがある。
米国は世界のコーヒー豆輸入量の約2割を占めている。追加関税によって景気が減速すれば、嗜好品であるコーヒーはほかの食材よりも消費が落ち込みやすくなる。同国の需要鈍化は市場で価格の下振れ要素となる。
需要後退の懸念から米コーヒーチェーン大手スターバックスの株価は高値だった2月末から3割安になっている。
これまでの高騰を受けて、足元ではコーヒー製品の値上げが相次いでいる。UCC上島珈琲(神戸市)は5月1日出荷分から家庭用レギュラーコーヒー製品などを値上げする。味の素AGFも「ブレンディ」シリーズなど家庭用コーヒー製品を7月1日納品分から改定する。
大手コーヒーメーカーの担当者は「先物価格は下落したものの、前年比で2倍近い価格で高止まりしている。厳しい環境が続いている状態だ」と語る。
喫茶店でもこれまで値上げが目立ってきた。人件費や輸送コストなど諸経費が上振れしている状態。店頭も値下がりに転じるのは難しい。
市場関係者が需要動向とともに、注視するのは今後の生産状況だ。米調査会社フィッチ・ソリューションズ傘下、BMIのルクレツィア・コグリアーティコモディティーアナリストはブラジルとベトナムでの生産が25年も振るわないとして「価格は24年の平均を上回る」と予測している。ブラジルではこれから25年の収穫シーズンに入り、具体的な生産動向が見えてくる。
高騰した市況の熱は少し冷めたものの、先行きはまだ楽観できない。
(鈴木茉央)
【図・写真】コーヒー豆は24年にブラジルやベトナムの天候不順で相場が高騰した=ロイター
ビットコイン8万ドル台で推移 貿易戦争激化警戒で上値重く 採掘事業は活況 米政権の支援策期待が背景[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1580文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコイン相場が8万ドル台で上値の重い展開が続いている。米国発の貿易戦争激化を警戒したリスク回避の売りが重荷だ。一方、新たなコインを生み出すマイニング(採掘)の活況ぶりが相場を下支えしている。米国での採掘強化を掲げるトランプ米政権の支援策への期待が背景にある。
情報サイトの米コインマーケットキャップによると、ビットコインは日本時間22日午前10時時点で1BTC(ビットコインの単位)=8万7000ドル台(約1200万円)で推移する。米国の関税政策を巡り世界の金融市場が大きく揺れ動く中、2024年末比で世界株(MSCI ACWI、現地通貨建て)は前週末18日時点で8%安、ビットコインも同8%下げた。
ビットコインは1月につけた最高値(10万9000ドル台)からは2割超安い水準だ。もっとも、8万ドルを下回る水準では押し目買いも目立つ。多くの市場参加者が意識しているのが採掘事業者の動向だ。
採掘大手ハット8は3月末、トランプ氏の一族が投資するデータセンター企業と提携し、子会社アメリカン・ビットコインを設立すると発表した。トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏は「経済的に有利な条件で採掘することでさらに大きなチャンスが生まれる」と指摘し、業界を支援する姿勢を強調した。
ビットコインの「採掘」とは、「AさんからBさんへ1BTCを送る」といったネットワーク上の取引データを処理し、その報酬として新規に発行されるビットコインを受け取るビジネスだ。採掘者は獲得したコインを市場で売却して収益を得る。相場が上昇するほど採算は良くなる。
足元では相場の上値の重さとは対照的に採掘事業が活発化している。採掘で使う1秒間の計算力を表す「ハッシュレート」は、4月上旬に史上初めて一時、毎秒1ゼタ(10の21乗)ハッシュ(ZH/s)を突破した。
採掘者が報酬を獲得するには、他の事業者よりも早く膨大な計算をする必要がある。ハッシュレート上昇は、相場の先高観から、採掘者が設備を増強して計算能力を引き上げ、競争を激化させている様子を映す。「相場の先行指標」(エックスバンクの西山祥史アナリスト)とみる市場参加者も多い。
足元の採掘競争をけん引しているのは米国の事業者だ。米JPモルガンによると、米国上場企業が総ハッシュレートに占める割合は3月中旬時点で30%超と24年4月の21%から10ポイント近く増えた。最大手MARAホールディングスでは3月の採掘量が前月比17%増え月間ベースで過去3番目の多さとなった。ライオット・プラットフォームズやコア・サイエンティフィックでも同1割増となった。
採算は悪化している。現状の計算力から得られる1日あたりの予想採掘収入を示すハッシュプライスは、足元で1年前と比べ6割減となった。
ハッシュレート上昇に伴い競争が激化し、設備投資などの費用が増えたほか、24年4月に採掘の報酬量を調整する「半減期」があったことなどが影響した。中国からの輸入機器に頼る米採掘業界では追加関税も重荷となっているとみられる。
採算悪化の中でのハッシュレート上昇は「採掘者のチキンレース」(ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリスト)でもある。ハッシュレートは18年初頭のバブル崩壊局面でも上昇が続いたものの、同年11月の相場急落で耐えきれずに反落し、調整局面の長期化につながった。
長谷川氏は「7万ドルを下回る一段安となれば、コスト競争に耐えきれない事業者が一気に増える可能性がある」とみる。トランプ米大統領は24年の選挙期間中に「残りのすべてのビットコインを米国製に」と発信し、採掘業界への支援姿勢を強調してきた。トランプ氏からの採掘業界の具体的な支援策が出てくるかどうかが相場上昇のカギを握る。
(河井優香)
上海株、3週間ぶり高値 政府系ファンド買い支え[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 11ページ 460文字 PDF有 書誌情報]
【香港=伊原健作】22日の上海株式市場で上海総合指数が前営業日比0.25%高の3299.76と続伸し、米中関税競争で急落する前の3日以来、約3週間ぶりの高値となった。政策支援への期待で復調している。
22日は国有大手銀の中国農業銀行が2.4%高、中国銀行が1.8%高となるなど金融株の堅調さが目立った。米中関税競争がエスカレートするなか、中国政府が内需の下支え策を強化するとの期待が高まっているのが支えだ。株価対策を担う政府系ファンド「国家隊」の買い支えも大きいとみられる。
香港市場でもハンセン指数が0.8%高と2営業日続伸した。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)、半導体受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)など主力のテック株が上昇した。
香港市場には本土からのマネー流入が加速している。香港と上海・深の証券取引所間の株式相互取引(ストックコネクト)のデータによると、4月に入ってからの本土勢の買越額は22日までに1871億香港ドル(約3兆4000億円)と、月次ベースで21年1月以来の高水準となった。
円、一時139円台に上昇 一段の円高占う「三尊天井」(MarketSCOPE)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 11ページ 491文字 書誌情報]
22日の外国為替市場で対ドルの円相場が一時1ドル=139円台まで上昇した。今後の相場を占う手掛かりとして注目されるのが、チャート上に一段の円高を示唆する「三尊天井」が形成されるかどうかだ。
てらす証券アドバイザーズの遠藤寿保FXエバンジェリストは月足のチャートに着目する。
三尊天井とは一般にチャート上の3つの高値(山)に挟まれた2つの下値(谷)を結んだ支持線(ネックライン)を引き、その支持線を下回ると相場が下向きのトレンドに転換したとみなす。
3つの高値のうち真ん中が高いことがポイントで、チャートは釈迦の左右に菩薩(ぼさつ)が配置された三尊像に似る。
円相場のチャートをみると24年7月に1986年以来37年半ぶりの円安水準(161円台)を付けたのが真ん中の山で、前後に23年11月(151円台)、25年1月(158円台)の山が形成されつつある。
三尊天井が成り立つ条件は直近の水準がネックラインを下回るかどうか。遠藤氏は「24年9月につけた139円58銭を明確に下回ると完成形になる」と指摘する。完成すれば円高・ドル安が加速し「132円台まで進む可能性がある」と指摘する。
World Market[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 11ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
著作権等のため、本文は表示できません。
レゴ「地産地消」で関税回避 ベトナム・米に新工場 コスト増でも計20億ドル投資[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1139文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=新田祐司】デンマークの玩具大手レゴグループは米関税引き上げや貿易摩擦の影響を受けにくい生産体制を確立する。アジアで中国に次ぐ2カ所目となる工場をベトナムで稼働させ、米国でも工場建設に着手した。消費地に近い場所で生産する「地産地消」のグローバル供給網を築き、関税リスクの軽減を図る。
「ベトナムでの工場建設が良い選択だったと、何度も確認してきた」。レゴのニールス・クリスチャンセン最高経営責任者(CEO)は9日、ベトナム南部ビンズオン省で操業を始めた新工場を訪れ、同国を称賛した。
同氏がベトナムを訪れた日、米トランプ政権は世界各国・地域への相互関税をいったん発動し、米国がベトナムから輸入する製品は46%という高い税率にした。それでも同氏に焦りの表情はなかった。グローバルで地域をブロック化した供給網を築きつつあったからだ。
10億ドル(約1400億円)を投じたベトナム工場からは、需要が増えている日本やインドを含むアジア太平洋の市場に出荷する。これまでは中国工場から日本などへ出荷していた。
一方、玩具の最大市場で関税が問題となる米国にはメキシコ工場から出荷しているが、米東部バージニア州で同社として7カ所目となる工場を建設しており、27年に稼働する予定だ。「米関税から受ける直接の影響は少ないだろう」と語る。
「できるかぎり消費地に近いところで生産する」とクリスチャンセン氏は語る。ただ、生産拠点の分散化はコストがかさむ。米国工場の投資額も10億ドルを超える。稼働後も労働者を教育し、生産を安定させるには時間がかかる。
24年12月期の人件費や減価償却費は10年前に比べ3倍余りに上昇した。増収で吸収しきれず、営業利益率は25.2%と8.7ポイント下がった。高収益は維持するが、相次ぐ新工場が利益をさらに圧迫する可能性がある。それでも、自由貿易の枠組みが崩れつつある中で、地産地消の供給網づくりがリスクを減らすとの意志は固い。
トランプ関税が世界経済や消費者心理の停滞を招けば、レゴも影響は免れない。中国は世界の玩具生産の7割を占め、とくに米国は流通する玩具の約8割が中国製とみられる。貿易戦争は玩具業界を直撃する。
「玩具価格の上昇や雇用環境の悪化につながる」。米玩具協会のグレッグ・アハーン会長兼CEOは懸念する。消費者が良質な玩具を買えなくなり、「(安全基準などに)不適格な非正規品の流通を後押ししかねない」という。対中関税は計145%となっている。
レゴは新型コロナウイルス下でも売り上げを伸ばした。大人のファンも開拓し、米ハズブロや米マテルなど苦戦するライバルに水をあけてきた。先の読めないトランプ関税の暴風をかわせるか。地産地消の効果が早速試される。
ファーウェイ、AI半導体 米輸出規制 エヌビディアの代替に[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 13ページ 568文字 PDF有 書誌情報]
【広州=藤野逸郎】中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は中国で相次ぎ、次世代の人工知能(AI)向け半導体を投入する。5月にも「アセンド910C」、2025年後半に「アセンド920」の提供を始める。トランプ米政権は中国のハイテク締め付けへ米半導体大手エヌビディアの製品出荷を規制しており、代替が進む可能性がある。
ロイター通信によると、5月にも量産や出荷を始めるアセンド910Cは従来品に比べ計算能力やメモリー容量を2倍に高めた。
米国政府により従来から中国への輸出が規制されてきたエヌビディアの高性能のAI半導体「H100」と同等の性能があるという。
報道を受け、21日の米株式市場でエヌビディア株は大幅に下落した。同社が中国向けに性能を落として設計したAI半導体「H20」はこのほど米政府の輸出規制の対象に加わった。ファーウェイの半導体が代わりに普及し、エヌビディアの業績に逆風になるととらえられた。
さらに台湾メディアなどは22日までに、ファーウェイが25年後半に回路線幅6ナノ(ナノは10億分の1)メートルのアセンド920の量産を始めると伝えた。半導体は回路線幅が微細なほど性能が高いとされる。
これまでファーウェイの半導体は7ナノが限界とみられてきた。ファーウェイが4月前半、協力企業を集めて開いた会議で発表したという。
レゴ「地産地消」で関税回避 ベトナム・米に新工場――クリスチャンセンCEO 消費者心理の変化注視[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 13ページ 473文字 PDF有 書誌情報]
クリスチャンセンCEOは日本経済新聞のインタビューに答えた。主なやり取りは以下の通り。
――トランプ関税の影響は。
「地域ごとに生産体制を築いており、直接の影響は少ないだろう。消費者心理にどう変化があるか注視している。業界への影響を断言するには時期尚早で、何が起こるか、いつまで続くかを見守る必要がある。レゴの戦略はこうした状況に強く、変える必要はない」
――ベトナムに工場を設けた理由は。
「まずは市場への近さがある。オーストラリアや日本、韓国への出荷に最適で、その他にも多くの市場が周辺にある。長距離を運ぶ必要がないという点は非常に重要だ」
「また優秀な労働者を雇いやすい。ベトナム人の作業を習熟する速さにはとても満足している。政府が持続可能性に強い関心を持ち、支援を得られていることも重要だ」
――26年までにレゴ初の再生可能エネルギーだけで賄える工場とする計画です。
「消費者が求めながら、それにお金を払いたくない。今はそのコストを消費者への価格に転嫁するつもりはない。いずれ持続可能性が競争上の優位になるだろう。先行投資と考えている」
きょう上海自動車ショー トヨタ、新EV披露 BYD、自動化競う[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 13ページ 458文字 PDF有 書誌情報]
【上海=若杉朋子】中国・上海市で23日、世界最大級の自動車展示会「上海国際自動車ショー」が開幕する。トヨタ自動車は中国の消費者の嗜好を取り入れて開発した電気自動車(EV)の新型車「bZ7」を初公開する。関税引き上げなど保護主義が台頭するなか、自動車各社の中国戦略にも注目が集まる。
展示面積は東京ドーム7.7個分にあたる36万平方メートル超。完成車や部品メーカーなど約1000社が参加し、5月2日まで開催する。
中国の新車市場(輸出含む)では、2024年にEVやプラグインハイブリッド車(PHV)など新エネルギー車の比率が4割を超えた。比亜迪(BYD)や通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が最新の車種や技術を披露する。中国市場では自動運転技術など高度化に向けた開発競争が繰り広げられている。
独高級車のBMWはアリババ集団系と開発した車載人工知能(AI)を披露する。車内の人の意図をくみ取り、車と人が円滑にコミュニケーションをとれるようにする。
【図・写真】BMWが発表したコンセプトカー「VDX」=沢井慎也撮影
5分間の充電でEV航続520キロ CATLが新電池[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 13ページ 394文字 PDF有 書誌情報]
【上海=田辺静】中国の車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)は、5分間の充電で520キロメートルを走行できる新たな電気自動車(EV)用電池を開発したと発表した。中国市場では急速充電をめぐる企業の開発競争が激しくなっている。
発表したのは、価格の高いレアメタル(希少金属)を使わないリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池で、満充電時の航続距離は800キロメートル。車両に搭載する具体的な時期は明らかにしなかった。
電池の負極に使う材料を改良したほか、電池内のイオンの流れを効率化。エネルギーの損失を低減させ、短時間での充電を可能にした。
急速充電をめぐっては、自動車大手の比亜迪(BYD)が3月中旬、5分間の充電で400キロを走行できるEVプラットホーム(車台)を発表した。CATLは2023年、10分間で400キロ分の充電ができるEV電池を発表し市場投入しているが、性能を高めた。
検証中国製造2025(中)太陽光導入量、世界の6割 高速鉄道路線、新幹線の15倍 「過剰生産」で摩擦も[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1125文字 PDF有 書誌情報]
中国の産業政策「中国製造2025」では、太陽光発電や高速鉄道といった重点分野で産業の規模を大幅に拡大した。ハイテクを支える新素材でも出荷量拡大が続く。太陽光ではパネルから部品、素材まで世界の過半のシェアを握り、中国企業の「過剰生産」が世界に摩擦ももたらしている。
■太陽光発電
中国製造2025では重点分野の一つに電力設備を挙げ「製造レベルを一段と高める」とした。世界で存在感を大きく高めたのが太陽光発電だ。
米ブルームバーグNEFによると、中国の太陽光発電の導入量は24年に15年に比べ約18倍の338ギガ(ギガは10億)ワットに膨らんだ。世界の6割近くを占めた。
太陽光パネルの生産に必要な太陽電池セルや、その前段階のウエハー、ポリシリコン、金属シリコンで中国勢のシェアも軒並み8割を超えた。
太陽光パネルは中国の過剰生産が深刻だ。米ゴールドマン・サックスによると、23年の中国の供給能力は世界需要の1.9倍の1036ギガワットに達した。価格下落を招き、欧州では関連企業の淘汰にもつながっている。
■高速鉄道
高速鉄道でも中国は世界トップの地位を固めた。中国の高速鉄道の営業路線は24年に4万8000キロメートルで15年と比べ2.5倍になった。
国際鉄道連合(UIC)が23年末にまとめた調査によると、世界の高速鉄道の営業路線は合計で約5万9400キロで、このうち中国が7割近くを占める。24年末には日本の新幹線と比べ約15倍で圧倒的な規模になった。
鉄道車両の製造を担う国有企業、中国中車(CRRC)の鉄道部門の売上高は24年12月期に3兆円を突破した。仏アルストムなど競合の鉄道関連部門を上回る。
ただ中国中車の海外売上高比率は24年12月期に1割強にとどまった。中国製造2025では「世界をリードする近代的な鉄道輸送産業システムを確立する」とうたうものの海外展開は道半ばだ。
■新素材
素材分野も出荷量などの成長が著しい。政府系研究機関の中国工程院で副院長などを務めた干勇氏は「中国の新素材産業の規模は世界の約30%を占め、一部の分野では世界をリードしている」と24年の論文で指摘した。
電気自動車(EV)向け電池の主要な素材である正極材、セパレーター、電解液の世界シェアは、13年には三菱化学などの日本企業が上位につけたが、23年には上位5社をほぼ中国企業が占めた。需要増にあわせ一定の品質で大量、安価に材料を提供し伸長した。
干勇氏は論文で「中国は独自のイノベーション能力が十分ではない」とまとめる。ただ、産業規模で先頭に立つ中国勢の開発投資は厚みを増す。人工知能(AI)の活用も進むなか、高機能品の分野での技術進歩もペースが速まりそうだ。
米議会、トランプ氏のFRB「口撃」批判 「大統領に議長解任権限ない」 独立性の尊重訴え[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1229文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)への攻撃を強めるトランプ米大統領に対し、連邦議会から批判の声が出ている。パウエルFRB議長を解任する権限があるのか疑問視する声が多い。市場には景気悪化の責任をFRBに転嫁して高関税を維持するシナリオへの警戒も広がる。(総合1面参照)
トランプ氏は21日、SNSの投稿で再びFRBに利下げを要求した。「高インフレはほぼ存在しない」と主張し、パウエル氏を「大きな敗者」と批判した。
さらに「パウエルは常に『遅すぎる』対応だったが、選挙期間中は『眠たい』ジョー・バイデン、後にカマラの当選を支援するために金利を引き下げた例外を除く」と述べた。FRBが大統領選前の2024年9月に大幅な利下げをしたことを指すものとみられる。トランプ氏は17日にパウエル氏に退任要求を突きつけたばかりだった。
トランプ氏によるFRBへの攻撃について与党内から批判が出ている。
共和党のケネディ上院議員は20日、米NBCで「どの大統領であれ、大統領にFRB議長を解任する権利があるとは思わない」と述べた。パウエル氏を「虎の血を引いている」と評価し「彼がやりたいと思うことをやるだろう」と見通した。
17日夜には米CNBCに出た野党・民主党のウォーレン上院議員が議長の解任は「市場をクラッシュさせる」と警告した。中央銀行の独立性を尊重するよう求めた。ウォーレン氏はこれまでパウエル氏のことを批判し続けてきた急先鋒(せんぽう)だ。
物価上昇率はFRBの目標である2%を上回り続けている。市場ではトランプ米政権が打ち出した高関税政策によって上振れすることが警戒されている。FRBは早期の利下げが高い物価上昇率を常態化させることを懸念している。
トランプ氏の利下げ要求は分かりやすさを重視している。投稿では「エネルギーコストが大幅に低下し、食料品価格(バイデンの卵価格問題を含む!)も大幅に下落し、ほとんどの『モノ』も下落傾向にある」と説明した。
実際にはエネルギーや食品は金融政策によって制御しにくい分野だ。トランプ氏のパウエル氏批判は、論理的な正しさより支持者に響く表現ぶりを重んじている。足元で急速に悪化する景況感をFRBの責任に転嫁する意図がにじむ。
FRBについて連邦議会の権限は大きい。正副議長や理事の人事は上院での承認が必要だ。
トランプ氏は第1次政権だった20年にFRBの独立性に否定的な自身の経済顧問ジュディ・シェルトン氏をFRB理事に指名したが、共和内からも慎重意見が広がって承認は見送られた。
連邦準備法によると、米大統領は「正当な理由」があればFRBの理事を解任できるが定義は記載されていない。専門家は職務怠慢や不正行為があたると解釈する。
パウエル氏は日ごろから連邦議会の議員らに対して地道に説明を続けている。16日のイベントでも、FRBの独立性について「議会の両側(与野党)の席から理解を得ている」と自信を見せた。
新教皇の恩寵、米中競う 世俗世界の覇権左右も ヒスパニック系に信者多く バチカン、台湾と外交関係[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1088文字 PDF有 書誌情報]
第266代ローマ教皇フランシスコが21日、88歳で死去した。10億人を超えるカトリック教徒だけでなく、世界が新教皇選出選挙「コンクラーベ」を注視する。世俗世界の覇権を争う米国と中国も、新教皇の恩寵(おんちょう)を競う。
「教皇を愛する世界中の多くのキリスト教徒に心からお見舞い申し上げる」。バンス米副大統領は21日、X(旧ツイッター)に投稿した。前日の教皇との面会について「明らかに重病のようだったが、会えて幸せだった」と振り返った。
バンス氏はキリスト教徒の中で保守的なプロテスタント福音派の多い中西部の労働者層の出身ながら、2019年夏にカトリックに改宗した。米ピュー・リサーチ・センターの3月のリポートによると、米国ではおよそ2割がカトリック教徒を自認し、その数は5300万人にのぼる。
米国内の人口比重が増すヒスパニック系はカトリックが多数派だ。大統領選挙などの結果をヒスパニック票が左右し、米政治にとってその重要性は増した。共和党系の黒人団体幹部も「黒人カトリック教徒の支持拡大」を目標に掲げている。
初の南米(アルゼンチン)出身の教皇フランシスコは多様性を容認、拡大する姿勢が強く、トランプ政権とぎくしゃくした。バンス氏はトランプ政権とバチカン(ローマ教皇庁)とのパイプ役になろうと試みている。リベラルな改革に熱心な人物が新教皇となれば、MAGA(米国を再び偉大に)の「次」のリーダーをめざすバンス氏の戦略への逆風となるだろう。
米国の最大の競争相手、中国にとっても新教皇は極めて重要となる。中国は台湾が中国の一部だとする「一つの中国」原則に基づき、台湾と外交関係のある国々に台湾との断交を迫ってきた。
バチカンは台湾が外交関係を結ぶ12カ国の一つで、欧州では唯一だ。台湾にとっては国際世論への影響を保つうえで「頼みの綱」ともいうべき存在であり、中国からみれば外交戦の主戦場だ。
中国は共産党の一党支配体制にあり、宗教を規制している。ウイグル族のイスラム教やチベット族のチベット仏教を締め付けており、キリスト教も共産党の指導下にある公認教会と、未登録の地下教会に二分される。
アジアでの信者拡大に熱心だった教皇は中国との距離を縮め、司教の任命権を巡る対立を和らげる暫定合意を18年に結んだ。新たな教皇の路線は、中国の外交戦の行方を左右するといえる。
アカデミー賞脚色賞を受賞した映画「教皇選挙」はカトリック総本山の激しい権力闘争の内幕を描いている。時代の転換期に重なるコンクラーベは、現実の大国間の外交に大きな一石を投じる可能性をはらむ。
(米州総局長 大越匡洋)
米国防長官に更迭論 情報漏洩疑惑 解任の元高官ら要求 トランプ氏は擁護[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 904文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】米公共ラジオ(NPR)は21日、ホワイトハウスでヘグセス国防長官の更迭案が浮上していると報じた。ヘグセス氏はトランプ米政権が起用した国防総省の高官を相次ぎ解雇した。同じトランプ派である元高官らは反発し、公然とヘグセス氏の辞任を求めている。
複数の米主要メディアは20日、ヘグセス氏が親族らに通信アプリ「シグナル」を使って軍事作戦を事前に共有したと伝えた。野党・民主党だけでなく、与党・共和党からも21日に非難の声が出た。軍事委員会に所属するドン・ベーコン下院議員が辞任を求めた。
トランプ米大統領はヘグセス氏を擁護する姿勢を示した。記者団に「素晴らしい仕事をしている」と強調。ヘグセス氏も「大統領と話した」と説明し「我々は同じ立場で戦い続ける」と唱えた。レビット大統領報道官はNPRの報道を「フェイクニュース」と主張した。
ヘグセス氏を巡る人事の混乱はトランプ派内の「仲間割れ」が露呈したのが特徴的だ。第2次トランプ政権では珍しい事例となる。
国防総省では先週、ヘグセス氏の顧問であるダン・カルドウェル氏と次席補佐官のダリン・セルニック氏、ファインバーグ国防副長官の首席補佐官であるコリン・キャロル氏がヘグセス氏に解雇された。
情報漏洩に関わったとされるが、3人は解雇が「不当」との声明を発表した。「漏洩の疑いの内容すら知らない」と訴えた。カルドウェル氏やセルニック氏は国防総省に入る前から、保守派団体に属し、ヘグセス氏とも近い関係にあったとされる。
第1次トランプ政権では国家安全保障会議(NSC)で働き、第2次政権で国防総省の広報担当幹部となったジョン・ウルリオット氏も解任された。
同氏は20日、米メディアに寄稿し「ヘグセス氏の下で国防総省はメルトダウンを起こしている」と警鐘を鳴らし、トランプ氏にヘグセス氏の更迭を促した。
ヘグセス氏は21日「不満を抱えた元職員が匿名の情報を流して、評判をおとしめようとしている。私には通用しない」と述べた。軍事作戦を親族に伝えたという報道は解雇した元側近らがリークした「フェイクニュース」であると主張した。
【図・写真】ヘグセス氏 =AP
新教皇の恩寵、米中競う 世俗世界の覇権左右も――教皇選挙「コンクラーベ」とは 服喪経て密室で実施[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 464文字 PDF有 書誌情報]
コンクラーベはキリスト教カトリックの最高指導者、ローマ教皇を選ぶ選挙だ。ミケランジェロの壁画「最後の審判」が描かれたシスティーナ礼拝堂の密室で開かれ、鍵をかけることを意味するラテン語に由来する。
伝統的にコンクラーベは服喪期間を経て教皇が空位となってから15日後以降に実施する。投票権をもつ全枢機卿がそろっていれば前倒しもできる。渡航に時間を要する枢機卿がいる場合は20日以内まで延ばせる。ベネディクト16世が2013年に生前退位する前に規定を変えた。
教皇は慣例として、教皇に次ぐ高位聖職者の枢機卿から選ばれる。選挙には枢機卿のうち80歳未満が参加できる。世界中にいる252人の枢機卿の中で投票権をもつのは135人。投票者は外部との通信が遮断され、電話や新聞などの持ち込みも禁止される。
3分の2以上の得票者が出るまで無記名投票を繰り返す。初日は午後に1回のみ投票し、その後は連日、午前2回と午後2回の計4回投票する。
投票用紙はすぐに燃やし、決まらない時は礼拝堂の煙突から黒い煙を立ち上らせる。決定すれば白い煙で知らせる。
ハーバード大、米政権提訴 「助成金凍結の差し止めを」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 331文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=西邨紘子】米ハーバード大は21日、トランプ米政権による助成金凍結の差し止めを求め、マサチューセッツ区連邦地方裁判所に提訴した。米政権が憲法が保障する大学の独立性を脅かし、人命を救う研究を危機にさらしていると主張する。
同大のガーバー学長は訴訟について、米政府の要求が「違憲かつ違法であり、政府の権限を越えている」と説明した。報復としての補助金凍結や研究活動への介入も「違法である」と指摘。米国の人命を救う研究や世界でのリーダーシップに「深刻かつ長期的な影響を与える」と糾弾した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は20日、米政権が同大に対し、さらに10億ドル(約1400億円)の医療研究向け助成金の差し止めを検討していると報じた。
新教皇の恩寵、米中競う 世俗世界の覇権左右も――ローマ教皇、葬儀26日に[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 215文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】ローマ教皇庁(バチカン)は22日、前日に死去した教皇フランシスコの葬儀を26日に執り行うと発表した。教皇の遺体は23日にバチカンのサンピエトロ大聖堂に移される。後継者を決める教皇選挙(コンクラーベ)は5月上旬までに実施される見通しだ。
トランプ米大統領は21日、葬儀に参列すると表明した。ロイター通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領も参列する見通し。各国首脳による弔問外交が展開される可能性がある。
韓国大統領選、与党候補4人に[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 174文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国の与党「国民の力」は22日、6月3日投開票の大統領選を巡って党内予備選を実施し、候補者を4人に絞り込んだ。党が実施した世論調査の結果を踏まえて決めた。
絞り込まれたのは、金文洙(キム・ムンス)前雇用労働相、洪準杓(ホン・ジュンピョ)前大邱(テグ)市長、韓東勲(ハン・ドンフン)前代表、安哲秀(アン・チョルス)議員の4人。
新教皇の恩寵、米中競う 世俗世界の覇権左右も――中国が弔意「バチカンと関係改善望む」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 173文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国外務省は22日、ローマ教皇フランシスコの死去に哀悼の意を表した。郭嘉昆副報道局長が記者会見で中国とバチカン(ローマ教皇庁)の関係について「共に努力し、いっそう改善したい」と語った。
中国はバチカンと国交はないが、郭氏は「近年、友好的に交流してきた」と指摘。台湾が中国の一部という「一つの中国」原則を改めて守るように求めた。
イラン外相、きょう訪中[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 156文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国外務省は22日、イランのアラグチ外相が23日に訪中すると発表した。イラン側は核開発を巡る米国との協議状況などを説明する。中国はイランの原子力利用の権利を尊重しており、核問題での連携を確認する。同省の郭嘉昆副報道局長は記者会見で「双方が関心を持つ国際地域問題について意見交換する」と述べた。
ダボス会議創設者が会長退任[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 0文字 書誌情報]
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米当局、ホテル未予約で強制送還[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 14ページ 0文字 書誌情報]
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東南ア、LNG拡大切り札 対米関税交渉に切迫感 タイ・ベトナム、黒字大きく[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1908文字 PDF有 書誌情報]
東南アジア各国がトランプ米政権の相互関税を巡り、米国に引き下げや撤回を求める交渉を進める。特に対米貿易黒字が大きく、高い税率を提示されたベトナムやタイは切迫感が強い。米国産の資源購入拡大や市場開放を「切り札」に交渉妥結を急ぐ。
中国との貿易額も大きい東南アジア諸国連合(ASEAN)にとって、米国寄りの妥結は中国の反発を招くおそれもある。中国商務省は21日の報道官談話で「中国の利益を犠牲にして合意することに断固反対する」とクギを刺した。対米交渉での妥協点の見極めは難しいかじ取りとなる。
タイは23日にピチャイ副首相兼財務相を派遣し、米国政府高官と会談する予定だったが、米側の要請でいったん延期となった。ペートンタン首相は17日に「我々は優れた提案を用意しており、生産的な交渉ができるだろう」と話していた。
タイはトランプ政権を説得する交渉材料として米国から液化天然ガス(LNG)を今後5年で100万トン追加購入する計画を示す見通しだ。国営のタイ石油公社を通じ5億~6億ドル(およそ710億~850億円)を追加輸入することになる。
ベトナムは2日の相互関税の詳細公表に先立ち、LNG調達や自動車の輸入関税の引き下げを発表した。最高指導者トー・ラム共産党書記長は4日にトランプ米大統領と電話で協議し「米国からの輸入関税をゼロにする協議の準備ができている」と伝えた。
9日にはホー・ドク・フォック副首相がグリア米通商代表部(USTR)代表と会い、貿易協定の交渉入りで合意した。
トランプ氏は2日、東南アジア各国に相互関税として高い税率を示した。10%の基本税率は発動したものの、9日に国・地域別の上乗せ部分を90日間停止し、各国に交渉を呼びかけた。
対米貿易黒字が大きい国に高い税率を示した。東南アジアでは黒字額が域内1位のベトナム、2位のタイはそれぞれ46%と36%だ。
実際に発動されれば経済に与える影響は大きい。対米貿易黒字が国内総生産(GDP)に占める割合はベトナムが2割、タイは5%強に上る。交渉で妥協点を見いだせなければ対米輸出が落ち込んで成長が減速する事態に陥りかねない。
シンガポールのDBS銀行は、相互関税がベトナムのGDP成長率を2~2.5%下押しする要因になると試算した。2025年の成長率は6.8%を予想していた。タイは2.6%成長を見込まれているが、関税が課されれば1.5~2%の下振れ要因になる。
ASEANの人口は7億人に上る。世界の人口の1割近くを抱える成長市場である強みを生かしいずれも資源購入や市場開放を持ち出してトランプ氏を説得する戦略だ。
人口が世界4位のインドネシアはアイルランガ経済担当調整相らが訪米し、17日にUSTRのグリア氏やラトニック商務長官と会談した。アイルランガ氏は会談後、「60日で交渉を完了させるという合意を得た」と語った。
インドネシアは原油や液化石油ガス(LPG)を中心に米国製品を最大で180億~190億ドル購入する方針だ。24年の対米貿易黒字およそ180億ドルに相当し、貿易黒字の相殺をアピールする狙いがある。
カンボジアは16日、スン・チャントル副首相がUSTRとオンラインで協議した。同国は食料品や自動車の関税を引き下げる方針だ。米国からは49%の相互関税を示されており、地元紙によると成長率が予測値の6%から0.3%に低下する可能性があるという。
マレーシアはザフルル投資貿易産業相が24日にUSTR高官と会談する。同氏は「マレーシアが米国とアジアの間のサプライチェーン(供給網)で果たせる役割について議論する」と語る。
相互関税が17%と東南アジアのなかでも低めのフィリピンはむしろ投資を呼び込んで輸出先を広げる好機とみる。フィリピンの交渉団の訪米予定も5月と他国より遅い。
バリサカン国家経済開発庁長官は「(相互関税を)輸出先を多様にする推進力と捉えるべきだ」と話す。3月には経済区庁(PEZA)が広東省深など中国4都市を訪れフィリピンへの投資拡大を企業に呼びかけた。
トランプ氏に左右される対米交渉は先行きが見通しにくい。そのため各国は交渉と並行して多様な輸出先の確保を急ぐ。
ベトナムとマレーシア、カンボジアの首脳は18日までに各国を訪れた中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とそれぞれ会談し、貿易の拡大を議論した。
タイは欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉を12月までに妥結させる方針だ。インドネシアのプラボウォ大統領は4月に中東5カ国を訪問し、貿易や投資拡大で合意した。
(ジャカルタ=押切智義、バンコク=井上航介)
米印、貿易交渉加速で合意 モディ首相、バンス氏と会談[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1265文字 PDF有 書誌情報]
【ムンバイ=岡部貴典、ニューデリー=岩城聡】インドのモディ首相は21日、ニューデリーを訪れたバンス米副大統領と会談した。両国が年内締結をめざす貿易協定の交渉を加速させると確認した。高関税との批判を受けるインドは税制見直しなどで妥協点を探る。
モディ氏は会談後、米印の協力関係は「両国民と世界のより良い未来に向けた、21世紀を象徴するパートナーシップとなるだろう」とX(旧ツイッター)に投稿した。
2月の訪米でトランプ米大統領と貿易協定を結ぶ方針で一致したことを踏まえ、バンス氏と交渉の進展を確かめたと強調した。インド外務省によると、モディ氏は今年後半に予定するトランプ氏の訪印を「楽しみにしている」と語った。
バンス氏は翌22日、インド西部ラジャスタン州で講演し、前日のモディ氏との会談で貿易協議に関するロードマップで合意したと明かした。「重要な一歩になる」とも述べた。
トランプ氏は2日に公表した相互関税でインドに26%の税率を課すと表明し、その後、上乗せ分の90日間の停止を発表した。インドは米国が相互関税の発動を一時停止している間に交渉を一気に進めたい考えだ。
政権ナンバー2にあたるバンス氏との関係構築も重視する。インドのシンクタンク、オブザーバー・リサーチ財団のハーシュ・パント氏は「米中関係の緊張が高まるなか、バンス氏は米国外交で目立つ役割を果たしており、今回の訪印は重要な意味を持つ」と語る。
現地メディアによると、米印の通商当局者は23日から3日間、ワシントンで貿易協定の条件を協議する。関税や非関税障壁、通関手続きの円滑化などを詰める。
トランプ氏はインドが輸入車などに課す高関税を繰り返しやり玉にあげてきた。インドの実行税率は平均17%で米国の3.3%をはじめ他の主要国と比べて際立って高い。米国側が貿易の公平性を欠いていると指摘する要因だ。
インド商工省が16日発表した貿易統計では2024年度の対米貿易黒字は412億ドル(およそ5兆8000億円)で前年度から17%伸びた。インドにとって米国との交渉を進めるうえで分が悪い。
インドはグーグルやアマゾンなど巨大テックを対象にしたデジタル課税を撤廃するなど米国側に歩み寄る姿勢をみせる。25年度の財政法案の修正案を国会で可決し、国内外の企業の税負担のバランスを取る平衡税を1日付で廃止した。同税は「グーグル税」とも呼ばれていた。
16年6月に導入した同税はインドに拠点を持たない外国企業が対象で、オンライン広告などの費用に6%の税率を課した。米政府は米企業を狙い撃ちにしてインド企業を保護する差別的で不合理な手法だと主張し、早期に撤廃を求めていた。
インドは同税から年間で最大4億ドルの税収を得てきたとみられ、撤廃に伴う歳入減は財政面で痛手となる。デロイトインドの山崎靖彦氏は「米国に一定の配慮を示した可能性がある」とみる。
【図・写真】21日、インドのモディ首相(右端)とバンス米副大統領(中央)が会談し、家族を交えて写真撮影をした(ニューデリー)=ロイター
韓国産偽り中国製品輸出 関税コスト抑制へ迂回か[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 15ページ 868文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国関税庁は21日、原産地を韓国産と偽って輸出した外国製品が急増していると発表した。米国向けの中国産品が大半を占めトランプ関税の影響を回避するため韓国を経由させていると分析した。
米国との関税交渉をにらみ、偽装輸出の取り締まりを強化する特別チームを立ち上げた。
関税庁によると、1~3月に韓国製と偽装した輸出品の摘発額は295億ウォン(およそ30億円)に上った。輸出先は97%が米国向けだった。2024年通年の摘発額は348億ウォンで、25年は1~3月だけで昨年1年分の85%に達したことになる。
第2次トランプ米政権は中国からの輸入品に課す追加関税を145%まで引き上げた。韓国にも相互関税の一律部分である10%の関税を課すものの、中国への税率より低い。
このため中国の企業は迂回輸出によって中国産を韓国産と偽って関税コストを下げているとみられる。商品価格を過少申告する例もあるという。
関税庁が一例に挙げるのは中国産マットレスだ。米国は中国産マットレスに反ダンピング(不当廉売)課税を課す。中国人名義で韓国に設立した会社の倉庫で一度保管した後、韓国産として米国に輸出する事例があった。
繰り返し使える2次電池の陽極材を中国から韓国に運び、包装を変えて韓国産と表記したケースもみられた。監視カメラの部品を韓国に輸入して組み立てた後に韓国産として輸出した事例なども多く摘発したという。
韓国関税庁は調査結果を受け、偽装輸出を取り締まる特別チームの立ち上げも発表した。「韓国という国家への信頼度が下がり国内産業が被害を受けることを憂慮」するとして摘発を強化する。
韓国は日本と同様、米国との関税引き下げ交渉を進めている。今回の偽装輸出の摘発強化は中国製品の迂回輸出に厳しい目を向けるトランプ政権を意識したとみられる。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はトランプ政権が関税交渉の相手国に中国製品の迂回輸出を認めないように求めると報じた。中国商務省は「受け入れられず、断固として対抗措置をとる」と反発する。
米印、貿易交渉加速で合意――「防衛装備品を共同生産」 バンス氏米国産石油の購入要請[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 15ページ 521文字 PDF有 書誌情報]
【ムンバイ=岡部貴典】バンス米副大統領は22日、訪問先のインド西部ラジャスタン州で講演し、米国とインドで防衛装備品の共同生産に取り組んでいく考えを強調した。インド側に装備品の調達を拡大するよう要請し、輸入品に課す非関税障壁の一部撤廃も求めた。
バンス氏は2月の米印首脳会談で武器を含めた取引拡大で一致したことを踏まえ、戦闘車両をはじめ「外国の侵略者を抑止するために必要な多くの防衛装備品を共同で生産することになる」との認識を示した。
エネルギー分野を巡っては米国産の石油やガスを念頭に「インドのような友好国に販売したい」と購入拡大を促した。米国の技術を生かしてインド沖合に埋蔵された重要な鉱物資源の探査などを支援したいとも呼びかけた。
トランプ米大統領は高い関税政策をとるインドを「関税王」と繰り返し批判してきた。バンス氏も「米国人はインド市場へのさらなるアクセスを望んでいる」と関税引き下げを改めて迫った。
両国間の投資拡大の重要性に触れ、今後数年間でデータセンターや製薬、海底ケーブルなどの分野で開発が進むことに期待を示した。前日のモディ首相との会談を振り返り「モディ氏はタフな交渉者だ。だからこそ我々は彼を尊敬している」と持ち上げた。
中国製品の第三国流入懸念 トルコ商務相、関税に危機感[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 15ページ 502文字 PDF有 書誌情報]
【イスタンブール=渡辺夏奈】トルコのボラット商務相は21日、トランプ米政権による相互関税は世界で保護主義的な政策を助長し「競争が激化する」と危機感を示した。トルコに課された関税の引き下げに向け、米側と交渉するとの意向も明かした。
ボラット氏は大阪・関西万博への訪問に先立ち、イスタンブールで日本経済新聞の取材に答えた。
トランプ関税により「中国やアジア各国がこれまで米国向けに製造していた安価な製品を、トルコ向けに振り向ける可能性がある」と指摘。中国などによる「デフレ輸出」への懸念を示した。
国内産業を保護するため、流入防止のための対策を取らざるを得ないとの考えも明らかにした。具体策はこれから検討するという。
アフリカなど第三国で中国の製造業との競争が激しくなる可能性があるとも語った。トルコはアフリカでの影響力拡大を狙って経済協力に力を入れている。
日本との経済連携協定(EPA)交渉については米国の関税政策で「条件が変わった」と話した。各国が自国の利益確保に動き、あらゆる自由貿易協定(FTA)やEPA交渉に「時間がかかる」との見方を示した。
【図・写真】ボラット商務相(21日、イスタンブール)
米印、貿易交渉加速で合意――バンス夫人が インドに同行 同国にルーツ[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 15ページ 142文字 PDF有 書誌情報]
【ニューデリー=岩城聡】バンス米副大統領の今回のインド訪問に夫人が同行していることがインド国内で注目を集めている。バンス氏の妻、ウシャ・バンス氏はインド系米国人として初めて副大統領夫人となった。地元メディアはウシャ氏の家族が南東部アンドラプラデシュ州にルーツを持つことなどを報じた。
バイオ薬生産 米で大型受注 富士フイルム、4200億円で獲得 トランプ関税を商機に[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1497文字 PDF有 書誌情報]
富士フイルムホールディングスは22日、米製薬大手からバイオ医薬品の生産を受託し、米国で生産する契約を結んだと発表した。総額30億ドル(約4200億円)超となる。医薬品は経済安全保障の観点から重要性が高まるほか、トランプ米政権が関税導入を表明している。製薬大手が米国内での生産・調達を進めており、需要を取り込む。
リジェネロン・ファーマシューティカルズと10年間の製造受託契約を結んだ。バイオ薬の生産受託の契約額としては、公表されているベースで業界最大規模となる。
富士フイルムがノースカロライナ州で25年10~12月期に稼働する新工場で「抗体医薬品」と呼ばれるバイオ薬を受託生産する。大型のタンクで細胞を培養し、有効成分を抽出する。リジェネロンからの技術移管を経て、1~2年程度で本格的な生産に入る。
地政学リスクが高まるなか、リジェネロンにとっては米国内において生産能力を長期にわたり確保することにつながる。米商務省は14日、医薬品と半導体について、関税導入に向けた調査を始めたと明らかにした。これまで原則的に医薬品に関税はかからなかったが、米国外で生産して輸入するリスクは高まっている。
国民の生命に直結するバイオ薬は半導体などと並ぶ重要物資で、米議会ではバイデン前政権下から中国のバイオ企業を調達から排除する「バイオセキュア法案」も議論されている。製薬大手は中国系の受託会社には委託しにくくなっている。
そこにトランプ関税が重なる。米国で新たな医薬品製造施設を建設するには、規制当局の承認取得が必要で、規制要件を満たすための時間やコストを含め、多額の費用と、5~10年の時間がかかる。このため富士フイルムが準備してきた米国での生産拠点整備の重要性が増している。
受託ビジネスで競合する韓国サムスンバイオロジクスは韓国内に生産拠点が集中する。同じく競合のスイス・ロンザは、24年にスイス・ロシュグループから米国内の製薬工場を12億ドルで買収したが、設備更新などに時間がかかるとされる。
富士フイルムは21年に2000億円超を投じ、バイオ薬の受託拠点をノースカロライナ州に建設すると発表した。細胞培養の2万リットルの大型タンク8基が25年10~12月期から稼働する。リジェネロン向けはこの設備の一部を充当する。24年には約1800億円を追加投資し、28年以降に同拠点で倍にあたる16基のタンクを稼働させると公表している。
製薬大手は地政学リスクから米国への投資を増やしている。ロシュは22日、今後5年間で米国に500億ドルを投じる計画を発表。米イーライ・リリーや米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、ノバルティス(スイス)も2月から4月にかけて米国への大型投資を打ち出した。
それでも自社だけでバイオ薬の生産設備を賄うのは難しい。
大型の培養タンクやクリーンルームなど設備が必要で、新工場の新設には数千億円規模の投資が必要になるためだ。製薬会社は新薬のタネを探す上流の創薬に資金を集中させるなか、富士フイルムなどの医薬品開発・製造受託(CDMO)に生産を外注する「水平分業」が進む。
調査会社プレシデンス・リサーチによれば米国のバイオCDMO市場は34年に236億ドル(約3兆3000億円)と24年比で4.3倍に拡大する。富士フイルムのノースカロライナ州の拠点では28年から追加で稼働する8基のタンクについては、契約が明らかになった顧客はない。地政学リスクの合間を縫って、さらなる需要を取り込めるかが焦点になる。
【図・写真】富士フイルムが米ノースカロライナで建設中のバイオ薬の生産拠点
BYD、日本の「ガラ軽」攻略へ 電池など内製化 低コストで勝算[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1234文字 PDF有 書誌情報]
中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)が日本の軽自動車市場に参入する。独自進化を遂げた軽自動車はガラパゴス諸島の生物になぞらえ、「ガラ軽」とも呼ばれてきた。BYDは電池などを内製化し、低コスト生産に強みを持つ。海外勢が避けてきた「ガラ軽」にも勝算を見いだした。
「若い人のBYDのイメージは悪くない。日本の市場で安売りしたら脅威だ」。22日、BYDの軽自動車参入を知った静岡県内のスズキ販売店関係者はこう漏らす。
BYDの軽自動車の参入に、日本の自動車業界には動揺が走る。24年の新車販売台数のうち軽自動車は4割近く占める。
24年は認証不正によるダイハツ工業の出荷停止などが響き前の年比11%減となったが、日本で軽自動車の存在感は依然として大きく、BYDへの警戒感が強い。
軽自動車は日本の独自規格だ。現在の軽規格は長さ3.4メートル以下、幅1.48メートル以下、高さは2メートル以下で、排気量は660cc以下と定められる。スズキやSUBARU(スバル)が軽量化や省エネ技術を磨き、飛躍する土台になった。
車体前方にエンジンを搭載するFF(前輪駆動)方式など小型化関連の技術は、先に軽自動車で導入された。ほとんどの乗用車で使われる「モノコックボディー」と呼ばれる構造も、軽量化のために軽自動車で先駆けて採用された。
軽自動車の規制に対応するハードルが高く、米欧勢は「非関税障壁」として批判してきた。BYDはなぜその「ガラ軽」にあえて飛び込むのか。
BYDは23年に日本の乗用車市場に参入した。4月から主力EV「アットスリー」などを約30万円値下げした。多目的スポーツ車(SUV)のEV「シーライオン7」の販売も始め、米テスラの「モデルY」よりも安くした。
だが、24年の国内EV販売台数は前の年比54%増の2223台と大幅に伸びたが、EV販売に占める割合は約4%にとどまる。日本の乗用車のEV販売は日産自動車の軽EV「サクラ」と、三菱自動車の軽「eKクロスEV」だけで4割強を占める。
航続距離が短いEVは日常使いの軽自動車と相性が良い。BYDは日本市場を学ぶほど、軽自動車がなければ成長はできないと感じたようだ。
BYDには世界の自動車メーカーを脅かす高い価格競争力がある。中国で車載電池やモーターなどを自社開発し、生産も担う垂直統合型の事業モデルを築いた。
EVには祖業の電池技術を活用した「刀片電池(ブレードバッテリー)」を搭載し、価格を抑えて航続距離を伸ばすことに成功した。軽自動車にも内製の電池を搭載し、制約を逆手にとった技術革新で高い性能と低価格を両立できると踏む。
BYDは参入に向けて、日本の軽自動車の人材を採用する方針。かつて液晶パネルなど日本のお家芸の技術は韓国や中国、台湾などへ人材流出が起きた。軽自動車でも人材が流れれば、日本の技術力の低下につながる。BYDの「ガラ軽」攻略の成否は、日本勢に大きな影響を与える。
(花田亮輔)
自動運転の英ウェイブ、日本で開発体制発進[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 961文字 PDF有 書誌情報]
自動運転のスタートアップの英ウェイブ・テクノロジーズは22日、日本に開発拠点を開設したと発表した。同社は人工知能(AI)による運転制御技術を持ち、市販車への搭載をめざす日産自動車も頼っている。AIに日本の交通事情を学ばせ、自動運転の普及につなげる。
「日本の自動車業界と協力し、私たちの技術を持ち込むのは意味あることだ」。22日、都内で記者会見を開いたウェイブのアレックス・ケンドル最高経営責任者(CEO)は自信をみせた。
ウェイブは2017年に英国で創業した。24年5月にソフトバンクグループが主導するラウンドで10億5000万ドル(約1477億円)を調達した。株主には他に米エヌビディアや米マイクロソフトなどもいる。
名だたるAI関連企業が出資する自動運転システムのスタートアップが、日本市場に目をつけた。このほど横浜市に開発拠点を設け、日本の交通事情にあった自動運転システムの確立をめざす。
ウェイブはAIを使った自動運転システムを手掛ける。カメラ映像などから交通状況を読み取り、AIが自律的にハンドル操作や加減速などを制御する。従来の自動運転で必須だった高精度の地図や、高価なセンサー類を多く搭載する必要がない。開発費や維持費の負担減につながる。
ウェイブは英国や米国などで公道でのテスト走行を進めてきた。日本でも公道でのデータ取得を始めているが、日本特有の難しさがある。
日本は都市部の高速道路の構造が複雑で道幅も狭く、自動運転の難度が高い。エレス・ダガン社長は「データを構築し、特殊な道路交通事情があっても対応できることが重要だ」と語る。日本で安全性の高い自動運転を構築できれば、世界展開にもつながる。
既に日産がウェイブの技術に着目している。日産はウェイブと協業し、27年度から市街地でも自動運転できる運転支援技術を市販車に導入する。
自動運転分野では海外勢が先行する。米テスラは高度運転支援機能を導入している。米アルファベット傘下のウェイモは特定の条件下でドライバーが不要な「レベル4」相当の自動運転タクシーを米国で展開している。
自動車メーカーは電動化や自動運転など次世代技術に全方位に対応する必要があり、余力が乏しい。新興勢と自動車メーカーの連携が増えることが、日本で自動運転の普及が近づく道となる。
曲がる太陽電池 寿命2倍 コニカミノルタ 劣化防ぐフィルム[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 948文字 PDF有 書誌情報]
コニカミノルタは薄くて曲がるペロブスカイト型太陽電池向け保護膜の生産を2026年度にも始める。電池の劣化を防ぎ、耐用年数を従来の2倍の約20年に延ばせる。ペロブスカイト型はビルの壁面にも設置でき、次世代太陽電池の本命とされる。耐久性が高まることで導入コストを回収しやすくなり、普及につながる。
コニカミノルタが生産するのは太陽光が当たる表面を保護し、わずかな水分も通さない樹脂製のフィルムだ。有機EL照明の製造で培った技術を生かした。国内の既存工場で生産し、26年度にもサンプル出荷を始める。
現状のペロブスカイト型の耐用年数は10~15年と、一般的な太陽光パネルの半分程度。太陽光を電気に変換する発電層の結晶構造がもろく、わずかな水分に触れても結晶が分解し性能が落ちてしまうためだ。
ペロブスカイト型は電気を光に変換する有機EL照明と構造が似ており、コニカミノルタは水分が浸入しないための材料選定技術など自社のノウハウを生かせると判断した。現在は生産開始に向け技術の検証を進めている。水の浸入に強くなれば、屋外やビルの壁などに設置してもより長期にわたり風雨に耐えられる。交換頻度も減って運用しやすくなる。
ペロブスカイト型は日本発の技術で、完成品は積水化学工業や東芝、パナソニックホールディングスなどが手がける。27年ごろから生産が本格的に立ち上がる。調査会社の富士経済(東京・中央)によると、ペロブスカイト型の世界市場は40年に2兆4000億円と、23年の370億円から大きく成長する見通しだ。
政府も国内生産の支援に力を入れる。経済産業省は24年、40年に2000万キロワットのペロブスカイト型を国内に導入する目標を策定した。メーカーに補助金などを支給して産業を育成する。家庭の使用電力の1割程度をまかなうことを想定する。従来型の太陽光パネルは中国への依存度が高く、国産品の普及はエネルギー安全保障の点からも重要性が増している。
性能や耐久性を高めるための素材開発も活発だ。キヤノンは耐用年数を2倍の20~30年に延ばせる発電層に接する素材を開発し、26年初めまでの量産を目指している。表面を保護するコニカミノルタのフィルムと組み合わせることで、内と外から耐久性を高めることも考えられる。
「エルグランド」16年ぶり刷新 日産[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 412文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車は22日、大型ミニバン「エルグランド」の新型を2026年度に発売すると発表した。現行型は10年に発売されており16年ぶりのモデル刷新となる。詳細は25年度後半に発表する。
同日開いた新CM発表会で明らかにした。日産は従来から新型ミニバンを販売する計画を公表していたが、具体的な車種名は明らかにしていなかった。
エルグランドは同社のミニバン「セレナ」よりも大型で、ファミリー層向けに一定の人気がある。日産独自のハイブリッド車(HV)技術である「イーパワー」もエルグランドとして初めて搭載する。
日産は26年度までに、国内で4車種を新規に投入する計画だ。25年度に電気自動車(EV)の新型「リーフ」を発売するほか、軽自動車の投入も予定している。
あわせて、中東向けの大型多目的スポーツ車(SUV)「パトロール」の国内販売を検討していることも明らかにした。パトロールは中東で人気が高く、日本市場への投入を望む声が多い。
マツダ、希望退職500人募集[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 228文字 PDF有 書誌情報]
マツダは22日、500人の希望退職者を募集すると発表した。勤続年数が5年以上で年齢は50~61歳とし、工場での自動車製造に関与しない正社員が対象となる。マツダの竹内都美子執行役員は「自動車業界は、電動化や通商政策への対応などで非常に見通しが不透明。社員一人ひとりの自立が求められる」と説明した。
2025年から26年にかけて、6月と12月に各回1カ月の申請期間を設けて最大4回実施する。希望退職者には再就職や引っ越しを支援するほか、割増退職金を支給する。
ミネベアミツミ、TOB実質延期[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 179文字 PDF有 書誌情報]
ミネベアミツミが温度センサー大手の芝浦電子に対するTOB(株式公開買い付け)の開始日を実質的に延期することが22日、分かった。10日の発表時点では「23日をめど」としていたが、23日には実施しない。芝浦電子に対し同意なきTOBを提案している台湾電子部品大手の国巨(ヤゲオ)が、買い付け価格を引き上げたことを受け、買い付け条件などの変更を検討しているためだ。
TMEIC、米で電源装置増産[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 165文字 PDF有 書誌情報]
東芝と三菱電機が折半出資するTMEIC(東京・中央)が、データセンターなどで使う非常用電源装置を米国で増産する。テキサス州に約8500万ドル(約120億円)を投じて工場を建設する。人工知能(AI)利用の増加に伴うデータセンター需要の伸びに米国で対応するほか、日本から一部の生産を移管し、トランプ米政権による関税の影響も低減する。
米グーグル分割巡り審理入り[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 154文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=渡辺直樹、ワシントン=八十島綾平】米連邦地裁は21日、米グーグルのインターネット検索の独占に対し、是正策を決める審理を始めた。原告の米司法省は分割を含む厳しい案を求める。判事は競合や専門家の聞き取りを通じ最終案を決める。グーグルのビジネスモデルに新規参入排除の恐れがあるかどうか判断する。
トクヤマ、JSRの事業買収[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
トクヤマは22日、JSRのライフサイエンス事業を買収すると発表した。買収額は約820億円で、10月までに手続きを完了する予定。体外診断用の医薬品や材料を手掛けるJSRの2つの子会社を、新設会社への吸収分割を経て傘下に収める。中期経営計画で成長事業に位置づける医薬関連の強化につなげる。
NHK、建て替え工期7年遅れ[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 136文字 PDF有 書誌情報]
NHKは22日、東京都渋谷区の放送センターの建て替えの工期が7年遅れると発表した。全体の運用は2043年度に始める。「課題として積み残したものを吟味する時間が必要」とし、具体的な理由については言及を控えた。延べ床面積を3割減らし、延期に伴う人件費や建設費の上昇を抑える。
「協働ロボ」日本を開拓 欧州最大手が修理拠点(ビジネスTODAY)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1154文字 PDF有 書誌情報]
デンマークのユニバーサルロボット(UR)は22日、同社製品を修理する拠点を日本で初めて設けると発表した。同社は安全柵がなくても人間と同じ空間で作業できる「協働ロボット」製造の欧州最大手だ。主力の自動車産業に加え、物流・食品でも人手不足が深刻化し成長性は高いとみる。顧客対応を充実し業界トップの基盤を固める。
「メーカーとして顧客対応を強化していく」。22日の戦略説明会でUR日本支社の山根剛代表はこう強調した。5月から福岡県内に修理拠点、関東地方には部品倉庫を設ける計画を明らかにした。これまで代理店任せだったトラブル対応を自社で引き受け、部品交換から定期点検、改善提案まで担うようにして顧客企業との接点を増やす。
従来は故障品をデンマークまで輸送し修理完了まで1カ月も要した。国内拠点の新設で修理期間は1週間にまで短縮する。物流や食品など自動化に不慣れな業種では故障するとお手上げだったが、修理や点検などアフターサービスを手厚くして取り込みやすくする。
URは2008年から協働ロボを販売し、累計で10万台を超える。15年からは半導体検査装置で世界大手の米テラダイン傘下に入った。日本支社は16年に開設した。車工場を中心に部品の移動・組み立てといったプロセスに使われる。販売実績は非開示だが、日本や世界全体でシェアは3~4割あるとみられている。
URが協働ロボで先行できたのは市場規模が小さく、ファナックや安川電機、スイスABBなどの大手ロボメーカーが産業向けに重点を置いてきたことが一因にある。カナダの調査会社プレシデンス・リサーチによると、23年の協働ロボの市場規模は31億7000万ドル(約4400億円)で、産業用ロボの208億4000万ドルと差は大きい。
産業用ロボは単価が高く、100台単位などとまとまった注文も入りやすい。一方で協働ロボは中小向けで1件あたりの販売が数台と、大手ロボメーカーにとって効率が良いとはいえない。
ただ今後は市場環境が変わる可能性がある。プレシデンスは34年に協働ロボの市場規模が712億6000万ドルと、産業用ロボの843億6000万ドルに近づくと予測する。少子高齢化と労働費上昇が深刻な日本と中国で急成長が見込まれる。
URを追い上げる立場のファナックは、塗装向けに安全性を高めた製品を24年に発表。安川電機は物流向けに可搬重量を従来比10キログラム増やし30キログラムにした新製品を22年に投入した。成長期待は大きいが、課題もある。産業ロボに比べ協働ロボは人間による代替が利きやすく、UR日本支社の山根氏は「マクロ経済が悪化すれば投資は落ち込む」と気を引き締める。
【図・写真】修理期間は1週間にまで短縮する(22日に開いたUR日本支社の戦略説明会、東京都港区)
三菱商事 中西社長(ニュース一言)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 17ページ 193文字 PDF有 書誌情報]
アラスカの液化天然ガス(LNG)開発はトランプ氏が大統領に就く前からの話だ。長いパイプラインが必要で難易度が高い。実現可能性を慎重に見極める必要がある。
三菱商事の中西勝也社長はアラスカを含めた新規のLNG開発について「世界の需要や供給動向を慎重に評価している」という。足元では、出資参画したカナダのLNG事業が今年の中ごろに初出荷を始める予定で「しっかりやりきりたい」と力を込める。
旧ビッグモーター再建半ば 「ウィーカーズ」伊藤忠など買収1年 販売数、継承前の5割[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1735文字 PDF有 書誌情報]
保険金の不正請求など一連の不祥事で経営難に陥った中古車販売の旧ビッグモーター(BM)。伊藤忠商事などが旧BMから事業を継承して5月1日に1年を迎える。新会社のWECARS(ウィーカーズ、東京・千代田)は不正再発を防ぐ意識改革などを進めるが、販売台数は継承前の5割にとどまる。経営再建には、信頼と販売回復の両輪が欠かせない。
来店客数は回復
4月中旬、ウィーカーズ多摩店(東京都多摩市)では数組の客が、車検や整備の説明を聞いていた。数カ月前に同店で車を買い替えた29歳男性は「営業の担当者も買い取り価格や販売額を熱心に調整してくれて、他店と比べて見積額が一番よかった。悪い印象はない」。同店の宇田川和郎店長は「徐々にお客様が戻っている」と語る。
旧BMは2023年、顧客の車を意図的に傷つけて保険金を水増し請求するなどの不祥事を受けて客離れが広がり、経営難に陥った。24年5月に伊藤忠グループが拠出額ベースで49.9%、企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が50.1%を出資したウィーカーズが中古車販売事業を継承した。出資額は約400億円にのぼる。
ウィーカーズの社長には、伊藤忠の欧州タイヤ販売事業などを再建させた実績を持つ元執行役員の田中慎二郎氏が就任。田中社長は「人材育成など人に関わる部分に重点を置いてきた」と強調。伊藤忠グループから出向した約70人が本部などで働いているが、現場の社員が自ら改善案を考える自律型の組織への転換を急ぐ。
旧BMは創業家などに物言えぬ組織風土があり、店舗前にある街路樹伐採にもつながった。田中社長がまず手をつけたのが、組織風土の刷新だ。
24年秋から現場で問題が起きた際、すぐに本部に報告する「即一報制度」を導入している。現場社員が上司や本部に物言える環境を整えた。報告を参考にして現場の改善を重ねることで、ガバナンス(企業統治)の強化につなげている。
25年1月には新しい人事制度を導入した。BMでは販売実績に基づいて給料が乱高下する報酬制度が、一連の不祥事を招く要因となった。
ウィーカーズは整備部門などでインセンティブを廃止して、技術力や仕事への姿勢、顧客満足度などを加味する報酬制度に改めた。
一連の不祥事で落ち込んだ収益改善に向けた取り組みも進める。自動車検査(車検)を代行できる「指定工場」の資格は、全体の約4割にあたる37カ所で取り消された。整備工場で資格の再取得や新規取得に向けた申請要件の充足を進めており、25年度中に全工場での取得を目指す。
旧BMは23年11月に財務当局から保険代理店の登録を取り消された。ウィーカーズは6月末までに、全国130店に伊藤忠子会社のほけんの窓口グループが運営する相談ブースを導入完了する。任意保険を取り扱い、車購入時に複数社の保険から選べるようにする。
現場の改革と合わせて、旧BMのイメージ払拭にも力を入れている。24年12月からテレビなどのCMを開始したほか、25年2月にはレーシングチームとスポンサー契約を結んだ。
監査部門を増員
来店客数は回復しつつあり、中古車販売の成約率は全店平均で不祥事発覚前から25%高まったという。それでも4月時点で中古車の買い取りは旧BMの7割、販売台数は同5割の水準にとどまる。外部企業の調査によると、不祥事による否定的なイメージをまだ払拭できていない。
田中社長は「問題が起きてもしっかり対応する。その積み重ねでしか信頼は取り戻せない」と強調する。店舗を巡回してコンプライアンス(法令順守)違反などの有無を調べる監査部門の人員を25年1月に30人から40人に増やし、約11カ月で全240店で監査を3回実施した。
ウィーカーズの業績は赤字で、設立当初に掲げた26~27年に黒字転換する方針を変えていない。中古車販売店「ガリバー」を運営するIDOM(イドム)など同業大手の純利益は100億~130億円に達する。ウィーカーズの販売が回復した場合、「100億円の純利益を期待する」と伊藤忠の鉢村剛最高財務責任者(CFO)は語る。
【図・写真】WECARSの田中社長
【図・写真】販売する中古車が並ぶ「WECARS多摩店」(東京都多摩市)
移動式オフィス・店舗、竹中工務店が新会社 熱中症対策[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 825文字 PDF有 書誌情報]
竹中工務店は建設現場や公園にけん引してオフィスや店舗として使えるトレーラーハウスのレンタル会社を設立し、事業を始めた。太陽光パネルや蓄電池、衛星通信設備を備えてどこでも電気や通信を使えるハウスを月約30万円から貸し出す。作業現場やイベントでの熱中症対策や災害対応に役立てる。
新会社「オフグリッドフィールド」(神奈川県小田原市)を竹中とトレーラーハウスの販売などを手掛けるクロコアートファクトリー(相模原市)が共同で設立した。資本金は6000万円で、出資比率は竹中が66.6%、クロコアート社が33.4%。このほどレンタカー事業の認可を受けて事業を始めた。
レンタル会社にハウスを販売するほか、ハウスの体験イベントも運営する。竹中出身でオフグリッド社の広里成隆社長は「お祭りや大型イベントの運営者から熱中症を防ぐために複数台置きたいという声も寄せられている」と話す。1年目は10台を年平均6割の稼働率で運用する。
5年後をめどにオフィス向けの小型ハウスを30台、店舗などに使える大型のハウスを15台そろえる。ハウスを組み合わせた屋外空間の提案にもつなげ、不動産開発や建築設計の営業にも役立てる。
竹中などは24年に同タイプのハウスを、ファミリーマートが運営する移動式の無人店舗として大阪・関西万博の工事現場に試験導入した。工事の進捗に応じて日々、現場配置が変わる状況に対応しやすい。実証運用を踏まえ、全国に売り込む。
建設業では24年度に残業時間の上限規制が設けられ、働き方改革が喫緊の課題になっている。さらに人手不足の問題も深刻になっている。人材サービスのヒューマンリソシア(東京・新宿)によると、建設業では作業員が30年に215万人と20年比で12%減る見通しだ。需要に対して31万人が不足する試算になっている。
休憩所を増やすなど作業員の待遇を改善することが求められている。
【図・写真】大阪・関西万博の会場内で運用した竹中工務店の移動式事務所
旧ビッグモーター再建半ば――円安影響、中古車に勢い[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 409文字 PDF有 書誌情報]
中古車販売の不正行為は、旧ビッグモーターにとどまらない。ネクステージやグッドスピード(名古屋市)などでも不正の発覚が相次ぎ、業界全体の信頼が揺らいだ。
不正発覚を受け、ネクステージは販売実績に応じて手当などを支給するインセンティブをいち早く廃止した。業界全体でも車両価格に諸費用を含めた支払総額で販売価格を表示する仕組みを作るなど不信感の解消に努める。
足元では中古車市場に追い風が吹いている。中期的な円安局面で日本の中古車は中東やロシア、アフリカなど海外での引き合いが強い。
業界団体がまとめた24年の中古車輸出台数は前年比2%増の156万6621台に達し、過去最高を更新した。中古車オークション運営のユー・エス・エス(USS)によると、24年度成約車両の平均単価は120万6000円と23年度より14%高い。
追い風に甘えることなく、不正行為を繰り返さない改革が中古車販売各社に求められる。
(佐藤優衣、田中颯太)
日経BP、書店と直接取引開始 ブックセラーズと契約[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 242文字 PDF有 書誌情報]
日経BP(東京・港)は6月1日、書店との直接取引による書籍の販売を始める。直接取引を支援するブックセラーズ&カンパニー(東京・新宿)と契約し、店頭販売の活性化や返品抑制を狙う。
ブックセラーズは紀伊国屋書店、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、日本出版販売による共同出資会社だ。書店に対し発注や返品、売り場の展開など、販売に関する指導を手掛けている。
出版業界では、売れ残った商品を返品できる委託販売制度がとられており、返品が書店や出版社の売り上げ不振や低収益性の要因となっている。
4月7~18日(スタートアップ調達ファイル)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
国内のスタートアップを対象に、注目の資金調達をまとめた。期間内に配信されたプレスリリースなどの開示情報や取材に基づいて、日本経済新聞社が出資元や調達方法を集約して作成した。
ニップン(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 542文字 PDF有 書誌情報]
ニップン
(6月27日、地名は支店長)代表取締役(取締役営業部門担当兼製粉事業本部長)専務執行役員木村富雄
▽常務執行役員(執行役員)取締役大田尾亨
▽同(同生産・技術本部長)同阿部直樹
▽退任(取締役)香川敬三
▽執行役員生産・技術本部副本部長、生産・技術第1・梶谷武志
▽執行役員、マーケティング本部長村瀬康彦
▽同家庭用食品事業本部副本部長(冷凍食品統括部長)篠山康司
▽執行役員、業務用食品事業本部長兼食品素材統括部長曽我時久
▽同中食事業本部長、中食管理・冨沢英樹
▽同東京第1支店長(大阪)横尾信博
▽上席執行役員生産・技術本部長(執行役員生産・技術本部副本部長)是松雅彦
▽上席執行役員(執行役員)家庭用食品事業本部長池尾良
▽同製粉事業本部長兼製粉営業(同東京第1支店長)佐藤高宏
▽製粉事業本部副本部長、執行役員製粉業務・藤原武弘
▽大阪(札幌)石原恵司
▽広報(EC事業室長)片岡秀晃
▽生産・技術本部中央技術センター長、佐藤亨
▽マーケティング本部副本部長、マーケティング・佐藤良樹
▽家庭用食品事業本部冷凍食品統括部長(広島)萬谷典之
▽海外事業本部副本部長、国際・新井嗣人
▽関東、佐藤健次
▽仙台、山口淳
▽広島、外所俊介
▽札幌、古宮佐敏
▽神戸甲南工場長(生産・技術本部中央技術センター長)山本託志
トクヤマ(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 252文字 PDF有 書誌情報]
トクヤマ
(6月24日)秘書担当(セメント担当)代表取締役兼社長執行役員横田浩
▽代表取締役(取締役先進技術事業化センター担当)専務執行役員研究開発本部長兼ライフサイエンス部門長岩崎史哲
▽先進技術事業化センター・デジタル統括担当、取締役兼常務執行役員経営企画本部長井上智弘
▽取締役セメント・総務人事・購買・物流担当、常務執行役員セメント部門長谷口隆英
▽取締役(監査室長)末岡和正
▽同、斉藤史郎
▽同、梶原ゆみ子
▽顧問(代表取締役総務人事・購買・物流・秘書・デジタル統括担当)杉村英男
▽退任(取締役)河盛裕三
SANKYO(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
SANKYO
(6月27日)社長兼CEO兼COO(取締役兼専務執行役員商品本部長)小倉敏男
▽代表取締役兼副社長執行役員経営企画部管掌(専務執行役員管理本部長兼経営企画)高橋博史
▽退任(社長)石原明彦
▽専務執行役員商品本部長(常務執行役員商品本部副本部長)高林慎吾
▽管理本部長(管理本部副本部長)常務執行役員総務・赤石昌大
▽経営企画、常務執行役員井上卓
ハローズ(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 130文字 PDF有 書誌情報]
ハローズ
(5月29日)常務(取締役)商品ライン本部副本部長兼商品企画・佐藤新三
▽管理本部副本部長、取締役人事教育・砂田健二
▽取締役コーポレートブランディング担当、上原瑞江
▽取締役、杉山慎策
▽同、富山栄子
▽社長付特別顧問(取締役)小塩登美子
▽同(同)小田俊二
カシオ計算機(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 125文字 PDF有 書誌情報]
カシオ計算機
(6月27日)社長兼CEO(取締役兼常務執行役員兼CFO)高野晋
▽取締役、田村誠治
▽同、倉沢佳子
▽同、原夏代
▽顧問(社長兼CEO)増田裕一
▽退任(取締役)樫尾哲雄
▽同(同)山岸俊之
▽同(同)尾崎元規
▽同(同)広田康人
▽同(同)千葉通子
コニシ(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 121文字 PDF有 書誌情報]
コニシ
(6月24日)工事事業グループ担当、会長兼グループCEO横田隆
▽海外事業グループ担当、取締役兼常務執行役員兼CFO管理本部長岡本伸一
▽取締役、森本千晶
▽退任(副会長)大山啓一
▽同(専務)日下部悟
▽同(同)巌利彦
▽同(取締役)川田憲治
リョービ(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
リョービ
(5月16日)ダイカスト企画開発本部品質保証(ダイカスト生産本部広島工場長)中司純也
▽ダイカスト営業本部営業企画兼利佑比上海商貿董事長、後藤克次
▽ダイカスト生産本部広島工場長、井上善嗣
技研製作所(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 82文字 PDF有 書誌情報]
技研製作所
(5月1日)グローバル戦略本部担当、社長兼CEO大平厚
▽BX推進室担当(グローバル戦略本部担当)取締役兼専務執行役員前田みか
▽同(同)執行役員松村弘康
シーイーシー(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 78文字 PDF有 書誌情報]
シーイーシー
(4月22日)取締役社内DX担当、執行役員管理本部長江上太
▽取締役、執行役員石原直樹
▽同、名和亮一
▽退任(常務)藤原学
▽同(取締役)玉野正人
ヨネックス(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 72文字 PDF有 書誌情報]
ヨネックス
(6月25日)取締役、執行役員マーケティング本部長兼グローバル戦略室長ケーシー・ヨネヤマ
▽相談役(会長)米山勉
▽退任(常務)広川亘
那須電機鉄工(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 69文字 PDF有 書誌情報]
那須電機鉄工
(6月26日)常務管理部門担当(取締役八千代工場長兼情報システム部担当)大熊幸夫
▽退任(会長)那須幹生
▽同(専務)横山明男
ネットプロテクションズホールディングス(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
ネットプロテクションズホールディングス
(6月)取締役、中村公美
▽同、滝田健太郎
▽退任(取締役)藤沢久美
▽同(同)永井良二
コメリ(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 56文字 PDF有 書誌情報]
コメリ
(6月26日)取締役、竹川倫恵子
▽同、三谷香
▽退任(取締役)和田裕
▽同(同)鈴木勝志
▽同(同)武石聡之
鹿島(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
鹿島
(4月1日)中国支店建築部設備工事管理、富田博之
(5月1日)関東支店営業部営業、河野栄一
クボタ(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
クボタ
(5月1日)トラクタ事業部トラクタ事業統括部長、トラクタ第一事業推進・岡田裕二郎
日東工器(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
日東工器
(5月11日)欧州RHQエリアマネージャー、常務執行役員国際事業本部長横田圭右
東京個別指導学院(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
東京個別指導学院
(5月28日)取締役、山口文洋
▽同、浜垣剛
▽退任(取締役)村上久乃
新田ゼラチン(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
新田ゼラチン
(5月1日)システムソリューション、取締役兼執行役員管理本部長安藤啓
花王グループカスタマーマーケティング(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
花王グループカスタマーマーケティング
(4月22日)常勤監査役、大滝広晃
日本フルハーフ(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
日本フルハーフ
(6月20日)常務(取締役)野村晃嗣
▽退任(同)林孝久
ベースフード(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
ベースフード
(5月28日)取締役(監査役)長瀬大樹
▽同(同)永井公成
三菱UFJニコス(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJニコス
(6月1日)執行役員営業第2本部副本部長、戸塚正敏
メック(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
メック
(5月1日)最高財務責任者、執行役員経理財務本部長北氏克明
シティグループ証券(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
シティグループ証券
(4月22日)取締役、執行役員市場部門長星野昭
ビースタイルホールディングス(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
ビースタイルホールディングス
(4月21日)退任(監査役)須藤修
リンテック(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
リンテック
(5月1日)生産本部三島工場長代理、事務・奥田裕之
大林組(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
大林組
(4月23日)北米支店企画管理兼開発事業部長、佐藤国浩
西武不動産(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
西武不動産
(5月1日)投資運用事業部長、木本洋一郎
万世電機(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 18ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
万世電機
(5月1日)東京支店長、社長占部正浩
伊藤忠、成果乏しき10年 タイCPとの持ち合い解消 赤字続き/ファミマ増やせず[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 781文字 PDF有 書誌情報]
伊藤忠商事が10年余りにわたるタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループとの相互出資の解消を決めた。食料から金融まで幅広い提携効果を狙ったが赤字が続き、成果を取り込めなかった。CPグループと共同出資する中国国有大手、中国中信集団(CITIC)との資本提携も成果が乏しいとの声が多い。
伊藤忠は2014年に約870億円で取得していたCPグループの中核企業、CPポカパン(CPP)の株式25%を26年3月期中にすべて売却する。CPグループも伊藤忠の株式をすべて売却する。同社は14年に伊藤忠の株式4.9%を取得したが、24年から段階的に売却しており、25年3月末の保有比率は0.461%に下がっていた。
伊藤忠商事の幹部は22日、「コーポレートガバナンスコード(企業統治指針)を踏まえ、株式の持ち合いを解消するのが主な目的だ」と述べた。
CPPは中国・ベトナムなどで食料ビジネスを手掛けている。伊藤忠は提携当初、畜産・水産分野で取引を増やし、保険や情報通信にも協業を広げる構想だった。だが目立った共同出資事業は少なく、伊藤忠が出資比率に応じて取り込む最終損益も24年3月期まで3期連続で赤字に沈んだ。
伊藤忠傘下のファミリーマートはタイでコンビニを運営してきたが、CPグループはライバルのセブンイレブンを支援した。このためファミマはタイの店舗数でセブンに大きく差をつけられた。
最近ではセブン&アイ・ホールディングス(HD)に創業家が検討している非公開化案に対して伊藤忠とCPグループの傘下企業がそれぞれ出資の打診を受けたが、両社は25年2月に参画の断念を公表した。
野村証券の成田康浩マネージング・ディレクターは「CPPは豚肉や飼料の市況の影響を受けやすく収益の変動が大きい。伊藤忠の全体の収益を押し上げるという提携効果は当初の期待ほど出ていないようだ」と話す。
カシオ次期社長に高野氏「成長力回復させる」 資本効率向上へ意気込み[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 630文字 PDF有 書誌情報]
カシオ計算機は22日、高野晋・取締役常務執行役員兼最高財務責任者(CFO、64)が代表取締役社長に昇格する人事を発表した。6月27日に開く定時株主総会後に就任する。増田裕一社長兼最高経営責任者(CEO、70)は顧問に就き、樫尾和宏代表取締役会長は代表権のない会長になる。22日の記者会見で高野氏は「成長力を回復させる」と意気込みを語った。
同社は3期連続の減益となったもようで、足元の業績は厳しい。経営基盤の強化や資本効率を高め再成長を目指す。主力の時計事業が成熟するなか、事業構造改革を進める。
同日、東京都渋谷区で開いた記者会見で高野氏は「最も重要な課題は資本効率の向上だ。現在の自己資本利益率(ROE)の状況は非常に厳しい。早く8%(24年3月期は5.3%)の水準に戻し、いずれ2桁を達成したい。増田社長の改革路線を引き継ぐ」と語った。
高野氏は07年に経理部長に就任後、09年に財務統括部長を務めるなど財務での経験が長い。21年にCFOに就任した。増田氏は「高野氏は資本市場からものを見る力があり、財務面でしっかり支えてもらった。これからも信頼している」と話した。
増田氏は創業家以外で初の社長だったが2年で交代する。同氏は1983年に発売した主力商品「Gショック」の初代機種の開発の中心を担った。23年の社長就任後は不採算事業の構造改革を進めるなど、経営の立て直しを進めた。26年度から新しい中期経営計画が始まるのを区切りに次の世代にバトンを託す。
「食べログ」中国アプリで カカクコム、訪日客取り込み[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 542文字 PDF有 書誌情報]
カカクコムは飲食店予約サイト「食べログ」を騰訊控股(テンセント)のSNS「微信(ウィーチャット)」アプリから使えるようにする。13億人超のユーザーを抱えるアプリを通じ訪日客に日本の飲食店を広める。
近く始める「食べログ微信ミニプログラム」では食べログをウィーチャット内にミニアプリとして表示する。新たにアプリをダウンロードする必要はなく、飲食店の予約時にはウィーチャットに登録済みの個人情報を自動入力する。
予約できる店舗は約4万店に及ぶ。飲食店や利用者から手数料を受け取る。まず席のみ予約から始め、夏ごろにコース予約に対応する。2026年3月には月間利用者数10万人、30年には同25万人を目指す。
カカクコムは24年6月に英語や韓国語、中国語に対応した多言語版食べログサイトを開設したが中国では振るわなかった。中国人観光客はアプリ経由で旅行情報を調べることから、テンセント側に連携を持ちかけた。テンセント側には決済手数料が入る利点がある。
観光庁が発表した24年暦年のインバウンド消費動向調査によると、中国人観光客による消費額は1兆7265億円で、飲食費は18%の3050億円だ。カカクコムは「こうした需要を取り込み、30年には少なくとも10億円以上の規模にしたい」としている。
富士通・理研、量子計算機の性能4倍 世界最大級に[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 524文字 PDF有 書誌情報]
富士通は理化学研究所と共同開発した量子コンピューターの計算能力を高めて稼働を始めたと22日、発表した。計算の基本単位であり性能の目安となる「量子ビット」を従来比4倍となる256にした。すでに企業などの外部に提供している量子コンピューターの中では世界最大級という。開発で先行する米国勢を追いかける。
富士通と理研は2023年、量子ビットが64の量子コンピューターを開発し、埼玉県和光市にある両者の連携センターに設置している。極低温に冷やして電気抵抗をなくす「超電導方式」と呼ばれるタイプで、今回はその量子コンピューターの計算能力を高めた。6月までに企業や研究機関が利用できる環境も整備するという。
すでに東京エレクトロンや富士フイルムなどの企業や研究機関と関連するソフトウエアの開発にも取り組んでいる。今後、外部連携を広げていく計画だ。
富士通は量子コンピューターの性能を段階的に高めている。26年には、川崎市の本社に建設中の量子棟に1024量子ビットの量子コンピューターを設置して公開する。量子コンピューターは計算エラーが多く実用化に向けては道半ばだ。富士通はこの弱点を補うため、スーパーコンピューターなど現行の高性能コンピューターと連携させる。
廃材から航空燃料原料 レンゴー・住友林業が新会社[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 480文字 PDF有 書誌情報]
レンゴーは住友林業と再生航空燃料(SAF)の原料を生産・販売する新会社を年内に立ち上げる。建設・解体工事で出た廃材などを木材チップに加工しSAFの原料となるバイオエタノールを作る。住友林業と組むことで木材を安定的に調達できるようにし、バイオエタノールを大量生産する体制を整える。
新会社は、レンゴー子会社の大興製紙(静岡県富士市)の敷地内にプラントを建設する。住友林業が、建物の建築や解体の際に出た廃材や端材から作った木材チップを大興製紙に供給。大興製紙が木材チップをパルプに加工する。そのパルプを新会社のプラントで糖化・発酵させてバイオエタノールを製造する。2027年の稼働を計画する。
生産したバイオエタノールはSAFを生産する石油元売り会社に販売。最終的に生産されるSAFは日本航空(JAL)など国内の航空会社を中心に供給される見込みだ。
SAFは従来の石油由来のジェット燃料に比べて二酸化炭素の排出量を8割減らすことができる。日本政府は30年までに国内で消費する航空燃料の10%にあたる172万キロリットルをSAFに置き換えることを目標に掲げている。
IIJへのサイバー攻撃「アクティブメール」に原因[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 447文字 PDF有 書誌情報]
インターネットイニシアティブ(IIJ)は22日、サービス利用者の情報が漏洩した問題で、同社が過去に採用していたクオリティア(東京・中央)のソフトウエア「Active! mail(アクティブメール)」の脆弱性が原因だったと発表した。電子メールのアカウントとパスワードは約31万件、本文や宛先などを示す「ヘッダー」は24件が漏洩した。
IIJは15日、サイバー攻撃により「IIJセキュアMXサービス」利用者の電子メールアカウントやパスワードなどが漏洩した可能性があると発表していた。
他社のクラウドサービスの認証情報を含めると、586契約で情報漏洩があったとしている。不正アクセスの経路などを調査したところアクティブメールの脆弱性を悪用されたことが判明した。
アクティブメールはパソコンやスマートフォンのブラウザー経由でメールをやり取りできるようにするソフトウエアで、官公庁や自治体、企業などで広く利用されている。クオリティアは16日以降、公式サイト上で製品の修正版を適用するよう呼びかけていた。
出光興産の研究(上) 出光、構造改革トヨタと一体(TheStrategy)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 2116文字 PDF有 書誌情報]
全固体電池材料「量産へ5合目」 石油技術で狙う次世代車
石油元売り2位の出光興産がトヨタ自動車に急接近し、事業モデルの変革に挑んでいる。柱となるのは電気自動車(EV)の次世代電池素材のほか、脱炭素につながる合成ガソリン供給網の構築だ。石油から脱炭素エネルギーに移行するパラダイムシフトの中、出光の戦略はトヨタのマルチパスウェイ(全方位戦略)との連携で成果を出せるかにかかっている。
出光の千葉事業所(千葉県市原市)で門外不出の素材開発が進む。航続距離を大幅に伸ばしながら充電時間も大幅に短くできる「全固体電池」向けの固体電解質だ。電池の性能を左右する粉体の高機能材で、研究情報には厳重な管理が施される。アクセスできるのは出光とトヨタの開発メンバー数十人のみだ。
イオンが行き来するスピードや粒の大きさ、正負極と密着して電池の耐久性を高める軟らかさまで、電池の性能を最大限に引き出したいトヨタの要求は「想像以上に厳しい」(リチウム電池材料部長の三品鉄路執行役員)。それでも量産技術の確立に向けて「開発は5合目を過ぎ、順調に推移している」(三品氏)。
耐久性を克服
課題だった温度・圧力の変化による耐久性を克服して、残るのは製造装置だ。粉体の大きさは1ミクロン(ミクロンは1000分の1ミリメートル)に満たない。「大きな装置の中央と端で反応に違いが出ないよう設計するのが最も難しい」(三品氏)。
「実用化へ大きな一歩を踏み出した」。2月、固体電解質に使う硫化リチウムの生産設備の発表で、中本肇専務執行役員は手応えをみせた。2027~28年に国内で目標とする固体電解質の量産規模は年間数百トンとEV数万台の規模にあたる。30年代には海外での生産も視野に入れ、数千億円規模の大規模投資の計画を着々と進めていく。
出光は70年代のオイルショックを経て、石油の知見を生かした新事業の育成を狙って高機能材に進出した。24年3月期の営業と持ち分法投資損益を合わせた高機能材の利益は前の期比6割増の276億円と高い成長をみせる。固体電解質は今後の事業を支える要だ。
固体電解質の量産に向けて23年にはオーストラリアでリチウム探鉱を手掛けるデルタリチウムに15%出資。原料のリチウムの権益を確保した。供給先はまずトヨタの新型車向けに集中する。出光の幹部は「需要はトヨタ頼みだが、トヨタもうちの技術を頼っている。一心同体だ」と強調する。
全固体電池だけではない。出光はハイブリッド車(HV)の将来的な活用に欠かせない合成ガソリンでもトヨタとの連携を探り始めた。合成ガソリンのもとになる合成メタノールはグリーン水素と二酸化炭素(CO2)を原料とし、既存のガソリンに比べて温暖化ガスの排出を大きく減らせる。エンジン車にそのまま給油できるのが特長だ。
出光は世界で合成メタノールの生産を計画する米HIF Global(ヒフグローバル)に出資しており、HIFからの調達で29年までに年間20万トンを供給する。それに先駆けて使用上の課題などを検証するため、26年ごろを目指して合成ガソリンをトヨタに少量販売。流通や販売のネットワーク構築に向けて二人三脚で課題を検証する。
もっとも次世代自動車を巡る競争は激しい。中国の自動車大手、比亜迪(BYD)は27年ごろから全固体電池を車両に試験的に搭載する。大規模搭載は30年以降を見込む。出光の幹部は中国勢への対抗策として、「原料からの一貫生産によるコスト低減などを通じて質の優位性を保ち続けるしかない」と話す。
中国勢に危機感
現段階では固体電解質に関連した特許の出願数では日本勢が世界で突出する。ただ「特に中国で特許の出願数がものすごい勢いで増え、早晩追いついてくることも考えられる」(三品氏)と危機感を持つ。出光は固体電解質を搭載したEVがいち早く市場投入されることから、性能に磨きをかけて突き放す考えだ。
出光が目指す構造改革の投資額は30年までに8000億円規模と、20~22年度の戦略投資に比べて3倍となる。大和証券の西川周作シニアアナリストは「投資額が膨らめば、事業単位で機動的に資金を集める必要も出てくる。ENEOSホールディングス傘下のJX金属のように機能材事業を分離・上場させるのも一つの選択肢だ」と話す。
出光の成長戦略は業界でも独特だ。洋上風力など再生エネ企業を約2000億円で買収したENEOSや、水素や風力発電に重点を置くコスモエネルギーホールディングスに対して、出光は「石油産業の強みを生かせない」(幹部)と再生エネには距離を置く。
24年春にはアンモニア、合成メタノール、固体電解質、再生航空燃料(SAF)を「重点4事業」として掲げた。SAFは航空分野の脱炭素により、まとまった需要が見込める。固体電解質は供給先ごとのオーダーメード品のため安定した収益を見込みやすいという。
木藤俊一会長は「需要の見込めない分野でやみくもに供給体制を敷いても仕方がない」と話す。脱炭素に向けた30年ビジョンで掲げた「責任ある変革者」の看板の下、トヨタと二人三脚で投資効率を高めながらエネルギー転換を前進させる。
サステナブル総合調査、来月8日から 「スマートワーク」「SDGs」で表彰(お知らせ)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 502文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社は「日経サステナブル総合調査」を5月8日から開始します。多様で柔軟な働き方や人的資本経営、国連の「持続可能な開発目標」に沿った企業の取り組みを調査し、イノベーションの創出や生産性向上を通じていかに企業価値向上につなげているかを分析します。
同調査は昨年「スマートワーク経営」「SDGs経営」として別々に実施してきた2つの調査を統合してスタートしました。統合前から数えて「スマートワーク経営」は9回目、「SDGs経営」は7回目となります。
それぞれの結果は11月をめどに日本経済新聞や日経電子版で公表する予定です。調査結果をもとに、優れた企業を表彰します。
調査の内容や狙いなどを説明するセミナーを5月9日にライブ配信します。詳細は日経イベント&セミナー(https://events.nikkei.co.jp/72598/)をご覧ください。同セミナーは16日から日経チャンネル(https://channel.nikkei.co.jp/2505smartwork/)と日経スマートワークサイト(https://smartwork.nikkei.co.jp/)でアーカイブ配信します。
SANKYO 小倉敏男氏(新トップ)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 120文字 PDF有 書誌情報]
◇SANKYO
小倉 敏男氏(おぐら・としお)80年(昭55年)群馬県立桐生工業高校卒。89年三共(現SANKYO)入社。12年執行役員、24年取締役専務執行役員。群馬県出身。63歳
(6月27日社長CEO兼COO就任。石原明彦社長は退任)
太陽化学 山崎長宣氏(新トップ)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
◇太陽化学
山崎 長宣氏(やまざき・ながのぶ)11年(平23年)東京理科大経営卒、太陽化学入社。17年執行役員、24年取締役。三重県出身。36歳
(6月20日社長就任。山崎長宏社長は代表権のある会長に)
時事通信社(会社人事)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 19ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
時事通信社人事
(6月24日)取締役業務・総合メディア・スポーツ事業担当(社長室長)福山亨▽退任(取締役)杉本一郎
「インド株に割安感」 アリアンツGI運用担当者、米関税の影響「限定的」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1283文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けて世界の株式相場が急落する中、インド株が堅調に推移している。独保険大手アリアンツの資産運用部門、アリアンツ・グローバル・インベスターズ(GI)のリード・ポートフォリオマネジャー、アナンド・グプタ氏は「インド株は米関税影響が限定的で、割安感も強く魅力的な投資先だ」と話した。
――MSCIインド指数は2月末比で10%高と先進国(MSCIワールド、10%安)やMSCI新興国株指数(2%安)を上回っています。
「インド株は中央銀行による流動性引き締めや昨年の総選挙、天候不順に伴う設備投資の減速などを受けて2024年9月から25年2月まで下落基調が続いた。ただ25年に入り、政府の所得税減税による消費喚起や中銀の利下げ、天候改善による設備投資の回復といった追い風が吹いている」
「米関税政策のインドへの影響は限定的で、新興国の中でも最も小さい。インドの財の対米純輸出は国内総生産(GDP)の2%以下で、米国が公表した相互関税率(26%)は他の新興国より低い。第1次トランプ政権では『チャイナプラスワン』の流れで世界最大のスマホメーカーがインドからの調達を拡大した。今回も同様にインドが米関税政策の受益者になる可能性もある。こうした中、投資家がインドの長期的な成長性を改めて評価している」
――インド株に対するスタンスは。
「短期・中長期ともに強気だ。MSCIインド指数は3月時点で、MSCIワールドに対する相対PBR(株価純資産倍率)が歴史的な低さだった。同じくらい割安だった時期は2010年代前半に2度あったが、今回が過去と違うのはマクロ経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が強固で、インドが世界で最も成長率が高い市場の一つだと予測されていることだ。バリュエーション(投資尺度)面で魅力的なエントリーポイントと言える」
――特に注目しているセクターやテーマは。
「15日時点で主要指数の構成銘柄の75%以上が200日移動平均を下回って推移しているため、幅広い銘柄に投資機会がある。特に注目するのは急速に進むデジタル化を生かしてディスラプション(破壊的な変化)を起こす企業やチャイナプラスワン関連、ヘルスケアIT(情報技術)などだ。(株価の上昇トレンドに乗る)モメンタム投資家やグロース投資家が売却してバリュエーションが下がったクオリティー株にも魅力がある」
――インド企業の強みは。
「まずインドの平均年齢が28歳と若いことだ。若者は年配者とは違う考え方をすることができ、物事に対してよりオープンだ。さらに過去20年間、インドは企業統治や透明性の向上に取り組んできた。企業は適切なキャピタルアロケーション方針を取り、ROE(自己資本利益率)は新興国で最も高い。レバレッジの低さも強みだ」
「株式市場に関して言えば、インド国内の個人投資家の参入が増えていることも追い風だ。貯蓄に回っている大規模な資金が、段階的に株式市場に流れている」
(聞き手は堤健太郎)
【図・写真】アリアンツGIのリード・ポートフォリオマネジャー、アナンド・グプタ氏
オービック8%増益、今期最終見通し 実質4円増配[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 643文字 PDF有 書誌情報]
オービックは22日、2026年3月期の連結純利益が前期比8%増の700億円になる見通しだと発表した。14年連続で最高益となる。大企業向けに業務システムの販売が増える。好業績を背景に、年間配当は年74円と、前期の70円(株式分割考慮後)から実質4円増配する。同社は24年10月に1株を5株に分割した。
今期の売上高は10%増の1334億円、営業利益は10%増の862億円を見込む。営業利益は32年連続で過去最高を更新する見通し。主力の統合基幹業務システム(ERP)「オービック7」の受注が好調で、特に売上高1000億円以上の大企業向けの販売が伸びる。
システム設計や導入を手がけるシステムインテグレーション事業の売上高は8%の伸びを見込む。顧客のうち大企業が占める割合は前期末時点で25%を超えた。橘昇一社長は同日の決算会見で「今期も数ポイント上昇する見通しだ」と話した。
運用サポートや保守メンテナンスなどのシステムサポート事業は12%増収となりそうだ。クラウド比率は今期中に95%以上まで高まる見通しでクラウド化がほぼ完了するめどがついたという。
一方、トランプ関税の影響などから顧客の設備投資抑制を懸念する見方もある。橘社長は「システムは企業のインフラとして欠かせない。費用対効果の高いものを提案し、顧客に十分な検討の時間があればむしろチャンスになりうる」と強調した。
同日発表した25年3月期の連結決算は売上高が前の期比9%増の1212億円、純利益が11%増の646億円だった。
ツガミ、純利益最高、前期上振れ 中国EV向け需要[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 247文字 PDF有 書誌情報]
ツガミは22日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期の2倍の108億円になったと発表した。従来予想を28億円上回り、最高益を更新した。中国の電気自動車(EV)メーカー向けの工作機械販売が想定より伸びた。年間配当は従来予想から5円上積みして前の期比11円増の59円とする。
前期の売上収益(売上高に相当)は28%増の1074億円、営業利益は78%増の232億円。それぞれ従来予想から104億円、47億円上振れし、いずれも過去最高となった。ツガミは売上高の7割を中国市場が占める。
旭化成、石化改革に遅れ、資本効率を押し下げ、「次の日立」へ事業再編課題(記者の目)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1536文字 PDF有 書誌情報]
旭化成の懸案である石油化学事業の構造改革がもたついている。複数の事業売却交渉が昨年度までにまとまらなかったほか、基礎化学品の生産再編にも時間がかかっている。トランプ米政権の関税政策で景気減速懸念が強まるなか、資本効率を底上げできるかどうか市場は不安視している。
「複数の事業で2024年度中の意思決定を目指してプロセスを進めたが、不成立となった」。同社は10日発表の中期経営計画で石化事業(ケミカル事業)の構造改革についてこう明らかにした。
不成立となった案件の一つとみられるのが、樹脂原料「アクリロニトリル(AN)」の韓国事業だ。中国の過剰生産を受けて苦戦していた。タイでの生産撤退に続き韓国事業も切り離す計画だったが、市況低迷などがハードルとなったようだ。
基礎化学品であるエチレンの生産再編もスピード感を欠く。24年5月から三菱ケミカルグループや三井化学と西日本の生産拠点の再編を協議してきたが、ようやく域内の2基を1基に集約すると合意したのみだ。
これまで旭化成は「石化事業の構造改革で他社に先行している」(国内証券)とみられていただけに、失望する市場関係者は少なくない。
石化事業の改革遅れは、自己資本利益率(ROE)を下押しする。ROEは24年3月期に2・5%と振るわなかった。25年3月期も6%程度にとどまったもようで、同社の想定する株主資本コスト(8%)を3年連続で下回った。
新中期経営計画でもROEの28年3月期目標は9%にとどまる。住宅部門やヘルスケア部門の営業利益は伸びるものの、石化事業が落ち込む。JPモルガン証券の仲田育弘アナリストは「市場ではROE目標は2ケタ欲しかったとの見方が多い」と話す。
石化事業の28年3月期の投下資本利益率(ROIC)は3%と25年3月期比で半減する見通し。営業利益が4割減る影響が大きい。汎用的化学品の投下資本を25年3月期比で2割減らす計画だが、アセットライトは十分でない可能性がある。
気がかりなのは、不振が石化事業だけにとどまらない恐れがあることだ。その筆頭が「戦略的育成」分野のエナジー&インフラ事業で、28年3月期のROIC予想は3%と25年3月期のゼロから伸び悩む。リチウムイオン電池用セパレーター「ハイポア」の投資が先行する。
旭化成は23年3月期に他のセパレーター製品で1863億円の減損損失を計上したうえで、ハイポアに集中すると決めた。ハイポアは24年4月にカナダでの第1期投資(約1800億円)を決定し、現地で工場の建設を進めている。
だが、足元で強い逆風に見舞われている。トランプ政権は関税政策を巡りカナダと対立しているほか、EV補助金の廃止も計画している。旭化成はハイポアの「販売見通しを精査中」で、第2期以降の設備投資は柔軟に対応するという。
足元の市場評価は低調だ。PBR(株価純資産倍率)は21日時点で約0・7倍と低迷している。ヘルスケアなど利益率の高い事業でマルチプル(評価倍率)を高める戦略だが、投資家からは「ヘルスケアなどに投資してもマルチプルの引き上げ効果は限定的で、コングロマリット(複合経営)ディスカウントに陥っている」と指摘されている。
「日立製作所をベンチマークにしている」。工藤幸四郎社長は語る。上場子会社を大胆に売却した日立を参考に、ヘルスケア、住宅、マテリアルを柱とする「3領域経営」の枠組みを維持しつつ、ポートフォリオを入れ替えていく構想を描く。
「『ネクスト日立銘柄』を探す海外の長期投資家がいる」(シティグループ証券の阪上亮太・株式ストラテジスト)。旭化成がこうした投資家をとらえるには、かけ声倒れに終わらずに改革スピードを上げるしかない。(佐藤梨紗)
2025年度業績展望(4)小売り、逆風下でも底力 節約志向を取り込み、セリア、1割増益予想(終)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1520文字 PDF有 書誌情報]
小売り各社の2026年3月期の市場予想は今のところ堅調だ。前期の会社計画に比べて増益基調となっている。米国の関税政策などで景気の先行き不透明感が広がるなかでも、生活必需品を中心に個人消費は底堅いとの見立てが背景にある。物価高や人件費などのコスト増が続いており、消費者の節約志向が一段と強まる可能性もある。
今期の市場予想平均(QUICKコンセンサス)の税引き利益が前期の会社計画比で13%増なのは100円ショップを展開するセリアだ。物価高で実質賃金が伸び悩む局面でも均一価格を堅持したことから集客面などでの優位性が高まっている。仕入れ価格の管理を徹底できれば増益となるシナリオを市場は描く。
節約志向が追い風となる可能性のある銘柄はほかにもある。リユース店を運営するハードオフコーポレーションも今期の連結純利益の市場予想が2ケタ増となっている。ワークマンは利益率の高い商品への入れ替えなどが進んでいることから、市場予想の税引き利益は9%増を見込む。
食品スーパーではヤオコーが今期2ケタ増益の予想となっている。値上げで客単価を引き上げるとともに、巧みな割引施策などで客数を回復できている。強みである総菜など高付加価値品も好調だ。
岡三証券の金森淳一シニアアナリストは「質と価格のバランスがとれた高コストパフォーマンスな商品展開が奏功している」と指摘する。
ニトリホールディングス(HD)の今期純利益は市場予想平均で956億円と、前期の会社計画から4%増える見通しだ。商品の約9割を海外調達しており、為替が対ドルで1円円高に進むと年20億円の経常増益要因となる。前期の期中平均レートは1ドル=約152円で、足元の為替水準で推移すれば単純計算で200億円超利益を押し上げる。
ただ、前年に大型セールを実施したこともあり、25年3月までの既存店売上高は3カ月連続で前年割れしている。ニトリHDは仮に円安に大きく振れても収益を圧迫しないよう、1ドル=160円でも採算の取れる商品の開発に取り組んでいる。JPモルガン証券の村田大郎シニアアナリストは「自助努力の進展が業績を左右する」と話す。
百貨店などの高額消費をけん引したインバウンド(訪日外国人)は円安一服などで陰りがみえる。トランプ米政権の関税政策の影響も懸念材料だ。三越伊勢丹ホールディングスの今期純利益は市場予想で2%増の見通しだが、3月の既存店売上高は3年7カ月ぶりに前年割れとなった。他の銘柄も含め市場予想が今後厳しい方向で見直される展開もありうる。
SMBC日興証券は3月の月次売上高速報を受けて3日、三越伊勢丹の投資判断を3段階で最上位の「1(アウトパフォーム)」から真ん中の「2(中立)」に変更した。22日終値の1698円よりもなお高いとはいえ、目標株価を3200円から2400円へと大幅に引き下げた。
足元では業界再編も活発化しつつある。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は24年11月に完全子会社にした「いなげや」とグループ全体で仕入れ原価の低減を図る。ウエルシアホールディングスとツルハホールディングスも早期の相乗効果の発揮に向けて、統合時期を当初計画から2年前倒しした。今期も規模拡大や業務効率化に向けたM&A(合併・買収)が注目される。
4月中旬までに前期決算を発表したセブン&アイ・ホールディングスやイオンなど63社の25年2月期業績を集計すると、営業利益の合計は前の期比6%減と4年ぶりに減った。岡三証券の金森氏は「小売りセクター全体としてのオーバーウエートはできず、個々の銘柄の選別が従来以上に重要になる」と話す。(岡本孔佑)
=おわり
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 749文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
イシン(143A)
25.3 13 232 177
東急建設(1720)
25.3 2930 9700 6600
鉄建(1815)
25.3 1861 3020 3430
1株配(円)〓25.3予=122.0 (24.3=100.0)
アストロスケールホールディングス(186A)
25.4 23 ▲22500 ▲22500
デジタルグリッド(350A)
25.7 55 2186 1556
1株配(円) 25.7予=0 (24.7=0)
※25.2.12付で1:10分割
クイック(4318)
25.3 325 4611 3583
1株配(円) 25.3予=96.0 (24.3=94.0)
BTM(5247)
25.3 ★ 92 66
アーレスティ(5852)
25.3 1630 2900 ▲3100
ツガミ(6101)
25.3 1074 ― 10870
1株配(円) 25.3予=59.0 (24.3=48.0)
■横浜魚類(7443)
25.3 202 182 207
リンテック(7966)
25.3 3160 25500 14000
佐賀銀行(8395)
1株配(円) 25.3予=90.0 (24.3=80.0)
名古屋銀行(8522)
1株配(円)〓25.3予=270.0 (24.3=180.0)
NECキャピタルソリューション(8793)
25.3 2548 9437 6611
トーカイ(9729)
25.3 1495 8838 4733
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 670文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
オービック(4684) 6.26
24.3 1115 81151 58007 654.6 300.0
25.3 1212 89770 64621 146.9 198.0
26.3予 1334 97300 70000 159.1 74.0
■オービックビジネスコンサルタント〓(4733) 6.23
24.3 419 19869 13841 184.1 80.0
25.3 469 23044 16182 215.3 100.0
26.3予 517 25000 17350 230.8 106.0
コメリ(8218) 6.26
24.3 3707 22214 13712 286.1 52.0
25.3 3791 22248 13719 289.1 54.0
26.3予 3910 23700 14600 307.8 56.0
■オリックス不動産投資法人(8954) 5.20
24.8 262 11521 11506 4169.0 3820.0
25.2 256 11029 11015 3991.0 3991.0
25.8予 282 12281 12258 4441.0 4540.0
■森トラストリート投資法人(8961) 5.22
24.8 117 6795 6785 1906.0 1757.0
25.2 118 6869 6859 1926.0 1788.0
25.8予 114 6295 6285 1765.0 1766.0
<数表>第2四半期(決算数字)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 594文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
■マクアケ(4479)
23.10-24.3 18 ▲96 ▲76 ― 0
24.10-25.3 20 262 247 19.4 0
25.9予 40 310 290 22.8 0
■リアルゲイト(5532)
23.10-24.3 50 647 444 159.1 0
24.10-25.3 63 692 477 168.5 0
25.9予 95 825 570 99.8 0
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
―――――――――――――――
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
B-R サーティワン アイスクリーム(2268)
24.1-3 55 277 163 16.9
25.1-3 65 378 242 25.2
ブロンコビリー(3091)
24.1-3 65 793 527 35.5
25.1-3 72 553 373 25.1
<数表>財務短信[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 86文字 PDF有 書誌情報]
名古屋銀行(8522)
株式分割=9月30日現在の株式1株を3株
テレビ朝日ホールディングス(9409)
売出価格=2589円▽申込期間=4月23~24日▽受渡日=4月30日
武田薬品工業(4502)(格付け)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
武田薬品工業(4502)
発行登録債予備=Aプラス(R&I)、AAマイナス(JCR)
クボタ(自社株取得枠設定)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
クボタ 1600万株、200億円
オリックス(8591)(格付け)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
オリックス(8591)
発行登録債予備、同(売り出し)=AA(R&I)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 20ページ 4507文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 21日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
ぷらっと 7 △7 1190 ▲34
ベースフード 421 0 18403 ▲16
ゼンムテック 6 0 186 ▲27
GMOインタ 49 △38 554 ▲11
スターシーズ 0 0 988 △8
インタートレ 158 ▲4 1217 △78
サイトリ細研 0 0 1890 0
トミタ電機 0 0 248 ▲8
HSHD 4 0 8856 △1
ReYuu 0 0 1357 ▲2
イオレ 0 0 247 △1
Schoo 0 0 2789 ▲45
Syns 2 ▲23 1687 △436
ファンデリー 379 ▲54 545 △99
イントランス 0 0 8403 ▲120
BASE 293 0 22916 △2
テクノロジー 0 0 4310 0
アップバンク 0 0 2683 △32
BCC 0 0 213 ▲3
グロームHD 0 0 2383 0
ピクセル 288 0 5902 ▲29
LIEH 0 0 553 ▲36
ウイルコHD 0 0 499 ▲8
アクアライン 0 0 40 ▲43
タマホーム 824 △13 353 △56
BEENOS 7 0 4 0
CRE 0 0 9 △1
プロト 0 0 1 0
ドリームI 17 ▲1 176 ▲3
フジHD 7343 ▲29 8678 △333
ヨータイ 23 0 169 ▲22
パイオラック 21 0 25 0
牧野フ 4 0 72 ▲28
ヤーマン 953 0 307 ▲1
富士通ゼ 5 0 166 △28
ジャムコ 8 0 14 ▲45
トプコン 131 0 472 △28
天馬 0 0 15 0
トナミHD 0 0 19 ▲3
内外トランス 0 0 7 △1
イオンディラ 3 0 4 ▲1
イメージワン 480 ▲21 1620 △12
PバンCOM 6 0 341 ▲3
Eストアー 0 0 8 0
HEROZ 296 △17 234 0
オートサーバ 0 0 58 ▲2
全保連 0 0 341 ▲2
AIメカ 79 0 400 △5
インスペック 25 0 280 0
ナカヨ 0 0 0 0
芝浦電子 0 0 263 △77
NEWART 0 0 28 0
アールシー 6 0 60 0
MUTOH 1 0 119 0
丸藤パ 0 0 42 0
広電鉄 3 0 53 0
ユーラシア 0 0 75 0
グリンランド 0 0 19 △1
シャルレ 134 ▲62 285 ▲9
アルテック 1 0 2473 △1
ヴレインS 154 0 444 △31
ジェネパ 19 0 438 △8
フィスコ 254 ▲3 3209 ▲32
エコモット 5 0 361 △49
WACUL 10 0 176 ▲19
カオナビ 0 0 4 0
※ 野村4百Dイ 5837 ▲36 11398 △1235
※ 野村高配70 43 0 3774 △225
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 470 △70
※ SMT好配当 0 0 2201 △11
※ SMD高配当 0 0 2920 0
※ GXオフ日R 0 0 31 0
※ GX住宅日R 0 ― 2302 ―
※ iS米25ヘ 140 0 738920 △38700
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ GXLE日株 0 0 121 0
※ SBIサウジ 0 0 1922 △2
※ 野村ESGコ 0 0 890 △10
※ GX日カバコ 0 0 3300 0
※ 野村欧州株H 0 0 24660 △250
※ 野村独株H有 10 ▲10 596140 △26830
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 ▲180 253960 △38460
※ 野村米半導 0 0 541 ▲28
※ iF高配50 2025 0 2060 ▲736
※ GXSPCF 0 0 6652 △83
※ 阪急阪神R 573 ▲15 441 ▲21
世紀東急 351 0 197 0
アイケイケイ 273 △42 80 △2
柿安本店 389 △25 87 △5
くら寿司 439 △62 280 ▲1
Rフィールド 767 △62 79 △15
オイシックス 114 △12 444 ▲30
日本調剤 641 △33 192 ▲4
Jテック・C 7 0 207 △4
ケイアイ不 49 0 65 0
グッドコムA 820 0 526 ▲8
SMINOE 7 0 54 ▲1
力の源HD 283 ▲3 288 △7
さくらネット 1904 ▲10 2673 △8
フリービット 543 △24 536 △24
gumi 498 △1 3869 △6
ACCESS 849 ▲1 1713 △14
小林製薬 95 0 288 △10
エニーカラー 206 △4 592 △1
千葉興 73 0 1503 ▲4
神電鉄 24 0 9 0
サンウェルズ 2140 △11 1526 ▲25
JESCO 3 0 222 ▲4
佐田建 24 0 1254 △5
植木組 0 0 50 0
三晃金 0 0 93 △2
焼肉坂井HD 7 △2 237 △9
パレモ・HD 40 0 1233 ▲6
OCHIHD 8 0 12 0
菊池製作 134 △20 251 0
マツオカ 11 0 643 0
enish 557 0 2537 △31
片倉コープ 16 0 159 ▲88
アズジェント 4 0 80 0
SIGG 0 0 214 △1
わかもと 198 ▲1 1300 ▲22
秀英 4 0 70 0
富士興 1 0 42 0
日山村硝 3 0 243 0
ノザワ 0 0 201 △1
大阪製鉄 1406 0 1734 0
虹技 0 0 78 ▲2
アルメタクス 5 0 270 ▲1
洋シャタ 0 0 145 0
デザインワン 5 ▲1 1003 △24
土木管理 15 0 355 ▲1
油研工 0 0 65 △2
ディスラプタ 13 ▲6 513 ▲4
サクサ 2 0 163 0
星和電 0 0 127 0
池上通 10 △6 180 ▲3
沢藤電 6 △6 107 0
大黒屋 1576 ▲427 9121 ▲97
upr 10 0 160 △1
近畿車 0 0 56 0
あんしん保証 16 ▲5 402 ▲179
日本モゲジS 5 0 604 ▲8
河西工 167 △46 1347 ▲20
エコーTD 1 0 270 0
パリミキHD 19 △3 145 ▲4
マックハウス 103 ▲1 141 0
テイツー 3895 ▲253 8491 △245
京都友禅HD 329 ▲45 1093 △51
黒田精 8 0 78 0
岡本硝子 123 △5 1714 △5
タカノ 1 0 82 0
ホクシン 49 ▲4 850 △10
ナイガイ 22 0 289 0
OUGHD 1 0 27 △1
トルク 17 △9 324 ▲1
オリンピック 1 △1 96 0
東北銀 0 0 50 △1
富山銀 25 0 62 0
福島銀 157 0 1130 △78
太平発 2 0 159 0
明和地所 11 0 73 △1
ファースト住 78 △7 137 ▲1
東陽倉 0 0 87 0
乾汽船 74 ▲4 221 △2
ワイヤレスG 16 ▲3 436 0
テアトル 16 0 19 0
日邦産業 8 0 148 0
ショクブン 6 ▲1 89 0
やまや 3 0 3 0
タイミー 1553 ▲55 2248 △20
サンクゼール 72 ▲1 58 △1
すららネット 6 0 232 ▲18
T&S・G 81 △1 240 ▲6
プレイド 283 △12 2825 △28
エーアイ 3 0 240 △1
Kudan 218 ▲2 653 0
ミンカブ 334 0 1063 ▲6
OTS 2472 ▲54 10062 ▲21
Pアンチエイ 81 △4 208 △1
FIXER 256 0 396 0
弁護士COM 199 0 287 △3
MRT 1 0 102 0
レントラクス 5 0 332 ▲3
エヌピーシー 553 0 1927 ▲33
アスタリスク 114 ▲6 414 ▲10
WASHハウ 39 0 217 0
PSS 243 △3 974 0
J・TEC 139 ― 444 ―
マイクロ波 453 △2 849 △1
日経300投信 1 0 7 0
※ SPDR金 223 ▲8 2876 △48
※ 野村金連動 4740 △70 106650 △410
※ 日経2倍 3468 ▲1420 39528 △626
※ 日興高配低ボ 0 0 8 0
※ 日興米債ヘ有 30 0 4909 ▲10
※ One高配当 40 ▲7 5793 △7
※ スタンダ20 100 △100 1140 ▲200
※ H株ベア 180 ▲30 27580 △180
※ WTI原油 37101 △232 193652 ▲503
※ 日興外債毎月 10 0 150 0
※ GX印10+ 94 △9 53233 ▲493
※ iSインド株
9590 1029910
▲20270 △38080
※ GXホリ日R 0 ― 14747 ―
※ iF高リート 0 0 14238 0
※ MXダウヘ有 1530 ▲310 6800 △460
※ GXウラン 0 0 24000 ▲20
※ iS米20 6930 ▲12370 586430 ▲7120
※ iS仏国債H 0 0 2000 ▲4500
※ GX高配30 25 0 15335 △409
※ iS日本国債 1224 ▲16 2748 0
※ MXナスダク 7113 △533 38533 △117
※ GXリー日株 0 0 1898 △15
※ iFEナ百無 10374 △2033 160053 ▲2158
※ iFEナ百有 30024 0 64528 △3659
※ 野村ナスH有 89030 △1910 122920 △1590
※ GX銀行高配 2 ― 52428 ―
日経平均に底堅さ、米政権不信で 米国株から資金流入[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1272文字 PDF有 書誌情報]
22日の東京株式市場で日経平均株価は小幅に続落した。終値は59円(0・2%)安の3万4220円。前日に米ダウ工業株30種平均が一時1300ドル以上下落するなど大幅安となった割には日本株は底堅い。トランプ米政権の政策への不信感から米国を離れるマネーが日本株にも入り込んでいる。
この日の日経平均は前日比168円安で取引が始まったものの下げ幅を縮小。一時60円高と上げに転じる場面もあった。トランプ大統領が米連邦準備理事会(FRB)議長を批判し、中央銀行の独立性に疑念が生じるなかでも売りは限られた。鉄道や小売りなど関税の影響が小さいとされる内需株や商社株が買われた。
「投資家が米国株をオーバーウエート(時価総額構成比より多めに保有)し、日本株をアンダーウエート(少なめに保有)する状況は変化する可能性がある」。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントはこう指摘する。
世界の投資家が米国株や米国債に強気な前提には強い米ドルがあった。ところが、FRBの独立性が揺らげば米ドルの信認にも疑問符がつく。石橋氏は「市場はドルの信認が低下するリスクを相応の確率で織り込み始めた」とみる。ドル安とともに米国に集まったマネーは世界に分散されうる。
3月末に比べた各国の株価指数の騰落率を比較すると、ダウ工業株30種平均は21日時点で9%安だったのに対し日経平均や独DAX指数は4%安にとどまる。上海総合指数は1%安で、4月に限れば「1強」だった米国株が「最弱」の様相だ。
2日にトランプ大統領が「相互関税」を発表した直後は世界で同時株安となった。9日に90日間の関税停止を発表すると株価は反転上昇した。米国株と日本株が連動しなくなったのはその後だ。米政権は中国との貿易戦争を激化させ米国が景気後退に陥るとの懸念は強まっている。さらに、トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任を検討していることも明らかになり「米国売り」が強まった。
PGIMジャパンの鴨下健株式運用部長は「経済面における米国の孤立を織り込み始めた投資家が米国からの分散を進めている」とみる。市場が不安定ななかでも海外投資家は4月第2週(7~11日)に日本の現物株を1582億円買い越した。買い越しは2週連続だ。
これまでFRBの利下げ期待が強まると株価が上がる傾向があったが、今回は中銀の独立性が揺らぎ、経済実態にそぐわない利下げを迫られるリスクへの警戒が勝る。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「金融政策に不当な政治介入を行い利下げを強く迫るほど、FRBは利下げにより慎重になってしまう」と、解任に至らなくともトランプ氏の姿勢がFRBの政策判断に影響しかねないとみる。
米国株の弱さは米政権の政策が起点になっているだけに長期化しかねない。相対的に日本株が強いとはいえ、米国の金融市場の混乱は日本株にも響いてしまう。PGIMジャパンの鴨下氏は「米国株の回復はトランプ氏が変わるか次第。市場の警告がトランプ氏の変化を促すものであってほしい」とこぼした。
信用買い残、3週ぶり増[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 870文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所が22日発表した、18日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3兆9537億円だった。前の週から29億円増え、3週間ぶりに増加に転じた。前の週に比べて投資家の不安感がやや和らぎ、個人投資家が持ち高を増やしやすくなった。
この週(14~18日)の日経平均は週間で1144円(3・4%)上昇した。17日に開かれた日米の関税交渉では両政府が早期の合意を目指すことを確認し、投資家の間でひとまず安心感が広がった。日本株は前週までの下落を受けて割安感が強まっていたこともあり買い戻しの動きが見られた。
東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「海外投資家などの売りも減って市場が前の週より落ち着き、投資家の不安心理が改善した」と話す。また4月初週は株価が大幅下落し、信用買いの追加保証金(追い証)が生じ、痛手を被った投資家もいた。「損切りで減った持ち高を再び増やす動きがあった」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との指摘もある。
個別銘柄では、防衛費増額の思惑などから株価が上昇した川崎重工業や三菱重工業などの信用買い残が増加した。
信用売り残は5965億円で、11日申し込み時点と比べて1372億円増えた。
2市場信用取引残高
( 4月18日現在、一般信用と制度信用の合計、単位千株、百万円、カッコ内は前週比増、▲減 )
売り残 買い残
東京 株数 326,517 ( 67,911 ) 2,849,479 ( 3,822 )
金額 596,586 ( 137,223 ) 3,952,326 ( 3,086 )
名古屋 株数 1 ( 0 ) 1,258 ( ▲113 )
金額 1 ( 1 ) 1,445 ( ▲132 )
2市場 株数 326,518 ( 67,911 ) 2,850,737 ( 3,709 )
合計 金額 596,587 ( 137,224 ) 3,953,771 ( 2,954 )
アストロHD、赤字225億円、今期最終、衛星収益化遅れ[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 384文字 PDF有 書誌情報]
宇宙ごみ(デブリ)除去サービスのアストロスケールホールディングス(HD)は22日、2025年4月期の連結最終損益(国際会計基準)が225億円の赤字(前期は91億円の赤字)になる見通しだと発表した。従来予想は185億円の赤字だった。
米国子会社が開発する新規衛星の収益化が遅れ、開発費用をまかなえず、最終赤字幅が拡大する。
今期の売上高に当たる売上収益は前期比19%減の23億円と、従来予想を57億円下回る見通し。営業損益は195億円の赤字(前期は115億円の赤字)と、25億円下方修正した。衛星の寿命延長を補助する衛星「LEXI―P」の納入を巡る契約締結が大幅に延び、想定よりも収益化が遅れる。
アストロHDは24年6月に東証グロース市場に上場した。業績の下方修正を嫌気した売りが膨らみ、22日の東京株式市場でアストロHD株は前日比10%安の692円で取引を終えた。
日証金、GX住宅日R受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 110文字 PDF有 書誌情報]
日証金、GX住宅日R受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除 制度信用取引の買いの現引きに伴う申し込み停止措置を解除。23日約定分から。制度信用取引の新規売りに伴う貸株申し込みおよび融資返済申し込みは引き続き停止。
東証、DG株を制度信用銘柄に選定[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 77文字 PDF有 書誌情報]
東証、DG株を制度信用銘柄に選定 23日売買分から。日証金も同日約定分から貸借融資銘柄に、25日(受け入れ日)から貸借担保金代用有価証券適格銘柄に追加。
東証、アイロムG株の制度信用銘柄および貸借銘柄の選定取り消し[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
東証、アイロムG株の制度信用銘柄および貸借銘柄の選定取り消し 23日付。日証金も同日付で貸借銘柄と貸借担保金代用有価証券適格銘柄の選定取り消し。
22日の相場表変更[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
▽新規上場=〔東証グロース〕デジタルグリッド(DG、電力・ガス)▽整理銘柄に指定=〔東証プライム・監理〕アイロムG
日証金、スマレジ株、MRKHLD株の貸借取引で注意喚起[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
日証金、スマレジ株、MRKHLD株の貸借取引で注意喚起 貸株利用などで。22日付。
銘柄管理情報=整理銘柄に指定[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
▽整理銘柄に指定=〔東証プライム〕アイロムGは22日(上場廃止は5月12日)
東証、ネクスウェア株を日々公表銘柄に指定[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
東証、ネクスウェア株を日々公表銘柄に指定 23日から。
「ドル売り」から「円買い」へ 140円突破 欧米との金利差縮小意識、退避マネー集中、独歩高も(ポジション)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1349文字 PDF有 書誌情報]
投資マネーの動きに変化の兆しが表れ始めた。これまでトランプ米政権の政策不安によるドル離れが進んでいたが、その退避先が円に集まりつつある。「ドル売り」から「円買い」への流れが強まり、22日には一時、1ドル=140円の節目を超えた。
年初からの円の対ドル、対ユーロ相場を比べると、円は対ドルでほぼ一貫して買われる一方、対ユーロでは方向感の定まらない値動きを続けてきた。トランプ政権の輸入関税引き上げが米景気の先行き不安を招き、ドルから円やユーロなどの主要通貨に資金が退避していたからだ。
ただ市場では「当面は円に投資マネーが集中する独歩高になりやすいのではないか」(マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司氏)との見方が優勢になりつつある。背景にあるのは日米欧の金融政策運営の方向性の違いだ。
欧州中央銀行(ECB)は17日の理事会で、政策金利を0・25%引き下げることを決めた。利下げは6会合連続で、ドイツなど欧州各国で景気失速リスクが高まっており、一段の利下げが適切だと判断した。
理事会で目を引いたのは、声明文から「(金融政策が)実質的に引き締め的でなくなりつつある」との文言を削ったことだ。ラガルド総裁は「(金融引き締めの評価が)現時点で意味をなさなくなった」と説明した。市場は6月の次回理事会でも利下げを続けるとの見方を一気に強めた。
投資マネーは通貨間の金利差の変化に敏感だ。米国ではトランプ大統領が利下げに慎重な米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の更迭論をちらつかせるなど、利下げ圧力が強まっており、ドル離れをあおっている。そこにECBの利下げ見通しが加われば、投資マネーはドルからユーロに流れづらくなる。
日銀はどうか。植田和男総裁はECBが利下げを決めた同じ17日の国会で、経済・物価の見通しが実現していくのであれば「引き続き政策金利を引き上げる」と発言。トランプ関税を巡る不確実性を意識しつつも、利上げ見送りを示唆することはなかった。
しかも24日には、日米財務相会談が開かれ、長期にわたって円安・ドル高基調が続く為替の問題も議題に上る可能性がある。日本の対米貿易赤字の縮小につながる円安の修正手段として、市場では米国側から日銀への利上げ要求が出されるのではないかとの思惑もくすぶる。
利下げを志向する欧米と、利上げを意識する日本。おのずと見えてくるのは、円への投資マネー集中シナリオだ。みずほ銀行が米商品先物取引委員会(CFTC)のデータから算出したヘッジファンドなどの投機筋による対ドルでの円の売買動向をみると、15日時点で150億ドルの買い越しになり、過去最大を更新している。
市場では当初、ヘッジファンドの円買いが大幅に膨らんできたことで、利益確定の円売り・ドル買いを予想する声も少なくなかった。だがトランプ大統領があからさまにFRBに対する利下げ圧力を強めたことで、当面は利益確定の円売りが膨らまないとの見方を強めている。
円が対ドルで一時、140円の節目を超えたことで、130~140円の新たな相場レンジが視野に入ってくる。投資マネーが円を買い進められる領域も広がることになり、今後は円高方向に振れやすい展開が続く可能性が高まりそうだ。
(編集委員 小栗太)
「財政問題」に目をつぶるな(大機小機)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 927文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が突如、相互関税の上乗せ分の実施延期を決めた。米国債金利が急上昇したことが引き金になったと一部で伝えられている。
米国の関税攻勢が巨額の財政赤字を抱える米国経済にはねかえると考えれば、今回の金融市場の反応に政府が慌てたとしても不思議はない。
米新政権は、財政再建に積極的に取り組む姿勢をみせている。対して政府債務残高が国内総生産(GDP)の2・1倍(2024年。米国は1・2倍)と先進国では突出して財政難の日本はどうか。
夏の参院選挙を控えて、与野党とも票欲しさの財政バラマキ政策を競い合っている。
コロナ禍で大規模な財政出動が行われていた21年に当時の現職の財務次官、矢野康治氏が「このままでは国家財政は破綻する」(「文芸春秋」21年11月号)という論文を発表して話題となった。
この中で同氏は、日本を北大西洋で沈没したタイタニック号に例えている。タイタニックは衝突直前まで氷山(ここでは政府債務)の存在に気付かなかった。日本は氷山には気づいているが、霧のせいでよく見えないため、衝突を回避しようとする緊張感が緩んでいる、と表現している。
財政をめぐる環境は当時より一段と悪化している。物価も金利も上がらないデフレ経済から両者が上がる脱デフレ経済に移行したのだ。
ドーマーの定理によれば名目成長率が名目利子率を上回っている限り債務残高のGDP比は抑えられるが、逆転すれば管理不能となる。いまや財政赤字拡大に歯止めをかけることは最重要課題なのだ。
トランプ関税が世界経済をどこまで混乱させるかは、今の段階では不明としか言いようがない。少なくとも現段階では、日本の景気は賃金上昇を主要因に着実に拡大基調にある。景気対策として財政出動が必要な局面ではない。
さらにいえば、国民の多くが「いまお金を」といっているのかどうか。各紙の世論調査を見る限り、バラマキには批判的だ。民意は、確実に進む人口減少社会で安心な将来生活を送れる構図を描いてほしい、ということだろう。
10年から11年にかけてのギリシャ発の「ソブリン危機」で経験したように、財政難につけこんだ国債売りは瞬く間に政府存続の危機につながる。「財政問題」に目を凝らしてほしい。(一直)
株式 続落、半導体関連に売り(市場往来)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 165文字 PDF有 書誌情報]
22日の東京株式市場では日経平均株価が続落し、終値は前日比59円32銭(0.17%)安の3万4220円60銭だった。米国株安や外国為替市場での円高・ドル安進行を背景に、値がさの半導体関連の一角に売りが優勢となった。もっとも朝安後は上昇に転じる場面があるなど、総じて底堅い展開だった。小売りや通信など内需関連の一角に買いが入った。
大王紙、安川電、日精化、トヨタ(注目株概況)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 127文字 PDF有 書誌情報]
9日続伸で年初来高値を更新。値上げ浸透などを意識した買いが優勢に。
3日続落で年初来安値を更新。中国景気への懸念から売りが続いている。
英アクティビストの大量保有が明らかに。株主還元拡大などに期待も。
円高進行が嫌気されて続落。一時1%超安まで売られる場面も。
商品 金6日続伸、最高値(市場往来)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 94文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で金は6日続伸。中心限月の2026年2月物は一時1グラム1万5811円まで上昇し、最高値を更新。日本時間22日の取引でニューヨーク金先物が続伸し、国内金先物も買い優勢に。
為替 円3日続伸、140円28~30銭(市場往来)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は3日続伸。午後5時時点は1ドル=140円28~30銭と前日の同時点に比べ27銭の円高・ドル安だった。米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る懸念が高まった。
金利 10年債利回り、1.305%に上昇(市場往来)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 21ページ 79文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場では新発10年物国債の利回りが上昇(価格は下落)した。前日比0.020%高い1.305%で取引を終えた。米国債安を受けて国内債にも売りが及んだ。
<数表>4月22日(市場体温計)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2650文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 34220円60銭(-59円32銭)
騰落率= -0.173%
東証株価指数(TOPIX) 2532.12 (+3.19)
騰落率= +0.126%
売買代金 3283851百万円 (+198068百万円)
売 買 高 143059万株 (+659万株)
売買単価 2295.4円
売買高上位10銘柄の占有率 27.3%
〓-〓 上場銘柄数 1637 値上がり 1113 〓-〓
売買成立 1637 値下がり 483 変わらず 41
新値株 (年初来) 高 値 147 安 値 2
騰落レシオ(25日移動平均) 95.83%
時価総額 8817735億円 (+11273億円)
普通株式数(百万株) 499749 1株当たり時価(円) 1764.42
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 13.86 ( 14.88 ) 1.27 2.32 ( 2.04 )
JPX日経400採用銘柄 13.76 ( 14.26 ) 1.37 2.37 ( 2.19 ) 2.62 ( 2.29 )
東証プライム全銘柄 13.90 ( 14.97 ) 1.23 2.71 ( 2.42 ) 2.61 ( 2.29 )
東証スタンダード全銘柄 13.78 ( 15.58 ) 0.99 2.68 ( 2.55 ) 2.42 ( 2.48 )
東証グロース全銘柄 37.04 ( 158.58 ) 3.19 0.86 ( 0.75 ) 0.62 ( 0.55 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.19 %
前期基準 6.67 %
22
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 545.67 ( +0.31)
日経500種平均株価 3072円64銭 ( -0円84銭)
日経平均高配当株50指数 63912.80 ( +298.78)
日経連続増配株指数 48098.19 ( +245.44)
日経累進高配当株指数 43500.83 ( +254.89)
日経半導体株指数 6872.39 ( -22.65)
日経平均内需株50指数 27319.68 ( +150.33)
日経平均外需株50指数 31485.61 ( -53.11)
日経平均トータルリターン 61650.80 ( -106.87)
日経平均VI先物指数 6523.91 ( +1.80%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2540円28銭 ( +10円13銭)
東証規模別株価指数
大型 2461.03 ( -0.49)
中型 2755.66 ( +9.74)
小型 4404.90 ( +25.46)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1600.17 (-7.66)
…
ド ル/円 1 ド ル = 140.28~140.30円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 161.40~161.44円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1505~1.1506ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3299.7571 (+8.3230)
韓国総合(韓国) 2486.64 (-1.78)
ハンセン(香港) 21562.32 (+167.18)
加権(台湾) 18793.43 (-312.77)
VN(ベトナム) 1197.13 (-9.94)
クアラルンプール総合 1486.25 (-13.22)
ST(シンガポール) 3795.41 (+36.19)
ジャカルタ総合 6538.266 (+92.299)
SET(タイ) 1144.05 (+9.34)
オールオーディナリーズ(豪) 8013.7 (-8.2)
新発10年国債利回り 1.305% ( +0.020)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.476% ( 0)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15779 円 (+363円)
ドバイ原油(1キロリットル) 53930 円 (+40円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
660.46 (+4.59)
工業品 667.10 (+4.81)
始値 34111円14銭 高値 34340円57銭 ( 9時15分 )
午前終値 34255円71銭 安値 34109円85銭 ( 9時44分 )
JPX日経 インデックス400 22975.47 (+31.87)
JPX日経中小型 18368.49 (+46.96)
日経気候変動指数 33943円59銭 (-91円00銭)
JPXプライム150指数 1107.78 (+0.24)
東証プライム市場指数 1303.12 (+1.64)
東証スタンダード市場指数 1250.97 (+3.01)
東証グロース市場指数 841.39 (-9.63)
東証グロース市場250指数 658.73 (-8.80)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1723.80 (+5.98)
日経ESG―REIT指数 959.74 (+3.45)
日経高利回りREIT指数 1236.59 (+6.79)
……………………………………………………………………
日経平均VI 33.64 (-0.21)
日経配当指数(2025年) 22円03銭
<数表>4月22日商品先物[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 24ページ 5728文字 PDF有 書誌情報]
( 22 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 15325 15712 15325 15663 △401
6月 15326 15727 15326 15692 △361
8月 15327 15757 15327 15720 △363
10月 15323 15770 15323 15731 △371
12月 15345 15779 15343 15750 △371
2月 15386 15811 15377 15779 △363
《金ミニ》(1グラム)
4月 15557.5 15641.5 15531.5 15663.0 △401.0
6月 15390.0 15716.0 15390.0 15692.0 △361.0
8月 15416.0 15738.0 15416.0 15720.0 △363.0
10月 15397.5 15749.0 15397.5 15731.0 △371.0
12月 15364.5 15774.0 15364.5 15750.0 △371.0
2月 15397.0 15806.5 15370.5 15779.0 △363.0
《金限日》(1グラム)
15660 16015 15649 15669 △361
《白金》(1グラム)
4月 4386 4386 4332 4361 ▲ 4
6月 4358 4366 4358 4360 ▲12
8月 4359 4384 4333 4333 ▲46
10月 4364 4364 4340 4343 ▲26
12月 4387 4403 4341 4346 ▲47
2月 4368 4383 4314 4320 ▲55
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4329.5 4330.0 4320.0 4361.0 ▲4.0
6月 ― ― ― 4360.0 ▲12.0
8月 ― ― ― 4333.0 ▲46.0
10月 4385.0 4385.0 4345.5 4343.0 ▲26.0
12月 4369.0 4369.0 4340.0 4346.0 ▲47.0
2月 4355.0 4375.5 4314.5 4320.0 ▲55.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4433 4459 4370 4371 0
《銀》(1グラム)
4月 ― ― ― 145.0 0
6月 ― ― ― 147.0 0
8月 ― ― ― 148.0 0
10月 ― ― ― 148.0 0
12月 ― ― ― 149.0 0
2月 153.0 153.0 151.5 153.0 ▲1.0
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4400 0
6月 ― ― ― 4400 0
8月 ― ― ― 4400 0
10月 ― ― ― 4400 0
12月 ― ― ― 4400 0
2月 ― ― ― 4400 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 157.35 ▲3.65
6月 ― ― ― 155.70 ▲3.75
7月 ― ― ― 154.30 ▲3.90
8月 ― ― ― 153.05 ▲3.90
9月 ― ― ― 150.45 ▲3.85
10月 ― ― ― 149.55 ▲3.80
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 61820 61820 61600 61730 ▲1090
5月 58750 59390 58750 59390 ▲320
6月 58440 58440 57630 58240 ▲440
7月 57570 57680 57060 57520 △100
8月 56990 57040 56300 56700 ▲340
9月 56310 56560 55560 56160 ▲260
10月 ― ― ― 55680 ▲230
11月 ― ― ― 55290 ▲190
12月 ― ― ― 54970 △370
1月 ― ― ― 54720 ▲110
2月 ― ― ― 54520 ▲70
3月 ― ― ― 54380 ▲30
4月 ― ― ― 54230 ▲10
5月 ― ― ― 54080 △20
6月 ― ― ― 53930 △40
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90500 0
6月 ― ― ― 90100 0
7月 ― ― ― 89700 0
8月 ― ― ― 89300 0
9月 ― ― ― 88900 0
10月 ― ― ― 88400 0
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 294.9 294.9 291.9 291.9 ▲4.1
5月 291.0 294.9 290.0 293.5 ▲6.2
6月 291.8 293.4 289.3 289.3 ▲6.4
7月 296.0 296.1 287.2 287.2 ▲6.7
8月 294.0 295.5 286.4 286.4 ▲5.6
9月 293.5 295.0 285.0 285.3 ▲6.5
10月 ― ― ― 287.0 ▲6.0
11月 ― ― ― 287.0 ▲5.0
12月 ― ― ― 287.0 ▲5.0
1月 ― ― ― 288.0 ▲5.0
2月 ― ― ― 288.0 ▲5.0
3月 ― ― ― 288.0 ▲5.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 230.0 ▲7.0
6月 ― ― ― 230.0 ▲7.0
7月 ― ― ― 231.0 ▲7.0
8月 ― ― ― 231.0 ▲7.0
9月 ― ― ― 231.0 ▲7.0
10月 ― ― ― 231.0 ▲7.0
11月 ― ― ― 231.0 ▲7.0
12月 ― ― ― 232.0 ▲7.0
1月 ― ― ― 232.0 ▲7.0
2月 ― ― ― 232.0 ▲7.0
3月 ― ― ― 232.0 ▲7.0
4月 ― ― ― 232.0 ▲7.0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 90000 90000 90000 90000 △1000
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 39600 39600 38900 38900 ▲700
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 11.85 ▲0.02
5月 ― ― ― 10.93 △0.03
6月 ― ― ― 12.11 ▲0.04
7月 ― ― ― 13.81 ▲0.01
8月 ― ― ― 14.88 △0.13
9月 ― ― ― 14.13 ▲0.02
10月 ― ― ― 12.86 0
11月 ― ― ― 13.06 0
12月 ― ― ― 13.70 0
1月 ― ― ― 13.80 0
2月 ― ― ― 13.75 0
3月 ― ― ― 11.41 0
4月 ― ― ― 11.60 0
5月 ― ― ― 11.34 △0.01
6月 ― ― ― 12.27 △0.01
7月 ― ― ― 13.49 △0.01
8月 ― ― ― 15.57 0
9月 ― ― ― 13.22 0
10月 ― ― ― 11.75 △0.01
11月 ― ― ― 12.44 △0.01
12月 ― ― ― 13.50 △0.01
1月 ― ― ― 14.22 △0.01
2月 ― ― ― 13.50 △0.01
3月 ― ― ― 11.61 △0.01
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.61 △0.14
5月 ― ― ― 8.47 △0.07
6月 ― ― ― 9.78 ▲0.02
7月 ― ― ― 12.28 ▲0.21
8月 ― ― ― 13.07 ▲0.24
9月 ― ― ― 12.21 ▲0.21
10月 ― ― ― 10.29 △0.28
11月 ― ― ― 10.64 △0.30
12月 ― ― ― 11.35 △0.35
1月 ― ― ― 13.21 △0.41
2月 ― ― ― 12.35 △0.38
3月 ― ― ― 9.54 △0.26
4月 ― ― ― 9.67 △0.01
5月 ― ― ― 9.50 △0.01
6月 ― ― ― 10.26 0
7月 ― ― ― 11.02 △0.01
8月 ― ― ― 12.69 0
9月 ― ― ― 10.99 △0.01
10月 ― ― ― 9.87 △0.01
11月 ― ― ― 10.73 △0.01
12月 ― ― ― 12.01 0
1月 ― ― ― 12.72 0
2月 ― ― ― 12.01 0
3月 ― ― ― 10.31 △0.01
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 53283 36196
金ミニ 19558 7456
金限日 4374 41461
白金 5109 30154
白金ミニ 529 2484
白金限日 1814 40371
銀 4 141
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2194 25395
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 540 3491
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 1 2
中京灯油 2 2
トウモロコシ 2 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 0 11042
電力西ベース 51 805
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 20456 43838
堂島白金 105 2236
堂島銀 3 1389
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15389.7 15799.9 15379.0 15700.9 △355.1
《白金》(1グラム)
4455.6 4457.3 4415.6 4395.7 ▲27.1
《銀》(1グラム)
152.56 152.56 151.96 147.40 ▲1.30
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月21日エネルギー・環境市場[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 24ページ 3476文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 22 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 12850
ソシエテ 9087
サスケハナ 3558
Jモルガン 1846
バークレイ 1765
モルガンS 1399
日産証 1385
Gサックス 1024
SBI証 943
BofA証 719
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.99 140.83 141.08 140.48 140.70 -0.26
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.371 21379 132482 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
142.00 ― ― ― 16 138.00 ― ― ― 25
142.25 ― ― ― ― 138.25 ― ― ― 30
142.50 ― ― ― 30 138.50 0.05 ― 10 36
142.75 ― ― ― 42 138.75 ― ― ― 10
143.00 ― ― ― 30 139.00 ― ― ― 56
合計 0 198 合計 11 338
HV(年率) 6月 8.1
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.520 0 0 614
25 /6 99.462 +0.003 180 536
25 /9 99.408 -0.017 180 346
25 /12 99.373 -0.017 0 2
合計 360 2686
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5200 0 0 29337
25 /6 99.4625 +0.0050 1396 13399
25 /9 99.4075 -0.0200 960 12209
25 /12 99.3625 -0.0275 24 8947
合計 2389 71227
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2520.0 2510.0 2539.0 2497.5 2536.5 +12.5 36935 418365
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 1600
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 665 660 670 651 657 -10 4476 31149
25 /9 655 646 656 639 642 -12 115 458
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 34190 34080 34370 33860 34280 +20 26817 179378
25 /9 34200 34120 34320 33870 34250 -60 133 5672
25 /12 34000 33860 34000 33800 33900 ― 14 21447
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 34190 34070 34375 33860 34280 +20 468350 294374
25 /9 34175 34055 34350 33850 34265 +20 10430 8885
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 34185 34060 34375 33855 34280 +25 394610 65709
25 /9 34175 34035 34360 33845 34265 +15 12093 8045
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 34230 34075 34405 33860 34385 +110 15845 74636
25 /9 34065 ― 34150 34015 34355 +110 7 382
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 22815 22725 23040 22660 23015 +120 1743 51930
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 33970 ― 0 5月 30.40 +1.00 10 170
25 /9 ― 33980 ― 0 6月 28.85 -0.15 1 19
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 778.0 ― 1334 25年 ― 781.5 ― 4309
26年 ― 750.0 ― 1334 26年 ― 745.5 ― 2382
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 34000 975 -60 131 1147 1535 -115 9 1372 ―
34125 880 -200 6 13 1515 -45 1 5 ―
34250 845 -100 241 298 1395 -95 32 9 ―
34375 770 -95 18 22 1340 ― 1 2 ―
34500 710 -40 114 1643 1275 -35 40 1968 ―
34625 660 -40 10 25 1200 ― 3 3 ―
34750 575 -60 49 1225 1155 -60 1 4 ―
34875 530 ― 11 41 1085 ― 1 52 ―
35000 490 -35 2066 5043 1020 -235 28 4973 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 33500 595 -10 124 1085 1120 -5 143 2841 ―
33625 615 -45 5 16 1165 -5 3 12 ―
33750 660 +20 38 482 1205 +40 7 397 ―
33875 840 +240 2 19 ― ― ― 34 ―
34000 740 -50 312 4122 1310 +25 492 4981 ―
34125 805 ― 21 20 1335 ― 2 3 ―
34250 840 -20 91 678 1415 +55 28 144 ―
34375 930 ― 4 6 ― ― ― 3 ―
34500 960 -35 34 920 1525 +150 701 2407 ―
総売買高コール 21796 枚 プット 25107 枚 日経平均HV 55.5
当日総建玉コール 329748 枚 プット 498417 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)休場
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) ―
ドイツ(1MWh、ユーロ) ―
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) ―
オランダTTF(1MMBtu、ドル) ―
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) ―
( 21 日)
<数表>4月22日外為市場[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1795文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 141.96 139.82
5月〃 141.82 139.31
6月〃 141.32 138.83
7月〃 140.88 138.36
8月〃 140.42 137.93
9月〃 139.98 137.47
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 141.96 142.24
ユーロ 163.38 163.45
カナダドル 103.39 103.81
英ポンド 192.36 192.53
スイスフラン 174.56 174.91
デンマーククローネ 21.98 21.99
ノルウェークローネ 13.88 13.83
スウェーデンクローナ 15.17 15.18
豪ドル 92.24 92.17
ニュージーランドドル 86.31 86.15
香港ドル 18.59 18.63
シンガポールドル 108.63 108.96
サウジアラビアリヤル 38.45 38.52
U.A.E.ディルハム 39.12 39.20
タイバーツ 4.32 4.34
インドルピー 1.82 1.81
パキスタンルピー 0.66 0.66
クウェートディナール 470.92 471.08
カタールリヤル 39.47 39.55
インドネシア100ルピア 0.96 0.96
メキシコペソ 8.15 8.17
韓国100ウォン 10.10 10.16
フィリピンペソ 2.66 2.63
南アフリカランド 9.02 9.02
チェココルナ 6.59 6.59
ロシアルーブル 1.99 1.97
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.15 39.04
▽みずほ銀
中国人民元 19.62 19.66
トルコリラ 5.50 5.50
台湾ドル(参考値) 4.34 4.34
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 25.30 25.34
( 22 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 140.28 ― 140.30 140.55 ― 140.57
寄付 140.87 ― 140.88 141.57 ― 141.60
高値 139.89 140.55
安値 141.17 142.15
中心 140.00 141.44
直物売買高 37億7300万 ドル
スワップ売買高 595億7100万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 84.82
日経インデックス(2020年=100)
日本円 79.3
米ドル 103.6
ユーロ 103.8
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 187.64~187.68円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 90.015~90.050円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 173.12~173.17円
カナダドル /円 1 カナダドル = 101.55~101.59円
NZドル /円 1 NZドル = 84.26~84.30円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3376 ― 1.3380
(1ポンド=ドル) ( 1.3408 ― 1.3412 )
スイスフラン 0.8108 ― 0.8112
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8041 ― 0.8045 )
豪 ド ル 0.6419 ― 0.6423
(1豪ドル=ドル) ( 0.6429 ― 0.6433 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.3145 ( 7.2880 )
日本円(100円=元) 5.2097 ( 5.1816 )
<数表>4月22日債券市場[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 74.38 +1.58
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.82
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.53
中国471(2年) 27/4 0.9 100.45
中国177(5年) 29/12 1.1 101.14
長国378(10年) 35/3 1.4 100.78
超長国191(20年) 44/12 2 96.06
超長国86(30年) 55/3 2.4 94.41
超長国17(40年) 64/3 2.2 83.75
物価連動29(10年) 34/3 * 101.70
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.31
政保政投銀64 30/6 0.09 95.56
東京都(公)807 30/6 0.1 95.39
大和ハウス23 30/9 0.3 95.20
キリンHD17 30/6 0.37 95.90
王子HD40 30/7 0.37 95.42
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.28
日本製鉄6 30/6 0.42 95.58
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.16
OLC18 30/9 0.29 94.99
IHI48 30/9 0.49 95.05
ダイキン27 30/9 0.26 94.94
NEC58 30/4 0.54 95.80
パナソニック25 30/9 1.051 98.34
SUBARU6 30/9 0.42 95.09
三井物産77 30/7 0.28 95.46
JR東日本153 30/7 0.23 95.40
三井不77 30/4 0.48 96.37
中部電力544 30/9 0.3 95.07
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.27
( 22 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.306 % +0.021
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.89
中 期 債 1.13
長 期 債 1.95
◇日経国債インデックス 0.989
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 23日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.91 0.390
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85 0.370
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.53 0.505
中 国471(2) 27/4 0.9 100.45 0.666
中 国157(5) 28/3 0.2 98.53 0.711
中 国167(5) 29/3 0.4 98.50 0.790
中 国177(5) 29/12 1.1 101.14 0.850
長 国362 31/3 0.1 95.37 0.906
長 国366 32/3 0.2 94.92 0.961
長 国370 33/3 0.5 95.76 1.060
長 国374 34/3 0.8 96.81 1.178
長 国377 34/12 1.2 99.26 1.281
超長国191 44/12 2.0 96.06 2.249
超長国(30)85 54/12 2.3 92.42 2.671
超長国(40)17 64/3 2.2 83.69 2.902
<数表>4月22日短期金融市場[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1404文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1301 回債 0.390 0
6カ月 1298 回債 0.385 0
1 年 1300 回債 0.550 0.005
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.491 0.492
1週間 0.464 0.460
1カ月 0.453 0.453
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.80091 0.80091
6カ月 0.85727 0.85727
1 年 0.80818 0.80818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49125 0.49000
6カ月 0.52156 0.52156
( 22 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.476 0.430
1週間 0.519 ―
2週間 ― ―
3週間 ― ―
1カ月 0.530 ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.646 ―
◇全国コール市場残高
( 21 日確報、億円) 117630
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月22日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/23 1985 1985 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/23 0 0
【4月21日通知分】
国債買い入れ(残存期間1年超3年以下) 4/22 2750 8525 2757 最低0.008
国債買い入れ(残存期間3年超5年以下) 4/22 2750 8427 2752 最低0.006
国債買い入れ(残存期間5年超10年以下) 4/22 3000 6557 3007 最低▲0.003
国債買い入れ(残存期間10年超25年以下) 4/22 1350 3528 1353 最低0.022
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/22 2578 2578 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/22 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5395500 ( 4881900 )
◇資金需給予想( 23 日、億円、実質) 2800 余剰
<数表>4月22日株式市場、先物市場[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 24ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 56821 21806
売買高上位10銘柄占有率(%)
52.7 34.0
売買代金(百万円) 120885 186160
売買単価(円) 212.7 853.6
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 613
売買成立 1536 610
値上がり 732 219
値下がり 631 355
新値株(年初来) 高値 64 31
安値 5 1
時価総額(億円) 277320 78502
普通株式数(百万株) 31145 10699
1株当たり時価(円) 890.40 733.67
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 27022.84 -0.12%
カバードコールATM 19522.31 -0.10%
リスクコントロール 22997.43 -0.04%
レバレッジ 31275.81 -0.34%
インバース 928.00 +0.17%
ダブルインバース (01年末=100000)
258.80 +0.34%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 223871
売買代金(百万円) 452560
◇空売り比率(東証) 40.6 %
( 22 日)
国産大豆ミール2.9%安、4~6月 飼料向け、原料安反映[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 25ページ 1216文字 PDF有 書誌情報]
豚などの飼料に使う国産大豆ミールの価格が下落した。4~6月期の大口取引価格が1トン8万4500円前後と、前四半期に比べ2500円(2・9%)ほど安く3四半期連続で下落した。指標となる大豆の国際相場の下落を反映した。
大豆ミールは大豆を搾って食用油を生産する際にでき、「脱脂大豆」とも呼ばれる。たんぱく質が多く、鶏や豚向けの飼料の原料としてトウモロコシに次いで多く配合する。食用油メーカーと配合飼料メーカーが各四半期に価格を交渉し、4~6月期は1~3月期の大豆ミールの需給や相場などを参考にする。4~6月期は1~3月期の700円(0・8%)程度の下落に比べて下げ幅が拡大した。
主な下落要因となっているのが国際相場の動向だ。指標となる米シカゴ商品取引所の大豆ミール先物(中心限月)は3月上旬、一時1トン280ドル前後と2024年末と比べ8%安くなった。日本で使う大豆ミールの半分ほどが輸入品で、主要輸入先である中国産ミールの価格も下落している。
大豆の需給の緩みが意識された。米国産大豆の2割が中国に輸出されており、米中相互関税の影響で中国の輸入が減るとの見方が広がった。主要生産国のブラジルの順調な天候による豊作も相場の下押し材料となった。
外国為替相場も値下がりに影響した。1~3月は3月にかけて円高・ドル安が進み、国産ミールに使われる大豆の輸入価格の下落要因になった。
菜種から作る国産の菜種ミールも、4~6月期の価格が1~3月期に比べ2000円程度(3・3%)安い1トン5万9300円で決まった。下落は3四半期連続で、下げ幅も1~3月期の500円(0・8%)程度に比べて大きかった。
菜種ミールはたんぱく源として競合する大豆ミールの価格で割った比価を基準に決まる。菜種ミール相場は一般的に、大豆ミールの70%程度とされている。ただ、需給が緩み国内在庫が積み上がっており、菜種ミールの下げ幅は大豆ミールの下げ幅の70%にあたる1750円よりも大きくなった。
大豆ミールなどの値下がりは配合飼料価格の下げ圧力につながる。飼料最大手の全国農業協同組合連合会(JA全農)は、4~6月期の畜産農家向け配合飼料の出荷価格を2四半期ぶりに引き下げた。ロシアのウクライナ侵略以降、高止まりしている畜産農家が負担するコストの軽減につながる。
日本の飼料用の大豆ミールは中国からの輸入に頼る部分が多いため、来期にかけては中国の相場に注目が集まっている。中国は米国の関税引き上げの影響を回避するため、米国産大豆からブラジル産の輸入にシフトしている。足元ではシカゴ先物に比べブラジル産大豆が割高になる傾向が強まっている。中国はブラジル産を原料にしていることから、上昇圧力がかかりやすい中国の大豆ミール価格が国内価格に波及する可能性がある。
米中の関税政策にも左右され、「来期の価格見通しは極めて不透明になっている」(食用油メーカー)との声が上がる。
カップル向け家賃最高、3月東京23区、28カ月連続[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 25ページ 662文字 PDF有 書誌情報]
不動産情報サービスのアットホーム(東京・大田)が22日に発表した3月の東京23区の賃貸マンション平均募集家賃は、カップル向け物件が前月比1%高い16万3554円だった。集計を始めた2015年1月以来の最高値を28カ月連続で更新した。カップル向け物件は需給が引き締まった状態が続いており、入居者の入れ替わりなどに伴って家賃を引き上げる動きが広がった。
家族向け(専有面積50平方メートル超~70平方メートル以下)、カップル向け(30平方メートル超~50平方メートル以下)、シングル向け(30平方メートル以下)といった面積別に平均家賃を集計した。管理費や共益費なども金額に含む。
カップル向けの前年同月比の上昇率は10・3%だった。入居者が変わるタイミングで家賃を引き上げるオーナーが多かった。家賃動向を分析するアットホームラボ(東京・千代田)の磐前淳子執行役員は「3月は転勤に伴う社会人の需要が多く、カップル向け物件の引き合いが強かった」と話す。
人手不足による引っ越し料金の高騰も影響している。「高額の料金支払いを敬遠して引っ越しを手控える入居者が増えており、人気の物件ほど空きが出ずに取り合いになりやすい」(磐前氏)。キャンセル待ちが発生する物件も多いといい、オーナーは強気の賃料を設定しやすい。
カップル層以外からの需要も家賃相場を押し上げる。広めの部屋に住みたい単身者などのニーズが集中し、カップル向けは家賃が上がりやすい。主要13エリアのうち広島市以外の12エリアで前年同月を上回り、10エリアで最高値を更新した。
テーブルレンタル12%高、研修や仮移転で需要増、3月[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 25ページ 498文字 PDF有 書誌情報]
オフィスで使うテーブルのレンタル料金が上昇した。3月の平均利用料金は前年同月比で12%高い。新年度の企業研修向けの需要が増えたうえ、本社移転を前に、オフィスを仮移転する企業からの引き合いも出ている。
オフィス家具・OA機器レンタルのレンタルバスターズ(東京・中央)が市場の1カ月当たりの平均利用料金をまとめた。テーブルの平均料金は1台1598円と、前年同月と比べて169円(12%)高い。チェアは1脚816円と前年同月比で43円(6%)上昇した。新年度の企業研修用にテーブルなどのオフィス家具を短期でレンタルする動きが広がった。
オフィスを仮移転する企業からの引き合いもある。企業の出社回帰が進む中、スペース確保のためにオフィスの移転・拡張を検討するケースもある。ただ、空室率の低さがネックとなり、移転先が見つからないことも多いという。
そのため「一時的に複数の仮移転先に引っ越し、テーブルなどを借りながら社員全員が勤務できる移転先を探している企業もある」と、レンタルバスターズの佐川一平社長は指摘する。同社では外資系企業からの引き合いが増えており、数千人規模で家具を借りるケースもあるとする。
<数表>4月22日卸売市場(主要相場)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 25ページ 7578文字 PDF有 書誌情報]
22 日
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4780頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=急落上場401頭
和牛雌A ― ― 2154 2305 2476
和牛去勢A ― ― 2179 2290 2562
和牛去勢B ― ― 1836 ― ―
交雑種雌B ― 1528 1611 1783 1944
交雑種去勢B ― 1542 1613 1784 2022
▽搬入物 上場95頭
和牛雌A ― 1390 1514 1646 2434
和牛雌B 1081 1309 1472 ― ―
和牛去勢A ― 1429 ― ― 2641
交雑種雌B ― 1417 ― ― ―
交雑種去勢B ― 1366 ― ― ―
乳牛雌C 888 875 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場110頭
和牛雌A ― ― 2043 2292 2581
和牛雌B ― ― 2052 2031 ―
和牛去勢A ― ― 2104 2292 2655
和牛去勢B ― ― ― 2030 ―
交雑種雌B ― 1494 1653 1895 1917
交雑種去勢B ― 1573 1620 1793 1965
◇仙台=強もちあい上場164頭
和牛雌A ― ― ― 2104 2571
和牛去勢A ― ― 1842 2117 2544
◇さいたま=―上場59頭
和牛雌A ― ― ― 1198 1752
交雑種雌B ― 1125 ― ― ―
◇横浜=まちまち上場61頭
和牛雌A ― ― ― 2235 2301
和牛去勢A ― ― ― 2238 2312
◇名古屋=上場なし
◇京都=弱もちあい上場78頭
和牛雌A ― ― ― 2374 2578
和牛去勢A ― ― ― 2337 2522
交雑種雌B ― 1406 1682 1776 ―
◇神戸=―上場72頭
和牛雌A ― ― 1955 2476 2754
和牛去勢A ― ― ― ― 2438
◇広島=―上場45頭
和牛雌A ― ― ― 2229 2670
和牛去勢A ― ― ― 2300 2540
◇福岡=強もちあい上場137頭
和牛雌A ― ― ― 2327 2515
和牛去勢A ― ― 2020 2289 2595
和牛部分肉
◇日本食肉流通センター(肉質等級4、相手
先渡し、チルド、取引重量トン、算定対象期間
は前週)
重量中央値 取引重量
肩ロース 4125 4.6
肩 3550 8.6
肩ばら 2376 2.5
ヒレ 9061 2.3
ロイン 5616 3.1
ともばら 2165 13.0
うちもも 4235 2.1
しんたま 3974 3.2
らんいち 4088 4.0
そともも 3402 2.9
すね 1969 3.6
セット 4229 25.4
豚 肉
<全国と畜概算頭数 65300頭>
安値 高値 加重 頭数
◇東京=急伸 上場973頭
極上 599 860 668 4
上 570 856 611 300
中 540 862 592 398
並 443 726 556 178
等外 238 735 487 93
◇大阪=―上場36頭
中 1315 1458 1384 2
並 564 708 631 27
等外 434 760 502 7
◇仙台=―上場55頭
上 529 605 594 10
中 475 590 558 27
並 378 445 416 18
◇栃木=反落上場91頭
上 525 563 552 35
中 486 541 522 31
並 464 518 490 8
等外 249 502 471 17
◇茨城=上がる取引頭数519頭
上 572 622 603 198
中 503 595 574 204
並 476 563 538 74
等外 441 537 510 43
◇群馬=小反発取引頭数1568頭
極上 573 702 613 18
上 568 702 600 802
中 216 702 573 532
並 108 702 499 152
等外 86 669 378 64
◇さいたま=続伸上場271頭
極上 604 626 618 3
上 593 630 600 92
中 525 613 584 80
並 463 585 537 55
等外 356 539 478 41
◇横浜=もちあい上場684頭
極上 616 616 616 2
上 575 619 597 377
中 562 604 576 247
並 518 570 545 42
等外 427 528 478 16
◇名古屋=続伸上場205頭
極上 606 606 606 1
上 594 616 607 99
中 518 597 581 87
並 518 575 549 10
等外 325 549 416 8
◇京都=もちあい上場104頭
極上 642 642 642 1
上 620 642 637 46
中 598 631 612 33
並 568 620 598 24
◇神戸=―上場160頭
上 558 1078 887 73
中 558 1112 933 63
並 512 1076 827 23
等外 509 509 509 1
◇広島=急騰上場104頭
上 640 640 640 71
中 605 616 615 26
並 590 590 590 4
◇福岡=続伸上場100頭
上 583 615 601 49
中 540 593 568 33
並 508 555 530 16
等外 302 302 302 2
豚部分肉
◇日本食肉流通センター(生鮮=I、相手先
渡し、8ミリ整形物、取引重量トン、算定対象期
間は公表日前日までの1週間)
重量中央値 取引重量
肩ロース 1202 83.6
うで 791 134.6
ロース 1157 169.8
ばら 1194 194.3
もも 794 251.2
ヒレ 1161 16.0
セット 1049 879.2
魚 介(中央卸売市場)
◇東京・豊洲=小安い
(都調べ、取扱数量1120トン、※は相対取引)
高値 安値
マグロ 宮城 7020 2376
車エビ・養殖 各地 12960 4104
※ 本メジ 各地 2052 1836
※ マダイ 各地 3240 648
※ キンメダイ 各地 5184 1620
※ ブリ 各地 972 432
※ ワラサ 各地 702 324
※ ハマチ 鹿児島 1620 1512
※ 赤カレイ 北海道 648 432
※ アジ・中 長崎 864 648
※ サバ 各地 648 324
※ カツオ 千葉 1404 648
※ イワシ 各地 540 324
※ スルメイカ 各地 1944 1404
※ カマス 各地 2376 1080
※ メバル 各地 2160 1404
※ キンキ 各地 14040 2160
※ スズキ 各地 1404 864
※ イサキ 各地 5400 1620
※ コハダ 各地 2160 1080
※ カキ・むき 各地 1944 1080
※ 塩サケ・アキサケ 北海道 1620 1404
シラス干し 各地 2484 1404
煮干し 各地 594 540
※ 干しサバ・開き・1枚 千葉 497 173
※ 干しアジ・開き・1枚・大 各地 378 324
※ メザシ・1コリ 各地 9720 6480
※ シシャモ 各地 173 86
※ 煮ホタルイカ 富山 2376 2160
※ スケコ・生 各地 3240 1944
◇大阪・本場=もちあい
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
本マグロ 宮城 3888 1944
キワダ 和歌山 3240 ―
※ カツオ 和歌山 1944 907
※ サケ 宮城 1879 1836
※ イワシ 静岡 3780 3456
※ アジ 三重 2592 621
※ サバ 長崎 540 367
※ ブリ・養殖 大分 2646 1566
※ ハマチ・養殖 高知 2398 1620
※ カンパチ・養殖 高知 4698 2160
ヒラメ 兵庫 1677 ―
※ カレイ 鳥取 1080 671
※ マダイ 兵庫 4320 810
※ サワラ 新潟 1620 1350
※ イサキ 長崎 2160 1800
※ タチウオ 熊本 3024 ―
※ エビ 熊本 16200 ―
※ カニ 兵庫 7560 6480
※ スルメイカ 長崎 1836 1367
※ タコ 福井 3780 2700
※ ホタテ貝 北海道 10800 1080
※ カキ 三重 6480 ―
※ アサリ 北海道 1512 1296
※ インドマグロ・冷凍 静岡 4190 1728
※ 塩サバ 千葉 1332 783
◇福岡=もちあい 高値 安値
カンパチ・養殖 鹿児島 2268 2106
タイ・養殖 熊本 1458 1296
ハマチ・養殖 長崎 1566 1458
サザエ 長崎 1512 1188
生ウニ・0.05キロ 鹿児島 1944 540
本マグロ・養殖 長崎 4320 3564
キビナゴ・3キロ 長崎 2160 1080
イワシ・大・4キロ 鳥取 3024 1620
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◇入札会・静岡出品数14921キロ
《荒茶》(1キロ、円) 高値 安値
富士宮 3500 3500
清 水 30000 6000
しづはた 9000 4500
磐 田 5500 3000
野 菜(中央卸売市場)
◇東京・大田=もちあい 入荷2356トン
(都調べ、総計4569トン、※は相対取引)
高値 中値
大根 千葉 10キロ 756 756
※ 大根 茨城 10キロ 1620 1188
※ カブ 千葉 800グラム 194 130
※ ニンジン 徳島 10キロ 3888 3672
ゴボウ 青森 4キロ 3024 ―
※ タケノコ 福岡 4キロ 4320 2268
キャベツ 神奈川 10キロ 1944 1944
※ キャベツ 愛知 10キロ 1620 1620
※ レタス 茨城 10キロ 2160 1512
※ 白菜 茨城 13キロ 1620 864
小松菜 東京 500グラム 162 ―
※ 小松菜 茨城 200グラム 86 65
ホウレン草 茨城 200グラム 108 108
ネギ 千葉 5キロ 1296 ―
※ フキ 群馬 4キロ 2160 1620
※ セロリ 静岡 10キロ 3564 3024
※ ブロッコリー 熊本 6キロ 4320 2808
キュウリ 群馬 5キロ 1296 ―
※ キュウリ 埼玉 5キロ 2160 1512
ナス 高知 400グラム 216 ―
※ ナス 福岡 4キロ 2052 1404
※ トマト 熊本 4キロ 1944 1404
※ ミニトマト 熊本 3キロ 1836 1296
ピーマン 茨城 150グラム 140 ―
※ ピーマン 宮崎 130グラム 97 65
※ ソラ豆 鹿児島 4キロ 4320 3456
※ ジャガ芋 鹿児島 10キロ 5400 5400
サツマ芋 千葉 5キロ 2376 ―
※ タマネギ 北海道 20キロ 3780 3780
生シイタケ 秋田 100グラム 184 ―
◇大阪・本場=もちあい 入荷1019トン
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
※ 大根 宮崎 10キロ 1512 1188
※ カブ 徳島 10キロ 3240 2160
ニンジン 長崎 10キロ 2700 2160
ゴボウ 青森 4キロ 2160 ―
タケノコ 徳島 9キロ 5940 2916
※ レンコン 徳島 5キロ 4320 3456
※ 白菜 茨城 15キロ 2160 1188
※ キャベツ 愛知 10キロ 3024 886
※ ホウレン草 岐阜 3.6キロ 2592 2160
※ 白ネギ 茨城 5キロ 3240 ―
ニラ 高知 100グラム 76 49
※ セロリ 静岡 10キロ 3456 3240
※ アスパラガス 佐賀 100グラム 238 205
ブロッコリー 徳島 6キロ 3240 ―
※ レタス 徳島 10キロ 2160 1620
※ キュウリ 高知 5キロ 1728 1620
※ ナス 大阪 5キロ 2592 2052
※ トマト 熊本 3キロ 1944 1296
※ ピーマン 高知 150グラム 97 86
※ エンドウ 和歌山 2キロ 2268 1836
サツマ芋 徳島 5キロ 2484 2376
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 6696 4752
タマネギ 兵庫 10キロ 2700 2430
※ ショウガ 高知 80グラム 113 ―
※ 生シイタケ 徳島 100グラム 151 108
◇名古屋・中央=― 入荷686トン
高値 中値
大根 千葉 10キロ 1296 ―
ニンジン 徳島 10キロ 3888 3240
ゴボウ 熊本 2キロ 1944 ―
白菜 茨城 15キロ 1663 1512
キャベツ 愛知 10キロ 1998 1728
ホウレン草 茨城 5キロ 2700 2160
ネギ 大分 3キロ 1620 1512
セロリ 静岡 10キロ 3456 ―
ブロッコリー 徳島 6キロ 3240 2808
レタス 茨城 10キロ 1836 1350
キュウリ 愛知 5キロ 2214 1620
ナス 熊本 4キロ 1512 ―
トマト 熊本 4キロ 1620 1372
ピーマン 鹿児島 7.8キロ 5184 4536
サヤエンドウ 和歌山 2キロ 1836 ―
サツマ芋 茨城 5キロ 1944 1728
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 4860 4860
里芋 愛媛 10キロ 5832 ―
タマネギ 愛知 10キロ 2160 ―
エノキダケ 長野 200グラム 70 59
◇福岡・中央=もちあい 入荷1011トン
高値 中値
大根 各地 1箱 1512 972
ニンジン 長崎 10キロ 3672 2700
ゴボウ 熊本 2キロ 2160 1944
タケノコ 熊本 1キロ 2484 ―
白菜 各地 15キロ 1296 864
キャベツ 各地 10キロ 1728 1296
ホウレン草 各地 1把 119 86
白ネギ 大分 3キロ 1512 ―
アスパラガス 各地 100グラム 238 ―
レタス 長崎 1箱 1512 540
キュウリ 各地 5キロ 1620 1188
ナス 福岡 1箱 1512 1296
トマト 各地 4キロ 3240 1728
ピーマン 各地 130グラム 108 86
サツマ芋 各地 5キロ 2376 1080
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 4320 ―
タマネギ 北海道 20キロ 3780 3240
生シイタケ 各地 100グラム 248 86
果 実(中央卸売市場)
◇東京・大田=もちあい 入荷355トン
(都調べ、総計582トン、※は相対取引)
高値 中値
※ 甘夏カン 熊本 10キロ 4212 2808
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 8640 8640
リンゴ・王林 青森 10キロ 6480 5940
イチゴ・とちあいか 栃木 260グラム 378 ―
※ イチゴ・とちおとめ 茨城 260グラム 410 292
※ イチゴ・とちあいか 栃木 260グラム 400 324
※ イチゴ・あまおう 福岡 270グラム 410 313
※ イチゴ・紅ほっぺ 静岡 280グラム 378 ―
メロン・アールス 静岡 1キロ 2700 2484
※ メロン・アールス 高知 9キロ 12960 9396
※ メロン・アンデス 茨城 5キロ 5184 3456
※ スイカ 熊本 15キロ 9720 5940
スイカ・こだま 群馬 8キロ 7020 ―
※ スイカ・こだま 茨城 8キロ 5940 4644
◇大阪・本場=まちまち 入荷163トン
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
※ 甘夏カン 佐賀 10キロ 2700 ―
セミノール 和歌山 5キロ 2160 ―
清見 和歌山 10キロ 3780 ―
※ デコポン 和歌山 5キロ 4644 3672
リンゴ・ジョナゴールド 青森 10キロ 5616 5400
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 8640 4320
ビワ 長崎 250グラム 702 ―
※ ビワ 香川 500グラム 2916 ―
サクランボ 山形 100グラム 702 ―
イチゴ 福岡 270グラム 518 270
メロン・アールス 静岡 9キロ 31860 16200
※ メロン・アンデス 茨城 5キロ 5292 5076
メロン・赤肉 茨城 5キロ 4320 ―
スイカ 熊本 15キロ 8640 7560
マンゴー 宮崎 400グラム 3024 ―
◇名古屋・中央=― 入荷64トン
高値 安値
甘夏カン 熊本 10キロ 3024 2376
デコポン 愛知 6.5キロ 5076 4212
リンゴ・王林 青森 10キロ 5400 3780
イチゴ 愛知 250グラム 540 356
イチゴ 熊本 250グラム 410 302
メロン・アールス 高知 8キロ 8640 7020
スイカ 熊本 15キロ 8640 4860
◇福岡・中央=もちあい 入荷209トン
高値 中値
リンゴ・ジョナゴールド 青森 10キロ 6480 4320
リンゴ・サンふじ 青森 10キロ 7020 4860
イチゴ 福岡 270グラム 572 302
スイカ 熊本 15キロ 8640 6696
生 花(中央卸売市場)
◇東京・大田=入荷なし
石炭の未来(下)脱火力、AI時代で変化 データセンター消費電力量3倍予測も 発電所、先進国では延命も[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 25ページ 1394文字 PDF有 書誌情報]
先進国を中心に進んできた脱石炭火力発電の流れが揺らいでいる。温暖化ガスの排出量が多い石炭は減少の一途をたどるとみられてきた。だが人工知能(AI)の普及に伴う電力需要拡大で流れが変わりつつある。米国など先進国でも閉鎖予定の石炭火力発電所を延命させる動きが目立つ。
「われわれは見捨てられた(石炭)産業を再生させる」。トランプ米大統領は8日、米国内での石炭採掘や利用を促進する一連の措置に署名。増大する電力需要を満たすため、廃止予定だった一部の古い石炭火力発電所の稼働延長を許可する方針を示した。
2024年9月には英国が国内最後の石炭火力を閉鎖するなど、石炭はこれまで先進国の排出削減の象徴だった。今回のトランプ政権の決定は、これまでの先進国の流れに逆行する。だが、現状ではAI向けデータセンター(DC)のように常時電力を必要とする設備への供給を、出力変動の大きい太陽光など再生可能エネルギーだけに頼ることは困難という不都合な事実を浮き彫りにもする。
国際エネルギー機関(IEA)は10日に公表した報告書で、DCの消費電力量は、基本シナリオで30年までに24年比で2倍以上、需要急増シナリオでは3倍に達すると予測した。「再生エネが30年までの需要増加分の5割近くを占める一方、天然ガスと石炭も(合わせて)4割以上を賄う」とした。どの電源に多く頼るかは国によっても異なり、米国では天然ガス火力が中核となる一方、中国では石炭と再エネが中心と予想する。
天然ガスは相対的に温暖化ガスの排出が低いものの、米国とカタールの輸出比率が高い。関税を巡り米国と対立を深める中国を筆頭に、一部の国では調達リスクがガス火力普及の足かせとなる可能性がある。日本エネルギー経済研究所の西沢淳客員研究員は「結局、将来にわたる地政学リスクの回避などの面で、石炭を抜きにアジアのエネルギー安全保障は成り立たない」と指摘する。
日本は23年度時点で発電の約3割を石炭火力が占める。主要7カ国(G7)の合意に基づき35年までに排出対策をしない石炭火力の段階的廃止を進める方針だが、減らす道筋は難路も想定される。北陸電力は2月末、24年度で廃止する予定だった富山新港火力発電所石炭1号機の廃止を供給力の維持を理由に延期した。
発電効率を大きく高める超々臨界圧(USC)や石炭から取り出した水素などで発電する石炭ガス化複合発電(IGCC)などの技術により排出量を減らし、脱炭素との両立を目指す動きもある。
Jパワーと中国電力が共同出資する大崎クールジェン(広島県大崎上島町)は24年度、二酸化炭素(CO2)の分離・回収設備を備えたIGCCにバイオマス燃料を50%混合する実証実験を成功させた。同社の菊池哲夫社長は「将来的にCO2回収量が排出量を上回るカーボンマイナスの実現を目指す」と話す。
バイオ混焼などの対策は日本だけでなく、石炭火力の発電割合が高い中国やインドなどアジア諸国でも利用促進の動きがある。現状コスト面で課題があるものの、「石炭から排出されるCO2排出に課金するカーボンクプライシングの導入が進めば価格競争力を持つ可能性がある」(PwCコンサルティングの相川高信マネージャー)。
エネルギー安全保障、安価な供給、環境配慮というトリレンマをどう解消するのか、石炭火力は重い課題に向き合う。
浜美佐が担当しました。
<数表>4月22日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 25ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
22日 225.641
前日比 -0.407
(1970年平均=100)
「エシックス経営」の時代 倫理を軸に行動原理を持て 名和高司・京都先端科学大学教授(経済教室)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 31ページ 2824文字 PDF有 書誌情報]
エシックス(倫理)が改めて問われる時代になった。その背景にあるのは世界、そして日本を飲み込もうとする負の潮流だ。
世界ではトランプ2.0に代表される狭隘(きょうあい)な利己主義が横行している。欧州の極右勢力の躍進も見逃せない。地球レベルでの共生という世界共通の理念が急速にしぼみつつある。一方の日本では変化が常態化した現実に疲れ、脱成長論や幸福主義が静かに広がり始めている。
企業経営のレベルに目を転じてみよう。ここでも、時代の進化に逆行する2つの旋風が吹き荒れている。
世界的には利益至上主義が復活しつつある。ESG(環境・社会・企業統治)や持続可能な開発目標(SDGs)といった理念は影を潜め、株主価値の最大化を優先する企業が資本市場で高く評価されている。
日本では、自社の社会的な存在意義を軸にした「パーパス経営」において、うわべだけ取り繕うパーパス・ウォッシング(見せかけのパーパス)が横行している。短期利益を優先する結果、コンプライアンス(法令順守)違反も後を絶たない。そこでコンプライアンス強化が叫ばれ、企業はますます萎縮してしまう。
正しい未来に向け、この負のサイクルを反転させなければならない。その基軸としてエシックスが注目されている。エシックスは「社会的な秩序を維持、発展させるための行動原理」と定義され、そこには3つの要件が埋め込まれている。
第1に「社会的な秩序」。秩序には法令順守だけでなく、道義的責任や社会的責任が広く含まれる。
第2に「維持」だけでなく「発展」させること。そのためには旧来の秩序を壊し、新しい秩序を確立する覚悟が求められる。
第3に「行動」。理念だけではなく、実践して初めて価値がある。そのためには現場の「身体知」に落とし込まなければならない。
エシックス経営を実践する際は、上記3点を十分考慮に入れる必要がある。なぜなら企業は2つの落とし穴に陥りやすいからだ。
1つ目の落とし穴は、秩序維持に気をとられてしまう結果、コンプライアンスという守りの姿勢に偏りやすいこと。エシックスはコンプライアンスと対極にある。コンプライアンスが「悪いことをしてはならない」と行動を外から縛るのに対して、エシックスは「正しく善いことをする」と発展に向けた行動を内発的に促すからである。
2つ目の落とし穴は、理念先行で実践をおろそかにしてしまうこと。パーパスは未来の「ありたい姿」を描いたもので、現実と大きくかけ離れたものであってよい。しかしエシックスは日々の実践(プラクティス)が問われる。きれいごとではすまされないのだ。
現実世界は数多くの二律背反が立ちはだかる。社員・顧客・株主の中で誰を優先すべきか。目の前の収益と将来の収益のどちらが大切か。簡単には割り切れない現実を前に何が「善」かをその都度、判断しなければならない。その基軸となるのがエシックスである。
そして判断を行動に移す際に不可欠なのがプリンシプル(行動原理)だ。「どのような価値を最優先するか」「何については妥協を許さないのか」といった、本質的な問いかけに基づいて行動する際の軸となる。
エシックスを基軸に、プリンシプルにのっとってプラクティスすることで、初めてパーパス(志)という未来に近づく。このエシックスを起点とした3つのPの有機的結合(シン三位一体)がエシックス経営の本質なのである。(図参照)
プリンシプルの呼び名は各社まちまちだ。ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレド(信条)や京セラのフィロソフィー(哲学)は代表例といえる。大切なことは、どこまで現場が自分ごと化しているかである。
例えば京セラは「アメーバ」と呼ばれる小集団ごとに毎朝、担当を決めてフィロソフィーの各項目を輪読する。そして二律背反が想定される事態にどう行動すべきかを論じあう。
プリンシプルは時代に合わせて進化させていかなければならない。花王は創業の精神である「正道を歩む」に加え、4年前に「果敢に挑む」を掲げた。先が見えない時代には守るだけでなく、正しく攻めることが求められているからだ。
そろそろパーパスを額縁から取り出してプラクティス(実践)していきたいものである。そのためには、一人ひとりがプリンシプルを自分ごと化する必要がある。その際には、2つのことがカギとなる。
1つ目は「統治から自治へ」。統治(ガバナンス)という上から目線の外圧では経営の中身は本質的には変わりようがない。経営者と社員の覚悟が規律ある自己変革の起動力となる。セルフガバナンス(自治)こそ良質な経営が目指すべき姿だ。そのためには全社員がエシックスを基軸としたプリンシプルを自分ごと化し、日々の行動で実践していくことが不可欠となる。
2つ目は「人的資産から組織資産へ」。昨今、人的資本の重要性が言いはやされている。しかし本質は人財への投資ではなく、人財が桁違いに成長し、一体となって桁違いの成果を上げる組織資産への投資である。そのような組織資産はどうすれば育むことができるか。それは次の簡単な方程式に示すことができる。
組織資産=αβΣ(人財)
αは組織のソフト要件を指す。具体的には本稿で論じた3つのP(プリンシプル、プラクティス、パーパス)を連動させる力である。
βは組織のハード要件を指す。具体的には人財が生む「たくみ」を「しくみ」に変換するアルゴリズム(組織学習力)であり、そのような運動に内外の人財を動員するエンゲージメント(ひきこみ)力である。
このαとβの力によって人財の総和をケタ違いに高めていく。そのような組織資産こそがその企業ならではの人財資産を生み出し、エシックス経営の進化の原動力となるのである。
江戸時代から「三方良し」や「自利利他」などを重んじてきた日本は、エシックス経営の聖地だったといえるだろう。しかしバブル崩壊以降、英米流の株主資本経営を世界標準と勘違いして移植してしまった。その結果「平成の失敗」をもたらしたのである。
世界的にエシックスの重要性が注目される今こそ日本が大切にしてきた経営思想に立ち返り、未来に向けてバージョンアップしなければならない。その際には、日本古来の和力(インクルージョン)がパワーを発揮する。同時に異質性(ダイバーシティー)を結合させて異次元の価値を生み出す異質(ヘテロ)編集力を身に付ける必要がある。
エシックス経営の未来は私たち一人ひとりが自信をもって、大きく踏み出していけるかどうかにかかっている。それを「シン日本流経営」として世界に発信することができれば、日本企業が次世代を切りひらくことができるはずだ。
<ポイント>
○世界で利己主義が横行し法令違反も続発
○負のサイクル反転の基軸となるのが倫理
○日本古来の思想に立ち返り世界に発信を
なわ・たかし 57年生まれ。東京大法卒、ハーバードビジネススクール修了。専門は経営変革論
歴史に自然実験を見いだす(10) 知的財産法と創造性の関係 一橋大学教授 森口千晶(やさしい経済学)終[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 31ページ 842文字 PDF有 書誌情報]
技術革新は経済成長の源泉です。社会の革新性や創造性はどのようにすれば高まるのでしょうか。特許法や著作権法といった知的財産法は、創作者に一定の期間、創作物が生み出す利潤を独占する権利を与え、経済的なインセンティブを生み出す仕組みです。
しかし、知的財産権の保護が創作活動を高めるかについては論争があります。すべての新しいアイデアは既存のアイデアの模倣や改変から生まれるという説によれば、特許や著作権は模倣を阻害し創造の足かせとなります。また、発明家や芸術家はお金のために創作しているわけではないという説に従えば、経済的なインセンティブは何の役にも立ちません。
著作権の保護は、芸術家の創造性を高めるのでしょうか。この問いに答えるため、米ニューヨーク大学のペトラ・モーザー教授らはナポレオン戦争に着目します。フランスの英雄ナポレオンは19世紀初頭にイタリア各地を占領し、フランスの法律を導入しました。ただし、ある偶然から著作権法が導入されたのは一部の地域のみでした。
イタリアでは当時、オペラが大人気で各地にオペラ劇場がありました。著作権法の制定前には、オペラのヒット作はすぐに海賊版の楽譜が出回り、各地で海賊版オペラが上演されたといいます。しかし、制定後は作曲家に再演収入が入るようになりました。
分析によると、著作権法が制定された地域ではオペラの創作数が倍増しただけではなく、作品の質も大幅に向上しました。さらに、同一作曲家が法の制定後により多くの名作を生み出したこともわかりました。経済的な誘因は芸術家の創造性を高めたのです。
モーザー教授は他にも、第1次大戦期の米国における敵国人特許の取り消しを自然実験に用い、特許の効果を分析しました。その結果、敵国の持つ特許技術の公開は米国への技術移転を早め、米国人による技術革新を高めたことがわかりました。このように歴史の自然実験は、創造性を高める制度デザインにも有用な知見を与えています。
(次回から「資金循環で見る日本企業の姿」を連載)
中小こそ仕事と介護両立支援を 日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネジャー 石田遥太郎(私見卓見)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 31ページ 0文字 書誌情報]
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専修大 課題分析編 問題意識を共有し伝達 子どもにもわかりやすく(チーム池上が行く!)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 35ページ 1773文字 PDF有 書誌情報]
今回はジャーナリストの増田ユリヤさんが専修大学の神田キャンパス(東京・千代田)を訪ねました。学生が仲間と力を合わせて社会課題の原因分析や解決策の提案を行っている活動を取材するためです。学生たちが学んだこと、考えたことの一部を紹介します。
専修大には「問題解決型チャレンジプログラム」という正課外の活動があります。「論理思考力」「問題解決力」「意思疎通力」を鍛える狙いがあります。
毎年4月、学部や学年を超えて学生の募集が始まります。2024年度は120人を超える学生が参加しました。学生は少人数グループに分かれ、団体や企業と協力しながら20のテーマに取り組んでいきます。
たとえば問題意識を共有して活動計画を作成します。夏から秋にかけて2度の活動報告会、年末には成果発表会に臨み、最後に活動報告書をまとめます。
増田さんは24年度に参加した学生グループのうち、「アステラス製薬・明治安田生命保険チーム」に所属した7人のメンバーの活動を取材しました。
学生は企業での勉強会に参加し、日本には薬不足という課題があることを学んだそうです。その背景には海外で使える薬が日本では承認されていないために使うことができない「ドラッグロス」と呼ばれる問題などがあるといいます。また、日本の超高齢化社会も指摘されているのです。
そこで、学生たちは子どもたちに健康への意識を高めてもらうための授業や教材を準備し、実際に出張授業を行いました。訪れたのはキッズベースキャンプ溝の口(川崎市)という民間の学童保育施設です。
授業の模様を番組制作チームが取材しましたので、その一部を紹介します。
教室には多くの子どもたちが集合していました。健康を大事にしながら暮らす方法をみんなで考えようという場面です。壁には日々の生活や食事などを学生がイラストで描いたカードが貼られています。
学生が子どもたちの前に立って呼びかけました。「第一問です。毎日お菓子ばかり食べています。さあ、こんなとき、みなさんならどうしますか」
ある児童は、歯ブラシと歯磨き粉を描いたカードを選びました。そして「こういうときは歯を磨いたらよいです」と答えました。
また、ほかの児童は野菜がカゴに入っている様子が描かれたカードを選びました。「バランス良くご飯を食べればいいと思います」と提案したのです。
出張授業に協力した施設の担当者は「子どもたちの非認知能力(人間力)を育成するということを大事にしています」と意義を語りました。
学生たちはこうした経験を積みながら、「問題解決型チャレンジプログラム」に参加した成果を感じていたようです。
増田さんは、学生が24年度の活動を振り返る会を取材しました。全員がどのようなモチベーション(充実度)や気持ちで約8カ月間の活動に参加してきたかをグラフ化し、伝え合う場面がありました。
学生から様々な反応が寄せられました。学生には参加した目的について「コミュニケーション能力や問題解決能力を身につけられる」といった共通の思いがあったようです。
実際、ある法学部生は「企業を訪れ、一緒に活動できることでモチベーションが上がった」と強調していました。民間の学童保育施設で出張授業を行った経験が高いモチベーションにつながったという学生も多かったです。
一方、人間科学部のある学生は「(活動を)どうしていけばよいか見えない時期もあって落ち込んだこともあった」と振り返りました。ほかにも企業を訪問した勉強会でプレッシャーを感じたこともあったという学生もいたのです。
学生がグラフ化したモチベーションには上下の波がありました。それでも、活動の最終段階に向かって、みんなの気持ちが右肩上がりになっていたことが示されていました。とても充実していたのでしょう。
増田さんは学生たちが課題に直面しながらも、思いを一つにしてチャレンジしてきたことがよくわかりました。
学生をサポートしたキャリア形成支援課の松田耕平さんに活動の狙いを尋ねました。「先の見えにくい時代、激しい変化に対応できる人材に育ってほしい。そのために必要なプログラムにしていきたいです」。大学の役割はますます重要になってくるでしょう。
【図・写真】専修大生は子どもたちに出張授業を行った(川崎市、キッズベースキャンプ溝の口)
なぜ貿易戦争が激化するのか 「秩序崩壊」で経済が荒廃 玉利伸吾(読むヒント)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 35ページ 1648文字 PDF有 書誌情報]
世界貿易の仕組みがガラガラと崩れている。戦後80年。自由貿易を主導した米国は保護主義に転換した。国際ルールや国同士の約束を無視し、高関税の発動によって世界経済を大混乱に陥れている。こんなことがなぜ起きるのか。
今月2日、トランプ米大統領は世界からの輸入品に「相互関税」をかけると発表。欧州やアジア諸国も標的で、日本製品にも24%を課すと表明したことで、不況への懸念から世界の株価が乱高下した。
直後に、米国は相互関税上乗せ分を中国を除いて90日間停止すると発表したが、混乱は収まらず、中国は125%の報復関税を発動し、「米中関税戦争」が激化している。
この動きは米国が高関税政策を採った1930年代と似ている。当時も世界中が猛反発し、米製品の不買運動が起きるなど対立が先鋭化した。
原因は世界恐慌だった。世界貿易が4年で6割縮小した危機から国内市場と自国通貨を守るために、各国が貿易障壁をどんどん高くした。
英歴史家、エリック・ホブズボームは著書『20世紀の歴史 両極端の時代』(大井由紀訳)で、「大恐慌は経済的自由主義を半世紀にわたって破壊し続けた」と指摘する。各国は大恐慌に立ち向かうため、繁栄を支えてきた「多国間貿易」という世界的なシステムを解体せざるを得なかったという。
マネジメントの父、ピーター・ドラッカーは、こうした仕組みの崩壊が「ファシズム全体主義」による欧州支配につながったと分析した。
1939年、ヒトラーから逃れて書いた『「経済人」の終わり』(上田惇生訳)で、旧秩序が崩壊し、新秩序が生まれていない当時の状況を報告。絶望した大衆が魔術師の奇跡にすがった結果だと解読した。
現在の世界も「秩序の空白」に苦しむ。米主導の自由貿易体制、経済のグローバル化が行き詰まり、米中ロ、どの大国も基本ルールを支えようとせず、責任者不在のままだ。
経済学者、石見徹・東大名誉教授は著書『世界恐慌とブロック経済 経済の第二次世界大戦前史』で、世界経済の現状をこう解説する。
「1980年代から始まった経済の『グローバル化』がその揺れ戻しの時期にはいった」結果、半導体など戦略的物資の貿易制限や経済制裁などが行われるようになった。「グローバル化」の逆転現象は30年代の世界経済の分断を連想させるという。
トランプの米国は開かれた世界経済と共存繁栄しようとは考えていない――。トルコ出身の米経済学者、ダニ・ロドリックも1期目に著書で指摘。揺れ戻しの原因を分析し、自由貿易体制の立て直しを急ぐよう訴えていた(『貿易戦争の政治経済学 資本主義を再構築する』岩本正明訳)。
だが、事態はさらに悪化した。責任者不在の中、大国は貿易や領土などで自国の利益追求に奔走。関税や外交で貿易を支配しようとする動き、「貿易戦争」が過熱している。
この状況を資源・エネルギー問題を中心に分析したのが、英政治経済学者、ヘレン・トンプソン著『秩序崩壊 21世紀という困難な時代』(寺下滝郎訳)だ。トランプ政権が1期目からいかに「米国のエネルギー黄金期」や「エネルギー支配」を目指していたかを明らかにしている。
「空白」の世界では、経済を武器に使って政治的・戦略的目的を達成する「地経学」的な動きが横行している。地経学研究所長の鈴木一人・東大教授は著書『資源と経済の世界地図』で警鐘を鳴らす。
安定的な国際秩序が、資源のない貿易立国、日本の死命を制するという。その崩壊は、この国の暮らしを直撃する危機である。情勢は厳しいが、回復に向けて知恵を絞りたい。
(元編集委員)
【さらにオススメの2冊】
(1)『武器化する経済 アメリカはいかにして世界経済を脅しの道具にしたのか』(ヘンリー・ファレル、アブラハム・ニューマン著、野中香方子訳)…米国の地経学的パワーとは。
(2)『地経学の時代 米中対立と国家・企業・価値』(大矢伸著)…グローバル化が内包している問題点を分析。
【図・写真】トランプ相互関税の発動で世界経済が大混乱に=ロイター
専修大 課題分析編――増田さんから学生へ 充実度の振り返りに新味(チーム池上が行く!)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 35ページ 569文字 PDF有 書誌情報]
専修大学の学生を取材して印象に残った場面があります。それは自分自身がどのようなモチベーションや気持ちを抱きながら仲間と活動に参加していたのかということを振り返る場面でした。私の学生時代には思いつかない手法だと感心しながら見学したのです。
学生一人ひとりが約8カ月間に及ぶ活動のなかで、気弱になったり、つらい気持ちになったりした経験があったこともわかりました。それをグラフで表現しながら話すことはとてもユニークでした。学生は活動を通じて、自らの考えを伝える力も育んだのでしょう。
学生たちは大学のサポートを得ながら、学外の企業や団体と交流していました。学生と大学との長年の協力関係が築かれてきたのですね。だからこそ多くの学生が20ものテーマに取り組むプログラムが継続しているのだと思います。
社会に出て働き始めると、まさに社会の課題と向き合うことになります。正解のない課題とも折り合いをつけていかねばなりません。人生の壁にぶつかったとき、仲間と学んだ諦めない心は貴重な経験になるでしょう。プログラムの体験を生かしてさらに成長してほしいですね。
コラム「チーム池上が行く!」はBSテレ東の経済番組「NIKKEI NEWS NEXT」の同名コーナーとの連携企画です(写真はBSテレ東提供)。日本経済新聞社とBSテレ東が協力して編集しています。
「生誕150年記念 上村松園」特集――美人画 追い求めた理想、あふれる気品 清らかに 抑制した筆致 能楽に範[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1910文字 書誌情報]
日本の近代美術史に大きな足跡を残した美人画の巨匠、上村松園。回顧展「生誕150年記念 上村松園」(日本経済新聞社など主催)が大阪中之島美術館で開催中だ。100点を超える作品からは理想の女性像を追求し、独自の美人画を確立した強い意志と信念が伝わってくる。
上村松園は女性芸術家のパイオニアといわれる存在。先頭を走る人は向かい風を受けやすい。批判の矢面に立つこともあれば、妬みや嫉(そね)みの対象にもなる。
1904年(明治37年)の第9回新古美術品展。展示中の作品「遊女亀遊」が、何者かによって鉛筆で乱暴に落書きされた。ところが展覧会の担当者からは謝罪がなく「みっともないから直して下さい」と言うばかり。画題の「遊女亀遊」は、外国人客に応じることを拒んで自害した気骨ある幕末の遊女。松園は強い女性を意識していただけにすぐに直そうとしない。自著「青眉抄」(講談社)でこう語る。「卑怯(ひきょう)な行為です。おそらく私にへんねしを持っている者がやったのでしょうが、それなら絵を汚さずに私の顔にでも墨をぬって汚してくれればよい」
松園は1875年(明治8年)、京都市の葉茶屋の次女として生まれた。幼少期から絵が得意で、京都府画学校(現京都市立芸術大学)に入学。鈴木松年の教えを請う。その後画学校を退学し幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事。シングルマザーとして長男・松篁を育てながら作品を描き続けた。1941年に帝国芸術院会員になり、48年、73歳の時に女性初の文化勲章を受章。翌年、肺がんで死去する。
松園の画業を頭角を現した明治期、苦悩の大正期、成熟の昭和期に分けてみたい。特に明治期は試行錯誤を重ねながら、女性の暮らしや人生を清潔感のある色彩で表現した。描線も最初は力強いが徐々に洗練されて柔らかくなる。
「師匠たちが専門としていなかった人物画をゼロからスタート。近世の浮世絵や風俗画の影響を受けつつ、独自の美人画の世界を切り開いた」と話すのは大阪中之島美術館の小川知子学芸員だ。「忠臣蔵」の大石内蔵助の愛妾、お軽を描いた20代の時の「軽女悲離別図」にセンスの良さがうかがえるという。「お軽と内蔵助との別れの場面。お軽が悲痛な心を抑え、下を向いて琴に託す奥ゆかしさを巧みに描いている。画面右の風で秘め事を暗示する構図も面白い」と指摘する。
画壇で認められる契機になったのが1900年の第9回日本絵画協会・第4回日本美術院連合絵画共進会に出品した「花ざかり」だ。銀牌を受賞した。作品は所在不明だが、「花ざかり」の後で描いた可能性が高い、同じ図柄の「人生の花」が雰囲気を伝えている。婚礼当日の花嫁の喜びと不安を、前を歩く母親との対比で浮かび上がらせた。
松園の美人画には、女性の暮らしや生活を四季の中で捉えたものが多い。簾越しの女性が秋の訪れを感じる「虫の音図」、花見に向かう女性の群像「三美人之図」はその一例といえる。
ところが明治末期から大正にかけて松園はスランプに陥ってしまう。当時は洋画の存在感が高まり、国画創作協会などが個性の尊重を求めて画壇に挑戦した時代。美術評論のジャーナリズムから、人形のようで社会性に乏しいというような厳しい評価を受ける。美人画に自信をなくすと、花鳥画や山水画を試みることもあったようだ。体調も崩しやすく、神経衰弱に悩まされたという。
1913年(大正2年)9月18日付の「日出新聞」のインタビューで「近松式でもなく、歌麿式でもなく、婦人の悲哀の情緒を崇高に森厳(しんげん)に現はすには如何(いかに)したら宜いでせうか」と苦しい胸の内を吐露している。
この頃、松園は能楽金剛流の金剛巌氏から謡曲を習い始めた。謡曲は京の商家や町民にとって定番の習い事の一つ。松園は謡曲を通して能楽のとりこになる。
能楽の演目に着想を得た作品が大きな転機をもたらす。「花がたみ」だ。継体天皇が皇子時代に寵愛した照日の前が天皇を追って都へ行き、狂気の舞を披露した逸話を描く。「表情のない能面を研究して乱心の表現を抑え、崩れた襟元や裾下の渦巻く黒髪で心のあり様を示した。『抑制の美』の始まりを示す作品」(小川学芸員)という。
余分なものをそぎ落とし、必要最小限の要素で芸術を磨く能楽の世界。松園は能楽への傾倒によってスランプから脱却する。
【図・写真】「花がたみ」 1915年 松伯美術館 ※後期II
【図・写真】「人生の花」 1899年 京都市美術館 ※前期I
【図・写真】左「軽女悲離別図」 1900年 福田美術館 ※後期II
中「虫の音図」 1907年 名都美術館 ※前期I
右「三美人之図」 1908年 光ミュージアム ※通期
「生誕150年記念 上村松園」特集――美人画 追い求めた理想、あふれる気品 清らかに 女性の人生 機微にじむ[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 39ページ 1988文字 書誌情報]
大正末期から昭和にかけては、松園芸術の真骨頂ともいうべき品格のある女性像を描いた美人画が多く制作される。人物を大きく配して構図を工夫し、色彩もより清澄になる。
1926年(大正15年)の「待月」。黒地の薄い着物を身に着けたすらりとした後ろ姿の女性が夕刻、外を見つめている。大きな柱が画面中央を貫き、女性の表情は見えない。だが松園の筆は灯籠鬢(とうろうびん)や丸髷(まるまげ)の髪の毛一本一本、着物や帯の絵柄や模様、べっ甲の髪飾りを丁寧に描写する。顔を描かなくても美人画としての主張が十分にある。指先から滑り落ちそうな団扇(うちわ)に心が映し出されているようで叙情的だ。女性が待っているのは月の出なのか、それとも愛する人なのであろうか。
松園は美人画についてこう語っている。「単にきれいな女の人を写実的に描くのではなく、写実は写実で重んじながらも、女性の美に対する理想やあこがれを描き出したい」(青眉抄)
ところが再び不幸が訪れる。1934年(昭和9年)2月、最愛の母が逝ってしまうのだ。女性画家が少ない時代に気兼ねなく絵が描けるように気を配り、スランプの時は誰よりも励ましてくれた。松園は悲嘆に暮れるが、同時に母が喜ぶことは何だろうかと考えた。真摯に絵と向き合うことが一番の弔いになるはずだと。
重要文化財の傑作「母子」が生まれたのは同じ年の10月。第15回帝展に出品し、政府買い上げとなった。母の記憶をたどる中で生まれた作品といえる。青眉の若い母が包み込むように赤子を抱き、あやしている。江戸後期から明治初めにかけて結婚して子供を産んだ女性は、眉を剃(そ)り落とす風習があったという。子供を慈しむ母の表情が美しい。
41年の「夕暮」も母への追慕から生まれた。夕刻、障子を開けて光を通し、糸を針に通そうとする甲斐甲斐(かいがい)しい女性を表現した。葉茶屋の店番が終わるとすぐに針仕事を始めた働き者の母の面影をしのんでいる。
今回の展覧会では、上村家ゆかりの松伯美術館(奈良市)所蔵の下絵や縮図帖(ちょう)も紹介している。下絵はどれを見ても切り貼りが施され、何度も何度も考え直した様子がうかがえる。縮図帖はノート状やメモ帳状のスケッチブック。実物サイズより小さく写し取ったため縮図と称した。着物、かんざしから鳥、草花まであらゆるものをスケッチしている。
同館の秋山美津子学芸員は「鉛筆が普及してから画家の多くはスケッチに鉛筆を使うが、松園は筆を自由自在に操り、使いこなした。孫の故上村淳之先生は『失われた技』と話していた」という。
こうした努力の集大成が代表作の重文「序の舞」だ。初めに序の部分がある典雅な舞を披露する強い意志の女性を描いており、右手で少し開いた扇を逆手で持ち、右腕をまっすぐ前に突き出している。「下絵では文金高島田の髪形や顔の部分を貼り直し、凜(りん)とした立ち姿を納得いくまで描き直している。男性が描く美人画とは異なる境地をきわめたといえる」(秋山学芸員)
松園芸術を形容するのにふさわしい気品と清澄さを余すところなく備えたのが40年(昭和15年)の「わか葉」だ。初夏、町家の若妻とおぼしき着物の女性が窓辺に肘をつき外を眺めている。白緑の着物とハギの若葉が響き合う。斜め後ろからの構図により、鑑賞者は女性の内面に向かう。表情は穏やかで優しい。幸せの訪れを祈っているのではないだろうか。
松園は亡くなる数カ月前の49年6月に作品を発表するなど最後まで絵筆を握り続けた。「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願」(青眉抄)。明治から昭和の戦中戦後まで、激動の時代を美人画の高い理想を掲げて駆け抜けた。
(編集委員 浜部貴司)
生誕150年記念 上村松園
会期 3月29日~6月1日(月曜日・5月7日は休館 ※4月28日・5月5日は開館)
会場 大阪中之島美術館 4階展示室(大阪市)
開館 午前10時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
観覧料 一般1800円、大学・高校生1500円、中学・小学生500円ほか(料金は当日、税込み)
主催 大阪中之島美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪、京都新聞、神戸新聞社
特別協力 公益財団法人 松伯美術館
協賛 DNP大日本印刷
※作品の展示期間 前期Iは3月29日~5月11日、前期IIは3月29日~5月18日、後期Iは5月13日~6月1日、後期IIは5月20日~6月1日
【図・写真】「わか葉」 1940年 名都美術館 ※前期I
【図・写真】上「序の舞」 1936年 重要文化財 東京芸術大学 ※後期I
下「母子」 1934年 重要文化財 東京国立近代美術館 ※後期I
【図・写真】左「待月」 1926年 京都市美術館 ※前期I
右「夕暮」 1941年 京都府立鴨沂高等学校 ※後期II
竹田ら日本勢初Vなるか 女子ゴルフ 24日からシェブロン選手権 唯一無冠のメジャー挑戦[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 956文字 PDF有 書誌情報]
女子ゴルフのメジャー今季第1戦、シェブロン選手権が24日から4日間、米テキサス州ヒューストン近郊のカールトンウッズ・クラブで行われる。伝統的に飛ばし屋有利とされ、これまで日本選手が一度も勝てていない最難関のメジャータイトル。今季米女子ツアーに参戦する日本勢13人全員が出場資格をクリアし、初制覇に挑む。
米国の名優ダイナ・ショアの名前を冠して1972年に始まった大会は83年からメジャーに昇格。冠スポンサーの交代を経て、2年前からテキサス州に会場を移した。賞金総額は前年比10万ドル増額の800万ドル、優勝賞金120万ドル(約1億6800万円)のビッグトーナメントとなった。
昨年は世界ランク1位のネリー・コルダ(米国)がツアー出場5連勝の大記録を達成した。飛距離を生かしてパー5攻略を軸にスコアを組み立て、コース移転後の過去8ラウンドすべてアンダーパーをマーク。今季未勝利だが、得意コースで復調なるか。
日本勢は今季ここまで米女子ツアー8戦すべてで誰かがトップ10に食い込んでいる。3月の中国・海南島の大会で優勝した竹田麗央はパットの不振から一時調子を落としたが、前週のJMイーグルLA選手権で出場3戦ぶりに4日間プレー。最終日はコルダと同組だった。
竹田が昨年4月にプロ初優勝を遂げた当時、米女子ツアーで破竹の快進撃をみせるコルダの映像をSNSで見ていた。「いつか一緒に回ってみたかった」という夢が1年後に実現。憧れの選手のスイング、弾道を目に焼き付け、心身ともに充実して初出場のメジャーを迎える。
ジャック・ニクラウス設計の開催コースは昨年より長い6911ヤードの設定。コルダに負けない飛距離と高弾道のアイアンショットを駆使する竹田には有利に働くだろう。今季2度目の2位と惜敗した前週のリベンジに燃える岩井明愛は初出場で予選を突破、30位と粘った昨年の経験が生きそうだ。
昨年大会で日本勢最高の9位に入った勝みなみ、全米女子アマ優勝の資格で2年前に出場経験のある馬場咲希も飛距離の面で不利はなさそう。前週3位の山下美夢有、最終日63をたたき出して6位の畑岡奈紗、昨年エビアン選手権覇者の古江彩佳はいずれも調子を上げてテキサスに乗り込む。
(編集委員 串田孝義)
【図・写真】米女子ツアー参戦1年目の竹田=共同
巨人・岡本荒稼ぎ、最速20打点 先制打に2ラン 頼れる主砲(プロ野球)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 649文字 PDF有 書誌情報]
2日前にサヨナラ負けを喫していた巨人。悪い流れを断ち切る上でも初回の先制点は大きかった。2四球などで1死二、三塁の好機をつくり、打席には4番岡本。1ボールから低めの148キロに鋭く反応し、走者一掃の2点打を放った。
「みんながつないでくれたチャンスで打ててよかった」と岡本。阿部監督も「先制点が取れたので(先発の)井上も楽になった」と主砲の一打の効能を強調する。
三回はフルカウントから内角を執拗に突かれたが、3球ファウルで粘る。タイミングをはかって迎えた9球目。高めに浮いたカーブを逃さず、左翼席中段へ2ランをたたき込んだ。
今季は開幕から12試合連続安打をマーク。7本塁打、20打点は堂々のリーグ1位、打率も同2位の3割5分4厘と高いレベルで安定している。指揮官も「いい集中力で打席に入ってくれている。あまりムキになっていないというか、インサイドに放られても冷静にいけている」と、その充実ぶりに目を見張る。
好調の一因には前後を打つ打者の存在もあるだろう。「後ろに大城がいるという安心感もあるだろうし、(吉川)尚輝が前で出塁してくれるのもいい刺激になっていると思う」と阿部監督。
主力に離脱者が続出する中、チームが上位を堅持できているのは主砲の存在があるからこそ。ロケットスタートを切った本人に気の緩みはない。「これからが長い。少しでもいい状態で全力で戦えたら」。長いシーズンを見据え、いまは目の前の打席だけに集中している。
(木村祐太)
【図・写真】三回巨人1死一塁、岡本が左越えに2ランを放つ
全米女子OP、長沢ら出場権 ゴルフ日本地区予選[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 339文字 PDF有 書誌情報]
女子ゴルフのメジャー大会、全米女子オープン選手権(5月29日開幕)の日本地区予選が22日、千葉県房総CC房総の2コース(ともにパー72)で行われ、サイ・ペイイン(台湾)、林菜乃子、池羽陽向、泉田琴菜、アマチュアの長沢愛羅が出場権を獲得した。
36ホールで争い、サイ・ペイインが通算6アンダーの138でトップ、2打差に林と池羽、同3アンダーの泉田が4位だった。17歳の長沢は同2アンダーで並んだ3人で行われたプレーオフを制した。川崎春花、藤田さいき、横峯さくら、桜井心那らは予選落ちとなった。
前半を終えた時点で1オーバーも後半18ホールで4つ伸ばした泉田は、「後半は渋いパターが入ってくれた。5メートルぐらいのバーディーパットが入った最終ホールのおかげで通過できた」と喜んだ。
阪神・才木ベイに雪辱、制球乱れ反省も(プロ野球)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 280文字 PDF有 書誌情報]
1日の今季初登板で黒星を喫したDeNAに雪辱を果たしながら、阪神・才木の喜びは控えめだった。威力十分の速球で詰まらせる一方、強風の影響もあってか「思ったよりずれた」と制球が定まらない。四回は2死走者なしのカウント0―2から度会に四球。その後満塁とされ、バウアーを抑えるまでに計37球も要した。
七回はこの日5つ目の四球でピンチを広げ、115球目の変化球を佐野にはじき返されて失点。悔しげな表情でマウンドを降りた。昨季13勝と飛躍した26歳は「いらない四球でリズムをつくれず、中継ぎに負担をかけた。次はみんなを助けられるような投球をしたい」と反省しきりだった。
ロッテの中村奨、初サヨナラ安打(プロ野球)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 227文字 PDF有 書誌情報]
延長十回、ロッテはポランコの申告敬遠で1死満塁とした。サヨナラの絶好機で中村奨は、西武の守護神・平良の剛球を「前に飛ばせばいい」と集中。初球は差し込まれ気味のファウルだったが「(バットは)振れていた」。3球目の球速155キロにうまく反応する中前打で接戦にけりをつけた。
プロ11年目にして初のサヨナラ安打。仲間のウオーターシャワーの祝福に「どうやって水をかけられていいか戸惑った」と苦笑いした。途中出場で殊勲打を含む2安打。首脳陣に大きくアピールした。
AI時代の非認知能力育む(スポーツの力)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 1027文字 PDF有 書誌情報]
北川和徳
スポーツ教室運営大手リーフラス(東京・渋谷)の業績が好調だ。売り上げは右肩上がりで、2024年は100億円を突破、スクール事業の会員数は約7万人に上る。
学校部活動の地域への移行、展開の受け皿としての成長もあるが、理由はそれだけではない。同社の伊藤清隆社長は「スポーツによって非認知能力が育つということへの理解が年々広がっている」と手応えを語る。
非認知能力とは協調性やコミュニケーション能力、リーダーシップ、自己管理力など。机に座っての勉強だけでは身につかない。リーフラスの教室はスポーツの上達や勝利よりも、子供たちの将来に役立つ能力をスポーツを通じて育てることを目的としている。
スポーツでこうした能力が培われるのは当たり前のようだが、日本のスポーツの指導現場では勝利至上主義や高圧的なやり方が子供のスポーツへのネガティブなイメージも生んできた。伊藤社長は「従来のスポーツ指導が批判されて見直しが進んだのも追い風になっている」と話す。
「非認知能力はAI(人工知能)が活躍する社会でますます重要になる」。そう語るのは、人材サービスのアーシャルデザイン(東京・渋谷)の小園翔太社長。同社はスポーツ経験者をIT(情報技術)エンジニアに育てて企業に派遣するビジネスで成長してきた。
IT事業に関わる企業だけにAIへの関心も高い。小園社長は最近の進化に驚かされるばかりだという。
「プレゼンの資料なども指示を出せばAIが情報を集めてあっという間にまとめてくれる」。人の仕事はプレゼンする相手の期待や要望などを考慮して内容を調整し、説得力を持つように磨きをかけること。非認知能力が求められる。「学歴やAIで代われる学力より、そうした能力が評価される時代が来る」
そこで心配になるのが学校の部活動の行方だ。スポーツ系でも文化系でも部活動は子供の非認知能力の育成に貴重な場。だが、財政的な余裕のない自治体では地域移行で部活動がなくなることも危惧されている。
アーシャルデザインは新たな事業として部活動の地域移行、展開の支援に乗り出している。部活動を指導する人材の派遣だけでなく、企業版ふるさと納税などを使ってお金を集める仕組みをつくりたいという。
「お金のない自治体も部活動を持続できるようにしたい。企業にとって、プロチームを支援する以上にポジティブなイメージをアピールできる」。新たな企業の社会貢献の形となればスポーツや部活動の価値は高まる。
=随時掲載
ロケディ、大会新で優勝 ボストン・マラソン(短信)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 100文字 PDF有 書誌情報]
ボストン・マラソンは21日、ボストンで行われ、女子はシャロン・ロケディが大会記録を更新する2時間17分22秒で優勝した。男子はジョン・コリル(ともにケニア)が2時間4分45秒で制した。
(AP=共同)
楽天・浅村300号(プロ野球)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 412文字 PDF有 書誌情報]
節目のアーチが逆転劇を呼び込んだ。楽天の浅村が1―2の八回に通算300本塁打となる同点3号ソロを右越えにマーク。得意の逆方向への当たりに「300本目が理想の打撃ができて良かった」と実感を込めた。
味方がピンチを切り抜けた直後の攻撃。先頭打者として打席に入ると、代わった杉浦の外寄りの151キロ速球を捉えた。
ライナー性の打球は勢いを失わずに右翼フェンスを越え「入ると思わなかったので良かった」。フランコも本塁打で続き、試合の主導権が瞬く間に楽天に移った。
右打席から通算本塁打の約3分の1となる97本塁打を右中間と右翼方向に打ち込んでいる。左足を力強く踏み込み、鋭い振りで球を反対方向にはじき返す。
パワーと技術を兼ね備えてこそできる技で「若い時から右にも長打を打ちたいと思って日々練習してきた。今でもそういう理想を持ってやっている」とこだわりを口にした。
【図・写真】通算300号本塁打を放ち、記念ボードを掲げる楽天・浅村
松井2回無失点 大リーグ[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 171文字 PDF有 書誌情報]
【デトロイト=共同】米大リーグは21日、各地で行われ、パドレスの松井はデトロイトでのタイガース戦の七回から4番手で登板し、2回を2安打無失点だった。
試合は4―6で敗れた。
大谷らが所属するドジャースや鈴木らのカブスは試合がなかった。ドジャースは22日(日本時間23日)から敵地シカゴでカブスとの2連戦に臨み、初戦にカブスの今永が先発する。
田中碧のリーズ、プレミア昇格[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 41ページ 159文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=共同】サッカーのイングランド2部リーグで21日、田中碧が所属するリーズが3季ぶりのプレミアリーグ昇格を決めた。
ホームでストークに6―0で大勝して勝ち点94とし、2試合を残して自動昇格圏の2位以上を確定させた。田中はフル出場した。日本代表の田中は昨夏、ドイツ2部のデュッセルドルフから4年契約で加入した。
知床事故3年、船の安全へ監査3割増 コロナ禍前比 救命いかだ、一部義務化[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 42ページ 1539文字 PDF有 書誌情報]
海の安全を確保するため、国が船舶事業者に対する監視を強めている。監査はこの数年で3割増え、今春から一部の船舶を対象に救命いかだの搭載を義務化した。教訓とするのは23日で3年となる北海道・知床半島沖の観光船沈没事故。対策の実効性をどう高めていけるかが課題となる。
船員の超過労働、日誌の虚偽記載――。国土交通省関東運輸局は1日、伊豆諸島への旅客船を運航する東海汽船(東京・港)に対し、複数の法令違反が確認されたとして是正命令を出した。
同社は2024年7月、ジェット船が千葉・房総半島沖で自力航行できなくなり漂流する事故を起こした。今回の問題は同年11月の同局の監査で発覚。命令を受け、増員やダイヤ変更など再発防止策を検討する。
国交省は運航事業者が法令に基づき適切に安全管理体制を取っているかを確認するため、23年度に全国で計3898件の監査を実施した。新型コロナウイルス禍前の3割増の水準で、36件は行政指導・処分に至った。24年度の監査も4000件を超えたという。
監視を強めたきっかけは22年4月に北海道・知床沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故だ。乗客・乗員26人全員が死亡・行方不明となった。運輸安全委員会の最終報告書は要因として「運航会社の安全管理体制の欠如」に加え「不十分な国の監査」を挙げた。
同船は船首付近のハッチの蓋が密閉できず海水が浸入したことで沈没したとみられる。国の法定点検を代行する「日本小型船舶検査機構」(JCI)は事故前の検査で不具合を見逃していた。
教訓を生かし、監査などによって実態解明を進めたのがJR九州子会社のJR九州高速船(福岡市)による日韓高速船「クイーンビートル」の浸水隠し問題だ。
国交省は24年8月に同社を抜き打ち監査し、浸水の未報告やデータ改ざんなどを確認。福岡海上保安部が25年4月、過去にも浸水隠しが起きていた経緯を踏まえ、法人としての同社と前社長らを海上運送法違反などの疑いで書類送検した。知床事故を受けて厳罰化された同法の安全確保命令違反容疑を初適用した。
知床事故後に国交省の有識者検討会が示した安全対策は66項目に上る。同省などが対応を進め、4月から水温10度未満の水域などを航行する一部の船に救命いかだの搭載を義務化。5月以降は船舶の安全統括管理者と運航管理者について新設した資格試験を全国で実施する。
安全管理は船舶事業者の経営課題に直結する。浸水隠し問題で日韓航路事業からの撤退を余儀なくされたJR九州はクイーンビートルを韓国企業に売却した。
富山・氷見沖で年間1万人が利用するクルージングを運航していた富山湾マリン(氷見市)は休業が2年間続く。運航管理者兼務の船長と甲板員2人の3人体制だったが、安全規制の強化で6人体制が求められ、人員を確保できていない。
人件費に加え救命いかだ搭載費用など負担も大きい。同社の松原勝久代表理事は「これまでも万全の対応を取ってきた。悲劇を繰り返してはならないのはもちろんだが、運航そのものができなくなる事業者がいることも踏まえ対策を考えてほしい」と話す。
旅客船の事業者は全国に約900。経営環境が厳しくなると、安全管理に関わるコストが負担となる可能性もある。
神戸大の渕真輝准教授(船舶安全学)は「事故から3年がたち、船舶事業者への監査・検査を増やすなど事故を未然に防ぐ取り組みは進んだ」と評価する。その上で「知床のような厳しい自然環境で運航する場合もあれば湾内など穏やかな場合もある。航海する海域や運航事業者の状況に合わせた柔軟な安全対策が欠かせない」と話す。(藤田翔)
【図・写真】小型観光船に立ち入る国土交通省の職員(2022年5月、北海道斜里町)
春の園遊会、1400人出席 青木功さんら ルート分散、交流増[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 42ページ 498文字 PDF有 書誌情報]
天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会が22日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた。プロゴルファーの青木功さんをはじめ各界の功労者ら約1400人が出席した。青空のもと、両陛下は皇族方と出席者らの活動をねぎらって回られた。
天皇陛下は青木さんに「ゴルフ界のために大変にご尽力なさいまして」と話しかけられた。皇后さまは女子ソフトボール元日本代表監督の宇津木妙子さんに「東京オリンピックのときも素晴らしかったです」と声をかけられた。
漫画家のちばてつやさんによると、天皇家の長女、愛子さまはちばさんの代表作「あしたのジョー」を読んでいると明かされたという。
園遊会が赤坂御苑で開かれるようになった1963年以来、両陛下に続き皇族方が同じルートを歩き、招待者に声をかけられる方式が続いていた。ただ、道の周辺が混雑し体調不良者が出たり場所取りのために招待者が園内を十分に回れなかったりしたという。
今回、両陛下や皇族方を3つのルートに分け、園内を分散して回られるようにした。多くの招待者が皇族方と交流する機会を増やす狙いがあった。
【図・写真】招待客と言葉を交わす天皇、皇后両陛下(22日、東京・元赤坂の赤坂御苑)
知床事故3年、船の安全へ監査3割増 コロナ禍前比――責任追及、出口見えず 民事・刑事、長期化も[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 42ページ 397文字 PDF有 書誌情報]
北海道・知床半島沖の観光船沈没事故は、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)や同社の桂田精一社長に対する民事、刑事両面の責任追及が続いている。事故から3年たった現在もなお出口は見えず、長期化が予想される。
桂田社長と同社に対して計約15億円の損害賠償を求める集団訴訟は乗客14人の遺族らが起こした。3月に札幌地裁で初弁論が開かれ、遺族側は運航管理者と安全統括管理者を兼ねていた桂田社長に重大な過失があったと主張した。
会社側は答弁書で、死亡した船長(当時54)が適切な運航をすれば事故は回避できたなどとして「桂田氏個人の過失も認められない」と反論。会社に賠償義務があることは認めつつ、金額を争う考えを示した。
刑事訴訟も足踏みが続く。釧路地検は2024年10月、桂田社長を業務上過失致死罪で起訴。沈没の可能性を予見できたかが争点になるとみられるが、起訴から半年を経ても初公判の見通しがたっていない。
急性呼吸器感染症、患者数を初公表 18万人 健康危機管理機構、流行の早期把握[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 42ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
国立健康危機管理研究機構は22日、今月から新たに感染症法上の「5類」に位置付けられた「急性呼吸器感染症(ARI)」について、全国約3千の定点医療機関から7~13日に報告された患者数の速報値を初めて公表した。急性症状の事例を広く収集することで、未知の病原体を含めて感染症の流行を早期に把握できるようにする。
ARIは飛沫感染などで広がる。季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症などが含まれる。医療機関は、せき、喉の痛み、呼吸困難などの症状があり、感染症が疑われる事例を報告する。
速報値によると、全国の患者数は18万1270人で、1医療機関当たり49.38人だった。多かったのは栃木県94.13人、秋田県93.43人、岩手県86.93人。少なかったのは高知県27.37人、静岡県27.44人、山梨県33.37人など。
今後、前週と比較するなどして動向を監視する。患者から採取した検体も分析し、新たな病原体による感染症の速やかな覚知や、インフルエンザなどの発生割合の把握に生かす。
福岡資麿厚生労働相は22日の閣議後記者会見で「(ARIは)周囲にうつしやすいのが特徴だ。発生動向を平時から探知することで注意喚起を早期に行い、対策の検討につなげる」と述べた。
白玲5期で将棋「棋士」認定検討 女性初へ制度改定[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 42ページ 498文字 PDF有 書誌情報]
日本将棋連盟は22日、女流タイトル戦の最高峰、白玲戦を通算5期獲得して永世称号の「クイーン白玲」を手にすれば、女流棋士とは制度の異なる棋士にする案を検討していることを明らかにした。棋士になるには養成機関の奨励会を突破するか、プロ編入試験の合格が条件。これまで女性の棋士は誕生していない。
5月の理事会で議案として通り、6月6日の棋士総会で過半数の賛成があれば、棋士となる案が承認される。現在、白玲を保持している西山朋佳女流三冠は、あと2期獲得すれば、棋士の四段になれる。
連盟の羽生善治会長は「女流棋士のレベルは上がっている。門戸を広げるため、そういう構想を描いている」と説明した。
また八大タイトル戦の一つ、棋聖戦の優勝賞金が今期から4千万円に増額され、特別賞金1千万円と合わせ賞金総額が5千万円となる。
公表している優勝賞金の最高額は竜王戦の4400万円。棋聖戦は産経新聞社が主催し、不動産大手のヒューリックが特別協賛。現在の棋聖は藤井聡太七冠が保持している。
ヒューリックが主催する白玲戦の優勝賞金も女流棋界最高の1500万円から4千万円に増額、特別賞金1千万円を含め総額5千万円となる。
学テPC試験、45校で不具合 中学理科[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 42ページ 348文字 PDF有 書誌情報]
文部科学省は22日、デジタル端末を使いオンラインで出題・解答する新方式(CBT)で初めて実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の中学理科に関し、学校ネットワークのサーバー不具合などで0.5%に当たる45校が調査実施日に行えなかったと発表した。
中学理科はネットワークの負荷軽減のため14~17日の4日間に分けて実施した。セキュリティーソフトの影響で動画や画像が表示されなかったとの報告もあったが、文科省の担当者は「ほぼ全ての学校と生徒が正常に調査を完了でき、所期の目的を達成できた」としている。
全国学力テストは、国語と算数・数学を毎年、理科と中学英語を3年に1回程度実施する。文科省は、2026年度は中学英語をCBTで実施し、27年度から全教科に導入して紙の問題冊子を廃止する方針。
知床事故3年、船の安全へ監査3割増 コロナ禍前比――慰霊碑の建立「支援したい」 国交相[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 42ページ 301文字 PDF有 書誌情報]
2022年4月に北海道・知床半島沖で起きた観光船沈没事故の遺族が慰霊碑建立を望んでいることに関し、中野洋昌国土交通相は22日の閣議後記者会見で「現地の関係者との連絡調整を積極的に行い、できる限りの支援をしたい」と述べた。
中野氏は、1月に開いた国交省と遺族との連絡会で、斜里町の「道の駅うとろ・シリエトク」付近に慰霊碑を建てたいとの要望があり、周辺の土地管理者の情報を提供したと説明。今月23日の追悼式で遺族が現地を確認し、その後、国交省側が詳しい要望を聞くと明らかにした。
23日で発生3年となる事故の再発防止に向けては「関係職員が一丸となって、旅客船の安全確保へ強い決意で取り組みたい」と述べた。
ジェットスターに賠償命令 「客室乗務、休憩与えず」 東京地裁[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 676文字 PDF有 書誌情報]
格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンの客室乗務員らが、労働基準法で定められた休憩時間が与えられていないとして、休憩がない勤務の禁止と損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。高瀬保守裁判長は同社に計385万円の賠償と労基法で定める休憩時間の付与を命じた。同社は判決を不服として控訴した。
訴訟を提起したのはジェットスターの国内線や国際線に勤務する客室乗務員ら35人で、1日に複数の便に連続して搭乗するケースがあった。
高瀬裁判長は着陸してから次の便に乗るまでの間に機内の清掃や安全確認をしていた時間は「乗務しないときと同程度に肉体的・精神的に緊張度が低いとは認められない」とし、休憩にあたらないとした。
機内で客室サービスを終えた後に着席を認められている時間についても、乗客からの要望や質問に応じる場合があるうえ、急病人が発生すれば対応する必要があったと認定。同法が定める休憩時間に達していないと結論付けた。
客室乗務員側は次便に乗るまでの間は「業務が間断なく続き、解放される時間はない」と主張。飛行機内でも食事の提供や巡回などが続き「着陸まで休憩と解される時間はない」と訴えていた。
ジェットスター側は長時間の乗務が続く場合、休憩させないことを認める労働基準法施行規則の例外規定にあてはまると反論。次便に乗るまでの時間は休憩にあたり、機内でも労働から解放されている時間は確保されているとも主張していた。
判決を受け、同社は「主張の一部が認められなかったのは残念に思う。今後判決内容を精査のうえ適切に対応する」とコメントした。
トクリュウ資金網断つ 詐欺収益マネロン疑い3人逮捕――「架空名義口座」警察が導入へ 政府、詐欺防止で追加対策[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 537文字 PDF有 書誌情報]
政府が22日まとめた詐欺被害防止の追加対策は、通信アプリや預貯金口座など犯罪に悪用されているツールの規制強化に重点を置いた。通信事業者に対する通信履歴の保存義務付けや、警察が管理する架空名義の口座を流通させる捜査手法を検討する。
詐欺集団はグループ内や被害者とのやりとりにアプリなどを使うことが多いが、通信履歴の保存状況は事業者によって異なる。
犯行経緯の捜査へ役立てるために、一定期間の履歴の保存を事業者に義務付けることも視野に入れる。
本人確認が義務付けられていない携帯電話のデータ通信専用回線を詐欺に悪用されるケースも目立つ。このため携帯電話不正利用防止法を改正し、本人確認を強化する方針だ。
犯罪に使われる金融口座への監視も強める。口座が不正利用された場合、金融機関の間で迅速に情報共有した上で、速やかに凍結できる枠組みの創設をめざす。架空名義の口座を開設して犯罪グループに渡し、金の出入りを把握する捜査手法も探る。
窃盗や詐欺などによる財産犯の被害は2024年は前年比59.6%増の4021億円に上り、1989年以降でピークだった02年(3759億円)を上回った。このうち詐欺被害(3074億円)は23年の1.9倍に急増しており、財産犯被害全体の76%を占めた。
森永乳業の賠償認めず ヒ素ミルク被害巡り地裁 「請求権消滅」[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 531文字 PDF有 書誌情報]
森永乳業の粉ミルク製造過程でヒ素が混入し、飲んだ乳児に健康被害が出た1955年発生の「森永ヒ素ミルク事件」で、脳性まひになった大阪市の女性(70)が同社に5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪地裁であった。野村武範裁判長は不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の経過を理由に請求を退けた。
野村裁判長は判決理由で、女性の現在の症状は95年12月に受けた医師の診断と「質的に異なるものとは認められない」と指摘。2022年5月の提訴時点で請求権が消滅していたと結論付けた。
同社は1973年に事件の責任を認め、被害者団体や国との間で「被害者救済の一切の義務を負担する」と合意。救済団体の「ひかり協会」を通じ、被害者の症状に応じた手当を支給している。女性は月約7万円を受け取ってきたが、3者の合意時に予測できなかった症状も出ており、補償は不十分だと主張していた。
判決を受け女性は「不当な判決で新たな苦しみを味わった」と述べて、控訴する方針を示した。
森永乳業は「恒久救済の完遂に向けて、引き続き全社を挙げて、責任を果たしていく」とのコメントを出した。
協会によると、被害者は3月末時点で1万3463人で、このうち1763人が死亡した。
ハイジ、弾んだ彩った スイス、万博にモデルずらり[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 380文字 PDF有 書誌情報]
スイスは22日、大阪・関西万博会場で「ナショナルデー」の式典を開催した。同国生まれのキャラクター「アルプスの少女ハイジ」の世界観を現代的に再解釈したパフォーマンス「My Name Is Heidi(私はハイジです)」を披露した。
音楽に合わせ、スクリーンに現地の自然風景やハイジのアニメを投映。映像をバックに、花を模したブローチや山脈の絵がプリントされたワンピースなどを着用したモデル計20人がファッションショーを行った。
ハイジはスイス館のアンバサダー。式典前には来場者と記念撮影などを行った。同国のイグナツィオ・カシス外相は「パビリオンでスイスのイノベーションを体験してほしい。屋上のバーでスイスワインも楽しんで」とあいさつした。ナショナルデーは参加国・地域が日替わりで自国の文化などを紹介するイベント。
【図・写真】披露されたファッションショー(22日)
トクリュウ資金網断つ 詐欺収益マネロン疑い3人逮捕――仮装身分捜査、一部警察が開始[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 301文字 PDF有 書誌情報]
捜査員が身分を偽って闇バイト募集に応募して犯人グループに接触する「仮装身分捜査」について、一部の都道府県警が運用を始めたことが22日、警察庁への取材で分かった。警察庁は1月に実施要領を策定し、全国の警察に発出していた。
仮装身分捜査は、捜査員が別人に成り済ましてSNS上の闇バイトに応募し、身分証の提示を求められた際に架空の運転免許証などを示す。犯人側と接触して犯罪が発生する前に摘発。応募者に捜査員が潜んでいる状況をつくることで犯行の抑止も期待されている。
実施要領では、実行役の闇バイト募集を行っている強盗や詐欺、それらに関連する犯罪を対象とし、他の方法では摘発や犯行抑止が困難な場合に限定した。
殺人容疑で捜索、住人の男が逃走 23年の埼玉射殺巡り[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 281文字 PDF有 書誌情報]
22日午前6時半ごろ、埼玉県警が横浜市神奈川区松本町の住宅を殺人容疑で家宅捜索しようとしたところ、住人の50代男が車に乗って逃走、警察官3人に軽傷を負わせた。埼玉、神奈川両県警が公務執行妨害の疑いで行方を追っている。埼玉県警によると、男は暴力団関係者で、2023年1月に同県狭山市で起きた射殺事件で捜査対象になっていた。
捜査関係者によると、男の自宅は一戸建て。埼玉県警の捜査員が家宅捜索に立ち会うよう求めたが男は応じず駐車場へ逃げた。白いセダンタイプの乗用車に1人で乗り込み、周囲の警察官3人にぶつかり腕などに軽傷を負わせ、国道1号方面に逃走したとみられる。
5~7月の天気、全国で気温高く 気象庁予報[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
気象庁は22日、5~7月の3カ月予報を発表した。気温は全国的に平年より高くなる見通しで、早めの熱中症対策を呼びかけている。降水量は北日本で平年並みか多く、東―西日本や沖縄・奄美は、ほぼ平年並み。本州付近を中心に梅雨前線の活動が活発となる時期があり、最新の気象情報に注意が必要だ。
気象庁によると、偏西風が平年より北を流れやすいことなどから暖かい空気に覆われやすい。
トクリュウ資金網断つ 詐欺収益マネロン疑い3人逮捕 仮想通貨悪用、出所隠す 「ルフィ」事件にも関与か[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 43ページ 0文字 書誌情報]
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マンホールへの愛、底知れず 蓋に刻まれた合併で消えた市町村や会社の歴史、全国巡って1万種撮影 白浜公平[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 44ページ 1436文字 PDF有 書誌情報]
願わくはこの国にある全てのマンホールを見てみたい。一体どれだけの種類の鉄蓋が地面の点検口を塞いでいるのだろう。メーカーが保管する鋳型の数などから推測すると2万種類は下らない。私は約20年前から、まだ見ぬマンホール蓋を求めて全国を巡り、少なくとも1万種類以上を写真に収めてきた。
人生は有限なので探す範囲を絞る必要はある。まず古くから栄え、下水道の整備が早かった都市部。地図を眺めて、曲がりくねった道路が街を通っていれば狙い目だ。かつての川などを埋設した暗渠(あんきょ)には、昭和以前の骨董のような鉄蓋が残されている可能性が高い。そして近年、全国の自治体はPRのため、観光名所などをあしらったデザインマンホールを競うように製作する。常にアンテナを張り、新しいものは確実に押さえておく。
底知れぬマンホール沼にはまるきっかけは2007年のこと。東京大大学院で天文学を学んだ私は、はるか天空に思いをはせた。ところが筑波宇宙センターのある茨城県つくば市を訪れた際、不意に足元の鉄蓋が気になった。宇宙船と筑波山、背後には惑星(なぜか地球)が描かれている。輪のようにみえるのは宇宙船の軌道だという。宇宙っぽくて面白い。
さらにその後、決定的な出合いがあった。同市内で02年に編入された茎崎町の町名をあしらった鉄蓋を見つけたのだ。町は消えても蓋は残る。けなげな姿に心引かれた。同じようなものは全国にあるが、いつかは交換される。今のうちに目に焼き付けておかなければ。
それから毎週末、平成の大合併で消えた各地の街を訪ねた。実際に歩き、マンホールを確認して地図に記す。東京から普通列車で日帰りできる範囲は全て回った。名古屋や仙台も日帰り圏内だ。青梅市など東京近郊は早起きしてシステムエンジニアの仕事前に巡る。さすがに毎週末というわけにはいかないが、泊まりがけの調査にも向かう。
心に残る鉄蓋は、静岡県磐田駅近くで見つけた。謎のマークが描かれていた。手がかりがないか街の歴史を調べるうち正体を突き止めた。この地で1928年(昭和3年)から数年間、営業した光明電気鉄道の社章だった。その存在は地元でも知られておらず、ちょっとした話題になった。
やがて再開発で撤去されると、磐田市埋蔵文化財センターに所蔵された。通常、鉄蓋は役目を終えると原料として溶かされる。街の歴史を語る史料としての価値が認められたわけで、これは私と鉄蓋にとって理想的なできごとだった。
SNSを通じて愛好家仲間とも知り合った。顔を合わせるうちに、日ごろの活動成果を発表する場をつくれないかと考えた。そして2011年11月2日(いい蓋の日)、私たちは第1回の愛好家向けイベント「マンホールナイト」を開催。午後7時開始で、日付が変わる午前0時まで語り合う野心的な企画だ。
小さな会場には予想を上回る26人が集まり、立ち見客も出た。そして夜が明け、始発電車が動き出すまで会は続いた。今でも毎年11月に開催し、約100人が集うイベントに成長した。
業界団体が14年から開催する「マンホールサミット」には毎年1万人以上が訪れる。自治体の鉄蓋のデザインをあしらった「マンホールカード」も人気だ。人が住んでいればどこにでもある、マンホールの間口の広さによるものだろう。マンホール蓋の博物館を開くことが私の夢だ。鉄蓋の向こうには大きな世界が広がっている。
(しらはま・こうへい=会社役員)
【図・写真】はまるきっかけとなった茨城県つくば市の蓋
平井一夫(22) 悲願のテレビ再建 降格を受け入れた先輩 「画」と「音」 磨いて差別化(私の履歴書)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 44ページ 1388文字 PDF有 書誌情報]
私にとって最初のターンアラウンド(再建)の仕事が、米ゲーム会社だったことは本稿でも触れた。当時はアンディ・ハウスとジャック・トレットンという相棒に助けられた。規模がケタ違いとなるソニーでも信頼できるチームの存在は不可欠だ。
ソニーにとって最大の懸案が赤字続きのテレビ事業の再建というのは、衆目の一致するところだ。この点、私には頼れるコンビがいた。今村昌志さんと高木一郎さんだ。二人とも私の先輩にあたり、私とは違ってソニーの本丸たるエレクトロニクスを知り尽くしていた。
デジタルカメラの改革で実績を残したお二人に、私はテレビ再建という重責をお願いした。私はエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)時代からお二人の仕事を見てきたのだが、絶妙なコンビに見えた。今村さんが大将格なら、高木さんはその下でどんどんドライブするタイプ。それでいて自分の仕事を常に「コミットメント」と公言して退路を断つ。
実は当初、テレビは今村さんにお願いしたのだが、やはり百人力の高木さんが欠かせないと考えた。ただ、高木さんは当時、デジタルイメージング事業の本部長。テレビと同格の最重要事業と言える。
私はある時、高木さんにこうお願いした。
「申し訳ありませんが、今村さんの下でテレビの副本部長をやってください」
肩書でいえば降格となる。「私の目が黒いうちは絶対にあなたのキャリアをサポートし続けると約束しますので」と付け加えたが、普通なら憤慨するだろう。なんと言っても高木さんはデジタルイメージングで周囲が認める結果を残していたので。大先輩の高木さんが、私のお願いをどう受け取るだろうか……。
「分かりました。平井さんがそう言うならやりましょう」。私は普段、仕事では努めて感情的にならないように心がけているが、この言葉を聞いたとき、不覚にも涙をこらえることができなかった。
こうしてソニーが誇るツートップを配置したテレビ事業。二人は画作りと音というソニーが強みを持つ部分の力を高め、中韓勢との差別化を進める方針を掲げた。今村さんの言葉だと「ガオンを磨く」。ガオンとは「画」と「音」のことだ。
後述するが、私のソニー再建の中で最も厳しい時間となったのが2014年のことだ。文字通り心が痛む決断の連続。その中でソニーに希望の灯がともされた。お二人に託したテレビが、ついに悲願の黒字化に成功したのだ。実に11年ぶりのことだった。
私はよく「肩書で仕事をするな」と言う。周囲から降格と見られかねない人事を黙って受け入れ、プロとしての仕事を全うしてくれた高木さんこそ、その模範を示してくれた方だと思っている。
私がソニー社長に就任したのは51歳の時だから、「チーム平井」には多くの先輩に加わってもらった。その中でも、やはりこの人のことについてはじっくりと語りたい。私が何度もお願いしてソニーに招き、後継として社長のバトンを託した吉田憲一郎さんだ。私にとっては1年先輩にあたる。
吉田さんがたどったキャリアも異質と言っていいだろう。財務畑が長いのだが、出井伸之さんの時代に社長室長を務めると、子会社への出向を直訴されたという。それ以来、私と同様に「周辺」からソニーを見続けていた吉田さんの力を、私は必要とした。
(ソニー元社長)
【図・写真】テレビは現在もソニーの看板商品だ(2023年、札幌市内のソニーストア)
万博の風景(10)「戦争を知らない子供たち―万国博ホールにおけるコンサート実況盤―」 京都大学教授 佐野真由子(十選)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 44ページ 590文字 PDF有 書誌情報]
一巡して1970年大阪万博に戻ってきた。この若者たちの風景で10回のシリーズを閉じたい。70年代のヒットソング「戦争を知らない子供たち」は、70年8月23日、万博会場内の催事場だった万国博ホールで、全日本アマチュア・フォーク・シンガーズによって初演された。その実況レコードのジャケットである。
終戦から25年。戦前には実現できなかった日本での万博開催にこぎつけたのは、すでに大人になっていた、戦争を知る世代。そこから台頭したこの若者たちこそが、次の半世紀、今日までの日本をつくったことになる。
〝戦争が終わって僕等(ぼくら)は生まれた/戦争を知らずに僕等は育った〟と高らかに歌い、ピースサインを突き出す彼ら。それは、万博の外で70年安保の学生運動を繰り広げていた世代でもある。
69年生まれの筆者は、やはり「戦争を知らない子供」には違いないが、声を上げ、行動した人たちの恩恵のもとで、あたりまえのように戦争を知らないまま生きさせてもらったことを思う。この平和を失う怖さを感じる時代がくるとは、最近まで、考えなかった。
すべての子どもは、戦争を知らずに生きることができなければならない。2025年、「いのち輝く」をテーマに、再び大阪で開かれる万博で、そのことを誓ってはどうだろう。
(1970年発売、レコードジャケット)
【図・写真】協力:TOHOスタジオ、ユニバーサル ミュージック
稀有な存在 後藤信夫(交遊抄)[2025/04/23 日本経済新聞 朝刊 44ページ 526文字 PDF有 書誌情報]
洗足学園の前田壽一理事長とは20年を超す古い付き合いになる。2002年に横浜のゴルフクラブに同期でたまたま入会したのが前田さんだった。初対面同士でプレーをする機会があり、それを機に付き合いが始まった。
共に同い年で、親から事業を引き継いだ立場。互いに共通点が多かったことから、自然と仲は深まり、外でお酒を酌み交わす機会が増えた。歴史や文化への造詣が深く、男手ひとつで3人の子供を育てる顔も持ち尊敬の念も覚えた。
10年ほど前、前田さんの自宅で開かれたコンサートに招かれたことがあった。洗足学園の先生方の演奏もさることながら、参加者の間に入り、誰とも分け隔てなく接し、会話を弾ませる前田さんの姿が印象に残った。毎年全国83カ所の支店を飛び回りながら立場も年代も様々な社員と話す私にとって、そんな彼の姿勢から学ぶことは多い。
企業経営者らとの付き合いが中心のなかで、学校の理事長を務める前田さんは稀有(けう)な存在だ。今でも前田さんとは毎週ゴルフクラブで顔を合わせ、月に1回は一緒に食事をする。神楽坂の料理屋に行くこともあるし、安くて旨(うま)いと聞けば町中華にも足を運ぶ。いくつになっても、ともに食事を囲みたい。
(ごとう・のぶお=帝国データバンク社長)
25年04月21日
トランプ政権3カ月 不確実性の刃、米国も削る 貿易リスク29倍 「トリプル安」招く[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1465文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が発足して20日で3カ月。高関税を武器に対米貿易黒字の解消や防衛費拡大を求め、各国は対抗か譲歩かの決断を迫られる。不確実性は前例のない水準に高まり、その刃(やいば)は世界で株価急落と景気減速懸念を連鎖させ、米国が戦後築き上げた信認も一気に崩しかねない。(関連記事総合2面に)
米ノースウェスタン大のスコット・ベーカー准教授らが新聞記事などから算出する米国の「貿易政策不確実性指数」は3月、5735に跳ね上がった。大統領選直前だった2024年10月の29倍、第1次政権で過去最高を更新した19年8月の3倍だ。トランプ政権の猫の目の関税政策が経済の先行きを極めて不透明にしていることを映す。
高まる不確実性の裏に、トランプ大統領の強権的な政治手法がある。1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、安全保障上の緊急事態宣言を初めて関税に適用。連邦議会の頭越しに関税の対象範囲や税率を自在に操れるようになった。
三権分立を礎とする米国の統治構造は揺らぐ。打ち出した大統領令は早々に100本を超え、3カ月で29本だった第1次政権を大幅に上回る。連邦議会を通して成立した法案は政権発足からわずか5本にとどまる。
起業家のイーロン・マスク氏が事実上率いる米政府効率化省(DOGE)は議会の了承なく予算措置を相次ぎ実質的に停止している。米メディアによると、裁判所による米政府への一時差し止め命令は15日までに74件に上った。
世界の株価は乱高下している。米国のダウ工業株30種平均は4月に24年末比で一時13%安となった。欧州主要600社の株価指数であるストックス600は同11%上昇した後、4月に同7%の下落に転じた。46%と高い相互関税を課されたベトナムの株価指数は下げ幅が一時14%に達した。
「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は8日に50を超えた。20年の新型コロナウイルス禍を除けば、08年のリーマン危機以来の水準だ。
相互関税を完全発動した9日には株式やドルだけでなく、米国債まで売られるトリプル安の「米国売り」となった。慌てた米政府は相互関税の一部を90日間凍結したが、市場の不安感は消えていない。
ニューヨーク連銀によると、投資家が米国債への投資に対して要求するタームプレミアム(上乗せ金利)は10日、14年9月以来およそ10年半ぶりの高水準に達した。基軸通貨国である米国の国債が、安全資産としての地位を疑われている構図だ。
各国や市場参加者の警戒をよそに、トランプ氏の岩盤支持層は揺るがない。米リアル・クリア・ポリティクス(RCP)によると18日時点でトランプ氏の平均支持率は46.5%。50%超だった発足時からは下がったが、高い水準を維持する。経済のグローバル化から取り残された低所得層などは、トランプ氏による既存秩序の解体に喝采を送る。
「我々は間違いを犯すこともあるが、すぐに修正する」。マスク氏は政権の強みをスピード重視と、それをすぐに方向転換できる柔軟性にあると主張する。だがジェットコースターのような政権運営が続けば、企業は投資をためらい、家計も消費に及び腰にならざるを得ない。
英科学誌ネイチャーの調査では、トランプ政権下の米国からの脱出を検討する研究者の割合が75%に達した。欧州連合(EU)は米国抜きの自由貿易体制の維持へ、日本などを含む環太平洋経済連携協定(TPP)との連携を探る。トランプ氏の再登板で変質した米国は自壊の様相も見せる。
(ワシントン=高見浩輔)
政府、サイバー防御に技能基準 企業、採用活動しやすく[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 967文字 PDF有 書誌情報]
政府は官民のサイバー防御能力を高めるため、専門人材に必要な技能の基準を設ける。システム開発や情報分析など10種類程度の職種に分け、習得すべき知識やスキルを明示する。企業の採用活動や資格検定試験などで活用してもらう。
攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向けた関連法案は今国会で成立する見通しだ。水道・電気・ガスなど国民生活に密接な基幹インフラ事業者に被害報告などを義務づける。官民の連携がより重要になる。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が民間事業者の意見も反映しながら2026年にも専門人材に関する基準をつくる。サイバー人材に求められる技能や水準を明示することで担い手を増やし、技能レベルの底上げを図る。求人と応募者のミスマッチを防ぐ狙いもある。
米欧の先行事例を参考にする。サイバー防御の司令塔となる「最高情報セキュリティー責任者(CISO)」や情報分析担当の「キュレーター」、システムの安全性を精査する「脆弱性診断士」など十数種類に分類する想定だ。
米国立標準技術研究所(NIST)は17年にサイバー人材を7職種・52業務に分け、システム開発や情報分析など職種ごとに習得すべき技能基準を設けた。連邦職員の求人サイトなどでも基準を開示して人材を採用している。オーストラリアは9、欧州連合(EU)は12、カナダは22に職種を分類する。
日本のサイバー人材は官民合わせて11万人ほど不足しているといわれる。官民ともに担い手の育成を急ぐ一方、知識や技能のレベルに差があれば業務に的確に対応できない可能性がある。
民間の資格認定試験に基準を活用することもできる。サイバー関連業務に興味のある人にとっては、習得が必要な能力レベルがわかりやすく示されることで学びやすくなる。官公庁と民間を行き来する人材の「リボルビングドア(回転扉)」の促進も期待できる。
石破茂首相は3月の衆院本会議で「人材確保を効果的に行うためには求められる役割、知識を明確化した上で、役割に応じた育成方針を講じることが重要だ」と訴えた。
政府は1月、英国やカナダなどが参加する「サイバーセキュリティ人材に関する国際的な連合」に加わった。サイバー人材のスキルの国際的な標準化に向けて参加国間で連携を探る取り組みで、日本独自の基準作りに役立つとみる。
関税交渉、改革の好機に 星岳雄氏と保田彩子氏対談 各国団結の意義強調(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1222文字 PDF有 書誌情報]
トランプ関税による世界秩序の動揺を受け、日本経済新聞社は経済学者による対談を実施した。東京大学の星岳雄教授(金融・日本経済)は日米交渉について「交渉の中で日本にとって有益な改革も進めていくべきだ」と提言した。1980年代の日米構造協議(総合2面きょうのことば)を経て流通改革などが進んだことが念頭にある。今回の交渉では「コメの輸入制限撤廃」が検討事項になるとの認識を示した。(関連記事総合5面に)
保田彩子・カリフォルニア大デービス校教授(ファイナンス)とのNIKKEI LIVEでの対談で主張した。2人は日本経済新聞社と日本経済研究センターによる経済学者向け調査「エコノミクスパネル」に参加している。トランプ関税の経済への影響や政策対応を論じ合った。
焦点となったのは日本を含む各国と米国との交渉だ。保田氏は米国が各国に異なる関税率を課していることを踏まえ「分断させる意図がある。日本や各国は団結することで自由貿易を守れる確率が高まる」との考えを示した。星氏も包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)の欧州や中国への拡大を通じて「日本が自由貿易の立て直しをリードすることに価値がある」と応じた。
金融市場では米国債価格の下落やドル売りが懸念材料だ。保田氏は「国債やドル離れは米国の国際的地位を低下させる」と問題視した。日米交渉を踏まえ「日本が今後も米国債を大量保有し続けるメリットを強調するのは賢いことではないか」との認識も示した。
日米交渉では今後、農産品の扱いなどが焦点となる可能性もある。星氏は1980年代以降の日米貿易摩擦について「日本は外圧を利用して自国に役立つ改革を実行し、最終的には日本経済に寄与した面もある」と述べた。知的財産権を保護する法整備などを例に挙げた。今回の交渉では「現在、コメの価格が上がって多くの人が困っている」として、コメの輸入制限の撤廃を求めた。
星氏はトランプ関税を機に経済構造の改革を進める重要性も強調した。「日本が直面しているのは輸出に成長を求めることのコストだ」と指摘。「特に米国への輸出に依存する成長戦略にはリスクがあり、過度に輸出に頼る構造は再考が必要だ」と述べた。
保田氏は交渉に臨む米国の政権内で「関税の最終的な目的について矛盾があるように見える」と分析した。税収増を目指しているならば、相互関税の発表直後に90日間の停止措置に至ったのは「おかしい」という。「関税が交渉のツールであり、最終的な目的がドル高の是正である可能性が高まった」と米政権の意図を読み解いた。
ドル高是正に向けて1985年のプラザ合意のような協調介入がありうるとの見方が市場にはくすぶる。星氏は米国以外に85年のような協調機運が乏しいため「より厳しい事態になる可能性がある」と話した。保田氏も米国への投資離れが進む状況を踏まえ「為替介入が望ましいのかよくわからない」と述べた。
【図・写真】星氏
【図・写真】保田氏
新たな1週間が始まる。「もう」か「やっと」か。物理的に同じはずの時の流れは置かれた状況次第で伸び縮みする(春秋)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 569文字 PDF有 書誌情報]
新たな1週間が始まる。「もう」か「やっと」か。物理的に同じはずの時の流れは置かれた状況次第で伸び縮みする。「ストーブに手を置く1分は1時間に感じる。素敵(すてき)な女の子と過ごす1時間は1分に感じる」。相対性理論に関するアインシュタイン自らの説明とか。
▼1月20日のトランプ大統領就任から3カ月。「まだ3カ月!」。いじめっ子の一挙手一投足に固唾をのむ、万国の衆目は一致していよう。移民を強制送還するわ、連邦職員の首を切るわ、世界相手に関税戦争を始めるわ、反DEI(多様性、公平性、包摂性)を強行するわ……。挙げ句に、米金融市場でトリプル安を招いた。
▼日本の株価も、とばっちりで3万円割れが気になる。去年7月には4万2000円台の最高値だったから、3割もの下落に「NISA民」の悲鳴が響く。しかし、起点を変えれば、コロナ禍からはまだ8割高く、2009年の底値からすれば4倍の水準にある。自在に視点をずらせる個人ならではの特権で荒波を越えたい。
▼時の流れは動物のサイズでも違うらしい。大きなゾウは小さなネズミに比べ心拍も呼吸もスローで寿命も長い。だが、心拍数換算では、どちらの心臓も約20億回で止まる(本川達雄著「ゾウの時間ネズミの時間」)。残り3年9カ月のトランプ時代。狂騒の中でも自分の時間、自分の視点を意識したい。いずれ歴史の一瞬だ。
トランプ氏に損得を説け 岸田文雄氏 前首相(直言×崩れる自由貿易)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 2961文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権がほぼ全ての国・地域に「相互関税」を発動し、戦後の自由貿易体制が崩れ始めた。税率の一部の適用を90日間停止すると表明し、各国に米国の利益になる取引を求めた。日本は対米交渉のトップバッターとして話し合いを開始させた。2024年まで政権を率いた自民党の岸田文雄前首相に日本の針路を聞いた。
赤沢亮正経済財政・再生相が日本時間17日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と面会した。米政府との関税交渉の初会合は早期合意をめざすと確認した。
――トランプ氏がいきなり閣僚の赤沢氏と会った。米国は対日交渉で早期妥結したいようにみえる。
「それがいいのか、悪いのかわからない。向こうの対応は朝令暮改。市場やインフレの状況によって変わってくると想定される。90日間が延びるかもしれないし、早く切り上げるかもしれない。いまの段階で対応を決め打ちするのは難しいのではないか」
――石破茂首相にどうアドバイスするか。
「まずは交渉する仕掛けをしっかりとつくる。何よりも最初の信頼関係が大事だから、誠実に話し合う雰囲気をつくる。それがなかったら何をやってもダメだ」
――2017年2月に当時の安倍晋三首相とトランプ大統領の会談に外相として同席した。トランプ氏はどんな人物か。
「相手を気に入ると非常にフレンドリーになり、親しみに満ちた対応をすると聞いている。逆もあるだろうから丁寧に対応していくしかない。気に入られることが大事だ」
――トランプ氏は在日米軍の駐留経費に不満を示し、安全保障も交渉材料にするようだ。日米安全保障条約の非対称性を理解させるのは難しい。
「何十遍も説明している。いまさら、ああそうかと理解するとは考えにくい。米国にこんなメリットがあると説明していかないといけない。向こうに理念はなく、とにかく得か損かしかない」
――為替も議題になるとみられている。いまは過度の円安で、日銀も利上げ局面にある。日本の交渉カードに使える。
「米国が考える交渉の本丸は為替ではないかという専門家の意見はある。為替は大きな関心事だと思うのが自然だ。程度の問題ではあるが(円高・ドル安の)方向性は日米で一致している」
――日本の非関税障壁への米国の不満は昔からだ。ひとつずつ反論し説明していくべきなのか。
「単純な計算式ではじき出せるものではないとは思うが、理屈は米国に通用しない。国民や企業に寄り添った国内対策も準備しておかないといけない」
――これまで日米の貿易交渉はコメを守るのが目的だったが、今回も守るだけでいいのか。
「令和のコメ騒動で日本人の意識も変わっている。コメの値上がりは生産者と消費者で景色が違うので、結論は簡単ではないが注視していかないといけない」
「いま具体的に改革をというのは早いかもしれないが、将来的に考えていかないといけない時代が来るかもしれない」
――首相在任中に日本の対米投資が世界一だと説明し、バイデン前政権の理解を得ようとした。いまはトランプ政権に「投資するなら日本の製造拠点を全部米国に移せ」と反論されかねない。
「説明は今後もしていかないといけない。製造業を米国に持って行ったら、米国製の自動車が日本で走るかというと、そういうものではない。『米国にとっては得なのはこっちですよ』と説明するということだろう」
「理屈ではなく、トランプ氏の心に響くかどうかだ。やってみないとわからない。モノサシは米国にとって得か損かだとアタマに入れて交渉しないといけない」
1930年代は世界に保護主義が広がり、第2次世界大戦につながった。その反省から米国は戦後、自由貿易体制を主導してきた。トランプ政権はそれを自ら破壊している。
――戦後の自由貿易体制が危機にある。日本は見過ごしていいのか。
「日本は米国や中国、欧州連合(EU)のような自分で大きなマーケットを持つ国・地域と違う。島国で資源がない国は自由貿易や法の支配、民主主義といった理念が尊重されないと生きていけない。米国以外と連携して国際社会全体で守っていく必要がある」
「EUやオーストラリア、韓国、インドをはじめとするグローバルサウスと価値観を共有し、世界貿易機関(WTO)を復活させなければならない。包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)をEUなどに拡大することは必要だろう。脱炭素に向けたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)は重要な関わりだ」
――トランプ政権は自由貿易に限らず人権や民主主義、法の支配といった価値を軽視している。
「米国に説教するバカ正直なことはやってはならない。したたかな交渉が欠かせない。それ以外の国と自由貿易をはじめとする理念を大事に協力する場をつくっていかないといけない」
「基本的な理念や考えをかなぐり捨てて米国にすり寄れば、日本が米国にいいように扱われてしまう。国際社会で理念を守っていく両面作戦でうまくやらないと日本の未来は描けない」
――5月の大型連休はAZEC議員連盟の参加議員とインドネシアやマレーシアを訪れる。理念の共有を求めていくのか。
「東南アジアはアジアの成長の中核で、大事にしていくべきだ。米国が引こうとしている空白を中国に埋められてはかなわない」
「米中のバランスが崩れようとするなかで中国しかないということにならないようにする。東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々にとっても安心につながる。米中間のバランサーとして評価されてきたことは日本の強みだ」
――首相だった2024年4月に米上下両院合同の議会演説で、内向きの米国に日本も責任を分かち合うと訴えた。国際経済秩序を守るために、日本としてどういう決意を込めたのか。
「米国が戦後、果たしてきた役割に疲れてきている。白人の中間層や労働者層がグローバリズムに嫌悪感を持っている。米国民の疲労感や嫌悪感に寄り添うというのが演説の最大のポイントだった」
「『世界は米国を求めているのだから戦後自らつくってきた体制を守ろうではないか。日本は一緒に汗をかく』と言った。あの時点では共に守っていこうということになった。その後にトランプ氏という特異な大統領が再び出てきた」
「本当は自由貿易や民主主義、法の支配を米国と一緒に守っていきたい。今は難しいので、せめてそれ以外の国と守ろうではないかとアピールしていく。『二枚舌』かもしれないが、現実問題そうしないと日本は生きていけない」
――第1次トランプ政権はTPPから離脱した。日本が輸入する豪州産牛肉の関税率がTPPの効果で下がり、米国産牛肉の競争力が低下すると、焦って日米貿易協定を早期妥結した。対米交渉でも他国との自由貿易の拡大は重要だ。
「まさに『損するよ』とプレッシャーになる。理念を大事にし、自由貿易を守っていき、結果として米国が『損だ』と思えば、また寄ってくる。駆け引きの材料になるかもしれない」
きしだ・ふみお 1957年生まれ、東京都出身。衆院広島1区選出。17年まで4年7カ月間、外相を務め、第1次トランプ政権で日米外交を担った。2021年に第100代首相就任。防衛費増額を決め、バイデン米大統領と「ジョー」「フミオ」と呼び合った。24年退任。
【図・写真】=宮口穣撮影
グーグル排除命令を競争促進の契機に(社説)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 926文字 PDF有 書誌情報]
米グーグルがスマートフォンメーカーと交わした契約が独占禁止法に違反しているとして、公正取引委員会が排除措置命令を出した。米IT大手に対する排除命令は初めてだ。生成AI(人工知能)の発達がIT大手優位の構図を変えうる局面である。日本でも競争環境の整備を急ぐべきだ。
グーグルは同社の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使うメーカーに対し、スマホ画面で自社の検索アプリを目立たせることなどを実質的に義務付けてきた。他社の検索サービスを搭載しないことを条件に、広告で得た収益を分配する契約も結んでいた。
公取委は一連の契約が他社の事業活動を不当に拘束しているとして、違反行為の取りやめや第三者の監視を受けることなどを求めた。グーグルは「契約は競争を促している。今後の対応を慎重に検討する」とコメントした。
排除命令により、アンドロイドを採用するメーカーはLINEヤフーや米マイクロソフトなどの検索サービスを搭載しやすくなる。こうした動きは競争を促す可能性がある一方、課題も残る。
欧州では2018年にOSと検索アプリの「抱き合わせ」を違法と認定し、米司法省なども20年以降にグーグルを相次いで訴えた。提訴により収益分配の実態が表面化し、広告事業でも原告側の訴えが17日に大筋で認められた。
日本もこうした例にならった格好だが、遅きに失した感がある。特にIT分野では利用者やデータをいち早く集めた企業が優位な地位を築きやすく、スピード感のある対応がカギを握る。
背景には監視体制が脆弱だったことがある。公取委は今月、巨大IT企業の取り締まりを担当する人員を従来の約3倍に増やした。スマホ新法の施行が迫るなか、一段の人員拡充や海外当局との連携強化が重要になる。
規制のみで競争が活発にならないことも考慮すべきだ。グーグルが検索で一強となったのは高性能だったからとの指摘がある。AIの進歩を好機として、新興勢の創意を引き出すことが欠かせない。
海外では韓国のネイバーが自国の検索市場で高いシェアを握り、北欧でも国内市場が比較的小さいにもかかわらず世界的なITサービスが生まれている。こうした事例からも学び、人材の流動化やリスクマネーの供給拡大を進める必要がある。
中銀は難局に綿密な対応を(社説)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 787文字 PDF有 書誌情報]
欧州中央銀行(ECB)が17日、政策金利を6会合連続で引き下げると決めた。トランプ米政権の相互関税で世界経済に下振れ懸念が強まって以降、日米欧の主要中央銀行で初めての金融緩和だ。
各中銀に必要な政策対応はそれぞれ異なるが、市場や金融の安定も視野に連携し、綿密な対応で難局を乗り越えてほしい。
ラガルドECB総裁は記者会見で「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費の重荷になる」と警戒感を示した。
ドイツが国防費を軸に財政拡大に動き、経済の今後にも期待が芽生えた矢先だった。2025年は一転、東西統一後初めての3年連続のマイナス成長が危ぶまれる。利下げ継続は適切な判断だ。
問題は物価だが、原油安もあって目先の上昇圧力は減退しつつある。欧州連合(EU)は対米報復措置を保留しており、関税の直接の影響もすぐには出ないだろう。
この点、米連邦準備理事会(FRB)が置かれた状況は異なる。輸入品への高関税がもたらす物価高のリスクを前に、パウエル議長は「状況がより明確になるまで政策変更の検討を待てる」と早期利下げに慎重な姿勢をみせる。
理不尽なのはトランプ大統領の圧力である。ECBの利下げを引き合いに「今こそ下げるべきだ」と要求し、「一刻も早く解任すべきだ」とまで言い立てた。
自らの関税政策がFRBの判断を難しくしている事実を理解すべきだ。大統領が中銀を自由に操ろうとすれば、米経済やドルの信認を傷つける。深く憂慮する。
利上げの機をうかがってきた日銀も難しい判断を迫られる。植田和男総裁は18日、「見通しが実現していくかどうか、予断を持たずに点検していく」と語った。
日米の関税交渉では為替問題の関連で日銀の金融政策にも話が及ぶ可能性が指摘されるが、政策運営が米国の意向に左右されてはならない。あくまで内外の経済・物価に基づく自らの判断で運営し、説明責任を果たすべきだ。
トランプ氏に損得を説け 岸田文雄氏――インタビュアーから 首脳外交は信頼が基盤(直言×崩れる自由貿易)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 360文字 PDF有 書誌情報]
取材した衆院第1議員会館の事務所には首相時代の写真が並ぶ。バイデン前米大統領との会談や主要7カ国(G7)首脳会議の場面だ。在任中は米欧の首脳を「フミオが言うならば」と納得させた局面が度々あったと当時の政府高官は振り返る。
岸田氏に石破首相に助言するなら何を言うかを聞いたところ「トランプ大統領と信頼関係をしっかりつくっていくことが大事だ」と強調した。実際にトップ外交を経験した前首相の口から聞くと説得力があった。
トランプ氏は日米関税交渉の初会合に突如参加し、自身が交渉を主導する姿勢を示した。岸田氏はいまの米政権がどう動くのか予測が難しいため、焦らず慎重に出方を見極めるべきだと説いた。
石破首相は適切な時期の訪米に言及した。トランプ氏のペースに引き込まれないか。首相経験者の助言をうまく生かしてほしい。
(秋山裕之)
米国産コメ、輸入拡大案 関税交渉材料、洗い出し急ぐ 車の検査簡略化も[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1805文字 PDF有 書誌情報]
対米関税交渉の材料として政府内で米国産米の輸入拡大案が浮上していることが分かった。米国車に課す検査の一部の簡略化なども検討する。トランプ政権が問題視する非関税障壁を中心に改革案を洗い出し、今後の協議のカードとする。米国側の要求の優先順位を見極め、国内調整を急ぐ。(1面参照)
日本は米国が打ち出した相互関税のほか、自動車、鉄鋼・アルミニウムなどの分野別の追加関税といった一連の措置の包括的な見直しを求めている。赤沢亮正経済財政・再生相は米国側と「パッケージとして合意」を目指す意向だ。
赤沢氏は16日(日本時間17日)にトランプ米大統領とホワイトハウスで面会した。「日本で米国車が売れないのはおかしい」「対日貿易赤字は大きい。ゼロにしたい」。政府関係者によるとトランプ氏はこう口にした。
その後のベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表との閣僚協議では、農産品や自動車の非関税障壁が主なテーマになった。
ベッセント氏らはUSTRが3月末にまとめた「外国貿易障壁報告書」を持ち出した。問題視する非関税障壁の筆頭がコメだ。日本市場について「規制が厳しく不透明で米国の輸出業者の消費者へのアクセスを制限している」と批判する。
日本側ではこれからの交渉のカードのひとつとして米国産米の輸入拡大案が浮上する。「令和の米騒動」も背景にある。国産米の品不足と価格の高止まりで輸入米の需要が増している。
政府内には「国内の不足分を一時的にでもまかなえればいい」との声がある。
日本は無関税のミニマムアクセス米として毎年77万トン程度を海外から輸入している。うち米国産は45%を占め、最大の輸入先となっている。
これまでは主食であるコメの価格維持や農家保護を優先し、輸入拡大に慎重な政策をとり続けてきた。夏に参院選を控える局面で、輸入拡大には強い反発も予想される。
米国は牛肉やジャガイモにも言及した。日本独自の検査の見直しや輸入拡大を求めたという。
日本は農産品のほか、トランプ氏が具体的に言及した車についても米側が「障壁」とみなす部分の改革案を関税交渉の材料にする。日米で異なる安全基準のうち衝突事故対策の性能試験に緩和の余地があるとみられる。
日本は車の安全基準に関する国連の「1958年協定」に名を連ねる。欧州各国などと型式認証の基準や試験方法をグローバルにそろえる枠組みだ。米国は国連の議論に参加しつつ独自の基準を持っており、メーカーの責任で試験する仕組みにしている。
米国車を輸入する際は原則として日本の型式認証を取得し直す必要があり、数カ月程度かかる。USTRが3月末の報告書でもやり玉にあげた。
米側は衝突試験の違いを問題視している。例えば試験車両の前面や側面への衝突で乗っている人の安全が確保できるか確かめる試験で、細かい項目の多さを輸入車に「不利な負担」とみている。
これまでも自動車の安全基準は両国間で議題に上ってきた。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では、日米が並行して協議して米国車を輸入する際の型式認証の一部の省略を決めた。難燃性などの項目で米国での試験結果が日本より厳格と認められる場合、国内基準に適合しているとみなせるようにした。
年間の販売台数が一定規模以下の輸入車で実車を用いた試験などを省略できる制度も見直した。台数上限を5000台に引き上げた経緯がある。なお残る安全基準の違いなどの溝を埋め、対米交渉の手札にする。
赤沢氏は18日夜の自民党のユーチューブ番組で「米国との隔たりはかなり大きい」と指摘しつつ「大統領の中の優先順位がかなりはっきりしてきたところはある」とも言明した。閣僚協議の初会合で米側の3氏が「決めるのは大統領だ」と口をそろえたとも明かした。
19日には石破茂首相と首相公邸で会い、交渉状況を報告した。記者団に「米国の意図には濃淡がある。米国側の優先順位や具体的内容、ポイントを詳細に説明した」と語った。
次回の閣僚協議は月内に開く方向で調整している。日本側の材料が受け入れられるかは見通せない。最終的な合意内容はトランプ氏次第の面がある。
かねてトランプ氏は安全保障の応分の負担を同盟国に求めており、赤沢氏に対しても在日米軍の駐留経費の問題に触れたもようだ。ドル高の是正も含め、今後の議論は通商交渉の範囲を超えて広がる可能性がある。
予期せぬ原油安、崩れる増産構想 トランプ支持基盤に打撃 LNG輸出も不透明[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1437文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けた原油安が、同氏のエネルギー構想を狂わせている。原油を増産してガソリン価格を引き下げ、液化天然ガス(LNG)の輸出を拡大させる戦略だった。市況は新規開発の採算ラインを下回り、同氏の支持基盤である米エネルギー業界に打撃を与えている。
「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」。トランプ氏は2024年の大統領選で、原油増産でガソリン価格を抑えると繰り返し訴えた。
ベッセント財務長官は日量300万バレルの増産を目指すと掲げたことがある。ナバロ大統領上級顧問はこの増産を前提に「原油価格が1バレル50ドルまで下がればインフレ抑制につながる」と語った。
足元でエネルギー生産は増えていない。米石油サービス会社のベーカー・ヒューズが17日に発表した石油・天然ガス掘削機の稼働数は585台となり前年同週と比べて34台減った。
トランプ政権の関税政策が世界経済の減速懸念を強め、原油価格が大幅に下落したためだ。とくにトランプ氏が今月2日に相互関税を発表した後の下げ幅は大きかった。
1バレル70ドル台をつけていた米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は、一時50ドル台半ばまで下がった。今も60ドル台前半と、4年ぶりの安値水準で推移している。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストは「新規開発の採算ラインである約60ドルを下回ると生産が鈍化する可能性がある」と話す。米ダラス連邦準備銀行の調査ではシェールオイルやガスの新規開発に65ドル前後の価格が必要だ。
新型コロナウイルス流行が経済成長の足かせとなっていた21年以来の減産に転じるシナリオも浮上してきた。欧州調査会社ケプラーのアナリストによるとWTI原油価格が年間平均60ドルで推移した場合、25年の米原油生産量が従来予想の日量1350万バレルから年末までに同1310万バレルまで下振れする可能性がある。
原油安で米国のガソリン価格は下落したものの、生産も落ち込めば貿易赤字削減のためLNGの輸出を増やすという戦略も不透明になる。トランプ氏はエネルギー業界の支持を失いかねない。
ダラス連銀が3月に発表した四半期ごとの業界幹部向け調査の回答には匿名で恨み節が集まった。「50ドルではドリル・ベイビーは通用しない」「40年の経歴でこんなに不確実性が高まったことはない」
影響は大手企業に及ぶ。石油メジャーの米シェブロンは26年末までに社員の15~20%を削減する。エネルギー省のライト長官がかつて最高経営責任者(CEO)を務めたリバティー・エナジーは1月から株価が40%下落した。
26年の中間選挙を控え、トランプ氏や共和党が業界からの支持を集めるために外国への圧力を強める可能性がある。
アラスカ州ではLNG事業の新規開発計画がある。米政権は日本に同計画への投資とLNGの調達を求めており、関税交渉の材料となっている。対日交渉を担当するベッセント氏は8日、アラスカ州のLNG事業について「日本やおそらく韓国、台湾が多くの資金を提供するだろう。そうすれば(米製品への関税引き下げなどの)代わりになるかもしれない」と述べた。
同事業は440億ドル(約6兆2500億円)を投じて、北部のガス田と南部の液化基地をパイプラインで結ぶ計画だ。日本側にはコストが高いことから採算性を疑問視する声がある。
(ヒューストン=大平祐嗣、真田湧生)
米国株10%安、歴代最大 政権3カ月 関税政策、相場の重荷[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1182文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=竹内弘文】トランプ米政権の発足から20日で3カ月を迎える。選挙を経て発足した政権序盤の米国株の騰落率としては、史上最悪の水準だ。過去の政権よりも甚大な米国企業の価値破壊を進めたのは他でもない、トランプ大統領自身の関税政策だ。
主要な米国株指数、ダウ工業株30種平均は政権発足から60営業日あまり経過した17日までに計10%下落した。歴代政権の発足直後の同指数推移を、営業日をそろえて比較するとフォード政権(1974年8月発足)など副大統領から昇格した事例を除いて、19世紀末の指数算出開始以降で最も下落率が大きい。
オバマ政権(09年1月発足)は前年秋の米金融大手リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した金融危機のさなかにあり株価は発足直後に急落したが、底入れも早かった。
トランプ氏が自らに重ねる元祖「タリフマン(関税男)」、ウィリアム・マッキンリー大統領が就任した1897年当時よりも、今回の方がダウ平均の下落率が大きい。
トランプ氏は政権発足直後から関税引き上げの脅しや政府支出の大幅カットを打ち出し、景況感が悪化して相場の重荷となっていた。市場が危機モードへ突入したきっかけは4月2日の相互関税の発表だ。
4日のダウ平均は1日で2231ドル安と急落。新型コロナウイルス禍に次いで史上3番目の下げ幅を記録した。24年12月に付けた高値からの下落率は1割を超えて「調整局面」にも入った。
「関税がもたらした不確実性は、ウォール街が最も嫌がるものだ」。米運用会社IDXアドバイザーズのベン・マクミラン最高投資責任者(CIO)は言う。不確実性の高まりがパニック売りにつながったとみる。米国債も売られ、長期金利が急伸(債券価格は急落)する場面もあった。
米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)が4~10日に実施したグローバルファンドマネジャー調査では「米国株の持ち高を減らす」との回答数が過去最多となった。米ドルの下落を予想する回答の割合も約19年ぶりの高さとなった。
米投資信託協会(ICI)によると、債券で運用する米国の投資信託(上場投資信託=ETF=含む)からは3~9日に316億ドル(約4兆5000億円)もの資金が流出した。流出規模はコロナ禍以来の大きさだ。
トランプ政権は関税による移行期の痛みを経て、米経済は強くなると主張する。金融市場を混乱させた強気な通商政策は続く可能性がある。
米株売りはいつまで続くのか。過去の急落局面が一つの目安になる。90年以降、ダウ平均が調整局面に入ってから相場が底入れするまでの期間は平均して約30営業日。約1カ月半に相当する。
今回の相場急落でダウ平均が調整局面に入ってからは約半月。米国が進める貿易相手国との交渉の行方次第だが、割高感の修正が進んだ米国株に見直し買いが入る機運が出てくる可能性もある。
米国産コメ、輸入拡大案――日米財務相会談、24日開催で調整 為替など協議か[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 196文字 PDF有 書誌情報]
加藤勝信財務相は、ベッセント米財務長官と米首都ワシントンで現地時間24日に会談する方向で調整する。関税交渉で米側のまとめ役を担うベッセント氏は車の安全基準などの非関税障壁とともに、為替についても協議する意向を示している。
加藤氏は現地時間23日(日本時間24日)にワシントンで開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に参加する方向だ。この訪米にあわせて日米財務相会談を開く。
日米構造協議 貿易不均衡の是正図る(きょうのことば)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 421文字 PDF有 書誌情報]
▽…日米間の貿易不均衡を是正するために、日米の市場構造や日本の市場開放を話し合う協議。1989年から始まり、日本の土地税制や流通規制などの見直しが議題となった。日本で大規模小売店舗法(大店法)が緩和されるなど、構造協議の産物は多岐にわたる。
▽…背景にあったのは米国の対日貿易赤字の拡大と日米貿易摩擦だ。貿易摩擦は60年代に繊維で激化した後、鉄鋼やテレビ、工作機械に広がった。80年代後半に米国の対日貿易赤字が再び拡大し、規制緩和などで日本市場の開放度を高めようという米国の圧力が強まった。
▽…米国は不公正な貿易の是正を目的に、88年に制裁措置として「スーパー301条」を制定した。特定産業の障壁の除去を目指した74年の通商法301条を強化したもので、国の貿易慣行全体を制裁できるようにした。2年間の時限措置であったが、クリントン政権のもとで90年代にほぼ同様の内容で復活。日米包括経済協議などで米国は制裁発動をちらつかせて日本に譲歩を迫った。
万博外交、協力探る 各国の要人相次ぎ来日 対米、関税交渉の情報共有 対中は海洋進出の対処議論[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1372文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は13日の開幕から1週間たった。10月までの期間中、150を超す参加国・地域から首脳や閣僚、政府高官らが来日する見通しだ。日本政府はトランプ米政権の関税政策や中国の海洋進出への対処などについて各国と協力策を話し合う機会にする。
日本にとって今回の万博は新型コロナウイルス禍の後、最大級の国際イベントといえる。参加国・地域の数は2005年の愛知万博(愛・地球博)の120を上回る158になった。
期間中は参加国別の「ナショナルデー」を連日予定している。その国の文化や歴史、技術などを発信するイベントを開く。これにあわせて要人の来日を調整する例が相次ぐ。外務省幹部は「複数回の要人来日を要望する国もある」と話す。
「万博外交」のトップバッターは中央アジアのトルクメニスタンだった。石破茂首相は15日、首相官邸で来日したベルドイムハメドフ大統領と会談。世界有数の天然ガス産出国とエネルギー活用などの協力を確かめた。
翌16日は岩屋毅外相と中谷元防衛相が、南太平洋の島国トンガから来たウルカララ皇太子と会談した。17日はカリブ海の島国グレナダのアンドール外相が岩屋氏のもとを訪れた。いずれもナショナルデーにあわせた来日だった。
週明けの21日には石破首相がオランダのスホーフ首相との会談を予定する。スホーフ氏は自国の万博パビリオンの除幕式に参加するために21~23日の日程で来日する。
8月20~22日には横浜市でアフリカ諸国の首脳級を招くアフリカ開発会議がある。この前後に万博はガンビアやトーゴ、セネガル、リベリアといったアフリカの国のナショナルデーが並ぶ。同月22日は国連の「スペシャルデー」を企画する。
岩屋氏は15日の記者会見で一連の外交日程の意義を強調した。「各国のカウンターパートと積極的に会談を行い、協力・連携の関係を強化したい」と語った。不透明感が強まる世界情勢について意見を交わす場になる。
万博外交の主なテーマといえるのが通商問題だ。米国の関税政策を受け「最近は首脳間の会談でも自然と話題に出る」(外務省幹部)。価値観を共有する国と米国との関税交渉に関する情報を交換し、自由貿易の重要性を確かめる方針だ。
各国との間の通商交渉も見込む。例えば23日にナショナルデーを迎えるトルコとは経済連携協定(EPA)の交渉中だ。交渉開始から10年以上経過しており、経団連は3月に早期締結を求める意見を発表した。
もう一つの柱は中国をにらんだ安全保障協力だ。中国は海洋進出に力を注ぎ、東南アジアや太平洋島しょ国への影響力を強める。日本政府は来日する各国の要人と部隊交流や装備品の供与などの議論を進める。
石破首相らは万博外交を通じ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性を各国と共有していく構えだ。
トランプ米大統領が来日する可能性もある。石破首相は2月の訪米時、万博期間中を念頭に招請した。両首脳の共同声明にトランプ氏が近い将来に日本を公式訪問するよう首相から招待され、受け入れたと明記した。
首相は帰国直後の日本経済新聞のインタビューで、トランプ氏が「今年訪日するぞとかなり強く言っていた」と明らかにしている。日本は米国のインド太平洋地域への関与を強める契機とみる。7月19日の米国のナショナルデーを含めて日程を探る。
海自艦、カンボジア軍港に寄港 中国独占利用にくさび[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1263文字 PDF有 書誌情報]
海上自衛隊の艦艇が19日、カンボジア南部のリアム海軍基地に寄港した。中国の支援で拡張し、5日に完成したばかりの軍港に外国艦艇として初めて入った。南シナ海の海洋権益の拡大をめざす中国による独占利用にくさびを打つ狙いがある。
掃海母艦「ぶんご」と掃海艦「えたじま」が入港した。カンボジアのリアム基地の副司令官は19日の歓迎式典で「今回の訪問が両国の協力や友好をさらに促進することを期待する」と述べた。
両艦は海中に敷設された機雷の除去などを主な任務とする。護衛艦などと異なり、ミサイルなど敵への攻撃を目的とする装備は搭載していない。
海自は過去にカンボジアのシアヌークビル港に寄港した実績がある。同港はリアム基地からほど近く、日本の支援で拡張が進む。今回はあえて外交的判断から寄港先をリアム基地にした。
海自トップの斎藤聡海上幕僚長は15日の記者会見で、2024年にカンボジア政府から要請があったと説明した。完成後の最初に寄港する外国艦として海自艦を望む意向があったという。
植野篤志駐カンボジア大使は19日、現地で記者団に「カンボジアが日本との関係を重視している証しだ。『自由で開かれたインド太平洋』を前進させるうえで大きな一歩だ」と話した。
海自の池内出・掃海隊群司令はリアム基地の重要性を強調した。「日本にとって死活的なエネルギーや資源の通り道であるシーレーン(海上交通路)に面した戦略的な要衝だ」と発言した。
海自は中国が圧力をかける地域で「航行の自由」の重要性を発信しようとしている。今回の寄港もその一環といえる。
カンボジアは経済的な中国依存が強まる状況で、中国への警戒も根強い。フン・マネット首相は5日のリアム基地の完成式典で「一緒に訓練をしたいと望む全ての友好国を歓迎する」と語った。
カンボジアはトランプ米政権から49%という高い相互関税を示された。これはカンボジアの対中依存への米国の警戒の表れだという指摘がある。中国がカンボジアを経由して米国に売り込む「迂回輸出」を問題視されたとの見方もある。
海自艦の寄港は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が17~18日にカンボジアを訪問した直後になった。日本は米国の同盟国だ。米中双方への外交上のバランスを取ろうとするカンボジアの立場に沿う形になった。
リアム基地は南シナ海の南部をにらむ位置にある。中国にはカンボジアの「お墨付き」を得て人民解放軍が南シナ海に進出する拠点にしたい思惑がある。
中国軍は5日、リアム港にカンボジア軍との共同訓練センターを開設した。双方の兵士を常駐させ合同訓練やテロ対策、防災にあたる。習氏とフン・セン上院議長は17日の会談で両国の外相と国防相による「2プラス2」の創設を確認した。
それだけに中国は海自艦が真っ先に寄港したことを快く受け止めていない。プノンペンの外交筋は「中国は海自艦による寄港への反対をカンボジア側に伝えていたが、フン・マネット政権が押し切った」と解説する。
(カンボジア南部シアヌークビル=田島如生、永富新之丞)
米イラン、核再協議 ウラン濃縮など論点整理[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 985文字 PDF有 書誌情報]
【ドバイ=福冨隼太郎】米国とイランは19日、イランの核開発を巡る2回目の高官協議をローマで開いた。イランが進めるウラン濃縮の取り扱いなど、焦点となる論点を整理したとみられる。イラン側の交渉役のアラグチ外相は協議終了後、26日に3回目の高官協議を開くとの見通しを示した。
アラグチ氏は国営メディアに対し、19日の協議について「約4時間続いた。対話は前向きだった」と説明した。次回の協議は中東オマーンで開かれると明らかにした。
両国は12日に仲介役のオマーンで初会合を開いた。19日の協議はローマのオマーン大使館で開いた。イラン国営メディアによると、米イランの交渉団が別々の部屋で待機して初回と同じく書簡の交換による間接協議を実施した。
米側の交渉役であるウィットコフ中東担当特使は15日「イランは核濃縮・兵器化のプログラムを停止、放棄しなければならない」とSNSに投稿した。
アラグチ氏は16日「ウラン濃縮の権利は交渉の余地がない」と反発した。自国の核開発を「平和利用目的」だと説明し、ウラン濃縮などの核技術を持つ権利はあるとの立場を示す。
ウラン濃縮は鉱山から採掘する天然ウランを、原発の燃料や核兵器として使えるようにする工程だ。原発燃料の濃縮度は3~5%と低く、90%以上に高めれば核兵器の材料になる。
トランプ米大統領は「イランは核兵器を持つことはできない」と繰り返してきた。イラン側は「核兵器を持つ意図はない」(ペゼシュキアン大統領)と主張する。
イランは2015年に米欧などと核開発の制限で合意した。合意後も3.67%まではウラン濃縮を認められた。米国が18年に合意から離脱し対イラン制裁を強めた後は、イランもこの上限を大幅に超える濃縮を進めた。
国際原子力機関(IAEA)によると、イランは2月時点で60%の濃縮ウランを274.8キログラム所有する。核兵器級の90%まで濃縮すれば、核爆弾6発分に相当する。
ウィットコフ氏は当初、イランに低濃度のウラン濃縮を認めることに含みを持たせ、核開発の全面放棄を求めるわけではないと説明してきた。イラン側は協議でトランプ政権の真意も確認する考えとみられる。
交渉がまとまらない場合、イスラエルを巻き込んだ米イランの軍事的緊張が高まりかねない。イスラエル首相府は17日の声明で「イランの核兵器獲得を許さない」と強調した。
ロシア、30時間停戦発表 プーチン氏、復活祭に合わせ[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 603文字 PDF有 書誌情報]
ロシアのプーチン大統領は19日、ウクライナへの侵略行為について20日のイースター(復活祭)に合わせてモスクワ時間の19日午後6時(日本時間20日午前0時)から21日午前0時(同午前6時)までの30時間、一時停戦すると発表した。
ロシア大統領府によるとプーチン氏はゲラシモフ参謀総長から報告を受け、復活祭の一時停戦について「人道的配慮に基づき、すべての敵対行為を停止するよう命令する」と述べた。ロシア国防省はウクライナ側も応じることが停戦順守の条件だと表明した。
プーチン氏はロシア軍がウクライナによる停戦違反の可能性に備える必要があるとも指摘し、敵対行為を撃退する準備ができていなければならないとも言及した。実際に一時停戦が実現するかは不透明感が残る。
ゲラシモフ氏はプーチン氏に、ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州について99%以上の地域を奪還したと報告した。ロシアメディアによると残っているのは1つの集落という。
3月下旬に米国はロシア、ウクライナの双方と黒海での船舶の安全航行確保や武力行使の排除で合意したと発表した。一方、エネルギー施設への攻撃停止を巡り、ロシア側はウクライナが攻撃を続けていると主張するなど、双方が非難の応酬を続けている。
プーチン氏は2023年1月のロシア正教のクリスマスに合わせて一時停戦を宣言したことがある。ただ軍の交戦が続き、一時停戦は実現していなかった。
任天堂「スイッチ2」米で24日予約開始 関税で延期、本体価格据え置き[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 522文字 PDF有 書誌情報]
任天堂は18日、新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の米国での予約受け付けを24日に始めると発表した。予約開始は当初9日としていたが、トランプ米政権の関税の影響を見極めるため、延期していた。本体やソフト価格は当初予定から据え置き、周辺機器は値上げする。6月5日としている発売日に変更はない。
本体は希望小売価格449.99ドル(約6万4千円)と当初から据え置いた。専用ソフト「マリオカートワールド」は79.99ドル(約1万1千円)、「ドンキーコングバナンザ」は69.99ドル(約1万円)で変わらない。
周辺機器は当初予定から価格を引き上げた。コントローラー「ジョイコン」はペアで94.99ドル(約1万4千円)、カメラは54.99ドル(約7800円)で販売する。任天堂は「市場の状況によっては、任天堂製品の価格を調整する可能性がある」として、ほかの製品にも影響が及ぶ可能性を示唆した。
トランプ米大統領が2日に発表した米国の輸入品に対しての「相互関税」はほぼ全ての国・地域に対し発動した。同日にスイッチ2の発売を公表した任天堂は、市場動向など関税による影響を見極めるため米国の予約開始を延期していた。
海運大手、米の中国製船への手数料「影響を精査中」[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 458文字 PDF有 書誌情報]
米通商代表部(USTR)が中国籍や中国で製造された船舶を対象に手数料を180日後に徴収すると発表したことに対し、日本の大手海運各社は「影響を精査中」とコメントした。中国は世界の船舶受注の5割を請け負っていて、特に中国製の船を多く所有する欧州の海運各社に大きな影響が出る可能性がある。
日本郵船は本体で保有または用船している船舶が430隻ほどあり、そのうち中国で製造されたものは1割未満だ。発注残があるかについては「非公表」としている。影響については「精査していく」という。今後の対策について情報が限られていると前置きしつつも「米国に行く船に中国で建造されたものを配置しないというのも方法だ」と指摘する。
商船三井グループは約940隻を保有または用船し、そのうち中国で造られた船舶は5%ほどだとしている。影響は「精査中」という。川崎汽船は400隻ほどを保有し1割ほどが中国で造られたものだという。同社は「自動車船を中心に影響が出ることが見込まれる」とし「当社全体の事業環境を見極めながら対応していく」とコメントした。
氷河期就労支援、閣僚会議を新設 首相表明、今週から[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は19日、20日からの週に就労支援に関する関係閣僚会議を新設すると表明した。就職氷河期世代など就労に困難を抱える人への支援策を調整する。都内で記者団に「就職氷河期に限らず、就労に不安や困難を抱える方々を支援する。点ではなく面の取り組みをしていく」と述べた。
首相は同日、東京都立川市で若者の就労支援施設などを視察した。都内で仕事と育児の両立に積極的に取り組むファッションビル運営のルミネも訪れた。
就職氷河期世代は一般的に1973~82年ごろ生まれの世代をさすことが多い。就職する時期にバブル崩壊や金融危機で企業の新卒採用が少なかった。希望の職を得られず、非正規雇用の期間が長くなる傾向があった。
立民・野田氏、消費減税の是非「連休前に党内で結論」[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 160文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表は19日、消費税減税の是非に関する党内議論について、大型連休前にも結論を出す考えを示した。「長引かせてダラダラする必要は全くない。なるべく連休前の方がいいだろう」と話した。千葉県船橋市で記者団に語った。
議論で出てきた意見を踏まえて「党の執行部がどう判断するかというプロセスになる」と説明した。
参院選で起きる「政権交代」(風見鶏)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1461文字 PDF有 書誌情報]
今国会が会期延長せずに閉幕すると、参院選の投開票日は7月20日になる。残り3カ月となった永田町でよく話題になるのは「36」という数字だ。自民、公明両党の勝敗ラインを考える際に出てくる。
参院の定数248のうち今回の選挙で与野党が争うのは改選議席124に欠員補充1を加えた125。自公は非改選議席が75あるため、50議席をとれば過半数を確保する。
公明党の獲得議席を前回の2022年と同じ13と仮定すると、自民党に必要なのは37。つまり36議席以下になると衆院に続いて参院でも過半数を失う。
参院選で自民党の獲得議席が最も少なかったのは36年前、1989年の36議席だ。55年の結党以降、初めて参院で過半数割れした。
主因はリクルート事件や消費税導入で自民党への反発が強まったことだ。直前の都議選に大敗し、反自民の流れが参院選まで続いたことも響いた。宇野宗佑首相は責任をとり退陣した。
今回の参院選を取り巻く環境は89年と共通点がある。自民党派閥の「政治とカネ」の問題が発覚し、「年収103万円の壁」など税を巡る政策で自民党への批判が出ている。6月に都議選で自民党が負ければ、状況はさらに似てくる。
「12年前は全勝したんだ」。石破茂首相は3日、自民党本部で井上信治・都連会長らに強調した。自身が幹事長として仕切り、自民党の公認候補が全勝した13年都議選のことである。
首相の意気込みは危機感の裏返しなのだろう。都議会自民党でも「政治とカネ」の問題が明らかになった。昨年の衆院選で躍進した国民民主党に加え、石丸伸二氏の新党が有権者の受け皿となるとの見方もある。
関心は全勝をめざすよりも、いかに落選を少なくするかに向かう。「過去3度の都議選で60人ほど立ててきた公認候補を、今回は45人くらいにしたい」。都連幹部は共倒れを防ぐために候補を絞り込む方針だ。
自民党の久米晃・元事務局長も今回の参院選を考える材料として89年を挙げる。「参院選が『首相を辞めさせる選挙』になった」と解説する。89年が先例となり98年の橋本龍太郎政権や07年の第1次安倍晋三政権も参院選で大敗し退陣に追い込まれた。
3年ごとの参院選と4年ごとの東京都議選が12年に1度重なるのは巳(み)年だ。25年は巳年のなかでも60年周期の干支(えと)で「乙巳(きのとみ)」にあたる。
蘇我氏が滅ぼされた「乙巳(いっし)の変」に始まる「大化の改新」が起きた645年も乙巳だった。立憲民主党の小沢一郎氏は元日の新年会で、これを念頭に「乙巳は60年に1度の大変革の年」だと語った。
政界にジンクスめいた話が広がるのは、変革が起きた先例を示す思惑がうずまいているときだ。
少数与党の石破政権は25年度予算で、野党の協力をとりつけるのに苦労した。参院選が終われば、衆院で過半数をもつ安定政権の枠組みづくりが必要という声は与野党に多い。
首相は立民の野田佳彦代表や日本維新の会の前原誠司共同代表と近い関係にある。連立の組み替えなどが取り沙汰されるものの、それは首相が参院選を乗り切った場合の話だ。
89年の参院選は「首相を辞めさせる選挙」になっただけでなく、自民党が参院で過半数を確保するために他党と連立を組むきっかけにもなった。参院選は通常は中間選挙の位置づけで、政権選択の舞台は衆院選になる。今回は違う。参院選でありながら政権の枠組みに直結する選挙になる。
(亀真奈文)
【図・写真】石破首相は3月の全国幹事長会議で、都議選と参院選について「極めて厳しい選挙」だと語った
4月19日(首相官邸)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 309文字 PDF有 書誌情報]
▽9時20分 公邸発。
▽11時12分 東京都立川市の就労支援拠点「たちかわ若者サポートステーション」。13分 認定NPO法人「育て上げネット」の工藤啓理事長らから就労支援に関する説明。21分 職場でのコミュニケーション力向上に関するセミナーを視察。27分 サポートステーション卒業生らと車座対話。
▽12時52分 東京・代々木のルミネ本社。54分 ルミネ社員から仕事と育児の両立支援に関する説明。車座対話。
▽14時4分 報道各社のインタビュー。31分 公邸。59分 林官房長官、赤沢経財相、外務省の有馬北米局長、片平経済局長、三村財務官、渡辺農水審議官、荒井経産省通商政策局長、寺田国交審議官。
▽16時25分 全員出る。
外相、安保と関税「別の話」 米との交渉巡り(短信)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
岩屋毅外相は19日、大分県別府市で記者会見し、トランプ米政権との関税交渉について「仮に安全保障の問題が出てくれば、本当は別のトラックの話だろうと思う。事柄の性質が元々違う」と述べた。
岩屋氏は現行の合意の期限が2026年度末になっている在日米軍駐留経費に触れ「27年が今の約束の期限だ。通常その前の年から日米間で協議していくのが、これまでのスタイルだ」と強調した。
公明代表、米関税で要望聞き取り 中小工場を視察(短信)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
公明党の斉藤鉄夫代表は19日、横浜市で産業用のプリント配線基板回路を製作する中小企業の工場を視察した。トランプ米政権による関税措置を受けた資金繰り支援の拡充などの要望を聞き取った。斉藤氏は政府への党提言を巡り「いただいた意見を胸に置きながらまとめる」と述べた。
23日 G20財務相会議が米国で開幕、ベッセント氏の発言注目(NewsForecast)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1494文字 PDF有 書誌情報]
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が米国の首都ワシントンで現地時間23日に開幕する。第2次トランプ米政権発足後で初めて担当閣僚のベッセント財務長官が出席する見通しだ。米国の関税政策を巡って各国から非難の声が上がることが予想される。日本の加藤勝信財務相とベッセント氏が個別に、為替に関して協議する可能性もある。
2月の南アフリカでのG20会合をベッセント氏は欠席した。南アによる議長総括では米国の関税引き上げ表明を念頭に「保護主義への抵抗を再確認した」とうたった。共同声明を出さず、閉幕した。
米国は鉄鋼、アルミニウム、自動車のほか、各国一律10%の相互関税などを発動した。今回のG20会合には自由貿易を重視する国・地域との協調を狙う欧州各国や、関税上げの報復措置で対抗する中国も代表者が出席する見通しだ。
市場では米国の関税政策を受け、米経済の先行きが不透明になっていることから米国債の売り圧力が高まっている。利回りは上昇(債券価格は下落)傾向にある。新興国はドルを中心とした外貨建ての債務の比率が高く、金利上昇で返済負担は重くなる。米関税が世界経済に与える影響について意見表明が相次ぐとみられる。
トランプ政権は米国際開発局(USAID)も事実上解体した。途上国支援の遅れが懸念される。G20議長国の南アなどアフリカやアジアで米国の存在感が薄れれば、中国の巻き返しが予想される。
G20の財務相・中央銀行総裁会議にあわせて、国際通貨基金(IMF)や世界銀行の会合も開催を予定する。世界経済に関して意見を交わすことになる。
日米両政府は一連の会合と並行して、財務相会談を実施する方向で調整している。日米の関税交渉で米国側の交渉役にベッセント氏が指名されており、協議内容が注目される。同氏は「関税、非関税障壁、通貨の問題、政府補助金を巡る生産的な取り組みを楽しみにしている」と為替問題も取り上げる考えを示している。
関税交渉の日本側の担当閣僚である赤沢亮正経済財政・再生相は17日にワシントンで、トランプ大統領やベッセント氏らとの初協議に臨んだ。同日は為替については議題にならなかった。
為替問題は加藤氏とベッセント氏との間で議論することになっており、G20会合の機会を利用して、ふたりが顔を合わせ、協議する可能性が指摘されている。両氏は1月にオンラインで会談している。対面で会えば、初めてとなる。
加藤氏は「為替レートは市場において決定されること」との見解を繰り返し述べている。米国との間で「レートの過度な変動や、無秩序な動きは経済的な安定に対して悪影響を与えうるとの認識を共有している」とも説明する。
トランプ氏は米国内の製造業の立て直しに力を入れ、輸出では不利となる円安・ドル高を問題視する。ベッセント氏は過去に日本の防衛費増額に触れて「円建てのため、円安進行によってドル建てでは少し減ったかもしれない」と語っている。ドル高の是正を交渉カードに持ち出す懸念がくすぶる。
日本は輸入物価の上昇に苦しんでいる面があり、円安の是正で折り合う余地はある。一方、日銀の植田和男総裁はトランプ関税の日本経済への影響に関して「不確実性は大きく高まった」と話す。
為替条項の導入にまで話が及ぶようなことになれば、日銀の金融政策に直結する。目下の緩和的な状態が通貨安誘導と批判されれば、米関税が日本経済を下押しした場合の機動力を失いかねない。急激な円高が進んだ場合の対応も難しくなる。(竹内宏介)
【図・写真】ベッセント米財務長官(右)は日米関税交渉の米国側の担当者に指名された=ロイター
「一人複役」で地域貢献、地方公務員の兼業、国が後押し(Views先読み)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1149文字 PDF有 書誌情報]
総務省が地方公務員の兼業・副業を後押しする。6月にも自治体に許可基準の目安になるガイドラインを示す。柔軟な働き方を認めて地方の活性化や生活機能の維持に役立てると同時に職員の確保につなげる。
地方公務員は法令で営利企業での兼業を制限されている。非営利団体で活動する場合でも報酬をもらうならば自治体の許可が要る。
総務省によると、自治体が2023年度に許可した件数は全国で約4万1600件に上る。そのうち、家業の農業や不動産賃貸などを除いた「社会貢献活動」が約1万3500件ある。18年度と比べると市区町村では増えているが、都道府県は減っている。
兼業への対応は自治体によって大きく異なる。神戸市は17年度に「地域貢献応援制度」を創設し、職員が兼業で地域活動に参画する際のルールを明確にした。NPO法人での障害者支援やコミュニティー農園の運営など25年1月までで約120件の申請があった。4月からは保育士のサポートや福祉施設での事務補助も可能にした。
長野県や奈良県生駒市、福岡県飯塚市なども基準を示して職員の地域活動を支援している。大阪府河内長野市は4月、職員の兼業を推進する条例を制定した。
一方、自治体の3分の1は許可する基準すら設けていない。基準はあっても「(兼業先と)特別な利害関係がない」「通常の職務に支障がない」などといった原則を示すだけの地域も多い。基準があいまいなために、職員に無報酬での活動を暗に求めるケースもあるという。識者からは「運用が過度に抑制的だ」という批判がかねて出ていた。
このため、総務省はガイドラインで基本的な考え方や許可が可能な範囲、活動時間の目安などを示し、具体例も紹介する。社会課題の解決につながる活動のほか、地方の生活機能を維持する仕事も認める方針だ。
地方の生活インフラの多くは民間が担っている。今後、自治体の判断次第では、コンビニでの勤務や宅配便の配達、休日のタクシー運転手なども可能になる。
兼業を後押しする背景には職員のスキルや意欲を政府が掲げる地方創生に役立てる狙いがある。石破茂首相は1月の施政方針演説で地方公務員の「兼業・副業の弾力化」をすでに表明している。地域の現場で様々な経験をすることは職員の能力向上にもつながる。
公務員離れも一因だ。地方公務員の採用試験の受験者はこの10年間で3割減った。技術系職員などでは応募者が採用予定数を下回ることが珍しくない。
公務員も地域に戻れば住民の一人だ。「一人複役」を認めることは有意義だが、実際に広がるか否かは首長の姿勢次第といえるだろう。全国には職員が育児や介護休暇を取得することさえ消極的な首長がいる。職員の自由な働き方を可能にするためには、長時間労働の是正も不可欠になる。
(編集委員 谷隆徳)
4月20日―4月25日(今週の予定)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 601文字 PDF有 書誌情報]
■20日(日)
○松江、富山市長選投開票
■21日(月)
○参院予算委で集中審議(米国の関税措置)
○4月の主要銀行貸出動向アンケート調査(日銀)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季総会(ワシントン、26日まで)
○米比が合同軍事演習「バリカタン」を実施(5月9日まで)
○4月の中国最優遇貸出金利(LPR)
■22日(火)
○十倉経団連会長会見
○グロース上場=デジタルグリッド
○国際通貨基金(IMF)世界経済見通し
■23日(水)
○国会で党首討論
○3月期決算=ファナック
○1~3月期決算=キヤノンマーケティングジャパン
○4月の金融システムリポート(日銀)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、24日まで)
○上海国際自動車ショー(中国・上海市、23~24日報道向け公開、25~26日関係者向け公開、27日~5月2日一般公開)
○3月の米新築住宅販売件数
○米地区連銀経済報告(ベージュブック)
■24日(木)
○グロース上場=LIFE CREATE
○3月期決算=ニデック、富士通
○1~3月期決算=キヤノン
○3月の企業向けサービス価格指数(日銀)
○3月のスーパー売上高(日本チェーンストア協会)
○3月の米中古住宅販売件数
■25日(金)
○札証アンビシャス上場=エレベーターコミュニケーションズ
○3月期決算=野村ホールディングス、キーエンス、信越化学工業、第一三共
○4月の東京都区部消費者物価指数(総務省)
次期公正取引委員会委員長 茶谷栄治氏、競争環境の変化、見定める(このヒト)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 479文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会の委員長に5月に就任する。前財務次官として財政を中心に豊富な行政経験を持つとはいえ、これから向き合うのはより個別の企業に近い領域だ。「自分にとっては新しい分野。身を引き締めなければいけない」と語る。
かつての公取委はゼネコン談合などを取り締まる役割が目立った。いまや巨大テック企業の市場独占を是正する競争環境の整備など、政策官庁の側面を強くする。
経済の変化に柔軟に対応するには、法の厳格な執行とアドボカシー(政策提言)を「車の両輪」とすることが欠かせないと説く。同じ財務省出身で現職の古谷一之委員長の路線を引き継ぎながら「どういうルールが公正なのかを見定めたい」と話す。
長い官僚生活では与野党や関係省庁との調整や政策立案だけでなく、「法執行の極みだった」と振り返る東京国税局査察部長も務めた。公取委とは古い縁もある。1990年代に在ベルリン日本総領事館で働いた際、机を並べたのは公取委の出向者だった。
学生時代に司法試験に合格し、2024年の退官後に弁護士資格を得た。「まだ金ぴかのまま」の弁護士バッジとしばしのお別れとなる。(広瀬洋平)
日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
(1)米国債売りの裏側 ジリアン・テット(11日)
(2)市場の力に屈したトランプ氏(社説)(14日)
(3)ブリティッシュ・スチール救済、中国の投資に警戒強まる(16日)
(4)「スイッチ2」はゲーム業界の停滞を打ち破れるか(上)(14日)
(5)トランプ氏より強い習氏の「手札」 ギデオン・ラックマン(16日)
(6)トランプ関税は米の信認損ねる恐れ JPモルガンCEO(17日)
(7)貿易戦争の行方 カギ握るベッセント米財務長官(15日)
(8)トランプ氏に戦略ビジョンはない ジャナン・ガネシュ(14日)
(9)関税策後退の背景? 米国債を巡る記事まとめ読み(12日)
(10)電子レンジからバービーまで 米国人が依存する中国製品(15日)
スマートフォンでQRコードを読み込むと「NIKKEI FT the World」の申し込みサイトに移ります。
日経電子版(読まれた記事ランキング)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 347文字 PDF有 書誌情報]
(1)トランプ氏、赤沢経財相と関税交渉 「大きな進展」と表明(17日)
(2)「フジHD取締役にSBI北尾氏」株主提案へ 米ダルトン(14日)
(3)トランプ氏の急所、米国債なお不安 鎮まらぬ「米国売り」(11日)
(4)トランプ関税、スマホでも迷走 「除外」一転し別関税に(14日)
(5)米相互関税、スマホ・半導体装置除外 テックの現実に屈す(13日)
(6)帝国ホテルなど大手15社、カルテルの恐れ 公取委警告へ(17日)
(7)高齢者向けNISA創設を検討 金融庁、毎月分配型解禁へ(15日)
(8)米国、相互関税からスマホ除外 iPhone値上がり回避(12日)
(9)トランプ氏、侵略でプーチン氏批判 停戦難航に不満(15日)
(10)「米国売り」23年ぶりの衝撃 米国債・ドル急落の1週間(12日)
関税危機 経済学の処方箋――保田氏 米国債保有は利点 星氏 輸出依存から脱却(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1973文字 PDF有 書誌情報]
日本と世界どう対応
――各国は関税上げにどう対応すべきですか。
保田 米国による関税率は各国で異なり、要求内容も様々だ。各国を分断し、個別に米国と交渉させることで競争を促す意図があるのではないか。
この点は国内政治にも当てはまる。特に大学は、助成金を突然差し止められながら、学問の自由の制限を要求される交渉を強いられている。大学同士が連携し、団結して交渉することが重要だ。
同様に日本や各国が団結することで自由貿易を守れる確率が高まる。日本が秩序回復に貢献したと他国から尊敬されるように交渉していくことを期待する。
星 報復関税は、それにより米国の政策が変わるなら意味を持つが、全く期待できない。消費者と企業をさらに苦しめるだけだ。日本は他国と協調して米中の関税戦争から自由貿易体制を守るべきだ。
日本は包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)をリードして作り上げた。これをさらに拡大し、欧州諸国や中国、米国にも働きかけ、自由貿易の立て直しをリードすることに価値がある。
――日本の対米交渉の姿勢をどう評価しますか。
星 米国の動きは理不尽だが、石破茂政権が報復して問題を悪化させるのではなく、じっくり交渉する姿勢は評価できる。
日米には1980年代から経済摩擦があり、貿易交渉を行ってきた。当時の米国は「スーパー301条」も使って日本に構造改革を迫った。日本は外圧を利用して流通制度の改革や知的財産権保護の法整備など、自国に役立つ構造改革を進めた。最終的には日本経済に寄与した面もある。
今回も経験を生かし、交渉の中で日本に役立つ改革を進めるべきだ。例えばコメの輸入制限の撤廃がある。現在、コメ価格が上がって多くの人が困っている。日本の譲歩できるところだと思うのでぜひ取り組んでほしい。
保田 話し合う内容は関税に限らないと思う。例えば、欧州連合(EU)は米国からエンタメや金融など多くのサービスを購入している。これらの分野で米国企業の収入が今後EUの規制によって圧迫されることもあり得る。包括的に考えることが重要だ。
日本は米国債を大量に保有している。中国も同様で、米中間の緊張を高めている。米国債離れやドル離れは米国の国際的地位を低下させる。日本が今後も米国債を大量保有し続けるメリットを強調し、その状況が変わることが米国に大きなダメージとなるという認識を共有することは賢いアプローチではないか。
――為替の動向はどのように見ていますか。
星 為替は非常に読みにくい。実需の面では、関税によって米国の輸入が減り、ドルの供給が低下してドル高になると考えられる。金融面で見ても、関税でインフレが進行すれば、米連邦準備理事会(FRB)が利上げしてドル高につながるだろう。
もし利上げが中途半端であれば、インフレが続いて購買力の観点でドル安になる可能性もある。他国の中央銀行のドル保有に課税をするようなことがあれば、ドルの魅力が低下してドル安を招く。どのチャンネルが重要になるか、まだよくわからない。
保田 為替は一番不透明な点だ。今後の関税交渉の動向が米国のインフレや金利に大きく影響する。今後スタグフレーションになる可能性が高まり、インフレと経済成長率の低下の板挟みになることも予想される。FRBには難しい状況になる。
米国にとって売られる可能性があるのは国債だけではない。カナダやデンマークの年金は米国のプライベートエクイティ(PE=未公開株式)に多く投資してきたが、リスクを考慮して投資を減らすという話も出ている。米国への投資離れがどの程度進むかわからない中で、為替介入が望ましいのかよくわからない。
――予算措置など日本の対応はどうすべきですか。
星 大きな構造変化が起きているため、対応には時間がかかる。調整を早め、痛みを和らげる支援金や給付金の必要はある。
一方、日本政府が輸出業者に補助金を出して安い価格で輸出できるようにすると、関税による米国の増税負担を日本の納税者が一部負担することになるので好ましくない。
――企業はどのような対応が必要ですか。
保田 企業にとって難しい時期だ。例えば工場をつくるような投資の決定には将来のキャッシュフローを計算する必要がある。そこで税率が不確実なら投資の決定は難しい。
星 米国には貿易赤字を小さくしたいという目標があり、日本の輸出が減る方向に持っていきたいのは変わらないと考える。
そこで日本から見て明らかなのは、輸出、特に対米輸出に成長を頼ることのコストだ。日本がかつて急成長するために米国に頼ったのは仕方がなかった。しかし成熟して、本来なら大きな国内市場を持てるのに輸出に頼りすぎるのは考え直さないといけない。経済安全保障の面からもリスクがあり、輸出依存からの転換が重要になる。
関税危機 経済学の処方箋 保田氏 「団結」自由貿易守る 星氏 TPP拡大主導を(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1789文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領による関税引き上げに日本はどう対応したらよいのか。経済学者の星岳雄・東大教授と保田彩子・カリフォルニア大学デービス校教授が論じ合った。米国在住の保田氏が各国の団結を訴えたのに対し、星氏は日本経済の改革を提言した。(1面参照)
――関税上げは世界経済をどう変えますか。
保田 今の米国を表現する「タリファイド(Tarrified)」という言葉をよく耳にする。恐怖におののく(Terrified)と関税(Tariff)を掛けた造語だ。恐怖の要素は3つあり、まずはインフレだ。発表された関税がすべて実施された場合、物価を年2・9%押し上げるとの予測がある。
次に米国企業の業績が悪化することで、雇用や家計収入の減少が懸念される。株価が下がれば退職後の資産にも悪影響が及ぶ。さらに深刻なのは、安全とされてきた米国債まで売られたことだ。米国はトリプルショックで非常に暗い雰囲気が広がっている。
星 株価の急落はリーマン・ショックや新型コロナ危機の時とほぼ同程度の速さだ。米国債の利回り上昇は企業の資金調達を困難にし、実体経済に悪影響を与えるだろう。
市場がさらに混乱し、金融機関が危機に陥ればリーマン・ショックの二の舞いになる。今回はコロナ危機と異なり、関税政策や政策の不確実性という人為的な要因による。人為的に経済システムを壊そうとしているのは大きな問題だ。
保田 以前の危機とは異なり、各国が解決に向けて一丸となるのが難しい。関税のゴールは何か。米国の政権内部でも矛盾が生じていることが危機を深刻にしていると思う。
関税の目的には政府の収入源、他国との交渉ツール、国内製造業の雇用増という3つが挙げられる。これらの目的は相いれない。収入源と交渉手段という目的は相互に対立するし、製造業の回復を図るのとも矛盾する。トランプ大統領は貿易赤字をゼロにしたいのか、ドル高を是正したいのか、最終目的が不透明だ。
不確実性は市場を混乱させる。当事者は不確実性を減らすように努力するものだが、トランプ氏にとっては不確実性が政治力を集中させる源になっている。
――関税はどのように経済を傷めますか。
星 関税の引き上げは増税と同じだ。輸入品の値上がりを通じ、消費者の負担となる。消費者は安い輸入品から高い国産品へと消費行動を変えることになり、最適な行動がゆがめられるコストもある。
対中国のように100%を超える関税が適用されれば、米国の業者が輸入品を販売できなくなる可能性もある。雇用が失われ、特定の製品が米国に全く入らなくなる問題もある。
保田 中小企業は中国への20%の関税は準備していたと思う。しかし100%超となると中国からの輸送を止めざるを得ない。米国で売ることができなければ他国に売るか、倒産に至ることも考えられる。
――過去の経験から学べることはありますか。
星 プラザ合意や日米貿易摩擦をほうふつとさせるところはある。しかしプラザ合意の時はドル高が行き過ぎていると各国が協調して介入した。今回も(ドル高是正に向けた)「マールアラーゴ合意」が取り沙汰されているが、米国が言っているだけで他に同意している国はない。その意味で状況は全く異なる。
日米貿易摩擦も日本に求められたものが違った。当時の米国が求めたのは日本の市場開放であり、全体的には自由貿易を促進する方向だった。現在は関税を利用して貿易を制限し、貿易赤字の解消を目指す方向にシフトしている。
保田 関税による収入増が目的なら、相互関税の90日間停止がこんなに早く発表されたのはおかしい。関税は交渉のツールであり、最終目的はドル高是正である可能性が高まった。
ただ米国債市場が不安定になっている。大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長の指針を読むと、国債を永久債に転換することや手数料をかけることを掲げている。米国債やドルの魅力を失わせる状況が国益になるかは非常に疑問だ。
ほし・たけお 1960年生まれ。MIT博士。専門は金融・日本経済。「ゾンビ企業」の研究などで知られる。カリフォルニア大サンディエゴ校やスタンフォード大を経て現職
やすだ・あやこ 1970年生まれ。スタンフォード大卒、同大博士。ベンチャーキャピタルなどファイナンスの研究者として知られる。ペンシルベニア大などを経て現職
関税危機 経済学の処方箋――保田氏 法の支配は窮地に 星氏 米なき貿易体制困難(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1675文字 PDF有 書誌情報]
グローバル化の将来
――米国が最終消費国としてグローバル化を支える構造が揺らいでいます。
星 世界の貿易と経済の体制がきしんでいることは明らかだ。米国は基軸通貨のドルを供給しながら経常収支赤字を続け、他国から大量の輸入をしてきた。これは本来ならドルの特権と思われてきた。世界中がドルをほしがるので経常収支赤字を続けられる。この特権を米国はいまコストとみている状況だ。
自由貿易体制を支えてきた基軸通貨ドルの価値を下げ、役割を放棄するような動きが見えてきた。ドルに代わる基軸通貨が出てこない限り問題は続く。中国が基軸通貨を供給できるだろうか。中国は日本と同じく輸出頼みの成長戦略から抜け出せておらず、通貨を供給して輸入を増やす経済になっていない。中国も米国の赤字を必要としており、混乱が起きている。
保田 米中対立はトランプ大統領の就任前から進んでいた。軍事防衛や人工知能(AI)の将来をどちらが担うか議論があり、エスカレートしてきた。
しかし経済的に米中はお互いを必要としている。共生関係を断ち切ったとしても、米国の製造業雇用が復活することはあり得ない。中国との極端なデカップリングができる体制に米国はなっていない。原料も輸入に頼り、機械も中国にある。輸入しないといけないのに関税でできなくなっている。米国は言っていることとやっていることが食い違っている。
――日本は貿易の変質にどう向き合うべきですか。
保田 関税競争だけでなく、米国の憲法解釈に関わる政治的な問題も重要だ。大統領が三権分立を超越するという法律理論を、トランプ政権は急進的な形で適用している。突き詰めると議会の立法も裁判所の判決も、大統領の行政権には適用されなくなる。これは米国が世界から信頼される根幹にあった法の支配の原理を覆すものだ。
こうした動きが国内で起きているのと、国外で貿易戦争が起きて平和や安定が脅かされているのは無関係ではない。日本が他国と団結して自由貿易を守っていくことを期待したい。
星 日本が他国と連携して世界の貿易体制を守る努力は必要だ。ただ米国は大国であるし、基軸通貨もドルに代わるものがない。貿易体制を全く米国抜きでつくるのは難しい。米国と交渉し、米国が今後も基軸通貨を提供できるような状態をつくるように協力できるのが理想だ。そのためにも先進国を中心に、外需に頼りすぎる経済を是正する努力が重要となる。
――トランプ大統領が問題視する貿易赤字は国の経済に悪いことなのですか。
星 経済的に考えると一般的には悪くない。自国で売る以上のモノを買えるため、基軸通貨を持っている米国は有利な立場にある。基軸通貨の供給のためにはある程度の米国の経常収支赤字が必要であり、世界経済にとっては重要だ。
保田 トランプ大統領は昔からの信念に基づいて貿易赤字を問題視している。経済学というよりも、(一方が得をし他方が損をする)ゼロサムの考えを貿易に反映しているのではないか。ドルが基軸通貨である以上は、米国の貿易赤字を避けるのは難しい。
――トランプ大統領はどのような経済学を信じているのでしょうか。
保田 第1次政権ではブレーンの中に経済学者と呼べる人がいて、ある程度制御していた。ただ第2次政権では独立した意見を述べるブレーンは招かれていない印象を受ける。
星 CEAのミラン委員長はアカデミックな経済学者とはいえない。他に信頼できる経済学者もいるが、どれだけ影響力を持ちうるかが一つの焦点になる。
保田 側近でも政策決定に関わっていない印象だ。トランプ大統領が自分で方針を決めている印象で、経済学者がどれだけ影響を与えられるかは不安だ。
――トランプ大統領の任期が終われば自由貿易が戻ってきますか。
星 それはない。米国が国際体制から内向きになったのはトランプ政権の前からの現象だ。これほど極端ではなくなるかもしれないが、全体として内向きな政策が変わることはないと思う。
対談は16日に電子版のNIKKEI LIVEで配信しました。アーカイブから動画を確認できます。
中国物流業界が米関税逃れ 価格の過少申告でトランプ政権に対抗(NIKKEIAsia)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 8ページ 2080文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が中国との貿易戦争を激化させるなか、中国の物流業界は関税を回避する手法を構築している。専門家は、商品価格を過少申告したり、原産国を偽装したりする手法を通じ、中国メーカーが米国の関税の影響を最小限に抑えられるよう手助けしていると指摘している。
こうした物流業者は「二重通関・内税」と呼ばれるサービスを提供している。米中双方での通関手続きを業者が管理するもので、時には関連会社を書類上の輸入会社として使うという。第1次トランプ政権時代に米中貿易摩擦が過熱して以降、このサービスの数は急増した。中国のSNSでは格安のサービスをうたう宣伝が流れる。
弁護士らによれば、手口の一つとして使われているのが「二重インボイス」だ。製品価格を実際より低い価格で請求書に記載する一方で、差額分を「マーケティング」など関税対象外のサービス費として、別途請求する手法だ。
米国に製品を輸出している深の照明器具メーカーでゼネラル・マネジャーを務めるサム氏(仮名)は、自社製品に課される関税の額を把握していない。ただ、米アマゾン・ドット・コムのサイトで販売する240ドル(約3万4000円)のクリスマス向け屋外照明と、64ドルの天井照明について、通関時にこれより低価格で申告されているのではないかと推測している。「これは我々の業界では公然の秘密だ」と打ち明ける。
トランプ政権が2月に関税を引き上げ始める前、輸出時にサム氏が物流業者に支払っていた手数料は1キログラムあたり約10元(約190円)だった。4月上旬時点で、船便の二重通関・内税サービスの総費用は、1~2元増えたにすぎないという。
サム氏は、同サービス費がさらに値上げされる可能性を認めるが、計145%に達している中国へのトランプ関税ほどには上昇しないと予想している。会社の売り上げにも「ほとんど影響がない」と言う。
高関税が米中間の貿易を阻害する恐れがあるなかで、こうした関税回避策は、一部の中国輸出業者にとって、競争力を維持する助けになり得ると専門家は指摘している。
課した関税を確実に徴収するのは容易ではない。米ゴールドマン・サックスのエコノミストによると、第1次トランプ政権時代に中国に課された関税のうち、2023年に1100億~1300億ドルは徴収を逃れていた。内訳は価格の過少申告と産地などの偽装がそれぞれ400億ドル、迂回輸出が300億~500億ドルと推定される。
中国の物流業界は、照明や家電製品からTシャツ、アクセサリーまであらゆるものをネットで販売する無数の中国業者を主要顧客として急成長を遂げてきた。中国の越境ネット通販は近年、大きく伸びている。
中国で人気のSNS小紅書(レッドノート)で「二重通関・内税」を検索すると、冷蔵庫やエアコン、その他の家庭用品を米西海岸に格安配送すると宣伝する広告が多数表示される。価格はさまざまだが、1キログラム当たり5.7元という低価格を提示する業者もいる。国際貨物輸送の予約・決済プラットフォーム「フレイトス」では、船便の運賃は1キログラム当たり約2~4ドルと見積もられている。
米国は、評価額が800ドル以下の少額貨物を非課税とする「デミニミス・ルール」の中国に対する適用を5月に終了する。これにより、物流業者のサービスへの需要はさらに高まるという見方もある。
深を拠点とする物流会社関係者は、トランプ氏が2月に中国からの輸入品に10%の追加関税を課して以降、二重通関・内税サービスに関するネット通販業者からの問い合わせが増えていると取材に明らかにした。
危うい領域に踏み込む業者もいる。ニューヨークの法律事務所マーク・A・ストラウス・ローの創設者、マーク・ストラウス氏は、物流業者が書類上の輸入業者となる複数のダミー会社を運営している可能性もあると指摘する。ダミー会社を通じ、改ざんまたは偽造したインボイスや、偽の通関書類を使って、支払うべき関税を抑える手法だ。
ストラウス氏の見立てでは、通関時の不正行為の大半は価格を実際よりも低く申告することに関連している。これは売り手と買い手が共謀すれば、物流業者が関与しなくても起きる可能性がある。
「顧客は物流業者が関税を逃れていることに気付いている可能性が高い」とストラウス氏は述べた。「請求される料金が、正式に通関したとしては安すぎるからだ」
貿易と国家安全保障を専門とする米国の法律事務所トレス・トレード・ローの創業者オルガ・トレス氏のもとには、2月以降、中国からの輸入品にかかる追加関税への対処方法について尋ねる米国の輸入業者からの問い合わせが殺到している。
「かつてないほどの電話がかかってきている」と言う。同氏は輸入関税の影響を法的に評価するために専門家を雇うことを企業に推奨しているが、多くの企業は不正を当てにすることになるかもしれないと語った。
(香港=謝一帆、ニューヨーク=姚柏穎)
【図・写真】中国のSNSでは格安の通関サービスをうたう物流業者の宣伝が流れる(一部画像処理しています)
NikkeiAsia(読まれた記事ランキング)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 8ページ 0文字 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――和食が磨いた技術の深化[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 10ページ 2275文字 PDF有 書誌情報]
円形をした電動の砥石(円砥)がゴトゴトと回り出す。刃があたったとたん、火花が散った。工房の中にシャーッと甲高い音が響く。その迫力に、思わず一歩後ずさりした。
堺市の北部。阪堺電車がゆっくり行き交う住宅街の一角に「山本刃剣」はある。山本真一郎さんが父、英明さんとともに営む。堺では「刃付け屋」と呼ばれる職人だ。英明さんの名からとった「英」ブランドの包丁は、有名ホテルや料亭の料理人が愛用する逸品。海外からも引き合いがある。
鍛冶職人が打ち上げた包丁に刃をつける。あるいは切れなくなった包丁を研ぎ直す。仕事を一言で言えばいたってシンプル。だが、その作業は複雑だ。
荒研ぎから平研ぎ、本研ぎ、裏研ぎ――。砥石にあてる場所を少しずつ変えながら刃を削っていく。合間にわずかなひずみを修正。いくつも工程を経ていくが、素人目には変化はほとんど分からない。精度は0コンマ数ミリ単位。微妙な力の加減や角度が完成度を左右する。
1秒ほど刃をあてては手で触り、再び砥石へ。テンポが速い。淡々とこなしているようにもみえる。「自転車に乗るときに『次は右に曲がるからハンドルを……』なんていちいち考えないでしょう。それと同じ」。五感がすべて記憶しているのだろう。
堺は日本有数の刃物産地として知られる。16世紀にポルトガルからたばこが伝来、その葉を刻むためのたばこ包丁が作られたのが「堺打刃物」の名が知られるようになったきっかけだとされる。打刃物とは軟鉄や鋼を熱し、金づちなどでたたいてつくる刃物のことだ。
3代目となる山本真一郎さんは1999年に「堺打刃物伝統工芸士」に認定され、コンクールなどでもたびたび入賞している。プロの料理人だけでなく、近隣住民の研ぎ直しにも応じる。包丁以外に布地を裁断する刃物も手掛ける。「『この研ぎ方でないとダメ』という正解はない。使い方や包丁によって研ぎ方も変わる」。あくまで生活に根をはった技術なのである。
山本さんはかつてドイツの刃物メーカーに請われ、研ぎの指導に赴いたことがある。欧州では日本のように砥石を使って刃物をメンテナンスする習慣はほとんどない。やすりのような金属の棒で刃を削るだけだ。日本式で研いだ包丁の切れ味を披露すると、「神がかり的だ」と驚かれたとか。
なぜ日本で研ぎの技術が磨かれたのか。いくつかの説があるが、一つが日本刀の存在。刀を研磨するノウハウが調理道具に生かされたと指摘される。
食文化の影響も大きいだろう。刺し身をはじめ、和食は素材の持ち味をいかすような繊細な切り方が求められ、包丁の種類も多い。その分、技術も深化した。
もう一つ加えるならば、優れた砥石が産出されることもあったのではないか。現在主流の人造砥石が誕生したのは19世紀後半の米国とされる。安価で使い勝手もいいが、昔ながらの天然砥石を選ぶ愛用者は少なくない。
その採掘から加工までを手掛ける職人が京都府亀岡市にいる。土橋要造さん。明治10(1877)年創業の「砥取(ととり)家(や)」の4代目店主だ。
採掘現場に案内してもらった。「丸尾山」と呼ばれる里山に向かう。車を降りて山道を登ること10分。山腹にぽっかり口をあけた坑道に入ると、広めのリビングほどの空間が迎えてくれた。壁一面が赤や茶色のしま模様で彩られ、幻想的な光景にしばし見とれる。
作業は昔ながらの人力だ。「矢」と呼ばれる先端がとがった金属製の棒で石の隙間を広げ、鉄梃(かなてこ)の先端をこじ入れる。「音が変わった。そろそろだな」。土橋さんの表情が少し引き締まったかと思った瞬間、ドスンと音をたてて一抱えほどある塊が落ちた。
この辺りの地層は2億5千万年ほど前、深海底に積もった火山灰や海洋プランクトンだ。長い年月をかけて地殻変動の圧力などで固まり、地表近くに運ばれてきた。きめが細かく均一。土橋さんによると「仕上げ用の砥石がとれるのは世界でここだけ」だという。
鉱脈が眠る京都から亀岡までは、鎌倉時代から続く砥石の一大産地だった。だが、人造砥石に押されて多くの山が閉山した。土橋さんも廃業を考えたが、試しにネット販売を始めたところ注文が相次ぐようになったそうだ。
「蓮華(れんげ)」「墨流し」「うぐいす」……。模様や色合いからつけられた名前がしゃれている。同じ山からとっても石はすべて違う。不純物が少なく、筋が入っていないほど価値が高い。採掘した原石からどのように砥石を切り出すかの眼力も問われる。
手間をかけることで、新品の切れ味をよみがえらせるのが研ぎの技術だ。「使い捨てとは正反対の文化。それを守ることが自分の使命」。土橋さんはそう考えている。
実際に切れ味はどう違うのか。居酒屋で初めてミシュランガイドの星を獲得した「ながほり」(大阪市)の店主、中村重男さんは「人造とは全然違う」と言う。
20年近く前から砥取家の天然砥石を愛用し、現在は複数を使い分けている。研ぎ始めは吸い付くような感覚の柔らかめの石。「かえり」(バリ)をとるために反対側を研ぐには固い方がいいそうだ。
最近は自分で研がない料理人も増えているというが、中村さんは開店前の日課として欠かさない。「刺し身を切った時の断面がツヤツヤで、食感がぜんぜん違う。切れない包丁だと、食べた瞬間に口の中にしつこさが残るような感じがする」
さらに聞けば、味だけではないようだ。「お客さんのことを考えながら砥石に向かうのは自分にとって大切なルーティン」。料理人として板場に立つ前の儀式のようなものか。精神的な意味も大きいと推察した。
NIKKEITheSTYLE――じっくり根気よく手を動かす[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 11ページ 2266文字 PDF有 書誌情報]
日本の包丁、ひいては研ぎへの関心は海外でも高まっている。フランスでその魅力や奥深さを伝えるのがマリナ・メニニさんだ。
パリ郊外にあるアラン・デュカス調理師学校。フランス料理界の巨匠の名を冠した学校に、日本式の研ぎを学ぶカリキュラムがある。メニニさんはここで講師を務める。
砥石の種類から包丁の構造、刃先を尖(とが)らせるメカニズム……。内容は広い。4月初旬に開かれたあるクラスの講義では、世界各地から集まった若手料理人やそのタマゴたち14人が、お手本を見せるメニニさんの手元を真剣な表情で見つめていた。
メニニさんによると、和食文化の影響もあり、2000年代に入ったころからフランス料理でも「メイド・イン・ジャパン」の包丁を扱うシェフが増えてきた。生け締めにした魚をさばいたり、食材をより丁寧に切ったりすることが求められるようになったためだ。
フランスでは金属製の研ぎ棒でメンテナンスするのが一般的だが、切れ味が長続きしにくい。包丁への関心に伴い、砥石を使った日本式の研ぎへの注目も高まったという。
現地でも動画サイトなどを介して一通りの流れを知ることは可能だ。でもそれだけはうまく研ぐことは難しい。「なぜ切れるようになるのかを論理的に説明し、実際に生徒に研いでもらう。そのことが理解につながる」とメニニさん。研いだ後の切れ味に驚く人が多いそうだ。
メニニさんは母親が日本人、父親がフランス人。ニューヨークやロンドン、東京で料理人として働くうち、日本の調理道具に興味を持つようになり、専門店が集まるかっぱ橋道具街(東京都台東区)の店へ。そこで包丁売り場を任されたのが、「包丁道」に足を踏み入れるきっかけのひとつとなった。
16年にパリで自身のアトリエを開き、日本の包丁を販売する傍ら、週1回初心者向け教室を開く。レストランなどに出向いて教えることもある。今春からは料理学校「ル・コルドン・ブルー」でも教壇に立つ。
現在も定期的に日本を訪れ、堺をはじめ、包丁や砥石の生産地に足を運ぶ。技術や知見を深めたいという意欲は衰えない。国境を越えた活動を通じて「道具を作る職人と使う人をつなぐ架け橋になりたい」との思いを強くしている。
ひと昔前、日本の一般家庭でも自ら包丁を研ぐのは当たり前だった。そんな光景は徐々に失われつつあるが、その文化を大切にしたいと考える人は少なくないようだ。
3月のある土曜日、かっぱ橋道具街の包丁専門店、かまた刃研社を訪れた。「包丁研ぎ教室」を月に2回開催している。
午前の教室は「入門編」で、この日の参加者は20~50代の男女9人。社長の鎌田晴一さんによる包丁の構造や砥石の種類の説明を聞いた後、実践に移る。事前に切れないよう加工したステンレス製の三徳包丁を用意し、各自に研いでもらう。
「コインが1、2枚入るくらい峰(包丁の背の部分)を浮かせましょう」「ぶれないようなるべく大きなストロークで」。鎌田さんのアドバイスを聞きながら、真剣に手を動かす参加者たち。教室にシャッ、シャッという小気味のいい音が満ち、質問もひんぱんにあがる。
研ぎ終えたナイフを紙にあてる。すっと切れた瞬間、オーっと歓声があがった。50代の女性はビフォー&アフターの変化に驚いた様子で、「帰ったらさっそく自宅の包丁をすべて研ぐ。次は応用編に参加したい」と話していた。
教室は毎回、応募開始から1分で定員が埋まってしまうという。「いい包丁を買えばメンテナンスをして大事に使おうという気持ちになるし、充実感も感じる。そんな意識を持った人が増えているのではないか」。鎌田さんはこう分析する。砥取家の土橋さんも同じような話をしていたが、使い捨て社会に対するアンチテーゼといえるかもしれない。
鎌田さんに上手に研ぐコツを尋ねると、「結果を早く求めてはいけない」。刃先をとがらせようと気がせいて角度をつけすぎると、切れ味が長続きしないそうだ。じっくり、根気よく。仕事や人生にも通じそうな言葉ではないか。そんな奥の深さも人々をひき付ける魅力だろうか。
日本を代表するワインメーカー、マンズワイン社長の島崎大さんも日常に包丁研ぎが溶け込んでいる。
一人暮らしを始めた学生時代から料理をたしなんでいる。「なんでも自分でやってみる」性格から研ぎも自己流で始めた。社会人になった後、留学先のフランスにもマイ砥石を持参したほど。現在は3つを使い分けている。
料理をするのは主に週末だが、仕事を終えた後、深夜に砥石に向かうこともある。あくまで気持ちよく料理するための準備。だが、それが一筋縄ではいかない。同じように研いだつもりでも、うまく研げた時といまひとつの時があるという。
「趣味ではなく苦行」と笑うものの、その苦行を楽しんでいるふうでもある。「仕事に直接役立つわけではないけれど、プロセスを踏まないといい結果が出ない。ちゃんと切れるようになった時の達成感はある」
多くの人が研ぐ光景を見ているうち、一編の詩が頭に浮かんだ。高村光太郎の「刃物を研ぐ人」だ。
「黙つて刃物を研いでゐる。/もう日が傾くのにまだ研いでゐる。」と始まり、一心に研ぎ続ける人物を活写する。「憤りか必至か無心か、/この人はただ途方もなく/無限級数を追つてゐるのか。」
「心を研ぐ」という表現があるように、刃物を研ぐことは私たちの精神世界と深いつながりがあるのかもしれない。どんなに精巧で簡単な機器ができようとも、人はこれからも砥石の上で自分の手を動かし続けるのだろう。
石川淳一
竹邨章撮影
NIKKEITheSTYLE――日本プロ野球の失われた30年(文化時評)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 12ページ 2081文字 PDF有 書誌情報]
野茂英雄投手がメジャー入りし、野球の国境が大きく開かれた1995年から30年。大谷翔平選手(ドジャース)らが世界と渡り合うようになったが、メジャーと日本プロ野球の経済格差は広がった。国民的娯楽を通して日本の失われた30年をみてみると……。
この春、一人の若者がアスレチックスと契約し、米球界に旅立った。東京・桐朋高の投打二刀流、森井翔太郎選手(18)だ。2億円を超えるとされる契約金は、日本で上限があることを考慮しても、ありえないような厚遇だ。懐事情の違いがのぞく。
1990年代半ばの時点で、さほどの開きはなかった、と小林至・桜美林大教授(スポーツ科学)はいう。「球団平均の売り上げでは日本の方が上回っていた、という推計もある」
それがいつの間にか逆転され、リードを広げられるばかりらしい。米誌フォーブスによるとメジャーの売り上げは2001年の約36億ドルから23年には約113億ドルとなった。1軍相当選手の平均年俸をみると、日本では90年代なかばの4千万~5千万円から、現在8千万~9千万円になったとみられる。メジャーは2003年の237万ドルから25年、516万ドル(7億5千万円)ほどに(AP通信)。
売れるならどこへでも、というメジャーの商魂と集金力はカブス―ドジャース戦の日本開催で目の当たりにしたばかりだ。映像を一括管理し、巨額のテレビマネー、ネットビジネスにつなげるメジャーは経営上も強い。
日本がまだ元気だったころ、ダイエー創業者、中内〓氏のもとでホークス(現ソフトバンク)の経営に携わった瀬戸山隆三・元千葉商科大客員教授は「やりようによっては違う展開がありえた」と語る。
1989年、南海からホークスを買収した中内氏はアジアの玄関口、福岡を拠点に、野球をテコとした海外展開を構想。その後、朱鎔基・中国副首相(当時)を球場で歓待した。
親会社が傾いて夢はついえたが、このとき、ホークスには「横並び」の思想も立ちはだかっていた。メジャーと互角に戦えるスケールを目指して、世界の王(貞治=現球団会長)を監督に招いた95年、補強に40億円を投じ、年俸総額は当時の常勝軍団、西武に迫った。
そこで他球団にかみつかれた。「勝ってもいない球団が年俸を上げるのはおかしい、と」(瀬戸山氏)。天井を作るから野球ビジネスは大きくならない、経営上も球団間で競い合おう、という中内氏の論理は通じなかった。
メジャーが90年代に4球団を加え、30球団としたのに対し、日本は逆方向にかじを切りかけた。2004年の球界再編では12球団から10球団制への移行案が浮上した。削減反対の声が高まるなか、瀬戸山氏(当時ロッテ)は韓国球団を加えて12球団制を維持しては、と発言している。ダイエー時代から、アジア展開を意識していたからだ。
しかし、そこにも壁があった。プロ野球の憲法である野球協約は一部例外を設けつつも、オーナー会社を日本法に基づく企業に限っている。小林氏は「(仲間内の)サークルを守ろう、というわけなのか」と首をひねる。
外国人の選手数を制限しているあたり、おっかなびっくりで労働市場を開放してきた社会の縮図のようでもある。
日本球界に先はあるのか、と岡田憲治・専修大教授(政治学)は疑問を呈す。「実は、日本のベースボールは衰退の危機に突入しています」(岡田氏著「半径5メートルのフェイク論『これ、全部フェイクです』」)。野球はまだ日本の国民的娯楽の王様である、という言説こそフェイクだとする。
少子化を上回るペースで野球少年は減っている。甲子園の常連校に選手が集中し、試合に出られず、スタンドで応援するだけで終わる選手も少なくない。「昭和の時代に求められた忍耐強いサラリーマンタイプの人間を養成することには貢献したかもしれないが、今の時代には合わない」(岡田氏)
若いうちから海を渡る選手が増える、との岡田氏の予測通り、森井選手は米球界に直行、佐々木麟太郎選手(岩手・花巻東高出)は米国の大学に進んだ。
突出した才能にとって、日本の居心地はどうなのだろう。近鉄入団から4年連続最多勝を挙げた野茂投手の昇給は緩慢だった。数年後、企業社会では青色発光ダイオードの開発者、中村修二氏と会社の間で、発明の対価をめぐる係争があった。ノーベル賞級の研究者が海外に活躍の場を求めることと、どこか符合する野茂投手の渡米だった。
この30年、改革のヒントはあったのに、と悔やまれる。しかし、日本の野球も社会も“試合終了”となったわけではない。小林氏はオーナー企業を広く世界に求めるなどすれば、プロ野球にはまだ可能性がある、とする。「発展が続くアフリカで野球の種をまくといった成長戦略もある」(瀬戸山氏)。一般の企業に通じる話かもしれない。
サークルを脱し、正面から時代に向き合えばピンチをチャンスに変えられる。米球界に飛び込んだ森井選手らの勇気に学びたい。
篠山正幸
岡田真撮影
【図・写真】メジャーで活躍する大谷選手ら日本人選手を一目見ようと
大勢のファンが東京ドームに集まった(3月)
NIKKEITheSTYLE――機上で極上フレンチ(極上事始)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 12ページ 365文字 PDF有 書誌情報]
機上で極上フレンチ 仏エールフランスは東京・銀座のミシュラン三つ星レストラン「ロオジエ」のエグゼクティブシェフ、オリヴィエ・シェニョンさんが監修する機内食メニューの提供を始めた。対象は羽田空港発パリ行きのファーストクラスとビジネスクラス、関西国際空港発パリ行きのビジネスクラスで、極上の一皿を空の上で楽しめる。
3月下旬から提供している2025年の春夏メニューではメインの一皿として、ファーストクラスで「クエのシャンパーニュソース添え」(写真)を、ビジネスクラスで「山形豚 フィレ肉のロースト」を味わえる。シェフによると、ビジネスクラスではボリュームを、ファーストクラスでは日本らしい繊細さを意識した料理となっているという。季節によって提供メニューは変わる可能性がある。
エールフランスサービスライン
TEL 03・6634・4983
NIKKEITheSTYLE――夏らしいカラフルなアイテム(催事祭事)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 12ページ 346文字 PDF有 書誌情報]
夏らしいカラフルなアイテム イタリアのファッションブランド「トッズ」が、2025年春夏コレクションのイベントを開催している。イタリアの海辺のリゾートを再現した空間で、カラフルなバッグやサンダルなどを紹介する。
ポップアップイベント「トッズ イタリアン サマー」では、夏にふさわしいアイテムが多数そろう。手編みの技術の高さを感じさせる、ラフィア(ヤシの葉の繊維)風素材をクロシェ編みしたバッグはイエローが日本限定色(写真、価格は18万5900円)。サンダルは軽量素材を使用し、バリエーション豊富に登場する。
イベントは日本橋三越本店で23~29日に展開。5月には、7~13日に伊勢丹新宿店と阪急うめだ本店で、21~27日には銀座三越で開催される。
トッズ・ジャパン
TEL 0120・102・578
NIKKEITheSTYLE――Book 三島由紀夫「仮面の告白」(名作コンシェルジュ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1078文字 PDF有 書誌情報]
日本中の注目を集めながら、45年の人生を自分自身で終わらせた三島由紀夫。残した作品よりも、むしろその衝撃的な死に方のほうが、今ではよく知られているだろう。1990年生まれの私にとって、常に死者として存在していた三島が、しかし最近になって、死者を超えたものに変貌している実感がある。それは経験したことのない鮮烈な感触で、永遠に固定されたはずの我々の関係性が変化しつつある事実に、私自身も驚いている。インターネット上に大量に転がる、裸体を含むその写真や肉声や映像が、いっそう彼の生と死を曖昧にする。
生誕100年を迎え、今年新たに復刻版が刊行された『仮面の告白』は、通常であれば墓場まで持っていきたいような恥ずかしい性癖や欲望のありようを、乱暴に読者に投げつけるように小説化した自伝的作品だ。過剰な自己観察による過剰な言葉の連なりは、そのまま誰もが普遍的に抱く、思春期の過剰に拡大する自意識を追体験させる。
「実は私……なんです」と、他人から告白を受けたことのある人は同意してくれるはずだが、大抵の告白には「実は」ともったいぶるほどの内容などない。当人からすれば決死の覚悟で打ち明ける超極秘情報であったとしても、聞かされる方としては退屈な場合がほとんどだ。そんなハードルの高い告白話に読者を瞬時に引き込んでしまうのはやはり作家の才能であり、本書の冒頭など、すべての告白者が見習うべき手本のような始まりだと思う。「永いあひだ、私は自分が生れたときの光景を見たことがあると言い張つてゐた」
今は死語になっていそうだが、私の学生時代は「告る」という言葉がさかんに使われていた。一般的な意味での「告白」とは違い、おおむね「意中の相手に好意を伝え(好きです)、交際の許諾を要請する(付き合ってください)」行為を指してそう言った。冷静に分解してみると、自分の欲望を受け入れるよう相手に懇願する、わりと無礼で不愉快な行為ではないだろうか。もし最近、勇気を出して告って玉砕した人がいるなら、本書を手に取ってみるといいかもしれない。こちらの「告白」に比べれば、単純な「告り」など数のうちには入らないし、何より真の告白は、他者の許しなどまったく必要としないものだとわかるだろう。告白とは、自分の弱さと向き合い、自分に許しを与え、自分自身を最も愛するためにする。そして自分の生を他者に譲渡しないため、他者という逃げ道を断つためにするものだ。三島はそれをやった。やりすぎた。その後の華麗なキャリアも過剰な最期もすべて、この美しい告白によってすでに方向付けられていた。
小説家 九段理江
NIKKEITheSTYLE――CROSSWORD[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 17ページ 602文字 PDF有 書誌情報]
1 1598年春に豊臣秀吉が催した、○○○の花見
2 無色で刺激臭のある不飽和アルコールの代表、○○○アルコール
3 落雷を避けるためのまじないに唱える、菅原道真の所領に由来するともされる地名
4 卑弥呼の墓とする説もある、奈良県にある最古の前方後円墳の一つ
6 国際政治の本質を「権力をめぐる闘争」と規定し、「国益」の概念を導入した、ドイツ生まれの米国の国際政治学者
8 つやのあるうわぐすり、○○○○釉(ゆう)
10 「刷新」を意味する、1986年以来のベトナムの改革政策
12 サワラの小さいものの呼称
16 明治以降は私称となった、大寺の住職の公称。天台○○など
2 連歌・連句の最後の七・七の句
5 黒焼きは「惚(ほ)れ薬」といわれる両生類
7 出世魚ブリの、東京地方での最初の呼称
9 「4以上のすべての偶数は2つの素数の和で表すことができる」という、整数論における未解決問題の一つ、○○○○○○○の予想
11 多く修験者が用いる、もむと高い音が出る○○○○数珠
12 カンツォーネ・コンクールの開催地として知られる、イタリアの保養地
13 果実・根皮・葉を強壮や解熱などに用いるナス科の植物
14 技は多いが一つも役に立つものがないということわざ、○○の技(ぎ)
15 陶淵明の作「帰去来辞」の冒頭の書き下し文、「かえりなん○○」
17 ギリシャ語アルファベットの第8字
18 ありえない、予期せぬ出来事のたとえ、ブラック○○○
NIKKEITheSTYLE――サム・ギリアム「The Flow of Color」(GallerytoGo)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 17ページ 0文字 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――ルソーと素朴派の「発見」(上)画家と画商、独創に弾む心(美の粋)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 14ページ 3474文字 書誌情報]
決まった技法やモチーフ、既成概念にとらわれず、独学で描いたアンリ・ルソーと素朴派の画家たち。彼らの作品の魅力が「発見」されていく過程を追いかけると、絵を描くこと、そして見ることの驚きや喜びがあふれ出す。
1人の画商の話から始めたい。
ヴィルヘルム・ウーデ。
1874年、ドイツに生まれる。法学を修めたのちに、美術史を学ぶ。アートを愛する彼は1900年代初頭に、パリへと渡った。
当時の前衛画家たちと交流。絵を買っては売って、資金を作って、独自の審美眼で作品収集を進めていった。
ある時、風変わりな絵を気に入って購入。若き日のピカソの作だった。のちにピカソとも友人になる。ピカソはキュビスムの技法で描いた「ヴィルヘルム・ウーデの肖像」を残している。
1908年、ウクライナ出身の女性、ソニアと知り合い、結婚する。ウーデは活動資金が必要で、家が裕福なソニアは国へ帰りたくなかった。ウーデは同性愛者で、互いのための「偽装結婚」であったとされる。彼女はのちにウーデと離婚して、画家、ロベール・ドローネーと結婚。今ではソニア・ドローネーという名が知られている。
ウーデが税関吏の日曜画家、アンリ・ルソーを知ったのは、ロベール・ドローネーを通じてのようだ。ルソーの「蛇使いの女」を見たとされるウーデは、その筆致の独創性に魅せられた。うっそうとした密林と女性の姿が、どこか異国情緒を呼び起こすような作品だ。
ウーデはルソーの生前唯一の個展を企画するが、残念なことに客はひとりも来なかった。ウーデが招待状に、場所を書き忘れたためだという。
ルソーは、市内への物品の出入りを課税のために見張る下級官吏だった。本格的に絵画に取り組んだのは40歳を過ぎてからといわれる。
無審査が建前で、出品料を支払えば、誰でも出品できた「アンデパンダン展」に、ルソーは1880年代から出品を続けていた。同展には、官展の「サロン」に対して、革新をめざす芸術家たちも出品していた。
遠近法などの技法を無視したルソーの作品は、嘲笑と揶揄(やゆ)の対象ともなったが、詩人アポリネール、画家のピカソ、ブラック、画商のウーデといった支持者を得ていく。彼らと知り合ったとき、ルソーは60歳を超えていた。
「エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望」はウーデが愛したという1枚だ。
赤からオレンジへ、うつろいゆく空の色に引き込まれる。エッフェル塔を背後に抱く、セーヌ川の流れ。岸辺には山のような形に積まれた工事用の建築資材……資材? なぜそんなものが描かれているのか。
本作を所蔵するポーラ美術館の今井敬子学芸部課長は「ルソーは当時から、他の誰も描かないようなモチーフに着目して描いています」と話す。
トロカデロ宮殿は1878年のパリ万国博覧会の主会場。エッフェル塔も同時代に展望塔として建造された。
ルソーのモチーフとして、ジャングルの光景のイメージは強いが、彼はパリという「発展する都市」の画家でもあった。工事用資材のほかにも、飛行機や飛行船、気球……自分の生きた都市が近代化していく情景を、自由にリアルタイムに描いた。
女性や歴史などを写実的に描くのが一般的であった時代に、絵とは何を描くものなのかという前提を軽々と超えていった。ルソーは単なる「日曜画家」ではなく、新しい画家だった。
一方のウーデは画商であるだけでなく、批評家でもあった。ルソーの死後は、いち早く彼の評伝を書いた。
今井さんは「ウーデには画廊を経営して稼ぐというタイプの手腕は、あまりなかったようです。秀でていたのは、むしろ画家の制作に寄り添う力だったのではないでしょうか」とみる。
しかし1914年、第1次世界大戦が勃発。ドイツ出身のウーデは敵国人とみなされ、フランス出国を余儀なくされる。ルソーのほか、ピカソ、ブラック、マリー・ローランサンらの作品がそろう彼の貴重なコレクションは接収され、競売にかけられてしまった。
第1次世界大戦が終わると、ウーデはフランスに戻ってきた。過去のコレクションは散逸した。それ以後に熱中したのが、美術教育を受けずに、独学で描く画家たちの作品だ。
セラフィーヌ・ルイの作品は見る人に強い印象を与える。目にしみるような色彩の奔流。赤、黄、青と燃えるような筆致、執拗なまでの反復。「楽園の樹」には、彼女の内面のいかなる情熱が映るのか。
セラフィーヌは1864年、フランスで、豊かではない時計職人の娘として生まれる。北部の町サンリスで、修道会での奉仕活動に身を捧(ささ)げ、家政婦として生計を立てる。ウーデとは戦争前にすでに知り合っている。偶然にもウーデが休息のために滞在した先で、家政婦として働いていたのだ。
「セラフィーヌとの出会いで、職業画家だけが絵を描くのではないと、気付かされたのではないでしょうか」
元世田谷美術館学芸員で、素朴派に詳しいハーモ美術館の遠藤望館長は思いを馳(は)せる。
「一日の仕事が終わり夜が更けると、セラフィーヌは絵を描く。描けば描くほど、画布は大きくなって行く。秘密裡(り)に、人の視線から隠れて描く。
音程の外れた鼻声で賛美歌を唸(うな)る。(中略)声と仕種(しぐさ)が交差する。その時、画布は描かれた祈りとなる。」
評伝「セラフィーヌ」(フランソワーズ・クロアレク著、山形梓訳、未知谷)には、制作の様子がこう描写される。
日本には数少ない彼女の作品だが、開館以来、素朴派の収集に力を入れてきた世田谷美術館が所蔵している。「枝」では、鮮やかな黄色を背景に、画面を斜めに横断する植物が描かれる。
「彼女のレシピ、薬品の配分、色彩構成、絵の具、顔料等については何も知られていない。そして、彼女が絵を描いている姿を見た者はいない。」(同前)
セラフィーヌにとって絵を描くことは、聖なる行為であったのかもしれない。特徴的な色彩は、エナメル塗料の一種によるものと考えられている。礼拝堂で聖母マリアに捧げられて燃える聖油が加えられていたとも指摘される。
ウーデは彼女の制作を支援した。しかし1929年の世界大恐慌が起こると、財政的な援助を続けることが難しくなる。セラフィーヌは次第に精神に異常をきたすようになり、最後は病院で亡くなる。
1920年代後半、ウーデは、セラフィーヌを含む幾人かの画家の作品を紹介するグループ展を開いた。ウーデは彼らのことを「聖なる心の画家たち」と呼んだ。現在「素朴派」と呼ばれる描き手が世に出るきっかけとなったもので、紹介された面々には多様なバックグラウンドがあり、絵以外の仕事を持ちながら描いていた。
「庭師ボーシャン」と呼ばれたアンドレ・ボーシャンは苗木商。父親から家業を継いだ。第1次世界大戦に従軍中、製図に能力を発揮したことから絵を描き始める。神話や歴史がモチーフだった。
彼の作品の中では人物よりもむしろ、木や花、植物が生き生きとしているように見える。ウーデより先に、建築家ル・コルビュジエらから注目されていた。
カミーユ・ボンボワは船頭の息子で、10代から絵を描き始めた。荷担ぎなどの肉体労働、大道芸人といった職を転々とした。パリのモンマルトルで自作の絵画を売っていたようだ。
池の中に落ちた帽子を拾おうと、草の上に腹ばいになって手を伸ばす女性。一緒にいる女性は服の裾をめくり上げ、弾むような空気感が伝わる。
ルイ・ヴィヴァンは郵便配達人。自身がよく知るパリの町並みを直線的に表した。
遠藤さんは「素朴『派』と言っても、特定の流派があるわけではありません」と指摘する。
「彼らはそれぞれが単独で、互いに関わることもなく、自分の思うように描いていました」
ウーデは第2次世界大戦中は南仏にひっそりと暮らし、1947年に亡くなった。なぜウーデは彼らの作品に惹(ひ)かれたのだろうか。
「ウーデ自身も『アウトサイダー』であったことが影響しているのではないでしょうか」と遠藤さん。母国になじめなかったが、フランスに来ても異邦人だった。性的少数者でもあった。
世田谷美術館の樋口茉呂奈学芸員は「素朴派の作品を見ることは、生きる上で欠かせない創作の原点に触れること。現代の私たちの生活にも通じる面があると思います」と話す。
どうしてその絵に惹かれるのか。
なぜ絵を描かずにいられないのか。
画商にとって、あるいは「発見」された画家たちにとっても、自分でも知らなかった自分自身を見いだしていく道のりだったのではないか、と想像せずにはいられない。
増田有莉
NIKKEITheSTYLE――よみがえったニット[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2256文字 PDF有 書誌情報]
フランスの富裕層の間で「新生児にはモリを」といわれてきた、ベビー服などニットの老舗「molli(モリ)」。高いブランド力と裏腹に経営は苦境にあったが、一人の女性の手で再興された。大人の女性からも愛されるブランドとして再出発し、今年で10年になる。
モリはもともとスイスに1886年に生まれた女性用高級ニット下着のブランドで、品質の高い毛糸と仕上がりの良さゆえ世界各国に輸出されていた。1936年に、ニットの衣類や帽子など新生児向けのセットをメインにベビー部門に進出した。
こうしたものは当時、妊娠中の女性が自ら、素人にも簡単な鹿の子編みで編むのが常だった。モリはこの鹿の子編みを踏襲しつつ、下着作りのノウハウと機械を用いて、繊細で通気性のよいベビー用品を提案したのだ。評判の高さは、現オーナーのシャルロット・ドゥ・ファイエさんが第2子を出産した12年前も同じだった。
彼女がモリを買収することになったのは、夫が用意した品を取り換えにモリのブティックに行ったことがきっかけだった。化粧品大手ロレアルでマーケティングを担当していた彼女は、この時ちょうど「起業休暇中」だった。これは会社との契約を中断して自分のプロジェクトを進め、うまくいかなかった場合も期限内なら以前の肩書と給与で元の仕事に戻れるという休暇システムだ。
「モリには歴史があり、サヴォワールフェール(職人の技)があり、イメージもとても美しい。どちらかというと知る人ぞ知る、控えめな存在でもあり、私の好きなブランドでした」と語るシャルロットさん。ブティックに入ったとき、ここでマーケティングの仕事ができるかもしれないと感じ、モリについて調べてみた。そして在庫の販売を続けているだけの、消滅寸前の状態であることを知る。
早速、創業家から1990年代にモリを継いだ当時のオーナーと交渉し、ブランドを取得。当時34歳だった彼女が、自己資金で行った買収だった。こうしてブランドを立て直し始めたのだ。
女性用プレタポルテを始めよう! 再興するにあたってブランドの遺産である新生児服を続行するだけにとどまらず、発展を求めて思い立ったのがこのアイデアだった。鹿の子編みも大人の女性のニットに取り入れ、さらに既存の300近い編み方をベースに新しい編み方を考案してカラフルなプレタポルテを女性たちに提案しようというものだ。
「モリの創業当時、『伸縮性があり、エレガントで快適』というのが下着の広告のうたい文句でした」とシャルロットさん。この特長と品質の高さを、メゾンのDNAとして今も守り続ける。そしてニットといっても「防寒のための厚手のセーターといったイメージではありません。私の周りの女性たちに着想した、活動的な現代女性が子供の学校への見送り、オフィス、そしてパーティーにも着て行けるというコレクションなのです」。
1年の準備期間の後、15年に最初のコレクションを発表した。今や日本のセレクトショップなど13カ国で販売され、各国に固定ファンがいる。豊富な色彩と、シーズンごとに生まれる独自の編み方から一目で「モリのニット」とわかる憧れのブランドとなった。例えば青やオレンジなど様々な色が立体的に編まれた春夏のセットアップは「ゼリージュ編み」で作られている。ゼリージュとはこの編み方の着想源である、モロッコの色鮮やかなタイルのことだ。
最近ではコットンなども使用していて、製作するのは伝統的な編みの技術を持つイタリアとフランスのアトリエだ。新しい編み方はシャルロットさんとモリのデザイナーが考え、アトリエと連携して形にしてきたが、アトリエから新たな編み方の提案が来るようにもなってきた。
ブランドの成長の背景には、倫理面での意識の高さが支持されたこともある。シャルロットさんがモリを取得してすぐにしたことは、毛糸の納入業者に会い「モリのウールはミュールジングフリーであってほしい」と伝えることだった。10年前、業界では羊への虫の寄生を防ぎウールの生産性を高めるため、子羊の臀部(でんぶ)の皮膚を無麻酔で切りおとすミュールジングが普通に行われていた。
「ミュールジングフリーの毛糸だと価格が上がり、納入にかかる時間が長くなり、かつ色数も制限されます、と言われました。でも仕方ないわ、と。これは私にとって譲れないポイントでしたから」。その時から10年、今では多くのブランドがミュールジングフリーのウールを使うようになったという。また彼女は買収後、モリの品を編んでいたアトリエにもすぐに出向いた。働く人々が正しい対価を得られることを掲げた倫理憲章にサインをもらったのだ。
シーズンごとの商品は、各国のバイヤーからの注文と、直営店で販売するのに必要なだけの糸を購入し、編むことによって、廃棄を抑えている。持続可能なブランドとしてできる限りを行っているものの「あいにくとインターネットでの海外購入者のための飛行機輸送については、どうにもできなくて」と残念がる。
さて4月29日、シャンゼリゼ大通りから遠くない場所に4軒目の路面店がオープンする。パリ市内のほかの3軒が地元客相手のこぢんまりした店なのに対して、今度は約100平方メートルの広さだ。この10年を「ブランドのベースを固め、赤ちゃんが歩き始めた段階」と言うシャルロットさんはこう続ける。「これからの新章ではニットの技術と糸の開発を続けつつ、世界に向けて発展をめざします」
エディター 大村真理子
Julie Ansiau撮影
NIKKEITheSTYLE――まるごと味わうカカオ[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 19ページ 2196文字 PDF有 書誌情報]
カカオの果肉「カカオパルプ」が、注目されている。ライチやパッションフルーツのような風味があり、カカオ生産国では農家がパルプを絞りジュースを作ることもある。カカオ=チョコレートの味、と思い込んでいると、甘酸っぱいフルーティーな風味に驚くだろう。
カカオは高温多湿な熱帯の国々で収穫されるトロピカルフルーツで、実を割ると白い果肉に30~50粒の種が包まれている。チョコ向けには種を果肉ごと加工するが、南米などの一部地域では果肉だけをピューレ状に加工し輸出することがある。日本にも輸入され、活用の幅が広がってきた。
2024年12月にオープンしたデザートレストラン「nib(ニブ)」は、東京・日本橋兜町の渋沢栄一邸宅跡地に建つ日証館にある。8席のカウンターで供されるのは、チョコになる前のカカオが主役のデザートコースだ。カカオハスク(カカオの種の外皮)を水出しした香ばしい香りのお茶や、カカオバター、カカオ豆を砕いたカカオニブなどを利用した一品が味わえる。
シェフの眞砂翔平さんは、同じ建物内にあるチョコレートとアイスクリームの店「teal」のシェフパティシエでもある。カカオの可能性を探求する店を開いたきっかけは、23年にコスタリカを訪れたことだ。「産地で栽培や加工の様子を初めて目の当たりにして、現地で味わったカカオの味や、自分が知っていたこととのギャップ、感動を伝えたいと思った」と話す。
特に印象的だったカカオパルプを、多くのメニューに取り入れている。
コースの最初に出てくる「カカオの小菓子」は8種。カカオパルプの白さと味わいを表現したギモーブは「シェードツリーとカカオの実」という名で、カカオの木を日差しから守る「シェードツリー」に由来する。実際に現地でシェードツリーとなっている、バナナやライチのピューレを少し加えて南国らしい味わいを強調。口に含むとふわっと溶けて、果肉の香りが華やかに広がる。白あんとカカオ豆の油脂を練り合わせた「カカオバターのようかん」は、表面にカカオパルプを薄く塗り、ツヤとほのかな酸味をアクセントにした。
メインデザートの「カカオと海」は、10種類以上のパーツで構成される。「カカオパルプのアイスクリーム」は果肉そのものの風味が感じられる一品。カカオ豆の形をした小粒のチョコレートチーズケーキにはもち粉とカカオパルプを煮詰めた「パルプあん」と名付けたソースを添えた。甘酸っぱい果肉がとろりと絡み、チーズの酸味と調和する。
もうひとつのメインデザート「カカオといちごのパフェ」は赤と白のコントラストが美しい。イチゴに「パルプあん」をかけ、グラスの底にはカカオパルプとイチゴをあえたソースを入れた。カカオパウダーとサフランのアイス、ユズとティムットペッパー(ネパール産のスパイス)のグラニテとも調和し、香り豊か。「カカオパルプは和素材にも合う。フルーツと考えれば可能性は無限大」。眞砂さんは08年から国内の有名店で働き、洋菓子職人として17年研さんを積んだ。培った製菓技術で新たな魅力を引き出していく。
カカオから一貫製造するチョコレート専門店「ミニマル ビーントゥバーチョコレート」では、クラフトビール醸造所「T.Y.HARBOR Brewery」と共同開発した「カカオパルプエール」が人気だ。麦汁とともにカカオパルプを発酵させるフルーツビールで、シトラス系とベリー系の2種類のホップを加え、果肉の繊細な風味を際立たせている。
もともとは「チョコレートの売れ行きが鈍りがちな夏に、ゴクゴク飲めてチョコにもあうクラフトビールを」と開発された。24年4月に発売したところ、秋を過ぎても好評だったため、通年販売に切り替えたという。
代表の山下貴嗣さんは13年、フィリピンの農園で初めてカカオパルプを味わい、「カカオが果物だと直感的に理解できた」と振り返る。「カカオはフルーツであり、その種がチョコレートになるというストーリーを伝えやすい」と考え、創業以来カカオパルプを使った商品を積極的に開発してきた。23年にはカカオパルプのジュレを入れたチョコレートケーキを発売。他の果物を使わず、カカオだけで果実感を出した。
日本ではビーントゥバーが注目され始めた10年ほど前から、一部の専門店でカカオパルプのジュースが提供されていた。近年、気候変動などでカカオ豆の取引価格が高騰し、より多くの日本企業やチョコの職人たちが以前に増して産地へ目を向けるようになった。調達の仕方や流通などを再考し、カカオが「乾燥した豆」に加工される前は「熱帯のフルーツ」であるということへの理解が深まりつつある。
果肉はチョコの風味を生み出す「発酵」の工程で欠かせないが、カカオの品種や加工方法によっては果肉の一部を取り除いても支障がない。エクアドル産カカオパルプのピューレを日本へ輸出する「TAKAHASHI Trading S.A」は「カカオパルプはまだ大量に流通していないが、農園主の新たな収益源になる可能性がある。日本ではレストランの料理や焼き菓子の隠し味に使われ、活用の幅が広がっている」という。
カカオ生産の持続可能性について考えが深まっている今、素材としてのフルーツ、カカオを見つめ直せば、消費国と生産国の双方に新たな価値がもたらされるかもしれない。
ライター 市川歩美
山田麻那美撮影
NIKKEITheSTYLE――始まりと終わりのボルティモア 上原浩治[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1106文字 書誌情報]
米メジャーリーグでは複数球団を渡り歩く野球選手を「ジャーニーマン」と呼ぶ。選手時代、私は読売巨人軍から数えて日米の計5球団でプレーした。氷河期世代にあたる私と同年代の会社員の方々も、職場をこれほど転々とするのは珍しいことだと思う。いま振り返れば野球人生そのものが「ジャーニー(旅)」だったのではないか。
21年間の現役生活で国内外の様々な土地に遠征し、暮らしもした。そのなかでも愛着があったのは米東部メリーランド州ボルティモアだ。首都ワシントンDCから車で1時間ほどの場所にある、州最大の都市。私のメジャーリーグ時代の始まりの地で、引退後すぐに戻った終わりの地でもある。
巨人からフリーエージェント(FA)権を行使し、ボルティモア・オリオールズには2009年から所属した。最初は「それどこやねん」と何の予備知識もなかったが、聞くと歴史のある港湾都市で、世界的に有名なジョンズ・ホプキンス病院がある。日本からも医者の卵が学びにやってくるそうだ。
球団の紹介で最初に住んだのはチェサピーク湾近くのインナーハーバーだった。再開発された美しい港エリアで、賃貸のタウンハウスに家族3人で暮らした。球団のホーム球場に近く、治安も良いので選んだ。観光地なのに店が乱立していない。生活しやすそうで、すぐに気に入った。
日本の東北地方とさほど緯度が変わらず、四季があるのもいい。春には桜も咲く。日本人の知人の助けもあり、暮らすのに苦労はなかった。水面にヨットや水上タクシーが浮かび、ランニングする人も多い穏やかな街。海風を感じながらの散歩が心地よかった。
シーズン中は休みが取れないので、ゆっくりと街を満喫する時間は限られた。さらに所属1年目に右肘のケガで故障者リストに入り、休みの日は治療や休養に費やした。それでもボルティモア港にあるマクヘンリー要塞には数回、まだ幼かった息子をつれて行った。19世紀初め、弁護士のフランシス・スコット・キーが米国歌「星条旗」の歌詞をつくった地だと聞いた。
現役を引退し、2日後にボルティモアの自宅に戻った。山に囲まれ、庭にシカが遊びにやって来る一軒家に引っ越していた。息子が冬にアイスホッケーをしていて、私は練習や試合のために自家用車で送迎した。現役時代は明るい時間帯に運転することは少なかった。時間にとらわれない生活に、プロ野球選手としての終着を実感した。
うえはら・こうじ 野球評論家。1975年大阪生まれ。ドラフト1位で大阪体育大から巨人に入団、99年デビュー。2009年米大リーグに渡り複数球団に所属。19年現役を引退。現在は日本と米フロリダ州の2拠点生活。解説やイベントで各地を回る。
NIKKEITheSTYLE――湖畔に広がるブドウ畑 ニュージーランド[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 20ページ 190文字 書誌情報]
ニュージーランド南島にあるセントラル・オタゴ。山あいに横たわるワナカ湖の畔(ほとり)には、いくつものブドウ畑が広がり、同国有数の
ワインの名産地として知られる。ワインづくりで活気に満ちたこの地がつくりだすピノ・ノワールは国際的にも評価が高い。
〈行き方〉成田空港↓クイーンズタウン空港(オークランド経由、約14時間半)↓車で約1時間半
【図・写真】Photo/Krista Rossow
(ゴルフ)堀、単独トップ――佐久間2位、初V射程 好ラウンド5バーディー[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 585文字 PDF有 書誌情報]
前週、勝手知ったる地元埼玉の石坂GCでは2位から出た2日目にスコアを落とし、優勝争いに加われなかった。「きょうは伸ばすぞ」と12位からスタートした佐久間が5バーディー、1ボギーの好ラウンドで首位と1打差の2位タイに浮上した。
ボギースタートとなった序盤こそもたついたが、7番で7メートルのバーディートライをねじ込むと流れが変わる。3打目のバンカーショットを1メートルに寄せた9番パー5に続き、13番では5メートルを決め、17番ではチップイン。
18番では複雑な傾斜からの〝寄せワン〟でバーディーを重ねた。「パットのタッチが合っていた」
2021年6月のプロテストで岩井姉妹や桑木志帆らを抑えてトップ合格した俊英。ジャンボ尾崎に師事し、精度の高いショットで昨季は14回のトップ10入りをマークしたが、優勝にはあと一歩届かなかった。
そんな22歳が感銘を受けたのが、劇的な展開の末にロリー・マキロイが生涯グランドスラムを達成した先日のマスターズだ。「推しはコリン(モリカワ)だけれど、泣きました。勝ちたいという思いをあれぐらい出してもいいのかな」
この大会はアマチュア時代の勝みなみを始め、山下美夢有、岩井明愛、竹田麗央らが初優勝を飾り、ツアーの中心選手に駆け上がってきた登竜門。同じ道をたどれるか。
(吉野浩一郎)
【図・写真】第2日、18番でアプローチショットを放つ佐久間
上地と小田、決勝に進出 車いすテニス――ベテラン上地、中国選手に雪辱[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 311文字 PDF有 書誌情報]
2週間前の韓国での大会決勝で負けた王に雪辱を果たした上地は「引き出しが自分の方が多かった」と30歳のベテランらしく振り返った。
最初の2ゲームを失った後、3―2と盛り返しての第6ゲーム。3連続リターンエースを決めながら、最後は線審の「アウト」のコールを主審が覆してゲームを落とした。不満が思わず声に出てしまったが引きずらず、冷静に球を打つポジションを修正して第1セットを取り切ると、第2セットは圧倒した。
パリ・パラ後、車いすを改良中。韓国ではそれがはまらず、今も日々調整しながら乗っている状態だ。
ただ「気にせずプレーできるのが一番だが、変える時期にしっくりこないのは付き物」。パラ女王らしく、それも楽しむ風情だった。
(ゴルフ)堀、単独トップ[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 289文字 PDF有 書誌情報]
KKT杯バンテリンレディースオープン(19日・熊本空港CC=6565ヤード、パー72)
12位から出たツアー2勝の堀琴音が7バーディー、2ボギーの67で回り、通算7アンダーで単独首位に立った。
4打伸ばした佐久間朱莉のほか、永峰咲希、小林夢果が1打差の2位に並んだ。
通算5アンダーの5位に神谷そらとルーキーの徳永歩。小祝さくら、河本結は4アンダーで7位につけた。前週優勝の安田祐香、青木瀬令奈は2アンダーで20位。
1オーバー、43位までの51人が決勝ラウンドに進出し、今季初戦だった川崎春花と2戦目の有村智恵は予選落ちした。
横峯さくらと山路晶がホールインワンを達成した。
17歳・岸が新女王 全日本体操女子――13歳の南埜、3位[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 236文字 PDF有 書誌情報]
予選に続いて3位に食い込んだ13歳の南埜は「ちょっとびっくり」と笑った。安定感のある演技でミスなくまとめ、得意の段違い平行棒は「離れ技の高さが出せた」と全体3位の高得点。「すごく緊張して、失敗しないかなと思ったけど、練習通りにと頑張った」とうなずいた。
クラブの先輩の中村がパリ五輪に出場し、「自分もあの舞台に立てたら」と夢を抱く。年齢制限で10月の世界選手権には出られないが、「今年は世界ジュニアの個人総合で金メダルを取りたい」。初々しくも、はっきりと目標を口にした。
上地と小田、決勝に進出 車いすテニス[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 217文字 PDF有 書誌情報]
車いすテニスのジャパンオープンは19日、福岡県飯塚市のいいづかスポーツ・リゾートで第5日を行い、女子シングルス準決勝は第1シードでパリ・パラリンピック優勝の上地結衣(三井住友銀行)が第3シードの王紫瑩(中国)を7―5、6―0で下し、10大会連続の決勝進出を決めた。
男子シングルス準決勝ではパリ金メダルで第1シードの小田凱人(東海理化)が第4シードのダニエル・カベルサスチ(スペイン)を6―0、6―4で破り、3年連続で決勝に進んだ。
(ゴルフ)堀、単独トップ――粘りのゴルフ、小林夢がV争い[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 204文字 PDF有 書誌情報]
首位と1打差から出た21歳の飛ばし屋、小林夢が粘りのゴルフで優勝争いに踏みとどまった。今季ツアー5位の平均飛距離を誇るドライバーを引っ掛けて谷や林に打ち込みながらもパーでしのぎ、16、18番のバーディーで最終日最終組に滑り込んだ。
ジャンボ尾崎の指導を受け、同じ最終組の佐久間とは同門対決。「運にも助けられたきょうのようなゴルフじゃダメ。ティーショットがカギになる。絶対負けないんだから」と闘志を燃やした。
17歳・岸が新女王 全日本体操女子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1066文字 PDF有 書誌情報]
体操の世界選手権(10月・ジャカルタ)代表2次選考会を兼ねて個人総合で争う全日本選手権第3日は19日、群馬県の高崎アリーナで女子決勝が行われ、17歳の岸里奈(戸田市SC)が合計108.431点で初優勝した。昨年2位でパリ五輪代表の岸は4種目合計54.165点で、17日の予選に続きトップだった。
25歳の杉原愛子(TRyAS)が0.933点差の2位で、大阪・相愛中2年の13歳、南埜佑芽(なんばク)が初表彰台の3位に入った。ともに昨夏のパリ五輪に出場した中村遥香(なんばク)は5位、岡村真(相好ク)は6位。昨年初優勝した宮田笙子(順大)は予選の21位から7位に上げた。
女子の代表は4枠で、今大会の上位24人が最終選考会を兼ねる5月のNHK杯に出場する。
◇
床でミスも「余裕あった」
「最後は少し格好悪い終わり方になったが、すごくうれしい」。最終順位が確定するまで硬い表情を崩さなかった岸。待ち焦がれた初の賞杯を手にすると、ようやく喜びの実感が湧いたように頬を緩めた。
ラストの床運動。終末技の屈伸2回宙返りの助走前に足がラインをはみ出してしまい減点、着地も両手をついた。理想の結末とはいかなかったが、ミスが出ても戴冠を譲らないだけの確かな地力があった。2位だった去年と比べて「余裕を持った感じがあった。そこは成長したのかな」。
出だしの跳馬はパワフルなひねり技を決め、予選で着地を失敗した段違い平行棒は丁寧に演技をやり切り、ともに全体1位のスコアをマーク。床運動のH難度「シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)」は高さも着地も会心の出来だった。
昨夏のパリ五輪は直前で離脱した宮田に代わる主軸として、世界の舞台で大きな経験を積んだ。ただ、すぐに次のステップへ、とはすんなりいかなかった。指導する豊島(旧姓菅原)リサ・コーチは「夢だった五輪に出場して、(大会後は)体と心がついてこないところがあった」。
どこか燃え尽きてしまった部分があったのだろう。調子はなかなか上向かなかったが、この大一番に挑む中で豊島コーチは変化を感じたという。「自分で黙々と準備を進めていた。優勝を狙う気持ちを持って演技に挑めていた」。2028年ロサンゼルス五輪に向け、日本の頂点に立つ覚悟が固まったということだ。
決勝の床運動の悔しさも、自らの潜在力に気づく機会となったようだ。「まだまだミスがあるので、もっと上に行けるっていうことが分かった」。新たなニッポンのエースとして自覚をにじませた。
(佐藤淳一郎)
【図・写真】岸は床運動でH難度の大技を決めた
(サッカー)京都、初の暫定首位――「後半が勝負」 新潟に逆転勝ち[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 406文字 PDF有 書誌情報]
敵地で敗れた浦和戦から中2日の日程に屈することなく、京都は「後半が勝負」との曺貴裁監督の狙いを体現した。20日に9試合がある第11節を終えて首位なら、消化試合が多いながらもクラブ初の快挙。監督は「シーズンがこれで終わってほしい」との冗談の後、「歩いてきた道が間違っていなかったと肯定できる」と胸を張った。
ハイプレスを仕掛け続け、PKの1失点で折り返した。「自分たちらしく戦っていれば、(後半に)相手がどんどん落ちて自分たちは動ける」と主将の川崎。足が止まった新潟と対照的に攻勢に出た。
73分、相手DFに競り勝ったラファエルエリアスが左からのパスを1タッチで決めて同点。86分に相手の連係ミスを突いた奥川が流し込んで追加点を奪った。
17日時点で1試合平均スプリント回数はリーグトップ。中2、3日で立て込んだ7試合も走り負けず、5勝1分け1敗で乗り切った。奥川は「地に足を着けて頑張りたい」と気を引き締めた。
(ゴルフ)山下4位、2打差 米女子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 320文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米女子ゴルフのJMイーグルLA選手権は18日、ロサンゼルスのエルカバレロCC(パー72)で第2ラウンドが行われ、24位スタートの山下美夢有が65とスコアを伸ばし、通算11アンダーの133でトップと2打差の4位につけた。
勝みなみと岩井明愛、千怜の姉妹が通算9アンダーの12位。畑岡奈紗が8アンダーの20位で、竹田麗央と吉田優利が6アンダーの43位。西郷真央は5アンダーの54位、古江彩佳は4アンダーの61位で決勝ラウンドに進んだ。
渋野日向子は3アンダー、西村優菜と馬場咲希はイーブンパーで予選落ちした。
通算13アンダーの首位にアシュリー・ブハイ(南アフリカ)とイングリッド・リンドブラト(スウェーデン)が並んだ。
(サッカー)京都、初の暫定首位[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
京都は2―1で新潟に逆転勝ちし、勝ち点21で暫定首位に立った。前半に先制を許したが、後半にラファエルエリアスと奥川が得点した。ホーム初白星を逃した新潟は勝ち点8のまま。
代打・万波が不振一掃弾 「集中力」期待 起用応える(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 665文字 PDF有 書誌情報]
今季18試合目で初めてスタメンを外れた日本ハム・万波の出番がやってきたのは2―2の八回2死一、二塁。代打で出ると、オリックスの右腕ペルドモの初球を振り抜いた。左越えの決勝3ラン。持ち味の思い切りの良さ全開の一振りが、対オリックス戦の今季初勝利を呼び込んだ。
打撃不振に苦しむ中、「シーズン序盤はうまくいかないこともあるだろう」と先発落ちを冷静に受け止め、目の前の勝負に集中した。「1打席しかない。なるべく早く前に飛ばしたい」
前打者の代打・郡司が内角をツーシームで執拗に攻められているのを見て「僕への布石」と感じ取り、スライダーに山を張った。「甘い球が来たら思い切りいく」。読み通りの狙い球を見事に振り抜いた。
なかなか状態の上がらない25歳にリフレッシュの機会を与えた新庄監督は、過去の打席から万波の代打適性の高さに注目していた。「集中力がある。走者がいる場面で出すよという話はしていた」という指揮官の期待に満点回答を出した。
好不調の波が激しいのは万波自身も認識しており、威勢の良くなりそうな最高の一発にも「日々頑張る」と謙虚だ。今季の目標に掲げるのは全試合出場。存在感を改めて示した決勝弾を「首の皮一枚つながったのは大きい」と素直に喜んだ。
同じ八回には、左脇腹の違和感で離脱していた同学年の水谷にも待望の今季1号2ランが飛び出した。「(万波の)流れに乗っていきたかった」と水谷。右の長距離砲2人がそろい踏みして首位に快勝。臨戦態勢が整ってきた気配が漂う。
(常広文太)
【図・写真】代打・万波が左越えに勝ち越しの3ランを放つ
西武・隅田、9K完封(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 368文字 PDF有 書誌情報]
救援陣が慌ただしく肩をつくる必要がないほど、西武・隅田は出色の出来だった。無四球、9奪三振の完封。最後を見逃し三振で締めると、マウンドではにかんだ。
3度あった先頭打者の出塁はいずれも火消しが早かった。連打を許した三回1死二、三塁は「最少失点で(抑えよう)と思ったが最高の結果になった」と連続三振。五回無死二塁でも2三振を奪って進塁を許さず、六回も併殺で事なきを得た。カーブを有効に使ってカウントを整え、勝負球のチェンジアップをミスなく低めに制球。打線の援護も1点で十分だった。
継投で無安打に封じた前日に続く先発の好投。「うまく緩急を使ってタイミングを外し、相手の打ち気をそいでいた」と西口監督。チームを2年ぶりの4連勝に導き、早くも3勝目を挙げた左腕をたたえていた。
【図・写真】今季初完封で3勝目を挙げ、ガッツポーズする西武・隅田
救援踏ん張れず、ヤクルト5連敗(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 223文字 PDF有 書誌情報]
序盤に先制したヤクルトだったが頼みの救援陣が崩れ、今季ワーストの5連敗を喫した。3―2の七回、今季登板6試合で無失点だった木沢をマウンドに送ったが、痛恨の勝ち越し二塁打を浴びた。八回はバウマン、九回は矢崎がそれぞれ1失点。接戦で踏ん張れなかった。
打線に頼れない現状では、救援陣の奮起が欠かせない。高津監督は「1つのアウトを取ることの難しさ、1点を守ることの難しさが凝縮されている最後の3イニング。結果がこうなったらしょうがない」と唇をかんだ。
広島・床田7回無失点 ピンチにも冷静(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 216文字 PDF有 書誌情報]
2年ぶりの完封を果たした前回登板の巨人戦に続き、広島の床田が7回被安打6で無失点の好投を見せた。六回2死満塁のピンチでも「(力まないように)抜き気味に投げた」と冷静に大山を遊ゴロに打ち取った。開幕2戦目で敗れた阪神にリベンジする1勝にもなった。
首位のチームは貯金を5とし、混戦を半歩抜け出した感がある。それでも30歳の左腕は「まだ始まったばかり。チームがしんどいときに自分が(悪い流れを)止められるようにしたい」と頼もしかった。
未対戦馬「1強」崩すか(ターフの目)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 471文字 PDF有 書誌情報]
近年は有力馬が前哨戦に出走せずGⅠに向かう臨戦過程が定着。人気のクロワデュノールも2024年末のホープフルステークス(GⅠ)以来の実戦となる。休養期間中に、これまで破った相手が次々と重賞やオープン特別で好走。自然と同馬の評価は上がり、「1強」ともいえる構図が形成された。
ライバルの走りで実力の高さが改めて示された格好だが、逆にいえば序列ははっきりした印象で、対戦経験のある馬がクロワデュノールを逆転するのは難しそう。1強を崩すとすれば未対戦馬だろう。
エリキングは3戦3勝の素質馬。前走、24年秋のラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(G3)で優勝した。当時2着のジョバンニはホープフルSでも2着。この比較からも能力の高さがわかる。骨折明けだが軽傷で、調教ではしっかりと負荷をかけられた。
ミュージアムマイルも面白い。前走の弥生賞(G2)は馬群の外側を回ったこともあり4着に敗れたものの、適性より短い芝1600メートルのGⅠ、朝日杯フューチュリティステークスで2着に入ったように地力がある。休養明け2戦目で体調も上向きだ。
(関根慶太郎)
フィギュア国別対抗 日本2位、米が優勝[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 890文字 PDF有 書誌情報]
フィギュアスケートの世界国別対抗戦最終日は19日、東京体育館で行われ、日本は順位点合計110点で、126点の米国に次ぐ2位だった。ペアで3月の世界選手権を制した三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)はフリー1位。自己ベストの145.06点をマークした。
女子フリーの坂本花織(シスメックス)は145.00点で3位、千葉百音(木下アカデミー)は138.52点で5位。世界女王のアリサ・リュウが1位、グランプリ(GP)ファイナル覇者のアンバー・グレンが2位と活躍し、米国の2大会連続6度目の優勝に貢献した。3位には86点のイタリアが入った。
2年ごとの開催で6カ国が参加し、男女各2人、ペアとアイスダンス各1組が出場。過去2大会連続3位だった日本は4大会ぶりの頂点に届かなかった。
◇
世界選手権閉幕からまだ3週間余り。合間にアイスショーを挟んだ選手も多く、大会が進むにつれて疲労が色濃くにじんできた。それは世界王者に返り咲いた三浦、木原組も例外ではなかった。
序盤の見せ場となる3連続ジャンプでは、1本目の3回転トーループで2人のタイミングがずれて回転不足に。後半に入っても細かなジャンプミスが続き、曲が鳴りやむと三浦の体はよろけ、木原は氷上にへたり込んだ。「世界選手権後の練習量が足りず、体力面(の甘さ)が出た」と木原は苦笑い。
それでも得点はSPに続き自己ベストを更新。特に演技構成点では初めて3項目全てで9点台の高評価を得た。
昨季はそろって故障に悩まされ、この1年は「ケガなく滑りきること」(木原)に主眼を置いてきたが、苦節を乗り越えた2人のコンビネーションは大会を重ねるたびに円熟味を増している。
1年かけて基盤を固め直し、来季はジャンプやリフトの難易度を引き上げる予定だ。
目指すところはフリーで150点の大台。「まだまだ滑り込みが必要。今回の結果を受けていろいろと改善していきたい」(三浦)と2人に慢心はない。今や日本チームの大黒柱となった黄金ペアはこの上ない充実期を迎え、五輪シーズンに入る。
(堀部遥)
【図・写真】演技する三浦(上)、木原組。演技構成点で高評価を得た
(大リーグ)大谷が産休、今季初欠場 復帰時期は未定[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 404文字 PDF有 書誌情報]
【アーリントン(米テキサス州)=共同】米大リーグのドジャースは18日、大谷翔平(30)を産休制度「父親リスト」に入れたと発表した。大谷は昨年12月末に妻真美子さん(28)が第1子を妊娠したことを公表していた。ロバーツ監督は「いつ(戦列に)戻ってくるかは分からない。子どもの誕生に向け、2人は一緒にいる」と説明した。
同日にテキサス州アーリントンで行われたレンジャーズ戦で、大谷は今季初めての欠場となった。チームは3―0で勝利。先発し勝ち投手になった山本は「いつも大谷さんがチームを引っ張ってくれている。みんなでカバーして戦えた」と語った。
大谷は昨年2月に元バスケットボール選手の真美子さんと結婚したことを発表。3年連続の本塁打王が懸かるメジャー8年目の今季は20試合に出場して打率2割8分8厘、6本塁打をマークしていた。ドジャースは20日までレンジャーズと3連戦。22日からカブスとの2連戦が控えている。
(大リーグ)山本3勝目、7回を10K[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 211文字 PDF有 書誌情報]
【アーリントン=共同】米大リーグは18日、各地で行われ、ドジャースの山本はアーリントンでのレンジャーズ戦に先発し、7回5安打無失点、10奪三振で3勝目(1敗)を挙げた。試合は3―0で、チームは4連勝。大谷は妻の出産に合わせて産休制度の「父親リスト」に入り、今季初めて欠場した。
カブスの鈴木はダイヤモンドバックス戦に「3番・指名打者」で出場し、八回に5号ソロを放って5打数1安打1打点。チームは13―11で接戦を制した。
海王星のオーロラ、宇宙望遠鏡で初観測[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 318文字 PDF有 書誌情報]
米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、海王星のオーロラを撮像することに成功した。同じようにガスを主成分とする木星と土星、天王星で観測されていたが、海王星では初めてだ。オーロラは惑星の中緯度付近で確認され、海王星の複雑な磁場を現しているという。
近赤外線を捉える特殊な装置で撮像した。海王星の磁場は自転軸に対して約47度傾いている。オーロラは太陽から飛んできた太陽風のプラズマ(電離ガス)が、惑星の磁場に沿って大気に降り注ぐことによって生じる。海王星の複雑な磁場の起源や傾きの謎を解明する手掛かりになる可能性がある。
【図・写真】海王星の観測画像(左)に撮像したオーロラ(青緑色)のデータを合成した=NASAなど提供
多様な列島、鳥・虫が激減 人間が及ぼす影響 解明必要(科学で迫る日本人)終[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1933文字 PDF有 書誌情報]
生物多様性に富んだ「ホットスポット」である日本列島に変化が生じている。都会では普段あまり目にしない昆虫や鳥などが大きく数を減らしている。これからの日本人を取り巻く環境はどうなるのだろう。
2005~22年度で里地や里山にいる鳥類の15%、チョウ類の33%が急速に減った――。環境省と日本自然保護協会が24年10月に公表した調査結果は衝撃的だった。スズメやイチモンジセセリなど身近な種類が環境省のレッドリストで絶滅危惧種と判定されるほどの減少率となった。
これは国際的な傾向でもある。先駆けは17年にドイツの研究チームが出した論文で「1989~2016年で同国自然保護区の飛翔(ひしょう)性昆虫の数が76%減った」と報告した。昆虫の専門家である大阪府立環境農林水産総合研究所の石井実理事長は「当時、昆虫研究者などはショックを受けたが、数字についてはほとんどの人が半信半疑だったのではないか」と振り返る。だがその後、検証が進み認められていった。
米国の鳥類保護団体は25年版の報告書で「米国の鳥類の3分の1は保護活動が必要だ」とした。3月には、00~20年に実施された7万6000件以上の調査をもとに「米国のチョウの総個体数は22%減った」とする論文が米科学誌サイエンスに掲載された。
真っ先に原因として思い浮かぶのは気候変動だろう。24年12月には米科学誌サイエンスに、30年以上にわたる研究を網羅した分析をもとに「気候変動によるセ氏1.3度の上昇で1.6%の種が絶滅の危機にさらされる。5.4度の上昇では29.7%にまで拡大する可能性がある」とする論文が載った。
日本は暑くなりやすい「ホットスポット」でもある。気象庁と文部科学省が3月にまとめた報告書「日本の気候変動2025」によると、日本の気温上昇率は100年あたり約1.4度と世界平均の約0.8度に比べて大きい。北半球の中緯度にあるため温暖化による影響を受けやすい点や、南側に暖流が流れている影響などが指摘されている。
生物が減る要因はそれだけではないだろう。石井氏は日本の生物多様性国家戦略にも挙げられている(1)開発や乱獲(2)里地・里山の荒廃(3)外来生物や農薬(4)気候変動といった要因を挙げる。まずは開発や乱獲、里地・里山の減少と荒廃が大きい。ある地域にすむ生物の量は植物の量で決まる。都市化や森林伐採が進めば生態系の基盤が縮小する。
石井氏は「日本の昆虫たちはもともとは河川の氾濫源に生息していた種類が多いと思われる」と指摘する。湿地などの開発が進み、残ったすみかが人が管理する里地・里山の畑や水田、薪炭林などだった。ただ、その管理放棄が広がる。
化学物質の影響もあるようだ。例えば農薬では、ネオニコチノイド系殺虫剤が注目されている。植物内に浸透する神経毒で、それを食べた害虫が死ぬ。ミジンコやエビ、カニなどの水生の節足動物にも作用するといわれる。プランクトンなどが死ねば、それを餌にする昆虫、鳥なども減り、生態系が崩れる恐れがある。
ミツバチなどへの影響も注目されている。「ニホンミツバチは都市部でも農薬に暴露している」。国立環境研究所の坂本佳子主任研究員は24年10月に公表した論文で指摘した。殺虫剤、除草剤など16種の化合物へのハナバチの暴露の実態を調べた。
ミツバチは様々な植物から花粉や蜜を巣に持ち帰るため周辺の農薬の残留状況をみるのに適している。実態調査では全国175カ所の巣で化合物を調べた。水田や果樹園などの農地だけでなく、都市域でも高い暴露のリスクがあった。
坂本氏は農薬の影響と同時にミツバチの病気についても目を向ける。「農薬が免疫に影響し、病気を発症しやすくなって死亡率が上がるのかもしれない」と考え解析を急いでいる。
欧州ではネオニコ系殺虫剤を使用禁止にしている国もある。日本は21年度から農林水産省や環境省などが、様々な農薬の安全性などの再評価を進めている。従来の農薬の評価は藻類や魚など水生生物への影響をもとにしていたが、ミツバチや鳥類など陸域生物への影響も加えた。
化学物質が土壌に入り、どのように巡るのか詳細を知るのは難しい。様々な化学物質との組み合わせや複合要因の解明も必要かもしれない。
人が環境に及ぼす影響は温暖化だけでなく、有機フッ素化合物(PFAS)やマイクロプラスチックなど新たな問題が次々と出ている。様々な要因が関係しており、詳細な影響を科学的に示すのは簡単ではない。
それでも「自分たちが知ることは限られる」と自覚して真相を探り続ける。豊かな生態系や環境を守るには、日本人の特徴ともいわれた謙虚さや勤勉さが欠かせない。
(松田省吾、黒田愛奈)
=おわり
科学研究の問い、どう立てる WhyとHow使い分け 永田好生(サイエンスNextViews)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1159文字 PDF有 書誌情報]
身の回りに潜むなぞを解き明かす。科学研究はもともとわくわくするものだ。しかし最近、日本の多くの科学者は「どんな成果をあげたのか」と細かに管理されて、この醍醐味をなかなか味わえないでいる。わかっていないことを知りたいという思いは研究の原動力になる。忘れずに抱き続けてほしいと願う。
もう随分昔、筆者が大学で自然科学を学び始めた頃「科学者は何をどのように研究するのかを、どうやって決めているのだろうか」という疑問にとらわれ、分野や年齢を問わず話ができそうな人たちと議論した覚えがある。
答えは1つではなく、科学者によって決め方はいろいろある。研究という活動が、芸術や文学、トップアスリートの競技などと同じように、とても人間的なものだということを、その都度実感していた。
議論しているなかで、問い方に関して記憶に残る説明があった。Why(なぜ)とHow(どのようにして)の使い分けだ。誰の話だったのかは思い出せないが「自然科学では、なぜと問うと迷路に入り込んでしまう。問い方を、どのようにして、に変えてなぞを解き明かしてきた」という内容だった。
なぜ宇宙があるのか。なぜ生命は誕生したのか。なぜ意識が発生したのか。この3つは一般に、起源を巡る科学の3大難問といわれている。
これらの難問に対し、なぜと疑問を抱くことは、答えを見いだそうとする気持ちを奮い立たせてくれる。一方で、なぞに潜んでいる目的や意図をも導き出そうとする問い方になり、物理や化学、生物など自然科学だけの議論ではおさまらなくなる。哲学や心理学あるいは宗教学など幅広い視点で解き明かさないといけない壮大な問題となってしまい、自然科学の範囲を超えてしまう恐れがある。
どのようにして、と問い直すと、自然科学の手法を用いて一歩一歩謎を解き明かしていく道が開けてくる。
仮説を立てて実験や観察を重ね、結果を検証する。新しい理論や法則を打ち出し、次の仮説や実験・観察へと進んでいく。問い方を変えて、それまで見えなかったメカニズムを見つけ出したり因果関係を明らかにしたりと、自然科学ならではの実践的な作業が可能になる。
科学研究のあり方はいま、大きく変わろうとしている。国や企業の競争力を高め経済的な発展につなげる役割は残っている。それよりも、気候変動や感染症など地球規模の課題の解決や持続的な社会への移行という、より普遍性の高い問題にどう関わっていくのかが問われている。
半面、成果を競う情報が氾濫しすべてに目を通すことは不可能だ。データを偽る論文の増加も問題になっている。科学が社会の中でどう位置づけられるのか、揺れ動く転換期にある。
科学者の皆さん。自分が置かれた状況に応じて「なぜ」と「どのように」の問い方をうまく使い分け、わくわくする研究に挑み続けてほしい。
資産運用ビジネスの実務を学ぶ「ファンドマネジメント講座」(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 359文字 書誌情報]
日経ビジネススクールは、投資信託・投資顧問会社を中心とした資産運用ビジネスの実務全般を学ぶ「ファンドマネジメント講座」をオンラインで開講します。資産運用業務を体系的に理解したい方から特定分野でのスキルアップを目指す方まで、キャリアの可能性を引き出す充実のカリキュラムです。業界の最新トレンドも取り上げます。
【主な講座名】 「ファンドマネジメント総合基礎」「ミドルオフィス業務」「バックオフィス業務/投信編」「投資信託約款の読み込み方」「投資顧問考察」「債券ポートフォリオマネジメント業務」「リスク管理業務」ほか、全13講座
【開催日・時間帯】 5月13日(火)~6月27日(金)、午前10時~午後5時など
【受講料】 各4万8400円
◇詳細・申し込み https://s.nikkei.com/pfndmngpr
マリー・ローランサンの水彩画を販売(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 291文字 書誌情報]
日経アートは、エコール・ド・パリを代表する女流画家、マリー・ローランサンの水彩画「ベールを被った若い女性」=写真=を販売しています。
女性の優しい表情や、淡く繊細な色の重なりにローランサンの確かな技量が感じられる貴重な作品です。
◇仕様 額装価格660万円・税込み、1点限り、画寸約27×21センチメートル、額寸約54×44・2センチメートル、直筆サイン入り、ジルベール・ペトリデス鑑定証付
◇作品注文・資料請求 日経アート(日経プラザ&サービス)(電)0120・81・3313(土日祝休)、FAX03・5577・8520、https://art.nikkei-ps.co.jp/
『ホークスメソッド』販売中(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 285文字 書誌情報]
2024年のシーズンを圧倒的な強さで制した福岡ソフトバンクホークス。直近10年で日本シリーズを5回制し、同期間の通算勝率も12球団トップの強さを誇ります。勝ち続けるチームの裏には、どのような変革や葛藤があったのでしょうか。小久保裕紀監督や三笠杉彦GM(ゼネラルマネジャー)、現役コーチからデータ分析の専門家まで、20人近いチーム関係者をノンフィクションライターの著者が徹底取材。4軍制やデータ活用など、チームの強さを裏付ける独自の取り組み導入に至るまで、改革の歴史とその本質をひもときます。
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新学期におすすめ 日経サイエンスの単行本(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 273文字 書誌情報]
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日本経済新聞社編集サイエンスグループ 編、定価1980円(10%税込)日経サイエンス社発行 詳細はhttps://www.nikkei-science.com/
「畠中光享 日本画展」23日から後期展示(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 264文字 書誌情報]
仏教をテーマに約半世紀にわたり創作を行っている畠中光享氏の画業を紹介する本展は展示替えを行い、23日より後期展示が始まります。大幅に作品を入れ替え、「達磨」を描いた新作をはじめ初期の貴重な作品など約50点を展示します。写真は後期展示の「風の日も雨の日も」(部分、2022年)。
◇会期・会場 6月22日(日)まで、4月21、22日休館。午前10時~午後5時、入館は午後4時半まで。相国寺承天閣美術館(京都市上京区)
◇料金 一般1000円ほか
◇問い合わせ (電)075・241・0423(美術館)
◇主催 日本経済新聞社ほか
「ガイアの夜明け」リニューアル(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 188文字 書誌情報]
テレビ東京の経済ドキュメンタリー「ガイアの夜明け」が大きくリニューアルしました。番組の顔となる「案内人」に俳優の長谷川博己、ナレーターに名バイプレーヤーの田中哲司を迎えました。
ドキュメンタリー取材も一層強化し、ニュースが伝えない深層に迫ります。時の経営者から企業戦士たち、そして名もなき人々まで全てが主人公です。日々奮闘する人たちへの密着取材から、本音を浮き彫りにします。
ウクライナ館、「自由」発信 万博、戦禍の国・地域も展示[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 783文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は平和や人道支援に関する展示をみられる。ロシアから侵略を受けるウクライナは大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)の会場で「自由」や「尊厳」などをテーマにメッセージを発信。社会課題を討論する「テーマウィーク」に合わせ、戦禍にある国・地域を仮想現実(VR)で疑似体験するワークショップも予定する。
スーパーマーケットに見立てた空間は内装が黄色く塗られている。天井からつり下げられているのは「NOT FOR SALE(非売品)」と書かれた看板。ポニーのぬいぐるみのバーコードを専用スキャナーで読み取ると、ディスプレーに戦争で被害を受けた子どもの権利を守る取り組みを紹介する動画が映し出された。
ウクライナ館の展示は、戦時下に「自由」や「尊厳ある暮らし」を守るために費やした人々の努力を、値段をつけられない商品に例えた。国内外の来場者の注目を引き、列ができている。
来場者の一人、カテリナ・マンキヴスカさん(22)は同国から日本に避難して3年がたつ。にぎわう場内を見渡し、「多くの人が興味を持ってくれてうれしい」と話した。
日本赤十字社が運営する「国際赤十字・赤新月運動館」は、パレスチナ自治区ガザなどで葛藤しながら人道支援を続ける人々の姿を上映している。13日の開幕から5日間で5000人以上が訪れた。来場者からは1日あたり300~400のメッセージが寄せられているという。
国連は、1970年の大阪万博でも展示され、現在はニューヨークの国連本部にある「平和の鐘」のミニチュア版を用意した。来場者が鳴らすこともできる。
8月1~12日はテーマウィークで「平和と人権」が取り扱われる。同月内にウクライナやガザの現地をVRで疑似体験する映像ワークショップなどが企画されている。
【図・写真】「NOT FOR SALE」をテーマにするウクライナ館(14日、大阪市此花区)
2時間40分で完走できた! 中国のハーフマラソン、ヒト型ロボ参加[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 434文字 PDF有 書誌情報]
【北京=藤村広平】ヒト型ロボットが参加するハーフマラソン大会が19日、北京市内で開かれた。人間のランナーと同じ約21キロメートルのコースを約20台のロボットが走った。最も速いロボットは約2時間40分で完走した。
競技は午前7時半(日本時間8時半)に始まった。1万人前後の人間のランナーも参加し、ロボットとの接触を防ぐために別レーンを用意した。
ロボットはサポート役の人間が併走した。途中で電池を変えられるほか、故障の場合は本体も交換できるなどロボットならではのルールが適用された。
ロボットの実力は様々だった。人間がジョギングするようになめらかに走るロボットもいれば、ふらつきながら前進するロボットもいた。スタート直後に転倒してしまうチームもあった。
沿道で応援した40代女性は「ロボットの進歩は早いなと感じた。将来はご飯を作ったり、介護を手伝ったりしてほしい」と笑顔をみせた。
【図・写真】優勝した「天工」は3度の電池交換を経て、21キロを走破した(19日、北京市)
ウクライナ館、「自由」発信――万博警備の資料、警官が一時紛失 大阪府警[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
大阪府警の警察官が大阪・関西万博の警備に関する内部資料を一時紛失していたことが19日、府警への取材で分かった。資料は回収されて流出などは確認されていないという。府警は万博警備に影響はないとみており、「文書の適正な管理を指導する」としている。
府警によると、資料を紛失したのは府警本部警備1課の巡査部長。万博開幕前の10日、府立国際会議場(大阪市)に業務で立ち寄った際に資料を置き忘れた。その後、会場を訪れた一般来場者が施設職員に届け、府警は12日に紛失を把握。巡査部長は気がついていなかったという。
岩倉博文氏(元衆院議員)(死去)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 165文字 PDF有 書誌情報]
岩倉 博文氏(いわくら・ひろふみ=元衆院議員)4月18日、心室細動のため死去、75歳。告別式は4月22日午前10時から北海道苫小牧市明野新町3の7の26の苫小牧市民斎場明野ホール。喪主は妻、早苗さん。
2000年の衆院選に自民党から出馬し初当選、1期務めた。06年に苫小牧市長選に初当選し、24年11月、5期目の途中で辞職した。
親子関係確認訴訟 父親とは、血縁か育児か 「我が子として育てる。結婚しよう」(揺れた天秤法廷から)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 2034文字 PDF有 書誌情報]
法律、鑑定…拒まれた決意
自分がこの子の父になる――。東日本に住む30代の男性は、自分と血のつながりのない子どもを妊娠していると知りながら、女性との結婚を決意した。生まれた子を長男と届け出て献身的に育児を担ったが、妻子は突如家から姿を消す。後日起こされたのは「男性と長男の間に親子関係がない」ことの確認を求める裁判。法律や科学鑑定の壁を前に、男性は「父」であろうとあらがった。
「やっぱり、できていた」。2019年夏、男性は産婦人科医の診察室から出てきた女性に告げられた。事前に検査薬で調べていたので結果は予期していた。
問題は誰の子か。マッチングアプリで知り合い、直接会うようになったのはごく最近。自分の子どもでないことは明らかだったが、男性は事実を受け止め覚悟を決めた。「我が子として育てる。結婚しよう」。戸惑っていた女性も熱意にほだされ、その日のうちにプロポーズを受け入れた。
約半年後に生まれた男児は戸籍に「男性の長男」と記載された。出産を終えた女性は全身に痛みの出る病気を発症し、そのまま別の病院に転院。退院後もしばらく病床に伏していた。
自負
この間、男性は慣れない育児に孤軍奮闘する。仕事で外出しなければいけないときは事情を理解している男性の母親がサポートした。
そんな生活が続き、長男が2歳になったある日、男性は思いも寄らない事態に直面する。女性が突然、長男を連れて自宅を出て行った。通っていた保育園は知らぬ間に退園届が出されていた。3カ月後、長男を申立人として、男性との親子関係がないことを確認する調停が起こされた。家庭裁判所で調停は不成立に終わり、争いは訴訟に発展した。
男性には育児の大半を担ってきた自負があった。沐浴(もくよく)、オムツ交換、ミルクづくり、寝かしつけ。一番手のかかる時期の育児に女性がほとんど関わっていないと裁判で強調した。
「おなかにいたころから、この子の父親になると決心していました。それは今も変わりません」。法廷で表明したとき、既に我が子に会えなくなって2年弱が過ぎていた。写真や動画に触れる機会もなく、間もなく4歳になる長男がどんな生活を送っているのかも分からなかった。
司法統計によると、23年度に全国の家裁に申し立てられた親子関係不存在確認の調停は385件。近年は減少傾向にあるが、親子を巡る争いは調停で収まらず先鋭化するケースが少なくない。
女性が明かしたのは男性と縁を断ちたい理由だった。「モラルハラスメントの事実を伝えても認めない、自覚がない、それどころか逆上する。この傷は永遠に忘れることも癒えることもありません」。モラハラの内容はつまびらかにせず、そう説明した。我慢の限界に達して離婚を切り出すと「親権は取れない」とあざ笑うように言われたとも述べた。
女性もできるだけの育児はしてきたつもりだった。家を出てからの2年間に長男から父親について聞かれたことは一度もないという。女性の願いはただ一つ。「子どもと私に今後一切関わらず、過去の写真も全て捨ててほしい。本当に、早く解放して」
検体
民法は一定の条件に該当すれば夫を生まれた子どもの父親とみなす「嫡出推定」規定がある。法律上の父を早期に確定させて子の利益を図る制度だ。現在は婚姻後に生まれれば嫡出推定の対象となるが、当時は「婚姻成立から200日以上過ぎている」などの条件があった。長男が生まれたのは約180日目。推定が及んでも「嫡出否認」の手続きで争われる可能性はあるが、男性が直ちに父と推定されるにはそもそも20日ほど足りなかった。
一方、女性の手元には男性との生物学的なつながりを否定する決定的な証拠があった。長男の「生物学上の父」の協力を得て作成したDNA型鑑定書。家裁は24年3月、嫡出推定が及ばないことと鑑定書の内容を踏まえ「親子関係はない」と結論付けた。3ページの判決文に男性がいかに長男と関わってきたかの言及はない。
「愛情をもって育てた我が子を失うのは耐えがたい苦痛で、子どもも不安定な環境に置かれる。請求自体が権利乱用で許されない」。男性側は控訴したが、同年10月の高裁判決は「男性の言うような事情があっても、そのことをもって親子関係があるとは言えない」と認めなかった。男性は長男とのつながりをあきらめ、上告を断念した。
訴訟記録に女性と「生物学上の父」とのLINEのやりとりが残されている。鑑定に使う検体採取の場で「我が子」と初対面を果たしたその人物は女性に釘を刺していた。「裁判が終わったら、鑑定書は破棄してね」。父になろうとした男性とそれを拒んだ女性、そして父になりたくなかった生物学上の父。大人の様々な思いや事情が交錯する法廷で、幼い長男に意思表示の機会もないまま、戸籍から父親の名は消された。
(嶋崎雄太)
【図・写真】男性は自分と血のつながりがないことを知りながら「長男」の育児に奮闘した(写真はイメージ、一部画像処理しています)
首都高で3台絡む玉突き、2歳児が死亡[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 256文字 PDF有 書誌情報]
19日午前10時10分ごろ、東京都板橋区の首都高速池袋線の上り線で、乗用車2台とトラックが絡む玉突き事故があった。警視庁によると、乗用車に乗っていた埼玉県所沢市の福田悠人ちゃん(2)の死亡が確認された。悠人ちゃんの両親や姉も軽いけがをした。
警視庁はトラックを運転していた東京都豊島区の会社員、仲本大河容疑者(28)を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕した。
現場は片側2車線のほぼ直線で、近くに高島平インターチェンジがある。警視庁は、トラックが乗用車にぶつかったとみて詳しい状況を調べている。
池袋暴走6年、亡き妻子へ「天国で穏やかに」 遺族の松永さん祈り[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 232文字 PDF有 書誌情報]
2019年に東京・池袋で乗用車が暴走した事故から6年となった19日、妻の真菜さん(当時31)と長女、莉子ちゃん(同3)を亡くした松永拓也さん(38)は現場近くの慰霊碑に献花し、事故発生時刻に手を合わせた。いつも心に浮かぶのは愛する2人の笑顔。「心配しないで。天国で穏やかに過ごしてね」と祈った。
報道陣の取材に「やっぱり、すごく悲しい。こんな思いは、もう誰にもしてほしくない」とし、「人の心に寄り添って運転することが、事故を防ぐ一つの要因になると思う」と話した。
盗みの告白 高瀬隼子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1817文字 PDF有 書誌情報]
とある媒体にエッセイを寄せ、しばらく経(た)った頃、お詫(わ)びの連絡があった。わたしのエッセイの一部を書き写したものを、自作のコラムとして送った人がおり、そうとは気付かず別の欄で掲載してしまったのだという。
読者の方から「似ている」と指摘があり、盗用が発覚した。書き写した人は「自分では良い表現が思いつかず、つい使ってしまった」らしい。丁寧なお詫びがあったこともあり、大きな問題として取り上げることもなく終わった。
このことを知人に話すと、「バレないと思ったのかなあ」と不思議そうだった。そうですね、と頷(うなず)きつつ、わたしは違うことを考えていた。多分、盗用した人はバレないだろうかとか、バレても仕方ないとか、考えていなかったんじゃないか。ちょうどいいものが目の前にあるから使ってしまおう、とそれだけだったのではないだろうか。
わたしも人の作品を盗んだことがある。小学生で、8歳だった。
図工の授業で、針金ハンガーと画用紙を使う工作をしていた。絵を描いた画用紙をハンガーに貼り付けたり、糸で吊(つ)るして揺らしたりと、みんなおのおのの作品を作っていた。
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なにを作ろうかなあと考えた時、ふと隣の席の男の子の作品が目に入った。彼はサメの絵を描いて切り抜いた画用紙を、ハンガーの中央に浮くように輪ゴムで留め、びょんびょんと指で揺らしたり回転させたり、工夫を凝らしていた。
すごい! と思った。それで、真似(まね)してしまった。輪ゴムで絵を浮かせて動かすというアイデアを使い、自分では上手な絵が描けなかったので、休み時間に友だちがおりがみに描いてくれたバレリーナを、画用紙に貼り付けて使うことにした。ドレスを着て髪を頭の上でおだんごにしたかわいいバレリーナが、ハンガーの真ん中でくるくる回った。
先にサメを作っていた男の子は、当然怒った。「パクんな!」と真っ赤な顔で怒鳴られた。おかしなことだけど、わたしは彼の怒った顔を見て初めて、自分が盗みを働いたのだと気付いた。あ、そうか、駄目なんだった、とびっくりしたのだ。
いいものがあるから使っちゃおう、と善悪も考えずにすーっと手を出した自分に驚いた。なにひとつ自分の力を使わず完成させた工作を前にした、先生の困り顔も、羞恥とともに記憶している。
盗んではいけない、と学んだはずなのに、その後も結局真似してばかりの人生を送ってきたように思う。
幼少期に毛筆を習っていたが、「好きな言葉を書いていいよ」と促されてオリジナル作品を書くよりも、先生のお手本どおりに、上からなぞったように正しい字を書く方が好きだったし、水泳や少林寺の拳法といった習い事は、近所の子が先に始めていて楽しそうだったから「わたしも」と後に続いた。
受験する大学を検討する時も、身近な先輩が合格したからという理由でオープンキャンパスに出かけ、実際に進学しただけでなく、就活の時も同じ先輩が就職した企業にエントリーシートを出した。先輩は「自分の真似をするなんてかわいい後輩だな」の域をとっくに超え、模倣するわたしのことを、不気味に思っていたに違いない。
就職してからも、窓口や電話での対応は同僚のしゃべり方を真似て行ったし、ビジネスメールの文章だけでなく、社内メッセージでまとめられる飲み会参加可否のくだけた返事のニュアンスまで、言葉を覚えたての子どものように周囲の人々に似せて寄せた。
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他者の良いところを見習って真似る、と言えば聞こえはいいが、わたしの根本は「目の前にいいものがあるから使っちゃおう」の幼少期から変わっていないのかもしれない。
小説だけは、絶対に「いいものがあるから使っちゃおう」をしたくないし、してはいけないのだが、不安にもなる。あなたには独自の文体がありますね、と褒められる機会があった。わたしのオリジナルの文体が、あるのだろうか? あるのだとしたらそれは、いつどうやって獲得できたのだろう。
今でも時々、怒りで顔を赤く染めた同級生の「パクんな!」を思い出す。集団でうまくやっていくための笑顔も身のこなし方も、服装もメイクもしゃべり方すら、わたしは誰かの真似をして身に着けてきたけれど、決定的ななにかを、誰からも盗まないで、どうにか生きていきたい。
たかせ・じゅんこ 小説家。1988年生まれ、愛媛県出身。著書に「おいしいごはんが食べられますように」(芥川賞)、「新しい恋愛」など。
Composition 志村節子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 17文字 書誌情報]
Composition 志村 節子
平井一夫(20) サイバー攻撃 反対押し切り謝罪会見 トップ交代打診され大役受ける(私の履歴書)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1382文字 PDF有 書誌情報]
本連載でもスマートフォン登場の衝撃について触れたが、様々なサービスや商品のネットワーク化はこの当時のソニーにとって喫緊の課題だった。そんなタイミングで起きたのが、ソニーを揺るがすサイバー攻撃だった。
2011年4月19日、米カリフォルニア州のサーバーが突然再起動したのを合図に、経験したことのない混乱が広がった。翌日にはシステムの確認作業のため「プレイステーション ネットワーク(PSN)」を停止したが、この時点では被害の規模が分からない。顧客のデータが大量に流出しているようだが、その全容さえつかめない。
ソニーがサイバー攻撃と情報流出の事実を認めたのは1週間後のことだ。初動の遅れは後々まで我々を苦しめたが、この時点でも社内で意見が割れた。
「今分かることだけでもすぐに説明して謝罪すべきだ」。私はこう主張したが、米国人の法務担当役員は真っ向から反対した。攻撃を受けている米国では情報開示の基準が州ごとに違い、状況を正確に把握できないままで対外説明すべきではないという。確かに一理あるが、危機対応としてそれでいいのか。
私は米ゲーム子会社時代の相棒、アンディ・ハウスがよく言っていたことを思い出した。「ネガティブな情報こそすぐに公開すべきだ。小出しではなく可能な範囲ですべて。分からないことは分からないと言う」。元広報マンのアンディらしい主張だった。
ソニーを揺るがす事態を前に一刻の猶予も許されない。私はニューヨークにいる会長兼社長CEO(最高経営責任者)のハワード・ストリンガーに電話した。ハワードもこの段階で謝罪会見はすべきでないとの考えだった。
「日本には日本の文化がある。自分たちも被害者なんて言っても伝わらない。まずは頭を下げて謝罪すべきだ。それをやらないと会社が終わることだってありえるんだ」
こうして私が東京で記者会見を開くことになった。「ユーザーの皆様には多大な不安とご迷惑をおかけしておりますこと、深くおわび申し上げます」。冒頭でこう言って頭を下げた。最初に謝罪すべきは、迷惑をかけたお客様に対してであるべきだと考えた。
この件では7700万件ものアカウント情報が流出した可能性があった。お客様の名前や住所、電子メールアドレスなどの個人情報が含まれる。まさに痛恨の極みだ。
東日本大震災に加えてこんな事態の収拾に追われた11年も終わり、年が明けた1月の半ば。この時期は毎年、ゴルフのソニーオープンが開かれるハワイのオアフ島に首脳陣が集まる。ツアー期間中のある時、ハワードが宿泊するホテルの部屋に呼び出された。ビデオ会議形式で開かれた取締役会で、テレビ事業の不振などについて散々批判を浴びたのだという。
私は副社長だが取締役ではないので会議の詳細は分からない。ハワードは「なぜそこまで言われなければ」と憤るのと同時に、疲れ切っているようにも見えた。
「いよいよカズにバトンを渡す時が来たようだ」
こんな言い方だったと思う。トップ交代を打診された私は返答を保留したが、すでに腹は固まっていた。自室に戻ると同行していた妻の理子に告げた。
「今までより家に帰るのが少なくならないようにはするから」。こうして私はソニー社長兼CEOの大役を引き受けることになった。(ソニー元社長)
【図・写真】記者会見で情報流出について謝罪する筆者(中)(2011年)
提灯の文字 今野真二(日本語日記)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 837文字 PDF有 書誌情報]
浅草寺の雷門に「雷門」と書かれた大きな提灯(ちょうちん)がつるされていることはご存じの方が多いと思います。最近は外国人観光客のことが報じられる時に浅草寺あたりが放映されることが少なくないですね。
歌川広重(1797~1858年)「名所江戸百景」の「浅草金龍山」には、雷門から正面に仁王門、右手に五重塔を望み、絵の上部に「しん橋」と書かれた大提灯の一部が配されていて、巧みなデザインの浮世絵となっています。現在は、浅草寺の本堂(観音堂)に、「しん橋」の大提灯がかかっています。「し」には「志」にみえる字が使われていますが、これは漢字ではなく平仮名なので「しん橋」と翻字しています。
お祭りの時に「祭礼」と書かれた提灯がさげられることもありますが、提灯には文字を書くことがあります。
さて、壺井栄(1899~1967年)の『夕顔の言葉』は昭和19(1944)年に出版されています。壺井栄といえば、高峰秀子主演で、昭和29年に映画化された『二十四の瞳』がよく知られていると思いますが、小説が発表されたのは、昭和27年です。『夕顔の言葉』には8編の短編が収められていますが、冒頭に置かれた、小豆島を舞台にした「港の少女」を読んでいると、登場人物の一人である「ケイ子」が「こんばんと平がなで大きく、一ぱいに書いてある」「見なれぬ提灯が」帽子掛けにかけてあるのを見つけるというくだりがあり、提灯に「こんばん(今晩)」と書くことがあったことがわかります。
横溝正史の「獄門島」は『夕顔の言葉』の少し後の昭和22年から23年にかけて雑誌「宝石」に発表されています。この作品では「了然和尚」の提灯がトリックに関わっていますが、この提灯には何か字が書いてあったのでしょうか。「獄門島」は「瀬戸内海のほぼなかほど」の「周囲二里ばかりの小島」ということになっています。丁寧に作品に接することによって、昭和20年前後には、まだ提灯が使われていたというようなことに気づくこともできます。(日本語学者)
25年04月20日
トランプ政権3カ月 不確実性の刃、米国も削る 貿易リスク29倍 「トリプル安」招く[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1465文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が発足して20日で3カ月。高関税を武器に対米貿易黒字の解消や防衛費拡大を求め、各国は対抗か譲歩かの決断を迫られる。不確実性は前例のない水準に高まり、その刃(やいば)は世界で株価急落と景気減速懸念を連鎖させ、米国が戦後築き上げた信認も一気に崩しかねない。(関連記事総合2面に)
米ノースウェスタン大のスコット・ベーカー准教授らが新聞記事などから算出する米国の「貿易政策不確実性指数」は3月、5735に跳ね上がった。大統領選直前だった2024年10月の29倍、第1次政権で過去最高を更新した19年8月の3倍だ。トランプ政権の猫の目の関税政策が経済の先行きを極めて不透明にしていることを映す。
高まる不確実性の裏に、トランプ大統領の強権的な政治手法がある。1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、安全保障上の緊急事態宣言を初めて関税に適用。連邦議会の頭越しに関税の対象範囲や税率を自在に操れるようになった。
三権分立を礎とする米国の統治構造は揺らぐ。打ち出した大統領令は早々に100本を超え、3カ月で29本だった第1次政権を大幅に上回る。連邦議会を通して成立した法案は政権発足からわずか5本にとどまる。
起業家のイーロン・マスク氏が事実上率いる米政府効率化省(DOGE)は議会の了承なく予算措置を相次ぎ実質的に停止している。米メディアによると、裁判所による米政府への一時差し止め命令は15日までに74件に上った。
世界の株価は乱高下している。米国のダウ工業株30種平均は4月に24年末比で一時13%安となった。欧州主要600社の株価指数であるストックス600は同11%上昇した後、4月に同7%の下落に転じた。46%と高い相互関税を課されたベトナムの株価指数は下げ幅が一時14%に達した。
「恐怖指数」とも呼ばれる米株の変動性指数(VIX)は8日に50を超えた。20年の新型コロナウイルス禍を除けば、08年のリーマン危機以来の水準だ。
相互関税を完全発動した9日には株式やドルだけでなく、米国債まで売られるトリプル安の「米国売り」となった。慌てた米政府は相互関税の一部を90日間凍結したが、市場の不安感は消えていない。
ニューヨーク連銀によると、投資家が米国債への投資に対して要求するタームプレミアム(上乗せ金利)は10日、14年9月以来およそ10年半ぶりの高水準に達した。基軸通貨国である米国の国債が、安全資産としての地位を疑われている構図だ。
各国や市場参加者の警戒をよそに、トランプ氏の岩盤支持層は揺るがない。米リアル・クリア・ポリティクス(RCP)によると18日時点でトランプ氏の平均支持率は46.5%。50%超だった発足時からは下がったが、高い水準を維持する。経済のグローバル化から取り残された低所得層などは、トランプ氏による既存秩序の解体に喝采を送る。
「我々は間違いを犯すこともあるが、すぐに修正する」。マスク氏は政権の強みをスピード重視と、それをすぐに方向転換できる柔軟性にあると主張する。だがジェットコースターのような政権運営が続けば、企業は投資をためらい、家計も消費に及び腰にならざるを得ない。
英科学誌ネイチャーの調査では、トランプ政権下の米国からの脱出を検討する研究者の割合が75%に達した。欧州連合(EU)は米国抜きの自由貿易体制の維持へ、日本などを含む環太平洋経済連携協定(TPP)との連携を探る。トランプ氏の再登板で変質した米国は自壊の様相も見せる。
(ワシントン=高見浩輔)
政府、サイバー防御に技能基準 企業、採用活動しやすく[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 967文字 PDF有 書誌情報]
政府は官民のサイバー防御能力を高めるため、専門人材に必要な技能の基準を設ける。システム開発や情報分析など10種類程度の職種に分け、習得すべき知識やスキルを明示する。企業の採用活動や資格検定試験などで活用してもらう。
攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向けた関連法案は今国会で成立する見通しだ。水道・電気・ガスなど国民生活に密接な基幹インフラ事業者に被害報告などを義務づける。官民の連携がより重要になる。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が民間事業者の意見も反映しながら2026年にも専門人材に関する基準をつくる。サイバー人材に求められる技能や水準を明示することで担い手を増やし、技能レベルの底上げを図る。求人と応募者のミスマッチを防ぐ狙いもある。
米欧の先行事例を参考にする。サイバー防御の司令塔となる「最高情報セキュリティー責任者(CISO)」や情報分析担当の「キュレーター」、システムの安全性を精査する「脆弱性診断士」など十数種類に分類する想定だ。
米国立標準技術研究所(NIST)は17年にサイバー人材を7職種・52業務に分け、システム開発や情報分析など職種ごとに習得すべき技能基準を設けた。連邦職員の求人サイトなどでも基準を開示して人材を採用している。オーストラリアは9、欧州連合(EU)は12、カナダは22に職種を分類する。
日本のサイバー人材は官民合わせて11万人ほど不足しているといわれる。官民ともに担い手の育成を急ぐ一方、知識や技能のレベルに差があれば業務に的確に対応できない可能性がある。
民間の資格認定試験に基準を活用することもできる。サイバー関連業務に興味のある人にとっては、習得が必要な能力レベルがわかりやすく示されることで学びやすくなる。官公庁と民間を行き来する人材の「リボルビングドア(回転扉)」の促進も期待できる。
石破茂首相は3月の衆院本会議で「人材確保を効果的に行うためには求められる役割、知識を明確化した上で、役割に応じた育成方針を講じることが重要だ」と訴えた。
政府は1月、英国やカナダなどが参加する「サイバーセキュリティ人材に関する国際的な連合」に加わった。サイバー人材のスキルの国際的な標準化に向けて参加国間で連携を探る取り組みで、日本独自の基準作りに役立つとみる。
関税交渉、改革の好機に 星岳雄氏と保田彩子氏対談 各国団結の意義強調(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1222文字 PDF有 書誌情報]
トランプ関税による世界秩序の動揺を受け、日本経済新聞社は経済学者による対談を実施した。東京大学の星岳雄教授(金融・日本経済)は日米交渉について「交渉の中で日本にとって有益な改革も進めていくべきだ」と提言した。1980年代の日米構造協議(総合2面きょうのことば)を経て流通改革などが進んだことが念頭にある。今回の交渉では「コメの輸入制限撤廃」が検討事項になるとの認識を示した。(関連記事総合5面に)
保田彩子・カリフォルニア大デービス校教授(ファイナンス)とのNIKKEI LIVEでの対談で主張した。2人は日本経済新聞社と日本経済研究センターによる経済学者向け調査「エコノミクスパネル」に参加している。トランプ関税の経済への影響や政策対応を論じ合った。
焦点となったのは日本を含む各国と米国との交渉だ。保田氏は米国が各国に異なる関税率を課していることを踏まえ「分断させる意図がある。日本や各国は団結することで自由貿易を守れる確率が高まる」との考えを示した。星氏も包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)の欧州や中国への拡大を通じて「日本が自由貿易の立て直しをリードすることに価値がある」と応じた。
金融市場では米国債価格の下落やドル売りが懸念材料だ。保田氏は「国債やドル離れは米国の国際的地位を低下させる」と問題視した。日米交渉を踏まえ「日本が今後も米国債を大量保有し続けるメリットを強調するのは賢いことではないか」との認識も示した。
日米交渉では今後、農産品の扱いなどが焦点となる可能性もある。星氏は1980年代以降の日米貿易摩擦について「日本は外圧を利用して自国に役立つ改革を実行し、最終的には日本経済に寄与した面もある」と述べた。知的財産権を保護する法整備などを例に挙げた。今回の交渉では「現在、コメの価格が上がって多くの人が困っている」として、コメの輸入制限の撤廃を求めた。
星氏はトランプ関税を機に経済構造の改革を進める重要性も強調した。「日本が直面しているのは輸出に成長を求めることのコストだ」と指摘。「特に米国への輸出に依存する成長戦略にはリスクがあり、過度に輸出に頼る構造は再考が必要だ」と述べた。
保田氏は交渉に臨む米国の政権内で「関税の最終的な目的について矛盾があるように見える」と分析した。税収増を目指しているならば、相互関税の発表直後に90日間の停止措置に至ったのは「おかしい」という。「関税が交渉のツールであり、最終的な目的がドル高の是正である可能性が高まった」と米政権の意図を読み解いた。
ドル高是正に向けて1985年のプラザ合意のような協調介入がありうるとの見方が市場にはくすぶる。星氏は米国以外に85年のような協調機運が乏しいため「より厳しい事態になる可能性がある」と話した。保田氏も米国への投資離れが進む状況を踏まえ「為替介入が望ましいのかよくわからない」と述べた。
【図・写真】星氏
【図・写真】保田氏
新たな1週間が始まる。「もう」か「やっと」か。物理的に同じはずの時の流れは置かれた状況次第で伸び縮みする(春秋)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 1ページ 569文字 PDF有 書誌情報]
新たな1週間が始まる。「もう」か「やっと」か。物理的に同じはずの時の流れは置かれた状況次第で伸び縮みする。「ストーブに手を置く1分は1時間に感じる。素敵(すてき)な女の子と過ごす1時間は1分に感じる」。相対性理論に関するアインシュタイン自らの説明とか。
▼1月20日のトランプ大統領就任から3カ月。「まだ3カ月!」。いじめっ子の一挙手一投足に固唾をのむ、万国の衆目は一致していよう。移民を強制送還するわ、連邦職員の首を切るわ、世界相手に関税戦争を始めるわ、反DEI(多様性、公平性、包摂性)を強行するわ……。挙げ句に、米金融市場でトリプル安を招いた。
▼日本の株価も、とばっちりで3万円割れが気になる。去年7月には4万2000円台の最高値だったから、3割もの下落に「NISA民」の悲鳴が響く。しかし、起点を変えれば、コロナ禍からはまだ8割高く、2009年の底値からすれば4倍の水準にある。自在に視点をずらせる個人ならではの特権で荒波を越えたい。
▼時の流れは動物のサイズでも違うらしい。大きなゾウは小さなネズミに比べ心拍も呼吸もスローで寿命も長い。だが、心拍数換算では、どちらの心臓も約20億回で止まる(本川達雄著「ゾウの時間ネズミの時間」)。残り3年9カ月のトランプ時代。狂騒の中でも自分の時間、自分の視点を意識したい。いずれ歴史の一瞬だ。
トランプ氏に損得を説け 岸田文雄氏 前首相(直言×崩れる自由貿易)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 2961文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権がほぼ全ての国・地域に「相互関税」を発動し、戦後の自由貿易体制が崩れ始めた。税率の一部の適用を90日間停止すると表明し、各国に米国の利益になる取引を求めた。日本は対米交渉のトップバッターとして話し合いを開始させた。2024年まで政権を率いた自民党の岸田文雄前首相に日本の針路を聞いた。
赤沢亮正経済財政・再生相が日本時間17日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と面会した。米政府との関税交渉の初会合は早期合意をめざすと確認した。
――トランプ氏がいきなり閣僚の赤沢氏と会った。米国は対日交渉で早期妥結したいようにみえる。
「それがいいのか、悪いのかわからない。向こうの対応は朝令暮改。市場やインフレの状況によって変わってくると想定される。90日間が延びるかもしれないし、早く切り上げるかもしれない。いまの段階で対応を決め打ちするのは難しいのではないか」
――石破茂首相にどうアドバイスするか。
「まずは交渉する仕掛けをしっかりとつくる。何よりも最初の信頼関係が大事だから、誠実に話し合う雰囲気をつくる。それがなかったら何をやってもダメだ」
――2017年2月に当時の安倍晋三首相とトランプ大統領の会談に外相として同席した。トランプ氏はどんな人物か。
「相手を気に入ると非常にフレンドリーになり、親しみに満ちた対応をすると聞いている。逆もあるだろうから丁寧に対応していくしかない。気に入られることが大事だ」
――トランプ氏は在日米軍の駐留経費に不満を示し、安全保障も交渉材料にするようだ。日米安全保障条約の非対称性を理解させるのは難しい。
「何十遍も説明している。いまさら、ああそうかと理解するとは考えにくい。米国にこんなメリットがあると説明していかないといけない。向こうに理念はなく、とにかく得か損かしかない」
――為替も議題になるとみられている。いまは過度の円安で、日銀も利上げ局面にある。日本の交渉カードに使える。
「米国が考える交渉の本丸は為替ではないかという専門家の意見はある。為替は大きな関心事だと思うのが自然だ。程度の問題ではあるが(円高・ドル安の)方向性は日米で一致している」
――日本の非関税障壁への米国の不満は昔からだ。ひとつずつ反論し説明していくべきなのか。
「単純な計算式ではじき出せるものではないとは思うが、理屈は米国に通用しない。国民や企業に寄り添った国内対策も準備しておかないといけない」
――これまで日米の貿易交渉はコメを守るのが目的だったが、今回も守るだけでいいのか。
「令和のコメ騒動で日本人の意識も変わっている。コメの値上がりは生産者と消費者で景色が違うので、結論は簡単ではないが注視していかないといけない」
「いま具体的に改革をというのは早いかもしれないが、将来的に考えていかないといけない時代が来るかもしれない」
――首相在任中に日本の対米投資が世界一だと説明し、バイデン前政権の理解を得ようとした。いまはトランプ政権に「投資するなら日本の製造拠点を全部米国に移せ」と反論されかねない。
「説明は今後もしていかないといけない。製造業を米国に持って行ったら、米国製の自動車が日本で走るかというと、そういうものではない。『米国にとっては得なのはこっちですよ』と説明するということだろう」
「理屈ではなく、トランプ氏の心に響くかどうかだ。やってみないとわからない。モノサシは米国にとって得か損かだとアタマに入れて交渉しないといけない」
1930年代は世界に保護主義が広がり、第2次世界大戦につながった。その反省から米国は戦後、自由貿易体制を主導してきた。トランプ政権はそれを自ら破壊している。
――戦後の自由貿易体制が危機にある。日本は見過ごしていいのか。
「日本は米国や中国、欧州連合(EU)のような自分で大きなマーケットを持つ国・地域と違う。島国で資源がない国は自由貿易や法の支配、民主主義といった理念が尊重されないと生きていけない。米国以外と連携して国際社会全体で守っていく必要がある」
「EUやオーストラリア、韓国、インドをはじめとするグローバルサウスと価値観を共有し、世界貿易機関(WTO)を復活させなければならない。包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)をEUなどに拡大することは必要だろう。脱炭素に向けたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)は重要な関わりだ」
――トランプ政権は自由貿易に限らず人権や民主主義、法の支配といった価値を軽視している。
「米国に説教するバカ正直なことはやってはならない。したたかな交渉が欠かせない。それ以外の国と自由貿易をはじめとする理念を大事に協力する場をつくっていかないといけない」
「基本的な理念や考えをかなぐり捨てて米国にすり寄れば、日本が米国にいいように扱われてしまう。国際社会で理念を守っていく両面作戦でうまくやらないと日本の未来は描けない」
――5月の大型連休はAZEC議員連盟の参加議員とインドネシアやマレーシアを訪れる。理念の共有を求めていくのか。
「東南アジアはアジアの成長の中核で、大事にしていくべきだ。米国が引こうとしている空白を中国に埋められてはかなわない」
「米中のバランスが崩れようとするなかで中国しかないということにならないようにする。東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々にとっても安心につながる。米中間のバランサーとして評価されてきたことは日本の強みだ」
――首相だった2024年4月に米上下両院合同の議会演説で、内向きの米国に日本も責任を分かち合うと訴えた。国際経済秩序を守るために、日本としてどういう決意を込めたのか。
「米国が戦後、果たしてきた役割に疲れてきている。白人の中間層や労働者層がグローバリズムに嫌悪感を持っている。米国民の疲労感や嫌悪感に寄り添うというのが演説の最大のポイントだった」
「『世界は米国を求めているのだから戦後自らつくってきた体制を守ろうではないか。日本は一緒に汗をかく』と言った。あの時点では共に守っていこうということになった。その後にトランプ氏という特異な大統領が再び出てきた」
「本当は自由貿易や民主主義、法の支配を米国と一緒に守っていきたい。今は難しいので、せめてそれ以外の国と守ろうではないかとアピールしていく。『二枚舌』かもしれないが、現実問題そうしないと日本は生きていけない」
――第1次トランプ政権はTPPから離脱した。日本が輸入する豪州産牛肉の関税率がTPPの効果で下がり、米国産牛肉の競争力が低下すると、焦って日米貿易協定を早期妥結した。対米交渉でも他国との自由貿易の拡大は重要だ。
「まさに『損するよ』とプレッシャーになる。理念を大事にし、自由貿易を守っていき、結果として米国が『損だ』と思えば、また寄ってくる。駆け引きの材料になるかもしれない」
きしだ・ふみお 1957年生まれ、東京都出身。衆院広島1区選出。17年まで4年7カ月間、外相を務め、第1次トランプ政権で日米外交を担った。2021年に第100代首相就任。防衛費増額を決め、バイデン米大統領と「ジョー」「フミオ」と呼び合った。24年退任。
【図・写真】=宮口穣撮影
グーグル排除命令を競争促進の契機に(社説)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 926文字 PDF有 書誌情報]
米グーグルがスマートフォンメーカーと交わした契約が独占禁止法に違反しているとして、公正取引委員会が排除措置命令を出した。米IT大手に対する排除命令は初めてだ。生成AI(人工知能)の発達がIT大手優位の構図を変えうる局面である。日本でも競争環境の整備を急ぐべきだ。
グーグルは同社の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使うメーカーに対し、スマホ画面で自社の検索アプリを目立たせることなどを実質的に義務付けてきた。他社の検索サービスを搭載しないことを条件に、広告で得た収益を分配する契約も結んでいた。
公取委は一連の契約が他社の事業活動を不当に拘束しているとして、違反行為の取りやめや第三者の監視を受けることなどを求めた。グーグルは「契約は競争を促している。今後の対応を慎重に検討する」とコメントした。
排除命令により、アンドロイドを採用するメーカーはLINEヤフーや米マイクロソフトなどの検索サービスを搭載しやすくなる。こうした動きは競争を促す可能性がある一方、課題も残る。
欧州では2018年にOSと検索アプリの「抱き合わせ」を違法と認定し、米司法省なども20年以降にグーグルを相次いで訴えた。提訴により収益分配の実態が表面化し、広告事業でも原告側の訴えが17日に大筋で認められた。
日本もこうした例にならった格好だが、遅きに失した感がある。特にIT分野では利用者やデータをいち早く集めた企業が優位な地位を築きやすく、スピード感のある対応がカギを握る。
背景には監視体制が脆弱だったことがある。公取委は今月、巨大IT企業の取り締まりを担当する人員を従来の約3倍に増やした。スマホ新法の施行が迫るなか、一段の人員拡充や海外当局との連携強化が重要になる。
規制のみで競争が活発にならないことも考慮すべきだ。グーグルが検索で一強となったのは高性能だったからとの指摘がある。AIの進歩を好機として、新興勢の創意を引き出すことが欠かせない。
海外では韓国のネイバーが自国の検索市場で高いシェアを握り、北欧でも国内市場が比較的小さいにもかかわらず世界的なITサービスが生まれている。こうした事例からも学び、人材の流動化やリスクマネーの供給拡大を進める必要がある。
中銀は難局に綿密な対応を(社説)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 787文字 PDF有 書誌情報]
欧州中央銀行(ECB)が17日、政策金利を6会合連続で引き下げると決めた。トランプ米政権の相互関税で世界経済に下振れ懸念が強まって以降、日米欧の主要中央銀行で初めての金融緩和だ。
各中銀に必要な政策対応はそれぞれ異なるが、市場や金融の安定も視野に連携し、綿密な対応で難局を乗り越えてほしい。
ラガルドECB総裁は記者会見で「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費の重荷になる」と警戒感を示した。
ドイツが国防費を軸に財政拡大に動き、経済の今後にも期待が芽生えた矢先だった。2025年は一転、東西統一後初めての3年連続のマイナス成長が危ぶまれる。利下げ継続は適切な判断だ。
問題は物価だが、原油安もあって目先の上昇圧力は減退しつつある。欧州連合(EU)は対米報復措置を保留しており、関税の直接の影響もすぐには出ないだろう。
この点、米連邦準備理事会(FRB)が置かれた状況は異なる。輸入品への高関税がもたらす物価高のリスクを前に、パウエル議長は「状況がより明確になるまで政策変更の検討を待てる」と早期利下げに慎重な姿勢をみせる。
理不尽なのはトランプ大統領の圧力である。ECBの利下げを引き合いに「今こそ下げるべきだ」と要求し、「一刻も早く解任すべきだ」とまで言い立てた。
自らの関税政策がFRBの判断を難しくしている事実を理解すべきだ。大統領が中銀を自由に操ろうとすれば、米経済やドルの信認を傷つける。深く憂慮する。
利上げの機をうかがってきた日銀も難しい判断を迫られる。植田和男総裁は18日、「見通しが実現していくかどうか、予断を持たずに点検していく」と語った。
日米の関税交渉では為替問題の関連で日銀の金融政策にも話が及ぶ可能性が指摘されるが、政策運営が米国の意向に左右されてはならない。あくまで内外の経済・物価に基づく自らの判断で運営し、説明責任を果たすべきだ。
トランプ氏に損得を説け 岸田文雄氏――インタビュアーから 首脳外交は信頼が基盤(直言×崩れる自由貿易)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 2ページ 360文字 PDF有 書誌情報]
取材した衆院第1議員会館の事務所には首相時代の写真が並ぶ。バイデン前米大統領との会談や主要7カ国(G7)首脳会議の場面だ。在任中は米欧の首脳を「フミオが言うならば」と納得させた局面が度々あったと当時の政府高官は振り返る。
岸田氏に石破首相に助言するなら何を言うかを聞いたところ「トランプ大統領と信頼関係をしっかりつくっていくことが大事だ」と強調した。実際にトップ外交を経験した前首相の口から聞くと説得力があった。
トランプ氏は日米関税交渉の初会合に突如参加し、自身が交渉を主導する姿勢を示した。岸田氏はいまの米政権がどう動くのか予測が難しいため、焦らず慎重に出方を見極めるべきだと説いた。
石破首相は適切な時期の訪米に言及した。トランプ氏のペースに引き込まれないか。首相経験者の助言をうまく生かしてほしい。
(秋山裕之)
米国産コメ、輸入拡大案 関税交渉材料、洗い出し急ぐ 車の検査簡略化も[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1805文字 PDF有 書誌情報]
対米関税交渉の材料として政府内で米国産米の輸入拡大案が浮上していることが分かった。米国車に課す検査の一部の簡略化なども検討する。トランプ政権が問題視する非関税障壁を中心に改革案を洗い出し、今後の協議のカードとする。米国側の要求の優先順位を見極め、国内調整を急ぐ。(1面参照)
日本は米国が打ち出した相互関税のほか、自動車、鉄鋼・アルミニウムなどの分野別の追加関税といった一連の措置の包括的な見直しを求めている。赤沢亮正経済財政・再生相は米国側と「パッケージとして合意」を目指す意向だ。
赤沢氏は16日(日本時間17日)にトランプ米大統領とホワイトハウスで面会した。「日本で米国車が売れないのはおかしい」「対日貿易赤字は大きい。ゼロにしたい」。政府関係者によるとトランプ氏はこう口にした。
その後のベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表部(USTR)代表との閣僚協議では、農産品や自動車の非関税障壁が主なテーマになった。
ベッセント氏らはUSTRが3月末にまとめた「外国貿易障壁報告書」を持ち出した。問題視する非関税障壁の筆頭がコメだ。日本市場について「規制が厳しく不透明で米国の輸出業者の消費者へのアクセスを制限している」と批判する。
日本側ではこれからの交渉のカードのひとつとして米国産米の輸入拡大案が浮上する。「令和の米騒動」も背景にある。国産米の品不足と価格の高止まりで輸入米の需要が増している。
政府内には「国内の不足分を一時的にでもまかなえればいい」との声がある。
日本は無関税のミニマムアクセス米として毎年77万トン程度を海外から輸入している。うち米国産は45%を占め、最大の輸入先となっている。
これまでは主食であるコメの価格維持や農家保護を優先し、輸入拡大に慎重な政策をとり続けてきた。夏に参院選を控える局面で、輸入拡大には強い反発も予想される。
米国は牛肉やジャガイモにも言及した。日本独自の検査の見直しや輸入拡大を求めたという。
日本は農産品のほか、トランプ氏が具体的に言及した車についても米側が「障壁」とみなす部分の改革案を関税交渉の材料にする。日米で異なる安全基準のうち衝突事故対策の性能試験に緩和の余地があるとみられる。
日本は車の安全基準に関する国連の「1958年協定」に名を連ねる。欧州各国などと型式認証の基準や試験方法をグローバルにそろえる枠組みだ。米国は国連の議論に参加しつつ独自の基準を持っており、メーカーの責任で試験する仕組みにしている。
米国車を輸入する際は原則として日本の型式認証を取得し直す必要があり、数カ月程度かかる。USTRが3月末の報告書でもやり玉にあげた。
米側は衝突試験の違いを問題視している。例えば試験車両の前面や側面への衝突で乗っている人の安全が確保できるか確かめる試験で、細かい項目の多さを輸入車に「不利な負担」とみている。
これまでも自動車の安全基準は両国間で議題に上ってきた。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では、日米が並行して協議して米国車を輸入する際の型式認証の一部の省略を決めた。難燃性などの項目で米国での試験結果が日本より厳格と認められる場合、国内基準に適合しているとみなせるようにした。
年間の販売台数が一定規模以下の輸入車で実車を用いた試験などを省略できる制度も見直した。台数上限を5000台に引き上げた経緯がある。なお残る安全基準の違いなどの溝を埋め、対米交渉の手札にする。
赤沢氏は18日夜の自民党のユーチューブ番組で「米国との隔たりはかなり大きい」と指摘しつつ「大統領の中の優先順位がかなりはっきりしてきたところはある」とも言明した。閣僚協議の初会合で米側の3氏が「決めるのは大統領だ」と口をそろえたとも明かした。
19日には石破茂首相と首相公邸で会い、交渉状況を報告した。記者団に「米国の意図には濃淡がある。米国側の優先順位や具体的内容、ポイントを詳細に説明した」と語った。
次回の閣僚協議は月内に開く方向で調整している。日本側の材料が受け入れられるかは見通せない。最終的な合意内容はトランプ氏次第の面がある。
かねてトランプ氏は安全保障の応分の負担を同盟国に求めており、赤沢氏に対しても在日米軍の駐留経費の問題に触れたもようだ。ドル高の是正も含め、今後の議論は通商交渉の範囲を超えて広がる可能性がある。
予期せぬ原油安、崩れる増産構想 トランプ支持基盤に打撃 LNG輸出も不透明[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1437文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けた原油安が、同氏のエネルギー構想を狂わせている。原油を増産してガソリン価格を引き下げ、液化天然ガス(LNG)の輸出を拡大させる戦略だった。市況は新規開発の採算ラインを下回り、同氏の支持基盤である米エネルギー業界に打撃を与えている。
「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」。トランプ氏は2024年の大統領選で、原油増産でガソリン価格を抑えると繰り返し訴えた。
ベッセント財務長官は日量300万バレルの増産を目指すと掲げたことがある。ナバロ大統領上級顧問はこの増産を前提に「原油価格が1バレル50ドルまで下がればインフレ抑制につながる」と語った。
足元でエネルギー生産は増えていない。米石油サービス会社のベーカー・ヒューズが17日に発表した石油・天然ガス掘削機の稼働数は585台となり前年同週と比べて34台減った。
トランプ政権の関税政策が世界経済の減速懸念を強め、原油価格が大幅に下落したためだ。とくにトランプ氏が今月2日に相互関税を発表した後の下げ幅は大きかった。
1バレル70ドル台をつけていた米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は、一時50ドル台半ばまで下がった。今も60ドル台前半と、4年ぶりの安値水準で推移している。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストは「新規開発の採算ラインである約60ドルを下回ると生産が鈍化する可能性がある」と話す。米ダラス連邦準備銀行の調査ではシェールオイルやガスの新規開発に65ドル前後の価格が必要だ。
新型コロナウイルス流行が経済成長の足かせとなっていた21年以来の減産に転じるシナリオも浮上してきた。欧州調査会社ケプラーのアナリストによるとWTI原油価格が年間平均60ドルで推移した場合、25年の米原油生産量が従来予想の日量1350万バレルから年末までに同1310万バレルまで下振れする可能性がある。
原油安で米国のガソリン価格は下落したものの、生産も落ち込めば貿易赤字削減のためLNGの輸出を増やすという戦略も不透明になる。トランプ氏はエネルギー業界の支持を失いかねない。
ダラス連銀が3月に発表した四半期ごとの業界幹部向け調査の回答には匿名で恨み節が集まった。「50ドルではドリル・ベイビーは通用しない」「40年の経歴でこんなに不確実性が高まったことはない」
影響は大手企業に及ぶ。石油メジャーの米シェブロンは26年末までに社員の15~20%を削減する。エネルギー省のライト長官がかつて最高経営責任者(CEO)を務めたリバティー・エナジーは1月から株価が40%下落した。
26年の中間選挙を控え、トランプ氏や共和党が業界からの支持を集めるために外国への圧力を強める可能性がある。
アラスカ州ではLNG事業の新規開発計画がある。米政権は日本に同計画への投資とLNGの調達を求めており、関税交渉の材料となっている。対日交渉を担当するベッセント氏は8日、アラスカ州のLNG事業について「日本やおそらく韓国、台湾が多くの資金を提供するだろう。そうすれば(米製品への関税引き下げなどの)代わりになるかもしれない」と述べた。
同事業は440億ドル(約6兆2500億円)を投じて、北部のガス田と南部の液化基地をパイプラインで結ぶ計画だ。日本側にはコストが高いことから採算性を疑問視する声がある。
(ヒューストン=大平祐嗣、真田湧生)
米国株10%安、歴代最大 政権3カ月 関税政策、相場の重荷[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1182文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=竹内弘文】トランプ米政権の発足から20日で3カ月を迎える。選挙を経て発足した政権序盤の米国株の騰落率としては、史上最悪の水準だ。過去の政権よりも甚大な米国企業の価値破壊を進めたのは他でもない、トランプ大統領自身の関税政策だ。
主要な米国株指数、ダウ工業株30種平均は政権発足から60営業日あまり経過した17日までに計10%下落した。歴代政権の発足直後の同指数推移を、営業日をそろえて比較するとフォード政権(1974年8月発足)など副大統領から昇格した事例を除いて、19世紀末の指数算出開始以降で最も下落率が大きい。
オバマ政権(09年1月発足)は前年秋の米金融大手リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した金融危機のさなかにあり株価は発足直後に急落したが、底入れも早かった。
トランプ氏が自らに重ねる元祖「タリフマン(関税男)」、ウィリアム・マッキンリー大統領が就任した1897年当時よりも、今回の方がダウ平均の下落率が大きい。
トランプ氏は政権発足直後から関税引き上げの脅しや政府支出の大幅カットを打ち出し、景況感が悪化して相場の重荷となっていた。市場が危機モードへ突入したきっかけは4月2日の相互関税の発表だ。
4日のダウ平均は1日で2231ドル安と急落。新型コロナウイルス禍に次いで史上3番目の下げ幅を記録した。24年12月に付けた高値からの下落率は1割を超えて「調整局面」にも入った。
「関税がもたらした不確実性は、ウォール街が最も嫌がるものだ」。米運用会社IDXアドバイザーズのベン・マクミラン最高投資責任者(CIO)は言う。不確実性の高まりがパニック売りにつながったとみる。米国債も売られ、長期金利が急伸(債券価格は急落)する場面もあった。
米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)が4~10日に実施したグローバルファンドマネジャー調査では「米国株の持ち高を減らす」との回答数が過去最多となった。米ドルの下落を予想する回答の割合も約19年ぶりの高さとなった。
米投資信託協会(ICI)によると、債券で運用する米国の投資信託(上場投資信託=ETF=含む)からは3~9日に316億ドル(約4兆5000億円)もの資金が流出した。流出規模はコロナ禍以来の大きさだ。
トランプ政権は関税による移行期の痛みを経て、米経済は強くなると主張する。金融市場を混乱させた強気な通商政策は続く可能性がある。
米株売りはいつまで続くのか。過去の急落局面が一つの目安になる。90年以降、ダウ平均が調整局面に入ってから相場が底入れするまでの期間は平均して約30営業日。約1カ月半に相当する。
今回の相場急落でダウ平均が調整局面に入ってからは約半月。米国が進める貿易相手国との交渉の行方次第だが、割高感の修正が進んだ米国株に見直し買いが入る機運が出てくる可能性もある。
米国産コメ、輸入拡大案――日米財務相会談、24日開催で調整 為替など協議か[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 196文字 PDF有 書誌情報]
加藤勝信財務相は、ベッセント米財務長官と米首都ワシントンで現地時間24日に会談する方向で調整する。関税交渉で米側のまとめ役を担うベッセント氏は車の安全基準などの非関税障壁とともに、為替についても協議する意向を示している。
加藤氏は現地時間23日(日本時間24日)にワシントンで開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に参加する方向だ。この訪米にあわせて日米財務相会談を開く。
日米構造協議 貿易不均衡の是正図る(きょうのことば)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 3ページ 421文字 PDF有 書誌情報]
▽…日米間の貿易不均衡を是正するために、日米の市場構造や日本の市場開放を話し合う協議。1989年から始まり、日本の土地税制や流通規制などの見直しが議題となった。日本で大規模小売店舗法(大店法)が緩和されるなど、構造協議の産物は多岐にわたる。
▽…背景にあったのは米国の対日貿易赤字の拡大と日米貿易摩擦だ。貿易摩擦は60年代に繊維で激化した後、鉄鋼やテレビ、工作機械に広がった。80年代後半に米国の対日貿易赤字が再び拡大し、規制緩和などで日本市場の開放度を高めようという米国の圧力が強まった。
▽…米国は不公正な貿易の是正を目的に、88年に制裁措置として「スーパー301条」を制定した。特定産業の障壁の除去を目指した74年の通商法301条を強化したもので、国の貿易慣行全体を制裁できるようにした。2年間の時限措置であったが、クリントン政権のもとで90年代にほぼ同様の内容で復活。日米包括経済協議などで米国は制裁発動をちらつかせて日本に譲歩を迫った。
万博外交、協力探る 各国の要人相次ぎ来日 対米、関税交渉の情報共有 対中は海洋進出の対処議論[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1372文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は13日の開幕から1週間たった。10月までの期間中、150を超す参加国・地域から首脳や閣僚、政府高官らが来日する見通しだ。日本政府はトランプ米政権の関税政策や中国の海洋進出への対処などについて各国と協力策を話し合う機会にする。
日本にとって今回の万博は新型コロナウイルス禍の後、最大級の国際イベントといえる。参加国・地域の数は2005年の愛知万博(愛・地球博)の120を上回る158になった。
期間中は参加国別の「ナショナルデー」を連日予定している。その国の文化や歴史、技術などを発信するイベントを開く。これにあわせて要人の来日を調整する例が相次ぐ。外務省幹部は「複数回の要人来日を要望する国もある」と話す。
「万博外交」のトップバッターは中央アジアのトルクメニスタンだった。石破茂首相は15日、首相官邸で来日したベルドイムハメドフ大統領と会談。世界有数の天然ガス産出国とエネルギー活用などの協力を確かめた。
翌16日は岩屋毅外相と中谷元防衛相が、南太平洋の島国トンガから来たウルカララ皇太子と会談した。17日はカリブ海の島国グレナダのアンドール外相が岩屋氏のもとを訪れた。いずれもナショナルデーにあわせた来日だった。
週明けの21日には石破首相がオランダのスホーフ首相との会談を予定する。スホーフ氏は自国の万博パビリオンの除幕式に参加するために21~23日の日程で来日する。
8月20~22日には横浜市でアフリカ諸国の首脳級を招くアフリカ開発会議がある。この前後に万博はガンビアやトーゴ、セネガル、リベリアといったアフリカの国のナショナルデーが並ぶ。同月22日は国連の「スペシャルデー」を企画する。
岩屋氏は15日の記者会見で一連の外交日程の意義を強調した。「各国のカウンターパートと積極的に会談を行い、協力・連携の関係を強化したい」と語った。不透明感が強まる世界情勢について意見を交わす場になる。
万博外交の主なテーマといえるのが通商問題だ。米国の関税政策を受け「最近は首脳間の会談でも自然と話題に出る」(外務省幹部)。価値観を共有する国と米国との関税交渉に関する情報を交換し、自由貿易の重要性を確かめる方針だ。
各国との間の通商交渉も見込む。例えば23日にナショナルデーを迎えるトルコとは経済連携協定(EPA)の交渉中だ。交渉開始から10年以上経過しており、経団連は3月に早期締結を求める意見を発表した。
もう一つの柱は中国をにらんだ安全保障協力だ。中国は海洋進出に力を注ぎ、東南アジアや太平洋島しょ国への影響力を強める。日本政府は来日する各国の要人と部隊交流や装備品の供与などの議論を進める。
石破首相らは万博外交を通じ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性を各国と共有していく構えだ。
トランプ米大統領が来日する可能性もある。石破首相は2月の訪米時、万博期間中を念頭に招請した。両首脳の共同声明にトランプ氏が近い将来に日本を公式訪問するよう首相から招待され、受け入れたと明記した。
首相は帰国直後の日本経済新聞のインタビューで、トランプ氏が「今年訪日するぞとかなり強く言っていた」と明らかにしている。日本は米国のインド太平洋地域への関与を強める契機とみる。7月19日の米国のナショナルデーを含めて日程を探る。
海自艦、カンボジア軍港に寄港 中国独占利用にくさび[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1263文字 PDF有 書誌情報]
海上自衛隊の艦艇が19日、カンボジア南部のリアム海軍基地に寄港した。中国の支援で拡張し、5日に完成したばかりの軍港に外国艦艇として初めて入った。南シナ海の海洋権益の拡大をめざす中国による独占利用にくさびを打つ狙いがある。
掃海母艦「ぶんご」と掃海艦「えたじま」が入港した。カンボジアのリアム基地の副司令官は19日の歓迎式典で「今回の訪問が両国の協力や友好をさらに促進することを期待する」と述べた。
両艦は海中に敷設された機雷の除去などを主な任務とする。護衛艦などと異なり、ミサイルなど敵への攻撃を目的とする装備は搭載していない。
海自は過去にカンボジアのシアヌークビル港に寄港した実績がある。同港はリアム基地からほど近く、日本の支援で拡張が進む。今回はあえて外交的判断から寄港先をリアム基地にした。
海自トップの斎藤聡海上幕僚長は15日の記者会見で、2024年にカンボジア政府から要請があったと説明した。完成後の最初に寄港する外国艦として海自艦を望む意向があったという。
植野篤志駐カンボジア大使は19日、現地で記者団に「カンボジアが日本との関係を重視している証しだ。『自由で開かれたインド太平洋』を前進させるうえで大きな一歩だ」と話した。
海自の池内出・掃海隊群司令はリアム基地の重要性を強調した。「日本にとって死活的なエネルギーや資源の通り道であるシーレーン(海上交通路)に面した戦略的な要衝だ」と発言した。
海自は中国が圧力をかける地域で「航行の自由」の重要性を発信しようとしている。今回の寄港もその一環といえる。
カンボジアは経済的な中国依存が強まる状況で、中国への警戒も根強い。フン・マネット首相は5日のリアム基地の完成式典で「一緒に訓練をしたいと望む全ての友好国を歓迎する」と語った。
カンボジアはトランプ米政権から49%という高い相互関税を示された。これはカンボジアの対中依存への米国の警戒の表れだという指摘がある。中国がカンボジアを経由して米国に売り込む「迂回輸出」を問題視されたとの見方もある。
海自艦の寄港は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が17~18日にカンボジアを訪問した直後になった。日本は米国の同盟国だ。米中双方への外交上のバランスを取ろうとするカンボジアの立場に沿う形になった。
リアム基地は南シナ海の南部をにらむ位置にある。中国にはカンボジアの「お墨付き」を得て人民解放軍が南シナ海に進出する拠点にしたい思惑がある。
中国軍は5日、リアム港にカンボジア軍との共同訓練センターを開設した。双方の兵士を常駐させ合同訓練やテロ対策、防災にあたる。習氏とフン・セン上院議長は17日の会談で両国の外相と国防相による「2プラス2」の創設を確認した。
それだけに中国は海自艦が真っ先に寄港したことを快く受け止めていない。プノンペンの外交筋は「中国は海自艦による寄港への反対をカンボジア側に伝えていたが、フン・マネット政権が押し切った」と解説する。
(カンボジア南部シアヌークビル=田島如生、永富新之丞)
米イラン、核再協議 ウラン濃縮など論点整理[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 985文字 PDF有 書誌情報]
【ドバイ=福冨隼太郎】米国とイランは19日、イランの核開発を巡る2回目の高官協議をローマで開いた。イランが進めるウラン濃縮の取り扱いなど、焦点となる論点を整理したとみられる。イラン側の交渉役のアラグチ外相は協議終了後、26日に3回目の高官協議を開くとの見通しを示した。
アラグチ氏は国営メディアに対し、19日の協議について「約4時間続いた。対話は前向きだった」と説明した。次回の協議は中東オマーンで開かれると明らかにした。
両国は12日に仲介役のオマーンで初会合を開いた。19日の協議はローマのオマーン大使館で開いた。イラン国営メディアによると、米イランの交渉団が別々の部屋で待機して初回と同じく書簡の交換による間接協議を実施した。
米側の交渉役であるウィットコフ中東担当特使は15日「イランは核濃縮・兵器化のプログラムを停止、放棄しなければならない」とSNSに投稿した。
アラグチ氏は16日「ウラン濃縮の権利は交渉の余地がない」と反発した。自国の核開発を「平和利用目的」だと説明し、ウラン濃縮などの核技術を持つ権利はあるとの立場を示す。
ウラン濃縮は鉱山から採掘する天然ウランを、原発の燃料や核兵器として使えるようにする工程だ。原発燃料の濃縮度は3~5%と低く、90%以上に高めれば核兵器の材料になる。
トランプ米大統領は「イランは核兵器を持つことはできない」と繰り返してきた。イラン側は「核兵器を持つ意図はない」(ペゼシュキアン大統領)と主張する。
イランは2015年に米欧などと核開発の制限で合意した。合意後も3.67%まではウラン濃縮を認められた。米国が18年に合意から離脱し対イラン制裁を強めた後は、イランもこの上限を大幅に超える濃縮を進めた。
国際原子力機関(IAEA)によると、イランは2月時点で60%の濃縮ウランを274.8キログラム所有する。核兵器級の90%まで濃縮すれば、核爆弾6発分に相当する。
ウィットコフ氏は当初、イランに低濃度のウラン濃縮を認めることに含みを持たせ、核開発の全面放棄を求めるわけではないと説明してきた。イラン側は協議でトランプ政権の真意も確認する考えとみられる。
交渉がまとまらない場合、イスラエルを巻き込んだ米イランの軍事的緊張が高まりかねない。イスラエル首相府は17日の声明で「イランの核兵器獲得を許さない」と強調した。
ロシア、30時間停戦発表 プーチン氏、復活祭に合わせ[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 603文字 PDF有 書誌情報]
ロシアのプーチン大統領は19日、ウクライナへの侵略行為について20日のイースター(復活祭)に合わせてモスクワ時間の19日午後6時(日本時間20日午前0時)から21日午前0時(同午前6時)までの30時間、一時停戦すると発表した。
ロシア大統領府によるとプーチン氏はゲラシモフ参謀総長から報告を受け、復活祭の一時停戦について「人道的配慮に基づき、すべての敵対行為を停止するよう命令する」と述べた。ロシア国防省はウクライナ側も応じることが停戦順守の条件だと表明した。
プーチン氏はロシア軍がウクライナによる停戦違反の可能性に備える必要があるとも指摘し、敵対行為を撃退する準備ができていなければならないとも言及した。実際に一時停戦が実現するかは不透明感が残る。
ゲラシモフ氏はプーチン氏に、ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州について99%以上の地域を奪還したと報告した。ロシアメディアによると残っているのは1つの集落という。
3月下旬に米国はロシア、ウクライナの双方と黒海での船舶の安全航行確保や武力行使の排除で合意したと発表した。一方、エネルギー施設への攻撃停止を巡り、ロシア側はウクライナが攻撃を続けていると主張するなど、双方が非難の応酬を続けている。
プーチン氏は2023年1月のロシア正教のクリスマスに合わせて一時停戦を宣言したことがある。ただ軍の交戦が続き、一時停戦は実現していなかった。
任天堂「スイッチ2」米で24日予約開始 関税で延期、本体価格据え置き[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 522文字 PDF有 書誌情報]
任天堂は18日、新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の米国での予約受け付けを24日に始めると発表した。予約開始は当初9日としていたが、トランプ米政権の関税の影響を見極めるため、延期していた。本体やソフト価格は当初予定から据え置き、周辺機器は値上げする。6月5日としている発売日に変更はない。
本体は希望小売価格449.99ドル(約6万4千円)と当初から据え置いた。専用ソフト「マリオカートワールド」は79.99ドル(約1万1千円)、「ドンキーコングバナンザ」は69.99ドル(約1万円)で変わらない。
周辺機器は当初予定から価格を引き上げた。コントローラー「ジョイコン」はペアで94.99ドル(約1万4千円)、カメラは54.99ドル(約7800円)で販売する。任天堂は「市場の状況によっては、任天堂製品の価格を調整する可能性がある」として、ほかの製品にも影響が及ぶ可能性を示唆した。
トランプ米大統領が2日に発表した米国の輸入品に対しての「相互関税」はほぼ全ての国・地域に対し発動した。同日にスイッチ2の発売を公表した任天堂は、市場動向など関税による影響を見極めるため米国の予約開始を延期していた。
海運大手、米の中国製船への手数料「影響を精査中」[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 458文字 PDF有 書誌情報]
米通商代表部(USTR)が中国籍や中国で製造された船舶を対象に手数料を180日後に徴収すると発表したことに対し、日本の大手海運各社は「影響を精査中」とコメントした。中国は世界の船舶受注の5割を請け負っていて、特に中国製の船を多く所有する欧州の海運各社に大きな影響が出る可能性がある。
日本郵船は本体で保有または用船している船舶が430隻ほどあり、そのうち中国で製造されたものは1割未満だ。発注残があるかについては「非公表」としている。影響については「精査していく」という。今後の対策について情報が限られていると前置きしつつも「米国に行く船に中国で建造されたものを配置しないというのも方法だ」と指摘する。
商船三井グループは約940隻を保有または用船し、そのうち中国で造られた船舶は5%ほどだとしている。影響は「精査中」という。川崎汽船は400隻ほどを保有し1割ほどが中国で造られたものだという。同社は「自動車船を中心に影響が出ることが見込まれる」とし「当社全体の事業環境を見極めながら対応していく」とコメントした。
氷河期就労支援、閣僚会議を新設 首相表明、今週から[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は19日、20日からの週に就労支援に関する関係閣僚会議を新設すると表明した。就職氷河期世代など就労に困難を抱える人への支援策を調整する。都内で記者団に「就職氷河期に限らず、就労に不安や困難を抱える方々を支援する。点ではなく面の取り組みをしていく」と述べた。
首相は同日、東京都立川市で若者の就労支援施設などを視察した。都内で仕事と育児の両立に積極的に取り組むファッションビル運営のルミネも訪れた。
就職氷河期世代は一般的に1973~82年ごろ生まれの世代をさすことが多い。就職する時期にバブル崩壊や金融危機で企業の新卒採用が少なかった。希望の職を得られず、非正規雇用の期間が長くなる傾向があった。
立民・野田氏、消費減税の是非「連休前に党内で結論」[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 160文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表は19日、消費税減税の是非に関する党内議論について、大型連休前にも結論を出す考えを示した。「長引かせてダラダラする必要は全くない。なるべく連休前の方がいいだろう」と話した。千葉県船橋市で記者団に語った。
議論で出てきた意見を踏まえて「党の執行部がどう判断するかというプロセスになる」と説明した。
参院選で起きる「政権交代」(風見鶏)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1461文字 PDF有 書誌情報]
今国会が会期延長せずに閉幕すると、参院選の投開票日は7月20日になる。残り3カ月となった永田町でよく話題になるのは「36」という数字だ。自民、公明両党の勝敗ラインを考える際に出てくる。
参院の定数248のうち今回の選挙で与野党が争うのは改選議席124に欠員補充1を加えた125。自公は非改選議席が75あるため、50議席をとれば過半数を確保する。
公明党の獲得議席を前回の2022年と同じ13と仮定すると、自民党に必要なのは37。つまり36議席以下になると衆院に続いて参院でも過半数を失う。
参院選で自民党の獲得議席が最も少なかったのは36年前、1989年の36議席だ。55年の結党以降、初めて参院で過半数割れした。
主因はリクルート事件や消費税導入で自民党への反発が強まったことだ。直前の都議選に大敗し、反自民の流れが参院選まで続いたことも響いた。宇野宗佑首相は責任をとり退陣した。
今回の参院選を取り巻く環境は89年と共通点がある。自民党派閥の「政治とカネ」の問題が発覚し、「年収103万円の壁」など税を巡る政策で自民党への批判が出ている。6月に都議選で自民党が負ければ、状況はさらに似てくる。
「12年前は全勝したんだ」。石破茂首相は3日、自民党本部で井上信治・都連会長らに強調した。自身が幹事長として仕切り、自民党の公認候補が全勝した13年都議選のことである。
首相の意気込みは危機感の裏返しなのだろう。都議会自民党でも「政治とカネ」の問題が明らかになった。昨年の衆院選で躍進した国民民主党に加え、石丸伸二氏の新党が有権者の受け皿となるとの見方もある。
関心は全勝をめざすよりも、いかに落選を少なくするかに向かう。「過去3度の都議選で60人ほど立ててきた公認候補を、今回は45人くらいにしたい」。都連幹部は共倒れを防ぐために候補を絞り込む方針だ。
自民党の久米晃・元事務局長も今回の参院選を考える材料として89年を挙げる。「参院選が『首相を辞めさせる選挙』になった」と解説する。89年が先例となり98年の橋本龍太郎政権や07年の第1次安倍晋三政権も参院選で大敗し退陣に追い込まれた。
3年ごとの参院選と4年ごとの東京都議選が12年に1度重なるのは巳(み)年だ。25年は巳年のなかでも60年周期の干支(えと)で「乙巳(きのとみ)」にあたる。
蘇我氏が滅ぼされた「乙巳(いっし)の変」に始まる「大化の改新」が起きた645年も乙巳だった。立憲民主党の小沢一郎氏は元日の新年会で、これを念頭に「乙巳は60年に1度の大変革の年」だと語った。
政界にジンクスめいた話が広がるのは、変革が起きた先例を示す思惑がうずまいているときだ。
少数与党の石破政権は25年度予算で、野党の協力をとりつけるのに苦労した。参院選が終われば、衆院で過半数をもつ安定政権の枠組みづくりが必要という声は与野党に多い。
首相は立民の野田佳彦代表や日本維新の会の前原誠司共同代表と近い関係にある。連立の組み替えなどが取り沙汰されるものの、それは首相が参院選を乗り切った場合の話だ。
89年の参院選は「首相を辞めさせる選挙」になっただけでなく、自民党が参院で過半数を確保するために他党と連立を組むきっかけにもなった。参院選は通常は中間選挙の位置づけで、政権選択の舞台は衆院選になる。今回は違う。参院選でありながら政権の枠組みに直結する選挙になる。
(亀真奈文)
【図・写真】石破首相は3月の全国幹事長会議で、都議選と参院選について「極めて厳しい選挙」だと語った
4月19日(首相官邸)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 309文字 PDF有 書誌情報]
▽9時20分 公邸発。
▽11時12分 東京都立川市の就労支援拠点「たちかわ若者サポートステーション」。13分 認定NPO法人「育て上げネット」の工藤啓理事長らから就労支援に関する説明。21分 職場でのコミュニケーション力向上に関するセミナーを視察。27分 サポートステーション卒業生らと車座対話。
▽12時52分 東京・代々木のルミネ本社。54分 ルミネ社員から仕事と育児の両立支援に関する説明。車座対話。
▽14時4分 報道各社のインタビュー。31分 公邸。59分 林官房長官、赤沢経財相、外務省の有馬北米局長、片平経済局長、三村財務官、渡辺農水審議官、荒井経産省通商政策局長、寺田国交審議官。
▽16時25分 全員出る。
外相、安保と関税「別の話」 米との交渉巡り(短信)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
岩屋毅外相は19日、大分県別府市で記者会見し、トランプ米政権との関税交渉について「仮に安全保障の問題が出てくれば、本当は別のトラックの話だろうと思う。事柄の性質が元々違う」と述べた。
岩屋氏は現行の合意の期限が2026年度末になっている在日米軍駐留経費に触れ「27年が今の約束の期限だ。通常その前の年から日米間で協議していくのが、これまでのスタイルだ」と強調した。
公明代表、米関税で要望聞き取り 中小工場を視察(短信)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
公明党の斉藤鉄夫代表は19日、横浜市で産業用のプリント配線基板回路を製作する中小企業の工場を視察した。トランプ米政権による関税措置を受けた資金繰り支援の拡充などの要望を聞き取った。斉藤氏は政府への党提言を巡り「いただいた意見を胸に置きながらまとめる」と述べた。
23日 G20財務相会議が米国で開幕、ベッセント氏の発言注目(NewsForecast)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1494文字 PDF有 書誌情報]
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が米国の首都ワシントンで現地時間23日に開幕する。第2次トランプ米政権発足後で初めて担当閣僚のベッセント財務長官が出席する見通しだ。米国の関税政策を巡って各国から非難の声が上がることが予想される。日本の加藤勝信財務相とベッセント氏が個別に、為替に関して協議する可能性もある。
2月の南アフリカでのG20会合をベッセント氏は欠席した。南アによる議長総括では米国の関税引き上げ表明を念頭に「保護主義への抵抗を再確認した」とうたった。共同声明を出さず、閉幕した。
米国は鉄鋼、アルミニウム、自動車のほか、各国一律10%の相互関税などを発動した。今回のG20会合には自由貿易を重視する国・地域との協調を狙う欧州各国や、関税上げの報復措置で対抗する中国も代表者が出席する見通しだ。
市場では米国の関税政策を受け、米経済の先行きが不透明になっていることから米国債の売り圧力が高まっている。利回りは上昇(債券価格は下落)傾向にある。新興国はドルを中心とした外貨建ての債務の比率が高く、金利上昇で返済負担は重くなる。米関税が世界経済に与える影響について意見表明が相次ぐとみられる。
トランプ政権は米国際開発局(USAID)も事実上解体した。途上国支援の遅れが懸念される。G20議長国の南アなどアフリカやアジアで米国の存在感が薄れれば、中国の巻き返しが予想される。
G20の財務相・中央銀行総裁会議にあわせて、国際通貨基金(IMF)や世界銀行の会合も開催を予定する。世界経済に関して意見を交わすことになる。
日米両政府は一連の会合と並行して、財務相会談を実施する方向で調整している。日米の関税交渉で米国側の交渉役にベッセント氏が指名されており、協議内容が注目される。同氏は「関税、非関税障壁、通貨の問題、政府補助金を巡る生産的な取り組みを楽しみにしている」と為替問題も取り上げる考えを示している。
関税交渉の日本側の担当閣僚である赤沢亮正経済財政・再生相は17日にワシントンで、トランプ大統領やベッセント氏らとの初協議に臨んだ。同日は為替については議題にならなかった。
為替問題は加藤氏とベッセント氏との間で議論することになっており、G20会合の機会を利用して、ふたりが顔を合わせ、協議する可能性が指摘されている。両氏は1月にオンラインで会談している。対面で会えば、初めてとなる。
加藤氏は「為替レートは市場において決定されること」との見解を繰り返し述べている。米国との間で「レートの過度な変動や、無秩序な動きは経済的な安定に対して悪影響を与えうるとの認識を共有している」とも説明する。
トランプ氏は米国内の製造業の立て直しに力を入れ、輸出では不利となる円安・ドル高を問題視する。ベッセント氏は過去に日本の防衛費増額に触れて「円建てのため、円安進行によってドル建てでは少し減ったかもしれない」と語っている。ドル高の是正を交渉カードに持ち出す懸念がくすぶる。
日本は輸入物価の上昇に苦しんでいる面があり、円安の是正で折り合う余地はある。一方、日銀の植田和男総裁はトランプ関税の日本経済への影響に関して「不確実性は大きく高まった」と話す。
為替条項の導入にまで話が及ぶようなことになれば、日銀の金融政策に直結する。目下の緩和的な状態が通貨安誘導と批判されれば、米関税が日本経済を下押しした場合の機動力を失いかねない。急激な円高が進んだ場合の対応も難しくなる。(竹内宏介)
【図・写真】ベッセント米財務長官(右)は日米関税交渉の米国側の担当者に指名された=ロイター
「一人複役」で地域貢献、地方公務員の兼業、国が後押し(Views先読み)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1149文字 PDF有 書誌情報]
総務省が地方公務員の兼業・副業を後押しする。6月にも自治体に許可基準の目安になるガイドラインを示す。柔軟な働き方を認めて地方の活性化や生活機能の維持に役立てると同時に職員の確保につなげる。
地方公務員は法令で営利企業での兼業を制限されている。非営利団体で活動する場合でも報酬をもらうならば自治体の許可が要る。
総務省によると、自治体が2023年度に許可した件数は全国で約4万1600件に上る。そのうち、家業の農業や不動産賃貸などを除いた「社会貢献活動」が約1万3500件ある。18年度と比べると市区町村では増えているが、都道府県は減っている。
兼業への対応は自治体によって大きく異なる。神戸市は17年度に「地域貢献応援制度」を創設し、職員が兼業で地域活動に参画する際のルールを明確にした。NPO法人での障害者支援やコミュニティー農園の運営など25年1月までで約120件の申請があった。4月からは保育士のサポートや福祉施設での事務補助も可能にした。
長野県や奈良県生駒市、福岡県飯塚市なども基準を示して職員の地域活動を支援している。大阪府河内長野市は4月、職員の兼業を推進する条例を制定した。
一方、自治体の3分の1は許可する基準すら設けていない。基準はあっても「(兼業先と)特別な利害関係がない」「通常の職務に支障がない」などといった原則を示すだけの地域も多い。基準があいまいなために、職員に無報酬での活動を暗に求めるケースもあるという。識者からは「運用が過度に抑制的だ」という批判がかねて出ていた。
このため、総務省はガイドラインで基本的な考え方や許可が可能な範囲、活動時間の目安などを示し、具体例も紹介する。社会課題の解決につながる活動のほか、地方の生活機能を維持する仕事も認める方針だ。
地方の生活インフラの多くは民間が担っている。今後、自治体の判断次第では、コンビニでの勤務や宅配便の配達、休日のタクシー運転手なども可能になる。
兼業を後押しする背景には職員のスキルや意欲を政府が掲げる地方創生に役立てる狙いがある。石破茂首相は1月の施政方針演説で地方公務員の「兼業・副業の弾力化」をすでに表明している。地域の現場で様々な経験をすることは職員の能力向上にもつながる。
公務員離れも一因だ。地方公務員の採用試験の受験者はこの10年間で3割減った。技術系職員などでは応募者が採用予定数を下回ることが珍しくない。
公務員も地域に戻れば住民の一人だ。「一人複役」を認めることは有意義だが、実際に広がるか否かは首長の姿勢次第といえるだろう。全国には職員が育児や介護休暇を取得することさえ消極的な首長がいる。職員の自由な働き方を可能にするためには、長時間労働の是正も不可欠になる。
(編集委員 谷隆徳)
4月20日―4月25日(今週の予定)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 601文字 PDF有 書誌情報]
■20日(日)
○松江、富山市長選投開票
■21日(月)
○参院予算委で集中審議(米国の関税措置)
○4月の主要銀行貸出動向アンケート調査(日銀)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季総会(ワシントン、26日まで)
○米比が合同軍事演習「バリカタン」を実施(5月9日まで)
○4月の中国最優遇貸出金利(LPR)
■22日(火)
○十倉経団連会長会見
○グロース上場=デジタルグリッド
○国際通貨基金(IMF)世界経済見通し
■23日(水)
○国会で党首討論
○3月期決算=ファナック
○1~3月期決算=キヤノンマーケティングジャパン
○4月の金融システムリポート(日銀)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、24日まで)
○上海国際自動車ショー(中国・上海市、23~24日報道向け公開、25~26日関係者向け公開、27日~5月2日一般公開)
○3月の米新築住宅販売件数
○米地区連銀経済報告(ベージュブック)
■24日(木)
○グロース上場=LIFE CREATE
○3月期決算=ニデック、富士通
○1~3月期決算=キヤノン
○3月の企業向けサービス価格指数(日銀)
○3月のスーパー売上高(日本チェーンストア協会)
○3月の米中古住宅販売件数
■25日(金)
○札証アンビシャス上場=エレベーターコミュニケーションズ
○3月期決算=野村ホールディングス、キーエンス、信越化学工業、第一三共
○4月の東京都区部消費者物価指数(総務省)
次期公正取引委員会委員長 茶谷栄治氏、競争環境の変化、見定める(このヒト)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 479文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会の委員長に5月に就任する。前財務次官として財政を中心に豊富な行政経験を持つとはいえ、これから向き合うのはより個別の企業に近い領域だ。「自分にとっては新しい分野。身を引き締めなければいけない」と語る。
かつての公取委はゼネコン談合などを取り締まる役割が目立った。いまや巨大テック企業の市場独占を是正する競争環境の整備など、政策官庁の側面を強くする。
経済の変化に柔軟に対応するには、法の厳格な執行とアドボカシー(政策提言)を「車の両輪」とすることが欠かせないと説く。同じ財務省出身で現職の古谷一之委員長の路線を引き継ぎながら「どういうルールが公正なのかを見定めたい」と話す。
長い官僚生活では与野党や関係省庁との調整や政策立案だけでなく、「法執行の極みだった」と振り返る東京国税局査察部長も務めた。公取委とは古い縁もある。1990年代に在ベルリン日本総領事館で働いた際、机を並べたのは公取委の出向者だった。
学生時代に司法試験に合格し、2024年の退官後に弁護士資格を得た。「まだ金ぴかのまま」の弁護士バッジとしばしのお別れとなる。(広瀬洋平)
日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
(1)米国債売りの裏側 ジリアン・テット(11日)
(2)市場の力に屈したトランプ氏(社説)(14日)
(3)ブリティッシュ・スチール救済、中国の投資に警戒強まる(16日)
(4)「スイッチ2」はゲーム業界の停滞を打ち破れるか(上)(14日)
(5)トランプ氏より強い習氏の「手札」 ギデオン・ラックマン(16日)
(6)トランプ関税は米の信認損ねる恐れ JPモルガンCEO(17日)
(7)貿易戦争の行方 カギ握るベッセント米財務長官(15日)
(8)トランプ氏に戦略ビジョンはない ジャナン・ガネシュ(14日)
(9)関税策後退の背景? 米国債を巡る記事まとめ読み(12日)
(10)電子レンジからバービーまで 米国人が依存する中国製品(15日)
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日経電子版(読まれた記事ランキング)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 6ページ 347文字 PDF有 書誌情報]
(1)トランプ氏、赤沢経財相と関税交渉 「大きな進展」と表明(17日)
(2)「フジHD取締役にSBI北尾氏」株主提案へ 米ダルトン(14日)
(3)トランプ氏の急所、米国債なお不安 鎮まらぬ「米国売り」(11日)
(4)トランプ関税、スマホでも迷走 「除外」一転し別関税に(14日)
(5)米相互関税、スマホ・半導体装置除外 テックの現実に屈す(13日)
(6)帝国ホテルなど大手15社、カルテルの恐れ 公取委警告へ(17日)
(7)高齢者向けNISA創設を検討 金融庁、毎月分配型解禁へ(15日)
(8)米国、相互関税からスマホ除外 iPhone値上がり回避(12日)
(9)トランプ氏、侵略でプーチン氏批判 停戦難航に不満(15日)
(10)「米国売り」23年ぶりの衝撃 米国債・ドル急落の1週間(12日)
関税危機 経済学の処方箋――保田氏 米国債保有は利点 星氏 輸出依存から脱却(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1973文字 PDF有 書誌情報]
日本と世界どう対応
――各国は関税上げにどう対応すべきですか。
保田 米国による関税率は各国で異なり、要求内容も様々だ。各国を分断し、個別に米国と交渉させることで競争を促す意図があるのではないか。
この点は国内政治にも当てはまる。特に大学は、助成金を突然差し止められながら、学問の自由の制限を要求される交渉を強いられている。大学同士が連携し、団結して交渉することが重要だ。
同様に日本や各国が団結することで自由貿易を守れる確率が高まる。日本が秩序回復に貢献したと他国から尊敬されるように交渉していくことを期待する。
星 報復関税は、それにより米国の政策が変わるなら意味を持つが、全く期待できない。消費者と企業をさらに苦しめるだけだ。日本は他国と協調して米中の関税戦争から自由貿易体制を守るべきだ。
日本は包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)をリードして作り上げた。これをさらに拡大し、欧州諸国や中国、米国にも働きかけ、自由貿易の立て直しをリードすることに価値がある。
――日本の対米交渉の姿勢をどう評価しますか。
星 米国の動きは理不尽だが、石破茂政権が報復して問題を悪化させるのではなく、じっくり交渉する姿勢は評価できる。
日米には1980年代から経済摩擦があり、貿易交渉を行ってきた。当時の米国は「スーパー301条」も使って日本に構造改革を迫った。日本は外圧を利用して流通制度の改革や知的財産権保護の法整備など、自国に役立つ構造改革を進めた。最終的には日本経済に寄与した面もある。
今回も経験を生かし、交渉の中で日本に役立つ改革を進めるべきだ。例えばコメの輸入制限の撤廃がある。現在、コメ価格が上がって多くの人が困っている。日本の譲歩できるところだと思うのでぜひ取り組んでほしい。
保田 話し合う内容は関税に限らないと思う。例えば、欧州連合(EU)は米国からエンタメや金融など多くのサービスを購入している。これらの分野で米国企業の収入が今後EUの規制によって圧迫されることもあり得る。包括的に考えることが重要だ。
日本は米国債を大量に保有している。中国も同様で、米中間の緊張を高めている。米国債離れやドル離れは米国の国際的地位を低下させる。日本が今後も米国債を大量保有し続けるメリットを強調し、その状況が変わることが米国に大きなダメージとなるという認識を共有することは賢いアプローチではないか。
――為替の動向はどのように見ていますか。
星 為替は非常に読みにくい。実需の面では、関税によって米国の輸入が減り、ドルの供給が低下してドル高になると考えられる。金融面で見ても、関税でインフレが進行すれば、米連邦準備理事会(FRB)が利上げしてドル高につながるだろう。
もし利上げが中途半端であれば、インフレが続いて購買力の観点でドル安になる可能性もある。他国の中央銀行のドル保有に課税をするようなことがあれば、ドルの魅力が低下してドル安を招く。どのチャンネルが重要になるか、まだよくわからない。
保田 為替は一番不透明な点だ。今後の関税交渉の動向が米国のインフレや金利に大きく影響する。今後スタグフレーションになる可能性が高まり、インフレと経済成長率の低下の板挟みになることも予想される。FRBには難しい状況になる。
米国にとって売られる可能性があるのは国債だけではない。カナダやデンマークの年金は米国のプライベートエクイティ(PE=未公開株式)に多く投資してきたが、リスクを考慮して投資を減らすという話も出ている。米国への投資離れがどの程度進むかわからない中で、為替介入が望ましいのかよくわからない。
――予算措置など日本の対応はどうすべきですか。
星 大きな構造変化が起きているため、対応には時間がかかる。調整を早め、痛みを和らげる支援金や給付金の必要はある。
一方、日本政府が輸出業者に補助金を出して安い価格で輸出できるようにすると、関税による米国の増税負担を日本の納税者が一部負担することになるので好ましくない。
――企業はどのような対応が必要ですか。
保田 企業にとって難しい時期だ。例えば工場をつくるような投資の決定には将来のキャッシュフローを計算する必要がある。そこで税率が不確実なら投資の決定は難しい。
星 米国には貿易赤字を小さくしたいという目標があり、日本の輸出が減る方向に持っていきたいのは変わらないと考える。
そこで日本から見て明らかなのは、輸出、特に対米輸出に成長を頼ることのコストだ。日本がかつて急成長するために米国に頼ったのは仕方がなかった。しかし成熟して、本来なら大きな国内市場を持てるのに輸出に頼りすぎるのは考え直さないといけない。経済安全保障の面からもリスクがあり、輸出依存からの転換が重要になる。
関税危機 経済学の処方箋 保田氏 「団結」自由貿易守る 星氏 TPP拡大主導を(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1789文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領による関税引き上げに日本はどう対応したらよいのか。経済学者の星岳雄・東大教授と保田彩子・カリフォルニア大学デービス校教授が論じ合った。米国在住の保田氏が各国の団結を訴えたのに対し、星氏は日本経済の改革を提言した。(1面参照)
――関税上げは世界経済をどう変えますか。
保田 今の米国を表現する「タリファイド(Tarrified)」という言葉をよく耳にする。恐怖におののく(Terrified)と関税(Tariff)を掛けた造語だ。恐怖の要素は3つあり、まずはインフレだ。発表された関税がすべて実施された場合、物価を年2・9%押し上げるとの予測がある。
次に米国企業の業績が悪化することで、雇用や家計収入の減少が懸念される。株価が下がれば退職後の資産にも悪影響が及ぶ。さらに深刻なのは、安全とされてきた米国債まで売られたことだ。米国はトリプルショックで非常に暗い雰囲気が広がっている。
星 株価の急落はリーマン・ショックや新型コロナ危機の時とほぼ同程度の速さだ。米国債の利回り上昇は企業の資金調達を困難にし、実体経済に悪影響を与えるだろう。
市場がさらに混乱し、金融機関が危機に陥ればリーマン・ショックの二の舞いになる。今回はコロナ危機と異なり、関税政策や政策の不確実性という人為的な要因による。人為的に経済システムを壊そうとしているのは大きな問題だ。
保田 以前の危機とは異なり、各国が解決に向けて一丸となるのが難しい。関税のゴールは何か。米国の政権内部でも矛盾が生じていることが危機を深刻にしていると思う。
関税の目的には政府の収入源、他国との交渉ツール、国内製造業の雇用増という3つが挙げられる。これらの目的は相いれない。収入源と交渉手段という目的は相互に対立するし、製造業の回復を図るのとも矛盾する。トランプ大統領は貿易赤字をゼロにしたいのか、ドル高を是正したいのか、最終目的が不透明だ。
不確実性は市場を混乱させる。当事者は不確実性を減らすように努力するものだが、トランプ氏にとっては不確実性が政治力を集中させる源になっている。
――関税はどのように経済を傷めますか。
星 関税の引き上げは増税と同じだ。輸入品の値上がりを通じ、消費者の負担となる。消費者は安い輸入品から高い国産品へと消費行動を変えることになり、最適な行動がゆがめられるコストもある。
対中国のように100%を超える関税が適用されれば、米国の業者が輸入品を販売できなくなる可能性もある。雇用が失われ、特定の製品が米国に全く入らなくなる問題もある。
保田 中小企業は中国への20%の関税は準備していたと思う。しかし100%超となると中国からの輸送を止めざるを得ない。米国で売ることができなければ他国に売るか、倒産に至ることも考えられる。
――過去の経験から学べることはありますか。
星 プラザ合意や日米貿易摩擦をほうふつとさせるところはある。しかしプラザ合意の時はドル高が行き過ぎていると各国が協調して介入した。今回も(ドル高是正に向けた)「マールアラーゴ合意」が取り沙汰されているが、米国が言っているだけで他に同意している国はない。その意味で状況は全く異なる。
日米貿易摩擦も日本に求められたものが違った。当時の米国が求めたのは日本の市場開放であり、全体的には自由貿易を促進する方向だった。現在は関税を利用して貿易を制限し、貿易赤字の解消を目指す方向にシフトしている。
保田 関税による収入増が目的なら、相互関税の90日間停止がこんなに早く発表されたのはおかしい。関税は交渉のツールであり、最終目的はドル高是正である可能性が高まった。
ただ米国債市場が不安定になっている。大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長の指針を読むと、国債を永久債に転換することや手数料をかけることを掲げている。米国債やドルの魅力を失わせる状況が国益になるかは非常に疑問だ。
ほし・たけお 1960年生まれ。MIT博士。専門は金融・日本経済。「ゾンビ企業」の研究などで知られる。カリフォルニア大サンディエゴ校やスタンフォード大を経て現職
やすだ・あやこ 1970年生まれ。スタンフォード大卒、同大博士。ベンチャーキャピタルなどファイナンスの研究者として知られる。ペンシルベニア大などを経て現職
関税危機 経済学の処方箋――保田氏 法の支配は窮地に 星氏 米なき貿易体制困難(日経エコノミクスパネル×対談)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1675文字 PDF有 書誌情報]
グローバル化の将来
――米国が最終消費国としてグローバル化を支える構造が揺らいでいます。
星 世界の貿易と経済の体制がきしんでいることは明らかだ。米国は基軸通貨のドルを供給しながら経常収支赤字を続け、他国から大量の輸入をしてきた。これは本来ならドルの特権と思われてきた。世界中がドルをほしがるので経常収支赤字を続けられる。この特権を米国はいまコストとみている状況だ。
自由貿易体制を支えてきた基軸通貨ドルの価値を下げ、役割を放棄するような動きが見えてきた。ドルに代わる基軸通貨が出てこない限り問題は続く。中国が基軸通貨を供給できるだろうか。中国は日本と同じく輸出頼みの成長戦略から抜け出せておらず、通貨を供給して輸入を増やす経済になっていない。中国も米国の赤字を必要としており、混乱が起きている。
保田 米中対立はトランプ大統領の就任前から進んでいた。軍事防衛や人工知能(AI)の将来をどちらが担うか議論があり、エスカレートしてきた。
しかし経済的に米中はお互いを必要としている。共生関係を断ち切ったとしても、米国の製造業雇用が復活することはあり得ない。中国との極端なデカップリングができる体制に米国はなっていない。原料も輸入に頼り、機械も中国にある。輸入しないといけないのに関税でできなくなっている。米国は言っていることとやっていることが食い違っている。
――日本は貿易の変質にどう向き合うべきですか。
保田 関税競争だけでなく、米国の憲法解釈に関わる政治的な問題も重要だ。大統領が三権分立を超越するという法律理論を、トランプ政権は急進的な形で適用している。突き詰めると議会の立法も裁判所の判決も、大統領の行政権には適用されなくなる。これは米国が世界から信頼される根幹にあった法の支配の原理を覆すものだ。
こうした動きが国内で起きているのと、国外で貿易戦争が起きて平和や安定が脅かされているのは無関係ではない。日本が他国と団結して自由貿易を守っていくことを期待したい。
星 日本が他国と連携して世界の貿易体制を守る努力は必要だ。ただ米国は大国であるし、基軸通貨もドルに代わるものがない。貿易体制を全く米国抜きでつくるのは難しい。米国と交渉し、米国が今後も基軸通貨を提供できるような状態をつくるように協力できるのが理想だ。そのためにも先進国を中心に、外需に頼りすぎる経済を是正する努力が重要となる。
――トランプ大統領が問題視する貿易赤字は国の経済に悪いことなのですか。
星 経済的に考えると一般的には悪くない。自国で売る以上のモノを買えるため、基軸通貨を持っている米国は有利な立場にある。基軸通貨の供給のためにはある程度の米国の経常収支赤字が必要であり、世界経済にとっては重要だ。
保田 トランプ大統領は昔からの信念に基づいて貿易赤字を問題視している。経済学というよりも、(一方が得をし他方が損をする)ゼロサムの考えを貿易に反映しているのではないか。ドルが基軸通貨である以上は、米国の貿易赤字を避けるのは難しい。
――トランプ大統領はどのような経済学を信じているのでしょうか。
保田 第1次政権ではブレーンの中に経済学者と呼べる人がいて、ある程度制御していた。ただ第2次政権では独立した意見を述べるブレーンは招かれていない印象を受ける。
星 CEAのミラン委員長はアカデミックな経済学者とはいえない。他に信頼できる経済学者もいるが、どれだけ影響力を持ちうるかが一つの焦点になる。
保田 側近でも政策決定に関わっていない印象だ。トランプ大統領が自分で方針を決めている印象で、経済学者がどれだけ影響を与えられるかは不安だ。
――トランプ大統領の任期が終われば自由貿易が戻ってきますか。
星 それはない。米国が国際体制から内向きになったのはトランプ政権の前からの現象だ。これほど極端ではなくなるかもしれないが、全体として内向きな政策が変わることはないと思う。
対談は16日に電子版のNIKKEI LIVEで配信しました。アーカイブから動画を確認できます。
中国物流業界が米関税逃れ 価格の過少申告でトランプ政権に対抗(NIKKEIAsia)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 8ページ 2080文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が中国との貿易戦争を激化させるなか、中国の物流業界は関税を回避する手法を構築している。専門家は、商品価格を過少申告したり、原産国を偽装したりする手法を通じ、中国メーカーが米国の関税の影響を最小限に抑えられるよう手助けしていると指摘している。
こうした物流業者は「二重通関・内税」と呼ばれるサービスを提供している。米中双方での通関手続きを業者が管理するもので、時には関連会社を書類上の輸入会社として使うという。第1次トランプ政権時代に米中貿易摩擦が過熱して以降、このサービスの数は急増した。中国のSNSでは格安のサービスをうたう宣伝が流れる。
弁護士らによれば、手口の一つとして使われているのが「二重インボイス」だ。製品価格を実際より低い価格で請求書に記載する一方で、差額分を「マーケティング」など関税対象外のサービス費として、別途請求する手法だ。
米国に製品を輸出している深の照明器具メーカーでゼネラル・マネジャーを務めるサム氏(仮名)は、自社製品に課される関税の額を把握していない。ただ、米アマゾン・ドット・コムのサイトで販売する240ドル(約3万4000円)のクリスマス向け屋外照明と、64ドルの天井照明について、通関時にこれより低価格で申告されているのではないかと推測している。「これは我々の業界では公然の秘密だ」と打ち明ける。
トランプ政権が2月に関税を引き上げ始める前、輸出時にサム氏が物流業者に支払っていた手数料は1キログラムあたり約10元(約190円)だった。4月上旬時点で、船便の二重通関・内税サービスの総費用は、1~2元増えたにすぎないという。
サム氏は、同サービス費がさらに値上げされる可能性を認めるが、計145%に達している中国へのトランプ関税ほどには上昇しないと予想している。会社の売り上げにも「ほとんど影響がない」と言う。
高関税が米中間の貿易を阻害する恐れがあるなかで、こうした関税回避策は、一部の中国輸出業者にとって、競争力を維持する助けになり得ると専門家は指摘している。
課した関税を確実に徴収するのは容易ではない。米ゴールドマン・サックスのエコノミストによると、第1次トランプ政権時代に中国に課された関税のうち、2023年に1100億~1300億ドルは徴収を逃れていた。内訳は価格の過少申告と産地などの偽装がそれぞれ400億ドル、迂回輸出が300億~500億ドルと推定される。
中国の物流業界は、照明や家電製品からTシャツ、アクセサリーまであらゆるものをネットで販売する無数の中国業者を主要顧客として急成長を遂げてきた。中国の越境ネット通販は近年、大きく伸びている。
中国で人気のSNS小紅書(レッドノート)で「二重通関・内税」を検索すると、冷蔵庫やエアコン、その他の家庭用品を米西海岸に格安配送すると宣伝する広告が多数表示される。価格はさまざまだが、1キログラム当たり5.7元という低価格を提示する業者もいる。国際貨物輸送の予約・決済プラットフォーム「フレイトス」では、船便の運賃は1キログラム当たり約2~4ドルと見積もられている。
米国は、評価額が800ドル以下の少額貨物を非課税とする「デミニミス・ルール」の中国に対する適用を5月に終了する。これにより、物流業者のサービスへの需要はさらに高まるという見方もある。
深を拠点とする物流会社関係者は、トランプ氏が2月に中国からの輸入品に10%の追加関税を課して以降、二重通関・内税サービスに関するネット通販業者からの問い合わせが増えていると取材に明らかにした。
危うい領域に踏み込む業者もいる。ニューヨークの法律事務所マーク・A・ストラウス・ローの創設者、マーク・ストラウス氏は、物流業者が書類上の輸入業者となる複数のダミー会社を運営している可能性もあると指摘する。ダミー会社を通じ、改ざんまたは偽造したインボイスや、偽の通関書類を使って、支払うべき関税を抑える手法だ。
ストラウス氏の見立てでは、通関時の不正行為の大半は価格を実際よりも低く申告することに関連している。これは売り手と買い手が共謀すれば、物流業者が関与しなくても起きる可能性がある。
「顧客は物流業者が関税を逃れていることに気付いている可能性が高い」とストラウス氏は述べた。「請求される料金が、正式に通関したとしては安すぎるからだ」
貿易と国家安全保障を専門とする米国の法律事務所トレス・トレード・ローの創業者オルガ・トレス氏のもとには、2月以降、中国からの輸入品にかかる追加関税への対処方法について尋ねる米国の輸入業者からの問い合わせが殺到している。
「かつてないほどの電話がかかってきている」と言う。同氏は輸入関税の影響を法的に評価するために専門家を雇うことを企業に推奨しているが、多くの企業は不正を当てにすることになるかもしれないと語った。
(香港=謝一帆、ニューヨーク=姚柏穎)
【図・写真】中国のSNSでは格安の通関サービスをうたう物流業者の宣伝が流れる(一部画像処理しています)
NikkeiAsia(読まれた記事ランキング)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 8ページ 0文字 書誌情報]
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インド、アフリカで過去最大の海軍合同演習(FTSelection)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 8ページ 0文字 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――こんな日曜日が待ち遠しい。一心に、研ぐ[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――和食が磨いた技術の深化[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 10ページ 2275文字 PDF有 書誌情報]
円形をした電動の砥石(円砥)がゴトゴトと回り出す。刃があたったとたん、火花が散った。工房の中にシャーッと甲高い音が響く。その迫力に、思わず一歩後ずさりした。
堺市の北部。阪堺電車がゆっくり行き交う住宅街の一角に「山本刃剣」はある。山本真一郎さんが父、英明さんとともに営む。堺では「刃付け屋」と呼ばれる職人だ。英明さんの名からとった「英」ブランドの包丁は、有名ホテルや料亭の料理人が愛用する逸品。海外からも引き合いがある。
鍛冶職人が打ち上げた包丁に刃をつける。あるいは切れなくなった包丁を研ぎ直す。仕事を一言で言えばいたってシンプル。だが、その作業は複雑だ。
荒研ぎから平研ぎ、本研ぎ、裏研ぎ――。砥石にあてる場所を少しずつ変えながら刃を削っていく。合間にわずかなひずみを修正。いくつも工程を経ていくが、素人目には変化はほとんど分からない。精度は0コンマ数ミリ単位。微妙な力の加減や角度が完成度を左右する。
1秒ほど刃をあてては手で触り、再び砥石へ。テンポが速い。淡々とこなしているようにもみえる。「自転車に乗るときに『次は右に曲がるからハンドルを……』なんていちいち考えないでしょう。それと同じ」。五感がすべて記憶しているのだろう。
堺は日本有数の刃物産地として知られる。16世紀にポルトガルからたばこが伝来、その葉を刻むためのたばこ包丁が作られたのが「堺打刃物」の名が知られるようになったきっかけだとされる。打刃物とは軟鉄や鋼を熱し、金づちなどでたたいてつくる刃物のことだ。
3代目となる山本真一郎さんは1999年に「堺打刃物伝統工芸士」に認定され、コンクールなどでもたびたび入賞している。プロの料理人だけでなく、近隣住民の研ぎ直しにも応じる。包丁以外に布地を裁断する刃物も手掛ける。「『この研ぎ方でないとダメ』という正解はない。使い方や包丁によって研ぎ方も変わる」。あくまで生活に根をはった技術なのである。
山本さんはかつてドイツの刃物メーカーに請われ、研ぎの指導に赴いたことがある。欧州では日本のように砥石を使って刃物をメンテナンスする習慣はほとんどない。やすりのような金属の棒で刃を削るだけだ。日本式で研いだ包丁の切れ味を披露すると、「神がかり的だ」と驚かれたとか。
なぜ日本で研ぎの技術が磨かれたのか。いくつかの説があるが、一つが日本刀の存在。刀を研磨するノウハウが調理道具に生かされたと指摘される。
食文化の影響も大きいだろう。刺し身をはじめ、和食は素材の持ち味をいかすような繊細な切り方が求められ、包丁の種類も多い。その分、技術も深化した。
もう一つ加えるならば、優れた砥石が産出されることもあったのではないか。現在主流の人造砥石が誕生したのは19世紀後半の米国とされる。安価で使い勝手もいいが、昔ながらの天然砥石を選ぶ愛用者は少なくない。
その採掘から加工までを手掛ける職人が京都府亀岡市にいる。土橋要造さん。明治10(1877)年創業の「砥取(ととり)家(や)」の4代目店主だ。
採掘現場に案内してもらった。「丸尾山」と呼ばれる里山に向かう。車を降りて山道を登ること10分。山腹にぽっかり口をあけた坑道に入ると、広めのリビングほどの空間が迎えてくれた。壁一面が赤や茶色のしま模様で彩られ、幻想的な光景にしばし見とれる。
作業は昔ながらの人力だ。「矢」と呼ばれる先端がとがった金属製の棒で石の隙間を広げ、鉄梃(かなてこ)の先端をこじ入れる。「音が変わった。そろそろだな」。土橋さんの表情が少し引き締まったかと思った瞬間、ドスンと音をたてて一抱えほどある塊が落ちた。
この辺りの地層は2億5千万年ほど前、深海底に積もった火山灰や海洋プランクトンだ。長い年月をかけて地殻変動の圧力などで固まり、地表近くに運ばれてきた。きめが細かく均一。土橋さんによると「仕上げ用の砥石がとれるのは世界でここだけ」だという。
鉱脈が眠る京都から亀岡までは、鎌倉時代から続く砥石の一大産地だった。だが、人造砥石に押されて多くの山が閉山した。土橋さんも廃業を考えたが、試しにネット販売を始めたところ注文が相次ぐようになったそうだ。
「蓮華(れんげ)」「墨流し」「うぐいす」……。模様や色合いからつけられた名前がしゃれている。同じ山からとっても石はすべて違う。不純物が少なく、筋が入っていないほど価値が高い。採掘した原石からどのように砥石を切り出すかの眼力も問われる。
手間をかけることで、新品の切れ味をよみがえらせるのが研ぎの技術だ。「使い捨てとは正反対の文化。それを守ることが自分の使命」。土橋さんはそう考えている。
実際に切れ味はどう違うのか。居酒屋で初めてミシュランガイドの星を獲得した「ながほり」(大阪市)の店主、中村重男さんは「人造とは全然違う」と言う。
20年近く前から砥取家の天然砥石を愛用し、現在は複数を使い分けている。研ぎ始めは吸い付くような感覚の柔らかめの石。「かえり」(バリ)をとるために反対側を研ぐには固い方がいいそうだ。
最近は自分で研がない料理人も増えているというが、中村さんは開店前の日課として欠かさない。「刺し身を切った時の断面がツヤツヤで、食感がぜんぜん違う。切れない包丁だと、食べた瞬間に口の中にしつこさが残るような感じがする」
さらに聞けば、味だけではないようだ。「お客さんのことを考えながら砥石に向かうのは自分にとって大切なルーティン」。料理人として板場に立つ前の儀式のようなものか。精神的な意味も大きいと推察した。
NIKKEITheSTYLE――じっくり根気よく手を動かす[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 11ページ 2266文字 PDF有 書誌情報]
日本の包丁、ひいては研ぎへの関心は海外でも高まっている。フランスでその魅力や奥深さを伝えるのがマリナ・メニニさんだ。
パリ郊外にあるアラン・デュカス調理師学校。フランス料理界の巨匠の名を冠した学校に、日本式の研ぎを学ぶカリキュラムがある。メニニさんはここで講師を務める。
砥石の種類から包丁の構造、刃先を尖(とが)らせるメカニズム……。内容は広い。4月初旬に開かれたあるクラスの講義では、世界各地から集まった若手料理人やそのタマゴたち14人が、お手本を見せるメニニさんの手元を真剣な表情で見つめていた。
メニニさんによると、和食文化の影響もあり、2000年代に入ったころからフランス料理でも「メイド・イン・ジャパン」の包丁を扱うシェフが増えてきた。生け締めにした魚をさばいたり、食材をより丁寧に切ったりすることが求められるようになったためだ。
フランスでは金属製の研ぎ棒でメンテナンスするのが一般的だが、切れ味が長続きしにくい。包丁への関心に伴い、砥石を使った日本式の研ぎへの注目も高まったという。
現地でも動画サイトなどを介して一通りの流れを知ることは可能だ。でもそれだけはうまく研ぐことは難しい。「なぜ切れるようになるのかを論理的に説明し、実際に生徒に研いでもらう。そのことが理解につながる」とメニニさん。研いだ後の切れ味に驚く人が多いそうだ。
メニニさんは母親が日本人、父親がフランス人。ニューヨークやロンドン、東京で料理人として働くうち、日本の調理道具に興味を持つようになり、専門店が集まるかっぱ橋道具街(東京都台東区)の店へ。そこで包丁売り場を任されたのが、「包丁道」に足を踏み入れるきっかけのひとつとなった。
16年にパリで自身のアトリエを開き、日本の包丁を販売する傍ら、週1回初心者向け教室を開く。レストランなどに出向いて教えることもある。今春からは料理学校「ル・コルドン・ブルー」でも教壇に立つ。
現在も定期的に日本を訪れ、堺をはじめ、包丁や砥石の生産地に足を運ぶ。技術や知見を深めたいという意欲は衰えない。国境を越えた活動を通じて「道具を作る職人と使う人をつなぐ架け橋になりたい」との思いを強くしている。
ひと昔前、日本の一般家庭でも自ら包丁を研ぐのは当たり前だった。そんな光景は徐々に失われつつあるが、その文化を大切にしたいと考える人は少なくないようだ。
3月のある土曜日、かっぱ橋道具街の包丁専門店、かまた刃研社を訪れた。「包丁研ぎ教室」を月に2回開催している。
午前の教室は「入門編」で、この日の参加者は20~50代の男女9人。社長の鎌田晴一さんによる包丁の構造や砥石の種類の説明を聞いた後、実践に移る。事前に切れないよう加工したステンレス製の三徳包丁を用意し、各自に研いでもらう。
「コインが1、2枚入るくらい峰(包丁の背の部分)を浮かせましょう」「ぶれないようなるべく大きなストロークで」。鎌田さんのアドバイスを聞きながら、真剣に手を動かす参加者たち。教室にシャッ、シャッという小気味のいい音が満ち、質問もひんぱんにあがる。
研ぎ終えたナイフを紙にあてる。すっと切れた瞬間、オーっと歓声があがった。50代の女性はビフォー&アフターの変化に驚いた様子で、「帰ったらさっそく自宅の包丁をすべて研ぐ。次は応用編に参加したい」と話していた。
教室は毎回、応募開始から1分で定員が埋まってしまうという。「いい包丁を買えばメンテナンスをして大事に使おうという気持ちになるし、充実感も感じる。そんな意識を持った人が増えているのではないか」。鎌田さんはこう分析する。砥取家の土橋さんも同じような話をしていたが、使い捨て社会に対するアンチテーゼといえるかもしれない。
鎌田さんに上手に研ぐコツを尋ねると、「結果を早く求めてはいけない」。刃先をとがらせようと気がせいて角度をつけすぎると、切れ味が長続きしないそうだ。じっくり、根気よく。仕事や人生にも通じそうな言葉ではないか。そんな奥の深さも人々をひき付ける魅力だろうか。
日本を代表するワインメーカー、マンズワイン社長の島崎大さんも日常に包丁研ぎが溶け込んでいる。
一人暮らしを始めた学生時代から料理をたしなんでいる。「なんでも自分でやってみる」性格から研ぎも自己流で始めた。社会人になった後、留学先のフランスにもマイ砥石を持参したほど。現在は3つを使い分けている。
料理をするのは主に週末だが、仕事を終えた後、深夜に砥石に向かうこともある。あくまで気持ちよく料理するための準備。だが、それが一筋縄ではいかない。同じように研いだつもりでも、うまく研げた時といまひとつの時があるという。
「趣味ではなく苦行」と笑うものの、その苦行を楽しんでいるふうでもある。「仕事に直接役立つわけではないけれど、プロセスを踏まないといい結果が出ない。ちゃんと切れるようになった時の達成感はある」
多くの人が研ぐ光景を見ているうち、一編の詩が頭に浮かんだ。高村光太郎の「刃物を研ぐ人」だ。
「黙つて刃物を研いでゐる。/もう日が傾くのにまだ研いでゐる。」と始まり、一心に研ぎ続ける人物を活写する。「憤りか必至か無心か、/この人はただ途方もなく/無限級数を追つてゐるのか。」
「心を研ぐ」という表現があるように、刃物を研ぐことは私たちの精神世界と深いつながりがあるのかもしれない。どんなに精巧で簡単な機器ができようとも、人はこれからも砥石の上で自分の手を動かし続けるのだろう。
石川淳一
竹邨章撮影
NIKKEITheSTYLE――日本プロ野球の失われた30年(文化時評)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 12ページ 2081文字 PDF有 書誌情報]
野茂英雄投手がメジャー入りし、野球の国境が大きく開かれた1995年から30年。大谷翔平選手(ドジャース)らが世界と渡り合うようになったが、メジャーと日本プロ野球の経済格差は広がった。国民的娯楽を通して日本の失われた30年をみてみると……。
この春、一人の若者がアスレチックスと契約し、米球界に旅立った。東京・桐朋高の投打二刀流、森井翔太郎選手(18)だ。2億円を超えるとされる契約金は、日本で上限があることを考慮しても、ありえないような厚遇だ。懐事情の違いがのぞく。
1990年代半ばの時点で、さほどの開きはなかった、と小林至・桜美林大教授(スポーツ科学)はいう。「球団平均の売り上げでは日本の方が上回っていた、という推計もある」
それがいつの間にか逆転され、リードを広げられるばかりらしい。米誌フォーブスによるとメジャーの売り上げは2001年の約36億ドルから23年には約113億ドルとなった。1軍相当選手の平均年俸をみると、日本では90年代なかばの4千万~5千万円から、現在8千万~9千万円になったとみられる。メジャーは2003年の237万ドルから25年、516万ドル(7億5千万円)ほどに(AP通信)。
売れるならどこへでも、というメジャーの商魂と集金力はカブス―ドジャース戦の日本開催で目の当たりにしたばかりだ。映像を一括管理し、巨額のテレビマネー、ネットビジネスにつなげるメジャーは経営上も強い。
日本がまだ元気だったころ、ダイエー創業者、中内〓氏のもとでホークス(現ソフトバンク)の経営に携わった瀬戸山隆三・元千葉商科大客員教授は「やりようによっては違う展開がありえた」と語る。
1989年、南海からホークスを買収した中内氏はアジアの玄関口、福岡を拠点に、野球をテコとした海外展開を構想。その後、朱鎔基・中国副首相(当時)を球場で歓待した。
親会社が傾いて夢はついえたが、このとき、ホークスには「横並び」の思想も立ちはだかっていた。メジャーと互角に戦えるスケールを目指して、世界の王(貞治=現球団会長)を監督に招いた95年、補強に40億円を投じ、年俸総額は当時の常勝軍団、西武に迫った。
そこで他球団にかみつかれた。「勝ってもいない球団が年俸を上げるのはおかしい、と」(瀬戸山氏)。天井を作るから野球ビジネスは大きくならない、経営上も球団間で競い合おう、という中内氏の論理は通じなかった。
メジャーが90年代に4球団を加え、30球団としたのに対し、日本は逆方向にかじを切りかけた。2004年の球界再編では12球団から10球団制への移行案が浮上した。削減反対の声が高まるなか、瀬戸山氏(当時ロッテ)は韓国球団を加えて12球団制を維持しては、と発言している。ダイエー時代から、アジア展開を意識していたからだ。
しかし、そこにも壁があった。プロ野球の憲法である野球協約は一部例外を設けつつも、オーナー会社を日本法に基づく企業に限っている。小林氏は「(仲間内の)サークルを守ろう、というわけなのか」と首をひねる。
外国人の選手数を制限しているあたり、おっかなびっくりで労働市場を開放してきた社会の縮図のようでもある。
日本球界に先はあるのか、と岡田憲治・専修大教授(政治学)は疑問を呈す。「実は、日本のベースボールは衰退の危機に突入しています」(岡田氏著「半径5メートルのフェイク論『これ、全部フェイクです』」)。野球はまだ日本の国民的娯楽の王様である、という言説こそフェイクだとする。
少子化を上回るペースで野球少年は減っている。甲子園の常連校に選手が集中し、試合に出られず、スタンドで応援するだけで終わる選手も少なくない。「昭和の時代に求められた忍耐強いサラリーマンタイプの人間を養成することには貢献したかもしれないが、今の時代には合わない」(岡田氏)
若いうちから海を渡る選手が増える、との岡田氏の予測通り、森井選手は米球界に直行、佐々木麟太郎選手(岩手・花巻東高出)は米国の大学に進んだ。
突出した才能にとって、日本の居心地はどうなのだろう。近鉄入団から4年連続最多勝を挙げた野茂投手の昇給は緩慢だった。数年後、企業社会では青色発光ダイオードの開発者、中村修二氏と会社の間で、発明の対価をめぐる係争があった。ノーベル賞級の研究者が海外に活躍の場を求めることと、どこか符合する野茂投手の渡米だった。
この30年、改革のヒントはあったのに、と悔やまれる。しかし、日本の野球も社会も“試合終了”となったわけではない。小林氏はオーナー企業を広く世界に求めるなどすれば、プロ野球にはまだ可能性がある、とする。「発展が続くアフリカで野球の種をまくといった成長戦略もある」(瀬戸山氏)。一般の企業に通じる話かもしれない。
サークルを脱し、正面から時代に向き合えばピンチをチャンスに変えられる。米球界に飛び込んだ森井選手らの勇気に学びたい。
篠山正幸
岡田真撮影
【図・写真】メジャーで活躍する大谷選手ら日本人選手を一目見ようと
大勢のファンが東京ドームに集まった(3月)
NIKKEITheSTYLE――機上で極上フレンチ(極上事始)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 12ページ 365文字 PDF有 書誌情報]
機上で極上フレンチ 仏エールフランスは東京・銀座のミシュラン三つ星レストラン「ロオジエ」のエグゼクティブシェフ、オリヴィエ・シェニョンさんが監修する機内食メニューの提供を始めた。対象は羽田空港発パリ行きのファーストクラスとビジネスクラス、関西国際空港発パリ行きのビジネスクラスで、極上の一皿を空の上で楽しめる。
3月下旬から提供している2025年の春夏メニューではメインの一皿として、ファーストクラスで「クエのシャンパーニュソース添え」(写真)を、ビジネスクラスで「山形豚 フィレ肉のロースト」を味わえる。シェフによると、ビジネスクラスではボリュームを、ファーストクラスでは日本らしい繊細さを意識した料理となっているという。季節によって提供メニューは変わる可能性がある。
エールフランスサービスライン
TEL 03・6634・4983
NIKKEITheSTYLE――夏らしいカラフルなアイテム(催事祭事)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 12ページ 346文字 PDF有 書誌情報]
夏らしいカラフルなアイテム イタリアのファッションブランド「トッズ」が、2025年春夏コレクションのイベントを開催している。イタリアの海辺のリゾートを再現した空間で、カラフルなバッグやサンダルなどを紹介する。
ポップアップイベント「トッズ イタリアン サマー」では、夏にふさわしいアイテムが多数そろう。手編みの技術の高さを感じさせる、ラフィア(ヤシの葉の繊維)風素材をクロシェ編みしたバッグはイエローが日本限定色(写真、価格は18万5900円)。サンダルは軽量素材を使用し、バリエーション豊富に登場する。
イベントは日本橋三越本店で23~29日に展開。5月には、7~13日に伊勢丹新宿店と阪急うめだ本店で、21~27日には銀座三越で開催される。
トッズ・ジャパン
TEL 0120・102・578
NIKKEITheSTYLE――Book 三島由紀夫「仮面の告白」(名作コンシェルジュ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1078文字 PDF有 書誌情報]
日本中の注目を集めながら、45年の人生を自分自身で終わらせた三島由紀夫。残した作品よりも、むしろその衝撃的な死に方のほうが、今ではよく知られているだろう。1990年生まれの私にとって、常に死者として存在していた三島が、しかし最近になって、死者を超えたものに変貌している実感がある。それは経験したことのない鮮烈な感触で、永遠に固定されたはずの我々の関係性が変化しつつある事実に、私自身も驚いている。インターネット上に大量に転がる、裸体を含むその写真や肉声や映像が、いっそう彼の生と死を曖昧にする。
生誕100年を迎え、今年新たに復刻版が刊行された『仮面の告白』は、通常であれば墓場まで持っていきたいような恥ずかしい性癖や欲望のありようを、乱暴に読者に投げつけるように小説化した自伝的作品だ。過剰な自己観察による過剰な言葉の連なりは、そのまま誰もが普遍的に抱く、思春期の過剰に拡大する自意識を追体験させる。
「実は私……なんです」と、他人から告白を受けたことのある人は同意してくれるはずだが、大抵の告白には「実は」ともったいぶるほどの内容などない。当人からすれば決死の覚悟で打ち明ける超極秘情報であったとしても、聞かされる方としては退屈な場合がほとんどだ。そんなハードルの高い告白話に読者を瞬時に引き込んでしまうのはやはり作家の才能であり、本書の冒頭など、すべての告白者が見習うべき手本のような始まりだと思う。「永いあひだ、私は自分が生れたときの光景を見たことがあると言い張つてゐた」
今は死語になっていそうだが、私の学生時代は「告る」という言葉がさかんに使われていた。一般的な意味での「告白」とは違い、おおむね「意中の相手に好意を伝え(好きです)、交際の許諾を要請する(付き合ってください)」行為を指してそう言った。冷静に分解してみると、自分の欲望を受け入れるよう相手に懇願する、わりと無礼で不愉快な行為ではないだろうか。もし最近、勇気を出して告って玉砕した人がいるなら、本書を手に取ってみるといいかもしれない。こちらの「告白」に比べれば、単純な「告り」など数のうちには入らないし、何より真の告白は、他者の許しなどまったく必要としないものだとわかるだろう。告白とは、自分の弱さと向き合い、自分に許しを与え、自分自身を最も愛するためにする。そして自分の生を他者に譲渡しないため、他者という逃げ道を断つためにするものだ。三島はそれをやった。やりすぎた。その後の華麗なキャリアも過剰な最期もすべて、この美しい告白によってすでに方向付けられていた。
小説家 九段理江
NIKKEITheSTYLE――CROSSWORD[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 17ページ 602文字 PDF有 書誌情報]
1 1598年春に豊臣秀吉が催した、○○○の花見
2 無色で刺激臭のある不飽和アルコールの代表、○○○アルコール
3 落雷を避けるためのまじないに唱える、菅原道真の所領に由来するともされる地名
4 卑弥呼の墓とする説もある、奈良県にある最古の前方後円墳の一つ
6 国際政治の本質を「権力をめぐる闘争」と規定し、「国益」の概念を導入した、ドイツ生まれの米国の国際政治学者
8 つやのあるうわぐすり、○○○○釉(ゆう)
10 「刷新」を意味する、1986年以来のベトナムの改革政策
12 サワラの小さいものの呼称
16 明治以降は私称となった、大寺の住職の公称。天台○○など
2 連歌・連句の最後の七・七の句
5 黒焼きは「惚(ほ)れ薬」といわれる両生類
7 出世魚ブリの、東京地方での最初の呼称
9 「4以上のすべての偶数は2つの素数の和で表すことができる」という、整数論における未解決問題の一つ、○○○○○○○の予想
11 多く修験者が用いる、もむと高い音が出る○○○○数珠
12 カンツォーネ・コンクールの開催地として知られる、イタリアの保養地
13 果実・根皮・葉を強壮や解熱などに用いるナス科の植物
14 技は多いが一つも役に立つものがないということわざ、○○の技(ぎ)
15 陶淵明の作「帰去来辞」の冒頭の書き下し文、「かえりなん○○」
17 ギリシャ語アルファベットの第8字
18 ありえない、予期せぬ出来事のたとえ、ブラック○○○
NIKKEITheSTYLE――サム・ギリアム「The Flow of Color」(GallerytoGo)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 17ページ 0文字 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――ルソーと素朴派の「発見」(上)画家と画商、独創に弾む心(美の粋)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 14ページ 3474文字 書誌情報]
決まった技法やモチーフ、既成概念にとらわれず、独学で描いたアンリ・ルソーと素朴派の画家たち。彼らの作品の魅力が「発見」されていく過程を追いかけると、絵を描くこと、そして見ることの驚きや喜びがあふれ出す。
1人の画商の話から始めたい。
ヴィルヘルム・ウーデ。
1874年、ドイツに生まれる。法学を修めたのちに、美術史を学ぶ。アートを愛する彼は1900年代初頭に、パリへと渡った。
当時の前衛画家たちと交流。絵を買っては売って、資金を作って、独自の審美眼で作品収集を進めていった。
ある時、風変わりな絵を気に入って購入。若き日のピカソの作だった。のちにピカソとも友人になる。ピカソはキュビスムの技法で描いた「ヴィルヘルム・ウーデの肖像」を残している。
1908年、ウクライナ出身の女性、ソニアと知り合い、結婚する。ウーデは活動資金が必要で、家が裕福なソニアは国へ帰りたくなかった。ウーデは同性愛者で、互いのための「偽装結婚」であったとされる。彼女はのちにウーデと離婚して、画家、ロベール・ドローネーと結婚。今ではソニア・ドローネーという名が知られている。
ウーデが税関吏の日曜画家、アンリ・ルソーを知ったのは、ロベール・ドローネーを通じてのようだ。ルソーの「蛇使いの女」を見たとされるウーデは、その筆致の独創性に魅せられた。うっそうとした密林と女性の姿が、どこか異国情緒を呼び起こすような作品だ。
ウーデはルソーの生前唯一の個展を企画するが、残念なことに客はひとりも来なかった。ウーデが招待状に、場所を書き忘れたためだという。
ルソーは、市内への物品の出入りを課税のために見張る下級官吏だった。本格的に絵画に取り組んだのは40歳を過ぎてからといわれる。
無審査が建前で、出品料を支払えば、誰でも出品できた「アンデパンダン展」に、ルソーは1880年代から出品を続けていた。同展には、官展の「サロン」に対して、革新をめざす芸術家たちも出品していた。
遠近法などの技法を無視したルソーの作品は、嘲笑と揶揄(やゆ)の対象ともなったが、詩人アポリネール、画家のピカソ、ブラック、画商のウーデといった支持者を得ていく。彼らと知り合ったとき、ルソーは60歳を超えていた。
「エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望」はウーデが愛したという1枚だ。
赤からオレンジへ、うつろいゆく空の色に引き込まれる。エッフェル塔を背後に抱く、セーヌ川の流れ。岸辺には山のような形に積まれた工事用の建築資材……資材? なぜそんなものが描かれているのか。
本作を所蔵するポーラ美術館の今井敬子学芸部課長は「ルソーは当時から、他の誰も描かないようなモチーフに着目して描いています」と話す。
トロカデロ宮殿は1878年のパリ万国博覧会の主会場。エッフェル塔も同時代に展望塔として建造された。
ルソーのモチーフとして、ジャングルの光景のイメージは強いが、彼はパリという「発展する都市」の画家でもあった。工事用資材のほかにも、飛行機や飛行船、気球……自分の生きた都市が近代化していく情景を、自由にリアルタイムに描いた。
女性や歴史などを写実的に描くのが一般的であった時代に、絵とは何を描くものなのかという前提を軽々と超えていった。ルソーは単なる「日曜画家」ではなく、新しい画家だった。
一方のウーデは画商であるだけでなく、批評家でもあった。ルソーの死後は、いち早く彼の評伝を書いた。
今井さんは「ウーデには画廊を経営して稼ぐというタイプの手腕は、あまりなかったようです。秀でていたのは、むしろ画家の制作に寄り添う力だったのではないでしょうか」とみる。
しかし1914年、第1次世界大戦が勃発。ドイツ出身のウーデは敵国人とみなされ、フランス出国を余儀なくされる。ルソーのほか、ピカソ、ブラック、マリー・ローランサンらの作品がそろう彼の貴重なコレクションは接収され、競売にかけられてしまった。
第1次世界大戦が終わると、ウーデはフランスに戻ってきた。過去のコレクションは散逸した。それ以後に熱中したのが、美術教育を受けずに、独学で描く画家たちの作品だ。
セラフィーヌ・ルイの作品は見る人に強い印象を与える。目にしみるような色彩の奔流。赤、黄、青と燃えるような筆致、執拗なまでの反復。「楽園の樹」には、彼女の内面のいかなる情熱が映るのか。
セラフィーヌは1864年、フランスで、豊かではない時計職人の娘として生まれる。北部の町サンリスで、修道会での奉仕活動に身を捧(ささ)げ、家政婦として生計を立てる。ウーデとは戦争前にすでに知り合っている。偶然にもウーデが休息のために滞在した先で、家政婦として働いていたのだ。
「セラフィーヌとの出会いで、職業画家だけが絵を描くのではないと、気付かされたのではないでしょうか」
元世田谷美術館学芸員で、素朴派に詳しいハーモ美術館の遠藤望館長は思いを馳(は)せる。
「一日の仕事が終わり夜が更けると、セラフィーヌは絵を描く。描けば描くほど、画布は大きくなって行く。秘密裡(り)に、人の視線から隠れて描く。
音程の外れた鼻声で賛美歌を唸(うな)る。(中略)声と仕種(しぐさ)が交差する。その時、画布は描かれた祈りとなる。」
評伝「セラフィーヌ」(フランソワーズ・クロアレク著、山形梓訳、未知谷)には、制作の様子がこう描写される。
日本には数少ない彼女の作品だが、開館以来、素朴派の収集に力を入れてきた世田谷美術館が所蔵している。「枝」では、鮮やかな黄色を背景に、画面を斜めに横断する植物が描かれる。
「彼女のレシピ、薬品の配分、色彩構成、絵の具、顔料等については何も知られていない。そして、彼女が絵を描いている姿を見た者はいない。」(同前)
セラフィーヌにとって絵を描くことは、聖なる行為であったのかもしれない。特徴的な色彩は、エナメル塗料の一種によるものと考えられている。礼拝堂で聖母マリアに捧げられて燃える聖油が加えられていたとも指摘される。
ウーデは彼女の制作を支援した。しかし1929年の世界大恐慌が起こると、財政的な援助を続けることが難しくなる。セラフィーヌは次第に精神に異常をきたすようになり、最後は病院で亡くなる。
1920年代後半、ウーデは、セラフィーヌを含む幾人かの画家の作品を紹介するグループ展を開いた。ウーデは彼らのことを「聖なる心の画家たち」と呼んだ。現在「素朴派」と呼ばれる描き手が世に出るきっかけとなったもので、紹介された面々には多様なバックグラウンドがあり、絵以外の仕事を持ちながら描いていた。
「庭師ボーシャン」と呼ばれたアンドレ・ボーシャンは苗木商。父親から家業を継いだ。第1次世界大戦に従軍中、製図に能力を発揮したことから絵を描き始める。神話や歴史がモチーフだった。
彼の作品の中では人物よりもむしろ、木や花、植物が生き生きとしているように見える。ウーデより先に、建築家ル・コルビュジエらから注目されていた。
カミーユ・ボンボワは船頭の息子で、10代から絵を描き始めた。荷担ぎなどの肉体労働、大道芸人といった職を転々とした。パリのモンマルトルで自作の絵画を売っていたようだ。
池の中に落ちた帽子を拾おうと、草の上に腹ばいになって手を伸ばす女性。一緒にいる女性は服の裾をめくり上げ、弾むような空気感が伝わる。
ルイ・ヴィヴァンは郵便配達人。自身がよく知るパリの町並みを直線的に表した。
遠藤さんは「素朴『派』と言っても、特定の流派があるわけではありません」と指摘する。
「彼らはそれぞれが単独で、互いに関わることもなく、自分の思うように描いていました」
ウーデは第2次世界大戦中は南仏にひっそりと暮らし、1947年に亡くなった。なぜウーデは彼らの作品に惹(ひ)かれたのだろうか。
「ウーデ自身も『アウトサイダー』であったことが影響しているのではないでしょうか」と遠藤さん。母国になじめなかったが、フランスに来ても異邦人だった。性的少数者でもあった。
世田谷美術館の樋口茉呂奈学芸員は「素朴派の作品を見ることは、生きる上で欠かせない創作の原点に触れること。現代の私たちの生活にも通じる面があると思います」と話す。
どうしてその絵に惹かれるのか。
なぜ絵を描かずにいられないのか。
画商にとって、あるいは「発見」された画家たちにとっても、自分でも知らなかった自分自身を見いだしていく道のりだったのではないか、と想像せずにはいられない。
増田有莉
NIKKEITheSTYLE――よみがえったニット[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2256文字 PDF有 書誌情報]
フランスの富裕層の間で「新生児にはモリを」といわれてきた、ベビー服などニットの老舗「molli(モリ)」。高いブランド力と裏腹に経営は苦境にあったが、一人の女性の手で再興された。大人の女性からも愛されるブランドとして再出発し、今年で10年になる。
モリはもともとスイスに1886年に生まれた女性用高級ニット下着のブランドで、品質の高い毛糸と仕上がりの良さゆえ世界各国に輸出されていた。1936年に、ニットの衣類や帽子など新生児向けのセットをメインにベビー部門に進出した。
こうしたものは当時、妊娠中の女性が自ら、素人にも簡単な鹿の子編みで編むのが常だった。モリはこの鹿の子編みを踏襲しつつ、下着作りのノウハウと機械を用いて、繊細で通気性のよいベビー用品を提案したのだ。評判の高さは、現オーナーのシャルロット・ドゥ・ファイエさんが第2子を出産した12年前も同じだった。
彼女がモリを買収することになったのは、夫が用意した品を取り換えにモリのブティックに行ったことがきっかけだった。化粧品大手ロレアルでマーケティングを担当していた彼女は、この時ちょうど「起業休暇中」だった。これは会社との契約を中断して自分のプロジェクトを進め、うまくいかなかった場合も期限内なら以前の肩書と給与で元の仕事に戻れるという休暇システムだ。
「モリには歴史があり、サヴォワールフェール(職人の技)があり、イメージもとても美しい。どちらかというと知る人ぞ知る、控えめな存在でもあり、私の好きなブランドでした」と語るシャルロットさん。ブティックに入ったとき、ここでマーケティングの仕事ができるかもしれないと感じ、モリについて調べてみた。そして在庫の販売を続けているだけの、消滅寸前の状態であることを知る。
早速、創業家から1990年代にモリを継いだ当時のオーナーと交渉し、ブランドを取得。当時34歳だった彼女が、自己資金で行った買収だった。こうしてブランドを立て直し始めたのだ。
女性用プレタポルテを始めよう! 再興するにあたってブランドの遺産である新生児服を続行するだけにとどまらず、発展を求めて思い立ったのがこのアイデアだった。鹿の子編みも大人の女性のニットに取り入れ、さらに既存の300近い編み方をベースに新しい編み方を考案してカラフルなプレタポルテを女性たちに提案しようというものだ。
「モリの創業当時、『伸縮性があり、エレガントで快適』というのが下着の広告のうたい文句でした」とシャルロットさん。この特長と品質の高さを、メゾンのDNAとして今も守り続ける。そしてニットといっても「防寒のための厚手のセーターといったイメージではありません。私の周りの女性たちに着想した、活動的な現代女性が子供の学校への見送り、オフィス、そしてパーティーにも着て行けるというコレクションなのです」。
1年の準備期間の後、15年に最初のコレクションを発表した。今や日本のセレクトショップなど13カ国で販売され、各国に固定ファンがいる。豊富な色彩と、シーズンごとに生まれる独自の編み方から一目で「モリのニット」とわかる憧れのブランドとなった。例えば青やオレンジなど様々な色が立体的に編まれた春夏のセットアップは「ゼリージュ編み」で作られている。ゼリージュとはこの編み方の着想源である、モロッコの色鮮やかなタイルのことだ。
最近ではコットンなども使用していて、製作するのは伝統的な編みの技術を持つイタリアとフランスのアトリエだ。新しい編み方はシャルロットさんとモリのデザイナーが考え、アトリエと連携して形にしてきたが、アトリエから新たな編み方の提案が来るようにもなってきた。
ブランドの成長の背景には、倫理面での意識の高さが支持されたこともある。シャルロットさんがモリを取得してすぐにしたことは、毛糸の納入業者に会い「モリのウールはミュールジングフリーであってほしい」と伝えることだった。10年前、業界では羊への虫の寄生を防ぎウールの生産性を高めるため、子羊の臀部(でんぶ)の皮膚を無麻酔で切りおとすミュールジングが普通に行われていた。
「ミュールジングフリーの毛糸だと価格が上がり、納入にかかる時間が長くなり、かつ色数も制限されます、と言われました。でも仕方ないわ、と。これは私にとって譲れないポイントでしたから」。その時から10年、今では多くのブランドがミュールジングフリーのウールを使うようになったという。また彼女は買収後、モリの品を編んでいたアトリエにもすぐに出向いた。働く人々が正しい対価を得られることを掲げた倫理憲章にサインをもらったのだ。
シーズンごとの商品は、各国のバイヤーからの注文と、直営店で販売するのに必要なだけの糸を購入し、編むことによって、廃棄を抑えている。持続可能なブランドとしてできる限りを行っているものの「あいにくとインターネットでの海外購入者のための飛行機輸送については、どうにもできなくて」と残念がる。
さて4月29日、シャンゼリゼ大通りから遠くない場所に4軒目の路面店がオープンする。パリ市内のほかの3軒が地元客相手のこぢんまりした店なのに対して、今度は約100平方メートルの広さだ。この10年を「ブランドのベースを固め、赤ちゃんが歩き始めた段階」と言うシャルロットさんはこう続ける。「これからの新章ではニットの技術と糸の開発を続けつつ、世界に向けて発展をめざします」
エディター 大村真理子
Julie Ansiau撮影
NIKKEITheSTYLE――まるごと味わうカカオ[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 19ページ 2196文字 PDF有 書誌情報]
カカオの果肉「カカオパルプ」が、注目されている。ライチやパッションフルーツのような風味があり、カカオ生産国では農家がパルプを絞りジュースを作ることもある。カカオ=チョコレートの味、と思い込んでいると、甘酸っぱいフルーティーな風味に驚くだろう。
カカオは高温多湿な熱帯の国々で収穫されるトロピカルフルーツで、実を割ると白い果肉に30~50粒の種が包まれている。チョコ向けには種を果肉ごと加工するが、南米などの一部地域では果肉だけをピューレ状に加工し輸出することがある。日本にも輸入され、活用の幅が広がってきた。
2024年12月にオープンしたデザートレストラン「nib(ニブ)」は、東京・日本橋兜町の渋沢栄一邸宅跡地に建つ日証館にある。8席のカウンターで供されるのは、チョコになる前のカカオが主役のデザートコースだ。カカオハスク(カカオの種の外皮)を水出しした香ばしい香りのお茶や、カカオバター、カカオ豆を砕いたカカオニブなどを利用した一品が味わえる。
シェフの眞砂翔平さんは、同じ建物内にあるチョコレートとアイスクリームの店「teal」のシェフパティシエでもある。カカオの可能性を探求する店を開いたきっかけは、23年にコスタリカを訪れたことだ。「産地で栽培や加工の様子を初めて目の当たりにして、現地で味わったカカオの味や、自分が知っていたこととのギャップ、感動を伝えたいと思った」と話す。
特に印象的だったカカオパルプを、多くのメニューに取り入れている。
コースの最初に出てくる「カカオの小菓子」は8種。カカオパルプの白さと味わいを表現したギモーブは「シェードツリーとカカオの実」という名で、カカオの木を日差しから守る「シェードツリー」に由来する。実際に現地でシェードツリーとなっている、バナナやライチのピューレを少し加えて南国らしい味わいを強調。口に含むとふわっと溶けて、果肉の香りが華やかに広がる。白あんとカカオ豆の油脂を練り合わせた「カカオバターのようかん」は、表面にカカオパルプを薄く塗り、ツヤとほのかな酸味をアクセントにした。
メインデザートの「カカオと海」は、10種類以上のパーツで構成される。「カカオパルプのアイスクリーム」は果肉そのものの風味が感じられる一品。カカオ豆の形をした小粒のチョコレートチーズケーキにはもち粉とカカオパルプを煮詰めた「パルプあん」と名付けたソースを添えた。甘酸っぱい果肉がとろりと絡み、チーズの酸味と調和する。
もうひとつのメインデザート「カカオといちごのパフェ」は赤と白のコントラストが美しい。イチゴに「パルプあん」をかけ、グラスの底にはカカオパルプとイチゴをあえたソースを入れた。カカオパウダーとサフランのアイス、ユズとティムットペッパー(ネパール産のスパイス)のグラニテとも調和し、香り豊か。「カカオパルプは和素材にも合う。フルーツと考えれば可能性は無限大」。眞砂さんは08年から国内の有名店で働き、洋菓子職人として17年研さんを積んだ。培った製菓技術で新たな魅力を引き出していく。
カカオから一貫製造するチョコレート専門店「ミニマル ビーントゥバーチョコレート」では、クラフトビール醸造所「T.Y.HARBOR Brewery」と共同開発した「カカオパルプエール」が人気だ。麦汁とともにカカオパルプを発酵させるフルーツビールで、シトラス系とベリー系の2種類のホップを加え、果肉の繊細な風味を際立たせている。
もともとは「チョコレートの売れ行きが鈍りがちな夏に、ゴクゴク飲めてチョコにもあうクラフトビールを」と開発された。24年4月に発売したところ、秋を過ぎても好評だったため、通年販売に切り替えたという。
代表の山下貴嗣さんは13年、フィリピンの農園で初めてカカオパルプを味わい、「カカオが果物だと直感的に理解できた」と振り返る。「カカオはフルーツであり、その種がチョコレートになるというストーリーを伝えやすい」と考え、創業以来カカオパルプを使った商品を積極的に開発してきた。23年にはカカオパルプのジュレを入れたチョコレートケーキを発売。他の果物を使わず、カカオだけで果実感を出した。
日本ではビーントゥバーが注目され始めた10年ほど前から、一部の専門店でカカオパルプのジュースが提供されていた。近年、気候変動などでカカオ豆の取引価格が高騰し、より多くの日本企業やチョコの職人たちが以前に増して産地へ目を向けるようになった。調達の仕方や流通などを再考し、カカオが「乾燥した豆」に加工される前は「熱帯のフルーツ」であるということへの理解が深まりつつある。
果肉はチョコの風味を生み出す「発酵」の工程で欠かせないが、カカオの品種や加工方法によっては果肉の一部を取り除いても支障がない。エクアドル産カカオパルプのピューレを日本へ輸出する「TAKAHASHI Trading S.A」は「カカオパルプはまだ大量に流通していないが、農園主の新たな収益源になる可能性がある。日本ではレストランの料理や焼き菓子の隠し味に使われ、活用の幅が広がっている」という。
カカオ生産の持続可能性について考えが深まっている今、素材としてのフルーツ、カカオを見つめ直せば、消費国と生産国の双方に新たな価値がもたらされるかもしれない。
ライター 市川歩美
山田麻那美撮影
NIKKEITheSTYLE――始まりと終わりのボルティモア 上原浩治[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1106文字 書誌情報]
米メジャーリーグでは複数球団を渡り歩く野球選手を「ジャーニーマン」と呼ぶ。選手時代、私は読売巨人軍から数えて日米の計5球団でプレーした。氷河期世代にあたる私と同年代の会社員の方々も、職場をこれほど転々とするのは珍しいことだと思う。いま振り返れば野球人生そのものが「ジャーニー(旅)」だったのではないか。
21年間の現役生活で国内外の様々な土地に遠征し、暮らしもした。そのなかでも愛着があったのは米東部メリーランド州ボルティモアだ。首都ワシントンDCから車で1時間ほどの場所にある、州最大の都市。私のメジャーリーグ時代の始まりの地で、引退後すぐに戻った終わりの地でもある。
巨人からフリーエージェント(FA)権を行使し、ボルティモア・オリオールズには2009年から所属した。最初は「それどこやねん」と何の予備知識もなかったが、聞くと歴史のある港湾都市で、世界的に有名なジョンズ・ホプキンス病院がある。日本からも医者の卵が学びにやってくるそうだ。
球団の紹介で最初に住んだのはチェサピーク湾近くのインナーハーバーだった。再開発された美しい港エリアで、賃貸のタウンハウスに家族3人で暮らした。球団のホーム球場に近く、治安も良いので選んだ。観光地なのに店が乱立していない。生活しやすそうで、すぐに気に入った。
日本の東北地方とさほど緯度が変わらず、四季があるのもいい。春には桜も咲く。日本人の知人の助けもあり、暮らすのに苦労はなかった。水面にヨットや水上タクシーが浮かび、ランニングする人も多い穏やかな街。海風を感じながらの散歩が心地よかった。
シーズン中は休みが取れないので、ゆっくりと街を満喫する時間は限られた。さらに所属1年目に右肘のケガで故障者リストに入り、休みの日は治療や休養に費やした。それでもボルティモア港にあるマクヘンリー要塞には数回、まだ幼かった息子をつれて行った。19世紀初め、弁護士のフランシス・スコット・キーが米国歌「星条旗」の歌詞をつくった地だと聞いた。
現役を引退し、2日後にボルティモアの自宅に戻った。山に囲まれ、庭にシカが遊びにやって来る一軒家に引っ越していた。息子が冬にアイスホッケーをしていて、私は練習や試合のために自家用車で送迎した。現役時代は明るい時間帯に運転することは少なかった。時間にとらわれない生活に、プロ野球選手としての終着を実感した。
うえはら・こうじ 野球評論家。1975年大阪生まれ。ドラフト1位で大阪体育大から巨人に入団、99年デビュー。2009年米大リーグに渡り複数球団に所属。19年現役を引退。現在は日本と米フロリダ州の2拠点生活。解説やイベントで各地を回る。
NIKKEITheSTYLE――湖畔に広がるブドウ畑 ニュージーランド[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 20ページ 190文字 書誌情報]
ニュージーランド南島にあるセントラル・オタゴ。山あいに横たわるワナカ湖の畔(ほとり)には、いくつものブドウ畑が広がり、同国有数の
ワインの名産地として知られる。ワインづくりで活気に満ちたこの地がつくりだすピノ・ノワールは国際的にも評価が高い。
〈行き方〉成田空港↓クイーンズタウン空港(オークランド経由、約14時間半)↓車で約1時間半
【図・写真】Photo/Krista Rossow
(ゴルフ)堀、単独トップ――佐久間2位、初V射程 好ラウンド5バーディー[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 585文字 PDF有 書誌情報]
前週、勝手知ったる地元埼玉の石坂GCでは2位から出た2日目にスコアを落とし、優勝争いに加われなかった。「きょうは伸ばすぞ」と12位からスタートした佐久間が5バーディー、1ボギーの好ラウンドで首位と1打差の2位タイに浮上した。
ボギースタートとなった序盤こそもたついたが、7番で7メートルのバーディートライをねじ込むと流れが変わる。3打目のバンカーショットを1メートルに寄せた9番パー5に続き、13番では5メートルを決め、17番ではチップイン。
18番では複雑な傾斜からの〝寄せワン〟でバーディーを重ねた。「パットのタッチが合っていた」
2021年6月のプロテストで岩井姉妹や桑木志帆らを抑えてトップ合格した俊英。ジャンボ尾崎に師事し、精度の高いショットで昨季は14回のトップ10入りをマークしたが、優勝にはあと一歩届かなかった。
そんな22歳が感銘を受けたのが、劇的な展開の末にロリー・マキロイが生涯グランドスラムを達成した先日のマスターズだ。「推しはコリン(モリカワ)だけれど、泣きました。勝ちたいという思いをあれぐらい出してもいいのかな」
この大会はアマチュア時代の勝みなみを始め、山下美夢有、岩井明愛、竹田麗央らが初優勝を飾り、ツアーの中心選手に駆け上がってきた登竜門。同じ道をたどれるか。
(吉野浩一郎)
【図・写真】第2日、18番でアプローチショットを放つ佐久間
上地と小田、決勝に進出 車いすテニス――ベテラン上地、中国選手に雪辱[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 311文字 PDF有 書誌情報]
2週間前の韓国での大会決勝で負けた王に雪辱を果たした上地は「引き出しが自分の方が多かった」と30歳のベテランらしく振り返った。
最初の2ゲームを失った後、3―2と盛り返しての第6ゲーム。3連続リターンエースを決めながら、最後は線審の「アウト」のコールを主審が覆してゲームを落とした。不満が思わず声に出てしまったが引きずらず、冷静に球を打つポジションを修正して第1セットを取り切ると、第2セットは圧倒した。
パリ・パラ後、車いすを改良中。韓国ではそれがはまらず、今も日々調整しながら乗っている状態だ。
ただ「気にせずプレーできるのが一番だが、変える時期にしっくりこないのは付き物」。パラ女王らしく、それも楽しむ風情だった。
(ゴルフ)堀、単独トップ[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 289文字 PDF有 書誌情報]
KKT杯バンテリンレディースオープン(19日・熊本空港CC=6565ヤード、パー72)
12位から出たツアー2勝の堀琴音が7バーディー、2ボギーの67で回り、通算7アンダーで単独首位に立った。
4打伸ばした佐久間朱莉のほか、永峰咲希、小林夢果が1打差の2位に並んだ。
通算5アンダーの5位に神谷そらとルーキーの徳永歩。小祝さくら、河本結は4アンダーで7位につけた。前週優勝の安田祐香、青木瀬令奈は2アンダーで20位。
1オーバー、43位までの51人が決勝ラウンドに進出し、今季初戦だった川崎春花と2戦目の有村智恵は予選落ちした。
横峯さくらと山路晶がホールインワンを達成した。
17歳・岸が新女王 全日本体操女子――13歳の南埜、3位[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 236文字 PDF有 書誌情報]
予選に続いて3位に食い込んだ13歳の南埜は「ちょっとびっくり」と笑った。安定感のある演技でミスなくまとめ、得意の段違い平行棒は「離れ技の高さが出せた」と全体3位の高得点。「すごく緊張して、失敗しないかなと思ったけど、練習通りにと頑張った」とうなずいた。
クラブの先輩の中村がパリ五輪に出場し、「自分もあの舞台に立てたら」と夢を抱く。年齢制限で10月の世界選手権には出られないが、「今年は世界ジュニアの個人総合で金メダルを取りたい」。初々しくも、はっきりと目標を口にした。
上地と小田、決勝に進出 車いすテニス[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 217文字 PDF有 書誌情報]
車いすテニスのジャパンオープンは19日、福岡県飯塚市のいいづかスポーツ・リゾートで第5日を行い、女子シングルス準決勝は第1シードでパリ・パラリンピック優勝の上地結衣(三井住友銀行)が第3シードの王紫瑩(中国)を7―5、6―0で下し、10大会連続の決勝進出を決めた。
男子シングルス準決勝ではパリ金メダルで第1シードの小田凱人(東海理化)が第4シードのダニエル・カベルサスチ(スペイン)を6―0、6―4で破り、3年連続で決勝に進んだ。
(ゴルフ)堀、単独トップ――粘りのゴルフ、小林夢がV争い[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 204文字 PDF有 書誌情報]
首位と1打差から出た21歳の飛ばし屋、小林夢が粘りのゴルフで優勝争いに踏みとどまった。今季ツアー5位の平均飛距離を誇るドライバーを引っ掛けて谷や林に打ち込みながらもパーでしのぎ、16、18番のバーディーで最終日最終組に滑り込んだ。
ジャンボ尾崎の指導を受け、同じ最終組の佐久間とは同門対決。「運にも助けられたきょうのようなゴルフじゃダメ。ティーショットがカギになる。絶対負けないんだから」と闘志を燃やした。
17歳・岸が新女王 全日本体操女子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1066文字 PDF有 書誌情報]
体操の世界選手権(10月・ジャカルタ)代表2次選考会を兼ねて個人総合で争う全日本選手権第3日は19日、群馬県の高崎アリーナで女子決勝が行われ、17歳の岸里奈(戸田市SC)が合計108.431点で初優勝した。昨年2位でパリ五輪代表の岸は4種目合計54.165点で、17日の予選に続きトップだった。
25歳の杉原愛子(TRyAS)が0.933点差の2位で、大阪・相愛中2年の13歳、南埜佑芽(なんばク)が初表彰台の3位に入った。ともに昨夏のパリ五輪に出場した中村遥香(なんばク)は5位、岡村真(相好ク)は6位。昨年初優勝した宮田笙子(順大)は予選の21位から7位に上げた。
女子の代表は4枠で、今大会の上位24人が最終選考会を兼ねる5月のNHK杯に出場する。
◇
床でミスも「余裕あった」
「最後は少し格好悪い終わり方になったが、すごくうれしい」。最終順位が確定するまで硬い表情を崩さなかった岸。待ち焦がれた初の賞杯を手にすると、ようやく喜びの実感が湧いたように頬を緩めた。
ラストの床運動。終末技の屈伸2回宙返りの助走前に足がラインをはみ出してしまい減点、着地も両手をついた。理想の結末とはいかなかったが、ミスが出ても戴冠を譲らないだけの確かな地力があった。2位だった去年と比べて「余裕を持った感じがあった。そこは成長したのかな」。
出だしの跳馬はパワフルなひねり技を決め、予選で着地を失敗した段違い平行棒は丁寧に演技をやり切り、ともに全体1位のスコアをマーク。床運動のH難度「シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)」は高さも着地も会心の出来だった。
昨夏のパリ五輪は直前で離脱した宮田に代わる主軸として、世界の舞台で大きな経験を積んだ。ただ、すぐに次のステップへ、とはすんなりいかなかった。指導する豊島(旧姓菅原)リサ・コーチは「夢だった五輪に出場して、(大会後は)体と心がついてこないところがあった」。
どこか燃え尽きてしまった部分があったのだろう。調子はなかなか上向かなかったが、この大一番に挑む中で豊島コーチは変化を感じたという。「自分で黙々と準備を進めていた。優勝を狙う気持ちを持って演技に挑めていた」。2028年ロサンゼルス五輪に向け、日本の頂点に立つ覚悟が固まったということだ。
決勝の床運動の悔しさも、自らの潜在力に気づく機会となったようだ。「まだまだミスがあるので、もっと上に行けるっていうことが分かった」。新たなニッポンのエースとして自覚をにじませた。
(佐藤淳一郎)
【図・写真】岸は床運動でH難度の大技を決めた
(サッカー)京都、初の暫定首位――「後半が勝負」 新潟に逆転勝ち[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 406文字 PDF有 書誌情報]
敵地で敗れた浦和戦から中2日の日程に屈することなく、京都は「後半が勝負」との曺貴裁監督の狙いを体現した。20日に9試合がある第11節を終えて首位なら、消化試合が多いながらもクラブ初の快挙。監督は「シーズンがこれで終わってほしい」との冗談の後、「歩いてきた道が間違っていなかったと肯定できる」と胸を張った。
ハイプレスを仕掛け続け、PKの1失点で折り返した。「自分たちらしく戦っていれば、(後半に)相手がどんどん落ちて自分たちは動ける」と主将の川崎。足が止まった新潟と対照的に攻勢に出た。
73分、相手DFに競り勝ったラファエルエリアスが左からのパスを1タッチで決めて同点。86分に相手の連係ミスを突いた奥川が流し込んで追加点を奪った。
17日時点で1試合平均スプリント回数はリーグトップ。中2、3日で立て込んだ7試合も走り負けず、5勝1分け1敗で乗り切った。奥川は「地に足を着けて頑張りたい」と気を引き締めた。
(ゴルフ)山下4位、2打差 米女子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 320文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米女子ゴルフのJMイーグルLA選手権は18日、ロサンゼルスのエルカバレロCC(パー72)で第2ラウンドが行われ、24位スタートの山下美夢有が65とスコアを伸ばし、通算11アンダーの133でトップと2打差の4位につけた。
勝みなみと岩井明愛、千怜の姉妹が通算9アンダーの12位。畑岡奈紗が8アンダーの20位で、竹田麗央と吉田優利が6アンダーの43位。西郷真央は5アンダーの54位、古江彩佳は4アンダーの61位で決勝ラウンドに進んだ。
渋野日向子は3アンダー、西村優菜と馬場咲希はイーブンパーで予選落ちした。
通算13アンダーの首位にアシュリー・ブハイ(南アフリカ)とイングリッド・リンドブラト(スウェーデン)が並んだ。
(サッカー)京都、初の暫定首位[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 24ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
京都は2―1で新潟に逆転勝ちし、勝ち点21で暫定首位に立った。前半に先制を許したが、後半にラファエルエリアスと奥川が得点した。ホーム初白星を逃した新潟は勝ち点8のまま。
代打・万波が不振一掃弾 「集中力」期待 起用応える(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 665文字 PDF有 書誌情報]
今季18試合目で初めてスタメンを外れた日本ハム・万波の出番がやってきたのは2―2の八回2死一、二塁。代打で出ると、オリックスの右腕ペルドモの初球を振り抜いた。左越えの決勝3ラン。持ち味の思い切りの良さ全開の一振りが、対オリックス戦の今季初勝利を呼び込んだ。
打撃不振に苦しむ中、「シーズン序盤はうまくいかないこともあるだろう」と先発落ちを冷静に受け止め、目の前の勝負に集中した。「1打席しかない。なるべく早く前に飛ばしたい」
前打者の代打・郡司が内角をツーシームで執拗に攻められているのを見て「僕への布石」と感じ取り、スライダーに山を張った。「甘い球が来たら思い切りいく」。読み通りの狙い球を見事に振り抜いた。
なかなか状態の上がらない25歳にリフレッシュの機会を与えた新庄監督は、過去の打席から万波の代打適性の高さに注目していた。「集中力がある。走者がいる場面で出すよという話はしていた」という指揮官の期待に満点回答を出した。
好不調の波が激しいのは万波自身も認識しており、威勢の良くなりそうな最高の一発にも「日々頑張る」と謙虚だ。今季の目標に掲げるのは全試合出場。存在感を改めて示した決勝弾を「首の皮一枚つながったのは大きい」と素直に喜んだ。
同じ八回には、左脇腹の違和感で離脱していた同学年の水谷にも待望の今季1号2ランが飛び出した。「(万波の)流れに乗っていきたかった」と水谷。右の長距離砲2人がそろい踏みして首位に快勝。臨戦態勢が整ってきた気配が漂う。
(常広文太)
【図・写真】代打・万波が左越えに勝ち越しの3ランを放つ
西武・隅田、9K完封(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 368文字 PDF有 書誌情報]
救援陣が慌ただしく肩をつくる必要がないほど、西武・隅田は出色の出来だった。無四球、9奪三振の完封。最後を見逃し三振で締めると、マウンドではにかんだ。
3度あった先頭打者の出塁はいずれも火消しが早かった。連打を許した三回1死二、三塁は「最少失点で(抑えよう)と思ったが最高の結果になった」と連続三振。五回無死二塁でも2三振を奪って進塁を許さず、六回も併殺で事なきを得た。カーブを有効に使ってカウントを整え、勝負球のチェンジアップをミスなく低めに制球。打線の援護も1点で十分だった。
継投で無安打に封じた前日に続く先発の好投。「うまく緩急を使ってタイミングを外し、相手の打ち気をそいでいた」と西口監督。チームを2年ぶりの4連勝に導き、早くも3勝目を挙げた左腕をたたえていた。
【図・写真】今季初完封で3勝目を挙げ、ガッツポーズする西武・隅田
救援踏ん張れず、ヤクルト5連敗(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 223文字 PDF有 書誌情報]
序盤に先制したヤクルトだったが頼みの救援陣が崩れ、今季ワーストの5連敗を喫した。3―2の七回、今季登板6試合で無失点だった木沢をマウンドに送ったが、痛恨の勝ち越し二塁打を浴びた。八回はバウマン、九回は矢崎がそれぞれ1失点。接戦で踏ん張れなかった。
打線に頼れない現状では、救援陣の奮起が欠かせない。高津監督は「1つのアウトを取ることの難しさ、1点を守ることの難しさが凝縮されている最後の3イニング。結果がこうなったらしょうがない」と唇をかんだ。
広島・床田7回無失点 ピンチにも冷静(プロ野球)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 216文字 PDF有 書誌情報]
2年ぶりの完封を果たした前回登板の巨人戦に続き、広島の床田が7回被安打6で無失点の好投を見せた。六回2死満塁のピンチでも「(力まないように)抜き気味に投げた」と冷静に大山を遊ゴロに打ち取った。開幕2戦目で敗れた阪神にリベンジする1勝にもなった。
首位のチームは貯金を5とし、混戦を半歩抜け出した感がある。それでも30歳の左腕は「まだ始まったばかり。チームがしんどいときに自分が(悪い流れを)止められるようにしたい」と頼もしかった。
未対戦馬「1強」崩すか(ターフの目)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 471文字 PDF有 書誌情報]
近年は有力馬が前哨戦に出走せずGⅠに向かう臨戦過程が定着。人気のクロワデュノールも2024年末のホープフルステークス(GⅠ)以来の実戦となる。休養期間中に、これまで破った相手が次々と重賞やオープン特別で好走。自然と同馬の評価は上がり、「1強」ともいえる構図が形成された。
ライバルの走りで実力の高さが改めて示された格好だが、逆にいえば序列ははっきりした印象で、対戦経験のある馬がクロワデュノールを逆転するのは難しそう。1強を崩すとすれば未対戦馬だろう。
エリキングは3戦3勝の素質馬。前走、24年秋のラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(G3)で優勝した。当時2着のジョバンニはホープフルSでも2着。この比較からも能力の高さがわかる。骨折明けだが軽傷で、調教ではしっかりと負荷をかけられた。
ミュージアムマイルも面白い。前走の弥生賞(G2)は馬群の外側を回ったこともあり4着に敗れたものの、適性より短い芝1600メートルのGⅠ、朝日杯フューチュリティステークスで2着に入ったように地力がある。休養明け2戦目で体調も上向きだ。
(関根慶太郎)
フィギュア国別対抗 日本2位、米が優勝[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 890文字 PDF有 書誌情報]
フィギュアスケートの世界国別対抗戦最終日は19日、東京体育館で行われ、日本は順位点合計110点で、126点の米国に次ぐ2位だった。ペアで3月の世界選手権を制した三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)はフリー1位。自己ベストの145.06点をマークした。
女子フリーの坂本花織(シスメックス)は145.00点で3位、千葉百音(木下アカデミー)は138.52点で5位。世界女王のアリサ・リュウが1位、グランプリ(GP)ファイナル覇者のアンバー・グレンが2位と活躍し、米国の2大会連続6度目の優勝に貢献した。3位には86点のイタリアが入った。
2年ごとの開催で6カ国が参加し、男女各2人、ペアとアイスダンス各1組が出場。過去2大会連続3位だった日本は4大会ぶりの頂点に届かなかった。
◇
世界選手権閉幕からまだ3週間余り。合間にアイスショーを挟んだ選手も多く、大会が進むにつれて疲労が色濃くにじんできた。それは世界王者に返り咲いた三浦、木原組も例外ではなかった。
序盤の見せ場となる3連続ジャンプでは、1本目の3回転トーループで2人のタイミングがずれて回転不足に。後半に入っても細かなジャンプミスが続き、曲が鳴りやむと三浦の体はよろけ、木原は氷上にへたり込んだ。「世界選手権後の練習量が足りず、体力面(の甘さ)が出た」と木原は苦笑い。
それでも得点はSPに続き自己ベストを更新。特に演技構成点では初めて3項目全てで9点台の高評価を得た。
昨季はそろって故障に悩まされ、この1年は「ケガなく滑りきること」(木原)に主眼を置いてきたが、苦節を乗り越えた2人のコンビネーションは大会を重ねるたびに円熟味を増している。
1年かけて基盤を固め直し、来季はジャンプやリフトの難易度を引き上げる予定だ。
目指すところはフリーで150点の大台。「まだまだ滑り込みが必要。今回の結果を受けていろいろと改善していきたい」(三浦)と2人に慢心はない。今や日本チームの大黒柱となった黄金ペアはこの上ない充実期を迎え、五輪シーズンに入る。
(堀部遥)
【図・写真】演技する三浦(上)、木原組。演技構成点で高評価を得た
(大リーグ)大谷が産休、今季初欠場 復帰時期は未定[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 404文字 PDF有 書誌情報]
【アーリントン(米テキサス州)=共同】米大リーグのドジャースは18日、大谷翔平(30)を産休制度「父親リスト」に入れたと発表した。大谷は昨年12月末に妻真美子さん(28)が第1子を妊娠したことを公表していた。ロバーツ監督は「いつ(戦列に)戻ってくるかは分からない。子どもの誕生に向け、2人は一緒にいる」と説明した。
同日にテキサス州アーリントンで行われたレンジャーズ戦で、大谷は今季初めての欠場となった。チームは3―0で勝利。先発し勝ち投手になった山本は「いつも大谷さんがチームを引っ張ってくれている。みんなでカバーして戦えた」と語った。
大谷は昨年2月に元バスケットボール選手の真美子さんと結婚したことを発表。3年連続の本塁打王が懸かるメジャー8年目の今季は20試合に出場して打率2割8分8厘、6本塁打をマークしていた。ドジャースは20日までレンジャーズと3連戦。22日からカブスとの2連戦が控えている。
(大リーグ)山本3勝目、7回を10K[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 25ページ 211文字 PDF有 書誌情報]
【アーリントン=共同】米大リーグは18日、各地で行われ、ドジャースの山本はアーリントンでのレンジャーズ戦に先発し、7回5安打無失点、10奪三振で3勝目(1敗)を挙げた。試合は3―0で、チームは4連勝。大谷は妻の出産に合わせて産休制度の「父親リスト」に入り、今季初めて欠場した。
カブスの鈴木はダイヤモンドバックス戦に「3番・指名打者」で出場し、八回に5号ソロを放って5打数1安打1打点。チームは13―11で接戦を制した。
海王星のオーロラ、宇宙望遠鏡で初観測[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 318文字 PDF有 書誌情報]
米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、海王星のオーロラを撮像することに成功した。同じようにガスを主成分とする木星と土星、天王星で観測されていたが、海王星では初めてだ。オーロラは惑星の中緯度付近で確認され、海王星の複雑な磁場を現しているという。
近赤外線を捉える特殊な装置で撮像した。海王星の磁場は自転軸に対して約47度傾いている。オーロラは太陽から飛んできた太陽風のプラズマ(電離ガス)が、惑星の磁場に沿って大気に降り注ぐことによって生じる。海王星の複雑な磁場の起源や傾きの謎を解明する手掛かりになる可能性がある。
【図・写真】海王星の観測画像(左)に撮像したオーロラ(青緑色)のデータを合成した=NASAなど提供
多様な列島、鳥・虫が激減 人間が及ぼす影響 解明必要(科学で迫る日本人)終[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1933文字 PDF有 書誌情報]
生物多様性に富んだ「ホットスポット」である日本列島に変化が生じている。都会では普段あまり目にしない昆虫や鳥などが大きく数を減らしている。これからの日本人を取り巻く環境はどうなるのだろう。
2005~22年度で里地や里山にいる鳥類の15%、チョウ類の33%が急速に減った――。環境省と日本自然保護協会が24年10月に公表した調査結果は衝撃的だった。スズメやイチモンジセセリなど身近な種類が環境省のレッドリストで絶滅危惧種と判定されるほどの減少率となった。
これは国際的な傾向でもある。先駆けは17年にドイツの研究チームが出した論文で「1989~2016年で同国自然保護区の飛翔(ひしょう)性昆虫の数が76%減った」と報告した。昆虫の専門家である大阪府立環境農林水産総合研究所の石井実理事長は「当時、昆虫研究者などはショックを受けたが、数字についてはほとんどの人が半信半疑だったのではないか」と振り返る。だがその後、検証が進み認められていった。
米国の鳥類保護団体は25年版の報告書で「米国の鳥類の3分の1は保護活動が必要だ」とした。3月には、00~20年に実施された7万6000件以上の調査をもとに「米国のチョウの総個体数は22%減った」とする論文が米科学誌サイエンスに掲載された。
真っ先に原因として思い浮かぶのは気候変動だろう。24年12月には米科学誌サイエンスに、30年以上にわたる研究を網羅した分析をもとに「気候変動によるセ氏1.3度の上昇で1.6%の種が絶滅の危機にさらされる。5.4度の上昇では29.7%にまで拡大する可能性がある」とする論文が載った。
日本は暑くなりやすい「ホットスポット」でもある。気象庁と文部科学省が3月にまとめた報告書「日本の気候変動2025」によると、日本の気温上昇率は100年あたり約1.4度と世界平均の約0.8度に比べて大きい。北半球の中緯度にあるため温暖化による影響を受けやすい点や、南側に暖流が流れている影響などが指摘されている。
生物が減る要因はそれだけではないだろう。石井氏は日本の生物多様性国家戦略にも挙げられている(1)開発や乱獲(2)里地・里山の荒廃(3)外来生物や農薬(4)気候変動といった要因を挙げる。まずは開発や乱獲、里地・里山の減少と荒廃が大きい。ある地域にすむ生物の量は植物の量で決まる。都市化や森林伐採が進めば生態系の基盤が縮小する。
石井氏は「日本の昆虫たちはもともとは河川の氾濫源に生息していた種類が多いと思われる」と指摘する。湿地などの開発が進み、残ったすみかが人が管理する里地・里山の畑や水田、薪炭林などだった。ただ、その管理放棄が広がる。
化学物質の影響もあるようだ。例えば農薬では、ネオニコチノイド系殺虫剤が注目されている。植物内に浸透する神経毒で、それを食べた害虫が死ぬ。ミジンコやエビ、カニなどの水生の節足動物にも作用するといわれる。プランクトンなどが死ねば、それを餌にする昆虫、鳥なども減り、生態系が崩れる恐れがある。
ミツバチなどへの影響も注目されている。「ニホンミツバチは都市部でも農薬に暴露している」。国立環境研究所の坂本佳子主任研究員は24年10月に公表した論文で指摘した。殺虫剤、除草剤など16種の化合物へのハナバチの暴露の実態を調べた。
ミツバチは様々な植物から花粉や蜜を巣に持ち帰るため周辺の農薬の残留状況をみるのに適している。実態調査では全国175カ所の巣で化合物を調べた。水田や果樹園などの農地だけでなく、都市域でも高い暴露のリスクがあった。
坂本氏は農薬の影響と同時にミツバチの病気についても目を向ける。「農薬が免疫に影響し、病気を発症しやすくなって死亡率が上がるのかもしれない」と考え解析を急いでいる。
欧州ではネオニコ系殺虫剤を使用禁止にしている国もある。日本は21年度から農林水産省や環境省などが、様々な農薬の安全性などの再評価を進めている。従来の農薬の評価は藻類や魚など水生生物への影響をもとにしていたが、ミツバチや鳥類など陸域生物への影響も加えた。
化学物質が土壌に入り、どのように巡るのか詳細を知るのは難しい。様々な化学物質との組み合わせや複合要因の解明も必要かもしれない。
人が環境に及ぼす影響は温暖化だけでなく、有機フッ素化合物(PFAS)やマイクロプラスチックなど新たな問題が次々と出ている。様々な要因が関係しており、詳細な影響を科学的に示すのは簡単ではない。
それでも「自分たちが知ることは限られる」と自覚して真相を探り続ける。豊かな生態系や環境を守るには、日本人の特徴ともいわれた謙虚さや勤勉さが欠かせない。
(松田省吾、黒田愛奈)
=おわり
科学研究の問い、どう立てる WhyとHow使い分け 永田好生(サイエンスNextViews)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1159文字 PDF有 書誌情報]
身の回りに潜むなぞを解き明かす。科学研究はもともとわくわくするものだ。しかし最近、日本の多くの科学者は「どんな成果をあげたのか」と細かに管理されて、この醍醐味をなかなか味わえないでいる。わかっていないことを知りたいという思いは研究の原動力になる。忘れずに抱き続けてほしいと願う。
もう随分昔、筆者が大学で自然科学を学び始めた頃「科学者は何をどのように研究するのかを、どうやって決めているのだろうか」という疑問にとらわれ、分野や年齢を問わず話ができそうな人たちと議論した覚えがある。
答えは1つではなく、科学者によって決め方はいろいろある。研究という活動が、芸術や文学、トップアスリートの競技などと同じように、とても人間的なものだということを、その都度実感していた。
議論しているなかで、問い方に関して記憶に残る説明があった。Why(なぜ)とHow(どのようにして)の使い分けだ。誰の話だったのかは思い出せないが「自然科学では、なぜと問うと迷路に入り込んでしまう。問い方を、どのようにして、に変えてなぞを解き明かしてきた」という内容だった。
なぜ宇宙があるのか。なぜ生命は誕生したのか。なぜ意識が発生したのか。この3つは一般に、起源を巡る科学の3大難問といわれている。
これらの難問に対し、なぜと疑問を抱くことは、答えを見いだそうとする気持ちを奮い立たせてくれる。一方で、なぞに潜んでいる目的や意図をも導き出そうとする問い方になり、物理や化学、生物など自然科学だけの議論ではおさまらなくなる。哲学や心理学あるいは宗教学など幅広い視点で解き明かさないといけない壮大な問題となってしまい、自然科学の範囲を超えてしまう恐れがある。
どのようにして、と問い直すと、自然科学の手法を用いて一歩一歩謎を解き明かしていく道が開けてくる。
仮説を立てて実験や観察を重ね、結果を検証する。新しい理論や法則を打ち出し、次の仮説や実験・観察へと進んでいく。問い方を変えて、それまで見えなかったメカニズムを見つけ出したり因果関係を明らかにしたりと、自然科学ならではの実践的な作業が可能になる。
科学研究のあり方はいま、大きく変わろうとしている。国や企業の競争力を高め経済的な発展につなげる役割は残っている。それよりも、気候変動や感染症など地球規模の課題の解決や持続的な社会への移行という、より普遍性の高い問題にどう関わっていくのかが問われている。
半面、成果を競う情報が氾濫しすべてに目を通すことは不可能だ。データを偽る論文の増加も問題になっている。科学が社会の中でどう位置づけられるのか、揺れ動く転換期にある。
科学者の皆さん。自分が置かれた状況に応じて「なぜ」と「どのように」の問い方をうまく使い分け、わくわくする研究に挑み続けてほしい。
資産運用ビジネスの実務を学ぶ「ファンドマネジメント講座」(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 359文字 書誌情報]
日経ビジネススクールは、投資信託・投資顧問会社を中心とした資産運用ビジネスの実務全般を学ぶ「ファンドマネジメント講座」をオンラインで開講します。資産運用業務を体系的に理解したい方から特定分野でのスキルアップを目指す方まで、キャリアの可能性を引き出す充実のカリキュラムです。業界の最新トレンドも取り上げます。
【主な講座名】 「ファンドマネジメント総合基礎」「ミドルオフィス業務」「バックオフィス業務/投信編」「投資信託約款の読み込み方」「投資顧問考察」「債券ポートフォリオマネジメント業務」「リスク管理業務」ほか、全13講座
【開催日・時間帯】 5月13日(火)~6月27日(金)、午前10時~午後5時など
【受講料】 各4万8400円
◇詳細・申し込み https://s.nikkei.com/pfndmngpr
マリー・ローランサンの水彩画を販売(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 291文字 書誌情報]
日経アートは、エコール・ド・パリを代表する女流画家、マリー・ローランサンの水彩画「ベールを被った若い女性」=写真=を販売しています。
女性の優しい表情や、淡く繊細な色の重なりにローランサンの確かな技量が感じられる貴重な作品です。
◇仕様 額装価格660万円・税込み、1点限り、画寸約27×21センチメートル、額寸約54×44・2センチメートル、直筆サイン入り、ジルベール・ペトリデス鑑定証付
◇作品注文・資料請求 日経アート(日経プラザ&サービス)(電)0120・81・3313(土日祝休)、FAX03・5577・8520、https://art.nikkei-ps.co.jp/
『ホークスメソッド』販売中(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 285文字 書誌情報]
2024年のシーズンを圧倒的な強さで制した福岡ソフトバンクホークス。直近10年で日本シリーズを5回制し、同期間の通算勝率も12球団トップの強さを誇ります。勝ち続けるチームの裏には、どのような変革や葛藤があったのでしょうか。小久保裕紀監督や三笠杉彦GM(ゼネラルマネジャー)、現役コーチからデータ分析の専門家まで、20人近いチーム関係者をノンフィクションライターの著者が徹底取材。4軍制やデータ活用など、チームの強さを裏付ける独自の取り組み導入に至るまで、改革の歴史とその本質をひもときます。
日比野恭三著、四六判、288ページ、定価1870円(10%税込)、日経BP。
新学期におすすめ 日経サイエンスの単行本(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 273文字 書誌情報]
『そのギモン、カガクのチカラで答えます』▼子どもたちの鋭い「どうして?」「なんでだろう?」から、科学への興味を伸ばす、親子で一緒に楽しめる一冊。日本経済新聞の記者が、研究者や専門家に取材し書かれた丁寧な解説文に、大人もなるほど!となる最新情報もしっかり補足。読み込むことで理系力と一緒に文章読解力もアップします。新入学・進級のお祝いはもちろん、大人の科学力アップデートにも最適です。
日本経済新聞社編集サイエンスグループ 編、定価1980円(10%税込)日経サイエンス社発行 詳細はhttps://www.nikkei-science.com/
「畠中光享 日本画展」23日から後期展示(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 264文字 書誌情報]
仏教をテーマに約半世紀にわたり創作を行っている畠中光享氏の画業を紹介する本展は展示替えを行い、23日より後期展示が始まります。大幅に作品を入れ替え、「達磨」を描いた新作をはじめ初期の貴重な作品など約50点を展示します。写真は後期展示の「風の日も雨の日も」(部分、2022年)。
◇会期・会場 6月22日(日)まで、4月21、22日休館。午前10時~午後5時、入館は午後4時半まで。相国寺承天閣美術館(京都市上京区)
◇料金 一般1000円ほか
◇問い合わせ (電)075・241・0423(美術館)
◇主催 日本経済新聞社ほか
「ガイアの夜明け」リニューアル(日経からのお知らせ)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 26ページ 188文字 書誌情報]
テレビ東京の経済ドキュメンタリー「ガイアの夜明け」が大きくリニューアルしました。番組の顔となる「案内人」に俳優の長谷川博己、ナレーターに名バイプレーヤーの田中哲司を迎えました。
ドキュメンタリー取材も一層強化し、ニュースが伝えない深層に迫ります。時の経営者から企業戦士たち、そして名もなき人々まで全てが主人公です。日々奮闘する人たちへの密着取材から、本音を浮き彫りにします。
ウクライナ館、「自由」発信 万博、戦禍の国・地域も展示[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 783文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は平和や人道支援に関する展示をみられる。ロシアから侵略を受けるウクライナは大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)の会場で「自由」や「尊厳」などをテーマにメッセージを発信。社会課題を討論する「テーマウィーク」に合わせ、戦禍にある国・地域を仮想現実(VR)で疑似体験するワークショップも予定する。
スーパーマーケットに見立てた空間は内装が黄色く塗られている。天井からつり下げられているのは「NOT FOR SALE(非売品)」と書かれた看板。ポニーのぬいぐるみのバーコードを専用スキャナーで読み取ると、ディスプレーに戦争で被害を受けた子どもの権利を守る取り組みを紹介する動画が映し出された。
ウクライナ館の展示は、戦時下に「自由」や「尊厳ある暮らし」を守るために費やした人々の努力を、値段をつけられない商品に例えた。国内外の来場者の注目を引き、列ができている。
来場者の一人、カテリナ・マンキヴスカさん(22)は同国から日本に避難して3年がたつ。にぎわう場内を見渡し、「多くの人が興味を持ってくれてうれしい」と話した。
日本赤十字社が運営する「国際赤十字・赤新月運動館」は、パレスチナ自治区ガザなどで葛藤しながら人道支援を続ける人々の姿を上映している。13日の開幕から5日間で5000人以上が訪れた。来場者からは1日あたり300~400のメッセージが寄せられているという。
国連は、1970年の大阪万博でも展示され、現在はニューヨークの国連本部にある「平和の鐘」のミニチュア版を用意した。来場者が鳴らすこともできる。
8月1~12日はテーマウィークで「平和と人権」が取り扱われる。同月内にウクライナやガザの現地をVRで疑似体験する映像ワークショップなどが企画されている。
【図・写真】「NOT FOR SALE」をテーマにするウクライナ館(14日、大阪市此花区)
2時間40分で完走できた! 中国のハーフマラソン、ヒト型ロボ参加[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 434文字 PDF有 書誌情報]
【北京=藤村広平】ヒト型ロボットが参加するハーフマラソン大会が19日、北京市内で開かれた。人間のランナーと同じ約21キロメートルのコースを約20台のロボットが走った。最も速いロボットは約2時間40分で完走した。
競技は午前7時半(日本時間8時半)に始まった。1万人前後の人間のランナーも参加し、ロボットとの接触を防ぐために別レーンを用意した。
ロボットはサポート役の人間が併走した。途中で電池を変えられるほか、故障の場合は本体も交換できるなどロボットならではのルールが適用された。
ロボットの実力は様々だった。人間がジョギングするようになめらかに走るロボットもいれば、ふらつきながら前進するロボットもいた。スタート直後に転倒してしまうチームもあった。
沿道で応援した40代女性は「ロボットの進歩は早いなと感じた。将来はご飯を作ったり、介護を手伝ったりしてほしい」と笑顔をみせた。
【図・写真】優勝した「天工」は3度の電池交換を経て、21キロを走破した(19日、北京市)
ウクライナ館、「自由」発信――万博警備の資料、警官が一時紛失 大阪府警[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
大阪府警の警察官が大阪・関西万博の警備に関する内部資料を一時紛失していたことが19日、府警への取材で分かった。資料は回収されて流出などは確認されていないという。府警は万博警備に影響はないとみており、「文書の適正な管理を指導する」としている。
府警によると、資料を紛失したのは府警本部警備1課の巡査部長。万博開幕前の10日、府立国際会議場(大阪市)に業務で立ち寄った際に資料を置き忘れた。その後、会場を訪れた一般来場者が施設職員に届け、府警は12日に紛失を把握。巡査部長は気がついていなかったという。
岩倉博文氏(元衆院議員)(死去)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 165文字 PDF有 書誌情報]
岩倉 博文氏(いわくら・ひろふみ=元衆院議員)4月18日、心室細動のため死去、75歳。告別式は4月22日午前10時から北海道苫小牧市明野新町3の7の26の苫小牧市民斎場明野ホール。喪主は妻、早苗さん。
2000年の衆院選に自民党から出馬し初当選、1期務めた。06年に苫小牧市長選に初当選し、24年11月、5期目の途中で辞職した。
親子関係確認訴訟 父親とは、血縁か育児か 「我が子として育てる。結婚しよう」(揺れた天秤法廷から)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 2034文字 PDF有 書誌情報]
法律、鑑定…拒まれた決意
自分がこの子の父になる――。東日本に住む30代の男性は、自分と血のつながりのない子どもを妊娠していると知りながら、女性との結婚を決意した。生まれた子を長男と届け出て献身的に育児を担ったが、妻子は突如家から姿を消す。後日起こされたのは「男性と長男の間に親子関係がない」ことの確認を求める裁判。法律や科学鑑定の壁を前に、男性は「父」であろうとあらがった。
「やっぱり、できていた」。2019年夏、男性は産婦人科医の診察室から出てきた女性に告げられた。事前に検査薬で調べていたので結果は予期していた。
問題は誰の子か。マッチングアプリで知り合い、直接会うようになったのはごく最近。自分の子どもでないことは明らかだったが、男性は事実を受け止め覚悟を決めた。「我が子として育てる。結婚しよう」。戸惑っていた女性も熱意にほだされ、その日のうちにプロポーズを受け入れた。
約半年後に生まれた男児は戸籍に「男性の長男」と記載された。出産を終えた女性は全身に痛みの出る病気を発症し、そのまま別の病院に転院。退院後もしばらく病床に伏していた。
自負
この間、男性は慣れない育児に孤軍奮闘する。仕事で外出しなければいけないときは事情を理解している男性の母親がサポートした。
そんな生活が続き、長男が2歳になったある日、男性は思いも寄らない事態に直面する。女性が突然、長男を連れて自宅を出て行った。通っていた保育園は知らぬ間に退園届が出されていた。3カ月後、長男を申立人として、男性との親子関係がないことを確認する調停が起こされた。家庭裁判所で調停は不成立に終わり、争いは訴訟に発展した。
男性には育児の大半を担ってきた自負があった。沐浴(もくよく)、オムツ交換、ミルクづくり、寝かしつけ。一番手のかかる時期の育児に女性がほとんど関わっていないと裁判で強調した。
「おなかにいたころから、この子の父親になると決心していました。それは今も変わりません」。法廷で表明したとき、既に我が子に会えなくなって2年弱が過ぎていた。写真や動画に触れる機会もなく、間もなく4歳になる長男がどんな生活を送っているのかも分からなかった。
司法統計によると、23年度に全国の家裁に申し立てられた親子関係不存在確認の調停は385件。近年は減少傾向にあるが、親子を巡る争いは調停で収まらず先鋭化するケースが少なくない。
女性が明かしたのは男性と縁を断ちたい理由だった。「モラルハラスメントの事実を伝えても認めない、自覚がない、それどころか逆上する。この傷は永遠に忘れることも癒えることもありません」。モラハラの内容はつまびらかにせず、そう説明した。我慢の限界に達して離婚を切り出すと「親権は取れない」とあざ笑うように言われたとも述べた。
女性もできるだけの育児はしてきたつもりだった。家を出てからの2年間に長男から父親について聞かれたことは一度もないという。女性の願いはただ一つ。「子どもと私に今後一切関わらず、過去の写真も全て捨ててほしい。本当に、早く解放して」
検体
民法は一定の条件に該当すれば夫を生まれた子どもの父親とみなす「嫡出推定」規定がある。法律上の父を早期に確定させて子の利益を図る制度だ。現在は婚姻後に生まれれば嫡出推定の対象となるが、当時は「婚姻成立から200日以上過ぎている」などの条件があった。長男が生まれたのは約180日目。推定が及んでも「嫡出否認」の手続きで争われる可能性はあるが、男性が直ちに父と推定されるにはそもそも20日ほど足りなかった。
一方、女性の手元には男性との生物学的なつながりを否定する決定的な証拠があった。長男の「生物学上の父」の協力を得て作成したDNA型鑑定書。家裁は24年3月、嫡出推定が及ばないことと鑑定書の内容を踏まえ「親子関係はない」と結論付けた。3ページの判決文に男性がいかに長男と関わってきたかの言及はない。
「愛情をもって育てた我が子を失うのは耐えがたい苦痛で、子どもも不安定な環境に置かれる。請求自体が権利乱用で許されない」。男性側は控訴したが、同年10月の高裁判決は「男性の言うような事情があっても、そのことをもって親子関係があるとは言えない」と認めなかった。男性は長男とのつながりをあきらめ、上告を断念した。
訴訟記録に女性と「生物学上の父」とのLINEのやりとりが残されている。鑑定に使う検体採取の場で「我が子」と初対面を果たしたその人物は女性に釘を刺していた。「裁判が終わったら、鑑定書は破棄してね」。父になろうとした男性とそれを拒んだ女性、そして父になりたくなかった生物学上の父。大人の様々な思いや事情が交錯する法廷で、幼い長男に意思表示の機会もないまま、戸籍から父親の名は消された。
(嶋崎雄太)
【図・写真】男性は自分と血のつながりがないことを知りながら「長男」の育児に奮闘した(写真はイメージ、一部画像処理しています)
首都高で3台絡む玉突き、2歳児が死亡[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 256文字 PDF有 書誌情報]
19日午前10時10分ごろ、東京都板橋区の首都高速池袋線の上り線で、乗用車2台とトラックが絡む玉突き事故があった。警視庁によると、乗用車に乗っていた埼玉県所沢市の福田悠人ちゃん(2)の死亡が確認された。悠人ちゃんの両親や姉も軽いけがをした。
警視庁はトラックを運転していた東京都豊島区の会社員、仲本大河容疑者(28)を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕した。
現場は片側2車線のほぼ直線で、近くに高島平インターチェンジがある。警視庁は、トラックが乗用車にぶつかったとみて詳しい状況を調べている。
池袋暴走6年、亡き妻子へ「天国で穏やかに」 遺族の松永さん祈り[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 27ページ 232文字 PDF有 書誌情報]
2019年に東京・池袋で乗用車が暴走した事故から6年となった19日、妻の真菜さん(当時31)と長女、莉子ちゃん(同3)を亡くした松永拓也さん(38)は現場近くの慰霊碑に献花し、事故発生時刻に手を合わせた。いつも心に浮かぶのは愛する2人の笑顔。「心配しないで。天国で穏やかに過ごしてね」と祈った。
報道陣の取材に「やっぱり、すごく悲しい。こんな思いは、もう誰にもしてほしくない」とし、「人の心に寄り添って運転することが、事故を防ぐ一つの要因になると思う」と話した。
盗みの告白 高瀬隼子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1817文字 PDF有 書誌情報]
とある媒体にエッセイを寄せ、しばらく経(た)った頃、お詫(わ)びの連絡があった。わたしのエッセイの一部を書き写したものを、自作のコラムとして送った人がおり、そうとは気付かず別の欄で掲載してしまったのだという。
読者の方から「似ている」と指摘があり、盗用が発覚した。書き写した人は「自分では良い表現が思いつかず、つい使ってしまった」らしい。丁寧なお詫びがあったこともあり、大きな問題として取り上げることもなく終わった。
このことを知人に話すと、「バレないと思ったのかなあ」と不思議そうだった。そうですね、と頷(うなず)きつつ、わたしは違うことを考えていた。多分、盗用した人はバレないだろうかとか、バレても仕方ないとか、考えていなかったんじゃないか。ちょうどいいものが目の前にあるから使ってしまおう、とそれだけだったのではないだろうか。
わたしも人の作品を盗んだことがある。小学生で、8歳だった。
図工の授業で、針金ハンガーと画用紙を使う工作をしていた。絵を描いた画用紙をハンガーに貼り付けたり、糸で吊(つ)るして揺らしたりと、みんなおのおのの作品を作っていた。
□ □ □
なにを作ろうかなあと考えた時、ふと隣の席の男の子の作品が目に入った。彼はサメの絵を描いて切り抜いた画用紙を、ハンガーの中央に浮くように輪ゴムで留め、びょんびょんと指で揺らしたり回転させたり、工夫を凝らしていた。
すごい! と思った。それで、真似(まね)してしまった。輪ゴムで絵を浮かせて動かすというアイデアを使い、自分では上手な絵が描けなかったので、休み時間に友だちがおりがみに描いてくれたバレリーナを、画用紙に貼り付けて使うことにした。ドレスを着て髪を頭の上でおだんごにしたかわいいバレリーナが、ハンガーの真ん中でくるくる回った。
先にサメを作っていた男の子は、当然怒った。「パクんな!」と真っ赤な顔で怒鳴られた。おかしなことだけど、わたしは彼の怒った顔を見て初めて、自分が盗みを働いたのだと気付いた。あ、そうか、駄目なんだった、とびっくりしたのだ。
いいものがあるから使っちゃおう、と善悪も考えずにすーっと手を出した自分に驚いた。なにひとつ自分の力を使わず完成させた工作を前にした、先生の困り顔も、羞恥とともに記憶している。
盗んではいけない、と学んだはずなのに、その後も結局真似してばかりの人生を送ってきたように思う。
幼少期に毛筆を習っていたが、「好きな言葉を書いていいよ」と促されてオリジナル作品を書くよりも、先生のお手本どおりに、上からなぞったように正しい字を書く方が好きだったし、水泳や少林寺の拳法といった習い事は、近所の子が先に始めていて楽しそうだったから「わたしも」と後に続いた。
受験する大学を検討する時も、身近な先輩が合格したからという理由でオープンキャンパスに出かけ、実際に進学しただけでなく、就活の時も同じ先輩が就職した企業にエントリーシートを出した。先輩は「自分の真似をするなんてかわいい後輩だな」の域をとっくに超え、模倣するわたしのことを、不気味に思っていたに違いない。
就職してからも、窓口や電話での対応は同僚のしゃべり方を真似て行ったし、ビジネスメールの文章だけでなく、社内メッセージでまとめられる飲み会参加可否のくだけた返事のニュアンスまで、言葉を覚えたての子どものように周囲の人々に似せて寄せた。
□ □ □
他者の良いところを見習って真似る、と言えば聞こえはいいが、わたしの根本は「目の前にいいものがあるから使っちゃおう」の幼少期から変わっていないのかもしれない。
小説だけは、絶対に「いいものがあるから使っちゃおう」をしたくないし、してはいけないのだが、不安にもなる。あなたには独自の文体がありますね、と褒められる機会があった。わたしのオリジナルの文体が、あるのだろうか? あるのだとしたらそれは、いつどうやって獲得できたのだろう。
今でも時々、怒りで顔を赤く染めた同級生の「パクんな!」を思い出す。集団でうまくやっていくための笑顔も身のこなし方も、服装もメイクもしゃべり方すら、わたしは誰かの真似をして身に着けてきたけれど、決定的ななにかを、誰からも盗まないで、どうにか生きていきたい。
たかせ・じゅんこ 小説家。1988年生まれ、愛媛県出身。著書に「おいしいごはんが食べられますように」(芥川賞)、「新しい恋愛」など。
Composition 志村節子[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 17文字 書誌情報]
Composition 志村 節子
平井一夫(20) サイバー攻撃 反対押し切り謝罪会見 トップ交代打診され大役受ける(私の履歴書)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1382文字 PDF有 書誌情報]
本連載でもスマートフォン登場の衝撃について触れたが、様々なサービスや商品のネットワーク化はこの当時のソニーにとって喫緊の課題だった。そんなタイミングで起きたのが、ソニーを揺るがすサイバー攻撃だった。
2011年4月19日、米カリフォルニア州のサーバーが突然再起動したのを合図に、経験したことのない混乱が広がった。翌日にはシステムの確認作業のため「プレイステーション ネットワーク(PSN)」を停止したが、この時点では被害の規模が分からない。顧客のデータが大量に流出しているようだが、その全容さえつかめない。
ソニーがサイバー攻撃と情報流出の事実を認めたのは1週間後のことだ。初動の遅れは後々まで我々を苦しめたが、この時点でも社内で意見が割れた。
「今分かることだけでもすぐに説明して謝罪すべきだ」。私はこう主張したが、米国人の法務担当役員は真っ向から反対した。攻撃を受けている米国では情報開示の基準が州ごとに違い、状況を正確に把握できないままで対外説明すべきではないという。確かに一理あるが、危機対応としてそれでいいのか。
私は米ゲーム子会社時代の相棒、アンディ・ハウスがよく言っていたことを思い出した。「ネガティブな情報こそすぐに公開すべきだ。小出しではなく可能な範囲ですべて。分からないことは分からないと言う」。元広報マンのアンディらしい主張だった。
ソニーを揺るがす事態を前に一刻の猶予も許されない。私はニューヨークにいる会長兼社長CEO(最高経営責任者)のハワード・ストリンガーに電話した。ハワードもこの段階で謝罪会見はすべきでないとの考えだった。
「日本には日本の文化がある。自分たちも被害者なんて言っても伝わらない。まずは頭を下げて謝罪すべきだ。それをやらないと会社が終わることだってありえるんだ」
こうして私が東京で記者会見を開くことになった。「ユーザーの皆様には多大な不安とご迷惑をおかけしておりますこと、深くおわび申し上げます」。冒頭でこう言って頭を下げた。最初に謝罪すべきは、迷惑をかけたお客様に対してであるべきだと考えた。
この件では7700万件ものアカウント情報が流出した可能性があった。お客様の名前や住所、電子メールアドレスなどの個人情報が含まれる。まさに痛恨の極みだ。
東日本大震災に加えてこんな事態の収拾に追われた11年も終わり、年が明けた1月の半ば。この時期は毎年、ゴルフのソニーオープンが開かれるハワイのオアフ島に首脳陣が集まる。ツアー期間中のある時、ハワードが宿泊するホテルの部屋に呼び出された。ビデオ会議形式で開かれた取締役会で、テレビ事業の不振などについて散々批判を浴びたのだという。
私は副社長だが取締役ではないので会議の詳細は分からない。ハワードは「なぜそこまで言われなければ」と憤るのと同時に、疲れ切っているようにも見えた。
「いよいよカズにバトンを渡す時が来たようだ」
こんな言い方だったと思う。トップ交代を打診された私は返答を保留したが、すでに腹は固まっていた。自室に戻ると同行していた妻の理子に告げた。
「今までより家に帰るのが少なくならないようにはするから」。こうして私はソニー社長兼CEOの大役を引き受けることになった。(ソニー元社長)
【図・写真】記者会見で情報流出について謝罪する筆者(中)(2011年)
提灯の文字 今野真二(日本語日記)[2025/04/20 日本経済新聞 朝刊 28ページ 837文字 PDF有 書誌情報]
浅草寺の雷門に「雷門」と書かれた大きな提灯(ちょうちん)がつるされていることはご存じの方が多いと思います。最近は外国人観光客のことが報じられる時に浅草寺あたりが放映されることが少なくないですね。
歌川広重(1797~1858年)「名所江戸百景」の「浅草金龍山」には、雷門から正面に仁王門、右手に五重塔を望み、絵の上部に「しん橋」と書かれた大提灯の一部が配されていて、巧みなデザインの浮世絵となっています。現在は、浅草寺の本堂(観音堂)に、「しん橋」の大提灯がかかっています。「し」には「志」にみえる字が使われていますが、これは漢字ではなく平仮名なので「しん橋」と翻字しています。
お祭りの時に「祭礼」と書かれた提灯がさげられることもありますが、提灯には文字を書くことがあります。
さて、壺井栄(1899~1967年)の『夕顔の言葉』は昭和19(1944)年に出版されています。壺井栄といえば、高峰秀子主演で、昭和29年に映画化された『二十四の瞳』がよく知られていると思いますが、小説が発表されたのは、昭和27年です。『夕顔の言葉』には8編の短編が収められていますが、冒頭に置かれた、小豆島を舞台にした「港の少女」を読んでいると、登場人物の一人である「ケイ子」が「こんばんと平がなで大きく、一ぱいに書いてある」「見なれぬ提灯が」帽子掛けにかけてあるのを見つけるというくだりがあり、提灯に「こんばん(今晩)」と書くことがあったことがわかります。
横溝正史の「獄門島」は『夕顔の言葉』の少し後の昭和22年から23年にかけて雑誌「宝石」に発表されています。この作品では「了然和尚」の提灯がトリックに関わっていますが、この提灯には何か字が書いてあったのでしょうか。「獄門島」は「瀬戸内海のほぼなかほど」の「周囲二里ばかりの小島」ということになっています。丁寧に作品に接することによって、昭和20年前後には、まだ提灯が使われていたというようなことに気づくこともできます。(日本語学者)
25年04月19日
米同盟国もドル不信 指数3年ぶり安値圏 トランプ氏、中銀に圧力 有事供給を不安視[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1857文字 PDF有 書誌情報]
国際金融市場でドル安局面が長引きかねない様相となっている。ドルの総合的な強さを示す指数は3年ぶりの安値圏に沈む。トランプ米政権による関税引き上げが米景気の強さを損なう懸念だけではない。中央銀行の独立性や国際協調を軽視する姿勢から、欧州などの同盟国もドル離れの機運を高める。(関連記事総合2面に)
17日のニューヨーク外国為替市場で、円やユーロなど主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」(総合2面きょうのことば)は節目の100を割り込んで推移した。トランプ米大統領の就任後の3カ月間はほぼ一貫して下落し、2022年4月以来の安値圏にある。円に対しても16日に続き一時1ドル=141円台を付け、3カ月間で14円ほど円高・ドル安が進んだ。
「米国が自らまいた種で構造的なドル安が始まった」。米債券運用大手ピムコのマーク・サイドナー氏はこう指摘する。関税が米景気悪化とインフレ再燃を招き、米国資産への投資に逆風になるというのが最初のドル売り経路だ。
サマーズ元米財務長官も17日の米シンクタンク主催のイベントで、株安時に投資家が安全を求めて債券を買う(金利は低下する)のではなく、株安・債券安・通貨安が連動する形に米市場のパターンが変わったと指摘した。「古典的な新興国の金融危機でみられる現象だ」と警鐘を鳴らす。
脱ドル依存の動きは米国と一定の距離を置く国々で既に起きている。
22年2月のロシアによるウクライナ侵略後、ロシアの抱えるドル建て資産の凍結といった制裁を目の当たりにした中国などが米国債の圧縮を急いだ。この3年間で中国とブラジルは1~2割減らし、直近1年ではインドとサウジアラビアも縮小に動いた。
トランプ氏は有力新興国の集まり「BRICS」のドル離れをけん制してきた。だが米中摩擦の過熱を受け、中国が米国債の削減を加速するという市場の臆測は絶えない。
ここにきて、同盟国の間でも基軸通貨ドルへの信認の揺らぎが広がりつつある。関税の大幅な引き上げで相手を脅し、既存の国際経済・貿易システムをひっくり返そうとするトランプ氏への懸念を深めたためだ。
市場の注目を集めるのが国際金融システムの要である「有事のドル供給」だ。リーマン危機や新型コロナウイルス禍で投資家が現金確保を求めてドル建て資産の売却を急いだ際、米連邦準備理事会(FRB)は各国中銀経由で大量のドルを供給して鎮静化に動いた。危機時にドルを調達できる「安全網」といえる。
だがロイター通信は3月下旬、欧州の金融当局者の一部でFRBのドル供給策に引き続き頼れるのか疑問視する声が出ていると報じた。「ここ数カ月間で米国と欧州の同盟関係が劇的に変化し、欧州勢のドル依存を減らしたいという願望を映している」(ラボバンクで通貨投資戦略を担うジェーン・フォーリー氏)との見方が広がった。
FRBのドル供給策は米国債すら投げ売りして米金利が急騰し、米国の経済・金融市場に大打撃が及ぶのを防ぐ措置でもある。それでも国際協調に背を向けるトランプ氏が緊急時のドル供給拒否などをちらつかせ、譲歩を引き出すといった「ドルの武器化」に踏み出す不安は拭えない。
こうした雰囲気を察してか、FRBのパウエル議長は16日に参加した対談イベントで、シカゴ大のラグラム・ラジャン教授(元インド中銀総裁)の「世界的なドル不足が生じれば、かつて実施したような(各国の)中銀にドルを供給する用意はあるか」との質問に対し「もちろん、絶対にそうするだろう」と答えた。
トランプ氏は17日のSNS投稿で利下げに慎重なパウエル氏を批判し、解任もちらつかせた。ドル基軸体制を担うFRBの独立性も脅かされる状況は、同盟国のドル離れの検討に拍車をかける。
ドル1強の国際通貨システムが変質すれば、日本への影響は計り知れない。日本はコロナ下のFRBによるドル供給策の利用額が最も多く、邦銀のドル調達不安の鎮静化につながった。
金利の上昇で米国債の持ち高整理を迫られた農林中央金庫のような動きもあるものの、依然として世界最大の米国債保有国でもある。ドルの長期低落は含み損にも直結する。
日米の関税交渉で、為替問題は財務相会談で扱う見通しだ。日本のベテランのヘッジファンド運用者は「日本は公的保有の米国債の短期運用部分を長期に振り替えるなど、金利上昇に気をもむ米国と交渉する材料はある」とみる。
米国が志向するドル安以上に、米国離れが加速するリスクに目配りする必要がある。
(ニューヨーク=斉藤雄太、佐伯遼)
政府、無人バス・タクシー支援 全国10カ所選定へ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 1ページ 857文字 PDF有 書誌情報]
政府は企業や自治体が自動運転のバスやタクシーの事業を展開しやすくするよう支援する。特定の条件下でドライバーが不要な「レベル4」を対象に、全国10カ所で車両の調達や交通インフラの整備にかかる費用を補助する。米国や中国、欧州などに比べて遅れている自動運転サービスの普及を促す。
近く開くデジタル行財政改革会議で高度な自動運転の実用化に向けた方針を示す。秋をめどにレベル4の事業を認める地域10カ所程度を選び、企業が2025年度内にビジネスを始められるようにする。1カ所あたり数億円規模の支援を検討する。
無人のバスやタクシーを想定する。市町村単位で経路を選定し、駅や役所、病院など利用者が多い施設をつなぐ。
道幅にあった車両や、交差点の円滑な通行、道路の混雑状況に応じた走行など技術的な検証も重ねる。高度な自動運転のための車両や車線設計などの標準規格の策定につなげる。
レベル4はドライバーの代わりに自動運転システムが運転を担う。各地の実証実験では自動車メーカーがシステム開発企業と組んで専用の車両を用意する例が多い。政府の標準規格があれば車両やシステムを共通化しやすく、車両の生産コストの削減につながる。
レベル4の自動運転は23年4月に施行した改正道路交通法により、一定条件の下で公道でも認められるようになった。
石川県小松市や愛媛県松山市では自治体と民間の事業者が組んでレベル4の路線バスを運行している。だが現状は各地の取り組みの多くが実証実験の段階で、商業サービスとして確立しているものは少ない。
自動運転の商業化を巡っては海外との差が広がりつつある。米国や中国はすでに無人の配車サービスがある。北欧のエストニアでは無人の車両が食料品を配送している。日本は運転手の着席が必要な「レベル3」までの実用化にとどまっている。
地方では「移動の足」の不足が課題だ。内閣府が2~3月に実施した調査によると、直近3カ月で「7回以上」移動の足に困ったと答えた人は人口5万~20万人未満の小規模自治体で15.7%にのぼった。
政府・自民、ガソリン価格10円下げ 電気・ガス補助は7~9月[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 1ページ 772文字 PDF有 書誌情報]
政府・自民党は物価高対策として、ガソリン価格を1リットルあたり10円値下げする方針だ。5月中に措置を始める。電気・ガス料金の補助は7月から再開し、夏の電気代がかさむ9月までの3カ月間、家計への負担を減らす。(関連記事総合4面に)
与党の幹部が来週、石破茂首相に物価高対策を申し入れる。国民一律の現金給付と消費税減税の即時実施は求めない。
政府は月内をめどに物価高への対応策をとりまとめる。ガソリンの値下げ幅は公明党の意向を踏まえて最終判断する。
ガソリン価格は現在、補助金を入れて185円程度に抑えている。この補助金は原油の国際価格の下落を受け2024年12月から段階的に縮小している。足元の原油安と円高進行を反映して17日にはゼロになった。
新たな措置として、定額の値下げによる抑制策を導入する。ガソリンの市場価格が185円を下回っても補助が適用されるため、今の補助制度よりガソリン価格が下がる可能性が高い。原油相場が高騰すると消費者負担が増すこともある。
財源は1兆円ほど残高がある既存の基金を活用する。
ガソリン価格の負担軽減を巡っては自公両党と国民民主党が4日、定額で引き下げる方針で合意していた。国民民主は補助金ではなく、ガソリン税の旧暫定税率の廃止を求めている。
電気・ガス料金の補助額は5月をめどに決める。24年8~9月は家庭向け電気料金を1キロワット時あたり4円補助した。電気・ガス価格の値下がりが見込まれているため、今年は4円より少ない額で調整する。財源に7000億円ほどある予備費から確保する。
政府は今国会での25年度補正予算案の編成を見送る公算が大きい。いまある財源を使い、迅速に対応できるエネルギー関連の補助を打ち出す。
トランプ米政権の関税措置の日本経済への影響も見極める。必要であれば追加の負担軽減策も検討する。
大阪万博の技術、実装へ官民組織 iPS細胞や空飛ぶクルマ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 1ページ 661文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博で展示されたiPS細胞や空飛ぶクルマなど最先端技術の事業化を支援する官民組織「最先端技術実装化センター(仮称)」が2025年度内にも発足することが18日わかった。スタートアップを含む民間企業、大学、研究機関、金融機関など国内外の機関・人材をつなぐハブ組織の役割を担い、社会への実装を加速させる。(関連記事を社会1面に)
大阪府・市、関西経済連合会などが資金調達を含めた一気通貫型の支援体制を構築する。事務局には府・市や経済界が人員を派遣。首相官邸や関係省庁にも組織運営などで協力を求めている。
「再生医療」や微生物などの力で有用物質をつくりだす「バイオものづくり」「水素・アンモニア」「エアモビリティー」「自動運転」といった分野ごとに専門家や複数のコーディネーターで構成する10人程度のチームを設置する。事業計画の作成や資金調達などを伴走型でサポート。万博で発信する技術を迅速に事業化へと結びつける中核組織となる。
万博には将来の実用化を目指す最先端技術が数多くある。「大阪ヘルスケアパビリオン」が展示するiPS細胞由来の「心筋シート」は、重症の心不全患者の心機能改善効果を見込む。今月8日には医療スタートアップのクオリプスがシートの製造販売承認を厚生労働省に申請した。
デモ飛行を披露する空飛ぶクルマは商用飛行を見据えた実証段階。二酸化炭素(CO2)を排出しない核融合発電や水素燃料、生ゴミなどから電気をまかなうバイオガス発電など次世代エネルギーも、多くの施設や展示で活用される。
(大阪・関西万博取材班)
「アメリカ留学は人生最高の経験でした」(春秋)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 1ページ 569文字 PDF有 書誌情報]
「アメリカ留学は人生最高の経験でした」。開幕した大阪・関西万博の米国パビリオンでは、米大学で学ぶ意義を強調する展示映像が流れる。米国を舞台に世界の人々がつながり、起業などで人生が花開いていく。ここで学んでみたい。そう思わせるような演出なのだ。
▼18世紀フランス、19世紀ドイツ、そして20世紀は米国。大学を軸とした科学研究の中心地は常に変遷してきたと、科学史家の故中山茂氏が指摘している(「大学とアメリカ社会」)。21世紀はどうか。「流入者に開放的である限り、そのバイタリティーのおかげで米国は中心地であり続けるのでは」。同氏はそう見ていた。
▼ここにきて雲行きが怪しい。トランプ政権の大学への締め付けが目に余る。助成金を削る。免税資格を取り消す。留学生の受け入れ資格を剥奪する。日々伝わるのは幾重もの脅しだ。米国自身をひどく傷つける行為なのに、なぜ。空(むな)しい問いがまたひとつ増えた。ハーバード大をはじめ、抵抗の動きが出るのは当然だろう。
▼知識人を敵視し、自ら信じたいものしか信じない。広がるそんな風潮を、トランプ氏の態度は映してもいよう。日本も実は無関係ではない。だが自由で開かれた大学の知的営みは、人類の未来のためになお欠かせないはず。連帯して苦境を乗り切れればと願う。米パビリオンの展示が、絵空事や皮肉になってしまわぬように。
「グーグル解体論」強まる 米地裁、検索に続き広告も「独占」 会社側は控訴へ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1810文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=渡辺直樹】米連邦地裁は17日、米グーグルのネット広告が独占にあたるとする一審判決を出した。グーグルは主力の検索サービスをめぐる別の反トラスト法(独占禁止法)訴訟でも一審で敗訴している。検索と広告を組み合わせてユーザーを囲い込む手法に国家がメスを入れる「解体シナリオ」が現実味を帯びてきた。
「グーグルは10年以上にわたる契約と技術統合を通じて独占力を確立した」。米東部バージニア州の連邦地裁の判事は判決文のなかで、グーグルの企業向けネット広告サービスの一部が反トラスト法に違反していると認定した。
2024年8月には首都ワシントンの連邦地裁で争われている検索サービスをめぐる訴訟でも、グーグルが独占状態だと認定する一審判決が下されている。米司法省や州政府を相手取った2つの大型訴訟に直面するグーグルにとって、手痛い「2連敗」となった。
事業売却を審理
先行する検索をめぐる訴訟では、独占の是正に向けた事業売却案などの審理が4月中に始まる。グーグルは今後、屋台骨である広告事業についても売却や分割を迫られる可能性がある。同社のお膝元である米国の司法判断は、テクノロジー企業の肥大化を警戒する欧州や日本の独禁当局を勢いづかせることになる。
今回、バージニア州の連邦地裁で反トラスト法違反かが争われたのは、メディアやコンテンツ事業者が運営する各種ウェブサイトのネット広告枠を売り買いするグーグルの企業向けサービスだ。
グーグルは08年にネット広告専業の米ダブルクリックを買収するなど、M&A(合併・買収)によって企業向け広告事業を強化してきた。広告枠の売り手側に提供する販売・管理システムと、買い手側向けの購入システムに加え、両者をマッチングする取引市場の3分野で高いシェアを握るようになった。
原告側の米司法省はグーグルが広告枠の取引において売り手と買い手の両面で強い支配力を持つことを利用し、自社のサービスに顧客を誘導して不正に価格をつり上げていると主張した。
連邦地裁はグーグルが手掛ける3つの企業向け広告サービスのうち、売り手側向けのシステムと広告枠の取引市場の2つの抱き合わせによって他社を排除し、市場を独占していると認定した。訴訟は今後、独占の是正策を議論する手続きに進む。
一方、連邦地裁は買い手側が使う広告枠の購入システムについては独占ではないと結論づけた。過去のM&Aを通じた業容拡大にも違法性を認めなかった。こうした判決を受け、グーグルは「半分は勝訴した」との声明を出した。同社は判決を不服として控訴する考えを示しており、法廷闘争は長期化する可能性が高い。
グーグルは検索エンジンやブラウザーなど様々なネットサービスやソフトウエアを無料で消費者に提供し、収集したデータを使った効果的な広告サービスで稼いでいる。親会社である米アルファベットの売上高の約8割をネット広告が占め、そのうち検索連動型が約8割、外部サイト向けの広告が約1割を占める。
ネット検索市場で圧倒的な地位を築いたグーグルだが、直近では人工知能(AI)を使った新たな検索サービスを手掛ける米オープンAIなどの追い上げを受けている。検索と広告の両事業でグーグルの独占を認めた2つの独禁訴訟は、テック業界の勢力争いにも波及する。
今回、一審判決が示されたグーグルの広告をめぐる独禁訴訟は、バイデン前米政権下の23年に提訴されたものだ。バイデン前大統領は政権幹部に対テック企業強硬派を起用し、米アップルや米アマゾン・ドット・コム、米メタともそれぞれ独禁訴訟で対峙してきた。
米政権どう対応
1月に発足したトランプ米政権はバイデン氏が任命した独禁当局の幹部らを交代させたものの、テック企業との訴訟にどう向き合うかははっきりとしていない。反トラスト法の専門家の間でも「トランプ政権は巨大企業を有害とみなしているようだが、どのような解決策が導き出されるかはまだわからない」(米ノースイースタン大学のジョン・クウォカ教授)との声が漏れる。
米フロリダ大学のマーク・ジャミソン教授は「現時点でトランプ政権はビッグテックに対する訴訟にほとんど影響を与えていない」と指摘する。「トランプ大統領とバンス副大統領が企業の運営について理解を深めるにつれて、(米政府が)ビジネスモデルを支配しようとする野心を抑えるようになるのではないか」と予想している。
「100年の味」広めて継承 ご当地フード300件認定 福井・敦賀、おぼろ昆布作り体験(データで読む地域再生)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1425文字 PDF有 書誌情報]
ご当地の味を生かしながら地域を盛り上げる動きが広がる。文化庁が2021年度から各地の伝統的な食文化などを認定してきた「100年フード」は、24年度までに全国で300件となった。福井県敦賀市では、職人が昆布を薄く削ってつくる「敦賀のおぼろ昆布」の味と加工技術を次代に伝える取り組みを通じて観光誘客につなげている。(関連記事を地域経済面に)
100年フードは地域で2世代以上継承されてきた食文化を対象に自治体や観光協会、民間などの団体が応募し、審査を経て認定される。江戸時代から続く郷土料理や明治・大正時代に生まれた食文化、100年超えて継承すると宣言した団体が存在する食文化がある。認定された応募団体はロゴマークを使って商品を販売し食文化を発信できる。
敦賀のおぼろ昆布は、24年度に100年フードに認定された。江戸時代から明治時代に日本海を往来した北前船で北海道から運ばれた昆布を「手すき」する技術が敦賀で発展し、伝承されてきた。機械で加工するとろろ昆布に対し、おぼろ昆布は職人が専用の刃物を使って昆布の表面を一枚一枚手作業で薄く、幅広く削り出すのが特徴だ。
敦賀市は手すき体験ができるツアーを地元旅行会社マップトラベル(敦賀市)と開発した。マップ社が23年に団体旅行商品として売り出し、これまでに400人ほどが参加した。
「敦賀のおぼろ昆布製造技術」は25年3月、国の登録無形民俗文化財にも登録された。「今後はインバウンド(訪日外国人)にもアピールし、国内外からの誘客につなげたい」(敦賀市)という。
スルメイカとニンジンを細切りにしてしょうゆベースのたれに漬けた福島市の「いかにんじん」は21年度に認定された。福島市観光コンベンション協会は22年、地元スーパーや水産加工会社と炊き込みご飯の素を開発し100年フードのロゴ入りで発売した。
応募のきっかけは19年に温泉街などでしたアンケートだった。「福島市のグルメといえば?」との問いに「なし」と答えた人が3割に上った。危機感を抱いた協会は一定の支持を集めた「いかにんじん」を積極的に売り出していくことにした。
近年はドラマや映画を誘致した際に「ロケ弁」に入れ、ロケ地マップ内でも郷土料理として紹介している。こうした取り組みを経て、提供する漬物店や飲食店は協会が把握する範囲で21年の10店舗から24年は20店舗に増えた。
「北九州の糠(ぬか)の食文化」が21年度に100年フードに認定された北九州市では、青魚をぬか床で炊きこんだ郷土料理「ぬか炊き」の味を次代に残そうと継承者の育成を後押ししている。
ぬか床のある家庭は減っている。「残していくには伝える人が必要だ」。認定団体の「北九州小倉・糠床糠炊き研究会」会長の木村洋さんと妻の康子さんらは14年から月2回ほど市民向けの講習会などを開いてきた。
北九州市も24年度、ぬか炊きの提供店をまとめたマップを5言語で作った。2万6000部発行し、マップを持って市外から訪れる人も出始めている。
武内和久市長は「産業振興・観光・文化継承の一石三鳥を狙い、ぬか炊きを食べれば北九州市がまるごと味わえるコンテンツとなるよう認知度を高めたい」と話す。
東京農業大学の大久保研治教授は「食は観光でも重視される要素だが、対外的に知られていない食文化は多い。体験や宿泊を組み合わせるなど地域を挙げたPRを通してファンを増やすことが大切だ」と話している。
(藤井太郎)
年金改革から逃げる政治は無責任だ(社説)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 2ページ 939文字 PDF有 書誌情報]
夏の参院選を意識した自民党議員の反対によって、政府の年金制度改正案が大幅な骨抜きを余儀なくされている。政治がこんな逃げ腰では、日本はこの先の少子高齢化を乗り越えられない。
少子高齢化が進む局面で年金の持続性を保つには、世代間で痛みを分かち合う給付調整が避けて通れない。複雑な制度の課題を国民に説明し、改革への協力を求めるのが国会議員の役割のはずだが、今の与野党議員はそれを放棄していると言わざるを得ない。
全国民共通の1階部分である基礎年金が目減りする問題は年金制度が抱える最大の課題だ。財政悪化によって最終的な給付水準が今より3割も低下してしまう。
だが石破茂政権が対策の本命と位置づけた厚生年金の積立金を活用する案に、自民党議員の一部は強く反対してきた。厚生年金の給付水準が一時的に低下するため、影響を受ける国民から反発を受けることを恐れたのだ。
厚生労働省は自民側の指摘を踏まえた修正案を何度か示したが、反対論は収まらない。他の制度改正を進めるために基礎年金の改革を断念し、関連項目を削除した改正案を17日に示した。
基礎年金の財政が悪化したのは、2004年の改革で少子高齢化対策として導入した世代間調整の仕組みが機能しなかったためだ。当時の想定では足元の年金を19年間抑制することで、それ以降の年金を確保する計画だった。
ところがデフレへの想定が甘く、この間の給付水準は逆に上昇した。厚生年金のモデル世帯(夫婦2人)でみると、給付水準(所得代替率)を04年の59.3%から23年までに50.2%へと下げるべきところ、実際には24年に61.2%まで上がってしまった。
過剰給付のツケは将来世代に回り、とりわけ就職氷河期世代が年金生活に入る40年以降の基礎年金に影響が集中する。不安定な雇用が長く続いた氷河期世代は基礎年金への依存度が高く、このままだと生活保護を申請する人が相次ぐ懸念がある。政治がこの状況を放置するのはあまりに無責任だ。
少数与党の国会では野党の責任も重大だが、立憲民主党などは政府に法案提出を迫るだけで、改革案に関する自公からの事前協議の呼びかけに応じていない。
今が良ければいいという姿勢では年金は持続しない。国民生活を守る政治の責任を自覚すべきだ。
今こそサウスの国々と連携を(社説)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 2ページ 797文字 PDF有 書誌情報]
第2次世界大戦後に独立した国々の指導者が一堂に会したアジア・アフリカ会議(バンドン会議)から70年がすぎた。東西冷戦でどちらの陣営にも属さぬ「第三世界」の連帯を訴え、主張を世界へ発信する歴史的な舞台となった。
国際社会に復帰後間もない日本も招かれた。参加国の多くはいまの「グローバルサウス」と呼ぶ新興国・途上国の中核をなす。ロシアのウクライナ侵略、トランプ米政権の独善外交で国際秩序が揺らぐなか、日本はサウスの国々と改めて連携を深める必要がある。
会議は1955年4月18日から1週間、インドネシアのバンドンで開いた。当時のスカルノ大統領やインドのネール首相、中国の周恩来首相、エジプトのナセル首相ら29カ国・地域の代表が集い、日本からは高碕達之助経済審議庁(現内閣府)長官が出席した。
新興独立国は米国とソ連から経済支援と引き換えに自陣営へ入るよう迫られていた。帝国主義や植民地主義に反発する参加国は、非同盟中立で結束を図った。
決議した「平和十原則」は大小すべての国の平等、主権・領土の尊重、国際紛争の平和的解決をうたい、現在も色あせぬ内容だ。
新興国は近年、急速な経済成長を背景に発言力を強める。インドが2023年以降、約120カ国・地域に呼びかけて「グローバルサウスの声サミット」を3度開き、中印やロシアが主導するBRICSはインドネシアやエジプトを加えて10カ国体制となった。
いまの世界は米中が「新冷戦」で鋭く対立し、相互関税に象徴される米国のディール(取引)外交が混乱を増幅する。深まる分断や保護主義は、第2次大戦前夜に似通うとの指摘もある。
平和憲法を守り、自由貿易を推進してきた日本は、開発援助を通じて新興国の信頼を得てきた。米欧以外で唯一の主要7カ国(G7)メンバーでもある。平和十原則に賛同した歴史も踏まえ、サウスと米欧の橋渡し役を担い、国際秩序を安定へ導く責務がある。
中国、米の隙突き懐柔外交 習氏、東南ア3カ国訪問 自由貿易の盟主を自任[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1636文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が関税の引き上げで他国に譲歩を迫るなか、中国が自由貿易体制の「盟主」になろうと外交攻勢をかけている。習近平(シー・ジンピン)国家主席は訪問先の東南アジア3カ国で貿易や投資の拡大を促し、懐柔を試みた。米国が自国第一主義の姿勢を貫けば中国につけいる隙を与える。
習氏は18日、ベトナム、マレーシア、カンボジアへの訪問を終えた。第2次トランプ政権が1月に発足した後、習氏が最初の外国訪問先に選んだのは東南アジア諸国連合(ASEAN)の3カ国だった。
いずれも経済の対中依存度が高く、米国が示した相互関税の税率が24~49%にのぼる。米国から累計145%の追加関税を課された中国にとって、対米輸出の落ち込みを補うためにASEAN市場の開拓は急務だ。
「団結と協力で共に対抗する」。習氏は16日、マレーシアのアンワル首相との会談でトランプ関税への共闘を呼びかけた。アンワル氏も「ASEANはいかなる一方的な関税措置にも賛同しない」と述べ、両国の貿易を増やすと申し合わせた。
ベトナムの首都ハノイでは最高指導者、トー・ラム共産党書記長とサプライチェーン(供給網)の連結強化で合意した。ベトナム北部と中国南部をつなぐ複数の鉄道開発が完了すれば両国の物流がいっそう円滑になる。
習氏は17日にカンボジアの首都プノンペン入りし、フン・マネット首相と会談した。カンボジアの経済を支えるため、同国の農産物の輸入や中国企業による投資を拡大すると表明した。
習指導部は関税政策を巡るトランプ政権と各国の対立を機に自由貿易体制の擁護者を演じようとしている。
北京で8~9日に「中央周辺工作会議」を開いた。2013年10月に開いた周辺外交工作座談会を格上げし、ASEANなど周辺国との相互信頼を強固にする必要性を確かめた。
中国共産党系メディアによると、周辺国は日本や韓国、ロシア、北朝鮮、中央アジア諸国も含む。習氏は5月に訪ロし、首都モスクワで開く対ドイツ戦争勝利80年の記念式典に出席する。プーチン大統領との会談で経済協力などを議論する。
日本に対しては王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相を3月に派遣した。中国外相の訪日はおよそ4年半ぶりだ。王氏は日韓を引き寄せて米国との結束を弱めさせるため、日中韓の自由貿易協定(FTA)交渉の早期再開を要求した。
中ロが主導する新興国の枠組み「BRICS」も重視する。加盟国にはブラジルや南アフリカなど米国と距離のある国が多い。習氏はブラジル・リオデジャネイロで7月に開くBRICS首脳会議への出席を検討する。
中国が「友好」や「協調」を前面に出す外交を展開するのに対し、米国は軍事・経済力を背景に同盟・有志国にも圧力をかけるディール(取引)に軸足をおく。トランプ外交では各国の首脳らに訪米を促し、譲歩を迫る姿勢が際立つ。
1月の大統領就任後、石破茂首相やウクライナのゼレンスキー大統領らがワシントンを訪問してトランプ氏と会談した。4月2日に相互関税を発表した後もイスラエルのネタニヤフ首相やイタリアのメローニ首相がホワイトハウスを訪れるなど「トランプ詣で」が続く。
第2次政権でトランプ氏の最初の外国訪問は、5月のサウジアラビアになる公算が大きい。サウジは米政府が仲介するロシアとウクライナの停戦交渉の場を提供している。トランプ氏の訪問でサウジによる対米投資拡大を取り付ける見通しだ。
多国間外交には後ろ向きだ。米国は2月に南アフリカで開いた20カ国・地域(G20)の外相会合と財務相・中央銀行総裁会議のいずれも担当閣僚を派遣しなかった。トランプ氏は気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱も表明した。
米国がこうした自国第一主義の外交姿勢を貫けば、経済的な打撃を受ける国を中心に対中シフトを助長しかねない。
(プノンペン=田島如生、ワシントン=坂口幸裕)
【図・写真】カンボジア・プノンペンで歓迎を受ける習氏(17日)=ロイター
トランプ氏、早期利下げ圧力強める FRB議長退任要求 米報道、後任の構想も[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1070文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長への退任要求に踏み込んだ。17日にはSNSに「一刻も早く解任すべきだ」と投稿した。自身の高関税政策によって景気悪化懸念が急速に高まるなか、早期の利下げを求めて言動が過激になっている。(1面参照)
SNSで17日に6会合連続の利下げを決めた欧州中央銀行(ECB)を例に「『遅すぎる』FRBのジェローム・パウエルはいつも遅すぎるし間違っている」と非難した。「ECBのようにずっと前に利下げをすべきだった。今こそ下げるべきだ」というのがトランプ氏の言い分だ。
同日午後にはホワイトハウスの大統領執務室で記者団に「私が議長を追い出したいと希望すれば、彼はすぐにそこを去るだろう」と話した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは17日、トランプ氏がパウエル氏を解任し、元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏を後任とする構想を練っていると報じた。
FRBは任期14年の理事7人の中から正副の議長を選ぶ。正副議長の任期は4年で、連邦議会の承認を経て就任する。これとは別に金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)の議長は毎年初回の会合で参加者が選出する。パウエル氏を関与させないようにするには理事を解任することが選択肢になる。
連邦準備法によると、米大統領は「正当な理由」があればFRBの理事を解任できる。ただ何が正当な理由か定義は記載されていない。専門家は職務怠慢や不正行為があたると解釈している。
パウエル氏の議長としての任期は2026年5月まで。トランプ氏が解任を試みても、実際には裁判となり、任期終了まで結論がでない可能性が高い。パウエル氏は過去の記者会見で大統領に議長解任の法的権限はないと主張。任期途中の辞任も否定している。
トランプ氏はFRBに利下げによる景気の下支えを求めている。これに対しパウエル氏は高関税政策が景気悪化を招くリスクに警鐘を鳴らしつつ、早期の利下げには慎重な考えを示唆する。
パウエル氏は15日夜に地元の大手企業から聞いた話として「製品に組み込む輸入部品の供給問題が非常に深刻な課題となっている」と説明した。関税による物価の押し上げについて「より持続的なものとなる可能性もある」と警戒を解かない。
対立構造が鮮明になるなか、金利先物市場での早期利下げ予想は後退した。5月6~7日に開くFOMCでの利下げ確率は1週間前の3割弱から17日には1割程度に低下した。
【図・写真】FRBのパウエル議長は早期の利下げに慎重な姿勢を示している=AP
針路を聞く TPP拡大、日本が主導 立憲民主党代表 野田佳彦氏(崩れる自由貿易)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1400文字 PDF有 書誌情報]
日本は自由貿易体制を大きくしていく主導的な役割を担うべきだ。包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)の司令塔だという自覚が重要になる。
議長国の持ち回りだった事務局機能を日本に置くことが考えられる。どの国に加盟してもらうかといった議論で主導権を握ることをめざすべきだろう。
日本はTPP、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)の双方に入っている。2つを結びつけてインド太平洋地域における自由貿易圏を拡大する結節点になれる。インドを含めれば意義は相当大きい。世界貿易機関(WTO)の機能不全を埋める一助になる。
日本経済は自由貿易の恩恵を受けて育ってきた。日本を自由貿易体制に招き入れてくれたのは米国だった。TPPの拡充を進めながら「いつか米国は戻って来いよ」という構えをみせることが重要ではないだろうか。
「タリフマン(関税男)」を自負するトランプ米大統領が路線を変えるのは簡単ではない。トランプ政権のうちに世界から自由貿易がなくならないよう、今は正念場といえる。
もう一つ大事なのは主要7カ国(G7)の枠組みだ。自由貿易主義の主要国が名を連ね、安全保障だけでなく経済的にも価値観を共有している。6月にカナダで開くG7首脳会議(サミット)にトランプ氏を呼び出せるかどうかが試金石になる。
日本政府のいまの対応からは米国に「例外扱い」をお願いする路線しかみえない。「通商国家・日本」という自覚を感じない。
政府から米国の措置は「想定外」だったとの声が出ている。トランプ政権が関税政策で積極的に来ることは間違いないことだった。その意味でも日本政府の対応はスタートが極めて遅く、危機感が足りなかったのではないか。
うかつに報復関税を打ち出すことはできない。他方で米国の措置は日米貿易協定に違反する疑いがある。約束を破るならTPP加盟国並みの関税はやめるといった措置を取る構えをみせながら交渉に臨まないといけない。
日米貿易協定は安倍政権と1期目のトランプ政権との間で結んだ。当時の安倍晋三首相の説明をトランプ氏はわかっているはずだ。思い起こしてもらえるよう粘り強く話すしかない。
国会は厳しいことを打ち出した方がいい。政府による対米交渉のテコになる。
私が提起した国会決議は保護主義の台頭への懸念を表明し、日本が自由貿易の旗をしっかり振る決意を表すイメージだ。日本の国内世論はこういう感じだと交渉で示すのに使った方がいい。
例えば自動車は日本の対米輸出の3割を占めており、国内の500万人以上の雇用に関わる。世界的に報復関税が広がり、保護主義がどんどん台頭すると、日本の経済、雇用にとって大きな打撃になる。
国内対策で至急必要なこととして金融面の支援をあげたい。中小企業の資金繰りをしっかりとサポートし、春闘(春季労使交渉)の流れを維持すべきだ。
リーマン・ショック後は金融機関に返済猶予を促す中小企業金融円滑化法(金融モラトリアム法)をまとめた。新型コロナウイルス禍の際は実質無利子・無担保で融資した「ゼロゼロ融資」を打ち出した。
同じように万全を期して安心をつくることが大事だ。立憲民主党としても政府に提案していく。
(聞き手は山田優奈)
=随時掲載
のだ・よしひこ 80年(昭55年)早大卒、松下政経塾へ。千葉県議を経て93年衆院初当選、民主党政権で財務相、首相。衆院千葉14区、67歳。
ドル指数 基軸通貨の総合的強さ示す(きょうのことば)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 3ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
▽…複数の主要通貨に対するドルの総合的な強さを指数化したもの。ドル指数が上昇すればドルが主要通貨に対して買われ、低下すればドルが売られていることを示す。複数の通貨の動きを合成した「名目実効為替レート」の一つで、現在は米インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出している。
▽…ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランの6通貨に対するドルの強さを表す。各通貨の構成比率は57.6%を占めるユーロが最も大きく、13.6%の円がこれに次ぐ。米連邦準備理事会(FRB)が1973年に開発し、同年3月を100として指数化した。
▽…通貨の総合的な価値を示す実効為替レートにはドル指数のほか、様々な種類がある。国際決済銀行(BIS)が算出する名目実効為替レートや、日本経済新聞社が算出する主要25通貨を対象とした「日経通貨インデックス」などだ。ICEのドル指数は米先物市場で売買できるため、市場では代表的な指標として特に注視されている。
次の照準は「氷河期世代」票、与野党、参院選へ支援策検討 所得向上や低年金対策、有権者・投票数の6分の1[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1991文字 PDF有 書誌情報]
夏の参院選に向けて就職氷河期世代への支援策を探る動きが与野党に出てきた。政治・経済への不満が見込まれる層の支持を得る狙いがある。これまで力点を置いていた就業支援から、所得向上や低年金対策に踏み込む案が浮上している。
国民民主党の玉木雄一郎代表は10日、記者団に「40代から55歳くらいまでの就職氷河期世代にも新たな政策を提案していく」と表明した。かねて所得税の非課税枠「103万円の壁」引き上げの次は「氷河期世代対策」だと主張していた。
同党は2024年の衆院選で現役世代の所得増を訴えて躍進した。今も勢いは衰えていない。日本経済新聞社が3月に実施した世論調査で参院選の投票先を世代別にみると20代、30代、40代はいずれも国民民主が20%を超えてトップだった。
一方で50代以上は自民党を下回った。若年層の支持を維持しながら、その上の世代の人気も集められれば党勢拡大につながる。氷河期世代対策に力を入れるゆえんだ。
自民、公明両党は国民民主の動きを意識している。氷河期世代を含む現役世代の支援策づくりに向け、中堅・若手による政策協議の場を設けた。具体策はこれからだ。
立憲民主党の野田佳彦代表も2月の記者会見で「氷河期世代を対象に取り組んできていることがあるので整理して打ち出していきたい」と述べた。
氷河期世代は一般的に1973~1982年ごろ生まれの世代をさすことが多い。就職する時期にあたる2000年前後はバブル崩壊や金融危機で新卒採用が少なかった。希望の職を得られず、非正規雇用の期間が長くなる傾向があった。
経済が好転するにつれて後から正社員になった人は増えた。就職環境が特に厳しかった78~82年生まれの世代も30代後半になった時点で男性の9割が正社員になった。一方で、他の世代と比べた平均年収は低いままだ。
非正規雇用の期間が長かった人は、会社員らが加入する厚生年金の受給額も少なくなる。厚生労働省によると経済状況が過去30年から横ばいの場合、74年度生まれの4割弱は年金受給額が10万円を下回る。
足元の賃上げを巡っても氷河期世代の伸び幅は小さい。第一生命経済研究所によると50~54歳の所定内給与は24年までの5年間で3%減り、45~49歳は同2・1%増にとどまった。初任給の引き上げの効果が出る20代前半(10・3%増)や上の世代の55~59歳(4・9%増)と比べ賃上げの恩恵にあずかれていない。
経済財政諮問会議の資料をみると氷河期世代は18年時点で1689万人いる。総務省によると24年衆院選小選挙区の45~54歳の投票率は55%前後で、単純計算すると928万票に相当する。
人数が多い「団塊ジュニア世代」を含むため有権者数でも投票数でも6分の1を占める。SNSでは「自分たちは報われない世代だ」という不満があがる。氷河期世代が関係する政策への批判はネットで広がりやすい。
石破茂首相は3月、退職金課税の見直しに含みを持たせる発言をした。するとSNSで「氷河期世代をいじめないで」などの投稿が相次いだ。自民党内に10~15年の猶予期間を設ける意見があったため「氷河期世代から課税強化が始まるのでは」との見方が広まった。
国民民主が10日、30歳未満の所得税を減税する法案を国会に提出するとSNSで「氷河期世代切り捨て」といった批判が出た。若年層を優先するのかといった指摘が相次ぐと、玉木氏は「氷河期世代への新たな政策」を改めて強調した。
氷河期世代は非正規雇用から正規雇用への転換が進んでいる。今後の支援は所得引き上げや老後の暮らしを支える対策などが重要になる。東大の近藤絢子教授は「正社員として働いていても所得が低い人たちへの再分配が必要だ」と指摘する。
氷河期世代への支援は他の年齢層との世代間闘争の芽もはらむ。たとえば低年金問題を改善するために厚生労働省が検討していた年金改革案。基礎年金を底上げする代わりに厚生年金の支給額を一時的に減らす措置は、参院自民党から反発が相次いだため削除に追い込まれた。
自民には法案修正によって低年金を放置するとみられることへの警戒もある。党幹部は代替策として基礎年金の保険料納付期間を延長して支給額を引き上げる方法が選択肢の一つだと主張する。
国民民主は24年に発表した氷河期世代支援の提言で最低保障年金制度の創設を提起したが、財源などの具体的な設計は示していない。現行の年金制度を抜本改革することになり、調整に時間がかかることは必至だ。実現の道筋は見えない。
氷河期世代の年金受給が始まるまで残り10年。老後に向けた資産形成が不十分で、年金も少なければ、生活保護に陥るリスクが高まる。氷河期世代支援の必要性は長らく指摘されてきた。近い将来に顕在化する問題への備えをどの政党が提示できるかは参院選の争点となりえる。
景気「米関税で不透明感」、4月月例経済報告、8カ月ぶり内容変更 外需下押し懸念[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 793文字 PDF有 書誌情報]
政府は18日にまとめた4月の月例経済報告で、景気の総括判断の表現を「緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる」に変更した。日本の対米輸出への下押し効果や、世界経済の減速による影響を念頭に置いた。個別項目では業況判断を下方修正した。
表現内容を変えたのは8カ月ぶり。3月の景気の総括判断は「一部に足踏みが残るものの緩やかに回復している」だった。
トランプ米政権は自動車と鉄鋼・アルミニウムへの関税に加え、一律10%の相互関税も発動した。中国は報復措置をとり、貿易摩擦が激化している。世界経済の減速が間接的に日本の外需を下押しする可能性があると分析した。
直接的な影響を受けやすいのは国内総生産(GDP)の約2割を占める製造業だ。世界的な企業マインドの悪化が設備投資の減速を招くほか、日本からの機械や設備などの資本財輸出の落ち込みにつながる恐れがある。
景気の先行きでも「米国の通商政策の影響による下押しリスクが高まっている」と言及した。
個別項目では業況判断を「改善している」から「このところおおむね横ばいとなっている」と37カ月ぶりに下方修正した。日銀の3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は大企業製造業の業況判断指数(DI)が12となり、2024年12月調査から2ポイント低下したことを踏まえた。
個人消費は「消費者マインドが弱含んでいるものの、雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、持ち直しの動きがみられる」と8カ月ぶりに表現変更した。
3月は「一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる」だった。食料品の歴史的な価格高騰が家計を圧迫している。
25年の春季労使交渉(春闘)の賃上げ率は33年ぶりの高さだった24年を上回る勢いで推移している。内閣府は「7~8月にかけて、9割程度の企業で賃金に反映される見込み」として雇用や所得環境の改善を見込む。
赤沢氏「格下」、与野党に懸念、対米交渉姿勢問う声[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 469文字 PDF有 書誌情報]
赤沢亮正経済財政・再生相が米首都ワシントンでトランプ大統領と面会後、記者団に「(自身は)格下も格下」と述べたことが波紋を呼んでいる。与野党から交渉姿勢への疑問の声が上がった。
立憲民主党の野田佳彦代表は18日の記者会見で「国を代表した矜持(きょうじ)がある。へりくだったことは言わない方がいい」と指摘した。自民党幹部も「公の場で言う必要はない」との認識を示した。
トランプ氏は閣僚級での初の日米関税交渉を前に赤沢氏とホワイトハウスで50分間ほど面会した。協議に先立ち自身のSNSで突然出席の意向を表明した。
岩屋毅外相は18日の記者会見で、赤沢氏の「格下」発言について「大変謙虚でいいのではないか」と述べた。閣僚同士の議論に大統領が出席したことに赤沢氏が敬意を表したとの見方を示した。「堂々たる協議をしてくれた」と評価した。
赤沢氏は18日の記者会見で「トランプ大統領と私が同格と思っている人がいるのか。格下であることはまず事実」と語った。「協議の場では言うべきことは当然言う。そのうえで何か問題がございますでしょうかと思う」と話した。
「要求に優先順位を」、赤沢氏、関税交渉で米に[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 366文字 PDF有 書誌情報]
赤沢亮正経済財政・再生相が日本時間17日の日米関税交渉で、米国側に要求の優先順位を示すよう求めていたことが分かった。トランプ米大統領は米国製の自動車が日本で売れないことや日本の安全保障の負担が少ないことへの不満を示したという。
赤沢氏は米ワシントンでの交渉の初会合に先立ちトランプ氏と面会した。政府関係者によると、トランプ氏は対日貿易赤字が膨らんでいることも問題視した。
加藤勝信財務相とベッセント米財務長官はワシントンで現地時間24日に会談する方向で調整している。為替問題などを協議する。
赤沢氏は18日に米国から帰国した。同日の記者会見で交渉について「おおよそのテーマはかなりつかめた感じはする」と語った。
「大統領や閣僚が何を重視しているのか。今回、話が全く出なかったものは何なのか。徹底的に分析し次の交渉に臨む」と述べた。
次回の協議へ 調整加速指示 首相[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 192文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は18日、首相官邸で赤沢亮正経済財政・再生相から日米関税交渉の初会合の報告を受けた。終了後、記者団に「次回の協議で具体的な前進が得られるよう、政府内の検討・調整を加速するよう指示した」と述べた。
赤沢氏は米ワシントンでの初会合を終えて18日に帰国した。月内にも次回の閣僚協議に臨む。首相は「協議の結果について詳細な報告を受けた。次につながる成果となったと感じた」と語った。
トランプ氏から「MAGA」帽子[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 177文字 PDF有 書誌情報]
【図・写真】 米ホワイトハウスは17日までにトランプ大統領と面会した赤沢亮正経済財政・再生相が「Make America Great Again(米国を再び偉大に、MAGA)」と記した赤い帽子をかぶった写真=ホワイトハウス提供=を公開した。トランプ氏の机の上には赤沢氏がプレゼントした大阪・関西万博の公式キャラクター、ミャクミャクの貯金箱も置かれていた。
「関税交渉は最優先事項」 グラス新駐日米大使[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 161文字 PDF有 書誌情報]
米国のジョージ・グラス新駐日大使が18日、来日した。羽田空港で記者団に、日本との関税交渉について「トランプ大統領が直接交渉に出てきた。最優先事項だとわかる」と述べた。
双方が一致点を見いだすことに「非常に楽観的だ」と強調した。
日本の安全保障環境を巡り、中国やロシア、北朝鮮など「手ごわい」国々に囲まれていると指摘した。
社会保障財源 消費税重要に 首相[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 77文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は18日、消費税減税に慎重な立場を示した。消費税に関して「社会保障の財源の重要性はより増していく」と発言し、国民に理解を求めていくと強調した。
4月18日(首相官邸)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 568文字 PDF有 書誌情報]
▽7時40分 公邸から官邸。43分 青木官房副長官。
▽8時22分 閣議。31分 福本参与に辞令交付。林官房長官同席。38分 青木副長官。
▽9時54分 国会。58分 平デジタル相。
▽10時1分 参院本会議。
▽12時20分 森山幹事長。43分 官邸。
▽13時54分 東京・赤坂の複合施設「赤坂インターシティAIR」。メインホール「the AIR」で産業財産権制度140周年記念の感謝状贈呈、あいさつ。
▽14時22分 官邸。
▽15時5分 江崎禎英岐阜県知事。間宮参与同席。59分 党本部。
▽16時1分 中曽根党青年局長から経済対策などに関する申し入れ。36分 官邸。40分 党の医療・介護・福祉の現場を守る参院議員有志の武見参院議員会長から要望書受け取り。59分 内閣府の井上次官、林内閣府審議官、木村、野村両政策統括官。
▽18時1分 月例経済報告関係閣僚会議。21分 林、佐藤正副官房長官、赤沢経財相、岡野国家安全保障局長、江島TPP等政府対策本部国内調整統括官、外務省の有馬北米局長、片平経済局長、三村財務官、渡辺農水審議官、荒井経産省通商政策局長、寺田国交審議官。
▽19時18分 林、佐藤正副官房長官、経財相、国家安全保障局長、経産省通商政策局長。
▽20時14分 報道各社のインタビュー。21分 東京・赤坂の衆院議員宿舎。32分 公邸。
石丸新党、10人擁立へ 参院選、公教育充実掲げ(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 145文字 PDF有 書誌情報]
前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が立ち上げた地域政党「再生の道」が夏の参院選に10人の候補者を擁立することが分かった。東京選挙区1人、比例代表9人を予定する。石丸氏本人は出馬しない。政策として公教育の充実を目指した「教育投資」を掲げる。
18日の日本経済新聞のインタビューで明らかにした。
政倫審、全議員弁明終了 参院、政治資金問題巡り(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
参院政治倫理審査会は18日、自民党派閥の政治資金問題を巡り旧安倍派の山崎正昭元参院議長を審査した。山崎氏は同派でパーティー券販売のノルマに関する資金還流が始まった時期を承知していないと弁明した。参院の審査会に出席を申し出た30人全員の弁明と質疑を終えた。
「与党で改選過半数」目標 参院選で、公明・斉藤氏(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 122文字 PDF有 書誌情報]
公明党の斉藤鉄夫代表は18日の記者会見で、夏の参院選について与党で改選議席の過半数を取る目標を示した。同党として選挙区7議席、比例区7議席以上を狙うと強調した。「自民党との共通公約も作りたい。国民の信任を得て参院で過半数を確保する」と述べた。
立民、補正予算を要求 物価高対策など(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 116文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表は18日の記者会見で、トランプ米政権による関税措置と物価高への経済対策を発表した。2025年度補正予算案の編成を要求した。ガソリン税に上乗せしている旧暫定税率の廃止や中小企業の資金繰り支援などを盛り込んだ。
和歌山知事選6月1日(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 116文字 PDF有 書誌情報]
和歌山県選挙管理委員会は18日、知事在職中の岸本周平氏が死去したことに伴う知事選について5月15日告示、6月1日投開票とする日程を発表した。岸本氏は14日に知事公舎で倒れているのが発見され、15日に敗血症性ショックのため死去した。
北方四島周辺で「訓練」 政府、ロシアに抗議(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 111文字 PDF有 書誌情報]
林芳正官房長官は18日の記者会見で、ロシアが北方四島周辺の日本領海を含む水域で射撃訓練を実施するとの航行警報を出したと明かした。期間は17日午後4時から22日午後11時まで。日本政府は外交ルートを通じてロシアに抗議した。
学術会議法案審議入り 独立性懸念で修正要求も(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
日本学術会議を国の特別な機関から特殊法人に移行する日本学術会議法案が18日、衆院本会議で審議入りした。首相が任命する監事による監査などが盛り込まれ、学術会議側は独立性が担保されないとして修正を求める。
<数表>日経ナウキャスト日次物価指数[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 4ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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柏崎刈羽の県民投票案、新潟県議会が否決 政府・東電「今夏再稼働」維持[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1122文字 PDF有 書誌情報]
新潟県議会は18日、東京電力ホールディングス(HD)柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働の是非を問う県民投票条例案を本会議で否決した。花角英世知事は代わりに公聴会を開くなどとするが、スケジュールは示していない。政府と東電は今夏の再稼働を目指すが、不透明な状況が続いている。
県民投票を巡っては、市民団体が約14万3000人の有効署名を集め、3月に条例制定を求め直接請求した。花角知事は、賛成か反対かの二者択一の投票方式では多様な民意を把握できないことなどを指摘し、慎重な姿勢をみせていた。
本会議では国政野党系の第2会派や非自民の無所属議員でつくる第3会派は賛成したが、最大会派の自民党や公明党は反対した。
自民党は、知事が指摘する二者択一の問題に加え、原発が国家規模の課題と直結し県民投票の対象としてふさわしくないとした。投票結果が議会の自由闊達な議論や知事の合理的判断に影響を及ぼす可能性があることなども反対理由に挙げた。
花角知事は否決を受けて、報道陣に「議論は深まったと思う。県民の原発への関心が高まっていくなか、丁寧に議論を進めて判断し、(再稼働の是非について)結論を出したい」と述べた。
県民投票が決まれば柏崎刈羽原発の再稼働が難しくなるとの見方もあった。ある自民党県議は「国や東電が地域への支援策を十分に示していない現状で県民投票が実施されれば、再稼働反対が半数を超えたはずだ」と話す。
新潟県では2013年にも今回とは別の市民団体が請求した同内容の条例案が否決された。県外では11年の福島第1原発の事故後、5都県で原発の再稼働や運転延長について県民投票の条例案を審議したが、いずれも否決に終わった。
花角知事は県技術委員会の報告書など県民が再稼働の是非について考えをまとめるのに必要な多くの材料がそろったとしている。県民の考えを把握するため、幅広い年齢層を集めた公聴会を複数回開催したり、意識調査を実施したりする考えだが、時期は明らかにしていない。
東電は24年に柏崎刈羽原発7号機で核燃料を装荷し、6号機も25年6月に装荷する計画だ。7号機は設置が義務付けられているテロ対策施設の工事完了時期を29年度に延期すると公表。7号機を再稼働できても10月中旬には運転できなくなるため、並行して6号機の準備も進めている。
政府と東電は今夏の再稼働を目指して新潟県の6月定例会の動向を注視する。早期再稼働を後押しするために経済団体から請願が出るかなどが焦点になる。県議会の動向や、県が開催する公聴会などのスケジュールによっては、知事の判断が夏以降になる可能性がある。
【図・写真】柏崎刈羽原発の再稼働を巡っては不透明な状況が続いている
物価高、3年連続2%超 昨年度 食料が押し上げ 米関税で先行き見通せず[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1088文字 PDF有 書誌情報]
総務省が18日発表した2024年度の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が前年度比2.7%上昇した。3年連続で2%を超えた。生鮮を含む総合では3.0%上昇した。世界的なインフレは当初エネルギー価格に影響した。足元はコメやキャベツの値上がりが目立つ。
生鮮除く総合指数について、3年以上の期間で上昇率が2%を上回るのはバブル景気の影響があった1989~92年度以来となる。
全体を大きく押し上げたのが食料で、前年度に比べ5.0%上昇した。総合の上昇率3.0%に対する寄与度はプラス1.40ポイントで、1年間のインフレ率のほぼ半分が食料で説明できる。
品目別にみるとコメ類が46.6%上昇した。昨年夏に店頭で品薄が深刻になり価格も上がった。24年産の新米が出回っても値段は下がらず、足元では前年の2倍の水準に達している。
生鮮食品は10.5%上昇だった。中でもキャベツが前年度比62.5%上昇し「キャベツショック」(内閣府幹部)が食卓を襲った。白菜の値段も1.5倍になったほか、ブロッコリーも1.3倍になった。
電気代やガソリン代などのエネルギーは7.3%上昇した。政府の酷暑対策支援などがあったものの、一定の伸び率を記録した。
もっとも総合指数に対するエネルギーの寄与度はプラス0.55ポイントで、食料の1.40ポイントに比べれば小さかった。24年度はコメや野菜の価格上昇が大きく、物価高のけん引役はエネルギーから食料にシフトしたといえる。
インフレ率は25年度も一定の高さで推移しそうだ。日本経済研究センターが民間エコノミストの予測平均をまとめた「ESPフォーキャスト」によると、25年度の消費者物価指数の伸び率の見通しは生鮮除く総合でプラス2.33%だった。
予想通りなら4年連続で2%を超す物価上昇となる。1990年代半ばから続いたデフレから日本経済は本格的に抜けだし、米欧と同じく一定の物価上昇が定着する社会に近づく。
米トランプ政権の関税政策が世界経済に打撃をもたらす可能性があり、物価も予想通り推移するとは言い切れない。日本商工会議所の小林健会頭は4月8日の記者会見で、中小企業の間で「(賃上げに踏み切る)勇気が鈍ることを懸念している」と、経営者マインドの悪化を警戒した。景気が落ち込み国内需要が低迷すれば、インフレ率も鈍化する可能性がある。
18日発表した3月の消費者物価指数は生鮮を除く総合が前年同月比3.2%上昇した。2月の3.0%を上回り、2カ月ぶりに伸び率が拡大した。引き続きコメなど食料品の上昇が全体をけん引した。生鮮食品も含む総合は3.6%上がった。
エネルギー補助再開、出口見えぬバラマキ 原油安で説得力欠く[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 787文字 PDF有 書誌情報]
ガソリンや電気・ガス料金への補助再開はエネルギー安全保障や脱炭素の推進との整合性を問われる。物価高対策をうたうものの、原油安や円高でエネルギー価格は低下傾向にあり、説得力は乏しい。出口の見えないバラマキは日本経済の活力をそぎかねない。(1面参照)
自民党には夏の参院選を前に物価高対策をアピールする狙いがあるとみられる。
新型コロナウイルス禍からの経済回復目的で2022年1月から導入されてきたガソリン補助金は、17日に初めて支給額がゼロになった。ガソリン価格の低下が見込まれるためだ。23年1月から断続的に支給されてきた電気・ガス補助は3月末で終了した。
政府はこの間、補正予算や予備費を通じて12兆円超を投入してきた。霞が関でも忌避感が強まっている。
家庭や企業の負担は和らいでも、新たな産業育成や技術革新は期待できない。費用対効果は低く「賢い支出」の考えに反する。市場の価格形成をゆがめるほか、輸入に頼る化石燃料の使用を後押しすることにもつながり、脱炭素やエネルギー安保に逆行する。
資源エネルギー庁の幹部は「この予算を企業の脱炭素支援に使いたかった」と漏らす。
市場動向の点でも補助金が必要なタイミングとは言いがたい。原油安や円高によって、ガソリンなどエネルギーの市場価格は下落が予想されている。「食料品や米の価格を補助した方が家庭の助けになるのではないか」(経済産業省幹部)との見方もある。
慶応大の土居丈朗教授は「物価高対策というより選挙対策だ。やみくもなバラマキではなく、低所得者への給付などターゲットを絞った政策に使うべきだ」と指摘する。
24年6月に当時の岸田文雄首相が補助の継続・再開を表明した際も「いつまでも続けるべきものではない」と明言するなど、過去にも期限を区切っては結局継続した経緯がある。約束を守れないのであれば有権者への説明責任も問われる。
株不正売買954億円 証券口座乗っ取り 金融庁、注意促す[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 761文字 PDF有 書誌情報]
金融庁は18日、証券会社の顧客が証券口座を不正に乗っ取られ、株を勝手に売買される事案が2月からのおよそ3カ月で6社で確認され、1454件の不正売買があったと発表した。不正な売買は合計で約954億円にのぼり、被害が拡大しているとして注意を促した。証券会社も本人確認手続きの強化など対策に乗り出している。
サイバー犯罪集団は証券会社をかたるメールから偽サイトへ誘導する「フィッシング」や、マルウエア(悪意のあるプログラム)による個人端末への感染を通じて、IDやパスワードを盗んでいるとみられる。本人になりすましてアカウントに侵入し、不正な株式の売買で相場を動かして利益を上げている可能性が高い。
1月ごろからネット証券などで顧客被害が報告され、一部で株の取引注文を停止するなど影響が広がっていた。金融庁によると、被害が報告された証券会社は楽天証券、野村証券、SBI証券、SMBC日興証券、マネックス証券、松井証券の6社。
口座へのログインなど3312件の不正アクセスがあった。このうち不正な取引は1454件あり、売却と買い付けがそれぞれ約506億円、約448億円が確認された。
金融庁は、被害がなお拡大しているとして対策を呼びかけている。証券システムへのログインや口座からの出金の際に複数の手段で本人確認する「多要素認証」が有効な対策として利用を促す。本人の指紋や刻々と変化する「ワンタイムパスワード」で追加の手続きを求めるのが一般的だ。
日本証券業協会は、証券会社に多要素認証の導入を広げるため、必要な施策の検討に着手した。2021年に策定した、ネット取引の安全性を確保するためのガイドラインの改訂が軸になる。森田敏夫会長は16日の定例記者会見で、多要素認証に関し「基本的に義務化する方向で持っていくことが重要」と話した。
コメ卸値、高騰一服も 8カ月ぶり下落 備蓄米流通で[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 391文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省は18日、JAグループなどの集荷業者がコメ卸に販売する2024年産米の3月の相対取引価格について前月から2%下落したと発表した。値下がりは8カ月ぶり。3月に入札が実施された政府備蓄米が割安に流通したことで、全体の価格水準が押し下げられた。集荷業者の卸値下落で、店頭価格の高騰は一服する可能性がでてきた。
3月の相対取引価格は玄米60キログラムあたりで2万5876円(全銘柄平均、税・諸経費を含む)だった。前月比609円(2%)下がった。
2月は2万6485円と、比較可能な1990年以降で最高値をつけていた。
備蓄米放出が相対取引価格の下落につながった。農水省によると、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者によって落札された備蓄米は、3月17~30日にコメ卸会社へ2761トン出荷された。集荷業者からの販売価格は玄米60キログラムあたり2万4194円だった。
農相、輸入米の主食用枠拡大に反対[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 322文字 PDF有 書誌情報]
江藤拓農相は18日の閣議後の記者会見で、年77万トンを最低限の量として輸入しているミニマムアクセス(MA)米の主食用枠の拡大案に反対する考えを示した。同案は財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が提案した。江藤氏は「MA米は国産の需給に影響を与えないよう対応することがはっきり決まっている」と反論した。
財制審は15日の分科会で国内のコメの供給安定に向け、主食用として輸入する10万トンの枠を広げて「国内需給の調整弁」にするよう訴えた。
MA米は貿易自由化交渉「ガット・ウルグアイ・ラウンド」合意に基づき、1995年から日本政府が毎年一定量を関税ゼロで輸入している。現在は年77万トンで、うち10万トンを主食用として入札で民間に売り渡している。
実質賃金、「帰属家賃」含め算出 国際比較容易に 来月から[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 273文字 PDF有 書誌情報]
政府は物価変動の影響を除いた実質賃金を欧米と比較しやすくする。今は持ち家を借家とみなした場合の負担を除いた消費者物価指数を使って計算している。5月からこの負担を含めて算出する数値も公表する。
前年同月と比べた実質賃金の変動率は厚生労働省が毎月勤労統計で公表している。5月9日公表予定の3月分(速報)から消費者物価の総合指数で計算した数値を示す。
持ち家を借家とみなす「帰属家賃」を除いている現行方式の数値と併記する。
米国やドイツは総合指数を使って算出している。政府の経済財政諮問会議の民間議員が国際比較しやすいよう統計情報の充実を求めていた。
省エネ住宅に厳格な新基準 国交省[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
国土交通省は省エネ住宅の性能の表示により厳しい新基準を設ける。冷暖房や照明などのエネルギー消費量が標準的な住宅よりどの程度削減できるかの基準に2つの区分を新設する。住宅分野の脱炭素化を進める。
18日に開いた国交省の審議会で方針を示した。現在最上位の等級はZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)で、標準的な住宅と比べて消費量を20%以上削減する。新たに30%以上と35%以上の区分を設ける。
電波配分競売、改正法が成立[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
通信用電波を価格競争で配分するオークション方式の導入を盛り込んだ改正関連法が18日の参院本会議で可決・成立した。限られた資源である電波の経済的価値を明確にして、有効利用を促す。
リフィニティブ・ジャパン 平山竜氏(新トップ)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 109文字 PDF有 書誌情報]
◇リフィニティブ・ジャパン
平山 竜氏(ひらやま・りゅう)99年(平11年)早大政経卒、日銀入行。16年グーグル執行役員。25年リフィニティブ・ジャパン入社。埼玉県出身。48歳
(4月1日社長就任。富田秀夫社長は退任)
内閣官房(人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
内閣官房(18日)内閣審議官兼国際テロ情報集約室情報収集統括官、宮沢忠孝
最高裁(人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 5ページ 21文字 PDF有 書誌情報]
最高裁(19日)佐賀地裁所長、波多江真史
社債発行、世界で急減速 米欧は7~8割減 市場混乱、日本も起債見送り相次ぐ 企業の資金調達遅れ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1746文字 PDF有 書誌情報]
米関税政策に端を発する金融市場の混乱を受け、企業の資金調達に急ブレーキがかかっている。4月第2週までの米欧の社債発行額は直前の2週間と比べ7~8割減り、日本でも起債の見送りが相次いだ。不安定な市場環境が長引けば、企業の資金計画に影響する恐れがある。
英LSEGのデータによると、米欧日の4月1~13日の社債発行額は約400億ドル(約5.7兆円)、件数は約70件だった。もともと4月前半は1~3月期の決算発表を前に起債を控える企業が多いが、今回は発行額、件数ともに同時期としては過去10年で最も低い水準となった。
米企業では4月第1~2週の社債発行額が約95億ドルと直前の2週間と比べ8割弱減った。件数も8割減の約10件だった。信用格付けの高い投資適格債は2日の相互関税の発表を受けて数日間、完全に起債が止まった。格付けが低いハイイールド債の発行は低調なままだ。ロイター通信によると8日には5~6社が投資適格債の発行を見送った。第3週は決算発表した大手銀行が相次ぎ起債したが、事業会社の動きは鈍い。
米市場では7日以降、リスク回避姿勢の強まりにもかかわらず安全資産であるはずの国債が売られた。米長期金利の指標である米10年物国債利回りの11日までの週間上げ幅は0.50%と、約23年ぶりの大きさだった。社債での資金調達コストに影響する国債利回りへの上乗せ金利(スプレッド)も急変動した。
投資家の様子見姿勢は強い。かんぽ生命保険の空閑健一クレジット投資部長は「米ハイイールド債の上乗せ金利は関税による景気や企業業績の悪化を十分に織り込んでいない可能性がありリスクをとりにくい」と警戒する。
欧州も4月第2週までの社債発行が約250億ドルと、直前の2週間と比べ66%減った。
日本では4月第2週までで日本航空などが起債した。合計の発行額は約80億ドルと直前の2週間比で2倍超に増えた一方、起債の見送りも相次いだ。東京電力パワーグリッドは4月中旬に予定していた総額700億円程度の社債発行を延期した。今後の起債は最速で5月中旬ごろになる。同社は「大幅な市場環境の変化を受けて投資家の需要などを総合的に考慮した。延期後の発行額は市場環境などを踏まえて検討する」という。
ヤマハ発動機も3年債と5年債の発行を準備していたが、発行を見送った。次回の起債時期は未定という。アサヒグループホールディングス(GHD)や日清食品ホールディングスも予定していた社債の条件決定や起債を見送った。
国内長期金利は米関税を受け、7日にかけて急低下した後、再び上昇した。マニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調査部長は「金融市場の変動が高いなかでは企業が発行条件を決めにくいだけでなく、投資家もリターンを計算しづらい。いまの国内社債市場は『両すくみ』の状況だ」と話す。
世界の社債発行額は長期的に増える傾向にあるが、金融危機のあった08年や世界的な金融引き締めの流れが強まった22年など大きく減る局面もあった。今後は市場が落ち着きを取り戻せるかが焦点になるが、米関税の行方など不透明感は強い。
大和証券の瀧文雄エグゼクティブクレジットアナリストは「不安定な市場環境は、(20年の)コロナショック時よりも長引く可能性がある」と指摘する。各国の中央銀行や金融当局が迅速に市場の安定化や資金供給を図ったコロナ禍と比べ、今回は各国が市場目線の施策よりも関税率引き下げに向けた対米交渉を優先するとみる。
米欧社債のスプレッドは4月上旬に比べれば縮小したが、不安定な市場環境が長引けば低格付け企業を中心に借り換えコスト上昇などのリスクはある。SMBC日興証券の原田賢太郎チーフクレジットアナリストは国内市場について「関税の影響が大きいとみられる自動車や、負債の多い企業は投資家から敬遠されるリスクもある」とみる。
企業財務にも逆風になる。日本たばこ産業(JT)が18日までに発行した外貨建て社債では、35年満期のドル建て社債の利率が年5.85%となった。同社が16年に発行した同様な年限のドル建て社債(年2.8%)を大きく上回った。
社債市場が今後、復調したとしても企業の利払いコストが増える可能性がある。
TOBの「強圧性」焦点 ニデックの牧野対抗策差し止め申請 司法判断、買収趨勢に影響[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1312文字 PDF有 書誌情報]
ニデックは16日、牧野フライス製作所が発動した買収への対抗策の差し止めを求める仮処分命令を東京地裁に申し立てた。M&A(合併・買収)実務に詳しい複数の専門家は「TOB(株式公開買い付け)における強圧性の有無や程度が焦点になるだろう」と指摘する。司法判断は今後のM&A実務に影響を与える可能性もある。
ニデックが問題としているのは、牧野フライスがニデック以外の既存株主に新株を渡すことで、ニデックの保有比率を減らす対抗策だ。
対抗策は6月に開く株主総会で承認を得られれば効力が発生する。過去、買収防衛策と呼ばれてきたものと同じ効力を持つ。他の買収提案と比較検討をするために十分な時間を確保するのを目的としている。
ポイントは「強圧性」の有無だ。一般的には、TOBに応募せざるを得ないように強いる状況などを指す。ただ解釈が分かれる部分もあり、同意なき買収を巡って司法の場で問題となってきた。
鈴木良和弁護士は「まずはTOBに強圧性があるかないかが司法判断の大きな焦点になる」と指摘。一定程度あるとなれば、対抗策の必要性があるかは株主が判断すべきで、対抗策は適法と判断されるとみる。
主張は対立する。ニデックは買い付け予定数の下限を議決権の50%とし、TOB成立後にスクイーズアウト(強制買い取り)による完全子会社化を目指している。
牧野フライスは強圧性があると主張。応募が下限に達しても、スクイーズアウトの特別決議に必要な3分の2を下回った場合、不応募株主が少数株主として残り不安定な立場におかれる可能性があるとする。
一方、ニデックはTOBが下限に達した場合は追加応募期間を設け、応募しなかった株主へ配慮した措置としている。「強圧性はなく、TOBで株主の意思を確認できるため、『買収防衛策』の是非を株主総会に諮る必要性はない」とし、対抗策は違法だと主張する。
司法判断は買収劇の趨勢にも影響する。裁判所が差し止めを認めなかった場合、株主総会で対抗策が承認されれば、牧野フライスはニデックの持ち分を希釈化できる。
一方、差し止めを認めると、ホワイトナイト(友好的な買収者)が出現するか次第の面もあるが、TOBで過半数の株が集まれば買収の実現可能性が高まる。
過去の類似事例では富士興産の支配権を巡る争いがある。2021年、運用会社のアスリード・キャピタルがTOBを始めた。富士興産は買収への対抗策を発動。効力発生は総会決議を経る条件だった。アスリードは東京地裁に対抗策の差し止めを求めたが、地裁、高裁とも退け最終的にアスリードはTOBを撤回した。
今回のケースについて専門家の予想は分かれる。鈴木弁護士は対抗策の効力発生は富士興産と同様に総会決議を条件としていることなどから「差し止めは認められない可能性がある」とみる。
一方、森駿介弁護士は「ニデックが設けた買い付け予定数の下限条件と追加応募期間により強圧性は解消されたとして、差し止めが認められる可能性がある」と話す。その場合は「強圧性解消の工夫をすることで買収を進めやすくなる結果、M&A手法が多様化し、産業再編が進むことも期待される」と指摘する。
(川瀬智浄、宮川克也)
フジHD、離れる長期投資家 アクティビスト・個人が力 人権問題発覚、外国人は2~3月で11ポイント減[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1197文字 PDF有 書誌情報]
フジ・メディア・ホールディングス(HD)で長期目線の海外投資家が株を手放している。3月末時点で同社株を保有する外国人投資家の比率は21%と前年同期比で約12ポイントも低下した。代わって保有したとみられるのがアクティビスト(物言う株主)や個人投資家だ。6月下旬の定時株主総会ではこれらの株主の議決権が議案の賛否に影響する可能性がある。
比率が低下した原因は傘下のフジテレビジョンで1月に発覚した人権問題の可能性が高い。2~3月の2カ月間だけで比率は約11ポイントも下がった。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネージャーは「長期目線の運用会社は自らの投資家に対する説明責任がある。法令順守に問題のあるフジ・メディアHD株は保有しにくい」と指摘した。
放送局には厳しい外資規制がある。国民の財産である電波を守るためだ。まず外国人の議決権は20%未満になるよう定められている。会社側は外国人の株式保有が20%以上になると、株式取得に伴う議決権の名義書き換えを拒否できる。
フジ・メディアHDの場合、総会で議決権を得る基準日は3月末に当たる。株主の名義書き換えを担う証券保管振替機構(ほふり)のデータによると、同社株の外国人の保有比率は2024年3月末時点で33%だった。この場合、会社側は13%超の名義書き換えを拒否できた計算だ。さらにフジ・メディアHDを含む認定放送持ち株会社は、原則として一者で3分の1を超す議決権の保有が制限されている。
海外投資家の株売却の受け皿になったのがアクティビストとして知られる村上世彰氏の長女、野村絢氏だ。3月末で5%の株(4月3日時点では12%弱)を保有した。発行済み株式の1割を占める自社株は議決権に含まれない。このため今回の総会では野村氏の議決権比率は6%程度になるとみられる。運用会社のレオス・キャピタルワークスも純投資として5%の株を保有する。
アイザワ証券の三井氏は「外国人が売った分は個人投資家も買ったようだ」と指摘する。フジ・メディアHDの24年3月末時点の個人株主の比率は約34%だった。個人の比率は前年より高まった可能性がある。
米アクティビストのダルトン・インベストメンツは関連ファンドも含めて7%の株を持ち、取締役の「総入れ替え」を要求している。取締役選任は総会で有効な議決権のうち過半の賛成が必要だ。今回の総会の議決権構成を占うと、レオスがアクティビストと歩調を合わせれば2割になる。会社側を支持する傾向がある事業会社(フジ・メディアHDなら東宝など)、その他の金融機関はそれぞれ2割となる。個人は4割が目安になる。
フジ・メディアHDはダルトンの提案について「真摯に検討する」としているが、今後両者で折り合うかは不透明だ。対決姿勢となった場合、各個人投資家の判断が会社側と物言う株主の勝負を左右する存在となりそうだ。
(野口和弘)
GW国内旅行、関税の影 航空13社、予約1%減 株乱高下・物価高で節約志向[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1066文字 PDF有 書誌情報]
国内航空13社が18日にまとめたゴールデンウイーク(GW)期間中の予約人数は、国内線の予約数が前年同期比1%減の計約284万人だった。連休が取りにくい日並びの悪さに加え、物価高や「トランプ関税」に伴う株価の乱高下が節約志向を強める。ホテルの客室単価がさらに高騰していることも国内客の敬遠につながった。
新型コロナウイルス禍が明けて以降、国内旅行は回復基調が続いていた。今回は一転、航空だけでなく、鉄道など旅行関連の予約状況がいずれも低調となっている。
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)など航空各社がGW(4月26日~5月6日)の予約状況をまとめた。
国内線はANAの予約数が約119万人と2%増にとどまった。方面別では北海道や関西、沖縄などが好調だったが中四国や九州などが前年を割り込んだ。JALも予約数は約93万人と前年比4%増えた。一方でスカイマークなどの7社で予約数が前年を下回り、国内線全体としてもマイナスになった。
GWの予約状況が低水準なのは航空だけではない。JR旅客6社が10日に発表した4月25日~5月6日の新幹線・在来線の指定席の予約席数(9日時点)は前年比横ばい。JTBも国内旅行者数(4月25日~5月7日出発)が同じ期間に合わせると前年比7%減の2290万人となる見通しを示した。
要因の一つが日並びの悪さだ。24年は4月末、5月上旬に3~4日の連休があった。今年はまとまった休みがとりづらく、遠方への旅行が難しくなっている。JALは「休日が分散する分、早くから販促を強化して需要を取り込んだ」と語る。
物価高も大きい。調査会社のインテージ(東京・千代田)が調べたGWの予算総額は平均2万9237円と前年比5%増えた。ただ予算増の理由として半数以上が「物価高・円安」を挙げており、やむなく支出を増やしている傾向がみえる。
足元ではトランプ米政権による関税政策が世界経済のリスクとなっており、二転三転する言説が株価を乱高下させている。このため、先行き不安などから不要不急の消費を控える「逆資産効果」も起きているようだ。
英航空情報会社シリウムのジョージ・ディミトロフ氏は「航空産業に不確実性が高まっており、旅客需要も影響を受けるだろう」と指摘する。
一方、国際線は比較的好調。運航する7社合計で約63万人と同13%増えた。
ANAは約24万人と前年同期比で11%増えた。欧州やアジアなどへの便が堅調だった。JALの国際線も約22万人と前年同期比で13%増えた。北米や欧州、東アジアに向かう便がよかった。
日本を待つ「転落の50年」(DeepInsight)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 9ページ 2130文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が連射する高関税砲は、貿易立国・日本の存立基盤を揺るがしかねない。石破茂首相が「国難」と呼ぶのも、決して大げさではあるまい。
米国の平均関税率はほぼ1世紀ぶりの高水準を記録し、第2次世界大戦後の自由貿易体制は瀕死(ひんし)の状態に陥る。日本の針路も熟慮すべき局面だ。
高関税の解除を巡る日米両国の交渉は始まったばかりで、その行方は予断を許さない。首尾よく合意に達しても、相互関税の基本税率(10%)を含めた全ての措置を白紙に戻すのは難しい。
米中両国が演じる制裁と報復の応酬に至っては、打開の糸口すらつかめない。世界的に見ても、予想以上の高関税が長く続く「ハイヤー・フォー・ロンガー」のリスクに備えたほうがいい。
だが政府・与党の安易な対応は目に余る。自動車をはじめとする基幹産業が高関税にさらされ、成長の源泉が侵食されそうな時に、今夏の参院選をにらんだバラマキに精を出す始末である。
それで当座をしのげても、国民の食いぶちを安定的に稼ぎ出せるわけではない。経済対策の的を真の弱者に絞り、むしろ成長戦略に多くの国費を投じるべきだ。
振り返れば、日本の経済はまさに国難続きだった。深刻なデフレや少子高齢化などが重なって、バブル崩壊後の「失われた30年」と評される今の苦境がある。
豊かさの指標といわれる人口1人当たりの国内総生産(GDP)で見ると、1990年代以降の日本は、過去300年余りで3度目の深刻な凋落(ちょうらく)を経験した――。経済産業研究所の深尾京司理事長(一橋大学特命教授)は、自著「世界経済史から見た日本の成長と停滞――1868―2018」にこう記す。
覇権国とのギャップが著しく拡大するのは江戸時代の末期、第2次大戦の前後に続く現象だ。「過去2回は鎖国や戦争の影響で技術の格差が広がった。今回は資本蓄積の遅れや労働の質の低下も目立つ」と深尾氏は話していた。
その日本で賃金と物価の上昇に好循環の兆しが現れ、長期停滞の出口を探り始めたタイミングでの高関税である。経済と市場の安定に万全を期すのは当然だが、痛み止めに終始していては、いつまでもトンネルを抜けられない。
そして今度は「転落の50年」の扉が開く。日本経済研究センターが3月にまとめた長期経済予測を見てほしい。トランプ関税の影響などを織り込まない標準シナリオで、実質GDPの世界ランキング(83カ国・地域)を試算すると、日本は24年の4位から、75年には11位に後退するという。
1人当たりの実質GDPでは29位から45位に順位を下げ、中位グループに埋没する結果となる。「人工知能(AI)の普及や移民の拡大、雇用制度の見直しなどに取り組み、とりわけ労働力人口1人当たりの生産性を引き上げる努力が欠かせない」と岩田一政理事長(元日銀副総裁)は訴える。
米タフツ大学のマイケル・ベックリー准教授は18年の論文で、経済・軍事両面の国力を測る簡便な指標として「GDPと1人当たりGDPとの積」に注目した。人口大国の実力を過大評価しがちなGDPよりも、一国が抱える正味の資源をいかに効率的に対外活用できるかを的確に示すという。
静岡県立大学の西恭之特任准教授も、これを支持する。日経センターの長期予測を基に、実質GDPと1人当たり実質GDPとの積を試算すると、日本は24年の5位から、50年には8位、75年には14位に後退するそうだ。
いずれも首位は米国で、中国、ドイツ、英国が続く。2位以下を大きく引き離す米国を100とした場合、日本は6.2から3.6、2.6に低下する。「労働力人口の比率を維持し、1人当たり・1時間当たりのGDPを極力増やしたい」と西氏は語る。
不確実性の高い長期予測に固執するつもりはない。そこに映る課題を直視し、早く手を打てと言いたいだけである。思い知らされるのは、GDP関連の順位の低下が50年以降に加速する姿だ。世界有数の経済大国からの転落が鮮明になり、日本全体に敗北感や諦めムードが広がれば、抜本的な改革への意欲はうせてしまう。
トランプ関税への対応も、転落の50年を回避する成長戦略に沿うものであってほしい。環太平洋経済連携協定(TPP)を含む自由貿易圏の拡大・深化、グローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)の発展を見据えた供給網の再編や販路の開拓、AIや脱炭素などへの投資を通じた既存産業の強化と新規産業の育成……。官民がともに知恵を絞り、これらの具体化を急ぐべきだ。
「経済の再建にさほど大きな変化を必要としていないにもかかわらず、指導者らがそれすら起こせないところに悲劇がある」。日本経済の専門家で、近著の邦訳「『失われた30年』に誰がした」を3月に出版した米ジャーナリストのリチャード・カッツ氏は、何よりも政治の不作為を嘆いていた。
その汚名を返上する覚悟はあるのか。トランプ関税を口実に、与野党で人気取りの現金給付や減税を求める声ばかりが先走るのは、無責任のそしりを免れない。
欧州などでは超大国・米国の変質を前提に、経済や安全保障の国家戦略を練り直す動きも見られる。日本の最大の国難は、かくも貧しき政治ではないのか。
東南ア観光 インドが存在感 マスターカードアジア太平洋チーフエコノミスト デビッド・マン氏(Asiaを読む)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1419文字 PDF有 書誌情報]
海外からベトナムを訪れる観光客が飛躍的に増えている。人気を主導するのがインドだ。ベトナムは東南アジアの観光大国であるタイの座を狙っており、インドのおかげで実現するかもしれない。
東南アジアで最も多くの観光客を受け入れるタイには2024年に3550万人が訪れた。一方のベトナムは地域で最も急成長しており、24年の来客数は前年比40%増の1750万人に上った。
ベトナムおよび東南アジア全域で観光客の構成は変化している。中国からの旅行者数は19年ピーク時の8割程度にとどまる。代わりに台頭するインドは国際線の輸送能力が19年比10%増えた。
中国からの旅行者の減少に打撃を受けているタイはインド人観光客により一息ついている。他の東南アジア諸国にとってもインドからの来客増は経済への追い風だ。
中国と東南アジアを結ぶ航空便の輸送能力は依然として19年比で77%にとどまる。かつてタイは中国人に最も人気の海外旅行先だったが、現在はその座を日本に奪われた。海外旅行の経験を積んだ中国人観光客は新しい冒険を求めるようになった。
タイは25年に4000万人の観光客獲得を目指すが、中国人の助けはあてにできない。19年には来客数の28%を占めていたが、24年には19%に減少した。
中国は23年と24年初めにタイ、マレーシア、シンガポールと相互にビザの免除協定を締結した。24年は中国からマレーシアへの来客数が19年比で105%に伸び、シンガポールは85%だった。一方でタイへの中国からの来客数は19年の61%にとどまっている。
インドは東南アジアを訪れる観光客数で中国に挑戦する存在になりつつある。新規路線の就航やビザ手続きの簡素化により、インドからマレーシア、タイを訪れる数は大幅に増加している。英キャピタル・エコノミクスの予測では、インドは35年までに年約1200億ドル(17兆円)を海外旅行に費やし、米国、中国、ドイツに次ぐ世界第4の旅行消費大国になる。
タイとマレーシアはインド人旅行者がビザなしで入国できるようにした。インドからの来客数はタイが19年比7%増え、マレーシアは54%増えた。バンコクはインド人旅行者にとってドバイを抜いて最も人気のある訪問先となった。
中でも劇的な増加がみられたのはベトナムだ。22年以降の直行便就航で、24年のインドからの来客数は19年の4.6倍に急増した。中国人旅行者の来客数は19年比で65%にとどまっているが、インドや韓国からの観光客の増加でベトナムの急成長が続いている。
インドの旅行者にとって東南アジアは初めての海外旅行先として最適だ。初めての旅行者には手軽さや安全、文化への配慮が最も重要となる。多くのインド人には食事制限があり、旅行先で適切な食事ができるかどうかが心配事の上位にランクしている。
歴史的にインド人観光客を歓迎してきたタイでは、主要な観光地でインド料理を提供してきた。ベトナムもインド人が求めるスタイルや価格帯で食事や買い物ができるようにしようとしている。
東南アジア観光の多様性が増すことは、経済に安定性をもたらすはずだ。メニューやホテルのロビーから漢字が消えることはないだろうが、北インド系言語で使われるデバナガリ文字が並ぶのを見かける機会が増えそうだ。
【図・写真】David Mann 英スタンダードチャータードのグローバルチーフエコノミストなどを経て現職。専門はアジア経済
東南ア観光 インドが存在感――域内需要も成長続く(Asiaを読む)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 9ページ 340文字 PDF有 書誌情報]
多分に感覚的ではあるが、東南アジアの空港や街中で見かける観光客は、中国人が団体旅行、インド人は家族や個人旅行が多いように思う。国際通貨基金(IMF)の直近推計で中国の1人あたり国内総生産(GDP)は1万3千ドル、インドは2700ドル。海外旅行に出かける裾野の広がりで、今後はインドが中国を追い上げていくのは間違いない。
14億人を超す人口大国が2つも近接するのは東南アジアの観光産業の大きな強みだ。ただし、年1億人を超す外国人観光客のうち4割以上は「域内インバウンド」。経済成長を背景に今後も増加が確実だ。中印からの観光客誘致は大事だが、空路だけでなく陸路を含めた接続性、QRコード決済のような金融サービスの連携など、域内需要開拓の改善余地もまだまだ大きい。
(編集委員 高橋徹)
菜種先物、9カ月ぶり高値 大豆相場の回復影響[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 10ページ 356文字 PDF有 書誌情報]
食用油や飼料の原料になる菜種の国際相場が上昇している。指標となるカナダ産キャノーラ(菜種)先物は17日、一時1トン680カナダドルと2024年7月下旬以来、約9カ月ぶりの高値を付けた。食用油で用途が重なる大豆相場の回復が波及している。
菜種はカナダが主要生産国。インターコンチネンタル取引所のカナダ産菜種先物(中心限月)の17日終値は667.9カナダドルだった。3月中旬に直近安値を付けて以来、急ピッチで上昇しており、この間の上昇幅は100カナダドルを超す。
マーケット・リスク・アドバイザリーの檜垣元一郎フェローは「大豆相場の上昇が菜種に波及した」と解説する。食用油などに使われる大豆の国際指標のシカゴ商品取引所の先物価格(中心限月)は17日の終値が1ブッシェル10.3ドル台と、10日前の安値から7%高い。
米国債 誰が売ったのか 「容疑者」は伏兵ファンド勢(MarketBeat)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1926文字 PDF有 書誌情報]
トランプ関税ショックで一時急落した米債券相場。誰が米国債を売ったのか。中国の売りや当局が懸念する投機の解消といった「内憂外患」が現実になったわけではないとの声は多い。疑いがかかるのは、伏兵ともいえそうな取引だ。だが高関税政策が続く限り、安心はできない。
先週(7~11日)は米長期金利が大きく上昇(債券価格は下落)した。2日にトランプ米大統領が相互関税を打ち出すと株価が急落し、金利は当初、定石どおり低下に向かった。ところがそのあと金利は急反転する。
焦った政権は9日、中国以外への上乗せ関税を90日猶予した。金利は低下したが、市場の不安心理を映す指標は関税ショック前に戻っていない。
米国債売りの「犯人」は誰か。駆け巡った噂が中国の売りだ。実際、第1次トランプ政権下での貿易戦争では米国債保有を2018年からの2年間で1割近く減らした。
「ソブリン(国)の証拠はない」。ベッセント財務長官は暗に否定する。「10年債と30年債の入札では外国人の参加が増えたのを確認した」。フライングぎみに未発表データまでにおわせた。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も「債券市場が急変動したときに人々が固執したナラティブ(物語)が2カ月たって全くの誤りだったとわかることがある」と言及した。真意は不明だが、国別の米国債保有が判明するまでにかかるのが2カ月だ。
海外当局がニューヨーク連銀に預ける米国債残高は16日時点で3兆ドル弱と2週連続で微増し、安定した推移が続く。
では真犯人は誰か。市場ではヘッジファンドの「ベーシス取引」が疑われた。レバレッジ(借金による規模の拡大)をかけて債券先物売りと現物債買いを膨らませ、先物と現物のわずかな価格差からサヤを抜く。
残高は1兆ドル規模との試算もあり、持ち高解消は市場の動揺に直結する。新型コロナウイルス禍の初期だった20年には市場の混乱を演出した。1日にはニューヨーク連銀が論文で米債券市場のもろさにつながると警鐘を鳴らしたばかりだ。
だが、みずほ証券の上家秀裕シニア債券ストラテジストは「様々な指標や計量分析から判断するとベーシス取引の解消が今回の金利上昇の主因とは考えにくい」と話す。
着目するのは、固定金利と変動金利を交換する金利スワップ市場での異変だ。超長期30年のスワップ金利から国債利回りを引いた「スワップスプレッド」と呼ぶ指標が、株急落にやや遅れてマイナス幅を急激に広げた。
こんな背景がありうる。たとえば、米変額年金。株高局面で最低保障額が高まる例も多く、株安に転じると損失回避を強く迫られる。ヘッジ手段として有効な金利スワップで、大規模な買い(固定金利の受け取り)に動くことがあるという。
いきおい国債よりもスワップのほうに金利の押し下げ圧力が強くかかる。困るのが、反対の動きを見込んでいた一部のヘッジファンド勢だ。
本来、国債利回りとスワップ金利は同じような水準でもよいはずだが、現実にはスプレッドはマイナスが定着したまま。現物債が割安(高い金利)に放置されている。
債券という「モノ」特有の弱点、たとえば財政悪化による国債の増発懸念や、金融規制が厳しくなって銀行や仲介業者が国債を抱えにくくなっている要因が浮かぶ。
ここで規制緩和に前向きなトランプ氏が政権に返り咲く。補完的レバレッジ比率(SLR)と呼ぶ資本規制を緩め、国債をたくさん持っても指標が悪化しないようにする案が取り沙汰された。
国債の割安感が和らぎ、スプレッドのマイナス幅が縮小するはず。こう踏んだファンド勢はスワップ売り(固定金利の払い)と現物債買いを組み合わせるアセットスワップ取引を組んだ。年初以降のスプレッドのマイナス幅縮小は、こうした取引の存在を示唆する。
だが株安がもたらしたのは正反対のマイナス幅の急拡大。賭けに敗れたファンド勢は損失を抱え取引解消に伴う国債売却を余儀なくされた。
米財務省幹部がSLRの緩和に言及し、国債の需給改善に期待をつなぐ向きもいる。取引の解消は落ち着きつつある。
だが内憂外患は債券市場を覆ったまま。「根っこにある問題は何も解決していない」と野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは言う。
中国経済が急激に下振れし、資本流出を招けば、大量の米国債売りを迫られかねない。市場に動揺が再び走れば、今度こそ積み上がったベーシス取引という「爆弾」が破裂してもおかしくない。
相互関税上乗せの90日猶予を引き出した米国債売り。米財務省が規制緩和に動いたとしても、狙いは市場安定そのものよりも関税をテコにした各国とのディールの継続にある。債券市場の次の反乱には警戒が怠れない。
(編集委員 大塚節雄)
FRB利下げ、年内3回予想 「景気低迷」が現実路線に ルーミス・セイレス リンダ・シュワイツァー氏(Foresight)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1537文字 PDF有 書誌情報]
ルーミス・セイレス ポートフォリオマネジャー リンダ・シュワイツァー氏
米国の関税政策を受け、世界経済の先行きに不透明感が高まっている。米運用大手ルーミス・セイレスのポートフォリオマネジャーで、投資業界歴40年近いリンダ・シュワイツァー氏に景気の先行きや金利が乱高下する米国債券市場の見通しについて聞いた。
――世界の経済に対する先行き不透明感が高まっています。関税の影響についてどう見ていますか。
「トランプ米大統領が示した関税率は想定以上に高かった。最悪のシナリオを上回るものだ。足元では各国との交渉が進んでおり、仮に当初の発表通り賦課されることになれば、米国の消費者にとって脅威になる。他国の報復も正当化され、世界経済に大きなダメージを与える」
「これまで今年の米国についてはインフレ率をわずかに下回る経済成長を予想していたが、基本シナリオを景気の低迷に変更した。関税の影響を正確に計算するのは困難だ。加えてトランプ氏の関税政策を巡る発言が揺れるため、企業や個人の行動は慎重にならざるを得ない」
――関税発表後に米金利が急上昇(価格は下落)する場面がありました。米国債の信認が失われ、投資家が離れているともいわれています。
「米債券市場の反応には驚いたが、米国債の信認は失われたとは考えていない。今でも最も安全でリスクの少ない資産の一つだ。ただ、米国の政策に関する不確実性により、信認の度合いは半年前と比べて損なわれているかもしれない」
「米金利の急上昇は、投資家が現金を確保する必要に迫られて米国債を売ったなどテクニカルな要因が大きいと認識している。今後、米経済が低迷していくにつれて米国債は再び買われると信じている」
――米長期金利の今後の見通しについて教えてください。
「2025年末には3.75%まで低下すると予想している。景気低迷のリスクが高まっていることから、3月時点の4.0%から引き下げた。米連邦準備理事会(FRB)は短期的には関税の影響を見極めようと、金利を据え置いて、9月と10月、12月に3回の利下げに踏み切るとみている」
「今はまだ堅調な労働指標が急速に悪化することがあれば、FRBはインフレよりも景気の下支えを優先するはずだ。仮に26年にかけて景気の減速が続くのであれば、より積極的に利下げに踏み切る可能性もあり、長い年限の米金利は予想よりも低下するかもしれない」
「米景気低迷のリスクが高まっているなかでは、米国の中長期債を買い持ちにするのが適切だと考えている。FRBが経済成長を重視して利下げを進めれば金利には低下圧力がかかるため、恩恵を受けることができるとみる」
――市場関係者の一部では米国が物価上昇と景気後退が同時に進むスタグフレーションに陥るとの警戒感も広がっています。
「スタグフレーションを高インフレと低成長の併存と定義しているが、極めて現実的なリスクとして浮上している」
「ただ、それは基本シナリオとは考えていない。インフレは関税がもたらす一時的なものだと捉えており、最終的にFRBは物価高対応よりも経済成長への支援を優先すると考えている」
――米国の財政問題についてはどう考えていますか。
「これも懸念だ。関税引き上げによる税収の増加は財政赤字を改善させるほどの規模にはならず、トランプ米政権が掲げる減税措置を相殺するには至らない。今後6~12カ月間、市場で重要なテーマとなるだろう」
(聞き手は神山美輝)
Lynda Schweitzer 米ルーミス・セイレスでグローバル債券の共同運用者としてグローバル・クレジット戦略を含むグローバル債券ポートフォリオ業務に従事。ロチェスター大学で学士号、ボストン大学でMBAを取得。
欧州銀の時価総額にも米関税余波 サンタンデール、UBS抜く(MarketSCOPE)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 10ページ 514文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策が欧州大陸の銀行勢力図に影響を及ぼしている。スペインのバンコ・サンタンデールがスイスのUBSグループを抜き、時価総額首位に浮上した。サンタンデールは多様な地域で事業展開しリテールに強みがある。UBSは市場業務への依存度が相対的に高く、米国発の金融市場の混乱の影響を受けやすい。
年初に1000億ユーロ(約16兆円)を超えていたUBSの時価総額は17日時点で約780億ユーロと低迷する。トランプ氏が相互関税の詳細を発表した前日の1日比では12%安い。サンタンデールは同6%安にとどまり、時価総額は約900億ユーロだ。
金融機関経営が専門の早稲田大学の根本直子教授は「スイス企業は米国向け輸出が多くトランプ関税の影響を受けやすい」と指摘。「米国一人勝ちだった経済環境が変わりつつある中、UBSの収益下振れが懸念されている」とみる。スイスの自己資本規制強化も売り材料になるという。
サンタンデールは金利収入拡大に加え、2月に発表した数年間で100億ユーロ規模の自社株買いも株価の押し上げ材料だ。欧州の銀行株全体では、英HSBCホールディングスが約1400億ポンド(約26兆円)と時価総額が最大となっている。
World Market[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 10ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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米関税「乱用」避け市場開放を 呉江浩・駐日中国大使寄稿[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1415文字 PDF有 書誌情報]
中国の呉江浩・駐日大使が日本経済新聞に寄稿した。トランプ米大統領による関税引き上げを「関税政策の乱用」と批判し「世界の貿易体制を破壊するものだ」と指摘した。中国は日本とともに世界貿易機関(WTO)を中心に「開かれた世界経済の構築を進めていきたい」と呼びかけた。
◇
米国は相互関税を発動し中国や日本を含むすべての貿易相手国に関税政策を乱用した。世界に大きな不確実性と不安定をもたらし、国際社会に深刻な懸念と強い反対を引き起こした。
世界の貿易体制を破壊するものだ。米国の誤った行為はWTOのルールに反し多国間貿易体制を損なう。
オコンジョイウェアラWTO事務局長は2025年の世界の物品貿易量が1%ほど縮小する可能性があると警告した。ブレトンウッズ体制の崩壊以来、最大の衝撃を受けているとの指摘がある。石破茂首相も「国難」と表現している。
世界の株式市場はほぼ全面的に下落した。今回の茶番劇が始まった途端、米国の3大主要株価指数は急落。アップルやテスラといった「マグニフィセントセブン(M7)」と呼ばれるテクノロジー企業の巨額の時価総額が蒸発した。
物価の高騰により米国民はツケを払わされる羽目になった。米連邦準備理事会(FRB)は「失業率とインフレ率がともに上昇する」と懸念する。相互関税が米国の実質国内総生産(GDP)の成長率を1ポイント押し下げるとの観測もある。
中国は「トラブルは起こさないが、恐れもしない」との態度を堅持し、既に必要な措置をとっている。自国の合法的権益だけでなく国際社会の共通利益も守り、人類を弱肉強食の世界に逆戻りさせないためだ。
習近平(シー・ジンピン)国家主席は関税戦争に勝者はなく、自らを孤立させるだけだと指摘する。
中米の経済関係の本質は互恵にある。24年の両国間の貿易額は6600億ドル(約93兆9700億円)を超え、対中輸出だけで米国で93万人分の雇用を創出した。総合的に考えると中米双方の貿易による利益はほぼ均衡する。「一方が永遠に損をし、もう一方が永遠に得をする」ことはない。
米国が関税・貿易戦争に固執するなら我々は最後まで付き合う用意がある。
中国は決して孤立していない。欧州連合(EU)やカナダは米国に反発し、日本なども遺憾の意を唱え、全米で抗議デモが起きた。
中国をはじめとする各方面からの圧力で、米国は自らの誤った政策を一部修正したものの、その対応は朝令暮改で一貫性がない。米国に誤りをただす誠意があるのか、国際社会からは疑念を持たれている。
開放と協力は歴史の潮流だ。世界が互いに閉鎖的で分断された状態に戻ることは決してないし戻るべきではない。経済のグローバル化をより開放的で包摂的、あまねく恩恵のある、均衡のとれた方向に発展させることこそ正しい選択だ。
中国は世界第2位の消費市場として対外開放の扉をますます開いていく。先般開いた「中央周辺工作会議」では周辺各国との発展と融合を深め、サプライチェーン(供給網)を巡る協力強化などが提起された。
日中は重要な隣国であり世界で主要な経済大国でもある。両国の経済的利益は深く融合し、互恵協力が成果を収め、世界経済に重要な影響を与えている。
中国は日本とともに開放をもって閉鎖に対応し、包摂性をもって排他性にとって代わり、真の多国間主義を実践したい。WTOを中心とする多国間貿易体制を守り、開かれた世界経済の構築を進めていきたい。
進まぬ停戦 打開急ぐ米 資源協定、米「来週に署名」 ゼレンスキー氏「我々は前向き」[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1156文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕、ウィーン=金子夏樹】米政権はロシアによるウクライナ侵略の停戦を巡り、協議の停滞打開に動いている。トランプ大統領は17日、ウクライナと交渉している同国の鉱物資源を共同開発する協定案について、来週にも署名すると表明した。
軍事支援を続ける見返りとして求めてきた資源開発に向けた協議が前進する可能性が出てきた。
米ホワイトハウスでイタリアのメローニ首相と会談した際、記者団からウクライナと資源協定を結ぶ見通しを問われて答えた。トランプ氏は「24日に署名するだろう」と述べた。詳細はベッセント米財務長官に任せていると説明した。
同席したベッセント氏は署名時期を巡り「26日を目標にしている。88ページの合意文書に署名する予定だ」と語った。
ウクライナのスビリデンコ第1副首相兼経済相は17日、米国と協定案の前段階となる覚書(MOU)に署名したと発表した。米ウクライナ両国にとって利益をもたらす協定案の合意に向けた意志を示すと強調した。
ウクライナのゼレンスキー大統領はMOU署名に先立ち、記者会見で「覚書は重要な一歩だ。我々は前向きだ」と発言していた。協定案に関して法律の専門家が検討を重ねているとの認識を示した。
覚書には26日までに協定案の詳細を詰めることが明記された。ウクライナ最高会議(議会)が協定案を承認する必要があることも盛り込まれた。同国の政府高官は18日、米国と詰めの交渉を24日に再開すると明らかにした。
米国はウクライナ支援を継続する条件として石油・ガスを含む資源の権益譲渡を迫っていた。新たな協定案には両国が資源開発を目的に設立する基金の収益から、米国が過去に実施した支援相当額を優先的に支払う条件も追加されたもようだ。
ウクライナにはウランやマンガンなどに加え、武器や電子機器に欠かせないレアアース(希土類)の鉱床も確認されている。ゼレンスキー氏は米国が産業用に使うチタンの40年分を賄える埋蔵量がウクライナにあると主張する。
トランプ氏は米国がウクライナに拠出した資金の一部を回収する意向を示す。米シンクタンク外交問題評議会(CFR)の推計では、侵略が始まった2022年2月から24年9月までに米国が拠出した軍事支援は700億ドル(約10兆円)ほどに達する。
米連邦議会は24年4月、ウクライナ支援の緊急予算の一部に返済義務が生じる融資を導入した。ウクライナへの巨額支援に慎重な共和党支持層に配慮するため、大統領選期間中だったトランプ氏が主導した。返済条件は大統領が設定できる仕組みにした。
ゼレンスキー氏は過去の米国軍事支援を貸し付けとして認めないとの立場を示してきた。資源権益の協定案にはウクライナが強く求めてきた米国による「安全の保証」は盛り込まれない見通しだ。
EUと関税協定「100%成立」 トランプ氏、伊首相と会談[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1078文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は17日、米ホワイトハウスでイタリアのメローニ首相と会談した。欧州連合(EU)との関税交渉を巡り「貿易取引は成立する。100%だ。公平な取引になるだろう」と自信を示した。メローニ氏と貿易問題を「ごく簡潔に議論した」と明かした。
両首脳はロシアによるウクライナ侵略を巡り早期停戦へ協力する方針で一致した。メローニ氏によると、早期のイタリア訪問を要請し、トランプ氏が受け入れた。EU首脳とも会談する機会を設けるという。
トランプ氏が2日に世界各国からの輸入品にかける相互関税を発表して以降、EU加盟国の首脳と会談するのはメローニ氏が初めて。欧州首脳と険悪な関係が目立つ一方、メローニ氏とは良好で1月20日の自身の大統領就任式にも招いた。
メローニ氏は米国による追加関税を「誤りだ」と指摘しつつ、貿易摩擦の激化は避けるべきだとの立場をとる。EUに米国との交渉を優先するよう促し、報復関税に後ろ向きな姿勢をとってきた。
トランプ氏は17日、メローニ氏とイタリアについて「素晴らしい仕事をしている。米国の素晴らしい同盟国のひとつだ。関係は良好で、米国にいる多くのイタリア人はトランプを支持し、投票した」と言及した。
メローニ氏は「我々はともに戦うべき課題がある」と切り出した。「ウオーク(社会正義に目覚めた人々)とDEI(多様性・公平性・包摂性)のイデオロギーとの戦いだ。不法移民や合成麻薬との戦いも多くの共通点がある」と主張し、トランプ政権に寄り添う姿勢を誇示した。
防衛や経済、エネルギーなどでの2国間協力を進めると確認し「イタリアは液化天然ガス(LNG)輸入を増やす」と強調した。今後10年間で米国に100億ユーロを投資する予定だと唱え「我々の経済がどれほど相互依存しているか示している」と訴えた。
トランプ氏はイタリアの国防費について「十分ではない」と不満も示した。国内総生産(GDP)比2%にする北大西洋条約機構(NATO)の現行目標を5%に上げるようかねて要求しており、2%に達していないイタリアを批判した。
メローニ氏は「欧州は国防費増に取り組むと約束している。我々全員がもっと努力する必要がある」と釈明した。
ロシアによるウクライナ侵略を巡っては「我々はウクライナの自由を守るために一緒に戦ってきた。公正で持続可能な平和を築くことができる」と語り、トランプ氏の停戦仲介を支持すると表明した。
【図・写真】トランプ氏(右)が相互関税を発表して以降、EU加盟国の首脳と会談するのはメローニ氏が初めて(17日)=AP
進まぬ停戦 打開急ぐ米――「中国、ロシアに武器供給」 ウクライナ、3企業に制裁[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 11ページ 546文字 PDF有 書誌情報]
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、中国がロシアに武器を供給していると発言した。中国がロシア領内で兵器の製造に関与している情報があるとも強調した。中国によるロシアへの直接的な軍事支援に言及し、批判するのは初めて。中国はロシアへの軍事支援を否定している。
ゼレンスキー氏は情報機関がもたらした情報とし、詳細は来週に明らかにすると述べた。中国側が大砲や火薬などをロシア領内で製造し、ロシアに提供している可能性に言及した。
ウクライナ大統領府は18日、機械の製造企業などを含む中国企業3社に制裁を科すと発表した。ロシアのウクライナ侵略への関与が理由とみられる。
中国はロシア産のエネルギーの主要な買い手としてロシアのウクライナ侵略を実質的に支える一方、ロシアとウクライナの和平仲介を試みるなど中立の立場を強調してきた。ロシアに武器を提供しているのが事実であれば、大きな転換となる。
中国外務省の林剣副報道局長は18日の記者会見で「中国は紛争のいずれの側にも殺傷性のある武器を提供したことはなく、根拠のない非難には断固として反対する」と述べた。兵器供給を巡るゼレンスキー氏の発言を受け、ウクライナと中国の緊張がさらに高まるのは必至だ。
【図・写真】17日、キーウで会見するゼレンスキー大統領=共同
進まぬ停戦 打開急ぐ米――進展なければ仲介断念も 米国務長官「数日以内に判断」[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 11ページ 544文字 PDF有 書誌情報]
ルビオ米国務長官は18日、ウクライナの停戦交渉に進展がなければ「トランプ米大統領が数日以内に仲介役を降りる」と記者団に語った。ロイター通信が伝えた。交渉停滞にトランプ政権はいら立ちを強めており、ロシアとウクライナ双方に早期の決断を迫った形だ。
ルビオ氏は17日、ロシアのラブロフ外相と電話で協議した。ウクライナにおける早期停戦をめざすトランプ米大統領の意向を改めて伝えた。ウクライナや欧州などを含め「すべての当事者に持続可能で長期的な和平の枠組みを提示した」と説明した。
ルビオ氏は17日、パリでフランスのマクロン大統領、ウクライナのイェルマーク大統領府長官と停戦を巡って話し合った。米国務省によると、ラブロフ氏に提起した米国による和平構想に対し、マクロン氏らは「前向きに受け止めた」という。
米国務省は17日に発表した声明で、ラブロフ氏には「パリでウクライナ代表団や欧州の同盟国と同じメッセージを伝えた」と記した。米国の和平案への欧州の反応を踏まえ「全当事者が合意に達する決意を示せば和平は可能だ」と唱えた。
ルビオ氏の訪仏には米国のウィットコフ中東担当特使やケロッグ・ウクライナ担当特使も同行した。現地でルビオ氏らは英国のラミー外相やドイツのプレトナー外交安全保障顧問とも接触した。
中国船から手数料 米「半年後に開始」[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 11ページ 319文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】米通商代表部(USTR)は17日、中国籍や中国で建造した船舶を運航する業者から手数料の徴収を半年後に始めると発表した。米国内に寄港した際に受け取る。海運業界での中国の力を弱める狙いがある。
外国と取引する世界の企業は中国の海運業に依存している。USTRのグリア代表は声明で「中国の支配を逆転させ、米国のサプライチェーン(供給網)への脅威に対処する」と強調した。
USTRは制度導入に向け、米企業から意見を聴取してきた。混乱を避けるため、導入まで半年の期間を設けた。手数料は数年かけて段階的に増加する仕組みにする。
トランプ米大統領は米国の造船業を復活させるための大統領令に署名し、関係閣僚に対応を指示していた。
タイ不動産、海外富裕層に的 市場低迷で高級住宅に活路 レイモンランド、470億円投資 耐震懸念の払拭めざす[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1792文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=赤間建哉】タイの不動産各社が首都バンコクなどで高級住宅の開発を競っている。レイモンランドは2027年までに110億バーツ(約470億円)を投じる。最大手サンシリも年間供給量を倍増させる。市場全体は家計債務の高止まりで低迷する中、各社は富裕層に注目。3月のミャンマー大地震で顕在化した耐震性に対する懸念払拭も課題となる。
バンコクの目抜き通りを走るBTS(高架鉄道)の「プロンポン駅」から徒歩10分。緑の多い閑静な住宅街にレイモンランドがマンション「ザ・528・エステート」の建設を進めている。
総戸数はわずか4戸。庭付きで1戸あたりの敷地面積は780平方メートル以上の広さを誇るなど、高級感が売り物だ。27年にも完成する見通しで、8億8000万バーツ(約38億円)から販売する。
「前例のない速さで高級住宅市場が立ち上がっている」。同社のゴーン・ナロンデ執行役会長は強調する。
高級需要をいち早く取り込もうと、同社は27年までの3年間で住宅開発を中心に110億バーツをバンコクなどで投じる。土地の購入額を抑えるため地主と共同会社を設立し、より多くの開発用地を取得する戦略だ。
サンシリは高級住宅の供給量を増やす。25年は24年と比べて2.1倍の190億バーツ相当分の量まで拡大する。高級ブランド「ナラシリ」などでバンコクを中心に4つの住宅の販売を始めた。
日系の不動産会社もバンコクで開発を進める。三井不動産は24年末にサンシリと提携し、高級戸建て住宅の開発に着手した。三菱地所はタイの不動産会社APと、野村不動産もオリジン・プロパティーと組んで高級マンションを展開する。
各社が主に狙うのは外国人富裕層らだ。タイ政府住宅銀行によると、外国人がタイの物件を購入した件数は24年で1万4573件と前年比横ばいだが、22年からは26%伸びるなど堅調だ。
中国人が5670件と突出して多い。経済成長の鈍化や政府当局による監視強化を避けようと、バンコクなどへ移住する富裕層が増えているとみられる。
海外高級ブランドも富裕層を意識し、タイの不動産会社と提携を進めている。高級ホテルブランド「アマン」はバンコク中心部に高級マンションを開発する。独ポルシェは「街に活気がある」として、アジア初のマンション開発地にバンコクを選んだ。
タイはホテルなどの高級ブランドを冠したマンションの販売総額がアジア圏で最大だ。不動産調査会社C9ホテルワークスによると、24年末時点でタイが62億ドル(約8800億円)。日本のおよそ7倍に及ぶ。
不動産会社が高級物件の販売に力を入れる背景には、タイの不動産市場全体の伸び悩みがある。タイ政府住宅銀行によると、24年の住宅販売件数は約34万8000件と23年に比べ5%減った。特に300万~500万バーツ程度の中低所得者向け物件の販売が不調だ。
家計債務が多いことも響く。タイでは家計債務総額が国内総生産(GDP)比で9割に相当する。新型コロナウイルス禍後の金融緩和と所得の伸び悩みなどが理由とされ、中低所得者層では「4割がローン審査を通らない」(タイの日系デベロッパー幹部)という。
サンシリが高級住宅に注力するのも家計債務比率の高止まりが関係する。24年12月期連結売上高は392億バーツと23年比2%増えたが、10%増だった23年と比べると鈍化した。純利益は52億バーツと13%減っていることから、高級住宅の開発を急いでいる。
富裕層向け住宅の開発に沸くタイだが、海外勢が購入する物件は投資目的が少なくないと言われる。動き始めた高級物件の市場が急速に膨らむと崩壊するリスクがある。さらにロシアやミャンマーの富裕層が自国から資金を逃がす受け皿の一つとして、タイに注目しているとみられている。
3月にミャンマーで発生した地震も市場に冷や水を浴びせかねない。バンコクでは高層ビルを中心に被害が発生した。野村総合研究所タイの加藤悠史氏は「地震のリスクを注視する動きがある」と指摘する。
レイモンランドのゴーン氏は地震発生直後に「全ての建物は最高の安全基準にのっとっている」との声明を出した。不動産各社は建物の安全性を強調するが、購入検討者らを納得させるための対策を早期に打ち出すことが欠かせない。
【図・写真】サンシリがバンコク中心部で開発した高級マンション
JR西、安全投資2倍 今年度1200億円規模 尼崎脱線20年 AIやロボット活用も[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1199文字 PDF有 書誌情報]
JR西日本はJR福知山線脱線事故からの20年で安全投資に累計1兆9000億円を投じた。2025年度は単年度で最大規模となる見通しで、事故が発生した05年度の2倍の水準だ。バリアフリー化など打つべき対策は広がる一方、保守や点検などの担い手確保が難しくなる。人工知能(AI)やロボットの活用など安全投資の質も工夫が迫られる。
「加害企業の立場を忘れず、安全向上に取り組んでいく」。18日の記者会見でJR西の長谷川一明社長は強調した。事故は05年4月25日、兵庫県尼崎市を通る福知山線の塚口―尼崎間で発生した。快速列車が制限時速70キロメートルの急カーブに116キロメートルで進入して脱線し、線路脇のマンションに激突した。乗客106人と運転士が死亡、562人が負傷するJR発足後で最も深刻な事故となった。
JR西単体の安全投資額は06年度から大幅に増えた。23~27年度には6100億円を計画し、24年度は1010億円(推計)と事故が発生した05年度(568億円)のおよそ2倍の水準となる。25年度は過去最高だった15年度(1260億円)と並ぶ規模を見込む。
JR西は自動列車停止装置(ATS)を事故前の約800カ所から08年度までに約2300カ所に増やした。京阪神の主要区間では、信号やカーブの前で減速できる高性能な「ATS―P形」の整備を終えた。対策の積み重ねで、脱線や踏切事故など列車運行に関わる事故件数は1991年度の217件をピークに2023年度には58件と4分の1に減少した。
近年はホームでの転落事故を防ぐための、柵やセンサーの整備にも力を入れる。27年度末までにホーム柵を25駅で、センサーを84駅で設置を終える予定だ。23年から始まった「鉄道駅バリアフリー料金制度」で運賃に上乗せして得た資金を充てられ、整備のスピードも上げやすくなった。
一方で安全の担い手が減っている。JR西は大量採用された国鉄世代がほぼ退職し、本体の社員は約2万4300人(24年4月)と1987年の発足時から半減した。事故後に入社した社員も増え「組織の経験値が下がっている可能性もある」(長谷川社長)。
JR西は路線や架線を検査する車両にAIでカメラの画像を解析するシステムを導入した。架線などの高所作業では日本信号やスタートアップの人機一体(滋賀県草津市)と共同開発したヒト型ロボット重機も活用し始めた。
保守や維持で他社との連携を広げる。JR東日本とは車両の部品・設備の共通化を進め「車両メーカーやサプライヤーとも協議を開始した」(JR西の担当者)。3月からは信号機や踏切など電気設備の保守作業でも協力するようになった。
「安全なくして事業発展はない」。長谷川社長は記者会見で言い切った。安全への投資は、利用者の安心や信頼だけでなく、収益そのものに直結する。投資効果を最大にしていく努力が一段と求められる。
IIJへのサイバー攻撃、「アクティブメール」経由か[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1075文字 PDF有 書誌情報]
インターネットイニシアティブ(IIJ)がサイバー攻撃を受けた問題で、同社のメールサービスに採用していたクオリティア(東京・中央)のソフトウエア「Active! mail(アクティブメール)」から侵入された疑いがあることが分かった。複数の関係者によると、クオリティアも把握していなかった未知の欠陥が攻撃されたとみられる。
アクティブメールは中央官庁や自治体、企業でも広く採用され、影響の広がりが懸念される。
IIJは15日、サイバー攻撃により同社のメールサービス利用者約400万人分の情報が漏洩した可能性があると発表した。
クオリティアはIIJに対するサイバー攻撃との関係性を明らかにしていないが、16日夕、公式サイト上で製品の修正版を適用するよう呼びかけた。サイバー攻撃対策を手掛ける民間団体のJPCERTコーディネーションセンターも18日、この欠陥を悪用した攻撃がすでに確認されているとして緊急情報を発した。
IIJはアクティブメール経由で不正に侵入された可能性について「現時点で言えることはない」とコメントした。過去に一部でアクティブメールを利用していたという。
日本経済新聞はクオリティアに取材を申し込んだが、18日夕までに回答がなかった。
アクティブメールはパソコンやスマートフォンのブラウザー経由でメールをやり取りできるようにするソフトウエア。公式サイトによると、販売先はIIJのほか、中央官庁や自治体、大手通信事業者など多岐にわたる。
IIJによると、2025年4月10日にサイバー攻撃の痕跡を確認し、調査で24年8月3日以降に不正アクセスを受けたことが判明した。同社は原因を公表していないが、関係者によると、アクティブメールのサーバーに不正侵入された痕跡があり、クオリティア側が調査したところ、把握していなかったシステムの欠陥が見つかった。
メーカーが把握前で対策がない欠陥は「ゼロデイ(0―day)」と呼ばれ、攻撃を防ぐことは不可能だ。ハッカーは様々な製品のこうした欠陥を探し出そうとしており、インターネットの闇市場では億単位の金額で情報が取引されている。
米グーグル傘下のセキュリティー部門マンディアントの調査で、ゼロデイを悪用したサイバー攻撃は年々増加傾向にある。セキュリティー企業各社は、自社で導入した機器やシステムについて脆弱性に関する情報収集と管理を徹底し、コンピューター内の異常や不審な挙動を監視するセキュリティー製品を導入するよう呼びかけている。
【図・写真】IIJが採用していた「Active! mail」の公式サイト
中国飲料大手「覇王茶姫」、米に上場 時価総額8500億円[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 631文字 PDF有 書誌情報]
中国の大手飲料チェーン「覇王茶姫」が17日、米ナスダックに上場した。国内外で6500に迫る店舗を展開しており、時価総額は60億ドル(約8500億円)規模となった。中国と米国の対立が深まっているが、初値は公開価格を上回った。
上場したのは持ち株会社の茶姫控股(Chagee Holdings)。26ドルから28ドルを想定していた公開価格は投資家の旺盛な需要に支えられ、上限の28ドルに設定した。初値は33.75ドルと公開価格を2割上回った。終値は32.44ドルだった。
茶姫控股は中国政府が国内消費の拡大を支援していることもあり、米中摩擦が事業に及ぼす影響は比較的軽微だとみて、予定通り米市場に上場したとみられる。新規株式公開(IPO)で4億ドル規模の資金を調達した。国内外の店舗網の拡充やブランドマーケティング、IT投資などに充てる見通しだ。
覇王茶姫は2017年に中国・雲南省に1号店を出店し、その後チェーン展開を加速。24年12月時点で国内外の店舗数は6440にのぼり、海外ではシンガポールやマレーシアなどに出店する。22年12月時点の店舗数は1087だった。
ウーロン茶やジャスミン茶など伝統的な中国茶をアレンジしたオリジナルドリンクが都市部の若者の人気を集める。価格は20元(約400円)前後が多い。低価格を売り物とする中国飲料チェーン最大手の蜜雪氷城(ミーシュエ・グループ)と一線を画す。
【図・写真】覇王茶姫は若者からの支持を集める(北京市内の店舗)
韓国菓子のオリオン、国内外で増産 ロシアやベトナムで[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 524文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美】チョコパイで知られる韓国の大手菓子メーカー、オリオンは計8300億ウォン(約830億円)を投じ、韓国やロシア、ベトナムにある工場の生産能力を増強すると発表した。現地の嗜好に合わせた商品が消費者の支持を集める中、投入品目数をさらに増やしていく。
韓国中部・忠清北道では生産や物流機能を備えた施設を設ける。延べ面積は約15万平方メートルで4600億ウォンを投じて建設する。2027年の完成を目指す。
ロシアの工場では2400億ウォンを投じてラインを拡充し、生産能力を2倍に高める。増設後はスナック菓子やゼリー、ビスケットなどチョコパイ以外の生産品目を増やす。
ベトナムでも1300億ウォンを投じ、25年に工場の生産能力を高める。人気のコメ材料のスナック菓子だけでなく、アメやパイ、ゼリーの製造も増やす。
同社の業績は好調だ。24年12月期連結決算は売上高が前の期比7%増の3兆1043億ウォン、営業利益は10%増の5436億ウォンと、いずれも過去最高だった。
特に売上高比率が6割を超える海外事業が好調で、ロシア事業の売上高は24年12月期に2305億ウォンと直近5年で3倍近く増えた。「地域別の製品戦略が功を奏している」とみる。
中国生成AI、346種に 政府発表[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 524文字 PDF有 書誌情報]
【北京=藤村広平】中国の国家インターネット情報弁公室は中央政府が申請を受理した生成AI(人工知能)サービスが3月末時点で346種類になったと発表した。北京や上海といった大都市だけでなく、雲南省などの地方都市でも参入企業が増えている。
治安を重視する中国政府は、国や企業の競争力を左右する生成AIについて「統制しながら開発を加速する」との方針を掲げる。
2023年8月に施行した生成AIサービスを管理する規則に基づき、国家インターネット情報弁公室が申請を受け付けたサービスが3月末時点で計346種類になった。1~3月で44種類を受理した。
登録済みのサービスに接続して別の企業がサービスを始める際にも地方当局への登録が求められる。3月末時点の登録は159種類と、昨年末と比べて54種類増えた。
利用権の高値取引が話題になった「Manus(マヌス)」の運営企業などが新たに加わった。
中国では新興企業DeepSeek(ディープシーク)が1月中旬に公表した生成AIの基盤モデル「R1」が脚光を浴び、生成AIに対する注目が高まっている。「AI関連のビジネスで資金調達しやすくなっている」(上海市の起業家)との声も上がっており、今後も新規参入が増えそうだ。
3空港、発着数「羽田並み」50万回へ 関空・伊丹・神戸 万博効果、30年代に[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 338文字 PDF有 書誌情報]
関西に立地する3空港「関西国際空港」「大阪国際(伊丹)空港」「神戸空港」は、大阪・関西万博を機に3空港合計の発着回数を今後、羽田空港並みの年間50万回程度まで増やす方針だ。3月に新しい飛行ルートの運用が始まり、発着枠は約48万回と従来比2割増加した。海外からの万博来場者にリピーターになってもらうなどし、2030年代の実現を目指す。
関空と神戸空港は3月中旬、淡路島上空を通過する飛行ルートの運用を始めた。年間の発着枠は30万回と3割増え、成田国際空港(25年10月から同34万回)に近づいた。
関空は25年の国際線夏ダイヤで、ピーク時の7月の旅客便数が19年同期を6%上回って過去最多を見込む。3空港を運営する関西エアポートは「発着枠拡大が今回の増便につながった」と話す。
IIJへのサイバー攻撃、「アクティブメール」経由か――ダイハツ販社57社、情報流出の恐れ 1.7万件が対象[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 208文字 PDF有 書誌情報]
ダイハツ工業は18日、販売会社の従業員のメールアドレスなどが外部に流出した恐れがあると発表した。現時点で漏洩の事実は確認されていないものの、インターネットイニシアティブ(IIJ)がサイバー攻撃を受け、ダイハツが販売会社に提供していたIIJのメールシステムも不正アクセスを受けた。
漏洩の恐れがあるのは愛知ダイハツ(名古屋市)を除く販売会社57社が対象でメールアドレスは共用アドレスも含め計約1万7000件にのぼる。
ミャンマー地震、日系企業の力(アジア便り)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 395文字 PDF有 書誌情報]
ミャンマー中部で大地震が発生して18日で3週間となる。当局発表で死者は3700人を超えた。中核都市マンダレー周辺の在留邦人はわずか十数人。安否不明だった1人の死亡も確認された。一見、日本との関係は薄い。しかし被害者の数と2国の未来に向けた関係の厚みは比例しない。
「支店の従業員や顧客の多くが余震を恐れて屋外で寝起きしている」。ある日系合弁会社の首脳は契約の枠を超えた支援の提供を決めた。マンダレー国際空港の再開や携帯通信の復旧・維持も、事業に加わる日本企業の役割が大きい。人材会社は急増する日本への出稼ぎ手続きに奔走する。
被災地に駐在員がいなくても、商工会員ベースで約310社の日本企業がミャンマーにある。各国籍の従業員や顧客、それぞれの家族が地震を機に向き合い、支え合う。災害は公的サービスの不備を露呈しがちだが、見えなかった日本企業の力も浮かび上がらせる。
(ヤンゴン=渡辺禎央)
綿花娃娃(中国) 着せ替え、お世話楽しむ(アジア発ヒット)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 348文字 PDF有 書誌情報]
中国の若い世代の間で着せ替えられるぬいぐるみ「綿花娃娃」がじわりと広がっている。2頭身の人のぬいぐるみで、上海市の商業施設には綿花娃娃用の洋服や付け毛、アクセサリーを販売する店もある。着替えさせたり外出先に連れて行ったりしてお世話を楽しむ。
もともと韓国アイドルのファンが「推し」のぬいぐるみをかわいがったことで生まれたとされる。店ではぬいぐるみが90元(約1800円)前後、衣装が120元ほどで売られていた。
上海に住む綿花娃娃の愛好家の女性は、ぬいぐるみを着飾って写真撮影をしていた。前髪をクシで整えたり髪かざりをつけたり、おめかしするのが楽しいといい「フリマアプリなどでも買っており、家には並べられるくらいたくさんいる」と話す。
(上海=若杉朋子)
【図・写真】店に並ぶ「綿花娃娃」(上海市)
シンガポール「寄付指数」3位(数字で読むASIA)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 12ページ 238文字 PDF有 書誌情報]
英慈善団体チャリティーズ・エイド・ファンデーション(CAF)がまとめた「世界寄付指数」の2024年版で、シンガポールが3位となった。前年の22位から大きく順位を上げた。
寄付指数は「人助け」「お金の寄付」「ボランティア時間」に関するアンケートの結果を基に算出される。インドネシアは7年連続で首位だった。
シンガポールでは企業が従業員をボランティア活動に派遣した場合、企業支出の一部を税額控除する仕組みがある。政府が対象活動を拡大していることも追い風となっている。
(芦川美奈)
東電、再エネ「利益目標維持」 1000億円、風力の遅れを水力が補う[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1292文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)は経営再建の柱のひとつである再生可能エネルギー事業の2030年度の利益目標を維持する方針を明らかにした。洋上風力では複数案件で受注を逃すなど事業拡大が遅れる。力を入れてきた水力発電が堅調なため、風力の遅れを水力で補い、再エネ事業で純利益1000億円の確保を目指す。
東電HD子会社で再エネ開発を手掛ける東電リニューアブルパワー(RP)の永沢昌社長が、日本経済新聞の取材で明らかにした。東電HDは再建計画「第4次総合特別事業計画(総特)」の改定を控える。原子力発電所の再稼働が不透明ななか、収益力の底上げに再エネ事業は重要度が増している。永沢氏は「再エネでの利益目標に変わりはない」と語った。
ただ再エネ利益目標のうち3割を占める洋上風力では案件の受注がうまくいっていない。再エネでは洋上風力を中心に30年度までに600万~700万キロワットの電源開発を計画している。内訳は「国内と海外で200万~300万キロワットずつ」で、単純計算で国内で4件ほどの受注・開発が必要となる。ただ同社がこれまでに大規模入札で落札できた事業は長崎県沖の1件のみとなっている。
永沢氏は洋上風力について、「受注を取れればどんどんやるのかというと、事業環境次第だ。物価上昇や為替のトレンドも関わってくる」とし、受注増には慎重な姿勢をにじませた。
洋上風力の事業費は大型の案件では数千億円に達する。特に風力タービンは21年ごろから価格が上振れしている。米調査会社のブルームバーグNEF(BNEF)によると、世界の風力タービンの調達コストは24年までの4年間で3割上昇した。
目標達成への貢献度を高めつつあるのが水力だ。永沢氏は「目標達成が厳しい洋上風力分を埋め合わせたい」とし、「どのように高く売るか、3年ぐらいかけて道筋をつけた」と強調した。水力は当初、再エネ全体の純利益目標の過半を占める見通しだったが、「さらに百億円単位での上積みを狙う」とした。
「高く売る」販売戦略を加速させているのは、ポンプでくみ上げた水で発電する「揚水発電」だ。東電RPは24年度に需給調整市場に参入した。電力需給が逼迫する時期を見越して計画的に水をくみ上げ、逼迫時にすぐに発電・売電する。第4次総特に織り込まれていなかった取り組みだが、着実な収益貢献が期待できるという。
水力では需要家に直接販売するコーポレートPPA(電力購入契約)も拡大する。新潟県内の水力で発電した電気をヒューリックに販売を始める。永沢氏は「電力価値と環境価値が想定より評価され、高く買ってもらえる」と説明した。出力の小さい中小型水力でも設備更新もすすめ、固定価格買い取り制度(FIT)を使って収益化する。
東電HDの水力の発電能力は計1000万キロワットと国内最大で、再エネ部門は再建計画の柱だ。東日本大震災以降、1基稼働すれば1000億円規模の収益改善が見込まれるという原発が再稼働しておらず、他に自力で収益力を見込める事業が乏しい状況が続くためだ。
【図・写真】インタビューに応じる東電RPの永沢社長(東京都千代田区)
テスラ、日本で販売好調 1~3月56%増 「不買」起こらず[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1187文字 PDF有 書誌情報]
米電気自動車(EV)大手のテスラが日本で販売を伸ばしている。2025年1~3月期の国内販売は日本メーカーのEVが落ち込む一方、テスラは前年同期比56%増と同期で過去最高を更新した。世界でイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に反発する不買運動が起きるなか、なぜ日本で好調なのか。
テスラは地域別販売台数を公表していないが、日本自動車輸入組合(JAIA)のデータから読み取れる。メーカー別の販売台数で「その他」のうち、テスラが大半を占める。
25年1~3月期の「その他」の台数は56%増の2120台だった。3月は前年同月比89%増の1249台で単月として過去最高を更新した。テスラは世界の主要国で販売減に直面している。テスラの1~3月の世界販売台数は13%減の33万6681台で3年ぶりの低水準になった。
マスク氏の政権入り以降、連邦政府の人員削減や政治的な発言に反対する消費者が増え、欧米など世界で不買運動が広がった。
調査会社のマークラインズによると、1~2月の販売台数は前年同期と比べ中国は3割減、米国は1割減となった。特に欧州は不買運動が激しく、欧州自動車工業会(ACEA)の調査では、欧州の1~2月の販売は4割減に落ち込んだ。
なぜ、日本で不買運動が起こらないのか。日本車メーカーの低迷の裏返しでもある。
日本車メーカーの普通EVは8車種にとどまる。先駆けとなった日産自動車の「リーフ」の1~3月の販売台数は32%減の1133台と振るわない。トヨタ自動車の「bZ4X」も76%減の85台にとどまる。日本車メーカーの合計でも2063台とテスラに及ばない。
リーフは17年から、bZ4Xは発売時の22年から刷新がなく、国内勢のEVは競争力が低下している。テスラなどの輸入車を選ぶ消費者が増えており、普通EVの75%が輸入車でテスラと中国・比亜迪(BYD)だけで全体の3割を占める。
24年の国内のEV販売台数は前年比33%減の5万9736台と4年ぶりに前年割れした。EV販売比率も2%を割り、主要先進国で最低となった。国内販売に詳しいS&Pグローバルモビリティの川野義昭アナリストは「国産EVの選択肢が少なく、EVを購入したい人が仕方なく輸入車を選ぶケースもある」と話す。
遅れをとる日本勢を尻目に、輸入車勢はさらに攻勢をかけている。4月にBYDと韓国・現代自動車がそれぞれ新たなEVを投入した。両社とも200万円台の格安EVをそろえ、シェア拡大を狙う。テスラは主力車種の「モデルY」を刷新し、旧モデルの在庫品はEV充電器の利用を5年間無料にするなど車種を絞って販売拡大を目指す。
日本でテスラの不買運動が起きない状況は、日本がEV後進国であることを示す。テスラを求める消費者の声に、日本車メーカーは耳を傾ける必要がある。
(田中颯太)
【図・写真】日本で好調なテスラ車
マツダ、カナダ向け車生産停止 来月から米工場、関税リスク回避[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1001文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】マツダは米国工場でカナダ向けの生産を5月から一時停止する。トランプ米政権の高関税政策による事業リスクを回避するためだ。欧米の自動車大手も米国への輸出や出荷を相次ぎ停止している。トランプ政権は関税により米国に投資を呼び込む狙いだが、企業はリスク回避の動きを強めている。
マツダはアラバマ州の工場で生産する多目的スポーツ車(SUV)「CX―50」のうち、カナダ向けの生産を5月12日から一時停止する。停止期間は明らかにしていない。アラバマ工場ではカナダ向け以外のCX―50の生産は継続する。
トランプ政権が発動した輸入自動車への25%の関税やカナダが発動した報復関税による影響を見極める。マツダのカナダ法人の担当者は17日、「マツダの米国事業やグローバル生産にどのような影響を与えるかを評価し、顧客や販売店へのリスクを軽減する」とコメントした。
マツダは24年にカナダで約7万2千台を販売した。販売台数に占めるCX―50の比率は約15%だった。カナダには現地工場がなく全て米国から輸出している。供給を停止しても販売店には在庫があるため当面の販売には影響しない見込み。
マツダのアラバマ工場はトヨタ自動車との共同出資で運営している。トヨタの北米法人によるとトヨタは同工場でのカナダ向け生産を続けているという。
トランプ政権の関税発動以降、世界の自動車大手が米国生産や対米輸出の停止に動いている。欧州ステランティスは傘下ブランドの「クライスラー」と「ジープ」を生産するカナダとメキシコの工場の操業を一時停止し、これらの工場に部品を供給していた米国工場の従業員900人を一時解雇した。
自動車大手は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)のもとで国境を超えた供給網を構築しており、カナダやメキシコでの生産停止は米国にも影響が及ぶ。
英ジャガー・ランドローバー(JLR)は英国で生産する高級車の米国向け輸出を停止した。独フォルクスワーゲン(VW)グループ傘下のアウディは米国に輸出した自動車の新規販売を一時停止したほか、日本勢も三菱自動車が米国に輸出した自動車の販売店への出荷を停止した。
トランプ大統領は米国で生産するように促すが、短期的な生産移管は難しく、メーカーは生産や出荷停止に踏み切らざるを得ない。自動車関税への救済措置の方針も定まらない中で企業は投資を判断できない状況が続く。
分子研と京大、量子計算機で新会社 27年にも1号機 企業へ提供[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 782文字 PDF有 書誌情報]
国の研究機関である分子科学研究所と京都大学は、新型の量子コンピューターの事業会社を1日付で設立した。産業応用のための大規模化に向く原子を使う方式の量子コンピューターを開発する。2027年にも実機を開発し、企業などが使えるようにする。
分子科学研究所の大森賢治教授と京都大学の高橋義朗教授の技術を基に、「中性原子方式」と呼ばれる方式の量子コンピューターの開発を目指す。中性原子方式を扱う企業の設立は国内では初めてという。新会社の名称はYaqumo(ヤクモ、東京・千代田)で、分子研と京大に共同研究拠点を持つ。
量子コンピューターの素子は「量子ビット」と呼ばれ、その精度が量子コンピューターの性能の鍵を握る。
ヤクモは量子ビットが安定していて、計算能力を高めやすいとされる中性原子方式の実機を27年に京大で稼働させる方針だ。
京大の高橋教授らが研究する「イッテルビウム」という金属原子を計算に使う。高橋教授は「約30年にわたって原子を扱う技術を育ててきた。世界に伍する性能の量子コンピューターの開発を目指す」と力を込める。
実用水準の1万量子ビットを超える規模を目指す。計算の精度を高めるために欠かせない「誤り訂正」という機能も一部使えるようにする。
専用のソフトウエアやアプリケーションも開発し、27年にはクラウドを通じて企業などが使える体制を整える。1号機をベースにして計算機の量産も目指す。ヤクモの中小司和広代表取締役CEO(最高経営責任者)は「さらに規模を大きくできるように設計する」と話す。大森教授と高橋教授がアドバイザーとして研究開発を支える。中性原子方式については、大森教授らのグループが25年中に、別の原子「ルビジウム」を使う国内初の実機を稼働させる予定だ。
【図・写真】新会社「ヤクモ」は中性原子方式の量子コンピューターを開発する(分子研の実験装置)
NTT「空飛ぶ避雷針」 世界初、ドローンで雷誘導[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 474文字 PDF有 書誌情報]
NTTは18日、自然発生した雷がドローン(小型無人機)に落ちるよう誘導することに世界で初めて成功したと発表した。雷雲の位置に合わせてドローンを移動させて、雷を誘発した上で安全な場所に誘導することができたという。「空飛ぶ避雷針」として稼働を目指し街や人、インフラ設備への雷被害を抑える。
2024年12月~25年1月、島根県浜田市の山間部の標高900メートル地点でドローンを使った実証実験をした。避雷針を用いる従来の雷対策では、雷を受けられる範囲が限定されていた。ドローンを使うことで人がいなかったり、めぼしい設備がなかったりする任意の場所に雷を落とすことができるようになる。
実験ではドローンに雷が直撃しても問題なく飛び続けられることを確認した。自然落雷の平均値の5倍に相当する電流を流しても、ドローンに故障や誤作動は起きなかったという。地上からのスイッチ操作でドローンの周囲にある雷の落ちやすさの指標となる「電界強度」を上昇させることで、雷の誘発を促すことができた。
NTTは北海道大学と、発雷位置予測の精度を上げる研究に共同で取り組んでいる。
ハンファ、太陽光パネル再利用[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 180文字 PDF有 書誌情報]
韓国大手財閥ハンファの日本法人、ハンファジャパン(東京・港)は太陽光パネルのリサイクル事業に進出する。使用済みの自社製パネルが対象で、家庭や発電事業者から回収し再利用する。太陽光パネルは2030年代に廃棄が大きく増えると見込まれており、再利用網の構築を進める。25年末をめどに始める。ハンファジャパンは主に太陽光パネルや蓄電池、化学原料の販売などを手がける。
ヤマハ発など、リーダー育成研修[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
ヤマハ発動機とグロービス(東京・千代田)は、新規事業を推進するリーダー社員を育成する共同研修を始めた。花王やパナソニック、セガサミーホールディングスなど11社が参加する。異業種で成功事例を共有し、大企業ならではの社内合意の築き方やガバナンス(企業統治)の視点を学び合う。研修プログラムはヤマハ発の横浜市内にあるオフィスを拠点に8月まで月2~3回開く。
JR東日本、新幹線で大量輸送[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
JR東日本は18日、新幹線を使った荷物輸送サービス「はこビュン」で、最大200箱ほどの大量輸送を始めた。まず、東北新幹線の新青森―東京間から始め、今後は上越新幹線などに広げる。秋にも座席を取り払った荷物専用車両を導入し、将来的に関連事業を含めて100億円程度の事業規模に育てる。運転手が不足するトラック輸送を補完するサービスとして、法人客を取り込む。
芝浦電子株、ストップ高水準[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 175文字 PDF有 書誌情報]
芝浦電子の株価が18日、制限値幅の上限(ストップ高水準)まで上昇した。同社に対して同意なき買収提案をした台湾の電子部品大手、国巨(ヤゲオ)が17日にTOB(株式公開買い付け)価格を引き上げると発表した。終値は前日比15%高の5470円で、ヤゲオのTOB価格を上回った。ヤゲオは当初1株4300円としていたTOB価格を5400円に変更すると表明した。
富士通、欧州でAI新規制対応[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 152文字 PDF有 書誌情報]
富士通は欧州の人工知能(AI)規制への対応支援を始める。イタリアの新興IT(情報技術)企業、AKOS AI(エーコスAI、ナポリ市)に技術供与し、同社の顧客向けに法令対応の複雑な手続き項目を自動作成する。エーコスAI社は富士通の技術と自社のコンサルティングサービスと合わせてAIの適正利用を後押しする。
松屋、「牛めし」など値上げ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 126文字 PDF有 書誌情報]
松屋フーズは18日、牛丼チェーン「松屋」の主力商品「牛めし」などを22日に値上げすると発表した。値上げ幅は10~100円。牛めしの並盛は430円から460円に、牛焼肉定食は840円から890円になる。米をはじめとした原材料費や人件費の上昇を転嫁する。
ネトフリ、関税懸念でも強気 1~3月も増収増益、会員基盤3億人 値上げ・広告配信に暗雲(ビジネスTODAY)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1625文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=中藤玲】米動画配信大手ネットフリックスが強気な先行き見通しを貫いている。多彩なコンテンツや3億人の会員基盤に支えられ、2025年1~3月期は8四半期連続で増収増益を確保した。トランプ米政権の関税政策で景気後退が懸念される中、月額料金の値上げと広告配信を軸とした同社の成長戦略に暗雲も漂う。
17日の決算説明会でグレッグ・ピーターズ共同最高経営責任者(CEO)はリセッション(景気後退)の懸念が広がる中でも楽観的な見通しを示した。同氏は「歴史的に見て、不景気の時期に家庭内の娯楽の価値が高まる傾向にある」と強調した。
同氏は全体的な事業見通しに大きな変化はないと言及。25年通期の売上高予想を24年比12~15%増の435億~445億ドル(約6兆2000億~6兆3400億円)と、1月時点から据え置いた。
市場でも強気の見方が多く、ネットフリックス株は年初来で約10%上昇している。米国の追加関税を背景に、クラウドなどデジタルサービスを提供するメタやアマゾン・ドット・コムといった米IT(情報技術)大手が15~20%ほど下落する動きとは対照的だ。
米投資銀行オッペンハイマーのジェイソン・ヘルフスタイン氏は「景気後退期にはテレビの消費者価値が高まる」とし、ネットフリックスはトランプ米政権の関税政策によって恩恵を受ける可能性を指摘する。人々が旅行や外出といった費用のかかる娯楽を控えて自宅で過ごす時間が長くなるためだ。
ヘルフスタイン氏のリポートによると、リーマン・ショックに伴う金融危機が起きた08~09年、米国の1日あたりのテレビ視聴時間はそれまでの2.6時間から約1割増えた。欧州債務危機に揺れた12年、ネットフリックスの米国外加入者数は11年の3倍になったという。
特にネットフリックスはこの1~2年、映画やドラマに加えてスポーツ中継やアニメ、ゲームなどコンテンツの多角化を進めてきた。別の動画配信大手の幹部は「ネットフリックスは消費者の多様な嗜好に対応しているので、有料会員の解約が広がりにくい」とみる。
もう一つの強気の理由は、22年11月に始めた広告配信の拡大だ。広告がない主力のスタンダードプランは1月に値上げして17.99ドルになったが、広告プランは半額以下の7.99ドルに抑えている。ピーターズ共同CEOは「今は安価な広告プランを提供しており、以前の不況時よりも耐性が高まった」と語る。
ネットフリックスは25年の経営方針として広告事業強化を掲げる。効果的に広告を配信するために広告プラットフォームを自社開発し、4月に米国で導入した。他市場にも順次拡大し、25年の広告収入を24年から倍増させると意気込む。
ネットフリックスは月額料金の値上げと広告収入の獲得の2本柱による成長を描いてきた。ただ、この戦略は景気動向に左右されるリスクがあり、2つの成長エンジンが機能し続けるかは見通しにくい。
米調査会社モフェット・ネイサンソンによると、トランプ政権による追加関税が維持されて米国が景気後退期に突入すると、25年の米国の広告支出は450億ドルほど失われると予測している。特にインターネット広告やテレビ広告の減少幅が大きい。
消費者の財布のひもが固くなれば、人気の無料配信型「FAST」チャンネルに移る人も増える可能性がある。FASTは地上波のような番組表があり、コンテンツが次々と流れるチャンネルだ。インフレが続く欧米で急成長しており、メディア機器メーカーの米ロクが運営するFASTチャンネルは約1億世帯が視聴する。
強気姿勢のネットフリックスも22年には危機に見舞われた経緯がある。新型コロナウイルス禍の特需の反動減や競争激化によって会員数が減少に転じ、株価急落を招いた。良質なコンテンツを生み出し続けることで再び成長軌道に乗せた同社。トランプ関税の波紋が広がる中で、動画配信の王者の独走が続くかは見通しにくい。
インフロニアHD 岐部社長(ニュース一言)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 195文字 PDF有 書誌情報]
天候で発電量が変動する太陽光や風力などの再生可能エネルギーの需要に応えるには電気を蓄えて使う仕組みが必要だ。土地確保や工事の知見を生かして蓄電池を増やす。
インフロニア・ホールディングスは2028年3月末までに600億円近くを投じて大規模な系統用蓄電池を整備する。蓄電池事業を通じて収益を得るほか設備の売却も検討する。岐部一誠社長は「建設工事の受注で変動しやすい収益を安定させる」と語る。
シキノハイテック 高橋信一氏(新トップ)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 121文字 PDF有 書誌情報]
◇シキノハイテック
高橋 信一氏(たかはし・しんいち)84年(昭59年)福井大工卒、松下電器産業(現パナソニックホールディングス)入社。20年シキノハイテック執行役員、24年専務。福井県出身。63歳
(6月25日社長就任。宮本昭仁社長は退任)
公益社 小林大介氏(新トップ)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
◇公益社
小林 大介氏(こばやし・だいすけ)09年(平21年)燦ホールディングス入社。19年専務執行役員。24年ライフフォワード副社長。愛知県出身。59歳
(6月19日社長就任。播島聡社長は代表権のある副会長に)
クニミネ工業(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 124文字 PDF有 書誌情報]
クニミネ工業
(6月26日)管理(クレイサイエンス事業本部管掌)専務人事・友山貴之
▽海外事業推進部管掌、取締役経営戦略・高田裕二
▽取締役、クレイサイエンス事業本部長黒田克弘
▽海外事業推進部アセアン担当部長(副社長管理兼海外事業推進部管掌)勢藤大輔
東リ(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
東リ
(6月18日)取締役、執行役員経営企画・加藤晃朗
▽同、同技術開発・竹川政克
▽同、木村麻子
▽監査役(顧問)中野洋二
▽退任(常勤監査役)鈴木潤
セレコーポレーション(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 70文字 PDF有 書誌情報]
セレコーポレーション
(5月27日)取締役兼常務執行役員(執行役員)竹内毅
▽監査役、遊佐卓大
▽退任(取締役)土屋雅美
▽同(監査役)渡瀬年巳
立花エレテック(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
立花エレテック
(4月18日)外資半導体デバイス第一本部長、執行役員外資半導体デバイス第二本部長小西健司
テイカ(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
テイカ
(5月1日)営業部管掌(営業)取締役兼上席執行役員村田悦宏
▽営業兼TFT取締役、戸塚貴博
シキノハイテック(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
シキノハイテック
(6月25日)社長(専務)高橋信一
▽取締役、菊池弘樹
▽退任(社長)宮本昭仁
アズ企画設計(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
アズ企画設計
(5月29日)取締役兼執行役員(専務執行役員)管理・小尾誠
▽取締役、吉田和司
新光電気工業(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 13ページ 30文字 PDF有 書誌情報]
新光電気工業
(4月21日)若穂工場長、千曲工場長安原貴昭
円高「130円台で悪影響」 高島屋社長 訪日客需要を左右[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1309文字 PDF有 書誌情報]
百貨店業界では2025年度、好調が続いていたインバウンド(訪日外国人)消費にピークアウトの兆しが出ている。高島屋の村田善郎社長は「1ドル=130円台まで円高が進めば、(販売に)影響が出てくる」とみており、純利益で前期比1%増を見込む26年2月期業績のカギを握る。消費動向の見通しや、業績計画達成への道筋を聞いた。
――純利益が2ケタ増益だった25年2月期から一転、26年2月期は1%増と増益率が縮小する見通しの背景は。
「25年2月期は富裕層向け消費のほかインバウンドが活況を呈していた。上期くらいまでは円安の追い風もあった。経費も売り上げ増に連動する部分はあるが、コロナ禍で進めたレジ打ち作業など外部委託業務の内製化をさらに進め、非常に経費コントロールがうまくいった」
「ただ過熱感があったのも事実だ。足元では客数は増えているが、高額品購入などが減ることで単価が下がっている。26年2月期のインバウンド売上高はほぼ横ばいの想定だ。富裕層向けは堅調なほか、衣料品は値引きせず正価販売の比率を上げ粗利を確保する。経費もまだまだ改善余地があり30億~40億円削減する」
――インバウンドの消費動向をどう見ていますか。
「為替動向にもよるが、よほど円高に振れれば、高額品消費が減り食品などに流れるので注意が必要だ。感覚的には1ドル=130円台に入ると影響が出てくる。インバウンド売上高に占める中国人客の割合は20年2月期の77%から25年2月期には58%まで下がった。地方を中心に中国の景況感が悪化しており、このトレンドは続きそうだ」
「ただ、ラグジュアリー品は相対的に利益率が低い。今後、為替の影響で全体に占める比率は頭打ちになるだろう。そうなると、採算のよいアパレルなどの比率が上がり利益率が改善する。より筋肉質になる効果は期待できる」
――足元でPBR(株価純資産倍率)は1倍を割り込んでいます。要因をどう分析していますか。
「株価が低いことが主因だ。株主資本コストは6~7%とみており、25年2月期の自己資本利益率(ROE、8・5%)はこれを上回っている。成長期待を表すPER(株価収益率)が低く、伸びているベトナムなど海外市場の成長力について説明不足だったという反省がある」
「資本収益性もさらに改善させる。25年2月期から投下資本利益率(ROIC)の構成要素を分解した『ROICツリー』を各部署に展開し、現場の活動に落とし込んでいる。例えば販売員が顧客1人当たりの購入単価を上げることで分子拡大につながるといった具合だ。4月には店舗など拠点別のROICを初めて開示し、さらなる浸透を狙う」
――27年2月期まで3年間の資金配分計画では150億円の自社株買いを掲げていますが、25年2月期に実施済みです。さらなる自社株買いの可能性は。
「現時点で明言できないが、明らかに株価が低いということであれば(市場への)メッセージとして当然出していかないといけない。株価がいくらになったら実施するとも言えないが、機動的な実施を検討していきたい」(聞き手は岡本孔佑)
【図・写真】村田社長は「今期の訪日客売上高は横ばい」と話す
SBG、個人社債利率3.34% 後藤CFO「需要は堅調」[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 512文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ(SBG)は18日、国内の個人向け社債6000億円の発行条件を決めた。5年債で利率は年3・34%と、仮条件(3・00~3・60%)の中間水準となった。後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は日本経済新聞の取材に「他社では起債を取りやめる事例も出てきているが、個人向けの需要が堅調だ」と話した。
あわせて、国内の機関投資家向け社債を200億円発行する。5年債で利率は3・336%。トランプ米政権の関税政策をめぐり不安定な市場環境下で「プライシング(利率決定)の公平性のために起債した」(同社)。需要が大きく、当初予定していた100億円程度から増やした。
発行額は同社の個人向け社債としては過去最大になる。調達資金は個人向け社債などの借り換えや、2023年8月に傘下のビジョン・ファンドから英半導体設計アーム株を取得した際の未払い金の一部に充てる。
個人向け社債の償還期限は30年5月2日。申込期間は4月21日~5月1日で、払込期日は5月2日。野村証券や大和証券、SBI証券、みずほ証券など11社が引き受け、個人に販売する。個人向け、機関投資家向けとも日本格付研究所(JCR)から「シングルA」の格付けを得た。
海運株、軒並み続伸 米の対中規制に恩恵期待[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 423文字 PDF有 書誌情報]
18日の東京株式市場で海運株が続伸した。米通商代表部(USTR)が17日、米国内に寄港した中国製・中国籍の船を対象に、半年後から手数料を徴収すると発表した。世界の海上輸送に供給制約が発生してコンテナ船などの運賃が上昇するとの期待から日本郵船、商船三井など海運大手株が買われた。
日本郵船や商船三井は前日比3%高、川崎汽船は4%高で取引を終えた。一方、18日の上海株式市場では、手数料負担が重荷となる中国の海運会社、中遠海運控股(コスコ・シッピング)株が一時1%安となった。海運大手の招商局能源運輸や造船大手、中国船舶工業も下げた。
野村証券の広兼賢治リサーチアナリストは「中国船の米国への寄港が少なくなれば供給制約につながり運賃が上昇する。日本の海運会社は中国に比べて中国で建造した船などが少なく影響が小さい」とみていた。
日本の海運株は3月下旬から4月中旬にかけて大きく下落していたことから「買い戻しが加速した」(国内証券)との声も聞かれた。
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 337文字 PDF有 書誌情報]
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
大日本印刷 特別益345億円 政策保有株を売却[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 290文字 PDF有 書誌情報]
大日本印刷(DNP)は18日、2025年4~6月期に投資有価証券売却益345億円を特別利益として計上すると発表した。保有していた政策保有目的の上場株式1銘柄を18日に売却した。銘柄名は非開示とした。
DNPは28年3月期までの5年間で計2200億円の政策保有株を売却し、純資産の10%未満に抑える方針を掲げており、今回の売却もその一環という。24年9月末時点で、目標の66%程度にあたる1457億円分を売却したとしていた。
同社の政策保有株を巡っては、今回とは別に、テレビ朝日ホールディングス(HD)が14日、DNPが保有するテレビ朝日HD株を285万株売り出すと発表している。
芝浦電子へのTOB(変更)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 102文字 PDF有 書誌情報]
▼芝浦電子へのTOB(変更)
買い手=YAGEO Electronics Japan合同会社、価格=普通株式4300円を5400円に、総額655億5905万9900円を823億2998万2200円に変更
ジャムコへのTOB[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 81文字 PDF有 書誌情報]
▼ジャムコへのTOB
買い手=BCJ―92、株数=予定数1491万6980株(596万5000株を下限)、価格=普通株式1800円、期間=4月21日~5月21日
2025年度業績展望(3)海運大手、運賃下落の逆風 市場予想4~6割減益、航空堅調、関税余波少なく[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1331文字 PDF有 書誌情報]
海運大手の2025年度(26年3月期)は業績悪化が避けられそうにない。スエズ運河の通航再開に伴う海上運賃の下落が逆風となる。一方、航空各社は堅調な業績が見込まれる。トランプ米政権の関税政策を受け米国への生産拠点シフトや対米輸出の停止などを検討する企業も出ている中、同政策の人の流れへの影響は少ないためだ。
市場予想(QUICKコンセンサス)の海運大手3社の26年3月期純利益は、前期の会社計画比で4~6割程度の減益を見込む。主な要因は海上運賃の下落だ。
中東情勢の緊迫を背景に、海運各社は欧州アジア間の要衝であるスエズ運河を避けて南アフリカの喜望峰経由で迂回している。輸送日数の長期化で前期は運賃が高騰したが、今期はスエズ運河の通航再開によって運賃が下落するとの見方が優勢だ。
海運関係者の中には「25年初よりも中東情勢の不透明さは増しており、紅海やスエズ運河がいつ通航できるか見通しにくい状況だ」との声もあり、再開時期が遅れれば業績の押し上げ要因となる。
トランプ米政権の関税政策による消費者や企業の「変化」も焦点だ。東海東京インテリジェンス・ラボの土谷康仁シニアアナリストは「物価が上がり、ぜいたく品を買う消費マインドが減退すれば、自動車船の輸送量が減る可能性がある」とみる。
その上で、日用品などを運ぶコンテナ船需要については「大幅に減らないとみるが、米国が中国との関係が深い特定国からの輸入に関税を課す二次的関税が発動されれば、減少リスクが強まる」と分析する。
関税政策が海運各社に及ぼす影響は、現状では不透明な点も多い。三菱UFJeスマート証券の山田勉マーケットアナリストは「企業も生産拠点や物流をどうするか手探りだ。一定の方向感が出てくるまでに数カ月かかるだろう」と指摘する。
一方、航空大手は堅調な業績が続きそうだ。関税政策の人流への影響は限定的とみられている。米政権の円安是正要求を背景に為替相場が円高に振れれば、日本発の海外旅行需要の増加や燃料費の減少など、航空各社に追い風が吹く可能性がある。
燃料費高騰対策として政府から支給されている補助金が縮小されれば利幅圧縮要因となるが、海外旅行需要の伸びなどで吸収できそうだ。
トランプ関税の影響が読みづらいのが航空貨物だ。野村証券の広兼賢治リサーチアナリストは「中国の越境EC(電子商取引)の荷物などが減れば航空貨物運賃が下がり業績にネガティブな影響が出る可能性がある」と話す。ANAホールディングス(HD)は貨物専用機を持つなど国際貨物事業に力を入れている。
ANAHD傘下の全日本空輸は「現時点で貨物も旅客も需要は減少していない。物流サプライチェーンの変化、為替や原油価格、モノや人の流れの変化を注視しつつ、柔軟に対応していく」(井上慎一社長)としている。
川崎汽船は26年3月期の1株当たりの年間配当を前期と同額の100円とする方針を掲げている。日本郵船は配当の下限を年100円としつつ配当性向の目安を30%としており、商船三井は配当下限を年150円、配当性向を30%とする方針だ。減益が避けられそうにない状況なだけに、積極的な株主還元策を打ち出せるかが株価水準を左右しそうだ。
(片山志乃)
しっかり学ぶ財務(4)自己資本利益率(ROE) 企業経営の「燃費」測る、8%以上の水準意識[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1288文字 PDF有 書誌情報]
自動車を購入する際、誰しも少ない燃料で長く走れる高燃費の車を選びたいもの。投資家が投資先の企業を選ぶ時も同じで、限られたお金でなるべくたくさんの利益を生める「燃費」のいい企業に投資しようとする。企業経営の燃費を測る便利な指標が、自己資本利益率(ROE)だ。
ROEは「Return On Equity」の頭文字をとった略語。株主から託された資金である「自己資本」を元手に、最終的なもうけとなる「純利益」をどれだけ稼ぐことができたか、その割合を示す。「純利益÷自己資本」で求められ、一般的にこの数字が大きくなるほど市場で高く評価されやすい。
企業がROEを高めるには2通りのやり方がある。一つ目は売り上げを伸ばしたりコストを減らしたりして、分子となる利益を増やすこと。もう一つは、分母である自己資本を小さくする方法だ。たまったお金を株主に配当として返したり、自社株を買い取ったりすると分母が縮小し、ROEを押し上げる。
例えば、純利益5億円、自己資本100億円の企業があったとする。純利益を10億円に増やせばROEは5%から10%に高まる。しかし純利益の10億円を企業がため込めば、翌年はその分が自己資本に加算される。翌年も同じ10億円のもうけが出ても、自己資本は110億円に膨らんでいるので、ROEは10億円÷110億円=9%と下がってしまう。ROEを継続的に高めるには、利益を拡大させ続けるだけでなく、株主還元を積極的に行う必要があることがわかる。
企業経営の効率性を示す指標としてROEが日本企業の間に広く浸透するきっかけとなったのが、2014年に経済産業省がまとめた「伊藤レポート」だ。8%を上回る水準が望ましいと示され、今もなお多くの企業が意識している。日本IR協議会の調査によると、8割の企業がROEを経営目標として意識しているという。
国内外の投資家もROEの推移や先行きに熱い視線を注ぐ。20%を目安にROE向上を目指すトヨタ自動車は、この方針に関する報道を受け昨年12月下旬に2日間で株価が10%超上昇した。
半面、ROEが投資家の期待水準に届かない企業への風当たりは厳しい。江崎グリコが2月、中期経営計画でROE目標を「6~8%」と定めると、かつて計画の方向性として示した「8%」から後退したとして、アクティビスト(物言う株主)として知られる米ダルトン・インベストメンツから反発の声が上がった。ダルトンはROE向上に直結する自社株買いなどを株主提案。これは否決されたものの、ROE引き上げに向けた取り組みを期待する投資家の姿勢を象徴している。
資本政策が効果を生むROEは、売上高営業利益率やPBR(株価純資産倍率)など他の指標に比べて事業環境や株式市場などの状況に左右されにくいという面もある。国際政治を取り巻く不透明感などを背景に、世界景気減速への警戒感が急速に強まっている今、高ROE経営を実践する「高燃費」企業に注目してみてはどうだろう。
(千葉由佳)
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<数表>財務短信[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 327文字 PDF有 書誌情報]
コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)
第8回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)200億円▽償還期限=2035年4月25日▽利率=1.786%(2030年4月25日まで)、翌日以降6カ月日本円TIBOR+0.768%▽申込日=4月18日▽払込日=4月25日▽発行価格=100円
ソフトバンクグループ(9984)
第65回無担保社債6000億円(個人向け)▽償還期限=2030年5月2日▽利率=3.34%▽申込期間=4月21日~5月1日▽払込日=5月2日▽発行価格=100円
第66回無担保社債200億円▽償還期限=2030年4月24日▽利率=3.336%▽申込日=4月18日▽払込日=4月24日▽発行価格=100円
マテリアルグループ、ゲンダイエージェンシー、アドヴァングループ、ハイデイ日高(自社株取得枠設定)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 108文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
マテリアルグループ 40万株、2億6000万円
ゲンダイエージェンシー 130万株、5億5000万円
アドヴァングループ 38万株、3億円
ハイデイ日高 128万株、40億円
コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)(格付け)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)
第8回期限前償還条項付無担保社債(実質破綻時免除特約および劣後特約付)=AAマイナス(JCR)
ソフトバンクグループ(9984)(格付け)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ(9984)
第65回・第66回無担保社債=A(JCR)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 14ページ 4308文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 17日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
ぷらっと 0 0 1207 ▲149
イオレ 0 0 238 △7
ベースフード 421 0 18425 ▲4
スターシーズ 0 ▲1 981 △39
インタートレ 185 0 1101 ▲20
サイトリ細研 0 0 1890 0
トミタ電機 0 0 256 △3
HSHD 4 0 8856 △2
ReYuu 0 0 1362 △11
Schoo 0 0 2828 △7
Syns 30 ― 1135 ―
イントランス 0 0 8586 ▲26
ゼンムテック 4 ▲4 234 ▲4
BASE 293 0 23151 ▲202
テクノロジー 0 0 4306 △7
アップバンク 0 0 2730 ▲34
BCC 0 0 216 0
グロームHD 0 0 2382 ▲2
ピクセル 288 0 5939 ▲24
LIEH 0 0 601 △20
ウイルコHD 0 0 501 ▲17
アクアライン 0 0 86 △13
タマホーム 820 0 331 △14
BEENOS 8 0 3 0
CRE 0 0 2 0
プロト 0 0 1 ▲1
ドリームI 18 0 184 0
フジHD 7424 ▲853 9833 △211
ヨータイ 24 0 197 △26
パイオラック 21 0 28 △2
牧野フ 5 0 91 ▲3
ヤーマン 953 0 314 ▲2
富士通ゼ 5 0 158 △17
ジャムコ 8 0 76 ▲7
トプコン 132 0 565 ▲33
天馬 0 0 16 ▲1
トナミHD 0 0 21 △7
内外トランス 0 0 4 ▲29
イオンディラ 3 0 11 △6
イメージワン 503 0 1598 ▲3
PバンCOM 6 0 344 ▲3
Eストアー 0 0 7 0
オートサーバ 0 0 62 0
全保連 0 0 343 △3
AIメカ 81 0 370 0
インスペック 25 0 276 △2
ナカヨ 0 0 0 0
芝浦電子 0 0 189 0
NEWART 0 0 30 ▲2
アールシー 6 0 61 0
MUTOH 1 0 120 0
丸藤パ 0 0 41 0
広電鉄 3 0 53 0
ユーラシア 0 0 74 0
グリンランド 0 0 16 0
アルテック 1 0 2475 ▲7
ヴレインS 155 ▲8 425 ▲10
ファンデリー 360 ▲115 477 △2
ジェネパ 19 0 428 ▲2
フィスコ 257 0 3264 ▲37
エコモット 5 0 236 ▲15
WACUL 10 0 229 △14
カオナビ 0 0 4 ▲1
※ 野村4百Dイ 5882 ▲21 8485 ▲2246
※ 野村高配70 43 0 3546 △119
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 400 0
※ SMT好配当 0 0 2191 0
※ SMD高配当 0 0 2920 0
※ GXオフ日R 0 0 31 △10
※ iS米25ヘ 140 0 896750 ▲350
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ GXLE日株 0 0 121 0
※ SBIサウジ 0 0 1915 △4
※ 野村ESGコ 0 0 880 0
※ GX日カバコ 0 0 3301 0
※ 野村欧州株H 0 0 24830 △1000
※ 野村独株H有 40 0 574120 △15590
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 0 241810 △9970
※ 野村米半導 0 0 570 △97
※ iF高配50 2045 ― 1667 ―
※ GXSPCF 0 0 6523 △237
※ 阪急阪神R 593 0 415 ▲27
世紀東急 352 ▲3 203 ▲2
アイケイケイ 201 △18 74 △6
柿安本店 345 △8 80 0
くら寿司 335 △13 298 ▲7
オイシックス 72 △17 521 ▲4
日本調剤 490 ▲62 221 ▲11
Jテック・C 6 0 196 0
ケイアイ不 48 0 68 0
グッドコムA 792 0 544 ▲19
SMINOE 7 0 60 0
力の源HD 287 0 281 ▲1
さくらネット 1910 ▲1 2682 ▲18
フリービット 511 △7 524 ▲54
gumi 486 ▲159 3826 △32
ACCESS 848 △1 1713 ▲8
小林製薬 95 ▲2 281 0
エニーカラー 180 △15 598 △2
千葉興 75 △4 1509 ▲13
神電鉄 23 0 11 0
サンウェルズ 2286 △18 1574 ▲12
JESCO 2 0 228 ▲1
佐田建 24 0 1248 ▲9
植木組 0 0 48 0
三晃金 0 0 92 0
焼肉坂井HD 5 △1 232 ▲3
パレモ・HD 42 ▲13 1211 △12
OCHIHD 8 0 12 0
菊池製作 111 △3 253 △3
マツオカ 11 0 641 ▲2
enish 549 △9 2535 △22
片倉コープ 16 0 161 ▲2
アズジェント 4 0 79 0
HEROZ 271 △4 235 ▲2
SIGG 0 0 211 ▲3
わかもと 191 △2 1308 △46
秀英 4 0 72 0
富士興 1 0 43 ▲1
日山村硝 3 0 246 △8
ノザワ 0 0 199 0
大阪製鉄 1404 0 1739 0
虹技 0 0 80 0
アルメタクス 5 0 270 0
洋シャタ 0 0 145 0
デザインワン 11 △2 961 ▲1
土木管理 15 0 358 ▲6
油研工 0 0 63 0
ディスラプタ 14 ▲5 516 ▲9
サクサ 2 0 164 0
星和電 0 0 128 ▲6
池上通 3 0 184 0
沢藤電 0 0 108 0
大黒屋 1678 △299 9698 △201
upr 8 △1 163 ▲1
近畿車 0 0 56 ▲2
あんしん保証 21 0 580 △1
日本モゲジS 5 △1 651 ▲13
河西工 104 ▲30 1360 ▲6
エコーTD 1 0 271 0
パリミキHD 16 △1 147 ▲2
マックハウス 109 ▲5 138 △1
テイツー 3893 ▲136 8530 △265
京都友禅HD 153 ▲1 1092 △5
黒田精 7 0 78 0
岡本硝子 126 △18 1787 ▲29
タカノ 1 0 83 0
ホクシン 54 △1 860 0
ナイガイ 37 0 276 0
OUGHD 0 0 26 0
トルク 4 0 324 △1
オリンピック 0 0 97 0
東北銀 0 0 51 ▲10
富山銀 25 0 63 0
福島銀 157 ▲4 1097 ▲7
太平発 2 0 161 ▲2
明和地所 11 0 71 0
ファースト住 60 △9 126 △4
東陽倉 0 0 86 0
乾汽船 68 0 221 ▲1
ワイヤレスG 20 0 438 0
テアトル 16 0 20 0
日邦産業 8 0 148 0
ショクブン 8 0 88 0
やまや 3 0 4 0
タイミー 1528 ▲21 2339 △73
サンクゼール 74 0 56 0
すららネット 7 0 252 0
T&S・G 78 0 248 ▲2
プレイド 266 ▲6 2675 △26
エーアイ 2 0 237 △1
Kudan 221 ▲1 655 ▲2
ミンカブ 332 ▲8 1083 ▲57
OTS 3058 △26 10365 ▲57
Pアンチエイ 73 ▲4 204 ▲2
FIXER 256 △6 404 0
弁護士COM 199 ▲5 290 ▲2
MRT 1 0 102 0
レントラクス 5 0 334 ▲2
エヌピーシー 548 ▲5 1950 △27
アスタリスク 120 △3 419 ▲3
WASHハウ 39 0 232 ▲9
PSS 228 0 1001 △3
マイクロ波 454 ▲1 854 ▲5
日経300投信 1 0 7 0
※ SPDR金 133 ▲5 2922 △93
※ 野村金連動 4810 ▲520 97520 △60
※ 日経2倍 3754 △1023 39446 ▲186
※ 日興高配低ボ 0 0 8 0
※ 日興米債ヘ有 49 △18 4854 ▲5
※ One高配当 51 △5 5789 ▲6
※ スタンダ20 110 ▲70 1440 ▲60
※ H株ベア 190 0 27490 ▲440
※ WTI原油 28618 △1735 201175 ▲1734
※ 日興外債毎月 10 0 140 0
※ GX印10+ 167 △82 56602 △2638
※ iSインド株 700 ▲10000 991500 △13540
※ iF高リート 0 0 14238 0
※ MXダウヘ有 1910 0 4330 △450
※ GXウラン 0 0 24225 ▲385
※ iS米20 18160 △570 661230 ▲29830
※ iS仏国債H 10 0 1500 0
※ GX高配30 25 0 22059 ▲1053
※ iS日本国債 1178 △10 2748 0
※ MXナスダク 6652 ▲953 37709 ▲714
※ GXリー日株 0 0 1893 △5
※ iFEナ百無 10332 ▲30 161256 ▲165
※ iFEナ百有 54 ▲1480 60873 ▲1768
※ 野村ナスH有 87270 ▲2760 120530 △8260
食品・鉄道株、年初来高値 個人、配当・優待に着目[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 815文字 PDF有 書誌情報]
18日の東京株式市場で食品や鉄道株といった内需銘柄が相次ぎ年初来高値を付けた。米国の高関税政策で世界景気に警戒感が強く、個人マネーが配当や株主優待に魅力のある内需株に向かっている。18日は米欧株式市場の休場を控えて海外投資家の売買が少なく相対的に個人投資家の動きが目立った。
明治ホールディングス(HD)株は1%上げ、5カ月ぶりの高値水準を付けた。2026年3月期の予想配当利回りは2・8%と日経平均構成銘柄平均の2・3%を上回る。仮に100株を保有すると、株主優待としてお菓子などの同社製品の詰め合わせを1500円分もらえる。利回り換算すると0・4%で、配当と合計すると3・2%の利回りになる。
明治HDは3月期決算のため配当や優待の権利を得られるのは来年3月末の株主だ。ただ、個人投資家は期末を待たずにタイミングを見て買い、長期に保有する層が多い。
森永乳業や日本ハム、キリンホールディングスも上げ、いずれも2024年11月前半以来の高値水準を付けた。キリンはビールなどの優待品が人気で、長期継続保有の優遇もある。配当利回りが4・5%台と高く食品事業も展開する日本たばこ産業(JT)も18日に年初来高値を付けた。
個人の買いは鉄道株でも目立った。東京地下鉄(東京メトロ)は24年10月の上場以降の最高値を18日に更新した。東京メトロでは200株以上持つ株主に、優待乗車証を発行している。JR東日本も1%強上げ20年2月以来の高値となった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「中長期の個人投資家にとってトランプ関税の影響を受けにくい食品や輸送などが投資しやすい」という。
東京都在住の50代男性は、日経平均が急落した局面でNISA(少額投資非課税制度)口座で日本郵船など配当利回りが上昇した銘柄に買い注文を出した。「配当や優待を目的に買うことが多いので株価が下落しても売らない。むしろ買い場と見ている」と話す。
中外薬、株価一時19%高 米社に譲渡の糖尿病薬 治験で安全性確認[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 796文字 PDF有 書誌情報]
中外製薬は18日、同社が創薬し米イーライ・リリーに全世界での開発・販売の権利を譲渡した「オルフォルグリプロン」の最終段階の臨床試験(治験)結果が出たと発表した。経口の糖尿病・肥満症薬として開発中で、リリーの発表によると糖尿病向けの治験で有効性や安全性が確認された。
オルフォルグリプロンは「GLP―1受容体作動薬」と呼ばれるタイプの薬だ。GLP―1受容体作動薬は治療効果が高い一方で、現在は注射剤が主流となっている。GLP―1受容体作動薬を利便性の高い経口で投薬できる点で、オルフォルグリプロンは期待を集める。
リリーの発表によると糖尿病向けの最終段階の治験で、主要評価項目である「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の値が偽薬(プラセボ)群と比較して低下した。さらに最高用量を服用した患者は、平均で7・9%体重が減少した。
リリーは同治療薬について体重減少向けで2025年後半に、糖尿病向けで26年に各国の規制当局に承認申請する予定だ。中外製薬はオルフォルグリプロンが発売された場合、売上高の1桁台半ばから10%台前半までの段階的なロイヤルティーを得る。
18日の東京株式市場で中外製薬株は一時前日比1342円(19%)高の8427円に急騰し、株式分割考慮ベースの上場来高値を更新した。大和証券で医薬品業界を担当する小浦みなみシニアストラテジストは「投与をつづければ既存の薬と同等の減量効果を得られると期待させる結果で、中外製薬がロイヤルティー収入を得られる確度が高まった」とみる。
経口薬は服薬利便性が高く、発売につながれば一定のシェアを獲得できるとの期待が高まっている。モルガン・スタンレーMUFG証券の村岡真一郎株式アナリストは17日付のリポートで今回の治験結果について、「利益確定売りのサインではなく、もう一段の期待上昇につながるポジティブ材料と考える」との見方を示していた。
東証、ゼンムテック株の信用取引に関する臨時措置[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 134文字 PDF有 書誌情報]
東証、ゼンムテック株の信用取引に関する臨時措置 委託保証金率を21日売買分から50%以上(うち現金20%以上)とする。日証金も同日以降、貸借取引自己取引分および非清算参加者ごとの清算取次貸借取引自己取引分にかかる貸借担保金率を現行30%から50%(同20%)とする。
日証金、シャルレ株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
日証金、シャルレ株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。21日約定分から。
銘柄管理情報=商号変更[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
▽商号変更=〔東証スタンダード〕ダイハツディーゼルは5月2日からダイハツインフィニアース(ダイハツイン)
東証、制限値幅を拡大[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 住友ファーマ株を上限のみ600円に拡大。21日に実施。
日証金、Rフィールド株の貸借取引で注意喚起[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
日証金、Rフィールド株の貸借取引で注意喚起 貸株利用などで。18日付。
東証、GMOインタ株を日々公表銘柄に指定[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
東証、GMOインタ株を日々公表銘柄に指定 21日から。
18日の相場表変更[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
▽上場廃止=〔名証ネクスト・整理〕ギガプライズ
2つの物産株、逆行高 神戸と大黒天、関税不況、賃上げ継続懸念 節約志向で業績好調(スクランブル)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1769文字 PDF有 書誌情報]
株式相場が乱高下する中、2つの「物産」株が逆行高の動きをみせている。「業務スーパー」を展開する神戸物産と、ディスカウントストア「ラ・ムー」を運営する大黒天物産だ。トランプ関税に伴う景気懸念で節約志向の高まりに拍車がかかる消費者を、値ごろ感でひき付ける。2銘柄の物色の背後には投資家の不安が透ける。
「最近すごく強いですよね。利幅がとれるようなよい動きをしていますよ」。こう語るのは、短期売買を得意とする10代の男性投資家。目下、神戸物産株に高い関心を寄せているという。
トランプ米政権が相互関税を発表した4月2日以降、東京株式市場は荒れた。7日には歴代3番目の下げ幅(2644円安)、10日には同2番目の上げ幅(2894円)を記録。乱高下におののいた投資家は、食品や小売りといった米関税政策の影響が及びづらい内需株に資金を振り向けた。
中でも「物産」株が強さをみせた。日経平均株価が2日終値から3%安となる中、神戸物産は2日終値からの上昇率が26%と、東証の業種別株価指数「卸売業」の中で2位を走る。大黒天物産も同18%と、食品小売り銘柄の中でトップクラス。訪日客消費の恩恵を受ける三越伊勢丹ホールディングス(同13%安)や米国事業で稼ぐセブン&アイ・ホールディングス(同5%安)とは対照的に映る。
短期的には、円高・ドル安進行が逆行高を演出した。対ドルの円相場は一時1ドル=141円台と、3月末から8円以上円高・ドル安に振れた。海外から原材料を輸入するプライベートブランド(PB)商品が強みの神戸物産や大黒天物産は、「円高進行で仕入れコストが減り収益性が高まりやすい」(岩井コスモ証券の饗場大介シニアアナリスト)。
物色の根底には節約志向の高まりがある。みずほリサーチ&テクノロジーズ(みずほRT)が家計調査と消費者物価指数から算出した節約志向指数(6カ月移動平均)は、1月時点で8カ月ぶりの水準まで上昇した。コメや野菜の価格上昇が続き、消費者の財布のひもは再び締まりつつある。
ここに、トランプ関税に伴う景気減速懸念が追い打ちをかけた。みずほRTは、現状想定できる関税強化策で日本の国内総生産(GDP)は最大0・9%程度下がると予想する。酒井才介チーフ日本経済エコノミストは「製造業を中心に冬のボーナスは厳しい結果となるのではないか。消費者の節約志向はさらに高まりかねない」と語る。
消費者の不安心理の受け皿となっているのが、2つの物産だ。神戸物産の業務スーパーは、牛乳パックに詰めた1キロサイズの水ようかんなど独自の大容量・低価格PBが人気を集める。大黒天物産が展開するラ・ムーも、1パック100円のたこ焼きに代表される破格の安さで競合から顧客を奪う。両店舗とも簡素な内装でコストを下げ、安値を実現している。2社とも今期は過去最高益の更新を見込む。
UBS証券の風早隆弘シニアアナリストは残業代などの所定外賃金や2026年3月の春季労使交渉(春闘)に注目する。鈍い賃上げで個人消費のピークアウトが意識されれば「(徹底した安売りを実現する)ディスカウンター優勢の構図が強まっていくだろう」と話す。
イオンは2日、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」商品で75品目を値下げすると発表した。消費者心理が弱含む中、小売り最大手の一角が鳴らした値下げ競争の号砲ともいえる。この先、価格競争への耐性で小売業者の選別は進む。
日経平均が2024年8月5日に前週末比12%と急落する中、大黒天物産は2%安、神戸物産は横ばいと踏みとどまった。東京海上アセットマネジメントのクオンツ運用グループ担当者は「暴落時に逆行高となった銘柄は投資家の記憶に残り、次の暴落時に避難先として買われるケースが多い」とみる。3月末にかけてオービックや神戸物産の組み入れ比率を高めたという。
「(米関税政策による)世界経済の減速は日本にデフレ圧力として効いてくる」と大和証券の鈴木雄大郎エコノミストは指摘する。今回、トランプ関税で相場が荒れる中、スーパーディスカウンターといえる神戸物産や大黒天物産が再び注目を集めた。市場は政府・日銀が掲げる賃金と物価の好循環が不発に終わり、消費者が値上げを受け入れない状況に戻るシナリオを警戒し始めた可能性がある。
(田村峻久)
政府の真価を問う米国の関税(大機小機)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 918文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策を受け世界の金融市場が大きく揺れている。多くの国がトランプ政権との交渉に臨む。日本政府にも国民生活と経済を守るため、最善の努力をしてほしい。
参議院選挙を控える中で難しいが、コメの関税引き下げも選択肢に含めて交渉すべきだろう。中間選挙を意識するトランプ大統領を動かすカードになりうる。日本の農業の生産性向上に寄与するし、コメ価格高騰を踏まえると消費者にも望ましい。
関税引き上げは米国が主導してきた貿易制度を維持できなくなった象徴であるとも言える。従来の枠組みが制度疲労を起こしている。ブレトンウッズ体制が1971年のニクソン・ショックから崩れる展開と似ている面がある。為替の変動相場制が動き出すまでに約1年半を要した。その後も不安定な為替相場や原油価格上昇を受けて、企業や社会は改革を強いられた。
現在、二国間交渉だけでは問題を解決できない。日本が満足できる交渉結果を得たとしても、トランプ政権はさらに要求を突きつけるかもしれない。既に為替政策や非関税障壁が議論されている。国際経済を支える新しい枠組みを構築する必要があるが、経済力が低下した米国が満足する制度を作ることは難しい。
民主主義の価値観や安全保障を踏まえれば日本にとって米国との関係が基本となるが、多くの主要国との連携を模索すべきだ。中国とも良好な関係を築く努力も重要だ。
翻って国内政策を考えると、国難という言葉を盾にして安易に給付金や減税に頼るべきではない。給付金はコロナ禍で必要であったが、防衛費の負担増などの可能性を鑑みれば、増税を伴わない限り、持続的ではない。雇用情勢が逼迫する中で短期的な景気浮揚策は望ましくない。
長期的視点から日本経済の生産性を高める政策が求められる。人口減少社会の課題の克服は、国際社会で存在感を維持する条件である。改革には痛みが伴うが、日本に有利な展開も想定される。米国の移民規制は優秀な海外人財を受け入れる好機になりうる。
関税引き上げは米国経済へのマイナス影響が大きい。相互関税引き上げの90日間保留をみると、支持率と債券市場に弱いトランプ政権の体質が明らかになった。日本政府の真価が問われている。(中庸)
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 785文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
大豊建設(1822)
25.3 1433 5166 3627
サンユー建設(1841)
1株配(円) 25.3予=30.0 (24.3=30.0)
中外炉工業(1964)
25.3 362 3000 2995
ファンコミュニケーションズ(2461)
1株配(円) 25.1-6予=記8.0〓25.12予=記27.0 (24.12=19.0)
WDI(3068)
25.3 319 700 930
■星野リゾート・リート投資法人(3287)
25.10 86 3512 3511
1口分配(円) 25.10予=6000.0
丸尾カルシウム(4102)
25.3 128 195 139
エーアイ(4388)
25.3 14 130 ▲15
1株配(円) 25.3予=0 (24.3=0)
■シキノハイテック(6614)
25.3 65 54 ▲7
フォースタートアップス(7089)
25.3 36 445 350
■今村証券(7175)
25.3 41 1018 760
GMOフィナンシャルホールディングス(7177)
25.1-3 129 3569 2504
安永(7271)
25.3 314 950 750
1株配(円) 25.3予=13.0 (24.3=12.0)
いちよし証券(8624)
25.3 188 2406 1564
岩井コスモホールディングス(8707)
25.3 257 9150 6725
1株配(円)〓25.3予=145.0 (24.3=120.0)
アイザワ証券グループ(8708)
25.3 205 2571 3172
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 602文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
ゲンダイエージェンシー(2411) 6.25
24.3 74 262 125 10.2 18.0
25.3 76 416 358 29.2 20.0
26.3予 78 550 370 30.1 21.0
スターシーズ(3083) 5.23
24.2 55 ▲155 ▲332 ― 0
25.2 51 ▲360 ▲530 ― 0
26.2予 60 180 120 28.6 5.0
■ザイマックス・リート投資法人〓(3488) 5.26
24.8 16 831 830 3327.0 3328.0
25.2 18 931 930 3728.0 3728.0
25.8予 17 789 788 3159.0 3160.0
アジュバンホールディングス(4929) 6.12
24.3 44 17 ▲99 ― 12.0
25.3 40 135 40 5.1 12.0
26.3予 43 127 73 9.1 12.0
ラピーヌ(8143) 5.29
24.2 23 ▲314 ▲321 ― 0
25.2 20 ▲134 ▲134 ― 0
26.2予 21 ▲280 ▲255 ― 0
■光世証券(8617) 6.26
24.3 14 440 377 39.9 17.0
25.3 5 ▲463 ▲466 ― 5.0
株式 続伸、ディフェンシブ株物色(市場往来)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
18日の東京株式市場で日経平均株価は続伸。終値は前日比352円68銭(1.03%)高の3万4730円28銭。医薬品をはじめとするディフェンシブ株を循環物色する動きが広がり、指数を押し上げた。東京市場は先回りでトランプ米政権の相互関税による悪影響を織り込み、株価水準を切り下げていたとあって、値ごろ感に着目した買いも入りやすかった。もっとも上値追いの動きは限られた。
東電HD、ミスミG、フジHD、東エレク(注目株概況)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 142文字 PDF有 書誌情報]
関税の影響を受ける輸出株が手がけづらいなか、見直し買いが入りやすかった。
発表した米国企業の完全子会社化で、財務負担が高まるとの警戒感が広がった。
社外取締役に関する株主提案について「真摯に検討する」との声明を好感。
米関税政策や半導体規制の影響が読めないことが、投資家心理の重荷となった。
為替 反発、142円39~40銭(市場往来)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は反発。午後5時時点は1ドル=142円39~40銭と前日の同時点に比べ50銭の円高・ドル安だった。日米両政府が22日に財務相会合を開くと伝わり、相場を支えた。
金利 10年債利回り、1.285%に低下(市場往来)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは低下(価格は上昇)。前日比0.020%低い1.285%で取引を終えた。新年度入りに伴う買いが入ったとの観測があった。
商品 金続伸、不透明感根強く(市場往来)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で、金が小幅ながら4日続伸。米関税政策や世界景気の先行きに対する不透明感が根強く、実物資産の裏付けがあり「安全資産」とされる金先物に買いが優勢となった。
<数表>財務短信[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 78文字 PDF有 書誌情報]
ミライロ(335A)
第三者割当増資=34万5100株に確定
ENEOSホールディングス(5020)
自己株式消却=3億2608万4100株(4月25日予定)
日産自動車(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 150文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車
(6月)取締役、執行役社長兼最高経営責任者イヴァン・エスピノーサ▽同、執行役兼チーフテクノロジーオフィサー赤石永一▽同、フォルビア取締役ヴァレリー・ランドン▽同、ティモシー・ライアン▽退任(取締役)ジャンドミニク・スナール▽同(同)ピエール・フルーリォ▽同(同)内田誠▽同(同)坂本秀行
中本パックス(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 147文字 PDF有 書誌情報]
中本パックス
(5月27日)常務執行役員、取締役プロダクト事業本部生産事業部長栗山浩幸▽取締役、久保俊裕▽同、古谷礼理▽顧問(専務パッケージング事業本部長)木戸弘▽常務執行役員(取締役)管理本部長羽渕英彦▽同パッケージング事業本部長(同関西営業)吉田剛治▽退任(取締役)白井操▽同(同)南信男
サックスバーホールディングス(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 126文字 PDF有 書誌情報]
サックスバーホールディングス
(6月24日)代表取締役兼社長執行役員(社長)木山剛史▽取締役兼専務執行役員(常務)山田陽▽常務執行役員、取締役小島康弘▽執行役員、同田代博泰▽取締役、川辺伸之▽退任(取締役)田村純男▽同(同)嶋村毅▽執行役員、野田章文
ゲンダイエージェンシー(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 97文字 PDF有 書誌情報]
ゲンダイエージェンシー
(6月25日)CFO、取締役両角正人▽取締役兼CCO、CHO黒子好章▽取締役、谷口辰成▽監査役、一色真司▽退任(代表取締役)上川名弦▽同(取締役)高秀一▽同(同)姜理恵
NIPPONEXPRESSホールディングス(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 83文字 PDF有 書誌情報]
NIPPON EXPRESSホールディングス
(5月1日)海運フォワーディング兼NXグローバルオーシャンネットワーク社長、航空フォワーディング・Ionut・Mare
NITTOKU(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
NITTOKU
(6月26日)取締役、常務執行役員鹿目守夫▽同、西江佐千由▽常勤監査役、上竹繁幸▽退任(取締役)久能均▽同(常勤監査役)秋山由光
オカダアイヨン(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 69文字 PDF有 書誌情報]
オカダアイヨン
(6月20日)取締役管理部門副担当(執行役員)総務・岡本巌▽取締役、帆足寿味子▽退任(常務)川島政浩▽同(取締役)古田均
ハイデイ日高(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 68文字 PDF有 書誌情報]
ハイデイ日高
(5月27日)取締役、執行役員行田工場長島崎幸司▽同、斉藤三希子▽同、平栗敬子▽退任(取締役)赤地文夫▽同(同)渋谷道夫
マルエツ(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 66文字 PDF有 書誌情報]
マルエツ
(4月21日、地名は店長、MPはマルエツプチの略)MP芝二丁目(MP新小岩)鈴木麻衣▽MP新小岩(MP芝二丁目)宮本伸裕
エーアイテイー(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 58文字 PDF有 書誌情報]
エーアイテイー
(5月21日)取締役、北岡侑子▽監査役、大久保幸治▽退任(取締役)成田彦一郎▽同(監査役)三村淳司
システムインテグレータ(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
システムインテグレータ
(5月28日)取締役、小泉智之▽常勤監査役、吉田邦彦▽退任(監査役)田中彰
杉本商事(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
杉本商事
(6月18日)監査役、伊与政元治▽同、河野喜次▽退任(監査役)伴純之介▽同(同)梅野外次
ウエルシアホールディングス(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
ウエルシアホールディングス
(5月27日)会長(代表取締役兼会長執行役員兼最高経営責任者)池野隆光
竹内製作所(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
竹内製作所
(5月23日)製造部担当(戸倉工場担当)取締役渡辺孝彦
リソー教育(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
リソー教育
(5月23日)監査役、渋佐寿彦▽顧問(監査役)阿部一博
JRC(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
JRC
(5月28日)取締役、上原千尋▽退任(取締役)橋森有紀
システムサポートホールディングス(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 30文字 PDF有 書誌情報]
システムサポートホールディングス
(9月)取締役、白江早苗
協和医科器械(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 30文字 PDF有 書誌情報]
協和医科器械
(4月21日)経営管理本部長、取締役芥川浩之
エスエルディー(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
エスエルディー
(5月28日)取締役、刑部孝一
セイヒョー(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 22文字 PDF有 書誌情報]
セイヒョー
(5月28日)取締役、崎山淳子
ミモナ(会社人事)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 22文字 PDF有 書誌情報]
ミモナ
(4月18日)退任(取締役)藤本剛
<数表>公社債投信基準価格[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 15ページ 509文字 PDF有 書誌情報]
公社債投信基準価格 ( 17 日・円)
野村 三菱U 日興 大和 みずほ 太陽
1月 10010 9997 10005 10008 10005 10007
2月 10007 10003 10004 10006 10004 10005
3月 10003 10008 10002 10003 10002 10002
4月 10019 10005 10013 10022 10016 10018
5月 10021 10005 10013 10021 10015 10017
6月 10019 10000 10011 10020 10014 10016
7月 10019 9997 10010 10019 10013 10016
8月 10018 9995 10010 10017 10013 10015
9月 10017 9995 10009 10016 10011 10013
10月 10014 9999 10008 10014 10010 10012
11月 10013 9997 10008 10012 10009 10011
12月 10012 9997 10007 10011 10007 10008
<数表>4月18日(市場体温計)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 16ページ 2627文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 34730円28銭(+352円68銭)
騰落率= +1.025%
東証株価指数(TOPIX) 2559.15 (+28.92)
騰落率= +1.142%
売買代金 3301525百万円 (-439569百万円)
売 買 高 147621万株 (-9013万株)
売買単価 2236.4円
売買高上位10銘柄の占有率 37.0%
〓-〓 上場銘柄数 1637 値上がり 1496 〓-〓
売買成立 1637 値下がり 120 変わらず 20
新値株 (年初来) 高 値 113 安 値 2
騰落レシオ(25日移動平均) 100.12%
時価総額 8904076億円 (+118264億円)
普通株式数(百万株) 499733 1株当たり時価(円) 1781.76
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 14.07 ( 15.10 ) 1.29 2.30 ( 2.02 )
JPX日経400採用銘柄 13.93 ( 14.44 ) 1.39 2.36 ( 2.18 ) 2.59 ( 2.27 )
東証プライム全銘柄 14.05 ( 15.11 ) 1.24 2.71 ( 2.42 ) 2.58 ( 2.26 )
東証スタンダード全銘柄 13.56 ( 15.52 ) 0.99 2.69 ( 2.55 ) 2.43 ( 2.49 )
東証グロース全銘柄 37.48 ( 161.97 ) 3.21 0.86 ( 0.76 ) 0.62 ( 0.55 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.11 %
前期基準 6.61 %
18
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 552.34 ( +7.08)
日経500種平均株価 3093円23銭 ( +35円54銭)
日経平均高配当株50指数 64677.90 ( +808.50)
日経連続増配株指数 47931.25 ( +678.30)
日経累進高配当株指数 43623.79 ( +658.30)
日経半導体株指数 6966.60 ( -49.10)
日経平均内需株50指数 27284.03 ( +332.56)
日経平均外需株50指数 32165.42 ( +54.11)
日経平均トータルリターン 62569.03 ( +635.38)
日経平均VI先物指数 6299.85 ( -2.49%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2538円49銭 ( +44円49銭)
東証規模別株価指数
大型 2498.35 ( +24.16)
中型 2766.76 ( +33.83)
小型 4385.52 ( +96.46)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1623.05 (-3.86)
…
ド ル/円 1 ド ル = 142.39~142.40円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 161.90~161.94円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1369~1.1373ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3276.7304 (-3.6108)
韓国総合(韓国) 2483.42 (+13.01)
ハンセン(香港) 休 場
加権(台湾) 19395.03 (+56.30)
VN(ベトナム) 1219.12 (+1.87)
クアラルンプール総合 1499.40 (+16.13)
ST(シンガポール) 休 場
ジャカルタ総合 休 場
SET(タイ) 1150.95 (+9.67)
オールオーディナリーズ(豪) 休 場
新発10年国債利回り 1.285% ( -0.020)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( +0.001)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15350 円 (+9円)
ドバイ原油(1キロリットル) 55950 円 (+1310円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
661.68 (+5.97)
工業品 668.49 (+6.31)
始値 34353円88銭 高値 34758円97銭 ( 14時21分 )
午前終値 34583円29銭 安値 34224円57銭 ( 9時12分 )
JPX日経 インデックス400 23225.22 (+256.74)
JPX日経中小型 18382.60 (+414.40)
日経気候変動指数 34463円26銭 (+362円03銭)
JPXプライム150指数 1121.50 (+10.53)
東証プライム市場指数 1317.03 (+14.86)
東証スタンダード市場指数 1248.40 (+19.88)
東証グロース市場指数 853.17 (+28.34)
東証グロース市場250指数 669.96 (+24.10)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1715.58 (+0.74)
日経ESG―REIT指数 955.24 (+0.49)
日経高利回りREIT指数 1229.50 (-0.74)
……………………………………………………………………
日経平均VI 31.42 (-0.68)
日経配当指数(2025年) 22円03銭
<数表>4月18日商品先物[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 16ページ 5715文字 PDF有 書誌情報]
( 18 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 15226 15265 15032 15265 △ 6
6月 15259 15299 15019 15266 ▲ 2
8月 15281 15324 15041 15300 △ 6
10月 15286 15324 15040 15294 ▲13
12月 15303 15358 15057 15312 △ 6
2月 15339 15396 15094 15350 △ 9
《金ミニ》(1グラム)
4月 15214.5 15214.5 15214.0 15265.0 △6.0
6月 15256.0 15256.0 15105.0 15266.0 ▲2.0
8月 15273.5 15300.0 15145.0 15300.0 △6.0
10月 15288.5 15289.0 15052.0 15294.0 ▲13.0
12月 15299.5 15349.5 15050.0 15312.0 △6.0
2月 15330.0 15391.0 15092.0 15350.0 △9.0
《金限日》(1グラム)
15630 15678 15400 15243 ▲ 4
《白金》(1グラム)
4月 4395 4425 4377 4425 △28
6月 4391 4420 4365 4420 △30
8月 4380 4413 4357 4413 △13
10月 4405 4422 4357 4420 △21
12月 4411 4426 4355 4426 △15
2月 4387 4410 4330 4410 △30
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4394.0 4400.0 4394.0 4425.0 △28.0
6月 ― ― ― 4420.0 △30.0
8月 4403.0 4415.0 4403.0 4413.0 △13.0
10月 ― ― ― 4420.0 △21.0
12月 4373.5 4419.0 4373.5 4426.0 △15.0
2月 4384.5 4401.5 4333.0 4410.0 △30.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4461 4488 4410 4423 △30
《銀》(1グラム)
4月 ― ― ― 145.0 0
6月 ― ― ― 147.0 0
8月 ― ― ― 148.0 0
10月 ― ― ― 148.0 0
12月 ― ― ― 149.0 0
2月 ― ― ― 153.0 0
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4400 0
6月 ― ― ― 4400 0
8月 ― ― ― 4400 0
10月 ― ― ― 4400 0
12月 ― ― ― 4400 0
2月 ― ― ― 4400 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 161.00 △4.85
6月 ― ― ― 159.45 △4.70
7月 ― ― ― 158.20 △4.65
8月 ― ― ― 156.95 △4.55
9月 ― ― ― 154.30 △4.45
10月 ― ― ― 153.35 △4.35
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 61810 61810 61810 61810 ▲240
5月 60420 61520 60420 61520 △1400
6月 59690 60420 59690 60300 △1290
7月 58160 59910 58160 59910 △1850
8月 57390 58980 57390 58980 △1690
9月 56820 58390 56600 58390 △1640
10月 57900 57900 57900 57900 △1930
11月 ― ― ― 57490 △1570
12月 ― ― ― 57130 △1530
1月 ― ― ― 56860 △1500
2月 ― ― ― 56620 △1440
3月 ― ― ― 56450 △1410
4月 ― ― ― 56290 △1390
5月 ― ― ― 56120 △1350
6月 ― ― ― 55950 △1310
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90600 △200
6月 ― ― ― 90200 △200
7月 ― ― ― 89800 △200
8月 ― ― ― 89400 △200
9月 ― ― ― 89000 △200
10月 ― ― ― 88500 △200
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 293.9 295.3 293.9 295.3 ▲0.8
5月 295.3 295.3 291.3 295.3 △4.3
6月 292.4 294.0 292.0 292.0 △1.5
7月 292.3 292.3 291.7 291.7 ▲0.5
8月 294.0 294.0 289.5 291.5 ▲0.2
9月 294.0 294.4 288.9 290.9 ▲1.2
10月 ― ― ― 292.0 0
11月 ― ― ― 292.0 0
12月 ― ― ― 292.0 0
1月 ― ― ― 293.0 0
2月 ― ― ― 293.0 0
3月 ― ― ― 293.0 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 236.0 0
6月 ― ― ― 236.0 0
7月 ― ― ― 237.0 0
8月 ― ― ― 237.0 0
9月 ― ― ― 237.0 0
10月 ― ― ― 237.0 0
11月 ― ― ― 237.0 0
12月 ― ― ― 238.0 0
1月 ― ― ― 238.0 0
2月 ― ― ― 238.0 0
3月 ― ― ― 238.0 0
4月 ― ― ― 238.0 0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 39600 0
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 12.03 ▲0.10
5月 ― ― ― 11.00 ▲0.02
6月 ― ― ― 12.14 △0.06
7月 ― ― ― 14.51 △0.99
8月 ― ― ― 15.69 △1.08
9月 ― ― ― 14.78 △1.07
10月 ― ― ― 12.85 △0.16
11月 ― ― ― 13.05 △0.14
12月 ― ― ― 14.94 △1.65
1月 ― ― ― 15.04 △1.70
2月 ― ― ― 14.99 △1.65
3月 ― ― ― 11.37 △0.25
4月 ― ― ― 11.66 △0.15
5月 ― ― ― 11.39 △0.15
6月 ― ― ― 12.34 △0.15
7月 ― ― ― 13.56 △0.16
8月 ― ― ― 15.67 △0.15
9月 ― ― ― 13.30 △0.15
10月 ― ― ― 11.82 △0.15
11月 ― ― ― 12.52 △0.15
12月 ― ― ― 13.59 △0.15
1月 ― ― ― 14.31 △0.17
2月 ― ― ― 13.59 △0.17
3月 ― ― ― 11.68 △0.18
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.59 ▲0.04
5月 ― ― ― 8.42 ▲0.09
6月 ― ― ― 9.78 △0.02
7月 ― ― ― 12.25 △0.13
8月 ― ― ― 13.07 △0.07
9月 ― ― ― 12.22 △0.15
10月 ― ― ― 9.99 △0.10
11月 ― ― ― 10.34 △0.09
12月 ― ― ― 10.98 △0.16
1月 ― ― ― 12.78 △0.02
2月 ― ― ― 11.95 ▲0.03
3月 ― ― ― 9.26 ▲0.06
4月 ― ― ― 9.62 △0.09
5月 ― ― ― 9.45 △0.09
6月 ― ― ― 10.23 △0.09
7月 ― ― ― 10.98 △0.07
8月 ― ― ― 12.67 ▲0.01
9月 ― ― ― 10.96 △0.08
10月 ― ― ― 9.83 △0.07
11月 ― ― ― 10.69 △0.08
12月 ― ― ― 11.98 △0.09
1月 ― ― ― 12.69 △0.06
2月 ― ― ― 11.98 △0.06
3月 ― ― ― 10.28 △0.06
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 27984 40747
金ミニ 14584 7721
金限日 2770 42459
白金 4907 29626
白金ミニ 624 2341
白金限日 1456 39532
銀 0 135
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2584 26275
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 123 3491
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 1680 10202
電力西ベース 0 754
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 9197 50603
堂島白金 92 2183
堂島銀 4 1385
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15350.0 15350.0 15070.0 15250.0 ▲35.2
《白金》(1グラム)
4453.1 4453.1 4435.0 4448.6 △4.4
《銀》(1グラム)
159.54 159.54 159.54 159.54 △10.16
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月17日エネルギー・環境市場[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 16ページ 3508文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 18 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 9577
ソシエテ 6608
サスケハナ 2262
バークレイ 1828
野 村 954
Gサックス 936
Jモルガン 908
SBI証 901
日産証 831
楽天証 778
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.80 141.00 141.21 140.71 141.08 0.24
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.341 16122 131925 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
142.00 0.19 ― 10 16 138.00 ― ― ― 25
142.25 ― ― ― ― 138.25 ― ― ― 30
142.50 ― ― ― 30 138.50 ― ― ― 26
142.75 ― ― ― 42 138.75 ― ― ― 10
143.00 ― ― ― 30 139.00 0.06 -0.02 10 56
合計 10 198 合計 10 327
HV(年率) 6月 8.2
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.522 0 0 772
25 /6 99.451 +0.005 1751 642
25 /9 99.437 +0.005 1354 676
25 /12 99.410 +0.005 0 112
合計 3105 3390
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5200 -0.0025 0 29868
25 /6 99.4725 +0.0025 0 12875
25 /9 99.4550 +0.0275 48 12692
25 /12 99.3950 +0.0025 5 9048
合計 74 71828
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2534.0 2540.0 2565.5 2525.5 2565.5 +30.5 38834 417749
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 1600
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 641 648 668 638 663 +23 6533 31173
25 /9 629 637 653 627 653 +28 67 458
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 34430 34450 34830 34270 34830 +400 28900 179019
25 /9 34450 34500 34750 34320 34750 +330 157 5581
25 /12 34300 34300 34550 34300 34550 +450 10 20847
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 34430 34450 34830 34270 34830 +400 525517 298603
25 /9 34415 34470 34805 34250 34805 +395 13334 8381
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 34435 34475 34830 34265 34830 +400 436022 65722
25 /9 34430 34450 34805 34250 34805 +395 14684 7775
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 34425 34545 34860 34265 34850 +450 14107 72834
25 /9 34570 34570 34825 34570 34815 +445 6 107
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 23000 23095 23295 22945 23295 +265 2672 52341
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 34500 ― 0 5月 29.35 -0.85 2 181
25 /9 ― 34500 ― 0 6月 ― ― ― 18
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 778.0 ― 1334 25年 780.6 778.7 11 4298
26年 ― 743.0 ― 1334 26年 ― 747.9 ― 2382
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 34500 1005 +190 254 1658 1400 +70 209 2017 1790
34625 840 +85 13 19 ― ― ― 3 ―
34750 835 +145 46 1211 1245 +15 5 4 ―
34875 745 +145 47 41 1155 +100 2 52 ―
35000 715 +130 2093 4039 1265 +210 83 4969 ―
35125 660 +150 24 391 1070 +90 1 43 ―
35250 610 +135 241 520 1130 +190 4 347 ―
35375 535 +135 12 38 955 +50 2 20 ―
35500 500 +115 441 1446 1035 +200 23 2435 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 34000 545 -185 164 4162 1095 -180 26 4536 ―
34125 655 -330 10 13 ― ― ― 3 ―
34250 660 -220 142 691 ― ― ― 144 ―
34375 855 -40 4 8 ― ― ― 3 ―
34500 710 -280 154 923 1305 ― 33 1932 ―
34625 825 ― 9 8 ― ― ― ― ―
34750 825 ― 20 636 1590 -85 1 22 ―
34875 ― ― ― 7 ― ― ― 20 ―
35000 1040 -160 18 2066 1490 ― 1 7078 ―
総売買高コール 28927 枚 プット 21735 枚 日経平均HV 55.4
当日総建玉コール 319660 枚 プット 482324 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.95
ドイツ(1MWh、ユーロ) 69.55
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 12.050
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.900
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) 65.06
( 17 日)
<数表>4月18日外為市場[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1795文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 143.46 141.25
5月〃 143.27 140.74
6月〃 142.79 140.24
7月〃 142.34 139.75
8月〃 141.87 139.30
9月〃 141.43 138.82
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 143.46 143.53
ユーロ 163.28 163.57
カナダドル 104.48 104.38
英ポンド 193.29 192.38
スイスフラン 174.65 175.68
デンマーククローネ 21.97 22.00
ノルウェークローネ 13.90 13.78
スウェーデンクローナ 15.19 15.00
豪ドル 93.00 92.71
ニュージーランドドル 87.06 86.43
香港ドル 18.78 18.79
シンガポールドル 109.55 109.38
サウジアラビアリヤル 38.85 38.87
U.A.E.ディルハム 39.53 39.55
タイバーツ 4.36 4.38
インドルピー 1.83 1.83
パキスタンルピー 0.66 0.66
クウェートディナール 475.08 470.46
カタールリヤル 39.89 39.90
インドネシア100ルピア 0.97 0.97
メキシコペソ 8.23 8.15
韓国100ウォン 10.26 10.25
フィリピンペソ 2.65 2.68
南アフリカランド 9.06 9.06
チェココルナ 6.58 6.60
ロシアルーブル 1.99 1.97
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.10 39.11
▽みずほ銀
中国人民元 19.82 19.80
トルコリラ 5.54 5.54
台湾ドル(参考値) 4.38 4.40
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 25.55 25.34
( 18 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 142.39 ― 142.40 142.89 ― 142.91
寄付 142.34 ― 142.39 141.91 ― 141.93
高値 142.21 141.63
安値 142.45 142.92
中心 142.40 142.46
直物売買高 45億6700万 ドル
スワップ売買高 681億5500万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 84.19
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.6
米ドル 103.9
ユーロ 103.0
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 188.85~188.91円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 90.665~90.695円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 173.92~174.00円
カナダドル /円 1 カナダドル = 102.66~102.72円
NZドル /円 1 NZドル = 84.38~84.42円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3263 ― 1.3267
(1ポンド=ドル) ( 1.3240 ― 1.3244 )
スイスフラン 0.8180 ― 0.8184
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8176 ― 0.8180 )
豪 ド ル 0.6366 ― 0.6370
(1豪ドル=ドル) ( 0.6349 ― 0.6353 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.3039 ( 7.2980 )
日本円(100円=元) 5.1291 ( 5.1059 )
<数表>4月18日債券市場[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 72.18 -1.16
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.81
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.50
中国471(2年) 27/4 0.9 100.51
中国177(5年) 29/12 1.1 101.30
長国378(10年) 35/3 1.4 101.01
超長国191(20年) 44/12 2 96.06
超長国86(30年) 55/3 2.4 94.87
超長国17(40年) 64/3 2.2 84.05
物価連動29(10年) 34/3 * 101.00
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.44
政保政投銀64 30/6 0.09 95.70
東京都(公)807 30/6 0.1 95.53
大和ハウス23 30/9 0.3 95.34
キリンHD17 30/6 0.37 96.06
王子HD40 30/7 0.37 95.55
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.41
日本製鉄6 30/6 0.42 95.72
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.30
OLC18 30/9 0.29 95.11
IHI48 30/9 0.49 95.19
ダイキン27 30/9 0.26 95.05
NEC58 30/4 0.54 95.95
パナソニック25 30/9 1.051 98.47
SUBARU6 30/9 0.42 95.21
三井物産77 30/7 0.28 95.60
JR東日本153 30/7 0.23 95.52
三井不77 30/4 0.48 96.50
中部電力544 30/9 0.3 95.19
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.40
( 18 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.285 % -0.020
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.89
中 期 債 1.14
長 期 債 1.94
◇日経国債インデックス 0.957
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 21日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.91 0.390
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85 0.370
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.53 0.500
中 国471(2) 27/4 0.9 100.52 0.631
中 国157(5) 28/3 0.2 98.62 0.678
中 国167(5) 29/3 0.4 98.63 0.755
中 国177(5) 29/12 1.1 101.30 0.815
長 国362 31/3 0.1 95.56 0.871
長 国366 32/3 0.2 95.13 0.928
長 国370 33/3 0.5 96.01 1.025
長 国374 34/3 0.8 97.01 1.153
長 国377 34/12 1.2 99.48 1.257
超長国191 44/12 2.0 96.02 2.251
超長国(30)85 54/12 2.3 92.87 2.648
超長国(40)17 64/3 2.2 84.11 2.881
<数表>4月18日短期金融市場[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1199文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1299 回債 0.390 0.06
6カ月 1298 回債 0.385 0
1 年 1300 回債 0.540 0
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.495 0.485
1週間 0.459 0.458
1カ月 0.451 0.451
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.80091 0.80091
6カ月 0.85727 0.85727
1 年 0.80818 0.80818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49000 0.48750
6カ月 0.52156 0.52219
( 18 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 ― ―
2週間 ― ―
3週間 ― ―
1カ月 0.570 ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.595 ―
◇全国コール市場残高
( 17 日確報、億円) 117504
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月18日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/21 1632 1632 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/21 0 0
【4月17日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/18 2334 2334 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/18 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5380700 ( 4893700 )
◇資金需給予想( 21 日、億円、実質) 3700 余剰
<数表>4月18日株式市場、先物市場[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 16ページ 564文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 35866 19795
売買高上位10銘柄占有率(%)
66.5 37.6
売買代金(百万円) 86003 197208
売買単価(円) 239.7 996.2
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 612
売買成立 1544 608
値上がり 1130 473
値下がり 268 98
新値株(年初来) 高値 45 38
安値 2 0
時価総額(億円) 276256 78758
普通株式数(百万株) 31086 10641
1株当たり時価(円) 888.67 740.09
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 27351.60 +0.88%
カバードコールATM 19655.96 +0.51%
リスクコントロール 23082.21 +0.25%
レバレッジ 32220.05 +2.05%
インバース 914.54 -1.02%
ダブルインバース (01年末=100000)
251.39 -2.05%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 163558
売買代金(百万円) 325940
◇空売り比率(東証) 40.7 %
( 18 日)
中国→米 輸送1割減 コンテナ船、3月 駆け込み出荷一服、米関税引き上げで、4月はキャンセル急増[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1238文字 PDF有 書誌情報]
中国から米国へのコンテナ輸送量が減速している。3月は中国発の荷動きが前月比1割減となった。2月から3月にかけてトランプ米政権が発動した対中関税の影響とみられる。4月に入り関税率は145%まで引き上げられ、中国発の貨物にキャンセルが相次いでいるとの声がある。貿易戦争の激化で荷動きは一段としぼむ可能性が高い。
米調査会社デカルト・データマインによると、3月の中国発米国向けのコンテナ輸送量は、前月比11%減と落ち込んだ。ベトナム(前月比11%増)やタイ(同40%増)などからの輸送量は2月の実績を上回る中、輸送量で上位10カ国・地域のうち、中国と香港だけが前月を下回った。
3月のアジア発米国向けコンテナ輸送量は、前月比0・4%増の163万8375個(20フィートコンテナ換算)だった。
米国向けの荷動きは2024年後半以降、トランプ政権による関税強化をにらんだ駆け込み輸送で活発になっていた。1月の輸送量は同月として過去最高を記録している。米政権は2月4日に中国からのすべての輸入品に10%の追加関税を発動し、3月にはさらに10%上乗せした。こうした動きを受け、中国からの駆け込み出荷が鈍ったとみられる。
4月に入り、荷動きはさらに減速しているもようだ。中国に対する追加関税の税率は累計で145%まで引き上げられた。欧州系の大手コンテナ船会社によると「関税の大幅な引き上げを受け、中国発の貨物はブッキング(輸送予約)のキャンセルが急増している」という。
コンテナ貨物の追跡サービスを手掛ける米ビジョンによると、3月最終週(24~31日)に比べ4月第1週(1~8日)のコンテナ輸送予約量は大幅に減少した。中国から米国への輸送は前の週に比べ64%減ったという。同社は「関税関連の不確実性が高まるにつれ、予約量はリアルタイムで急減した」と指摘する。
荷動きは今後、減少傾向が続きそうとの見方が強まっている。駆け込み輸送で需要の先食いが起きていただけに、そうした需要が止まれば落ち込みが大きくなりそうだ。
全米小売業協会(NRF)が9日公表した米国のコンテナ輸入量の予測によると、5月以降は24年の実績を下回る。5月の輸入量は前年比20・5%急減する予測となっている。関税策の発表前に前年比2・8%増としていた予想が大幅に引き下げられた。25年通年では前年を15%以上下回るとみている。NRFのジョナサン・ゴールド副会長は関税引き上げに備えた前倒し出荷が「終わりを迎えた」としている。
米政権は中国以外の国には、大規模な相互関税の発動について90日間の一部凍結を決めた。これにより、ベトナムやインドなど中国以外の輸出国からは再び駆け込み出荷が起きるとの声も上がっている。ただ、アジアから米国へのコンテナ船輸送で中国発の割合は5割以上を占めるだけに、米中貿易戦争は全体の荷動きを大きく減速させることになる可能性がある。
【図・写真】中国発の米国向けのコンテナ輸送は減速している=ロイター
電力 円建て先物整備、三菱UFJ銀 副頭取に聞く、流動性向上に注力[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1076文字 PDF有 書誌情報]
大手銀として初めて東京商品取引所(TOCOM)の電力先物市場に参入した三菱UFJ銀行の関浩之取締役副頭取執行役員=写真=は日本経済新聞の取材に応じ、同取引所で「取引・清算の受託を担うことで、円建ての国内電力先物市場のインフラ整備に貢献する」と述べた。
現在、日本の電力先物は9割以上が流動性の高い欧州エネルギー取引所(EEX)で売買されている。関氏は「証拠金がユーロなどの外貨となるため、ユーロ・円の為替リスクの管理や、高いユーロの金利負担を市場参加者自身が負う必要がある」と課題を指摘する。
TOCOMは証拠金まで円建てで取引できるが、市場参加者と取引所との間に立って取引受託や清算受託を担える信用力が高い大手銀の参加がこれまで限定的だった。同行の参入により「事業者がTOCOMで取引しやすくなる。円建ての取引が増えることで国内電力市場の流動性向上と供給の安定を図ることができる」と強調する。実際、TOCOMの今年3月の月間取引高は、同行の取引開始前の25倍に増加し、流動性向上の効果は表れ始めている。
関氏は電力を市場で取引する意義を「価格の透明性と予見性が高まり、企業や消費者による計画的な経済活動が可能になる」ことだと語った。
電力市場が未成熟で流動性が低いことから、電力事業者の中には、投機筋による価格のつり上げなどへの懸念もある。関氏は「多くの参加者が、多くの取引を、大きな規模で継続的に取引できる市場インフラを整えることが必要だ」と述べた。
電力価格は最終的に現物の価格に収斂(しゅうれん)するため「先物取引の投機的な動きのみで、現物価格が大きく変動する可能性は低いと思われる」とも説明。特に先物は必要証拠金に加え、相場が大きく動けば、多額の追加証拠金が必要となる。株や為替に比べ「相対的に投機的な動きを仕掛ける難易度は高い」。
同行は先物市場への参入とともに、卸電力のオンライン取引所を運営するenechain(エネチェイン、東京・港)の子会社eClear(イークリア)への出資を通じて、間接的に電力の現物市場にも参入している。狙いについて「現物市場と先物市場をひも付けて、電力市場全体の裾野を広げたい」と描く。
三菱UFJ銀として「将来的に年間数十億円程度の収益」を見込んでいる。「電力市場を発展させるために流動性を向上させる取り組みに徹底的に注力することで、結果として収益にもつながっていく」との認識を示した。「電力市場の成長メリットを享受しながら、競争力の強化と社会課題の解決に貢献していきたい」と力を込めた。
(聞き手は浜美佐)
世界半導体販売17%増、2月 米で生成AI需要続く[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 17ページ 469文字 PDF有 書誌情報]
米国半導体工業会(SIA)が発表した2月の世界半導体販売額は、前年同月比17・1%増の549億2千万ドルだった。米国で生成AI(人工知能)関連の需要が続き、販売額を押し上げた。前年同月比での増加は16カ月連続となった。
主要な半導体メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)がとりまとめ、SIAが発表した。2月としては過去最高の販売額だった。
地域別では、米州が前年同月比48・4%増の186億4千万ドルと、全体の伸びをけん引した。欧州は8・1%減の40億1千万ドル、日本は5・1%増の37億8千万ドル、中国は5・6%増の150億6千万ドル、日中を除くアジア太平洋・その他は10・8%増の134億2千万ドルだった。
世界半導体販売額は2022年秋に前年同月比でマイナスに転じた。新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり消費の反動でパソコン(PC)やスマホの販売が落ち込んだためだ。
その後は、半導体メモリー各社の減産などで需給が引き締まり価格が上昇したことで、再びプラス圏に浮上した。
23年11月以降は前年同月比のプラスが続いている。
内航貨物輸送2%減、2月 悪天候で鉄鋼低迷[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 17ページ 433文字 PDF有 書誌情報]
日本内航海運組合総連合会(東京・千代田)がまとめた2月の内航貨物輸送量は、前年同月比2%減の1559万トンとなった。悪天候の影響で主要貨物である鉄鋼の輸送量が9%減の274万トンと落ち込んだ。海上のしけや低気圧の発生で、計画通りの輸送ができなかったという。
石灰石やスラグなどの原料は15%減の317万トンだった。石炭やコークスなどの燃料も3%減の158万トンとなった。需要低迷が続くセメントの輸送は9%減の194万トンだった。
一方、自動車の輸送量は25%増の396万トンと大幅に伸びた。前年同月の輸送量は大手自動車メーカーの認証不正問題の影響で落ち込んでいたため、反動増となった。23年同月との比較では9%少ない水準にとどまる。
一般雑貨や内航コンテナを対象とする雑貨は横ばいだった。同連合会によると「一般雑貨については4月からの食品などの値上げラッシュもあり、値上げ前の駆け込み需要が一定程度見られた」という。紙・パルプは紙などの輸送が増えて4%増となった。
関東の古紙在庫 3月末6.3%増[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 17ページ 339文字 PDF有 書誌情報]
古紙の流通事業者でつくる関東製紙原料直納商工組合(東京・台東)がまとめた3月末の古紙在庫(32社分)は、段ボール・新聞・雑誌の3品合計で前月末比6・3%増え3万1550トンだった。増加は3カ月ぶり。
年度末で企業や家庭から発生量が増加。仕入れ量が12・1%増で出荷量の伸びを上回っている。種類別の在庫は主力の段ボール古紙が2・7%増の1万6174トンとなるなど3品とも増加した。昨年末に積み上がった在庫の整理が進んでいたが、再び増加に転じた。
3品合計の在庫率は16・8%で適切といわれる15%より多いが、主力の段ボール古紙だけでみると11・9%で、やや品薄感がある。新聞古紙や雑誌古紙の在庫率は30%前後。製紙会社の生産調整を受けた原料需要の停滞を背景に高水準が続いている。
<数表>4月18日卸売市場(主要相場)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 17ページ 7372文字 PDF有 書誌情報]
18 日
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4570頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=強もちあい上場408頭
和牛雌A ― 1878 2137 2292 2507
和牛雌B ― ― ― 2237 2159
和牛去勢A ― 1871 2037 2315 2680
交雑種雌B ― 1529 1590 1719 ―
交雑種去勢B ― 1528 1608 1774 1904
乳牛去勢B ― 1181 ― ― ―
▽搬入物 上場223頭
和牛雌A ― 1335 1436 1623 2501
和牛雌B 1080 1312 1396 1397 ―
和牛去勢A ― ― 1835 2111 2412
交雑種雌B ― 1457 1486 1556 ―
交雑種去勢B ― 1469 1568 1727 ―
乳牛雌C 872 898 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場120頭
和牛雌A ― ― ― 2329 2517
和牛雌B ― ― 2052 2054 2206
和牛去勢A ― ― 2062 2244 2597
交雑種雌B ― 1484 1595 1804 1918
交雑種去勢B ― 1480 1609 1772 ―
◇仙台=もちあい上場35頭
和牛雌A ― 1165 1310 ― 2543
和牛去勢A ― ― 1793 2270 2419
乳牛雌B ― 834 ― ― ―
◇さいたま=上場なし
◇横浜=堅調上場62頭
和牛雌A ― ― 2190 2279 2520
和牛去勢A ― 2011 2165 2324 2463
◇名古屋=上場なし
◇京都=弱もちあい上場75頭
和牛雌A ― 1518 ― 2231 2565
和牛去勢A ― ― ― 2290 2538
交雑種雌B ― 1489 ― ― ―
◇神戸=―上場73頭
和牛雌A ― ― ― 2377 2772
◇広島=―上場17頭
和牛去勢A ― ― 2117 2344 2592
◇福岡=強もちあい上場131頭
和牛雌A ― ― 2160 2245 2534
和牛去勢A ― ― 2150 2464 2578
豚 肉
<全国と畜概算頭数 61900頭>
安値 高値 加重 頭数
◇東京=上伸 上場985頭
極上 579 621 600 9
上 551 809 587 283
中 527 801 564 373
並 454 737 540 230
等外 324 725 488 90
◇大阪=―上場50頭
等外 487 487 487 50
◇仙台=―上場102頭
極上 553 553 553 1
上 518 592 558 30
中 454 583 487 41
並 324 501 391 27
等外 173 259 234 3
◇栃木=反発上場81頭
上 562 593 575 28
中 511 569 541 21
並 473 514 491 4
等外 420 501 475 28
◇茨城=下がる取引頭数540頭
上 565 588 584 199
中 513 588 565 123
並 482 541 517 60
等外 97 523 487 158
◇群馬=小幅高取引頭数1712頭
極上 552 666 618 13
上 486 918 601 740
中 216 918 571 606
並 162 918 455 209
等外 108 918 375 144
◇さいたま=強もちあい上場222頭
極上 578 589 582 6
上 561 585 573 110
中 516 585 566 61
並 504 575 550 29
等外 253 496 458 16
◇横浜=反発上場687頭
極上 594 647 601 8
上 562 691 582 299
中 529 684 557 291
並 508 662 528 63
等外 410 518 485 26
◇名古屋=上がる上場269頭
極上 594 594 594 2
上 572 597 593 121
中 529 566 556 81
並 391 552 501 32
等外 309 497 399 33
◇京都=もちあい上場67頭
極上 486 486 486 1
上 486 631 574 17
中 486 620 576 21
並 486 564 561 26
等外 564 564 564 2
◇神戸=―上場58頭
上 579 637 584 37
中 569 616 578 15
並 508 543 534 6
◇広島=該当なし上場46頭
◇福岡=もちあい上場164頭
上 572 577 573 45
中 432 548 539 86
並 427 539 503 22
等外 346 507 434 11
豚部分肉
◇日本食肉流通センター(生鮮=I、相手先
渡し、8ミリ整形物、取引重量トン、算定対象期
間は公表日前日までの1週間)
重量中央値 取引重量
肩ロース 1155 72.0
うで 814 130.2
ロース 1112 159.4
ばら 1192 173.9
もも 799 240.2
ヒレ 1296 9.5
セット 1028 886.3
魚 介(中央卸売市場)
◇東京・豊洲=まちまち
(都調べ、取扱数量969トン、※は相対取引)
高値 安値
マグロ 千葉 9720 4860
車エビ・養殖 各地 9720 4320
※ 本メジ 各地 1728 648
※ マダイ 各地 3240 648
※ キンメダイ 各地 9720 1404
※ ブリ 各地 972 648
※ ワラサ 各地 702 594
※ ハマチ 鹿児島 1620 1512
※ 赤カレイ 北海道 540 432
※ アジ・中 長崎 1080 756
※ サバ 各地 864 432
※ イワシ 各地 648 216
※ ヤリイカ 各地 1944 1080
※ カマス 各地 2376 1296
※ メバル 各地 2160 1620
※ キンキ 各地 12960 3240
※ スズキ 各地 1512 756
※ キス 各地 3240 2376
※ イサキ 各地 4320 1296
※ コハダ 各地 2700 108
※ カキ・むき 各地 1944 1080
※ 塩サケ・アキサケ 北海道 1620 1404
シラス干し 各地 2160 864
煮干し 各地 594 540
※ 干しサバ・開き・1枚 千葉 497 173
※ 干しアジ・開き・1枚・大 各地 378 324
※ メザシ・1コリ 各地 9720 6480
※ シシャモ 各地 173 86
※ 煮ホタルイカ 富山 1620 1080
※ スケコ・生 各地 3240 1944
◇大阪・本場=強含み
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
※ 本マグロ・養殖 長崎 8316 3780
キワダ 和歌山 2700 1944
※ サケ 鳥取 1974 ―
※ イワシ 石川 1890 216
※ アジ 三重 3024 594
※ サバ 三重 778 ―
※ ブリ・養殖 長崎 2646 2236
※ ハマチ 兵庫 864 ―
※ カンパチ・養殖 鹿児島 3240 2160
ヒラメ 長崎 2615 1495
※ カレイ 兵庫 5400 432
※ ハモ 徳島 3456 2160
※ マダイ 広島 1080 756
※ サワラ 石川 1350 1134
※ イサキ 和歌山 2160 1512
※ タチウオ 熊本 3888 ―
※ エビ 沖縄 20628 10800
※ カニ 兵庫 9720 ―
※ タコ 兵庫 6123 2700
※ ホタテ貝 北海道 8640 1080
※ カキ 宮城 5400 ―
※ アサリ 北海道 1512 1296
インドマグロ・冷凍 各地 2160 1944
※ 塩サバ 千葉 1332 783
チリメン 兵庫 5400 ―
◇福岡=もちあい 高値 安値
カンパチ・養殖 鹿児島 2268 2106
タイ・養殖 熊本 1458 1296
ハマチ・養殖 長崎 1566 1458
アワビ 佐賀 19440 3240
サザエ 長崎 1404 864
車エビ 沖縄 9180 5400
本マグロ・養殖 長崎 4320 3564
キビナゴ・3キロ 長崎 2484 2160
イワシ・大・4キロ 富山 2160 1296
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◇入札会・静岡出品数11675キロ
《荒茶》(1キロ、円) 高値 安値
富 士 600000 600000
清 水 880000 880000
美 和 45800 28000
磐 田 6600 6600
天竜・北遠 60000 4500
野 菜(中央卸売市場)
◇東京・大田=もちあい 入荷2474トン
(都調べ、総計4580トン、※は相対取引)
高値 中値
大根 千葉 10キロ 2160 2160
※ 大根 茨城 10キロ 1620 972
※ カブ 千葉 800グラム 194 140
ニンジン 徳島 10キロ 1080 ―
※ ゴボウ 青森 4キロ 3024 1836
タケノコ 静岡 4キロ 5400 ―
キャベツ 神奈川 10キロ 1944 648
※ キャベツ 愛知 10キロ 2592 2592
レタス 茨城 10キロ 3024 972
白菜 茨城 13キロ 1296 ―
小松菜 東京 500グラム 140 ―
※ 小松菜 茨城 200グラム 97 76
ホウレン草 群馬 200グラム 162 ―
ネギ 千葉 5キロ 4104 ―
※ フキ 群馬 4キロ 2160 1620
※ セロリ 静岡 10キロ 3780 2808
※ ブロッコリー 香川 6キロ 4320 3672
キュウリ 群馬 5キロ 2376 2376
※ キュウリ 埼玉 5キロ 2376 1620
ナス 高知 400グラム 270 270
※ ナス 福岡 4キロ 2052 1512
※ トマト 熊本 4キロ 1944 1404
ミニトマト 熊本 3キロ 1944 ―
ピーマン 茨城 150グラム 140 ―
※ ピーマン 宮崎 130グラム 97 76
※ ソラ豆 鹿児島 4キロ 3456 1944
※ ジャガ芋 鹿児島 10キロ 4536 4536
※ サツマ芋 千葉 5キロ 2160 1512
タマネギ 北海道 20キロ 1080 ―
生シイタケ 秋田 100グラム 184 ―
◇大阪・本場=まちまち 入荷1243トン
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
※ 大根 長崎 12キロ 1512 1242
※ カブ 徳島 10キロ 3240 ―
ニンジン 徳島 10キロ 3240 3024
※ ゴボウ 北海道 5キロ 3564 ―
タケノコ 熊本 9キロ 5940 ―
※ レンコン 徳島 5キロ 4320 3456
※ 白菜 茨城 15キロ 2160 1404
※ キャベツ 愛知 10キロ 1944 648
※ ホウレン草 岐阜 3.6キロ 2592 2160
※ 白ネギ 大分 3キロ 2160 1296
ニラ 高知 100グラム 76 70
※ セロリ 静岡 10キロ 3456 2700
アスパラガス 広島 100グラム 259 216
ブロッコリー 徳島 6キロ 4320 3564
※ レタス 茨城 10キロ 2754 1080
※ キュウリ 宮崎 5キロ 2657 1782
※ ナス 熊本 4キロ 1944 1512
※ トマト 福岡 4キロ 1663 1080
※ ピーマン 高知 150グラム 97 86
※ エンドウ 和歌山 2キロ 2700 2052
サツマ芋 徳島 5キロ 2592 2052
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 5616 4320
タマネギ 北海道 20キロ 3780 1674
※ ショウガ 高知 80グラム 130 ―
生シイタケ 岡山 100グラム 151 ―
◇名古屋・中央=― 入荷1753トン
高値 中値
大根 千葉 10キロ 1404 1188
ニンジン 徳島 10キロ 3888 3456
ゴボウ 熊本 2キロ 2160 ―
白菜 茨城 15キロ 1728 1620
キャベツ 愛知 10キロ 2592 1080
ホウレン草 岐阜 3.6キロ 2592 2484
ネギ 大分 3キロ 1620 1512
セロリ 静岡 10キロ 3456 ―
ブロッコリー 石川 6キロ 4158 ―
レタス 茨城 10キロ 1836 1620
キュウリ 愛知 5キロ 2214 1728
ナス 熊本 4キロ 1728 ―
トマト 熊本 4キロ 1566 1566
ピーマン 鹿児島 7.8キロ 5184 4536
サツマ芋 茨城 5キロ 1944 1728
里芋 愛媛 10キロ 5724 5724
タマネギ 愛知 10キロ 1944 1728
エノキダケ 長野 200グラム 70 59
◇福岡・中央=もちあい 入荷939トン
高値 中値
大根 各地 1箱 1512 756
ニンジン 長崎 10キロ 3780 2754
ゴボウ 熊本 2キロ 2376 1944
タケノコ 熊本 1キロ 2268 ―
白菜 長崎 15キロ 1350 1134
キャベツ 各地 10キロ 1674 1296
ホウレン草 福岡 1把 108 86
白ネギ 大分 3キロ 1512 ―
アスパラガス 各地 100グラム 238 ―
レタス 長崎 1箱 1512 540
キュウリ 各地 5キロ 1684 1296
ナス 福岡 1箱 1512 1296
トマト 各地 4キロ 3154 1296
ピーマン 鹿児島 130グラム 108 86
サツマ芋 各地 5キロ 2376 1080
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 4320 ―
タマネギ 北海道 20キロ 3780 3240
生シイタケ 各地 100グラム 238 81
果 実(中央卸売市場)
◇東京・大田=もちあい 入荷390トン
(都調べ、総計730トン、※は相対取引)
高値 中値
※ 甘夏カン 愛媛 10キロ 1728 1620
※ 不知火 長崎 5キロ 4536 2808
※ 清見 愛媛 10キロ 4860 3780
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 9720 4547
リンゴ・王林 青森 10キロ 6480 5076
イチゴ・とちあいか 栃木 260グラム 410 313
イチゴ・あまおう 福岡 270グラム 410 ―
イチゴ・紅ほっぺ 静岡 280グラム 410 ―
※ イチゴ・とちおとめ 茨城 260グラム 432 292
メロン・アールス 静岡 1キロ 5400 2160
※ メロン・アールス 高知 9キロ 12960 10692
※ メロン・アンデス 熊本 5キロ 5184 4536
※ スイカ 熊本 15キロ 9180 6156
※ スイカ・こだま 群馬 8キロ 5940 4860
※ キウイ 各地 3.6キロ 3780 3348
◇大阪・本場=もちあい 入荷167トン
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
清見 和歌山 10キロ 4104 3996
デコポン 和歌山 5キロ 3564 ―
リンゴ・ジョナゴールド 青森 10キロ 5940 5184
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 8640 4320
イチゴ 長崎 250グラム 464 324
メロン・アールス 静岡 9キロ 28620 17280
※ メロン・アールス 高知 10キロ 12960 ―
※ メロン・アンデス 茨城 5キロ 5508 5076
※ スイカ 高知 10キロ 9720 7236
マンゴー 宮崎 400グラム 3024 ―
◇名古屋・中央=― 入荷96トン
高値 安値
甘夏カン 鹿児島 10キロ 2700 1404
デコポン 愛知 6.5キロ 5076 4212
リンゴ・王林 青森 10キロ 4860 3996
イチゴ 愛知 250グラム 378 356
イチゴ 熊本 250グラム 410 302
メロン・アールス 静岡 9キロ 19440 15120
メロン・アンデス 熊本 5キロ 5184 3780
スイカ 熊本 15キロ 7560 5940
◇福岡・中央=もちあい 入荷140トン
高値 中値
リンゴ・ジョナゴールド 青森 10キロ 6480 4320
リンゴ・サンふじ 青森 10キロ 7020 4860
イチゴ 福岡 270グラム 572 302
生 花(中央卸売市場)
◇東京・大田=もちあい 切花入荷 2691千本
(都調べ、1本、※は相対取引) 高値 中値
輪菊・白・精興の誠 愛知 89 69
スプレー菊・白 各地 78 38
小菊・黄 沖縄 40 16
カーネーション・赤 各地 56 33
バラ・ピンク 各地 242 76
ハイブリッド 各地 776 158
トルコキキョウ・白 静岡 418 364
宿根かすみ草 各地 198 79
アルストロメリア 各地 134 81
ガーベラ 静岡 83 29
<数表>4月18日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 17ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
18日 225.965
前日比 -0.090
(1970年平均=100)
株価急落時、売却は逆効果も 積み立て投資、継続が重要(トップストーリー)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2185文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の関税政策をきっかけに日米の株式相場は乱高下が続いた。個人投資家の中には、先行きを心配して保有資産の売却を考える人も少なくない。反対に、下落時をチャンスとみて買いを入れた人もいる。それぞれどんな点に注意したらいいだろうか。
「コロナ禍以降に運用を始めた人から、今回の株価の急落に直面してこのままでは元本割れしてしまうのではないかと心配する声があった」。こう話すのはファイナンシャルプランナー(FP)の小屋洋一氏だ。
ここ数年で、日米の株式相場は大きく上昇した。2020年以降に運用を始めていれば、含み益が投資額の3~4割に達した人も多い。今回の急落で含み益が1~2割に縮小し、「利益が出ている今のうちにすべて売ってしまった方がいいのではないか、と考える人が目立った」(小屋氏)という。
米運用会社キャピタル・グループの日本法人、キャピタル・インターナショナルの小泉徹也社長は、「市場が不安定なときでも撤退せずに、市場に居続けることが大切だ」と指摘する。
同社の試算をみよう。2004年末に全世界株式指数に100万円を投資したとする。そのまま20年間運用を続けると、24年末には743万円と、年率10.5%の運用成果を得られた計算だ。
ではこの20年間で、株価の上昇率が高かった上位10日を除き、20年前からの投資成果を計算するとどうか。24年末時点の投資成果は349万円と、運用を続けた場合の半分以下になる。上位20日を除くと成果は219万円と3分の1以下。上昇率の高い数日の投資機会を逃しただけで、投資成果は大きく変わる。
過去20年を見ると、上昇率が高い日は相場の暴落局面に発生した。約10%上昇した1、2位など、上位10日のうち5日はリーマン・ショックさなかの08年秋ごろだ。3位、8位、10位は新型コロナウイルス禍の20年3月、4月だった。急落で慌てて資産を売却してしまうと、直後の急上昇を取りこぼしてしまう。売買のタイミングではなく、「投資を続けることが成功のカギとなる」(小泉社長)。
○ ○
急落時に慌てず、運用を継続するには、「余裕資金で運用することが最も大切だ」とFPの横田健一氏は話す。横田氏が勧めるのがお金を4つに分ける方法だ。具体的には(1)普段使う日常の生活費、(2)病気など緊急時の生活防衛資金、(3)結婚、住宅購入など5年以内に使う資金、(4)余裕資金など(1)~(3)にあてはまらない資金――に分けて管理する。
(1)~(3)は、現金や預貯金、個人向け国債など元本割れしない商品で確保する。退職後なら(3)には医療や介護に備える資金も含まれる。株式や投資信託などで運用する資金は(4)で、将来的には5年以上先に使う老後資金などになる。
(1)~(3)の合計は、「ライフイベントなどにもよるが、現役世代なら数百万円、退職後の世代でも1千万円程度が目安」(横田氏)。手元にそれだけの資金があれば、急落時に慌てて資産を売る必要はない。運用資産を取り崩しながら生活する退職後の世代でも、急落時は取り崩しをいったん止めて手元の現預金で生活し、株価が戻るまで待つという選択ができる。
毎月一定額ずつ積み立て投資をしているなら、株価の急落時も継続することが大切だ。毎回決まった金額を購入する「ドルコスト平均法」では、「株価の急落時は大事な仕込みの時期で、将来的に運用成果が良くなる可能性が高まる」(小屋氏)。
毎月一定額を購入する場合、価格が安ければ多くの量を、高ければ少ない量を買うことになる。数カ月にわたって毎月1万円ずつ投信を積み立てる場合、投信の価格が下がれば、当初に一括で買う場合よりも平均取得単価が下がる。その後に価格が上昇すれば、利益は増えやすい。
○ ○
小屋氏は「株価指数連動(インデックス)型の投信なら、急落時の買い増しも選択肢」と話す。過去の値動きをみると、リーマン・ショックでもS&P500種株価指数は約5年で元に戻った。「株価指数連動なら、ある程度時間がたてば価格が元に戻る可能性が極めて高い」とみるためだ。
個別銘柄ではどうか。株価の下落局面で値下がりした保有銘柄を買い増し、平均取得単価を下げる手法を「ナンピン買い」と呼ぶ。
例えば1株500円で1000株買ったケース。購入後に株価が400円に下落した時に1000株を買い増すと、1株当たりの平均買値は450円に下がる。株価が450円に戻れば、収支がトントンになる計算だ。
ただ個別銘柄は、期待通りに株価が上昇せず、さらに下げ続けると、資金を積み増したために損失が大きくなる可能性もある。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「『下手なナンピンけがのもと』という相場格言があるのを思い出してほしい」と話す。業績の悪化要因となる材料が出て、今後の成長が期待できなくなったため売られているのであれば、株価はさらに下落する可能性がある。「単に価格だけを見て、割安感があるからと買い増すのはリスクが大きい」(窪田氏)
反対に、銘柄自体に悪材料はなく成長シナリオが明確なのに、相場全体の下げに引きずられて理不尽に売られていると判断するのであれば、買い増しのチャンスかもしれない。窪田氏は「失敗を防ぐには、買うべき『根拠』を明確にしたい」と助言している。
株価急落時、売却は逆効果も――「ベア型」、長期保有に向かず(トップストーリー)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 18ページ 520文字 PDF有 書誌情報]
株式の個別銘柄の通常の取引では、価格が下落すると損失が発生するが、金融商品のなかには価格が下落しても利益を出せるように設計されたものもある。その一つが「ベア型ファンド」だ。個人投資家も投資信託や上場投資信託(ETF)で購入できる。
「ベア」は「弱気」を示す。ベア型ファンドは対象とする株価指数が下がれば、基準価格が指定の倍率通りに上昇する仕組み。値動きが2倍になるベア型ファンドの場合、指数が1%下落すると基準価格は2%上昇する。
この商品は、相場の下落が近いと予測する人が保有株を売りたくない場合に、損失を回避する目的で買うことができる。保有株が含み損を抱えても、ベア型ファンドの価格上昇で利益を出せれば相殺できる。
ただ、東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「初心者向けの商品ではない」と指摘する。理由の一つが、減価だ。相場の乱高下で株価指数が上下を繰り返すと、ベア型ファンドは2倍などの変動率が設定されている分、株価指数が元の価格に戻っても基準価格は戻らず目減りする。仙石氏は「長期保有には向かない商品。ヘッジなど購入目的を達成したらすぐに売却するのが無難だ」と話す。
(川本和佳英、岸田幸子)
孫の教育費、支援と税を知る 非課税の一括贈与枠 1500万円(備える&生かす)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1799文字 PDF有 書誌情報]
教育費は子がいる家庭にとって、家計のやりくりを考える中での普遍的なテーマだ。孫の支援を考えるシニア層もいるだろう。高校無償化を巡る議論が盛んだが、先行きの見えない時代、贈与税や相続税といった税負担も踏まえた支援の方法を確認しておこう。
配偶者や直系親族といった「扶養義務者」が「通常必要とされる」教育費を支払う場合は贈与税がかからない。税法上の扶養義務者かは贈与時の状況で判断されるが、祖父母が孫の教育費を支援する場合、一般的には課税対象外だ。
教育費には学費だけでなく、教材費や文具費も含まれるが、必要な都度、直接これらに充てるためのものに限られる。そのため「都度贈与」とも呼ばれる。預金として残したり、株式や不動産の購入資金に充てていたりする場合は贈与税の対象となる。
目的や使途に関わらず贈与税が発生しない贈与もある。贈与を受ける側1人につき毎年110万円まで課税されない「暦年贈与」と、贈与する側1人当たりの贈与が累計2500万円(基礎控除分除く)の特別控除枠に達するまで課税されない「相続時精算課税」だ。
暦年贈与は贈与する側と受ける側の関係性に制限はなく、特段の手続きも不要だが、相続時精算課税は原則60歳以上の祖父母や父母から18歳以上の子や孫への贈与に限られ、相続時精算の届け出も必要になる。一旦後者を選ぶと前者に切り替えられない。同じ人からの贈与に両者の併用はできない。
「教育資金」限定の支援ならば、贈与を受ける側1人当たり1500万円までの一括贈与に対する非課税制度もある。贈与を受ける側に「30歳未満」「所得1000万円以下」の制限はあるが、祖父母から孫ならば特段の制約にはならないだろう。暦年贈与や相続時精算課税との組み合わせも可能だ。
一括贈与の特例を利用するには金融機関に専用口座を開設する必要があり、支出ごとの領収書の提出も求められる。贈与する側にとっては「目的外の浪費」を防げるのはメリットだ。
一定の認証や認定を受けたインターナショナルスクールや外国大学の日本校、外国の学校や日本人学校の学費も対象になる。習い事の費用も500万円まで非課税枠に含まれる。
ただ贈与時は非課税でも「使い残し」や教育資金以外の支出分は贈与税の対象になる。相続発生時に使い残しがあれば、相続税の対象となるケースもある。
19年3月以前の贈与であれば、使い残しは相続税の対象外。19年4月から21年3月までの贈与は相続発生3年以内の場合だけ課税対象だった。21年4月以降の贈与からは(1)23歳未満(2)在学中(3)教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講――以外のケースは相続財産に加算されるようになった。
23年4月以降の贈与には富裕層に対する「網」も広がった。相続財産の合計が5億円超の場合だが、贈与された側の年齢や在学中か否かにかかわらず、使い残し分は相続財産の加算対象になった。
生前贈与に生命保険を組み合わせた「支援」は避けるのが無難だ。孫も相続税の「当事者」になるからだ。孫は亡くなった人の子(孫にとっての親)が死亡しているような「代襲相続」以外は法定相続人に含まれず、生前贈与分も相続税の対象外だ。ただ孫が死亡保険金を受け取ると「みなし相続財産」を遺贈で受け取った当事者として、生前贈与分も相続財産に加算される。相続財産の「持ち戻し」とも呼ばれる。
元金沢国税局長の若木裕税理士は「教育資金の使い残しだけならば孫への教育資金以外の生前贈与は持ち戻し加算の対象外だが、孫が死亡保険金を受け取っていると、最長7年間の生前贈与が持ち戻し加算の対象になるため要注意」と話す。
生前贈与の方法を節税効果の大小だけで判断するのは難しい。相続の発生時期に大きく影響されるからだ。相続財産の加算対象となる期間は相続開始日に応じて段階的に延長されている。従来は相続発生前3年だったが、31年1月以降に相続が発生した場合は相続発生前7年まで対象になる。ただ相続の時期は誰にも分からない。
相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除がある。法定相続人が増えずに相続財産が増えれば相続人全体の税負担に響き、心情的なしこりも生みかねない。代襲相続以外の孫の相続税は2割加算で、孫自身の税負担も重い。孫を思う気持ちが将来、孫の「負担」にならないよう考えたい。
(嘉悦健太)
その見えづらさ、乱視かも 加齢や暗い場所でブレ大きく[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 24ページ 1423文字 PDF有 書誌情報]
目がかすむ、夜に街灯がにじむ――。中高年は老眼や白内障を疑いがちだが、原因は乱視かもしれない。加齢で重い症状が出やすくなる一方、日本は海外より矯正が進んでいない。大人の乱視の特徴を知れば、見えやすさを取り戻す手掛かりになる。
「いよいよ老眼かと思いきや、乱視だったとは」。見えづらさに悩み、眼科で視力検査を受けた東京都の50代女性は医師に矯正を勧められた。乱視用眼鏡を新調すると「はっきり見えて、首の痛みも減った」と語る。
乱視は物がブレて見える。「6と8」「3と9」など似た形の数字や文字の判別が難しい。夕方や夜、暗い場所などで、白黒のコントラスト(明暗差)がはっきりしない印刷物や図柄が見えづらくなる。日本人の4~5割に症状があるとの報告もある。
目でレンズの役割を果たす角膜や水晶体がゆがみ、遠くも近くもピントが合わなくなる。レンズがラグビーボールのように一定方向にゆがむ「正乱視」と、不規則にゆがむ「不正乱視」がある。
正乱視には、角膜や水晶体が上下につぶれる直乱視、横方向にゆがむ倒乱視、斜めにゆがむ斜乱視がある。山王病院アイセンター(東京・港)の清水公也センター長は「斜乱視が最も見えづらく、次が倒乱視」と語る。
不正乱視で多いのは、角膜の中央部や下部が前方に突出する「円すい角膜」だ。目をこする癖やアトピー性皮膚炎との関連が指摘され、思春期に発症する例が多い。
パソコンやスマートフォンを使う際の負担感は大きい。コンタクトレンズ大手、日本アルコンの五十嵐良広・ビジョンケア事業本部学術部部長は「ディスプレー表示にピントを合わせようと目が頑張り続けるので非常に疲れる」と話す。
直乱視は若い世代に多い。年を取るとまぶたの力が弱まり、角膜が左右につぶれて、より見えづらい倒乱視が増える。
別の要因もある。若い世代は水晶体の弾力性が角膜のゆがみを補正し、軽度にとどまることが多い。「加齢で水晶体が硬くなり、40歳前後から見え方を補正するのが難しくなる」(北里大学医療衛生学部の川守田拓志准教授)。白内障による水晶体の白濁も、目に入る光の進み方に影響して乱視の症状を増大する。
乱視は一般の視力検査で分かる。検査機器に表示される「空に浮かぶ気球」を見ると屈折異常が検出される。暗い場所や夜間は瞳孔が開いて光の入る幅が広がるため、ブレが大きくなり、乱視の症状を自覚しやすい。川守田氏は「夜空の月などを見て、チェックすると分かりやすい」と話す。
眼鏡やコンタクトレンズで適切に矯正すると、夜間の運転や標識の認識が楽になり、見落としが防げる。パソコンなどで文字を読む速度が増すとの研究結果もある。眼精疲労や頭痛、肩こりの緩和につながる例もある。
矯正は乱視度数1.25以上が目安とされるが、大阪大学大学院医学系研究科の高静花・寄付講座准教授は「0.75以上あれば矯正した方がよい」と勧める。弱度でもデジタル画面の文章の読み間違いや眼精疲労が減るとの研究がある。
日本は海外より矯正率が低い。乱視用コンタクトレンズの処方率は、米国や英国、イタリアが30%台、オーストラリアやスウェーデンは40%台。日本は約20%だ。
国内で近年販売された乱視用レンズは、まばたきで回転しないなど改善が進む。低価格帯眼鏡の専門店チェーンなどでも乱視用レンズを選ぶ人が徐々に増えている。
(南優子)
【図・写真】専用の検査機器で乱視をチェックする(東京都港区の山王病院)
その見えづらさ、乱視かも――手術で矯正する方法も[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 24ページ 272文字 PDF有 書誌情報]
乱視は手術でも矯正できる。白内障の手術時に乱視用(トーリック)眼内レンズを用いる方法は保険が適用され、費用(3割負担)は5万円程度。眼内レンズを入れる人の乱視用レンズ利用率は10~15%前後だ。
強い近視の矯正に使われる「眼内コンタクトレンズ(ICL)」の乱視用を選ぶ方法もある。点眼麻酔後に角膜を切開し、レンズを挿入する。手術は片目で10分程度のため日帰りで受けられる。
国内初のICL執刀医である山王病院の清水氏は「ICLの患者の5~6割が乱視矯正を希望する」と語る。保険適用はなく、自由診療の費用は両眼で60万~80万円台が多いようだ。
筋強直性ジストロフィー患者会事務局長 妹尾みどりさん(3) 「根治せずともできること」(向き合う)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 24ページ 835文字 PDF有 書誌情報]
次第に筋肉がこわばり、低下していく難病の筋強直性ジストロフィーと39歳で診断された妹、籏野あかねは「治療法がない」とだけ告げる医師に絶望したが、英国の医師が書いた「患者と家族のためのガイドブック」を読み、「合併症は治せるかもしれない」と望みを持った。
妹は懇意にしていた整形外科医に大学病院を紹介してもらった。その大学病院の医師も「専門の医師がいない」と断ったが、妹は「根治できないのは知っている。合併症の対処をお願いしたい」と訴え、遺伝子検査も受けて診断が確定し、適切な医療を受けられるようになった。
妹は高脂血症にもなっていた。その治療薬は筋強直性ジストロフィーに悪影響を与える可能性があった。医師は「いいかげんなことはできない」と言い、国立精神・神経医療研究センター病院(東京・小平)への紹介状を書いた。自宅から電車で2時間半。行くしかなかった。
幸運にも診察した神経内科医の大矢寧医師は、英国医師が書いたガイドブックの翻訳者の一人だった。病気や合併症のリスクなど詳しく説明し、管理栄養士による栄養指導を受け、循環器科で不整脈の診察もできた。腰痛や膝痛を訴えると整形外科やリハビリ科も受診した。妹は「根治しなくても、できることもある」と前向きになった。
最初に診断されてから約3年を要した。妹は私に「同じ苦労をしている患者も少なくないのでは。患者会を作ろう」と持ちかけた。2016年1月、仲間ら計10人で国内初となる筋強直性ジストロフィーのみの患者会をNPO法人として設立。妹が理事長に就任し、私が事務局長として支えることになった。
グラフィックデザインが本業の私はホームページを作り、患者や家族に必要な情報を盛り込んだ。治療法開発のためには患者情報の登録も必要だ。講演会などを通じて全国に点在する患者を見つけ、病状や遺伝情報などを登録する「レムディー」の参加を呼びかけている。患者会を設立した当時、登録依頼数は約400人だったが、今では1300人を超えている。
良い面、良くない面で判断を(こころの健康学)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 24ページ 667文字 書誌情報]
新年度を迎えて新しい環境で張り切っている人は多いだろう。そう思っていたら、入社してすぐに代行業者を通して退職する若者がいるというニュースを目にして驚いた。以前であれば、新しい環境が合わないと考えても、しばらくは我慢して頑張る人が多かったように思う。
それでもうまくいかないと、自分の選択ミスが原因だと考えて、自分を責めるようになる。その結果、5月の連休頃になると心身のバランスを崩して仕事や勉強に集中することができなくなる。いわゆる五月病だ。
自分が期待した環境でなければ、さっさとその場から離れていく。それはそれで、ストレス対処法として悪くない。自分に合わないと感じる環境に身を置いたまま、自分を責め続けて精神的に疲弊するよりは、思い切って新しい環境でチャレンジする方が良いように思える。
しかし、そうした決断をする前に、全体を見渡す余裕を持つようにしてほしい。自分が置かれている環境に不満を持つと、どうしても良くない面に目が向いてしまう。そうすると、さらに不満が強くなって、良くない場面がさらに目に入るようになる。悪循環だ。
少なくとも自分が選んだ環境だ。何か引かれるものがあったはずだ。思い描いた将来のイメージもあったはずだ。新しく体験していることにも意味があるかもしれない。そうした良い面と良くない面の両方に目を向けて、それでも別の環境に移った方が良いかどうかを判断することができれば、どちらを選択したとしても、自分らしく生きていける可能性が高くなる。
(認知行動療法研修開発センター 大野裕)
【図・写真】イラスト・大塚いちお
古代中国に象がいた 「想像」という言葉のルーツ(漢字そぞろ歩き阿辻哲次)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 25ページ 1937文字 書誌情報]
娘が3歳の時、食卓では愛くるしいクマが描かれた茶碗(ちゃわん)を使い、寝る時には小さなクマをふとんに持ちこんで抱き枕としていた。
クマは娘のお気に入りの動物だった。だが幼稚園の親子遠足で動物園に行き、そこではじめて見たクマの実物は、真っ黒で毛むくじゃらの、寝そべってばかりいる動物で、茶碗に描かれたかわいい生き物ではなかった。
イメージと現実の落差があまりにも大きかったのだろう、娘はクマ舎の前で泣きだしてしまったが、そんな娘が文句なしに喜んだのが象だった。象はその大きさといい、鼻で餌を取るしぐさといい、あらゆる点で多くの人を引きつける。
象が人間に魅力的と感じられるのはその大きさだけでなく、象牙という宝石にも匹敵する貴重な物質を産するからでもあった。
実に悲しく、許しがたい話だが、捕獲された象から取った象牙は過去の長い時間にわたって権力者を魅了し、それは東アジアでもっとも早く文明が開けた中国でも例外ではなかった。
中国河南省の安陽には、考古学的に存在が実証できる最古の王朝である商(また「殷(いん)」とも)の遺跡があって、1976年にその遺跡から「婦好(ふこう)」という女性の墓が発見された。
婦好は商王朝第22代の王である武丁(ぶてい)の妃で、武丁は紀元前1200年前後の人物と考えられる。だから墓が作られたのもそれと同じ時代だろうが、そんな時代の彼女の墓がまったく盗掘されていない形で発見され、そこからは大量の青銅器の他、象牙にトルコ石をちりばめた大きな酒杯が3点発見された。
つまり今から3000年以上前の女性の墓に象牙の工芸品があったというわけだが、ではこの象牙はいったいどこから入手したものだろうか。答えは簡単で、当時の中国には象が野生動物として棲息(せいそく)していたのである。
歴史家や自然科学者の研究によれば、商代の黄河中流域は今よりはるかに温暖湿潤で、象が野生でいたと考えられている。
象が古代中国にいたことを示すもっともわかりやすい証拠は、「象」という漢字が象形文字であることだ。「象形」とは目に見える事物を絵画的に描いて文字とする方法だが、見たことがないものを表す文字を「象形」という方法で作れるわけがない。
いま見ることができる最古の漢字である「甲骨文字」でゾウを表す文字には、長い鼻と大きな身体、先が分かれた尾がはっきりと描かれている。このような形で「象」という漢字を作った人は、象そのものを見たことがあるに違いない。
象は家畜としても飼われており、重い材木の運搬などに使われた。そのことが「為」という漢字の成り立ちに示されている。
「為」は象の鼻を手でつかんでいる形で、象を使役することから「仕事をする」という意味を表した。
ちなみに「為」の本来の字形である「爲」で、上部にある《爪》はいま「ツメ」という意味で使うが、もともとは手を上からかざした形を示していた。
象は従順で飼いやすく、人力では運べない重い資材を楽々と運搬できる力は、古代ではなにものにも代えがたいものだった。起重機が発明される前は、象は重いものを持ち上げる最高の「道具」だった。おそらく宮殿の建築などで材木を運搬する時などに象が使われたのだろう。
やがて気候が寒冷化していき、象は黄河流域から姿を消した。研究によれば黄河流域の寒冷化が進行したのはだいたい紀元前900年から700年くらいとされ、その推測を裏づけるように、西周中期以降には象の形を模したり、図像を装飾にあしらった青銅器はほとんど作られていない。
それでも中国から象がまったくいなくなったわけではなく、南方の国ではまだ象を飼育していたようだ。春秋時代の国ごとのエピソードを記した『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』(定公4年=前506年)に記される楚と呉の戦いでは、楚が尻尾に火をつけた象の群れを呉の陣中に放つという奇策をとっている。長江の南側に位置した国々では、まだ象が家畜として使役されていたのだろう。
それからずいぶん時間がたって、紀元前250年前後に、韓非子(かんぴし)という人物が自分の考えを書物にまとめた。歴史や漢文の授業で学習するあの『韓非子』だが、その「解老篇」に「人が生きている象の姿を目にすることはめったにない。だから地中から発見される死んだ象の骨を見た時に、その生きている時の姿をあれこれ考える。それで人々が心の中で《想》うことを《象》(=像)というのだ」と書かれている。
これが私たちもよく使う「想像」という言葉のルーツである。(漢字学者)
【図・写真】湖南省で出土した象をかたどった酒壺(湖南省博物館蔵)(C)The Granger Collection/amanaimages
神野紗希選(俳壇)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 25ページ 768文字 PDF有 書誌情報]
縦横なる塹壕クルスクの啓蟄
横 浜 澤野 敏樹
春雪頻り軒の餌皿にハミングバード
ギリシャ 荒谷 穎明
雪しろや橋あまたなる鉄の街
カナダ 中村 誠宏
鉛筆はB吟行の春野かな
郡 山 寺田 秀雄
風車雲の濃度の均されぬ
新 潟 るい
空港のピアノとぢありヒヤシンス
名古屋 磐田 小
青げらの連打一心春愁い
長 野 中根みち子
鳥帰る手配写真に錆びし鋲
東 京 土肥 酔山
入院の吾子よりメール薄氷
尾張旭 小野 薫
武蔵野の寮舎の辺桃の花
横 浜 角谷 勝也
じゃがバター醤油数滴朧月
宮 崎 薗田 豊和
地虫出づタイムカプセルある辺り
小 牧 大屋 裕
敏樹さん。ウクライナとロシア双方の軍が塹壕(ざんごう)を掘り、戦闘地となったクルスク。啓蟄(けいちつ)、土中から這(は)い出る虫の目に戦場はどう映るか。穎明さんはギリシャから。春の雪が降りしきる中、ハチドリが小さな翼を震わせ餌を啄(ついば)む。美しき命の風景。誠宏さんはカナダから。雪代とは雪解け水が溢(あふ)れること。揉(も)み合う水、聳(そび)え立つ鉄、自然と都市がぶつかる春だ。秀雄さん。鉛筆のB芯は適度に柔らかく、春風とも馴染みそう。るいさん。「濃度」の語が新鮮。風車を回し雲を均し、風は天地を吹き渡る。
はがき1枚に3首(句)まで、未発表の自作。住所、電話番号、氏名(本名でも筆名でも可。筆名の場合はカッコ内に本名を書き添えてください)、希望選者名を明記。同じ作品を2人の選者に送ることはできません。〒100―8658、日本郵便銀座郵便局私書箱113号、日本経済新聞「歌壇」「俳壇」係。【メールでも受け付けます】shiika@nex.nikkei.co.jp =表題に希望選者名を明記(横澤放川先生ははがき、縦書きのみ受け付け)。1週に3首(句)まで。入選作品は電子版にも掲載します。
穂村弘選(歌壇)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 25ページ 666文字 PDF有 書誌情報]
ふでばこを忘れ続けて黒い色えんぴつでやり過ごした五月藤 沢 りっとうゆき
放棄地の竹をメンマにするからと辞表を出した花田先輩寝屋川 今西 富幸
四季のある島国から来たばかりです花の名前を教えてくださいザンビア 川端 和夫
まだ悪に染まりきってない後輩を歯がゆく思うヒールレスラー善通寺 石井 啄也
気がつけばプールコースに誰も居ず9時のニュースは戦車と兵士ふじみ野 菅井 奏平
魔法瓶いざという時来るまでは懸けた魔法で立ち尽くしてる札 幌 橘 晃弘
風の鳴る廃病院に狸棲む道を渡りて我が家で脱糞郡 山 齋藤 宏文
採算が合わないために来季から耳たぶは廃止悪しからず東 京 非鋭理反
おもむろに知らない猫が近づいて「来ていた猫は来ないよ」と言う松 山 園部 淳
お弁当箱のおにぎり張ればさくら花びら唇につく古 賀 砂山ふらり
わたくしの親指によりうつくしく壊れてくれるスライドガラス茨 木 佐々木 眉
あの夜を境に君の表情は蝋人形より蝋人形的
横 浜 森 秀人
〇りっとうゆき氏。鉛筆の代わりになるものとしての「黒い色えんぴつ」。リアルな細部を詠いつつ、より大きな何かを暗示しているようにも。〇今西富幸氏。「辞表」提出の意外な理由。蕎麦(そば)を打つから、などは聞いたことがあるけれど。〇川端和夫氏。見たこともない「花」が咲いていたのだろう。語りかけるような文体も内容に合っている。〇石井啄也氏。「ヒールレスラー」による「悪」の親心が面白い。〇菅井奏平氏。「プールコースに誰も居ず」の不穏さ。いつも「気がつけば」日常が変わっている。
三枝タカ之選(歌壇)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 25ページ 657文字 PDF有 書誌情報]
赤ちゃんが元気に生まれた山笑う娘も笑うみなみな笑う福 岡 武内 美穂
口紅に薄紙当てていそいそと妻は出かける、行先言はず香 川 松繁 美吉
ただいまと帰ればいつも家族いて幸せでした七十年前川 崎 浜井 照代
早々と逝ってしまいし友を呼び千鳥ケ淵で見たい夜桜千 葉 高橋 好美
吾れのみの孤独な咀嚼を常としてマクドナルドの喧噪にをり盛 岡 藤原 建一
ババ抜きや神経衰弱七並べみんな仲良くやろうよトランプ東 京 伊藤 直司
溶け合ひし空と海との闇黒を切り分くるべく船の灯が行く横須賀 丹羽 利一
成人式 自分のときは行きもせで晴れ着の娘を嬉々として撮るさいたま 松永 浩司
憂国の三島生誕百年目輪廻転生今は誰かな
三 田 池永 徹
久闊と病気と怪我と終活と老兵たちの会の話題は東 京 山口 樺風
暮らしなど忘れたかつたあの人の言葉の熱にうなされたかつた岡 山 岩藤由美子
物価高無理無駄無用で対応し米一粒の光に感謝
東 京 黒〓 康夫
武内さんの「山笑う」は山々の樹々が芽吹いた春の季語。「笑う」を自然も家族も人々もと三つ重ねてめでたさ満載。リズムも軽やかで楽しさも満点。松繁さんは「薄紙当てて」がリアルで妻と自分の対比が際立つ。追い打ちをかける「行先言はず」も効果的。浜井さんはまだ大家族だった時代。一家が揃(そろ)う夕餉(ゆうげ)の風景が浮かんできて「幸せでした」が心に沁(し)みる。高橋さんが呼び出したいのはやはり桜の下。亡き友と桜はなぜか相性がいいから不思議だ。藤原さんは「咀嚼(そしゃく)」が孤独を際立たせる。
横澤放川選(俳壇)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 25ページ 514文字 PDF有 書誌情報]
鎮圧の山瀕死とて蘖ゆる
大船渡 桃心地
十三は嫌ひな数字弥生かな
長 野 中沢 義壽
二〇二五山火許さぬ秋吉台
山 口 吉次 薫
小名木川しづか三月十日の忌
鶴ケ島 廣島 幹雄
流し雛めいてこの世に二人かな
千 葉 中村 重雄
桜蘂降るやアトムズ・フォー・ピース
宇都宮 大渕 久幸
空つぽの財布を落とす四月馬鹿
宍 粟 宗平 圭司
猫寺の仁王の肩に子猫かな
松 山 白潟 勉
十三日の春の月師の忌日なり
広 島 村越 縁
山桜活断層の騒(ぞめ)く国
名古屋 山内 三雑
百二まで生きる算段木々芽組む
神 戸 井上徳一郎
獅子こ喰(は)む大正の母生き返れ
東 京 齋藤 育
〇桃心地氏。現在は鎮圧一語でなんの社会事象かが直ちに知れる。山海にわたる広域の被害が残されよう。とまれ蘖(ひこば)ゆがややの安らぎである。〇中沢氏。十三は西洋では古来天使段階を思わせる良き数だ。だれが死のイメージに結びつけたものか。それとは別に当事者には辛(つら)い数字だ。〇吉次氏。おお、いかにもそういう事態となるかと驚かされる。むべなるかな。数字の含む強烈な説得力。〇廣島氏。ここにまた辛い数字が表明されている。この日東京大空襲は小名木川辺りの深川から始まった。
経験の重み、現代に再評価、昭和の私小説が復権(活字の海で)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1043文字 PDF有 書誌情報]
昭和期の作家の書いた私小説が復権している。経験した本人にしか書けない言葉の重みやリアリティーが、フェイクニュースのあふれる現代に再評価されている。
作家、上林曉(1902~80年)の生涯と作品を紹介する文学アルバム『海と旅と文と』(夏葉社)が今月下旬に刊行される。同書の編者を務めるのは、古書店主の山本善行。『文と本と旅と』(中公文庫、2022年)、『命の家』(同、23年)など、近年刊行が相次いだ上林の作品集の編者を手掛けてきた。「1冊出すと『はじめて読んだけど素晴らしかった』という反応がある。その流れで2冊目、3冊目と続いた」と手応えを語る。
上林は文豪・太宰治と同時期にデビューした作家だ。戦後に「私小説は身の回りの狭い世界にばかり目を向けていて、社会全体への視点に欠けている」という私小説批判が高まったため、生涯私小説作家を貫いた上林は不遇の時期が長く続いた。それが、ここに来て静かな注目を集めつつある。
上林の小説を特徴付けるのは、細部に宿る事実の重みだ。たとえば、心を病んだ妻の看病をテーマにした一連の小説では、入院を嫌がる妻を無理に注射薬で眠らせて病院に運び込んだこと、衰弱した妻を看護婦とリヤカーに乗せた際に妻の体の軽さに驚いたこと、リヤカーを引く犬の呼吸音に妻がおびえていたことなど、ありのままに描出した。
書くことで、つらい経験を整理して乗り越えようとしたのかもしれない。「実際に経験したという重みが伝わる。何が本当か分からない情報過多の現代に、こうした言葉の重みが新鮮に受け止められたのではないか」
上林以外にも、私小説作家の作品集は書店で目に付く。小山清(1911~65年)著『小さな町・日日の麺麭(パン)』(ちくま文庫、2023年)や木山捷平(1904~68年)著『駄目も目である』(同、2024年)などがそうだ。このほか、漫画家の川勝徳重が描いた漫画『痩我慢(やせがまん)の説』(リイド社、24年)は作家・藤枝静男(1908~93年)の初期の同名作品が原作。雑誌「フリースタイル」で「このマンガを読め! 2025」第1位に選ばれた。
木山の『駄目も目である』の編者を務めた書評家の岡崎武志は「いわゆる『名作』とは違い、私小説にはテーマや教訓がない作品も多い。だからこそ、細部の描写に自分らしく生きるとはどういうことかが垣間見える」と指摘する。知る人ぞ知る私小説発掘の動きは、当面続きそうだ。(山本紗世)
【図・写真】近年私小説作家の作品集などの刊行が相次ぐ
絵本とは何か 松本猛著、留まらぬ絵画と文芸の表現(読書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1027文字 PDF有 書誌情報]
本書の中軸は、「絵本は書籍という形を持った、絵画(視覚表現)と文芸(言語表現)が重なり合う表現ジャンルです」と絵本について言い切れる現在を、「絵本とは何か」を考える分水嶺に位置付けたことにある。本書を『絵本とは何か』としたのは、同名の書を著した松居直へのオマージュだという。1973年から半世紀を越えてバイブル的に読まれる松居の『絵本とは何か』では、子どもはどんな絵本を好み、どんなふうに絵本の世界に入り、絵本は子どもの成長の中でどうかかわるのかといった、「子どもにとって絵本とは何か」という指標が据えられた。
その指標は当然踏まえるものの、それだけでは言い尽くせないものが絵本にあることを、模索してきたのがこの半世紀であり、その成果を、現在の位置で言語化したのが本書ということになるだろう。「絵本を表現ジャンル」とするとき、著者は、絵本の歴史を「絵と言葉が一体化した書籍の起源」、古代エジプトの『死者の書』から紐解(ひもと)いてみせる。
また、「絵本」は出版物で、原画、デザイン、装丁、タイポグラフィ、編集、印刷、マチエールの選択など諸要素の総合的な力で成り立つ。現在では常識だが、この認識もコロンブスの卵で、「絵本はアート」「絵本の構造」「絵本はメディア」等々……その折々に書き散らされてきた絵本への見解が定着させた。そうした視点の変化が、絵本を作る人々に「表現の場としての絵本」を認知させていったと著者はいう。この認識は、「絵本だからできる」「絵本でなければできない」表現の探究に向かわせ、「絵本は子どもだけを対象とする書籍ではなく、自由な表現ができるメディアだ」として、絵本の発展へとつなげてきた。その様相や動きの経緯を、著者は絵本を一冊一冊取り上げながら詳細に解説していく。しかし、絵本は留(とど)まってはいない。「第4章 絵本の可能性」で、紙文化としての絵本の価値やデジタル絵本の表現開発への示唆を含め、新しい絵本スタイルへの記述は、この書の肝かもしれない。
著者は、若くして『絵本論―新しい芸術表現の可能性を求めて』(1982年、岩崎書店)を著し、絵本の芸術表現を唱える産声をあげた。その著者が半世紀を機に、絵本を表現ジャンルとして総括するのは、天命なのだろう。
《評》絵本研究者 石井 光恵
(岩波書店・2750円)
まつもと・たけし 51年東京都生まれ。美術・絵本評論家、作家。母であるいわさきちひろの没後、現在のちひろ美術館などを設立。
越境する歌舞伎 浅野久枝著、小芝居の腕っこき役者に光(読書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1006文字 PDF有 書誌情報]
今と違って、かつてはひと口に歌舞伎といっても全国津々浦々の劇場で多様な歌舞伎が上演されていた。演目、演出、役者の性別や素性もさまざま。
ところが歌舞伎の研究はもっぱら大都市・大規模の「大(おお)芝居」に偏っていて、地方を中心に興行した「小(こ)芝居」は近年ようやく光が当たり始めたばかり。一方お祭りなどで行われる「地芝居」は民俗芸能研究の対象になるが、プロの役者による小芝居はそこからもこぼれ落ちる。人々への歌舞伎の浸透という点では小芝居こそ重要な存在なのだが、実態はよくわかっていない。そこに民俗学の分野から切り込む本書が現れた。
3部構成で、第2部では小芝居の演目と演出について、第3部では女役者の活動と海外公演について整理するが、三河屋市川市蔵劇団の活動を詳述する第1部が圧巻。
1975年に解散するまで、いわゆる大衆演劇とは違い、もっぱら歌舞伎を上演しながら各地を巡業した。その巡業を支えたのは興行師、劇団、芝居小屋から成る独自のネットワーク。どの小屋にも大道具や鳴物がひと通り揃(そろ)っていた。それが文化会館の時間借りに様変わりすると活動は縮小し、人々と歌舞伎との距離も離れた。
役者は大芝居も含めて盛んに劇団間を移動し、そのキャリアも実に多彩。本書が「マイナーリーグ」にたとえるとおり、小芝居は歌舞伎役者の層の厚さを支えていて、つい最近までそういう腕っこきの役者が歌舞伎座にも出ていた。
興行の具体的な形態や慣習、芸に対する考え方、個々の役者の経歴まで、貴重な写真の数々とともにつぶさに記されていく。
その基になったのは、市蔵の次女で看板役者として活躍した岩井小紫師への長年にわたるインタビュー。長浜曳山(ひきやま)まつりで子ども歌舞伎の振付をする小紫師の「凛(りん)としたお姿に筆者は一目ぼれし」、初の面談の前日は「眠れないほど興奮した」という。なるほど、小紫師と小芝居への愛情が文章のあちこちにうかがえて、無味乾燥な研究報告とはひと味違う。あとがきには「なにせ歌舞伎研究の門外漢の掘った穴である」とあるがとんでもない、民俗学者ならではの手際がよく発揮されていて、本書もまた研究につきものの窮屈な枠組みを軽々と「越境」している。
《評》明治大学教授 矢内 賢二
(春風社・5500円)
あさの・ひさえ 57年東京都生まれ。同志社女子大嘱託講師。専門は人生儀礼研究や祖先観研究、食生活などの民俗調査。
サルとジェンダー フランス・ドゥ・ヴァール著、氏か育ちか 二元論を超えて(読書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 26ページ 994文字 PDF有 書誌情報]
ジェンダー平等の意識が高まる中、トランプ旋風がその動きに水をさしつつある。男と女には明らかな能力差、向き不向きがある、この世には男と女という2つの性しか存在しないという極端な立場を盛り返したいようだ。ジェンダーという語の政府使用を禁じる大統領令まで出してしまった。
たしかに、生物学的な性と文化的なジェンダーに関しては、長い論争の歴史があり、今もなお収束していない。たとえば、女の子は人形遊びが好きで、男の子は車や武器のおもちゃが好きという嗜好があるのは生物学的(生まれつきの遺伝)なのか文化的(周囲の影響)なのかという、いわゆる「生まれか育ちか(氏か育ちか)論争」がその代表である。
本書の著者ドゥ・ヴァールは、霊長類の社会行動、中でも特に、人間にいちばん近い類人猿であるチンパンジーとボノボの研究を牽引(けんいん)してきた。本書は、動物や人間の行動における性差をめぐる論争への彼なりの意見表明である。
この問題への著者のアプローチは類人猿の行動の比較である。人間も類人猿の一員であり、進化の過程で人間の祖先は、チンパンジーとボノボの共通祖先と、およそ600万年ほど前に分かれた。チンパンジーとボノボが分かれたのはその400万年ほど後のことだ。それでもこの2種が、現時点では人間にいちばん近い。
ところがこの2種の行動は驚くほど違うという。チンパンジーの社会は攻撃的で縄張りを持ち、男―著者はオス、メスとは呼ばない―が序列の優位にある。一方のボノボは平和的で、セックスで友好を維持し女が優位な地位にある。
そこからどういうメッセージを汲(く)み取るか。著者は3種の違いよりもむしろ共通点に注目する。そして、行動の性差はたしかに存在しており、すべてを文化や育ちのせいにする論調は極端すぎる。かといって行動や嗜好のすべてを遺伝で説明できるわけでもないと結論する。折衷案的に見えるが、結局はこれに勝る解釈はないのだ。
しかも考えてもみてほしい。すべてが生まれつき決まっていたのではつまらないではないか。かの大統領も、生まれつきつきだったわけではないはずだ。著者も、なにより大切なのは、万人の人権と友愛だと言い残している。
《評》サイエンスライター
渡辺 政隆
原題=DIFFERENT(柴田裕之訳、紀伊国屋書店・3520円)
▼著者は48年オランダ生まれ。米国の動物行動学者。2024年3月死去。
飴屋法水、山下澄人『おれに聞くの?』と「この私」 受動で生まれた厄災を祝福に(半歩遅れの読書術)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 26ページ 967文字 PDF有 書誌情報]
生んでと頼んだ覚えはない!反抗期の子供が親に言うお決まりとされる言葉だが、この言葉には、ある種の「真実」が込められている。
確かに頼んだ覚えは無いのだ。誰にもない。この世にこうして自分が存在することが、本質的に「受動」なのだと、この言葉は言い当ててしまっている。
しかしこのクレームが未熟なのは、親の方とて望んだ覚えがないからだ。いや目先は望んだり、判断したのかもしれないが、それはあくまで目先であって、親だって、自らこの世に生まれ出ようとか、こうして新しい命を作るのだとか、人なら成人するまで親が育てるだとかを、自らの意思でセットしたわけではない。気づけばそうなっていただけだ。
そもそも自分が生き物であり、食欲があり性欲があり、死肉を食べる誰かを求める、その根っこはすべて受動だ。気づけばそうなっていた。虫でも植物でも石でもなく、私は人で日本人とかで、この顔と体で誰かのもとに、この時代に生まれていた。選択肢などなかったのだ。
生きてくという事は、これら受動のあれこれに、生涯をかけて「折り合いをつけて」いく作業だろう。しかしここで人は悩む。生き物の中でも格別に悩む。
私というものが、私でしかないから悩むのだ。仏教に言わせれば、人の望みというものは、およそ「煩悩」つまりは「欲」で、裏を返せば欲が叶(かな)わないから悩むのか。こうだったら良かったのに、そうなってないではないか、なんでそうなれないのだ、私は、と悩む。
山下澄人の『おれに聞くの?』(平凡社)は、いわば悩み相談なのだが、山下さんは、そうやって悩んでいる私、「この私」という大前提の方を外してしまう。私から、外に出てしまうことだけを語っている。
生まれてみたらなぜか人で、なぜかこの私でしかなかったのであれば、まずはそれを万人にとっての厄災だと捉え、誰しもが変わらず抱えるその厄災を、祝福に変える術を語っている。どうやって? 是非、この本を読んでほしい。
今、窓から外を眺めれば木々に多くの新芽が出て、風に揺れたりしてるだろう。木には木の宿命がある。私はそれを見て、ああ綺麗(きれい)だなあと思ったりする。そう感じているのは確かに私で、それは私の喜びなのだが、綺麗なのは私じゃない。木だ。
私はこの時、私の外に出始めている。世界がぴかぴかと光り始める。(演出家)
彼女を見守る ジャン=バティスト・アンドレア著、激動のイタリア生きた2人(読書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 26ページ 926文字 PDF有 書誌情報]
フランスの文学賞として有名なゴンクール賞を受賞した本作。500ページに及ぶ、時代の濁流を描く大作、と聞くと怯(ひる)む人もいるかもしれないが、安心してほしい。小説がエンターテインメントであることを忘れずに作家がつづった、美しい物語である。
第1次世界大戦から第2次世界大戦にかけてのイタリアを舞台に、ある天才彫刻家の人生を描く。
イタリア北部の修道院に存在する、ある聖母子像の彫刻。それを彫ったのは、物語の主人公ミモだった。老年の彫刻家ミモは、自身の過去を語り始める。語られるのは、運命に導かれるように出会った1人の少女、ヴィオラとの記憶だ。
回想冒頭、親元を離れ、石工として働き始めた少年ミモ。彼が出会ったのは、空を飛ぶことを夢見る侯爵家の令嬢ヴィオラだった。貴族の娘でありながら、科学を愛し、常識にとらわれない彼女は、封建的な体制のなかで「異端」ともいえる存在として孤独を抱えていた。そんな彼女とミモは、偶然にも同じ年、同じ月日に生まれていたことから、次第に心を通わせていく。しかし2人の生きる時代は、階級、政治、ジェンダー、そして戦争といった多重の壁に満ちていた。
本作の魅力のひとつは、「彼女を見守る」というタイトルに秘められた意味が、読み進めるうちに反転し、感動をもたらす点にある。物語を読み終えたとき、「彼女」とは誰のことなのか、その問いに新たな光が当たる仕掛けはぜひ本書を読んで確認してほしい。さらに、時代背景を精緻に描きつつ、当時のイタリア社会が内包していた抑圧や矛盾――例えば貴族と平民の身分差、ファシズムの台頭、人種偏見といったテーマが、ミモとヴィオラの関係を通じて浮き彫りになる。
野心家で、行動力もある2人が、時代に阻まれる様子は読んでいて切なくなる。しかしそれでも自分の意思を諦めない2人の人生は、たしかに美しい物語となっていく。
激動のイタリアで、自分自身を手放さずに生きようとした彼らの姿を、ぜひ本書で発見してほしい。きっとあなたの人生を励ます一冊になってくれるだろう。
《評》文芸評論家
三宅 香帆
(澤田直訳、早川書房・3630円)
▼著者は71年生まれ。フランスの作家、脚本家。2017年に小説家デビュー。本作が4作目。
舞台が幕を開けるまで おーちようこ氏、演劇を裏で支える仕事たどる(あとがきのあと)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 26ページ 892文字 PDF有 書誌情報]
舞台俳優たちの演技を見て感動はしても、幕が開くまでにどんな人が関わり、苦労を重ねてきたのか、舞台裏はあまり知らないもの。演劇ファン歴30年超のライターである著者も同じで「自分の解像度の低さに愕然(がくぜん)とした」と振り返る。
劇作家、演出家、プロデューサー、美術、衣裳(いしょう)、ヘアメーク、照明、音響……本書は16人へのインタビューを通じて、企画段階から脚本の決定、チケット販売、演出の具現化、稽古、そして初日の幕が開くまでの、それぞれの役割を紹介する“舞台づくりの教科書”だ。具体的な流れをたどる構成であるがゆえ「目次にこそ意味がある。全員の取材を終えるまで順番がわからず、目次とページ割が最後に決まった」と苦笑い。
たとえば一般にはイメージのしにくい職種に「制作」がある。取材窓口を担い、チラシや公式サイトの作成、チケット販売実数の管理など職務範囲は広く、責任は重い。本書がスポットライトを当てた女性は「すべて稽古場で起きていることが舞台になっていく」と考え、できるだけ長く稽古場に身を置く。「誰がどんな表情をしているのか? など現場の空気をどれだけ感じ取れているかが非常に大切」との矜持(きょうじ)を持つ。
著者は上京したての20歳のころ、鴻上尚史主宰の「第三舞台」で演劇と出合った。慣れない新宿で道に迷い、半べそをかきながら劇場に到着。「大丈夫だよ、まだ1ベルが鳴ったばかりだから」と声をかけてくれた男性がいた。舞台では急傾斜に立つ5人の俳優たちが、機関銃のようなセリフの応酬を繰り広げた。「演劇の全てが凝縮されていた。人生を変えられた」
声をかけてくれた男性は実は鴻上本人で、本書の巻頭を飾る。あれから三十数年。演劇で生計が成り立つ人は一握り。だからこそ「演劇をつくれる人には、つくる使命がある。本を書ける人には伝える使命がある」。眼鏡越しにのぞく瞳には、演劇愛があふれている。(大修館書店・2200円)
【図・写真】 新潟県出身。広告代理店勤務を経てフリーライターに。舞台、本格ミステリー、特撮など守備範囲は広い。著書に『大衆演劇へようこそ』など。趣味は同人誌作り。
大東建託社長 竹内啓氏、手帳にコピー、心整える(リーダーの本棚)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 2101文字 PDF有 書誌情報]
いつでも目を通せるように2冊の本をデスクの横に置いている。
土光敏夫さんの『新訂・経営の行動指針』と松下幸之助さんの『人を活かす経営』です。土光さんの本は100項目の語録集で、毎日1項目ずつ繰り返し読み、その時々にいろいろな気づきを得ています。
100項目目は「日に新たに、日々に新たなり」です。経団連会長をされた土光さんの座右の銘で、中国の古典『大学』にある言葉です。今日のことはその日に終わらせる。失敗しても引きずらない。明日を憂えることもしないというのですが、気持ちを切り替えられないことがあります。土光さんの言葉を心に刻んで自戒しています。
この本を初めて手にしたのは課長のころです。土光さんのお宅の辺りが担当する営業エリアだったのです。古びたお宅を見て「これが土光さんの家か」と心を動かされました。どのような考え方で仕事をされた方なのか知りたくなったのがきっかけでした。
松下幸之助さんの本は若いころから読んできました。『人を活かす経営』も非常に啓発される本です。何か悩んでいる時にヒントになります。このまま進めるより、気持ちを改めて方向転換をすべきではないかという具合です。
まだ第一線で営業に歩いていたころ、含蓄に富む言葉に励まされた。
松下幸之助さんの本の一節を縮小コピーして手帳に貼っていました。気持ちが折れそうになったときに、それを読んで心を整えて奮い立たせるためでした。当社の営業は千三といって、千軒訪問して三つ契約がとれればよいというぐらいの確率です。
何カ月も成果が上がらないと、気持ちが追い詰められて焦ります。そうなるとお客さんが出す契約につながるサインが見えなくなり、空回りして悪循環に陥る場合があるのです。
そんなときに「一陽来復」という松下幸之助さんの『道をひらく』にある一節に救われる思いがしました。長い人生はうまくいくときばかりではない。窮境のときこそ力を伸ばすチャンスなのだ。必ず光が再びさして道は開ける。つまり「一陽来復」であると。
土光さんや松下さん、それから京セラの稲盛和夫さんのような方々の本は全て経験から導き出した生きた言葉でつづられています。しかもうまくいったことよりも、厳しい経験をしたときに、どう自分に鞭(むち)打って、次の高みに上がっていったのかを教えてくれるので勉強になるのです。
その稲盛さんの本で一番好きなのは『考え方』です。自分の考え方ひとつで、結果はプラスにもマイナスにもなる。正しい心の持ち方をしなければ、どうやろうとうまくいくわけがない。さらに燃えるような熱意がなければ駄目なのです。その通りだと思います。
稲盛さんは資金も無い中で京セラを創業しました。第二電電を起こしたときも、成功しないだろうというのが大方の見方でした。日本航空の再建は手弁当で引き受けて成し遂げました。
『考え方』などの著書の通り実践されたのです。日航に就職した娘は私の本棚から稲盛さんの『生き方』を引っ張り出して、線を引きながら何度も読んだようです。娘も稲盛さんの心に触れてくれたと思うと嬉(うれ)しいですね。
仕事を離れて読む本からも様々な学びがある。
書店をぶらぶら歩いていてたまたま出あったのが『医者が教えるサウナの教科書』です。加藤容崇医師が、サウナに入ると心身がなぜすっきりするのかを医学的に解き明かした本です。
私はサウナが好きで中学生のころから入っています。しかしこの本が教える通りに入ると全く違います。心身が本当に爽快になります。心と体をきちんと整えるのは経営者の務めです。心身が不調では、正しい判断はできませんし、ついには自分を見失って裸の王様にもなりかねないですからね。
高校時代に読んだ司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』には大いに鼓舞されました。私は富山県の田舎育ちですが、自分は外に出て何でもできるぞという意欲がわき上がりました。その思いは変わりません。59歳になりましたが、気持ちは今も19歳のままです。
(聞き手は 森一夫)
【私の読書遍歴】
《座右の書》
『新訂・経営の行動指針』(土光敏夫著、本郷孝信編、産業能率大学出版部)
『人を活かす経営』(松下幸之助著、PHP研究所)
《その他愛読書など》
(1)『道をひらく』(松下幸之助著、PHP研究所)
(2)『経営心得帖』『商売心得帖』(松下幸之助著、PHP文庫)
(3)『考え方』(稲盛和夫著、大和書房)
(4)『生き方』(稲盛和夫著、サンマーク出版)全ては心のありようで決まる
(5)『心を高める、経営を伸ばす』(稲盛和夫著、PHP研究所)
(6)『もう、きみには頼まない』(城山三郎著、毎日新聞社)石坂泰三が土光敏夫に東芝再建を依頼するくだりがある
(7)『医者が教えるサウナの教科書』(加藤容崇著、ダイヤモンド社)
(8)『竜馬がゆく』(司馬遼太郎著、文春文庫全8巻)
(9)『「明治」という国家』『「昭和」という国家』(司馬遼太郎著、NHKブックス)
たけうち・けい 65年富山県生まれ。朝日大経営学部卒。89年大東建託入社、2007年首都圏営業部長、14年取締役、18年常務。23年4月から現職。
暴走するウクライナ戦争 オーウェン・マシューズ著、「境界」の国で交錯する亀裂(この一冊)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1028文字 PDF有 書誌情報]
停戦というエンド・ゲームが本格化する今日、なぜウクライナ戦争が起き、どう決着するかを考える上で必読の書だ。この悲劇をソ連崩壊の最終章とみる英国の現代史家は外交交渉で事態は終わるとみる。
歴史を知るには歴史家を知れ。母方の一族は、女帝エカテリーナの軍高官、革命派からスターリン企業の支配人、飢饉(ききん)・粛清も体験した。しみついた「帝国」の血統がもたらした豊富な情報と複眼的分析で圧倒する。
当初は親ロ和平派だったゼレンスキー大統領は開戦で一転、「Tシャツのチャーチル」に変貌した。しかし1年もたつと「本当は、時勢はウクライナに味方してない」という暗い展望もみえてきた。こういう逆説の展開へのカギが本書にはある。
ウクライナとは「境界」の国だから宗教、文化、経済の亀裂が交錯する。国内での東西対立、それと連動する大国間の紛争は、ついに北大西洋条約機構(NATO)とロシアの代理戦争となった。ドンバスの戦線は事実上「米ロ間の国境」なのだ。
さらにはソ連崩壊後の対ロ政策を巡る米政界での民主党タカ派とトランプとの対立、オリガルヒの利害も絡んだ複雑な争い。開戦までの十余年は、東南部ドンバスの自決をめぐるミンスク合意をめぐって、いわば「聞く耳を持たない同士の和平対話」となってきた。
ロシア軍は強くはないが、見かけほど弱くもない。「3日で終わる」はずだったプーチンの初の誤算と敗退の分析は他の追従を許さない。だがゼレンスキーも2日目にはロシアと中立化交渉を開始していたのだ。
本書の対象は2022年末で終わっているが、その頃から著者も指摘するように戦況はロシア側に有利となる。基礎体力が決定的な消耗戦で押し返した。この頃から戦争の本当の議論と選択が問われだした。核戦争の危惧が人々を慎重にもさせた。
「正義が勝つ」とは限らないことを実感させるのが終章だ。この著者でしか書けないことに、「プーチンはロシア国民を真に代表していた」。ドンバス民兵はキーウとも独自の戦いを展開した。彼らの真の敵とは西側志向の「リベラル」ではなくむしろ「愛国右派」でもあった。戦場は「膠着」し、軍人と政治家とは双方で亀裂を深める。
敵味方という固定観念を超えて読まれるべき一冊である。
《評》法政大学名誉教授 下斗米 伸夫
原題=OVERREACH(三浦元博訳、白水社・4950円)
▼著者は、1971年生まれ。英国の歴史作家、ジャーナリスト。著書に『スターリンの子供たち』『ゾルゲ伝』など。
奴隷・骨・ブロンズ 井野瀬久美惠著、植民地 抑圧された側の声(読書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 545文字 PDF有 書誌情報]
2020年、米ミネソタ州で黒人のジョージ・フロイド氏が白人警官によって路上に押さえつけられ死亡した。世界に広まった反人種差別の抗議運動の中、英ブリストルではなぜか近世の慈善家の銅像が引き倒され港に沈められた。地元の名士が同時に大西洋を股にかけた奴隷商人でもあったことを、21世紀の人々が思い出したからだ。
著者は英国近代史が専門。かつて世界最大の植民地帝国を築いた同国の歴史が時代を超え、人権や賠償、謝罪にかかわる問題として現代によみがえるさまを書き留める。奴隷貿易、飢餓を逃れ北米を目指したアイルランド移民の骨、英軍に略奪され欧州中に散らばったアフリカ・ベニン王国の宝物。権力者側がペンを握りがちな公式の歴史には刻まれない、抑圧された側の声を史料から読み取っていく。
奴隷制プランテーションが導入されたカリブ海の島々では、女性奴隷が抵抗の手段として植物による人工妊娠中絶を編み出した。それを21世紀の女性科学史家がジェンダーと科学の文脈で「再発見」したことを著者は指摘する。男性からは見えにくい、もしくは無視された史実に関心を向ける筆さばきが光る。
遠い英国の問題というなかれ。日本も1945年までアジアの植民地帝国だったことに触れるのを、著者は忘れていない。(世界思想社・2970円)
不平等のコスト ディエゴ・サンチェス=アンコチェア著、中南米から先進国へ警鐘(読書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 531文字 PDF有 書誌情報]
中南米を覆う格差がなぜなくならないのか。格差がどのような経済的・社会的なコストを生んでいるのか。中米コスタリカ出身の経済学者で、英オックスフォード大学教授である著者がこうした難問の解明を試みた。
日本から遠い中南米の格差研究にどんな意義があるのか。著者はフィナンシャル・タイムズ(FT)のマーティン・ウルフ氏の「欧米のいくつかの国で所得分配状況がラテンアメリカ的になるにつれ、そうした国の政治もラテンアメリカ的になってきている」という言葉を引用している。
中南米を除く国・地域への教訓をどこまで引き出せたかは読み手の問題意識で異なるだろう。ただ、所得や資産の不平等度がきわめて高いと民主主義や経済発展の維持すら困難になる。さらに不平等度が高まって経済的・社会的不安定さが増す、といったメカニズムは一定の説得力を持つ。日米欧など先進国への警鐘とも読める。
格差問題を克服するための「魔法の杖」のような処方箋はないと明言する。農地の解放、税制の変更、競争政策、最低賃金引き上げ、金融規制、ユニバーサルな社会政策、労働組合の強化などを挙げ、国や地域ごとに「政策の適切な組み合わせ」を考えるべきだと主張している。谷洋之・内山直子訳。(東京外国語大学出版会・3300円)
経営教育 岩尾俊兵著、対立超える思考の重要性(読書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 526文字 PDF有 書誌情報]
世の中で分断が広がっている。ネット上では対立をあおる声が目立ち、企業では社内政治がはびこり不祥事も頻発する。こうした状況はなぜ生まれるのか。「価値あるものは有限であり、他者から奪うことでしか豊かになれない」という思い込みからだと著者は指摘する。
人類史を振り返れば、資源は有限でも人間の無限の知恵が革新と豊かさを生んできた。「ともに価値を創り合う」思考へ変えていくべきだと主張する。
理想論に聞こえるが、著者は本気だ。京セラやピーター・ドラッカーなどの経営思想から着想したという思考方法を紹介し、読者に実践を呼びかける。高校入学を断念し苦学の道を選んだ自らの経験を紹介しながら、考え抜いて二項対立を超えることの重要性を説く。
かつて企業内で盛んだった品質管理のQCサークル活動は、組織で知識を共有し、価値を共創する代表的な仕組みだった。日本企業が弱体化した背景も独自の視点で分析し、打開への道を探っていく。
企業だけでなく人生も、どう経営していくかで将来は大きく変わる。経営力を磨くための教育のあり方にも論は及ぶ。
批判の応酬や思考停止に陥っていては、事態は悪化するだけだろう。対立を超える思考の可能性を気づかせてくれる一冊だ。(角川新書・990円)
行動経済学で「未知のワクチン」に向き合う 佐々木周作、大竹文雄、齋藤智也著(短評)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 329文字 PDF有 書誌情報]
■『行動経済学で「未知のワクチン」に向き合う』
佐々木周作、大竹文雄、齋藤智也著
日本における新型コロナウイルスのワクチン接種プロジェクトに行動経済学はどう関わり、どんな成果を上げたのか。行動経済学者と感染症学者の著者らは、人間の意思決定の特性を踏まえて自発的な行動変容を促す「ナッジ」の手法を用い、人々に未知のワクチンを受け入れてもらうための助言を政策現場に行ってきた。その歩みをまとめた記録である。
「あなたの分のワクチンを確保しています」「ワクチン接種はあなたやあなたの大切な人を新型コロナから守ります」。コロナ禍に見かけたメッセージは日本人のどんな行動分析から考案されたのか。収束後の今だからこそ、興味深く読むことができる。(日本評論社・2420円)
ブラック郵便局 宮崎拓朗著(短評)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 325文字 PDF有 書誌情報]
■『ブラック郵便局』
宮崎拓朗著
郵便、保険、貯蓄の3事業を取り扱い三十数万人もの職員を抱える日本郵政グループ。民営化に伴う収益向上策として、保険営業には過度のノルマが課せられ、高齢者への詐欺まがいの勧誘が横行した。
西日本新聞の記者である著者は内部告発などをもとに、郵便局への「信頼」を逆手にとった悪徳商法のごとき実態に迫っていく。
配達時間の極端な短縮や、年賀はがきなどの営業では、未達の局員へのパワハラ的指導も常態化。
既得権益を守るための郵便局長会の政治活動への傾斜など、はびこるヤミを余すところなく暴いた。
最近でも、顧客リストの不適切利用や飲酒しての配達など不祥事が続く。巨大組織の病理にどんな手が尽くせるのだろうか。(新潮社・1760円)
おいしい季節がやってくる。 行成薫著(新書文庫)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 251文字 PDF有 書誌情報]
■『おいしい季節がやってくる。』行成薫著 震災で夫を亡くした孤独な女性は、万引きをしようとした空腹の小学生に夫が好きだった豚汁をふるまう――。四季をめぐりながら食と人間模様を描く短編集。登場人物は時に困難と対峙しながらも前を向く。彼らのそばにはおいしいごはんがあって心を解きほぐす。「食」は生きる力であり、誰かと心を通い合わせるよりどころだと気づかされる。(集英社文庫・825円)
過去に掲載した書評が電子版でお読みいただけます。スマートフォンでQRコードを読み取ると「日経の書評」にアクセスできます。
文芸書 4月6日~12日(ランキング)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 249文字 PDF有 書誌情報]
(1)カフネ阿部暁子著(講談社)
(2)亡霊の烏阿部智里著(文芸春秋)
(3)謎の香りはパン屋から土屋うさぎ著(宝島社)
(4)ファーストキス 1ST KISS坂元裕二著(KADOKAWA)
(5)月収原田ひ香著(中央公論新社)
(6)恋とか愛とかやさしさなら一穂ミチ著(小学館)
(7)書いたら燃やせシャロン・ジョーンズ著(海と月社)
(8)月とアマリリス町田そのこ著(小学館)
(9)世界99 上村田沙耶香著(集英社)
(10)『片思い世界』オフィシャルフォトブック江森康之撮影(リトルモア)
(福岡・丸善博多店)
持続可能なメディア 下山進著(新書文庫)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 216文字 PDF有 書誌情報]
■『持続可能なメディア』下山進著 30年前からのインターネットの急速な普及がメディア業界の市場環境を揺らし続けている。生き残りを賭け、新聞、雑誌が、痛みを伴った改革に取り組む。その最前線を追った。数々のエピソードに満ちた雑誌への連載に、自ら注釈を付ける形でその後の状況の変化もアップデート。生成AI(人工知能)といかに共生するのかといった新たな課題を指摘するとともに、生き残りの条件も提示し変革を促している。(朝日新書・1045円)
関係人口 高橋博之著(新書文庫)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 27ページ 216文字 PDF有 書誌情報]
■『関係人口』高橋博之著 主に都市に住みながら、地方の特定の地域に関わりを持つ人々を関係人口と呼び、著者はその名付け親である。関わり方は「観光以上、移住未満」が基本。人口減少が進む地方にとって貴重な助っ人で、地方創生の柱の一つだ。都市と地方を行き来する人が増えれば都市と地方の「人口シェア」が成り立つ。自ら関係人口の定着に取り組む実践記であり、その経験に基づいた二地域居住の制度化などの提言は説得力がある。(光文社新書・1100円)
今井気迫 ノーヒット 61年ぶり「無安打有失点」 平良が締めレオ3連勝(プロ野球)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 682文字 PDF有 書誌情報]
バットの芯を食った強い打球はほとんどなかった。西武・今井が8回を投げ、最後は平良が締める理想的な継投。1失点は内野ゴロによるもので、被安打はゼロ。本拠地ベルーナドームでの今季初勝利を、史上5度目、61年ぶりの「無安打有失点」という珍しい記録で飾った。
序盤から出力が上がっていた今井は「今季で一番感覚よく投げられた」と汗を拭う。低めへの意識の強さが多少の制球のバラつきにつながったが、150キロ台中盤の速球や鋭く変化するスライダーの質は申し分なし。四回山川を高めの速球で空振り三振に仕留めた時には帽子を飛ばし、早くも雄たけびを上げて気迫を前面に出した。
西口監督が五回を終えて「ひょっとしたら」と無安打無得点試合を感じ取るほどの調子の良さ。それでも失点をするときはある。七回、先頭打者への四球をきっかけに、盗塁と一ゴロで1死三塁。4番山川の高く弾む三ゴロで生還を許した。
「ああいう点の取られ方は(気持ちが)ガクッとくる」と西口監督。確かに気落ちしてもおかしくない場面ではあったが、今井は「仕方ないと割り切って投げることができた」と冷静だった。
その右腕の奮闘は直後の打線の勝ち越しで報われる。100球を超えていた八回は最後の力を振り絞った。代打嶺井から三振を奪うと、再びほえてマウンドを降りた。
前回登板の日本ハム戦も七回途中まで無安打を続けるなど安定感は抜群だ。チームは今季初の3連勝で勝率5割に復帰した。「投げるイニングは絶対にゼロで抑えることを目標にしている」。エースの存在が何とも頼もしい。
(渡辺岳史)
【図・写真】ソフトバンク戦で力投する西武先発の今井
(ゴルフ)青木瀬4位発進 精度抜群「私の番」[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 611文字 PDF有 書誌情報]
KKT杯バンテリンレディースオープン(18日・熊本空港CC=6565ヤード、パー72)
5年ぶりのツアー3勝目を狙う29歳の永峰咲希が5バーディー、ボギーなしの67で回り、未勝利の沖せいら、地元熊本出身のルーキー荒木優奈と5アンダーで首位に並んだ。1打差の4位で青木瀬令奈、小林夢果、大出瑞月ら5人が続く。
前週優勝の安田祐香は菅楓華らと1アンダーで18位につけた。(賞金総額1億円、優勝賞金1800万円、出場108選手=うちアマ4人)
◇
傾斜が強く、ドッグレッグも多い林間コースでは飛距離よりもコースマネジメントとショットの精度がスコアメークの鍵を握る。得意のフェアウエーウッドやユーティリティーがさえ、身長153センチと小柄な青木瀬令奈が首位と1打差と好発進した。
3番パー3(実測176ヤード)、7番ウッドでピン2メートルにつけて最初のバーディー。5番パー4ではティーショットで足を滑らせて距離を損したが、7番ユーティリティーでの2打目を再び2メートルにつけてバーディーとした。「ちょうどいい距離が残った。滑ってよかったかも」
昨年秋、両足の母指球周辺の骨折が判明。減量し、痛みを和らげる靴下やウエアを模索した。3月のVポイント×SMBCでは単独首位発進しながら「足がもたなかった」と失速した。その後、プロ同期生の工藤遥加や親しい安田が相次ぎ優勝。「すごく刺激をもらった。次は私の番」と意欲満々だ。
(吉野浩一郎)
ロッテ寺地、プロ1号 八回におかわり2号(プロ野球)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 316文字 PDF有 書誌情報]
ロッテの高卒2年目捕手、寺地がプロ1号を含む2本塁打と躍動した。記念の1本目は三回。チェンジアップが切れていた楽天・早川が直球で押してくる中で「ポイントを前に」と心掛け、右翼席へのソロとした。
八回の2本目も無走者だった。藤平のフォークボールをはらうようなスイングで右中間席へ。ここでは「直球を狙いながら浮いた変化球に反応できれば」と臨み、その通りの結果に。19歳と経験は浅いながらも捕手ならではの備えが生きた。
強打の正捕手、佐藤が打率1割に満たない不振に陥り、代わって2試合連続で先発マスクをかぶった寺地は「1軍の舞台で試合に出るのが一番いい。そこをずっと目標にしていければ」。同じ左打者の佐藤の尻に火をつける存在になれるか。
日本、カナダに敗れ7位 世界アイスホッケー女子(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
【チェスケー・ブジェヨビツェ(チェコ)=共同】アイスホッケー女子の世界選手権は17日、チェコのチェスケー・ブジェヨビツェで準々決勝が行われ、世界ランキング7位の日本は世界1位で前回大会優勝のカナダに1―9で大敗した。規定により、日本は7位で大会を終えた。
日本はカナダの猛攻を受け、第1ピリオドに2失点。第2ピリオドに三浦(トヨタシグナス)が得点したものの、その後は7ゴールを奪われた。
車いすテニス、上地4強 ジャパンOP(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 130文字 PDF有 書誌情報]
車いすテニスのジャパンオープンは18日、福岡県飯塚市のいいづかスポーツ・リゾートなどで第4日を行い、女子シングルス準々決勝では第1シードの上地結衣(三井住友銀行)が第7シードのクセニア・シャストー(フランス)を4―6、6―1、6―0のフルセットの末に下した。
(体操)岡首位、安定感健在 全日本体操 橋本2位、大技に成功 僅差で決勝へ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 879文字 PDF有 書誌情報]
体操の世界選手権(10月・ジャカルタ)代表2次選考会を兼ねて個人総合で争う全日本選手権第2日は18日、群馬県の高崎アリーナで男子予選が行われ、初優勝を目指すパリ五輪3冠の岡慎之助(徳洲会)が6種目合計84.864点でトップだった。5連覇が懸かる2021年東京五輪王者の橋本大輝(日本生命・セントラルスポーツ)が0.633点差の2位。
長谷川毅(徳洲会)が3位で、パリ五輪団体総合「金」メンバーの谷川航は7位、萱和磨(ともにセントラルスポーツ)は8位。17位だった田中佑典(田中ク)ら20日の決勝に進んだ30人が、最終選考会となる5月のNHK杯出場も決めた。
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指先までピンと伸びた美しさが武器の岡か、高難度技を盛り込んだ橋本か。五輪個人総合の覇者同士が相対するのは、79回目を数える大会でも初めて。今大会から金メダリストに用意された金色のゼッケンをまとう両者の戦いは予選から接戦となった。
橋本は跳馬で大技「ロペス」を決め、平行棒でも新たに取り入れたE難度の技に成功。「すごく評価された」と手応えを得た一方で、得意の鉄棒で車輪が止まりかけ、ルール改正で必須となった床運動のバランスを取る演技では右足の持ち上げをやり直す痛恨のミス。大会4連覇中の23歳は悔しさをあらわにした。
対照的に21歳のパリ五輪王者は安定感が抜群だった。しなやかで精度の高い演技で着実に高いEスコア(実施点)をマーク。着地をピタリと止めると0.1点を得られる新ルールのボーナスも、4種目で獲得してみせた。5種目めの鉄棒では橋本の代名詞だったG難度の「リューキン」を決めて進化も示し、最終種目の床運動で逆転した。
その差はわずか0.633点。「久々の試合で楽しくて。早く決勝をやりたい」と岡が手応え十分なら、橋本も「自分は巻き返す力を持っている。彼(岡)の演技を超えて逆転優勝できるよう頑張りたい」と語気を強める。2028年ロサンゼルス五輪に向けたエース争いは、早くも熱を帯びている。
(佐藤淳一郎)
【図・写真】岡は最終種目の床運動で逆転した
【図・写真】橋本の平行棒。E難度の技に成功した
(世界国別フィギュア)りくりゅう会心 日本2位維持 今季世界最高、SP首位[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 700文字 PDF有 書誌情報]
フィギュアスケートの世界国別対抗戦第2日は18日、東京体育館で3種目が行われ、4大会ぶりの優勝を目指す日本は順位点合計80点で2位を維持した。ペアで3月の世界選手権を制した三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)がショートプログラム(SP)1位。今季世界最高で自己ベストの80.99点を出した。
男子フリーの佐藤駿(エームサービス・明大)は169.62点で4位、鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)は168.93点で5位。アイスダンスのフリーで吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)は94.95点の6位だった。
米国が95点で首位を守って2連覇に前進。男子のイリア・マリニンが183.88点をマークした。
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スクリーンに点数が表示されると、三浦は感極まった表情で二度、三度と跳びはねた。2023年の世界選手権でマークしたSPの自己ベストを2年ぶりに更新。木原は「(シーズン)最終戦でしっかり発揮できてうれしい」と充実感をにじませた。
冒頭から高さのあるリフトでファンを魅了。王座に返り咲いた先月の世界選手権では回転不足を取られた3回転トーループも、息の合ったジャンプで1.08の加点を得た。激しい曲調の中でも結成6季目の2人の動きはぴたりとそろい、全ての要素で1点以上の出来栄え点を獲得した。
疲労も残る中での会心の演技に「積み重ねてきた練習があったから」と三浦。祭典感が強い団体戦とはいえ、10カ月後の五輪へ向けて確かな自信になるだろう。
今季最後の演技となるフリーへ、木原は「けがなく、楽しむことを忘れずに頑張りたい」と力を込めた。
(木村祐太)
【図・写真】ペアSPで演技する三浦(上)、木原組
(ゴルフ)馬場と岩井明、9位スタート 米女子ゴルフ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 186文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米女子ゴルフのJMイーグルLA選手権第1ラウンドは17日、ロサンゼルスのエルカバレロCC(パー72)で行われ、日本勢は馬場咲希と岩井明愛が66をマークし、トップと3打差の9位スタートとなった。67の15位に勝みなみ、竹田麗央、岩井千怜がつけた。68の24位が山下美夢有で、畑岡奈紗は70で62位となった。古江彩佳、西郷真央、西村優菜は71で81位。
(体操)世界体操「金」芦川が引退へ[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 169文字 PDF有 書誌情報]
体操女子で2021年の世界選手権、種目別平均台の金メダルに輝いた22歳の芦川うらら(日体大)が18日、大学4年の今季限りで現役を退く意向を明かした。「入学前から、大学まで頑張ると決めていた。(今季を)全力で頑張って区切りを付けたい」と話した。卒業後は指導者を目指すという。静岡県出身。21年東京五輪にも出場し、種目別平均台で6位だった。
中谷×西田、6月ゴング バンタム級王座統一戦[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 161文字 PDF有 書誌情報]
世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王者の中谷潤人(M・T)と国際ボクシング連盟(IBF)同級王者の西田凌佑(六島)が6月8日に東京・有明コロシアムで王座統一戦を行うことが18日、主催者から発表された。
東京都内で記者会見した27歳の中谷は「こういう試合を望んでいた。全ての能力をレベルアップさせる」と決意を述べた。
横浜M、ホーランド監督解任[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 33ページ 144文字 PDF有 書誌情報]
J1横浜Mは18日、スティーブ・ホーランド監督(54)の解任を発表した。リーグ戦で1勝5分け5敗の勝ち点8でJ2降格圏の18位と低迷していた。同日の練習からパトリック・キスノーボ氏(44)が暫定的に指揮を執っている。昨季のハリー・キューウェル氏に続き、シーズン途中での監督解任となった。
北極の海氷面積、観測史上最小に 冬季、平年より気温高く[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 546文字 PDF有 書誌情報]
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立極地研究所は18日、3月に人工衛星で観測した北極の海氷の年間最大面積が、観測史上で最小を更新したと発表した。海氷減少の一因として、2024年12月~25年2月の北極海周辺の気温が平年より高く、海氷域が広がりにくい状況が続いたことが考えられるという。
JAXAの水循環変動観測衛星「しずく」で観測したデータを分析した。しずくに搭載されている高性能マイクロ波放射計は海面や海氷、大気から放出される微弱な電波を捉え、水に関する様々な物理量を観測できる。
同データをもとに測定した海氷面積は今季で最も海氷域が広がった25年3月20日でも1379万平方キロメートルだった。この数値は1979年の観測開始以降、最も小さく、2017年3月5日に記録した最小記録1392万平方キロメートルを13万平方キロメートル下回った。
北極海を覆う海氷の面積は例年、10月~3月に拡大し、4月~9月にかけて縮小する。海氷面積の年間最大値は1979年以降、減少傾向にある。2025年3月20日時点の海氷の分布を2010年代の平均と比較したところ、グリーンランドの東側以外の多くの海域で減少していることが分かった。
北極の海氷面積の減少は、地球規模の気候変動との関係が指摘されている。
猟銃使用、特例で可能に 市街地のクマ被害対策 改正法成立[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 490文字 PDF有 書誌情報]
改正鳥獣保護管理法が18日、参院本会議で賛成多数により可決し成立した。クマなどが市街地に出没した際、市町村長の判断で猟銃を使った駆除が可能になる。一定の条件の下でハンターに委託できるようになる。
公布から6カ月以内に施行する。環境省はクマの出没が増える秋までの体制整備を目指す。
改正法は日常の生活圏に出現し、人の生命や身体に危害に及ぼす鳥獣を「危険鳥獣」と定義した。政令によりヒグマとツキノワグマ、イノシシを対象にする方針だ。
猟銃の使用には(1)危害を防止する措置が緊急に必要(2)地域住民に弾丸が達するおそれがない――などの条件をつける。弾丸が建物に当たるといった物損が生じた場合は市町村長が補償する措置も盛り込んだ。安全確保のため市町村長による通行制限や避難指示もできる。
改正前は人に危険が及ぶ恐れがあるとして住宅地での猟銃による駆除は原則禁止していた。
クマによる被害は増えている。環境省によると2023年度に報告された人身被害は219人で、把握できる06年度以降で過去最多だった。山をおりて住宅地でえさを探す「アーバンベア」の出没が相次ぎ、対策が急務となっていた。
瀬戸内、アートで元気に 国際芸術祭開幕、過去最多256作品[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 479文字 PDF有 書誌情報]
瀬戸内海の香川県などの島々を主な舞台とする現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」(瀬戸芸)が18日開幕した。37カ国・地域から218組の作家が参加。過去最多の256作品が展示される。大阪・関西万博との相乗効果も期待される。
瀬戸芸は3年に1回開催され、今回で6回目。香川・岡山両県の11の島、6カ所の沿岸が会場になる。春(4月18日~5月25日)、夏(8月1日~31日)、秋(10月3日~11月9日)の3会期、107日間開催される。
香川県立アリーナで18日、開会式が開かれた。香川県の池田豊人知事は「来場者と地元住民が芸術祭を通じて交流し、その縁が長くつながるよう全力で取り組みたい」とあいさつ。総合プロデューサーの福武総一郎・福武財団名誉理事長は「瀬戸芸の意図は過疎の瀬戸内の島々をアートの力で元気にすること。瀬戸芸を通じて地域の姿をごらんいただきたい」と語った。
式典には約600人が参加。スペイン、スウェーデンの大使ら海外の来賓も出席した。
【図・写真】瀬戸大橋エリアで展開される瀬居島プロジェクトの一つ、保井智貴さんの作品「Next」(香川県坂出市)
「指定宗教法人」清算へ指針 文科省、今秋にも策定[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 462文字 PDF有 書誌情報]
文部科学省は18日、財産監視の強化対象となる「指定宗教法人」の清算に関する指針の策定に向けて、文化庁に検討会を設置すると明らかにした。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済が課題となるなか、5月中に初会合を開き、秋ごろの策定を目指す。
阿部俊子文科相は同日の閣議後記者会見で「信教の自由に配慮しつつ、清算手続きを通じた被害者の救済と円滑な清算に資する指針を策定したい」と述べた。検討会は有識者や弁護士、宗教家で構成する。
指定宗教法人は法令違反を理由に解散命令を請求された宗教法人で、被害者が相当多数と認められる場合に指定される。
解散命令の効力が発生すると、裁判所が選任する清算人により資産が管理され、債務の弁済などが進められる。その過程で信者が施設の利用を希望した場合の対応など、清算実務と信教の自由のバランスの取り方についても指針に盛り込む。
旧統一教会を巡っては、文科省が2024年、指定宗教法人に指定。東京地裁が25年3月、宗教法人法に基づく解散を命じた。教団側は命令を不服として東京高裁に即時抗告した。
保育所での虐待、通報を義務化 改正児童福祉法など成立[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
児童虐待の防止や保育士の人材確保策を盛り込んだ改正児童福祉法などが18日の参院本会議で成立した。保育所や認定こども園の職員らによる虐待を見つけた場合の通報を10月に義務化する。虐待防止や早期発見につなげる。
これまでも児童養護施設などでの虐待には通報義務があった。保育所や認定こども園、幼稚園には法律上の規定がなかった。不適切な保育が問題となったことをふまえ、虐待を見つけた人に地方自治体への通報義務を課す。
保育士の人手不足に対応するため、国家戦略特区で認めていた「地域限定保育士」は全国に広げる。通常の保育士試験と違い、実技試験を講習などで代替できる。保育士不足がとくに深刻な地域での活用を可能にする。
フジテレビ主催の音楽行事を中止 万博協会発表[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 189文字 PDF有 書誌情報]
日本国際博覧会協会は18日、大阪・関西万博会場で5月18日に予定していたフジテレビ主催の音楽イベントを中止すると発表した。同社側から申し出があった。6月29日に予定していたクラシックコンサートを含め、同社主催イベントはすべて中止となった。
協会は公式サイト上で「抽選にお申し込みいただいた皆さまに対し、ご迷惑をお掛けする結果となったことを深くおわび申し上げる」とコメントした。
叙位叙勲[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
叙位叙勲(18日)正五位旭日中綬章=石川県議故稲村建男氏
万博の魅力、仮想空間で VR活用し自宅でも疑似体験 来場促す呼び水に(EXPO2025)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 1382文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博に合わせ、メタバース(仮想空間)でパビリオンなどを巡るバーチャル万博が始まった。スマートフォンなどを通じイベントを同時中継するなど臨場感を高める工夫を施す。実際に会場を訪ねる人を増やす呼び水にするとともに、来場が難しい人らも魅力を体験できる「次世代の万博」の布石になる。
(1面参照)
暗闇の中を通り抜けると、壁面が白い洞窟のような空間が現れた。幻想的な音楽とともに「リアルとバーチャル 自分と他者 現在と未来 様々なものの間の壁を超え 混ざり合う美しさ」との表示が浮かぶ。仮想空間のNTTパビリオンの様子だ。
日本国際博覧会協会は万博開幕に先立つ3日、バーチャル万博を体験できるアプリの無料配信を開始。開幕前日の12日、展示物の内容などを充実させた。利用できる端末は幅広く、スマートフォン、タブレット、パソコンで楽しむことができる。対応する一部の仮想現実(VR)ゴーグルを身につければ臨場感が増す。
仮想空間の会場は、宙に浮かぶ12の島々からなる。海外パビリオンなどは再現の度合いに差があるものの、入場ゲート、大屋根リングを含めた施設のディテールを表現した空間上を自らのアバター(分身)を操って巡る。
会場の動きともリアルタイムで連動する。参加国が企画する「ナショナルデー」など各種イベントを視聴できるなど、臨場感を高める仕掛けも埋め込んだ。会場の人工島、夢洲(ゆめしま)の特定の場所でアプリを使うと、実際の景色に巨大な公式キャラクター「ミャクミャク」が現れるなど、拡張現実(AR)の機能も備えている。
日本語版、英語版があり、万博に興味がある海外の人もターゲットに据える。アバター同士がチャットで交流することができ、相手の使用言語に応じて中国語や韓国語、スペイン語など14言語に自動翻訳する仕組みも設けた。
万博をインターネット上で疑似体験する取り組みは、新型コロナウイルス禍で移動が制限されたことや、デジタル技術の進展を背景に、2021~22年のドバイ万博で始まった。360度カメラで撮影された画像で再現した会場内を巡る仕組みだった。大阪万博はドバイ万博の実績とされる2億アクセス以上を目標に掲げる。
今回は仮想空間を舞台にしたバーチャル万博に進化した。光の点滅やディスプレーの表示内容の変遷なども克明に描写できるようになり、未来を感じさせるものを表現しやすくなった。
仮想空間を使うバーチャル万博を設けると、現実の会場に足を運ぶ人が減るのではないかと考えがちだ。しかし、日本国際博覧会協会の担当者は「没入感を高め、会場でリアルの体験をしたくなる呼び水にしたい」と意気込む。
大阪万博はデジタル技術を使い、社会が抱える物理的な障壁や制約を取り除くことを目指す。三菱UFJ銀行などが設立した一般社団法人「関西イノベーションセンター」(MUIC、大阪市)と連携し、介護施設でバーチャル万博を体験してもらう構想も温めている。
協会の担当者は「体が不自由などの理由で来場が難しいと感じる人も、アプリを通じて会場の雰囲気を味わってほしい。仮想空間を国境や境遇の差をこえた交流の場にしていけたら」と話す。
(原田花鈴)
【図・写真】実際の日本館を再現した建物=日本国際博覧会協会提供
【図・写真】バーチャル会場の東ゲート前に集まる来場者=日本国際博覧会協会提供
佳子さま、石川の九谷焼工房訪問(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 225文字 PDF有 書誌情報]
石川県を訪問中の秋篠宮家の次女、佳子さまは18日、九谷焼を手掛ける「錦山窯」(同県小松市)を訪問された。職人が焼き物に金箔をはりつける様子などを見学し「ピタッと貼るのはどういうふうになさっているんですか」と尋ねるなど、作業の様子を興味深そうに視察された。
能登半島地震では錦山窯も多くの焼き物が割れる被害を受けた。錦山窯の4代目当主で九谷焼作家の吉田幸央さんは「『大変でしたね』ということを言われて、震災に対する心遣いがあったと思う」と振り返った。
蛇笏賞に三村純也さん 迢空賞に花山多佳子さん(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
角川文化振興財団は18日までに、第59回蛇笏賞に三村純也さんの句集「高天」(朔出版)が、第59回迢空賞に花山多佳子さんの歌集「三本のやまぼふし」(砂子屋書房)が決まったと発表した。賞金は各100万円。
故田名部匡省氏に正三位(短信)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 34ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
政府は18日の閣議で、3月26日に死去した田名部匡省元農相を正三位に叙すると決めた。田名部氏は生前、旭日大綬章を受章している。
三菱UFJ貸金庫事件、予備鍵管理の立場「悪用」 初公判で検察側、元行員は窃盗を認める[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 35ページ 1667文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJ銀行の支店の貸金庫から金塊や現金が盗まれた事件で、窃盗罪に問われた元行員の初公判が18日、東京地裁で開かれ、検察側は元行員が貸金庫の「予備鍵」を管理する立場を悪用して犯行に及んだと指摘した。事件を契機に、ほかの金融機関でも同様の事案が発覚しており、各行は貸金庫ビジネスの抜本的な見直しを迫られている。
「全部認めさせていただきます」。証言台に立った元行員の山崎(元の姓・今村)由香理被告(46)は裁判官から起訴内容について問われると、はっきりとした口調で答えた。
続く冒頭陳述で検察側は、山崎被告は2020年4月、江古田支店のお客様サービス課長に就任し、貸金庫に関する業務の管理責任者を務めるようになったと指摘した。
外国為替証拠金(FX)取引で多額の損失を抱えていたことなどから、管理責任者の立場を悪用し「予備鍵」を使い顧客の貸金庫から現金や金塊を盗んだと主張した。盗んだ金塊は質入れして換金していたとも述べた。
山崎被告は1999年に入行。2022年6月に江古田支店が練馬支店に統合され、同支店の営業課長や支店長代理になった後も引き続き貸金庫業務の管理責任者を務めていたという。24年10月に貸金庫の利用者から中身が無くなっているとの問い合わせが入ったことをきっかけに銀行側が内部調査に乗り出し、犯行が発覚した。
このほか初公判では銀行関係者や被害者の供述調書も読み上げられ、約30分ほどで閉廷した。
事件は顧客の大切な資産を預かる貸金庫ビジネスの根幹を揺るがせた。
貸金庫は基本的に銀行側と顧客がそれぞれ持つ鍵を同時に利用して金庫を開ける仕組みとなっている。顧客の持つ鍵だけでは開けられず、紛失しても「安全」というのが売り文句だった。
ところが盲点があった。顧客が鍵を紛失した場合に備え、銀行側で保管している「予備鍵」だ。山崎被告のように予備鍵を管理する立場の行員は顧客の貸金庫を自由に開け閉めできた。
捜査関係者によると、山崎被告は取り調べ段階で、顧客が貸金庫室に入れない午後3時以降を狙ったことや、貸金庫の開閉日時を記録するシステムの電源を落としていたといった趣旨の説明をしていた。
現金を抜き取った貸金庫の顧客が来店する時期を見越し、前もって他の顧客の貸金庫から現金を移し返すといった隠蔽工作も繰り返していた。貸金庫の中身をスマホで撮影し、手書きのメモでも詳細に記録していたという。
事件を受け、三菱UFJ銀行は支店ごとに施錠できる棚で管理していた予備鍵を本部で一括管理し、必要に応じて各支店に送る運用に改めた。時間外の貸金庫室の出入りの確認を義務化するといったチェック体制の強化も進める。
同種事件は2月、みずほ銀行でも発覚した。広尾支店に勤めていた元行員が16年1月ごろから19年6月にかけて顧客の貸金庫から計6600万円の現金を盗んでいた。顧客から貸金庫を開閉したいとの申し出があったと装って管理者から予備鍵を受け取り、現金を盗み取っていた。
金融庁は今年3月、預金取扱金融機関向けの監督指針の改正案を公表し、顧客の金品などを窃取した事案は原則公表するよう求めた。
各行も対策の強化を進めている。みずほ銀行は行員が予備鍵を使って貸金庫室を出入りする際には管理職の立ち会いを義務化したほか、第三者が予備鍵の管理状況を毎年検査する再発防止策に取り組む。三井住友銀行も予備鍵の管理を本部に集約した。
地銀では京都フィナンシャルグループ(FG)が予備鍵を本部で一括管理する体制に変更。しずおかFGは予備鍵を入れる収納庫の鍵を2人の行員がいないと使えないようにした。支店で実施していた半年ごとの点検も1カ月ごとに増やした。
起訴状によると、山崎被告は24年3~9月、勤務していた練馬支店の貸金庫から利用者が預けていた金塊計22個(時価約2億8千万円相当)を盗んだとされる。同被告は異動先の玉川支店でも現金1650万円を持ち出したとして起訴された。捜査関係者によると、被害総額は現金や金塊を含め17億円相当とされる。
東日本大震災で被災の子ら、「心の健診」国に求める 自らの経験もとに[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 35ページ 636文字 PDF有 書誌情報]
2011年3月の東日本大震災で家族を亡くし心に深い傷を抱えた子どもたちが、自らの体験などを基に子どもの生きる権利を実現するための課題を、国への政策提言書にまとめた。災害後の様々な困難のなかで心の傷に苦しむ子どもが存在しながら、社会の中で放置されていると訴え、「心の健康診断」の実施などを国に求める内容だ。
宮城県石巻市などで被災した子どもや親を支援している一般社団法人「こころスマイルプロジェクト」がケアを続ける6人の子どもが、国連子どもの権利条約でうたわれる「学ぶ権利」「生きる権利」を踏まえ、話し合って作成した。
代表理事の志村知穂さん(58)と子ども代表の高校生、佐藤珠莉さん(17)は3月に国会を訪れ、国会議員に提言書を配布。「学校では身体の健康診断はあっても心の健診がない」「災害後に親が心身を病みネグレクトになり、病気を放置されたり、朝ご飯を食べさせてもらえない子どもがいる」など具体例を交えて訴えた。
佐藤さんは「被災した子どもの苦しみや願いを伝えられてほっとした」と話した。
志村さんは能登半島地震や豪雨で被災した子どもの心のケアにも取り組み、「東日本大震災以後も各地で深刻な災害が起き、心に傷を抱える子どもは増えている。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を防ぎ、真に心を復興できることが社会全体のメリットになる。被災した子どもの声が最大限国政に反映されてほしい」と話した。
【図・写真】子どもの生きる権利の提言を伝える佐藤珠莉さん(3月、東京都千代田区)
袴田さん再審認めた元裁判長を法制審委員に起用 21日初会合[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 35ページ 568文字 PDF有 書誌情報]
鈴木馨祐法相は18日の閣議後の記者会見で、法制審議会(法相の諮問機関)にやり直しの裁判(再審)制度の見直しを検討する専門部会を置き、初会合を21日に開くと発表した。袴田巌さん(89)の再審請求審で2014年に静岡地裁の裁判長として初めて再審開始を認めた村山浩昭弁護士が部会の委員に就く。
部会の委員は東京高検の検察官や刑法学者のほか、日本弁護士連合会の再審法改正推進室長で各地の再審請求事件を支援する鴨志田祐美弁護士ら14人。鈴木法相は「実情を踏まえつつ幅広い観点から検討するのに適した方々にお願いした」と述べた。
1966年の静岡県一家4人殺害事件では袴田さんの再審無罪が確定するまでに半世紀以上かかった。部会は長期化する再審請求審の手続きの見直しを検討する。
現行制度では証拠開示に関する規定はないことから、ルール整備について議論する。検察官の不服申し立てを制限すべきかどうかや過去に同一の裁判を担当した裁判官を外す規定の要否についても議論する。
法制審の委員を巡っては今年2月、再審手続きの見直しを目指す超党派の国会議員による議連が冤罪(えんざい)被害に遭った当事者や再審事件を支援する弁護士、過去に再審事件を担当した裁判官を加えるよう要望していた。
法務省は法制審の答申を受け、再審に関する規定を置く刑事訴訟法の改正を目指す。
三菱UFJ貸金庫事件、予備鍵管理の立場「悪用」――ネット競馬・FX、膨らんだ損失 被告の元夫説明[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 35ページ 299文字 PDF有 書誌情報]
18日の初公判で検察側は、山崎被告が巨額窃盗に手を染めた動機について「FX取引での損失を補填するためだった」と指摘した。
この日は法廷で山崎被告の元夫の供述調書も読み上げられた。
元夫は「(山崎被告が)2014年ごろからインターネット競馬やFXにはまっていた」と説明。数百万円の損失が出るなどし「消費者金融やクレジットカードの借り入れで借金が1200万円に上った。民事再生手続きをした」とも明らかにしていた。被告とは事件後に離婚したという。
捜査関係者によると、山崎被告は長年にわたるFX取引で約10億円の損失を出すなどして借金を重ねていたという。FX取引は三菱UFJ銀行の内規で禁じられていた。
長野県で地震、大町市など最大震度5弱[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 35ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
18日午後8時19分ごろ、長野県で最大震度5弱を観測する地震があった。気象庁によると震源は長野県北部で、震源の深さは約10キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5.0と推定される。
地震の影響で北陸新幹線、東北新幹線で遅れや運転見合わせが発生した。
各地の震度は以下の通り。
震度5弱=長野県大町市、筑北村、小川村▽震度4=長野市、松本市、安曇野市など▽震度3=上田市、諏訪市など
医療機器の営業4社員、手術時に無資格でX線照射[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 35ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
米医療機器メーカーの日本法人ニューベイシブジャパン(東京)の営業社員4人が整形外科手術を手伝い、無資格でエックス線照射装置を操作していたことが18日、分かった。同日本法人が報道陣の取材に明らかにした。診療放射線技師法違反の恐れがあり、同日本法人は、外部弁護士による調査を始めた。
診療放射線技師法は、放射線の使い方を間違えると、体に悪影響を及ぼすため、医師や技師といった資格がない者が照射することを禁じている。
同日本法人は脊椎手術の際に背骨を固定するインプラントなどの製造と販売を行っている。4人は自社製品を適正に使ってもらう目的で手術に立ち会い、患者の骨などを観察するための「Cアーム」と呼ばれる装置を操作したり、照射ボタンを押したりしていた。「手術室で人手が足りず、サポートする必要が生じた」などと説明しているという。
同日本法人は社員への教育が十分ではなかったと認め「反省している」と陳謝した。上層部の指示に基づく組織的な行為ではないとした。問題があった時期や医療機関の名称など詳細は明らかにしなかった。
福岡資麿厚生労働相は18日の記者会見で「仮に無資格で行っていた場合は法令違反で刑事罰の対象となる。引き続き都道府県とも連携しながら必要に応じ情報収集をしたい」と述べた。同日本法人は既に厚労省に報告や相談をしている。
東京・国分寺の事件、強盗傷害疑いで男を再逮捕[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 35ページ 0文字 書誌情報]
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パンクの先駆者、今を叫ぶ、イギー・ポップ、18年ぶり来日公演、77歳底知れぬ「淫力魔人」[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 36ページ 1993文字 書誌情報]
「パンクのゴッドファーザー」と称され、後進に大きな影響を与えたシンガーのイギー・ポップが、18年ぶりに日本のステージに立った。喜寿を迎え、なお圧倒的なエネルギーを発散する「淫力魔人」の、アップデートされた姿を目の当たりにした。
「T.V.アイ」のイントロで登場したイギーは、いきなり素肌にまとったベストを脱ぎ捨てた。上半身裸はイギーの「正装」である。本名ジム・オスターバーグからイギーに変身する儀式といえようか。アップテンポの暴力的なビート。視線に込められた欲望にからめとられる恍惚(こうこつ)を叫ぶ。
カミソリの切れ味を思わせた若き日の身体とは違う。腹も出ている。だが、上半身を覆うしわの一つ一つにすごみがある。鋼のよろいを身につけたようだ。屈強な若者をバッタバッタなぎ倒す武道の老師の風格を備えつつ、腰をくねらせる動きが実になまめかしい。
2曲目は「ロー・パワー」。むき出しの力を歌うロックンロールナンバーだ。アリーナでは周囲の肩を借りて、ステージによじ登ろうとする者が現れる。スタッフに緊張が走る。イギーは4文字言葉のコール&レスポンスを促す。危険なにおいが聴衆をあおる。
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18年前のフジロックフェスティバルでは、スタッフの目をかすめて数十人の聴衆をステージに上げたイギーがもみくちゃにされ、演奏が一時中断する場面があった。4曲目の「ギミー・デンジャー」のタイトルの通り、リスクを引き寄せる。
演奏を見ながら何度も頭に浮かんだのは「サバイバー」という言葉だった。というのも、ある時期のイギーはブライアン・ジョーンズや、ジミ・ヘンドリックスら、27歳で命を落としたロックスターたちの、いわゆる「27クラブ」の「次」の筆頭候補だったからだ。
1969年、「イギー・ポップ・アンド・ザ・ストゥージズ」でアルバムデビュー。お笑いの「三ばか大将(ザ・スリー・ストゥージズ)」から引用したバンド名を裏切らない、ハチャメチャなステージを繰り広げた。
局部を露出する、全身にピーナツバターを塗りたくる、果ては割れたガラスの上を転げ回って血まみれになる。だが、「過激さ」の追求には限度がある。商業的にも振るわなかった。そんな閉塞感の中、イギーはドラッグにおぼれていく。
薬物依存への治療などでしばらく一線を離れていたイギーに救いの手を差し伸べたのが盟友デヴィッド・ボウイだった。2人のコラボレーションで、復帰作となるソロアルバム「イディオット」を77年に発表。ようやくヒットに恵まれた。
この日前半のハイライトは「ザ・パッセンジャー」「ラスト・フォー・ライフ」というこの時期の曲だ。後者はイギーと縁の深い、米デトロイトのモータウン風のビートに乗せて、ジャンキーの「生きたい」という渇望を歌う。彼自身の来し方を思わずにいられない。
70年代半ばは、パンクの源流として初期作品が再評価されもした。巨大ビジネスと化した主流ロックを「ぶち壊す」動きの中で、25語以内を心がけているというシンプルな歌詞の攻撃的な楽曲を、セックス・ピストルズやダムドらがこぞってカバーした。その後も若いバンドに度々参照され、「パンクのゴッドファーザー」の異名を得る。
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この日、演奏した曲の大半は70年代のものだ。来日を機に実施されたラジオNIKKEIのインタビューでこの点を問われ、「ライブで映えるから」と説明しつつ、「古臭いものになるのは避けたい」とも語っていた。
その思いはバンドの編成に表れていた。気鋭のジャズミュージシャンによるホーンセクションが厚みと彩りを加え、ヤー・ヤー・ヤーズのニック・ジナーによるギターが、原曲の激情を増幅する。往年の楽曲たちが2025年仕様にアップデートされたといっていい。
それでもこの日強く印象に残ったのは、露骨な性的表現をまじえつつ「俺は狂ってる」と叫ぶパンクナンバー「フレンジー」と、70年代前半のサウンドを踏まえ凶暴さを増した「モダン・デイ・リップ・オフ」という23年の最新作「エヴリ・ルーザー」からの2曲だった。内省的な作品も発表した10年代とは打って変わり、改めて「上半身裸のパンク野郎」の原点に立ち返ったアルバムだ。
73年、日本で発売された「ロー・パワー」には「淫力魔人」という邦題がつけられた。「迷邦題」とも見なされていたが、半世紀を経て当時のレコード会社の見識を認めざるを得ない。そんな底知れぬエネルギーを浴びたライブだった。2日、東京ガーデンシアター。(編集委員 堤篤史)
【図・写真】手招きして観客をあおるイギー(C)Kazumichi Kokei
【図・写真】武道の老師のような風格とセクシーさを兼ね備える(C)Kazumichi Kokei
【図・写真】ニック・ジナー(右)らによるバンドが1970年代の楽曲をアップデートする(C)Kazumichi Kokei
平井一夫(19) 四銃士 社長後継者候補の一人に 社内に「負け癖」も情熱は健在(私の履歴書)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 36ページ 1371文字 PDF有 書誌情報]
あれはその場の思いつきだったんじゃないかと、今でも思っている。
2009年2月、ソニーは経営体制の変更を公表した。社長の中鉢良治さんが副会長となり、会長兼最高経営責任者(CEO)のハワード・ストリンガーが社長も兼務する。CEO就任から4年でハワードに権限が集中するため、英フィナンシャル・タイムズ紙は「ストリンガーがソニーを掌握した」と報じた。
そんな世間の見方をそらすためだったのかもしれない。その日、ハワードは私を含めた4人に同席を求めた。「ソニーの四銃士」。ハワードが我々を紹介するために使った言葉が、いつの間にか一人歩きしていった。この4人の中にハワードの後継者がいるはずだと。ハワード自身がその後に「後継者は四銃士から選ぶ」と公言したのだから、がぜん注目が集まった。
ただ、私としてはまったく現実味のない話だった。4人の経歴を見比べれば当然だ。私だけエレクトロニクス事業の経験がなかった。「ま、どうせ俺は数合わせだろうな」。私だけでなくほとんどの関係者がこう思ったはずだ。
それに、ソニーは後継者レースなどと言っていられない事態に直面していた。大黒柱のはずのテレビは赤字から脱却できず、パソコンや携帯電話、デジタルカメラなど主力事業の多くが米アップルのiPhoneなどスマートフォンの侵攻を受けていた。
私も11年から副社長としてコンシューマー向け製品の全般を任されるようになり、事態の深刻さを痛感させられた。ソニーはすっかり負け癖がついている。そう感じざるを得ないシーンを何度も目撃するようになった。
例えば、ある日の社内プレゼン。社員が私たち役員の前で新商品のコンセプトを話し始めたが、なにが強みなのかが分からない。
「それじゃサムスンに勝てない。そもそもお客さんに刺さらないよね」
冷たい指摘が飛ぶと、取り繕うような説明が続いた。「仕事だから一応、やってます」。彼はそうは言わなかったが、そんな本音がありありと伝わってきた。音楽とゲームというソニーにとって「周辺」の部門からやってきた私の目に、それは「ダメになったソニー」を象徴するシーンと映った。もっとストレートに言えば「このままではソニーは潰れる」と思ったのだ。
ただし、こう感じることも多かった。
この中の誰一人として「これでいい」とは思っていないはずだ。ソニーを再び輝かせるための情熱は、確かに存在する。
どんな場面に遭遇してこう感じたのかは覚えていない。一度や二度ではないので。繰り返しになるが、私はソニーの「本丸」ではないところからやってきた。だからこそよく見えた。「SONY」に対するプライドが、誰の胸の中にも確かに存在するということが。
ソニーにはよみがえる力が隠されている。それをどう引き出すべきか。
ゲーム事業に限られたこれまでのターンアラウンド(再建)とは次元が違う。どう立ち向かうべきか。そんなことを考え続ける中で、思わぬ事件がソニーを襲った。
2011年4月19日午後4時15分。米カリフォルニア州にあるサーバーがなんの前触れもなく突然、再起動した。これまで経験したことがない規模のサイバーアタックが、静かに始まっていたのだ。
(ソニー元社長)
【図・写真】2009年、ソニーの新体制を発表するストリンガー会長兼CEO(右から3人目、同2人目が筆者)ら
「I」が「アイ」になる 塩田千春(交遊抄)[2025/04/19 日本経済新聞 朝刊 36ページ 533文字 PDF有 書誌情報]
こういうのはどうかしら。本が開くと文字が天まで飛んでいく。チョウが羽ばたき、音符が開く――。多和田葉子さんのイメージを聞いて、私がその世界観を作品として作り出す。コロナ禍以降、拠点のベルリンで時間を過ごす中で、言葉を使って一緒に遊ぶようになった。
「誰か挿絵を描いてくれる人はいないかしら」。大きな作品を作る私を小さな世界に閉じ込めてしまうのでは、と遠回しだったけれども、もちろん手を挙げた。それからさらにいっぱい話をして、葉子さんの文字を絵に変えていく作業が始まった。私だけの孤独な作業。でも葉子さんもこの孤独の中、文章を紡いでいる。こういう二人三脚もあると知った。
ハンブルクのエルベ川を見ていた24歳の私は、何者にもなれていなかった。一方の文中の若い「わたし」もシベリア鉄道でインドからドイツまで放浪している。作品を介してかつての自分を振り返り、葉子さんにも共感する。正反対の感情が渦巻き、変わっていく人間の思いを表現しようとする小説家。美術家もどこか似たような仕事なのかもしれない。
葉子さんにならい、私もひそかに言葉遊びを始めた。「私」の意味の「I」に「アイ」とふりがなを振った。言葉に対する感覚が変わってきたかもしれない。(しおた・ちはる=現代美術家)
25年04月18日
関税交渉、重ならぬ国益 日本、包括見直し要求/米は「安保」 「早期合意」は一致[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1486文字 PDF有 書誌情報]
日米両政府は関税交渉の初会合で協議の早期合意を目指すと確認した。自動車など分野別を含む関税の包括的な見直しを求める日本と、安全保障を含むディール(取引)を迫る米国との溝は深い。双方に譲れない国益がある状況で一致点を探る交渉になる。(関連記事総合2、政治・外交、国際面に)
16日(日本時間17日)の初会合には赤沢亮正経済財政・再生相が訪米し出席した。(1)早期に合意し首脳間での発表を目指す(2)次回協議を4月中に実施する(3)閣僚レベルに加え事務レベルでも協議を継続する――の3点を確認した。
石破茂首相は17日、初会合について「次につながる協議が行われた。評価している」と述べた。「閣僚級協議の推移をみながら最も適切な時期に訪米し、トランプ米大統領と直接会談することを考えている」と話した。首相官邸で記者団の取材に答えた。
トランプ氏は一夜明けた17日、SNSで「非常に生産的な会合だった」と言及した。
赤沢氏は閣僚間の交渉に先立ち、トランプ氏とホワイトハウスでおよそ50分間面会した。
トランプ氏は「日本との協議が最優先だ」と語ったという。赤沢氏は「日米双方の経済が強くなるような包括的な合意を早期に実現したい」との首相の意向を伝えた。交渉終了後、赤沢氏が記者団に明かした。
トランプ氏との面会について「(自身は)格下も格下。直接話してくださったことに感謝している」と発言した。
閣僚協議には米国側からベッセント財務長官とラトニック商務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表が出席した。日本政府は米国の関税措置は「極めて遺憾」と申し入れ、自動車、鉄鋼・アルミニウムの品目別関税も含む全面的な見直しを求めた。
日本政府は米国からの具体的な要望内容を明かしていない。赤沢氏は為替や安全保障への言及があったか問われ「この言い方をすると分かってしまうが、為替は出なかった」と述べた。事実上、安保に関する要求を突きつけられたことを認めた。
日本は関税は赤沢氏、為替は加藤勝信財務相が担当する体制を敷く。加藤氏は4月下旬の訪米を予定しており、ベッセント氏と日米財務相会談を開く方向で調整中だ。為替問題が持ち越しとなり、分野別交渉に持ち込む日本の戦略はひとまず奏功した。
各国より先んじて米国との交渉のテーブルについたとはいえ、早期合意は容易ではない。
日本側は日本経済への影響が大きい自動車などへの追加関税を含めた合意を勝ち取ることが最優先となる。トランプ氏は初会合前、自身のSNSに「テーマは関税、駐留経費、そして『貿易の公正性』だ」と投稿しており、交渉材料は多岐にわたる。
米国側はかねて自動車の安全基準といった非関税障壁が米国製の車の対日輸出を妨げていると問題視してきた。農産品分野のさらなる市場開放にも意欲を示す。
米国は相互関税の上乗せ部分について90日間の一時停止を打ち出している。赤沢氏は「米国は90日間でディールせよとの考えだろう」と指摘する。期限となる7月は参院選の直前の時期に当たる。日本にとって農業分野などで譲歩しにくい状況になる。
ベッセント氏はトランプ政権発足前の2024年、日本の防衛費増額を評価した上で「円建てのため、円安進行でドル建てでは少し減ったかもしれない」と語った。円安・ドル高の是正を交渉カードとして持ち出す懸念もくすぶる。
仮に為替条項の導入に発展すれば日銀の金融政策に波及する。緩和的な金融政策は通貨安誘導と批判されかねず、トランプ関税が経済を下押しした場合の機動力を失う。急激な円高を緩和するための為替介入にも動きづらくなる。
SNS詐欺、追跡しやすく 政府、通信会社に履歴保存を義務づけ[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 1ページ 854文字 PDF有 書誌情報]
政府は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」によるSNS詐欺の対策として、通信事業者に通信履歴の保存を義務づけることを検討する。捜査機関が犯行グループを特定しやすくするため、通信や金融のガイドライン改定と法整備を進める。
捜査機関は詐欺の容疑者を特定するために通信会社やアプリ運営会社に利用履歴の提供を求めることができる。だが企業やサービスによって保存状況や期間にばらつきがあるため、履歴をたどれないケースも多い。
政府は来週にも閣僚会議を開いて「国民を詐欺から守るための総合対策」を改定する。一定期間の履歴の保存を義務付けることで捜査の実効性を高める狙いがある。警察関係者は「捜査段階で履歴が残っていない場合などは犯行経緯の把握に限界があった」と話す。
通信事業者向けのガイドラインを改定し、運用状況を見ながら法整備も視野に入れる。違反した事業者にペナルティーを科すことも検討する。
金融機関や暗号資産(仮想通貨)の交換業者と捜査機関の間で取引や口座情報を共有するための方策も盛り込む。不正な取引情報を把握して早期に口座を凍結するといった仕組みを設ける。
トクリュウは複数の金融機関の口座を持ち、だまし取った資金を次々と移し替えたり仮想通貨に替えたりして保管する。迅速な情報共有によってマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぎ、被害金の差し押さえにつなげる。
金融機関や警察が管理する架空名義の口座を犯罪グループに使わせ、検挙や被害金の回収につなげる新たな捜査方法の導入も検討する。
通信内容を暗号化して秘匿性を高めた通信アプリ「シグナル」や「テレグラム」に対応するための法整備も進める。指示役と実行役とのやりとりに悪用されるケースが多い。
現行法では容疑者のアプリの認証に必要な情報が判明した場合でも、警察が容疑者のふりをしてログインする捜査は違法となる可能性が高い。
改定案は「通信内容や登録者情報を迅速に把握することが重要で、技術的アプローチや新たな法制度導入の可能性も含めて検討する」と提起する。
ヤゲオ、TOB価格上げ 芝浦電子買収 ミネベア超す5400円に[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 1ページ 492文字 PDF有 書誌情報]
センサー部品大手の芝浦電子に同意なき買収提案をしている台湾の電子部品大手、国巨(ヤゲオ)は17日、TOB(株式公開買い付け)価格を引き上げると発表した。これまで1株4300円を提案していたが、5400円に変更する。ニッチトップ技術を巡る日台企業の争奪戦に発展した。
芝浦電子を巡ってはミネベアミツミがホワイトナイト(友好的買収者)として4500円でのTOBを発表したが、ヤゲオの提示価格はミネベアミツミを上回る。芝浦電子は同日、「真摯な検討を行う」とのコメントを発表した。
ホワイトナイトが登場したにもかかわらず、同意なき買収者がTOB価格をさらに引き上げて、争奪戦を繰り広げる展開は日本では異例だ。
ヤゲオは2月上旬、芝浦電子の同意を得ないまま、TOBで芝浦電子の全株を取得する案を発表した。
ヤゲオ創業者の陳泰銘董事長は、芝浦電子の同意が得られない場合でも5月7日からTOBを開始する意向を明らかにしている。17日の発表でも開始日は変更しないとした。
ヤゲオは芝浦電子の経営陣との面談などを経て、芝浦電子の企業価値の向上に一段と貢献できると判断し、TOB価格を引き上げたようだ。
みずほ銀が無担保融資 関税対策、中小の資金繰り支援[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 1ページ 468文字 PDF有 書誌情報]
みずほ銀行は5月から全国の中堅・中小企業に事業性資金を融資する新たな枠組みをつくる。オリックスが保証をつけて、4万社超を対象に1企業あたり最大1億円を無担保で融資する。
物価高や人手不足、米関税政策など経営環境が厳しさを増す中堅・中小企業に広く事業成長のための資金を供給する。
みずほの融資は売り上げ規模がおおむね100億円以下の法人を対象にする。個人事業主は対象外とする。中心となるのは売り上げ規模が50億円以下の企業で対象数は3万~4万社にのぼる。運転資金や設備資金として500万~1億円を上限に無担保で融資する。
借入期間は1年以上7年以内で、所定の利率を適用する。保証料率は0.35~6%とするが、平均は1%程度と信用保証協会の保証付き融資と遜色のない水準とする。
オリックスは2003年から地域金融機関の事業性無担保融資の保証業務を手掛け、審査やリスク管理のノウハウを持つ。平均1%の保証料率や最大1億円の保証金額は保証業務を手掛ける他のノンバンクに比べ競争力が高い。メガバンクと提携して保証業務を手掛けるのは初めてとなる。
グーグル広告も独占認定 米連邦地裁 分割迫られる可能性[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 1ページ 420文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=渡辺直樹】米グーグルのネット広告が反トラスト法(独占禁止法)に違反していると米司法省が訴えた裁判で、米連邦地裁は17日、グーグルの3つのサービスのうち2つについて独占を認める一審判決を下した。グーグルは検索ビジネスを巡る別の独禁裁判でも一審で敗訴しており、事業分割を迫られる可能性がある。
米首都ワシントンの郊外にあるバージニア州アレクサンドリアの連邦地裁の判事がグーグルの一部独占を認める判決を下した。米競争当局の司法省などが2023年1月に提訴していた。
グーグルはインターネット広告を掲載するサイト運営者向けのサービス、広告を出す広告主向けのサービス、両者をマッチングする取引サービスの3つを手がける。裁判所はこのうち、サイト運営者向けと取引サービスの独占を認定した。
今回の敗訴によりグーグルは今後、広告システムの一部売却を迫られかねない。ネット広告はグーグルの収益を支える重要な事業で、同社の経営の打撃となる。
ウクライナのゼレンスキー大統領がホワイトハウスで「あなたにはカードがない」と(春秋)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 1ページ 560文字 PDF有 書誌情報]
ウクライナのゼレンスキー大統領がホワイトハウスで「あなたにはカードがない」と、米国の正副大統領から威嚇されたのは2月末。以来何かにつけ古代ギリシャの歴史家ツキディデスの「戦史」第5巻、古来、有名な「メロス島対話」の冒頭場面が頭に浮かんでくる。
▼スパルタとのペロポネソス戦争のさなか、島の征服に乗り出した強者アテナイが交渉の糸口を探るメロス人に言い放つ。「正義か否かは彼我の勢力伯仲のとき定めがつくもの。強者と弱者の間では、強きがいかに大をなし得、弱きがいかに小なる譲歩をもって脱し得るか、その可能性しか問題となり得ない」(久保正彰訳)
▼いきなりトランプ大統領が登場して始まった関税交渉で日本はどれほど正義、道理を争えるだろうか。交渉事で親分は普通最初に出ないから、立場の強さの自信でもありそうだ。難題をふっかけておいて「日本が最優先」と、いい気持ちにさせるなんかは役者である。力関係の実相はいずれ見え、日本の針路にも関わろう。
▼米との関係では心理学者フロイトの「(欲動の力に比べ)知性の声はか細いが、聞きとどけられるまでは、黙すことはない」(「幻想の未来」中山元訳)という人類社会への信頼を思わぬでもない。同盟国の相貌は力なのか知性なのか。ナイーブな物言いとは思うが、得失だけでなく、知性、道理の対話も進むと信じたい。
TSMC最高益、影落とす米関税 1~3月最終60%増、AI半導体けん引 リスク減へ対米投資強調[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1126文字 PDF有 書誌情報]
【台北=龍元秀明】半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が17日発表した2025年1~3月期決算は売上高・純利益ともに1~3月期として最高だった。人工知能(AI)向け半導体が堅調だが、トランプ米政権の関税政策が成長に影を落とす。同社首脳はリスク抑制に向け、対米投資を通じた米経済への貢献をアピールする。
TSMCの魏哲家・董事長兼最高経営責任者(CEO)は同日開いたオンラインの決算説明会で「関税政策の影響による不確実性やリスクを理解しているが、これまでのところ顧客の動きに変化はない」と語った。
1~3月期は売上高が前年同期比41.6%増の8392億台湾ドル(約3兆7000億円)、純利益は60.3%増の3615億台湾ドルだった。増収増益は5四半期連続となった。米半導体大手エヌビディアなどに供給するAI向けの先端半導体の販売が好調だった。
市場が注目していた今後の見通しについては強気を維持した。25年の売上高予想(米ドルベース)は前年比20%台半ばの増収とした従来予想を据え置いた。魏氏は「年間を通じて強いAI関連需要がある」と自信をみせた。
TSMCは半導体の受託生産で6割の世界シェアを持つ。先端品の歩留まり(良品率)や性能で米韓の競合を圧倒し、AI向けの生産をほぼ総取りしている。売上高のおよそ7割が米アップルやエヌビディアなどの北米顧客が占める。
半導体は米国が目玉政策と位置づける「相互関税」の対象から外れたものの、トランプ米大統領は分野別の枠組みで半導体に関税をかける方針を示している。半導体を多く搭載するスマートフォンなども組み入れられる見通しだ。
トランプ氏はアップル製品の対応などを巡って一定の柔軟姿勢を示してはいるが、台湾調査会社トレンドフォースの喬安氏は「最終製品の需要が下振れしないか注視する必要がある」と指摘する。
TSMCは先端品の開発と量産の重心を台湾に置く方針は堅持しながら、米国に集まる顧客の要請に応える形で対米投資を強化している。3月には発表済みの前工程3工場に加えて新たに3工場を設けるなど、1000億ドル(約14兆円)の対米追加投資を発表した。
魏氏は17日の説明会で、回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの先端品をつくる米国の第2工場の建設が完了したと明かし、量産を急ぐ方針を示した。計画中の第3・第4工場はさらに先端の1.6~2ナノ品をつくる。第3工場は25年中に建設を始める。
主要顧客のアップルやエヌビディア、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は米工場で先端半導体をつくると表明済みだ。魏氏は将来は同社の2ナノ以降の先端半導体生産能力の約30%が米国に立地すると説明した。
北尾氏「フジHD、意識改革を」 金融・ITと融合狙う[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 2ページ 934文字 PDF有 書誌情報]
米投資ファンドからの株主提案において、フジ・メディア・ホールディングス(HD)の社外取締役候補となった北尾吉孝氏(SBIHD会長兼社長)が17日、東京都内で記者会見を開いた。北尾氏は「本格的に動くことを決意した。一番大事なのは意識改革や経営理念だ」と述べ、フジ・メディアHDの経営への参画に意欲を見せた。
フジ・メディアHD経営改革案の一つとして、激変するメディアで金融とIT(情報技術)を一体にするとの構想を示した。
具体的には動画やSNSをつくる新会社の設立を検討するほか、地方局のコンテンツの全国展開や人工知能(AI)を使った「フェイクニュース」の見極めサービスといったアイデアも明かした。
金融とメディアの融合に関してはAIを活用しX(旧ツイッター)と金融サービスの融合を目指すイーロン・マスク氏を引き合いに出し「一番怖い」とも評した。
北尾氏は現在のフジ・メディアHDの経営体制について「不十分だ。価値や使命が消失していると言わざるを得ない」と評した。
さらに「これでは変革は起きない。スポンサーも戻らない。世の中も他の株主も賛意を示さない」と批判した。
アクティビスト(物言う株主)としても知られるファンド、ダルトン・インベストメンツは16日付で、北尾氏ら12人の社外取締役の選任などを求める株主提案をフジ・メディアHDに送付している。ダルトンはフジ・メディアHDの株を関連会社も含めて7%持つ大株主だ。
会社側は6月下旬の定時株主総会後、現任の15人中10人の取締役を刷新する案を3月下旬に発表した。だが、ダルトンは留任する金光修フジ・メディアHD社長など5人にも経営責任があるとし交代を求めていた。
北尾氏は会見で「敵対するとしたら徹底的に勝負する」と語った。しかし、フジ・メディアHDの経営体制について問われた際には、「ちびまる子ちゃん」などの人気アニメを企画してきた清水賢治専務(フジテレビジョン社長兼務、フジ・メディアHD次期社長)を「残すべきだ」とダルトンと違う見解を示した。
北尾氏は「清水氏を中心にして私も入り、会社側による役員候補を出すべきだ」とも述べており、会社側の案とダルトンの株主提案を融和させる考えに重きを置いているとみられる。
北尾氏「フジHD、意識改革を」――フジHD、株主提案「真摯に検討」 取締役候補見直しも[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 2ページ 471文字 PDF有 書誌情報]
フジ・メディア・ホールディングス(HD)は17日、6月下旬に開く定時株主総会で米アクティビスト(物言う株主)が社外取締役を株主提案している件について「真摯に検討する」との声明を発表した。人権問題を受け、3月下旬に発表した会社提案を見直す余地が出てきた。
フジ・メディアHDは、今回の株主提案の受領とともに「今後真摯な検討を経て、決定次第速やかに公表する」とのコメントを公表した。また「より適切な取締役構成についての検討を進める」とも明らかにした。
フジ・メディアHDの金光修社長は17日、東京都港区の本社で報道各社の取材に応じた。投資家などとの議論を踏まえ「株主総会の手続きまでにさらに検討を加え、(より)良い役員選任議案を出していく」と話した。さらに3月下旬に出した新体制の構成案について「最終ではない。さらに改訂していくというつもり。ご理解をいただきたい」と付け加えた。
北尾氏やダルトンが提案している不動産事業の切り離しについても触れ、「もちろん検討課題のひとつ。常に我々は事業ポートフォリオや資産のあり方を見直していく」とも述べた。
<訂正>17日付「ガソリン補助金 つかの間のゼロ」の見出しで「原油高・円安受け」とあるのは[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 2ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
訂正 17日付「ガソリン補助金 つかの間のゼロ」の見出しで「原油高・円安受け」とあるのは、「原油安・円高受け」の誤りでした。
針路を聞く 二元論よりも矛盾許容を 日米経済協議会会長 澤田純氏(崩れる自由貿易)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1415文字 PDF有 書誌情報]
米国の関税措置はグローバリズムを自ら転換させたともいわれている。しかし、歴史をたどるとそもそもグローバルな経済圏が当たり前だったわけではない。
第2次世界大戦前の米国は「モンロー主義」(米欧相互不干渉)だった。1945年の第2次大戦終戦からも、45年間ほどは東西冷戦という鉄のカーテンが敷かれていた。ソ連やベルリンの壁の崩壊で、ようやく世界は自由経済が主流になったといえる。
終戦から(日米英仏と西ドイツの先進5カ国でドル高是正に踏み切った)プラザ合意の期間までは40年だった。当時の米国は日本を脅威とみていた。くしくもまた40年がたち、中国を最大の標的とした関税戦争が起きた。大戦後に覇権国となった米国に対抗できる国が育つまで、40年という期間が一つの節目として存在するのかもしれない。
相互関税は90日間停止したが、程度の差こそあっても大きな流れは変わらない。「自国ファースト」はトランプ米大統領に限らず共和党の政策でもある。米国は貿易に限らず安全保障といった面も含め、世界秩序を保つコストを他国より負担していると感じている。費用分担を見直したいという考えが根底にある。
今後の世界は「自由貿易と保護主義が混合するハイブリッドになる」という現実を前提に捉えた方がよい。日本にも半導体の一部や半導体製造装置などを中心に世界シェアが高い産業がある。こうした技術は自国にとって交渉材料になる。日本にとって自国ファーストになる考えもあってよい。
通信業界に関して述べるなら、日本はクラウドやネット広告、動画配信のサービスなどの「デジタル赤字」が2024年だけで6兆円以上もある。中心はアップル、グーグル、アマゾン・ドット・コムといった米国勢だ。
ただ対米貿易収支(8兆円以上の黒字)に比べると金額は小さく、デジタル赤字を訴えてもそれだけでは全体の交渉材料にはなりにくい。各分野にいかに落とし込んで交渉し、相互理解を深められるかが大事になるだろう。
経団連のアメリカ委員会の委員長も兼務している。2月中下旬に首都ワシントンに行き、13州の知事と面会してきた。官民を問わず交流を深める活動をしている。
ただし財界人が政治に入り込むのには限界があるとも感じている。(日本の)政界側の努力は認識しているが、トランプ氏本人と真に懇意になれる政治家が一人でも多く増えてほしい。
不確実性の高い環境で企業がすべきことは柔軟な事業ポートフォリオの構築だ。地域や業態のリスク分散が図れるに越したことはない。リスク対策と同時に生産性を向上していくという視点も欠かせない。
「パラコンシステント」という考え方を提唱したい。AかBか、という二元論ではなく、2つの考えの矛盾を許容した上で並列させるという哲学的思想だ。
この考えはNTTの次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」に通じる概念でもある。より大容量、高速、低電力で情報を増やせるからこそ多様な価値観の共有余地は広がる。
米国内では自由主義と自国を優先する保護主義の考えがぶつかることで、分断が起きている。今こそ複雑なものを複雑なままで受け止めながら、前に進もうとする発想が必要になる。
(聞き手は野口和弘)
=随時掲載
さわだ・じゅん 1978年(昭53年)京大工卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。2018年社長、22年から会長。21年から日米経済協議会会長、23年から経団連副会長も務める。69歳
日本と世界の利益を見据えた対米交渉に(社説)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 2ページ 923文字 PDF有 書誌情報]
石破茂政権が世界の先頭を切ってトランプ米政権との関税交渉に入った。自由貿易を壊すトランプ関税の愚挙をただし、日本だけでなく世界の利益を見据えた交渉にしなければならない。
ワシントンを訪問した赤沢亮正経済財政・再生相は16日、米側との初会合を終えた。「相互関税」のほか、自動車や鉄鋼・アルミニウムへの関税などを全般的に見直すよう米側に求めたという。
理屈が通らぬトランプ関税は全面撤回が筋だ。貿易戦争に勝者はいない。保護主義が米国自身も傷つけ、自由主義陣営の分断で中国を利するおそれがあることを粘り強く説く必要がある。
驚いたのは、トランプ大統領が自ら交渉の場に現れたことだ。「日本との協議が最優先である」と語り、これから交渉を本格化する70カ国以上のなかでも特に日本を重視する姿勢を強調した。
裏を返せば、自動車や農産品といった分野で日本からできるかぎりの譲歩を引き出し、自らの成果としてアピールする腹づもりなのだろう。日本側はトランプ政権から不当な要求があれば毅然とはね返し、安易に国益を損ねるような妥協をしてはならない。
自由貿易を支持する国や地域との連携も重要になる。日本だけを特別扱いにしてもらおうと米側にすり寄れば、国際社会の仲間から信用を失う。交渉相手の分裂はトランプ氏の思うつぼだ。
米国から高関税を突きつけられた国や地域は、日本の対米交渉がモデルケースになるとみている。仲間の期待を裏切るような米国への約束は厳に慎むべきだ。
トランプ氏が日本との交渉に安全保障の問題を絡ませようとしているのは筋違いである。自らのSNSに、日本の防衛面の負担も日米交渉の議題になると投稿した。念頭には、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増加があるとみられる。
関税交渉と防衛費など安全保障の問題は本来、別物のはずだ。しかし次回以降、米側がこの問題を取り上げることに備え、日本としては交渉に臨む陣容の拡大も検討せざるを得ないだろう。
為替は今回のテーマにならなかったとしているが、米側が強い関心を抱いているのは明らかだ。
「90日以内のディール」を望む米側との交渉は短期決戦になる。最後は石破茂首相の決断に委ねられるのは言うまでもない。
兵庫県は告発者の処分撤回を(社説)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 2ページ 779文字 PDF有 書誌情報]
兵庫県の斎藤元彦知事が告発された文書問題で、県の第三者委員会が、文書の配布を理由の一つに通報者を懲戒処分にしたのは「違法で無効」と報告してから、まもなく1カ月になる。県は報告を重く受け止め、すみやかに懲戒処分を撤回すべきだ。
第三者委に委ねる意義は、時間のかかる司法判断によらずとも、自治体が自浄能力を発揮して県民の信頼を取り戻し、県政を前に進めることにある。それを考えれば、報告から1カ月近くも放置しておくのは解せない。
報告は、文書がその内容から公益通報に該当し、配布が不正の目的で行われたとも評価できないとした。にもかかわらず、告発された当事者の知事は公益通報として扱わず、通報者捜しや処分に関与した。これが「極めて不当」と指弾されたのは当然である。
報告が公益通報者保護法に照らして違法と判断したのは(1)通報者を捜した行為(2)通報者の公用パソコンを引き上げた行為(3)文書の配布を理由にした懲戒処分――などだ。これに関して県は謝罪し、処分を撤回しなければなるまい。
県は懲戒処分の理由に、人事データ端末の不正利用やハラスメントなども挙げる。第三者委はこうした非行についての処分は無効とはいえないとしており、別途の処分はありうる。だがその場合も、文書配布を理由にした処分をいったん取り下げたうえで、もう一度、検討するのが筋である。
第三者委と県議会百条委員会の結論をみれば、知事に道義的、政治的な責任があるのは明らかだ。知事としての資質を疑わざるをえないが、知事は「辞めるほどのことなのか」という思いだろう。改めて県民に判断してもらうのがよいのではないか。
昨年11月の知事選で信任を得てはいるが、百条委や第三者委の結論が出る前の民意である。知事が自ら信を問わないなら、県議会が再び知事の不信任を決議し、辞職か議会の解散かの選択を迫るべきだろう。
「安保」握る米国 糸口探る日本 関税交渉スタート[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 3ページ 2087文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権は訪米した赤沢亮正経済財政・再生相との関税交渉で安全保障のカードを切り、日本は自動車関税などの個別テーマで合意への糸口を探った。トランプ米大統領自ら交渉に乗り出して成果を急ぐ米国に日本の主張を丁寧に伝える努力が欠かせない。(1面参照)
米、駐留費増を要求か
トランプ氏は交渉の席で、かねて関心を示す在日米軍の駐留経費(きょうのことば)に言及したもようだ。関税交渉の過程で日本側の負担額の増額を迫られる可能性がある。
トランプ氏は日米安全保障条約が片務的だとの持論を持つ。10日には「誰がこんなことをしたのか疑問だ。貿易協定にも同じことが言える」と主張していた。
日本政府は関税交渉を安保と切り分ける方針で臨み、防衛省は幹部を派遣しなかった。トランプ氏が日本との関税交渉に出席し、安全保障を議題にしたことは想定外だった。
日本は米軍の駐留に必要な人件費や光熱費などの一部を負担する。「思いやり予算」と呼ばれ、2025年度予算では2274億円を計上した。トランプ氏は第1次政権時も同盟国の日本や韓国に当時の4倍水準の負担増を要求した。
日本が負担する前提となる協定は5年ごとに更新する。前回の更新時期は第1次トランプ政権からの移行期にぶつかった。トランプ政権との交渉は先延ばしし、バイデン政権になってから有効期限を1年延長したうえで本格的な新協定を交渉した。増額は小幅に収まった。
現行の協定は27年3月に期限を迎える。トランプ政権が29年1月まで続くことを考えると、前回と異なりトランプ政権との本格交渉を余儀なくされる。外務・防衛両省は交渉の本格化を26年後半とみるが、当面の関税交渉の取引材料になる可能性はある。
日本政府内には駐留経費負担の増額に慎重論が強い。防衛省の試算によると15年度の在日米軍駐留経費の日本側の負担割合は86%で韓国やドイツと比べて高いとされる。
長島昭久首相補佐官は15日のBSフジ番組で「これ以上、日本が負担するとなると米兵の給料を日本が全部出すということになる」と主張した。
政府はこれまでも米国の要望に応えようと模索してきた。現行協定で増額改定した際は「同盟強靱(きょうじん)化予算」と銘打ち、日米共同訓練に使う機材購入費を新設して全体を増額した。
防衛省内には今回も光熱費といった単純なコスト負担でない形で増額するしかないとの考えがある。
当時の交渉に携わった元政権幹部は「米軍の艦船や航空機の整備費を駐留経費に含めて、同盟強靱化につなげると説明するのも一案だ」と話す。
為替、財務相訪米へ
日米関税交渉の初会合で為替問題は議題に上らなかった。4月下旬の加藤勝信財務相の訪米時に話し合う見通しだ。
トランプ氏は日本が通貨安に誘導していると批判してきた。対日交渉を主導するベッセント財務長官は非関税障壁などと並んで為替問題を取り上げる考えを示していた。
日本側で為替の議論を担う加藤氏は4月下旬の国際通貨基金(IMF)・世界銀行の会合に出席するため訪米を予定する。その際にベッセント氏との日米財務相会談を設ける方向だ。
ベッセント氏は米国時間の9日、最近の円高傾向を「自然な流れだ」と指摘した。日本経済の強さと日銀の利上げ方針を理由に挙げた。日銀に利上げを促しているとも受け取れる。為替を巡る協議は日銀の判断にも影響を与えかねない。
米国が日本に円安是正を求めたとしても実効性のある措置ができるかは不透明だ。恣意的な為替誘導は主要7カ国(G7)の合意に抵触するためだ。財務省幹部は「協調介入はあり得ない」と話す。
トランプ氏の初会合出席が決まり、外国為替市場では開催を前に円を買う動きが広がった。日本時間17日朝に一時1ドル=141円60銭台と2024年9月以来の円高水準をつけた。
為替が議題にならなかったと伝わり143円台前半まで下落する場面もあった。
車・鉄鋼除外 壁高く
日本は自動車や鉄鋼・アルミニウム製品への25%の追加関税の見直しを重視する。米国は強硬姿勢を崩しておらず、壁は高い。トランプ氏は赤沢氏に「米国の車が日本で売れない」と不満を表明した。
ラトニック米商務長官は11日に出演した米テレビ番組で、自動車や鉄鋼・アルミ製品への追加関税については「相手との交渉の余地がない」と説明した。
米国は日本の安全基準など「非関税障壁」を問題視し、電気自動車(EV)の補助金制度は「主に日本メーカーが最も恩恵を受ける」と指摘する。
ホンダのように一部の生産を日本国内から米国に切り替える動きもあるものの、生産拠点の整備には時間がかかる。トランプ氏は14日に「自動車メーカーの一部を支援する何らかの方法を検討している」と明らかにしたが具体的な内容は不明だ。
米国は貿易赤字の縮小を掲げ、関税政策による産業構造の転換を目指す。特に米自動車産業は象徴的な存在で、妥協を求めるには相応の材料が必要になる。
例えばアラスカ州での液化天然ガス(LNG)の開発事業への日本の協力に米国は関心を示す。日本側には採算性などの面で懸念が根強い。
トランプ氏ペースで初会合 突如参加「日本を最優先」 各国協議へ譲歩狙う[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1258文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】日米関税交渉の初会合は、突如参加を表明したトランプ米大統領のペースで終わった。トランプ氏は日本との交渉を「最優先」と位置づける。各国・地域との交渉で早期に譲歩を引き出したい同氏が最初に照準を合わせた相手が日本だった。
トランプ氏は16日早朝になって自身のSNSで参加を表明し、閣僚級会合に先立ち赤沢亮正経済財政・再生相とホワイトハウスで面会した。会合は米財務省内で予定されていたが、急きょホワイトハウスに移された。
事前の調整なしに進めて交渉の主導権を握るのがトランプ流だ。1期目の米中貿易交渉でも中国の副首相とホワイトハウスで面会し、記者団の前で話し合うなどサプライズを演出しながら譲歩を引き出そうとした。
大統領執務室におけるトランプ氏と赤沢氏の面会は、ベッセント財務長官やラトニック商務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表も同席して4対1の構図となった。日本側は商務長官の参加も事前に知らされていなかった。
トランプ氏が「大きな進展!」とSNSに投稿したのは、面会が終わった20分後だ。この時点では部屋を移して始まった閣僚級会合の前半部分も終わっていなかった。
日本政府は急きょ対応を迫られた。
トランプ氏が日本時間16日夜に参加を表明してからおよそ3時間後、首相公邸に林芳正官房長官や岡野正敬・国家安全保障局長らが集まった。関税以外の議題は米側の主張を聞き取り、事務レベルによる交渉継続を求める方針を決めた。
赤沢氏が一連の協議を終えた直後の17日午前8時半ごろ、首相官邸に再び岡野氏や外務省幹部が集められた。首相に交渉の中身を報告した。
トランプ氏との面会も含めると、日本が当初、米側から提示されていた1時間の協議時間を大幅に超え、2時間ほどに及んだ。話題も多岐にわたったという。
首相への説明に参加した政権幹部の一人は「閣僚も事務方も全員で対応にあたっていかなければならないということだ」と解説した。
世界各国・地域に相互関税を打ち出した米国は、75カ国以上を同時期に相手にする通商交渉を始める。赤沢氏によると、トランプ氏は「日本との協議が最優先だ」と語った。対日で成果を引き出し、ほかの交渉にもつなげる狙いがある。
念頭には中国がある。レビット大統領報道官は16日夜、米FOXで日本との協議について「多くの国がトランプ政権と交渉したがっていることを示している」と総括した。中国も米国との取引に応じるべきだと何度も強調した。
中国とは神経戦が続く。第2次トランプ政権による対中追加関税は累計145%に達した。米政府は11日、輸入価格の高騰懸念を受けてスマートフォンを相互関税の対象から外した。
中国は米ボーイングの航空機納入を差し止め、レアアース(希土類)の輸出規制にも乗り出した。
政治サイトのポリティコなどによると、米政権内部には周辺国と交渉を進めれば中国の孤立を強めるとの見方がある。
【図・写真】トランプ米大統領と写真に納まる赤沢経財相(内閣官房のホームページから)
「安保」握る米国 糸口探る日本――破られた貿易協定 牛肉引き下げでも車関税課す[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1086文字 PDF有 書誌情報]
日本は第1次トランプ政権時代、日米貿易協定を結ぶことで自動車への追加関税を回避したはずだった。2期目のトランプ氏は当時の約束を破った。これからの関税交渉は内容だけでなく、結果に拘束力を持たせられるかも重要になる。
米国はトランプ政権1期目に環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱した。トランプ氏は当時も自動車への追加関税の発動をちらつかせていた。TPPに残れば得られたはずの日本市場での恩恵を失うことに焦りを感じていたとみられる。
たとえば日本が牛肉に課す関税だ。38.5%だったのが、TPPでは2018年度に27.5%になり、33年度にかけて9%まで下げる設計となっている。
当時の日米交渉では日本側が米国産の牛肉や豚肉などの関税をTPPと同水準まで下げると譲歩した。農産品の合意内容をTPPの範囲内にとどめ、国内からの反発も最小限に抑えた。
日本側は経済財政・再生相だった茂木敏充氏が交渉役を務めた。米側のライトハイザー米通商代表部(USTR)代表(当時)と協議を重ね、およそ5カ月間で合意にこぎつけた。内閣官房のTPP等対策本部が日本の事務局を担い、各省から交渉の実務者を集めた。
安倍晋三首相とトランプ氏が「協定が誠実に履行されている間は、日本の自動車および自動車部品に対して追加関税は課さない」と確認した。
日本にとって「今でも大事な約束事」(経済産業省幹部)を、2期目のトランプ氏は覆した。3日に発動した自動車への25%の追加関税は日本も対象となった。除外の要望は通らなかった。
日本側は米国との協定内容を守り続けている。1日、米国産牛肉に課す関税率を22.5%から21.6%に引き下げた。TPP加盟国と同じ扱いだ。
石破茂首相は14日の衆院予算委員会で「向こうが破ったのだから、こちらもというような対応が正しいと思っていない。日本は約束を守ることを示す。国家の矜持(きょうじ)だ」と答弁した。
経済官庁幹部は「こちらが合意通りに関税を引き下げなかったら米国に報復措置を講じたと受け取られかねない」と語る。報復合戦になれば、関税の適用除外どころではなくなるとの懸念がある。
日米貿易協定には米国の自動車関税の「撤廃」に向けて更に交渉するとの記載もある。
当時、内閣官房で交渉に携わった関西学院大教授の渋谷和久氏は「米国側が牛肉など農産品のさらなる譲歩を求めてきた場合、こちらが自動車関税の撤廃を求める構図をつくることで、追加の交渉を封じるという『大事な保険』のつもりだった」と明かす。
両国で丹念にまとめあげた協定を日本側だけが律義に守るいびつな状況が続く。
在日米軍の駐留経費 年度平均2110億円を負担(きょうのことば)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 3ページ 408文字 PDF有 書誌情報]
▽…在日米軍の部隊を運営・維持するのにかかる費用。日米地位協定で在日米軍駐留経費は原則として米側が負担すると規定している。1978年に円高の進行を受けて在日米軍の労務費の一部を日本が肩代わりし、それ以降は日本の負担が定着した。2022~26年度は年度平均で2110億円ほどを日本側が支払う。
▽…当時の金丸信防衛庁長官が国会で「思いやりがあってもいい」と答弁したことから「思いやり予算」とも呼ぶ。光熱水費や基地に勤める日本人労働者の人件費などが中心だ。現行の協定では同盟強化のための資金を掲げ、新たに「訓練資機材調達費」を設けた。仮想空間で日米が共同訓練するための「シミュレーター」の導入などに費用を振り分けた。
▽…駐留経費の日本側負担額は1978~2025年度予算の累計で8兆円を超す。駐留経費を定める現行協定は27年3月が期限。トランプ米大統領は日本を含めた同盟国が米国に「ただ乗り」していると持論を展開している。
1人区、野党競合はや3割 参院選へ候補者選定急ぐ 国民民主、強気の擁立 一本化の調整難航[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1609文字 PDF有 書誌情報]
夏の参院選に向けて与野党が候補者の選定を進めている。全国に32ある改選定数1の「1人区」は16日時点でおよそ3割が複数の野党候補による競合となっている。政党間で候補者の調整がなお難航している1人区も多く、野党競合がさらに増える可能性がある。
日本経済新聞は16日時点の1人区の擁立状況を集計した。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組が公認する候補予定者に加え、連合の推薦を受けるなど有力な野党系無所属の候補予定者を対象とした。
野党の候補予定者が1人しかいない選挙区は20ある。競合する選挙区は10で、そのうち福井、岐阜は3党、滋賀、奈良は4党が擁立を決めた状況だ。石川と熊本の2県は野党の候補予定者がいない。
自民党はすべての「1人区」で公認候補を擁立済みだ。公明党は1人区では自民党候補を支援し、複数区で議席を確保する戦略だ。
与野党のどちらかが必ず議席を落とす1人区は全体の勝敗に影響しやすい。今回の参院選では選挙区の改選議席と欠員の合併選挙を合わせた75議席のうち1人区の議席が4割超を占める。
立民の野田佳彦代表は「野党候補を1人に絞って与党との対決構図を作るのが基本だ」と主張する。4日の記者会見でも「1人区は一本化が望ましい」と語った。
選挙区で候補者を擁立すれば、仮に落選しても比例票の上積みが見込める。各党が比例議席の獲得を優先すれば候補者の調整は難しくなる。
野党は2022年の前回参院選で候補者を一本化できた1人区が32のうち3割の11にとどまった。結果は4勝28敗で、全体でも与党が大勝した。16年、19年の参院選はほぼ全ての1人区で野党系候補を一本化した結果、3割以上で勝利した。
16年、19年は共産党を含む枠組みで野党候補の調整が進んだ。22年は立民が共産党と距離を取ったことに加え、維新と国民民主が独自候補を増やしたことで競合が広がった。
連合を支持基盤とする立民と国民民主の調整がどれだけ進むかもポイントになる。
24年の衆院選では、連合の推薦を得た候補者がいる定数1の小選挙区に後からもう一方が候補者を立てて競合するケースが目立った。今回は両党の擁立状況が整うのを待ってから、連合が推薦を決める工夫がみられる。
連合は17日、両党と作成した外交・安全保障、経済、エネルギーなど5分野の基本政策に関する合意文書を発表した。前回の参院選では両党との政策協定を断念したが、今回は原発など主張に隔たりのある政策への言及を控えて合意を優先した。
野田氏は同日、国会内で記者団に合意文書を「候補者の一本化への材料にしたい」と話した。一方、国民民主の玉木雄一郎代表は「選挙協力とは別の話だ」と冷ややかだ。
衆院選の勢いを保つ国民民主は1人区で積極的に候補を擁立する方針だ。榛葉賀津也幹事長は11日の記者会見で「まだ残っている1人区もしっかり出していきたい」と党勢拡大に意欲を示した。
立民と国民民主の調整が済んでいない選挙区の数は前回と同水準だ。福井、滋賀、奈良の3つで候補予定者が競合する。奈良と滋賀は維新や共産党も擁立を決めており、野党一本化の機運は高まっていない。
日本経済新聞の3月の世論調査では国民民主の支持率が13%と野党トップを維持する。
1人区の候補者擁立に関わる立民の衆院議員は「こちらに連合の推薦が出ていても安心できない」と警戒する。
維新は野党候補の一本化に向けた「予備選」を呼びかけている。立民と維新は一本化の必要性を共有し、滋賀や奈良を念頭に世論調査などを利用した調整を検討する。
一方、国民民主や共産党は予備選に否定的だ。参加する政党が限られれば予備選の効果は薄れるため、現状では競合を緩和する打開策になっていない。
通常国会が延長せず6月22日に閉会した場合、参院選は7月3日公示―20日投開票となる見通しだ。異例の3連休中日の投開票となる。
参院自民、根強い減税論 1人区候補から要望聴取 月内にも集約、公約反映促す[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 981文字 PDF有 書誌情報]
自民党の松山政司参院幹事長らは17日、夏の参院選の「1人区」に立候補する所属議員から政府の経済対策への要望を聞き取った。消費税減税や現金給付といった家計負担を軽減する施策を求める声が目立った。参院自民として月内にも意見を集約し、公約に反映するよう党執行部に促す。
参院選は改選定数1の1人区が全国に32ある。与野党が議席1を争う構図になることが多く、全体の勝敗を左右する。
松山氏は要望を聞き取った後、記者団に「減税、給付、国土強靱(きょうじん)化、社会保障などさまざまな声が出た」と説明した。
経済対策に関し「あらゆる方法を考えながら進めていくべきだ」と訴えた。減税を含めて検討すべきだとの認識を示した。
来週にも2回程度ヒアリングの機会を設ける。1人区以外の複数区も含め、改選を迎える全参院議員から意見を聞き取る。
参院の自民党は全参院議員にアンケート調査も進めている。給付金、減税措置、エネルギー価格高騰対策などについて意見を募っている。
参院自民党が独自に意見を集約して党本部に報告するのは珍しい。夏の参院選で自民党は逆風が予想されることに所属議員から危機感が広がっている。選挙を戦う当事者の参院側の要望を党公約に反映してもらうため働きかけを強める。
これまでに参院自民の複数の幹部が消費税の減税を検討すべきだとの認識を示している。ある参院幹部は「例えば食料品に限った時限的な措置が望ましい」と話す。時期や減税幅を限れば赤字国債の追加発行は避けられると主張する。
一方で党執行部には減税に慎重な意見も根強い。ある党幹部は「参院は給付や減税を求めているが、それは選挙対策でしかない」と必要性に疑問を呈す。
石破茂首相は14日の衆院予算委員会で、現金給付や減税への考えを問われ「『選挙目当てのばらまき』をすることは考えていない」と答弁した。
減税に関する温度差が広がれば党内の摩擦につながる可能性がある。自民党の森山裕幹事長は14日、参院選に向け衆参合同の選挙活動計画を策定するよう都道府県連に求めたと明らかにした。衆参でともに選挙に臨む体制づくりを促す。
参院自民が独自に大型の経済対策を求める状況は石破政権の基盤の弱さを映しているともいえる。経済対策の議論は曲折が予想される。
【図・写真】記者団の取材に答える自民党の松山参院幹事長(17日午後、国会内)
自民政調会長「成功裏の交渉」 日米、関税巡り初会合 立民代表代行「体制の再考を」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 758文字 PDF有 書誌情報]
自民党の小野寺五典政調会長は17日、日米両政府が米首都ワシントンで開いた関税交渉の初会合を巡り「1回目の交渉としては成功裏の交渉だったと評価している」と述べた。トランプ米大統領の出席、同氏に直接関税の撤廃を求めたことなどを理由に挙げた。(1面参照)
党本部で記者団に答えた。小野寺氏は交渉に臨んだ赤沢亮正経済財政・再生相と会合後に電話したと明らかにした。「トランプ氏に石破茂首相の特使という形で日本としての考え方を繰り返し伝えたと報告を受けた」という。
交渉について「簡単にいく交渉でもないし、一定の時間が必要だと思う」との認識を示した。交渉を支援し、国内対策に万全を期す考えを強調した。
公明党の斉藤鉄夫代表は17日の党会合で初会合を評価した。「日本の立場を主張し国益を守るよう政府と赤沢氏をバックアップする」と発言した。
同党の竹内譲氏は記者団に、関税措置を巡る交渉で防衛費を持ち出すことは「筋が違うのではないか」と疑問を呈した。防衛費と関税措置は「次元の違う話ではないか」とも言及した。
立憲民主党の大串博志代表代行は記者会見で、米国から安全保障関連の要求があったとみられる点に懸念を表明した。
「どのような交渉体制が望ましいのか、日本政府には再考が求められているのではないか」と指摘した。経済財政担当の赤沢氏を中心にした体制で機能するのかと問題提起した。
日本維新の会の前原誠司共同代表はトランプ氏が交渉の場に出てきたことに関し「本気だという姿勢を示す狙いがあった」と分析した。政府に「どのようなテーマが俎上(そじょう)に載ったのかしっかり情報開示してほしい」と要請した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は党会合で「スタートとしては良かった」と評価した。「しっかりとした国内対策を引き続き求めたい」と言明した。
海底ケーブル敷設、日本シェア35%目標 自民特命チーム提言[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 504文字 PDF有 書誌情報]
自民党の「情報通信成長戦略検討特命チーム」(山際大志郎座長)は17日、海底ケーブルなど情報通信産業の新たな成長戦略の提言をまとめた。2026~30年に新たに世界で敷設する海底ケーブルの35%以上を日本が担う目標を呼びかけた。海底ケーブルの積極的な新設を促す。
石破茂首相に提出する予定だ。
日本は国際通信の99%を海底ケーブルに依存している。外国勢力などに海底ケーブルを損傷されれば日本と海外の間の情報通信に深刻な影響が出かねない。
提言は「経済安全保障上、自律的な供給体制を確保することが重要だ」と言及した。日本企業によるケーブル生産、保守する船舶の保有を進める必要性も指摘した。海底ケーブルは24年以降だけで台湾近海やバルト海などで損傷が見つかっている。中国やロシアが関与した疑いが出ている。
提言は通信インフラを低コストで構築する「オープンRAN(ラン)」もとりあげた。30年ごろに基地局の市場で「日本企業がシェア上位を獲得」すべきだと示した。特命チームは日本の情報通信産業の強みや競争力を高める方策を話し合うため立ち上げた。ある幹部は「最初から世界で勝負することを前提に投資を促していく」と語った。
試験・認証で脱海外依存 国際規格づくり自民提言案[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 436文字 PDF有 書誌情報]
自民党の知的財産戦略調査会(小林鷹之会長)は17日、日本企業の技術や品質管理の手法に沿った国際規格を増やすための提言案をまとめた。「情報流出への懸念に対応するべく海外の機関のみに依存しない試験・認証体制の強靱(きょうじん)化をはかる」と掲げた。
政府が6月に策定する国際標準化戦略への反映をめざす。
日本の認証機関による試験結果をもとに海外の認証が得られる環境づくりを求めた。海外機関との連携や海外機関の買収を進めるよう訴えた。海外機関に認証を頼ると企業の技術やノウハウなどの情報が流出するリスクがあることを踏まえた。
経済安全保障上も標準規格が重要だと指摘し、官民の意識改革を促した。国内規格を普及させるため、政府調達や補助金の交付で規格を要件にする取り組みを広げるべきだと提起した。
標準化を進める司令塔機能を強化することにも言及した。情報を一元的に集約し、共有・活用できるようなデジタル基盤の構築をうたった。人材のデータベースを整えるといった人材育成策も提案した。
参院自民、根強い減税論 1人区候補から要望聴取――公明幹事長「補正予算編成せず」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 264文字 PDF有 書誌情報]
公明党の西田実仁幹事長は17日の党中央幹事会で、今国会で2025年度補正予算案を編成することはないとの考えを示した。同党が物価高対策として主張してきた現金給付の実施の見通しは明言しなかった。
中央幹事会会長代理を務める竹内譲氏が終了後、記者団に語った。自民党幹部が15日、記者団に25年度今国会で補正予算案を編成しない方針だと明らかにしていた。
公明党の斉藤鉄夫代表は減税を柱としつつ、税制改正までの「つなぎの措置」として現金給付を主張してきた。岡本三成政調会長は16日の記者会見で、現金給付は党内で賛否両論があると説明した。
皇族数確保策の取りまとめ案、衆参議長ら次回提示へ[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 121文字 PDF有 書誌情報]
衆参両院の正副議長と与野党の代表者らは17日、衆院議長公邸で皇族数の確保策を議論した。額賀福志郎衆院議長は、衆参両院の正副議長による取りまとめ案を作成し、次回会合で示す方針を表明した。今国会中の皇室典範改正も視野に準備を進める考えを示した。
4月17日(首相官邸)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 678文字 PDF有 書誌情報]
▽8時10分 公邸から官邸。30分 岡野国家安全保障局長、外務省の船越次官、赤堀外務審議官、有馬北米局長、土谷財務省国際局長、松尾経産審議官。
▽9時19分 米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のリサ・スー会長兼最高経営責任者(CEO)の表敬。
▽10時2分 報道各社のインタビュー。28分 森下防衛省陸上幕僚長。
▽11時1分 日本国際賞受賞者のラッセル・デュプイ米ジョージア工科大教授らの表敬。30分 川本洋祐レンゴー社長、山川正人日段社長。
▽12時11分 参院第2別館。歯科診療所で歯のクリーニング。31分 官邸。
▽13時23分 厚労省の田中雇用環境・均等局長、堀井人材開発統括官。
▽14時14分 橘官房副長官、市川官房副長官補、小林内閣広報官、南駐オランダ大使、外務省の鯰外務審議官、北川欧州局長、経産審議官、加野防衛審議官。45分 青木官房副長官、長島、森両補佐官、外務省の鯰外務審議官、北村外務報道官、宮本南部アジア部長、石月国際協力局長、経産審議官、防衛審議官。
▽15時35分 菊川経産省イノベーション・環境局長、小野特許庁長官。
▽16時5分 衆院第2議員会館。7分 鈴木邦宏ファインモールド社長。城内経済安保相同席。31分 官邸。34分 原内閣情報官。58分 武藤経産相、林官房長官、江島TPP等政府対策本部国内調整統括官、経産省の飯田次官、伊吹製造産業局長。
▽18時52分 東京・紀尾井町のホテルニューオータニ。宴会場「LAPIS3」で岸田文雄前首相、中谷防衛相ら全国の衆院1区を選挙区とする議員と会食。
▽20時30分 公邸。
公明、選択的夫婦別姓で「議論まとまりつつある」(短信)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
公明党の斉藤鉄夫代表は17日、党本部で連合の芳野友子会長と意見交換し、選択的夫婦別姓に関する取り組みを伝えた。石破茂首相に自民党との協議を要請していると説明した。党内の議論について「法制審議会(法相の諮問機関)の答申に近い形でまとまりつつある」と語った。
党首討論、通例の45分 23日に実施(短信)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 4ページ 100文字 PDF有 書誌情報]
衆参両院の国家基本政策委員会は17日の合同幹事会で、23日午後3時に開く党首討論について、通例の45分間で実施すると決めた。党首討論は昨年10月9日の衆院解散当日に実施して以来で、今国会では初めて。
低年金対策、相次ぎ後退 厚労省、基礎年金底上げを削除 自民内で法案提出に異論[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1372文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省は17日、今国会への提出を目指す年金制度改革法案から基礎年金(国民年金)の底上げ策を削除する方針を示した。低年金対策は相次いで断念・修正に追い込まれた。自民党には参院選への影響を懸念して法案提出を見送るべきだとの意見も目立ち、党執行部は意見集約を急ぐ。
自民党が17日に開いた厚生労働部会などの合同会議に修正案を示した。
基礎年金は財政が厳しく、将来の給付水準は3割目減りする。厚労省は厚生年金を減額して財源をつくり追加の国庫負担も投入して、将来の基礎年金を何もしない場合より3割底上げする改革を検討してきた。制度上、厚生年金の減額が先行するうえ、国庫負担の財源も探す必要がある。自民党内で反対論が拡大し削除に追い込まれた。
今回の年金改革の柱だった低年金対策は後退が相次いでいる。厚労省は基礎年金保険料の納付期間を5年延ばすことを検討していた。年金額が年10万円増える一方で、保険料負担が計100万円増えることへの国民の反発が強く、2024年7月に早々に断念した。
パート労働者の厚生年金への加入拡大も後退した。加入すると基礎年金に加えて厚生年金を受け取れる。基礎年金の財政も改善する。保険料を半分負担する事業主への配慮を求める声が自民党内で強く、拡大完了の時期を29年から35年まで先送りした。
もともと基礎年金の受給額は25年度の満額で月6.9万円だ。これだけで老後を暮らすのは厳しい。今後水準が下がり続ければますます困窮する人が増え、生活保護を受け取る人が増えるリスクがある。低年金対策が遅れるほど状況は深刻になる。
厚労省は年金改革の修正を重ねてきたものの、参院選を控えて今国会への法案提出に反対する声は消えない。自民党参院議員の佐藤正久幹事長代理は17日の会議後、法案提出について「国民とのキャッチボールをやって(参院選後の)臨時国会に出すというのもありだ」と記者団に述べた。
別の参院議員は「この政治状況で提出するのは厳しい」と指摘した。年金改革を推進する厚労族の一人も「提出できないだろう」と語った。
年金は自民党にとって鬼門のテーマだ。旧社会保険庁の年金記録問題は「消えた年金」と批判された。自民党は07年の参院選で大敗し09年の政権交代につながった。
厚労省は高所得者の厚生年金保険料の引き上げなどは法案に残す方針だ。負担増につながる項目で法案から追加で削除を迫られる可能性がある。法案の反対派に配慮して内容が後退すれば、今度は年金改革の推進派が反発する公算が大きい。
厚労省幹部は「年金改革はゼロサムゲームだ」と話す。恩恵を受ける人がいる一方で、必ず誰かの負担が増えたり給付が減ったりする。政府・与党が正面から改革の必要性を訴える姿勢を欠いた面は否めない。
低年金対策が進まないなかでは、自力で備えを進めることも欠かせない。まずは長く働くことだ。給与収入を得られるのに加えて、69歳まで厚生年金保険料も納めれば月々の年金額も増やせる。
次に年金の受け取り開始を遅らせる方法がある。1年遅くすると、月々の年金額は8.4%増える。給与や蓄えだけでしばらくしのげるなら「長生きリスク」への耐性は高まる。
少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)で手持ちの資産を増やすことも考えられる。
対米貿易黒字、4年ぶり縮小 昨年度 車の輸出台数減、AI関連は輸入増[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1051文字 PDF有 書誌情報]
財務省が17日発表した2024年度の貿易統計速報で、日本の対米黒字額は4年ぶりに縮小した。記録的な円安で輸出額は伸びたが、稼ぎ頭の自動車で輸出台数は減った。輸入額は米エヌビディアの画像処理半導体など人工知能(AI)開発に必要な製品が押し上げたとみられ、貿易収支の構造は変化している。
米国向けの輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は9兆53億円の黒字だった。黒字幅は前年度から1.3%減少した。マイナスは20年度以来となった。輸出額は3.8%増の21兆6482億円、輸入額は7.7%増の12兆6429億円と、伸び率で輸出を上回った。
輸出増に最も寄与したのは自動車で、1.6%増の6兆1920億円だった。金額を押し上げたのは円安・ドル高の進行だ。平均の為替レートは1ドル=152.60円と、6.1%の円安だった。一時は約34年ぶりに160円台に下がった。
輸出台数でみると勢いはない。一部メーカーで量産に必要な「型式指定」を巡る認証不正問題が発覚して出荷が止まり、139万台と前年度を8.3%下回った。
米国は4月3日、自動車向けに25%の追加関税を発動した。3月にかけて発動前の駆け込み輸出の動きを指摘する声がある半面「世界中で駆け込みが発生して自動車運搬船が不足し、思うように車の輸出が伸びていない」(みずほリサーチ&テクノロジーズの坂中弥生氏)との見方もある。
輸入面では電算機類の伸びが目立つ。およそ3倍となる3696億円にのぼった。財務省はデータセンターなどに使う単価の高い業務用サーバーの需要が増えたと説明した。
同じ電算機類でも、パソコンなどが中心とされるアジアは24年度の輸入単価が3万円ほどなのに対し、米国は同264万円に達した。内閣府は3月の調査で「近年需要が拡大しているデータセンターに使う高付加価値なAIサーバーがけん引している」と指摘した。
経済産業省はAI開発用のスーパーコンピューター整備に補助金を出し、経済安全保障の観点から重要な国産のAI開発を後押しする。補助金はスパコンを動かすために必要な米エヌビディアの画像処理半導体の調達費用などに使われる。
内閣府は「AIサーバーは米国企業のシェアが高いことから、当面高額なものが米国から輸入される」とみる。自動車は関税発動によって輸出が減る恐れがある。ホンダは米国向け「シビック」のハイブリッド車の国内生産を6月にも現地生産に切り替えるほか、自動車部品大手のニッパツも米国での減産方針を見直すなど米国増産の動きも出ている。
低年金対策、相次ぎ後退――これでは高齢化に克てない[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 780文字 PDF有 書誌情報]
与党は将来の国民生活を守る政治の責任をどう考えているのか。目先の選挙対策を優先し、有権者が反発しそうな改革を遠ざけてしまう。こんな逃げの姿勢では、少子高齢化に克(か)つのは到底不可能だ。
現状を放置すると、公的年金の1階部分である基礎年金の給付水準は最終的に3割も下がる。その影響を最も強く受けるのは就職氷河期世代だ。
近年は人手不足で正社員が増えたが、年金の受取額は過去に納めた保険料の累積で決まる。事業主負担がある厚生年金が適用されず、低収入の非正規雇用に長く置かれた人は報酬比例の2階部分が薄くなり、基礎年金への依存度が高くなる。
その基礎年金が3割も下がれば、生活保護との逆転が強まり、保護を申請する人が急増しかねない。政治はそれをよしとするのだろうか。
基礎年金がこんな事態になった原因は、2004年改正で導入した世代間調整の失敗にある。足元の給付を抑えることで将来の年金水準を確保する予定だったが、デフレへの想定が甘く、足元の給付水準は逆に上昇した。
厚生年金のモデル世帯(夫婦2人)でみると、給付水準(所得代替率)を04年の59.3%から23年までに50.2%へと下げるべきところ、実際は24年に61.2%まで上がった。このツケは将来世代に回り、とりわけ氷河期世代が年金生活に入る40年以降の基礎年金に影響が集中する。
今の引退世代に年金を払いすぎていることが問題の根本原因なので、これを是正するのが対策の本筋だ。なのに与党議員にはこれを国民に訴える覚悟と自信がなく、夏の参院選を前に白旗を揚げてしまった。
「年金を政争の具にするな」。国会で年金改正案が審議されるたびに政権が訴えてきた言葉だ。ところが少数与党の自民は政争の具になることを防ぎたいがために、改革そのものから逃げてしまった。こんなことでは年金の未来が心配だ。
(編集委員 柳瀬和央)
パート時給70円上げ 春季交渉、連合集計 最低賃金の議論後押し[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 627文字 PDF有 書誌情報]
連合は17日、2025年春季労使交渉の第4回回答集計を発表した。パートや契約社員など短時間組合員の時給の賃上げ額は平均で70.08円と、前年同期の水準を3.64円上回った。賃上げ額は比較可能な13年以降で最も高い水準だった。
15日午前10時までに判明した3115組合の会社回答をまとめた。パートなどの時給の賃上げは率に換算すると6.06%となる。正社員の賃上げ率は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)をあわせて5.37%で、パートの賃上げ率が正社員を上回っている。
パート時給は最低賃金の水準を議論する指標となり、最賃引き上げに向けて後押しとなりそうだ。
パート時給の引き上げは連合に加盟する企業だけにとどまらない。求人データを毎週分析するナウキャスト(東京・千代田)によると、パート・アルバイトの募集のため提示される募集平均賃金は25年3月末に1194円だった。前年同期より4.5%上昇し、比較可能な18年2月以降で最も高い伸びとなった。
正社員の賃上げ率を上回った背景の一つは、パートの不足が深刻な業種での大幅な引き上げが進んでいるためだ。イオンリテールは組合からの要求に満額で回答し7.07%の賃上げだった。ヤオコーも9.51%の賃上げを回答した。
20年以降に同一労働同一賃金の制度が導入されたことも理由だ。正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁じられており、企業は同じ業務を行う従業員には原則同じ水準の賃金を支払う。
福島第1、採取2回目もデブリつかむ 前回と別の場所から[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 514文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)は17日、福島第1原子力発電所2号機で進めている2回目の溶融燃料(デブリ)採取について、取り出し装置でデブリをつかんだと発表した。今後、格納容器外への移動や放射線量の測定、運搬用容器への収納を進める。
2回目の取り出し作業は前回と同様の釣りざお式の装置を使い、15日に着手した。装置の先端には爪状の器具が付いている。17日には格納容器の中に差し込んだ装置を操作して、容器内の足場の開口部からケーブルを下ろし、先端の器具で底にたまったデブリをつかんだ。
東電によると、採取したデブリは大きさが先端器具の爪(7ミリ角)に収まる小石状だ。
取り出しの完了までにはさらに数日かかる。まずは装置を格納容器の外に戻す作業に移る。採取したデブリの放射線量が毎時24ミリシーベルト以下であることを確認した上で、専用の容器に収納して取り出しを終える。デブリは茨城県にある国の研究機関に運んで分析する。
今回は前回から1~2メートル離れた、格納容器の中心に近い開口部からデブリをとった。別の場所から採取することで、前回とは異なる成分を含んだサンプルを得て、将来的な全量回収に向けたデータの拡充につなげる狙いがある。
柏崎刈羽の県民投票条例案、否決へ 新潟自民が反対[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 467文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働の是非を問う県民投票条例案は、18日の新潟県議会臨時会の採決で否決される見通しとなった。過半数を占める最大会派の自民党が17日午後に実施した党議で反対する方針を固めた。自民党の県議から異論は出なかった。
県議会議員53人のうち自民党は32人を占める。国政野党系議員9人でつくる第2会派と非自民の無所属議員6人でつくる第3会派は県民投票に賛同し、18日には共同で修正案も提出する予定だが、賛成は過半数に届かないと見込まれる。
花角英世知事は16日から始まった臨時会の審議で、賛成・反対の二者択一の投票では「県民の多様な民意を把握できない」との認識を示していた。県民投票に代わり、公聴会や意識調査の実施を検討していることを審議で明らかにしている。
自民党新潟県連の岩村良一幹事長は非公開の党議終了後「知事も指摘していた通り、県民の多様な意見は二者択一で把握できない点が反対の主な理由だ」と述べた。
「意識調査は幅広い方々にいろいろな角度から進めてほしい」とも語った。
農地の3割が後継者不在 10年後、農水省まとめ[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 246文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省は17日の自民党部会で、全国の農地のうち32.8%で後継者がいないことを明らかにした。市町村が策定した10年後の農地利用の計画をもとに、初めてまとめた。高齢者の引退が増えるなか、生産基盤の維持が課題だ。
改正農業経営基盤強化促進法が2023年4月に施行されたことを受けて、全国1613の市町村が25年3月までに10年後に農地を誰が担うかを示す計画を策定した。
計画によると、全国424万ヘクタールのうち、32.8%にあたる139万ヘクタールで10年後の担い手が定まっていなかった。
最低賃金の政府方針「中小含む労使で議論を」 日商などが要望[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 212文字 PDF有 書誌情報]
日本商工会議所など中小企業団体は17日、最低賃金に関する政府への要望をまとめた。政府が最低賃金についての方針を示す場合は、中小や零細の企業を含む労使双方が参加する場での議論を求めた。
日商と東京商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会の連名で要望した。政府は最低賃金を2020年代に1500円へ引き上げる目標を掲げる。政府目標について「廃業・休業も検討せざるを得ないなどの厳しい声が寄せられている」と指摘した。
産総研とIPA、量子技術の人材育成へ連携協定[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 5ページ 126文字 PDF有 書誌情報]
産業技術総合研究所と情報処理推進機構(IPA)は17日、量子技術での事業創出や人材育成に関する連携協定を締結した。産総研の量子計算機を、IPAが支援するIT(情報技術)人材に提供する。計算機を扱える人材の育成、関連技術を使ったサービスの創出を目指す。
巨額の政府債務下、利上げは効くのか 門間一夫 みずほリサーチ&テクノロジーズ(エコノミスト360°視点)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1262文字 PDF有 書誌情報]
門間一夫 みずほリサーチ&テクノロジーズエグゼクティブエコノミスト
トランプ関税により日銀の利上げは遅れそうだが、賃金や物価の上昇が定着しつつある状況からみて、いずれ利上げ路線が復活する可能性は高い。その日銀から少し前に興味深い問題提起があった。
1月末に日銀の氷見野副総裁が一橋大学政策フォーラムで行った講演である。無借金経営の企業が増え、家計の金融資産も増えているのだから、利上げの効果は昔と同じではない、というのである。
確かに、近年の企業や家計のバランスシートを考えると、金利が上がっても企業の利払いは昔ほど増えず、一方で家計の利子所得は増える。下手をすれば、利上げがむしろ景気刺激的に働く可能性すらある。実はこの問題は、氷見野氏の講演でも紹介されているように、国際通貨基金(IMF)が2024年、米国について指摘した経緯がある。
民間の資産が大きいということは、それと表裏をなす政府の債務が大きいということであり、そこに着目すると、この問題の本質が理解しやすい。金利が上昇すれば政府の利払いが増え、その分だけ財政赤字が拡大する。通常はそこから、財政の持続性を問う方向に議論が進みがちだが、まず確実に起きる現象は意図せざる景気刺激効果である。
中身が給付金であれ利払いであれ、政府から民間にお金が渡ればその分だけ人々の所得は増える。利上げには、それがもたらす自動的な財政拡張効果により、景気や物価を刺激する面があるのである。
それでも、金融政策の波及経路には為替や株価などもあるため、全体として利上げは物価抑制効果を持つと考えられている。しかし、政府の利払い増による総需要押し上げ効果は、政府債務残高が巨額になった分、今は昔よりずっと大きいと考えられる。
米国では00年代の利上げの時は政府の純債務が国内総生産(GDP)の50%程度だったが、近年はそれが100%近くに達している(数字は後出の日本も含めてIMFによる)。米国では22年から23年にかけて、ほぼゼロから5%超までの利上げでも経済は減速しなかったが、その一因は政府の利払いにあった可能性がある。
日本では、本格的な利上げの経験は1990年代初頭が最後である。そのとき、政府の純債務はGDPのわずか20%程度だった。今は150%を超えている。絶対値で見ても過去の利上げ局面からの変化で見ても、日本の政府債務は米国の比ではない。
この状態で日銀が利上げを進めたとき、為替など他のチャネルが意図した方向に働いたとしても、全体として十分な物価抑制効果が得られるかどうかはわからない。利上げの効きが悪ければ、日銀はさらに利上げをしなければならなくなる。そんな悪循環のリスクがある。
経済学の教科書では「利上げはインフレを抑え、利下げはデフレを止める」と説明される。しかし今の日本のような膨大な政府債務は前提にされていない。巨額の政府債務が当たり前となった現代において、金融政策だけで物価の安定を目指すことの困難さは増している。財政政策のあり方も問われるように思う。
米国より強い習氏の「手札」 ギデオン・ラックマン(FINANCIALTIMES)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 6ページ 0文字 書誌情報]
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欧州中銀、6連続利下げ 0.25%引き下げ トランプ関税踏まえ 「成長下振れリスク高く」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1462文字 PDF有 書誌情報]
【フランクフルト=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は17日、政策金利を0.25%引き下げると決めた。トランプ米政権が「相互関税」を発動してから初の理事会で、利下げは6会合連続だ。ドイツなど欧州各国で景気失速のリスクが高まっており、一段の金利引き下げが適切と判断した。
主要中銀では相互関税の発動後、米連邦準備理事会(FRB)と日銀に先立つ会合になった。公表した声明文で、欧州経済は「貿易摩擦の激化で成長見通しが悪化している」との認識を示した。「インフレ鈍化は順調に進んでいる」との文言は維持した。
ラガルド総裁も理事会後の記者会見で「経済成長の下振れリスクが高まった」と述べた。「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費の重荷になる」とも指摘した。
今後の利下げペースは「特定の経路を事前に確約しない」としつつも、金融市場が不安定になれば「金融引き締めの効果をもたらす可能性が高い」と説明した。
利下げは2024年6月に開始してから7回目で、据え置きを挟んだ9月以降では6会合連続だ。政策金利の一つで市場が注目する中銀預金金利は2.5%から2.25%に下がり、累計の引き下げ幅は1.75%になる。ラガルド氏によると0.25%の利下げ決定は全会一致だった。
ECBはインフレの落ち着きで利下げの打ち止めを視界に捉えつつあったものの、関税引き上げによる景気失速で誤算が生じつつある。欧州最大の経済大国であるドイツは25年、東西統一後で初となる3年連続のマイナス成長となりかねない。
ECBは米国が欧州からの輸入品に25%の関税を課した場合、最初の1年でドイツやフランスなどユーロ圏の経済成長率を0.3%押し下げると試算してきた。欧州が報復関税に動けば0.5%と経済損失は一段と膨らむ想定だ。
短期的には物価上昇率を0.5%ほど押し上げる恐れがある半面、中期的には景気失速などでインフレ圧力が和らぐとの見方がECB内部にある。「米国売り」に伴うドル安で進むユーロ高も欧州域内の輸入品の値上がりを抑える方向に働く。
足元では原油安も加速している。世界経済の減速懸念から北海ブレント原油先物は4月上旬、新型コロナウイルス禍以来およそ4年ぶりに一時1バレル60ドルを割った。
3月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比の上昇率が2.2%と2カ月連続で鈍化した。米モルガン・スタンレーは、物価上昇率が早ければ4~6月にECB目標の2%を下回る可能性を指摘する。
市場は相互関税の発動後、利下げ加速の思惑を強めてきた。金利先物市場は理事会前の16日時点で、ECBが次回6月以降、年内さらに2~3回の利下げを決めるとの織り込みだ。
FRBは早期の利下げに慎重で、カナダ中銀は16日に政策金利を据え置いた。欧州は景気回復が遅れてきた分だけ金融緩和の期待が高まりやすく、スイス中銀によるマイナス金利再導入の観測も一部浮上する。
さらに厄介なのが金融市場の混乱だ。トランプ政権の政策は二転三転し、中国は報復措置で応酬する。欧米の株式市場で株価が乱高下し、ECBも警戒モードに入りつつある。これまでにラガルド氏は「金融の安定なくして物価の安定はない」と語り、金融リスクにも目配りを始めた。
ECBの理事会メンバーでフランス中銀のビルロワドガロー総裁は9日、マクロン仏大統領への書簡で「貿易摩擦がもたらす経済の不確実性は金融の安定に影響を及ぼす」と警鐘を鳴らした。
【図・写真】ラガルド総裁は貿易摩擦による成長下振れリスクを懸念する(17日)=ロイター
同族企業の統治支援 信託銀、みずほは「憲章」作り[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 7ページ 931文字 PDF有 書誌情報]
信託銀行がファミリービジネス(同族企業)のガバナンス(企業統治)支援を強化する。みずほ信託銀行は一族の価値観を明文化するファミリー憲章の策定や信託機能を使った議決権の相続などを提案。三井住友信託銀行は今夏以降、約20の同族企業へガバナンス対策を検討するプログラムを実施する。
日本では企業の97%、上場企業でも約3800社のうち約49%が同族経営とされる。東京証券取引所プライム市場に上場する同族企業では、自己資本利益率(ROE)は9%を上回り、一般企業より高い傾向がある。株式の所有と経営が一体の場合が多く、利害が一致し利益成長を追求しやすかったり、長期的な目線で経営ができたりするとの指摘がある。
一方、経営者の独断的な行動や一族内の紛争をきっかけに企業価値を毀損する可能性もあり、ガバナンスを強化する重要性は増している。
紅麹(こうじ)の成分を含む小林製薬のサプリメントを摂取した人が深刻な健康被害を訴えた問題では、発行済み株式の3割を握る創業家の発言力の強さが問題視された。
みずほ信託銀行は一族へのインタビューを通じて守るべき価値観などをもとにした家訓づくりや、一族の一体感を醸成するファミリー会議の運営支援に力を入れる。必要に応じて株主の取り決めに法的拘束力を持たせる株主間契約、ファミリーオフィスの設立支援なども実施する。
信託機能を活用した保有株の議決権相続なども提案する。例えば後継者候補が未成年の場合は、相続発生時に財産権は後継者が承継するが、議決権は専門の委員会が行使する事業承継信託などを提案。オーダーメード提案に力を入れ、2024年度の受託報酬は22年度比2.5倍に膨らんだ。
三井住友信託銀行は同族企業のガバナンスを機能させるための指針「ファミリーガバナンス・コード」を策定、100以上の同族企業を支援する。「企業成長と一族の永続にはファミリーの価値観や理念を共有し明文化することが望ましい」といった原則を示した。
ファミリー協議会の設立支援、ファミリーオフィスの立ち上げもコンサルティングする。三井住友信託銀行の水谷公彦特別理事は、「ガバナンスが機能していれば社長が突然亡くなっても経営と一族の関係性が永続する効果がある」と話す。
三菱UFJ信託やリコー、株主総会すぐ字幕に 聴覚障害者の参加後押し[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 7ページ 391文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJ信託銀行は近く、リコーなどと株主総会の発言内容をリアルタイムで字幕配信するサービスを始める。音声認識AI(人工知能)に声を読み取らせて専門のオペレーターがその場でAIの誤変換を修正する仕組み。2024年の改正障害者差別解消法の施行で障害者への配慮が義務付けられた。聴覚障害者らが総会に参加しやすくする。
オペレーターの派遣は障害者専門の労働仲介サービスを提供するメジャメンツ(東京・中央)が担う。株主総会をインターネット配信する場合に活用できるほか、タブレット端末の貸し出しや電子看板を掲示することでネット配信以外も導入が可能だ。価格は平均で1社60万円程度を想定し、3年で50社導入を目指す。
新サービスではリコーの音声AIがまず会場の音声を文字としてパソコン上に表示。メジャメンツのオペレーターがその場で文字を編集し、株主は誤字の少ない状態で総会の状況を把握できる。
欧州中銀、6連続利下げ 0.25%引き下げ――関税の物価影響「上下両方向で」 日銀総裁[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 7ページ 189文字 PDF有 書誌情報]
日銀の植田和男総裁は17日、参院財政金融委員会でトランプ米政権の関税政策による日本への影響について「経済には下押しの圧力を働かせる。物価には上下両方向の影響があり、現時点でどちらにいくか決め打ちするのはリスクが高い」と答弁した。
「米国の政策運営、特に関税政策を巡る不確実性が急速に高まっている。今後の金融政策決定会合で予断をもたずに点検し、適切に政策判断したい」とも話した。
始動バーゼル3(下)ノンバンク、投資の主役に 証券ビジネスの隙間埋める 「影の銀行」への規制課題[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1377文字 PDF有 書誌情報]
自己資本の積み増しを求める国際金融規制「バーゼル3」は銀行外の証券ビジネスにも大きな影響を与える。自己資金を使った大胆な投資は細る一方で、安定的な収益を稼ぐモデルへと転換する。隙間を埋めるのが投資ファンドと呼ばれる一群だ。規制の枠外で活動を広げる事業者の制御が課題となる。
「ホールセール(法人向け)部門で資本の使い方に関するマインドが変わった」。野村ホールディングス(HD)の北村巧・財務統括責任者(CFO)は、2025年3月に最終適用するバーゼル3がもたらす効果をこう語る。
財務健全性を示す普通株式等Tier1(CET1)比率は、24年12月末時点で16.3%と最低水準の7.5%を大きく上回る。規制の最終化は2%程度の押し下げに寄与し、よりぶれの少ない経営が求められる。機関投資家向け市場取引を手がけるグローバル・マーケッツ部門の改革にこうした事情を役立てた。収益の変動の大きい金利連動の商品比率の引き下げを進める。
バーゼル規制への対応で、証券会社では必要以上のリスクを取らない経営が一段と進む。ゴールドマン・サックスをはじめとする米投資銀行も、資本活用を抑えたアセットマネジメント業務に重心を移し始めた。
一方、存在感を増すのがファンドを中心とする非銀行の金融仲介業者「NBFI」(Non―Bank Financial Intermediation)だ。直接的に企業買収や産業再編に資金を投じる主役として台頭しつつある。
「金融安定性のリスクを生み出す可能性がある」。24年12月18日、金融安定理事会(FSB)は1冊の勧告文を出した。表題は「NBFIレバレッジ」。冒頭の一文は金融システムの中心が銀行からノンバンクへ移り始めていることを警告する内容だ。
新型コロナウイルス禍が猛威を振るい始めた20年3月。米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントがデフォルト(債務不履行)した21年3月。ロシアのウクライナ侵略をきっかけに商品市場が混乱した22年。英国の国債金利が急騰した22年9月、いずれも陰で相場を動かしたのはNBFIだ。
世界の金融資産は490兆ドル近く。実はその49%がNBFIだ。FSBが実施した23年の実態調査によると、世界全体でNBFIの規模は22年比8.5%増え、銀行の増加率(3.3%)の2倍以上となった。実額でみてもリーマン・ショック後の09年以降、徐々に差が開いている。
NBFIはバーゼル規制のような各国共通の統一規制が存在せず、銀行中心に監督してきた金融当局の死角になってきた。金融庁幹部は「日本も世界も銀行ばかりに目が奪われ過ぎている」と話す。
「暗号資産(仮想通貨)」という新たな脅威も出てきた。FSBは23年12月に出した政策報告書で、各国に「適切な規制・監督の枠組み」、つまり、証券会社と同様に各国共通の一律規制を導入するよう訴えた。
ファンドによる世界の企業買収に関し、別のファンドが融資提供者となる比率は24年に77%と、ここ10年で最高になった。銀行融資は23%にとどまる。
「影の銀行」とも称されるNBFI。すでに影ではなくなりつつある現実に金融当局はどう向き合うのか。金融市場はいや応なくグローバルであり、日本も無縁ではいられない。
山下晃、玉木淳、上田志晃、小野沢健一が担当しました。
YOUTHFINANCE(20)ググるのやめたVC若手 AIで時短、令和の流儀[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 7ページ 839文字 PDF有 書誌情報]
スタートアップ企業に投資するファンド、ベンチャーキャピタル(VC)を目指す若者が増加している。20代のマネジャーは業務でグーグルすら使わない。
4月2日午前8時半。創業期のスタートアップに投資するVC、ジェネシア・ベンチャーズ(東京・渋谷)の一戸将未インベストメント・マネージャー(29)は最寄り駅に到着するとスマートフォンにこう入力した。「スタートアップ投資に関する会議を想定した5分程度の英会話」
使うのは生成AI「Chat(チャット)GPT」のアプリだ。出力された英文を読み、分からない単語の意味をもう一度尋ねるのが通勤のルーティン。投資先との打ち合わせや社内会議用の資料づくりでも「ググる」ことはほとんどない。
関係づくり重視
2018年にジェネシアに入社し翌年に東大を中退。社員20人のうち2番目に若い。単発アルバイト仲介のタイミーへの投資と新規株式公開(IPO)などに携わった。「優れた起業家を支援し、日本を代表するスタートアップを生み出したい」。VCへの就職を決めたときの志は今も変わらない。生成AIを使うのも、効率的に仕事を進め、起業家や投資家とのコミュニケーションをより充実させたいからだ。
特に重要なのがVCが投資を見送る起業家宛てのメール作成だ。一戸さんは年200人の起業家と会う一方、実際に投資するのは1、2社。定型文は使わず毎回1時間ほどかけて文章を作る。この作業はAIに頼らない。
研修参加6割増
VCは若者からの人気が高まっている。日本ベンチャーキャピタル協会によると、若手を対象にした初級研修の参加者は24年度に260人と5年前と比べて6割増加。国内スタートアップのVCからの調達額も24年までの5年間で4割増えた。
「米国と比べ日本ではなぜスタートアップが育たないのか」。午後11時、一戸さんの姿は居酒屋チェーンの鳥貴族にあった。外部の講師を招いた勉強会後の二次会だ。同席するのは他のVCで働く同世代。ハイボールを片手に議論が進む。
(古田翔悟)
国内電力先物、1年で3倍 24年度取引高、変動リスクを回避 消費者は料金予測しやすく[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1666文字 PDF有 書誌情報]
日本の電力先物市場が急成長している。2024年度の年間取引高は前年比3倍超に膨らみ、他国の市場と比べて伸びが突出する。燃料高や電力の価格変動などを背景に、リスクをヘッジ(回避)する需要が膨らんだ。電力自由化で先行する欧米企業を中心に新規参入が増え、課題だった市場流動性が改善。電力価格の透明性が向上し、消費者や企業が電気代を予測しやすくなる可能性があるという。
電力先物は1年後など将来の電気を一定の価格で売買するデリバティブ(金融派生商品)取引。日本卸電力取引所(JEPX)などで取引する現物の電気との値差を決済する。
電力先物の取引所を手掛ける欧州エネルギー取引所(EEX)と、日本取引所グループ傘下の東京商品取引所(TOCOM)の合計取引高は24年度、約95テラワット時と、23年度の30テラワット時から3.1倍に急増した。日本卸電力取引所の現物取引量の37%に達する。
ドイツなど成熟した市場との差は依然大きいものの、伸び率は世界で突出する。EEXがまとめた24年1~12月の各国取引量の比較では、日本はオランダに次ぐ8位。
EEXの日本電力を取引する参加者は3月末時点で国内外合計で98社。23年度末から26社(36%)増えた。24年6月にはヘッジファンドのシタデルが国内電力卸の買収を決めて参入したほか、石油メジャーの英シェルなど海外エネルギー大手も取引を増やす。
電力取引仲介大手ヴァニアのジェームズ・ウィスラー最高経営責任者(CEO)は「市場アクセスの改善や流動性の向上と相まって、日本は海外勢にとって魅力的な投資先となっている」と話す。
日本の電力先物は19年、TOCOMに試験上場された。20年にはEEXも日本の電力取引を手掛けるようになったことで、欧米の電力トレーディング会社も売買をしやすくなり、23年ごろから本格的に取引が広がった。市場での売買が活発になるにつれて参加者も増えて流動性が高まり、市場規模は膨らみ続けている。
日本の大手電力や総合商社も、海外企業の買収などを通じて得たノウハウを生かし、先物取引の拡大を目指す動きが目立つ。
三菱商事は16年に買収したアイルランドの電力トレーディング会社、エレクトロルートの日本法人を22年に立ち上げ、23年度から日本で本格的に取引している。酒井岳幸トレーディング統括は「欧州での取引ノウハウをもとに、電力先物取引を通じて再エネ事業者など発電側の需給調整や、小売りなど需要側の電力の調達をサポートするサービスを提供している」と話す。
国内発電最大手のJERAも3月27日、フランスの大手電力EDFグループと、日本国内の電力トレーディング事業を統合し、先物取引などの事業に共同で取り組むと発表した。
大手電力がここにきて電力トレーディング部門を強化する背景には、電力市場の公正な競争環境が整備されてきたことも影響している。
かつて大手電力はグループ内へ優先して電力を売っていた。新電力など社外への卸取引よりも有利な条件でグループ内に相対の長期契約などで販売する「内外差別」の商慣行が広がっており、電力・ガス取引監視等委員会が20年に適正な競争をゆがめるとして是正を要請した。
これを受けて大手電力は、相対での電力販売の際、透明性が高く「内外無差別」を説明しやすい先物などの市場価格を参照した値決めに徐々に移行。併せて、価格変動のリスクヘッジのための先物取引の利用も強化している。
JERAは25年度までに東京電力グループなどと結ぶ長期契約が切れ、市場での電力販売が増える見通しだ。JERAの葛西和範常務執行役員は「先物を通じたリスクヘッジの必要性がさらに高まることで、市場は一段と活性化する」と話す。
昨年、TOCOMの電力先物市場に参入した三菱UFJ銀行の関浩之取締役副頭取執行役員は、電力先物取引の意義について「価格の透明性と予見性が高まること」だと指摘。「企業や消費者が将来の電力価格を予測しやすくなり、計画的な経済活動が可能になる」と話した。
(浜美佐)
米国株見通し相次ぎ下方修正 JPモルガンは2割下げ 関税で景気懸念、金に流入[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1217文字 PDF有 書誌情報]
欧米の金融機関が米国株式の目標値を相次ぎ下方修正している。トランプ米政権による相互関税と景気懸念が株式相場の重荷になっていると判断。景気後退に陥る可能性もあるとして、金(ゴールド)など代替資産への投資を促す声もある。
トランプ政権の政策不透明感が強まるのに伴い、金融各社はS&P500種株価指数の2025年末時点の見通しを引き下げている。米JPモルガン・チェースは当初予想の6500から5200と2割引き下げた。
S&P500は2024年末時点で5881だった。JPモルガンの予想通りなら、今年1年間のパフォーマンスはマイナス11%ということになる。
同社では「発表された関税がこのまま据え置かれた場合、米国は今年中にリセッション(景気後退)に陥り、通年の実質GDP(国内総生産)成長率はマイナス0.3%、失業率は5.3%に上昇する」と厳しい見方を示す。
S&P500は年初から2カ月間ほどは新政権への期待から上昇基調となり2月19日には最高値の6144まで上昇した。しかし、4月初旬のトランプ大統領による相互関税実施の発表や中国との貿易摩擦の激化を受け、売り圧力が強まった。4月8日には4982と年初来安値まで下落した。
目標の下方修正の要因として各社が取り上げているのが「(政策の)不確実性」だ。見通しを6400から5800に引き下げたUBSは「関税の引き上げと成長率の低下は米企業の収益を圧迫する。不確実な状況が続くことやトランプ政権が景気の下振れを容認する姿勢を見せている」ことが相場への重荷という。同社では米国株式に代わり、リスク回避としてゴールドへの投資を推奨している。
相場見通しを6500から5800に引き下げたシティグループは米国株の投資判断自体を「強気」から「中立」に引き下げた。
ゴールドマン・サックスは関税の影響にくわえ、引き締め的な金融環境や米国への観光客の減少、海外での米国製品ボイコットなどを背景に25年10~12月期のGDP成長率が前年同期比0.5%にとどまると予想。米経済が景気後退に陥る可能性は45%とみている。
機関投資家も弱気な見方が優勢となっている。バンク・オブ・アメリカが4~10日に実施した世界の機関投資家160社の聞き取り調査によると、米国株の組み入れ状況はアンダーウエート(指数よりも少ない組み入れ)が多数派となり、米国株に対する弱気姿勢を表す値は約2年ぶりの高水準となった。
米企業の収益見通しが「好ましくない」と答えた投資家は28%に上り、金融危機直前の2007年11月以来の高さをつけた。
株式相場にとって最大の逆風とみているのが「貿易戦争とそれがもたらすリセッション」という。現在最も人気の投資先はゴールドが49%と首位だった。2カ月前の調査では56%と最も人気だったエヌビディアやアップルなど「マグニフィセント7」は24%にまで下がった。
(ニューヨーク=伴百江、佐藤璃子)
英ポンド、半年ぶり高値圏 対ドル、経済堅調を好感[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 659文字 PDF有 書誌情報]
英国の通貨ポンドが対ドルで上昇している。16日の外国為替市場で一時1ポンド=1.32ドル台後半をつけ、2024年10月上旬以来およそ半年ぶりのポンド高・ドル安水準となった。17日の東京外国為替市場でも同水準で推移した。英国の労働市場に関する経済指標が前回よりも好調で、英国経済の堅調さを好感したポンド買い・ドル売りが広がった。
英政府統計局が15日に発表した24年12月~25年2月のボーナスを除く賃金の伸び率は前年同期比5.9%で、前回の5.8%(改定値)から加速した。賃金の伸び率は足元で5%台後半での高止まりが続いており、労働市場の堅調さが確認されたことでポンドが強含んだ。
インフレが再加速するとの懸念もポンド買い材料となっている。16日発表の3月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.6%上昇し、前月より鈍化した。ただ、4月から電気やガス料金などが値上げされており、今後インフレが再び加速する可能性が指摘されている。「英イングランド銀行(中央銀行、BOE)の利下げペースが周辺国よりも緩やかになるとの見方がポンド買いを支えている」(SMBC信託銀行の合沢史登シニアマーケットアナリスト)との声が聞かれた。
目先はポンドの上昇が続くとの見方が優勢で、24年の高値である1ポンド=1.34ドル台が節目として意識されている。あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「米国の関税政策を巡る不透明感からドル売りが続けば、1ポンド=1.34ドル台を上抜けてポンド高が続く可能性もある」と指摘する。
南ア株、ゴールドラッシュ 米関税で貴金属に脚光(MarketSCOPE)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 468文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を巡って世界経済の先行きが混沌とする中、南アフリカの株式相場が急騰している。主要指数である全株指数(FTSE/JSE)は10日以降、5営業日連続で上昇。2日の相互関税の発表を受けて一時10カ月ぶり安値まで下落したが、株価は発表前の水準に回復している。
第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「金(ゴールド)価格の上昇が追い風になっている」と話す。国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると南アは年間約100トン(2023年時点)の金を産出しており、同国にとって主要産業のひとつだ。
金は、国際指標となるニューヨーク先物(中心限月)が17日、一時1トロイオンス3371.9ドルまで上昇し最高値を更新した。米中の貿易摩擦の激化により世界経済に対する不透明感が強まる中、安全資産として人気を集めている。金価格の高騰を受けて、同国の貴金属関連株が買われ、指数を押し上げた。
ただ西浜氏は「株価の上昇と南アの厳しい経済状況とは乖離(かいり)している」とも指摘。今後調整が入る可能性も高そうだ。
セブン―イレブン・ジャパン(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 491文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパン
(5月1日)会長兼執行役員会長(社長兼執行役員社長)永松文彦
▽財務会計本部長(オペレーション本部長)取締役兼執行役員桝尾威彦
▽執行役員社長(執行役員建築設備本部長)阿久津知洋
▽管理本部長(総務法務本部長)執行役員榑谷光生
▽オペレーション本部長(人事本部長)同竹井浩樹
▽QC・物流管理本部長(企画本部長)同山口繁
▽人事本部長(財務会計本部長)同松井大
▽総務法務本部長(法務)同今井崇敦
▽建築設備本部長(開発部総括マネジャー)福田真介
▽企画本部長(経営企画部総括マネジャー)久保有
▽同本部経営企画部総括マネジャー、関根大介
(5月15日)社長、執行役員社長阿久津知洋
▽取締役(副社長兼執行役員副社長)木村成樹
▽同兼常務執行役員(執行役員)管理本部長榑谷光生
▽取締役、執行役員商品本部長羽石奈緒
▽同、同オペレーション本部長竹井浩樹
▽執行役員(取締役兼執行役員)桝尾威彦
▽退任(副社長)野田静真
▽同(取締役)青山誠一
▽同(同)藤本圭子
▽執行役員、オペレーション本部副本部長野上明
▽同、商品本部デリカテッセン兼原材料・設備サポートシニアマーチャンダイザー園田康清
セブン&アイ・ホールディングス(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 253文字 PDF有 書誌情報]
セブン&アイ・ホールディングス
(5月27日)会長兼執行役員会長(副社長兼執行役員副社長兼最高サステナビリティ責任者兼最高管理責任者スーパーストア事業管掌)伊藤順朗
▽社長兼執行役員社長兼最高経営責任者(取締役)スティーブン・ヘイズ・デイカス
▽副社長兼執行役員副社長、木村成樹
▽取締役会議長、取締役八馬史尚
▽取締役、沢田貴司
▽同、秋田正紀
▽同、寺沢達也
▽同、クリスティン・エドマン
▽常勤監査役(執行役員経営管理部シニアオフィサー)石井信也
▽退任(取締役)永松文彦
▽同(同)米村敏朗
▽同(常勤監査役)幅野則幸
福留ハム(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 203文字 PDF有 書誌情報]
福留ハム
(6月23日)昴事業部長兼外食フードサービス、社長福原治彦
▽取締役(執行役員)エリアカンパニー長兼エリア販売事業部長兼中国エリア販売・中道淳之
▽同加工カンパニー長(同)ハムソー事業部長兼生産革新・酒井保
▽同加工カンパニー副カンパニー長(同)デリカ事業部長兼仕入・古田幸信
▽取締役(執行役員検査)高曲新太郎
▽相談役(会長)中島修治
▽顧問(副社長)目貫啓治
▽同(常務)砂田誠
▽退任(取締役)明石嘉典
公益社(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
公益社
(6月1日)家族葬のファミーユ会長、取締役兼執行役員築井伸司
(6月19日)副会長(社長)播島聡
▽社長、小林大介
▽退任(取締役)築井伸司
▽常務執行役員(執行役員)山本浩
▽同(同)高松英樹
▽執行役員、東京本社法人営業推進兼大阪本社法人営業推進・伊達靖博
▽同、QM・松本孝
▽同、東京本社企画兼大阪本社企画・深水紀洋
▽同、同マーケティング企画兼大阪本社マーケティング企画・森美土
アイエックス・ナレッジ(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 100文字 PDF有 書誌情報]
アイエックス・ナレッジ
(6月下旬)取締役事業部門・営業部門担当、常務執行役員第1事業統括本部長市川美徳
▽監査役、平田和久
▽相談役(取締役相談役)林三樹雄
▽退任(取締役)黒木彰子
▽同(監査役)藤康範
エスポア(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
エスポア
(4月17日)社長、鈴木魁太
▽取締役、勝又英博
▽同、上田真由美
▽同、吉川元宏
▽退任(社長)矢作和幸
▽同(取締役)篠塚勝
▽同(同)額田正道
▽同(同)浜田光貴
▽同(同)行木明宏
ディスコ(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 68文字 PDF有 書誌情報]
ディスコ
(6月24日)取締役、クリスティーナ・アメージャン
▽同、村上敦士
▽退任(取締役)稲崎一郎
▽同(同)田村進一
▽同(同)山口裕正
きずなホールディングス(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 68文字 PDF有 書誌情報]
きずなホールディングス
(6月1日)副社長(取締役)宮島康子
(8月29日)退任(取締役)関本彰大
▽同(同)野呂裕一
▽同(同)横田善行
燦ホールディングス(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
燦ホールディングス
(6月25日)取締役、根岸千尋
▽退任(取締役)友野紀夫
▽常務執行役員(執行役員)山本浩
▽執行役員、市川大介
ライク(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 63文字 PDF有 書誌情報]
ライク
(6月1日)ライクケア担当(グループ企業管掌)取締役岡本拓岳
▽ライクキッズ・ライクスタッフィング担当、取締役村西志野
旭ダイヤモンド工業(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 60文字 PDF有 書誌情報]
旭ダイヤモンド工業
(6月26日)取締役(執行役員)営業本部名古屋支店長川合宏明
▽執行役員(常務)藍敏雄
▽同、渡辺勝之
オリジン東秀(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
オリジン東秀
(5月23日)監査役(イオンディライト顧問)谷口勉
▽退任(監査役)浅倉智
▽同(同)四倉宏昭
クリエイト(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 48文字 PDF有 書誌情報]
クリエイト
(6月20日)取締役(執行役員)人事・滝沢紘二
▽同、三輪宏
▽退任(取締役)宇山泰宏
住友化学(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
住友化学
(5月1日)千葉工場レスポンシブルケア監理(動力用役)仲田繁浩
▽同動力用役、夏井宏
東洋証券(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
東洋証券
(6月下旬)取締役、吉原和仁
▽同、白井真
▽退任(取締役)田中秀和
リフィニティブ・ジャパン(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
リフィニティブ・ジャパン
(4月1日)社長兼LSEG日本代表、平山竜
リンテック(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
リンテック
(6月20日)取締役、佐野孝典
▽退任(取締役)瀬辺明
カルラ(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
カルラ
(5月21日)取締役、大友史祥
▽退任(取締役)葛西恒雄
大和アセットマネジメント(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
大和アセットマネジメント
(4月18日)監査役、三田淳
サン電子(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
サン電子
(4月17日)事業本部長、社長内海龍輔
マルエツ(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 25文字 PDF有 書誌情報]
マルエツ
(4月17日)クロス大山店長、野川博史
NaITO(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
NaITO
(5月20日)顧問(取締役)中島徹
日本特殊塗料(会社人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
日本特殊塗料
(6月24日)取締役、浅香衣世
World Market[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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「空飛ぶクルマ」年内にも商業化 中国イーハン、世界初競う 無人運航の不安払拭課題[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1804文字 PDF有 書誌情報]
中国のドローンメーカー、億航智能(イーハン)が2025年内にも「空飛ぶクルマ」の商業運航を始める。すでに中国当局から関連の認証を取得ずみで、まず国内の2都市で観光ツアーを提供する計画だ。実現すれば世界初となる可能性がある。米企業も中東で25年末までの商業運航を目指しており、競争が熱を帯びる。
「25年内に広東省広州市と安徽省合肥市で空中観光ツアーの路線を開設する」。イーハンの賀天星副総裁が日本経済新聞の取材に応じ、空飛ぶクルマの商業運航に関する計画を明らかにした。それぞれの都市に飛行拠点を設け、消費者がチケットを購入し、飛行を体験できるようにするという。
自社開発した2人乗りの機体「EH216―S」を利用する。航続距離は30キロメートル。あらかじめ指定した航路を自動で飛行するためパイロットは不要だ。チケットの価格は未定だが、賀氏は「大衆のための一つの交通手段であるべきで、一般庶民向けの価格にする」と語る。
空飛ぶクルマとは電動垂直離着陸機(eVTOL)のことを指す。電気を動力源に、地面と垂直に離着陸する小型の航空機だ。滑走路を必要とせず、クルマの渋滞が多い都市でも観光や公共交通、物流の手段として活用が期待されている。
カナダ調査会社のプレシデンス・リサーチによると、世界の空飛ぶクルマの市場規模は34年に1700億ドル(約24兆円)に達する見通し。24年以降、年平均55%で成長するという。需要の開拓と取り込みへ競争は激しさを増す。
米ジョビー・アビエーションも商業運航に必要な「型式証明」を米連邦航空局(FAA)から取得する計画で、5段階のプロセスのうち4段階目に入っている。25年末までにアラブ首長国連邦(UAE)のドバイでエアタクシーを始める計画を掲げる。
日本でもANAホールディングスがジョビーの機体を使い27年度に首都圏で商業運航の開始を予定する。日本航空(JAL)も米アーチャー・アビエーションの機体で27年に関西圏で実施する目標だ。スカイドライブ(愛知県豊田市)は自前で開発している機体で28年内にも大阪市内で遊覧飛行を始める計画だ。
先行するイーハンは、ドローンの会社として14年に設立した。ドローンの技術を生かし、空飛ぶクルマに事業領域を広げてきた。
24年12月期の売上高は前の期比3.9倍の4億5600万元(約90億円)、最終損益は2億3000万元の赤字(前の期は3億200万元の赤字)だった。EH216―S(市販価格は239万元)を外部に販売しているが、研究開発費の負担などが重く赤字が続く。
23年10月には中国の規制当局からEH216―Sで型式証明を取得した。25年3月には提携先の航空機運営会社がEH216―Sの商業利用を認める「運営合格証」も取得。いずれも世界で初めてとしており、一連の認可を得たことでサービス提供の条件が整った。
イーハンは広州と合肥に続き、中国で商業運航を実施する都市を増やしていく計画だ。海外でも日本を含む19の国と地域で試験飛行を実施済み。特に注力するのがタイで、24年11月にEH216―Sの有人試験飛行を実施した。「eVTOLという新産業に対する支持が最も大きいと感じる。規制当局の姿勢が協力的で開放的だ」(賀氏)
イーハンが中国外でも商業運航を実現するには、飛行する各国の当局からそれぞれ型式証明などを取得する必要がある。同社は1月、欧州連合(EU)の独立機関である研究所などと都市間の緊急輸送に関わる交通システムの確立に向けた取り組みに参加すると発表した。欧州での今後の事業展開も念頭に、当局との関係づくりに注力する。
無人で運航する空飛ぶクルマへの不安を払拭できるかも課題だ。EH216―Sの飛行中は常に管制スペースで人が運航状況を確認したり、プロペラが故障してもすぐにバックアップのプロペラが稼働したりするなど、安全性を高めた。ただ普及を目指すには商業飛行の実績を重ねて安全性を周知することも重要となる。
中国企業は電気自動車(EV)の分野で比亜迪(BYD)を筆頭に技術力を高めて世界展開を進め、欧米勢や日本勢と激しい競争を繰り広げている。新たな産業である空飛ぶクルマでもイーハンなどの中国企業が世界で存在感を高める可能性がある。
(広州=田辺静、東京=古川慶一)
【図・写真】イーハンのeVTOL(3月下旬、広東省広州市)
米消費、関税駆け込み鮮明 3月小売売上高1.4%増 スーパー・車販売店に客殺到 需要先食い懸念の声[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1760文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の追加関税の本格導入を前に、全米の小売り現場で駆け込み消費が鮮明になっている。16日発表の3月の小売売上高(季節調整済み)は、自動車や建材、家電などがけん引して前月比1.4%の大幅増となった。需要の先食いが膨らめば、消費の減退がより強まる恐れがある。
ニューヨーク市マンハッタンの高級住宅街72丁目西にあるスーパー「トレーダージョーズ」は、4月に入っても食品や日用雑貨を買い求める客で盛況だ。平日にもかかわらず、レジ待ちの列は売り場を通り越し、店の入り口付近まで伸びていた。
自前でカートを持ち込み、あふれんばかりに冷凍食品などを詰め込む客もいる。介護施設で働くマリリンさん(64)は「安い店を探して数店舗をめぐっている」と話した。
3月の小売売上高は4カ月ぶりに市場予想を上回り、1.4%の高い伸びとなった。だが市場では、実体経済の強さを反映していると評価する声は少ない。
主要13業種中、ガソリンスタンドと家具を除く11業種が前月比で増加した。特に伸びが大きかったのは自動車・部品(5.3%)、建材(3.3%)、スポーツ・趣味用品(2.4%)、家電(0.8%)などだ。
いずれもトランプ政権の関税施策で大きな影響を受けると予想される品目だ。インフレ懸念からの駆け込み需要とみる向きがもっぱらだ。
「関税のニュースを聞いて値上がりを懸念した客が殺到して、とても忙しい」。3月末、マンハッタンにあるトヨタ自動車の販売店で高級ブランド「レクサス」を担当するトミー・スチュワートさんは語った。
商談スペースは客で埋まっていた。値上がり幅が大きくなるとみられる、多目的スポーツ車(SUV)や大型ハイブリッド車(HV)など高価な車が売れている。
需要の先食いを懸念する声は強まるばかりだ。「今の状況は持ってあと1~2カ月。下半期は低迷が待っている」。米保険会社ネーション・ワイドのオレン・クラチキン氏は警鐘を鳴らす。
所得の伸びは鈍化する一方で、インフレ懸念は高まる。ミシガン大学が11日発表した4月の消費者態度指数(速報値)は50.8と前月から6.2ポイント悪化し、2022年6月以来2年10カ月ぶりの低水準となった。
保存の利く商品を安いうちに買いだめする動きと並んで、不要不急の消費は極力控える傾向も加速している。ここにもインフレ再来への強い懸念が見える。
カリフォルニア州サニーベールに住むジェイコブさんは、定年を迎えてしばらく大きな出費の予定はない。だが「最近のインフレで貯金が目減りしている。季節外れで値段が高い野菜や果物は買わなくなった。大好きなサクランボも旬が過ぎたらさようならだ」と嘆く。
消費動向を所得層別でみると、24年中からすでに中低所得層の支出に陰りが出るなか、高金利や株高の恩恵を受けた高所得層が支える構図だった。4月上旬の相互関税の発表を受けた株安で、高所得層も腰折れする恐れが出ている。
ニューヨーク市内に複数の店舗を持つ高級ベビー服「ミキハウス」の米法人社長、竹田欣克氏は「株安直後の数日間、注文は激減した」と話す。
消費者心理の悪化に加え、関税政策そのものがもたらす影響にも中小商店の経営者は頭を悩ませている。
テック企業が集まるシリコンバレーの中心に近いカリフォルニア州ロスアルトス。米屈指の高所得エリアで約50年続く精肉店の現店主、ペトラ・シルバさんは「自家製ソーセージに使う海外産の香辛料にかかる関税を調べるのが大変だ」と気をもむ。
取引している加工製品の輸入業者は5月に廃業する。新型コロナウイルス禍での需要拡大の反動減に苦しんでおり、関税政策の打撃を考え判断した。シルバさんは他の卸企業を探している。
個人消費には地域差もある。ITや半導体産業の集積が進み、経済が好調なテキサス州。トランプ政権の下で石油・ガスなどエネルギー産業でも成長期待が高まる。
ヒューストン市内のショッピングモールで衣料品を物色していたビノートさん(72)は「買いだめしたい人はすればいいが、私はしない」と話した。「関税はアメリカが強くなるための政策だ。将来の生活に不安はない」という。
【図・写真】食品スーパー「トレーダージョーズ」には平日朝から長蛇の列ができていた(15日、ニューヨーク市)
ベトナム衣料品、関税直撃 輸出の4割米国 縫製工場など雇用に影響も[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1211文字 PDF有 書誌情報]
ベトナムの衣料品産業がトランプ米政権が打ち出した相互関税に揺れている。東南アジア他国と比べて高水準の46%という関税率が俎上(そじょう)に上り、ディール(取引)の行方次第では稼ぎ頭の米国輸出が激減する恐れがある。経済成長や雇用環境への打撃は避けられない。
ベトナムの衣料品産業は、中国周辺の地域に生産拠点を分散する「チャイナプラス1」の流れに乗って成長してきた。2024年の衣料品・靴の輸出額は計599億ドル(約8兆6000億円)と10年で2倍近くに増えた。米国は4割を占める最大顧客だ。
安価なベトナム産衣料はGAPやナイキ、ウォルマートといったアパレルや小売り大手を通じて米国にもたらされ、その恩恵は米国の消費者が享受してきた。相互関税によってベトナムと米国のサプライチェーン(供給網)が断絶されかねないことに衝撃が広がっている。
ベトナム南部ホーチミンで9~12日に開かれた衣料品産業の関連企業が集まる見本市「サイゴンテックス」では影響を懸念する声が相次いだ。見本市には25カ国・地域から約1100社が参加した。
「関税問題は本当に頭痛の種だ」。出展企業の一つ、地場のバオミンテキスタイルの担当者は肩を落とした。別の出展企業であるヒエウハオテックスのドー・ウエン・フイン最高経営責任者(CEO)は「当社の主要顧客は国内で、関税の影響は直接受けない」としつつ、「ひとたび高関税が発動されれば、行き場を失った衣料品が国内市場にあふれて競争が激化する」と警戒する。
「この工場は20日まで休みとする」。米政権が相互関税を発表した2日以降、ベトナムのSNS上では、不安げな表情の労働者らに管理者が長期の休みを告げる縫製工場の動画が出回った。米政権は9日、相互関税の90日間の停止を決めた。関係者は安堵の表情を浮かべるが、先行きは不透明だ。
アジア最低賃金同盟によると、ベトナムの衣料品産業の労働者は270万人を超える。ベトナム統計総局は全産業の就業者数を約5200万人としており、単純計算で衣料品産業が5%余りを占める。労働者の90%は女性とされる。
衣料品産業は労働集約型のため、生産拠点は人件費の安い地方部に多い。同産業が打撃を受ければ、雇用環境の悪化を通じて影響は社会の隅々に波及する。
「作業員や技術者、清掃員、警備員まですべての従業員が将来を懸念している」。ホーチミン近くで縫製工場を営むドニーガーメントのファム・クアン・アインCEOは打ち明ける。同社は輸出の20%を米国向けが占めるが、新たな輸出先の開拓を急いでいるという。
「前例のない混乱に備える。新型コロナウイルス禍の時と同じさ」。アイン氏の言葉は、トランプ関税の影響の大きさとともに、変革を続けるベトナムの衣料品産業の姿も示す。
(ハノイ=新田祐司)
【図・写真】衣料品産業の見本市「サイゴンテックス」では関税問題を懸念する声が相次いだ(9日、ホーチミン)
世界でワイン離れ進む 生産・消費、63年ぶり低水準[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 988文字 PDF有 書誌情報]
世界のワイン市場の縮小が止まらない。2024年の全世界のワイン生産と消費量はいずれも1961年以来、63年ぶりの低水準となった。気候変動の影響で生産が減少しているだけでなく、インフレなども背景に消費者のワイン離れもさらに進んだ。
国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が発表した報告書によると、24年の全世界のワイン生産量は2億2580万ヘクトリットル(1ヘクトリットル=100リットル)と前年と比べて4.8%減った。生産減は2年連続で、気候変動の影響が各国・地域で明確に表れた。
最大の生産国であるイタリアでは、ひょうによってワイン用ブドウの生育に影響が出た。長雨、病害、干ばつなどがブドウの開花から収穫にかけて足を引っ張ったという。
米国の生産量は前年比で17%減った。熱波や在庫削減圧力により特に西部カリフォルニア州での生産は04年以来の少なさとなった。前年比で5%の生産減となった南アフリカは豪雨、強風、洪水などに見舞われた。
OIVは「欧州連合(EU)では干ばつと(植物から水が失われる)水ストレス、激しい雨や嵐などがみられ、異常気象がブドウを病害へとおしやる圧力、ブドウ畑の損害などにつながっている」と指摘している。
ワイン消費も減少が続く。24年の全世界の消費量は2億1420万ヘクトリットルと前年比で3.3%減った。ワイン消費は新型コロナウイルス禍からの回復で21年に持ち直したものの、22年から大きく減少の一途をたどった。
ワインの生産、物流コストの増加でワインの販売価格が上がったことが嫌気され、24年は上位20カ国のうち15カ国で消費が前年比でマイナスとなった。最大消費国の米国、2位のフランスで落ち込んだほか、中国が前年比19.3%減となったのが大きい。日本の消費量は全世界で16位で、前年比で4.4%減った。
OIVのジョン・バーカー事務局長は「いくつかの成熟市場では、消費者行動におけるライフスタイルの好み、社会的習慣の変化がみられる」と中長期的な消費者のワイン離れに懸念を示した。
インフレの影響が残りワインの輸出価格はなお高止まりしている。日本の平均ワイン輸入価格は1リットルあたり6.35ユーロ(約1030円)とスイスに次いで2番目に高い。
(編集委員 瀬能繁)
【図・写真】米カリフォルニア州のワイン用ブドウ畑は大規模な洪水の影響を受けた=ロイター
広州汽車系がPHV初投入 530万円、需要増で[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 771文字 PDF有 書誌情報]
【広州=田辺静】中国国有自動車大手の広州汽車集団は、傘下の高価格帯ブランド「HYPTEC」で初めてプラグインハイブリッド車(PHV)を発売した。従来は電気自動車(EV)のみ販売してきたが、PHV需要の拡大に対応し品ぞろえを増やす。
PHVに分類される「レンジエクステンダーEV(EREV)」の多目的スポーツ車(SUV)「HL」を投入した。EREVは航続距離を伸ばすために小型の発電用エンジンを積む。価格は26万9800元(約530万円)からで、同価格からのEVもそろえた。
このほど開いた発表会では車両の安全性もアピールした。高精度センサー「LiDAR(ライダー)」や、米エヌビディアの半導体の搭載などによって運転支援機能の性能を高めたという。人やモノに衝突する直前にシートベルトがきつくなることで、運転手に危険を予告する自社開発の技術も初めて採用した。
HYPTECの馬海洋首席執行官は「高級車でもどんな車であっても、安全は第一に考えるべきだ」と強調。HYPTECは23年7月に初めてEVを投入した広州汽車の中でも新しいブランドで、広州汽車の新技術を率先して取り入れている。
広州汽車は現在取り組んでいる新技術の研究開発についても発表した。25年10~12月に一定の条件下で自動運転を実現する「レベル3」の技術を搭載した車両を発売するとも明らかにした。発売するブランドや価格帯など詳細については明らかにしなかった。
中国市場ではPHVの販売台数が伸びている。中国汽車工業協会によると、2024年はEVの新車販売台数が23年比15.5%増だったのに対し、PHVは83.3%増だった。EVの1回の充電で走る航続距離に懸念を示す消費者がPHVを選ぶ傾向が強まっている。
【図・写真】HYPTECが発売した新型SUV「HL」(12日、広東省広州市)
ファーウェイと上海汽車、新エネ車で共同ブランド 中価格帯で[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 765文字 PDF有 書誌情報]
【広州=藤野逸郎】中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と国有自動車大手の上海汽車集団は電気自動車(EV)など新エネルギー車の共同ブランドを立ち上げると発表した。2025年秋の発売をめざす。ファーウェイは中国車メーカーと4つの新エネ車ブランドを展開しているが、初の中価格帯ブランドになるとみられる。
新ブランドは「尚界」で、複数の中国メディアは15万~25万元(約300万~500万円)の中価格帯になると報じた。ファーウェイと上海汽車は60億元を投じ、5000人体制で準備を進めている。上海に専用の新工場も設ける。
上海汽車の賈健旭・総裁は「最良の経営資源を使い成功を支える」と語った。ファーウェイは強みを持つ技術を投入する。同社の余承東・上級取締役は「車内で様々な情報を表示するスマートコックピットや高度な運転支援機能を搭載する」と説明した。両社は2月に提携を発表していた。
ファーウェイは中堅車メーカーの賽力斯集団(セレス・グループ)と「問界」、奇瑞汽車(チェリー)と「智界」、北京汽車集団と「享界」、安徽江淮汽車集団(JAC)と「尊界」と、いずれも「界」を使ったブランドを展開してきた。「鴻蒙智行(HIMA)」と呼ぶ連合を形成し、販売面でも協力している。
HIMAは2024年、合計で約44万5000台を納車し、中国の新エネ車市場の有力勢力となっている。25年に既存4ブランドで100万台の納車を目指すとしていた。
従来の界シリーズは、最も売れている「問界M9」が50万元(約1000万円)前後。5月に発売する尊界は100万~150万元する。最も安い智界シリーズも約23万元からと高価格帯だ。界シリーズは質感や機能性の高さが特徴のため、生産コストが高い。中価格帯となる見通しの新ブランドでは、コストダウンが課題となる。
中国スポーツ用品・安踏、独アウトドアを買収 400億円[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 298文字 PDF有 書誌情報]
【上海=若杉朋子】中国スポーツ用品大手の安踏体育用品(アンタ)はドイツのアウトドア用品「ジャックウルフスキン」を買収すると発表した。2億9000万ドル(約400億円)を投じて米ゴルフ用品のトップゴルフ・キャロウェイ・ブランズから全株式を取得する。
ジャックウルフスキンは1981年設立のブランド。ハイキングやサイクリング、キャンプ向けのアパレルやテントなどを扱う。
アンタは積極的なM&A(合併・買収)を通じて複数のブランドを展開する。これまでにイタリアの「FILA(フィラ)」のほか、高級アウトドアブランド「アークテリクス」や「サロモン」を手がけるフィンランドのアメアスポーツを買収してきた。
トヨタ、上海にレクサスの用地確保[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
【上海=若杉朋子】トヨタ自動車が中国・上海市で13億元(約260億円)を投じ、高級ブランド「レクサス」の工場などの用地を確保したことがわかった。
トヨタは中国市場の需要にあわせた電気自動車(EV)の開発や生産を手がける全額出資会社「レクサス(上海)新エネルギー」を設立しており、拠点づくりに活用する。
上海市当局のサイトによると、レクサス上海が同市南西部にある金山区に112万平方メートルの用地を確保した。用地の使用年限は50年。
レクサス上海の新工場は10万台程度の生産能力で、2027年以降に生産を始める計画だ。約1000人を新たに雇用する。
<訂正>16日付「シリア暫定政権、湾岸諸国と関係強化」の記事中[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 10ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
訂正 16日付「シリア暫定政権、湾岸諸国と関係強化」の記事中、未払い債務が「約21兆4000億円」とあるのは「約21億4000万円」の誤りでした。
東南ア、EU・中東輸出開拓 米中貿易戦争の影響軽減 関税にらみFTA交渉 習氏歴訪も傾斜は回避[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1585文字 PDF有 書誌情報]
東南アジア諸国が、対立を強める米中以外の国・地域に接近している。14日から東南アを歴訪中の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席を歓迎する一方、欧州や中東などと経済連携交渉を活発にし、米中いずれかへの過度な傾斜は避けて貿易戦争の影響を軽減させる狙いがある。
「貿易と投資の自由な流れを維持するために前進しなくてはならない」。シンガポールのローレンス・ウォン首相は16日の講演でそう述べた。環太平洋経済連携協定(TPP)や東南アジア諸国連合(ASEAN)の枠組みでEUとの連携を訴えた。
ウォン氏は15日にEUのフォンデアライエン欧州委員長と電話協議し、EUとTPPの連携などについて議論した。
ASEANにとってEUは域内、中国、米国に次ぐ輸出先だ。米中以外のリスク分散先の筆頭候補となる。東南アジアではシンガポールやベトナムがEUと自由貿易協定(FTA)を締結済みだが、多くの国は交渉中の状況だ。
タイとEUは3月末~4月初旬に5回目となるFTA交渉を実施した。12月までの交渉妥結を目指す。マレーシアも今年に入ってEUとのFTA交渉を再開しており、締結を急ぐ。
EUに加盟していない欧州各国とも関係を強める。マレーシアは11日、アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインでつくる欧州自由貿易連合(EFTA)とのFTAを締結した。
トランプ米政権の相互関税による混乱を機に、中国は東南アジアの取り込みを図っている。東南アジアを歴訪中の習近平氏は16日にマレーシアのアンワル首相、17日にはカンボジアのフン・マネット首相と会談した。
中国はASEANにとって最大の貿易相手国だ。2023年のASEANから中国への輸出は全体の16%と10年の11%から5ポイント拡大。輸入では23年に24%と同13%から11ポイント上昇した。中国は経済面での影響力を高めている。
米国の新たな関税で米国向け輸出が減少する懸念があるなか、東南アジアは重要な貿易相手として中国を歓迎しつつも、中国依存に陥るリスクを意識する。
中国との間で南シナ海問題を抱える東南アジアの国は濃淡はあれど米中間で「バランス外交」の立場をとる。中国に傾きすぎると米国との関係が悪化する可能性がある。安価な中国製品が東南アジアへさらに流入する「デフレ輸出」への懸念も広がる。
リスク分散のためにはASEAN域内の貿易を増やし、米中以外の地域の比率を高める必要がある。「特定の国に過度に依存しないことが重要だ」。フィリピン国家経済開発庁のバリサカン長官は14日、EUや中東、インドとの貿易を拡大する必要があると強調した。
インドネシアは中東との経済連携の拡大に動いている。プラボウォ大統領は9~15日、中東の5カ国を訪問した。うちトルコではエルドアン大統領と会談し、今後の両国の貿易額を最大で24年比4倍の100億ドル(約1兆4300億円)とすると決めた。エジプトでも貿易の拡大で合意した。
タイは南アジアとの連携を模索する。4日に東南アジアと南アジアを結ぶ経済協力枠組み「ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)」関連首脳会議を主催した。ベンガル湾岸地域での海上輸送網を開発・強化する方針で合意した。
ペートンタン首相は声明で「海上輸送網の整備は南アジアと東南アジア間の接続性を強化する」と述べた。
ASEANビジネス諮問委員会のナジル・ラザク議長は「中国への過度な依存は政治的なリスクにつながる可能性がある。貿易相手国の多様化と域内貿易の拡大はリスクを軽減するのに役立つだろう」と指摘する。
(シンガポール=佐藤史佳、バンコク=井上航介)
【図・写真】中国の習近平国家主席は東南アジア3カ国を歴訪し、地域への関与を強めようとしている(16日、クアラルンプール近郊)=マレーシア首相府提供
ウクライナ、アフリカ接近 大統領、南ア訪問へ 国連で支持狙う[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1384文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】旧ソ連時代からロシアの影響力が強いアフリカに、ウクライナが外交攻勢をかけている。大使館の増設を進めるほか、ゼレンスキー大統領は近く南アフリカを訪問してロシアとの停戦交渉での関与拡大を訴える。穀物の輸出を通じてロシアの牙城を切りくずし、国連などの場でアフリカ諸国の支持を得る狙いがある。
ゼレンスキー氏は月内にも南アでラマポーザ大統領と会談する。両氏は2月の電話協議で、停戦交渉に世界の有力国が関与する必要があるとの認識で一致した。ゼレンスキー氏は「南アの発言力に期待している」と発言した。ウクライナは自国の頭越しに米国とロシアが交渉を進めることを警戒している。
南アにとってロシアはアパルトヘイト(人種隔離政策)時代に黒人解放運動への支援を受けて以来の伝統的な友好国だが、ウクライナ侵略では中立の立場を維持する。
南アは25年の主要20カ国・地域(G20)議長国を務める。食料・エネルギー高に直面するアフリカ各国で停戦を求める声が大きく、南アの役割に期待の声も上がる。ラマポーザ氏は23年にほかのアフリカ首脳とロシア、ウクライナ両国を訪れ、停戦案を提示した経緯がある。
ウクライナのシンクタンク「ユナイテッド・ウクライナ」のボフダン・ポポフ氏は日本経済新聞に対し「ゼレンスキー氏は南アへの接近で、(中ロが主導する)BRICSの結束に風穴を開けようとしている」と分析する。南ア経由でBRICS加盟国にウクライナの立場を伝えて賛同国を広げる狙いという。
米国が主導する停戦交渉で南アを含む新興・途上国「グローバルサウス」を巻き込み、交渉がロシアに有利な形で進まないよう働きかける意味もある。
ウクライナのシビハ外相は11日にトルコで開かれた国際会議の場で、タンザニアやソマリアなどの外相と会談を重ねた。ソマリアとは外交関係を樹立したと発表した。50以上の国があるアフリカは国連総会などで支持を取り付けるべき「大票田」で、ロシアによるウクライナ侵略を非難する決議などに賛成する国を増やしたい考えだ。
イェルマーク大統領府長官は1日に「アフリカ大陸でウクライナの政治、経済的なプレゼンスを高めることが明確な課題だ」と述べ、直近で8つの国で大使館を開設したと明らかにした。ウクライナ侵略の開始前に10にとどまっていた大使館は18まで増え、さらに10近くの開設を目標とする。
ウクライナは主要産品である穀物をアフリカ取り込みの武器とする。ウクライナの24年7~12月の小麦輸出量は前年同期比3割増の約1000万トンに膨らんだ。ロシアが高い市場シェアを握るエジプトやアルジェリアなど北アフリカでは、ウクライナ産小麦の輸入が増えている。
シビハ外相は11日、ソマリアで食料安全保障を支える用意があるとしたうえで、同国がウクライナの主権と領土の一体性を支持していることに謝意を示した。
ロシアは友好国をつなぎ留めようと、外交戦を繰り広げる。2月にラブロフ外相が南アでラマポーザ氏と会談して米ロの停戦交渉の経緯について説明し、支持を求めた。
3日にはロシアの支援によるクーデターで軍事政権を樹立した西アフリカのマリとニジェール、ブルキナファソの外相がモスクワを訪問し、ラブロフ氏と会談。軍事面での協力強化で合意するとともに、ウクライナを「テロ国家」として批判した。
米関税の停止求め提訴 カリフォルニア州知事「大統領の権限越える」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 877文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=渡辺直樹】米西部カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は16日、トランプ米大統領が課した世界各国への追加関税の停止を求めて裁判を起こすと発表した。相互関税の発動は大統領としての権限を越えていると主張している。州政府が国の通商政策に異議を唱え、法廷で争う事態となる。
ニューサム氏は州司法長官とともに、トランプ氏が課した相互関税の差し止めを求めて同州の連邦地方裁判所に提訴する。
ニューサム氏は声明で「トランプ大統領の違法な関税はカリフォルニアの家庭、企業、経済に混乱をもたらし、価格上昇を招き雇用を脅かしている。こうした混乱を放置できない人々のために立ち上がる」と述べた。
トランプ氏の関税に対抗する米国内の動きでは、米法的支援団体のリバティ・ジャスティス・センターが中小企業5社を代表して米国際貿易裁判所に起こした訴訟に続くケースとなる。
トランプ氏は非常時に大統領に経済制裁の権限を与える「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づき関税を発動した。ニューサム氏らは同法は関税を課す権限を大統領に与えておらず、連邦議会の承認が必要だと主張している。
米ホワイトハウスの報道担当者は「ニューサム知事は長引く貿易赤字に対処するという大統領の歴史的な努力を阻止することに時間を費やしている」と批判し、トランプ政権の関税政策を擁護した。
カリフォルニア州は人口が全米の1割超と最大で、ロサンゼルス港を中心に米国有数の輸入・輸出拠点となっている。ハイテクや農業で貿易に依存し、特にメキシコ、カナダ、中国からは州全体の輸入額の40%以上を占める。関税により数十億ドルの損害が生じているとしている。
カリフォルニア州は民主党基盤が強く、ニューサム知事はこれまでも環境政策やロサンゼルスの山火事の対応をめぐり共和党のトランプ氏と対立してきた。州知事の任期は2027年までで、28年の次期大統領選に向け民主党の有力候補と目されている。
【図・写真】ロサンゼルスの山火事を視察したトランプ米大統領(右)と話すカリフォルニア州のニューサム知事=ロイター
連邦地裁「法廷侮辱罪」米政権訴追も 不法移民国外追放で[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 784文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=芦塚智子】米首都ワシントン連邦地裁のボースバーグ判事は16日、トランプ政権が同地裁の命令を故意に無視して不法移民の国外追放を強行したとして、当局者を法廷侮辱罪に問うための「相当な理由」があるとの判断を示した。政権が命令に従わなければ、同罪での訴追手続きを実行すると警告した。
米政府は3月、戦時法である「敵性外国人法」を使ってベネズエラの犯罪組織メンバーの不法移民ら数百人を中米エルサルバドルの収容所に追放した。人権団体が前もって起こした訴訟を受け、ボースバーグ氏が同日、追放を差し止める仮処分を出していた。
ボースバーグ氏は16日の判断の説明文で、政府は仮処分命令に従わず「性急な追放作戦を継続した」と指摘。命令から何時間も後に飛行機2機で不法移民らを収容所に移送したと記した。
法廷侮辱罪で当局者が有罪になれば、禁錮や罰金の刑を受ける可能性がある。
ボースバーグ氏は政権に対し、4月23日までに仮処分に従う方法を提示するよう求めた。追放した不法移民の釈放は求めないとしており、不服申し立ての機会を与えることなどを想定しているとみられる。
命令に従わない場合は、不法移民の移送強行を決定した責任者を特定し、司法省による訴追を求めるとした。政権側の司法省が訴追を見送った場合は、裁判所が独自に訴追を担当する弁護士を任命する方針を示した。
敵性外国人法に基づく不法移民の国外追放に関しては連邦最高裁が7日に再開を認める判断を下している。ワシントンでなく不法移民が拘束されている南部テキサス州の裁判所で審理すべき訴訟だったとして、ボースバーグ氏の判断を覆した。
ボースバーグ氏は、この最高裁判断で政府が地裁による命令を無視することは正当化されないと強調した。
【図・写真】ベネズエラでは、同国出身の不法移民のエルサルバドル移送に抗議するデモも起きた=ロイター
日米関税交渉「試金石」「参考資料に」 各国が相次ぎ報道[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 721文字 PDF有 書誌情報]
米ワシントンで16日開かれた日米関税交渉の初会合は、今後米国との交渉に入る諸外国の参考事例になり得るとして、海外メディアが相次ぎ報じた。(1面参照)
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は「モルモット」である日本の立場が「他国より有利になるかもしれない」と話す外交関係者の声を伝えた。
韓国の崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相は来週、ワシントンで米高官と会談する見通しだ。韓国の聯合ニュースは「米国訪問に先立つ有意義な『参考資料』」になると評した。
ロイター通信は「日本は正式に交渉を開始した最初の国の一つ。今回の交渉は関税措置について米国側に譲歩する意向があるかどうかを測る試金石となる」と伝えた。
米ブルームバーグ通信も「米国がどのような譲歩を相手側に求めるのかを見極めようと、世界の注目が集まっている」と報じた。
トランプ米大統領が交渉に直接参加したことについて、AP通信は「中国が(他国と)独自の協定を結ぼうとするなか、米国は各国との交渉を迅速にまとめようとしている」と解説。日本との協議は「交渉上手だというトランプ氏の評判が試される」とも指摘した。
香港紙のサウスチャイナ・モーニング・ポストは日米交渉の経過から「金融市場を混乱させて景気後退懸念をかき立てた関税について、米国による譲歩の意志を測る」ことができるとの見方を示した。
オーストラリアの経済紙、オーストラリアン・フィナンシャル・レビューは「日本は多くのアメを出さざるを得ない状況」だとの識者の見方を伝えた。
【図・写真】16日、米政権の関税引き上げを巡り協議する赤沢経済再生相(右から3人目)とベッセント米財務長官(左から2人目)ら=内閣官房のホームページから
英最高裁、法律上「女性」の定義 トランスジェンダー含まず[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 580文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=江渕智弘】英最高裁は16日、法律上の女性の定義が争われた訴訟で、女性と認めるのは生物学上の女性にかぎるとの判断を示した。出生時の性別と異なる性自認をもつトランスジェンダーの人たちが含まれるかが焦点となっていた。
スコットランドの裁判所は2022年、女性の定義は「出生時の性別に限定されない」と判断していたが、最高裁で逆転した。
訴訟は性別などによる差別を禁じる英国の平等法をめぐって争われた。保護対象とする女性は生物学的に女性として生まれた人だという判断で判事全員が一致した。
英北部スコットランドの自治政府は女性の登用を進めるにあたり、出生時の性別が男性だったトランスジェンダーの人たちを女性として扱ってきた。トランスジェンダーに批判的な女性団体が「機会を奪われる」として訴訟を起こした。
最高裁の判断の効力はイングランドやウェールズにも及ぶ。病院や刑務所、スポーツクラブなどで今回の判断に沿った対応が進む可能性がある。
要旨を読み上げた判事は「平等法には差別やハラスメントからの保護などトランスジェンダーの人たちを守るほかの規定もある」と指摘した。
米国では1月、トランプ大統領がトランスジェンダーの権利を保護したり多様性を促したりする政策を撤回する大統領令に署名している。
【図・写真】最高裁前で喜ぶ女性団体の活動家(16日、ロンドン)=AP
トルコ中銀、3.5%利上げ 内政不安の通貨安歯止め[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 570文字 PDF有 書誌情報]
【イスタンブール=渡辺夏奈】トルコ中央銀行は17日、金融政策決定会合を開き、主要政策金利の1週間物レポ金利を3.5%引き上げ、年46%にすると決めた。利上げは2024年3月以来、12会合ぶり。市場にインフレ対策に取り組む姿勢をアピールし、内政不安による通貨安を食い止めたい考えだ。
上限金利に相当する翌日物貸出金利は3%引き上げ49%、下限金利に相当する翌日物借入金利は3.5%引き上げて44.5%とした。中銀は声明文で「国内需要が予想を上回っている」とし、足元で38.1%のインフレが今後加速する可能性があると説明した。
1年1カ月ぶりの利上げの背景には、リラ安がある。3月にエルドアン大統領の政敵であるイスタンブールのイマモール市長(職務停止中)が逮捕された。リラは同氏が最初に拘束された時から対ドルで4%下落した。
逮捕にはエルドアン氏の意向が働いたとの見方が多い。同氏が強権的な政治姿勢を強め、中銀に金融緩和を強いるのではないかとの懸念が市場で広がった。
エルドアン氏は過去に、好景気を演出するため中銀に利下げを強要したことがある。2023年5月の大統領選で同氏が再選を果たした後の中銀はインフレ対策を優先し、引き締めに転じた。その後、24年12月からはインフレの減速に合わせ、金利を50%から段階的に引き下げていたところだった。
米国防総省、高官の職務停止続々 新政権「仲間割れ」か[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 461文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】米国防総省は16日までに、トランプ政権が登用した高官に相次ぎ職務停止の処分を下した。米CNNなど複数の米メディアが報じた。機密情報を漏洩した疑いで調査している。
ヘグセス国防長官の顧問であるダン・カルドウェル氏と次席補佐官のダリン・セルニック氏、スティーブン・ファインバーグ国防副長官の首席補佐官であるコリン・キャロル氏が休職した。
国防総省は3月21日の覚書で国家機密が無許可で開示されたとして調べる方針を示していた。漏洩した情報が何かは明らかにしていない。
米政治サイト、ポリティコによると、米紙ニューヨーク・タイムズなどが3月20日に国防総省が実業家のイーロン・マスク氏に中国との有事の際の作戦を説明すると報じた件などが含まれる。CNNは一連の処分の背景にはヘグセス氏の首席補佐官であるジョー・カスパー氏との意見対立があるとの見方を伝えた。
カルドウェル氏やセルニック氏もヘグセス氏とかねて親交があり、登用された経緯がある。国防総省の新しい幹部陣のなかで「仲間割れ」が起きた可能性がある。
蘇州事件の犯人、死刑執行 中国、日本人母子ら襲撃の男[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 11ページ 391文字 PDF有 書誌情報]
中国江蘇省蘇州市で2024年6月に日本人母子らが刃物で切り付けられ、中国人女性が死亡した事件で、故意殺人罪に問われ死刑判決を受けた中国人の男の刑が執行された。日本外務省が明らかにした。中国外務省から16日に中国の日本大使館に伝えられたという。
死刑が執行されたのは周加勝死刑囚。25年1月に蘇州市の中級人民法院(地裁)が死刑判決を言い渡していた。
林芳正官房長官は17日の記者会見で「刑の執行を厳粛に受けとめ、邦人の安全確保を中国側に強く求める」と発言した。
事件は日本人学校のスクールバスが止まるバス停で起きた。出迎えのためバス停にいた日本人の母親と未就学児が負傷し、阻止しようとして刺されたバスの案内係の中国人女性、胡友平さんが死亡した。
中国では24年9月に広東省深市で日本人の男児が刺殺される事件も起きた。犯行に及んだ中国人の男は25年1月に死刑判決を言い渡されている。
ANA、アジア「ハブ」確保 シンガポール航空と提携[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1062文字 PDF有 書誌情報]
全日本空輸(ANA)は17日、シンガポール航空と共同事業の調印式を開いた。共同運航(コードシェア)より踏み込んだ提携で、まず9月から日本―シンガポール間の運賃などを調整し、利便性向上につなげる。方針発表から5年越しで実現した今回の提携。アジアのハブ空港を押さえて、成長市場を取り込む。
「両社のケミストリー(化学反応)で新しい価値を生み、アジアから世界へ発信したい」。17日、ANAの井上慎一社長は意気込みを語った。
同席したシンガポール航空のゴー・チュン・ポン最高経営責任者(CEO)も「シンガポール人にとって日本は最も人気がある目的地。2社の協業をあらゆるレベルで強化したい」と応じた。
共同事業は航空業界特有の協業形態だ。提携する2社があたかも1つの会社のようにダイヤなどを調整し、収入も分配する。別の航空会社が運航する路線を自社路線とみなして航空券を販売する共同運航よりも踏み込んだ内容となる。
乗客にとっては出発時間の選択肢が増え、乗り継ぎ時間の短縮などのメリットが見込める。
ANAが共同事業をするのは米ユナイテッド航空と、独ルフトハンザ航空に続く3社目で、アジアでは初めてとなる。2020年1月に共同事業を始める方針を表明したが、新型コロナウイルス禍もあり、独禁当局による審査が長期化。ようやく両国の当局から条件付きで認められた。
まず日本とシンガポール間の国際線と、各路線に接続する日本国内線から始める。5月から、9月以降の搭乗便を対象に共通運賃の航空券を発売する。
シンガポールなど東南アジアからの訪日外国人(インバウンド)需要を取り込む。さらに羽田・成田空港などから地方空港に観光客を送る狙いだ。
今後はオーストラリアとインド、インドネシアとマレーシアの路線も加わる見通し。アジアのハブ空港であるシンガポール・チャンギ空港を基点に日本・アジア各国を結び、利用者増を見込む。
日本国内は人口減などを受けて成長余地が乏しい。そこでANAは30年度までに国際線の運航規模を23年度比で5割増やす目標を掲げる。
お手本になるのがシンガポール航空だ。国土が狭いシンガポールが地盤だけに国際線に特化し、その路線数は162とANA(52)を上回る。井上氏は「世界を代表する品質を常に発揮しており、いつも刺激を受けている相手」と評する。
コロナ禍を経て高まる移動需要を取り込もうと航空会社間の提携は活発になる。日本航空(JAL)も東南アジアではマレーシア航空、ガルーダ・インドネシア航空とそれぞれ共同事業を始めている。
ローソン、店舗DX加速 中計、日販3割増 嗜好捉え商品開発[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1057文字 PDF有 書誌情報]
ローソンは17日、2031年2月期までの中期経営計画を公表した。国内1店舗あたりの売上高(平均日販)を足元より3割多い70万円超とする。24年からローソンに50%を出資するKDDIのデータ基盤を活用し、店舗の購買履歴などと組み合わせた商品を開発する。自動化ロボットなども活用し、最大手のセブン―イレブンを追う。
平均日販はコンビニエンスストア各社の稼ぐ力を示す重要指標の一つだ。31年2月期に70万円超と25年2月期比で約3割伸ばし、同時期に75万円超を掲げるセブンを追う。25年2月期はセブンを約12万円下回る水準だった。今後6年でその差を7万円ほど縮める。
「リアルとテックを組み合わせたコンビニエンスグループに生まれ変わり、圧倒的なおいしさと成長で消費者の期待を超えていく」。竹増貞信社長は17日の記者会見で強調した。すでに国内のコンビニ市場は成熟しており、今後の大幅な出店増は期待しにくい。1店舗あたりの収益力を高める工夫が欠かせない。
要となるのは、KDDIと組んだ店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。
4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)には、先進技術を取り入れた店舗を開く。飲料の陳列を自動化するロボットや、来店客が専用アプリで商品のバーコードを読み込むと決済まで完了するスマートフォンレジの導入などを想定する。顧客の利便性を高めながら、小売業で深刻化する人手不足の対策につなげる。
両社の膨大な顧客データを生かした商品開発のDXにも取り組む。たとえば人工知能(AI)で足元の購買傾向を分析し、半年後に売れそうな商品を先読みする。競合他社に先んじて、各地域での嗜好を捉えた的確な商品の投入が見込める。
ローソンでは24年から、在庫量や天候をもとに売れ残り商品の値引き率などをAIが算出する独自の発注システム「AICO(アイコ)」を本格導入してきた。今後は揚げ物など店内調理品の準備に関わる提案もできるようにし、各店舗の収益性を高める。
同日発表した25年2月期の連結純利益は前の期比15%増の599億円で過去最高。平均日販も57万4000円と1万8000円伸び、ファミリーマート(57万3000円)をわずかに上回った。
海外にも成長の目を向ける。31年2月期の海外店舗数は約1万4000店と足元の水準から倍増させる。アジアを中心に経済成長で拡大する中間層の需要を取り込む。国内外での成長戦略を加速し、31年2月期の純利益は25年2月期比67%増の1000億円を目指す。
日産、ルノーの影響力低下 スナール氏取締役退任へ[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1032文字 PDF有 書誌情報]
日産自動車は17日、仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長が取締役を退任すると発表した。同氏を含むルノーの取締役2人が退任する。ルノーが推薦した取締役を受け入れ始めた2009年以降、ルノー出身者が不在になるのは初めて。日産とルノーは資本関係を見直しており、ルノーの影響力が一段と低下する。
ルノーのスナール会長と、同社の筆頭独立社外取締役であるピエール・フルーリォ氏が退任する。6月に開かれる定時株主総会で決議する。
日産とルノーはアライアンスの契約上、両社がそれぞれ指名した2人を互いの取締役として推薦できる。この取り決めは維持する。
今回、ルノー側が指名した2人は仏部品大手フォルビア社外取締役のバレリー・ランドン氏と、仏金融大手ナティクシス出身のティモシー・ライアン氏。いずれもルノーに直接は所属していない。
日産とルノーの関係は、ルノーが1999年に経営不振に陥った日産の株式37%を約6000億円で取得したことから深まった。取締役もルノーの推薦者を受け入れ始め、ルノー出身者が取締役に就いてきた。
日産への出資比率は最大43%になった。表面上は経営は対等関係としてきたが、内実はルノーの影響力が強かった。
カルロス・ゴーン氏が取締役を解任された2019年、スナール氏はゴーン氏と入れ替わりで日産の取締役になった。
日産にとって出資比率を同じにし、名実ともに対等となることは悲願だった。スナール氏は日産とルノーの資本関係見直しなどに取り組み、23年に実現した。日産が出資する三菱自動車を含めた3社連合の関係構築も進めた。
一方で、資本関係の見直しによりルノーとの関係は薄れてきていた。23年に15%ずつの相互出資とすることが決まり、残りの株式はルノーが信託会社に移したうえで、段階的に売却を進めてきた。ルノーは現在、信託分を含め約36%の株式を保有する。
25年3月には日産とルノーがアライアンス契約の改定に合意した。両社が相互出資しなければならない最低限の比率を、従来の15%から10%に下げる。業績不振の日産をルノーが支援した形だが、資本関係と人事の見直しでルノーの影響力は弱まる。
日産からは新社長のイバン・エスピノーサ氏と、執行役の赤石永一氏が取締役に就任する。内田誠前社長と坂本秀行前副社長はそれぞれ退任する。8人いる独立社外取締役は全員留任する。日産の経営の立て直しとともに、ルノーとの関係の行方も焦点となる。
【図・写真】スナール・ルノー会長
ニデック、牧野TOB対抗策 「株主意思確認せず違法」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 893文字 PDF有 書誌情報]
ニデックは17日、牧野フライス製作所に対して実行しているTOB(株式公開買い付け)を巡り、牧野フライスの買収対抗策について東京地裁に提出した差し止め仮処分命令申し立ての概要を公表した。牧野フライスの対抗策は導入の必要がなく、株主の意思を確認せずに発動したことは違法だとした。
ニデックが4日に牧野フライスへのTOBを始めたのに対し、牧野フライスは10日に新株予約権を使った対抗策の導入を決めた。事後的にニデック以外の株主の株数を増やしやすくする内容で、6月の牧野フライスの定時株主総会に諮る。
ニデックは16日、新株予約権の無償割り当てを直ちに差し止める仮処分命令を出すよう東京地裁に申し立てた。荒木隆光専務執行役員は牧野フライスの対抗策はニデックに経済的損害を与えるもので「買収防衛策であるのは明らか」とする。そうした防衛策の導入には相応の必要性がなく、判例などに照らして違法だと主張した。
ニデックはTOBへの応募が下限の5割相当に達した場合に10営業日の追加募集期間を設ける予定だ。こうした措置により、牧野フライス側が問題視する、株主がTOB応募を迫られる「強圧性」はないとした。株主の賛否はTOBに応募するかしないかによって確認できるため、対抗策の必要性はないと説明する。
牧野フライスが臨時株主総会などで株主の意思を確認していない点も問題視した。ニデックが公開した資料では「ニデックが経済的損失を避けるためにはTOB期間を定時株主総会まで延長することを実質的に迫られている」とする。取締役会の決議だけで実質的に買収防衛策を発動することになる点も違法だとしている。
牧野フライスは対抗措置について「TOBの延期を求めるだけのもの」と主張する。これに対してニデックは、2024年12月末にTOB提案を公表して以降91営業日以上を検討期間としてすでに提供しているとした。TOB合戦で対抗提案者が20営業日で現れたニトリホールディングスによる島忠買収や、第一生命ホールディングスがベネフィット・ワンを買収した事例(17営業日)を挙げながら「十分な時間がすでに確保されている」とした。
イーライ・リリーが新薬 「隠れ肥満」日本人に照準[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 690文字 PDF有 書誌情報]
米イーライ・リリーと田辺三菱製薬は17日、日本で発売した肥満症新薬「ゼップバウンド」の説明会を開いた。公的医療保険が適用される2つ目の新しい肥満症薬となる。競合薬よりも体重減少効果が大きいとして、日本人に多いとされる「隠れ肥満」に照準を絞る。
「日本には1600万~1800万人の潜在患者がいる。病気の存在や、治療薬があることを知らない患者も多い」
17日、イーライ・リリー日本法人で肥満症領域を担当する医師の吉野美保子氏は都内で開いた説明会でこう話した。
ゼップバウンドは脂肪代謝を促す「GIP」と食欲低下につながる「GLP―1」の2種のホルモンと同じ働きをする薬だ。
糖尿病治療薬として開発され、同成分の薬が「マンジャロ」の名で日本でも販売されている。体重が減るため肥満症薬として新たに承認され、4月11日に発売した。
2024年2月にデンマークのノボノルディスクが日本で発売した肥満症薬「ウゴービ」も同様の働きを持つが、2種類のホルモンを補うのはゼップバウンドが初だ。臨床試験(治験)では、ゼップバウンドは平均20%、ウゴービは14%の体重減少が認められた。
ゼップバウンドは週1回皮下注射で投与する。2.5mg~15mgまで6種類の容量をそろえ、薬価は3067~1万1242円だ。最大容量を1カ月使うと約4万5000円の薬価となる。日本での売上高はピーク時で319億円を見込む。
日本で肥満の人は約2800万人とされ、全世界の1%程度を占める。日本人を含む東アジア人は、肥満の有無にかかわらず内臓脂肪を蓄積しやすい傾向にあるとされる。このいわゆる隠れ肥満に照準を定める。
米テンストレント、日本拠点拡充[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 199文字 PDF有 書誌情報]
半導体の設計開発を手掛ける米新興のテンストレントは17日、国内で先端半導体の設計受託を始めると発表した。同日付で日本拠点を拡充し、年内に設計技術者を6倍超に増やす。自動運転やデータセンターの顧客の需要を開拓する。同社は最先端半導体の量産を目指すラピダスと協業しており、生産を委託する可能性がある。テンストレントは経済産業省から支援を受けて日本の技術者を米国の拠点で育成するなど採用を増やしている。
三井住友海上火災保険 太陽光ケーブルの盗難を防止[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 199文字 PDF有 書誌情報]
三井住友海上火災保険は太陽光発電所の銅線ケーブルなどの盗難を防ぐサービスを始める。発電所で盗難されやすい場所にセンサーを取り付け、侵入者を検知すると自動で警備会社に通報する。銅価格の高止まりでケーブルの盗難被害が相次いでいることを受け、事業者に自衛策を提案する。不動産会社のMIRARTHホールディングス(ミラースHD、旧タカラレーベン)が開発したサービスを三井住友海上が代理店を通じて販売する。
東京地下鉄と東武鉄道 有楽町線の新線に相互直通運転[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 157文字 PDF有 書誌情報]
東京地下鉄(東京メトロ)と東武鉄道は17日、2030年代半ばに地下鉄有楽町線が延伸する新線(豊洲―住吉)で相互直通運転すると発表した。すでに東京メトロの半蔵門線と相互直通している東武スカイツリーラインの車両が住吉駅から乗り入れる。乗り換えなしによる所要時間の短縮で埼玉県東部から東京都心へのアクセス向上をめざす。
アマダ、半導体加工機製造を買収[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 142文字 PDF有 書誌情報]
アマダは17日、半導体向け加工機製造のビアメカニクス(神奈川県厚木市)を完全子会社化すると発表した。買収金額は510億円で、同社としては過去最大のM&A(合併・買収)となる。レーザー加工を中心に高い成長が見込まれる半導体市場向け機械に参入し、ポートフォリオ(事業構成)の幅を広げる。
首都高、ETC障害でマニュアル[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 129文字 PDF有 書誌情報]
中日本高速道路(NEXCO中日本)で発生した自動料金収受システム(ETC)障害を受け、首都高速道路は広域的なETCのシステム障害に対応するマニュアルを整備する方針だ。NEXCO中日本などNEXCO3社や有識者による検討委員会の議論をマニュアルに反映させる。
経営陣への賠償請求棄却[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 119文字 PDF有 書誌情報]
そごう・西武の売却を巡り、会社に損害を与えたとして、セブン&アイ・ホールディングスの株主が同社の井阪隆一社長ら現旧経営陣14人に対し、約1094億円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(笹本哲朗裁判長)は17日、株主側の請求を棄却した。
セブン加盟店と関係強化 国内コンビニ社長に阿久津氏 カナダ社買収提案対抗(ビジネスTODAY)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1646文字 PDF有 書誌情報]
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は17日、国内コンビニエンスストア事業子会社のセブン―イレブン・ジャパン(SEJ)の社長に阿久津知洋執行役員(54)が昇格する人事を発表した。約30年の加盟店支援の経験を生かし、収益が低迷する国内事業をテコ入れする。カナダの同業からの買収提案に対抗する。
「現場社員の発想も生かす企業文化に変え、イノベーションを生み出していく。非連続の成長を目指す」。同日、都内で記者会見を開いた阿久津氏は意気込みを語った。
5月に開くSEJの株主総会と取締役会を経て就任する。社長交代は6年ぶりで、SEJとして取締役を経験せずに社長に就くのは珍しい。永松文彦社長(68)は会長に就く。
両者が会見で強調したのがフランチャイズチェーン(FC)加盟店との関係強化だ。現社長の永松氏は全国でオーナーとの意見交換会を実施するなど、加盟店支援を進めた。各地域のニーズに応じた店舗運営がより求められるなか、現場に精通した阿久津氏を起用することで磨きをかける。
店舗支援30年
阿久津氏は加盟店の経営相談を担う「オペレーション・フィールド・カウンセラー(OFC)」の経験が長い。加盟店支援を手掛けるオペレーション本部の副本部長を務め、32年の社歴のうち店舗支援に約30年携わった。
永松氏は「現場社員やオーナーと接するリーダーが求められるなか、(阿久津氏は)エネルギッシュで行動力がある」と評価する。
人口減少で国内コンビニ市場には飽和感が出始めている。日本フランチャイズチェーン協会によると24年末のコンビニ店舗数は5万5736店と、21年の5万5950店をピークに頭打ちとなっている。成長を続けるには既存店の収益性を高める必要があり、加盟店との連携が欠かせない。
加盟店オーナーからは「泥臭く働ける人」との評がある阿久津氏には、国内コンビニ事業を再び成長軌道に乗せることが求められる。セブンイレブンの25年2月期の既存店売上高は前の期比0.2%増にとどまり、国内コンビニ事業は減収減益と苦戦が続く。
カナダの同業、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は24年、7兆円規模の買収提案をセブンに提示した。セブン&アイの社外取締役で構成する特別委員会は、セブン単独路線とACT案のどちらが企業価値向上につながるか議論を続けている。
コンビニ専業化を進めるセブン&アイは新社長に社外取締役のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏が5月27日に就任する見通しだ。主要事業会社のSEJのトップを含めて経営陣を刷新することで、自社単独路線を株主や株式市場に理解してもらう考えだ。
セブンイレブンは巻き返し策として、低価格商品を拡充しつつ、店内で焼くパンやピザなど高付加価値の商品を増やす。プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の売上高は26年2月期に前期比3%増の1兆5500億円を見込む。
「人材難に対応」
集客力の向上に向けて、IT(情報技術)を積極的に活用する。デジタルサイネージ(電子看板)の設置店も25年に7倍まで拡大し、省人化を進めた実験店舗も始めた。阿久津氏は「トップの発想だけに頼るのではなく、従業員が自由に考えたアイデアを吸い上げ、人手不足などの課題に対応する」と述べた。
もっとも、阿久津氏を知る50代の男性オーナーは「加盟店支援の強化というが、かつて当たり前のように行っていた24時間体制の勤務体系や店舗運営では離反するオーナーも出てくるだろう」と指摘する。働き方改革など時代にあった店舗支援や経営などをするよう注文をつける。
本部の施策を現場に押しつけるのではなく、オーナーや社員の不満や考えに寄り添い、やる気を引き出しながら同じ目標に向かって導いていけるか。足元で負のイメージが目立つセブンイレブンとして、現代風の経営に基づいた再成長プランの手腕が問われる。
(原欣宏、篠原英樹)
【図・写真】次期社長に決まり記者会見する阿久津執行役員(17日、東京都千代田区)
セブン加盟店と関係強化 国内コンビニ社長に阿久津氏――伊藤副社長、会長に昇格(ビジネスTODAY)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 446文字 PDF有 書誌情報]
セブン&アイ、創業家出身
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は17日、創業家出身の伊藤順朗副社長(66)が代表権のある会長に就任する人事を発表した。順朗氏はイトーヨーカ堂創業者の故・伊藤雅俊氏の次男。会長の立場で引き続きセブン&アイの経営に携わる。
5月下旬に開催予定の定時株主総会に諮る。順朗氏は1990年にセブン―イレブン・ジャパンに入社した。23年に代表権のある取締役に就任し、24年から副社長を務めていた。
カナダの同業アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けるなかで、創業家として最終的には断念したものの、セブン&アイの株式非公開化の提案を主導した。
同日、セブン&アイの取締役も兼ねる永松文彦セブン―イレブン・ジャパン社長は都内の記者会見で「社長に就くスティーブン・ヘイズ・デイカス氏を、創業家出身としてサポートする役割を担う」と話した。社外取締役候補者も公表した。ファミリーマート元社長の沢田貴司氏や松屋会長の秋田正紀氏ら4人を新しい社外取締役として招く。
ヤンマーHD 山岡社長(ニュース一言)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 13ページ 185文字 PDF有 書誌情報]
強いチームは各選手が役目を理解し自ら状況を判断している。ベストなプレーと、お互いの連携や信頼関係でゴールを生むのは、企業活動でも同じだ。
サッカーJ1セレッソ大阪のメインスポンサーであるヤンマーホールディングス(HD)は、新入社員が決意表明を込めピッチでボールをゴールへ蹴った。山岡健人社長は「自律的に考えて行動する力を身につけ、会社の成長を支えてほしい」と期待する。
スポーツテックに脚光 大手VCやプロ野球選手、新興に出資[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1290文字 PDF有 書誌情報]
スポーツとテクノロジーを融合した「スポーツテック」の領域が注目されている。ベンチャーキャピタル(VC)や事業会社、プロ野球選手らが新興企業のKnowhere(ノーウェア、東京・港)に出資した。スマートフォンで投球シーンを撮影して球速や回転数を分析するアプリを開発し、選手のパフォーマンス向上につなげる。
現役のスポーツ選手がスタートアップに出資するのは国内では珍しい。マネーの流入がスポーツテックを普及させ、競技の発展を後押しする可能性がある。
ノーウェアは第三者割当増資で約5億円を調達した。VC大手のグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)などに加えて、プロ野球の千葉ロッテマリーンズの唐川侑己投手、ロッテの西野勇士投手、東京ヤクルトスワローズの木沢尚文投手らも出資した。大手スポーツ用品メーカーも出資したもようだ。
GCPの磯田将太プリンシパルは「プロスポーツ選手から出資を受けるのは、スポーツ業界に認めてもらうという意味で重要だ」と語る。
ノーウェアのアプリでバックネット裏などから投球を撮影すると、人工知能(AI)を活用して球速や回転数、変化量などを分析する「ボールトラッキング」が可能になる。データの活用で、より優れた投球につながる。打者を撮影すれば打球の打ち出し角度などを分析することもできる。
アプリは千葉ロッテマリーンズに加え、米大リーグのテキサス・レンジャーズにも導入が決まっているという。
ボールトラッキングの技術では、シンガポール企業のラプソードやデンマークのトラックマンなどが先行する。ただ両社の場合は独自の測定機器が必要で数十万円以上の初期費用がかかる。ノーウェアの伊藤久史代表は「スマホ1台で完結するのは画期的だ」と話す。
ノーウェアはAI開発のHEROZ出身の伊藤氏らが2020年に設立した。ノーウェアには元プロ野球選手の斎藤佑樹氏も出資している。ただ、国内では現役選手のスタートアップ投資は珍しい。
海外では選手がスポーツテックやヘルステックの企業に出資し、研究成果やサービスを活用する例も多い。米大リーグでは球団もスタートアップ投資に積極的だ。大谷翔平選手が所属するロサンゼルス・ドジャースにはVC部門が存在し、データ分析のスタートアップなどに投資してきた。
日本プロ野球選手会によると24年の支配下選手の年俸総額は約337億円。投資案件の吟味は必要だが、こうしたマネーが動けばスタートアップにとっても利点が大きい。今回の唐川投手らの出資で潮目が変わる可能性もある。
スポーツテックでは個人の動作の解析で健康増進に役立てたり、仮想現実(VR)技術で臨場感ある観戦を演出したりといった取り組みも進む。
企業も注目する。オリエンタルランド子会社や日本テレビホールディングスなど17社は24年、米VCのスクラムベンチャーズが立ち上げた100億円規模のファンドに出資した。出資を通じてスポーツテックの知見を得て、自社の新規事業の創出や関連事業の強化につなげる。
(仲井成志)
【図・写真】千葉ロッテの唐川投手らがスタートアップのノーウェアに出資した
サイバーエージェントの広告運用、AIが社員代替 2分でリポート 来年にも完全自律化へ(しごと進化論)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1712文字 PDF有 書誌情報]
サイバーエージェントが社員の代わりに働く「AIエージェント」の社内実装を進めている。広告運用業務ではデータ取得やグラフ作成などの機能を持つ複数の人工知能(AI)が連携して仕事をし、人手で1~2日かかることもあった作業を2分で終わらせる。2026年にも広告運用を完全自律化することを目指す。社員の働き方は抜本的に変わる可能性が出てきた。
「急いで回答を準備する必要がある場合でも、すぐに分析結果が出てくる。世界が変わった」。インターネット広告事業本部で働く綾野史也さんはこう話す。
裏側で5体連動
綾野さんは顧客企業が出稿した広告の効果を最大化するために運用する仕事を担当する。グーグルやフェイスブックなど数十の媒体を扱っているが、媒体ごとにデータの表示形式は微妙に異なる。クリック率や会員登録率などの成果指標を比較する際は表計算ソフトを操作して手作業でデータを整え、週次リポートの準備には1~2日かかることもあった。
サイバーが3月に導入した「CAアシスタント」はそんな働き方を変えた。ウェブ画面から「昨日の実績を他の日と比べてレビューして」と入力すると、AIが人間の意図をくみ取って媒体ごとのクリック率やコストなどを一瞬で表示する。全体の傾向をつかめるグラフも2分ほどで作成し、改善策も提案する。綾野さんは新規媒体の提案や競合分析などに多く時間を割けるようになった。
独自開発したCAアシスタントは生成AIに次ぐ進化の形とされる「AIエージェント」の一種だ。定義は企業によって異なるが、目的に向かって必要なアクションを論理的に思考し、自律的に仕事をこなすAIを指すことが多い。
CAアシスタントの裏では5体のAIエージェントが連動する。(1)任意の期間で実績データを抽出する(2)グラフを作成する(3)広告配信の効果を分析する――など役割が決まっている。それぞれが働き、人間が欲しているであろう情報を提示する。サイバーではインターネット広告事業の営業やコンサルタント200人、広告運用の子会社社員の一部がAIエージェントを活用する。
広告運用業務は26年にもAIで自律化することを目指す。内藤貴仁常務執行役員は「AIエージェントが運用結果を分析してより効果が高そうな広告に自動で差し替えるようになる」と話す。
「データ基盤の構築を4年かけて進めた」と開発を統括したプロダクト設計室の紺屋英洸局長は話す。自社開発の「データレイク(データをためる湖)」に広告掲載先のメディアから得られるデータを蓄積し、米スノーフレイクの基盤上でデータの結合や切り出しをする。信頼性確保のため、特定顧客以外のデータには触れないようデータガバナンスも整備した。
組織面ではAIを使いこなす「AIファースト」になるよう変革を進めてきた。生成AIの基盤技術が生まれる前の16年に研究開発組織「AI Lab」を設立した。同組織には3月時点で博士号を持つ人材が91人中59人おり、インターネット広告などの事業部門と連携し、業務で活用できるAIを開発している。23年には生成AIの利用ガイドライン、生成AI活用を推進する「AIオペレーション室」を設けた。
全社員を対象とした生成AIの活用研修やエンジニア向けの大規模言語モデル(LLM)構築研修などAI時代に適合できる組織体制を段階的に整備してきている。
プロ並みの精度
社内での活用を進めるのと並行し、今後はAIエージェントの外販も進める。グループ会社のAI Shiftは顧客分析や競合比較ができるAIエージェントを社内向けに50体構築した。知見をもとに、自社サービスのAI開発プラットフォーム「AI Worker」で顧客企業がAIエージェントを独自に構築できるようにする。
AIエージェントを巡ってはグーグルやオープンAI、xAIなど米国企業が、深い思考を重ねつつネット上の情報を探してリポートにまとめてくれるディープリサーチ機能を24年末以降、相次ぎ公開している。調査能力はプロのリサーチャーやコンサルタント並みの精度だ。
【図・写真】サイバーでは広告運用にAIエージェントを活用する((右)が綾野さん)
「キダルト」の時代(下) ナルミヤも「たまごっち」も復活 レトロな平成女児食いつく(ヒットのクスリ)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1339文字 PDF有 書誌情報]
このコラムでも時折取り上げているが、今や「レトロ」はブームではなく、一つの消費ジャンルになっている。とにかく情報量が増えすぎて、何が「最新」なのかわからない。ネットで見つけたネタが仮に古くても発見者にとって初めてであれば、最新ネタとして理解される。
かつてレトロと言えば活力に満ちていた昭和が中心だったが、ネットが普及した2000年代以降は情報量が多すぎるせいか、いまや平成もレトロ扱い。中でも話題を集めているのが「平成女児」だ。1990年代後半から2000年代初めに小学生だった世代を意味する。
バブルという「うたげ」は終わり、先行き不安が強まりながらもどこか楽観的な時代。ポケベルや携帯電話の普及、ギャルブーム、小室哲哉プロデュース曲など、バブルという壮大なうたげの「2次会」的なノリが騒がしくも、国内消費を潤わせた。
今年のバレンタインデーで盛り上がったのが平成女児チョコ。溶かしたチョコをアルミカップに流し込み、それを冷やし固めたチョコのことだ。均一価格ショップのダイソーが自社商品で作る平成女児チョコレシピを公式インスタグラムで流すと激しくバズる。
ちなみに菓子市場は子供向けの世界をとっくに卒業した「キダルト」の典型だ。けん引役はチョコで「カカオ含有量が多いチョコなどが大人向けとして成長中」(明治)
衣料品で言えば、00年代に話題になったナルミヤ・インターナショナルだろう。明るくポップな子供服ブランドとして一世を風靡したが、衣料品不況とともに失速。その後、販売チャネルを広げ、復活するとかつてのユーザーだった平成女児が食いつく。
中でもナルミヤのブランド「メゾピアノ」のキャラクター、ベリエちゃんが人気となり、グッズが今や大人の平成女児の垂涎(すいぜん)の的になる。
「子供の頃のキラキラした思い出にひもづいている。キャラを中心に顧客対象を広げていきたい」(ナルミヤ)。最近では期間限定店でキャラを生かし、大人かわいい浴衣やバッグ、コスメなどを売り出している。
今年に入り、このナルミヤとコラボをしたのがバンダイのペット育成デジタル玩具「たまごっち」だ。
たまごっちもナルミヤのようにキダルト商品として復活した。1996年の発売後、大ブームを引き起こしたが、ブームが終息し、99年3月期には在庫処分で60億円の特別損失を計上したこともある。ところがたまごっちのキャラと育成ゲームの緩い楽しさのゆえなのか、04年に通信機能を備えて復活。20年代になるとファッショングッズとして再ブレイクを果たす。
「機動戦士ガンダム」や「プリキュアシリーズ」グッズを手掛けてきたバンダイはまさにキダルトの宝庫だ。プリキュアのコスメや「高級」ガンダムグッズなど大人世界は広がる。
驚くのは、「仮面ライダー」の変身ベルトや「おジャ魔女どれみ」など大人向けなりきり玩具の人気だ。公式通販サイトのプレミアムバンダイでは4万4千円の変身ベルトが好調で、なりきり玩具全体で年間購買者が5年前に比べ1.5倍の伸びという。「元服」しない大人たちの世界は育成しがいがあるようだ。
(編集委員 中村直文)
【図・写真】ナルミヤのブランド「メゾピアノ」のキャラクター、ベリエちゃん(左から2番目)が人気だ
サイバーエージェントの広告運用、AIが社員代替――働きがい+生きがいへ AIエージェント、導入意向8割超(しごと進化論)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 14ページ 386文字 PDF有 書誌情報]
自律的に仕事をこなすAIエージェントは普及するのか。仏キャップジェミニの2024年の調査では、企業の82%が今後1~3年以内にAIエージェントを導入する意向を示した。
現状は一部の業務を切り出してAIエージェントに任せるのが主流だ。米カーネギーメロン大学などの研究者が24年に発表した論文では、実験の結果として最も性能の高いモデルでもタスクを自律的に完了できたのは全体の2割程度にとどまった。
性能が向上し、代替可能な業務が増えた場合はどうだろうか。サイバーエージェントの内藤貴仁常務執行役員は「週3~4日勤務という働き方が増えるかもしれない」と予測する。副業やスキルアップ、余暇、家族との時間などがより重視されるようになる。
「働きがい」から「生きがい」へ。AIエージェントが普及した未来はしごとの進化にとどまらず、価値観の変革そのものを迫る可能性がある。
(杜師康佑)
「小さいオフィスビル」増える 都心15区5割増、スタートアップ集める[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2204文字 PDF有 書誌情報]
東京都心で内装や機能性にこだわった「コンパクトオフィスビル」が増えている。都心15区で2022~24年に新規供給された中小型ビルのオフィス面積は19~21年に比べて5割増えた。将来有望なスタートアップを囲い込むほか、資材高や人手不足で大規模ビルの工期が見通しづらくなる中、短期間で集客して投資コストを回収できる新たな収益源に育てる狙いだ。
オフィス仲介を手掛ける47(東京・渋谷)がもつ物件データを基に都心15区で新規供給されたオフィス面積を調べた。基準階面積が20~200坪(約66~660平方メートル)の中小ビルは22~24年の3年間で計約55万6000平方メートルと、19~21年に比べて5割増えていた。
特に近年目立つのが、野村不動産の「PMO」や日鉄興和不動産の「BIZCORE」などのブランド名を冠したオフィスだ。大手デベロッパーが手掛けた中小ビルは増加傾向で、24年は21棟と10年前の3倍に増えた。
「社内のコミュニケーション量が明らかに増えた」。ソフトウエア開発のテックタッチの井無田仲最高経営責任者(CEO)はオフィス移転後の変化をこう語る。同社は今年2月、JR新橋駅から徒歩9分の場所にある「PMO銀座2」(東京・中央)に本社を移した。
テックタッチは大手企業や自治体など月間約800万人が使うソフトの操作ガイド作成サービスを展開するスタートアップ企業だ。
元々シェアオフィスを利用していたが、直近3年で倍増の約160人と組織の規模が急速に大きくなる中で「対面で話す機会が減り、企業文化の浸透や新入社員の教育面に課題を感じていた」(井無田氏)。
1フロア貸し切りで入り口に初めて企業ロゴを飾ったほか、個室ブースやスクリーンを使った社内会議など様々な働き方が可能になった。30代の男性社員は「自然と出社する人が増えてチーム内の交流が活発になった」。
採用候補者を招いた交流会も開くなど人材獲得にも役立っている。井無田氏は「賃料単価だけをみれば、ほかの移転候補と比べて高いかもしれないが、オフィス投資は完全に正解だった」と話す。
短期間で回収
野村不動産のPMOはJR山手線沿いを中心に約60棟を手掛け、今後も十数棟を開発予定だ。大通りに位置するため眺望や周囲からの視認性に優れ、駅前一等地の大型複合ビルにひけをとらない内装や機能が強みだ。
土地取得から完成まで10年以上かかることもある大型ビルに比べて、コンパクトオフィスビルは投資コスト回収までの期間が短い。PMOは例えば築40年以上の老朽化したビルを取得して約2年で新築ビルに建て直し、テナントを埋めてから数年以内に自社グループの不動産投資信託(REIT)や投資家などに売却する。人手不足や資材高で大型ビルの工期が見通しづらくなる中、不動産会社としても事業リスクを分散しやすくなる。
これまでのオフィス市場は大型ビルほど機能やスペック、賃料が上がるのが常識とされてきた。しかし、野村不動産都市開発第一事業本部の田中慶介営業二部長は「優秀な人材を採るために小さくてもハイグレードなオフィスに入りたいという中小企業が増えている」とみる。PMOも質にこだわる分、坪あたりの賃料は高めに設定しているという。
スタートアップならではの働き方も需要を押し上げる。日本生産性本部が25年1月に実施した調査によると、テレワーク実施率は従業員100人以下の企業が9.7%と1001人以上の大企業(25.6%)に比べて大幅に低い。オフィス仲介大手、三幸エステートの今関豊和チーフアナリストは「対面での交流を重視する経営者が多く、オフィス環境への積極的な投資につながっている」と分析する。
「信用得る手段」
日鉄興和不動産は17年に「BIZCORE」を立ち上げ、これまでに8棟が完成した。巨大地震を想定した耐震性に加え、非常用の電源や計3日分の食料・日用品を備える。賃料設定は通常のオフィスより1~2割高いが、2月末に完成した東京・西新橋の物件を除くと足元の稼働率は100%という。
入居テナントが求めるのは内装や機能だけではない。24年10月に東京メトロ赤坂見附駅直結の「BIZCORE赤坂見附」(東京・港)に移転したのが、経営コンサルのアドバンスト・ビジネス・ダイレクションズだ。
同社は企業の財務戦略や中期経営計画の策定を指南しており、取引相手の大半を経営層が占める。加藤祐司代表は「立地も含めてしっかりとしたオフィス環境で働いていることは信用を得る一助になる」と語る。
東急不動産は22年に都市型コンパクトビルとして「COERU」を打ち出した。商業フロアも入れた複合開発をはじめ、既存建物を壊さずに改修する再生建築にも挑戦する。ヒューリックは最短3カ月から入居できる「Bizflex」を21年から展開している。
コンパクトオフィスは成長途中の企業がメイン顧客となるため、一般的な契約期間も3年程度と比較的短い。それでも将来の大型ビルのテナント候補になる可能性もあるだけに、囲い込む動きが広がっている。
ただ、小規模といえども新規開発のハードルは上がっている。工事費の高騰や訪日客を狙ったホテル開発の拡大で用地も取り合いになっているためだ。入居企業が成長に必要と思えるオフィス環境を訴求して付加価値を示せるか。知恵の絞りどころが続きそうだ。
(山口和輝)
NY自動車ショー開幕 現代自、値上げを検討 高級車中心、需要減を警戒[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1005文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】トランプ米大統領が発動した輸入車への25%の追加関税を受け、自動車大手が米国で値上げを検討し始めた。16日に開幕したニューヨーク国際自動車ショーでは、メーカー幹部から関税に関する発言が相次いだ。
韓国の現代自動車グループのホセ・ムニョス社長兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞などの取材で、高級車は「時期が来たら値上げの可能性もある」と述べた。
手ごろな価格の車は販売台数が多く、値上げによる需要減の影響が大きい。このため各社は富裕層の購入が多い高級車を優先して値上げする可能性がある。日産自動車北米法人の広報担当者は「6月2日までは価格を据え置く。その後は需要や市場の動向を再評価する必要がある」と話した。
米国販売車の4割を輸入に頼るSUBARU(スバル)北米法人の最高執行責任者(COO)、ジェフ・ウォルターズ氏は「市場に応じて価格を考える。現時点で値上げの計画はない」と述べた。トヨタ自動車北米法人の営業担当者も「現時点で価格は変更しない」としている。
各社は値上げには慎重だが、自動車メーカーの価格転嫁が遅れるとしわ寄せは部品など供給網に及ぶ。部品への関税発動は5月以降だが、既に鉄鋼とアルミニウム製品には25%の追加関税が課されており、全世界への相互関税の基本税率10%分も発動済みだ。
ある日系部品メーカーの幹部は「複数の自動車メーカーに供給する部品を一括で輸入しているため、コストを一時的に負担せざるを得なくなっている」と明かす。
調査機関の米センター・フォー・オートモーティブ・リサーチ(CAR)は10日、自動車や部品に対する25%の関税で、25年の米国の自動車メーカーのコストは約1080億ドル(約15兆円)増えるとの試算を示した。
米国生産車に占める部品の輸入比率は日本勢で最大5割、欧州勢で最大9割と、多くを米国外に頼る。電気自動車(EV)など電動車ではコストの3~4割を占める電池のほか、ソフトウエアに欠かせない電子部品や半導体も輸入に依存する。
米コンサルティング会社、アリックス・パートナーズのディレクター、アクシャイ・バリガ氏は「自動車の15~40%は電子部品で構成されている」とし、中国に対する計145%の関税や今後想定される半導体への関税もコストを押し上げると推測する。
【図・写真】現代自動車が公開した新型ハイブリッド車(16日、ニューヨーク)
Temuとシーイン、米で値上げへ 免税撤廃で[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 540文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】中国発インターネット通販の「Temu(テム)」と「SHEIN(シーイン)」が25日以降、米国で値上げすることがわかった。両社が16日までに消費者向けに通知した。トランプ米政権が中国からの小口輸入に対する非課税措置を撤廃するのを受け、価格転嫁を迫られる格好だ。
両社はウェブサイトに掲載した声明で「世界的な貿易ルールと関税の変化によって運営費用が増加している。品質に妥協せず製品の提供を続けるため、4月25日から価格調整をする」と述べた。消費者に早めの買い物を呼びかけた。両社の声明文はほぼ同一だった。
テムとシーインはいずれも、低価格の中国製衣類や日用品を輸入して米国で販売する。1点10ドル(約1400円)を下回る製品も多く、インフレ下で米消費者に浸透した。値上げ幅や対象品目は明らかにしていない。
両社は800ドル以下の小口貨物が対象の関税免除措置を利用し、販売価格を抑えてきた。トランプ米大統領は2日の大統領令でデミニミス・ルールと呼ぶこの措置の撤廃を正式に決めた。対中追加関税の引き上げにあわせ、新たに設定する小口貨物への関税率も高めた。5月2日から輸入品の評価額の90%か、1件につき75ドル(6月1日からは150ドル)の支払いを求める。
スバル、米で新型EV公開 来年から自社工場で生産[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 538文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】SUBARU(スバル)は、2026年に北米などで発売する新たな電気自動車(EV)を米国で公開した。トヨタ自動車と共同開発したEVの2車種目で、スバルの自社工場で初めて生産するEVとなる。販売価格は4万~5万ドル(600万~700万円程度)を想定する。販売台数目標は明らかにしていない。
「ニューヨーク国際自動車ショー」で公開した。多目的スポーツ車(SUV)タイプで名称は「トレイルシーカー」。トヨタと共同開発したプラットホーム(車台)を活用し、26年1月からスバルの群馬製作所(群馬県太田市)矢島工場で生産する。将来的には北米生産も検討する。
スバルが発売するEVはトヨタと共同開発して22年に発売した「ソルテラ」に続く第2弾となる。1回の充電あたりの航続距離は260マイル(約420キロメートル)以上で北米の充電規格「NACS」に対応する。発売済みのソルテラに比べてサイズが大きく、車高は1インチ高い8.3インチ。貨物スペースも広くして使い勝手を高めた。
発表会に登壇したスバルの大崎篤社長兼最高経営責任者(CEO)は「この全く新しいEVは、ユニークな特長を生かしながら、顧客の期待に応える車を生み出すというスバルの決意を反映したものだ」と話した。
オープンAI、数学の得意な新型開発 複雑な問題に特化[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 455文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】米オープンAIは16日、生成AI(人工知能)の基盤モデル「o3(オースリー)」の提供を始めたと発表した。数学が得意なモデルの新型で、従来と比べてAIが物事を論理的に考える力を高めた。AIをプログラミング向けなどに活用しやすくなる。
オープンAIは対話型AI「Chat(チャット)GPT」が主力で、基盤モデルはその性能を左右する。対話型AI向けモデルのほかに数学が得意なモデルを用意しており、初代の「o1(オーワン)」の提供を2024年9月に始めた。o3は後継にあたる。
o3は数学などの複雑な問題に特化した論理思考モデルだ。人の質問や指示に長い時間をかけて「熟考」する代わりに、順序立てて問題に取り組んで答えを出す。
高校生らが参加する「国際数学オリンピック」米国予選の24年の問題を解くと正答率は92%と、o1の74%を上回ったという。
AIが人と同じように「道具」を使えるようにした。o3はネット検索やプログラミング言語「Python(パイソン)」を使うデータ分析ができる。
仏エルメス、来月から米で値上げ 全セクターの商品対象[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=湯前宗太郎】仏エルメス・インターナショナルは5月に米国で値上げする。エリック・デュハルグエ最高財務責任者(CFO)が17日に明らかにした。全セクターの商品を対象に価格を引き上げる。米トランプ政権の関税強化に対応する。
同氏は米関税に関して、「我々は注意を払っており影響は大きい」と指摘。米国で商品の価格を引き上げて対応すると説明した。値上げ幅は公表しなかった。
同日発表した2025年1~3月期の売上高は、前年同期比9%増の41億2900万ユーロ(約6700億円)だった。中国や日本を中心とするアジア、北南米など全地域で販売が増えた。
地域別ではアジアが5%増の23億9200万ユーロ、欧州が13%増の8億5700万ユーロ、北南米が13%増の6億9500万ユーロだった。
昨年から多くの高級ブランド企業が低迷する中、エルメスは業績拡大が続く。
15日には世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを、時価総額で追い抜く局面もあった。
米下院委「ディープシークは脅威」 AI半導体の規制強化訴え[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 345文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=清水孝輔】米連邦議会下院の中国特別委員会は中国の人工知能(AI)新興のDeepSeek(ディープシーク)に関する調査報告書を公表した。同社について「我が国の安全保障上の脅威だ」と指摘し、AI開発に使う米エヌビディア製の半導体の輸出管理をさらに強化する必要性を訴えた。
報告書はエヌビディア製の高性能なAI半導体がディープシークのAI開発に寄与したと指摘した。ディープシークがエヌビディア製の画像処理半導体(GPU)を少なくとも6万基使ってAIを開発したとする半導体業界分析会社の調査を引用した。
そのうえで米政府に対し、AI半導体の輸出管理の徹底を求めた。AI半導体の対象を維持・拡大するほか、輸出管理を逃れて密輸するのを防ぐために監視体制を強化する必要があると訴えた。
ダイハツ副社長、米関税「仕入れに影響も」 調達部門を注視[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 258文字 PDF有 書誌情報]
ダイハツ工業の星加宏昌副社長は17日、米国による関税政策の影響について「仕入れ先で何らかの影響が出る可能性はある」と話した。ダイハツは米国へ輸出はしていないが、仕入れ先を通じた影響を懸念しつつ、「調達部門でしっかり注視しながらフォローしていく」とした。
ダイハツは京都府や滋賀県などに加え、海外にもインドネシアとマレーシアに生産拠点を持つ。「直接米国に車を出しているわけではないので(直接的な)影響はない」という。仕入れ先を通じた間接的な影響のほか、「アジア地域での為替変動による影響が出る可能性はある」と述べた。
社団法人共同通信社(人事)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 15ページ 202文字 PDF有 書誌情報]
社団法人共同通信社人事
(6月19日)理事会長(理事)柴田建哉▽社長(常務理事)沢井俊光▽専務理事(同)本多晃一▽常務理事編集・ビジュアル報道・スポーツデータ・国際担当、編集局長有田司▽同総務・労務・BCP担当兼総務局長(メディアセンター長)春木和弘▽同経営企画・システム共有化担当兼経営企画局長、杉本一朗▽相談役(社長)水谷亨▽退任(理事会長)大島宇一郎▽同(専務理事)小渕敏郎▽同(常務理事)東隆行
ディスコ純利益30%減、4~6月、円高が逆風[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 885文字 PDF有 書誌情報]
ディスコは17日、2025年4~6月期の連結純利益が前年同期比30%減の167億円になる見通しだと発表した。為替の円高が重荷になるほか、出荷済みの半導体製造装置の検収が1~3月期に集中し同期間の売り上げが膨らんだ反動が出る。トランプ米政権による関税政策の影響は織り込んでいない。
純利益予想は事前の市場予想平均(QUICKコンセンサス、256億円)を35%下回った。
4~6月期の売上高は9%減の750億円、営業利益は29%減の238億円を見込む。市場予想はそれぞれ922億円、374億円だった。四半期として減収減益になるのは23年7~9月期以来、7四半期ぶり。
円高が逆風となる。4~6月期の想定レートは1ドル=135円と足元の実勢(142円前後)より円高・ドル安水準に置いた。同社は1円の円高・ドル安が進むと営業利益ベースで年間約16億円の減益要因になる。電気自動車(EV)などに使うパワー半導体向け需要の減速も影響する。
検収が25年1~3月期に集中したことも、4~6月期の売上高の押し下げにつながる。ディスコは顧客の工場に半導体装置を設置した後、検収が完了した時点で売り上げを計上する。
4~6月期の出荷額は1020億円と前年同期比1%増を計画する。生成AI(人工知能)向け需要は堅調だという。同社によると顧客の検収時期に左右される売上高より出荷額の方が顧客の投資意欲と連動しやすい。
同日発表した25年3月期の純利益は前の期比47%増の1238億円だった。
今後はトランプ米政権の関税政策の影響が焦点になる。ディスコの投資家向け広報(IR)担当者は17日のオンライン記者会見で「影響は見極めにくい。(景気悪化などによって)最終需要がどうなるかや半導体メーカーの投資意欲にどう影響するかが非常に重要だ」と話した。
同日、広島県呉市に半導体装置に装着する消耗品の新工場を建設すると発表した。今後3期に分けて建築予定で、第1期の建築費用は330億円。26年2月に着工し28年4月の完成を予定する。AI関連や自動運転向けなどでの需要拡大を見込み、生産能力を増強する。
KPMGジャパン、災害の財務影響を試算、有報の定量開示にも活用[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 563文字 PDF有 書誌情報]
KPMGジャパンは、気候変動によって生じる自然災害が企業財務にどう影響するかを精緻に試算するサービスを4月中にも始める。企業は事業戦略策定などの経営判断に生かせる。有価証券報告書での気候影響の定量的開示にも活用でき、投資家や金融機関などが投融資を判断しやすくなる。
KPMGジャパンのメンバーであるあずさ監査法人とKPMGあずさサステナビリティ(東京・千代田)が試算モデルを開発した。全世界について60キロメートル四方と解像度が高い気候予測シミュレーションを活用。拠点ごとに自然災害や異常気象の増加がもたらす財務影響を自動的に算出する。
例えば工場の拠点の所在地や貸借対照表上の簿価などを入力すると、暴風や干ばつ、洪水などの被害規模を推定する。追加的に必要になる設備投資などの額や、操業停止による売上高減少、生産性の低下を補うために増える人件費などを試算する。数百年に一度と非常にまれな自然災害の被害も高精度で評価できるという。企業の気候変動リスクには、自然災害などで被害を受ける「物理的リスク」と、温暖化ガス排出の規制強化などで需要が減ったりコストが増えたりする「移行リスク」の2種類がある。KPMGの試算サービスは物理的リスクを扱い、あずさによると気候変動シミュレーションから財務影響試算まで一体的に提供するのは珍しい。
ヤマタネ分割 1株を2株に[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 300文字 PDF有 書誌情報]
コメ卸大手のヤマタネは17日、株式を分割すると発表した。6月1日を効力発生日として1株を2株に分割する。最低投資金額を引き下げて個人投資家などが同社株へ投資しやすくし、株式の流動性を向上させる。
17日終値ベースの最低投資金額は約40万円。分割後は約20万円に下がる。東京証券取引所は上場株の望ましい最低投資金額を50万円未満としている。
あわせて、株主優待制度は株式の分割後も現行の実施基準を変えないと発表した。同社の優待は保有株数に応じてジュースや日本酒などを贈呈するもの。株主は株式分割後に保有する株式数が増えるため、分割前に比べて優待をもらいやすくなる。実質的には優待を拡充することになる。
2025年度業績展望(2)FA 関税重荷、鈍る設備投資 重工 各国の防衛費増追い風、機械明暗[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1453文字 PDF有 書誌情報]
機械大手の2025年度(26年3月期)の業績は明暗が分かれそうだ。ファクトリーオートメーション(FA)各社はトランプ米政権による関税政策が顧客の設備投資意欲を鈍らせ、業績の重荷になる。建設機械も関税引き上げが北米向け製品のコスト増につながる。一方で重工各社は各国の防衛予算の増加が追い風になる。
FA大手の25年度純利益について市場予想平均(QUICKコンセンサス)をみると、15日時点では増益となっている。中国半導体メーカー向けの需要増などが見込まれている。ファナックは24年度の会社推定比で21%の増益予想だ。
ただトランプ米政権が相互関税を発表した2日以降、先行きへの警戒感が強まっている。ゴールドマン・サックス証券は11日付でFA各社の25年度以降の業績予想を一斉に引き下げた。同社の諫山裕一郎アナリストは「企業の設備投資の一時的な凍結や中断が広がりそうだ」とみる。
影響は出始めている。「内外顧客の工作機械の需要はここ数日劇的に減っている。生産量を減らし採用活動も停止した」。米FA大手のハース・オートメーションは8日、米関税の影響について危機感を示した。
UBS証券の佐々木翼アナリストは10日付リポートで「関税影響による景気悪化リスクが現実になりつつある」と指摘する。市場では既にリスクを織り込む動きがみられ、FA大手2社の株価は24年末比で2~3割安と軟調だ。
17~21年の第1次トランプ政権下では米中貿易摩擦が激しくなった18年以降、FA各社の業績が大きく悪化した。ファナックの20年3月期の純利益は前の期から5割減った。
FAが頼みとする中国向け需要にも不安がある。電気自動車(EV)関連の設備投資が軟調なうえ、現地メーカーが台頭し競争も激しくなっている。ゴールドマンの諫山氏は「日本のFAが生き残れるのは半導体向けなど中国競合の技術がまだ追い付いていない分野に限られそうだ」と話す。
FA各社が直面する事業環境の厳しさには濃淡がある。競合が少ないキーエンスや受注から売り上げが立つまでの期間が長いダイフクなどは、相対的に下振れリスクは小さいとみられる。
建機大手の25年度純利益は1桁台の増加率が見込まれている。コマツは8%増、日立建機は4%増の予想だ。欧米で積み上がっていた代理店在庫が適正な水準に戻れば、建機各社の販売を後押しする。
懸念は米国の関税引き上げで、コスト増を招く公算が大きい。UBS証券の佐々木氏は、建機は日本から米国への輸出が多いため追加関税でコスト負担が大きくなるリスクがあると指摘する。ただコマツは米国生産比率が高く影響は相対的に軽微になる可能性があるという。
建機大手の米キャタピラーも日本から米国に出荷する規模が大きい。日本勢と同じく関税でのコスト増が生じるため、日本勢が米国に対し競争力で大きく引き離されるわけではなさそうだ。
一方、重工各社は業績の伸びが続きそうだ。地政学リスクの高まりを受けて各国で防衛予算が増えていることが引き続き追い風になる。純利益の市場予想は三菱重工業が30%増の3131億円、IHIが16%増の1043億円、川崎重工業が22%増の951億円となっている。
同じく重工各社の主力製品である航空機部品は、国内外の複数の企業が共同で事業を運営する。創出した利益を出資比率に応じて受け取る仕組みが主流のため、関税による悪影響は痛み分けになる。(久世真由美)
【図・写真】重工各社は各国で防衛予算が増えていることが引き続き追い風になる
しっかり学ぶ財務(3)キャッシュフロー(CF)計算書 活動別、現金の増減反映、増益でも投資活発なら減[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1292文字 PDF有 書誌情報]
「キャッシュフロー(CF)計算書」は企業の「家計簿」のようなものだ。製品を売る、設備を買うといった活動ごとのお金の出入りが分かる。業績がよくても投資などがかさむ企業では、持っているお金が減る場合がある。
「ガスト」などを手がける外食大手のすかいらーくホールディングスをみてみよう。2024年12月期は最終的なもうけを示す純利益(国際会計基準)が139億円と1年前の約3倍に膨らんだ。一方で同社が持つお金は年初の267億円から年末には191億円へと減った。
背景を知るのに便利なのがCF計算書だ。企業の活動の性質別にお金が増えたか減ったかを示す。数字がプラスならお金の増加、マイナスなら減少を意味する。
「営業CF」は原材料の仕入れや製品販売など日々の事業での増減、「投資CF」は設備を買うなど投資に関わる増減だ。「財務CF」は金融機関などとのやり取りに伴う増減で、融資や返済などが含まれる。
すかいらーくの営業CFは679億円のプラスだった。主力の飲食店運営を通じてまとまったお金を稼いでいることが分かる。一方で投資CFは392億円のマイナスだった。マイナスの規模は1年前の2・6倍だ。北九州地盤の「資(すけ)さんうどん」運営会社を買収するのにお金がかかった。
さらに財務CFも364億円のマイナスとなった。主に店舗の賃料を支払ったり銀行から借りていたお金を返したりしたためだ。3つのCFを合わせると、入ってきたお金よりも出ていったお金の方が大きかったことが分かる。
損益計算書(PL)に出てくる利益と営業CFは似ているが、増減の方向感が食い違う場合がある。理由の一つがタイミングの違いだ。売り上げは販売時に計上できるが、すぐにお金を受け取れるとは限らない。お金の回収には数カ月かかることがある。
PLには現金の動きを伴わない項目もある。典型的なのが「減損損失」だ。設備などを使って得られる将来のもうけが、期待していたよりも大幅に小さくなりそうだと分かった時に計上する。PLでは損失になるが今現金が減ったわけではないため、CFには影響しない。
キヤノンの24年12月期がこれに当てはまる。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵略などの影響が大きかった医療機器部門で1651億円の減損を計上した。このためPLの純利益は前の期から1044億円減った。一方で営業CFは前の期よりも1556億円多い6068億円のプラスだった。
資金繰りの余裕をみるうえでは、営業CFと投資CFを足した「フリーCF(FCF)」が参考になる。プラスが大きいほど、経営者は追加の投資や借金の返済、配当などに自由にお金を使える。すかいらーくはFCFが286億円のプラスだった。
FCFがマイナスだと、持っている現金を使うか外部から調達するかで賄わないといけない。PLが黒字でも手元のお金が枯渇すれば支払いや返済で行き詰まり「黒字倒産」に陥る場合がある。投資家はPLに加えてCF計算書も確認した方がいい。(東浦秀明)
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<数表>本決算(決算数字)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1011文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
■日本アコモデーションファンド投資法人(3226) 5.15
24.8 127 5571 5570 11063.0 11064.0
25.2 128 5794 5793 11505.0 11506.0
25.8予 130 5626 5625 2234.0 2234.0
■ヒューリックリート投資法人(3295) 5.15
24.8 115 5257 5256 3650.0 3654.0
25.2 124 5929 5928 4117.0 4000.0
25.8予 127 5970 5969 4145.0 4000.0
■野村不動産マスターファンド投資法人(3462) 5.23
24.8 450 17689 17688 3759.0 3450.0
25.2 431 15986 15986 3434.0 3453.0
25.8予 429 15508 15512 3338.0 3555.0
■三菱地所物流リート投資法人(3481) 5.23
24.8 91 4835 4834 9602.0 9602.0
25.2 91 4794 4793 9519.0 9521.0
25.8予 80 3758 3757 2487.0 2764.0
ディスコ(6146) 6.24
24.3 3075 122393 84205 777.3 307.0
25.3 3933 168943 123891 1143.3 413.0
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
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エレベーターコミュニケーションズ(353A)、昇降機の保守管理(新規公開株の横顔)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 717文字 PDF有 書誌情報]
エレベーターやエスカレーターの保守、リニューアルを手掛ける。昇降機メーカーに属さない独立系で、短納期・低価格での施工が強みだ。全国1万台以上のエレベーターの保守管理を担ってきた。災害対応にIT(情報技術)を活用、復旧要請に対してリアルタイムで作業員の位置や到着予定時間を表示するサービスを展開する。
1990年代後半以降の建設ラッシュで急増した昇降機の更新時期を迎え、保全・リニューアル事業が伸びている。2025年5月期の単独売上高は前期比22%増の40億円、税引き利益は70%増の1億2600万円を見込む。
調達資金は人材採用などに投じる。保全・リニューアル事業は需要増に対し3年以内に50人程度の増員を検討する。当面は財務改善を優先し無配とする方針。24年5月期末に約8%の自己資本比率を3年以内をめどに数倍に引き上げる考えで、達成できた段階で配当を検討する。
【4月25日 札証アンビシャス上場】
(東京都品川区、薄田章博社長、03・5767・8111)
上場時発行済み株式数(株) 999,940
公募株式数(株) 50,000
売り出し株式数(株) 54,300
オーバーアロットメントに〓よる売り出し株式数(株) 15,500
申込期間 4月18~23日
払込期日 4月24日
主 幹 事 東洋証券
会計監査人 清友
証券略称 エレコミ
2024/5 2025/5〓(予)
売 上 高(百万円) 3,291 4,026
税引き利益(百万円) 74 126
1株利益(円) 78.25 126.00
1株配当(円) 0 0
(注)1月10日付で1株を20株に分割。1株あたり数値は分割後ベース
<数表>財務短信[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 443文字 PDF有 書誌情報]
日本プロロジスリート投資法人(3283)
投資口分割=5月31日現在の投資口1口を3口
日本リート投資法人(3296)
第6回無担保投資法人債(グリーンボンド)13億円▽償還期限=2030年4月23日▽利率=1.346%▽申込日=4月17日▽払込日=4月23日▽発行価格=100円
ミーク(332A)
第三者割当増資=6万2900株に確定(一部失権)
フェリシモ(3396)
自己株式消却=50万株(5月29日予定)
エレベーターコミュニケーションズ(353A)
発行・売出価格=1700円
オウケイウェイヴ(3808)
第三者割当増資=377万3500株▽発行価格=53円▽払込日=5月7日▽割当先=GFA
第24回新株予約権15万7265個▽潜在株式数=1572万6500株▽発行価格=1個につき42円▽割当先=GFAに9万7265個など計5先▽払込日=5月7日▽行使期間=5月8日~2027年5月7日▽行使価格=1株につき53円
ヤマタネ(9305)
株式分割=5月31日現在の株式1株を2株
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 305文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
日本プロロジスリート投資法人(3283)
1口分配(円) 25.11予=1868.0
※25.6.1付で1:3分割
シイエヌエス(4076)
1株配(円) 25.5予=記75.0 (24.5=48.0)
昭和真空(6384)
25.3 85 783 529
東洋証券(8614)
25.3 112 1036 2653
■水戸証券(8622)
25.3 139 2328 2420
ウェルビングループ、プログリット、三菱地所物流リート投資法人(自社株取得枠設定)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数・口数、金額は上限)
ウェルビングループ 2万5000株、7475万円
プログリット 35万株、3億円
三菱地所物流リート投資法人 3万口、30億円
日本リート投資法人(3296)(格付け)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
日本リート投資法人(3296)
第6回無担保投資法人債=AAマイナス(JCR)
ヤマタネ(自社株取得枠変更)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠変更
ヤマタネ 90万株を180万株に変更
リード(新規上場承認)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 26文字 PDF有 書誌情報]
〈新規上場承認〉
◇福証◇
リード
上場予定日=4月24日
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 16ページ 4328文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 16日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
ぷらっと 0 0 1356 △13
イオレ 0 0 230 ▲6
ベースフード 421 ▲97 18429 △16
スターシーズ 2 △2 942 ▲5
インタートレ 185 ▲1 1122 △149
サイトリ細研 0 0 1890 0
トミタ電機 0 0 253 0
HSHD 4 0 8853 0
ReYuu 0 0 1351 ▲2
Schoo 0 0 2821 ▲42
イントランス 0 ▲80 8613 △66
ゼンムテック 8 △5 238 ▲8
BASE 293 ▲169 23354 △290
テクノロジー 0 0 4299 △4
アップバンク 0 0 2764 △89
BCC 0 0 216 0
グロームHD 0 0 2384 0
ピクセル 288 0 5963 ▲6
LIEH 0 0 581 △10
ウイルコHD 0 0 519 0
アクアライン 0 0 72 △4
タマホーム 820 ▲3 317 △5
BEENOS 8 0 3 ▲1
CRE 0 0 2 0
プロト 0 0 3 0
ドリームI 19 0 183 ▲6
フジHD 8277 ▲29 9622 ▲212
ヨータイ 24 0 170 ▲124
パイオラック 21 0 25 △1
牧野フ 5 0 94 ▲8
ヤーマン 953 0 316 ▲1
富士通ゼ 5 0 141 ▲39
ジャムコ 8 0 84 ▲10
トプコン 131 △1 598 ▲53
天馬 0 0 18 ▲3
トナミHD 0 0 14 ▲3
内外トランス 0 0 33 0
イオンディラ 3 0 4 ▲6
イメージワン 503 0 1602 △38
PバンCOM 6 ▲7 347 △1
Eストアー 0 0 7 △2
オートサーバ 0 0 62 0
全保連 0 0 340 △7
AIメカ 82 0 369 △2
インスペック 25 0 274 △6
ナカヨ 0 0 0 ▲2
芝浦電子 0 0 189 △8
NEWART 0 0 32 0
アールシー 6 0 60 0
MUTOH 1 0 120 0
丸藤パ 0 0 41 0
広電鉄 3 0 53 0
ユーラシア 0 0 75 △1
グリンランド 0 0 16 0
アルテック 1 ▲1 2482 0
ヴレインS 164 ▲14 435 ▲8
ファンデリー 475 △35 475 ▲10
ジェネパ 19 0 430 ▲24
フィスコ 257 0 3301 ▲5
エコモット 5 ▲22 251 △19
WACUL 10 0 214 0
カオナビ 0 0 5 0
※ 野村4百Dイ 5903 0 10731 △3566
※ 野村高配70 43 0 3427 △133
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 400 △10
※ SMT好配当 0 0 2191 0
※ SMD高配当 0 0 2920 △200
※ GXオフ日R 0 0 21 △20
※ iS米25ヘ
140 897100
0 △165700
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ GXLE日株 0 0 121 ▲2
※ SBIサウジ 0 0 1911 ▲1
※ 野村ESGコ 0 0 880 0
※ GX日カバコ 0 0 3301 ▲9
※ 野村欧州株H 0 0 23830 ▲2360
※ 野村独株H有 40 0 558530 ▲11850
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 0 231840 △81590
※ 野村米半導 0 0 473 ▲4764
※ GXSPCF 0 ― 6286 ―
※ 阪急阪神R 593 0 442 △33
世紀東急 355 △5 206 △2
アイケイケイ 182 ― 67 ―
柿安本店 336 △17 80 △1
くら寿司 321 △14 306 ▲11
オイシックス 55 △1 526 ▲22
日本調剤 553 △456 233 △117
Jテック・C 5 0 196 △1
ケイアイ不 48 0 68 ▲1
グッドコムA 791 △55 563 ▲15
SMINOE 6 △1 60 0
力の源HD 287 △8 283 △6
さくらネット 1911 ▲19 2700 △55
フリービット 504 △37 579 △7
gumi 646 ▲9 3794 △5
ACCESS 846 △3 1722 △10
小林製薬 98 ▲1 280 △4
エニーカラー 165 ▲22 595 ▲42
千葉興 70 ▲9 1522 ▲24
神電鉄 23 0 11 0
サンウェルズ 2267 △7 1587 △13
JESCO 2 0 229 △9
佐田建 24 ▲1 1257 ▲24
植木組 0 0 48 0
三晃金 0 0 92 0
焼肉坂井HD 4 ▲2 236 ▲3
パレモ・HD 55 △8 1198 △11
OCHIHD 8 0 12 0
菊池製作 108 △5 249 ▲3
マツオカ 11 0 643 △7
enish 539 ▲49 2512 △96
片倉コープ 16 0 163 0
アズジェント 4 0 79 ▲1
HEROZ 267 △14 237 △1
SIGG 1 0 214 ▲4
わかもと 188 0 1262 ▲33
秀英 3 0 72 0
富士興 1 0 45 △1
日山村硝 3 0 238 0
ノザワ 0 0 199 0
大阪製鉄 1404 0 1738 0
虹技 0 0 80 0
アルメタクス 4 0 271 ▲5
洋シャタ 0 ▲1 145 0
デザインワン 8 ▲6 963 △180
土木管理 16 0 364 △1
油研工 0 0 62 0
ディスラプタ 19 △15 526 ▲8
サクサ 2 0 164 0
星和電 0 0 135 0
池上通 3 0 183 0
沢藤電 0 0 108 0
大黒屋 1379 ▲49 9496 △570
upr 7 0 164 △1
近畿車 0 0 59 0
あんしん保証 22 △3 579 ▲1
日本モゲジS 4 △1 665 ▲5
河西工 135 △57 1366 ▲29
エコーTD 1 0 271 ▲5
パリミキHD 14 0 149 ▲1
マックハウス 115 ▲10 137 △3
テイツー 4029 △544 8265 ▲131
京都友禅HD 154 ▲4 1086 △79
黒田精 6 0 77 0
岡本硝子 107 △8 1816 △19
タカノ 2 0 83 0
ホクシン 52 ▲4 860 ▲26
ナイガイ 37 0 276 0
OUGHD 1 0 26 0
トルク 4 0 323 0
オリンピック 0 0 97 ▲1
東北銀 0 0 62 0
富山銀 25 0 63 0
福島銀 161 0 1104 △11
太平発 2 0 163 △4
明和地所 11 0 71 △2
ファースト住 51 △6 121 0
東陽倉 1 0 86 0
乾汽船 68 △12 222 0
ワイヤレスG 20 △4 438 ▲1
テアトル 16 0 20 0
日邦産業 8 0 148 0
ショクブン 7 0 88 △3
やまや 3 0 4 0
タイミー 1550 ▲106 2265 △97
サンクゼール 74 0 56 0
すららネット 7 0 252 0
T&S・G 78 △1 250 0
プレイド 272 ▲8 2648 ▲24
エーアイ 2 0 236 ▲3
Kudan 222 △31 657 0
ミンカブ 341 △3 1140 △42
OTS 3031 ▲131 10422 △213
Pアンチエイ 77 △3 206 ▲7
FIXER 249 ▲3 403 0
弁護士COM 204 △11 292 △3
MRT 1 0 102 0
レントラクス 5 0 337 △4
エヌピーシー 553 ▲4 1922 ▲25
アスタリスク 117 ▲5 422 ▲19
WASHハウ 38 △3 242 △23
PSS 228 ▲3 998 △20
マイクロ波 456 △4 859 ▲12
日経300投信 1 0 7 ▲1
※ SPDR金 138 ▲2 2829 ▲19
※ 野村金連動 5330 △690 97460 △7580
※ 日経2倍 2731 ▲792 39632 △623
※ 日興高配低ボ 0 0 8 0
※ 日興米債ヘ有 31 0 4859 ▲7
※ One高配当 46 ▲1 5795 ▲24
※ スタンダ20 180 △20 1500 △150
※ H株ベア 190 △10 27930 △230
※ WTI原油 26883 ▲8044 202909 ▲7153
※ 日興外債毎月 10 △10 140 △10
※ GX印10+ 85 ▲2 53964 △23
※ iSインド株 10700 △10000 977960 △5160
※ iF高リート 0 0 14238 0
※ MXダウヘ有 1910 0 3880 △20
※ GXウラン 0 0 24610 ▲97
※ iS米20 17590 △30 691060 △42190
※ iS仏国債H 10 0 1500 0
※ GX高配30 25 0 23112 ▲1159
※ iS日本国債 1168 △30 2748 △1
※ MXナスダク 7605 △1200 38423 ▲876
※ GXリー日株 0 ▲5 1888 ▲1
※ iFEナ百無 10362 △1090 161421 △445
※ iFEナ百有 1534 △1495 62641 ▲3578
※ 野村ナスH有 90030 △3060 112270 ▲3520
円高進行が一服 日米「為替議論せず」受け、円安是正なお警戒[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 867文字 PDF有 書誌情報]
17日の外国為替市場で対ドルの円相場が一時1ドル=141円台まで上昇した後、下落した。同日朝に日米間の関税交渉の初会合が終了。為替については議論されなかったと伝わり、じわじわ進んできた円高・ドル安の流れがいったんストップした。ただ、市場は米国側が「円安是正」を振りかざす展開への警戒を解いてはいない。
「為替については議論が出なかった」。17日朝、日米間の会合を終えた赤沢亮正経済財政・再生相は記者団にこう明かした。141円60銭台まで上昇していた円は、赤沢氏の発言後、午前9時すぎに142円台半ばまで下落。その後、143円台をつける場面もあった。
外為市場では今回の会合で米国側が円安是正を求めてくるのではないかとの思惑から、ドル売りが進んでいた。トランプ米政権はドル高への懸念を表明しており、今回の会合直前にトランプ氏が出席することが決まり、円安是正への警戒感は高まっていた。それだけに安心感からドルを買い戻す動きが広がった形だ。
ひとまず円高進行が一服したとはいえ、円安是正への警戒感が払拭されたわけではない。今回の会合で米国側の姿勢に変化が見られたわけではないためだ。三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは「この日米交渉だけを手掛かりにドルを積極的に買い戻せる環境ではない」と話す。
今後、日米間の為替問題を巡っては加藤勝信財務相とベッセント米財務長官の間で議論する方向とみられている。加藤氏は来週22日から20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などに出席するため訪米予定で、協議が進展する可能性がある。
松井証券の鈴木翔マーケットアナリストは「世界的にみて日本の金利は低く、米国が日銀に利上げ姿勢を堅持するよう求めてくる可能性はある」と指摘。円の上昇圧力が意識されやすい地合いが続くとみる。
目先の焦点は心理的な節目として意識される1ドル=140円を突破するかどうか。今後、仮に米国からの円安是正要求が強まれば「130円程度まで上昇してもおかしくはない」(国内銀行の為替ディーラー)との声が聞かれる。
外債売り越し大幅縮小、6~12日 国内勢、市場静観[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 623文字 PDF有 書誌情報]
財務省が17日発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、4月6~12日の1週間で国内投資家は海外の国債など中長期債を5120億円売り越した。トランプ米政権の関税政策を巡る混乱で米長期金利が上昇。国内勢が米国債を大量に売却したとの見方があったが、金利上昇局面でも大規模売却に動かなかったとみられる。
売り越しは6週連続だった。前週は2兆5699億円の売り越しとなっており、売り越し幅は大幅に縮小した。
トランプ米政権が9日に相互関税を発動すると、米経済の先行き懸念から米資産を売る動きが強まり、米長期金利の指標となる10年物国債利回りが大幅に上昇した。市場では農林中央金庫など国内勢が米国債を大量に売却したことが米金利の上昇につながったとの臆測も一時流れた。
4月6~12日の対外・対内証券投資
〓〓 単位億円、▲は売り越し、指定報告機関ベース 〓〓
買い入れ 売却 差額
▽対外証券投資
株 式 30,192 27,611 2,581
中長期債 112,336 117,456 ▲5,120
小 計 ▲2,538
短 期 債 9,895 7,582 2,313
合 計 ▲225
▽対内証券投資
株 式 289,890 279,453 10,437
中長期債 99,077 76,088 22,988
小 計 33,425
短 期 債 77,176 56,373 20,803
合 計 54,228
現物株売買代金シェア、海外投資家70.9%、2年ぶり高水準[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 581文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所が17日発表した4月第2週(4月7~11日)の投資部門別売買動向(東証と名証の合計)で、海外投資家の現物株の売買代金は42兆円だった。全体に占める割合は70・9%で約2年ぶりの高水準。日経平均株価の乱高下で海外投資家が大きく動いたことを示す内容だった。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏による日本株の追加投資の期待が高まった2023年5月第2週の71・1%以来の高水準だった。売買合計は日経平均株価の下落幅が最大だった24年8月第1週の49兆円以来。
個人は1177億円売り越した。「追い証(信用取引の追加証拠金)で個人の売りが膨らんだ」(ニッセイ基礎研究所の前山裕亮主任研究員)
投資部門別売買代金差額
( 東証および名証、総合証券ベース )
4月第2週 前週
個 人
現 金 987 5226
信 用 ▲2164 1982
海外投資家 1582 6011
法 人
生保・損保 ▲148 306
都銀・地銀 ▲174 ▲79
信託銀行 1730 ▲1941
その他金融機関 68 ▲28
投 信 691 2499
事業法人 3653 3102
その他法人 97 69
委託合計 6539 17468
自 己 ▲6736 ▲18192
(注)東証調べ、単位億円、億円未満切り捨て、▲は売り越し
日証金、ベースフード株、GXSPCF受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 118文字 PDF有 書誌情報]
日証金、ベースフード株、GXSPCF受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除 制度信用取引の買いの現引きに伴う申し込み停止措置を解除。18日約定分から。制度信用取引の新規売りに伴う貸株申し込みおよび融資返済申し込みは引き続き停止。
日証金、iF高配50受益証券の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 94文字 PDF有 書誌情報]
日証金、iF高配50受益証券の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。18日約定分から。
17日の相場表変更[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
▽新規上場=上場投資信託〔東〕iFreeETF ブルームバーグ日本株高配当50指数(iF高配50)
銘柄管理情報=商号変更[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
▽商号変更=〔東証スタンダード〕梅の花は5月1日から梅の花グループ(梅の花G)
東証、Syns株を日々公表銘柄に指定[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 26文字 PDF有 書誌情報]
東証、Syns株を日々公表銘柄に指定 18日から。
日銀利上げ持続観測に影、物価上昇、後押し材料多いが… 関税、景気見通し不透明(ポジション)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1818文字 PDF有 書誌情報]
金融市場で「日銀の利上げ路線が続く」とのシナリオに変調の芽が出ている。トランプ米政権の関税政策が実体経済に与える悪影響が思いのほか大きくなりそうだとの警戒感が根強いためだ。国内物価には減速する兆しがみられず、日銀は追加利上げへのファイティングポーズを変えていない。だが市場は額面通りに受け取っておらず、年内利上げの観測はひとときほどには高まっていない。
国内情勢に目を向けると、物価関連データを中心に利上げを後押しする材料は多い。日銀が11日公表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」で、5年後の物価が現在と比べて毎年、何%程度変化するかを聞いたところ、平均値はプラス9・6%と前回2024年12月調査から0・4ポイント上昇した。統計を遡れる06年9月以降の最高で、家計の長期のインフレ予想は切り上がる。
QUICKが上場企業を対象に景況感などを聞いた4月の「QUICK短観」では、2年後以降の消費者物価の上昇率見通しが2・5%と、調査開始以来の最高だった。17日講演した日銀の中川順子審議委員も「企業や家計の中長期的な予想物価上昇率は徐々に上昇している」と評価した。
物価に対する家計や企業のマインド変化を示すようなこうしたデータは、日銀が掲げる「2%の物価安定の目標」の実現に向けて着実に進んでいるようにみえ、日銀の利上げに追い風といえる。
それでも日銀の利上げ観測がなかなか持ち直さないのは、トランプ関税が国内景気の見通しに重くのしかかるとの懸念があるからだ。
日本経済研究センターがまとめた民間エコノミストの経済予測である4月の「ESPフォーキャスト調査」で、25年度の実質経済成長率の予測は0・92%。個人消費の弱さなどを背景に、3カ月連続で下方修正された。予測の下振れは景気後退のリスクが高まっていることを示唆している。
ESP調査の回答者である三井住友信託銀行の岩橋淳樹シニアエコノミストは、25年度の成長率を0・6%と予測する。今回調査の締め切りだった4月3日までに判明した米国の自動車・相互関税の影響を織り込み、3月時点の0・9%から見直した。
岩橋氏は「相互関税が90日間停止されたのは下押し圧力を緩和する」と指摘する一方、0・92%という予想平均は「一段の下方修正の可能性がある」とみる。関税が賦課された段階でエコノミストが実際に見通しに反映するとみられるほか、先行き不透明感が根強いなかで従来計画していた設備投資を見送る企業が増えると考えられるためだ。「物価高が持続するとみる家計が節約志向を強めるリスク」(岩橋氏)も抱えており、先行き見通しには重荷となる。
こうしたなかで市場の利上げ観測は勢いを取り戻していない。変動金利と固定金利を交換する翌日物金利スワップ(OIS)市場では、日銀が年内に金利を0・75%に引き上げる確率が17日午後3時時点で約53%と5割前後だ。
3月末時点では100%超えとなるなど、0・75%より引き上がる見通しすらあった後、トランプ氏による相互関税発表後の市場の混乱で一時は「年内利上げなし」を織り込んだ。利上げ予想の勢いは、「陰の極」を脱したが次の利上げは遠いとの見方が支配的だ。野村証券は16日付で次の利上げ時期の予想を今年7月から26年1月に先送りして25年中はないとし、27年3月までの利上げ回数も2回から1回に引き下げた。
市場の変化に対し、日銀の植田和男総裁は17日の参院財政金融委員会で、経済・物価の見通しが実現していくなら「引き続き政策金利を引き上げる」と改めて語った。植田総裁は米関税を巡り「不確実性は非常に高い」とも述べたが、内田真一副総裁が24年8月に「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」という強いメッセージを発したのと異なり、利上げ見送りを示唆する直接的な表現は現時点で使っていない。
日銀が利上げ姿勢を保つのは、円安を懸念する米国との貿易交渉を念頭に置いたものだとの推測もある。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「日銀が緩和的なスタンスをとることには、国際政治情勢からも制約がかかる」と指摘する。利上げ予想がスローダウンしているのはトランプ関税の不確実性に加え、日銀の置かれた微妙な立場を市場が見透かしているからかもしれない。「年内は利上げなし」とのムードが早くも漂いつつある。(日経QUICKニュース 田中俊行)
トランプ関税と安保・減税(大機小機)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 894文字 PDF有 書誌情報]
世界を揺るがすトランプ米大統領の高関税政策への日本の対応として、与野党から減税論が巻き起こっている。ここでは二重の意味で安全保障との関係を見落としがちになる。
トランプ政権の関税政策には、軍事面を含めた国家安全保障の側面が強い。現にトランプ氏は自ら交渉に出席して「ミリタリー」も協議すると明言した。日本では関税交渉といえば経済的な側面ばかりに焦点があたる。赤沢亮正経済財政・再生相が交渉担当閣僚となったのが、その象徴でもある。
米国は経済的にも、軍事的にも、一方的に収奪されてきた、という感情が、トランプ氏の主張にはにじむ。関税交渉にあたるには駐留米軍問題から、アジア太平洋をどのような装備で、どんな陣立てで米国が守っているのかまで、幅広い課題をパッケージで考える必要がある。今回の関税問題を受けて、欧州はすぐに安保面も含めた対策を練り始めている。
残念ながら日本の政界、経済界に、その観点は薄い。これまでの日米摩擦は経済は構造協議、安全保障は次期支援戦闘機開発や沖縄米軍基地問題などと、完全に分かれて交渉しており、リンケージしてこなかった。官僚たちも経済は財務省と経済産業省、安保は外務省と防衛省が中心となってきた。首相官邸主導で陣容は整ってきたものの、経済と軍事・安保を連携させる考え方は縦割りの弊害もあいまって、欧州ほどの機動性があるとはいえない。
減税論争がもたらすもう一つの安保との関係は、これから防衛費が増えていくのは間違いない情勢で、いったいどこから財源を持ってくるのかという視点だ。
おそらく今後の国際安保情勢を考えれば、防衛費を27年度までに国内総生産(GDP)比2%まで増やす計画でさえも足りないのは間違いない。それだけではない。先ほど提示したように、アジア太平洋全般を所管する米軍の費用負担も求められる可能性がある。その財源はどこから捻出されるのだろうか。
与野党の減税論は物価、経済対策に集中し、安保まで含めた視野は感じられない。減税論は防衛費の手当てに直結している。トランプ氏本人が軍事と関税を一体にして乗り出してきた今、債券ショックは人ごとではない。(弦楽)
株式 反発、円安進行で買い(市場往来)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 177文字 PDF有 書誌情報]
17日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、終値は前日比457円20銭(1.35%)高の3万4377円60銭だった。日本時間17日朝に開かれた日米関税交渉で、為替に関する議論がなかったと伝わり、円相場が対ドルで下落に転じた。円安進行に歩調をあわせて株価指数先物に断続的な買いが入ったほか、台湾積体電路製造(TSMC)の決算も材料視されて一段高となった。
住友ファーマ、日本調剤、サイバー、スギHD(注目株概況)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 130文字 PDF有 書誌情報]
iPS細胞の臨床試験結果を受け、協力会社である同社に思惑の買い。
株式非公開化の観測が一部で浮上し前日まで急騰。反動で売られる。
子会社の不適切会計処理で報告書を公表。悪材料出尽くしとして買い。
相場全体がいったん落ち着き、ディフェンシブ銘柄を手放す動きに押される。
金利 10年債利回り、1.305%に上昇(市場往来)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 89文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは上昇(価格は下落)。前日比0.020%高い1.305%で取引を終えた。投資家心理が改善し、相対的に安全な資産とされる長期国債が売られた。
為替 円反落、142円89~91銭(市場往来)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は反落した。午後5時時点は1ドル=142円89~91銭と、前日の同時点に比べ79銭の円安・ドル高だった。米国が円安是正を強く求めるとの思惑が後退した。
商品 金続伸、NY先物最高値が波及(市場往来)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 84文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で金は3日続伸した。一時中心限月としての最高値を1日以来約2週ぶりに更新した。ニューヨーク金先物が最高値を連日で更新し、国内金先物にも買いが波及した。
<数表>大口定期預金の平均レート[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 202文字 PDF有 書誌情報]
大口定期預金
の平均レート
4月
( %、カッコ内は前月比、▲は低下 )
1カ月 0.222 ( 0.031 )
3カ月 0.223 ( 0.031 )
6カ月 0.229 ( 0.033 )
1 年 0.253 ( 0.041 )
2 年 0.272 ( 0.048 )
3 年 0.307 ( 0.052 )
4 年 0.315 ( 0.056 )
5 年 0.365 ( 0.056 )
<数表>東証グロース市場投資部門別売買代金差額[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 17ページ 174文字 PDF有 書誌情報]
東証グロース市場投資部門別売買代〓金差額(単位百万円、▲は売り越し)
4月第2週 前週
個 人 ▲14680 3023
現 金 ▲6668 9842
信 用 ▲8012 ▲6819
海外投資家 12852 ▲3117
法 人 3459 4950
うち投信 2107 1888
委託合計 1977 4457
自 己 ▲1855 ▲6002
<数表>4月17日(市場体温計)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2675文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 34377円60銭(+457円20銭)
騰落率= +1.347%
東証株価指数(TOPIX) 2530.23 (+32.20)
騰落率= +1.289%
売買代金 3741094百万円 (-90538百万円)
売 買 高 156634万株 (-7948万株)
売買単価 2388.4円
売買高上位10銘柄の占有率 34.1%
〓-〓 上場銘柄数 1637 値上がり 1183 〓-〓
売買成立 1636 値下がり 398 変わらず 55
新値株 (年初来) 高 値 53 安 値 3
騰落レシオ(25日移動平均) 93.75%
時価総額 8785811億円 (+105141億円)
普通株式数(百万株) 499736 1株当たり時価(円) 1758.09
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 13.89 ( 14.92 ) 1.27 2.31 ( 2.03 )
JPX日経400採用銘柄 13.74 ( 14.27 ) 1.37 2.39 ( 2.20 ) 2.62 ( 2.29 )
東証プライム全銘柄 13.86 ( 14.92 ) 1.22 2.76 ( 2.46 ) 2.62 ( 2.29 )
東証スタンダード全銘柄 13.35 ( 15.28 ) 0.97 2.72 ( 2.58 ) 2.47 ( 2.53 )
東証グロース全銘柄 36.34 ( 157.06 ) 3.11 0.88 ( 0.77 ) 0.64 ( 0.57 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.21 %
前期基準 6.69 %
17
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 545.26 ( +6.97)
日経500種平均株価 3057円69銭 ( +24円77銭)
日経平均高配当株50指数 63869.40 ( +844.09)
日経連続増配株指数 47252.95 ( +90.83)
日経累進高配当株指数 42965.49 ( +344.68)
日経半導体株指数 7015.70 ( +143.45)
日経平均内需株50指数 26951.47 ( +304.76)
日経平均外需株50指数 32111.31 ( +579.68)
日経平均トータルリターン 61933.65 ( +823.68)
日経平均VI先物指数 6461.07 ( -2.04%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2494円00銭 ( +19円34銭)
東証規模別株価指数
大型 2474.19 ( +34.84)
中型 2732.93 ( +29.78)
小型 4289.06 ( +31.55)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1626.91 (+16.23)
…
ド ル/円 1 ド ル = 142.89~142.91円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 162.56~162.60円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1376~1.1377ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3280.3412 (+4.3373)
韓国総合(韓国) 2470.41 (+22.98)
ハンセン(香港) 21395.14 (+338.16)
加権(台湾) 19338.73 (-129.27)
VN(ベトナム) 1217.25 (+6.95)
クアラルンプール総合 1483.27 (+6.35)
ST(シンガポール) 3720.33 (+57.88)
ジャカルタ総合 6438.269 (+38.215)
SET(タイ) 1141.28 (+2.38)
オールオーディナリーズ(豪) 8021.9 (+60.2)
新発10年国債利回り 1.305% ( +0.020)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.476% ( -0.001)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15341 円 (+204円)
ドバイ原油(1キロリットル) 54640 円 (+1810円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
655.71 (+11.07)
工業品 662.18 (+11.54)
始値 33987円01銭 高値 34379円13銭 ( 15時23分 )
午前終値 34212円29銭 安値 33931円53銭 ( 9時00分 )
JPX日経 インデックス400 22968.48 (+294.18)
JPX日経中小型 17968.20 (+174.43)
日経気候変動指数 34101円23銭 (+453円73銭)
JPXプライム150指数 1110.97 (+14.26)
東証プライム市場指数 1302.17 (+16.59)
東証スタンダード市場指数 1228.52 (+6.32)
東証グロース市場指数 824.83 (+18.75)
東証グロース市場250指数 645.86 (+16.05)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1714.84 (+1.63)
日経ESG―REIT指数 954.75 (+0.93)
日経高利回りREIT指数 1230.24 (+3.84)
……………………………………………………………………
日経平均VI 32.10 (-3.10)
日経配当指数(2025年) 22円03銭
<数表>4月17日商品先物[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 18ページ 5795文字 PDF有 書誌情報]
( 17 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 15056 15327 15056 15259 △209
6月 15070 15374 15070 15268 △212
8月 15086 15392 15086 15294 △221
10月 15076 15400 15074 15307 △227
12月 15103 15419 15103 15306 △210
2月 15149 15451 15145 15341 △204
《金ミニ》(1グラム)
4月 15108.5 15301.5 15108.5 15259.0 △209.0
6月 15119.5 15326.5 15119.5 15268.0 △212.0
8月 15090.0 15338.0 15090.0 15294.0 △221.0
10月 15098.0 15394.0 15098.0 15307.0 △227.0
12月 15113.0 15412.0 15113.0 15306.0 △210.0
2月 15149.0 15449.0 15143.0 15341.0 △204.0
《金限日》(1グラム)
15460 15720 15454 15247 △214
《白金》(1グラム)
4月 4382 4419 4382 4397 △49
6月 4355 4411 4347 4390 △35
8月 4363 4402 4358 4400 △52
10月 4388 4421 4383 4399 △49
12月 4355 4426 4352 4411 △48
2月 4325 4402 4324 4380 △57
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4388.0 4388.0 4388.0 4397.0 △49.0
6月 4473.5 4473.5 4473.5 4390.0 △35.0
8月 4381.0 4392.5 4381.0 4400.0 △52.0
10月 4378.0 4406.5 4378.0 4399.0 △49.0
12月 4347.0 4415.0 4347.0 4411.0 △48.0
2月 4315.0 4392.5 4314.0 4380.0 △57.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4420 4482 4410 4393 △29
《銀》(1グラム)
4月 ― ― ― 145.0 △2.0
6月 ― ― ― 147.0 △2.0
8月 ― ― ― 148.0 △2.0
10月 ― ― ― 148.0 △2.0
12月 ― ― ― 149.0 △2.0
2月 154.0 155.0 153.0 153.0 △3.0
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4400 0
6月 ― ― ― 4400 0
8月 ― ― ― 4400 0
10月 ― ― ― 4400 0
12月 ― ― ― 4400 0
2月 ― ― ― 4400 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 156.15 △2.45
6月 ― ― ― 154.75 △2.30
7月 ― ― ― 153.55 △2.20
8月 ― ― ― 152.40 △2.10
9月 ― ― ― 149.85 △1.90
10月 ― ― ― 149.00 △1.80
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 61930 62050 61930 62050 △1230
5月 58030 60460 58030 60120 △2480
6月 57050 59110 57050 59010 △2470
7月 56200 58360 56190 58060 △2130
8月 55500 57620 55490 57290 △2040
9月 54990 57130 54950 56750 △1990
10月 55970 55970 55970 55970 △1620
11月 ― ― ― 55920 △1910
12月 ― ― ― 55600 △1880
1月 ― ― ― 55360 △1860
2月 ― ― ― 55180 △1860
3月 ― ― ― 55040 △1840
4月 ― ― ― 54900 △1830
5月 ― ― ― 54770 △1820
6月 ― ― ― 54640 △1810
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90400 ▲1300
6月 ― ― ― 90000 ▲1200
7月 ― ― ― 89600 ▲1100
8月 ― ― ― 89200 ▲1000
9月 ― ― ― 88800 ▲900
10月 ― ― ― 88300 ▲1000
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 296.1 296.1 296.1 296.1 △8.1
5月 286.4 296.1 286.4 291.0 △1.8
6月 293.9 294.0 290.5 290.5 △2.9
7月 287.1 293.5 286.8 292.2 △5.3
8月 287.0 294.8 286.2 291.7 △5.0
9月 286.9 293.3 285.6 292.1 △6.0
10月 ― ― ― 292.0 0
11月 ― ― ― 292.0 0
12月 ― ― ― 292.0 0
1月 ― ― ― 293.0 0
2月 ― ― ― 293.0 0
3月 ― ― ― 293.0 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 236.0 0
6月 ― ― ― 236.0 0
7月 ― ― ― 237.0 0
8月 ― ― ― 237.0 0
9月 ― ― ― 237.0 0
10月 ― ― ― 237.0 0
11月 ― ― ― 237.0 0
12月 ― ― ― 238.0 0
1月 ― ― ― 238.0 0
2月 ― ― ― 238.0 0
3月 ― ― ― 238.0 0
4月 ― ― ― 238.0 0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 ▲3000
6月 ― ― ― 87000 ▲3000
7月 ― ― ― 87000 ▲3000
8月 ― ― ― 87000 ▲3000
9月 ― ― ― 87000 ▲3000
10月 ― ― ― 87000 ▲3000
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 ▲2000
6月 ― ― ― 90000 ▲2000
7月 ― ― ― 90000 ▲2000
8月 ― ― ― 90000 ▲2000
9月 ― ― ― 90000 ▲2000
10月 ― ― ― 90000 ▲2000
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 39600 0
5月 ― ― ― 39600 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 12.13 ▲0.14
5月 ― ― ― 11.02 ▲0.10
6月 ― ― ― 12.08 ▲0.11
7月 ― ― ― 13.52 ▲0.06
8月 ― ― ― 14.61 ▲0.11
9月 ― ― ― 13.71 ▲0.08
10月 ― ― ― 12.69 ▲0.01
11月 ― ― ― 12.91 ▲0.01
12月 ― ― ― 13.29 ▲0.05
1月 ― ― ― 13.34 △0.04
2月 ― ― ― 13.34 ▲0.01
3月 ― ― ― 11.12 ▲0.05
4月 ― ― ― 11.51 △0.09
5月 ― ― ― 11.24 △0.06
6月 ― ― ― 12.19 △0.07
7月 ― ― ― 13.40 △0.09
8月 ― ― ― 15.52 △0.13
9月 ― ― ― 13.15 △0.09
10月 ― ― ― 11.67 △0.07
11月 ― ― ― 12.37 △0.08
12月 ― ― ― 13.44 △0.10
1月 ― ― ― 14.14 △0.10
2月 ― ― ― 13.42 △0.10
3月 ― ― ― 11.50 △0.07
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.63 ▲0.14
5月 ― ― ― 8.51 ▲0.06
6月 ― ― ― 9.76 ▲0.05
7月 ― ― ― 12.12 △0.10
8月 ― ― ― 13.00 0
9月 ― ― ― 12.07 ▲0.19
10月 ― ― ― 9.89 △0.08
11月 ― ― ― 10.25 △0.01
12月 ― ― ― 10.82 ▲0.09
1月 ― ― ― 12.76 ▲0.03
2月 ― ― ― 11.98 ▲0.03
3月 ― ― ― 9.32 ▲0.04
4月 ― ― ― 9.53 △0.12
5月 ― ― ― 9.36 △0.10
6月 ― ― ― 10.14 △0.09
7月 ― ― ― 10.91 △0.08
8月 ― ― ― 12.68 △0.08
9月 ― ― ― 10.88 △0.08
10月 ― ― ― 9.76 △0.09
11月 ― ― ― 10.61 △0.09
12月 ― ― ― 11.89 △0.10
1月 ― ― ― 12.63 △0.10
2月 ― ― ― 11.92 △0.10
3月 ― ― ― 10.22 △0.10
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 44451 39552
金ミニ 18691 7623
金限日 2684 42319
白金 6874 28908
白金ミニ 772 2417
白金限日 1006 39148
銀 5 135
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2846 26114
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 352 3511
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 1800 9482
電力西ベース 0 754
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 18419 51171
堂島白金 188 2148
堂島銀 11 1385
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
15160.0 15449.9 15150.0 15285.2 △216.9
《白金》(1グラム)
4470.1 4500.1 4470.1 4444.2 △51.8
《銀》(1グラム)
153.78 154.23 153.78 149.38 △0.41
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 0
<数表>4月16日エネルギー・環境市場[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 18ページ 3470文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 17 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 16577
ソシエテ 12485
サスケハナ 3880
Jモルガン 3346
モルガンS 2219
バークレイ 2031
野 村 1376
日産証 1297
SBI証 1277
楽天証 1226
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 141.15 141.41 141.54 140.57 140.84 -0.27
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.360 35752 131275 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
142.00 ― ― ― 16 138.00 ― ― ― 25
142.25 ― ― ― ― 138.25 ― ― ― 30
142.50 0.10 ― 10 30 138.50 ― ― ― 26
142.75 ― ― ― 42 138.75 ― ― ― 10
143.00 ― ― ― 30 139.00 0.08 -0.17 11 56
合計 12 198 合計 11 327
HV(年率) 6月 8.2
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.522 0 0 772
25 /6 99.446 +0.016 800 642
25 /9 99.432 +0.007 805 676
25 /12 99.405 +0.007 0 112
合計 1605 3390
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5225 +0.0025 13 29868
25 /6 99.4700 +0.0025 5 12875
25 /9 99.4275 -0.0125 100 12683
25 /12 99.3925 -0.0175 127 9053
合計 355 71820
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2490.0 2501.5 2536.0 2477.5 2535.0 +35.0 44531 418813
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 800
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 621 621 641 618 640 +17 4237 31581
25 /9 614 621 626 613 625 +18 34 455
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 33780 33970 34430 33600 34430 +510 40887 178535
25 /9 34170 33930 34420 33700 34420 +520 286 5034
25 /12 33690 34030 34100 33690 34100 +600 8 20769
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 33780 33970 34430 33600 34430 +510 642442 306006
25 /9 33770 33935 34410 33590 34410 +510 15593 8502
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 33760 33965 34430 33600 34430 +510 509488 68480
25 /9 33790 33910 34410 33580 34410 +515 16135 7580
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 33975 33875 34445 33600 34400 +460 21848 73481
25 /9 33840 34315 34315 33840 34370 +465 8 108
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 22650 22660 23030 22510 23030 +370 2789 52311
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 34130 ― 0 5月 30.20 -0.80 5 181
25 /9 ― 34140 ― 0 6月 ― ― ― 18
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 778.0 ― 1334 25年 ― 779.3 ― 4298
26年 ― 743.0 ― 1334 26年 ― 743.1 ― 2382
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 34125 990 -185 9 15 1410 ― 1 5 ―
34250 935 +100 106 157 ― ― ― 4 ―
34375 835 +150 27 11 1350 ― 4 2 ―
34500 815 +100 451 1660 1330 +195 19 2020 1565
34625 755 +155 22 19 1145 ― 1 3 ―
34750 690 +95 626 1226 1230 ― 5 4 ―
34875 600 +70 3 11 1055 ― 2 52 ―
35000 585 +90 4770 4460 1055 +180 428 4970 ―
35125 510 +55 327 392 980 ― 3 43 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 33625 650 ― 20 16 ― ― ― 12 ―
33750 690 -240 74 552 ― ― ― 397 ―
33875 775 +15 26 19 1450 -45 5 34 ―
34000 730 -315 174 4131 1275 -245 821 4535 ―
34125 985 +25 4 9 ― ― ― 3 ―
34250 880 -285 24 595 ― ― ― 144 ―
34375 895 -160 11 8 ― ― ― 3 ―
34500 990 -370 10 915 ― ― ― 1911 ―
34625 ― ― ― 6 ― ― ― ― ―
総売買高コール 29200 枚 プット 31237 枚 日経平均HV 55.2
当日総建玉コール 314487 枚 プット 475094 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.95
ドイツ(1MWh、ユーロ) 69.64
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 11.800
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.827
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) ―
( 16 日)
<数表>4月17日外為市場[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1794文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 143.53 141.31
5月〃 143.32 140.82
6月〃 142.82 140.32
7月〃 142.36 139.83
8月〃 141.90 139.40
9月〃 141.45 138.93
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 143.53 143.93
ユーロ 163.57 163.20
カナダドル 104.38 104.04
英ポンド 192.38 193.37
スイスフラン 175.68 175.48
デンマーククローネ 22.00 21.95
ノルウェークローネ 13.78 13.74
スウェーデンクローナ 15.00 14.90
豪ドル 92.71 92.50
ニュージーランドドル 86.43 86.23
香港ドル 18.79 18.85
シンガポールドル 109.38 109.36
サウジアラビアリヤル 38.87 38.98
U.A.E.ディルハム 39.55 39.66
タイバーツ 4.38 4.35
インドルピー 1.83 1.83
パキスタンルピー 0.66 0.66
クウェートディナール 470.46 476.32
カタールリヤル 39.90 40.01
インドネシア100ルピア 0.97 0.97
メキシコペソ 8.15 8.11
韓国100ウォン 10.25 10.21
フィリピンペソ 2.68 2.69
南アフリカランド 9.06 9.01
チェココルナ 6.60 6.56
ロシアルーブル 1.97 1.96
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.11 38.79
▽みずほ銀
中国人民元 19.80 19.80
トルコリラ 5.54 5.54
台湾ドル(参考値) 4.40 4.40
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 25.34 25.25
( 17 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 142.89 ― 142.91 142.10 ― 142.11
寄付 141.91 ― 141.93 143.15 ― 143.18
高値 141.63 142.05
安値 142.92 143.26
中心 142.46 142.50
直物売買高 41億8200万 ドル
スワップ売買高 413億800万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 84.48
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.6
米ドル 104.2
ユーロ 103.4
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 189.14~189.17円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 90.705~90.730円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 174.68~174.72円
カナダドル /円 1 カナダドル = 102.96~103.00円
NZドル /円 1 NZドル = 84.53~84.56円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3240 ― 1.3244
(1ポンド=ドル) ( 1.3280 ― 1.3284 )
スイスフラン 0.8176 ― 0.8180
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8135 ― 0.8139 )
豪 ド ル 0.6349 ― 0.6353
(1豪ドル=ドル) ( 0.6344 ― 0.6348 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.2980 ( 7.3179 )
日本円(100円=元) 5.1059 ( 5.1269 )
<数表>4月17日債券市場[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 73.34 -1.74
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.81
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.50
中国471(2年) 27/4 0.9 100.49
中国177(5年) 29/12 1.1 101.19
長国378(10年) 35/3 1.4 100.83
超長国191(20年) 44/12 2 96.19
超長国86(30年) 55/3 2.4 95.66
超長国17(40年) 64/3 2.2 84.87
物価連動29(10年) 34/3 * 100.60
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.32
政保政投銀64 30/6 0.09 95.58
東京都(公)807 30/6 0.1 95.41
大和ハウス23 30/9 0.3 95.19
キリンHD17 30/6 0.37 95.92
王子HD40 30/7 0.37 95.43
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.29
日本製鉄6 30/6 0.42 95.60
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.18
OLC18 30/9 0.29 94.99
IHI48 30/9 0.49 95.05
ダイキン27 30/9 0.26 94.93
NEC58 30/4 0.54 95.84
パナソニック25 30/9 1.051 98.34
SUBARU6 30/9 0.42 95.08
三井物産77 30/7 0.28 95.48
JR東日本153 30/7 0.23 95.40
三井不77 30/4 0.48 96.38
中部電力544 30/9 0.3 95.16
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.28
( 17 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.305 % +0.016
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.87
中 期 債 1.11
長 期 債 1.93
◇日経国債インデックス 0.975
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 18日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.92 0.330
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85 0.370
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.49 0.540
中 国471(2) 27/4 0.9 100.49 0.647
中 国157(5) 28/3 0.2 98.58 0.691
中 国167(5) 29/3 0.4 98.55 0.775
中 国177(5) 29/12 1.1 101.19 0.839
長 国362 31/3 0.1 95.44 0.892
長 国366 32/3 0.2 95.00 0.947
長 国370 33/3 0.5 95.87 1.044
長 国374 34/3 0.8 96.85 1.172
長 国377 34/12 1.2 99.31 1.276
超長国191 44/12 2.0 96.19 2.240
超長国(30)85 54/12 2.3 93.71 2.605
超長国(40)17 64/3 2.2 85.02 2.838
<数表>4月17日短期金融市場[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1399文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1299 回債 0.330 0.01
6カ月 1298 回債 0.385 0
1 年 1294 回債 0.540 0.02
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.485 0.484
1週間 0.458 0.457
1カ月 0.451 0.450
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.80091 0.81091
6カ月 0.85727 0.86727
1 年 0.80818 0.81818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.48750 0.49063
6カ月 0.52219 0.52402
( 17 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.476 0.430
1週間 0.533 ―
2週間 ― ―
3週間 ― ―
1カ月 ― ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.600 ―
◇全国コール市場残高
( 16 日確報、億円) 122884
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月17日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/18 2334 2334 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/18 0 0
【4月16日通知分】
国債買い入れ(残存期間1年超3年以下) 4/17 2750 10039 2751 最低▲0.008
国債買い入れ(残存期間3年超5年以下) 4/17 2750 9638 2753 最低▲0.022
国債買い入れ(残存期間5年超10年以下) 4/17 3000 7972 3002 最低▲0.041
国債買い入れ(残存期間25年超) 4/17 750 2558 751 最低▲0.076
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/17 1576 1576 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/17 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5368400 ( 4887300 )
◇資金需給予想( 18 日、億円、実質) 5800 余剰
<数表>4月17日株式市場、先物市場[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 18ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 40851 15185
売買高上位10銘柄占有率(%)
67.6 37.0
売買代金(百万円) 90070 154422
売買単価(円) 220.4 1016.8
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 612
売買成立 1523 602
値上がり 926 421
値下がり 451 149
新値株(年初来) 高値 38 19
安値 5 2
時価総額(億円) 271973 76377
普通株式数(百万株) 31086 10641
1株当たり時価(円) 874.90 717.74
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 27111.64 +1.28%
カバードコールATM 19555.48 +1.01%
リスクコントロール 23023.16 +0.33%
レバレッジ 31572.25 +2.69%
インバース 924.02 -1.34%
ダブルインバース (01年末=100000)
256.66 -2.69%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 271840
売買代金(百万円) 579375
◇空売り比率(東証) 40.5 %
( 17 日)
痩せ細るサバ漁場、太平洋漁獲量、5年で8割減、政府の資源管理 実効欠く[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1314文字 PDF有 書誌情報]
青森県「八戸前沖さば」に宮城県「金華さば」……。サバ名産地が集積する太平洋沿岸で資源量が危機的な低水準まで減っている。太平洋での漁獲量は5年で8割減り、しかも痩せた小サバが中心。水産庁は今年度の漁獲枠を前年度比6割削減するが、直近の漁獲量より枠が大きく資源管理が機能していない。
日本の天然魚でマイワシの次に漁獲量が多いのがサバ。安く健康的として「サバ缶ブーム」が起きた18年はマイワシを上回るほどだった。サバは日本近海に広く分布するが、主要な漁場は太平洋。2023年度の太平洋での漁獲量は10万トンと5年で5分の1になった。
水産研究・教育機構によると最新の資源量は、23年漁期で122万トンと前期比7割減ったと推計される。とりすぎや海水温上昇、餌となるプランクトン減少などの影響が指摘されている。
水産庁は、7月から始まる今年度の太平洋マサバ・ゴマサバの漁獲枠を、前年度比6割減の13・9万トンとする。資源調査をした科学者からは6・8万トンや10・9万トンまで減らす案も提示されたが、巻き網漁業者や加工会社の意見を受け、大きい枠を選んだ。直近23年度の漁獲実績より枠が大きく、漁獲抑制にはつながりにくい。22日の意見交換会を経て、5月上旬に正式決定する。
若手を中心に漁師から懸念の声が上がる。「国は漁業法を改正し資源管理を強化すると決めた。次世代のため、今は痛みを伴ってももっと魚を守るべきだ」と静岡県定置漁業協会の日吉直人会長は指摘する。
3月、日本や米中韓などが参加し、北太平洋公海上の漁獲ルールを決める会議が開かれた。中国など外国船による先取りが定着したサンマの二の舞いにならないよう、水産庁の国際チームは粘り強く交渉し、公海上のサバ漁獲上限を現行比3割減らす合意を得た。公海上の国際規制は、沿岸国である日本の資源管理がきちんとしてこそ来年以降、もっと強化できる。
魚の経済価値向上でも、日本のサバは課題が多い。漁獲量全体のうち、鮮魚として出回るのはわずか1割。5割がマグロなど養殖魚の餌になる。巻き網で100グラム前後の小サバの群れもとっているためだ。小サバは廉価でアフリカに輸出もする。アフリカはかつて欧州からサバを輸入していたが、欧州が資源保護のため大きいサバだけとるようになり、魚価が上昇。エジプトやナイジェリアなどは、より安い日本のサバを買い付けにきた。
アフリカ向けを中心とした輸出も、資源減に伴い3年前から7割減。財務省の貿易統計によると、日本のサバ貿易は23年に数量ベースで輸入が輸出を上回った。ノルウェーや英国から、1キログラムあたり390円と、輸出単価(同166円)の倍以上の価格で輸入している。
今、日本人が食べているサバの約5割がノルウェー産だ。ノルウェーではサバの漁獲枠を漁船ごとに割り当て、漁獲を急がず脂ののった大きいサバを厳選する方が漁師の収入も増える仕組みにしている。サバをとる巻き網漁師の年収は1500万円と、同国全業種の平均年収850万~900万円より高い。
日本はもともと世界有数の漁場を有する海洋国家だ。海の恵みの価値を最大化するため、取り組めることは多い。
(佐々木たくみ)
基礎化学品、アジアで急落 関税応酬受け 車・衣料の需要懸念、ベンゼン、1カ月半で2割安[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1275文字 PDF有 書誌情報]
合成樹脂や合成ゴムの原料になる基礎化学品のアジア市場のスポット(随時契約)価格が急落した。自動車や衣料品の原料に使うベンゼンやタイヤ用ゴムに使うブタジエンは1カ月半ほどで2割下落した。トランプ米政権の関税引き上げと中国などの対抗措置に伴う世界景気の減速懸念が、一部の化学品市況に波及した。
日本経済新聞の調べによると、ベンゼンの東アジア地区の価格(運賃込み)は14日の週に1トン750ドルと、前の週と比べ85ドル(10%)下落した。3月に入り下落基調となり、2月最終週と比べると175ドル(19%)安い。
ベンゼンはスチレンモノマーになり、汎用合成樹脂の一つポリスチレンやタイヤ向けの多い合成ゴムのスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、自動車や家電などに使われるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂などの原料になる。衣料品向けのナイロン繊維の原料にもなる。
24年前半に好調だったアジアから米国向けのベンゼン輸出が25年は低調になったほか、中国経済の不振もあり、アジアのベンゼン価格は下落した。さらに3月以降は関税の応酬による世界経済の先行き懸念も加わり、下げ足を速めている。
ベンゼンのスポットの下落はアジアの大口契約価格にも波及する。スポット価格を参考に決めるENEOSの4月の契約価格(ACP)は、前月比90ドル(10%)安い1トン835ドルで決着した。2カ月連続で下落し、23年7月以来1年9カ月ぶりの安値を付けた。5月も下がる可能性が高い。
ACPを円建てに換算した国内想定価格は3カ月連続で下落した。4月分は1キログラム130・5円と、前月比13・5円(9%)安い。
ベンゼンと同様にSBRやABS樹脂などの原料になるブタジエンも軟調だ。英LSEGによると、ブタジエンのアジアの指標価格は11日までの週に1トン1145ドルと、前の週比170ドル(13%)下がった。2月の高値からは320ドル(22%)安い。
石油化学コンサルタントの柳本浩希氏は「景気悪化で世界的に自動車需要が落ち込む懸念が高まり、基礎化学品のなかでも自動車用途の多い品目として需要減が意識された」とみる。
衣料品分野も影響が広がりそうだ。米国の小口貨物への免税措置を追い風に販売を拡大してきたSHEIN(シーイン)などの格安衣料品も、米国の関税が向かい風に変わり生産が鈍ると予想される。
原油価格の下落を受け、原油から精製しベンゼンやブタジエンのもとになるナフサ(粗製ガソリン)の市況も軟化してきた。アジアのスポット価格は4月に入り1トン600ドルを割り込んだ。ナフサの値下がりは、ナフサからつくるエチレンなど化学品全般の弱材料となる。
一方、ナフサのアジア市況を巡っては、「化学品をつくる際のナフサの代替原料として液化石油ガス(LPG)やエタンを米国から買っていた中国が高関税を避けて輸入を減らせば、ナフサの買いを増やす可能性もある。その場合は相場の下支えとなる」(柳本氏)との声があった。化学品相場が下落一辺倒になるかはなお見極めたいとの見方もある。
ヤマト運輸、宅配4%増、前年度取扱数量 2年ぶりプラス[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 471文字 PDF有 書誌情報]
ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸が2024年度に取り扱った宅配便などの数量は、23年度比4・0%増の19億6121万個だった。年度の数量として22年度以来、2年ぶりに前年を上回った。
新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で電子商取引(EC)の利用が拡大したことを背景に、宅配便の取り扱いは22年半ばまで増加していた。外出再開などで同年秋から需要が落ち着き減少基調が続いたが、24年に入ると反動減が一巡。ヤマト運輸での取扱数量は緩やかな増加に転じた。
25年3月単月の数量は前年同月比5・5%増の1億6020万個だった。12カ月連続でのプラスとなった。
佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの配達事業は、24年度の取扱数量が13億1700万個となった。23年度を4・1%下回った。25年3月単月では前年同月比2・7%減の1億1500万個だった。
日本郵政傘下の日本郵便が25年2月に引き受けた荷物(ゆうパックやゆうメール)は3億6417万個と前年同月比1・4%増となった。このうちゆうパックは前年同月比0・9%減の4053万個だった。
中途求人倍率2.51倍に上昇、3月、コンサルが大幅増[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 396文字 PDF有 書誌情報]
パーソルキャリア(東京・港)が17日発表した3月の中途採用求人倍率は前月比で0・05ポイント上昇し2・51倍となった。コンサルティングの大幅な求人増加などが影響した。
同社の転職サービス「doda(デューダ)」に登録している求人数を、転職希望者の数で割った。求人数は1・3%増加。転職希望者数は新年度に向けた転職活動が山を越え0・7%減ったため、求人倍率が上昇した。
コンサルティングの求人が24・9%増えた。裾野の拡大しているコンサルティング需要に対応。人材を確保するため未経験者の募集も目立つ。「研修、人材育成の充実やワーク・ライフ・バランスの重視を打ち出す企業が増えている」(桜井貴史doda編集長)
4月は部署の異動や春季労使交渉の結果を見て転職を検討し始める人が目立ってくる。入社後すぐに転職サイトに登録する新入社員も増えている。4月は転職希望者数が増加し求人倍率は低下しそうだ。
基礎化学品、アジアで急落 関税応酬受け 車・衣料の需要懸念――フェノール大口 4月分4%安 2カ月連続下落[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 141文字 PDF有 書誌情報]
合成樹脂などの原料となる工業薬品フェノールの国内大口価格が2カ月連続で下落した。三井化学などが決める4月分の価格は1キログラム当たり344円と、前月比13・5円(4%)安い。原料となるベンゼンの国内想定価格が下落した分を反映した。2023年8月以来、1年8カ月ぶりの安値を付けた。
<数表>4月17日卸売市場(主要相場)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 960文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4280頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=もちあい上場421頭
和牛雌A ― ― 2146 2293 2543
和牛去勢A ― ― 2197 2283 2501
交雑種雌B ― 1531 1599 1744 ―
交雑種去勢B ― 1552 1624 1814 2055
▽搬入物 上場338頭
和牛雌A ― 1437 1641 1991 2337
和牛雌B 1266 1350 1396 1432 ―
和牛去勢A ― ― 2187 2319 2467
交雑種雌B 883 1446 1590 1683 ―
交雑種去勢B ― 1474 1634 1714 1928
乳牛雌C 856 883 1159 ― ―
◇大阪=もちあい上場112頭
和牛雌A ― ― 2055 2266 2547
和牛去勢A ― ― 2001 2257 2659
和牛去勢B ― ― 1847 ― ―
交雑種雌B ― 1496 1612 1788 2038
交雑種去勢B ― 1485 1616 1817 ―
◇仙台=もちあい上場110頭
和牛雌A ― 1237 1361 1505 ―
和牛去勢A ― ― ― 1765 2401
乳牛雌B 841 840 ― ― ―
乳牛去勢B ― 1082 ― ― ―
◇さいたま=該当なし上場32頭
◇横浜=軟調上場50頭
和牛雌A ― ― ― 2183 2371
◇名古屋=上場なし
◇京都=強もちあい上場95頭
和牛雌A ― ― ― 2409 2754
和牛去勢A ― ― ― 2298 2643
交雑種雌B ― ― ― 1680 ―
交雑種去勢B ― 1420 ― ― ―
◇神戸=―上場80頭
和牛雌A ― ― 2165 2305 2596
和牛去勢A ― ― ― ― 2587
◇広島=―上場29頭
和牛雌A ― ― ― 2376 2590
和牛去勢A ― ― ― 2268 2605
◇福岡=強もちあい上場116頭
和牛雌A ― ― 2157 2381 2534
和牛去勢A ― ― 2058 2367 2748
亜鉛建値2万7000円下げ 鉛は3000円下げ(短信)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 113文字 PDF有 書誌情報]
三井金属は17日、亜鉛の国内相対取引の目安となる建値を2万7000円引き下げ、1トン40万9000円とした。三菱マテリアルは同日、鉛建値を3000円引き下げ、1トン33万3000円とした。国際価格や為替相場の変動を反映した。
<数表>4月17日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 19ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
17日 226.055
前日比 -0.367
(1970年平均=100)
会社法改正の焦点(下) 株主総会 完全オンラインに 松井秀征・立教大学教授(経済教室)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 25ページ 2847文字 PDF有 書誌情報]
会社法を改正し、完全オンラインの株主総会を開きやすくすることが検討されている。株主総会とは、株式会社の株主が会社に関する事項を決定するための会議体である。つまり株主総会という概念には、会社の意思決定を「株主」が行うという意味合いと、その意思決定を「会議体」で行うという意味合いの2つが含まれる。
本稿で扱う株主総会のオンライン化は、言うまでもなく会議体としての側面が問題となる。株主総会の開催にあたり、これまで本社など物理的な場所に株主を集めていたものを、オンライン上で実施できるようにするということである。
会議体としての株主総会をオンライン化するには、いくつかの段階がある(表1)。まず物理的な場所で開催される株主総会(=リアル株主総会)は維持しつつ、リアル株主総会に出席しない株主がインターネット等を通じて傍聴できるようにする、というものがある(=ハイブリッド参加型バーチャル株主総会)。
これはリアル株主総会を単に中継しているだけで、傍聴している株主は株主総会に出席していないという理解なので、現行会社法の下でも実施可能である。
次に、同じくリアル株主総会は維持しつつ、リアルの場にいない株主でもインターネット等を通じて出席し、議事に加われるようにするというものがある(=ハイブリッド出席型バーチャル株主総会)。この場合もリアル株主総会が開催され、現行会社法の下で開催可能だと解されている。
これに対してリアル株主総会は開催せず、インターネット等の手段によってのみ株主総会を開催し、ここに株主が出席し、議事に加わる、という方法も考えられる(=バーチャルオンリー型株主総会)。これは株主総会招集の決定に際して会社法が開催の「場所」を定めるよう求めていることとの関係で、一般的には会社法改正なしには実施できないと理解されている。
株主総会のオンライン化が大きく進んだのは2020年である(表2)。株主総会プロセス見直しの観点から、バーチャル株主総会に関する議論を進めてきた経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を同年2月に公表した。
この後、新型コロナウイルス感染症の問題が深刻化した。一部の上場会社はこのガイドに基づいてハイブリッド型バーチャル株主総会を実施し、当時の難局を乗り切ったわけである。
むろん当時において実施可能であったのは、あくまでもハイブリッド型の株主総会で、会社法が物理的に開催を求めるリアル株主総会を省略することはできなかった。その後、21年に特別法の産業競争力強化法が改正され、経産相と法相の確認を得た上場会社に限り、リアル株主総会を設けないバーチャルオンリー型株主総会の開催が認められることとなった。
バーチャルオンリー型株主総会は諸外国でもコロナ禍を機に議論が加速した。例えば20年に臨時措置法でこれを可能としたドイツでは22年に一般法化された。
会社法が州レベルで制定される米国の場合、バーチャルオンリー型株主総会を開催可能とする州は18年に30州であったが、20年に33州に増加した。またコロナ禍の下、一般法でバーチャルオンリー型株主総会を認めていない州の多くも臨時措置としてこれを認めた。
今般、わが国で株主総会のオンライン化を会社法改正の対象に取り上げるというのは、コロナ禍で進展したバーチャル株主総会を一般法である会社法に位置づけ、手続きを簡素化して対象企業を拡大するという話である。ただ、より大きな視点で見れば、コロナ禍前からの株主総会プロセスの見直しの議論を完成させるという話でもある。
会社法改正の議論に先立ち公益社団法人・商事法務研究会に設置された会社法制研究会の報告書(25年2月)は、ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とバーチャルオンリー型株主総会への制度的対応に照準を合わせている。その検討の中からここでは株主による提案(動議)や質問の問題、そして通信障害の問題の2点について触れたい。
リアル株主総会に参加する株主は株主総会の議事において、会社提案への対抗提案を出すことができるし、あるいは質問を行って取締役からの説明を求めることもできる。現在の議論の大勢によれば、株主総会がオンライン化された場合でも、このような株主の権利は同じように保障されなければならない(リアルとバーチャルの等価性)。
もっともバーチャル株主総会の場合、株主が個人の居室に設置されたパソコンから出席することも想定され、リアル株主総会と比較して提案や質問に対する心理的なハードルが下がる可能性がある。株主総会を運営する会社側からすれば、株主の提案や質問に延々と対応を求められる可能性もあり、円滑な総会運営の観点からは不安が残る。
そこでバーチャル株主総会の場合、株主による提案や質問は事前に出されたものに限るなど、法的に何らかの制約を課すことも考えられなくはない。ただ、円滑な株主総会運営を妨げる提案や質問の問題は、リアル株主総会の場合でも生じ得るもので、その差は程度問題ともいえる。
このことから、株主からの提案や質問にまつわる問題は、会議運営にかかる議長の権限で制約を加える可能性も含め、リアル株主総会において積み重ねられてきた解釈論の範囲で対応する、というのが議論の出発点となるだろう。
他方、通信障害の問題はリアル株主総会には存在しない、バーチャル株主総会固有の問題である。通信障害自体はそれなりに起こり得るリスクで、これによって株主が議決権行使をできなかった場合、直ちに株主総会の決議方法に法令違反があるとして決議を取り消され得るとなると、会社はバーチャル株主総会の実施をためらうことにもなる。
そこで会社法制研究会の議論ではセーフハーバー・ルール(安全港の規定)を設け、通信障害が会社の故意または重大な過失によって生じた場合に限り決議取り消しを認める、といった可能性が示されている。
仮にこの方向性で議論が進んだ場合、どのような場合に会社の故意・重過失が認められるのかや、あるいは会社の取り扱いに直ちに法令違反はないが、不適切ではあったという場合(通信障害時に株主の質問機会を大幅に短縮するなど)にどうなるかといった、より具体的かつ精緻な検討が必要となろう。
株主総会のオンライン化は株主総会が会議体であることを前提に検討されるものである。ただ上場会社のように株主数が何万人、何十万人ともなるときに、会議開催を前提とした議論はある意味で滑稽である。
株主総会オンライン化も過渡的な議論で、中長期的には完全な書面投票とする可能性も含め、株主の意思決定を会議で行うことの合理性そのものが正面から議論されるべきであろう。
<ポイント>
○株主総会オンライン化はコロナ禍で進展
○通信障害時の対応は精緻な検討が必要に
○将来は株主の意思決定のあり方も議題に
まつい・ひでゆき 70年生まれ。東京大法学部卒、同・修士(法学)。専門は商法、会社法
歴史に自然実験を見いだす(8) 教育が子の将来に与える影響 一橋大学教授 森口千晶(やさしい経済学)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 25ページ 830文字 PDF有 書誌情報]
子どもに「なぜ学校に行かなければいけないの?」と聞かれたことはありませんか。「法律で決まっているから」という答えは、親子関係を悪化させるだけでしょう。
そもそも義務教育はなぜ義務なのでしょうか。教育基本法には、義務教育の目的は「社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養う」ことにあると記されています。社会の一員になるための必要条件というニュアンスです。
本人にもメリットはあるのでしょうか。データでは、教育年数は様々な良いアウトカムと正の相関関係があります。教育年数が長いほど、社会経済的な地位が高く、人生の満足度も上がる一方で、失業率や離婚率は低く、有病率や死亡率も下がります。
しかし、これが因果関係だとは断定できません。遺伝的素質や家庭環境といった観察困難な「第三の要因」が双方に影響している可能性があるからです。
この問題の解決策としてよく使われるのが、遺伝と家庭環境が同じ双子を比較する方法です。しかし、教育年数の違う双子には数の限りがあります。そこで有用なのが、学校の増設など、教育年数だけを変化させるような制度改革を自然実験に用いる方法です。
学習院大学の増田一八准教授らは、教育が健康に与える影響を計測するため、占領期の日本における教育改革に着目しました。1947年に中学校が義務教育化されたことを用いて、改革直前の世代と直後の世代の87歳までの死亡率を厳密に比較したのです。その結果、改革は教育年数を引き上げたものの、死亡率には全く影響を与えなかったことがわかりました。
英国やスウェーデンの教育改革を用いた研究でも、中等教育は所得を上昇させましたが、死亡率には影響を与えません。これに対して大学進学は、所得を上昇させるだけではなく、喫煙率の低下などを通じて、寿命を延ばすという結果が得られています。
子どもには、義務教育を受けるとより豊かな生活を送ることができ、高等教育を受けるとさらに豊かで健康的な生活が待っていると伝えましょう。
ブランドコミュニティーを築け ピーティックス共同創業者・CMO 藤田祐司(私見卓見COMEMO)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 25ページ 0文字 書誌情報]
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特集――NIKKEI脱炭素プロジェクト シンポジウム GXの流れ変わらず 今できること着実に(2)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 28ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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特集――NIKKEI脱炭素プロジェクト シンポジウム GXの流れ変わらず 今できること着実に(1)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 29ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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特集――NIKKEI脱炭素プロジェクト シンポジウム 社会への影響を評価 企業や地域の挑戦必要(2)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 30ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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特集――NIKKEI脱炭素プロジェクト シンポジウム 社会への影響を評価 企業や地域の挑戦必要(1)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 31ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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特集――第73期将棋王座戦 挑戦者決定トーナメント24日開幕、王座挑戦権 勝ち取るのは?[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 33ページ 1838文字 PDF有 書誌情報]
七冠を持つ藤井聡太王座(22)への挑戦者を決める第73期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)の挑戦者決定トーナメント(本戦)が24日開幕する。本戦シードの5人に抱負を聞くとともに予選を勝ち抜いた11人を紹介。シンガポールで開幕する秋の五番勝負に向け精鋭ぞろいの本戦を藤井王座が展望する。(王座のインタビュー映像を日経電子版に)
永瀬拓矢九段(32) 王座獲得4期、五番勝負は6期連続出場。今年も王将戦、進行中の名人戦で藤井七冠との番勝負が続く。「一局一局がとても勉強になっていて日々成長を実感する。王将戦も有意義で得難い経験が出来た」。初戦の佐々木八段は小学生の時からのライバル。名人戦と並行しての本戦も「しっかりと準備をして良い将棋を指せれば」。
伊藤匠叡王(22) 昨年6月に初タイトルを獲得、タイトル保持によるシードで初の本戦。「初戦の山崎九段は独創的な将棋でどんな戦法が飛んでくるのか分からない。ここしばらくはタイトル挑戦ができておらず、結果が伴わない状況が続いている。いま最も挑戦に近い棋戦が王座戦。もちろん目指すは挑戦ですが、目の前の相手は強敵なので一局一局戦っていきます」
羽生善治九段(54) 激務の日本将棋連盟会長を6月の任期満了で退任する。「2024年度は負け越しに終わってしまった。巻き返せるように気力を充実させて向かっていく」。退任で対局へ専心できるとあり、あと1期に迫るタイトル通算100期へ期待も大きい。「前期は挑戦者決定戦まで進んだが残念な結果に終わった。新たな気持ちで本戦に臨みたい」
鈴木大介九段(50) 「とりあえず研究仲間の永瀬九段とは別の山でホッとした」。初戦の斎藤六段とは修業時代からの付き合い。「棋士になってからはAI(人工知能)研究で序盤も洗練された。序盤で離されないようにしたい。下馬評では私は不利かもしれないが、去年は一局一局の積み重ねでベスト4まで行けた。今年もその気持ち」
広瀬章人九段(38) 竜王などタイトル獲得経験のあるトップ棋士だが、前期は意外にも初のベスト4。24年度は各棋戦で上位に進出し「対局数の多い1年だったという点では満足」と振り返る。「ただ年が変わってから対局ペースが落ちてきて、現状自身の調子をはかりかねている。初戦の斎藤八段は叡王挑戦など充実している印象。いきなりの強敵になりますが、昨年以上の成績を目指して頑張ります」
丸山忠久九段(54) 2年連続、藤井王座を決勝で破り銀河戦連覇。対局には特大の扇子を持って臨む。下火になった「一手損角換わり」戦法を今も愛用。専門分野の研究は若手にも負けない。
郷田真隆九段(54) 昨年度のNHK杯戦で決勝に進出し改めて存在感を示した。格調高い棋風で棋界きっての長考派、一手1時間超えもしばしばの「記録係泣かせ」。
屋敷伸之九段(53) アクロバティックな指し回しが特徴で「忍者屋敷」の異名をとったオールラウンダー。藤井王座に破られるまで最年少タイトル獲得記録を保持した。
久保利明九段(49) 現役の振り飛車党で最多、タイトル7期の第一人者。「AIの振り飛車へのマイナス評価は納得できない。結局は中終盤が強い人が勝つ」
山崎隆之九段(44) 24年度は棋聖戦で挑戦者となり15年ぶりにタイトル戦に登場。「挑戦者になってしまった……」の印象的な言葉でもファンをわかせた。
菅井竜也八段(33) 振り飛車党のトップ棋士。「一流棋士になるまで応援する」と発足した後援会「竜棋会」は役目を終えたとして24年解散。
斎藤慎太郎八段(31) 詰め将棋の名手で今年3月の詰将棋解答選手権は解答者ではなく出題者として参加。4月に始まった叡王戦五番勝負で伊藤叡王に挑んでいる。
佐々木勇気八段(30) 24年は竜王戦でタイトル初挑戦を果たし飛躍の年に。王座戦はデビュー15年目で初の本戦。永瀬九段いわく「佐々木さんは同世代の天才」。
千田翔太八段(31) トップリーグの順位戦A級に在籍。解説上手でファンやメディアから引っ張りだこ。昨年は本紙でも自戦記を執筆した。
及川拓馬七段(37) 中学では卓球部、高校ではギター部。上田初美女流四段とは棋界屈指の仲良し夫婦。「知名度は妻のほうが上」とのこと。
斎藤明日斗六段(26) 若手中心に広がる棋界のサウナブームの先駆け。同門の伊藤叡王らにタイトル挑戦で先を越され、師匠の宮田利男八段に発破をかけられている。
特集――第73期将棋王座戦 挑戦者決定トーナメント24日開幕、藤井王座「永瀬九段ら最有力」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 33ページ 690文字 PDF有 書誌情報]
藤井聡太王座に本戦トーナメントの展望を聞いた。
――1回戦の注目は。
藤井 永瀬九段と佐々木八段は伝統の一戦。ともに序中盤の研究が深く、終盤も技を掛け合う面白い将棋が多い。鈴木九段は昨年、若手を相手に力強い指し回しでベスト4に進出した。対する斎藤六段は勢いのある若手でどういう戦いになるか。面白いカード。
――本命は。
藤井 最近の実績・活躍から永瀬九段、伊藤叡王が最有力。ただ組み合わせで近い位置にいるので……山崎九段、佐々木八段を含む、あのブロックを勝ち抜いた人が本命と言えるかと。反対の山は、19連覇という実績もあり、王座戦の適性も高い羽生九段が有力だと思う。(日本将棋連盟会長を退任する)羽生九段は対局に一層力を入れると推察できるので注目している。
――対抗馬は。
藤井 斎藤八段は復調著しい。挑戦中の叡王戦でも秒読みに入ってからの落ち着いた指し回しが印象的。王座戦も叡王戦と同じ(消費時間の減りが早い)チェスクロック方式。その適性も上げている。
――3月、永瀬九段との王将戦第5局で、デビュー9年目にして初めて2手目に△3四歩と指しました。
藤井 △3四歩も考えてみたら面白いと思うところがあった。「角換わり」や「相掛かり」により関心があり、これまで(その戦型になりやすい)△8四歩を指していた。かなり対局を積んだ一方で定跡が進んできて、より細かい工夫が求められてきたところがあるので、定跡型ではなく互いに指し手の幅が広い△3四歩も面白いかなと。
【図・写真】永瀬九段の挑戦を3連勝で退けて初防衛を果たし、感想戦で対局を振り返る藤井王座(右)(24年9月、京都市東山区)
特集――第73期将棋王座戦 挑戦者決定トーナメント24日開幕、伊藤叡王対山崎九段 ライブ中継、「展望」きょう配信[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 33ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
第73期王座戦2次予選の好取組を生配信してきた日経電子版「NIKKEI LIVE」では、挑戦者決定トーナメント(本戦)でも注目の対局を生中継する。本戦開幕に先立ち、18日に木村一基九段と中村太地八段をゲストに迎え「“観る将”のための王座戦講座 in 棋の音道場」と銘打ったトークショー(詳細はQRコード上)を開催。見どころを紹介する。木村九段と中村八段は昨年末にNIKKEI LIVEで配信した「2024年将棋界回顧」でも軽快なやり取りが好評を博した。
24日には開幕戦の一つ、伊藤匠叡王対山崎隆之九段戦のもようを午前10時の対局開始時から将棋AIの評価値付きで生中継する(QRコード下)。同日夕方からは中村八段によるテキスト解説も付く。王座戦本戦初出場の伊藤叡王に対し、関西の人気棋士で独創的な棋風の山崎九段がどんな指し回しを見せるのか注目だ。
【図・写真】NIKKEI LIVE「2024年将棋界回顧」でも共演した木村一基九段(右)と中村太地八段
特集――日本経済新聞電子版 AIが記事の疑問に即答、電子版に新機能「Ask!NIKKEI」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 34ページ 212文字 PDF有 書誌情報]
「日本経済新聞 電子版」は有料会員向けに、ニュースの理解を助ける新機能「Ask! NIKKEI(β版)」の提供を始めました。読者がニュースに関する疑問を入力すると、生成AI(人工知能)が電子版の記事を使って情報を整理し項目立てて解説します。回答に引用した記事もすぐに参照できます。確かな情報を広く深く収集して仕事や投資、就職活動にご活用ください。当面はウェブブラウザーで提供し、6月以降に電子版アプリでも対応する予定です。
ベイ東、動じず窮地でピシャリ リードに甘えず8回零封(プロ野球)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 683文字 PDF有 書誌情報]
七回まで二塁を踏ませなかったDeNA・東が、ピンチに見舞われたのは完封も視野に入ってきた八回だった。先頭から連打されたが2死を奪い、岸田は遊ゴロ。それで終わりのはずが、送球ミスが出て満塁だ。
ここで東の脳裏をよぎったのが、こういう試練はむしろ投手にとっての好機だという「ある人」の言葉だったそうだ。ある人とは2023年までチームの先輩だった今永(カブス)。直近の登板で、邪飛落球のあと本塁打を打たれたが、あそこは自分がさらに仲間の信頼を得るためのチャンスだったという言い方をした、と報道されている。
東はその教えに従い、試練を糧にした。迎えたのは代打の長野。フルカウントまで持ち込まれたが、最後は7球目の変化球でバットに空を切らせた。「あそこで抑えることで、さらにチームの信頼を得られると思う」
大量点に守られて、という言い方があるが、序盤の大量リードは妙な重圧になったり、1点くらいはいいか、という気になったりするものだ。だが、東は緩めず、硬くもならず、自分を通した。
周りがどうこうという相対の世界ではなく、とにかく自分、自分さえしっかりしていれば、という絶対の世界に身を置く。そこが今永に通じる強さかもしれない。
連敗で回ってきた出番も、むしろチャンスととらえていたらしい。「日本シリーズを思い出した。ここで勝ったらヒーローになれる、と」
昨季の日本シリーズでは連敗を受けた登板で勝利。逆転日本一の機運を呼び込んだ。チームは負け越しのスタートになったが、逆境に強いエースがいる限り、大崩れはないはずだ。
(篠山正幸)
【図・写真】8回を無失点に抑えたDeNA・東
(体操)岸が予選首位、杉原2位 全日本体操――宮田、2度落下も挽回 女王の気概[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 576文字 PDF有 書誌情報]
3種目めの段違い平行棒の出だし。宮田はさして難しくない離れ技でバーから手が離れ、派手に背中からマットに落ちた。最初の床運動を無難に滑り出し、続く得意の跳馬でEスコア(実施点)9.133点と高評価を得ただけに、「いつもは出ないありえない失敗」の動揺は大きかった。不安定な演技が続き、もう一度落下して10.600点。前回覇者が予選で追い込まれた。
圧勝で初制覇した1年前とは、注がれる目線がまるで異なる。続くNHK杯も制し、エースとして五輪初出場を果たすはずだったパリの扉は未成年時の飲酒と喫煙の発覚で閉ざされた。昨秋には試合に復帰したが、今大会は足首の痛みもあり、前日には「順位は気にせず、自分の体操をやりたい」と控えめに話していた。
それでも心の種火は消せなかったということだろう。この日の最終種目は苦手な平均台。「(今大会は)点数は考えたくなかったけど、(決勝で)もう一回演技したい。絶対に諦めたくない」と奮い立った。幅10センチの台上でふらつきもほぼない「完璧に近い」演技を貫き、納得の13.500点で持ち直した。
4種目合計でトップとは3点超離されて21位で決勝に進む。「余裕を持った演技を今以上に仕上げられるように。やっぱり世界で今すぐではなくても、仕上がった状態で演技したい」。演技後に涙した20歳の偽らざる思いがあふれた。
(佐藤淳一郎)
(フィギュア)世界国別フィギュア、日本2位発進――鍵山SP4位、4回転フリップ鬼門[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 498文字 PDF有 書誌情報]
シーズン最後の国際試合で、少々お祭り色の強い今大会。各選手が演技をまとめることに重きを置く中、鍵山は一人、明確な目標を立てていた。今季初めてSPに4回転フリップを投入。「来季を見据えて良いチャレンジをしたい」と前日に意気込みを語っていた。
3位だった3月の世界選手権ではフリーで失敗するなど、実は良いイメージを持てていないジャンプだ。「大会後はなかなか自信がつかなくて。どういう練習をやろうかとなっていた」と鍵山は正直に胸の内を明かす。直前の6分間練習でも一度も決まらないなど状況は変わらず、本番演技では3回転となり転倒した。
それでも残りの要素はまとめきり、全て高い出来栄え点を獲得した。「フリップに意識を向けすぎても他のエレメンツに響く。今できる演技をやろうと思った」。4回転フリップの失敗後に大崩れした世界選手権の反省を生かした形。失意の結果から立ち直るにはまだ時間がかかるが、少しずつ前に進んでいるといっていいだろう。
フリーに向けては「失うものは何もない。最初から最後まで全力で楽しみたい」。今の鍵山にとって、一番必要な心構えかもしれない。
(堀部遥)
【図・写真】男子SPで演技する鍵山
クロワデュノール、3戦無敗で実績上位 皐月賞枠順決定[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 417文字 PDF有 書誌情報]
中山競馬場で20日に行われる3歳三冠の第一関門、第85回皐月賞(GⅠ・芝2000メートル)の出走馬18頭と枠順が17日、決まった。同レースの馬券は19日から全国発売される。2歳時にGⅠを含め3戦無敗のクロワデュノールが実績上位。
同馬は昨年6月のデビュー戦を好タイムで勝ち、11月のG2、東京スポーツ杯2歳ステークスで連勝。今回と同じコースで暮れのGⅠ、ホープフルステークスも楽勝だった。重賞2戦で破った相手は、2月以降の主要レースを次々に勝っており、能力の高さは証明済み。3月半ばに栗東に戻って調整も順調だ。
サトノシャイニングは東京スポーツ杯2着の後、2月にG3のきさらぎ賞を圧勝。当時の2、3着馬は次の重賞で活躍しており、逆転を狙う。
ヴィンセンシオは3月の弥生賞(G2)で小差の2着。まだ能力の底を見せていない。エリキングは骨折明けだが3戦無敗。ファウストラーゼンは中山向きの機動力がある。ジョバンニは相手なりに走るタイプ。
(フィギュア)世界国別フィギュア、日本2位発進――坂本は僅差2位、後半でミス[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 247文字 PDF有 書誌情報]
2大会連続で主将を務める坂本は、世界女王のリュウと僅差の2位。ミスが出たのは後半に挑んだ3回転の連続ジャンプ。1本目の着氷がわずかに乱れ、「思い切っていけば」と唇をかんだ。
3月下旬の世界選手権を2位で終えた後、帰国してアイスショーに出演。疲労感は「限界突破」と笑う。それでも歓声の中で伸びやかな滑りを披露し演技前半に跳んだ2つのジャンプでは高い加点を得た。チームメートと臨む団体戦に「体の動きはいい。世界選手権より楽しくできた」と自然体で挑めているようだ。
【図・写真】女子SPで演技する坂本
代打の平沼、決勝適時打 西武(プロ野球)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 243文字 PDF有 書誌情報]
西武は2―2で迎えた七回2死一、三塁で、代打の平沼が勝ち越し適時打。追い込まれながら、オリックス古田島の速球をしぶとく中前へ落とした決勝打を「いい場面で送り出してもらった。なんとか落ちてくれと思っていた」と喜んだ。
打率1割台ながらも好機で起用した采配が当たり「ここというときの勝負強さがある。スタメンより、代打のほうが集中力が入っているのかな」と西口監督。カード勝ち越しを決めた一戦で打線は14安打を放ち、監督は「つながりが出てくれば、もう少し点数も取れる」と手応えを得つつあった。
(体操)岸が予選首位、杉原2位 全日本体操――好発進の杉原「自分が驚き」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 229文字 PDF有 書誌情報]
首位と僅差の2位発進となった杉原は「一番自分が驚いている」と笑みが絶えなかった。苦手意識のある最初の段違い平行棒で「試合で初めて使った」という宙返り技を成功させると勢いに乗り、得意の床運動では今季新調した曲を感情たっぷりに演じきった。
リオデジャネイロ、東京と五輪を経験。パリ大会は代表入りを逃したが、「体操の楽しさをもっと表現したい」との情熱は不変だ。決勝は最終種目となる床運動で難度を上げる予定。「楽しい体操ができれば結果もついてくる」と前向きだった。
混戦、模索する突破口(アナザービュー)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 911文字 PDF有 書誌情報]
武智幸徳
今季のJリーグ1部(J1)は開幕から10節を過ぎた順位に〝異変〟が生じている。上位に昨季12位の福岡、同14位の京都や昇格組の岡山がいる一方、横浜Mや名古屋といったビッグネームが下位に甘んじている。
順位が毎節めまぐるしく変動する団子レースについて、日本代表の森保一監督は「ビッグクラブが当たり前のように上位にいる欧州と違い、Jリーグはどこが勝ってもおかしくない、世界でも特別なリーグ」と語る。
まるで群雄割拠の戦国時代のようなありさまに、試合で違いを生み出せるスーパーな技量の持ち主が、あらかた欧州に流出している影響があるのは間違いない。これからそういう存在になりそうな有望株まで青田買いされ、海外から戻ってくる実力者はベテランと呼ばれる年齢にさしかかり賞味期間はそれほど長くない。外国人選手も小粒の感は否めない。
クラブ間の財政規模に大小はあるし、選手の質も細かく見れば優劣はある。が、その差はどう逆立ちしても埋め切れないほどのものではなく、監督の手腕という要素も絡まって、あまたの接戦を生んでいるように思うのである。
個人的に気になるのは、多くの試合から似通った印象を受けること。どのチームも強度をベースにして、球際の戦いの激しさやハードワークに関して疑う余地はない。半面、前半は盾と盾をぶつけ合うような消耗戦が続き、強力な盾を避けて短兵急な前線へのロングキックも多用される。「頑張るなあ」と感心はするが「うまい」と膝を打つような場面は乏しい。
ヤリや矛を持った騎士が輝き始めるのは、疲れから陣形が間延びする後半の半ばあたりから。そこからやっとサッカーらしさを楽しめるような……。ロドリゲス新監督を迎えて組み立ての妙を見せてくれる柏のようなチームはあるものの、全体的に色味に乏しい感じはぬぐえない。
華麗な連係で一世を風靡した川崎、横浜Mによる両統迭立の時代に、神戸は強度に大迫勇也や武藤嘉紀、酒井高徳ら個の力を塗り込めて終止符を打った。神戸が引き上げた盾と矛のスタンダードをどう乗り越えるか。その答えを出すためにどのチームも、もがきながら踊り場にいるような。渋滞で混雑した順位表はそんなことを感じさせる。
バレー男子代表、石川・高橋藍らを登録(短信)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 144文字 PDF有 書誌情報]
日本バレーボール協会は17日、2025年度の男子日本代表登録メンバーとして、パリ五輪で主力を担った石川祐希(ペルージャ)高橋藍(サントリー)西田有志(大阪B)ら43人を選んだと発表した。1月の全日本高校選手権で東京・駿台学園高の3連覇に貢献した川野琢磨(早大)ら11人が初選出となった。
水木が優勝 女子ゴルフ下部ツアー(短信)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 122文字 PDF有 書誌情報]
女子ゴルフのステップアップツアー、フンドーキン・レディースは17日、大分県臼杵CC(6459ヤード、パー72)で最終ラウンドが行われ、首位から70で回った水木春花が通算7アンダー、209で逃げ切って優勝した。2打差の2位には福田萌維が入った。
(フィギュア)世界国別フィギュア、日本2位発進[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 445文字 PDF有 書誌情報]
フィギュアスケートの世界国別対抗戦は17日、東京体育館で開幕して3種目が行われ、4大会ぶりの優勝を目指す日本は順位点の合計44点で2位につけた。女子ショートプログラム(SP)で坂本花織(シスメックス)は75.54点で2位、千葉百音(木下アカデミー)は69.66点で4位。
男子SPの鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)は93.73点で4位。4回転を予定したフリップが3回転になって転倒した。佐藤駿(エームサービス・明大)は93.68点で5位。アイスダンスのリズムダンス(RD)で吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)は6位だった。
2連覇を狙う米国が52点で首位発進。SPの男子でイリア・マリニンが106.08点、女子でアリサ・リュウが75.70点、RDでマディソン・チョック、エバン・ベーツ組が今季世界最高の91.25点を出し、各種目の世界選手権覇者がいずれも1位となった。
2年ごとの開催で、日本は過去2大会連続3位。6カ国で争い、男女各2人、ペアとアイスダンス各1組が演技する。
(体操)岸が予選首位、杉原2位 全日本体操[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 297文字 PDF有 書誌情報]
体操の世界選手権(10月・ジャカルタ)代表2次選考会を兼ねて個人総合で争う全日本選手権は17日、群馬県の高崎アリーナで開幕して女子予選が行われ、昨年2位でパリ五輪代表の17歳、岸里奈(戸田市SC)が4種目合計54.266点でトップとなった。昨年初優勝した宮田笙子(順大)は21位で、上位30人で争う19日の決勝に進んだ。
25歳の杉原愛子(TRyAS)が54.199点で2位通過。大阪・相愛中2年の南埜佑芽が3位、ともにパリ五輪に出場した16歳の中村遥香(以上なんばク)は7位、岡村真(相好ク)は13位だった。男子は18日に予選、最終日の20日に決勝を実施。5月のNHK杯が最終選考会となる。
西武本拠地にミスト導入 温度5度低下期待(プロ野球)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 253文字 PDF有 書誌情報]
プロ野球西武が埼玉県所沢市の本拠地、ベルーナドームの暑さ対策として、観客席付近に大規模な冷却用ミストの噴射装置を導入することが17日、関係者への取材で分かった。7月8日の楽天戦から稼働させる予定で、最大5度程度の温度低下が期待できるという。
内野指定席付近の10カ所で、屋根や支柱の足元からミストを噴射する。ベルーナドームは1979年に屋外スタジアムの西武球場として開業し、99年に屋根をかけてドーム球場となったが、屋根とスタンドの間に壁がなく外気が入り込む構造で、近年の酷暑への対応が必要となっていた。
レアル敗退、4強逃す[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 236文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=共同】サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)は16日、マドリードなどで準々決勝第2戦の2試合が行われ、アーセナル(イングランド)とインテル・ミラノ(イタリア)が勝ち上がり、4強が出そろった。準決勝のカードはアーセナル―パリ・サンジェルマン(フランス)、バルセロナ(スペイン)―インテル・ミラノ。
アーセナルはレアル・マドリード(スペイン)に勝ち16季ぶりに4強入り。インテル・ミラノはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)と引き分けて2季ぶりに準決勝に進んだ。
(大リーグ)大谷、今季6号[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 159文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米大リーグは16日、各地で行われ、ドジャースの大谷はロサンゼルスでのロッキーズ戦に「1番・指名打者」で出場し、一回の第1打席で右越えへ今季初の先頭打者本塁打を放った。ナ・リーグトップに並ぶ2試合ぶりの今季6号で、第2打席で右前適時打もマークして5打数2安打2打点。チームは8―7で3連勝とした。
(大リーグ)大谷のWBC、参加容認姿勢 ロバーツ監督[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米大リーグで大谷翔平が所属するドジャースのロバーツ監督は16日、ロサンゼルスで取材に応じ、来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について「チームには最高の選手がたくさんいる。彼らが出たいなら、もちろんサポートする」と述べ、参加を容認する姿勢を示した。
侍ジャパン、11月に韓国戦(プロ野球)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 37ページ 132文字 PDF有 書誌情報]
野球日本代表の事業会社「NPBエンタープライズ」は17日、日本代表が11月15、16日に東京ドームで韓国と強化試合を行うと発表した。2026年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で2連覇を目指す日本にとって、本番前最後の海外勢との実戦となる見込み。
石綿救済対象、縮小認めず 大阪高裁、賠償請求権の期限巡り 国に賠償命令[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1185文字 PDF有 書誌情報]
勤務先の工場でアスベスト(石綿)を扱いじん肺を発症したとして、元労働者の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、大阪高裁であった。国は2019年に救済対象を狭める運用を始めたが判決は変更を認めず、国に賠償を命じた。運用変更により救済対象から漏れた人は一定数いるとみられ、国は対応を迫られる可能性がある。
石綿による健康被害を巡っては最高裁が2014年に国の賠償責任を認定。国は救済に向け当事者らとの和解に応じてきた。不法行為から20年が経過すると賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」の起算点は当初、行政側が健康被害を認めた時点とされた。
しかし原告の弁護団によると19年10月、国は除斥期間の起算点を発症が認められた時点に前倒しする運用に変えた。賠償請求権がより早く消滅することになるが、当事者らには周知していなかった。訴訟では一連の運用変更の是非が主な争点となった。
この日の判決で三木素子裁判長(谷口安史裁判長代読)は、石綿を吸い込んでから長い年月を経て発症・進行するじん肺の特徴に着目。症状の確定は医学上も難しく、じん肺による損害は「行政上の決定を受けたときに発生したというべきだ」と指摘した。
同様の判断は最高裁が1994年と2004年に示している。国は「行政上の決定に相当する症状が発現したと客観的に認定することができる時点」が起算点になると主張したが、判決は「じん肺の特性や最高裁の判示を正しく理解していない」と退けた。
原告側の元労働者は1999年10月にじん肺と診断され、2000年5月に健康被害を認める決定を受けた。20年5月に提訴したが診断時からは20年がたっていた。23年12月の一審・大阪地裁判決は除斥期間の起算点を診断時として原告側の請求を認めなかった。
今回の判決を受け弁護側は17日、除斥期間の起算点の変更について「国が賠償責任を負う被害者の権利を失わせるもので到底許されない」とする声明を発表。奥村昌裕弁護士は「正常な手続きに戻す高裁判決には大きな意義がある」と語った。
原告の一人は「逆転できると信じていた。提訴から約5年もかかり、この間の不安は言葉にできない。国は上告せず早く和解に応じてほしい」とのコメントを出した。
厚生労働省は「国の主張が認められなかったと認識している。判決内容を精査しているところであり、関係省庁と協議しつつ、対応を検討していく」とコメントした。
▼アスベスト(石綿)健康被害救済 工場での健康被害を巡り、国は2014年の最高裁判決を受け、1958~71年に石綿工場で働いた▽健康被害を受けた▽賠償請求権がある――との条件を満たせば、和解手続きで賠償金を支払っている。石綿疾患は潜伏期間が長いことから、損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」(20年)を経過しているとして認められないケースもある。
タクシー免許、最短3日 運転手確保へ教習削減 警察庁、9月施行めざす[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1028文字 PDF有 書誌情報]
警察庁は17日、タクシーを含めた旅客運送に必要な「普通2種免許」の教習時間を3割減らす方針を明らかにした。これまで6日かかっていた教習期間は最短3日になる。タクシー運転手の人手不足は深刻で、交通インフラの維持が各地方の課題だ。外国人向けに免許試験の多言語化も進め、人材確保を後押しする。
警察庁は道路交通法の施行規則を改正する方針で、パブリックコメント(意見公募)を実施する。公募を踏まえ、9月1日の施行を目指す。
2種免許は車に客を乗せる事業に必要で、主にタクシー向けの「普通」とバス向けの「中型」「大型」などがある。取得には教習所に通う場合、適性試験や学科試験の合格が求められる。
普通2種免許の取得にあたり現行制度では、19時限の学科と21時限の技能の計40時限の教習を受ける必要がある。道交法施行規則の改正により学科を17時限、技能を12時限として計29時限に減らす。警察庁によると、教習期間は3日に半減できるという。
政府は2024年6月に閣議決定した規制改革実施計画で、タクシー運転手の確保に向けて免許教習の効率化を盛り込んでいた。
警察庁は教習時間を減らした場合の影響を実験で調べた。学科は17時限あれば合格基準点に達し、技能は普通免許と重複する運転姿勢や坂道走行の教習を減らしても問題ないと結論づけた。バス向けの大型2種と中型2種の教習もそれぞれ1時限減らす。
国土交通省によると、22年度の法人タクシーの運転手は21万4972人で、00年度(35万6463人)から4割減った。地方を中心に住民の移動に支障が出ており、タクシー業界は2種免許の取得などについての規制緩和を要望してきた。
制度は段階的に見直されており、22年施行の改正道交法で2種免許を受験できる年齢を「21歳以上」から「19歳以上」に引き下げた。外国人も受験しやすいように、2種免許の試験問題は24年から20言語に対応している。
タクシー運転手として働くために国土交通省が課す試験も簡略化された。営業区域の地理を理解しているか確かめる「地理試験」と関係法令の理解度をはかる「法令試験」のうち、同省はカーナビの普及などを背景として24年に地理試験を廃止した。
日の丸交通(東京・文京)によると、外国人乗務員は免許を含め学科試験に合格するハードルが高かったという。採用担当者は「規制緩和によって人材の裾野が広がる。運転技術や地理を学ぶ社内研修に引き続き力を入れたい」と話した。
山梨側富士登山、24日に予約開始 通行料4000円に上げ[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 252文字 PDF有 書誌情報]
山梨県は17日、富士山の2025年度夏山シーズンの山梨側登山道吉田ルートの通行予約を24日午後1時に始めると発表した。「富士登山オフィシャルサイト」内にある通行予約システムで受け付ける。今夏は通行料4000円(前年は2000円)を徴収する。
吉田ルートの開山期間は7月1日~9月10日。1日あたりの入山者数は原則4000人を上限とし、5合目ゲートは午後2時から翌午前3時まで閉鎖される。25年度の通行予約システムには危険な軽装登山を防ぐため、登山に必要な装備の確認と順守事項を誓約させる機能を追加した。
佳子さま、漆芸家と懇談 輪島の技術研修所訪問(短信)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 114文字 PDF有 書誌情報]
秋篠宮家の次女、佳子さまは17日、石川県輪島市の県立輪島漆芸技術研修所を訪問された。能登半島地震で被災した輪島塗などを手掛ける漆芸家らと懇談し、「どのようにお過ごしでいらっしゃいますか」と尋ねるなど、被災後の生活を気遣われた。
「世界の記憶」に増上寺仏典 家康が収集、ユネスコ決定 広島原爆資料登録は見送り[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 420文字 PDF有 書誌情報]
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は重要な文書や絵画などを保護する「世界の記憶」に、徳川家康ゆかりの「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」を登録することを決めた。パリで開催中の執行委員会が17日決定した。日本関連の「世界の記憶」(国際登録)は9件目になる。
増上寺の仏典は南宋から元の時代だった中国で12~13世紀に制作された2種類と、朝鮮半島にあった高麗で13世紀に作られた1種類の仏教文書群。家康が収集した総数約1万2千点からなる。15世紀以前に作られた3種類の仏教文書群が、ほぼ完全な状態で存在するのは世界でも珍しいとされる。
日本政府が仏典とともに推薦した「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」は議題に上らず、今回の登録は見送られた。ユネスコや政府は理由を明らかにしていないが、一部の国からの異議により審査段階で手続きが停止したとみられる。
【図・写真】「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」の一部(2021年、東京都港区)
宇宙に生物由来物質? 英チーム、太陽系外生命「強い証拠」[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 366文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】英ケンブリッジ大などのチームは16日、地球から約120光年離れた太陽系外惑星「K2―18b」の大気中で、地球上では生物によって作られる化学物質を検出したと発表した。チームは太陽系外に生命が存在する可能性を示す「これまでで最も強い証拠だ」としている。
この惑星の重さは地球の8.6倍、大きさは2.6倍で、恒星の周りを回っている。米航空宇宙局(NASA)が2021年に打ち上げたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使った観測で、地球では海洋植物プランクトンなどが生成する硫黄化合物「ジメチルスルフィド」などを検出した。
惑星の大気中で検出されたジメチルスルフィドは、地球上の数千倍。チームは「これまでの知識に基づけば、生物的活動以外に説明できない」とするが、生命を発見したと断定するにはさらなる研究が必要だとしている。
文化庁サイト、一部非公開に 掲載の土偶「偽物」指摘[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 336文字 PDF有 書誌情報]
文化庁のポータルサイト「文化遺産オンライン」で縄文時代の土偶などと紹介していた3つの資料が「偽物ではないか」と外部から指摘を受け、該当部分の公開を取りやめたことが17日、分かった。同庁の担当者は「詳細は確認中だが、誤解を与える内容があった」と説明している。
縄文時代の「遮光器土偶」などと説明されていた3つの資料。文化庁のインターネット上の問い合わせ窓口に指摘が寄せられ、同庁の専門職員が確認したところ、誤った情報が含まれる可能性があると判断したという。
サイトは、全国の博物館や美術館が所蔵する約29万2千件の国宝や重要文化財などを紹介。掲載情報は、文化庁の審査を受けアカウントを取得した博物館などが自ら入力する仕組みで、この3つの資料は愛知県の美術館が入力していた。
五輪談合控訴審でセレスポ初公判 無罪主張、6月に判決[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 38ページ 333文字 PDF有 書誌情報]
東京五輪・パラリンピックの大会運営事業を巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪に問われたイベント制作会社のセレスポと同社元専務、鎌田義次被告(61)の控訴審初公判が17日、東京高裁であり、被告側は談合には当たらないなどとして改めて無罪を主張し、即日結審した。判決は6月3日。
会社を罰金2億8千万円、鎌田被告を懲役1年10月、執行猶予4年とした一審判決を不服として、同社と鎌田被告が共に控訴していた。
一審・東京地裁判決は、鎌田被告が大会組織委員会大会運営局の元次長=同法違反罪で有罪確定=の意向を組織委への出向者などを通じて把握し、受注調整に応じたと認定した。
一連の事件で起訴された法人6社のうち、セレスポを含む4社が一審で有罪判決を受けている。
同業間の情報交換、警告へ 大手ホテルがカルテルの恐れ 公取委、再発防止求める[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 39ページ 1573文字 PDF有 書誌情報]
公正取引委員会が都内の大手ホテルを運営する15社に近く警告を出す。客室単価などの情報交換が価格カルテルにつながりかねず、独占禁止法違反(不当な取引制限)に当たる恐れがあるとして再発防止を求める。同業他社の集まりが慣行になっている業界はホテルに限らない。「情報交換」につきまとうリスクを正しく認識することが必要だ。
「FR(Front Reservation)会」――。関係者によると、都内の「御三家」をはじめとする名門ホテルが持ち回りで開催していた会合は、昭和の時代から数十年間続いてきた。
営業担当者らは月に1回、当番のホテルが用意した場所に集まった。交換していた情報は(1)客室の稼働率(2)平均客室単価(3)今後の予約状況――など多岐にわたっていたもようだ。
独禁法は複数の事業者間で価格を調整するカルテルを「不当な取引制限」として禁じている。市場の競争が働かなかったしわ寄せが消費者にいくためだ。カルテルに当たると認められれば排除措置命令だけでなく課徴金納付命令の対象にもなる。
例えば、販売価格の最低基準を事業者間で決めていればカルテルに当たる。相互に明示的な取り決めがなくても「暗黙の合意」があったとされれば違反とみなされる。
関係者によると、今回は「価格を引き上げよう」などと今後の方針について具体的に調整していなかったもようだ。公取委は違反を認定しなかったが、客室単価などの情報交換がカルテルにつながりかねないとして行政指導の警告で是正を求めた。情報交換は既に中止されたという。
競合企業との情報交換がただちに違法となるわけではない。だが、足元の価格動向など「重要情報の交換は互いに相手の行動を予測しやすくなり違反リスクは高まる」(独禁法に詳しい弁護士)。競合の値上げ動向を察知できれば自社の料金を上げる動機が生まれやすいためだ。
公取委が2023年に総額約1000億円の課徴金納付を命じた大手電力のカルテル問題では、電力会社の社員らが出向する電気事業連合会の会合で違反とされる情報交換があったと指摘された。電事連は「大手電力からの出向者に不要な会議や懇親会などの参加を禁じる」などの再発防止策を定めた。
ホテル業界に限らず、業界団体の集まりや共同開発などで競合相手との接触が避けられない場面はありうる。どのような情報交換に気をつけるべきなのか。公取委は業界団体などに向けた指針で違反にならない具体例を紹介している。
それによると、価格に関しては個別企業の過去の実績などを任意で集め、統計処理した情報を業界全体の動向として情報交換することは許される。それ以外にも、業界の将来の需要見通しや技術動向、社会情勢、消費者に提供すべき情報を共有する活動についても原則として独禁法に抵触しないとされる。
違反リスクを避けるために自衛策が欠かせない。競合他社と接する予定がある場合、まず法務部門に報告を求めて「価格方針などの決定権者や営業担当者の参加はできる限り避けるほか、会合の目的もあらかじめ精査すべきだ」(企業法務に詳しい弁護士)という。
海外では情報交換だけで違反とされ、巨額の制裁金や訴訟につながる恐れもある。特に厳格なのが欧州だ。モバイル通信会社のカルテルが認定されたケースでは、情報交換が1回だけで、かつ事業者間で明確な合意がなくても違法と判断された。
他社と接触しなくても業界の価格動向などを分析し、価格決定を支援するツールの利用も広がっており、競争法上の影響が議論されている。
米司法省は24年、人工知能(AI)のアルゴリズムを通じて価格カルテルが行われているとして、不動産管理ソフト大手を提訴した。司法省によると、ソフトが推奨する値上げを多くの家主が採用した結果、大家間の価格競争が失われて家賃が高止まりしていたという。
全国学力テスト、パソコン導入 動画で出題 採点にAI活用[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 39ページ 867文字 PDF有 書誌情報]
文部科学省は17日、小学6年と中学3年を対象に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の問題を公表した。中学の理科はパソコンを使ってオンラインで解答する試験(CBT)を本格導入し、動画を用いて出題。採点では初めて人工知能(AI)を活用する。
文科省は学力テストのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、学力の詳細な把握と効率的な実施につなげる。
CBT化した中学理科は通信への負担を軽減するため、14~17日に分散して実施。ある問題ではドライアイスの中でマグネシウムを燃やす実験動画を視聴後、パソコンの画面上で原子や分子のモデル図を自ら動かし、燃焼の化学反応式を完成させた。
水道水を電熱線で加熱して精製する方法をアニメーションで示し、より速く水道水を温める電熱線のつなぎ方を考えさせる問題もあった。
CBT化によって、複数の問題セットを用意し、生徒によって種類が異なる問題を解くIRT(項目反応理論)方式が可能となった。例えばどの難易度の問題に安定的に正答したかを測ることで、学力をより詳細に把握できるという。
小中の国語と算数・数学、小学校の理科は17日に紙で実施。イラストや表を使い、情報を読み解く力を試す問題が目立った。
AI採点は中学理科で導入する。1つの解答を複数人で採点する紙のテストより人員を抑えられ、採点期間も半分の1カ月程度に短縮できる。
AIは習熟度の高い上位採点者の採点を学習しており、選択式だけでなく、採点の難易度が高い記述式や短答式も対象とする。
結果は7月以降に公表される。全国の平均正答率は7月中旬、学力の傾向など分析結果は7月末、都道府県・政令市別の正答率などの結果は8月以降を予定している。
平均正答率ばかりが注目され、自治体間の過度な競争につながっているとの指摘を踏まえ、今回から学力に影響している要素の分析を充実させる。
自治体ごとの特徴が把握しやすいように、統計表やグラフも多用する方針だ。
【図・写真】中学理科にはCBTが導入された (14日、東京都内の中学校)=代表撮影
同業間の情報交換、警告へ――オークラなど「調査に協力」 宿泊料つり上げ否定[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 39ページ 159文字 PDF有 書誌情報]
警告対象となるホテルを運営するホテルオークラ東京(東京・港)やニュー・オータニ(同・千代田)、パレスホテル(同)の担当者は17日、「調査に全面的に協力していく」とコメントした。3社とも情報を定期的に交換する会合が開かれていたことは認めるが、すでに退会しており、「情報交換で宿泊料金をつり上げたことはない」と主張した。
岩手の山火事、3370ヘクタール延焼 平成以降で国内最大[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 39ページ 662文字 PDF有 書誌情報]
岩手県大船渡市は17日、2月に発生した大規模山林火災を現地調査した結果、一部焼け残りを含む延焼範囲が約3370ヘクタールに上ったと発表した。これまでの約2900ヘクタールから上方修正し、平成以降で国内最大の山林火災であることが確定した。住宅被害は1棟増えて87棟となったほか、定置網の焼失など水産業の被害額は少なくとも16億円を超える見通し。
被害面積はこれまで主に空からの調査だったが、総務省消防庁や地元消防が地上から調査した。同市三陸町綾里と赤崎町の計4エリアの山林や集落周辺で延焼した跡が新たに確認され、面積は400ヘクタール以上増えた。一部は完全な焼失でなく焼け残っており、焼失面積でなく延焼範囲と表記を改めた。
火災発生場所は赤崎町合足とみられ、出火原因は調査中。林野庁によると、延焼拡大の際、樹木の上部の枝や葉が燃える「樹冠火」という現象が起き、火が谷筋を上方に駆け上がるような様子も見られたという。
住宅被害は一部損壊1棟を新たに確認。小屋や空き家など住宅以外を含めた建物被害は計222棟(うち全壊175棟)となった。水産業被害は定置網のほか、漁業倉庫や漁具の焼失など。農林業や観光業を含めた被害の全容は調査中で被害額はさらに膨らむ見込みだ。
今月17日時点で57人が避難所に身を寄せるほか、親戚宅などで避難生活を送る人もいる。市内で建設中の木造仮設住宅には、11日時点で18世帯が入居を申し込んだ。5月上旬に完成予定。
火災は2月26日に発生、1人が死亡した。市は3月9日に鎮圧、今月7日に鎮火を発表した。
同業間の情報交換、警告へ――暖房機器大手に勧告 コロナ、金型無償保管で下請法違反[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 39ページ 438文字 PDF有 書誌情報]
家電の量産に必要な金型などを下請け会社に無償で長期間保管させたのは下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)に当たるとして、公正取引委員会は17日、暖房機器大手「コロナ」(新潟県三条市)に保管代金の支払いと再発防止を勧告した。33社に計約1800個を保管させていた。
同社は石油ストーブなどの暖房機器で国内トップレベルのシェアを誇る。調査に対し「代金を支払う必要があるのは、保管が10~15年と長くなった場合だと認識していた」と説明。公取委の指摘を受け、支払いの手続きを進めているという。
公取委によると、同社は遅くとも2023年3月以降、長期間発注がないのに、ストーブやヒートポンプ式給湯器「エコキュート」などに使う金型などを無償で保管させていた。金型の重さは平均数百キロで、保管が30年超に及んだ下請け会社もあった。
コロナは17日「同様の問題が発生することのないよう、勧告内容を全役職員に周知徹底する」とのコメントを出した。長期間発注のない型の廃棄を進めているという。
長崎ヘリ事故、運航会社・病院に立ち入り検査 国交省[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 39ページ 242文字 PDF有 書誌情報]
長崎県・壱岐島沖で3人が死亡した医療搬送用ヘリコプター事故で、国土交通省大阪航空局が航空法に基づき、ヘリの運航会社エス・ジー・シー佐賀航空(佐賀市)と、運航を委託していた福岡和白病院(福岡市)を16日に立ち入り検査したことが分かった。関係者が17日、明らかにした。立ち入りは17日も行い、安全管理体制などを調査した。
ヘリは長崎県・対馬空港を6日午後1時半に離陸。約15分後にシステム上で航跡が動かなくなった。同5時5分に機体が見つかり、救助された6人のうち3人の死亡が確認された。
愛知・一宮で車に19歳遺体、容疑の男逮捕 元交際相手[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 39ページ 0文字 書誌情報]
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心躍るインドの手作り絵本 シルクスクリーンまで手掛けるタラブックス、ひとり出版社立ち上げ日本に紹介 田村実[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 40ページ 1442文字 PDF有 書誌情報]
インド南部の大都市チェンナイ郊外にある「タラブックス」という小さな出版社で、製紙、印刷(シルクスクリーン)、製本全てが手作業の絵本が作られている。
世界でもその本がまだ広く知られていなかった17年前、私は同社の代表作「夜の木」に出合い、深く魅了された。日本でも読まれてほしい。そんな思いが募り、ひとり出版社「タムラ堂」を立ち上げ、「夜の木」を始め、数年に一冊ずつ邦訳絵本を刊行している。
私は元々、児童書出版社の絵本編集者だった。そろそろ退職しようと思っていた2008年、イタリア・ボローニャのブックフェアに参加すると、華やかな絵本の中で地味ながらもひときわ異彩を放つ本があった。それがインドの先住民族・ゴンド民族の神話を元にした「夜の木」だった。絵も美しく、しかも全てがハンドメイドと言う。大きな衝撃を受けた。
職場でも出版を検討したが刊行には至らなかった。絵本と言うより美術書と言える造本で、必然売価が高くなるので商業ベースでは難しい。私はほどなく会社を辞めたが、心の片隅でいつもこの本を気にとめていた。
出版の契機になったのが、11年の東日本大震災。世の中が塞ぎ込んでいたあの時、手元にあった「夜の木」を何度となく開くと不思議と力が湧いてきた。「本にはこんな力があるのか」。そう気づき、自力で動くことにした。
邦訳は翻訳を生業としている妻に頼んだ。日本語デザインは知り合いのデザイナーに依頼。完成データをインドに送る。12年、日本語版「夜の木」千部が船便で届いた。
営業は全くの素人でこれから在庫の山で暮らすのかと思っていたが、3カ月ではけた。小さな取次会社を経由したこと、知り合いに全国の個人書店のリストをもらったこと、近所にある吉祥寺のライフスタイルショップでシルクスクリーンの展示をしてもらったこと。そこで本を気に入った人が次の人に勧めるという好循環で広まった。
「夜の木」刊行の翌13年、初めてインドの本社・工房を訪れた。代表のギータさんをはじめ女性社員がほとんどで、小さくアットホームな会社。作家・デザイナーと編集を兼ねる社員が多く、創造的な物が生まれる雰囲気を感じた。本社から車で30分ほど行った先にある工房では熟練した職人たちがシルクスクリーンを刷る姿も目にした。
同社の本には1冊ずつシリアルナンバーが振られる。重版する際は番号と表紙が全く同じにならないよう、表紙を変える。「夜の木」は4刷以降、日本語版独自の表紙の絵柄を私のほうから提案している。それをインドでも気に入り英語版にも採用された「逆輸入」のケースもある。
一冊きりだと思っていたが、思いのほか反響が大きく、今日までにタラブックスの本を5冊出してきた。最新刊「たね」はギータさん作。ページが幾通りにも折りたたまれ、開くのが楽しいユニークな仕掛けになっている。ひとりで自由だからこそ、大きな出版社ができないことをやりたい。
17年末から板橋区立美術館(東京・板橋)などでタラブックスを紹介する展覧会が開かれたのを機に知名度があがり、大手出版社からも本が出されるようになった。
生活の中でモノとしての本を感じることが少なくなった昨今、これだけ読まれるのはアナログの最たるものが心に響くということだろう。といっても私の中では「夜の木」を超えた本はまだ現れていない。刊行から13年、それを待ち望んでいる気もしている。
(たむら・みのる=タムラ堂代表)
【図・写真】「夜の木」をはじめとするタラブックスの邦訳絵本
平井一夫(18) モバイルの衝撃 スマートフォンとの戦い 輝き失い追い込まれるソニー(私の履歴書)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 40ページ 1426文字 書誌情報]
プレイステーション3の改革を中心としたゲーム事業のてこ入れに出口が見え始めたのが2009年のことだ。この年、私は49歳を迎える。人生の大台とも言える50歳を目前に、「さて、この先の人生をどう生きていこうか」と考えるようになった。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、当時)の再建という仕事も一段落というところまで来たことだし、家族が暮らすサンフランシスコ郊外に戻ろうか。それならSCEからもソニーグループからも卒業して、米国で第二の人生を送るのも悪くはないだろう。それほど真剣に、というほどではないがこんなことをぼんやりと考えるようになっていた。
日本に帰ってきて2年余りになる。「ソニーを潰す気か」と言われた当時のことを考えれば、わずか2年ながらずいぶんと濃密な時間を過ごしたものだ。ただ、いざ危機モードからの脱却が見えてくると、なぜか私の心の中に燃えるものが薄れていくことが、自分でも分かった。
日本での一人暮らしに不満はない。帰国時に仮住まいと考えていた都心のマンションは快適で、そのまま居着いてしまった。休日になると頭をオフに切り替えて大好きな自転車をこぐ。車にロードバイクを乗せて、東京の荒川沿いや千葉の印旛沼あたりには何度も通ったものだ。1日の走行距離が100キロを超えると、なんとも形容しがたい達成感に浸ることができる。
私はもともとオンとオフをはっきりと分ける方だ。仕事は充実しているのだが、プレイステーション3が不振から脱出する道のりが見えてくると、ヒリヒリとする緊張感が徐々に失われていく。
そんな感覚に陥ろうとしていた頃のことだ。米国で生まれた小さなデバイスが、世界のテクノロジーマップを塗り替えようとしていた。米アップルのiPhoneだ。日本にも08年7月に上陸すると、瞬く間に普及していった。
あのシンプルで美しいデザインもさることながら、iPhoneはインターネットを手のひらに収め、アプリという巨大な経済圏を築こうとしていた。正直、「これは夢の商品だな。さすがスティーブ・ジョブズ」とうならされた。かつてソニーはアップルを買収することも検討したと聞くが、攻守が逆転したことを認めざるを得ない。
私は09年からソニー本体のエグゼクティブ・バイス・プレジデント(EVP)も兼務するようになっていた。音楽子会社からゲーム業界に移り四半世紀。思えばずっと「親会社だからといってなんだってんだ」と口にしていた私が、とうとうソニーの「本丸」に足を踏み入れたのだ。
ソニーの大黒柱であるエレクトロニクス事業に関わるのはこの時が初めてだった。プレイステーションを兼任しながらパソコンの「VAIO」やモバイル機器、そしてネットワークサービスを任された。本社の面々からすれば「お手並み拝見」だろう。確かに会議で飛び交う言葉も分からないことだらけだ。
これまで何度も経験してきた「異邦人」の扱い。だが、そんなことを気にしてはいられない。そこで見たのは、すっかり輝きを失っていたソニーがいよいよ追い込まれていく姿だったからだ。
デジタルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、パソコン、そして私が関わってきたゲーム……。ソニーの主力事業はことごとく、日進月歩で進化するスマートフォンとの戦いを強いられていくのだった。
(ソニー元社長)
【図・写真】オンとオフは切り替える(2017年、東京スカパラダイスオーケストラと。中央が筆者)=高木 康行撮影
万博の風景(8)「紀元二千六百年記念日本万国博覧会 会場」 京都大学教授 佐野真由子(十選)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 40ページ 612文字 書誌情報]
「幻の万博」として知られる1940年日本万国博覧会。同年、大々的に繰り広げられた皇紀2600年記念事業の一環として、東京・横浜で開催される予定であった。
31年にまず35年の実施が決定し、40年に変更され、38年に至って「延期」が決まるまでに、会場の造成とともに諸外国への参加招請が進み、チケットの販売も始まった。ご覧のように絵はがきも出回っていた。
向かって右側の人工島は豊洲、奥は晴海である。万博自体は開催されずに終わったが、今日の東京湾岸はそのレガシーと言ってよい。隅田川にかかる勝鬨(かちどき)橋は、万博会場への出入り口になるはずだった。
遡ること約30年、12年にも、日露戦勝を記念して事実上の万国博覧会が計画されていたことがある。会場予定地は、青山・代々木一帯であった。整備が進みながら実現しなかった跡が、転じて明治神宮とその外苑になった。
日本で万博と言えばまず大阪を思い浮かべるが、明治以来、欧米の万博に参加を重ねてきた日本がいよいよ開催国側に回ろうとしたとき、ロンドンやパリの向こうを張ってまず舞台に選ばれたのは、首都東京であった。東京は意外にも、万博の跡を残していたのである。
(1940年頃、絵はがき、9.0×13.9センチ、江戸東京博物館蔵)
【図・写真】出典:Tokyo Museum Collection(https://museumcollection.tokyo/works/6548555/)
かっこいい大人 前田康弘(交遊抄)[2025/04/18 日本経済新聞 朝刊 40ページ 525文字 PDF有 書誌情報]
沖縄県糸満市のホテル「琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ」で営業部長を務める湯浅弘敏さんと過ごす時間は居心地が良い。居酒屋で酒が進むと愚痴や自慢話に花が咲きがちだが、彼は違う。
「1度きりの人生、楽しく生きよう」と、飲めば飲むほど前向きな話になる。朝は趣味のサーフィンを全力で楽しみ、仕事もきっちりこなす。真っすぐに人生を全うする姿にリスペクトの念を抱く。
出会いは10年以上前。陸上競技部の合宿で訪れた沖縄北部にある別のホテルで働いていたのが湯浅さんだった。大学OBということもあり、すぐに打ち解けて出会ったその日に杯を交わした。
湯浅さんは広告代理店を退職し、働き口を考える間もなく、サーフィンに没頭するために妻と移住を決意したという。「透き通った海の波を求めて沖縄にやってきました」。ここまでリスクをとって行動できる人もなかなかいない。ワゴン型のクラウンを長年愛し、ファッション性の高い服を着こなす。かっこいい大人の理想だとも感じた。
年1回、家族旅行でもお世話になっている。学生駅伝の指導者に就けていることに感謝しつつも、組織にしがみつくことだけはしたくない。彼と会うたびに、そう考えさせられる。
(まえだ・やすひろ=国学院大学陸上競技部監督)
25年04月17日
ガス火力、30年に1.2倍 三菱重工はタービン増産 石炭からシフト、水素は後退[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1155文字 PDF有 書誌情報]
世界のガス火力の発電能力が2030年までに最大で現在の1.2倍に増える見通しであることが日本経済新聞の集計で明らかになった。人工知能(AI)の普及などで電力需要の増加が見込まれ、石炭に比べ環境負荷の小さい天然ガスを選ぶ企業が増えている。ガスタービンを手掛ける三菱重工業は27年3月期をメドに生産能力を3割増やす計画だ。
米調査団体グローバル・エナジー・モニター(GEM)の調査を基に、日本経済新聞が今後の新設や休廃止の計画をまとめた。計19億キロワットだった世界のガス火力の発電能力は、発電所の新増設によって30年までに最大で計23億キロワットに増える見通しだ。
増加するガス火力の発電能力の過半は中国やインドをはじめとするアジアに集中し、欧州と北米がそれぞれ1割ずつを占める。発電能力増強のペースは年平均6000万キロワット規模と過去最高の水準で、石炭火力や原子力、水力などの足元の伸びを上回る。
ガス火力の新増設ラッシュを受けて、電力設備メーカーは受注拡大に動いている。三菱重工は約500億円を投じて基幹部品であるブレードなどの増産を進め、27年3月期をメドに高効率発電プラント向けのガスタービンの生産能力を足元に比べ3割増やす。人員も1割増やす。
米調査会社マッコイ・パワー・レポートによると、高い耐熱性能が求められる発電用ガスタービンは三菱重工と米GEベルノバ、独シーメンス・エナジーの3社が世界市場で競り合っている。23年は三菱重工のシェアが36%と2年連続で首位だった。同社幹部は「受注枠はいっぱいの状況で、受注を選んでいる状態にある」と話す。
米中対立などの地政学リスクや物価高を背景に、脱炭素よりも経済成長やエネルギー安全保障を優先する潮流が強まっている。地球温暖化に懐疑的な米トランプ政権が化石燃料の採掘と利用を推進していることも、ガス火力への需要シフトを促している。
対照的に需要後退が目立つのが、脱炭素燃料の本命とされてきた水素だ。独ローランド・ベルガーは24年、風力や太陽光などの再生可能エネルギーでつくる「グリーン水素」について、30年時点の世界の生産設備導入量見通しを前年の予測から3割引き下げた。
グリーン水素の価格は天然ガスの数倍で高止まりし、需要後退が量産や技術革新による価格低下を遅らせる悪循環に陥っている。豪電力オリジン・エナジーは24年、市場の成長が想定以上に遅れているとして、オーストラリア東部における水素の生産事業から撤退した。
主要7カ国(G7)は22年、35年に電力部門の大部分を脱炭素化すると約束した。AIの普及に伴い、計算基盤となるデータセンター向けの電力需要は増加している。ガス火力への依存は化石燃料の延命につながり、温暖化対策を遅らせるリスクをはらむ。
大手15ホテル、公取委警告へ カルテル恐れ 客室単価情報を交換[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 1ページ 595文字 PDF有 書誌情報]
ニュー・オータニ(東京・千代田)や帝国ホテルといった都内で大手ホテルを運営する15社が客室単価などの情報を交換していたのは独占禁止法違反(不当な取引制限)に当たる恐れがあるとして、公正取引委員会は近く警告を出す方針だ。関係者への取材で16日、分かった。
訪日外国人(インバウンド)客の増加などに伴いホテルの需給は逼迫している。宿泊料金の高騰が続くなか、情報交換の慣行は「便乗値上げ」のカルテルにつながりかねず早期の是正を促す。
警告の対象は他にホテルオークラ東京(同・港)や京王プラザホテル(同・新宿)、パレスホテル(同・千代田)などで名門ホテルが多い。公取委は16日までに警告書案を各社に通知したもようだ。
関係者によると、15社は会合を毎月開き、営業担当者などが集まっていた。当番のホテルが会合場所を提供し、稼働客室の平均単価や稼働率、翌月以降の単価の設定方針、予約状況などについて情報交換していたという。会合は数十年前から続いていたとみられる。
同じエリアにある競合ホテルの稼働状況や将来の価格方針は自社の価格設定などに影響する可能性がある。ホテル業界に詳しい関係者は「横のつながりが強く情報交換も一般的。特に営業はエリアごとに月1回集まることもあり、価格に関する話も出る」と話す。
独禁法は複数の企業が話し合って価格や販売量を設定するカルテルを「不当な取引制限」として禁じている。
基礎年金底上げを見送り 厚労省調整 厚生年金減額に自民反発[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 1ページ 473文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省は年金制度改革法案から、基礎年金の底上げ策を削除する調整に入った。参院選を控え、財源となる厚生年金の減額や、追加の国庫負担が発生することに自民党から反発が出ていた。就職氷河期世代などの低年金対策は遅れることになる。
17日の自民党の会合に、法案の修正案を示す見通しだ。パート労働者の厚生年金の加入拡大や高所得者の厚生年金保険料の引き上げは法案に残す方針だ。政府は与党の審査を経たうえで、国会に法案を提出する。
公的年金制度は2階建てだ。1階の基礎年金はすべての人が加入する。2階の厚生年金は会社員や公務員が入る。基礎年金はこのままだと、財政の悪化で将来にかけて大きく目減りする。そこで厚労省は厚生年金を減額して財源をつくり、追加の国庫負担も投入して将来の基礎年金を底上げする改革を検討してきた。
制度上、基礎年金の底上げよりも厚生年金の減額が先行するため、会社員らにとっては当面の間は今の想定に比べ年金額が減る。減額幅は最大で月7000円になる。加えて将来的に、基礎年金の国庫負担として最大年2.6兆円の財源を確保しなければならない。
トランプ氏、日米交渉出席へ 関税巡り、防衛負担も協議[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 1ページ 408文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】トランプ米大統領は16日、日本との関税交渉に自ら出席すると自身のSNSに投稿した。防衛費や貿易条件での日本の譲歩に期待を示し「うまくいけば日米にとって良い(素晴らしい!)結果が得られるだろう」と表明した。(関連記事総合2面に)
日米の初会合は米東部時間16日夕(日本時間17日朝)の予定で、日本から赤沢亮正経済財政・再生相が参加する。米国側の参加者はベッセント財務長官と米通商代表部(USTR)のグリア代表だと発表されていた。閣僚級の交渉に首脳が出席するのは異例だ。
トランプ氏は投稿で「日本は関税、軍事支援の費用、そして『貿易の公平性』について交渉するためにやって来る。私は財務長官と商務長官とともに出席する」と明らかにした。
レビット米大統領報道官は15日の記者会見で、トランプ氏は個別の交渉にそれぞれ深く関わっており「すべての取引で自身が承認の署名をしたいと考えている」と述べていた。
岐路の道路政策(下)有料道支援、自治体2124億円 「借金」肩代わり、財政圧迫(エビデンス不全)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1183文字 PDF有 書誌情報]
長野市内で1998年の冬季五輪・パラリンピックを前に完成した五輪大橋有料道。管理する長野県道路公社は料金の徴収を2026年に終える。
利用2割どまり
事業の帳尻があったわけではない。23年度の交通量は1日あたり6435台と計画のわずか2割にすぎない。並行して走る無料の長野大橋などに利用者が流れている。
県は出資した40億円の回収を諦める。「公社には返す余裕がない」と見切りをつけたかたちだ。他の3路線に拠出した計59億円も戻ってこない。
都道府県や政令指定都市が設立する地方道路公社。自治体の出資金や金融機関からの借入金で有料道をつくり、原則として最長30年間の料金徴収によって返済する。あわせて道路は無料開放するのが本来の姿だ。現実には利用の低迷で公費負担が生じるケースが相次ぐ。
日本経済新聞は公社管理の有料道を抱える24県市の実態をアンケート調査した。財政支援の実績・予定は15県市で少なくとも計2124億円に達した。愛知県は返済の見込めない4路線に計358億円を支出する可能性がある。埼玉、佐賀の両県は数十億円規模の出資金を回収できない恐れがある。
公社は全国でインフラ整備が急ピッチで進んだ高度経済成長期などに相次いで生まれた。日程の制約もある議会の議決などを経ずに柔軟に事業を進められる利点があった。自治体は損失補償や債務保証の契約を結ぶことで民間からの資金調達を支えた。
行政が観光振興などを当て込み、甘い見通しによって膨らませたツケは住民はもちろん利用者にも回ってくる。データのそろう全国52路線うち23路線は無料開放を先送りしていた。
開放を55年延長
神戸市道路公社の六甲有料道は43年の無料開放を見込む。当初の想定からは55年も遅れる。登坂車線の追加など改築工事の費用がかさんだためだという。
そもそも需要の乏しいエリアに道路を通しているなら採算は合うべくもない。鹿児島県道路公社の指宿有料道は鹿児島市と南九州市を結ぶ29.2キロの区間の1日交通量が775台と、19年に立てた計画の6割にとどまる。交通量の多い鹿児島市内の別区間と会計を一体にすることで収入不足を補う。
県の担当者は「思ったより交通量が伸びなかった」と率直に認める。無料化は41年延びて2046年の予定となった。各公社が料金徴収の期間をさらに延ばさずに済む保証はない。物価高によって修繕などの費用は増大する流れにある。
公共経済学が専門の大阪大学の赤井伸郎教授は「無料開放後も維持コストはかかる。最大限の効率化をしたうえで財源不足が生じる部分は、自治体の財政や受益者負担の観点からも徴収を延長した方がいい」と話す。
無理に背伸びをする時代は終わった。地域で本当に必要な道路をいかに守っていくか。これから求められるのは、現実を直視した身の丈の行政運営だ。
岩崎邦宏が担当しました。
「億ション」という単語がメディアに登場したのはいつだろう(春秋)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 1ページ 566文字 PDF有 書誌情報]
「億ション」という単語がメディアに登場したのはいつだろう。本紙のデータベースで検索すると、1980年前後からちらほら見かけるようになった。バブル経済前夜である。「名物?怪物?億ションたつ」。81年の首都圏面には、こんな見出しの記事が載っていた。
▼取り上げていたのは東京都渋谷区内の物件。「内装はベルサイユ宮殿並み」「購入者の約60%が事業主」――。最高価格は7億円で、「宝クジに20回連続して当たっても買えない」とあった。もっともページを繰れば都心のファミリータイプで3100万円台~の広告も。庶民にとって、億ションはあくまで夢の話だった。
▼マンションの高騰が続いている。不動産経済研究所によれば都区部の新築物件の平均価格はとうに大台を超えている。先日の本紙は、年収1000万円以下の世帯が23区内で購入するのはかなり難しいと伝えていた。中古でも一部地域に限られるそうだ。これでは子どもを産むことはできない。若い世代から悲鳴があがる。
▼「平均年収の5倍程度で良質な住宅を取得できるようにする」。経済審議会がこんな方針を示したのは92年だった。一人ひとりが豊かさとゆとりを実感できる社会を目指す。答申のタイトルを「生活大国5か年計画」という。10倍を出しても手が届かぬ昨今読み直せば、「生活大国」の4文字がずいぶんとかすんで見える。
ガソリン補助金、つかの間のゼロ 原油高・円安受け 新たな価格抑制策浮上[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1526文字 PDF有 書誌情報]
資源エネルギー庁は16日、ガソリン価格を抑えるために支給している補助金を17日から23日までゼロ円にすると発表した。補助金なしは制度開始以来初めて。原油安と円高進行を背景に、小売価格の値下がりが見込まれるためだ。3年にわたる補助金制度にも出口が見えかけたが、足元で新たな価格抑制策の議論が浮上。補助金からの完全脱却にはなお時間を要しそうだ。
政府は2022年1月下旬に、新型コロナウイルス禍からの経済回復を支える目的でガソリン補助金を導入した。抑制の基準は時期によって異なるが、25年1月中旬以降は全国平均のガソリン価格が1リットル185円程度になるように、石油元売りに対して毎週補助金を出している。
4月17日からの1週間は、この補助金が初めてゼロ円になる。エネ庁が想定する21日のガソリン価格が1リットル182.7円と、抑制基準の185円を下回ったためだ。主因といえるのが、原油の国際価格の下落だ。
原油価格の米国指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は1バレル60ドル前後と、新型コロナウイルス禍以来、約4年ぶりの安値圏にある。米政権の関税政策により世界の景気が悪化し、原油の需要が低迷するとの見方が強まっている。ここに為替市場の円高進行が重なり、価格に下押し圧力がかかっている。
国内の石油製品取引に詳しい岡地の宍戸洋一国際法人部長は「円建て原油の調達コストは月初から1リットル当たり10円以上も下がっている」として、ガソリン価格は値下がりに向かう可能性が高いと指摘する。
3年余り補助金に依存していた副作用もみられる。22年半ばには、ガソリン価格が本来なら1リットル200円を超えていたところを170円程度に抑えていた時期があった。補助金を多く出して無理やり価格を下げていたため、原油安によって補助がなくなる過程では、ガソリン価格がむしろ値上がりしたように見える「ゆがみ」が生じている。
22年1月からの補助金支給は、政治に左右されてきた。もともとはコロナウイルス禍の暫定的な経済回復目的だったが、ウクライナ侵略による燃料高などを踏まえ延長を繰り返した。政権が国民に物価高対策をアピールする材料としても使いやすい。補正予算や予備費などを活用し、燃料補助予算にこれまで累計約8.2兆円が拠出された。
制度を運用するエネ庁幹部は「補助金制度は恒久的なものではなく、ずっと出口を探ってきた。支給ゼロは一つの節目だ」と捉える。エネ庁はバイオ燃料の導入支援など脱炭素政策に力を入れている。ガソリン価格の補助は従来燃料の延命につながるため、庁内では早期の撤廃を求める声が目立つ。
「予算の8.2兆円を合成燃料などの新規投資に充てた方が、エネルギー政策にとってよっぽど意義深い」(経済産業省幹部)との見方もある。
ただ夏の参院選を前に、補助金は形を変えて延長されそうだ。米トランプ政権の関税政策を受け物価高を懸念する向きもある。自民、公明、国民民主3党の幹事長は4日、6月から26年3月までガソリン価格を定額で引き下げることで合意した。
補助金での引き下げを提案する自公に対し、国民民主はガソリン税の旧暫定税率の廃止を求めており、手法は議論の余地がある。消費者の負担は減る可能性が高いものの、出口が見えつつあった補助金制度の再考には課題も多い。
石油流通に詳しい桃山学院大学の小嶌正稔教授は「根拠の乏しい抑制基準を設定してガソリン価格を下げる現行の制度に比べれば、定額引き下げの方が支出額の透明性は高い」と指摘する。
一方で「燃料への補助が脱炭素政策に逆行していることに変わりはない」と警鐘を鳴らしていた。
(真田湧生、長尾里穂)
iPS細胞使い「パーキンソン」治療――量産・コスト減カギ[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 2ページ 864文字 PDF有 書誌情報]
iPS細胞を使う医薬品の実用化が近づいてきた。京都大学が有効性を報告したパーキンソン病はiPS細胞を活用した再生医療の本命とされる。海外企業なども研究を進めており、今後は開発競争が激しくなる。普及に向けては量産体制を確立し、製造コストの低減を図る必要がある。
iPS細胞はあらゆる体の組織に育つ。血液細胞などに数種類の遺伝子を導入して作られる。2006年に京都大学の山中伸弥教授が発見した。長年注目を集め続けてきたが、開発の道筋は平たんではなかった。
時間がかかった理由は安全性の検証だった。iPS細胞は失った組織や臓器などを補う再生医療の本丸として期待されるが、別の細胞に分化するリスクやがん化する可能性がある。
化学合成でつくる医薬品と違い、生きた細胞を扱うため均一な質を保つのも簡単ではない。前例のない製品となるため審査機関も慎重で、安全性の検証に時間をかけた。
しかし17年ごろに患者の免疫細胞を取り出し、がんへの攻撃力を高めて体に戻す「CAR―T細胞療法」という細胞医薬品が米国で登場し、生きた細胞を医薬品に応用する動きが活発になった。
品質管理や臨床試験(治験)における安全性の評価などの開発手順も徐々に明確になった。iPS細胞を使う治験も国内外で進むようになった。
国内では大学発スタートアップのヘリオスやセルージョン(東京・中央)といった企業が開発を進めるほか、オーストラリアや米国の新興企業が治験を進める。
だが、製造コストの問題は残る。細胞医薬は品質管理などの製造工程が複雑で自動化されていない。製造工程の多くが熟練の技術者による手作業が必要で人件費もかさむ。製造コストはそのまま製品価格に反映されるため、医療財政に負荷をかける可能性が高い。
慶応義塾大学の岡野栄之教授は「今回の治験結果は有効性を推定できるものではあるが、さらに症例数を増やした研究が必要になる。実用化に向けては細胞の安全性を確保したうえでの大量製造も必要で、産学が連携した研究開発を進めていくことが重要だ」と語る。
(三隅勇気、阿左美茜)
iPS細胞使い「パーキンソン」治療 京大など、治験で症状改善[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 2ページ 507文字 PDF有 書誌情報]
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)などは、iPS細胞を使ったパーキンソン病(総合2面きょうのことば)の臨床試験(治験)で安全性と有効性を示唆する結果を得た。パーキンソン病は神経の難病で有効な治療法がない。iPS細胞を使えば、症状を改善し、根本的な治療が実現する可能性がある。
治験などの成果は16日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。
パーキンソン病は脳内の神経細胞に異常が起き、運動機能が衰えていく神経の病気だ。手足の震えやこわばりなどが主な症状で、病気が進行すれば歩行が困難になり、食事も難しくなる。
根本的な治療法はなく、現在の治療は主に症状をやわらげる対症療法が中心だ。
国が定める難病に指定されている。世界には約1000万人、日本でも約25万人の患者がいるとされる。
治験は京大医学部付属病院(京都市)で2018年から23年にかけて実施した。
健康な第三者由来のiPS細胞から神経細胞のもととなる細胞を作製し、パーキンソン病の患者に移植した。
大きな副作用はなく、投与した患者6人中4人に運動機能の改善がみられたという。今後、iPS細胞由来の医薬品として、協力企業の住友ファーマが実用化を目指す。
スマホ敗戦(4) 眼鏡型端末で「次」に挑む(迫真)終[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1016文字 PDF有 書誌情報]
3月上旬、スペイン・バルセロナで開かれた世界最大のモバイル見本市「MWC2025」。NTTドコモのブースでは、眼鏡型端末「MiRZA(ミルザ)」をかけた外国人来場者が習字を体験していた。レンズ部分に表示されるガイドに合わせ、慣れない筆を片手に「幸」「信」などの漢字を書き上げた。
この端末を開発したのは子会社NTTコノキューデバイス。かつて世界初の内蔵型カメラ付き携帯電話を手掛けたシャープと2023年に立ち上げた共同出資会社だ。「生活を便利にする『スマホの次』を日本発でつくる。眼鏡型端末を普段使いする日常がやって来る」。社長の堀清敬(55)は狙いを語った。
2000年前後のガラケー時代。ドコモはシャープなど端末メーカーと二人三脚で駆け抜けた。中でも携帯にインターネットを組み合わせた「iモード」は大ヒットしたサービスだ。
08年、米アップルのiPhoneが日本上陸し風向きが変わった。端末メーカーは瞬く間に力を失った。「全部持って行かれてしまうという危機感があった」。ドコモ社長の前田義晃(55)は振り返る。
ポストスマートフォンは今もなお世界の企業が試行錯誤する段階だ。米グーグルが13年に発売した「グーグルグラス」は生活を大きく変える端末として期待されたが、盗撮などプライバシー侵害への懸念から個人向け販売の撤退を余儀なくされた。米メタなどテックの巨人も攻めあぐねており本命はまだない。
ドコモなどが大きな突破口とみるのが、現実と仮想空間を融合したクロスリアリティー(XR)と人工知能(AI)だ。高性能半導体や電池、生成AIなど基盤となる技術は10年ほど前と比べて桁違いに進化した。
ミルザはそれらを体現する。当初はインフラ設備の遠隔点検や会議の即時文字起こしといった需要がある企業向けに限定したが25年夏には個人用にも手を広げる。ドコモは触覚を共有する端末の開発を同時に進め、ミルザとの連携も視野に入れる。将来は味覚の共有すら可能になるとみてさらに研究を進める。
堀は「日本のスマホメーカーは消えたが、生活を豊かにするという情熱を持っている人はまだいる」と話す。日本勢の強みは機器をいかに生活に溶け込ませるかという使い方の開発にもあるはずだ。次は負けられない。
(敬称略)
小西夕香、窪田真奈、鈴木卓郎、宮嶋梓帆が担当しました。
【図・写真】「眼鏡型端末を普段使いする日常がやって来る」とNTTコノキューデバイス社長は語る
中国経済に報復合戦を続ける余裕はない(社説)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 2ページ 915文字 PDF有 書誌情報]
中国経済の先行きに不安が高まっている。トランプ米政権が仕掛けた貿易戦争で深刻な打撃が避けられないからだ。世界1位と2位の経済大国が報復合戦をしている場合ではない。米国はもちろん、習近平政権も対立がこれ以上激しくならないよう自制すべきだ。
中国政府が16日に発表した2025年1~3月の国内総生産(GDP)は、前年同期比で実質5.4%増えた。成長率は24年10~12月と比べて横ばいで、事前の予想を上回った。
年間の政府目標である「5%前後」の実現に向けて好調なスタートを切ったようにみえる。しかし内容を点検すると、中国経済が苦境に陥った原因は何ひとつ解決していないのがわかる。
1~3月の不動産開発投資は前年同期比で1割も減った。住宅価格の下落は続いており、不動産不況を起点とする需要不足が解消に向かう兆しはない。
成長率を押し上げたのは外需だ。ドル建ての輸出額は6%近く増え、輸入額を差し引いた貿易黒字は4割超も拡大した。トランプ関税を見越して、米国への駆け込み輸出が膨らんだもようだ。
4月以降はもう外需に期待できない。トランプ政権は中国に累計で145%の追加関税をかけた。習政権も対抗措置として対米関税を125%に引き上げ、両国間の貿易がほぼ止まるデカップリング(分断)が現実味を増す。世界経済が危機に陥れば、日本も無傷ではいられない。
米国との貿易戦争は、中国の成長率を3%近く押し下げるとの予測もある。中国経済の現状を考えれば、習政権にとってトランプ政権との関係をこれ以上こじらせるのは得策でないはずだ。
しかしいまのところ双方とも譲る気配はない。中国側は米ボーイングの航空機納入を差し止め、レアアース(希土類)の輸出規制にも乗り出した。米国は最新鋭の戦闘機を造れなくなる可能性があり、影響は深刻だ。
トランプ政権が理不尽な関税措置をすべて撤回するのが筋であるのは言うまでもない。習近平国家主席は同じく米国に高関税を課される東南アジアを回って、自陣に引き入れようとしている。トランプ氏は自らの政策が中国を利している現実を認識すべきだ。
このままでは世界経済が壊れてしまう。両首脳には話し合いでの事態打開を強く求めたい。
小売りはデジタル軸に変革を(社説)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 2ページ 797文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社が集計した主要小売業63社の2025年2月期の営業利益が4年ぶりに減った。物価高が消費の重荷となった。
今後はトランプ米政権による高関税政策の影響も懸念される。輸出産業の先行きが不透明になるなか、国内市場の重みは一段と増す。小売り各社は消費の下支えへ不断の経営変革に取り組むべきだ。
変革の大きな柱は、デジタル技術の本格的な活用だろう。
イオンは通期の営業収益が初めて10兆円を超えたものの、減益決算だった。規模拡大を利益につなげる施策が必要とみて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速で店舗運営の効率化に取り組む。出資先のドラッグストア大手2社の統合も予定より2年早め、年内に終えるという。
「ユニクロ」のファーストリテイリングは「デジタル業務変革」を進め、生産や在庫管理の精度を高める。米国事業がトランプ関税の影響を受けても、柔軟な対応が可能とみている。柳井正会長兼社長は「生産地はいくらでも変更できる」と話し、従来以上に多様な国から最適調達を探る構えだ。
インバウンド(訪日外国人)消費も内需への貢献が大きいが、関税問題のあおりで円高が進めば減速しかねない。百貨店のJ・フロントリテイリングは海外の顧客データを分析して集客に活用できるシステムを整備し、為替に影響されにくい固定客づくりを急ぐ。
もちろん魅力的な商品開発の努力もおろそかにはできない。セブン&アイ・ホールディングスは国内コンビニ事業が減収減益だったが、巻き返しに向けて店内で焼くパンなど高付加価値の商品を増やす。コメなどの食品価格の高騰で消費者の節約志向は強まる。各社は独自商品の投入を競い、需要を刺激する必要がある。
小売りは人口減の逆風が吹くものの、雇用創出力はなお高く、賃上げを通じて日本経済を活性化する波及効果も大きい。環境の変化を好機ととらえ、内需の底上げに貢献する経営を実現してほしい。
米中対立、レアアース波及 高関税に報復、輸出規制強化 中国に生産7割集中[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1636文字 PDF有 書誌情報]
【北京=多部田俊輔、ワシントン=高見浩輔】関税政策を巡る米中対立が重要鉱物のレアアース(希土類)に波及してきた。トランプ米大統領は輸入実態の調査を指示し、中国は輸出規制を進める。レアアースを巡る対立激化は日本など世界のサプライチェーン(供給網)に打撃を与える。
トランプ氏は15日、レアアースやウランを含む重要鉱物の輸入状況について、安全保障上の懸念を調査する大統領令に署名した。調達が中国など少数の国に依存している実態を問題視し、それらの国が「価格操作や恣意的な輸出制限、供給網の支配力の悪用に広く関与している」と批判した。
調査は通商拡大法232条に基づく。関税やセーフガード(緊急輸入制限)、米国内での生産・加工、リサイクルといった方策についてラトニック商務長官が勧告をまとめる。同法では270日以内に最終報告を出すよう定めている。
レアアースは電気自動車(EV)など幅広い製品に使われる。調査対象には重要鉱物を組み込んだ半導体ウエハー(基板)などの半製品、永久磁石やモーター、EV、バッテリー、スマートフォンといったレアアースを使った製品が含まれる。
レアアースは中国依存が目立つ資源だ。米地質調査所(USGS)によると、世界の鉱石採掘に占める中国の比率は2024年の推定で約7割に達する。
10年の尖閣諸島を巡る日中対立で中国がレアアースの対日輸出を止めたころの9割以上から低下したものの、かなりの割合を依存する。
さらに中国政府傘下の業界団体によると、鉱石からレアアースを取り出して化合物を作る製錬や合金などを作る加工の工程で、中国の世界シェアは9割を超える。
製錬工程は二酸化炭素(CO2)を大量に排出し、環境汚染につながる可能性がある。米国などは精錬や加工といった工程を中国に依存する傾向があった。
USGSによると、米国は海外から輸入するレアアースの7割を中国に頼っている。中国は4日、トランプ政権による高関税への報復措置としてレアアースの統制強化に踏み切った。EVなどに使うジスプロシウムやテルビウムなど7種類を輸出規制の対象に加えた。
中国が生産面で世界シェアのほとんどを握る重希土と呼ばれるものが大半だ。レアアースそのものに加え、高性能磁石などの材料となる合金や酸化物、化合物なども対象に含む。貿易関係者は「当局側の審査を理由に新規の輸出許可の手続きが一時的に進まなくなった」と打ち明ける。
国内でも統制を強化する。工業情報化省が2月に「レアアース採掘・製錬分離総量コントロール管理弁法」などの草案を公表した。採掘だけでなく製錬などの後工程も国有大手に限定する内容だ。米国などから輸入して精錬や加工をしていたレアアースの統制を強化する狙いだ。
レアアースの用途は幅広い。少量を加えるだけで素材の性能を高めるため「産業のビタミン」ともいわれる。EVや風力発電機などに使われる磁石などのほか、高性能ガラスの研磨剤や蛍光体、医療向けなどに使われる。統制強化は世界のサプライチェーンに打撃となる可能性がある。
中国の調査会社「鉄合金在線」によると、中国のレアアース輸出のうち、日本と米国の比率は合計で53%と過半を占める。半導体製造装置大手の本拠地があるオランダを含めると3分の2近くに達する。これらの国が今回の規制措置の矛先になるとみられる。
資源に強い商社幹部は「米中対立でレアアース流通が滞れば、世界のハイテク製品のサプライチェーンに大きな影響が出る」と指摘する。安全保障に直結する懸念もある。レアアースを使った高性能磁石などは米軍の主力戦闘機や誘導ミサイルなど軍事向けにも使われているとされる。
米中対立の悪影響が出れば、世界各地で製錬や加工などの中国依存を減らす取り組みが進む可能性もある。10年の対日輸出の停止は日本企業に衝撃を与えたが、米国などでのレアアース生産につながった。中国にとって、強いカードを切れば副作用を伴うもろ刃の剣でもある。
米中対立、レアアース波及――日米関税交渉、想定外の「主役」出席 きょう初会合[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 3ページ 897文字 PDF有 書誌情報]
日米関税交渉の初会合が日本時間の17日に米ワシントンで開かれる。日本側は相互関税とともに、国内産業への影響が大きい自動車や鉄鋼・アルミニウムなどへの追加関税の見直しを要望する。突然のトランプ米大統領の「出席」表明で、前日夜になって日本政府側は対応に追われた。(1面参照)
石破茂首相は16日夜、首相公邸で林芳正官房長官らと対応を協議した。ワシントンに到着した交渉役の赤沢亮正経済財政・再生相も電話で議論に加わった。
首相は自身のX(旧ツイッター)に「トランプ大統領、私の特使である赤沢経財相とお会いいただき、ありがとうございます。2国間関係のさらなる発展につながる実りある会談となることを期待しています」と英語と日本語で投稿した。
これに先立って、トランプ氏は自身のSNSで交渉の席で在日米軍の費用負担も議題にすると言及した。日本の政府高官は「初回交渉で在日米軍駐留経費の問題が出てくるとは思っていなかった」と述べた。「外務、防衛両省のサポート体制は整っていない」と困惑を示した。
「しっかり国益を守る交渉をしたい」。赤沢氏は訪米前に羽田空港で記者団に語った。日本時間の17日にベッセント米財務長官と米通商代表部(USTR)のグリア代表と初の関税交渉に臨む。
「まずは米国側の手札をさらさせられれば成功だ」。ある政府関係者はこう説く。ベッセント氏は75以上の国・地域の交渉相手のうち「日本は列の先頭にいる」と話している。しかし、何を交渉の対象にするか、関税を引き下げるための条件は何か、いつまで交渉するかなど、詳細は明かしていない。
政府は米国が各国に課す相互関税に加え、自動車、鉄鋼・アルミ、導入を検討する半導体と医薬品向けなどといった品目別関税も議論のテーブルにのせることを目指す。同行団の一人は「一連の関税が全て外れるかどうかで、日本が出す材料は変わる」と語る。
今後の交渉スケジュールも焦点となる。赤沢氏は15日の記者会見で「可能な限り早期に成果が上げられるよう政府一丸となって最優先かつ全力で取り組む」と強調した。米国は相互関税の上乗せ部分について90日間の一時停止を表明している。
米中対立、レアアース波及――中国、貿易交渉代表に李成鋼氏 WTO大使を経験[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 3ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国政府は16日、商務省の国際貿易交渉代表に世界貿易機関(WTO)の中国大使を務めた李成鋼氏を任命したと発表した。商務次官も兼務する。米国との貿易戦争が激しくなるなか、通商交渉役に新たな人材を据える。
李氏は第1次トランプ米政権時に商務次官補を務めた。商務省で条約・法律を担当する部門など複数のポストを歴任した。2021年にWTOの中国大使に就任した。
25年2月のWTOでの会合で「現在の貿易の混乱と全加盟国への脅威の根本原因は、米国による追加関税や一方的措置によるものだ」と発言し、米国の関税措置を批判した。
針路を聞く トランプ氏の本心探れ 自民党前幹事長 茂木敏充氏(崩れる自由貿易)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1393文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策の目的は2つある。自動車や鉄鋼など品目別の高関税は米国の製造業の復興のためのものだ。
一方で相互関税は各国に高関税を課して米国との2国間ディール(取引)で有利な条件を引き出す狙いがある。米国の貿易赤字を解消する。
自動車産業はすそ野が広い。このままでは日本経済への影響は深刻なものになる。建設機械などは米国に代替品がない。日本企業は当面は価格転嫁できる。自動車はあらゆる車種で米国内での厳しい価格競争にさらされることが予想される。
トランプ氏の関税政策への意志は固い。(第1次トランプ政権)より厳しい日米交渉になるのではないか。
協議はできるだけ時間を確保し、どの分野を協議のテーブルにのせるか決めることが重要だ。合意しやすい分野から協議を進め、協議のモメンタムを高める。最終的に日米双方にとってウィンウィンのパッケージ合意に持っていく。
私が交渉役をつとめた第1次政権との貿易交渉の際に、トランプ氏の本当の関心がどこにあるのかを米国側からきっちり引き出すことを心がけた。トランプ氏に響くかたちで(日本としての計画を)提案する必要がある。
日米貿易交渉のときはつねに交渉の最終日に(当時の米の交渉役の)ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と1対1で会った。「トランプ氏の関心がどこにあるのか」「こういったことを言ったら響くんじゃないか」と探っていた。
日米交渉では例えば自動車メーカーの生産拠点をメキシコやカナダから米国に移すことも一つの交渉材料になるのではないか。日本メーカーはメキシコやカナダでも多くの自動車を米国に輸出している。エネルギー分野も日米双方にプラスになる。
先週、赤沢亮正経済財政・再生相から今回の協議の相談があった。前回の日米貿易交渉の経験などを話した。また相談があればできるだけ協力したい。
今回の関税政策はトランプ氏が主導しトップダウンで決定した。だからトランプ氏の信頼が厚いベッセント財務長官が日米交渉の窓口になったのだろう。
「米国が自由貿易のもとで一方的に他国に恩恵を与えて不利益を被ってきた」という不満が米国内で高まっているのは事実だ。一方で米国は不公正な制度などを持つ中国に何らかの有効な手段をとっていかなくてはならないと考えている。
日本はこうした米国の複雑な思いを受け止める。米国に自由で公正な国際連携の推進へ前向きに関与させる。日米交渉をその契機にすることが重要だ。国際社会からも米国の前向きな姿勢を引き出すことが日本に期待されている。
中国は世界第2位の経済大国になりながら途上国であるかのように振る舞い、世界貿易機関(WTO)のルールを順守してこなかった面がある。中国に経済大国にふさわしい行動をしていくよう日米が主要国と連携し、より強く働きかけることが大切だ。
戦後の国際社会の流れを振り返ると、多角的貿易体制の維持・強化が世界経済の発展と繁栄の礎になった。
各国とも短期の利益と自国の利益を追求しがちだが、国際社会全体を考えればもっと中長期的な視点が必要だ。「もう少し長い目で見よう」という国際世論を喚起することが政治の重要な役割だと思っている。
(聞き手は中村亮)
=随時掲載
もてぎ・としみつ 1978年(昭53年)東大卒。93年衆院初当選、17年経済財政・再生相、19年外相、21年自民党幹事長。69歳
パーキンソン病 手足震え、神経細胞に異常(きょうのことば)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 3ページ 439文字 PDF有 書誌情報]
▽…手足の震えや筋肉のこわばり、動作が遅くなるなど運動機能に異常が出る病気。指定難病の一つで、50歳以上で発症する場合が多い。2023年の厚生労働省の患者調査では、日本の総患者数は25万人とされる。進行すると一人で生活するのが難しくなり、介護が必要になるなど家族の負担も大きい。
▽…脳の中心部に近い「黒質」にある神経細胞に異常が起きて発症する。この細胞で作られていて、体を動かすために欠かせない神経伝達物質「ドーパミン」の量が減る。遺伝子変異が関係する場合もあるが、詳しい原因は分かっていない。治療はリハビリテーションや体内でドーパミンを補充する飲み薬などを使う。薬の効果がない場合などには脳に電気刺激を与える外科治療もあるが、進行そのものを止める治療法は開発されていない。
▽…食道や腸の動きが遅くなるため、誤嚥(ごえん)によって肺炎などを発症して亡くなる人もいる。運動機能の低下だけでなく、認知機能障害や抑うつなどが見られる場合もあり、患者のQOL(生活の質)低下につながる。
経済対策、狭まる選択肢 「ばらまき」批判や法改正に時間… 首相、月内に方向性判断[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1694文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は月内に経済対策の方向性を判断する。物価高や米国の関税措置を受け、現金給付、消費税減税、補助金といった方策が浮かんできた。夏の参院選までに野党を取り込んで実現できる選択肢は狭まっている。自民党幹部は今国会への2025年度補正予算案の提出を見送る方針だと明らかにした。
自民、公明両党は衆院で過半数を持たない「少数与党」の状況にある。補正予算案を成立させるには野党勢力を取り込む調整が前提になる。夏の参院選を前に6月22日までの国会会期を大幅に延ばすのは難しく、時間は限られている。
首相は15日、首相官邸で自民党の森山裕幹事長、小野寺五典政調会長と面会した。補正予算案や経済対策に関して意見を交わした。
自民党幹部は同日、補正予算案の今国会提出について記者団に「ないと思う。関税の影響がわからない」と語った。経済対策の大きな理由である米相互関税は発動まで90日間の猶予ができた。その間の交渉の方向性がいつみえるか不透明な状況だ。
野党と経済対策に関する協議に着手する段階にとどめ、補正予算案は参院選後の臨時国会にはかる日程などがあり得る。
経済対策はこれまで大きく3つの方向性が浮かんできた。
まず与党から挙がった方策が現金給付だ。マイナンバーによる電子申請を使えば早期に実行までこぎ着けられる。自民党で3万~5万円程度、公明党で10万円という案が取り沙汰された。参院選前に1回限り実施することを念頭に置いた。
ところが報道各社の世論調査で給付に否定的な意見が多数を占めた。野党からも問題視する声が相次ぎ、政権側が協力を得るのは難しいとの見方が広がる。
首相は14日の衆院予算委員会で「『選挙目当てのばらまき』をすることは考えていない」と明言した。当初は前向きだった与党の幹部も慎重な立場を示し始めた。
森山氏は14日の記者会見で「今までも何回か給付したことがあった。データをみると預金に回ったと受け取れる」と発言した。公明党幹部も「国民からの評判が悪い。お金を使って選挙に響くのはよくない」と話した。
公明党内で預金に回らない商品券配布やポイントの付与という案も出た。これも自民党に有効性に乏しいとの懐疑論がある。公明党の岡本三成政調会長は16日の記者会見で、現金給付は党内に賛否があると述べた。
もう一つ持ち上がったのが消費税の減税論だ。参院自民や公明党から要望がある。SNSで減税を求める投稿が盛り上がる。何より野党の日本維新の会や国民民主党などが主張し、両党の協力が得られる可能性がある。
例えば食料品に絞った減税案であれば、いまも8%の軽減税率の対象で、家計に直結すると説明しやすい。
一方で減税は時間がかかる。法改正が必要で、税率変更のシステム改修も伴う。実行はかなり先になる。
財源も給付以上に問われる。時限的な措置でない限り恒久的な財源が欠かせない。消費税収は社会保障に充てており、代替財源を捻出しなければ赤字国債の増発につながりうる。ひとたび下げた税率を再び引き上げるのは困難だ。
与野党第1党の自民、立憲民主両党とも割れている点も課題になる。
特に路線の違いが表面化しているのが立民だ。枝野幸男最高顧問は12日の講演で、党内の消費減税論を「減税ポピュリズムに走りたい人は別の党をつくればいい」と断じた。与党には「ガソリンの旧暫定税率の廃止のほうが現実的だ」との見方もある。
3つ目に取り沙汰されるのが補助金だ。
自民、公明両党の幹事長は15日、電気・ガス代の補助再開を求める考えで一致した。24年夏の8~10月より早め、6~8月の3カ月間を念頭に補助するよう政府に促す方針を擦り合わせた。
数千億円規模の費用が必要になると見込まれる。エネルギー価格は足元で下がる動きが出ている。今国会中の補正予算案の提出を見送る場合、7000億円ほど残る予備費から充てる方法が視野に入る。
エネルギー関連の補助金は過去に実績があり、政権にとって着手しやすい側面がある。一方で脱炭素に逆行する取り組みを続けることは疑念を招く。国民に施策を認識してもらいにくいとの意見もある。
元統幕長ら提言「日本独自の核戦略指針を」 抑止・軍縮、同時に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 540文字 PDF有 書誌情報]
折木良一元統合幕僚長ら防衛省・自衛隊の元幹部の有志は日本の安全の確保に向けた提言をまとめた。核に関する戦略的な指針(ガイドライン)をつくり、米国の「核の傘」による抑止と核軍縮を同時に追求する立場を明確にすべきだと唱えた。
およそ60ページの提言は政府が2022年末に安全保障関連3文書を策定した後の情勢などを踏まえた課題を洗い出した。核やサイバー、日米同盟など10本ほどの柱立てで構成する。折木氏のほか黒江哲郎元防衛次官や自衛隊の将級OBら計8人が作成した。
提言は日米両政府が24年12月に初めて策定した「拡大抑止」に関するガイドラインについて「実効性が担保されるわけではない」と指摘。拡大抑止は敵国が日本に核を使えば米国が核で反撃すると事前に明言し、使用を思いとどまらせる考え方だ。
提言は日本が核に関する独自の戦略指針をもったうえで様々な状況のもと拡大抑止を効かせるシミュレーションを実施すべきだと提起した。敵国のミサイル拠点を打撃する「反撃能力」も含め日米が共同して作戦計画を定めるよう促した。
核軍縮や核不拡散も「車の両輪」として進めるべきだと明記した。核のない世界に向けては核軍縮と核抑止の実効性の向上を同時に進めるしか手段がないと強調し、政府に説明の努力を求めた。
資産運用の促進策、自民議連が第2弾要望[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 462文字 PDF有 書誌情報]
自民党の岸田文雄前首相が会長をつとめる資産運用立国を推進する議員連盟は16日、提言案を会長一任でとりまとめた。貯蓄から投資の流れをつくるための政策パッケージの第2弾を年内にも策定するよう政府に求める文言を盛り込んだ。若者や高齢者を含めた全世代の資産運用を後押しする。
来週にも首相官邸に提言案を提出する。政府が6月ごろにまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)などへの反映を目指す。
岸田氏は会合の冒頭「10年、20年先を見据えながら日本のお金の動きを大きく変える取り組みをしっかりと進めていくことが重要だ」と挨拶した。提言案では「資産運用立国実現プラン2.0」の作成、公表を政府に求めた。
具体的には、文部科学省に次期学習指導要領で金融リテラシーの向上につながる記載の拡充を求める。金融庁に高齢者向けの少額投資非課税制度(NISA)の制度導入や、NISA口座を開設できる対象を未成年に拡大することを税制改正要望に反映するよう要望する。
【図・写真】自民の資産運用立国議連総会であいさつする岸田氏(16日、国会内)
首相、米関税巡り電話協議 仏・マレーシア首脳と[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 283文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は16日、フランスのマクロン大統領とマレーシアのアンワル首相とそれぞれ電話で協議した。米国の関税政策と中国の報復措置が世界経済に与える影響などを巡って意見交換した。
マクロン大統領とは40分ほど電話した。米国の関税措置について議論したほか、ウクライナ情勢や北朝鮮への対応などで日仏が緊密に連携することも確認した。米国はフランスが加盟する欧州連合(EU)に20%の相互関税を課すと発表した。
アンワル首相とはおよそ25分電話した。石破首相は東南アジアに進出する日本企業へ米国の関税措置が及ぼす影響を指摘し「東南アジア諸国の声に耳を傾けていきたい」と伝えた。
中小の支援要望、首相が把握指示 政務官会合に出席[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は16日、首相官邸で開いた政務官会合に出席し、米国の関税措置を受けて地方の中小企業がどのような支援を政府に求めているのか把握するよう指示した。「特に中小企業を中心に、どういうニーズがあるのか把握し、リアルタイムで情報共有していきたい」と語った。
自衛隊・外国軍、訓練しやすく 円滑化協定の実施法成立[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 111文字 PDF有 書誌情報]
自衛隊と外国軍が共同訓練などをしやすくする円滑化協定(RAA)実施法が16日の参院本会議で可決、成立した。これまで協定を締結する国ごとに法制化していたが、一本化した。新しくRAAを他国と結ぶにあたって交渉がしやすくなる。
学術会議法案、修正に応じず 官房長官[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 94文字 PDF有 書誌情報]
林芳正官房長官は16日の記者会見で、日本学術会議を特殊法人化する法案を巡り、同会議が修正を求めたことに関し「アカデミーの自由な活動を阻害するものではない」と述べ、修正しない考えを示した。
女性国会議員、なお2割 政治活動と育児両立に壁 参政権80年、環境整備途上(男子普通選挙100年のいま)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1131文字 PDF有 書誌情報]
女性が参政権を得たのは男子普通選挙より20年遅れた1945年だった。翌年の衆院選は39人の女性議員が誕生した。そのひとりだった園田天光光氏は「国会に女子トイレすらなかった」と当時を振り返っている。
「妻の家庭における労働は単なる消費的な労働なのでしょうか。私ども婦人の立場から申しますと、それによって夫の生産活動ができると解釈できる」
榊原千代氏は47年9月の衆院司法委員会でこう提起した。男性だけの国会では無視されてきた問題にも光を当てるようになった。
衆院議員に占める女性の割合は長らく2~3%が続き、ブームだった初回の8.4%を最初に上回ったのは2005年だった。24年衆院選でも割合は15.7%で、衆参両院で2割弱だ。指導的地位に占める女性の割合を3割程度とする政府目標からも遠い。
列国議会同盟(IPU)によると3月時点の女性議員比率(下院または一院制議会)が日本は185カ国・地域のうち141位にとどまる。
背景のひとつは女性に偏る子育てなどの事情がある。24時間365日、休みない政治活動はハードルになる。
国民民主党の伊藤孝恵氏は初めて選挙に挑んだ16年参院選を1歳の娘に授乳しながら戦った。「授乳のため帰宅すると説明してもなかなか理解してもらえなかった」と話した。
与野党は優秀な女性人材を候補者として確保するため環境整備に取り組む。日本維新の会は22年参院選の立候補者にベビーシッターや一時保育の利用料を補助した。
自民党は20年から女性候補者を育成するための講座を設けた。受講者だった福田かおる、向山淳両氏が24年衆院選で当選した。地方議員は26人を誕生させた。
「相手はいるが決めるのは有権者だ」。2月、いまの第5期生は選挙プランナーから選挙戦略を聞いた。告示日100日前からの選挙プランを考えて意見交換するグループワークに取り組んだ。
国民民主が3月12日に開いた党会合に深作ヘスス氏は生後5カ月の息子を抱っこし参加した。横浜市議である妻も対応できず「自分が連れていくしか方法がなかった」と述べた。
衆院選の公示日に演説会場を抜けて出産に立ち会った。「一昔前だと、出産に立ち会えない、親の死に目にも会えないという姿勢が政治家に求められていた」。男女問わず政治家も公私を両立させる価値観が広がりつつある。
女性の政治参画に詳しい上智大学の三浦まり教授は党会合などの子供の同行については「明文規定することは意義がある。地方議会の視察、選挙運動、党務など規定を定めるそれぞれの主体で必要だ」と指摘した。
超党派で候補や議席の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」は必要性を唱える声が上がるものの広がりを欠く。議会の多様性はなお途上にある。
4月16日(首相官邸)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 607文字 PDF有 書誌情報]
▽8時12分 公邸から官邸。27分 政務官会合。50分 青柳防衛省整備計画局長。
▽9時30分 佐藤官房副長官、阪田官房副長官補、海老原新しい地方経済・生活環境創生本部事務局長、竹内総務次官、経産省の飯田次官、龍崎脱炭素成長型経済構造移行推進審議官、畠山資源エネルギー庁次長。
▽10時20分 佐藤副長官、阪田副長官補、新しい地方経済・生活環境創生本部事務局長、伊原厚労次官。
▽11時1分 佐藤副長官、阪田副長官補、小林内閣広報官、経産省の次官、茂木政策立案総括審議官。
▽13時50分 塩見文科省研究振興局長、野原経産省商務情報政策局長。
▽15時 マレーシアのアンワル首相と電話。36分 フランスのマクロン大統領と電話。
▽16時15分 米議会「日本研究グループ」のデゲット下院議員らによる表敬。
▽17時7分 岡野国家安全保障局長、原内閣情報官、河辺外務省総合外交政策局長、防衛省の大和防衛政策局長、吉田統合幕僚長。38分 長島補佐官。
▽19時2分 東京・虎ノ門のホテル「The Okura Tokyo」。宴会場「ルミエール」で衛藤征士郎元衆院議員、佐川八重子桜ゴルフ社長ら女性経営者と会食。
▽21時24分 公邸。
▽22時16分 林官房長官、国家安全保障局長、外務省の船越次官、有馬北米局長。30分 官房長官、国家安全保障局長、外務省の次官、北米局長、土谷財務省国際局長。
▽23時45分 官房長官出る。48分 全員出る。
参院選向け「消費税5%」 共産、公約に反映へ(短信)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 110文字 PDF有 書誌情報]
共産党は16日、物価高やトランプ米政権の高関税政策を受け、消費税率5%への減税と賃上げを柱とする経済対策を発表した。最低賃金は全国一律で時給1700円への引き上げを目指す方針も掲げた。夏の参院選公約に反映させる考えだ。
参院比例に佐々木氏 国民民主新人(短信)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 4ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
国民民主党は16日の両院議員総会で、夏の参院選比例代表の公認候補に新人で会社役員の佐々木喜一氏(66)を決めた。
与野党から消費減税論 欧州は「計画減税」 期間や財政見通しを明示[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1329文字 PDF有 書誌情報]
トランプ関税やインフレへの対応策として与野党から一時的な消費減税を求める意見が出ている。リーマン・ショックや新型コロナウイルス禍などでの海外の対応を参考にすべきだとの声も多い。欧州の例をみると、事前に減税期間や将来の財政再建計画を明示するなど過度な財政悪化を防ぐ工夫を講じている。
石破茂首相は「税率の引き下げは適当ではない」との見解を示している。消費税は社会保障に充てる重要な財源という考えだ。15日には自民党幹部も消費税の減税案に否定的な考えを示した。
だが財務省内では「政治情勢次第で、首相の考えは変わり得るのでは」との見方が消えない。3月末には首相が諸外国の例を参考にする姿勢を示していた。
海外では新型コロナ禍で複数の国が消費税にあたる付加価値税(VAT)の一時的な引き下げに踏み切った。ロックダウン(都市封鎖)などにより凍結した経済を再起動させるのが狙いだった。
ドイツは2020年7月から標準税率を19%から16%に、軽減税率も7%から5%に下げた。英国は同時期から飲食・観光業向けの税率を20%から5%にした。
大事なのは各国が減税の終了時期を事前にはっきり明示した点だ。ドイツは20年6月に「減税は12月までの6カ月間」と発表した。英国は当時の財務相が演説で「20年7月15日から来年の1月12日まで」と説明した。
日本では与野党から「2年程度の期限つき減税」、「食料品の消費税率を2年間ゼロ」といった声があがる。海外の例よりも開始や終了の時期が曖昧で、期間も長い。
「一度下げると、元に戻すことも相当な政治的エネルギーがないとできない」(自民党の鈴木俊一総務会長)というのも重要な論点だ。減税をやめる時期を事前に明言した海外でも経済の回復を優先して、再増税を遅らせた例が相次ぐ。
英国は当初予定の21年1月には元に戻せず、段階的に22年4月に20%に戻した。宿泊や出版などで20年7月から減税したオーストリアも、再増税時期を1年延期した。
日本で仮に食料品の税率をゼロまで下げて復活できなければ、税収に年間5兆円の穴があき続けることになる。
英国はリーマン・ショックの際にもVATを一時的に減税した。08年12月~09年末までの13カ月間を減税期間と明示して、税率を17.5%から15%まで下げた。
同時に景気回復後の財政健全化策や将来の財政見通しも示した。盛り込んだのは11年4月からの所得税の最高税率や国民保険料率の引き上げなど。これらの対策で財政赤字の国内総生産(GDP)比を3%未満まで段階的に下げ11年度以降の債務残高GDP比の増加を抑える道筋を描いた。
そもそも今の日本経済は、リーマン・ショックやコロナ級の財政支援が必要な「国難」といえる状況なのかどうか。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストはトランプ関税については「影響が未知数で、いま対策を決めるべきではない」と語る。
日本はGDPの2倍超という先進国で突出した債務残高を抱える。金利ある世界の復活で利払い費の増加も見込まれる。消費減税の議論はしばらく消えないとしても、具体的な財政の見通しなしに税率を引き下げる余裕はないはずだ。
(編集委員 中島裕介)
訪日客1000万人、四半期で初 中国人客回復がけん引 1~3月、消費微減 トランプ関税が影[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1246文字 PDF有 書誌情報]
訪日外国人客が1~3月に四半期として初めて1000万人を超えた。中国人客の回復がけん引した。消費額は前の四半期からわずかに減ったものの、高水準にある。先行きの懸念材料はトランプ米政権による関税政策で、世界経済が減速すれば、日本経済を支える訪日客消費も冷え込む恐れがある。
日本政府観光局(JNTO)が16日公表した3月の訪日客数は349万7600人だった。1~3月は1053万7300人で、2024年10~12月の998万9256人を上回った。四半期として過去最多となった。1~3月の来訪者を国・地域別で見ると、最も多かったのは韓国で250万6100人だった。
続いて中国が236万4900人、台湾が162万3600人となった。中国からの客数は前年同期から8割ほど増加した。米国やオーストラリアからの訪日客も多く、スキーをはじめとするウインタースポーツを目的とした来訪が目立った。
春になって桜を見にやってくる人も多くなった。断食明けの休暇期間と重なったインドネシアは3月単月でおよそ6万人が訪れ、前年同期から6割ほど増えた。
消費額も好調を維持している。観光庁が16日に発表した25年1~3月の消費額は2兆2720億円だった。24年10~12月は2兆2969億円で過去最高を更新していた。1人あたりで見ると、消費額は22.2万円となり、24年10~12月の23.6万円から微減にとどまっている。
消費目的別では宿泊費や交通費、買い物代が減少した。訪日客効果で堅調に推移していた業種に変化の兆しがある。
三越伊勢丹ホールディングスとJ・フロントリテイリング、高島屋が公表した3月の既存店売上高は全社が前年同月比で減収となった。訪日客によるブランド品の購入特需に一服感が出て、客単価が低下した。
みずほリサーチ&テクノロジーズの坂中弥生氏は「人気観光地への集中が変わらないまま客数が増えて単価が高まらない状態が続けば、オーバーツーリズム(観光公害)など負の側面が目立つ可能性がある」と指摘する。「影響を緩和する地方分散の施策がより重要になる」と話す。
足元では、今まで訪日客があまり訪れていない場所へと訪問する姿も見られた。ジャパントラベル・バイ・ナビタイムによると、北海道当別町は24年6~8月の外国人旅行者が前年同期と比べて伸び率がおよそ21倍と、市区町村別で日本一となった。
札幌市のベッドタウンだったが、23年に全面開業した観光施設「ロイズカカオ&チョコレートタウン」が観光客を呼び込む。同町の担当者によると「韓国、台湾、中国などアジア圏からの観光客が増えている」。
米政権による関税政策が先行きに影を落とす。訪日客数はリーマン・ショック後の09年にも世界的な不況によって前年から落ち込んだ。
高島屋の村田善郎社長は14日の決算記者会見で「円高傾向やトランプ関税などを受け、コロナ禍前に比べて中国の団体客が来ていない」と語った。「この傾向は継続するのではないか」と警戒感をにじませた。
日本未承認薬の「ロス」解消へ 厚労省、11品目製品化支援[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 776文字 PDF有 書誌情報]
海外で承認された新薬が日本では未承認で使えない「ドラッグロス」の解消に向け、厚生労働省は2025年度にまず11品目を候補として製品化を支援する。重症マラリアや多剤耐性結核といった治療薬で急ぐ。学会や患者団体からの要望を待たず検討を始め、治験の仲介などを通じて早期の導入を後押しする。
厚労省は16~20年に欧米で承認された新薬143品目のうち、23年3月時点で日本で治験の申請などがない86品目の製品化の判断を優先することにした。このうち標準的な治療法がないといった理由で11の医薬品を最優先候補にあげ、4月中にも医療上の必要性の是非を巡る議論を始める。
必要性が高いと評価された場合、厚労省は25年度中に国内での販売ライセンスをもつ製薬会社に導入を要請する。なければ日本への導入を担うメーカーを募る。いずれも日本国内での製造販売には日本人への治験を通じて有効性と安全性を確認し、薬事承認を受ける必要がある。
要請や公募に強制力はないものの、応じた場合は公定価格の薬価の加算を受けられる。患者が少ない希少疾病であれば、医薬品の開発費用を助成する制度もあり、厚労省は活用を働きかける。治験を実施する大学など国内研究機関と製薬会社の橋渡しも進める。
財政難を受けて日本では社会保障費の抑制のため薬価を毎年改定し、積極的に引き下げている。臨床試験の費用もかさみ、日本市場で収益を見込めないと判断した製薬会社が日本での承認申請を避けるケースは少なくない。こうした点がドラッグロスの背景にある。
日本では未承認の海外の新薬に関して、これまでは学会や患者団体などが厚労省に導入を要望し、医療上の必要性を検討するのが通例だった。ドラッグロスの問題が近年注目されるようになったことを受け、厚労省が自ら情報収集し、候補薬をあげて製品化を急ぐ方策もとり入れることにした。
備蓄米3回目入札、23日開始 「まっしぐら」など 23年産10万トン対象[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 415文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省は16日、政府備蓄米の放出に向けて3回目の入札公告を発表した。大手のコメ集荷業者に対し23~25日に入札を実施し、売り渡す業者を選ぶ。2023年産の10万トンを対象とし、落札したコメ集荷業者による引き取り期間は6月末日までと設定した。
農水省は備蓄米の管理を委託する3事業者ごとに入札公告を発表した。青森県産のまっしぐらや福島県産の天のつぶなどを放出対象とする。農水省は23日午前10時必着で申し込みを受け付ける。決まらなかったコメがある場合、24日以降も改めて入札を行う。
今回から、過去に取引実績がある卸業者間や小売業者間であれば、備蓄米を取引できるように見直した。農水省はこれまで備蓄米を調達した卸業者に対し、精米後に小売業者などの実需者に販売することを義務付けてきた。
現状では備蓄米は全国農業協同組合連合会(JA全農)と取引のある業者に流通が偏り、一部の中小卸や地域の小売店にコメが行き渡りにくい状況がある。
英消費者物価、3月2.6%上昇 前月から伸び縮小[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 399文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=大西康平】英統計局が16日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.6%上昇した。伸び率は2月の2.8%から0.2ポイント縮小した。ロンドン証券取引所を運営する英LSEGが集計した事前の市場予想の2.7%を下回った。エネルギーや食品などを除くコア指数は3.4%の上昇だった。
上昇率はサービス価格が前年同月比で4.7%、モノが0.6%となった。伸びは2月からそれぞれ0.3ポイント、0.2ポイント縮まった。
品目別に伸び率を見ると、娯楽・文化が2.4%、通信が6.0%とそれぞれ1.0ポイント、1.3ポイント縮小した。衣類・履物は0.6%の下落から1.1%の上昇に転じた。
英イングランド銀行(BOE)が物価上昇率の目標とする2%を6カ月連続で上回った。BOEは根強いインフレ懸念に慎重に対処すべきだと判断し、3月は2会合ぶりに政策金利を据え置き、4.5%のままとした。
「浮体式」40年普及目標 洋上風力、経産省が策定へ[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 310文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省は浮体式の洋上風力発電の普及に向け、2040年までの導入目標を新たに定める。17日に検討会での議論を始め、夏までに結論を得る。浮体式は水深が深い海域にも設置できる特長がある。具体的な目標をもとに海外の風車メーカーを誘致するほか、国内の部品産業の育成を狙う。
浮体式は現在、長崎県五島市沖などで稼働している。足元の導入容量は1万キロワット未満と小さい。新たな目標はギガワット(100万キロワット)単位で打ち出す。
日本には風車メーカーがなく、海外企業の誘致が欠かせない。米GEベルノバやデンマークのベスタスなどが強い。欧米ではトランプ米政権の脱風力政策やインフレなどの影響で洋上風力の新規投資が停滞傾向にある。
札証理事長に長野氏就任へ 北洋銀前副頭取[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 257文字 PDF有 書誌情報]
札幌証券取引所は、石井純二理事長(73)の後任に北海道二十一世紀総合研究所会長の長野実氏(65)を充てる人事を固めた。4月下旬に開く理事会を経て、5月の総会で正式決定する。長野氏は北洋銀行の前副頭取。石井氏は体調不良のため理事長を辞任する意向を表明していた。札証はグリーントランスフォーメーション(GX)投資を促進するため、上場する金融商品の拡充などを目指している。
長野 実氏(ながの・みのる)82年(昭57年)北海道拓殖銀行入行。14年北洋銀行取締役、19年副頭取を経て、24年北海道二十一世紀総合研究所会長
介護事業者倒産、昨年度最多179件[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
東京商工リサーチは16日、2024年度の介護事業者の倒産が179件に上ったと発表した。前の年度から48件増え、比較可能な00年度以降で最多となった。
24年度の介護報酬改定で基本報酬を引き下げた訪問介護が約半数を占めた。人手不足や光熱費の高騰も引き続き経営を圧迫する要因となっている。
東電の再建計画「覚悟聞きたい」 原賠機構幹部[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 140文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングスの筆頭株主である原子力損害賠償・廃炉等支援機構は16日、東電の次期再建計画の策定を前に運営委員会を開催した。今夏をメドとする策定に向け、定期的に開く。次回は東電幹部も出席する。原賠機構の幹部は同日の会合後の記者会見で「次は東電の覚悟を聞きたい」と語った。
柏崎刈羽再稼働、県民投票を審議 新潟県議会[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 139文字 PDF有 書誌情報]
東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働の是非を問う県民投票条例案を審議する新潟県議会の臨時会が16日に始まった。
新潟県は投票を実施する費用について8億円以上かかるとする試算を明らかにし、花角英世知事は投票で得られる情報は費用対効果としてみると限定的との考えを示した。
法務省(人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 5ページ 212文字 PDF有 書誌情報]
法務省(17日、地名のみは地検検事正)京都、西山卓爾
▽最高検総務部長、伊藤栄二
▽東京高検次席検事、石山宏樹
▽仙台、山田英夫
▽静岡、原山和高
▽山口、丸山嘉代
▽東京高検公判部長、小松武士
▽熊本、加藤匡倫
▽釧路、伊吹栄治
▽岐阜、高橋和人
▽最高検検事、太田玲子
▽同、西村朗太
▽松山、自見武士
▽宮崎兼福岡高検宮崎支部長、今村智仁
▽最高検検事、山上真由美
▽鳥取、福居幸一
▽最高検検事、大口康郎
▽同、阿部健一
▽大阪高検総務部長、柴田紀子
米朝首脳が再び握手する日(DeepInsight)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 7ページ 2137文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が世界を振り回す光景に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記はほくそ笑んでいるに違いない。目下の喧騒(けんそう)をよそに4度目の米朝首脳会談へ着々と布石を打つ。
体力、精神力、射撃力で極めて高い訓練を受けた、恐れを知らない狂信的な集団――。ウクライナ軍に映る北朝鮮兵の特徴を本紙が伝えている。韓国軍によると、2024年にロシアに派遣された1万1千人のうち4千人余りが死傷しつつも3千人超を増派した。
犠牲よりも見返りが大きいとみているのだろう。参戦は北朝鮮側から申し出たとの説が有力だ。
「1960年代の韓国軍のベトナム派遣と重なる」。朝鮮半島を長く見つめてきた小此木政夫慶応大名誉教授はこう語る。
ベトナム派兵は韓国軍の近代化や戦力増強に寄与し、「ベトナム特需」を通じて韓国の輸出志向型工業化の出発点にもなった。
3月下旬、金正恩氏の姿は新たに開発した無人偵察機と人工知能(AI)搭載の自爆攻撃型ドローンの性能試験場にあった。ロシアからの技術協力でドローンの量産をめざしている。米本土全域を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を繰り返し、急速な技術革新に成功した背後にもロシアの影がみえる。
北朝鮮兵にロシア側が支払う給与は1人当たり日本円で月30万円とも55万円ともいわれる。近代戦の戦術を身につけ、実戦を重ねて練度も高まっている。
ベトナム戦争当時の韓国は派兵を決めなければ、在韓米軍が削減され、ベトナムに転用されかねなかったという事情もあった。北朝鮮もロシアに貸しをつくることで、北朝鮮制裁強化の国連安全保障理事会決議への反対や、朝鮮半島有事での援軍を期待できる。
ロシアとの間で復活した事実上の軍事同盟は金正恩氏にとってはカネ、技術、安保を呼び込む「一石三鳥」だ。兵派遣などの犠牲を惜しまない理由がわかる。
そんな金正恩氏との会談に意欲を示すトランプ氏。最近も北朝鮮と意思疎通していると明かし「彼はとても賢い。我々はいずれ何かやるだろう」と予告した。国務省や国家安全保障会議(NSC)の高官に1期目の政権で米朝交渉に携わった人物を起用している。
ウクライナ戦争の終結を公約に掲げてきたトランプ氏の返り咲きと、北朝鮮兵の参戦で、ウクライナ停戦交渉が進展した後に米朝交渉が動きだすシナリオが急浮上している。米朝両首脳とパイプを持つロシアのプーチン大統領が介在する可能性もささやかれる。
今年下半期から2026年上半期に注目すべきだ。トランプ氏の視線は同年秋の米議会中間選挙とノーベル賞に向かう。1期目には北朝鮮への対応で当時の安倍晋三首相に同賞への推薦を求め、日本が同賞委員会に送った書簡の写しを渡されたと語ったこともある。
富と権力を手にし、残る最高の名誉を獲得できれば、生涯にわたり自らの身を守ってくれる盾になると信じているのではないか。
その発想は危うい。北朝鮮を「核保有国」と繰り返し言及するのも核の容認ととられかねない。核保有国の立場で米朝間の軍備管理交渉をめざす北朝鮮の思うつぼだ。
日韓を狙う中短距離ミサイルも温存したまま北朝鮮への経済制裁が解かれるなどの「悪いディール」が現実味を帯び、形骸化の危機にある核拡散防止条約(NPT)体制の崩壊につながる。
1期目の大統領補佐官だったボルトン氏の回顧録に、ハノイでの第2回米朝首脳会談の決裂後、北朝鮮への姿勢が強硬すぎたかと不安がるトランプ氏の様子が描かれているのは不気味な暗示にもとれる。北朝鮮の核放棄を主張し続け、体を張って悪いディールを止めたボルトン氏のような参謀や側近が2期目には見当たらない。
トランプ氏は韓国防衛の「コスト」にも辛辣だ。北朝鮮の脅威を考えれば現実離れした米韓合同軍事演習の中止だけでなく、そのうち朝鮮戦争の終戦宣言や在韓米軍の縮小・撤退まで協議のテーブルにのせないとは言い切れない。
米国がアジアの防衛線から朝鮮半島を外し、北朝鮮に対南侵攻のきっかけを与えた1950年のアチソンラインの再設定を危惧する声も専門家の間からあがる。
金正恩氏もトランプ氏との間合いをじりじりと詰めている。北朝鮮メディアは米政権を非難する際に「米国の現当局」「現米行政府」などと呼称し、トランプ氏の名指しを避ける。このところICBMの発射実験も控えている。
北朝鮮が前のめりになれないのは、最高指導者の恥の上塗りはけっして許されないからだ。18年6月にシンガポールで満面の笑みで初めて手を握りしめたトランプ氏の8カ月後の豹変(ひょうへん)に金正恩氏の額には汗が鈍く光っていた。ハノイの屈辱はハノイで晴らすと考えているはずだ。ハードルは下げられないだろう。
米国からの対話と圧力の両にらみで、ロシアの力も借りながら今年最終年を迎えた国防5カ年計画の完遂を急いでいる。
北朝鮮が米国だけを交渉相手とする限り、日本は米朝交渉の進展によって日朝協議をけん引する「トランプ機関車」戦略に頼らざるを得ない面がある。だが頭越しでの米朝合意は、この地域で米国の関与が薄まり、韓国などでも核武装論が高まるリスクをはらむ。
気が付いた時には手遅れとならないための外交戦略が必要だ。
自律型AIに主導権渡すな 米マサチューセッツ工科大学教授 ダロン・アセモグル氏(グローバルオピニオン)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 7ページ 0文字 書誌情報]
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自律型AIに主導権渡すな――警戒怠らず活用を(グローバルオピニオン)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 7ページ 0文字 書誌情報]
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SBI、韓国生保をグループ会社に 出資額計1000億円 海外事業拡大に弾み[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1287文字 PDF有 書誌情報]
SBIホールディングス(HD)は韓国の生命保険会社3位の教保生命保険をグループ会社にする。出資比率を現在の9.3%から2割強に高め、持ち分法適用会社にする。デジタルに強い韓国の会社をグループ化し、証券や銀行に比べて出遅れている保険事業をてこ入れする。
追加出資を含むこれまでの総投資額は1000億円規模とみられる。教保生命の既存株主から持ち分を買い取る。創業家出身の会長を除いた株主としては筆頭になる。
教保生命の総資産は138兆7235億ウォン(約14兆円)と、SBIHD傘下のSBI生命保険の1338億円を上回る。人工知能(AI)でのリスク評価などデジタル技術に強みがある。SBI生命など日本の保険事業にノウハウを提供する。
SBIHDの24年4~12月期の部門別税引き前利益は、銀行事業が992億円、証券事業が615億円だったのに対し、保険事業は59億円と出遅れが目立つ。SBI生命の24年3月期の保険料等収入は326億円と、日本生命保険(8.5兆円)との差が大きい。
SBIHDは07年、約180億円を投じて5%ほどの教保生命の株式を取得したことを足がかりに協業を広げてきた。24年7月にはデジタル証券のシステムの構築に向けて提携を結んだ。
教保生命の24年12月期の純利益は700億円弱で、SBIHDは出資後にその2割を取り込む。SBI生命の24年3月期の純利益は約5億円で、追加出資により収益の底上げを狙う。
SBIHDは1999年の創業以来、祖業のネット証券とベンチャーキャピタル(VC)を核に出資戦略を絡めて金融事業の多角化を進めてきた。証券事業では23年秋から国内株の取引手数料ゼロを打ち出し、競合他社からの顧客誘導を狙う。営業収益や純利益は24年4~12月期に過去最高に達した。
銀行への本格進出は、07年に住友信託銀行(現三井住友信託銀行)との共同出資でたちあげた住信SBIネット銀行だ。口座数は開業以来、右肩上がりで伸び続けて24年12月には797万口座に達した。19年からは地方銀行への出資にかじを切り、資本提携した先は9行にのぼる。
21年12月には新生銀行(現SBI新生銀行)を子会社にした。傘下入り後に業界でいち早く預金金利の引き上げに踏み切ったことで、預金残高は24年12月までの9カ月間で2割弱伸びた。
足元で加速させているのが海外進出だ。24年5月には、サウジアラビア株を組み込んだ上場投資信託(ETF)の東京証券取引所への上場に向け、現地の情報通信大手ナショナル・テクノロジー・グループ(NTG)と業務提携で合意した。
サウジ株を組み込んだETFは日本初で、24年10月に東証上場を果たした。経済成長が著しい中東の企業への投資機会を日本に提供するとともに日本企業にも中東マネーが巡る環境をつくる。
教保生命への追加出資は海外事業のてこ入れの一環にも位置づけられる。韓国では銀行やVCを保有。カンボジアでも現地企業への出資を通じて保険事業を展開する。SBIHDは連結税引き前利益の20~30%を海外から得ることを当面の目標としている。
米大手銀6社、最終増益 1~3月、不良債権処理費は3割増[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 8ページ 979文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=三島大地】15日に出そろった米大手銀の2025年1~3月期決算は、6社すべてが最終増益となった。米経済の不況懸念が高まるなかでも業績は底堅さをみせる。米経済の先行き不透明感から、企業の倒産などに備える不良債権の処理費用は前年同期比3割増えた。
15日に決算発表をしたバンク・オブ・アメリカ(BofA)の純利益は11%増の73億9600万ドル(約1兆600億円)だった。シティグループの純利益も40億6400万ドルと21%伸びた。JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーの4社も増益を確保し、米大手銀6社の合計で純利益は12%伸びた。
業績を押し上げたのが、株式などのトレーディング収益だ。トランプ米大統領の就任以降、株式市場の変動に備えるデリバティブ(金融派生商品)などが好調だった。
先行きへの警戒がにじむ決算ともなった。不透明な状況が長期化すれば、3つのリスクが顕在化する可能性がある。1つ目は企業倒産などに備える与信費用の増加だ。
商銀主体4社は与信費用を1~3月期に計84億ドルと前年同期比29%増やし、危機への備えを進めている。JPモルガンのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は「経済のリスクと不確実性が著しく高まったことを考慮した」と説明する。
2つ目は景気減速による企業の借り入れ意欲減退だ。企業業績が悪化すれば設備投資などに伴う資金需要は細る。リーマン危機や新型コロナウイルス禍などの景気後退局面では融資残高がピークから1割程度減少した。
3つ目はM&A(合併・買収)の減速だ。規制緩和などを公約に掲げたトランプ政権の下で企業活動が活発になり、M&A助言などの投資銀行業務には追い風が吹くと見られていた。
関税政策の不透明感から「一部の顧客は計画を一時停止しようとしているし、既にそのボタンを押した顧客もいる」(モルガン・スタンレーのテッド・ピック最高経営責任者=CEO)。
決算説明会では経済や市場への配慮を期待する発言が相次いだ。ゴールドマンのデービッド・ソロモンCEOは「貿易戦争の過熱は米国と世界経済に重大なリスクをもたらしている」と警戒する。「最も望ましいのは、できるだけ早く不透明感が解消されることだ」。シティのマーク・メイソンCFOはこう期待を寄せた。
利上げの恩恵、規模で差 貸出金利上昇幅 信金は銀行の半分以下[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 8ページ 614文字 PDF有 書誌情報]
貸出金利の上昇幅が金融機関の規模によって開きが出ている。銀行勢が収益を伸ばすなか、信用金庫では貸出金利の上昇幅が銀行業の半分以下にとどまり、経営の重荷になっている。
日銀によると、マイナス金利解除前の24年2月から1年間の貸出金利(新規・総合)の上昇幅(12カ月移動平均)は、信金で0.05ポイントと、メガバンクなど都市銀行(0.2ポイント)や地銀(0.18ポイント)と比べて、3分の1以下の水準だった。
信金の貸出金利の上昇が鈍い背景には、市場金利を反映しづらい融資契約の構造がある。日銀によると、法人向け貸し出しで信金は市場金利に連動した「市場金利連動」の貸し出しは8%と、大手銀(約6割)や地銀(約3割)と比べて、低位にとどまる。信金では、一定期間が過ぎないと金利を変えられない「固定型」が51%を占める。
預金金利の引き上げで調達コストは上がっている。貸出金利を上げられなければ、収益は圧迫されてしまう。
信金の融資先の業況感の厳しさも、金利引き上げを難しくしている。都内のある信金は「取引先の中小のなかには、経営状況が悪化しているケースがある。他の信金との競合関係もあり、貸出金利を引き上げづらい」と漏らす。
米国の関税政策による影響が中小を直撃し、倒産が増えるような事態に陥れば、(貸し倒れに備えた)信用コストが増え、信金の経営は一段と圧迫されかねない。収益回復の遅れが長期化すれば、再編機運が高まる可能性もある。
三井住友FG、マネフォと新会社設立 銀行機能を外部提供[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 8ページ 523文字 PDF有 書誌情報]
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とマネーフォワードは16日、銀行機能を外部企業に提供する「BaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)」の共同出資会社を設立すると発表した。マネフォの中小企業向けサービスに銀行機能を組み込むほか、将来は非金融の外部企業への提供も目指す。
両社はBaaS領域で準備会社を設立することで基本合意した。金融庁の許認可を前提に、新銀行の設立を検討する。新会社はマネフォと三井住友FGの折半出資にし、両社にとって持ち分法適用会社になる。出資額は明らかにしていない。
新銀行のサービスや提供時期は準備会社で検討する。預金や振り込みが軸になるとみられる。三井住友FGの金融ノウハウに、マネフォのデジタル技術を掛け合わせる。
マネフォはクラウド経由でソフトを提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)などを手掛けてきた。顧客は2月末時点で個人事業者を含めて40万事業者を超え、新銀行のBaaSサービスの潜在顧客となる。
マネフォと三井住友FGは24年から距離を縮めている。マネフォは祖業の家計簿アプリを本体から切り離して設立した新会社に三井住友カードからの出資を受け入れた。BaaS事業を通じて両社は協業を深める。
口座乗っ取り株不正売買、ようやく対策着手 日証協――日証協会長「多要素認証、義務化へ議論」[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 8ページ 244文字 PDF有 書誌情報]
日本証券業協会の森田敏夫会長は16日の定例記者会見で、オンライン証券口座の多要素認証について「基本的に義務化する方向で持っていくことが重要」と話した。ネット取引に関するガイドラインの改正を目指す方針を示した。
森田会長は「(多要素認証をしたくない顧客は)特定して自己責任の原則で取り組んでもらい、それ以外の顧客については推奨や義務化で保護することを優先すべきだ」と話した。
被害に遭った顧客への補償については「個社で判断してもらうことだが、基準を示した方が良いかを検討している」とした。
口座乗っ取り株不正売買、ようやく対策着手 日証協 本人確認、個人任せに限界(金融取材メモ)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1337文字 PDF有 書誌情報]
「二要素認証について義務化も含めて証券業界として検討できないか」。4月上旬、サイバー犯罪集団が乗っ取った証券口座で株式の不正売買が止まらず、金融庁は日本証券業協会への働きかけを強めていた。
二要素認証は証券システムへのログインや口座からの出金の際に複数の手段で本人確認する。本人の指紋や刻々と変化する「ワンタイムパスワード」で追加の手続きを求めるのが一般的だ。
犯罪集団は証券会社をかたるメールなどを通じて偽サイトへ誘導する「フィッシング」や、不正プログラムの個人端末への感染を通じて、IDやパスワードを盗んでいるとみられる。情報が漏洩したとしても、追加の本人確認がなければ取引に入れない二要素認証は最有力の対策と言える。
採用はあくまで個人の任意だ。瞬時の判断がものをいう証券取引では一手間加わることを嫌がる個人投資家が少なくない。個社で義務付けた場合にはクレームや顧客離れになりかねず、金融庁は業界での一致した対応を要請した。
初めに被害が多発したネット証券大手などが独自に議論を始めようとした動きも影響し、日証協全体でようやく対策の検討に着手する。証券口座からの相次ぐ不正送金を受けて2021年に策定したガイドラインの改定が軸になる。
犯罪集団は不正売買で利益を上げるため、売買が少なく、株価を動かしやすい低流動性銘柄を標的にした。2つの証券口座を用いて売買をぶつける手口を使っているとみられる。
ある証券口座で売買の少ない株式を徐々に買い集めた後で、不当に高い価格でまとまった売り注文を出す。そこに不正取得した別の証券口座から大量の買い注文を出して取引を高価格で成立させることで、売りを出した口座に売却益がたまる。すぐに株価は通常の水準に戻り、不正取得の口座に残った株は多額の含み損を抱えることになる。
事後の対応にはなるものの、証券会社と東京証券取引所の連携も被害抑制のカギになる。インサイダー取引などのチェックは日本取引所自主規制法人の売買審査が担うが、東証も独自に誤発注や不自然な値動きを把握するための「リアルタイム監視」を実施している。
あるネット証券幹部は「東証にはもっと前のめりで対応に乗り出してほしい」と訴える。一方で東証としては取引が正常か不正かを見極める判断は難しく、全銘柄の動きを捕捉し伝達することに慎重にならざるを得ない事情がある。
二要素認証の義務化もハードルは高い。規模の小さい証券会社ではシステム対応の負担が重い。大手でもスマホアプリやパソコンのブラウザーなど多様なネット取引の手段を提供しており、入り口を全て塞ぐのには苦慮するとの見方がある。こうした証券会社の多様な立場が、日証協の腰が重かった理由だ。
被害を公表した証券会社は楽天証券、野村証券、SBI証券、SMBC日興証券、マネックス証券、松井証券の6社に広がった。「日証協だけには任せていられない」。被害にあった証券会社は11日、首脳を集めた独自の会合を開催した。取り得るべき対策や損失の補償のあり方について意見を交わしたもようだ。
「貯蓄から投資へ」の動きを冷やさないためにも、証券取引に関わる全ての関係者が自らの利害から一歩踏み出して対策を考えることが必要だ。
(上田志晃)
中国テック株、消えぬ期待 関税懸念も本土マネー下支え 「強気相場」が復調、資金調達回復[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1616文字 PDF有 書誌情報]
【香港=伊原健作】香港市場に上場する中国テック株への投資家の期待が根強い。トランプ米政権が仕掛けた米中関税競争で強気相場はいったん腰折れしたが、足元では復調しつつある。中国本土マネーの流入も追い風で、新規上場などによる資金調達も回復傾向が続きそうだ。
「5、6月は新規上場がさらに増える」「市場の需要の強さは変わっていない」。15日朝、香港取引所での新規上場セレモニーに出席した中国の投資銀行関係者からは強気の声が聞かれた。上場関連の業務をする米投資銀行の男性は「とても忙しい」と話した。
同日上場したバイオ医薬品を手掛ける映恩生物は、上場初値が公開価格比9割高となった。4月の第1号として前日に新規上場した電気自動車(EV)向け電池企業、江蘇正力新能電池技術も初値は公開価格を上回った。
香港にはアリババ集団や騰訊控股(テンセント)など中国の主要テック企業が上場する。人工知能(AI)を手掛けるDeepSeek(ディープシーク)が1月に台頭したのを機に強気相場になり、新規上場も活発になっていた。
4月に米中関税競争がエスカレートすると相場は急落したが、中国のテック株は底堅さがある。昨年までマネーの中国離れで、中国テック株は売り込まれた。割安感が強く、投資家からの関心を集める。
ハンセン指数は15日まで6営業日続伸した。16日は利益確定売りで前日比2%安と反落したが、年初来では5%高。日経平均株価や米ナスダック総合指数がマイナス圏に沈むなかで堅調さが際立つ。アリババは年初来で3割高だ。
関税競争のなかでも、米国とのテック覇権争いで中国側が巻き返すとの見方が根強い。半導体受託生産大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)の株価は直近安値から2割超上昇し、米相互関税公表前の水準を上回っている。米モルガン・スタンレーは人工知能(AI)向けで中国独自の高性能半導体の需要が高まるとして、8日に同社の目標株価を引き上げた。
米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏らはトランプ政権の相互関税の発表を受けた5日付のリポートで「中国が勝者になることに議論の余地はない」と主張した。米ハイテク産業は関税の影響で「10年は後退する」とした。
本土マネーの流入も支えだ。香港と上海・深の証券取引所間の株式相互取引(ストックコネクト)のデータによると、関税競争が激化した前週に本土勢による香港株の買越額は822億香港ドル(約1兆5000億円)。21年1月以来の高水準となった。
こうしたなか、新規上場に伴う増資などエクイティファイナンス(新株発行による資金調達)は回復が続きそうだ。調査会社ディールロジックによると、香港市場での増資による資金調達額は1~3月に163億ドル(約2兆3000億円)と、過去最高だった21年1~3月以来の水準になった。
金額は前年同期の約15倍。取引所別では米ニューヨーク証券取引所や米ナスダックに次ぐ3位で、前年同期の19位から急上昇している。
3月には自動車大手の比亜迪(BYD)が435億香港ドル(約8200億円)、スマホ大手の小米(シャオミ)が425億香港ドルの増資を発表した。香港ドルは「ペッグ制」で米ドルと連動し外貨への交換が容易だ。狙いは海外展開向けの資金確保だ。
「地政学リスクと関税問題で(中国勢の間で)海外進出を加速する動きが広がっている」(デロイト中国の欧振興・パートナー)事情がある。関税競争は製造網を再編するための資金調達を後押しする。
今後は車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)の新規上場が試金石になる。調達規模は50億ドル(約7200億円)を上回るとみられる。香港の新規上場案件では21年に動画アプリ大手、快手科技が410億香港ドル(約7600億円)を調達して以来の規模になる。
【図・写真】EV向け電池を手掛ける江蘇正力新能電池技術の上場セレモニー(14日、香港取引所)
米国債、警戒モード続く 変動幅は地銀破綻以来の水準 ファンド勢が売買縮小 規制強化で市場脆弱に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1456文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=斉藤雄太】米国債相場が不安定な動きを続けている。トランプ米大統領の関税政策を巡る混乱で米国債利回りが一時急上昇し、損失を出したファンド勢などの売買縮小で取引の厚みが失われた。長年の放漫財政で膨張した米国債市場のもろさが露呈し、適切な規制のあり方が問い直されている。
米長期金利の指標になる10年物国債利回りは15日、4.3%台前半で推移した。前週末に一時4.6%近くまで急上昇(債券価格は急落)し、週間の上げ幅(0.5%)が23年ぶりの大きさに達した猛烈な米国債売りは今週に入って歯止めがかかった。だが市場参加者は警戒モードを解いていない。
「米国債市場の厚みはやや改善したが、まだ相互関税発表前の数カ月間の水準を40%以上下回っている」。米銀大手JPモルガンで金利戦略を担うジェイ・バリー氏は14日、円滑な売買を支える流動性は低下したままだと指摘した。
市場の流動性は実際につけた米国債利回りと、理論的な適正値との乖離(かいり)の大きさなどから測定する。流動性が細れば投資家は希望する価格での取引が難しくなり、値動きが荒くなる。
米長期金利の日中の変動幅(最も高い金利水準と低い水準の差)をみると、先週は0.2~0.35%程度と大きな動きが続いた。こうした規模の変動は米地銀シリコンバレーバンクが破綻し、連鎖破綻への恐怖で市場がパニックに陥った2023年3月以来だ。
08年のリーマン危機後、大手銀行は自己資本規制が大幅に強化され、手元にいったん債券を保有して売買を円滑にするマーケットメーク(値付け)業務が難しくなった。入れ替わるように台頭したのが、資金を借り入れて投資額を膨らませるレバレッジを活用するヘッジファンドや、「PTF(プリンシパル・トレーディング・ファーム)」と呼ばれる高速売買で値ざやを稼ぐ投資会社だ。
ニューヨーク連銀が今月公表した報告書によると、米国債入札で銀行・証券会社などのディーラーが購入する割合はリーマン危機後に急低下し、ヘッジファンドや投資信託といったファンドの割合が7割に高まった。電子取引市場でもファンド勢が流動性の主要な供給源になっている。
新型コロナウイルス禍ではファンドの撤退による流動性の枯渇が金利の急騰を招いた。米連邦準備理事会(FRB)が米国債を購入して金利を抑え込んだ経緯がある。
今回の金利急騰局面でも金利低下に賭けていたファンドの損失が膨らみ、同様の現象が起きた公算が大きい。ベッセント財務長官は14日、米ブルームバーグに米国債の売りは中国などの海外投資家というよりレバレッジ解消の動きだとの見解を示した。
米国債市場が落ち着きを取り戻したのは先週末のボストン連銀のコリンズ総裁の発言が一因となった。フィナンシャル・タイムズ(FT)に金融市場の混乱が深刻になればFRBは対応する用意があると述べ、安心感を生んだ。ただ最後は「FRB頼み」という構図には批判的な声もある。
目先の焦点は「補完的レバレッジ比率」(SLR)と呼ぶ資本規制の緩和だ。銀行が抱える米国債を資本規制上の計算から除外するなどして、国債を取引しやすくする。コロナ禍の危機対応で一時緩和したが、21年春に元に戻した。ベッセント財務長官やFRBのパウエル議長も見直しに前向きな考えを示す。
バイデン前政権で財務次官を務めたネリー・リャン氏は、債券ファンドの換金売り殺到時の混乱を防ぐ仕組みやファンドの過度なレバレッジ抑止を含め、一連の市場改革案の地道な実行が重要だと指摘する。
米国債、警戒モード続く 変動幅は地銀破綻以来の水準――国内債券市場も機能低下 予想インフレ率乱高下[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 9ページ 535文字 PDF有 書誌情報]
国内でも債券市場の機能低下を指摘する声がある。市場の予想インフレ率を示す指標の「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」が乱高下している。14日に1.096%と2024年8月以来、約8カ月ぶり低水準まで低下したものの、翌15日は1.267%に急上昇した。
国債の一つに、物価が上がると元本と利息が増える物価連動国債がある。BEIは、償還日などの条件が同じ一般の国債(名目金利)と物価連動債の利回り(実質金利)の差だ。投資家の今後の物価予想を映す。プラスの場合はインフレ、マイナスだとデフレの予測となる。
実質金利は足元で約4年ぶりにプラス圏に浮上した。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「トランプ米政権の高関税政策に伴う景気懸念というだけではBEI急落の説明がつかない」と指摘する。
背景にあるのは市場の投資家層の薄さだ。長期的なデフレ下にあった日本では、足元のインフレでもなお物価連動債の投資需要が少ない。市場の流動性はかなり低く、市場の混乱時には値動きも大きくなりやすい。
市場では「今後の期待インフレ率への見方に大きな変化はない」との声が多い。BEIの急低下は世界的な債券の急変動を受け国内債券市場の機能が大きく低下したことを映していると言える。
米ユナイテッド航空株に買い 不況時の業績シナリオ好感(MarketSCOPE)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 9ページ 488文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税を巡る方針が揺れ続け、企業業績への影響が読みづらくなっている。米ユナイテッド航空は15日、景気見通しについて2パターンのシナリオを描いて業績予想を示した。
同社は12月期通期の見通し(ガイダンス)を更新した。ガイダンスは通常「マクロ経済のコンセンサス(中心的な見通し)」に基づいて示す。
今回は「もはや単一のコンセンサスは存在しない」とし、景気見通しについて(1)「弱いが安定」(2)「不況に向かう」という2つのシナリオで業績を予測した。
(1)では航空券予約動向などについて現状のトレンドが続くとして、1株利益(EPS、希薄化後・調整後)が11.5~13.5ドルと従来予想を踏襲。(2)では4~12月期の売上高をさらに5%低く見積もって、燃料価格下落によるコスト軽減も期待できないとしてEPSが7~9ドルと大幅減益に陥るリスクを示した。
発表後の株価は時間外取引で一時6%超上げた。1~3月期実績が市場予想を上回ったことが大きいが「悪いシナリオでも通期で利益が出るのが確認でき、投資家の安心感につながった」(松井証券の大山季之マーケットアナリスト)。
World Market[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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東南ア企業、IPO延期も 4500社時価総額一時23兆円減 エネ・資源関連株乱高下 米関税、電子部品は回復[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1811文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の高関税政策を巡り、東南アジア企業に混乱が広がっている。株価が乱高下し、上場企業の時価総額は一時23兆円減った。関税の一時停止を受けて全体では時価総額を戻したものの、戻りが鈍い業種も目立つ。ベトナム鉄鋼最大手ホアファット・グループが配当政策を変えたほか、一部で新規株式公開(IPO)を延期するなど戦略見直しの動きが相次ぐ。
「まさに『ジェットコースター』と呼ぶのにふさわしい株価の混乱ぶりだった」。東南アジア市場に詳しい在タイの日系金融幹部はトランプ関税発表後からの約10日間を振り返る。
米政権による相互関税発表後の3日朝から株価は下落した。日本経済新聞がQUICK・ファクトセットのデータをもとにインドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムの東南アジア主要6カ国の上場企業約4500社(金融除く)の時価総額を調べたところ、累計額は9日時点で1兆7156億ドル(245兆円)と関税発表前から1619億ドル減った。日本円にすると約23兆円になる。
ところが米国時間9日、米政権が関税の90日間の一時停止を発表すると一転、上昇し、14日終値ベースで累計額は1兆8377億ドルまで回復した。関税発表前(1兆8775億ドル)に迫る水準まで近づいてきた。
東南アジアで時価総額首位の小売り大手シーは、関税発表後の8日に一時166億ドルを失った。同社が運営する「ショッピー」は域内最大のネット通販サービス。米国との直接的な貿易関係や同国での事業展開はないものの、関税による消費者心理の悪化が懸念された。事業拡大の前提だった東南アジア経済の成長が鈍る恐れがあり、株価は大きく下落した。
域内で存在感があるエネルギーや資源関連の企業の株価も乱高下した。時価総額2位のインドネシア再生可能エネルギー大手バリトー・リニューアブルズ・エナジーは一時107億ドルを失った。
同国財閥大手バリトー・パシフィック系の同社は、ジャワ島などで地熱発電所を運営する。23年の上場後、株価が急騰してきた反動もあり、急激に資金が引いた。ただ相互関税の一時停止が発表されると株価は上昇し、関税発表前を上回る水準に戻った。
戻りが鈍い業種もある。第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストは「貿易戦争による世界経済の減速懸念が原油など商品市況の重しになっている」と指摘する。
天然ガス田をタイ湾で運営する国営タイ石油公社系の資源開発会社「PTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)」の14日の時価総額は関税発表前比で13%減となった。ベトナム国家産業エネルギーグループ(ペトロベトナム)は12%減、インドネシア石炭大手のバヤン・リソーシズは16%減と軒並み下げた。
「東南アジア各国は対米交渉材料として米国産液化天然ガス(LNG)の輸入を増やす可能性がある。米企業より生産性が低い東南アジアのエネルギー関連企業の価値を下げるとの見方につながっている」(西濱氏)
一方で、米政府が新たな関税に組み入れるとして、相互関税の対象からスマートフォンを外したことで、電子部品企業の回復は鮮明になっている。米アップル製品に部品を供給する台湾の台達電子工業(デルタ電子)のタイ子会社は時価総額が一時、12%減の206億ドルまで下落したものの、14日時点で255億ドルまで回復した。
先行きが見通せない状況は企業戦略にも影響を及ぼし始めた。建設用鋼材などの製造販売を担うベトナム鉄鋼最大手ホアファットは8日、配当計画の変更を発表した。従来は配当の一部を現金で配布する計画だったが、すべての配当を株式分配に切り替える。地元メディアによると、不透明感が増すことによる運転資金の確保が理由という。
韓国の家電メーカー、クク電子のマレーシア子会社も上場を延期するほか、台湾アパレル受託大手の儒鴻企業(エクラ・テキスタイル)はインドネシアに新設する工場建設の延期を決めた。
今後、対米交渉で米国製品の輸入を拡大すれば、地場産業への影響も避けられない。米中貿易摩擦を背景とした製品の輸出拠点として各国から資金が流入し、「漁夫の利」を得てきた東南アジアのモデルが岐路に立たされている。
(バンコク=赤間建哉、ジャカルタ=押切智義)
【図・写真】インドネシアの資源・エネルギー関連株が乱高下した(写真はインドネシア証券取引所)=小林健撮影
コーヒー豆高騰 数年継続の恐れ 異常気象、1年で2倍に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1425文字 PDF有 書誌情報]
コーヒー豆の国際取引価格が高騰し、国連食糧農業機関(FAO)は2025年後半から26年にかけて消費者に影響が及ぶとの分析を明らかにした。小売価格は数年間高止まりする恐れがある。主要産地で異常気象が頻発するなか、国際価格は今後さらに上昇する可能性があると予測する。
主にカフェや喫茶店で使われるアラビカ種の国際価格は2月に1キログラムあたり9ドル(約1350円)の大台を超えた。3月は8.9ドルとやや下がったが、前年比で1.9倍の水準にある。ベトナムやインドネシアで生産されるロブスタ種は5.7ドルで、こちらも前年の1.6倍に上昇している。
FAO市場・貿易部のエコノミスト、エミリアーノ・マグリーニ氏は「国際価格の上昇は6~8カ月後に小売価格に伝わり、ほぼ1年後に影響が本格化する。現在の価格高騰は25年後半か、おそらく26年初めに消費者が実感するようになるだろう」と話す。
国際価格の上昇幅がそのまま小売価格に反映されるわけではない。輸出入業者などサプライチェーン(供給網)で負担が分散されるうえ、コーヒー豆の仕入れだけがコストではないからだ。
FAOの分析によると、コーヒー消費量が世界最大の欧州連合(EU)の場合、国際価格が1%上昇すると小売価格は19カ月後に0.24%上昇する。その影響が解消されるまでに少なくとも4年かかる。米国では小売価格は13カ月後に0.2%上がり、その影響は2年に及ぶとみられる。
コーヒー豆の国際価格が高騰した主な要因は主要産地での異常気象だ。アラビカ種のほぼ半分を生産するブラジルと、ロブスタ種で4割近いシェアを持つベトナムが深刻な干ばつや気温上昇に見舞われた。そのうえ国際取引市場には投機マネーが流れ込んでいるとみられ、国際価格が今後どう動くのかは読みにくい。
FAOは25年にコーヒー豆の価格がさらに上昇する可能性があると予測する。マグリーニ氏は特に在庫水準に着目しているようだ。「この数年間で在庫は40%ほど減少したと推定される。市場は供給不足に反応しやすくなり、価格が急激に上昇する可能性がある」と指摘する。
一方、世界銀行は生産量の緩やかな回復を見込み、アラビカ種の国際価格は25年に8%下落するとの見通しを示す。前年比で2倍近い高値は多少は修正されるとみているようだが、同時に国際市場はなお供給リスクに神経質ともしている。
コーヒー豆の生産は赤道を挟んだ北緯25度から南緯25度の限られた農業生態系だけで栽培できる熱帯作物だ。生産量はブラジルとベトナムの2カ国で世界全体の55%を占める。小麦やトウモロコシは特定の国からの供給が滞っても他の国がカバーできるが、コーヒー豆は主要な産地が異常気象に見舞われるとその影響が地球規模で広がる。
加えてコーヒーは多年生の樹木作物でもある。小麦などのように市場価格をにらんで短期間で生産を増やすのが難しい。
コーヒー豆の供給に不安が募るなか、中国での消費の急拡大が世界的な需給バランスをよりタイトにしている。
米農務省(USDA)は中国のコーヒー消費量がこの10年間で約2.5倍に急増したと分析する。インスタントコーヒーから焙煎(ばいせん)へのシフトも急激に進み、24~25年シーズンの焙煎前のコーヒー生豆の輸入量は10年前に比べて4倍に増える見込みだ。
(編集委員 下田敏)
【図・写真】コーヒー豆の国際相場は高止まりしそうだ(カナダ・トロントのカフェ)=ロイター
タイ、カジノ合法化物議[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1166文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=井上航介】タイ政府が推し進める「カジノの合法化」法案が世論の反発を招いている。治安の悪化などを懸念する声が強く、4月上旬に予定していた国会の審議は先送りとなった。一部の与党も反対しており、連立政権の分裂の火種になりつつある。
タイ政府は8日、法案に関する審議を7月の次期国会まで延期すると発表した。ペートンタン首相は3月末に発生した地震への対応などの「緊急案件を優先する」としたが、カジノへの風当たりが想定以上に強いことが原因とみる向きが強い。
法案の正式名称は「娯楽複合施設法案」。商業施設や劇場を備えた統合型リゾート(IR)の開発を促すものだ。草案にはカジノ設置に関する文言も含まれ、カジノ合法化が目的と解釈される。
仏教の教えが深く根ざすタイでは公営宝くじや競馬を除く賭博行為を長く禁じてきた。それでも政府が合法化に動くのは経済的な利益が大きいと判断したためだ。タイ政府は少なくとも1000億バーツ(約4300億円)の投資を誘致し、外国からの観光客も年5~10%増えると試算する。
世界のカジノ大手も進出をもくろんでいる。これまでに香港のメルコリゾーツ&エンターテインメントやマカオの銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント)が相次ぎタイ市場参入の意欲を示している。
各地で反対運動が広がっている。9日、バンコクの国会前に数百人が集まった。「ギャンブルは家族を破滅に追い込む」「公務員の汚職の温床になる」と法案の撤回を訴えた。デモに参加した南部パッタルン県のスッジャイさん(74)は「カジノは足るを知る生き方を大切にするタイ人の価値観に合わない」と話す。
タイ国立開発行政研究院(NIDA)による3月の調査では回答者の6割が「カジノはタイに分断をもたらす」と懸念を示した。政府はカジノ利用の条件として自国民には5000万バーツ以上の資産証明を課すなど依存症対策も講じるが、国民の理解は得られていない。
連立政権からも異論が出ている。与党「国民国家党」は14日までに反対を表明した。最大与党「タイ貢献党」の実質的な指導者、タクシン元首相が「法案に反対すれば政権から排除する」と警告したとも報じられた。
同党の所属議員は10人弱と少ないが政権に影響力を持つ。タイ最南部に支持基盤を持ち、この地域で反タクシン派政党が台頭するのを防ぐ役割を果たしてきたためだ。
タイは仏教徒が人口の9割を占めるが、最南部はイスラム教徒が8割ほどに達する。タクシン氏は2001~06年の首相在任時にこの地域の独立運動を弾圧した過去がある。住民のタクシン氏への反感はいまだに強い。
同地域は中国の広域経済圏構想「一帯一路」の一環で、中国からシンガポールへの接続を目指す鉄道網の中継地点だ。タイ政府も地域の物流網改善に取り組んでいる。
中国、iPhone出荷9%減 1~3月 現地メーカー伸長[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 10ページ 817文字 PDF有 書誌情報]
【広州=藤野逸郎】米調査会社IDCは米アップルのスマートフォン「iPhone」の中国出荷台数が1~3月期、前年同期比9%減の980万台だったと発表した。買い替えを促す政府補助金の追い風を受けて中国メーカーが出荷を伸ばす一方、iPhoneは主力モデルの価格が高く、補助金の対象外となるケースが多く苦戦した。
全体のスマホ出荷台数は3.3%増の7160万台だった。6四半期連続のプラスだが、1~3月期の水準はIDCの予想を下回ったという。IDCは「補助金政策は効果的に市場を成長させたとはいえない。地政学的な流動性の高まりやマクロ経済の変化により、スマホ市場に対する下押し圧力が増す」と分析している。
1~3月期の出荷台数をメーカー別に見ると、首位は小米(シャオミ)で39.9%増の1330万台だった。電子商取引(EC)サイトやリアル店舗で政府補助金が使えることを積極的にアピールしたことが奏功した。
小米に次ぐ2位は通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)で、10%増の1290万台だった。アップルは上位2社のほかOPPO(オッポ)やvivo(ビボ)の中国メーカーに続く5位。中国メーカーがいずれも出荷台数を伸ばしたのとは対照的に、アップルの不振が目立つ。
中国政府は2025年から、消費活性化のために6000元以下のスマホを15%(最大500元)割り引く補助金制度を導入した。しかしiPhoneは高価格な「16」や「16Pro」で対象外となるケースが多い。低価格帯から幅広く品ぞろえする中国メーカーと差がついている。
アップルは24年通年でも中国の出荷台数が前年比5.4%減だった。スマホと同じメーカーを選ぶケースの多いワイヤレスイヤホンやタブレット端末の出荷も減少した。
トランプ米政権の「相互関税」の動向次第では、中国で生産し米国に輸入するiPhoneが値上がりする可能性も残る。主要市場である米中で業績の不安定要素が増している。
インド新車販売1%増 昨年度、SUVがけん引[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 10ページ 683文字 PDF有 書誌情報]
【ムンバイ=岡部貴典】インド自動車工業会(SIAM)が発表した2024年度の国内新車販売台数(乗用車と商用車の合計、出荷ベース)は、前年度比1%増の525万8519台だった。多目的スポーツ車(SUV)が市場をけん引したほか、電気自動車(EV)の伸びも目立った。
販売規模は中国と米国に次ぐ世界3位の座を維持した。乗用車は2%増の430万1848台で過去最高を更新した。商用車は95万6671台で1%減った。
乗用車の内訳をみると、SUVを含む「ユーティリティー・ビークル」は279万7229台と11%伸びた。乗用車全体に占める割合は23年度の60%から65%に高まった。消費者の所得向上とともに、小型車から大型車に乗り換える傾向が続いている。
EV販売は10万台を超え、18%増と大幅な成長を示した。割合でみるとまだ小さいものの着実に購買層は広がる。自動車各社も相次ぎEVモデルを投入するなど新たな市場として期待は大きい。
メーカー別の乗用車販売では、最大手のマルチ・スズキは176万767台で前年度からほぼ横ばいだった。シェアは4割超を保った。
地場大手のマヒンドラ・アンド・マヒンドラは20%増の55万1487台で好調だった。新車戦略などが奏功したとみられる。
二輪販売は1960万7332台で9%増えた。機能性を高めたスクーターを中心に地方で需要が回復した。
SIAMのシャイレシュ・チャンドラ会長は24年度の販売に関して、「インドの自動車産業は堅調な業績を維持した」と振り返った。政府による購入補助などの政策支援を背景に、25年度も需要は底堅いと強調した。
フィリピン・メラルコ、仏電力公社と協定 原発導入へ技術支援[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 10ページ 465文字 PDF有 書誌情報]
【マニラ=藤田祐樹】フィリピン配電大手のマニラ電力(メラルコ)はフランス電力公社(EDF)と原子力発電分野で戦略協力協定を結んだ。マルコス政権が目指す原子力発電所の導入に向けてEDFから技術支援を受ける。国内で原発の立地に適した場所があるかも調査する。
戦略提携の期間は2年間で、メラルコの電力システムの統合などの事業化調査にEDFが協力する。原発関連の技術者を派遣したトレーニングを提供するほか、将来の原発導入に備えて両社が共同で仏政府から資金調達ができるかも検討する。
メラルコは仏政府の原発関連機関や大学と人材交流を深めてきた。メラルコのマヌエル・V・パンギリナン会長兼最高経営責任者(CEO)は声明で「今回の協力は重要な一歩で、フィリピンの原発推進に主導的な役割を果たす」と強調した。
フィリピン政府は2030年代の原発稼働をめざしている。米国や韓国の支援を受けて1980年代に建設したバターン原発の運転などを計画するものの、実現のメドは立っていない。民間事業者による小型モジュール炉など新技術の導入が焦点となっている。
中国、国内販売支援相次ぐ 価格競争激化なら消耗戦(アジアVIEW)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1100文字 PDF有 書誌情報]
米中で関税引き上げの応酬が続くなか、影響を受ける輸出業者を支援する動きが中国で広がり始めた。ネット通販最大手のアリババ集団や京東集団(JDドットコム)は、国内販路の開拓を手助けすると相次ぎ表明した。ただ不動産市況の悪化で中国国内の消費も伸び悩んでいる。価格競争などがさらに激しくなり、消耗する懸念もある。
「米国による関税引き上げで業績に打撃を受けるのは間違いない」。江蘇省常州市にある中小企業。米アマゾン・ドット・コムを通じて米国にキッチン用品を販売するが、担当者はため息をつく。現在は米国にある在庫を販売し、値段を据え置いているが、「値上げは避けられない」と話す。
こうした輸出業者に向けて、アリババは15日、自社の通販サイト「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」を通じて支援を始めると表明した。1万社以上の対外貿易業者が国内販路を開拓するのを後押しする目標を掲げた。
具体的には、自社の通販サイトへの出店手続きを簡素化し、最短で当日に手続きを終えられるようにする。国内での販売促進の経験が乏しい業者には、出品する商品の選定や価格設定、広告戦略などを助言するアドバイザーも用意する。
輸出業者の製品を優先的に消費者にレコメンドするなど、通販サイトで閲覧数を増やす手助けをし、1社あたり最高250万元(約5000万円)の奨励金も用意するという。
米国の対中関税引き上げを受け、中国商務省は13日、海外輸出製品の国内消費支援を始めると発表した。企業は呼応する形で支援を相次ぎ表明している。
通販大手の京東集団(JDドットコム)は国内販路の開拓支援に、今後1年で少なくとも2000億元以上を投じると発表。中国から海外に輸出する企業の製品を優先的に仕入れる。京東は「迅速に販路を開拓し、低価格の消耗戦に巻き込まれるのを防ぐ」とする。
出前アプリの美団や、アリババ系の生鮮スーパー「盒馬(フーマー)鮮生」、スーパー大手の永輝超市も、国産品を優先的に商談して店頭に並べる制度を導入した。中国メディアによると、永輝超市には食品や日用品の生産者100社超から要請があるという。
動きは外資にも広がる。四川省成都市のイトーヨーカ堂は、地元業者の商品の仕入れルートや専用売り場を設けると発表した。
中国では不動産市場の苦戦が続き、消費者はコストパフォーマンス志向を強めている。地方都市では低価格品を扱うディスカウント店が存在感を高める。価格競争に陥らずにどう消費意欲をかき立てるか。小売り各社の知恵が試される。
(上海=若杉朋子)
【図・写真】アリババや京東は輸出企業の国内販売支援を打ち出した(各社のアプリ)
新グリーンランドへ脱漁業 米中ロが触手、自立狙う[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1505文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が領有に意欲を示すデンマーク領グリーンランド。北極圏の地政学的要衝として米中ロの覇権争いに巻き込まれるなか、独立に向けた機運も高まっている。前提となる経済の基盤固めのため、主力の漁業に次ぐ新たな産業として鉱物資源が注目を集めつつある。
グリーンランドの人口は約5万6000人で、9割は先住民のイヌイット系が占める。2021年の域内総生産(GDP)は32億ドル(約4600億円)でデンマークのGDPの1%に満たない。歳入のおよそ5割をデンマーク政府の補助金に依存し、労働者の4割超は公務員だ。
1953年まで200年以上にわたりデンマークの植民地だったグリーンランドでは、トランプ氏が「購入」の意欲を表明する前から独立を望む声が大きい。
独立に向けた壁は高い。デンマーク国立銀行は22年公表の報告書で「財政政策は長期的に明らかに持続不可能で公共支出は現行の税制では賄えない」と指摘した。
主要産業は漁業や水産加工業で、商品輸出額の9割超を水産物が占める。デンマーク本土を含む欧州連合(EU)諸国や中国が主な輸出先で、日本向けにも出荷している。国営のロイヤル・グリーンランドと民間企業のポーラー・シーフード・グリーンランドの大手2社がけん引している。
ポーラー・シーフード・グリーンランドのミキ・ブロンズ最高経営責任者(CEO)は現状の域内の経済基盤について「生活水準を下げずに独立する経済力はない」と分析する。
足元ではオーロラや流氷といった景観などが楽しめる観光業も注目される。24年11月に政庁所在地のヌークで新国際空港が開業し、大型機の離着陸が可能になった。デンマークの首都コペンハーゲンからおよそ5時間の直行便が飛んでいる。6月には米ニューヨーク便も就航する。
観光船運航会社、ヌーク・ウオーター・タクシーのラッセ・カイド氏は「トランプ氏の発言は良くないが、この影響で予約や問い合わせは増えている」と明かす。
近年、温暖化に伴う氷床の融解で脚光を浴びるのが鉱物資源開発だ。米地質調査所(USGS)によると、電気自動車(EV)やスマホなどに必要なレアアース(希土類)の埋蔵量は150万トン。1位の中国の3%だが米国に次いで世界で8番目に多い。
26年にも金鉱山の商業生産を始めるアマロック・ミネラルズのエルダー・オラフソンCEOは「グリーンランドには世界中が求める鉱物のほとんどがある」と話す。同社は銅やニッケル、レアアースも採掘する計画だ。
トランプ氏がグリーンランド購入を狙う背景の一つには鉱物資源への関心があるとみられる。オールボー大(デンマーク)のアンネ・メリルド教授は「安全保障上の理由に加え、資源アクセスの管理と領土拡大という利益も追求している」とみる。
中国も鉱物資源に触手を伸ばす。環境悪化などへの懸念から政府が計画を認めなかったレアアース採掘では、事業主体のオーストラリア企業の株主に中国企業が名を連ねた。21年の議会選では環境への影響と共に中国の関与が争点となった。
4月に就任した自治政府のニールセン首相は「我々は大きな鉱業部門を持つべきだ」との考えを示す。一方で「誰に対してもビジネスをオープンにする必要があるが、当面は(米中ロの)3つの大国と距離を置き、ゆっくりと進めるのが安全だ」と主張する。
鉱業をテコに経済を自立させて独立に道筋をつけたい半面、欲をむき出しにする大国の影響が強まりすぎるのは避けたい――。グリーンランドは大国間のパワーゲームのはざまでもがいている。
(ヌークで、児玉章吾)
【図・写真】鉱山で調査にあたるアマロック・ミネラルズ関係者ら=同社提供
シーイン村「受注が大幅減」 ベトナムに工場移設通知が影響 縫製工場の廃業相次ぐ[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1460文字 PDF有 書誌情報]
中国の中小工場がトランプ米政権による対中追加関税の影響に早くも直面している。米国向けネット通販の下請け工場が集まる広東省広州市では、受注の激減で廃業が相次ぐ。トランプ関税に翻弄される事業者らを取材した。
広州市南部の番禺区では、細い路地に沿って中小の縫製工場が密集して立ち並ぶ。作業場では従業員が猫背気味にミシンに向かい、一心不乱に衣服を縫い合わせていた。
「SHEIN(シーイン)」。足元の床には中国発の衣料品ネット通販会社のロゴが入った袋がならぶ。この地域の工場はシーインと取引する下請け業者が多く「シーイン村」と呼ばれる。
「今年はシーインからの受注が少なくなり売り上げが大きく減った」。従業員20人ほどの工場の男性社員は頭を抱える。
きっかけはトランプ米政権の関税政策だ。これまで800ドル(約11万円)以下の小口貨物に関税はかからなかったが、トランプ大統領が4月2日にこの制度の廃止を表明。5月2日から課税対象となる。
同制度を活用して米国向けの輸出を増やしていたシーインは生産調整を余儀なくされ、しわ寄せは下請け業者に及ぶ。
「あっちもこっちも、たった2カ月で工場が一斉に廃業したよ」
4階建てのビルの一角を作業場として利用する湖南省出身の経営者の李亮華さんは空室になった部屋を指さした。施錠された扉から室内の様子をうかがうと、作りかけの衣服が大量に放置されていた。
廃業が相次ぐ直接の原因はシーインが関税の影響を避けるため、隣国ベトナムに工場を移すよう通知したことだ。
「そんな対応はできない」。経営体力の乏しい中小の町工場は次々と廃業に追い込まれ、ビル内に20社近くあった作業場は半数に減った。李さんはシーインからの受注をやめ、SNSのライブ配信で衣料品を売るビジネスへの転換を試みる。
広州市から車で1時間半ほどの東莞市もIT(情報技術)や玩具など製造業の工場が多い。
この町で従業員を100人ほど抱え、かばんや革製品の工場を経営する劉小冬さんもトランプ関税に翻弄される一人だ。
中国に高関税を課すと宣言したトランプ氏が大統領に就任するのを見越した米企業の動きは早かった。24年末までに劉さんの会社は米企業4社との取引がすべて打ち切りになった。年間15万ドルあった米国での売り上げもなくなった。
2月に母親の後を継いで社長になったが状況が改善する兆しはない。劉さんは日ごとに高くなる対中追加関税について「米国との取引は新規契約の見込みがない。あきらめざるをえない。いま米国との取引はリスクしかないから」とうつむく。
それでも24年の売り上げは2500万元(約5億円)あった。そのうちアジアを中心に海外からの受注が8割を占める。
米国市場の開拓も考えていたが「これからはいっそうアジアとの取引を増やす」と強調する。日本やシンガポールなどであれば輸送日数やコストも抑えられる。
中国税関総署によると3月の対米輸出(ドル建て)は前年同月比9%増だった。米国による相互関税の適用前に駆け込み需要が発生した。125%の対中相互関税が発動した4月以降は米国への輸出が減少し、アジアや欧州向けが増えるとの見方が出ている。
中国製造業の企業幹部は「アジア向け輸出で価格競争が激しくなる」と予想する。米国に代わる市場を求める中国企業が増えて現地で値下げ競争が起きれば、中国の国外への「デフレ輸出」は強まる可能性がある。
(広東省広州市で、塩崎健太郎)
【図・写真】「シーイン」のロゴが入った袋が並ぶ縫製工場(2日、広州市)
EU、自由貿易で連携模索 TPPと「緊密協力」 米関税に対抗[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1340文字 PDF有 書誌情報]
【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)は日本など12カ国が加盟する環太平洋経済連携協定(TPP)と貿易での連携を検討する。トランプ米政権が高関税政策を打ち出す中、自由貿易を重視する有志国・地域で対応やルール形成、運用などで足並みをそろえる狙いがある。
EUのフォンデアライエン欧州委員長が15日、シンガポールのウォン首相と電話で連携の可能性を議論した。フォンデアライエン氏は協議後「TPPの広い地域と貿易面でより緊密な協力を検討するのを楽しみにしている」との声明を発表した。
TPPは第1次トランプ米政権が脱退した後の2018年、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)として日本など11カ国で発効した。24年には英国が加わった。域内の人口は5億8000万人に上り、世界の国内総生産(GDP)の約15%を占める。
TPP加盟国は多くの品目で相互に関税を引き下げたほか、デジタル貿易に関するルールでも足並みをそろえる。25年は協定内容の初の見直しに向けた報告書をまとめる年にあたる。中国や台湾も参加に意欲を示す。
一方、27の加盟国からなるEUは約4億4800万人の人口を擁する。域内の関税を排した巨大な単一市場を抱える。高い所得水準を背景に購買力も高い。
ニュージーランドのラクソン首相は10日の講演で、トランプ氏の関税政策に対抗して自由貿易を推進するため、TPP加盟国とEUが協力して集団的行動を取るべきだと訴えた。
日本では斎藤健・前経済産業相が13日公開の日本経済新聞とのインタビューで、日本が主導してEUのTPP加盟も視野に入れた構想を進めるべきだと提言した。
TPPへの正式な加盟に向けたハードルは高い。TPPは物品貿易やデジタル貿易など幅広い内容で協定を結ぶ必要があり、現加盟国、加盟希望国ともに国内調整に時間がかかりがちだ。正式加盟には、現加盟国全ての同意も要る。
EU側の合意形成も簡単ではない。EUは24年12月、南米南部共同市場(メルコスール)との自由貿易協定(FTA)の締結で合意したが、交渉過程ではEU域内の農家が強く反発した。執行機関の欧州委員会がFTAを推進する一方、フランスなどは慎重だった。
日本政府関係者によると、24年に欧州委関係者に対しTPPとの連携論を提起したところ、前向きな感触は得られなかったという。それでもEUは今年に入り、米国との広範な貿易戦争に備えて世界の有志国と協調を深める方針を強め始めた。
実際の加盟は当面難しいとしても、EUとTPP加盟国が様々な政策で共同歩調をとる機運が高まるのは間違いない。米関税への対応やデジタル分野の新たなルールづくりで足並みをそろえることは可能だ。
EUは10日、アラブ首長国連邦(UAE)と自由貿易協定の交渉開始で合意したと発表した。ドイツのガブリエル元外相は4月、地元紙とのインタビューで「カナダのEUへの部分加盟」を提案した。
トランプ関税が米国と伝統的な有志国・地域の外交関係を大きく損なった一方、自由貿易を重視する国同士の連携協議を促すことにもつながっている。地域横断の貿易協定の構想がいくつも浮上するなか、高いレベルの通商ルールの策定を主張してきた日本の調整力が試される。
シーイン村「受注が大幅減」――中国、米関税で景気下振れ 1~3月は5.4%成長 内需不振に重荷[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 814文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国国家統計局が16日発表した1~3月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比5.4%増えた。生産の加速で景気を底上げしたものの不動産不況に伴う内需不振が続く。トランプ米政権の対中追加関税がさらなる景気の下振れ要因になる。
成長率は2024年10~12月の5.4%からは横ばいだった。中国政府は年間目標を「5%前後」としている。
3月の工業生産は前年同月比7.7%増で21年6月以来の高い伸びとなった。トランプ政権の「相互関税」が4月に発動されるのを前にした駆け込み需要が増えた。
不動産市況は伸び悩み、新築住宅の販売面積は前年同期比2.0%減った。開発投資も伸びず、9.9%減少した。
トランプ米政権が新たに発動した相互関税の税率は125%に上る。米国は2~3月に合成麻薬の密輸を理由に計20%の追加関税を課していて、累計145%に達する。
中国の輸出企業は関税対応に追われる。広東省東莞市に工場を持つ新興の骨伝導イヤホンメーカーは売上高の2割を対米輸出が占めるが、相互関税の発動以降は米国向け出荷を停止した。
福建省のバルブメーカーも米国の顧客から出荷停止の要請を受け生産を止めた。
米国向けの生産停止や契約破棄により輸送需要も急減する。中国メディアの財新によると、5月11日までの1カ月で米国向けコンテナ船26便の運航がキャンセルとなった。11日までの1週間の輸送力は4月13日までの1週間と比べ4割近く減る見込みだ。
トランプ政権は関税交渉の相手国に中国製品の迂回輸出の制限を要求することを検討する。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版によると、関税を引き上げるだけでなく、第三国を経由して中国製品が米国に流入することを防ぐ。
米中貿易摩擦の影響は長期に及ぶ。米ゴールドマン・サックスは米国による相互関税の引き上げなどを理由に25年の中国の成長率予想を4.5%から4%に下方修正した。
バイデン氏、米政権批判 退任後初の演説 「多くの損害と破壊」[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 486文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】バイデン前米大統領は15日、1月に退任してから初めて演説した。トランプ現政権の社会保障政策を批判し「100日足らずで、多くの損害と破壊をもたらした。まさに驚くべき事だ」と述べた。
中西部イリノイ州シカゴで開催した障害者の大会で壇上に立った。トランプ政権で実業家のイーロン・マスク氏が主導する歳出削減策について「彼らは社会保障局にまでおのを振り下ろした」と非難した。
バイデン氏は退任後、トランプ氏への発言を控えてきた。歴代の米大統領には後任を批判しないという伝統があるためだとみられる。
一方、トランプ氏は大統領就任後もバイデン氏を「史上最悪の大統領」などとこき下ろしてきた。
バイデン氏は社会保障の効率化は中間層や労働者に損害を与えると強調した。「(トランプ政権は)大富豪や大企業に減税するためにやっている」と唱えた。
米連邦議会の上下両院を改選する中間選挙が2026年に控える。野党・民主党は、米有権者の生活に直結する社会保障制度のあり方を争点にしようと試みる。
【図・写真】15日、中西部イリノイ州シカゴで演説したバイデン前大統領=ロイター
駐シリア米軍、縮小検討 ロイター報道 数カ月かけ半減か[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 420文字 PDF有 書誌情報]
ロイター通信は15日、米政府がシリアに駐留する米軍部隊の縮小を計画していると報じた。米軍の兵力は数週間から数カ月かけて半減する可能性がある。米政府関係者の話として伝えた。
米軍はシリア北東部を中心とする複数の基地におよそ2000人の兵士を駐留させ、地元の勢力と連携して過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討支援にあたってきた。駐留部隊の数は1000人ほどに減少すると見込まれる。
トランプ米政権はイランと核問題を巡り交渉中で、進展次第では再編が遅れることも想定される。
ロイターは中東で大規模な軍備削減ができるかは不透明だとする当局者の声も伝えた。
ヘグセス米国防長官は世界に展開する米軍の態勢を見直す考えを示している。2月には欧州各国の国防相らに「欧州大陸の安全保障は欧州各国が責任を持つべきだ」と求めた。
シリアでは2024年12月にアサド政権が崩壊した。反政府勢力だった「シャーム解放機構(HTS)」が主導して暫定政権が樹立された。
李在明氏が優位――大統領公邸の捜索令状取得 警察、尹氏が妨害疑い[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 323文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美】韓国警察は16日までに、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が自身への捜査を阻止したとして、特殊公務執行妨害の疑いでソウル市龍山(ヨンサン)区の大統領公邸などの家宅捜索の令状を取った。
韓国聯合ニュースによると警察当局は16日午前、尹氏が11日まで居住していた公邸と大統領が執務する官邸で捜索令状を提示し、関係資料などの押収を試みた。敷地を管理する警護庁の警護員が進入を許可せず、16日夕方までに令状は執行できていない。
捜索の容疑は尹氏が大統領だった2024年12月に発令した非常戒厳を巡り、韓国の独立捜査機関「高官犯罪捜査庁」が内乱容疑で1月に調べようとした際、尹氏らが公邸で捜査員の進入を拒むなどして捜査を妨害した疑い。
パンデミック条約に正式合意[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 144文字 PDF有 書誌情報]
【パリ=北松円香】世界保健機関(WHO)加盟国は16日、パンデミック(世界的大流行)への備えや国際連携を定めるパンデミック条約の条文に正式合意した。ワクチンの配分や技術移転などを巡り加盟国の協議が難航していたが、3年の交渉を経てようやく合意に達した。5月のWHO総会で採択する見通しだ。
李在明氏が優位 最大野党は3候補の争い(韓国大統領選2025)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 904文字 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】6月3日の韓国大統領選に向け、最大野党の革新系「共に民主党」が党内予備選の候補者登録を締め切り、候補者は3人となった。同党はこれから国内各所で討論会を開催し、党員らの投票を経て4月27日に公認候補を選出する見通しだ。
共に民主党内の予備選は、世論調査でトップを独走する李在明(イ・ジェミョン)前代表に、金東(キム・ドンヨン)京畿道知事と金慶洙(キム・ギョンス)前慶尚南道知事が挑む構図だ。
予備選に出馬するため9日に代表を辞任した李氏は党内でも支持を固めつつある。金東、金慶洙の両氏は文在寅(ムン・ジェイン)元大統領との距離が近いとされる。2022年の大統領選では文氏に近いグループが党内の中心で、非主流派の李氏が支持固めに苦戦していたのとは様変わりした。
世論調査会社の韓国ギャラップの4月第2週の調査では、政党別の支持率で共に民主党は41%、保守系の「国民の力」は30%だった。共に民主党の支持率は4月第1週の同調査から変化はなく、優位を保っている。
同調査の「将来の政治指導者」という質問では李前代表が37%で与党候補を抑えトップとなった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免前の同調査から大きな変化はない。李氏は支持者層の拡大に向けて積極的に発信する。
李氏はこれまで日本や米国に対して強硬な姿勢を示してきた。10日に公開した動画メッセージでは「韓米同盟、韓米日協力関係も非常に重要だ」と言及した。中道に近い層への浸透を意識し、批判的な言動を抑えたとみられる。
公職選挙法違反に問われた李氏は3月に1審の有罪から逆転して無罪判決となった。市長時代の都市開発を巡る汚職など複数の刑事裁判も抱えるものの、党内予備選への影響は少ないとされる。
共に民主党からは金斗官(キム・ドゥグァン)元慶尚南道知事も出馬を表明していたが、予備選のルールを巡り不満を示し出馬を取りやめた。
与党「国民の力」は11人が党内予備選に立候補。16日に第1次予備選に進出する8人を発表した。今後同党は討論会や世論調査を実施して徐々に候補を絞るため、公認候補の決定は4月末から5月初旬になる見込みだ。
ハマス、イスラエル停戦案拒否か[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 11ページ 0文字 書誌情報]
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米中対立の余波広がる ボーイングやエヌビディア 納入停止や輸出規制対象に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1129文字 PDF有 書誌情報]
【ヒューストン=大平祐嗣、シリコンバレー=清水孝輔】米国と中国の対立による悪影響が米国企業に本格的に広がってきた。トランプ米政権の関税発動により、中国は米国の輸出の象徴である米ボーイングの機体の納入停止を決めた。米国は中国の人工知能(AI)開発を封じ込めようと、中国向けに設計した米エヌビディアのAI半導体を輸出規制の対象にした。
中国政府は中国の航空会社に米企業の航空機や部品の購入停止を要請した。15日、ブルームバーグ通信などが報じた。トランプ政権が中国に計145%の関税を課したことへの報復との見方が強い。
ボーイングの2025年1~3月期の中国での納入機数は18機で、全世界の13.8%を占める。ボーイングは潤沢な受注残を抱えるため「納入停止による業績への短期影響は限定的」(米証券ジェフリーズのシーラ・カヒャオグル氏)との声もあるが、納入停止が長引けば影響は避けられない。
エヌビディアは同日、中国向けに設計したAI半導体「H20」が米政府による輸出規制の対象になったと発表した。2025年2~4月期に最大55億ドル(約7900億円)の費用を計上する。性能を落としたH20はこれまで中国への輸出が認められてきたが、米政府が規制の対象範囲を拡大した。
エヌビディアが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料で明らかになった。H20を中国などに輸出する場合、ライセンスの取得が必要となる。H20を想定通り輸出するのが難しくなったのを受け、在庫の引当金や購買契約に関する費用を計上する。
米政府は22年にエヌビディア製のAI半導体の対中輸出を規制し、23年には製品の対象を広げた。エヌビディアは規制が加わる度に性能を落とした中国向け製品を設計してきた。H20は米企業向けに供給するAI半導体には劣るが、中国では需要が高かった。
エヌビディアは5月に25年2~4月期の決算を発表する予定だ。2月時点では25年2~4月期は売上高が430億ドル前後になるという見通しを示していた。24年11月~25年1月期の純利益は220億9100万ドルだった。
中国のDeepSeek(ディープシーク)の台頭を受け、米国では中国製のAI開発に対する危機感が高まっている。トランプ米政権は1月にH20を規制対象に加える検討に入ったと報じられたが、その後エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)の働きかけで撤回したという見方が広がっていた。
エヌビディアの中国向け売上高が全体に占める比率は25年1月期に13%と22年1月期に比べ半減した。今回の米政府の対中規制強化を受け、主要顧客である米巨大IT(情報技術)企業への収益面での依存が一段と強まる可能性がある。
ローソン、6年で海外店舗2倍に 東南アなど1.4万店 日本飽和、ノウハウ活用[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1056文字 PDF有 書誌情報]
ローソンは2031年2月期をめどに、海外店舗数を足元の2倍の1万4000店規模に増やす。国内コンビニ市場の飽和感が強まるなか、アジアを中心に経済成長で拡大する中間層の需要を取り込む。日本で磨いた商品開発力や店舗運営のノウハウを生かす。
直営店のほか地元の小売企業と組むなどし、31年2月期をめどに足元の国内店舗数と同じ水準まで拡大する。24年2月期に1146億円だった海外売上高も2倍に増やす。現在は中国やタイ、フィリピンなど海外5カ国に約7400店舗を抱えている。今後も東南アジアを中心に拡大し、進出先の国を増やすことも検討する。
調査会社のモードーインテリジェンスによると、コンビニの世界市場規模は24年に推計6635億ドル(約95兆円)。29年には8929億ドルと3割超伸びる見通しだ。
おにぎりやサンドイッチ、弁当など高品質で手ごろな商品を多様に取りそろえる日系各社のコンビニは、現地の消費者の支持を集めているという。
ローソンの中国の店舗では日本の人気アニメとのコラボ商品に加え、下着やマスクなどの日用品や冷凍果実が売れている。インドネシアでは揚げ物やおでんなど日本式の「レジ横」商品の販売が伸びている。売れ筋の商品を安定的に供給できるように各地域で製造拠点や物流網を整える。
国内での出店には飽和感がある。日本フランチャイズチェーン協会によると24年末のコンビニ店舗数は5万5736店と、21年の5万5950店をピークに頭打ちとなっている。25年度はセブン―イレブンとファミリーマートを含む大手3社で最大400店程度の純増を見込むものの、ドラッグストアや電子商取引(EC)との競争も激しい。市街地や道路沿いなど国内の出店余地は小さくなるなか、各社は海外市場の開拓に注力する。
セブンは現地企業に事業運営をライセンス供与する形を含めて、韓国や中国、東南アジアなどに約4万8000店を持ち、26年2月期までに5万店体制とする。海外8400店舗を展開するファミマもマレーシアや台湾で出店拡大を狙う。国内外ともに集客力を高められるよう、特色のある店づくりが重要になっている。
ローソンは24年8月、三菱商事とKDDIによる共同経営体制に移行した。ローソンの販売履歴とKDDIの顧客データを組み合わせ、消費者の嗜好に沿った商品開発や最新技術を使ったサービス提供などの構想を掲げる。データ戦略を海外展開すれば、他社との違いを出せる。
【図・写真】ローソンは中国や東南アジアで出店を拡大する(タイ・バンコクの店舗)
ニデック、差し止め申し立て 牧野フライスへのTOB対抗策巡り[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 818文字 PDF有 書誌情報]
ニデックは16日、牧野フライス製作所に対して実行しているTOB(株式公開買い付け)を巡り、牧野フライスが導入した新株予約権を使った対抗策への差し止め仮処分命令を東京地裁に申し立てたと発表した。牧野フライスは10日、対抗策を6月の定時株主総会に諮ると発表していた。ニデックによる「同意なき買収」は法廷闘争に移る。
牧野フライスの対抗策は新株予約権を既存株主に無償で割り当て、TOB成立後などにニデック以外の株主の株を増やしやすくするものだ。
ニデックとほかの一般株主に異なる種類の新株予約権を割り当てる。一般株主の新株予約権は所定の手続きで保有株が2倍に増える一方、ニデックの新株予約権は持ち株比率が2割を下回る範囲でしか行使できない。事後的にニデックの持ち株比率を下げられる。
ニデックの荒木隆光専務執行役員は16日、日本経済新聞の取材に応じ、牧野フライスの対抗策について「導入すること自体が異常なポイズンピル(毒薬条項)で、明らかにニデックを標的とした買収防衛策だ」と批判した。ニデックが経済的な損失を受ける可能性があるだけでなく「市場参加者を萎縮させる恐れがある」とした。
牧野フライスへのTOBは4月4日に始まり、1株1万1000円で5月21日まで買い付ける。最終的に牧野フライスの完全子会社化を目指す。
ニデックは牧野フライスとの事前交渉がないまま、2024年12月末にTOBを提案・公表した。牧野フライスはTOB開始日を5月9日以降に延期することなどを求めて反発してきた。3月19日に延期要請が受け入れられなければ対抗策を導入すると発表していた。
牧野フライスは、対抗策は「TOBの開始を1カ月遅らせることを求めるだけのもので、買収防衛策ではない」と主張する。16日のニデックの発表を受けて、牧野フライスは「現時点でニデックによる申し立ての書類を受領していない」と発表した。書類の受領が確認できれば改めて適時開示するとした。
ホンダ、シビックHVを米生産に 埼玉工場から切り替え[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 762文字 PDF有 書誌情報]
自動車業界で米国に生産移管する動きが広がっている。ホンダは米国向け「シビック」のハイブリッド車(HV)の国内生産を現地生産に切り替える。埼玉製作所完成車工場(埼玉県寄居町)で2月から生産を始めたが、6月にも現地生産へ切り替える。トランプ米政権の関税発動などを受けてコスト影響を抑える。
移管する対象は5ドアのシビックHVで、米中西部インディアナ州の工場に移す。同車種は国内で2~3月までに約3000台を生産した。日本拠点からの輸出が最適だと判断していたが、方針を転換する。
ホンダは2024年の米国販売に占める日本からの輸出台数が5000台と少なく、日本の主要メーカーでは影響が小さい。米国輸出の中心となってきたスポーツ車「シビックタイプR」は引き続き日本で生産し、国内外へ供給する方針を当面継続する。
自動車部品大手のニッパツは米国での減産計画を見直す。一部を段階的に日本などに移管する予定だったが取りやめ、米国生産を維持する。先行して米国外に移管した部品も一部を米国生産に戻す方向で調整する。
ニッパツは主力のばね製品について、米国では3つの工場で生産している。人件費の高騰などに対応するため、25年中をメドに一部を日本やタイなどの工場に生産移管し、米国工場は減産する計画だったが生産を続ける方針を決めた。一部の品種は既に他工場に移管したが、可能な範囲で米国生産に戻す方針。
トランプ米政権は全ての輸入車に25%の追加関税を発動した。関税の影響を抑えるため、日産自動車は今夏にも米国向けの日本での生産を一部現地生産に切り替える検討を進めている。
ニッパツは自動車メーカーによる米国生産の強化に伴い、米国製部品の需要が高まると判断した。課題だった米国での生産性も改善されていることから、現地生産を維持する方針に転換した。
認知症薬、EUで初承認 エーザイの「レカネマブ」[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 539文字 PDF有 書誌情報]
エーザイと米バイオジェンは16日、アルツハイマー病の治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」が欧州連合(EU)における販売承認を得たと発表した。アルツハイマー病向けの治療薬がEU域内で承認されるのは初めてという。
EUの執行機関である欧州委員会がこのほど承認した。EU加盟国に加え、ノルウェーなど計30カ国で販売できるようになる。まず2025年度内にドイツやオーストリアでの発売を予定する。
脳の出血や腫れといった副作用が比較的出にくい早期アルツハイマー病患者を対象として承認を得た。具体的には「APOE4」という遺伝子を持たないか、1つしか持っていない患者になる。
患者への定期的な磁気共鳴画像装置(MRI)検査や、製薬会社による追跡調査といった対策も求められている。
新薬を評価する欧州医薬品委員会(CHMP)から、24年11月に承認勧告を受けていた。CHMPは当初、承認を推奨しない見解を出していた。ただ再審議後に、特定の患者群に対策した場合、薬のメリットがリスクを上回ると結論づけた。
エーザイによると、欧州でアルツハイマー病に伴う軽度認知障害がある人は1520万人、アルツハイマー病の患者数は690万人と推定される。APOE4を2つ持つ人は患者全体の15%ほどという。
芝浦電子社長「新提案あれば再検討も」 ヤゲオからのTOB[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 391文字 PDF有 書誌情報]
台湾電子部品大手の国巨(ヤゲオ)からの同意なきTOB(株式公開買い付け)提案に反対している芝浦電子の葛西晃社長が16日、取材に応じた。ミネベアミツミによる子会社化に賛同を表明しているが、ヤゲオから新たな提案があれば「TOB価格に応じて再検討もありえる」と話した。
2024年末にヤゲオから接触を受けた芝浦電子は、国内9社に対抗買収を打診した。ミネベアミツミとは「互いに工場を視察し、ものづくりに対する考え方が似ていると感じた」点が支持表明につながったという。
ヤゲオについては「販売方法や商品群が異なり、シナジー効果は限定的」と判断してTOBの提案に反対した。
ヤゲオは芝浦電子の発表を受けて「さらに協議を深めたい」との声明を出した。TOB価格の引き上げなどが焦点となる。葛西氏は株主価値向上の観点から「TOB価格に応じてフラットに考えたい。提案によっては改めて検討する」とした。
ローソン、6年で海外店舗2倍に――最高益を更新 前期[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 283文字 PDF有 書誌情報]
ローソンは17日に25年2月期通期決算(国際会計基準)の発表を予定する。連結売上高にあたる営業収益は前の期比1割増の1兆2000億円程度、本業の稼ぐ力を示す事業利益は1割増の1000億円超といずれも過去最高を更新したもようだ。物価高で買い控えが広がるなか、増量キャンペーンやお得な商品企画などが奏功し、来店頻度の向上につながった。
国内1店舗あたりの売上高(平均日販)も前の期から1万8000円増の57万4000円で過去最高となった。お得なクーポンを使えるKDDIとの月額会員制サービス「Ponta(ポンタ)パス」などの新たな販促施策も収益性の向上に寄与している。
ニデック、差し止め申し立て――ニデックTOB「顧客離れ懸念」 牧野フライス社長[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 240文字 PDF有 書誌情報]
ニデックのTOB(株式公開買い付け)に反対する牧野フライス製作所の宮崎正太郎社長は16日、日本経済新聞などの取材に応じた。宮崎氏は「最大の懸念は独立性が失われ、顧客離れが生じること」と説明した。ニデック傘下に入ると顧客の技術情報が外部に流出するリスクがあるとし、「商談で保留となっている案件がある」とも明かした。
宮崎氏は「ニデック傘下の工作機械メーカーの製品は安く、価格重視の顧客が中心」として、製品価格が高い牧野フライスとは顧客層が異なり、相乗効果は乏しいとの見方を示した。
NHKの稲葉延雄会長 フジ問題報告書「重く受け止め」[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 200文字 PDF有 書誌情報]
NHKの稲葉延雄会長は16日の定例記者会見で、元タレントの中居正広氏と女性との間のトラブルを巡るフジテレビジョンの対応を調査してきた第三者委員会の調査報告について「重く受け止めた」と述べた。「業界全体としての健全化が図れるよう、NHKとしてもできることは積極的に取り組みたい」とした。報告書は性的暴力・ハラスメントという人権課題がメディア・エンターテインメント業界における構造的な問題だと指摘した。
三井物産、合成燃料の米新興出資[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 169文字 PDF有 書誌情報]
三井物産は16日、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らせる合成燃料製造の米スタートアップ、インフィニウム(カリフォルニア州)に出資したと発表した。投資額は10億円程度とみられる。三井物産は2月にもインフィニウムとは別方式で合成燃料を製造する米新興への出資を発表している。本格的な普及を前に複数の新興と関係をつくり、合成燃料の知見をためる。
米相互関税、倒産予想上振れ[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 168文字 PDF有 書誌情報]
帝国データバンクは16日、トランプ米大統領が発動した相互関税が日本経済に与える影響を予測し、2025年度の倒産件数の見通しを変更したと発表した。90日間の一時停止を経て、日本に24%、EUに20%などの相互関税が再び発動する場合、25年度の倒産件数は1万574件と、従来予想より3.3%増えるとみる。24年度の倒産は1万70件だった。
エアウィーヴ、ミラノ五輪に寝具[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 159文字 PDF有 書誌情報]
エアウィーヴ(東京・千代田)は16日、2026年に開かれるミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪・パラリンピックの選手村に提供する寝具を公開した。五輪用に開発したマットレスと掛け布団など4種類の寝具を提供する。使い終わった寝具の一部は、現地の学生寮で再利用される。選手村の全床にあたる約4000床分の寝具を提供する。
コニカミノルタ、都立校にAI[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 150文字 PDF有 書誌情報]
コニカミノルタは16日、東京都立学校を対象に生成人工知能(AI)サービスを提供すると発表した。小・中・高校などに通う生徒らと教員の計16万人程度が生成AIを利用できる環境を構築する。生徒の学力に応じた学習効果の向上につなげる。都から都立学校における生成AIシステムの構築や保守などの業務を受託した。
すかいらーく、卵関連商品値上げ[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 125文字 PDF有 書誌情報]
すかいらーくホールディングス(HD)は16日、ファミリーレストラン「ガスト」と中華レストラン「バーミヤン」で卵関連商品を17日に値上げすると発表した。値上げ幅は10~20円でチャーハンなど約40品目が対象。鶏卵価格の上昇を受けて販売価格に転嫁する。
ルンバ、背水の全機種刷新 「牙城」日本で中国勢に対抗(ビジネスTODAY)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1171文字 PDF有 書誌情報]
ロボット掃除機「ルンバ」を手掛ける米アイロボットは16日、国内のラインアップを刷新すると発表した。全ての機種に高性能レーダーを搭載し掃除漏れを防ぐ。中国勢が急速に台頭し、アイロボットは業績不振が続く。高いシェアを持ち「牙城」といえる日本市場を起点に復活を目指す。
「全てが新しい『ニュー・ルンバ』だ。日本の顧客の暮らしに役立てる」。都内での発表会でゲイリー・コーエン最高経営責任者(CEO)は強調した。新型6機種を18日に発売する。
全機種に高性能レーダー「LiDAR」を搭載。高機能の部品を載せたにもかかわらず、価格は3万9400円からと100円上げただけだ。
全モデルの一斉刷新は初という。思い切った策に出た背景には足元の厳しい事業環境がある。
ロボット掃除機の勢力図は数年で一変した。米IDCによると24年の世界出荷台数で中国の北京石頭世紀科技(ロボロック)が初めてアイロボットを抜き首位となった。
中国勢はまず価格競争力でシェアを伸ばした。24年には小米(シャオミ)が1万円台の製品を国内で発売した。さらに技術力でも中国勢は独自性を発揮し始めた。
ロボロックはアームを搭載する製品を発表。人工知能(AI)で靴下やおもちゃを識別し、アームで拾って片付けられる。追覓科技(ドリーミーテクノロジー)は脚を搭載し床の段差を乗り越えられる製品を発売した。
アイロボットのコーエンCEOは中国勢について「注視しているが、我々には独自のブランド力と強い販売網がある」と強気を崩さない。
アイロボットは部屋の間取りを把握する機能や水拭き機能などを先駆けて投入し強いブランドを築いてきた。ただ、販売現場からは「ルンバは技術力が落ち始めた」(国内家電量販店の担当者)との声もでており、ブランド力に陰りがみえる。
業績は厳しい。24年10~12月期決算は売上高が前年同期比44%減の1億7203万ドル(約246億円)で、7710万ドルの最終赤字を計上した。説明資料に「企業として事業を継続できるかどうかのゴーイングコンサーン(継続企業の前提)に相当の疑義がある」との記載を余儀なくされた。
アイロボットは自力での復活をめざし、日本を重要市場に位置づける。英調査会社ユーロモニターによると24年のロボット掃除機の国内シェアは約7割を維持しており、譲れない市場といえる。
16日、30年までに国内の掃除機全体の出荷台数で2割のシェアを目指すとぶち上げた。国内ではスティック型が主流だ。アイロボットのシェアは5%にも満たない。「さらなる成長余地がある」(コーエンCEO)というが、発表会では具体策には言及しなかった。
家事負担を軽くするというイノベーションで市場を切り開いてきたアイロボット。再び消費者にほしいと思われる価値の創造が求められている。
(田口典佳)
JR貨物 犬飼社長(ニュース一言)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 13ページ 185文字 PDF有 書誌情報]
「2024年問題」で貨物の鉄道輸送へのモーダルシフトが進んでいくと期待していた。正直なところ(前年度に比べて)5%程度は増やしたかった。
トラック運転手の残業規制が始まり1年が経過した。モーダルシフトも進みつつあるが、JR貨物の24年度の輸送実績は前年度比2.4%増にとどまった。犬飼新社長は「台風の影響や輪軸の不正問題で迷惑をかけた。信頼を高めていきたい」と話した。
ホンダ、インドが握る二輪の浮沈 電動では後発で苦戦 専用新工場で価格下げ[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 14ページ 2006文字 PDF有 書誌情報]
四輪車が伸び悩むなか、ホンダの屋台骨を支える二輪事業。世界シェアは4割で断トツだが、電動車を中心に新興勢が先行する。その二輪事業の今後を占うのが最大市場のインドだ。次世代車でリードする米中勢の後を追う四輪を支えるためにも、インドの二輪事業の成否がホンダの浮沈のカギを握る。
勝ち筋「二刀流」
2024年10月。インドで初めてお目見えした中型スポーツバイク「CB300F Flex―Fuel」(価格は17万ルピー=約29万円)。電動化への足がかりとして期待するガソリンにバイオエタノールを混ぜた「フレックスフューエル」で動く車両だ。
ホンダが得意とするエンジンを載せながらも、エタノールの混合比率をあげることで二酸化炭素(CO2)排出量を減らせる。「CB300F Flex―Fuel」のエタノール混合比率は85%。エタノール燃料が豊富なブラジルではすでに100%の車両を販売しており、インドでも25年に投入する。
ホンダの勝ち筋は、得意とするエンジンと電動の「二刀流」だ。投資負担は重くなるが、電動車で勢力を強める新興勢を振り切るためには得意とするエンジンとの両立が欠かせない。「電動商品含めて全方位で強化し、シェアナンバーワンの座を盤石にしたい」。1月末の事業説明会で、二輪事業統括部の加藤稔部長はこう意気込んだ。
インドでは政府の後押しを受けて、電動車市場が拡大している。KPMGコンサルティングによると、インドの23年の電動二輪の販売台数は前年比35%増の93万台だった。二輪車全体に占める割合は6%で、3年で5.3ポイント上昇した。
インド電動車市場は現地勢が牛耳る。新興のオラ・エレクトリック・モビリティーは21年に市場参入し、10万ルピー(約17万円)程度の車両を販売している。現地最大手のヒーロー・モトコープも専用ブランドを立ち上げ、航続距離が165キロメートルで11万5300ルピーの車両などを販売する。
ホンダは電動車市場では後発だ。認証取得の課題などで当初計画より約2年遅れ、25年2月に初の電動二輪を発売した。10万ルピー程度で現地メーカーに合わせたが、航続距離は長くても102キロメートルと差別化に苦戦する。
それでもホンダは電動二輪の市場開拓の姿勢を崩さない。二輪・パワープロダクツ電動事業統括部の三原大樹部長は「電動でもナンバーワンを目指す」と強調する。競合他社やガソリン車と比べて、手に取りやすい価格の車両の展開を急ぐ。主要拠点となるのが、28年に南部ベンガルールの工場の敷地内に設ける電動二輪車の専用工場だ。
新工場の建設にあわせて、電動二輪で部品の構造を共通化したり組み合わせたりすることで、効率的に多くの車種を手掛けられるようにする。組み立てラインを従来の半分程度に抑える。さらに部品の内製化やバッテリーメーカーとの協業を進め、車両の単価を下げる。当面の間は国内向けに展開するが、グローバルへの輸出も検討する。
アフターサービスでも布石を打つ。現地メディアによると、オラの電動二輪は電池の不具合や販売後のサービス対応に苦情が目立つ。当局も調査に動いている。
6000カ所の販売網
ホンダの強みはインド全土に広がる6000カ所の販売網だ。このネットワークを生かして故障時などのアフターサービスのほか、電池交換のサービス体制を充実させる。電動車に対する充電の不安を取り除く。
インド市場で磨いた開発、調達、生産における競争力は、成長が見込まれるフィリピンやインドネシアでの橋頭堡(ほ)とする。電動車で台頭する中国の新興勢にも挑む。「中国勢はブランド強化で欧州を攻めており脅威だ。価格も我々より安いが、負けてはいられない」(加藤統括部長)と強調する。
二輪事業はホンダの稼ぎ頭だ。24年4~12月期の営業利益は四輪を990億円上回り、5016億円を稼いだ。営業利益率は19%に達し、四輪(4%)を大きく引き離す。世界シェア首位の二輪の販売力が、ホンダの競争力の根源となってきた。
目指すは30年の二輪車の世界シェア約5割だ。ホンダは世界の二輪車需要は同年に6000万台まで伸びると予想しており、目標達成にはインド市場での成長が必須だ。
インドでは現在、ヒーローがシェアで29%と首位を走る。自転車メーカーが起源のヒーローはホンダと84年に合弁を組み、ホンダの技術を吸収して成長した。10年に合弁を解消して独立、育ての親であるホンダを抜き去り、電動二輪の分野でも攻勢を強めて突き放そうとしている。
加藤氏は事業説明会の冒頭で、「ホンダにとって二輪車はものづくりの原点」と振り返った。創業者の本田宗一郎氏が開発した自転車用補助エンジンから始まり、世界で一番売れたバイク「スーパーカブ」を生み出したホンダの二輪車事業。環境規制などで市場が激変する今、「二刀流」で勝ち残りを目指す。
(大倉悠美)
信越化学、合成石英医薬に展開 新規用途に拡大[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 14ページ 824文字 PDF有 書誌情報]
信越化学工業は半導体材料向けなどに手がけてきた合成石英で、新たに医薬品製造用途に展開する。医薬品原料となる脂質で有効成分を包んだ粒子の生産装置を開発し、粒子を作るデバイスに合成石英を使う。新規用途を開拓し、事業の拡大を目指す。
北海道大学と連携し、脂質で有効成分を包んだ脂質ナノ粒子(LNP)の製造装置を開発した。装置のなかで「マイクロ流体デバイス」と呼ばれる部品に信越化学の合成石英を活用。基板に微細なジグザグの溝をつくり、そこに脂質や有効成分を流して医薬品の原料となる粒子を製造する。
遺伝情報をもとに最適な薬や治療法を選ぶ「個別化医療」や、ワクチンなどの製造での利用を想定している。マイクロ流体デバイスを入れ替えたり、目的に合わせた物に微調整したりすることで1台の装置で多品種を作ることができる。
これまでもあるバッチ生産方式では粒子のサイズにばらつきがあったが、マイクロ流体デバイスだと均一にできるという。液体を流すスピードなどを調整することで粒子の大きさも制御可能だ。
マイクロ流体デバイスではガラスなどが使われていたが、合成石英は不純物が少なく、熱や化学品への耐性も高い。信越化学はこれまで半導体分野向けに合成石英を展開し微細加工技術も持っており、その技術を医薬製造向けに活用する。合成石英を医薬用途向けで事業化するのは初めてとなる。
主な顧客は製薬会社や医薬品開発・製造受託(CDMO)企業で、まずは国内企業をターゲットとする。装置の生産は信越化学のエンジニアリング子会社が担い、北大発スタートアップのライラックファーマ(札幌市)が販売する。
装置は1台あたり1平方メートルのスペースに設置でき場所を取らない。グレードによって異なるが1番高い物で1台数億円程度となる見込みだ。4月から受注販売に対応し、25年末には研究開発や実証向けでより安価な小型タイプの開発も目指す。
【図・写真】信越化学工業の合成石英を使ったマイクロ流体デバイス
中高生の英会話AIが先生役に コトバンク,発音や文法を評価[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 14ページ 440文字 PDF有 書誌情報]
英語音読の指導アプリを手がけるコトバンク(東京・渋谷)は中学・高校で実施する英会話の指導や練習を人工知能(AI)が自動化する新機能をこのほど追加した。授業に合わせた音読課題を生成したり、生徒の発話を評価したりできる。教員の人手不足が進むなか、指導の負担を減らしたい中学・高校や学習塾の需要をつかむ。
新機能は教員が英会話の練習課題を作成する際に使う。生徒に学ばせたい英文法や指導の進捗などを文章で入力すると、AIが最適な出題文を生成する。「明日の天気について説明する」といった達成目標や「中学生」などAIの役割も設定できる。
生徒はアプリ上でAIと会話しながら生成された指導を受けられる。読み上げられた質問に対して生徒が口答した音声をAIが解析し、発音や文法の正しさを評価する。
音声は画面上に書き起こされ、間違えた箇所やアドバイスも表示する。課題の評価も生徒ごとに記録される。教員は日々の授業や成績の判定などに活用することができる。
1回の課題作成につき75円から利用できる。
第一三共の研究(下)技術革新もがく「がん」の先(TheStrategy)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1145文字 PDF有 書誌情報]
脱「ADC依存」へ創薬人材獲得 米バイオ集積地に初の海外拠点
軍港都市として有名な米カリフォルニア州サンディエゴ。ボストンに並び米国でも有数のバイオ新興、研究機関、ベンチャーキャピタル(VC)が集まる産業クラスターとしても知られる。この街に1月、第一三共が同社初となる海外研究拠点「スマートリサーチラボ」を新設した。
24時間365日稼働可能なロボットによる実験、データを自動収集するシステムなど未来の創薬研究のイメージを実現する計画で、26年中の稼働を目指す。竹下健一研究開発ユニット長は「研究員が知的業務に集中できるようにする」と説明する。
狙いは創薬人材の獲得にある。同社は26年度までにバイオ人材を100人以上、グローバル人材を50人、デジタル人材で110人を獲得する目標を掲げる。サンディエゴではまず20人ほどを想定し、ほとんどを現地採用する予定だ。
第一三共の創薬拠点は日本だけで、世界的ヒットとなった主力抗がん剤「エンハーツ」も日本で生み出された。改めて米国で人材獲得を急ぐのは将来の技術革新に対する危機感があるためだ。
エンハーツは抗体薬物複合体(ADC)という技術をベースとしているが、世界では遺伝子治療といった次世代技術の開発が加速している。奥沢宏幸社長は「グローバルで躍進するための源泉は人だと確信している」と強調する。
エンハーツの成功で「ダイイチ・サンキョウ」の名は世界から注目される。今だからこそ米国で優秀な人材を集めることができるという思惑もある。奥沢社長は「世界中の優秀な人材が当社の門をたたいてくれている」と自信をみせる。
抗がん剤は成長市場だ。米調査会社のIQVIAは抗がん剤の世界市場が28年には23年の2230億ドル(32兆円)から4090億ドルまで拡大すると予測する。
抗がん剤全体で見ると売上高トップは販売額が年間295億ドル(4兆3000億円)以上の米メルクのがん免疫薬「キイトルーダ」だ。同じがん免疫薬で米ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)と小野薬品工業の「オプジーボ」は年93億ドルを稼ぐ。第一三共のADC抗がん剤も好調だが、1製品で年100億ドル近く稼ぐがん免疫薬に対抗するのは簡単ではない。
現状の第一三共の研究開発はADC技術に依存した「一本足打法」の状態だ。ADCの次を見据えた技術基盤の準備は急務といえる。
海外の優秀な人材獲得やすでに採用した人材を会社につなぎとめるため、新しい評価、報酬制度を盛り込んだグローバルの人事制度を4月から導入した。次の成長に向けてもがく第一三共。栄枯盛衰が激しい製薬業界での生き残りをかけた挑戦が始まった。
黒瀬泰斗が担当しました。
【図・写真】第一三共が新設した米国の研究拠点(米サンディエゴ)
大吉、研修3カ月で店長に ハークスレイは特定技能外国人紹介 外食、なり手確保で出店増[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2095文字 PDF有 書誌情報]
外食業界で特になり手の少ない店長を確保するための新たな取り組みが始まっている。エターナルホスピタリティグループは未経験でも3カ月の研修で店長になれる仕組みを整備した。ハークスレイは特定技能外国人を育成し、店長候補として飲食企業へ紹介する。多店舗化のボトルネックになる店長不足を和らげ、成長につなげる。
エターナルG傘下で居酒屋「やきとり大吉」を展開するダイキチシステム(大阪市)は、全店舗をフランチャイズチェーン(FC)で運営する。店長の確保は出店戦略と表裏一体の関係にある。人材を広く集め早く育てる仕組みづくりに力を入れてきた。
初日から実践
その一つが外食産業の未経験者でもFC店長として務まるよう3カ月で「促成」する研修プログラムだ。「研修初日の昼から焼き鳥のくし打ちや仕込みを徹底的に教わり、夜の営業時は接客を実践的に学べた」。大阪府内で店を出したある店長はこう話す。
出店のハードルを下げる工夫も凝らす。店舗物件は本部が取得して貸し出すプランも用意する。
さらに2024年から実家の近くなど出店場所は店長候補者の希望にも応じている。未経験でも研修期間は3カ月とした一方、本部が指定する店舗で2年間は経験を積まなければならない条件があった。この条件を見直して一部のエリアで即開店できるようにした。
その対象エリアをまず北関東の宇都宮市と群馬県高崎市とし、1号店を25年前半にも開業する。かつて群馬と栃木両県で複数の店舗を出していた。店長の高齢化などで閉店が相次ぎ、10年代にゼロとなった。新方式は地元へのUターン希望者を中心とした需要を見込む。他の都市にも順次、広げていく考えだ。
ダイキチシステムは23年に親会社となったエターナルGの資本力も生かし再拡大を目指している。従来の大吉の店舗は昭和の赤ちょうちんの雰囲気を色濃く残す赤色の看板だった。新しい方式で出す店舗は、白を基調にした看板や内装とし、女性や若者にも親しみやすさを打ち出す。
大吉は数人の店員が切り盛りする「郊外型小規模モデル」の店舗だ。一方、エターナルGの主力業態「鳥貴族」は大型店が多い。エターナルGは運営形態が異なるため大吉の新手法をそのまま取り入れるのは難しいとみる。ただ小型店「鳥貴族パートナーズ」の多店舗展開に生かせないかを検討している。
パート登用も
持ち帰り弁当の「ほっかほっか亭」を展開するハークスレイは、外国人の店長候補を育成して、国内の外食店などに紹介する新会社を設立した。外国人は「特定技能」の在留資格者のみを対象として、資格試験の勉強から入国後の生活まで支援する。
子会社を通じて24年10月にTRNグローバルキャリア(東京・港)を立ち上げた。現在はベトナムとインドネシアの出身者が中心で、今後はミャンマーなど周辺国にも広げる。
研修はeラーニングや対面で実施する。外国人の店長候補者は自国にいながらにして日本語や接客技術の基本も学べるようにしたのが特徴だ。
特定技能制度は在留期限が通算5年までの「1号」と制限のない「2号」がある。2号の対象は23年に外食や宿泊、食料品製造業にも拡大した。家族を呼び寄せ日本に定住もできる。
ハークスレイの新事業は、1号と2号の両方を対象にしている。今後は外食などの店長候補として、2号取得者の紹介を主軸にしていく考えだ。ハークスレイの石井実副社長は「飲食など人手不足に悩む業界と、日本でキャリアを積みたい外国人のニーズが合致し、引き合いは強い」と話す。
トリドールホールディングス傘下の丸亀製麺(東京・渋谷)は、パート従業員を店長に登用する「パートナー店長」の取り組みを広げている。12年にスタートした制度で、25年2月時点でパートナー店長は83人と全店舗のおよそ1割を占める。
パートナー店長から地域限定社員に登用されるケースも増えている。現在までに累計200人を超えるという。
新型コロナウイルス禍が落ち着き、外食業界の人手不足は一段と深刻になっている。
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、「接客・給仕」の有効求人倍率は25年2月時点で2.78倍だった。コロナ禍前の20年2月(3.81倍)の水準ほどではないものの、コロナ禍中の21年2月(1.69倍)と比較すると、人材需要の戻りは顕著だ。
この間、全職業合計の有効求人倍率は1倍強で推移した。そのことからしても、短期間での変動が激しい。
外食業界はコロナ禍で閉店を余儀なくされたところも多く、大きな痛手を負った。その間に働いていた人材は、コンビニエンスストアなど他業種に流出した。
コロナ禍が収束するにつれ一斉に再拡大へと動いているが、人材獲得競争は外食業界の中だけの話ではない。インバウンド(訪日外国人)の急増に伴って、宿泊業など広くサービス業を中心に「奪い合い」の様相を呈しているのが現状だ。
特に店長など管理層の不足は目立っており、出店を増やそうにも簡単に増やせない一因となっている。店長候補の確保策として打ち出された新機軸は、外食業界を再び成長の軌道に乗せられるか注目される。
(安藤健太)
「楽天ペイ」で保険提供 決済アプリ、経済圏の軸に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1211文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループは6月にもスマートフォン決済「楽天ペイ」のアプリ上で、保険の提供を始める。第1弾としてグループの保険会社が少額短期保険を販売する。同保険は価格が安く海外旅行の際の事故などを補償する。日常的に使える保険サービスの販売でスマホ決済の利用拡大につなげる。顧客データ収集の場を増やす狙いもある。
財務局の認可を前提に、楽天Gのグループ会社である楽天少額短期保険(東京・港)が保険の販売を始める。少額短期保険には短い期間の海外旅行中の事故などを補償するものやゴルフをしている際の事故、熱中症になったときの補償をするものなどがある。まず同保険から始めて、生命保険といった高価格帯商品にも広げる。さらに保険以外のサービスの予約なども決済アプリでできるようにするもようだ。
楽天ペイメント(東京・港)が運営する楽天ペイの決済データを使えば、だれがどこで何を購入したかがわかる。利用客の需要に応じた保険商品を提案できるようになるとみている。空港で買い物をすれば海外旅行保険を、ゴルフ場の近くであればゴルフの保険をアプリで提案する仕組みも整える。
生命保険文化センターの2024年調査によるとネット経由で生命保険に加入した人の割合は6%にとどまる。楽天ペイでの保険提供は、決済もクレジットカードなどを使う他のネット販売に比べてより簡単で、開拓の余地は大きいとみる。
楽天Gは共通ポイント「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」、楽天カードの機能を決済アプリである楽天ペイに集約する計画だ。同アプリを電子商取引(EC)や銀行、証券、楽天ポイントなどさまざまなサービスを展開する「楽天経済圏」の入り口にしていく。決済アプリの魅力向上策は欠かせず、保険販売はその一環だ。
スマホ決済アプリは急成長している。日銀、日本クレジット協会、キャッシュレス推進協議会のデータによるとスマホ経由のQRコード決済回数は24年に115億回と、18年の約230倍に増えた。経済産業省によるとQRコードによる決済額は24年に13兆5000億円。23年比の伸び率は24%増とキャッシュレス決済の中で最も高かった。
この流れの中で楽天ペイの利用も増えている。楽天Gの中で最も決済回数の多いアプリの一つだ。少額の決済が中心のためコンビニエンスストアでの買い物など、1日に複数回使われることもありお金を払う日常的な手段として浸透しつつある。
スマホ決済ではソフトバンク系のPayPayが決済額と回数の両方でシェアが7割近くに達し先行している。保険販売もすでに始めており、決済アプリ上で自転車事故の保険やペット保険などを幅広く展開する。
楽天Gの強みは楽天経済圏から得られる顧客のデータだ。決済アプリを軸とし、膨大なデータを人工知能(AI)で分析してマーケティングの解像度を上げる。適切な販促を進めたり、決済アプリの機能や魅力も高めたりして追い上げを急ぐ。
キリンHD、山梨でワインブドウの新品種 暑さに強く、温暖化に対応[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1157文字 PDF有 書誌情報]
キリンホールディングス(HD)傘下のメルシャンは16日、赤ワイン用ブドウの新品種の栽培を山梨県の自社農地で始めた。暑さに強く晩夏に収穫できることから、台風や秋の長雨の影響を受けにくい。気候変動でブドウの生産が冷涼な地域に北上しているなか、キリンHDは新品種を日本産ワインの販売拡大のきっかけにしたい考えだ。
メルシャンが新たに栽培したのは「ソワノワール」。標高600メートルある自社農地の「城の平ヴィンヤード」(山梨県甲州市)で400本植樹し、早ければ2027年に収穫する。28年をめどにソワノワールを使った商品の発売を目指す。
これまで城の平では赤ワインに使う品種に、主流のカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、カベルネ・フランなどを栽培してきた。
ただ、近年の温暖化で夜間の気温も上昇した。色づきや酸味・糖度がワイン用の基準に満たさない果実が増え、ワイン原料の安定供給の課題に直面していた。
実際、こうした環境の変化により、ワインの生産は北にシフトしつつある。国税庁によると、24年時点の国内ワイナリー数は22年比8%増493カ所だったのに対し、山梨県は5%減の89カ所。一方で北海道は2割増の64カ所まで伸びた。
ソワノワールは山梨県がメルローとピノ・ノワールの2品種を1992年に交雑し、選抜した。21年に収穫したブドウで仕込んだ赤ワインは濃厚な色で、味わいが絹のように滑らかと評価された。
着色に関わるポリフェノールの一種「アントシアニン」の含有量はメルローに比べて2倍以上ある。暑くても色づきやすく、収穫時期も早い。山梨県内で標高440メートルの農地で栽培したところ、8月下旬に成熟期を迎え、メルローより9日程度早かった。収穫時期が9~10月となる従来の品種と異なり、秋の長雨や近年大型化している台風による被害の懸念が減る。
メルシャンは委託生産を除き、日本ワイン用ブドウは伝統産地とされる山梨県や長野県の自社農地で栽培している。特に1984年に開墾した城の平ヴィンヤードは同社の最初の自社農地だ。温暖化に対応するために、北日本などで新たな地を探すにはコストや手間もかかる。
同日に記者会見を開いたメルシャンの日本ワイン事業「シャトー・メルシャン」の小林弘憲ゼネラル・マネージャーは「気候変動にうまく対応しながら山梨でワイン造りに挑戦したい」と強調した。
メルシャンによると、23年の日本ワインの市場規模(新酒、金額ベース)は19年から約17%増えた。
白ワインのなかでも知名度が高い「甲州」は山梨県が主要産地であり、欧州市場でも認知度が上がっている。
インバウンド(訪日外国人)も増えているなか、赤ワインのソワノワールの品質と供給が安定できれば、国内外で日本ワインの存在感が大きく高まる可能性がある。
日本郵便「物流で価格競争力強化」 トナミTOB成立[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 686文字 PDF有 書誌情報]
日本郵便は16日、6月下旬にも完全子会社化するトナミホールディングス(HD)と共同記者会見を開いた。千田哲也社長は「倉庫やトラック輸送、宅配といった物流サービスを一体的に提供して価格競争力を強化する」と述べた。
日本郵便は2月にトナミの買収を発表。今月にTOB(株式公開買い付け)が成立した。トナミは非公開化し、経営陣は続投する方向だ。買収総額926億円のうち日本郵便が750億円を出資する。
千田氏は記者会見で「トナミは法人向け、日本郵便は消費者向けと得意分野が異なる。ともに手がける長距離輸送でもトラックや施設などの効率化でシナジーが生まれる」と強調した。
トナミは複数荷主の貨物を混載して運ぶ「特積み」が主力事業だ。長距離輸送で企業向けに強みを持つ。
日本郵便は「ゆうパック」など顧客に届ける宅配事業が中心で、企業間物流の規模は比較的小さい。
長距離輸送は日本郵便が西日本中心であるのに対し、トナミは北陸や関東といった東日本が地盤。両者は今回の買収を通じ、相互補完が見込める。
同社にとって、大型買収は15年に6200億円を投じたオーストラリアの国際物流会社、トール・ホールディングス以来となる。
ただ17年3月期には4千億円の減損損失を計上し、21年には一部事業を売却した。
千田社長は「両社のコミュニケーションができておらずシナジーをつくるのに時間がかかった」と振り返った。
「トナミに特積みについて教えてもらえるようしっかりコミュニケーションを取る」と話した。
【図・写真】握手をする日本郵便の千田社長(右)とトナミHDの高田和夫社長(16日、東京都千代田区)
オープンAI、チャットGPTにSNS機能開発[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 630文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】米オープンAIが対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」向けにSNSの機能を開発していることが15日、明らかになった。複数の米メディアが報じた。利用者やデータを自社サービス内に囲い込み、米起業家イーロン・マスク氏のX(旧ツイッター)に対抗する取り組みになる。
米ネットメディアのザ・バージによると、オープンAIは他の利用者の投稿をアプリ内で配信する「フィード」を開発している。計画は初期の段階という。
チャットGPTで生成した文章や画像を投稿し、利用者同士が互いに見られるようになる。生成AIの活用事例を共有する、流行した投稿をアプリ内で確認するといった用途が想定されている。現在はチャットGPTの生成物をXなど外部のSNSに投稿する人が多い。
チャットGPTの利用者は3月末に世界で5億人に達した。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は画像生成AIの流行でさらに利用者が急増したと明かしている。マスク氏によればXの利用者は世界で6億人で、すでに利用者基盤ではオープンAIがXに迫っている。
マスク氏は3月、自身が率いるAI企業の米xAI(エックスエーアイ)がXを買収したと発表した。xAIの生成AI「グロック」をXに展開し、SNSのデータをAI開発に生かす構想だ。
オープンAIが自前のSNS運営に乗り出せば、かねて対立するアルトマン氏とマスク氏がビジネスで競合する分野がさらに広がることになる。
LVMH、時価総額首位26年ぶり転落 欧州高級ブランドで エルメスが奪取[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 15ページ 510文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=湯前宗太郎】仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが15日、欧州高級ブランドで時価総額首位の座を仏エルメス・インターナショナルに奪われた。直近決算の内容がさえず、先行き懸念から株価が急落した。富裕層顧客が多いエルメスの強さが浮かび上がった。
QUICK・ファクトセットによると、15日にLVMHの時価総額が約2440億ユーロ(約39兆5000億円)だったのに対しエルメスは2460億ユーロを超えた。
欧州高級ブランドで時価総額が上位の5社(LVMH、エルメス、仏ケリング、スイスのリシュモン、仏クリスチャン・ディオール)をみると2000年以降、LVMHは首位を維持してきた。26年ぶりに他ブランドにトップの座を奪われた。
引き金はLVMHが14日に発表した25年1~3月期決算だ。売上高は前年同期比2%減の203億ユーロ。最大市場の中国を含むアジア(日本は除く)が11%減った。
中国市場の低調さに加え、先行き不安を高めたのは米国の売上高だ。24年10~12月期に復調の兆しをみせたが、25年1~3月期は3%減と再び減少に転じた。
トランプ米政権が高率な関税策を打ち出すなか、米国消費の先行きに懸念が高まる。
丸井グループ株、市場感応度が低下、DOE導入で個人株主増[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 596文字 PDF有 書誌情報]
丸井グループ株と市場全体の値動きの連動性が小さくなっている。2023年5月に株主資本配当率(DOE)で8%程度を目標とし、継続的な増配を目指すとの方針を打ち出した。安定配当を期待する個人投資家による中長期の保有が増え、個人株主比率は8年ぶりの高水準になっている。
市場全体の値動きに対する個別銘柄の感応度である「β値」をみると、丸井G株は3月時点で0・49(対東証株価指数、36カ月)で、DOE導入前の23年3月の1・11から低下した。例えば市場全体が10%変動した場合、丸井G株は以前はおよそ11%動いたが、最近では5%程度の騰落にとどまることを意味する。
株価が安定するようになったのは、配当方針の変更が大きい。23年5月に導入を発表したDOEは配当額を自己資本に対する一定割合に設定する。純利益の増減に左右されにくく、安定配当を期待する個人投資家にとって魅力が高い。24年3月末時点の個人株主比率は1年前より2ポイント増の20%になった。
β値は投資家が期待する収益率である資本コスト算出時の重要な要素で、β値が下がると資本コストも低下する。株価変動リスクが小さくなるためだ。丸井Gは自社の資本コストを7・8%(24年3月期)と算出する。加藤浩嗣最高財務責任者(CFO)は「26年3月期以降は個人投資家向けIRの強化などで株主数を増やし、資本コストのさらなる引き下げを目指す」という。
会計士協会、会長に南氏、仰星出身「ビッグ4」以外から初[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 488文字 PDF有 書誌情報]
日本公認会計士協会は16日、次期会長に南成人副会長(62)が就く人事を決めたと発表した。南氏は公認会計士協会の副会長で、仰星監査法人の理事などを務めている。「ビッグ4」と呼ばれる四大監査法人の体制になった2006年以降で、準大手や中堅監査法人から会長が選ばれるのは初めてとなる。
7月の定期総会終了後に就任する。茂木哲也会長(57)は任期満了に伴い退任する。
南氏は監査法人勤務を経て1993年に東京赤坂監査法人(現仰星監査法人)を設立した。公認会計士協会の副会長としては中小の監査事務所支援にも注力してきた。
政府が全上場企業に要請している有価証券報告書の総会前開示などで監査業務への負荷は増している。16日の記者会見で南氏は「多くの若手会計士は作業に追われ、やりがいを感じる前に業界を離れてしまう。監査を若い世代にとって魅力ある業界にしていきたい」などと意気込みを語った。
南 成人氏(みなみ・なるひと)1985年(昭和60年)立命館大経卒。93年東京赤坂監査法人(現仰星監査法人)設立、2017年に理事長代表社員。19年日本公認会計士協会常務理事。
【図・写真】南成人氏
フジクラが特損 和解金で48億円[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
フジクラは16日、納入した電力ケーブルを巡り三菱電機から損害賠償を求められていた訴訟で和解が成立したと発表した。和解金は48億円で、2025年3月期に特別損失として計上する。前の期比45%増の740億円とする2025年3月期の純利益の計画には変更はない。
三菱電機は20年10月、フジクラから購入した特殊電力ケーブルに不良があるなどとして、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。請求額は当初は約61億円でその後約82億円となり、最終的には約70億円だった。フジクラは事案の詳細について「関係者に対し秘密保持の義務があり、公表できない」とした。
しっかり学ぶ財務(2)貸借対照表(BS) おカネとモノの動き示す、財務の健全性チェック[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1300文字 PDF有 書誌情報]
企業の経営が健全か知る上で大切なのはおカネをいくら稼いだかだけではない。おカネがどこから来て、何に形を変えたのか――。ある時点での企業の持ち物とお金の出どころを対比させたのが貸借対照表(バランスシート、BS)だ。安定して事業を続けられるかといった評価に重要な役割を果たしている。
乳製品やチョコレートなどで知られる明治ホールディングス(HD)。24年4~12月期は牛乳やヨーグルトなどのデイリー事業が増益だったが、中国での乳製品の苦戦やワクチンの評価減により連結純利益は前年同期比3%減となった。今の資産状況はどうか。貸借対照表を見てみよう。
企業が保有する資産は貸借対照表の左側に記載する。流動資産は比較的短い期間で現金になる資産だ。仕入れや製造、販売など通常の営業活動で生じた資産や現預金、短期売買する株式などが該当する。固定資産は長期間保有する土地や建物、工場などが代表的だ。
明治HDの24年12月末時点の流動資産は5763億円で、内訳は現預金が931億円、顧客から今後回収する受取手形と売掛金は2319億円、商品と製品は1225億円ある。固定資産は6410億円で、大きなものは建物や土地、機械装置などの有形固定資産だ。
貸借対照表の右側にはお金の調達先が記される。銀行からの借入金や社債など返済義務のある負債は右上に、株主の払い込みや過去の利益の蓄積など返済義務のない純資産が右下に記載される。負債と純資産の合計額は資産と一致する。
明治HDの負債をみると、仕入れ先への買掛金など1年以内に支払いを要する流動負債が3386億円ある。社債や長期借入金など返済期限が1年を超える固定負債は922億円ある。
純資産はほぼ横ばいの7864億円だった。株主から集めた資本金や、過去の利益の積み上げである利益剰余金などで構成される。会社法では単独の利益剰余金などから配当可能額が決まるため、株主にとって重要だ。
「資産」「負債」「純資産」のバランスから財務状況の健全性を確認できる。赤字が続いて蓄えを食い潰すと純資産がマイナスになる。負債が資産を上回り、全ての資産を売却しても借金が返済できない債務超過に陥る。融資を受けにくくなるほか、原則、債務超過を1年以内に解消できないと東京証券取引所の上場維持基準に抵触する。
財務状態の健全性を測る指標の一つが「自己資本比率」だ。調達したお金のうち返済義務のないお金の割合を表す。明治HDの24年12月末の自己資本比率は61%と、東証プライム上場企業の平均(43%)より高い。
流動資産を流動負債で割った「流動比率」が100%未満だと短期的に資金の手当てが必要になる可能性が高くなる。明治HDの流動比率は170%で資金繰りは安定しているといえる。
ブランド力や、社員の知識や経験といった人的資本などは「無形資産」と呼ばれ、企業に価値をもたらすが貸借対照表には載らない。近年は無形資産に着目する投資家も増えており、非財務情報の重要性が増している。
(久世真由美)
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2025年度業績展望(1)車大手、米関税打撃大きく 円安効果も後退マツダ3割減益[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1175文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車など車メーカー大手7社の2026年3月期の業績はトランプ米政権の関税影響で悪化しそうだ。主力市場の米国で関税のコスト負担や販売減少が重荷となる。為替相場が円高に振れ、円安効果も見込みにくい。事業環境が悪化するなか、日産自動車を中心に合従連衡も焦点になる。
自動車業界に激震が走ったのはトランプ米政権が4月3日に発動した米国への輸入車に対する25%の追加関税だ。5月3日までにエンジンなどの部品も追加関税を課す方針という。自動車輸出の約3割を米国向けとする日本の自動車産業には大打撃となる。14日にトランプ大統領は自動車メーカーへの支援を検討することを明らかにし、事態は流動的となっている。
7社の26年3月期の市場予想(QUICKコンセンサス)の純利益は前期の会社計画比で減益や小幅増益の企業が多い。マツダは3割減益、日産自動車は赤字が続く見通しだ。関税影響を踏まえ業績に対する慎重な見方が強まり、アナリストの業績予想の修正を指数化した「リビジョン・インデックス(RI)」は2月の7%プラスから3月はマイナス16%に転じた。下方修正が上方修正を上回ることを意味する。
5月の決算発表にあわせて公表する26年3月期の業績予想について、SBI証券の遠藤功治氏は「関税影響を読めず未定としてくる会社がある」とみる。外部環境が激変した際に業績予想を未定としたケースは過去にもある。
英調査会社グローバルデータによると、25年の米国の新車販売台数の見通しを24年比2%減の1610万台から10%減の1490万台に引き下げた。120万台はオーストラリアの年間販売に相当する規模となる。米国を代替できる市場は「見当たらない」(ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太氏)のが現状だ。
SBI証券の試算では、関税の影響額はトヨタが1兆3000億円、ホンダが7000億円、日産が6000億円、マツダが3000億円、SUBARUが2800億円だ。市場では車メーカーが関税の一部を実質的な値上げで転嫁するとの見方がある。ディーラーに値下げの原資として払う販売奨励金を抑制したり、モデルチェンジにあわせて値上げしたりする可能性もある。
3月末時点で米国には300万台弱の在庫がある。ゴールドマンの湯沢氏は「在庫処分に3カ月程度かかるため、実際に値上げするのは7月以降だろう」との見立てだ。
為替による業績押し上げも期待しにくい。25年3月期の期中平均為替レートは1ドル=約152円だった。足元の140円台前半が26年3月期を通じて続くと10円前後の円高になる。
自動車メーカーは電気自動車(EV)やソフトウエア定義車両(SDV)など将来の成長に向けた設備投資や研究開発が欠かせない。業績悪化が見込まれるなかで、従来水準の投資を維持できるかも注目される。
(太田明広)
国際物流に逆風 近鉄GHD陰り トランプ関税響く(記者の目)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 958文字 PDF有 書誌情報]
近鉄グループホールディングス(GHD)が「トランプ関税」の逆風をまともに受けている。内需産業の代表銘柄である鉄道コングロマリットだが、実は売上高の半分近くを国際物流事業で稼ぐ。株価は相互関税発動の発表後に10年来安値をつけ、同業に比べても下げが目立つ。
近鉄GHDは2022年、持ち分法適用会社だった近鉄エクスプレス(KWE)を1680億円で完全子会社にした。25年3月期の連結営業収益(売上高に相当)推計のうち、国際物流は47%を占める。KWEが手がける事業は、航空会社から仕入れた貨物スペースに貨物を積み込む航空フォワーダーが主力だ。
JPモルガン証券の姫野良太シニアアナリストは「航空貨物が事業収益に占める比率が大きく、直近の関税だけでなく中長期的に荷動きが鈍る恐れが嫌気された」と分析する。
3月25日に発表した36年3月期までの長期ビジョンで、国際物流の営業利益を25年3月期推計(160億円)の2倍となる300億~400億円規模に伸ばす目標を掲げた。若井敬社長は「日系メーカーの半導体や自動車関連の製品を中心に、強みを持つ品目で細やかなサービスを打ち出していく」と話すが、水を差された格好だ。
人口減少やコロナ禍で鉄道の利用は縮小している。そのなかで近鉄GHDが国際物流事業にかける期待は大きい。22年夏に連結子会社化したKWEの株式価値の再評価益の計上も寄与し、23年3月期の純利益はJR西日本を含めた関西の鉄道会社では最大だ。
東洋証券の安田秀樹シニアアナリストは「倉庫や機体などを抱えず、効率的にキャッシュを稼いでいる」と評価する。「ピーク時から3割近く減収になっても赤字に転落しておらず、稼ぐ力は底堅い」とみる。
近鉄GHDは1兆円を超える純有利子負債や自己資本比率(24年3月期末で21・3%)の低さが弱みと目されてきた。この状況を改善するためにも、国際物流事業は切り札になりうる。
29年3月期までの新中期経営計画では、半導体や自動車の関連製品など成長が期待できる重点品目の取り扱いを増やし、荷主の物流業務を請け負う事業にも力を入れる戦略を掲げた。トランプ関税を受けた株価下落が、国際物流企業への転換に障壁となるかどうかは、近鉄GHDが事業の収益性に磨きをかけられるかにかかる。(田村修吾)
LIFECREATE(352A)、フィットネススタジオ運営(新規公開株の横顔)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 719文字 PDF有 書誌情報]
特定のエクササイズに特化したブティック型フィットネススタジオを直営で運営する。マシンピラティススタジオ「ピラティスK」やホットヨガスタジオ「ロイブ」などの5ブランドを手掛ける。創業の地である札幌だけでなく全国に出店しており、2025年3月末時点で150店舗を展開、会員数は約6万人になったようだ。
運動の内容や年齢層によってブランドを分け、23年からは50代以上向けのストレッチスタジオを運営。店舗を小型化することで初期投資を抑え、素早く店舗網を広げている。ヨガマットやプロテインなどの販売も手掛け、会員の単価向上を目指す。
出店拡大により会員数が増え、25年3月期の単独売上高は前の期比36%増の84億円、税引き利益は63%増の5億9300万円を見込む。調達資金は新規出店に充てる。前川彩香社長は「内部留保を充実しつつ出店を軸に成長投資を拡大していく」と話す。
【4月24日 東証グロース上場】
(札幌市、前川彩香社長、011・299・2730)
上場時発行済み株式数(株) 12,629,871
公募株式数(株) 300,000
売り出し株式数(株) 2,079,000
オーバーアロットメントに〓よる売り出し株式数(株) 356,800
申込期間 4月17~22日
払込期日 4月23日
主 幹 事 大和証券
会計監査人 太陽
証券略称 Lクリエイト
2024/3 2025/3〓(予)
売 上 高(百万円) 6,217 8,483
税引き利益(百万円) 363 593
1株利益(円) 29.97 48.09
1株配当(円) 0 0
(注)2月1日付で1株を3株に分割。1株あたり数値は分割後ベース
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 655文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
■福岡リート投資法人(8968) 5.16
24.8 96 3225 3223 4049.0 3850.0
25.2 104 3967 3966 4571.0 4096.0
25.8予 107 3974 3972 4556.0 4100.0
■大和ハウスリート投資法人(8984) 5.12
24.8 322 10056 10055 4346.0 5804.0
25.2 324 13166 13165 5725.0 7078.0
25.8予 335 14562 14561 6344.0 6200.0
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
―――――――――――――――
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 294文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
住石ホールディングス(1514)
25.3 148 4700 4100
1株配(円) 25.3予=30.0 (24.3=60.0)
■地域新聞社(2164)
25.8 32 50 30
■協立情報通信(3670)
25.3 44 320 220
■ニチリョク(7578)
25.3 22 ▲77 ―
ヤマナカ(8190)
25.3 845 730 295
<数表>財務短信[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 282文字 PDF有 書誌情報]
LIFE CREATE(352A)
発行・売出価格=1250円
アエリア(3758)
自己株式消却=240万株(5月1日予定)
大塚ホールディングス(4578)
自己株式消却=903万5800株(5月23日予定)
住友ゴム工業(5110)
第27回無担保社債150億円▽償還期限=2030年4月22日▽利率=1.260%
第28回無担保社債50億円▽償還期限=2035年4月20日▽利率=2.024%
第27回・第28回債の申込日=4月16日▽払込日=4月22日▽発行価格=100円
バンダイナムコホールディングス(7832)
自己株式消却=1000万株(4月30日予定)
<数表>ETF収益分配[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 205文字 PDF有 書誌情報]
〓〓 2025年4月15日 〓〓
計算期末
NZAM 上場投信 東証REIT指数(1595)
100口分配(円)=2280.0
NZAM 上場投信 S&P500(為替ヘッジあり)(2086)
100口分配(円)=990.0
NZAM 上場投信 NASDAQ100(為替ヘッジあり)(2087)
100口分配(円)=120.0
NZAM 上場投信 NYダウ30(為替ヘッジあり)(2088)
100口分配(円)=1420.0
サイバー、決算を訂正 子会社の不適切会計で(短信)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
サイバーエージェントは16日、連結子会社のサイバーアウルで発覚した不適切な会計処理について社内調査委員会による報告書を公表した。取締役によるアフィリエイト広告の計上根拠の改ざん分を修正した結果、売上高と営業利益の影響額は2024年9月期までの5年間で計37億円だった。
エムビーエス、アエリア、 RecoveryInternational、福岡リート投資法人(自社株取得枠設定)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 115文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数・口数、金額は上限)
エムビーエス 10万株、1億円
アエリア 50万株、1億5000万円
Recovery International 11万株、1億6500万円
福岡リート投資法人 4000口、5億円
トナミホールディングス(9070)(格付け)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
トナミホールディングス(9070)
長期発行体、第7回無担保社債=AマイナスからAプラス(JCR)
住友ゴム工業(5110)(格付け)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
住友ゴム工業(5110)
第27回・第28回無担保社債=Aプラス(JCR)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 16ページ 4287文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 15日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
ぷらっと 0 0 1342 0
イオレ 0 0 236 △17
ベースフード 518 ▲12 18413 ▲65
スターシーズ 0 0 948 △1
インタートレ 186 ▲2 972 ▲5
サイトリ細研 0 0 1890 △1
トミタ電機 0 0 253 ▲3
HSHD 4 0 8853 △3
ReYuu 0 0 1353 0
Schoo 0 0 2863 △8
イントランス 80 ▲110 8546 ▲73
ゼンムテック 3 △2 247 ▲18
BASE 463 ▲7 23063 △80
テクノロジー 0 0 4295 △1
アップバンク 0 0 2675 △190
BCC 0 0 216 0
グロームHD 0 0 2384 0
ピクセル 288 0 5969 0
LIEH 0 0 571 ▲60
ウイルコHD 0 0 519 △31
アクアライン 0 0 67 0
タマホーム 823 ▲6 311 ▲21
BEENOS 8 0 5 0
CRE 0 0 2 0
プロト 0 0 4 △3
ドリームI 19 △1 190 ▲1
フジHD 8307 ▲6 9835 △327
ヨータイ 24 0 294 ▲672
パイオラック 21 0 24 0
牧野フ 5 0 103 ▲15
ヤーマン 953 0 317 0
富士通ゼ 5 0 181 ▲2
ジャムコ 8 0 94 △10
トプコン 130 △7 652 ▲32
天馬 0 0 21 0
トナミHD 0 0 17 ▲2
内外トランス 0 0 34 △1
イオンディラ 3 0 11 △1
イメージワン 504 ▲29 1563 ▲117
PバンCOM 13 △7 345 △26
Eストアー 0 0 5 0
オートサーバ 0 0 62 △1
全保連 0 0 333 ▲6
AIメカ 82 0 367 △2
インスペック 25 0 268 0
ナカヨ 0 0 2 △2
芝浦電子 0 0 181 △13
NEWART 0 0 32 ▲12
アールシー 6 0 60 0
MUTOH 1 0 119 0
丸藤パ 0 0 42 0
広電鉄 3 0 53 0
ユーラシア 0 0 74 0
グリンランド 0 0 16 0
アルテック 2 △1 2482 △12
ヴレインS 179 ― 444 ―
ファンデリー 439 ▲66 485 ▲1
ジェネパ 19 0 455 △2
フィスコ 257 ▲2 3307 △14
エコモット 28 △20 232 △10
WACUL 10 ▲10 214 ▲242
カオナビ 0 0 6 0
※ 野村4百Dイ 5903 ▲19 7165 ▲6689
※ 野村企業価値 0 0 0 0
※ 野村高配70 43 0 3294 △50
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 390 △10
※ SMT好配当 0 0 2191 0
※ SMD高配当 0 0 2720 0
※ GXオフ日R 0 0 1 ▲1
※ iS米25ヘ 140 0 731400 ▲15700
※ SMT内リ厳 0 0 1050 ▲1
※ GXLE日株 0 0 123 0
※ SBIサウジ 0 0 1912 0
※ 野村ESGコ 0 0 880 0
※ GX日カバコ 0 0 3310 ▲3021
※ 野村欧州株H 0 0 26190 ▲1970
※ 野村独株H有 40 ▲20 570380 △13610
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 100 ▲50 150250 ▲65900
※ 野村米半導 0 0 5237 ▲969
※ 阪急阪神R 593 ▲6 409 ▲191
世紀東急 349 ▲2 204 ▲2
柿安本店 319 △31 79 ▲1
くら寿司 307 △13 317 △6
オイシックス 54 △6 549 ▲10
日本調剤 96 ― 116 ―
Jテック・C 5 0 195 ▲1
ケイアイ不 47 △2 70 ▲6
グッドコムA 736 △20 579 ▲53
SMINOE 5 ▲1 61 0
力の源HD 279 0 276 △3
さくらネット 1930 △20 2645 ▲22
フリービット 466 △44 571 △15
gumi 655 △10 3789 △19
ACCESS 842 △4 1711 △13
小林製薬 99 0 275 △2
エニーカラー 188 △14 638 △26
千葉興 80 ▲11 1546 ▲18
神電鉄 23 0 11 0
サンウェルズ 2259 0 1574 0
JESCO 2 ▲1 219 △32
佐田建 26 △3 1281 △4
植木組 0 0 48 △1
三晃金 0 0 92 0
焼肉坂井HD 7 △2 239 ▲2
パレモ・HD 46 △20 1187 ▲26
OCHIHD 8 0 12 0
菊池製作 103 △15 253 0
マツオカ 11 0 636 ▲1
enish 589 △10 2416 ▲3
片倉コープ 16 0 163 0
アズジェント 4 0 81 0
HEROZ 252 △9 235 △2
SIGG 1 0 218 0
わかもと 189 0 1296 ▲15
秀英 3 0 72 △1
富士興 1 0 43 0
日山村硝 3 0 238 0
ノザワ 0 0 199 ▲3
大阪製鉄 1404 0 1739 △1
虹技 0 0 80 0
アルメタクス 4 0 276 0
洋シャタ 1 0 145 ▲3
デザインワン 15 △6 782 0
土木管理 15 0 362 ▲11
油研工 0 0 62 0
ディスラプタ 3 ▲4 534 ▲5
サクサ 2 0 164 0
星和電 1 0 134 △2
池上通 3 0 183 0
沢藤電 0 ▲1 109 0
大黒屋 1429 ▲378 8926 △190
upr 6 0 163 0
近畿車 0 0 59 0
あんしん保証 18 ▲5 581 ▲12
日本モゲジS 2 0 670 0
河西工 78 ▲12 1396 △19
エコーTD 1 ▲4 276 ▲9
パリミキHD 14 0 151 △1
マックハウス 125 0 134 ▲4
テイツー 3485 △1719 8396 ▲1062
京都友禅HD 159 △1 1006 ▲37
黒田精 5 △1 78 0
岡本硝子 99 ▲4 1797 △53
タカノ 2 0 83 0
ホクシン 57 ▲5 886 ▲18
ナイガイ 37 0 275 0
OUGHD 1 0 26 0
トルク 4 0 323 ▲1
オリンピック 0 0 99 ▲2
東北銀 0 0 62 0
富山銀 25 0 63 0
福島銀 161 △2 1092 ▲5
太平発 2 0 159 0
明和地所 11 0 69 0
ファースト住 44 △3 122 △1
東陽倉 0 0 86 ▲1
乾汽船 55 0 221 ▲3
ワイヤレスG 16 ▲4 440 0
テアトル 16 0 20 0
日邦産業 8 0 148 0
ショクブン 7 0 85 △7
やまや 3 0 4 0
タイミー 1656 △4 2168 ▲59
サンクゼール 74 ▲1 57 △1
すららネット 6 0 252 ▲1
T&S・G 77 0 251 ▲3
プレイド 281 △40 2672 ▲69
エーアイ 2 0 239 △2
Kudan 190 0 657 ▲24
ミンカブ 337 △1 1097 ▲1
OTS 3162 △26 10209 ▲122
Pアンチエイ 73 △19 214 △6
FIXER 252 ▲6 404 0
弁護士COM 193 0 288 △2
MRT 1 0 102 0
レントラクス 5 0 333 △6
エヌピーシー 557 △2 1948 △15
アスタリスク 123 △15 441 △13
WASHハウ 35 △3 218 △2
PSS 232 ▲1 977 △10
マイクロ波 452 ▲4 871 0
日経300投信 1 0 8 0
※ SPDR金 140 0 2848 △51
※ 野村金連動 4640 0 89880 △1630
※ 日経2倍 3523 △1023 39009 ▲1154
※ 日興高配低ボ 0 0 8 0
※ 日興米債ヘ有 31 △1 4866 △92
※ One高配当 47 ▲9 5819 △25
※ スタンダ20 160 △20 1350 △40
※ H株ベア 180 △20 27700 △220
※ WTI原油 34927 ▲548 210062 △16728
※ 日興外債毎月 0 0 130 ▲40
※ GX印10+ 87 ▲10 53941 ▲52
※ iSインド株 700 ▲7710 972800 △26190
※ iF高リート 0 0 14238 0
※ MXダウヘ有 1910 0 3860 △290
※ GXウラン 0 0 24707 △10
※ iS米20 17560 △610 648870 △6680
※ iS仏国債H 10 △10 1500 ▲20
※ GX高配30 25 0 24271 △104
※ iS日本国債 1138 △78 2747 ▲80
※ MXナスダク 6405 ▲124 39299 ▲254
※ GXリー日株 5 △5 1889 ▲26
※ iFEナ百無 9272 △17 160976 △1095
※ iFEナ百有 39 ▲26315 66219 △532
※ 野村ナスH有 86970 △17590 115790 ▲1290
エヌビディア、輸出規制で損失、半導体株、軒並み安[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 780文字 PDF有 書誌情報]
16日の東京株式市場で日経平均株価は前日比347円(1・0%)安の3万3920円で終えた。下げ幅は一時600円を超えた。米トランプ政権による対中規制を受け米半導体大手エヌビディアが多額の損失を計上すると発表した。ディスコなど半導体関連株が軒並み売られた。
米エヌビディアは15日、中国向けに設計した人工知能(AI)半導体「H20」が米政府による輸出規制の対象となったと発表した。H20を中国などに輸出する場合、ライセンスの取得が必要になる。2025年2~4月期に、在庫の引当金や購買契約に関する費用として最大55億ドル(約7900億円)を計上する。
ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントは「55億ドルというのは市場の想定を大幅に上回った」と話す。「AI半導体向けの高水準の設備投資需要がいつまで続くのか、不安視する声が強まっていた」(楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリスト)ことも、投資家の反応を増幅させた。
こうした流れが国内市場にも波及した。半導体製造装置のアドバンテストは一時前日比8%安まで売られた。東京エレクトロンも同3%下げた。
象徴的だったのがディスコだ。一時前日から9%下落した。17日には25年3月期の決算発表を控え、25日のアドバンテスト、30日の東京エレクトロンと今後相次ぐ半導体関連企業の決算のトップバッターにあたる。決算発表で業績悪化懸念が広がる展開を不安視する投資家が多いことを示唆した。
今後の貿易交渉で日本企業の対中輸出が制限された場合、国内半導体装置メーカーへの打撃は免れないとの見方もある。岡三証券の島本隆司シニアアナリストは「AI半導体市場をけん引してきたエヌビディアの中国事業の継続性に疑念が生じた。業績悪化懸念が市場全体の縮小につながれば、国内メーカーにも少なからず悪影響が及ぶ」とみる。
超長期債、利回り低下、補正予算見送りで安心感[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 493文字 PDF有 書誌情報]
16日の国内債券市場で新発30年債国債の利回りは前日比0・1%低い(価格は高い)2・705%に低下した。自民党幹部は15日、記者団に対し今国会では2025年度補正予算案を提出しない方針を明らかにした。財政拡張に伴う国債増発への懸念が後退し、買い安心感が広がった。
新発20年債利回りは前日比0・085%低い2・24%、新発40年債利回りは同0・11%低い3・105%に低下した。補正予算見送りを受けて債券需給の悪化への懸念が和らいだことで債券買いの動きが広がった。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは0・08%低い1・285%で取引を終えた。
前日の米債券市場でも長期金利は2営業日連続で低下した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「投資家の手控えムードに変化が見られ、大幅に売り込まれていた超長期債への買い戻しが入りやすくなった」とみる。
もっとも米トランプ政権の関税政策を巡る世界経済の先行き不透明感は依然根強い。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「相場のボラティリティー(変動率)の激しい展開は今後も続く」と予想していた。
ASML純利益92%増、新規受注は予想下回る、1~3月[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 299文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=湯前宗太郎】オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが16日発表した2025年1~3月期決算は、純利益が前年同期比92%増の23億5500万ユーロ(約3800億円)だった。前年同期の純利益が約4割減った反動もあり大幅増益となった。新規受注はアナリスト予想を下回った。
売上高は46%増の77億4100万ユーロだった。最先端半導体の量産に必要な極端紫外線(EUV)露光装置、前世代の深紫外線(DUV)露光装置の販売がそれぞれ伸びた。
24年1~3月期は台湾や韓国、米国向けの販売が減少し、業績が落ち込んだ。25年1~3月期はこうした国・地域が持ち直したことで増収増益となった。
ベイカレントを構成銘柄に追加 日経気候変動指数[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 239文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社は日経平均気候変動1・5℃目標指数の春の定期見直しをする。ベースとなる日経平均株価の春の定期見直しで採用したベイカレントを加える。今回の見直しでは、現在の構成銘柄からの除外はしない。30日から反映する。
日経気候変動指数は2022年5月末に算出を開始した。温暖化抑止の国際的な枠組み「パリ協定」に沿う欧州連合(EU)の指数規則に従う。定期見直しは4月と10月の年2回。日経平均の定期見直しで除外された銘柄はルール上すでに外れており、構成企業数は204銘柄になる。
日証金、GXSPCF受益証券の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 94文字 PDF有 書誌情報]
日証金、GXSPCF受益証券の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。17日約定分から。
16日の相場表変更[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 56文字 PDF有 書誌情報]
▽新規上場=上場投資信託〔東〕グローバルX S&P500 キャッシュフロー・トップ100 ETF(GXSPCF)
日証金、アイケイケイ株の貸借取引で注意喚起[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
日証金、アイケイケイ株の貸借取引で注意喚起 貸株利用などで。16日付。
銘柄管理情報=新株落ち[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
▽新株落ち=〔東証プライム〕巴工業、三井倉HDは28日
「エンタメ7」にマネー逃避 関税に耐性、車7社に迫る時価総額、悩む投資家、バブル気配も(スクランブル)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1572文字 PDF有 書誌情報]
ゲームやアニメ事業を展開するエンターテインメント株が異様な強さを見せている。任天堂など大手7社の合計時価総額は40兆円を超え、トヨタ自動車など自動車株7社の合計に迫る。歴史的な「主役交代」を演出するのは、トランプ関税砲からの逃げ場を探すマネーだ。証券会社や投資家がこぞってエンタメ推しに傾く様子にバブルを嗅ぎ取る向きもある。
16日の東京株式市場。米エヌビディアの大型損失で楽観ムードが吹き飛ぶなか、東宝の投資家向け広報(IR)担当者はうれしい悲鳴を上げていた。足元で海外投資家からの面談依頼が急増し、準備が追いつかないからだ。2024年度の投資家面談数は210件と、前年度から6割増えた。「IRの人員を増強した」という。
関心の高さは株価の動きからも見てとれる。今期減益見通しの公表で15日の株価は前日比4%安となったが、16日は逆に安くなったところを拾おうと投資家が朝方から殺到した。この日は終値で同6%高となり、14日につけた上場来高値(8165円)に迫った。中東の政府系ファンドの日本株担当者も「株価急落局面では東宝などのエンタメ銘柄を積み増した」と打ち明ける。
東宝に代表されるエンタメ株の躍進は、株式市場の序列を塗り替えようとしている。日本株を見始めた海外投資家がまず最初に組み入れようとするのはトヨタなど自動車株だった。国際的な競争力が高く、知名度もあることがマネーをひきつけた。ここにきて日本代表の座はソニーグループや任天堂などエンタメ株に移りつつある。
主役交代の予兆はアナリストのカバー数に表れている。エンタメ大手7社の調査を担当するアナリスト数はのべ137人と、すでに自動車担当者を上回っている。かつて日本株ストラテジストとして世界中を回っていた智剣・Oskarグループの大川智宏最高経営責任者(CEO)は「海外投資家からのニーズが非常に強いことの表れ」と指摘する。
「任天堂やソニーG以外の銘柄についても聞かれることが増えた」と国内証券のアナリストは明かす。すでに任天堂のような代表銘柄をファンドに組み入れた海外勢が、上昇余地のあるエンタメ株の物色を始めており、東宝などにも恩恵が回ってくる構図だ。
強気派はトランプ関税への耐性を強調する。現時点では映像の配信やゲームソフトなどのデジタル分野は関税の対象外とされている。「趣味性の高い消費は落ちにくい傾向があり、業績のダウンサイドへの不安が比較的薄い」(東海東京インテリジェンス・ラボの福田聡一郎シニアアナリスト)という。
とはいえエンタメ株にマネーが群がる様子に違和感を感じる投資家もいる。ニューバーガー・バーマンの窪田慶太日本株式運用部長は「任天堂やサンリオの成功例を見た投資家が大きな夢を織り込んだプライスがついている」と指摘する。
東宝は今期減益予想ながら予想PER(株価収益率、今後12カ月先予想ベース)28倍に相当する株価がついている。コナミグループも27倍と東証株価指数(TOPIX)の平均(12倍)を大きく上回る。単純に比較できないものの知的財産(IP)ビジネスの巨人、米ウォルト・ディズニーの15倍と比べても「割高」にみえる水準だ。
多くの投資家は割高さを認識しつつ買っている可能性がある。機関投資家が重視する世界株指数に占める日本株の割合は5%弱。関税懸念で自動車株を外すにしても、日本株の比率を維持する必要があり、代わりに何かを買う必要がある。そこで浮上したのがエンタメ株だった。
何とか日本株を投資家に売らなければならない証券会社も「自動車や機械など日本の武器であるセクターで明るいストーリーが描けないなか、前のめりになっている」。智剣の大川氏はこう推察する。日本株市場の「主役交代」の裏には、投資家とアナリストの苦悩が透けて見える。(犬嶋瑛)
日米金利差が持つ意味(大機小機)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 936文字 PDF有 書誌情報]
日銀が今年1月に政策金利を0・5%に引き上げてから、3カ月近くがたとうとしている。利上げを受けて、国内では「金利のある世界」への関心も徐々に高まっている。ただ、0・5%への引き上げは、超金融緩和が続いた過去四半世紀の日本経済でも、2007年2月に行われた。当時、インフレ率は現在ほど高くなかったが、金融政策の正常化に向けて、日銀が、ゼロ金利を解除し、政策金利を引き上げたからだ。
もっとも、当時の利上げは、08年秋のリーマン・ショックに端を発する世界同時不況で修正を余儀なくされた。しかも、その後は超金融緩和が強化されたにもかかわらず、景気は悪化の一途をたどり、08年度と09年度には深刻なマイナス成長を記録した。米国発の世界同時不況のなか、日本経済で主要国の中でも深刻な国内総生産(GDP)の下落が起こった。
この原因は急速な円高の進行によって、日本の輸出が08年度と09年度に深刻な落ち込みを記録したからである。08年8月には1ドルが約110円であった円相場が、リーマン・ショック後の12月に80円台となり、その後も1ドルが80~90円台で推移した。これだけ急速な円高が短期間で進行すれば、輸出企業が深刻なダメージを受けても無理はない。
ただ、当時の円高の背景には、日米の金利差の急激な縮小があったことを忘れてはならない。リーマン・ショック前、日米の政策金利は4%近くの差があった。それがリーマン・ショック後、米国の利下げによってほぼ0%となり、急速な円高をもたらした。政策金利には非負制約がある。そうした中、もともと超低金利だった日本で、世界的危機のもとで他国のような十分な利下げをできなかったことが、円高を招き、マイナス成長をもたらしたといえる。
利上げが行われたとはいえ、日本では超低金利が続く。日米の政策金利の差はリーマン・ショック前と同様、4%近くである。金利差はここ数年、円安を通じ日本経済に恩恵をもたらした。しかし、今後世界的な危機が起これば、再び超低金利を続けてきた日本だけが、急速な円高による深刻なマイナス成長に陥らないとは限らない。米トランプ政権による関税措置などで世界は地政学リスクに直面している。歴史はしばしば繰り返されることがある。(甲虫)
株式 3営業日ぶり反落、半導体に売り(市場往来)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 180文字 PDF有 書誌情報]
16日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反落し、終値は前日比347円14銭(1.01%)安の3万3920円40銭だった。トランプ米政権による追加関税や対中輸出規制を通じた半導体関連企業の業績悪化を懸念した売りが優勢だった。後場はオランダの半導体製造装置大手の決算発表を受けて半導体関連への売りが一段と強まり、日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。
セリア、カバー、エーザイ、デンソー(注目株概況)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
日米関税交渉を前に「円高メリット銘柄」の代表格として買われた。
有力Vチューバー(バーチャルユーチューバー)の「卒業」で業績悪化を懸念。
欧州連合(EU)がアルツハイマー病治療薬の販売を承認。業績期待で上昇。
外資系証券による株価見通しの引き下げが嫌気されて売られた。
為替 円反発、142円10~11銭(市場往来)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は3営業日ぶりに反発。午後5時時点は1ドル=142円10~11銭と、前日の同時点に比べ1円20銭の円高・ドル安だった。米中摩擦への警戒感が円買いを誘った。
金利 10年債利回り、1.285%に低下(市場往来)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは低下(価格は上昇)。前日比0.080%低い1.285%で取引を終えた。石破茂政権が補正予算案の編成を見送るとの見方から国債増発懸念が後退。
商品 金が続伸、NY先物は最高値(市場往来)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 88文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で金は続伸。米中貿易摩擦の激化に対する警戒感が根強く、日本時間16日の取引でニューヨーク金先物が取引の中心である限月としての最高値更新。国内金先物に買い波及。
ニプロ(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 681文字 PDF有 書誌情報]
ニプロ
(6月26日)取締役国際事業部長(上席執行役員国際事業部副事業部長)宮住悟一▽同国内・国際統括商品開発・技術営業本部長(同国際事業部国際商品開発・技術営業本部長)透析・血液浄化商品開発・技術営業兼新規商品開発・技術営業・貞広衝▽同国内事業部長(執行役員国内事業部副事業部長兼国内医療器械開発・技術営業本部長兼国際事業部国際医療器械開発・技術営業本部長)二階堂拓▽同ファーマパッケージング事業部長(同ファーマパッケージング事業部副事業部長)西迫英之▽同生産技術センター所長(同生産技術センター副所長兼業務)米田淳▽最高顧問(専務国内事業統括兼国内事業部長)吉岡清貴▽同(常務企画開発技術統括本部長兼総合研究所長)増田利明▽同(同安定生産・危機管理本部長)小林京悦▽同(同生産技術センター所長)佐野一彦▽上席執行役員(取締役)信頼性保証本部長芳田豊司▽執行役員SD事業部長(SD事業部副事業部長)IES営業・岸上兆一▽同経営企画本部長(経営企画本部副本部長)佐藤貢▽国内事業部国内医療機器生産統括本部長兼国際事業部国際医療機器生産統括本部長、執行役員国内医療機器生産統括本部大館工場長兼国際医療機器生産統括本部大館工場長藤嶋一彦
〔企画開発技術統括本部〕統括本部長、上席執行役員商品企画本部長須藤浩▽総合研究所長(研究統括部副統括部長)執行役員第五研究開発1・比恵島徳寛▽iMEP本部長兼ニプロ・ライフサイエンスサイトセンター長、執行役員CRセンター長兼臨床開発・守田恭彦
ガバナンス統括本部長(ガバナンス統括本部副本部長)執行役員法務兼審査管理・林比佐志
円谷フィールズホールディングス(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 217文字 PDF有 書誌情報]
円谷フィールズホールディングス
(6月)アミューズメント機器事業セグメント統括オフィサー、専務吉田永▽専務コンテンツ&デジタル事業セグメント統括オフィサー(取締役)永竹正幸▽取締役(常勤監査役)池沢憲一▽専務執行役員(取締役グループ経営企画担当)山本剛史▽常務執行役員(取締役)豊嶋勇作▽同(同)山中裕之▽退任(専務)塚越隆行▽同(取締役)糸井重里▽同(同)アールフット依子▽同(同)白井勝也▽同(監査役)古田善香▽同(同)栗原正和
三菱ガス化学(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
三菱ガス化学
(6月1日、GMはグループマネージャーの略)内部監査室長兼J―SOX・GM(グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門新潟工場管理)大沢忠仁▽グリーン・エネルギー&ケミカル事業部門新潟工場管理兼財務経理部経理グループ主管(企画開発部プロセスGM)久古陽一▽同事業部門企画開発部プロセスGM、垣見篤志
アステリア(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 93文字 PDF有 書誌情報]
アステリア
(4月1日)地方創生推進室長、社長兼執行役員平野洋一郎▽ビジネス企画室長(ビジネス推進)常務執行役員熊谷晋▽営業支援、営業本部長兼パートナー第1営業兼アカウント営業・河上敬
ユシロ(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 78文字 PDF有 書誌情報]
ユシロ
(6月24日)社長執行役員、社長有坂昌規▽取締役兼常務執行役員(常務)高橋誠司▽常務執行役員、取締役高倉一利▽執行役員、同小林一重▽同、同石川拓哉
山善(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 55文字 PDF有 書誌情報]
山善
(6月24日)取締役(執行役員経営管理本部副本部長)清原伸一▽退任(会長)長尾雄次▽同(取締役)村井諭
東芝ライフスタイル(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
東芝ライフスタイル
(4月16日)取締役兼副社長執行役員、方克勤▽顧問(取締役兼副社長執行役員)柴新建
曙ブレーキ工業(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
曙ブレーキ工業
(6月25日)取締役、戎野順一▽同、片山智裕▽退任(取締役)広本裕一▽同(同)三代洋右
ニッキ(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
ニッキ
(6月27日)取締役、野口健太郎▽同、酒見信彦▽退任(取締役)守屋元治▽同(同)尾見雅明
日本M&Aセンターホールディングス(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
日本M&Aセンターホールディングス
(4月1日)CPAO(M&A研究・産学官連携推進室長)横井伸
三井物産(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 48文字 PDF有 書誌情報]
三井物産
(6月1日)CFO統括部長(経理部決算統括室長)崎本正雄▽経理部決算統括室長、古宮卓
キリン堂(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 48文字 PDF有 書誌情報]
キリン堂
(5月13日)執行役員、営業本部調剤営業統括部長的場俊哉▽同、同商品統括部長中川佳孝
綜研化学(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
綜研化学
(6月25日)取締役、浅野恵子▽退任(取締役)神山健次郎▽同(常勤監査役)泉浦伸行
八洲電機(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
八洲電機
(6月)取締役、専務執行役員兼CMO事業統括本部長松崎正▽退任(取締役)白石誠仁
資生堂(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
資生堂
(4月15日)米州地域暫定CEO、欧州地域CEOアルベルト・ノーエ
日本甜菜製糖(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
日本甜菜製糖
(6月27日)監査役、大井素美▽退任(監査役)鏡高志
丸紅(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
丸紅
(5月1日)アルジェ支店長、恩田克展▽パリ支店長、石井啓介
日本アクア(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 31文字 PDF有 書誌情報]
日本アクア
(4月16日)工事、穴水大尚▽財務経理、泉川拓也
川崎信用金庫(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
川崎信用金庫
(4月16日)総合企画、高島一朗
スズキ(会社人事)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 17文字 PDF有 書誌情報]
スズキ
(6月)取締役、青山朝子
<数表>2市場信用取引残高(確報)、2市場買い残の評価損益率[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 404文字 PDF有 書誌情報]
2市場信用取引残高(確報)
( 4月11日現在、一般信用と制度信用の合計、カッコ内は前週比増、▲減 )
株 数 (千株) 金 額 (百万円)
売り残 258,607 ( 5,373 ) 459,363 ( ▲4,812 )
買い残 2,847,028 ( ▲339,434 ) 3,950,817 ( ▲518,833 )
店内〓食い合い 115,661 ( 2,622 )
自己融資 2,543,813 ( ▲347,575 ) 3,052,674 ( ▲374,741 )
信用倍率 11.01
………………………………………………………………
2市場買い残の評価損益率
(QUICK算出、▲は評価損。カッコ内は前週)
▲13.32 % ( ▲15.31 % )
<数表>プログラム売買に伴う現物株売買と残高[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 322文字 PDF有 書誌情報]
プログラム売買に伴う現物株売買と残高
(単位千株、百万円、▲減)
▽売買高( 4月7日~11日)
┌─売 り─┐ ┌─買 い─┐
株 数 金 額 株 数 金 額
951,697 1,965,223 738,619 1,498,082
うち裁定取引の売買高
97,235 230,928 39,488 99,428
▽裁定取引の残高( 6 月物、 11 日現在)
┌─売 り─┐ ┌─買 い─┐
株 数 前週比 株 数 前週比
28,014 ▲16,063 915,272 ▲89,142
金 額 前週比 金 額 前週比
83,490 ▲30,132 1,819,107 ▲174,071
<数表>取引参加者別裁定取引状況[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 17ページ 269文字 PDF有 書誌情報]
取引参加者別裁定取引状況
4月7日~11日
売買高上位15取引参加者(単位千株)
参加者名 売 り 買 い
(1) みずほ証 36,464 5,716
(2) ジェフリーズ 15,690 18,049
(3) 野 村 31,730 0
(4) ソシエテ 2,406 14,945
(5) 三菱UFJモ 10,945 778
(6) ― ― ―
(7) ― ― ―
(8) ― ― ―
(9) ― ― ―
上位15社計 97,235 39,488
全社合計 97,235 39,488
<数表>4月16日(市場体温計)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2669文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 33920円40銭(-347円14銭)
騰落率= -1.013%
東証株価指数(TOPIX) 2498.03 (-15.32)
騰落率= -0.609%
売買代金 3831632百万円 (+316894百万円)
売 買 高 164582万株 (+6184万株)
売買単価 2328.0円
売買高上位10銘柄の占有率 33.2%
〓-〓 上場銘柄数 1637 値上がり 643 〓-〓
売買成立 1637 値下がり 941 変わらず 53
新値株 (年初来) 高 値 53 安 値 6
騰落レシオ(25日移動平均) 93.48%
時価総額 8680670億円 (-44646億円)
普通株式数(百万株) 499744 1株当たり時価(円) 1737.02
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 13.69 ( 14.72 ) 1.25 2.34 ( 2.05 )
JPX日経400採用銘柄 13.57 ( 14.09 ) 1.35 2.41 ( 2.21 ) 2.66 ( 2.32 )
東証プライム全銘柄 13.69 ( 14.74 ) 1.21 2.78 ( 2.48 ) 2.65 ( 2.32 )
東証スタンダード全銘柄 13.28 ( 15.18 ) 0.97 2.73 ( 2.60 ) 2.48 ( 2.54 )
東証グロース全銘柄 35.70 ( 154.11 ) 3.05 0.90 ( 0.79 ) 0.65 ( 0.58 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.30 %
前期基準 6.78 %
16
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 538.29 ( -2.88)
日経500種平均株価 3032円92銭 ( -14円87銭)
日経平均高配当株50指数 63025.31 ( -546.07)
日経連続増配株指数 47162.12 ( +226.72)
日経累進高配当株指数 42620.81 ( -20.38)
日経半導体株指数 6872.25 ( -258.49)
日経平均内需株50指数 26646.71 ( +140.96)
日経平均外需株50指数 31531.63 ( -459.32)
日経平均トータルリターン 61109.97 ( -625.40)
日経平均VI先物指数 6595.72 ( +4.73%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2474円66銭 ( -8円23銭)
東証規模別株価指数
大型 2439.35 ( -19.41)
中型 2703.15 ( -6.91)
小型 4257.51 ( -11.66)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1610.68 (-22.53)
…
ド ル/円 1 ド ル = 142.10~142.11円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 161.81~161.85円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1387~1.1389ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3276.0039 (+8.3416)
韓国総合(韓国) 2447.43 (-29.98)
ハンセン(香港) 21056.98 (-409.29)
加権(台湾) 19468.00 (-389.67)
VN(ベトナム) 1210.30 (-17.49)
クアラルンプール総合 1476.92 (-9.51)
ST(シンガポール) 3662.45 (+37.73)
ジャカルタ総合 6400.054 (-41.629)
SET(タイ) 1138.90 (+10.24)
オールオーディナリーズ(豪) 7961.7 (-8.2)
新発10年国債利回り 1.285% ( -0.080)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( +0.001)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 15137 円 (+187円)
ドバイ原油(1キロリットル) 52830 円 (-1720円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
644.64 (-2.37)
工業品 650.64 (-2.65)
始値 34249円82銭 高値 34329円27銭 ( 9時2分 )
午前終値 34016円31銭 安値 33658円47銭 ( 14時33分 )
JPX日経 インデックス400 22674.30 (-130.38)
JPX日経中小型 17793.77 (-126.20)
日経気候変動指数 33647円50銭 (-363円31銭)
JPXプライム150指数 1096.71 (-5.51)
東証プライム市場指数 1285.58 (-7.93)
東証スタンダード市場指数 1222.20 (-2.93)
東証グロース市場指数 806.08 (-13.02)
東証グロース市場250指数 629.81 (-11.06)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1713.21 (+10.04)
日経ESG―REIT指数 953.82 (+5.76)
日経高利回りREIT指数 1226.40 (+7.97)
……………………………………………………………………
日経平均VI 35.20 (+0.75)
日経配当指数(2025年) 22円03銭
<数表>4月16日商品先物[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 18ページ 5724文字 PDF有 書誌情報]
( 16 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 14831 15050 14778 15050 △219
6月 14864 15070 14858 15056 △205
8月 14872 15091 14805 15073 △187
10月 14874 15091 14788 15080 △193
12月 14904 15114 14787 15096 △187
2月 14946 15157 14834 15137 △187
《金ミニ》(1グラム)
4月 14837.0 15010.0 14792.0 15050.0 △219.0
6月 14958.5 14958.5 14958.5 15056.0 △205.0
8月 14864.0 14864.0 14864.0 15073.0 △187.0
10月 14796.5 15071.0 14792.0 15080.0 △193.0
12月 14889.0 15109.5 14785.0 15096.0 △187.0
2月 14944.5 15150.0 14830.0 15137.0 △187.0
《金限日》(1グラム)
15249 15438 15185 15033 △211
《白金》(1グラム)
4月 4365 4385 4347 4348 △ 2
6月 4380 4380 4345 4355 △ 5
8月 4361 4386 4348 4348 ▲ 4
10月 4370 4394 4350 4350 △ 1
12月 4361 4401 4349 4363 △14
2月 4333 4370 4321 4323 △ 9
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4310.0 4391.5 4310.0 4348.0 △2.0
6月 ― ― ― 4355.0 △5.0
8月 4370.0 4370.0 4370.0 4348.0 ▲4.0
10月 4377.0 4394.5 4375.0 4350.0 △1.0
12月 4355.0 4385.5 4355.0 4363.0 △14.0
2月 4321.0 4369.0 4312.0 4323.0 △9.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4410 4485 4410 4364 △ 3
《銀》(1グラム)
4月 143.0 143.0 143.0 143.0 ▲2.0
6月 ― ― ― 145.0 0
8月 ― ― ― 146.0 0
10月 ― ― ― 146.0 0
12月 ― ― ― 147.0 0
2月 ― ― ― 150.0 △3.0
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4400 0
6月 ― ― ― 4400 0
8月 ― ― ― 4400 0
10月 ― ― ― 4400 0
12月 ― ― ― 4400 0
2月 ― ― ― 4400 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 153.70 ▲0.60
6月 ― ― ― 152.45 ▲0.70
7月 ― ― ― 151.35 ▲0.80
8月 ― ― ― 150.30 ▲0.90
9月 ― ― ― 147.95 ▲0.90
10月 ― ― ― 147.20 ▲0.95
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 60820 60820 60820 60820 ▲560
5月 ― ― ― 57640 ▲1210
6月 57240 57240 56540 56540 ▲1290
7月 57220 57250 55760 55930 ▲1500
8月 56650 56650 55140 55250 ▲1570
9月 56140 56210 54540 54760 ▲1590
10月 ― ― ― 54350 ▲1600
11月 ― ― ― 54010 ▲1620
12月 ― ― ― 53720 ▲1640
1月 ― ― ― 53500 ▲1660
2月 ― ― ― 53320 ▲1670
3月 ― ― ― 53200 ▲1650
4月 ― ― ― 53070 ▲1660
5月 ― ― ― 52950 ▲1650
6月 ― ― ― 52830 ▲1720
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 0
6月 ― ― ― 87000 0
7月 ― ― ― 87000 0
8月 ― ― ― 87000 0
9月 ― ― ― 87000 0
10月 ― ― ― 87000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 91700 ▲200
6月 ― ― ― 91200 ▲200
7月 ― ― ― 90700 ▲200
8月 ― ― ― 90200 ▲200
9月 ― ― ― 89700 ▲200
10月 ― ― ― 89300 ▲200
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 297.1 297.1 288.0 288.0 ▲10.6
5月 293.8 293.8 289.1 289.2 ▲9.1
6月 292.3 292.3 287.1 287.6 ▲12.7
7月 296.6 296.6 286.9 286.9 ▲13.2
8月 294.9 296.3 286.5 286.7 ▲13.2
9月 294.9 296.3 286.0 286.1 ▲13.3
10月 ― ― ― 292.0 ▲8.0
11月 ― ― ― 292.0 ▲8.0
12月 ― ― ― 292.0 ▲8.0
1月 ― ― ― 293.0 ▲8.0
2月 ― ― ― 293.0 ▲8.0
3月 ― ― ― 293.0 ▲8.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 236.0 ▲6.0
6月 ― ― ― 236.0 ▲6.0
7月 ― ― ― 237.0 ▲6.0
8月 ― ― ― 237.0 ▲6.0
9月 ― ― ― 237.0 ▲6.0
10月 ― ― ― 237.0 ▲6.0
11月 ― ― ― 237.0 ▲6.0
12月 ― ― ― 238.0 ▲6.0
1月 ― ― ― 238.0 ▲6.0
2月 ― ― ― 238.0 ▲6.0
3月 ― ― ― 238.0 ▲6.0
4月 ― ― ― 238.0 ▲6.0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 92000 0
6月 ― ― ― 92000 0
7月 ― ― ― 92000 0
8月 ― ― ― 92000 0
9月 ― ― ― 92000 0
10月 ― ― ― 92000 0
《トウモロコシ》(1トン)
7月 ― ― ― 39020 0
9月 ― ― ― 39600 ▲400
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 39600 0
5月 ― ― ― 39600 ―
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
4月 ― ― ― 64000 ―
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 12.27 ▲0.14
5月 ― ― ― 11.12 ▲0.06
6月 ― ― ― 12.19 ▲0.08
7月 ― ― ― 13.58 ▲0.22
8月 ― ― ― 14.72 ▲0.01
9月 ― ― ― 13.79 ▲0.02
10月 ― ― ― 12.70 △0.04
11月 ― ― ― 12.92 ▲0.01
12月 ― ― ― 13.34 ▲0.02
1月 ― ― ― 13.30 ▲0.31
2月 ― ― ― 13.35 ▲0.05
3月 ― ― ― 11.17 ▲0.01
4月 ― ― ― 11.42 △0.18
5月 ― ― ― 11.18 △0.22
6月 ― ― ― 12.12 △0.20
7月 ― ― ― 13.31 △0.25
8月 ― ― ― 15.39 △0.23
9月 ― ― ― 13.06 △0.22
10月 ― ― ― 11.60 △0.14
11月 ― ― ― 12.29 △0.16
12月 ― ― ― 13.34 △0.18
1月 ― ― ― 14.04 △0.15
2月 ― ― ― 13.32 △0.15
3月 ― ― ― 11.43 △0.15
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.77 △0.01
5月 ― ― ― 8.57 ▲0.07
6月 ― ― ― 9.81 0
7月 ― ― ― 12.02 △0.05
8月 ― ― ― 13.00 0
9月 ― ― ― 12.26 △0.03
10月 ― ― ― 9.81 △0.12
11月 ― ― ― 10.24 △0.06
12月 ― ― ― 10.91 △0.03
1月 ― ― ― 12.79 △0.11
2月 ― ― ― 12.01 △0.14
3月 ― ― ― 9.36 △0.11
4月 ― ― ― 9.41 △0.16
5月 ― ― ― 9.26 △0.18
6月 ― ― ― 10.05 △0.14
7月 ― ― ― 10.83 △0.04
8月 ― ― ― 12.60 △0.01
9月 ― ― ― 10.80 △0.01
10月 ― ― ― 9.67 △0.07
11月 ― ― ― 10.52 △0.10
12月 ― ― ― 11.79 △0.12
1月 ― ― ― 12.53 △0.15
2月 ― ― ― 11.82 △0.16
3月 ― ― ― 10.12 △0.15
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 29656 41984
金ミニ 11642 8100
金限日 2192 42634
白金 5852 28980
白金ミニ 613 2491
白金限日 1872 39003
銀 5 132
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2159 26165
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 390 3483
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 0 43
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 130 8882
電力西ベース 9 754
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 11629 53679
堂島白金 35 2109
堂島銀 1 1375
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
14945.0 15150.0 14840.0 15068.3 △213.8
《白金》(1グラム)
4449.9 4474.1 4440.0 4392.4 ▲3.1
《銀》(1グラム)
151.90 151.90 151.90 148.97 △0.36
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
5月 ― ― ― 37000 ―
<数表>4月15日エネルギー・環境市場[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 18ページ 3493文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 16 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 17643
ソシエテ 14049
バークレイ 2713
サスケハナ 2630
SBI証 2310
モルガンS 2069
Jモルガン 1856
野 村 1520
日産証 1453
Gサックス 1399
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 140.48 140.64 141.16 140.19 141.11 0.66
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.338 29469 131466 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
142.00 ― ― ― 16 138.00 ― ― ― 25
142.25 ― ― ― ― 138.25 ― ― ― 30
142.50 ― ― ― 20 138.50 ― ― ― 26
142.75 ― ― ― 42 138.75 ― ― ― 10
143.00 ― ― ― 30 139.00 0.25 -0.05 4 56
合計 2 186 合計 4 327
HV(年率) 6月 8.2
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.522 +0.002 0 772
25 /6 99.430 -0.034 0 642
25 /9 99.425 +0.006 900 671
25 /12 99.398 +0.027 0 112
合計 903 3385
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5200 0 2090 29868
25 /6 99.4675 +0.0325 359 12875
25 /9 99.4400 +0.0200 436 12690
25 /12 99.4100 +0.0400 1532 9848
合計 5727 72702
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2523.0 2520.0 2540.5 2478.5 2500.0 -16.5 48849 419712
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 800
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 630 630 638 617 623 -6 4002 31963
25 /9 619 619 625 607 607 -13 21 446
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 34420 34310 34630 33680 33920 -440 39523 176541
25 /9 34410 34300 34570 33710 33900 -380 249 4015
25 /12 34130 33950 34300 33500 33500 -700 25 20272
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 34425 34305 34640 33680 33920 -435 563891 305674
25 /9 34400 34290 34615 33670 33900 -440 13423 8854
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 34415 34310 34640 33680 33920 -440 442866 62371
25 /9 34400 34295 34615 33670 33895 -450 16477 7872
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 34405 34255 34640 33685 33940 -415 19041 72702
25 /9 33885 33885 33885 33885 33905 -420 1 108
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 22860 22860 23040 22510 22660 -200 1904 52171
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 33680 ― 0 5月 31.00 +1.80 16 180
25 /9 ― 33690 ― 0 6月 ― ― ― 18
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 778.0 ― 1334 25年 ― 778.2 ― 4328
26年 ― 743.0 ― 1334 26年 ― 740.1 ― 2357
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 33625 1310 ― 1 7 ― ― ― ― ―
33750 1235 -130 2 318 1530 ― 3 305 ―
33875 ― ― ― 16 ― ― ― ― ―
34000 965 -300 158 1131 ― ― ― 1372 ―
34125 1175 +10 1 12 ― ― ― 5 ―
34250 835 -250 82 176 1240 -375 5 4 ―
34375 685 -385 63 9 ― ― ― 2 ―
34500 715 -200 324 1729 1135 -300 342 2020 1340
34625 600 -290 2 16 ― ― ― 3 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 33125 710 +100 10 27 1140 ― 4 0 ―
33250 760 +115 68 493 1190 +105 15 439 ―
33375 690 +15 2 169 1140 ― 1 225 ―
33500 905 +175 396 1019 1320 +150 1221 2208 ―
33625 ― ― ― 14 1385 ― 13 12 ―
33750 930 +130 106 566 1410 -35 34 397 ―
33875 760 -80 3 19 1495 +185 36 34 ―
34000 1045 +170 352 4115 1520 +170 414 4512 ―
34125 960 -220 22 8 1425 ― 1 3 ―
総売買高コール 38282 枚 プット 33755 枚 日経平均HV 55.1
当日総建玉コール 307297 枚 プット 465633 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 11.07
ドイツ(1MWh、ユーロ) 66.41
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 11.400
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.492
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) 66.21
( 15 日)
<数表>4月16日外為市場[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1795文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 143.93 141.69
5月〃 143.70 141.19
6月〃 143.20 140.69
7月〃 142.75 140.21
8月〃 142.28 139.78
9月〃 141.83 139.31
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 143.93 144.64
ユーロ 163.20 164.16
カナダドル 104.04 104.98
英ポンド 193.37 193.23
スイスフラン 175.48 176.56
デンマーククローネ 21.95 22.08
ノルウェークローネ 13.74 13.85
スウェーデンクローナ 14.90 15.08
豪ドル 92.50 92.90
ニュージーランドドル 86.23 86.49
香港ドル 18.85 18.95
シンガポールドル 109.36 109.94
サウジアラビアリヤル 38.98 39.16
U.A.E.ディルハム 39.66 39.85
タイバーツ 4.35 4.35
インドルピー 1.83 1.83
パキスタンルピー 0.66 0.67
クウェートディナール 476.32 478.80
カタールリヤル 40.01 40.21
インドネシア100ルピア 0.97 0.98
メキシコペソ 8.11 8.16
韓国100ウォン 10.21 10.28
フィリピンペソ 2.69 2.68
南アフリカランド 9.01 9.09
チェココルナ 6.56 6.61
ロシアルーブル 1.96 2.00
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 38.79 39.23
▽みずほ銀
中国人民元 19.80 19.94
トルコリラ 5.54 5.58
台湾ドル(参考値) 4.40 4.43
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 25.25 25.54
( 16 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 142.10 ― 142.11 143.30 ― 143.32
寄付 143.15 ― 143.18 143.22 ― 143.24
高値 142.05 142.86
安値 143.26 143.60
中心 142.50 143.58
直物売買高 39億9400万 ドル
スワップ売買高 436億1100万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 84.04
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.7
米ドル 104.7
ユーロ 103.2
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 188.75~188.79円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 90.215~90.250円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 174.58~174.62円
カナダドル /円 1 カナダドル = 102.15~102.19円
NZドル /円 1 NZドル = 84.07~84.11円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3280 ― 1.3284
(1ポンド=ドル) ( 1.3221 ― 1.3225 )
スイスフラン 0.8135 ― 0.8139
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8157 ― 0.8161 )
豪 ド ル 0.6344 ― 0.6348
(1豪ドル=ドル) ( 0.6360 ― 0.6364 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.3179 ( 7.3146 )
日本円(100円=元) 5.1269 ( 5.1076 )
<数表>4月16日債券市場[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 75.08 +4.28
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1298 25/10 ― 99.81
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.51
中国471(2年) 27/4 0.9 100.56
中国177(5年) 29/12 1.1 101.30
長国378(10年) 35/3 1.4 101.01
超長国191(20年) 44/12 2 96.00
超長国86(30年) 55/3 2.4 94.95
超長国17(40年) 64/3 2.2 83.97
物価連動29(10年) 34/3 * 100.10
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.43
政保政投銀64 30/6 0.09 95.69
東京都(公)807 30/6 0.1 95.52
大和ハウス23 30/9 0.3 95.31
キリンHD17 30/6 0.37 96.03
王子HD40 30/7 0.37 95.54
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.40
日本製鉄6 30/6 0.42 95.71
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.29
OLC18 30/9 0.29 95.10
IHI48 30/9 0.49 95.16
ダイキン27 30/9 0.26 95.04
NEC58 30/4 0.54 95.92
パナソニック25 30/9 1.051 98.46
SUBARU6 30/9 0.42 95.20
三井物産77 30/7 0.28 95.59
JR東日本153 30/7 0.23 95.51
三井不77 30/4 0.48 96.49
中部電力544 30/9 0.3 95.28
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.39
( 16 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.289 % -0.076
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.89
中 期 債 1.15
長 期 債 2.00
◇日経国債インデックス 0.953
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 17日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.92 0.330
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85 0.370
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.51 0.520
中 国471(2) 27/4 0.9 100.56 0.611
中 国157(5) 28/3 0.2 98.67 0.659
中 国167(5) 29/3 0.4 98.66 0.746
中 国177(5) 29/12 1.1 101.30 0.816
長 国362 31/3 0.1 95.55 0.872
長 国366 32/3 0.2 95.13 0.927
長 国370 33/3 0.5 96.05 1.020
長 国374 34/3 0.8 97.00 1.154
長 国377 34/12 1.2 99.43 1.262
超長国191 44/12 2.0 96.00 2.252
超長国(30)85 54/12 2.3 93.02 2.640
超長国(40)17 64/3 2.2 83.91 2.891
<数表>4月16日短期金融市場[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1464文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1299 回債 0.320 0
6カ月 1298 回債 0.385 0.005
1 年 1294 回債 0.520 0
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.484 0.488
1週間 0.457 0.457
1カ月 0.450 0.452
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.81091 0.81091
6カ月 0.86727 0.86727
1 年 0.81818 0.81818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.49063 0.48375
6カ月 0.52402 0.52500
( 16 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 0.513 ―
2週間 0.477 ―
3週間 ― ―
1カ月 0.582 ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.630 ―
◇全国コール市場残高
( 15 日確報、億円) 118477
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.316 0.616
1週間 0.316 0.616 0.316 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.333 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月16日通知分】
国債買い入れ(残存期間1年超3年以下) 4/17 2750 10039 2751 最低▲0.008
国債買い入れ(残存期間3年超5年以下) 4/17 2750 9638 2753 最低▲0.022
国債買い入れ(残存期間5年超10年以下) 4/17 3000 7972 3002 最低▲0.041
国債買い入れ(残存期間25年超) 4/17 750 2558 751 最低▲0.076
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/17 1576 1576 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/17 0 0
【4月15日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/16 2496 2496 最高0.250
共通担保供給(全店)<固定金利方式> 4/16-4/30 8000 15266 8004
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/16 758 758 最高0.250
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5348500 ( 4848200 )
◇資金需給予想( 17 日、億円、実質) 13700 余剰
<数表>4月16日株式市場、先物市場[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 18ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 47422 22735
売買高上位10銘柄占有率(%)
53.6 38.8
売買代金(百万円) 111423 174992
売買単価(円) 234.9 769.6
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 612
売買成立 1543 608
値上がり 477 180
値下がり 911 389
新値株(年初来) 高値 55 25
安値 4 1
時価総額(億円) 270370 74945
普通株式数(百万株) 31086 10641
1株当たり時価(円) 869.72 704.30
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 26768.99 -0.69%
カバードコールATM 19359.27 -0.33%
リスクコントロール 22945.84 -0.25%
レバレッジ 30743.49 -2.02%
インバース 936.64 +1.01%
ダブルインバース (01年末=100000)
263.77 +2.02%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 240476
売買代金(百万円) 449797
◇空売り比率(東証) 43.7 %
( 16 日)
資材価格、鉄鋼が独歩安 4~6月 工事停滞で需要減、生コン値上げ コスト転嫁進む[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1510文字 PDF有 書誌情報]
需要の減少や安価な輸入品との競争激化で、鉄鋼製品が値下がりしている。主にビルの柱や梁(はり)に使うH形鋼の4月の流通価格は5カ月ぶりに下落した。製造業などに向けた鋼板も4~6月に値下がりする公算が大きい。生コンクリートや化学製品といった産業資材がコスト高の転嫁を進める中、鉄鋼の独歩安が目立つ。
建設や製造、梱包などに使う主要な産業資材12品目について、4~6月の価格見通しを日本経済新聞がメーカーや商社に聞き取った。12品目中8品目で1~3月から価格が変わらない見通しで、値下がりするのはH形鋼と熱延鋼板のみとなった。
H形鋼の指標品種の流通価格は、4月に入り東京地区で1トン11万8000円前後と3月末比で3000円(2%)下がった。同じく建造物の構造材に使われる山形鋼やみぞ形鋼も3000円(2~3%)安になった。値下がりは2024年11月以来、5カ月ぶりだ。
建築工事の停滞で鋼材の引き合いが弱く、流通事業者が値引き販売を迫られている。国土交通省の建築着工統計によると、鉄骨造の建物の着工床面積は2月に266万平方メートルと前年同月比10%減った。建材の溶接や設備の搬入など幅広い工程で人手が不足しており、工事が進まない。
鉄鋼業界では人件費や輸送費など諸費用の上昇を受け、24年夏ごろまでは値上げの機運が強かった。足元では需要の低迷により、値下がりに歯止めがかからない状況だ。鉄鋼流通大手、中央鋼材(東京・中央)の後藤信三社長は「建築向け需要は落ちるところまで落ちたとは思うが、回復がいつになるかは見通せない」と話す。
鋼板の価格も今後下がるとみられる。中国などから安価な製品が入ってきており、東京製鉄は輸入品対抗を理由に4月契約から鋼板を中心に販売価格を引き下げている。流通事業者の在庫が割安な製品に置き換わるにつれ、顧客からの値下げ圧力が強まりそうだ。
一方、鉄鋼以外の業界ではコスト高を受けた値上げ交渉が進んでいる。4~6月中に上昇する見通しなのが生コンクリートの東京地区価格だ。
主要材料のセメントは、太平洋セメントなどが4月出荷分から1トンあたり2000円以上の価格引き上げを表明。骨材(砂や砂利)も栃木県などの供給会社が生コンメーカーに対して値上げの受け入れを求めている。
東京地区生コンクリート協同組合(東京・中央)は4月出荷分から1立方メートルあたり従来比3000円の値上げを表明し、需要家のゼネコンと交渉を進めている。「ミキサー車での輸送費も上がっている。週休2日制の実現など福利厚生の拡充にも充てたい」(森秀樹理事長)。満額が通れば販売価格は1立方メートルあたり2万4800円程度(14%高)となり、過去最高を更新する。
印刷用紙も昨春以降、大手製紙会社が5%以上の値上げを相次いで打ち出しており、需要家との交渉が続いている。物流費や人件費の上昇が値上げの理由で、大手印刷会社などが受け入れ始めている。
化学では合成樹脂が夏以降に値上がりする可能性がある。主原料のナフサ(粗製ガソリン)の国産価格は動いておらず、合成樹脂の4~6月の価格は横ばいの見通しだ。製造・販売の費用は膨らんでおり、一部で転嫁する動きが出始めた。
旭化成は物流費のほか生産設備の維持・修繕にかかる費用などの増加を理由に、4月1日出荷分からポリエチレンを1キログラムあたり10円以上引き上げると発表した。
汎用樹脂ではないが、三井化学は物流費のほか原燃料代などの高騰を理由に5月7日出荷分からポリウレタン樹脂の価格を引き上げると表明した。汎用樹脂でも同様の動きが広まれば、7月以降に国内取引相場が上昇する可能性がある。
マンション賃料最高、3月2%高、首都圏分譲[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)が16日発表した3月の分譲マンション賃料は、首都圏(1都3県)で前月比2・0%高の1平方メートルあたり3714円だった。2004年1月の調査開始以来で最高だった。上昇は4カ月連続。物件の修繕や清掃などのコストが上がっており、新規契約や更新を機に物件オーナーが家賃に転嫁している。
分譲マンション賃料は、住戸を持ち主が貸し出す際に設定する。東京カンテイが専有面積30平方メートル未満の住戸や事務所・店舗を除くファミリータイプを対象に、月額の平均賃料を集計した。最高値の更新は9カ月ぶりだ。
契約改定のタイミングで家賃の引き上げが増え、全体の賃料を押し上げた。3月は進学や就職、転勤などで新たに部屋を借りる層が多く、新規契約や更新が集中する。それにあわせて物件オーナーが人件費や諸コストの上昇分を転嫁する例が多かったとみられる。
東京カンテイの高橋雅之・上席主任研究員は「日本では契約期間の途中での家賃上げは少なく、賃料は物価上昇に遅行する傾向がある」と話す。
東京都は前月比2・1%高の4393円で最高値を2カ月連続で更新した。平均築年数は20・7年から19・9年に若返った。東京23区に絞ると2・3%高の4553円だった。
神奈川県は1・5%高の2727円、千葉県は1・6%高の2106円、埼玉県は0・2%高の2202円だった。首都圏の全域で上昇するのは24年3月以来だ。
もっとも上昇ペースが続くかは不透明だ。トランプ米政権の関税政策で景気に影響が出れば、足元の賃上げ機運がしぼみかねない。高橋氏は「食費や生活費も上がるなかで賃上げが鈍れば、借り手は家賃の上昇を受け入れる余地が乏しくなる」とみる。
派遣時給、3月0.2%上昇に鈍化[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 461文字 PDF有 書誌情報]
人材サービス大手のエン・ジャパンが16日発表した3月の派遣社員の募集時平均時給は、三大都市圏(関東・東海・関西)で前年同月比3円(0・2%)高い1699円だった。慢性的な人手不足で31カ月連続で上昇したが、伸び率は落ち着いてきている。
同社の求人情報サイト「エン派遣」の掲載情報をまとめた。主力の「オフィスワーク・事務系」が20円(1・2%)高い1649円などとなっている。時給水準の高いクリエーティブ系やIT・エンジニア系は前年を下回っている。
採用の難しい正社員のかわりに、派遣の事務職でも幅広く業務を担うようになってきている。「大手の派遣会社では人工知能(AI)のプロンプトの扱いなどスタッフ向けの研修も充実させている」(エン派遣の小用秀明サービス責任者)
同業大手のディップがまとめた三大都市圏の派遣平均時給も前年同月比17円(1・1%)高い1622円だった。事務などすべての分野で上昇。トランプ米政権の相互関税の影響はまだ見られていないが「製造業などで出てくる可能性がある」(井上剛恒常務執行役員)としている。
中東産LPG据え置き、対日4月積み 原油安も供給制約で[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 424文字 PDF有 書誌情報]
サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコは16日までに、液化石油ガス(LPG)の4月積み対日輸出価格を据え置くと日本のLPG元売りに通知した。原油価格が下落した一方、中東や米国からの供給制約がLPG価格を支えた。
給湯や暖房に使うプロパンは1トン615ドル、石油化学原料となるブタンは1トン605ドルとそれぞれ前月から据え置いた。対日価格の据え置きは、2024年12月積み以来4カ月ぶりだ。
LPGは原油の生産に伴って生じるため、原油相場の影響を受けやすい。米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は3月上旬、一時1バレル65ドル台前半と約2年ぶりの安値をつけた。トランプ米政権の関税政策が景気悪化につながるとの見方が価格の下押し圧力となった。
原油相場は軟調だった一方で、LPGの供給が絞られたとの声があった。石化向けを中心にサウジ国内での消費が優先されたという。中東と競合する米国でもプロパン在庫の取り崩しが進んだ。
NY金最高値 市場不安背景 3300ドル台に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 357文字 PDF有 書誌情報]
金(ゴールド)価格の上昇が止まらない。国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は16日、アジア時間で一時、前日比93・8ドル(2・9%)高い1トロイオンス3334・2ドルを付け最高値を更新した。
背景にあるのが米中の貿易摩擦の激化に対する市場の不安の増大だ。15日には中国政府は中国の航空会社に米企業の航空機や部品の購入停止を要請したと、米ブルームバーグ通信などが報じた。マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎代表は「米中の対立が緩和する兆しが見えないなか、先行き不透明感を懸念した投資家の金買いが出ている」と話す。
米債券市場での混乱が金価格の上昇に拍車をかけている面もある。マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「米国債を避ける動きが広がり、安全資産を求めるマネーが金に集中している」と話す。
<数表>4月16日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 5106文字 PDF有 書誌情報]
16日 226.422
前日比 -1.562
(1970年平均=100)
石 油
▽原油(現物、FOB、1バレル、
ドル、6月渡し)
ドバイ 65.35―65.45
-1.00
▽製品 (東京、現物、業者間
転売、 ガソリンローリー物
は油槽所渡し、 他はバージ
物製油所渡し、 軽油は軽油
引取税抜き、1キロリットル、円)
ガソリン(バージ物)
138,000―138,500
同(ローリー物)
136,500―137,000
灯油 85,500―86,000
軽油 87,000―87,500
A重油(硫黄分0.5%)
90,500―91,000
高硫黄C重油(硫黄分3%)
39,000―39,500
ナフサ(東京オープンスペック、
6月後半入着分、1トン、ドル、免税)
559―563
貴金属地金
(東京、大口需要家渡し、持ち込み、円、午後4時現在)
金(99.99%以上、1グラム)
□15,000―15,010
プラチナ(99.9%以上、1グラム)
□4,505―4,515
パラジウム(99.9%以上、1グラム)
□4,520―4,605
銀(99.95%以上、1キロ)
151,600―152,200
▽小売価格(地金商系、消費
税込み、1グラム、円)
買値 売値
金 16,352 16,522
プラチナ 4,785 4,983
▽山元建値(円)
金(1グラム) □15,057
銀(1キロ) □151,080
非鉄地金
(東京、商社出し値、置き場渡し、現物、1トン、千円)
銅 ■1,329―1,331
亜鉛 383―385
鉛 314―316
すず ■5,012―5,022
ニッケル(溶解用)
□2,360―2,380
アルミニウム(99.7%、輸入スポ
ット物) ■413―415
半導体スポット
(東京、メモリー、小口渡し、1個、ドル)
▽DRAM
4ギガビット(DDR3型)
□0.75―1.03
8ギガビット(DDR4型)
□1.58―1.97
鋼 材
(問屋仲間、置き場積み込み、異形棒鋼はスポット物を除き大口需要家渡し、1トン、千円)
▽条鋼 東京 大阪
異形棒10ミリ(SD295)
114―115 114―115
異形棒16ミリ(SD295)
110―111 110―111
平鋼6×50ミリ
152―153 134―135
山形6×50ミリ
■115―117 ■120―122
みぞ形6×65×125ミリ
■117―119 ■120―122
H形5.5×8×200×100ミリ
■117―119 ■120―122
軽量C形
2.3×100×50×20ミリ
■167―170 ■173
▽棒鋼スポット物 (異形棒
16ミリ、置き場渡し)
124―125 115―116
▽鋼板
冷延1.6ミリ(914×1,829ミリ)
138―145 142―147
熱延1.6ミリ(1,219×2,438ミリ)
115―120 119―122
熱延3.2ミリ(1,219×2,438ミリ)
110―115 114―117
熱延12ミリ(1,524×3,048ミリ)
112―117 116―119
▽電気亜鉛めっき鋼板
冷延1.0ミリ(914×1,829ミリ)
158―163 157―163
熱延1.6ミリ(914×1,829ミリ)
148―153 148―153
天然ゴム
(大口需要家向け、 営業倉庫渡し、1キロ、円)
東京 大阪
RSS3号 ■298 ―
TSR20号 ■255 ■255
繊 維
▽綿糸(大阪仲間、上銘品、木管別、
指定地渡し、1コリ、千円)
20単 127―130
40単 137―140
▽スフ糸 (大阪仲間、当月物、指定
地渡し、453グラム、円)
ブライト ダル
30単 390 380
▽毛糸(名古屋仲間、そ毛織り糸、1
キロ、日歩付き、円)
48双
2,450―2,550
60双
2,750―2,950
砂 糖
(元卸、 市中標準品、 置き場渡し、1キロ、現金、円)
東京 大阪
上白 249―251 249―251
白ざら 272―275 272―275
中ざら 272―274 272―274
グラニュー(並)
252―254 252―254
グラニュー(本グラ)
254―256 254―256
ビートグラ
249―251 249―251
◇名古屋
上白 252
白ざら 276―277
本グラニュー 257
ビートグラ 250
◇関門
上白 254
小豆・大豆
(問屋仲間、大豆は需要家渡し、北海道産2等、倉庫渡し、 輸入物は着港貨車乗り、千円)
◇東京
小豆(中間物、30キロ)
17.25
中国産小豆(天津、未選、60キロ)
20
米国産大豆 (インディアナ・オハ
イオ・ミシガン、選別、遺伝子非組
み換え分別品、1トン)
■143
米国産大豆(同、同、不分別品、1
トン) 70
◇帯広(貨車乗り、30キロ)
小豆(みがき) 17.5
大手亡 20
大正金時 19.5
鉄スクラップ
(メーカー買値、1トン、千円、左側東京、右側大阪)
H2 40.5―41.5
40―41.5
(毎週1回木曜日掲載)
古 紙
(東京、回収問屋買値、1キロ、円)
新聞 7―8
雑誌 3―5
段ボール
5―8
油 脂
▽食用油(大卸、一流メー
カー品、 1缶、 千円、左側
東京、右側大阪)
大豆白絞め油
6.3
6.3
菜種白絞め油
6.3
6.3
ラード 5.465 5.465
▽工業油(大口需要家渡し、
1キロ、円、左側東京、右側
大阪)
大豆白絞め油(1~3月)
368―378 368―378
菜種白絞め油(1~3月)
360―370 360―370
米ぬか白絞め油(4月)
399―400 399―400
精製ヤシ油(4月)
620 620
亜麻仁油(1~3月)
619―634 619―634
ヒマシ油(1~3月)
625―645 625―645
パーム油(4月)
308―318 308―318
コーン油(1~3月)
192―193 192―193
ゴルフ会員権
(万円、消費税込み)
◇関東
小金井カントリー倶楽部
(東京) 4,700
戸塚カントリー倶楽部(神
奈川) 2,250
筑波カントリークラブ
(茨城) 860
◇関西
西宮カントリー倶楽部
500
芦屋カンツリー倶楽部
375
(4週に1回木曜日掲載)
アルミ二次合金
◇二次合金地金
(東京、問屋出し値、1トン、
千円)
AD12.1(ダイカスト用)
590―595
白金族地金
(東京、 大口需要家渡し、持ち込み、1グラム、 99.9%以上、円)
ロジウム 26,500
イリジウム 23,000
ルテニウム 3,080
合成ゴム
(東京、 大口需要家渡し、1キロ、円)
SBR1500(タイヤ用)
351―366
NBR(中高ニトリル)
443―473
EPDM(高ジエン)
447―477
CR(Wタイプ) 730―770
製紙用パルプ
(東京、1キロ、需要家持ち込み渡し、円)
▽輸入品
L―BKP 123
N―BKP 160
◇シンガポール(15日)
▽石油製品 (現物、FOB、
1バレル、ドル)=LSEG
ナフサ 61.09―61.19
ガソリン 71.95―72.05
ケロシン 79.44―79.64
ガスオイル
74.84―75.04
C重油(硫黄分3.5%、1トン、
ドル) 430.89―431.09
石油化学製品
▽スチレンモノマー (運賃
込み、東アジア地区、1トン、
ドル) 905―945
▽エチレン(同)
795―835
▽ベンゼン(同)
730―770
果 実
(仲卸、1カートン、千円、
消費税抜き、左側東京・
大田、右側大阪・本場)
▽バナナ(フィリピン産、13
キロ) 3.1
3.3―3.7
▽レモン
カリフォルニア産、140個入り
9.5 7.8
チリ産、同
― ―
▽グレープフルーツ
フロリダ産、40個入り
11.5 ―
南アフリカ産、同
― ―
▽パイナップル (フィリピ
ン産、5~6個入り)
3.1 3.8
▽ネーブルオレンジ
カリフォルニア産、88個入り
― 6
オーストラリア産、同
7.5 ―
――
価格は特記あるものを除き消費税抜き。Nは気配値、デイリー、ウイークリーの□は上げ、■は下げ、記号なしはもちあい。いずれも前掲載日比較
(1キロ、円、消費税抜き)
鶏 卵
( 規格物特級〓荷受け販売値 )
基準値 高値 安値
◇東京=もちあい
総入荷860トン
〓 LL 315 341 307
木 L 318 346 311
徳 M 333 361 326
神 MS 350 378 343
糧 S 330 356 323
〓 SS 259 285 252
〓 LL 315 340 307
東 L 320 346 312
京 M 335 361 327
鶏 MS 350 376 342
卵 S 330 355 322
〓 SS 261 286 253
〓 LL 315 339 308
全た L 320 345 314
ま M 335 360 329
農ご MS 350 375 344
〓 S 330 354 323
〓 SS 260 284 253
▽特殊物
木徳神糧 345 206
東京鶏卵 343 206
全農たまご 340 206
◇大阪=もちあい
入荷345トン
〓 LL 310 337 304
全た L 315 343 309
ま M 330 358 324
農ご MS 350 378 344
〓 S 325 351 319
〓 SS 255 280 249
▽特殊物
全農たまご 340 200
◇名古屋=もちあい
入荷150トン
〓 LL 330 360 323
全た L 335 365 328
ま M 345 375 338
農ご MS 355 385 348
〓 S 325 355 318
▽特殊物
全農たまご 353 213
名鳥卵 休み
◇福岡=もちあい
入荷110トン
〓 LL 310 334 303
全た L 315 340 308
ま M 330 355 323
農ご MS 350 375 343
〓 S 325 349 318
▽特殊物
全農たまご 340 200
ウズラの卵
(卸、30個)
東京(2社) 260
豊橋 290
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
ブロイラー
《と体》 (買値、A級、3社
買い入れ量トン)
安値 加重 高値
◇東京=休載
―
特大 ― ― ―
《正肉》(売値、販売量トン)
◇東京=休載
もも ―
― ― ―
むね ―
― ― ―
◇大阪(2社)
もも=弱含み 8トン
717 760 1010
むね=強含み 4トン
396 452 570
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
《参考価格》(と体)
東京・中
― ― ―
大阪・特大(1社)
315 ― 325
大阪・中(1社)
325 ― 335
造花繚乱 3割高、輸入単価、5年で ウエディングや仏花にも、手作業省けず人件費重荷(価格は語る)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1384文字 PDF有 書誌情報]
花や葉をプラスチックや合成繊維で作った造花の用途が広がっている。天然の植物そっくりのリアルな見た目となり、ウエディングのブーケや仏花として使われる場面が増えた。主流の海外品の輸入単価は、原料高や人件費の上昇を背景に5年間で3割上がった。造花に対する国内需要の広がりも輸入単価を押し上げているとみられる。
造花を4000種以上取り扱う専門店のイーストサイドトーキョー(東京・台東)。店内の「草花」は本物と見間違うほどの精巧な作りだ。1輪咲きのバラは1本数百円程度。枝ぶりが良いサクラなどは数千円する。
3月下旬に来店した20代の女性は、自室に飾るマーガレットなどを購入した。「手入れ不要でずっと枯れないのがいい。値段も生花とあまり変わらない」と満足げだ。同店の鈴木良章店長によれば、ハンドメードブームもあって客の半数以上は一般の人が占めるようになった。
「供えた花がしおれた様子を思うと気がかりだった。造花に替えてから心配はなくなった」。そう話すのは都内在住の70代の男性だ。愛知県にある父親らの墓に月1回訪れており、供花用にアレンジした造花のランを飾る。
2023年からインターネットで供花用の造花専門店を運営するサロンドール(東京・世田谷)には、供花などを目的とした客からの問い合わせが相次ぐ。売れ筋はひとつ7000~8000円台のフラワーアレンジという。「花粉なしで猛暑でも枯れない。墓地に片付けの手間をかけない点も評価されている」(池上真麻代表)
造花を製造販売する東京堂(東京・新宿)によると、日本で流通する造花は中国産が9割以上を占める。観葉植物も含めた造花のうち、プラスチック製の中国産の輸入単価は1月時点で1キログラム1871円と、5年間で34%上がった。合成繊維などプラスチック製以外は同27%高くなった。いずれも前年同月比では1割弱高い。
造花の価格上昇は、プラスチックなどの原材料高や主要生産地である中国での人件費の増加が主因だ。見た目のリアルさ追求のため製造工程が増えていることも、コスト増につながっている。
例えば、花びらと茎は質感に合わせて原料樹脂の種類を変える。型抜きなどの工程で機械化が進んだ部分もあるが、繊細な葉脈や花びらの表現は細かな手作業に頼る。「工場の職人たちは植物を観察し、細部まで作り込む」(東京堂マーケティング担当の西潟聡統括マネージャー)
輸入価格に押されて造花の国内販売価格も上昇傾向にあるが、造花を活用する場は広がっている。見た目や品質の向上で「安っぽい」というイメージが薄れ、ウエディングで使う例も目立つようになってきた。
2月に都内で挙式した20代の女性は、ブーケのひとつを造花にした。「季節に関係なく好みの花で作れ、出来栄えを見て直してもらえたのは造花ならではだった」と振り返る。イーストサイドトーキョーでもウエディングブーケの受注は好調で、式の後に自宅で飾っておけるのも好まれるポイントという。
さまざまなシーンで用いられ繚乱(りょうらん)の時を迎えた造花は、最近は「アーティフィシャルフラワー」とのしゃれた呼び方もある。造花を進んで使い、めでるようになった消費者の価値観の変化を価格は映しているようだ。(杉山麻衣子)
【図・写真】イーストサイドトーキョーでは4000種もの造花をそろえる(3月、東京都台東区)
<数表>4月16日卸売市場(主要相場)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 965文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4780頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=弱もちあい上場427頭
和牛雌A ― ― 2136 2281 2533
和牛雌B ― 1592 2013 ― ―
和牛去勢A ― ― 2124 2276 2515
和牛去勢B ― ― ― 2162 ―
交雑種雌B ― 1571 1627 1725 ―
交雑種去勢B 1180 1557 1680 1732 ―
▽搬入物 上場302.5頭
和牛雌A ― 1321 1469 1745 2368
和牛雌B 1234 1306 1447 ― ―
和牛去勢A ― ― ― 2217 2377
和牛去勢B ― ― 2049 ― ―
交雑種雌B ― 1333 1625 1717 ―
交雑種去勢B 1027 1594 1689 1821 ―
乳牛雌C 785 883 ― ― ―
乳牛去勢B ― 1157 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場104頭
和牛雌A ― ― 2083 2233 2447
和牛雌B ― ― ― 2107 ―
和牛去勢A ― ― 2076 2249 2529
和牛去勢B ― ― ― 1907 2174
交雑種雌B ― 1450 1557 1782 ―
交雑種去勢B ― 1497 1615 1780 ―
◇仙台=もちあい上場89頭
和牛雌A ― ― 1358 2161 2418
和牛去勢A ― ― ― 2217 2497
◇さいたま=―上場51頭
和牛雌A ― 1083 1250 1316 ―
和牛去勢A ― ― ― ― 2486
◇横浜=軟調上場50頭
和牛雌A ― ― 2105 2188 2373
和牛去勢A ― ― 1923 2210 2279
◇名古屋=上場なし
◇神戸=―上場27頭
和牛雌A ― ― ― 2577 3107
和牛去勢A ― ― ― ― 2831
◇広島=―上場35頭
和牛去勢A ― ― ― ― 2659
◇福岡=強もちあい上場113頭
和牛雌A ― ― 2129 2244 ―
和牛去勢A ― 1858 ― 2300 2601
乳牛去勢B 1037 ― ― ― ―
銅建値、1万円下げ JX金属(短信)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 19ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
JX金属は16日、銅の国内相対取引の目安となる建値を1万円引き下げ、1トン135万円とした。為替の円高進行などを反映した。
会社法改正の焦点(中) 実質株主把握に日々開示を 山田剛志・成城大学教授(経済教室)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 24ページ 2862文字 PDF有 書誌情報]
2月に法制審議会に諮問された会社法改正の議論では、実質株主の開示制度が大きな論点となっている。
背景には、アクティビスト(物言う株主)による増配・自社株買い・取締役の選解任提案・同意なき買収などの圧力が強まっている現状がある。さらに欧米系ファンドが情報交換を行い、議決権を集団で行使するウルフパック(オオカミの群れ)戦術も課題だ。
これに対して株式発行企業側は株主の動きを把握できず、適切な対応策の立案は困難となっている。上場企業の投資家向け広報(IR)担当者は目の前にいる「自称株主」が本当に自社の実質株主なのか、何株を保有しているのかも不明なまま対応を迫られている。
現在、上場企業は半年に1回、大株主の状況を開示している。しかしそれは証券会社や信託銀行といった保管金融機関の名義になっていて、肝心の実質的な所有者は見えない。
そこで会社法を改正し、「英国型」の実質株主開示制度を導入することが検討されている。政府案では上場企業が株式の保管金融機関に対し、実質株主の情報開示を請求できる権利を新設する。応じなかった場合には、株主に議決権停止や過料といった制裁を科す。
これ自体は一歩前進だ。しかし会社法改正だけで、現状のIR活動や企業防衛の実務の問題点を解決できるかは疑問である。
第1の疑問は、請求先となる保管機関を企業側が特定できなければ〝空振り〟に終わるという点だ。株主提案を予定している投資家の口座がどの金融機関にあるのかを企業が事前に把握していなければ、請求の意味をなさない。
第2に、調査には時間とコストがかかる。欧州では実際の調査に1週間前後の時間を要しており、迅速な判断が必要な日本のIRや防衛実務にはなじまない。
第3により深刻なのは、保管機関が外国にある場合に情報取得が著しく困難である点だ。海外ファンドが外国の保管機関を通じて日本株を保有している場合、発行企業が直接に実質株主情報を得ることは、現行制度上きわめて難しい。
結果として政府案によって企業が得られる情報は断片的で、主に株主総会対策であり日常的な株主管理には不十分だ。特に経済安全保障の観点からも、外国勢力による株式取得の早期把握が求められている現状では、極めて不安の残る設計と言わざるを得ない。
状況を踏まえると、政府案のような「事後的・個別的な調査請求」による情報取得では不十分で、上場企業が毎日実質株主を把握できる「日々開示」の仕組みの導入が不可欠である。
背景には、日本は株主の力が諸外国に比べて強すぎることがある。発行済み株式の1%で株主提案が可能で、可決されれば法的拘束力がある。仮に外国ファンドが1%を保有して役員解任提案を行い、他のファンドが共同歩調で株式を買い集めて過半数を取得すれば企業支配は入れ替わる。
ところが株主総会直前にならなければ株主群の正体を把握できず、この間に企業防衛策を講じる余地は判例上極めて限定的だ。
仮に大株主や新役員が特定国と関係の深い人物なら経済安保上の問題となる。日本は株主提案の法的拘束力が強く、しかも株主側は情報共有をしているが、発行会社が情報を把握できない危険な状態が生じている。1%以上保有する実質株主を発行企業が毎日特定し、管理できる仕組みを早急に制度化すべきである。
「日々開示」とは公的な機関が毎営業日の後場取引終了後1時間以内に、発行会社ごとに1%以上保有する実質株主(証券口座名義人)を一覧化し、発行会社に提供する制度である。
場中に情報開示すれば相場操縦などのリスクが生じ得るため、取引終了後の開示が望ましい。この仕組みにより発行企業は毎日、自社の大口実質株主を確認でき、IR活動や企業防衛対応に情報を活用できる。
制度実装にあたって国内投資家は法人番号やマイナンバーをそのまま投資家番号として活用する。一方、外国人投資家は証券口座開設時に、義務的に国内投資家番号を取得させる。
この制度設計では証券口座開設時に付番された投資家番号を証券会社・信託銀行・証券取引所・証券保管振替機構(保振)などの機関が連携して共有。発行会社の株主名簿管理人(信託銀行)が銘柄コード別に株主提案権を持つ1%以上の投資家番号を「簡易実質株主名簿」として集計し、発行会社のウェブサイト等で毎日開示することを想定する(図表参照)。これは一般投資家保護にも資する。
筆者が保振およびシステムベンダーに確認したところ、投資家の本人確認(KYC)が整備されていれば既存システムの一部改修で対応可能で、多額の費用は不要との見解が得られた。
残る主な懸念は投資家のプライバシー侵害だ。しかし対象を1%以上の株主に限定することや、スチュワードシップ・コード(機関投資家向けの指針)の趣旨からも、プライバシーと市場透明性のバランスを両立することは可能である。
日々開示は経済安保インフラとしての機能も果たす。放送法や軍需産業分野では外国資本による一定以上の株式保有が制限されている。日々開示は市場による監視強化にもつながる。
政府案の請求権制度は一定の意義を持つが、透明で公平な資本市場を促進するには資本市場法制の変更も必要だ。「日々開示」の効果を十分発揮させるには、大量保有報告制度に1%単位での翌日の報告義務導入も検討すべきである。
また発行会社が保管金融機関だけでなく、口座名義人やアセットオーナー(資金の出し手)にも共同保有の意思を確認できる仕組みを整備し、違反時にはすべてを議決権行使停止の対象とすることで、政府案と日々開示による資本市場法は相互補完的に機能する。
さらに日々開示に実効性を持たせるには、企業に公平な情報提供を促すフェア・ディスクロージャー(FD)ルールの強化も欠かせない。たとえば、株主から企業支配に関する重大な提案がなされた場合には、FDルールに基づく開示義務を課すべきである。
米国でも近年、株主による企業支配への影響力強化やアクティビストファンドの活動に対応するため米証券取引委員会(SEC)による改革が行われている。
2024年9月に施行された改正SEC規則で、5%超の株式を保有することとなった投資家は、原則5営業日以内に大量保有報告を提出する義務を負うことになった(以前は10日以内)。保有割合が1%以上変動した場合も2営業日以内の届け出が求められる。
また投資家のウルフパック戦術をけん制するため、実質的に議決権の行使目的が一致し、情報を共有していれば「共同保有」とみなす方向にガイダンスが見直された。比較法的な観点からも日本の実質株主開示には日々開示、大量保有報告の改正、FDルール強化といった資本市場的改革も政府案と併せて求められる。
<ポイント>
○政府は英国型の実質株主開示制度を検討
○政府案で得られる情報は断片的で不十分
○日々開示に加え資本市場的な改革も必要
やまだ・つよし 65年生まれ。一橋大大学院博士課程修了、青山学院大博士。専門は商法、会社法、金融法
歴史に自然実験を見いだす(7) 離婚コストと配偶者間の交渉 一橋大学教授 森口千晶(やさしい経済学)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 24ページ 844文字 PDF有 書誌情報]
家族は人的資本の再生産という重要な役割を担う制度です。家族の経済学は、1980年代の米国における家族の変化に刺激を受けて生まれました。日本でも少子高齢化と非婚化が進行し、家族のありかたが変化しています。今回は家族を巡る法制度が社会に与える影響をみていきます。
結婚という制度は、伝統的に安定性が重視され、離婚には高いハードルが設定されてきました。現在も多くの国で、離婚には配偶者の同意を必要とし、同意がない場合には離婚の理由となる相手の過失を法廷で立証する必要があります。
これに対し欧米では60年代以降、配偶者の一方が望めば相手に過失がなくても離婚を認める「無過失離婚制度」が広まり、離婚のコストが大幅に低下しました。背景には離婚裁判の長期化に伴う金銭的心理的コストの増大、特に子どもが受ける心理的苦痛への配慮があったとされます。
経済学では、離婚コストの低下は配偶者間の交渉に影響を与えると考えます。例えば、夫の同意が得られず婚姻を継続している妻の場合、無過失離婚の導入は夫に対する妻の交渉力を高め、夫の行動を変容させる可能性があります。
米ミシガン大学のベッツィ・スティーブンソン教授らは、米国の州法改正を用いて無過失離婚制度の効果を分析し、家庭内暴力と女性の自殺率が低下したことを明らかにしました。スペインの改革を自然実験に用いたより精緻な分析でも、女性配偶者への家庭内暴力が大きく減少したことが示されています。
無過失離婚の導入は、短期的に離婚率を上昇させるだけではなく、婚姻中の配偶者関係にも影響を与え、特に弱い立場にいる配偶者の厚生を改善することがわかったのです。
中国では離婚を抑制するため、2021年に離婚前に一定の冷静期が設けられました。狙い通り離婚率は低下しましたが、その効果はより広いアウトカムで検証されるべきでしょう。
家族を巡る法制度は配偶者関係や親子関係に大きな影響を与えます。しかし、その効果を明らかにする研究はまだまだ少なく、今後の進展が期待されます。
参議院に必要な専門性の向上 デジタルナレッジ代表取締役 竹井誠(私見卓見)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 24ページ 0文字 書誌情報]
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<数表>新卒採用数上位企業ランキング[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 25ページ 11616文字 PDF有 書誌情報]
順位 社 名 総合計 大卒 短大・ 〓専門学校・高専卒 高卒
順位 社 名 総合計 大卒 短大・ 〓専門学校・高専卒 高卒
順位 社 名 総合計 大卒 短大・ 〓専門学校・高専卒 高卒
順位 社 名 総合計 大卒 短大・ 〓専門学校・高専卒 高卒
1 アウトソーシンググル 2778 2320 446 12
ープ (2632) (1688) (929) (15)
2 イオングループ※1 2600 2000 600 ―
(2800) (2200) (600) (―)
3 パーソルグループ 約2300 約2300 ― 0
(2051) (2051) (―) (0)
4 LEOC 2292 432 1852 8
(1281) (340) (938) (3)
5 ワールドホールディン 1534 1183 326 25
グス (1353) (956) (371) (26)
6 アイングループ 1375 1370 ― 5
(1320) (1315) (―) (5)
7 パナソニックグループ 約1300 約900 約400 ―
※1 (1500) (1000) (500) (―)
8 セコムグループ 1200 700 120 380
(986) (556) (82) (348)
8 テクノプロ・グループ 約1200 約1200 ― 0
(1262) (1262) (―) (0)
10 エームサービス/メフ 約1135 約1125 ― 約10
ォス (1001) (975) (―) (26)
11 デロイトトーマツグル 約1100 約1100 ― 0
ープ (1120) (1120) (―) (0)
11 ALSOKグループ 1100 約900 ― 約200
(1000) (800) (―) (200)
11 クスリのアオキ 1100 1000 100 0
(950) (835) (115) (0)
14 富士フイルムホールデ 約1090 約980 約60 約50
ィングス (1087) (980) (54) (53)
15 三菱電機※2 1050 800 ― 250
(1100) (850) (―) (250)
15 ノジマグループ 1050 795 142 113
(764) (607) (78) (79)
17 三菱重工業 約1030 約640 約90 約300
(897) (588) (53) (256)
18 ソニーグループ 約1000 ― ― ―
(1000) (―) (―) (―)
18 スギ薬局 1000 1000 ― 0
(884) (827) (57) (0)
20 村田製作所グループ 約960 約550 約50 約360
(953) (550) (44) (359)
21 積水ハウスグループ 約880 約780 ― 約100
(822) (673) (34) (115)
22 日本IBMグループ 約850 ― ― ―
(810) (785) (23) (2)
22 メイテックグループ 850 850 ― 0
(687) (687) (―) (0)
24 オープンアップグループ 約820 約600 約220 0
(727) (539) (188) (0)
24 積水化学グループ 約820 約750 0 約70
(671) (619) (0) (52)
26 日立製作所 815 770 0 45
(770) (730) (0) (40)
26 全日本空輸 815 未 未 未
(661) (653) (8) (0)
28 NEC 800 800 0 0
(800) (800) (0) (0)
28 富士ソフト 約800 約770 ― 約30
(817) (787) (―) (30)
28 バローグループ 800 540 160 100
(695) (476) (151) (68)
28 ニトリグループ 約800 約800 0 0
(1150) (1150) (0) (0)
32 ヤマダホールディングス 770 486 ― 284
(479) (264) (49) (166)
33 ツルハグループ 768 748 ― 20
(644) (602) (―) (42)
34 東京電力ホールディン 約750 未 未 未
グス (750) (435) (57) (258)
34 JR西日本 約750 約430 約80 240
(744) (397) (87) (260)
34 日本通運 750 約400 約70 約280
(629) (338) (60) (231)
34 日本生命保険 750 約750 0 0
(755) (755) (0) (0)
38 日清医療食品 724 256 428 40
(726) (316) (370) (40)
39 オープンハウスグループ 710 約700 約10 0
(619) (609) (10) (0)
40 アルプス技研グループ 700 700 ― 0
(580) (580) (―) (0)
40 大和ハウスグループ 700 620 13 67
(1177) (1057) (70) (50)
42 サンドラッググループ 690 600 60 30
(690) (590) (80) (20)
43 住友林業グループ 662 509 48 105
(600) (466) (39) (95)
44 JR東日本 660 ― ― ―
(702) (510) (31) (161)
45 ニチイグループ 658 ― ― ―
(369) (195) (133) (41)
46 マーブル 650 ― ― ―
(500) (―) (―) (―)
46 三井住友銀行 650 650 0 0
(513) (513) (0) (0)
48 ライクグループ 647 411 226 10
(260) (149) (111) (0)
49 飯田グループホールデ 643 566 ― 77
ィングス (403) (378) (―) (25)
50 長谷工グループ 639 595 17 27
(553) (525) (19) (9)
51 コスモス薬品 630 600 ― 30
(438) (370) (40) (28)
52 ウィルグループ 620 600 ― 20
(741) (699) (―) (42)
53 大東建託グループ 612 549 44 19
(524) (458) (50) (16)
54 明治安田生命保険 約610 約610 0 0
(709) (696) (13) (0)
55 NTTドコモ 608 ― ― ―
(791) (791) (0) (0)
56 セブン&アイ・ホール 601 488 28 85
ディングス (463) (385) (14) (64)
57 JR東海※3 約600 約390 ― 約210
(624) (367) (73) (184)
57 一条工務店 600 約500 0 約100
(571) (474) (9) (88)
57 三菱UFJ銀行 約600 約600 0 0
(630) (630) (0) (0)
60 NTT東日本グループ 約595 ― ― ―
(557) (373) (73) (111)
60 トランスコスモス 595 590 ― 5
(612) (567) (38) (7)
62 日本調剤グループ 588 566 10 12
(680) (658) (14) (8)
63 西武・プリンスホテル 581 96 312 173
ズワールドワイド (630) (114) (256) (260)
64 ウエルシアホールディ 約570 約500 ― 約70
ングス (691) (659) (―) (32)
65 ゼンショーグループ 534 502 30 2
(413) (400) (13) (0)
66 シダックスグループ 530 265 250 15
(174) (87) (83) (4)
67 グリーンハウス 523 523 0 0
(485) (480) (0) (5)
68 JFEスチール※4 515 215 ― 300
(482) (200) (―) (282)
68 ヤマト運輸 約515 約150 約5 約360
(273) (87) (8) (178)
70 UTグループ 約510 約500 ― 10
(432) (426) (―) (6)
71 関西電力/関西電力送 500 ― ― ―
配電 (488) (314) (52) (122)
71 東京エレクトロングル 約500 未 未 未
ープ (510) (465) (45) (0)
71 野村総合研究所 約500 約500 0 0
(502) (502) (0) (0)
71 NECソリューション 約500 約500 0 0
イノベータ (546) (537) (9) (0)
75 クボタ 480 250 20 210
(491) (283) (23) (185)
75 山 九 480 180 20 280
(452) (175) (20) (257)
75 第一生命保険 約480 未 未 未
(466) (452) (14) (0)
78 ミネベアミツミグループ 472 348 15 109
(398) (316) (14) (68)
79 富士電機 468 314 41 113
(454) (278) (49) (127)
80 ファーストリテイリン 450 ― ― ―
ググループ (430) (―) (―) (―)
81 鹿 島 445 ― ― ―
(460) (355) (46) (59)
82 野村グループ 約440 約440 0 0
(370) (370) (0) (0)
83 きんでん※5 438 202 0 236
(452) (198) (0) (254)
84 ダイキン工業 430 約340 約90 0
(445) (355) (90) (0)
85 清水建設 423 ― ― ―
(455) (417) (19) (19)
86 ディップ 420 420 0 0
(301) (298) (3) (0)
87 大成建設 416 406 ― 10
(449) (412) (20) (17)
88 ネクステージ 410 約410 ― 0
(771) (760) (―) (11)
89 野村不動産グループ 405 約370 35 0
(400) (350) (50) (0)
90 ワールドグループ 404 ― ― ―
(260) (―) (―) (―)
91 センコーグループホー 400 240 0 160
ルディングス (320) (191) (0) (129)
91 サカイ引越センター 約400 約200 ― 約200
(415) (200) (―) (215)
91 佐川急便 約400 約150 0 約250
(232) (80) (0) (152)
91 大林組 400 395 ― 5
(413) (389) (18) (6)
91 クオールホールディン 400 400 ― 0
グス (400) (400) (―) (0)
91 クリエイトエス・ディー 約400 約400 0 0
(370) (355) (15) (0)
97 ゲンキー 395 315 40 40
(303) (242) (31) (30)
98 AZ-COM丸和グル 約380 約360 ― 約20
ープ (309) (278) (16) (15)
98 住友生命保険 約380 約380 0 0
(404) (393) (11) (0)
100 旭化成グループ 約375 約230 約60 約85
(381) (244) (57) (80)
101 住友電気工業 約370 約230 ― 約140
(378) (238) (―) (140)
102 ENEOS 368 158 52 158
(318) (156) (19) (143)
103 LIXIL 352 約180 57 115
(322) (161) (57) (104)
104 SCSK 350 350 0 0
(334) (334) (0) (0)
104 大塚商会 350 350 0 0
(330) (320) (3) (7)
104 共立メンテナンス 約350 約170 約50 約130
(309) (144) (43) (122)
104 フジパングループ 約350 約130 約20 約200
(320) (104) (23) (193)
108 コメリグループ 345 210 50 85
(240) (118) (50) (72)
109 三菱電機ビルソリュー 340 222 23 95
ションズ (335) (215) (25) (95)
109 日本総合研究所 約340 約340 ― 0
(―) (319) (―) (―)
109 JPホールディングス 約340 約340 ― 0
グループ (327) (327) (―) (0)
109 関電工 約340 約120 ― 約220
(341) (118) (12) (211)
113 ヤンマーグループ 約330 約240 0 約90
(320) (229) (0) (91)
113 ニッコンホールディン 約330 約150 73 107
グスグループ (203) (76) (73) (54)
113 ビックカメラ 約330 約260 約40 約30
(273) (223) (23) (27)
116 スターツグループ 328 305 7 16
(255) (228) (11) (16)
117 キオクシア 320 約220 0 100
(119) (56) (0) (63)
117 日鉄テックスエンジ 320 105 25 190
(312) (112) (21) (179)
117 三井住友信託銀行 約320 約320 0 0
(394) (394) (0) (0)
117 損害保険ジャパン 320 約320 ― 0
(301) (297) (4) (0)
121 スカイマーク 約310 ― ― ―
(241) (―) (―) (―)
122 セイコーエプソン 約300 約215 約35 約50
(307) (241) (33) (33)
122 シンプレクス・ホール 300 300 0 0
ディングス (225) (225) (0) (0)
122 TOPPAN 約300 約300 0 0
(405) (394) (7) (4)
122 ヤマハ発動機 300 210 ― 90
(317) (195) (15) (107)
122 オリックスグループ 約300 約300 0 0
(257) (255) (2) (0)
122 総合メディカルグループ 約300 約300 ― 0
(237) (214) (21) (2)
122 ジンズ 約300 約260 ― 約40
(203) (161) (7) (35)
122 PPIHグループ 300 280 ― 20
(300) (241) (38) (21)
122 SMBC日興証券 300 約300 ― 0
(255) (254) (1) (0)
131 パソナグループ 295 260 30 5
(260) (227) (25) (8)
132 九州電力 約285 約170 ― 約115
(289) (176) (―) (113)
133 コマツ 284 172 22 90
(295) (186) (11) (98)
134 東北電力/東北電力ネ 270 ― ― ―
ットワーク (273) (139) (16) (118)
134 近畿日本鉄道 約270 約170 約20 約80
(249) (131) (38) (80)
134 JR北海道 約270 ― ― ―
(187) (99) (28) (60)
134 第一三共 約270 未 未 未
(260) (170) (60) (30)
134 伊藤ハム米久ホールデ 約270 約170 ― 約100
ィングスグループ (258) (163) (2) (93)
134 高松グループ 約270 約250 ― 約20
(233) (190) (29) (14)
140 いすゞ自動車 265 150 15 100
(311) (189) (19) (103)
141 トーエネック 262 128 ― 134
(227) (106) (6) (115)
142 KDDI 約260 約260 ― 0
(268) (268) (―) (0)
142 コナミグループ 約260 約220 約30 約10
(254) (219) (31) (4)
142 サントリーホールディ 約260 約180 約80 0
ングス (264) (173) (91) (0)
142 アダストリア 約260 約200 約40 約20
(246) (199) (20) (27)
142 コロワイドグループ 260 150 100 10
(252) (132) (104) (16)
142 大黒天物産 260 190 50 20
(257) (184) (60) (13)
148 ライフコーポレーション 255 215 ― 40
(262) (218) (7) (37)
149 キヤノン 約250 約215 ― 約35
(244) (197) (12) (35)
149 NTT西日本グループ 約250 未 未 未
(214) (180) (26) (8)
149 三菱電機ソフトウエア 約250 約250 0 0
(259) (259) (0) (0)
149 TIS 約250 約250 0 0
(278) (278) (0) (0)
149 リコージャパン 250 235 ― 15
(259) (232) (11) (16)
149 ホシザキグループ 約250 約210 約10 約30
(193) (159) (8) (26)
149 福山通運グループ 250 150 ― 100
(124) (76) (―) (48)
149 竹中工務店 250 248 ― 2
(257) (246) (10) (1)
149 エディオン 250 160 ― 90
(228) (117) (―) (111)
149 三菱UFJ信託銀行 約250 約250 0 0
(272) (272) (0) (0)
159 中国電力/中国電力ネ 約245 ― ― ―
ットワーク (252) (133) (38) (81)
159 住友電装 245 約160 15 約70
(247) (151) (10) (86)
161 KSK 240 約240 0 0
(208) (208) (0) (0)
161 三井化学 約240 約120 約10 約110
(222) (120) (14) (88)
161 三井不動産リアルティ 240 240 0 0
(241) (241) (0) (0)
161 ダイワボウホールディ 240 235 ― 5
ングスグループ (216) (205) (―) (11)
161 三菱UFJモルガン・ 約240 約240 0 0
スタンレー証券 (168) (168) (0) (0)
166 ルネサスグループ 237 約200 0 37
(228) (173) (0) (55)
167 テルモ 約230 約180 ― 約50
(212) (169) (―) (43)
167 JR貨物 約230 ― ― ―
(148) (43) (21) (84)
167 東京地下鉄 約230 ― ― ―
(185) (―) (―) (―)
167 岡三証券 230 230 0 0
(266) (264) (2) (0)
167 東海東京フィナンシャ 約230 約210 ― 約20
ル・ホールディングス (194) (175) (3) (16)
172 ジェイテクト 225 約120 5 100
(172) (80) (2) (90)
173 三菱電機エンジニアリ 約220 ― ― ―
ング (226) (183) (42) (1)
173 フューチャー 約220 約220 0 0
(108) (108) (0) (0)
173 日立ソリューションズ 約220 約220 0 0
(190) (188) (2) (0)
173 大日本印刷 約220 約200 ― 約20
(219) (201) (1) (17)
173 エフピコグループ 220 約60 ― 約160
(168) (64) (―) (104)
178 日立ハイテク 219 140 約40 39
(248) (187) (21) (40)
179 FOOD&LIFE 212 172 ― 40
COMPANIES (216) (160) (―) (56)
180 船井総研グループ 210 210 0 0
(185) (185) (0) (0)
180 テイクアンドギヴ・ニ 約210 105 104 1
ーズ (190) (105) (84) (1)
180 東急リバブル 約210 約210 0 0
(208) (208) (0) (0)
180 ケーズデンキグループ 約210 ― ― ―
(125) (65) (20) (40)
184 TDCソフト 205 205 ― 0
(181) (160) (21) (0)
184 トヨタ紡織 205 120 0 85
(255) (178) (0) (77)
184 五洋建設 205 205 ― 0
(203) (180) (23) (0)
184 AOKIホールディン 205 143 40 22
グス (168) (99) (37) (32)
188 アルプスアルパイン 約200 約120 約10 約70
(201) (115) (12) (74)
188 インターネットイニシ 約200 約200 0 0
アティブ (176) (176) (0) (0)
188 DTS 200 200 ― 0
(184) (179) (5) (0)
188 NECネッツエスアイ 約200 約200 0 0
(167) (145) (22) (0)
188 コムチュア 200 約200 0 0
(193) (193) (0) (0)
188 コーエーテクモグループ 約200 約200 ― 0
(200) (200) (―) (0)
188 システムリサーチ 約200 約200 ― 0
(174) (163) (11) (0)
188 クリーク・アンド・リ 200 200 ― 0
バー社 (180) (171) (9) (0)
188 メディカルシステムネ 約200 約200 ― 0
ットワークグループ (147) (125) (16) (6)
188 ジェイエイシーリクル 約200 約200 0 0
ートメント (151) (151) (0) (0)
188 アルペン 200 約180 20 0
(186) (173) (13) (0)
188 住友不動産ステップ 約200 約200 0 0
(206) (206) (0) (0)
188 ヤオコー 約200 約200 ― 0
(144) (130) (7) (7)
188 良品計画 約200 約200 ― 0
(484) (480) (4) (0)
188 アークランズ 200 約140 40 20
(103) (52) (32) (19)
188 物語コーポレーション 200 約200 ― 0
(219) (160) (22) (37)
※1 計画短大・専門学校・高専卒は高卒含む ※2 大卒は10月入社を含み、計画高卒は短大・専門学校卒含む ※3 計画高卒は短大・専門学校卒含む ※4 計画高卒は短大・専門学校・高専卒を含む ※5 計画高卒は専門学校卒含む
<数表>採用計画2270社本社調査、エレクトロニクス(2)、情報・通信(2)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 26ページ 10913文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
エナジーウィズ〓□K 約30 ( 17 ) 20 ( 8 ) ■◇244000
愛光電気 ― ( 3 ) 6 ( 3 ) 220000
GSユアサ□ 135 ( 156 ) 91 ( 103 ) ■◇254100
カナデン※4 約30 ( 24 ) 約30 ( 24 ) 295500
協栄産業 36 ( 25 ) 36 ( 25 ) ■237000
日本電子 60 ( 48 ) 約50 ( 42 ) ◇247000
リョーサン菱洋ホールディングス 未 ( ― ) 約40 ( ― ) ―
三菱電機ビルソリューションズ 340 ( 335 ) 222 ( 215 ) ■◇250000
守谷輸送機工業 16 ( 11 ) 5 ( 5 ) ■◇252150
フジテック 未 ( 121 ) 未 ( 76 ) ◇230000
アドバンテスト□ 61 ( 39 ) 56 ( 39 ) ■◇267000
カシオ計算機□K 35 ( 44 ) 約35 ( 44 ) ■257000
ファナック※5 未 ( 146 ) 約65 ( 54 ) ◇276000
エンプラス 未 ( 18 ) 約25 ( 14 ) 250000
レスター 約35 ( 29 ) 約30 ( 25 ) 250000
キーエンス※6 未 ( 270 ) 未 ( 270 ) 280000
因幡電機産業 未 ( 104 ) 約100 ( 104 ) ■272000
日本信号□K 75 ( 55 ) 60 ( 41 ) ■270000
ナ・デックス 10 ( 5 ) 10 ( 5 ) 231150
東芝テック□ 約100 ( 90 ) 約95 ( 85 ) ■◇250000
図 研□SK※7 約20 ( 20 ) 約20 ( 20 ) ■◇250570
日本マイクロニクス□K 57 ( 53 ) 18 ( 12 ) ■◇245000
丸 文□K※8 30 ( 29 ) 30 ( 29 ) ■261500
京 写 若 ( 10 ) 若 ( 4 ) ◇233000
EIZO□K 35 ( 20 ) 25 ( 13 ) ■◇252000
TMEIC□K 127 ( 108 ) 97 ( 74 ) ■◇251000
SCREENグループ 115 ( 152 ) 約100 ( 138 ) ◇255000
アルバック□K 未 ( 18 ) 未 ( 18 ) ■255000
菱電エレベータ施設 68 ( 57 ) 18 ( 23 ) ◇250000
日立ハイテク 219 ( 248 ) 140 ( 187 ) ■◇255500
エスケーエレクトロニクス 若 ( 7 ) 若 ( 7 ) 255300
ムサシ※9 未 ( 8 ) 未 ( 8 ) ■◇252000
万世電機 10 ( 8 ) 10 ( 8 ) ■◇235500
太洋テクノレック 6 ( 0 ) 若 ( 0 ) ◇226000
ス□K
寺崎電気産業□ 30 ( 42 ) 約20 ( 24 ) ■◇236000
三菱電機エンジニアリング 約220 ( 226 ) ― ( 183 ) ◇255000
シライ電子工業 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ■◇211000
MTG 30 ( 21 ) 約30 ( 21 ) ■◇220000
東陽テクニカ 15 ( 12 ) 15 ( 12 ) ■256000
伯 東□K※10 17 ( 15 ) 17 ( 15 ) 固303000
村田製作所グループ 約960 ( 953 ) 約550 ( 550 ) ■279000
ニチコン※11 130 ( 92 ) 80 ( 68 ) ■265000
太陽誘電 未 ( 77 ) 約40 ( 61 ) ■◇250050
指月電機グループ□※12 54 ( 29 ) 24 ( 8 ) 225000
TDK□ 147 ( 161 ) 147 ( 161 ) ■◇265000
オムロングループ 130 ( 169 ) ― ( ― ) ◇250000
アルプスアルパイン 約200 ( 201 ) 約120 ( 115 ) ◇250000
日東電工□K※13 120 ( 123 ) 120 ( 123 ) 260000
京セラグループ 未 ( 723 ) 未 ( 433 ) ◇260000
マクセル□ 52 ( 30 ) 37 ( 23 ) ◇250000
双葉電子工業□K 24 ( 12 ) 15 ( 5 ) ◇241000
サンケン電気 約20 ( 21 ) 約20 ( 21 ) ■◇257000
FDK 37 ( 18 ) 20 ( 10 ) ■◇241000
新電元工業□K 35 ( 26 ) 35 ( 26 ) ◇237500
SMKグループ 約50 ( 22 ) 約40 ( 19 ) ◇250000
帝国通信工業□ 11 ( 11 ) 9 ( 9 ) ◇241000
航空電子グループ 約150 ( 125 ) 約100 ( 85 ) ■◇250000
ミネベアミツミグループ□K 472 ( 398 ) 348 ( 316 ) ■270000
タムラ製作所□ 24 ( 14 ) 22 ( 14 ) ◇244000
KOA□ 約60 ( 50 ) 約30 ( 15 ) ■233250
北陸電気工業□ 25 ( 21 ) 15 ( 9 ) ◇242000
リバーエレテック 9 ( 3 ) 6 ( 1 ) 231000
日本タングステン□K 19 ( 7 ) 6 ( 3 ) 235000
東京コスモス電機□K ― ( 1 ) 5 ( 1 ) ■◇241000
コンテック□ 10 ( 5 ) 8 ( 3 ) 275000
岡谷電機産業 若 ( ― ) 若 ( 3 ) ◇221000
日本抵抗器製作所 2 ( 0 ) 2 ( 0 ) ―
大真空 未 ( 9 ) 3 ( 5 ) ■◇241000
昭和真空 6 ( 2 ) 4 ( 2 ) ■◇217000
マスプロ電工 18 ( 16 ) 18 ( 16 ) 230000
ローム ― ( 142 ) 未 ( 139 ) ■◇247000
三井ハイテック□ 77 ( 120 ) 52 ( 77 ) ■◇247000
イビデン□K 165 ( 178 ) 105 ( 114 ) ■270000
ダイトロン 39 ( 32 ) 34 ( 30 ) ■◇230000
加賀電子□T 未 ( 29 ) 約30 ( 29 ) ■固250000
三信電気 15 ( 13 ) 15 ( 13 ) ◇243000
芝浦電子 ― ( 8 ) 約10 ( 8 ) ■235000
SUMCO〓□K※13 40 ( 37 ) 約40 ( 37 ) ◇250000
アライドテレシスホールディングス 約30 ( 24 ) ― ( 19 ) 220000
精工技研 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) ■222000
アオイ電子 未 ( 16 ) 約15 ( 9 ) ■◇225590
エクセル 3 ( 2 ) 3 ( 2 ) ■固230000
AKIBAホールディングス 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
テラプローブ□ 16 ( 20 ) 6 ( 10 ) ■240000
SEMITEC 約10 ( 6 ) 未 ( 5 ) ■◇240000
ソシオネクスト 41 ( 35 ) 41 ( 35 ) ◇255000
ルネサスグループ□K 237 ( 228 ) 約200 ( 173 ) ◇250000
日本高純度化学 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) ■◇275000
デクセリアルズ フォトニクス ソリューションズ□ 35 ( 36 ) 30 ( 29 ) 250000
ニデックグループ□ 約180 ( 194 ) 約150 ( 157 ) 273000
キオクシア 320 ( 119 ) 約220 ( 56 ) ◇251500
スミダコーポレー 約10 ( 4 ) 約10 ( 4 ) 年固408万
ション□K
マブチモーター 30 ( 33 ) 約25 ( 27 ) ◇250000
日清紡ホールディングス 未 ( 28 ) 12 ( 17 ) ■◇240450
MARUWA□K 31 ( 14 ) 22 ( 8 ) ■◇301000
イノテック 10 ( 9 ) 8 ( 8 ) 253000
NTKセラテック□ 25 ( 19 ) 10 ( 5 ) ■◇244000
佐鳥電機□ 約10 ( 6 ) 約10 ( 6 ) ■222500
千代田インテグレ 約20 ( 19 ) ― ( 14 ) 260000
メガチップス 未 ( 20 ) 未 ( 19 ) 270000
シークスグループ 約20 ( 12 ) ― ( 12 ) 240000
東京エレクトロングループ※14 約500 ( 510 ) 未 ( 465 ) ■359800
東京エレクトロン 25 ( 28 ) 25 ( 28 ) ■275000
デバイス□K
アバールデータ□ 4 ( 4 ) 4 ( 3 ) ◇220000
石井表記□ 11 ( 3 ) 9 ( 1 ) ■203000
マクニカ□K 100 ( 92 ) 約100 ( 92 ) 固300110
マースグループホールディングス 36 ( 21 ) 29 ( 20 ) ■固256000
ザインエレクトロニクス※15 約5 ( 2 ) 約5 ( 2 ) ◇275000
立花エレテック 30 ( 25 ) 30 ( 25 ) ■◇235000
エレマテック 15 ( 13 ) 15 ( 13 ) ■257900
萩原電気ホールディングス 約30 ( 26 ) 約30 ( 25 ) ■250000
エスペック 20 ( 23 ) 13 ( 13 ) ■◇255500
長野日本無線 未 ( 10 ) 未 ( 7 ) ■◇235000
日本電波工業 約25 ( 21 ) 約20 ( 21 ) 250000
本多通信工業 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) ◇230500
新光電気工業〓□TK 未 ( 128 ) 90 ( 53 ) ■◇245000
日清紡マイクロデバイス□ 47 ( 43 ) 37 ( 26 ) ■◇250000
NKKスイッチズ 4 ( 4 ) 4 ( 4 ) 217000
三社電機製作所〓□K 24 ( 20 ) 約15 ( 12 ) ■245000
【エレクトロニクスの注】 ※1 大卒は10月入社を含む ※2 初任給はパナソニック ホールディングス ※3 主要グループ各社合計 ※4 初任給はエリア勤務手当含む ※5 計画大卒は高専専攻科卒含む ※6 初任給は大阪勤務者、独身者の地域住宅補助額含む ※7 初任給は住宅手当含む ※8 初任給は地域手当、資格手当含む ※9 初任給は営業手当含む ※10 初任給は首都圏勤務の営業職 ※11 国内グループ企業合計 ※12 初任給は指月電機製作所 ※13 総合職のみ ※14 初任給は独身寮制度適用なしの赤坂勤務者 ※15 初任給は修士卒エンジニア職
NEC□K 800 ( 800 ) 800 ( 800 ) ■294000
OKI 189 ( 173 ) 153 ( 135 ) ■◇253000
アンリツ 55 ( 38 ) 55 ( 38 ) ◇250000
サクサ ― ( 27 ) 約30 ( 27 ) ◇250000
古野電気 約40 ( 40 ) 34 ( 36 ) ■◇250500
ナカヨ 12 ( 8 ) 8 ( 7 ) ◇210000
日本無線□ 37 ( 58 ) 23 ( 46 ) ◇250000
DAIKO XTECH□ 37 ( 38 ) 35 ( 34 ) ◇240000
フォーバル 約78 ( 37 ) 63 ( 26 ) ■206500
アイコム 約65 ( 56 ) 約50 ( 54 ) ■◇236000
大井電気□ ― ( 8 ) 約10 ( 6 ) ◇239000
都築電気 30 ( 29 ) 30 ( 29 ) ■280500
システナ ― ( ― ) 256 ( 239 ) 235000
住友電気工業□ 約370 ( 378 ) 約230 ( 238 ) ■◇271800
古河電気工業□K 196 ( 174 ) 144 ( 124 ) ■275000
フジクラ 50 ( 52 ) 約50 ( 52 ) ■◇255000
SWCC□K 45 ( 30 ) 15 ( 15 ) ■◇241000
タツタ電線 20 ( 12 ) 10 ( 5 ) ◇229300
JMACS□ 9 ( 15 ) 6 ( 6 ) 240000
泉州電業 26 ( 30 ) 12 ( 16 ) ■253600
三ッ星 4 ( 3 ) 2 ( 2 ) 222000
テレビ東京 31 ( 25 ) 約30 ( 25 ) 固281600
新潟放送 若 ( 4 ) 若 ( 4 ) ■◇229000
NTT 82 ( 86 ) 82 ( 86 ) ◇275520
NTT東日本グループ※1 約595 ( 557 ) ― ( 373 ) ■313940
NTT西日本グループ 約250 ( 214 ) 未 ( 180 ) ■311840
KDDI□ 約260 ( 268 ) 約260 ( 268 ) ■305000
NTTデータグループ 未 ( 803 ) 未 ( 802 ) ◇262790
ソフトバンク※2 未 ( 457 ) 未 ( 432 ) ■◇263000
NTTドコモ※3 608 ( 791 ) ― ( 791 ) ◇303790
帝国データバンク ― ( 55 ) 約50 ( 55 ) ■◇256000
東京商工リサーチ 約40 ( 23 ) 約40 ( 23 ) ■◇固291690
ミロク情報サービス□※4 75 ( 79 ) 75 ( 78 ) ■◇245000
WOWOW 0 ( 4 ) 0 ( 4 ) ■◇235000
沖縄セルラー電話 16 ( 9 ) 14 ( 9 ) 226300
楽天グループ 未 ( ― ) 未 ( 359 ) 固300000
メディカルネット□T ― ( ― ) 約10 ( 11 ) 固260000
フォーバルテレコム 7 ( 3 ) 7 ( 3 ) ■固252500
エスケーアイ□K 約60 ( 32 ) 約30 ( 22 ) 固236500
GMOインターネットグループ〓□※5 ― ( 5 ) 12 ( 5 ) 固591675
ベネフィットジャパン 未 ( 5 ) 未 ( 5 ) 固233800
日立システムズパワーサービス□ 37 ( 39 ) 約35 ( 36 ) 250000
ティーガイア〓□※6 約150 ( 103 ) 約120 ( 59 ) ■250000
JCOM□K 155 ( 152 ) 150 ( 145 ) 220000
朝日ネット〓□K※3 10 ( 10 ) 10 ( 9 ) 年固380.4万
日本通信 約10 ( 14 ) ― ( 13 ) 265000
クロップス 55 ( 35 ) 44 ( 28 ) ■固226800
フォーバル・リアルストレート□ ― ( ― ) 3 ( 3 ) 固250000
インターネットイニシアティブ 約200 ( 176 ) 約200 ( 176 ) ■◇固256667
サイバーリンクス□※7 約30 ( 19 ) 約20 ( 12 ) 230000
日本情報通信 約50 ( 46 ) 約50 ( 46 ) ■◇251800
ファイバーゲート□※8 10 ( 7 ) 約10 ( 7 ) 固240000
ブロードエンタープライズ 20 ( 7 ) 20 ( 7 ) 205000
日本IBMグループ 約850 ( 810 ) ― ( 785 ) 286000
BIPROGY□ 未 ( 150 ) 約160 ( 150 ) 264000
PFU□K 42 ( 53 ) 42 ( 51 ) ◇245000
アイ・エス・ビー□ 約60 ( 64 ) 約60 ( 31 ) ◇230300
シーイーシー□K 110 ( 110 ) 110 ( 110 ) ■235000
DTS□ 200 ( 184 ) 200 ( 179 ) ◇238000
ビジネスブレイン太田昭和 約50 ( ― ) 約50 ( 47 ) ◇固293500
システムディ□ 20 ( 21 ) 20 ( 18 ) 固243124
コアコンセプト・ 65 ( 50 ) 約65 ( 50 ) 固252200
テクノロジー□K
サークレイス 未 ( 13 ) 未 ( 12 ) 268214
エレコム 50 ( 44 ) 約50 ( 44 ) ■235000
デジタルアーツ 30 ( 21 ) 30 ( 21 ) 固288000
エンカレッジ・テクノロジ 8 ( 6 ) 8 ( 6 ) ■◇固278970
PCIソリューションズ 約60 ( 63 ) 58 ( 63 ) 245000
キャピタル・アセット・プランニング 20 ( 18 ) 約20 ( 18 ) 年固380万
コンピュータマインド 3 ( 0 ) 若 ( 0 ) ―
テクノスジャパン 60 ( 52 ) 60 ( 51 ) 固313000
日本プロセス□K 60 ( 60 ) 約60 ( 60 ) 250000
ニーズウェル□ 75 ( 40 ) 75 ( 40 ) 220000
AGS□ 50 ( 48 ) 約50 ( 47 ) 250000
エムケイシステム 0 ( 5 ) 0 ( 5 ) 236000
シノプス□ 7 ( 10 ) 7 ( 10 ) ◇固254000
エコモット□ 2 ( 1 ) 2 ( 1 ) ◇固208000
メディカル・データ・ビジョン□ 20 ( 22 ) 約20 ( 22 ) 年固337.5万
アイビーシー□ 7 ( 5 ) 7 ( 4 ) ■固261639
イーソル□ 30 ( 17 ) 30 ( 17 ) 223000
SCSK Minoriソリューションズ□ 68 ( 68 ) 68 ( 68 ) 245500
システムインテグレータ□ 約10 ( 9 ) 約10 ( 9 ) ■◇222000
カオナビ 13 ( 8 ) 13 ( 6 ) 年固450万
大和コンピューター□ 15 ( 9 ) 15 ( 9 ) 231000
フィーチャ 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
エコミック□ ― ( 4 ) 約10 ( 4 ) 固230000
勤次郎□K 約20 ( 10 ) 約20 ( 10 ) ■235000
オービック 165 ( 165 ) 165 ( 165 ) 350000
ファインデックス※6 未 ( 6 ) 未 ( 5 ) 250000
シリコンスタジオ□ 約5 ( 3 ) 約5 ( 1 ) 固240000
福井コンピュータグループ 30 ( 25 ) 30 ( 25 ) ■固335917
カプコン 180 ( 171 ) 未 ( 100 ) 300000
エイチームホールディングス□ 約10 ( 5 ) 約10 ( 5 ) 固275000
いい生活 16 ( 18 ) 16 ( 18 ) ■固280549
GMOペパボ 13 ( 7 ) 13 ( 7 ) 固593000
NSW□※9 170 ( 127 ) 170 ( 110 ) 270000
ユニリタ 14 ( 13 ) 14 ( 13 ) ■年固353万
ダイコク電機□ 約5 ( 7 ) 約5 ( 7 ) ■◇239000
ベース 160 ( 135 ) 160 ( 135 ) ■年固300万
ウルシステムズ□ 約20 ( 17 ) 約20 ( 17 ) 固300510
サーバーワークス□ 約30 ( 15 ) 約30 ( 15 ) ■固273800
インフォネット 未 ( 10 ) 未 ( 10 ) ◇年固300万
ヴィッツ□ 20 ( 18 ) 約20 ( 13 ) ◇234500
フレクト 約40 ( 44 ) 約40 ( 44 ) 固395000
システムソフト 6 ( 6 ) 5 ( 5 ) 年276万
フォーカスシステムズ□ 約80 ( 98 ) 約80 ( 92 ) 240000
ランドコンピュータ□ 40 ( 35 ) 40 ( 35 ) 250000
チエル 4 ( 4 ) 4 ( 4 ) ■◇257500
日本オラクル 未 ( ― ) 約15 ( 9 ) 年固464万
アイサンテクノロジー□ 約10 ( 3 ) 約10 ( 3 ) ■225000
コ ア 約70 ( 64 ) 約65 ( 59 ) ◇240000
クレスコ□ 約150 ( 125 ) 約150 ( 99 ) ■256000
NECネッツエス 約200 ( 167 ) 約200 ( 145 ) ◇254200
アイ□SK
菱友システムズ□ 60 ( 34 ) 60 ( 30 ) 260800
協立情報通信 20 ( 6 ) 約10 ( 3 ) ◇220000
AnyMind Group□ 約60 ( 40 ) 約60 ( 40 ) ■固300000
monoAI technology 11 ( 16 ) 11 ( 16 ) 固250000
コムチュア 200 ( 193 ) 約200 ( 193 ) ◇固270000
コンピューターマネージメント〓□SK 23 ( 20 ) 23 ( 17 ) ■223000
TDCソフト□ 205 ( 181 ) 205 ( 160 ) 250000
セキュア□ 10 ( 9 ) 約10 ( 9 ) ■固244700
gooddaysグループ 50 ( 40 ) 約50 ( 40 ) ■230000
ウチダエスコ〓□※3 ― ( 16 ) 約20 ( 16 ) ■244000
ソフトクリエイトホールディングス□ 約100 ( 128 ) 約100 ( 128 ) 280000
オービーシステム□ 54 ( 49 ) 54 ( 42 ) 235000
YE DIGITAL□ 15 ( 14 ) 15 ( 14 ) ■265000
テクマトリックス〓□ 約30 ( 22 ) 約30 ( 22 ) ■◇214000
アドソル日進 60 ( 49 ) 60 ( 49 ) ◇260000
東和ハイシステム□ 18 ( 10 ) 18 ( 10 ) 固262000
インタートレード□ 約10 ( 6 ) 約10 ( 5 ) 250000
アイ・ユー・ケイ 約10 ( 9 ) 約10 ( 9 ) 255000
アドバンスト・メディア 約20 ( 15 ) 約20 ( 15 ) 年固330万
クエスト□※10 約55 ( 47 ) 約55 ( 47 ) 227000
IDグループ〓□SK 146 ( 107 ) 146 ( 107 ) 246000
ソケッツ ― ( 0 ) 若 ( 0 ) 250000
アルゴグラフィックス※11 30 ( 30 ) 約30 ( 30 ) 固252200
Photosynth□ 約10 ( 9 ) 約10 ( 9 ) ―
アルファシステムズ□ 180 ( 180 ) 180 ( 180 ) ◇249500
フューチャー 約220 ( 108 ) 約220 ( 108 ) 固330000
シンプレクス・ホールディングス 300 ( 225 ) 300 ( 225 ) ■固425000
三菱電機ソフトウエア□K 約250 ( 259 ) 約250 ( 259 ) ◇255000
シーエーシー□S 100 ( 108 ) 93 ( 100 ) ◇235000
トーセ 約30 ( 23 ) 未 ( 7 ) ◇190500
オービックビジネスコンサルタント 120 ( ― ) 約120 ( 104 ) ■290000
jig.jp 約10 ( 7 ) ― ( 1 ) 固302000
網 屋□ 24 ( 26 ) 24 ( 20 ) 年固376万
ソフトマックス〓□※12 約20 ( 5 ) 18 ( 4 ) 306000
日本ヒューレット・パッカード ― ( 55 ) ― ( 55 ) 256300
東計電算□ 約55 ( 49 ) 55 ( 47 ) ◇224000
昭和システムエンジニアリング□ 50 ( 36 ) 50 ( 36 ) 240000
日興システムソリューションズ 約50 ( 51 ) 約50 ( 51 ) 286000
各社別の数字は2026年春の計画、カッコ内は25年春の実績見込み。「―」は公表していないもの、算出できないもの、内訳不明(区分なし)など。「若」は若干、「未」は未定、「並」は25年春並み、「増」は25年春に比べて採用増の方針、「減」は同じく採用減。総合計は大卒(大学院)、短大・専門学校・高専卒、高卒などの合計で中卒は含まず。□は計画大卒に短大・専門学校・高専卒含む、□Kは高専卒含む、□Tは短大卒含む、□Sは専門学校卒含む。初任給は2025年大卒。■は初任給が総合職◇は前年実績。年は年俸。固は固定残業代を含む。企業掲載順は順不同。3月13日現在
<数表>採用計画2270社本社調査、素材・エネルギー、エレクトロニクス(1)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 27ページ 11064文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
東京電力ホールディングス 約750 ( 750 ) 未 ( 435 ) ◇255500
関西電力/関西電力送配電 500 ( 488 ) ― ( 314 ) 255300
中部電力※1 未 ( 459 ) 未 ( 255 ) ◇237000
九州電力□ 約285 ( 289 ) 約170 ( 176 ) 250000
東北電力/東北電力ネットワーク 270 ( 273 ) ― ( 139 ) ◇224000
中国電力/中国電力ネットワーク 約245 ( 252 ) ― ( 133 ) ◇226000
四国電力/四国電力送配電 140 ( 135 ) 85 ( 81 ) ◇224000
北海道電力/北海道電力ネットワーク※2 198 ( 188 ) ― ( 133 ) ◇225000
北陸電力※3 120 ( 119 ) 88 ( 85 ) ■◇225000
沖縄電力 40 ( 33 ) 30 ( 26 ) ◇210500
Jパワー 未 ( 100 ) ― ( 81 ) ◇277800
リニューアブル・ジャパン 22 ( 12 ) 10 ( 6 ) 固264000
東京ガス 未 ( 118 ) 未 ( 104 ) ■◇260000
大阪ガス 70 ( 73 ) 70 ( 73 ) ◇227000
東邦ガス□K 90 ( 96 ) 66 ( 74 ) ■◇245000
西部ガス 未 ( 35 ) 未 ( 20 ) ◇230000
広島ガス ― ( 14 ) 15 ( 13 ) ■◇232000
京葉ガス 約20 ( 23 ) 未 ( 22 ) ■◇226110
北海道ガス 未 ( 32 ) 約20 ( 25 ) 231600
北陸ガス 16 ( 7 ) 16 ( 7 ) 220150
TOKAIグループ□SK 112 ( 134 ) 112 ( 128 ) ■◇240000
日本ガス□ 65 ( 64 ) 50 ( 58 ) 240000
K&Oエナジーグループ※4 約15 ( 18 ) ― ( 12 ) ■◇228310
レノバ 5 ( 6 ) 5 ( 6 ) 固370000
静岡ガス 30 ( 34 ) 25 ( 33 ) 270000
ENEOS 368 ( 318 ) 158 ( 156 ) ■◇287000
出光興産※5 約140 ( 130 ) 約60 ( 70 ) 341000
コスモ石油 約100 ( 103 ) 約30 ( 35 ) ■330000
伊藤忠エネクス 15 ( 14 ) 15 ( 14 ) ■◇260000
太陽石油□K 約30 ( 32 ) 約20 ( 23 ) ◇260000
三愛オブリ 35 ( 28 ) 24 ( 19 ) ■265000
大丸エナウィン 約5 ( 3 ) 約5 ( 3 ) ■固241100
Misumi□ 30 ( 26 ) 20 ( 19 ) 215000
MORESCO 5 ( 3 ) 5 ( 3 ) ■238900
石油資源開発□ 40 ( 32 ) 31 ( 27 ) ◇261872
富士石油 20 ( 20 ) 6 ( 5 ) ◇254000
INPEX ― ( 66 ) ― ( 49 ) ■◇321000
ミツウロコヴェッセルグループ□ ― ( 21 ) 約30 ( 17 ) ■◇270000
サーラグループ 71 ( 77 ) 約60 ( 66 ) ■◇240000
メタウォーター 60 ( 63 ) 35 ( 42 ) ■253000
日本製鉄グループ□K 未 ( 1091 ) 未 ( 568 ) ◇265000
JFEスチール 515 ( 482 ) 215 ( 200 ) ■300000
神戸製鋼所 未 ( 353 ) 未 ( 150 ) ■◇257060
中山製鋼所 未 ( 13 ) 未 ( 6 ) ◇251860
合同製鉄 10 ( 8 ) 10 ( 8 ) ■◇270000
大同特殊鋼 100 ( 91 ) 35 ( 35 ) ◇218000
プロテリアル 20 ( 20 ) 20 ( 20 ) ■◇250600
愛知製鋼□K 65 ( 61 ) 20 ( 19 ) ■◇254000
山陽特殊製鋼□ 50 ( 58 ) 15 ( 23 ) ■◇243000
日本冶金工業□K 40 ( 28 ) 20 ( 10 ) ■◇256000
三菱製鋼 28 ( 30 ) 11 ( 17 ) ■◇248100
新日本電工□K 25 ( 16 ) 10 ( 7 ) ■◇247320
日本金属 ― ( 5 ) 10 ( 5 ) ◇218000
UEX 未 ( 0 ) 4 ( 0 ) ■◇230000
東北特殊鋼□K 16 ( 5 ) 6 ( 2 ) ■237200
モリテックスチール 若 ( 7 ) 若 ( 5 ) ■◇226240
淀川製鋼所 未 ( 30 ) 21 ( 21 ) ■◇242000
東京製鉄□K 36 ( 41 ) 6 ( 5 ) ■◇253790
丸一鋼管 ― ( 21 ) 若 ( 4 ) ◇259500
東京製綱□K 約10 ( 3 ) 約10 ( 3 ) ■◇235700
東京鉄鋼□ 24 ( 21 ) 16 ( 10 ) ■◇223000
大和工業グループ 未 ( 16 ) 15 ( 9 ) ◇262300
共英製鋼 約30 ( 28 ) 10 ( 10 ) ◇250000
中部鋼鈑 11 ( 10 ) 3 ( 6 ) 240940
大阪製鉄□K 未 ( 11 ) 若 ( 6 ) ■◇250000
日本精線 16 ( 14 ) 6 ( 4 ) ■◇231500
虹 技 未 ( 11 ) 未 ( 4 ) ■◇239000
日本軽金属□TS 88 ( 72 ) 53 ( 49 ) ■◇241000
アルコニックス 6 ( 5 ) 6 ( 5 ) 305000
三菱マテリアル〓※6 76 ( 88 ) 76 ( 88 ) ■◇257000
三井金属※7 約55 ( 49 ) 約50 ( 48 ) ■◇254000
住友金属鉱山 約80 ( 62 ) 約80 ( 62 ) ■260000
DOWAホールデ 70 ( 66 ) 70 ( 65 ) ■◇254000
ィングス□K
日鉄鉱業□K 約30 ( 28 ) 約20 ( 20 ) ■◇253000
東邦亜鉛※8 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ■◇228000
田中貴金属グループ 76 ( 66 ) 46 ( 35 ) ■275400
エス・サイエンス 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
AREホールディングスグループ〓□K ― ( 15 ) 約20 ( 15 ) ■280000
中外鉱業グループ□TS 20 ( 16 ) 約20 ( 13 ) ◇年固379万
大 電 ― ( 9 ) 約10 ( 3 ) ■◇223600
石福金属興業 約10 ( 5 ) 6 ( 2 ) ■◇257000
エンビプロ・ホールディングス□ 5 ( 5 ) 約5 ( 5 ) ■◇212310
清鋼材 若 ( 0 ) 若 ( 0 ) ■200000
東洋製缶グループ□ 108 ( 93 ) 107 ( 91 ) 247000
ネツレン□ 50 ( 20 ) 26 ( 13 ) 224200
中国工業※9 若 ( 3 ) 若 ( 0 ) ■275000
サンコール 未 ( 3 ) 未 ( 3 ) ◇226400
日本フイルコン 未 ( 2 ) 6 ( 2 ) ■229000
トーカロ□K 約40 ( 38 ) 約20 ( 21 ) ■◇263000
元旦ビューティ工業□※5 9 ( 5 ) 5 ( 3 ) 230000
CKサンエツ 30 ( 27 ) 30 ( 26 ) 244000
オーネックス□ 16 ( 3 ) 13 ( 1 ) ■220000
放電精密加工研究所 未 ( 12 ) 約20 ( 10 ) ■212000
三菱ケミカル 137 ( 94 ) 125 ( 81 ) ■◇260000
旭化成グループ 約375 ( 381 ) 約230 ( 244 ) ■◇259520
住友化学※10 未 ( 94 ) 未 ( 65 ) ◇256000
UBE□K 101 ( 74 ) 63 ( 38 ) ■◇258000
三井化学 約240 ( 222 ) 約120 ( 120 ) ■256000
クラレ□K 未 ( 118 ) 未 ( 98 ) ◇270000
デンカ□K 未 ( 85 ) 約40 ( 34 ) ■◇247570
カネカ 128 ( 115 ) 65 ( 61 ) ◇243000
三菱ガス化学 約90 ( 83 ) 約70 ( 66 ) ■◇275125
信越化学工業□K 100 ( 108 ) 100 ( 108 ) ■272450
日産化学 45 ( 42 ) 45 ( 42 ) ■◇266600
ダイセル□K 約50 ( 56 ) 約30 ( 35 ) ◇250000
日本ゼオン 40 ( 73 ) 13 ( 31 ) ■◇264150
クレハ 未 ( 42 ) 14 ( 25 ) ◇251500
日本触媒 87 ( 77 ) 39 ( 50 ) ◇255800
ADEKA※5 約75 ( 68 ) 約55 ( 56 ) ■◇264290
日 油□K 未 ( 75 ) 約50 ( 47 ) ■257300
日本化薬 58 ( 58 ) 30 ( 40 ) 248000
本州化学工業 未 ( 7 ) 7 ( 6 ) ◇238000
森 六□S※11 未 ( 15 ) 未 ( 15 ) ■◇240000
積水化学グループ 約820 ( 671 ) 約750 ( 619 ) ■255000
レゾナック ― ( ― ) 139 ( 94 ) ◇250000
住友ベークライト□SK ― ( 46 ) 35 ( 31 ) ■◇242530
大倉工業 約55 ( ― ) 約30 ( 22 ) ■◇233450
積水化成品工業 10 ( 7 ) 約10 ( 7 ) 232100
エフピコグループ□ 220 ( 168 ) 約60 ( 64 ) ■◇238100
積水樹脂 28 ( 14 ) 20 ( 13 ) ■◇243000
ニチアス 約85 ( 83 ) 約55 ( 53 ) ■◇253000
ロンシール工業〓□K 15 ( 9 ) 約10 ( 5 ) 220200
フクビ化学工業□ 約10 ( 11 ) 8 ( 8 ) ■◇220900
リケンテクノス 未 ( 25 ) 約20 ( 10 ) ■◇257430
信越ポリマー 未 ( 28 ) 約10 ( 8 ) ■◇240000
天昇電気工業〓□※12 35 ( 20 ) 20 ( 17 ) ■220040
前沢化成工業□ 16 ( 8 ) 11 ( 4 ) ■220600
堺商事 6 ( 2 ) 6 ( 2 ) ■260000
永大化工 6 ( 5 ) 6 ( 4 ) ◇215000
ミライアル□K 15 ( 8 ) 約5 ( 0 ) ■235000
ダイキョーニシカワ□ 約70 ( 55 ) 約30 ( 28 ) ◇213600
ニックス 7 ( 3 ) 4 ( 3 ) ■225000
ブリヂストン 未 ( 240 ) 未 ( 70 ) ■◇264200
横浜ゴム□ 101 ( 103 ) 約50 ( 51 ) ■◇230600
住友ゴム工業□K 未 ( 135 ) 59 ( 44 ) ■◇234100
TOYO TIRE 35 ( 33 ) 約35 ( 33 ) ■◇237700
オカモト※13 未 ( 34 ) 未 ( 13 ) ■◇243300
住友理工 未 ( 145 ) 58 ( 73 ) ■◇216500
三ツ星ベルト 41 ( 42 ) 25 ( 27 ) ■◇254600
バンドー化学□ 53 ( 46 ) 30 ( 29 ) 254800
藤倉コンポジット 未 ( 12 ) 若 ( 2 ) ■◇216500
西川ゴム工業 未 ( 30 ) 約20 ( 20 ) 250000
クリヤマジャパン 未 ( 7 ) 未 ( 6 ) ■◇232000
クリエートメディック 7 ( 4 ) 6 ( 3 ) ■◇226100
フコク 28 ( 22 ) 13 ( 12 ) ■◇250200
イクヨ 未 ( 6 ) 未 ( 2 ) ■◇218000
ニチリン 8 ( 11 ) 5 ( 5 ) ■◇241000
朝日ラバー 9 ( 1 ) 6 ( 1 ) ■207200
ENEOSマテリアル□ 34 ( 31 ) 11 ( 10 ) ■◇262000
クミアイ化学工業 25 ( 27 ) 20 ( 24 ) ◇236600
日本農薬 13 ( 16 ) 13 ( 16 ) ◇251200
北興化学工業 21 ( 23 ) 13 ( 16 ) ■◇221000
アグロカネショウ 4 ( 7 ) 4 ( 7 ) 238000
AGC 未 ( 203 ) 約120 ( 129 ) ■282472
セントラル硝子 27 ( 33 ) 22 ( 28 ) ■◇262000
日本板硝子 約45 ( 41 ) 約30 ( 23 ) ■◇256600
日本電気硝子 ― ( 58 ) 約30 ( 33 ) ■◇261000
日本山村硝子 22 ( 20 ) 10 ( 9 ) ■245000
石塚硝子 若 ( 9 ) 若 ( 3 ) ■230000
クアーズテック 37 ( 18 ) 6 ( 7 ) ◇249400
□K
DIC 73 ( 60 ) 45 ( 36 ) ◇251720
artience 45 ( 40 ) 30 ( 33 ) ■◇255510
大日精化工業 約70 ( 49 ) 約30 ( 26 ) 267000
サカタインクス 25 ( 24 ) 約20 ( 19 ) ■◇247100
東京インキ 13 ( 13 ) 5 ( 5 ) 241000
関西ペイント 未 ( 53 ) 未 ( 40 ) ■◇252200
日本ペイントグループ 26 ( 35 ) 約20 ( 27 ) 257320
藤倉化成 未 ( 3 ) 未 ( 2 ) ◇213000
太陽ホールディングス 28 ( 32 ) 約20 ( 26 ) 310000
ナトコ 約10 ( 7 ) 約10 ( 7 ) ◇243500
エスケー化研□K 45 ( 21 ) 25 ( 13 ) ■固260000
大伸化学□TS 若 ( 5 ) 若 ( 4 ) 223500
JCU□ 19 ( 11 ) 15 ( 9 ) 240000
東ソー□K 未 ( 166 ) 約90 ( 82 ) ■◇268975
トクヤマ※14 約70 ( 73 ) 約35 ( 40 ) ■◇264000
東亜合成□ 50 ( 50 ) 50 ( 46 ) ■266000
日本曹達 未 ( 20 ) 15 ( 19 ) ■◇253700
大阪ソーダ〓□K※8 未 ( 15 ) 未 ( 5 ) ◇261000
関東電化工業 20 ( 21 ) 13 ( 13 ) ■242700
大陽日酸 70 ( 63 ) 約60 ( 52 ) ■253000
東邦アセチレン 若 ( 11 ) 若 ( 11 ) ■206500
高圧ガス工業 35 ( 9 ) 31 ( 7 ) ■◇231000
エア・ウォーター□ 約50 ( 88 ) 約50 ( 88 ) ■270000
東海カーボン 16 ( 4 ) 16 ( 4 ) ■◇240000
SECカーボン 若 ( 6 ) 若 ( 2 ) 238800
第一工業製薬 29 ( 18 ) 17 ( 12 ) ◇225010
コニシ※15 40 ( 23 ) 36 ( 20 ) ■◇260000
ニチバン 20 ( 17 ) 約20 ( 15 ) ■◇221950
リンテック 97 ( 91 ) 55 ( 45 ) ■◇245100
石原ケミカル□K 11 ( 10 ) 約10 ( 6 ) ■固244500
新田ゼラチン 9 ( 3 ) 6 ( 1 ) ◇239059
寺岡製作所 未 ( 5 ) 未 ( 5 ) ■◇223100
高砂香料工業□ 42 ( 32 ) 39 ( 29 ) ◇235200
保土谷化学工業 16 ( 16 ) 9 ( 6 ) ◇241950
日本ピグメント 9 ( 3 ) 9 ( 3 ) 220000
長谷川香料〓□K※5 27 ( 33 ) 24 ( 28 ) 235500
スガイ化学工業 5 ( 6 ) 3 ( 3 ) 240000
田岡化学工業 ― ( 16 ) 6 ( 10 ) ■232500
上村工業 20 ( 7 ) 17 ( 6 ) 240000
日本ガイシ 157 ( 158 ) 約130 ( 127 ) ■◇263000
日本化学工業 18 ( 16 ) 9 ( 6 ) ◇241700
三洋化成工業□ 未 ( 17 ) 約20 ( 8 ) ◇255500
住友精化 47 ( 27 ) 27 ( 21 ) ■244900
日本カーバイド工 18 ( 12 ) 15 ( 12 ) ■236000
業□K
荒川化学工業 未 ( 11 ) 15 ( 11 ) ■◇246000
堺化学工業 約15 ( 8 ) 約10 ( 5 ) ■◇240400
四国化成グループ 30 ( 28 ) 24 ( 20 ) ◇250000
日本パーカライジング□ 約40 ( 27 ) 26 ( 20 ) ■◇239210
TYK 14 ( 14 ) 約10 ( 10 ) ◇215633
三京化成 4 ( 4 ) 4 ( 4 ) ■◇236000
日本化学産業 12 ( 13 ) 若 ( 7 ) 241600
カーリット□ ― ( 19 ) 約15 ( 11 ) ■◇227040
有沢製作所□K 若 ( 15 ) 6 ( 6 ) ◇229090
戸田工業□K ― ( 10 ) 約10 ( 10 ) ◇229500
日本精化 約10 ( 4 ) 約5 ( 3 ) ◇270300
パーカーコーポレーション□ 16 ( 5 ) 16 ( 5 ) 250000
ハリマ化成グループ 20 ( 12 ) 13 ( 9 ) ◇240180
東京応化工業 ― ( 62 ) 約50 ( 38 ) ■◇242600
タイガースポリマー 約15 ( 11 ) 約10 ( 7 ) ■◇236400
大阪有機化学工業 22 ( 16 ) 12 ( 10 ) ◇230500
ヤスハラケミカル 3 ( 3 ) 3 ( 3 ) ◇228000
広栄化学 7 ( 6 ) 5 ( 5 ) 242000
ケミプロ化成□ 未 ( 3 ) 5 ( 3 ) ■◇224000
東洋合成工業□ 40 ( 39 ) 35 ( 31 ) 231000
メック 6 ( 6 ) 6 ( 6 ) ■257990
綜研化学□K 12 ( 6 ) 5 ( 3 ) ■◇237500
ソフト99コーポレーション 6 ( 5 ) 4 ( 2 ) ■246200
昭和化学工業 4 ( 2 ) 4 ( 2 ) ■240000
東レグループ※16 未 ( 408 ) 未 ( 281 ) ■◇256170
帝人グループ 未 ( 106 ) 未 ( 79 ) ■◇251640
萩原工業 19 ( 16 ) 5 ( 7 ) ◇220000
東洋紡/東洋紡エムシー 約50 ( 62 ) 約50 ( 62 ) ■◇235500
クラボウ□K 46 ( 33 ) 21 ( 21 ) ■◇244000
神 栄 約10 ( 4 ) 約10 ( 4 ) ■◇238040
ニッケ 未 ( 15 ) 約15 ( 9 ) 229500
トーア紡グループ 若 ( 0 ) 若 ( 0 ) ■230000
帝国繊維□ 13 ( 6 ) 約10 ( 3 ) ■◇250000
サカイオーベックス□ 約20 ( 16 ) 約10 ( 10 ) 215000
SUMINOE 20 ( 25 ) 約20 ( 25 ) ■221900
ダイニック 未 ( 9 ) 約10 ( 7 ) ■◇227000
セーレン 90 ( 56 ) 70 ( 43 ) ■固300000
小松マテーレ□ 約50 ( 28 ) 約30 ( 17 ) ■◇222400
ソトー 約10 ( 8 ) ― ( 7 ) ■◇235000
王子ホールディングス 87 ( 72 ) 87 ( 72 ) ■250000
日本製紙□K 未 ( ― ) 約40 ( 72 ) ■◇228400
大王製紙 100 ( 55 ) 67 ( 39 ) ■◇229600
北越コーポレーション□K 未 ( 20 ) 約20 ( 6 ) ◇224170
中越パルプ工業 未 ( 11 ) 15 ( 5 ) ■◇224730
レンゴー※17 120 ( 113 ) 55 ( 63 ) ■288000
トーモク□ 80 ( 45 ) 約30 ( 14 ) ■227000
ZACROS〓□K※18 未 ( 12 ) 18 ( 12 ) ■◇238500
ザ・パック※19 47 ( 34 ) 30 ( 21 ) ◇固263013
スーパーバッグ〓□S※20 未 ( 8 ) 約5 ( 5 ) ◇固257000
大石産業 未 ( 18 ) 未 ( 9 ) ■◇224400
ダイナパック 約30 ( 22 ) 約10 ( 10 ) ■◇221000
古林紙工 11 ( 13 ) 約10 ( 12 ) ◇233000
朝日印刷 未 ( 27 ) 約20 ( 14 ) 214000
セ キ□ 15 ( 13 ) 約10 ( 9 ) ■200000
イムラ ― ( ― ) 未 ( 5 ) 240000
トーイン 15 ( 14 ) 約10 ( 11 ) ◇210700
平和紙業 10 ( 6 ) 10 ( 6 ) 240000
【素材・エネルギーの注】 ※1 中部電力パワーグリッド、中部電力ミライズ含む ※2 2社計 ※3 計画大卒は高専専攻科卒含む ※4 関東天然瓦斯開発、大多喜ガス含む ※5 初任給は住宅手当含む ※6 本社採用のみ。初任給はライフプラン支援金含む ※7 本社採用のみ ※8 初任給はライフプラン支援金含む ※9 初任給は東京支社営業勤務者 ※10 初任給はクリエイティブスタッフ職 ※11 初任給は東京地区の住宅手当含む ※12 初任給は地域手当含む ※13 初任給は本社勤務 ※14 初任給は東京地区勤務者 ※15 初任給は住宅地域手当含む ※16 国内関係会社約40社含む ※17 初任給は東京本社勤務者 ※18 総合職のみ ※19 初任給は営業職 ※20 初任給は一律食事手当含む
日立製作所□K 815 ( 770 ) 770 ( 730 ) ■269000
東 芝 未 ( 560 ) 650 ( 470 ) 269000
三菱電機□K※1 1050 ( 1100 ) 800 ( 850 ) ■269000
富士電機 468 ( 454 ) 314 ( 278 ) 269000
明電舎□K ― ( 124 ) 未 ( 79 ) ■◇250000
安川電機□K 約110 ( 82 ) 約100 ( 64 ) ◇250000
シンフォニアテクノロジー□K 未 ( 102 ) 85 ( 82 ) ■◇250000
東光高岳 約70 ( 61 ) 約50 ( 40 ) ■◇242000
日新電機□ 105 ( 77 ) 54 ( 44 ) ■◇250000
ダイヘン□K 50 ( 30 ) 45 ( 29 ) ■◇250000
愛知電機 44 ( 29 ) 25 ( 16 ) ◇235000
オリジン 若 ( 6 ) 若 ( 5 ) ◇241000
戸上電機製作所〓□K 18 ( 16 ) 12 ( 8 ) ◇250000
東洋電機 19 ( 8 ) 14 ( 7 ) ■230000
パナソニックグループ※2 約1300 ( 1500 ) 約900 ( 1000 ) ■◇250000
キヤノン□ 約250 ( 244 ) 約215 ( 197 ) ◇250000
ソニーグループ〓※3 約1000 ( 1000 ) ― ( ― ) ■固313000
シャープ□K 未 ( ― ) 未 ( 260 ) ◇251000
セイコーエプソン 約300 ( 307 ) 約215 ( 241 ) ■◇253000
ブラザー工業 136 ( 109 ) 120 ( 90 ) ■◇247400
富士通ゼネラル〓□K 未 ( 52 ) 約60 ( 48 ) ◇250000
フジプレアム〓□SK 未 ( 5 ) 約10 ( 3 ) ■223000
アイホン□T 26 ( 22 ) 26 ( 22 ) ■◇236000
ツインバード 5 ( 2 ) 5 ( 2 ) 220000
電響社 5 ( 4 ) 5 ( 4 ) 固250000
JVCケンウッド□ 60 ( 61 ) 60 ( 58 ) ■◇250000
パイオニア 25 ( 8 ) 22 ( 8 ) ■◇250000
フォスター電機 20 ( 22 ) 約20 ( 21 ) ■◇250300
□K
TOA□K 約20 ( 22 ) 約20 ( 22 ) ◇235300
ウシオ電機□ 未 ( 7 ) 15 ( 6 ) ■250000
<数表>採用計画2270社本社調査、機械(2)、自動車、生活・サービス(2)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 28ページ 11512文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
日本エアーテック 16 ( 18 ) 4 ( 6 ) ■225000
三光合成□ 20 ( 15 ) 15 ( 13 ) ◇220170
C&Gシステムズ※10 8 ( 3 ) 8 ( 3 ) 275000
タクミナ 6 ( 6 ) 3 ( 2 ) ◇229000
コロナ□ 40 ( 32 ) 30 ( 23 ) ◇218000
イワキポンプ 27 ( 13 ) 22 ( 9 ) ■◇237630
前沢工業□ 20 ( 9 ) 17 ( 5 ) ■◇228480
昭和鉄工 未 ( 14 ) 未 ( 10 ) 242130
アドバネクス 20 ( 11 ) 5 ( 3 ) ■220000
日揮ホールディングス□K 140 ( 134 ) 140 ( 129 ) 250000
東洋エンジニアリング□K 約70 ( 59 ) 69 ( 59 ) ■247600
日本製鋼所〓□K※11 65 ( 49 ) 65 ( 49 ) ■◇241700
栗本鉄工所□ 約40 ( 36 ) 約30 ( 25 ) ■◇250000
東芝プラントシステム 70 ( 58 ) 60 ( 54 ) ◇232000
トーヨーカネツ□ 未 ( 16 ) 15 ( 10 ) ■265000
ササクラ□ 12 ( 7 ) 7 ( 4 ) ■◇239857
レイズネクスト 74 ( 54 ) 59 ( 42 ) 250000
日 工□ 43 ( 50 ) 34 ( 38 ) ■264600
中外炉工業 20 ( 14 ) 18 ( 13 ) ■271500
三菱重工業 約1030 ( 897 ) 約640 ( 588 ) ◇260000
IHIグループ 未 ( 343 ) 未 ( 199 ) ■◇270000
川崎重工業□K 未 ( 468 ) 未 ( 291 ) ◇260000
カナデビア□ 195 ( 113 ) 166 ( 88 ) ■◇257000
三井E&S 未 ( 61 ) 未 ( 32 ) ◇237700
住友重機械工業〓□K 176 ( 171 ) 138 ( 136 ) ■◇260190
佐世保重工業□T 28 ( 6 ) 8 ( 2 ) ■◇213000
サノヤスホールディングスグループ□ 25 ( 25 ) 15 ( 11 ) ■241000
名村造船所□K 43 ( 41 ) 20 ( 21 ) 253000
内海造船□ 22 ( 18 ) 7 ( 8 ) ■◇230000
赤阪鉄工所 6 ( 3 ) 2 ( 2 ) ◇220000
ジャパンマリンユナイテッド□ 約160 ( 105 ) 約80 ( 32 ) ■◇250000
新明和工業□K 未 ( 107 ) 74 ( 65 ) ■◇250000
東京計器□ 約90 ( 50 ) 約70 ( 34 ) ■◇210760
住友精密工業□K 未 ( 34 ) 13 ( 17 ) ■◇237000
ジャムコ 29 ( 30 ) 19 ( 18 ) ■◇237200
三井海洋開発 若 ( 10 ) 8 ( 10 ) 257900
コマツ 284 ( 295 ) 172 ( 186 ) 287300
古河機械金属□ 未 ( 41 ) 35 ( 28 ) ■251000
日立建機 未 ( 154 ) 未 ( 74 ) ◇260000
加藤製作所 26 ( 29 ) 20 ( 23 ) 233000
タダノ□K 未 ( 62 ) 約50 ( 45 ) 246000
コベルコ建機□K 35 ( 44 ) 約20 ( 30 ) ■290000
前田製作所 22 ( 18 ) 11 ( 7 ) 250000
技研製作所□ 25 ( 24 ) 約20 ( 15 ) 250000
オカダアイヨン〓※12 ― ( 7 ) 10 ( 7 ) 260500
ホソカワミクロン 24 ( 16 ) 12 ( 10 ) ◇230350
竹内製作所 約95 ( 47 ) 約30 ( 17 ) 255300
クボタ 480 ( 491 ) 250 ( 283 ) ■◇274000
ヤンマーグループ□K 約330 ( 320 ) 約240 ( 229 ) ■◇255000
井関農機□K 未 ( 11 ) 約15 ( 9 ) ■◇231000
やまびこ□K 17 ( 9 ) 17 ( 6 ) ■◇240570
タカキタ□ 8 ( 9 ) 7 ( 5 ) ◇220000
鳥羽洋行□ 22 ( 6 ) 約20 ( 5 ) ■固235900
横河ブリッジホールディングスグループ□K※6 59 ( 65 ) 59 ( 54 ) ■276000
川田工業□ 48 ( 34 ) 38 ( 17 ) ■◇263000
滝上工業□ 約10 ( 7 ) 8 ( 5 ) 235000
大谷工業 6 ( 2 ) 2 ( 0 ) ◇218000
タケダ機械□ 4 ( 2 ) 2 ( 0 ) ■220000
日本車両製造 10 ( 7 ) 0 ( 0 ) ■◇222800
近畿車両□ 約25 ( 17 ) 約10 ( 6 ) ◇223000
レシップホールディングス□K 22 ( 17 ) 約20 ( 16 ) ◇220000
小田原機器グループ 4 ( 6 ) 1 ( 4 ) 223000
タクマ□K 35 ( 34 ) 25 ( 22 ) ◇242180
栗田工業 30 ( 29 ) 30 ( 29 ) ◇250000
月島ホールディングスグループ□ 30 ( 32 ) 28 ( 31 ) ■◇242000
オルガノ□S 約45 ( 45 ) 約40 ( 43 ) ■◇269000
HORIBAグループ※13 約100 ( 107 ) 約80 ( 85 ) ◇245200
能美防災 80 ( 76 ) 75 ( 69 ) ■◇250000
ホーチキ□ 67 ( 83 ) 約60 ( 76 ) ◇231000
水道機工□K 約15 ( 7 ) 約15 ( 7 ) ◇235840
荏原実業 40 ( 19 ) 40 ( 19 ) ■255000
水ing□K 40 ( 30 ) 約40 ( 24 ) ■◇238000
【機械の注】 ※1 国内グループ計。初任給はアマダ ※2 初任給は住宅手当、技術職手当含む ※3 初任給は地域手当含む ※4 初任給は食事手当含む ※5 グループ約30社合計 ※6 計画大卒は高専専攻科卒を含む ※7 初任給は首都圏地域勤務者 ※8 初任給は愛知本社勤務者 ※9 初任給は営業職 ※10 初任給は東京勤務者の地域住宅手当含む ※11 総合職のみ ※12 初任給は東京勤務手当、住宅手当含む ※13 初任給は堀場製作所の京都本社勤務者
日産自動車 ― ( 873 ) ― ( 544 ) ◇250000
ホンダ 未 ( 869 ) 未 ( 656 ) 262300
三菱自動車□ 150 ( 255 ) 約150 ( 253 ) ◇246700
いすゞ自動車□K 265 ( 311 ) 150 ( 189 ) ■265000
SUBARU 未 ( 589 ) 未 ( 276 ) ■◇234000
日野自動車□ 約180 ( 97 ) 約80 ( 26 ) ■◇254000
ダイハツ工業 未 ( 231 ) 未 ( 125 ) 250000
スズキ※1 未 ( 705 ) 未 ( 423 ) ◇251000
UDトラックス 未 ( 135 ) 37 ( 38 ) 265000
ヤマハ発動機□ 300 ( 317 ) 210 ( 195 ) ◇250000
カワサキモータース□K 約100 ( 90 ) 約80 ( 62 ) ■◇260000
トヨタ車体 未 ( 420 ) 未 ( 94 ) ■◇254000
エイチワン 8 ( 7 ) 0 ( 2 ) 234970
ジーテクト□ 50 ( 27 ) 30 ( 10 ) ◇240000
矢崎総業 未 ( 343 ) 未 ( 128 ) ■◇240200
東海理化 118 ( 123 ) 約50 ( 48 ) 254000
小糸製作所 未 ( 102 ) 未 ( 58 ) ■230000
日本特殊陶業 未 ( 31 ) 未 ( 31 ) ■◇244000
沢藤電機□ 未 ( 16 ) 約10 ( 7 ) ◇230000
ミツバ□ 約120 ( 67 ) 約50 ( 28 ) ◇226000
エフテック 48 ( 28 ) 14 ( 7 ) ◇210370
ムロコーポレーション□ 未 ( 8 ) 未 ( 3 ) ■233000
住友電装 245 ( 247 ) 約160 ( 151 ) ■◇260000
アイシン 未 ( 518 ) 未 ( 264 ) ■◇258000
トピー工業 99 ( 79 ) 26 ( 24 ) ■250000
カヤバ□K 未 ( 76 ) 約40 ( 41 ) ■◇229500
ニッパツ□K 約150 ( 141 ) 約70 ( 71 ) ■◇230120
NOK※2 約90 ( 72 ) 約80 ( 70 ) ■◇232500
曙ブレーキ工業 未 ( 18 ) 未 ( 16 ) ■◇220000
フタバ産業 83 ( 89 ) 26 ( 32 ) ◇254000
リケンNPR 未 ( ― ) 10 ( ― ) ―
ジェイテクト 225 ( 172 ) 約120 ( 80 ) ■◇254000
愛三工業 70 ( 72 ) 33 ( 34 ) ■◇254000
ヨロズグループ□ 39 ( 26 ) 27 ( 24 ) ■◇225500
中央発条□K 30 ( 22 ) 15 ( 11 ) ■◇254000
ミクニ 35 ( 30 ) 15 ( 14 ) ■◇230000
ティラド 未 ( 39 ) 未 ( 18 ) ■◇239500
TPR 28 ( 20 ) 約15 ( 7 ) 240000
アーレスティ□ 14 ( 11 ) 14 ( 11 ) ◇230000
NITTAN※3 15 ( 7 ) 約10 ( 3 ) 226150
武蔵精密工業〓□SK ― ( 26 ) 18 ( 16 ) 250000
中央可鍛工業〓□K※4 15 ( 9 ) 5 ( 4 ) ◇220000
エフ・シー・シー□ 25 ( 14 ) 15 ( 8 ) ◇224600
SPK 10 ( 9 ) 約10 ( 9 ) ■230000
ユタカ技研□ 16 ( 6 ) 6 ( 6 ) 226033
ユニプレス 未 ( 38 ) 約20 ( 21 ) ■◇240000
オーハシテクニカ 5 ( 5 ) 5 ( 5 ) ■◇固248000
三ツ知 未 ( 2 ) 0 ( 0 ) ―
パイオラックス 未 ( 16 ) 約10 ( 7 ) ◇220000
豊田合成□K 165 ( 176 ) 90 ( 100 ) ■◇254000
トヨタ紡織□K 205 ( 255 ) 120 ( 178 ) ■◇254000
テイ・エス テック□S 約50 ( 49 ) 未 ( 46 ) ■◇240000
タチエス 59 ( 44 ) 19 ( 19 ) ■204500
ファルテック 28 ( 25 ) 8 ( 5 ) ■◇230900
アイシンシロキ〓□SK 43 ( 26 ) 18 ( 4 ) ■◇220000
ジェイテクトコラムシステム□ 16 ( 32 ) 3 ( 11 ) 227400
河西工業□ 約15 ( 5 ) 約15 ( 5 ) ◇223100
三桜工業□ 約30 ( 27 ) 約10 ( 4 ) ◇220700
カーメイト 10 ( 6 ) 10 ( 6 ) ■◇250000
原田工業 若 ( ― ) 若 ( ― ) 206000
SHOEI□T 未 ( 12 ) 1 ( 1 ) 202500
中央自動車工業 15 ( 16 ) 15 ( 16 ) ■240000
ヤナセ※5 189 ( 171 ) 74 ( 61 ) ■230000
ファミリー※6 12 ( 6 ) 9 ( 4 ) 230000
ケーユーホールディングス□ 88 ( 76 ) 約85 ( 62 ) ■固233300
VTホールディングス 3 ( 4 ) 3 ( 4 ) 259000
ホンダカーズ東葛 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ―
ネクステージ□ 410 ( 771 ) 約410 ( 760 ) ■固230000
軽自動車館 1 ( 0 ) 1 ( 0 ) ■◇350000
カネミツ 若 ( 6 ) 若 ( 6 ) 232000
【自動車の注】 ※1 初任給は技術職、事務職、営業職 ※2 総合職のみ ※3 初任給は一律住宅手当含む ※4 初任給は技術職、事務職 ※5 初任給は東京勤務者 ※6 初任給は基本給
東 急 未 ( 46 ) 未 ( 46 ) ■◇246500
近鉄グループホールディングス 30 ( 33 ) 約30 ( 33 ) ■262000
近畿日本鉄道〓□TK 約270 ( 249 ) 約170 ( 131 ) ■◇250500
東武鉄道 25 ( 17 ) 25 ( 17 ) ◇243000
西日本鉄道※1 未 ( 132 ) 約100 ( 123 ) 260000
阪急阪神ホールディングス 未 ( 48 ) 未 ( 48 ) 年固450万
西武ホールディングス 10 ( 9 ) 約10 ( 9 ) ■固320000
西武鉄道 未 ( 91 ) 未 ( 31 ) ■◇247000
名古屋鉄道□ 164 ( 159 ) 109 ( 83 ) ■◇年360万
京阪ホールディングス 未 ( 17 ) 未 ( 17 ) ■237000
京阪電気鉄道※2 未 ( 18 ) 未 ( 8 ) ◇214000
京成電鉄 89 ( 73 ) ― ( ― ) ■◇236200
京浜急行電鉄 未 ( 96 ) 未 ( 32 ) ■◇251000
小田急電鉄□ 約90 ( 92 ) 約50 ( 40 ) ■◇245500
南海電気鉄道 未 ( 30 ) 約20 ( 26 ) ◇234500
京王電鉄 95 ( 101 ) 25 ( 20 ) ■◇260000
広島電鉄 未 ( 16 ) 若 ( 11 ) ◇240000
京福電気鉄道 若 ( 5 ) 若 ( 3 ) ■◇217000
JR北海道 約270 ( 187 ) ― ( 99 ) ■◇199230
JR東日本※3 660 ( 702 ) ― ( 510 ) ■275300
JR東海□K 約600 ( 624 ) 約390 ( 367 ) ◇244100
JR西日本□TS 約750 ( 744 ) 約430 ( 397 ) ■253066
JR四国□ 135 ( 124 ) 約105 ( 87 ) ■217900
JR九州□K 170 ( 219 ) 80 ( 111 ) 212200
JR貨物 約230 ( 148 ) ― ( 43 ) ■◇224100
東京地下鉄 約230 ( 185 ) ― ( ― ) ■◇244800
日本航空□ ― ( 635 ) 約720 ( 619 ) ■◇251000
全日本空輸 815 ( 661 ) 未 ( 653 ) ■◇249557
近鉄エクスプレス ― ( ― ) 約50 ( 51 ) ◇248000
スカイマーク 約310 ( 241 ) ― ( ― ) ■250000
大和自動車交通□ 30 ( 20 ) 約30 ( 18 ) ■210000
国際興業 約40 ( 28 ) ― ( ― ) ■◇234000
神奈川中央交通〓※4 約60 ( 41 ) 約30 ( 22 ) ■250000
三重交通□T 35 ( 20 ) 約20 ( 16 ) ■◇240000
北海道中央バス 未 ( 9 ) 10 ( 7 ) ■240000
第一交通産業グループ□ 約40 ( 26 ) 約30 ( 17 ) ■◇固226000
日本通運※5 750 ( 629 ) 約400 ( 338 ) ■◇243300
山 九 480 ( 452 ) 180 ( 175 ) ■◇253890
福山通運グループ□※5 250 ( 124 ) 150 ( 76 ) ■◇225200
日 新□ 未 ( 62 ) 約60 ( 61 ) ■◇242000
センコーグループホールディングス 400 ( 320 ) 240 ( 191 ) ■◇247000
日本郵政グループ 未 ( 2670 ) 未 ( 1180 ) ■290300
トナミ運輸□ 約50 ( 31 ) 約30 ( 11 ) ■215400
丸全昭和運輸 80 ( 49 ) 未 ( 48 ) ■◇240000
丸 運□ 15 ( 10 ) 約15 ( 10 ) ◇202600
日本石油輸送 ― ( ― ) 7 ( 3 ) ■◇228930
ニッコンホールディングスグループ〓※6 約330 ( 203 ) 約150 ( 76 ) 229280
エスラインギフ□ 27 ( 13 ) 約15 ( 7 ) ■◇224510
岡山県貨物運送 若 ( 7 ) 若 ( 6 ) ◇固247000
トランコム 約40 ( 26 ) 約30 ( 18 ) 固243000
遠州トラック 20 ( 17 ) 10 ( 8 ) ■◇固256000
アルプス物流□ 約60 ( 43 ) 約30 ( 16 ) ■◇237000
アート引越センター□ 190 ( 166 ) 40 ( 31 ) ■固244000
センコン物流□ 20 ( 5 ) 20 ( 4 ) 202100
サカイ引越センター□※7 約400 ( 415 ) 約200 ( 200 ) ■231000
ハマキョウレックス□ 約30 ( 10 ) 25 ( 10 ) 220000
SBSホールディングス 10 ( 8 ) 10 ( 8 ) ◇226000
ヒガシトゥエンティワン 13 ( 12 ) 約10 ( 12 ) ■235000
ロジネットジャパン□TK 20 ( 20 ) 20 ( 19 ) ■350000
ロジスティード〓□K 約50 ( 49 ) 約50 ( 49 ) ■◇244299
西濃運輸 140 ( 129 ) 約60 ( 56 ) ■◇239250
ヤマト運輸 約515 ( 273 ) 約150 ( 87 ) ■◇229700
AZ-COM丸和グループ□※8 約380 ( 309 ) 約360 ( 278 ) ■230000
アサヒロジ 50 ( 36 ) 約20 ( 8 ) ■◇223400
京極運輸商事□ 未 ( 0 ) 若 ( 0 ) ■◇224000
SGホールディングス 未 ( 21 ) 約30 ( 21 ) ■◇248500
佐川急便□TS※9 約400 ( 232 ) 約150 ( 80 ) 262800
日本郵船□ 未 ( 74 ) 未 ( 72 ) ■◇323300
商船三井 約90 ( 85 ) 約80 ( 80 ) ◇315000
川崎汽船 約30 ( 42 ) 約30 ( 42 ) ■◇296400
NSユナイテッド海運 若 ( 5 ) 若 ( 5 ) ◇298700
飯野海運 ― ( 7 ) 7 ( 7 ) ■◇295710
兵機海運 5 ( 4 ) 5 ( 4 ) ■229600
明海グループ 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) ◇227000
栗林商船 4 ( 2 ) 4 ( 2 ) ■◇230500
日鉄物流 25 ( 28 ) 23 ( 28 ) ■252000
川崎近海汽船 若 ( 6 ) 若 ( 6 ) ■◇238000
内外トランスライン 約10 ( 2 ) 約10 ( 2 ) 235000
乾汽船 3 ( 3 ) 3 ( 3 ) ◇237000
鈴 与 ― ( 33 ) 約40 ( 33 ) ■◇270000
上 組 約100 ( 78 ) 約80 ( 55 ) ■260000
鴻池運輸□K※10 約40 ( 47 ) 約40 ( 47 ) ■242000
三菱倉庫 ― ( 42 ) 約40 ( 41 ) ■◇260000
三井倉庫ホールディングス 32 ( 32 ) 32 ( 32 ) ■260000
住友倉庫 未 ( 46 ) 未 ( 46 ) ■◇260000
日本トランスシティ□T 35 ( 26 ) 約30 ( 20 ) ■230000
宇 徳□ 約20 ( 13 ) 約20 ( 13 ) ■◇236800
渋沢倉庫 31 ( 27 ) 約30 ( 26 ) ■◇260000
名港海運□ 約25 ( 24 ) 23 ( 23 ) ■◇241000
ケイヒン□ 15 ( 9 ) 15 ( 9 ) ■◇227000
伊勢湾海運 15 ( 21 ) 15 ( 21 ) ■◇242000
ヤマタネ□ 20 ( 14 ) 20 ( 14 ) 230000
アサガミ□TS ― ( 6 ) 8 ( 6 ) ■235000
東陽倉庫 ― ( 17 ) 約15 ( 14 ) ■◇220000
中央倉庫※11 約20 ( 11 ) 約10 ( 7 ) 230000
鈴与シンワート 50 ( 43 ) 50 ( 43 ) ■260000
伏木海陸運送 11 ( 9 ) 5 ( 4 ) ■◇210000
杉村倉庫※12 5 ( 6 ) 5 ( 6 ) ■◇221000
丸八倉庫 1 ( 0 ) 1 ( 0 ) ■◇212000
タカセ 若 ( 1 ) 若 ( 1 ) ◇216100
安田倉庫 24 ( 19 ) 24 ( 19 ) ■260000
キユーソー流通システム□※13 未 ( 20 ) 約30 ( 17 ) 197000
エーアイテイー 15 ( 10 ) 15 ( 10 ) ■250000
中日本高速道路会社□※14 約110 ( 116 ) 約90 ( 95 ) ■268000
東日本高速道路会社 約130 ( 132 ) 約100 ( 105 ) ◇235500
西日本高速道路会社 約130 ( 123 ) 約90 ( 88 ) ■232500
空港施設□K 10 ( 6 ) 約10 ( 6 ) ■313000
SBS東芝ロジスティクス□ 25 ( 22 ) 25 ( 22 ) ■◇235000
ゼ ロ 未 ( ― ) 10 ( 10 ) ■230000
東 映 15 ( 16 ) 15 ( 16 ) ■◇257300
松 竹 15 ( 16 ) 15 ( 16 ) ◇255640
東急レクリエーション ― ( 6 ) 若 ( 6 ) ■◇228000
スバル興業□ ― ( 4 ) 7 ( 2 ) ■◇241000
東京テアトル 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) 211000
東京楽天地※15 3 ( 2 ) 3 ( 2 ) ■250000
JTBグループ□ ― ( 630 ) 未 ( 626 ) ■262000
東武トップツアーズ□ 約100 ( 109 ) 約100 ( 104 ) ■235000
日本旅行 約80 ( 80 ) 約80 ( 80 ) 240000
阪急交通社 80 ( 86 ) 約70 ( 79 ) ■◇217000
エイチ・アイ・エス〓※16 ― ( 492 ) ― ( 486 ) ■235000
HANATOUR JAPAN 未 ( 8 ) 未 ( 8 ) ◇235400
郵船ロジスティク 未 ( 63 ) 未 ( 63 ) ■261420
ス□TS
藤田観光 130 ( 142 ) 約70 ( 66 ) ■230000
ロイヤルホテル 100 ( 117 ) 約20 ( 21 ) ■212700
西武・プリンスホテルズワールドワイド 581 ( 630 ) 96 ( 114 ) ■260000
帝国ホテル 約170 ( 221 ) 約40 ( 83 ) ■◇233720
アメイズ□ 約18 ( 8 ) 約15 ( 7 ) ◇208000
グリーンズ□ 約15 ( 20 ) 12 ( 16 ) 235000
東京ドーム 23 ( 32 ) 23 ( 32 ) ■251290
東京都競馬□ 未 ( 7 ) 7 ( 5 ) ■241000
SANKYO□ 33 ( 28 ) 約30 ( 26 ) 300000
KeyHolder 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) 250000
ゲンダイエージェンシー 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ◇257000
アプライズ 1 ( 1 ) 1 ( 1 ) ―
オリエンタルランド□K 105 ( 106 ) 102 ( 102 ) 272000
ホリプログループ□ 約10 ( 7 ) 約10 ( 7 ) ■固300000
オリックスグループ□T 約300 ( 257 ) 約300 ( 255 ) ■300000
芙蓉総合リース〓※17 約40 ( 46 ) 約40 ( 46 ) ■290000
JA三井リース ― ( 37 ) 約40 ( 37 ) ■270000
三井住友ファイナンス&リース ― ( ― ) 120 ( 95 ) ■300000
東京センチュリー※18 約55 ( 61 ) 約55 ( 61 ) ■290000
昭和リース□ 23 ( 21 ) 23 ( 21 ) 260000
三菱HCキャピタル 75 ( 84 ) 75 ( 84 ) ■300000
みずほリース 未 ( 29 ) 未 ( 29 ) ■270000
中道リース 5 ( 6 ) 5 ( 5 ) ■◇固221000
カナモト 未 ( 50 ) 50 ( 31 ) 固240000
ユーピーアール〓□T 3 ( 2 ) 3 ( 2 ) ■250800
イチネングループ※19 59 ( 32 ) 48 ( 31 ) ■◇固275000
住友三井オートサービス 未 ( 56 ) 未 ( 56 ) ■270000
リコーリース 未 ( 20 ) 未 ( 20 ) ■260000
各社別の数字は2026年春の計画、カッコ内は25年春の実績見込み。「―」は公表していないもの、算出できないもの、内訳不明(区分なし)など。「若」は若干、「未」は未定、「並」は25年春並み、「増」は25年春に比べて採用増の方針、「減」は同じく採用減。総合計は大卒(大学院)、短大・専門学校・高専卒、高卒などの合計で中卒は含まず。□は計画大卒に短大・専門学校・高専卒含む、□Kは高専卒含む、□Tは短大卒含む、□Sは専門学校卒含む。初任給は2025年大卒。■は初任給が総合職◇は前年実績。年は年俸。固は固定残業代を含む。企業掲載順は順不同。3月13日現在
<数表>採用計画2270社本社調査、情報・通信(1)、機械(1)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 29ページ 11275文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
情報・通信
さくらケーシーエス 47 ( 45 ) 約40 ( 40 ) ■227000
エヌアイデイ※13 約90 ( 64 ) 78 ( 56 ) ■238700
サイバーコム□ 50 ( 88 ) 50 ( 45 ) 223000
I C ― ( 23 ) 約35 ( 21 ) 232500
図研エルミック〓□K 5 ( 6 ) 5 ( 6 ) 226000
クロスキャット 60 ( 59 ) 57 ( 57 ) 239000
コーエーテクモグループ□ 約200 ( 200 ) 約200 ( 200 ) ◇305000
キヤノンシステムアンドサポート〓□※14 ― ( 100 ) 約100 ( 94 ) ◇240000
NCD□ 約50 ( 48 ) 49 ( 45 ) ■固255000
ジィ・シィ企画□ 6 ( 4 ) 6 ( 1 ) 210000
ソルクシーズ□ 30 ( 38 ) 30 ( 33 ) 235000
セック 35 ( 33 ) 約35 ( 33 ) 固263100
インテリジェントウェイブ□ 約30 ( 27 ) 約30 ( 26 ) 260850
eBASE 未 ( 4 ) 未 ( 0 ) 年固303万
MITホールディングスグループ□ 42 ( 17 ) 40 ( 13 ) 227000
Amazia 若 ( 1 ) 若 ( 1 ) 年固340万
ティアンドエスグループ 30 ( 21 ) 27 ( 18 ) ―
ネクストウェアグループ 33 ( 31 ) 8 ( 3 ) 250000
ODKソリューションズ 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) 230000
アイル□ 約70 ( 68 ) 約70 ( 66 ) ■216000
イーエムシステムズ□ 約20 ( 25 ) 約20 ( 25 ) 242600
CIJ□※15 約60 ( 55 ) 約60 ( 48 ) ◇固255700
ビジネスエンジニアリング 20 ( 23 ) 20 ( 23 ) 261000
シイエヌエス 15 ( 22 ) 15 ( 22 ) 237600
ハイマックス□ 80 ( 80 ) 80 ( 66 ) 固260000
SIG□ 47 ( 44 ) 47 ( 35 ) 229000
ソリトンシステムズ□K 15 ( 14 ) 15 ( 13 ) ■固247000
トヨクモ 9 ( 5 ) 9 ( 5 ) 固320000
日本システム技術□※11 約90 ( 85 ) 約90 ( 84 ) ■固301282
シーエスアイ□ 40 ( 24 ) 40 ( 24 ) ■◇230000
東邦システムサイエンス※16 70 ( 47 ) 70 ( 47 ) 250000
マーブル 650 ( 500 ) ― ( ― ) ■235000
みずほリサーチ&テクノロジーズ ― ( 170 ) 未 ( 170 ) 260000
テリロジーグループ 33 ( 19 ) 31 ( 19 ) 252000
キューブシステム 約80 ( 70 ) 約80 ( 70 ) 230000
キヤノンITソリューションズ〓□SK 185 ( 206 ) 185 ( 198 ) ◇245000
システムリサーチ□ 約200 ( 174 ) 約200 ( 163 ) ◇233000
KADOKAWA 未 ( 29 ) 未 ( 29 ) 262000
ウェルス・マネジメント 未 ( 5 ) 若 ( 5 ) 230000
キヤノンマーケティングジャパン〓□K 150 ( 154 ) 150 ( 141 ) ◇245000
日本総合研究所□ 約340 ( ― ) 約340 ( 319 ) ■286000
JSOL 75 ( 66 ) ― ( 66 ) 265000
TIS 約250 ( 278 ) 約250 ( 278 ) ■250000
インテック□※6 約170 ( 149 ) 未 ( 143 ) 256300
キーウェアソリューションズ□S 50 ( 52 ) 約50 ( 48 ) ■222000
SCSK 350 ( 334 ) 350 ( 334 ) ■固320000
伊藤忠テクノソリューションズ□ ― ( 285 ) 約350 ( 274 ) 295500
アグレックス□ 約20 ( 22 ) 約20 ( 22 ) ■232000
日立ソリューションズ□SK 約220 ( 190 ) 約220 ( 188 ) ◇250000
三菱総研DCS□ ― ( 121 ) 約100 ( 121 ) ◇250000
トランスコスモス□※17 595 ( 612 ) 590 ( 567 ) 230000
SRAホールディングス 35 ( 30 ) 35 ( 30 ) ◇230000
日本ビジネスシス 150 ( 166 ) 約150 ( 162 ) 固250000
テムズ□K
日本総研情報サービス□ 約40 ( 42 ) 約40 ( 31 ) ■245000
デロイトトーマツグループ□ 約1100 ( 1120 ) 約1100 ( 1120 ) ◇年580万
かっこ 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ◇年固415万
エクスモーション□ ― ( ― ) 3 ( 1 ) 250000
コナミグループ〓※18 約260 ( 254 ) 約220 ( 219 ) ■300000
CCNグループ〓□S 約10 ( 12 ) 約10 ( 11 ) 固260000
ワンビ 2 ( 0 ) 2 ( 0 ) ◇224000
ノバシステム 約30 ( 45 ) 約30 ( 45 ) 238000
野村総合研究所〓※3 約500 ( 502 ) 約500 ( 502 ) 336500
三菱総合研究所 63 ( 69 ) 63 ( 69 ) ■◇254900
電通総研 130 ( 111 ) 約130 ( 111 ) 280000
SYSホールディングスグループ 未 ( 18 ) 約20 ( 10 ) 222000
構造計画研究所グループ□K ― ( 23 ) 約40 ( 23 ) ■280000
T&D情報システム□S 3 ( 5 ) 3 ( 4 ) 235320
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 約70 ( 58 ) 約70 ( 58 ) 267000
アイネス□ ― ( 50 ) 約60 ( 47 ) ■240000
TKC 124 ( 133 ) 100 ( 118 ) ◇243000
富士ソフト□ 約800 ( 817 ) 約770 ( 787 ) 238000
サイバネットシステム 10 ( 12 ) 10 ( 12 ) 260000
船井総研グループ 210 ( 185 ) 210 ( 185 ) ■固295000
カウリス 未 ( 2 ) 未 ( 2 ) ―
NSD□※19 150 ( 155 ) 約150 ( 131 ) 346000
ジャステック 120 ( 116 ) 108 ( 107 ) 230000
NCS&A□ ― ( 64 ) 35 ( 62 ) 固267820
KSK 240 ( 208 ) 約240 ( 208 ) 220000
スクウェア・エニックス※20 未 ( 46 ) 未 ( 43 ) 288000
タナベコンサルティング 約30 ( 15 ) 約30 ( 15 ) 固276500
アイネット□ 約60 ( 60 ) 約60 ( 56 ) ■245000
旭情報サービス 未 ( 146 ) 未 ( 107 ) ◇224500
ソフトウェア・サービス□S ― ( 156 ) 約170 ( 151 ) ■年固384万
大日本印刷□※21 約220 ( 219 ) 約200 ( 201 ) ◇252000
TOPPAN〓□K※22 約300 ( 405 ) 約300 ( 394 ) ◇254000
共同印刷□ 約40 ( 41 ) 約40 ( 33 ) ■◇240000
NISSHAグループ※23 42 ( 42 ) 27 ( 25 ) 255000
TAKARA&COMPANY□ 未 ( 24 ) 約30 ( 23 ) ■242100
ソノコム□ 10 ( 3 ) 10 ( 3 ) 223000
プロネクサス□ 15 ( 8 ) 15 ( 7 ) ◇226500
サンメッセ 20 ( 9 ) 約10 ( 5 ) ◇216600
広済堂グループ□ 18 ( 12 ) 18 ( 10 ) ◇215000
共立印刷 未 ( 13 ) 未 ( 1 ) 267679
日本創発グループ 未 ( 138 ) 未 ( 91 ) 240000
中本パックス□ 約25 ( 9 ) 約15 ( 8 ) ■230000
プリントネット 7 ( 4 ) 0 ( 1 ) 185000
学研グループ ― ( 208 ) 約220 ( 208 ) 260000
小学館 若 ( 17 ) 若 ( 17 ) 277120
ベネッセコーポレーション 未 ( 100 ) 未 ( 100 ) ◇215000
インプレスグループ□T 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) 固235000
アルバイトタイムス□ 約5 ( 2 ) 約5 ( 2 ) 固248300
アルファポリス ― ( 6 ) 約15 ( 6 ) 固235000
博報堂 120 ( 118 ) 120 ( 118 ) 年360万
大 広 30 ( 25 ) 30 ( 25 ) 234600
サイバーエージェント 未 ( 286 ) 約300 ( 280 ) ◇年504万
博報堂プロダクツ□ 未 ( 100 ) 未 ( 89 ) 固270000
北海道新聞社 約30 ( 23 ) 未 ( 23 ) ◇246100
河北新報社 ― ( 7 ) 約10 ( 5 ) 240200
日本経済新聞社〓※3 ― ( 74 ) 75 ( 74 ) ■305500
大塚商会 350 ( 330 ) 350 ( 320 ) 274000
JBCCグループ□ ― ( 72 ) 約70 ( 62 ) 262000
日立システムズ〓□K ― ( 284 ) 約320 ( 282 ) ■250000
日立システムズエンジニアリングサービス 66 ( 55 ) 66 ( 54 ) ◇250000
日本オフィス・システム 20 ( 11 ) 約20 ( 11 ) 240000
NECソリューションイノベータ〓□K 約500 ( 546 ) 約500 ( 537 ) ■◇254200
クリーク・アンド・リバー社□ 200 ( 180 ) 200 ( 171 ) ■固280000
ボルテージ 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) 固275030
カワセコンピュータサプライ 5 ( 2 ) 2 ( 0 ) ■210000
ピクセルカンパニーズ 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ◇234000
ハイパー ― ( 8 ) 4 ( 8 ) ■固239750
ベリサーブ 約100 ( 56 ) 約100 ( 56 ) 固254575
SocioFuture□K 約50 ( 43 ) 約40 ( 33 ) 260000
プロシップ□ 45 ( 26 ) 43 ( 25 ) 固290000
電算システム※24 47 ( 36 ) 46 ( 36 ) ◇265000
ヴィンクス 約120 ( 119 ) 約95 ( 110 ) 222000
gumi 0 ( 1 ) 0 ( 1 ) 年固372万
メディアドゥ□ 約10 ( 6 ) 約10 ( 6 ) ■年340万
オークネット〓※25 約10 ( 12 ) 約10 ( 12 ) ■◇231500
カヤック 7 ( 8 ) 7 ( 8 ) 固290000
うるる 15 ( 8 ) 15 ( 8 ) 245000
すららネット ― ( 2 ) 4 ( 2 ) 年固390万
Mマート□ 若 ( 2 ) 若 ( 1 ) 固350000
アクリート 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ―
丸紅I-DIGIOホールディングス□K 75 ( 64 ) 75 ( 64 ) 280000
兼松エレクトロニクス 約50 ( 37 ) 約50 ( 37 ) ■260000
アイティフォー□ 68 ( 39 ) 68 ( 39 ) ■◇251000
【情報・通信の注】 ※1 初任給は首都圏勤務者、独身者の住宅手当含む ※2 初任給は自己成長支援金、Workstyle支援金含む ※3 初任給は住宅手当含む ※4 初任給は東京勤務の地域手当含む ※5 初任給はNo.1&STEAM人財採用、新卒年収710万円プログラム適用者 ※6 初任給は地域手当含む ※7 初任給はエンジニア職 ※8 初任給は営業手当含む営業職 ※9 初任給は東京地区世帯主の住宅手当を含む ※10 初任給は首都圏勤務者 ※11 初任給は住宅手当、地域手当含む ※12 初任給はシステム開発職 ※13 初任給は住宅手当、生活応援手当含む ※14 初任給は勤務地コースがナショナルの場合 ※15 初任給は全国勤務者 ※16 計画大卒は高専専攻科卒、専門4年制卒を含む ※17 初任給は全国型の勤務者 ※18 グループ各社含む ※19 初任給は東京地区の地域手当含む ※20 初任給は確定拠出年金拠出可能額含む ※21 初任給は大都市圏勤務者 ※22 初任給は都市手当、ジョブチャレンジ手当含む ※23 初任給はNISSHA ※24 初任給は東京配属者 ※25 初任給はリモートワーク手当含む
機械
芝浦機械 未 ( 47 ) 未 ( 33 ) ■◇242150
DMG森精機 60 ( 59 ) 40 ( 37 ) ■300000
オークマ□K 約120 ( 103 ) 約90 ( 63 ) ◇232100
岡本工作機械製作所 未 ( 11 ) 未 ( 7 ) ■◇234400
ツガミ□K 20 ( 11 ) 20 ( 11 ) 275000
FUJI□ 46 ( 45 ) 33 ( 32 ) ■◇248000
ソディック□ 約30 ( 20 ) 約20 ( 9 ) ■241500
静 甲□ 16 ( 14 ) 13 ( 11 ) ■◇220000
安 永 15 ( 11 ) 10 ( 10 ) ■240000
ハーモニック・ドライブ・システムズ□ 14 ( 15 ) 8 ( 6 ) ◇241800
太陽工機□ 14 ( 14 ) 10 ( 10 ) 250000
西部電機 23 ( 32 ) 7 ( 16 ) ◇245000
旭ダイヤモンド工業 32 ( 23 ) 15 ( 10 ) 235200
ダイジェット工業 14 ( 2 ) 10 ( 1 ) ■215000
ヤマダコーポレーション 6 ( 8 ) 4 ( 5 ) ■◇231700
KTC ― ( 12 ) 10 ( 10 ) 235500
TONE 若 ( 8 ) 若 ( 4 ) 205300
富士精工 若 ( 6 ) 若 ( 4 ) ■215400
ディスコ 未 ( 166 ) 未 ( 140 ) ■369900
ヨシタケ 8 ( 1 ) 8 ( 1 ) ■◇226000
日東工器□ 25 ( 13 ) 25 ( 13 ) ■225730
リックス□ 28 ( 16 ) 26 ( 16 ) ■246500
アマダ□※1 約80 ( 81 ) 約50 ( 58 ) ■258200
リョービ 43 ( 49 ) 23 ( 31 ) ■◇230000
アイダエンジニアリング□ 30 ( 28 ) 15 ( 13 ) ■223500
新東工業 未 ( 63 ) 未 ( 35 ) ■◇245000
TOYOイノベッ 14 ( 5 ) 10 ( 3 ) ◇230000
クス□S
不二精機 8 ( 3 ) 4 ( 1 ) 230050
東京精密※2 85 ( 85 ) 42 ( 43 ) ◇278000
東亜ディーケーケー□ 10 ( 17 ) 7 ( 16 ) ■◇240000
HIOKI 20 ( 27 ) 16 ( 24 ) ◇250000
日本電計 約20 ( 13 ) 約20 ( 13 ) ■◇240000
浜松ホトニクス〓□K 未 ( 157 ) 約100 ( 97 ) ■◇237390
カナデビアエンジニアリング□ 27 ( 13 ) 18 ( 6 ) 246500
協立電機 約15 ( 9 ) 約10 ( 3 ) ■固239900
エー・アンド・デイ 未 ( ― ) 25 ( 21 ) ◇250000
長野計器 17 ( 17 ) 約10 ( 9 ) ■◇235000
小野測器□※3 30 ( 23 ) 25 ( 20 ) 254700
助川電気工業□K 10 ( 7 ) 3 ( 0 ) ■◇242410
椿本チエイン※4 73 ( 68 ) 41 ( 40 ) ■◇258000
ダイフク□TK 102 ( 96 ) 83 ( 79 ) ■275000
大同工業 25 ( 25 ) 15 ( 14 ) ■◇215170
オリエンタルチエン工業 若 ( 2 ) 若 ( 0 ) ◇206000
村田機械□K ― ( 105 ) 124 ( 67 ) ◇242000
ニッタ ― ( 23 ) 約20 ( 12 ) ■◇232000
ローツェ□K 約10 ( 12 ) 約10 ( 9 ) 252000
富士フイルムホールディングス※5 約1090 ( 1087 ) 約980 ( 980 ) ■◇280000
コニカミノルタ 100 ( 64 ) 95 ( 59 ) ◇248550
ニコン 150 ( 168 ) 125 ( 129 ) 247000
オリンパス 124 ( 110 ) 119 ( 104 ) 236000
トプコン□K 約30 ( 23 ) 約30 ( 23 ) ◇230000
タムロン□ 15 ( 16 ) 15 ( 14 ) ◇248300
セイコーグループ 約120 ( 114 ) 約80 ( 80 ) ■◇240000
シチズン時計 約20 ( 18 ) 約20 ( 18 ) ◇250000
スター精密 未 ( 15 ) 約20 ( 11 ) ◇237300
西川計測□ 15 ( 10 ) 15 ( 9 ) ■241100
島津製作所 97 ( 108 ) 92 ( 102 ) ◇266000
愛知時計電機 40 ( 31 ) 30 ( 21 ) ■◇227000
理研計器 未 ( 45 ) 未 ( 31 ) ◇244020
ジャノメ※6 27 ( 11 ) 20 ( 8 ) ■◇230000
JUKI 30 ( 15 ) 27 ( 12 ) ■247000
MUTOHホールディングスグループ□ 約10 ( 7 ) 8 ( 4 ) 224000
グラフテック 15 ( 15 ) 15 ( 15 ) ■230000
レーザーテック 約20 ( 12 ) 約20 ( 12 ) 275000
TOWA 52 ( 39 ) 43 ( 28 ) ■248000
タツミ 若 ( 3 ) 若 ( 0 ) ■◇208700
YUSHIN□ 13 ( 16 ) 12 ( 15 ) 265000
テルモ□ 約230 ( 212 ) 約180 ( 169 ) ◇233500
ナブテスコ 約80 ( 51 ) 約30 ( 31 ) ■◇250200
日本精機□ 約30 ( 33 ) 27 ( 30 ) ■◇230630
リコー□K 未 ( 119 ) 未 ( 116 ) ◇250000
リコージャパン〓□※7 250 ( 259 ) 235 ( 232 ) ■251000
アマノ□ 100 ( 56 ) 89 ( 48 ) ■◇240000
ローランドディージー□ 20 ( 21 ) 16 ( 18 ) ■267000
ミマキエンジニアリング 73 ( 66 ) 約60 ( 60 ) 235000
マキタ□ 146 ( 150 ) 119 ( 121 ) ■◇240000
小田原エンジニアリング□ 17 ( 7 ) 16 ( 5 ) ■◇235000
豊田自動織機 ― ( 516 ) 未 ( 218 ) ■◇254000
豊和工業□K 未 ( 16 ) 15 ( 11 ) ■◇213400
津田駒工業□TK 14 ( 7 ) 約10 ( 7 ) ◇206920
日阪製作所□K 約20 ( 22 ) 約10 ( 13 ) 240000
ヒラノテクシード□ 8 ( 6 ) 5 ( 3 ) ■◇233450
加地テック□ 5 ( 3 ) 3 ( 3 ) ◇221000
テクノスマート〓□K 9 ( 9 ) 6 ( 6 ) ■◇222240
島精機製作所□ 22 ( 21 ) 12 ( 7 ) ■◇220000
小森コーポレーション 34 ( 31 ) 22 ( 19 ) ◇240000
東京機械製作所□ 15 ( 7 ) 約10 ( 6 ) 221000
渋谷工業 未 ( 68 ) 未 ( 47 ) ■235000
東京自働機械製作所 4 ( 12 ) ― ( 9 ) ◇224200
明治機械 7 ( 4 ) 3 ( 1 ) ■220000
ゼネラルパッカー□ 8 ( 5 ) 6 ( 4 ) ◇230000
レオン自動機 30 ( 30 ) 23 ( 23 ) ◇230000
ダイハツディーゼル 39 ( 36 ) 24 ( 22 ) 236000
阪神内燃機工業 13 ( 8 ) 8 ( 6 ) ■222000
ジャパンエンジンコーポレーション□※4 15 ( 13 ) 10 ( 9 ) ◇247000
モリタグループ〓□K 55 ( 31 ) 29 ( 20 ) ■260930
CKD□K 未 ( 91 ) 未 ( 65 ) ■◇235000
トリニティ工業 約55 ( 26 ) 約35 ( 23 ) ■239000
グローリー□ 83 ( 92 ) 64 ( 70 ) ■◇243500
AIRMAN□ 30 ( 30 ) 約20 ( 20 ) ■◇265000
ホシザキグループ※8 約250 ( 193 ) 約210 ( 159 ) ◇235600
サンデン□SK ― ( ― ) 26 ( 14 ) 220500
瑞 光 約10 ( 10 ) 約5 ( 6 ) 228500
ダイニチ工業〓□※9 13 ( 11 ) 7 ( 6 ) 245400
芝浦メカトロニクス 未 ( 19 ) 25 ( 16 ) ■◇250000
中央製作所□ 若 ( 1 ) 若 ( 1 ) ◇220000
正興電機製作所〓□K 24 ( 21 ) 約20 ( 17 ) ◇250000
カワタ□ 5 ( 4 ) 4 ( 4 ) ■221000
日本金銭機械□ 7 ( 5 ) 5 ( 4 ) 225000
ミスミ 60 ( 60 ) 60 ( 60 ) ■固303000
KLASS□ 9 ( 9 ) 6 ( 6 ) ◇211000
鉱研工業□ 7 ( 3 ) 7 ( 2 ) 218168
ワイエイシイホールディングス□K 10 ( 3 ) 10 ( 3 ) 232100
不二電機工業□ 未 ( 4 ) 5 ( 2 ) ◇250000
イワブチ 未 ( 7 ) 4 ( 5 ) 230000
フリュー□ 約15 ( 13 ) 約15 ( 12 ) 267000
帝国電機製作所□ 15 ( 10 ) 11 ( 6 ) ■◇233600
日本トリム 7 ( 5 ) 7 ( 5 ) ■255000
野村マイクロ・サイエンス 20 ( 18 ) 20 ( 18 ) ■295000
藤商事 15 ( 11 ) ― ( 10 ) 240000
ニプロ 約125 ( 120 ) 約100 ( 99 ) ■◇235000
アーステクニカ〓□K 若 ( 6 ) 若 ( 4 ) ◇260000
AeroEdge 9 ( 9 ) 5 ( 6 ) ◇225000
明治電機工業 未 ( 20 ) 25 ( 19 ) ■234000
平田機工□ 55 ( 53 ) 約30 ( 17 ) ■233900
ジェイ・イー・ティ 5 ( 3 ) 3 ( 2 ) 209500
エコム ― ( 3 ) 3 ( 3 ) 212000
兼 房 ― ( 18 ) 約10 ( 9 ) ■247000
巴工業 17 ( 14 ) 15 ( 14 ) ■◇270000
日本精工□ 85 ( 120 ) 60 ( 78 ) ■252000
NTN□K 若 ( 157 ) 未 ( 73 ) ■◇238000
不二越□ 89 ( 77 ) 57 ( 43 ) ◇243200
日本トムソン 40 ( 35 ) 20 ( 19 ) ◇242400
オイレス工業□ 約25 ( ― ) 約20 ( 19 ) ■◇236770
THK□ 未 ( 91 ) 約50 ( 48 ) ■◇250000
荏 原□K 193 ( 212 ) 約160 ( 187 ) ■◇239000
日機装□ 約40 ( 31 ) 約30 ( 28 ) ■239650
酉島製作所□K 50 ( 52 ) 約30 ( 34 ) ■◇252000
電業社機械製作所 16 ( 16 ) 8 ( 8 ) ■◇234150
宇野沢組鉄工所 若 ( 0 ) 若 ( 0 ) 220000
キッツ 48 ( 38 ) 32 ( 19 ) ■◇220000
中北製作所□ ― ( ― ) 若 ( 2 ) ◇235995
宮入バルブ製作所 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) 224500
PILLAR 36 ( 32 ) 27 ( 26 ) ■247500
ダイキン工業 430 ( 445 ) 約340 ( 355 ) ◇280000
リンナイ□K 約165 ( 120 ) 132 ( 93 ) ■◇235000
長府製作所□ 30 ( 27 ) 約20 ( 14 ) ■◇250000
三浦工業□ 153 ( 130 ) 約150 ( 124 ) ■242100
新晃工業□ 約30 ( 23 ) 約20 ( 17 ) ■250000
ノーリツ 50 ( 59 ) 45 ( 54 ) ■223800
<数表>採用計画2270社本社調査、食品・アグリビジネス、住宅・建設・不動産(2)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 30ページ 11228文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
食品・アグリビジネス
マルハニチロ 90 ( 95 ) 約90 ( 95 ) ■274000
ニッスイ□S 48 ( 41 ) 35 ( 34 ) ◇237000
極 洋 50 ( 51 ) 約50 ( 51 ) ■300000
ヨコレイ□ 100 ( 93 ) 約60 ( 53 ) ■235000
マルイチ産商 未 ( 32 ) 約30 ( 29 ) ■235000
横浜魚類□ 5 ( 2 ) 5 ( 2 ) ■236000
ホクリヨウ□ 8 ( 5 ) 4 ( 3 ) ■220000
セイヒョー□TS 若 ( 0 ) 若 ( 0 ) ◇190000
日清製粉グループ※1 107 ( 133 ) 79 ( 109 ) ■◇240300
ニップン 未 ( 77 ) 未 ( 75 ) ■◇229630
鳥越製粉 未 ( 7 ) 若 ( 7 ) ◇214277
ヒガシマル□ 19 ( 10 ) 6 ( 3 ) ■200000
森永製菓□K 約70 ( 64 ) 約50 ( 45 ) ■◇239000
ロッテ 未 ( 86 ) 未 ( 61 ) ◇240500
ブルボン 未 ( 137 ) 約50 ( 62 ) ■◇227500
カルビー 未 ( 108 ) 約50 ( 50 ) ◇235000
中村屋 未 ( 22 ) 未 ( 14 ) ■◇231000
亀田製菓□ 約60 ( 44 ) 約30 ( 18 ) ◇229100
井村屋グループ□※2 約45 ( 47 ) 約20 ( 21 ) ◇231000
モロゾフ□ 約30 ( 37 ) 約10 ( 11 ) ◇216850
名糖産業 20 ( 15 ) 6 ( 8 ) ◇226550
ユアサ・フナショク※2 20 ( 11 ) 15 ( 8 ) ◇247000
敷島製パン□ 133 ( 93 ) 70 ( 62 ) ◇237400
フジパングループ 約350 ( 320 ) 約130 ( 104 ) ■◇235530
第一屋製パン□ ― ( 41 ) 27 ( 12 ) 223000
寿スピリッツグループ※3 155 ( 127 ) 104 ( 63 ) 260000
わらべや日洋ホールディングス□ 未 ( 52 ) 25 ( 51 ) ■237400
武蔵野グループ□ 約95 ( 90 ) 約95 ( 77 ) ■260000
DM三井製糖 未 ( 16 ) 未 ( 9 ) ◇240400
ウェルネオシュガー□K 約10 ( 11 ) 約10 ( 10 ) 230000
日本甜菜製糖□ 17 ( 7 ) 12 ( 3 ) ◇228600
昭和産業 未 ( 48 ) 未 ( 36 ) ■241000
日清オイリオグループ□ 約70 ( 67 ) 約50 ( 42 ) ■◇243500
フィード・ワン ― ( ― ) 25 ( 26 ) ◇246000
不二製油 34 ( 44 ) 29 ( 35 ) ◇236800
ミヨシ油脂□ 約30 ( 36 ) 未 ( 33 ) ◇243300
理研ビタミン 45 ( 40 ) 34 ( 30 ) ■248150
セッツ□ 若 ( 1 ) 若 ( 1 ) ■◇215000
かどや製油 9 ( 7 ) 6 ( 4 ) ■249000
J-オイルミルズ 未 ( 13 ) 若 ( 13 ) ■◇236000
雪印メグミルク 未 ( 155 ) 未 ( 120 ) ◇230000
明 治 未 ( 81 ) 未 ( 37 ) ■◇240500
森永乳業 153 ( 153 ) 113 ( 113 ) ■248000
六甲バター 13 ( 13 ) 9 ( 11 ) ■◇222500
伊藤ハム米久ホールディングスグループ□※4 約270 ( 258 ) 約170 ( 163 ) ■◇247710
日本ハム※5 50 ( 51 ) 47 ( 49 ) ◇262000
プリマハム 61 ( 56 ) 51 ( 51 ) ■◇231000
丸大食品※5 未 ( 45 ) 約50 ( 42 ) ■◇219000
福留ハム□ 若 ( 9 ) 若 ( 7 ) ■200000
滝沢ハム※2 16 ( 2 ) 約10 ( 2 ) ■◇230000
アクシーズ□ 10 ( 3 ) 5 ( 2 ) ■215000
味の素 131 ( 151 ) 111 ( 137 ) ■◇259000
キッコーマン 未 ( 49 ) 未 ( 47 ) ■◇250000
キユーピー※6 未 ( 49 ) 未 ( 49 ) ■248000
ハウス食品 未 ( 89 ) 未 ( 46 ) ■◇227900
カゴメ 57 ( 48 ) 38 ( 34 ) ■◇227500
Mizkan J plus Holdings 30 ( 43 ) 約30 ( 43 ) ■◇236000
エスビー食品 35 ( 25 ) 35 ( 25 ) ■◇232500
ソントン食品工業 未 ( 19 ) 14 ( 8 ) ■◇224500
ブルドックソース ― ( 1 ) 未 ( 1 ) ■222440
ユタカフーズ ― ( 2 ) 若 ( 1 ) ◇224500
ダイショー 約40 ( 39 ) 約30 ( 30 ) 192500
アヲハタ 15 ( 10 ) 未 ( 10 ) ■222400
ピエトロ□ 約15 ( 15 ) 約10 ( 11 ) ◇210000
サンクゼール 未 ( 11 ) 未 ( 9 ) ■◇217000
エバラ食品工業 33 ( 23 ) 約20 ( 11 ) ■220000
ヤクルト本社□ 約90 ( 132 ) 約60 ( 90 ) ■◇241500
北海道コカ・コーラグループ※7 32 ( 15 ) 12 ( 7 ) 210000
コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス※8 ― ( ― ) 約220 ( 206 ) 210000
キリンホールディングス 未 ( 121 ) 未 ( 121 ) ■◇270000
サントリーホール 約260 ( 264 ) 約180 ( 173 ) ■290000
ディングス□TS
サッポロビール 30 ( 26 ) 28 ( 21 ) ■260000
アサヒビール 100 ( 89 ) 81 ( 77 ) ◇273500
宝ホールディングス※9 未 ( 60 ) 未 ( 45 ) ■◇240590
オエノングループ 約20 ( 14 ) 約15 ( 10 ) ■◇200150
養命酒製造※10 10 ( 5 ) 9 ( 5 ) ◇217100
ニチレイグループ※11 未 ( 158 ) 未 ( 151 ) ■249000
日清食品 約110 ( 89 ) 約100 ( 83 ) ―
東洋水産※12 30 ( 18 ) 未 ( 17 ) ◇244000
はごろもフーズ□ 約25 ( 19 ) 約20 ( 14 ) ■232000
太陽化学 未 ( 7 ) 未 ( 5 ) ■273000
一正蒲鉾 49 ( 25 ) 16 ( 9 ) ■202000
あじかん 約20 ( 13 ) ― ( 12 ) ■220000
ロック・フィールド□※13 104 ( 114 ) 98 ( 109 ) 215500
フジッコ 未 ( 50 ) 約25 ( 25 ) 230000
マルタイ 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) ■200900
日東ベスト□ 33 ( 31 ) 21 ( 19 ) 215500
シマダヤ 約10 ( 11 ) 約10 ( 11 ) ■242600
なとり□ 25 ( 29 ) 15 ( 13 ) ■250000
サトウ食品□ 未 ( 14 ) 未 ( 7 ) ■286240
イフジ産業 ― ( 7 ) 9 ( 6 ) ■固293100
ピックルスグループ□ 未 ( 14 ) 約10 ( 6 ) ■221000
やまみ□ 30 ( 12 ) 15 ( 6 ) 240000
伊藤園 未 ( 84 ) 未 ( 82 ) ◇固240000
アルビス□ 未 ( 25 ) 約60 ( 14 ) ■◇210000
尾家産業※2 約30 ( 33 ) ― ( 29 ) 245000
ラクト・ジャパン 10 ( 7 ) 約10 ( 7 ) ■◇固250000
サカタのタネ 未 ( 22 ) 未 ( 17 ) ◇233800
ホクトグループ〓※14 約20 ( 13 ) 約20 ( 13 ) ◇固264660
ユキグニファクトリー□ 約40 ( 30 ) 約30 ( 27 ) 209000
木徳神糧 11 ( 11 ) 4 ( 8 ) ■240600
デリカフーズホールディングス 50 ( 46 ) 約50 ( 46 ) ■固220000
ファーマフーズ 未 ( 1 ) 未 ( 1 ) 年固300万
カネコ種苗□S 約30 ( 17 ) 約30 ( 15 ) ■232000
はくばく□TS 10 ( 11 ) 約5 ( 6 ) ■221200
【食品・アグリビジネスの注】 ※1 グループ8社合計 ※2 初任給は営業手当含む ※3 初任給は東京地区勤務者 ※4 初任給は伊藤ハム米久ホールディングス、伊藤ハムの東京23区勤務者 ※5 初任給は東京勤務者 ※6 総合職のみ ※7 初任給は北海道コカ・コーラボトリング ※8 グループ4社合計 ※9 初任給は事務系、技術系 ※10 初任給は住宅手当、勤務地調整手当含む ※11 初任給は地域手当含む ※12 本社採用の総合職。初任給には一律支給の地域手当を含む ※13 初任給は関東勤務の営業職 ※14 初任給は営業職
住宅・建設・不動産
大成建設□ 416 ( 449 ) 406 ( 412 ) ■300000
鹿 島 445 ( 460 ) ― ( 355 ) ■300000
清水建設 423 ( 455 ) ― ( 417 ) ■300000
大林組□ 400 ( 413 ) 395 ( 389 ) ■300000
竹中工務店□ 250 ( 257 ) 248 ( 246 ) 300000
熊谷組□ 124 ( 115 ) 112 ( 98 ) ■280000
安藤ハザマ 未 ( 112 ) 未 ( 104 ) ■265000
戸田建設□K 未 ( 182 ) 196 ( 173 ) ◇270000
三井住友建設 未 ( 87 ) 未 ( 80 ) ■◇265000
西松建設 125 ( 127 ) 117 ( 112 ) ■300000
五洋建設□ 205 ( 203 ) 205 ( 180 ) ■280000
飛島建設□ 約50 ( 46 ) 47 ( 35 ) ■◇280000
東急建設□ 141 ( 137 ) 134 ( 114 ) ■280000
奥村組□K 138 ( 136 ) 138 ( 133 ) ■300000
前田建設工業□ 120 ( 104 ) 120 ( 100 ) ■◇260000
鴻池組□K 110 ( 119 ) 110 ( 101 ) ■280000
NIPPO□SK 85 ( 70 ) 80 ( 58 ) ■◇270000
鉄 建□ 110 ( 69 ) 98 ( 50 ) ■280000
長谷工グループ 639 ( 553 ) 595 ( 525 ) ■310000
東亜建設工業〓□SK 95 ( 104 ) 95 ( 82 ) ■◇280000
浅沼組 70 ( 49 ) ― ( ― ) ◇272000
東洋建設□ 84 ( 87 ) 84 ( 82 ) ■300000
大末建設※1 50 ( 25 ) 約40 ( 20 ) ■◇297000
不動テトラ□ 40 ( 33 ) 35 ( 21 ) 275000
日鉄テックスエンジ□K 320 ( 312 ) 105 ( 112 ) 258000
日本道路□ 90 ( 61 ) 50 ( 26 ) ■280000
前田道路□ 85 ( 72 ) 85 ( 64 ) ■280000
大成ロテック□ 60 ( 61 ) 45 ( 37 ) ■270000
大本組 40 ( 49 ) 34 ( 44 ) ■290000
若築建設□ 85 ( 51 ) 75 ( 36 ) 280000
竹中土木□ 50 ( 47 ) 50 ( 45 ) ■300000
大豊建設□ 60 ( 45 ) 55 ( 32 ) ■275000
東亜道路工業 53 ( 43 ) 40 ( 23 ) ■◇258000
東鉄工業□ 125 ( 100 ) 96 ( 72 ) ■280000
鹿島道路□ 約60 ( 52 ) 約35 ( 22 ) ■◇265000
福田組□ 58 ( 40 ) 42 ( 18 ) ■252400
松井建設□ ― ( 28 ) 30 ( 20 ) ■280000
ナカノフドー建設□※2 40 ( 39 ) 35 ( 28 ) ■固295000
矢作建設工業□ 87 ( 86 ) 77 ( 69 ) ■265000
佐田建設 26 ( 22 ) 18 ( 14 ) 260800
巴コーポレーション□ 未 ( 15 ) 約25 ( 8 ) ■◇245000
森 組 若 ( 5 ) 若 ( 2 ) 固282180
大林道路 68 ( 62 ) 49 ( 44 ) ■270000
世紀東急工業□ 45 ( 32 ) 36 ( 20 ) ■275000
日特建設□ 42 ( 29 ) 37 ( 24 ) ■260000
植木組□※3 26 ( 20 ) 23 ( 12 ) ■281600
三井住建道路□ 27 ( 13 ) 17 ( 10 ) ■◇260000
徳倉建設□ 未 ( 22 ) 24 ( 19 ) ■280000
鈴縫工業 未 ( 9 ) 未 ( 5 ) ■◇229900
金下建設□※4 10 ( 5 ) 9 ( 4 ) 251000
イチケン□※5 38 ( 37 ) 38 ( 31 ) 308000
新日本建設□ 約70 ( 34 ) 約70 ( 32 ) ■◇310000
大東建託グループ 612 ( 524 ) 549 ( 458 ) ◇240000
佐藤渡辺□ 20 ( 8 ) 10 ( 2 ) ■270000
第一建設工業□ 47 ( 42 ) 37 ( 24 ) ■258200
守谷商会□ 20 ( 20 ) 15 ( 12 ) 固260000
三東工業社□ 4 ( 6 ) 3 ( 5 ) ■238000
松下産業 未 ( 2 ) 未 ( 1 ) ―
ピーエス・コンストラクション□ 50 ( 27 ) 50 ( 25 ) ■300000
ソネック 15 ( 7 ) 10 ( 6 ) ■◇固263400
工藤建設 11 ( 14 ) 7 ( 9 ) 固252500
高松グループ□ 約270 ( 233 ) 約250 ( 190 ) ■280000
AVANTIA□※6 未 ( 37 ) 約70 ( 35 ) 固284000
フジタ□ 140 ( 135 ) 130 ( 116 ) ■310000
ファーストコーポレーション□※7 20 ( 4 ) 20 ( 2 ) 固370400
アップコン 5 ( 2 ) 5 ( 2 ) 年固311万
日本工営 136 ( 106 ) 136 ( 106 ) ■259000
日本工営エナジーソリューションズ 34 ( 27 ) 34 ( 19 ) ■259000
オオバ□※8 31 ( 25 ) 31 ( 23 ) 246300
応用地質□K 未 ( 30 ) 約30 ( 29 ) ◇235000
パシフィックコンサルタンツ□K 100 ( 94 ) 約100 ( 93 ) 268000
建設技術研究所〓□K※9 100 ( 112 ) 100 ( 112 ) ■281000
ウエスコ 約20 ( 16 ) 約20 ( 16 ) ■年固307万
E・Jホールディングス□ 65 ( 54 ) 65 ( 54 ) ◇256000
長 大□ 50 ( 46 ) 50 ( 45 ) ■248600
福山コンサルタント 約15 ( 15 ) 約15 ( 15 ) 固278000
大日本ダイヤコン 50 ( 45 ) 50 ( 44 ) ■235700
サルタント□K
ヤマウラ□ 20 ( 17 ) 15 ( 11 ) ■◇固275000
メルディアDC□ ― ( 9 ) 18 ( 9 ) ■225600
オリエンタルコンサルタンツ〓□K※10 約70 ( 64 ) 未 ( 64 ) ■281000
ハンワホームズ〓□※11 8 ( 6 ) 8 ( 6 ) ■260000
日本国土開発□ 46 ( 30 ) 39 ( 28 ) ■265000
robot homeグループ 未 ( 12 ) 30 ( 12 ) 固312000
関電工□ 約340 ( 341 ) 約120 ( 118 ) 300000
きんでん□K 438 ( 452 ) 202 ( 198 ) ◇240000
トーエネック□ 262 ( 227 ) 128 ( 106 ) ■◇240000
中電工□ 170 ( 149 ) 108 ( 80 ) ◇235000
三機工業□ 90 ( 91 ) 未 ( 80 ) ■280000
九電工 未 ( 386 ) 未 ( 151 ) 260000
高砂熱学工業□K 120 ( 131 ) 120 ( 131 ) 270000
日本電設工業□ 120 ( 93 ) 120 ( 93 ) 250000
エクシオグループ 約45 ( 46 ) 未 ( 41 ) ■253000
ユアテック□ 161 ( 146 ) 88 ( 80 ) ■◇225000
日本コムシス□ 110 ( 98 ) 110 ( 92 ) ■◇238600
新菱冷熱工業□ 未 ( 97 ) 約100 ( 83 ) 280000
太平電業□ 90 ( 47 ) 80 ( 42 ) ■255000
大気社□SK 112 ( 107 ) 112 ( 102 ) 275000
四電工□ 102 ( 103 ) 55 ( 48 ) ◇231500
住友電設□ 75 ( 81 ) 65 ( 63 ) ◇265200
日本リーテック□ 40 ( 26 ) 約30 ( 11 ) ■◇232050
東光電気工事□ 約50 ( 63 ) 約40 ( 43 ) ■◇254000
ミライト・ワン□ 約100 ( 129 ) 約90 ( 112 ) ◇232200
栗原工業□※12 36 ( 31 ) 約30 ( 29 ) ◇261000
新日本空調□ 60 ( 57 ) 58 ( 53 ) 285000
日比谷総合設備〓□SK 約30 ( 26 ) 約30 ( 26 ) 275000
TOSYS 約20 ( 14 ) ― ( 12 ) 214100
朝日工業社□ 45 ( 56 ) 45 ( 49 ) ■280000
弘電社 30 ( 25 ) 20 ( 14 ) ◇250000
須賀工業□TS ― ( 29 ) 35 ( 20 ) ■265000
ソルコム□ 30 ( 26 ) 約25 ( 20 ) 220000
明星工業 15 ( 13 ) 15 ( 13 ) ■◇247000
サンテック 約40 ( 8 ) ― ( 2 ) ■◇220000
東京エネシス 70 ( 63 ) ― ( 24 ) ■◇240200
協和日成□ 約30 ( 31 ) 約30 ( 31 ) 232000
シーキューブ□ 27 ( 14 ) 22 ( 5 ) 221600
岐阜造園□ 12 ( 12 ) 10 ( 10 ) ◇214000
ヤマト 30 ( 18 ) 20 ( 9 ) 233500
北陸電気工事 70 ( 62 ) 未 ( 41 ) ◇213000
日本基礎技術□ 30 ( 14 ) 20 ( 5 ) ■250000
テクノ菱和□ 25 ( 32 ) 25 ( 26 ) ■265000
ケミカルグラウト□ 約10 ( 14 ) 約10 ( 13 ) ■◇250000
大成温調 20 ( 16 ) 15 ( 12 ) ■275000
ライジングコーポレーション 7 ( 2 ) 5 ( 1 ) ■固255000
大成設備 20 ( 23 ) 15 ( 18 ) ■270000
オリエンタル白石□ 31 ( 31 ) 27 ( 23 ) ■◇250000
北海電工□ 66 ( 65 ) 38 ( 37 ) ◇221000
SDSホールディングス 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ◇固200000
ノバック 35 ( 14 ) 31 ( 10 ) ■270000
マサル 6 ( 4 ) 6 ( 4 ) ■固290000
ラックランド□ 37 ( 29 ) 25 ( 23 ) 固266600
川崎設備工業□ 約20 ( 20 ) 15 ( 11 ) ◇263000
富士電機E&C□ 40 ( 32 ) 40 ( 29 ) ◇250000
FUJIジャパン 5 ( 1 ) 5 ( 1 ) 固300000
太洋基礎工業 約10 ( 5 ) 約5 ( 3 ) ■250000
エクシオテック 約30 ( 15 ) 約10 ( 8 ) ◇224000
オーテック 31 ( 33 ) 31 ( 33 ) ■265050
日本電技□ 35 ( 33 ) 35 ( 28 ) ■270000
北弘電社□ 11 ( 6 ) 7 ( 3 ) 230000
第一カッター興業□ 18 ( 12 ) 15 ( 11 ) ■固270000
三信建設工業 ― ( 7 ) 約10 ( 4 ) ◇240000
川本工業□※13 21 ( 15 ) 18 ( 10 ) ■260000
積水ハウスグループ□ 約880 ( 822 ) 約780 ( 673 ) ■◇240400
大和ハウスグループ 700 ( 1177 ) 620 ( 1057 ) ■350000
住友林業グループ 662 ( 600 ) 509 ( 466 ) ■◇固264000
ミサワホームグループ□ ― ( ― ) 約250 ( 219 ) ■250000
パナソニックホームズ 108 ( 82 ) 102 ( 78 ) ■◇233000
大成ユーレック□ 未 ( 21 ) 22 ( 14 ) ■250000
三井ホーム 88 ( 91 ) 約85 ( 88 ) ■235000
日本ハウスホールディングス 約60 ( 47 ) 約40 ( 33 ) ■固240000
ヤマダホームズ〓□※14 100 ( 54 ) 80 ( 35 ) ■固230920
日成ビルド工業□ 約25 ( 20 ) 約20 ( 16 ) ■246000
フジ住宅 約55 ( 36 ) 約55 ( 36 ) ■260000
一条工務店 600 ( 571 ) 約500 ( 474 ) ■260000
土屋グループ□ 27 ( 20 ) 17 ( 9 ) ■228000
タマホーム 未 ( 151 ) 未 ( 116 ) ■210000
三協フロンテア□ 50 ( 33 ) 47 ( 31 ) ■230000
Lib Work□ 約40 ( 26 ) 未 ( 22 ) ■固225000
フォーライフ 7 ( 7 ) 7 ( 7 ) 固300000
安江工務店□ 20 ( 14 ) 20 ( 10 ) ■固240000
アールプランナーグループ□ 40 ( 40 ) 約40 ( 40 ) ■固250000
サンヨーホームズ□S 45 ( 34 ) 45 ( 33 ) 固270000
RISE 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
三井不動産□K 未 ( 72 ) 未 ( 72 ) ■320000
三井不動産リアルティ 240 ( 241 ) 240 ( 241 ) ■275000
三井不動産レジデンシャル 約20 ( 25 ) 約20 ( 25 ) ■292000
東急不動産 約40 ( 30 ) 約40 ( 30 ) ■◇300600
野村不動産グループ※15 405 ( 400 ) 約370 ( 350 ) ■300000
住友不動産 約30 ( 25 ) 約30 ( 25 ) ■◇305000
三菱地所レジデンス□K 35 ( 35 ) 35 ( 34 ) ■300000
小田急不動産 約10 ( 10 ) 約10 ( 10 ) ◇270000
阪急阪神不動産 約50 ( 36 ) 約50 ( 34 ) ■280000
ケイアイスター不動産 約135 ( 111 ) 約100 ( 84 ) ■◇固230000
日鉄興和不動産 18 ( 19 ) 18 ( 19 ) ◇300000
アグレ都市デザイン 12 ( 7 ) 11 ( 6 ) ◇固253800
スターツグループ 328 ( 255 ) 305 ( 228 ) ■275000
シーズクリエイト□ ― ( 5 ) 5 ( 5 ) 固328900
常磐興産 未 ( 25 ) 若 ( 5 ) ■188900
オープンハウスグループ※16 710 ( 619 ) 約700 ( 609 ) ■固360000
明和地所 40 ( 43 ) 約40 ( 43 ) ◇固300000
住友不動産ステップ 約200 ( 206 ) 約200 ( 206 ) ■250000
各社別の数字は2026年春の計画、カッコ内は25年春の実績見込み。「―」は公表していないもの、算出できないもの、内訳不明(区分なし)など。「若」は若干、「未」は未定、「並」は25年春並み、「増」は25年春に比べて採用増の方針、「減」は同じく採用減。総合計は大卒(大学院)、短大・専門学校・高専卒、高卒などの合計で中卒は含まず。□は計画大卒に短大・専門学校・高専卒含む、□Kは高専卒含む、□Tは短大卒含む、□Sは専門学校卒含む。初任給は2025年大卒。■は初任給が総合職◇は前年実績。年は年俸。固は固定残業代を含む。企業掲載順は順不同。3月13日現在
<数表>採用計画2270社本社調査、生活・サービス[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 31ページ 11200文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
生活・サービス
タカミヤ□ 約35 ( 28 ) 約30 ( 27 ) ■固270000
日本カーソリューションズ 約30 ( 22 ) 約30 ( 22 ) ■260000
三菱UFJニコス 未 ( 83 ) 未 ( 83 ) ■255000
オリエントコーポレーション 80 ( 68 ) 約80 ( 68 ) 250000
ジャックス〓□TS※20 85 ( 80 ) 85 ( 80 ) ◇250000
ジェーシービー〓※21 未 ( 186 ) 未 ( 186 ) 255000
アプラス□ 60 ( 45 ) 60 ( 45 ) ■250000
三井住友カード 未 ( ― ) 未 ( 150 ) 255000
アコム□TS 85 ( 88 ) 85 ( 88 ) ■270000
SMBCコンシューマーファイナンス□ 50 ( 60 ) 50 ( 60 ) ■270000
SBIホールディングス 100 ( 55 ) 100 ( 55 ) ■340000
トヨタファイナンシャルサービスグループ 約50 ( 73 ) 約50 ( 73 ) ■257200
ウェルネット 未 ( 5 ) 未 ( 3 ) ■◇固257000
ジェイリース□ 20 ( 16 ) 17 ( 11 ) ■固261000
新生フィナンシャル□ 35 ( 29 ) 35 ( 29 ) 260000
セコムグループ 1200 ( 986 ) 700 ( 556 ) 280530
ALSOKグループ□ 1100 ( 1000 ) 約900 ( 800 ) 263800
CSP 130 ( 100 ) 70 ( 65 ) 231000
学究社 約100 ( 74 ) 約100 ( 74 ) 251000
リクルート 未 ( 181 ) ― ( ― ) 固326551
パラマウントベッ 約70 ( 42 ) 約70 ( 42 ) ■249000
ドグループ□K
日本管財ホールディングス 62 ( 29 ) 46 ( 21 ) ■240000
ベルシステム24 20 ( 28 ) 約20 ( 28 ) 230000
グループ□K
西尾レントオール 100 ( 104 ) 75 ( 79 ) 固236800
東洋テック□ 50 ( 47 ) 45 ( 41 ) ■214720
グリーンモンスター 3 ( 2 ) 3 ( 2 ) ■固265000
KeePer技研 150 ( 97 ) 約80 ( 56 ) ■246800
ジャパンマテリアル 未 ( 27 ) 未 ( 11 ) ◇229000
いであ□ 65 ( 43 ) 65 ( 42 ) ■253000
メイテックグループ□ 850 ( 687 ) 850 ( 687 ) ◇227200
ダスキン 55 ( 45 ) 55 ( 45 ) ■◇238600
白洋舎□ 約70 ( 29 ) 約30 ( 18 ) ■255000
フィットイージー 5 ( 5 ) 5 ( 5 ) 固225600
トーカイ□ 61 ( 48 ) 50 ( 43 ) ◇260000
AViC 20 ( 9 ) 20 ( 9 ) 固300000
フォーラムエンジニアリング 約65 ( 50 ) 約65 ( 50 ) 225000
CS-C 5 ( 5 ) 5 ( 5 ) 固260000
ビジネスコーチ 2 ( 0 ) 2 ( 0 ) ―
ウィルグループ□ 620 ( 741 ) 600 ( 699 ) ■固250000
シグマクシス 約80 ( 81 ) 約80 ( 81 ) 年固650万
オープングループ 3 ( 3 ) 3 ( 3 ) ■◇固350000
大栄環境グループ□ 28 ( 25 ) 16 ( 14 ) ■◇230800
サニーサイドアップグループ 35 ( 31 ) 未 ( 31 ) 年固360万
ユニバーサル園芸社 約70 ( 66 ) 未 ( 59 ) ■固250000
CAICAテクノロジーズ□ 約15 ( 12 ) 約15 ( 9 ) 207000
イーサポートリンク ― ( 1 ) 若 ( 1 ) ■◇232000
AHCグループ□ 約30 ( 17 ) 約30 ( 12 ) ■238000
INCLUSIVE 若 ( ― ) 若 ( 2 ) ■年固360万
共立メンテナンス※22 約350 ( 309 ) 約170 ( 144 ) 243000
ジオコード 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ―
コーユーレンティア ― ( 17 ) 約15 ( 15 ) ◇固239500
スタジオアリス 未 ( 43 ) 約50 ( 34 ) 217000
アスカネット□ 未 ( 16 ) 約20 ( 1 ) 205000
シミックグループ□※23 未 ( 279 ) 約180 ( 236 ) 270000
NJS□K 30 ( 27 ) 30 ( 27 ) ■固285000
日本M&Aセンターホールディングス ― ( 69 ) 80 ( 69 ) 固402750
東北新社□※24 未 ( 43 ) 未 ( 41 ) 225000
ぐるなび 0 ( 12 ) 0 ( 12 ) ◇220000
ストライク 40 ( 34 ) 40 ( 34 ) 固350000
キムラユニティー□ 約50 ( 36 ) 約30 ( 23 ) 235000
シダックスグループ 530 ( 174 ) 265 ( 87 ) ■固250000
地域新聞社 5 ( 3 ) 5 ( 3 ) 固213730
成学社□ 50 ( 49 ) 50 ( 47 ) ■固240500
nmsホールディングス□ 105 ( 115 ) 100 ( 62 ) 182000
アルトナー□※25 181 ( 155 ) 181 ( 155 ) ◇239000
ニチイグループ 658 ( 369 ) ― ( 195 ) ■250000
アドバンテッジリスクマネジメント 30 ( 16 ) 30 ( 16 ) 250000
ビケンテクノ□ 15 ( 4 ) 15 ( 4 ) ■230000
三機サービス ― ( 33 ) 約30 ( 29 ) 228100
スポーツフィールド 50 ( 42 ) 約50 ( 42 ) 固250000
ルネサンス□ 約60 ( 89 ) 約60 ( 75 ) 261000
インソースグループ□※26 約40 ( 46 ) 約40 ( 40 ) ■270000
栄 光 約40 ( 33 ) 約40 ( 33 ) ■236500
リンクアンドモチベーション 70 ( 54 ) 70 ( 54 ) ■固335000
WDB 36 ( 9 ) 36 ( 9 ) ■◇254030
アウトソーシンググループ 2778 ( 2632 ) 2320 ( 1688 ) 215000
CRGグループ 約60 ( 11 ) 約50 ( 10 ) ■固235730
第一興商 100 ( 60 ) 約80 ( 52 ) ■212474
共和コーポレーション□ 約10 ( 11 ) 約10 ( 8 ) 215000
ディーエムソリューションズ□ 未 ( 6 ) 約10 ( 6 ) 固240000
メディアファイブ 20 ( 16 ) 20 ( 15 ) 220000
ファンコミュニケーションズ□ 約15 ( 14 ) 約15 ( 14 ) 固312500
プラップジャパン 約20 ( 16 ) 約20 ( 16 ) 年固404万
ディーエムエス 5 ( 7 ) 5 ( 7 ) ■205000
オールアバウト 未 ( 11 ) 未 ( 11 ) 年固370万
エル・ティー・エス※27 約30 ( 25 ) 約30 ( 25 ) ◇固333899
アクセスグループ 20 ( 11 ) 約20 ( 11 ) 年固324万
ヒビノ 若 ( ― ) 若 ( ― ) ■233260
カーブスグループ 17 ( 17 ) 17 ( 17 ) ■261058
コベルコ科研□K 23 ( 22 ) 15 ( 11 ) ■◇253000
情報企画 ― ( 12 ) 約20 ( 12 ) ■280000
メイホーホールディングス 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ◇205000
新日本科学□ 約120 ( 114 ) 約90 ( 88 ) 固280200
昴 12 ( 4 ) 12 ( 4 ) ■240000
神戸天然物化学 17 ( 24 ) 10 ( 21 ) 225000
日本ゼネラルフードグループ□ 180 ( 129 ) 約160 ( 125 ) ■固230300
エームサービス/メフォス□※28 約1135 ( 1001 ) 約1125 ( 975 ) ■240000
一寸房□ 15 ( 8 ) 12 ( 5 ) 固214590
イー・ガーディアン 20 ( 26 ) 約20 ( 26 ) ■231400
ホープ□ 約10 ( 5 ) 約10 ( 5 ) 固240000
プロジェクトホールディングス 20 ( 21 ) 20 ( 21 ) 固275000
ラクーンホールディングス 11 ( 16 ) 10 ( 13 ) ■固267000
クオルテック□ 5 ( 1 ) 5 ( 1 ) ■220000
ジンジブ 30 ( 42 ) 15 ( 19 ) ■固250000
ディップ 420 ( 301 ) 420 ( 298 ) ◇固296027
アイ・アールジャパン 約10 ( 6 ) 約10 ( 6 ) ■固400000
学 情 25 ( 26 ) 25 ( 26 ) ◇固243300
テクノプロ・グループ□※2 約1200 ( 1262 ) 約1200 ( 1262 ) 230000
アルプス技研グループ□ 700 ( 580 ) 700 ( 580 ) 240000
コプロ・ホールディングス※29 ― ( 180 ) 約260 ( 160 ) 279700
オープンアップグループ 約820 ( 727 ) 約600 ( 539 ) ―
セントラルスポーツ□S 約80 ( 35 ) 未 ( 24 ) ■233500
市 進 5 ( 3 ) 5 ( 3 ) 固265000
ソーバル□ 50 ( 46 ) 50 ( 46 ) 225000
UTグループ□ 約510 ( 432 ) 約500 ( 426 ) 240000
東 祥 40 ( 31 ) 約30 ( 11 ) 固225000
CDG 10 ( 9 ) 10 ( 9 ) ■205000
アーク□ 15 ( 7 ) 15 ( 3 ) 223000
JTP 25 ( 18 ) 14 ( 8 ) 固229200
NexTone 5 ( 2 ) 5 ( 2 ) 固235333
メディカルシステムネットワークグループ□※30 約200 ( 147 ) 約200 ( 125 ) ■◇261000
総合メディカルグループ□※31 約300 ( 237 ) 約300 ( 214 ) 255000
ティア□ 20 ( 18 ) 20 ( 15 ) 固233500
公益社□S 5 ( 7 ) 5 ( 5 ) ■◇216400
山田コンサルティンググループ 約30 ( 30 ) 約30 ( 29 ) 年固430万
識 学 ― ( ― ) 5 ( 5 ) 年固369.6万
ギックス ― ( 3 ) 若 ( 3 ) 年固420万
セイファート 5 ( 6 ) 5 ( 6 ) 固251900
船 場□ 約25 ( 19 ) 約25 ( 19 ) 195000
明光ネットワークジャパン 約30 ( 25 ) 約30 ( 25 ) ―
キャリアインデックス 7 ( 2 ) 7 ( 2 ) 年377万
ファルコホールディングスグループ□ 約45 ( 28 ) 約45 ( 21 ) ◇221400
デジタリフト 2 ( 0 ) 2 ( 0 ) ―
成友興業□ 22 ( 22 ) 20 ( 15 ) 270000
グローカルマーケティング□ 2 ( ― ) 2 ( 0 ) ◇固260000
秀英予備校 約30 ( 22 ) 約30 ( 22 ) 固240000
毎日コムネット 15 ( 10 ) 15 ( 10 ) 231000
ラウンドワンジャパン□TS※32 62 ( 62 ) 62 ( 56 ) ■335500
IBJ□ 34 ( 22 ) 34 ( 19 ) 固255190
ユニマットライフ ― ( 16 ) 50 ( 16 ) ◇固226000
ぴ あ 約15 ( 14 ) 約15 ( 14 ) ◇234000
JPホールディングスグループ□ 約340 ( 327 ) 約340 ( 327 ) ■206000
チャーム・ケア・コーポレーション 100 ( 65 ) 82 ( 50 ) ■268500
プレステージ・インターナショナル 約140 ( 114 ) 約60 ( 49 ) ■233000
マイスターエンジニアリング 100 ( 88 ) 60 ( 57 ) 210000
日本空調サービス※33 81 ( 63 ) 58 ( 51 ) ◇263500
セプテーニグループ※34 未 ( 81 ) 未 ( 80 ) ■◇固365000
フェイスグループ 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) 固266667
ヒューマングループ 170 ( 212 ) ― ( 195 ) 固251034
プロトコーポレーション 約30 ( 12 ) 約30 ( 12 ) 固259000
ドーン 4 ( 1 ) 4 ( 1 ) 240000
共同ピーアール 約15 ( 8 ) 約15 ( 8 ) ■固263544
メンバーズ□ ― ( 89 ) 200 ( 74 ) 255000
LEOC 2292 ( 1281 ) 432 ( 340 ) ◇250000
日清医療食品 724 ( 726 ) 256 ( 316 ) ■固258780
Smile Holdings 約40 ( 27 ) 約20 ( 12 ) ◇257000
ビーマップ 3 ( 6 ) 3 ( 6 ) ◇260000
パーソルグループ□※35 約2300 ( 2051 ) 約2300 ( 2051 ) ■232700
パソナグループ〓※36 295 ( 260 ) 260 ( 227 ) ■固245000
早稲田アカデミー 60 ( 31 ) 約60 ( 31 ) ■249800
TAC□T 約10 ( 13 ) 約10 ( 13 ) ■221000
幼児活動研究会 50 ( 49 ) 30 ( 31 ) ■243420
ケネディクス 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) 300000
ジェイエイシーリクルートメント 約200 ( 151 ) 約200 ( 151 ) 年固430万
フルキャストホールディングス□ 70 ( 70 ) 70 ( 65 ) ■220000
ライクグループ〓※37 647 ( 260 ) 411 ( 149 ) ■固270000
日本エス・エイチ・エル 5 ( 2 ) 5 ( 2 ) 255000
テイクアンドギヴ・ニーズ 約210 ( 190 ) 105 ( 105 ) ■固258100
クリエアナブキ 5 ( 4 ) 5 ( 4 ) 210000
CSSホールディングス 約50 ( 22 ) 約30 ( 17 ) 236200
ユー・エス・エス□S 約20 ( 15 ) 約20 ( 12 ) 241000
西菱電機□ 未 ( 18 ) 35 ( 17 ) 230000
ディー・エヌ・エー※38 75 ( 60 ) ― ( ― ) 年固500万
京 進 22 ( 39 ) 22 ( 39 ) ■固237500
ビー・エム・エル□TS※39 85 ( 61 ) 85 ( 53 ) 240000
メディア総研 2 ( 1 ) 2 ( 0 ) 固240000
ワールドホールディングス 1534 ( 1353 ) 1183 ( 956 ) 固220000
グンゼ□ 48 ( 39 ) 39 ( 33 ) ■◇240000
オンワードグループ※40 未 ( 48 ) 未 ( 39 ) ■240000
ワールドグループ 404 ( 260 ) ― ( ― ) 235000
ロマン・吉忠グループ□ 約10 ( 1 ) 約10 ( 0 ) ■220000
アツギ 若 ( 0 ) 若 ( 0 ) ■240100
三陽商会 30 ( 29 ) 約20 ( 17 ) ■◇235000
ルックホールディングス 未 ( 22 ) 未 ( 21 ) ■◇224165
ゴールドウイン□ 45 ( 44 ) 約40 ( 31 ) ■260000
ヤマトインターナショナル 8 ( 9 ) 8 ( 9 ) ◇223000
自重堂※41 20 ( 3 ) ― ( 2 ) ■256000
キング 5 ( 3 ) 5 ( 3 ) ■250000
新都ホールディングス 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
クラウディアホールディングス 33 ( 53 ) ― ( 8 ) 固244388
オンリー□S ― ( 6 ) 約10 ( 6 ) 230000
ワコール※10 約30 ( 12 ) 約30 ( 12 ) ■259200
マツオカコーポレーション□ 5 ( 6 ) 5 ( 4 ) ■225000
スクロール 若 ( 13 ) 若 ( 12 ) 240000
タビオ 未 ( 2 ) ― ( 2 ) ■212100
資生堂□※42 約80 ( 85 ) 約60 ( 58 ) ■年423万
ポーラ 未 ( 29 ) 未 ( 27 ) ■固269500
シーボン□ 70 ( 48 ) 60 ( 34 ) ◇214900
ミルボン 62 ( 46 ) 55 ( 40 ) 240600
クラシエ□K 約95 ( 98 ) 約60 ( 50 ) ■◇232970
新日本製薬 12 ( 10 ) 12 ( 10 ) 204000
プレミアアンチエイジング ― ( 3 ) 若 ( 3 ) ■固287710
北の達人コーポレーション ― ( ― ) 3 ( 1 ) 固420000
バンダイ/BANDAI SPIRITS□K 約65 ( 46 ) 約65 ( 46 ) ■305000
任天堂 未 ( 113 ) 未 ( 108 ) 256000
ピジョン ― ( ― ) 約15 ( 11 ) ◇265000
バンダイナムコエンターテインメント□S 約30 ( 25 ) 約30 ( 25 ) ■280000
ピープル 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
ブシロード 40 ( 39 ) 39 ( 38 ) ■固260000
花 王 未 ( 168 ) 未 ( 141 ) ◇240000
ライオン□K 86 ( 74 ) 約80 ( 67 ) ■251580
ハリマ共和物産 10 ( 9 ) 約10 ( 8 ) ■230000
フマキラー 未 ( 6 ) 未 ( 6 ) ■◇238000
アース製薬 45 ( 43 ) 約30 ( 30 ) 220000
リーガルコーポレーション□ 約10 ( 14 ) 約10 ( 13 ) 220000
キングジム 未 ( 12 ) 未 ( 12 ) ■◇220000
コクヨ 116 ( 120 ) 約100 ( 106 ) ■257500
リヒトラブ□ 12 ( 9 ) 10 ( 7 ) ■◇222000
アシックス 約35 ( 35 ) 約35 ( 35 ) 300000
ゼット 未 ( 18 ) 未 ( 17 ) 固228300
アルペン 200 ( 186 ) 約180 ( 173 ) ■◇240000
ヤマハ□K 約100 ( 97 ) 約60 ( 65 ) ◇250000
河合楽器製作所 90 ( 74 ) 約60 ( 40 ) ■◇221000
あさひ□ 100 ( 73 ) 100 ( 61 ) ■240000
象印マホービン 25 ( 26 ) 約25 ( 26 ) ■◇232000
ナガホリ□※43 9 ( 9 ) 5 ( 5 ) 固242782
はせがわ□ 約20 ( 18 ) 約20 ( 17 ) ■◇237600
ローランド 未 ( 19 ) 未 ( 16 ) 232000
ツツミ 80 ( 75 ) 40 ( 33 ) 220000
ユニ・チャーム 未 ( 61 ) 未 ( 61 ) 235000
パリミキ□※44 約45 ( 41 ) 約45 ( 33 ) ■◇227000
重松製作所 13 ( 10 ) 8 ( 6 ) ■◇237900
武田薬品工業 約30 ( 27 ) 26 ( 23 ) 300000
塩野義製薬□K 約90 ( 79 ) 約90 ( 79 ) 固255000
田辺三菱製薬 約40 ( 29 ) 約40 ( 29 ) ■246000
大塚製薬□ ― ( 245 ) 約180 ( 173 ) ■260000
エーザイ 未 ( 113 ) 未 ( 110 ) ■300000
中外製薬 約140 ( 164 ) 約140 ( 164 ) 300000
MSD 35 ( 8 ) 約35 ( 8 ) 352300
住友ファーマ 未 ( 10 ) 未 ( 7 ) ◇230000
小林製薬 56 ( 56 ) 56 ( 56 ) ■239560
持田製薬 未 ( 38 ) 未 ( 34 ) ■◇237000
日本新薬 約60 ( 68 ) 約60 ( 68 ) ◇264000
小野薬品工業 未 ( 65 ) 未 ( 65 ) 273000
日本ケミファ 18 ( 4 ) 18 ( 4 ) ■◇223000
科研製薬□K 未 ( 29 ) 未 ( 28 ) ◇250500
ゼリア新薬工業 未 ( ― ) 未 ( 32 ) ◇260560
ロート製薬 未 ( 52 ) 約40 ( 37 ) ■266500
あすか製薬 未 ( 26 ) 約20 ( 23 ) 264000
キッセイ薬品工業 約80 ( 80 ) 未 ( ― ) ■◇255000
ウイン・パートナーズグループ 23 ( 15 ) 23 ( 15 ) 固240200
日医工□ 未 ( ― ) 15 ( ― ) ■◇235370
栄研化学 24 ( 19 ) ― ( 19 ) ■255000
協和キリン 40 ( 50 ) 34 ( 40 ) ■◇258000
MeijiSeikaファルマ 未 ( ― ) 未 ( ― ) ■◇245000
JCRファーマ□ 約25 ( 16 ) 約25 ( 15 ) 230000
富士製薬工業 未 ( 12 ) 22 ( 11 ) 229500
沢井製薬 164 ( 208 ) 44 ( 41 ) ◇234970
カイノス□ 4 ( 3 ) 4 ( 3 ) ◇229600
第一三共 約270 ( 260 ) 未 ( 170 ) ◇255000
Chordia Therapeutics 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
室町ケミカル□ 10 ( 4 ) 10 ( 3 ) 210000
東和薬品 未 ( 86 ) 未 ( 32 ) 240000
バイタルケーエスケーグループ 未 ( 88 ) 未 ( 44 ) ―
バイタルネット□ ― ( 64 ) 約40 ( 35 ) 201200
東北化学薬品 未 ( 6 ) 未 ( 6 ) ■◇204000
日本光電□ 42 ( 47 ) 約40 ( 46 ) ◇248000
タカラベルモント□K 約55 ( 57 ) 約45 ( 43 ) ■230000
ナカニシ□K 約25 ( 22 ) 約10 ( 7 ) 219000
オルバグループ〓※45 未 ( 44 ) 35 ( 32 ) ■228750
マニー 9 ( 16 ) 7 ( 9 ) 232000
シップヘルスケアグループ※46 約180 ( 179 ) 約130 ( 120 ) ◇225000
メディキット 8 ( 8 ) 8 ( 8 ) ■固250400
協和医科器械□ 約25 ( 14 ) 約20 ( 14 ) ■固253433
【生活・サービスの注】 ※1 初任給は諸手当含む ※2 初任給は技術職 ※3 初任給は東京23区勤務者 ※4 初任給は精勤手当含む ※5 初任給は東京勤務者 ※6 初任給は日本梱包運輸倉庫 ※7 初任給は首都圏勤務者 ※8 初任給は丸和運輸機関 ※9 初任給は東京23区勤務のセールスドライバー職 ※10 総合職のみ ※11 初任給は東京地区配属の総合職(全国型) ※12 総合職のみ。初任給は全域型 ※13 初任給は地域職 ※14 初任給はライフプラン支援金含む ※15 初任給は住宅手当を含む ※16 初任給は地域手当含む ※17 初任給は総合職A(全国型) ※18 初任給は全国勤務型 ※19 初任給はイチネン ※20 初任給は全国転勤型 ※21 初任給は総合職群 ※22 初任給は勤務地調整手当含む ※23 初任給はシミック ※24 初任給は基本給 ※25 初任給はワイドバリューグループ ※26 初任給はインソース ※27 初任給はコンサルタント職 ※28 初任給はエームサービス ※29 コプロコンストラクション、コプロテクノロジー含む ※30 初任給は薬剤師職 ※31 初任給は薬剤師職、諸手当含む ※32 初任給は前払い退職金含む ※33 初任給は南関東の住宅手当と技術職の職種手当含む ※34 初任給は在宅勤務手当を含む ※35 初任給はパーソルホールディングス ※36 グループ7社合計 ※37 初任給はライク、ライクスタッフィング ※38 初任給はビジネス職 ※39 初任給は営業職 ※40 オンワード樫山を含む4社計、総合職のみ ※41 初任給は東京地区勤務者の金額 ※42 初任給は業績・考課標準達成時の賞与含む ※43 初任給は総合職、販売職 ※44 初任給は東京都勤務者 ※45 初任給はカワニシ ※46 初任給はグリーンホスピタルサプライ
<数表>採用計画2270社本社調査、流通・外食(2)、証券、銀行、保険・その他[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 32ページ 12031文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
ケーズデンキグループ 約210 ( 125 ) ― ( 65 ) 240000
加藤産業※19 未 ( 57 ) 未 ( 57 ) ◇237000
紀伊国屋書店 ― ( 17 ) 約20 ( 17 ) 220000
三洋堂ホールディングス 15 ( 11 ) 15 ( 11 ) 固219500
キムラタン 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ―
スズケン ― ( 70 ) 未 ( 70 ) ◇固256500
タキヒヨー ― ( 12 ) 約10 ( 11 ) ■◇223000
ヨンドシーホールディングス 約105 ( 106 ) ― ( ― ) ―
サックスバーホールディングス□ 5 ( 4 ) 5 ( 2 ) 221600
ムーンバット〓※20 5 ( 5 ) 5 ( 5 ) ■220000
ヤマダホールディングス□※21 770 ( 479 ) 486 ( 264 ) ■237500
和 心□ 16 ( 12 ) 16 ( 10 ) 固231250
コーナン商事〓□TS 約140 ( 85 ) 約130 ( 71 ) ■◇230500
ジョイフル本田 未 ( 54 ) 未 ( 24 ) 232550
フェスタリアホールディングス 30 ( 28 ) 18 ( 14 ) ■固245000
ほっかほっか亭総本部□TK 10 ( 7 ) 7 ( 5 ) 固301795
ワークマン 30 ( 27 ) 30 ( 27 ) 261000
コスモス薬品□ 630 ( 438 ) 600 ( 370 ) ■245000
サンドラッググループ 690 ( 690 ) 600 ( 590 ) ―
ウエルシアホールディングス□ 約570 ( 691 ) 約500 ( 659 ) ■237500
クスリのアオキ〓※22 1100 ( 950 ) 1000 ( 835 ) ■240000
ナルミヤ・インターナショナル 78 ( 79 ) 33 ( 46 ) ■208000
西松屋チェーン 約50 ( 41 ) 約50 ( 41 ) ■◇235220
サッポロドラッグストアー□※23 約50 ( 57 ) 約40 ( 43 ) ■◇223000
ユナイテッドアローズ□ 約130 ( 116 ) 約120 ( 87 ) ■固224000
ピーシーデポコーポレーション□ 未 ( 28 ) 約100 ( 28 ) ■固240000
ゴルフ・ドゥ ― ( ― ) 約10 ( 2 ) 固235000
愛 眼□ 20 ( 14 ) 18 ( 12 ) ■◇217200
ジンズ□ 約300 ( 203 ) 約260 ( 161 ) ■265000
スギ薬局□ 1000 ( 884 ) 1000 ( 827 ) 228000
カワチ薬品※24 150 ( 117 ) 115 ( 77 ) ◇216440
アダストリア 約260 ( 246 ) 約200 ( 199 ) ■260000
ビックカメラ※25 約330 ( 273 ) 約260 ( 223 ) 272000
すかいらーくホールディングス□ 約170 ( 148 ) 約170 ( 126 ) ◇245800
ロイヤルホールディングス□ 100 ( 70 ) 約60 ( 47 ) 248000
グリーンハウス〓□TS 523 ( 485 ) 523 ( 480 ) ■250000
東京会館 60 ( 50 ) 約10 ( 13 ) ■230000
東天紅 15 ( 6 ) 5 ( 0 ) ■209900
SRSグループ 69 ( 54 ) 25 ( 12 ) ■◇固232200
木曽路□TS 45 ( 35 ) 24 ( 15 ) ■◇222000
グルメ杵屋□TS 20 ( 20 ) 10 ( 8 ) ■固225000
松屋フーズホールディングス□ 115 ( 73 ) 110 ( 43 ) ■265000
サガミホールディングス□ 100 ( 69 ) 80 ( 21 ) ■固280000
王将フードサービス□ 120 ( 100 ) 70 ( 54 ) ■300000
イートアンドグループ 約25 ( 27 ) 約20 ( 20 ) 固269500
ジョイフル□ 約40 ( 50 ) 約40 ( 50 ) 235000
浜木綿 20 ( 9 ) 6 ( 0 ) 固230600
ハチバン 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) ■211200
エターナルホスピタリティグループ□TS 24 ( 9 ) 24 ( 8 ) ■固271847
東京一番フーズ□ 約30 ( 16 ) 約20 ( 5 ) 固250100
銚子丸 20 ( 15 ) 10 ( 6 ) ■固265673
DDグループ 約70 ( 78 ) 約40 ( 41 ) 固254000
クリエイト・レストランツグループ 60 ( 50 ) 5 ( 3 ) ■固252000
一家ホールディングス 70 ( 63 ) 37 ( 31 ) ◇266666
Genki Global Dining Concepts□※26 40 ( 43 ) 30 ( 19 ) ◇238000
サンマルクグループ□ 110 ( 31 ) 約100 ( 29 ) ■固259000
マルシェ 未 ( 3 ) 未 ( 3 ) ◇209000
ゼンショーグループ※27 534 ( 413 ) 502 ( 400 ) ■312000
かんなん丸□ 若 ( 2 ) 若 ( 0 ) 固250000
ハイデイ日高 約100 ( 102 ) 約50 ( 37 ) 固271000
丸千代山岡家□ 18 ( 11 ) 15 ( 4 ) ■240000
コロワイドグループ 260 ( 252 ) 150 ( 132 ) ■固280900
物語コーポレーション□※28 200 ( 219 ) 約200 ( 160 ) ■257000
壱番屋 約15 ( 7 ) 約10 ( 3 ) ■235000
WDI JAPAN 約80 ( 78 ) ― ( 20 ) 固272000
FOOD&LIFE COMPANIES□ 212 ( 216 ) 172 ( 160 ) ■250000
カルラ 15 ( 10 ) 5 ( ― ) 200000
フライングガーデン 15 ( 10 ) 10 ( 5 ) 233000
ブロンコビリー□ 90 ( 78 ) 90 ( 78 ) 215000
東和フードサービス 10 ( 8 ) 8 ( 7 ) ■固250000
サイゼリヤ□ 160 ( 151 ) 約150 ( 141 ) ■◇236400
アークスグループ□※29 約160 ( 121 ) 約90 ( 46 ) ◇225000
プレナス 30 ( 38 ) 30 ( 38 ) ■255000
アシードホールディングス□ 10 ( 5 ) 約10 ( 3 ) 222500
パルコ ― ( 12 ) 約10 ( 12 ) ■245000
ヤマザワ□ 10 ( 6 ) 10 ( 5 ) 208000
ファミリーマート□ 約60 ( 82 ) 約60 ( 81 ) ◇245000
PPIHグループ□ 300 ( 300 ) 280 ( 241 ) ■固265000
十字屋 12 ( 7 ) 10 ( 6 ) ■209000
シュッピン□TS 約20 ( 14 ) 約20 ( 12 ) ■固305000
富士山マガジンサービス 若 ( 1 ) 若 ( 1 ) ―
エクセリ 約10 ( 3 ) 約10 ( 3 ) ■202620
ヒラキ□ 11 ( 5 ) 6 ( 1 ) ■205000
オートバックスセブン□TS※28 30 ( 14 ) 30 ( 14 ) ■年341万
バッファロー□ 15 ( 4 ) 10 ( 2 ) ◇218700
アップガレージグループ 50 ( 25 ) 45 ( 22 ) 固300000
ファンデリー□ 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) 246000
グリーンクロス 30 ( 24 ) 約30 ( 19 ) 固248000
正栄食品工業 10 ( 7 ) 10 ( 7 ) 240000
オイシックス・ラ・大地□ 20 ( 11 ) 20 ( 11 ) 固300000
セブン&アイ・ホールディングス〓※30 601 ( 463 ) 488 ( 385 ) ■270000
ポプラ□ 7 ( 0 ) 約5 ( 0 ) 204000
ローソン 108 ( 128 ) 100 ( 122 ) ■233000
トップカルチャー ― ( 4 ) 5 ( 3 ) 216000
やまや□ 70 ( 38 ) 30 ( 11 ) ■235000
シルバーライフ 未 ( 7 ) 16 ( 6 ) ■固280000
ハードオフコーポレーション 60 ( 53 ) 50 ( 38 ) 240000
魚 力□ 30 ( 17 ) 25 ( 13 ) 230000
キタムラ□ 50 ( 73 ) 50 ( 63 ) ■206900
花王グループカスタマーマーケティング 30 ( 13 ) 約30 ( 13 ) ◇214200
トレジャー・ファクトリー□ 140 ( 131 ) 140 ( 113 ) 固230000
セリア□ 40 ( 10 ) 約40 ( 10 ) 230000
大黒天物産 260 ( 257 ) 190 ( 184 ) ■245000
交換できるくん□ 8 ( 7 ) 8 ( 6 ) ■◇228000
エコノス 若 ( 10 ) 未 ( 0 ) 214950
BEENOS 6 ( 6 ) 6 ( 6 ) 年固420万
日本調剤グループ※15 588 ( 680 ) 566 ( 658 ) 280000
白 鳩 未 ( 0 ) 未 ( 0 ) ◇200000
【流通・外食の注】 ※1 計画大卒は高度専門士含む ※2 初任給はイオンリテール ※3 初任給は首都圏勤務者 ※4 初任給は東京勤務者 ※5 初任給は丸久 ※6 初任給はバローホールディングス ※7 初任給は地域手当含む ※8 初任給は首都圏エリア勤務者 ※9 初任給は全国キャリア職 ※10 初任給はグループキャリアコース ※11 初任給は営業職 ※12 ハニーズ含む ※13 初任給は社宅補助手当含む ※14 初任給はエリアフリー・関東圏勤務者 ※15 初任給は薬剤師職 ※16 初任給は薬剤師ナショナル社員 ※17 初任給は本社勤務の本部職 ※18 初任給はAOKI ※19 初任給は全国総合職 ※20 初任給は営業手当含む ※21 初任給はヤマダホールディングス、東京の地域手当含む ※22 初任給はナショナル社員 ※23 初任給は住宅手当含む ※24 初任給は転居を伴う異動ありの社員 ※25 初任給は首都圏・関西・東海勤務者 ※26 初任給はグローバル社員 ※27 初任給はゼンショーホールディングス ※28 初任給は諸手当含む ※29 初任給はアークス、ラルズ ※30 初任給はセブン―イレブン・ジャパン
野村グループ※1 約440 ( 370 ) 約440 ( 370 ) ◇265000
SMBC日興証券□※2 300 ( 255 ) 約300 ( 254 ) ■◇316000
大和証券グループ□K ― ( 561 ) 約590 ( 561 ) ■300000
みずほ証券 ― ( 339 ) 未 ( 339 ) 260000
岡三証券□T 230 ( 266 ) 230 ( 264 ) 300000
岩井コスモ証券〓□TS 90 ( 67 ) 90 ( 62 ) ■254000
東洋証券□T ― ( 38 ) 約50 ( 36 ) ■270000
丸三証券□ 121 ( 120 ) 121 ( 120 ) ■◇265000
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 約240 ( 168 ) 約240 ( 168 ) ■276000
東海東京フィナンシャル・ホールディングス□ 約230 ( 194 ) 約210 ( 175 ) 265000
日本証券金融 6 ( 6 ) 6 ( 6 ) ■270000
光世証券 10 ( 0 ) 10 ( 0 ) ◇240000
アイザワ証券 約70 ( 52 ) 約70 ( 52 ) 270000
極東証券 約20 ( 16 ) 約20 ( 16 ) ■270000
立花証券□ 10 ( 8 ) 約10 ( 7 ) ■◇267000
松井証券 ― ( 6 ) 約10 ( 6 ) 300000
内藤証券 30 ( 18 ) 30 ( 18 ) 300000
いちよし証券※3 ― ( 44 ) 100 ( 42 ) 265000
水戸証券□ 67 ( 74 ) 60 ( 72 ) ■◇261000
八十二証券□ 約15 ( ― ) 約15 ( 7 ) ■238000
丸八証券 約10 ( 6 ) 7 ( 5 ) ■256000
今村証券 14 ( 14 ) 14 ( 12 ) ■◇230000
アセットマネジメントOne 20 ( 20 ) 20 ( 20 ) ■309800
三菱UFJアセットマネジメント 約20 ( 23 ) 約20 ( 23 ) 300000
日本取引所グループ ― ( ― ) 約30 ( 28 ) ■258000
【証券の注】 ※1 国内グループ計 ※2 初任給は退職金前払い給含む ※3 初任給は全国転勤型の営業職
みずほ銀行※1 未 ( 500 ) 未 ( 500 ) 260000
三菱UFJ銀行 約600 ( 630 ) 約600 ( 630 ) ■◇255000
三井住友銀行 650 ( 513 ) 650 ( 513 ) 255000
SBI新生銀行□ 110 ( 81 ) 110 ( 81 ) 280800
あおぞら銀行 未 ( 66 ) 未 ( 66 ) ◇265000
りそなグループ 未 ( 650 ) 未 ( ― ) 255000
横浜銀行 未 ( 170 ) 未 ( 161 ) ■260000
静岡銀行 未 ( 191 ) 約180 ( 186 ) ■270000
北陸銀行 未 ( 149 ) 未 ( 125 ) ■◇250000
常陽銀行※2 未 ( 143 ) 未 ( 132 ) 260000
千葉銀行※3 未 ( 248 ) 未 ( 248 ) 260000
広島銀行※4 120 ( 135 ) ― ( 125 ) 250000
足利銀行 未 ( 117 ) 未 ( 93 ) 260000
福岡銀行 未 ( 244 ) 未 ( 237 ) 260000
八十二銀行/長野銀行 約140 ( 126 ) 約140 ( 124 ) 230000
群馬銀行 未 ( 96 ) 未 ( 93 ) ■250000
七十七銀行 未 ( 85 ) 未 ( 81 ) ◇240000
第四北越銀行□ 120 ( 103 ) 120 ( 100 ) ■250000
伊予銀行 未 ( 146 ) 未 ( 143 ) ■260000
京都銀行□ ― ( 206 ) 200 ( 201 ) 260000
北海道銀行 未 ( 80 ) 約80 ( 69 ) ■270000
南都銀行□T 未 ( 165 ) 未 ( 161 ) ■260000
滋賀銀行 未 ( 151 ) 約150 ( 147 ) ◇260000
百十四銀行 未 ( 73 ) 未 ( 70 ) ■240000
十六フィナンシャルグループ 150 ( 152 ) 約150 ( 152 ) 260000
紀陽銀行 未 ( 175 ) 未 ( 159 ) ■260000
百五銀行 130 ( 125 ) 125 ( 118 ) 260000
四国銀行 約70 ( 52 ) ― ( 46 ) 250000
肥後銀行□※5 約120 ( 121 ) 約100 ( 96 ) 260000
鹿児島銀行 未 ( 147 ) 未 ( 94 ) ■260000
東邦銀行 90 ( 93 ) 80 ( 78 ) ■260000
福井銀行□ 60 ( 56 ) 60 ( 54 ) ■260000
大垣共立銀行 約100 ( 141 ) 未 ( 137 ) 260000
阿波銀行 約70 ( 70 ) 64 ( 67 ) ■250000
大分銀行□ 約60 ( 60 ) 約50 ( 50 ) ■260000
岩手銀行 未 ( 52 ) 未 ( 47 ) 235000
秋田銀行 40 ( 33 ) 35 ( 31 ) 220000
青森みちのく銀行 未 ( 36 ) 未 ( 30 ) 240000
関西みらい銀行 150 ( 166 ) 約150 ( 166 ) ■255000
仙台銀行 40 ( 40 ) ― ( 39 ) ■225000
十八親和銀行 未 ( 118 ) 未 ( 103 ) 260000
山梨中央銀行〓□※6 65 ( 92 ) 60 ( 87 ) 260000
山形銀行 未 ( 59 ) 未 ( 51 ) ■220000
武蔵野銀行 125 ( 116 ) 110 ( 110 ) 255000
宮崎銀行 未 ( 87 ) 未 ( 63 ) ■260000
佐賀銀行 未 ( 60 ) 未 ( 50 ) ■260000
千葉興業銀行〓□TS 約60 ( 59 ) 約60 ( 59 ) 260000
池田泉州銀行 約150 ( 106 ) 約150 ( 106 ) ■260000
筑波銀行□ 70 ( 73 ) 55 ( 54 ) ■260000
清水銀行 未 ( 41 ) 未 ( 41 ) ■230000
琉球銀行□ 約70 ( 85 ) 約60 ( 77 ) ■◇211000
山陰合同銀行〓□※7 70 ( 79 ) 70 ( 72 ) 270000
中国銀行 未 ( 114 ) 未 ( 107 ) 250000
山口フィナンシャルグループ※8 130 ( 127 ) ― ( 102 ) 250000
西日本シティ銀行 未 ( 293 ) 未 ( 250 ) ■260000
北都銀行□TS 15 ( 9 ) 15 ( 9 ) 220000
鳥取銀行※9 35 ( 32 ) ― ( 25 ) 240000
筑邦銀行 未 ( 41 ) 未 ( 35 ) ■260000
富山銀行 20 ( 18 ) ― ( 18 ) ■250000
荘内銀行 未 ( 13 ) 15 ( 13 ) 220000
名古屋銀行 未 ( 81 ) 80 ( 80 ) 260000
あいち銀行□ 約120 ( 120 ) 約120 ( 118 ) 260000
北洋銀行※7 135 ( 129 ) ― ( 115 ) ■270000
京葉銀行 110 ( 108 ) 未 ( 95 ) 260000
三十三銀行 未 ( 52 ) 未 ( 47 ) ■260000
愛媛銀行 未 ( 100 ) 未 ( 87 ) ■255000
東日本銀行 60 ( 63 ) 60 ( 63 ) ■260000
北日本銀行□TS 約45 ( 39 ) 約40 ( 28 ) ■◇235000
みなと銀行□ 約90 ( 111 ) 約80 ( 101 ) 255000
東和銀行 未 ( 71 ) 未 ( 52 ) ■255000
栃木銀行 未 ( 71 ) 未 ( 53 ) 250000
福岡中央銀行 未 ( 42 ) 未 ( 31 ) ■230000
トマト銀行 約50 ( 50 ) ― ( 47 ) ■240000
高知銀行□ 約50 ( 57 ) 約40 ( 40 ) ■250000
富山第一銀行 未 ( 46 ) 未 ( 44 ) 235000
南日本銀行 約40 ( 36 ) ― ( 24 ) 260000
熊本銀行※10 未 ( 76 ) 未 ( 72 ) 260000
きらやか銀行□ ― ( 13 ) 約20 ( 8 ) ■225000
大東銀行□ 約30 ( 29 ) 未 ( 22 ) ■235000
徳島大正銀行 約60 ( 60 ) 約50 ( 50 ) ■250000
西京銀行 22 ( 22 ) 約20 ( 20 ) ■250000
長崎銀行 未 ( 15 ) 未 ( 13 ) ■◇215000
豊和銀行 35 ( 41 ) 25 ( 21 ) 210000
宮崎太陽銀行※11 未 ( 56 ) 未 ( 23 ) ■230000
神奈川銀行 40 ( 36 ) 約40 ( 36 ) ■235000
沖縄海邦銀行□ 約40 ( 39 ) 約35 ( 30 ) 211000
大光銀行□ ― ( 50 ) 40 ( 35 ) ■250000
きらぼし銀行□ 未 ( 103 ) 約100 ( 102 ) 260000
静岡中央銀行 未 ( 43 ) 未 ( 35 ) ■235000
島根銀行 ― ( 15 ) 約20 ( 13 ) 215000
東京スター銀行 25 ( 29 ) 25 ( 29 ) ■◇270000
三菱UFJ信託銀行※12 約250 ( 272 ) 約250 ( 272 ) 255000
三井住友信託銀行□K 約320 ( 394 ) 約320 ( 394 ) ◇268000
日本カストディ銀行 約80 ( 107 ) 約80 ( 107 ) ■◇260000
日本マスタートラスト信託銀行 70 ( 62 ) 70 ( 62 ) ■262000
巣鴨信用金庫□T 約40 ( 24 ) 約40 ( 24 ) ◇235000
川崎信用金庫〓□TS 50 ( 57 ) 48 ( 56 ) 250000
東京信用金庫 50 ( 48 ) 50 ( 48 ) ■◇235000
浜松いわた信用金庫□ 70 ( 77 ) 60 ( 67 ) ■240000
京都信用金庫□T 40 ( 49 ) 40 ( 49 ) ◇250000
京都中央信用金庫□TS 160 ( 178 ) 160 ( 178 ) ■260000
尼崎信用金庫〓□※13 ― ( 100 ) 100 ( 98 ) ■◇240000
岐阜信用金庫□ 91 ( 94 ) 90 ( 88 ) ■260000
多摩信用金庫□ 92 ( 78 ) 90 ( 77 ) ■240000
大阪シティ信用金庫□T ― ( 134 ) 約80 ( 132 ) ◇235000
蒲郡信用金庫 約40 ( 42 ) 約30 ( 25 ) ■240000
さわやか信用金庫 60 ( 50 ) 60 ( 50 ) ■◇230000
東濃信用金庫 約50 ( 35 ) 約40 ( 30 ) ■◇220000
姫路信用金庫 55 ( 33 ) 55 ( 32 ) ■◇215000
広島信用金庫□T 70 ( 67 ) 67 ( 65 ) 235000
横浜信用金庫 80 ( 109 ) 約70 ( 98 ) ■250000
瀬戸信用金庫□T 未 ( 42 ) 未 ( 40 ) ■260000
碧海信用金庫 未 ( 61 ) 未 ( 59 ) ◇240000
城北信用金庫 70 ( 89 ) 約70 ( 89 ) ■250000
埼玉県信用金庫〓□TS 約70 ( 59 ) 約70 ( 59 ) ■250000
西武信用金庫□ 約100 ( 86 ) 95 ( 80 ) ■◇250000
芝信用金庫 40 ( 47 ) 約40 ( 47 ) ■235000
東京東信用金庫 90 ( 79 ) 80 ( 74 ) ■◇225000
大阪信用金庫□T ― ( 76 ) 約60 ( 76 ) ■◇245000
日本政策金融公庫 未 ( 257 ) 未 ( 257 ) ■240300
国際協力銀行 未 ( 41 ) 未 ( 41 ) ■◇260000
商工組合中央金庫 約100 ( 102 ) 約100 ( 102 ) ■300000
住宅金融支援機構 ― ( 35 ) 35 ( 35 ) 233000
セブン銀行□K 約20 ( 21 ) 約20 ( 20 ) ■250000
日本貿易保険 約20 ( 12 ) 約20 ( 12 ) ■287800
FPG 約5 ( 7 ) 約5 ( 7 ) ■290000
【銀行の注】 ※1 みずほ信託銀行含む ※2 初任給は総合職(Fコース) ※3 初任給はライフプラン支援金含む ※4 初任給は勤務地域限定なしコース ※5 初任給は総合職ゼネラリストコース(エリアフリー) ※6 初任給は営業コース ※7 初任給は7月より適用 ※8 初任給は勤務地域限定なしコース ※9 初任給は転居を伴う転勤ありの営業職 ※10 初任給は大卒Fコース ※11 営業職のみ ※12 初任給は全国コース ※13 初任給は食事手当含む
日本生命保険 750 ( 755 ) 約750 ( 755 ) ■276000
第一生命保険 約480 ( 466 ) 未 ( 452 ) ■固335560
住友生命保険□T 約380 ( 404 ) 約380 ( 393 ) ■260000
明治安田生命保険※1 約610 ( 709 ) 約610 ( 696 ) 固331660
朝日生命保険□T 115 ( 112 ) 115 ( 112 ) ■◇固275000
太陽生命保険 約150 ( 134 ) 約150 ( 134 ) ■◇280000
大樹生命保険※2 約80 ( 105 ) 約80 ( 105 ) ■◇固275000
大同生命保険 100 ( 103 ) 約100 ( 103 ) 280000
富国生命保険〓□※3 138 ( 137 ) 138 ( 132 ) ■280000
T&Dフィナンシャル生命保険 未 ( 2 ) 未 ( 2 ) 300000
ソニー生命保険 約65 ( 45 ) 約65 ( 45 ) 268000
アフラック生命保険 未 ( 91 ) 未 ( 91 ) 271000
SOMPOひまわり生命保険 約50 ( 51 ) 約50 ( 51 ) 年474万
東京海上日動あんしん生命保険〓□T※4 56 ( 47 ) 56 ( 47 ) ■278370
三井住友海上あいおい生命保険 80 ( 56 ) 約80 ( 56 ) ■◇固259300
アドバンスクリエイト 約40 ( 16 ) 約40 ( 16 ) ■◇243400
エージェント・インシュアランス・グループ 10 ( 4 ) 10 ( 4 ) ■固270000
東京海上日動火災保険 ― ( ― ) 未 ( 460 ) ■263240
損害保険ジャパン□ 320 ( 301 ) 約320 ( 297 ) ■固281230
三井住友海上火災保険□T 未 ( 350 ) 約340 ( 350 ) ■◇279000
あいおいニッセイ同和損害保険〓□TK※5 ― ( 317 ) 未 ( 317 ) 268863
日新火災海上保険□TK 70 ( 60 ) 70 ( 60 ) 251850
トーア再保険 未 ( 8 ) 未 ( 8 ) ■◇274260
【保険・その他の注】 ※1 初任給は総合職(全国型) ※2 初任給は試用期間経過後の勤務加算含む ※3 初任給は法定内時間外勤務手当含む ※4 初任給は挑(いどむ)手当含む ※5 初任給は基幹社員コース
各社別の数字は2026年春の計画、カッコ内は25年春の実績見込み。「―」は公表していないもの、算出できないもの、内訳不明(区分なし)など。「若」は若干、「未」は未定、「並」は25年春並み、「増」は25年春に比べて採用増の方針、「減」は同じく採用減。総合計は大卒(大学院)、短大・専門学校・高専卒、高卒などの合計で中卒は含まず。□は計画大卒に短大・専門学校・高専卒含む、□Kは高専卒含む、□Tは短大卒含む、□Sは専門学校卒含む。初任給は2025年大卒。■は初任給が総合職◇は前年実績。年は年俸。固は固定残業代を含む。企業掲載順は順不同。3月13日現在
<数表>採用計画2270社本社調査、住宅・建設・不動産(1)、商社、流通・外食(1)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 33ページ 11566文字 PDF有 書誌情報]
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
会社名 総合計 大卒計 初任給
ゴールドクレスト 10 ( 7 ) 10 ( 7 ) ◇285000
プレサンスコーポレーション□※6 ― ( 173 ) 209 ( 168 ) 固300000
日神グループ※6 未 ( 19 ) 未 ( 18 ) 固303000
中央日本土地建物※17 約15 ( 19 ) 約15 ( 19 ) ■300000
サンセイランディック□T ― ( 5 ) 5 ( 5 ) 247000
THEグローバル社グループ 若 ( 1 ) 若 ( 1 ) ■250000
飯田グループホールディングス□ 643 ( 403 ) 566 ( 378 ) ■270000
トーセイ 約50 ( 26 ) 約50 ( 26 ) ■253000
穴吹興産 未 ( 41 ) 約40 ( 41 ) ◇固273600
和田興産 3 ( 4 ) 約3 ( 4 ) 固243000
NTT都市開発 約30 ( 40 ) 約30 ( 40 ) ■267790
フェイスネットワーク※18 9 ( 5 ) 8 ( 5 ) 250000
AlbaLink□T 15 ( 4 ) 15 ( 4 ) 固280000
誠建設工業□ 3 ( 1 ) 3 ( 0 ) ■固230000
セントラル総合開発 約5 ( 2 ) 約5 ( 2 ) ■225000
伊藤忠都市開発 10 ( 6 ) 約10 ( 6 ) 280000
ウィル 約50 ( 30 ) 約50 ( 30 ) 固261458
コーセーアールイー□ 5 ( 2 ) 5 ( 0 ) 固260000
ディア・ライフ 10 ( 9 ) 10 ( 9 ) ■年固420万
グランディーズ 2 ( 3 ) 2 ( 3 ) 固227200
And Doホールディングス□ 約30 ( 57 ) 約30 ( 52 ) ■232000
大英産業 若 ( 10 ) 若 ( 10 ) 固222800
日本グランデ 若 ( 1 ) 若 ( 0 ) ■固250000
ランドネット※19 135 ( 90 ) ― ( ― ) 320923
三菱地所 40 ( 43 ) 約40 ( 43 ) ■305000
東京建物 30 ( 28 ) 約30 ( 28 ) ■◇300000
東京建物不動産販売 17 ( 15 ) 17 ( 15 ) ■255000
森ビル 未 ( 50 ) 未 ( 50 ) ■310000
森トラスト 20 ( 22 ) 約20 ( 22 ) ■320000
エムティジェネックス□ 若 ( 1 ) 若 ( 1 ) 240000
平和不動産 未 ( 5 ) 未 ( 5 ) ■◇285000
ダイビル ― ( 4 ) 若 ( 4 ) ◇290000
テーオーシー 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) ■◇252580
サンケイビル 約10 ( 10 ) 約10 ( 10 ) ■◇285000
レオパレス21□ 150 ( 140 ) 約150 ( 140 ) ■250000
東急コミュニティー※20 105 ( 92 ) ― ( 91 ) ■230250
大盛工業□※18 14 ( 7 ) 11 ( 3 ) 296000
シーアールイー 3 ( 3 ) 3 ( 3 ) ■固260000
北沢産業□ ― ( 6 ) 約10 ( 5 ) ■固200000
エイブル□TS ― ( 178 ) 190 ( 158 ) 固245520
東急リバブル 約210 ( 208 ) 約210 ( 208 ) ■250000
ヒューリック 8 ( 7 ) 8 ( 7 ) ■330000
エスリードグループ□ 約70 ( 75 ) 約70 ( 75 ) ■280000
ジェイ・エス・ビー□※21 約70 ( 69 ) 約70 ( 66 ) ■279540
サンフロンティア不動産 30 ( 30 ) 30 ( 30 ) ■◇固283000
FJネクストグループ※22 50 ( 39 ) 50 ( 39 ) 固270000
アンビション DX ホールディングス□ ― ( ― ) 50 ( 41 ) 固260000
地 主 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) 固500000
グッドコムアセット□TS 未 ( 29 ) 約40 ( 29 ) 固270000
香陵住販□ 10 ( 4 ) 10 ( 4 ) ■固235000
西武不動産 10 ( 8 ) 10 ( 8 ) ■270000
フランスベッド□ 74 ( 55 ) 49 ( 46 ) ■215700
オカムラ 190 ( 207 ) 130 ( 143 ) ◇250000
イトーキ 60 ( 61 ) 51 ( 53 ) 250000
稲葉製作所 若 ( 22 ) 若 ( 4 ) ■◇225000
太平洋セメント〓□※23 130 ( 114 ) 100 ( 81 ) ■263000
住友大阪セメント□ 63 ( 65 ) 50 ( 54 ) ■◇260000
UBE三菱セメント□K 未 ( 42 ) 約40 ( 21 ) ■◇267000
日本ヒューム 15 ( 11 ) 12 ( 9 ) ■232211
三谷セキサン 約10 ( 11 ) 約10 ( 10 ) ■250000
富士ピー・エス□ 23 ( 13 ) 約20 ( 11 ) ■232500
ジオスター 未 ( 4 ) 8 ( 3 ) ◇231503
旭コンクリート工業 ― ( 9 ) 未 ( 8 ) ◇220000
ショーボンド建設 43 ( 43 ) 38 ( 36 ) 294000
日本興業 未 ( 9 ) 未 ( 5 ) 225000
高見沢 15 ( 10 ) 10 ( 4 ) ■220000
ヤマウ 未 ( ― ) 6 ( 2 ) ■◇209100
ヤマックス□※24 約20 ( 14 ) 約10 ( 8 ) 固240000
イトーヨーギョー□ 約10 ( 0 ) 7 ( 0 ) 固234300
コーアツ工業 8 ( 3 ) 4 ( 2 ) ◇223000
ビーアールホールディングスグループ 35 ( 22 ) 約35 ( 22 ) ■◇248000
ジャパンパイル ― ( 15 ) 約10 ( 11 ) ■250000
永大産業 未 ( 29 ) 20 ( 28 ) 230200
大建工業 65 ( 53 ) 40 ( 41 ) 270000
ノ ダ□ 約30 ( 29 ) 約20 ( 16 ) ◇234000
アイカ工業 54 ( 46 ) 42 ( 36 ) ◇236470
ウッドワン 52 ( 35 ) 35 ( 20 ) ■225000
兼松サステック 6 ( 1 ) 6 ( 1 ) ■◇235000
ニチハ 未 ( 10 ) 未 ( 7 ) ◇233820
南海プライウッド□ ― ( 8 ) 約10 ( 5 ) ■◇218000
JKホールディングス□TS 約60 ( 57 ) 約60 ( 57 ) ◇固242000
オービス□ 5 ( 2 ) 3 ( 1 ) 固238000
TOTO※25 未 ( 142 ) 未 ( 130 ) ■◇254000
ノリタケ□ 約50 ( 42 ) 約30 ( 27 ) ―
ニッカトー 未 ( 7 ) 4 ( 4 ) 234000
YKK 160 ( 142 ) 90 ( 83 ) ■252000
三協立山グループ※26 未 ( 124 ) 未 ( 89 ) ◇253000
LIXIL 352 ( 322 ) 約180 ( 161 ) ◇229200
不二サッシ 30 ( 21 ) 25 ( 15 ) 234000
三和シヤッター工業□K 140 ( 132 ) 75 ( 78 ) ■◇234000
クワザワホールディングス/クワザワ□※27 15 ( 5 ) 15 ( 5 ) ■227000
三晃金属工業 未 ( 20 ) 未 ( 16 ) ■◇260000
東 リ□TS 37 ( 33 ) 25 ( 25 ) ■240000
文化シヤッター□ 約70 ( 49 ) 約50 ( 42 ) ■◇236800
岡 部□K ― ( 12 ) 15 ( 9 ) ■◇230000
ヨータイ 18 ( 14 ) 約10 ( 6 ) ■◇242200
田島ルーフィング 30 ( 21 ) 20 ( 15 ) ■250000
ニチレキグループ□※28 約40 ( 39 ) 約30 ( 22 ) ■275000
サンゲツ 未 ( 58 ) 約40 ( 43 ) ■270000
東洋シヤッター□ 約30 ( 13 ) 約15 ( 7 ) 230700
イソライト工業□ 9 ( 9 ) 6 ( 6 ) ◇231000
三洋工業□※29 18 ( 8 ) 15 ( 7 ) 235200
高橋カーテンウォール工業 5 ( 5 ) 5 ( 4 ) ■◇225000
コンセック 9 ( 1 ) 約5 ( 1 ) ■◇固219840
ジオリーブグループ 30 ( 25 ) 約30 ( 25 ) ■◇230000
アルインコ□K 10 ( 15 ) 10 ( 15 ) ■276700
コンドーテック 約30 ( 19 ) 約20 ( 16 ) ■◇226200
ケー・エフ・シー□ 7 ( 3 ) 5 ( 3 ) ■◇220000
YKKAP□K 未 ( 319 ) 約120 ( 175 ) ■252000
鶴 弥□ 8 ( 6 ) 3 ( 5 ) 185000
前田工繊 未 ( 21 ) 約10 ( 14 ) ■◇251000
タカラスタンダード 未 ( 134 ) 未 ( 101 ) ■◇230000
クリナップ□ 約95 ( 91 ) 約95 ( 81 ) ■◇217320
パスコ□※30 60 ( 58 ) 約60 ( 54 ) ■246500
乃村工芸社□ 未 ( 78 ) 91 ( 72 ) 250500
コマニー□ 約50 ( 42 ) 約30 ( 31 ) ■◇216000
キムラ 未 ( 6 ) 5 ( 4 ) ■187000
キタック 約10 ( 6 ) ― ( 6 ) 226000
NTTファシリティーズ□ 約80 ( 67 ) 約80 ( 67 ) ◇262790
ゼットン 45 ( 37 ) 約10 ( 6 ) 固244000
日本ERI□ 15 ( 11 ) 15 ( 10 ) ■230000
エコナックホールディングス 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) ―
アップルパーク〓※6 10 ( 9 ) 10 ( 9 ) 固260640
ADワークスグループ 15 ( 11 ) 約15 ( 11 ) 固270000
ムゲンエステート 35 ( 23 ) 35 ( 22 ) 250000
パルマ 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) 225000
JESCOホールディングス□ 約10 ( 2 ) 約10 ( 2 ) ■240000
キャンディル□ 25 ( 24 ) 約20 ( 17 ) 220000
霞ヶ関キャピタル 若 ( 5 ) 若 ( 5 ) ■固300000
ランディックス 10 ( 12 ) 約10 ( 12 ) ◇固250000
【住宅・建設・不動産の注】 ※1 初任給は作業所勤務手当含む ※2 初任給は作業所手当含む ※3 初任給は首都圏勤務の技術職 ※4 初任給は技術者手当含む ※5 初任給は東京配属の施工管理職 ※6 初任給は営業職 ※7 初任給は現場手当含む施工管理職 ※8 初任給は東京地区独立生計者 ※9 初任給は東京、埼玉勤務者 ※10 初任給は東京勤務者、家族手当含む ※11 初任給は住宅手当、食事手当含む ※12 初任給は諸手当含む ※13 初任給は現場手当を含む ※14 初任給はセールスアシスタント職 ※15 初任給は野村不動産 ※16 グループ6社合計 ※17 総合職のみ ※18 初任給は施工管理職 ※19 初任給は業績保証給を含む営業職 ※20 初任給は首都圏勤務者 ※21 初任給は首都圏地区勤務者 ※22 初任給は営業総合職 ※23 中途採用を含む ※24 初任給は営業手当含む ※25 初任給は東京勤務者 ※26 初任給は勤務地手当含む東京勤務者 ※27 初任給は営業・施工管理職 ※28 初任給は食事手当含む ※29 初任給は勤務地手当含む ※30 初任給は東京地区独身独立生計者、住宅手当含む
三菱商事 未 ( 139 ) 未 ( 139 ) ■◇325000
三井物産 約130 ( 140 ) 約130 ( 140 ) ■320000
伊藤忠商事 130 ( 153 ) 130 ( 153 ) ■325000
丸 紅 約100 ( 105 ) 約100 ( 105 ) 305000
住友商事 約100 ( 97 ) 約100 ( 97 ) 325000
双 日 未 ( 152 ) 約120 ( 152 ) ■305000
豊田通商 未 ( 72 ) 未 ( 72 ) ■305000
JFE商事 ― ( 44 ) 約40 ( 44 ) ◇280000
阪和興業 約100 ( 100 ) 約100 ( 100 ) ■320000
神鋼商事 20 ( 14 ) 約20 ( 14 ) ■◇270000
岩谷産業 未 ( 78 ) 未 ( 76 ) ■290000
長瀬産業 約30 ( 33 ) 約30 ( 33 ) 311500
ユアサ商事 70 ( 78 ) 約70 ( 78 ) ■268000
ニチモウ 約10 ( 7 ) 約10 ( 7 ) ◇241380
東京貿易グループ※1 未 ( 22 ) 約20 ( 19 ) ◇247200
西華産業 ― ( 9 ) 約10 ( 9 ) ■◇262000
ダイワボウホールディングスグループ□※2 240 ( 216 ) 235 ( 205 ) ■296000
興 和 未 ( 102 ) 約100 ( 98 ) ■◇260000
昭光通商 3 ( 4 ) 3 ( 4 ) ■240000
トーメンデバイス 3 ( 4 ) 3 ( 4 ) ■固315000
稲畑産業※3 約20 ( 24 ) 約20 ( 24 ) ■300000
テクノアソシエ□ 22 ( 16 ) 22 ( 16 ) ■◇240200
八洲電機 19 ( 16 ) 17 ( 16 ) ◇250000
三共生興グループ 約10 ( 16 ) 約10 ( 16 ) ■240000
アズワン 50 ( 33 ) 約50 ( 33 ) ■250000
英 和 15 ( 9 ) 15 ( 9 ) ■固226000
CBグループマネジメント※4 10 ( 20 ) 10 ( 14 ) 255000
住友商事パワー&モビリティ 5 ( 10 ) 5 ( 10 ) ■280000
江 綿 15 ( 6 ) 5 ( 3 ) ■268000
北 恵□S 15 ( 11 ) 15 ( 11 ) ■固258800
第一実業 30 ( 36 ) 約30 ( 36 ) 234000
日本紙パルプ商事 25 ( 25 ) 25 ( 25 ) ■280000
内田洋行 80 ( 67 ) 80 ( 67 ) ◇250000
岡谷鋼機 約40 ( 43 ) 約40 ( 43 ) ◇280000
植松商会 5 ( 0 ) 3 ( 0 ) 210000
日 伝※5 45 ( 51 ) 約40 ( 47 ) ■255000
ソーダニッカ 10 ( 7 ) 約10 ( 7 ) ◇229600
GSIクレオス 約10 ( 13 ) 約10 ( 13 ) ■260000
杉本商事※6 40 ( 40 ) 40 ( 40 ) ■◇250000
オーウエル ― ( 5 ) 8 ( 5 ) ■221000
ダイコー通産□ 約10 ( 2 ) 約10 ( 2 ) 固271000
東京産業 15 ( 10 ) 15 ( 10 ) ■◇275000
創健社□ 若 ( 2 ) 若 ( 2 ) 固220500
南 陽 15 ( 8 ) 15 ( 8 ) ■◇固233900
初穂商事□ 7 ( 16 ) 6 ( 13 ) ■固240000
ヤシマキザイ 7 ( 6 ) 5 ( 5 ) ■220000
トラスコ中山 110 ( 124 ) 約80 ( 98 ) ■245000
富士興産※7 約10 ( 6 ) 約10 ( 6 ) ■固283150
アルファパーチェス 未 ( 5 ) 未 ( 5 ) ■258500
佐藤商事 ― ( 14 ) 約15 ( 14 ) ■◇260000
ゼロジャパン 未 ( ― ) 未 ( ― ) ―
高 島 12 ( 10 ) 12 ( 10 ) ■◇247350
SHINKO 73 ( 77 ) 66 ( 70 ) ■239100
スズデン□※8 17 ( 8 ) 約15 ( 5 ) ■◇260000
ほくやく・竹山ホールディングス 約60 ( 56 ) 約35 ( 33 ) 固229000
高 速 40 ( 41 ) 約20 ( 20 ) ◇固235000
藤井産業□ 64 ( 32 ) 53 ( 32 ) 230000
フルサト・マルカグループ 52 ( 38 ) 52 ( 38 ) ■235000
サンワテクノス〓□TK ― ( 28 ) 約50 ( 28 ) ■◇258280
ナラサキ産業 15 ( 11 ) 15 ( 11 ) ■◇228000
YKT 4 ( 8 ) 4 ( 8 ) 固240000
東テク※9 80 ( 67 ) 70 ( 55 ) ■290000
ヤ ギ 30 ( 13 ) 約30 ( 13 ) ◇250000
守谷商会 25 ( 24 ) 25 ( 24 ) ■固316200
石光商事 未 ( 5 ) 5 ( 3 ) 227800
メタルワン 約20 ( 15 ) 約20 ( 15 ) ■305000
三谷商事※10 35 ( ― ) 35 ( 21 ) ■275000
伊藤忠丸紅鉄鋼 60 ( 80 ) 約60 ( 80 ) ■305000
アイスコ□ ― ( ― ) 40 ( 27 ) 固250150
三洋貿易 未 ( 15 ) 未 ( 15 ) ■年405万
三栄コーポレーション 4 ( 4 ) 4 ( 4 ) ■◇230000
【商社の注】 ※1 初任給は東京貿易ホールディングス ※2 初任給はダイワボウ情報システム首都圏勤務者 ※3 初任給は修士卒の総合職 ※4 初任給は営業手当含む ※5 初任給はマネジメント職群 ※6 初任給は業務手当含む ※7 初任給は地域手当含む ※8 初任給は総合職手当含む ※9 初任給は東京・横浜・埼玉・千葉地区勤務者 ※10 初任給は諸手当含む
三越伊勢丹 未 ( 48 ) 約50 ( 47 ) ■◇250000
高島屋※1 ― ( 62 ) 約70 ( 60 ) 260000
大丸松坂屋百貨店 50 ( 43 ) 約50 ( 41 ) ■◇247000
阪急阪神百貨店 約40 ( 36 ) 約40 ( 36 ) ■◇240000
東急百貨店 15 ( 7 ) 15 ( 7 ) 225000
東武百貨店 ― ( 11 ) 約10 ( 11 ) ■240000
京王百貨店 ― ( 9 ) 未 ( 9 ) ■225000
松 屋 約20 ( 23 ) 約15 ( 20 ) ◇235000
近鉄百貨店□ ― ( 37 ) 未 ( 27 ) 240000
丸井グループ 約55 ( 44 ) 約50 ( 41 ) ■◇279500
イオングループ〓※2 2600 ( 2800 ) 2000 ( 2200 ) 270000
東急ストア 35 ( 27 ) 30 ( 23 ) 228100
マルエツ□ 150 ( 102 ) 120 ( 71 ) 258000
東武ストア□TS 30 ( 18 ) 約10 ( 8 ) ■◇219740
平和堂□ 120 ( 135 ) 100 ( 109 ) ◇230000
いなげや 70 ( 37 ) 60 ( 26 ) ◇242500
イズミ□ 190 ( 137 ) 150 ( 110 ) ■◇245000
カスミ□ ― ( 86 ) 90 ( 71 ) ◇241000
サミット□ 130 ( 112 ) 100 ( 85 ) 250000
ライフコーポレーション□※3 255 ( 262 ) 215 ( 218 ) 243000
ヤマナカ□ 20 ( 8 ) 15 ( 7 ) ◇225000
トーホー□TS※4 92 ( 77 ) 87 ( 76 ) 253020
リテールパートナーズ※5 75 ( 38 ) 約35 ( 13 ) 240000
ヤオコー□ 約200 ( 144 ) 約200 ( 130 ) ■251000
アクシアルリテイリング□ 70 ( 58 ) 約60 ( 41 ) ◇223650
天満屋ストア 30 ( 12 ) 15 ( 3 ) 230000
マミーマート□ ― ( 80 ) 150 ( 55 ) 280000
バローグループ〓※6 800 ( 695 ) 540 ( 476 ) ■235000
ベルク□ 170 ( 234 ) 120 ( 176 ) ■◇236000
マルヨシセンター 20 ( 12 ) 8 ( 4 ) ■210000
エコスグループ□ 100 ( 70 ) 100 ( 49 ) ■◇固235000
PLANT□ 20 ( 8 ) 15 ( 7 ) ■◇220950
サンエー 未 ( 87 ) 未 ( 39 ) ■228000
ハローズ□ 160 ( ― ) 120 ( ― ) ■270000
北雄ラッキー□ 10 ( 3 ) 6 ( 2 ) ■◇225000
オークワ□ 70 ( 61 ) 55 ( 39 ) ■240000
Olympicグループ□ 50 ( 26 ) 約30 ( 11 ) ■230000
リリカラ ― ( 18 ) 約25 ( 18 ) ◇210000
タカチホ 若 ( 3 ) 若 ( 3 ) ◇固235000
東邦レマック□T 3 ( 3 ) 3 ( 3 ) ―
アルフレッサ 未 ( 108 ) 未 ( 70 ) ◇220000
スターゼン□※7 ― ( 51 ) 約60 ( 49 ) ■231000
東邦ホールディングス□ 65 ( 55 ) 約45 ( 33 ) 固250392
アルフレッサファ 約30 ( 21 ) 約10 ( 13 ) 215000
ーマ□K
PALTAC※8 約100 ( 97 ) 約70 ( 67 ) ■245200
ヤマエグループ〓※9 未 ( 141 ) 未 ( 100 ) 268000
三菱食品 未 ( 115 ) 未 ( 115 ) ◇250000
国分グループ※10 未 ( ― ) 約100 ( 132 ) ■258000
伊藤忠食品 約50 ( 40 ) 約40 ( 32 ) ■253000
トーカン※11 ― ( 21 ) 15 ( 19 ) ◇固257000
シモジマ※4 30 ( 33 ) 17 ( 17 ) ■280720
日本アクセス 約100 ( 111 ) 約100 ( 111 ) ■◇243600
G-7グループ 約120 ( 81 ) ― ( 18 ) 固239000
アイエーグループ 73 ( 51 ) 36 ( 26 ) 215000
ハピネットグループ□ 40 ( 38 ) 約40 ( 38 ) 固286440
大田花き□ 8 ( 4 ) 8 ( 3 ) ■250000
アートグリーン 若 ( 2 ) 若 ( 1 ) 固230000
橋本総業ホールディングス 約30 ( 22 ) 約30 ( 22 ) ■固255500
クリエイト 約10 ( 4 ) 約10 ( 4 ) ■◇固246300
タカショー 若 ( 0 ) 若 ( 0 ) ■◇固235625
あらた 約70 ( 62 ) 約60 ( 60 ) ■240000
メディセオ□ 100 ( 55 ) 100 ( 51 ) ■固260700
コメリグループ 345 ( 240 ) 210 ( 118 ) 固235000
銀座山形屋 約10 ( 3 ) ― ( 3 ) ◇203300
ゼビオグループ 110 ( 118 ) 約110 ( 75 ) ■◇206600
ハンズマン□ 80 ( 46 ) 40 ( 21 ) 216100
良品計画□ 約200 ( 484 ) 約200 ( 480 ) 270000
ファーストリテイリンググループ 450 ( 430 ) ― ( ― ) ■330000
ハニーズホールディングス※12 50 ( 30 ) 約20 ( 13 ) ■260000
エービーシー・マート□※4 ― ( 155 ) 約100 ( 63 ) ■244000
しまむら□TS 90 ( 89 ) 85 ( 89 ) ■◇290400
ジュンテンドー〓□※13 20 ( 17 ) 15 ( 9 ) ◇241080
DCM□※14 約100 ( 87 ) 約100 ( 81 ) ■242600
ニトリグループ 約800 ( 1150 ) 約800 ( 1150 ) 290000
アークランズ 200 ( 103 ) 約140 ( 52 ) ■234000
マツキヨココカラ&カンパニー※15 ― ( 493 ) 約450 ( 447 ) ◇年505.5万
ゲンキー 395 ( 303 ) 315 ( 242 ) ■◇235000
薬王堂□TS 175 ( 132 ) 約100 ( 59 ) ■215000
ツルハグループ□ 768 ( 644 ) 748 ( 602 ) ■220000
アイングループ〓□※16 1375 ( 1320 ) 1370 ( 1315 ) 370000
クオールホールディングス□※15 400 ( 400 ) 400 ( 400 ) 271000
クリエイトエス・ディー 約400 ( 370 ) 約400 ( 355 ) ■230000
セキチュー□ 10 ( 17 ) 10 ( 9 ) 224000
タイム 15 ( 6 ) 約10 ( 6 ) ◇205710
ナフコ□ ― ( ― ) 100 ( 40 ) ■215000
ノジマグループ 1050 ( 764 ) 795 ( 607 ) ■307000
エディオン□ 250 ( 228 ) 160 ( 117 ) ◇240000
バロックジャパンリミテッド※17 未 ( 37 ) 未 ( 20 ) 固230000
AOKIホールディングス※18 205 ( 168 ) 143 ( 99 ) ■260000
青山商事グループ 約100 ( 248 ) ― ( 225 ) ■222680
体操の五輪王者対決 全日本選手権きょう開幕 岡「軸の美しさ」勝負/橋本「優勝できる」自信[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 1462文字 PDF有 書誌情報]
体操の個人総合で争う全日本選手権が17~20日、群馬県の高崎アリーナで行われる。最大の注目は男子だ。パリ五輪で3冠に輝き、大会初優勝を目指す岡慎之助(徳洲会)と、東京五輪王者で5連覇を狙う橋本大輝(日本生命・セントラルスポーツ)が対決する。2028年ロサンゼルス五輪に向け、真のエース争いが幕を開ける。
6種目全てで戦い、「キング・オブ・ジムナスト」の称号もある個人総合王者。日本体操協会によると、五輪の個人総合王者が全日本で対戦するのは、体操ニッポンの長い歴史を振り返っても初めてとなる。
パリ五輪で52年ぶりの3冠に輝き、日本の新たな顔となった岡。冬季練習の間は葛藤を重ねていた。しなやかな演技を極めて世界の頂点に立った21歳のオールラウンダーは、床運動などで演技価値点(Dスコア)を大幅に上げる構成に挑戦。日本代表合宿で橋本が新技に取り組む様子にも刺激を受けたという。
ただ、パリ五輪後のルール変更で短くなった演技時間の中で精度が落ち、後半は疲労で顔面から着地してしまうなど危険と隣り合わせだった。3カ月ほど試行錯誤を重ねた末、新ルールではトップ選手のDスコアの差がそれほど広がらない現状も踏まえ、今大会は10点満点で出来栄えを評価する実施点(Eスコア)を重視する原点回帰で臨むつもりだ。
「自分の軸は美しさ。技をやりたいっていう欲のままいっちゃだめだなと。今できる演技をちゃんとやった方が結果は出る。(橋本の演技を)見ていると大丈夫かなと不安にもなるけど、絶対勝つという気持ちで自分を鼓舞しながらやりたい」と金メダリスト対決を見据える。
左股関節の不調で3月のトルコでの種目別ワールドカップを回避した。コンディションが懸念される中、16日の会場練習ではパリで種目別金メダルの鉄棒で軽快な動きを見せ、つり輪なども感触を確かめるようにこなしていた。
東京五輪の覇者、橋本は捲土(けんど)重来を期す大会だ。個人総合連覇を目指したパリ五輪は、大会前に負った右手指のけがの影響で6位に終わった。オフの間はじっくりと立て直しに時間を充て、2~3月の国際大会もエントリーせず練習に集中してきた。
3月の代表合宿中に行われた試技会ではトップの得点をマーク。つり輪と平行棒の着地を課題に挙げつつも、審判から得点を引き出す手応えも得た。
4月にプロ転向も表明し、やすやすと日本トップの座を明け渡すつもりはないだろう。16日には「新ルールとなって大事な初戦。頭に描いた演技構成や準備してきたことを出せればおそらく優勝できる」ときっぱり言い切った。23歳は自信を取り戻している。
岡については「他の選手も出ているのであまり言いたくない」と多くを語らず、自身の演技に集中しようとしている。「僕たちが目標を持って取り組む姿に『やっぱり体操の日本のレベルは高い』と思ってもらえる演技を見せられたら」と付け加えたのは、ライバルの力を認めている証しだろう。
今大会は世界選手権(10月・ジャカルタ)代表2次選考会を兼ね、男女ともに予選、決勝で争う。男子は最大6枠で、最終選考会となる5月のNHK杯の上位2人が個人総合代表に決まる。
跳馬以外で技の数が10から8に減るなどの大幅なルール変更を受け、トップ選手たちの演技構成も見どころとなる。ベテラン萱和磨(セントラルスポーツ)のほか、川上翔平(徳洲会)や今春順大に進んだホープ角皆友晴も注目だ。
(佐藤淳一郎、鱸正人)
【図・写真】あん馬の練習をする橋本(16日)
【図・写真】鉄棒の練習をする岡(16日)
ロッテ山本「完璧」1号 「決めてくる」と初球強振(プロ野球)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 573文字 PDF有 書誌情報]
小島、種市の両エースが投げても4連敗中と不調のロッテ。意気消沈するチームの中で、1軍に昇格したばかりの山本が「流れを変えてやる」と牙を研いでいた。
前日、日本ハムのエース伊藤からプロ初打点となる適時打を放ったきっぷのいい22歳だ。六回1死一、二塁の好機で打席が回ると、日本ハムの新庄監督は「パンチ力があるとメモした記憶がある打者」と警戒し、加藤貴に代えて右の杉浦を投入してきた。
無失点投球を続けていた田中晴に「俺が決めてくるわ」と言い放って打席に向かった山本。真ん中に入った初球のカットボールを強振、バットを夜空に突き上げた。直球狙いで若干泳がされたが、左翼スタンド中段に飛び込むプロ1号の決勝3ランに「完璧でした」。
2021年に育成入団し、22年に支配下登録された。昨季は2軍で本塁打と打点の2冠に輝いたが、今季は開幕2軍スタート。それでも腐らず、同学年のドラフト1位ルーキー西川(青学大)と入れ替わりで1軍に昇格した。
同僚の石川慎と藤岡に勧められ、今季のオープン戦から打席での考え方などをメモしているという。3ランの後もすぐにベンチでノートに書き記していた。
ノートは1冊にも満たないというが、積み上げれば大打者になる可能性を秘めている。
(魚山裕慈)
【図・写真】六回ロッテ1死一、二塁、山本が左越えにプロ初本塁打となる先制3ランを放つ
ゴルフ前沢杯、賞金目標の半分 2億円、販売伸び悩み[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 388文字 PDF有 書誌情報]
日本ゴルフツアー機構は16日、国内男子ツアーの新規大会となる前沢杯(24~27日、千葉県睦沢町)の賞金総額が2億円(優勝賞金4000万円)に決まったと発表した。プロアマ戦の参加権販売などを原資に総額4億円を目指していたが、売れ行きが見込みに届かなかった。それでも、総額2億円は国内ツアートップクラスの水準。
前沢杯は衣料品販売大手ZOZO創業者の前沢友作氏が企画。最長10日間、500枠に及ぶプロアマ戦の参加権を1枠100万円、一緒にラウンドするプロの指名権をオークション方式で販売した。売り上げは3億3000万円。
大会側はラウンド枠を2回に分けて販売。第1弾では250枠が完売し、石川遼とのラウンド権は全4枠が即決価格の500万円で落札されるなど好調だった。
第2弾では若手プロとのハーフラウンドを30万円で売り出すなど工夫を凝らしたが、売れ行きが伸び悩んだとみられる。
岡本、バウアーから2打席連発(プロ野球)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 349文字 PDF有 書誌情報]
東京ドームのマウンドを初めて踏んだ元サイ・ヤング賞右腕に巨人の4番が貫禄を示した。岡本がDeNA・バウアーから2打席連続アーチを放った。
打者のタイミングを巧みに外すバウアーの投球術も「試合前から(コーチ陣に)言われていた」と織り込み済み。三回は相手がクイック気味に投じたスライダーを捉え、バックスクリーン左へのソロ。五回は155キロの剛速球をはじき返し、左翼ポール際へ2ランを突き刺した。圧巻の2発にも「追加点になってよかった」と涼しい表情だ。
バウアーからは23年5月の対戦でも本塁打を放っていた。「前回は2年前。ほぼ初対戦に近い」と言うが、苦手意識はなかっただろう。これで本塁打、打点ともリーグトップに浮上。坂本、丸と主戦が不在の中、「今いるメンバーでしっかり頑張りたい」と自覚を口にした。
くじけず歩み続けた勲章(逆風順風)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 834文字 PDF有 書誌情報]
35歳の〝オールドルーキー〟として、メジャー初勝利を挙げた菅野智之(オリオールズ)の勇気の源に、ヤクルト・石川雅規(45)の励ましがあるらしい。
「まだまだやれるよっていうふうに言ってもらえているので」。どこで、どういう状況でその会話があったか聞きそびれたが、4勝(8敗)止まりで、苦しい時を過ごしていた一昨年のあたりかもしれない。
いつまでも衰えない石川の姿は「僕たちベテランの投手みんなの刺激になっている」とも菅野は言った。2人で投げ合い、菅野が2年ぶりの10勝を挙げた昨年8月のことだった。
一方の石川は今年も9日の阪神戦で勝ち、プロ入りから24年連続勝利という前人未到の記録を作った。体格には恵まれなかったが、一年また一年と枝葉を伸ばし、今や球界の大樹として、菅野ら他球団の仲間にも優しい木陰を与えている。
あとを追う投手にとって、その投球自体はたぶん参考になりはしない。制球は何とかなるかもしれないが、球威を補う駆け引きと度胸。それらは天分に近く、マネできるものではない。
後輩の道しるべになるとすれば、人生との向き合い方か。まずは負けん気。キャンプのダッシュでも、必ず胸一つ、同走者の前に出てゴールしていたものだ。
腐らずに粘る。これもまた、石川の真骨頂だ。自分の送球ミスから3失点しながら、逆転を待った9日の投球が、その粘りを象徴するかのようだった。ほとほと自分がいやになりそうな展開でも、持ち直し、ゼロを重ねた。
勝ちの権利が転がり込んだ味方の得点に、相手失策がからんだ。ラッキーといえばラッキーだが、あれがまさに人生というものではないか。
運不運は必ずある。これまでの負け試合には打ち取った当たりが内野の間を抜けて、というものも少なくなかっただろう。運に惑わず、腐らず、ベストを尽くしてきたところに、通算187勝189敗という数字が刻まれている。
多くが早々に敗れ去る世界で、これだけ長く続け、五分の星。くじけず歩み続けたことの勲章だ。
(篠山正幸)
(サッカー)横浜M、衝撃の逆転負け 神戸は今季初の連勝[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 670文字 PDF有 書誌情報]
アジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)による変則日程となった第12節で、神戸が川崎に2―1で競り勝ち、今季初の連勝で勝ち点15に伸ばした。川崎は7試合ぶりの黒星で同17。清水は乾の今季初ゴールなどで横浜Mに3―2で逆転勝ちし、勝ち点15。横浜Mは6戦勝ちなしで同8。
浦和はクラブワールドカップ(W杯)に出るため前倒しになった第20節で京都に2―1で勝ち、勝ち点16。京都は同18から伸ばせなかった。
◇
横浜Mの前半の出来は今季最高といっていいものだった。果敢に前に出る本来の姿を取り戻したかに見えた。51分に植中が決めて2―0としたところまでは完璧に近かった。しかしそこから3失点、衝撃の逆転負けだ。
「前半にパワーを使ったから後半は体力的にきつかった。前半があまりに良かったからそれを続けたい思いもあった」とGK朴一圭は言う。54分にFKを決められた後から選手の足が止まり清水に一方的に攻められた。
71分に相手CKをクルードが頭でクリアできずにゴールへ。個人的なミスといえるOGかもしれないが、それまでに清水は決定機を複数回逃していた。それでもホーランド監督は81分まで交代枠を使わず、82分に乾に決勝弾を浴びた。
今季はわずか1勝で降格圏に沈み、監督は「点を取れるようになったら失点が増えた」と嘆く。交代で流れを変えようとしなかったことには「植中や遠野は素晴らしいプレーをしていた。誰を入れるのか」。使える選手がベンチにいない、ということなのだろうか。
(田中克二)
【図・写真】清水に敗れ、頭を抱える横浜M・植中(中央)
(大リーグ)大谷、150盗塁達成[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 271文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米大リーグは15日、各地で行われ、ドジャースの大谷はロサンゼルスでのロッキーズ戦に「1番・指名打者」で出場し、四球で出塁した三回に今季5個目の盗塁を決めてメジャー通算150盗塁に到達した。509盗塁のイチローに次いで日本勢2人目。4打数無安打2得点で、チームは6―2で勝った。
エンゼルスの菊池はレンジャーズ戦に先発し、6回3安打1失点と好投したが、3敗目(0勝)を喫した。試合は0―4で敗れた。
カブスの今永はパドレス戦に先発し、5回1失点(自責点0)で勝敗は付かなかった。右手首を痛めている鈴木は3試合連続の欠場。
世界陸上・競歩代表に山西ら[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 37ページ 142文字 PDF有 書誌情報]
日本陸連は16日、世界選手権東京大会(9月)の競歩代表8人を発表し、男子20キロには過去2度の優勝を誇り、2月に世界記録を樹立した山西利和や丸尾知司(ともに愛知製鋼)、吉川絢斗(サンベルクス)が名を連ねた。同35キロには前回3位の川野将虎(旭化成)や勝木隼人(自衛隊)、丸尾を選出。
カシューナッツ、食品表示義務に アレルギー発症増加 消費者庁、今年度中に追加[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1101文字 PDF有 書誌情報]
アレルギー表示を義務付ける食品として、消費者庁は2025年度中にカシューナッツを新たに追加する。ピスタチオについては表示を推奨する。近年、健康志向の高まりを背景に木の実類の消費量が伸びる一方で、アレルギーの発症例が増加。重症化するケースも出ているため、消費者や事業者に注意を促す。
同庁は、食物アレルギー症状を引き起こすリスクの高い食材を「特定原材料」に指定し、これを含む加工食品については食品ラベルなどへの表示を義務付けている。現在、対象となっているのは小麦やえび、そば、卵など計8品目。25年度中に食品表示基準を改正し、カシューナッツを加える。
23年の食物アレルギーの健康被害調査によると、約6000症例のうち、木の実類が原因だったのは全体の24.6%を占め、鶏卵(26.7%)に次いで2番目に多かった。
木の実類の内訳をみると、くるみが916例で最も多く、カシューナッツ(279例)、マカダミアナッツ(69例)、ピスタチオ(50例)と続いた。
特にカシューナッツは20年の前回調査から6割増と顕著な変化がみられたうえ、アナフィラキシーショックや意識障害などの重篤なケースも37件あったという。
50件の症例が確認されたピスタチオも前回調査の2.2倍と大幅に増えた。「特定原材料に準ずるもの」としてアレルギー表示を推奨する品目に新たに加える。
木の実類のアレルギー表示を巡っては、これまでにも23年にくるみが特定原材料に指定されたほか、24年にはマカダミアナッツが推奨品目に追加された。
背景にあるのは、健康志向の高まりに伴う消費量の拡大だ。ナッツを使った菓子や食品の人気が高まっており、23年のくるみの輸入量は11年比で8割増の1万8000トンだった。カシューナッツは約1万3600トンに倍増した。
アレルギー被害を減らすには、消費者に向けた正確な情報提供が欠かせない。消費者庁は表示の誤りなどによる商品の自主回収を届け出るよう事業者側に義務付けている。
同庁によると、21年6月の届け出制度開始以降、アレルギー表示に関する回収は2821件(24年10月時点)あり、全体の半数超を占めた。最も多かったのが「ラベルの貼り間違い」で1835件。次いで「ラベルの誤入力・入力漏れ、印字機の不具合」(317件)、「使用原材料の間違い」(200件)だった。
同庁は「アレルギーは、人によって非常に重篤な影響を及ぼす可能性がある。事業者はラベル表示を厳しくチェックしてほしい」と注意を呼び掛ける。消費者に対しても、外食時は自身のアレルギー情報をあらかじめ店側に伝えておくといった対策が望ましいとしている。
肝臓再現したミニ臓器、慶応大など作製 創薬研究に活用[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 754文字 PDF有 書誌情報]
慶応義塾大学とJSRは、肝臓の働きや構造を再現した「ミニ臓器」(オルガノイド)を成人の肝細胞から作製することに成功した。従来は肝臓の働きを十分には再現できていなかった。創薬研究で候補化合物の毒性を調べる用途や、肝臓の病気の病態解明に役立つという。研究成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。
研究チームは、成人の肝細胞を機能を保ったまま増やす鍵になる物質を特定した。情報伝達物質であるサイトカインの一種をふりかけて培養すると、約2週間で100万個まで肝細胞が増えた。従来の手法では本来の肝臓の働きを失い、消化液の通り道を構成する胆管細胞に変化してしまった。
増やした肝細胞を成熟させる手法も確立した。体内にもともとあるホルモンを数種類加えると、オルガノイドが本物の肝臓に似た構造になった。遺伝子の働き具合や、ブドウ糖や尿素を作る能力が成人の肝細胞とほぼ同程度だった。
開発した手法で作ったヒトのオルガノイドを肝機能が低下したマウスに移植したところ、肝臓が正常に働くようになった。遺伝子を自在に改変するゲノム編集技術を用い、生まれつきアンモニアを分解する肝臓の機能が低下し、脳症などを引き起こす「OTC欠損症」の細胞を作った。オルガノイドにすると、病態を再現できることも確かめた。
創薬の研究では毒性を調べるのにヒトの凍結した肝細胞を使う。だが高額なうえ、細胞の品質がばらつくのが課題だった。今回開発した手法を使えば1カ月ほどで、毒性試験に使うのに十分な量を安定的に作れる。品質も担保でき、創薬の研究がしやすくなる。
会見した慶応大の佐藤俊朗教授は「既存の創薬研究向け市場に対して、ゲームチェンジャーになりうる技術だ」と強調する。他にも脂肪肝などの病気の研究や、再生医療による治療法の開発にも役立つとしている。
故瀬谷俊雄氏(元東邦銀行頭取)のお別れの会[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
故瀬谷俊雄氏(元東邦銀行頭取)のお別れの会 5月19日正午から福島市野田町1の10の41のエルティ。
博覧会国際事務局長「万博は平和共有の場」 共同宣言採択に意欲(EXPO2025)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 883文字 PDF有 書誌情報]
万博を監督・統括する博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)などは、大阪・関西万博で「いのち」をテーマとした共同宣言採択を目指す。ケルケンツェス事務局長が日本経済新聞のインタビューで実現へ意欲を示した。国際社会の分断が深まる中「世界に対して強力なメッセージになる。閉幕日までに公表しなければならない」と話した。
参加する158カ国・地域などが人類共通の課題である「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」といった8分野を議論するテーマウイークを通じて合意を形成する。
各地で続く紛争やトランプ関税など、世界が揺れる現状に対し「地政学的に極めて困難な状況にある。世界は対話の必要性を忘れつつある」と警鐘を鳴らした上で「万博はこうした外部の『雑音』を遮断する。かつてないほど重要性が増す中、平和と連帯を共有する場となる」と強調した。
2015年ミラノ万博では食料を得る権利を基本的人権と位置づけた「ミラノ憲章」を、「より良い都市、より良い生活」をテーマとした10年上海万博では、持続可能な都市開発を目指す「上海宣言」を採択した。ケルケンツェス氏は「万博が地球規模の課題解決に向かうための一助になれば」と話す。
来場者に向け「各国は展示で技術やアイデアを共有し、未来に向かってともに前進する道を模索する。どのような姿を提示しているか、自分の目で見て考えてほしい」とメッセージを送った。
大阪万博には開幕日の13日、約12万人が来場した。事前予約などで「並ばない万博」を目指したものの、入場ゲートやパビリオン、最寄りの地下鉄駅の前には行列ができた。通信上の問題で電子チケットのQRコードが表示できないトラブルがあった。
ケルケンツェス氏は「万博は入退場のロジスティクス(輸送)が最大の課題となる。開幕から数日間、問題点を観察して改善を図る必要がある」と指摘。日本国際博覧会協会に対し「より多くの来場者をシャトルバスに誘導したり、退場時間の分散を検討したりすべきだ」と注文した。
(大阪・関西万博取材班)
【図・写真】インタビューに応じるBIEのケルケンツェス事務局長(大阪市此花区)
博覧会国際事務局長「万博は平和共有の場」――チリとブラジル、大阪万博で開館 未完成4カ国に(EXPO2025)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 285文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博で16日、工事の遅れなどで閉館していたチリ、ブラジルの2パビリオンがオープンした。ブラジルは「事業実施に関する技術的調整」が必要として、15日まで開館していなかった。現時点で開館のメドがたっていないのは残り4カ国。
内装展示工事が完了していないのは、独自性の高い外観が特徴の自前建設型「タイプA」のネパール、日本側が建設を代行した簡易型「タイプX」のインド、1つの施設に複数の国が入居する共同利用型「タイプB」のベトナム、複数国が共同利用する「タイプC」のブルネイ。
【図・写真】開館したブラジル館で、配られた衣装を身に着ける来場者(16日、大阪市此花区)
博覧会国際事務局長「万博は平和共有の場」――ブルーインパルス、会期中の飛行を要望 大阪知事(EXPO2025)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 192文字 PDF有 書誌情報]
大阪府の吉村洋文知事は16日の記者会見で、中谷元防衛相に対し、大阪・関西万博会期中に航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」による会場上空での再度の展示飛行を求めたと明らかにした。「前向きに検討する」との回答を得たという。
ブルーインパルスは万博開幕日の13日、大阪城や通天閣など府内の名所上空を巡り、正午ごろに万博会場で展示飛行する予定だったが、悪天候の影響で中止した。
両陛下、日本国際賞授賞式に出席(短信)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 119文字 PDF有 書誌情報]
天皇、皇后両陛下は16日、新国立劇場(東京・渋谷)で開かれた日本国際賞授賞式に出席された。天皇陛下は「様々な分野の叡智(えいち)を結集し、互いに力を合わせることにより、希望に満ちた未来が築かれていくことを願っています」とあいさつされた。
トンガ皇太子夫妻と夕食 両陛下、皇居で(短信)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 111文字 PDF有 書誌情報]
天皇、皇后両陛下は16日夜、大阪・関西万博の「ナショナルデー」参加のため来日中のトンガのウルカララ皇太子夫妻を皇居・御所に招き、夕食を共にされた。両陛下は夫妻を車寄せで握手して出迎え、笑顔で言葉を交わして御所に入られた。
セクハラ報道で石橋貴明氏謝罪 フジ女性社員に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 267文字 PDF有 書誌情報]
元タレントの中居正広氏の性暴力に端を発する問題で、フジテレビ女性社員にセクハラをしたと週刊文春に報じられたお笑いコンビ「とんねるず」の石橋貴明氏(63)は16日、所属事務所を通じ「私自身の至らなさゆえ、かなり羽目を外してしまったかもしれません。女性の方には不快な思いをさせてしまったことを大変申し訳なく思っております」との謝罪コメントを出した。
事実関係については「10年余り前のことで記憶が曖昧な部分もありますが、記事にあった方々と会食した覚えはあります。かなり深酒をしていたためか、覚えていないのが正直なところです」と説明した。
徳岡孝夫氏(評論家、元毎日新聞記者)(死去)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
徳岡 孝夫氏(とくおか・たかお=評論家、元毎日新聞記者)4月12日、老衰のため死去、95歳。葬儀は親族で行う。喪主は次男、良介氏。
1953年毎日新聞入社。作家、三島由紀夫からの信頼が厚く「サンデー毎日」編集部在籍時の70年、三島が東京・市谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺した事件の直前にげき文を託された。評論のほか翻訳でも活躍し、菊池寛賞などを受賞した。
朝日・中村氏、会長再任内定 日本新聞協会[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 38ページ 166文字 PDF有 書誌情報]
日本新聞協会は16日、会長選考委員会を開き、6月で任期満了となる中村史郎会長(朝日新聞社会長)の再任を内定した。6月18日の定時会員総会と理事会で選任、同日付で再任する。2期目となり、任期は2年。
協会によると、中村氏は1986年に入社し、東京本社編集局長や副社長、社長を歴任。2024年6月から会長を務める。62歳。島根県出身。
不登校の保護者、離職2割 2人に1人「孤独感じた」、「我が子の隣に」収入減も 相談など支援強化が急務[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 1396文字 PDF有 書誌情報]
不登校の小中学生が過去最多を更新し続けるなか、保護者への支援が課題になっている。民間調査によると、2人に1人が孤独を感じ、2割は離職を余儀なくされた。文部科学省は2025年度、自治体による相談窓口の設置を後押しするなどし、心理的なケアや支援情報の提供を強化する。
「2年間ほどは誰にも頼れず、本当に孤独だった」。東京都世田谷区の松岡ゆう子さん(47)は声を絞り出す。中学1年生の長女と小学6年生の長男がともに数年前から不登校となった。見守り方や進路について不安を感じたが、相談相手がいなかったという。
24年8月、知人の紹介を受け、不登校で悩む親が集まる「こぐまの会」に通うようになった。月1回開かれており、近況を報告し合ったり、互いに助言したりしている。松岡さんは「集まりに参加して希望を持てるようになった」と話す。
不登校は増え続けている。文科省の調査によると、23年度の不登校の小中学生は過去最多の34万人で、5年前から倍増した。我が子の将来を心配するなどし、心身の負担を感じる保護者は少なくない。
オンラインでフリースクールを運営しているSOZOW(東京・品川)が24年、同スクールに通う小中学生の保護者約200人に実施した調査によると、子どもの不登校によって「孤独を感じた」と答えた保護者は55%と半数を超えた。体調不良になったのは26%、精神科を受診したのは15%だった。
「こぐまの会」のような当事者の集まりや、保護者を支援するNPOの活動は地域によって差がある。不登校に詳しい神戸女子大学の伊藤美奈子教授は「保護者が相談できる場所はまだ少ない」とする。
心身の不調のほか、自宅で子どもの面倒をみる必要に迫られるなどして、保護者が働きにくくなることも少なくない。SOZOWの調査では19%が望まない離職をしていた。
NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が23年に公表した調査によると、不登校をきっかけに世帯収入が減った家庭は3割を超えた。
「仕事を続けると、娘が望んだときに隣にいてあげられない。片手間では対応できないと思った」。娘が中学生の時に不登校になり、3年間休職したという女性はこう振り返る。
不登校になっても学び続けられるような環境づくりは徐々に進んでいるが、保護者に十分周知されていないのも課題だ。
各地の教育委員会は教育支援センターを設置するなどし、学校復帰を後押ししている。柔軟なカリキュラムが認められている「学びの多様化学校」(不登校特例校)や民間のフリースクール、通信制の学校に通うといった選択肢もある。
こうした情報について、SOZOWの調査では保護者の半数が「学校から提供はなかった」と回答した。
文科省は不登校を巡る問題が深刻化している状況を受け、25年度にまず200程度の自治体を対象とし、保護者への支援体制を強化する方針だ。公認心理師ら専門家が助言する事業などに必要な費用を補助。保護者向けの学習会の開催などについても補助し、情報が適切に伝わるようにする。
伊藤教授は「親の安定と子どもの安心は密接に結びついている。保護者によって相談しやすいと感じる相手は異なるため、多様な相談先を増やす必要がある」と強調している。
(森紗良)
【図・写真】不登校の子どもを持つ保護者の居場所となっているこぐまの会(3月、東京都世田谷区)=同会提供
海保、北海道でヘリ増備 知床沈没受け、救助手薄エリア解消[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 441文字 PDF有 書誌情報]
北海道・知床半島沖の観光船沈没事故などを受けた海難救助体制の強化策の一環として、海上保安庁は16日、第1管区海上保安本部の千歳航空基地(北海道千歳市)にヘリコプターを新たに配備すると発表した。2025年度内に2機を投入する。配備が完了すれば、ヘリによる救助体制が手薄なエリアを全国でほぼ解消できるという。
22年4月に乗客乗員計26人が死亡・行方不明となった知床半島沖の沈没事故では、ヘリが現場に到着するまで約3時間かかったほか、海難事故で救助にあたる機動救難士が1時間以内に出動できる場所に配置されていなかったことなどから救助体制の問題が指摘された。
海保は24年3月に釧路航空基地(釧路市)のヘリを1機増強して3機体制とし、機動救難士を配置するなど体制強化を進めてきた。25年度は函館航空基地(函館市)にもヘリ1機を追加。千歳と合わせて3基地で計8機体制とする。ヘリの追加配備により、これまで手薄だった北海道北部エリアを含め北海道のほぼ全域で迅速な出動が可能になるとしている。
不登校の保護者、離職2割――「学校やる気出ず」3割 国、不登校巡り教員調査[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 296文字 PDF有 書誌情報]
文部科学省の2023年度の調査では、不登校だった小中学生について教員が把握している事実を複数回答で聞いたところ、「学校生活に対してやる気が出ないなどの相談があった」が3割で最多だった。
「不安・抑うつの相談があった」や「生活リズムの不調に関する相談があった」はそれぞれ2割だった。
不登校の増加の背景には、新型コロナウイルス禍による生活の乱れや、無理に通学させる必要はないとする価値観の広がりもあるとみられる。
文科省は不登校の小中学生について、一人ひとりの状況に応じて、個別に教育カリキュラムを編成できる特例制度を新設する方針。学習の分量や進度などを柔軟に設定し、学びやすい環境を整える。
「サイバー警部」民間から初採用 警視庁、捜査態勢を強化[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 238文字 PDF有 書誌情報]
サイバー犯罪の捜査態勢を強化するため、警視庁は16日、民間企業から同庁初となる任期付き職員を4月1日付で採用したことを明らかにした。闇バイトが絡む事件で犯行に使われる秘匿性が高い通信アプリや、マネーロンダリングに悪用された暗号資産(仮想通貨)の解析などといった業務が想定される。
同庁によると、採用したのは高橋佑典警部(34)。NEC出身で、同社ではセキュリティー技術の研究開発などを担当していた。1日から警視庁のサイバー犯罪対策課で勤務しており、任期は2027年3月まで。
熊本地震「本震」9年、「時間たっても忘れない」 各地で追悼[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 784文字 PDF有 書誌情報]
熊本、大分両県で計278人が亡くなった2016年4月の熊本地震は16日、2度目の激震「本震」から9年となった。熊本県南阿蘇村の阿蘇大橋付近で起こった土砂崩れに車ごと巻き込まれて亡くなった大学生、大和晃さん(当時22)の母、忍さん(57)は発生時刻の午前1時25分、月明かりが照らす谷底に祈りをささげた。
晃さんが行方不明となり、同5月に行政が捜索を打ち切った後、忍さんは夫の卓也さん(66歳で昨年9月に他界)と共に捜し続け、16年7月に車の一部を発見。8月、遺体が収容された。
忍さんは「前向きに、と言ってみても、なかなか吹っ切れるものではない」と声を詰まらせ「(卓也さんが)晃のそばにいてくれると思うと安心する。男同士で気恥ずかしくて話せなかったことも話しているんじゃないか」と思いをはせた。
南阿蘇村では、東海大農学部の学生3人がアパートの倒壊で亡くなった。卒業生の橋村さくらさん(30)は16日未明、現役の農学部生4人を現場に案内。参加した上原代耀さん(21)は「発生した時間に追悼することで、被災された方が夜寒かったことなどが身に染みて伝わった」と述べた。
大学の旧キャンパスは大きな被害を受け、同県益城町に移転。新キャンパスには16日、献花台が設けられ学生や教職員が花を手向けた。
農学部2年の三好麻未さん(19)は「時間がたっているけど、忘れてはいけないと思った」と話した。
旧キャンパスの校舎脇に整備された震災に関する展示施設「KIOKU(きおく)」では、信州大教育学部の内山琴絵助教らが講演し「記録をしっかりと『記憶』にとどめる役割を、語り部が担っている」と指摘した。
熊本地震では両県で計約4万3千棟の住宅が全半壊。犠牲者の約8割に当たる223人が災害関連死だった。
【図・写真】献花台に手を合わせる学生ら(16日、東海大阿蘇くまもと臨空キャンパス)
不登校の保護者、離職2割――卒業式、平均台に座らせる さいたま市の中学不登校生徒に[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 387文字 PDF有 書誌情報]
さいたま市の市立中学校の体育館で行われた卒業式で、不登校などの事情がある生徒6人が、椅子の代わりに2階に置かれた平均台に座らされていたことが16日、市教育委員会への取材で分かった。市教委は配慮に欠けていたとして校長を厳重注意した。同校では普段の集会や授業でも、同様の事情がある生徒が参加する際、椅子ではなく平均台に座らせていたという。
市教委によると、卒業式は3月14日に行われ、卒業生約300人や保護者は体育館の1階にいた。一方、事情がある生徒6人は2階ギャラリーの後方で参加。その際、教職員間の情報共有が不十分で、後方に椅子が用意されていなかったため、生徒6人は式中の約3時間、普段から置いてあった平均台に座った。
保護者から同18日、こうした対応について同校に問い合わせがあり、校長は生徒6人と保護者に謝罪した。市教委は「再発防止を徹底するよう指導する」としている。
高1刺殺容疑者、現場付近で勤務 さいたま市[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 0文字 書誌情報]
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広末涼子さん、処分保留で釈放 被害者側と示談成立[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 39ページ 0文字 書誌情報]
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刺し子織り、手芸と機械融合 東北に伝わる手仕事を応用、福島の工房で守り続ける伝統のデザイン 大峡健市[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 40ページ 1432文字 PDF有 書誌情報]
ガシャンガシャン――。織機の音が鳴り響く。福島駅(福島市)から車で30分ほど、山奥の静かな場所に私の「三和工房」がある。作っているのは大きな機械の音からは想像もつかないような、繊細な織物だ。私は機械と手仕事で仕上げる「刺し子織り」を明治期から織り続けてきた織物会社の4代目だ。
そもそも、東北地方に伝わる手仕事「刺し子」をご存じだろうか。重ねた布を刺し縫いして刺しゅうを施した手芸の一分野だ。気温の低い地域で、主に暖をとる目的で生まれた。江戸時代頃、油紙(あぶらがみ)と麻を重ねて身につけることで体を温めるという方法が派生したという。
刺し子の技法を、機械を用いて織物に施したのが刺し子織り。縦糸と横糸に、刺し糸という3つ目の糸を織り込むことで模様ができていく。地になる生地を織るのと、模様を入れる作業を同時に進める。機械で織ることで、幅の広い面積の布にも複雑なデザインの模様を短時間で施すことができる。
刺し子をすることで凹凸が出てボリュームが増し、通常の織物より肌触りがよくなる。普通の力織機だと1秒間に120回ほど打つが、刺し子織りでは1秒間に100回ほどしか打たない。ゆっくりと打つことで、横糸がたっぷりと入り、たるみがつく。こうすると、しわになりにくくそれでいて丈夫に仕上がる。
幾何学的な模様が特徴だが、織る際に欠かせないのが「紋紙(もんがみ)」だ。細かな穴がいくつも開いた紙は、一見、譜面のようにも見えるだろう。方眼紙に色鉛筆でデザインを描き、道具を用いて穴を開けた紋紙と呼ばれる道具だ。私が考えたデザインをプログラムしたもので、針の上下運動の指令を出す役割がある。
織る際に重要なのは、機械にかけた縦糸と横糸の張り具合だ。強すぎれば糸が伸びてしまい、できあがった織物がかたくなり、逆に弱すぎれば糸がたるみ、柄のバランスが悪くなる。長年の作業で培った感覚で調整するほかない。機械で織るというと簡単に聞こえるかもしれないが、人間がいなくては成り立たない。50年ほど織物に携わってきたが、感覚をつかめるようになるまで30年ほどかかった。
2011年、東京電力福島第1原発事故の影響で避難を余儀なくされた私と妻は、姉が近くに住む滋賀県へ向かった。不安に駆られ過ごしたが、じっとしてもいられず、滋賀県内や京都市内など、織物産地を見て回った。その経験は忘れられない。他の人の技術に感銘を受けつつも、刺し子織りならではの手触りや丈夫さ、デザイン性の素晴らしさを再認識した。
近年、アパレルブランドやイラストレーターの方から注文を受けることが多い。パンツやジャケット、ポーチなど用途は様々だ。若い人が刺し子織りを見て「かわいい!」なんて言うと、これはかわいいのか? と思いながらも、幅広い世代に受け入れられていることを知り、うれしくなる。
私は18歳で実家を手伝い始め、19歳で民芸運動の創始者・柳宗悦氏の甥(おい)にあたる染織家・柳悦孝先生に弟子入りした。生前譲り受けた直筆のノートには、先生の思考が詰まっていて、迷うときは優しく導いてくれる。
柳先生が言っていた。「良い技術なら、数年でわかってもらえなくても、数十年後には大きな価値を持つ」。時代によって流行は移ろうが、自分の感覚を信じて「刺し子織り」を続けたい。そしていつか次の誰かが現れたとしたならば、先生がしてくださったように継承しよう。
(おおはざま・けんいち=織物職人)
【図・写真】幾何学模様が特徴だ
平井一夫(17) 1.8キロの執念 プレステ値下げ 危機脱す 久多良木さんに見た経営者の矜持(私の履歴書)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 40ページ 1411文字 PDF有 書誌情報]
出口が見えたと確信できたのは2009年9月のことだ。プレイステーション3を「家庭のスーパーコンピューター」から「ゲーム機」に戻そうと考えた我々は少しずつその中身を変えていった。
ゲーム機のパッケージから「PLAYSTATION」のロゴの材料に至るまで、それは実に細かいことの積み上げだった。そのひとつずつにひとかたならぬ思い入れがあるのだが、あまりに細かくなるので本稿では割愛する。
こうして世に送り出したプレイステーション3の改良版には、「CECH―2000」という型番がつけられた。ここではその重さに触れよう。この型番は約3.2キロ。それに対して3年前に発売したプレイステーション3の初期型は約5キロ。つまり、1.8キロほど軽くなっているのだ。
わずか1.8キロ――。そこに技術者や調達担当者などをはじめ、ソニーが誇る優秀な面々の執念が込められている。少なくとも、ずっと議論をともにしてきた私にはそう思えるのだ。私はよく会議で「まずは成功した状態をイメージしよう」と言ってきたが、それを実現させたメンバーたちの働きには頭が下がる。
価格で言えば2万9980円なので、当初の値付けより2万円も引き下げたことになる。もちろんゲームをプレーする人たちに、違いは感じさせないという自負がある。そこに至るまでに3年近くもの時間を要してしまい、お客様に迷惑をかけてしまったことは申し訳ないのだが。
ここでもやはりこの人について言及しなければなるまい。プレイステーション3で「家庭のスパコン」を掲げた久多良木健さんだ。いわずと知れたソニーの革命児でカリスマそのものといえる存在だ。私のここまでの「プレステ改革」は、そんな偉大な先輩の夢を否定するものだったと言われても仕方がない。
ただ、久多良木さんは「後は任せたから」と言った以上、私の方針に口を出すことはなかった。腹の底では「なにをやってるんだ」と思うこともあったかもしれない。なんと言っても、かつての勢いを失ったソニーにゲーム事業という新たな光明をもたらした大功労者だ。それくらい言っても誰も文句は言うまい。
ここに経営者としての矜持(きょうじ)を見たと思っている。実はこの時の経験もあって、私自身が後にソニー社長の仕事を吉田憲一郎さんに引き継ぐときに、こんなことを伝えた。
「平井路線を否定していただいてかまわない。私は一切、口出ししませんから」
経営者が決めたことが正しいなんて限らない。後に検証すれば間違いだったということも多いだろう。だが、決断することが経営者の仕事であり、そこに信念がなければ務まらない。間違いに気づけば修正すれば良いだけの話だ。決して美談にしようというわけではなく、久多良木さんから教わった当事者だからこそ言える教訓なのだ。
こうして10年3月に、プレイステーション3は売れば売るほど赤字が出るという状態を解消し、ついに黒字化のメドをつけた。改革に着手してから3年余りの月日が過ぎていた。どれだけ成功したかに見えるビジネスでも一度傾き始めると元の軌道に戻すのは簡単なことではない。それはこの後、ソニー社長として私が思い知ることになる。
こうして危機を脱した私は、あの感覚を思い出すことになった。自分がいなくても組織が自走してくれるオートパイロットの感覚だ。
(ソニー元社長)
【図・写真】プレイステーション3には久多良木さんのビジョンが詰め込まれていた
万博の風景(7)「鳳凰殿(1893年シカゴ万国博覧会)」 京都大学教授 佐野真由子(十選)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 40ページ 505文字 書誌情報]
欧米諸国が舵(かじ)を握る国際社会に、いわば遅れて参入した明治の日本にとって、万博に出展し、自己アピールを行うことは、国の命運を握る一大事業であった。各回の参加にあたっては、展示の大方針から品物の安全な運送方法に至るまで、官民を挙げて侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が重ねられた。
ジャポニスムと呼ばれる現象は、その成功の一つの側面である。日本的な構図や意匠を採り入れた美術作品にとどまらず、広く欧米の人々の生活を「日本趣味」が席巻した。
ところが、その絶頂にあった1870年代後半には、日本の文化的産品が人気取りに傾き、劣化していることを、むしろ欧米側の識者から指摘されるようになる。89年パリ万博への日本の参加を現地で統括した柳谷謙太郎(農商務省)は、その状況を自覚し、日本の関係者に徹底的な内省と方向転換を促した。
93年シカゴ万博は、これを受けての実験場となった。不退転の覚悟で臨んだ日本は、「東洋悠久ノ一大帝国」の姿を表現しようとした。宇治の平等院鳳凰(ほうおう)堂を模した日本館「鳳凰殿」は、その象徴的な存在である。
(1893年、木造建築、1946年焼失)
【図・写真】写真提供 ユニフォトプレス
歩くミシュラン 杉本雄(交遊抄)[2025/04/17 日本経済新聞 朝刊 40ページ 503文字 PDF有 書誌情報]
千葉県のフランス料理人、渡辺正利氏との出会いは20年前の25歳のとき。料理修業のため単身渡仏し、パリで初めて働くレストランにいた3つ上の先輩だ。お金はない、知人もいない、料理の腕も自信もまだ皆無。心細い異国で会えただけで特別なのに〝鍋ちゃん〟は同じ千葉県出身、高校も一緒ですぐに仲良くなった。
「この料理にはこのワインが合うよね」。パリ在住の日本人シェフ4~5人で月1回の週末勉強会が始まった。マルシェで季節の食材を調達し、私の部屋で料理する。
料理には人柄が出る。鍋ちゃんは厨房でも優しく、誠実で、丁寧な作業をする。手長エビの前菜やカモのローストは絶品だ。誰より研究熱心でもある。フランス中の有名店やシェフの経歴、得意の一皿を暗記している。まだスマートフォンで簡単に検索できない時代。自ら歩き、店前の掲示板で学ぶ、まさに「歩くミシュラン」だ。
渡仏から10年、多くの人の縁に恵まれ、私は仏二つ星レストランの総料理長になった。相棒として厨房に立ってくれていたのも鍋ちゃんだ。仏料理が大好きで、2人で異国で奮闘してきた。また一緒に料理できる日を心から楽しみにしている。
(すぎもと・ゆう=帝国ホテル総料理長)
25年04月15日
スマホに関税へ軌道修正 米半導体課税 装置やPCも トランプ氏「近く説明」「柔軟性必要」[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権は13日、米国が輸入するスマートフォンなどの電子機器を半導体関連にかける分野別関税の対象とする方針を示した。相互関税の対象から除外する措置をとったが軌道修正した。トランプ大統領が近く税率などを説明する。関税政策は二転三転している。(関連記事総合1、国際1面に)
米税関・国境取締局(CBP)は11日にスマホや半導体製造装置、パソコン、記憶装置(SSD)などを相互関税の対象から除外したばかり。トランプ氏は13日、SNSへの投稿で「関税の『除外』ではない」「別の関税『バケツ』に移されただけだ」と表明した。
ラトニック商務長官は13日、スマホなどの電子機器は半導体関連に課す分野別関税の対象になると説明した。米テレビ番組で「国家安全保障に関わるもので米国で製造される必要がある」と述べた。半導体関税は1~2カ月後に導入する可能性が高いとしている。
業界の意向も聞きながら制度設計の詳細を固めるとみられる。商務省は今後、中国製の半導体などがどのように製品に組み込まれているのかサプライチェーン(供給網)を調査する。トランプ氏は13日、記者団に「柔軟性は必要だ。そんなに厳格であってはならない」とも強調した。
新型コロナウイルス禍では半導体不足で自動車などの国内生産が打撃を受けた。分野別関税は戦時などにこうした事態を起こさぬよう、半導体関連の生産を国内に回帰させる狙いがある。
ただスマホや半導体製造装置などが分野別関税に組み込まれれば、米国内のスマホの値上がりや工場での半導体生産の妨げになるとの見方は根強い。コスト高に直面するテック業界は相次ぐ方針変更に困惑する。
業界の著名アナリスト、米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏はX(旧ツイッター)で「ホワイトハウスから絶え間なく流れるニュースが大混乱を起こしている」と批判した。導入される見込みの半導体関税を念頭に「不確実性は高い」と強調した。
米アップルのスマホ「iPhone」は米国で6割前後のシェアを持つ。大半を中国で組み立てている。分野別関税で先行した鉄鋼・アルミニウム製品や自動車への関税を参考にすれば、半導体関連の関税も25%程度になる可能性がある。
累計145%に達した対中追加関税の税率より低いが、コスト高を吸収するために値上げの懸念は残る。
半導体製造装置にも関税がかかれば米国での半導体の生産コストも膨らむ。先端半導体の製造装置はオランダのASMLホールディングや日本の東京エレクトロンに依存する。台湾積体電路製造(TSMC)や米インテルが米国内の工場で半導体をつくる際、割高な製造装置をアジアや欧州から輸入することになる。
トランプ政権は各国に対する相互関税のうち上乗せ分は中国を除いて90日間停止した。カナダの調査会社テックインサイツは、当初の税率を適用すれば米国の先端半導体の生産コストは台湾に比べ25%高くなる可能性があると試算していた。
関税がなくても米国で半導体を製造するのは台湾に比べて1割程度割高だ。関税導入は台湾との競争力格差も広げかねない。
(ワシントン=高見浩輔、シリコンバレー=中藤玲、清水孝輔)
コンビニ、店員絞り出店増 職場に照準 純増、7年ぶり水準[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 1ページ 646文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は2025年度に最大で約400店増やす。純増数は18年度以来7年ぶりの高水準。国内市場が成熟するなか、小型店で企業のオフィスや工場の従業員向け需要を取り込む。無人レジやロボット技術を活用し、少ない人数でも出店できる体制を整えた。(関連記事ビジネス1面に)
セブンは223店の純増と、18年度以来の高水準となる。ファミリーマートは100店程度と、20年度以来の純増を見込む。増加数はサークルKサンクスと経営統合した16年度以降で3番目の規模となる。ローソンは具体的な店舗数は明らかにしなかったが、3年連続の純増を計画する。
日本フランチャイズチェーン協会によると、24年末のコンビニの店舗数は5万5736店と、21年の5万5950店をピークに頭打ちとなっている。ドラッグストアや電子商取引(EC)との競争も激しくなり、既存店の見直しを進めてきた。
新型コロナウイルス禍後の人流の回復などを受けて店舗数を増やす。ただ、市街地や道路沿いの出店余地が小さくなっており、効果的な店舗戦略を模索する。
セブンは企業の工場や研究所といった事業所内で床面積が従来の4分の1ほどの小型店の出店を増やす。ファミマは日本郵便と連携し、郵便局内に棚や冷蔵ケースを置いた小型店も出す。
事業所内の小型店舗は設置コストを抑えられるほか、来店者数の属性や商品の売れ行きを予想しやすい。受け入れ側の事業所も従業員や利用者の利便性向上につながるなどのメリットがある。
日本人の数、減少幅最大の89万人 総人口は14年連続減 昨年推計[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 1ページ 416文字 PDF有 書誌情報]
総務省は14日、2024年10月1日時点の人口推計を発表した。外国人を除いた日本人の人口は1億2029万6千人と89万8千人減った。過去最大の減少幅になった。出生児数が死亡者数を下回る自然減が18年連続で続く。(関連記事総合2面に)
人口減を反映し、労働力の不足が年々深刻さを増している。成長を支える15~64歳の生産年齢人口(総合2面きょうのことば)は7372万8千人で22万4千人減少した。全体に占める割合は59.6%だった。18年から6割を下回り続けている。
外国人を含む総人口は前年に比べて55万人少ない1億2380万2千人だった。減少は14年連続で、マイナス幅は比較が可能な1950年以降で4番目になった。
東京都と埼玉県を除く45道府県で前年から減った。東京都に神奈川、千葉、埼玉3県を合わせた東京圏では微増だった。
75歳以上の人口は前年と比べて70万人増加し、2077万7千人となった。総人口の16.8%を占める。
岐路の道路政策(中)高速道、利用半減でも車線拡充 遠のく無料化(エビデンス不全)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1190文字 PDF有 書誌情報]
鳥取市と山口県下関市を結ぶ日本海沿いの山陰道。3月中旬の平日、松江市の宍道湖サービスエリア(SA)で午後2時半までの1時間に通った車を数えると、片側1車線ずつの上下線合わせて800台にも満たなかった。渋滞の気配は感じられなかった。
国土交通省の道路交通センサスによると、この区間の交通量のピークは2010年の1日2万7100台。当時は高速道無料化の社会実験中だった。直近21年は4割の1万1400台まで落ち込んだ。西日本高速道路の公表データでは、コロナ禍が落ち着いた後の23年も1万2900台にとどまる。
目的は事故防止
そんな道路で今、4車線化の工事が進む。まず3キロほどの工事に180億円を投じる。西日本高速道路の松江高速道路事務所は「重大事故のリスク低減が大きな目的」と説く。付近では18~22年に負傷事故が5件起きた。
高速道は4車線以上が海外でも主流ではある。安全性や走りやすさを考えれば当然だ。災害時に通行止めになる恐れも車線が多いほど小さくなる。
日本は整備のスピードを優先して暫定2車線で開通した箇所を順次4車線にする過程にある。全国で1800キロある有料道路のうち既に約450キロは事業決定している。
問題は1キロあたり50億円ほどのコストの重さだ。18年度以降に決まった61区間だけでも累計2兆2300億円に上る。建設費は借金でまかない、料金収入で返済する。
国ぐるみの整備
政府は低利の財政融資で高速道路会社の負担を軽くする支援の枠組みをつくった。いわば国ぐるみのプロジェクトになっている。いずれにせよ需要が乏しければ償還が遅れることに変わりはない。
そもそも高速道は一定期間で無料にする期限の先送りを重ねてきた。最近も23年の法改正で最長2115年まで50年延ばしたばかりだ。
約束をほごにして半永久的に料金の徴収を続けながら、車線を増やすだけのニーズはあるのか。
日本経済新聞は日本道路公団の民営化後の05~24年度に4車線化が決まった80区間の利用状況を道路交通センサスで調べた。比較可能な71区間の8割弱にあたる55区間で21年の交通量は10年より減っていた。山陰や九州などの地方を中心に6区間は半分以下になっている。
多くの区間で10年当時の実績は無料化で上振れした面がある。その後の落ち込みは、お金を払ってまで高速道を走りたいドライバーが多くはないことを示している。
道路政策に詳しい敬愛大学の根本敏則特任教授は「今ある道路の維持・更新が最優先。料金収入は限られている。コストが増せば4車線化はあきらめざるを得ない」と指摘する。
4車線化に手をつけていない有料道はまだ1300キロ以上ある。整備ありきで突き進むのか、それとも立ち止まるのか。右肩下がりの人口減社会の現実に照らすなら、便益ばかりではなく将来にわたる負担もシビアな見積もりが欠かせない。
近くを流れる川の土手を歩いていたら、菜の花があちこち群がって咲いていた(春秋)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 1ページ 566文字 PDF有 書誌情報]
近くを流れる川の土手を歩いていたら、菜の花があちこち群がって咲いていた。季節の終わりが近づいて、幾分散った様子だが、周りに広がる青々とした草を背景に黄色い花がなお色鮮やかだ。どこからか種が飛んできて、ずっとこの場所で花を咲かせてきたのだろう。
▼菜の花は広い意味でアブラナの仲間の花を指す。キャベツやカブもそうで、似たような花が咲く。でもそれぞれ個性があって、ハクサイの菜の花は食感が軟らかく、カラシナだとピリッと辛い。違いを味わうのも楽しみの一つ。多様性に価値があるのは人の世と同じだ。そう言いたいところだが、こちらは雲行きが怪しい。
▼虚偽の情報や根拠の乏しい中傷がネットにあふれ、選挙の行方を左右する。発信力が攻撃力に転じ、埋めがたい分断を生む。かつてアリストテレスは民主制を揺さぶる要素として「デマゴーグ(民衆煽動(せんどう)家)の無軌道ぶり」(田中美知太郎ほか訳「政治学」)をあげた。誰もが知らないうちに加担しうる危うさがいま漂う。
▼政治の形はどこかの時点で完成して終わりではなく、常にもう一度つかみ直すべきものなのだろう。「菜の花や月は東に日は西に」。与謝蕪村の有名な句のパノラマのように大きな構えで包み込み、溝を乗り越えたい。我々は歴史を通し、異なる声に耳を傾ける大切さを学んできたはずだ。その教訓を枯らしてはなるまい。
政府、対米交渉へ「非関税障壁」洗い出し 車・農産品に照準 規制や補助金見直し[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1491文字 PDF有 書誌情報]
政府は関税措置を巡るトランプ米政権との交渉に向け「非関税障壁」の洗い出しに入った。米側が貿易の障壁と主張する規制や補助金制度を見直しの対象にする。自動車の認証制度や農産品の流通の仕組みに照準を絞る。(1面参照)
石破茂首相が関税交渉の担当閣僚に指名した赤沢亮正経済財政・再生相は17日、米国で協議の相手になるベッセント財務長官と会談する予定だ。
首相は14日の衆院予算委員会で対米交渉に関し「これ以上ないほどの精緻な分析をして臨みたい」と述べた。自動車の安全基準などを例示して「非関税障壁に対して日本がこう対応するというのは早急にきちんと出さないといけない」と強調した。
非関税障壁を巡っては国産品と外国製品の扱いを区別する商慣行として、トランプ米大統領が米企業の外国での事業展開の妨げになると訴えてきた経緯がある。政府が参考にするのは米側の問題意識を示す「2025年版外国貿易障壁報告書」だ。
同報告書は米通商代表部(USTR)が3月31日に公表した。約400ページのうち日本の章は11ページに及ぶ。政府は記述が目立つ自動車と農産品にかかる障壁に着目する。制度を変更しても国内産業に影響が少ない事例を中心に洗い出しを急ぐ。米側との交渉に臨むにあたり、非関税障壁の見直しをディール(取引)の材料にしたい構えだ。
自動車については外国車にかかる規制を緩和できないか検討する。例えば、外国車を日本に輸出する際、日本国内の安全基準に沿った審査を受ける必要がある。日本での量産に不可欠な型式指定の取得にも2カ月程度を要する。
報告書は日本の電気自動車(EV)政策もやり玉に挙げた。補助金制度に関し「主に日本メーカーが最も恩恵を受ける」と指摘した。日本独自のEVの急速充電規格も米国車を国内からしめ出す要因とみなした。
政府内では外国車にかかる規制緩和の一案として安全性の認証制度が浮上する。日本で走る車には追突事故を起こした時、車両がどの程度、破損するか検査結果の提示を求めている。走行を認める破損度合いの判定で、米国の基準も採用する案がある。
自動車とともに農産品の非関税障壁の見直しも検討する。USTRの報告書はコメについて高い水準の関税とともに輸入・流通システムを「高度に規制され透明性がない」と問題視する。米国米が市場に出回らないことに不満を示す。
豚肉は「低価格の輸入品と日本の豚肉の競合を防ぐため、段階的に高い関税を課している」と主張し、輸入制限につながっているとの認識を持つ。牛肉では特定危険部位(SRM)と定義する組織の除去要件の撤廃を求めている。
赤沢氏は11日の記者会見で非関税障壁に関し「話題が向こうから出ればもちろん議論に応じることにはなる」と語った。ベッセント氏も議論に意欲を示している。
米側が指摘する日本の非関税障壁についてどう見ればいいか。野村証券の岡崎康平チーフ・マーケット・エコノミストは「昔から言われているものが多い。日本の調達コストを上げる制度の変更は容易ではない」と分析する。
岡崎氏は交渉の余地がある点として自動車のEV充電器や電子キーの基準などをあげた。非関税障壁だけで問題を解決するのは難しいとの認識を示し「内需拡大を約束するのが一つの着地点になる可能性はある」と話した。
政府内では非関税障壁ではない交渉カードも取り沙汰される。アラスカ産液化天然ガス(LNG)の開発事業への協力や防衛装備品の購入の拡大といった案が出ている。
トランプ氏はかねて「米国の製造業を復活させる」と公言してきた。その主張に沿う交渉カードをつくれるかが重要になる。
針路を聞く WTO原則に基づき対抗 スイス・ビジネススクールIMD教授 リチャード・ボールドウィン氏(崩れる自由貿易)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1212文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領は世界貿易機関(WTO)の原則を主に2つ破った。1つは「最恵国待遇(MFN)」ルールで極めて重要だ。守らなければ、これまで築いた貿易の秩序は根本から乱される。
例えば中国製品を米国に輸出する場合は100%以上の関税がかかるが、シンガポールに送ってからシンガポール製と偽れば10%しか関税がかからない。
国ごと・製品ごとに異なる税金を課せば仕組みが複雑になり、不正行為を誘発する可能性が大幅に高まる。それを防ぐコストも大幅に上昇する。
2つ目は反ダンピング(不当廉売)関税やセーフガード(緊急輸入制限)などWTOが認める貿易救済措置だ。この措置に基づいて関税を引き上げることが許されているが、トランプ氏は使わずに身勝手に動いた。大きなルール違反だ。
一連の関税政策の発動は本質的には世界最大の貿易の担い手が多角的な貿易の仕組みを攻撃したということだ。
米国の輸入シェアは世界の15%未満。本当に深刻なのは残りの85%が米国を追随したときだ。
日本や欧州、中国のほか、主要な新興市場である東南アジア諸国連合(ASEAN)、サウジアラビア、トルコなどがWTOの原則と一貫性を保った取引をこれまで通り続けることが肝要だ。
米国の行動が国際法に沿っているか明確にするためにも、各国・地域はそれぞれWTOの紛争解決制度に持ち込むべきだ。何もしなければ黙認することになる。
米国に報復する国はWTOの原則に準拠した条件ですべきだ。
中国は他の国よりもはるかに高い関税をかけられた。経済の観点では他国より不利な立場にいるが、WTOの原則に沿って多国間の枠組みでの支援を探り始めている。
少なくともソフトパワーの観点からは、印象が悪化した米国と対照的に中国が相対的に有利な立場になりつつある。
米国はこれまで世界貿易の揺るぎないリーダーだったが、そのシステムを完全に否定した。WTOから米国を追い出せばさらなる報復や混乱につながるため排除すべきではないが、WTOには新たなリーダーが必要だ。
日本や欧州連合(EU)が中国などと協力し、WTOを守るべきだ。事務局長を選出し、WTOルールの運用や新たな提案を指揮していけばよい。
日本が報復関税をしかけてもトランプ氏の考えは変わらないだろう。日本からの輸出品は製造業などまさにトランプ氏が米国に戻したいと思っている産業で、関税引き下げも期待しにくい。
トランプ政権は安全保障と貿易を密接に結びつけている。日本は米国の防衛装備品を買い増すと約束してはどうか。(米国の防衛産業と関係が深く、頭打ちが指摘される)日本の防衛産業の課題解決になるはずだ。
(聞き手は川崎なつ美)
Richard Baldwin 米マサチューセッツ工科大で博士号。90~91年にブッシュ米政権(第41代)で大統領経済諮問委員会シニアエコノミスト。
お断り 「崩れる自由貿易 針路を聞く」は随時掲載とします。
スマホ敗戦(2) らくらくホン存続「3日会議」(迫真)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 2ページ 989文字 PDF有 書誌情報]
事業の存続をかけた3日間の「合宿会議」が始まった。
シニア向けスマートフォン「らくらくホン」を手掛けるFCNT(神奈川県大和市)の経営破綻から7カ月が経過した2023年12月。本社3階の会議室に同社を買収した中国レノボ・グループの開発チームが到着した。FCNTの開発担当の外谷一磨のプレゼンが始まった。
まず、らくらくホンの歴史を説明した。高齢者が持ちやすいデザインや操作性、数万人の利用者の声を集めたアンケート結果を示した。性能には自信があった。「一度破綻した企業の製品は受け入れられるのか」。やはり不安は拭い切れない。
「クレイジーだね」
レノボ幹部の発言を皮切りに、同席した中国や米国のエンジニアが感想を語り出した。「高齢の母親に使わせたい」「中国の高齢社会に受け入れられる」
合宿会議の結論は「変えないでいこう」。事業の継続と新製品の開発にゴーサインが出た。24年11月から健康管理のセンサー機能を搭載した製品の販売を始めた。レノボの支援を受けてアジア市場も狙う。
00年代初め、国内の携帯電話市場では日立製作所やNECなど10社を超えるメーカーが競い合った。「写メール」や「おサイフケータイ」など独自の機能を世界に先駆けて生み出した。
米アップルが07年にiPhoneを発売すると、潮目が変わった。消費者は「ガラケー」と呼ばれる国内メーカーの端末からスマホに乗り換え始めた。割安な中国メーカーも台頭し、日本勢の撤退が相次いだ。
「さすがにそれはないやろ。やりすぎや」。23年8月、広島県東広島市にあるシャープ通信事業本部。パーソナル通信事業部長(当時)の中江優晃に次世代スマホの試作機を見せられ、通信事業本部長(同)の小林繁は思わず口にした。
中江は「他社のようなデザインでは生き残れない」と考え、あえて違和感を持つ曲線や出っ張りを作った。食い下がる中江に対し、試作機を使ってから判断することになった。2週間後、小林は伝えた。「いいな、しっくりくる」。中江のデザインが標準となり、24年12月には直径7センチメートルの背面カメラ搭載機種を発売した。
日系ブランドのスマホはFCNTとシャープ、ソニーの3社に減った。国内シェアは2割にとどまる。海外勢と同じような製品は埋もれる。横並びと決別して再起を図る。
(敬称略)
【図・写真】24年に発表した「らくらくホン」の新製品
米関税をバラマキ合戦の口実にするな(社説)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 2ページ 931文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権による関税引き上げをきっかけに、与野党で現金給付や消費減税を求める意見が強まっている。国民の間に物価高への不満は根強い。米関税による金融市場や実体経済の急変、企業の賃上げ機運の変化にも警戒は要する。しかし、これを口実とし、夏の参院選に向けてバラマキ合戦を演じることは認めがたい。
自民党内で浮上しているのは全国民に一律で1人当たり4万~5万円を配る案だ。単純計算で約5兆~6兆円の財源が必要となる。貯蓄に回る部分もあり、需要創出の効果は減殺される。
公明党内には食料品などにかかる8%の軽減税率に限って一時的に下げよとの意見がある。仮にゼロにすれば、国・地方を合わせ5兆円程度の税収が減る。年金、医療、介護、子育ての財源に与える打撃は大きい。
いずれも代わりの財源をひねり出せなければ赤字国債の増発につながる。将来の人口が先細りするなかで、若い世代にこれ以上、ツケを回してはならない。
今の日本経済に巨額の対策が必要かも冷静に検証すべきだ。物価高で実感は乏しいが、2020年4月を底に景気は拡張が続く。景気後退期でもないのに選挙のたびにバラマキを繰り返せば、財政規律と政策への信頼性も揺らぐ。
消費減税の声は日本維新の会、国民民主党のほか、立憲民主党の一部にもある。14日の衆院予算委員会で石破茂首相は「選挙目当てのバラマキは考えていない」と答弁したが、少数与党の弱い政権基盤で思うように補正予算案を編成し、成立できるのか。24年衆院選で与党は所得税と住民税の定額減税をしても大敗した。現段階で一律の給付や減税は適切でない。
物価高というのに二度とデフレに戻らないことを「脱却」の要件とする政府の見解も見直し、インフレと向き合ってはどうか。
現状は原材料や労働などの供給能力が制約されるコストプッシュ型のインフレといわれる。供給不足なのに現金給付や減税で消費を刺激して需要だけを増やせば、物価を押し上げる要因になる。物価高対策としてもちぐはぐだ。
トランプ関税の日本経済への影響はまだ読み切れない。裾野が広く、すでに25%の追加関税が発動された自動車産業など、資金繰りや雇用への目配りも必要だ。財政が厳しいなか「賢い支出」を与野党双方に促したい。
民の力も得てODA効果的に(社説)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 2ページ 787文字 PDF有 書誌情報]
政府が2024年版の開発協力白書をまとめ、政府開発援助(ODA)の意義を強調した。2国間関係の強化や日本経済の成長に貢献してきたと説明した。物価高などで国民生活が大きく上向かない状況が続き、ODAへの風当たりは厳しさを増している。
ODAが日本外交の重要ツールの一つなのは論をまたない。民間の力を交えてさらに効果的な活用をめざすとともに、日本の成長力の底上げにもつなげるべきだ。
冷戦後、おおむね増えてきた先進国による対外援助は転機を迎えている。最大援助国の米国はトランプ大統領が国際開発局(USAID)を事実上解体した。英国は対外援助費を減らし、国防費の財源にあてる方針を打ち出した。
こうした自国第一が行き過ぎれば、貧困撲滅をはじめとする途上国支援が滞るだけではない。中国が途上国への影響力を一段と増すなど国際秩序も左右しかねない。
日本のODAも逆風にさらされている。内閣府の世論調査によると、ODAの削減や停止を求める割合が24年度はこの10年で最高となった。財政難で予算はピーク時の半分にとどまる。
ODAは草の根支援などを通じて日本のソフトパワー向上に一役買ってきた。日本も含む各国が防衛費の増額に動くなかで、世界の分断を和らげる手段としての重要性も大きい。これ以上の大幅な削減は望ましくない。
そのためには不断のODA改革が欠かせない。今国会で成立した改正国際協力機構(JICA)法はその一助となる。予算をさらに効率的に使ったり、日本の民間企業の途上国投資を促しやすくしたりする措置を盛った。時宜にかなった内容を評価する。
開発支援が日本経済の発展にも寄与してきた面は見過ごせない。最近ではJICAを通じて日本発のスタートアップに途上国での調査費を支援し、事業化の足がかりとする例もある。将来の事業の種をまき、途上国の成長力を取り込む実績を積み上げてほしい。
物言う株主、フジHDに圧力 「北尾氏を取締役に」 米ファンドが提案[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1870文字 PDF有 書誌情報]
アクティビスト(物言う株主)の米ダルトン・インベストメンツが、フジ・メディア・ホールディングス(HD)に株主提案を出すことがわかった。6月下旬に同社が開く定時株主総会で、取締役の候補としてSBIHDの北尾吉孝会長兼社長を提案する。投資家によるフジ・メディアHDへの圧力がさらに強まってきた。
ダルトンはフジ・メディアHDの発行済み株式の5.8%を持つ大株主だ。関連ファンドなども含めると保有比率は7.2%にのぼる。日本では総議決権の1%か300個以上の議決権を6カ月間続けて保有すれば株主提案ができる。水面下で北尾氏と接触し、フジ・メディアHDの取締役の候補者にすることを打診した。このほど北尾氏も受諾した。
北尾氏はフジ・メディアHDとの因縁が深い。2005年に実業家の堀江貴文氏が率いるライブドアがフジ・メディアHD前身のフジテレビジョンの経営権を狙った時、ライブドアがフジに資本参画しない形での和解に関与した。7日には自身のSNSを通じてフジ・メディアHDの経営への興味も示していた。
ダルトンは北尾氏をはじめ10人超の候補者を選び、大幅な入れ替えを提案する調整を進めている。近く内容を発表する。ダルトンは日本経済新聞の取材に「コメントは控える」と回答した。フジ・メディアHDは14日、「個別の投資家との対応については公表していない。株主から提案があった場合は取締役会で検討し、真摯に対応していく」とコメントした。
フジ・メディアHDは3月、6月下旬の定時株主総会後に発足させる新しい取締役の構成案を発表している。会社案のメンバーは会長に就く予定の金光修社長、社長に就任する清水賢治専務(フジテレビジョン社長)ら11人だ。
ダルトンの株主提案が可決されるには他の株主の賛成が必要になる。
フジ・メディアHDの大株主にはアクティビストの村上世彰氏の長女・野村絢氏も名を連ねる。3月末時点の株主としては発行済み株式の5.2%(4月3日時点では村上氏の関連会社を含め11.8%)を保有しているとみられる。このほかSBI系の運用会社、レオス・キャピタルワークスも5.1%を持つ。
現時点ではアクティビストの大株主同士が組んだとしても、全体の議決権の過半には及ばない。だが、こうした株主がダルトン案にどれだけの賛意を事前に示すかはそれ以外の株主の判断に影響を与える可能性があり、会社側への圧力を強める材料になる。会社側が示す取締役案に不透明感も出てきた。
フジ・メディアHDは傘下のフジテレビで元タレントによる女性問題が発覚し、3月27日に株主総会で取締役15人中10人が退任すると発表した。この中には長年グループを率いてきた日枝久取締役相談役を含む。第三者委員会による調査報告書も同月31日に公表し、人権軽視の企業風土を含めてガバナンス(企業統治)が一段と問われている。
ダルトンは、会社側が提案する新体制について4月1日付で「残された役員も日枝氏がハンドピック(選別)した『オールドボーイズ(古くからの友達)』」だとの表現を使って批判していた。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストも「会社側提案は過去の体制との決別感を出せているとは言いがたい」と指摘する。
14日の東京株式市場でフジ・メディアHD株は一時前週末比4%高の3332円まで上昇した。ダルトンの株主提案などで経営改善が進むとの思惑が買いを誘ったようだ。
アクティビストからの圧力が強まると当該企業の株価は上昇する傾向が強い。ただ、中長期的な企業価値の向上にまでつながるかは不透明だ。一連の動きの中で、業績に直結するCMの出稿再開を巡っては現状ではまだ見送る企業が多い。
事業会社では上位の大株主(発行済み株式の3%保有)で、広告主でもあるNTTドコモは「第三者委による報告書を確認し、先方から直接説明も受けた。報告書の内容は重く受け止めるべきで今後とも注視していく」とし、CM出稿については引き続き見合わせると明らかにした。再発防止策の実効性を確認する意向だ。キリンHDなども見送りの姿勢を維持する。
放送法では外国人の議決権比率を20%未満としたり、フジ・メディアHDのような認定放送持ち株会社は一者による最大の議決権が原則、3分の1以下に制限されたりする規制がある。ダルトンは今後も圧力を強める可能性がある。仮に現状7%超の株を買い増すといった手段をとれば、放送法規制との関係も論点になりうる。
【図・写真】SBIHDの北尾氏はフジHD取締役候補への打診を受諾した
老いる首都圏、介護深刻 高齢者4人に1人 職員21万人不足へ 家族にしわ寄せ、離職で経済損失[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1612文字 PDF有 書誌情報]
総務省が14日発表した2024年10月時点の人口推計で、首都圏(1都3県)は65歳以上の高齢者が4人に1人を占めた。高齢化で介護需要が高まる一方、職員は足りない。15~64歳の生産年齢人口が減少するなか、家族の介護負担が膨らめば経済活動の大きな重荷になる。(1面参照)
1都3県は65歳以上の高齢者が前年比2万9000人増の939万2000人だった。75歳以上の後期高齢者の増え方が大きく、1都3県で19万1000人増の546万8000人だった。
厚生労働省の24年の推計によると、介護職員は40年度に全国で272万人必要になる。22年度の職員数は215万人で、このままなら57万人足りなくなる。
特に首都圏は深刻だ。不足は1都3県で21万人と全体の4割近い。東京が7万6000人で、神奈川(5万2000人)、埼玉(4万4000人)、千葉(3万9000人)が続く。全国でみれば不足率は20%ほどだが、東京は29%台で千葉、埼玉はいずれも30%を超える。
既に採用難が続いている。ハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す有効求人倍率は2月に3.95倍。全職種平均の1.19倍を大幅に超える。全国社会福祉協議会がまとめた23年度の介護職などの都道府県別求人倍率を見ると、1都3県のうち神奈川、埼玉、千葉の3県は全国平均を上回り、採用が追いついていない。
介護サービスを十分に利用できなければ、しわ寄せは家族に来る。22年の就業構造基本調査によると、過去1年間に介護・看護のために離職した人は全国で10万6000人にのぼる。
働きながら介護に関わる「ビジネスケアラー」も増加傾向だ。経済産業省の推計では30年に318万人と20年から56万人増える。離職や仕事との両立による経済損失は30年に9.1兆円に上ると見積もる。
自治体は職員確保に躍起だ。東京都は24年度から、介護職員やケアマネジャーを対象に月1万~2万円を給付する独自の処遇改善策を導入した。25年度からは、ケアマネの資格を持ちながら別の仕事をしていたり働いていなかったりする人が再就職した場合、6カ月就業すると10万円の奨励金を給付する。
千葉県は19年度からベトナム人材の就労支援に取り組んできた。就職を希望する留学生と介護事業者をマッチングし、日本語学校と介護福祉士養成施設の学費や居住費を県と事業者が3年半にわたり支援する。25年4月までに100人以上が卒業・就職した。
埼玉県は就職準備金を用意するなどして離職した介護職員の掘り起こしを進める。並行して介護ロボットやICT(情報通信技術)導入にかかる経費の一部を補助し、現場業務の効率化を進める。
高齢者を支える15~64歳の生産年齢人口は1995年がピークで、2011年から14年連続で減少する。24年10月時点で22万4000人減の7372万8000人だった。
高齢者や女性の労働参画は頭打ち感が否めない。総務省の調査によると、15歳以上の労働力人口は、24年平均が23年比31万人増の6967万人とほぼ横ばいだった。
外国人は前年比34万7000人増の350万6000人で、過去最多を更新した。10年前の2倍超となったものの総人口に占める割合は2.8%にとどまる。人手不足を解消するには及ばない。
働き手の増加が見込めないなか経済成長を実現するには低迷する生産性の向上が急務だ。日本生産性本部によると、23年の1人あたりの労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟の38カ国中32位で主要7カ国(G7)では最下位に沈む。アイルランドや米国に大きく水をあけられ、ハンガリーなど東欧諸国と同水準だ。
立教大の首藤若菜教授は「業界の枠にとらわれず、働き手が多様な業務を担う取り組みが必要だ」と指摘する。地域の郵便局員が日用品の配達や高齢者の見守り、自治体業務などを担うことを例に挙げる。
老いる首都圏、介護深刻 高齢者4人に1人――東北、人口減少大きく 増加は東京・埼玉のみ[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 3ページ 521文字 PDF有 書誌情報]
都市への人口集中や外国人の流入などで、首都圏と地方の二極化が進む。総務省が14日に発表した2024年10月1日時点の人口推計を都道府県別にみると、埼玉で4年ぶりに人口が増えた一方、45道府県で減少した。
東京の人口増加率は前年より0.32ポイント高い0.66%、埼玉は前年の減少から増加に転じ、増加率は0.01%だった。出生児数が死亡者数を下回る自然減となる一方で、他の地域からの流入による社会増加が下支えした。
大きいのは外国人の増加だ。東京は12%増の71万5000人、埼玉は14%増の24万9000人だった。
三大都市圏でも明暗が分かれた。
東京、神奈川、千葉、埼玉の「東京圏」が前年比0.22%増の3698万人だったのに対し、大阪圏(大阪、兵庫、京都、奈良)は0.36%減の1789万人。名古屋圏(愛知、岐阜、三重)は0.44%減の1108万人だった。
他の地域では特に東北地方の各県が目立つ。秋田は減少率が1.87%と都道府県で最も大きく、前年より0.12ポイント拡大した。青森(1.66%)は前年と横ばい、岩手(1.57%)、山形(1.49%)も減少率が拡大した。東北以外は高知が1.56%減で前年より0.19ポイント拡大した。
生産年齢人口 日本は5割台後半、G7最低(きょうのことば)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 3ページ 495文字 PDF有 書誌情報]
▽…国内の生産活動の中心を担うとされる15~64歳の人口を指す。労働供給の土台とされ、経済活動や社会保障を支える。戦後の2度のベビーブームを受けて増加を続け、ピークの1995年には8726万人に達した。少子高齢化により減少が続き、2024年は7372万人だった。
▽…日本は世界の中でも生産年齢人口の減少が著しい。人口に占める割合は50%台後半で推移する。労働政策研究・研修機構によると、日本は22年の数値が主要7カ国(G7)で最も低く、米国(64.9%)、英国(63.4%)、カナダ(65.4%)などに及ばない。消費をけん引するはずの世代が減ることで経済の停滞が懸念される。
▽…将来も減少傾向が続く。国立社会保障・人口問題研究所によると32年に7000万人を割り、70年には4535万人とピークの5割の水準まで減る。国の生産活動を持続して、社会保障制度を維持するには、女性や高齢者の労働参加の促進や外国人の受け入れが欠かせない。新型コロナウイルスの影響が薄れて以降、外国人材の来日が拡大しており、ニッセイ基礎研究所は70年の外国人労働者依存度は22年の3%ほどから1割まで高まると予想する。
減税・現金給付、野党も批判 「ポピュリズム」次世代に負債 自民・立民とも賛否割れ 首相と野田代表、足元に火種[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1512文字 PDF有 書誌情報]
自民、立憲民主両党で夏の参院選に向けた消費税減税や現金給付を批判する声が出始めた。財政規律を考えず将来世代にツケを回す「ポピュリズム(大衆迎合)」に懸念がある。与野党がともに減税派と反対派で対立し、石破茂首相や立民の野田佳彦代表は火種を抱える。
「ぶれないでください」。立民の枝野幸男最高顧問は10日、国会内で野田氏と会い、党内で勢いづく減税論を受け入れないように求めた。野田氏は首相在任中に消費税増税を柱とする税と社会保障の一体改革をまとめた財政規律論者だ。
枝野氏は12日、さいたま市での講演で消費税減税を「ポピュリズムだ」と断じた。「減税したい人は諦めてもらうか別の党をつくってほしい」と促した。「給付も減税も財源を明確に示さないのは国民生活にマイナスだ。財源は政府が考えろでは無責任を超えている」と訴えた。
自民党内でも閣僚経験者が消費税減税論について「底なしのポピュリズムになってきた」と危機感をあらわにした。税制調査会幹部は「消費税減税はできない。物流が混乱する」と言明した。
森山裕幹事長は14日の記者会見で現金給付について「今までも何回かしたことがあるが、預金に回ったと受け取れる結果になったのではないか」と話した。2025年度補正予算案の編成を掲げたものの、赤字国債を出さない規模にすべきだと強調した。
森山氏は当初、現金給付が経済対策の一案との認識を周囲に示していた。慎重な考えに転じたのは選挙対策との批判を避ける狙いが透ける。
共同通信社の12~13日の世論調査によると、所得制限を設けず国民に現金を給付することに関し、反対は55.3%で賛成の37.5%を上回った。反対の回答は自民党支持層で51.4%に上った。
読売新聞の11~13日の調査では一律の現金給付が効果的だと「思わない」が76%に達した。
政権幹部は「国民が本当に一律給付を求めているとは思えない。誰かが無責任な言い合いを終わらせないといけない」と指摘する。
物価高対策としての負担軽減策は与野党問わず浮上している。
公明党の斉藤鉄夫代表は11日、食料品を対象とする消費税の減税に関し「あらゆる手段のひとつとして検討している」と語った。減税実現までの「つなぎ措置」として現金給付も提唱した。
自民党の松山政司参院幹事長も「あらゆる選択肢を排除せず議論することが重要だ」と発言する。参院として党執行部に独自に政策提言することも検討している。
与党には参院選で苦戦を予測する焦りがある。野党で支持率が最高の国民民主党は減税を前面に出す。首相周辺によると、参院自民党や公明党は首相に直談判し、減税や給付を働きかけている。
自民党の高市早苗前経済安全保障相は14日、X(旧ツイッター)で「減税」や「賢い政府支出」を唱えた。「景気を押し上げ、むしろ税収は増収になる」と投稿した。
立民内も江田憲司元代表代行が会長を務める勉強会が飲食料品の消費税「ゼロ%」の実現を求める。党所属国会議員の3割超が出席している。
減税論の突き上げを食らう首相や野田氏は慎重な言い回しを続ける。
首相は14日の衆院予算委員会で、物価高対策について実効性や財源のあり方を重視すると説いた。「国民の税金、次の時代の負担ということを等閑視することがあってはならない」と答弁した。
現金給付や減税についての考えを問われ「『選挙目当てのばらまき』をすることは考えていない」と返した。
野田氏は14日、消費税の扱いについて「プロセスを経て結論が決まったら従ってもらう政治文化をつくりたい」と記者団に述べた。旧民主党時代に消費増税に反対した小沢一郎氏らが集団離党した反省に言及した。
首相・連合、選挙前に接近 賃上げへ16年ぶり政労会見[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 570文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は14日、首相官邸で連合の芳野友子会長と労働政策を協議する「政労会見」を16年ぶりに開いた。中小企業や地方に賃上げの流れを波及する施策や、米国の関税への対応策を話し合った。夏の参院選を前に連合に接近し、野党との連携にくさびを打ちたい首相の思惑がうかがえる。
首相は冒頭で、米国の関税措置に関し「中小企業の労働者にしわ寄せがいかないよう連合と意識を共有し、難題を乗り切っていきたい」と述べた。芳野氏は「賃上げの機運に水を差さないか懸念している。最大限の善処をお願いしたい」と首相に求めた。
自民党政権下での政労会見は2009年の麻生太郎首相以来になる。今回は芳野氏から要請した。この時期に会見が実現した背景にはトランプ米政権による関税措置がある。企業業績に影響を及ぼし、首相が重要政策に掲げる賃上げに冷や水を浴びせかねない。
首相は大企業を代表する経団連を入れない政労会見を通じて、連合側と中小と地方の賃上げの方策について突っ込んだやりとりをしたい構えだ。トランプ関税は経営基盤の弱い中小や地方により打撃を与えやすい。
政労会見は今後も継続して開催する見込みだ。芳野氏は14日の政労会見終了後、記者団に「首相からこうした会議体を継続したいとの言葉があった」と明らかにした。
【図・写真】政労会見で発言する石破首相(14日、首相官邸)
「ルール違反指摘すべき」 立民・野田氏、関税交渉で[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 389文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の野田佳彦代表は14日の衆院予算委員会で、トランプ米政権の関税措置は世界貿易機関(WTO)協定や日米貿易協定に違反していると迫るべきだと主張した。「理不尽な指摘にはきっぱりと『それは変でしょう』と言ってほしい」と求めた。
石破茂首相は「深刻な懸念は有している」と語った。そのうえで「何がもっとも国益に資するか、世界に対して役割を果たすことができるか考える」と述べた。
野田氏は「深刻な懸念は必ず相手に伝えないといけない」と強い姿勢で交渉にあたるよう提言した。
野田氏は環太平洋経済連携協定(TPP)や東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)を拡充した広域経済圏を構想すべきだと強調した。米国との交渉について「日本だけ例外扱いを求めるのではなく、自由貿易体制を堅持して先頭に立つ大きなゴールが大事だ」と主張した。野田氏はTPPの常設事務局を日本に置くよう提案した。
ASEANと米関税対策協力 超党派議連が再始動[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 294文字 PDF有 書誌情報]
日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の脱炭素やデジタル分野での協力推進に向けた超党派の議員連盟が再始動する。関税政策など「不確実な米国」への懸念や備えを共有し、ASEANの中国傾斜に歯止めをかける狙いがある。
議連の名称は「ERIAを支援する超党派議員連盟」で、自民党の萩生田光一元政調会長が2024年の衆院選で引退した二階俊博氏の後継会長に就く予定だ。ERIAは国際シンクタンクの東アジア・ASEAN経済研究センターで、東アジア版の経済協力開発機構(OECD)としてASEAN首脳らに政策を提言している。
新たな活動方針は16日に開く総会で決め、夏までに政府への提言をとりまとめる。
与野党、衰えゆく組織票 町内会や労組の加入率低迷 候補者選び、政策本位へ転換(男子普通選挙100年のいま)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1230文字 PDF有 書誌情報]
普通選挙の実現は膨大な有権者を生んだ。政治家が個別に接点を持つのには限界があり、票をまとめる組織の重要性が増した。自民党にとって町内会、旧民主党を源流とする立憲民主党や国民民主党は労働組合が支持基盤となってきた。どちらも加入率や組織率の低迷が続く。
「地域社会の崩壊は日本全体の根底を揺るがす問題だ」。自民党の平口洋報道局長は1月31日公開の機関紙「自由民主」のコラムで町内会の加入率の低下に警鐘を鳴らした。ある閣僚経験者は「町内会の支持固めは基本。死活問題だ」と話す。
町内会は自治会、町会などとも呼ばれ、総務省によると2023年4月時点で全国に29万5000以上ある。回覧板の配布や防災訓練など行政を支える役割を担うことが多く、町内会員らが消防団や民生委員、保護司などを兼務することも珍しくない。
総務省が全国600市区町村の町内会を対象にした調査では、20年度の加入率は7割ほどで10年間で6ポイントほど下がった。かつて中心を担った地主や個人事業主が減ったり高齢化が進んだりしたことが要因とみられる。
放送大の玉野和志教授は個人事業主らは自民党支持層が多かったと指摘する。「行政に協力する町内会が行政トップや与党と同じ立場をとるのは自然だった」と語る。
1つの選挙区で複数の自民党議員が競った中選挙区時代には個人後援会を支える人に町内会の役員が多かったとも分析する。
野党議員にとってはハードルが高い存在だった。ある秘書は「宴会場がある飲食店の入り口にある『歓迎 ○○町内会』の案内を探して飛び込み参加を試みた」と笑う。
立民の長妻昭代表代行は初当選した00年ごろ、選挙区にある100以上の全ての町内会長に往復はがきで「新年会に参加できますか」と日時や場所を問い合わせた。「返信があったところは追い返されなかった」と振り返る。30年近くかけて関係を広げた。
「町内会の役員は人脈があり口コミ力が強い」と期待する。組織力が弱まった今でも単なる1人の有権者以上の拡散力があり、地域課題の把握にも役立つと頼りにする。
労働組合も組織票の代表格だ。連合傘下の産業別労働組合は出身者らを推薦し、国会に送り込んできた。労組系の政治団体からの献金も資金面で支えになってきた。
労組の推定組織率は1983年に3割を下回り、減少傾向が続く。24年6月時点では16.1%だった。集票力も衰えた。連合が組合員5万人に22年参院選の投票先を聞いたところ、選挙区は立民(37.8%)、国民民主(24.7%)に続き自民党が19.2%を占めた。
立民幹部は「組織に頼りすぎる政治家の先行きが危ういのは与野党共通だ。個人に訴える政治家の真価が試される時代になっている」と話す。
組織選挙を単なる「集票マシン」と捉えれば、議員にとって魅力は失われつつある。しがらみを離れ、政策本位で候補者を選ぶ政治への転換点になりうる半面、無党派層を取り込む安易なポピュリズムにつながるリスクもはらむ。
4月14日(首相官邸)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 348文字 PDF有 書誌情報]
▽6時53分 公邸から官邸。59分 橘官房副長官。
▽8時47分 国会。51分 岩屋外相、加藤財務相、谷公一衆院議員。59分 衆院予算委員会。
▽12時5分 官邸。30分 シンガポールのウォン首相と電話。
▽14時 アラブ首長国連邦(UAE)のジャベル産業・先端技術相兼日本担当特使の表敬。38分 外務省の鯰外務審議官、有馬北米局長、大和防衛省防衛政策局長。
▽15時12分 橋本聖子、宮本周司両参院議員。青木官房副長官同席。29分 井上内閣府次官、堀内外務省アフリカ部長。58分 衆院第1議員会館。斉藤鉄夫公明党代表と共にユーチューブ番組「公明党のサブチャンネル」の収録。
▽16時45分 国会。
▽17時1分 党役員会。18分 官邸。
▽18時2分 政労会見。
▽19時3分 衆院第2議員会館。28分 公邸。
外国人材の新制度「育成就労」、27年4月から 政府(短信)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 97文字 PDF有 書誌情報]
政府は技能実習に代わる外国人材の新制度「育成就労」を新設する出入国管理法などの改正法を2027年4月1日に施行する調整に入った。改正法は24年6月に成立し、公布後3年以内に施行するとしていた。
佐野市長(栃木県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 80文字 PDF有 書誌情報]
佐野市長(栃木県)
当17064金子 裕 無現
16557早川 桂子 無新
6233鈴木 靖宏 無新
4682横井 帝之 無新
565福本 繁幸 無新
佐伯市長(大分県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 66文字 PDF有 書誌情報]
佐伯市長(大分県)
当10921冨高 国子 無新
10322高橋 圭一 無新
8577田中 利明 無現
4165山野内真人 無新
さくら市長(栃木県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
さくら市長(栃木県)
当 7816中村 卓資 無新
7651花塚 隆志 無現
442徳丸 弘高 無新
日野市長(東京都)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
日野市長(東京都)
当21788古賀 壮志 無新
19556有賀 精一 無新
19374菅原 直志 無新
鳥羽市長(三重県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
鳥羽市長(三重県)
当 4169小竹 篤 無新
2884山本 哲也 無新
2459中村欣一郎 無現
伊丹市長(兵庫県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
伊丹市長(兵庫県)
当31386中田 慎也 無新
18400高橋 有子 無新
9571茶谷 英明 無新
宝塚市長(兵庫県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
宝塚市長(兵庫県)
当33459森 臨太郎 無新
27505大川 裕之 無新
7512小西 彦治 無新
柳川市長(福岡県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
柳川市長(福岡県)
当11931松永 久 無新
6696持木 浩徳 無新
4791松藤 政司 無新
菊池市長(熊本県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
菊池市長(熊本県)
当 7567江頭 実 無現
6105平 直樹 無新
5202宮 海彦 無新
宇佐市長(大分県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
宇佐市長(大分県)
当13410後藤 竜也 無新
10856和気 伸哉 無新
2398中本 毅 無新
丸亀市長(香川県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
丸亀市長(香川県)
自民、国民、公明推薦の松永恭二氏(65)=無現=が無投票で再選。
伊豆の国市長(静岡県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
伊豆の国市長(静岡県)
自民、公明推薦の山下正行氏(69)=無現=が無投票で再選。
八幡浜市長(愛媛県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
八幡浜市長(愛媛県)
自民、公明推薦の大城一郎氏(60)=無現=が無投票で5選。
豊後大野市長(大分県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
豊後大野市長(大分県)
当14041川野 文敏 無現
2967川野 辰徳 無新
豊後高田市長(大分県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
豊後高田市長(大分県)
当 6012佐々木敏夫 無現
5559河野 真一 無新
足利市長(栃木県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
足利市長(栃木県)
自民、公明推薦の早川尚秀氏(52)=無現=が無投票で再選。
袋井市長(静岡県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
袋井市長(静岡県)
自民、公明推薦の大場規之氏(61)=無現=が無投票で再選。
太田市長(群馬県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
太田市長(群馬県)
当35091穂積 昌信 無新
32989清水 聖義 無現
桶川市長(埼玉県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
桶川市長(埼玉県)
当15017小野 克典 無現
6888岡野千枝子 無新
佐久市長(長野県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
佐久市長(長野県)
当34499柳田 清二 無現
6071草間 重男 無新
大垣市長(岐阜県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
大垣市長(岐阜県)
当24531石田 仁 無現
13496岡田 正昭 無新
庄原市長(広島県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
庄原市長(広島県)
当12248八谷 恭介 無新
6112政野 太 無新
竹田市長(大分県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
竹田市長(大分県)
当 7287土居 昌弘 無現
3956吉竹 悟 無新
東海市長(愛知県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
東海市長(愛知県)
花田勝重氏(66)=無現=が無投票で再選。
小郡市長(福岡県)(選挙)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 4ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
小郡市長(福岡県)
加地良光氏(60)=無現=が無投票で3選。
備蓄米、JA集中で広がらず 店頭価格14週連続上昇 入札、大手に限定 買い戻しも条件[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1550文字 PDF有 書誌情報]
政府備蓄米の流通が広がらず、コメの高値が続いている。入札の対象は全国農業協同組合連合会(JA全農)など大手の集荷業者に限られる。政府が落札分と同じ量と品質のコメを買い戻す条件も、集荷業者が入札をためらう一因となっている。
農林水産省が14日発表したスーパーでのコメ5キログラムの平均価格(3月31~4月6日時点)は4214円と、14週連続で上昇した。前週に比べ8円(0.2%)高く、前年同期(2068円)の2倍を超える。
「備蓄米は『蚊帳の外』で手当てできない」。スーパーマルサン越谷花田店(埼玉県越谷市)の八木栄樹店長は嘆く。4月中旬時点の店頭価格(5キログラム、税込み)は4000円台後半が中心。買い物をしていた50代の主婦は「しばらく下がりそうにないと諦めている」と話した。
コメ不足の解消へ、農水省はこれまで2回にわけて合計21万トンの備蓄米を放出した。9日には3回目となる10万トンの放出を決めた。だがこれまでのところ、流通価格の引き下げ効果は限られている。
背景にあるのが備蓄米の入札要件の厳しさだ。農水省は対象を集荷業者に限定し(1)玄米仕入れ量が年5000トン以上(2)卸売業者などへの販売計画・契約があること――といった条件を課した。
JA全農など大手集荷業者の集荷数量が2024年12月末時点で前年に比べ21万トン減ったとの調査結果を踏まえた。卸などの流通段階で在庫が滞っているとの見立てから、小売店などに販売する卸売業者は入札の対象ではない。
入札後原則1年以内に、同じ品質で同じ量のコメを農水省が買い戻す要件も集荷業者の幅広い参加を阻む。25年産のコメの収穫量が見通せないなかで、一定量のコメを確実に調達する義務は集荷業者にとり高いハードルとなる。ある集荷業者は「買い戻し条件がなければ、積極的な入札を考えただろう」とこぼす。
JA全農の集荷量はコメの生産量の3割ほどと、集荷業者の中で最大規模。備蓄米は、買い戻しに対応しやすいJA全農に集まりがちだ。3月の1回目の入札は、JA全農が全体のおよそ94%にあたる13万2999トンを落札した。2回目の入札も「落札はJA全農が大部分だろう」(集荷業者)との見方がある。
半面、コメ流通は自由化が進みJA全農を経由しない取引も多い。あるコメ卸は「JAと結びつきが強くないと備蓄米は回ってこない」と打ち明ける。JA全農は備蓄米について、流通の円滑化へ信頼と実績のある販売先に可能な限り早期に供給する、などとする指針を設けた。「コメが円滑に流通するよう引き続き懸命に取り組む」と説明する。
迅速な出回りへ、農水省は備蓄米を調達した卸売業者にも、精米後に小売事業者など実需者への販売を義務付ける。大手卸の幹部は「地場の中小卸に備蓄米を販売することができず、地域密着型のスーパーには備蓄米が行き届かない」と指摘する。
備蓄米を確保できないコメ卸は卸間取引(スポット)市場でコメを買うしかない。代表的な新潟県産コシヒカリは足元で4万9250円前後(60キログラム、東京地区)。需給の逼迫を反映し、前年同期の2.6倍だ。
江藤拓農相は14日、コメ卸や小売りの団体関係者と意見交換会を開き、高止まりするコメ価格の解消に向けた協力を要請した。江藤氏は「備蓄米の売り渡しの意図や目的について理解し、流通関係者にはコメ価格の高止まりが解消するよう取り組みを進めてほしい」と呼びかけた。
日本スーパーマーケット協会の岩崎高治会長(ライフコーポレーション社長)は交換会後に記者団の取材に応じ、備蓄米について「地域格差や企業規模によって、まだ全体には行き渡っていないというのが現状だと思う。政府には今後とも必要に応じて備蓄米の放出をお願いしたい」と話した。
万博、経済効果3兆円 訪日客が消費押し上げ[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 843文字 PDF有 書誌情報]
13日開幕の大阪・関西万博で政府は3兆円の経済波及効果を見込む。半年間の会期中、来場者2820万人、うちインバウンド(訪日外国人)350万人を想定し、関連消費は1兆円規模になるとの試算もある。トランプ米政権の関税政策を巡る混乱が景気の先行きに影を落とす状況で、日本経済を下支えする。
経済産業省は万博による経済波及効果を全国で2.9兆円と見積もる。民間シンクタンク、アジア太平洋研究所(APIR、大阪市)は、会場周辺でのイベントなども含めれば最大3兆3667億円にのぼると試算する。
効果が期待されるのがインバウンドによる消費の押し上げ。日銀大阪支店は2月、万博効果で「観光消費額は増加する見通しが堅い」との分析をシンクタンクなどとの会合で示した。
日本政府観光局によると2024年の訪日外国人は3687万人と最高を更新し、すでに各地の経済を下支えする。りそな総合研究所によると、万博来場者の関連消費額は1兆円。インバウンド消費は2930億円とみる。
万博はこれまでも経済の活性化に寄与してきた。05年の愛知万博(愛・地球博)は2204万人が来場。博覧会協会の試算で2.8兆円の波及効果があった。広域のインフラ整備なども含めれば7.7兆円に上ったという。今回の想定来場者の倍以上となる6421万人を集めた1970年の大阪万博は4.9兆円。85年つくば万博は4.2兆円だった。
関西では賃金面ですでに効果が出始めている。賃金動向の先行指標になるアルバイト・パートの募集時平均時給は、インディードリクルートパートナーズによると、25年3月の三大都市圏(首都圏、東海、関西)で、前年同月比66円(5.6%)高い1254円と過去最高だった。特に大阪府の伸びが目立った。
11.1%伸びて1314円となり、東京都の1318円に迫る水準だった。伸び率でも24年10月以降、東京を上回る状況が続く。宿泊施設関連や警備員・監視員・パーキングスタッフなど個別の業種では大阪が東京を上回るものも出てきた。
経済安保の重要物資、海底ケーブルや衛星も 経産省、新たに5つ追加[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 394文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省は5月にも改定する経済安全保障の行動計画に、海底ケーブルや人工衛星・ロケットなど5つの重要物資・技術を支援対象として加える。研究開発から国内外での事業展開まで国費による補助を検討し、日本の技術優位の維持をめざす。部品などで海外に多くを頼る品目は国内生産を促す。
15日に開く経産省の有識者会議で同省が案を示す。フュージョンエネルギー(核融合)、原子力部素材の製造技術、産業用データも追加する。現在は量子コンピューター、先端半導体、蓄電池などを重要物資・技術に指定している。
経済安全保障推進法に基づく物資確保や技術開発に関する政府の支援枠組みの活用を狙う。今後、有識者会議での検討や経済安保推進会議での決定などが必要となる。
技術革新が進む分野では市場の不確実性が高く、巨額の設備投資が必要で、単独での事業展開が困難なケースがある。複数企業による共同事業への支援策も検討する。
次世代地熱発電、30年代実用化へ 経産省が初の官民協議会[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 282文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省は14日、次世代の地熱発電技術の普及を促す官民協議会を初めて開催した。2030年代の実用化に向け、年内に政府支援や民間投資の工程表をまとめる。地下に熱水がなくても発電できる「クローズドループ」と呼ぶ技術などの活用を促す。
協議会には経産省や環境省のほか、電力会社や建設会社など70社以上の事業者が参加した。クローズドループやマグマに近い熱源で発電する「超臨界地熱」といった次世代技術の活用に向け、民間投資の在り方や国の支援手法などをまとめる。
日本の地熱資源量は世界3位とされているものの適した場所が国立公園内に集まり、開発が難しいという課題があった。
日本初IR、本格着工 万博会場隣地で、24日から[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 258文字 PDF有 書誌情報]
2030年秋ごろに日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を目指す大阪IR株式会社が大阪・関西万博会場の隣接地で24日から施設本体の建設工事に入ることが、14日わかった。大阪IRは大型重機の稼働ピークを閉幕後とすることなどで「騒音や景観悪化に最大限配慮する」としている。
IR予定地は万博会場の北側の約49ヘクタール。カジノのほか、6000人以上収容の会議室を有する国際会議場や高級ホテルを整備する。主要施設は万博「表玄関」の大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)夢洲駅近くに建設する。
(大阪・関西万博取材班)
デブリの採取、きょう2回目 福島第1原発[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 135文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)は14日、福島第1原子力発電所2号機で溶融燃料(デブリ)の2回目の試験採取を15日から始めると発表した。
1回目と同様に釣りざお式の装置を使い、最大3グラムの取り出しを目指す。前回の実績を踏まえ、取り出し作業は完了まで2週間弱を見込む。
人財立国への道 インタビュー編 コミュ力・創造性は「人>AI」 英オックスフォード大教授 オズボーン氏(国富を考える)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1246文字 PDF有 書誌情報]
英オックスフォード大教授 マイケル・オズボーン氏
働き手の減少が見込まれる日本で、人工知能(AI)やロボットは人間の仕事を奪う脅威なのか、協働すべき仲間なのか。12年前、「今後10~20年で米国の雇用の47%が自動化される」と予測する論文を著した英オックスフォード大のマイケル・オズボーン教授に、生成AIの登場などを踏まえた今の見解を聞いた。
――2013年の論文では医師や看護師、美容師、ソーシャルワーカーなどの仕事は自動化される可能性が低いと予測した。
「今もいずれも低いままだと思う。たとえば看護師は高度な多くの手仕事が必要だ。近い将来に機械が採血を行う可能性は低いだろう。美容師も顧客との対話力や手仕事のレベルを考えれば自動化できないと思う」
――作家やアニメーター、弁護士も自動化の可能性を5%未満とみていた。
「こうした職業では高度なスキルがある労働者は安全だが、中位レベルまでの人はAIを使った仕事に追い抜かれるかもしれない。定型的な文書や研修動画のような低コストのアニメーションの作成などでは、生成AIが力を発揮するだろう」
「ただ人々が『ぜひ見たい』と思うような最高のアニメを生み出すには、今も人間による高度な監視と制御を伴うと思う。これは作家も同じだ。法律の仕事では人間とAIのレベルに差がある。弁護士に最も重要な要素は信頼であり、多くの人々が機械を信頼するのかどうかは疑問だ」
――12年前に予測した未来と現在が異なると思う点はあるか。
「当時は技術の導入コストを考慮せず予測した。建設現場では多くの作業を自動化できると分析したが、こうしたロボットは現時点では非常に高価だ。コストの壁により今後10年は労働市場を大きく脅かさない可能性がある。自動運転タクシーも広く普及すると予想されていたが、思ったより進歩しなかった」
――機械学習やロボット技術がさらに発展しても代替されにくい「人間にしかできない仕事」は何だと思うか。
「12年前は『手先の器用さ』『創造性』『コミュニケーション力などの社会的知性』を挙げた。これはいまも真実だ。(看護師や美容師の例のように)AIやロボット工学が進歩しても、人間の指の熟練したレベルの器用さは機械で再現できない」
「音楽生成AIで作った楽曲は悪くはないが、繰り返し聞きたくなる質ではない。これは機械が私たちがつくれる最も優れた部分を大量のデータの中から拾い上げられず、平均の質に向かってしまうことを意味する」
「私の教授としての大事な仕事は、学生が本当に理解しているか、わかっているフリをして本当はわかっていないのか、などを読み取ることだ。これは学生の発言や身ぶり手ぶりなどそれぞれの非常に微妙なシグナルが根拠になる。多くの仕事にはこうした社会的知性に頼る場面がある。この能力は簡単に機械に置き換えできないだろう」
(聞き手は編集委員 中島裕介)
Michael Osborne オックスフォード大で機械学習の博士号取得。19年から現職
警察庁(人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 5ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
警察庁(25日、地名は県警本部長)警備第二課長、飯崎準
▽北海道警察釧路方面本部長、田崎仁史
▽福井(警備第二課長)増田美希子
資源大国呼ぶ起業家精神(DeepInsight)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 6ページ 2068文字 PDF有 書誌情報]
資源に乏しい国、日本。そんな常識をひっくり返す試みが近く本格的に始まる。
小笠原諸島・南鳥島の周辺海域に、電気自動車やIT(情報技術)機器に欠かせないレアメタル(希少金属)を含んだ球状の鉱物「マンガンノジュール」が大量に沈んでいる。
環境に悪影響を与えず取り出せるか。東京大学と日本財団が協力し、2025年度から3年かけて慎重に調べる予定だ。
中心には東大の加藤泰浩工学部長がいる。ハイテク製品に使うレアアース(希土類)が豊富な泥が太平洋にあると論文で発表したのは11年。日本の排他的経済水域(EEZ)内の南鳥島周辺にもあると確認し、さらに調査対象を広げマンガンノジュールの密集域を見つけた。
4月に入り、関税をめぐり対立する米国をけん制するように、中国がレアアースの輸出規制を強化した。米国はトランプ大統領がウクライナ支援の見返りにレアアース権益を求めた。政治的な駆け引きに使われる資源を輸入に頼る日本は振り回されやすい。
今回の環境影響評価の結果、問題なしとなり海底資源の開発が進むならば、インパクトは大きい。レアアースの場合、南鳥島の有望海域分だけで日本は世界シェア3位に躍り出る。
幾通りもの解説ができる話だが、ここでは出発点が「サイエンティストの思いがけない発見」だったことに注目したい。
加藤氏は資源探しが専門だったわけではない。もとは理学部に属する地質学者だ。海にたまった岩石や泥を手がかりに46億年の地球の歴史を追いかけてきた。その過程でレアアース泥の存在に気づいた。1999年だった。
時は流れ2010年、事件は起きる。尖閣諸島沖での漁船衝突をきっかけに、中国がレアアースの対日輸出を止めた。中国支配の構図を変えないといけない。実は海の底に誰も知らない資源があるぞ。そう声を上げる決意で書いたのが11年の論文だ。
一種の起業家精神に火がついたと言っていいだろう。ほどなく産業界に連鎖反応が広がる。
東亜建設工業で汚染土壌対策などを担当していた森沢友博氏は12年、書店で一冊の本に出合った。レアアース泥についての加藤氏の著書だ。泥を海底から引き揚げ、船で工場に運び、レアアースを抽出・精製する流れを示す図に目が釘付けになった。
1908年創業と歴史は長いが、東亜に資源開発の実績はない。だが海底を掘り、残った泥を処理するのに、東京湾を埋め立てた経験は生きるはず。森沢氏は加藤氏を訪ね、関係を築いた。
その後、レアアース泥の調査・研究、実験に関わりノウハウをためた。23年には社内に資源・エネルギー技術グループができた。森沢氏がリーダーをつとめる。
東亜などが発起人となり立ち上げたレアアース泥開発のコンソーシアムは24年、マンガンノジュールを加えて商用化をめざす組織に発展し参加企業・団体は44にのぼる。加藤氏はこれと連携し、ビジネスの体制をつくる。
「サイエンティストとして地球環境の変動を読み解きたかったが、頭の片隅で何かの役に立たないかと思い続けていた」。革新の糸口がほしい日本にとって加藤氏の言葉はひとつのヒントになる。「基礎的な研究にも世の中の役に立つポイントがある。ぼーっとしていては気づかない」
サイエンスを突破口にした起業――。くしくもいま、緻密な実験や手間暇のかかる研究を土台にしたディープテック(先端技術)を日本の強みとして追求しようとの機運が高まっている。
「日本はサイエンティストに投資する社会に変わってきた」。10年前、ディープテック領域のスタートアップに対する投資を手探りで始めたアントロッドキャピタルジャパン(東京・港)の永田暁彦社長は感じている。
大学教授が自ら社長になる例は依然多くないが、自分の技術を外に出し、自らは最高技術責任者(CTO)や技術顧問に就き別の人をトップに立てて起業するモデルは「爆増している」。
アントロッドのファンドは10年間で約160億円をエレクトロニクスやバイオなどのスタートアップ85社に投資した。大学・研究機関発が7割近い。大学で研究室に閉じこもっていては得られない多額の研究費を調達する手段としても起業に光があたる。
日本ではキャリア形成の道筋を描きにくいなど「博士は不遇」との見方があるが、そうとは限らない。サイエンティスト自体が革新を呼ぶ資源たり得る。
もちろん、眠れる資源(鉱物も人材も)を抱える国だとしても、日本に余裕があるわけではない。見つけたチャンスをひとつひとつ確実にものにする覚悟がいる。
海底資源もそうだ。政府主導で進んできた研究開発と、東大などの活動をどう整理し、日本にとってベストな形にするのか。世界情勢を冷静に眺め、的を射たスピーディーな判断が肝心だ。権益確保ルールの明確化もいる。
加藤氏は中高生を相手に講演して回り、東大での研究を紹介している。64校で、2万6000人以上に会った。やはり海底資源の話をすると盛り上がり、鋭い質問を浴びる。未来のサイエンティスト候補も、日本の今後を左右する大人たちの振る舞いを見ている。
トランプ氏、「無関心」に限界(TheEconomist)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 6ページ 0文字 書誌情報]
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農林中金理事長、米債大量売却「事実ない」 運用改革は中長期、農業への投融資焦点[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1140文字 PDF有 書誌情報]
4月1日に就任した農林中央金庫の北林太郎理事長は市場で臆測が流れていた米相互関税導入時の米国債大量売却について「事実はない」と否定した。運用失敗に伴う米国債の一括売却は2024年度で終えたという。運用改革は中長期的に進める考えを示した。
9日に実施した日本経済新聞のインタビューで明らかにした。米国債を巡っては、9日の相互関税発動前後に株・債券・通貨の「トリプル安」となった。米金利が一時急騰(債券価格は急落)したことについて市場では中国勢や日本勢が米国債を売り浴びせたとの観測も広がった。
農林中金など日系大手金融機関が大量売却したとの噂が広がったものの、北林氏は「そのような事実はない」と否定した。「昨年度に10兆円以上の低利回り資産を売却したことで収益力が改善している。(市場急変時に)慌ててポジション(持ち高)を変える必要はない」という。
農林中金は外国債券運用失敗に伴い、24年4~12月に12兆8000億円の外債などを売却した。含み損の損失確定に伴い、農林中金は2025年3月期に1兆9千億円規模の最終赤字に転落したもよう。北林理事長は責任をとって辞任した奥和登前理事長の後任として4月1日に就任した。
農林中金が4月に米国債を大量売却したとの臆測が広がったのは、昨年度に財務構造改革に踏み切っていたから。ただ、足元は中長期的な運用改革へフェーズを移している。北林理事長も今回のインタビューで、20年以上続けてきた国際分散投資戦略について、「債券を中心とする国際分散投資を見直し、真に分散させる」と表明した。
一時、運用資産の6割を占めていた債券の比率を下げ、代替投資先として株や社債、ローン担保証券(CLO)など証券化商品、プライベートエクイティ(未公開株)といった「信用リスク資産」を挙げた。日本国債については「(長期金利が)1.3~1.4%程度の水準になれば投資の選択肢になるが、さらなる上昇可能性もあり、慎重に見極めたい」と話した。
北林理事長にとって最大のミッションは「稼ぐ力の再構築」だ。預かった貯金を市場で運用するだけでなく、農業への投融資を拡大できるかが焦点だ。
例えば、プロジェクトファイナンスなど大規模農業法人が絡む投融資を拡大する。グループの運用会社を活用し、地方銀行とのつながりも深める。農家に向けてリース事業も強化する方向だ。農林中金が外債運用に傾斜してしまったのは、全国各地のJAをサポートするため、過剰リスクをとらざるを得なくなったから。「奨励金」と呼ぶ還元の仕組みだが、北林路線は現時点でここにはメスを入れない戦術だ。農業支援の拡大という本質論に切り込むが、改革には時間がかかりそうだ。
(北川開)
【図・写真】インタビューに答える北林氏
欧州中央銀行、利下げ検討へ 6会合連続、米関税で景気低迷を懸念[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
【ベルリン=南毅郎】欧州中央銀行(ECB)は17日の理事会で、6会合連続の利下げを検討する。トランプ米政権が発動した相互関税や中国の報復措置で景気下振れの懸念が強まった。株価急落など金融市場のリスクも点検する見通しだ。
今回の理事会は、米国が世界各国からの輸入品に追加関税を課す「相互関税」を発動してから初の会合になる。ラガルド総裁は前回3月の記者会見で利下げ中断の可能性に言及していたが、市場は貿易戦争の激化が利下げ継続を促すとの見方を強めている。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は米国に対して交渉と報復の両面で対応を探る。報復関税に動けば輸入品の値上がりを通じてインフレ圧力を高める恐れがある半面、世界経済の減速懸念から原油安が進むなど物価下振れのリスクも出始めている。
利下げを決めれば2024年6月に開始してから7回目で、据え置きを挟んだ9月以降では6会合連続だ。政策金利の一つで市場が注目する中銀預金金利は現在の2.5%から2.25%に下がり、累計引き下げ幅は1.75%となる見通しだ。市場は利下げを確実視する。
貿易戦争の激化で欧米の株式市場では株価の乱高下を繰り返しており、金融システムの安定にも目配りが必要になりつつある。ドイツの次期メルツ政権が目指す巨額の財政出動は時間を要する見通しで、目先は貿易戦争による金融リスクへの対応が不可欠だ。
リスクを意識した発言も少しずつ増えてきた。
米ブルームバーグ通信によるとラガルド氏は11日、ユーロ圏財務相会合の後に「ECBは監視を続けており、利用可能な手段をいつでも使う用意がある」と表明した。「金融の安定なくして物価の安定はない」として危機対応に万全を期す考えだ。
PayPay決済、自動引き落とし可能に 傘下銀行口座から即時[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
スマートフォン決済のPayPayは買い物の決済時に子会社のPayPay銀行の口座から利用額を自動で引き落とすサービスを始める。今は代金をチャージしておくか、クレジットカードを登録する必要がある。システム開発を終える2025年末までにスタートする。
現在、PayPayを使うには2つの手法がある。一つは銀行口座からのチャージやATMからアプリに入金する「赤PayPay」。もう一つはクレジットカードをアプリにひも付けて利用額を翌月に支払う「青PayPay」だ。
新たに追加するのは「紺PayPay」。アプリと、PayPay銀行の口座をひも付けるデビットカードのような仕組み。紺色の決済画面を表示し、決済後は口座残高から即時引き落とされる。PayPayの利用者は現在、6800万人いる。PayPay銀行の口座数は約860万に上る。
PayPay銀行はこれに先駆け、15日にも口座から即時引き落とされるQRコード支払い機能をアプリに搭載する。引き落とされる直前まで預金扱いになるため、利息を受け取れる。
PayPayはこのほど、LINEヤフー子会社のZフィナンシャルが保有するPayPay銀行株を譲り受け、PayPay銀行を子会社化した。決済や証券といった金融サービスをさらに拡大する。
ありあけキャピタル、滋賀銀株5%超を取得[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 383文字 PDF有 書誌情報]
地方銀行を中心に投資するありあけキャピタル(東京・中央)が滋賀銀行の株式5%超を取得したことが14日、わかった。滋賀銀には保有する政策保有株式を成長投資に振り向けるよう求める可能性がある。
14日に提出した大量保有報告書で明らかになった。5.3%の株式を125億円で取得した。ありあけは3月に投資先だった千葉興業銀行の株式19.9%を千葉銀行に売却しており、新たな投資先を探している。
ありあけキャピタルは「政策株の売却や中長期的な成長戦略など企業価値向上のため友好的な議論を開始した」と説明する。
滋賀銀行は2024年3月末時点で、時価ベースで約2300億円の政策株を保有している。京都フィナンシャルグループ(FG)や八十二銀行などに次ぐ6番目の大きさだ。滋賀銀行は同日、「健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため建設的な対話に努める」とコメントした。
三井住友信託、アプリで企業と個人を橋渡し 株主限定の配信が可能に[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 372文字 PDF有 書誌情報]
三井住友信託銀行は、上場企業と個人株主が直接つなぐためのスマートフォンアプリの提供を15日に始める。三井住友信託が管理する株主名簿を活用するため、株主に絞った情報配信が可能になる。アンケートなどを通じて株主の意向も把握できる。
新アプリは「株主パスポート」と名付け、個人株主は無料で使える。企業も適時開示や配当金などの情報配信、売却が判明した株主へのアンケート調査といったサービスは無料で受けられる。企業が株主総会での議決権の電子行使に契約している場合は、同アプリ上で展開できる。
企業による株主に的を絞った任意の情報発信は有料とする。10月以降にアプリ会員への独自アンケート調査やイベントの案内、会員向けのポイント付与といった内容を追加する。
個人投資家の裾野拡大によって、株主の対話の重要性が高まっていることを踏まえ企業のニーズに応える。
始動バーゼル3(上)国際新規制、邦銀が先陣 リスク管理を徹底、投融資に余力 保守的な経営姿勢が奏功[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1612文字 PDF有 書誌情報]
銀行が投資や融資に伴うリスクをよりきめ細かく見積もる新たな国際ルール「バーゼル3」が実行段階を迎えた。先陣を切ったのは邦銀だ。3月末までにバーゼル3の導入を終え、足踏みする米欧勢と対照をなす。過去の金融危機の教訓から編み出された厳しい資本規制が金融界にもたらす影響を探ってみた。
2008年のリーマン危機を踏まえ、主要国の監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会が定めたバーゼル3。リスクの高い投融資に例外なく備えを求める点で「規制強化」の色彩もあり、欧米勢は二の足を踏んでいる。
米国は23年夏に最終規則案を提示し、25年7月の適用を目指すとしていた。必要資本が大幅に上積みされる米銀大手やロビー活動を受けた共和党の強い反発に遭い、事実上の撤回を迫られた経緯がある。その後、トランプ氏が米大統領に就任し、米国の案は「さらに骨抜きが進む可能性がある」(日銀関係者)との見方が出ている。
欧州は様子見を決め込む。欧州連合(EU)は1月に適用したが、影響が大きい市場リスクに関する規制の適用は26年に先送りした。英国も米国の動向が不透明なことを理由に、適用を27年1月にさらに1年先送りする方針を示した。
日本は24年3月期に導入したメガバンクなど大手に続き、信金・信組を含む全ての預金取扱金融機関が25年3月期にバーゼル3を最終適用した。韓国などとともに、先頭ランナーに躍り出た格好だ。
厳しい規制を先んじて取り入れることが、邦銀を相対的に不利な立場に追いやらないかという懸念があるのは事実だ。「仮に邦銀にとって不利な点がある場合には、内外に対してイコールフッティング(同じ競争条件)の確保を訴えていきたい」。全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は4月の記者会見で指摘した。
もっとも、精緻な試算から見えてくるのは、やや違った姿だ。
バーゼル3を先行導入した国内の38銀行・グループの自己資本などのデータを日本経済新聞社が集計したところ、全体の「投融資余力」が1年間で計13兆5000億円増えた。たとえば、最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の余力は前年同期比1割増の12兆2000億円、農林中央金庫は2割増の8兆9000億円となっている。
厳しいとされた規制を導入したのにもかかわらず、投資余力がむしろ増すのはなぜか。カギは邦銀の保守的な経営姿勢にある。
多くの邦銀はもともと、バーゼル3よりもさらに厳しめにリスクを見積もり、自己資本を厚めに積んでいた。バーゼル3の基準に照らすと、リスク資産の評価総額が減少し、資本のゆとりが出てくるというわけだ。
試算では、38行・グループのうち28行・グループで投融資余力が増し、残る10行・グループは下がった。三井住友FGはリスク資産が2割増の15兆円超膨らんだ。
バーゼル3のルールではリスクの見積もりが段階的に厳しくなっていく予定だ。5年程度の経過措置が残っており、その効果が切れる29年3月期以降、投融資余力はほぼなくなる見込み。小さな金融機関にどんな影響が出るか読み切れない面もある。
邦銀が新ルールに率先して取り組んだことで得る「利益」は投融資余力のアップにとどまらない。
案件ごとの細かなリスクをきっちり把握するよう銀行に求めるのがバーゼル3の特色だ。いわばドンブリ勘定が条件付きで許されていたこれまでのルールとの最大の違いがそこにある。ある邦銀幹部は「案件に向き合う姿勢が違ってくる」と語る。
ひとつひとつの案件との向き合い方に甘えが許されなくなると、銀行の組織風土や管理能力の質が改善していくのは間違いないだろう。鋼のような強い体質が長い目で見た成長戦略づくりの土台になる。もうひとつの大きな「利益」だ。
足元では米国のトランプ関税騒動で国際協調が岐路に立たされている。だが、通商と同じく金融の分野でも、国際ルールを尊ぶ意義は揺らいでいない。
野村証券、買い注文再開 ネット経由の一部日本株(短信)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 7ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
野村証券は14日、インターネット経由で買い注文の受け付けを停止していた一部の日本株について、1週間ぶりに取引を再開した。サイバー犯罪集団による証券口座の乗っ取りを防ぐ対策を講じ、停止措置を解除できると判断した。
関税が開いたパンドラの箱 米ドルに信認問題再び よみがえる「ニクソン・ショック」[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1798文字 PDF有 書誌情報]
米国株だけでなく米国債まで売られ、ドル相場の足元さえ揺らいでいる。トランプ関税を機に、ドルの信認問題という古くて新しいパンドラの箱が開けられた。
「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」。1997年6月23日、米コロンビア大学の講演で橋本龍太郎首相はそう述べた。
通商交渉での米国側の理不尽な要求を振り返っての発言だが、クリントン米政権の逆鱗(げきりん)に触れた。「もし売れば宣戦布告とみなす」とルービン財務長官周辺は受け止めた。
97年11月の日本の連鎖金融破綻に、米国は冷淡そのもの。98年6月の訪中で中国トップの江沢民氏と会談したクリントン大統領は、金融危機の渦中にあった日本を「アジアの不安定役」と突き放した。
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それから幾星霜、今度は中国が外貨準備として保有する米国債を着実に売っている。2025年1月末の米国債保有額は7608億ドル。前年同月比で369億ドル減らしている。
トランプ大統領による2日の相互関税の発表以来、米中の関税をめぐる応酬はエスカレートの一途。そのさなかに中国による米国債売却の観測が市場を駆け巡っている。
中国はピーク時に1兆3000億ドルを超えた米国債保有を圧縮し続ける。背景は米中貿易摩擦だけだろうか。台湾統一を目指す習近平(シー・ジンピン)国家主席が、武力行使の選択肢を排除しないことも見逃せまい。有事の差し押さえに備えた動きとの見方は根強い。
米国にとって米国債市場の安定はドル基軸通貨体制の要である。2月7日のワシントン。トランプ氏との会談を終えた石破茂首相はベッセント財務長官と意気投合した。
石破氏が指し示したのは日本と中国の米国債保有額のグラフ。中国の折れ線がつるべ落としなのに対し、日本の折れ線は1兆ドル台で安定している。1月末で1兆793億ドル。ベッセント長官は安定勢力である日本に破顔一笑した。
1971年8月のニクソン・ショックでドルは金との交換可能性を失った。ドルは「不換紙幣」となったのに、米国の信用を担保に依然として基軸通貨として君臨している。うらやましい限りなのに、そう考えない向きがある。
トランプ政権のミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長だ。「ドルは外貨準備の需要から割高になり、米国の製造業や貿易可能財の生産者がそのコストを負っている」
ヘッジファンドのストラテジスト時代の昨年11月に発表した論文「世界貿易システム再構築のためのユーザーガイド」。そのなかで、ミラン氏は喝破する。
強すぎるドルの負担を軽減するための通貨調整。85年9月にドル高是正のためにG5(日米独英仏の主要5カ国)が一致したプラザ合意の現代版、フロリダのトランプ氏の邸宅になぞらえたマール・ア・ラーゴ合意が取り沙汰される。
だが一連のトランプ砲を、基本的には為替調整であるプラザ合意の現代版というのは妥当だろうか。
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71年のニクソン・ショックはドルの切り下げとして記憶に刻まれるが10%の輸入課徴金を同時に打ち出した。輸入課徴金とはトランプ関税よりストレートな表現である。
45年に第2次世界大戦が終わって四半世紀あまり。米国は経済と軍事の両面で西側世界を支えてきた。そのパクス・アメリカーナ(米国の平和)の重荷を日欧に分担させようとしたちゃぶ台返しが、71年のニクソン・ショックである。
同様に90年前後にソ連との冷戦に勝利した後のパクス・アメリカーナ第2幕にも、金属疲労が強まっている。そこに登場したトランプ政権が、打ち出したのが関税の連射。それに続くのはドル高是正だろう。
ニクソン氏を尊敬するトランプ氏が、71年のニクソン・ショックと同様な策をしつらえたのは偶然ではない。問題は時間軸。金との交換可能性を絶ったドルが、安定した強みを確立するには冷戦の終わりと米経済の復活を待つ必要があった。
そして今、トランプ氏は71年と同じパンドラの箱を開けた。政権が目指す製造業の復権とテクノ覇権の融合。それがいつ、そして本当に実現するか分からない。しかも71年当時の日欧とは異なり、覇権を争う中国は経済でも軍事でも米国とガチンコ勝負である。
いきおいトランプ氏はかんしゃくを起こす。ドルは信認問題の歴史を繰り返しつつある。米国の単独行動が際立つ分、事態は厳しさを増している。
(客員編集委員 滝田洋一)
米テック株急落、新NISA苦戦 人気10投信、年初来17%下落 含み損で「様子見」強まる[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税政策を受けた金融市場の混乱で、個人投資家に人気の投資信託の運用成績が悪化している。新NISA(少額投資非課税制度)の対象で、流入規模が大きい上位10本の投信は年初からの基準価格の下落率が10日時点で17%になった。グローバル展開する米テック株に集中投資する投信の一部は、年初来の基準価格の下落率が3割に達した。
新NISAをきっかけに2024年に個人投資家から最も買われた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は米エヌビディアや米アップルなどを組み入れており、年初からの下落率が10日時点で14%になった。
同投信は24年の資金流入の8割以上がNISA経由だ。24年から毎月初に1万円積み立てたと試算すると、11日時点で1万円超の含み損を抱えたことになる。
昨年末からNISA口座で投資をはじめた東京都在住の20代男性は「投資は詳しくないため、人気のオルカンと成績がよかったインド株の投信を買った」と話す。含み損が発生し「とりあえず様子見する」という。
昨年までは株式市場で「生成AI(人工知能)ブーム」が起き、その中心にいた米エヌビディアなど巨大ハイテク7社「マグニフィセント7(M7)」に世界のマネーが集まっていた。今回の急落で機関投資家が売りを膨らました。
個人は投信を選択する際に、直近数年のリターンの高い投信を選ぶことが多く、24年は米テック株などを組み入れた海外株投信への流入額が多かった。しかし、機関投資家の売りにのみ込まれ、個人は含み損を抱えることになった。
米テック10銘柄を均等配分して構成する株価指数への連動を目指す「iFreeNEXT FANG+インデックス」は24年に資金の7割がNISA経由で流入している。10日時点で年初来19%下落。9日には同29%下落していた。24年のリターンは71%と圧倒的だったが、一転した。
個人は株安だけでなく円高の逆風も受けている。ドル建ての全世界株指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」(配当込み)は年初来の下落率が7%。対して円建ての同指数との連動を目指すオルカンの基準価格は14%下がっている。
ここ数年は歴史的な円安で、外国為替相場の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」の投信が人気だった。円高が進行した場合の損失を避けられる「為替ヘッジあり」は、金利差の拡大で、費用(ヘッジコスト)も上昇していた。
投信全体での資金流出超過には至っていないものの、外国株投信の新規の購入にはブレーキがかかっている。多くの口座でNISAのつみたて設定日となっている第3営業日の資金流出入を見ると、4月は約1400億円。前月と比べて34%少なく、5カ月ぶりの低水準だった。
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏は「海外株投信は注文を出してから決済されるまでに1~2日程度かかる場合が多く、株価が乱高下する局面では売買しにくい」と分析する。
米国株を避ける動きも広がり始めた。米国株を除く世界株に投資する指数への連動を目指す「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」は、3月中旬まで20億円台で推移していた残高が11日には71億円になった。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「トランプ政権の政策が経済の不安要因になっているため、3月以降、個人の間で『米国株の比率を下げないといけない』という意識が出始めた」と話す。
長期投資では、相場の下落局面で慌てて売却しないことが重要だ。一定額を積み立てる場合、安値で多く購入できるチャンスでもある。一方で、投資先が一部の国や業種に偏りすぎていないか見直すきっかけにもなる。
QUICKによるネット証券大手5社の1月の集計によると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」のつみたて投資枠の買い付け額は306億円と3番目に多かった。資産運用を助言するガイア(東京・新宿)の中桐啓貴社長は「急落しても慌てて投資をやめるのではなく、次回以降の積み立てで米国を除く世界株や債券など他の金融商品を買って補完するのも一つの案だ」と話す。
(越智小夏、杵渕純平)
20年債利回りが上昇 2.44%、20年ぶり高水準[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 283文字 PDF有 書誌情報]
14日の国内債券市場で新発20年物国債利回りが上昇(債券価格は下落)し、一時前週末比0.135%高い2.44%を付けた。2004年8月以来およそ20年8カ月ぶりの高水準になる。15日に20年債入札を控え、持ち高を調整する目的の売りが出た。このところ超長期債の利回りは世界的に高変動が続いており、買いを入れにくいことも金利を押し上げている。
新発30年物国債も一時前週末比0.14%高い2.845%と、04年8月以来の高水準となった。参院選を前に物価高対策などを目的に財政拡張論が強まるなかで、財政リスクを懸念した買い控えの動きが国債利回りを押し上げている面もある。
追い証 信用取引の追加保証金(市場を知るニュースワード)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
株価の急落局面では個人投資家の「追い証」に絡んだ売りがよく指摘されます。追い証とは信用取引をする個人投資家が求められる追加の保証金のことです。
信用取引では証券会社に担保を預け、売買に必要な資金や株式を借りることができます。担保は委託保証金と呼ばれ、保有する株式なども差し入れられます。担保は信用取引する額の30%以上を求められます。
信用取引で買った銘柄や代用した株式が値下がりすると担保の価値が下がり、取引額に対する比率が下がります。一定の割合を下回ると定められた期日までに追加で保証金を差し入れる必要があります。これがいわゆる追い証です。期日は義務発生日の2営業日後が多いようです。
株価の急落局面では追い証を巡り2つの売りが出るとされます。まず株価下落で含み損が大きくなり、追い証の発生を回避するための手じまい売りです。その後追い証が発生し、期日までに追加の保証金を差し入れられないと証券会社が信用取引を強制決済します。これが第2の売りです。
道北アークス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 200文字 PDF有 書誌情報]
道北アークス
(5月20日)会長(社長)六車亮
▽副会長(専務営業本部長)東出雅宏
▽社長(常務営業本部事業推進室長兼営業副本部長)六車聖
▽専務営業本部長(同販売部管掌)熊谷真吾
▽常務営業本部グロサリー商品部管掌(取締役グロサリー商品部統括)鈴木桂市
▽取締役(執行役員)管理本部総務人事部ゼネラルマネジャー奥山正明
▽監査役、田守隆行
▽開発統括部顧問(取締役開発統括部統括)六車修
▽退任(監査役)佐川広幸
いなげや(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 144文字 PDF有 書誌情報]
いなげや
(4月16日)経営戦略本部経営戦略(営業戦略本部営業戦略統括部長)執行役員土屋浩
▽営業戦略本部営業戦略統括部長(経営戦略本部経営戦略)同米山知治
▽第五販売(国分寺東恋ケ窪店長)石毛隆司
▽鮮魚、接待範夫
▽国分寺東恋ケ窪店長(小金井貫井南店長)井上勝智
▽小金井貫井南店長、坂田和仁
ラルズ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 116文字 PDF有 書誌情報]
ラルズ
(5月15日)商品グループ担当(生鮮食品グループ担当)取締役営業副本部長門脇幸治
▽商品統括部ロジスティクスグループ・共配センター担当、取締役ラルズ東光生鮮流通センター長渡辺和弘
▽監査役、大畑忠生
▽退任(常勤監査役)佐川広幸
パソナグループ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 114文字 PDF有 書誌情報]
パソナグループ
(5月31日)退任(社長)南部靖之
(6月1日)社長(取締役兼副社長執行役員兼COO)若本博隆
(8月22日)会長(社長)若本博隆
▽社長(常務執行役員)中尾慎太郎
▽副社長執行役員(常務執行役員)取締役南部真希也
高島屋(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 111文字 PDF有 書誌情報]
高島屋
(5月20日)取締役、常務執行役員総務本部長杉山智子
▽同、同営業本部大阪店長難波斉
▽同、同営業本部副本部長兼営業企画兼ライフデザインオフィス長青木和宏
▽退任(取締役)八木信和
▽同(同)高山俊三
▽同(同)宇都宮優子
メディアドゥ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
メディアドゥ
(5月29日)退任(監査役)森藤利明
(6月1日)上級執行役員(執行役員)所昇一郎
▽執行役員兼社長室・コーポレートアイデンティティ戦略担当、原真由
▽執行役員、臼木郁登
コーナン商事(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 82文字 PDF有 書誌情報]
コーナン商事
(4月21日)PRO上尾緑丘店長(PRO富士見店長)小笠原孝義
▽PRO富士見店長(PRO鶴見獅子ケ谷店長)坂本幸次
▽PRO鶴見獅子ケ谷店長、山田仁志
佐鳥電機(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 78文字 PDF有 書誌情報]
佐鳥電機
(6月1日)執行役員コーポレート本部長、小野寺芳孝
▽営業DX推進(モビリティ事業本部営業)井上明
▽仙台支店長、野中優一
▽モビリティ営業、鈴木達也
イーレックス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
イーレックス
(6月24日)専務(常務)角田知紀
▽常務(取締役)斉藤靖
▽同(同)田中稔道
▽取締役(上席執行役員財務経理)平井教夫
▽退任(常務)安永崇伸
福原(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
福原
(5月14日)店舗運営部ゼネラルマネジャー(商品部ゼネラルマネジャー)専務中村貴幸
▽監査役、田守隆行
▽退任(常務)鷲平雅保
▽同(監査役)佐川広幸
J・フロントリテイリング(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 75文字 PDF有 書誌情報]
J・フロントリテイリング
(5月29日)取締役、山田義仁
▽同、斎藤和弘
▽退任(取締役)内田章
▽同(同兼執行役常務)若林勇人
▽同(執行役常務)松田弘一
丸東産業(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
丸東産業
(5月23日)取締役、舛屋泰之
▽同、加藤博文
▽退任(取締役)末安健作
▽同(同)宮崎直樹
▽同(同)石松謙太郎
▽同(同)泉博二
ライズ・コンサルティング・グループ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
ライズ・コンサルティング・グループ
(5月29日)社長兼COO(常務執行役員兼CISO)松岡竜大
▽代表取締役兼CEO(社長)北村俊樹
林兼産業(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
林兼産業
(6月25日)経営管理本部長、取締役中嶋一貴
▽事業統括本部食品事業部長(経営管理本部長)取締役戸倉信一
▽取締役、伊勢崎俊博
大丸松坂屋百貨店(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 65文字 PDF有 書誌情報]
大丸松坂屋百貨店
(5月29日)取締役、柴田剛
▽同、長峯崇公
▽常務執行役員(取締役兼常務執行役員)林直孝
▽退任(取締役)若林勇人
クリエイト・レストランツ・ホールディングス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 62文字 PDF有 書誌情報]
クリエイト・レストランツ・ホールディングス
(5月28日)常務(取締役)大野仁之
▽取締役(執行役員)両角元勝
▽同、松井晴美
スーパーバリュー(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 60文字 PDF有 書誌情報]
スーパーバリュー
(5月27日)監査役、Compassaccounting代表取締役長嶋陽宏
▽退任(監査役)小森谷繁行
天満屋ストア(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 55文字 PDF有 書誌情報]
天満屋ストア
(5月23日)取締役、イトーヨーカ堂関西中京事業部総括マネジャー柴田太
▽退任(取締役)中村哲士
ピックルスホールディングス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
ピックルスホールディングス
(5月28日)専務(常務)三品徹
▽退任(専務)蓼沼茂
▽同(取締役)土居鋭一
三井住友銀行(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
三井住友銀行
(4月14日)京阪守口市駅店所長、中林玲奈
▽OliveLOUNGE成増店所長、奥冨亜希子
コモ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
コモ
(6月27日)常務管理部門・子会社担当(取締役管理本部長兼総務)鈴木憲幸
▽退任(取締役)榊剛弘
アークス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 50文字 PDF有 書誌情報]
アークス
(5月27日)監査役、大畑忠生
▽顧問(取締役兼執行役員)六車亮
▽同(常勤監査役)佐川広幸
ツインバード(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 48文字 PDF有 書誌情報]
ツインバード
(5月27日)常務、浅見孝幸
▽取締役(執行役員)渡辺英一
▽退任(取締役)萩原貴子
明治電機工業(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
明治電機工業
(6月26日)取締役(執行役員)第1営業本部長諸戸慎也
▽退任(取締役)佐合俊治
アシックス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 45文字 PDF有 書誌情報]
アシックス
(5月1日)CFOオフィス、宮脇徳子
▽オニツカタイガーカンパニーIT、林勇治
オーウエル(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
オーウエル
(6月下旬)取締役、植田祥裕
▽相談役(会長)飛戸克治
▽退任(取締役)榎宏
コレックホールディングス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
コレックホールディングス
(5月28日)監査役、宍戸純子
▽退任(監査役)武藤浩司
サインポスト(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
サインポスト
(5月29日)常勤監査役、武田陽三
▽退任(常勤監査役)奥井裕介
インソース(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
インソース
(5月1日)西東京営業本部長、執行役員公開講座本部長藤田英明
銚子丸(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
銚子丸
(5月29日)社長(副社長)石井憲
▽取締役特別顧問(社長)石田満
グロービング(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
グロービング
(8月29日)取締役(代表取締役)上級執行役員輪島総介
ドトール・日レスホールディングス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
ドトール・日レスホールディングス
(5月27日)退任(常務)天間靖之
ユニバース(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
ユニバース
(5月12日)監査役、田守隆行
▽退任(監査役)佐川広幸
三陽商会(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
三陽商会
(5月29日)取締役、平林義規
▽退任(取締役)椎名幹芳
ジオコード(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
ジオコード
(5月29日)取締役、大原茂
▽退任(取締役)長橋賢吾
インターライフホールディングス(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 33文字 PDF有 書誌情報]
インターライフホールディングス
(5月27日)取締役、田子みどり
日東工業(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
日東工業
(5月1日)海外本部海外管理、海外事業推進・桑野博志
東天紅(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 31文字 PDF有 書誌情報]
東天紅
(5月22日)取締役、源川暢子
▽退任(取締役)石原徹
東海カーボン(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
東海カーボン
(4月21日)総務兼法務、執行役員山田晃
ディップ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
ディップ
(5月22日)取締役、大櫃直人
▽同、高木智宏
ダイト(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
ダイト
(6月1日)常務執行役員下奥井工場長、高見潔
エスフーズ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 26文字 PDF有 書誌情報]
エスフーズ
(5月23日)常務、PFC社長関口孝行
フロイント産業(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
フロイント産業
(7月1日)監査役、美久羅和美
ホシザキ(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
ホシザキ
(4月16日)情報システム、伊藤弘治
勤次郎(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
勤次郎
(4月14日)退任(取締役)石井淳子
日本ハム(会社人事)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 20文字 PDF有 書誌情報]
日本ハム
(6月下旬)取締役、小山正彦
World Market[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 8ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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タイ再エネなどに4300億円 電力・通信合併「新生ガルフ」、時価総額国内4位に[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1645文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=井上航介】タイで電力と通信の大手が合併し新会社ガルフ・デベロップメントが発足した。時価総額は2兆円規模でタイ有数の巨大企業となる。ガルフは既存の事業基盤を生かしつつ、再生可能エネルギー事業などに今後5年間で約4300億円を投じる。同社の成長戦略の成否は、タイが掲げる脱炭素政策の行方も占う。
「今回の合併で、ガルフは地域を代表するエネルギー・インフラの企業としての地位を確立する」。1日の発表資料でガルフは高らかに宣言した。3日にはタイ証券取引所に上場。10日時点の時価総額は約182億ドル(約2兆6000億円)で4位だった。
新会社は、発電大手ガルフ・エナジー・デベロップメントと、通信大手アドバンスト・インフォ・サービス(AIS)を傘下に持つ投資会社インタッチ・ホールディングスが経営統合し1日に発足した。
合併を受けて公表した新会社の2024年12月期の売上高は前の期比6%増の1208億バーツ(約5200億円)、純利益は9%増の265億バーツと好調だった。ガルフとインタッチの合併の引き金となったのは、タイの電力と通信それぞれの業界で競争が過熱していることだった。
旧ガルフは11年の設立で、火力を中心に発電能力2300万キロワットを超えるタイで最大の独立系の発電事業者だ。ただ今後の成長のカギを握る再エネの分野では多くのプレーヤーとの競争にさらされている。カンクン・エンジニアリングやBグリムといった競合が、太陽光発電などで相次いで投資を打ち出し事業拡大を競う。
1986年設立のAISも通信事業の多角化を迫られている。22年まで20年以上にわたって携帯電話の契約者数で首位だったが、23年には業界再編で発足したトゥルー・コーポレーションに逆転を許した。タイの通信業界はトゥルーとAISの2強体制となり、市場も飽和状態にある。
新会社は旧ガルフの再エネ事業とAISの通信事業を融合させながら、今後5年で設備投資に1000億バーツを投じる方針だ。6~7割を再エネなどの電力事業、3~4割を通信に充てる。
まずタイ北西部の集落に太陽光パネルを設置し、発電した太陽光エネルギーを動力源とする通信基地局を設ける。実証実験を始めており、今後は国内30カ所に広げる。データセンターの建設も進め、25年半ばにも米グーグルと組みクラウドサービスの提供を始める。
タイ政府は50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。達成に向け、37年までに総発電量に占める再エネ比率を23年比約2倍の51%に引き上げる計画も打ち出している。税制優遇や固定価格買い取り制度(FIT)の導入などを通じて民間投資を促しており、新生ガルフの戦略も政策に沿ったものとなる。
ガルフが注力するデータセンターも、大量の電力を消費するため温暖化ガスの排出削減が課題となっている。コンサルティング会社メディエーターのガンタトーン最高経営責任者(CEO)は「ガルフは自社の再エネをデータセンターに生かし、競争力を高める戦略」とみる。
新会社のCEOを務めるサラット氏は旧ガルフの創業者で、タイ政府に太いパイプを持つとされる。「連立政権の一角を占めるタイ団結国家建設党に多額の献金をしている」(バンコクの外交筋)とみられ、国内のエネルギー政策にも一定の影響力を持つ。
「経営陣は投資する価値のある事業を選択する経験が豊富だ。収益性は向上するだろう」。サラット氏は3月下旬に開いた旧ガルフとインタッチの合同株主総会でこう述べ、統合の効果に自信を見せた。
タイのメイバンク証券は「合併によって複数の事業を持つようになったことで中期的な成長が期待できるようになった」と指摘し、年平均5%の増益率を予想する。市場からの期待も集めるなか、鳴り物入りで誕生した新生ガルフは早期に具体的な統合効果を示せるかが求められる。
【図・写真】タイのへき地に太陽光発電を整備すると発表したガルフとAIS(24年6月、バンコク)
台湾IT19社、3月29.6%増収 関税懸念で輸出前倒し[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 9ページ 688文字 PDF有 書誌情報]
【台北=龍元秀明】世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾メーカー主要19社の3月の売上高合計は前年同月比で29.6%増だった。生成AI(人工知能)を動かすサーバー向けの需要が好調で、トランプ米政権の関税政策を懸念して輸出を前倒しする動きもあった。
日本経済新聞が台湾IT関連の主要19社の売上高を調べたところ、3月の合計額は1兆5078億台湾ドル(約6兆6000億円)だった。増加は13カ月連続。15社が増収、4社が減収だった。
電子機器の受託製造サービス(EMS)大手でサーバー生産に強い広達電脳(クアンタ)が89.3%の増収、パソコン大手の華碩電脳(エイスース)が29.3%の増収だった。両社の売上高は単月ベースで最高だった。
EMS最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業は23.4%の増収。米半導体大手エヌビディアなどに供給するAI向けサーバーの好調が続いた。
半導体はAI向けサーバーなどに搭載する先端品の好調が続く。世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)は46.5%の増収だった。成熟世代の半導体を受託生産する聯華電子(UMC)は9.3%の増収となった。
半導体後工程で世界最大手の台湾・日月光投資控股(ASE)は17.7%の増収だった。中国のスマホメーカーを主要顧客とする半導体開発・設計の聯発科技(メディアテック)は10.9%の増収となった。
台湾財政部(財政省)によると台湾の3月の輸出額は単月として過去最高の495億ドル(約7兆1000億円)だった。米国向けは127億ドルで最高を更新した。財政部は米関税政策の変更に備えた輸出の前倒しを指摘している。
中国乳業の伊利、「出産補助」310億円 妊婦世帯に給付[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 9ページ 514文字 PDF有 書誌情報]
【大連=藤村広平】中国乳業最大手の内蒙古伊利実業集団は、妊婦がいる家庭を対象に総額16億元(約310億円)の補助事業を始めると発表した。少子化が急速に進む中国市場で、子供が生まれる前から潜在顧客を囲い込む効果が見込める。
一定の条件を満たした家庭に1600元の「出産補助」を給付する。単純計算で100万世帯が対象になる。中国で2024年に生まれた子どもは954万人で、伊利は年間出生数の1割強に支払うことになる。具体的な給付の手法や期間は今後検討する。
補助給付のほかにも、妊娠中の健康管理サービスや、専門家から子育てノウハウの助言を受けられるサービスなども提供する。
中国では過去に厳しい産児制限が実施された。少子化の進んだ近年は逆に出産を奨励する施策が相次ぐ。地方政府が給付金制度を競っているほか、今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)でも幼児教育の段階的な無償化が打ち出された。
企業でも社員向けに出産祝い金の給付や教育費の負担を打ち出す動きが出ている。ただ一般の消費者を給付の対象とするのは珍しい。伊利は民営企業で、乳幼児用の粉ミルクも手掛ける。顧客との接点づくりに巨額投資に見合う利点があると考えたようだ。
シンガポール、新国際展示場 中心部に ビジネス街へ行きやすく[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 9ページ 439文字 PDF有 書誌情報]
【シンガポール=谷繭子】シンガポール政府は大型の国際展示場を新設する計画を発表した。観光業収入を2040年までに最大500億シンガポールドル(約5兆4000億円)と24年の7割増に伸ばす。成長分野の「MICE(国際会議や展示会)」部門を強化する。
11日に開催した観光業界会議でグレース・フー貿易関係担当相が発表した。ビジネス街や高級ホテルにアクセスしやすい中心部で「MICEハブ」と呼ぶ施設を新設する。民間の投資を募るのかなどの詳細は公表していない。
シンガポールは「世界トップのMICE都市」を目指している。MICE部門の収入は40年までに45億シンガポールドルと、新型コロナウイルス禍前の19年の約3倍に増やす。「インフラ開発で能力を拡大する必要がある」(シンガポール政府観光局幹部)と判断した。
同国では経済効果の高いMICE分野を重点的に開発している。フー氏は「世界のMICE産業は今後10年で倍増する見込みで、アジア太平洋は成長率の最も高い地域の一つだ」と述べた。
中国CATL、33%増益 1~3月 EV・PHV用電池好調[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 9ページ 359文字 PDF有 書誌情報]
【香港=田辺静】中国の車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)が14日発表した2025年1~3月期決算は、純利益が前年同期比33%増の139億元(約2700億円)だった。増益は3期連続。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)向け電池の販売が好調だった。
売上高は847億元と6%増えた。増収は2期ぶり。高価格帯EV向け「麒麟電池」などの販売が増えたとみられる。前年同期は電池材料である炭酸リチウムの価格下落が響いて減収だった。
CATLはEV向けのほか、主に中国市場で需要が高まるPHV用の「驍遥(シャオヤオ)電池」も24年に投入した。付加価値が高く増益に貢献した。
韓国の調査会社SNEリサーチによると、25年1~2月のCATLの車載電池搭載量は49.6ギガワット時と前年同期から4割増えた。
中国、出前ドライバー待遇改善へ 社会保険加入で生活安定(ASIA政策ナビ)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 9ページ 727文字 PDF有 書誌情報]
中国当局が出前サービスや商品の即時配送を担うドライバーの待遇改善を急いでいる。不安定な収入や長時間労働が社会問題になり、国や地方政府がサービスの提供企業に是正を要請。大手企業が社会保険の加入補助を広げるなど重い腰を上げ始めた。
人力資源・社会保障省などは1月、ネット注文された商品を配送するドライバーの管理を強めると発表した。配達員をめぐって「合法的な権益を守る」と強調。配達員らが「安全かつ文化的に仕事に臨める環境を整えるよう企業に促す」とした。
当局が待遇改善を急ぐのは、スマホアプリで気軽に出前や買い物を頼めるサービスが生活インフラになっているのに、その便利さを支える配達員が弱い立場に置かれているからだ。収入は配達した数に応じて決まるため、バイクに乗っていても歩道を走って時間を稼ぐ危険行為も珍しくない。
広州市も2024年12月、配送サービスの提供企業に対し、配達員に求める配送時間の目標はバイクから降りて歩いて商品を届ける時間まで考慮すべきだと定めた。
待遇改善の要請は初めてではない。ただ従来は市場の拡大スピードにドライバーの待遇改善が追いついてこなかった側面がある。今回は大手の美団が社会保険の加入補助を大幅に拡大したり、アリババ集団傘下の餓了麼(ウーラマ)が配送員の参加する懇親会で働き方に関する要望を聞き取ったりするなど、変化の兆しが出ている。
出前アプリの配達員は大手2社だけの単純合算でも1100万人を超す。正社員として企業に就職できなかった人も多いとみられる。配達員の生活の安定につながる一連の政府方針には、不振が続く個人消費を下支えする狙いもある。
(大連=藤村広平)
【図・写真】出前料理の注文を待つ配達員ら(遼寧省大連市)
中国、米高関税3カ国に接近 習氏、ベトナムなど東南ア訪問 貿易通じ取り込み図る[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1694文字 PDF有 書誌情報]
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は14日からベトナムとマレーシア、カンボジアの東南アジア諸国連合(ASEAN)3カ国を訪れる。いずれもトランプ米政権が示した相互関税の課税率が高い国だ。米離れを見越し、貿易を中心に関係強化をめざす。(1面参照)
習氏は14日、ベトナムの首都ハノイに到着した。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。同日夕に最高指導者のトー・ラム共産党書記長と会談した。
ベトナム到着にあわせて習氏は書面の談話を発表した。CCTVによると「今回の訪問を契機として運命共同体の新たな青写真を共に描きたい」と表明した。
中国としては中国製品を受け入れてきた米国向けの輸出が落ち込んでも、減少分の一部を補える大きな市場として東南アジアに期待を寄せる。ASEAN側には中国への依存度がこれ以上高まるのを避けるため、輸出先の多様化を探る動きもある。
習氏が選んだ3カ国はいずれも経済の対中依存度が高い。ASEAN各国の2023年の名目国内総生産(GDP)に対する中国との貿易総額の割合をみると、ベトナムが39%でトップ。カンボジアが28%、シンガポールとマレーシアが25%と続いた。
このうちベトナム、カンボジア、マレーシアの割合は10年前と比べてそれぞれ16ポイント、12ポイント、5ポイント上昇した。
3カ国ともGDPに対する米国との貿易総額の割合も13年から23年にかけて高まっているが、この10年間の上昇幅をみると、対米貿易よりも対中貿易の割合の方が大きい。中国経済の影響力が増している実態を映す。
中国は米国の相互関税を逆手にとり、ASEANとの経済関係を強めたい考えだ。
米国はカンボジアに49%、ベトナムに46%、マレーシアに24%をそれぞれ課す。相互関税の上乗せ部分については90日間の一時停止を表明したものの、猶予期間を過ぎてそのまま発動されれば3カ国の対米輸出の減少は避けられない。
トランプ関税で受ける打撃は中国にとっても大きい。
米政府は10日、対中追加関税の税率を145%に引き上げた。伊藤忠総研の玉井芳野主任研究員は関税引き上げによる中国の対米輸出の落ち込みだけで、中国の経済成長率が26年末にかけて2.6ポイント下振れすると試算する。
輸出企業が不振に陥り、内需にも波及すると全体の成長率押し下げ幅は3ポイント程度になるという。巡航速度の成長率が5%程度だと仮定すれば、トランプ関税の影響で成長率は2%程度に落ち込む計算となる。
新型コロナウイルス禍の初期に経済が混乱して2.3%成長にとどまった20年並みの低成長に陥る恐れがある。
中国は8~9日、北京で習氏ら最高指導部7人全員が出席し「中央周辺工作会議」を開いた。13年10月に開いた周辺外交工作座談会を格上げし、米国への対抗を念頭に、日本や韓国など周辺国との関係を強める姿勢を鮮明にした。
なかでもASEANと組む利点は多い。人口規模が大きく、個人消費が伸びているインドネシアやマレーシア、ベトナムでは外食などを中心に中国企業の進出が相次ぐ。国内の内需不足に直面する中国にとって有望な市場に映る。
トランプ関税の影響を抑えるための輸出拠点としても重視する。中国からASEANに部品を持ち込み、組み立てて米国に売り込む「迂回輸出」は続く可能性が高い。
そのために注力するのが中国の広域経済圏構想「一帯一路」に基づくインフラ整備だ。中国雲南省昆明とラオスの首都ビエンチャンを結ぶ高速鉄道は21年に開業し、中国とASEANのサプライチェーン(供給網)を支える。
タイでも24年に首都バンコクとビエンチャンを結ぶ旅客鉄道が開通し、30年までに両地点をつなぐ高速鉄道が動き出す見込みだ。
習氏はベトナムに15日まで滞在する。マレーシア・クアラルンプールでアンワル首相、カンボジア・プノンペンでフン・マネット首相とそれぞれ会談し、18日に帰国する。
(クアラルンプール=田島如生、マニラ=藤田祐樹)
【図・写真】14日、ベトナムの首都ハノイで握手するトー・ラム共産党書記長(右)と中国の習近平国家主席=共同
トランプの米国、失ったものは 「報復」による混沌 なお序章[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1208文字 PDF有 書誌情報]
ドナルド・トランプが米大統領に復権して間もなく3カ月となる。朝令暮改の関税政策は米国債と米ドルの信用低下という米国売りに火をつけ、身勝手な「和平仲介」は侵略を受ける被害者の苦境を深めている。トランプの米国は何を失ったのか。
「息子たちと一緒に行く。ご承知のように、これほどこの国の状況が悪くなったことについて私は驚いてはいない」。米エール大の著名な哲学教授、ジェイソン・スタンリー氏は13日、こう話した。
10年以上にわたってトランプ氏の言動を分析し、少数派や異質な存在を排撃する「ファシズム」への傾倒に警鐘を鳴らしてきた。米国を離れてカナダに移住し、トロント大で研究を続けることを決めた。
2人の学齢期の息子を持つ親として「ファシスト独裁政権へと向かっていない国で子供たちを育てたい」と決断した。
米大統領選直後の2024年11月にインタビューした際、スタンリー氏は深い懸念を表明していた。「外国人や性的少数派を排斥する政治が成功した背景には現状の失敗がある。人々は『民主党は偽善的』との怒りを抱いている。リベラルなエリートに恥をかかせ、苦しめたいというのがトランプ氏と支持者の願望であり、報復なのだ」
米リアル・クリア・ポリティクス(RCP)が集計した13日時点の世論調査のトランプ氏の平均支持率は46.8%。低下傾向とはいえ、3月末と比べて1ポイントあまりしか下がっていない。
なぜトランプ支持の岩盤はこれほど強固なのか。
南部アーカンソー州で共和党を支持する自営業、ウィル・ハフ氏は「そもそも我々は国際秩序を根本から揺るがし、米国を最優先とするためにトランプ大統領を選んだのだ。私の周囲の労働者層はみな同じ気持ちだ」と主張する。
行政職員、法律事務所、大学、メディア。トランプ氏は復権以降、自身が「内政上の政敵」とみなす組織やシステムへの攻撃を着々と進めてきた。
外交に目を向ければ、トランプ氏はロシアのプーチン大統領の主張を丸のみするかのように被害者であるウクライナの苦境に目をつぶり、「領土拡張」の野望もむき出しにしてきた。そして4月以降の関税を巡る混沌は、過去80年の国際秩序の盟主としての米国を支えてきた基軸通貨ドルの信用さえおとしめている。
ドルの支配力が徐々に弱まり、より多極的な国際通貨システムに移ると論じてきた米カリフォルニア大バークレー校のバリー・アイケングリーン教授は13日、「トランプ氏が実行してきたことはすべて、その変化を劇的に加速させるものだ」と断じた。
同氏は「問題は現在、ドルに代わる本格的な選択肢がほとんどないことだ」と指摘する。「もしドルが世界から見捨てられる事態になれば、他の通貨がドルに取って代わるというよりも、世界的な流動性不足という、経済や金融に未知の危険をもたらす『お化け』に我々は直面するだろう」。米国発の混沌はなお序章にすぎないのだ。
(米州総局長 大越匡洋)
英、89品目輸入関税ゼロ 食品や建材 企業の負担軽減[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 11ページ 999文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=江渕智弘】英政府は13日、食品や建材など89品目の輸入関税を2027年7月までゼロに引き下げると発表した。トランプ米政権の追加関税で打撃を受ける企業を救済する。インドなどとの自由貿易協定(FTA)交渉も急ぎ、保護主義に対抗する。
パスタ、果汁、ココナツオイルといった食品や、合板、樹脂など建材の輸入関税を2年限定でゼロにする。園芸用品などの関税もなくす。
英メディアによると、現在の関税率は数%から数十%。英政府は輸入企業のコストが年1700万ポンド(約32億円)以上減るとみている。
レイノルズ・ビジネス貿易相は「自由で開かれた貿易は経済を成長させるため、幅広い品目の関税を削減することにした」とコメントした。
英産業連盟の国際部門トップのマグワイア氏は「不確実で予測不能な貿易環境のなかで企業の成長に重要な措置だ」と歓迎した。
自国市場がそれほど大きくない島国の英国は自由な貿易と投資で経済を発展させてきた。最大の貿易相手国の米国が保護主義に転じるなかで、ほかの国との貿易の円滑化も急ぐ。
22年に始まったものの24年の双方の総選挙で中断していたインドとのFTA交渉を今年2月に再開した。英国のリーブス財務相とレイノルズ氏は今月9日、インドのシタラマン財務相とロンドンで会談し、協定の早期締結を呼びかけた。
サウジアラビアなど中東諸国の湾岸協力会議(GCC)ともFTA交渉を進めるほか、離脱時に欧州連合(EU)からFTAを引き継いだ韓国やスイスとも内容を充実させる交渉を加速する。
24年12月には環太平洋経済連携協定(TPP)に加盟する議定書が発効した。25年はTPPの協定の初の見直しに向けた報告書を取りまとめる年にあたる。デジタル貿易や経済的威圧といった分野の見直しを通じて高水準の通商ルールを磨くことに貢献する。
トランプ政権は鉄鋼とアルミニウム、自動車に25%、ほかの幅広い輸入品に10%の「相互関税」を発動した。英ジャガー・ランドローバーが英国で生産する車の米国向け輸出を一時停止するなどすでに影響が出ている。
英政府は関税の引き下げに向けて米国と経済協定の締結をめざすが、交渉は進展していないようだ。
自動車業界を支援するため、6日に電気自動車の販売義務の緩和を発表した。12日には中国企業傘下の鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールの高炉閉鎖を阻止する法律を成立させた。
中国、3月対米輸出9%増 相互関税前に駆け込みか[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 11ページ 901文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国税関総署が14日発表した貿易統計(ドル建て)によると、3月の米国向け輸出は前年同月比9%増の400億ドル(約5兆7000億円)だった。2カ月ぶりのプラスだった。トランプ米政権が発表した相互関税などの適用前に駆け込み需要が発生したとみられる。
3月の対米輸出は2月の10%減からプラスに転じた。対米輸入は前年同月比10%減の124億ドルだった。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は20%増の275億ドルとなった。
米国は2月から合成麻薬の密輸を理由に中国からの輸入品に10%の追加関税を発動した。3月には10%から20%に引き上げた。米国が4月に発表した相互関税や、他の輸出品でも追加関税の対象になるリスクを警戒した企業が輸出を急いだ可能性がある。
すでに米国向け物流の需要は減り始めている。浙江省寧波・舟山港の米西海岸向け輸出コンテナ価格指数は11日時点で前週比18%下落した。米東海岸向けも11%低下した。需要が減少してコンテナ価格の下押し圧力となっている。
米国は4月から相互関税を含めて累計145%の対中追加関税を課している。中国の対米輸出に本格的な影響が出るのは5月以降とみられ、米向け輸出に今後ブレーキがかかる可能性は高い。
第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは4月以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)や日本、欧州連合(EU)などへの中国からの輸出が活発になると予測する。国内で余った製品を海外市場に安くまわす「デフレ輸出」の拡大を懸念し「安い中国製品への警戒の動きが広がる」と予想する。
米国以外の地域への輸出は増えつつある。税関総署によると3月の輸出を地域別にみると最大の輸出先であるASEANは前年同月と比べて12%増だった。
EUも10%増え、日本向けも前年同月を上回った。こうした地域への出荷が加速するとの見方は多い。
中国は12日に米国からの輸入品に課す追加関税を84%から125%に引き上げた。米国が中国への相互関税を125%に上げたことに報復した。今後は関税の引き上げ競争に付き合わない姿勢を示すが、関税以外の手段で対抗する可能性を示唆した。
中国、米高関税3カ国に接近――石破氏、下旬に2カ国訪問 シンガポール首相とは電話協議[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 11ページ 554文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相も東南アジア外交に力を注ぐ。4月下旬にフィリピンとベトナムへの訪問を計画する。既に訪問したラオス、マレーシア、インドネシアとあわせ、東南アジア諸国連合(ASEAN)の訪問は5カ国になる。
フィリピンは同じ米国の同盟国として安全保障面の連携に重点を置く。南シナ海の海洋監視情報を日米比で共有する仕組みの構築をめざす。ベトナムとは近年、日本企業の直接投資が増えていることを踏まえ通商の拡大を見込む。
日本にとってASEANは中東からエネルギーを運搬するシーレーン(海上交通路)の中間に位置する。南シナ海で中国が海洋進出を強め、周辺国と摩擦を起こす状況は日本の安保に直結する。
かつて日本は東南アジアには政府開発援助(ODA)をテコに影響力を誇った。近年は中国に押されている。ASEAN全体の貿易総額でみると日本は中国、米国、欧州連合(EU)に次ぐ4番目の貿易相手にとどまる。
石破首相は14日、シンガポールのウォン首相と電話で協議した。トランプ米政権の関税措置や中国による報復措置が世界経済や多角的貿易体制に与える影響を踏まえ、経済分野について意見を交わした。
首相はシンガポールなどの東南アジア諸国で事業を展開する日本企業にとって状況が深刻だと指摘した。各国と緊密な意思疎通を重視していると述べた。
ミャンマー反国軍が攻勢、拠点奪取 地震停戦に綻び[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1186文字 書誌情報]
【ヤンゴン=渡辺禎央】ミャンマー軍事政権に抵抗する勢力が国軍拠点の奪取を相次ぎ発表した。大地震で双方が一時休戦を宣言した後も互いに攻撃を受けたと主張し合う状況で、国軍への挑発とも受け止められる。治安をかき乱すことで救援物資の輸送などが阻害されうる。
反国軍の武装集団を指揮する政治組織「挙国一致政府(NUG)」が8日、中部マンダレーから北へ約300キロメートルのインドウ郡区を占拠したと発表した。前日の夜に国軍が撤退したといい、少数民族武装勢力のカチン独立軍(KIA)もNUGと連携した。
軍政のゾーミントゥン報道官は8日の声明で「KIAが昨日、インドウで警備にあたっていた国軍大隊を攻撃した」と確認した。
北西部チン州の少数民族武装勢力連合「チン兄弟同盟」は9日、インド国境に接するファラム郡区から国軍を駆逐したと発表した。隣接州を地盤とするアラカン軍(AA)から武器や戦略の支援を得たとしている。
AAも5日、最大都市ヤンゴンからおよそ250キロメートル北西にある国軍のニャウンチョー戦略基地を2日に制圧したと発表した。複数の勢力は国軍が空爆を続けていると訴えている。
地元報道では13日も抵抗勢力による国軍兵の殺害や国軍による空爆の情報が相次いだ。
マンダレー付近を震源にマグニチュード(M)7.7の地震が起こったのが3月28日。救援活動に配慮して、NUGが29日に「30日から被災地での自衛を除く攻撃的な軍事作戦を2週間停止する」と発表し、期限切れを前に4月20日まで延長した。
AAは4月1日付で「1カ月間の人道上の一方的休戦」を表明し、国軍とKIAの政治部門も2日から22日まで停戦するとした。
国軍は戦闘を停止する条件として、抵抗勢力が国軍拠点への攻撃や領土の拡大に動くことを禁じた。足元で相次ぐ国軍拠点奪取の発表は「抵抗勢力が国軍の『停戦破り』を誘っている節がある」(地元識者)うえ、内外での印象の悪化も避けられない。
抵抗勢力の動きの背景には、軍政主導で諸外国との連携が加速することへの焦りがあるとみられる。2021年のクーデター後にNUG傘下の武装集団などが支配圏を広げたものの、当局との敵対が支援物資の流入の障壁となっている側面も鮮明だ。
各勢力は自衛のための攻撃は否定しておらず、戦闘停止の宣言は形骸化しつつある。地震被害は膨らみ、軍政の集計で死者は3600人を超えた。
国連のミャンマー担当事務総長特使を務めるビショップ元オーストラリア外相は24年「各勢力が(敵の得を自らの損だと考える)ゼロサム精神にとらわれていては国民ニーズに対応できない」と指摘した。大地震は長年の内戦状態でおりのように積もる疑心暗鬼を各勢力が克服できるかどうかも試している。
【図・写真】山にこもり反国軍の武装集団の訓練を受ける若者(2月、ミャンマー東部)=Sipa・AP
エクアドル大統領選、親米現職が当選確実[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 13ページ 610文字 PDF有 書誌情報]
【サンパウロ=水口二季】南米エクアドルで13日、任期満了に伴う大統領選の決選投票が実施された。現職で親米右派のダニエル・ノボア大統領(37)が反米左派のルイサ・ゴンサレス氏(47)を下し、当選を確実にした。争点となった治安対策では、米軍駐留の復活も視野に犯罪組織に対する強硬路線を継続する。
選挙管理当局が13日夜にノボア氏が勝利したと発表した。集計(開票率90%)によると、得票率はノボア氏が56%、ゴンサレス氏は44%だった。2月の1回目の投票では、優勢が予想されたノボア氏とゴンサレス氏がほぼ同じ得票率で拮抗した。
ノボア氏は支持者らの前で「歴史的な勝利だ。平和と正義のために歩み続ける」と述べて勝利を宣言した。5月24日に就任し、4年の任期を務める。
一方、ゴンサレス氏は敗北を認めず、票の再集計を求めている。
悪化する治安対策が主な争点だった。実業家出身のノボア氏は23年11月、麻薬犯罪組織の抗争などで悪化した治安対策を公約に掲げて同国史上最年少で大統領に就任した。
23年の大統領選は当時のラソ大統領が弾劾手続きに直面し、任期途中で退いたため前倒しで実施された。勝利したノボア氏がラソ氏の残りの約1年半の任期を引き継いだ。
24年4月の国民投票では犯罪組織を取り締まるために軍を投入したり、テロや殺人といった犯罪への罰則を強化したりすることで国民の大多数の賛成を取り付けた。
【図・写真】ノボア氏=ロイター
米、「反ユダヤ活動」を規制 学生ビザ申請者のSNS投稿審査[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 13ページ 488文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=芦塚智子】トランプ米政権が大学を中心に反ユダヤ主義とみなす活動の取り締まりを強化している。米移民局は9日、米国の学生ビザ(査証)や永住権の申請者について、ソーシャルメディア上での「反ユダヤ活動」を発見した場合、申請却下の理由になると発表した。人権団体は「言論の自由の侵害」と批判している。
移民局は永住権やビザの申請を審査する際に「反ユダヤ主義のテロやテロ組織、その他の反ユダヤ活動を支持、信奉、促進していることを示すソーシャルメディアのコンテンツ」をマイナス要因とみなすと説明した。
具体的にどのような投稿が「反ユダヤ活動」とみなされるかは明確になっていない。「反ユダヤ活動に関係がある教育機関に所属する外国人」も審査の対象になる。
国土安全保障省のマクローリン次官補は声明で「米国に他国のテロリストに同調する者の居場所はなく、受け入れたり、滞在させたりする義務はない」と主張した。
「米国に来て(言論の自由を保障する)合衆国憲法修正第1条の後ろに隠れ、反ユダヤ主義の暴力やテロを訴えられると考えている者は考え直してほしい。あなた方は歓迎されない」と述べた。
与党候補乱立 予備選経て候補者決定――尹氏、起訴内容を否認 ソウル地裁、内乱罪で初公判[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 13ページ 451文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美】韓国のソウル中央地裁は14日、「非常戒厳」の宣言をめぐり内乱罪で起訴された前大統領、尹錫悦(ユン・ソンニョル)被告の初公判を開いた。出廷した尹被告は「国民に対する平和的なメッセージだった」などと起訴内容を全面的に否認した。大統領職の罷免を経て、刑事裁判が本格的に始まった。
検察は冒頭陳述で尹被告が2024年12月に非常戒厳を宣言し、軍を国会などに投入し解除決議を防ごうとした行為が「内乱の首謀者」にあたると指摘した。宣言に至るまでの一連の準備過程を説明したうえで、憲法秩序を乱す名目で暴動を起こしたとした。
尹被告は14日の法廷で非常戒厳の実施について「数時間であり、非暴力的だった。国会の解除決定も即時に受け入れた」として検察の起訴内容を否定。「戒厳とクーデターは全く違う」などと持論を主張した。
尹被告は韓国の憲政史上初めて、現職大統領のまま1月に逮捕・起訴された。4日には憲法裁判所の罷免決定を受けて失職。憲法裁は「非常戒厳の宣言は民主主義の否定で違法だ」と認定している。
与党候補乱立 予備選経て候補者決定――元徴用工問題で3億円を寄付 韓国の経済団体[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 13ページ 178文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=藤田哲哉】韓国の大韓商工会議所と韓国経済人協会は14日までに、日韓の懸案となっていた元徴用工問題をめぐり、韓国政府傘下の財団にそれぞれ15億ウォンずつ計30億ウォン(約3億円)を寄付した。
それぞれ4月3日と4日に寄付した。財団の資金不足解消に充てる。財団は元徴用工に対し、日本企業に代わって賠償金と遅延利息を支払う「第三者弁済」の役割を担う。
与党候補乱立 予備選経て候補者決定 中道の支持、勝敗握る(韓国大統領選2025)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1380文字 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国の与党「国民の力」が15日、大統領選に向けた党内の候補者登録を締め切る。与野党の公認候補の選出が本格化している。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領を失った国民の力からは元閣僚や前党代表などの出馬宣言が相次いでいる。
尹氏の罷免賛否について保守系と革新系の意見が二分した。党の支持率では最大野党「共に民主党」が優位な情勢で、国民の力は中道層へも支持を広げられる候補者を送り出せるかが大統領選の勝敗にかかわってくる。
韓国政府は8日に開いた国務会議(閣議)で大統領選の投開票日を6月3日と決めた。そこから出馬に向けた動きが活発になった。同日の閣議で金文洙(キム・ムンス)前雇用労働相は辞任を表明した。翌9日に正式に大統領選に出馬すると表明した。
金氏は「非常戒厳」宣言をめぐり、尹氏の罷免に一貫して反対してきたことで、一部保守層からの支持が厚い。金氏は韓国ギャラップの4月第2週の「将来の政治指導者」調査で、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)前代表に続き2位につける。
同じく8日、ソウル市内で出馬会見を開いたのは安哲秀(アン・チョルス)氏だ。大統領選への挑戦は今回が4回目。会見では中道を強調した。
2017年大統領選で保守系・自由韓国党から出馬し、文在寅(ムン・ジェイン)元大統領と争った洪準杓(ホン・ジュンピョ)前大邱市長も大統領選への出馬を表明した。
国民の力の前代表、韓東勲(ハン・ドンフン)氏も10日、出馬の意向を表明した。検事出身で尹氏の後輩にあたる。24年の総選挙で国民の力が大敗して以降、尹氏とは一定の距離を置いていた。韓氏は非常戒厳の宣言を受け、国会で尹氏の弾劾案に賛成するよう呼びかけた。党内からの批判を受け党代表を辞任した。
国民の力の羅卿●(たまへんに爰)(ナ・ギョンウォン)議員も11日、大統領選に出馬すると明かした。羅氏は尹氏の罷免に反対する支持者らの集会に熱心に顔を出すなど、積極的な姿勢を見せてきた。24年の党代表選に出馬したが、韓前代表に及ばなかった。
各候補が動向を注視するのが大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相だ。韓首相の出馬を期待する声が上がってきていると韓国メディアは報じる。韓氏は元経済官僚で手堅い行政手腕に定評がある。革新政権でも要職を歴任するなど、危機下での国政運営の経験もある。
今後、書類審査で第1次予備選に進出する候補を絞り込む。その後世論調査の結果などを踏まえ、第2次予備選に進む4人を決める。
呉世勲(オ・セフン)ソウル市長は12日に記者会見を開き「踏みとどまる勇気も必要だ」と述べ、自身と考えの近い候補を応援する意向を示した。呉氏は尹氏の罷免後に与党から出馬宣言が相次ぐ現状に「国民の目にどう映るのか」と苦言を呈した。
韓国メディアの世論調査で名前が挙がっていた劉承●(日へんに文)(ユ・スンミン)元議員も党内の予備選には加わらない意向を示した。劉氏も「保守政権が連続で弾劾されたにもかかわらず、党は反省と変化の道を拒んでいる」と指摘する。
中道層の支持に期待があった2候補が不出馬を表明したことで、党内での候補者争いの構図が変化する見込みだ。大統領選は5月10、11日に候補者登録をする。与野党は5月初旬までに公認候補を決定し、12日からは選挙活動が始まる。
ノルウェー基金の防衛株投資禁止 主要野党、撤廃を要求(英FT特約)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 13ページ 0文字 書誌情報]
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コンビニ、人材確保へ奔走 3社出店拡大 セブン、紹介料2倍も[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 987文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手3社は出店拡大に向け、人材確保に奔走する。IT(情報技術)の活用による省人化策に加えて、人材紹介に報奨金を払うなどの施策も広がる。(1面参照)
セブンはフランチャイズ加盟店のオーナーを増やすための新たな従業員紹介制度を始めた。店舗のオーナーが社員やアルバイトを新オーナー候補として紹介すると、最大200万円の紹介料を受け取れる。
勤務期間が他店を含め通算5年以上で、今のオーナーの店舗で2年以上働いていることが条件となる。候補者がその店舗でオーナー研修や店舗責任者の研修を両方受講した場合、従業員の紹介料は以前の100万円から倍増する。どちらかの研修だけの場合は150万円、候補者が退職した店で研修を受けた場合は100万円が渡される。
厚生労働省によると、店舗販売などを担う商品販売従事者の有効求人倍率(パート含む常用)は2月に2.02倍と、全職業の1.19倍を上回る。
日経MJと調査会社インテージの消費者1000人を対象とした調査では、セブンイレブンでオーナーや従業員として働きたいかと聞いたところ、「強くそう思う」「そう思う」と答えた割合は全体の3~6%にとどまった。働き手を呼び込むためには、デジタル技術を活用した従業員の負担軽減策も欠かせない。
ファミリーマートは店舗を運営する人員数を減らせる無人決済店の出店を増やす。天井に設置したカメラと棚の重量センサーで来店客の購入を把握する。今後は物流施設や商業施設の従業員専用のスペースなどに設置する。
セブンは13日に開幕した大阪・関西万博の会場内の店舗で、ロボットを使って遠隔地から接客する取り組みを始めた。従業員の顔を表示したロボットが店内を動き回り、機械の操作などで困っている来店客に話しかける。ベテラン従業員が複数の店舗を管轄してサービスを向上させるといった使い方も想定される。
ローソンは25年4月下旬から順次移転するKDDIの新本社(東京・港)に、スマホで商品を注文するとロボットが自動で客先まで届ける仕組みを試験導入する。
人口減少が進む地方では、ローソンがスーパーが撤退した跡地などへの出店を広げる。24年には和歌山県の山間部に出店し、生鮮品や冷凍食品の品ぞろえを充実させた。セブンは高速道路の入り口近くなど自動車の交通量の多い立地を探す方針だ。
就職人気ランキング、ニトリとソニーG首位 来春卒、本社・マイナビ調査[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 636文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社と就職情報サイトのマイナビ(東京・千代田)は2026年3月卒業・修了予定の大学生・大学院生対象の就職希望企業調査の結果をまとめた。文系はニトリが3年連続、理系はソニーグループが4年連続で首位。両社とも多様なインターンシップを通じて企業理解とキャリア形成を促す姿勢が人気を保持した。文系では日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)が前年比で順位を上げ、新型コロナウイルス禍での苦境からの回復を印象付けた。
調査は24年10月1日~25年3月25日に実施。日経電子版購読などに必要な「日経ID」保有者やマイナビ主催のイベント参加者に投票を呼びかけ、文系2万5163人、理系1万256人から回答を得た。
文理とも上位には常連企業が並び、理系のトップ5の顔ぶれは前年と同じだった。変化が限られるなか、文系では良品計画が前年30位から6位へ大幅に上昇した。身近な商品を展開する「無印良品」ブランドを、サステナビリティー経営にひもづけて発信した店頭やサイトの取り組みが認知度向上の一因とみられる。
JTBグループも文系で9位から7位に浮上。航空2社に限らず観光業界は足元のインバウンド拡大を背景に人気を取り戻している。
理系はデンソー(前年64位から10位)、サントリーグループ(同25位から9位)の躍進が目を引く。後者は好調な業績と定評ある広告での発信が原動力になったもよう。全体として、企業の情報発信姿勢が徐々に人気に反映されていることをうかがわせる結果となった。
日清食品・東大、培養ステーキ肉開発 実用化へ研究継続[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 623文字 PDF有 書誌情報]
日清食品ホールディングス(HD)や東京大学などが、牛の細胞を基にした「培養ステーキ肉」の作製に成功したことが14日分かった。厚さは約1.5センチメートルと従来の1.5倍にし、食べ応えを感じられるようにした。地球規模での人口増加で高まる食肉需要に対応できるとして、日清食品HDは今後も実用化に向け研究を続ける。
東京大学大学院の竹内昌治教授が同日、共同研究開発の成果を科学技術振興機構の成果集に公表した。
作製は2024年に成功した。培養ステーキ肉は奥行き5.5センチメートル、幅4センチメートル、厚さ1.5センチメートル。牛の細胞を立体的に培養して線維の向きがそろった筋組織を作り、筋線維と脂肪組織をシート状に積層した。
共同研究は17年度に始め、19年に約1センチメートル角のサイコロ状の培養肉を作製することに成功。22年には厚さ約1ミリメートルのしゃぶしゃぶ肉のような形で食べられる培養肉の作製に成功していた。
日清食品HDは今後、実用化に向け低コストで大量生産できるよう研究を進める方針。
味も課題だ。竹内教授は「消費者に受け入れてもらうためには培養肉の味を本物のステーキ肉の風味に近づける必要がある」とした。
米国など海外では培養肉に関わる法制度やルールが整備され、培養肉の販売が進んでいる。日本では安全性や製造設備、食品表示といった基準が確立しておらず、環境整備が求められている。
【図・写真】日清食品HDと東大の培養肉の共同研究の様子
鈴木修氏の「遺産」浜松に――中小企業とワイガヤを 鈴木氏、初代センター長に指示[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 573文字 PDF有 書誌情報]
スズキの専務役員や購買本部長などを歴任した望月氏は2018年、当時会長だった鈴木修氏から「次世代自動車センター長をやってほしい」と打診を受けた。静岡県や浜松市から相談された修氏が、小型車「スイフト」のチーフエンジニアも務めた技術畑の望月氏に白羽の矢を立てた。
望月氏は部品会社から情報を集めつつ、同様のセンターを先行して立ち上げた広島や群馬などの各県を視察し約3カ月でセンターを設立した。修氏の指示は「中小企業とわいわいガヤガヤやれ」。中小経営者と密にコミュニケーションがとれる望月氏の明るい性格を評価したとみられる。
24年12月に亡くなる前、修氏は中小企業が「意識を変え、注文を受けるのではなく提案できるようになる必要がある」と語っていた。取引先に気配りしつつ、昔は冒険をせず自社の発注通り安くつくることを求めていた修氏が、中小の自主性に期待するようになった。望月氏は驚くとともに「中小企業の生き残り方を示した」と受け止めた。
次世代車対応の支援機関は北海道や宮城県、福岡県など全国に14あるが、メーカーの本社や開発機能があり中小へ試作の仕事を回せる地域は浜松など数カ所に限られる。EVに対する逆風や米国の関税強化など、自動車産業の今後に不透明感が強まるなか、中小企業もこれまで以上にスピード感を持って改善に取り組む必要がある。
(武田敏英)
パソナG創業者の南部社長退任 設立50年、若本副社長が昇格[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 523文字 PDF有 書誌情報]
パソナグループは14日、創業者の南部靖之氏(73)が5月31日付でグループ代表兼社長最高経営責任者(CEO)を退任すると発表した。6月1日付で若本博隆副社長(64)が社長に昇格する。創業から50年目に入り、世代交代を図る。
南部氏は取締役からも退く。ウェルビーイング(心身の健康と幸福)産業の創出など「次の50年に向けて新体制の下で、新しいパソナGを築いていってほしい」として辞任の申し出があったという。
南部氏は1976年、関西大学工学部を卒業する直前にパソナGの前身となる人材派遣会社を設立した。現ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、エイチ・アイ・エス(HIS)の沢田秀雄最高顧問とともに「ベンチャー三銃士」と脚光を浴びた。
派遣業から派生し、企業から間接業務を請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や転職仲介といった人材サービス業を広く展開。2020年9月から本社機能の一部を兵庫県・淡路島に段階的に移転を始めた。
南部氏は3月下旬の日本経済新聞の取材で「淡路島で人材ビジネスに代わる柱となる新産業をつくっていかなくてはいけない」と述べていた。
【図・写真】取材に応じるパソナグループの南部代表(3月下旬、兵庫県淡路市)
パソナG創業者の南部社長退任――パソナ、アルムナイ採用支援で連携[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 185文字 PDF有 書誌情報]
パソナグループ傘下のパソナ(東京・千代田)とrakumoは退職者を再び雇用する「アルムナイ採用」を支援するサービスを始める。企業が過去に接点があった人材を「タレントプール」に蓄積し、登録者への求人やイベント情報の発信を代行する。
採用手段の多様化に対応したい企業の需要を見込む。
人材管理と採用支援のサービス「aloop(アループ)」として、5月19日に提供を始める。
パソナG創業者の南部社長退任――パソナG、最終赤字61億円 24年6月~25年2月期[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 162文字 PDF有 書誌情報]
パソナグループが14日発表した2024年6月~25年2月期の連結決算は、最終損益が61億円の赤字(前年同期は7億5300万円の赤字)だった。大阪・関西万博に出展するパビリオンの建設費用の一部を特別損失に計上したことなどが響く。
売上高は前年同期比14%減の2289億円、営業損益は12億円の赤字(同46億円の黒字)だった。
鈴木修氏の「遺産」浜松に EVシフトへ、会員企業500社超 中小の現場から提案力(小さくても勝てる)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1576文字 PDF有 書誌情報]
浜松市にある官民連携の支援機関「次世代自動車センター浜松」が中小企業の工場の効率化に力を入れている。設立の目的である電気自動車(EV)シフト対応などを進めるには個別企業の競争力強化が必要なためだ。センターは鈴木修スズキ元社長の肝煎りで7年前に誕生した。修氏のレガシー(遺産)が浜松や静岡県の自動車産業を強くする。
部品開発を支援
次世代自動車センター浜松は浜松市の外郭団体、浜松地域イノベーション推進機構の内部組織だ。EVがエンジン車に取って代わると車部品を手掛ける中小企業の仕事が減るため、EV向け部品の開発を支援する。スズキやヤマハ発動機といった地元の大企業出身の技術者らが運営に携わる。
500社超の会員企業の8割近くが中小、2割はEVなどの技術情報を求める大手だ。2018年4月の発足時はスズキやヤマハ発、ホンダの取引先を中心に100社。7年間で5倍超になった。会員のうちCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)のすべてに取り組む先行開発企業は3割を超え、年々増加傾向にある。
次世代センターは試作費用の3分の2を補助する支援事業を通じ中小企業のEVシフト対応を後押しする。次世代センターの望月英二センター長は「(中小企業が)固有技術を生かし(完成車メーカーや1次取引先などの)顧客企業に部品を提案できるようにしていきたい」と説明する。
取り組みは累計20件を超え、別テーマで複数の開発に挑む企業もある。4月23日には次世代センターとコーリツ(静岡県磐田市)、やまと興業(浜松市)など5社が、成果の報告会を開く。
ただ、中小企業が大企業などに単独で部品を提案するのは簡単ではない。EV部品を試作するのは売上高数十億円以上の企業が中心で、次世代センターにはそれより小規模の企業が多い。
完成車メーカーの1次取引先や2次取引先から受注する薄利の部品が収益の多くを占め、技術はあっても社長自ら仕事確保に奔走する「自転車操業」(望月氏)の会社は少なくない。地元にはこうした企業の実力を上げないと、いずれ産業競争力は低下するとの危機感がある。
このため次世代センターは23年度から「サプライチェーン基盤強化支援事業」を始め、生産現場の改善指導に乗り出した。小さな企業ほど「稼ぐのに精いっぱいで効率が悪いまま働いている」(望月氏)といい、適切な生産管理や在庫管理の手法を習得してもらうため「5S」を指導する。
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5項目からなる製造業の基本だ。徹底すれば在庫などが山積みの乱雑な現場が整理され、利益のでやすい体質に変わる可能性がある。望月氏は「調子が悪い会社に(発注元から)新しい図面は来ない」と発破をかける。
大手と直接取引
センター長自身、改善対象の会社のチェックに足を運ぶ。3月には従業員19人の山崎鋳造(静岡県菊川市)を訪問した。鋳造用の金型が散乱する工場を改善したいとの求めに応じて整理・整頓のワークショップなどを実施した。過去の実績データから優先度の高い金型だけ抽出するよう提案し、対応を促した。
結果、作業や検査のスペースがうまれた。山崎鋳造は新型コロナウイルス禍での受注落ち込みを経て大手メーカーとの直接取引に力を入れている。山崎裕一郎専務は「大手から工場監査が入っても5Sできれいにしているため、仕事が取れるようになった」と喜ぶ。
課題は現場改善に取り組む中小がまだ少ないことだ。5Sのセミナーを開き各回20社あまりが集まっても、現場で実践するのは5~10社どまり。今後は地域金融機関の協力を得て「『社長のやる気』『カネ』『ヒト』『時間』の4つがそろう」(望月氏)企業を選び、働きかけを強める。
【図・写真】次世代自動車センター浜松はEVを分解し、会員企業の部品の試作を支援する(浜松市)
NTTコミュニケーションズ社長 小島克重氏(下) 連携は強み、相乗効果を(私の課長時代)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1321文字 PDF有 書誌情報]
■企画職に異動、会社の仕組みを知る
入社以来、法人営業に従事してきた私の転機は、事業戦略などを考える経営企画部の課長に異動したときです。それ以前は「仕事は現場にある」と社内の会議に参加せず、ひたすら客先を回る日々でした。昼間に会議をするなんてあり得ないと思っていました。
企画の人からすると、営業時代の私は何をしているか分からない存在だったでしょう。だからこそ評価もされなかったですし、手助けもしてもらえなかった。「何もしてくれない」と思っていた企画職への異動は戸惑いが大きかったです。
マーケティングや戦略立案の考え方を身に付けるべく、本を読むなど相当な時間を勉強に費やしました。学んで分かったのは、営業活動は単品では成り立たないということです。
営業職の時、当時の鈴木正誠社長を顧客企業の社長に勝手に引き合わせたことがありました。社長同士で話してもらえば商談はうまく進むと思い込み、上司の承認を得ることなくその場をセッティングしました。
会合自体はうまくいったのですが、その後、こっぴどく叱られました。トップの会合は戦略を練った上で、というのが組織の仕組みです。そのために承認フローがあります。基本的なことも理解せず、個人技に走っていた自分を恥ずかしく思います。
■営業の現場とスタッフをつなぐ存在に
長らく営業の現場を経験してきた私に対し、会社は現場と社内にいるスタッフをつなぐ役割を期待しているのだと感じました。企画職を経験して感じたことは、企画と営業が連携できれば、会社としてもっと強くなれるということです。
事業戦略を考えるスタッフは頭脳でありエンジンです。戦略は考えて終わりではなく、施策の実行まで責任を持つべきです。現場とスタッフの架け橋となれるよう、積極的に現場に顔を出し会社の方針を理解してもらえるよう努めました。
NTTから分社して数年がたち、ICT(情報通信技術)を活用して顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業を伸ばすことが課題だった時期に、事業戦略を考える仕事ができたのは良い経験でした。
■仕事に線を引かず、答えのない答え探しを
24年6月に社長に就いてから、社員によく伝えることがあります。それは、仕事に線を引かずはみ出してほしい、ということです。NTTコミュニケーションズには、教科書に書いてあることの範囲内で100%の準備をして臨む優秀な方が多い印象です。
求められた仕事をこなすのは誰にでもできることです。ただ、そういった仕事は、ゆくゆくは人工知能(AI)に取って代わられるかもしれません。答えがない答えを探しに行く。社員にはこの感覚を忘れないでほしいと思います。
私のように個人技が過ぎるのも困りものですが。
1999年、NTTグループは持ち株体制に移行し、長距離・国際通信事業を担う子会社としてNTTコミュニケーションズが誕生。同年、国際電話サービスの提供を始めた。00年には国際電信電話(KDD)など3社の合併によりKDDIが発足。通信業界の再編が進んだ。
【図・写真】自動車会社を担当していた時、社長表彰でプロジェクトメンバーとタイに行った(右から3人目が小島氏)
ライズ・コンサルティング・グループ 松岡竜大氏(新トップ)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 162文字 PDF有 書誌情報]
◇ライズ・コンサルティング・グループ
松岡 竜大氏(まつおか・たつひろ)98年(平10年)千葉大院修了、日本アドバンス・テクノロジー(現三菱電機ソフトウエア)入社。22年アダストリア社外取締役、ライズ・コンサルティング・グループ常務執行役員。北海道出身。52歳
(5月29日社長COO就任。北村俊樹社長は代表取締役CEOに)
銚子丸 石井憲氏(新トップ)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 14ページ 90文字 PDF有 書誌情報]
◇銚子丸
石井 憲氏(いしい・けん)88年(昭63年)法政大法卒、京樽入社。19年社長。24年銚子丸副社長。東京都出身。59歳
(5月29日社長就任。石田満社長は取締役特別顧問に)
川重、都市港湾でサーモン養殖 いけすに浄化後の海水[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1151文字 PDF有 書誌情報]
川崎重工業は14日、都市部の港湾でも魚介類を養殖できる技術を開発したと発表した。海水をろ過・殺菌し魚の生育を促す酸素を加えた上で、閉鎖型のいけすにかけ流しにする。従来の海流があり水質がよい場所という制約をなくし、コストを抑えて担い手確保にもつなげる。サーモンなど需要の多い魚を消費地近くで効率的に育て、鮮度よく供給する。
名称は「MINATOMAE」(ミナトマエ)システム。川崎重工の持つ様々なプラント技術を使い、水質や水温をコントロールしながら無菌状態で海面養殖できるようにした。
例えば液化天然ガス(LNG)タンク開発で培った液体の動きの解析技術をいけすの中の飼育環境の安定に応用、水処理プラントの制御やセンシング技術は酸素濃度のリアルタイムモニタリングや供給量の自動制御に生かしている。
稚魚の確保や養殖ノウハウではマルハニチロから協力を受け、技術実証も済ませた。1月から神戸港(神戸市)に面した川重神戸工場の岸壁でトラウトサーモンの育成を試し、4月下旬に初水揚げを予定する。
従来の海面養殖は開放型の網状いけすを使い魚介類を育てる。穏やかで温暖かつ海流がありきれいな水に入れ替わりやすい場所が適するため、養殖場は西日本の地方部に偏る。自然の海の中での養殖には、赤潮で魚が全滅したり海水温の上下で生育不良になったりするリスクもある。
一方川重のシステムは、海面養殖ながらビニールでできたいけすで海と隔てた環境をつくり、場所を選ばずに安全に魚を育てられる。いけすに入れる海水は浄化して無菌状態のため、飼育時に薬を投与する必要がない。食中毒を引き起こす寄生虫アニサキスの心配もなく、都市部での養殖なら鮮度が高いうちに多くの消費者に届けられる。
導入コストは水槽や養殖池の整備が必要な陸上養殖よりも抑えられる。川重はある程度大規模化すれば、従来の海面養殖と比べても割安になるとみる。
海水に酸素を加え成長を促すとともに、ろ過装置などにより水質も制御することで魚の生存率を高められるからだ。同じ水量で養殖できる魚の数量を計ると従来の6倍にもなるという。
川重は神戸でのトラウトサーモン試験育成の結果を踏まえ、26年度までにすし店などへ提供して事業性を確かめたうえで、27年度に商用化する方針だ。同社の新技術を広く展開することで、地方を中心に担い手が不足する養殖業を持続しやすくする。
国の水産白書によると22年の日本の海面養殖業生産量は約91万トンで漁業・養殖業全体の4分の1を占めた。1984年のピークから生産量が4分の1に減った漁業に比べると安定しているが、頭打ちが続く。
気候変動での海水温上昇や赤潮リスク、魚介類の世界的人気による水産資源枯渇なども懸念されるなか、新技術で養殖の可能性を広げる。
DMG森精機、工場自動化を提案 成長へ単価増[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1150文字 PDF有 書誌情報]
DMG森精機は14日、創業の地である奈良県大和郡山市の奈良事業所を報道陣などに公開した。顧客企業に納める工作機械とロボットの稼働・連携などを検証する拠点を改築し4倍に広げた。機械にロボを組み合わせて一連の工程で人手が残ってきた部分も自動化するよう提案。拠点拡張で需要増に応じたサービス提供の体制を整える。
「世界中のお客様を奈良事業所に迎え入れていく」。DMG森精機の森雅彦社長は14日の開所式でこう意気込んだ。奈良事業所を、同社の別工場で生産した工作機械を運び込み顧客企業の生産ラインですぐに使える状態へと仕上げる「ターンキー」工場を中心に刷新し提案を強化する狙いだ。
ターンキー工場の建屋面積は約2万平方メートルと、改築前に比べ4倍になった。投資額は約90億円に上る。同機能はドイツや米国、中国の拠点にもあるが奈良は最大拠点となり、同社のターンキー案件全体の3分の1(金額ベース)を担う計画だ。
同社は複数種の機械による加工を最新鋭の機械1台で肩代わりする「5軸加工機」や「複合加工機」の生産・販売を主力とする。工程間で作業員が人手で担ってきた加工物や素材の入れ替え・搬送も、アーム型ロボットや自律走行搬送ロボット(AMR)への置き換えを提案。工程集約と自動化による生産性向上や人手不足対応を訴求する。
AMRについては自社製品を保有する。ただアーム型ロボットは顧客企業がファナックや安川電機などロボット専業メーカーの製品を調達するケースが少なくない。顧客が製造元の異なる工作機械やロボットを組み合わせることが現場では常態化している。
もっとも組み合わせが複雑になればエラーが生じるリスクは高まる。顧客が生産ラインで自動化を検証するにも、作業スペース確保に伴う現場への負荷、エラーでの稼働遅れに伴う追加コストなどリスクはより大きくなる。検証を担うシステム技術者も不足している。
こうしたリスクの低減へ、DMG森精機は直販で顧客への納入まで責任を負う。顧客の要求を聞き、機械とロボットなどを適切に組み合わせた自動化システムを丸ごと提案。過去には国内販売の大半が代理店経由だったが、足元では多い月で半分が直販という。奈良でターンキー工場を拡張したことにより直販案件を大幅に増やせるとみる。
受注単価の向上にもつながる。円安影響もあるが受注単価は機械1台あたりで2024年12月期に7100万円と、3年前に比べ1.8倍に上昇している。30年12月期には同8000万円まで単価を引き上げる計画だ。
同社は30年12月期に連結売上収益(国際会計基準)を24年12月期比48%増の8000億円、営業利益を2.7倍の1200億円とする目標を掲げる。自動化関連の売上収益比率を高め、中期で需要を着実に取り込む。
J―POP世界で躍進 7人組「XG」、米音楽祭トリ ソニー系はアニメ「協奏」強み[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1102文字 PDF有 書誌情報]
J―POPが世界の音楽シーンで躍進し始めた。米国で開かれている世界最大級の音楽祭、通称「コーチェラ」で、米西部時間13日(日本時間14日)に日本人ガールズグループ「XG」が異例のトリを務めた。J―POPへの関心の高まりを追い風に、日本の音楽会社大手はアジアだけでなく米欧のツアー展開に乗り出す。
「君たちはもっとビッグになる」。XGのコーチェラ出演中、X(旧ツイッター)では英語やスペイン語などで驚きと祝福の投稿が広がった。
コーチェラはカリフォルニア州インディオの砂漠地帯で毎年開かれる野外音楽フェスだ。若者にとっては、米音楽界で最高の栄誉とされるグラミー賞よりもブレークの指針になっている。
2025年は4月11~13日と18~20日の日程で、レディー・ガガさんなど大物がそろうなか、XGはステージ「Sahara」のトリに抜てきされた。同ステージのトリは日本人初という。
XGは日本人7人組で、22年にデビューした。ヒップホップやR&Bを土台とするサウンドを英語で歌い上げる。19年のコーチェラ出演を機に世界的スターに駆け上がった韓国のBLACKPINK(ブラックピンク)に続くか期待される。
グラミー賞の運営団体は1月、25年の流行予想にJ―POPを挙げた。24年のコーチェラに出たYOASOBIや新しい学校のリーダーズ、Adoは3月にロサンゼルスのイベントで歌い、7000人を動員した。日本の音楽大手がJ―POPブームの仕掛けを世界で打ち、アジアから米欧へとツアーの規模を戦略的に広げてきたことが実りつつある。
ユニバーサルミュージック(東京・渋谷)はSNSや音楽配信サービスで生まれたローカルなJ―POP流行の兆しを見逃さず、波が消えないうちに売り込む世界戦略を展開してきた。
見逃せないのがアニメとの「協奏」だ。ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)傘下、ソニー・ミュージックレーベルズの辻野学社長は「アニメと親和性が高いことは、他国の音楽にはない日本の強みだ」と強調する。SMEグループに所属するYOASOBIやCreepy Nuts(クリーピーナッツ)は、アニメ主題歌として世界でヒットした。
国際レコード産業連盟(IFPI)によると、24年の世界音楽市場は23年比5%増の296億ドル(約4兆2500億円)で10年連続で増えた。7割がストリーミング収入で成長をけん引する。デジタル時代に最適な新しいビジネスモデルに進化できなければ、もう一段上の成長を望めない。
(シリコンバレー=中藤玲、三原黎香)
【図・写真】2025年の「コーチェラ」に出演する日本人ガールズグループ「XG」
サッポロHD社長「不動産売却で株主還元も」 年内に結論[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 595文字 PDF有 書誌情報]
サッポロホールディングス(HD)の時松浩社長は14日、日本経済新聞のインタビューに応じ、不動産の売却などで得た資金について酒類への投資のほか、株主還元や負債の削減に充てる可能性があると明らかにした。同社は2024年に不動産事業会社に外部資本を受け入れることを決めており、詳細について年内に結論を出す。
時松氏は25年3月に約8年社長を務めた尾賀真城氏(現特別顧問)の後任として着任した。HD傘下の不動産事業会社のトップ経験も持つ時松氏は「不動産に依存していた体質があり、資本効率や収益性に課題がある。パラダイムシフトが必要だ」と話した。
同社は2月に不動産事業会社に他社やファンドといった外部からの過半の出資を受け入れることを決めた。三井不動産や三菱地所、米投資ファンドのKKRなど含め十数社ほどが興味を示しているとみられる。進捗については「議論は進んでいる。企業価値が最大化する提案を選び、25年内に結論を出す」と改めて強調した。
サッポロHDが保有する不動産事業全体の価値は約4000億円とみられ、複合商業施設の恵比寿ガーデンプレイス(東京・渋谷)など都心一等地の物件も含まれる。
今後、物件売却や外部からの資本参加で得た資金について「資本配分(キャピタルアロケーション)の最適化を見極め、株主還元や負債の削減に充てるなど詳細は(27年以降の)次期中期経営計画に盛り込む」と言及した。
富士通系、AIで蔵書検索 青学大と開発 100団体の採用めざす[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 491文字 PDF有 書誌情報]
富士通子会社の富士通Japan(富士通ジャパン、川崎市)は青山学院大学と組み、人工知能(AI)が図書館の蔵書を検索するシステムを開発した。キーワードだけでなく、興味のあるテーマなどからも関連が高い書籍を探せるようにした。
クラウド経由で2025年夏に提供を始め、自治体や大学など3年間で約100団体との契約を目指す。
キーワード検索型システムは1990年代に登場し、約30年にわたって大きな機能の変更や追加はなかった。幅広い世代に使い方が定着している半面、キーワードと書籍名や著者名などが一致しないと希望の書籍を見つけられない点が課題だった。
富士通ジャパンの新システムは「プロ野球選手になりたい」「おいしい果物を栽培したい」といった文章を入力しても、AIが関連書籍を探して提示する点が特徴だ。正確なキーワードを把握していない利用者でも読みたい書籍が見つけやすくなる。
これまでに横浜市など9自治体から依頼を受け、システムを提供した。ノウハウを盛り込んだ汎用品で幅広い需要を取り込めると判断した。クラウド経由で提供することで、コストは個別開発型の半分以下になる可能性もあるという。
PayPay、海外決済と連携[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 201文字 PDF有 書誌情報]
PayPayは14日、タイなど6カ国で展開する4つの電子決済サービスと連携したと発表した。タイで普及する「ビッグペイ」や「Kプラス」、ドイツで使われる「ブルーコード」などに対応する。店舗にあるPayPayの決済用QRコードを使えるようになる。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込み、飲食や土産代の決済で利用を伸ばす。店舗側はクロスボーダーの決済サービス「アリペイ+(プラス)」への登録が必要になる。
ニデック、牧野フライスに反論[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 195文字 PDF有 書誌情報]
ニデックは14日、牧野フライス製作所に対して実行しているTOB(株式公開買い付け)を巡り、牧野フライスが11日付で公表した資料に反論する声明を出した。牧野フライスはTOBへの対抗策を「買収防衛策ではない」と主張していた。ニデックはこれまで「いわゆるポイズンピル(毒薬条項)」だと指摘し、14日の声明でも牧野フライスの株主の「適切な判断が阻害されることを強く危惧している」との懸念を示した。
セレス、覆面調査協力でポイント[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 166文字 PDF有 書誌情報]
ポイントサービスサイト大手の「モッピー」を運営するセレスは近く、覆面調査をしたサイトの会員にポイントを付与するサービスを始める。覆面調査は商品やサービスを企業側に知られずに評価する。外食店での異物混入などが相次ぎ、企業側の覆面調査への需要は高い。サイトの会員も家計負担を減らしたい人が増えている。新サービスで利用者拡大につなげる。
東北の薬王堂、関東に初出店[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
東北地方でドラッグストアをチェーン展開する薬王堂は、関東地方で出店攻勢をかける。今後5年で450店の新規出店を計画しており、その多くが関東になるとみられる。親会社の薬王堂ホールディングス(HD)が14日に発表した中期経営計画で明らかにした。11日には東北以外で初となる店舗を栃木県那須塩原市にオープンさせた。
小林製薬、和歌山の工場閉鎖[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
小林製薬は14日、紅麹(こうじ)原料の製造設備を旧大阪工場から移管し生産していた和歌山県紀の川市の工場を6月30日に閉鎖すると発表した。子会社の梅丹本舗が梅肉エキスを使った健康食品を製造していたが、紅麹原料を含むサプリメントによる健康被害問題が発覚した後に操業を止めた。再開のめどが立たず、閉鎖を決めた。
テレ朝HD株、2社が売却へ[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
テレビ朝日ホールディングス(HD)は14日、朝日新聞社と大日本印刷の2社が保有する自社の株式を売り出すと発表した。売り出し価格は今後決まるが、株数と14日の終値(2488円)を基に推計すると総額は200億円規模(自己株を除く発行済み株式数の8%)になる。
三陽商会、自社ブランド前面 新中計、3年で売上高16%増 「バーバリー・ロス」脱却へ(ビジネスTODAY)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1782文字 PDF有 書誌情報]
三陽商会は14日、2028年2月期を最終年度とする3カ年の新中期経営計画を発表した。売上高は25年2月期比で16%増の700億円を目指す。15年に英高級ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了して10年。自社ブランドを育成し、「バーバリー・ロス」からの完全脱却を目指す。
「会社を確実に成長軌道に乗せる」。大江伸治社長は新中計に込めた期待を強調した。目指すのは複数ブランドのバランスがとれた収益構造だ。バーバリーの後釜に据えた「マッキントッシュロンドン」など各ブランドの旗艦店の出店を進め、認知度を上げる。
こうした取り組みを通じ、展開するブランドをまとめるなどした7つの基幹事業をそれぞれ売上高100億円規模に成長させる。28年2月期の売上高はバーバリー・ロス前の14年12月期(1109億円)の6割まで回復する見込みだ。
ただ基幹7事業のうち4事業はライセンス契約のブランドだ。ライセンス契約のブランドは権利者の定めた品質基準などに縛られ、ビジネスとしての自由度が低いほか、ライセンス料もかかる。契約を打ち切られるなどのリスクも念頭に、自社ブランドを収益源に育てる。
3月には働く女性をターゲットにした通販専用ブランド「BIANCA(ビアンカ)」を立ち上げた。ビジネスシーンのほか普段着としても使えるデザインにし、30代女性の需要を見込む。
主力の百貨店販路でなくショッピングセンター(SC)を主販路とするブランドの開発や雑貨など非アパレルの事業にも力を入れる。成長投資や株主還元も進める。28年2月期までに100億円以上の成長投資、53億円以上の株主還元を実施する方針も示した。
背景にはライセンスブランドに頼り切っていた過去の反省がある。10年前の15年12月期にはバーバリーブランドが売上高の大半を占め、「バーバリーの一本足打法」ともやゆされた。15年6月にバーバリーとのライセンス契約が終了すると、16年12月期から6期連続の営業赤字を計上した。新型コロナウイルス禍で主要販路の百貨店が営業を停止したことも追い打ちをかけた。
業績低迷による2度の社長交代の末、経営立て直しを任されたのがゴールドウイン出身の大江社長だった。ゴールドウインで業績回復に貢献した実績を持ち、20年に社長に就任すると2年後の黒字化を目標とする再生プランを示した。
再生プランで注力したのは値引き販売の抑制だ。商品の品番数を半分に削減し、人気の商品に絞って正規価格で売り切ることを徹底した。当時70~80%の値引き販売が常態化していたが、売れ残りを極力減らし値引き率を20%までに抑えた。
資産整理にも取り組んだ。3度にわたって人員削減を行ったほか、20年には不採算店からの撤退も進めた。旗艦店が入る東京・銀座のビルを売却し手元資金を確保。新ブランド設立にかかる投資などに振り向けた。
業界では競合のアダストリアが複数のブランドを育てて成長するマルチブランド戦略で先行してきた。オンワードは新型コロナ禍で業績が低迷したが、バレエ用品ブランドや生活雑貨、食品分野の「ライフスタイル事業」の強化などの多角化で持ち直した。
三陽商会は2年間の再生プランを経て、23年2月期に7期ぶりの営業黒字(決算期変更を含む)となってから、業績は回復基調にある。一時は379億円まで落ち込んだ売上高について、大江社長は「1000億円を目指せる会社にする必要がある」と話す。
14日発表した25年2月期の連結決算は売上高は605億円と前期比で微減、営業利益も同11%減の27億円だった。純利益は同44%増の40億円だったが、政策保有株の売却益(18億円)が大きく、足元の状況はかんばしくない。
その上、「目指せる会社」を実現しても、バーバリー・ロス前をやや下回る水準に過ぎない。ロス前を超えてこそ真の成長だ。自社ブランドも育っているが、バーバリーの代替ブランドというには心もとない。複数ブランドの育成も重要だが、主力となる柱の育成も急務だ。
バーバリー・ロス、新型コロナ禍と2度の危機を越え、本格的な成長フェーズにシフトできるか。実現できれば、いったん地に落ちるかに思われた企業ブランド復活のモデルケースになる。
(宮月子)
【図・写真】記者会見する三陽商会の大江社長(14日、東京都千代田区)
SMK 池田社長(ニュース一言)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 15ページ 193文字 PDF有 書誌情報]
電子部品企業は顧客の要望に合わせて部品を製造してきた。今後は顧客や社会の課題を能動的に見つけ、それを解決する製品やサービスで社会貢献することが求められる。
SMKは4月に創業100周年を迎えた。高齢者施設など向けに、軽度の認知障害を声で検知するシステムの販売を開始するといった新規事業にも取り組んでいる。池田靖光社長は「モノ売りからコト売りへと事業の幅を広げていく必要がある」と語る。
実験データ100万件公開へ 東大など25機関、世界最大級 半導体開発など後押し[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1686文字 PDF有 書誌情報]
東京大学や物質・材料研究機構(NIMS)など国内の25大学・研究機関は素材や電池、半導体の材料開発に役立つ約100万件の実験データを9月までに有償で公開する。公開データは世界最大の規模になる。材料開発を加速し、自動車や化学産業の競争力を引き上げる。
自動車や化学品に使う樹脂や金属の素材や電池、半導体の材料開発は従来、研究者の知識や経験に基づいて実験や試作を繰り返し、性能を高めてきた。ただ2010年代からは大量のデータを人工知能(AI)が学習し、最適な実験条件を探る動きが加速した。
AIを使って新素材を探索する手法は「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」と呼ばれ、無駄な実験を省き、素材の開発を効率化できるのが特徴だ。11年に当時のオバマ米大統領が計画を提唱し、5年間に約5億ドル(約730億円)を拠出したのが発端とされる。
欧州や日本でも同様の研究が進んだが、いずれもコンピューターのシミュレーション(模擬実験)で得たデータを活用する取り組みが中心で、材料の性能に直結する実験データの活用は遅れていた。
企業や大学などの研究機関が独自のノウハウとして囲い込み、公開を控えていたことが主な理由とされる。
そこで文部科学省は21年度に全国の25大学・研究機関が持つ最先端の機器から、実験データを集める取り組みを始めた。NIMSや東大のほか、京都大学や東北大学、産業技術総合研究所などが参加し、各機関が持つ電子顕微鏡や質量分析装置約1100台を企業や他の大学、研究機関が利用できるように有償で開放した。
23年度から実験データなどのマテリアルデータの収集と蓄積をはじめ、25年2月上旬までに約4000人の利用者から約100万件のデータファイルを集めたという。
具体的には素材や電池材料の顕微鏡写真や質量分析装置で解析したデータのほか、加工した温度や加熱時間などの実験条件を含む素材開発に必要な様々なデータを蓄積した。
顕微鏡や分析機器を使って実験した日付や温度、圧力といった項目も共通化し、AIが学習しやすいようにデータをそろえた。
企業は最先端の研究・分析機器を設備投資費用を抑えて利用できる。利用にあたって機器を使って得られた加工や分析、合成のデータを「マテリアルデータ」として登録すれば利用料を下げる仕組みも取り入れた。
企業にとっては実験機器の購入などにかかる設備投資費用を抑えて、最先端の設備を使えるメリットがある。装置や機器を保有する大学や研究機関が、企業に対して分析や合成にあたっての研修や技術支援を同時に行うことで利用も広がったという。
企業の活用事例としては、顕微鏡で撮影した画像を手掛かりに、AIがリチウムイオン電池の電極の劣化状況を推定すれば、寿命が長い電池の開発に役立つ可能性がある。
また、半導体が電流を切り替える性能と加工する温度などの実験条件との関係をAIで探れば、優れた半導体を短期間で開発できるようになるとみる。
今回集まった約100万件のデータは、日本の企業や研究機関向けに9月までに公開することを目指す。データの利用料金などは今後検討するという。公開する実験データの規模は世界最大級になる。
NIMSマテリアル先端リサーチインフラセンターハブの松波成行代表は「ここまで幅広く実験データを集めている国は他にはない」と話す。
データの利用については専用のサイトで申し込むことを想定する。
素材や材料は日本の産業界の強みの一つで、自動車や化学などの基幹産業を支える。優れた素材や材料を作るノウハウの一部を企業などに共有することで、日本の素材開発の国際競争力を高める狙いだ。
企業や大学の実験データを外部公開することは将来の科学研究も見据える。材料開発の実験や研究の一部をロボットが担う構想が世界で盛り上がっている。
公開する画像や解析データ、実験条件は、AIの力を借りて動くロボットが研究を進める手助けになる。企業や大学がロボットを導入するのを後押しでき、少子高齢化で研究者の確保が難しくなる日本の課題にも対応できる。
(草塩拓郎)
地震予知の夢追う 京大、電離圏の異常から 平時との差から前兆[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1057文字 PDF有 書誌情報]
地震を予知することは可能なのか――。政府は、地震の発生前に科学的に予測することは「一般的には困難」とする見解を示している。だが、巨大地震発生前に地質や大気に平時と何らかの差異が生じるという研究結果は多い。京都大学や東北大学などは夢の技術の実現を目指して研究に挑む。
京都大学の梅野健教授らの研究グループは、高度80キロメートル以上の電離圏の乱れから巨大地震を予測できる可能性があるとする研究結果を2024年に公表した。成果は静電気分野の国際学術誌に掲載された。
研究グループは、地殻の中にある水に着目。周辺にある水が高温・高圧の「超臨界」と呼ぶ状態になり、電気を通さない絶縁になる。超臨界状態の水によって電気は行き場を失って電圧が高まる。その後、大気を通じて電離圏に電子が届いて電子密度が上昇するという。梅野教授は「地震前の電子密度の高まりはノイズではない可能性が高まった」と話す。電離圏の異常を検知できるシステムの構築を目指す。
巨大地震を起こすプレートに着目する研究もある。陸側と海側のプレート間で起きる海溝型地震の発生前にプレートがわずかに動くことがある。「スロースリップ」と呼ぶ現象で、地中にとじ込められたガスが流出することがある。東北大学の武藤潤教授らは、大気に含まれる放射性物質ラドンの濃度変化に注目して大地震の発生前と通常状態の違いから地震予知の可能性を探っている。英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に研究成果が掲載された。
福島県立医科大学(福島市)にある特殊な実験施設で観測された大気中のラドン濃度データのうち、地震が発生していない03~08年のデータを人工知能(AI)に学習させた。全国でラドン濃度の通常時の変動を算出し、リアルタイム観測で比較をすれば、大地震発生直前のガス漏れを検知できる可能性があるという。
地震予知の研究の歴史は長い。1962年に研究者有志が「ブループリント」と呼ぶ研究計画書を公表。これを基に政府が「地震予知計画」に乗り出し、名称を変えながらも現在まで続いている。だが2014年に始まった現行計画からは「予知」の文字が消えた。
国は完全に諦めたわけではない。産業技術総合研究所は3月、宮崎県延岡市に地殻変動を観測できる装置を設置。スロースリップを観測できるようになる。
地質調査総合センターの板場智史主任研究員は「次の南海トラフ巨大地震で巨大地震直前の現象を捉えられる。そうすれば、その次の南海トラフ地震の予測には役立てられるはずだ」と期待する。
(矢野摂士)
コロナワクチンに1900億円 4社実用化できず 初動の遅れ、挽回できず[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 877文字 PDF有 書誌情報]
日本政府が実施する新型コロナウイルス感染症のワクチン開発事業で、2025年までに国内製薬6社に約1900億円を投じたことがわかった。うち4社は実用化すらできていない。実用化した製品も接種回数は先行した米国製の0.02%にとどまる。予算の規模は少なくないが、初動の遅れを最後まで挽回できなかった。
「チームジャパンで取り組んでも、立ち向かっていけるか。難しい状況だ」。3月4日、内閣府が主催した次のパンデミック(世界的大流行)に向けたワクチン開発を議論するイベントで、日本医療研究開発機構(AMED)プログラムディレクターを務める山梨大学副学長の岩崎甫氏はこう述べた。
日本製ワクチンは米国製に「完敗」状態だ。厚生労働省が公表するデータによると、無料で接種できた2024年春までの期間で、第一三共製の接種回数は7万回だけで大部分を占めるファイザー製の0.02%にとどまる。第一三共製が供給され始めた23年12月以降でも、ファイザー製の1.5%程度だ。
当時の米トランプ政権は早い時期から桁違いの開発支援を始めていた。20年3月6日、ワクチンなどの研究・開発費に30億ドル(約3200億円)以上を投じる補正予算が成立。5月には有望なワクチン7~8種類に対して約100億ドルの開発支援を表明した。
日本の新規のワクチン開発支援は20年4月の補正予算からだったが、総額は100億円だった。早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所顧問の笠貫宏氏は「有事のときに国産ワクチンを開発する体制や法整備もなかった」と指摘する。
国内シーズを開発する製薬6社には総額1878億円(24年10月時点)が投じられたが、現時点で実用化したのは第一三共と明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマの2社のみ。塩野義製薬は開発したワクチンを販売していない。
平時に技術シーズを育て続け、有事の際には素早く大規模に資金を投入する意思決定が、欧米流の開発競争の土俵に上がる前提条件となる。
(岩井淳哉)
【図・写真】国内の新型コロナワクチンはファイザー製が大部分を占める
消えゆく作物「宝の種子」守れ 管理費・政治問題など壁[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 827文字 PDF有 書誌情報]
古代からあった農作物の在来品種が消えていくタイムリミットが刻一刻と迫ってきた。多様な遺伝情報を持つ在来品種の種子は品種改良のタネになる。各国は食料を確保する安全保障の観点から、種子の収集に力を入れる。
農林水産省は東南アジアの国々で種子などを集める研究契約を結び、2024年には中央アジアのウズベキスタンとも協力体制を築いた。ただ商業的に改良した新種が在来品種を追いやり、種子を保管する資金もかさむなど壁も立ちはだかる。
ネパールの山岳地帯で熱心に野菜の種子を集める日本人がいる。農水省園芸作物課・下村晃一郎研究専門官は、まだ見ぬ在来のキュウリやカボチャを探す。農水省によると、日本が手にした種子などの数は20年時点で世界6位とされ、上位には米国や中国、ロシアが並ぶ。
在来品種には病気や環境の変化に強い種類がある。その種子が世界で消滅の危機にある。広大な農地が都市に姿を変えたうえに、新種の栽培が増えたためだ。在来品種が消えてしまえば農作物の多様性が失われる。
アジアは多様な農作物が育つが「直近10年ほどで、在来の有用な種子が急激に減った」。17年ごろからラオスでナスを収集する農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の宮武宏治上級研究員は、現地の状況をこう憂う。タイや中国の企業が販売する種子が普及したためだ。
日本では茨城県の農研機構本部などで24万点以上の国内外の種子や果樹の芽を保管する。だが、在来品種の消失が相次ぎ、事業の進捗を阻む。政治の問題もつきまとう。ミャンマーでは21年のクーデター以降、収集活動が打ち切られた。
種子を確実に保管するための温度や湿度の管理に費用もかさむ。23年には広島県の施設が資金不足などで閉鎖に追い込まれた。
一粒のタネの損失は、救える未来を失うことにつながる。日本にできることは多いはずだ。国際協力を進めるとともに、種子の遺伝情報を解読して蓄積するなど費用を抑えた保管方法も模索すべきときだ。
(黒田愛奈)
衝突小惑星が海に栄養 6600万年前、九大など解明[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 352文字 PDF有 書誌情報]
九州大学や東京科学大学などの国際研究グループは、約6600万年前にメキシコ湾に衝突した小惑星で破壊された生態系が、急速に回復した原因を突き止めた。衝突で海水が高温に熱せられ、海底の岩石から生命に必須な栄養分が溶け出していた。研究成果は英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
小惑星は白亜紀末にメキシコ・ユカタン半島沖に落下した。衝撃で直径約200キロメートルのクレーターができ、生息していた海洋生物の約7割が絶滅した。この小惑星は恐竜を絶滅させたことでも知られる。
生態系の回復に要した期間は、衝突地点に近いほど遅くなると考えられていた。ただ、クレーター内の堆積物を分析した先行研究では、衝突から数万年以内という予想以上の速さで食物連鎖がある生態系が復活していることが示されていた。
32億年前に酸素活用微生物(FromAcademia)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 234文字 PDF有 書誌情報]
沖縄科学技術大学院大学(OIST)などは地球の酸素が非常に少なかった約32億年前に、既に酸素を使う微生物が生きていたことを明らかにした。光合成で酸素を生産するタイプの微生物が増えるよりも約9億年前にあたる。研究成果をまとめた論文は米科学誌「サイエンス」に掲載された。研究チームは地質のデータと微生物の遺伝情報を利用して、進化の様子を解析した。現在生きている微生物の遺伝情報を基に、機械学習で推定した。すると約32億年前に酸素を利用する微生物が生存していたと分かった。
ニコチン過剰摂取 影響解明(FromAcademia)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 227文字 PDF有 書誌情報]
大阪大学や米デューク大学の研究チームはたばこが含む代表的な成分であるニコチンを過剰に摂取すると、脳の「内側手綱核」と呼ばれる部位で活動が停止することをマウスを使った実験で突き止めた。この部位はニコチンへの依存と関わり、摂取する量が増えるほど活動が活発になると考えられていた。研究を主導した大阪大の河合喬文助教は「従来の説を覆す発見ができた」と話す。研究成果は禁煙治療に応用できる可能性がある。研究成果は米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載された。
火星のマグマ、初期に形成か(FromAcademia)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 227文字 PDF有 書誌情報]
関西学院大学などの研究グループは、火星の中心に液体のマグマが存在する仕組みの一端を明らかにした。国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の施設を使うことで、火星の誕生初期にできた可能性があることが分かった。マグマの特性を調べることで地球を含む惑星の形成などに関わる理解につながるとみている。成果は英科学誌「コミュニケーションズ・アース&エンバイロメント」に掲載した。研究グループはより自然界に存在するマグマに近い複雑な成分でも研究を進める。
日本語音声に強いAIモデル(FromAcademia)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 16ページ 216文字 PDF有 書誌情報]
産業技術総合研究所は音声を認識したり、感情を読みとったりする人工知能(AI)を開発するための基盤モデルを公開した。日本語に特化していて、このモデルを使えば少量のデータだけでも高性能な音声AIを開発できる。高齢者の音声や方言などAIの学習に使いやすいデータが少ない分野への応用が期待される。モデルは性質の異なる2種類で、日本語音声AIの生みの親になることにちなみ、日本神話に登場する女神の名前から「いざなみ」「くしなだ」と名付けた。
Jフロント・高島屋 微増益 今期営業 訪日客の消費鈍化、松屋は11%減益[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 947文字 PDF有 書誌情報]
百貨店の業績拡大が鈍ってきた。J・フロントリテイリング、高島屋、松屋の3社が14日、2026年2月期の本業の利益予想を発表した。前期比の増益率は、Jフロントと高島屋が1%増と前期(ともに2割台)から縮小する。松屋は11%減を見込む。円安修正でインバウンド(訪日外国人)消費が鈍化するとみている。
不透明感が出る中でも株主還元は強めた。Jフロントは最大150億円の自社株買いを発表。上限は発行済み株式総数(自己株式除く)の4・5%に当たる1150万株だ。今期配当は54円と2円積み増す。高島屋も配当を26円と株式分割を踏まえ、実質増配とした。
Jフロントは事業利益予想(国際会計基準)を1%増の540億円と見込む。国内向けが下支えし増益見通しだが、前期(21%増の534億円)とは対照的だ。高島屋は営業利益を1%増(前期は25%増)の580億円とした。松屋は11%減(同51%増)の40億円の見通し。顧客システムの統合関連費用がかさむことなどで、他社より落ち込みが大きい。
背景にあるのは旺盛だったインバウンド需要の鈍化懸念だ。3社そろって、インバウンド売上高が前期から減るとみている。高島屋は国内富裕層向けは堅調だが、インバウンド売上高は1100億円と5%減を想定する。
Jフロントも百貨店事業は国内の富裕層消費を中心に安定成長を見込む一方で、免税売上高は3%減の1270億円を予想する。
為替の円安が一服し、円高に振れる中、インバウンド消費はブランドものの靴やカバンなど高単価品から、化粧品など低単価品に流れている。高島屋の村田善郎社長は14日の決算会見で「(訪日客向けは)少し過熱気味だった。円高や相互関税の影響で中国の団体客がほとんどきておらず、今期は昨年並みか下がる」と警戒した。
高島屋だけが14日の取引時間中に決算を発表。発表後の株価は下落に転じ、終値は前週末比2%安の1083円とこの日の安値で引けた。日経平均が上昇するなか逆行安だった。
同日発表した25年2月期連結決算は、3社そろって本業の利益が大きく増えた。純利益については、Jフロントが前の期比38%増の414億円、高島屋が25%増の395億円だった。松屋は繰越欠損金の解消などで税負担が増加し、9%減の23億円だった。
「ツルハ株2万円も」 英運用会社統合案巡り[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 436文字 PDF有 書誌情報]
ツルハホールディングス(HD)株を約1割保有する英系運用会社のオービス・インベストメンツは14日、ツルハHDとウエルシアホールディングス(HD)の経営統合案、そして統合新会社に対するイオンのTOB(株式公開買い付け)案に反対すると発表した。ツルハHDの価値を過小評価していると判断した。ツルハHDの価値はイオンのTOB価格(1万1400円)を大幅に上回る2万円の可能性があるとしている。
5月に行われるツルハHDの株主総会で統合議案に反対する。オービスはツルハHDの方がウエルシアHDよりも収益性が高く、貸借対照表もツルハHDの方が健全と主張している。ツルハHDは株式を5分割したうえ、ウエルシアHD1株に対しツルハHD株1・15株を割り当てる株式交換でウエルシアHDを完全子会社化する計画だ。
イオンは統合新会社への出資比率をTOBで50・9%に高める予定。オービスは上場子会社が誕生することは望ましくないとして完全子会社化を求める一方、TOB価格にも不満を表明した。
東宝、配当性向35%へ、中計で新目標 年配85円を下限[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 367文字 PDF有 書誌情報]
東宝は14日、2028年2月期までの中期経営計画を発表した。配当は年85円を下限とし、配当性向は35%以上(前中計は同30%以上)にする。自己資本利益率(ROE)は9%以上(同8%以上)を目指す。同日、26年2月期通期の連結純利益予想も発表した。好調だった「ゴジラ―1・0」の配信権収入がなくなり、前期比で減益を見込む。
28年2月期の営業利益は前期比8%増の700億円を目指す。成長投資も強める。コンテンツの企画・製作や新規知的財産(IP)の創出に計700億円、M&A(合併・買収)など成長投資に計1200億円、帝国劇場の再開発を含めた不動産関連に400億円程度を投じる。
26年2月期からは新セグメントとして「IP・アニメ事業」を新設する。従来の映画事業から、ゴジラやアニメ関連作品の映像配信、ライセンスなどの収益を切り分ける。
松竹が黒字転換 映画好調見通し 今期最終[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
松竹は14日、2026年2月期の連結最終損益が20億円の黒字(前期は6億6400万円の赤字)になる見通しだと発表した。映画配給事業で、11月公開予定の山田洋次監督の最新作「TOKYOタクシー」などのヒットを見込む。前期に計上した、BS放送事業からの撤退費用も無くなる。年間配当は前期と同じ年30円を予定する。
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 8768文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
■VRAIN Solution〓(135A) 5.29
24.2 14 495 330 33.3 0
25.2 21 595 425 42.0 0
26.2予 32 890 590 58.4 0
インターライフホールディングス〓(1418) 5.27
24.2 126 245 384 24.8 8.0
25.2 169 875 705 45.4 20.0
26.2予 165 790 600 38.7 20.0
SFoods(2292) 5.23
24.2 4250 14390 9073 286.9 84.0
25.2 4445 6388 2667 84.3 89.0
26.2予 4750 8500 4500 142.2 104.0
スタジオアリス(2305) 5.27
24.2 363 2322 1157 68.2 70.0
25.2 355 3051 1365 80.4 50.0
26.2予 337 2870 1450 85.4 50.0
いちご(2337) 5.25
24.2 827 10391 12108 26.9 9.0
25.2 835 13764 15187 34.9 10.5
クオンタムソリューションズ(2338) 5.29
24.2 2 ▲783 ▲902 ― 0
25.2 6 ▲464 ▲317 ― 0
ディップ(2379) 5.22
24.2 537 12618 9050 163.4 88.0
25.2 563 13257 8951 168.4 95.0
26.2予 600 11900 8000 152.9 95.0
■ハローズ(2742) 5.29
24.2 1954 10896 8589 402.1 記46.0
25.2 2107 12301 8913 417.0 記60.0
26.2予 2242 12360 8590 401.7 68.0
■ガーデン(274A) 5.29
24.2 153 1441 1065 213.1 64.0
25.2 171 1722 1207 219.9 記90.0
26.2予 182 1930 1320 191.9 90.0
ワイズテーブルコーポレーション〓(2798) 5.26
24.2 112 311 113 34.5 0
25.2 121 248 260 79.0 0
ヨシムラ・フード・ホールディングス(2884) 5.29
24.2 497 2989 1036 43.8 0
25.2 585 4251 1861 78.1 0
26.2予 607 2900 1120 47.0 0
北の達人コーポレーション(2930) 5.22
24.2 146 1480 994 7.2 2.2
25.2 118 1704 1205 8.7 3.5
ピックルスホールディングス(2935) 5.28
24.2 430 1771 1175 94.3 24.0
25.2 415 1345 958 77.1 26.0
26.2予 410 1532 990 79.6 27.0
■ベースフード(2936) 5.28
24.2 148 ▲891 ▲856 ― 0
25.2 152 123 108 2.1 0
■ハブ(3030) 5.28
24.2 98 255 270 21.5 6.0
25.2 107 441 446 35.5 10.0
■フォルシア(304A) 5.28
24.2 19 140 99 9909.0 0
25.2 23 198 131 126.7 0
26.2予 24 249 171 138.8 0
■ライフフーズ(3065) 5.22
24.2 104 5 ▲734 ― 0
25.2 97 414 402 130.7 5.0
26.2予 95 200 106 34.4 5.0
DDグループ(3073) 5.29
24.2 370 3131 3415 177.6 0
25.2 385 3581 2397 128.0 0
■銚子丸(3075) 5.29
24.5 213 1735 1073 78.3 12.0
◆25.2 173 1070 569 41.9 12.0
26.2予 242 1461 911 73.0 12.0
ジェーソン(3080) 5.28
24.2 287 910 602 47.1 13.0
25.2 282 573 345 27.0 13.0
26.2予 310 800 500 39.0 13.0
J.フロント リテイリング(3086)〓国際基準 5.29
24.2 4070 41343 29913 114.1 36.0
25.2 4418 55785 41424 160.4 52.0
26.2予 4590 45500 30000 117.0 54.0
ドトール・日レスホールディングス〓(3087) 5.27
24.2 1406 7701 5491 124.9 40.0
25.2 1488 9615 6880 157.0 50.0
26.2予 1545 10723 7156 163.2 54.0
■スーパーバリュー(3094) 5.27
24.2 704 ▲2132 ▲2257 ― 0
25.2 664 ▲2687 ▲2790 ― 0
ありがとうサービス(3177) 5.29
24.2 97 825 358 388.8 125.0
25.2 106 953 503 545.8 135.0
26.2予 107 954 504 546.0 135.0
■買取王国(3181) 5.27
24.2 67 523 360 99.4 10.0
25.2 78 465 328 90.1 10.0
SFPホールディングス(3198) 5.23
24.2 290 2236 1731 71.0 23.0
25.2 303 2281 1485 65.2 26.0
26.2予 325 2600 1700 74.6 28.0
■エスエルディー(3223) 5.28
24.2 35 138 177 93.2 0
25.2 36 142 143 71.7 0
26.2予 38 212 206 132.0 0
(111.9)
■フライヤー(323A) 5.28
24.2 7 ▲136 ▲136 ― 0
25.2 9 2 11 3.6 0
26.2予 11 99 98 28.7 0
エスポア(3260) 5.28
24.2 7 123 1421 852.1 0
25.2 3 ▲200 ▲247 ― 0
■GLP投資法人(3281) 5.21
24.8 274 13112 14003 2859.0 3158.0
25.2 290 14857 15045 3105.0 3434.0
25.8予 286 14001 14196 2958.0 3255.0
■Oneリート投資法人(3290) 5.19
24.8 46 1835 1835 6835.0 6835.0
25.2 50 2124 2129 7933.0 7217.0
25.8予 52 2420 2413 8989.0 8060.0
■アークコア(3384) 5.29
24.2 54 245 164 92.5 0
25.2 62 575 391 218.3 0
26.2予 56 300 208 115.2 0
クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)国際基準 5.28
24.2 1457 6632 5041 24.0 7.0
25.2 1563 7659 5590 26.6 8.0
26.2予 1650 8800 5800 27.6 9.0
プログレス・テクノロジーズ グループ(339A)国際基準 5.29
24.2 51 996 696 1969.6 0
25.2 56 856 584 82.7 0
26.2予 63 1518 1050 135.0 0
ティーケーピー(3479) 5.30
24.2 365 4862 7321 175.0 0
25.2 592 5825 3789 90.7 0
26.2予 1030 6000 3200 80.5 0
バロックジャパンリミテッド(3548) 5.27
24.2 602 2022 945 26.2 38.0
25.2 581 ▲1683 ▲2575 ― 38.0
26.2予 576 2139 1338 37.2 38.0
ジェイドグループ(3558) 5.29
24.2 133 1705 1001 91.8 0
25.2 192 1551 509 49.7 0
メディアドゥ(3678) 5.29
24.2 940 1990 ▲319 ― 22.0
25.2 1019 2360 1363 90.1 記36.0
26.2予 1060 2700 2000 132.0 40.0
システムインテグレータ(3826) 5.28
25.2 47 302 583 53.4 記10.0
26.2予 55 400 255 23.4 9.0
テラスカイ(3915) 5.30
24.2 191 655 300 23.4 0
25.2 247 1603 1018 78.9 0
26.2予 294 1973 1363 105.6 0
エディア(3935) 5.23
24.2 32 158 150 24.5 5.0
25.2 36 237 234 38.2 7.0
26.2予 40 340 250 40.3 10.0
エルテス(3967) 5.29
24.2 65 143 257 42.7 0
25.2 73 68 ▲860 ― 0
■フュージョン(3977) 5.23
24.2 14 50 52 36.5 0
25.2 15 13 ▲16 ― 0
26.2予 16 22 18 12.5 0
■サインポスト(3996) 5.29
24.2 29 94 128 10.1 0
25.2 30 197 257 20.1 0
26.2予 34 212 249 19.5 0
BeeX(4270)
26.2予 114 748 552 248.5 0
■BeeX(4270) 5.29
24.2 77 615 440 198.4 0
25.2 92 673 499 224.8 0
レイ(4317) 5.29
24.2 112 1311 818 57.3 15.0
25.2 104 1050 745 54.1 15.0
26.2予 120 1000 700 52.1 15.0
リックソフト(4429) 5.29
24.2 74 676 269 59.2 0
25.2 90 461 355 78.6 0
26.2予 101 411 315 70.3 0
サーバーワークス(4434) 5.28
24.2 275 1032 638 81.8 0
25.2 357 1066 677 86.2 0
26.2予 408 1171 848 108.5 0
■マーキュリー(5025) 5.29
24.2 14 59 48 18.3 0
25.2 17 166 126 48.8 0
26.2予 16 120 85 33.1 0
セレコーポレーション(5078) 5.27
24.2 231 1658 1109 322.5 105.0
25.2 239 2039 1416 417.6 135.0
26.2予 258 2260 1527 450.8 135.0
■JMACS(5817) 5.28
24.2 53 137 71 15.3 10.0
25.2 52 112 116 23.4 10.0
26.2予 57 208 141 25.1 10.0
ベクトル(6058) 5.29
24.2 592 6871 4684 98.1 29.0
25.2 592 7655 4195 89.4 32.0
26.2予 630 8300 5000 106.6 33.0
アクアライン(6173) 5.31
24.2 48 ▲328 ▲371 ― 0
25.2 34 ▲375 ▲324 ― 0
26.2予 30 50 50 7.2 0
メタリアル(6182) 5.28
24.2 41 803 534 49.8 0
25.2 40 112 410 37.9 0
JRC(6224) 5.28
24.2 94 1273 847 67.1 21.0
25.2 110 1407 1078 87.9 26.0
26.2予 136 1713 1147 92.0 27.0
フロイント産業(6312) 5.29
24.2 229 1285 764 45.5 20.0
25.2 233 1219 637 37.7 記25.0
26.2予 245 1500 1000 59.1 25.0
オキサイド(6521) 5.29
24.2 66 ▲766 ▲422 ― 0
25.2 83 230 ▲2703 ― 0
26.2予 87 242 74 6.6 0
MS&Consulting(6555)〓国際基準 5.28
24.2 23 179 114 28.2 9.0
25.2 25 ▲240 ▲276 ― 0
オープングループ(6572) 5.28
24.2 61 263 166 2.7 0
25.2 72 234 435 7.2 記5.5
26.2予 85 860 516 8.6 4.5
コレックホールディングス(6578) 5.28
24.2 39 117 88 12.2 記7.0
25.2 63 187 179 24.6 8.0
26.2予 90 356 324 44.2 9.0
ニューテック(6734) 5.28
24.2 37 394 290 151.8 50.0
25.2 46 372 267 138.7 50.0
26.2予 50 375 270 139.8 50.0
■ツインバード(6897) 5.27
24.2 103 166 108 10.2 13.0
25.2 100 42 ▲102 ― 13.0
26.2予 105 120 100 9.4 13.0
ALiNKインターネット(7077) 5.29
25.2 8 62 57 31.7 0
26.2予 10 41 1 0.6 0
■ジオコード(7357) 5.29
24.2 15 22 14 5.2 記20.0
25.2 15 27 16 6.1 記25.0
26.2予 18 58 36 12.9 25.0
マルヨシセンター(7515) 5.29
24.2 398 397 135 145.7 30.0
25.2 417 145 13 14.8 30.0
26.2予 410 300 100 107.0 30.0
エスケイジャパン(7608) 5.29
24.2 106 1073 755 91.0 17.0
25.2 132 1261 929 111.6 記27.0
26.2予 136 1300 910 108.7 31.0
テイツー(7610) 5.29
24.2 351 1423 568 8.8 4.0
25.2 364 919 501 7.9 4.0
26.2予 400 1100 700 11.0 4.0
■コパ・コーポレーション(7689) 5.26
24.2 22 ▲371 ▲1281 ― 0
25.2 20 ▲278 ▲437 ― 0
26.2予 23 ▲89 ▲90 ― 0
東京衡機(7719) 5.28
24.2 33 136 91 12.8 0
25.2 34 36 62 8.8 0
26.2予 45 168 143 20.1 0
幸和製作所(7807) 5.29
24.2 64 936 710 154.7 11.0
25.2 63 827 616 144.9 12.0
26.2予 65 700 500 120.5 13.0
■グラファイトデザイン(7847) 5.29
24.2 26 236 175 27.0 記40.0
25.2 30 558 376 58.1 30.0
26.2予 27 305 205 31.6 30.0
丸東産業(7894) 5.23
24.2 178 538 366 231.2 40.0
25.2 180 404 296 186.6 40.0
26.2予 188 465 355 223.7 40.0
三陽商会(8011) 5.29
24.2 613 3184 2787 239.0 88.0
25.2 605 2825 4007 351.5 129.0
26.2予 625 3300 4100 384.3 139.0
リテールパートナーズ(8167) 5.29
24.2 2521 7725 4717 109.9 記28.0
25.2 2667 7999 5225 121.8 記38.0
26.2予 2747 8400 5500 128.1 40.0
■東天紅(8181) 5.22
24.2 46 389 ▲134 ― 0
25.2 47 461 430 167.5 15.0
26.2予 48 470 440 171.3 15.0
高島屋(8233) 5.20
24.2 4661 49199 31620 200.5 37.0
25.2 4984 60396 39525 126.3 36.0
26.2予 5212 61000 40000 131.9 26.0
松屋(8237) 5.29
24.2 412 2938 2631 49.6 10.0
25.2 481 4464 2383 44.9 12.0
26.2予 500 4000 2300 43.4 12.0
イズミ(8273) 5.28
24.2 4711 32322 20485 286.5 89.0
25.2 5241 25708 11919 166.6 90.0
26.2予 5901 30400 18300 255.8 90.0
Olympicグループ(8289) 5.29
24.2 909 51 ▲477 ― 20.0
25.2 986 ▲164 ▲67 ― 20.0
26.2予 1000 1000 500 21.8 15.0
ライズ・コンサルティング・グループ(9168)国際基準 5.29
24.2 61 1780 1315 54.0 0
25.2 76 1909 1418 58.7 9.0
26.2予 95 2268 1651 67.9 14.0
■バリュークリエーション(9238) 5.28
24.2 29 166 114 110.2 12.0
25.2 34 131 86 37.5 6.5
26.2予 38 197 130 56.5 7.0
エーアイテイー(9381) 5.21
24.2 514 4536 2989 127.2 80.0
25.2 556 4532 3047 129.7 80.0
26.2予 600 4670 3170 134.9 90.0
■パパネッツ(9388) 5.22
24.2 44 341 235 1372.1 200.0
25.2 53 368 256 160.6 138.0
26.2予 56 433 284 167.6 30.0
松竹(9601) 5.27
24.2 854 2866 3016 219.6 30.0
25.2 839 ▲2500 ▲664 ― 30.0
26.2予 950 3000 2000 145.6 30.0
東宝(9602) 5.29
24.2 2833 63024 45283 259.5 85.0
25.2 3131 64455 43357 254.8 85.0
26.2予 3000 55000 37500 221.2 85.0
歌舞伎座(9661) 5.29
24.2 30 222 255 21.1 5.0
25.2 31 246 274 22.7 5.0
26.2予 34 283 217 17.9 5.0
天満屋ストア(9846) 5.23
24.2 585 2386 1193 103.8 10.0
25.2 586 2406 1578 137.5 14.0
26.2予 592 2450 1580 137.6 14.0
アークス(9948) 5.27
24.2 5915 18439 11766 214.0 68.0
25.2 6082 17540 11063 205.0 74.0
26.2予 6230 18000 11200 207.5 74.0
タキヒヨー(9982) 5.28
24.2 577 791 769 83.7 25.0
25.2 606 1358 1107 123.5 35.0
26.2予 610 1520 1250 143.6 40.0
ヤマザワ(9993) 5.29
24.2 1018 677 451 41.9 27.0
25.2 1025 ▲407 ▲2617 ― 27.0
26.2予 1030 500 70 6.5 27.0
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1164文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
■光フードサービス(138A)
23.12-24.2 6 51 29 42.8
24.12-25.2 6 38 26 26.5
■TMH(280A)
24.12-25.2 23 57 39 10.9
ラクト・ジャパン(3139)
23.12-24.2 397 1116 819 82.2
24.12-25.2 459 1598 1202 120.8
ファンドクリエーショングループ(3266)
23.12-24.2 5 ▲62 ▲59 ―
24.12-25.2 4 ▲77 ▲59 ―
串カツ田中ホールディングス(3547)
23.12-24.2 38 280 175 19.1
24.12-25.2 45 318 121 13.3
マネーフォワード(3994)
23.12-24.2 95 ▲1135 ▲1318 ―
24.12-25.2 117 ▲730 ▲1119 ―
MITホールディングス(4016)
23.12-24.2 12 53 31 16.1
24.12-25.2 13 86 57 28.8
アスマーク(4197)
24.12-25.2 12 118 78 70.2
川上塗料(4616)
23.12-24.2 14 49 34 34.2
24.12-25.2 13 ▲19 ▲14 ―
ELEMENTS(5246)
23.12-24.2 4 ▲15 ▲16 ―
24.12-25.2 7 ▲24 ▲51 ―
property technologies(5527)
23.12-24.2 76 ▲123 ▲112 ―
24.12-25.2 103 336 190 46.5
クックビズ(6558)
23.12-24.2 8 93 65 23.4
24.12-25.2 7 ▲87 ▲107 ―
■トゥエンティーフォーセブン(7074)
23.12-24.2 6 ▲200 ▲213 ―
24.12-25.2 4 ▲63 ▲67 ―
■オンデック(7360)
23.12-24.2 2 35 24 9.3
24.12-25.2 2 ▲11 ▲7 ―
■FPパートナー(7388)
23.12-24.2 83 1394 938 40.6
24.12-25.2 83 805 529 23.1
くろがね工作所(7997)
23.12-24.2 17 ▲4 ▲7 ―
24.12-25.2 13 ▲93 ▲98 ―
CaSy(9215)
24.12-25.2 4 3 2 1.1
GRCS(9250)
23.12-24.2 8 83 66 51.9
24.12-25.2 7 ▲70 ▲44 ―
「よろい」失う養命酒、筆頭株主・大正製薬HDが全株売却、新保有者は村上氏身内(Ticker)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 918文字 PDF有 書誌情報]
いきなり安定株主という「よろい」を失うことになった養命酒製造の経営陣の胸中はいかほどだろうか。
発端は3月下旬の大正製薬ホールディングスによる養命酒株売却だ。議決権比率で24%にあたる保有株をある投資会社に売却し、養命酒との資本・業務提携を解消した。
大量保有報告書では、湯沢という投資会社と共同保有者の野村幸弘氏が取得した。この野村氏、実はアクティビスト(物言う株主)として知られる村上世彰氏の身内だ。
野村氏は村上氏の長女である絢氏の夫で、湯沢の今回の株式取得資金もすべて野村氏が貸し付けた。野村氏が事実上の筆頭株主となることで、養命酒はいきなり厳しい監視の目にさらされる。
株売却の背景には、大正製薬の事実上のオーナーである上原家と野村氏の間の親交があった。MBO(経営陣が参加する買収)で巨額の借金を抱えた大正製薬は返済原資として保有株売却を進めていた。業務提携効果がほぼないという不満を抱え、養命酒株の保有意味も無くなっていた。
寝耳に水だったのが養命酒だ。大正製薬とは2005年に資本業務提携した。ちょうど米スティール・パートナーズが明星食品株を買い集め、食品・飲料業界で買収リスクが高まっていた時期だ。当時の養命酒の社長、塩沢太朗氏は「買収防衛効果もある」と語っていた。その後、大正製薬の株も買い、持ち合い関係になったが、大正製薬のMBOに応じたことで片持ち合いになっていた。
安定株主の存在に安住してきた養命酒の自己資本利益率(ROE)には課題がある。ここ数年、2%前後が続き、目安の8%に届かない。自己資本比率は8割を超え、資本ため込み型の低収益企業の典型といえる。
今回、村上氏は直接関与していないとみられる。また、野村氏はアクティビズムというよりは出光興産・昭和シェル石油の経営統合に関わり、出光による東亜石油の完全子会社化を後押しするなど再編を支援する立場で動いてきた。
とはいえ、養命酒に対し、野村氏が物言わぬ株主でいるとも思えない。養命酒は資本市場と向き合わざるを得なくなった事態を「良薬」にできるか。今回の事例は長年、持ち合いというよろいをまとい続けてきた日本企業全体の課題でもある。(編集委員 奥貴史)
デジタルグリッド(350A)、電力取引プラットフォーム(新規公開株の横顔)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 717文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)を使った電力取引のプラットフォーム運営を手がける。電気の売り手と買い手が自由に売買できる環境やAIを使った需要・供給量予測を提供し、手数料を得る。通常の電気に加え再生可能エネルギーも取り扱い、需要家は再生エネ割合などを自由に決めて調達できる。
2024年に蓄電池事業に進出した。蓄電所を保有し送電網につなぎ充放電したり、他社から運用を受託したりして収益を得る。
従来は単独決算だったが、蓄電池事業で子会社を設立したため、25年7月期から連結決算に移行する。売上高は55億円、純利益は15億円を見込む。再生エネ需要の高まりを背景に顧客企業が増えており、手数料収益が伸びる。調達資金は蓄電池事業への投資に充てる。株主還元策について豊田祐介社長は「当面は技術開発や事業拡大など成長投資を優先したい」と話す。
【4月22日 東証グロース上場】
(東京都港区、豊田祐介社長、03・6256・0008)
上場時発行済み株式数(株) 6,183,300
公募株式数(株) 250,000
売り出し株式数(株) 1,577,000
オーバーアロットメントに〓よる売り出し株式数(株) 274,000
申込期間 4月15~18日
払込期日 4月21日
主 幹 事 大和証券
会計監査人 EY新日本
証券略称 DG
2024/7 2025/7〓(予)
売 上 高(百万円) 3,515 5,587
純 利 益(百万円) 972 1,556
1株利益(円) 163.90 251.64
1株配当(円) 0 0
(注)2025年7月期から連結決算。2月12日付で1株を10株に分割。1株あたり数値は分割後ベース
J・フロントリテイリング、ドトール・日レスホールディングス、ティーケーピー、エディア、エコモット、他(自社株取得枠設定)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 265文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
J・フロントリテイリング 1150万株、150億円
ドトール・日レスホールディングス 350万株、50億円
ティーケーピー 300万株、35億円
エディア 50万株、2億円
エコモット 15万株、5000万円
コマースOneホールディングス 10万株、8500万円
エンゼルグループ 11万9500株、1億145万5500円
楽待 50万株、5億円
カワセコンピュータサプライ 13万株、3000万円
イズミ 100万株、33億500万円
テレビ朝日ホールディングス 200万株、30億円
Globee(立会外分売)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
▼立会外分売
Globee 22日~24日に10万株
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 17ページ 4357文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 11日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
ぷらっと 6 △6 1357 △34
イオレ 0 ▲36 214 △13
ベースフード 532 △9 18474 △3
アウン 11 △11 685 △87
スターシーズ 0 0 946 0
インタートレ 191 0 971 ▲13
サイトリ細研 0 0 1892 0
トミタ電機 0 0 254 0
HSHD 6 0 8847 △1
ReYuu 0 0 1364 △13
リベラウェア 0 0 1542 ▲1
Schoo 0 0 2880 △36
イントランス 0 0 8782 ▲70
ゼンムテック 2 ― 255 ―
BASE 514 ▲2 22836 △113
ペルセウス 0 0 2155 ▲23
モダリス 0 0 10501 ▲220
テクノロジー 0 0 4293 △2
アップバンク 0 0 2522 ▲13
BCC 0 0 216 0
グロームHD 0 0 2384 0
ピクセル 288 0 5968 0
LIEH 0 0 571 △10
ウイルコHD 0 0 484 ▲3
アクアライン 0 0 67 0
BEENOS 8 0 5 ▲16
CRE 0 0 2 0
プロト 0 0 0 ▲1
ドリームI 17 0 193 △3
フジHD 8451 ▲174 9376 △279
ヨータイ 5 ― 1120 ―
パイオラック 22 0 26 0
牧野フ 5 0 118 △12
ヤーマン 955 ▲4 316 ▲8
富士通ゼ 5 0 166 ▲71
ジャムコ 8 0 84 △10
トプコン 111 ▲1 675 △153
天馬 0 0 24 0
トナミHD 0 0 61 ▲32
内外トランス 0 0 26 △10
イオンディラ 3 0 16 △4
PバンCOM 6 0 307 0
Eストアー 0 0 5 ▲3
オートサーバ 0 0 58 0
全保連 0 0 323 △2
AIメカ 133 0 354 △7
インスペック 25 ▲2 257 △22
ナカヨ 0 0 0 0
芝浦電子 0 0 164 △6
NEWART 0 0 46 ▲3
アールシー 6 0 60 0
MUTOH 1 0 117 △1
丸藤パ 0 0 39 0
広電鉄 3 0 53 0
ユーラシア 0 0 74 0
グリンランド 0 0 15 0
アルテック 1 ▲5 2476 ▲17
ジェネパ 28 0 447 △13
フィスコ 258 ▲1 3259 △18
エコモット 8 0 217 △1
WACUL 21 ― 456 ―
カオナビ 0 0 6 0
※ 野村4百Dイ 5922 0 14222 ▲6391
※ 野村企業価値 0 0 0 0
※ 野村高配70 43 0 3182 ▲58
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 360 0
※ SMT好配当 0 0 2181 △1
※ SMD高配当 0 0 2990 △30
※ GXオフ日R 0 0 2 0
※ iS米25ヘ 1910 ▲450 703740 △3130
※ SMT内リ厳 0 0 1051 △1
※ GXLE日株 0 0 123 ▲87
※ SBIサウジ 0 0 1884 0
※ 野村ESGコ 0 0 880 0
※ GX日カバコ 0 0 6432 ▲321
※ 野村欧州株H 0 0 24890 △500
※ 野村独株H有 60 0 519280 △21610
※ 野村日気候 0 0 0 0
※ Oneサウジ 0 0 134 0
※ VIXETF 3660 △3200 139870 △2550
※ 野村米半導 0 0 7206 △3300
※ 阪急阪神R 599 0 496 ▲27
タマホーム 784 △42 318 △58
世紀東急 351 0 218 ▲10
柿安本店 277 ▲1 74 0
くら寿司 275 △22 321 ▲79
オイシックス 37 ▲3 645 ▲26
Jテック・C 6 0 197 ▲2
ケイアイ不 43 0 77 ▲2
グッドコムA 643 △16 597 ▲27
SMINOE 21 △16 64 ▲4
力の源HD 281 ▲3 265 △19
さくらネット 1918 ▲3 2547 △35
フリービット 411 △5 537 △6
gumi 618 ▲69 3776 △40
ACCESS 838 ▲6 1687 △13
小林製薬 92 ▲8 278 △1
エニーカラー 171 △31 612 △32
千葉興 91 0 1561 △6
神電鉄 23 0 12 0
サンウェルズ 2216 △12 1590 ▲5
JESCO 0 0 180 ▲10
佐田建 21 0 1298 ▲1
植木組 0 0 46 ▲1
三晃金 0 0 92 0
イメージワン 707 △329 1486 △165
焼肉坂井HD 8 △5 252 ▲7
パレモ・HD 91 ▲53 1298 ▲18
OCHIHD 9 0 12 0
菊池製作 76 △14 252 ▲1
マツオカ 11 0 632 △2
enish 559 △3 2320 △6
片倉コープ 16 0 164 0
アズジェント 4 0 81 0
HEROZ 234 △14 243 △4
SIGG 1 0 219 0
わかもと 190 0 1296 △40
秀英 0 0 72 0
富士興 1 0 43 △1
日山村硝 3 0 240 ▲1
ノザワ 0 0 204 ▲2
大阪製鉄 1403 0 1738 0
虹技 0 0 83 ▲1
アルメタクス 4 △1 273 ▲9
洋シャタ 0 0 146 △82
デザインワン 20 0 781 △6
土木管理 15 △1 378 △1
油研工 0 0 65 ▲6
ディスラプタ 4 0 536 ▲6
サクサ 2 0 162 0
星和電 1 0 135 0
池上通 3 △1 185 ▲1
沢藤電 0 0 111 0
大黒屋 1132 ▲455 8665 ▲502
upr 3 △2 169 0
近畿車 0 0 61 △1
あんしん保証 19 ▲2 580 △3
日本モゲジS 1 0 670 ▲29
河西工 106 0 1350 ▲28
エコーTD 9 △7 288 △9
パリミキHD 9 0 147 0
マックハウス 125 △2 135 ▲1
テイツー 1655 △90 9128 ▲238
京都友禅HD 157 ▲8 1050 ▲46
黒田精 4 △2 78 0
岡本硝子 140 ▲5 1680 △8
タカノ 1 0 88 0
ホクシン 28 △19 897 △25
ナイガイ 36 0 274 0
OUGHD 1 0 26 0
トルク 4 0 325 ▲4
オリンピック 0 0 104 △1
東北銀 0 0 62 △3
富山銀 25 △3 63 0
福島銀 160 0 1086 △41
太平発 2 △2 158 ▲6
明和地所 12 ▲1 70 0
ファースト住 38 △1 117 0
東陽倉 0 0 87 0
乾汽船 53 △4 247 △5
ワイヤレスG 16 0 441 △1
テアトル 16 0 20 0
日邦産業 8 0 148 0
ショクブン 8 0 77 △1
やまや 3 0 4 0
タイミー 1629 △184 2316 ▲273
サンクゼール 74 0 56 0
ファンデリー 256 △216 336 △111
すららネット 6 0 256 ▲2
T&S・G 75 0 248 △2
プレイド 203 △31 2862 △227
エーアイ 1 ▲1 238 0
Kudan 189 △4 696 △5
ミンカブ 331 ▲3 1100 0
OTS 3143 △1 10335 ▲718
Pアンチエイ 50 ▲4 205 △1
FIXER 256 △18 408 △11
弁護士COM 187 ▲1 284 0
MRT 1 0 103 0
レントラクス 4 0 322 ▲10
エヌピーシー 564 ▲1 1954 △111
アスタリスク 101 △7 418 △7
WASHハウ 30 △3 217 △2
PSS 235 0 965 △2
マイクロ波 449 ▲12 863 ▲6
日経300投信 1 0 8 0
※ SPDR金 140 △12 2781 △42
※ 野村金連動 3690 △50 89760 △2340
※ 日経2倍 1960 ▲843 41710 △1398
※ 日興高配低ボ 0 0 8 ▲2
※ 日興米債ヘ有 30 ▲18 4667 ▲80
※ One高配当 45 ▲5 2213 △42
※ スタンダ20 120 △20 1310 △500
※ H株ベア 160 ▲980 26130 ▲230
※ WTI原油 33497 ▲828 170412 △8439
※ 日興外債毎月 0 0 170 △40
※ GX印10+ 97 ▲78 54259 ▲785
※ iSインド株 880 ▲9310 937920 ▲4300
※ iF高リート 0 0 14886 ▲1
※ MXダウヘ有 1810 0 4000 △450
※ GXウラン 0 ▲100 22782 △526
※ iS米20 11970 △4120 354320 △90160
※ iS仏国債H 0 0 1520 0
※ GX高配30 61 △11 24572 △1477
※ iS日本国債 1084 ▲206 4497 ▲100
※ MXナスダク 6594 △45 39350 △1623
※ GXリー日株 0 ▲500 1876 ▲11
※ iFEナ百無 9364 △4035 159520 ▲2513
※ iFEナ百有 26356 △19 55916 △4813
※ 野村ナスH有 76080 △23500 116260 △10410
電子部品株に買い戻し、スマホ関税巡り 上値は追わず[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 679文字 PDF有 書誌情報]
14日の東京株式市場で電子部品関連株に買い戻しの動きが広がった。米国の関税政策を巡り、スマートフォン関連について「最悪のシナリオは回避された」と見なされたためだ。もっとも米国の関税政策は二転三転しており、不透明感から上値を追う動きは限られた。
「関税を理由に北米でのスマートフォン需要が減退する最悪のシナリオがいったんは回避された」。ニッセイアセットマネジメントの山本真以人チーフ・アナリストは米政権の発表をひとまずこう受け止める。
米政権が11日夜に明らかにした内容によるとスマホやパソコンおよび部品が広く相互関税の除外対象になった。半導体製造装置やサーバーなどに用いる記憶装置ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)なども外した。
ただラトニック米商務長官は13日、相互関税の対象から除外したスマホなど電子関連製品は半導体関連に焦点を絞った新たな分野別関税の対象になると明らかにした。1~2カ月後に詳細を打ち出すという。
米国にとってスマホやパソコンは対中依存度が高く、関税によって値上げがなされれば米国の消費者の生活に直結する。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2024年の中国からのスマホ輸入額は400億ドル(5・6兆円)を超え、スマホ輸入額全体の8割を占めた。
米消費者に配慮した現実路線への政策転換期待から、14日の東京市場では電子部品や半導体製造装置株が買われた。
米アップルのサプライヤーリストに名を連ねるTDKは一時6%高、太陽誘電は同7%高まで買われた。半導体関連株では東京エレクトロンが1%高、アドバンテストが5%高で取引を終えた。
年末1ドル141円89銭予想、QUICK調査、関税が米景気押し下げ[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 506文字 PDF有 書誌情報]
QUICKは14日、4月の外国為替市場の月次調査結果を公表した。2025年末時点の対ドルの円相場の予想は平均で1ドル=141円89銭だった。トランプ米大統領の関税政策が米国の景気を押し下げるとの回答が大半を占めた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げの見通しについては見方が分かれた。
調査は日経ヴェリタスと共同で7~9日に実施した。銀行や証券会社など外為市場関係者175人が対象で、71人から回答を得た。年末時点の円相場予想のうち、最も円安・ドル高水準だったのは159円、円高・ドル安だったのは120円だった。
トランプ米政権の関税政策が年内の米国の物価に与える影響については、関税政策が「小幅な上昇要因になる」が59%で最も多く、「大幅な上昇要因になる」が37%で続いた。年内の米国景気に与える影響については「押し下げ要因になる」との回答が9割を超えた。
今後のFRBの利下げ判断についてのコメントには「トランプ関税の発動で、米国のインフレ再燃は不可避。利下げ基調は頓挫」(証券会社)との見方があった。「FRBは米景気後退や雇用情勢の悪化に重きを置く可能性が高く、利下げ圧力は高まりやすい」との指摘もあった。
投機筋、円買い越し最大[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 498文字 PDF有 書誌情報]
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、ヘッジファンドなど非商業部門(投機筋)のドルに対する円の買い越し幅は8日時点で14万7067枚だった。前週から2割増え、過去最大だった3月11日時点の13万3902枚を上回った。トランプ米政権の関税政策が米景気を下押しするとの観測が広がり、低リスクとされる円を買う動きが強まった。
トランプ米政権が2日に相互関税を発表すると、市場では米経済の失速を見越した取引が活発になった。株価指数の低下やドル売りの動きが加速した。みずほ銀行がCFTCのデータから算出した、投機筋による主要8通貨に対する米ドル合成持ち高は8日時点で売り越しに転じた。
みずほ銀行の長谷川久悟マーケット・エコノミストは「米金融市場に対する信頼感が低下して米ドルが売られる一方、リスク回避のためスイスフランなどと並んで円が選好された」と話す。
関税を巡る日米交渉では、円安是正が材料になるとの見方もある。あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「市場参加者は円安是正の観点からも日銀が利上げの旗を降ろしにくいとみており、円買いポジションの構築には安心感がある」と話した。
出張料理事業 TKPが出資 ほっかほっか亭系[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 226文字 PDF有 書誌情報]
貸会議室大手のティーケーピーは14日、ケータリング事業などを手掛ける味工房スイセン(東京・品川)の発行済み株式の35%を譲り受け、持ち分法適用会社にすると発表した。TKPは運営する宴会場でのケータリングなどを内製化し、業務効率を改善する。味工房スイセン親会社で持ち帰り弁当「ほっかほっか亭」を運営するハークスレイと業務提携した。
同日、最大35億円の自社株買いも発表した。発行済み株式総数(自社株式を除く)の7%強にあたる300万株を上限に取得する。
ドトル日レス 自社株買い 最大50億円[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
ドトール・日レスホールディングスは14日、最大で50億円の自社株買いを実施すると発表した。発行済み株式総数(自己株式除く)の約8%に相当する。配当も2025年2月期に前の期比10円増の50円とし、従来計画より2円積み増した。同日発表した前期連結決算で純利益が過去最高だったことを受け、株主還元を強化している。
日証金、タマホーム株、イメージワン株、ファンデリー株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
日証金、タマホーム株、イメージワン株、ファンデリー株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。15日約定分から。
東証、CBGM株の制度信用銘柄の選定取り消し[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
東証、CBGM株の制度信用銘柄の選定取り消し 15日付。日証金も同日付で貸借融資銘柄と貸借担保金代用有価証券適格銘柄の選定取り消し。
東証、名証、制限値幅を拡大[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
東証、名証、制限値幅を拡大 ウッドF株を上限のみ1200円に拡大。15日に実施。
銘柄管理情報=整理銘柄に指定[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
▽整理銘柄に指定=〔東証スタンダード〕CBGMは4月14日(上場廃止は5月14日)
東証、制限値幅を拡大[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 WACUL株を上限のみ320円に拡大。15日に実施。
東証、モダリス株の日々公表銘柄指定を解除[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
東証、モダリス株の日々公表銘柄指定を解除 14日付。
<数表>第2四半期、第3四半期(決算数字)、業績予想修正・配当異動、ETF収益分配、財務短信[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 8576文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
ウエストホールディングス(1407)
23.9-24.2 199 2568 1864 45.8 0
24.9-25.2 148 1112 546 13.8 0
25.8予 564 11921 8010 202.0 65.0
JESCOホールディングス(1434)
23.9-24.2 58 102 521 75.8 0
24.9-25.2 86 615 381 55.1 0
25.8予 180 1750 1100 158.6 30.0
マテリアルグループ(156A)
23.9-24.2 26 412 275 28.0 0
24.9-25.2 30 387 238 24.4 0
25.8予 63 975 642 65.4 26.0
鉄人化ホールディングス(2404)
23.9-24.2 35 20 2 0.2 0
24.9-25.2 40 162 213 16.2 0
25.8予 80 158 105 8.0 0
■INGS(245A)
24.9-25.2 36 136 70 29.1 0
25.8予 78 472 301 119.8 0
出前館(2484)
23.9-24.2 255 ▲4310 ▲4240 ― 0
24.9-25.2 208 ▲1338 ▲1344 ― 0
25.8予 530 13 1 0.0 0
ククレブ・アドバイザーズ(276A)
24.9-25.2 16 511 350 91.8 0
25.8予 22 630 428 100.8 20.0
AFC-HDアムスライフサイエンス(2927) 5.19
23.9-24.2 145 1060 641 45.8 15.0
24.9-25.2 166 1332 881 62.7 16.0
25.8予 311 2200 1320 93.9 32.0
■カワサキ(3045) 5.13
23.9-24.2 11 194 139 64.9 22.0
24.9-25.2 11 258 169 78.7 25.0
25.8予 22 449 294 136.8 50.0
ハピネス・アンド・ディ(3174) 5.7
23.9-24.2 59 30 ▲19 ― 7.5
24.9-25.2 47 ▲97 ▲205 ― 7.5
ANAPホールディングス(3189)
24.9-25.2 5 ▲561 825 72.0 0
日創プロニティ(3440)
23.9-24.2 84 848 602 92.1 0
24.9-25.2 121 880 766 117.7 0
25.8予 202 1368 914 142.4 記40.0
■農業総合研究所(3541)
23.9-24.2 34 54 41 1.9 0
24.9-25.2 41 138 87 4.0 0
THE WHY HOW DO COMPANY(3823)
23.9-24.2 3 ▲123 ▲175 ― 0
24.9-25.2 8 ▲26 ▲69 ― 0
25.8予 17 51 5 0.1 0
エコモット(3987)
23.9-24.2 14 17 ▲26 ― 0
24.9-25.2 14 49 19 3.7 0
25.8予 29 40 21 4.0 0
ペイクラウドホールディングス〓(4015)
23.9-24.2 19 77 ▲14 ― 0
24.9-25.2 48 397 213 13.5 0
ココナラ(4176)
23.9-24.2 27 156 139 5.8 0
24.9-25.2 47 171 160 6.7 0
25.8予 95 180 130 5.5 0
■ワンダープラネット(4199)
23.9-24.2 12 129 105 41.6 0
24.9-25.2 11 ▲62 ▲91 ― 0
■サイエンスアーツ(4412)
23.9-24.2 5 ▲16 ▲16 ― 0
24.9-25.2 7 17 14 2.0 0
25.8予 15 28 20 2.5 0
ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス(4433) 5.16
23.9-24.2 298 1261 543 30.5 17.5
24.9-25.2 309 1279 565 31.7 18.0
25.8予 623 2205 1073 60.1 36.0
東名(4439) 5.19
23.9-24.2 110 973 599 80.5 0
24.9-25.2 145 1783 1244 83.4 7.0
25.8予 299 2908 2005 133.8 15.0
トリプルアイズ(5026)
23.9-24.2 20 33 29 4.1 0
24.9-25.2 27 83 37 4.6 0
25.8予 59 98 30 3.6 0
■ABEJA(5574)
23.9-24.2 14 202 170 19.4 0
24.9-25.2 18 292 244 26.2 0
25.8予 34 373 359 38.2 0
プロディライト(5580)
24.9-25.2 13 56 30 18.4 0
25.8予 28 193 127 75.9 0
日本PCサービス(6025)
23.9-24.2 30 16 49 28.5 0
24.9-25.2 32 1 ▲12 ― 0
25.8予 68 184 120 69.0 0
セラク(6199)
23.9-24.2 108 1125 769 55.4 0
24.9-25.2 122 1388 918 68.1 0
25.8予 245 2550 1720 127.8 13.2
アスタリスク(6522)
23.9-24.2 6 ▲121 ▲197 ― 0
24.9-25.2 8 ▲18 ▲23 ― 0
25.8予 22 39 15 2.0 0
and factory(7035)
24.9-25.2 15 ▲122 ▲152 ― 0
25.8予 32 ▲310 ▲380 ― 0
ユーピーアール(7065)
23.9-24.2 77 542 317 41.5 0
24.9-25.2 75 337 143 18.8 0
25.8予 156 700 380 49.6 25.0
カーブスホールディングス(7085) 5.12
23.9-24.2 170 2792 1805 19.6 6.0
24.9-25.2 181 3330 2108 22.9 8.0
25.8予 380 6250 4000 43.5 17.0
グッドパッチ(7351)
23.9-24.2 20 78 42 4.7 0
24.9-25.2 24 340 231 26.2 0
25.8予 49 422 273 31.4 0
TWOSTONE&Sons(7352)
23.9-24.2 64 65 13 0.3 0
24.9-25.2 89 802 539 12.5 0
25.8予 186 1001 580 13.3 0.5
■プリントネット(7805)
23.9-24.2 47 190 58 12.0 0
24.9-25.2 44 253 232 48.1 0
25.8予 94 522 318 65.8 13.0
トランザクション(7818)
23.9-24.2 127 2857 1892 65.0 0
24.9-25.2 135 2918 1966 68.2 0
25.8予 279 5959 3915 135.8 55.0
旭化学工業(7928) 5.19
23.9-24.2 38 29 23 7.6 5.0
24.9-25.2 44 49 5 1.8 5.0
さいか屋(8254)
23.9-24.2 26 58 48 9.8 0
24.9-25.2 23 103 99 20.1 0
25.8予 45 106 100 20.2 0
AVANTIA(8904) 5.20
23.9-24.2 318 0 21 1.5 19.0
24.9-25.2 269 ▲247 ▲330 ― 19.0
25.8予 730 1100 700 48.5 38.0
フューチャーリンクネットワーク〓(9241)
23.9-24.2 8 ▲7 ▲10 ― 0
24.9-25.2 8 ▲5 ▲24 ― 0
25.8予 17 28 77 91.3 0
ラストワンマイル(9252)国際基準 5.30
23.9-24.2 52 269 180 66.4 0
24.9-25.2 74 701 434 136.1 10.0
25.8予 140 1100 723 224.8 20.0
ポエック(9264)
23.9-24.2 41 370 233 50.8 0
24.9-25.2 52 513 320 68.7 0
25.8予 105 1000 600 127.7 70.0
大庄(9979) 5.21
23.9-24.2 250 729 852 40.6 6.0
24.9-25.2 262 594 708 33.8 6.0
25.8予 520 1184 1180 56.2 14.0
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
ファーストコーポレーション(1430)
23.6-24.2 209 1232 864 72.5
24.6-25.2 347 1810 1199 100.4
日本国土開発(1887)
23.6-24.2 984 ▲10692 ▲7057 ―
24.6-25.2 882 1712 719 9.0
PostPrime(198A)
24.6-25.2 6 196 104 10.4
ロゴスホールディングス(205A)
23.6-24.2 202 357 181 4.7
24.6-25.2 205 ▲571 ▲461 ―
25.5予 354 165 6 1.5
パソナグループ(2168)
23.6-24.2 2655 4622 ▲753 ―
24.6-25.2 2289 ▲842 ▲6163 ―
グロービング(277A)
24.6-25.2 59 2105 1226 227.4
25.5予 81 2587 1500 52.2
ジェイフロンティア(2934)
23.6-24.2 123 ▲551 ▲637 ―
24.6-25.2 163 175 121 24.4
25.5予 210 140 40 7.7
パシフィックネット(3021)
23.6-24.2 49 389 256 49.3
24.6-25.2 58 491 318 60.6
■プロパスト(3236)
23.6-24.2 206 2713 1892 55.4
24.6-25.2 231 2367 1635 48.5
25.5予 277 2720 1882 56.3
■東武住販(3297)
23.6-24.2 49 121 84 31.0
24.6-25.2 56 231 153 56.7
コスモス薬品(3349)
23.6-24.2 7153 25914 17357 438.1
24.6-25.2 7522 33771 22343 281.9
■ジグザグ(340A)
24.6-25.2 10 268 176 90.0
サイバーステップ(3810)
23.6-24.2 22 ▲1250 ▲1179 ―
24.6-25.2 19 ▲1595 ▲1226 ―
テンダ(4198)
23.6-24.2 35 335 198 91.2
24.6-25.2 41 380 234 35.5
25.5予 55 510 327 49.3
東海ソフト(4430)
24.6-25.2 76 957 633 132.6
25.5予 104 1130 800 167.2
1株配(円) 25.5予=52.0
ダイト(4577)
23.6-24.2 346 3122 2339 148.4
24.6-25.2 366 2033 1217 79.7
25.5予 490 2600 1500 99.3
■室町ケミカル(4885)
23.6-24.2 44 245 190 48.2
24.6-25.2 48 355 248 62.4
■Globee(5575)
23.6-24.2 9 236 156 31.4
24.6-25.2 11 324 223 44.1
■ジーデップ・アドバンス(5885)
23.6-24.2 32 451 313 238.5
24.6-25.2 54 677 468 87.5
25.5予 66 781 529 98.1
1株配(円) 25.5予=23.0
※24.12.1付で1:4分割
TONE(5967)
23.6-24.2 50 552 403 36.5
24.6-25.2 52 674 492 45.0
Gunosy(6047)
23.6-24.2 56 ▲859 ▲913 ―
24.6-25.2 46 391 204 8.5
タケダ機械(6150)
23.6-24.2 40 541 355 386.2
24.6-25.2 36 349 230 250.7
Enjin(7370)
23.6-24.2 23 750 511 71.3
24.6-25.2 19 495 299 42.7
佐鳥電機(7420)
23.6-24.2 1073 2556 1659 114.2
24.6-25.2 1149 2127 1421 99.1
オータケ(7434)
24.6-25.2 244 869 591 149.2
シー・エス・ランバー(7808)
23.6-24.2 158 1690 1159 626.8
24.6-25.2 150 1193 828 448.0
■クミカ(8887)
23.6-24.2 24 54 ▲73 ―
24.6-25.2 37 178 ▲510 ―
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
大光(3160)
1株配(円) 25.5予=14.0 (24.5=12.0)
セブン&アイ・ホールディングス(3382)
25.3-8 57850 ★ ★
26.2 107220 ★ ★
ビーロット(3452)
25.12 ― 6250 4300
1株配(円)〓25.12予=70.0 (24.12=61.0)
■ネットイヤーグループ(3622)
25.3 33 83 ▲33
オウケイウェイヴ(3808)
25.6 2 ▲186 ▲163
■阪神内燃機工業(6018)
25.3 133 680 510
SMN(6185)
25.3 116 165 290
ツツミ(7937)
1株配(円) 25.3予=80.0 (24.3=60.0)
新光商事(8141)
25.3 1160 640 500
三谷産業(8285)
25.3 1030 2650 2440
1株配(円) 25.3予=10.0 (24.3=9.0)
丸紅建材リース(9763)
25.3 228 1722 1270
1株配(円)〓25.3予=140.0 (24.3=115.0)
〓〓 2025年4月11日計算期末、 〓〓
それ以外は特記
iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)(1482)
1口分配(円)=16.0
iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)(1496)
1口分配(円)=19.0
iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF(為替ヘッジあり)(1497)
1口分配(円)=23.0
iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(1656)
10口分配(円)=26.0
SMT ETF日本好配当株アクティブ(170A)
1口分配(円)=28.0
iシェアーズ 米国債0-3ヶ月 ETF(2012)
10口分配(円)=0
iシェアーズ 米国債20年超 ETF(2255)
10口分配(円)=18.0
iシェアーズ 米国総合債券 ETF(2256)
10口分配(円)=19.0
iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(2257)
10口分配(円)=19.0
iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF(2258)
10口分配(円)=29.0
iシェアーズ フランス国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)(2259)
10口分配(円)=13.0
iシェアーズ 日本国債7-10年 ETF(236A)
10口分配(円)=10.0
iシェアーズ 米国債25年超 ロングデュレーション ETF(237A)
10口分配(円)=41.0
iシェアーズ 米国債25年超 ロングデュレーション ETF(為替ヘッジあり)(238A)
10口分配(円)=30.0
東証REIT ETF(2555)
10口分配(円)=200.0
(2025年4月12日計算期末)
iシェアーズ・コア 日本国債 ETF(2561)
1口分配(円)=5.0
iシェアーズ 米国債1-3年 ETF(2620)
10口分配(円)=32.0
iシェアーズ 米国債20年超 ETF(為替ヘッジあり)(2621)
1口分配(円)=11.0
iシェアーズ 米ドル建て新興国債券 ETF(為替ヘッジあり)(2622)
1口分配(円)=20.0
iシェアーズ ユーロ建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)(2623)
1口分配(円)=48.0
iシェアーズ 米国政府系機関ジニーメイMBS ETF(為替ヘッジあり)(2649)
10口分配(円)=71.0
iシェアーズ 気候リスク調整世界国債 ETF(除く日本・為替ヘッジあり)(2853)
10口分配(円)=39.0
iシェアーズ 米国債3-7年 ETF(為替ヘッジあり)(2856)
10口分配(円)=50.0
iシェアーズ ドイツ国債 ETF(為替ヘッジあり)(2857)
10口分配(円)=74.0
パソナグループ(2168)
自己株式消却=150万株(4月30日予定)
INGS(245A)
減資=5月30日付で資本金の額を4億5735万5000円減少▽新資本金=1000万円
ZenmuTech(338A)
第三者割当増資=4万3200株に確定
デジタルグリッド(350A)
発行・売出価格=4520円
Delta-Fly Pharma(4598)
第10回新株予約権2万4300個▽潜在株式数=243万株▽発行価格=1個につき105円▽割当先=マッコーリー・バンク▽払込日=4月30日▽行使期間=5月1日~2027年4月30日▽当初行使価格=1株につき448円
MS&Consulting(6555)
自己株式処分=21万2400株▽処分価格=416円▽処分日=5月1日▽処分先=Wiz
スズキ(7269)
売出価格=1492円▽申込期間=4月15~16日▽受渡日=4月21日
バリュークリエーション(9238)
減資=7月10日付で資本金の額を1億783万9360円減少▽新資本金=5000万円
ポエック(9264)
第1回無担保新株予約権付社債20億円▽潜在株式数=156万3721株▽償還期限=2030年4月30日▽払込日=4月30日▽利率=0%▽発行価格=100円▽割当先=野村キャピタル・パートナーズ第二号投資事業有限責任組合▽行使期間=5月1日~2030年4月30日▽当初転換価格=1279円
テレビ朝日ホールディングス(9409)
売り出し=785万2200株▽オーバーアロットメントによる売り出し=上限117万7800株
東宝(9602)
自己株式消却=1049万633株(4月30日予定)
株乱高下、苦肉の「現金化」 コモンズ・ひふみ、投信の配分1割に、半導体関税・日米交渉見極め(スクランブル)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1488文字 PDF有 書誌情報]
日本株を運用する機関投資家がジレンマに直面している。「トランプ関税」による株価乱高下に対し、保有株の一部現金化で思わぬ損失を回避しようとしているが、相場急回復時のリターンを取り損ねる可能性もある。現金をすべて株式投資に振り向ける「フルインベストメント」状態にいつ戻すのか。手腕が問われようとしている。
東京・青山に本社を構える独立系運用会社のコモンズ投信。トランプ米政権が2日に相互関税の発動を宣言して以降、オフィスには緊張感が漂う。日経平均株価が過去2番目の上げ幅を記録した10日も高揚感はなかった。まずは顧客から預かった資産をどう守るのかを最優先に考える。
「かなり細かくポートフォリオを調整している」。コモンズの伊井哲朗社長はこう明かす。例えば含み益のある半導体関連株については、乱高下の上昇局面でいったん利益を確定し、手元資金を積み増した。運用する投資信託「コモンズ30ファンド」と「ザ・2020ビジョン」の現金比率は10%前後になった。3月末時点では1ケタ台前半にすぎなかった。
レオス・キャピタルワークスが主に日本株で運用する投信「ひふみ投信」も守りを固める。母体となるファンドの現金比率は3月末時点で11・5%まで高まった。運用者である藤野英人社長は「4月も現金比率を高めている」と明かす。
コモンズとレオスが足元の水準まで現金比率を高めたのは2022年夏以来、約2年半ぶりだ。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを維持する方針を表明し、米国株は大幅安となった。景気よりインフレ抑制を優先する姿勢はサプライズとなり、日本株も調整を迫られた。
個人や年金などの資金を預かるプロの機関投資家はフルインベストメントが原則だ。顧客は運用者の選別眼に期待し、資金を預けている。ファンドが現金を保有し続けるのであれば、インデックス投信に比べて高い手数料を払う意味はない。
コモンズやレオスのファンドは設計上、現金比率を数十%まで高められるようになっている。コモンズの投信は現金部分1割を除いた投資で配当込み東証株価指数(TOPIX)並みの運用成績を残しており、ひとまず守りの戦略は奏功したといえるが、どこかのタイミングで全額投資への転換を迫られる。
今回、両ファンドが現金比率を高めたのは、米中間の貿易戦争が激化し一段の株安のリスクがあるためだ。トランプ米大統領や政権高官の発言次第で相場の方向感も日々入れ替わっている。
企業業績にも確信は持てない。建機関連の竹内製作所は11日、2026年2月期の連結純利益が前期比12%増の292億円と、2期ぶりに過去最高益を更新するとした。だがトランプ関税の影響を予想に織り込めておらず、14日は一時5%安と逆行安を演じた。
伊井社長はトランプ米大統領の関税策の先行きを見極めようとしている。まずは半導体関連に対象を絞った分野別関税の詳細公表だ。重い関税がかかるとなれば、影響を受けにくいエンタメ関連に持ち高を傾ける。逆に業績への影響が軽いとみれば、半導体関連に見直し買いを入れることを考えているという。
日米の関税交渉も焦点だ。最大の焦点である自動車関税で何らかの成果が出れば、自動車関連の銘柄にも買いを入れやすくなるとみる。
QUICKが発表した4月の株式月次調査によると、ファンドでの国内株式の組み入れ比率を「中立」とする回答が59%に上った。多くの投資家が様子見だ。いち早く相場の転換点を読み切れば、ライバルに運用成績で「勝利」することができる。プロたちにとって25年の重要局面が近づいていることは間違いない。(坂部能生)
自由貿易揺るがす米国の愚行(大機小機)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 934文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が打ち出した急激、広範囲かつ高率の関税に世界は動揺している。「最終的には株価が急落するようなことはしないはずだ」という市場の慢心は崩れ去った。「米国主導の国際秩序の転機」も指摘されている。確かに今回の米国の「自爆」により、盤石だったドル基軸通貨体制に衰退の可能性さえ見えてきた。ただ、さらに深い人類史的考察も重要だ。
産業革命と政治の民主化により、人類の自由と経済水準が格段に高度化したのが19世紀。それを可能とした制度は国民国家だ。大衆民主制により財政を安定させ、公共財を供給し国民生活を規制により守り、社会保障も提供する。20世紀初頭にかけグローバリゼーションも進展した。
他方で国民国家は産業と技術の発展の上に強力な軍事力を築き、競い合った。1914年から45年にかけ、強大化した国民国家間の大規模な戦闘が頻発した。人々の安心は脅かされ、被害は甚大だった。ある推計では第2次大戦の犠牲者は軍民合わせて5千万人から8千万人とされる。
戦勝国、敗戦国を問わず、当時の政治指導者が受けた衝撃は大きかった。世界的に共有された深い反省こそが国連、国際通貨基金(IMF)・世界銀行、関税貿易一般協定(GATT)などの国際機関設置の背景にあった。自由貿易体制は米国が主導したのは確かだが、各国にもそれを受け入れる素地があった。
また欧州連合(EU)は、戦乱を繰り返した欧州を経済の一体化によって平和化するプロジェクトでもあった。45年以降、民主国家の連合は冷戦の「核恐怖の均衡」の下でも結束を保った。戦争被害は根絶できなかったが、歴史的には低水準となり、人類は人口急増の中で未曽有の経済発展を80年間享受してきた。
今回の米国の「自由貿易への反逆」は、単に自己矛盾というだけでなく、人類史の時計の針を1世紀戻してしまう愚行として歴史的だと言えるだろう。国民国家の紛争には警察も裁判所もなく、放置すれば紛争は際限なく広がり世界が混沌化する危険は常にある。民主的価値を共有しない軍事大国が存在するだけになおさらだ。20世紀の経験への深刻な反省を共有する国家間の協力以外に人類の繁栄を維持できるものはない。歴史の経験への洞察が今ほど必要な時はないだろう。(青獅子)
株式 反発、米株上昇受け396円高(市場往来)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 170文字 PDF有 書誌情報]
14日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、終値は前週末比396円78銭(1.18%)高の3万3982円36銭だった。11日に米株式相場が上昇したのを受けて、目先の株価の戻りに期待した海外投機筋が株価指数先物に断続的な買いを入れた。日経平均は11日に1000円超下落したため自律反発狙いの買いも入り、上げ幅は700円を超える場面もあった。
月島HD、三陽商、ソニーG、良品計画(注目株概況)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 130文字 PDF有 書誌情報]
旧村上ファンド系が前週に株式の大量保有を公表。年初来高値を更新。
今期純利益は2%増どまり。中期計画公表も材料出尽くしで株価下落。
欧州や豪州などで家庭用ゲーム機を値上げすると発表。収益改善に期待も。
今期業績見通しを上方修正するも売り優勢に。中国事業の減速を懸念。
商品 原油続落、米関税を注視(市場往来)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で原油は続落した。トランプ関税の詳細を見極めたいとする投資家が多かった。円高に振れる場面で円建てで取引される国内の原油先物の割高感を意識した売りがでた。
為替 円反落、143円06~08銭(市場往来)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 81文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は反落した。午後5時時点は1ドル=143円06~08銭と前週末の同時点に比べ23銭の円安・ドル高。株高で買い持ち高縮小の動きが広がった。
金利 10年債利回り、1.335%に上昇(市場往来)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 80文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債利回りは上昇(価格は下落)した。前週末比0.065%高い1.335%で取引を終えた。株高を受けて安全資産の債券は売り優勢だった。
<数表>日経平均先物の主な建玉[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 307文字 PDF有 書誌情報]
日経平均先物の主な建玉
( 11 日現在、大取、単位枚)
差し引き 差し引き
▽ 6 月物 売り残 買い残
HSBC 29279 野 村 48354
Gサックス 17033 SMBC日興 9160
みずほ証 10779 シティG証 6099
ソシエテ 9640 大 和 4609
ABNアムロ 4462 UBS 3973
モルガンS 4115 BofA証 3294
BNPパリバ 2853 バークレイ 1680
三菱UFJモ 1386 日産証 1421
ナティクシス 739 東海東京 1042
サスケハナ 461 SBI証 680
<数表>金利一覧[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 211文字 PDF有 書誌情報]
金利一覧
(14日現在、年、%)
▽基準貸付金利(公定歩合)
日 本 0.75
▽誘導政策金利
日 本(翌日物) 0.50
米 国(FF金利)
4.25~4.50
ユーロ圏 2.65
(市場介入金利)
▽プライムレート
短 期 1.875
長 期 2.050
変動長期
(3年以内) 2.175
(3年超) 2.375
▽大口定期預金(3カ月)
5億円以上 0.2500
<数表>マネタリーベース、日銀帳尻[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 27ページ 134文字 PDF有 書誌情報]
マネタリーベース(日銀、億円)
11日 前日
6,490,500 6,511,400
……………………………………
日銀帳尻( 11日 、億円)
前日比
発券高 1,180,735 ▲845
貸出高 968,119 0
国債残高 5,756,911 0
<数表>4月14日(市場体温計)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 28ページ 2660文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 33982円36銭(+396円78銭)
騰落率= +1.181%
東証株価指数(TOPIX) 2488.51 (+21.60)
騰落率= +0.875%
売買代金 3879158百万円 (-1562135百万円)
売 買 高 168974万株 (-74566万株)
売買単価 2295.7円
売買高上位10銘柄の占有率 29.2%
〓-〓 上場銘柄数 1637 値上がり 1322 〓-〓
売買成立 1637 値下がり 276 変わらず 39
新値株 (年初来) 高 値 72 安 値 5
騰落レシオ(25日移動平均) 89.94%
時価総額 8642448億円 (+76218億円)
普通株式数(百万株) 499745 1株当たり時価(円) 1729.36
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 13.62 ( 14.65 ) 1.25 2.33 ( 2.04 )
JPX日経400採用銘柄 13.49 ( 14.01 ) 1.35 2.41 ( 2.22 ) 2.67 ( 2.34 )
東証プライム全銘柄 13.63 ( 14.68 ) 1.20 2.78 ( 2.48 ) 2.66 ( 2.33 )
東証スタンダード全銘柄 13.31 ( 15.15 ) 0.96 2.72 ( 2.59 ) 2.48 ( 2.54 )
東証グロース全銘柄 36.36 ( 141.23 ) 3.08 0.89 ( 0.78 ) 0.64 ( 0.57 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.33 %
前期基準 6.80 %
14
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 535.02 ( +4.44)
日経500種平均株価 3030円51銭 ( +36円13銭)
日経平均高配当株50指数 62908.80 ( +478.87)
日経連続増配株指数 46791.17 ( +579.20)
日経累進高配当株指数 42417.80 ( +422.24)
日経半導体株指数 7124.66 ( +149.18)
日経平均内需株50指数 26592.83 ( +170.84)
日経平均外需株50指数 31717.03 ( +418.80)
日経平均トータルリターン 61221.60 ( +714.83)
日経平均VI先物指数 6331.65 ( -1.23%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2476円92銭 ( +28円05銭)
東証規模別株価指数
大型 2424.68 ( +20.01)
中型 2703.66 ( +24.05)
小型 4263.36 ( +49.08)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1620.24 (+22.34)
…
ド ル/円 1 ド ル = 143.06~143.08円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 162.94~162.98円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1389~1.1391ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3262.8075 (+24.5807)
韓国総合(韓国) 2455.89 (+23.17)
ハンセン(香港) 21417.40 (+502.71)
加権(台湾) 19513.09 (-15.68)
VN(ベトナム) 1241.44 (+18.98)
クアラルンプール総合 1480.86 (+26.10)
ST(シンガポール) 3548.91 (+36.38)
ジャカルタ総合 6368.517 (+106.291)
SET(タイ) 休 場
オールオーディナリーズ(豪) 7959.7 (+106.0)
新発10年国債利回り 1.335% ( +0.065)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( 0)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 14877 円 (-53円)
ドバイ原油(1キロリットル) 54550 円 (+500円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
642.52 (-6.35)
工業品 648.48 (-6.77)
始値 34006円37銭 高値 34325円59銭 ( 9時12分 )
午前終値 34115円52銭 安値 33887円70銭 ( 10時51分 )
JPX日経 インデックス400 22583.90 (+204.65)
JPX日経中小型 17897.61 (+219.57)
日経気候変動指数 33741円47銭 (+442円36銭)
JPXプライム150指数 1090.28 (+8.80)
東証プライム市場指数 1280.70 (+11.13)
東証スタンダード市場指数 1221.20 (+7.34)
東証グロース市場指数 810.81 (+4.74)
東証グロース市場250指数 633.92 (+2.52)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1712.52 (+5.41)
日経ESG―REIT指数 953.26 (+2.76)
日経高利回りREIT指数 1227.52 (+2.73)
……………………………………………………………………
日経平均VI 38.91 (-5.45)
日経配当指数(2025年) 22円03銭
<数表>4月14日商品先物[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 28ページ 5776文字 PDF有 書誌情報]
( 14 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 14779 14952 14779 14814 △ 1
6月 14756 14973 14721 14800 ▲24
8月 14823 15015 14773 14816 ▲46
10月 14772 15000 14723 14821 ▲48
12月 14799 15036 14746 14837 ▲56
2月 14840 15074 14785 14877 ▲53
《金ミニ》(1グラム)
4月 14815.0 14849.5 14815.0 14814.0 △1.0
6月 14783.0 14954.0 14783.0 14800.0 ▲24.0
8月 14880.0 14933.0 14829.0 14816.0 ▲46.0
10月 14823.0 14948.5 14803.0 14821.0 ▲48.0
12月 14792.0 15026.5 14748.0 14837.0 ▲56.0
2月 14841.5 15066.5 14781.0 14877.0 ▲53.0
《金限日》(1グラム)
15133 15304 15109 14777 ▲15
《白金》(1グラム)
4月 4337 4362 4280 4335 ▲ 4
6月 4316 4342 4302 4304 △14
8月 4279 4318 4279 4309 △26
10月 4319 4340 4302 4313 △23
12月 4317 4342 4269 4309 △16
2月 4277 4310 4227 4274 △19
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4300.0 4302.0 4300.0 4335.0 ▲4.0
6月 ― ― ― 4304.0 △14.0
8月 4289.0 4289.0 4289.0 4309.0 △26.0
10月 4292.5 4305.5 4292.5 4313.0 △23.0
12月 4310.0 4325.0 4306.0 4309.0 △16.0
2月 4260.0 4304.5 4227.0 4274.0 △19.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4402 4469 4382 4313 △12
《銀》(1グラム)
4月 141.9 141.9 141.9 141.9 △3.9
6月 ― ― ― 142.0 △4.0
8月 ― ― ― 143.0 △4.0
10月 ― ― ― 144.0 △4.0
12月 ― ― ― 145.0 △4.0
2月 ― ― ― 146.0 △1.0
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4400 0
6月 ― ― ― 4400 0
8月 ― ― ― 4400 0
10月 ― ― ― 4400 0
12月 ― ― ― 4400 0
2月 ― ― ― 4400 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 153.50 △2.90
6月 ― ― ― 152.25 △2.70
7月 ― ― ― 151.15 △2.45
8月 ― ― ― 150.15 △2.20
9月 ― ― ― 147.80 △2.00
10月 ― ― ― 147.05 △1.80
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 60910 61810 60810 61100 ▲200
5月 57740 58700 57740 58310 ▲140
6月 57170 57460 57170 57370 △70
7月 56990 56990 56300 56540 ▲380
8月 55730 56420 54660 55960 ▲400
9月 55250 56200 54180 55450 ▲480
10月 ― ― ― 55020 ▲520
11月 55430 55430 55430 55430 △860
12月 ― ― ― 54370 ▲20
1月 ― ― ― 54130 ▲580
2月 ― ― ― 53970 ▲590
3月 ― ― ― 53820 ▲610
4月 ― ― ― 53690 ▲620
5月 ― ― ― 53560 ▲620
6月 54860 54860 54550 54550 △500
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 ▲3000
6月 ― ― ― 87000 ▲3000
7月 ― ― ― 87000 ▲3000
8月 ― ― ― 87000 ▲3000
9月 ― ― ― 87000 ▲3000
10月 ― ― ― 87000 ▲3000
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 87000 ▲3000
6月 ― ― ― 87000 ▲3000
7月 ― ― ― 87000 ▲3000
8月 ― ― ― 87000 ▲3000
9月 ― ― ― 87000 ▲3000
10月 ― ― ― 87000 ▲3000
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 91900 ▲700
6月 ― ― ― 91400 ▲700
7月 ― ― ― 90900 ▲700
8月 ― ― ― 90400 ▲700
9月 ― ― ― 89900 ▲700
10月 ― ― ― 89500 ▲700
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 296.5 300.5 296.5 300.5 △4.0
5月 299.2 301.0 296.5 301.0 △4.5
6月 293.9 304.0 293.0 302.8 △7.4
7月 293.7 304.3 293.7 303.3 △6.4
8月 294.9 305.2 294.0 303.3 △5.7
9月 295.2 305.0 293.6 303.1 △5.5
10月 303.8 303.8 303.8 303.8 △9.5
11月 ― ― ― 302.0 △8.0
12月 ― ― ― 304.0 △8.0
1月 ― ― ― 306.0 △8.0
2月 ― ― ― 307.0 △8.0
3月 ― ― ― 307.0 △8.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 244.0 △6.0
6月 ― ― ― 244.0 △6.0
7月 ― ― ― 245.0 △6.0
8月 ― ― ― 245.0 △6.0
9月 ― ― ― 245.0 △6.0
10月 ― ― ― 245.0 △6.0
11月 ― ― ― 245.0 △6.0
12月 ― ― ― 246.0 △6.0
1月 ― ― ― 246.0 △6.0
2月 ― ― ― 246.0 △6.0
3月 ― ― ― 246.0 △6.0
4月 ― ― ― 246.0 △6.0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 92000 0
6月 ― ― ― 92000 0
7月 ― ― ― 92000 0
8月 ― ― ― 92000 0
9月 ― ― ― 92000 0
10月 ― ― ― 92000 0
《トウモロコシ》(1トン)
5月 ― ― ― 40000 0
7月 39020 39020 39020 39020 △20
9月 ― ― ― 40000 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 36800 0
3月 ― ― ― 40000 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
4月 ― ― ― 64000 0
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 12.51 ▲0.14
5月 ― ― ― 11.30 ▲0.16
6月 ― ― ― 12.33 ▲0.15
7月 ― ― ― 13.55 ▲0.33
8月 ― ― ― 14.71 ▲0.36
9月 ― ― ― 13.83 ▲0.31
10月 ― ― ― 12.61 ▲0.18
11月 ― ― ― 12.96 ▲0.35
12月 ― ― ― 13.35 ▲0.40
1月 ― ― ― 13.60 ▲0.39
2月 ― ― ― 13.45 ▲0.40
3月 ― ― ― 11.19 ▲0.50
4月 ― ― ― 11.20 △0.11
5月 ― ― ― 10.99 △0.14
6月 ― ― ― 11.95 △0.18
7月 ― ― ― 12.99 △0.19
8月 ― ― ― 15.09 △0.26
9月 ― ― ― 12.77 △0.19
10月 ― ― ― 11.38 △0.15
11月 ― ― ― 12.06 △0.15
12月 ― ― ― 13.08 △0.17
1月 ― ― ― 13.82 △0.21
2月 ― ― ― 13.09 △0.14
3月 ― ― ― 11.22 △0.10
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.66 △0.02
5月 ― ― ― 8.66 ▲0.14
6月 ― ― ― 9.92 ▲0.23
7月 ― ― ― 12.10 ▲0.14
8月 ― ― ― 13.00 ▲0.38
9月 ― ― ― 12.21 ▲0.25
10月 ― ― ― 9.61 ▲0.14
11月 ― ― ― 10.19 ▲0.27
12月 ― ― ― 10.89 ▲0.28
1月 ― ― ― 12.60 ▲0.27
2月 ― ― ― 11.84 ▲0.22
3月 ― ― ― 9.27 ▲0.27
4月 ― ― ― 9.22 ▲0.20
5月 ― ― ― 8.95 ▲0.11
6月 ― ― ― 9.77 ▲0.08
7月 ― ― ― 10.65 ▲0.09
8月 ― ― ― 12.44 ▲0.10
9月 ― ― ― 10.64 ▲0.10
10月 ― ― ― 9.44 ▲0.10
11月 ― ― ― 10.28 ▲0.11
12月 ― ― ― 11.52 ▲0.11
1月 ― ― ― 12.22 ▲0.10
2月 ― ― ― 11.51 ▲0.11
3月 ― ― ― 9.83 ▲0.13
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 41032 42716
金ミニ 15866 8234
金限日 2488 42732
白金 5006 28172
白金ミニ 504 2469
白金限日 2053 38473
銀 1 137
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 2413 26504
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 1093 3455
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 1 91
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 20 8968
電力西ベース 12 745
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 9245 53429
堂島白金 133 2155
堂島銀 116 1369
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
14830.0 15030.0 14751.1 14805.8 ▲26.9
《白金》(1グラム)
4356.5 4428.3 4356.5 4367.4 △15.1
《銀》(1グラム)
147.11 151.95 147.11 146.83 △1.94
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
5月 ― ― ― 39000 0
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
<数表>4月11日エネルギー・環境市場[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 28ページ 3506文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 14 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 16293
ソシエテ 13311
サスケハナ 4540
バークレイ 2714
Jモルガン 2615
野 村 2140
SBI証 2070
モルガンS 2058
日産証 1982
Gサックス 1467
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 141.07 141.44 142.04 140.81 141.12 0.05
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.337 32418 126096 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
142.25 ― ― ― ― 138.00 ― ― ― 25
142.50 0.14 -0.06 10 20 138.25 ― ― ― 30
142.75 ― ― ― 42 138.50 ― ― ― 26
143.00 ― ― ― 30 138.75 ― ― ― 10
143.25 ― ― ― 5 139.00 ― ― ― 56
合計 15 171 合計 50 327
HV(年率) 6月 7.8
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.525 +0.002 0 762
25 /6 99.485 -0.016 19 642
25 /9 99.478 +0.020 3 676
25 /12 99.430 +0.042 241 112
合計 263 3380
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5225 -0.0025 0 29015
25 /6 99.4900 +0.0125 275 12875
25 /9 99.4750 -0.0125 224 12724
25 /12 99.4375 -0.0175 250 8429
合計 761 70435
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2430.5 2500.5 2519.5 2393.5 2497.5 +39.5 70742 423290
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 700
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 622 627 639 611 624 0 6696 31044
25 /9 608 616 627 603 613 +1 61 438
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 33170 33980 34350 32700 34170 +650 49113 175049
25 /9 33160 34000 34330 32690 34040 +550 236 3675
25 /12 32500 33970 34090 32500 33800 +1210 44 19909
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 33170 33980 34350 32690 34165 +650 893660 304452
25 /9 33165 33970 34335 32670 34150 +650 31213 8267
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 33190 33970 34350 32690 34175 +670 730763 53472
25 /9 33200 33950 34330 32670 34155 +680 35353 7155
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 33305 33915 34350 32690 34165 +665 27718 72343
25 /9 34275 34275 34275 34275 34130 +665 1 111
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 22125 22625 22910 21705 22715 +440 2724 52344
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 33780 ― 0 5月 29.50 -0.45 7 166
25 /9 ― 33780 ― 0 6月 28.00 +0.15 2 18
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 773.0 ― 1334 25年 ― 774.5 ― 4299
26年 ― 735.0 ― 1334 26年 ― 744.4 ― 2158
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――5月―――〓 〓―――6月―――〓 7月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 33750 1445 +165 17 319 1910 ― 2 305 ―
33875 1265 +45 34 16 ― ― ― ― ―
34000 1260 +145 689 1170 ― ― 300 1372 ―
34125 1165 +60 3 13 1685 ― 5 5 ―
34250 1105 +70 82 193 1615 ― 3 4 ―
34375 1080 +145 12 53 1545 +205 1 1 ―
34500 960 +55 527 1845 1415 +135 404 1468 ―
34625 935 +90 3 16 1410 +200 1 3 ―
34750 805 0 32 1225 1305 +145 5 7 ―
……………………………………………………………………………………………
プット 33250 800 -490 38 457 1320 -335 2 438 ―
33375 870 -430 6 160 ― ― ― 225 ―
33500 930 -430 105 1063 1950 ― 4 2225 ―
33625 ― ― ― 7 ― ― ― 4 ―
33750 1065 -735 16 565 1455 ― 10 396 ―
33875 1130 -590 11 11 ― ― ― ― ―
34000 1140 -360 499 4334 1560 -415 349 4378 1860
34125 1175 ― 2 9 ― ― ― 3 ―
34250 1290 -910 30 311 1645 ― 4 144 ―
総売買高コール 27507 枚 プット 27476 枚 日経平均HV 55.1
当日総建玉コール 288419 枚 プット 448007 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 11.35
ドイツ(1MWh、ユーロ) 63.85
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 11.200
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.235
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) ―
( 11 日)
<数表>4月14日外為市場[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1795文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 144.23 141.95
5月〃 143.96 141.45
6月〃 143.45 140.94
7月〃 142.99 140.45
8月〃 142.52 140.01
9月〃 142.06 139.53
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 144.23 144.54
ユーロ 164.11 163.80
カナダドル 104.83 104.50
英ポンド 191.50 190.87
スイスフラン 176.15 176.31
デンマーククローネ 22.08 22.03
ノルウェークローネ 13.75 13.66
スウェーデンクローナ 15.03 15.06
豪ドル 92.13 91.17
ニュージーランドドル 85.65 84.51
香港ドル 18.89 18.93
シンガポールドル 109.52 108.97
サウジアラビアリヤル 39.05 39.12
U.A.E.ディルハム 39.74 39.82
タイバーツ 4.34 4.33
インドルピー 1.82 1.83
パキスタンルピー 0.67 0.67
クウェートディナール 477.15 473.28
カタールリヤル 40.09 40.18
インドネシア100ルピア 0.98 0.98
メキシコペソ 8.06 7.98
韓国100ウォン 10.23 10.11
フィリピンペソ 2.68 2.67
南アフリカランド 9.00 8.89
チェココルナ 6.61 6.60
ロシアルーブル 1.97 1.97
ハンガリーフォリント 0.42 0.42
ポーランドズロチ 39.21 39.28
▽みずほ銀
中国人民元 19.91 19.96
トルコリラ 5.56 5.58
台湾ドル(参考値) 4.42 4.38
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 25.38 25.36
( 14 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 143.06 ― 143.08 142.83 ― 142.85
寄付 143.70 ― 143.73 143.75 ― 143.77
高値 142.24 142.62
安値 144.02 144.39
中心 143.20 143.40
直物売買高 67億9500万 ドル
スワップ売買高 646億3700万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 83.69
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.5
米ドル 104.7
ユーロ 103.6
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 188.33~188.38円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 90.450~90.480円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 174.83~174.88円
カナダドル /円 1 カナダドル = 103.38~103.42円
NZドル /円 1 NZドル = 84.01~84.05円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.3165 ― 1.3169
(1ポンド=ドル) ( 1.3067 ― 1.3071 )
スイスフラン 0.8176 ― 0.8180
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8158 ― 0.8162 )
豪 ド ル 0.6324 ― 0.6328
(1豪ドル=ドル) ( 0.6213 ― 0.6217 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.3021 ( 7.3245 )
日本円(100円=元) 5.1068 ( 5.1339 )
<数表>4月14日債券市場[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1643文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 75.29 -3.65
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.85
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.54
中国470(2年) 27/3 0.8 100.41
中国177(5年) 29/12 1.1 101.42
長国377(10年) 34/12 1.2 99.05
超長国191(20年) 44/12 2 94.27
超長国85(30年) 54/12 2.3 91.00
超長国17(40年) 64/3 2.2 82.45
物価連動29(10年) 34/3 * 99.20
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.50
政保政投銀64 30/6 0.09 95.76
東京都(公)807 30/6 0.1 95.59
大和ハウス23 30/9 0.3 95.40
キリンHD17 30/6 0.37 96.12
王子HD40 30/7 0.37 95.61
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.46
日本製鉄6 30/6 0.42 95.77
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.35
OLC18 30/9 0.29 95.17
IHI48 30/9 0.49 95.25
ダイキン27 30/9 0.26 95.11
NEC58 30/4 0.54 96.03
パナソニック25 30/9 1.051 98.54
SUBARU6 30/9 0.42 95.26
三井物産77 30/7 0.28 95.66
JR東日本153 30/7 0.23 95.58
三井不77 30/4 0.48 96.58
中部電力544 30/9 0.3 95.35
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.48
( 14 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.335 % -0.010
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.86
中 期 債 1.11
長 期 債 1.97
◇日経国債インデックス 0.954
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 15日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.92 0.330
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.84 0.370
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.54 0.490
中 国471(2) 27/4 0.9 100.61 0.587
中 国157(5) 28/3 0.2 98.76 0.627
中 国167(5) 29/3 0.4 98.75 0.723
中 国177(5) 29/12 1.1 101.42 0.790
長 国362 31/3 0.1 95.67 0.850
長 国366 32/3 0.2 95.19 0.917
長 国370 33/3 0.5 95.97 1.030
長 国374 34/3 0.8 96.69 1.191
長 国377 34/12 1.2 99.05 1.304
超長国191 44/12 2.0 94.17 2.372
超長国(30)85 54/12 2.3 90.95 2.747
超長国(40)17 64/3 2.2 82.35 2.967
<数表>4月14日短期金融市場[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1298文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1299 回債 0.320 0
6カ月 1298 回債 0.380 0
1 年 1294 回債 0.490 0
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.492 0.495
1週間 0.456 0.455
1カ月 0.450 0.449
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62091
3カ月 0.81091 0.81091
6カ月 0.86727 0.86727
1 年 0.81818 0.81818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.48375 0.48425
6カ月 0.50077 0.50777
( 14 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 ― ―
2週間 0.478 ―
3週間 ― ―
1カ月 0.567 ―
2カ月 ― ―
3カ月 ― ―
◇全国コール市場残高
( 11 日確報、億円) 120948
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.316 0.616 0.333 0.616
1週間 0.316 0.616 0.333 0.616
1カ月 0.333 0.650 0.340 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月14日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/15 2189 2189 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/15 0 0
【4月11日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/14 1816 1816 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/14 0 0
【4月10日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/11 2179 2179 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/11 150 150 最高0.250
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5273700 ( 4756200 )
◇資金需給予想( 15 日、億円、実質) 92900 余剰
<数表>4月14日株式市場、先物市場[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 28ページ 566文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 42306 20018
売買高上位10銘柄占有率(%)
50.9 33.1
売買代金(百万円) 113346 157494
売買単価(円) 267.9 786.7
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 612
売買成立 1552 609
値上がり 1043 396
値下がり 389 179
新値株(年初来) 高値 50 21
安値 0 1
時価総額(億円) 269992 75406
普通株式数(百万株) 31086 10640
1株当たり時価(円) 868.50 708.67
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 26707.12 +1.17%
カバードコールATM 19238.21 +0.98%
リスクコントロール 22955.94 +0.29%
レバレッジ 30861.27 +2.36%
インバース 935.10 -1.18%
ダブルインバース (01年末=100000)
262.94 -2.36%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 222300
売買代金(百万円) 468662
◇空売り比率(東証) 40.8 %
( 14 日)
鶏卵卸値、1年で1.5倍、1キロ330円 今年生産は6%減[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 1246文字 PDF有 書誌情報]
鶏卵の4月の卸価格が前年同月に比べ1・5倍ほどで高止まりしている。2024年秋から続いた高病原性鳥インフルエンザは足元で一段落したが、生産者などで構成する日本養鶏協会(東京・中央)は25年の鶏卵生産量が前年比6%減ると見込む。価格高騰や供給不足への不安感が高まり、卵を売り物にする飲食店にも動揺が広がりつつある。
JA全農たまごによると現在、鶏卵1キログラムあたりの卸価格は330円(東京地区Mサイズ)。22年の鳥インフルの大流行で「エッグショック」と呼ばれるほど市場が混乱し直近高値350円ほどをつけた23年4~6月に次ぐ高値水準で、月平均219円だった24年4月と比べると1・5倍だ。飲食店やメーカーが休業し例年、供給が過多となる年初を除き、24年後半から右肩上がりで上昇している。
24年10月~25年2月に猛威を振るった鳥インフルが大きな要因だ。現状は有効な対策がなく、発生した農場は全個体を殺処分する必要がある。一連の感染で全体の6%強にあたる約840万羽が殺処分に追い込まれた。
新たに仕入れたひな鳥が成長し卵を産み始めるには通常5カ月前後かかるため、感染農場の生産が本格的に回復するのは5月以降とみられる。日本養鶏協会は25年の鶏卵生産量を前年比6%減の220万~230万トンと見込む。
今後の相場は「例年通りなら需要が減る夏場に向け緩やかに下がる」(業界関係者)との見通しが優勢だが、猛暑により親鳥が死ぬといった不確定要素もあり先行きは依然不透明だ。飲食店など向けに全国の卵を取り扱う卵問屋、新海商事(東京・中央)の石舘次朗営業部長は「既存顧客への供給を切らさないよう調達していくのが最優先」と説明する。
エッグショックに迫る価格高騰に頭を抱える専門店もある。東京・築地の場外市場に店を構える「つきじ丸武」は厚焼き卵が看板商品。エッグショック以前から売価を据え置いてきたが、仕入れ価格の上昇で経営は苦しくなる一方だ。
伊藤政光社長は「このままでは従業員も生活できなくなってしまう。お客さんには申し訳ないが納得してもらい、秋前には価格を見直したい」と話す。
値上げを巡る思惑は店によって異なるようだ。eggg(東京都小平市)は茨城県の自社農場でとれた卵を使い、都内3カ所で卵料理専門店を運営している。飼料や人件費の高騰を受け24年から値上げを進めてきた。客離れなど目立った影響は出ていないといい、今後の売り上げ増加を見込む。
卵は安価で価格変動が小さく「物価の優等生」といわれてきた。「今までが安すぎた面もある」(日本養鶏協会の石井馨専務理事)。近年は鳥インフルに加え飼料価格も円安で高騰し、養鶏農家の経営環境は厳しさを増す。
卵卸会社の担当者も「一般的な10個パックの小売価格は300円程度が実力ではないか」とみる。鳥インフルに起因する供給混乱は業界のあり方そのものを問う転換点となる可能性もある。
【図・写真】鶏卵価格が2023年の「エッグショック」に迫る勢いで上昇している
バイト時給伸び率最高、3月、5%高 新年度採用や万博で[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 908文字 PDF有 書誌情報]
インディードリクルートパートナーズ(東京・千代田)が14日発表した3月のアルバイト・パート募集時平均時給は、三大都市圏(首都圏、東海、関西)で前年同月比66円(5・6%)高い1254円だった。前月に続き過去最高で3月は伸び率も最高だった。新年度に備えた求人が例年を上回る。大阪・関西万博の影響で関西の時給が大幅に伸びた。
求人媒体「タウンワーク」などの掲載情報から募集時の情報を抽出し平均時給をまとめた。グループの組織変更に伴いリクルートから業務を移管した。2018年3月から現在の方式で集計。業種別ではフード系、製造・物流・清掃系、専門職系で軒並み最高だった。
前年同月比の伸び率は2、3%台が多く5%台は初めてだ。
今春は入社式や入学式などに伴う催しが一段と活発だ。会場確保など事前準備に1年ほどかかるものもあり、昨春は準備の時期に、まだ新型コロナウイルスの影響が残っていたようだ。春季労使交渉で非正規雇用の賃上げが続いていることも時給の伸びを後押ししている。
飲食や製造関連など割安だった職種の底上げが進み、業種間の格差が縮小する傾向にある。上席主任研究員の宇佐川邦子氏は「人材の確保には同業種だけでなく異業種の賃金も見据えて定期的に見直す必要がある」と話している。
関西は1246円で前年同月比102円(8・9%)高かった。ここ数カ月、三大都市圏平均を上回る伸びが続いている。
万博周辺の飲食、宿泊などの求人が活発だ。万博期間中に大阪府内で「日本版ライドシェア」の規制が大幅に緩和されたことを受けドライバーの求人も増えている。
エン・ジャパンの3月の三大都市圏平均も前年同月比63円(4・9%)高い1351円だった。ディップの全国平均は同56円(4・1%)安い1312円。求人広告の掲載基準見直しで一部高額の案件が減った影響が続く。主力の飲食やサービスは前年を上回っている。
トランプ米政権の相互関税の影響について人材各社の間から「今後、自動車部品など製造業の求人で影響が出てくる可能性がある」「円高が一段と進めばインバウンド(訪日外国人)にブレーキがかかり関連業種への影響も懸念される」との声が出ていた。
銅・アルミ製品需要拡大、業界団体見通し 米関税織り込まず[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 808文字 PDF有 書誌情報]
銅やアルミニウム製品をつくる業界団体が相次ぎ、2025年度に需要が拡大するとの見通しを発表した。認証不正問題で低迷した自動車生産の正常化が追い風と見込む。ただ、トランプ米大統領による関税政策を織り込んでおらず、今後の需要に悪影響を及ぼす可能性がある。
日本伸銅協会(東京・台東)がまとめた25年度の伸銅品の需要見通し(生産ベース)は、24年度見込みに比べ5・4%増の67万4300トン。2年連続のプラスを予想する。
最も生産量が多く自動車用の端子・コネクターや半導体リードフレームに使われる銅条は、国内の自動車生産の回復を見込む。半導体分野も生成AI(人工知能)の普及に伴うデータセンターや、スマートフォンの世界需要の拡大で引き合いが強まるとみる。
銅条以外も回復基調をたどるとし、全14品種が24年度見込みを上回ると予想した。
日本アルミニウム協会(東京・中央)によるアルミ製品の25年度の総需要の見通しも、24年度の見込み比で0・3%増の365万6500トンと小幅ながら4年ぶりにプラスに転じる。24年度に3・6%減と落ち込んだもようの自動車向け圧延品は、25年度に0・7%増と反転上昇する予想だ。
もっとも両協会の見通しには、トランプ氏が進める関税政策の影響は織り込まれていない。日本伸銅協会は「9月に公表を予定する中間見通しでは、影響も精査する必要がある」と注視する。
日本アルミニウム協会の石原美幸会長(UACJ会長)は「日本のアルミ製品は米国内にはなくてはならない存在」として、関税の影響は織り込まなかった。半面、自動車関税は「現時点で具体的に説明できないが、影響は懸念される」との見方を示す。
アルミの取引関係者は「すぐに自動車の販売ルートは変えられないため、米国の関税政策は短期的な販売数量に影響しない」と指摘する。一方で「関税が続けば25年度下期あたりから国内需要を押し下げかねない」とみていた。
生コン出荷量23%減、3月東京地区 原料供給停滞響く[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 331文字 PDF有 書誌情報]
東京都心に生コンクリートを供給するメーカーで組織する東京地区生コンクリート協同組合(東京・中央)がまとめた3月の東京地区の生コン出荷量は、前年同月比23・0%減の19万1007立方メートルだった。骨材など原料の供給が停滞し、生コンの出荷に影響が出ている。
減少率が20%以上となったのは2カ月連続。計画比でも26・5%減だった。生コンを流し込むための型枠を作る技術者や、生コンを工場から現場に運ぶトラックの運転手が不足しているのも響いた。
2024年度の東京地区の生コン出荷量は23年度比7・8%減の253万1317立方メートルだった。一部の工事現場では週休2日制度の導入を検討している。現場の作業時間が減れば、25年度の生コン出荷量がさらに鈍る可能性もある。
ナイロン原料4%安 3月アジア価格[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 287文字 PDF有 書誌情報]
主に衣類に使うナイロンの原料、カプロラクタムの3月の台湾輸入価格が2カ月連続で下落した。調査会社ICISによると、3月は1トンあたり1370ドルで決着し、前月から55ドル(4%)安い。中国による供給過剰と需要の弱さは変わっておらず、下落基調が続いている。
原料となるベンゼンのアジア価格は3月に1トン925ドルと、前月から5ドル下がった。メーカーの利幅の目安となるカプロラクタムとベンゼンの1トンあたりの価格差(スプレッド)は445ドルで、2月から50ドル(10%)と大幅に縮んだ。
ベンゼンは足元で下落傾向のため、カプロラクタムの価格を維持できればスプレッドが拡大する。
家庭紙店頭価格 3月全品横ばい 9カ月連続[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 234文字 PDF有 書誌情報]
東京とその近郊の紙製品卸で組織する東京紙商家庭紙同業会(東京・中央)の3月の店頭価格調査は、全品目で前月比横ばいだった。横ばいは9カ月連続だ。再生紙製トイレ紙(55~60メートル、12ロール)が318~348円(本体価格)、大手のティッシュ紙(150組、5パック)が288~308円(同)などとなっている。
家庭紙の主要各社は10%以上の値上げを打ち出し流通業者と交渉を始めている。各社の具体的な値上げ時期は4月以降ばらつきがあり、対象品目にも違いが出ているという。
<数表>4月14日卸売市場(主要相場)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 991文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 5050頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=まちまち上場412頭
和牛雌A ― ― 2031 2323 2918
和牛去勢A ― ― 2152 2284 2445
交雑種雌B ― 1436 1580 1771 ―
交雑種去勢B ― 1513 1559 1680 ―
▽搬入物 上場179.5頭
和牛雌A ― 1184 1543 2237 2591
和牛雌B ― 1183 1372 ― ―
和牛去勢A ― ― ― 2355 2538
交雑種雌B ― 1439 1610 1680 1750
交雑種去勢B ― 1554 1578 1634 1703
乳牛雌C 862 879 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場50頭
和牛雌A ― ― ― 2237 2480
和牛去勢A ― ― ― 2276 2605
交雑種雌B ― ― 1577 1665 ―
交雑種去勢B ― ― 1644 1724 ―
◇仙台=弱もちあい上場11頭
和牛雌A ― ― 1053 1188 ―
和牛去勢A ― ― 1736 ― 2277
◇さいたま=―上場134頭
和牛雌A ― 1230 1394 1799 2258
和牛去勢A ― ― 1590 2192 2409
交雑種雌B ― ― 1529 1589 ―
交雑種去勢B ― 1488 ― 1576 1620
◇横浜=軟調上場55頭
和牛雌A ― ― ― 2210 2355
和牛去勢A ― 2063 2119 2236 2391
◇名古屋=弱含み上場112頭
和牛雌A ― ― 2186 2352 2571
和牛去勢A ― ― ― 2259 2571
◇京都=強もちあい上場95頭
和牛雌A ― ― ― 2408 2676
和牛去勢A ― ― ― 2268 2768
交雑種雌B ― ― 1550 1672 ―
◇神戸=―上場62頭
和牛雌A ― ― 4342 4880 5776
和牛去勢A ― ― 4331 4592 5321
◇広島=該当なし上場27頭
◇福岡=もちあい上場125頭
和牛雌A ― ― ― 2269 2516
和牛去勢A ― ― ― 2400 2491
亜鉛建値、1万2000円上げ 三井金属(短信)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 68文字 PDF有 書誌情報]
三井金属は14日、亜鉛の国内相対取引の目安となる建値を1万2000円引き上げ、1トン43万6000円とした。国際価格の上昇を反映した。
<数表>4月14日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 29ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
14日 228.409
前日比 +1.497
(1970年平均=100)
新社会人のクレカ選び 「会費」「還元率」「経済圏」を確認[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 35ページ 806文字 PDF有 書誌情報]
社会人になったのを機に、新たにクレジットカードを作ろうとしている人もいるだろう。インターネットで検索すると数多くのクレカが出てくるが、自分に最適な1枚はどう選んだらいいのか。まずは「年会費」と「還元率」の確認から始めてみよう。
クレカはネットショッピングや海外旅行で使うため、近年は学生時代から持つ人も多い。ただ社会人になると信用力が高まり、利用限度額などカードの選択肢も広がる。
社会人の「1枚目」は年会費無料のカードが無難だ。有料カードは空港ラウンジ利用などの特典が充実していても、年会費分の「元」を取るのは、新生活に慣れるまでは難しい。補償額は有料カードより劣るが「旅行傷害保険」「ショッピング保険」「盗難補償」といった付帯サービスを備えた無料カードもある。
現金と比べたクレカの利点の一つが、利用額に応じたポイント還元だ。無料カードのポイント還元率は0.5~1%が一般的。若い単身世帯の生活費の月平均約18万円を全てクレカで支払うと仮定すると、1%還元で年に約2万円分の「臨時収入」を得られる計算だ。付帯サービスが同じならば還元率を重視したい。
「年会費無料」「還元率1%」だけで絞り込めない場合、自分の「経済圏」を要確認。ポイントはいくらためても、使えなければ意味がない。頻繁に使う店舗や電子商取引(EC)サイトで使えるか。互換性はあるか。ポイントは「ためやすさ」だけでなく「使いやすさ」を比較して考えるのが重要だ。
クレカの不正利用は増加傾向で、利用明細を定期的に確認する癖をつけておきたい。不正が疑われる場合、カード会社への連絡など早めの行動が肝心だ。カード自体を紛失した場合に備え、緊急連絡先や必要な手続きは手元に控えておこう。
(岸田幸子、グラフィックス 渡辺健太郎)
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特集――第19回日経能楽鑑賞会 6月に「杜若」、業平生誕1200年思い寄せ、幻想と救い 歌の故事題材に[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 36ページ 3159文字 PDF有 書誌情報]
現代を代表する一流の能楽師による競演「日経能楽鑑賞会」が6月12、18日に国立能楽堂(東京・渋谷)で開かれる。同一の曲を異なる流派の能楽師が日替わりで舞う「異流同曲」の形式だ。19回目を迎える今年は、金剛流二十六世宗家の金剛永謹氏と、観世流の片山九郎右衛門氏が、夢幻能「杜若(かきつばた)」を舞う。
「杜若」は、平安時代の貴族で六歌仙の一人、在原業平が「伊勢物語」の中で「か(ヽ)ら衣 着(ヽ)つつなれにし つ(ヽ)ましあれば は(ヽ)るばるきぬる 旅(ヽ)をしぞ思ふ」(唐衣を着なれたように、長年親しんだ妻を都に残してきたこの旅が、つらく寂しいと思われるの意)と詠んだ故事を題材とする。
舞台は旧暦4月、諸国を巡る僧(ワキ)が、三河国(現在の愛知県東部)に着き、今が盛りと沢辺に咲く杜若に見とれる。すると里の女(シテ)が現れ、ここは杜若の名所・八橋であり、業平が「かきつばた」の五文字を句の頭に置いて詠んだ故事はこの地であることを語る。
女は僧に自らの庵室を一夜の宿として貸す。やがて女は初冠に長絹、飾太刀と、業平と、彼と関係のあった二条后(にじょうのきさき)高子の形見の装束に身を改める。「自分は杜若の精であり、業平の歌に詠まれたことで救われた。業平こそ女性たちを救いへ導く菩薩(ぼさつ)の化身であった」と告げ、謡い舞う。やがて杜若の精は、草木の身ながら成仏したとして消えていく。
夢幻能としては珍しく一場で構成する。幻想的でしっとりとした舞がみどころ。今年生誕1200年の業平に思いを寄せる上演だ。
「杜若は自分で舞ったり、人の舞台を見たりしている分には、そんなに難しい曲目とは思わない。ところがこれってどういう意味なんだろうと考え出すと、途端に理屈が通らなくなる」と苦笑する。
テーマ自体は貴公子・業平を中心とした一種の貴種流離譚だ。「喪失感や望郷の念といった、自分の心の中でほぐすことのできない種が、最後に開いていく」。例えば、紀有常の娘の霊が業平との恋を語る「井筒」のように、誰かをいちずに思う曲なら入り込みやすい。しかし本作では「(シテの杜若の精を通して)色々な人物が現れては消えていく。じゃあ一体何者なのか、何が言いたいのか」。
そうしたジレンマを抱える中で「忘れてはいけないのが、この物語をさすらいながら伝えてきた芸能者たちがいたこと」と強調。「和歌は人の臓腑(ぞうふ)をえぐる鋭さを持っていた。一人ひとりと真剣に出会って、傷ついて……男女が共感する何かが、業平にはあるんでしょうね」と思いをはせる。「演者と客席に一体感が生まれ、最後に花開き、みんなで生まれ変わって昇華できるような舞台」を目指す。
後半の華やかな装束も魅力の一つだ。「一面の杜若が広がる中に分け入る景色を想像して舞う。四季の草花や、業平が出会った女性たちが入っている装束がいいかな」と思案する。
コロナ禍後、仏パリや台湾など海外公演の機会が続き、現地の芸能に触れ気づきがあった。「喪失感を埋め、どう一歩踏み出すかは、能を含めた古典の普遍的なテーマ。言葉や文化は違えど共通していた。すごく勇気づけられて、能楽師としてまだまだ可能性があると思えた」と語る。
かたやま・くろうえもん 1964年京都市生まれ。祖母は京舞井上流四世家元井上八千代。父・片山幽雪と、八世観世銕之亟に師事する。70年「岩船」で初シテ。2011年十世片山九郎右衛門を襲名。14年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。京都観世会会長。
「結構長いお能で、とくに後半は舞い続け。見応えがあると思う」とみどころを語る。女役の舞でもとりわけ品位ある「序之舞」を披露する。通常の笛・小鼓・大鼓の囃子(はやし)に、太鼓が加わることで「ゆったりとした中に、華やかさと軽やかさがある。極端ではない、序破急を見せたい」と意気込む。
さらに南北朝時代から室町時代にかけて盛んだった芸能「曲舞」の要素が色濃く盛り込まれていることを指摘。「現代に置き換えるとラップのような、中世ならではのリズミカルさがある」
比較的ポピュラーな曲目で、これまで何度も演じてきた。「杜若の精を舞っていると錯綜(さくそう)する感覚がある。精のはずなのに、業平や二条后高子らが混じり合ったものを感じる。理屈ではなく、それぞれに残った思いが重奏する、幽玄の世界が生まれる」
能楽のシテ方に5つある流派のうち、金剛流は唯一、京都に拠点を置く。優美で洗練された舞が特徴とされる。異流同曲の日経能には6回目の出演。「『上掛り』の観世流と、『下掛り』の金剛流の違いを見比べてもらいたい」と強調。「能は初めて見てすぐにわかるものではない。でも我慢して見ているうちに何か取っ掛かりがあり、突き破った先に面白さがある。ワーグナーのオペラと一緒ですね」と、60年来の自身の趣味のオペラになぞらえる。
2023年には人間国宝に認定され円熟味を増す。「神経を集中させる部分が下へ下へとおりてきた。(へそ下の)丹田、そして足裏の土踏まずに意識が向くようになった。ここは押し出してやってみようという、強弱は思い切ってやりたい」と語る。
こんごう・ひさのり 1951年京都市生まれ。二世金剛巌の長男。父に師事。58年「猩々(しょうじょう)」で初シテ、98年金剛流二十六世宗家を継承。2018年紫綬褒章受章、22年度日本芸術院賞受賞。23年人間国宝に認定。著書に「金剛家の面」「金剛宗家の能面と能装束」。
狂言はともに人間国宝の兄弟、野村萬氏が「磁石」(12日)、野村万作氏が「文蔵」(18日)でそれぞれシテをつとめる。
「磁石」は遠江の田舎者が上京する道すがら、大津松本の市を見学していると、人買いの商人にだまされて、宿に連れ込まれる。自分が値踏みされているのを聞いた男は、翌朝先回りして逃げ、追ってくる商人に磁石の精だと名乗る。
「文蔵」は無断で旅に出た太郎冠者が帰宅したので主人が叱りに行く。すると太郎冠者は、京都を見物がてら、主人の伯父を見舞ってきたと言う。何かごちそうにならなかったか主人が問うと、「源平盛衰記」の石橋山合戦に出てくるものを食べたと答える。日ごろ源平盛衰記を好む主人がそのくだりを語り始めると……。
卒寿を超えた2人の大ベテランが、情感の中におかしみをたたえた芸の神髄を披露。野村万蔵氏、野村萬斎氏らが競演する。
〈第19回日経能楽鑑賞会〉
■日時・演目・出演
6月12日(木)午後6時開演 狂言「磁石」(野村萬)、能「杜若―増減拍子 日蔭之糸―」(金剛永謹)
6月18日(水)午後6時開演 狂言「文蔵」(野村万作)、能「杜若―素囃子―」(片山九郎右衛門)
■会 場 国立能楽堂(東京・渋谷)
■入場料 各日:S席=1万円、A席=8000円、B席=7000円、C席=6000円
2公演セット券:S席=1万9000円、A席=1万5000円、B席=1万3000円、C席=1万1000円(S・A・B席各36セット、C席10セット)
※全席指定・税込み
※2公演セット券は日経公演事務局のみで取り扱い ます
※未就学児童入場不可
※やむを得ない事情により出演者などが変更になる 場合があります
■前売り チケットぴあ https://t.pia.jp/(Pコード:532―358)
日経公演事務局(電)03・5227・4227(平日午前10時~午後6時)
■主 催 日本経済新聞社
■問い合わせ 日経公演事務局(電)03・5227・4227
■公式サイト https://art.nikkei.com/event/2302/
【図・写真】杜若の金剛永謹氏
【図・写真】杜若の片山九郎右衛門氏
【図・写真】野村万作氏
【図・写真】野村萬氏
食品価格高騰の背景(下) 野菜、供給減の影響大きく 坂爪浩史・北海道大学教授(経済教室)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 37ページ 2823文字 PDF有 書誌情報]
2024年の夏に起こった「令和の米騒動」以来、コメだけでなく生鮮野菜も値上がりが続いている。25年2月の全国主要卸売市場では、キャベツの価格が前年同月比2.5倍、ハクサイ2.4倍、ニンジンが1.7倍など、多くの品目が高騰している。
こうした価格高騰の原因は、大きく分けて2つある。ひとつは生産コストの上昇である。円安や国際相場の高騰により肥料、農薬、飼料、燃料など輸入原材料の価格が上昇した。これらの価格は20年まで安定していたがその後上昇に転じ、24年には20年比で肥料、飼料が約1.4倍、種苗、農薬が約1.1倍、光熱動力が約1.4倍などとなっている(農林水産省「農業物価統計調査」)。
先の「米騒動」までは、こうした生産コストの上昇に販売価格が追いつかず、価格転嫁の遅れが農政の一大課題となってきた。振り返ってみればこの米騒動はそれまでの小売店頭での「値ごろ感」というデフレ経済のくびきから、食料品価格を解き放つ契機だったといえる。生鮮野菜の高騰の要因の一つは、この遅れてきた価格転嫁である。
価格高騰の原因のもう一つは、供給量の不足である。供給量が少なければ価格は上がり、多ければ下がる。感覚的にも容易に理解できる経済の大法則であるが、問題はその程度である。
2.5倍に高騰したキャベツの卸売数量は前年同月比24%減、2.4倍に高騰したハクサイは22%減、価格1.7倍のニンジンは24%減となっている。出荷量2割減で価格は2.5倍に高騰しているのである。
価格が2倍に高騰している米についても、24年秋に農協を含む主要な集荷業者が集荷しそびれた数量に相当する21万トンの備蓄米放出が始まったが、これは年間消費量の3%にすぎない。数%の数量不足によって、上を下への騒動になっているのである。
ではなぜ、わずかな供給量の不足が価格高騰を招くのか。その理由ははっきりしている。価格変動にそれほど左右されない、食料品に特有の消費者の購買行動である。経済学でいう「需要の価格弾力性が低い」状態である。
総務省の「家計調査」では四半期ごとに品目別の支出金額、購入数量、単価が集計されている。これによれば、キャベツの価格は24年10~12月に前年同期比57%値上がりしていたが、購入量は22%しか減らなかった。ハクサイ価格も同じ期間に35%上昇しているが、購入量は6%減にとどまっている。米に至っては価格が43%上昇したのにもかかわらず、購入量は逆に8%増えている。
このように、価格が上がっても食料品の購入量はそれほど減らない。私たちはスーパーで価格高騰に悲鳴を上げながらも、食料品売り場をスルーすることはせず、買い物かごに野菜や米を入れていく。
もし各家庭にいつもより1袋(5キログラム)の米が余計にストックされていたら、その合計量は全世帯で28万トンになるのである。もちろん米卸も欠品は許されないから、いつもより多い米を確保しているはずである。
反対に最近では想像しにくいが、キャベツが大きく値下がりして一玉50円になったからといって一度に2玉買う人はまれだろう。キュウリが1本10円になっても、これを10本買うかといえば買わない。価格が下がっても、購入量はそれほど増えない。これが生活必需品で、なおかつ胃袋の大きさが上限になる食料品需要の特徴なのである。
以上のような食料品の価格と数量との関係を図示したのが図表1である。左図は細かく見るために横軸を伸ばしているが、右図は縦横の比率をそろえてある。縦軸から読むと、価格が上下しても数量の変化はわずかであることが分かる。それが食料品の需要曲線というものであり、この垂直に近い縦の線が、わずかな供給量の変化(今度は横軸から読む)で大きな価格変動を生じさせるのだ。
こうして食料品の市場価格は、図表2のように乱高下することになる。この上下動の基準・軸になっているのが自家労賃などを含めた生産者の生産コストであり、それに見合った価格が再生産価格である。
生産者は、市場価格がこの再生産価格を上回れば利益が確保できると判断して生産を増やし、逆に市場価格が再生産価格を下回れば利益が確保できないので生産を減らす。結果、市場価格は再生産価格を中心に上下動を繰り返すことになるのである。
この間の生産コストの上昇によって再生産価格も一段高くなっており、今後はその価格を中心に動いていくことになる。問題はこの再生産価格が、価格変動の一通過点にすぎないということである。しかも、実際の価格は再生産価格の上昇幅(図表2では500円)より大きく揺れ動く。
こうした極端な価格変動は、農林水産省が政策として推進しようとしている、農産物の適正な価格形成も難しくするだろう。特に青果物はほとんどの品目で保存がきかないため、収穫・即出荷となり、短期的な価格変動がより激しい。
農作物は季節に合わせて産地間のリレーによって供給されており、再生産価格は産地によっても大きく異なる。複数の産地の出荷が重なったとき、「適正な価格」をどう設定するのか。しかも図表2からも分かるとおり、再生産価格と市場価格が一致するのは一瞬のことなのである。
適正価格を事前に定めて契約栽培、契約取引を推進することも、有効性には疑問符がつく。事前に契約した価格を市場価格が上回れば、出荷者が市場に逃げようとするだろうし、下回れば買い手が逃げる。
適正な流通量というストライクゾーンはもともと非常に狭く、さらに狭くなっている。そしてそれをもたらしているのは、価格が高騰しても明日のコメは何としても確保したい、毎食欠かさず野菜をとりたい、という我々消費者自身の購買行動なのである。
そうはいっても、価格形成を自由放任のままにしてよいというわけではない。産地での担い手の高齢化、労働力不足は深刻さを増しており、一度減少した供給量を復元する力は低下しているからである。
現在は米農家も野菜農家も、さらには食品卸も価格高騰のメリットを享受しているが、それまでのデフレ経済下で生産コストの上昇分を販売価格に転嫁できなかった分を取り返して一息ついている状況である。
今後、幸いにも産地が活力を回復し、生産拡大が実現すれば、あっという間に適正な供給量をオーバーし、価格は下落する。そのときに生産を過度に縮小させない工夫が肝要である。
必要なことは、収入保険の拡充を含む所得補償的なアプローチであり、その基準として、今日検討が進む「適正価格」を用いるべきである。そうして生産量を維持していくことが、ひいては食料品の価格高騰を常態化させないことにつながると考える。
<ポイント>
○野菜の高騰は原材料コスト上昇が一因に
○価格弾力性が低く高騰でも需要は減らず
○価格下落時に生産の縮小を避ける対策を
さかづめ・ひろし 64年生まれ。北海道大博士(農学)。専門は農業経済学、農業市場学
歴史に自然実験を見いだす(5) 政治的選好の決定要因 一橋大学教授 森口千晶(やさしい経済学)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 37ページ 848文字 PDF有 書誌情報]
福祉政策や社会保障制度は国によって大きく異なります。北欧の人々は結果の平等を重視し、政府による再分配を支持します。一方、米国の人々は機会の平等を重視し、政府の介入を最小限に留める政策を支持する傾向にあります。
人々の政治的選好やイデオロギーはどのように決まるのでしょう。一定の政治的選好を持つ人々が集まって国家を形成するのでしょうか。それとも、国家が政策を通じて市民の選好を形づくるのでしょうか。
米ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授らは、第2次大戦後のドイツの東西分割に着目します。それまでのドイツは政治経済的にほぼ均質でしたが、住民の意思とは無関係に、東側のみが1945年に共産主義に編入されました。さらに、90年の東西ドイツの統一で、東側は資本主義に再編入されました。
価値観調査を用いて東独出身者と西独出身者を比較した分析によると、教育・職業・所得といった個人の属性をコントロールしても、東独出身者は政府による再分配を支持する割合がはるかに高いことがわかりました。共産主義の経験が長い世代ほどその割合は高く、統一後はその割合が緩やかに低下する傾向にあります。この結果は、人々の選好は生まれ育った政治体制に大きく影響され、その選好はすぐには変化しないことを示しています。
ドイツでは2月に総選挙があり、極右とされる政党が第2党に躍進しました。支持率には明白な東西差があり、東独のほぼ全域で高い支持を得たのです。アレシナ教授らの研究によると、東独では左派が支持を集めるはずです。なぜ東独で、極右とされる政党が台頭したのでしょう。
専門家はその理由として、(1)統一後も東西の経済格差解消が進まず、東独の住民が自分たちを「二流市民」だと感じている(2)東独には民主主義への失望から「強力な指導者」を求める人が多い(3)歴史的に東独は移民が少なく人種差別的な価値観が根強い――などを挙げています。ドイツの右傾化は欧州の安定を揺るがす問題です。その要因を知ることは喫緊の課題だといえます。
ESG投資、社会貢献に立ち返れ aiESG代表取締役・九州大学主幹教授 馬奈木俊介(私見卓見)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 37ページ 0文字 書誌情報]
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(マスターズ)松山、意地の21位 元王者、最終日「66」[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 465文字 PDF有 書誌情報]
前日79の大たたきをした松山が66をマーク、1日でよみがえった。「昨日打った分(7オーバー)ぐらいは取り戻したいと思ってスタートした」。思惑通りに最終18番をこの日7アンダーで迎えたが、1メートルのパーパットを外して終えた。
「やっぱり難しかったなと感じる」。4日間平均80%のパーオン率は出場選手中トップ。スコアを伸ばしたい3日目だけが61%となったのは、パットの不安からショットの狙いに無理が生じたゆえの結果といえる。
攻めを焦るとたちまちコースのわなにひっかかり、バーディーどころかボギー連発の苦境を強いられる。最終日の上位陣のプレーをみればよくわかる。優勝争いの緊張からある意味解放された好スコアは21年王者としてのプライドにほかならない。
「1カ月弱、ここだけを見据えて準備して、すごくいい状態で入ってきた実感もあった」。この自信と手応えが裏目に出たムービングデーの失速が悔しい。14回目のマスターズは21位タイで賞金21万ドル(約3000万円)を獲得した。
【図・写真】最終ラウンド、通算2アンダーで21位の松山=共同
(Wリーグバスケ)デンソー猛追もまたも頂点逃す[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 233文字 PDF有 書誌情報]
過去10大会で準優勝3度のデンソーはまたも頂点が遠かった。後半に馬瓜のフリースローや川井の3点シュートなどで追い上げ、第4クオーターの残り約9分で6点差に迫ったが、ここから約4分間にわたって無得点。勢いは続かなかった。
リバウンド総数で富士通を21本も下回り、2次攻撃を受けて次々に失点。4得点に終わったチーム一筋17年の高田は「チャンスはたくさんあったが、自分たちで流れをつかめなかった。本当に悔しいが、シーズンを戦い抜けたことは素晴らしい」と懸命に前を向いた。
(マスターズ)マキロイ、万感の初V 生涯グランドスラム史上6人目(バックスピン)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 1510文字 PDF有 書誌情報]
【オーガスタ(米ジョージア州)=串田孝義】ゴルフのメジャー、マスターズ・トーナメントは13日、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGC(7555ヤード、パー72)で最終ラウンドが行われ、首位から出たロリー・マキロイ(英国)と6位から出たジャスティン・ローズ(英国)が通算11アンダー、277で並び、プレーオフ1ホール目をマキロイがバーディーとして初優勝を決めた。
マキロイはマスターズ挑戦17度目の初優勝。全米オープン(2011年)、全米プロ(12、14年)、全英オープン(14年)に次いで、メジャー4大会すべてを制覇する史上6人目の生涯グランドスラムを達成。メジャー5勝を含む米ツアー通算29勝目、大会史上最高額の優勝賞金420万ドル(約6億円)を獲得した。
首位と2打差の3位にLIVゴルフのパトリック・リード(米国)、3打差の4位にスコッティ・シェフラー(米国)。2位から出たブライソン・デシャンボー(米国)は通算7アンダーで5位だった。松山英樹は66で回り通算2アンダー、21位で14度目の大会を終えた。
◇
プレーオフ1ホール目の18番グリーン、ローズが先にバーディーパットを外し、マキロイは1メートルのバーディーパットを決めた。
ボールがカップに落ちた瞬間、両膝をついてグリーンに顔をこすりつけるようにして感情を爆発させた。まな娘を強く抱きしめて号泣。クラブハウスの前ではアイルランドの親友、ローリーが待ち受けていて、その分厚い胸に顔をうずめて泣きじゃくった。
念願のグリーンジャケットに袖を通した後のスピーチも声を詰まらせた。「夢がかなった。1997年にタイガー・ウッズがここでやり遂げたことを見て、僕ら世代は憧れた。同じことをやってみたかった」
2014年までにマスターズ以外のメジャー3冠を達成し、生涯グランドスラムへの挑戦は実に11度目となる。これまでの偉業を達成した5人は全員、王手をかけてから3年以内にやり遂げているから、マキロイの苦労のほどがうかがい知れる。
最後の最後まで気を許せない薄氷を踏む思いの勝利だ。2打差の首位で出た1番をいきなり3パットのダブルボギーとし、最終組をともにしたデシャンボーに2番で1打先行を許した。3、4番の連続バーディーで再び首位に立ち、余裕の逃げ切りと思われたが、この人のメジャー4冠への道は悪路の連続だった。
13番パー5はティーショットで3番ウッドを握る安全策をとりながら、3打目をクリークに入れてこの日2個目、今大会通じて4個目のダブルボギー。「ジェットコースターに乗っているようだった」。この日66で急襲をかけてきたローズとの差が一気に縮まった。それでも1打リードで迎えた最終18番、ウイニングパットになるはずの1メートル半のパーパットを打ち切れない。勝負はプレーオフへともつれた。
どこまでオーガスタの魔女はいたずら好きなのか。14年前の大会で2位に4打差の単独トップから出た最終日に「80」を打った大崩壊のトラウマ。似たような失敗をメジャーの大舞台で繰り返してきた。
「14年前の自分に言葉をかけるなら、『コースを走り続けろ』というだろう。信じ続けること。すべての少年少女に言いたい。自分の夢を信じなさい」
4日間のティーショット平均飛距離は330ヤードのデシャンボーと双璧の329ヤードをマーク。希代の劇場型ゴルファーが演じた先の読めないドラマはパトロンを興奮と熱狂の渦に巻き込み、最後は歓喜の涙で幕を閉じた。
「ネバー、ネバーギブアップ。決して諦めなかった自分を誇りに思う」
(串田孝義)
【図・写真】初Vを果たしトロフィーを手にするマキロイ=共同
宮原知子 日本代表を背負う責任感(スポートピア)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 1109文字 PDF有 書誌情報]
米・ボストンで3月末まで行われたフィギュアスケートの世界選手権は、新型コロナウイルス禍を経て久しぶりに観客の熱狂ぶりを感じる大会だった。私は日本から画面越しに観戦していたが、連日どの種目でも満員の会場のボルテージが高まっているのが伝わった。自国選手に限らず大声援が送られ、呼応するように選手たちのパフォーマンスは全体的に良かったのではないかと思う。
五輪前シーズンの世界選手権は五輪本番の国・地域別出場枠がかかるだけに、例年と異なる緊張感がつきまとう。チームのために良い結果を残さなければならないが、自分の納得いく演技をどうやりきるかが優先事項でもある。枠取りについて考え過ぎると、演技内容に影響が出てしまうかもしれない。私自身は現役時代、そのバランスの保ち方に苦労した。
だからこそ今回、日本選手が代表としての責任感をしかと背負う姿には感心させられた。とりわけ男子3位だった鍵山優真選手がキス・アンド・クライで点数が出た瞬間に指3本を立て、最大枠「3」を確保したことに安堵する姿は印象的だった。
女子の坂本花織選手は惜しくも4連覇を逃して2位だったものの、大一番での調整力の高さを改めて感じた。ショートプログラム(SP)で5位発進と出遅れながら、フリーで持ち味の勢いあるパフォーマンスを取り戻した。私がともに戦っていた頃と比べても、今の彼女はここぞという時の集中力にたけている。表現の幅の広がりを含め、これまでの豊富な経験値が演技に表れていたのではないか。
新女王となった米国のアリサ・リュウ選手との差は、坂本選手のSPのミスが全てだろう。とはいえ、SP・フリーともに完璧な演技で高い技術を見せたリュウ選手が勝つという分かりやすい結果でもあった。スポーツとしてのフィギュアスケートの魅力が存分に発揮された試合だった。
そのリュウ選手をはじめ、男子2連覇を果たしたイリア・マリニン選手ら、米国選手の勢いは目覚ましいものがある。少し前は特に女子でロシア勢が突出していたが、フィギュア強豪国が再び力をつけてくれば各国にとっても大きな刺激となるはず。業界全体が活気づいてくるのではないかと期待してしまう。
さて、今月17日開幕の国別対抗戦が終われば、いよいよミラノ・コルティナ五輪のシーズンに突入する。〝勝負プログラム〟の選曲と振り付けに始まり、終わればすぐトレーニングと休む暇はない。
特に日本選手にとっては、年末に代表選考がかかる全日本選手権という大きな山場がある。まずは全日本にいかにピークを合わせられるか。「五輪に行きたい」という誰よりも強い意志のもと、この1年を大事に過ごしてほしい。
(プロフィギュアスケーター)
角田移籍後初ポイント F1バーレーンGP(短信)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 109文字 PDF有 書誌情報]
自動車F1シリーズ第4戦、バーレーン・グランプリ(GP)は13日、バーレーンのサキールで決勝が行われ、10番手でスタートしたレッドブルの角田裕毅は9位で入賞した。レッドブルに移籍してから初めてポイントを獲得。
(共同)
女子ゴルフの大会名変更 協会、7月開催(短信)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 95文字 PDF有 書誌情報]
日本女子プロゴルフ協会は14日、神奈川県戸塚CCで7月3~6日に開催する資生堂レディースの大会名を「資生堂・JALレディース」に変更すると発表した。日本航空が特別協賛することになったため。
(Wリーグバスケ)富士通連覇、皇后杯と2冠 赤木と町田、コート支配[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 791文字 PDF有 書誌情報]
バスケットボール女子の京王電鉄Wリーグ・プレーオフは14日、東京・調布市武蔵野の森総合スポーツプラザで3戦先勝方式の決勝最終第5戦が行われ、レギュラーシーズン(RS)1位の富士通が初優勝を狙ったRS2位のデンソーを75―60で下し、3勝2敗で2季連続3度目の優勝を果たした。皇后杯全日本選手権との2冠を達成した。
富士通は赤木や宮沢らを軸にリードを奪い、38―27で折り返し。後半も得点を重ね、食い下がるデンソーを振り切った。
◇
2連覇を告げるブザーを聞いた選手たちの目に涙があふれる。感極まった様子のテーブス監督はコート中央でのインタビューにベンチメンバーを含めた全員を招き、かみしめるように言った。「このチームは僕の宝物です」。総合力が問われた大一番で、富士通は持ち味の堅守速攻を貫徹した。
町田と赤木。小柄な2人のガードがこの日、それぞれの個性でコートを支配した。相手に流れが傾きかけた第3クオーター。「迷いなく打てた」と連続で3点シュートを沈めたのは赤木だ。パリ五輪の日本代表主将を務めた林咲の故障で先発に定着した26歳は抜群のスピードと積極性が売りで、直後にもドリブルで守備網を切り裂いて味方の長距離砲を呼び込んだ。
勝負の第4クオーターの総仕上げは、やはり町田だった。6点差に詰められた直後に味方との連係から冷静にジャンプシュートを成功。一連の決勝戦では密着マークに苦しむ場面もあったが、この日はコートを俯瞰(ふかん)するような視野の広さを生かしたパスがさえ、10アシストと多彩な攻撃をけん引した。町田、9リバウンドの宮沢、赤木のバックアップとしてつないだ林咲らベテラン勢はコート内外でリーダーシップを発揮し、中堅や若手が伸び伸びプレーしての戴冠。テーブス監督は「これがレッドウェーブの強さ」と誇らしげだった。
(米田美桜)
【図・写真】第1クオーター、攻め込む町田(右)
(NBAバスケ)河村、自己最多12得点 アジア杯前向き「五輪に出たい」[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 396文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=共同】米プロバスケットボールNBAは13日、各地でレギュラーシーズン最終戦が行われ、グリズリーズの河村勇輝は本拠地テネシー州メンフィスでのマーベリックス戦に途中出場して自己最長の28分5秒プレーし、いずれも自己最多となる12得点、5リバウンド、5アシストをマークし、132―97での勝利に貢献した。
チームは48勝34敗でプレーオフ進出決定戦に臨む。
◇
グリズリーズの河村はNBA挑戦1季目を終えたが、今後はチームに同行すると明かした。その後は「正確には決めていないが、サマーリーグには出たい」とNBAへの登竜門として、若手がしのぎを削る7月の舞台への出場を希望した。8月には日本代表が臨むアジア・カップもある。河村は「個人の気持ちとしては、やっぱり五輪に出たい」と語り、前向きな姿勢を示した。
(共同)
【図・写真】マーベリックス戦でボールを運ぶグリズリーズの河村(左)=AP
アイスホッケー日本女子8強 世界選手権[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 256文字 PDF有 書誌情報]
【チェスケー・ブジェヨビツェ(チェコ)=共同】アイスホッケー女子の世界選手権は13日、チェコのチェスケー・ブジェヨビツェで行われ、1次リーグ下位のB組で世界ランキング7位の日本は同8位のスウェーデンに0―2で敗れて、今大会初黒星を喫した。2勝1敗で勝ち点6のままだが、1試合を残してB組3位以内が確定し、準々決勝進出が決まった。3連勝で勝ち点9のスウェーデンは1位通過が決定。防戦一方だった日本は第1ピリオド終盤に先制を許し、第3ピリオドにも失点。日本は14日に試合がなく、15日に世界9位のドイツと対戦する。
(マスターズ)ローズ届かず、3度目の2位[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 242文字 PDF有 書誌情報]
7打差6位から出たローズは最終18番で6メートルのパットを決め、66で回ってプレーオフに持ち込んだ。だが、1ホール目に4.5メートルのバーディーパットを外し、優勝を逃した。「自分は素晴らしいゴルフをした。これ以上できることはない」と冷静に受け止めた。
マスターズ3度目の2位となった44歳のベテラン。2013年の全米オープン選手権を制したが、オーガスタでは勝利に届かない。「これはゴルフ界の歴史的な瞬間。グランドスラムを達成する瞬間を共有できて本当に素晴らしい」と潔かった。
(共同)
千賀2勝目、7回無失点 大リーグ[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 41ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
【サクラメント(米カリフォルニア州)=共同】米大リーグは13日、各地で行われ、メッツの千賀がカリフォルニア州サクラメントでのアスレチックス戦に先発して7回を投げ、4安打無失点、4奪三振の好投で2勝目(1敗)を挙げた。試合は8―0。
ドジャースの大谷はカブス戦に「1番・指名打者」で出場し、5打数無安打だった。右手首を痛めているカブスの鈴木は欠場した。
学力テスト、PC本格導入 オンライン解答の測定精緻に 大学入試活用へ試金石[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 1363文字 PDF有 書誌情報]
小中学生を対象に毎年行う全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が14日始まった。パソコンを使い、オンラインで解答する試験(CBT)を本格導入した。CBTには学力を精緻に測定できるといったメリットがある。大学入試でも活用が模索されており、大規模テストにおける試みは普及に向けた試金石になりそうだ。
今年の学力テストには小学6年生と中学3年生の約200万人が参加する。国語と算数・数学に加え、3年に1回程度とされている小中学校の理科が実施される。文部科学省は結果を分析し、教育施策や授業の改善に役立てる。
CBTはコンピューター・ベースド・テスティングの略称。今回は中学理科に導入し、他の教科は紙で実施する。2026年度は中学の英語に導入。27年度には紙の問題を全て廃止する。
CBTのメリットの一つは、問題の幅が広がることだ。24年に文科省が公表した中学理科のサンプル問題では、動画を見た上で実験器具の適切な使用方法を選んだり、図を移動して電気回路を完成させたりする問題があった。
児童生徒は1人1台の学習用端末を使い、選択肢をクリックしたり、キーボードで文章を入力したりして解答する。
各自の解答状況に応じて、大量の問題のセットから難易度や種類の違う問題を出すIRT(項目反応理論)方式も採用できるようになった。
例えばどの難易度の問題に安定的に正答したかを測ることで、全員が同じ問題を解く紙方式より、学力をより詳細に把握できるという。
問題は一部を除き非公開とする。同じ問題を何度も出すことができ、学力の経年変化の測定が可能となる。
学校外からでも受けられるため、不登校や病気療養中の児童生徒が参加しやすいほか、解答の回収や採点の手間が省けるなど、運用面でもメリットがある。
課題は安定した通信環境の確保だ。文科省の調査では、全国の公立小中高校のうち通信速度の推奨値を満たしているのは2割にとどまる。
今回は小中学校の国数、小学校の理科については17日に一斉に行うが、中学理科は通信負担を軽減するため、14~17日の4日間に分散して実施する。
CBTはフランスの学力調査や経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)などで活用されており、国際標準になりつつある。
日本は後れを取っているものの、全国規模のテストで検証を積み重ねれば、大学入試や他の学力試験、資格試験などへの拡大につながる可能性がある。
大学入試センターは25年1月実施の大学入学共通テストでの導入を検討したが、21年に見送りを発表した。場所や機材の確保、トラブル対応といった課題の克服が当面困難だと判断した。
これを受け、同センターは現在、各大学の個別入試での採用を念頭に調査研究を進めている。一部の大学は既に取り入れており、佐賀大は18年度の推薦入試から、大学入試で全国初とされるタブレット端末を使った試験を実施した。
国家資格試験では司法試験が26年からCBTへ切り替わる予定。文科省は日本語教師の国家資格「登録日本語教員」になるための試験でCBTの活用を検討している。
学力テストの結果は7月以降に公表される見通しだ。
(森紗良)
【図・写真】全国学力テストで、オンライン方式での理科のテストに臨む生徒(14日、東京都内の中学校)=代表撮影
iPSで糖尿病治療 京大病院が治験 1例目の移植完了[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
京都大学医学部付属病院(京都市)は14日、iPS細胞から作製した膵臓(すいぞう)細胞を糖尿病患者に移植する臨床試験(治験)で、1例目の移植が完了したと発表した。経過は良好といい、現時点では安全性に問題がないとみられる。近く2例目の移植を実施する。
糖尿病には生活習慣病などが原因で膵臓の機能が低下した2型と、免疫機能の異常などによって起きる1型の2種類がある。治験は血糖値を下げる働きがある「インスリン」という成分を作り出す膵島(すいとう)細胞が壊されてしまった1型糖尿病の重症患者を対象に実施した。
具体的には健康な第三者由来のiPS細胞から膵島細胞を作製し、シート状に加工し、患者に移植する。2001年に1型糖尿病と診断された40代女性に対して今年2月に移植手術を実施した。
手術後の経過を1カ月間観察したところ、大きな問題は起きなかったという。安全性の評価は最大で5年間継続するが、今回の結果で移植初期の安全性を確認できたと判断し、近く2例目の手術を実施する。
京大の矢部大介教授は14日に開いた記者会見で「中国などでもiPS細胞を使った糖尿病関連の治療研究で有望な結果が報告されている。わたしたちの方法は移植までの期間の短さやコストの面で優位性があるとみている」と語った。
和歌山知事が自宅で倒れ搬送 意識不明の重体[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 178文字 PDF有 書誌情報]
和歌山県の岸本周平知事(68)が14日午前、和歌山市内の自宅で倒れ、病院へ搬送されたことが明らかになった。意識不明の重体で、集中治療室(ICU)で治療を受けているという。県南部の新宮市などで予定していた午後の公務はキャンセルした。
岸本氏は和歌山市生まれ。東大卒業後、旧大蔵省から民間企業を経て、2009年の衆院選で初当選。22年から県知事を務めている。
江戸期、筆ペンにトリセツ 「墨が減った時は」「太く書く時は」 堺で展示[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 548文字 PDF有 書誌情報]
江戸時代後期に堺の芝辻保敬が製作したとみられる筆ペン「自潤筆」が「鉄炮(てっぽう)鍛冶屋敷」(堺市)で展示されている。21日まで。筆の取扱説明書もあり、筆の構造図のほか、「困った時」の対処法も記すなど親切な内容だ。芝辻家は鉄砲鍛冶として知られる。
筆は長さ約15センチで真ちゅう製。末尾部分を外して綿と墨を入れる。筆先にもねじ式のキャップが付いており、筆を携帯していても筆先で汚れない構造で、筆先の交換もできる。
取説は「御殿の中、馬上でも墨を付ける必要はなく、日数がたっても乾きません」と利点を説明し「墨が減った時は」「太く書く時は」「毛先が悪くなった時は」などと困った時の対処法も記していたが、製作者などは書かれていなかった。
自潤筆は、堺の鉄砲鍛冶として知られた井上家の所蔵品で初公開。古文書も約2万点残されており、市がこれらの資料を調査する過程で、同じ筆と取説の所有者がいることが判明。その取説には「堺浦 芝辻保敬製」と記されていたことから、製作地などを推定した。
同様な筆は1828年に近江(滋賀県)の鉄砲鍛冶だった国友一貫斎が「懐中筆」を開発している。自潤筆よりも数十年古く、取説の文言も似ている部分があるという。
【図・写真】江戸時代後期製作の筆ペン「自潤筆」と取扱説明書=堺市提供
満蒙開拓団の歴史つなぐ 長野の記念館が新企画、元団員の子と来場者対話[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 433文字 PDF有 書誌情報]
昭和初期以降に国策で旧満州(中国東北部)に入植した開拓団の歴史を伝える長野県阿智村の「満蒙(まんもう)開拓平和記念館」は14日までに、元開拓団員の子の世代が来場者と対話する新企画を始めた。戦争体験者が減少する中、歴史を受け継ぐ。初回は両親が団員だった男性が、戦争終結直後のソ連兵への性接待などを語った。
記念館は2013年の開館以来、元団員による定期講演を開いてきたが、高齢化により昨年12月で終了した。新企画「土曜セッション」は、団員の子や中国残留孤児の家族ら次世代が登壇する。初回は岐阜県の旧黒川村(現白川町)から中国吉林省に渡った団の「黒川分村遺族会」会長の藤井宏之さん(73)が担当。戦後、略奪から身を守るため、団員の未婚女性十数人をソ連兵に差し出し、性接待を強いた事実を語った。
元団員の両親は語らなかったが、遺族会で交流を深めた被害者の女性から「あなたの父が女性を呼び出し送り出す役目だった。訪ねてくるのが嫌だった」と伝えられたと、苦渋の表情で語った。
長崎の大学生、核廃絶へ国連で議論 海外の若者と[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 315文字 PDF有 書誌情報]
核問題を学ぶ長崎の学生でつくる「ナガサキ・ユース代表団」は14日、国連本部で28日に始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会に合わせて米ニューヨークを訪れ、海外の若者らと核廃絶に向け核兵器の代替案を議論するサイドイベントを実施すると明らかにした。
渡米するのは長崎大生6人で、準備委の一般討論演説を傍聴するほか、各国・地域の政府関係者らと面会する予定。国連本部で30日に開くサイドイベントでは、国際政治や経済学の視点から核政策について専門家を交えてグループごとに議論し、発表する。
長崎市での記者会見で、代表を務める3年の今村陽さん(20)は「各国の姿勢や若者の視点を現地で学び、日本で伝えたい」と意気込んだ。
バルガス・リョサさん死去 ノーベル文学賞、89歳[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
【サンパウロ=共同】2010年にノーベル文学賞を受賞したペルー出身の作家マリオ・バルガス・リョサさん=写真はロイター=が4月13日、首都リマで死去した。89歳だった。家族が公表した。死因は明らかになっていない。
同じくノーベル文学賞を受賞したコロンビア出身の故ガブリエル・ガルシア・マルケスさんと並ぶ中南米文学の巨匠と評された。
1936年、ペルー南部アレキパ生まれ。リマのサンマルコス大を卒業後、放送局や通信社などで働いた。士官学校を舞台に腐敗した社会を描いた「都会と犬ども」(63年)が代表作。66年にはアマゾンを舞台にさまざまな人間模様を描いた長編小説「緑の家」を発表し、作家としての地位を確立した。
奥田亡羊氏(歌人)(死去)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 122文字 PDF有 書誌情報]
奥田 亡羊氏(おくだ・ぼうよう、本名=尚良=たかよし、歌人)4月11日、肺がんのため死去、57歳。後日偲ぶ会を開く予定。喪主は父、良胤(よしたね)氏。
1999年から歌誌「心の花」に所属。歌集「亡羊」で現代歌人協会賞、歌集「花」で若山牧水賞。
故岡村勲氏(全国犯罪被害者の会〈あすの会〉元代表幹事、弁護士)のお別れの会[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 42ページ 74文字 PDF有 書誌情報]
故岡村勲氏(全国犯罪被害者の会〈あすの会〉元代表幹事、弁護士)のお別れの会 5月12日午後0時30分から東京都千代田区一ツ橋2の1の1の如水会館。
万博に長蛇の列、解消探る――空飛ぶクルマ、会場舞った 初飛行、「乗りたい」と歓声[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 504文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博で14日、「空飛ぶクルマ」が初飛行した。丸紅が米リフト・エアクラフト社製の機体を使い会場内のポート(離着陸場)上空で約7分間、方向転換や旋回を披露した。
午前11時の初回フライトには約100人がつめかけた。18枚のプロペラが回り始めるとすぐに約10メートルの高さまで上昇。観覧していた子どもたちから「すごい」「乗りたい」などと歓声が上がった。丸紅エアロスペースの西川博貴取締役は「将来は2地点間移動にも使えるようにしたい」と述べた。
開幕日の13日は悪天候のためフライトを見送っていた。13日も家族3人で会場を訪れていた、広島市の藤森義規さん(67)は「昨日は飛行中止になって残念だったが、今日は晴れてよかった。自由自在に飛んでいて驚いた」と話した。
丸紅は7月中旬まで会場内のデモフライトを担う。7月中旬~8月下旬がスカイドライブ。9月下旬~10月はANAHDによる米新興ジョビー・アビエーションの機体がフライトする。
10月には再び丸紅が担当。使用機材は英バーティカル・エアロスペース社製に変わる。
【図・写真】大阪万博会場でデモ飛行をする丸紅陣営の「空飛ぶクルマ」(14日、大阪市此花区)
万博に長蛇の列、解消探る――前売り券販売970万枚 目標の1400万枚に届かず[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 305文字 PDF有 書誌情報]
日本国際博覧会協会は14日、2023年11月30日から25年4月12日まで販売した大阪・関西万博の前売り券の総販売枚数が約970万枚だったと発表した。うち640万枚超は企業や団体の購入分。開幕直前の駆け込み需要で11日に約20万枚、12日に30万枚超を販売したが、目標の1400万枚を達成できなかった。
前売り分も含めた会期末までの入場券販売目標は2300万枚。石毛博行事務総長は14日の記者会見で「全体の期間を通じてターゲットを実現するのが重要」と強調。販売実績に計上していない教育旅行や団体ツアーの申し込み分が約200万枚あると説明し「合計で1170万枚以上。相当いいところに来たと思っている」と話した。
万博に長蛇の列、解消探る――ナショナルデー、第1弾始まる トルクメニスタン[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 205文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は14日に開幕2日目を迎え、参加国・地域が日替わりで自国の文化などを集中的に紹介する「ナショナルデー」が始まった。第1弾の中央アジア・トルクメニスタンは伝統舞踊を披露し、初の平日開催を盛り上げた。
同国のベルドイムハメドフ大統領は14日午前、会場内のホールで開かれたナショナルデーの式典に出席し「平和、信頼、平等が世界の基盤とならなければならない。日本で展示会を開催できてうれしい」と挨拶した。
万博に長蛇の列、解消探る 来場者、正午ごろに集中 通信改善へ移動基地局(EXPO2025)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 1586文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は来場日時の予約などで「並ばない万博」をうたったものの、13日の開幕日から各入場ゲートやパビリオン前には長蛇の列ができた。午後に来場客が集中したことや、通信の遅延・悪天候などが影響したとみられる。関係者は移動基地局の整備など対策を急ぐ。
(大阪・関西万博取材班)
初日の一般来場者数は約11万9000人。このほか参加国や民間企業、自治体など、出展パビリオンのスタッフやイベント出演者ら約2万2000人が入場した。
「雨で寒い中、入場するのに2時間以上もかかった」。午前から午後にかけて東ゲート前には長い列ができ、来場した人たちからは次々に不満が漏れた。米国やフランス、スペインなど予約が不要のパビリオンの前にも長い列ができた。
輸送の中心になる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線の夢洲(ゆめしま)駅周辺も乗降客で混み合い、正午から午後3時半ごろまで断続的に入構を制限した。
混雑の要因は複数ある。一つはネットでの来場日時を指定する予約システムだ。午前9時台、10時台、11時台、正午から午後5時と午後5時以降に分かれる。午前中は1時間おきだが、午後は5時間の幅がある。このため正午付近に来場が集中した可能性がある。
NTTドコモの携帯位置情報をもとにした人流データを分析したところ、夢洲駅周辺の人出のピークは午後0時台。開場直前の午前8時台の3倍近くに増えた。海外パビリオンが並ぶ大屋根リング内側の人出は午後1時台にピークを迎えた。開場直後の午前9時台の3倍弱の水準だった。
悪天候も影響したとみられる。会場周辺では正午前から雨が降り始め、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の飛行が中止になった。午前に入場した来場客やブルーインパルス目当ての客が帰路につき始め、午後からの来場者も増加したことで駅が混雑した可能性がある。
ゲート前での混雑は通信環境のトラブルも一因になった。日本国際博覧会協会によると午前9時半ごろから午後2時半ごろにかけてスマホからインターネットにつながりにくくなった。入場時に必要な電子チケットのQRコードが表示できず、足止めをくらった来場客もいた。
会場につながる公共交通機関でも一部混乱が出た。JR大阪駅など都心部のターミナル駅では目立ったトラブルはなかったものの、大阪メトロ中央線とJR大阪環状線が接続する弁天町駅で入構制限を実施した。
林芳正官房長官は14日の記者会見で「会期を通じて継続的に改善することによって来場者の満足度を高めていきたい」と語った。
協会は通信トラブルに関しては東ゲート付近にWi―Fiを設置して改善する方針だ。QRコードを事前にプリントアウトしたり、スマホでスクリーンショットを撮ったりすることも呼びかける。
各通信キャリアも対策を進める。ソフトバンクは14日までに移動基地局を設置。NTTドコモと楽天モバイルも設置を決めた。NTTドコモは「1日も早く通信環境の改善に努める」と話す。KDDIも配置を検討している。
一方で繁忙期のゲート前やパビリオンの混雑は、解決のメドがたっていない。14日記者会見した協会の石毛博行事務総長は、入場時間の予約枠について「(午後の予約枠の時間を細かく分けることは)今のところ考えていない」と話した。
スタッフらの習熟度に関して「慣れていないのは事実だ」と指摘したものの、オペレーション全体では「適切に対応した。13日の段階で大きなトラブルになったと認識はしていない」と強調した。
アクセス網の混雑についても抜本的な解決策をとるのは難しい。代替となるバスは、運転手の人手不足が深刻で、増便に即座に対応できない。シャトルバスを運行する大手バス事業者は「需給が逼迫するなかで人員や車両を供給している。生活路線を維持する上でこれ以上の供給は無理だ」と指摘する。
熊本地震「心の復旧進める」 前震9年、「復興の鐘」除幕式[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 737文字 PDF有 書誌情報]
熊本、大分両県で計278人が犠牲となった2016年の熊本地震は14日、最初の激震「前震」から9年となった。前震と16日の「本震」で震度7を2回記録した熊本県益城町では午前8時半ごろ、西村博則町長や職員ら約30人が1分間黙とうした。
西村町長は震災記念公園の献花台に花を手向け「地震を風化させることなく、伝え続けることが大事だ」と語った。
県内の主要インフラの復旧はほぼ完了している。西村町長は「心の部分が一番の課題と思う。ソフト面の復旧をしっかり進めたい」と述べた。
県庁では追悼式が開かれ、遺族ら20人が参列。木村敬知事は式辞で「防災・減災対策の一層の充実を図り、安心して暮らすことができる熊本を築いていく」と話した。
生後間もない次女の陽縁ちゃんを失った市原耕一さんは「今も大きくなっていたらどんなふうになっていただろうね、と家族で話す」と声を絞り出した。
先天性の心臓病があった次女花梨ちゃん(当時4)を災害関連死で亡くした宮崎さくらさんは「娘を失ったつらさ、悲しい気持ちは変わらない。助けられたんじゃないかと今でも思う」と話した。
10人が死亡した御船町では防災、減災の意識を後世に引き継ぐためのシンボルとして、町が制作を企画した「復興の鐘」の除幕式が行われた。
吹き付ける雨風に負けない「カーン」という鐘の音が高らかに鳴り響き、藤木正幸町長は「震災を風化させることなく、次の世代へ記憶をしっかりとつないでいく願いを込めた」と語った。
熊本地震では両県で計約4万3千棟の住宅が全半壊し、最大時計約19万6千人が避難した。熊本城(熊本市)の復旧工事完了は52年度の見通し。
【図・写真】除幕式で「復興の鐘」を鳴らす熊本県御船町の藤木町長(左)と地元の保育園児(14日)
華麗な屋台、春告げる 岐阜・高山祭 140年ぶり改修も[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 43ページ 254文字 PDF有 書誌情報]
岐阜県飛騨地方に春の訪れを告げる風物詩「春の高山祭」が14日、高山市で始まった。約140年ぶりの改修を終えた1台を含む豪華絢爛(けんらん)な屋台12台が2022年以来、一堂にそろい、旧高山城下町を彩る。15日まで。
金箔の装飾があしらわれるなどした屋台が蔵から続々と城下町に繰り出すと、観光客は思い思いにカメラに収めていた。春の高山祭を母親と初めて訪れた横浜市の女性会社員(20)は「すごくゴージャス。晴れてよかった」と声を弾ませた。
【図・写真】岐阜県高山市内の橋を渡る「春の高山祭」の豪華な屋台(14日)
交通安全標語、止まらぬ情熱 五・七・五に思いを込めて創作続け半世紀、1000点入賞まであと一歩 村岡孝司[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 44ページ 1435文字 PDF有 書誌情報]
「危険です ながらスマホで 踏むペダル」「行けるはず まだ渡れるは もう危険」――。交通事故を減らすため、道行く人に注意を呼びかける交通安全標語を作り続けて、今年で55年になる。
最初に標語を作ったのは、27歳の時だ。地元紙には地域の交通安全協会が公募した標語が毎年掲載されるのだが、ある朝ふと気がついた。入賞者の名前が、毎年同じだ。応募点数がそう多くないということだろうか。ひょっとして、ぼくでも作れるんじゃないかな。最初の応募作は「お母さん 急がず握ろう 幼児の手を」。これが最初の入選作となった。
なんだ、楽勝じゃないか! と思ったのもつかの間。順調だったのは最初の1回だけで、その後5~6年ほどは鳴かず飛ばずに。勘所を学ぶ必要性を感じ、新聞や雑誌に掲載される受賞標語の数々をスクラップして分析した。この時身についた習慣は、後々まで財産となったように思う。
大抵の標語は俳句や川柳と同様、五・七・五で構成される。それだけの短さで人の記憶に残る標語を作るには、ちょっとしたコツがいる。
例えば、冒頭に挙げた標語の場合、下の句の「踏むペダル」がミソだ。自転車という言葉をあえて使わないことで、自転車をこぐイメージがかえって鮮明に伝わる。ポスターになったときに見栄えがするよう、漢字とひらがなのバランスも重視した。
言葉の反復も欠かせない。例えば、私が2015年に作った標語「早めから つけるライトで 消える事故」では、「つける」と「消える」という反対語を繰り返すことで、思わず口ずさみたくなるリズムの良さを追求した。同年に静岡県の小学生が考案した「ルールむし しん号むしは わるいむし」という標語も、「むし」の繰り返しが小気味良くて面白い。
長年地道に応募し続けるうちに少しずつ入選の頻度が上がり、毎年3万点以上の応募がある国内最大規模の公募標語「交通安全年間スローガン」で、最優秀作に贈られる内閣総理大臣賞に5回選出されるまでになった。近所の人に「きっとスラスラ思いつくんでしょう?」と言われるが、とんでもない。過去の受賞作の情報を集め、募集要項から求められる作品の傾向を読み取り、辞書とにらめっこしながら1日4~5時間も呻吟(しんぎん)して、やっと数点思いつく。
同スローガンの場合、500点ほど試作した中から300点に絞りこんで応募するため、コンスタントに制作し続ける持久力がものをいう。妻には「毎日頭を抱えていて、はたで見ている方がしんどい」と言われるが、好きでやっていることだから、私は全然苦にならない。目新しい流行語や標語に使えそうな単語があれば、どこでもこまめにメモをとる。
動物愛護やいじめ撲滅など、様々なスローガンを作ってきたが、私が一番得意なのはやっぱり交通安全標語だ。小学生の頃に交通事故に遭って以来、愛用の自転車で横断歩道を渡る時は、1回止まって両足をついてから左右を確認し、一呼吸置いてからもう一度左右を見て渡っている。幼少期に経験した恐怖が、まさか標語作りの趣味に生きることになるとは思いもよらなかった。
交通安全以外のジャンルも含む標語・スローガンの入選作品数は、991点に達する。生涯1000点入賞を目標に精進してきたが、年内にも手が届きそうだ。今日もメモ帳を片手に、うんうんうなりながら標語を作り続ける。
(むらおか・たかし=元会社員)
【図・写真】今年の交通安全年間スローガンのポスター=一般財団法人全日本交通安全協会・毎日新聞社提供
平井一夫(15) ソニーを潰す気か 突如ぐらついた稼ぎ頭 ゲーム機超えたビジョン伝わらず(私の履歴書)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 44ページ 1399文字 PDF有 書誌情報]
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、当時)の社長に就任し、東京での単身赴任生活が始まった。米国法人時代も東京のSCE本社は何度も訪問しているが改めて腰を据えてみると、いつの間にか巨大な組織になったものだと実感した。
私が米国でプレイステーションのお手伝いを始めた頃は、まだ社内ベンチャーという存在だったが、10年もたたないうちに社員数は約5000人に達していた。3年ほど前に移転した南青山の本社ビルには収容しきれず、主に周囲の3つのビルに分散していた。社員たちは社用の自転車で行き来していた。
すっかり大企業になったSCEにはどんな課題があるのか。私は米国時代と同様、社員たちの声に耳を傾けることから着手した。今回は一対一というわけにはいかない。そこでターゲットを課長から部長あたりの層に絞り、定期的に5~10人ほどでランチ会を開くことにした。
狙いの半分は米国時代と同じだ。「平井」を売り込むこと。ただし、自説を演説するなんてナンセンスだ。参加者たちが持ち場に戻り、周囲から「平井さんってどんな人でしたか」と聞かれたときに、「武勇伝ときれい事を聞かされたよ」なんて伝えられたら、その時点でアウトだ。誰も私の話なんて聞かなくなる。
まずはじっと話を聞くことに徹するのが私のやり方だ。とはいえ、社員たちからすれば新社長にいきなり本音なんて言えるわけがない。私の役割は参加者が発言しやすい空気をつくることだ。時にプライベートの話から始めたり、「あれ、以前にアメリカで会ったよね」と気軽に話しかけたり、とにかく英語で言うアイスブレークに徹するのだ。
こんな会を重ねていくと、「どうやら平井さんとのランチ会では思っていることを口にしてもいいみたいだ」という見方が社内に広がっていく。会社が抱える問題が見えてくるのはそれからだ。
実際に見えてきたのは、私が社長に就任する直前に発売されたプレイステーション3が多くの課題を抱えているということだった。ある社員が私にこう聞いてきた。「平井さんはPS3とはなんだと思いますか」。根源的な質問だ。すぐに理解した。私は試されているのだと。ただ、私はすでに確信していた。
「PS3はゲーム機。それ以外のなにものでもない」
実はこれは、私の前任である久多良木健さんが描いた壮大な構想を全否定する言葉だった。質問者にもすぐに伝わったはずだ。
久多良木さんは間違いなくカリスマでありビジョナリーであり、スーパーエンジニアだ。そのビジョンを詰め込んだのがプレイステーション3だった。久多良木さんに言わせれば、それはゲーム機の枠を超えた「家庭のスーパーコンピューター」だ。
社員たちの意見を聞けば、お客様にはまったくそんなビジョンが伝わっていない。確かに画質などは見違えるように改善されたが、それにしても値段が跳ね上がったというインパクトが大きかった。
プレイステーションの変調は端的に数字に表れた。社長就任の直後にまとまった07年3月期の決算で、SCEは2300億円もの赤字を計上した。ソニーが誇る新たな稼ぎ頭が突如としてぐらついたのだ。すると私のもとにソニー首脳から電話が入った。怒りに満ちた声でこう切り出された。
「おまえたちはソニーを潰す気か」
(ソニー元社長)
【図・写真】体験コーナーでプレイステーション3を楽しむ人たち(2006年、東京・銀座のソニービル)
万博の風景(5)L・C・ザマルスキ「1873年のウィーン万国博覧会―ロタンダの眺めと展示棟の平面図」(十選)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 44ページ 626文字 書誌情報]
京都大学教授 佐野真由子
万博を開催するとは、その半年間、世界の主人役を務め、参加各国を迎えることを意味する。開催国が工夫を凝らし、世界観を表現する会場の全景図は、歴代の万博を知るうえで最適の資料だ。
1873年、フランツ・ヨーゼフ1世の治世25年を記念して万博を開催したオーストリアは、ドナウ河畔のプラーター公園に奇妙な櫛(くし)形の会場を建設した。東西に延びる主廊は850メートル、それに計16本の翼廊が垂直に交わる。
内部はすべて展示スペースになっており、中央の大ドームを挟んで西側には、地球上でオーストリアよりも西に位置する国々が、東側には東方の国々の出品区が配された。まさに世界地図である。併せて南側に広がる屋外の敷地には、各国が趣向を凝らした庭園や小施設がちりばめられた。徐々にこの部分が中心になり、万博は1つの巨大会場から国別のパビリオン方式へと移行していくことになる。
折しも米欧を巡遊中であった岩倉使節団一行がこの万博を視察した際の記録に、「宛トシテ(あたかも)地球上ヲ縮メテ、此一苑ノ内ニ入レタル思ヒヲナス」とある。万博というものをこれ以上によく表した表現はあるまい。
日本は主会場の東の端、つまり向かって右端の翼廊の一角に出展した。屋外では、鳥居を建てて神社の境内を模し、大評判をとった。明治維新後6年目、新政府としてのデビュー戦であった。
(1873年、紙に印刷、43.3×64.5センチ、オーストリア・ウィーン・ミュージアム蔵)
スキーと人生の師 山田慶太(交遊抄)[2025/04/15 日本経済新聞 朝刊 44ページ 517文字 PDF有 書誌情報]
毎年、冬になると北海道富良野市を訪れ、スキー選手で五輪にも出場した木村公宣さんと会うのが何よりも楽しみだ。酒を酌み交わしながら、さまざまな話をするが、その生き方に感銘を受け、いい年の取り方をしているなあと感じる。
子供の頃からスキーに親しんでおり、高校卒業後、今の会社を父とともに立ち上げてからの数年間はシーズン通してリフトに乗れるチケットを買い、福島県内のスキー場に通った。
近年は良質の雪を求めて北海道に出向くようになり、ある時、木村さんが主宰するスクールに参加したところ、運良く木村さん自身にお会いすることができた。それを契機に交流が始まった。穏やかで偉ぶらない方で、4度も出場した五輪についても、こちらから求めない限り話をしない。100歳で現役スキーヤーだった三浦敬三さんに刺激を受け、自分も「100歳まで滑るのが目標だ」という。その純粋さにも心を打たれた。
今は富良野の街おこしに関心があるそうで、インバウンド(訪日外国人)対応や観光税などの問題を相談されることもある。そんな時は、私がビジネスで得た知見を生かし、アドバイスすることもある。次のスキーシーズンも富良野に行くのが待ち遠しい。
(やまだ・けいた=アサカ理研会長)
25年04月14日
初任給30万円以上130社 今春倍増 地銀や私鉄、伸び目立つ 本社調査[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1153文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社が13日まとめた2026年度採用計画調査で、25年度の初任給を30万円以上とする企業は131社と24年度の58社から倍以上に増えた。平均は24年度比4.9%増で、25万4228円と過去最高を更新した。人手不足を背景に新卒採用(3面きょうのことば)数は2桁の伸びを示す。ただ、世界経済の不透明感が増しており、一部で計画を見直す動きが出る可能性はある。(関連記事ビジネス1面、回答一覧などを17日付、詳細を18日付日経MJに)
主要企業5257社に26年春の新卒採用計画を聞き、3月13日までに未確定とした企業も含め2270社を集計した。調査では25年春入社の初任給についても聞いている。回答した比較可能な1267社のうち「引き上げる」としたのは約7割だった。10%以上増やす企業は182社と全体の14.4%に達した。
初任給引き上げの理由(複数回答)で最も多かったのは、83.4%があげた「人材確保」だ。「物価高に対応」(57.2%)、「在籍者のベアを実施したため」(50.8%)が続く。
業種別平均で引き上げが顕著なのは銀行(9.4%増)や鉄道・バス(8.5%増)などだった。27.0%増の西武ホールディングスは25万2千円から32万円まで引き上げた。人材争奪が激しくなる中、西山隆一郎社長は「最高の待遇で応える」と意気込みを示す。
銀行では都心部よりも深刻な人手不足と向き合う地銀が引き上げ率の上位20位以内に7社入った。福井銀行は24年春の20万5千円から26万円に引き上げた。「都市部と同水準の初任給を設定してUターン就職を促したい」(同行)
大和ハウスグループは10万円増の35万円とし、引き上げ額でトップだった。「報酬水準の差で当社を視野に入れていなかった人材の獲得を期待している」(大和ハウス工業)という。
新卒採用の拡大は続く。26年春入社の大卒採用計画人数は前年春実績比11.5%増の14万302人だった。大卒採用計画人数の増加率は前年度の15.6%から鈍化するが、4年連続で2桁増となる。文科系の7.9%増に対して、理工系は16.0%増と倍の伸び率だった。
業種別平均では運転手不足の陸運が33.4%増。福山通運グループは2倍の150人を計画する。人工知能(AI)を使った面接の導入などで応募数の増加を図る。
今後も新卒採用増と初任給引き上げの両輪で若手の確保を狙う動きが持続するかが焦点となる。初任給の今後3年程度の方針を聞いたところ、2割超の企業がさらに引き上げるとした。
不安材料もある。トランプ米政権の関税政策で世界経済の不透明感が強まっており、業績悪化に伴って新卒採用計画を下方修正する可能性はある。企業は景気の浮き沈みに振り回されない採用戦略を練る必要がある。
大阪万博 開幕[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 1ページ 641文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が13日、大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開幕した。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日まで半年間にわたって未来社会を形づくる理念や先端技術を発信する。日本での大規模万博は2005年の愛知以来20年ぶり6回目。過去最多となる158カ国・地域が参加する。想定来場者は計2820万人。(関連記事総合・経済面、社会面に)
13日午前、日本国際博覧会協会の十倉雅和会長(経団連会長)が開幕を宣言した。全47カ国42館の自前建設型「タイプA」パビリオンも相次ぎ開館イベントを開いた。
30年リヤド万博の開催国、サウジアラビアのガーズィー・ファイサル・エス・ビンザグル駐日大使は「様々なことを調整することが得意な日本からしっかり学びたい。リヤドでの開催に向けて日本からトーチを引き継いでいく」と話した。
空飛ぶクルマのデモ飛行を14日以降に実施する丸紅陣営の米リフト・エアクラフト、マット・チェイスン最高経営責任者(CEO)は「誰もが空を飛んで、ドア・ツー・ドアで移動できる未来を実現したい」と述べた。
参加国や日本企業、自治体などが出展するパビリオンは計84館にのぼり、iPS細胞からつくった「iPS心臓」、人工知能(AI)や宇宙開発技術などを展示する。
パビリオン以外でも水素燃料電池船による会場への輸送など多くの体験を提供する。
(大阪・関西万博取材班)
【図・写真】大阪万博が開幕し、会場のミャクミャク像前で記念写真を撮る人たち(13日、大阪市此花区)
岐路の道路政策(上)人口減でも延びる道路 甘い試算、7割で交通量減 維持費のツケ重く(エビデンス不全)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1366文字 PDF有 書誌情報]
人口減少下でも道路が延び続けている。建設前に示す費用対効果がずさんで、開通後に悪化するケースが絶えない。全国の主要道の7割の区間は過去10年で車の通行が減った。インフラはつくっただけで終わらず維持費もかさむ。地域振興や防災といった批判しにくい政策目的を隠れみのに無駄がはびこっていないか目をこらす必要がある。
膨らんだコスト
九州のほぼ中央に位置する大分県竹田市。2月の平日午後、中九州横断道の竹田インターチェンジ(IC)付近を走る車はまばらだった。2019年に全線開通した12.3キロの区間の終着点。最大1日1万9200台を見込んだ交通量は4割の7800台にとどまる。
金額に換算した整備効果を費用で割った指数は04年に1.6とはじいていた。現状は1.0。建設前の段階なら待ったがかかりかねないギリギリの水準だ。想定外の地質で建設費が446億円と計画の1.4倍に膨らんだ影響もあった。
九州地方整備局は「交通量は推計で、期待も込めている。事業前後の費用対効果を比べることに意味はない」と主張する。
日本の人口は2008年がピーク。減少局面に入った09年以降に全国の道路は2万キロあまり延び、計123万キロに達した。足元でも建設は続く。需要を適切に見極めているのかは疑わしい。
日本経済新聞は国土交通省がおおむね5年ごとにまとめる道路交通センサスのデータを調べた。高速道や国道など主要道19万キロの直近21年と10年時点の24時間交通量を比べると、約9万2000区間のうち約6万3000区間で減っていた。約1万2000区間は3割以上の落ち込みだった。
大阪府は8割以上の区間がマイナスだった。静岡、島根、大分の3県は1割超の区間が半分以下に減った。
低い費用対効果
そもそも見通しが甘いケースが多い。国交省の事後評価資料で15~24年度公表分の340路線を点検すると、比較可能な221路線の7割にあたる147路線は実績が計画値を下回った。
費用対効果も比較可能な314路線のうち184路線で低下していた。事前の交通量推計が過大だったり、建設コストを低く見積もっていたりしていたことになる。
新潟市中心部を走る国道7号で14年に全線開通した橋は通行量が見込みの4割強の1日1万6200台にとどまる。交通が集中する目抜き通りの万代橋のバイパスにと期待した姿にはほど遠い。「周辺の開発促進などの効果もある」という北陸地方整備局の弁明はむなしく聞こえる。費用対効果の指数は2.0から1.1に悪化した。
一橋大学の佐藤主光教授は「人口減で需要は減る。費用対効果が悪化した事業の検証を重ねる必要がある」と指摘する。
道路ができれば利便性は増す。全く役に立たないことはない。問題は政策としての優先順位だ。限りある財源を投じる合理性が乏しいなら、状況の変化に合わせた見直しが欠かせない。
1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没は下水管の破損が引き金だった。復旧の見通しはたっていない。道路に限らずインフラ全体をどう守っていくか。政策資源の配分はますます難しくなる。
道路の維持管理費は国と地方で22年度に計3兆円と、10年前の1.8倍に増えた。建設費の3.2兆円に迫る。甘い見通しで道路をつくり続ければツケは膨らむ。エビデンスに基づく取捨選択こそが要る。
終戦後の日本には「民主主義」があふれかえった(春秋)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 1ページ 560文字 PDF有 書誌情報]
終戦後の日本には「民主主義」があふれかえった。「民主主義の、新しい日本、美しく、楽しく、住みよい日本をつくりあげるための一助として『父母と先生の会』を作り、力強い活動を始めよう」――。文部省が学校にPTA設置を促した手引書も、こう唱えている。
▼GHQ(連合国軍総司令部)の意向を受けていたのはもちろんだが、創設の動きは短期間に全国に広がった。軍国主義教育を捨て去るには親たちの協力が不可欠だと考える人々の、強い思いがあったからだろう。そんな歴史を持つPTAなのに、昨今はいよいよ評判が悪い。新年度の役員決めに翻弄された方も多いはずだ。
▼「同調圧力がハンパじゃない」「ベルマークの整理とかアナログ感満載」「なぜ母親だけがかり出されるの?」……。つまり、時代遅れなのだ。それは現場だけではなく、日本PTA全国協議会(日P)を頂点とするピラミッド型組織にもあてはまる。保護者から会費を集めながら運営が不透明だと、かねて問われてきた。
▼昨年は日Pの元参与が背任容疑で逮捕される事件も起き、内閣府が是正勧告を出した。日Pを離れる下部組織も相次ぎ、岡山県では連合会そのものが3月いっぱいで解散した。古くさい現場もピラミッド構造も、もう持たないのかもしれない。民主主義を高らかにうたった初心は遠く、戦後昭和の悪弊ばかりが浮き上がる。
米相互関税、スマホ・半導体装置除外 テックの現実に屈す 供給網、対外依存大きく[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1190文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平、シリコンバレー=中藤玲】トランプ米政権は相互関税の対象からスマートフォンや半導体製造装置など電子関連製品を除外した。国内テック企業からの要望を受け入れた。行き当たりばったりの政策では、国際分業が高度に進んだサプライチェーン(供給網)の現実を乗り越えられなかった。
既存のものと合わせて累計145%の対中国追加関税により、スマートフォンが大幅に値上がりするのを回避する。トランプ政権が進める国内での半導体工場や人工知能(AI)向けデータセンターの建設にも半導体製造装置や記憶装置などの輸入が不可欠だと判断したようだ。
米税関・国境取締局(CBP)が米東部時間11日夜に出した通達で周知した。米ホワイトハウスはその後、トランプ米大統領が署名した文書を公表した。トランプ氏は同文書で、元々除外していた「半導体」の定義にスマホや半導体製造装置も含むという理屈をつけて相互関税の対象から外した。
除外措置は相互関税の第1段階となる一律10%を発動した5日まで遡って適用する。トランプ氏は12日、記者団に半導体への関税措置について「月曜日(14日)に答える。明確に説明するつもりだ」と話した。
中国商務省は13日、スマホなどの対象除外に関し「誤った方法を正す小さな一歩だ」と評価する報道官談話を発表した。相互関税の完全撤廃を改めて求め「貿易戦争に勝者はなく、保護主義に活路はない」と指摘。対話による解決を訴えた。
スマホやパソコンおよび部品が広く除外対象になった。半導体製造装置やサーバーなどに用いる記憶装置ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)なども外した。
米国は特にAI向け半導体の製造装置に関し、東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングに依存する。
SSDや半導体製造装置はいずれもデータセンターや半導体工場には不可欠だが、米国企業の存在感は薄い製品分野だ。高税率の相互関税で国内産業を守ろうとすると、肝心の産業育成策の足を引っ張るという矛盾を克服できなかった。
米商務省の統計によると、米国が2024年に中国から輸入したコンピューターや電子機器は今回の除外対象にならないものも含め、1191億ドル(17兆円)あった。中国からの輸入全体の26%におよぶ。
英キャピタル・エコノミクスの分析では、相互関税の除外対象となった品目は中国からの輸入全体の23%で、中国からの輸入電子機器の大部分を占めるとみられる。
スマホやパソコンは対中依存度が高く、値上げは消費者に大きな影響を与える。第1次トランプ政権でも両製品への対中関税を見送った。
今回は米アップルのスマホ「iPhone」の価格が大幅に上がるだろうとの話題が高い関心を呼んだ。iPhoneの米国内シェアは6割前後。米国内で販売する分のほとんどを中国で組み立てており、高関税が直撃するとみられた。
物価高「補正予算で対応」 自民幹事長 赤字国債には慎重[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 301文字 PDF有 書誌情報]
自民党の森山裕幹事長は13日、物価高対策として2025年度補正予算案の編成を政府に求める方針を明らかにした。「補正(予算)で対応しなければならない」と発言した。鹿児島県指宿市で記者団の質問に答えた。
補正予算案の規模については「赤字国債を出さない範囲内でやらせてほしい」と述べた。今国会での成立が望ましいとしつつ、情勢を見極める考えを示した。
与党内に要求する声がある現金給付に慎重な立場を表明した。「過去何回かやったが貯蓄に回ってしまって消費に回っていないとの意見もある」と話した。
与党ではトランプ米政権の関税引き上げにより企業の賃上げ機運が後退する可能性があるとして現金給付を求める意見が出る。
男女の賃金格差把握へ新組織 政府、来年度に[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 171文字 PDF有 書誌情報]
政府は男女共同参画社会の実現へ、男女の賃金格差の実態を把握する体制をつくる。各地にある「男女共同参画センター」の中核組織として「男女共同参画機構」を2026年度に新設する。
同機構は専門的な調査・研究やデータの蓄積を進める。各センターと連携し格差の実態を調査する。集めたデータを政府の政策立案に生かす。機構は「国立女性教育会館」を改組する。
スマホ敗戦(1) iPhoneと一蓮托生(迫真)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1718文字 PDF有 書誌情報]
「当社は存続の危機にある。茂原での生産を停止することを決定した」
2月中旬、千葉県茂原市のジャパンディスプレイ(JDI)茂原工場の講堂。会長兼最高経営責任者(CEO)のスコット・キャロン(60)は400人の従業員を前に神妙に話し始めた。
従業員にとっては寝耳に水だった。前日の夕方に「明日全体会議があるので集まるように」とだけ告げられた。春季交渉の時期だったこともあり、多くの従業員は賞与削減だと考えていた。
茂原工場は約1300人が働く中核の製造拠点だ。かつては米アップルのiPhone向け液晶パネルの最大の供給拠点だった。ある従業員は「茂原がなくなる時はJDIもなくなる時だ」と口にした。
同工場の生産設備は、石川工場(石川県川北町)に移管される。石川工場は茂原工場の生産能力の4分の1にとどまる。茂原の従業員の処遇を5月をメドに決めるが、大部分は石川県への転勤か退職の二択を迫られる。
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JDIは日立製作所と東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合し2012年に発足し、iPhone向けのパネル供給で急成長した。設立3年で売上高は9891億円に倍増した。
当時の社長兼CEOの大塚周一(73)らはiPhone向けの成長が続くと考え、15年3月に石川県白山市に最新鋭の工場の建設を決めた。この決断が裏目に出た。
「白山工場の建設を止めろ」。16年1月、売上高の過半を占めていたアップルからの通達にJDIの会議室が凍り付いた。15年に発売した「iPhone 6s」の販売不振を理由に白山工場の建設中止を要求した。
その後、アップルはスマホのパネルを液晶から有機ELに切り替えた。液晶専業のJDIは技術の転換について行けず、最大顧客を失った。小米(シャオミ)など中国スマホメーカーの開拓を進めたが、地場のパネルメーカーとの価格競争に苦しんだ。25年3月期の売上高はピークの2割の1800億円に縮む。
アップルはサプライヤー企業を競わせ、先端部品を安く調達してきた。サプライヤーもiPhoneに採用されれば、大口顧客を確保でき収益が得られる。村田製作所やTDKなどはアップルと一蓮托生(いちれんたくしょう)で成長してきた。一方で、要求水準を満たせなければ振り落とされる。
ソニーグループは23年度、iPhone向けに納入を始めた新型画像センサーの量産でつまずいた。取り込む光の量を2倍にするもので、競合する韓国サムスン電子を突き放すための切り札だった。だが、複雑な構造で生産効率が高まらず、24年3月期に約350億円の減益要因となった。
新技術の導入準備をした時は新型コロナウイルス禍と重なっていた。神奈川県厚木市の開発部隊が九州の工場に出張できず、綿密な擦り合わせができていなかった。半導体事業会社の会長の清水照士(65)は「もう少し慎重にすべきだった」と反省を口にする。
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再浮上する企業もある。ベトナム北部にあるホアビン市でプリント基板大手のメイコーの新工場棟の建設が進む。11年の東日本大震災で宮城県石巻市の主力工場が被災し、アップルからの受注が止まった経緯がある。工場が26年度に動き出すと約15年ぶりのiPhone向けの供給となる。
「中国を中心とした生産は限界がくる。交通の便が良いベトナムを次の投資先にしよう」。社長の名屋佑一郎(81)が進出を決めたのは05年ごろ。時間をかけて現地のサプライチェーン(供給網)を構築。短納期で大量生産できる体制を整え、アップルを呼び込んだ。
トランプ米大統領はベトナムに46%の相互関税をかけると発表。その後、スマホを対象から除外した。メイコーは「直接の納入先は米国ではないため、現時点の影響は大きくない」と静観する。インドの工場などに部品を供給する。
供給網を取り巻く環境は変化が激しい。アップルの要求に答えるだけではなく、先回りできるかが問われる。
(敬称略)
◇
07年にアップルがiPhoneを発表して以来、スマホは世界の産業をけん引してきた。覇権を海外企業に握られたスマホ経済圏でもがく日本企業の動きを追う。
【図・写真】iPhoneには日本企業も部品を供給している
逆風下でも家計の資産形成は長い目で(社説)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 942文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の高関税政策が世界の金融市場を揺らしている。昨年新しくなった少額投資非課税制度(NISA)で「貯蓄から投資」に踏み出した家計にも逆風だ。「長期・分散・積み立て」という資産形成の大原則を改めて意識し冷静な運用を続けたい。
相互関税の発表以降、世界の株式や債券、為替の市場で振れ幅の大きい展開が続く。日経平均株価は先週1週間の変動幅が4000円近くとなり、歴代3番目の下げ幅となった3日後に同2番目の上げ幅を記録する乱高下だった。NISA口座が含み損になった人も少なくないだろう。
人生100年時代を生きる個人の資産運用には長い視野が必要だ。投資は変動を伴うが、10年、20年と続けるにつれ元本割れの確率は低下する。新NISAで投資を始めた20~30代はもちろん、年齢に関わらず投資期間を長く取れる人にとって、下落は平均購入価格を引き下げる機会でもある。
リーマン・ショックや東日本大震災、コロナショックなど急激な値下がり局面は過去にもあった。振り返れば、投資を続ける選択が報われてきたのがこれまでだ。
米国発の貿易戦争の影響は軽視できない。実体経済への影響はこれからで、インフレ下での景気後退リスクに注意が必要だ。関税が不況の度を深めた1929年の大恐慌の際は米国株が下落前の値に戻るまで25年を要した。
その最悪のケースでさえ投資の大原則は機能していた。投資助言会社イボットソン・アソシエイツ・ジャパンによると、投資先を米国株と米国債券半々に分散し、毎月定額の積み立てを続けた前提で大恐慌時の値動きを検証すると、配当込みの投資収益は4年弱でプラスに転じるという。
今後も不安定な市場環境は続くだろう。自らの資産形成のあり方を確認し、見直す契機とするのが望ましい。NISAで人気の世界株全体の成績に連動する投資信託は株安・円高両面から値下がり圧力を受ける。債券や金(ゴールド)など値動きの異なる資産の比率を高める選択もあるだろう。
金利の振れ幅も大きくなっているが、長い目でみれば「金利ある世界」への移行は続く。住宅ローンの8割方を占める変動型での借り入れの場合、金利上昇に従って返済額が増加する。運用だけでなく、負債面にも十分目配りし、資産形成・活用に臨んでほしい。
女性起業家への壁を取り払え(社説)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 792文字 PDF有 書誌情報]
起業の分野で女性の存在感が増している。官民の支援策などが女性の意欲を後押しした結果といえる。一方で男性中心のネットワークに女性が入りにくいといった課題も浮き彫りになってきた。日本経済の活性化のためにも起業人材の多様化を一段と進めたい。
日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」で2024年、開業者に占める女性の割合が25.5%となり初めて4人に1人を超えた。調査を始めた1991年(12.4%)の2倍以上だ。
自治体や金融機関の支援、手軽に使えるシェアオフィスの普及、独立前に企業で女性もビジネス経験を積めるようになったことなどが要因だという。東京商工リサーチの調査では経営者全体に占める女性比率も過去最高となった。
起業や経営の担い手の幅が広がればビジネスに多様性が生まれる。今の流れを加速させるべきだ。
金融庁は22年にまとめた報告書で、女性の起業は増えたが上場に至る例はまだ少ないと指摘した。資金調達の難しさが主な原因だ。投資家や投資会社内の意思決定者が男性中心で、女性の能力に偏見がある、非公式の場での交渉や情報交換に女性が参加しにくいといった問題があると分析する。
最近になり、女性起業家が出資を条件に投資側からセクシュアルハラスメントを受ける例が多いとの声が起業経験者などから上がり始めた。ある民間調査では女性起業家の52%が過去1年間にセクハラ被害を受けたという。
ベンチャーキャピタル(VC)など投資側は女性の登用に力を入れてほしい。本格的な実態調査や被害相談の窓口開設といった施策も考えるべきではないか。
世界銀行によれば、女性の就労や起業を阻害する差別的な法律や慣行を撤廃すれば、世界の国内総生産(GDP)を20%押し上げることが可能だという。日本も若い世代で起業志向が高まっている。組織での就労と同様、起業についても女性が働きやすい環境を整備していく必要がある。
4月13日(首相官邸)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 305文字 PDF有 書誌情報]
▽8時 宿泊先の神戸市中央区のホテルオークラ神戸発。11分 同区の川崎重工業神戸本社。14分 橋本康彦社長らと米国の関税措置に関する車座対話。
▽9時19分 同区の公園「東遊園地」。久元喜造神戸市長出迎え。22分 阪神大震災の犠牲者の名前が刻まれた「慰霊と復興のモニュメント」に献花。ガス灯「希望の灯り」を見学。谷公一衆院議員、久元市長同行。40分 同区の「神戸市男女共同参画センター あすてっぷKOBE」。視察。久元市長同行。
▽10時19分 女性起業家らと地方創生に関する車座対話。
▽11時34分 報道各社のインタビュー。
▽12時30分 伊丹空港。
▽13時54分 全日空26便で羽田空港。
▽14時28分 公邸。
首相、資金繰り支援「的確に」 米関税対策で(短信)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 190文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は13日、トランプ米政権の関税措置への対策を巡り、国内企業からの資金繰りや雇用支援の要請に「的確に応じていきたい」と述べた。米国との交渉で「日本の輸出が米国に雇用、投資をもたらしていることをわかってもらうために現場の声を反映していく」とも強調した。
訪問先の神戸市内で記者団の取材に答えた。神戸市の川崎重工業本社を訪れ、橋本康彦社長らと関税の影響について意見交換した。
内閣支持率わずかに上昇 共同通信世論調査、32.6%(短信)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 134文字 PDF有 書誌情報]
共同通信社が12、13両日に実施した全国電話世論調査で、トランプ米政権による関税に関し、84.2%が日々の生活に「影響があると思う」と回答した。石破内閣の支持率は発足以来最低となった前回調査27.6%からわずかに上昇し32.6%となった。不支持率は53.8%だった。
減税「社会保障と一体で議論」 自民・小野寺氏(短信)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
自民党の小野寺五典政調会長は13日のNHK番組で、消費税減税について「もし税の問題を議論するなら、社会保障との一体的な議論が必要だ」と述べた。税制のほか社会保障制度や物価高対策をまとめて議論すべきだと主張した。
松江市長選告示 現新3氏が立候補[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 181文字 PDF有 書誌情報]
任期満了に伴う松江市長選は13日告示され、無所属新人のレストラン経営中澄政彦氏(37)、再選を目指す無所属現職上定昭仁氏(52)=自民、国民、公明推薦、共産党新人の党島根県副委員長村穂江利子氏(56)の3人が立候補を届け出た。投開票は20日。
◇立候補者(届け出順)
中澄 政彦37 飲食店経営
無新
上定 昭仁52 元銀行員
無現
村穂江利子56 党県副委員長
共新
富山市長選告示 現職・新人が一騎打ち[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 2ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
任期満了に伴う富山市長選が13日告示され、いずれも無所属で、再選を目指す現職の藤井裕久氏(63)=自民、立憲民主、国民民主、公明推薦=と、共産党推薦の新人で理学療法士の染谷明子氏(47)が立候補を届け出た。投開票日は20日。
◇立候補者(届け出順)
藤井 裕久63 市長
無現
染谷 明子47 理学療法士
無新
円上昇におびえる日本株 日米交渉、「円安是正」の圧力警戒 130円台後半なら5%超の減益要因[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1677文字 PDF有 書誌情報]
相互関税を巡るトランプ米政権の動きに翻弄され、先週の日経平均株価は乱高下した。今週は日米両政府による関税交渉を控える。市場では交渉の進展への期待が高まる一方で、円安是正が交渉の材料になるとの警戒も出ている。円の上昇が加速すれば企業業績を押し下げ、日本株は「二番底」へと向かうとの不安がくすぶる。
トランプ米大統領が9日、相互関税の上乗せ部分について一部の国・地域に90日間の一時停止を許可すると発表し、各国は米国との交渉に時間的な猶予ができた。日本では赤沢亮正経済財政・再生相が訪米し、17日にもベッセント財務長官と協議する。株式市場では過度なリスク回避姿勢が和らぎ、目先は株価の反発への期待も出そうだ。
半面、市場では交渉が円の上昇を加速させるのではないかとの警戒ももたげる。
トランプ氏は3月に日本と中国を名指しして「彼らが通貨を下げると我々に非常に不公平な不利益をもたらす」と発言。ベッセント氏も先週7日に日本との協議について「関税、非関税障壁、通貨問題、政府補助金を巡る生産的な取り組みを楽しみにしている」と為替に言及した。
相互関税導入で米国内の製造業を守ろうとする米政権にとり、米国企業の輸出を促進するために日本との交渉においては円安是正が重要な鍵になる可能性がある。
三菱UFJ銀行の井野鉄兵チーフアナリストは「米国がなんらかの手段で円安是正を求めることはありそうだ」と指摘。当面はドル売り・円買いが意識されやすく、1ドル=130円台の円高水準も視野に入るという。
輸出企業の割合が高い日本株にとり、円安の方が海外利益の円ベースの金額が増えやすく、追い風になる。円高方向に振れれば逆風になる。
大和証券の阿部健児チーフストラテジストは「1円の円高進行で日本株全体の利益は0.4%程度押し下げられる傾向があり、仮に5円ほど円高が進むと2%の業績下押し要因になる」と試算する。材料を先回りして織り込む株式市場では、短期的に試算以上に株に売り圧力がかかる可能性もあるという。
2025年3月期は月末値の平均で1ドル=152円だった。足元の140円台前半が26年3月期を通じて続くと10円前後の円高になる計算だ。さらに130円台後半になれば15円前後の円高となり、利益水準としても5%を上回る減益要因になってくる。
BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「日本企業は海外での現地生産・現地販売を加速させてきたため円高が業績に与える影響は薄れている」としつつ、世界景気の後退による円高リスクは意識されやすいと指摘する。ドル売り・円買いの動きが加速すれば、業績押し下げとともに株価の二番底のリスクが高まる。
日経平均が水準を切り下げる場合、下値のめどはどこか。節目はいくつかある。
足元の水準に最も近いのがPBR(株価純資産倍率)の「1.15倍」ラインにあたる3万990円付近だ。業績の先行きが見通しづらく利益を分母とするPER(株価収益率)が参考になりにくい局面では、変動が小さい純資産を分母にするPBRでみる投資家も少なくない。
株価の急落に見舞われた24年8月もPBR1.15倍の3万1500円付近で下げが止まり、日経平均が2644円下落した今月7日もこの水準で止まった。株式市場では経験則から目先の下値とみる向きがある。
そこを下回れば、一般に株価停滞が続きやすくなるとされる「直近高値からの下落率2割」の水準が次の節目となる。直近高値の3万8027円(3月26日)の2割安にあたるのが3万420円だ。そのラインを割り込んだ場合、PBR「1倍」ラインとなる2万6950円前後が意識されそうだ。1倍割れは株価が純資産以下の価値であることを示し、割安感からの買いが入りやすい。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が23年4月に商社株への追加投資を表明し、2年余り続いた上昇相場の起点の水準である2万7920円も、下値のめどとして意識されそうだ。仮にここまで日経平均が下がると、この間の日本の成長や改革への期待がかき消されたともいえる。
会場活況、事前予約14万人 「並ばない万博」早くも行列 不具合・混雑解消に課題[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。(1面参照)
午前9時、「開場です」というアナウンスに合わせてゲートが開くと、入場検査を終えた来場者が続々と入場した。華やかな制服に身を包むスタッフらがずらりと並び、手を振りながら歓迎した。
米国やスペインなど各パビリオンの前には長い行列ができた。会場内の回転すし店「スシロー」「くら寿司」では、正午前時点で最長8時間20分待ち。両店とも午前中に受け付けを終了した。
「会場入場まで1時間くらいかかった」。午前11時、東ゲート前で名古屋市から訪れた70代男性が疲れ気味の表情で話した。インターネット環境の不具合で入場に必要なQRコードを表示できないなどのトラブルも発生。数十組が入場できずに足止めされた。
協会はかねて来場者に対し来場日時や利用する交通機関・入場ゲートの事前登録を訴え、来場コントロールに力をそそいできた。背景にあるのが会場立地の特殊性だ。
人工島で四方を海に囲まれるだけにアクセスは1月に延伸開業した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線と、会場近くのJR桜島駅発着の路線型シャトルバス、新大阪駅など主要駅発着の観光型シャトルバスの3つにほぼ限られる。人流が集中すれば不測の事態を招きかねない。
13日はゲートやパビリオンだけでなく、会場直結の夢洲(ゆめしま)駅構内などでも一時、来場者が滞留した。大阪メトロは夢洲駅で入場制限を実施したほか、乗換駅となる中央線弁天町駅でも午前11時30分ごろから30分間ほど断続的に改札での入場制限を実施した。
準備遅れが指摘されてきた海外パビリオンの早期開業も来場者の満足度向上に不可欠。開幕日に一般来場者が観覧できなかったのは8カ国のパビリオンや出展スペース。
うちネパールやインドなど計5カ国は、内装や展示の工事が間に合っておらず、当分の間、閉館が続く見通し。協会幹部は「可能な限りサポートして一日も早い完成を目指す」としている。
カフェに映る景気 出勤前の来店回復傾向 ドトール・日レスホールディングス社長星野正則氏(月曜経済観測)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1457文字 PDF有 書誌情報]
新型コロナウイルス禍が一巡し、街を行き交う人々の流れは元に戻ってきた。ここにきて世界的なインフレや人手不足による人件費増が国内の飲食業の経営課題に浮上する。カフェに映る日本経済についてドトール・日レスホールディングスの星野正則社長に聞いた。
新興産地も開拓
――物価が広範囲に上昇する中でコーヒー豆の価格も高騰しています。
「コーヒー豆の国際相場はかつてない水準にあります。2010年代のニューヨーク相場は高くても1ポンド100~200セントでした。それが今年2~3月はじめには400セントを超えています。高騰の背景には主産国ブラジルの霜害や投機などいくつかの要因がありますが、しばらくは高止まりすると思います」
「新興産地である東南アジアからの調達を考えなければならない。コーヒーの一本足打法は危ういという認識から、業界では紅茶のバリエーションを増やす動きも出てくるでしょう」
――人件費も上がっています。消費者は値上げを受け入れてくれそうですか。
「24年12月に価格改定しましたが、客数はほぼ維持しています。単純な価格転嫁はなるべく避けたいのでしばらく耐えていました。『ドトール』は『安い・早い・おいしい』という機能性で売ってきた業態です。『おまえもか』と言われたくない気持ちはあります」
――人材の確保も難しくなっていませんか。
「アルバイトは働く時間がどんどん短くなっています。『稼がなければならない』と思っている学生が以前よりも少なくなった印象です。こうなると、覚えてもらう仕事を簡素化する必要が出てきます」
「デジタルトランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)活用も重要ですが、フェース・トゥ・フェースの接客がカフェの強みです。ここは人間でないと難しい。人材を確保するために、カフェで働くのが楽しいという環境づくりが必要だと思っています」
仕事・勉強の場に
――主力業態の「ドトールコーヒーショップ」はビジネス街や繁華街に多く立地しています。コロナ禍の影響は残っていますか。
「コロナ対策の行動制限でリモートワークが普及した影響はとても大きなものがありました。オフィスに行かず、家にこもるスタイルが2年間も続いた。会社の最寄り駅で電車を降りて、出勤する途中でコーヒーを買ったり店内で飲んだりするという習慣がなくなってしまいました」
「収束後に出社する人が増えても、朝の落ち込みはなかなか回復しませんでした。ようやく『いざ出勤』となったのに立ち寄ってもらえない。モーニングセットを強化するなどして力を入れた結果、ようやく足元で戻ってきました」
――リモートワークはカフェの利用に大きな影響を与えたのですね。
「カフェ店内のWi―Fiや充電用の電源は2010年ごろから導入していましたが、それを利用して仕事や勉強をする人が足元で増えています。リモートワークの普及や働き方改革の影響があるかもしれません。結果としてお客様の滞在時間が長くなっています」
――ピークタイムに時間制限を導入した店もあります。滞在が長くなると売り上げに響きませんか。
「客単価も上がっているので一長一短です。店を回っていると、日本のお客様はすごくマナーが良い。勉強や仕事をしていても『長居したら店に悪い』とおかわりをしてくれたり、さっと出て行ったりする方がいます。いよいよ本当に回転が悪くなったら席料みたいな形を考える必要もあるのかもしれませんが、今はお客様サービスの一環としてとらえています」
(聞き手は編集委員 柳瀬和央)
新卒採用 少子化・人手不足で早期化(きょうのことば)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 456文字 PDF有 書誌情報]
▽…大卒採用で政府は広報解禁を3年生の3月1日、選考開始を4年生の6月1日とのルールを定めている。ただ罰則規定はないため形骸化しており、少子化や人手不足を背景に採用意欲の高い企業が青田買いに入り、学生の就職活動は早期化が加速している。
▽…これまで特定の時期に同じ条件や待遇で一斉に採用する方式は日本型雇用の特徴とされてきた。大量の新卒者を一斉に採用することで、入社後の研修を効率よくできる利点があった。ただ、近年は学生優位の「売り手市場」が続くなかで柔軟な採用手法をとる企業が増えている。有望人材を囲い込むため求める能力によって待遇に差をつけたり、1年を通じて選考を実施したりする動きが広がっている。
▽…初任給についても、採用強化を目的に引き上げる企業が相次いでいる。就職情報会社マイナビの26年卒の学生を対象にした調査では、9割近い学生が「初任給の額が選考応募に影響する」と答えた。パーソル総合研究所の小林祐児氏は「初任給の引き上げを継続できずに低い水準にとどまる企業は採用競争から脱落しかねない」と指摘する。
内閣府(人事)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 3ページ 30文字 PDF有 書誌情報]
内閣府(14日)経済社会総合研究所上席主任研究官、市川恭子
欧州経済、回復シナリオに影 米関税、4年で損失推定120兆円 独、GDP1.5%押し下げ[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1553文字 PDF有 書誌情報]
【ベルリン=南毅郎】欧州経済の回復シナリオがトランプ米大統領の「相互関税」で狂い始めている。欧州連合(EU)が被る経済損失は今後4年間で7500億ユーロ(約122兆円)規模に膨らむ見通しだ。ドイツは東西統一後で初めて3年連続のマイナス成長となるかどうかの瀬戸際に立つ。
「ドイツだけでなく、欧州諸国を代表してワシントンで話し合いたい」。次期独首相に就任する見通しとなった中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は9日、独公共放送でトランプ氏との早期会談に意欲を示した。欧州と米国をまたぐ「大西洋横断の関税ゼロ」をめざす。
ドイツ経済研究所(IW)の試算によると、トランプ氏の大統領任期である4年間でEUに与える域内総生産(GDP)の損失は7500億ユーロ規模に達する恐れがある。世界からの輸入品に課す相互関税の表明を踏まえて公表したもので、トランプ氏はEUの税率を原則20%とした。
当面90日間は上乗せ分の一時停止で10%に下がるものの、EUとの交渉は成否が読めず、トランプ政権の政策も二転三転する。IWの分析は他国の報復措置を含めておらず、中国が米国製品への報復関税を125%に引き上げると表明したため不透明感は一段と増した。
特に深刻なのが欧州最大の経済大国ドイツだ。累計の経済損失はおよそ2000億ユーロになり、関税がない場合と比べて28年時点の独GDPを1.5%押し下げる。IWで国際経済に詳しいユルゲン・マテス氏は「EUは貿易紛争の新局面を迎えた」と指摘する。
世界でも欧州は景気回復が遅れてきただけに影響は大きい。ロシアのウクライナ侵略でエネルギー不安が高まり、歴史的なインフレが猛威を振るった。新型コロナウイルス禍からの景気回復シナリオを狂わせ、ドイツ経済は24年まで2年連続のマイナス成長に転落した。
英HSBCによると、EUから米国への輸出にかかるモノの関税率は23年時点で平均3%強だった。大幅な関税引き上げは製品の値上がりを通じて、ドイツ企業の米国での販売減少に結びつく。
独自動車工業会のミュラー会長は一連の追加関税で「雇用にも影響が出るだろう」と懸念する。
実際、欧州各国で景気見通しの下方修正が相次ぐ。
Ifo経済研究所など主要な独研究機関が10日公表した共同の景気予測で、25年のドイツ実質成長率は0.1%と24年秋時点から0.7ポイント引き下げた。輸出の下振れで再び成長が止まり、東西統一後で初となる3年連続のマイナス成長も現実味を帯びる。
フランス政府も25年の成長率予測を0.7%と0.2ポイント下方修正する。イタリアは0.6%程度の成長にとどまりそうだ。景気の急減速は想定外の税収下振れを招きかねず、国防費の引き上げやウクライナの軍事支援にも影を落とす。
金融市場は欧州中央銀行(ECB)の利下げ終了が遠のくとの見方を強める。
米ゴールドマン・サックスは欧州経済の下振れリスクを踏まえ、4月と6月に続いて9月まで連続利下げに動くとの予測に切り替えた。政策金利は現在の2.5%から1.5%まで下がると想定する。
市場で景気浮揚への期待を呼んでいたドイツの財政出動も効果をそがれる恐れがある。メルツ氏は憲法改正で厳格な債務抑制策を見直し、巨額の財政拡張へ道筋をつけた。今後10年あまりで国防費やインフラ投資に充てる追加の財政支出は1兆ユーロ規模になる見通しだ。
財政規律を重視してきたドイツとしては歴史的な方針転換だが、財政措置が動き出すには時間を要する。目先はトランプ氏の関税発動による経済下押しの悪影響が先行するため、景気不安が強まれば欧州各国で極右政党の支持率を押し上げる懸念がある。
【図・写真】メルツ党首は、トランプ氏との早期会談に意欲を示す=ロイター
中国軍制服組ナンバー2、消息不明1カ月 汚職疑惑で失脚報道[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 940文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国人民解放軍の最高指導機関、中央軍事委員会の何衛東副主席の動静が途絶えてから1カ月が過ぎた。何氏は軍制服組で張又侠氏に次ぐナンバー2で習近平(シー・ジンピン)国家主席に近い。汚職調査の対象になり失脚したとの報道もある。
英フィナンシャル・タイムズは11日、習氏が汚職疑惑を理由に何氏を解任したと報じた。中央軍事委の制服組副主席の更迭はおよそ60年ぶりだと指摘した。
習指導部が8~9日に北京で開いた周辺国との外交などを話し合う中央周辺工作会議。中国国営中央テレビ(CCTV)が9日に映した中国共産党上位24人の政治局員の出席者の中に何氏の姿はなかった。
何氏の動静が最後に確認されたのは3月11日、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の閉幕式だった。何氏は4月2日に北京で催された恒例の植樹活動にも姿をみせなかった。
植樹活動は中央軍事委の幹部が40年以上参加しており、何氏も昨年までは参加した。もう一人の副主席である張又侠氏は今回も出席した。
現役の政治局員が不正により失脚すれば2017年に重慶市トップを解任された孫政才氏以来となる。
何氏は習氏とゆかりの深い福建省を拠点とする当時の「第31集団軍」で勤務経験をもつ。習指導部の「福建閥」の一人とされ、台湾方面を管轄する東部戦区トップの司令官も経験した。
習氏が3期目の指導部入りを決めた22年10月の党大会で何氏を中央軍事委副主席に登用した。党序列で上位約200人の中央委員を経ないまま副主席に抜てきする異例の人事だった。
22年10月に7人体制で発足した中央軍事委は現在、事実上2人を欠く状態だ。国防相だった李尚福氏は贈収賄などを理由に委員を解任された。同じく委員の苗華・政治工作部主任も「重大な規律違反」の疑いで取り調べを受けている。
何氏も職務の遂行が困難になっている場合、中央軍事委は主席の習氏と副主席の張又侠氏、委員の劉振立、張昇民両氏の計4人しかいない。重要な意思決定を担う同委の欠員が続けば中国軍の指揮統制に影を落とす可能性がある。
習氏が掲げる「軍民融合」の影響もある。民間の技術開発を軍事技術に生かす発想で軍幹部と軍需産業との癒着を深めたとの見方は多い。
【図・写真】何衛東氏
米・イラン「対話で解決」 核巡り高官、19日再協議[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 690文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕、テヘラン=福冨隼太郎】米国とイランは12日、中東オマーンでイランの核問題をめぐる高官協議を開いた。米側は「対話を通じて両国の違いを解決する」とのトランプ大統領の意向をイラン側に伝えた。両国は19日に再協議すると合意した。
米国とイランの協議は仲介役となったオマーンのバドル外相が主催し、米国はウィットコフ中東担当特使、イランはアラグチ外相がそれぞれ出席した。
米ホワイトハウスは12日の協議後に声明を発表し「協議は非常に前向きで建設的だった」と記した。ウィットコフ氏はアラグチ氏に「可能であれば対話と外交で両国の違いを解決するようトランプ氏から指示を受けている」と伝達した。
イランの核開発問題を念頭に「この問題は非常に複雑で(両国の)直接の意思疎通は相互に有益な結果を得るための一歩になった」と明記した。
イラン側の発表によると、米国との協議は2時間半だった。双方は交渉を継続する方針で一致した。アラグチ氏は協議後、通信アプリに「相互尊重に基づく建設的な雰囲気のなかで核開発や制裁解除について意見交換した」と投稿した。
トランプ氏はイランの核保有を認めないと繰り返す。9日にはイランとの協議が決裂すれば軍事力の行使も辞さないと脅していた。イランのペゼシュキアン大統領はこれまでの核開発で得た技術を放棄しない姿勢を示した。
交渉の行方次第ではイランと敵対するイスラエルを巻き込んだ緊張が高まるおそれもある。
トランプ氏は3月、イランの最高指導者ハメネイ師に宛てた書簡で交渉を呼びかけた。これまでに新たな「核和平協定」を結ぶ考えを示し、取引の可能性を探る。
「ガザ、食料備蓄尽きた」 UNRWA事務局長、飢餓の危機訴え[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 645文字 PDF有 書誌情報]
【アンタルヤ(トルコ南部)=渡辺夏奈】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長はパレスチナ自治区ガザで食料備蓄が尽きたと明らかにした。イスラエルがガザへの支援物資の搬入を停止してから1カ月超が過ぎ、飢餓の危機が目前に迫る。
「およそ1週間前にガザに備蓄していた食料をすべて配給し終えた」と述べた。外交フォーラムを開いていたトルコ南部アンタルヤで12日、日本経済新聞社の取材に答えた。
イスラエルは3月2日に3段階からなる停戦合意の「第1段階」が終了したのを受け、ガザへの支援物資の搬入ルートを閉鎖した。ガザでは大半の市民が支援に頼って生活しているが、追加分の調達は見通しが立っていないという。
3月18日に戦闘が再開し衛生環境も悪化した。ラザリニ氏は「虫を媒介した感染症や皮膚病のリスクが迫っている」と訴えた。
ガザの死者はこれまでに5万人を超える。イスラエルからの空爆など直接的な攻撃に加え、疾病や飢餓による死者がさらに増える可能性はある。
イスラム組織ハマスとイスラエルの停戦協議は難航している。イスラエルのネタニヤフ首相は強硬路線を強め、むしろ戦闘を拡大させている。トランプ米大統領はイスラエルの軍事作戦を事実上容認しており、歯止め役は見当たらない。
ラザリニ氏はイスラエルが「人道支援を武器として使っている」と改めて批判。1月から約2カ月の停戦期間中は多くの支援物資を搬入できたと振り返り、外交努力で再度の戦闘停止を実現するよう求めた。
【図・写真】ラザリニ氏
香港民主党、正式解散を先送り[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 256文字 PDF有 書誌情報]
【香港=伊原健作】香港最大の民主派政党である民主党は13日に党員大会を開き、清算手続きを執行部に一任する議案を賛成多数で可決した。党の正式な解散は先送りし、後日改めて党員大会を開催し、最終的な結論を諮ることにした。中国政府主導で2020年に施行された香港国家安全維持法(国安法)によって民主派への圧力が強まった。民主党も苦境に陥り、25年2月に執行部が解散の方針を決めていた。羅健熙主席は党員大会後の記者会見で、投票では9割以上が議案に賛成したが「反対意見も理解できる」と述べ、慎重に手続きを進めると強調した。
ロシア攻撃、30人超死亡 ウクライナ北東部[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 367文字 PDF有 書誌情報]
【キーウ=共同】ウクライナ北東部スムイの中心部に13日、ロシア軍の弾道ミサイル攻撃があり、ウクライナ当局によると、子ども2人を含む少なくとも32人が死亡し、84人が負傷した。
ゼレンスキー大統領は人々が教会に行く復活祭前の日曜日に住宅や路上の車などを直撃したと指摘。「ロシアはこの種のテロを望んでおり、戦争を長引かせている」と非難した。
国連ウクライナ人権監視団は12日までに、ウクライナでの3月の民間人死傷者数が前月比で約50%増加したとする報告書を公表した。停戦の実現が見通せないなか攻撃が激しさを増している。
報告書によると、3月は少なくとも民間人164人が死亡し、910人が負傷した。2月は死者129人、負傷者588人だった。
昨年3月(死者129人、負傷者498人)と比べると死傷者は70%以上増えた。報告書は4月9日付。
米、移民6000人を勝手に「死亡」扱いか[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 232文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は12日、米国での生活に欠かせない社会保障番号を管理する社会保障局が、実際には生きている移民6千人以上を記録上、勝手に「死亡」扱いにしていたと報じた。トランプ政権は不法移民の強制送還に躍起になっている。法的に死亡扱いとすることで移民を窮地に追い込み、出国を促す狙いとみられる。同紙によると、死亡扱いされた大半はヒスパニック(中南米系)という。国土安全保障省や実業家マスク氏が事実上率いる「政府効率化省」が主導した。
文元大統領の側近が出馬宣言[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 5ページ 194文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=共同】韓国の最大野党「共に民主党」の金慶洙(キム・ギョンス)前慶尚南道知事が13日、次期大統領選に向けた党内予備選への出馬を宣言した。同氏は文在寅(ムン・ジェイン)元大統領の側近として知られる。党内では李在明(イ・ジェミョン)前代表が最有力候補。金慶洙氏とすでに出馬表明した京畿道の金東(キム・ドンヨン)知事、金斗官(キム・ドゥグァン)元慶尚南道知事の3人が挑む構図となる。
アフリカと向き合う 「自国第一」に対抗を UNDP総裁補兼アフリカ地域局長 アフナ・エザコンワ氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1432文字 PDF有 書誌情報]
3年に1度のアフリカ開発会議(TICAD)が8月に横浜市で開催される。世界の分断が進む中、潜在的な成長力やビジネスチャンスから「最後のフロンティア」といわれるアフリカと日本はどう向き合えばいいのか。日本企業による投資の出遅れも気がかりだ。関係者に聞いた。
米欧が途上国向け援助の削減に動いている。自国が利益を得られるプロジェクトだけに投資すべきだとの思考に陥っているようだが、あまりに近視眼的な判断だ。国際社会のあり方は長期的な視野に立って考えなければならない。繁栄する社会の一員であり続けるには、平和で繁栄を共有する世界が必要なのだから。
日本は高度に工業化された国だ。その経済は輸出などを通じて他の国々の消費が支えている。人口減少に直面する日本が長期的に成長を持続するには、ますます海外の市場に頼らざるを得ないだろう。
アフリカは人口の中央年齢が19歳と世界で最も若い大陸だ。15億人の巨大なマーケットもある。消費意欲が旺盛な中流階級が増加すれば、日本企業にとって大きなチャンスが生まれる。教育や医療といった「人への投資」の拡大は将来の中流階級を育成することにつながる。
日本はグローバルノース(先進国)とサウスの架け橋になる役割を果たせる国と考えている。米欧は遅れた途上国を援助するという発想が強すぎる。一種の依存関係になっており、必ずしも健全とはいえない。TICADをプラットフォームとして活用し、日本の持ち味である途上国とのより対等なパートナーシップを新たな南北関係として広げられるのではないか。
TICADはもっと日本の若者に焦点を当てるべきだろう。アフリカは若者の大陸であり、デジタルテクノロジーで大きな変革が起こりつつある。日本の若者がアフリカを訪れる機会を増やしてもらいたい。若者なら現地のニーズやアフリカの潜在力、チャンスをより深く感じ取れるはずだ。文化的な障壁なども打ち破れるだろう。
アフリカが地理的に日本から遠いのは確かだ。しかし、感覚的な距離感はそれよりも遠い。日本の若者がTICADに参加すれば、人と人との交流の拡大や新たな共創のアイデアにも期待できる。
TICADにおいて民間の役割は極めて重要だ。日本の経済界では、社会課題の解決を目指す現地のスタートアップへの投資拡大の取り組みが進んでいる。日本政府が民間企業としっかり連携し、大学やシンクタンクとも協力してくれることを望んでいる。
米欧や中国が開催するアフリカとの首脳会議はバイラテラル(2国間)だが、TICADは違う。国連開発計画(UNDP)や世界銀行を巻き込みながら日本が議論をリードする枠組みだ。単なる国家間の政治的協議ではない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)とも連動しやすい。
資金援助が開発協力のすべてではない。政府開発援助(ODA)はむしろ民間の投資や貿易促進のためのカタリスト(触媒)として使うべきだ。システムを改革することで多くの民間資金が開発分野に流入する可能性は大いにある。実態を反映しない不公正な格付けの是正や公的資金によるリスク軽減が有効だろう。
求められるのは国際協調と連携だ。グローバルな連帯は必要ないという主張に対抗する必要がある。日本のリーダーシップに期待したい。
(聞き手は下田敏)
【図・写真】Ahunna Eziakonwa ナイジェリア出身。エチオピアやウガンダなどの国連常駐調整官を歴任。2018年から現職。若手起業家の育成にも注力
アフリカと向き合う――日本はまだ間に合う 豊田通商社長 今井斗志光氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1304文字 PDF有 書誌情報]
人口が2050年に25億人になるアフリカは間違いなく経済成長していく。注目しているのは中流階級の勃興だ。19歳ほどのZ世代と呼ばれる層も多く、人口が増える中で消費旺盛な世代が伸びる。
中流階級を取り込むためケニアで100店舗以上あるドラッグストアを子会社化した。日本のようにZ世代がコスメを買う市場が出現しつつある。高級車ではなくエントリー車が売れ出したのと同じことが小売りで起きている。
グリーントランスフォーメーション(GX)にも注目している。アフリカで現在300ギガワットの電力発電容量は30年までに600ギガワットと倍になる。20%だった再生可能エネルギーの比率は30年に50%まで伸びる。アフリカ専門の再エネ開発会社「エオラス」を立ち上げ、北部から太陽光発電や風力発電の建設を始めた。建設中も含めると1ギガワットを超え、一気に増やしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)も進むとみられるが、足元ではスタートアップは(決済など)ペイメント以外は伸びておらず、国もナイジェリア、南アフリカ、ケニア、エジプトの「ビッグ4」に限られる。経済規模が小さく、なかなか(技術開発が事業化に結びつかない)「死の谷」を超えられない。
DXは電力や通信といったインフラがセットでないと大きく伸びないという要因もある。最も重要な通信は、ほぼ3Gだが、最低でも4Gはほしい。さらにデータセンターも必要で、実際の経済活動に落とし込むには物流網が不可欠だ。解決しようとすると地道な努力が必要になる。
現在アフリカへの進出企業は群雄割拠となっている。ソフトは米テック大手の「GAFAM」、機器や通信は中国、インフラはフランスや日本、中国勢がいる。日本企業は出遅れているが、他の国が非常に進んでいるということでもない。先行した欧州と中国が1周前に出たくらいで、まだまだ間に合う。
アフリカで勝てる企業の特徴はインドで勝っていることだ。例えばスズキやヤマハなどで、マーケットの特性が近いためだ。製品は必ず「エコノミープロダクト」で、豪華で高価なものではない。必要なものだけが付き、耐久性があり、高品質なものだ。インドから出てくる企業とは組んでいきたいと考えている。
アフリカでの戦略は従来、仏国旗の3色に例えて「トリコロール」と呼んでいた。豊田通商と欧州とアフリカで展開することを指している。現在はさまざまな国の企業が進出しているため、トリコロールだと競争力を保てなくなっている。今は欧州や米国、中国やインドとも組む「マルチパスウェイ戦略」をとる。
アフリカは小さい国が多く、地政学リスクとビジネスそのもののリスクがある。たどり着いた戦略はアフリカに入る際はある程度「面」で入るということだ。1カ国で地政学や通貨の問題があっても10カ国あれば衝撃吸収力がある。豊田通商は54カ国全てに入れた。難しければ、東の10カ国や西の10カ国でリスク軽減するのがポイントだろう。
(聞き手は須賀恭平)
【図・写真】いまい・としみつ 1988年早稲田大商卒、豊田通商入社。2018年にトヨタ自動車常務役員などを歴任し、25年4月から現職
アフリカと向き合う――「25億人市場」が力 外務省アフリカ部長 堀内俊彦氏(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1255文字 PDF有 書誌情報]
TICADの1回目は、冷戦が終わり世界がアフリカに関心を失った1993年に開いた。当時アフリカ全体との枠組みを設けたのは日本がほぼ唯一で、その後欧米や中国などが追随した。
日本政府はTICADの枠組みを生かし、アフリカとのビジネスをつなぐ人材を育ててきた。アフリカの若者が日本の大学院で学んだり、企業でインターン生として経験を積んだりするプログラムも実施してきた。各国首脳が日本に集まることに伴い、日本企業とアフリカ各国との多様な合意も生んでいる。
日本が各国に供与する政府開発援助(ODA)の額は減ってきたものの、アフリカのためにこつこつと努力してきた日本はアフリカで仲間を増やしている。TICADは信頼されるブランドになっていると思う。
アフリカ諸国のほとんどは小麦や肥料の価格が上昇すれば大きな打撃を受けるし、気候変動による影響も大きく、まだまだ脆弱だ。世界の経済・社会的な変化を最も受ける地域であり、先進国や国際機関による開発援助のニーズは依然として高い。しかしそれだけではない。
そもそもなぜ日本がアフリカに関与すべきなのか。鉱物など資源が豊富なことのほかに、人口が増えており、日本企業にとって市場としての魅力が高まるのは間違いない。
アフリカでは先進国に対して開発よりもビジネス面での期待が強い。最近の世論は若者の高い失業率という雇用問題により関心を抱くようになってきた。労働力不足に直面する日本と補完できるはずで、日本企業が現地に生産拠点を築く可能性が広がる。
それに加えて、日本企業にとっては技術革新のパートナーにもなり得る。アフリカは日本など先進国に比べて規制が緩い国が多く、最先端技術を実証実験できる「サンドボックス」としても期待できる。
とはいえ、アフリカ事業に対して日本企業の動きは鈍い。各社がまだリスクが高いと考えているのが理由だ。人口動態を見れば、いま関わらないことがかえって将来の利益を逃すコストになるとみるべきだ。
アフリカがグローバルガバナンスに関して不公平感を持っていることも見逃せない。気候変動対策では先進国に途上国支援の資金拠出を迫った。アフリカ各国は不当に低い格付けにされ、資金調達に高い金利を課せられてきたことにも不満を持っている。
最近注目されるのが、アフリカ諸国が加盟するアフリカ連合(AU)の枠組みで「域内標準」を構築する動きだ。貿易における原産地証明や紛争解決、医薬品に関する規制などで統一規格作りが始まっている。
欧州連合(EU)のルールが世界標準のようになって各国に影響を及ぼすことを「ブリュッセル効果」と呼ぶ。やがて人口が25億人の市場となり、世界の重心がアフリカに傾いていく。AU本部があるエチオピア首都の名前から「アディスアベバ効果」に世界が注目する日が来るかもしれず、目が離せない。
(聞き手は野沢康二)
【図・写真】ほりうち・としひこ 1990年早稲田大政経卒、外務省入省。在フランス大使館公使やアフリカ連合代表部大使を歴任し、2023年から現職
アフリカと向き合う――<アンカー>対等な関係こそが国益に(複眼)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 7ページ 347文字 PDF有 書誌情報]
アフリカの人口が増え続けるのは間違いない。2050年には世界の4人に1人がこの大陸に住む。アフリカは海外から投資を呼び込み、雇用を生み出し、所得と消費の好循環を実現する戦略を描く。
トランプ米政権の援助停止や相互関税はその戦略をゆがめ、ただでさえ脆弱なアフリカ経済に打撃を与える。だが、経済的な自立への動きはかえって加速する可能性がある。欧州や中国の収奪にさらされてきたアフリカには大国への根強い不信感がある。
日本はTICADを通じて、対等なパートナーシップを訴え続けてきた。技術支援や人材育成でアジアを経済発展に導いた実績もある。今こそアフリカに「メード・ウィズ・ジャパン」を呼びかける必要があるのではないか。官民で独自の経済外交を展開することが日本の国益につながる。
(編集委員 下田敏)
不祥事を生む組織の病理 上級論説委員 西條都夫(核心)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 9ページ 2098文字 PDF有 書誌情報]
今年6月に退任する日本郵政の増田寛也社長は4月初めの記者会見で過去5年の任期を振り返った。新型コロナウイルス禍の厳しい局面を乗り越え、「第4の柱」としての不動産事業の強化やゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式放出など事業改革には一定の成果を上げたと胸を張った。
だが、話題が最近の不祥事に及ぶと、一転して厳しい表情で「痛恨の極み」とつぶやいた。ガバナンス改革は道半ばとも述べた。隣に座る根岸一行・次期社長も「不祥事の是正や再発防止が最優先の課題」と表明した。
なぜ日本郵政と傘下の日本郵便は性懲りもなく不祥事を繰り返すのか。真因を探る前に、まずは最近の主な出来事を列挙してみよう。
・近畿地方の178の郵便局を調べたところ、140局で配達員の点呼が適切に実施されていなかった。中には記録を偽る不実記載もあった
・「ゆうパック」の配送を委託する下請け会社の誤配送などに対して高額の違約金を課し、下請法違反で公正取引委員会から指導を受けた
・顧客の同意を得ないまま、口座残高などゆうちょ銀行のデータを不正にリスト化し、かんぽ生保の営業に流用――
どれもあってはならない事態だが、中でも驚くのは点呼問題だ。乗務の前後に管理者が運転手と対面し、心身の状態や飲酒の有無を確認する点呼の遂行は運送業務のイロハであり、その必要性は誰もが知っている。それをあえてサボるのは職場ぐるみの「確信犯」の恐れが強く、法令順守意識の低さを映し出す。
顧みれば2020年に船出した増田体制も出直しの弁で幕を開けた。18年あたりから騒がれ始めたかんぽ生保の不適切営業で、日本郵政は世論の集中砲火のまっただ中。
一人暮らしのお年寄りの家に複数の局員が上がり込み、保険を契約するまで帰らない(宮崎拓朗著「ブラック郵便局」から)といったたちの悪い事例が多数発覚し、地域や高齢者に寄り添う「郵便局ブランド」は地に落ちた。
増田氏は幹部社員を集めた会合で、「今はグループ最大の危機」「危機感を共有して事態を解決しよう」と呼びかけた。それから5年。最近の事案は顧客が直接被害を受けたかんぽ問題に比べると悪質性は低いかもしれないが、不祥事が断続的に起きるのは会社の根っこに何か構造的な問題があるからだろう。
日本郵政の経営の中枢にいる人物にこの疑問をぶつけると、「組織の多元構造が統治不全や無責任の体系を生んでいる」という答えが返ってきた。普通の会社ならトップが号令をかければ方向が決まる。だが、外野の声が強い日本郵政は勝手が違う。
監督官庁の総務省や郵政の集票マシンに頼る自民党、さらに明治以来の伝統に連なり、世襲で引き継がれることも多い小規模局の局長(全国に約1万9千人いて、それを束ねるのが全国郵便局長会=全特)が大きな発言力を持ち、経営の意思がストレートに通らない現実がある。
その結果、例えば郵便局の集約は遅々として進まない。津々浦々をカバーする点で日本郵便とヤマト運輸のネットワークは双璧だが、ヤマトは人口減などに対応し全国で4000近くあった営業所を過去10年で2800まで減らした。一方で簡易局を除く郵便局数は2万局強のまま10年以上横ばいが続く。
過疎地の郵便局は近隣で唯一の金融拠点であり、簡単に集約できない事情は分かるが、他に選択肢がいくらでもある東京23区のような地域でも至近の距離に複数の局がひしめくケースは多い。
増田社長はこうした状況を踏まえて23年5月に日本経済新聞の取材に「2040年ごろには郵便局の整理が必要になる」と表明したところ、全特などの猛反発を受け、「経済合理性だけでは判断しない」と立場を後退させた。
経営トップが組織の形を自分で決められない辛(つら)さやもどかしさがにじみ出る。もっと言えば、厳しいノルマに追い詰められた社員が強引な生保営業に走ったり、データを不正流用したりするのも、多すぎる局を組織防衛のために無理して維持しているツケではないか。
増田氏は自らの後任に当初は社外からの起用を考えたが、引き受け手がおらず、内部からの登用に方針を変えた。多くの経済人にとって日本郵政の社長はもはや魅力あるポストではないのだ。
公式の役職と実際の権能の著しい乖離(かいり)は組織の病理の一形態である。最近それがあらわになったもう一つの例が、男性タレントの性加害問題で揺れるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)だ。
こちらは本来権限を持つべき人に十分なパワーが付与されていない日本郵政とは逆で、ある人物が役職とはかけ離れた大きな力を長らく占有した。第三者委員会の報告によると、FMHと中核子会社のフジテレビジョンのトップ人事は長老の日枝久氏が決めていたという。
その結果、同質的な経営集団が形成され、それが人権に鈍感な組織風土を醸成したのではないか。日本取締役協会は「人事権が取締役会ではなく、法的責任主体性も曖昧な…一個人に帰属していた」「上場企業としての適格性を欠く」と厳しく指弾した。
日本郵政やFMHは特殊な例ではない。似たような落とし穴はどんな企業や組織にもある。他山の石としたい。
米国、児童労働緩和の動き エンプロイメント・コラムニスト サラ・オコナー(FINANCIALTIMES)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 書誌情報]
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中途採用比率、最高の46.8% 計画15万人、事業継続に不可欠 JR東海は鉄道現場にも[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1516文字 PDF有 書誌情報]
日本経済新聞社が13日まとめた採用計画調査で、2025年度の中途採用比率は前年度から3.8ポイント上昇し、46.8%で過去最高を更新した。計画人数は約15万人と、新卒全体の約17万人に迫る。慢性的な人手不足や少子化を背景に、企業は新卒だけで必要な人員をそろえられない。中途人材は事業継続に不可欠な存在となりつつある。(1面参照)
中途採用の計画人数は24年度実績から10.0%増の15万583人と過去最高を更新する。高卒などを含む新卒採用全体(26年春入社)の計画人数も前年実績比9.7%増の17万960人と高水準で推移する。
業種別では非製造業が11.5%増え、製造業(5.3%増)を上回った。JR東海は中途全体で3.3倍の約60人を計画する。これまで新卒採用に限っていた鉄道現業職で、中途で新たに40人採る。少子高齢化や転職市場の流動性の高まりを踏まえたという。24年10月に東証プライム市場に上場した東京地下鉄(東京メトロ)は約60人増の約150人を計画。堂免敬一取締役は「都市・生活創造事業などで活躍できる即戦力も積極的に採用したい」と話す。
調査では企業が中途人材を求める理由(複数回答)を聞いた。「新卒だけでは必要な人数を確保できない」が53.2%と最も多く、「既存事業の拡大」(51.6%)、「年齢構成の改善」(37.8%)が続く。
外食・その他サービスは15.3%増。2割増の681人を計画するコロワイドグループは給食や海外での外食事業などの展開を進めており、「即戦力が必要」(コロワイド)。インバウンド(訪日外国人)需要の増加を受け、「多言語対応や国際的な視点を持った人材を増やす」という。
ALSOKグループは約2600人の水準を維持する。「連続強盗事件による防犯意識の高まりや大阪・関西万博など当社への期待が高まる1年」(綜合警備保障)として中途採用を強化する。NTTドコモは26.5%増の382人を計画。エンターテインメントや金融などの非通信事業の人材を想定する。
中途採用では技術系人材の伸びが目立つ。事務・営業系人材の3.5%増に対し技術系は15.7%増となった。
日本IBMグループは技術系約1030人を含む約1370人に増やす。顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)業務や人工知能(AI)適用、サイバー防御などを支援できる人材の採用を強化する。75.5%増の609人を計画するミネベアミツミグループも新製品の開発など専門性の高い人材を求める。
マイナビキャリアリサーチラボの関根貴広主任研究員は「事業継続に不可欠なコア人材は新卒だけでは確保が難しい」としたうえで、「転職市場の人材の流動化も相乗的な要因だ」と指摘する。
中途を増やすための工夫について複数回答で尋ねたところ、「仲介サービスの利用・強化」が最も多く7割を超えた。企業が求職者に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティングの導入」と、従業員の知人を紹介する「リファラル採用の導入」もそれぞれ6割近くにのぼった。元従業員などを対象にした「アルムナイ採用の導入」も約4割と広まりつつある。
今後の中途採用比率の方針は「未定」が41.7%で最も多いものの21.2%は「増やす」と回答した。24年度の中途採用計画人数に対する充足率は102.2%だった。
調査の方法 日経リサーチの協力を得てアンケート方式で実施した。調査対象は上場企業および日本経済新聞社が選んだ有力な非上場企業で5257社。集計は3月13日までの回答を基にしており、回答企業数は採用人数の未確定企業を含めて2270社。増減率の計算は採用計画が確定した企業で算出した。
中途採用比率、最高の46.8%――大卒充足率92%どまり 25年卒、理工系は3年連続9割切る[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 10ページ 518文字 PDF有 書誌情報]
企業が中途採用の比重を高める背景には、新卒の採用難がある。2025年春入社の大卒計画人数に対する実績(充足率)は全体で92.4%だった。過去最低を記録した前年の88.1%からは改善したものの、理工系は87.3%と3年連続で9割を切っている。
大卒採用数の未充足は、残業時間の上限制限が設けられた「24年問題」で人手不足が深刻な陸運(充足率76.2%)や建設(85.9%)で顕著だったほか、その他小売業(83.9%)、不動産・住宅(89.6%)なども平均を下回った。
充足率87.4%の積水ハウスグループは26年春入社の採用計画を前年実績比15.9%増の約780人に増やす。充足率65.2%のヤマダホールディングスは「ホテルなど他のサービス業と人材の取り合いになった」(同社)。東芝は理系人材を含めた採用計画数の確保を目指す。
調剤薬局大手、アイングループは26年春の大卒採用計画数を前年実績比4.2%増の1370人とし、うち薬剤師は600人とする計画だ。出店ペースに薬剤師確保が追いつかなければ、派遣会社を活用する必要が出てコスト増となる。持ち株会社アインホールディングスの大谷喜一社長は「薬剤師を供給できるかが何より重要だ」と語る。
ツルハとウエルシア統合、英運用会社が反対 買収価格に不満[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 10ページ 516文字 PDF有 書誌情報]
ドラッグストア2位のツルハホールディングス(HD)株を約10%保有する英系運用会社のオービス・インベストメンツが、イオン傘下でドラッグストア首位のウエルシアホールディングスとの経営統合案に反対していることが13日、わかった。イオンによる統合会社の子会社化にも賛同しない。
オービスはドラッグストア業界の再編自体には前向きだが、今回の統合比率やイオンによる買収価格が、ツルハを著しく過小評価していると判断した。
オービスは統合の賛否をはかる5月26日のツルハの株主総会で議案に反対票を投じる。株式交換契約の承認は特別決議のため、3分の2以上の株主の賛成が必要だ。ほかの株主にも反対票を投じるよう働きかけ、3分の1以上の反対を集め統合阻止を狙う。
2025年2月期の営業利益率はツルハHDが4.5%で、2.8%のウエルシアHDより収益性が高い。オービスはその差が統合比率に正しく反映されていないと主張している。
イオンによるTOB価格は1株あたり1万1400円。イオンは24年に香港のオアシス・マネジメントから13%相当のツルハHD株を1株あたり1万5500円で買い取っており、オービスは少なくともこの価格以上でのTOBを求めている。
JAL、空港本部を移転 本社から羽田に 現場の課題を早期把握[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 10ページ 339文字 PDF有 書誌情報]
日本航空(JAL)は空港に関わる業務全般を統括する「空港本部」を、本社(東京・品川)から羽田空港(東京・大田)に移転する。JALでは2023年以降、運航を巡るトラブルが相次ぐ。本部移転で空港の現場で働く社員や課題を把握しやすくし、早期の業務改善につなげる。
今月から本社内にあった空港本部の機能や人員の移管を始めた。空港本部はJALが就航する国内外の約100空港における業務を統括する。航空機の離着陸を地上で支援する「グランドハンドリング」や、空港のカウンターや搭乗口での顧客対応なども含まれる。
JALでは23年以降、飲酒問題を含む運航トラブルが多発し、24年は行政指導を2回受けた。今年4月は羽田を離陸しようとした北九州行きのJAL機が航空灯火に接触するトラブルが起きた。
「トランプ乱気流」に挑む 強い企業へ変化の先頭に 編集委員 藤田和明(経営の視点)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1253文字 PDF有 書誌情報]
「変化はコントロールできない。できるのは、変化の先頭に立つことだけである」。米経営学者ピーター・ドラッカーの言葉だ。
時代は常に乱気流で、変化し続ける。変化を脅威とみるのでなく、チャンスと捉えるべきだ。むしろ自ら未来をつくろうとしないことの方がリスクは大きい。
トランプ米政権が世界を揺さぶる。世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を突きつけた。貿易戦争への警戒と世界経済の失速懸念から金融市場は一気に不安定化。発動初日の9日に90日間の停止を発表したが依然、先は読めない。
債務の膨張が止まらぬ米国。自分たちが借金して消費し続ける構図で成り立つ貿易の仕組みを許しておけるのか――。もしそれが米国の強い意志ならば、現状変更を迫る圧力と混乱は収まらないかもしれない。
振り返れば、企業は幾度も危機に見舞われた。中でも米国の力ずくの制度変更が世界を危機に追い込んだ意味では、1971年のニクソン・ショックの震度は大きかった。ドルと金の交換を突然停止。日本円は一気に切り上がった。当時、北海道相当分の国民総生産(GNP)が吹き飛ぶとまでいわれた衝撃だった。
10年後、ショック後に企業がどう動いたのか、当時の生の声を集めた日経ビジネスの特集が興味深い。タイトルは「危機の洗礼、強い日本企業生む原動力に」。
浮き上がるのは危機の打開へ奔走する姿だ。「輸出専用船やディーラー網など右往左往しながら指令を出した。結果としてショックはトヨタを強くした」(花井正八・トヨタ自動車工業会長)、「全社的な研究開発の強化で質の高い製品をつくろうと努力した」(小林宏治・日本電気会長)
政府・大蔵省はギリギリまで変動相場制への移行はないといっていたと不平の声も混じりはする。だが、危機を前に「確信はなくとも『まかしとけ』と太っ腹なところを見せる必要がある」(田部文一郎・三菱商事会長)。むろん強くなった企業の陰で時代の波にのまれた企業も多かった。
今回トランプ氏が起こす乱気流。それを言い訳にすることなく前進を続ける企業がどれだけあるだろう。
株式市場の声を聞いてみた。コモンズ投信の伊井哲朗社長は1社挙げるなら日立製作所だという。「リーマン・ショック時の赤字は経営陣の同質化に問題があったとの認識の上に今の経営がある」。その反省から多様な人材を積極登用し、第1次トランプ政権時から先をにらんだ供給網の見直しもしてきたと評価する。
直近の急落があっても株価が昨年の大統領選前を上回る企業もある。ソニーグループ、任天堂、カプコン。世界に届くコンテンツを手掛ける共通項がみえる。
さらに考えるべきは乱気流の先だ。エネルギーの風景を変える新技術、人工知能(AI)、高齢化時代の突破口。新たな地平を開く技術革新を世界が待つ。
3月期の決算発表が本格化し、株主総会が控える。10年後に強くなったといえる企業へ、変化の先頭に立つ船のキャプテンにふさわしい経営者か。支えるメンバーはしっかりしているか。ガバナンスの本質を問う視点になるはずだ。
エンブラエル マイヤー商用航空事業CEO(ニュース一言)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 10ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
アジア市場が拡大し、目的地も広がれば航空機は足りなくなる。航空ネットワークを維持しようと考えている航空会社から、強い引き合いを感じている。
ブラジル航空機大手のエンブラエルは経済成長が続くアジア市場に期待する。商用航空事業のアリアン・マイヤー最高経営責任者(CEO)は「アジアではプロペラ機からのシフトも途上だ。輸送効率が高い当社の小型機は魅力的だと思う」と話す。
スポーツ市場にコンサルの波 KPMG、ファンごとに広告表示/デロイトはチーム経営に点数[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1895文字 書誌情報]
KPMGコンサルティングやデロイトトーマツがサッカー・Jリーグなどプロスポーツチームの経営支援やリーグの発展に貢献している。日本のスポーツ市場は欧米に比べて規模は小さいものの、成長余地が大きいためだ。ファン一人ひとりにあった販売促進策の導入といったコンサルの知見を生かした取り組みで成果が出ている。
KPMGはサッカーJ1チームの湘南ベルマーレの収益力向上に取り組んでいる。顧客情報管理(CRM)やCRMを通じたマーケティング戦略により、顧客1人あたり売上高を高めようとしている。
AIで割引券
その一つが人工知能(AI)による効率的な割引券の送付だ。例えば、ある有名選手が好きでも雨の日の試合は来場を見送るサポーターがいる。次の試合日が雨天と予想される場合、ベルマーレのメールマガジンから割引券を送付してスタジアムに足を運んでもらおうと促す。
これまでは無作為に割引券を送付していた。定価販売でも来場する可能性が高いサポーターも含まれる。ベルマーレの大多和亮介副社長は「ホーム定価販売のボリュームをここから一気に上げたい」と意気込む。
来場者一人ひとりの属性や趣味嗜好のデータに応じた広告をスタジアムで流す取り組みも今シーズン中に始める。受験が近い子連れなら学習塾、女性ならスイーツといった具合だ。座席の区画ごとにモニターを設置するなどして対応する。海外リーグでは既に取り入れているチームもあるが、日本では珍しい。
新型コロナウイルス禍の影響がほぼなかった2020年3月期の純利益は400万円で、24年3月期は2400万円と改善した。
ベルマーレはKPMGのコンサル事業の1号案件だ。成果を聞きつけた、サッカー女子のWEリーグやバスケットボール・Bリーグチームの神戸ストークスなど10社超へのコンサル受注につながった。事業を担当するスポーツイノベーションチームの人員も約7倍に増やした。
デロイトは10人ほどのコアメンバーを中心にスポーツビジネス業務を手掛ける。事業の一つがJリーグやBリーグの各クラブを経営面からランキングして公表する「マネジメントカップ」だ。
マーケティングや経営戦略、財務状況、経営効率の4つの視点で評価して総合点を公表する。マーケティングであれば客単価やスタジアムの集客率、経営戦略ではSNSフォロワー数やグッズ関連利益額などが指標となる。経営改善を意識するチームを増やし、コンサル需要の創出につなげる狙いだ。
この指標を活用したのがカターレ富山だ。売上高と順位は連動するという見立てから、独自に分析した。必要な強化費を算出し、その結果、売上高を伸ばした。25年シーズンでJ2に復帰昇格を果たした一因にもなった。
スポーツ庁の推計によると、21年の日本のスポーツ市場は前年比1割増の9.9兆円だった。Jリーグ単体でみても、移籍金や放映権が高額な英プレミアリーグの売上高は約1兆1000億円である一方、Jリーグは約1500億円にとどまる。
スポンサー収入の拡大やチーム・選手のコンテンツ化など経営の工夫で成長の余地は大きい。デロイトの里崎慎ディレクターは「国内総生産(GDP)比での伸びしろを考えると、この5~10年でマーケットが2~3倍になる可能性はある」と話す。
商社も参入
成長市場を取り込もうと、Bリーグには、商社やゲーム会社も参入している。
三井物産はBリーグのトヨタアルバルク東京に10%出資し、競技チームと施設の一体運営を進める。試合会場のアリーナは四角形が多い中、25年秋に開業予定の新施設は楕円形に設計し、観客が全て正対して観戦できる。クッション性がある椅子も採用した。舞台装置を保有することで、音楽コンサートを低コストで開催できるようにする。Bリーグの本拠地戦は年間30試合しかなく、残りの日をイベントで埋めて稼働率を上げる。
一体運営はスポンサーの獲得にも役立つ。ダイキン工業には観戦に最適な空気の状態をつくる実証実験の場を提供することで契約に至った。
三井物産出身でアルバルク東京社長の林邦彦氏は「社名の宣伝という狙いでは獲得できないスポンサーが入ってくれるようになった」と話す。
セガサミーホールディングスがサンロッカーズ渋谷を買収し、グッズ開発で協力する。MIXIも千葉ジェッツのSNS戦略を下支えする。グッズ開発や推し選手の育成などにエンタメ系企業の強みが生かせるとみる。
英マンチェスター・シティーなど欧米のトップクラブは経営も巧みだ。国内リーグからビッグクラブがなかなか生まれていないのは経営力と無関係ではない。
(吉田啓悟、平嶋健人)
弁当店、熊本発「三刀流」で 食堂併設や食品も販売、500店へ(LBSローカルビジネスサテライト)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 13ページ 451文字 PDF有 書誌情報]
弁当・総菜販売のヒライ(熊本市)が、路面店を軸にした食の「三刀流」を強みに出店攻勢をかけている。主力の弁当に加えてカップ麺や菓子類など食品を販売するほか、うどんや丼物などを提供する食堂も備える。1つの店舗で顧客の多様なニーズをつかむことに成功しており、将来は九州で現在の2倍以上となる500店体制を目指す。
熊本市内にある路面店の店内の一角に、弁当や総菜が並ぶ。売れ筋は注文を受けて調理する「出来たて弁当」で自信南蛮弁当(550円)が1番人気という。
弁当・総菜コーナーの隣には食堂や食品売り場を配置。例えば食堂が満席なら弁当を買って店外で食べられるというように、来店客の様々なニーズを受け止めてきたのがこの食の三刀流だ。
ヒライは総菜販売店が前身で1968年に創業。コンビニが台頭するなかで店舗網を拡大し、今では九州に200店以上を構え、売上高も2024年5月期に188億円に達した。九州の外食ではファミレスのジョイフルグループや、ラーメンの一蘭(福岡市)に次ぐ規模にまで成長している。
(近藤康介)
あなたの街の公示地価は? 上昇地点、再開発や訪日客効果(ビジュアルデータ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 13ページ 303文字 PDF有 書誌情報]
2025年の公示地価は全用途の全国平均が4年連続で上昇した。再開発で利便性の高まった地点の上昇が目立つ。インバウンド(訪日外国人)が多い観光地も土地の需要が大きい。
北海道千歳市は最先端半導体の量産を目指すラピダス進出に伴うオフィス供給が続く。千葉県流山市ではつくばエクスプレス(TX)の流山おおたかの森駅付近の開発が一段落するなか、交差する東武野田線沿線に需要が波及した。岐阜県高山市は観光スポットの地点が大幅上昇した。
ビジュアルデータ「あなたの街の地価は? 上昇・下落率マップ2025」では、全国約2万5000地点の地価動向を3Dで表現。タップするとグラフを表示する。気になる街を調べてみてほしい。
デジタル時代の基礎知識『PR思考』 著者に学ぶ 事業成長を加速する鍵(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 342文字 書誌情報]
日経ビジネススクールは、「ビジネススキルとしてのPR思考実践講座~伝えたいことが“伝わる”超実践メソッド~」を会場開催します。
PR思考とは、社会全体を視野に入れ、自分たちの行動や価値がどのように受け取られるかを多角的に考える視点です。PRを通じて事業成長やブランド価値を加速させるための具体的なメソッドなどをワークを交えて学びます。
広報担当者、商品開発やR&D、経営企画、マーケティングなど、新たな挑戦を目指す方々はぜひご参加ください。
◇日時 4月23日(水)午後1時半~午後5時
◇講師 根本陽平氏(芽代表取締役、PRジェネレーター)
◇会場 TKP東京駅カンファレンスセンター
◇受講料 4万4000円
◇詳細 https://s.nikkei.com/pbizsklpr
「ウィーン国立歌劇場」一般販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 341文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の一般販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S7万9000円~E2万6000円、土・日S8万2000円~E2万9000円ほか
◇チケット販売 4月18日よりNBSほかにて発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
ポッドキャスト「ヤング日経」 新パーソナリティ3人が始動!(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 292文字 書誌情報]
若者向けの日経ニュースを音声で聴けるポッドキャスト番組「ヤング日経」に4月から3人の新しいパーソナリティが加わりました。
月曜担当の神下茉衣(まい)さん=写真右=は心理士を目指す大学院1年生。火曜担当の池田勝さん=同中=はお笑いコンビ「ジグザグジギー」の突っ込み役です。金曜担当の阿部美鈴さん=同左=は大学4年生。
新しいパーソナリティたちの個性豊かなトークで、毎日のニュースがもっと楽しく、身近に感じられること間違いなしです!ヤング日経は「Biz Podcast by ラジオNIKKEI」のほか、Apple podcastやSpotifyなど各種podcastで無料で聴けます。
『NO RULES(ノー・ルールズ)』販売中(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 292文字 書誌情報]
世界で有料会員3億人突破。ネットフリックスの桁違いの成功の秘訣と「普通じゃない経営手法」を創業者が明かしたベストセラーが文庫になりました。
引き留めたくない社員は辞めさせる、承認プロセスは全廃、徹底的な権限委譲、率直な意見交換、休暇日数の上限なし……過激とも思える「自由と責任の企業文化」は、どのように社員の「能力密度」を高め、最高のパフォーマンスを支えているのでしょうか。日本を含めた世界中の社内事例を基に3つのステップごとに解説します。
リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー著、土方奈美訳、日経ビジネス人文庫、504ページ、定価1210円(10%税込)、日本経済新聞出版。
「帰ってきた泉屋博古館」展 リニューアル記念展を連続開催(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 267文字 書誌情報]
主に住友家が収集した美術品を公開してきた泉屋博古館(京都市左京区)がリニューアルオープンし、記念名品展を連続開催する。第一弾では古代から近代までの各分野の優品(写真は伊藤若冲「海棠目白図」江戸時代・18世紀、同館蔵)を、第二弾では近代美術の名品を紹介する。
◇会期 第一弾/4月26日(土)~6月8日(日)、第二弾/6月21日(土)~8月3日(日)。午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)。祝日を除く月曜日と5月7日、7月22日休館
◇観覧料 各展とも一般1000円ほか
◇問い合わせ (電)075・771・6411(美術館)
第59回日本伝統工芸染織展 東京・岡山など4会場で開催(日経からのお知らせ)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 260文字 書誌情報]
◇会期・会場 5月8日(木)~5月12日(月)東京・日本橋三越本店、5月14日(水)~5月19日(月)岡山天満屋、5月21日(水)~5月26日(月)大丸京都店、5月28日(水)~6月2日(月)福岡・岩田屋本店
◇内容 平山八重子「吉野織絣着物『渚』」(文部科学大臣賞)、石渡由子「刺〓帯『はないかだ』」(東京都教育委員会賞)、菅原〓幸「友禅訪問着『風のとおり道』」(写真、日本経済新聞社賞)、藤原由妃「綾織着物『ときのは』」(MOA美術館賞)など、計73点を展示
主催 日本経済新聞社、日本工芸会ほか
後援 文化庁ほか
食品価格高騰の背景(上) 甘かったコメの需要見通し 西川邦夫・茨城大学教授(経済教室)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2871文字 PDF有 書誌情報]
市場における価格変動を説明する際には、まずはその商品の需給に注目することが一般的である。しかし今次の米価高騰の要因として指摘されるのは流通スタック(停滞)や転売業者等による投機的な取引であり、なぜか需給関係への注目は避けられている。本論ではコメ市場の需給関係から米価高騰の要因を明らかにするとともに、今後の価格動向を展望したい。
表は近年の主食用米の需給の推移を示したものである。国内で生産されるコメは我々が直接口にする主食用米と、せんべいの原料や家畜のエサに充てられる非主食用米に分かれる。ここで示しているのは主食用米のほうである。
まずは6月末民間在庫((8))に注目してほしい。その年産の最後の月である6月末に、民間の生産者や流通業者がどれだけの在庫を保持しているかを示したもので、需給状況を示す指標である。
これまでの経験則から、6月末民間在庫の水準によって翌年産の米価が左右されること、180万~200万トンで需給が均衡することが言われてきた。新型コロナウイルス禍による需要減少で、2020年産(21年6月)と21年産(22年6月)の在庫は200万トンを超えた。その結果、流通業者間の取引価格を示す相対取引価格((9))は21年産で60キログラム当たり1万3千円を下回るまで下落した。
需要減少には供給削減で対応した。政府は毎年11月ごろに翌年産の需要見通し((1))と、在庫を加味した生産見通し((4))を公表する。それら指標の変化に合わせて各道府県(東京都、神奈川県、大阪府、島根県を除く)は生産の目安と呼ばれる生産量の枠を作成し、それに沿って生産者が生産する。これが、米価維持を目的とした「生産調整」と呼ばれる仕組みである。
生産調整は、食糧法第2条ほかに規定されている政府の政策である。21~22年産にかけて供給が絞り込まれた結果、22年産(23年6月)の民間在庫は197万トンに落ち着き、価格も23年は1万5千円を超えるまで回復した。この時点で市場はおおむね需給均衡の状態に戻ったと考えられる。
しかし、23年産で設定された生産見通しは需要見通し(680万トン)を下回る669万トン、実際の生産量((5))はさらにそれを下回る661万トンであった。その年の収穫の出来を示す「作況指数」は平年作の100を超えて101であり、不作ではなかった。
政府は需要量が毎年10万トン減少することを前提としていたので、それを見越して生産見通しを設定したかもしれないが、正確なところはつまびらかではない。需給均衡の状態にもかかわらず19万トンの減産((6))が選択されたのであった。
ここでもう1つの誤算が生じた。コロナ禍の収束による外食需要回復や、インバウンド(訪日外国人)による需要増を背景に、実際の需要量が705万トン((2))と見通しよりも25万トン増えたことである。
継続的な需要減少に悩んできた日本のコメ市場にとって本来は朗報であるはずだったが、年間の需給計画という観点からは大きなズレとなる。供給のズレが19万トン、需要のズレが25万トン、合計44万トンの需給ギャップ((7))が発生した。筆者の試算ではスーパーにおける販売量の1.8カ月分に当たり、端境期に棚からコメが消えるには十分な量であった。
需要に対して供給が足りないことが明らかになると、現物を確保するために流通業者間の集荷競争が激化し、米価はつり上げられた。それによって投機にも火が付き、現在まで続く、いわゆる「令和の米騒動」の要因となっている。
ちなみに、価格の変化率に対する、需要および供給の変化率である価格弾力性の値が、農産物は小さい。そのためわずかな需給変動で価格が大きく変動することは、農業経済学の教科書の初めのほうに書かれている。今回の米価高騰は、需給変動と価格弾力性で説明できる古典的な事象であると捉えることが可能である。
米価高騰の要因が需給ギャップにあるとすると、供給量を増やしてギャップを埋めることがまずは必要になる。24年産は679万トンの生産となり前年産より増加したが、需要見通し(671万トン)に対しては8万トン多いにすぎなかった。まだ先の44万トンの需給ギャップから36万トン残っている。
続いて25年3月に備蓄米21万トンが販売された。4月下旬には3回目の販売入札も予定され、10万トンが追加で供給される。残りの需給ギャップは5万トンまで縮小する。
そして農林水産省が発表した1月末時点での25年産の作付面積の見通しは128.2万ヘクタール。単収(面積当たりの収穫量)が前年産と同等と仮定すると、生産量は692万トンになる。
25年産の需要見通しは663万トンなので、生産量が29万トン多い。需要が政府の見通し通りという限定付きではあるが、これで需給ギャップは解消し「令和の米騒動」の終息が見えてくることになる。25年の収穫期にかけて市場は落ち着き、価格は下落に向かうことが予想される。
今後の注目点として以下の2点を挙げておきたい。第1に、備蓄米の放出をいつまで続けるかである。政府は端境期の7月まで、毎月備蓄米を販売することとしている。しかし需給ギャップは3回目の放出まででほとんどが解消されると考えられる。それでもなお備蓄米の放出を続けるなら、米価が想定以上に急落する可能性も否めない。
わずかな需給変動で価格が高騰したのであるから、その逆が起こることも十分に考えられる。価格安定のためには目標価格を設定して、そこに至るまで備蓄米の放出を継続する、という手法も有効であろう。
第2に「令和の米騒動」で明らかになったことは、政府の需要見通しに基づく生産調整が、生産者や流通業者にとってだけでなく、消費者も含めた全体の需給管理にとっても、リスクが高い手法であったということである。
政府による需要見通しはシンプルな計算式によっており、1人当たりの消費量の推計と人口推計を掛け合わせた値となっている。実際の需要は様々な要因によって左右されるために、実績値とのズレが避けられなかった。
ただ、これまでは実績が見通しに対して下振れしてきたため、米価の下落や生産調整の拡大によって農業サイドでショックが吸収されてきた。一方で、今回は逆に上振れしたために、国民レベルでの騒動になったのであった。
収穫前にあらかじめ主食用、飼料用等の用途ごとの生産量を決める現行の生産調整(事前調整)から、コメとして区別せずに生産し、収穫後に市況や品質に応じて用途を振り分ける事後調整へと転換することも、需給安定のためには一案である。生産者にとって収穫前にリスク管理をする方法としては、24年8月に設立された先物市場の利用も検討に値するだろう。
<ポイント>
○「令和の米騒動」は生産調整の限界を示す
○備蓄米放出は目標価格の設定と合わせて
○事後調整への転換や先物市場の活用必要
にしかわ・くにお 82年生まれ。東京大農学部卒、同・博士(農学)。専門は農業経済学
歴史に自然実験を見いだす(4) 子どもの貧困対策の有効性 一橋大学教授 森口千晶(やさしい経済学)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 835文字 PDF有 書誌情報]
日本で「子どもの貧困」が初めて大きな話題になったのは、2008年のリーマン・ショックの頃です。子どもの相対的貧困率は10年代初頭をピークに低下傾向にありますが、子どもの貧困がなくなったわけではありません。
幼少期の貧困は子どもの将来にどのような影響を与えるのでしょうか。この問いに厳密に答えるためには、乳幼児のいる世帯の所得に外生的なショックを与え、その子どもたちが中高年になるまで観察を続ける必要があります。そこで、米ノースウェスタン大学のジョセフ・フェリー教授らと、米コロンビア大学のダグラス・アーモンド教授らは歴史に自然実験を見いだしました。
米国では1910年代に、一部の州で貧しい母子世帯に現金給付する制度が導入されました。フェリー教授らは、徴兵記録や死亡記録を駆使して、受給を認められた世帯と却下された世帯の男児の成人期のアウトカムを比較しました。その結果、現金給付を受けると、学歴・所得・体格が向上し、寿命も上昇したことがわかりました。
アーモンド教授らの研究は、米国で60年代に始まった貧困世帯への食費支援(フードスタンプ制度)に着目したものです。導入時期の地域差を用いた分析によると、胎児期から5歳までに食費支援を受けると、出生体重が増加し、成人期の肥満や生活習慣病が減少し、さらに女性は学歴と所得も上昇していました。子どもの貧困には、胎児期を含む早期の介入が大切なことを示唆する結果です。
自助努力を重視する米国では、公的扶助は利用者による制度の乱用や支援への依存を生み出すという見方が根強く、その効果を疑問視する声が絶えません。これらの研究は、公的扶助が次世代に与える効果について初めて明確なエビデンスを与え、政策的にも重要な含意があります。
このように母親の経済状況は将来世代にも影響を与えます。国際的にみても、日本では母子家庭の貧困率が高いことが知られています。日本でも子どもの貧困が将来に与える影響を計測し、有効な対策を打つ必要があります。
ベンチャーの組織運営に学ぼう EVeM代表 長村禎庸(私見卓見)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 15ページ 0文字 書誌情報]
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国税の「宝刀」、続く敗訴 非上場株の相続評価で[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1447文字 PDF有 書誌情報]
非上場株の相続を巡り、国税当局が「総則6項」という特別な規定を使って課税処分した事案の税務訴訟で、東京地裁は1月、国税敗訴の判決を言い渡した。同規定は効力の大きさから「伝家の宝刀」とも呼ばれてきたが、2024年の別の裁判に続く連敗となった。非上場株の価格評価のルール自体を見直すべきだとの声も上がっている。
財産評価基本通達総則6項は、国税庁が相続時の財産評価の手法を示す例外規定だ。資産を通達通りに評価すると実勢価格より大幅に安くなる場合などに、国税当局が再評価できると定めている。
今回争われたのは、中部地方の資産管理会社(非上場)の株の評価だった。判決などによると、同社の設立者が13年に死去。その子などの相続人らは、通達に沿って同社株を1株1853円、税額を計約10億5千万円と評価して申告した。
国税当局は評価額が低すぎると指摘。18年、総則6項を適用して1株3443円、税額を計約20億2千万円とする更正処分を行った。相続人側は不服として審査請求したが認められず、22年に提訴した。
主な争点は、総則6項の適用の妥当性だった。
通達による非上場株の原則的な評価方式は、(1)事業などが似ている企業と比べる「類似業種比準方式」(2)会社の資産や負債に基づく「純資産価額方式」(3)これら2つの併用方式――の3つがある。採用する手法や併用の割合は企業の規模や特徴によって決まるが、特定の条件のもとで納税者が選択できる場合もある。
(1)の割合を高めれば、相続税の負担を軽くしやすいとされる。原告の相続人らは相続の発生前に資産管理会社の新株を発行するなどし配当も実施。同社は被相続人が株主になるとともに資産状況が変わり、評価額算定で(1)の方式を多く使えるようになっていた。
裁判で国税側は、相続人らが相続税を減らすために一連の行為をしたと主張。相続人側は、新株発行などは以前から予定していたもので、租税回避の意図はないなどと反論した。
東京地裁は国税側の主張を退けた。判決は税額が減ったのは「(通達が評価方式の)選択を認めていることによるもので、必ずしも新株発行のみによるものではない」と指摘。減少の割合も5割未満で、著しく軽減されたとはいえないとして「総則6項の適用は違法」と結論づけた。
国税側は控訴。今後、上級審で争いが続く。
総則6項の適用を巡っては24年、東北地方の非上場企業の株式の評価額を巡る類似訴訟で、東京高裁で初めて国税側の敗訴が確定した。国税関係者からは「個別事例で、すぐには現場への影響はない」との声がある一方、「適用を検討中の事例について、調査などが慎重になる可能性はある」との見方も出ていた。
非上場株の相続税評価を巡っては、評価方式による格差の大きさが問題になっていた。会計検査院が24年、実際の申告について(1)と(2)の評価額の差を調べたところ、中央値で(2)が(1)の約4倍に上ると判明した。国税当局は、この差を使って税負担を減らそうとする納税者がいるとして警戒感を示してきた。
相続税に詳しいデロイトトーマツグループの梅村芳志税理士は、今回の東京地裁判決について「相続人側は税負担を減らす意図はなかったことを具体的に主張。減った税額も割合で半分程度で、判例からみても国税側はやや不利だった」と分析する。
そのうえで「評価方式の差を利用した税負担の軽減は広く知られている手法」と指摘。「今後、通達自体の見直しも求められるのではないか」と話す。
(斉陸)
フジは再生できるか 企業法務の弁護士に聞く 風土改善、実施確認カギ 中村直人氏[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1008文字 PDF有 書誌情報]
元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルを巡るフジテレビジョンの問題で、外部弁護士で構成する第三者委員会が3月31日に調査報告書をまとめ、フジ側も「再生・改革プラン」を公表した。フジテレビは失墜した信用を回復し、再生できるのか。報告書や改革プランの注目ポイントを、企業統治やハラスメント、人権に詳しい弁護士に聞いた。
短期間でこれだけの調査を終わらせたことは称賛に値する。事実経緯の認定は詳細で類似事案の調査までしている。「人権」の考えが骨格をなし、全面的に打ち出しているのが特徴だ。
注目点は2つで、ひとつは(中居氏から女性に)重大な人権侵害行為があったと明確に認定したことだ。書きぶりとしては事実上は刑事責任を認める内容となっているようにも読める。ただ性的な同意の有無を巡る刑事事件の場合、立証のハードルが非常に高い。報告書に書かれている材料だけを見る限りでは、やや強い認定とも感じた。
結果としてその後の会社の対応への評価は辛辣になっている。この事案の発生後にフジが調査をしなかったことに対する非難が、2つ目の注目ポイントだ。フジの対応を非難する一方、ではどうすれば女性を守りながら調査ができたのかは具体的に書かれていない点は気になった。
報告書の分析や改善策は、様々な人が読んで自然に納得できるのが望ましい。その意味で人権を強く打ち出したこの報告書を、日本の経済界の一般的な感覚の持ち主が素直に読めるか少し心配だ。日本で「ビジネスと人権」の考え方が浸透するにはまだ時間がかかると思う。だからこそこのテーマの分析や改善策は、丁寧な提示が求められる。読み手の困惑や異論を招けば第三者委の問題意識が伝わらず、もったいない。今回の報告書は読む側の姿勢も問われるのではないか。
CM出稿の再開時期は判断が難しい。一連の改善策が実行されたかを確認できない限り、厳しいのではないか。改善策の実行には1年はかかるだろう。今出稿を停止している企業は、自社の人権方針に照らして人権侵害を助長しないためにそうしているはずだ。改善の確認をしないまま再開するのが一貫しているのかということになる。確認には改善策の実施報告と、風土をはかるバロメーターになるような指標の開示などが必要になるだろう。
(聞き手は児玉小百合、川瀬智浄)
【図・写真】なかむら・なおと 1985年弁護士登録。会社法やガバナンスなどが専門で第三者委員会の経験も豊富
フジは再生できるか 企業法務の弁護士に聞く――「通り一遍」超えた改革を 木下潮音氏[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 17ページ 845文字 PDF有 書誌情報]
報告書は、性加害問題を詳細に認定しただけでなく2016年時点まで立ち戻ってフジテレビとフジ・メディア・ホールディングスがなぜこうした事態を放置したのかを解き明かしている。被害女性が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の影響などで退職するまで、港浩一前社長ら当時のトップ3人がハラスメント対応、ガバナンス、リスク管理にいかに無関心だったかには驚いた。
さらに重要なのは、被害者の女性から直接話を聞いていた女性上司と(フジのトップ層との)情報交換がなかったことだ。結果的に、SNSなどで被害女性や女性上司への興味本位の中傷にもつながったといえる。報告書はフジ社内で編成部門や報道部門で力を持った人物がセクハラやパワハラを繰り返したうえで幹部へと出世し、それが再生産される構造についても書かれている。
3月31日に公表されたフジの「再生・改革プラン」は、これだけの問題への対策にしては通り一遍だと感じた。最も重要な「何をやめて何を社会に示すか」を、読み取ることができない。本来なら問題を起こした部局を廃止するくらいの対策が必要なのだと思う。
男女雇用機会均等法が改正された1999年当時、企業にセクハラ防止研修で呼ばれた際の例え話で、日本の男性は女性を母、妻、姉妹、娘、飲み屋のマダムの5類型でしか考えられず、企業でも女性社員を「職場の母」や「取引先を接待する係」と考えがちだと指摘した。セクハラ防止が条文化された以上、こうした考えは許されず「同じ仕事をする同僚」と当たり前に認識することが重要だと伝えていた。
しかしフジでは、法制度や社会の考え方の進展と無関係にセクハラ・パワハラが際限なく横行していた。日本のまともなビジネスの世界の出来事なのかと恐ろしくなるような事態だ。今回の問題は、フジのステークホルダーだけでなく社会全体に、男女が共に企業で働くことの意味を問うている。(聞き手は礒哲司)
【図・写真】きのした・しおね 1985年弁護士登録。労務問題のエキスパートとして多くの企業などに助言
フジは再生できるか 企業法務の弁護士に聞く――人権課題、他の日本企業も 蔵元左近氏[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 17ページ 682文字 PDF有 書誌情報]
今回の報告書は「ビジネスと人権」の知見を取り込んだものとして画期的だ。企業の危機管理、安全配慮義務、ハラスメント防止、ガバナンス等の法的課題を、人権というレンズを通して的確にとらえている。今後の同様の事案についての実務の指針となるだろう。
一方、フジが発表した再生・改革プランは踏み込みが足りないと感じる。企業側のリスク予防に重点が置かれているが、ビジネスと人権の観点からみると、被害者、ステークホルダーである従業員側に視点を転換する必要がある。
問題の背景には企業の組織構造や文化、風土といった、その企業固有の問題がある。一般社員にとどまらず、実際に被害を受けて苦しんだり、現在も苦しんだりしている従業員から話を聞き、どのような対応が有効かを、オーダーメードで作っていく必要がある。
企業風土を劇的に変えるためには社会にインパクトがあり、適切な対応策をとることができる倫理観の高い人物を組織改革特命担当の取締役として外部から招くことも考えられる。
フジの問題には、すべての日本企業に根底で共通する課題がある。組織が個人を抑圧してしまう空気、それを看過する経営陣の意識の甘さが大きな問題につながることを、企業は認識すべきだ。
今後は経営責任を負う人々が、取るべき責任を取らなければ、企業としての再生は難しい。株主やスポンサー企業のみならず、被害者、従業員を中心とするステークホルダー、そして社会からの信頼を回復するためにも経営陣の刷新が必要だ。
(聞き手は松本史)
【図・写真】くらもと・さこん 2004年弁護士登録。ビジネスと人権やESG法務などを幅広く手がける。
新事業支援に特化 弁護士5人が新事務所[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 17ページ 286文字 PDF有 書誌情報]
企業の新事業や成長を支援する法務を手掛けるOLD NEW THINGS法律事務所(東京・港)が新たに設立され、業務を始めた。規制対応やデータ、知的財産、金融、ヘルスケアなどの知見を備える中堅弁護士5人が創設。イノベーション法務に特化した事務所として打ち出す。
創設メンバーは山本飛翔弁護士や尾西祥平弁護士ら。規制対応など新事業立ち上げに必要な法務を助言するほか、スタートアップへの投資やM&A(合併・買収)、大学との提携など「オープンイノベーション」に関わる交渉や契約も支援する。新興企業の新規株式公開(IPO)、ガバナンス整備のほか、官公庁への政策提言なども手掛ける。
法曹増でも裁判官不足の怪 見合わぬ待遇、大手法律事務所に流出(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1864文字 PDF有 書誌情報]
法曹界でトップエリートとされてきた裁判官のなり手不足が深刻だ。法曹人口は10年で3割弱増えたのに、判事補と呼ぶ若手裁判官は2割減った。企業法務需要が増えたことに伴い、大手法律事務所が最優秀層の学生らを好待遇で積極採用しているためだ。それでも採用方法を抜本的に見直す機運は乏しく、放置すれば司法システムが揺らぎかねない。
2024年4月、釧路地裁本庁の裁判官人事に地元で波紋が広がった。刑事部と民事部で計6人いた裁判官が5人に減り、最若手の裁判官が刑事・民事両部を兼務するようになったのだ。
本庁は北海道東部の司法システムの中核を担うだけに影響は大きい。釧路弁護士会が所属弁護士に聞き取り調査すると、裁判員裁判の期日が入りにくくなったとの意見が寄せられた。
裁判員裁判は原則として刑事部の裁判官3人全員がそろわないと開けない。24年度の会長を務めた佐々木涼太弁護士は「兼務によって裁判官の日程確保が難しくなっている可能性がある」と指摘する。
10年で若手2割減 エリート主義が壁
釧路地裁に限る話ではない。函館、鳥取、松江地裁でも同様の事態が起きている。最高裁は「事件数が減少していることなどを踏まえた対応で、事件処理に支障をきたすものではない」としている。
ただ、判事補不足が配置に影響を及ぼし始めている感は否めない。最高裁によると、24年度の判事補は673人と14年度の832人から159人(19.1%)減った。定員数を削っているにもかかわらず、定員の8割しか埋まらない状況が続く。
日本弁護士連合会によると、法曹人口拡大を掲げた司法制度改革によって裁判官、検察官、弁護士の法曹3者全体の人数はこの10年間で約4万人から約5万人に増えたものの、裁判官に限ると2800人弱で近年は横ばいが続く。
なり手不足の最大の要因が大手法律事務所との競合だ。M&A(合併・買収)や新規事業進出の法的チェック、危機管理など企業法務の需要増大で規模拡大にまい進している。日弁連によると、西村あさひ法律事務所やアンダーソン・毛利・友常法律事務所など五大事務所の所属弁護士数はこの10年で1714人から3030人と1.7倍超に増えた。
採用攻勢をかけるのが難関大の優秀な学生だ。インターンなどを通じ接触し、司法試験の受験前から囲い込む。試験の成績上位者は合格時点で就職の内定を得ていることが少なくない。優秀な学生はこれまで裁判官になるケースが多かったが、近年は人材獲得競争で劣勢に立たされている。
待遇差は歴然だ。初任給は年収1千万円超とされる大手法律事務所に対し、裁判所は年収500万円程度。官舎はあるが昭和時代の団地にあったレバーを回して風呂をわかす「バランス釜」を備える古い物件もまだ残るという。
社会的使命や独立性の高さなどを説いても大手法律事務所に軍配が上がりがちだ。司法修習生から裁判官への任官者は15年は101人だったが、18年、21年は70人を割り込んだ。若干盛り返したものの24年も81人にとどまる。
裁判官になっても度重なる地方転勤が重荷となって転身を図る若手も絶えない。大手法律事務所の弁護士に転じた元裁判官の女性は「専門性を磨きたいと思って海外留学したのに、帰国後に配属されたのが地方の裁判所だった。留学で得た知識をほとんど生かせず、転職を決意した」と話す。
裁判所も司法修習生向けに、若手裁判官が仕事のやりがいやプライベートの過ごし方などを語る場を設けるなど採用に注力している。しかし「裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してほしい」(最高裁人事局長の国会答弁)との思いは強く、司法試験の成績などを重視する傾向は変わらない。昔ながらのエリート主義が足かせになっている形だ。
外部登用は低調 司法基盤揺らぐ恐れ
外部人材を招く動きも鈍い。経験を積んだ弁護士から裁判官を登用する「弁護士任官制度」の実績は、近年は多くても年4人ほど。1人もいなかった年もある。
判事補不足を解消できなければ、近い将来、裁判官全体が担い手不足に陥り、審理の長期化や質の低下など司法システム全体が揺らぐ。それでなくても日本は先進国の中で裁判官1人あたりの国民数が突出して多く、裁判官の負担が極度に重い。
足元では民事裁判や刑事裁判の審理期間は長期化傾向にある。26年には離婚後も父母が親権を持つ共同親権の導入を柱とする改正民法の施行が控え、親権を巡る家事事件の増加も見込まれる。裁判官人事のあり方を時代に合わせて変えていく時機にきている。
法曹増でも裁判官不足の怪――持続可能な人事制度構築を(Review記者から)(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 19ページ 573文字 PDF有 書誌情報]
裁判官の不足は欧米ではあまりみられない。しかも他国より圧倒的に裁判官が少ないのに担い手が不足する日本は特異といえる。
米国や英国は一定の職務経験を積んだ弁護士などから裁判官を選任する「法曹一元制」を採用する。特定の裁判所の裁判官として任用されるため異動や昇進は原則ない。終身制で定年もないため不足は生じにくい。
フランスやドイツは日本と同じく国家試験の合格者を裁判官として任用し、実務経験を積ませる「職業裁判官制」だ。中でもドイツの制度は日本と近いが、独協大の小野秀誠名誉教授(ドイツ法)は「裁判官は人気職種だ」と話す。
小野名誉教授によると、ドイツの人口は日本の3分の2だが裁判官は約2万人いる。柔軟な働き方が可能で半休を取得する人も多い。異動も応募制で希望しない限り対象とならない。
日本では裁判官の大幅増員は質の低下を招くとして裁判所側に慎重論が根強い。全国一律で質の高い司法サービスを提供するという理念は分かる。ただ、どんなに優秀な裁判官でも人手不足で仕事量が増えれば審理の質の低下は避けられない。
韓国では司法システムに対する国民の不満を受け、2010年代前半に職業裁判官制から法曹一元制へ移行した。日本も「国民に身近な司法」を掲げた司法制度改革の原点に立ち返り、司法機能の充実につながる持続可能な人事制度を構築すべきだ。
(小西雄介)
法曹増でも裁判官不足の怪――裁判官(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 19ページ 300文字 PDF有 書誌情報]
■裁判官 司法試験に合格し、司法修習を終えた人の中から原則任命される。下級裁判所の裁判官は「判事」、職務経験10年未満の「判事補」、「簡裁判事」の3つに分かれる。簡裁判事のみ司法修習を終えた人以外から任用が可能で、裁判所書記官から登用されるケースもある。
判事補は原則1人で裁判を行えない。ただ特例法で5年以上の職務経験を積めば、特例判事補として判事と同等の権限が与えられる。
憲法は公正な裁判の前提となる「司法権の独立」を守るため、裁判官の身分を手厚く保障する。行政機関による処分を禁じ、在任中は報酬が減額されることもない。原則として弾劾裁判所が罷免判決を出さない限り、辞めさせることはできない。
AI開発、偏見生まぬために ジェンダード・イノベーション提唱者 初期から性差分析を[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 21ページ 2074文字 PDF有 書誌情報]
翻訳ソフトのDeepL(ディープエル)で「リケジョ」と入力すると「woman who allegedly pursues a career at the expense of love, feminine interests, etc.(恋愛や女性的な興味などを犠牲にしてキャリアを追求するとされる女性)」と英訳される。人工知能(AI)などの分野で、偏見が助長されるのはなぜか。研究開発に身体的・社会的な性差分析を加える「ジェンダード・イノベーション(GI)」の提唱者、米スタンフォード大のロンダ・シービンガー教授に聞いた。
――急速に利用が広がる大規模言語モデルやAIで性別や人種による偏見や差別が目立ちます。
「かつてスペインのメディアにインタビューされたときの記事をグーグルで英訳したら、自分のことが繰り返し『彼(He)は言った』と表記されていた。革新的な企業でもこのような問題があるのかとびっくりした。ネット上では『彼は言った』が『彼女は言った』より圧倒的に多いことが原因の1つだ」
「顔認識では肌の色の濃い人より薄い人の方が精度が高く、女性より男性の方が精度が高いという研究がある。機械学習のアルゴリズムが過去のデータに基づいてトレーニングされると、過去のバイアスを未来へ引き継ぎ拡大させる危険がある。自動化された過程への介入が必要だ」
「グーグルの生成AI、Gemini(ジェミニ)で『CEO(最高経営責任者)』と検索すると、女性の画像がたくさん出てきたことがあった。アルゴリズムの段階で男性と女性を同じだけ生成するようにしたのではないか。米国の建国者は誰かと尋ねたら、黒人やアジア人、先住民男性の画像が出てきた。歴史的な真実がわからなくなるという問題は生じているが、包摂した公正な社会を作ろうとする途上と理解している」
「ただグーグルなどがどれだけバイアスのない世界を目指しても、プラットフォームが一度決まってしまうと修正は難しい。大規模言語モデルやAIは今後重要性を増していくだけに、初期の段階で社会分析を取り入れることが求められる」
――具体的にはどのような取り組みが必要ですか。
「大学では学部と大学院の両方で性差分析に関する知識をカリキュラムに組み込む。研究助成機関は申請を受ける研究に性差分析を考慮するよう求めることだ」
「研究のやり方を誤ると、多額の資金と人命が失われる。米国では1997~2000年の間に10種類の医薬品が健康に有害との理由で市場から撤収された。このうち8つは女性により深刻な脅威を与えるものだった。医薬品の開発には何十億ドルもの費用がかかっており経済的損失は莫大だ」
――科学に潜むジェンダーバイアスに気づいたきっかけは何ですか。
「1980年代にハーバードの学生だった頃、女性の科学者はほとんどおらず、女性の脳は科学に向いていないといわれていた。そこで男女の脳の構造を調べたいと思った。医学図書館で目録を1枚ずつ探したが、Aから調べ始めてSでやっとサミュエル・トーマス・フォン・ゼメリングによる女性の骨格標本にたどり着いた。医学書は数百ページに及ぶものも多いのに、これはたった数枚。私の初めての著書『科学史から消された女性たち』(工作舎)で、科学がいかに女性を排除してきたかを明らかにした」
「問題を暴くだけでなくイノベーションにつなげようと2005年に提唱したのがGIだ。性差だけでなく、人種や年齢など、様々な要素をくわえた交差性(インターセクショナリティ)分析によって、世界中の人々のニーズや悩みに応えた価値の高い商品や医療の提供が可能になる」
「心臓発作の症状は胸の痛みと考えられているが、女性の場合はめまいや胃のむかつき、疲労感が症状として表れることがあるとわかった。これによって女性患者に対して適切な救命処置をとれるようになった」
――家庭用のロボット開発が進んでいます。製品開発において気を付けることは何ですか。
「世界市場を念頭に、多様な家庭のニーズや好みを踏まえておくことは必要だ。裕福な家庭を前提にしていないか。家族構成や年齢、価値観や健康状態など複数の因子を考慮し正しく設計しないと修正は困難になる」
「ロボットは擬人化するのではなく、ロボットとして扱ったほうがいい。名前や声、目の色や体つきによって利用者はどんな印象を抱くだろうか。スタンフォード大で開発された家事ロボット『Tidy Bot』はアームの部分だけで働く。家事ロボットを女性的に、セキュリティーロボットを男性的にすれば性別役割分業を強化することになりかねない。開発者のステレオタイプが含まれたデザインは不要で、利用者がパーツを選べるようにすればいい」
【図・写真】ロンダ・シービンガー米スタンフォード大教授は米ハーバード大で博士号を取得、ペンシルベニア州立大学を経て現職。「研究開発は初期の段階で社会分析を取り入れることが求められる」
【図・写真】インターセクショナル・デザイン・カードは12種類の要素を取り入れている
AI開発、偏見生まぬために――年齢・人種…他にも考慮[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 21ページ 441文字 PDF有 書誌情報]
リケジョとは「理系女子」の略で、理工系の女子学生や、科学技術の開発や研究に携わる女性を指す言葉として使われていた。ただジェンダーバイアスの観点から、こうした言葉は控えるようになってきている。
性差分析から始まったジェンダード・イノベーションも身体的な性(sex)や社会的な性(gender)だけでなく、多様な要素を組み込んだ社会分析へと進んでいる。
理解を深めるためにシービンガー教授が開発したツールが「インターセクショナル・デザイン・カード」だ。まず年齢や人種、教育や持続可能性などを示した12種類の要素カードから必要なものを選ぶ。次に研究開発をしている商品やサービスについて、利用者は誰なのか、除外される人はいないか、意図しない差別を生んではいないかなどの質問に答えつつ、問題点を明らかにし改善案を考える。
アップルの交差性要素はさらに多く、利き手や言語、宗教なども含まれるという。多様な要素を取り込むことはバイアスを排除するとともに商機を拡大させる。
(編集委員 中村奈都子)
女性起業家を支える2つの鍵 東京大教授 山口慎太郎氏(多様性私の視点)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 21ページ 822文字 PDF有 書誌情報]
人材の多様性はイノベーションの源泉であり、経済成長の鍵となる。特に女性起業家の存在は多様な視点からの事業創造を通じて経済に活力を与える。経済協力開発機構(OECD)諸国の中で女性起業家率が最低レベルの日本では、ここに大きな伸びしろがある。
起業は女性のキャリアにおいて注目すべき選択肢だ。時間的自由度が高い上、組織内での「ガラスの天井」に阻まれることなく、自らの力で収入や地位を高められる。しかし、女性起業家の活躍を妨げる大きな障壁のひとつが子育てによる時間制約だ。
ノルウェーで行われた研究では、21万人以上の起業家を対象に、子どもの誕生が企業業績に与える影響が分析された。
研究によると、女性起業家の経営する企業では、第1子誕生から10年後には、自身の経営者報酬を含む利益が約30%も減少する。一方、男性起業家の場合は有意な減少は見られず、むしろ売り上げや費用は増加傾向にある。
なぜこうした差が生じるのか。本質的には、経営者は「余人をもって代えがたい」存在だからだ。企業のパフォーマンスは経営者の能力や努力に大きく依存する。子育てに時間を取られると、その分だけ企業に投入できる時間や労力が減る。調査によれば優秀な経営者ほど子育てによる業績低下は大きくなる。才能ある人材ほど、その不在の影響が大きいのだ。
しかし、この問題を軽減する方法もある。研究では、共同経営者がいる場合、業績低下が軽減されることが示されている。単独経営より複数人でのチーム経営が、大きな保険となるのだ。
また、夫に時間の余裕があり、子育ての大部分を引き受けられる場合も問題は緩和される。
男性の育休取得や時短勤務の推進は、単に家庭内の公平性だけでなく、家計所得の最大化という経済合理性の観点からも重要だ。
男性が家庭に積極的に関わることは、女性の経済活動を後押しする。子育て支援の充実は出生率向上のみならず、女性の経済界での活躍を通じた経済成長にもつながるのである。
日本のIT業界で働く海外人材、10年で3倍(News)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 21ページ 518文字 PDF有 書誌情報]
■日本のIT業界で働く海外人材、10年で3倍 人材サービスのヒューマンリソシア(東京・新宿)は日本のIT(情報技術)業界で働く海外エンジニアの動向をまとめた。国際労働機関(ILO)や経済協力開発機構(OECD)の公表データ、各国の統計データベース等を基に独自集計した。調査によると、日本のIT業界で働く海外人材は2024年10月末時点で9.1万人と10年間で約3倍に増えた。14年から対前年で2桁増が続き、コロナ禍では一時落ち込んだが23年には前年比で12%増となった。24年は同6.0%増だった。出身国別でみると中国が4.26万人で47.1%を占め1.0万人の韓国が続いた。
■アイシン、特例子会社でAIなどに関する新業務 アイシンは障害を持つ社員の就労や活躍機会の創出を目指す特例子会社のアイシンウェルスマイルで、カーボンニュートラルや人工知能(AI)などの業務を4月から新たに始めた。従来行っている清掃業務や資料の電子化業務のほか、AIの機械学習に必要な作業や、電子部品テープの分別、ラミネート作業や封入作業を加えた。2024年秋から試験運用を開始し、実際に作業をした従業員から「もっとやってみたい」といった前向きな声があった。
特集――NIKKEIAsia China eyes mature tech for chips[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1850文字 PDF有 書誌情報]
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と協力関係にある中国の半導体製造装置メーカーの深市新凱来技術が、粛々と技術開発を進めているようです。半導体製造装置は日本や欧米の企業の独壇場でしたが、米国が対中輸出規制を強めるなかで中国勢が技術水準を高めています。日本経済新聞の英字媒体「Nikkei Asia」では中国内外の取材網を活用し、同国企業の技術動向を追っています。
驚くべきは新凱来技術の技術範囲の幅広さ。2021年8月設立の新興企業でありながら、露光装置から蒸着、測定、エッチング、ALD(原子層堆積)に及んでいます。深市政府系の投資会社が出資し、ファーウェイとも緊密に連携しているといいます。他社の経験豊富なエンジニアを積極採用し、力をつけているようです。
同社の露光装置が描く回路線幅は28ナノ(ナノは10億分の1)メートル。数ナノ単位の線幅を競う最先端品に比べれば「枯れた」技術ですが、自動車やロボット用半導体の製造に応用できます。
毎週水曜日に掲載する特集「Tech Asia」でも、中国が「枯れた技術」を急速に蓄積し、炭化ケイ素(SiC)ウエハーなどの価格破壊を引き起こしていると指摘しています。最先端ではなくても、すでに広く使われて信頼性が高い点で優位性があります。最先端技術で半導体立国の再興を目指す日本とは対極的ともいえます。
シンガポールにある中国人富裕層向け資産運用会社(ファミリーオフィス)で7400万シンガポールドル(81億円)規模の横領が起きたとして、同社のトップが元従業員4人を告発しました。同国警察がこの件の捜査を始めています。シンガポールはこれまでファミリーオフィスの誘致に積極的でしたが、2023年8月には大規模な資金洗浄事件も発生しました。相次ぐ問題にアジアの金融センターがどう対処していくのか注目が集まっています。
フィリピンでは日本発のフィンテック企業、グローバル・モビリティ・サービスの記事が読まれました。貧困から脱却しづらい三輪タクシーの運転手が経済的に自立できるよう支援しています。借り手となる運転手が同社独自のIoT機器を車体に装着することを条件に、金融機関が車両を購入するためのローンを提供します。働きぶりを数値化でき、支払いが滞ればエンジンを停止できることが返済を保証する「担保」になります。家を購入したり子供を大学に通わせたりできるようになる成功例も出始めています。
台湾の第2野党の台湾民衆党党首で、与党・民主進歩党との対決を唱える黄国昌氏がインタビューに応じました。中国が軍事的威嚇を強めるなか、台湾は軍事支出を増やす方針ですが、黄党首は「税金を見境なく防衛費に使うべきではない」と述べました。台湾の防衛予算は域内総生産(GDP)の3%未満ですが、米国は10%程度にまで増やすよう要請しています。必要なところにメリハリをつけて予算を割くよう求めています。
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国外で花開くミャンマー料理
ミャンマー料理が世界各国に広がっています。ミャンマーの食文化は近隣のタイ、中国、インドの影響を受け発展してきました。2021年の国軍によるクーデター以降、ミャンマー人シェフたちが活躍の場をミャンマー国外に求め始めたのが、足元の急速な国際化の大きな要因です。
記事では、タイやマレーシア、韓国、日本、欧州などで活躍する多くの料理人らによる伝統的な豚肉料理やサラダ、西洋風の趣向を凝らしたカワエビと焼きナスの一品など約20点の写真とともに紹介しています。東京都内の店も紹介しており、お店選びのガイドとしても活用できます。
「中国プラス2」の時代に?
専門家が寄稿するオピニオン欄では、保護主義の台頭やコストの増加を回避するために中国以外にサプライチェーン(供給網)を多様化する「チャイナプラス1」戦略について論じた記事が読まれました。
米トランプ政権の誕生で世界の不透明さが増すなか、同戦略を進めているのは欧米企業だけではありません。中国比亜迪(BYD)やファーウェイのような中国企業も東南アジアや欧州に拠点を広げています。米国の関税を回避する必要性が高まってきているためです。先の読めない状況に対応するため、生産拠点のさらなる多様化を迫られています。
【図・写真】中国は急速に半導体の生産能力を拡大している=ロイター
【図・写真】料理を盛り付けるミャンマー人シェフ
【図・写真】コンテナが並ぶ上海の洋山港=ロイター
実験室のバリアフリー化 少数者の参加、科学に革新 並木重宏・東京大学准教授[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 23ページ 2351文字 PDF有 書誌情報]
日本の科学力低下が叫ばれて久しい。実験室のバリアフリー化に取り組む東京大学の並木重宏准教授は、米国では公平性などを担保するとともに科学に革新をもたらすため、障害者らの参加を促してきたと指摘する。
米国で研究に没頭していた2015年のある日、病気の進行により歩けなくなり、研究所を退職することになった。帰国後入院し、半年後に大学に復帰したが、車椅子ではこれまで通りの実験を行うことができなかった。
試行錯誤のなか、大学の理工系分野では障害のある学生が周囲に見当たらないと気づき、障害を理由に研究を諦めることが多いと知った。
自分の困りごとが社会の課題であると実感し、誰もが利用できる研究環境をつくることを目的とした研究を開始した。
さまざまな出来事があったなかで、もう一度研究をやってみようと思えたのは、いくつかの国では障害のある研究者を歓迎する文化や制度があると知ったからだった。
米国では競争相手の旧ソ連が人工衛星の打ち上げに成功した1957年の「スプートニク・ショック」の直後から、科学技術を強化する必要性への認識が高まった。
将来的にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の職が増えるとの予測のもと、その人材が不足しているという課題意識が高まった。これまでSTEM分野への参加が少ない人材プールとして、女性、人種・民族的なマイノリティー、障害のある人などを対象とした支援が90年代から始まった。
STEM分野におけるマイノリティー支援の法的根拠として、80年の科学技術機会均等法がある。同法によって支援の重要性が成文化され、国家の優先課題となった。
50年に設立された国立科学財団(NSF)は、科学分野の予算を提供する政府機関であり、STEMの由来になる言葉を提案したことでもよく知られている。
STEM分野への多様な人材の参加について、NSFは公平性や機会均等のためだけでなく科学にイノベーションをもたらす手段と位置づけ、「マイノリティーの参加拡大」という戦略を採用している。
参加割合は米国の人口構成比を目安としている。2023年度のNSF予算請求総額のうちの14%(およそ15億ドル)が関連のプログラムに充てられている。
このなかには障害のある学生を集めて、集中的に研究経験を積んでもらうアライアンスプログラムなどがある。マイノリティーがプログラムを経験することによってSTEM分野を選択する割合が高くなるというエビデンスに基づいている。
研究を行う際の課題を解決するためには、合理的配慮という手段が用いられる。本来全ての人に適用される考え方であるが、例えば障害のある人が、そうでない人と同じように社会参加するための対応を行うことを指す。
米国では法律に基づき、全ての研究教育機関でこの考え方が取り入れられており、実験室で用いる支援機器の活用や、ろう・難聴の人が学会に参加する際の手話通訳者の配置などに反映されている。多くの研究機関では研究における合理的配慮のための追加予算制度が整備されている。
米国で障害のある大学の学部生の割合は、STEM分野だけでも近年は1割程度を占める。19年のNSFの報告書によると、科学・工学分野における年約4万人の博士号取得者のうち、視覚・聴覚障害者は計約1800人、下肢・上肢障害者は約470人だ。科学研究への参加拡大は格段に進んでいるといえる。
現在、米国では多様性を重視する政策から能力主義に移行するという大統領令によって、マイノリティー支援の取り組みに対する緊張感が高まっている。
しかしNSFの参加拡大戦略は、公平な機会を提供することでマイノリティーから有能な人材を獲得することを目指すものであり、実際には能力主義にかなうものであるといえる。
例えば合理的配慮によってバリアーを取り除くことで、障害の有無にかかわらずあらゆる人が科学に貢献することができる。
日本では障害のある人が科学研究に取り組むイメージが薄い。大学を含め教育機関は多様な人の参加を十分想定しておらず、実験室には多くの障壁が存在している。将来的にインクルーシブ教育を実現するのであれば、例えば学校の理科室もバリアフリーが望ましいはずである。
筆者は現在、理化学機器メーカーやデザイン事務所と協力し、障害のある人が使える実験室の環境や什器(じゅうき)などの研究をしている。
流し台は車椅子利用者らが近づきやすいように下部に広い空間を設けた。前腕に体重をかけて使うことが多く、天板を滑らかに加工している。
薬品に暴露した場合に使う緊急用シャワーは、止水のために床に設置する防水パンを金属製から軟らかい素材に変更し、車椅子でもスムーズに乗り入れられるようにした。
実験テーブルは通常は四角が多いが、円形の製品を開発している。着席している全ての人が視野に入るため、手話など視覚言語によるコミュニケーションが取りやすい。
実験室環境のデザインを評価・検証するためのバーチャルリアリティー環境も製作している。研究者や学生、支援者らが実験室を疑似体験でき、車椅子などでも使いやすいかどうかを確認できる。
現状、大学の理工系分野で学ぶ障害のある学生数は少ない。普通校に通う障害のある高校生の話を聞くと、自分自身で実験をすることはなく、同級生の見学をすることが多いという。
NSFの取り組みにならって、開発中の什器などをそろえている筆者の実験室に障害のある中学生・高校生を招待し、科学実習を行っている。関心のある人や組織を集めて、科学への参加を支援する仕組みをつくっていきたい。
【図・写真】バリアフリーに配慮した東京大の実験室に障害のある中高生を招き、科学実習を実施した(2024年8月)
実験室のバリアフリー化 少数者の参加、科学に革新――次世代の担い手、柔軟発想で育め[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 23ページ 260文字 PDF有 書誌情報]
日本では2016年に障害者差別解消法が施行され、負担が重すぎない範囲で障壁を取り除く「合理的配慮」が行政機関に義務付けられた。
実際には大学や学校の実験室にはまだ多くの障壁がある。人口減少は止まらず、大学入学者数が50年に現状から3割減ると見込まれるなか、次世代を担う才能を科学に呼び込む取り組みが急務だ。
科学をするなら必ず自分の手で実験をすべきだ、といった固定観念も無くすべきだろう。必要なら人の手やテクノロジーの力を借りられる環境を整えることで、イノベーションを起こす人材が増えるのではないだろうか。
(佐野敦子)
塾を無断欠席 追い詰めずハッキリ注意(受験考)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 23ページ 762文字 PDF有 書誌情報]
「うちの子、来ていませんか?」。中学3年のマサヤ(仮名)の母が塾に飛び込んできた。素足にサンダルを履いている。髪がぬれており雨の中、慌てて来たことが一目でわかった。
ことの発端は1月。成績会議で1カ月近く欠席していると名前が挙がったのがマサヤだった。受験学年の3年生になれば通塾日も増えるので意思を確かめる必要がある。
母親と電話で話した。「このまま通われますか?」。「はい」とあっさりした返事。「息子さんの出席率ですが……」と話し始めると様子が変わった。
マサヤのスマートフォンに入れたアプリで居場所は常にわかる。毎回、位置情報が塾と同じだったため安心していたという。
こちらは実際の出欠を確認している。教室はビルの中にあるので別の階で時間を潰していたのかもしれない。母親は初めて息子の無断欠席に気づいた。後日、塾を続けるとの連絡があったが、不安が残った。
そして3月。塾の新学期早々、マサヤの姿がない。欠席連絡もないので電話したところ、母親が駆け込んで来た。スマホにかけてもつながらないという。「周りを見てきます」と申し訳なさそうに出て行った。
入れ違いに「遅れました」とマサヤが来た。皆の心配をよそにケロッとしている。席に着こうとするマサヤを制した。「お母さんが君を心配して雨の中、来られた。授業より前に電話をしてほしい」
最近、マサヤのような個別の対応が増えて一様にいかなくなってきた。合格を目指すなら集中して勉強する必要があるが無理がきかない。迫りすぎても気持ちは離れる。追い詰めず、生徒の意思も尊重しつつ、注意すべきところはハッキリ伝えないといけない。
マサヤはその後の春期講習を通いきった。だが、受験までの道のりは長い。求められるのは勉強を教えるスキルだけでなく、彼らとの絶妙な距離感なのかもしれない。
(竜)
目標へまっすぐ(中)(アイデア工房)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 23ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
「ご安全に!」。関東学院中学・高校の技術室に部活が始まる威勢の良い掛け声がそろう。部員40人がチームに分かれて、溶接の作業をしたり、車両の設計図にペンを走らせたりする。
中学3年生チームはフレームにブレーキを取り付ける作業を始めた。「そっちは合っている?」。原義智さん=写真(左)=と竹田和峰さん=同(中)=は車体を下からのぞき込み、慎重にボルトの位置を確かめながら息を合わせる。
昨年秋の大会はトラブル続きだった。スタート地点に向かう10分前にマフラーが外れ、走行中にはブレーキが壊れた。約半数がリタイアするなか、何とか完走はした。「記録を残せたことはうれしい」と前田東磨さん=同(右)=は初めてつくった車両での走破を誇る。
チームはささいなミスを見逃さないよう、互いに声を掛け合い作業する。昨年の失敗をバネに今年は上位を狙う。
(横浜市)
(ゴルフ)マキロイ首位浮上 マスターズ――追うデシャンボー、奮闘 声援力にバーディー攻勢[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 729文字 PDF有 書誌情報]
イーグル2発のド派手な快進撃で単独首位に駆け上がり、生涯グランドスラム達成へ「王手」をかけたマキロイの66の熱狂がさめやらぬ中、それをかき消すほどの大歓声が沸き起こった。最終18番ホール、グリーンエッジからの15メートルをパターで流し込んだのはデシャンボーだった。
「ロリーが先を行っているのはわかっていた。15番以降は、あす最終組に入るにはどうすればいいかを考えていた」。上がり4ホールで3バーディーを奪い、日曜の最終組の椅子をしっかりとゲット。マキロイとデシャンボー、2人の千両役者が激突する。
デシャンボーの行くところ、ファンの掛け声が絶えない。そのほぼ全てに手を上げて応じる。ギャラリーとの距離感、向き合い方に悩んだ時期もあったが、自身のゴルフ愛をユーチューブで発信することで数多くのファンを獲得。声援を力に変えるすべを覚えた。LIVゴルフ所属ながら昨年の全米オープン優勝で人気も爆発した。
16番パー3で1メートルのバーディーパットを決めた後、パトロンに向かって見えを切った。「顔を上げて言ったんだ。『僕はまだここにいる。引き下がるつもりはない』とね。パトロンを盛り上げるためだ。彼らと少し楽しむと集中力が増してエネルギーが戻ってくる」
この日のティーショット平均飛距離は327.5ヤードでマキロイ(340ヤード)にトップの座を譲った。「あすはアクセルを緩めることはできない。2人とも本当に、本当に勝ちたい大舞台だ」。決戦前夜はジェームズ・ボンドの映画を見るという。ただこの人、今大会開幕後も夜中にコースの練習場を訪れたという噂があるから驚きだ。
(串田孝義)
【図・写真】18番ホールでバーディーを決めてパトロンにアピールするデシャンボー=ロイター
(ゴルフ)生源寺ツアー初V 国内男子――同世代で遅咲き「やっと勝てた」[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 588文字 PDF有 書誌情報]
日曜日は大雨予報。大方の選手が中止を想定、3日目はしゃにむにスコアを伸ばすことを考えプレーした。生源寺もそう。思うように決まらないパットにやきもきしながら15番から3連続バーディー奪取、5打伸ばして優位に立った。
この日はスタート時間が4度延び、午前11時前に中止が決定。待望の初優勝を手にした生源寺は「プレーしていないので実感はない」と言いつつ、喜びをにじませた。
162センチと小柄だが、切れ味鋭いショット力には定評がある。アジアツアーも転戦した昨季は、平均飛距離とフェアウエーキープ率を換算したトータルドライビング、パーオン率はともに日本ツアー2位。今大会もパーオン率2位でバーディーを量産した。
岡山・作陽高では渋野日向子と同学年の26歳。同い年には金谷拓実ら才人ぞろいで「同世代に早く追いつきたい」と精進、「やっと勝てた」と思いを語る。
世に出るのがちょっと遅れたとはいえ、2023年の下部ツアーで2勝し賞金王に。昨年大会では金谷に敗れ2位にとどまったが、ランク29位で初の賞金シードを獲得した。
「自分が取り組んでいることの答え合わせを早くしたかった。優勝で、進んでいる方向が正しいと自信をもっていける」。足がかりをつかみ、いずれは「PGAツアーに挑戦したい」と意を強くした。
(吉良幸雄)
【図・写真】通算17アンダーでツアー初優勝を挙げ、トロフィーを掲げる生源寺
階級変更の藤波、連勝記録伸ばす レスリング女子[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 505文字 PDF有 書誌情報]
レスリング女子のジュニア・クイーンズカップ最終日は13日、東京武道館で行われ、U23(23歳以下)の部は57キロ級でパリ五輪53キロ級金メダルの藤波朱理(日体大)が優勝し、中学時代から続く連勝を141に伸ばした。62キロ級はパリ五輪女王の元木咲良(育英大助手)が制した。
階級変更後初の実戦でも藤波の強さは健在だった。決勝は開始早々に片足タックルから先制するなど多彩な攻撃で得点。最後はアンクルホールドでとどめを刺し、3分足らずでテクニカルスペリオリティー勝ちを収めた。「4キロの差は感じられた。53キロ級の時に比べて腕の張りがある」と言いつつ、筋力強化の成果もあって力負けすることはなかった。
減量の負担が軽くなり、「技術面(の練習)に集中できる」と藤波。長身の相手が増え、武器の片足タックルにもさらに入りやすくなった感がある。一方、パリ五輪後はタックル以外の攻撃の幅を広げることを目標としてきただけに、「(腕を)差してからのアタックはうまくいかなかった」と課題も得た。次戦は6月の全日本選抜選手権。「次の勝負は始まっている。過去の自分を超えていきたい」と、3年後のロサンゼルス五輪を見据えた。
(木村祐太)
(バスケWリーグ)富士通快勝 2勝2敗――背水の戦い 堅守で圧倒[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 426文字 PDF有 書誌情報]
後がない富士通が運動量と強度で圧倒し、最終戦に持ち込んだ。前日24得点を許したデンソー・高田に宮沢が体を張り、ガード陣も素早く寄って挟み込む。守備のズレを修正するローテーションも巧みで、「しっかりチームで守れた」と宮沢。ミスを誘って速攻を次々と繰り出した。
後半20分間でわずか12失点。テーブス監督は「スコアを見て選手たちのガッツ、必死さに感動した」と手放しでたたえる。攻撃では強みの3点シュートが成功率20%と前日に続いて不発だったが、控え選手も含めて全員がリングへのアタックを徹底して得点を重ねた。
3戦先勝方式は2017年以来。フリースローを含めたシュート成功率が互いに低調だったのは、手の内を出し合い、疲労が蓄積していることと無関係ではないだろう。「ターンオーバーとリバウンドが鍵」。百戦錬磨の宮沢は消耗戦を勝ち抜く決意をにじませ、テーブス監督は「(大事なのは)コンディション。しっかり食べて、しっかり寝ること」と決戦を見据えた。
(鱸正人)
(ゴルフ)マキロイ首位浮上 マスターズ[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 325文字 PDF有 書誌情報]
【オーガスタ(米ジョージア州)=串田孝義】ゴルフのメジャー、マスターズ・トーナメントは12日、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGC(7555ヤード、パー72)で第3ラウンドが行われ、松山英樹は79をたたいて通算4オーバー、48位に後退した。
3位から出たロリー・マキロイ(英国)が2イーグル、4バーディー、2ボギーと連日の66で通算12アンダーとし、単独首位に躍り出た。2打差の2位に昨年の全米オープン覇者、ブライソン・デシャンボー(米国)、4打差の3位にコーリー・コナーズ(カナダ)。初日から首位を走ったジャスティン・ローズ(英国)は75で同5アンダーに落とし、6位。
今大会の優勝賞金は大会史上最高の420万ドル(約6億円)と発表された。
国別対抗女子テニス、日本が決勝大会進出――エース内島白星、チームに勢い[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 324文字 PDF有 書誌情報]
2時間45分の激闘の末に最初の試合を落とし、日本チームに漂いかけていた嫌な空気をエースの内島が一掃した。力強いフォアハンドを軸に序盤からラリーの主導権を握り、第1セット第5ゲームでブレーク。第2セットも流れを渡さず、「最初から最後まで自分らしくプレーできた」とうなずいた。
1年前の世界ランキングはトップ100圏外だったが、現在は日本勢最上位となる51位。長年の課題だった精神面のもろさを克服して得た自信が、今大会でも好パフォーマンスにつながったという。
「以前は団体戦の独特の雰囲気に対応できていなかったが、きょうは伸び伸びできた。また9月(の決勝大会)に呼んでいただけたら、もうちょっと成長した姿を見せたい」。23歳は穏やかな笑みを浮かべた。
BR東京5勝、トヨタを下す ラグビーリーグワン――東京ベイ2位に 鉄壁突破許さず[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 281文字 PDF有 書誌情報]
東京ベイは堅守で東京SGの攻撃を封じて快勝、2位に浮上した。雨天で冷え込み、互いにボールが手につかない場面が目立つ中、「攻撃ラグビーをすることは難しかった」とルディケ・ヘッドコーチ。球を保持したFW戦で相手の突破を許さなかった。
「ボール争奪戦でのプレッシャーがすごく、受けてしまった」とは東京SGの堀越主将。強力なスクラムで相手の反則を度々誘うと、後半38分にはモールをそのまま押し込んでダメ押しトライを挙げ、ペースを握り続けた。
ナンバー8のマキシ主将は「一人一人の役割を明確にした防御に力を入れてきた。強みをうまく出せて、自信になる」と手応え十分だった。
(ゴルフ)生源寺ツアー初V 国内男子[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 254文字 PDF有 書誌情報]
東建ホームメイトカップ(13日・三重県東建多度CC名古屋=7069ヤード、パー71)
降雨によるコースコンディション不良のため、最終ラウンドは中止となった。競技は54ホールに短縮され、第3ラウンドを通算17アンダー、196で終えたプロ6年目の生源寺龍憲(しょうげんじ・たつのり)が今季開幕戦を制し、ツアー初優勝を飾った。賞金ランク加算の優勝賞金は75%の1950万円。
3打差の2位は米沢蓮。出利葉太一郎と片岡尚之、池村寛世、吉田泰基の4人が12アンダーの3位に入った。石川遼、航兄弟は7アンダーの20位。
(ゴルフ)安田2勝目、混戦制す 女子国内ツアー――ルーキー中村、初V目前で逃す[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 250文字 PDF有 書誌情報]
19歳のルーキー中村心が初優勝を目前で逃した。後続に1打差の単独首位で迎えた18番、約2メートルのパーパットがカップに蹴られる痛恨の3パットボギー。
逃げ切りに失敗し、3人によるプレーオフ1ホール目でも1メートル弱のパーパットを外して脱落した。
リーダーボードをあえて見ずに安定したプレーを続けていたが、心にさざ波が立ったのが18番のパーパット直前。キャディーから「『外れてもプレーオフだから』と聞いて、初めて首位と知った。最後は思っていた以上に緊張して、よく分からなかった」と涙が止まらなかった。
(ゴルフ)マキロイ首位浮上 マスターズ――松山48位に後退、ボギー先行焦り[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 225文字 PDF有 書誌情報]
松山は2番パー5で2メートル半の絶好機を決められず、4番、6番のパー3でともに3パットボギー。スコアを取り戻そうと無理を重ねるうちにボギーが出る悪循環にはまり、スコアを大きく伸ばしたいムービングデーに79の大たたきとなった。
13番パー5もグリーンを狙った第2打がグリーン手前を流れるクリークへ。「バーディーを一つでも多く取って流れを変えたかった」という焦りが裏目に出た。
この日は結局バーディーなし。日曜は最下位一歩手前の48位から上位をめざす。
(ゴルフ)安田2勝目、混戦制す 女子国内ツアー(バックスピン)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 901文字 PDF有 書誌情報]
富士フイルム・スタジオアリス女子オープン(13日・埼玉県石坂GC=6585ヤード、パー72)
安田祐香が2バーディー、1ボギーの71で回り、通算9アンダーの207で並んだ河本結、ルーキー中村心とのプレーオフを制して昨年9月以来のツアー2勝目を手にした。優勝賞金は1800万円。
プレーオフでは中村が1ホール目にボギーで脱落。河本がボギーをたたいた4ホール目に安田がパーをキープした。1打差の4位に岩井千怜、蛭田みな美、前日首位の入谷響が並んだ。前年優勝の阿部未悠、前週優勝の穴井詩は42位だった。
◇
荒天何のパットねじ込む
土砂降りの中、プレーオフ4ホール目までもつれた混戦を制した安田は「雨は好きではないけれど、どちらかといえば好きかもしれない」と微笑を浮かべた。昨年9月、雨の中でのツアー初優勝は27ホールの短縮競技。58ホールを戦い抜いての戴冠に「今回は勝ち取った感じ」と充実感が漂う。
最終日は2バーディーにとどまったが「皆が嫌がる悪条件の中、耐えるゴルフでパーを拾おうと。それをやり遂げられたのがうれしい」と胸を張る。9番では1打目を林に入れながら3打目を3メートルにつけてパーセーブ。10番でも5メートル前後のパーパットをねじ込んだ。難関16番パー3ではOBを覚悟したティーショットが木に当たってバンカーに落ちるツキにも恵まれ、サンドセーブでしのいだ。
18番が舞台となったプレーオフでは2ホール目でフェアウエーバンカーからの2打目をグリーン右に外してボギーをたたくも、河本の3パットで命拾い。迎えた4ホール目、再びバンカーからの2打目を1ピンにつけてパーをキープし、相手のボギーで決着がついた。アゴが近いタフな状況でのスーパーショットを「球を捕まえる意識で。その前のミスのリベンジができた」と振り返る。
「以前は優勝争いをするとネガティブになりがちだったが、今はミスを恐れず、強い気持ちで戦い切ろうと思えるようになった。シーズン複数回優勝を目指したい」。アマ時代から注目された24歳が一皮むけようとしている。
(吉野浩一郎)
【図・写真】最終日、ティーショットを放つ安田。通算9アンダーで優勝
飯塚が200メートル優勝 陸上出雲大会(短信)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
陸上の出雲大会最終日は13日、島根県立浜山公園陸上競技場で行われ、男子200メートル決勝は飯塚翔太(ミズノ)が21秒59で優勝した。鵜沢飛羽(JAL)、水久保漱至(宮崎スポーツ協会)は棄権した。
国別対抗女子テニス、日本が決勝大会進出[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 284文字 PDF有 書誌情報]
女子テニスの国別対抗戦ビリー・ジーン・キング杯決勝大会(9月・中国)の予選最終日が13日、東京・有明コロシアムで行われ、日本はカナダを2勝1敗で破り、2戦全勝で決勝大会に進んだ。
シングルス第1試合で柴原瑛菜(橋本総業)がビクトリア・エムボコに4―6、7―6、5―7で敗れたが、第2試合で内島萌夏(安藤証券)がマリーナ・スタキュジッチに6―3、6―3の快勝でタイに戻した。ダブルスの柴原、青山修子(フリー)組はレベッカ・マリーノ、ケーラ・クロス組に6―3、5―7、6―2で競り勝った。
予選は3チームずつが6組に分かれ、各組トップが8チームによる決勝大会に進出する。
(バスケWリーグ)富士通快勝 2勝2敗 デンソーときょう最終戦[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 249文字 PDF有 書誌情報]
バスケットボール女子の京王電鉄Wリーグ・プレーオフは13日、東京・調布市武蔵野の森総合スポーツプラザで3戦先勝方式の決勝第4戦が行われ、レギュラーシーズン(RS)1位で2連覇を狙う富士通が、RS2位で初優勝を目指すデンソーに64―35で快勝し、2勝2敗とした。最終戦は14日に行われる。
富士通は堅守が光り、前半で27―23とリード。両チーム最多14点を挙げた赤木らの活躍で後半に差を広げた。デンソーは主軸の高田が封じられた。
【図・写真】第1クオーター、富士通の選手に囲まれるデンソー・高田(中)
BR東京5勝、トヨタを下す ラグビーリーグワン[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 28ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
ラグビーのNTTリーグワン1部第15節最終日は13日、大阪・花園ラグビー場などで2試合が行われ、既にプレーオフ進出を決めている東京ベイが東京SGを30―10で下し、12勝目(1分け2敗)を挙げた。前半に2トライを奪って18―0で折り返し、後半に2トライを加えた。東京SGは6勝2分け7敗。
BR東京はトヨタに37―7で快勝し、5勝10敗。トヨタは3勝1分け11敗。
(競馬)エンブロイダリーV 桜花賞――慌てぬ名騎手、末脚引き出す 陣営の調整も奏功[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 504文字 PDF有 書誌情報]
世界的名手の腕と、陣営の作戦がかみ合った完勝だった。短期免許で来日中のモレイラを背に桜花賞に臨んだエンブロイダリーは、花を散らす雨の中を切り裂くように末脚を伸ばし、ゴールまで残り200メートル付近で先頭へ。追い上げる2歳女王のアルマヴェローチェなど、強力なライバルを抑えて1冠目を奪取した。
中位からレースを進めたが「スタートが速くなく、想像より後ろになった」とモレイラ。ただ、ここで慌てずにレースを運べるのが名手の真骨頂だ。道中は馬群の中でじっと我慢。やや重で馬場の内側が荒れ気味だった最後の直線も、馬群の間を縫うように徐々に馬場の外側へと誘導していった。雨馬場をこなせるかは「わからなかった」というが、自身の見事なエスコートもあり、鋭い末脚を引き出した。
関東の美浦に所属するエンブロイダリーを、阪神競馬場に近い栗東へ早めに移動させて調整した陣営の策も功を奏した。阪神への直前の輸送は「負担が大きい」との森一誠調教師の判断。わずか開業2年目でのクラシック制覇につなげた。
「これから成長するタイプ。まだまだ楽しみ」。モレイラは同馬の前途の明るさを示すような笑顔で、将来性に太鼓判を押した。
(関根慶太郎)
(競馬)エンブロイダリーV 桜花賞[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 298文字 PDF有 書誌情報]
競馬の第85回桜花賞(GⅠ・芝1600メートル)は13日、阪神競馬場で3歳牝馬18頭が出走して行われ、3番人気のエンブロイダリー(ジョアン・モレイラ騎手)が1分33秒1で優勝。首差の2着にアルマヴェローチェが入り、1番人気のエリカエクスプレスは5着。
エンブロイダリーは父アドマイヤマーズ、母ロッテンマイヤー、母の父クロフネ。美浦・森一誠厩舎。生産者は北海道安平町、ノーザンファーム。馬主はシルクレーシング。6戦4勝。獲得賞金2億2455万1000円。モレイラ騎手は桜花賞連覇。森一誠調教師はGⅠ初勝利。
【図・写真】第85回桜花賞でゴールする1着のエンブロイダリー(左)と2着アルマヴェローチェ
パラ競泳4種目、派遣基準を突破 デフリンピックへ[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
デフリンピック東京大会の競泳リレー種目選考会を兼ねたパラ競泳の春季チャレンジレースが13日、静岡県富士水泳場で行われ、男子400メートルメドレーリレーなど4種目で派遣基準を突破した。
個人が100メートルの各種目で出したタイムの合計が、リレー各種目の派遣基準を切れば選考対象となる方式で実施。前回ブラジル大会で金メダル4つを獲得した茨隆太郎(SMBC日興証券)らベテラン選手3人がそれぞれ得意のバタフライ、平泳ぎ、背泳ぎで好タイムを記録した。
その結果、個人種目では出場が厳しい自由形の全選手が、メドレーリレーでは選考対象となるタイム内に収まった。
西武セデーニョ、待望の一発 新助っ人が本領発揮し大勝(プロ野球)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 669文字 PDF有 書誌情報]
西武の新助っ人に今季1号が生まれたのは3―1で迎えた五回。無死一塁の場面で「4番・指名打者」のセデーニョは福谷の甘く入ったスライダーを見逃さなかった。左翼席へ一直線に伸びる豪快な一打に「やっと打つことができた」。リードを広げる2ランで主軸の務めを果たし、体いっぱいに喜びを表した。
昨季は古巣オリックスで15発を放ち、期待の長距離砲として加入しながら、試合前の打率は2割を下回り本塁打はゼロ。開幕前から打球の角度が上がらず、41歳の中村剛に先発出場を譲る試合もあったが、ようやくアーチが飛び出した。
打撃の修正をコーチと図ってきたというセデーニョは「いずれ(一発は)出るだろうと思っていた。焦りはなかった」。前日はクリーンアップを外され、6番を打ったが「どんな打順でもチームに貢献できれば」と腐ることはなかった。
打率4割台と好調の新人、渡部聖を負傷で欠く中、序盤から存在感を放った。一回2死から三遊間を抜いた先制打は、源田の二盗の直後。第3打席の2ランは、敵失で味方が出塁した後に生まれた。接戦の展開から抜け出すために、一気にチームに流れを引き寄せたい局面だった。
4番が勢いをもたらした打線は14安打7得点の猛攻。同じく新加入のネビンも3安打1打点と活躍し、貧打に泣いてきた西口監督は「久しぶりに打線がつながった」と喜んだ。
昨季在籍した外国人のアギラーとコルデロはわずか計3発に終わった。リーグ91敗からのチーム再建には助っ人のさらなる活躍が欠かせない。
(佐藤淳一郎)
【図・写真】五回西武無死一塁、セデーニョが左越えに2ランを放つ
オリ10勝、一番乗り エース宮城が力投(プロ野球)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 371文字 PDF有 書誌情報]
好調オリックスに両リーグ最速となる10勝目をもたらしたのはエースの宮城だ。仙台の冷たい霧雨がユニホームをぬらす中、自己最多となる132球を投げて8回1失点。「点を取ってもらって、いいリズムで投げられた」と力投を誇った。
中8日と余裕を持って臨んだ先発マウンド。抜群の制球力でゴロの山を築く。プレートの左端に立ち、スリークオーター気味に左腕を振ることで角度を付け、右打者の内角をえぐった。気温10度を下回る寒さの中、好調を維持する打線が一回に3点を挙げ、三回にも2点追加。追い風を受けた宮城は落ち着き払い、七回までは三塁を踏ませない快投だった。
チームは開幕から敵地で負けなしの8連勝。貯金を7に伸ばした岸田監督は「(宮城は)エースらしく、肝心なところで丁寧に投げた。全員が集中している」とたたえた。
【図・写真】8回1失点で2勝目を挙げた宮城
広島、小園が殊勲3安打 今季初の4連勝(プロ野球)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 240文字 PDF有 書誌情報]
小園が先制打を含む3安打と打線を引っ張り、広島は今季初の4連勝。「(相手投手に)何とか対応できて良かった」と控えめに喜びを表した。
まずは一回1死三塁で、「体が反応した」と初球を右前にはじき返して先制点をもたらす。1―1の五回2死二塁では中前打。この打球を巨人のヘルナンデスが後逸すると、二塁走者に続いて一気に生還。4―3の七回は二塁打を放ち、末包の適時二塁打で本塁を踏んだ。
打率4割1分8厘はリーグトップ。今季は開幕から3番打者として出場を続け、24歳で主力の自覚は十分だ。
佐々木が初黒星、5回1失点 大リーグ 粘りの自己最多81球[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 667文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米大リーグは12日、各地で行われ、ドジャースの佐々木はロサンゼルスでのカブス戦に先発し、5回を投げ4安打1失点で、初黒星(0勝)を喫した。
「1番・指名打者」で出た大谷は3打数1安打、1盗塁。大差がついた八回に退いた。
カブスの鈴木は「3番・指名打者」で出場し、2打数無安打。右手首痛のため五回に代打を送られた。試合はカブスが16―0で大勝した。
◇
ドジャースの佐々木は初黒星を喫したものの、メジャー4試合目で初めて5回を投げ切った。球数も最多の81球に増え「ここが最低限になるように頑張らないと」と表情を引き締めた。
4番・ブッシュに外角球をおっつけられ、二回に先制ソロを許した。三回2死満塁で再びブッシュ。約155キロの外角直球をはじき返されたが、中堅手パヘスがフェンスにぶつかりながらスーパーキャッチ。捕球を見届けると安心したように、ゆっくりグラブをたたいて喜んだ。佐々木は「あのプレーがなかったら大量失点になっていたと思う。本当に助かった」と感謝した。
五回も1死一、二塁のピンチを招いたが、スライダーを交えるなどして後続を断ち「そこまで崩れなくて良かった」と息をついた。
救援陣が打ち込まれて大敗した中、長いシーズンを見据えれば23歳で先発陣の一角を担う佐々木が粘りの投球を発揮したのは収穫。ロバーツ監督は「明るい兆し。本人にも伝えたが、これでもっと前に進めていける」と期待を高めた。
(ロサンゼルス=共同)
【図・写真】カブス戦に先発したドジャース・佐々木。5回を投げ4安打1失点で初黒星を喫した=共同
浦和速攻、町田に完勝 Jリーグ GK起点、ゴールへ一気[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 654文字 PDF有 書誌情報]
浦和が町田を2―0で破り、今季アウェー初白星で勝ち点13とした。前半にホイブラーテンと松尾が得点した。町田は7試合ぶりの黒星で同17のまま。
ともに今季初の連勝を狙った横浜FCと新潟は0―0で引き分けた。
横浜FCは勝ち点11、新潟は同8となった。
◇
雨の国立。しのつく雨は芝の滑りをよくし、両チームの選手たちをつるりつるりと転倒させる一方で、ボールは気持ちよく走らせた。38分にFW松尾が決めた浦和の2点目には「雨のピッチ」という舞台が脇役として絡んでいる。
起点となるGK西川のゴールキックが、大胆かつ絶妙だった。その左足から生まれた低軌道の高速パスが、ピッチ中央付近で軽くバウンドする。受け手のMF渡辺が洒脱(しゃだつ)なワンタッチで〝ずらし〟を入れたとき、松尾はもうゴールに向かって走り出していた。
俊足を飛ばした松尾はそのままゴールへ一直線、DFのスライディングが届く寸前で左足を振り抜き、高速カウンターを完結させた。
ぬけぬけと、センターの花道にパスを通した西川の回想。「凌磨(渡辺)のところがちょこちょこ開くのが見えていた。その前に蹴ったボールが長すぎたので、低い弾道で攻めることを決断して。ミスから学んだシーンです」
前節、暫定首位に立った町田の向こうずねも、ボールと一緒に蹴飛ばした格好だ。フィールドプレーヤー顔負けのキックの名手として知られるが、このときの西川は湖面に石を投じて跳ねさせる「水切り」の名人のようだった。
(阿刀田寛)
【図・写真】前半、チーム2点目のゴールを決める浦和・松尾
男子の大阪B、RS優勝飾る バレーSVリーグ[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 29ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
バレーボールの大同生命SVリーグは13日、大阪府のパナソニックアリーナなどでレギュラーシーズン(RS)最終戦が行われ、男子の大阪Bが東レ静岡を3―2で下して優勝を飾った。サントリーは3―0でVC長野を下し、2位となった。
女子でRSを制した大阪Mは、東レ滋賀にストレート勝ちした。プレーオフは男子6チーム、女子8チームで争い、ともに18日から始まる。
能登豪雨、降水38%増も 近海の異常高温が影響 九大分析[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 30ページ 693文字 PDF有 書誌情報]
九州大学の川野哲也助教らの研究グループは、2024年9月に能登半島で発生した記録的豪雨について、周辺の海が異常に高温だったために降水量が最大で38%多くなった可能性があることを突き止めた。同じ時期に500キロメートル以上西側を進行していた台風も関与していた。海面の温度の変化や温暖化が洪水被害に与える影響の大きさが浮き彫りになった。
奥能登豪雨が発生した24年9月21日は、近海の水温が異常に高くなる「海洋熱波」が発生し、平年より4.5度以上高くなっていた。
研究グループは輪島市で観測史上最多の1時間に121ミリメートルの降水量を記録した雨に対する、海洋熱波の影響を調べた。コンピューターのシミュレーション(模擬実験)で、奥能登豪雨の発生時と海面の温度が平年並みだった場合の気象を再現し、降水量を比べた。
その結果、中国と朝鮮半島の間にある黄海から新潟県沖にかけて海面温度が高くなっていたことで、降水量が最大で38%多くなったと分かった。被害が出た地域全体を平均しても、27%多かった。特に能登半島の西側で海面温度が上昇したことが影響し、海面に近い大気で水蒸気の量が増えたことが原因だと分かった。
台風の影響も調べた。進路の東側では南から暖かく湿った空気が流れ込み、台風の中心から500キロメートル以上離れた場所で間接的に豪雨をもたらす「遠隔降雨」が発生することがある。川野助教は「遠くの台風の影響による水蒸気の供給を海洋熱波が増幅し、降水量を増やした」と指摘する。
海面温度が災害に与える影響を明らかにすれば、将来の気候や被害予測に役立つ。成果は日本気象学会の学術誌に掲載された。
すしの握り手、全員副業 板場に新風、人の輪広げる(Answers)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 30ページ 1649文字 PDF有 書誌情報]
「飯炊き3年、握り8年」。すし職人の修業の厳しさを表す言葉だ。気軽に挑戦するには向いていない仕事とみられてきたが――。
「細巻きは端の方にもご飯を敷いて」「握りは皮目をお客さんに向けると、種類がわかりやすい」
静岡県下田市のすし店「寿しらぼ三〇二(みまつ)」のカウンターの内で、熱心に指導するのはすし職人の植松隆二さん(33)だ。
うなずきながら聞いている小西章吾さん(45)は、弟子ではない。本業はサッポロビールでマーケティングを担当する会社員。副業として同店で働いている。
板場に立ち、カウンター越しに客と会話しながら手際よくすしを握る様は、プロそのものだ。外食店向けの営業畑を歩んできた小西さんは「すしをきっかけに、普段は出会わないような人と知り合えるのが魅力」と笑顔を見せる。
指導役の植松さんは同市で創業80年を超える老舗すし店「美松」の4代目。小西さん含めて店に立つ8人はみな〝副業職人〟。本業は会社員やカメラマンなど様々だ。
植松さんが異色の店を始めた背景には、働き手の確保の難しさがあった。
地元の高校を卒業後、修業のため上京。東京都内の店やホテルで10年以上経験を積み、21年に下田に戻り実家を継ぐことを考えたときに、家族で板場に立つ現状のままでは、ほぼ休みが取れないことに気づいた。
新たに職人を雇うことも考えたが、人件費がネックになった。加えて「職人を目指そうとする人は、名が知れている店に行きたい人が多い。なかなか田舎には来てくれない」ことも悩みの種だった。
さらに、下田のすし店への危機感があった。
30年ほど前は市内に18軒あったが、今では最盛期の3分の1まで減っている。
下田港はキンメダイの水揚げ日本一とされるうえ、幕末に米国のペリー提督が黒船で来航した場所としても知られる。訪れる観光客には、地魚を楽しみにしている人も多い。
「すしを食べられなければ、下田ではない」
握り手をどう確保するか、考えを巡らせると、パーティーなどに出張し、すしを握った経験が頭に浮かんだ。
希望する客に握り方を教えたところ、形が多少崩れていても、客が握ったものを友人たちが楽しそうに食べている様子を思い出した。
「腕前だけではなく、握る人と食べる人のつながりが大切だ」との思いに至ったとき、副業としてやりたい人を募るというアイデアにつながった。
副業職人のため、立ち食いの小さな店舗をオープン。未経験で、本業を別に抱えていても、職人として板場に立てるというユニークな取り組みは友人の輪を通じて広がった。
ただ、握ってもらう以上は、客に提供できるものにしなければならない。
シャリの用意やネタの仕込みなどは植松さんが担当し、副業の人は握りだけに特化する仕組みとした。多ければ1日300貫以上など練習を繰り返し、数日の練習で客の前に立てるようにした。
人手不足解消のためにスタートした取り組みだが、新たな店舗が職人同士や、地元とのつながりを生んでいることに気づいた。
土地が気に入って、下田に通うようになった人もいる。
「職人と客との間で生まれたつながりが、単に仕事をする場所にとどまらない魅力に結びついてほしい」と語る。
今後見据えるのは、地域の活性化だ。
植松さんは、板場に立つ副業職人たちのSNSを積極的に店のインスタグラムで紹介している。「一人ひとりにファンがつき、それが本業にもすしにも、つながっていけばいい」との狙いからだ。本業の知り合いなど、それまで下田に縁がなかった人にも訪れる理由にもなる。
高齢者や小さい子どもがいる家庭などに、副業職人が出張するプランも考えている。店に行きたくても行けない人に、握りたてのすしを味わってほしいとの思いからだ。
副業と職人という、一見相いれない2つを組み合わせたことで、見えた新たな可能性。「すしを通じて笑顔が見られる場所が増えれば」。挑戦はこれからも続く。
文 近藤彰俊
写真 川崎聡子
【図・写真】握り方を教えるすし職人の植松さん(右)
長崎ヘリ事故、異変→捜索に空白の1時間 運航会社の対応、疑問の声[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 30ページ 854文字 PDF有 書誌情報]
長崎県・壱岐島沖で3人が死亡した医療搬送用ヘリコプターの事故は13日で発生から1週間がたった。「異変」が始まってから捜索開始まで約1時間かかり「運航会社がすぐに通報すれば捜索が早くできた」との声も上がる。海上保安庁や運輸安全委員会は事故原因に加え、運航会社の対応に問題がなかったかも調べる。
「3人の尊い命を失う結果となった。深くおわび申し上げる」。運航会社、エス・ジー・シー佐賀航空の宮原幸徳統括航空事業本部長は7日の記者会見で頭を下げた。
患者搬送のため、福岡市の病院に向け6日午後1時半に長崎県・対馬空港を離陸したヘリは約15分後、システム上で航跡が止まる「異変」が起きた。予定の同2時15分になっても到着せず、第7管区海上保安本部(北九州)は同2時50分に捜索を開始。同5時5分、海に転覆したヘリを発見した。
国土交通省によると、到着予定時刻を過ぎても連絡がなく、運航監視機関が午後2時20分ごろ、佐賀航空に問い合わせたが「分からない」と回答された。数分後、同社から「レーダーから機影が消えたという情報がある」と通報があった。
佐賀航空によると、対馬からの洋上では低空で飛行し、電波が入りにくい。会見では「無線で呼びかけたが、陸地に近づいているはずなのに通じないため(対応に)動き出した」と説明した。
7管によると、同社とのやりとりは同3時半ごろに7管から連絡したのが最初という。
7管関係者は「覚知から海保に伝わるまでのラグ(遅れ)が短ければ現場に着くのも早かった」と話す。
元日航機長で航空評論家の小林宏之さんは、捜索まで時間を要したのは大きな課題だとし「危機管理の点では最悪の事態を想定し、消失直後に関係機関に通報するべきだった」と指摘する。
佐賀航空では昨年7月、福岡県柳川市でヘリが墜落し2人が死亡する事故が発生。乗員の再教育や機体の安全確認といった対策を徹底し、運航を再開していた。小林さんは「事故の再発防止に取り組んでいた中で、なぜ基本ができなかったか検証する必要がある」と強調した。
困窮世帯、中高進学「生活費削る」6割 借り入れ・ローンも3割超 民間調査[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 30ページ 543文字 PDF有 書誌情報]
公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は経済的に困窮していて今春中高に進学した子どもがいる世帯へのアンケート結果を公表した。制服やタブレット代といった卒業・入学の費用捻出方法について、約6割が「他の生活費を削る」とし、借り入れやローンも3割を超えた。
物価高が影響しているとみられ、進学費用が家計の大きな負担になっている実態が改めて浮き彫りになった。法人は「学用品の価格見直しやタブレット購入費の助成拡充、高校入学前の準備金創設が必要」としている。
アンケートは4回目。同法人に給付金を申請した保護者ら2135人に今年1月、複数回答で尋ねた。
「生活費を削る」としたのは中1が63.5%、高1が59.9%。「親族からの借り入れや消費者金融からのローン」は中1で32.9%、高1で39.7%だった。借入金額は「11万円以上」が最も多く、中1で27.2%、高1で58.3%となった。
卒業・入学準備の費用のうち、用意するのが難しいのは「制服代」が中1で81.2%、高1で77.2%となり、いずれも最多。「パソコン・タブレット代」は中1の21.1%に対し、高1は56.3%だった。中学は1人1台の端末が無償提供されている一方、高校は助成の有無が自治体や学校で異なるためとみられる。
中学教諭が体罰、生徒頭蓋骨折る 宮崎・日向[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 30ページ 233文字 PDF有 書誌情報]
宮崎県日向市教育委員会は12日、公立中の30代男性教諭の体罰により、生徒が頭蓋骨を折ったと発表した。緊急手術を受け、会話はできる状態という。県警が教諭から事情を聴いている。学校は11日に保護者会を開き、謝罪した。教諭は自宅待機となり「けがを負わせてしまい深く反省している」と話している。
市教委によると、9日午前8時40分ごろ、教諭が廊下にいた生徒に着席を促したところ応じず、廊下の柱に押しつけるような行為をしたところ、生徒が倒れ布巾掛けに頭をぶつけたとみられる。
広島・府中町の公園、男性が死亡 殺人で捜査[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 30ページ 139文字 PDF有 書誌情報]
12日午後10時半ごろ、広島県府中町の水分峡森林公園で男性が血を流して倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。直前に公園利用者が「助けて」という声を聞いたことなどから県警は13日、殺人事件と断定し、広島東署に捜査本部を設置した。80人態勢で身元や経緯を調べる。
能登豪雨、降水38%増も――能登の避難所、入所者ゼロに 豪雨被災者も全員退去[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 30ページ 101文字 PDF有 書誌情報]
昨年9月に能登半島を襲った記録的豪雨で設置され、唯一残っていた石川県輪島市の避難所の入所者が13日、全員退去した。昨年元日に発生した地震の避難所は既に閉じており、能登地方の避難所入所者はゼロになった。
こんにちは、未来のくらし 大阪万博開幕 25年後の自分と対面[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 31ページ 1141文字 PDF有 書誌情報]
先端技術の数々が、訪れた人々を未来の世界にいざなった。184日間にわたる大阪・関西万博が13日、開幕した。会場となった人工島、夢洲(ゆめしま)を彩るパビリオンは世界の景色と内包する社会課題を伝える。時折雨が強まるあいにくの空模様となったが、大阪で半世紀ぶりとなる祭典に場内は熱気に包まれた。(1面参照)
2050年のあなたを生成します――。カメラやセンサーで髪や肌、血管の状況を測定すると、25年後のアバター(分身)が浮かび上がる。
大阪府・市が手掛ける「大阪ヘルスケアパビリオン」。目玉展示の「リボーン体験」は未来への想像力をかき立てる。
堺市の会社員、玉木一光さん(29)のアバターは白髪の若々しい姿で、健康の不安は見当たらなかった。ただ、そのとき「子どもはいるだろうか」と考えた。その上で、健康と暮らしのために働こうと決めた。将来の自分に思いをはせる貴重なきっかけになったという。
1970年大阪万博に展示され、カプセル内で自動で体を洗う「人間洗濯機」は銭湯での入浴が珍しくなかった当時、技術が生活様式を変える可能性を示した。装いを新たにした現代版は、微細な泡で体を洗うだけでなく、センサーで心拍を計測。ストレスのかかる現代社会の世相を映し、心の健康状態も教えてくれる。
体験者の一人、京都府長岡京市の薬剤師、山下勇樹さん(37)は「せっけんを使ったようにきれいになり、快適な時間を過ごすことができた。機能が拡充すれば、介護分野などで生かせるのではないか」と語る。
ロボットの活躍を予感させる展示も満載だ。アンドロイド研究の第一人者、大阪大の石黒浩教授がプロデューサーを務めるシグネチャーパビリオンの一つ「いのちの未来」。自動走行をする移動型のロボットが来場者を誘導する。
「50年後の未来」のゾーンには、大人の顔をした「ヤマトロイド」や、子どもの顔の「アスカロイド」など、人間そっくりのアンドロイドが顔を見せる。
母と一緒に岐阜市から訪れた30代の女性会社員は、アンドロイドがピアノを演奏する様子を見て「あまりになめらか」と驚いた様子。「人間とアンドロイドが共生できるなら良い未来」と話していた。
「ウーマンズパビリオン」は、作家の吉本ばななさんら女性3人の人生をたどる短編映画を上映する。来館者の名前がストーリー上に組み込まれるしかけで、女性の活躍やジェンダーギャップの解消につながる「気づきの場」を提供する。
館長の手塚琢也さん(50)は「今の社会が抱えるジェンダーギャップを自分ごととして捉え、解決の糸口を見つけられる場になれば」と意義を説いた。
【図・写真】大阪ヘルスケアパビリオンで、データを測定し表示された25年後のアバターを楽しむ来場者(13日、大阪市此花区)
こんにちは、未来のくらし 大阪万博開幕――共生社会へ新技術実験 AIスーツケースの浅川氏に聞く 「発信、普及の原動力に」[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 31ページ 1085文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博は、国籍や文化、障害にかかわらず安心して暮らせる「共生社会」につながる技術の実験場になる。日本科学未来館の浅川智恵子館長はその旗手の一人だ。AI(人工知能)を搭載し、視覚に障害のある人に道を音声案内するスーツケース型ロボットを開発。会場で実験に挑む浅川氏に聞いた。
◇
「AIスーツケース」は車輪で自走するナビゲーションロボだ。日本IBM、オムロンなどと来場者に利便性を実感してもらえるよう改良を進めてきた。内蔵カメラやセンサーで得られるデータを基に、周囲の様子をAIが音声で説明。前方の障害物の位置や歩行者との距離を感知し、最適な移動ルートを案内するのが特徴だ。
開幕1カ月前。夢洲(ゆめしま)のシンボル「大屋根リング」の下を、機器を片手に歩いてみた。一歩先の安全を確かめる白杖(はくじょう)を突きながら歩くのは、常に気を張る。その緊張から解放され、自由に散歩できる楽しさを感じられた。
小学5年で目にけがを負い、中学2年で失明。一人で散歩も読書もできなくなる喪失感に襲われた。視力が弱っていく中、現在の人生につながる一つの転機となったのが、地元で開かれた1970年の大阪万博だった。家族と何度か訪れ、当時世界の最先端技術を集めたパビリオンや会場のにぎわいに驚いた。
自立する能力を身につけたいと大学進学後、視覚障害者の職業訓練センターでプログラミングを習得。その後、日本IBMに勤め、英字点訳システムなど障害者の支援技術の開発に力を注いだ。
AIスーツケースの着想につながったのが、日米間などで繰り返す出張だった。スーツケースと白杖で両手がふさがるのは不便。白杖の役割を持つAIをスーツケースに搭載できれば片方の手も空き便利になるとアイデアが浮かんだ。
街に溶け込めず、歩きにくいと悩む視覚障害者は少なくない。AIスーツケースには、その悩みを解決できる可能性がある。
大阪・関西万博が想定する来場者数は約2820万人に上る。そのうち約350万人は海外からの来場を想定している。高齢化は世界で進み、目や耳などが不自由になる人は増えるだろう。体の機能を補う技術を発信し、社会に普及させる原動力が万博にある。
1876年の米フィラデルフィア万博で展示した電話機は世界に普及した。発明した科学者グラハム・ベルは聴覚障害の母の影響を受け、音響の研究を始めたとされる。
AIスーツケースも未来の生活に役立つ開発となってほしい。その魅力を、万博を通じ肌で感じてもらうことができればすばらしい。
【図・写真】「AIスーツケース」を使いながら万博会場を歩く浅川館長(3月)
こんにちは、未来のくらし 大阪万博開幕――「世界の街」、目の前に[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 31ページ 553文字 PDF有 書誌情報]
会場を歩きながら、世界各地を旅する気分を味わえるのも醍醐味だ。
サーキュラーエコノミー(循環経済)をテーマに掲げるドイツ館は、円筒状の木造建築群だ。来場者には1つずつ、手のひらサイズの人形が配られる。ほぼ球形のマスコットキャラクターから音声が流れ、展示の説明をする仕組みだ。
友人と訪れた東京都の無職女性(57)はソーセージなどドイツ名物が盛られた7700円のプレートとビールを堪能。「寒い中約1時間半並んだが、本当にドイツに来たかのような本場の味で大満足」とほおを緩めた。
次回2030年万博の開催国、サウジアラビア館は伝統的な市場「スーク」を模した。石造り風の建物を複数配し、入り組んだ路地を再現。大阪府羽曳野市の60代男性は「あまりなじみはなかったが、実際に行ってみたくなるほど興味がわいた」と興奮ぎみに話した。
入場者はエキゾチックな雰囲気のなか、独特な香りのサウジコーヒーを買うこともできる。
カンガルーやコアラの像が出迎えるオーストラリア館内はユーカリが香る。自然と共生してきた先住民の人々について紹介。同館代表のナンシー・ゴードン氏は「先人の知恵を未来にどう生かすのか。一人ひとりが模索してほしい」と呼びかけた。
【図・写真】サウジアラビア館では伝統的な入れ方でコーヒーが提供される(13日)
こんにちは、未来のくらし 大阪万博開幕――高いが「価値ある味」[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 31ページ 460文字 PDF有 書誌情報]
「たこ焼き焼き上がり!」。大阪のグルメが集まるフードコートで、店員の威勢のいい掛け声が響く。商品と並ぶ目玉はヒト型のロボット。両手からソースとマヨネーズを勢いよく噴射し、仕上げを手伝った。
大阪市の男性会社員(29)は「ロボットが人と一緒に働いている様子が新鮮。活用が進めば飲食店の混雑が減るかもしれない」と期待した。
中華麺と和風だしを合わせる「えきそば」も人気だ。兵庫県姫路市のソウルフードとされ、すき焼き風の神戸牛をのせた「万博仕様」は1杯3850円。高額だが「値段に見合う価値がある」との声が聞かれた。
回転ずしのレーンで世界各地の料理やアレンジメニューを提供する店には人気が殺到。事前予約制をとっていたが、昼時には店外に客があふれた。「ダメ元で来たがやはり無理か」と立ち去る人もいた。
「未来の食」をテーマにしたメニューも。大阪府内のソフトクリームメーカーはアレルギー対応で乳成分や卵を使わない商品を販売。イチゴ味を選んだ同府藤井寺市の小学6年、作馬樹太さん(11)は「さっぱりとしておいしい」と笑顔だった。
こんにちは、未来のくらし 大阪万博開幕――初日、あいにくの雨… ブルーインパルス飛ばず[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 31ページ 442文字 PDF有 書誌情報]
会場では早朝から断続的に雨が降った。悪天候の影響から目玉イベントが中止され、会場中心部を取り囲む「大屋根リング」(全周約2キロ)の下に雨宿りをする来場者が集まった。
航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」の展示飛行は、降雨を受け、当日になって取りやめになった。心待ちにしていた大阪市内の50代女性は「飛んでくれる可能性に賭けて来場したが、中止のアナウンスを聞いてショックだった」と肩を落とした。
会場内のコンビニエンスストアには長い列ができ、雨具を買い求める人が目立った。
約1万人がベートーベンの「交響曲第9番」第4楽章を合唱する「1万人の第九」は予定通り、ゲート開門の13日午前9時に催された。
大屋根リングを舞台に力強い歌声が響く様子に、アルトを担当した大阪市在住の黒田有希さん(49)は「世紀の一瞬を分かち合いたくて参加した。多くの知らない人とハーモニーを奏でられて感動した」と声を弾ませた。
【図・写真】強い風と雨で大屋根リングの下に集まった人たち(13日)
米が撮った日本軍、戦史語る 「公文書」に残る映像記録解析、史料や地形、天気など基に日時や場所特定 織田祐輔[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 32ページ 1470文字 PDF有 書誌情報]
映像には炎と黒煙を上げる艦船が映る。別カットには爆弾投下後、煙を背にする爆撃機。太平洋戦争中、米軍機のカメラがカラーで捉えた日本軍の姿だ。こうした大量の映像が米国立公文書記録管理局(NARA)に未整理のまま残っている。私は映像を解析して米軍の戦闘報告書と照合し、撮影日時や場所を特定する活動をしている。
冒頭の映像は、1945年3月28日の南九州沖で撮影されたものだ。戦闘状況や地形、天気などを基に、私が割り出した。午後2時半ごろ、米空母4隻から133機が飛び立った。日本海軍第三十三号海防艦は、弾薬庫に爆弾を受け爆沈。乗組員171人は全員戦死した。イメージ映像のように見えても「いつ、どこで……」と「5W1H」が加われば、戦争を記録した貴重な映像史料になる。
小学生の頃、祖父母の戦争体験を聞いて戦史に興味を持ち、関連本を読み始めた。大学で歴史学を学び、企業に就職。福岡に赴任中の2011年、大分県宇佐市の郷土史研究団体「豊(とよ)の国宇佐市塾」に加わり、15年には同市役所に転職した。
11年、同塾の友人とともに1945年3月18日の宇佐海軍航空隊への初空襲時のカラー映像を発見、解析した。米軍の記録によると、正午ごろと午後4時ごろの2度にわたって空襲しているが、影の角度から1度目の攻撃時のものと特定した。
同塾が毎年5月に開く催しで、解析結果を公開した。空襲を体験した方が「味方機と思って手を振ったら、攻撃してきたので驚いて逃げた」などと話してくれた。公開のたびに寄せられる貴重な証言が活動の原動力だ。
米軍機には当時から「ガンカメラ」が標準装備され、戦闘をカラーフィルムで撮影していた。戦果を客観的に記録するためだが、彼我の物量と技術の差を感じざるを得ない。破棄された映像も多く、NARAに収蔵されるのは一部だが、それでも膨大な量だ。しかも撮影日時などのキャプションは付いていない。
映像の目録には「太平洋戦線」など大まかな説明があるだけで、それすら間違っていることも多い。取り寄せるか、現地に行くかして映像をひたすら見て、映るものを書き出し史料と突き合わせるしか解析する方法はない。私が入手した映像は336本で54時間分、戦闘報告書などの一次史料は約5万点ある。1500万円の私費を投じた。
戦艦大和のカラー映像は初確認だった。2本あり、1つは45年3月19日に山口県岩国市沖で撮られた。同年3月下旬の空襲を収めた映像の冒頭をコマ送りすると、高い艦橋と長い航跡が見えた。同じ時に米軍が撮った大和の写真と比べると爆弾の波紋も含め一致した。
もう1つは同年4月7日、鹿児島県沖で沈没する約2時間前のもの。攻撃による水煙で艦影は不鮮明だが、艦隊の動きや雲が低く垂れ込める気象条件から特定した。2024年刊行の「米軍カラーフィルムが捉えた日本軍の艦船・航空機・軍事施設」(イカロス出版)で成果を紹介している。
忘れられた空襲を掘り起こしたこともある。45年7月18日の鹿児島県阿久根市の鉄道駅への空襲は、市史に記述がない。米軍の戦闘記録は位置を誤認したらしく、県内の別の地名が記載されていたが、映る地形などから同市と特定した。映像を公開すると「家の柱に弾痕があり、空襲があったと親に聞いていたが、今まで信じていなかった」というメールが届いた。
戦後80年、戦争の記憶は希薄化してゆく。映像史料が戦争を考える一助になればと願う。
(おりた・ゆうすけ=公務員)
【図・写真】1945年3月28日、爆撃を受け黒煙を上げる日本海軍第三十三号海防艦
平井一夫(14) オートパイロット 「平時に向かない経営者」 プレステ3危機、12年ぶり東京に(私の履歴書)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 32ページ 1376文字 PDF有 書誌情報]
2000年にプレイステーション2が発売され、初代機を大きく上回る大ヒットとなると、私が預かる米国法人「SCEA」の経営も順調に回り始めた。あれだけ人心が荒廃していたのがのようだ。この頃になって私はこんな風に思うようになっていた。
表情に出さないようにしてきたが、社員に解雇を宣告する時にはこちらの心が削られる。だが、もはやそんな必要もない。退路を断って古巣の音楽子会社を辞め、SCEAに入社し直した。今ではそれがリスクとも感じない。
そう。すべてがうまく回り始めたのだ。
経営者としてはこの上ない状態のはずだ。「ターンアラウンド(再建)」という言葉はもう、この組織には必要ない。例えるなら飛行機のオートパイロット操縦。私が何もしなくても周囲のメンバーが自走してくれる。まさに私自身が望んで、仲間たちと作り上げてきた状況のはずだ。
なのに、なにかしっくりこない。心の中に燃えるものがなくなってしまったかのようだ。「ああ、俺は平時には向かない経営者なのかもしれないな」。こんな風に思うようになった頃のことだ。05年からソニー会長兼最高経営責任者(CEO)を務めていたハワード・ストリンガーから電話がかかってきた。
「東京に来てケンを助けてもらえないか」
ケンとはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、当時)社長の久多良木健さんのこと。久多良木さんに代わりSCE社長に私を起用したいという話だった。
サンフランシスコ郊外の街で暮らす家族に告げると、米国で育ち思春期を迎えていた娘から「What’s your point?」とひと言。「で、なんなの?」といった感じだ。結局、単身赴任で東京に戻ることになったので、ハワードには「1カ月に1週間は米国で過ごしたい」との要望を伝えた。すんなり認めてくれたのだが、それどころではない状況が続くことになるとは、この時には思いもしなかった。
こうして06年末に、私はひとり東京に戻ってきた。音楽でニューヨーク転勤を告げられてから12年になる。そこで私が見たのは、かつての輝きを失ったソニーだった。
03年にはソニーの業績悪化が東証全体に波及する「ソニー・ショック」が発生した。その後も業績は鳴かず飛ばず。正直なところソニー・ショックの頃はプレイステーション2の快進撃のおかげで、ソニー全体の不振などどこ吹く風だった。
ところが、我々SCEにも危機が迫っていた。原因は私が帰国する直前に発売したプレイステーション3だった。
このマシンには久多良木さんの壮大なビジョンが詰め込まれていた。キャッチフレーズは「家庭のスーパーコンピューター」。それが消費者には響かない。独自開発の高性能半導体「セル」も久多良木さんの肝煎りだったが、とてもこのチップの実力を示すに足る用途が、ゲーム機にあるとは思えなかった。
当初は久多良木さんがSCEの会長兼グループCEO、私が社長兼グループ最高執行責任者(COO)で役割分担することになったのだが、4カ月ほどで久多良木さんの退任が決まった。
この時、私は46歳。危機の足音が迫り来る中、誰もがカリスマと認める久多良木さんの夢を捨てたと言われても仕方のない決断を下した。
(ソニー元社長)
【図・写真】久多良木さん(中央)からは多くを学んだ(1996年、米シリコンバレーで。右端が筆者)
万博の風景(4)ウィリアム・イングランド「1862年ロンドン万国博覧会 日本の展示場」 京都大学教授 佐野真由子(十選)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 32ページ 620文字 書誌情報]
「JAPAN」のサインが掲げられた展示区画の貴重な写真資料である。ロンドンで2度目に開催された1862年の万博は、歴史上初めて日本の登場を見た。
万博という催事では、当時も今も、国から国への外交ルートによる参加招請・応諾がルールとなっている。つまり、開催国との間に外交関係が開かれていて初めて、参加の可能性が生まれる。「開国」後の日本が初めてその条件を満たしたのが、このロンドン博だった。
誘ったのは、1859年から江戸に駐在していた初代イギリス公使オールコック。徳川幕府は「一大快事」としてこれに応じ、彼を喜ばせた。
彼自身や部下たちがコレクションを供出して出展の実現に協力。漆器・藁(わら)製品・陶磁器・金属製品・紙製品・布製品・美術工芸品・教育用品・その他の9分類に、とくに日本の薬品と医療器具を加えた900点弱が、史上最初の「日本の顔」となった。
「小さな出品区に溢(あふ)れる、美しく、内容豊かで、徹底したわざの成果である作品群」は大きな注目を集め、「日本の政府」は、なかでも「銅製品全般の優秀さ」で受賞した。正面両側に目立つ2つの蓑(みの)の間の台上に目を凝らすと、その一部であろう品々が写り込んでいる。
当時、写真自体が先端技術であり、このロンドン万博は、とくにその紹介を重視してもいた。
(1862年、ステレオ写真左側、着彩、8.3×16.6センチ、英ヴィクトリア&アルバート博物館蔵)
【図・写真】写真提供 ユニフォトプレス
おまえが変われ 滝野一征(交遊抄)[2025/04/14 日本経済新聞 朝刊 32ページ 503文字 PDF有 書誌情報]
名古屋市内の「石川学園みらいの風こども園」の古屋政徳園長は、8つ離れた兄のような存在だ。お互い子どもの頃は兵庫県尼崎市内で近所に住んでいて、家族ぐるみの付き合いをしていた。
私は米国の大学を卒業後、切削工具メーカーに入社した。名古屋勤務となって古屋さんと再会し、何度も食事に誘ってもらった。
当時から私はハッキリものを言う性格で、社内ではベテランの先輩から嫌われ、孤立していた。技術営業として新人賞や成績1位をとっても、彼らは振り向いてくれなかった。
古屋さんと仕事の話になった。返ってきた答えは「おまえが正しい」ではなく「相手を変えたければ、まずはおまえが変われ。相手のいいところを見ろ」だった。古屋さんから注意されることはほとんどなかったので、強く印象に残った。言われるがままに、先輩のいいところをほめてみるなど自分を変えてみると状況は一変した。今でも実践している。
最近、仕事で愛知県に行く機会が増えている。古屋さんは喜んでいるようだ。彼には子どもがいる。海外へ進学させたいとのことで、子どもに私の経験を話すなどしている。今度は私が恩返しする番だ。
(たきの・いっせい=MujinCEO兼共同創業者)
25年04月13日
万博、リアル体感を きょう開幕 158カ国・地域参加 世界の分断、超える契機[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1661文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博(総合2面きょうのことば)が13日開幕する。ネットに膨大な情報が氾濫し、仮想空間で質の高い体験ができる今、大阪湾の人工島に足を運ぶ意味を一つあげるとすれば、新しい時代の「リアル(現実)」を体感できることだ。様々なリアルに触れ、価値観を柔軟に更新していくことは世界を覆う分断を超えるきっかけになる。(関連記事を社会面に)
「想像していた以上だ」「大屋根リングの迫力はすごい」「こんなに並ぶならもう来ない」。会場が関係者以外に初めて公開された5~6日のリハーサル。訪れた人たちの感想は様々だった。
生成AI(人工知能)に頼るまでもなく、スマホがあれば大抵の情報を入手できる。今回の万博で話題のiPS細胞も、京都大の山中伸弥教授が作製した万能細胞の一種で、再生医療に重要な役割を果たし、ノーベル賞が授与されたといった程度のことはすぐにわかる。では、実物を見たことは?
万博会場にはiPS細胞を応用した展示が2つある。1つは「大阪ヘルスケアパビリオン」の「心筋シート」で、大阪大発スタートアップのクオリプスがiPS細胞由来の医薬品として初の製造販売承認を8日、厚生労働省に申請した。もう1つは拍動する親指ほどの大きさの「iPS心臓」。こちらは「パソナ ネイチャーバース(パソナ館)」に展示されている。
世界保健機関(WHO)によると、2000~19年に心筋梗塞など虚血性疾患で失われた命は総死亡者数の2割弱。心筋シートの開発を担い、20年に世界で初めて移植手術を成功させた大阪大の澤芳樹特任教授は「シートが普及すれば心臓病で死なない世界が到来する」と確信する。万博会場では未来の「いのち」のリアルを目の当たりにすることができる。
海外の158カ国・地域も様々に次世代のリアルを伝える。書道の巻物を広げた様子をモチーフとしたユニークな外観の中国パビリオンの柱は、スマートシティーの可能性だ。AIやビッグデータを活用。気象情報を解析して効率的な発電をしたり、交通量を把握し渋滞の解消につなげたりする。
覇権を巡って激しく対立する米国のパビリオンは、同じゾーンで中国館と近接する。「イノベーション」「宇宙」「旅」「交流」といったテーマに沿って映像や展示が並ぶ。巨大なスクリーンや音響設備を使い、まるでその場にいるかのような感覚を抱かせる。
コロナ禍が収束し、リアルな体験の価値は再認識されている。企業は在宅勤務を縮小し、大学の対面授業が復活した。「細かいニュアンスが伝わらない」といったデジタルコミュニケーションの負の側面がより強く意識されるようになってきた。
海外から日本を訪れる観光客は過去最多を更新する。日本人が何の変哲もないと感じるような町を喜んで訪れ、普通の日本食を食べ歩き、地元の人たちと片言のおしゃべりを楽しむ。コンサート会場には人があふれ、テーマパークのアトラクションには長い列ができる。リアルな体験に価値を見いだす人の多さの表れといえる。
言論は逆の方向に振れている。コストや時間のかかる事実認定が置き去りにされ、ひとりひとりが紡ぐ「物語(ナラティブ)」が現実を左右するようになってきた。異なる意見に耳を貸さない、耳に入らない。行き着く先が世界を覆う分断だ。
欧米諸国でのポピュリズムの台頭や中東で続く悲惨な紛争、明確な根拠も示さず一方的な通告によって経済界を振り回すトランプ関税。24年の東京都知事選や兵庫県知事選も根は同じだ。
万博発祥の地、英国のキャロリン・デービッドソン政府代表は「インターネットが広がったからこそ『ライブ』での体験や経験の価値が増している」と指摘する。リアルに触れて価値観をアップデートしていく先に分断を超える解が見えてくる。
これから始まる大阪万博では、国内外の出展者が新しいリアルを提示する。面白いかもしれないし、つまらないかもしれない。はっきりしているのは実際に見ないとわからないということだ。
(大阪・関西万博取材班)
【図・写真】新しい時代のリアルを提示する万博が始まる
海底ケーブル、AIで異常監視 総務省が開発支援[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 1ページ 808文字 PDF有 書誌情報]
総務省は海底ケーブルを人工知能(AI)で監視するシステムの開発に乗り出す。故障箇所の特定に現在は24時間程度かかっているのを1時間に短縮する。国際通信の基幹インフラの異常を素早く検知できるようにする。不審な切断が世界で相次ぐ状況をにらみ、安全保障の強化を急ぐ。
近く企業の公募を始める。2028年までの4年間で数十億円を補助する。商用化に向けた実証支援も視野に入れる。海底ケーブル市場で高いシェアを持つNECなどへの支援を想定する。
AIで通信や給電のデータを常に監視し、通信の切断や不具合の予兆を瞬時につかめるようにする。故障の起きたエリアの航行データなどと照らし合わせることで、原因となった可能性のある船舶を迅速に絞りこめる。
島国の日本は国際通信の99%を海底ケーブルに依存する。通信網を高精度に監視する技術や体制を整えれば、意図的な切断の抑止力になる。普段の修繕作業の効率を高められる利点もある。
海底ケーブルは24年後半以降、台湾近海やバルト海で損傷が相次いだ。中国やロシアが関与しているとの見方がある。25年に入って、中国船舶科学研究センターが切断装置を開発したことも明らかになった。
日本近海や太平洋地域では日中韓の企業が共同で保守を担う。米政府は、中国企業が補修を名目に軍事・商業データの傍受などスパイ活動をしているのではないかと懸念している。
グローバルな通信量は増大の一途をたどる。グーグルやメタといった米テック大手は海底ケーブルの敷設計画を相次いで打ち出している。異変を察知できるシステムのニーズは大きく、新たな商機につながるとの期待もある。
海底ケーブル市場は米サブコム、仏アルカテル・サブマリン・ネットワークス、NECの3社が世界市場を寡占してきた。
近年は中国企業が政府援助とセットにするなどして途上国で敷設を担う例が目立つ。日本は官民で技術力を底上げし、競争力と安保環境の維持を狙う。
米相互関税、スマホ除外 iPhone値上がり回避[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 1ページ 689文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米政権が相互関税の対象からスマートフォンなどを除外したことが分かった。米アップルのiPhoneなどの大幅な値上がりを回避し、消費者の反発を抑える狙いとみられる。パソコンや半導体製造装置、データセンターに不可欠な記憶装置も除外した。
米税関・国境取締局(CBP)が米東部時間11日夜に輸入事業者向けに通達を出した。除外措置は相互関税の第1段階である一律10%を発動した5日まで遡って適用する。
中国に対する追加関税が累計145%になったことで、iPhoneなど中国で組み立てたスマホの大幅な値上がりが懸念されていた。米テック企業にも反発の声が広がり軌道修正を迫られた。
半導体製造装置やサーバーなどに用いる記憶装置ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)なども除外した。先端半導体向けの製造装置は、日本の東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングに依存する状況が続いていた。
トランプ政権は米国内での半導体工場やデータセンターの建設を支援する方針を示している。SSDや半導体製造装置はいずれも不可欠な製品で、相互関税の対象から外したとみられる。半導体そのものは品目別関税をかける可能性が今後あるため相互関税の対象から元々除外されている。
テック業界の著名アナリスト、ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏は「アップルやエヌビディアなどの巨大テック企業や業界は大いに安堵しているだろう」とリポートに記した。
詳細な分析や中国との貿易戦争の行方を見守る必要はあるが、高関税で大きな打撃を受けるとみられたテック株の支えになるとの認識を示した。
万博、リアル体感を きょう開幕――「いのち」の理念、世界に発信[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 1ページ 435文字 PDF有 書誌情報]
日本国際博覧会協会は12日、大阪・関西万博会場に天皇、皇后両陛下、万博名誉総裁の秋篠宮さま、同妃紀子さまを招き、開会式を開いた。天皇陛下は「『大阪・関西万博』を契機として、世界の人々が、自分自身だけでなく、周りの人々の『いのち』や、自然界の中で生かされている様々な『いのち』も尊重して、持続する未来を共に創り上げていくことを希望します」とお言葉を述べられた。
石破茂首相のほか、協会や国内外の関係者など約1300人が参加した。石破首相は「『いのち輝く未来社会のデザイン』を掲げ、世界の人々が対話し、交流する舞台を提供する。『新しい日本』の姿を世界に発信する」と話した。
佐渡裕さんの指揮で大阪交響楽団など5楽団の演奏が行われたほか、アンバサダーをつとめる男性デュオ「コブクロ」がテーマソング「この地球(ほし)の続きを」を歌唱。大阪府内の高校生ら約180人が参加国・地域の国旗を持って入場した。
【図・写真】EXPOホールで開かれた大阪万博の開会式(12日、大阪市此花区)
1970年大阪万博で、岡本太郎らと組んで準備に奔走したのが作家の小松左京である(春秋)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 1ページ 561文字 PDF有 書誌情報]
1970年大阪万博で、岡本太郎らと組んで準備に奔走したのが作家の小松左京である。強行日程の現場は徹夜続きで戦場のよう。開会式前日も深夜まで展示の最終確認をして回った。その帰路のタクシーでは「強い酒が無性に飲みたかった」という。分かる気がする。
▼同じようにギリギリまで追いまくられた関係者が少なくないはずだ。大阪・関西万博がいよいよ幕を開ける。建設の遅れ、余るチケット、費用の膨張。いろいろ言われる祭典ではある。それでも会場にはあまたの努力が詰まっていよう。きのうの開会式も独創的なパフォーマンスで見応えがあった。まずは出発を祝いたい。
▼地球を見渡せば、計画当初とは諸情勢が一変した。会場デザインプロデューサーの藤本壮介さんに先日、その点を尋ねてみる機会があった。「確かに世界は混迷を極めている。そんなときだからこそ、多くの国の素晴らしさが集まる万博の意味は大きい」。大阪からどんなメッセージを発信できるかが問われることになろう。
▼「人類全体の幸福を推し進めるための、知恵と情報の世界的交流の場」。小松は万博をそう捉えていた。よりよい明日を目指すという目標は、短い会期内に収まりきるものではない、とも。胸に刻みたい。半世紀以上たったのに、人類は進歩も調和もしていないではないか――。泉下の作家にそんなお叱りを受けぬために。
供給網のサイバー防御強化 政府調達の要件に 対策を外部評価[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1078文字 PDF有 書誌情報]
政府は企業にサプライチェーン(供給網)のサイバー防御の強化を促す。アクセス権限の管理、重要データの暗号化などリスクの度合いに応じた対策の基準を明示する。外部の専門機関が評価して、政府調達の要件にすることも検討する。2026年度から制度を導入する。
経済産業省と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が制度案の中間まとめを近く公表する。発注企業がサプライヤーに求めるセキュリティーのレベルを指定する。川上から川下まで共通の基準に沿って対応することで、供給網全体の対策を底上げする。
5段階でレベル1と2は自主的な取り組みの表明で取得できる。今回、レベル3と4の基準を新たに示す。レベル3は一般的なサイバー攻撃に備える最低限の対策。セキュリティー担当者を決めて、対応手順をあらかじめ作ってもらう。IDやパスワードの設定、アクセス権限の管理を必要とする。自己評価を求める。
レベル4は供給停止や機密情報の漏洩など影響の大きなケースを想定する。経営層への定期報告や、復旧にかかる時間に応じた詳細なマニュアルの整備が要る。重要なデータの暗号化や、異常をすぐ検知できる監視体制の構築も要請する。専門機関による第三者評価を原則にする。
レベル5は通信機器などに潜む未公表の弱点を突く「ゼロデイ攻撃」などの高度な脅威に対応できる水準を想定する。内容は検討中で、26年度までに詰める。
サイバー攻撃は増加傾向にある。警察庁によると24年のランサムウエア(身代金要求型ウイルス)被害は222件と過去最多の22年(230件)に次ぐ高水準だった。被害企業・団体の5割が復旧に1カ月以上かかった。
24年6月にはKADOKAWAがランサムウエアを含む攻撃を受けて、26万人以上の個人情報が漏洩した。傘下のドワンゴの動画共有サービス「ニコニコ動画」などが長期間止まった。23年7月には名古屋港へのサイバー攻撃があり、3日にわたりコンテナの搬入・搬出が滞った。
大企業への攻撃は、中小企業が踏み台になるケースがある。経産省が所管する情報処理推進機構の調査によると、中小の7割は組織的な体制を整備していなかった。過去3年間に被害にあった中小の7割が取引先にも影響が及んだ。
サイバー防御の公的な認証制度は海外が先行している。英国では国家サイバーセキュリティーセンターの制度があり、公共調達の必須要件に課す場合が多い。23年までに12万以上の企業や団体などが取得した。米国では24年12月に国防総省の認定制度が発効した。フランスではウェブサイトに安全性スコアの提示を義務づけている。
米、硬軟でロシアに働きかけ プーチン氏、米特使と会談 ウクライナ停戦交渉[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 819文字 PDF有 書誌情報]
ロシアのプーチン大統領は11日、米国のウィットコフ中東担当特使とロシア北西部サンクトペテルブルクで会談した。ウクライナをめぐる停戦交渉は停滞が続く。米国は進まない停戦交渉にいら立ちを強めており、ロシアに交渉に応じるよう硬軟両面で働きかけているもようだ。
第2次トランプ米政権が発足した1月20日以降、ウィットコフ氏とプーチン氏の対面会談は3回目。会談は約4時間半続き、結果の公表はなかった。ロシアのペスコフ大統領報道官はプーチン氏がロシアの立場や懸念を米国側に伝える機会だと記者団に述べた。
米ホワイトハウスのレビット大統領報道官は11日の記者会見で今回の会談は「停戦と最終的な和平合意に向けた交渉プロセスの新たな一歩になる」と強調した。一方で「トランプ大統領は両当事者にいつもいら立っている」とも述べた。
3月下旬に米国はロシア、ウクライナの双方と黒海での船舶の安全航行確保や武力行使の排除で合意したと発表した。だが、エネルギー施設への攻撃停止を巡り、ロシア側はウクライナが攻撃を続けていると主張。双方の非難の応酬が続く。
トランプ氏は3月30日、ロシアが停戦に合意しなければ1カ月以内に制裁関税をかけると警告した。4月11日にはSNSに「ロシアは行動しなければならない」と投稿し、ロシア側に歩み寄りを促した。
プーチン氏は3月の記者会見で、停戦案を巡り「紛争の根本的な原因を取り除くものでなければならない」などと語った。ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への加盟放棄や、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州からのウクライナ軍の撤退と領土の割譲などが念頭にあるとみられる。
ロイター通信は11日、ウィットコフ氏が停戦交渉を進めるため、ロシアによるウクライナ4州の領有を認めるようトランプ氏に提案していたと伝えた。同席していたウクライナ・ロシア担当特使を務めるケロッグ氏が反対し、トランプ氏も決定しなかったという。
WHO、感染症パンデミック条約に大筋合意 ワクチン配分[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 782文字 PDF有 書誌情報]
【ジュネーブ=北松円香】世界保健機関(WHO)加盟国は12日、感染症危機が起きた際の発展途上国へのワクチン配分などを定めるパンデミック条約の条文案について大筋合意した。ワクチン配分を巡り先進国と途上国の隔たりが大きく、制度設計の一部を先送りするなどして決着した。
5月中旬から始まる総会での採択を予定する。当初は2024年5月の総会で採択予定だったが、交渉が難航して延長された。1年遅れで大筋合意にこぎ着けた。細部を協議するために15日に再度、会合を開く。
テドロス事務局長は日本経済新聞に「子供のために新型コロナウイルス禍の教訓を生かした仕組みが重要だ」と述べた。
条約には「病原体へのアクセスと利益配分(PABS)」という仕組みを盛り込んだ。各国からの病原体情報をデータベース化して製薬会社が研究開発に利用できるようにする。企業にはパンデミックが起きた際にワクチンや検査薬をWHOに提供するよう求める。
技術移転に関する条項もある。パンデミック時の医薬品需要に対応するため、途上国への技術移転を促して現地生産できるようにする。
WHO加盟国は21年12月、新たな感染症対応の枠組みとして条約創設を決めた。新型コロナウイルス禍でワクチン不足や供給の偏りが起き、途上国での接種が遅れたとの反省が背景にある。
交渉が始まると、研究開発費が必要な製薬企業の利益を守り技術流出も防ぎたい米欧や日本と、先進国からの医薬品配分や自国生産を求めるアフリカ諸国などとの距離の大きさが露呈した。
問題となったのがPABSを通じた製薬会社からWHOへの医薬品提供だ。生産量の何割を提供するかを巡り、多数の製薬会社がある先進国と途上国の議論が紛糾した。企業が生産量の1割を寄付し目標としてさらに1割を入手しやすい価格で提供する案で妥結した。詳細な制度設計は検討事項として先送りした。
米、硬軟でロシアに働きかけ――資源協定案、前進はなく 米・ウクライナ[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 201文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】ウクライナ政府代表団は11日、米国とウクライナ国内の鉱物資源を共同開発する協定案について米政府とワシントンで協議した。条件の詳細について意見を交わしたが、大きな前進はなかったもようだ。
米国はウクライナへの軍事支援の見返りとして協定締結を求め、ウクライナは厳しい交渉を迫られる。ロイター通信は協議が敵対的な雰囲気だったとし「打開の見込みは小さい」とする関係筋のコメントを伝えた。
針路を聞く(4)TPPにEU引き込め 前経産相 斎藤健氏(崩れる自由貿易)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1298文字 PDF有 書誌情報]
米国の貿易不均衡における日本の位置づけはかつてと劇的に異なる。1990年代初頭は貿易赤字の7割近くを日本が占めていたが、いまは1割に満たない。トランプ米大統領が強硬に出ているのは日本だけでなく全世界だ。
貿易不均衡の是正に加え、米国の製造業を復権させるツールとしても関税を使っており、そのウエートが上がっているように見える。「米製造業の復権のために日米協力をしっかりやっていこう」といった説明をしないとトランプ氏の頭に入らない。
関税措置はまだ始まったばかりで、交渉は基本的に焦った方が負ける。対策は決め打ちせず柔軟に対応できるようにした方がいい。我慢比べが必要と判断すれば長期的な交渉を、短期決戦が有利であると考えれば早期決着を狙えばいい。
米国が日本との交渉で早く成功事例をみせたがっているので日本に有利だという見方には別の分析もある。米国には急いで小さな合意をつくるよりも、大きな成果をとったという前例をつくりたい考えもある。こうした点も含めて見極める必要がある。
今回の交渉は閣僚同士で合意しても最後にトランプ氏にひっくり返されるリスクが大きい。
それを避けるために石破茂首相は節目ごとに電話協議でもいいからトランプ氏とコミュニケーションをとり、意向を探りながら交渉を進めるべきだ。良好な人間関係をつくってほしい。
日本国内では産業が崩れないよう万全の支援策を講じる必要がある。一番重要なのは雇用対策と下請け企業への支援だ。
島国の日本にとって自由貿易と世界の平和・安定は生命線だ。製品を世界に輸出できなくなると経済が立ちゆかなくなる。短期でも長期でも日本に有利な展開に持ち込めるように対応していくべきだ。
自由貿易や法の支配の重要性という正論はトランプ氏の心に響かないかもしれないが大事だ。米国の関税措置をうけて環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を望む国が増えていく方向になるだろう。
2024年12月に英国がTPPに加入して足がかりができた。次は日本が主導して欧州連合(EU)との連携を深め、加盟も視野に入れた構想を進めるべきだ。
米国と中国の関係がどうなるかは注視するべきだ。米国が累計145%の関税をかければ米中間のモノの移動が止まりかねない。
関税による物価上昇は低所得者により重い負担がのしかかる。米国内で悲鳴があがればトランプ政権の態度が変わるかもしれない。
米共和党はもともと自由貿易を推進していたが変質しているのではないか。トランプ政権のブレーンとして知られるオレン・キャス氏は市場経済と自由貿易が米国の衰退を招いたと明言している。市場経済に反旗を翻すのが新しい保守なのだろう。
左派の代表格であるバーニー・サンダース上院議員の支持者も同じ傾向だ。極端な右派と左派が反自由貿易で一致する。この考えがどこまで広がるか注意しなければならない。4年間のトランプ政権が終わっても反自由貿易の志向は残る。
(聞き手は堀越凜人)
さいとう・けん 83年(昭和58年)東大経卒、通商産業省(現・経済産業省)入省。90年代に日米自動車交渉に携わる。17年農相、23年経産相。65歳
才能が交わり人材を育む大阪万博に(社説)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 919文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が13日、開幕する。建設の遅れやチケットの売れ行きなど運営面の課題は尽きないが、2800万人余りの来場を見込む我が国では久しぶりの一大祭典である。さまざまな才能が交わり、次代の世界を担う人材を育む舞台にしてほしい。
事前のリハーサルをみれば、開幕に間に合わない施設が出たとしてもやむをえない。安全を第一に作業を進め、日本らしい、しっかりした運営をみせてほしい。
チケット販売は900万枚を超え、やや勢いが出てきた。ただ前売り目標の1400万枚には届いていない。「並ばない万博」にこだわらず、当日券を増やし、気軽に訪れやすくすべきだ。
万博の意義は、世界各地から多様な個性が集い、人類の英知を磨き合い、未来につながる創造を促すことにある。そうであるなら、万博が残すべき最大のレガシー(遺産)は人材だろう。
1970年の大阪万博は気鋭の建築家が斬新なアイデアを競い、磯崎新、黒川紀章両氏らが設計した施設やパビリオンは未来都市の展望を示した。特に「メタボリズム(新陳代謝)」という黒川氏らの前衛的な建築理論が現実の建物として姿をみせたことは、世界の建築家に大きな影響を与えた。
今回は多様な思想や手法の融合を得意とする建築家の藤本壮介氏が大屋根リングを手掛ける。伝統建築の技と現代の工法を組み合わせた世界最大級の木造建築物である。何事も単純化しがちな分断の時代に、異質なものの交わりが生む力強さを感じたい。
代表的なパビリオンは、メディアアーティストの落合陽一氏ら若い才能がぶつかり合う。これに国内外から訪れる若い感性が響き合い、次代につながる発見や刺激を期待する。
技術的な目新しさは乏しいかもしれない。ただ、前回の大阪万博で「お祭り広場」を設計した建築家の丹下健三氏が「技術やモノの見本市ではなく、世界の文化芸術や知恵を交換するコミュニケーションの場であるべきだ」と喝破したように、交流を促すこと自体に万博の意味がある。
関西は古来、混沌のなかから時代を先導する文化を育んできた街だ。デジタルの時代だからこそ、人と人がリアルに語り合い、そこから創造されるものの貴さを再認識する。そんな万博になれば、開催した意味はあるだろう。
日鉄の買収に公正な審査を(社説)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 2ページ 770文字 PDF有 書誌情報]
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画が再び動き始めた。バイデン前米大統領が買収を中止するよう命じたため頓挫したかに見えたが、トランプ大統領が省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)に再審査を指示した。
バイデン前政権の買収中止命令は不当な政治介入であり、今回の措置をひとまず評価したい。
CFIUSは45日以内に日鉄の提案が妥当かどうかを審査し、その後15日以内にトランプ氏が判断する。CFIUSは前回、意見がまとまらず判断をバイデン氏に一任した経緯がある。精緻で公正な審査を期待する。
仮にCFIUSが容認しても先行きは見通しにくい。日鉄は依然としてUSスチールの完全買収を目指すという。これに対してトランプ氏は「(日鉄が)投資家として戻ってきた」と述べるなど、買収ではなく投資なら許容する余地があることを強調している。
USスチールの買収計画に関し日鉄は当初と比べてすでに多くの妥協案を提示している。設備投資の増額に加え、今後10年は米政府の同意なしにUSスチールの生産能力を削減しないとも明言した。取締役の過半を米国籍とするのも米政府の理解を得るためだ。
日鉄はこれらの投資を実現するには買収が前提となるとの考えだが、トランプ氏から追加の妥協を求められる可能性もある。日鉄には双方に実りのある着地点を見いだし、グローバル展開を加速するという当初からの目的を果たしてもらいたい。
もっとも巨額の投資や経営体制をめぐる譲歩には、株主をはじめとするステークホルダー(利害関係者)の理解が欠かせないことも忘れてはならない。
一方で、トランプ政権が発動した相互関税を受け、石破茂首相は赤沢亮正経済財政・再生相を米国との交渉役に起用した。1年以上前から検討を重ねてきた日鉄の買収計画を関税交渉のカードにされないよう警戒すべきだ。
米関税、市場揺れた1週間 米金利、23年ぶり上昇幅 「逃避先」金は最高値更新[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1657文字 PDF有 書誌情報]
世界の金融市場にとって衝撃の1週間となった。震源は「安全資産」とされる米国債の価格急落(利回りは急騰)。米長期金利の上昇幅は23年ぶりの大きさとなった。幅広いリスク資産に売りが出る一方、マネーの逃避先となった金(ゴールド)は最高値を更新した。投資家の不安心理は根強く、回復には時間を要しそうだ。
米長期金利の指標である米10年物国債利回りは11日に4.49%で取引を終え、前週末4日対比で0.50%上昇した。英LSEGのデータによると、週間の上げ幅は新型コロナウイルス禍初期の2020年3月を上回り、米同時テロが起きた後の01年11月12~16日(0.55%)以来となる。
前の週には米国債にマネーが逃げ込んでいた。トランプ米大統領が米国時間2日に相互関税の内容を発表。想定を大きく上回る関税率で、リスク資産を売る動きが拡大し、その受け皿となった。
ところが週明けの7日から流れが反転。ヘッジファンドなどによる現金確保の売りが米国債に殺到した。3年債入札が不調だったことも不安に拍車をかけた。中国が売っているのではという臆測も飛び交った。
世界で流動性が最も高い資産の一つである米国債の利回りは、あらゆる金融商品に投資する際の「物差し」となる。ここが揺らぐと金融商品の価値評価が難しくなる。その米国債が崩れたインパクトは計り知れない。
ソシエテ・ジェネラル証券の斎藤勉マルチアセットストラテジストは「米国債が『安全資産』でなくなれば、米国株を持つリスクは高まる。株と債券が同時安という22年の悪夢が市場によみがえった」とみる。債券市場をにらみながら株式相場も世界的に乱高下した。
米ダウ工業株30種平均は9日に最大の上げ幅(2962ドル高)を記録。日経平均株価は7日に過去3番目の下げ幅(2644円安)、8日(1876円高)と10日(2894円高)はそれぞれ歴代5位と2位の上げ幅となった。
ダウ平均は週間で5%高と3週間ぶりに上昇し、日経平均も0.6%安にとどまった。だが株式市場が平静を取り戻したとみる関係者はいない。
基軸通貨であるドルにも売りが拡大。ドルの総合的な強さを示すドル指数は11日に一時、100の節目を下回り約3年ぶりの低水準に沈んだ。
一方、米国債と双璧をなす「安全資産」の金には買いが殺到した。国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は11日に一時1トロイオンス3263ドルと最高値を付けた。週間値幅は209.2ドルとこちらも過去最大だった。
マネーが大量に流れ込んだのは、米国債に売りが波及し始めてからだ。「政治リスクを背負わない無国籍の資産である金にマネーが集中した」(楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリスト)という。
トランプ氏は9日、同日発動したばかりの相互関税上乗せ分を中国を除き90日間停止すると発表した。国債価格の急落にヘッジファンド出身のベッセント財務長官が危機感を募らせ、関税の一時停止の決定に大きく関わったとされる。
ただ、金融市場の動揺はすでに実体経済にも影を落とし始めている。
米JPモルガンは米国と世界全体が景気後退に陥る可能性が6割とする予想を、停止措置を踏まえても維持した。「政策の混乱に加えて株式相場の大幅下落と心理悪化を踏まえると、米景気の後退回避を想定するのは依然として困難」とみる。
高関税はグローバル貿易を停滞させかねない。ばら積み船の用船料を総合的に表す「バルチック海運指数」は週間で14%急落した。主に鉄鉱石や石炭を運ぶ大型船の用船料が中国の景気不安から弱含んでいる。
トランプデータサービスの海老原良社長は「中国の鉄鉱石需要に対する警戒感が強まり市場が悲観に傾いている」と話す。原油や天然ガスの価格が大幅安になる場面もあった。
今後は企業活動への影響度合いが焦点となる。今後本格化する決算発表の内容や経営者の発言が投資家心理をさらに冷やすようなら、世界の市場の緊張感が再び強まる展開もありそうだ。
(今堀祥和、ニューヨーク=竹内弘文)
関税対策、中小支援急ぐ 都道府県7割が相談窓口 鳥取は融資枠[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1428文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権による関税措置を受け、各都道府県が中小企業への支援を急いでいる。11日までに都道府県の7割以上が専用の相談窓口を開設した。鳥取県は緊急融資の特別枠を設け、群馬県は地域の金融機関などと対策の協議を始めた。
米政権は9日に発動した相互関税の上乗せ分について日本を含む一部の国・地域は90日間一時停止したが、自動車や鉄鋼・アルミの25%の追加関税は維持している。米中の報復合戦が過熱するなど、先行きの不透明感は深まっている。
企業の収益力は規模に比例する傾向がある。財務省の法人企業統計によると、資本金10億円以上の企業の売上高経常利益率は2023年度に10%を超えた。1億円未満の企業は3%台で、利益率が低いほどコスト吸収力は乏しい。
今後、大企業を中心に部品の納入計画の見直しや、生産の一部の米国移管といった対応が広がることも想定される。中小企業が急激な経営環境の変化に対応するのは容易ではなく、政策的な支援が重要となる。
日経新聞のまとめによると、47都道府県のうち少なくとも34自治体が米関税向けの窓口を開設した。地域の事情がわかる職員が資金繰りなどの相談に乗り、自前の支援メニューや支援元となる金融機関を紹介する。
専用の窓口がなくても、支援機関を紹介したり、既存の中小企業支援窓口で相談を受け付けたりする自治体もある。
鳥取県は県内の事業者を支援するため、総額30億円の緊急融資枠を設け、7日から受け付けを始めた。融資利率は1.5%、融資期間は10年以内で、市町村と協調して最大3年間は無利子にする考えも示した。
同県には変速機など部品メーカーが多く、平井伸治知事は「県内の自動車産業への影響は必至」と見る。8日には県内の商工団体や金融機関と対応を協議し、連携を強化する方針を確認した。
山口県は中小企業向けの制度融資の対象に、米国の関税措置で経営の安定性に支障が生じる事業者を加えた。8000万円を上限として、運転資金や設備資金を低金利で融資する。
各都道府県が支援の中心と見据えるのは製造業だ。輸送用機械の生産拠点が集積する群馬県は、太田市や県内金融機関などで構成する対策会議を9日に発足した。情報共有のあり方や支援策について今後も協議する。
広島県では、米国を主力市場とするマツダや部品メーカーが10日に経済産業省の加藤明良政務官の視察を受けた。同県の24年の対米輸出額は約6500億円で、輸出全体の約2割を占める。
シートメーカー、デルタ工業(広島県府中町)の藤田健社長は「弊社は自動車向けが100%でマツダとの取引は93%だ。関税は経営に非常に大きく影響する」と警戒する。湯崎英彦・広島県知事は「制度融資を紹介するなどし(県内企業を)支援していく」と話す。
製造業以外に目を向ける自治体もある。岐阜県や三重県は中小企業に加え、農業者向けの相談窓口を設けた。ブランド牛「飛騨牛」を米国に輸出する岐阜県は農業経営課が相談に応じる。酪農関係者からの問い合わせはまだないというが「いつでも対応できるように」(同課)と身構える。
中小企業白書によると、21年の全国の企業に占める中小企業の割合は99.7%。20以上の県では99.9%と、地場産業の大部分を担う。
人手不足や原材料費の高騰で多くの中小企業の経営基盤は揺らいでいる。資金支援時の精査は必要だが、トランプ政権が起こす荒波から地域経済を守るため、官民挙げての対策が急務となる。
米関税、市場揺れた1週間――中国、関税125%発動 対米報復、他の手段も示唆[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 3ページ 633文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国政府は12日、米国からの輸入品に課す追加関税を84%から125%に引き上げた。米国が中国への相互関税を125%に上げたことへの報復措置だ。中国は今後の関税の引き上げ競争には付き合わない姿勢を示すが、関税以外の手段で対抗する可能性がある。
中国商務省は11日の報道官談話で「米国が中国に課す高い関税は数字のゲームで、経済的な意味はない」と明言した。米国が再び上乗せしたとしても関税を上げない考えだ。同時に「中国の利益を侵害し続けるなら断固対抗する」とも指摘し、関税以外の対抗措置をとることを示唆した。
中国の王文濤商務相は11日に世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長とオンライン協議した。王氏は米国の相互関税はWTO規則に違反していると強調した。オコンジョイウェアラ氏はWTOの枠組みの下で対話と協力による解決の重要性を説いた。
中国は9日、34%としていた報復関税を84%に引き上げると発表した。米国が中国への相互関税を84%に上げたことに対抗した。米国が再び相互関税を引き上げて125%にしたことから、中国も同じ税率にするためにさらに41%を上乗せすると発表していた。
米国は2~3月に合成麻薬の密輸を理由に、中国からの輸入品に計20%の追加関税を発動済みだ。125%の相互関税と合わせて累計で145%になる。中国も2~3月の対中追加関税への対抗措置として、米国から輸入する農産物などに最大15%の追加関税を導入している。
次期駐日米大使「とても楽観的」 17日から関税交渉[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 3ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】ジョージ・グラス次期駐日米大使は11日、ワシントンの日本大使公邸で開かれた会合に出席した。17日に始まる日米の関税交渉を念頭に「数週間の間に話し合うべきことがたくさんある。十分に準備できているし、とても楽観的だ」と述べた。
米連邦議会上院は8日、グラス氏の駐日大使人事を承認した。グラス氏は日本政府関係者らを前に「最も大切なのは友情で、この関係は非常に古く、親密だ」と強調した。
上院の承認公聴会でグラス氏は対日貿易赤字の削減に向け「厳しい交渉」に臨むと表明した。農産品の輸出拡大に自信を示す。中国には強硬姿勢を隠さない。
大阪・関西万博 国内開催、20年ぶり6回目(きょうのことば)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 3ページ 508文字 PDF有 書誌情報]
▽…大阪市内の人工島、夢洲(ゆめしま)で4月13日から10月13日に開催する。日本での大規模万博は2005年の愛知以来20年ぶり6回目。過去最多158カ国・地域が参加する。半年間の会期中に国内外から計2820万人の来場を見込み、うち350万人をインバウンド(訪日外国人)と想定する。
▽…東京五輪・パラリンピック後の景気刺激策と位置づけ、政府が17年4月に誘致を決定した。大阪府・市や経済界などと「オールジャパン体制」で誘致活動を展開し、18年11月の博覧会国際事務局(BIE)総会で、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)を投票でやぶって開催を決めた。当初は会場建設費を1250億円と見込んでいたが、資材高や労務費の上昇などで2度にわたり増額。最大2350億円にふくらんだ。
▽…テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。開催地の大阪府は「人類の健康・長寿への挑戦」を提案したが、若者や幅広い国などの関心を呼ぶため、より広い内容を包含できるテーマとした。参加国や企業、自治体などが出展する84館のパビリオンが立ち並ぶ会場では、空飛ぶクルマや再生医療、人工知能(AI)、環境分野などの先端技術を発信する。
医療費削減、なお薬価頼み 自公と維新は同床異夢 「4兆円念頭に」ハードル高く[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1619文字 PDF有 書誌情報]
自民、公明両党と日本維新の会は社会保険料を引き下げるための議論を本格化させる。医療費4兆円削減の目標を念頭に置く。政府・与党の歳出改革はこれまで薬の公定価格改定に頼ってきた。維新では薬価の過度な引き下げに慎重な意見も上がり、混乱含みの協議になる。
「社会保険料を下げられる観点からすると、毎年の改定にも理がある」。維新の前原誠司共同代表は10日の記者会見で語った。毎年の薬価改定をかつてのように原則2年ごとに戻す法案に反対する可能性に触れた。
9日は賛成を示唆していた。党内から社会保険料の引き下げをめざす党の考えに逆行するといった異論が噴出し、一夜で対応を修正した。吉村洋文代表も「しっかり考えてやってほしい」と注文をつけていた。
同法案は立憲民主党と国民民主党が提出している。自民党が維新に「野党側につくなら3党協議に影響が出る」と警告し、前原氏は「暴言だ。絶対に許せない」と反発していた。
薬価改定は市場の実態との差を縮小するため引き下げる方向になる。医療費削減に役立つため、維新も推進を求める声が多い。前原氏が揺れたのは野党との連携という政局の思惑もあった。維新の迷走は社会保障改革の方針が定まらない裏返しでもある。
自公維3党は2月、社保改革や教育無償化で合意した。維新は代わりに25年度予算に賛成した。
社保改革は現役世代の負担を軽減するための社会保険料の引き下げが狙いだ。3党は3月27日に実務者協議の初会合を開き、来週にも本格議論に入る。
可能なものは2026年度に始める。まず政府が今夏まとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)への反映を目指す。
具体的には(1)市販薬と効果やリスクが似る「OTC類似薬」を公的医療保険の適用から外す(2)資産を持つ高齢者を念頭に応能負担を徹底(3)電子カルテ普及など医療のデジタル化(4)医療・介護を産業として成長させる――と例示した。
維新は国民医療費の総額を年間で最低4兆円削減し、現役世代1人あたりの社会保険料負担を年間6万円引き下げる目標を掲げる。3党の合意書には「念頭に置く」と記述した。少数与党の自公は維新の協力を得るため受け入れざるを得なかった。
国民医療費は22年度におよそ47兆円となり毎年増加している。4兆円の削減はハードルが高い。自民党の実務者の一人は「維新のいう数字の根拠がわからない」とぼやく。
政府・与党はすでに少子化対策の財源を捻出するため社保改革に着手している。23年度から28年度にかけて歳出改革などで1兆円の実質的な社会保険負担の軽減効果が生じると説明する。
25年度までの3年間で5000億円ほど積み上げた。ほとんどが薬価改定によるものだ。
自公維3党の協議でも先行するのはOTC類似薬の扱い見直しだ。
維新の猪瀬直樹参院幹事長は8日の参院厚生労働委員会で、成分と含有量が同じOTC薬がある類似薬を保険適用外とすることで少なくとも1370億円を削減できると提起した。
薬価の抑制にも限界がある。淑徳大学の結城康博教授は「開発に資金がかかる創薬は輸出産業になる可能性がある。薬価を下げすぎると開発のインセンティブが下がるため、総合的に判断すべきだ」と話す。
医療費の削減は幅広いメニューを組み合わせる必要がある。例えば、マイナンバーで受診記録を管理できれば多重の服薬を避けられる。
医療費の窓口負担は一定の所得がある場合を除き、75歳以上は原則1割に抑えている。現役世代と同じ3割負担の対象を広げるのもひとつの案だ。自民党内には「所得が低くても、資産を持つ高齢者には支払い能力がある」との声が出る。
いずれも自民党と関係が深い日本医師会などが反発する可能性が高い。城西大学の伊関友伸教授は「どの分野もいきなり削減するとハレーションが大きいので、丁寧な合意形成が必要になる」と指摘する。
【図・写真】維新の党内でも意見が割れる(前原共同代表)
米イラン、核問題を協議 トランプ政権、決裂なら武力行使示唆[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1111文字 PDF有 書誌情報]
【テヘラン=福冨隼太郎】米国とイランは12日、中東オマーンでイランの核問題をめぐる高官協議を開いた。トランプ米政権は決裂すればイランが「深刻な危機に陥る」と警告し、武力行使も示唆する。イランの核施設攻撃を主張するイスラエルにも口実を与えかねない。
米ニュースサイトのアクシオスは10日、イランがウラン濃縮活動の一部停止や保有する濃縮ウランの希釈を提案する方針だと伝えた。引き換えに厳しい経済制裁を科す米国の「最大限の圧力」の停止を求めるという。
米国はウィットコフ中東担当特使が、イランはアラグチ外相がそれぞれ交渉団を率いる。米側は「直接協議」だと主張するが、イラン側はあくまでオマーンを介した「間接的なもの」とする立場を崩していない。
イランは2015年、核開発を制限する見返りに米欧の対イラン制裁を緩和する核合意を米国や欧州などと結んだ。18年に第1次トランプ政権の米国が核合意から一方的に離脱して制裁を再開した。これに反発したイランはウラン濃縮などの核開発を進めた。
イランは核開発は「平和目的」だと主張し、核兵器保有の意図は否定する。ただ、国際原子力機関(IAEA)によると同国は濃縮度60%のウランを274.8キロ保有する。核合意で定められた上限の3.67%を大幅に超え、さらに濃縮を進めれば核爆弾6発分に相当する量に達する。
トランプ大統領は「イランは核兵器を持つことはできない」と主張。政権内には核開発計画そのものの完全放棄を求める声もある。イランのペゼシュキアン大統領は10日の演説で、これまでの核開発で得た技術を放棄しない姿勢を示している。
トランプ氏は3月、イランの最高指導者ハメネイ師に宛てた書簡で交渉を呼びかけた。これまでに新たな「核和平協定」を結ぶ考えを示し、取引を模索する。ウィットコフ氏は今回の協議に先立ち、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに核兵器保有を阻止するには米側の譲歩も必要だとの考えを示した。
一方、イランは長期化する経済制裁の影響で3~4割程度の高インフレに見舞われるなど国民生活の困窮が続く。不満は高まっており、経済の立て直しには制裁解除が欠かせない。協議を通じて米側の出方を見極める考えとみられる。
イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ政権は、イランの核施設攻撃を主張してきた。地下深くに存在するとされるイランの核施設にダメージを与えるには後ろ盾となる米国の協力が必要だ。
トランプ氏は9日、イランとの協議が決裂した場合「必要なら軍事力を行使する」と語った。「イスラエルが深く関与する」とも言及した。交渉の行方次第では、イスラエルを巻き込んだ緊張が高まるおそれもある。
英、最後の高炉存続へ 米関税受け国管理の法案 買収した中国社が閉鎖方針[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 487文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=江渕智弘】英議会下院は12日、中国企業傘下の鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールに英国最後の高炉を存続させる緊急法案を可決した。英政府が操業を管理し、国有化も検討する。トランプ米政権の鉄鋼関税で閉鎖に傾く企業への国家介入となる。
英東部スカンソープの高炉2基を存続させる。法案は政府に製鉄所への強制的な立ち入りや原材料発注の権限を与える。政府が12日に提出し、イースター(復活祭)休暇中だった議会が急きょ招集された。上院でも可決の見通し。月内にも国有化の法案を別途提出するとの見方がある。
旧国営のブリティッシュ・スチールは2019年に経営破綻し、20年に中国の鉄鋼メーカー敬業集団が買収した。敬業は12億ポンド(約2200億円)以上を投じたものの、生産コストの増大や厳しい環境規制などで毎日70万ポンドの損失が出ていると説明する。
トランプ政権による25%の鉄鋼関税の発動が追い打ちとなり、3月末に高炉を閉鎖する方針を表明した。英政府は環境配慮型の生産に移行するための5億ポンドの支援や原料炭の購入などを提案したが、敬業は「持続可能でない」として翻意しなかった。
消費減税要求を枝野氏が批判 「別の党つくって」[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党の枝野幸男元代表は12日、さいたま市内で講演し、党内で消費税減税を求める意見が相次いでいることを批判した。「減税したい人は諦めてもらうか別の党をつくってほしい」と述べた。
枝野氏は「ポピュリズムに走らない。減税と言っても票になるわけない。立民はぶれてはいけない」と強調した。
中谷防衛相、サウジ国防相と会談 今月下旬にも[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 86文字 PDF有 書誌情報]
中谷元防衛相は4月下旬にも来日するサウジアラビアのハリド国防相と会談する方針だ。サウジは日本、英国、イタリアが共同開発する次期戦闘機のプロジェクトへの参画を検討している。
日米同盟は消滅しないか(風見鶏)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1435文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博の隠れたテーマの一つに、グローバルサウスへの関与がある。各国が日替わりでイベントを集中的に実施する「ナショナルデー」では、参加するおよそ160カ国・地域が自国をPRする。首脳や閣僚がこれにあわせて来日するケースが少なくない。
14日がナショナルデーの中央アジア・トルクメニスタンの大統領を皮切りに、開幕の週に太平洋島しょ国トンガの外務・国防相を兼ねる皇太子、中米カリブ海グレナダの外相が来る。石破茂首相は「重要な外交機会として活用してほしい」と指示を飛ばす。
政府はとりわけ新興・途上国との関係を強める好機とみる。これらの国は国際博覧会に参加した経験やノウハウに乏しい。国際協力機構(JICA)を通じて企画の内容や展示物、デザインの相談に乗り、八十数カ国が出展にこぎ着けた。
東南アジア諸国連合(ASEAN)など7カ国からは研修生を受け入れる。国際イベントを主催する人材の養成を手助けする。
途上国にしてみれば、こうした万博の光景は隔世の感があるかもしれない。万博の起源は19世紀半ば、帝国主義国家が植民地から奪った戦利品をみせる見本市にさかのぼる。植民地の人間を連行し、その生活ぶりを見せ物にするような非人道的な例も目立った。
最近の万博で国家間の対立が顕著に表れるようなことはなかったが、今回はウクライナを侵略するロシアと同盟国ベラルーシが参加を見送った。トランプ米大統領の復権も相まって、大国が力を頼みに振る舞う時代へと逆行しつつある。
バンス副大統領の演説にみるまでもなく、トランプ政権が欧州をみる視線は厳しい。「同盟国を相手に、ここまでやるとはなあ」。欧州への苛烈な態度を目の当たりにした首相は、こんな感想を周辺に漏らした。
トランプ氏による関税の発動方針を聞いたときも、首相は似たような思いを抱いたにちがいない。「日本も免れないことはある時点で覚悟していたが、想像を超えていた」。米政府が公表した日本への24%の相互関税率の衝撃を周囲にこう語っている。
トランプ政権の発足から間もなくして日米とオーストラリア、インドの「Quad(クアッド)」外相会合を開き、日米首脳会談も無難に終わった。日本は優遇されるとの淡い期待が日本政府にあった。
理由の一つは、トランプ政権にとって対中国抑止に日本の協力が欠かせないとみた点にある。裏返せば「米国がいずれ中国を脅威とみなさなくなり、日米同盟が消滅または形骸化する可能性は否定できない」。中央大の玉置敦彦教授は現時点で確率は低いとしつつもこんな見立てを示す。
国際秩序に安定を取り戻すためには、日米同盟の不断の強化が必要だ。それでも、トランプ氏の4年をやり過ごせば米国第一の外交が終わる保証はない。そうであれば同盟の深化と並行し、米国の動きに振り回されないよう日本の自律性も高めるのが得策だ。
米国と貿易交渉に臨む石破政権には、防衛装備品やエネルギーを追加購入する案が浮かぶ。一時的にトランプ氏の歓心を買う効果はあっても、日本の自律性を向上させることにつながるとは言いがたい。
玉置氏は一案として、欧州や豪州、韓国といった米国以外の国々と協力を深めて防衛産業の基盤を強くしたり、サプライチェーン(供給網)を拡充したりすることをあげる。
世界が弱肉強食というニューノーマル(新常態)の様相をみせつつある今年は戦後80年の節目でもある。「万博外交」とあわせ、日本外交を問い直す契機になる。(編集委員 永沢毅)
4月12日(首相官邸)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 5ページ 405文字 PDF有 書誌情報]
▽10時15分 公邸発。56分 羽田空港。
▽12時12分 全日空21便で伊丹空港。59分 大阪市此花区の大阪・関西万博会場。
▽13時 控室で秋篠宮ご夫妻にあいさつ。35分 「EXPOホール シャインハット」の玄関で天皇、皇后両陛下出迎え。
▽14時2分 「EXPOホール シャインハット」で万博開会式。
▽15時33分 ホール玄関で天皇、皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻を見送り。45分 大阪ヘルスケアパビリオンで「ミライ人間洗濯機」などを視察。
▽17時22分 同市中央区のホテルニューオータニ大阪。36分 レストラン「リバーテラス」でテーマ館プロデューサーの宮田裕章慶応大医学部教授らと面会。
▽18時10分 「リバーテラス」でケルケンツェス博覧会国際事務局長と面会。59分 宴会場「鳳凰」で「2025年国際博覧会レセプション」。
▽20時35分 神戸市中央区のホテルオークラ神戸。中国料理店「桃花林」で秘書官と食事。宿泊。
16日 中国1~3月GDP発表、米関税が下振れリスク(NewsForecast)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1480文字 PDF有 書誌情報]
中国国家統計局は16日に2025年1~3月の国内総生産(GDP)を発表する。物価の変動を調整した実質で前年同期比の増加率は5%程度になる見通しだ。生産や投資が景気を底上げするものの、不動産不況による内需不足のほか、トランプ米政権による追加関税に起因する外需縮小が下振れリスクとなる。
日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、1~3月の実質GDPの予測平均値は前年同期比5・0%増となった。伸び率は24年10~12月の5・4%から縮小すると見込む。
25年に入ってからの中国経済をみると、1~2月の固定資産投資は前年同期比で4・1%増えた。伸び率は24年通年の3・2%より大きかった。特に国有企業が恩恵を受けやすいインフラ投資は5・6%増と伸びが目立つ。
1~2月の工業生産は5・9%増と伸びは24年12月の6・2%から鈍化した。電気自動車(EV)を含む新エネルギー車や3Dプリンター設備といった主要産品は堅調に推移しており、2月上旬の春節(旧正月)休暇明けから生産を加速した可能性はある。
消費は伸び悩む。不動産不況に伴う内需不足が長引いているからだ。1~2月の消費動向を示す小売売上高は4・0%増だった。伸び率は24年12月の3・7%から広がったものの、家計は節約志向を強めたままだ。
足元で好調な企業の景況感は回復持続が見通しにくい。
国家統計局によると3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2カ月連続で好調・不調の境目である50を上回った。回答企業の6割超が需要不足が問題だと訴えている。国務院発展研究センターの張立群研究員は「景気の基盤は不安定なままだ」と指摘する。
不動産不況の出口は見えない。1~2月の新築住宅販売面積は前年同期を3・4%下回った。販売不振で価格低下は続き、2月の主要70都市の新築住宅価格は単純平均で前月より0・1%低かった。23年6月からマイナスが続く。
景気の下押しリスクとなるのが米中貿易戦争だ。米国は3月までに中国からの輸入品に20%の追加関税を課した。中国も米国産の農産物などに最大15%の報復関税を発動した。中国にとって米国は最大の輸出相手国で、外需の縮小は景気の悪化につながりかねない。
14日には中国税関総署が3月の貿易統計を公表する。2月の輸出額(ドル建て)は前年同月比で3%減り、24年3月以来のマイナスに転じた。米追加関税が一因とみられ、3月もマイナスが続く可能性がある。
24年のGDPは前年比5・0%増と、政府が実質経済成長率の目標とした「5%前後」を達成した。25年も5%前後を目標とする。米国は中国に11日時点で累計145%の追加関税を発動しており、景気のけん引役だった輸出が低迷すれば目標達成は危うくなる。
アジア開発銀行(ADB)は25年の中国の成長率を4・7%と試算し、5%を下回るとみている。米国による相互関税の影響は含まない前提のため、4月以降はさらなる下振れも予想される。
3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で公表した政府活動報告で、経済成長率の目標に関し「達成は容易でなく多大な努力を払う必要がある」と記し、景気失速への危機感をにじませた。
習近平(シー・ジンピン)指導部は25年に一段の財政出動と金融緩和の深掘りを通じ、需要不足の解消や貿易摩擦に伴う景気下押し圧力に対応する方針だ。1~3月のGDPはその行方を占うものとなる。(北京=塩崎健太郎)
【図・写真】米中双方による激しい関税引き上げ競争が続く(中国深の貿易港)=ロイター
日米交渉、為替が難所に 日銀の利上げ路線(Views先読み)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 1151文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の関税ショックで日銀が景気シナリオの見直しを迫られている。経済成長率の下方修正は確実だが、金融政策の正常化という大方針は堅持する方向だ。米国との関税交渉で円安是正が焦点となる可能性が浮上したからだ。
30日から5月1日に開く次の金融政策決定会合。関税ショックが吹き荒れ、市場の利上げ観測は雲散霧消した。焦点は経済・物価情勢の展望(展望リポート)の先行き見通しと次の利上げへの距離感となる。
関税リスクを適切に織り込むのが大事な半面、利上げ封印の印象が強すぎると円安を目の敵にするトランプ氏を刺激しかねない。問題の当事者という側面が絡み、微妙なさじ加減が日銀には求められる。
「今般の自動車関税、相互関税の導入によって内外の経済・物価を巡る不確実性は高まった」。日銀の植田和男総裁は4日の国会答弁でこう述べ、「様々な経路を通じて世界経済とわが国の経済を下押しする方向に働く」と警戒した。
バークレイズ証券の馬場直彦チーフ・エコノミストは、日銀が今回、2025年度の成長率見通しを1・1%から0・5%前後に引き下げるとみる。
日銀が経済の実力(潜在成長率)とみるのも0・5%程度。馬場氏は「金融政策の正常化路線は維持する」と読み、「これ以上の下方修正はしにくい」と指摘する。下方修正があまりに急激だと、利上げ路線自体を凍結するとのメッセージにもみえてしまう。
そもそも利上げの旗を降ろせないのはなぜか。まず明確な物価の下振れを見通しにくい点が挙げられる。
植田氏は国会で国内物価について「上下、様々なメカニズムが考えられるので現時点では一概に評価できない」と解説した。景気下振れは押し下げ要因だが、高関税への対応で世界のサプライチェーン(供給網)が混乱すると企業のコストがかさみ、値上げ圧力が働く可能性もある。
さらに複雑な問題がある。日米の関税交渉で為替問題がカードに浮上しつつあることだ。
米政権で対日交渉を主導することになったベッセント財務長官は非関税障壁や政府補助金に加え、為替問題も取り上げる考えを示した。仮に日米の通貨当局が円安是正で一致し、実際に円相場が上向けば日銀の金融政策には余裕ができる。円安による物価上振れ懸念が和らぐからだ。
だが首尾よくいかず米国の関心が金融政策に向かうようなら話は変わる。日銀の利上げこそ円安是正の決め手と思われかねない。
関税で景気の下振れリスクに直面し、現実問題として早期利上げの機運は後退した。その関税の是正に向けた交渉のため、利上げ方針は掲げ続けないといけない。その分、市場との対話も複雑になる。日銀は極めて微妙な政策のかじ取りを求められる局面に入った。
(編集委員 大塚節雄)
【図・写真】衆院財務金融委で答弁する日銀の植田総裁(4日)
4月13日―4月18日(今週の予定)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 637文字 PDF有 書誌情報]
■13日(日)
○EXPO2025 大阪・関西万博が開幕(10月13日まで)
○松江、富山市長選告示(20日投開票)
○競馬 桜花賞(阪神競馬場)
○香港民主派最大政党の民主党が解散議決へ党員大会
○中国国際消費品博覧会が開幕(海南省海口市、18日まで)
■14日(月)
○2月期決算=高島屋、J・フロントリテイリング、ドトール・日レスホールディングス、松竹、東宝
○24年6月~2月期決算=パソナグループ
○24年10月時点の日本の人口推計(総務省)
○熊本地震から9年(本震は16日)
○米連邦取引委員会(FTC)による米メタの反トラスト法違反審理
○欧州連合(EU)外相会合
○3月の中国貿易統計
○1~3月期のシンガポール国内総生産(GDP)
■15日(火)
○国際エネルギー機関(IEA)の4月石油市場リポート
○中国最大級の貿易商談会「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」
■16日(水)
○森田日証協会長会見
○ニューヨーク国際自動車ショー(報道公開は17日まで、一般公開は18~27日)
○3月の米小売売上高
○3月の英消費者物価指数
○1~3月期の中国GDP
■17日(木)
○中川日銀審議委員が金融経済懇談会であいさつ(前橋市)
○3月期決算=ディスコ
○3月の米住宅着工件数
○欧州中央銀行(ECB)理事会(フランクフルト)
○トルコ中央銀行金融政策決定会合
■18日(金)
○永島生保協会長会見
○インドネシア・バンドンでの「アジア・アフリカ会議(AA会議)」開催から70年
○聖金曜日で米欧市場など休場
高知銀行の次期頭取 河合祐子氏、日銀・外資経験生かす(このヒト)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 490文字 PDF有 書誌情報]
高知銀行の頭取に6月就任する。地銀トップに女性が就くのは初めてだ。外資系金融機関や日銀での経験を生かしデジタル化などを推進する。
大学卒業後、外資系金融機関に入り米国でも勤務した。その後、日銀に入行しFinTechセンター長や欧州統括役兼ロンドン事務所長を歴任した。フィンテック企業の最高経営責任者(CEO)も務めた異色の経歴の持ち主だ。
高知県との出会いは2014~16年の日銀高知支店長時代。宴席などに積極的に顔を出し、政財界に限らず友人を増やした。風土や県民の人柄を愛し「いつか高知に貢献したい」と話した。
その姿勢に高知銀の森下勝彦会長らが注目した。支店を離れてからも親交が続いていたが、23年に副頭取に招かれた。
同行ではデジタル化などを指揮。「金融環境の変化は早い。当行にない目線、知見が必要と感じた」(森下会長)と、さらなる進化を託された。
「女性初の頭取」への受け止めを聞かれると「そういう質問が早くなくなるといいなと思っている」と淡々と切り返した。人口減が進む高知県だが「思い切った改革をするには小規模の方がいい」。力まず成果を目指す。
(高知支局長 冨田龍一)
日本語でFT(NIKKEI FT the Worldから)(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 361文字 PDF有 書誌情報]
(1)軽率なトランプ関税、責任は米共和党に(7日)
(2)グローバル化の巻き戻し狙うトランプ氏の関税攻勢(上)(8日)
(3)トランプ関税 アクセサリー、バッグ、ビールも餌食に(5日)
(4)氾濫する「ジブリ風」画像、AIの限界も浮き彫りに(4日)
(5)あなたの仕事がまだAIに奪われていない理由(7日)
(6)トランプ氏が壊した同盟関係、修復困難に(社説)(8日)
(7)米国版「文革」にほくそ笑む中国 マーティン・ウルフ(7日)
(8)トランプ氏まるでマフィアのボス ギデオン・ラックマン(9日)
(9)トランプ関税を裏付ける「地経学」 ジリアン・テット(8日)
(10)米電力相次ぎ値上げへ、トランプ氏の公約に打撃(7日)
スマートフォンでQRコードを読み込むと「NIKKEI FT the World」の申し込みサイトに移ります。
日経電子版(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 6ページ 346文字 PDF有 書誌情報]
(1)米政権、関税計算で代入ミスか 実際の税率は「4分の1」(8日)
(2)米相互関税、上乗せ部分90日停止 対中国は125%発動(10日)
(3)米相互関税第2弾発動 日本24%、中国は累計104%に(9日)
(4)日経平均2644円安、終値3万1136円 世界経済減速に警戒(7日)
(5)マスク氏、大統領顧問と罵り合い 高関税に反対し衝突(9日)
(6)NYダウ急落、2231ドル安 関税応酬で史上3番目下げ幅(4日)
(7)トランプ関税、日米欧株500兆円消失 コロナ以来の衝撃(4日)
(8)NYダウ乱高下、一時1700ドル超下げ→終値は349ドル安(7日)
(9)米関税停止、背景に米国債売り 「金融戦争」市場が警戒(10日)
(10)ホンダ、青山真二副社長が辞任 「懇親の場で不適切行為」(7日)
ミネベアミツミ 挑む7割増収、芝浦電子買収に名乗り、「東のM&A巧者」貝沼流[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1646文字 PDF有 書誌情報]
ミネベアミツミが芝浦電子の買収に名乗りを上げた。率いるのが数々の買収を手掛けてきた貝沼由久会長最高経営責任者(CEO)だ。2009年のトップ就任以来、連結売上高は約7倍に増えた。買収企業の間で機械部品と電子部品の融合を進め、現在の7割増の売上高2兆5000億円に向けてアクセルを踏む。
「西の永守・東の貝沼」。京都に本社を置くニデックの永守重信グローバルグループ代表と並ぶ買収巧者として、東京が地盤の貝沼氏をこう評する市場関係者は少なくない。
貝沼氏は09年の社長就任後、ニッチな製品を持つ機械部品や電子部品を手がける企業を相次いでM&A(合併・買収)してきた。その数は28件に上る。貝沼氏は、買収する企業を選ぶ基準について「他社にはまねできない相乗効果で新たな付加価値を生む『相合(そうごう)』が条件だ」と語る。
代表例が17年のミツミ電機との経営統合だ。超小型ベアリング(軸受け)製造のミネベアと電子部品製造のミツミ電機が統合してミネベアミツミが発足した。機械と電機の相乗効果が生まれれば「全く新しい製品がつくれる」と貝沼氏がミツミ電機にほれ込んだ。
ミツミ電機は通信技術を得意としていた。ミネベアは当時、照明器具で人の動きを追尾し適切な明るさを演出する機能の開発に苦戦した。ミツミ電機と統合後、同社から「うちに任せてください」と即座に開発ノウハウを提供してもらった。
ミネベアミツミの製品群は自動車や航空機、家電など幅広い企業に採用されている。近年のM&Aで力を入れるのが自動車分野だ。19年にマツダ向けを中心にドア部品などを製造するユーシン、23年はホンダ子会社の部品メーカーだったホンダロック(現ミネベアアクセスソリューションズ)を買収した。
互いの顧客を紹介する営業面の相乗効果が期待でき、完成車メーカーの1次取引先として規模も拡大できる。開発面では、従来の機械部品の技術と生体認証技術を組み合わせ、自動で開閉する車ドアなどの開発を始めた。
M&Aで広がった製品群のうち主力部品を貝沼氏は8本の「槍(やり)」と例える。ベアリング、アナログ半導体、モーターなどの8つで、番付という形式で優先順位を公開している。今回買収を狙う芝浦電子は、番付5番目のセンサーに入る。
芝浦電子が手がけるサーミスタと呼ばれる温度センサーはモーターの制御に欠かせず、アナログ半導体との組み合わせも必須だ。ミネベアミツミの8本槍とのシナジーが大きい。電気自動車(EV)などで需要が高まっており、顧客との親和性も高い。
25年3月期の連結業績は売上高(国際会計基準)が1兆5000億円、営業利益が930億円を見込む。貝沼氏が経営トップとなった初年度(10年3月期)と比べると、売上高は6・6倍、営業利益は7・7倍にそれぞれ膨らんだ。
売上高と利益をバランスよく伸ばしたのは貝沼氏の徹底した現場主義による部分も大きい。現場に頻繁に足を運び、気づきがあれば指示を飛ばす。
「これがミネベアミツミ流だと実感しましたよ」。傘下となった車部品メーカーのある工場幹部はこう述べる。子会社化した企業の工場で余剰スペースが見つかれば、生産性を高めるライン再編などに即座に取り組ませる。「大きな目標達成には小さいことの積み上げが不可欠だ」(貝沼氏)との思いが強い。
貝沼氏は29年3月期に連結売上高を2兆5000億円、営業利益を2500億円とする目標を掲げる。芝浦電子の売上高は330億円規模のため、買収が実現しても売上高の積み上げ効果は大きくない。残り4年間で1兆円積み上げる必要があり、さらなる連続買収を重ねる可能性は高い。
トランプ米大統領の関税政策や米中対立などで経営環境は不透明さを増している。中国や東南アジアに多くの拠点を持つミネベアミツミへの影響は避けられない。地政学をにらみながらどのように8本槍を磨いていくか、貝沼氏の目利き力がこれまで以上に問われることになる。
【図・写真】貝沼氏はM&A巧者として知られる
業界再編呼ぶ村上マネー、よぎるコスモHD、あおぞら銀…、フジ・メディアHDの行く末は[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1586文字 PDF有 書誌情報]
アクティビスト(物言う株主)の草分け、村上世彰氏らがフジ・メディア・ホールディングス(HD)の筆頭株主に躍り出た。狙いはいったい何か。日本有数の個人投資家として上場企業にモノ申し続けるその存在は、今や国内産業再編の着火点でもある。
フジ・メディアHDの筆頭株主になったのは村上氏の長女、野村絢氏。個人として8・96%を保有するほか、村上氏が率いる投資会社を含めると共同で11・81%を保有する。その投資総額は700億円に迫る。
数千億円を運用するとみられる村上氏らの保有銘柄のなかで、フジ・メディアHDはすでに金額ベースで最大銘柄に浮上した。
村上氏は物言う株主として2000年ごろから活動してきた。かつて「村上ファンド」と言われた四半世紀前と現在で異なるのは、資金源だ。
オリックスの支援などを得て立ち上げた村上ファンド時代は、欧米の年金や学校といった機関投資家から出資を受け、村上氏はリターンを追求するファンドマネジャーの立場だった。06年に証券取引法(現・金融商品取引法)違反容疑で逮捕され、しばらく投資の世界からは遠ざかった。
資本市場に舞い戻ってきた今の資金源はすべて村上氏の手金だ。つまり「ファンド」ではなく「ファミリーオフィス」として活動する。出資者の意向をうかがいながら投資収益やエグジットまでの期間を気にすることもない。日本でも有数の運用資金を自身の気の済むように投資できる立場に変わった。
近年、存在感を増してきたのが長女の野村絢氏だ。村上氏の薫陶を受けた絢氏が表舞台に出る回数が増え、今では投資先の訪問も含め二人三脚で行動することも多い。
村上氏らは複数名義で共同して株を取得することが多い。金融商品取引法は10%以上の株を持つ主要株主が6カ月以内に株式を反対売買して得た利益は企業側が返還を求めることができるとしている。法に抵触しないよう、一名義で主要株主になることは避けている。
投資手法も村上ファンドのころと今では変わってきている。以前は必要以上に資金をため込む企業に自社株買いや配当を求めることが多かった。
2000年前後は資本効率を意識した経営が上場企業にまだ浸透していなかったこともあろう。今も村上氏はPBR(株価純資産倍率)1倍に強いこだわりをみせ、それを下回る企業に対しては厳しい姿勢をとる。
ファンドマネジャーから個人投資家に変わった村上氏の投資で目立ってきたのが業界再編の火付け役になる事例だ。「1つの業界に会社の数が多すぎる」(村上氏)。通商産業省(現経済産業省)の官僚だった村上氏は、投資先に単なる資本効率の向上だけでなくM&A(合併・買収)を絡めた再編を求めることが多くなっている。
実際、23年には岩谷産業が村上氏らの株を買い取り、コスモエネルギーホールディングスを最終的に持ち分法適用会社にした。黒田電気、エクセル、三信電気といった半導体・電子部品商社に投資し、同業界でも再編を引き起こした。
金融界でも存在感が増している。昨年は村上氏らの保有するあおぞら銀行株を大和証券グループ本社が取得した。
今回、村上氏らはフジ・メディアHDに何を仕掛けるのか。もちろん保有する株式やサンケイビルといった不動産の含み益に対してモノ申すだろう。
最近の傾向をみると、それだけで済むだろうか。規制が厳しい放送業界は再編が起こりにくいとはいえ、過去のライブドア騒動のような事態が再燃する可能性は確実に高まったのではないか。
村上氏らのフジ・メディアHD株取得はこの半年以内のため、6月に開かれる株主総会で株主提案する権利はないとみられる。
だが、総会で議決権を行使できる3月末の保有比率は6%程度のもようだ。取締役選任議案を含め、村上氏らがフジ・メディアHDの行く末においてカギを握る存在になったのは間違いない。
(編集委員 奥貴史)
iPS心筋シート「仮承認」公算、本承認、データ集めカギ[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1100文字 PDF有 書誌情報]
大阪大発スタートアップのクオリプスがiPS細胞からつくった心筋シートの製造販売承認を厚生労働省に初めて申請した。iPS細胞の作製から20年弱を経て、初の実用化が近づいた。データの少なさから条件付きの「仮承認」となる公算が大きく、本承認にはなおハードルがある。治療効果を今後明確に示せるかが課題となる。
iPS細胞は京都大学の山中伸弥教授が2006年、世界に先駆けてマウスから作製した。07年にヒトでも作製に成功。様々な組織の細胞に変化できる万能細胞の一つだ。
クオリプスの心筋シートは同社の最高技術責任者(CTO)でもある大阪大学の澤芳樹特任教授の研究成果を活用する。8日付で申請した。iPS細胞を心筋細胞に育て、シート状にして患者の心臓の表面に貼り付ける。
細胞が心臓組織の修復や新しい血管の形成を促し、心臓の機能改善につながると考えられている。同社は心臓移植や人工心臓の活用以外に有効な治療法がない重症の心不全患者にとって新しい治療法になるとみる。国内では心臓移植を受けるまでに平均で約3年半待つ必要があるとされる。心筋シートが心臓移植を代替できれば意義は大きい。
澤特任教授らは20年、重症の心不全患者を対象に臨床試験(治験)を始め、全8例に手術を実施した。患者の状態はおおむね改善したという。
医薬品について製造販売の承認を受けるには、通常は治療効果や安全性があることを明確に示す治験データが必要になる。ただ、今回の心筋シートの治験では患者数が少なく、効果を正確に見極めるのは難しいとみられる。
このため安全性を確認した上で、効果を推定できる段階で暫定的に承認する制度が適用される可能性がある。いわゆる仮承認だ。仮承認を受けた企業は医薬品を発売した後、さらにデータを集めて効果を検証し、期限内に「本承認」を申請する。
仮承認を受けても楽観はできない。24年には本承認を得られないケースが相次いだ。まずは仮承認を目指すクオリプスの心筋シートにとっては、本承認に向けて治療実績などの十分なデータを集められるかが重要になる。
iPS医療の実用化を目指した取り組みは続く。京都大学発スタートアップのシノビ・セラピューティクス(京都市)はiPS細胞から作った免疫細胞を使うがん治療法の治験を26年末にも国内で始める。慶応義塾大学のチームは脊髄を損傷した患者にiPS細胞由来の神経のもとになる細胞を投与する臨床研究を実施し、一部の患者で症状が改善したと3月に発表した。今後多くの研究で有望な結果が出てくるかどうかがiPS医療の普及のカギになる。
【図・写真】iPS細胞から作った心筋シート=クオリプス提供
純国産の量子計算機、阪大とアルバック 万博で8月公開[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 551文字 PDF有 書誌情報]
大阪大学やアルバックなどは、日本製の部材のみを使って開発した初の純国産量子コンピューターを8月にも大阪・関西万博で公開する。阪大内の量子コンピューターを万博来場者がオンラインで体験できるようにする。日本の存在感を高められるほか、経済安全保障上の意味も大きい。
3月から阪大の豊中キャンパス(大阪府豊中市)内で量子コンピューターの組み立てと機器の調整を進めており、8月までに完成させる。今回の純国産の量子コンピューターは国の研究プロジェクト「ムーンショット」の支援で開発された。
量子コンピューターは微細な粒子「量子」の不思議な性質を利用した次世代計算機だ。複雑で大規模な問題をスーパーコンピューターより速く解ける可能性がある。電池材料や薬の開発のほか、金融などへの応用が期待されている。米IBMや米グーグルなどが実機開発で先行しているほか、欧州や中国など各国で開発競争が加速している。
量子ビットと呼ばれる計算素子の作り方によって、複数の方式の開発が進んでいる。先行しているのが絶対零度のセ氏マイナス273度に近い低温に冷却して量子ビットを作る超電導方式だ。
国産と銘打った超電導方式の量子コンピューターはこれまでもあった。計算を担う心臓部は国産だが、ほかの部分には海外製の部品や装置も使われていた。
三菱自が米出荷停止 関税で[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 369文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】三菱自動車が完成車の米国向け出荷を停止したことが分かった。米国で販売する車は全て日本などから輸入しているが、現地の販売店に対して新車の供給を当面取りやめる。トランプ米大統領が輸入自動車に25%の関税を発動したことを受けて動向を見極める。今後、日本からの輸出に影響する可能性もある。
三菱自の北米広報担当のジェレミー・バーンズ氏は11日「関税と次の政策決定の詳細が分かるまで、米国の港湾で(輸入した)車を保持している」と話し、米国に330社ある販売会社への出荷を止めていると明らかにした。日本からの輸出は停止していない。
同氏は「販売店に十分な在庫があるため、顧客への販売に影響は出ない」としているが、出荷停止が長期化すれば今後の販売に影響する可能性がある。
関税発動後も米国での販売価格は当面維持する方針という。
NASA科学予算半減、26年度、トランプ政権検討[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 249文字 PDF有 書誌情報]
【ヒューストン=大平祐嗣】トランプ米政権が2026年度の米航空宇宙局(NASA)の科学予算の半減を検討していると11日、複数の米紙が報じた。科学予算は望遠鏡の開発などに充てられる。足元予算の73億ドル(約1兆円)が39億ドルに減る見込み。
米紙ワシントン・ポストなどが11日に報じた。天体物理学の予算が約15億ドルから4億8700万ドルに減るほか、惑星科学予算は27億ドルから19億ドルに減る。NASA全体の年間予算は250億ドルで、ロケット開発や月面探査などは削減対象には含まれていないようだ。
<数表>商品先物月間高低[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1786文字 PDF有 書誌情報]
3月の月間高低(円、CME原油はポイント、カッコ内は日)
期 近 期 先
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始値 高値 安値 終値 始値 高値 安値 終値 売買高
金 13809 14946 (31) 13589 (11) 14942 13924 15053 (31) 13673 (11) 15006 571487
金ミニ 13835.0 14901.5 (31) 13647.5 (11) 14942.0 13919.0 15050.5 (31) 13671.5 (11) 15006.0 195964
白 金 4538 4775 (19) 4489 (11) 4700 4496 4736 (19) 4451 (11) 4667 139753
白金ミニ 4528.0 4702.0 (17) 4472.5 (11) 4700.0 4501.0 4728.5 (19) 4450.0 (11) 4667.0 12218
銀 ― 163.0 (28) 151.0 (12) 163.0 ― 168.8 (28) 152.0 (11) 165.5 72
パラジウム ― ― (―) ― (―) 4600 ― ― (―) ― (―) 4600 0
CME原油 ― ― (―) ― (―) 173.40 ― ― (―) ― (―) 165.35 0
ドバイ原油 70420 70420 (3) 65600 (7) 68030 63770 63770 (3) 63350 (19) 60770 92781
ガソリン ― ― (―) ― (―) 88000 ― ― (―) ― (―) 88000 0
中京ガソリン ― 92500 (24) 87500 (25) 88000 ― ― (―) ― (―) 88000 67
灯 油 ― ― (―) ― (―) 88000 ― ― (―) ― (―) 88000 0
中京灯油 ― 90500 (25) 90500 (25) 90500 ― ― (―) ― (―) 90500 11
軽 油 ― ― (―) ― (―) 93600 ― ― (―) ― (―) 91200 0
ゴムRSS3号 361.2 365.0 (4) 331.4 (11) 342.2 ― 351.5 (11) 340.5 (14) 348.0 17913
ゴムTSR20号 ― ― (―) ― (―) 293.0 ― ― (―) ― (―) 294.0 0
電力東ベース ― ― (―) ― (―) 11.17 ― ― (―) ― (―) 12.45 11884
電力西ベース ― ― (―) ― (―) 8.93 ― ― (―) ― (―) 10.71 356
トウモロコシ ― 40000 (25) 40000 (25) 40000 ― 40000 (17) 40000 (17) 40000 8
トウモロコシ50 ― ― (―) ― (―) 39000 ― ― (―) ― (―) 39000 0
一般大豆 ― ― (―) ― (―) 64000 ― ― (―) ― (―) 64000 0
小 豆 ― ― (―) ― (―) 12300 ― ― (―) ― (―) 12300 0
金限日 14404 15210 (31) 14055 (12) 14901 47068
白金限日 4689 4835 (19) 4635 (24) 4695 45940
堂島金 13820.1 15018.0 (31) 13700.0 (11) 14921.3 219785
堂島白金 4608.0 4875.4 (19) 4560.1 (11) 4764.7 2295
堂島銀 152.13 170.11 (31) 152.13 (3) 164.50 274
<数表>畜産価格[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 7ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
12 日
( 1キロ、円、消費税込み。ブロイラーは消費税抜き )
ブロイラー
《と体》(買値、A級、3社買い入れ量トン)
安値 加重 高値
◇東京=もちあい ―
特大(2社) 290 ― 305
《正肉》(売値、販売量トン)
◇東京(6社)
もも=強含み ―
708 798 927
むね=強含み ―
392 441 542
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
《参考価格》(と体)
東京・中(1社) ― ― 350
大阪・特大(1社) 315 ― 325
大阪・中(1社) 325 ― 335
中国、ヒト型ロボ開発に沸く 低コストに強み EV成功の再現狙う(NIKKEIAsia)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 8ページ 2064文字 PDF有 書誌情報]
宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)は最近、同社製のヒューマノイド(ヒト型ロボット)「G1」が側方宙返りとカンフーのような技を見せる動画を公開し、SNS上で話題を呼んだ。G1の先代にあたるロボ「H1」が2024年に披露した別の技よりも複雑な動きだ。
ユニツリーの王興興・創業者兼最高経営責任者(CEO)は、アリババ集団の創業者である馬雲(ジャック・マー)氏などとともに習近平(シー・ジンピン)国家主席との会合に出席した。こうした動きは、中国政府がヒト型ロボを電気自動車(EV)に続く新たな成長エンジンとして位置づけていると示唆している。
中国のロボット業界は急速に発展し、いま本格的なブームを迎えている。業界のウェブサイト「ロボット・チャイナ」によると、ヒト型ロボは24年、業界の資金調達をけん引した。1件あたり約1億元(約20億円)規模とされる大型投資案件の半分を占めたという。
その急成長を支えたのは人工知能(AI)であり、特に大規模言語モデル(LLM)と大規模視覚言語モデル(VLM)の進歩だ。ユニツリーのほか、深市優必選科技(UBテック・ロボティクス)や傅利葉智能集団(フーリエ・インテリジェンス)などの新興企業が台頭している。
中国政府はEVやスマートフォンと同様、ヒト型ロボを既存の企業を一掃する「破壊的な製品」とみて重点政策分野に位置づけている。市場規模は35年までに430億ドル(約6兆2000億円)に達する見込みだ。ユニツリーの王氏は、ヒト型ロボ業界には3~5年以内に「iPhone発売のような瞬間」が到来すると予測している。
米EV大手テスラのイーロン・マスクCEOがヒト型ロボ「オプティマス」の試作品を発表したのは22年。その後、中国の産業政策を担う工業情報化省は業界発展指針を発表し、25年までにヒト型ロボの量産を目指すとした。
産業用ロボットと比べて、ヒト型ロボはより柔軟で複雑な仕事をこなすことが求められる。
UBテックのヒト型ロボは中国の比亜迪(BYD)や浙江吉利控股集団など複数のEV工場で試験運用されている。UBテックは27年までに年間出荷台数を1万台超にすることを目指す。
専門家によると、製造段階でヒト型ロボの部品のうち約70%はEVと互換性がある。マスク氏が参入していることも相まって、BYDや広州汽車集団などのEV大手も投資や社内開発を通じてヒト型ロボに注力している。
EVと同様に、中国の大きな強みの一つは低コストだ。例えばバンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチの推定によると、テスラの第2世代オプティマスの価格は、主要部品すべてを中国以外で調達した場合、1台あたり5万~6万ドルになる。
仮に、ハードウエアの大部分を中国内で生産すればこれを25年末までに3万5000ドル、30年までにさらに1万7000ドルにまで下げられる可能性があるという。
ただ、課題もある。中国のヒト型ロボメーカーのほとんどは米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)に依存している。
米シティグループによれば、米国による半導体輸出規制に対応するため、一部の中国企業はすでに国内の調達先を探し始めた。UBテックはGPUの供給可能性について、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)やAI半導体を手掛ける地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)などと協議しているという。
貿易戦争を繰り広げる世界の2大経済大国のうち、米国はAI半導体やソフトウエアで優位に立つ。一方の中国はAIアルゴリズム開発と高品質の部品を低コストで供給できるサプライチェーン(供給網)に強みを持つ。
「米国が依然として研究開発を主導する一方、中国の規模と政策の勢いにより、その差は30年までに縮まるとみている」。資産運用会社のCキャピタルで資本形成・ポートフォリオ開発責任者を務めるジョセフ・リー氏はこう述べた。
バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチのミンスン・リー氏は「ヒト型ロボ業界はまだ初期段階にあり、現在の技術には明らかな欠陥がある」と話す。
同氏は「これは短距離走ではなくマラソンで、まだ出発点に立ったばかりだ。どの企業が最終的にトップになるかを予測するのは時期尚早だ」との見方を示した。
日本は産業用ロボ分野を技術面でリードしているものの、ヒト型ロボの開発では後れをとっている。三菱総合研究所の先進技術センター主席担当部長、中村裕彦氏は「日本企業はハードウエアの技術は優れているが、AIの技術は海外のスタートアップが先行している」と述べた。
KPMGコンサルティングのリードスペシャリスト、佐藤基右氏は「日本勢が逆転できる可能性もある。日本は必ずしもまったくの新しい技術を考案する必要はない。既存の技術を転用できるため、新たなアイデアがあれば先行企業との差を埋められる」と指摘した。
(香港=周衛、東京=佐藤遼太郎)
【図・写真】中国はスマートフォンとEVで世界の主要な生産国になった。次に狙うのは、ヒト型ロボの市場だ
NikkeiAsia(読まれた記事ランキング)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 8ページ 0文字 書誌情報]
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EU、アジアの「安値攻勢」を警戒(FTSelection)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 8ページ 0文字 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――こんな日曜日が待ち遠しい。土間が開く 土間がつなぐ[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――混じり合う内と外[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 10ページ 2205文字 PDF有 書誌情報]
家を改築してオープンしたその小さな映画館は、大阪市の住宅街の一角にある。
ガラス窓のある玄関を開け、外履きのまま中に入ると、左側の壁に100インチのスクリーン。それを見上げる格好で、ソファやテーブル席で映画を楽しむことができる。映画館の名前は「土間シネマ」だ。
訪ねた3月8日は2019年公開のタイ映画「ハッピー・オールド・イヤー」が上映されていた。「この家にはモノが多すぎる」と嘆き、家財の処分を決意したヒロインを軸に心の機微を描いた作品だ。
普通の映画館なら上映が終わると客は席を立つ。だが、ここではその後も大切なひとときになる。スクリーンに「Cafe Timeをお楽しみください」という文字が映し出され、館長の吉田直史さんが「いかがでしたか」と語りかける。
この一言を機にせきを切ったように会話が始まった。「断捨離の参考になると思って見たけど、それでいいのかという気持ちになった」。映画を触媒にして、土間が観客たちの交流の空間に変わる。
直史さんと妻のさらささんは2階建てのこの建物を親戚から譲り受けて、22年から住み始めた。親戚はかつてここで工務店を営んでおり、1階はガレージと事務所の2つのスペースに分かれていた。
2人が引っ越すのを決めたとき、新型コロナウイルスはまだ収束していなかった。大好きな映画を見に行きにくくなり、同僚や友人たちと気軽に食事に行くのも難しい雰囲気が世の中に満ちていた。
「自分たちの思いをかなえることができるのは土間だ」。モヤモヤとした閉塞感をふり払いたい2人に、そんなアイデアが浮かんだ。
転居に際し、家をリノベーションして「人が出入りしやすい場所」にしてみたいと考えた。そのために思いついたのが、靴を脱がずに中に入ることができる空間だった。目玉は壁に設置した大きなスクリーン。自分たちだけで映画を鑑賞するのではなく、「いろいろな人が集まるきっかけになる」と考えた。
「開放感」も大切にした。1階の天井板を外し、梁(はり)が見えるようにしたのはそのためだ。奥の席からスクリーンに向けて放射状に部屋が広がる形にすることで、広々とした感覚を味わえるように工夫した。ところどころにひびが入ったモルタルの床も、過ごしやすい場所にするのに一役買った。ピカピカの床でないからこそ、来た人がほどよくリラックスできるのだ。
当初から料金をとって映画を上映しようと考えていたわけではない。はじめは知人など身近な人に声をかけて、映画やサッカーなどを観戦していた。だがしばらくして、この空間を世の中にもっと広く開きたいと思う出来事が起きた。
直史さんが1人で映画を見ていると、ドアの窓から年配の女性が中をのぞいているのに気づいた。ドアを開けると、女性は興味深そうに「何してるの?」とたずねてきた。「映画を見てます」と答えたら「私にも見せて」。中に招き入れると、彼女は「きれいなソファでいいね」と言いながらしばし映画を楽しんだ後、どこかへ帰って行った。
直史さんはこのエピソードをふり返りながら「すごくうれしい体験だった」と話した。同僚や友人など仲間うちの枠を越えて、幅広く人を引きつける魅力がこの場所にあることを確かめられたからだ。
これをきっかけにして映画館を開きたいと思うようになった。オープンは24年10月。映画を鑑賞し、それを話題におしゃべりを楽しみ、交流に結びつく場に育った。
続いて取り上げるのは、神奈川県藤沢市で農業を営む柿田祥誉(よしたか)さんと悦子さんだ。21年に家を改築して土間を造った。土間と聞いてすぐ思い浮かぶのは農家の屋内にある作業場だろう。ただ2人が土間を造った目的は、たんに昔ながらの作業場を設けることではなかった。
農産物の販売と併せて、取り組んでいるのが食を主なテーマにした自宅でのワークショップだ。自分たちで育てたコメが原料の「こうじ」を使った味噌作り教室などを以前から開いてきた。自宅前での餅つきも年末の定番イベントだ。
「土間がほしい」と思った理由はいくつかある。ワークショップを家で開くと、玄関のスペースが狭すぎて参加者の靴でいっぱいになった。餅つきなどのイベントで料理を持って家の中と外を出入りするたび、靴をはき直すのも負担だった。何度も靴のかかとを履きつぶした。代わりにつっかけを履いてみたが、今度は足元がおぼつかない。
そこで元々借りていた家を購入するタイミングで、業者に頼んで土間を造った。玄関からキッチンまでひと続きの土間で、反対側の壁に勝手口を設けた。土間の脇にはフローリングのリビングがある。
ワークショップは野菜を使うスパイス料理やだし作り教室など様々。悦子さんは「野菜を洗って、その場でパンパーンって水を切っても大丈夫」と話す。味噌作り教室でも土間が生きる。ポリタンクに入ったゆでた大豆を小分けにして、参加者に配る。どうしてもそのとき水が飛び散ってしまう。こぼれる先は土間なのでこれも気にならない。
2つの事例を通して、土間の意義と広がりが見えてくる。屋内にある孤立した空間ではなく、土間を挟んで内外の何かが結びつく。
土間シネマはくつろぎやすい空間で映画の世界にいざなう。農家の土間のワークショップは田畑を身近なものにする。そこで新たな出会いも生まれる。祥誉さんは「土間が中間にあることで、みんなが混じり合うことができる」と話す。
NIKKEITheSTYLE――共用空間はアジアにも[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 11ページ 2232文字 PDF有 書誌情報]
家屋の一部なのに靴を脱がずに出入りできる広い空間。その気安さを生かす先を外部へと開くことで、土間は公共性を帯び始める。
通りを挟んで黒褐色の木造の家が立ち並び、江戸時代の様子をいまに伝える三重県亀山市の「関宿」の一角。かつて東海道五十三次の47番目の宿場町としてにぎわったこの町で3月下旬、「DOMA PROJECT(ドマ・プロジェクト)」のイベントが開かれた。
場所は市が所有する小さな家屋。床は土間。建築家の岡啓輔さんの手ほどきで参加者がセメントと水、砂をこね、手のひらサイズの小物を作った。「セメントという灰色の粉に水を混ぜることで、ある種の接着剤をつくるんです」。開けっぱなしにした大きな窓から、道を行く観光客がときおり中をのぞく。
ドマ・プロジェクトが始まったのは2023年度。他の自治体と同様、亀山市も人口が減り始めている。市外から人が移住してくれれば、人口減に歯止めをかけることができる。だがいきなり転居を求めても、応じてもらうのは簡単ではない。
そこで手がかりにしたのが「関係人口」というキーワードだ。すぐ住んでもらうのは難しくても、魅力的な取り組みがあれば足を運んでくれるかもしれない。幸い亀山市にはかつての風情をとどめ、観光地として知られる関宿がある。
その並びにあり、市民から寄贈を受けた一軒の古民家が誰も使わないまま廃屋になっていた。県外や市外から参加者を募り、ここでイベントを開くことで、地域に人を呼び込む拠点にできないか。そこで考えついたのが廃屋を土間に造り変えることだった。柱を補強し、地面に崩れ落ちていた床板を取り除いた。石灰と土、水などを混ぜて踏み固め、コテでたたいて平らな床にした。
土間ができた後もイベントは続いた。土間と似た素材で小物を作るワークショップもその一環で、三重県鈴鹿市や大阪、愛知、東京から20人余りが集まった。関宿の祭りで使う竹製のかごを作ったこともある。祭りに参加してみると、プロジェクトのメンバーは地域の人から「ドマさん」と呼ばれていた。市の思いが浸透し始めた証しだろう。
24年4月にはここで移住希望者向けの相談会も開かれた。役所のようなちょっと堅苦しい場所ではなく、土間の開放的な空間で開いた方が地域の魅力が伝わりやすいと考えたからだ。山本精さんはこの相談会に参加して同じ三重県四日市市から亀山市への移住を決めた。職員の「ドマ・プロジェクトを一緒にやりましょう」という言葉が背中を押した。
そもそも土間とは何か。起源を探ると、縄文時代の竪穴住居にたどりつく。地表を掘り、柱を立てて屋根をかぶせたものだったとされる。はじめは地面にわらを敷き、やがて板やむしろを敷いて床が登場した。その面積が次第に広がり、床がメインの住居に姿を変えた。稲作とともに大陸から伝わってきた高床式の建物の影響を指摘する声もある。
こうして長い時間をかけて住宅の形が整っていったが、土間は機能的な空間としてその後も残った。例えば、調理の際に火や水を使う「かまど」を置く場所として。あるいは農家がわらを編んだり、作物の出荷準備をしたりする場所として。昭和の時代に入っても、土間はこの国の家屋で役割を果たし続けた。
戦後の復興で事態は一変する。大量の住宅が必要になるとともに、核家族化というライフスタイルの変化が進行した。日本女子大学学長で建築家の篠原聡子さんは「家族のプライバシーをいかに外部から守るかが住宅のテーマになり、家族の間のプライバシーも重視されるようになった」と指摘する。その中で多くの土間が姿を消していった。
篠原さんの実家は千葉県東金市の農家。古い家屋には昔ながらの土間があった。農繁期には近所の人が手伝いに来てくれて、土間でみんなで作業をした。魚売りが家に来ると、お代を渡した後にそこで1杯のお酒をふるまった。この光景が建築家としての原点にある。
この懐かしい空間を現代によみがえらせたのが篠原さんが設計し、12年に竣工した「SHAREyaraicho(シェア・ヤライチョウ)」だ。
東京都新宿区の住宅街にあるこのシェアハウスは1階に広い土間がある。パーティーを開いたり、家具をつくったり、軽い運動をしたりと使い方は住人の工夫次第。篠原さんは「プライバシーを守りつつ、住む人がつながれる空間のある住宅を造りたかった」と話す。
デジタル空間が膨張し、SNSで多くの人と接することができるかに思える今日。だがそのつながりはときに頼りない。一方、現実の暮らしでは隣人がどんな人かを知らないことが少なくない。土間的な空間が再評価されるのは誰かと出会い、ゆるやかに交流できる場を社会が求めていることの表れだろう。
ここから先は未来を構想してみよう。日本と同じく西欧型の住宅を取り入れつつ、フィリピンやタイ、ベトナムなどアジアの各地で独特の共用空間が誕生した。路地の屋台を軸に交流の場ができたり、団地の広い廊下を内職やおしゃべりの場にしたり。住民が様々に手を加え、コミュニティーによって維持される「コモンズ」という空間が形成されていった。篠原さんはこれを「住みこなし」という言葉で表現する。
翻ってこれからの日本。人口減少で人と人との間の物理的な距離が広がり、空き家に象徴される人のいない空間が増えている。それをうまく活用することで、新しい社会のあり方を模索できないか。土間はその出発点になるかもしれない。
吉田忠則
岡田真撮影
NIKKEITheSTYLE――トランプで笑えない米国のコメディー(文化時評)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 12ページ 2076文字 書誌情報]
米国のコメディーの殿堂、サタデー・ナイト・ライブ(SNL)が50周年を迎えた。毎週土曜の深夜にニューヨークのスタジオから生放送されるこの番組は、米国の光と闇を映してきた。
SNLは毎週替わるゲストがホストを務め、レギュラー出演のコメディアンと新しいネタで笑いを繰り広げるコメディー番組だ。コメディアンにとってはこの番組にレギュラー出演することこそが、米国のショービズ界での成功の証しとされる。映画「ブルース・ブラザーズ」で有名なジョン・ベルーシやダン・エイクロイド、「ビバリーヒルズ・コップ」のエディ・マーフィ、「オースティン・パワーズ」のマイク・マイヤーズはここから巣立っていった。
ゲストには有名俳優やミュージシャンのほか、政治家を揶揄(やゆ)するテーマの時にはオバマ元大統領やヒラリー・クリントン氏など本物の政治家も登場した。昨年の大統領選の際には、カマラ・ハリス氏が同氏のものまねをするコメディアンとトークを繰り広げ、笑いを誘った。
2月中旬のSNL50周年特別番組では、ロバート・デ・ニーロやメリル・ストリープ、ポール・マッカートニーといった豪華セレブが勢ぞろいし、半世紀のSNLの変遷と米国の今を3時間にわたり放送した。日本でいえば「オレたちひょうきん族50周年」といった風情だろう。実際、1980年代にひょうきん族を制作した横澤彪(たけし)さんもSNLから影響を受けたとされる。
SNLが日本のお笑い番組と異なるのは、政治や社会情勢の風刺を笑いにつなげている点だ。米フォーブズ誌は「SNLの影響力はテレビの枠をはるかに超え、世の中のトレンドや会話、消費者の選択までも形作ってきた」と評価する。
特番ではこの半世紀のニューヨークを描くミュージカルが披露されたが、はっとさせられる場面があった。
ドラッグ、ホームレス、犯罪、ネズミ大量発生など70~80年代のニューヨークと今が似たような状況になっていると歌ったことだ。確かに、この街は筆者が初めて訪れた80年代半ばの「危ない大都会」と似た状態になっている。
元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏のものまねコメディアンもミュージカルに登場。タイムズ・スクエアのポルノショップやホームレスを一掃して安全で家族に優しい街にしたことや、米同時テロ時に市民を守った姿勢を指して同氏を「アメリカの市長」と称賛した当時の姿を描いた。
だが、今やトランプ氏の家臣のようになったジュリアーニ氏の姿には隔世の感がある。グランドセントラル駅近くにある重厚な建物が特徴のホテル「ルーズベルト」は2023年、ニューヨーク市が不法移民のシェルターに転換し、かつての威厳はない。
民主党支持者が大半のニューヨーク州も、昨年の大統領選ではトランプ氏を擁する共和党の支持率が約40年ぶりの高水準を記録した。ニューヨーク・タイムズは「リベラルのニューヨーカーも、バイデン時代に政策があまりに左に傾き、聖域都市をうたって不法移民もどんどん受け入れてきたニューヨークの現状に危機感を抱いたことが、トランプ大統領再選につながった」と評した。
そして今、コメディーの殿堂はかつてない試練に直面している。
トランプ第2次政権以前は、SNLをはじめ、トークショーなどのテレビ番組にはトランプ氏を揶揄するお笑いが頻繁に登場した。しかし、50周年特番ではMAGA(Make America Great Again)という勢力やトランプ氏の暴言に、あきらめの境地になっている事象が垣間見られた。
例えば、特番で司会を担当したコメディアンの大御所スティーブ・マーティンは「私が司会に指名されたのはダイバーシティー要員としてです」と話した。従来は黒人やアジア人などのマイノリティーが何かに抜てきされるときにDEI(多様性、公平性、包摂性)推進の観点から採用されるのが定番だったが、反DEIを掲げるトランプ氏が救おうとしている「虐げられた白人」が多様性推進で採用されたというギャグになっている。
興味深いのは、この司会者のコメントと、MAGA帽子をかぶったトム・ハンクスがクイズ番組の出演者を演じた以外にトランプ政権を揶揄する場面がみあたらなかったことだ。
「ガザ地区を中東のリビエラにする」「カナダを51番目の州に」「王様万歳」――。荒唐無稽なセリフが本物の大統領から実際に発せられるという異常な事態で、コメディアンのお株を奪っている。
「トランプ大統領より面白くなることは不可能だ」。米国の政治風刺作家、P・J・オローク氏は、過激な笑いとともに時事問題を取り上げるが、もはやトランプ氏の言動よりも面白いものがなくなっていると指摘する。
政治を健全な笑いで批判するという状況が新政権下で遠のいている。半世紀のSNLが映してきた米社会の歴史の中で、今の笑いの世界は光よりも闇の方が深いかもしれない。
伴百江
【図・写真】SNLにハリス氏(右)とものまねをするコメディアンが登場。鏡に向かい合って
いるような演出で笑いを誘った(2024年11月)=ゲッティ共同
NIKKEITheSTYLE――映画とゲームの世界が交わる展覧会(催事祭事)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 12ページ 398文字 書誌情報]
映画とゲームの世界が交わる展覧会 東京都港区のプラダ青山店で、デンマークの映画監督ニコラス・ウィンディング・レフンさんと、ゲームクリエーターの小島秀夫さんが考案した展覧会「Satellites」が18日~8月25日に開かれる。映画に着想を得た空間で、スクリーンに映し出された2人が対話するインスタレーションなどを展示する。
ミッドセンチュリー風アパートの一室をイメージして、ソファやベッドなどの家具を配置。過去の人々が思い描いていたような宇宙船を模したテレビに2人の顔を映し、「友情」や「死とその先に残るもの」などに関して会話を交わす。
また、カセットプレーヤーと山積みのカセットテープを展示するコーナーも設置。テープには映画のサウンドトラックや、人工知能(AI)で様々な言語に翻訳した対話音声などを収録してある。料金は無料。写真はプラダ提供。
プラダ クライアントサービス
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NIKKEITheSTYLE――老舗印刷会社がアートブック(洗練逸品)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 12ページ 389文字 書誌情報]
老舗印刷会社がアートブック 写真集や図録の印刷に定評がある山田写真製版所(富山市)が、アートブックの出版レーベル「YAMADA Book Publishing」を立ち上げた。第1弾としてこのほど画家の堀米春寧(はるね)さんの作品集「I vvonder(アイ ワンダー)」を刊行した。
色や種類の異なる様々な紙に堀米さんのドローイングなどの作品が丁寧にプリントされている。インクのにじみや淡い色調も忠実に再現し、まるで原画をそのままとじ込んだかのようだ。1921年に写真製版を祖業として創業した同社の印刷技術の粋を集めて制作した。
160ページで、価格は5940円。同社のオンラインショップでは、数量限定で作品の高画質プリントを付けたデラックス版(1万円)も取り扱う。
YAMADA Book Publishing
https://yamada-book-publishing.com
NIKKEITheSTYLE――Musicポール・パレー指揮デトロイト響ベルリオーズ幻想交響曲ほか(名作コンシェルジュ)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1054文字 PDF有 書誌情報]
ポール・パレーの演奏はいつも元気がいい。このフランス人指揮者のハキハキと明瞭な音楽には、一点の曇りもないのだ。シベリウスの交響曲を振っても、北欧情緒などはみじんも感じさせず、ハワイのビーチあたりの健やかな風景が思い浮かんでしまうほどである。気分が落ち込んでいるときには効果抜群、栄養剤のような演奏だ。
そのパレーが多くの録音を残したのが、アメリカのデトロイト交響楽団だった。しかも、その時期は自動車産業で栄えたデトロイトにとって、最盛期にもあたる。イケイケな景気に押され、オーケストラの実力もアップ、肩で風を切るような演奏を聴かせていた。
1959年、この地でモータウン・レーベルが発足、新しいポップスの潮流が巻き起こった。この年に、パレーはデトロイト交響楽団とベルリオーズの「幻想交響曲」を録音している。
この交響曲のテーマは、ある芸術家が失恋による服毒自殺を試み、そのとき見た幻想だ。後半では、自分を捨てた恋人を殺し、地獄へ落ちるという妄想が描かれる。
この演奏では、第1楽章「夢と情熱」から、じつにサバサバと割り切った表現で進行する。感情が揺れ動く第2楽章「舞踏会」のワルツも、いたって健康そのもの。第3楽章「田園の風景」の寂しさを極めたはずの音楽も、せいぜい郷愁が感じられる程度で、冬の景色を描いた水墨画を見ているように穏やかな心地にさえなってしまう。この交響曲にまつわる情熱や鬱積を期待して耳にすると、肩透かしを食らうことは間違いない。
第4楽章「断頭台への行進」は威勢よく、活気もみなぎっている。死刑台に連れて行かれるのではなく、遠足に出かける小学生のような足取りではあるけれど。
第5楽章「ワルプルギスの夜の夢」は、魔女の宴(うたげ)を舞台にした魑魅魍魎(ちみもうりょう)たる音楽として知られている。ただし、この演奏は、えげつないほど明晰(めいせき)でクリア。「狂気」や「死」が白昼、目前であっけらかんと展開されるといった具合だ。
つまり、そこにはロマン主義に付き物の、うす暗さ、湿っぽさはゼロ。結果として、そこに立ち現れるのは、中世における伝染病の災禍のように平然と死がカウントされていく、ブリューゲルの「死の勝利」か。あるいは、筒井康隆の小説を思わせる「ドタバタ」か。ホラーだって度が過ぎると、滑稽の度合いが増すように。
ベルリオーズが書いた音楽の破天荒さをストレートに伝えてくれる怪演ともいえる。併録の「ハンガリー行進曲」や序曲「ローマの謝肉祭」も爽快そのものだ。
音楽評論家 鈴木 淳史
NIKKEITheSTYLE――CROSSWORD[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 17ページ 550文字 PDF有 書誌情報]
1 ドイツの宰相・ビスマルクによるカトリック勢力に対する抑圧政策
2 胸びれの下の黒点から「やいと」とも呼ばれるサバ科の魚
3 知覚情報をうのみにしてはいけないということを、灯火に照らされた影を見せられている囚人にたとえた、プラトンの教え
4 1961年に起きた、日本初のプライバシー侵害裁判の発端となった三島由紀夫の小説、「○○○のあと」
5 質素な生活のたとえ、○○粗食
7 フランス語で「男性」の意
9 白亜紀後期の北米に生息した、史上最大のウミガメ
12 江戸時代に江戸城門の警護にあたった、○○○番
13 GMOと略される、遺伝子○○○○作物
1 インドネシア・スラウェシ島南部に住む、造船・航海術に優れた民族
3 ダイヤモンドも黒鉛も、炭素の○○○体
6 前漢初期を知る貴重な遺跡である、中国・湖南省の○○○○○漢墓
8 気心が通じ合うこと。つうと言えば○○
10 韓国の国花である、アオイ科の植物
11 アフリカ西部・ギニア湾に面し、ガーナとベナンに挟まれた共和国
14 漢字で「保食神」と書く、五穀をつかさどる神
15 ギリシャ七賢人の一人で民主政の基礎をつくったアテネの政治家・詩人
16 漢字で「芸」とも書く、古代に書籍に挟んで虫除(よ)けとした香草
17 北朝鮮および朝鮮労働党の指導指針とされる、○○○○思想
NIKKEITheSTYLE――西村多美子写真展「追想」(GallerytoGo)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 17ページ 0文字 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――龍安寺に思う(下)変容する枯山水(美の粋)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 14ページ 3461文字 書誌情報]
日本の常識の反転 NYの街中に出現
岡山県北部の農村地域に立つ奈義町現代美術館を久しぶりに訪ねた。「龍安寺」に由来する少々風変わりな作品を見るのが目的だ。岡山駅からJR津山線終点の津山駅へ。さらにバスに乗り継ぐ。2時間半ほどの旅路だった。最寄りのバス停を降りて数分歩くと、円筒をやや斜めに寝かせた建物が視界に入ってきた。
この建物は、世界的な建築家として知られる磯崎新の設計で1994年に開館した同館の展示棟のうちの一棟だ。ここで見られる荒川修作+マドリン・ギンズの「太陽の部屋《遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体》」(以下「奈義の龍安寺」)は、建築と一体化した恒久展示作品である。
館の入り口のある建物から入って小さな展示室を抜けた先にある短めの螺旋(らせん)階段をのぼると、いきなり円筒形の建物の内部に出る。そこで、作品名の一部にもなっている「龍安寺」を目撃することになる。
ここで向き合う龍安寺は、石庭を模したものだ。石庭が龍安寺を象徴する存在として認識されていることがわかるだろう。ただし、しつらえは尋常ではない。両側の壁の左右に、2つの同じ石庭が配されているのだ。
実は、外見ばかりか内部も円筒形なのが、この建物の大きな特徴である。それゆえ、両側の石庭も、天井も、そして床も曲面になっている。しかも、先述したように建物自体が地面に対してやや斜めに置かれている。したがって来館者は、山の斜面に立っているときのように、意識的にバランスを取る必要がある。さらに、本来は地面にあるはずの石庭が壁にあること自体が、否応(いやおう)なく空間のゆらぎを感じさせる。
この奇妙な構造は、「死なないための建築」という荒川修作(1936~2010年)と妻のマドリン・ギンズ(1941~2014年)の思想を、実際の建築物に初めて反映したものだ。二人が人々に知らしめたかったのは、人間の宿命(天命)である「死」にとらわれた思考を「反転」させて、「死なない」境地に向かわせることだった。来館者に「反転」を体感してもらうために、重力にあらがう仕掛けを造ったのだろう。
しかし彼らはなぜ、龍安寺を仕掛けとして使ったのか。同館の岸本和明館長は、「構想段階では、五重塔を逆さにしたプランもあった。彼らは、日本的なものとして龍安寺を選んだのだろう」と話す。二人の目論見(もくろみ)は、常識の反転でもある。二人は龍安寺の石庭を、日本を象徴する「常識」と捉えていたのだ。
インスタグラムで「荒川修作」を検索すると、「三鷹天命反転住宅」の外観などとともに、交通の便が決していいとは言えない場所に立つ「奈義の龍安寺」内部の奇妙な空間の写真を、意外なほど多く見ることができる。「近年は、若い女性客が多く訪れるようになった」と岸本氏。この地に来なければ、「反転」の体験はできない。感度が高い女性たちが、どう感じているかが興味深い。
日本人の父と米国人の母を持つ彫刻家のイサム・ノグチ(1904~88年)は、86年に京都賞を受賞したときの記念講演の中で、次のようなことを話したことが記録に残っている。
「チェイス・マンハッタン銀行に使った石は京都のものです。(中略)これは私版竜安寺です。自然石を配置する一種の習作ですが……」
チェイス・マンハッタン銀行は、米ニューヨークの街なかにある銀行だ。複数の石がまばらに配されているその姿は、まさに龍安寺の石庭を彷彿(ほうふつ)とさせる。ただし、全く異なることがある。小さな噴水を多数配置しており、夏には水が張られるというのである。本家の龍安寺では、敷かれた白砂を水流と見立てるのは、「枯山水(かれさんすい)」という発想から考えて、自然な解釈だ。ノグチは水の枯れを元に戻したことになるのだろうか。
ドウス昌代著「イサム・ノグチ 宿命の越境者(上)」(講談社文庫)によると、「日本の庭の美しさをイサムに教えてくれたのは(中略)母親のレオニーだった」という。31年に京都に滞在した約4カ月の間に訪れた庭園を彫刻家の目でとらえ、「日本の庭は多分、彫刻ではないか」(同書)と思い当たったというのだ。
このときノグチは20代後半だったが、香川県高松市にあるイサム・ノグチ庭園美術館上席学芸員の田口慶太氏は、「幼少時に米国から来日し、鎌倉の円覚寺で父親の野口米次郎と過ごしたことが、脳裏に刻まれていたのではないか」と話す。詩人の米次郎は円覚寺の塔頭を書斎にして仕事していたという。しかし、仕事に幼児は邪魔だ。自然と境内で遊ばせることになる。
円覚寺は鎌倉時代後半に創建された禅寺だ。京都・天龍寺や西芳寺など国内の多くの禅寺の作庭に関わった禅僧の夢窓疎石(夢窓国師)が、ここでも作庭に携わったと伝えられている。
円覚寺の庭園では、石は重要な役割を果たしている。いつの時代のものかは分からないが、石を仏像として彫っているものもあった。「ノグチには、ブロンズの塊を枯山水のように配した『夢窓国師の教え』(62年、香川県立ミュージアム蔵)という作品もある」と田口氏は話す。夢窓疎石の庭は、かくしてノグチの心に棲(す)み着いたのだ。
ノグチがパリのユネスコ本部に庭園を造ったのは58年。池や橋、木々もある回遊式の庭園だった。このときに際立った動きを見せたのは、ノグチが日本の石を使ったことだ。作庭家として著名だった重森三玲と知己を得て一緒に石を探し、徳島で80個を調達。58個をパリに送り出したという。
ノグチが没した10年後の98年に札幌市郊外に開園した「モエレ沼公園」は、「公園全体を一つの彫刻」としてノグチが設計したことで知られる(グランドオープンは2005年)。200ヘクタール近くもあるというこの公園が、ノグチが意識してきた「庭園」が変容したものであるのも確かだろう。訪れると、人工の山やピラミッドのような建物、ノグチが考案した遊具などが離れて配されている。水場はあるものの、構成の幾何学性に龍安寺の石庭に通じるものを大いに感じる。
無音の楽曲「4分33秒」を作曲したことで知られるジョン・ケージ(1912~92年)は、禅に深く感化された米国人の一人だ。ケージは「Ryoanji」と題した曲を83~85年に作曲した。五線譜ではなく、「図形楽譜」と呼ばれる抽象絵画のような楽譜で演奏される。
「Ryoanji」にはオーボエ、トロンボーン、コントラバスなどの楽器や声用の版がある。2012年に京都芸術センターで開かれた演奏会では、興味深い試みがなされた。サウンド・アーティストのニシジマ・アツシ氏の企画で、ケージの「Ryoanji」と「One^3」という異なる曲を同時に演奏したのだ。
「Ryoanji」の打楽器をGak Sato氏、オーボエに代えて三味線を重森三果氏が担当、集音とミキシングで演奏する「One^3」はニシジマ氏が担当した。興味深いのは、三味線奏者が先に紹介した作庭家の重森三玲の孫だったことだ。演奏で何を得られたか。重森三果氏の言葉を紹介しよう。
「祖父は造形として庭に美と思想を表現した。石庭のようなケージの楽曲の演奏から学ぶことは多かった。日本絵画の余白や日本音楽の間(ま)はケージの沈黙に通ずる美だと感じた」
「4分33秒」とのつながりまでが見えてくる。実に興味深い言葉だ。
1980年代にケージと交流を持っていた日本人もいる。ギャルリー・ワタリ主幹を務めた後、90年に開館したワタリウム美術館館長になった和多利志津子氏だ。82年にパリで初めて会った後、88年に再会するためにニューヨークのスタジオを訪ねると飛び石がある日本風の庭園があったことを、著書「アイ ラブ アート」(日本放送出版協会=現NHK出版)に書いている。「Ryoanji」の作曲の3年後だ。
もっとも、ケージが禅の思想と巡り合ったのは、50年代にさかのぼる。「大拙」(講談社)の著者、安藤礼二氏によると、「ケージは、仏教学者の鈴木大拙が52年に米コロンビア大学で開いた講義を受けていた」という。「大拙」には、さらに興味深いことが書かれていた。
「日本の『石庭』を思い浮かべて欲しい。そこに見なければならないのは、石自体でもなく、石と石との関係性でもなく、砂の『空無』そのものである。(中略)音の一つ一つは仏陀(ブッダ)となる」
この言葉からアーティストが禅の奥深い境地に分け入ろうとしたことを知り、新たな感慨を得た。
多摩美術大学教授 小川敦生
NIKKEITheSTYLE――ispace CEO&Founder 袴田武史さん(MyStory)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 18ページ 0文字 書誌情報]
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NIKKEITheSTYLE――ispaceCEO&Founder袴田武史さん 月を諦めない挑戦の美学(MyStory)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 19ページ 2414文字 PDF有 書誌情報]
アジアの民間企業として初の月面着陸を目指すispace(アイスペース)。2023年の挑戦は失敗に終わったが、現在2度目の挑戦を進めている。創業者で最高経営責任者(CEO)の袴田武史さんは幾度もの遠回りや挫折を繰り返しながら、挑戦の歩みを止めない。
「宇宙船を造ってみたい」。創業の原点は小学生の頃に見た米映画「スター・ウォーズ」に遡る。だが道のりは曲折があった。
中高生になると興味が移り、学生が競うロボットコンテストに引きつけられた。強豪校の東京工業大学(現東京科学大学)を志したのも「ロボコンに出場したい」との思いから。ロボコンに出るクラスが東工大の機械宇宙学科にあると知り「そういえば子供の頃、宇宙船を造りたかった」と宇宙への憧れを思い出した。結局、東工大の受験には3回挑戦したが合格には至らず、上智大学の理工学部に入る。
テニスサークルに入り華やかな大学生活を送るなか、ふと高校時代の友人が九州大学で航空宇宙を学ぶ姿が頭をよぎった。上智大には航空宇宙工学の研究室はなかった。「今のままでいいのか」。再受験して名古屋大学の機械・航空工学科(当時)に入学した。
名古屋大で宇宙船を造る夢が再燃するなか、宇宙船を造るには様々な領域の技術などを統合し、全体を最適化するシステム的思考が必要だと気づいた。そこで名大卒業後に渡米。ジョージア工科大学大学院に進み、航空宇宙工学修士号を取得した。
2000年代初め、イーロン・マスク氏が「スペースX」を創業するなど、日米で民間も宇宙開発に参入し始めていた。ボトルネックは高額なコストだ。「宇宙船を造るエンジニアは多いが、経営人材は少ない」と日本帰国後、コスト戦略に特化した外資系経営コンサルティング会社に就職した。
09年に転機が訪れる。友人の結婚式で、民間で月面無人探査を競う国際賞金レース「Google Lunar XPRIZE」に参加する欧州のチーム「White Label Space」の関係者から誘われたのだ。
ゴールは月面にローバー(月面探査車)を着陸させて走らせること。日本は月面探査車を、欧州は探査車を月面に輸送するランダー(月着陸船)の開発を担った。コンサルの仕事を続ける傍ら、ホワイトレーベルスペース・ジャパン(現アイスペース)を10年に設立し、代表に就く。ただ、「強い覚悟はなくて。失敗しても仕方がないかなと思っていた」と振り返る。
実際レースは苦難の連続だった。スポンサーを探して資金調達に奔走するも門前払い。当初計画では総額50億円が必要で、日本側で20億円以上を集める予定だったが、13年に欧州のチームが資金難を理由に解散を決める。日本側だけでは資金調達できても10億円ほど。ロケットの打ち上げコストは重量に比例するため、月面探査車の軽量化でなんとか10億円以内に収めようと探査車の開発に専念した。
レース期限が近づく中、「ここで本気にならなければ」とコンサル会社を退職。ほかのメンバーも仕事を辞めて退路を断った。13年に「アイスペース」に組織変更し、チーム名「HAKUTO(ハクト)」でレースに参加を続けた。収入ゼロで、貯金を取り崩す日々だった。
「宇宙事業を諦めようか」と考えたことが一度だけある。ある投資家から出資の話をもらったが、条件はレース終了後も宇宙事業を続けること。「人生を賭けてコミットしなければならなくなる」。思い悩み、メンバーに「疲れているため考える時間をください」とメールを送った。「いま思えば、そのメールを書いた瞬間、宇宙事業に100%集中すると決断していた」
ところが腹をくくった後に思わぬ落とし穴が待っていた。月面へ探査車を輸送してもらうはずだった米企業がレースから離脱。その後に手を組んだインドのチームも断念した。月面探査車の開発はほぼ終了していたが、18年にレースは勝者不在で終了してしまう。
ここで宇宙への道を諦めはしなかった。アイスペースはレース終了前の17年、独自開発の月着陸船による月周回と月面着陸の2つの月探査ミッションを始めると発表する。大型の資金調達も受けた。レースに参加したことで知名度が上がり、スポンサーも振り向いてくれるようになったのだ。
そして民間企業として世界初の月面着陸に挑戦するため22年12月、月着陸船を乗せたロケットが打ち上がった。「自分自身でも感情の高ぶりを期待したけど、次のことをすぐに考えちゃうんで」と意外なほど冷静だった。
23年4月、着陸船は月面への着陸直前で通信が途絶えた。月面からの高度を誤認し、燃料が尽きて落下したのだ。落胆している暇はなかった。次の打ち上げミッションが待っているからだ。「自分の経営のベースにあるのは繰り返しやっていく環境をいかに築くか。次に向かってやるだけ」。複数のミッションを同時並行で進めるのは、何が起こっても獲得したデータを次の機会に活用するためだ。
再挑戦となる月着陸船が打ち上がったのは25年1月。月到達までは約5カ月かかる。民間企業による月面着陸で先を越された米企業の着陸船より遅いが、これは地球から110万キロメートルの深宇宙を通って、遠回りでも少ない燃料で月に向かえる軌道を飛ぶため。そんな月着陸船に自身を重ねる。「普通の人が考えるストレートな道ではないが、寄り道とは思わない。違う道を通っているからこそ強みはある」と話す。
今回のミッションの月面着陸は6月6日の予定だ。着陸に成功すればアジアの民間企業として初の快挙となる。「着陸できたらどう喜ぼうかってシミュレーションしている」と笑う。
再挑戦のキャッチコピーは「日本を、失敗できない国にしない。」だ。「次の失敗を恐れ、挑戦することを諦めないでほしい」と訴える。失敗を許容し、学び、もう一度挑戦することの大切さを全国へ伝えたい。「断固たる決意」が諦めない心を支えている。
小田浩靖
岡田真撮影
NIKKEITheSTYLE――ispaceCEO&Founder袴田武史さんINSPIRATIONS(MyStory)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 19ページ 846文字 PDF有 書誌情報]
今も時々思い出すのは、米ジョージア工科大学大学院の日々だ(写真上)。ここで学んだことは今も、ものの見方や考え方、何が重要なのかを判断する時に生きている。
卒業後しばらく音信不通だった教授とはここ数年、オンラインでの交流が再開した。最近も「大学院の学生が進めているプロジェクトについて聞いてほしい」と頼まれ、フィードバックしてあげた。
経営者として迷い、悩んだ時に立ち返るのはやはり映画「スター・ウォーズ」。子供の頃はテレビで放送した映画をビデオに録画し、何度も繰り返し見た。宇宙船が飛び交うシーンに目を輝かせ、見終わるとブロック玩具で宇宙船を造っていたそうだ。最近はゆっくり映画を見返す暇はないが、DVDはちゃんと手元に残している。
アイスペースは2040年代までに月に1000人が暮らし、1万人が地球と月を行き来する「Moon Valley(ムーンバレー)構想」を掲げている。「三半規管が弱いので宇宙酔いしやすい。地上から指示を出している方がいいかな」と苦笑い。ただ、「宇宙飛行士の山崎直子さんから『いい薬ありますよ』と勧められ、あっ大丈夫なのねと思った」という。
中学時代はバスケットボール部、高校時代はハンドボール部に所属していたスポーツマンだが、最近は忙しくて「運動する時間がない」のが悩み。
「スタートアップなので人的リソースも限られるし、体力勝負。トップはエナジェティック(精力的)でないといけない」。そこで週末だけはお気に入りのランニングシューズを履いて、自宅周辺を2~3キロほど走っている。
一瞬も気を抜けない宇宙への挑戦。ボディーケアの必需品がマッサージグッズだ(写真下)。「目も悪く、姿勢も悪いので背中や肩がガチガチになってしまう。朝起きた後や(肩こりなどが)つらくて夜眠れない時に使う」
アイスペースは米国やルクセンブルクに拠点を持つため、海外出張の際も必ずこのグッズは持っていく。「十分な睡眠時間を確保して朝昼夕の食事を欠かさない」と生活リズムの維持も心がけている。
NIKKEITheSTYLE――2012年ロンドン、濃密な一年 芝田浩二[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 20ページ 1087文字 書誌情報]
仕事のためだけではなく、プライベートでも多くの国を訪れてきた。手元にある歴代の12冊のパスポートを見返してみると、そこに押されている入国のスタンプの数は実に800に達するが、実は海外駐在は英ロンドンだけで、それも1年のみ。だが、その1年は非常に充実し、濃密なものだった。
駐在した2012年といえばロンドンオリンピックが開催された年。航空会社として何かできないかと考え、浮かんだのが日の丸でお出迎えしようというアイデアだった。日本に帰国した際に購入した大きな日の丸を到着ゲートに掲げるとともに、数万個もの日の丸の手旗を用意した。飛行機から降りてくる日本のお客様だけでなく、手旗があることが知れ渡ると、様々な国の人々が日の丸を手にして入国していった姿には驚いた。
反応がよかったので、街中でも手旗を配ることに。ロンドン西部、アールズコートでは日本女子バレーボールが銅メダルを取った試合の前に、雰囲気を盛り上げるために法被を着て配ったが、あっという間になくなった。その試合を会場で観戦したが、ものすごい数の日の丸が振られていたのを覚えている。
メダルを取った選手に対して、日本への帰国便の座席をアップグレードする取り組みも話題となった。少しでも選手のモチベーションを上げることができるのであればとの思いだった。
人々との交流もロンドン駐在のいい思い出だ。日系企業の駐在員の家族らから、某ドイツ製のスーツケースを購入したいという要望があった際には、ドイツ・フランクフルトまで私が皆さんをお連れするツアーを企画し、また、友人2人と連れだってのウイスキーで有名なアイラ島の旅も非常に印象深いものとなり、とても喜んでもらえた。
人とのつながりからいただいたアイデアも少なくない。あるファーストクラスの利用者から「御社の帰国便はロンドン発が午後7~8時なので、夕食の時間がかなり遅くなる」と言われたことがあった。そこでお勧めの黒糖焼酎お湯割りとさつま揚げのキャビア添えを試してみてとお話しした。
すると素早く出てくるし、おいしいし、一眠りしてあっというまに日本だったと好評。試す人がだんだん増えていき、最終的にはこの組み合わせに「芝ちゃんスペシャル」との名前までついた。
芝ちゃんスペシャルは今も時折機内で提供され、ロンドンの思いは続いている。
しばた・こうじ ANAホールディングス社長。1957年鹿児島県生まれ。82年東京外国語大学外国語学部卒、全日本空輸(ANA)入社。英語や中国語が堪能で主に海外畑を歩み、ロンドン支店長など歴任。2022年から現職。保有するパスポートは12冊目。
NIKKEITheSTYLE――古代の戦士が眠る丘 デンマーク[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 20ページ 190文字 書誌情報]
デンマーク北部、オールボー近郊のリンホルム遺跡。バイキング時代の墓地遺跡には、楕円や三角形、船の形に石を配列した墓が残る。
古代スカンディナビアの船乗りであり、戦士であるバイキング。オールボーは1300年前に彼らが最初に定住した土地といわれる。
〈行き方〉羽田空港↓オールボー空港(ヘルシンキ、コペンハーゲン経由、約18時間半)↓車で約15分
【図・写真】Photo/Ira Block
(ゴルフ)マキロイ沈着 3位浮上 ローズ首位維持[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 992文字 PDF有 書誌情報]
【オーガスタ(米ジョージア州)=串田孝義】ゴルフのメジャー、マスターズ・トーナメントは11日、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGC(7555ヤード、パー72)で第2ラウンドが行われ、初日38位から出た松山英樹は1イーグル、4バーディー、2ボギーの68で通算3アンダーとし、12位で大会を折り返した。
この日71で回ったジャスティン・ローズ(英国)が通算8アンダーで首位をキープ。68のブライソン・デシャンボー(米国)が1打差の2位、生涯グランドスラム達成がかかるロリー・マキロイ(英国)が66で2打差の3位タイに急浮上した。
今回で大会引退を表明していた67歳のベルンハルト・ランガー(ドイツ)は決勝進出に1打届かず予選落ち。
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初日ダブルボギー2個でイーブンパー発進となったマキロイ。2日目の前半は慌てず自身のペースを取り戻すことに専念した。2番のバーディー1つで前半を折り返し、10、11番を連続バーディーとして攻勢を開始。アーメンコーナーの出口、13番パー5ではイーグルを決めた。
松わらの上からの第2打を4番アイアンでピン2メートル半にぴたり。手作業で表示されるマスターズ伝統の順位ボードに自身の名前が現れるのを気持ちよさそうに見上げた。
66で首位と2打差の3位に急浮上。初日を終えた時点で半ばあきらめかけた生涯グランドスラムの偉業達成が再び、視野に入ってきた。
初日の15番パー5、グリーン奥から第3打のチップショットが下り傾斜を転がって反対側の池へと落ちた。「最初のはずみ方が明らかに違った。あそこは(昨年のハリケーンで)造り直されたグリーン。とりわけ硬かったんだ」
頭に血が上ったマキロイは、打ち直す選択肢もあったのに足早にドロップゾーンに直行。冷静さを失い、傷口を広げてしまった。前夜は家路を急ぎ、寝床に就く前にまな娘と語り、忘れようと努めたという。
「初日に起こった2つのダブルボギーにその週の残りのストーリーを左右されるのは嫌だった。まだまだ時間はある。忍耐強くプレーするだけなんだ」
最終日に80をたたいて4打差首位から逆転負けを喫した11年大会。あれ以来、マキロイのマスターズには悲劇のストーリーがつきまとう。歓喜のシナリオへと書き換わるまで我慢の覚悟を決めている。
(オーガスタ=串田孝義)
【図・写真】第2ラウンド、ティーショットを放つマキロイ=共同
(ゴルフ)ルーキー入谷トップ 国内女子 飛ばし屋19歳、圧巻ショット[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 588文字 PDF有 書誌情報]
富士フイルム・スタジオアリス女子オープン(12日・埼玉県石坂GC=6585ヤード、パー72)
前日、雷雲接近の影響でサスペンデッドとなった第1ラウンドの残りを実施。続いて行われた第2ラウンドで7バーディー、3ボギーの68で回った19歳のルーキー入谷響が通算9アンダーで単独首位に立った。
首位から5打以内に23人がひしめく。2位は通算8アンダーの安田祐香、7アンダーに19歳のルーキー中村心ら3人が並び、6アンダーで河本結、桑木志帆ら4人が続く。
前週優勝の穴井詩、小祝さくらは1アンダーで35位。
前年優勝の阿部未悠、岩井明愛らイーブンパー、49位タイまでの58人が決勝に進出。今季、日本ツアー初出場の竹田麗央のほか、稲見萌寧、申ジエ(韓国)、全美貞(同)は予選落ちした。
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19歳の飛ばし屋ルーキー、入谷が単独首位に躍り出た。観客の度肝を抜く300ヤード級のドライバーショットを連発。第2ラウンドの17番パー5(530ヤード)では2打目でグリーンカラーまで運ぶなど7バーディーを奪った。
愛知県出身。特別なトレーニングはしていないが、練習量が増えた高校時代から飛距離が伸び始めたといい、前週までの平均ドライビングディスタンスはツアー1位の257.82ヤードをマークする。
デビュー5戦目で巡ってきた優勝の好機に「縮こまらないよう、目の前の一打に集中したい」と意気込んだ。
(ゴルフ)マキロイ沈着 3位浮上――松山猛チャージ、イーグル決め12位[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 429文字 PDF有 書誌情報]
1番でチャンスを逃した松山は2番パー5、残り245ヤードの第2打を1メートル半につけてイーグルを奪った。マスターズのイーグル達成者にはクリスタルグラスが記念品として贈られる。松山は14回目の出場で8個目の記念品獲得だ。
初日は午後1時すぎの競技開始だったが、この日は午前スタート。前夜は雨も降った。「少しグリーン上がソフトになっていたので攻めやすかったのもある」。タイガー・ウッズの勝負カラーを連想させる上下赤黒のウエアに闘争心を包み、大会通算52ラウンド目で11度目の60台となる68をマークした。
2日間でパーオン率86%と出場選手トップのアイアンショットはオーガスタのパトロンをわかせる一方、2メートル前後の絶好機を再三外したパッティングではため息も。パットがかみあえばビッグスコアが出そうな予感を漂わせて決勝ラウンドに進む。「気持ちをフラットにして」。はやる気持ちを抑えるように語った。
【図・写真】第2ラウンド、13番でバーディーを決めた松山=共同
女子50自由形、石浦が2位 パラ競泳ワールドS[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 294文字 PDF有 書誌情報]
パラ競泳のワールドシリーズは12日、静岡県富士水泳場で最終日を行い、障害クラスを統合してポイントで争うレースの女子50メートル自由形では、パリ・パラリンピック代表の石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼、視覚障害S11)が30秒73で2位だった。
日本初開催の今大会。全盲女子の世界の強豪が集まった種目で石浦は予選をトップ通過。だが、決勝では「隣のレーンの波を受けてスピードに乗れず、悔しい」2位に。
それでもパリの金メダリストには先着し、表情は明るい。世界ランキング1位で臨んだパリはプレッシャーにつぶされ、まさかの予選落ち。「9月の世界選手権で自己ベストを超える強化をしたい」と終始前向きだった。
(ゴルフ)生源寺首位守る 国内男子[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 231文字 PDF有 書誌情報]
東建ホームメイトカップ(12日・三重県東建多度CC名古屋=7069ヤード、パー71)
ツアー初優勝を目指す生源寺龍憲が15番からの3連続を含む5バーディー、ボギーなしの66で回り、通算17アンダーとして単独首位を守った。3打差の2位で米沢蓮が追う。
パー5の12番で「2」とアルバトロスを記録した出利葉太一郎、片岡尚之、池村寛世、吉田泰基の4人が通算12アンダー、3位につけた。石川遼は1打落とし、前日5位から弟の石川航らと並ぶ7アンダーの20位に後退した。
C大阪、鹿島に8年ぶり勝利 福岡逆転勝ち、暫定首位に(Jリーグ)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 741文字 PDF有 書誌情報]
福岡が2―1で横浜Mに逆転勝ちし、7試合負けなしで勝ち点19に伸ばして暫定首位に浮上した。京都は川崎の2ゴールで湘南に2―0で快勝し、勝ち点18とした。
岡山は1―0で広島を破り、初の連勝で勝ち点17。18歳の佐藤が得点した。広島は同17のまま。
川崎は1―1で清水と引き分け、6試合負けなしで勝ち点17とした。
鹿島は0―1でC大阪に敗れ、3連敗で同16。神戸は1―0で東京Vに競り勝ち、2試合ぶりに白星を挙げた。G大阪は2―0で名古屋を下した。
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終始攻勢に出たC大阪は後半だけでゴールネットを5度揺らしたが、全てオフサイドと判定された。うち2度はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の末に得点が取り消される、もどかしい展開。終了間際に得たPKを止められ、万事休したかと思われた直後、CKから決勝点が生まれた。
決勝点は102分。CKのこぼれ球をファーサイドに詰めたDF進藤が右足で押し込んだ。66分すぎ、自身もルーカスフェルナンデスの正確なFKを頭で合わせながら、得点が取り消されていただけに「サボらずにあそこに詰めた結果。人生で出るドーパミンが全部出た」と歓喜の表情だ。
球を保持しながら前線の外国人3人とMF北野らが幾度となくゴール前に迫り、視察に訪れた日本代表の森保監督も「手に汗握る超興奮ゲーム」と振り返った一戦。劇的な幕切れで、苦手とする鹿島からJ1では8年ぶり、ホームでは実に15年ぶりの勝利を挙げた。
「苦難を乗り越えたことが学びにつながる」とパパス監督。攻守に奮闘したMF田中は「最後にご褒美があった。常にこのサッカーを続ければ戦えるという自信になった」と、チームの手応えを代弁した。
(常広文太)
【図・写真】試合終了間際、決勝ゴールを決める進藤(中央)
福岡快進撃、攻めの姿勢貫く(Jリーグ)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 375文字 PDF有 書誌情報]
快進撃が続く。福岡は終盤の逆転勝ちで2度目の3連勝。暫定ながら今季初めて首位に立った。開幕3連敗後は6勝1分けと見事に巻き返し、金明輝監督は「選手たちに心の余裕が出てきて、本来の力が出せている」と成長ぶりに頬を緩めた。
縦に速いサッカーを求める中、1―1の81分は象徴的だった。センターサークル内でボールを奪取したMF見木がゴール前まで駆け上がり、右クロスを合わせて勝ち越し。試合終了間際で足が止まった相手とは対照的な攻めの姿勢だった。
連敗中は自陣から丁寧にパスをつなぐことに固執し、敵陣でプレーする時間が短かった。
中盤で攻撃をつかさどる見木は「相手の隙を見逃さないことが優先」と見直し、ロングボールなども効果的に使いながらゴールに迫る形へ変えた。
リーグ戦の過去最高は2023年の7位。優勝争いまでは遠かった。ここからの戦いで真価が問われる。
広島決めきれず本拠地で黒星(Jリーグ)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 131文字 PDF有 書誌情報]
広島は今季初めて本拠地で黒星を喫した。前半は敵陣に押し込む展開が続き、中村のクロスから決定的なシュートにつながる場面もあったが、決めきれなかった。
スキッベ監督は「点を取れないと、(実力が)均衡しているJリーグで勝ち点を拾うのは難しい」と険しい表情を浮かべた。
デンソー、初Vに王手 バスケ・Wリーグ 守備から追加点、流れ引き戻す[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 580文字 PDF有 書誌情報]
バスケットボール女子の京王電鉄Wリーグ・プレーオフは12日、東京・調布市武蔵野の森総合スポーツプラザで3戦先勝方式の決勝第3戦が行われ、レギュラーシーズン(RS)2位で初優勝を目指すデンソーが、RS1位で2連覇を狙う富士通に76―53で勝ち、2連勝で2勝1敗とした。
デンソーは高田を中心とした攻撃で前半を40―29とリード。第3クオーターに一時1点差まで追い上げられたが、要所で好守が光り、再び流れをつかんで突き放した。
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勝った方が優勝に近づく第3戦。勝負どころで光ったのはデンソーが持ち味とする守備だった。
第3クオーターに1点差と詰め寄られたが、3点シュートを決め残り11秒。終了間際での得点を狙い、時間を使う相手の隙を梅木が突いた。スチールから速攻で加点。完全に流れを引き戻し、梅木は「悪い時間をどれだけ早く断ち切れるかを意識した」と胸を張った。
相手はレギュラーシーズンで1試合平均得点が最多。ただ、平均失点が最少のデンソーは引かなかった。この試合で誘発したターンオーバーは19本。第4クオーターも守備の強度は落ちずに差を広げ、矛と盾の対決で完勝した。
勢いの付く勝ち方で一歩前に出ても油断はない。チーム一筋で35歳のベテラン高田は「うれしいが、もう切り替えている」と初の頂点が懸かる一戦をにらんだ。
【図・写真】第3クオーター、シュートを放つ高田
陸上日本選手権1万メートル、女子・広中がV 男子は鈴木優勝[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 243文字 PDF有 書誌情報]
世界選手権東京大会の代表選考を兼ねる陸上の日本選手権1万メートルは12日、熊本市のえがお健康スタジアムで行われ、女子は2023年世界選手権7位の広中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分13秒78で2大会ぶり4度目、男子は鈴木芽吹(トヨタ自動車)が27分28秒82で初優勝を果たした。
男子はパリ五輪代表で前回大会覇者の葛西潤(旭化成)が2位で、吉居大和(トヨタ自動車)が3位。女子は矢田みくに(エディオン)が2位に入り、世界選手権マラソン代表に決まっている小林香菜(大塚製薬)は10位。
日本が初戦勝利 女子テニス国別対抗戦[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 24ページ 141文字 PDF有 書誌情報]
女子テニスの国別対抗戦ビリー・ジーン・キング杯決勝大会(9月・中国)の予選第2日が12日、東京・有明コロシアムで行われ、日本はルーマニア相手にシングルス2試合、ダブルス1試合で全て勝ち、初戦勝利を挙げた。決勝大会進出を懸け、13日にカナダと対戦する。ルーマニアは2連敗で敗退した。
代役・佐藤直が起爆剤 柳田不在もタカ5連勝(プロ野球)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 25ページ 654文字 PDF有 書誌情報]
前日の自打球で右脚を痛めた柳田が登録を抹消された。栗原、近藤に続く主力の離脱はソフトバンクにとって緊急事態だ。ところが、それが戦力ダウンにならないのが選手層の厚い昨季リーグ王者。若手が補って余りある打棒でチームを活気づけた。
「2番・右翼」でスタメンに名を連ねた佐藤直が口火を切った。三回1死三塁で右前へ先制打。「最低でも外野フライを打ちたいと狙い球を絞った」。初回に中前打が出たことで落ち着いて打席を迎えられ、頭の整理もできていた。
六回の左前適時打も含めて広角に打ち分けて3安打の猛打賞だ。6年目の今季は開幕1軍がかなわず4月8日に昇格。3試合ぶりの先発出場で、15安打8得点の猛攻を仕掛けた打線の一翼を担った。
今のチーム状況を踏まえれば、しばらく打順は日替わりになりそう。小久保監督も「相手投手を見ながらやらざるを得ない」と明かす。山川を指名打者にしたことで一塁で起用された2年目の広瀬隆も五回の2ランなど3安打で期待に応えた。首脳陣が待ち望んでいる若手の台頭。故障者の連鎖は想定外の事態だが、悪い話ばかりでもない。
1分けを挟んで5連勝。開幕からつまずいて負けが先行したが、早い段階で勝率5割に戻した。佐藤直は「うかうかしていられない」と語り、広瀬隆も「長く1軍にいることが大前提。まずは結果を出すことを強く意識している」。成績を残さなければ生き残れない競争の中で出番をつかみにいく必死さが、チームの活力になっている。
(渡辺岳史)
【図・写真】三回ソフトバンク1死三塁、佐藤直が右前に先制打を放つ
レース間隔長い馬優位(ターフの目)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 25ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
桜花賞に向かう有力馬の臨戦過程といえば、以前は前哨戦のチューリップ賞(G2)を経由するのが定番だった。2013―18年の6回で、同レースに参戦した馬は桜花賞本番で4勝し、馬券に絡んだ18頭中14頭を占めていた。ところが、19年以降は勝ち馬がなく、3着以内も6頭にとどまる。
替わって台頭したのが2歳GⅠからの直行組で、19年には朝日杯フューチュリティステークス3着から直行したグランアレグリアが圧勝。21年以降は阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神JF)組が3勝した。
レース間隔を長めに取る近年の傾向を反映して、1、2月の前哨戦も重みを増している。20年の牝馬三冠を制したデアリングタクトは2月のエルフィンステークスを勝って参戦。22年牝馬二冠のスターズオンアースも2月のG3、クイーンカップ2着からの参戦で、過去6年は両レース組が各2頭、馬券に絡んだ。
今回も阪神JF優勝のアルマヴェローチェは、重の札幌2歳ステークス2着もあり馬場不問で有力。1月のフェアリーステークス(G3)優勝のエリカエクスプレス、クイーンカップ優勝のエンブロイダリーはともに好タイムで圧勝。逆転の可能性を秘める。
(野元賢一)
攻めた床田、2年ぶり完封 広島首位浮上(プロ野球)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 25ページ 325文字 PDF有 書誌情報]
度重なるピンチにも攻めの投球でゼロを重ね、1点を守り抜く。床田が8安打を許しながらも要所を締め、2023年8月以来の完封。「何とか長いイニングをと思っていた。最後まで投げきれて良かった」と喜んだ今季初勝利で、広島を3連勝と首位浮上に導いた。
今季の過去2登板はともに7回を投げて試合をつくりながら、勝ち星を得られなかった。
今回は三回の矢野の先制スクイズ後、援護がない展開でも「点差は気にしない。意識しすぎるとやられることが多かった」と平常心を崩さなかった。
過去2年続けてチーム最多の11勝を挙げたサウスポーの本領発揮に、新井監督は「何も言うことはない。安心して見ていられた。終盤は嫌な流れだったが、力でねじ伏せてくれた」と賛辞を惜しまなかった。
レオ隅田、8回無失点 変幻投球で白星呼ぶ(プロ野球)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 25ページ 235文字 PDF有 書誌情報]
西武・隅田が8回無失点の快投で、日本ハムに対する今季初勝利をチームにもたらした。相手打線を苦しめたのが緩いカーブ。くるんと曲がる変化球はストライクを稼ぐだけではなく、決め球としても有効だった。初回、清宮幸に膝をつかせての空振り三振は、狙い通りだっただろう。
日本ハムサイドも警戒していたカーブだったが、左腕の投球が一枚上手。リズムよく89球で単打4本に抑え込む原動力となった。
試合後、その自信のほどを問われた隅田は「秘密です」。攻略の糸口は簡単に見つかりそうにない。
DeNAケイ制球光る、7回無失点(プロ野球)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 25ページ 218文字 PDF有 書誌情報]
DeNAのケイが7回2安打無失点とヤクルト打線を寄せ付けなかった。安定した制球で球種やコースを投げ分けて四回まで一人も走者を背負わず、「浅いカウントから決める投球ができた」と充実感に浸った。
唯一得点圏に走者を置いたのが五回2死二塁。この日まで8試合連続出塁していた茂木と対峙したが、わずか4球で空振り三振に仕留めた。引き分けを挟み4連敗中だったチームに流れを呼び込み、三浦監督は「直球、変化球、制球のすべてよかった」と褒めたたえた。
(大リーグ)山本9K、制球抜群 6回無失点 波乗り2勝目[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 25ページ 792文字 PDF有 書誌情報]
【ロサンゼルス=共同】米大リーグは11日、各地で行われ、ドジャースの山本はロサンゼルスでのカブス戦に先発し、6回2安打無失点で9三振を奪い、2勝目(1敗)を挙げた。「1番・指名打者」で出場した大谷は、4打数無安打で開幕からの連続試合出塁が14で止まった。カブスの鈴木は「3番・指名打者」で出場し3打数1安打。試合はドジャースが3―0で勝った。
パドレスの松井は八回から登板し、1回を投げ3者連続三振。チームは8―0で勝った。
オリオールズの菅野は先発予定だったブルージェイズ戦が中止になり、12日午後4時5分(日本時間13日午前5時5分)開始の試合にスライド登板が決まった。チームは7月29日にダブルヘッダーが組まれた。
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六回を投げ終えてベンチに戻るドジャースの山本に、約5万4千人の観客から万雷の拍手が降り注いだ。抜群の制球に鋭いスプリットがさえ渡り、カブス打線をわずか2安打に抑えて2勝目。スタンディングオベーションにふさわしい快投で「立ち上がりからリズム良く投げられた」と表情も晴れやかだった。
一回を今季初めて三者凡退として波に乗った。0―0の四回は1死二塁から鈴木に右前へ運ばれたが、守備に助けられて2死三塁に場面が変わると「何とか先制は許さないように頑張った」。最後は低めのスプリットで4番・ブッシュのバットに空を切らせ、雄たけびを上げた。
この日は9三振を奪った。日本開幕で登板が1試合多いとはいえ、計28奪三振はメジャートップ。「いいカウントで投球できているし、どの変化球も制球できるようになってきている」と自信を深め、日本選手が未到のサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)にも「すごく興味がある」と獲得への意欲を示す。ロバーツ監督は「ヒデオのようだ」と、球団OBで三振を量産した野茂英雄氏に姿を重ねて称賛した。
(共同)
【図・写真】カブス戦に先発したドジャース・山本=共同
(ラグビー)静岡、王者に圧勝 NTTリーグワン エンジン全開、8トライ[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 25ページ 586文字 PDF有 書誌情報]
ラグビーのNTTリーグワン1部第15節第2日は12日、東京・秩父宮ラグビー場などで3試合が行われ、静岡が昨季王者のBL東京に56―26で快勝して11勝目(4敗)を挙げ、上位6チームによるプレーオフ(PO)進出を決めた。既にPO行きが確定しているBL東京は12勝1分け2敗。
神戸は浦安を33―20で下して8勝7敗とした。浦安は2勝13敗。相模原は横浜に38―28で勝ち、ともに6勝9敗となった。
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序盤から静岡はエンジン全開だった。相手に当たった瞬間、次のボールが出るようなテンポのいい攻撃。前半9分には大外のラックからパス3本をつないでCTBタヒトゥアへ渡す。
111キロの巨漢はランではなく、ボールを足に掛けた。これが味方に入り、先制トライ。藤井監督は「最もキックしなさそうな選手。それでスペースができた」と笑う。その後も「接点無双」を掲げる王者・BL東京を、その接点で圧倒。守備ラインの出足を封じ、8トライを荒稼ぎした。
出場150試合目、BL東京のリーチ主将が脱帽する。「全ての局面で負けた。(失トライ後に)ゴール裏で何を話したらいいか分からなかった。初めての経験」
衝撃の圧勝劇を見せた静岡はリーグワン誕生後、初のプレーオフに進む。「ファイナリストに勝たなあかんのは今日じゃない」と藤井監督。さらなる「大物食い」を予告した。
【図・写真】トライを決める静岡・北村
AIで認知症リスク予測 疫学調査など、予防研究後押し[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1644文字 PDF有 書誌情報]
認知症の予防や進行を遅らせることを目指し、その兆しを早期に見つける研究が盛んだ。多数の高齢者を調べる疫学調査から、発症する年齢を遅らせたり、発症率を下げたりできる可能性が見えてきたことがきっかけだ。生活習慣の改善が予防の鍵を握る。将来の日本は高齢化で認知症の患者が急増し、介護や生活の支援を担いきれなくなる懸念が指摘されてきた。そんな社会に光明が差し始めた。
個人の血液のデータを基に、20年以内に認知症を発症するリスクを人工知能(AI)が見積もる――。名古屋大学と米国立衛生研究所(NIH)などがこのほど、そんな技術を開発した。米国の4地域に住む45~64歳の約1万5000人を対象に、血液や健康状態を20年間追跡したデータなどをAIに学習させた。血液が含む25種類のたんぱく質が手掛かりだ。
参加者の約2割は15年前の時点では認知症を発症するリスクが高いと評価されたが、現在では低い分類に移った。リスクが下がった詳しい理由の解析はこれからだが、名古屋大の勝野雅央教授は「生活習慣の改善でリスクを減らせる可能性を示した」とみる。
こうした研究にはAIやスマートフォンが欠かせない。国立長寿医療研究センターなどは2024年に、進行を抑えるのに役立つ研究を始めた。自治体の協力を得て、スマホやパソコンで高齢者の認知機能を調べる。認知機能の低下を早期にとらえる。
機能低下の疑いがあれば、地域の医療機関などの受診を促す。認知症やその手前の軽度認知障害だと診断されれば、薬物治療などで症状の進行を抑える狙いだ。桜井孝研究所長は「認知症の予防や治療につなげる入り口戦略の構築が重要だ」と話す。
実は認知機能の低下で医療機関を受診する人は多くない。「認知症を予防したり、発症を遅らせたりできると知られていない」(桜井研究所長)ためだ。研究を基に、25年度に自治体向けの手引を作る。
最近出た疫学調査の成果も、認知症を防ぐ研究に取り組む意義を示す。これまで認知症を発症する人は、年を取るほど増え続けるとされてきた。だが厚生労働省の研究班は24年、50年の患者数が586万6000人になると予測した。22年比で約140万人多くなるが、15年に発表した推計値からは約200万人も減った。認知症の有病率が下がったためだ。
研究班の九州大学・二宮利治教授は「発症に関わる高血圧や食生活が改善し、運動などの取り組みも実を結んだ」と背景を説明する。これまでは加齢で避けられないと考えられていた認知症が予防できる可能性があるとわかり、研究に取り組む動機になっている。
認知症の発症率の低下が起きたのは日本だけではない。二宮教授は「先進国で認知症の発症率の伸びが鈍化しているとの報告が出てきた」と指摘する。米デューク大学は3月、米国で年齢別の有病率が40年間で下がったと発表した。例えば85~89歳時点で比べると、1984年は約30%だったが、2004年には約20%に低下した。2024年には約10%だった。
疫学調査の他にも、フィンランドのグループが実施した先駆的な研究も世界の機運を高めた。09~11年に認知症のリスクがやや高い高齢者約1000人を対象にした。約半数に2年間にわたって認知機能の訓練や生活習慣の改善指導をすると、機能の低下を抑えられた。
現在は認知症の発症につながる要因から予防を探る研究も進む。国際医学誌ランセットの委員会は24年に、リスクを高める14項目の要因を示した。高血圧や糖尿病、難聴が並ぶ。全てのリスクに対処すれば認知症の45%を予防できるとした。効果が高い予防対策の実現につながる。
二宮教授は「誰もが認知症になり得る」と話す。23~24年にはエーザイや日本イーライリリーが初期のアルツハイマー病の進行を遅らせる新薬を発売した。だが、認知症の根本的な治療法はまだ無い。
認知症はどこまで防ぎ、進行を遅らせられるか。100年ともいわれる人生を輝かせる研究に期待がかかる。
(松浦稜)
アマミノクロウサギ 成長に5倍の時間[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 26ページ 284文字 PDF有 書誌情報]
岡山理科大学の林昭次准教授らは東京大学などと共同で、鹿児島県の奄美大島などに生息する国の特別天然記念物「アマミノクロウサギ」が、他のウサギに比べて約5倍も成長に時間がかかることを突き止めた。外敵の少ない環境に適応したとみられる。外来種の流入や環境変化への対応が難しく、保全が重要だ。
足の骨の断面には、1年に1本できるとされる「成長停止線」がある。本土のウサギは1年以内に成長して繁殖が可能になるが、アマミノクロウサギは成熟した個体で成長線が5本あった。性成熟までに5年程度かかるとみられる。
【図・写真】アマミノクロウサギは成長に時間がかかる=小林峻琉球大学助教撮影
波紋広がる米研究費カット 優れた頭脳呼び込む好機 編集委員 安藤淳(サイエンスNextViews)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1207文字 PDF有 書誌情報]
「米国の大学や研究所との共同プロジェクトをどう続けたらよいか」。駐日欧州連合(EU)代表部の科学・イノベーション担当の幹部らが困惑気味に語る。欧州からは先端科学の担い手が多数米国にわたり、研究に打ち込んできた。
資金はEU側も出すが、全米科学財団(NSF)や米国立衛生研究所(NIH)が負担してきた部分も大きい。トランプ政権による科学関連予算や人員の大幅カットは共同プロジェクトを直撃する。EUの研究者が米国で仕事を続けられなくなり、困る例が出始めている。
欧州に戻ってくる研究者を迎える態勢を整えるが、その際に米国の研究者も一緒に呼べないか。むしろ、優れた頭脳を積極的に招き入れたらよい。こんな検討も進んでいるようだ。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ前総裁が欧州委員会の依頼で2024年にまとめた報告書「欧州の競争力の未来」は、米国と対比しながらEUのイノベーション力強化の必要性を訴えた。公的機関の研究・イノベーション支出の国内総生産(GDP)比は米国並みだが、EU域内での活動に使われるのは全体の1割に過ぎないと分析する。
トランプ政権の政策は、研究プロジェクトを米国から人材ごと欧州に引っ張ってくる好機に映る。フランスのエクス・マルセイユ大学は米研究者を招く特別プログラムを開始し話題を呼んでいる。3年間で1500万ユーロ(約24億円)の研究費を確保し、家族の居住や教育も支援するという。
EUは近年、海外に門戸を大きく開く「オープン・イノベーション」を重視している。象徴的なのが21~27年に1000億ユーロ近くを投じる研究・イノベーション計画「ホライズン・ヨーロッパ」だ。EU以外ではカナダ、トルコ、英国など19カ国・自治領が参加する。
この枠組みに直接、米国が加わることはなさそうだが、将来を見据えた協力がEU主導で増える可能性はある。3月に来日した欧州委のラッツォ研究イノベーション総局次長は講演で、米国との新たながんの研究協力に期待を示した。
中国も量子、人工知能(AI)、生命科学などディープテックの分野で研究者の受け入れを活発化している。日中を行き来する日本人研究者によると、上海などの研究環境は比較的オープンになってきており、外部との交流や情報交換の制約は少ないという。
対する日本の動きは鈍い。大学や研究所の幹部は口々に「米国から優秀な人たちに来てもらうチャンスだ」と言うが「予算がないから」と半ばあきらめ顔だ。確かに米国の一流研究者の給与水準は約束できないかもしれないが、緊急事態でもあくまで同額を出すよう求めてくるだろうか。
日本には多数の研究交流プログラムがある。科学技術振興機構(JST)、日本医療研究開発機構(AMED)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などが連携して米国の研究者を招く枠組みをつくれないか。すぐには見返りがなくても長期的に国益につながるはずだ。
AIで認知症リスク予測――認知症起こす病気 複数を併発する可能性(キーワード)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 26ページ 248文字 PDF有 書誌情報]
認知症につながる病気には原因物質とされるアミロイドβのようなたんぱく質が脳に蓄積するアルツハイマー病や、脳の血管の異常などがある。最近の研究でこれらの複数の病気を併発している可能性があることが分かってきた。
米アルツハイマー病協会の資料によると、アルツハイマー病を患ったと推定される亡くなった高齢者の脳を解析したところ、8割近くは別の病気を併発していたという。約450人のうち、アルツハイマー病による異常だけが見られたのは3%のみだった。それぞれの病気が認知症の発症に与える影響は判断が難しい。
映画制作損賠訴訟 引き継ぎ錯綜、俳優が降板 「翻弄されたのは私の責任」 撮影延期で赤字2600万円(揺れた天秤法廷から)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1980文字 PDF有 書誌情報]
春は多くの職場で人事異動の季節。円滑な引き継ぎが重要だが、気をつけたいのは取引相手の担当者間で申し送りが不十分なとき、とばっちりを受けかねないことだ。映画プロデューサーの男性は、出演予定だった俳優のマネジャーが交代した途端、事実上の降板意向を告げられた。映画は制作延期に追い込まれ、男性側は映画制作会社から損害賠償を求められた。
2019年5月、企画中の映画でプロデューサーを務めていた男性は、物語のカギを握る準主役の配役に奔走していた。男性は大手映画会社などで企画・立案の経験はあるものの、キャスティングの交渉を担うのは初めてだった。
打診中の若手俳優は人気映画やドラマに引っ張りだこで、撮影に必要な日数を確保できるかが最大の懸案だった。俳優のマネジャーから提示された日程は約2週間。脚本10ページ分の出演場面を削れば期間内に撮り終わる見込みが立ち、出演が正式に決まった。
交 代
潮目が変わったのは同年夏、マネジャーの交代がきっかけだった。秋になってようやく引き合わされた後任者は、映画より前に出演するテレビドラマの台本作成が遅れているとして「収録が映画撮影期間にずれ込みそう」と告げた。出演シーンがこれ以上減れば映画は成り立たない。男性は俳優側からの事実上の降板申し出と受け取った。
「引き継ぎがうまくいっていなかったそうです」。男性は関係者に状況を伝えるメールで事態を説明し、前任のマネジャーに相談した。手術などで入退院を繰り返していた前任者からは、社内やテレビドラマの制作側に確認したうえで「これまで通りの日数を確保できた」と返答があった。
安堵もつかの間、約2週間後に後任者と喫茶店で面会した男性は「俳優が撮影に参加できるのは4~5日だけ」とあらためて通告された。出演場面を撮り切るのは到底不可能だと認識した男性は、ぼうぜんとしながらも再考を求め、その場を後にした。この時点で撮影が動き出す日まで1カ月を切っていた。美術や照明など主要なスタッフの大半が決まっていた。
前任者と後任者で説明が食い違ったとき、どちらを信じるべきなのか。男性は前任者が既に担当を外れたと考え、後任の発言をそのまま受け入れた。状況を問いたださないまま俳優の降板を決め、関係者にメールで「翻弄されてしまったのは私の責任」と謝罪した。代役探しは難航し、映画は制作延期となった。
振り回されたのは男性側の依頼を受けて実際の撮影準備に当たっていた映画制作会社だ。確保していたスタッフの給与、撮影のため押さえていた部屋の賃料――。興行収入が見込めないなか、支払わなければならない2600万円はそのまま赤字になる。制作会社は男性側に対し損害分の賠償を求めて提訴した。
不 備
裁判で制作会社側は、男性による俳優の予定確認が不十分だったことが制作延期の原因だと主張した。前任と後任のマネジャーの説明が食い違っていると把握した時点で、前任者や周囲に十分な確認をすべきだったとした。
証人尋問に立った男性は「後任が責任を負っていると認識していた」と反論したが、法廷では納得を得られなかったようだ。裁判官は法壇から「約束を守ってほしいと色々な人にアプローチして何とか(予定を)確保しようとしてもいいのでは」と質問を投げかけた。男性は「もう息ができない状態だった。誰を信じていいかわからず、頭が真っ白になっていた」と振り返った。
仕事の引き継ぎは従業員の休職や退職、異動があるたびに発生する。サイボウズチームワーク総研が19年に実施した調査では、引き継ぎについて男女329人のうち3割が「スムーズではなかった」と回答した。
理由は「十分な時間がなかった」が最も多い。「仕事の全体像や過去の履歴が分からないまま引き継がれた」「引き継ぎが全て口頭だった」との回答も目立った。重要な業務が後任に伝わらなければ深刻なトラブルをも招きかねない。
23年12月の東京地裁判決は、撮影準備が整いつつある状況を踏まえれば、男性は「俳優の降板を回避するために手立てを尽くすことが求められていた」と指摘した。前任者などにも説明を求めれば回避できた可能性があったと認定。男性の過失を認め、使用者責任に基づいて男性の所属会社に2075万円の賠償を命じた。双方が控訴し、高裁で和解が成立した。
男性は法廷で「今でも(マネジャー側を)訴えたいくらいの気持ちだ」と吐露した。前任者は裁判で、後任が映画撮影に後ろ向きの発言をした背景に、別の作品に出演させたい意向があったと明かした。前任の仕事を後任が否定することは組織ではあるかもしれないが、判決は正当な理由なく俳優を降板させたとすれば後任は債務不履行に問われかねないと言及している。交渉の過程で男性が責任を追及していたなら法廷に立ったのは別の相手だったかもしれない。
(高橋彩)
描く未来図、半世紀の変容 大阪で万博再び 2025年のアバターロボ、成熟社会の壁挑む(EXPO2025)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1120文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博が13日、開幕する。高度経済成長の熱気を帯びた1970年大阪万博から半世紀。日本社会は少子高齢化と人口減少に向き合う。インターネットで世界中とつながり、祭典を取り巻く熱量も変わった。成熟社会の未来図を描けるか、半年間の試みが始まる。(1面参照)
「開けゆく無限の未来に思いをはせつつ、過去数千年の歴史をふりかえるとき、人類のつくり上げてきた文明の偉大さに、私たちは深い感動をおぼえるのである」
「人類の進歩と調和」をテーマとした70年万博の基本理念は格調高い一文から始まる。戦後復興期を経た日本は、68年に世界2位の経済大国に躍り出た。高度経済成長のさなか、アジア初の万博を催す高揚感が漂う。
動く歩道、ワイヤレステレホン――。約330ヘクタールの会場に日本の技術力を結集した「未来」の製品が並んだ。移動に使われたのは電気自動車。いずれもその後「現実」化したが、万博から程なくして成長は鈍り出す。
バブル景気の到来と崩壊を経て、経済は「失われた30年」に向かった。国内総生産(GDP)は世界4位に落ち、高齢化率は70年の7.1%から29.3%(2024年9月時点)まで上昇した。
今回の万博は様々な社会格差を解決する日本の国家戦略「Society5.0」の実現を掲げる。会場中央に位置するシグネチャーパビリオンの一つ「いのちの未来」は、障害物を避けながら自動走行ができる移動型のアバター(分身)ロボットが登場する。社会が抱える物理的な壁や制約をデジタル技術を使って乗り越える道筋を示す。
成長から成熟段階にシフトした日本にとって万博の役割はかつてと異なる。そこにあって「過去と現在をつなぐ存在が大屋根」だと、今回の万博誘致に関わった大阪公立大の橋爪紳也特別教授(都市文化論)は指摘する。
70年万博は金属製の立体格子。真ん中に丸く開けられた部分から突き出ていた太陽の塔は、大屋根なき今なお人々をひき付ける。今回は木造建築が全周2キロの円環を成す。橋爪氏は「大屋根が取り囲む空間からレガシー(遺産)を探し出すのは私たちだ」と説く。
大阪府・市が2024年12月、全国の約6000人(うち大阪府民約4000人)に実施したアンケート調査で来場の意向を示した割合は34.9%だった。日本国際博覧会協会は、入場券の販売実績を約934万枚超(4月12日時点)と見込む。前売り目標(1400万枚)に届かず、6421万人が訪れた70年万博の熱気に及ばない。
だが、世界中の知見を結集させる万博は課題解決のヒントを得る機会だ。超高齢化社会に突入し、労働力不足や孤立などの問題が深刻化する日本にとっても未来の道筋を探る半年間となる。
(桜田優樹)
描く未来図、半世紀の変容――開会式、祭りの躍動感(EXPO2025)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 980文字 PDF有 書誌情報]
人間の躍動と人工知能(AI)などの最新技術が共存するパフォーマンスが、祭典の幕開けを告げた。12日の大阪・関西万博開会式。伝統芸能を織り交ぜた祭りの演出は、過去と現在をつないだうえで未来を創り出すコンセプトを表現した。
会場は人工島、夢洲(ゆめしま)の円形劇場、EXPOホール「シャインハット」。金色に輝く屋根と白っぽい外壁は、1970年万博のレガシー(遺産)となった「太陽の塔」を連想させる。
司会役はステージ上の大型ディスプレーに映るバーチャルヒューマン「imma(イマ)」。万博の名誉総裁を務める秋篠宮さまが透明なパネルに触れられ、祭典を「起動」する演出は、AIやバイオテクノロジーを中心に据える万博の先進性を示した。
大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。「祭り」をテーマとした3部構成の演目は、ラップのリズムと沖縄の伝統芸能「エイサー」のコラボレーションで始まった。海外でも人気を誇るバーチャルユーチューバー(Vチューバー)の歌と歌舞伎の舞踊「連獅子」、関西拠点のストリートダンサーの共演で躍動を表現した。
最終盤で披露されたのはAIが手書き文字を読み取って意味を把握し、音楽を奏でる「Physical Twin Symphony(フィジカル・ツイン・シンフォニー)」。13日の開幕日に予定されるパフォーマンスを先駆けて紹介した。
4人組グループ「新しい学校のリーダーズ」ら壇上にいるアーティストがメロディーに合わせて踊り、楽器を演奏する姿は、人類とテクノロジーが共存する未来を描いた。
指揮者の佐渡裕さんがオーケストラを率い、歌手の絢香さんが国歌斉唱した。男性デュオ「コブクロ」がテーマソング歌唱を担うなど、関西ゆかりの音楽家も出演。70年万博の開会式で演奏した大阪府池田市立呉服(くれは)小学校の吹奏楽部も映像で登場した。
一方、晴れやかな式典は緊迫化する国際情勢の影も映した。大阪と万博招致を争ったロシアはウクライナ侵略のさなか、「ホスト国との意思疎通が不十分だ」として不参加を表明。地元高校生らが国旗を持つステージ上では、戦時下であっても参加を決めたウクライナの国旗が揺れていた。
【図・写真】開会式で披露された「祭り」のパフォーマンス(12日、大阪市此花区)
【図・写真】大阪万博の開会式でお言葉を述べる天皇陛下(12日)
描く未来図、半世紀の変容――8カ国、初日開館せず 海外館、5カ国が工事遅れ(EXPO2025)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 308文字 PDF有 書誌情報]
日本国際博覧会協会は12日、大阪・関西万博が開幕する13日は海外参加国のうち、ネパールやインドなど8カ国のパビリオンや展示スペースが開館しないと発表した。うち5カ国は内装工事が完了していないなど工事の遅れが響き、当分の間、閉館が続く。
準備が遅れているのは独自性の高い外観が特徴の自前建設型「タイプA」のネパール、日本側が建設を代行した簡易型「タイプX」のインド、1つの施設に複数の国が入居する共同利用型「タイプB」のチリ、ベトナム、複数国が共同利用する「タイプC」のブルネイ。このほか、タイプAのポーランド、クウェート、トルクメニスタンの3館は、開幕初日に関係者のみによる式典を予定。一般の来場者は観覧できない。
描く未来図、半世紀の変容――式出席の両陛下、赤十字館を見学(EXPO2025)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 234文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博の開会式出席などのため大阪府を訪問中の天皇、皇后両陛下は12日、大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)にある会場を訪れ、「国際赤十字・赤新月運動館」を見学された。
同館は皇后さまが名誉総裁を務められる日本赤十字社(東京・港)が運営するパビリオン。両陛下は東日本大震災などの被災地やパレスチナ自治区ガザの紛争地域など、世界各地で活動した職員らへのインタビュー動画を視聴された。同館関係者らとの懇談で、陛下は「改めて赤十字の活動に感銘を受けました」と述べられた。
描く未来図、半世紀の変容――レセプションに秋篠宮さまも出席(EXPO2025)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 136文字 PDF有 書誌情報]
日本国際博覧会協会は12日夜、大阪市内のホテルで大阪・関西万博のレセプションを開いた。名誉総裁を務める秋篠宮さまは同妃紀子さまと出席し「世界との出会いというすばらしい体験が世代を超えて共有され、次世代へと引き継がれていくことを期待いたしております」とお言葉を述べられた。
故麻生渡氏に従三位(短信)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 81文字 PDF有 書誌情報]
政府は11日の閣議で、3月15日に85歳で死去した元福岡県知事で、全国知事会長も務めた麻生渡氏を従三位に叙すると決めた。麻生氏は生前、旭日大綬章を受章している。
奈良の落雷事故、注意報認知せず 学校側が責任認める[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 357文字 PDF有 書誌情報]
奈良市の学校で部活動中の中高生6人が搬送された落雷事故で、中高を運営する学校法人「帝塚山学園」は12日、記者会見を開き、部活動の顧問の一部が事故当日の雷注意報を「認知していなかった」と明らかにした。学校に責任があるとし「急激な天候の変化で、事故を防ぎきれなかった」と釈明した。
大阪管区気象台によると、事故があった10日は奈良県内に雷注意報を発表していた。学園は部活動によって状況が異なるとして、中止判断は一律とせず、顧問に委ねていたと説明。専門家を含む第三者委員会を設置し、事故原因を詳しく調べるとともに再発防止策を検討するとした。
学園によると発生時はサッカー部や野球部の生徒や顧問の教員らが現場グラウンドにいた。サッカー部の50代男性顧問が状況を確認して活動中止を検討しようとした矢先に落雷があったという。
テッド・コッチェフ氏(映画監督)(死去)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 27ページ 178文字 PDF有 書誌情報]
テッド・コッチェフ氏(映画監督)カナダのメディアによると4月10日死去、94歳。シルベスター・スタローンさんが主演した1982年の米映画「ランボー」が代表作で、世界的大ヒットを記録した。
英国やオーストラリア、米国でドラマや映画の監督を務めた。カナダ映画「グラヴィッツおやじの年季奉公」で74年、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した。
(ニューヨーク=共同)
花降る里でお客する 玉岡かおる[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1944文字 PDF有 書誌情報]
高知県には親戚も知合いもなかったが、小説の取材で訪れるたび集まってくださる仁淀川町の皆様と飲み明かすうち、すっかり親しい地になった。とうに小説は世に出たのでもう仕事は関係ないのに、「祭だからおいで」「桜が咲いたからおいで」と声がかかると、こちらの地酒を手土産に、弾んで出かけて行くのはもはや「帰省」の感覚に近い。
なにしろ噂に違(たが)わず高知の人はハンパなく飲む。なので私もどれだけ気合いを入れたことか。おかげでだんだん酒が強くなり、ついには先に相手がつぶれたこともある。この4月から仁淀川町の観光大使の末席に加えていただくことになったのも、おそらく、飲んだ酒量で決まる名誉職であるからに違いない。
◆
私がこの地に惹(ひ)かれてやまない理由はいくつもあるが、土佐に早い春を告げる「秋葉まつり」は語るに欠かせない存在だ。平家の落人伝説が残る別枝(べっし)の里に230年も続く個性ゆたかな祭である。ふだんは過疎に悩むのに、祭となると人口は、遠い都会に住んでいる親戚連中を筆頭に、観光バスやテレビ局の撮影クルーなどが訪れ、倍以上にもふくれあがる。
見どころは神幸(しんこう)に随行する多彩な役者たち。油売りに鼻高、狐(きつね)といったコスプレ顔負けの扮装(ふんそう)で、笛や太鼓の鳴り物とともに、武者装束の子供たちも神楽を舞う。役員方は紋付き袴(はかま)の正装で、古式ゆかしい装束の神主さんともども、アップダウンの激しい山道を下駄(げた)や雪駄(せった)で練り歩く。真昼間から飲んで赤い顔の人も、平気で上り下りするのはさすがだ。
そして祭の花形はなんといっても「鳥毛ひねり」。長さ7メートルもある檜(ひのき)の細棒の先端に東天紅の尾羽を飾ったきらびやかな槍(やり)を、ひねりを入れて10メートルも離れた相方へほうり投げ、みごとキャッチしてまた投げ返す、というものだ。華麗な技に、拍手と喝采(かっさい)の声が湧く。
これをやりたいばかりに都会からUターンしてきた青年もいるほどで、太刀踊りの小学生も「いつかはボクもあれをやる」と羨望のまなざし。おじさんたちは、「昔はワシもやった」というのが孫への自慢だ。祭とは、そのようにして郷土への愛を刻み、誇りを積み上げていく仕掛けでもあるらしい。
東天紅は観賞用の鶏で、食べられもしないのに大切に飼っているのはただ祭のため。鶏が絶滅すれば祭の装飾も違うものになってしまうから、鶏と人は一蓮托生(いちれんたくしょう)、結果的に祭が自然保護の役目も担っているわけだ。
もう一つ、祭には土佐ならではのお楽しみがある。それは神輿(みこし)が立ち寄るゆかりの家々で、大勢の人を家に招き入れてごちそうをふるまう「お客」という風習だ。
私も招いてもらったが、それはもう誰でも出入りしていい酒宴の場。隣に座るのはまったく知らない人だが、ごちそうや酒をいただくうちになんだか仲良くなって話が弾む。
招く側も大変だろうとねぎらいをこめ、いったい何人分のごちそうを用意するか尋ねてみたら、「コロナ前より少ないね」とアバウトな返事。客のために立ち働く数人の女性陣は、実は祭の本当の立て役者かもしれない。
お客で大勢が集まり、親睦を深めるのは、共同作業が不可欠だった農耕民の知恵でもあった。だが個を重んじる現代社会では、それが負担になる場合もある。ならば伝統も現代事情に添うべしと、祭を核にした「秋葉まつりの里・未来会議」が組織され、ここまで残った伝統を今後どうしていくかに向き合っている。興味深いのは、メンバーの少なからずがUターン組。まさに祭に呼び戻されたか。ただし奥様方は「帰るならあなた一人で」と都会に居残っているそうだからさもありなん。価値観もアップデートが必要だ。祭事は政(まつりごと)。いつまでたっても子供のような心を持つ大人たちが没頭し続けられるイベントとして、まだ発展の伸びしろはありそうだ。
◆
別枝の里では、今、あちこちでみごとなしだれ桜が満開になり、それはもう別世界。賑(にぎ)やかな祭とは違い、幻想的な桜はもの言わず、春の山々を貴婦人のごとく華麗に装い、人を招く。そして花降る頃まで、心賑やかなお客は続く。
老いも若きも、今住む者も遠くにある者も、あまねく呼び寄せ集める祭と桜。それは決して金を生む産業とはほど遠いが、人の心をとてもゆたかにして送り返してくれる。それがこの里の、声なき引力なのだろう。桜が終われば今度は清流と満天の星が待っている。日本が最後に残したけがれなき自然に触れるため、また親戚顔でお客になろうと思っている。
たまおか・かおる 1956年兵庫県生まれ。作家。著書に「帆神」(新田次郎文学賞、舟橋聖一文学賞)、「さまよえる神剣」など。
鳥と椿 奥西賀男[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 28ページ 9文字 書誌情報]
鳥と椿 奥西 賀男
平井一夫(13)「仮免許」を返上 米法人に骨うずめる覚悟 ゲーム事業、ソニーの中核に(私の履歴書)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1390文字 PDF有 書誌情報]
1994年に日本で発売したプレイステーションは瞬く間に大ヒット商品となった。私も含めて社内でも懐疑的な見方が強かったゲーム事業は、あれよあれよという間にソニーの中核事業と呼べるまでに成長した。
象徴的なのが99年3月期の業績だった。エレクトロニクス部門の営業利益が前期比59%減の1311億円に落ち込む一方で、ゲームは1365億円の営業利益を出した。
当時のソニーは誰が見てもエレクトロニクスの会社だが、生まれたばかりのゲームがあっさりと追い抜いてしまったのだ。当時の日本経済新聞は「『ゲームのソニー』色濃く」との見出しで伝えたが、我々にとっては「色濃い」という程度ではない。自分たちがソニーを支えているのだという空気が流れ始めた。
もっとも、社内でもまだまだベンチャー的で危なっかしいとの見方があったのだろう。ソニー社長の出井伸之さんが「ゲームもエレクトロニクス部門」と話したという。それを伝え聞いた私は思わず「なにを言ってるんだ。ゲームはゲーム。プレイステーションはプレイステーションだ」と反発したものだ。
ところで私はこの時点でまだソニー・ミュージックエンタテインメント(旧CBS・ソニー)に籍を置いたままだった。ゲームの米国法人「SCEA」には出向しているという建前だった。
いつまでもそういうわけにはいくまいと思っていたある日、東京の久多良木健さんから電話がかかってきた。
「キミ、けしからんなぁ」
なんでもこの当時、親会社のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、当時)は海外駐在を認めていないのに、ミュージックからの出向者である私を駐在員として認めることはできないという。久多良木さんは「大賀さんがそう言ってるから」ともいう。大賀典雄さんは当時のソニー会長だ。音楽子会社の一駐在員の勤務体系など知るはずもない。あれは久多良木さんのブラフだったはずだ。
こんな指摘もあって、私は正式にソニー・ミュージックを退職し、SCEAに入社し直した。ちなみにSCEではない。あくまで米国の子会社に雇われた形だ。この点にはこだわりがあった。
社内では「カズは東京から来た出向者だから失敗しても帰る場所がある」と見る者もいただろう。ここは久多良木さんのブラフに便乗して、SCEAに骨をうずめる覚悟を示そうと考えた。私がSCEAに入社し直したからといって、わざわざお披露目するわけではない。だが、確かに社員たちが私を見る目が変わっていった。
これに合わせて私は99年にSCEA社長に就任した。思えば私をここに引きずり込んだ丸山茂雄さんに「仮免許ってことで」と言ってEVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)兼最高執行責任者(COO)になってから約3年。やることは変わらないが晴れて免許を許された気がした。
翌年発売したプレイステーション2は初代機の販売を上回り快進撃を見せる。最終的には1億6000万台以上に達した。
この間、ソニー本体はエレキの不振から深刻な業績悪化に直面する。私としては半ばひとごとだ。ミュージック時代から「ソニーなにするものぞ」という哲学をすり込まれていたからだろう。だが、おごれる者は久しからず。我がプレイステーションにも危機の足音が迫っていた。(ソニー元社長)
【図・写真】プレイステーション2は記録的な売れ行きとなった
(2000年、東京・秋葉原)
仮名文字論者 今野真二(日本語日記)[2025/04/13 日本経済新聞 朝刊 28ページ 867文字 PDF有 書誌情報]
今日(きょう)は、2025年日本国際博覧会が始まる日ですね。世界最初の万国博覧会は174年前、ペリー来航2年前の1851年にロンドンで開催されています。日本は慶応3(1867)年のパリ万博に正式に参加しました。この時は、江戸幕府、薩摩藩、佐賀藩が出展しています。幕府は将軍慶喜の名代として徳川昭武を派遣しますが、この時に会計係として同行したのが渋沢栄一です。
このパリ万博に、民間人として出品をしたのが清水卯三郎です。卯三郎は酒造業を営む家の三男として生まれていますが、漢学を学び、さらに箕作秋坪(みつくりしゅうへい)に蘭学を学び、嘉永7(1854)年には下田で、ロシア全権大使のプチャーチンに会っています。横浜で商売をしていて、英語の必要性に気づき、英語も学び、万延元(1860)年には『ゑんぎりしことば』という題名の英語辞典を出版しています。さらに明治7(1874)年にはイギリスで1850年に出版された実験化学の入門書を翻訳した『ものわりのはしご またのなせいみのてびき』を出版しています。
「ものわり」は卯三郎の造語で〈ものを分ける〉という意味で「化学」のことをあらわすと考えられています。幕末から明治期にかけては、〈物理的・化学的方法で物質の組成などについて明らかにする〉という語義で「ブンセキ(分析)」が使われていましたが、それをいわば和訳したものと思われます。副題に含まれている「せいみ」はオランダ語「chemie」を音訳した語で、化学は「舎密学(セイミガク)」と呼ばれていました。
『ものわりのはしご』は漢数字を項目番号として使う以外は、すべて平仮名の分(わか)ち書きで記されています。卯三郎は日本語を仮名のみで文字化することを主張する仮名文字論者でした。卯三郎は訳語についても工夫をし、元素を「おおね(大根)」と訳して、酸素は「すいね」(=酸っぱい根)、水素は「みずね」、炭素は「すみね」のように、すべて「ね」で終わるように訳語を揃(そろ)えています。万博と仮名文字論者、おもしろい組み合わせですね。(日本語学者)
25年04月09日
車の炭素繊維、EU禁止案 東レなど先端素材に打撃 廃棄時、人体に悪影響懸念[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1326文字 PDF有 書誌情報]
【フランクフルト=林英樹】欧州連合(EU)が自動車の材料として使われる炭素繊維について、原則禁止を検討していることが8日わかった。廃棄する際に、細かい繊維が人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとみているためだ。炭素繊維は東レなど日本企業が世界シェアの半分を持ち、制限されれば日本の先端素材産業に打撃となる。
EUは廃棄車のリサイクルを規定する「ELV指令」(総合2面きょうのことば)の改正に向け協議している。EUの立法機関である欧州議会がこのほど提示した指令の改正案で、車向けの使用を大幅制限する有害物質の項目に炭素繊維を加えた。改正案が成立すれば、世界で初めて炭素繊維が使用規制の対象となる。
炭素繊維は主に樹脂を混ぜた複合材料として航空機などに使われる。廃棄の際に電導性のある繊維が空中に浮遊し、機械に入り込むとショートする恐れがある。また繊維が細く、皮膚や粘膜に付着すると痛みなどを引き起こす場合があるとされ、EUはリスクがあるとみているようだ。
現行指令は鉛、水銀、カドミウム、六価クロムを有害物質に指定している。特定の車部品向けは一定の条件下で使用できるが、ブランドイメージが悪化するリスクを避ける目的で車大手・部品メーカーは対象の有害物質を減らしている。炭素繊維が対象に加われば、他の有害物質と同じく使用回避の動きが広がる可能性が高い。
炭素繊維は鉄やアルミより軽くて強度が高い。調査会社ルーツアナリシスによると、2024年の市場規模は54億8000万ドル(約8200億円)。35年までに3倍超の170億8000万ドルに達する見通しだ。
自動車向けは炭素繊維の用途全体の1~2割だが、電気自動車(EV)の車体向けに軽くて強い炭素繊維複合材料の導入量が増えている。航続距離を伸ばすため車載電池の容量を拡大しており、EVはエンジン車以上に車体の軽量化が不可欠だからだ。
高級車やスポーツ車を中心に、バックドアやボンネット、ルーフ、EV向け電池のケースなど強度と軽量化が必要な部材で使われている。
炭素繊維は東レと三菱ケミカルグループ傘下の三菱ケミカル、帝人の3社で世界シェア(24年)の52%を占める。
首位の東レは米ボーイングの旅客機の1次構造材や風力発電ブレード向けを中心に大量供給契約を結び、炭素繊維事業を黒字化した。24年3月期の同事業の売上高は2905億円、事業利益が132億円で、ともに全体の12%前後を占める。
東レは欧州の拠点を通じて炭素繊維が追記された経緯の確認などを進めている。炭素繊維のうち自動車用途向けの割合は非開示だが、「個社だけの問題ではなく、炭素繊維や自動車の業界団体と連携して対応する必要がある」(同社)とする。
帝人の車向け炭素繊維の事業規模は航空機、風力発電向けに次いで3番目に多く、車向けのうち5割強が欧州向けだ。使用制限が決まった場合は、製品構成や販売地域の変更を検討する可能性があるという。
指令の改正案は欧州議会と執行機関の欧州委員会などEUの3機関で協議する。正式決定すれば、29年にも適用が始まる見通しだ。炭素繊維を手がける業界団体や企業による反発は必至で、最終的に改正案から削除される可能性もある。
赤沢経財相、米財務長官と関税交渉 早期訪米に意欲[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ 490文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は8日、トランプ米政権が打ち出した関税措置を巡る米国との交渉担当閣僚に赤沢亮正経済財政・再生相を指名した。米側はベッセント財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表が務める。(関連記事総合2面に)
赤沢氏は国会内で記者団に「成果が上げられるよう最優先かつ全力で取り組んでいきたい」と述べた。米側との信頼関係構築へ「できるだけ早く顔を合わせることを考えなければならない」と早期訪米に意欲を示した。
ベッセント氏は7日、X(旧ツイッター)で「大統領は私とUSTR代表に、世界貿易の黄金時代に向けたビジョンを実現する対日協議を開始するよう命じた」と表明した。
関税や非関税障壁だけでなく為替相場、政府補助金についても議題にすると言及した。林芳正官房長官は記者会見で「為替については加藤勝信財務相とベッセント氏との間で引き続き緊密に議論していく」と説明した。
過去の環太平洋経済連携協定(TPP)と日米貿易協定の交渉は経財相が所管し、茂木敏充氏や甘利明氏ら自民党三役と複数の閣僚を務めた人物が担った。赤沢氏は首相と同じ鳥取県選出で、2024年に発足した石破内閣で初入閣した。
日経平均1876円高 上げ幅史上4位[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ 320文字 PDF有 書誌情報]
8日の東京株式市場で日経平均株価は4営業日ぶりに反発し、前日比1876円(6%)高の3万3012円58銭で終えた。1日の上昇幅としてはブラックマンデー翌日の急落の反動で上昇した1987年10月21日(2037円)に次ぐ歴代4番目の大きさとなった。日米の関税協議が進展するという期待から前日まで売られていた株式を買い戻す動きが広がった。(関連記事グローバル市場面に)
米トランプ大統領による2日の相互関税発表を受けて日経平均は3営業日連続で下落し、3日間の下落幅は4500円を超えていた。前日7日の米株式市場での下げ幅が限られたことで、過度な市場の不安がいったん後退した。
外国為替市場で対ドルで円が下落したことも日本株相場の支えになった。
相互関税上乗せ、米がきょう発動 日本24%に[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ 297文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が世界各国からの輸入品にかける相互関税で、貿易赤字が大きい国・地域に課す上乗せ税率が日本時間9日午後1時1分(米東部時間9日午前0時1分)に発動する。日本には合計で24%を適用する。
相互関税は一律10%をかける基本税率と、国ごとの上乗せ税率で構成する。基本税率は5日に既に発動した。上乗せ税率は非関税障壁や高関税がある「最悪の違反者」だとトランプ政権が認定したおよそ60カ国・地域に課す。
トランプ政権は為替政策や規制といった非関税障壁などを含めた場合、日本は実質的に46%の関税を米国にかけているに等しいと主張。46%のおよそ半分にあたる24%の税率を適用するとしている。
80年目のリセット(3)経済互恵求め米離れ拍車 アジア「中国接近」揺り戻し(崩れる自由貿易)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1186文字 PDF有 書誌情報]
「これはチャンスだ」。フィリピン商工会議所のバルセロン会頭は3日、全世界を対象にした米国の相互関税の全容を見て語った。フィリピンも17%の関税を課される。それでも地域の生産拠点として競合するベトナムの46%やタイの36%より低かったからだ。
外国の投資を呼び込む追い風になるとの期待が広がる。その視線は南シナ海の領有権問題で対立する中国に向く。相互関税の全容が明らかになる前から動き出した。
安保と切り離し
フィリピン経済区庁は3月、広東省深や福建省アモイなど中国の4都市に出向いた。「米欧に輸出したい中国の製造業者にとって、フィリピンは中国以外の追加投資先としての好条件を備えている」。同庁のパンガ長官は自国の優位性を訴え、中国からの投資拡大を求めた。
米国が相互関税で上乗せ税率を課したのはおよそ60カ国・地域ある。そのうち中央アジアや南アジアを含めるとアジアが3割を占めた。
自由貿易で急成長した東南アジアは中国にすり寄る。中国と陸続きのタイやベトナム、マレーシアは鉄道網を整備し、中国との貿易拡大を急ぐ。
同じ構図は第1次トランプ米政権でもみられた。中国経済は当時、安定成長を続け、アジアをひき付けた。かたやトランプ政権は発足直後に環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、自由貿易に背を向けた。
国際貿易センターによると、日韓や東南アジアなど13カ国・地域の対中輸出は2020年までの4年で33%増えた。25%だった米国向けの伸びを上回った。
米国でバイデン政権が発足すると一転した。13カ国・地域の輸出増加率は米国向けが中国向けを上回った。米国による対中制裁の強化や中国の不動産バブル崩壊が響いた。保護主義にひた走るトランプ米大統領が返り咲き、アジア貿易は中国シフトへの揺り戻しが起きようとしている。
双方がすり寄り
米国に代わる輸出先を探すのは中国も同じだ。習近平(シー・ジンピン)国家主席は4月中旬にベトナム、カンボジア、マレーシアを訪れる。米国から24~49%の高関税を課される3カ国との間で、貿易や投資の拡大を確認するとみられる。
秋波を送るのは東南アジアの友好国だけでない。中国の徐飛洪・駐インド大使は中国メディアが1日に報じたインタビューで「インドとの貿易協力を強め、より多くのインド製品の輸入を希望する」と述べた。
中印は20年に国境紛争で戦火を交え、交流が滞った。転機はトランプ氏の大統領選における勝利だった。両国は24年12月、国境係争地の安定策で合意した。関係修復だけでなく、中国は経済的な結びつきも強めようと急ぐ。
トランプ氏による同盟国も対象とした高関税政策は、米中対立の最前線であるアジアで米国離れを助長しかねない。得をするのは誰か。中国政府系シンクタンクの研究者は「トランプ関税の混乱から最も多くの果実を得るのは中国だ」とうそぶく。
ハマグリが水から出て、ひなたぼっこをしていた(春秋)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 1ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
ハマグリが水から出て、ひなたぼっこをしていた。それを見たシギが中の肉をつっつくと、ハマグリは殻を閉じてくちばしをはさむ。どちらも譲らずにいると、漁師が来て両方をつかまえた。中国の前漢の書で、戦国時代の策謀を描いた「戦国策」にある有名な寓話(ぐうわ)だ。
▼秦や燕、趙などの国の攻防が同書の主なテーマ。趙が燕を討とうとしたとき、遊説家の蘇代は趙の恵王に漁夫の利のたとえを披露する。両国の争いは強大な秦を利することになると説くと、恵王は「なるほど」と応じて攻め込むのを思いとどまった。理をもって諭し、外交で事態を打開しようという発想が戦国策にはある。
▼どうすれば相手をうなずかせることができるのか。材料を見つける難しさが浮き彫りになっている。石破茂首相がトランプ米大統領に電話協議で伝えたのは「懸念」。協力を深めたいとも訴えたが、トランプ氏は「日本は貿易で米国をひどく扱ってきた」と投稿した。緊張をはらんだままで、両国は担当閣僚の協議に入る。
▼中国哲学の研究者の宇野哲人は1920年に戦国策を訳出し、国際情勢への対処の参考にすべきだと記した。米国はこの年発足した国際連盟への参加を見送り、孤立主義に傾斜した。きょう米国は相互関税の上乗せ分を発動する。外交の力で混迷をはらすことはできるだろうか。世界経済に大音量でアラームが鳴っている。
米中、歯止めなき関税報復 米が中国に追加分104% 双方強硬、世界景気揺らす[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1176文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平、北京=塩崎健太郎】米中の関税競争が泥沼の様相となってきた。トランプ米大統領は7日、米国の相互関税への報復措置を撤回しなければ中国に50%の追加関税を上乗せすると警告した。中国も対抗する姿勢を即座に示し、両者は一歩も譲らない状況だ。
トランプ氏はSNSで「米国に報復する国は当初よりも大幅に高い関税に直面するという警告にもかかわらず、報復関税を発表した」と中国を非難した。中国は米国の相互関税への対抗措置として同じ34%の追加関税を課す方針を示しており、トランプ氏は8日までの撤回を要求した。
米政府関係者によると、既に表明した追加関税に50%をさらに上乗せする。米国は合成麻薬フェンタニル対策に絡み、これまでに20%の対中追加関税を発動済みだ。トランプ政権は中国に34%の相互関税を課すと発表していて、さらに50%を上乗せすれば合計で104%になる。
トランプ氏はSNSでの投稿後、記者団に「習近平(シー・ジンピン)国家主席とは良い関係にあるが、こうするほかなかった」と述べた。中国が対米貿易黒字を「軍事費に使ってほしくない」と訴えた。
中国商務省は8日、トランプ氏のさらなる関税上乗せの意向に反発した。「米国が独断を貫くなら最後まで戦う」との報道官談話を出し、米国が関税を上げれば対抗措置をとると説明した。
中国メディアの財聯社などは8日、中国政府が大豆など農産物に対する関税の大幅な引き上げや鶏肉の輸入禁止など少なくとも6つの報復措置を準備していると伝えた。
米中による関税の引き上げは2カ月間で第4弾にまで及ぶが、両首脳の会談は実現していない。トランプ氏は今後の米中間の協議はすべて取りやめるとも警告しており、貿易戦争の解消に向けた道筋は見えない。
双方が強気な姿勢を譲らないのには理由がある。
トランプ政権は対中強硬派がそろい、中国を「最も強力で危険な敵」(ルビオ国務長官)と位置づける。一方、中国は弱腰を見せれば国民が習近平指導部への批判や不満を募らせかねないとの事情がある。強硬な姿勢を示すことで米国に反発する国々との結束を強めたいとの思惑も透ける。
二大経済大国の関税の応酬は世界経済に暗い影を落とす。米国では「失業率の上昇とインフレ率の上昇の両方のリスク」(米連邦準備理事会のパウエル議長)が高まる。中国にとって米国は国別で最大の輸出相手国だ。内需不足が長引くなか、輸出が減速すれば中国経済の下押し圧力になる。
中国の通貨、人民元への下落圧力は強まっている。8日には1ドル=7.34元と、2023年9月以来の安値を付けた。
◇
8日付の1面で、トランプ米大統領が中国に課す相互関税を「34%から50%に引き上げる意向を示した」と報じましたが、米政府関係者の説明で34%に50%をさらに上乗せすると分かりました。
米政権、関税計算の数値にミスか 実際の税率は「4分の1」[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 2ページ 583文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=赤木俊介】トランプ米政権が「相互関税」の税率の計算式で代入を誤った可能性がある。米アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の研究員が改めて計算したところ、実際の税率は発表された数値のおよそ4分の1ほどとなった。日本への税率は24%ではなく、一律の10%のみが適用されるはずだという。
AEIが4日発表した。米通商代表部(USTR)が公表した計算式では、分子を輸出額から輸入額を差し引いた数字(米国からみれば貿易赤字額)、分母を2つの係数と輸入額を掛け合わせたものとし、各国・地域が米国に課している関税率を導き出している。
問題は分母で使われている係数にある。ひとつは、関税を課した場合の輸入価格の変動を表す数字で、USTRはこれを「0.25」とした。もうひとつは輸入価格に対する輸入需要の弾性値で、これは「4」とされた。
「0.25」と「4」を掛け合わせると「1」となるため、計算式は事実上、貿易相手との取引で計上した赤字を輸入額で割っただけのものとなっている。トランプ政権はこれをさらに半分に割り、各国・地域に適用する相互関税の税率として2日に公表した。
ところがAEIの研究員は係数のひとつについて、代入すべき数値は「0.25」ではなく「0.945」だと指摘した。政権は輸入価格ではなく「関税に対する小売価格の弾性値」を誤って代入したという。
針路を聞く(1)相互関税、米に跳ね返る 元WTO事務局長 スパチャイ・パニチャパック氏(崩れる自由貿易)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1123文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が2日に公表した「相互関税」は過去に例のないほど厳しいものだ。世界貿易機関(WTO)の基本原則であり、関税などで最も有利な待遇を全ての加盟国に適用する「最恵国待遇(MFN)」のルールにも反する。
世界は自由貿易を推進することで経済的な繁栄を追求してきた。トランプ氏はこの価値観を攻撃できても完全には破壊できない。米国の自国第一主義的な政策は世界経済に悪影響を及ぼす。国際社会はこれを受け入れないはずだ。
各国は関税の影響を最小限に抑えようと個別に解決策を探っているようだが効果は薄い。トランプ氏の政策は世界共通の課題だ。WTOや地域単位で米国との対話を模索すべきだ。
米国は今回、2017~21年の第1次トランプ政権よりも広範かつ強硬な関税策を断行した。トランプ氏は関税が自国への投資を促す最良の手段と考えている。ただ、第1次政権下で世界の投資動向は多少変化しても、米国に投資が促されたとは言い難い。
地場産業の育成が必要な途上国を除けば保護貿易政策がうまくいった前例はほぼない。それにもかかわらずトランプ氏が関税策をとったのは、第1次政権での措置は生ぬるく、想定する効果を発揮するのには不十分と判断したためだ。
トランプ政権の関税策が長引けば影響は米国に跳ね返る。米国は世界の貿易に占めるシェアを落とすだろう。貿易赤字の是正につながるかもしれないが国内では3~6カ月以内に深刻なインフレが起きるはずだ。
東南アジアへの影響も深刻だ。第1次トランプ政権下では米中貿易戦争で中国から域内への生産移管が進んだが、今回は域内にも高い追加関税が適用される。
米国の関税措置により、行き場をなくした中国製品が東南アジアに流入する懸念もある。各国は輸出できない商品を投げ売りして近隣の国を追い込もうとしてはいけない。一連の問題は東南アジア諸国連合(ASEAN)や関係国を巻き込んで話し合われるべきだ。
中国など一部の大国は報復関税の導入に動くが、新興国の集まりである東南アジア各国が同様の措置をとるのは望ましくない。報復の応酬は関税の波を増幅させるだけだ。各国は冷静に話し合い、相互関税が破滅につながることを明確に訴える必要がある。
各国が米国の関税策の影響を抑えるには自由貿易協定(FTA)を活用するべきだ。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)を積極利用するほか、地域間のFTAの枠組みの統合やアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現も有力な選択肢だ。
(聞き手はバンコク=井上航介)
Supachai Panitchpakdi 1992年にタイ経済担当副首相。2002年~05年に新興国出身で初めてWTO事務局長を務めた。78歳
いざ開幕、大阪万博(3) 要人警護、緊迫の半年間(迫真)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 2ページ 987文字 PDF有 書誌情報]
「刃物を捨てろ」。3月19日、大阪・関西万博の会場入り口前に怒声が響き渡った。日本国際博覧会協会や大阪府警などが合同で実施したテロ対策訓練。刃物を持った男が無差別に来場者を切り付けた想定で、身柄の確保やけが人の救護、避難誘導などの手順を確認した。
「連携は取れたがスピード感に欠けた」。初動対応に当たる府警「会場警察隊」の隊長、難波大介は1カ月を切った開幕へ課題も挙げ、緊張感を漂わせた。
国際的な注目が集まる巨大イベントはテロの標的になりやすい。万博は開催期間(4月13日~10月13日)に国内外から約2800万人の来場を見込む。警備の地の利となるのが「初の海上万博」となる人工島・夢洲(ゆめしま)だ。
四方を海に囲まれ、府警は海上保安庁と船舶で目を光らせる。ドローン攻撃対策の専門部隊も投入し、不審な飛行物をレーダーで検知。妨害電波を発し侵入を防ぐ。会場外周は侵入の感知センサー付きフェンスを巡らせる。
会場内の備えも厚い。防犯カメラは約600台。協会の民間警備員は1日で最大2000人を配置し、約250人体制の府警の警察隊は交代制で24時間常駐。巡回や防犯カメラのチェックで異変を察知する。
2つのゲートでは金属探知などの手荷物検査を実施。大型荷物や瓶、缶類の持ち込みを禁じ、危険物や凶器を遮断する。
さながら「要塞」と化し、陸・海・空で守りを固める。
警備当局の緊張感は高い。特に要人警護だ。参加国・地域は158に上り、半年間にわたり式典やイベントの開催が続く「ナショナルデー」で最重要人物(VIP)の来訪も見込む。
訪問先のパビリオンは内部が複雑で警護が難しかったり、完成が直前で現場の調査に時間を割けなかったりする懸念もある。
要人警護を巡っては2022年に元首相の安倍晋三が銃撃され死亡、23年に前首相、岸田文雄の選挙演説会場に爆発物が投げ込まれる事件が起きた。警護態勢の不備や課題が指摘された。事件後、警察庁などは大幅な体制見直しと強化策を講じた。
「全国警察の総力を挙げて安全安心を確保する」。3月、会場を視察した警察庁長官の楠芳伸は力を込めた。府警は仮想現実(VR)システムで会場内を再現し訓練に生かす検討をしており、最新技術も駆使して任務に臨む構えだ。
(敬称略)
【図・写真】大阪・関西万博の会場で行われたテロを想定した訓練(3月19日、大阪市此花区)
企業献金の存続は透明化の徹底が条件だ(社説)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 2ページ 931文字 PDF有 書誌情報]
与野党が企業・団体献金の扱いをめぐる結論を見いだせていない。自民党は「禁止より公開」の方針を掲げるが、中途半端な制度改正では不正の連鎖を断ち切れない。今度こそ政治資金の透明化を徹底することが、不祥事の防止と信頼回復への最低条件となる。
自民党派閥の裏金問題の発覚後、政治資金規正法はすでに2度改正された。昨年6月はパーティー券購入者の公開基準額の引き下げと厳罰化、昨年12月には政策活動費の全廃や資金を監視する第三者機関の設置、報告書のデータベース化――が決まった。
与野党は立憲民主党などが提出した企業・団体献金禁止法案について3月末までに結論を得ると申し合わせたが、各党の意見集約ができずに先送りされた。
自民党は企業・団体による献金やパーティー券購入の全面禁止は政治活動を阻害し、政党助成金など公費への依存度が格段に増してしまうと主張している。
自民、公明両党と国民民主党は「収支報告をオンライン提出しない政党支部への企業・団体献金の禁止」「献金上限や公開基準の大幅な引き下げ」を軸に協議を続けている。企業献金が政策決定をゆがめてきたと訴える立民や日本維新の会などとの溝は埋まらないまま後半国会に差しかかっている。
野党は「自民は7千もの支部を作って資金をやり取りしている」「自民党案なら公開対象は支部全体のわずか6%前後」と批判している。不透明な資金の流れが派閥の裏金問題や商品券配布などへの不信感を増幅している状況を自民党は直視すべきだ。
経済同友会は3月に、政治資金の徹底した透明化を求める提言を公表した。(1)約6万ある政治団体の複雑な資金移動の是正(2)政治資金の現金授受の禁止と検索が容易なデータベース導入(3)「政党法」制定による統治能力の向上――などが柱だ。いずれも不正防止への重要な一歩になり得る。
与野党は戦後まもなくから企業・団体献金の是非をめぐる議論を延々と続けている。部分的な改正で次の不祥事を誘発してきた失敗に今度こそ学ぶべきだ。
自民党が企業・団体献金の存続を求めるのであれば、資金の流れの透明化とセットであるべきだ。適正な政治活動は何かをきちんと仕分けし、必要な経費を実費支給する欧米などの仕組みも参考にすべきではないか。
ガザ攻撃再開を黙認するな(社説)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 2ページ 780文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領は、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を終わらせたいのではなかったか。イスラエルによるガザ攻撃再開を黙認する姿勢は大いに疑問だ。
ガザでの戦闘開始から1年半になった7日、トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相を迎えて会談した。就任2カ月半で早くも2度目の対面で、肩入れの強さを示す。戦闘が「遠くない将来、止まるだろう」としたが、停戦を迫った形跡はない。
イスラエルはイスラム組織ハマスと1月に停戦で合意した。就任目前のトランプ氏がかけた圧力が背景だ。しかしイスラエルが3月に大規模な攻撃を再開し、停戦は事実上、崩壊した。
ハマスに人質解放を迫るためというのが言い分だが、いまだ効果はない。攻撃再開後のガザの死者は1千人を超えた。この1年半では5万人を上回る。ハマスは人質を解放すべきだが、イスラエルは民間人を巻き込む攻撃でなく交渉で歩み寄りを探る必要がある。
イスラエルはガザへの支援物資搬入や送電を止めてもいる。人道上の配慮を欠く行為を憂う。イスラエル軍がパレスチナ赤新月社の救急隊員ら15人を殺害した攻撃では、医療従事者を意図的に狙った疑いがある。国際法を軽視してよいと考えるのは思い上がりだ。
トランプ氏は首脳会談に際し、ガザを米国が所有し、住民の域外移住を促すべきだとの持論を改めて主張した。ネタニヤフ氏は「我々が彼らを閉じ込めたわけではない」と述べ、同調した。
戦闘前からガザとの境界に壁を築き、住民の出入りを制限してきたのはイスラエルだ。恥ずべきご都合主義であり、国際社会はパレスチナ人の土地を奪うような暴挙を許してはならない。
米イスラエル首脳会談と同日にエジプト、ヨルダン、フランスの首脳がカイロで協議し、ガザ住民の域外への強制移住に反対を表明した。停戦の回復も求めた。日本はこうした声を支持し、人道状況の改善に協力し続けるべきだ。
日米関税交渉、為替がカードに 財務相同士で議論へ 円安是正の思惑一致か[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1894文字 PDF有 書誌情報]
日米関税交渉の材料に為替が浮上した。米国側が交渉の主導役に指名したベッセント財務長官は8日、非関税障壁などと並んで「通貨問題」を議論する構えを示した。日本は円安によるコストプッシュ型のインフレが続く。水準是正で思惑が一致する可能性がある。(1面参照)
ベッセント氏は8日(日本時間)、日米首脳による7日の電話協議で決まった関税を巡る今後の協議について、自身が担当閣僚に指名されたとX(旧ツイッター)で明らかにした。
「日本は引き続き緊密な同盟国であり、関税、非関税障壁、通貨問題(currency issues)、政府補助金を巡る生産的な取り組みを楽しみにしている」と、為替も交渉のテーマに据える考えを示した。
日本側は8日、関税を巡る交渉で赤沢亮正経済財政・再生相を担当閣僚に起用した。ただ為替問題はこれまで通り、加藤勝信財務相が担う方針だ。日米の財務相同士で議論する体制を続ける。
米側の担当には米通商代表部(USTR)のグリア代表も含まれる。日本の財務省幹部は「ベッセント氏も例えば自動車のことは所管していない。通商は通商、為替は為替という形だ」と解説する。
交渉カードの一つに浮上した為替問題だが、議論をどう進めるかは手探りとなる。
「貿易交渉では、どの国とも為替問題を協議していく。日本を例外にすることはない」。第1次トランプ政権の財務長官だったムニューシン氏は2018年、後に日米貿易協定となる協議に向け、通貨安誘導を封じる為替条項を求める考えを示した。
結果的に19年に最終合意した日米貿易協定には、為替条項は含まれなかった。日本側が為替と通商は分けて議論するべきだとの姿勢を示したことが背景にある。米国が17年に離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)にも同様の条項は含まれていない。
トランプ大統領は、米国の製造業の輸出競争力を低下させるドル高・円安をかねて問題視する発言をしてきた。日本は22~24年にかけて、日米金利差や投機筋の円売りを背景とした過度な円安を抑えるため、円買い介入を断続的に実施してきた。輸入物価の上昇を緩和するために、円安是正で折り合う余地はある。
日米で協調介入をしたとしても、為替市場は規模が大きく効果は見通せない。なにより「ドル安」誘導は、恣意的な為替誘導を禁じた主要7カ国(G7)の合意に抵触する。現時点では「米国の出方も見えない」(別の財務省幹部)のも実情だ。
20年に発効した自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」では、為替レートの操作を避けるといった条項がある。今後の交渉でこうした取り決めが参考とされる可能性もある。
一方でベッセント氏が交渉相手となったのは日本にとっては好都合な面がある。
2月の日米首脳会談では、為替に関する議論は「第1次トランプ政権時と同様に専門家の日米財務相の間で緊密な議論を継続する」(石破茂首相)と整理された。
政府関係者は「トランプ氏が日本を通貨安誘導と批判することを見越して、先手を打った面がある」と打ち明ける。その真意はトランプ氏を為替政策から遠ざける「トランプ介入封じ」だともいえる。
ベッセント氏は長官就任前はヘッジファンドの幹部を務めており、為替相場や債券市場などに明るい。かつては頻繁に来日し、日本の金融機関の幹部との面識もある。為替問題を財務相同士の議論に限定できれば、日本側の意向を反映しやすくなる。
実際に円安・ドル高を是正することになれば、日銀の金融政策にも好影響を及ぼす可能性がある。
日銀は円安による国内の物価上昇に追われるように金融正常化を進めてきた。日銀内には円安是正でインフレの速度が緩やかになれば「利上げを判断する時間的な余裕が生まれる」との声がある。
輸入物価の上昇を通じた物価高が和らげば、国民の負担や企業の仕入れコストの上昇が抑えられる。過度な円安傾向が是正され、実質賃金のプラス定着につながれば消費にも好影響を与え、日銀が目指す賃金と物価の好循環の方向性と一致する。
もっとも日銀内には「程度問題」として過度な円高に進むことへの懸念もくすぶる。ある関係者は「為替は国際政治そのものだ。日米間の金利差は一因ではあるが、そんな単純なものではない。一気に何十円と円高が進む可能性はある」とみる。
財務省内にも「過度な円高になれば、企業の経営計画や業績の予見可能性が失われる」と危惧する声もある。円安による輸出企業の収益を押し上げる効果も剥落すれば、米国の関税引き上げとあわせてダブルパンチとなる。賃上げの機運もしぼみ、内需成長に向けた好循環が遠のく。
USスチール買収再始動 米当局が再審査 日鉄幹部「要求実る」[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1591文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について、省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)に再度審査をするよう指示した。日鉄のUSスチール完全子会社化による「国家安全保障上のリスク」を、トランプ政権のメンバーが新たな委員となり審査する。異例の仕切り直しとなるなか、日鉄が対話を通じ米政権を説得できるかがカギを握る。
「行政訴訟でCFIUSによる審査のやり直しを求めており、それが実現した。大きく前に進んだのは事実だ」。日鉄幹部はこう強調する。同社の買収計画はバイデン前政権が1月に中止命令を出した。その後、日鉄側も買収の中止命令を出したバイデン前米大統領と米政権を提訴するなど混迷が続いていた。
膠着状態が続くなか、同社の森高弘副会長兼副社長は1日にラトニック米商務長官と面会した。日鉄による完全子会社化を前提にUSスチールへの追加投資など新提案を示したとみられる。こうしたことなどが今回の再審査につながった可能性がある。
裁判所による判断が出ていないにもかかわらず、米大統領が一度、中止命令を出したM&A(合併・買収)案件をCFIUSが再審査するのは初めてとみられる。日鉄にとっては光明が差してきた格好だ。
日本政府関係者も「形勢逆転だ」と驚く。多くの日本企業にトランプ関税の逆風が吹くなか、日鉄には強い追い風が吹いた。トランプ氏は、相互関税や発動済みの自動車、鉄鋼・アルミニウム製品の追加関税により「国内外の企業が関税負担を避けるため、これから米国に生産拠点を移す」と盛んにアピールしている。
同盟国の日本からの巨額投資によって米国の鉄鋼産業が息を吹き返せば、有権者に「トランプ関税」の効果が出たと宣伝する材料になり得る。
株式市場が急落するなかで、トランプ関税を正当化する材料が一つでも多く欲しい政権にとっては、日鉄による投資積み増しは渡りに船とも言える。
バイデン氏が出した中止命令の判断を覆すことは、トランプ政権にとっては失点にならないとみられる。CFIUSの審査を巡っては、共和党議員らがホワイトハウスとCFIUSのやりとりを政府側に削除せずあらゆる記録を資料として保全することを要請済みだ。
こうした記録から以前の審査が不正だったと言える材料が出れば、「米国への有望な投資案件を潰した」と前政権を攻撃することもできる。
CFIUSの再審査について、林芳正官房長官は8日の記者会見で「必要に応じ、関係者間の意思疎通の促進に努める」と述べた。
安全保障上の懸念を巡るCFIUSの審査は仕切り直しとなる。CFIUSは省庁横断組織で財務省や商務省、国務省、国防総省など現政権のトップが委員を務め、バイデン政権下のメンバーから刷新された。
まずは45日間かけてCFIUSが審査を進める。場合によってはCFIUSが指摘する安全保障上のリスクについて、日鉄側に軽減措置を講じるといった対応などが求められる。その後、通常ではCFIUSがまとめた報告をもとに、大統領が15日以内に意思決定して公表するとみられる。
バイデン政権下のCFIUSの審査は米大統領選挙中に進められた。バイデン氏は買収計画に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)を支持基盤としており、日鉄の橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)はCFIUSの審査について「結論ありきの政治的介入があった」と非難していた。
刷新されたCFIUSのもとで審査されれば、大統領選後に判断を下したバイデン政権とは異なる結論となる可能性がある一方で、依然としてトランプ氏の意向に左右される状況は変わらない。
バイデン政権が1月に出した買収計画の中止命令の期限は6月18日に迫っている。期限までに刷新されたCFIUSと対話を進め、日鉄が買収条件の積み増しなどでトランプ政権を納得させられる提案を示せるかが焦点となる。
日米関税交渉、為替がカードに――駆け込み電話で日本に「優先交渉権」 首相、側近の経財相に権限集中[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1189文字 PDF有 書誌情報]
日米両政府の貿易交渉は赤沢亮正経済財政・再生相とベッセント米財務長官らが担う。石破茂首相は自身の側近で政権の経済政策全般を取り仕切る閣僚に権限を集中させる。9日の相互関税の発動前に駆け込みで交渉枠組みをつくった。
首相は7日夜のトランプ米大統領との電話協議で「投資拡大を含めて双方の利益になる幅広い協力のあり方を追求すべきだ」と伝えた。トランプ氏との「ディール」の材料として米国産の液化天然ガス(LNG)の調達や防衛装備品の購入拡大などが浮上する。
政府は安全保障やエネルギー協力など政策パッケージをまとめたうえで対米交渉に臨む。自民党の森山裕幹事長は「両国の首脳が今後も率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認できたのはよかった」と評価した。
ベッセント氏は70近い国・地域が米国に交渉を持ちかけていると明らかにしたうえで、交渉の順序では「日本が優先されることになる」と述べた。
首相が閣僚協議を託したのが赤沢氏だった。林芳正官房長官は8日の記者会見で「所管分野の状況、本人の手腕や経験などを踏まえて首相が判断した」と説明した。
経財相は複数の省庁にまたがる政策を推進する。司令塔機能を発揮しやすく、幅広いカードを組み合わせた柔軟な交渉ができる。これまでは武藤容治経済産業相や岩屋毅外相がそれぞれのルートで関税措置の除外を米側に求めていた。
かつての日米の通商交渉を振り返っても経財相が交渉役を担ってきた。2013年以降の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は甘利明元幹事長がオバマ政権との窓口になった。第1次トランプ政権では茂木敏充前幹事長が日米貿易協定の締結を主導した。
赤沢氏は首相と同じ鳥取県が地盤で、24年自民党総裁選は石破陣営の事務総長として選挙戦を仕切った。すでに経済財政運営に加え、首相肝煎りの防災庁設置の準備や全世代型社会保障といった懸案を担当している。
立憲民主党の野田佳彦代表は8日、日本経済新聞の取材に「挙党体制を組まなければいけないのに同じ鳥取県連の側近でいいのか」と疑問を呈した。「茂木氏あたりが一番タフな交渉をするのではないか。頭を下げてでもお願いしたほうがいい」と指摘した。
石破政権はもともと党内基盤が弱いうえに内閣支持率も低下している。日米交渉は国内で影響が出る業界を説得し、補助金などを手当てする対策と表裏一体になる。
国民生活にも影響を及ぼしかねない関税問題への対応を誤れば夏の参院選の結果に跳ね返る。
政府高官は「1期目と2期目の違いはトランプ氏の権力がさらに強くなっていることだ」と解説する。米政府はトランプ氏に権力が集中し、その意図は閣僚協議だけでは見通せない可能性がある。
国民民主党の玉木雄一郎代表は8日の記者会見で「担当者で交渉すると同時に早いうちに首相自身がトップ会談で局面の打開を図らざるを得ない状況が来る」と訴えた。
ELV指令 廃車リサイクル強化へ改正(きょうのことば)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 3ページ 373文字 PDF有 書誌情報]
▽…エンド・オブ・ライフ・ビークルの略で、廃棄自動車のリサイクル推進を目的に欧州連合(EU)で2000年10月に発効した。車の解体時に取り除く部品・部材の指定、リサイクル率の目標や回収システムの確立などが盛り込まれた。自動車メーカーには廃車引き取りの無償化を義務づけた。
▽…50年までに温暖化ガス排出を実質ゼロとする目標達成のため、環境対策の強化が不可欠としてEUは23年、同指令を大幅改正する方針を示した。改正案が正式決定すると、指令から規則に変わり、域内で効力が生じる。各国の国内法を整備する必要ない。
▽…改正案では新車の再生プラスチック使用率、廃車由来の再生プラ使用率の規定のほか、電気自動車(EV)向け車載電池の規制などを盛り込む。乗用車だけでなく二輪車やトラックなども対象に加える。廃棄・リサイクルに関する車メーカーの責任も明確化する。
サイバー安保、危機感共有 関連法案が衆院通過 立維国賛成 基幹インフラ、国が通信監視[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1636文字 PDF有 書誌情報]
サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を導入する法案が8日の衆院本会議で可決、参院に送付された。憲法に関連する重いテーマにもかかわらず、立憲民主、日本維新の会、国民民主の野党3党が賛成に回った。日本を取り巻く安全保障環境への危機感が与野党で広く共有されてきた。
法案は国が平時から通信のやりとりを監視する内容だ。サイバー攻撃の兆候を見つけたら無害化する仕組みづくりが柱になる。水道・電気・ガスなど国民生活に密接にかかわる基幹インフラのほか、国の機関や地方自治体を防御の対象にする。
林芳正官房長官は8日の記者会見で「情報収集・分析能力を強化し体制整備を実現することで早期かつ効果的に攻撃を把握し対応できるようになる」と意義を強調した。
野党からは通信の監視に関し、憲法21条の「通信の秘密」との整合性を担保するよう求める声があがっていた。4日の衆院内閣委員会で、立民、維新、国民民主の各党や無所属議員による会派「有志の会」の主張を踏まえた修正を加えて可決した。
修正で通信の秘密や憲法が保障する国民の権利と自由を尊重する規定を加えた。運用を監督する独立機関「サイバー通信情報監理委員会」が国会に報告する事項も明示した。修正は小幅な内容にとどまった。
安全保障にかかわる法案を巡っては、これまで与野党が憲法との整合性などで対立する傾向が強かった。最近では安倍晋三政権(当時)下の2つの法整備でぶつかった。
2013年に成立した特定秘密保護法は一例だ。安保に関する情報のうち特に秘匿すべきものを「特定秘密」に指定し、漏洩した場合の罰則を定めた。同盟国である米国や同志国に情報共有を促す狙いがあった。野党は「国民の知る権利が十分に確保されていない」などの問題点を挙げた。
もう一つは15年成立の安保関連法だ。集団的自衛権の行使を限定的とはいえ認める内容に旧民主党や共産党などが反発した。武力行使を禁じる憲法9条との整合性や、立法の過程で憲法解釈を変更した点をただした。
安倍政権は中国が海洋進出を強め、北朝鮮も核・ミサイル開発を続ける安保環境を踏まえれば、両法案とも不可欠との立場を貫いた。衆参両院ともに自民、公明両党が議席の過半数を確保しており、最後は「数」で押し切った。
石破茂首相は衆院で過半数を持たない少数与党による政権運営を強いられている。今回の法案を成立させるには野党の協力が必須だった。
立民や維新、国民民主などが政府案の「微修正」だけで賛成に回ったのは、野党側も日本へのサイバー攻撃の脅威を強く認識したからだ。国民生活に深刻な影響を及ぼしかねないとの判断があった。
21~22年に徳島県や大阪府の医療機関で新規外来の受け付け停止や電子カルテが見られなくなる事態が発生した。23年には名古屋港でシステム障害が発生し、業務が一時止まった。24年末には航空会社や金融機関に影響が出た。
中国の支援を受けるハッカー集団「ボルト・タイフーン」は米領グアムの米軍施設への侵入を繰り返してきた。標的としたシステムに長期間潜伏できる最新型の攻撃手法は検知しにくく、在日米軍の施設も標的になりうる。
今回の仕組みは米国や英国、ドイツなど同盟国・同志国の多くが採用済みだ。
もし日本が攻撃に弱点を抱えていれば、同盟国や同志国との情報共有を含めた連携にも悪影響を与える。衆院で与党を過半数割れに追い込み、政権担当能力が求められる野党にとって、現実的な安保政策に取り組む姿勢を見せる必要もあった。
24年成立の「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度を創設する重要経済安保情報保護・活用法も、立民、維新、国民民主が主張した修正を加えて賛成をとりつけた。与党が衆院で過半数を維持していた岸田文雄前政権下だった。
自民、公明、立民、維新、国民民主の与野党5党による日本の安保環境への認識は共有されつつある。安保関連の法案の制定はこの先、5党の枠組みで進む可能性を秘める。
米関税、国会改革迫る 自民案「外相の出席負担軽減」 予算委、全員→答弁する閣僚のみ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1023文字 PDF有 書誌情報]
自民党は8日、衆院の国会改革協議会で審議の効率化に向けた案を示した。石破茂首相はトランプ米政権が打ち出した関税措置を巡り政権を挙げて対応する姿勢を示しており、案には閣僚が国会に出席する負担を軽減する内容を盛り込んだ。
改革案は(1)外相が委員会に出る負担の軽減(2)予算委員会の基本的質疑への出席を求める閣僚の限定――などをうたった。
外相は外務委のほか、安全保障委、沖縄・北方問題、拉致問題両特別委への出席を求められる。トランプ米政権の登場で国際情勢の不確実性が増し、外交の重要性が増している現状で、国会日程に過度に縛られれば、対応が遅れかねない。
自民案は現在、慣例で全閣僚が出席する予算委の基本的質疑を巡っても、答弁する閣僚だけに出席を限定し、負担を減らすよう求めた。
今国会では3月末に2025年度予算が成立し、論戦は後半戦に入った。各委員会で政府提出法案の審議が本格的に始まる。自民党は首相や閣僚の国会への出席が米国との交渉や国内対策のとりまとめの支障にならないようにしたい狙いだ。
首相や閣僚の外交の機会は増えそうだ。首相は7日夜にトランプ大統領と電話で協議したあと、記者団に「最も適切な時期に訪米し直接会談する」と述べた。8日に開いた米関税に関する政府の「総合対策本部」の初会合では全閣僚に外交努力を指示した。
首相は4日に開いた与野党党首会談でトランプ政権の関税措置を「国難」と表現し協力を要請した。自身や閣僚が会期中に米国との関税の交渉で日本を離れることを想定し、国会の委員会の日程立てへの配慮を求めた。
米国の関税措置への危機意識は野党にも広がっている。
国民民主党の玉木雄一郎代表は3日、X(旧ツイッター)に米国の相互関税が9日に本格的に発動されるのを踏まえ「総理や関係閣僚は国会にいなくてもいい」と投稿した。
日本維新の会の前原誠司共同代表は4日の党首会談で首相にトランプ氏との首脳会談を早期に開くべきだと伝えた。
首相や閣僚が国会への出席を求められる負担はかねて問題になっていた。2023年通常国会で当時の林芳正外相が参院予算委の基本的質疑への出席を理由に20カ国・地域(G20)外相会合を欠席した。林氏が答弁した時間は53秒だった。
国会法69条は副大臣や政務官が閣僚の代わりに国会に出席できると定めるものの、予算委などでは慣例として全閣僚の出席が重視される傾向にある。
【図・写真】衆院国会改革協議会(8日、国会内)
ウクライナ支援組織参加へ 防衛相、NATOトップに伝達[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 625文字 PDF有 書誌情報]
中谷元防衛相は8日、防衛省で北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談した。ウクライナへの軍事支援などを調整する「NATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織」(NSATU)に日本の参加を検討すると表明した。
中谷氏は参加が実現すれば「ウクライナ侵略の教訓を収集することができ、大変意味がある」と語った。NSATUは装備品の提供や修理、訓練などでウクライナを支援している。日本が担う具体的な協力内容はこれから詰める。
ルッテ氏は「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だ」と強調した。「NATOと日本のパートナーシップがより強固になる重要性が増している」と話した。
会談に先立ち、ルッテ氏は海上自衛隊横須賀基地(神奈川県)で最新鋭の護衛艦「もがみ」を視察したほか、三菱電機鎌倉製作所(同県)も訪れた。会談で中谷氏に「防衛産業協力をさらに強化することができると自信を持っている」と伝えた。
ルッテ氏は9日、石破茂首相と会談する。
日本はNATOとの協力を深めている。背景にあるのは軍事力の増強を進める中国やロシア、北朝鮮の存在だ。
中国は台湾周辺で軍事演習を重ねるほか、南シナ海でも周辺国を威圧するような行動を繰り返し、アジア地域の火種の原因をつくっている。ウクライナを侵略するロシアも支援しており、中国の存在はNATOにとっても安保上の脅威といえる。
【図・写真】会談を前に握手する中谷防衛相(右)とNATOのルッテ事務総長(8日、防衛省)
AI推進、国が司令塔に 衆院審議入り[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 401文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)の開発促進と安全確保の両立をめざす「AI関連技術の研究開発・活用推進法案」が8日、衆院本会議で審議入りした。全閣僚で構成して首相が本部長を務めるAI戦略本部を設置し、研究開発を進めるための基本計画を策定する。
AIの開発促進や規制に関する法整備は初となる。城内実科学技術相は8日の衆院本会議で「行政事務や民間事業の効率化や高度化、新産業の創出をもたらすものとして経済社会の発展の基盤になる」と意義を強調した。
法案はAIを安全保障上重要な技術と位置づけ、開発力を高めて国際競争力の向上につなげるとの理念を掲げた。
法案はAIの開発力強化や利活用促進のほか、リスク対応にも踏み込む。
不正な目的や不適切な方法によるAI関連技術の研究開発や活用で国民の権利侵害が生じた際、国が分析して対策を検討すると定める。その結果に基づき「指導、助言、情報の提供その他の必要な措置を講ずる」と明記した。
自民参院幹事長、米関税対策「補正予算も」 ガソリン値下げ訴え[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 301文字 PDF有 書誌情報]
自民党の松山政司参院幹事長は8日の記者会見で、米関税措置への対策を巡り「補正予算も必要に応じて検討すべきだ」と発言した。食料品を対象とした消費税減税を念頭に「あらゆる選択肢を排除せず議論することが重要だ」と語った。
松山氏はガソリン価格についてガソリン税の旧暫定税率の廃止と同程度の引き下げを求めた。旧暫定税率は1リットルでおよそ25円が上乗せされている。自民、公明、国民民主3党は価格を定額で引き下げると合意している。
自民党の森山裕、公明党の西田実仁両幹事長は同日、都内で米関税への対応を協議した。同席した自民党の坂本哲志国会対策委員長によると、国内消費を下支えする対策をまとめることで一致した。
公明代表訪中へ、水産物規制協議[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 185文字 PDF有 書誌情報]
公明党の斉藤鉄夫代表は22日から中国を訪問する調整に入った。中国共産党幹部や政府要人らと会談し、日本産水産物の輸入規制解除を重ねて要請する見通しだ。石破茂首相から習近平(シー・ジンピン)国家主席に宛てた親書を持参する案が浮上している。
公明党代表の訪中は2023年11月以来となる。当時の山口那津男代表は共産党序列5位の蔡奇(ツァイ・チー)政治局常務委員らと会談した。
4月8日(首相官邸)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 567文字 PDF有 書誌情報]
▽7時29分 公邸から官邸。42分 新しい地方経済・生活環境創生本部。
▽8時1分 閣議。15分 米国の関税措置に関する総合対策本部。27分 岩屋外相、外務省の鯰外務審議官、有馬北米局長、北川欧州局長。
▽9時52分 東京・紀尾井町のホテルニューオータニ。宴会場「鶴の間」で故鈴木修スズキ相談役のお別れの会に出席。
▽10時5分 官邸。55分 衆院第2議員会館。
▽11時36分 官邸。45分 茂木哲也日本公認会計士協会会長、手塚正彦日本公認会計士政治連盟会長。57分 超党派「多元的危機管理対策議員連盟」の鈴木俊一会長らから要請書受け取り。小野寺政調会長同席。
▽12時16分 政調会長。
▽14時 岡野国家安全保障局長、外務省の船越次官、金井アジア大洋州局長、宮本南部アジア部長、北米局長、石月国際協力局長、岩本領事局長。46分 国家安全保障局長、外務省の鯰外務審議官、欧州局長、防衛省の加野防衛審議官、大和防衛政策局長。
▽15時49分 高須順一、草野耕一新旧最高裁判事。57分 浅尾環境相、鑓水環境次官。
▽16時49分 防衛省の防衛政策局長、青木人事教育局長。
▽17時18分 国家安全保障局長、原内閣情報官。31分 内閣情報官。
▽19時15分 ホテルニューオータニ。レストラン「トレーダーヴィックス東京」で秘書官と食事。
▽21時3分 公邸。
防衛相が資産訂正 自動車「なし」に(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
自民党の中谷元防衛相(衆院高知1区)と勝目康環境政務官(衆院京都1区)は8日、国会議員資産公開法に基づき7日に公開した資産報告書の訂正を衆院事務局に届けた。
中谷氏は自動車1台を「なし」に改めた。勝目氏は金銭信託を18万円から283万2485円に修正したほか、保有株を6銘柄計590株、自動車を1台、貸付金を1100万円と追記した。いずれの事務所も「事務的なミス」と説明している。
米軍無人機を無期限配備 今月から嘉手納基地に(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 123文字 PDF有 書誌情報]
中谷元防衛相は8日の記者会見で、米軍が大型無人偵察機「MQ4C(トライトン)」を嘉手納基地(沖縄県)に無期限配備する予定だと発表した。4月中に数機が置かれる。中谷氏は「日米同盟の情報収集能力、抑止力・対処力が向上することが期待される」と語った。
維新、参院大阪に2新人 いずれも市議(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 120文字 PDF有 書誌情報]
日本維新の会は8日、今夏の参院選で大阪選挙区(改選数4)に擁立する候補者を、いずれも新人で大阪市議の岡崎太氏(57)と佐々木理江氏(42)に決めた。男女1人ずつを選出する予備選を実施。選考に残っていた現職の梅村みずほ氏(46)は落選した。
地方創生2.0に2100億円 政府、交付金事業を採択(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 107文字 PDF有 書誌情報]
政府は8日、首相官邸で地方創生策を検討する閣僚会議「新しい地方経済・生活環境創生本部」を開いた。石破茂首相が看板政策に掲げる「地方創生2.0」に向けた交付金事業として、1539自治体で約2185億円分を採択した。
選択的別姓、立民が方針 子どもの氏を結婚時に決定(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
立憲民主党は8日、国会内で作業部会を開き選択的夫婦別姓の導入に向けた方針をまとめた。別姓夫婦の子どもの氏を結婚時に決める内容へと従来の主張を変えた。月内の法案提出をめざし、他党に共同提出や賛同を呼びかける。
自民の財政改革本部始動 来月にも提言とりまとめ(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 4ページ 82文字 PDF有 書誌情報]
自民党の財政改革検討本部は8日、初めての全体会合を開いた。政府が6月にも決める経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に向けて5月にも提言をとりまとめる予定だ。
賃上げ、社会保険料で相殺 家計負担2割で高止まり 高額療養費上げ凍結、改革遅れ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1562文字 PDF有 書誌情報]
賃上げが続いても社会保険料の負担が軽くならない。家計の所得に占める負担率は2割超えが続く。政府は2025年度予算の審議過程で高額療養費の上限引き上げを凍結した。社会保障の歳出改革が遅れれば、負担は一段と重くなる恐れがある。
24年7~9月の社会保険料の負担率は20.2%だった。22年4~6月以降、2年以上2割超えが続く。高齢化により社会保障費と保険料負担は増加している。
税負担は7.0%だった。23年4~6月の8.2%を直近のピークに低下傾向にある。家計は所得の約3割を社会保険料と税に充てている。
負担率は内閣府が公表する国民経済計算のデータ(季節調整済み)から試算した。雇用者報酬や財産所得、政府の給付金などを合算して家計全体の所得を割り出し、税負担と年金や医療などの社会保険料負担の合計を分子とした。
企業所得を含めて国が算出する「国民負担率」と違い、家計だけの負担率となる。家計部門のデータは所得税など直接税が対象で、消費税や酒税などは含んでいない。実際の税負担より低く出る。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「社会保険料の負担率の高止まりは最低賃金の上昇などで106万円、130万円といった『年収の壁』を超えた人が増えたことが理由だろう。税負担は所得税と住民税で1人当たり4万円の定額減税が押し下げた」と見る。
23~24年は2年連続で高水準の賃上げが続いた。24年7~9月の家計全体の雇用者報酬は2年前比で6.1%、名目所得は6.7%伸びた。社会保険料は6.8%増と所得の伸びを上回った。
保険料負担や所得税などを差し引いた可処分所得は7.7%伸びたものの、定額減税の効果が大きい。物価を加味した実質では2.2%の増加にとどまった。
3月31日に成立した改正所得税法により、所得税の非課税枠「年収103万円の壁」は25年分から160万円に上がる。低所得層を中心に減税効果をもたらし、税負担の軽減圧力は続く。
足元では消費税の減税論もくすぶる。公明党の斉藤鉄夫代表は7日、物価高対策としての実施について「あらゆる可能性を考慮しながら議論している段階ではないか」と述べた。
減税に踏み切っても家計の負担が軽くなるとは限らない。社会保障費の代替財源が必要となるのに加え、高齢化や年金の適用拡大が社会保険料の押し上げ圧力となる。26年度からは少子化対策の財源となる支援金も保険料に上乗せされる。
政府は賃上げと合わせて、23~28年度に歳出改革で累計1兆円の保険料を圧縮することで支援金について「全体として実質的な追加負担は生じない」と説明してきた。前提となる歳出改革が滞れば、負担が増えない保証はない。
すべり出しは良好とはいえない。
政府は3月、医療費の患者支払いを一定に抑える高額療養費の自己負担額の上限引き上げの全面凍結を決めた。財務省によると、実施した場合の保険料の圧縮額は25年度に累計0.49兆円、28年度に0.78兆円ほどになるはずだった。凍結が続けば、ほかの項目で穴埋めが必要になる。
石破茂首相は1日の記者会見で「国民負担の軽減などの社会保障改革について自民、公明、日本維新の会、3党の協議体を設置した。年末までの予算編成過程で検討し、早期に実現が可能なものは26年度から実行に移す」と明言した。
政府が23年末にまとめた全世代型社会保障の改革工程では、素案の段階で介護保険の2割負担の対象者の拡大を「24年度に実施」と明記したのに、自民・公明両党の一部議員や事業者の反発を受けて成案からは落ちた経緯がある。
25年の春季労使交渉でも高い賃上げ率が見込まれる。可処分所得が圧迫されれば、消費を通じて経済が拡大する好循環はおぼつかない。当事者の声を取り入れながら歳出改革を進める姿勢が求められる。
データセンターは迷惑?米ITの積極投資で建設増 騒音や排熱に懸念、近隣住民とあつれき[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1247文字 PDF有 書誌情報]
人工知能(AI)需要の高まりから全国でデータセンターの建設が相次いでいる。米IT(情報技術)大手などが積極投資を打ち出し、政府も誘致や産業集積に力を入れる。そのなかで、地域住民との間のあつれきも各地で目立ち始めた。
東京都江東区は3月下旬に「データセンター建設対応方針」を策定し、4月1日から適用を始めた。建築計画を近隣住民に知らせる標識などについて、通常は最大90日前の設置だが、一定以上の規模のデータセンターの場合には120日前とした。事前に説明会を開くことや、空調の室外機の位置を明示するなど、近隣住民の不安への配慮も求めた。
策定の背景には、区内2カ所で進む大規模なデータセンター建設に近隣住民から騒音や排熱を懸念する声が出たことがある。説明会も開催されたが、反対の声は収まらなかった。今後も投資が見込まれることから「住民の不安に寄り添う必要がある」(建築調整課)としてガイドラインを設けた。今後は建設の際に事前周知を求める条例の制定なども検討するという。
調査会社のIDCジャパン(東京・渋谷)によると、国内データセンターサービス市場は23年の2兆7361億円から28年には5兆812億円まで拡大する見通しだ。米アマゾン・ドット・コムや米グーグルなども積極的に日本への投資を進める。
生成AIの活用もデータセンターの需要を押し上げる。内閣府は30年末までに100兆円とする対日直接投資残高の目標を掲げる。データセンターを重点分野の一つとする。
データセンターは現在9割近くが大都市圏に集中する。建設に懸念の声が上がるのは江東区だけではない。日野市や千葉県流山市でも反対運動が起き、流山市では計画の撤回に追い込まれた。
自治体にとってはデメリットだけではない。千葉県印西市はグーグルなど大手のデータセンターが集積し「データセンター銀座」とも呼ばれる。23年度の歳入のうち固定資産税は162億円と10年前から2倍超に増えた。
税収増への貢献度合いは「データセンター関連企業が高い比率を占める」(市の担当者)。増えた歳入は子育て施策などに使っているという。
国土交通省によると、データセンターは自治体によって「倉庫」と判断するケースもあれば「事務所」と判断するケースもあり、明確なルールの基準は今のところない。場合によっては住居が立ち並ぶ地域でも建てることは可能だ。
明治安田アセットマネジメントの久保井昌伸氏は「データセンターの社会的役割が認知されていないことや、居住エリアとのすみ分けが明確でないことが昨今のトラブルの主な原因だ」と指摘する。印西市では居住エリアとデータセンターの場所が明確に分かれているのに対し、流山市の候補地は住宅地に近かったと久保井氏は話す。
経済産業省と総務省は3月、データセンターを核とした地方創生や効率的な設置に向けた検討会を立ち上げた。地方での設置は大規模災害への備えにもなる。住民とのあつれきを回避するためにも、施設の地域分散は一つの解決策になりうる。
旅行収支5600億円黒字 デジタル赤字打ち消す規模 訪日客消費伸び焦点[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 793文字 PDF有 書誌情報]
インバウンド(訪日客)の増加で旅行収支の黒字が拡大し、「デジタル赤字」を打ち消す規模まで膨らんできた。2月は約5600億円の黒字と同月として最大になった。足元で円高傾向にある中、訪日客の消費がどこまで伸びるかが焦点となる。
財務省が8日発表した2月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は4兆607億円の黒字だった。黒字幅は過去最高で、前年同月比で48.4%拡大した。
25年は中国の春節(旧正月)が1月に始まった。春節が2月開始だった前年に比べて輸出が増え、貿易収支は7129億円の黒字となった。24年2月は2983億円の赤字だった。海外投資に伴う利子や配当の収支を示す第1次所得収支も3兆8817億円の黒字と1割ほど黒字幅が増えた。
訪日客の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支は5599億円の黒字だった。前年同月から4割拡大し、2月として過去最高だった。2月初旬まで春節が続いたことや、オーストラリアからの訪日需要の増加などが背景にある。
新型コロナウイルス禍後の訪日客の回復を受け、24年10月以降の旅行収支は6000億円前後の黒字で推移する。25年1月は7083億円と最大だった。クラウドといったデジタルサービスの海外への支払いによる「デジタル赤字」を取り返せる規模に拡大した。
国際収支に表れるデジタル関連のサービス収支を合計すると、2月は6475億円の赤字だった。旅行収支の黒字を絶対額で上回ったものの、24年12月~25年1月には旅行の黒字がデジタル赤字の規模を上回っていた。
今後は円高圧力が懸念材料となる。対ドルの円相場は足元で1ドル=147円前後で推移する。財務省によると、2月の平均レートは151円96銭で5円ほど円高方向に進んだことになる。円高が長期化すれば、訪日客から見た日本観光の割安感は薄れる。
厚生年金減額先送り 31年度以降に 厚労省調整、与野党批判に配慮[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 411文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省は、将来の基礎年金の底上げのための厚生年金減額を先送りする調整に入った。従来案は2028年度に減額が始まる見通しだったが、31年度以降にずらす。当面は会社員らの年金額が減ることに対する与野党の批判に配慮する。
基礎年金の底上げは会社員らも恩恵を受けるが、厚生年金の減額が先行するため当面は現行制度よりも年金が減る。また底上げ策を発動するかどうかは29年以降に最終判断するため、財源確保のための減額を先に実施することへの批判も強かった。
経済状況が横ばいで、パート労働者200万人が厚生年金に加入する改革を実施する場合、厚生年金財政の改善のために年金額の伸びを抑制する措置は28年度に終わる見通しだった。この抑制措置を30年度まで延長したうえで、各年度の抑制幅を縮小して財政改善効果は28年度までのケースと同程度にする。そのうえで基礎年金の底上げを実施する場合は、31年度にも底上げのための厚生年金減額を始める。
新潟知事、県民投票に慎重 柏崎刈羽再稼働の是非[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 324文字 PDF有 書誌情報]
東京電力ホールディングス(HD)柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働の是非を問う県民投票条例案について、新潟県は8日、花角英世知事が条例案とともに新潟県議会に提出する意見書を公表した。二者択一の投票形式や開票事務の主体が整理されていないことなどに課題があるとして、条例案に慎重姿勢を示した。
花角知事は意見書で条例制定請求について「意義を大変重く受け止める」とも記載し、条例案への賛否は示していない。請求代表者の市民団体は知事は賛成していないと受け止め、県議会議員らによる修正案の提出の可能性を探る。
県議会は18日の臨時議会で条例案を採決する。知事の意見を踏まえて対応を決めるとしていた最大会派の自民党は10日に党議を開き、意見書を精査する。
3月の街角景気、3カ月連続悪化 基調判断は据え置き[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 280文字 PDF有 書誌情報]
内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、現状判断指数(DI、季節調整値)は前月比0.5ポイント低下して45.1となった。物価高騰などの影響で家計、企業ともに指数が下がり、全体では3カ月連続で悪化した。
基調判断は「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」で据え置いた。調査は3月25~31日に実施した。
現状判断指数を構成する3つの項目すべてが下落した。特に雇用関連は3.9ポイント低下の46.0と、下落幅が最も大きかった。「慢性的な人手不足が根底にある」(近畿地方の求人情報誌製作会社)などの声が聞かれた。
病院向け無担保融資、上限7.2億円に拡充[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 212文字 PDF有 書誌情報]
福岡資麿厚生労働相は8日の記者会見で、物価の高騰などで経営が厳しい医療機関や福祉施設向けの優遇融資制度を拡充すると発表した。病院の場合は無担保での貸付限度額を最大で500万円から7億2千万円に広げ、最長で5年間は元金の返済や利払いは必要がない。
厚労省系の独立行政法人、福祉医療機構(WAM)が融資する。2024年末に始めた制度を大幅に広げて、8日に申請の受け付けを始めた。従来は利払いの必要がない期間を設けていなかった。
国交相、ETC障害巡り再発防止策指示[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 209文字 PDF有 書誌情報]
中野洋昌国土交通相は8日の記者会見で中日本高速道路(NEXCO中日本)の自動料金収受システム(ETC)障害について、同社に「原因の早期究明と今後の対応策も含めた再発防止策の検討の指示をしている」と述べた。障害対応のマニュアル整備も求めた。
障害は6日の午前0時半ごろに発生し、7日午後に応急復旧。当初、現金での支払いに切り替える対応をしたが渋滞が生じた。途中からETCレーンを開放して後払いで通行できる措置を取った。
景気後退確率55.9%に 2月、日経センター(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 5ページ 117文字 PDF有 書誌情報]
日本経済研究センターは8日、2月の景気後退確率を発表した。およそ半年後に景気後退入りする確率は55.9%だった。物価の高止まりで非製造業の景況感が悪化したほか、収益圧迫を受け宿泊・飲食サービスを中心に新規求人が減ったことが影響した。
資産運用立国、求む「多様性」 上級論説委員 藤田和明(中外時評)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1642文字 PDF有 書誌情報]
市場に嵐が吹き荒れる時、その市場の深みが問われるものだ。横並びで右往左往する投資家ではなく、別の視線から好機を求めて動く存在の厚み。カギは「多様性」だ。
変動の波を越え、長期に大きな富を育てる意思を持った資金と担い手がどれだけいるか。日本が「資産運用立国」の看板を掲げるなら、今ほどそれが問われるときはない。
米国の長期投資を例に考えよう。過去40年、継続して抜きんでた運用成績を上げてきたことで知られるエール大学。同大学基金の投資オフィスが2025年、新たなプログラムに取り組む。実績のないまっさらのファンドマネジャー候補を見いだし、資金を投じてゼロから育てる。
他にないアイデアを持つ人を24年秋公募。25年春以降、投資オフィスと8週間かけて新たな運用会社を起業する計画を一緒に練り上げる。
これまでも新興運用者を積極採用してきたが、既存企業のスピンアウト組でさえアイデアに固定化がみえる時代。次世代へ新陳代謝がなければ長期で高いリターンは得られない。同大学のメンバーは、日本にも市場調査に訪れた。
同大学も1980年代は上場株と債券による伝統的な運用だった。しかし高インフレと株価の低迷に直面。新興運用者の採用や非伝統的な資産へ分散を広げる手法にかじを切った。寄付金を基盤とするのが大学の強み。目先の価格変動を気にせず、複利で長期に大きなリターンを目指せる優位性を生かす考えだった。
このモデルを築いたのが、亡きデビッド・スウェンセン氏だ。相場の上げ下げのタイミングを追う愚かさ、運用損を避ける防御の大切さ、組織運営の弊害がもたらすコストと成績の低下、独創的な独立マネジャーを初期段階から長く採用する意義。一連の長期投資の心得を説いた同氏の著書は、今も読まれている。
「有望な投資を見過ごし、大事な機会を失ったことの方を責められるのが、米国のプロフェッショナルだ」。スウェンセン書の共訳を手掛けたシステム2年金ガバナンスアドバイザー、石田英和氏はいう。多様な挑戦の厚みが米国の資本市場を支えてきた。
投資の世界では英国の経済学者ケインズの言葉がよく引用される。「世間的な知恵に従えば、評判をよくしたいなら、人並みに失敗する方が、人並みでなく成功するよりいい」。右へ倣えの運用をしておけば安心かもしれない。ただ成果を上げるのは難しいとの皮肉を含んだ指摘になる。
翻って今の日本。この重要性がどこまで理解されているだろう。運用会社の多くが既存の大手金融グループの傘下にある。合議制で同質的な運営意識を抜けられぬままだ。
「運用会社は逆で、コンセンサスと異なる見解を突き詰めることで会社が成り立つ。競争力の源泉は独自の分析や見解のクオリティーにある」。24年秋の資産運用業大会。大場昭義・日本投資顧問業協会会長自らが指摘した運用会社ガバナンスの課題は、そうした問題意識が根底にある。
新たな芽を育てる取り組みは始まったばかりだ。新興運用業者促進プログラム(EMP)として東京都と東京国際金融機構が連携、投資家とマッチングし実例も出始めた。
他社と競争し、独創的な運用に挑戦できる土壌を――。野村総合研究所の研究プロジェクトでは独立運用会社が集い、海外の有力投資家との対話の成果を発信している。
トランプ米大統領の関税政策に揺れる市場。売り一色に染まっても、影響を受けにくい企業も少なくないはずだ。そこで独自の目線を持つブティック的な運用者が価値を見いだす役目を果たすはずが、日本はその層があまりに薄い。資金の出し手が保守的で、解約を常に求めることも長期目線の運用を難しくする。
資産運用立国の掛け声は、少額投資非課税制度(NISA)で売れた金融商品ばかりをもてはやしがちだ。しかし本来は、多様な見方により効果的に資本を配分する流れを太くし、長期で家計の資産や国の富を増やし続けることに狙いがある。市場に動揺が広がる今こそ、未来志向で戦略的に資産運用立国の本質に向き合わねばならない。
「地経学」で読み解く米関税 コラムニスト ジリアン・テット(FINANCIALTIMES)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 7ページ 0文字 書誌情報]
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地銀、米関税備え特別融資 取引先の資金繰り支援 京都銀、上限5億円 東邦銀は最長で20年[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 8ページ 1383文字 PDF有 書誌情報]
米トランプ政権による「相互関税」の発動を受け、地方銀行が相次いで支援策を打ち出している。京都銀行や東邦銀行などが特別融資枠を設定したほか、顧客対応を強化する動きが広がる。金融庁も影響の広がりを見極めようと、製造業が集積する地方の金融機関に聞き取り調査を始めた。
特別融資は外部環境の急激な変化に事業者が対応できるように資金繰りなどを支援する目的で金融機関が設定する。事業者は通常より金利や期間など有利な条件で融資を受けられるケースが多い。直近では、2021年の新型コロナウイルス禍で多くの金融機関が特別融資を実施した。
京都銀行は7日、関税による影響に対応した特別融資の受け付けを全店で始めた。上限は5億円。融資残高に占める電子部品など製造業向けの比率は約19%と地銀の中でも高く、資金繰りを後押しする狙いがある。
東邦銀行も同日から3億円を上限とし、融資期間を最大20年以内とする特別融資を始めた。広島銀行も1億円を上限とする特別融資をスタートした。
製造業が集積する中部地方でも取り組みが広がる。三重県四日市市に本店を置く三十三銀行は貸出金利の指標となる短期プライムレート(短プラ)から最大0.525%を割り引く特別金利での融資を始めた。関税措置の影響を受ける法人や個人事業主を対象とし、無担保で8000万円、有担保で2億円まで貸し出すという。
岐阜県に本店を置く大垣共立銀行や十六銀行、津市に本店を置く百五銀行といった銀行も特別融資の受け付けを始めた。
名古屋市に本店を置くあいち銀行と名古屋銀行はすべての営業店に相談窓口を設置し、資金繰りの相談などを受け付けている。常陽銀行や滋賀銀行など窓口を設ける地銀は全国に広がっている。
融資先の影響調査に動く地銀も出てきた。東京都地盤のきらぼし銀行は融資先約4500社に緊急アンケートを実施し、収益や資金繰りへの影響のほか、求める支援策の聞き取りを始めた。「産業別や企業規模別に影響の濃淡がわかれば必要な支援策を講じる」という。群馬銀行も全店で顧客向けのヒアリング調査を始めた。
地銀は政府が旗を振る資産運用立国の施策に伴い、顧客への投信販売などを強化してきた。伊予銀行は株価急落への顧客の不安を払拭し、アフターフォローを強化するため、リテールを担当する行員向けの説明会を7日に開いた。
北洋銀行は個人顧客向けに相場の今後の見通しなどを解説した動画を送った。相場下落の影響を大きく受けた顧客向けに電話で相談に乗るといった重点サポートも手掛けている。
米関税の影響への懸念は各地で広がる。愛知県の自動車部品メーカーは「カナダやメキシコに工場がある。関税発動で両国での自動車生産が落ち込めば収益にとって打撃」とみる。
北海道の自動車部品メーカーも「北米向けが減産となれば収益への影響は大きい。受注生産なので自社判断で他国に振り向けることは難しい」と漏らす。
東北の地銀幹部は「自動車メーカーが止まれば、影響はサプライヤーにとどまらない」と指摘する。「影響はコロナ禍以上になるかもしれない」(九州の地銀幹部)との懸念も聞こえてくる。
加藤勝信金融相は7日、金融機関に顧客への対応を強化するよう要請した。金融庁も自動車工場が集積する地域の金融機関に対し、事業者への影響や今後の支援体制などを聞き取るヒアリングを始めている。
昨年度の倒産、11年ぶり1万件超 「人手不足」理由、最多に[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 8ページ 988文字 PDF有 書誌情報]
2024年度の全国の企業倒産件数が11年ぶりに1万件を超えた。求人難や人件費高騰による人手不足倒産は前年度比で6割増え、過去最多となった。物価高による仕入れ価格上昇も中小経営を圧迫する。
東京商工リサーチは8日、24年度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)が前年度比12%増の1万144件だったと発表した。東日本大震災の影響が残った13年度以来の1万件台となった。
中小・零細企業の倒産が多く、従業員5人未満が7702件と76%を占めた。負債総額は4%減の2兆3738億円だった。人手不足を主因とする倒産は23年度比で6割増加し、309件と過去最多となった。
まき網漁業を手がける漁宝丸水産(大分県佐伯市)はイワシやアジの水揚げの落ち込みによる売り上げ低迷に、燃料費と人件費増加が重なった。3月に大分地裁から破産手続きの開始決定を受け負債は約2億5900万円にのぼったという。
人件費の割合が高いサービス業の倒産は12%増の3398件と集計をさかのぼれる1989年度以降で最多だ。エステサロンを運営するEGAO(仙台市)は人件費高騰などを理由に負債が24年3月末時点で約1億4600万円となり、経営が破綻した。
日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、人員が「過剰」から「不足」を引いた雇用人員判断指数(DI)は全規模全産業でマイナス37だった。
約33年半ぶりの人手不足水準にあるが、経済全体への悪影響は少ないとの見方もある。大和総研の中村華奈子エコノミストは「生産性の高い企業へと労働が移動すれば、結果として経済全体の生産性が高まるのではないか」と分析する。
物価高による倒産も24年度に2%増の700件と過去最多だった。東京商工リサーチの坂田芳博情報部課長は「業績不振の企業は物価高や人手不足といった複合的な理由が重なる環境に置かれ、倒産件数を押し上げた」と話す。
足元では貸出金利が徐々に上昇している。日銀によると、2月の国内銀行の貸出約定平均金利(ストック、総合)は0.997%と1%に迫っている。利払い費の負担増も中小企業の経営を直撃する。
米トランプ政権の関税政策が、サプライチェーン(供給網)を構成する中小・零細企業の経営を圧迫するリスクも高まっている。過剰債務を抱えて収益回復が遅れる企業は事業再構築を迫られる可能性がある。
野村、一部買い注文停止 ネット経由の日本株、口座乗っ取り受け[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 8ページ 694文字 PDF有 書誌情報]
野村証券は8日、一部の日本株についてインターネット経由での買い注文の受け付けを停止した。サイバー犯罪集団が偽サイトで盗んだ顧客情報などを使って株式を不正売買する例が相次いでいることを受け、対策を強化した。
犯罪集団は不正に取得した証券口座から株を大量に購入して価格をつり上げ、売り抜けて利益を得ている可能性がある。野村証券は買い注文の停止について詳細を公表していないが、流動性が低く株価を操作しやすい株式を中心に、数十銘柄をネットで買えなくしたとみられる。購入希望者には取引店舗や電話での連絡を促す。
口座乗っ取りによる不正売買の被害は楽天証券が3月下旬に公表し、野村証券やSBI証券、SMBC日興証券、マネックス証券でも確認されている。楽天やSBIは当初標的にされた香港や中国に上場する銘柄の買い注文を停止した。一連の被害で日本株を対象にしたのは野村証券が初めてとなる。
サイバー犯罪集団は証券会社をかたるメールなどで偽サイトへ誘導し、証券顧客に自分のIDやパスワードを入力させる「フィッシング」と呼ばれる手口を主に使っているとみられる。個人投資家のアカウントに不正に侵入し、本人になりすまして株などの売買ができるようになる。
虚偽の情報を流布するといった行為で株価をつり上げる不正行為は過去にもあった。他人の証券口座を不正に乗っ取った上での悪用は例がないとみられる。
不正アクセスを防ぐには、システムへのログインや送金時に複数の手段で本人確認する「二要素認証」が有効で、証券各社は顧客に導入を呼びかける。金融庁や日本証券業協会もフィッシングなどへの注意を喚起する文書を発出している。
地銀勘定系、29年に新世代4割 「金融DXインサイド」公表[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 8ページ 620文字 PDF有 書誌情報]
地方銀行の勘定系システム市場で、オープン環境やクラウド上で動作する新世代システムの割合が2029年に4割程度に達することがわかった。日経BPと野村総合研究所が調査した。高い信頼性を求められる勘定系システムでもクラウドなどが浸透している。
日経BPが9日に創刊した新ニューズレターサービス「金融DXインサイド」が調査結果を公表した。調査・分析は野村総研が担当した。
地銀勘定系システムの刷新・運用市場は29年に1600億円になる見通しだ。このうち新世代システムの市場規模は604億円と全体の4割程度を占める。24年は2割程度となっており、比率が倍増する。
SBIホールディングスと資本業務提携する福島銀行は24年7月、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウド上で動作する勘定系システムを稼働させた。SBIと提携する島根銀行も7月に導入する予定だ。
NTTデータは28年、システム基盤を共有する「統合バンキングクラウド」を投入する方針だ。第1号ユーザーとして京都銀行や西日本シティ銀行などが参加する「地銀共同センター」が導入を決めた。
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デジタル資産基盤プログマ、農中信託銀などと提携[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 8ページ 515文字 PDF有 書誌情報]
デジタル資産のインフラ基盤を手掛けるProgmat(プログマ、東京・千代田)は、農中信託銀行、あおぞら銀行、ケネディクスの3社と資本業務提携する。法定通貨に価値が連動するステーブルコインの活用などで連携する。
プログマは23年10月、3メガバンクグループなどが共同出資して設立したスタートアップ企業だ。デジタル証券やステーブルコインなどデジタル資産を発行、流通させるシステムを開発している。3社の出資額は非公表だが、今回は設立後初めての資金調達となる。
次世代インターネットの「Web3(ウェブスリー)」に関連した金融サービスの開発を加速させる。
農中信託銀は機関投資家向けのデジタル資産の商品開発で連携する。あおぞら銀はステーブルコインを事業に取り入れていくことを模索する。不動産運用のケネディクスはデジタル証券の資産管理を一元化するアプリの開発を進める。
プログマへの出資比率は三菱UFJ信託銀行が49%から42.39%に低下する。みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループはそれぞれ7.5%から6.49%に下がる。プログマは特定の銀行色を薄めるため、三菱UFJ信託の出資比率を下げる方針を掲げている。
YOUTHFINANCE(19)四国4地銀で「若者連合」 奨学金肩代わり、働き手呼ぶ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 8ページ 935文字 PDF有 書誌情報]
金融機関が若者の奨学金の返済支援を始めた。負担を減らし、新たな人材獲得を狙う。奨学金の受給者は増える一方、金利の上昇などで返済が重荷になりつつある。地銀は若い働き手を地元に呼び込む武器にし始めた。
四国の地銀が連携して奨学金の返済を支援する。伊予銀行と阿波銀行、百十四銀行、四国銀行の4行が2024年度から共同で始めた。地元の中堅企業の若い働き手に最大50万円を支給する。
地方では都心部よりも人手不足が深刻だ。若手人材の獲得を後押しし、地元経済の活性化につなげる。地銀同士が組んで奨学金の返済を支援するのは四国だけの取り組みになる。
対象は上場会社を除く地元企業で働く若手社員。採用後2年目に10万円、4年目と6年目にそれぞれ20万円を支給する。各行10人程度を募集し、多く集まれば抽選となる。取引先以外の企業の社員も受け入れる。2月、24年度の支援対象者43人を決めた。
「制度を通して地元企業への就職を後押ししたい。進学で一度は四国の外に出た若者もこの制度をきっかけに地元に戻ってきてほしい」。4行の担当者はこう意気込む。
四国の人手不足は深刻さを増している。日銀が公表した四国4県の3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」の割合を引いた指数はマイナス46だった。1991年5月以来およそ34年ぶりの水準で、新たな人材を採用したくても難しい状況が続く。
初任給の引き上げや労働時間の削減、在宅勤務。若い働き手を獲得する方法はいくつもある。地元に根を張る地銀にできることは何か。中堅・中小企業の手が回らないことは何か。その答えが奨学金の返済支援だった。
奨学金への支援は若手人材を呼び込む際のアピール材料になる。銀行にとっても人手不足の解消で企業の経営が安定すれば、営業基盤の強化につながる。
日本学生支援機構が22年度に実施した調査によると、奨学金を受給している大学生は55%と20年度の調査から5.4ポイント増えた。貸与型の奨学金では市場金利の上昇に伴って貸与利率が上がっており、今後の返済負担はさらに重くなることも見込まれる。
(高橋理穂)
【図・写真】物価高や学費高騰を背景に奨学金を利用する学生は増加傾向だ
日米株「最大の売り」しのぐ 関税、業績への影響は未知数 日経平均1876円高、PBRが岩盤に[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1651文字 PDF有 書誌情報]
日米欧の株安連鎖がひとまず止まった。8日の東京市場では日経平均株価が前日比1876円高となった。前日の米国市場では最大の売り局面を通過したとの見方が浮上し、日本でも割安さに着目した買いが優勢だった。関税が企業業績にもたらす影響は今後明らかになるとみられ、相場の本格反転は見通せない。(1面参照)
急反発の伏線は7日の米国株式市場にあった。機関投資家が重視するS&P500種株価指数はほぼ横ばい圏で終えた。米パランティア・テクノロジーズや米ブロードコムなど前週まで大きく売られていた個別株に買い戻しが入った。
「売り注文のピークはいったん過ぎたようだ」。米ゴールドマン・サックスの米国株セールストレーディング部門責任者ジョン・フラッド氏は顧客向けメモでこう明かした。前週末は長期投資家から委託を受けて大量の株式を市場で売却したが、7日はそうした動きがなかった。
トランプ米大統領が相互関税を公表した2日以降の株式市場では、短期筋から長期目線のマネーまで、あらゆる投資家が持ち高の圧縮を急いだ。
例えば米ゴールドマンのヘッジファンド顧客が3日と4日に売却した世界株は、2日間の合計額としては2010年以降で最大だった。相互関税の規模が想定以上だったことに加え、世界経済や企業業績への影響が全く予測できず、リスク回避を優先した。
市場参加者の目先の関心は「投げ売り」がいつ終わるかだ。
一巡の目安として株式市場全体の売買高が注目される。英LSEGのデータによると、米国市場全体の売買高は7日、前営業日に続き過去10年で最大規模となった。売りたい投資家が市場に殺到した結果だが、最終局面のサインともいえる。投げ売りが収束すれば相場は安定し、長期投資家は買いやすくなる。
日本株も売り一服観測が出ていた。英ロンドンの日本株ブローカーは関税を巡る報道をきっかけに売り方が買い戻し「ショート(売り持ち)ポジションは軽めになった」と話した。7日午後には欧州系の長期投資家が新規の買いを入れてきたという。
大荒れだった株式市場に対して、銀行間で資金をやりとりするインターバンク市場は落ち着いていた。リーマン・ショックのような危機時には資金が逼迫するなど、真っ先に危険を予知する。ロンドンに拠点を置く銀行の為替フロアからは「異常はでていない」との声が聞こえた。
売り一巡期待と金融システムの安定が、8日の東京株式市場に買い安心感をもたらした。投資家が相場反発のサインに注目していた。例えばPBR(株価純資産倍率)。1.15倍水準に相当する日経平均は下値メドとされてきた。
関税の影響で企業の利益がどの程度押し下げられるか読めず、利益を分母におくPER(株価収益率)で割安感を判断するのは難しい。一方でPBRの分母になる純資産は比較的変動しにくく、下値を探る物差しとして使いやすい。
株価急落に見舞われた2024年8月も日経平均ベースでPBR1.15倍の3万1500円付近で下げが止まっている。7日も1.15倍ラインとなる3万990円を終値で上回り、下値を支える形になった。
もっとも相場が本格的に反転する道筋はまだ見えていない。マネー需給は最悪期を脱した可能性があるとはいえ、関税が実体経済や企業活動に悪影響を及ぼすのはこれからだからだ。
米エバコアISIは6日、米S&P500の25年末目標株価を引き下げた。要因の一つが企業業績予想の下方修正だ。同社の分析では構成銘柄が1ドルの売り上げを立てるのにかかる輸入原材料コストは約11セント。関税引き上げに伴う費用増の5割が価格に転嫁される前提で、1株当たり利益(EPS)を3%を押し下げると試算した。
米国では11日のJPモルガン・チェースなどを皮切りに1~3月期決算発表が本格化する。日本でも下旬から3月期決算企業が前期実績と今期の見通しを相次ぎ公表する。経営者から慎重な発言が相次ぐようになれば、投資家も積極的な買いは難しくなる。
(犬嶋瑛、坂部能生、ロンドン=山下晃)
「友人の信頼失う」ウォール街が警鐘 同盟国への高関税、再考促す JPモルガンCEOら「対米投資減る」[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1414文字 PDF有 書誌情報]
米金融業界の大物経営者や著名投資家から、トランプ米政権に関税政策の再考を求める声が強まってきた。米景気後退や株価下落への懸念にとどまらず、同盟国との信頼関係が崩れることで中長期的な米経済や金融市場の衰退を招きかねないという危機意識がにじむ。
「同盟国との経済的な分断は長期的に悲惨な結果をもたらしかねない」。米銀最大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は7日公表の株主への手紙で、こう警告した。トランプ氏や個別の政策を直接批判することは避けたものの、政権が進める経済・外交政策への不満や懸念が文面に浮かんだ。
相互関税をはじめとする積極的な関税の引き上げは「短期的な影響としてインフレを加速させ、成長の鈍化を招くだろう」と指摘した。そのうえで「最も深刻な懸念」として紙幅を割いたのが、米国と欧州などの同盟国との関係悪化だ。
敵対・競合するロシアや中国などは、西欧諸国の軍事および経済面の同盟の分裂を望んでいると指摘。それが現実になれば「米国自身もいつか弱体化せざるを得ない」と強調した。「米国が投資先としての魅力を失うと海外勢が米国の資産を売却し、ドルや米経済が打撃を受ける」とみる。基軸通貨の地位を失うリスクにも言及した。
「悪影響は時間の経過とともに累増し、後戻りは困難になる」と訴え、国際関係の早期の立て直しを求めた。
7日は米運用会社最大手、ブラックロックのラリー・フィンクCEOも発言した。ニューヨーク経済クラブ主催の対談イベントで「私が話したCEOのほとんどはすでに不況に突入しているとみている」と述べた。
2024年の大統領選でトランプ氏支持を表明した著名投資家からも関税への強い批判が挙がり始めた。ヘッジファンドのパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントを率いるビル・アックマン氏だ。
同氏は6日のXへの投稿で、関税をテコに貿易システムを変えようとするトランプ氏の考えには賛意を示しつつ「友人にも敵にも大規模かつ不均衡な関税を課し、世界的な経済戦争を仕掛けている」と指摘した。米国は「貿易相手、ビジネスをする場所、資本の投資先としての信頼を損ないつつある」と訴えた。
相互関税が全面適用になる9日をこのまま迎えれば「経済的な核戦争」ともいえる大惨事になり、企業の投資や個人消費の停滞を招くと主張した。「大統領は世界のビジネスリーダーの信頼を失いつつある」「特に低所得の消費者に深刻な悪影響を及ぼし、我々が投票で選んだ結果ではない」といった批判も連ねた。
アックマン氏は米国と各国が関税交渉に十分な時間を取れるよう、3カ月間の「休戦期間」の設定を呼びかけている。
悲観一色ではない。ブラックロックのフィンク氏は「長期的にみれば(現在の株安は)売り時というよりむしろ買い時だといえる」と語った。米経済は「2008~09年の(金融危機時の)ようなレバレッジやシステミックリスクは抱えていない」とも述べた。
JPモルガンのダイモン氏も、貿易システムを米国にとってより公正な形にするという考えには一定の理解を示す。関税交渉を通じて「長期的に米国にポジティブな影響が及ぶことを望んでいる」と記した。
(ニューヨーク=斉藤雄太、竹内弘文)
【図・写真】ダイモン・JPモルガンCEO(写真左)とフィンク・ブラックロックCEOら米金融業界の大物経営者から再考を求める声が強まってきた=ロイター
インドネシア株、7.9%安 米関税懸念、休場明けで急落[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 9ページ 525文字 PDF有 書誌情報]
【ジャカルタ=押切智義】8日のインドネシア株式市場で主要株価指数のジャカルタ総合指数が前営業日の3月27日比7.9%安の5996.142で終えた。3年8カ月ぶりの安値だ。トランプ米政権による関税引き上げに伴う景気減速が意識された。
インドネシア市場は断食明け大祭に伴う連休のため、3月28日から4月7日まで休場していた。8日はトランプ米大統領が「相互関税」の詳細を発表して以降で初の取引日だった。
同日の市場では、鉱山開発大手アンマン・ミネラル・インターナショナル株が14%下落するなど、輸出比率が比較的大きい資源関連を中心に売りが膨らんだ。インドネシア証券取引所は総合指数が8%以上下落したことで、ガイドラインに沿い、株式の売買を30分間停止した。
トランプ米政権はインドネシアに対し32%の相互関税の税率をかける方針だ。インドネシアにとって米国は中国に次ぐ輸出先。主な輸出品には電子機器や繊維製品、パーム油、ゴムなどが含まれる。
アイルランガ経済担当調整相は7日、米国に対し報復関税はとらず、小麦や石油製品などの輸入を増やしたり、非関税障壁を緩和したりし、関税を巡る交渉を進める考えを示した。閣僚などで構成する代表団を米国に近く派遣する計画だ。
アップルから受託の中国社9%安 米中貿易戦争の激化で売り(MarketSCOPE)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 9ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
8日の深株式市場で、中国受託生産大手の立訊精密工業(ラックスシェア)が続落した。一時は前日比3.19元(10%)安の28.69元と値幅制限の下限(ストップ安水準)まで売られた。同社の主要顧客は米アップル。米中の貿易戦争の激化を受け、受託生産ビジネスの不透明感から売り圧力が強まった。終値は9%安の29.00元だった。
立訊精密は広東省に拠点を置き、アップルのワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッズ)」やアップルウオッチなどの受託生産を手掛けている。売上高の大半はアップル向けとみられる。
トランプ米大統領が中国の報復関税に対し、さらに50%の関税を追加する意向を表明するなど、米中の貿易戦争は激化している。立訊精密はベトナムやインドにも生産拠点を持つものの、米国の追加関税が受託生産ビジネスにどのような影響を与えるか不透明感が強まっている。
同じくアップルの受託生産を主力とする企業では、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業も前日比10%安とストップ安水準まで下落する場面があった。前日の米国市場ではナスダック総合株価指数が小幅に上昇に転じた中、アップルは4%安だった。
(NQN香港=戸田敬久)
World Market[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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サムスン、AI家電に磨き 1~3月増収減益 半導体は不振 搭載3倍、「会話」で競争力[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1800文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=松浦奈美】韓国のサムスン電子が家電事業の立て直しを急ぐ。2025年1~3月期の全社の営業利益は主要事業である家電の稼ぐ力の低下が響き、前年同期比ほぼ横ばいとなった。巻き返しに向け冷蔵庫など白物家電で人工知能(AI)搭載モデルを3倍に増やす。利用者と「会話」する高付加価値の家電で採算を高める。
サムスンが8日発表した25年1~3月期の連結決算速報値は、売上高が前年同期比9.8%増の79兆ウォン(約7兆9000億円)、営業利益は0.2%減の6兆6000億ウォンだった。1~3月期として過去最高の売上高だったが、減益は5四半期ぶりになる。売上高営業利益率は8.4%にとどまり、記録的な半導体不況に陥った23年以来の低水準に戻った。
総合電機メーカーであるサムスンは主な事業分門を4つの柱に分けている。そのうちスマートフォンと家電・テレビをあわせた「DX部門」の売上高は24年12月期に全社の53%を占め、半導体部門(34%)を上回り、大きな存在感を持つ。
稼ぎ頭だった半導体部門は不振が続き、DX部門も採算の低迷が課題だ。家電・テレビの売上高営業利益率は一時5%を超えたが、24年10~12月期は1%台に下がった。半導体のてこ入れに時間がかかっており、DX部門の改善が急務となっている。
「スマホ、テレビ、生活家電など主要製品において圧倒的な競争力を確保できなかった」。3月中旬の株主総会では、DX部門トップだった韓宗熙(ハン・ジョンヒ)最高経営責任者(CEO)兼副会長が反省の弁を述べた。韓氏はその数日後に心停止で急逝するが、AIで製品の付加価値を高めることを目指してきた。
韓氏の戦略は形になりつつある。サムスンは3月末、AIを搭載する白物家電の種類を25年中に24年比で3倍に増やすとした。4月7日のテレビ新製品発表会でも、テレビの全品種のうち5割以上にAIを搭載する目標を掲げた。
「Bespoke」のブランド名で展開する白物家電やテレビの大多数をスマホで操作できるようにするほか、25年には複数の人の声を認識する機能も初めて取り入れる。家族メンバーによって家電上の画面も切り替わる。
自前のAI技術「Bixby」を向上させ、利用者と「会話」できる機能も盛り込んだ。「利用者の気持ちを把握し、よく使う機能は自動でデフォルトに設定する」(サムスン)という。
例えばエアコンでは、「今日は暑いなあ」と話しかけると気温に合わせた温度の冷房が自動的につく。生成AIが人間側の「涼しくしてほしい」という要求を推察して応えるためだ。
冷蔵庫に「賞味期限が近づいているものはある?」と尋ねると、早めに使うべき食材が扉のスクリーンに提示される。「私に合うダイエットレシピは?」と聞けば、個人の嗜好や冷蔵庫にある食材を考慮した情報が映し出される。
製品の改良に加え、組織のてこ入れにも乗り出した。1日にはDX部門に最高デザイン責任者(CDO)のポストを新設し、イタリア出身の産業デザイナー、マウロ・ポルチーニ氏を迎えた。オランダのフィリップスや米スリーエム(3M)など大手メーカーを渡り歩いた経歴を持つ。
サムスンは起用の狙いを「スマホやテレビ、家電など全事業でデザイン力を一層強化するため」と説明する。韓国国内だけでなく米欧も含め、高いシェアを保つため消費者に支持されるデザインの作り込みを目指す。
亡くなった韓氏の後任にはスマホ部門長を務めていた盧泰文(ノ・テムン)氏を昇格させた。韓氏の部下だったDX部門の龍錫雨(ヨン・ソクウ)事業部長は7日にソウルで開いたテレビ新製品発表会で「影響力の大きい人を亡くし虚無感が大きい」としつつ「世界最高を目指す精神を受け継いでいく」と誓った。
サムスンには逆風も強まる。7日の新製品発表会では、北米で販売するテレビ関連製品の大半をメキシコで製造していると説明した。米政府は3月からメキシコからの輸入品に原則25%の追加関税を発動しており、影響は避けられない。
龍事業部長は「当社が抱える世界の製造拠点10カ所ほどを使い分けてリスクに対処する」と説明した。自由貿易体制そのものが揺らぐなか、製品や組織のてこ入れだけでなくグローバルな経営環境の変化に対応する柔軟さも一段と求められる。
【図・写真】サムスンはAI搭載テレビの種類を拡大する(7日、ソウル)=同社提供
ミャンマー軍政、震災支援協議で信認訴え インド・タイ首脳らと会談 抵抗勢力に焦り[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1291文字 PDF有 書誌情報]
【ヤンゴン=渡辺禎央】大地震が発生したミャンマーの軍事政権が外国との支援協議を通じて外交攻勢に出た。国際社会に軍政の信認を訴える好機とみて、地域機構の首脳会議では12月に総選挙を行う従来方針を確認した。抵抗勢力は焦りを強めており、軍政との確執に拍車がかかりうる。
「民主的な未来に向けたミャンマー流の移行を支持する」。4日、軍政トップのミンアウンフライン国軍総司令官とタイで会談したインドのモディ首相は、内政にも踏み込んで軍政の取り組みを認める姿勢を示した。インド外務省が発表した。
会談はタイやインドなど東南・南アジア7カ国でつくる地域機構「ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)」首脳会議に合わせ実施した。ミンアウンフライン氏はタイを含む個別の会談を活用し、2021年のクーデターから混迷が続く国内情勢に理解を求めた。同氏はモディ氏との会談で、12月に総選挙を実施する計画は変えないと伝えた。
モディ氏はミャンマーの内戦状態を「民族的な暴力」だとし、民主化闘争とは一線を画すとの見方を示した。「(国境地帯の)反政府勢力への対処で協力する」とも呼びかけた。軍政にとっては現状認識に沿う発言を国際的に発信できた。
3月28日に中部マンダレー付近を震源として大きな被害をもたらした地震の規模はマグニチュード(M)7.7。軍政の集計では7日時点で死者が3600人、負傷者が5017人、行方不明者が160人となっている。
ミンアウンフライン氏の首脳会議出席は震災前から決まっていたが、注目度は一気に高まった。同氏は24年11月に中国やタイなどメコン川流域6カ国の首脳会議に出席するため、政変後で初めて中国を訪問した。25年3月はロシアとベラルーシで首脳と会談し、今回はインドやタイとの連帯を示すことにも成功した。
対東南アジア諸国連合(ASEAN)では3月30日に議長国マレーシアのアンワル首相とミンアウンフライン氏が電話で協議した。同日オンラインで開催した特別緊急外相会議には軍政のタンスエ外相が参加した。
政変後、ASEANの外相会議に軍政閣僚が参加するのは初めて。4月5日は首都ネピドーを訪問したマレーシアとタイの外相がミンアウンフライン氏と会談し、簡易な資材で施工し軽度の外科手術ができる「移動病院」の支援などを協議した。
軍政に抵抗する勢力は焦りを強める。国内に散らばる反国軍の武装集団を指揮する政治組織「挙国一致政府(NUG)」はBIMSTEC首脳会議の前日、軍政ではなくNUGを参加させるよう事務局と加盟国に求める声明を発表した。
ミャンマーでは震災を受けてNUGや主要な少数民族武装勢力、国軍が相次いで一時的な戦闘停止を発表した。ただし、いずれも自衛のための攻撃は否定していない。
「攻撃を受けた」との双方の主張の応酬はすでに始まっている。両陣営の対立や疑心暗鬼はやまず、救援活動の進捗や、総選挙などの政治日程には暗雲が垂れこめる。
【図・写真】4日、モディ氏(中)らと並んで会場入りするミンアウンフライン氏((左)、バンコク)=ロイター・タイ政府提供
豪が「中国権益」白紙に 北部港湾巡り 総選挙へ与野党方針[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1257文字 PDF有 書誌情報]
【シドニー=今橋瑠璃華】5月3日に総選挙を控え、オーストラリア(豪州)の与野党が中国企業による港湾の賃借契約を白紙に戻す方針を掲げた。論点となっているのは重要インフラの一つとされる北部のダーウィン港。総選挙の結果に関わらず、中国企業との99年間の賃借契約が打ち切られる可能性がある。
「豪州の手に戻す」。アルバニージー首相は4月4日、地元ラジオのインタビューで宣言した。野党・保守連合(自由党と国民党)は5日に同様の選挙公約を発表する計画だった。その動きを察知した与党が先手を打った形となった。
アルバニージー氏は「年金基金などにより所有されるのが良い」との見解を示した。豪州の年金基金は運用資産が総額4兆豪ドル(約360兆円)を超え、潤沢な資金力がある。同氏は「納税者による直接関与」にもふれ、公的資金による買い戻しも選択肢と示唆した。
野党・保守連合は政権奪還を前提に、6カ月以内に豪州の民間企業などによる契約締結が困難な場合には、政府が強制的に港湾の権益を取得すると表明した。
ダーウィン港は2018年に制定された重要インフラ安全保障法で、重要インフラの一つに指定されている。外国からの投資が関係する全ての決定に連邦政府の承認が必要だ。
ダーウィン港はターンブル保守連合政権だった15年に、北部準州政府と中国企業である嵐橋集団(ランドブリッジ)が約5億豪ドル(現在のレートで約440億円)で2114年までの99年間にわたる賃借契約を結んだ。その直後、豪メディアなどがランドブリッジと中国軍との関係について報じたほか、当時のオバマ米大統領がターンブル首相に懸念を伝えた。
ダーウィン港は地政学的な要衝に位置する。商業港ではあるが、米豪の軍艦が停泊することもあり、豪州の陸海空軍の基地も近い。米海兵隊は6カ月ごとにダーウィンに部隊を派遣する。日本の陸上自衛隊の水陸機動団は今年から、この米部隊と豪軍との共同訓練を始める予定だ。
中国が南シナ海などで海洋進出を強めるなか、米軍は部隊を素早く展開する拠点として、豪州北部にある基地の強化を急いでいる。
ダーウィン港は22年の前回総選挙でも争点となった。労働党は9年ぶりに政権を奪還した後、豪諜報(ちょうほう)機関の助言を受けて賃借契約を精査。23年に安全保障上の懸念はないと結論づけた。当時は中国がまだ複数の豪州産品に貿易制裁を科していた。
事態が急展開したのはトランプ米政権の意向が反映された可能性もある。豪公共放送ABCは2日、米国がダーウィン港の中国権益をめぐって懸念を強めていると報じた。トランプ政権は「中国が運河を運営している」としてパナマ運河の管轄権を奪還したばかりだ。米国の関与を問われたマールズ副首相兼国防相はコメントを控えた。
豪シンクタンクの豪戦略政策研究所(ASPI)のシニアアナリスト、マルコム・デイビス氏は「ダーウィン港を中国企業に貸したのは誤りだった。どの党が政権を握るのであれ、米国と協力し、豪州の管轄に戻すのが望ましい」と指摘する。
中国高速鉄道、ペットと乗車 専用箱に預かり 北京―上海は1万3000円[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 622文字 PDF有 書誌情報]
【大連=藤村広平】中国国有鉄道会社の中国国家鉄路集団は8日、高速鉄道で有料のペット預かりサービスを始めると発表した。騒音やにおいを防ぐために独自開発した専用箱に入れ、乗客の座席とは離れた場所に保管して運ぶ。中国では猫や犬を飼う消費者が増えており、かねてペット連れで旅行したいという声があがっていた。
北京と上海などを結ぶ一部路線で試験的に始める。体重15キログラム以下の猫や犬が対象で、事前予約が必要。料金は移動距離に応じて決まる。同社の予約サイトによると、6時間前後かかる北京―上海間では定価が658元(約1万3000円)。同じ区間で乗客1人が二等車に乗るのに相当する価格に設定した。
ペットが苦手な利用客にも配慮し、ペットの入った専用箱は乗客から離れた場所に置く。箱は酸素含有量や温度・湿度を一定の水準に保つほか、鳴き声やにおいが漏れ出るのを防ぐ機能も備えた。
列車の運行中に飼い主がペットを預けた場所に入ることはできないが、少なくとも2時間に1回は係員が水やりを代行する。専用箱や保管場所は運行後に毎回清掃する。
中国の業界団体がまとめた「中国ペット業界白書」によると、犬・猫を飼育する都市部の消費者は2023年に7510万人と、18年と比べて3割増えた。景気が低迷するなか、比較的お金をかけずに癒やしを感じられるとして人気が高まっている。
【図・写真】中国ではペット連れで旅行したいとの声があがっていた(3月、遼寧省瀋陽市の高速鉄道駅)
デルタ電子、タイに新工場 用地取得、生産拠点分散へ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 570文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=赤間建哉】台湾の電子部品大手、台達電子工業(デルタ電子)のタイ子会社はタイ中部で工場用地を取得すると発表した。24万平方メートルの土地の購入価格は18億バーツ(約80億円)。顧客に米アップルなどを持つデルタ電子は、米政権が導入した相互関税の影響が懸念されている。
デルタ・エレクトロニクス・タイランドが2日、タイ証券取引所(SET)に提出した資料で明らかにした。タイ中部サムットプラカン県のアラヤ工業団地で工場用地を取得する。工場を建設し、電源部品や人工知能(AI)サーバー向け製品などの製造を検討する。
デルタはアップル、テスラ、エヌビディアなど米国の有力企業を顧客に持つ。特にアップルにはスマートフォンやタブレット向け部品を供給する。工場用地を今回取得することによって、中国からタイへ生産拠点の分散化を加速できるかが注目される。
トランプ米政権が2日に相互関税の導入を発表したあと、デルタタイ法人の4日の株価は発表前と比べ16%下落した。デルタタイ法人は時価総額ベースで5000億円超を失った計算になる。
デルタタイ法人は1988年に設立。すでにバンコク近郊のバンプーなどで2つの工場を持つ。スマホや電気自動車(EV)向け部品などを生産しており、2028年までにタイなどで約5億ドル(約740億円)を投じて拡張する計画だ。
印車大手、一斉値上げ 安全性能向上や資材高[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 544文字 PDF有 書誌情報]
【ムンバイ=岡部貴典】インドの自動車大手は4月から車両の販売価格を一斉に引き上げる。車の安全対策や材料費の高騰を踏まえ、2~4%程度値上げする。足元では景気が減速しているだけに販売への影響が懸念される。
乗用車最大手のマルチ・スズキは8日、主力車種の価格を最大で4%上げた。人気の高い「ワゴンR」は最大で1万4000ルピー(約2万4000円)値上げした。上げ幅は同じモデルでもグレードによって異なる。
同社によると、安全性能を高めるために新たに6つのエアバッグを搭載する費用などが膨らむという。インド政府が乗用車に標準でつけるエアバッグの数を増やす規制を検討していたことをにらみ、対策を強化した。
地場メーカーのタタ自動車は1日から商用車の価格を最大で2%高くした。韓国の現代自動車と地場のマヒンドラ・アンド・マヒンドラはいずれも4月中に3%引き上げると発表した。アルミニウムなどの原材料費が上昇し、負担が膨らんでいることが要因とみられる。
インドの自動車市場は堅調な成長を続けてきたが足元では需要低迷の不安もある。自動車販売店協会連合(FADA)によると3月の乗用車の販売台数は前年同月比で6%増えた。高水準の在庫を抱える販売店からは、メーカーが在庫を押しつけているとの声も出ている。
豪ウッドサイド、米LNGの一部権益売却 8400億円で[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 469文字 PDF有 書誌情報]
【シドニー=今橋瑠璃華】オーストラリアのウッドサイド・エナジー・グループが、米国の液化天然ガス(LNG)開発プロジェクト「ルイジアナLNG」の一部権益を売却すると発表した。同プロジェクトの推進に意欲を示すが、同社の投資負担を抑えるため、プロジェクトの参画事業者を早期に募る考えだ。
売却するのは同プロジェクトの輸出ターミナルに関する権益の一部。インフラや不動産などを対象とする米投資会社ストーンピークが40%分を取得する。取引額は57億ドル(約8400億円)の見通しで、4~6月に売却が完了する見通しだ。
ウッドサイドは2024年に米LNG会社テルリアンを買収した。同社が開発したプロジェクト「ドリフトウッド」を引き継ぎ、ルイジアナLNGと改名した。
プロジェクト全体を巡ってはウッドサイドのメグ・オニール最高経営責任者(CEO)が「潜在的なパートナーとの協議を前進させる」とコメントした。
ロイター通信によると、ウッドサイドは東京ガスやJERA、サウジアラビア国有石油会社サウジアラムコが出資するミッドオーシャン・エナジーと協議した。
深、温浴施設に若者・香港人 競争から逃れ一日ゆるり(ASIAトレンド)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1053文字 PDF有 書誌情報]
中国・広東省深市の若者の間で温浴施設の人気が高まっている。湯につかるだけでなく、友人らと食事やゲームを楽しみ睡眠もとって丸1日近くゆったり滞在する。厳しい競争にさらされる世代から疲れを癒やす場として重宝されている。
「前から何回も来ており、だいたい友達と夜に来て翌日に帰る。マッサージを受けるのが好きで十数時間は滞在する」。3月中旬、深の温浴施設「熹湯湯泉」の休憩ルームのソファで寝そべり、テレビを見ていた鄭さん(30代女性)はこう話していた。
同施設は2024年5月に開業した。以前は併設するホテルの宿泊客向けだったが、需要増をにらみ一般向けに転換した。広さは約1万5000平方メートルで、睡眠スペースや個室のマッサージルーム、果物や飲料の無料提供コーナー、焼き肉レストランを備える。
施設運営会社によると多い日は1000人ほど来客がある。20~40代中心で男女比率は半々。友人や家族と来て、20時間近く滞在する人が多い。客単価は平均400元(約8000円)前後だ。
広東省の共産党系メディア「羊城晩報」によると24年、各種サービスの割引クーポンなどを販売するアプリ「美団」で、レジャー・娯楽関連の取扱高は前年比5割増だった。その中で深は、温浴施設のクーポン取扱高の増加幅が全国一だった。
温浴施設の利用は1990年代、2000年代生まれの若者が約6割を占めており、羊城晩報は「若者消費のキーワードはリラックスだ」とみる。利用料金は入浴とマッサージ、飲食などの各種サービスがセットで400~500元が相場だ。頻繁に行くことができないものの、長時間滞在すれば元が取れる印象だ。
香港との出入境の管理所近くでは、週末中心に香港人でにぎわう温浴施設もある。新型コロナウイルス禍の収束以降、香港人が本土側に越境して割安なサービスや商品にお金を使う「北上消費」が盛んだ。24年に越境した香港人はのべ約8191万人と約5割増えた。
深はテック系の大企業やスタートアップが多く全国から若者が集まる。平均年齢は32.5歳と全国平均より6歳あまり若い。活気がある半面、就職や出世の競争は激しい。
あるゲーム開発会社の社員は「リラックスして過ごす『寝そべり』の生活が理想だけど現実はサービス残業などで内向き競争の『内巻』を強いられている」と漏らす。温浴施設は日々のストレスからいっとき逃れられるシェルターになっているようだ。
(広州=藤野逸郎)
【図・写真】くつろげる雰囲気が売りの温浴施設「熹湯湯泉」(広東省深市)
イスラエル、再び三方へ攻勢 ガザの支配地半分超に/対レバノン・シリア強硬 米は容認か[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1575文字 PDF有 書誌情報]
【カイロ=岐部秀光】イスラエルが複数の戦線で再び軍事作戦を拡大している。パレスチナ自治区ガザでの支配地は半分に達し、レバノンやシリアへの攻撃も繰り返す。ネタニヤフ首相は7日にトランプ米大統領との首脳会談を実現し、ガザ政策への支持を確認した。2023年10月から続くイスラエルの戦時体制は1年半が過ぎても収束する気配がみえない。
トランプ氏は7日「ネタニヤフ氏は人質解放のために大変な努力をしている」とイスラエルの行動に理解を示した。
トランプ氏は中東での和平を目標に掲げてきた。24年11月の大統領選挙以降、イスラエルに一定の譲歩をさせたうえでガザやレバノンでの停戦合意にこぎつけた。
だがトランプ氏は足元で停戦順守へ圧力を加えるどころか、イスラエルの拡張主義的な行動を制止しようとすらしない。
報道陣に公開した7日の会談冒頭ではガザを「信じられないほど重要な不動産」と評し、米国が支配・所有して再開発すべきだとの持論を繰り返した。イスラエルによる軍事行動の再開を非難することはなかった。
ガザ住民を移住させリゾート開発するというトランプ氏の考えをイスラエル極右は歓迎する。ネタニヤフ氏は「ガザの住民にはどこにでも行く選択肢がある」などトランプ氏の発言に呼応した。
25年1月に米国、エジプト、カタールが仲介して実現したガザの停戦は事実上、崩壊している。ガザ保健当局によると、イスラエル軍が攻撃を再開した3月18日以降の死者は7日時点で1391人、負傷者は3434人に達した。AP通信によるとイスラエル軍が「緩衝地帯」や「回廊」と呼ぶ支配地はガザの50%を超える。
ネタニヤフ氏は2日、ガザ南部を分割する「モラグ回廊」の設置を発表した。エジプトとガザの境界にある「フィラデルフィ回廊」に平行する新回廊だ。住民を追い出し、トランプ氏の強制移住の構想を実現させようとしている可能性がある。
イスラエルはアラブ諸国が提示した代替案を受け入れない立場だ。ガザでの作戦再開に先立ち、国際機関による人道物資の流入も停止した。
3段階のプロセスとして設計された停戦第1段階は3月初めに期限を迎えた。イスラエルは停戦の第2段階に進まず第1段階の延長を求めた。軍の撤収に応じるつもりがないことが鮮明になった。
イスラエル軍は1月下旬にもうひとつのパレスチナ自治区であるヨルダン川西岸で「アイアンウオール作戦」と呼ぶ大規模な侵攻を始めた。「テロリストの掃討」と称して北部ジェニンなどで建物を破壊した。
11月に停戦で合意したはずのレバノンでも3月末、初めて首都ベイルートを空爆した。レバノンのサラム首相が「新たな戦争に引き込まれる危険に直面している」と懸念を表明した1週間後のことだ。イスラエル軍は撤退期限を過ぎた後も一部で駐留を続けている。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは、ハマスとの連帯を示すとしてイスラエルを攻撃したが、指導者殺害などの報復で大打撃を受けた。
アサド政権が崩壊したシリアに対してもイスラエルが軍事拠点への攻撃を加えている。4月初めの首都ダマスカス近郊やハマ、ホムスの空軍基地への空爆はアサド政権崩壊後で最も激しい攻撃のひとつとなった。
イスラエルはイスラム過激派出身のシャラア暫定大統領が率いる暫定政権に不信感を持つ。潜在的な脅威となる軍事能力を可能な限り破壊しようとしている。
戦時体制の長期化はイスラエル国内の分断を深める。交渉ではなく強硬手段でハマスの人質を奪還しようとするネタニヤフ政権の方針に人質家族らが反発を強めている。毎週のように開かれる反政府デモの参加者は、ネタニヤフ氏が汚職裁判から逃れるために戦争を継続しようとしていると考えている。
【図・写真】7日、ワシントンでトランプ大統領(右)と会談するネタニヤフ首相=ロイター
トランプ氏、NSC高官を相次ぎ解任 国際問題への積極関与派を標的[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1381文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】トランプ米大統領が安全保障当局の高官を相次いで解任している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、国家安全保障会議(NSC)で対象は10人以上に及ぶ見通しだ。米国は国際問題に関与すべきだという伝統的な考えを持った人を狙い撃ちにしている。
解任が明らかになったのは、ルビオ国務長官の上院議員時代の側近であるブライアン・ウォルシュ氏らだ。ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)に下院議員時代から仕えるトーマス・ブードリー氏の名前も挙がっている。
ルビオ氏とウォルツ氏はトランプ政権内で中国との覇権争いを重視する対中強硬論者の代表的存在だ。自身の側近がホワイトハウスから去ることで、今後は発言力が落ちる可能性がある。
重要技術などを担当するシニアディレクターのデビッド・フェイス氏も更迭された。同氏はトランプ第1次政権で国務省に勤務し、日本政府も頼りにしてきた人物だ。
米CNNはアレックス・ウォン大統領副補佐官も解任となる可能性があると伝えている。同氏は第1次トランプ政権で米朝交渉を担当し、東アジア情勢に精通する。国際機関を担当するマギー・ドハティ氏も対象になった。
解任劇はホワイトハウスで対アジア政策を議論しているさなかに起きた。中国に対抗するため従来通り、外交・軍事両面で強化を進めるべきだとの考えと、アジアへの関与も縮小し、国内問題に集中すべきだという意見がせめぎ合う。
米メディアはトランプ氏と2日に面会した極右活動家のローラ・ルーマー氏がNSC高官の解任を助言したと伝えている。対象者は、世界の問題に積極的に関与する「ネオコン(新保守主義者)」だと決めつけ、更迭すべきだと主張した。「彼らを野放しにすれば政権内部に敵を抱えることになる」と要求したという。
トランプ政権ではスティーブン・ミラー大統領次席補佐官などの国内問題を最優先とする「MAGA(米国を再び偉大に)」思想の人々が力を持つ。米国第一の政策を掲げ、同盟国との関係を軽視する。ルーマー氏の主張とも親和性がある。
NSC高官の一斉解任は政権内の今後の意思決定に影響を与える可能性がある。アジアへの関与を薄める論調がホワイトハウスで強まれば、日本の安全保障政策にも波及する。
NSCを率いる立場であるウォルツ氏は発言力を弱めているとの見方がある。ウォルツ氏がメッセージアプリ「シグナル」に米誌アトランティックの記者を誤って招待し、軍事作戦情報が外部に漏洩した。ホワイトハウス内ではウォルツ氏の更迭論が浮上する。
トランプ氏は2024年大統領選の期間中に、第1次政権の「最大の過ち」は人事だと振り返り「選ぶべきではなかった数人の人物を選んでしまった。ネオコン、悪人、不誠実な人々」と語った。
トランプ氏はバイデン前大統領が任命した米軍幹部の解任も続けている。米メディアは3日、米サイバー軍司令官と米国家安全保障局(NSA)局長を兼務するティモシー・ハウ氏を同日中に解任したと報じた。
2月にも米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長(当時)ら軍幹部を一斉に更迭した。米軍の制服組は政治的中立を保つとされるが、時の大統領の意のままに人事が敢行されれば、組織の基盤が危うくなる。
【図・写真】NSCを率いるウォルツ大統領補佐官も解任すべきだとの声がある=ロイター
中国、金保有積み増し 米大統領選後、国際情勢の急変備え[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 995文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎、ベルリン=南毅郎】中国が2024年11月の米大統領選以降、金の保有を再び増やしている。中国人民銀行(中央銀行)によると3月末の金の保有量は5カ月連続で増加した。トランプ米大統領がしかける貿易戦争による不確実性の高まりを受け、安全資産として金を積み増す。
人民銀行が発表した3月末の外貨準備の内訳によると、金の保有量は2月末から0.1%増え約2292トンだった。22年11月から24年4月まで18カ月連続で増やし、5~10月は横ばいだった。24年11月から再び増やし、3月末までに28トン増えた。
22年2月のロシアによるウクライナ侵略以降、各国で制裁リスクのあるドルから金に資金を移す動きが目立っていた。地政学リスクの悪化が懸念される状況でも金は実物資産として価値が損なわれにくいためだ。
中国も国際情勢の急変に備え、人民元の信用の裏付けとなる金を積み増す。米国と中国は2月以降、追加関税の応酬を繰り広げている。
中国は金の保有を増やす一方で、米国債の保有を減らしている。米財務省の統計によると中国の米国債保有額は25年1月末で7600億ドル(約111兆円)と、24年11月から80億ドルほど減らした。日本も保有を減らしており、トランプ政権によるインフレリスクを懸念しているとみられる。
中国が金を増やすのは台湾有事を想定しているとの見方もある。台湾有事で米国主導の制裁を受けにくい態勢をつくるためだ。米欧はウクライナに侵略したロシアへの制裁としてドル資産を凍結した。
欧州でも、米国で保管している金の管理に懸念の声が出ている。ドイツ出身で欧州連合(EU)のフェルバー欧州議会議員は独紙ビルトに「定期的に金の管理を求める」と述べた。欧州納税者協会のイェーガー会長は「ただちに米国からドイツの金を取り戻さなければならない」と訴える。
独連邦銀行(中央銀行)は外貨準備の一環で3300トンほど(24年時点)の金を保有する。全体の5割強を本店があるフランクフルトで保管するが、4割弱は米連邦準備理事会(FRB)傘下のニューヨーク連銀にある。
一般的に外貨準備の運用は中身を明らかにしない「ブラックボックス」だが、米国と同盟関係にあるドイツの引き出し論を単なる臆測だと捨てきれない。独連銀は第1次トランプ政権だった17年にかけて、海外で保有する金の国内移管を進めた経緯がある。
韓国与野党、出馬準備進む 大統領選6月3日に決定[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 940文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国政府は8日に開いた国務会議(閣議)で、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免に伴う大統領選の投開票日を6月3日に決めた。当日は臨時公休日とする。5月10~11日に候補者登録をし、12日から選挙活動が可能となる。
大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相は8日の閣議で「これまでの傷と後遺症を癒やし、韓国が再び飛躍できるように国民の力を結集しなければならない」と語った。公平な選挙の実施に向けてこれまで以上の準備が必要だと呼びかけた。
韓国憲法は大統領の罷免から60日以内に大統領選を実施すると規定する。6月3日は憲法裁判所が4日に尹氏の罷免を宣告してから60日後にあたる。選挙戦をもっとも長くできる日程を選んだ形だ。
大統領選の日程が決まり、与野党で出馬の動きが活発になっている。与党側では金文洙(キム・ムンス)雇用労働相が8日の閣議で辞任を表明した。記者団に9日にも出馬宣言をする考えを明かした。
与党「国民の力」所属の安哲秀(アン・チョルス)氏は8日、ソウル市内で出馬を宣言した。22年大統領選に出馬した際は選挙戦終盤になり尹氏との候補一本化に合意し、尹氏の応援に回った。
保守系ではほかに、国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)前代表や呉世勲(オ・セフン)ソウル市長、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長らが国会議事堂周辺に選挙事務所を契約し、出馬に向けて準備に入った。聯合ニュースが報じた。
聯合によると、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は9日にも代表から退き、来週に出馬を宣言する。党内ではすでに金斗官(キム・ドゥグァン)元慶尚南道知事が出馬を表明している。
8日に始まった中央選挙管理委員会への予備候補登録を既に終えたのは第三極政党の「改革新党」所属の李俊錫(イ・ジュンソク)氏。李俊錫氏は21年に国民の力代表に選出され、前回22年の大統領選では尹氏の当選を支えたが、その後にたもとを分かった。
今回の大統領選は短期決戦で、投開票日まで2カ月を切っている。尹氏は朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続き韓国憲政史上2人目の罷免となった。朴氏の罷免に伴う17年の大統領選では9年ぶりに保守政権から交代し革新系の政権が誕生した。
イスラエル、再び三方へ攻勢――米・イラン、12日に核協議[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 605文字 PDF有 書誌情報]
【テヘラン=福冨隼太郎】米国とイランは12日、核問題を巡る協議を開く。トランプ米大統領が7日、明らかにし、イラン側もオマーンで実施すると認めた。ただ、トランプ氏が米イラン間の直接協議だと主張するのに対しイランはオマーンを介した間接的な協議になると強調。言い分には食い違いもみられる。
イランメディアによるとイラン側はアラグチ外相が、米側はウィットコフ中東担当特使が交渉を担う。
トランプ氏は7日、イスラエルのネタニヤフ首相との会談の冒頭で「イランと直接交渉が始まっている」と述べた。「最高レベルの(代表者による)会議になる。結果を見守りたい」と話した。
そのうえで「対話がうまくいかなければ、イランは深刻な危機に陥るだろう」とも指摘。「明白な事態を招くより合意を結ぶ方が望ましいと誰もが考えている。イランにとっても最善の策だろう」などと語った。
イランのアラグチ氏は8日、X(旧ツイッター)に投稿し「チャンスであり試練でもある。ボールは米側にある」と主張した。
イランと米欧などは2015年にイランの核開発を制限する見返りに欧米の制裁を緩和する核合意を結んだ。
第1次トランプ政権は18年に合意から一方的に離脱し、対イラン制裁を再発動。反発したイランは核開発を進めている。
イランは核開発は「平和利用目的」と主張するが、核合意で定められた上限を大幅に超える濃縮ウランを保有し核兵器への転用が可能な水準に迫る。
トランプ氏、関税免除「多分しない」 ネタニヤフ首相と会談[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 581文字 PDF有 書誌情報]
【イスタンブール=渡辺夏奈】米国のトランプ大統領は7日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、相互関税について協議した。イスラエル側は関税の減免を求めていたが、トランプ氏は関税免除は「多分しない」と述べた。同盟国のイスラエルに対しても、2日に発表した17%の関税を課す考えを示した。
会談後に予定していた共同記者会見は中止した。2日の相互関税の公表後、トランプ氏が外国首脳と直接会談するのは初めてで、結果が注目されていた。
トランプ氏は「友人のことは気にかけている」としつつ、イスラエルに対する関税撤廃には否定的な見方を示した。イスラエルにはこれまでも多額の支援をしてきたと指摘した。
ネタニヤフ氏は米国の「貿易赤字を撲滅する」と強調し、トランプ氏に配慮する姿勢を見せた。問題の解決に向け、今後も協議を続けるとの考えを示した。
イスラエルは1日、米からの輸入品に課される関税を撤廃した。米政府によると2024年、同国のイスラエルからの輸入は222億ドル(約3兆3000億円)。米からイスラエルへの輸出は148億ドルで、米は74億ドルの貿易赤字となっている。
トランプ政権は5日、一律10%の関税を適用した。9日に貿易赤字の大きい国や地域に上乗せ分の相互関税を発動する予定だ。
高関税の発動を目前に、イスラエル以外の国も米政府との交渉を求めている。
トランプ氏、関税免除「多分しない」――EU、工業製品で「相互ゼロ」関税提案 米と交渉探る[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 483文字 PDF有 書誌情報]
【ベルリン=南毅郎】トランプ米政権が公表した各国・地域への相互関税を受け、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は7日、米側に「工業製品でゼロ対ゼロの関税を提案した」と明らかにした。貿易戦争を避けるため米国と交渉の道を探ると同時に、EUに不利益が及べば対抗措置に踏み切る可能性にも言及した。
トランプ米大統領は2日、世界各国からの輸入品にかける相互関税でドイツやフランスなどEUへの税率を20%とした。
トランプ氏は米国が対EUで貿易赤字を計上していることに不満を語っており、対英国の10%より高い水準になった。
フォンデアライエン氏は「常に良い取引ができるよう準備はできている」と述べ、米国と交渉する意向を示した。「対抗措置も辞さない構えだ」とも語り、一方的な関税引き上げに対する報復に含みをもたせた。
トランプ氏がぶち上げた相互関税は一律10%の基本税率に加え、貿易赤字や非関税障壁があるとみなした国・地域には税率を上乗せしている。
貿易障壁を下げても肝心の米貿易赤字が解消されなければ交渉が実現するか見通せず、EUとの協議にも時間がかかるとみられる。
ゼレンスキー氏「中国人兵士2人捕虜に」 ロシア軍に加勢か[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 358文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、ウクライナ東部ドネツク州で中国人兵士との交戦があり、2人を捕虜にしたと公表した。大統領府によると戦闘には6人の中国人が参加していた。中国政府に説明を求める方針という。
大統領府によると、捕虜にした兵士はウクライナ保安局が拘束している。パスポートなどの個人書類を押収した。治安機関が参戦の経緯などを調査する。
ゼレンスキー氏は通信アプリ「テレグラム」で、ロシアが中国を直接あるいは間接的に戦争に関与させていると主張した。「プーチン大統領が戦闘を停止するつもりがないという明確なシグナルで、彼は戦闘を続ける方法を探している」と批判した。米欧などにロシアへの圧力を強めるよう要請した。中国はウクライナ紛争で中立の立場を強調し、ロシアへの軍事支援を否定している。
マスク氏、トランプ氏に関税撤回直訴 車産業への打撃懸念[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 357文字 PDF有 書誌情報]
米紙ワシントン・ポストは7日、起業家のイーロン・マスク氏が、トランプ政権が打ち出した新たな関税政策を撤回するようトランプ米大統領に直訴したと報じた。
トランプ氏とマスク氏は関税を巡って意見が異なる部分があるとみられる。事情に詳しい人物によると、マスク氏の訴えでトランプ氏が翻意するには至っていないという。
トランプ氏は7日、中国が米国への報復措置を撤回しない場合、2日発表した34%の相互関税に上乗せするかたちで中国製品に50%の追加関税を課すと警告した。
関税により、とりわけ自動車メーカーが大きな打撃を受ける可能性が高い。ワシントン・ポストによると、米テスラの最高経営責任者(CEO)を務めるマスク氏は、米国と中国の両方を主要な製造・消費拠点とする同社にとって関税は有害だと考えてきた。
【図・写真】=ロイター
北朝鮮軍兵士10人が境界線侵犯[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 309文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=藤田哲哉】韓国軍合同参謀本部は8日、北朝鮮軍の兵士約10人が同日午後5時ごろ、東部戦線の非武装地帯(DMZ)で南北軍事境界線を侵犯したと明らかにした。韓国軍が直ちに警告放送と警告射撃を実施し、北朝鮮兵士は引き返した。
2024年6月にも韓国・京畿道や江原道付近のDMZで作業中だった北朝鮮軍の兵士が軍事境界線を侵犯し、韓国側の警告放送と警告射撃後に引き返した。
北朝鮮軍が軍事境界線近くで地雷埋設や対戦車防壁とみられる構造物の建設などを活発化させているとみて、韓国軍は警戒を強めている。
韓国軍合同参謀本部は「北朝鮮軍の動向を綿密に監視しながら、作戦遂行手続きに基づき必要な措置を取っている」と話している。
トランプ氏誕生日に閲兵式検討[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 225文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=飛田臨太郎】米メディアは7日、米政権がトランプ大統領の誕生日に軍事パレードを検討していると報じた。トランプ氏は6月14日に79歳の誕生日を迎える。
同日は米陸軍創設250周年と重なる。米軍は節目を祝う大規模イベントを実施する計画を1年前から練っていたが、政権内で同イベントにトランプ氏の誕生日を祝う軍事パレードを組み合わせる案が浮上した。米CNNによると、ワシントン近郊の国防総省からホワイトハウスまでの6キロ超のコースとする予定だ。
米ロ、10日にトルコで再協議[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 11ページ 184文字 PDF有 書誌情報]
ロシアのペスコフ大統領報道官は8日、ロシアと米国が10日にトルコのイスタンブールで協議を開催するとの見通しを示した。2月下旬に同地で開催された協議に続くもので、2国間の外交関係の正常化を進める狙い。
ペスコフ氏は「ロシア側は外務省が対応する」と記者団に述べた。米ロの外交当局者は2月27日にイスタンブールで協議を開き、両国の在外公館業務の正常化などについて議論した。
車電池向け投資、凍結 欧米EV販売失速響く 三菱ケミ、米英で延期 旭化成は韓国見送り[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1709文字 PDF有 書誌情報]
電気自動車(EV)市場の成長の鈍化で、車載電池向け材料を手がける素材各社が投資の一部凍結に動き始めた。三菱ケミカルグループは米英で能力増強を延期、旭化成は北米向けの輸出を想定し計画していた韓国での投資を見送る。供給先となる欧米ではEV失速が顕著なうえトランプ米政権のもと逆風が強まり、投資に慎重になっている。
三菱ケミカルGはリチウムイオン電池の主要部材の一つの電解液で、米英での能力増強を延期した。両拠点とも既存能力から2倍程度の増強を計画していた。米国については22年に初めて増強を意思決定し23年12月の完工予定だったが、現時点では26年3月予定と延期を繰り返している。
電解液は主要部材のなかでも現地生産化が進んでいる。「米国では電池メーカーからの需要に比べ供給能力が多い状態」(三菱ケミGの迫直樹電池・エレクトロニクス本部長)といい、韓国勢などとの競争激化の影響も受けている。
旭化成はセパレーター(絶縁材)で、韓国での加工工程の増強を取りやめた。基材となる膜にセラミックなどを塗工し耐熱性などを高める工程で、23年10月に日米韓で約400億円を投じて能力を2倍超に引き上げる計画を発表していた。
同社はカナダで塗工も含めた新工場を27年に稼働予定で、韓国拠点はそれまでの間の北米EV需要に対応するための増強を計画していた。だが北米市場が想定通りに伸びず、「市場の成長の動きに合わせ投資計画を最適化する」(旭化成バッテリーセパレータの金子修也企画管理部長)。
日本ゼオンは電極に使う接着剤で米国での工場新設を26年予定から延期。artienceは正極材料に使う導電助剤の生産拠点の一つである米ケンタッキー州の工場の稼働を1年遅らせ26年にする。
三菱ケミGや旭化成は主に欧米で生産する中国以外の自動車メーカーや車載電池メーカー向けの供給へ増強を進めていた。その欧米で24年以降、各メーカーがEV計画の見直しを発表している。
スウェーデンのボルボ・カーは30年までに全ての新車をEVとする目標を撤回した。米ゼネラル・モーターズ(GM)は同国インディアナ州で計画していた韓国サムスンSDIとの合弁工場での電池量産を26年から27年に遅らせた。欧州ではスウェーデンの新興電池メーカーのノースボルトが経営破綻している。
背景にあるのは市場の冷え込みだ。ドイツでのEV購入補助金廃止などの影響もあり、欧州連合(EU)の24年のEV販売は前年比6%減と失速した。欧州自動車部品工業会によると、EUでのEV部品への24年の投資は19年以降で最も低い56億ユーロ(約9000億円)で23年実績より約6割落ちた。米国でのEV販売は前年比で増えているが伸びは鈍化している。
トランプ米政権で逆風は強まる。1月には前政権で施行されたインフレ抑制法(IRA)に基づくEV普及策の見直しに関する大統領令に署名した。ある素材大手幹部は「需要面に加えIRAや関税の行方など不確定要素が多く投資に踏み切りづらい」とこぼす。
ただ電池向け素材でも負極材や、電解液の主成分となる材料で中国勢がほぼシェアを独占していることが、日本勢には投資の動機となる。脱中国の供給網を築くニーズは継続してあり、三菱ケミGも負極材では24年12月に香川県での能力増強投資を決定し、北米向けなど主に輸出する想定だ。UBEも電解液の主成分となる材料の米国工場新設計画は変えていない。
足元は減速しているが中長期的にEV化が進むという見方が大勢だ。特に北米は重要市場で、各社は投資のタイミングを慎重に見極めている。
カナダでセパレーター新工場を建設中の旭化成には、「競合からのアプローチが飛躍的に増えている」(工藤幸四郎社長)。競合も従来から北米進出を検討していたが、単独での投資に限らず他社との連携の道を探っているとみられる。旭化成も第2期など追加の能力増強には慎重な姿勢だが、同業他社との生産連携などにより、稼働率悪化のリスクを避ける施策も視野に入れている。
【図・写真】車載電池向けに旭化成はセパレーター(写真左)、三菱ケミカルグループは電解液や負極材を手がける
米通関に駆け込み輸入 航空便で課税回避 運賃4割高、申告追いつかず[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 598文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】トランプ米政権による相互関税は9日に全面適用される。米国の通関では、海上に比べ輸送日数が短い航空便で課税を避けようとする駆け込み輸入が起きている。低税率の国から持ち込む迂回ルートを検討する事業者も出てきた。
トランプ政権が各国に課す相互関税は、各国に一律に課す「基本税率」の10%分が5日発動された。国別の「上乗せ税率」は9日に発動され、全面適用となる。
航空輸送は値段は高いが1~2日程度で、数週間かかる海上輸送よりも大幅に短い。さらに、航空貨物の米向け輸出は輸送中でも米国に来ていると見なされる。9日より前に積み込めば、相互関税の上乗せ税率分を避けられる可能性が高い。
米国三井物産などと取引がある通関事業者「V・アレクサンダー」には、航空輸送に変える顧客の要請が9日を前に急増している。
駆け込み需要はさらに増す可能性がある。運賃情報サービスのゼネタによると、米国向け航空貨物運賃の指標となる上海発米国行きの平均航空運賃は3月末時点で同月初旬と比べ4割上がった。
荷主企業は品目ごとに異なる条件や細則も踏まえて申告しなければならないが、相互関税のように国ごとに異なる税率が課される場合は確認作業が複雑になる。既に輸入関税が課された鉄鋼・アルミニウムの場合、自動車や機械に含まれる鉄やアルミも申告対象になる。荷主の申告を請け負う通関事業者は作業が追いつかない状況だ。
アウディ、対米輸出停止 関税受け、在庫を優先販売[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 316文字 PDF有 書誌情報]
【フランクフルト=林英樹】ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)グループ傘下で高級車大手のアウディは7日、米国への輸出を一時停止すると明らかにした。トランプ米政権が輸入車に追加関税25%を課すと正式発表した2日以降に入港した新車についても販売を止める。関税の影響を受けずに販売できる在庫を優先して販売する。
独誌シュピーゲルが報じた。アウディ米国法人は同日「顧客と販売店の最善の利益のため、追加関税による影響を慎重に評価している」とコメントした。
調査会社マークラインズによると、アウディは24年、米国内で約20万台の乗用車を販売した。米国内に自社の組み立て工場を持たず、全車をメキシコとドイツ、ハンガリーなどの工場から輸出している。
阪大発新興、心筋シートを承認申請 iPS医薬品で初[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 286文字 PDF有 書誌情報]
大阪大発スタートアップのクオリプスは8日、iPS細胞から作製した心筋シートについて厚生労働省に製造販売の承認を申請したと発表した。重い心不全の患者向けで、iPS細胞由来の医薬品としての申請は初となる。
同社は当初、早ければ2024年6月中に申請するとしていた。治療効果を調べる臨床試験(治験)について、患者の経過を長期にわたって確認すると病状がより改善する傾向がみられたため、申請に必要なデータを改めてまとめていたという。
草薙尊之社長は「長い間支援をいただいて申請にたどり着けたが、これはあくまでもスタートだ。患者に一日でも早く届けられるよう引き続き頑張る」と話した。
セブン、おにぎり4品8%値上げ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 193文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンは8日、おにぎり4品を15日から値上げすると発表した。値上げ幅は平均で約8%。容器や物流などのコストが上がるなか、今回はのりの価格上昇を商品価格に反映した。対象商品は手巻おにぎりシリーズの「北海道産昆布」と「梅」「炭火焼熟成紅しゃけ」「具たっぷり辛子明太子」の4品。昆布と梅は税別165円と従来より15円高く、紅しゃけと辛子明太子は同198円と13円上がる。
双日、ベトナムで外食事業参入[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 176文字 PDF有 書誌情報]
双日は8日、ベトナムで外食事業に参入すると発表した。ロイヤルホールディングス(HD)と組んで、18日に1号店となる中・高価格帯の洋食店をホーチミン市内に開く。双日がベトナムで持つ食品の卸売りや物流などの供給網を活用する。今後は同市内を中心に和食なども含めて幅広い業態での展開を予定する。所得向上や共働き世帯の増加で成長が続く同国の外食需要を取り込む。
フジHD、村上氏長女が筆頭株主――上場会社として「適格性欠く」 日本取締役協会が声明[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 169文字 PDF有 書誌情報]
日本取締役協会(東京・港)は8日、元タレントの中居正広氏と女性のトラブルを巡るフジ・メディア・ホールディングス(HD)の第三者委員会が調査報告書を出したことを受け、「ガバナンスの歪(ゆが)みを通り越して、資本市場における上場会社としての適格性を欠く」との声明を発表した。指名委員会等設置会社への移行など、再発防止のための具体策を求めた。
秀和システム 船井親会社の民事再生取り下げ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 167文字 PDF有 書誌情報]
出版を手掛ける秀和システム(東京・江東)が船井電機の親会社、FUNAI GROUP(旧船井電機・ホールディングス)に対する民事再生法の適用申請を取り下げたことが8日、関係者への取材で分かった。船井電機や親会社を巡っては一部の関係者が破産に反対し民事再生を求めていた。民事再生を目指す一連の手続きは終了したとみられ、破産が進む見通し。
自工会会長、経産相と面会[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 165文字 PDF有 書誌情報]
日本自動車工業会(自工会)の片山正則会長(いすゞ自動車会長)らは8日、武藤容治経済産業相と面会した。片山氏は米国の追加関税について「サプライヤーの皆様と築き上げてきた産業基盤が根底から瓦解しかねない」と述べた。武藤氏は「中堅・中小の部品メーカーに影響が及ばないように適正な取引を確保する観点からも目配りをお願いしたい」と語った。
綜合警備保障、社名ALSOKに[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 145文字 PDF有 書誌情報]
綜合警備保障は8日、7月16日に社名を「ALSOK」に変更すると発表した。2003年からコーポレートブランドとして「ALSOK」を使用してきたが、テレビCMなどを通じてブランド名が浸透。7月に創立60周年を迎えるのを機に、社名とブランドを統一する。6月25日に予定する株主総会で決議する。
富士フイルム、AIでトンネルのひび割れ発見[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
富士フイルムは8日、トンネルのひび割れを人工知能(AI)で発見する技術を実用化したと発表した。2025年度からJR東日本の新幹線トンネル検査に全面的に導入する。検査業務を効率化して鉄道インフラの安全性を高める。
フジHD、村上氏長女が筆頭株主 改革圧力強まる(ビジネスTODAY)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1787文字 PDF有 書誌情報]
フジ・メディア・ホールディングス(HD)の筆頭株主に、アクティビスト(物言う株主)として知られる村上世彰氏の長女、野村絢氏が浮上したことが8日、わかった。1日時点で発行済み株式の8.7%を取得した。女性問題をきっかけに揺れるフジ・メディアHDは信頼回復がままならないうちに、ガバナンス(企業統治)や資本効率の向上といった経営の根幹を問われる事態に発展する。
村上氏が関わる投資会社レノ(東京・渋谷)が関東財務局に保有比率の変更報告書を提出した。レノが100株、残りを野村氏が保有する。3日付の大量保有報告書によると、レノは3月27日時点で5%超を取得していた。3月28日以降の3営業日で4%弱を買い増した。フジ・メディアHDは8日、日本経済新聞の取材に「個別の株主へのコメントは控える」と回答した。
フジ・メディアHDの筆頭株主(資産管理銀行を除く、2024年9月末時点)は7.9%を持つ東宝だった。アクティビストでは、米ダルトン・インベストメンツもフジ・メディアHD株の5.8%を保有している。また2月にはSBIHD系の運用会社、レオス・キャピタルワークスが5.1%の保有を明らかにした。
野村氏らは保有目的を「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為などを行うこと」としている。総投資額は483億円。1株2359円ほどで取得した。8日のフジ・メディアHDの終値は2885円50銭だった。すでに2割程度の評価益が出ている形になる。
フジ・メディアHDは25年1月、傘下のフジテレビジョンで元タレントの中居正広氏の女性問題への関与が発覚し、大半のスポンサーがCMを引き揚げる事態となった。1月半ばから3月末までの広告収入は従来予想から233億円減る見通しだ。
業績悪化が見込まれる中でも野村氏が大株主となったのは、フジ・メディアHDの持つ保有資産も狙いとみられる。傘下に「サンケイビル」といった企業を抱え、所有する土地や建物の合計は24年末で5300億円弱にのぼる。8日時点の時価総額(6757億円)の8割に相当する。
フジ・メディアHDは24年3月期の事業別営業利益で、「都市開発・観光」が195億円、テレビなどの「メディア・コンテンツ」が157億円と不動産関連が稼ぎ頭だ。松井証券の窪田朋一郎氏は「保有不動産が潤沢なため、当面はCM出稿が低水準でも経営が傾くとは考えにくい」と指摘する。
野村氏や村上氏は資本効率が低く手元資金が豊富な企業の株を買い、増配や自社株買いなどを求めるといった投資手法で知られる。23年度のフジ・メディアHDの自己資本利益率(ROE、連結ベース)は4.4%と上場企業の平均(9.0%)の半分以下だ。水面下でもフジ・メディアHD側と接触しているとみられ、野村氏側の次の一手が焦点となる。
フジ・メディアHDは3月27日、取締役15人のうち10人が6月の株主総会をもって退任すると発表した。この中には長年グループを率いてきた日枝久取締役相談役も含む。
ダルトンは「今回の未曽有の危機を招いた責任は日枝氏のみならず、取締役会の構成員全員」と主張しており、清水賢治社長をはじめとした残る5人の取締役の交代も求めている。一定の株式を6カ月間継続保有する投資家は総会の8週間前までに株主提案ができる。
英運用会社ゼナーアセットマネジメントも4月に入って、留任予定の取締役5人について「独立性や適格性に疑義がある」として刷新が望ましいとの認識を示した。22年からフジ・メディアHD株に投資し、同社株の約1%を保有しているという。
3月31日には第三者委員会による調査報告書が公表され、中居氏の性暴力を認定した。4月に入って、サントリーHDがフジテレビへのCM出稿の再開を検討すると明らかにした。しかし「再発防止策の実効性が確認されないと再開はしにくい」(大口スポンサーの幹部)といった声がまだ大半を占める。
フジテレビの清水社長の報酬半減など、対外的には一定の経営責任を示したものの、立て直しはようやくこれからだ。
信頼回復だけでも難路が予想される。村上氏側は資本効率に着目し、ダルトンは企業統治に厳しい姿勢をみせている。一筋縄ではいかないアクティビストとの攻防も本格的に始まる。
(野口和弘、西岡杏)
【図・写真】フジHDの筆頭株主になった野村絢氏
鴻海、備えた「1.5兆円供給網」 世界230拠点、真価問われる(トランプ2.0ビジネス大転換)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1141文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領が公表した「相互関税」は米アップルの製品や人工知能(AI)向けのサーバーをアジアでつくる台湾電機大手・鴻海(ホンハイ)精密工業を直撃する。鴻海はサプライチェーン(供給網)の混乱に備え、拠点分散に過去3年で約1兆5000億円を投じた。その真価が問われる局面に入る。
鴻海経営トップの劉揚偉・董事長(会長)は5日、半導体世界大手、台湾積体電路製造(TSMC)の幹部らとともに台北の公邸に集まり、頼清徳(ライ・チンドォー)総統とトランプ関税への対策を協議した。
年間売上高30兆円規模の鴻海はアップルやエヌビディア、デル・テクノロジーズといった米大手のIT製品を受託生産している。主な工場があるのは中国や台湾、東南アジア。相互関税は太平洋をまたぐこのビジネスモデルを揺さぶる。
鴻海がiPhoneなどの主力工場を置く中国は、3月までの追加関税と合わせて米国から計54%の関税を課される見通しだ。アップルが関税免除を受けられるかは予断を許さない。米証券会社はiPhoneなどの大幅値上げを試算。需要減退が懸念される。
スマホに続く「第2の柱」と位置づけるAIサーバーは台湾に主力工場がある。台湾への相互関税率は32%で、日本(24%)や韓国(25%)、欧州連合(EU、20%)などと比べても高い。関税はコストアップにつながり、米国で相次ぐAIデータセンター建設計画に水を差す可能性もある。
鴻海は米中対立や新型コロナウイルス禍を踏まえ、供給網の混乱に備えてきた。
生産高ベースで7割ほどの拠点が集中する中国から他の国や地域に拠点を分散することを主眼に投資を増額。22~24年の設備投資額は19~21年に比べ5割増の3400億台湾ドル(約1兆5000億円)に上った。
スマートフォンはインド、パソコンはベトナムなど、サーバーはメキシコや米国に生産拠点を分散した。20超の国・地域に構える大小あわせ230カ所以上の拠点をフルに活用し、関税に応じて供給網を調整する。
今後は「トランプ氏の『米国製造』に呼応する」(劉氏)。全体像は明らかになっていないが、24年11月以降に相次ぎ米テキサス州の土地・建物の取得を公表しており、AIサーバーの増産にあてるとみられる。
米国製造はコストが課題だ。サーバー生産の自動化や省人化に取り組むものの、供給網の集まるアジアにおける効率生産の恩恵は得づらくなる。サーバー部品に関税がかかれば現地生産のメリットが相殺されかねない。
鴻海が大規模なAIサーバー工場を建設しているメキシコは薬物流入などを理由に25%の追加関税が課されたが、相互関税の対象からひとまず外れた。状況が刻々と変わるなか、柔軟な対応力が求められる。
(台北=龍元秀明)
=随時掲載
IHI 井手社長(ニュース一言)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 13ページ 184文字 PDF有 書誌情報]
米国が進めてきた自由貿易体制を彼らが勝手にまた戻してしまった。(供給網は)これだけ分散してしまっている。米企業も困っているのではないか。
IHIが主力とする航空エンジンは各国企業の高度な分業体制の上で製造される。井手博社長はトランプ米政権の関税政策について「(影響を)誰がどう負担するか調査し始めているがまだわからない。何を信じて事業をしていけばいいのか」とこぼす。
起業家からVC投資家増加 事業立ち上げや成長戦略、伴走して支援 新興企業の成長に弾み[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 937文字 PDF有 書誌情報]
起業家からベンチャーキャピタリストに転じる人が日本で増えている。フィンテックやIT(情報技術)分野での起業経験を生かして、事業の立ち上げや成長戦略づくりなどを投資先に伴走して支援する。ベンチャーキャピタル(VC)が盛んな米国のように起業家出身の投資家が増えれば、スタートアップの成長に弾みが付きそうだ。
2019年にCrezit Holdings(クレジットHD)を創業し、24年春に解散を決めた起業家の矢部寿明氏は3月、VCの東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC、東京・文京)に入社した。担当者として国内外のスタートアップ投資を担う。
クレジットHDで、大手金融機関との提携をきっかけに事業の採算が悪化し清算に追い込まれていた。矢部氏は24年にはメルカリに入社し新規事業などを企画していた。現在は31歳でUTECで投資家としてのキャリアを積みながら、将来の起業も選択肢に入れる。
UTECにはこれまで起業家出身の投資家は少なかった。同社の坂本教晃代表取締役は「資金調達や失敗の経験などを起業家に伝えてもらえるのはありがたい」と話す。
米福利厚生ソフトウエアのFond(フォンド)創業者の福山太郎氏は24年、VCのRice Capital(ライスキャピタル)を設立した。1800万ドル(約27億円)を調達し、日米のIT関連企業に投資する。米国での起業や欧州企業への売却経験を踏まえ、クラウドや人工知能(AI)に関する世界トレンドを起業家に伝える。
独立系VCのアイ・ネスト・キャピタル(東京・目黒)の本蔵俊彦ストラテジックパートナーは1月から京都に拠点を構え、再生医療、宇宙などディープテック(先端技術)の分野の起業を支援する。本蔵氏は大阪大学発スタートアップのクオンタムバイオシステムズを13年に創業し、米国での事業展開の経験を持つ。「将来のグローバル展開を見据えた組織づくりを支援したい」と話す。
日本のVCは金融機関の主導でつくられることが多く、起業経験者は少なかった。一方、米国では成功した起業家がVCを立ち上げるケースが多い。日本でもスタートアップとVCの人材交流を活発化させることが重要になる。
(仲井成志)
【図・写真】矢部寿明氏
【図・写真】福山太郎氏
同意なき買収、緊張感増す――「資金調達」コスト増95% 利上げを想定 前倒しの動きも[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 686文字 PDF有 書誌情報]
アンケートでは資金調達のコストについても聞いた。「増える」との回答は95.1%だった。2026年1月までに日銀の追加利上げがあるかどうかを聞いたところ、利上げするとの回答が77.2%を占めた。利上げ幅の予想(中央値)は0.94%だった。さらなる金利負担の上昇に身構え、対応策を検討する企業が増えている。
今後の資金調達コストの上昇の程度をどのようにみるかについては「大幅に増える」との見通しが12.3%、「やや増える」が82.8%だった。
DMG森精機の森雅彦社長は「日本円による資金調達は緩やかに金利が上昇してゆく。調達手段の最適な選択がより重要になる」と見る。
25年度内の資金調達の予定を聞いたところ「予定がある」は48.8%、「検討している」が31.2%の計80%だった。金利の先高観から調達を早める動きも出ている。
キリンホールディングスの南方健志社長は「今後の利上げも想定し必要資金の調達はできるだけ早期に実施する」と回答した。富士フイルムホールディングスの後藤禎一社長も「資金調達が必要な場合には早期の実施を検討する」との考え。味の素の中村茂雄社長は「状況に応じた調達手段を選定し、早めに調達を実行する」とした。
調達方法で最も重視する手段を聞いたところ、「長期借り入れ」42.6%、「短期借り入れ」28.7%と続いた。
「外債やESG(環境・社会・企業統治)ファイナンス等の資金調達手段の多様化に取り組むとともに、金利上昇リスクの抑制のため、支払利息の長期固定化を進めていく」(JR東日本の喜勢陽一社長)など、様々な方策を組み合わせて対応する企業も多い。
同意なき買収、緊張感増す 可能性や対応、46%が「備え議論」 株主との対話強化へ(社長100人アンケート)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1221文字 PDF有 書誌情報]
日本企業の経営層の間でM&A(合併・買収)に対する緊張感が増している。日本経済新聞が実施した「社長100人アンケート」では、経営者の45.8%が同意なき買収を受ける可能性や対応を取締役会で議論したと回答した。自社のM&A戦略の中で同意なき買収が選択肢に入るとの回答も38.9%を占めた。
アンケートは国内主要企業の社長(会長などを含む)を対象に2月28日~3月19日に実施し、144社から回答を得た。
相手企業の同意を得ないまま買収を提案する行為は、日本では一般的ではなかった。ただ、株式持ち合いの解消などもあり、株主の利益になるM&A提案は無視しづらくなっている。
ニデックは4日、牧野フライス製作所に同意を得ないままTOB(株式公開買い付け)に踏み切った。台湾の国巨(ヤゲオ)も芝浦電子の同意を得ずTOBを公表した。
アンケートでは、同意なき買収を受ける可能性などについて、取締役会で「定期的に議論している」企業は1.9%、「議論したことがある」企業は43.9%だった。
検討内容を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「株主との対話強化」で69.4%。「提案受領時の体制整備」(49%)、「成長戦略の見直し」「資本政策の見直し」(各40.8%)と続いた。
必要な備えとして、日本ガイシの小林茂社長は「成長・価値創造のストーリーを資本市場に理解してもらうアクションが一層必要」と答えた。アサヒグループホールディングスの勝木敦志社長も「いざ『同意なき買収』が現実になってからでは遅い。常日頃から株価向上策、資本政策を検討し、実行していく」点が重要とみる。
旭化成の工藤幸四郎社長は「買収提案があった場合の対応体制や行動方針について平素から検討して備えておくことが必要」と指摘する。
経済産業省が2023年に示した指針では、買収提案を受けた取締役会に真摯な検討を求めている。買収が株主の利益になるか、企業の成長に資するか、取引の障害はないか。検討すべき内容は多岐にわたる。
「経営者の保身が透ける対応ではもはやステークホルダーの賛同を得られない」(第一生命ホールディングスの菊田徹也社長)との声も。独立した社外取締役を中心に、買収の是非や条件を吟味する体制が欠かせない。
野村ホールディングスの奥田健太郎グループCEO(最高経営責任者)は、買収者の視点では事前に対象会社と対話を経て合意を得る買収が望ましいとした上で「場合によっては、日本企業が経営戦略を迅速に遂行する手段として、同意なき買収を検討することも考えられる」と指摘した。
自社のM&A戦略で同意なき買収が選択肢に入ると答えた企業も4割近くにのぼった。
積水化学工業の加藤敬太社長は「日本企業にとって、同意なき買収が特別な事例ではなくなっている現在、緊張感をもって経営にあたる必要がある」と身構える。
自社の経営を磨き、株式市場に発信していく重要性はこれまでになく高まっている。
3月10日~4月4日(スタートアップ調達ファイル)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
国内のスタートアップを対象に、注目の資金調達をまとめた。期間内に配信されたプレスリリースなどの開示情報や取材に基づいて、日本経済新聞社が出資元や調達方法を集約して作成した。
綜合警備保障(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 139文字 PDF有 書誌情報]
綜合警備保障
(6月25日)取締役、常務執行役員営業本部副本部長林新一郎
▽常勤監査役(ALSOK昇日セキュリティサービス社長)田中順
▽監査役、田中俊恵
▽常務執行役員(取締役兼常務執行役員)熊谷敬
▽同(同兼常務執行役員)小松裕
▽退任(常勤監査役)望月寿一郎
▽同(監査役)中川能亨
明治ホールディングス(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 126文字 PDF有 書誌情報]
明治ホールディングス
(6月27日)社長兼CEO(取締役兼執行役員食品セグメントCOO)松田克也
▽取締役兼執行役員食品セグメントCOO、八尾文二郎
▽同兼執行役員医薬品セグメントCOO、永里敏秋
▽相談役(社長兼CEO)川村和夫
▽退任(取締役)小林大吉郎
アスカネット(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 106文字 PDF有 書誌情報]
アスカネット
(5月1日)社長フォトブック事業部長兼空中ディスプレイ事業部長(取締役戦略企画)村上大吉朗
▽常務(専務)CFO功野顕也
▽顧問(社長)松尾雄司
▽シニアアドバイザー(取締役フォトブック事業部長)芝和洋
鹿島(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
鹿島
(4月1日)原子力部原子力設計室長、小川喜平
▽同、脇本健太郎
▽海外事業本部建設(工事管理)唐沢淳
▽同マーケティング、佐藤紀之
▽同部営業(建設部営業グループ長)岡田周平
ヤオコー(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 86文字 PDF有 書誌情報]
ヤオコー
(5月1日、地名は店長)一本松南、佐藤光浩
▽モラージュ柏、富張直樹
▽取手青柳(モラージュ柏)山本朋樹
▽板橋四葉(一本松南)寺本和矢
▽岩槻本丸(取手青柳)嶋崎裕規
ニチバン(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 59文字 PDF有 書誌情報]
ニチバン
(6月26日)取締役、菅原順子
▽経営企画室シニアアドバイザー(常勤監査役)高橋一徳
▽退任(取締役)清水与二
三菱UFJフィナンシャル・グループ(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 53文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJフィナンシャル・グループ
(4月11日)資産運用戦略室担当(資産運用企画部担当)執行役員鈴木剛
コーセル(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 51文字 PDF有 書誌情報]
コーセル
(5月21日)監査室長(資材)船見守
▽新製品開発二(新製品開発三)竹橋由浩
▽資材、河口智一
飯田グループホールディングス(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 49文字 PDF有 書誌情報]
飯田グループホールディングス
(4月8日)グループ事業推進本部長、常務執行役員経営企画・中島健一
MeijiSeikaファルマ(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 47文字 PDF有 書誌情報]
Meiji Seikaファルマ
(6月26日)会長(社長)小林大吉郎
▽社長(取締役)永里敏秋
放電精密加工研究所(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 46文字 PDF有 書誌情報]
放電精密加工研究所
(5月23日)取締役(執行役員海外戦略)高橋孝二
▽退任(取締役)矢部純
ZOA(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
ZOA
(4月8日)不動産事業本部長、常務兼執行役員営業本部長小野秀樹
住友ゴム工業(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
住友ゴム工業
(5月1日)品質保証本部原材料・外注品監査、田原尚洋
明治(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
明治
(6月26日)社長(副社長)八尾文二郎
▽退任(社長)松田克也
ホンダ(会社人事)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 14ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
ホンダ
(4月7日)退任(取締役兼執行役副社長)青山真二
家具大手、学校改装を指南 デジタル教育向け需要増 内田洋行、3年で倍増の1000校に[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2068文字 PDF有 書誌情報]
オフィス家具メーカーが改装コンサルティングを学校向けに広げている。内田洋行は24年に千葉市の小中学校でデジタル教育に対応した教室に改装した。今後3年でこれまでの2倍の全国1000校程度に増やす。企業のオフィスでは交流促進や生産性向上に寄与する空間作りを進めている。そこで得たデジタル技術などの知見を生かし、新たな収益源に育てる。
東京都江戸川区にある葛西小学校・中学校。外観は普通の公立学校だが、2階のフューチャークラスルームに入ると前方にある縦2メートル、横7メートルほどの大きなスクリーンが目に飛び込んでくる。スクリーンは3方面にある。天井には小型カメラやプロジェクターが備えつけられ、授業で登壇する児童生徒やプレゼン資料などが大画面で映る仕組みになっている。
授業内容も刷新
中学3年の男子生徒は「月の満ち欠けを大画面でみられてわかりやすい」と楽しげに話す。理科の授業では地層の画像が実物大で投映されるなどデジタル技術を応用した学習が好評だ。他の教室とオンライン中継も可能で、黒板や教科書での学習といったかつての教室風景とは一線を画す。
この教室の改修を手掛けたのが、オフィス家具大手の内田洋行だ。設備機器の設置や机などの搬入も含めて工事期間は約1カ月。機材は壁に後付けしたレールに固定するため、改装後も用途にあわせて自由にレイアウトを変更できる。
これまで小中高の公立校約470校で改装した。24年には千葉市の169教室の改装をインターネットイニシアティブ(IIJ)と共同で実施。今後3年で全国で500校増を目指す。改装費用は1教室約800万円から受注している。
内田洋行が教育分野に注力する背景には、国がデジタル教育の充実を掲げて19年に始まった「GIGAスクール構想」がある。
そこで児童生徒に1人1台のタブレット端末が配られたものの、公立学校では一部のモデル校を除いて教室などの設備面で対応が遅れているケースが多い。青木栄太学びのコンテンツ&プロダクト企画部部長は「タブレット教育に適した教室への改装を希望するニーズは大きい」とみている。
特に需要があるのがパソコン教室の改装だ。タブレットの配布でパソコンが不要になり、教室の有効活用が課題になっている。情報教育に詳しい放送大学の中川一史教授は「首都圏では、可動式の椅子や机、全面のホワイトボードを導入して予算をかけて部屋を改装する学校が増えている」と話す。
教員などデジタル機器を運用する人員への支援も内田洋行が手がけている。機材利用に関する講義に加え、ICT(情報通信技術)支援員を自治体に配置して定期的に指導している。
改装はデジタル対応だけではない。コクヨは東京学芸大学付属竹早中学校(東京・文京)のパソコン教室を22年に改装した。生徒と営業や開発の社員が集まり、現在の教室の不満や改善点を議論した。
「靴を脱いでくつろげる空間がほしい」「森の香りを漂わせたい」といった声を反映し、教室の床には人工芝を敷き詰めた。プロジェクトに携わった上園悦史教諭は「芝生に座って話すことで自然とグループワークでの発言も増えてきた」と効果を語る。
イトーキは「未来の教室」作りを手掛ける。22~23年に静岡聖光学院(静岡市)でメタバース技術を活用した実証実験を行った。生徒20人がアバター(分身)として仮想空間に入り、グループワークを通じた研究発表会やタイの現地高校との交流会を開催。仮想空間での授業がコミュニケーションや表現方法などにどんな変化を与えるか検証した。
研究会では「ミニ四駆でよく使われるタイヤの比較」といったテーマを決めて仮想空間上で作成された車のオブジェクトを観察したり、動かしたりした。国際交流は通常のウェブ会議と比較し、メタバース技術を使った方が参加者の発言時間や会話数が増えていることが判明した。
企業向けで実績
イトーキが学校向けに新技術を展開できたのは、企業向けで培ったノウハウがあるからだ。同社は社員が持つスマートフォンの位置情報で利用状況を分析するなどデジタル技術をオフィス向けに導入している。
23年にはコンタクトレンズ大手のメニコンのオフィス設計を手掛けた。フリーアドレスを全席に導入し、「集中型執務フロア」や「イベントルーム兼オフィス」などフロアごとに用途を分けた。
改装後の社員への調査では、ストレス状態が改善した社員の多くがソファ席をよく利用していたり、集中ブースでは特定の社員が占有したりする傾向があることが分かった。そこで、集中ブースに張り紙で使用ルールを周知させるなど運用面の見直しを指南した。
企業や自治体などから問い合わせが相次いでおり、24年度のオフィスデータコンサルシステムの受注件数は計画比5割増で推移している。
学校では教室の仕様が生徒の学習や健康増進に影響を与える。デジタル教育は着手したばかりでノウハウが少なく、工夫の余地が大きい。新たな授業の創出に向け、オフィス家具メーカーが果たす役割は大きい。
(宮月子、山口和輝)
運転手不足解消、「貢献した」4割 ライドシェア、事業者調査 零細多く普及進まず[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 937文字 PDF有 書誌情報]
一般ドライバーが有償で客を運ぶ「日本版ライドシェア」について、運転手不足の解消に「貢献した」と考えるタクシー事業者が全体の4割弱だったことが日本経済新聞の調査で分かった。事業対象地域でも半数がサービスを始めておらず、さらなる規制緩和に消極的な姿勢も目立った。
ライドシェアはドライバーと客をつなぐアプリの普及に伴い、欧米や中国、東南アジアで広く普及している。日本では供給過剰への懸念などからライドシェアは認められていなかった。
インバウンド(訪日客)の需要などが急拡大し、運転手不足が顕在化したのを受け、2024年4月に条件付きで解禁された。「日本版」では既存のタクシー会社が運行管理を担い、地域や時間帯を限定している。
8日で丸1年を迎えるのを前に、3月~4月初旬に都市部を中心に全国の82のタクシー事業者に聞き取り、30事業者から回答を得た。
「ライドシェアがタクシー業界全体の供給力向上に貢献しているか」を尋ねたところ「大いに貢献している」「ある程度貢献している」の合計が37%だった。「あまり貢献していない」「全く貢献していない」の合計の26%を上回った。「わからない」は37%だった。
東京都が地盤のロイヤルリムジン(東京・江東)は、配車サービスのウーバージャパン(東京・港)と24年4月に提携。正規のタクシー運転手よりも採用しやすいメリットがあるといい、現在はライドシェアの運転手を100人以上抱える。
当初の収益計画は下回っているものの黒字は達成しているという。堀江一生顧問は「新しいことに挑戦しようと思って始めた。収益も出ており、やめる理由はない」と話す。
事業拡大に消極的な姿勢も見える。事業対象エリアでもライドシェアを「稼働していない」事業者は半数以上を占めた。国土交通省によると、東京23区と武蔵野市、三鷹市の「武三地区」でサービスを実施している事業者は、307社のうち4割強にとどまる。
稼働台数は直近の3月10~16日は累計で1871台。域内で運行するタクシーの1%ほどに過ぎなかった。今後の稼働台数については「増やしていく」が27%、「現状維持」が10%だった。
事業者の9割以上が運行車両数100台未満の零細企業であることが普及を阻む要因だ。
三菱商事など「還元鉄」実証設備稼働へ 欧州で 低品位の鉄鉱石使用可に[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 639文字 PDF有 書誌情報]
三菱商事などは二酸化炭素(CO2)の排出削減につながる製鉄原料「還元鉄」の生産に乗り出す。英豪資源大手のリオティントや三菱重工業の子会社など4社で連携し、欧州で2027年半ばに大型の実証設備を稼働する。現在は実用化が難しい低品位の鉄鉱石を使える新技術を導入する。製鉄業界の脱炭素化の後押しになる。
欧州中堅製鉄フェストアルピーネのオーストリアの製鉄所に設備を設ける。生産能力は毎時3トンで、リオティントは実証実験用に鉄鉱石を供給し、三菱重工傘下の英プライメタルズテクノロジーズが設備を提供する。三菱商事はプロジェクト推進を支援する。総事業費は数百億円規模とみられ、欧州の補助金も活用して費用をまかなう。
同設備には添加物などを使いシリカなどの不純物を取り除ける新技術が用いられる。プライメタルズの技術で、製鉄に使われるのは初めて。低・中品位の鉄鉱石を使えるため汎用性が高い。
また、従来の還元鉄では処理の効率を高めるため粉末状の鉄鉱石を粒状に加工する必要があったが、特殊な機械を使うことで粉末のまま使用でき、加工にかかるコストを削減できる。鉄鉱石から酸素を取り除く過程で水素を使うほか、一部工程で再生可能エネルギー由来の電力を活用し、高炉と比べてCO2排出量を75~80%削減できる。
商用化の時期は今後詰めるが、30年代半ばごろになる見込み。三菱商事は将来的にこの技術を活用して還元鉄の生産・販売に参画することを視野に入れる。三菱商事が還元鉄事業に参入するのは今回が初めて。
住友商事、がん治療で米新興と提携 核融合発電の技術活用[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 454文字 PDF有 書誌情報]
住友商事は核融合発電を開発する米スタートアップ、シャイン・テクノロジーズとがん治療分野のアジア展開で業務提携した。核融合発電の要素技術である放射性同位体の生成に強みを持つシャインと、日本やアジアの創薬企業の事業連携を仲介する。将来は住商の電源開発の知見を生かし、アジア各国で核融合発電の協業を検討する。
2005年創業のシャインは、重水素と三重水素(トリチウム)を使った核融合発電技術を開発している。発電技術の開発の一環で、がん治療に有効な放射性同位体のルテチウム177を安全に生成する技術を持つ。24年に米ウィスコンシン州で北米最大の生成工場の商用運転を始め、米国以外で協力企業との接点を求めていた。
住商は傘下に創薬支援を手掛ける住商ファーマインターナショナル(東京・千代田)を抱え、ウランなど放射性物質の輸送ノウハウも持つ。シャインと提携するがん治療分野ではアジアでの正式な代理店契約の締結も視野に入れる。詳細は今後詰めるが、提携内容には放射性廃棄物のリサイクルや核融合発電など幅広い分野が含まれる。
明治HD社長に松田氏 明治社長は八尾氏に[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 450文字 PDF有 書誌情報]
明治ホールディングス(HD)は8日、松田克也取締役執行役員(67)が社長に昇格する人事を発表した。社長交代は7年ぶり。川村和夫社長(71)は相談役に就く。6月下旬に開催予定の定時株主総会を経て就任する。
松田氏は2018年から傘下の食品事業会社である明治の社長も務めている。世代交代で高いシェアを持つチョコレートやヨーグルトの成長を加速させながら、課題である海外展開を推し進める。明治の社長には八尾文二郎副社長(63)が就く。
同日記者会見した松田氏は「明治グループにしかできない、より価値のある商品とサービスを作り続ける」と意気込んだ。
松田 克也氏(まつだ・かつなり)80年(昭55年)慶大法卒、明治乳業(現明治)入社。12年明治執行役員、17年取締役専務執行役員、18年社長。同年明治HD取締役、20年取締役執行役員。静岡県出身
八尾 文二郎氏(やお・ぶんじろう)84年(昭59年)京大農卒、明治乳業(現明治)入社。15年明治執行役員、20年取締役常務執行役員、23年取締役副社長。兵庫県出身
ロート製薬に再生医療縮小を要求 英ファンド[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 404文字 PDF有 書誌情報]
英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)は8日、ロート製薬に対して再生医療事業の縮小などを求める要請を公開した。他の株主などに要請内容を周知し経営の見直しを迫る。ロートは再生医療を成長分野と位置付けているが、製品化の道筋はついていない。
AVIは、ロート株の2.3%を保有している。ロートが研究開発を進めている再生医療分野について具体的な商品開発にいたっていないことを問題視し「12年以上にわたって年間数十億円規模の投資をしているがリターンを回収するめどがたっていない」(AVI)と指摘。縮小や撤退、カーブアウト(事業切り離し)を検討するように求めた。
ロート製薬は目薬を中心とする一般用医薬品事業とスキンケア事業が柱で、2024年3月期の連結売上高(2708億円)のうち、両事業が85%を占める。AVIは再生医療事業の縮小を求める一方、目薬やスキンケアに経営資源を集中するよう促した。
ファミマ、年収8.9%上げ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 343文字 PDF有 書誌情報]
ファミリーマートは、2025年度の平均年収を前年度比8.9%引き上げる方針を固めた。基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給、賞与を含めた年収の上昇率は、比較可能な16年度以降で最大となる。
好業績を反映し、優秀な人材の確保と定着につなげる。足元の物価高に伴う家計負担の増加も踏まえた。
国内外で勤務する約4300人が対象で、8日までに具体的な賃上げ方針を労働組合に伝えた。ベアと定期昇給を合わせ、月額1万3599円(3.7%)引き上げる。基本給の引き上げは前年度の1万5200円(4.3%)を下回るが、賞与を手厚くする。
4月に入社した新入社員の初任給も上げる。東京都内で働く大卒者の場合、従来より1万5000円高い26万円とする。賃上げ幅は若手社員に対して手厚く設定する。
鈴木修元社長お別れの会 1900人参列、別れ惜しむ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 324文字 PDF有 書誌情報]
スズキの元社長で2024年12月に94歳で亡くなった鈴木修氏のお別れの会が8日、東京都内のホテルで開かれた。政財界の関係者ら約1900人が参列し、故人との別れを惜しんだ。
修氏は1978年に前身の鈴木自動車工業の社長に就任し、2021年に会長を退任するまで40年以上にわたり経営を主導した。軽自動車市場の発展に貢献したほか、1980年代からインドの自動車市場を開拓した。
米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携解消や独フォルクスワーゲン(VW)との訴訟などを経て、トヨタ自動車との提携も進めた。
修氏の長男でスズキの俊宏社長は「鈴木修の信念とやる気を受け継いで、スズキを発展させていくことが私たちの恩返しだと思っております」とのコメントを出した。
JR東、上越新幹線で「顔パス」改札[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 261文字 PDF有 書誌情報]
JR東日本は8日、上越新幹線の改札で顔認証による通過が可能な改札機を実証実験すると発表した。今秋ごろから2026年春にかけて新潟駅(新潟市)と長岡駅(新潟県長岡市)で実施する。切符の投入や交通系ICサービス「Suica(スイカ)」のタッチなしで出入りできる。新幹線改札での顔認証の実証は全国初という。
新潟駅と長岡駅間の新幹線定期券利用者を対象に実験の参加者を募集する。両駅には顔認証改札機を1通路ずつ設置し、顔認証で入場した場合は出場時も顔認証で改札を出る。参加登録は夏ごろに長岡駅で受け付け、顔写真を撮って利用する。
MeijiSeikaファルマ 永里敏秋氏(新トップ)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 133文字 PDF有 書誌情報]
◇Meiji Seikaファルマ
永里 敏秋氏(ながさと・としあき)83年(昭58年)熊本大院修了、明治製菓(現Meiji Seikaファルマ)入社。18年取締役、KMバイオロジクス社長。熊本県出身。67歳
(6月26日社長就任。小林大吉郎社長は代表権のある会長に)
アスカネット 村上大吉朗氏(新トップ)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 15ページ 105文字 PDF有 書誌情報]
◇アスカネット
村上 大吉朗氏(むらかみ・だいきちろう)99年(平11年)立命館大産業社会卒。04年アスカネット入社。20年取締役、24年BET社長。広島県出身。48歳
(5月1日社長就任。松尾雄司社長は退任)
ディスコ、営業益最高 前期、AI需要取り込み、顧客の設備投資抑制 懸念[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1385文字 PDF有 書誌情報]
ディスコの2025年3月期の連結営業利益は前の期比で3割超増の1650億円程度と、5年連続で過去最高を更新したようだ。会社計画を100億円程度上回り、市場予想(QUICKコンセンサス、約1640億円)並みを確保したとみられる。生成AI(人工知能)関連などの需要拡大を取り込んだ。世界経済の先行き懸念を背景に、顧客の設備投資意欲がどの程度影響を受けるかが今後の焦点となる。
売上高は前の期比3割弱増え、3900億円程度だったとみられる。1月時点の会社計画では売上高は21%増の3730億円、営業利益は26%増の1528億円と見込んでいた。同社は顧客の工場に製造装置を設置し、検収が完了した時点で売り上げを計上する。検収が想定以上に進み、いずれも上振れしたようだ。
ディスコは半導体の組み立てなど「後工程」に使われる製造装置を手掛ける。ウエハーをチップに切り分ける「ダイサー(切断装置)」やウエハーを薄く削る「グラインダー(研削装置)」など、「切る・削る・磨く」の3工程で高いシェアを持つ。
増益となった背景の一つは生成AI向けの好調だ。データセンターなどに使う高性能な記憶用メモリーや演算用ロジック半導体の製造に使われる精密加工装置の販売が増えた。高性能半導体の加工は難しいため、装置は高単価で採算性が高い。
電気自動車(EV)の中核部品となる、電力を効率的に制御するパワー半導体向けも伸びた。装置に装着して使われる砥石など好採算の消耗品も好調だった。為替の円安も収益を押し上げた。
気がかりなのは先行きの不透明感だ。8日終値ベースで株価は昨年末比で38%安と、アドバンテスト(同39%安)や東京エレクトロン(同23%安)など他の半導体装置銘柄とともに下げがきつい。約1年前に50倍超だった来期予想PER(株価収益率)は足元で約20倍まで下がった。投資家のリスクオフ姿勢に加えて業績への懸念が要因だ。
ディスコが4日に開示した25年1~3月期の単体の出荷額は766億円と前年同期比2%減、24年10~12月期比では16%減。顧客の検収時期に左右される売上高に比べ、出荷額は顧客の投資意欲をより反映する。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「EV市場の停滞を受けたパワー半導体向けの減速などが意識された」と指摘する。
パワー半導体を巡っては、足元で日米欧のメーカーが人員削減や投資抑制を進める。さらに米関税政策で世界景気や消費者心理の悪化懸念が強まる中、「パワー半導体を含む非先端分野で最終需要の不透明感が高まった」(岩井コスモの斎藤氏)。ディスコは売上高の5~6割程度がドル建てで進行中の円高も業績の下押し要因となる。また米国が検討する半導体への個別関税もリスクになる。
アナリストの業績予想はじりじり下がっている。QUICK・ファクトセットによると、ディスコの26年3月期の純利益の市場予想は1370億円と25年3月期比ではなお1割強の増益が見込まれてはいるものの、利益水準は過去2カ月で約5%切り下がった。今週に入っても複数の証券会社が見通しを下方修正した。
ディスコは25年3月期の決算発表を4月17日に予定している。例年、通期の業績予想は出さずに4~6月期の予想のみ開示する。今期の事業環境や業績動向についてどのような見通しを会社側が示すのかが注目される。
企業、起債見送り相次ぐ、アサヒや日清食品 市場、リスク回避[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 955文字 PDF有 書誌情報]
社債の発行市場で起債を見送る動きが広がってきた。アサヒグループホールディングス(GHD)が総額500億円程度の起債を見送ったほか、日清食品ホールディングス(HD)なども見合わせた。トランプ米政権による関税政策の公表後、市場環境が不安定となっている。今後の情勢次第では企業の資金調達戦略も見直しを余儀なくされる可能性がある。
アサヒGHDや日清食品HDが4月上旬に予定していた社債の条件決定や起債を見送った。日清食品HDは総額400億円を調達予定だった。サントリーホールディングス(HD)も今週後半に予定していた100億円の劣後債の起債を見送った。新たな起債の予定は未定としている。
背景にはトランプ米政権による関税政策により、金融市場の動揺やリスク回避の動きが広がっていることがある。国債金利への上乗せ幅(スプレッド)の前提となる今後の金利動向や、米国の政策の影響を受ける各企業の信用リスクの予測も難しくなっている。
日清食品HDの10年債の主幹事を務める三菱UFJモルガン・スタンレー証券の担当者は「当初イメージしていたスプレッド水準では投資家の需要がない」としたうえで、「スプレッドをもっと上乗せすれば需要はあるのかもしれないが、発行体としては許容できない」と指摘する。5年債と10年債の起債を見送ったNIPPON EXPRESSホールディングスは「ひとまず状況を見守ることにした」という。
日本たばこ産業(JT)では発行額が想定した金額に届かなかった。4日、2本立て債の発行額を700億円に決めたが、当初は最大1000億円を計画していた。「需要調査をした3月末~4月初旬は日銀の追加利上げへの警戒感が強く、投資家の目線が定まりにくかった」(主幹事のみずほ証券)
アセットマネジメントOneの加藤晴康ファンドマネジャーは「リスク回避の株売りが金利低下につながっている。スプレッドが厚いとはいえ、絶対的な利回り水準が低く投資しにくい」と話す。混乱が長引けば企業は資金調達手段の再検討を迫られる。一方で「関税措置の影響を受けやすい自動車など個別セクターへの投資には消極的にならざるをえないが、日本の社債への投資を当面見送るというほどの話ではない」(かんぽ生命保険の空閑健一クレジット投資部長)との見方もある。
企業、起債見送り相次ぐ――JAL、初の永久劣後債、財務の健全性向上めざす[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 769文字 PDF有 書誌情報]
日本航空(JAL)は16日にも円建ての永久劣後債を発行する。発行総額の上限を2000億円としており、航空機購入や今後のM&A(合併・買収)資金に充てる。新型コロナウイルス禍を経て同社の有利子負債は高止まりしている。成長投資を実施するなかでも、資本計上できる永久劣後債を発行することで財務基盤に目配りする。
JALが永久劣後債を発行するのは初めて。永久劣後債は会社が清算手続きや破産手続きに入った場合の弁済順位が低く、償還期限の定めがない債権だ。リスクが高い分、投資家は厚い上乗せ金利(スプレッド)を得られる。事業会社による円建ての永久劣後債の発行は珍しく、過去には工作機械メーカーのDMG森精機が発行した例がある。
社債の発行環境は不安定な面もあるが、10日に条件決定する。永久劣後債は2本立てで、それぞれ発行から5年後と10年後に任意償還が可能となる。インバウンド(訪日外国人)利用などを支えにJALの業績は回復しつつあるが、有利子負債はコロナ前と比べて大幅に増えている。国際会計基準上の資本として認定される永久劣後債を活用することで、既存株式の希薄化を回避しながら財務の健全性を高める。
調達した資金は航空機の購入などに充てる。JALは2025~33年度に国内線・国際線で新機材を導入する。投資額はカタログ価格で合計2兆円弱に上る。非航空事業の強化に向けたカードなど金融事業のM&Aの実施も視野に入れる。
JALの財務企画・IRグループの黒坂慶樹氏は「資本コストを考慮すると、株式で資金調達をするよりも調達コストを抑えられる」と説明。成長投資などの資金を確保するため、今後も資本性の資金調達を増やす。27年3月期までに最大2000億円の社債型種類株の発行を検討している。6月下旬に開催予定の株主総会で発行に向けた定款変更を提案する。
パルHD前期 純利益8%減 創業者の功労金影響[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 460文字 PDF有 書誌情報]
雑貨・アパレル店を運営するパルグループホールディングスが8日発表した2025年2月期の連結決算は、純利益が前の期比8%減の118億円だった。創業者の井上英隆相談役の取締役退任に伴って支払う特別功労金31億円を特別損失として計上したことが影響した。年間配当は前の期から10円上乗せして60円とする。
売上高は8%増の2078億円となり、4期連続で過去最高を更新した。主力とする「3COINS」の店舗大型化や出店増などが寄与した。電子商取引(EC)もサーバートラブルで在庫管理に支障が生じたものの増収を確保した。
営業利益は27%増の236億円だった。雑貨事業での店舗人員シフトの効率化や「3COINS+plus」などの高価格帯商品の強化が功を奏した。
同日、26年2月期の連結純利益が前期比42%増の168億円、売上高が11%増の2310億円となる見通しだと発表した。雑貨事業は客数が増え、客単価も上がると見込む。衣料事業も商品の付加価値を高め客単価は12%超伸びると予想する。店舗数は現時点で77店舗以上増やす計画だ。
ミニストップ 最終赤字67億円 前期、店舗減損響く[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 241文字 PDF有 書誌情報]
ミニストップは8日、2025年2月期の連結最終損益が67億円の赤字(前の期は4億6800万円の赤字)だったと発表した。従来計画から42億円赤字幅が広がった。おにぎりや菓子パンを含む低価格品の販売構成比率の増加などで収益性が悪化し、店舗など固定資産の減損損失を40億円計上した。原材料費の高騰も響いた。
売上高にあたる営業総収入は前の期比11%増の874億円と、従来予想を25億円下回った。営業損益は34億円の赤字(同6億900万円の赤字)で、従来予想から11億円赤字幅が拡大した。
大買収時代当事者に聞く(2)株主・市場の期待、企業意識、「価値高めるか」不変の軸(資本騒乱)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 1130文字 PDF有 書誌情報]
M&A(合併・買収)のファイナンシャルアドバイザーに日本の変化について聞いたところ、「企業が市場や株主の期待に応えようとする意識を強めている」との見方で一致した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券・別所賢作副社長
――M&Aの増加をどう分析されますか。
「高度経済成長期はあらゆる産業で需要が右肩上がりに伸びており、事業を総花的に広げる経営戦略が有効だった。主な資金の出し手だった銀行も特定の事業に依存するよりも融資回収の可能性が高まるとみてこうした動きを後押ししていた」
「国内市場が縮小する現在は、得意分野に絞って磨きをかけなければ成長が難しい。不採算事業の売却や海外進出のための買収、事業再編を増やすため、融資主体から株主主体の非連続成長を追求する経営に切り替える必要があるのではないか」
――経営者の意識も変わっているのでしょうか。
「より直接的に資本市場や株主と対話し、何を期待・要求されているのかに目を向ける意識が非常に高まっている。保有する子会社や事業について将来にわたって自社がベストオーナーであり続けるのか自問自答する例が増えている」
――「同意なき買収」の買い手を助言しますか。
「買収先の企業価値を本当に高める考えがあるのか、プロセスをやりきる覚悟があるのかといった『大義』に照らして判断する」
野村証券・清田亮グローバルM&A統括
――M&A市場が活発になっています。
「企業経営者は、株主をはじめステークホルダーの期待に応えることをより厳しく問われるようになった。これが一番大きい。企業の業績も良い。経済産業省による企業買収指針や東証のPBR(株価純資産倍率)改革という体制整備と企業の前向きなマインドセットがかみ合っている」
「協議終了とはなったが、ホンダや日産自動車のような大企業同士の統合案件も久しぶりに出てきた。規模追求も目的となるだろうが、各セクターにおけるパラダイムシフトに備えて特定分野で突出した強みを狙うような攻めのアングルが必要かもしれない」
――海外からの買収提案は多いのでしょうか。
「海外企業も日本企業もより現実感をもって意識している。従来は友好的なアプローチだったが、昨今の事例を踏まえて印象が変わったはずだ。日本企業においても『防衛のための防衛』ではステークホルダーの理解は得られないという意識が浸透しつつある」
――2006年、北越製紙に敵対的買収をしかけた王子製紙を助言しました。
「基本的な考え方は変わっていない。企業価値を高め日本経済にとってもよいかどうかが検討軸となる」(聞き手は上田志晃、松崎雄典)
【図・写真】上三菱UFJモルガン・スタンレー証券の別所副社長
下野村証券の清田グローバルM&A統括
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 993文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
ダイセキ環境ソリューション(1712) 5.21
24.2 241 2818 1781 106.1 記12.0
25.2 199 2256 1234 73.5 14.0
26.2予 210 2400 1350 80.4 16.0
タビオ(2668) 5.22
24.2 162 621 469 69.1 30.0
25.2 168 754 520 76.6 30.0
26.2予 171 809 491 72.3 30.0
パルグループホールディングス〓(2726) 5.28
24.2 1925 18839 12845 147.3 50.0
25.2 2078 23929 11848 136.5 60.0
26.2予 2310 26400 16850 194.1 60.0
フェリシモ(3396) 5.29
24.2 296 ▲612 ▲858 ― 15.0
25.2 294 227 136 19.1 15.0
26.2予 305 243 179 25.1 20.0
市進ホールディングス(4645) 5.29
24.2 179 761 363 36.6 10.0
25.2 184 719 317 35.8 10.0
26.2予 185 722 321 39.4 10.0
リソー教育(4714) 5.23
24.2 322 2655 1661 10.8 10.0
25.2 333 2993 1780 10.7 10.0
26.2予 360 3140 2000 11.8 10.0
放電精密加工研究所(6469) 5.23
24.2 121 169 231 32.5 7.0
25.2 128 643 583 54.6 12.0
26.2予 144 616 396 37.1 15.0
アドヴァングループ(7463) 6.27
24.3 203 16194 10299 278.9 40.0
25.3 185 8761 6012 169.1 40.0
ダイセキ(9793) 5.22
24.2 692 15452 9465 193.1 記66.0
25.2 673 14830 9307 193.4 72.0
26.2予 700 15800 9900 205.9 72.0
<数表>第3四半期(決算数字)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 887文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
サカタのタネ(1377)
23.6-24.2 597 8581 5306 119.7
24.6-25.2 664 9353 7817 178.7
Shinwa Wise Holdings(2437)
23.6-24.2 14 ▲182 ▲395 ―
24.6-25.2 16 75 24 2.3
IKホールディングス(2722)
23.6-24.2 103 182 52 6.9
24.6-25.2 114 337 262 34.5
京進(4735)
23.6-24.2 196 865 473 60.8
24.6-25.2 197 336 190 24.4
キャリアバンク(4834)
23.6-24.2 54 292 114 115.5
24.6-25.2 38 100 65 65.9
中北製作所(6496)
24.6-25.2 159 853 1245 352.6
25.5予 220 1600 1780 504.1
三光合成(7888)
23.6-24.2 684 2532 1617 53.1
24.6-25.2 673 3595 2574 84.5
1株配(円) 25.5予=24.0
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
<数表>ETF収益分配[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 692文字 PDF有 書誌情報]
〓〓 2025年4月7日計算期末、 〓〓
それ以外は特記
SMDAM 日経225上場投信(1397)
1口分配(円)=340.0
(2025年4月8日計算期末)
NEXT FUNDS JPX日経400ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(1472)
100口分配(円)=0
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
1口分配(円)=40.0
One ETF 高配当日本株(1494)
1口分配(円)=550.0
(2025年4月8日計算期末)
NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
1口分配(円)=658.0
NEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信(1591)
1口分配(円)=302.0
NEXT FUNDS JPXプライム150指数連動型上場投信(159A)
100口分配(円)=500.0
NEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信(200A)
100口分配(円)=1300.0
NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信(2084)
100口分配(円)=3600.0
NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信(2529)
100口分配(円)=2200.0
One ETF 東証REIT指数(2556)
100口分配(円)=2250.0
(2025年4月8日計算期末)
SMDAM トピックス上場投信(2557)
100口分配(円)=3320.0
(2025年4月8日計算期末)
One ETF FTSE・サウジアラビア・インデックス(295A)
1口分配(円)=134.0
(2025年4月8日計算期末)
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 558文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
アルバイトタイムス(2341)
25.2 41 88 ▲467
アスカネット(2438)
25.4 72 180 ▲266
ガーデン(274A)
1株配(円) 25.2予=記90.0 (24.2=64.0)
※23.8.1付で1:5分割
サトウ食品(2923)
25.4 462 3060 2120
1株配(円) 25.4予=記70.0 (24.4=60.0)
エコモット(3987)
24.9-25.2 14 49 ★
科研製薬(4521)
25.3 940 21000 14000
トーヨーアサノ(5271)
25.2 144 596 363
ジャムコ(7408)
25.3 791 5410 3660
さいか屋(8254)
24.9-25.2 23 103 99
25.8 45 106 100
北陸ガス(9537)
25.3 615 1550 1910
ミニストップ(9946)
25.2 874 ▲2868 ▲6774
ハチバン(9950)
25.3 82 463 236
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 164文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
ファーストブラザーズ(3454)
23.12-24.2 19 129 63 4.5
24.12-25.2 23 85 68 4.9
note(5243)
23.12-24.2 8 ▲4 ▲4 ―
24.12-25.2 9 6 4 0.3
まんだらけ、京進、中北製作所、ダイセキ(自社株取得枠設定)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 97文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
まんだらけ 54万5400株、1億4998万5000円
京進 10万株、3100万円
中北製作所 4万株、1億1944万円
ダイセキ 80万株、32億円
<数表>財務短信[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
IACEトラベル(343A)
第三者割当増資(17万6200株予定)=全株失権
SOMPOホールディングス(8630)(格付け)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
SOMPOホールディングス(8630)
発行登録債予備=AAプラス(JCR)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 16ページ 4515文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 7日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
アウン 0 ▲1 536 ▲63
ぷらっと 0 0 1298 △21
リベラウェア 3 △3 1176 ▲165
イオレ 0 ▲13 223 0
ベースフード 525 ▲41 18479 ▲125
イメージワン 386 ▲61 1411 ▲189
スターシーズ 0 0 956 ▲16
インタートレ 232 ▲65 968 ▲64
サイトリ細研 0 0 1918 △5
トミタ電機 0 0 236 △4
アルメディオ 0 0 2885 ▲113
HSHD 5 △2 8826 △90
ReYuu 0 0 1267 ▲4
DMS 0 0 559 ▲29
フルッタ 0 0 10970 ▲841
Schoo 0 0 2693 ▲234
イントランス 0 0 8856 △94
BASE 575 ▲281 22721 ▲611
DWTI 0 0 5947 ▲609
デルタフライ 0 0 1234 ▲166
ペルセウス 0 0 2380 ▲81
モダリス 0 0 11603 ▲1068
テクノロジー 0 0 4121 △74
アップバンク 0 0 2848 ▲106
BCC 0 0 216 0
グロームHD 0 0 2386 0
バリューC 0 0 133 ▲11
ピクセル 288 0 6132 ▲100
LIEH 0 0 545 △10
ウイルコHD 0 0 491 ▲24
アクアライン 0 0 69 ▲1
BEENOS 9 0 12 ▲11
CRE 0 0 7 △2
プロト 0 0 41 ▲20
ドリームI 18 ▲2 212 ▲17
フジHD 9189 ▲392 9498 ▲540
パイオラック 22 0 27 △1
牧野フ 6 0 117 0
富士通ゼ 5 0 412 △192
ジャムコ 8 0 69 △36
トプコン 105 ▲6 483 △248
天馬 0 0 34 ▲3
トナミHD 0 0 84 ▲25
ID&EHD 0 0 0 ▲1
内外トランス 0 0 25 ▲35
イオンディラ 3 ▲2 9 △2
マーチャント 0 0 1038 ▲26
PバンCOM 6 0 329 ▲35
Eストアー 0 0 7 0
オートサーバ 0 0 60 ▲8
全保連 0 ▲14 363 △7
AIメカ 138 ▲5 370 ▲30
ナカヨ 0 0 0 0
芝浦電子 0 0 123 ▲37
ライトオン 0 0 284 ▲31
NEWART 0 0 45 ▲6
アールシー 7 0 60 0
MUTOH 3 0 111 0
丸藤パ 0 0 41 ▲13
広電鉄 3 0 53 0
ユーラシア 0 0 73 0
グリンランド 0 0 15 ▲6
アルテック 1 0 2478 ▲10
ジェネパ 28 ▲18 416 0
フィスコ 266 ▲40 3348 ▲430
エコモット 8 0 239 ▲30
カオナビ 0 0 6 0
※ 野村4百Dイ 6066 0 24600 △7399
※ 野村企業価値 0 0 0 0
※ 野村高配70 60 ▲2111 3314 △219
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 0 380 ▲70
※ SMD高配当 0 0 4940 △510
※ REITイン 0 0 1161 △856
※ GXオフ日R 0 0 57 0
※ iS米25
0 113530
0 ▲220370
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ GXLE日株 0 0 5206 ▲49
※ SBIサウジ 0 0 2215 △66
※ GX日カバコ 0 0 11451 △2
※ 野村欧州株H 0 0 13430 ▲3520
※ 野村独株H有 320 △250 374620 △63490
※ 野村日気候 0 0 100 △99
※ Oneサウジ 0 0 135 ▲9
※ VIXETF 1170 △550 297040 ▲21190
※ 野村米半導 0 0 5941 ▲1103
※ 阪急阪神R 599 0 620 ▲44
世紀東急 351 △8 247 ▲12
柿安本店 268 △4 86 ▲5
くら寿司 224 △1 532 ▲29
オイシックス 36 ▲7 716 ▲74
Jテック・C 6 △1 215 ▲28
ケイアイ不 40 ▲4 90 ▲4
グッドコムA 503 △38 740 ▲70
SMINOE 4 0 70 ▲17
力の源HD 314 ▲51 246 ▲45
さくらネット 1944 △33 2711 ▲367
gumi 637 ▲14 3800 ▲821
ACCESS 836 ▲49 1710 ▲75
小林製薬 102 ▲34 312 △3
エニーカラー 136 ▲31 765 ▲35
ヤーマン 956 ▲15 325 ▲1
千葉興 97 ▲6 1560 ▲65
神電鉄 23 0 16 △1
サンウェルズ 2115 ▲138 1761 ▲150
JESCO 1 ▲1 191 ▲1
佐田建 331 △4 1304 △91
植木組 0 0 48 △5
三晃金 0 0 101 ▲26
焼肉坂井HD 9 ▲8 350 △43
パレモ・HD 11 0 1289 ▲33
OCHIHD 16 ▲1 13 0
マツオカ 11 ▲2 632 ▲45
enish 467 ▲65 2282 ▲67
片倉コープ 18 0 180 ▲7
アズジェント 9 △5 88 ▲4
HEROZ 203 ▲5 259 ▲18
SIGG 2 0 226 ▲6
わかもと 163 ▲20 1271 ▲60
秀英 1 0 79 ▲2
富士興 0 0 49 △1
日山村硝 5 0 259 0
ノザワ 0 0 207 ▲3
大阪製鉄 1404 △1 1738 ▲3
虹技 0 0 90 ▲2
アルメタクス 3 0 269 ▲2
洋シャタ 0 0 62 △1
デザインワン 26 ▲4 781 ▲26
土木管理 9 △3 369 ▲47
油研工 0 0 59 ▲5
ディスラプタ 6 0 545 ▲17
サクサ 2 0 164 ▲1
星和電 3 △1 158 ▲2
池上通 3 0 189 △15
沢藤電 0 0 102 ▲4
大黒屋 1184 ▲306 9369 ▲965
upr 4 0 167 ▲4
近畿車 0 0 65 △3
あんしん保証 68 0 673 △50
日本モゲジS 1 0 724 △4
エコーTD 2 0 265 ▲8
パリミキHD 8 0 150 ▲4
マックハウス 126 ▲3 134 ▲8
テイツー 1585 ▲148 9226 ▲361
京都友禅HD 165 ▲65 990 ▲136
黒田精 0 0 89 ▲11
岡本硝子 66 ▲2 1555 ▲361
タカノ 1 0 89 ▲4
ホクシン 24 ▲3 940 ▲14
ナイガイ 74 ▲5 275 ▲2
OUGHD 1 0 26 ▲1
トルク 5 △1 328 ▲8
オリンピック 0 0 103 ▲3
東北銀 0 0 68 ▲65
富山銀 23 0 59 ▲3
福島銀 156 0 1032 ▲4
太平発 1 0 152 △16
明和地所 21 △1 81 ▲7
ファースト住 24 ▲6 123 ▲2
東陽倉 1 0 88 ▲8
乾汽船 86 ▲12 261 ▲16
ワイヤレスG 17 0 452 ▲24
テアトル 16 0 21 △1
日邦産業 9 0 28 ▲1
ショクブン 13 ▲8 75 ▲1
やまや 5 0 6 0
タイミー 1245 ▲58 2883 ▲471
サンクゼール 78 ▲3 57 ▲1
ファンデリー 37 ▲6 224 ▲30
すららネット 7 0 282 △55
T&S・G 98 △11 245 ▲22
プレイド 120 △10 2435 ▲152
エーアイ 0 0 238 ▲8
Kudan 174 ▲11 612 ▲51
ミンカブ 340 ▲86 1160 ▲104
OTS 2966 ▲25 12462 △113
Pアンチエイ 53 ▲8 211 ▲27
FIXER 235 ▲9 394 ▲14
弁護士COM 223 ▲11 295 ▲40
MRT 1 ▲2 107 ▲9
レントラクス 6 0 342 ▲92
エヌピーシー 557 △15 1766 ▲211
アスタリスク 79 △4 425 ▲50
WASHハウ 23 ▲1 224 ▲28
PSS 230 △3 1115 ▲121
マイクロ波 444 ▲12 904 ▲122
日経300投信 1 0 9 0
※ SPDR金 325 ▲66 2684 ▲114
※ 野村金連動 5810 ▲7820 83160 ▲3960
※ 日経2倍 1950 △536 46151 △2813
※ 日興高配低ボ 0 ▲16500 10 0
※ 日興米債ヘ有 48 0 5045 △55
※ One高配当 1971 △830 3110 △57
※ スタンダ20 30 △20 830 △110
※ H株ベア 270 △80 26790 ▲3360
※ WTI原油 33872 ▲5847 121491 ▲6017
※ 日興外債毎月 10 0 130 0
※ SMT好配当 0 0 2201 △1009
※ GX印10+ 222 ▲30 54462 ▲2584
※ iSインド株 13260 ▲13540 858400 ▲1880
※ iF高リート 400 0 20692 ▲961
※ MXダウヘ有 800 △300 4460 △1090
※ GXウラン 183 △60 25152 ▲7479
※ iS米20 700 ▲30 444000 ▲39600
※ iS仏国債H 80 △70 1550 △900
※ GX高配30 18 △18 16477 △393
※ MXナスダク 4642 ▲747 43091 ▲9789
※ GXリー日株 83 ▲28 1639 △12
※ iFEナ百無 5258 ▲8517 169059 ▲2058
※ iFEナ百有 1344 △848 80978 △27387
※ 野村ナスH有 32730 ▲5990 136510 ▲35580
「強気ETF」口数高水準、2年ぶり、株反発見越す[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 625文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価の2倍の値動きを目指す上場投資信託(ETF)の発行済み投資口数が約2年ぶりの高水準となった。トランプ米大統領による相互関税の導入発表に端を発した日本株の急落局面で、株価反発を見越した個人投資家が「強気型」ETFの持ち高を増やした。
野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(日経レバ)」の口数は7日時点で2558万口と、2023年2月7日以来の高水準となった。23年2月は、米国の金融引き締めの長期化懸念が台頭し、上値の重い展開が続いていた局面だった。
日経レバは日経平均の値動きが1%高になると約2%高になるよう運用するETFで、短期で値幅取りを狙う個人投資家に人気だ。
相場の急落を受けた後の一時的な反発を見越した買いで口数が積み上がった。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「急落局面で個人投資家の押し目買いが入ったようだ」と話す。
トランプ米政権が発表した相互関税の内容が株式市場の想定よりも厳しいものとなり、日経平均は4日までの1週間で9%程度まで下げた。7日には一時、心理的節目の3万1000円を割り込んだ。
ただ、ニッセイ基礎研究所の前山裕亮主任研究員は強気型ETFの動向について「日経平均の下落幅を踏まえると購入量はそこまで多くない印象だ」と説明。トランプ氏の関税政策を巡る先行きに不透明感が強く、投資家の相場見通しは強気一辺倒ではないようだ。
外国株買越額 初の2兆円、3月、年金基金投資が活発[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 522文字 PDF有 書誌情報]
財務省が8日発表した3月の対外・対内証券売買契約の状況によると、海外の株式・投資ファンドの買越額が2兆39億円に上った。2022年12月の1兆8748億円を超え、単月として初めて2兆円台に乗せた。年金基金や、新しい少額投資非課税制度(NISA)を活用した個人投資家による外国株への投資が活発だった。
3月の取得額は12兆9003億円、処分額は10兆8963億円だった。取得額は24年7月の12兆854億円を上回り過去最大だった。内訳をみると、年金運用を受託する信託銀行の取得が4兆7291億円と多くを占めた。信託銀行は3月に外債を売り越しており、外債から外国株に投資配分を調整する動きが広がったとみられる。
投資信託委託会社等による海外株の買越額は1兆1098億円と、24年7月に次いで過去4番目の規模だった。新NISAで海外株で運用する投信を購入する個人投資家らによる投資マネーの流出が続いている。
2~3月にかけては、外国株の価格の下落基調が鮮明になった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「外国株の下落局面では、買越額が膨らみがちになる。個人投資家の外国株の押し目買いもあったとみられる」と指摘する。
ダイセキの前期 純利益2%減 主力の廃液処理は好調[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
産業廃棄物処理のダイセキが8日発表した2025年2月期の連結決算は、純利益が前の期比2%減の93億円だった。土壌汚染処理の子会社ダイセキ環境ソリューションで前の期に計上した大型案件の収益の反動が出た。
売上高は3%減の673億円だった。山本哲也社長は「土壌汚染処理は一昨年に大型案件が立て続けにあった」と説明した。主力事業である工場廃油や廃液処理事業は新規受注を獲得し好調だった。
信用買い残高 2週ぶり減少[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 144文字 PDF有 書誌情報]
東京証券取引所が8日発表した、4日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は4兆4696億円と、3月28日申し込み時点と比べて1094億円減った。減少は2週ぶり。
この週(3月31日~4月4日)の日経平均は週間で3339円(8・99%)下落した。
日証金、SMT好配当受益証券、iS米25ヘ受益証券、野村ESGコ受益証券、ヤーマン株の貸借取引で申し込み停止措置[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 121文字 PDF有 書誌情報]
日証金、SMT好配当受益証券、iS米25ヘ受益証券、野村ESGコ受益証券、ヤーマン株の貸借取引で申し込み停止措置 制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う申し込みで。弁済繰り延べ期限が来た買いの現引きおよび転売は除く。9日約定分から。
日証金、NYダウ受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 107文字 PDF有 書誌情報]
日証金、NYダウ受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除 制度信用取引の買いの現引きに伴う申し込み停止措置を解除。9日約定分から。制度信用取引の新規売りに伴う貸株申し込みおよび融資返済申し込みは引き続き停止。
東証、リベラウェア株、アウン株の信用取引に関する臨時措置を解除[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 102文字 PDF有 書誌情報]
東証、リベラウェア株、アウン株の信用取引に関する臨時措置を解除 9日売買分から。日証金も同日から貸借取引自己取引分および非清算参加者ごとの清算取次貸借取引自己取引分にかかる銘柄別増担保金徴収措置を解除。
日証金、iS日本国債受益証券、菊池製作株、フリービット株、河西工株の貸借取引で注意喚起[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
日証金、iS日本国債受益証券、菊池製作株、フリービット株、河西工株の貸借取引で注意喚起 貸株利用などで。8日付。
銘柄管理情報=監理銘柄に指定[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 28文字 PDF有 書誌情報]
▽監理銘柄に指定=上場投資信託〔東証〕野村ESGコは8日
東証、バリューC株の日々公表銘柄指定を解除[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
東証、バリューC株の日々公表銘柄指定を解除 8日付。
日銀利上げ「外圧」あるか 日米関税協議、円安もテーマに、米財務長官 金利正常化に関心(ポジション)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1587文字 PDF有 書誌情報]
市場の大混乱を招いた米相互関税の見直しに向けた日米協議が動き出す方向になった。関税導入の背景にある日本の対米貿易黒字を減らす方策が中心テーマで、円安の問題も議論しそうだ。米側で協議を担当するベッセント財務長官に近い関係者は、円安修正の手段として日銀の金融政策も論点になる可能性を指摘。日銀利上げへの期待が示され、一種の外圧がかかるかも焦点だ。
もちろん、日銀はあくまで経済・物価情勢に応じて金融政策を運営する方針。ただ日銀自身も経済・物価が見通しに沿って推移するなら利上げする方針は今も維持している。
日米が相互関税の見直しに向けた対応策を閣僚級で話し合う方向が固まったのは7日以降だ。対日相互関税が24%という想定外に高い水準になったことを受けて市場も大きく混乱。状況を深刻視した石破茂首相が同日、トランプ米大統領と電話で協議したことなどを受け、事態が動き出した。
米側が貿易相手国・地域への相互関税導入の根拠として挙げてきたのは、関税、非関税障壁、為替操作など。ただ、日本の対米関税はそう高い水準ではないケースが多いため、日米協議では関税以外の部分に力点が置かれそうだ。様々な非関税障壁の改革が柱になるほか、トランプ氏が3月に不満を表明した円安の修正がテーマになるのは自然な流れだろう。そもそも、米側で協議を担当するベッセント氏は、為替政策を所管する財務省のトップだ。
3月のトランプ氏の発言は「(日本や中国が)通貨を下げると我々に非常に不公平な不利益をもたらす」というもの。「(関税はそれに)迅速かつ効率的に公平性をもたらす」ために導入すると強調した。関税と為替をリンクさせたところがポイントだ。
これに対して、日本の加藤勝信財務相は「日本は従来言っているように通貨安政策はとっていない」と強調。その根拠としてここ数年実施した巨額の円買い介入を挙げた。
ただし、ベッセント氏はかねて、円安の背後にある日銀の金融政策正常化の遅さに問題意識を持ってきたと、同氏と親しい米金融情報コンサルタントの齋藤ジン氏は指摘する。齋藤氏は8日、開始の方向になった日米協議について「日銀の金融政策にも影響が及ぶ可能性がある」とコメントした。
1月に続く日銀の追加利上げの時期に関して、従来、6月の金融政策決定会合(決定は17日)か7月の会合(同31日)が有力視されていた。利上げペースについて、半年に1回程度という相場観が事実上日銀と市場で共有されてきたからだ。実際、金利スワップ市場では相互関税発表の直前までは6月利上げの確率予想が4割近くに達し、7月も25%程度になっていた(データは東短リサーチ)。
それが、7日までの株価の大幅下落を受け、いずれの確率もいったん1割を割り込んだ。だが、マーケットが安定を取り戻し、市場混乱の原因となった相互関税の見直しのためにも日銀利上げが重みを持つという展開になるなら、市場の受け止め方も変わるかもしれない。
米側が不満を持つ円安に拍車がかかったのは2022年以降だ。同年初めに1ドル=115円程度で推移していた円相場は、米国の急速な利上げなどを背景に一時160円を下回った。
もっとも、急激な円安が望ましくない点で日米の認識に大きなズレはない。両国が始める協議が、こうした円安を修正するための大掛かりな合意へと発展していくシナリオも軽視はできない。そうした展開を予想するかのように、海外投機筋は年初来、円の買い越し幅(対ドル)を高水準に膨らませてきた。ちなみにベッセント氏はヘッジファンド業界出身である。
今後、閣僚級の日米協議とは別に、日米の首脳がいつ対面の会談を持つかも重要だ。仮に6月15~17日の主要7カ国(G7)首脳会議の機会に日米首脳会談が開かれるとすると、6月の日銀決定会合と極めて近いタイミングになる。
(編集委員 清水功哉)
市場が投じた不信任票(大機小機)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 925文字 PDF有 書誌情報]
日本車を含む25%の自動車関税。日本へは24%の相互関税。トランプ砲は息つく間もない。下げがきついのが日本株だ。日本は優遇されるのでは。希望的観測から政府対応が後手後手に回った結果だ。
2月7日の日米首脳会談を乗り切った後、石破茂首相は何をしていたのか。追加関税措置を巡って「引き続き日本の除外を強く求めていく」。4月1日の記者会見で石破首相は述べたが、首をかしげたのは首脳同士の直接交渉についての質問への回答である。「必要であれば私自身が赴くことに何ら差し支えはない」
「差し支えない」とは、「問題ない、支障が無い、邪魔にならない」(実用日本語表現辞典)という意味だ。石破構文はどこかひとごとなのである。
トランプ米大統領が2日に示した一覧表によれば、日本が米国に課している関税は46%。ざっと半分を課すという理屈だ。日本の関税率は1桁なので46%には規制や商慣行、税制といった非関税障壁が含まれる。米通商代表部(USTR)はコメ、小麦などの輸入制限も問題視している。
ようやく実現した7日の電話協議は、事前に交渉の具体策を詰めないまま実施された。協議のアリバイをつくったのだが、トランプ氏は協議後、SNSに「日本は貿易で米国をひどく扱ってきた」と投稿した。やぶ蛇である。
電話協議で合意した閣僚級の協議。米国側は担当閣僚にスコット・ベッセント財務長官とジェミソン・グリアUSTR代表を指名。ベッセント長官は「関税、非関税障壁、通貨問題、政府補助金を巡る生産的な取り組みを楽しみにしている」と腕まくりする。
石破首相は7日夜の時点では「今の時点で具体的な名前が挙がっているわけではない」と人選に苦心の様子をみせた。翌8日に押っ取り刀で赤沢亮正経済財政・再生相の起用が決まったが、これでは戦う前から勝敗は目に見えている。
日産自動車を筆頭に日本車メーカーは現地生産のアクセルを踏む。新たな空洞化だ。全国に千カ所の相談窓口では話にならない。大規模な経済対策は待ったなし。
立憲民主党の野田佳彦代表が発言したように、対米交渉役に茂木敏充氏を迎え入れるくらいの立て直しが必要。野党が内閣不信任案をためらう中、市場は株安という不信任票を投じている。(和悦)
株式 先物主導、一時は2100円強上昇(市場往来)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 175文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価は4営業日ぶりに大幅反発。1日の値上がり幅としては歴代4位の大きさ。前日の米ハイテク株高で過度なリスクオフムードがいったん後退したとの受け止めから海外短期筋を中心とした買いが幅広い銘柄に入った。日経平均は前日に約1年5カ月ぶりの安値水準まで下落した反動で自律反発狙いの買いも加わり、先物主導で上げ幅を2100円強まで広げる場面もあった。
フジクラ、スズキ、三菱UFJ、JR東日本(注目株概況)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 115文字 PDF有 書誌情報]
急落の反動が大きく、制限値幅の上限(ストップ高水準)まで上昇。
東京海上日動火災などの売り出しを発表し、需給悪化懸念が重荷に。
国内債券市場で長期金利が急上昇し、8営業日ぶりに反発。
ディフェンシブ銘柄の代表格として売りが優勢になった。
為替 反落、147円39~40銭(市場往来)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 85文字 PDF有 書誌情報]
円相場は4営業日ぶりに反落。午後5時時点では1ドル=147円39~40銭で推移している。7日に米長期金利が上昇し、日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いが先行した。
商品 原油、5営業日ぶり反発(市場往来)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 83文字 PDF有 書誌情報]
原油は5営業日ぶりに反発した。市場の世界景気に対する悲観的な見方が和らぎ、日本時間8日の取引でニューヨーク原油先物に買いが入ったことで国内原油先物にも買いが及んだ。
金利 10年債利回り、1.255%に上昇(市場往来)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 76文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは上昇した。前日比0.145%高い1.255%で取引を終えた。7日に欧米金利の低下が一服し、国内債に売りが出た。
<数表>2市場信用取引残高[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 328文字 PDF有 書誌情報]
2市場信用取引残高
( 4月4日現在、一般信用と制度信用の合計、単位千株、百万円、カッコ内は前週比増、▲減 )
売り残 買い残
東京 株数 253,233 ( ▲59,541 ) 3,185,076 ( ▲75,951 )
金額 464,174 ( ▲112,680 ) 4,468,107 ( ▲109,387 )
名古屋 株数 1 ( ▲1 ) 1,386 ( ▲99 )
金額 1 ( ▲1 ) 1,543 ( ▲79 )
2市場 株数 253,234 ( ▲59,542 ) 3,186,462 ( ▲76,050 )
合計 金額 464,175 ( ▲112,681 ) 4,469,650 ( ▲109,466 )
<数表>3月の対外・対内証券投資[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 17ページ 309文字 PDF有 書誌情報]
3月の対外・対内証券投資
〓〓 単位億円、▲は売り越し、指定報告機関ベース 〓〓
買い入れ 売却 差額
▽対外証券投資
株 式 129,003 108,963 20,039
中長期債 497,812 506,840 ▲9,027
小 計 11,012
短 期 債 34,840 33,378 1,462
合 計 12,474
▽対内証券投資
株 式 873,105 905,678 ▲32,573
中長期債 294,201 262,958 31,243
小 計 ▲1,330
短 期 債 205,619 253,251 ▲47,632
合 計 ▲48,961
<数表>4月8日(市場体温計)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2693文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 33012円58銭(+1876円00銭)
騰落率= +6.025%
東証株価指数(TOPIX) 2432.02 (+143.36)
騰落率= +6.263%
売買代金 5419882百万円 (-1569466百万円)
売 買 高 263771万株 (-102603万株)
売買単価 2054.7円
売買高上位10銘柄の占有率 30.4%
〓-〓 上場銘柄数 1637 値上がり 1621 〓-〓
売買成立 1637 値下がり 12 変わらず 4
新値株 (年初来) 高 値 10 安 値 5
騰落レシオ(25日移動平均) 88.15%
時価総額 8436448億円 (+481779億円)
普通株式数(百万株) 499988 1株当たり時価(円) 1687.32
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 13.40 ( 14.33 ) 1.22 2.40 ( 2.11 )
JPX日経400採用銘柄 13.23 ( 13.69 ) 1.32 2.52 ( 2.29 ) 2.73 ( 2.38 )
東証プライム全銘柄 13.32 ( 14.31 ) 1.17 2.88 ( 2.56 ) 2.73 ( 2.38 )
東証スタンダード全銘柄 12.83 ( 14.59 ) 0.93 2.81 ( 2.67 ) 2.58 ( 2.64 )
東証グロース全銘柄 34.33 ( 177.10 ) 2.88 0.95 ( 0.83 ) 0.69 ( 0.61 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.50 %
前期基準 6.98 %
8
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 523.78 ( +30.36)
日経500種平均株価 2920円30銭 ( +143円13銭)
日経平均高配当株50指数 62182.95 ( +3679.34)
日経連続増配株指数 45363.95 ( +1489.65)
日経累進高配当株指数 41677.43 ( +2001.89)
日経半導体株指数 6724.25 ( +562.68)
日経平均内需株50指数 25731.35 ( +1097.84)
日経平均外需株50指数 31048.02 ( +1876.44)
日経平均トータルリターン 59472.12 ( +3379.61)
日経平均VI先物指数 5764.81 ( -1.37%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2382円18銭 ( +131円52銭)
東証規模別株価指数
大型 2386.15 ( +150.90)
中型 2607.57 ( +125.22)
小型 4106.85 ( +242.30)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1575.60 (+7.59)
…
ド ル/円 1 ド ル = 147.39~147.40円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 161.00~161.04円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.0923~1.0924ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3145.549 ( +48.973 )
韓国総合(韓国) 2334.23 (+6.03)
ハンセン(香港) 20127.68 (+299.38)
加権(台湾) 18459.95 (-772.40)
VN(ベトナム) 1132.79 (-77.88)
クアラルンプール総合 1443.56 (-0.24)
ST(シンガポール) 3469.47 (-71.03)
ジャカルタ総合 5996.142 (-514.478)
SET(タイ) 1074.59 (-50.62)
オールオーディナリーズ(豪) 7704.4 (+180.1)
新発10年国債利回り 1.265% ( +0.155)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( 0)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 14357 円 (+145円)
ドバイ原油(1キロリットル) 56090 円 (-410円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
647.39 (+13.27)
工業品 654.13 (+13.91)
始値 31729円11銭 高値 33257円16銭 ( 10時49分 )
午前終値 33030円66銭 安値 31703円69銭 ( 9時1分 )
JPX日経 インデックス400 22087.19 (+1231.21)
JPX日経中小型 17090.23 (+1099.93)
日経気候変動指数 32791円35銭 (+1866円82銭)
JPXプライム150指数 1064.81 (+60.87)
東証プライム市場指数 1251.64 (+73.87)
東証スタンダード市場指数 1175.46 (+63.83)
東証グロース市場指数 755.03 (+68.79)
東証グロース市場250指数 589.17 (+54.62)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1670.17 (+36.05)
日経ESG―REIT指数 929.91 (+20.02)
日経高利回りREIT指数 1201.57 (+24.87)
……………………………………………………………………
日経平均VI 46.99 (-11.40)
日経配当指数(2025年) 0円00銭
<数表>4月8日商品先物[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 18ページ 5874文字 PDF有 書誌情報]
( 8 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 14230 14383 14134 14270 △20
6月 14179 14300 14148 14278 △13
8月 14169 14318 14101 14281 △112
10月 14174 14412 14100 14283 △99
12月 14168 14467 14115 14314 △143
2月 14225 14515 14160 14357 △145
《金ミニ》(1グラム)
4月 14238.0 14238.0 14167.0 14270.0 △20.0
6月 14219.5 14219.5 14219.5 14278.0 △13.0
8月 14204.5 14218.5 14176.5 14281.0 △112.0
10月 14182.5 14392.5 14110.0 14283.0 △99.0
12月 14176.5 14468.5 14113.5 14314.0 △143.0
2月 14215.5 14515.0 14158.5 14357.0 △145.0
《金限日》(1グラム)
14422 14810 14421 14253 ▲29
《白金》(1グラム)
4月 4272 4356 4272 4356 △116
6月 4154 4315 4142 4310 △112
8月 4150 4319 4150 4313 △129
10月 4172 4335 4148 4319 △132
12月 4166 4345 4166 4330 △132
2月 4156 4321 4140 4307 △126
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4243.5 4243.5 4243.5 4356.0 △116.0
6月 4211.0 4213.0 4211.0 4310.0 △112.0
8月 4175.5 4187.0 4175.5 4313.0 △129.0
10月 4223.0 4314.5 4223.0 4319.0 △132.0
12月 4188.5 4327.5 4188.5 4330.0 △132.0
2月 4161.5 4318.0 4138.0 4307.0 △126.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4319 4579 4319 4311 △107
《銀》(1グラム)
4月 ― ― ― 142.0 ▲3.0
6月 ― ― ― 142.0 ▲2.6
8月 139.6 139.6 136.6 136.6 ▲2.0
10月 138.6 138.6 132.0 135.9 ▲2.7
12月 137.7 140.3 136.1 138.2 ▲1.8
2月 140.1 140.1 140.1 140.1 ▲0.1
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4400 0
6月 ― ― ― 4400 0
8月 ― ― ― 4400 0
10月 ― ― ― 4400 0
12月 ― ― ― 4400 0
2月 ― ― ― 4400 0
《CME原油》
5月 ― ― ― 152.95 ▲2.70
6月 ― ― ― 152.15 ▲2.50
7月 ― ― ― 151.45 ▲2.25
8月 ― ― ― 150.70 ▲2.00
9月 ― ― ― 148.60 ▲1.75
10月 ― ― ― 148.05 ▲1.45
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 63590 63590 62710 62710 △1310
5月 58220 61050 58220 60500 △2900
6月 59010 60070 59010 59550 △2240
7月 56680 59290 56680 59180 △2780
8月 56230 60220 56040 58730 △2810
9月 55880 59900 55670 58340 △2790
10月 55920 56990 55920 56990 △150
11月 57880 58060 57870 57870 △3200
12月 58860 58860 58860 58860 △210
1月 ― ― ― 57070 △4370
2月 ― ― ― 56860 △860
3月 ― ― ― 56680 △80
4月 ― ― ― 56480 ▲260
5月 ― ― ― 56290 △2010
6月 ― ― ― 56090 ▲410
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 94300 ▲900
6月 ― ― ― 93800 ▲900
7月 ― ― ― 93300 ▲900
8月 ― ― ― 92800 ▲900
9月 ― ― ― 92300 ▲900
10月 ― ― ― 91900 ▲900
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 291.9 297.0 291.9 295.1 △3.2
5月 292.2 299.1 284.7 297.4 △2.4
6月 283.2 304.6 283.2 298.4 △6.8
7月 289.2 302.1 284.6 300.0 △8.3
8月 291.3 305.0 285.0 299.0 △6.3
9月 291.8 305.1 285.0 299.9 △5.9
10月 ― ― ― 304.0 △7.0
11月 ― ― ― 305.0 △2.0
12月 ― ― ― 307.0 0
1月 ― ― ― 309.0 0
2月 ― ― ― 310.0 0
3月 ― ― ― 310.0 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 250.0 0
6月 ― ― ― 250.0 0
7月 253.1 253.1 251.0 251.0 △1.0
8月 253.4 253.4 251.5 251.5 △0.5
9月 ― ― ― 251.0 0
10月 ― ― ― 251.0 0
11月 ― ― ― 251.0 0
12月 ― ― ― 252.0 0
1月 ― ― ― 252.0 0
2月 ― ― ― 252.0 0
3月 ― ― ― 252.0 0
4月 ― ― ― 252.0 0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 92000 0
6月 ― ― ― 92000 0
7月 ― ― ― 92000 0
8月 ― ― ― 92000 0
9月 ― ― ― 92000 0
10月 ― ― ― 92000 0
《トウモロコシ》(1トン)
5月 ― ― ― 40000 0
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 40000 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 40000 0
3月 ― ― ― 40000 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
4月 ― ― ― 64000 0
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 12.60 12.60 12.60 12.60 △0.69
5月 ― ― ― 11.02 ▲0.16
6月 ― ― ― 12.44 ▲0.53
7月 ― ― ― 13.98 ▲0.32
8月 ― ― ― 14.95 ▲0.59
9月 ― ― ― 14.19 ▲0.55
10月 ― ― ― 12.74 ▲0.49
11月 ― ― ― 13.17 ▲0.59
12月 ― ― ― 13.55 ▲0.64
1月 ― ― ― 13.79 ▲0.68
2月 ― ― ― 13.48 ▲0.68
3月 ― ― ― 11.32 ▲0.66
4月 ― ― ― 10.98 ▲0.42
5月 ― ― ― 11.01 ▲0.61
6月 ― ― ― 11.92 ▲0.59
7月 ― ― ― 12.98 ▲0.63
8月 ― ― ― 15.08 ▲0.61
9月 ― ― ― 12.73 ▲0.60
10月 ― ― ― 11.38 ▲0.60
11月 ― ― ― 12.08 ▲0.65
12月 ― ― ― 13.06 ▲0.52
1月 ― ― ― 13.84 ▲0.55
2月 ― ― ― 13.08 ▲0.54
3月 ― ― ― 11.24 ▲0.59
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.08 ▲0.01
5月 ― ― ― 8.37 ▲0.11
6月 ― ― ― 10.14 ▲0.25
7月 ― ― ― 12.28 ▲0.37
8月 ― ― ― 13.44 ▲0.41
9月 ― ― ― 12.49 ▲0.39
10月 ― ― ― 9.80 ▲0.45
11月 ― ― ― 10.49 ▲0.50
12月 ― ― ― 11.25 ▲0.47
1月 ― ― ― 12.84 ▲0.60
2月 ― ― ― 12.05 ▲0.55
3月 ― ― ― 9.43 ▲0.49
4月 ― ― ― 9.49 ▲0.43
5月 ― ― ― 8.87 ▲0.39
6月 ― ― ― 9.62 ▲0.35
7月 ― ― ― 10.52 ▲0.36
8月 ― ― ― 12.31 ▲0.34
9月 ― ― ― 10.48 ▲0.35
10月 ― ― ― 9.20 ▲0.30
11月 ― ― ― 10.05 ▲0.36
12月 ― ― ― 11.26 ▲0.25
1月 ― ― ― 11.94 ▲0.31
2月 ― ― ― 11.26 ▲0.37
3月 ― ― ― 9.65 ▲0.56
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 51171 45217
金ミニ 19952 8996
金限日 4235 43338
白金 10244 28954
白金ミニ 864 2459
白金限日 2102 36614
銀 17 145
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 12614 24419
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 1277 3824
ゴムTSR20号 15 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 0 92
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 10 7972
電力西ベース 0 733
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 11462 53447
堂島白金 43 1973
堂島銀 21 1332
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
14150.0 14463.8 14143.3 14277.5 △127.5
《白金》(1グラム)
4353.1 4435.6 4345.4 4418.8 △93.2
《銀》(1グラム)
142.80 146.23 142.80 142.47 △2.84
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
5月 ― ― ― 39000 0
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
<数表>4月7日エネルギー・環境市場[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 18ページ 3579文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 8 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 40436
ソシエテ 30609
サスケハナ 9342
バークレイ 7882
野 村 5799
Jモルガン 5409
モルガンS 5163
Gサックス 4082
SBI証 3342
日産証 2804
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 142.35 140.80 142.61 140.69 141.04 -1.23
25/9 ― ― ― ― ― ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.344 65122 129258 25/9 ― ― 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
142.25 ― ― ― ― 136.75 0.03 ― 50 50
142.50 ― ― ― ― 137.00 ― ― ― ―
142.75 0.13 ― 2 2 137.25 ― ― ― ―
143.00 0.14 ― 30 30 137.50 ― ― ― ―
143.25 ― ― ― 5 137.75 ― ― ― 36
合計 32 106 合計 60 315
HV(年率) 6月 7.3
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.518 0 0 762
25 /6 99.496 0 0 642
25 /9 99.453 0 0 673
25 /12 99.383 0 0 241
合計 0 3506
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5225 -0.0025 1029 28725
25 /6 99.4675 -0.0300 60 12542
25 /9 99.4525 -0.0450 304 12585
25 /12 99.4150 -0.0475 281 8366
合計 1698 69608
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2262.5 2403.5 2455.5 2256.0 2433.5 +166.5 160264 454795
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 700
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 49
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 529 566 587 529 577 +46 15927 31111
25 /9 523 559 570 520 568 +45 95 437
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 30940 32700 33430 30790 33100 +2140 128194 182871
25 /9 30900 32720 33450 30890 33070 +2140 434 3479
25 /12 31000 32800 33020 31000 32500 +1600 14 18640
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 30935 32700 33430 30790 33100 +2140 1769728 368689
25 /9 30900 32700 33400 30775 33090 +2140 55600 7541
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 30925 32705 33430 30790 33095 +2125 1339897 58510
25 /9 30930 32680 33400 30785 33005 +2040 34335 7404
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 30610 32790 33705 30495 33185 +2465 83893 81034
25 /9 31715 32710 32750 31430 33150 +2465 124 81
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 20685 21805 22305 20635 22295 +1625 9173 54360
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 32830 ― 0 4月 43.00 -3.00 4 31
25 /9 ― 32840 ― 0 5月 26.95 -0.25 10 118
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 765.0 ― 1334 25年 763.0 764.0 32 4519
26年 ― 730.0 ― 1334 26年 720.8 725.0 85 1907
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――4月―――〓 〓―――5月―――〓 6月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール 32750 915 +560 85 93 1555 +510 42 11 1900
32875 735 +410 215 105 ― ― ― ― ―
33000 760 +475 2390 987 1460 +595 145 539 1770
33125 655 +400 119 22 1450 ― 17 1 ―
33250 765 +540 247 109 1300 +430 25 117 ―
33375 540 +325 162 77 ― ― ― 155 ―
33500 510 +330 1392 793 1210 +530 328 676 1455
33625 375 +175 102 72 1080 +445 6 7 ―
33750 365 +220 885 567 1025 +430 269 518 1395
……………………………………………………………………………………………
プット 32250 440 -1260 359 317 1310 -650 10 134 2600
32375 510 ― 77 22 ― ― ― ― 1670
32500 535 -1425 769 1141 1275 -860 1308 1434 ―
32625 625 ― 36 8 1415 ― 2 0 ―
32750 620 -1330 545 1249 1425 -875 27 189 1695
32875 840 -695 18 76 ― ― ― ― ―
33000 685 -1620 944 2240 1420 -1260 386 2141 1850
33125 ― ― ― 15 ― ― ― 1 ―
33250 845 -1555 118 603 1610 -1320 44 436 ―
総売買高コール 58604 枚 プット 73385 枚 日経平均HV 42.0
当日総建玉コール 328902 枚 プット 514597 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 10.80
ドイツ(1MWh、ユーロ) 62.92
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 12.025
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 12.017
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) 59.76
( 7 日)
<数表>4月8日外為市場[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1794文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 148.77 146.38
5月〃 148.40 145.87
6月〃 147.87 145.36
7月〃 147.41 144.87
8月〃 146.93 144.43
9月〃 146.49 143.96
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 148.77 146.78
ユーロ 163.31 161.35
カナダドル 105.64 103.99
英ポンド 192.60 192.22
スイスフラン 173.13 171.62
デンマーククローネ 21.97 21.72
ノルウェークローネ 13.83 13.73
スウェーデンクローナ 15.13 14.84
豪ドル 90.82 89.37
ニュージーランドドル 84.06 82.81
香港ドル 19.45 19.19
シンガポールドル 110.22 109.01
サウジアラビアリヤル 40.24 39.73
U.A.E.ディルハム 40.98 40.43
タイバーツ 4.35 4.29
インドルピー 1.88 1.86
パキスタンルピー 0.68 0.67
クウェートディナール 485.45 484.41
カタールリヤル 41.34 40.80
インドネシア100ルピア 0.99 1.00
メキシコペソ 8.16 8.05
韓国100ウォン 10.26 10.13
フィリピンペソ 2.74 2.73
南アフリカランド 9.06 9.05
チェココルナ 6.54 6.44
ロシアルーブル 1.97 1.98
ハンガリーフォリント 0.42 0.41
ポーランドズロチ 38.87 38.61
▽みずほ銀
中国人民元 20.42 20.24
トルコリラ 5.69 5.63
台湾ドル(参考値) 4.48 4.38
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 26.00 25.97
( 8 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 147.39 ― 147.40 145.79 ― 145.80
寄付 147.76 ― 147.78 145.42 ― 145.46
高値 146.98 144.83
安値 148.12 146.85
中心 147.73 145.75
直物売買高 48億6200万 ドル
スワップ売買高 699億4800万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 82.53
日経インデックス(2020年=100)
日本円 77.2
米ドル 106.9
ユーロ 101.8
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 187.94~187.98円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 89.135~89.165円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 171.46~171.51円
カナダドル /円 1 カナダドル = 103.89~103.93円
NZドル /円 1 NZドル = 82.45~82.49円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.2749 ― 1.2753
(1ポンド=ドル) ( 1.2893 ― 1.2897 )
スイスフラン 0.8598 ― 0.8602
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8478 ― 0.8482 )
豪 ド ル 0.6046 ― 0.6050
(1豪ドル=ドル) ( 0.6009 ― 0.6013 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.3368 ( 7.3149 )
日本円(100円=元) 4.9865 ( 5.0060 )
<数表>4月8日債券市場[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1642文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 79.75 -3.00
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.83
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.51
中国470(2年) 27/3 0.8 100.31
中国177(5年) 29/12 1.1 101.12
長国377(10年) 34/12 1.2 99.69
超長国191(20年) 44/12 2 98.46
超長国85(30年) 54/12 2.3 96.42
超長国17(40年) 64/3 2.2 87.92
物価連動29(10年) 34/3 * 102.20
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.25
政保政投銀64 30/6 0.09 95.51
東京都(公)807 30/6 0.1 95.34
大和ハウス23 30/9 0.3 95.12
キリンHD17 30/6 0.37 95.85
王子HD40 30/7 0.37 95.36
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.22
日本製鉄6 30/6 0.42 95.53
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.11
OLC18 30/9 0.29 94.91
IHI48 30/9 0.49 94.97
ダイキン27 30/9 0.26 94.85
NEC58 30/4 0.54 95.75
パナソニック25 30/9 1.051 98.28
SUBARU6 30/9 0.42 95.01
三井物産77 30/7 0.28 95.41
JR東日本153 30/7 0.23 95.33
三井不77 30/4 0.48 96.32
中部電力544 30/9 0.3 95.19
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.22
( 8 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.255 % +0.145
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.84
中 期 債 1.04
長 期 債 1.69
◇日経国債インデックス 0.966
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 9日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.90 0.370
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.83 0.400
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.51 0.510
中 国471(2) 27/4 0.9 100.50 0.645
中 国157(5) 28/3 0.2 98.58 0.687
中 国167(5) 29/3 0.4 98.50 0.786
中 国177(5) 29/12 1.1 101.13 0.854
長 国362 31/3 0.1 95.39 0.897
長 国366 32/3 0.2 95.08 0.932
長 国370 33/3 0.5 95.93 1.034
長 国374 34/3 0.8 97.05 1.147
長 国377 34/12 1.2 99.69 1.234
超長国191 44/12 2.0 98.53 2.091
超長国(30)85 54/12 2.3 96.42 2.470
超長国(40)17 64/3 2.2 88.00 2.699
<数表>4月8日短期金融市場[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1297 回債 0.370 0
6カ月 1291 回債 0.400 0.03
1 年 1294 回債 0.510 0.03
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.489 0.492
1週間 0.454 0.457
1カ月 0.451 0.452
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49182
1カ月 0.62091 0.62818
3カ月 0.83455 0.83455
6カ月 0.87727 0.87727
1 年 0.82818 0.82818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.48747 0.48167
6カ月 0.50000 0.50375
( 8 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 0.510 ―
2週間 ― ―
3週間 ― ―
1カ月 ― ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.658 ―
◇全国コール市場残高
( 7 日確報、億円) 120150
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.333 0.616 0.333 0.616
1週間 0.333 0.616 0.333 0.616
1カ月 0.340 0.650 0.340 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月8日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/9 3984 3984 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/9 150 150 最高0.250
【4月7日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/8 3214 3214 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/8 136 136 最高0.250
【4月4日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/7 2303 2303 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/7 0 0
【4月3日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/4 2479 2479 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/4 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5275600 ( 4767500 )
◇資金需給予想( 9 日、億円、実質) 7300 不足
<数表>4月8日株式市場、先物市場[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 18ページ 565文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 38243 17029
売買高上位10銘柄占有率(%)
45.5 27.2
売買代金(百万円) 132938 121230
売買単価(円) 347.6 711.8
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 612
売買成立 1563 612
値上がり 1511 589
値下がり 35 18
新値株(年初来) 高値 10 3
安値 17 7
時価総額(億円) 259280 70343
普通株式数(百万株) 31041 10634
1株当たり時価(円) 835.28 661.47
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 25945.38 +6.02%
カバードコールATM 18723.11 +6.02%
リスクコントロール 22768.23 +1.50%
レバレッジ 29410.76 +12.05%
インバース 973.15 -6.02%
ダブルインバース (01年末=100000)
288.36 -12.05%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 474674
売買代金(百万円) 915836
◇空売り比率(東証) 38.7 %
( 8 日)
ミニLEDテレビ需要増 中国向け、出荷台数2倍超、液晶の明暗鮮明[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1266文字 PDF有 書誌情報]
液晶の画面の明暗を高めた「ミニLEDテレビ」の需要が、中国で急速に増えている。同国のテレビ買い替え促進策の波に乗り、中国向けの出荷台数は直近データで2倍超に膨らんだ。中国での伸びを背景に量産が進めば世界で値下がりし、日本市場に波及する可能性もある。
ミニLEDテレビは、液晶画面を照らすバックライトに、通常の発光ダイオード(LED)よりもミニサイズのLEDを敷き詰めることで明暗を高めたテレビだ。2021年に本格的に販売が始まった。
世界のテレビ市場全体に占めるシェアは24年時点で3%。一般的な液晶テレビが94%と主流だが、ミニLEDは年々伸び、有機ELテレビと同じほどの規模になっている。世界の平均価格は24年時点で55型が901ドル(約13万5000円)と、液晶(501ドル)と有機EL(1317ドル)の中間程度だ。
調査会社カウンターポイントリサーチによると、24年10~12月期のミニLEDテレビの出荷台数は中国向けが202万台と、7~9月期の2・3倍に急増した。北米向けの32万台や日本向けの3万台を引き離し、世界全体の65%を占めた。
背景にあるのは、中国の補助金政策だ。不動産市況の低迷などを受けて経済停滞が続く同国では24年、家電製品の買い替え時に補助金を出す消費刺激策が始まった。補助金額は販売価格の15~20%が基準とされるため、高額なテレビほど受取額は増える。ミニLEDテレビは液晶テレビより高額で、購買が急速に増加した。
85、98、100型といった大型テレビほど補助額も大きく、販売が堅調だ。大型製品の出荷が伸びるなかで、一部では部材が逼迫しているもようだ。パネルの最表面に搭載し、反射を防止したり、高いコントラストを実現したりするAG/LRフィルムは、需要が4~5倍に増加したとの指摘もある。
中国でミニLEDテレビが売れる背景には、中国は有機ELテレビの有力パネルメーカーが育っていない事情もあるようだ。有機ELパネルは素子が発光する「自発光型」で、バックライトを必要としない。「技術的にパネル生産の参入は難しい」(テレビ市場関係者)とみられ、テレビの自国生産を進める中国はミニLEDに力を入れている。
カウンターポイントリサーチによると、ミニLEDテレビのメーカー別の世界シェア(出荷台数ベース)は22年まで韓国のサムスン電子がほぼ一強状態だったが、23年以降は中国のTCLや海信集団(ハイセンス)が躍進。補助金政策などを追い風に、24年はTCLが25%、ハイセンスが24%とサムスン(20%)を初めて追い抜いた。
ミニLEDテレビの価格は下落基調にある。98型は24年10~12月期の価格が3374ドル(約50万円)と、22年10~12月期と比べて3255ドル(49%)安い。2年で半値になった。
テレビメーカーが利幅の大きい大型テレビの生産を加速しており、コモディティー(汎用品)化が進んでいる。カウンターポイントリサーチの田村喜男日本代表は「大型サイズを中心に下落は進みそうだ」とみている。
生コン需要8.6%減、25年度見通し 人手不足 工事に遅れ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 508文字 PDF有 書誌情報]
全国生コンクリート工業組合連合会(東京・中央)は2025年度の全国の生コン需要量(出荷量)について、24年度の想定需要量に比べ8・6%少ない6350万立方メートルとの見通しを公表した。民需と官公需ともに減少を見込む。
全体の7割を占める民需は同5・7%少ない4494万3千立方メートルと想定した。都市部を中心に生コン出荷の受注契約はあるものの、技術者不足などが響き、工事が進みにくくなっている。
公共工事など官公需は同15・1%少ない1855万7千立方メートルとの想定だ。地方の工事が遅れ気味という。
24年春に示した24年度の需要想定は6950万立方メートルだった。ただ24年度から強化された建設現場の時間外労働の規制や技術者不足などが影響し、出荷は伸び悩む。連合会の斎藤昇一会長は「需要想定を大幅に下回る6600万立方メートル程度で着地しそうだ」と話す。
過去最低だった23年度の出荷量7018万1760立方メートルを下回る見込み。25年度はその水準をさらに下回る想定量となった。25年度の需要想定と同時に公表した25年2月単月の全国の生コン出荷量は、前年同月比9・4%減の495万4769立方メートルだった。
フェロクロム3%高、対日4~6月積み 生産コスト上昇[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 242文字 PDF有 書誌情報]
ステンレス鋼の原料に使う合金鉄のフェロクロムは、4~6月積みの対日価格が1ポンド148セントで決まった。1~3月積みに比べて5セント(3%)高い。上昇は2024年4~6月積み以来、4四半期ぶり。主産地の南アフリカで電気代などの生産コストが上がっており、価格上昇につながった。
ステンレス鋼生産の国内大手である日本製鉄と、南アフリカに拠点を持つ複数の資源会社との価格交渉がまとまった。
対日価格の交渉では、フェロクロムの大口需要家である欧州のスポット(随意契約)価格などを参考にする。
ミニLEDテレビ需要増 中国向け、出荷台数2倍超――日本でも存在感じわり、ソニー、生産シフト[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 236文字 PDF有 書誌情報]
日本でもミニLEDの存在感は徐々に高まっていきそうだ。液晶テレビでは日本の家電量販店の店頭に低価格の中国メーカー製が並ぶようになった。ミニLEDも中国で普及と値下がりが進めば、日本や世界の市場で買いやすくなる可能性はある。
日本メーカーのミニLEDテレビの世界シェアは24年時点でソニーが4%、シャープが0・2%だ。ソニーは24年に有機ELテレビの出荷を減らし、ミニLEDテレビの出荷を23年の3・7倍にあたる30万台まで増やすなど、ミニLEDの生産にシフトしつつある。
伸銅品生産量 2月は4.1%減 自動車向け落ち込み[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 202文字 PDF有 書誌情報]
日本伸銅協会(東京・台東)がまとめた2月の伸銅品生産量(速報)は前年同月比4・1%減の5万2770トンだった。2カ月ぶりにマイナスとなった。
全14品種のうち8品種が前年同月を下回った。最も生産量が多い銅条は7・1%減の1万8898トンと4カ月連続でマイナスとなった。日系自動車の中国販売の低迷で自動車用の端子・コネクター向けがさえなかった。スマートフォンを除く情報家電や生活家電向け需要も低調だった。
<数表>4月8日卸売市場(主要相場)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 7135文字 PDF有 書誌情報]
8 日
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4580頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=まちまち上場430頭
和牛雌A ― ― 2151 2276 2553
和牛雌B ― ― ― ― 2061
和牛去勢A ― 1891 2159 2279 2583
和牛去勢B ― ― ― ― 2188
交雑種雌B ― 1466 1572 1645 ―
交雑種去勢B ― 1502 1618 1757 1620
▽搬入物 上場85.5頭
和牛雌A ― 1337 1801 1780 2684
和牛雌B 1163 1221 1296 ― ―
和牛去勢A ― ― ― 2206 2659
交雑種雌B ― ― 1521 ― ―
交雑種去勢B ― ― 1314 ― ―
乳牛雌C 873 840 ― ― ―
◇大阪=もちあい上場114頭
和牛雌A ― ― ― 2466 2642
和牛去勢A ― ― 2068 2391 2659
交雑種雌B ― 1502 1633 1738 ―
交雑種去勢B ― 1507 1645 1739 ―
◇仙台=弱もちあい上場33頭
和牛雌A ― ― ― ― 1984
和牛去勢A ― ― 1718 2028 2324
乳牛雌B ― 829 ― ― ―
◇さいたま=―上場64頭
和牛雌A ― ― 1253 ― 2322
◇横浜=堅調上場62頭
和牛雌A ― ― 2076 2220 2388
和牛去勢A ― ― ― 2241 2344
◇名古屋=上場なし
◇京都=弱もちあい上場59頭
和牛雌A ― ― ― 2324 2612
和牛去勢A ― ― ― 2349 2666
交雑種雌B ― ― 1569 1588 ―
◇神戸=―上場73頭
和牛雌A ― 1885 ― 2402 2700
◇広島=―上場38頭
和牛雌A ― ― ― 2204 2569
和牛去勢A ― ― ― 2193 2604
◇福岡=もちあい上場130頭
和牛雌A ― ― 2165 2316 2468
和牛去勢A ― ― 2130 2284 2550
和牛部分肉
◇日本食肉流通センター(肉質等級4、相手
先渡し、チルド、取引重量トン、算定対象期間
は前週)
重量中央値 取引重量
肩ロース 4194 6.0
肩 3398 9.1
肩ばら 2863 1.7
ヒレ 9720 1.5
ロイン 5516 1.6
ともばら 2277 11.5
うちもも 4126 2.1
しんたま 4167 3.9
らんいち 4158 2.5
そともも 3421 3.2
すね 1893 2.8
セット 4277 21.3
豚 肉
<全国と畜概算頭数 63800頭>
安値 高値 加重 頭数
◇東京=反発 上場1108頭
極上 611 626 619 3
上 572 724 606 338
中 508 696 575 457
並 446 609 538 236
等外 302 561 471 74
◇大阪=―上場55頭
中 583 633 606 10
並 490 590 551 31
等外 320 521 467 13
◇仙台=―上場124頭
上 518 575 550 66
中 464 531 485 38
並 367 518 415 17
等外 97 248 188 3
◇茨城=上がる取引頭数597頭
極上 642 642 642 3
上 579 636 606 260
中 518 609 580 248
並 516 577 543 61
等外 469 528 511 25
◇群馬=軟調取引頭数1586頭
極上 603 648 614 15
上 595 702 615 865
中 194 702 590 531
並 140 702 489 113
等外 86 669 373 62
◇さいたま=上伸上場200頭
極上 625 626 626 2
上 594 635 609 57
中 508 618 592 65
並 400 606 554 42
等外 378 523 482 34
◇横浜=反落上場678頭
極上 626 626 626 7
上 590 643 608 323
中 551 598 582 235
並 497 582 559 87
等外 475 562 499 26
◇名古屋=下がる上場313頭
上 551 594 562 181
中 529 561 549 108
並 486 555 539 11
等外 194 496 422 13
◇京都=もちあい上場104頭
上 600 622 617 40
中 579 611 593 32
並 537 600 570 28
等外 487 487 487 4
◇神戸=―上場148頭
上 585 1013 795 78
中 585 987 850 50
並 537 1030 808 18
等外 475 652 567 2
◇広島=急騰上場101頭
極上 616 616 616 1
上 605 702 609 79
中 565 621 580 15
並 537 537 537 6
◇福岡=もちあい上場122頭
上 578 600 587 43
中 551 566 561 67
並 529 540 532 8
等外 389 390 390 4
豚部分肉
◇日本食肉流通センター(生鮮=I、相手先
渡し、8ミリ整形物、取引重量トン、算定対象期
間は公表日前日までの1週間)
重量中央値 取引重量
肩ロース 1206 58.0
うで 824 121.6
ロース 1104 164.1
ばら 1223 135.1
もも 799 156.3
ヒレ 1129 10.0
セット 1031 765.2
魚 介(中央卸売市場)
◇東京・豊洲=まちまち
(都調べ、取扱数量1008トン、※は相対取引)
高値 安値
マグロ 宮城 3780 2700
メバチ 和歌山 3780 2160
マカジキ 各地 1728 1404
車エビ・養殖 各地 10800 4860
※ 本メジ 各地 3024 864
※ マダイ 各地 3240 756
※ キンメダイ 各地 4428 1404
※ ブリ 各地 864 324
※ ワラサ 各地 648 324
※ 赤カレイ 北海道 648 432
※ アジ・中 各地 972 540
※ サバ 各地 756 432
※ カツオ 鹿児島 1512 648
※ イワシ 各地 540 270
※ スルメイカ 各地 1728 1188
※ ヤリイカ 各地 2484 756
※ タラ・生 各地 864 648
※ カマス 各地 2160 864
※ メバル 各地 2484 1944
※ キンキ 各地 9720 2160
※ スズキ 各地 1188 432
※ キス 各地 3240 2160
※ イサキ 各地 1944 1080
※ カキ・むき 各地 1944 1080
※ 塩サケ・アキサケ 北海道 1620 1404
シラス干し 各地 2376 1944
※ 干しサバ・開き・1枚 千葉 497 173
※ 干しアジ・開き・1枚・大 各地 378 324
※ シシャモ 各地 216 86
※ 煮ホタルイカ 富山 1080 756
◇大阪・本場=強含み
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
本マグロ 宮城 4104 2484
キワダ 和歌山 3024 2376
※ カツオ 三重 1728 1404
※ サケ 静岡 2381 ―
※ イワシ 富山 2160 216
※ アジ 高知 4547 324
※ サバ 長崎 713 389
※ ブリ・養殖 長崎 2646 2236
※ カンパチ・養殖 宮崎 4698 2106
ヒラメ 兵庫 2250 ―
カレイ 兵庫 2780 2469
※ マダイ 兵庫 4860 648
※ サワラ 和歌山 1728 1296
※ メバル 石川 1980 1800
※ イサキ 長崎 1944 1296
※ タチウオ 熊本 4320 3888
※ エビ 沖縄 17280 ―
※ カニ 新潟 8100 ―
※ スルメイカ 富山 1434 ―
※ タコ 兵庫 10800 2700
※ ホタテ貝 北海道 14256 1080
※ カキ 宮城 5400 594
※ アサリ 北海道 1512 1296
※ インドマグロ・冷凍 静岡 4190 ―
※ 塩サバ 千葉 1332 797
◇福岡=もちあい 高値 安値
カンパチ・養殖 鹿児島 2268 2106
タイ・養殖 熊本 1458 1296
ハマチ・養殖 長崎 1566 1458
アワビ 佐賀 19440 3240
サザエ 佐賀 1296 810
生ウニ・0.05キロ 鹿児島 1296 540
車エビ 沖縄 14040 9180
本マグロ・養殖 長崎 4320 3564
キビナゴ・3キロ 長崎 2700 ―
イワシ・大・4キロ 鳥取 2700 1404
野 菜(中央卸売市場)
◇東京・大田=もちあい 入荷2433トン
(都調べ、総計4591トン、※は相対取引)
高値 中値
大根 千葉 10キロ 2160 864
※ 大根 茨城 10キロ 1728 1404
※ カブ 千葉 800グラム 184 130
ニンジン 徳島 10キロ 1728 ―
※ ゴボウ 青森 4キロ 3024 2916
タケノコ 静岡 4キロ 5400 5400
キャベツ 神奈川 10キロ 2700 1404
※ キャベツ 愛知 10キロ 2592 1404
レタス 茨城 10キロ 1080 ―
白菜 茨城 13キロ 1404 648
小松菜 東京 500グラム 248 ―
※ 小松菜 茨城 200グラム 86 65
ホウレン草 群馬 200グラム 184 ―
※ ネギ 千葉 5キロ 4320 2592
※ フキ 愛知 2.8キロ 1944 1620
※ セロリ 静岡 10キロ 3564 2916
※ ブロッコリー 香川 6キロ 3672 3024
キュウリ 群馬 5キロ 1620 ―
※ キュウリ 埼玉 5キロ 2484 1836
ナス 高知 400グラム 248 ―
※ ナス 福岡 4キロ 2052 1620
※ トマト 熊本 4キロ 1728 1404
※ ミニトマト 熊本 3キロ 1944 1512
ピーマン 茨城 150グラム 140 ―
※ ピーマン 宮崎 130グラム 97 97
※ ソラ豆 鹿児島 4キロ 3456 3456
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 2808 ―
サツマ芋 茨城 5キロ 1188 1188
タマネギ 北海道 20キロ 2268 ―
※ 生シイタケ 秋田 100グラム 184 130
◇大阪・本場=もちあい 入荷1036トン
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
※ 大根 千葉 10キロ 1836 1512
※ カブ 千葉 10キロ 2808 ―
ニンジン 徳島 10キロ 3780 3240
※ ゴボウ 熊本 200グラム 270 ―
タケノコ 徳島 4キロ 3240 ―
※ レンコン 徳島 5キロ 4320 3240
※ 白菜 茨城 15キロ 2268 1404
※ キャベツ 愛知 10キロ 3024 1296
※ ホウレン草 岐阜 3.6キロ 2376 ―
※ 白ネギ 鳥取 3キロ 1728 1620
ニラ 高知 100グラム 86 65
※ セロリ 福岡 10キロ 3564 3024
※ アスパラガス 香川 150グラム 540 270
ブロッコリー 徳島 6キロ 2808 ―
※ レタス 徳島 10キロ 2376 1836
※ キュウリ 徳島 5キロ 1944 1728
※ ナス 福岡 300グラム 151 130
※ トマト 福岡 4キロ 1663 ―
※ ピーマン 茨城 150グラム 108 ―
※ エンドウ 和歌山 2キロ 2700 2268
サツマ芋 徳島 5キロ 2376 ―
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 3780 3456
タマネギ 北海道 20キロ 3780 2376
※ ショウガ 高知 80グラム 113 ―
※ 生シイタケ 秋田 100グラム 194 108
◇名古屋・中央=― 入荷670トン
高値 中値
大根 千葉 10キロ 1620 1512
ニンジン 徳島 10キロ 5249 3456
ゴボウ 熊本 2キロ 2592 2376
白菜 茨城 15キロ 2246 1944
キャベツ 愛知 10キロ 1944 1944
ネギ 大分 3キロ 1512 1458
セロリ 静岡 10キロ 3564 ―
ブロッコリー 徳島 6キロ 3294 3132
レタス 茨城 10キロ 2160 ―
キュウリ 愛知 5キロ 2214 1620
ナス 熊本 4キロ 1944 ―
ピーマン 鹿児島 7.8キロ 5184 ―
サヤエンドウ 和歌山 2キロ 1728 ―
サツマ芋 茨城 5キロ 1404 1134
里芋 愛媛 10キロ 5724 ―
タマネギ 北海道 20キロ 3294 3024
エノキダケ 長野 200グラム 73 54
◇福岡・中央=もちあい 入荷1013トン
高値 中値
大根 各地 1箱 1836 1080
ニンジン 各地 10キロ 3456 2592
ゴボウ 熊本 2キロ 2592 2376
タケノコ 福岡 1キロ 2700 ―
キャベツ 各地 10キロ 2160 1728
ホウレン草 福岡 1把 97 75
白ネギ 大分 3キロ 1458 ―
アスパラガス 各地 100グラム 216 ―
レタス 長崎 1箱 1512 756
キュウリ 各地 5キロ 1944 1404
ナス 福岡 1箱 1836 1620
トマト 各地 4キロ 2376 1296
ピーマン 鹿児島 130グラム 108 86
サツマ芋 各地 5キロ 2376 1296
ジャガ芋 鹿児島 10キロ 3456 ―
タマネギ 北海道 20キロ 3348 3024
生シイタケ 各地 100グラム 238 70
果 実(中央卸売市場)
◇東京・大田=もちあい 入荷309トン
(都調べ、総計586トン、※は相対取引)
高値 中値
※ 甘夏カン 各地 10キロ 2808 2376
※ ハッサク 和歌山 10キロ 3780 3456
※ 不知火 熊本 5キロ 3024 2808
※ 清見 愛媛 10キロ 4860 3672
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 8640 8640
リンゴ・王林 青森 10キロ 8640 7560
イチゴ・とちあいか 栃木 260グラム 410 ―
イチゴ・あまおう 福岡 270グラム 410 ―
※ イチゴ・とちおとめ 栃木 260グラム 421 313
※ イチゴ・紅ほっぺ 静岡 280グラム 410 ―
メロン・アールス 静岡 1キロ 2700 2160
※ メロン・アールス 高知 9キロ 14040 11988
※ スイカ 熊本 15キロ 9180 6480
※ スイカ・こだま 群馬 8キロ 6480 4968
◇大阪・本場=まちまち 入荷193トン
(大阪市調べ、※は相対取引) 高値 中値
甘夏カン 鹿児島 10キロ 2700 2376
清見 和歌山 10キロ 3240 ―
※ 清見 佐賀 10キロ 4104 ―
デコポン 香川 5キロ 2700 2160
リンゴ・ジョナゴールド 青森 10キロ 5940 5400
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 7776 4320
イチゴ 長崎 250グラム 464 324
イチゴ 佐賀 240グラム 486 346
メロン・アールス 静岡 9キロ 24840 17280
スイカ 群馬 9キロ 7668 5940
※ キウイ 愛媛 3.6キロ 2808 2700
◇名古屋・中央=― 入荷72トン
高値 安値
デコポン 愛知 6.5キロ 5076 4212
リンゴ・王林 青森 10キロ 4320 3564
メロン・アールス 静岡 9キロ 17280 14040
スイカ 熊本 13キロ 5832 ―
◇福岡・中央=もちあい 入荷193トン
高値 中値
リンゴ・ジョナゴールド 青森 10キロ 6480 4320
リンゴ・サンふじ 青森 10キロ 7020 4860
イチゴ 福岡 270グラム 929 346
生 花(中央卸売市場)
◇東京・大田=入荷なし
……………………………………………
お断り 掲載以外休場及び該当なしです。
生かせ国産木材(下)バイオマス発電 普及に影、住宅市場低迷 燃料の端材不足[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1266文字 PDF有 書誌情報]
「原料となる丸太の集荷はとても厳しくなった」。バイオマス発電所で燃料に使う木質チップの生産販売会社の担当者の表情は暗い。チップをつくるための丸太の出材は最近5~6年で半減。丸太の調達価格は3~5割跳ね上がったという。
間伐材やゴミ、廃油などを燃やす熱を利用して電気を起こすバイオマス発電。資源エネルギー庁によると、木質燃料を使う木質バイオマス発電所のうち稼働している発電所は近年急増し、24年9月時点で全国で300カ所を超えた。
国の固定価格買い取り制度(FIT)の対象になる。同じく対象の風力や太陽光に比べ天候に左右されず運営できる点などから、大手企業などの参入が相次いでいる。
その運営に影を落としているのが、燃料となる木質チップの不足と価格の高騰だ。日本木質バイオマスエネルギー協会(東京・台東)が全国のバイオマス発電所を対象に実施する調査で、2024年9月時点の燃料用チップの調達価格(含水率0%)は1トンあたり2万3042円。遡れる17年6月から16%上がった。
燃料生産会社がチップをつくるために調達する丸太の価格も34%高くなった。「各地のバイオマス発電所は丸太の安定調達が難しくなっている」(日本木質バイオマスエネルギー協会の沢田直美専務理事)
背景にあるのが、住宅市場の低迷だ。新型コロナウイルス禍で一時は膨らんだ新築需要も一巡し、木造住宅用に木を伐採する機会が減少している。伐採した樹木は、幹の太さや場所によって、製材品、合板など建材になる部分が選ばれ、端材が燃料チップなどになる。ただ伐採機会が減ったことで端材が少なくなっている。
チップ生産会社は林業会社に端材や間伐材の提供を求めるが、燃料向けの価格は合板など建材向けを大きく下回る。「チップ生産会社の要望は、マグロでいえば『トロの部分はいらないがアラだけ安く買いたい』というもの。伐採後の植林などの負担を考えると、アラの売値だけでは採算が合わない」。三重県の林業経営者はため息をつく。
国産チップを確保できない発電所は、円安で高値が続く輸入チップを調達するなど、コストがかさむ。東京商工リサーチ(東京・千代田)によると、24年11月から25年2月までに5カ所の発電所が稼働の停止などに追い込まれた。
林業会社などで組織するノースジャパン素材流通協同組合(盛岡市)の鈴木信哉理事長は「燃料や丸太の安定流通には、地域の林業や燃料供給会社、発電事業者などの間で信頼関係づくりが欠かせない」と話す。
市場関係者によると、林業者も高く売れるときに出す傾向があるとの指摘もある。新しい市場だけに、持続可能な価格や取引のバランスを今後探ることになりそうだ。
燃料になる間伐材や端材が安定的に発生するには、住宅市場で国産木材の活用が進む必要もある。足元の国産木材の活用機運の高まりはよい機会だ。住宅市場における国産材の活性化と再生可能エネルギーの促進を密接にとらえ幅広い関係者が連携を深める。日本の森林資源を生かすための広い視野に期待したい。
杉山麻衣子が担当しました。
<数表>4月8日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 19ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
8日 230.028
前日比 +0.094
(1970年平均=100)
不信社会と向き合う(上) ネットワークで対抗せよ 風間規男・同志社大学教授(経済教室)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 25ページ 2838文字 PDF有 書誌情報]
混迷の時代を迎えている。社会科学では、この新たな事態に様々な名前を与え、変化の深層に迫ろうとしてきた。ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックは「リスク社会」と名付けた。
産業社会が生み出した原子力技術や遺伝子工学は、制御を誤ると大惨事をもたらす。そのリスクの評価には高度な専門知識が必要で、科学者の判断に頼ることになる。しかし論争のある問題では科学者の意見は対立し、誰もが納得する結論が示されることはない。
ポーランド出身の社会学者ジグムント・バウマンは「リキッド・モダニティー」と表現した。液状化する社会は軽さやスピードを求め、国境を越えてフットワークよく動き回る人は豊かになるが、地域に根を下ろし生活を営む人は相対的に不利な状況に置かれる。
経営学では、「VUCA世界」という言葉が定着している。流動性・不確実性・複雑性が増し、曖昧な状況の中での経営判断が強いられることを意味する。
変化が激しく先の読めない世界では、政府のメッセージは行動の指針として役に立たず、不信が広がる。このような状況を、フランスの政治学者ピエール・ロザンヴァロンは「不信社会」と表現した。社会は、都市と農村、グローバル主義と保護主義、経済発展と環境保護など無数の対立軸で切り刻まれている。政府は、多様化する有権者の声を受け止めることができず、信頼を失っていく。
米国で「政府が正しいことをしている」と信じる人の割合は、ケネディ政権時には70%を超えていたが、ゆっくり下降線をたどり、オバマ政権以降は25%前後を推移している。公共的な課題を解決する「ガバナンス体制」への信頼が根本から揺らいでいるところに、問題の根深さがある。
ガバナンス体制は、3つの主要な課題解決スタイルのバランスの上に成り立っている(図参照)。
第1にヒエラルキー。軍事・警察力に基づく強制力を背景に、国家が資金・人材・情報などの資源を集め、規制や給付といった政策手法を使って課題解決を図る。第2にマーケット。競争市場の中で合理化のインセンティブ(誘因)を働かせ、安価で質の高い財が提供されることで課題が解決される。第3にネットワーク。行政と多様な民間主体がネットワークをつくり、対等な立場で協力し、解決を図る。
20世紀はヒエラルキーの時代だった。国家の下で社会保障の充実が図られ、景気対策などマクロ経済政策が展開された。選挙を通じて有権者の要求が政府に流れ込み、「ゆりかごから墓場まで」のケアを提供する大衆福祉国家に成長した。
しかし1980年代に入ると、国家の肥大化が慢性的な財政赤字を生み出し、社会の活力を奪うという認識が定着し始める。英サッチャー政権下で、ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)と総称される改革が進められ、世界中に広がっていった。橋本行革や小泉構造改革もNPMの方向に沿った改革だった。
NPMは、公共サービスは民間でも担うことができ、官民が競争すれば質の高いサービスが提供されると信じる新自由主義の思想に基づいている。
小さな政府を理想とする新自由主義では自己責任が強調され、個人の才覚で自律的に生活していくことを求める。しかし昨今親ガチャといわれるように、生まれた家庭によって教育の質が異なり、それがキャリアに反映される。選んだ職業も人工知能(AI)時代の到来でどうなるかわからない。流動性・不確実性の高い社会では、偶然の積み重ねが人生を左右するのだ。
新自由主義志向の体制の中で格差が広がり、割を食っていると感じる層が拡大する。報われない人たちの怒りがSNSで共有され、体制への不信感が増幅されていく。ポピュリストは、その気分をくみとり、不信感に寄り添うことで信頼を得ていく。支持者たちは、政治に関心を持ち真剣に答えを求めているがゆえに、ポピュリストの主張にひきつけられる。
不信社会に生きるわたしたちは2つのガバナンス体制の分岐点に立っている。
ひとつは権威主義国家への道。ポピュリストの描く未来を信じたいという感情にとりつかれると、思考停止状態に陥る。事実に基づく合理的な主張、法に基づく正当な主張にも耳を貸さなくなり、不信社会が妄信社会に転回する。
だがポピュリストの好む自国第一主義や排外主義は、いずれ行き詰まる。イノベーション(革新)を生む多様な視点のぶつかり合いが起こらないからだ。今の米国があるのも、移民が多様な価値観を持ち込むことで、哲学者カール・ポパーのいう「開かれた社会」が実現したからである。
多様性を認めない閉じた社会では、政策が行き詰まると、秩序を維持し生活を守るという大義名分のもと、少数者たちを内なる敵として扱うようになる。少数者の異議申し立ては黙殺され、自由を抑圧する権威主義国家が完成に向かう。
英オックスフォード大学の研究チームによると、199カ国・地域のうち、民主主義体制に分類できるのは90カ国・地域にすぎず、残りは権威主義体制である。不信社会に広がるネガティブな感情を放置すれば、権威主義国家がさらに増えていくだろう。
もうひとつの可能性は、失われた信頼をネットワークによって回復し民主主義体制を維持する道である。
米国の政治学者ロバート・パットナムは、社会に対する信頼は、ネットワークにおける人的な交流によって育まれると論じた。政治学では、ネットワークに期待を寄せる体制を「多中心ガバナンス」という。そこでは、共通の目的を持つ人たちが自発的に作る組織「アソシエーション」が重要な役割を果たす。
日本は、非営利組織、非政府組織やボランティア団体などの加入者が少ない。一方、社会的責任に自覚的で「パーパス経営」を推し進める企業は増えているし、若い世代が起業する会社には、社会課題の解決につながるビジョンを掲げているところが多い。
多様性を認め合いながらアソシエーションがつながり、政府との間で建設的な議論をかわす。地道に取材するジャーナリストとともに、客観的な事実をよりどころにして、ポピュリストが流すデマに対抗していく。社会の中で報われない人々の声に耳を傾け、思考が停止している人たちと粘り強く対話を続ける。
そのようにして、持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる「誰一人取り残さない」世界を実現する。国家が自由を抑圧する動きをみせたときには、ネットワークが「対抗権力」を生み出し、多様性を大切にする民主的な社会を守る。
多中心ガバナンスでは、英国の政治学者バーナード・クリックがいう「政治リテラシー」が高いレベルで問われる。これからはメディアリテラシー・統計リテラシー・法リテラシーを育む「シティズンシップ教育」が鍵になるだろう。
<ポイント>
○分断と多様化が進み政府が対応できない
○偶然が人生を左右するという認識広がる
○認め合う関係の網の形成が信頼回復の鍵
かざま・のりお 63年生まれ。早稲田大政経卒、同大博士(政治学)。専門は政治学、公共政策論
歴史に自然実験を見いだす(1) 「実験」で進んだ効果の検証 一橋大学教授 森口千晶(やさしい経済学)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 25ページ 836文字 PDF有 書誌情報]
経済史とは、経済学の手法を用いて歴史を解明する学問です。「江戸時代に生活水準は向上したのか」「なぜ中国ではなく英国で産業革命が起きたのか」といった問いは、経済史の重要なテーマです。ただ、学問の実用性や即効性が重視されるなかで、経済史の存在感は薄れていく傾向にありました。
しかし、経済学に「自然実験」という因果推論の手法が広まり、歴史を自然実験に用いる研究が進展したことで、経済史はいま新たな注目を集めています。昨年、ノーベル経済学賞を受賞したダロン・アセモグル氏らの研究はその代表例です。この連載では歴史に自然実験を見いだす手法とその成果を解説します。
自然科学では、「X(原因)によってY(結果)が起きる」という因果関係を立証するため、ランダム化比較試験(RCT)を用います。実験対象者を無作為に2つの集団に分け、一方にだけXを与え、それ以外の条件は同じにして、集団間でYを比較します。ここで重要なのは、ランダム化によって2つの集団が統計的に同質になる点です。
日本でも明治初期に、海軍が脚気(かっけ)と食事の因果関係を検証するために実験航海を行いました。同じ航路を行く2隻の練習艦で、一方の兵食を白米から麦食に変えたところ、乗組員の脚気罹患(りかん)率が劇的に低下したのです。ただ、この実験航海はRCTではなかったため、陸軍はこの結果を正当と認めず、その後も白米の兵食に固執し、日露戦争に至るまで甚大な脚気被害を出し続けたといいます。
経済学に実験が導入されたのは1980年代のことです。実験経済学では実験室実験を用いたミクロ理論の検証が始まり、労働経済学では実際の制度変化を用いてRCTのような状況を作り出し、制度の効果を計測する方法が生まれました。さらに、開発経済学では政府の協力を得て政策を導入する際にRCTを組み込み、フィールド実験を使って政策の効果を検証するようになったのです。
もりぐち・ちあき 米スタンフォード大学博士(経済学)。専門は比較経済史
結婚式場休館、業界対応が必要 中小企業診断士・ホテル管理会計研究者 木伏源太(私見卓見)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 25ページ 0文字 書誌情報]
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新入生へ なぜ大学で学ぶのか 考える力、生き抜く礎に 自ら行動 失敗にもめげず(学びのツボ)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1945文字 PDF有 書誌情報]
新入生のみなさん、入学おめでとう。将来への夢を膨らませる一方で「大学ではどんなふうに学び、活動したらよいだろう」と疑問を抱いているかもしれません。そこで在学生の体験も踏まえながら、キャンパスで実践したいポイントを紹介します。日々、試行錯誤した経験はみなさんの生きる力を育んでくれるでしょう。
日本経済新聞社には大学と協力して講義を運営する「日経講座」という取り組みがあります。2024年度に担当した授業で、在学生に「こうすればよかった」という視点で新入生へのアドバイスをヒアリングしました。
まず、大学で学び、活動する上での心構えです。強調していたのが「他の学生たちの価値観や人生観を知ることが大きな刺激になる」という意見です。今まで考えてもみなかった視野を広げるきっかけになり、さらに学びたい、活動してみたいという気持ちが湧いてきたそうです。
大学には専攻はもちろん、出身地、年齢などが異なる学生が集っています。まさに多様性にあふれた学びや活動の環境があります。他の学生が教員にする質問にも「こんな考え方があるのか」という意外な気づきがあるのだそうです。日々の大学生活にヒントがあるのですね。
この姿勢はインターネットで資料を集める際に役立ちます。キーワードで情報を検索すると同じような結果が集まることがありませんか。在学生は「他の視点や批判的な分析がないか探してみる」そうです。こうした工夫が情報の真偽を確かめる力を身につけるきっかけになるのです。
もちろん新入生が描く夢はそれぞれだと思います。たとえば卒業までの4年間をイメージすると、就職、留学、大学院など様々な選択肢があるでしょう。自らの夢を実現するためにどのようにチャレンジすればよいでしょうか。在学生に尋ねるとこんなアドバイスをしてくれました。
「かなえたいテーマがあるなら少しずつ動き出そう」「自分で判断したことなら失敗しても自信になる」。夢に近づくための情報を集め、考える準備は一人ひとり異なります。在学生からは「行動しなかったときの方が後悔は大きくなる」という本音を知ることができました。
後悔や反省は4年生に近づくほど強まるようです。学生生活の限りある時間を意識し、チャレンジできることの大切さを感じるのでしょう。今春就職した卒業生も「自ら動いて新たな視野や交流の機会を得るなかで働くことを考えるきっかけをつかみました」と寄せてくれました。
誤解しないでほしいのは、4年後の進路について今は明確な答えがなくてもよいということです。答えはすぐに見つかるわけではありません。実際、在学生は将来像を描くために学び、考え、ときには教員、先輩、友人の意見にも耳を傾けながら軌道修正をして歩んでいるのです。
そうしたチャンスを広げるために、まず大事なことは授業に出席し、学びを深掘りしていく経験ではないかと考えています。在学生には「帰省したときなど好きな授業の魅力を友人や家族に話した」「興味のあるテーマを探して外部の講演会に参加した」という体験もありました。
学びを深める身近な方法があります。たとえば大学は学生が学んだことや気づいたことを手書きして授業後に提出するリアクションペーパーを採用しています。短時間で自分の考えをまとめ、文字にする練習です。教員にも積極的に質問してみましょう。
在学生は「授業で書いたり、話したりする小さな積み重ねが『伝える力』を磨く練習になる」と振り返っていました。自分で考え、伝える力は仲間と活動していく上でも欠かせません。こうした力を鍛えておくことは卒業した後にさらに生きてきます。
現代は国際情勢がめまぐるしく変化し、人工知能(AI)などの科学技術が急速に進歩しています。社会に出ると、生きること、働くことなど厳しい現実にも直面するでしょう。正解のない課題にも折り合いをつけていかねばなりません。そんなとき「考える力」や「伝える力」が支えになります。それは卒業後も学び続け、磨いていかねばならない生きる力なのです。
大学とは「どんな人生を歩むのか」という自らの夢を育む舞台でもあると思います。「なぜ大学で学ぶのか」というテーマにも通じるでしょう。大学では夢の実現に必要な知識を吸収し、少しずつ経験を積み重ねていきましょう。大切なことは自分で判断し、行動する姿勢です。
春学期(前期)は新生活に慣れること、受験の疲れをリフレッシュすることをすすめます。少し気持ちに余裕が出てきたら、先輩の体験や友人の意見を参考に、自分なりの生き方や働き方を考え始めてみませんか。それが新たな人生への一歩になるでしょう。
(編集委員 倉品武文)
【図・写真】毎春、多くの新入生が在学生と一緒に学び始める(立教大学)
池上彰の大岡山通信若者たちへ(371)新社会人へ 最初から順風満帆はない[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1497文字 PDF有 書誌情報]
新年度が始まりました。新社会人や新入生の中には、「これから新聞を読んでみよう」と決意した人もいることでしょう。社会人になると、会社など組織の上司や取引先の人たちは、新聞を読んで最新の情報を把握しています。出社した途端、上司から「あの記事をどう思う?」などと問われることが出てきます。取引先を訪ねたら、「業界のことがニュースになっていたね」などと話しかけられることが出てきます。
そんなとき、「すみません、読んでいません」などと情けない返事しかできないようでは社会人失格です。
というわけで、極めて実利的な意味でも新聞は読んでおいた方がいいのですが、仕事のためにだけ新聞を読むというのでは、ちょっと寂しいですね。新聞には思わぬ情報も載っているからです。
私が愛読しているのは本紙コラム「私の履歴書」です。不思議なもので、若い頃は関心が持てなかったコラムなのですが、自分が高齢になってきたら、俄然(がぜん)興味を持つようになったのです。
功成り名を遂げたような人たちが、どのような体験を経て現在に至ったのかを知ると、多くの人が若い頃に挫折したり、大変辛(つら)い思いをしてきたりしたことがわかります。最初から順風満帆などという人生の人はいないのです。これが共感を呼ぶのですね。
いまになってみると、もっと若い頃から愛読しておけば、辛い日々の支えになったのではないかと思うのです。
そこで、「就職活動のためには日経新聞を読んでおかなければ」などと義務感で読み始めた新入生諸君にも、おすすめします。実にさまざまな業界の人が登場しますから、業界研究にもなるのです。
あるいは、若い頃に不本意な異動を経験したことが、あとになって貴重な財産になっている人の体験談には励まされることでしょう。あなたも、そんな人生を歩むことになるかもしれませんから。
組織の中に入って働くことは、新社会人だけでなく学生諸君にとって不安でしょう。でも、組織の中で経験を積んできた人たちの体験談を知ると、「組織論」を学ぶ機会にもなります。そこから論文を書くアイデアが得られるかもしれません。
さらに文章の書き方を学ぶうえでも役に立ちます。「私の履歴書」の連載冒頭では、その人の現在の姿が描かれます。そこから2回目以降は、幼少の頃にさかのぼって話が展開します。まずは現在の姿や仕事の様子を知ってもらってから過去に戻る。これが定番のスタイルです。
これは、あなたにとっての文章修行にもなりますね。「そもそも私は」などと書き出すのではなく、まずは現状を紹介する。それから、これまでの道のりを説明する。この構成が、わかりやすく面白い読み物になるのです。
コラムは連載ですから、話が盛り上がったところで終わりになると、「続きが読みたくなるような構成になっているのだな」ということがわかります。翌日も読んでもらえるようにするには、どうしたらいいか。そんな文章読本のお手本のような工夫の実例が展開されているのです。
初めて新聞を読むようになった人の中には、「隅から隅まで読まなければならない」と考えてしまう真面目な人もいることでしょう。でも、それでは負担が重すぎます。読むところが一つでもあればいいのです。それを積み重ねていくことで、あなたは新たな地平に立てるのです。
大岡山は池上教授の活動拠点である東京科学大学のキャンパス名に由来します。日経電子版に「大岡山通信」ほか「コラム」を掲載しています。
▼ビジネス→コラム→就活→「池上彰の大岡山通信」「チーム池上が行く!」「池上彰のSTEAM教育革新」
【図・写真】4月1日、全国で入社式が開かれた
シャウフェレ3冠狙う マスターズあすから けがで出遅れ「戻ってきた」[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 699文字 書誌情報]
10日に開幕するゴルフのメジャー、マスターズ・トーナメントに8年連続8回目の出場となるザンダー・シャウフェレ(米国)が7日、記者会見に臨んだ。出場選手の1番手で会見に出席し、「どれだけの木が倒れたかを目にするのは悲しくもある」と述べて昨年9月のハリケーン被害がオーガスタ・ナショナルGCにもたらした変化に言及した。
前日の日曜に10番からの9ホールを回ったシャウフェレは「初めて回ったような気がするバックナインだった。(木々が減り隙間ができて)コースの半分が見えるような感覚だった」。同GCは被害の実態を明らかにはしていないが、近隣では1千~2千本の倒木が発生したコースもあったと現地では報道されている。
自身は肋骨を痛めるけがで出遅れ、今季ツアー参戦はわずか4戦にとどまった。「ライバルたちのプレーをテレビで見て学び、ゴルフへの情熱がまったく衰えていないことがわかった。ここに戻ってこれた幸運に喜びを感じる」。昨年5月の全米プロ、7月の全英オープンとメジャー2冠を達成し、今回は年またぎのメジャー連勝をかけてオーガスタ入りした。
「メジャーを勝っていないときからずっと、グランドスラムは意識してきた」とにやり。タイガー・ウッズが優勝した19年は2位、松山英樹と優勝を争った21年の3位など過去7回でトップ10入り4回と相性のいいマスターズ。今回で3冠となれば、1年間で一気に生涯グランドスラムへとスピード王手をかけることになる。
(米オーガスタ=串田孝義)
【図・写真】シャウフェレは、今季ツアー参戦が出遅れるも優勝に意欲を示す=Reinhold Matay―Imagn Images提供・ロイター
桜花賞13日発走、2歳女王中心も混戦[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 641文字 PDF有 書誌情報]
3歳牝馬による競馬のクラシック第1弾、第85回桜花賞(GⅠ)が13日、阪神競馬場芝1600メートルで行われる。2024年の2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)を勝ち、直行で桜花賞に向かうアルマヴェローチェ(栗東・上村洋行厩舎)が優勝争いの中心。だが、実力が拮抗した混戦模様で、新星が現れる可能性もある。
アルマヴェローチェはここまで3戦2勝。昨夏のデビュー戦を逃げ切って勝つと、2戦目の札幌2歳ステークス(G3)では中位から馬群の内を回って追い上げて2着に入った。
その後は間隔を空け、12月の阪神JFに出走。中団追走から馬群の外側を回って鮮やかに差し切った。3戦とも違うレースの形になりながらも結果を出しており、レースセンスの良さが光る。
1冠目に向けて調整も順調だ。2日の調教に騎乗した騎手の岩田望は「馬体が一回り大きくなったし、動きからも成長を感じた」と手応えを語る。同馬が軸となり優勝争いが展開されそうだ。
ただ、ほかの有力馬との実力差はそれほど大きいようにもみえない。他馬の逆転もあり得る。
その可能性を秘めるのが1月のフェアリーステークス(G3)を勝ったエリカエクスプレス(栗東・杉山晴紀厩舎)、2月のクイーンカップ(G3)を制したエンブロイダリー(美浦・森一誠厩舎)の2頭。いずれも速いペースを先行しながらフェアリーS、クイーンCを勝っており、レース内容が濃かった。ほかには阪神JF2着のビップデイジー(栗東・松下武士厩舎)なども圏内だ。
(関根慶太郎)
ヤクルト・高橋、平常心で快投 8回無失点、投手戦制す(プロ野球)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 656文字 PDF有 書誌情報]
ヤクルトの高橋は2021年のオリックスとの日本シリーズ第2戦で、レギュラーシーズンでも経験のなかった完封を果たした。日本一につながった当時の勇姿を思い出させる、8回被安打3、9奪三振の無失点投球。阪神・才木との緊迫感漂う投手戦を制し、「向こうの投球につられた」。相手投手の快投が集中力を研ぎ澄ましたのも4年前と同じだった。
初回、1番・近本に3球続けてボール。振り返れば、危うさを感じさせたのはこの場面だけだった。その後、ストライクをしっかり投げ込んで一ゴロに仕留めると、立ち上がりを3人で料理した。
二回は3つのアウトを全て見逃し三振で奪った。「2ストライクを取ってからもいい力感で投げられた」。140キロ台後半の直球とブレーキの効いたチェンジアップとの緩急を駆使。四回2死から4番・森下に中前に運ばれるまで無安打投球だった。
七回に連続四球を与えて1死一、二塁としたが、「あまりピンチと考えずに」と平常心で代打・原口を遊ゴロ併殺打に仕留めた。八回無死一塁でこの日先発から外れた代打・佐藤輝を迎えた場面では、「大声援を自分への応援だと思って」と空振り三振を奪い、敵地の虎党の歓声を深いため息に変えた。
21年日本シリーズで球界を代表する投手に羽ばたく予感を漂わせたものの、最高成績は22年と24年の8勝と伸び悩みは否めない。「きょうはキャンプから意識してきたリラックスして強い球を投げることができていた」と高津監督。自身初の2桁勝利へ弾みがつきそうな119球だった。
(田村城)
【図・写真】阪神戦に先発した高橋
種市、西武キラー健在 7回1失点、ロッテ快勝(プロ野球)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 251文字 PDF有 書誌情報]
ロッテ・種市が7回1失点と好投し、2020年から続く自身の西武戦の連勝を6にのばした。敵地のマウンドが「好きな部類。相性があるのかな」。お得意先とする理由について涼しい顔で語った。
直球が140キロ台中盤主体と、本来の豪快な投球は見られなかったが「変化球は全体的に良かった」と、西武打線を3安打にまとめた。六回1死一塁では「(たまたまグラブに)入ってくれた」と強襲打を処理し、併殺プレーにつなげた。ツキも呼び込んで寄せ付けず、健在の西武キラーぶりを見せつけた。
【図・写真】西武戦に先発したロッテ・種市
周東4度出塁、打線をけん引 タカ今季初連勝(プロ野球)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 219文字 PDF有 書誌情報]
今季初の連勝で最下位を脱出したソフトバンクは、1番周東が敵失を含めて4度塁に出て打線を活気づけた。六回には、真ん中に入ってきた直球を捉える右越えの適時三塁打。貴重な5点目をたたき出し「大きい一本、追加点になった」と喜んだ。
九回には0―2から四球を選ぶなど粘りが光り「追い込まれてからも、打席の中で良いアプローチができている」。主軸の近藤をけがで欠き、足を痛めた柳田がこの日欠場した打線にあって、「らしさ」を出した周東の存在が頼もしい。
清宮勝ち越し打、則本の速球砕く 日本ハム(プロ野球)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 186文字 PDF有 書誌情報]
日本ハムの清宮幸が2―2の九回に勝ち越し2点二塁打を放った。好投手の則本の速球を力強く振り抜き、中越えに運んで「(伊藤)大海さんの投球(力投)があったから。みんなで取った点だった」とほほ笑んだ。
6日のオリックス戦では自身の守備が影響して敗れ、この日は三回まで2打席連続で空振り三振に倒れていた。「なかなかチームに貢献できていなかった。本当に打てて良かった」と安堵した。
近賀が今季限りで引退 元なでしこ(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
サッカー女子で元日本代表のDF近賀ゆかり(40)が今季限りで現役引退すると、所属先のWEリーグ広島が8日に発表した。2011年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会で日本の初優勝に貢献。主にサイドバックとして国際Aマッチ通算100試合出場、5得点。12年ロンドン五輪では銀メダルを獲得した。
大谷4号 サイクル目前 大リーグ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 310文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】米大リーグは7日、各地で行われ、ドジャースの大谷は敵地ワシントンでのナショナルズ戦に「1番・指名打者」で出場し、0―2の三回に4試合ぶりの本塁打となる右越え4号2ラン、五回には三塁打を放つなど、4打数3安打2打点をマークした。二塁打は出ず、サイクル安打達成はならなかった。チームは4―6で負け、今季初の2連敗を喫した。
メッツの千賀はマーリンズ戦に先発し、5回5安打無失点、4奪三振で今季初勝利を手にした。試合は2―0で勝った。
カブスの鈴木はレンジャーズ戦に「3番・指名打者」で出場し、3打数2安打1打点だった。試合は7―0で快勝した。
【図・写真】ナショナルズ戦の三回、4号2ランを放つ大谷=共同
男子ツアー挑戦、寺西「どきどき」 女子ゴルフ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 277文字 PDF有 書誌情報]
男子を統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)のツアープレーヤーの権利を女子選手で初めて得た寺西飛香留が8日、主催者推薦で出場する今季の男子ツアー初戦、東建ホームメイト・カップ(10日開幕)に向け、会場の三重県東建多度CC名古屋で練習し「出られることがうれしい。ファンのように見ていた選手と一緒の舞台に立てる。どきどきしている」と笑顔で心境を語った。
寺西は男子ツアーの出場権が懸かった昨年8月の予選会に参加し、規定を満たした。女子のプロテストにはまだ合格しておらず「初のレギュラーツアーが男子ツアーで、びっくりしている。予選通過が目標」と意気込んだ。
四十住や中村、優勝に燃える Xゲーム大阪大会[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
6月に大阪市の京セラドーム大阪で開催されるXゲーム大阪大会の記者会見が8日、同市の大阪・関西万博会場内で行われ、スケートボード女子パークの東京五輪覇者で和歌山県出身の四十住さくら(第一生命保険)は「家からも近いし、もう一回金メダルを取りたい。チャレンジしたい」と2022年千葉大会以来の優勝を誓った。
スケートボードや自転車BMXなどアクションスポーツで最高峰の国際大会。関西では初開催となる。自転車BMXフリースタイル・パークのパリ五輪代表で京都市出身の中村輪夢(ウイングアーク1st)は「Xゲームではまだ優勝できていない。気合が入る」と話した。
なでしこ若手活躍 練習試合、コロンビアに大勝[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 31ページ 263文字 PDF有 書誌情報]
サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は8日、堺市立サッカー・ナショナルトレーニングセンターでコロンビア代表と練習試合を行い、6―1で大勝した。
6日の同国との国際親善試合で出場時間の短かった控え組中心に臨み、1―0の後半に5点を奪った。
後半1分にゴールを決めた20歳のMF松窪(カレッジ)は「自分たちのやりたいサッカーができて、すごく楽しかった」と充実した表情。
18歳のMF真城(日テレ東京V)は終了間際に得点し「結果を残したいと思っていた」と笑みを浮かべた。
【図・写真】後半、チーム6点目のゴールを決める真城(右)
自動運転車の事故調査体制、航空・鉄道並みに 運輸安全委が対応、国交省方針 強い権限と専門性活用[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 1412文字 PDF有 書誌情報]
運転手のいない自動運転車両が起こした重大事故について、国土交通省は航空機や鉄道などの大型事故を扱う運輸安全委員会の調査対象とする。強い権限と高い専門性を持つ同委を活用し、安全性の向上や再発防止につなげる。自動運転による事故の調査の仕組みを整え、普及を後押しする。
国交省は5月に開く交通政策審議会の専門部会での議論を経て、人員の拡充や発足時期など詳細な制度設計を検討する。
運輸安全委は主に航空、鉄道、船舶で死傷者が出たり、死亡事故につながりかねない重大インシデントが発生したりした際に原因究明のために専門的な調査を担う独立した国の機関。捜査機関による刑事責任の追及とは異なり、科学的・客観的な調査を通じて報告書を作成し、将来の事故防止や被害軽減を目的とする。
新たに対象に加える自動運転車の調査は、死亡者が出たり車両が大破したりした事故のほか、死亡事故などにつながりやすい速度違反や信号無視が生じたケースを想定している。
具体的に見込まれるのは、運転手を必要としないレベル4、レベル5に加え、高速道路など一定の条件下で運転操作が不要になるレベル3で自動運行装置が全操作を行っている状況下で発生した事故。事業用の車両だけでなく自家用車についても取り扱う。
自動運転車で事故が起きた際、運転手がいないために刑事責任を負うべき対象が明確でなく、メーカーや運行事業者側のリスクへの懸念が普及のハードルとされてきた。
政府はメーカーや事業者が過大な責任を追及されることを防ぐとともに事故防止を目指し、2024年に独立の公的機関に事故調査を担わせる方針を固めた。国交省が検討を重ねた結果、運輸安全委に委ねることを決めた。
これまで自動運転車による事故の調査は、公益財団法人の交通事故総合分析センター(ITARDA)が国交省などから委託を受けて対応してきた。
21年に東京パラリンピックの選手村で起きたレベル2の自動運転バスの接触事故も調査を担当。バスを減速させる際の操作担当者の動作や判断の遅れに原因があった可能性が高いとした。だが被害者から調査への協力を得られないなど、情報収集力が課題とされてきた。
これに対し、運輸安全委は事故関係者の聞き取りや車両保全について法令に基づく強い権限を持つ。同委の調査に対する虚偽の陳述には罰則も規定され、正確な原因特定と再発防止策の策定につなげるための体制が整備されている。
このため同委が作成した報告書は事故原因を究明する重要な手掛かりとなり、捜査当局や裁判所による刑事、民事の判断に活用されてきた。事故が起きた場合の刑事責任の有無は、状況に応じて捜査機関が判断する。
自動運転車の普及が進む米国では死亡事故が発生しており、日本の運輸安全委にあたる米運輸安全委員会(NTSB)が事故調査体制を確立している。
日本はレベル4の公道走行を23年4月施行の改正道路交通法で解禁した。福井県永平寺町で全国初の公道運行サービスが始まり、国は25年度をめどに全国約50カ所で移動サービスを実現する目標を掲げる。
富士キメラ総研(東京・中央)によると、レベル3以上の自動運転車の生産台数が国内で1万台を超えるのは27年以降とみており、全国で利用が広がるのはさらに先になる見通しだ。
国は運輸安全委の専門性を生かした事故調査の仕組みを先行して整備することで、自動運転車の普及を後押しする狙いもあるとみられる。
万博開場の前倒し要請 吉村知事、リハ入場時混雑で 「ゲート運営悪い」の声も[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 651文字 PDF有 書誌情報]
大阪府の吉村洋文知事は8日、大阪・関西万博の入場ゲート前が混雑する場合は開場時間を前倒しするよう日本国際博覧会協会に要請した。協会の高科淳副事務総長は「混雑する状況になったときは可能性として考え得る」と応じた。
協会は入場日時の事前予約制を導入するなど「並ばない万博」を目指してきた。しかし、運営上の課題を洗い出すため、4~6日に計約9万8000人を会場に招いた「テストラン」では、開場直後の午前9時台などに入場ゲート前で長蛇の列が生じた。
万博では1日最大22万人超の来場者を見込み、13日の開幕日は予約だけで約14万人に上る。
吉村氏はテストランの結果を確認する万博推進本部会議で、開幕日も含めて開場の前倒しを協会に要請した。
高科氏は開幕日について「各パビリオンや営業施設などが準備の最終段階になっているため、時間の変更はかなり難しい」と述べた。
会議では、府・市がテストランに参加した職員756人を対象にしたアンケートの結果も公表。入場ゲートの運営が「悪かった」との回答が4割を超えた。「手荷物検査に関する案内が不足しており、多くの待ち時間が生じていた」などの意見が寄せられた。
パビリオンの運営については56%が「悪かった」と回答。「予約したパビリオンでも長時間待たされることが多かった」などの声があった。「駅から会場への出口が非常に混雑しており、エスカレーター付近が非常に危険だった」との指摘も上がった。
【図・写真】大阪・関西万博の「テストラン」に訪れた人たち(5日、大阪市此花区の夢洲)
毎日新聞GHD元室長を書類送検 警視庁、児童買春疑い[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 265文字 PDF有 書誌情報]
18歳未満の少女にみだらな行為を行ったなどとして、警視庁は8日までに、毎日新聞社の50代の男性社員を児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で書類送検した。事件当時、毎日新聞グループホールディングス(GHD)の内部監査室長を務めていた。
捜査関係者によると、書類送検容疑は2024年、18歳未満の少女に現金を支払った上でみだらな行為を行ったとしている。少女に自身のわいせつな画像を撮影させてスマートフォンで送らせた疑いも持たれている。元室長は容疑を認めている。2人はSNSを通じて出会い、元室長が警察署に自首したことで事件が発覚した。
土手重治氏(元JFEエンジニアリング社長)(死去)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 78文字 PDF有 書誌情報]
土手 重治氏(どて・しげはる=元JFEエンジニアリング社長)3月23日死去、86歳。連絡先は同社総務部広報室。告別式は近親者で行った。喪主は息子、祐之氏。
鈴木恭明氏(元三菱倉庫社長)(死去)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 74文字 PDF有 書誌情報]
鈴木 恭明氏(すずき・やすあき=元三菱倉庫社長)4月3日、老衰のため死去、90歳。連絡先は同社総務部。告別式は近親者で行った。喪主は妻、温子さん。
叙位[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 37文字 PDF有 書誌情報]
叙位(8日)従四位=元東邦銀行頭取故瀬谷俊雄氏、元北斗市長故海老沢順三氏
故斎藤十朗氏に従二位(短信)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 69文字 PDF有 書誌情報]
政府は8日の閣議で、3月17日に85歳で死去した元参院議長の斎藤十朗氏を従二位に叙すると決めた。斎藤氏は生前、桐花大綬章を受章している。
医療ヘリ、運航委託先調査 運輸安全委、整備や運航状況など[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 517文字 PDF有 書誌情報]
長崎県・壱岐島沖で3人が死亡した医療搬送用ヘリコプター事故で、運輸安全委員会の航空事故調査官は8日、福岡和白病院(福岡市)から運航を委託されたエス・ジー・シー佐賀航空(佐賀市)に調査に入った。機体整備や運航の状況などを聞き取り、原因究明を進める。
調査官は記者団に「機体の回収をできるだけ早く行いたい」と語った。7日には病院に調査に入り、機長ら搭乗者3人や運航管理の担当者から話を聞いていた。
中野洋昌国土交通相は8日の閣議後記者会見でエス・ジー・シー佐賀航空について問われ「運輸安全委の調査結果を踏まえて対応する」と述べるにとどめた。また、事故機と同型を運航する他の事業者に対し「今後注意喚起したい」と話した。
同社は昨年7月、福岡県柳川市で2人死亡のヘリ墜落事故を起こし、和白病院は搬送用ヘリの運航を一時休止。安全性を再確認し、同11月に運航を再開していた。
ヘリは長崎県・対馬空港を6日午後1時半に離陸し、午後2時15分に病院に到着予定だったが、離陸約15分後にシステム上で航跡が動かなくなった。同5時5分ごろに機体が見つかり、救助された6人のうち3人の死亡が確認された。
機体は2013年製のユーロコプターEC135T2+。
蛍光灯→LED、交換で事故 不適切作業で異常発熱など NITE、注意呼びかけ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 498文字 PDF有 書誌情報]
蛍光灯を発光ダイオード(LED)に交換する際、不適切な作業をすると後に事故につながる危険性があるとして、製品評価技術基盤機構(NITE)が注意喚起している。2027年末までに全ての一般照明用蛍光灯の製造や輸出入が禁止されるのを前に、交換する人が増えているという。
水俣病の原因となった水銀を包括的に規制する「水銀に関する水俣条約」の締約国会議で、水銀が含まれる蛍光灯の製造禁止などが合意された。日本照明工業会によると、国内のLED化率は24年末時点で6割となり、17年度に比べ2倍になっている。
NITEによると、既設の照明器具にLEDを装着する場合に手順を誤ったり、必要な工事をしなかったりして異常発熱する事例が24年までの10年間に12件報告されており、うち8件が火災に至っていた。
蛍光灯用の照明器具は点灯方式が3種類あり、LEDがその点灯方式に合っている必要がある。また蛍光灯用には点灯管という高電圧を一時的に発生させる装置があり、LEDを使う場合は取り外す必要があるという。
NITEは取扱説明書などに書かれた注意事項を守り、交換後は異常がないかどうか確認してほしいと呼びかけている。
横山大観の絶筆「不二」、半世紀ぶり公開 島根の足立美術館[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 32ページ 234文字 PDF有 書誌情報]
明治から昭和にかけて活躍した近代日本画の巨匠横山大観(1868~1958年)の絶筆とされ、長らく表に出ていなかった作品「不二」について、約半世紀ぶりとなる一般公開が始まった。
島根県安来市の足立美術館が購入した。専門家は「実作品を見ることが可能になったことは意義が大きい」としている。
同館によると、「不二」の一般公開は78年に名古屋市で開催された展覧会が最後で、個人所蔵のまま半世紀近く表に出ていなかった。
【図・写真】横山大観の絶筆とされる「不二」=足立美術館提供
トクリュウ、屋根点検に潜む 昨年の摘発最多 突然訪問、「損傷見えた」 不安あおり高額契約迫る[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 33ページ 1389文字 PDF有 書誌情報]
SNSを通じて離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」が絡む悪質リフォーム事件が頻発している。「屋根が壊れている」などと突如来訪する「点検商法」の摘発は2024年に過去最多の66件あり、トクリュウが絡む事例が目立った。被害を防ぐには自宅に入れさせず、警察に相談する対処法が重要になる。
「近くで工事をしており、屋根が壊れているのが見えました。点検させてもらえませんか」。23年、東京都や神奈川県などの民家数軒にリフォーム会社を名乗る人物が訪れた。住人の40~80代の男性8人はそれぞれ500万円以上の屋根や外壁の工事契約を結んだ。
建設業法は500万円以上の施工をする場合、業者は国などの許可を得なければならないと定める。この会社は許可を得ておらず、警視庁は3月、会社の実質的経営者だった男(49)ら10人を建設業法違反(無許可営業)容疑で逮捕した。
警視庁によると、一般的なリフォームは金額の7~8割を工事費が占める。しかし業者が持ちかけた契約は工事費の割合が3割程度で、請求額は大幅に水増しされていた。
男らはSNS上で「初月100万円以上可能」と投稿しメンバーを募集。最大約150人が所属し、19~24年に100億円超を売り上げたとみられる。警視庁はこの集団をトクリュウとみており、捜査幹部は「不安をあおり資産をむさぼる悪質な集団だ」と話す。
警察庁によると、24年に点検商法として摘発された15事件にトクリュウが関わった疑いがある。特定商取引法違反容疑などで逮捕された130人(前年比74人増)のうち、4割にあたる56人がSNS上の「闇バイト」で集められていた。
住民の不安をあおる台本を作って高齢者宅などを訪問し、屋根を壊して工事の必要性をかたる手口もみられた。国民生活センターへの相談も23年度に前年度から1.5倍の1万2549件に増加。24年度も25年2月末時点で1万5950件と既に23年度を上回った。
トクリュウが絡む犯罪はこれまで、強盗や侵入窃盗、特殊詐欺が目立っていた。消費者トラブルに詳しい岡田崇弁護士は「SNSを通じて訪問や契約を担う実行役を集めやすくなり、リフォームを絡めた犯罪も増えている可能性がある」とみる。
訪問や電話によるリフォームの勧誘は特定商取引法の規制対象となる。必要な範囲を超える工事を行うといった「過量販売」は行政処分の対象となるほか、住人側から契約解除できる。虚偽の説明で工事を行い金銭を受け取れば詐欺罪にも当たりうる。
一方、工事が完了してしまうと作業前の状態は分かりにくく、不必要な工事だったと立証するのは難しい。最高刑が懲役10年と規定される詐欺罪での立件は「ハードルが高い」(警察幹部)のが実情だ。トクリュウ側がその隙を突いている可能性がある。
屋根を壊される被害も確認されているため、警視庁は訪問を受けたその場では点検させず、不安を感じた場合は警察へ相談するといった対応を呼びかけている。岡田弁護士も「突然訪問してくる業者はまず家に入れないことが最も重要だ」と強調する。
トクリュウが絡む犯罪は幅広く、24年に首都圏で相次いだ広域強盗事件では事件前に被害者宅を訪問したリフォーム業者の情報が悪用された疑いも浮上している。各警察は実行役らの供述ややり取りの記録から、指示役や首謀者の摘発を急ぐ。
(前田健輔)
川重40億円申告漏れ 海自金品提供、10億円追徴 国税指摘[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 33ページ 492文字 PDF有 書誌情報]
川崎重工業が大阪国税局の税務調査を受け、2023年3月期までの6年間で約40億円の申告漏れを指摘されたことが8日、関係者への取材で分かった。追徴税額は重加算税を含む約10億円とみられ、すでに修正申告を済ませたという。
同社は潜水艦の修繕などの取引で裏金を捻出し、海上自衛隊の潜水艦乗組員らに金品を提供していた。国税局は下請け企業との架空取引で約13億円の所得隠しがあったと認定した。
この他、米国の関連法人について外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)に基づき、関連法人の収益を合算し納税すべきだとして申告漏れを指摘されたという。
裏金問題に関し同社は2024年12月に外部の弁護士らによる特別調査委員会の中間報告を公表。神戸工場(神戸市)で潜水艦の修理などを担当する修繕部の従業員が下請け企業に架空発注して裏金をプールさせていた。遅くとも40年前から行われていたという。
防衛省も特別防衛監察の中間報告で、同社が23年度まで6年間で計17億円の架空取引を行っていたと発表。プールした資金は乗組員らが艦内で使う備品購入や飲食、ゲーム機などの私的な物品の代金に充てられていた。
カンボジア拠点に特殊詐欺疑い 元関東連合の男逮捕[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 33ページ 425文字 PDF有 書誌情報]
カンボジアを拠点に大阪市の高齢女性から還付金名目で現金をだまし取ったとして、北海道警と新潟、埼玉両県警の合同捜査本部は8日、住所、職業不詳の山口哲哉容疑者(46)を電子計算機使用詐欺などの疑いで逮捕した。
捜査関係者によると、容疑者は暴走族「関東連合」の元メンバーで、タイ当局が3月14日に現地で身柄を拘束。日本へ移送する航空機内で逮捕状が執行された。
合同捜査本部は、山口容疑者がカンボジアやベトナムを拠点とする複数の特殊詐欺グループで中心的な役割を果たしていたとみて捜査している。
逮捕容疑は、複数人と共謀して2022年9月、大阪市鶴見区の70代女性に医療費の還付金が受け取れるとうそをつき、29万円余りを指定の口座に振り込ませた疑い。山口容疑者は「全く知らない」などと容疑を否認している。これまでに埼玉など9道府県警の合同捜査本部は、カンボジアの首都プノンペンを拠点とした介護施設の入居権を巡る特殊詐欺事件で、三十数人の日本人の男を逮捕した。
被災トンネル舗装完了 輪島で復旧続く 夏ごろ通行確保へ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 33ページ 423文字 PDF有 書誌情報]
国土交通省能登復興事務所は8日、2024年の能登半島地震と記録的豪雨で被災した石川県輪島市の国道249号「中屋トンネル」の復旧工事で、内部の路盤の舗装がおおむね完了したと明らかにした。照明の取り付けといった作業を進め、夏ごろに一般車両が通行できるようにする方針。
トンネル付近は、道路が土砂に埋まったままの箇所もある。国交省は近接する河川の上部などに仮設の橋を架け、2車線で復旧させる。
能登復興事務所は「地域の皆さまに可能な限り早期に通行してもらえるよう、復旧を進める」と話した。
中屋トンネルは全長1.3キロ。地震で内部が損傷し、通行止めになった。管理する石川県に代わって国が復旧工事を担い、24年9月に緊急車両や地元住民の車に限定して再開する予定だったが、同月の豪雨で再び被災。現在は付近の県道や市道を活用して迂回路としている。
【図・写真】国道249号「中屋トンネル」の復旧工事を説明する国交省能登復興事務所の担当者(8日、石川県輪島市)
広末涼子容疑者逮捕、静岡の病院で傷害疑い 活動自粛へ[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 33ページ 402文字 PDF有 書誌情報]
静岡県島田市の市立総合医療センターで看護師を蹴るなどしてけがを負わせたとして、静岡県警掛川署は8日、俳優の広末涼子容疑者(44)=東京都世田谷区=を傷害の疑いで現行犯逮捕した。
広末容疑者は交通事故を起こし、病院に搬送され治療待ち中に暴行したという。所属事務所は公式サイトで「病院で一時的にパニック状態に陥った。当面の間全ての芸能活動を自粛する」とのコメントを出した。
逮捕容疑は8日午前0時20分ごろ、病院で看護師の女性(37)を複数回蹴ったり腕を引っかいたりして軽傷を負わせた疑い。
病院内を歩き回っていた広末容疑者を看護師が静止しようとしたところ、大声を出す広末容疑者から暴行を受けたという。署は認否を明らかにしていない。
署によると、広末容疑者は7日午後6時50分ごろ、新東名高速道路で乗用車を運転中に大型トレーラーに追突する事故を起こし、同乗していたマネジャーとみられる男性と共に搬送された。
狭山事件巡り第4次再審請求 石川さん死去で高裁に[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 33ページ 392文字 PDF有 書誌情報]
埼玉県狭山市で1963年に女子高校生が殺害された狭山事件で無期懲役が確定し、冤罪(えんざい)を訴えていた石川一雄さんが死去したことを受け、妻の早智子さん(78)が8日、東京都内で記者会見し、東京高裁に第4次再審請求を申し立てたと明らかにした。4日付。早智子さんは会見で「夫は冤罪を叫び続けていた。何としても夫の無念を晴らしたい」と述べた。
石川さんは強盗殺人容疑などで逮捕され、77年に最高裁で無期懲役が確定し服役。94年に仮釈放された。第1次、第2次の再審請求はいずれも認められず、2006年に第3次請求を申し立てていた。今年3月に86歳で死去した。
同席した弁護団は、犯人が書いたとみられる脅迫状と石川さんの筆跡が異なることや、石川さんの自宅で見つかり被害者のものとされた万年筆のインクが被害者が使っていたものと成分が違うことを示す鑑定書などを、新証拠として提出したと発表した。
見事かな、千本桜 奈良・吉野山彩る[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 33ページ 314文字 PDF有 書誌情報]
山肌を埋め尽くすように桜が咲き誇る光景から「一目千本」とたたえられる吉野山(奈良県吉野町)で8日、桜が見頃を迎え、山肌を華やかなピンク色に染め上げた。3月に気温が低い日が続いた影響から、昨年に比べ数日開花が遅れた。
神木として保護されてきた吉野山の桜は、シロヤマザクラを中心に約200種3万本あるとされる。麓から山上にかけて大きく4つの密集群に分かれ、順々に開花する。
吉野町によると、標高の低い密集群「下千本」は8日に満開を迎えた。さらに山上に位置する「中千本」、「上千本」も徐々に満開に近づき、一番標高の高い「奥千本」は15日に満開になる見込みだ。
【図・写真】シロヤマザクラなどが見頃を迎えた吉野山 (8日、奈良県吉野町)
ミニドラム作り、腕が鳴る KISS、ストーンズ……スターが公演で使ったセット、たたいた跡や傷まで再現 原浩一[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 34ページ 1451文字 PDF有 書誌情報]
まず写真を見てほしい。米国のロックバンド「KISS」が1977年に武道館で公演した際、ドラマーのピーター・クリスが使ったセットを手のひらサイズで再現したものだ。太鼓のタムタムの直径は5ミリから15ミリ、シンバルの直径は最小で5ミリ。1ミリ以下のネジまで部品はすべて手作りだ。これまでに完成させたミニチュアは国内外の有名ドラマーがライブで実演した71台にのぼる。
きっかけは15年前。自動車部品の開発・設計に携わる私は、自宅で仕事のことを考えていた。ふと気づくと手元に銅板がある。短冊形に切って色鉛筆を芯にくるりと巻いたらまるでタムタムの胴のように見えた。その瞬間、「ミニドラムが作れるかも」とひらめいた。もともとロックやジャズが好きで、学生時代からドラムを演奏していた経験もあり、挑戦心がむくむくと湧きあがった。
第1号にしたのは「カシオペア」の元メンバーで、今も活躍中の神保彰さんのモデル。長年のファンだったからだ。ミニチュア作りの基本のひとつである実物の35分の1サイズでと決めたが、試行錯誤の連続だった。
例えばシンバル。銅板を丸く切り出して、全体にわずかなカーブをつける必要がある。散々試して、料理用のお玉の底に置きハンマーでたたいて表現する方法を思いついた。けれど、地元の愛知県から東京の道具街・合羽橋まで探しても納得できる物がない。100円均一の店でぴったりの品を見つけた際は、うれしくてならなかった。
タムタムなどドラムのたたく部分に張る皮の材料も探し回った。ようやく見つけたのが、菓子などの形崩れを防ぐ包装用の薄いプラスチック。ドライヤーで温めて平らに延ばすと、ぴったりだった。スネアドラムを支える三脚の底部も苦労した。上から見て三方に出る脚を作る必要がある。箸袋で遊んでいて、銅板を折り畳んで作る方法をやっと思いついた。
初号完成まで1年かかったが、いつしかミニドラム作りのとりこになっていた。「レッド・ツェッペリン」のジョン・ボーナム、「ローリング・ストーンズ」のチャーリー・ワッツ、「レインボー」のコージー・パウエル、名ギタリストのジェフ・ベックともグループを組んだカーマイン・アピスなど、伝説的なドラマーのモデルに取り組むようになっていた。
こだわったのは実際の公演で使われたセットそっくりに作り上げること。ライブの動画を手に入れてコマ送りで確認したり、古い音楽雑誌の写真を見たりして、たたいた跡や傷もつける。メーカーからパンフレットを取り寄せるのも欠かせない。正確な寸法を計算して設計図を作るためだ。
ライブに作品を持って行き、本人に見てもらい作品の台座にサインをもらったこともある。なかでも故村上“ポンタ”秀一さんとの出会いは思い出深い。「おまえ、暇やなあ」と笑いながら見入っていた。村上さんとは連絡先を交換して、ほかのドラマーのセットを調べてもらうなど、相談できるほど親しくなった。
「金額は問わないから譲ってほしい」。海外を含めプロ自身から依頼が舞い込むこともあるが、売ることはない。ただ、「SHOW―YA」の角田美喜さんなど、例外的に本人に貸し出した作品もある。
5月には展示会に出品する。17~18日の「静岡ホビーショー」(静岡市)、24~25日の「大人たちのミニチュアカー展」(愛知県豊橋市)だ。いつか100台に達したら、東京で個展を開催できればと夢見ている。
(はら・こういち=会社役員)
【図・写真】「KISS」のドラマー、ピーター・クリスの再現ミニチュアセット
平井一夫(9) 権力闘争の影 日米の拠点で深まる対立 プレイステーション海外販売控え(私の履歴書)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 34ページ 1412文字 PDF有 書誌情報]
「たまには西海岸の太陽を浴びるのもいいか」
CBS・ソニーの大先輩である丸山茂雄さんから「プレイステーションの仕事を手伝ってほしい」と言われた時は、正直なところこの程度のお気楽な考えだった。
ゲーム事業会社のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、当時)の米国拠点「SCEA」はサンフランシスコ郊外にある。ニューヨークからは飛行機で6時間もかかるが、良い気分転換になるかなと思ったのだ。
ところで、音楽の人である丸山さんがなぜゲームなのか。少し説明が必要になる。
ソニー社内でゲーム事業を立ち上げ、「プレイステーションの父」として知られる久多良木健さん。当初は社内でも反対論が強く、丸山さんが自ら立ち上げた音楽会社にかくまっていたことがある。
丸山さんはよく「クタちゃんはアーティストだからさぁ」と言っていたが、音楽業界に身を置く私には実にしっくりときた。天賦の才を輝かせる一方で、とにかくクセの強いロックミュージシャンをプロデュースしているような感覚だったのだろう。
ゲーム参入にあたっては当初、任天堂と提携するはずが直前になって約束をほごにされた経緯がある。
単独で参入すべきかどうかを決める会議で、当時ソニー社長だった大賀典雄さんに対して久多良木さんが「本当にこのまま引き下がっていいんですか。ソニーは一生笑いものですよ」とけしかけたことは、ソニーの歴史を彩る名場面として語り継がれている。大賀さんが机をたたいて「DO IT」と叫び、参入を決断したことも。
久多良木さんを中心に開発されたプレイステーションは1994年12月に日本で発売され、大ヒットとなった。翌95年9月の米国販売を控えて、私もお手伝いにかり出されたのだ。
ところが、どうも様子がおかしい。日本からSCEの幹部陣がやって来ても、なぜかみんなSCEAのオフィスには足を踏み入れず、空港近くのホテル、ハイアットリージェンシーにとどまっているのだ。丸山さんや久多良木さんでさえ広大な吹き抜けとなっているアトリウムをオフィス代わりに使っていた。
最初は広々とした空間が心地よいからなのかと思っていたが、それにしてもなぜ目と鼻の先のSCEAに行かないのか。ここにプレイステーションの米国事業が抱える問題があり、それこそが私に声がかかった理由だった。
実はSCEAのリポートラインは東京のSCEではなく、ニューヨークにあるソニー本体の北米統括会社だった。ここから話が複雑になる。この北米会社のトップは大賀さんの懐刀と呼ばれたマイケル・シュルホフ氏だった。SCEA社長のスティーブ・レイス氏のボスも当然、シュルホフ氏になる。東京の指示など聞く耳をもたない。
ところがプレイステーションの米国販売直前の95年6月、ソニー本体の社長に大賀さんの後を受けて出井伸之さんが就任すると、出井さんとシュルホフ氏の対立が取り沙汰されるようになる。シュルホフ氏はソニーを去った。
こんな権力闘争が飛び火していたのがSCEAだった。指揮系統を立て直そうとレイス氏の後任として米国人幹部をSCEA社長に送り込んだのだが、なんとこの人がノイローゼになってしまった。
丸山さんからは「クリスマス商戦まで頼むな」と言われていたが、そう言っていられない状況となってきた。
(ソニー元社長)
【図・写真】2003年度の経営方針説明会での久多良木さん。SCE社長とソニー副社長を兼務していた
万博の風景(1)亀倉雄策「EXPO’70 日本の祭り」 京都大学教授 佐野真由子(十選)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 34ページ 565文字 書誌情報]
万博の創始から今日に至る歴史は、170年の人類の歩みを映し出している。万博をめぐるヴィジュアル資料は、種類も数も限りない。会場の景色を描いたもの、展示物を記録したもの、そして万博から生まれた作品……。きょうからご紹介する10点に、その多様さを託してみたい。それをレンズに、万博という膨大な試みに思いを馳(は)せていただければ幸いである。
◇
1970年大阪万博公式ポスターの一点。まつりの喧騒(けんそう)とムッとするような熱気が画面から溢(あふ)れ出し、行列と一緒に万博会場になだれ込むような気分にさせられる。
戦後日本のグラフィックデザインをけん引した亀倉雄策の作。これを含めて7種あった70年万博の公式ポスターには、すでにトップランナーであった亀倉や永井一正のほか、当時30代の福田繁雄、細谷巖、石岡瑛子の作品が選ばれた。ポスターだけでなく、ガイドブックや記念グッズ、入場券に至るまで、万博は多くのデザイナーに挑戦の場を提供した。
デザインは社会に染み出し、人々の目を耕し、日本の風景を変える動因になった。万博をそのような機会とすることに、当時の主催者やデザイン関係者らは自覚的であったと思われる。
(1969年、グラビア印刷、紙、パネル、103.0×72.7センチ、新潟県立近代美術館・万代島美術館蔵)
【図・写真】写真/早崎治
これも縁 岩田圭一(交遊抄)[2025/04/09 日本経済新聞 朝刊 34ページ 492文字 PDF有 書誌情報]
兵庫県西宮市の中高一貫男子校の甲陽学院時代、双子と呼ばれた友がいる。後に校長を務めた今西昭氏だ。彼が1年A組の7番、私が8番。机を並べての学生生活が始まった。
彼は生徒会長を務めるような優等生、私はマージャン大会を企画するやんちゃ系で一見タイプは違う。ただ興味をもつもの、笑うところは同じで感性が近い。なによりお互い読書好きで多くの時間を共にした。
本好きが高じ、一緒に始めたのが文芸同好会だ。自作の小説や詩をガリ版刷りの同人誌にまとめた。学校の経営母体が酒造会社で、醸造のように長期視点での育成を重んじる。やりたいことを自由にやらせてもらえた。100部ほど刷った時もあった。
大学は別々だったが就職活動中のある日、先に社会人になった彼から電話があった。「一緒にやろうじゃないか」。住友化学に勤めていた彼を訪ね大阪に向かい、そのまま入社を決めた。
ところが入社すると彼の姿はない。退社し母校の教師になっていたのだ。当時は驚いたが、今では事情もわかる。
同窓会運営などで顔を合わせると、すぐ昔の2人に戻る。共に働く約束は果たされなかったが、これも縁。
(いわた・けいいち=住友化学会長)
25年04月08日
広がる業績不安、株連鎖安 日経平均2644円安、下げ幅歴代3位[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1302文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の相互関税を受け、企業業績への不安が広がっている。市場では国内上場企業の2025年度の業績予想を増益から一転減益に見直す動きも出てきた。7日の日経平均株価は過去3番目に大きな下落幅となった。各国の関税応酬が景気後退につながる懸念から、世界での株安の連鎖に歯止めが掛からない。(関連記事総合2面に)
7日、日経平均株価は3日続落した。終値は前営業日比2644円安の3万1136円58銭だった。下げ幅は歴代2位の「ブラックマンデー」時(1987年10月20日、3836円安)に次ぐ大きさで、指数算出以来の歴代3位を記録した。
日立製作所や三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソニーグループなど主力株が軒並み10%以上下げた。1600社超が上場する東証プライム市場では値上がりが6社にとどまり、全面安となった。関税影響を受けにくい内需株も売られた。
背景には企業業績への深まる不安がある。証券会社は相次ぎ業績の下振れを予測し始めた。
野村証券は25年度の東証株価指数(TOPIX)の1株あたり利益(EPS)予想を従来の前年度比7%増から同7%減に下方修正した。米関税の直接的な影響が7%、国内外の景気下振れの影響が7%、それぞれEPSを押し下げるとみる。
野村の北岡智哉氏は今後のリスクとして追加関税や報復関税の応酬のほか、資産が目減りして消費を押し下げる「逆資産効果」などによる想定以上の経済見通し悪化を挙げる。一方で現状で米国の景気後退は想定せず、「関税ショック一巡や金融・財政政策の転換が支えとなり、26年以降は景気の勢いの持ち直しを見込んでいる」という。
ゴールドマン・サックス証券も25年度のTOPIXのEPS予想を11%増から1%減に下方修正した。建部和礼氏は「通期決算発表での(企業が弱気な業績予想を示す)ガイダンスリスクも懸念だ」と指摘する。
アナリストは関税影響を織り込み切れていない。大和証券によると、アナリストの25年度業績予想の方向を示すリビジョン・インデックスは先週まで4週合計で「加工組立」や「消費サービス他」などで下振れが目立った。今後、米関税政策を反映した下方修正が本格化するとの見方がある。
企業活動にもブレーキがかかりつつある。住友電気工業はメキシコにあるワイヤハーネス(組み電線)工場の本格稼働計画を凍結している。25年度に本格生産に入る予定だったが、米向け輸出の生産コスト増の恐れもあり、一旦見合わせた。
関税の影響を受けない米国で生産体制を整えるのは時間がかかる。日立建機は「材料費も上がっており米国で投資をしても採算が取れない可能性がある」と慎重だ。
安川電機は4日、26年2月期に増収・営業増益を見込むと発表したが、米関税政策の影響は十分踏まえられていない。小川昌寛社長は「米関税は25年度の最大リスク。世界でサプライチェーン(供給網)への影響を見極めていきたい」と話す。
7日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が続落して始まり、一時前週末比1700ドル下がった。その後は関税政策を巡る情報が錯綜(さくそう)し、上昇と下落を繰り返す場面もあった。
日鉄の買収、再審査命令 トランプ氏、USスチール巡り[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 1ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】トランプ米大統領は7日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について、省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)に再度審査をするよう指示した。大統領令と同じ効力を持つ覚書に署名した。停滞していた交渉が進展する可能性がある。
覚書によると、審査は国家安全保障上のリスクについて「秘密厳守で真正に」実施される。CFIUSが特定したリスクを軽減するための日鉄側の提案が十分かどうかを45日以内に大統領に報告する。
日鉄の買収計画はバイデン前政権が中止命令を出して混迷した。日鉄は完全子会社化の方針を崩していない。日鉄とUSスチールがバイデン氏らを訴えた裁判の口頭弁論は、当初の4月24日から5月12日の週に延期されている。
トランプ氏は2月初旬の日米首脳会談で「日鉄の幹部と来週会う」と発言した。石破茂首相も「近日中に日鉄の最高経営責任者(CEO)が会うことになるだろう」と述べていた。だが直接協議は実現していない。
CFIUSのトップを務めるベッセント財務長官は1月の指名公聴会で「CFIUSが再審査を行う場合は、これまでと同様の審査が行われることになる」と説明した。
トランプ氏、中国の相互関税50%に 34%から上乗せ 報復撤回なければ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 1ページ 423文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米大統領は7日、中国が8日までに報復措置を撤回しなければ中国製品に課す相互関税を当初の34%から50%に引き上げる意向を示した。9日発動する。今後の米中間の協議はすべて取りやめると警告した。
トランプ氏が7日、SNSで表明した。中国は4日、トランプ米政権による相互関税の表明を受け、同じ34%の追加関税を米国からの輸入品にかける報復措置を公表した。トランプ氏は「米国に報復する国には、当初よりも大幅に高い関税に直面するという私の警告にもかかわらず報復関税を発表した」と非難した。
相互関税は、すべての国に一律にかける10%の基本税率を5日に発動済み。米東部時間9日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に上乗せ税率の発動を予定している。中国は、基本税率と上乗せ税率を合わせて34%としていた。
第2次トランプ政権は中国にすでに20%の追加関税をかけている。これに50%を上乗せすれば70%に達することになる。
広がる業績不安、株連鎖安――日米首脳が電話協議 関税問題 担当閣僚指名し交渉へ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 1ページ 411文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は7日夜、トランプ米大統領と25分間、電話協議した。追加関税について懸念を表明し、見直しを求めた。両国で担当閣僚を指名し協議を継続すると確認した。人選については「現時点で名前はあがっていない」と述べるにとどめた。
首相が電話協議後、記者団に明らかにした。交渉の推移をみた上で「もっとも適切な時期に訪米する」と語った。
トランプ氏には「関税措置によって日本企業の投資余力が減退することを強く懸念する」と伝えた。「一方的な関税ではなく投資拡大を含め双方の利益になる幅広い協力のあり方を追求すべきだ」とも強調した。
トランプ氏は電話協議を受け、自身のSNSに「(日本が)交渉のためにトップチームを送ってくる!」と投稿した。「日本は貿易で米国をひどく扱ってきた」との不満も改めて示した。
日本が米国製自動車を買わないのに米国が日本製自動車を受け入れているとの主張を繰り返し、ほかの製品も同様の扱いを受けてきたと訴えた。
80年目のリセット(2)「関税で減税実現」の皮算用 物価高・報復…痛みは米に(崩れる自由貿易)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1269文字 PDF有 書誌情報]
4月2日、ホワイトハウスの中庭「ローズガーデン」。トランプ米大統領の演説からは、相互関税を必要とする米政権の切迫した事情も浮かび上がった。
「外国ではなく米国民が政府運営に必要な税金を払うよう連邦所得税が導入された」。トランプ氏がやり玉に挙げたのが、1913年の憲法修正第16条だ。
焦りと郷愁
19世紀後半に歳入の4~6割を占めていた関税から、所得税などへと国家運営の財源を切り替えるきっかけになった憲法修正。トランプ氏は時計の針を巻き戻し、「(関税で得る)何兆ドルもの資金を使い、迅速に減税を進め、政府債務も減らす」と見えを切った。
切迫した事情がある。トランプ氏が公約した2025年末に期限を迎える個人所得減税の延長。10年間で4.5兆ドル(660兆円)の財政赤字要因になるが、財源のメドは立たない。
歳出削減が常道だが、来年秋の中間選挙で逆風になる社会保障や生活支援の削減には共和党内で慎重論が根強い。借金を増やすにも米国の債務残高はすでに約36兆ドルあり、利払い費だけで国防費を上回る状況だ。
財源がないなら、各国に支払わせればよいというのがトランプ政権の発想だ。実際に関税は米国の輸入業者が支払うが、不都合な真実には耳を傾けない。ナバロ大統領上級顧問が打ち上げた「10年間で6兆ドルの税収増」という効果はこうしたパズルを埋めるものだ。
だが思惑通りに進むかは不透明だ。関税による収入は確かに増えるが、米タックス・ファンデーションの試算では2.9兆ドルと半分以下になる。企業が関税の回避に動き、輸入の構造が変化するためだ。
世界で急落した株価も、関税を国家運営の中核に据える時代には戻れないと警鐘を鳴らす。戦後に時間をかけて構築された世界的な供給網は、素材や部品が関税で値上がりする事態に備えていない。関税は物価高や報復措置の連鎖となって米国自身に跳ね返る。
「古き良き時代」への郷愁もにじむ。バンス副大統領らに影響を与えた政治学者のパトリック・デニーン氏は著書で、初代財務長官のハミルトンに立ち返るべきだと提言する。
建国の父の一人であるハミルトン氏は「国内産業の保護と米国の財政的な自立の達成」を訴え、すべての輸入品にかける5%の一律関税を提案した。とはいえ建国当時と現在とでは最適な税制も異なるはずだ。
元大統領も後悔
「孤立はもはや不可能であり、望ましいことでもない。貿易戦争は利益を生まない」。この言葉は野党からの批判でも、海外の首脳の恨み節でもない。トランプ氏が尊敬する19世紀末の「関税王」マッキンリー大統領の後悔の弁だ。
高関税政策を推進したマッキンリー氏が考えを転換したのは米国の製造業を救うためだった。稼働率の低下に苦しむ米国企業が生きる道は海外市場であり、そのためには互恵主義で海外市場の開放を求めるのが近道だと考えた。
米経済の債務膨張は持続不可能なスピードで止まらず、国防を担う産業の力も衰えてきた。トランプ氏の焦りは誰にも否定できないが、同盟国に背を向け、遠い過去への郷愁に浸ることは答えにはならない。
ムッソリーニ率いるファシスト党は暴力をいとわなかった(春秋)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 1ページ 563文字 PDF有 書誌情報]
ムッソリーニ率いるファシスト党は暴力をいとわなかった。彼を批判した議員が、党員の襲撃に遭って殺害されたこともあった。本人は1925年の演説で開き直っている。「二つの勢力が争ってゆずらない時は、その解決方法は力である」(高橋進「ムッソリーニ」)
▼偉大なイタリアを掲げ「現代のローマ皇帝」として自身の神格化を進めた独裁者である。作家の佐藤優さんがヒトラーとの違いを説いている。ナチズムは人種の優越性というでたらめな神話による運動だった。対してムッソリーニは「イタリアのために頑張る者がイタリア人だ」と、国家のために働くことを求めたという。
▼週末、米国の主要都市でトランプ氏への大規模な抗議デモがあった。「ムッソリーニの政治とフーバーの経済を持つ大統領に未来はない」。そんな指弾の声が上がったそうだ。フーバーは高関税政策で世界恐慌をさらに悪化させたといわれる元米大統領だ。時を1世紀巻きもどしたかのような、理不尽な光景に世界が震える。
▼ムッソリーニは第2次大戦への参戦で国民が疲弊すると側近が離反し、権力の座を追われた。トランプ流は米経済にも打撃のはずだが、批判を意に介さない様子を見るにつけ、暴走は当面続くのだろう。日本の株価も散々だ。ただ冷静さは失いたくない。事態に柔軟に即応できるか。政治も企業も真価が問われる局面に入った。
ETC障害、システム複雑化が弱点 応急復旧で再開 割引乱立、継ぎはぎ改修 技術者不足「25年の崖」も[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1583文字 PDF有 書誌情報]
6日に発生した中日本高速道路(NEXCO中日本)の自動料金収受システム(ETC)障害の影響は一時、東京や愛知など8都県に広がった。7日午後に運用再開したもののシステムは完全には戻っていない。新機能追加の度に施す「継ぎはぎ改修」は障害発生のリスクを高め、弱点を抱えたままの運用に懸念が強まる。システム技術者不足などの「2025年の崖」も重い課題だ。
障害は6日の午前0時半ごろに発生した。ETCレーンに設置した機器とカードを入れる車載器が正常に通信できず、カードの情報が確認できなくなりバーが上がらなくなった。当初は現金支払いに切り替えるなど対応したが渋滞が発生したためETCレーンを開放する緊急措置を実施した。
障害が発生した料金所は徐々に拡大し、7日午前には東名高速道路や中央自動車道など17路線の106カ所でETCが利用できなくなった。影響の出た地域は東京、神奈川、山梨、岐阜、静岡、愛知、三重、長野の8都県にわたった。
NEXCO中日本によると障害は新しい深夜割引システムを入れる過程で発生した。当初、5日に実施した改造が影響しているとみていた。システムを改造前の状態に戻す作業に取り組んだ。実際はさらに上位の階層でデータ処理の過程で不具合が生じていたと7日明らかにした。応急措置でETCの機能を利用できるようにして、運用を再開した。
林芳正官房長官は7日、「利用者にご迷惑をかけ大変遺憾だ」と述べ「国土交通省において再発防止に向けた指導をする」とした。国交省はNEXCO中日本に原因究明などを指示した。
同省によると高速道路を走る車両のうちETCを利用した割合は25年1月に95.3%。1日に770万台余りがETCを使っており、不可欠なインフラとなっている。
近年、新たな割引制度が増えており、システムはさらに複雑化している。25年1月に開かれた国交省の審議会では、高速道路会社の担当者が既存のシステムについて「今後、新たな改修を行うのは限界に来ている」と説明した。継ぎはぎ改修は国交省も課題として捉えているが、妙案がないのが現状だ。
国交省と高速道路各社は25年度にも都市部の高速道路をETC専用に、地方部でも30年度に専用化を目指す方針を20年に示した。都心部の計画は半導体の供給制約で2年ほど遅れている。継ぎはぎシステムのままでは、ETC専用化の計画はさらに遅れかねない。
企業のシステム改修時のトラブルは近年頻発している。背景には老朽化したシステムの更新時期とシステム技術者不足が重なる25年の崖問題がある。経済産業省はデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する報告書で、基幹システムのうち21年以上稼働する割合が25年時点で6割に達すると指摘した。技術者不足も深刻で既存システムの維持や不具合対策に費用がかさみ、25年以降に最大で年12兆円の経済損失が生じると警鐘を鳴らしている。
日本企業の多くは既存の基幹システムに改修を重ねてきた。このため内部構造が複雑になり全貌を知る人材にも乏しく中身の詳細が分からない「ブラックボックス」になりがちだ。NEXCO中日本のETCシステムのように、継ぎはぎが多いと改修時に障害が発生するリスクはさらに高まり、復旧のための原因特定にも時間がかかる。
25年の崖への対応も重い課題としてのしかかる。国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「企業側は長時間のサービス停止を避けるため小規模な改修を繰り返す傾向がある。作業が煩雑なうえシステム自体が複雑になりやすい」と指摘する。
佐藤教授は今回のような障害の発生を想定して、応急措置として更新前の状態に戻す「切り戻し」を迅速に進める体制づくりの重要性を説く。「大規模なシステムの更新作業中は(高速道路などの)料金を徴収しないといった一種の割り切りも必要だ」とも語った。
三菱UFJ、1000億円の不動産ファンド 「割安」日本に投資[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 883文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJフィナンシャル・グループは3年間で1000億円規模の不動産を取得する。ファンドをつくり都心のオフィスや住居に資金を投じる。日本の不動産は海外に比べ割安との見方がある。将来的な地価上昇が生むリターンを狙う。
三菱UFJ銀行がファンドに300億円拠出し、三菱UFJ信託銀行が運用する。300億円の投資をもとに外部からの資金を調達し、3年の取得総額は1000億円規模を見込む。今後2000億円近くをめどに増額することも検討する。
不動産を取得するファンドなどが立ち上げる特別目的会社(SPC)への出資を想定する。出資先のSPCが運営する不動産の価値が上がれば売却時などに収益が得られる。
三菱UFJが不動産ファンドの立ち上げに動くのは、中長期の投資対象として魅力が高まっているのが背景にある。
これまで大手銀行は不動産を購入するファンドに融資するのが一般的だった。日本は歴史的な低金利が続き海外ファンドが銀行から資金を借りやすかったためだ。三菱UFJ銀も融資が中心で、不動産への投資は総額で600億円程度とみられ、約4兆円保有する株式などに比べても少ない水準にとどまっていた。
不動産サービス大手のシービーアールイー(CBRE、東京・千代田)によると、2024年の国内の事業用不動産の取引額(10億円以上が対象)は4兆6600億円と、23年と比べ18%増えた。日本不動産研究所によると、高価格帯のマンション同士で価格を比較するとロンドンは東京都港区の2倍。ニューヨークも東京より4割ほど高い。
日銀が利上げに動くなか、金利上昇で資金調達が難しくなり不動産価格の上昇が一服するとの見方も浮上する。それでも三菱UFJは中長期的には都心部を中心に不動産価格の上昇が続くとみて、長期保有する枠組みを整える。
米国では新型コロナウイルス禍で普及した在宅勤務が経済再開以降も定着し、日本に先行した金利上昇も相まってオフィス需要の鈍い状況が続いていた。一時中堅、中小の金融機関を中心に商業用不動産への融資に傾斜していたのもあり、不動産融資に慎重な姿勢をとる金融機関が目立つ。
金融庁、有報の総会前開示を調査 全上場企業に意向確認へ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 583文字 PDF有 書誌情報]
金融庁は、約4000社ある全上場企業を対象に株主総会前に有価証券報告書(有報)を提出するか一斉調査する。2025年3月末以降に決算期を迎える企業に調査票を送付し、今後の総会前開示の意向などを確認する。個別企業へのヒアリングも実施し、迅速な開示が行える仕組み作りにつなげる。
加藤勝信金融相が3月28日、全上場企業に対し総会前の開示を要請していた。有報は財務情報以外の詳細な事業内容などが記載されている。株主や投資家が企業と対話する上で重要なツールだ。投資家側は総会前に有報を読み込みたいというニーズが強く、金融庁も迅速な開示が対話の促進につながるとみている。
例えば、政策保有株式の削減実績や経営陣による事業の見通しなど有報でしか把握できない投資情報が多い。記載が増えているサステナビリティー情報も投資情報として重要性が高まっている。
金融庁は25年3月末以降に決算期を迎える全企業に6月から順次、全国の財務局から調査票を送付する。直近の決算期での総会前開示の有無のほか、今期以降の決算期で実施する意向があるかを聞き取る。
総会前の有報開示は2023年4月期~24年3月期で57社と、全上場企業の1.5%にすぎない。有報の開示は取締役会での決議が必要だったり、決算が集中する3月期に会計士が繁忙期を迎えることで小規模事業者が後回しになったりするといった問題もある。
いざ開幕、大阪万博(2) 近未来の「顔パス」乗車(迫真)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1020文字 PDF有 書誌情報]
「思った以上にスムーズに『顔パス』できた」。3月31日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の梅田駅改札口にある顔認証ゲートから台湾のテレビ局記者、施勗皓(34)が出てきた。
ゲート左右の2台のカメラが利用者の顔を認識し、右わきの小型モニターに「お通りください」のサインがともる。ICカードをかざす従来の改札とかわらない速さで通過できる。マスク着用でもほぼ問題ない。
大阪・関西万博の取材で訪れた施だが「この顔認証ゲートも台湾で話題になっていた。近未来の交通体験だ」と満足げだ。
大阪メトロは3月25日、130駅でこのゲートの運用を始めた。スマホのアプリで顔画像を登録して利用する。「万博に間に合った」。技術担当の辻正義(44)は胸をなで下ろす。
万博に向け、顔認証ゲートの導入を決めたのは2019年のことだ。当時オフィスなどで顔認証ドアが広まっていたが、動作を止めてカメラに向き合う必要があった。動く人物の画像から顔部分を瞬時に抽出することは難しく、改札での利用など考えられなかった。両手に荷物を抱えたままでも通れる利便性を追求してアイデアが生まれた。
人工知能(AI)を取り入れた実証機の開発から始まり、カメラや照明の位置も調整を繰り返して、ほぼ確実に顔画像を捉えることができるようになった。辻によると「他の鉄道会社から問い合わせも来ている」。スーパーなど小売り決済にも応用でき、ビジネス機会は大きい。
万博を成長のきっかけにしようとする企業は多い。産業ガス大手の岩谷産業は燃料電池船「まほろば」を完成させた。水素を動力源とし、航行中に二酸化炭素を出さない。会期中には大阪中心部と会場を水路で結ぶ。
同社は未来のエネルギーの有力候補である水素の量産に力を入れる。社長の間島寛(66)は「水素活用のモデルとしてまほろばを世界中に知ってもらえれば」と期待を寄せる。
関西国際空港はターミナル施設で過去最大の改修を終えたばかり。国際線エリアを大幅に広げ、海外からの旅客の受け入れ能力を年4000万人と新型コロナウイルス流行前の18年実績から2倍近く引き上げた。
空港運営会社社長の山谷佳之(68)は「空の玄関口である関空が万博の『ファーストパビリオン』の役割を果たす」と意気込む。万博開幕に向けて各社が万全を期し、世界の反応を静かに待っている。
(敬称略)
【図・写真】大阪メトロは130駅で顔認証技術を使った改札ゲートの運用を始めた(大阪市西区)
世界株急落の警告に米政権は目を覚ませ(社説)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 922文字 PDF有 書誌情報]
世界の金融市場で株価が急落する連鎖が広がっている。トランプ米政権による関税政策が世界経済に深刻な影響を及ぼすとの懸念が背景にある。市場が発する警告にトランプ大統領は目を覚まし、無謀な政策を見直すべきだ。
東京株式市場は7日も売り一色に染まった。日経平均株価の終値は3万1136円と前週末比2644円安。歴代3位の下げ幅で、日中の先物市場では一時的に指数取引を中断するサーキットブレーカーが発動した。直近3営業日で計4589円の下落となり、昨年夏の急落時の安値を下回った。
4月2日に米国が打ち出した相互関税に対し、すぐさま中国が報復関税を発表したことで、世界同時株安の様相が深まった。貿易戦争が激化することへの警戒だ。アップルなど米巨大IT(情報技術)企業も株価が急落、米国株式市場も総崩れとなっている。
今回の株安はこれまでとは異なるものだ。コロナ禍は未知のウイルスの脅威で世界経済が混乱したが、今回はトランプ政権がしかけた人為的な政策が発火点だ。しかも世界の分断をあおり、出口を見えにくくしている。
高関税でインフレが再燃し、同時に景気が冷え込むことがあればスタグフレーションの苦境に陥りかねない。すでに米国の消費者心理の悪化を示す経済指標も出始めている。貿易の縮小は企業収益を圧迫しかねず、設備投資の停滞を招く怖さがある。
米JPモルガン・チェースは「関税ショック」と呼び、世界経済が景気後退入りする確率を60%に引き上げた。「米国を強くする」と訴えるトランプ氏だが、自国の米国内でさえ鳴り響く非常ベルが耳に届いているか。
トランプ政権は関税で最大限の交渉力を得たとするが、貿易を人質にとるような乱暴な政策は避けるべきだ。米連邦準備理事会(FRB)は物価と景気の両にらみの難しい金融政策を強いられる。政権側が圧力をかけ、利下げを迫るのは全く筋違いである。
石破茂首相は7日夜、関税措置を巡ってトランプ氏と電話協議した。最大の対米投資国であることを強調したというが、自由貿易の重要性を説き続けてほしい。
市場の混乱が続けば、思わぬかたちで金融システムが目詰まりを起こしかねない。各国中銀は緊密に連携して市場動向を注視し、万全を期すべきだ。
列島の大動脈止めぬETCに(社説)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 2ページ 781文字 PDF有 書誌情報]
東名高速道路や中央自動車道などの自動料金収受システム(ETC)に障害が発生し、丸1日以上にわたり混乱した。ETCの目的は料金所で車の流れを止めないことにあるが、それが原因で列島の大動脈が滞ったのは残念だ。
ETCの利用率は95%を超え、1日770万台余りが使うインフラである。原因究明を徹底するとともに、トラブルが起きても人や物の流れを極力止めない運用やシステムのあり方を考えたい。
ETCの障害は、6日未明から7日午後にかけ、中日本高速道路管内の100カ所を超える料金所で発生した。ETCレーンが閉鎖され、支払い手続きで渋滞が長時間に及んだうえ事故も起きた。
その後、精算を事後にすることにしてETCレーンを開放し、混乱は解消に向かった。車の流れを止めないことを大前提にすれば、こうした措置はもっと早く講じてしかるべきだった。トラブル時の運用を再点検すべきである。
今のETCシステムはかなり複雑だ。料金所での現金徴収が主流だった頃の古いシステムがベースで、これにETCを追加し、料金制度が変わるたびに改修を重ねた継ぎはぎ状態にある。
高速道路各社はそれぞれ独立した料金システムのため、中日本以外への影響はなかったが、これ以上の改良は限界にきている。
このため、高速道路各社や国土交通省は料金システムのあり方を抜本的に見直す検討を始めたところだった。今回の事態を踏まえ、議論を急ぐべきである。
現在は即時に精算するため、料金所で大量のデータを処理している。料金所は全国1200カ所、7100レーンあり、この改修コストがかさむのも課題だ。
諸外国のようにカメラでナンバーを捕捉し、後から請求する方式にすれば、料金システム側の負担を軽くできるとの声もある。今後は渋滞状況に応じた変動料金制も広がるだろう。さまざまな課題に対応できる柔軟なシステムが求められている。
アジア株全面安 貿易戦争で底値みえず トランプ関税で景気悲観が拡大 台湾・香港株、1割下落[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1850文字 PDF有 書誌情報]
貿易戦争が世界経済に与える打撃が見通せず、世界株安が止まらない。7日のアジア市場は台湾株や香港株が1割下げる全面安となった。日経平均株価の下落速度は新型コロナウイルス禍をも上回る。自由貿易体制が揺らぐ経験のない逆風に株価の底値が見えなくなっている。(1面参照)
台湾株式市場で株価指標である加権指数の7日終値は、前営業日の2日に比べ2065.87ポイント(10%)安の1万9232.35だった。下落幅は過去最大となった。台湾積体電路製造(TSMC)は制限値幅の下限(ストップ安水準)となる10%安で引けた。
香港ハンセン指数もテック銘柄を中心に売りが広がり、7日終値は13%安だった。テック大手のアリババ集団と小米(シャオミ)はそれぞれ18%、21%下落した。
韓国総合(KOSPI)と、上海・深の取引所に上場する中国の優良企業を組み入れたCSI300指数も、それぞれ6%と7%下がった。豪証券取引所(ASX)の主力銘柄で構成するASX200指数は4%安だった。
この週末、トランプ米大統領は「薬を飲まなければならないこともある」と株安でも高関税政策を続ける姿勢を示した。アジアの株式市場では「本格的な貿易戦争や景気後退が差し迫っているとの懸念」(豪州市場のアナリスト)が広がった。
日本株にも売りが殺到した。朝方には大阪取引所が、日経平均先物の売買を一時中断する「サーキットブレーカー」(きょうのことば)を発動した。前週末からの下落率が8%の制限に達したためだ。相場急変時に投資家に冷静な判断を促すための措置で、日経平均先物での発動は2024年8月以来になる。
GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャーは3月下旬から日本株の保有比率を減らしほとんどを売却した。「本来なら安値で買いが入る水準まで下げたが、今回は米当局が株安を容認しており状況が違う」とみる。
日経平均の直近高値3月26日からの下落率は8営業日で18%安となった。コロナショックの際は株安の起点となった20年2月21日から8営業日後までは9%安で、当時よりも下落がきつい。
日銀の追加利上げや米景気懸念から急激な円高・株安となり、日経平均が過去最大の下げ幅を記録した24年8月に比べれば下落速度は遅い。
ただ、当時は株価の回復が速かった。今回は「24年8月と異なって、逆張りで即座に買うタイミングだとみる中長期投資家は非常に少ない」(みずほ証券の石川真理子・機関投資家営業部長)。コロナやリーマン・ショック時のような下落の「深さ」にならないか警戒されている。
世界景気が後退した際には、株価が下落し始めてから底入れするまでに高値比で3~4割下落した。コロナ禍では18営業日後に29%安となって反転し、リーマン・ショック時には28営業日後に41%安い水準まで下げていったん底入れした。
景気不安は日増しに高まっている。米ゴールドマン・サックスは6日、米国の景気後退確率を35%から45%に引き上げた。3月下旬に20%から35%にしたばかりだった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は「市場は真剣に米国の景気後退の可能性を見始めたが、関税の影響がどの程度になるか読みきれていない」と話す。
国内個人投資家の損失も大きい。神奈川県在住の40代男性は、年初来で10%あった運用益が15%の含み損に転じ、日本の内需株を7日朝にかけて売却した。「トランプ関税の影響が小さいとみて小型内需株に投資していた。世界景気減速まで懸念が広がるとは想像していなかった」と話す。
信用取引で買った個人投資家には追加の証拠金を支払う「追い証」が発生しつつある。松井証券には追い証に関する電話での問い合わせが朝から急増した。信用取引で買った株式の含み損の度合いを示す信用評価損益率は、松井証券の店内集計で7日はマイナス23%と、追い証が発生するといわれるマイナス20%より深い。
24年8月5日の急落時にも個人の投げ売りが株安を広げた。当時は新しい少額投資非課税制度(NISA)で投資を始めた層の多くが投資を継続した。今回は「個人に人気の米株投信の基準価格が急落している。長期投資の正念場だ」(SMBCグローバル・インベストメント&コンサルティングの藤原崇幸ジェネラルマネジャー)との見方が出ている。
(リサ・キム、南雲ジェーダ、越智小夏)
【図・写真】大幅に下落した日経平均株価(7日、東京都中央区)
「物価・賃上げ好循環に懸念」日銀支店長会議 利上げ路線に影[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1199文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権による追加関税が日銀の利上げシナリオに影響を及ぼす可能性が出てきた。7日の支店長会議では「賃金と物価の好循環に対するリスク」との認識を共有した。企業収益や消費への悪影響を念頭に、当面は経済や物価を注視する。
「関税は最大のリスクなのでしっかり注視してほしい」。支店長会議では植田和男総裁がこう発言したという。日銀関係者は「株価の下落で消費マインドへの影響にも注意が必要だ。現在交渉中の中小企業の賃上げも見通しにくくなった」と話す。
トランプ政権は3月の鉄鋼・アルミニウム製品に続いて4月3日から自動車に25%の追加関税を新たに課した。他の日本からの輸入品にも貿易相手国と同水準に関税を引き上げる「相互関税」として、9日に合計で24%の追加関税を適用する。
まだ企業が生産や輸出の計画を下方修正するといった目立った動きは出ておらず、「企業は頭の体操をしている段階」(日銀関係者)。賃上げや価格転嫁、人手不足に対応するための投資も続いている。もっとも、収益悪化を織り込む状況になれば政府・日銀が重視する賃上げ機運がしぼむ恐れがある。
トランプ氏が相互関税を発表した後、日経平均株価は下落した。7日も前週末から2600円ほど下げて取引を終えた。資産価格の下落は消費に負の影響を与えやすい。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げする方針を示し、現時点でもこの姿勢は堅持している。だがトランプ関税は日銀の利上げシナリオに影を落とす。
市場の一部からは4月30日、5月1日に開く金融政策決定会合で追加利上げを判断するという観測も出ていた。日銀内ではもともと5月会合での利上げは慎重だったが、相互関税の発表の後、日銀関係者から「5月会合での利上げはありえない」との声が聞こえるようになった。
「今後1カ月は市場の反応を見つつ、数カ月かけて日本企業の対応を見ていかないといけない」と話す日銀関係者もいる。関税に由来した経済の不確実性が一定程度解消されるには時間がかかる可能性がある。
日銀は5月会合では関税の影響もふまえた新たな経済・物価の見通しをまとめる。理事で大阪支店長の正木一博氏は「政策を起点とした類例のないショックなので過去の経験にもとづいて定量的インパクトを読むのが難しい」と話す。日銀は半年程度に1回の利上げを意識してきたが、このペースが遅れる可能性を否定できないのが現状だ。
もっとも、米国の関税政策は物価を押し上げるシナリオもありうる。植田総裁は4日の国会答弁で「経済の下押しは物価を押し下げる方向に作用する。他方、グローバルな供給網が混乱する場合は輸入物価の上昇を通じて上押しの圧力を加える可能性がある」と説明した。
すでに物価高が長期化していることに加え、現状では円高に振れている為替相場も米金利などの動向次第で円安に進む可能性はある。利上げを判断する材料は残る。
「物価・賃上げ好循環に懸念」日銀支店長会議――景気判断、全地域横ばい 4月報告 米関税リスク指摘も[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 3ページ 640文字 PDF有 書誌情報]
日銀は7日、4月の地域経済報告(さくらリポート)を公表した。全国9地域すべての景気判断を据え置いた。
多くの地域で「緩やかに回復」または「持ち直し」の基調が続いているとする一方、足元では米トランプ政権の関税政策による不確実性が高まっていると指摘した。
7日に3カ月に1度の支店長会議を開きリポートをまとめた。米国の関税政策の影響について、企業からは生産や収益への影響を懸念する声などが寄せられたとして「(各地域の)支店としても、今後の動向を十分注意してみていくとの報告が多かった」と評した。
関税の影響をめぐって、企業からは「現時点で生産・輸出計画を変えていないが、ダウンサイドリスクは意識している」(近畿の電気機械)や、「米国の通商政策次第では、下振れリスクもあり、情報収集に注力している」(東海の輸送用機械)といった声が聞かれた。
人手不足を背景に、多くの地域から、幅広い業種・規模で高い水準の賃上げの実施が期待できる情勢にあるとの報告があった。企業からは「優秀な人材の確保に向けて継続的に賃上げを行う方針」(関東甲信越の輸送用機械)などの声があった。
企業の価格設定面では「賃上げ原資確保のための転嫁を実施・検討する動きが引き続き広がっている」とみる。
個人消費に関しては、賃上げやインバウンド需要を追い風に「観光・宿泊や外食などの需要が引き続き堅調」と評した。九州沖縄の宿泊業は「客室料金を前年から数千円引き上げても、イベント開催の多い週末は満室状態が継続」と報告した。
アジア株全面安 貿易戦争で底値みえず――日本株、金融に売り 銀行27%下げ 金利上昇観測が後退[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 3ページ 564文字 PDF有 書誌情報]
日本株では、関税の影響を受けやすい外需関連のほか、利上げ期待で買われてきた金融株の下げが大きい。業種別日経平均株価の3月26日からの下落率首位は「造船」の34%だ。川崎重工業は地政学リスクの高まりから防衛関連として上昇してきたが、日本株の持ち高を落とす格好の対象になった。
日銀の追加利上げが遠のいたとの見方から日本の長期金利が急低下し、利上げによる貸出金利の上昇期待で買われてきた「銀行」は27%下落した。賃上げによる好循環が金利上昇をもたらし、銀行株に追い風とみられていたが流れが止まった。
UBS証券の中冨良祐株式営業部長は「金融株は海外勢も含め投資家が皆持っていた銘柄だ。これまで買いが集まっていた銘柄の下落率が特に大きい」と話す。
関税が業績に直接響く外需株も売られている。今回の相互関税では対象とならなかったが、米国は半導体にも別個に追加関税を検討しているとされる。半導体製造装置のアドバンテストは高値から半値となった。半導体関連銘柄の多い「精密機器」は23%安、「電気機器」は22%安と下げが大きい。
自動車も21%安だ。日本からの輸出が過半を占めるマツダが29%安と売られた。トヨタ自動車も22%下落した。
下落率が小さかったのは比較的関税影響の小さい内需株で「ガス」や「食品」「小売業」が7%安にとどまった。
サーキットブレーカー 相場急変で10分取引停止(きょうのことば)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 3ページ 393文字 PDF有 書誌情報]
▽…金融市場が急激に変動した際、投資家に冷静な判断を促すため、取引所が一時的に取引を制限・中断する制度のこと。米国では1987年のブラックマンデー(暗黒の月曜日)の株価暴落を機にニューヨーク証券取引所が導入。日本は94年に取り入れた。
▽…日本では株価指数先物やオプション取引が対象で、一定の範囲を超えて動いた場合に適用する。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)の先物は前営業日比で上下8%動くと10分間取引を止める。7日は8時45分の取引開始直後、日経平均やTOPIX、東証グロース市場250指数などの先物に対し相次いでサーキットブレーカーが発動した。東証グロース市場250指数先物では再開後も下落が続いたため、9時4分から2回目の発動となった。
▽…日経平均先物に対する発動は、日経平均が過去最大の下落幅を記録した翌日の2024年8月6日以来となる。株式相場の不安定さを映している。
低年金対策、政策か政争か 「熟議の国会」試金石に 自民・立民、必要性は一致[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1613文字 PDF有 書誌情報]
通常国会の後半戦は年金制度改革法案を巡る与野党の対応が注目点となる。柱となる就職氷河期世代らの低年金対策は野党も必要性を訴える一方、わかりにくい仕組みに批判も多い。年金改革法案の政策が実現するか政争の具になるかは石破茂首相が唱える「熟議の国会」の試金石となる。
年金改革法案は会社員らが加入する厚生年金の財源を活用し、日本に住む20歳以上の全員が入る基礎年金(国民年金)の受給水準を引き上げる制度をつくることなどが盛り込まれる方向だ。もらえる年金が少ない就職氷河期世代の老後の暮らしを改善する狙いがある。
基礎年金は少子高齢化でも財政を維持するために給付水準の目減りが続く。会社の給与から年金保険料を天引きする厚生年金に比べ、自ら保険料を納める国民年金は未納期間があるなどで満額を受け取れない人が少なくない。
今回の年金改革では相対的に余裕がある厚生年金の積立金を使って支給水準の改善をめざす。会社員にとっては厚生年金部分の減額が基礎年金の増額よりも先行し、全体の支給水準は一時的に現行制度よりも下がる。
SNSでは「会社員の積立金を自営業者に横流し」といった批判が出ている。会社員と専業主婦の世帯なら基礎年金の底上げ効果が厚くなる2041年度以降の支給水準は今よりも高くなる。こうした厚生労働省の説明は浸透していない。
自民党では河野太郎氏が「こんな法案は国民に説明できない」と反対してきた。松山政司参院幹事長は3月下旬の参院議員総会で「極めて慎重に丁寧に議論すべき法案だ」と消極的な発言をした。夏の参院選を控え、及び腰な姿勢がみえる。
首相が法案提出の調整を指示したのを受け、自民は10日にも厚労部会などで本格的な法案審査に入る。政府・与党は4月末までに国会へ提出する段取りを描くが、当初予定していた3月中旬からは1カ月以上も遅れる。
法案を出しても国会日程は窮屈だ。衆院厚労委員会の定例日は原則として週2回で、同委員会での審議が残る政府の法案は年金改革法案を含めて5本ある。提出が遅れる年金法案の審議は最後になる見通しで、6月22日の会期末までに成立させるハードルは高い。
自民党内には参院選への影響を避けるため、成立を秋以降に先送りすべきだとの意見もある。
その場合は低年金対策の仕組みづくりが遅れる。法案にはパート労働者の厚生年金への加入拡大や個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の加入可能年齢の引き上げといった改革もあるが、いずれも先送りとなる。
法案成立を左右するのは立憲民主党など野党の出方だ。少数与党の自民党は野党の協力が不可欠となる。自民党は法案提出前に立民の意見を採り入れる修正協議をめざしているものの、実現に至っていない。水面下では立民や国民民主党を支援する連合と接触して一致点を探っている。
立民の「次の内閣」(ネクストキャビネット=NC)厚労相を務める山井和則氏は3月の衆院厚労委で「氷河期世代の低年金を放置するかしないかが問われている」と述べ、今国会での成立を求めた。
立民には法案提出後に国会審議で修正を求めるべきだとの意見がある。一方で、自民党には国会審議で年金改革法案を「政争の具」にされることへの警戒も強い。
老後の暮らしに直結する年金は自民党にとって鬼門の政策テーマだ。旧社会保険庁の年金記録問題は「消えた年金」と批判され、自民党は07年の参院選で大敗し09年の政権交代につながった。
今回の年金改革法案は低年金の改善に向けたものであるものの、抜本的な解決にはならない。厚生年金の加入対象を50人以下の企業で働くパート労働者に広げる措置も、中小企業への配慮から完全適用は35年と10年後になる。
政府・与党が示す懸案解決策を野党との協議によって、より質の高い政策につなげるのが熟議の国会のあるべき姿といえる。年金改革法案の行方は少数与党である石破政権の政策推進力を示すものとなる。
ミサイル共同生産「日米協力の主要分野」 米防衛大手CEOキャシー・ウォーデン氏[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 664文字 PDF有 書誌情報]
米防衛大手ノースロップ・グラマンのキャシー・ウォーデン最高経営責任者(CEO)は日本の防衛産業とさらに協力を深めることに意欲を示した。ミサイルやミサイル防衛システムの共同生産を「日米協力の主要分野」に位置づけると明言した。
日本経済新聞のインタビューに答えた。
日米両政府は極超音速兵器を迎撃する新型ミサイルを開発している。同兵器は音速の5倍以上の速さで飛行し変則軌道をとるため迎撃が難しい。中国やロシア、北朝鮮が技術・開発で先行する。
新しい迎撃ミサイルの開発に向けて両政府はノースロップ・グラマンや三菱重工業と契約した。ウォーデン氏は開発状況に関して「主に設計作業を進めている」と明かした。2030年代をめざす完了時期に関し「開発速度の加速も模索している」と語った。
日米で共同生産する製品の拡大を望んだ。米国が用いる装備品のサプライチェーン(供給網)の一部を日本が担うよう要請した。「日本の需要を満たすだけでなく、いっそうの輸出拡大にもつながる」と訴えた。
「実現には政策的な意欲や国際的な競争力が必要だが、日本の産業は技術的に非常に進んでおり、製造能力も高い」と評価した。
日本政府は防衛費を27年度に国内総生産(GDP)比で2%まで増やす計画を掲げる。ウォーデン氏は防衛費のさらなる増額に期待を示した。
ノースロップ・グラマンは航空自衛隊が運用する無人偵察機「グローバルホーク」などを納入した実績がある。自衛隊関係者を招待して「米国の工場で製品や運用状況を見てもらうことがよくある」と述べた。
【図・写真】ウォーデン氏
ミャンマー支援、自衛隊機派遣へ 地震被害で防衛相[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 263文字 PDF有 書誌情報]
中谷元防衛相は7日、ミャンマー中部で発生した地震による被害者を支援するため、自衛隊機で医療物資を輸送すると発表した。政府が先に派遣した医師や看護師ら32人で構成する国際緊急援助隊の医療チームに薬品や検査薬などおよそ2.5トンを届ける。
防衛省によると、8日に愛知県の航空自衛隊小牧基地から20人ほどの自衛隊員がC130輸送機1機で出発する。9日に中部マンダレーの国際空港に到着する予定。
ミャンマーは軍事政権の国軍と少数民族武装勢力が内戦状態にある。中谷氏は「発災当初から調査チームを送り対応に万全を期してきた」と説明した。
米国関税に対応、きょう閣僚会議 資金繰りや雇用議論[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
政府は8日午前、トランプ米政権が発動した関税措置に対応する閣僚会議の初会合を開く。全閣僚をメンバーにする。中小企業の資金繰りや雇用維持のための国内対策と、対米交渉の方向性を話し合う。
独自規定、新陳代謝阻む 戸別訪問・ビラ・ポスター… 有権者の政治参加に負担(男子普通選挙100年のいま)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 1356文字 PDF有 書誌情報]
男子普通選挙の実現とともに現在まで続く戸別訪問の禁止といった選挙運動のルールもうまれた。ポスターや街頭演説を中心とする選挙文化は今や海外から日本独自のガラパゴス制度に映る。細かい規定が候補者の負担となったり、有権者の政治参加を阻んだりする弊害もある。
初の男子普通選挙が実施された1928年、内務省は戸別訪問や演説妨害など19項目を「犯罪になります」と赤字で列挙したポスターを配布した。投票率を高める啓発活動をしつつ有権者の政治活動を萎縮させかねない周知活動に「当局者たちも混乱していた部分があった」と慶大の玉井清名誉教授は指摘する。
納税要件の撤廃に加え、中選挙区制への移行もあり1選挙区の有権者数は従来の数千人から一転、十数万人に激増した。
本格的に活用が始まった選挙ポスターが民家の塀に隙間なく貼られたり、鉄橋や船、雪だるまにまで掲示されるなど街中にあふれかえる事態になった。これが戦後の公営掲示板の設置やビラなどの数量規制につながっていく。
規制の隙間をつく陣営と法改正のいたちごっこは現在も続く。
2024年7月の東京都知事選ではほぼ全裸の女性や有料サイトに誘導するQRコードを載せたポスターが物議を醸し、ポスターの「品位保持」規定を設ける改正公職選挙法につながった。他候補の当選を目的に立候補する「2馬力」行為の禁止やSNSの偽情報対策も議論が続く。
「有権者が知りたい情報を知れる環境をつくり、適正な新陳代謝と多様性を確保することが大事だ」。超党派の法改正協議に加わった自民党の鈴木英敬氏は理想の選挙ルールをこう説明する。
およそ100年前から続く規制は新陳代謝の足かせになっている。候補者は選挙管理委員会が発行する証紙を貼ったビラしか配れない。何万枚も証紙貼りを担う人員を確保しづらい新人に不利に働く。SNSでの発信に量的規制はなく、制度の整合性も疑問が残る。
規制の曖昧さもハードルになる。例えば戸別訪問は禁止されている一方、道路などで偶然会った有権者に投票を呼びかけるのは自由だ。国民民主党の長友慎治氏は「初めて選挙に出るときは何が禁止か分からない。シンプルにすべきだ」と主張する。
立憲民主党の石川香織氏は自身に関する事実と異なる情報がSNSで拡散されたとき戸別訪問などによって「実際に会う体験が対抗手段になる」と唱える。
13年にネット選挙が一部解禁されたものの、有権者にとって分かりづらい規制もある。候補者のウェブサイトを印刷して配ることはできないなど細かい線引きに注意が必要だ。
海外の多くの国で戸別訪問は政治活動の自由として保護される。カナダは選挙期間中に候補者が集合住宅に入るのを管理人が阻むことを禁じる。
ビラやポスターなどの数に細かい規定があるのも珍しい。英国は選挙運動全体の費用を制限し、その枠内でビラやポスターの数や配布方法は各陣営が自由に決められる。
選挙プランナーの三浦博史氏は現行の選挙運動ではビラ配りや証紙貼りなどに追われ、選挙ボランティアが自分の強みを生かした貢献をするのは難しいと指摘する。
ボランティアが戸別訪問などを通じて個性を発揮しながら支持を呼びかける米国の選挙活動を例に「楽しんでやるのがボランティア。選挙は感動だ」と説き、多様な政治参加を訴える。
4月7日(首相官邸)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 396文字 PDF有 書誌情報]
▽7時48分 公邸から官邸。50分 伊東地方創生相、森補佐官、阪田官房副長官補、海老原新しい地方経済・生活環境創生本部事務局長。
▽8時49分 国会。55分 参院決算委員会。
▽12時 官邸。16分 政府・与党連絡会議。53分 国会。
▽13時 参院決算委。
▽17時3分 党役員会。20分 官邸。
▽18時37分 岡野国家安全保障局長、外務省の鯰外務審議官、有馬北米局長、片平経済局長、土谷財務省国際局長、渡辺農水審議官、荒井経産省通商政策局長。
▽19時15分 東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急。日本料理店「水簾」で秘書官と食事。打ち合わせ。
▽20時20分 公邸。32分 林官房長官、国家安全保障局長、外務省の船越次官、鯰外務審議官、有馬北米局長、経済局長、財務省国際局長、農水審議官、経産省通商政策局長。
▽21時1分 トランプ米大統領と電話。官房長官ら同席。
▽22時 報道各社のインタビュー。
木戸口議員の資産公開(短信)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 119文字 PDF有 書誌情報]
参院は7日、昨年10月の参院岩手選挙区補欠選挙で当選した立憲民主党の木戸口英司氏の資産報告書を公開した。内訳は次の通り(千円単位は四捨五入。土地、建物は固定資産税の課税標準額)。
土地80万円▽建物294万円▽預金300万円▽自動車1台
「あらゆる可能性を考慮」 消費減税巡り公明代表(短信)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 98文字 PDF有 書誌情報]
公明党の斉藤鉄夫代表は7日、物価高対策としての消費税減税の是非を問われ「あらゆる可能性を考慮しながら議論している段階ではないか」と答えた。「あらゆることが俎上(そじょう)に載っている」と話した。
共産、富山と兵庫に新人(短信)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 97文字 PDF有 書誌情報]
共産党は7日、夏の参院選に関し、富山選挙区(改選数1)に党富山県書記長坂本洋史氏(54)、兵庫選挙区(改選数3)に党兵庫県常任委員金田峰生氏(59)をそれぞれ擁立すると発表した。いずれも新人。
岸和田市長(大阪府)(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 67文字 PDF有 書誌情報]
岸和田市長(大阪府)
当48307佐野 英利 無新
7606永野 耕平 無前
4119花野 真典 無新
584上妻 敬二 無新
国民、参院福井に新人(短信)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 57文字 PDF有 書誌情報]
国民民主党は7日、夏の参院選福井選挙区(改選数1)に、公認候補として新人山中俊祐氏(41)を擁立すると発表した。
秋田県知事選結果(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 54文字 PDF有 書誌情報]
◇秋田県知事選結果
当273270鈴木 健太 無新
189382猿田 和三 無新
5345大久保範夫 無新
小平市長(東京都)(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 52文字 PDF有 書誌情報]
小平市長(東京都)
当33677小林 洋子 無現
22162松岡 篤 無新
4873宮川 和之 無新
山陽小野田市長(山口県)(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 43文字 PDF有 書誌情報]
山陽小野田市長(山口県)
自民、公明推薦の藤田剛二氏(65)=無現=が無投票で3選。
海南市長(和歌山県)(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
海南市長(和歌山県)
神出政巳氏(74)=無現=が無投票で6選。無投票は6回連続。
出雲市長(島根県)(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
出雲市長(島根県)
自民、公明推薦の飯塚俊之氏(59)=無現=が無投票で再選。
真庭市長(岡山県)(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
真庭市長(岡山県)
太田昇氏(73)=無現=が無投票で4選。無投票は5回連続。
北秋田市長(秋田県)(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 39文字 PDF有 書誌情報]
北秋田市長(秋田県)
当 9602津谷 永光 無現
6215虻川 敬 無新
秋田市長選開票結果(選挙)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 38文字 PDF有 書誌情報]
◇秋田市長選開票結果
当98049沼谷 純 無新
51808穂積 志 無現
衆院議員資産2669万円 平均、過去最低 ゼロの議員増加[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 4ページ 472文字 PDF有 書誌情報]
昨年10月の衆院選で当選した衆院議員465人の資産報告書が7日、公開された。共同通信の集計で、株式を除く預貯金などの金融資産と不動産を合わせた資産総額の平均は2669万円。前回2022年4月の公開日から255万円少なく、1993年の初公開以来、過去最低となった。(関連特集をビューアーでご覧いただけます)
金融資産や不動産を持っていないと報告した「資産ゼロ」議員が増え、前回上位のベテラン引退などで下げた。上位10人中8人を自民党が占めた。資産が1億円を超えたのは22人で、前回より4人減った。資産ゼロ議員は94人で、前回より17人増えた。
トップは自民の麻生太郎最高顧問の6億153万円だった。2、3位も自民で、逢沢一郎氏6億103万円、田中良生氏4億4462万円だった。
参院からのくら替えを含む新人99人の平均は982万円で、前回より883万円減った。首位は立憲民主党の高橋永氏で7709万円だった。
女性議員73人の平均は1460万円で、前回より32万円減。1億円を超えたのは阿部俊子文部科学相のみ。男性392人の平均は2894万円。
インフレで政府が資金余剰 税収増で初の黒字、日銀統計 債務残高目減りの試算も 安易な歳出増にはリスク[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1548文字 PDF有 書誌情報]
インフレによって政府が資金余剰になっている。税収増を背景に最新の日銀の資金循環統計で政府部門が黒字となった。政府の債務残高が大きく目減りするとの有識者の試算もある。物価上昇が財政リスクを覆い隠しているようにも見え、安易な減税や歳出増には注意が必要となる。
3月31日に成立した2025年度予算は国会審議の過程で、高校無償化や所得税の「年収103万円の壁」引き上げといった野党の要求をのみ、歳出抑制が難航した。大和総研の末吉孝行氏は国と地方の基礎的財政収支が25年度に0.2兆円、26年度に1.0兆円悪化すると試算する。
一方で、統計上は政府のお金のやりくりは改善した。日銀が3月21日に発表した24年10~12月期の資金循環統計の速報値によると、政府部門の資金が季節調整値で12月末に1兆3476億円の黒字になった。さかのぼれる05年以降で初めてのことだった。
この統計は四半期ごとに個人や企業などの金融資産や負債の残高、その増減を集計している。日銀は「季節調整値は参考指標扱いだ」との考えを示すものの、直近4四半期の移動平均で見ても赤字は縮小傾向にある。
第一生命経済研究所の星野卓也氏は黒字に関して「インフレによる税収増で政府部門に資金が入っていることが主因だ」と説明する。国の税収は定額減税を実施しても、24年度まで5年連続で過去最高を更新する見通しだ。株式売買や配当に関連した税収も伸びており、25年度もさらなる税収増を見込む。
物価高は歳出増にもつながる。もっとも、星野氏は「政府は当初予算の支出を抑え、補正予算で取り過ぎた分を戻そうとするが、基金積み上げなどで資金が滞留して国民に還元しきれていない」とみる。
物価上昇は債務というストック面にもプラスの影響を与えうる。およそ1100兆円ある政府債務はインフレによってお金の価値が下がると、実質の債務負担は計算上軽くなる。
3月に開いた政府の経済財政諮問会議で、物価研究の第一人者である東大の渡辺努教授(当時)がこの点を指摘した。これまでの0%から、2%のインフレへと移行するなかで「日本最大の債務者である政府は180兆円の利得を手にする」との試算を提示した。
発言した際、居並ぶ閣僚がざわついたという。渡辺氏は「急いで付け加えると、180兆円が手に入るのだから財政は大盤振る舞いしてもよいと申し上げたいわけではない」と念押しを忘れなかった。
インフレに依存して債務の圧縮に成功したのが第2次世界大戦直後の英国とされる。物価高が続くなか、金利を適正水準まで引き上げず名目の国内総生産(GDP)が膨らんだ。政府債務のGDP比は急速に縮小し、債務負担が軽減した。
同じような財政再建の手法をとるのは容易ではない。実質賃金が低いままでは物価高による国民の不満が高まり、政府が減税や財政出動といった還元策を迫られることが予想される。
7月には参院選を控える。野党を中心に減税を訴える声が上がる。与党内でも物価高対策を求める声が広がっている。
減税などで個人消費を喚起することで経済が成長し、将来の税収が増えるとの期待はある。半面、インフレによる税収増や債務圧縮に依拠して安易に減税や歳出増を繰り返せば、財政危機のリスクを高めかねない。
国際通貨基金(IMF)によると、日本の政府債務残高のGDP比は20年以降、250%を超えて推移する。世界でも突出して高い。
それでも長期金利が低水準だったのは、日銀が異次元緩和で国債を大量保有していたことが背景にあった。
日銀は24年3月にマイナス金利政策を解除し、利上げや国債の買い入れ減額を進めている。日本政府の財政への信頼が揺らげば、金利急騰を招き、国債の利払い負担の急増で財政が停滞する恐れはある。
冬ボーナス41.3万円 5人以上の事業所 24年2.5%増 飲食、人手不足で伸び[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 756文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省が7日に発表した2024年冬季賞与の集計によると、支給した事業所の1人あたりの平均額は41万3277円となり、前年から2.5%増えた。金額は08年以来、16年ぶりの高水準となった。飲食サービス業など人手不足の業種で伸びが目立った。
5人以上の事業所の24年11月~25年1月の支給実績を調べた。賞与を支給した事業所の割合は全体の77.8%に上り、前年から8.8ポイント伸びた。01年冬以来の高い水準となった。支給した事業所の労働者が全体に占める割合は87.3%となり、02年冬以来の高さとなった。
30人以上の事業所に限定すると、賞与を出した事業所の割合は92.6%に達し、前年から1.4ポイント上がった。
冬季賞与の伸び率を産業別に見ると、人手不足の業種で大きい。飲食サービス業が前年比で12.1%増えたほか、生活関連サービス業が9.4%、医療・福祉が8.8%、建設業が8.0%伸びた。製造業も5.6%上がった。
人材を獲得し、つなぎとめるためには賞与を引き上げるなど社内外へのアピールが欠かせなくなっている。
引き上げの背景には業績の改善もある。電気・ガス業は前年から13.5%増えて94万3474円だった。金額は産業別でトップとなった。
伸び率は、サンプル数が少ない鉱業・採石業の14.5%に次ぐ2位だった。値上げを進めた一方で、燃料価格が下落したことで収益環境が改善しているとみられる。
先行きには不安がある。企業収益の伸びが鈍化するなかで、足元ではトランプ米大統領が発表した相互関税への懸念が強まっている。
賞与は業績に連動しやすいため「25年の夏季・冬季賞与とも24年より伸びが縮み、マイナスに転落する可能性もある」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)。消費マインドに影を落とす恐れもある。
牛乳・牛肉に脱炭素表示 生産段階の温暖化ガス算定 農水省が運用へ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 469文字 PDF有 書誌情報]
農林水産省は2025年度にも、畜産農家による脱炭素の取り組みを3段階で評価する仕組みをとり入れる。乳牛と肉牛を対象に生産段階の温暖化ガス排出量を算定し、環境負荷の低減を後押しする。牛乳や加工肉といった商品に評価ラベルを貼り、消費者が選べるようにする。
希望する生産者は専用シートにエサの種類やエネルギーの使用量、排せつ物の処理方法などを入力し、排出量を計算する。農水省が地域ごとの基準値と比較し、排出削減にどれだけ貢献したかを星印1~3で評価する。
評価を上げるには、エサを農場近くの産地から調達するといった取り組みが必要になる。海外産から国内産に切り替えることで、輸送に使うエネルギー量を減らせる。
牛はエサを消化する際に胃の微生物の働きでメタンをはき出す。メタンの温室効果は二酸化炭素(CO2)の28倍とされる。農水省によると、国内の農林水産分野の排出量のうち、およそ31%は家畜の排せつ物やゲップによるものだった。
農水省は早ければ25年度中に、乳牛と肉牛について運用を始める。26年度以降に、豚や鶏に対象を広げることを検討する。
新潟知事「二者択一に課題」 柏崎刈羽再稼働の県民投票[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 384文字 PDF有 書誌情報]
東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働の是非を問う県民投票条例案を巡り、新潟県の花角英世知事が付ける意見の内容がわかった。直接の賛否は示さないものの「『賛成』または『反対』の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない」との課題を示した。
意見では冒頭で、約14万3000人の県民の署名により条例の制定が請求された点に触れ「その意義を大変重く受け止める」と記載した。
再稼働の是非については、国のエネルギー政策上の必要性や施設の安全性、避難計画の実効性など「多岐にわたる観点から議論されてきている」とした。その上で「『条件付きの賛否』『県議会で議論し結論を出すべき』といった意見も寄せられている」と指摘した。
花角知事は近く意見を付けて新潟県議会に条例案を提出する。県議会は条例案を請求した市民団体も招致して16日から審議を始め、18日に採決をとる。
介護職配置基準、過疎地で柔軟に 厚労省検討会[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 248文字 PDF有 書誌情報]
厚生労働省は過疎地で介護職員の配置基準緩和を検討する。中山間地などで介護人材の確保が難しくなっている。事業者同士で人材の行き来を柔軟にするなどし、サービス提供の維持を目指す。
厚労省が7日、2040年を見据えた介護のあり方を話し合う検討会で方向性を示した。今後中間とりまとめを出したうえ社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会などに報告し、27年度の介護報酬改定や制度改正に反映することを目指す。在宅サービスにおいて訪問介護と通所介護の事業者間で人材交流を柔軟にすることなどを検討する。
中国、水産物サンプル「異常なし」 福島第1周辺[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 224文字 PDF有 書誌情報]
【北京=田島如生】中国国家原子力機構は7日、東京電力福島第1原子力発電所周辺で採取した水産物の分析を終え、放射性物質の濃度に異常がなかったと発表した。中国が海水だけでなく水産物など「海洋生物」の安全性も確認し、発表するのは初めて。
中国政府は2024年10月に海洋放出後の処理水のサンプルを取り、25年1月に異常はなかったと公表した。2月下旬にも国際原子力機関(IAEA)の追加モニタリング(監視)に参加し、海洋生物などのサンプルを採取していた。
万博でAI食事分析 経産省、6月下旬から[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 220文字 PDF有 書誌情報]
経済産業省は7日、大阪・関西万博で個人の健康情報を統合して管理する「パーソナルヘルスレコード(PHR)」を使ったサービスを期間限定で提供すると発表した。生成AI(人工知能)が個人の健康状態に合った食事を提案するなどの体験を想定する。
万博は4月13日に開幕し、経産省は6月下旬ごろから順次サービスを始める予定だ。ワコールホールディングスなどと連携し、10種類の体験サービスを提供する。一部は事前に予約が必要で、4月中にも受け付けを始める。
景気動向指数、2月0.8ポイント上昇 基調判断は据え置き[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 151文字 PDF有 書誌情報]
内閣府が7日発表した2月の景気動向指数(CI、2020年=100)は足元の経済状況を示す一致指数が前月から0.8ポイント上昇して116.9になった。半導体製造装置の生産が増えたほか、エアコンなど耐久消費財の出荷が押し上げた。上昇は3カ月連続となる。
基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置いた。
ゆうちょ銀、システム障害 送金・決済一時使えず[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 128文字 PDF有 書誌情報]
ゆうちょ銀行は7日、インターネットバンキングの「ゆうちょダイレクト」などで一時、システム障害が起きたと発表した。午前8時57分ごろから送金や決済といったサービスを利用できなくなっていた。午前11時30分ごろに復旧し、サービスを再開した。原因を調べている。
米関税、LNGで打撃回避探る 「採算取れない」悩む経産省(底流)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 5ページ 855文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が相互関税や自動車への追加関税を決めた。各国が対抗関税を表明するが日本は受け身に終始する。経済産業省は国の一大産業である自動車の打撃を防ぐべく、同じく自ら所管の液化天然ガス(LNG)で、省内不一致をはらみながらも突き進む。
「採算が取れない案件をやるわけにいかない」。2月の日米首脳会談直後、経産省はLNG事業を手掛ける民間企業と非公開で協議した。民間側が懸念を示すのはアラスカ州の日米合弁事業だ。
首脳会談では米国から日本へのLNG輸出増加で合意した。トランプ大統領は直後からアラスカ州の事業に触れ「日本や韓国などが数兆ドル規模を投資してパートナーになることを望んでいる」とも話した。
採算が取れる保証は全くない。主要な外資企業は参画しておらず、資源エネルギー庁も民間と同じ思いだ。それでもアラスカLNGはトランプ案件として前に進む。
武藤容治経産相は3月28日、来日した米アラスカ州のダンリービー知事と面会した。知事はトランプ氏と同じ共和党員。直前に台湾、タイ、韓国を訪れ、台湾でLNG購入の意向書を締結した。
日本に参画を求める狙いは明白。来日直前、省内から「今は来ないでほしい」との声が出た。
一方で同じ経産省の通商政策局は「日米関係を考えLNG案件をまとめるべきだ」との考えとされる。荒井勝喜局長は首相秘書官などを歴任し官邸の論理を熟知する。
省益を無視した主張とは言えない。既に経産省にとって最重要な自動車産業に関税を課された。他省庁からは「自動車は今まで円安で恩恵を受けたから少しは耐えられる」と人ごとの空気が流れる。「自動車を守るため自分たちで汗をかくしかない」(経産省幹部)
1970年代の日米繊維交渉は沖縄返還が絡み「糸で縄を買った」とされた。小説「官僚たちの夏」は繊維産業を所管する経産省の前身・通商産業省の葛藤を描いた。
現在は「糸と縄」の戦略が見えない冬だ。一つの省庁だけで対米交渉策を考えるのは限度がある。脱「官僚たちの冬」へ。政治の指導力が必要になる。
(竹内宏介)
福島廃炉 2051年の空疎(DeepInsight)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 7ページ 2113文字 PDF有 書誌情報]
やはりどうしても解せない。
この半年、幾人もの原子力やロボット工学の専門家に同じ質問をぶつけた。「福島第1原発の廃炉は2051年までに完了しますか」。みなの答えは「ノー」。可能性すら認めようとしなかった。
にもかかわらずである。今年3月11日、「追悼復興祈念式」に出席するため福島を訪れた石破茂首相は記者会見で「51年廃炉目標」を堅持する考えを示した。「全体の工程に大きな支障は生じていない」と述べた。
廃炉には通常でも30~40年かかる。放射性物質の影響は時間をかけて鎮めるしかないからだ。
11年の東日本大震災により福島第1は1~3号機が炉心溶融(メルトダウン)した。今なお、推定880トンもの溶け落ちた燃料デブリが圧力容器や格納容器の底に眠る。取り出すすべも、そして取り出しが可能か否かもわかっていない。
51年まであと26年、3分の1が過ぎた。国も東京電力ホールディングスも本当に廃炉を完遂できると思っているのだろうか。
「30~40年後」という廃炉のゴールは、11年12月に政府が作った中長期ロードマップ(工程表)に刻まれた。民主党政権下、3基を「冷温停止」にこぎ着け、再臨界する懸念がなくなり、国の危機からようやく抜け出た頃だった。
当時、原子炉内部の状況は何もわからず、1979年に米国で起きたスリーマイル島原発の炉心溶融事故を参考に、とりあえず「目指すべき姿」を定めたとされる。
それから13年あまり。福島第1の原子炉内の調査もある程度は進み、いくつかの科学的知見が得られた。2022年には日本原子力学会の廃炉検討委員会(宮野広委員長)が「(スリーマイル島原発のような)典型的なメルトダウンではなかった」との見方を公表した。燃料デブリは多様な堆積状態で号機ごとに複雑な分布をしているという。
ならば「51年廃炉目標」はいちから見直すべきだろう。そもそも何をもって廃炉とするか、通常の廃炉のように更地に戻すのかどうか。その最終形態も定まっておらず、議論すらないのはおかしい。
「復興」という言葉を隠れみのに国も東電も言及を避けてきた。これでは地元、福島の人々を大いに惑わす。誠実に向き合わない、思考停止した根拠なき「51年廃炉目標」は、国民の原子力への不信を助長するだけだ。東電の柏崎刈羽原発がなかなか再稼働できない遠因にもなっている。
「復興と廃炉」をかかげ福島で対話活動を続ける松岡俊二・早稲田大学教授は、福島第1の燃料デブリ取り出しにかかる期間を試算し3年前に論文発表した。原子力関係者へのヒアリングや米スリーマイル島の廃炉実績などから、68~170年とはじき出した。福島第1が次元の違うメルトダウンであることを考えると「170年でも楽観的な数字」という。
未踏の領域への挑戦ともいえる福島廃炉に、プロジェクト管理に用いる工程表が適するかも考え直さなければならない。第1次世界大戦下、米国の機械工学者が発案したとされるこの管理手法を政府は好んで使うが、未知数の多い計画には不向きとされ変化に対する柔軟性も欠く。
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉により破綻状態にある核燃料サイクル政策をみれば自明だが、日本の原子力政策は一度決めた目標はなかなか変更できずに迷走していく。「デブリ取り出しありき」の福島廃炉もその袋小路に足を踏み入れつつある。
「廃炉技術を世界に発信する。当初はそんな意気込みがあった。今は(福島廃炉に対する)ビッグピクチャーがないまま、現場の作業にしろ、研究開発にしろ、粛々と進んでいるようにみえる」。宮野氏が抱く懸念を聞き、事故後、福島第1を5回訪れた記者には「惰性」という言葉が浮かんだ。
廃炉費用を国は8兆円と見積もる。ただ100年単位の年月がかかるとするならそのレベルではすまない。32兆円に膨らむとの民間試算もある。
東電は先月、24年度内に予定していた経営再建計画の抜本改定を見送った。収益をベースに廃炉を賄うスキームは瓦解の音が聞こえる。膨大な時間とお金がかかる原子力の後始末を一事業会社に負わせるのはやはり無理がある。
昨秋、2号機でデブリの試験取り出しに初めて成功した。今月中旬以降、2回目を実施する予定だ。そして12月メドに本格的な回収方法の候補を公表するという。
しかし、前のめりは危うい。国が中心となって廃炉完了の最終形態を明確にするのが先だ。専門家による知見をもとに福島の地元住民らも加わり話し合う時である。
そしてその「最終形」を目指しあらたな廃炉への道筋を描く。2050年、70年までに何をするか、何ができるか、といった類いの目標でもいい。国の責務をはっきりさせるには「福島廃炉法」の制定も必要になるだろう。
3.11が発生した際、長年、原子力を支えてきた「安全神話」が批判された。だが、世界の大地震の2割が発生する地震大国ニッポンで原発を主力電源に据えるには、この神話なくして成り立たなかったようにも思う。
原子力再興には「神話」に代わる国への「信頼」が要る。今こそ福島廃炉の実像をさらけ出し、その行く末を国民全体で議論し、正面から対処しなければならない。
相互関税、貿易拡大で対抗を(TheEconomist)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 7ページ 0文字 書誌情報]
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MS&AD、事業選別急ぐ 第一生命に豪保険株を売却 投資効果を厳しく判断[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1415文字 PDF有 書誌情報]
第一生命ホールディングス(HD)は7日、豪州で年金保険を手掛けるチャレンジャーの株式15.1%を取得すると発表した。保有株を手放すのはMS&ADインシュアランスグループHD。過去の投資判断にも厳しい目を向けるMS&ADの思惑が背景にあった。
豪州では日本の基礎年金にあたる1階部分でなく、2階部分に相当する強制加入の私的年金「スーパーアニュエーション」が実質的な老後保障の機能を担っている。チャレンジャーは定額年金の分野で圧倒的な存在感を示す。
第一生命は死亡保障などに強い豪TALを2011年に完全子会社とし、同業の買収を重ねるなど豪州ビジネスを進めてきた。年間保険料で首位に立つが、年金保険は手薄な分野だった。チャレンジャーへの出資で商品面の補完性を期待する。
MS&ADがチャレンジャーとの提携を始めたのは16年。銀行窓販向けに個人年金保険などを開発する三井住友海上プライマリー生命保険が、抱えるリスクの一部を再保険として移す先に選んだ。19年に保有比率を15%超へ引き上げ、役員を送り、持ち分法適用会社にしていた。
運用資金を確保するため、世界をまたにかけて保険会社をグループ化してきた米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントもチャレンジャーの成長性に着目し、21年12月に約18%を出資するなど提携関係を築いてきた。
状況は24年9月に変わる。アポロが保有株の一部を手放すと追加売却への懸念から株価が低迷。チャレンジャー自身の業績伸び悩みも重しになっている。
MS&ADは4カ年の中期経営計画で、資本の効率的な活用に向けてグループ内の資本移動を機動的に実施する方針を示していた。24年3月期に9%だったグループ修正自己資本利益率(ROE)を26年3月期には16%とすることを目指している。過去の投資判断に厳しい視線を向けざるを得ない。つまり投資先の「選択と集中」に踏み切る決断が必要だった。
MS&ADは三井住友海上火災保険が3月下旬に米WRバークレーの発行済み株式15%を5500億円前後で取得すると発表した。攻守を変え、立て続けに重い投資判断を下したことになる。
企業向けの保険料を事前調整していたカルテルの問題を受け、損保各社は企業から保険契約を獲得する武器だった政策保有株式の解消を進めている。三井住友海上とあいおいニッセイ同和損害保険は3兆円超の政策株を30年3月末までにゼロとする方針だ。解消を進める過程で手にする手元資金をいかに活用するかが今後の成長を左右する。
WRバークレーは伝統的な火災保険や自動車保険と一線を画し、賠償責任保険に強みを持つ。頻発する大規模な自然災害で火災保険の収支が悪化するなか、三井住友海上は資本提携を通じて課題だった分野の商品開発力を強化する。
すでにライバルのSOMPOHDがRIZAPグループに約300億円を出資し、東京海上HDは建設コンサルティングのID&EHDを買収するなど今後の成長を見据えた動きが出ている。三井住友海上の幹部は「将来の企業像からバックキャスティング(逆算)し、貴重な資本と手元資金を有効活用していきたい」と話す。
ビジネスモデルの変化を迫られる損保のM&A(合併・買収)は今後も続きそうだ。資本効率の観点から、期待した投資収益を見込めなければ機動的に資産を入れ替える判断も必要になる。規律をもった投資判断と大胆な成長投資の両立が求められる。
バンカメ、IT投資6000億円 10年前の倍に モイニハンCEO、ステーブルコインにも意欲[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1232文字 PDF有 書誌情報]
米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は3月7日、東京都内で日本経済新聞のインタビューを受けた。「責任ある成長」を掲げ、惜しみなくテクノロジーへの投資を続ける狙いを聞いた。
BofAは2008年のリーマン・ショック前後に、フリート・ボストンやメリルリンチなどの銀行を傘下に収めてきた。10年に就任したモイニハン氏が掲げたのが「責任ある成長」だった。その意味は「正しい進め方で言い訳なく成長を遂げる意思表示」という。
モイニハン氏はCEO就任後、3000億ドルの資産と50近くの事業売却で成長の基盤をつくった。24年の純利益は3年ぶりに最終増益だった。
注力してきたのが先端テックへの投資だ。年間投資額は40億ドル(約6000億円)と10年前の2倍に拡大した。個人向け部門はデジタル経由でのやりとりが9割以上になり、「先端技術の導入で顧客の預金残高は5年前と比べて30%増えた」という。
BofAは18年、業界に先駆けて独自開発した人工知能(AI)チャットで金融取引などを支援する「エリカ」を投入し、累計の利用回数は24年末時点で25億回に到達した。17年開始の送金サービスの「ゼル」も利用者は2370万人にのぼる。
モイニハン氏はテック投資について「株主のために収益を上げるのに加え、チームの仕事をやりやすくすることで社員の満足度も上がる」と述べた。自社で3万5000人のプログラマーを抱え、外部も合わせると5万人規模の開発体制を維持している。23年には米金融機関で最も多くの特許を取得した。
国際送金などを含む企業向けインターネットバンキング「キャッシュプロ」ではエリカの機能を組み込むことで利用者数が伸びた。24年の送金承認額が1兆ドルを超えるなど、先端技術の投資の効果が表れている。
トランプ米政権が法制化をめざすドル建てのステーブルコインへの参入にも意欲を示した。ステーブルコインは法定通貨や金など裏付けとなる資産を担保に発行する電子決済手段で「USDコイン」や「テザー」が流通している。モイニハン氏は「我々は複数のブロックチェーンの特許を持っており、法律上可能になった場合は何らかの形で採用するだろう」との見解を示した。
急増するプライベートクレジット(ファンドによる直接融資)については、「銀行のように資本基準やルール、検査があるのかというところに規制当局は注意しないといけない」と提起した。ファンドとの協業関係について「様々な会社と連携しており、特定のところと排他的にやるつもりはない」と述べた。
日本事業については「様々な日本企業のCEOと会って、競争力を高めてグローバルで事業を伸ばしたいという非常に強い熱意を感じる」と語った。自社株買いやM&A(合併・買収)といったニーズに世界で培った知見を活用できる点について「我々は企業が戦略を実行する上で様々な手伝いができる」と意欲を示した。
(上田志晃)
富国生命が高収益投資枠 代替資産を中心に[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 453文字 PDF有 書誌情報]
富国生命保険は2025年度以降、オルタナティブ(代替)資産を中心に投資する高収益運用に特化した投資枠を新設する。毎年の保険料収入などから得られる運用原資の3分の1程度を投じる。財務基盤の充実にめどがつき、かじを切る。
1日に就任した渡部毅彦社長は日本経済新聞のインタビューで、「資産運用をもう一段ギアチェンジしたい。買収・合併(M&A)ではなく、高収益投資で本業以外の収益の底上げを図る」と強調した。渡部社長は運用関連部門の経験が長い。大手が海外のM&Aを通じた業容拡大にかじを切る中、運用戦略の見直しで収益基盤を手厚くしたい考えだ。
富国生命の代替資産への投資残高は足元で900億円程度にとどまる。新設する「高収益投資枠」で、25年度は年間350億円程度を見込む。投資先はプライベートクレジット(ファンドによる直接融資)やヘッジファンドといった代替資産を軸とし、5%を超えるリターン確保を目指す。
代替資産への投資はリスクも大きい。富国生命は25年の新資本規制への対応も見据え財務基盤を手厚くしてきた。
東京海上、ヘルスケア参入 未病・予防に焦点 運営会社が始動[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 326文字 PDF有 書誌情報]
東京海上ホールディングス(HD)がヘルスケア事業に本格参入する。6日、運営会社の東京海上ヘルスケアがスタートした。保険による事後保障だけでなく未病や予防に焦点を当てたサービスを提供する。
2023年4月に準備会社を立ち上げ、健康診断のデータをもとに健康状態や病気になるリスクを可視化し、リスクに応じた健康行動を促すプラットフォームを開発していた。例えば、健康状態に応じて食習慣や運動習慣などに関する具体的な行動を勧める。プラットフォーム上で企業が従業員の行動変容の状況を確認できるようにする。
まず東京海上日動火災保険の従業員約1万6000人に対し6月から順次提供する。26年度にも他企業へ販売を始め、30年には50万人の利用登録者数を目指すという。
金融相、市場変動巡り「冷静な判断を」 投資家に[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 197文字 PDF有 書誌情報]
加藤勝信金融相は7日、「投資家においては冷静に判断してもらうことが重要だ」と述べた。米国が発動した「相互関税」で世界の市場が不安定になっているのを受けて記者団のぶら下がり取材に応じた。米国への輸出品に高関税が課されることで、金融機関の融資先の資金繰りが厳しくなる事態も想定される。加藤氏は「国内産業、雇用への影響を勘案し、資金繰り対策など必要な対策に万全を期していく」との方針も明らかにした。
ゼロゼロ融資、リスケ常態化 コロナ借換保証7.1兆円 企業の改革意欲そぐ恐れ(金融取材メモ)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1280文字 PDF有 書誌情報]
新型コロナウイルス禍で先送りされた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化しはじめた。返済を迫られる中小企業の多くは過剰債務から抜け出せず、支払いを繰り延べるリスケジュール(リスケ)が常態化しつつある。
「動向を注視する必要がある」(中小企業庁幹部)。企業支援の現場で関係者が注目するのが、ゼロゼロ融資を借りた企業の元本返済について、上限1億円まで最大5年間、先送りできる「コロナ借換保証」の返済状況だ。2023年1月に始まり、一部地域を除き24年6月末に終了した。
コロナ借換保証は24年7月末時点で29.8万件の利用があり、その規模は7.1兆円にのぼる。利用企業のうち、約8割が据え置き期間を2年以内に設定している。26年9月にかけて返済ピークを迎える見通しだ。
ゼロゼロ融資を借りた企業全体で見ると、24年7月末時点で約7割の企業が完済か返済中だ。一方、コロナ借換保証を利用し、ゼロゼロ融資の返済を先送りした企業の資金繰りは厳しい。
物価高に加えて、金利ある世界の到来で借り入れ負担も高まっている。コロナ借換保証の返済本格化は倒産の増勢を強める一因になりうる。
「コロナ借換保証を使う企業の多くはコロナ前から業績が悪く、売り上げに見合わない多額の借入金を抱えている傾向がある。補助金を使い切り、倒産するケースも少なくない」。企業支援を手掛ける、ある都内の信用金庫関係者は警戒する。
金融機関の思い切った働きかけで再生にこぎつけた事例もある。城南信用金庫(東京・品川)がメインバンクを務め、都内で金属部品の製造加工を手掛けるある会社はコロナ禍の受注減で業績が悪化。事業継続のために借りたゼロゼロ融資を返せず、コロナ借換保証を利用した。
城南信金は同社の加工技術の高さに着目。経営体質の改善を進めるため、高齢の経営陣の若返りと社内の優秀な人材の登用を促した。新社長のもとで半導体をはじめ成長分野への営業を強化したり、古い設備を入れ替えたりなどした結果、足元では4期連続で増収増益を達成し、回復の軌道に乗せることができた。
同信金の担当者は「改革に前向きだった新社長がいたからこそ、伴走支援が実を結んだ」と振り返る。
ただこうした事例はまだ少数派だ。金融機関に返済猶予を促す09~12年度の中小企業金融円滑化法以降、リスケは金融支援の対応として定着し、企業側もすっかり慣れっこになってしまった。09年以前は、銀行内でリスケを金融支援として取り付けるハードルは極めて高かった。
一時的に元本支払いを繰り延べするリスケによる支援は問題を先送りするだけでなく、企業の改革意欲をそぐ恐れもある。「条件変更に慣れてしまい、危機感をもたない企業も少なくない」(事業再生系の弁護士)
東京商工リサーチの坂田芳博情報部課長は「業績回復が遅れている企業をリスケで延命させれば、新陳代謝の遅れにもつながりかねない」とも指摘する。債務超過の金額が拡大し、資金繰りが逼迫する前の段階で抜本的な支援に踏み出せるかなど、金融機関側の意思決定のスピードもカギを握る。
(北島空)
米低格付け債、売り急拡大 国債上乗せ金利4%に上昇 「不況入り」警戒水準に[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1457文字 PDF有 書誌情報]
米国の低格付け社債(ハイイールド債)市場で投資家の売りが急激に膨らんでいる。トランプ関税による企業業績の悪化が懸念されており、社債発行会社の信用力に応じて市場が要求する上乗せ金利は4%に達した。経験則では同水準を超えると不況入りへの警戒が強まり、信用収縮の予兆とされる。企業の資金調達のハードルは上がる。
トランプ米政権が2日に公表した相互関税を受けて、3日の米低格付け債市場は大荒れとなった。
例えば家具のオンライン販売を手掛ける米ウェイフェア。2030年に満期を迎える社債の利回りが急上昇(債券価格は急落)し、4日には一時10%台に達した。関税公表前に比べて約2%高い水準だ。中国やベトナムからの輸入が多く、関税によるコスト増が嫌気された。
米格安航空会社(LCC)のジェットブルーやクルーズ船の米カーニバルの低格付け社債も軒並み売られた。景気悪化で企業が出張を減らしたり、消費者が旅行をやめたりすると予想されるからだ。新規の低格付け債発行もほぼ止まった。
投資家の先行き不安は、国債利回りに対する社債金利の上乗せ幅(スプレッド)に映る。米インターコンチネンタル取引所(ICE)と米バンク・オブ・アメリカのデータによると、投資家が低格付け債に要求する上乗せ幅は3日終値ベースで23年11月以来となる4%台に達した。
信用力の低い企業が発行する低格付け債は、景気後退や信用収縮を先回りして感知するとして「炭鉱のカナリア」と呼ばれる。上乗せ幅が4%を上方向に抜けてくると、「多くの市場参加者が警戒域に入ったと考え始める」(野村証券の松沢中チーフ・ストラテジスト)という。4%超えが市場の不安心理を増幅させ、企業の資金調達コストは上昇する。
上乗せ幅の上昇は財務が脆弱な企業を直撃する。金利負担の増加を受けて設備投資を減らしたり、人員削減を実施したりする可能性がある。投資家も低格付け債の購入を控えるようになり、一部の企業は資金繰りが厳しくなる。こうして上乗せ金利の上昇が信用収縮や実体経済の悪化につながっていく。
直近で上乗せ幅が4%を超えて推移したのは(1)中国景気への懸念が高まった15~16年(2)米中関税合戦が始まった18~19年(3)新型コロナウイルス禍が本格化した20年(4)英国債利回り急騰と米シリコンバレーバンク(SVB)破綻が起きた22~23年――の4回。(4)では22年3月ごろに4%を超えると、およそ半年後に英金利の急上昇を招いた「トラス・ショック」が発生した。
今回の局面で本格的な信用収縮や景気後退に至るかまだ見通せない。
米パイオニア・インベストメンツで低格付け債の運用を手掛けるケン・モナハン氏は「一部の投資家は売られすぎの社債を買っていた」と指摘し、パニック状態になっていないと強調する。現時点で低格付け債を組み入れた投資信託の大量解約は起きていないようだ。第1次トランプ政権下だった(2)は米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動き、危機に発展しなかった。
今後の焦点は新型コロナ禍で低金利が続いた20~21年に大量発行された低格付け社債の借り換えだ。大和証券の坂本勇輝チーフクレジットストラテジストは「米ハイイールド社債の平均残存年数は5~6年程度で、25年に1000億ドル程度、26年には2000億ドル程度の償還が生じる」とみる。景気後退の回避に向けてFRBは難しいかじ取りを迫られる。
(田村峻久)
【図・写真】クルーズ船の米カーニバルの低格付け社債などに売りが出た=ロイター
中国政府系ファンド、ETF買い増し 株安に対応[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 11ページ 347文字 PDF有 書誌情報]
中国政府系ファンド(SWF)、中国投資(CIC)傘下の中央匯金投資(匯金)は7日、中国株式の上場投資信託(ETF)を買い増したと発表した。米国と中国の関税の応酬を背景にした中国企業の株価急落に対応する。
匯金は声明で「中国の資本市場の先行きは明るい」と強調し、中国株ETFの買い増しを明らかにした。市場の安定的な運営のために、ETFの買い増しを続けるとも表明した。具体的な金額などは示していない。
米国が2日発表した「相互関税」に対し、中国政府は4日夜に米国からの全ての輸入品に34%の追加関税をかけると発表した。
この措置を受けて初めての株式取引となった7日、中国・上海株式市場では代表的な株価指数、上海総合指数が前営業日比7%安の3096.5762と急落した。2024年9月以来の安値だ。
ビットコイン、一時7.4万ドル台 5カ月ぶり安値[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 11ページ 246文字 PDF有 書誌情報]
代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコイン価格は7日、一時7万4000ドル台(約1080万円)と心理的節目の8万ドルを下回り、2024年11月以来、約5カ月ぶりの安値をつけた。米国が2日決めた相互関税に対し、中国政府は4日に報復措置として追加関税を発表。関税の応酬が世界経済の急激な減速につながるとの警戒から、仮想通貨市場でも投資家心理が大幅に悪化している。
情報サイトの米コインマーケットキャップによると、7日午後4時時点のビットコイン価格は前週末4日と比べ約1割安い水準に急落している。
1~3月(下)中国、弱まる商品需要 原油輸入1割減で価格下押し(QuarterlyReview)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1296文字 PDF有 書誌情報]
米と関税応酬、景気減速織り込む
1~3月期の国際商品市場では中国需要の弱さが改めて意識された。中国による主要産品の輸入量が軒並み前年同期を下回り、原油など一部の商品には価格下落圧力がかかっている。トランプ米政権の関税政策によって米中景気の同時減速シナリオも排除できない。
商品市場の関係者が中国需要の動向を探る上で注視するデータがある。中国税関総署が定期的に公表する輸入額だ。みずほリサーチ&テクノロジーズによると、1~2月の原油輸入額は累計で前年同期比10.5%減だった。輸入量でも同5%の減少だ。鉄鉱石や天然ガス、農産品の輸入も軒並み前年を下回っている。
みずほリサーチの鎌田晃輔主任エコノミストは輸入減少について「産業用を中心に内需が強くない」と指摘する。米国との関税応酬という逆風があり「3月以降も商品の輸入は引き続き低調になるのでは」と予想する。
原油輸入量の落ち込みは特殊要因もある。バイデン前政権が1月にロシアへの制裁を強化した影響で、中国がロシア産の石油を引き取りづらくなったとされる。その影響を除いても、中国の景気減速が実需に影響しているとの見方は多い。
3月11日に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、拡張的な財政政策で国有銀行への資金注入、耐久財の買い替え促進策を打ち出した。ただ、丸紅経済研究所の李雪連上席主任研究員は「大粒な支援策は乏しく、不動産不況の改善には時間がかかるだろう」と指摘。電気自動車(EV)の普及などの構造要因も重なり、原油需要は伸び悩むとみる。
トランプ政権の関税政策で米中の経済が同時に減速するシナリオも現実味を帯びる。中国政府は4日、米国からのすべての輸入品に34%の追加関税を課すと発表した。トランプ大統領が2日に詳細を明らかにした「相互関税」への対抗措置だ。
国際エネルギー機関(IEA)によると、米中合わせた石油需要は日量3700万バレル程度と世界需要の4割近く。米中の景気動向が原油価格に与える影響は大きい。
原油相場は米中景気減速を織り込み始めた。米指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は4日、一時1バレル60.45ドルとロシアがウクライナを侵略する前の21年4月以来4年ぶりの安値をつけた。7日の取引でも下げ、節目の60ドルを一時割った。欧州指標の北海ブレント原油先物も4日に一時65ドルを下回り、4年ぶりの安値まで下げた。
欧州調査会社ケプラーのシー・ムウユーシニア原油アナリストは「中国製品への関税はまだ効き始めたばかり」と述べた。その上で「今後数カ月間で中国の原油需要と経済成長への下押し圧力が強まる可能性がある」と警鐘を鳴らす。
米ゴールドマン・サックスは6日付のリポートで、25年12月のWTI原油価格見通しを1バレル58ドルと、従来から4ドル下げた。市場では原油の供給過剰リスクが意識される。
ゴールドマンは3日付で「23年から実施していた原油価格のレンジ予想を出さない」と記した。トランプ関税が世界経済にもたらす影響は読めず、相場安定には時間がかかりそうだ。
(真田湧生)
=おわり
期初の売り 早めの利益確保狙う(市場を知るニュースワード)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 11ページ 507文字 PDF有 書誌情報]
国内の金融市場では新年度に入ると、機関投資家による「期初の売買」が活発になりやすいといわれます。銀行や保険会社などは年度単位で運用計画を立て、目標や方針に応じた取引を始めるためです。規模が大きく、相場の需給に影響を与えることもあります。
株式の場合、一般的に含み益が出ている保有株を売却する「期初の売り」が出やすくなるといわれます。投資家が早めに一定の利益を実現して、年度ベースでの運用成績を安定させようとするのが理由です。
一方、債券の場合は「期初の買い」を入れる投資家が多いとされます。同じ条件の債券なら、早く買った方がより長い期間で金利収入を得られるためです。
実際のデータからも機関投資家は期初に株式は売り越し、債券は買い越しとなりやすい傾向がみられます。4月の月間ベースの投資主体別売買動向(都銀・地銀・生損保の合計)をみると、過去5年は株式の売り越しが5回、債券の買い越しが4回でした。
期初の売買は相場環境や経済情勢の影響も受けます。2025年度の始まりはトランプ米政権による関税政策を受け、金融市場が大きく動揺しました。先行きの不透明感の強さから、期初の売買は例年通りとはならないかもしれません。
World Market[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 11ページ 0文字 PDF有 書誌情報]
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対米輸出減、身構える東南ア 水産や縫製、米関税が直撃 労働集約型産業に転機[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1640文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権の「相互関税」が東南アジア企業の経営を直撃する懸念が強まっている。水産業や縫製業などで米国への輸出が多く、高関税に伴って対米取引が減れば雇用への影響も避けられない。現地企業の多くは従来、安い人件費を基にした労働集約型で成長しており、こうした戦略の転換が欠かせない。
「何十万もの養殖事業者や漁師の生活が影響を受ける」。ベトナム水産物輸出生産者協会のグエン・ホアイ・ナム事務局長は3日、相互関税に強く反発した。
2割が米向け
ベトナムでは水産物や加工品の9割以上を地場企業が手掛ける。米国は水産物輸出の約2割を占める最大の販売先で、400社以上が同国市場に製品を供給している。
このうちエビ養殖・加工で世界最大級のミンフー水産の株価は関税公表後の2日間で25%下げた。三井物産が出資し、ブラックタイガーなどの養殖、加工、販売までを手掛ける。水産業専門メディアによるとミンフーの米国向け売上高は全体の2割を占める。
ツナ缶世界大手のタイ・ユニオンも関税リスクが高まる。同社の売上高のうち約4割は北米が占める。タイで加工したツナ缶を輸出するほか、新たな成長の柱に据えるペットフードでも大手企業向けに製品を供給している。
東南アジアに集積する縫製業にも影響の波は広がりそうだ。
ベトナム縫製大手ソンホンガーメントは、米アパレル大手のGAPやコロンビア・スポーツウエアのほか、米小売り大手ウォルマートにも製品を供給する。売上高の8割が米国向けとみられる。
インドネシア小売り大手、ミトラ・アディプルカサも同様だ。子会社を通じてアパレル製品などを受託生産し、米国などに出荷する。
同国の靴製造業界団体の会長を務めるエディ・ウィジャナルコ氏は「業界全体で24年の輸出額のうち米国向けは26%を占めた。(今回の関税で)買い手からの需要が減るだろう」と身構える。
車部品や電子部品の関連企業への打撃も必至だ。タイ車部品大手アーピコ・ハイテックのイエップ・シー・チュアン最高経営責任者(CEO)は4日、日本経済新聞の取材に「将来の機会損失になるだろう」と答えた。
代替市場探す
タイの「国民車」ともされるピックアップトラックは米国向け輸出が少なく、直接の影響は限定的とみる。一方、足元では米国本土の車メーカーから部品の発注が増えており「(今後は)需要が見込めなくなる」(チュアン氏)と警戒する。
インドネシアの車部品大手スラマット・スンプルナはフィルターなどを輸出しており、売上高の1割近くが米国向けだ。
アン・アンドリ・プリバディ副社長は4日に「必要に応じて戦略を変更する準備を進めている」と説明。米国に代わる市場を模索するほか、生産性向上によるコスト削減に力を入れる考えを示した。
米国への依存度が高い東南アジア企業の多くは、安価な労働力を活用し、低コストで製造・出荷するビジネスモデルで業容を拡大してきた。特に水産や衣料品は「労働集約型」の代表格とされる。
米国をはじめとした外資企業は2000年代ごろから人件費が高騰した中国を敬遠し、東南アジアに生産拠点を移した。現地企業への生産委託も増やしており、各国はこうした恩恵を享受してきた。
現状では相互関税が実際にどこまで適用されるのか不透明だ。ベトナムなどの各国政府が米政権との関税引き下げに向けたディール(取引)に乗り出す動きも出ており、影響が想定を下回る可能性はある。
ただ経済成長に伴う人件費の高騰が続くなか、労働集約型のビジネスモデルは既に曲がり角を迎えていた。
在タイの日系商社幹部は東南アジアの産業構造について「人件費や高関税によるコスト増加を補う必要が出てきている」とみる。
今後は工場の自動化などの効率化を進めるとともに、高付加価値型の製品開発といった戦略の見直しが求められる。
(バンコク=赤間建哉、ハノイ=新田祐司)
【図・写真】米国で販売される食品や衣料品の多くが東南アジアで生産される(米国のスーパー)=ロイター
ベトナム、63省市を半減 8月末まで、経済資源の再配分狙う 海外企業は投資環境に懸念[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1329文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=新田祐司】ベトナム共産党は日本の都道府県に相当する「省」と「市」を大幅に統廃合する。8月末までに、現在の63省市を半減させる見通しだ。経済資源の再配分や行政手続きの簡素化を狙うとするが、進出企業には急速な行政変革への困惑が広がる。
ベトナムは6つの直轄市と57の省に分かれる。省市再編で、この数を計34ほどに減らすという。
共産党の最高指導機関である中央執行委員会で再編案が議論され、5月開幕の国会で必要な法改正を決議する予定だ。
合併後の省名や人事など、多くが不明のままだ。省市の下部にある「郡」「区」なども統廃合し、地方行政の区分を3階層から2階層に変える。
「単純に行政の境界を変更するだけでなく、経済資源の配分を調整する。ベトナムの発展に必要な改革だ」。最高指導者のトー・ラム共産党書記長は省市再編の狙いをこう説明しているという。
3月に実施した省庁再編と合わせ、20万人規模の公務員が失職する可能性があるとの見方も出ている。ベトナム戦争後、南北ベトナムを統一して省市を再編した1976年に匹敵する大がかりな改革になる。8月30日に再編作業を完了させる意向を示している。
最大都市ホーチミン市はバリア・ブンタウ省、ビンズオン省との合併が有力だ。合計人口は1300万人を超え、同国最大の貿易港も含み、経済規模では群を抜く。
合併を見越した不動産売買が各地で活発になっている。中部地域の中核都市、ダナンと統合する見通しとなったクアンナム省では、ダナンに近いエリアで土地価格が高騰しているという。
ベトナム国会事務局の元副局長で、政治専門家のグエン・シー・ズン氏は「行政コストを減らし、資源を重要な公共投資やインフラ開発に集中できる」とみる。「企業投資を誘致し、成長を維持するには重要な取り組みだ」と強調する。
急速な改革に混乱を懸念する声は根強い。自治体が発行してきた事業登録証明や企業誘致のための優遇措置の扱いがどうなるかは明らかになっていない。労働者を多く雇う経営者は、全国を4分類し定めている最低賃金の行方にも気をもむ。
影響を見極めようと、投資を先送りする動きも出ている。ある経営者は「行政サービスの質が低下するのではないか。合併に向け、業務の棚卸しを進めている様子もない」と不安を口にする。
ラム氏は2024年8月に書記長へ就任して以降、矢継ぎ早に行政改革を打ち出してきた。3月の省庁再編では、財政省と計画投資省の統合や労働・傷病軍人・社会事業省の解体を断行した。
米ASEAN(東南アジア諸国連合)ビジネス評議会のテッド・オシウス会長は「国内の障壁をなくし、より良い投資環境を整えている」と一連の改革を評価する。
一方で新組織の印鑑がなかったり、担当者が未定だったりして、行政手続きに停滞が生じている。従来は労働・傷病軍人・社会事業省が担っていた外国人駐在員への労働許可証の発行手続きにも遅れが出ているようだ。
共産党は45年の高所得国入りをめざす。豊富な労働力人口が経済成長をけん引する「人口ボーナス期」は残り10年ほどとみられる。目標達成には高度成長の足場をできるだけ早く整える必要があり、共産党を性急な改革に駆り立てている。
「ドゥテルテ氏を返せ」 フィリピン、ICC逮捕に怒る地元 治安対策・生活スタイルに支持[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 1087文字 PDF有 書誌情報]
【マニラ=藤田祐樹】「麻薬戦争」と呼ばれた超法規的な違法薬物対策が人道に対する罪の疑いがあるとして、国際刑事裁判所(ICC)は3月にフィリピンのドゥテルテ前大統領を逮捕した。薬物と無関係に家族を殺害されたと訴える遺族がいる一方、いまも同氏は熱烈な支持者を抱える。地元ダバオで根強い人気の理由を探った。
南部ミンダナオ島の最大都市、ダバオ市。ドゥテルテ氏の逮捕から1週間足らずの3月16日、中心部で開かれた市政88年を祝う祭りは逮捕への抗議集会の様相を帯びた。行進した市民らが「彼を家に返せ」などとシュプレヒコールを上げた。
ドゥテルテ氏の次男で市長のセバスチャン・ドゥテルテ氏は「私たちは立ち上がり反撃する」と演説した。ドゥテルテ氏の顔が入った髪飾りを買った男性は「前大統領が来られないのが悲しい。愛しているし、支持していると伝えたい」。
ドゥテルテ氏は中部で生まれ、幼少時にダバオに移った。検事を経て、1988年に市長に初当選。多選禁止規定に触れるのを避けるため、長女で現副大統領のサラ・ドゥテルテ氏ら家族を市長に据えるなどしながら、大統領に就く2016年まで市を実質統治した。
力を入れたのが治安対策だった。土産物店で働く女性は「ドゥテルテ氏はダバオに規律をもたらした」とたたえる。庶民に近い生活スタイルも共感を呼んだ。同氏の家は中間所得層が住む地域にある。逮捕後、自宅の周りにも支持者がテントを張って集まった。当局による家宅捜索を防ぐために見張っているという。
フィリピン統計庁によると、マニラ首都圏が国内総生産(GDP)のおよそ3割を占めるのに対し、ダバオ市を含むダバオ地方は5%。格差是正への願いはドゥテルテ氏を大統領に押し上げた。同氏は国全体の治安改善に取り組んだ半面、多くの犠牲者を生んだ。
ICCは逮捕状で、同氏が市長時代を含む11~19年に麻薬犯罪者とみなした人を少なくとも43人殺害し、超法規的な取り締まりをした自警団を指揮したと指摘した。犠牲者は政府の公式発表だけでも6千人を超える。
今回の逮捕劇は現大統領のマルコス氏が政敵を排除するために容認したとの見方がある。同国では5月12日に統一国政・地方選挙(中間選挙)の投票を控える。28年の次期大統領選の前哨戦にあたり、サラ副大統領らはマルコス氏が推す候補らへの攻撃を強めている。
ドゥテルテ氏の逮捕は地域間の亀裂に拍車をかける。「28年までもう待てない」。ダバオではこう書かれたTシャツを着た人の姿もみられた。
【図・写真】ドゥテルテ氏帰国を訴えるステッカーを貼ったTシャツを着る女性(3月、ダバオ)
日本の対オーストラリア投資、最高に 昨年13兆円、不動産に重点[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 816文字 PDF有 書誌情報]
【シドニー=今橋瑠璃華】日本からオーストラリアへの直接投資が2024年、1411億豪ドル(約13兆円)と過去最高を更新した。不動産や資源分野がけん引した。トランプ関税などで世界経済への先行きが見通しにくくなるなか、今後は豪州が米国や中国に代わる投資先としてさらに魅力を高める可能性がある。
英豪系法律事務所ハーバート・スミス・フリーヒルズ(HSF)とオーストラリア国立大学が7日に報告書を公表した。それによると、日本は同国への海外直接投資全体の12%を占め、米国や英国に次いで多かった。
日本企業が豪州で関与したM&A(合併・買収)は72件と、23年比で17%増えた。買収に限ると62件だった。具体的には日本製鉄とJFEスチールが豪州東部クイーンズランド州のブラックウォーター炭鉱の権益を取得すると発表し、このほど買収が完了した。
不動産分野では日本が2番目に大きな外国投資家となり、投資額は30億豪ドル超に達した。豪州は住宅不足が深刻だ。日本企業は開発や建築ノウハウを生かし、分譲住宅や賃貸住宅、戸建てなどの幅広い形態に進出している。
このほか、企業や自治体、大学などが協力関係を結ぶパートナーシップも55件締結された。
今後も豪州を「安定した投資先」とみる傾向は強まりそうだ。今年に入っても三井物産が英豪リオティントが進めるローズリッジ鉄鉱石プロジェクトへの参画を決めた。
日本企業は比較的資金力があり、低金利で融資も引き出しやすい点も旺盛な投資につながっている。報告書では25年にM&Aや日本からの直接投資がさらに増えると分析。豪州の年金ファンドによる日本への投資や日豪の研究分野での協業も活発になるとみている。
日本政府観光局によると、24年には過去最高となる92万人の豪州人が日本を訪れた。豪州に住む日本人は約10万4000人と米国に次いで多い。国同士でも防衛での連携が深まるなど、様々な分野で日豪の関係が深まっている。
鴻海24%増収、過去最高 1~3月、AIサーバー好調続く[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 419文字 PDF有 書誌情報]
【台北=龍元秀明】台湾電機大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が5日発表した2025年1~3月期の売上高(速報値)は前年同期比24.2%増の1兆6421億台湾ドル(約7兆2000億円)だった。同期間として過去最高だった。米半導体大手エヌビディアなどに供給する人工知能(AI)向けサーバーの好調が続いた。
4つの製品領域のうち、AI向けのサーバーを含む「クラウド・ネットワーク」など3部門の売上高が前年同期を上回った。米アップルのiPhone生産などスマートフォン関連部門はおおむね横ばいだった。3月単月の売上高は前年同月比23.4%増の5521億ドルで同月として過去最高となった。
4~6月期の見通しは、前年同期比・前四半期比ともに増収が見込めるとした。「世界的な政治・経済情勢の変化の影響を注視する必要がある」との認識も示した。
鴻海は中国大陸を中心に世界各地に生産拠点を構えており、トランプ米政権が公表した「相互関税」の影響が懸念される。
中国プードゥ、アーム付きロボで配膳 車輪移動式で安定感[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 389文字 PDF有 書誌情報]
【大連=藤村広平】中国配膳ロボット大手の深市普渡科技(プードゥ・ロボティクス)は、料理の上げ下げといった操作が可能な新たな車輪移動式ロボットを開発した。従来のサービスロボットより複雑な仕事をこなせるといい、ホテルやレストランでの活用を見込む。
プードゥはすかいらーくホールディングスが導入したネコ型の配膳ロボット「ベラボット」などで知られる。今回開発した「閃電匣Arm」は半ヒト型ロボットとの位置づけだ。
上半身はアームを備える一方、下半身はベラボットのように車輪で移動する。二足歩行式のロボットと比べると転倒リスクを抑えられる。
アームは2本あり、先端にそれぞれ5本の「指」を備える。食品の出前配達で届いた紙袋のように形が整っていない荷物でも持ち運びできるほか、エレベーターの行き先階のボタンも押せる。
【図・写真】プードゥが開発した車輪移動式ロボは「半ヒト型」との位置づけ
中国COMAC、ラオス航空にジェット機納入[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 355文字 PDF有 書誌情報]
【広州=田辺静】中国の国有旅客機メーカーの中国商用飛機(COMAC)は、自社開発した国産リージョナルジェット「C909」を国営航空会社のラオス航空に初めて納入した。COMACの海外航空会社への納入は2社目。同社は海外納入の拡大に力を入れている。
3月30日に納入した。航続距離は2225~3700キロメートルで、全てエコノミークラスで90席を設けた。尾翼にはラオスの国花「プルメリア」の塗装を施した。
リースの形で納入し、準備作業が終了後、運用を始める。COMACは「中国の商用航空機の国際化において新たな一歩を踏み出した」と主張した。
ラオスの民間航空局は3月中旬、COMACにC909がラオスで商業運用をするための証明書を発行した。COMACは特別チームをつくり、人員訓練や航空資材の保障などを支援する。
中国、デュポンを独禁法違反で調査[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 319文字 PDF有 書誌情報]
【広州=藤野逸郎】中国国家市場監督管理総局は米化学大手のデュポンを独占禁止法違反の疑いで調査を始めると発表した。同社は不織布など高付加価値の材料分野で高いシェアを握る。米国政府が表明した中国製品に34%の関税を上乗せする「相互関税」への報復の一環とみられる。
当局は4日夜に調査入りを明らかにした。米調査会社モーニングスターによると、医療用や産業用の防護服などに使われる不織布が今回の対象とみられる。
デュポンの中国における本拠地は広東省深市。深の官製メディアによると2024年に中国企業が不織布関連の独自製品を米国に輸出しようとしたところ、デュポンが知財侵害があるとして米国際貿易委員会(ITC)に阻止を求めたケースがあるという。
エア・インディア(インド)航空機、大型発注で攻勢 グループ再編、シェア拡大へ(アジア企業プロファイル)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 12ページ 684文字 PDF有 書誌情報]
インド大手財閥タタ・グループで航空大手のエア・インディアが大型投資で攻勢をかけている。欧州エアバスと米ボーイングに計570機を発注し、路線を一気に広げる計画だ。2024年には同業のビスタラを吸収合併し、国内唯一のフルサービスキャリアとしてシェア拡大を急ぐ。
「世界クラスの航空会社に変革するための重要な節目となる」。タタ・グループのチャンドラセカラン会長は昨年11月、エア・インディアとビスタラの合併手続きが完了したことを受けて声明を出した。
同グループが1932年に設立したエア・インディアは、インド独立後の53年に国有化された。だが非効率な経営がたたり、業績が悪化。政府が売却先を探した結果、2022年にタタが買収して再建をめざすことになった。
再びタタ傘下に入り豊富な資金力を手に入れた。23年にエアバスとボーイングに計470機を発注し、24年12月にもエアバス100機を追加すると発表した。現行の約140機体制から大幅に機材を増やす。
他の航空大手との提携にも積極的だ。24年にシンガポール航空や全日本空輸(ANA)との間で共同運航(コードシェア)を開始。ネットワークの拡充でインドの観光・ビジネス客は東南アジアや日本などを訪れやすくなりそうだ。
インド民間航空総局(DGCA)によると、24年の国内航空旅客数は前年比6%増の1億6133万人に上った。このうち格安航空会社(LCC)インディゴを運営するインターグローブ・アビエーションが6割超のシェアを握る。エア・インディアは2番手だがシェアは16%にとどまる。
(ムンバイ=岡部貴典)
【図・写真】=ロイター
中国1~3月、5%成長に減速 現地エコノミスト調査 米関税で先行き懸念[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1844文字 PDF有 書誌情報]
【香港=伊原健作】日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、2025年1~3月の中国の実質国内総生産(GDP)伸び率の予測平均値は5.0%と、24年10~12月期実績の5.4%から減速した。トランプ米政権が2、3月に実施した対中追加関税の影響とみられる。
4月9日からは米国向けの輸出にさらに34%の関税が上乗せされる予定で、先行き懸念は強まっている。
2025年1~3月期の成長率の予測の幅は4.4~5.4%だった。景気の勢いを示す季節調整済み前期比の成長率は1.2%と、24年10~12月期の1.6%から縮小した。
トランプ政権は2、3月にそれぞれ中国からの輸入にかかる関税を10%引き上げた。関税発動をにらんだ駆け込み輸出による押し上げが一巡し、対米輸出も減速した。
1~2月の工業生産は前年同期比5.9%増となるなど、直近の経済統計は市場の予想を上回った。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の喬虹氏は「貿易の先行き不安による逆風はあるが、それに国内需要が一定程度は耐えられるとの期待感が出ている」と指摘する。
25年通年の成長率予測の平均値は4.6%だった。3カ月前の前回調査を0.2ポイント上回ったものの、中国政府が3月の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で公表した目標値である「5%前後」の達成は厳しい。
トランプ政権は2日に全世界を対象とした相互関税の詳細を公表し、中国には34%を課した。3月までの実施分も含め追加関税は計54%に達する。今回の調査は公表前の3月後半に実施したもので、その影響をどう見極めるか、試行錯誤するエコノミストが目立った。
モルガン・スタンレーの●(刑のりっとうがおおざと)自強氏は25年の成長率を4.5%と予測し、前回調査から0.5ポイント引き上げた。
その後、相互関税の公表翌日の3日付のリポートで「米国向け輸出への直接的な影響と、世界貿易の減速による間接的な影響はいずれも深刻だ」と指摘し、4.5%の成長予想に「下方修正リスクが生じた」と言及した。
米シティバンクも中国が輸出先の分散など代替措置をとれなかった場合、25年の中国の成長率に「関税が2.4ポイントの押し下げ要因となる恐れがある」と指摘した。
今回の調査では関税への耐性向上を指摘する声も多かった。今後、影響をどの程度吸収できるかも焦点となる。ゴールドマン・サックスの閃輝氏は中国製品の世界市場での競争力が向上し「関税の影響が想定より小さくなる可能性がある」と評価した。
みずほ銀行の伊藤秀樹氏は製造業の競争力が高まり、輸出が「単なる低価格頼みでなくなっている」と分析する。輸入が弱含んでいる背景に、中国の「自立自強」政策の進展で海外への依存度が低下した面があることを挙げた。
中国政府は景気のてこ入れ策を急ぐ見込みだ。李強(リー・チャン)首相は全人代で、25年の政府活動として真っ先に「消費振興と内需の全面的な拡大」を打ち出した。
不動産不況は出口が見えず、内需の低迷は続く。関税で外需も鈍れば、財政政策の拡大で対応することになる。
調査の方法 日本経済新聞社と日経QUICKニュース(NQN)が3月下旬に中国経済を専門とするエコノミストを対象に書面で実施し、29人から回答を得た。
回答企業・エコノミスト(英語社名のアルファベット順、敬称略)
アバディーン(ロバート・ギルフリー)、ABNアムロ(アリエン・ファンダイクハウゼン)、アリアンツ・トレード(黄黎洋)、東亜銀行(蔡永雄)、BNPパリバ(ジャクリーン・ロン)、BofA(喬虹)、大和証券(譚越)、光大証券(伍礼賢)、フィッチ・レーティングス(ジェレミー・ズック)、ゴールドマン・サックス(閃輝)、恒生銀行(薛俊昇)、HSBC(劉晶)、工銀国際(程実)、ING(宋林)、ジュリアス・ベア(ソフィー・アルタマット)、凱基証券(陳浩)、ロンバー・オディエ(李侯明)、マッコーリー(胡偉俊)、みずほ銀行(伊藤秀樹)、ムーディーズ(マドハビ・ボキル)、モルガン・スタンレー(●(刑のりっとうがおおざと)自強)、三菱UFJ銀行(范小晨)、オーバーシー・チャイニーズ銀行(謝棟銘)、ピクテ・ウェルス・マネジメント(李真男)、ソシエテ・ジェネラル(姚)、S&Pグローバル(ルイス・クイジス)、スタンダードチャータード銀行(丁爽)、三井住友DSアセットマネジメント(佐野鉄司)、UBS(汪濤)
韓国大統領選6月3日に きょう決定 強権縮小へ改憲争点 戒厳令や首相選出方法[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1586文字 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免を受けた次期大統領選が6月3日に行われる見通しとなった。韓国メディアによると4月8日の閣議で正式決定する。混乱の原因となった大統領の強大な権限の縮小などをはかるため、憲法改正が選挙戦で争点になりそうだ。
約2カ月の選挙戦となる。候補者の登録を5月10~11日に受け付け、公式な選挙活動は12日から開始となるとみられる。
与野党は選挙戦に向けた動きを加速した。与党「国民の力」は7日、党選挙管理委員会の委員長人事を決定。予備選挙の準備を急ぐ。最大野党「共に民主党」は週内にも李在明(イ・ジェミョン)代表が辞任し、出馬に向け本格準備に入るもよう。
選挙戦で注目されるテーマの1つは改憲だ。7日まで韓国政界の有力者から改憲に絡む発言が相次いだ。罷免のきっかけは尹氏による「非常戒厳」宣言で、強すぎる大統領の権限を分散させる必要があるとの認識が浸透しつつあるためだ。
尹氏は2024年12月、野党が国政をまひさせているなどとして非常戒厳を宣布し、国会議事堂に軍部隊を投入したほか、国民の政治活動の禁止を布告した。
国会議員らの抵抗で非常戒厳は解除され、弾劾訴追された尹氏は25年4月4日、憲法裁判所に罷免決定を言い渡されて失職した。
一連の混乱に絡み、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は6日、「国民主権と国民統合に向けた三権分立の柱をより強固にするための改憲が必要だ」と明言した。
大統領選と同じ日に憲法改正の国民投票も実施すべきだと提案。「極端な対決政治を終わらせようという政治改革、国民の暮らしを変える民主主義をしようという社会改革の要求が改憲に集約されている」と訴えた。
もっとも、6月3日に国民投票をするには期間が短くて難しいとみられ、改憲は次期政権に課せられた宿題といえる。
韓国の現行憲法は1987年の民主化宣言を受けて制定された。80年代まで続いた軍事独裁政権の反省を踏まえて成立したが、韓国政治の混乱は民主化を受けた「87年体制」の礎である現行憲法の限界を露呈しているとの見方もある。
まず浮上するのは首相の選出方法の変更だ。従来、首相は大統領が任命して国会の同意を得ていた。これを国会による選出に見直すことで大統領に集中する権限を分散させる案が出ている。
大統領の任期を4年に短縮し、2期までの再選を認める構想もある。
米国のように8年間の長期政権も可能となる一方、4年で交代させることもできる。現行制度の大統領の任期は5年で再選は認められていない。このため任期半ばを過ぎると求心力を失い、レームダック(死に体)に陥るケースが少なくない。
行政府と立法府の「ねじれ」を防ぎやすいという期待もある。ねじれは大統領の任期と国会議員の任期(4年)がずれて選挙を実施する年がそろわないため生じやすい。
選挙の時期を合わせれば、政府と国会の対立が先鋭化した現行の政治情勢を改善できるとみる。
一方、世論調査の支持率でトップを独走する共に民主党の李代表は7日、「非常戒厳」の要件を厳しくする改憲の必要性に言及した。
ただ、「今は内乱の収束が先だ」とも言及。「改憲問題で論点を曇らせ、内乱の問題を覆い隠そうとする試みをしてはいけない」と早期の改憲に慎重な立場を示した。
国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)前代表は6日、SNSに「時代を変えるためには改憲が必要だ」と投稿した。
大統領の任期については07年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(当時)が国民向けの談話でも提起した。
盧氏は大統領選挙などのたびに政策の振れが大きくなると指摘。「政治的な対立と葛藤を深め、国政の安定性を弱めた」と分析した。大統領の任期を2期8年にすれば「国家的な戦略課題に対する一貫性と連続性を確保するのに大きく寄与する」と提案した。
トランプ氏、米法律事務所に報復 自身の疑惑調査巡り 訴訟・歩み寄り、割れる対応[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1088文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=吉田圭織】トランプ米大統領が自身に対する疑惑調査や捜査に関与したとして大手法律事務所への報復措置を相次ぎ発表している。3月末時点で5つの法律事務所が標的となった。政権への訴訟に踏み切る事務所がある一方でトランプ氏に歩み寄る動きもあり、業界の対応は割れる。
直近では大手法律事務所のジェナー・アンド・ブロックとウィルマーヘイルが新たな標的となった。3月25日と27日にそれぞれ発令された大統領令で2016年の米大統領選にロシア政府が介入した疑惑をめぐる捜査との関係が指摘された。事務所の弁護士らによる連邦政府の建物への立ち入り制限と機密情報を扱う資格の停止を命じた。
ウィルマーヘイルへの大統領令でトランプ氏は「(ロシア疑惑捜査は)私の1期目に政権の公務員の任務遂行を妨害した。こうした司法制度の『武器化』は称賛すべきではない」と主張した。
標的となった法律事務所の多くは対抗して訴訟を起こしている。ジェナー・アンド・ブロックは「政府にとって不都合な案件に関わったことや大統領に批判的な人と過去にあった関係などを理由に挙げたが、憲法上許されない」と反発した。
パーキンス・クイもトランプ政権に同様の訴訟を起こした。地裁は訴えを認めて大統領令に一時差し止め命令を出した。
トランプ氏からの報復措置を避けようと先回りで対策する事務所も出ている。4月4日までに政権との和解や支援合意を成立させた法律事務所は4カ所にのぼった。
スキャデン・アープス・スレート・マー・アンド・フロムがトランプ政権と合意した。
トランプ氏は自身のSNSで「(同事務所は)政権に歩み寄り、司法制度と法曹界の武器化を終わらせるという強い決意を宣言した」と記した。
スキャデン・アープスはトランプ氏に1億ドル(約150億円)相当の法的支援を提供すると約束したほか、DEI(多様性、公平性、包摂性)政策を取らないことも宣言したという。
法律事務所ウィルキー・ファー・アンド・ギャラガーも同様の合意に至った。ウィルキーはハリス前副大統領の夫、ダグ・エムホフ氏が働いている事務所だ。
大手事務所のミルバンクもトランプ氏に1億ドル相当の法的支援を任期中に無償提供するほか、DEI推進策をとらないことで政権と合意した。
こうした動きは今後も広がりそうだ。法律事務所カークランド・アンド・エリスも同様の合意成立を目指して協議中だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として報じた。カークランドはハリス氏の大統領選の選挙活動資金を管理していたジョン・ヘネス氏が働いていた事務所だ。
英、EV販売義務を緩和 トランプ関税で苦境の業界支援[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 885文字 PDF有 書誌情報]
【ロンドン=江渕智弘】英政府は6日、自動車メーカーに対する電気自動車(EV)などの販売義務の緩和を発表した。毎年の目標を達成しやすくする抜け道を増やし、未達の場合の罰金も減らす。トランプ米政権の自動車関税に苦慮する業界を支援する。
EVなど二酸化炭素を出さないゼロエミッション車の販売義務は2024年に導入した。24年は台数全体の22%以上、25年は28%以上の販売を義務づけ、35年の100%まで段階的に引き上げる。
目標は据えおき、抜け道を広げる。未達分を翌年以降の超過達成で穴埋めできる措置の期限を26年から29年まで3年延ばす。ハイブリッド車などであっても、より低排出の車種に切り替えればゼロエミッション車を販売したようにみなす制度を拡充する。
未達の罰金は1台あたり1万5000ポンド(約280万円)から1万2000ポンドに下げる。
ガソリン車とディーゼル車の新車販売は従来計画通り30年に禁止するが、ハイブリッド車は35年まで販売できることを明確にした。
30~35年に販売可能な二酸化炭素を排出する車はこれまで不明確で、プラグインハイブリッド車などに限定されるとの見方があった。ハイブリッド車の販売が認められたことはトヨタ自動車など日本勢にも恩恵がある。
英国全体の24年の新車販売に占めるEV比率はおよそ20%で、メーカーによってばらつきが大きい。切り替えが進んでいない企業は販売義務が負担になっていた。
トランプ政権は自動車と鉄鋼、アルミニウムに対する25%の追加関税や幅広い輸入品に課す「相互関税」を発動した。英ジャガー・ランドローバーが5日、英国で生産する車の米国向け輸出の一時停止を表明するなど影響が広がりつつある。
スターマー首相は6日の英紙サンデー・テレグラフへの寄稿で「英国企業を嵐から守る」と強調した。自動車業界の救済策に加え、他業種への支援策も近く打ちだす見通しだ。
関税に報復はせず、米国との経済協定の締結で影響の軽減をめざす。4~6日にかけ、オーストラリア、イタリア、フランス、ドイツ、カナダの首脳とそれぞれ電話で対応を協議した。
非関税障壁の撤廃など「50カ国以上が打診」 米財務長官、株価急落に強気[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 746文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=高見浩輔】ベッセント米財務長官は6日、米NBCテレビで相互関税の導入発表後に50カ国以上が米国に非関税障壁の撤廃などを打診しているとし、今後時間をかけて内容を見極める考えを示した。急落した株価について「景気後退を織り込まなければならない理由はない」と強気の見方を示した。
べッセント氏は「短期的な市場の反応は時々みられるものだ。市場は一貫してトランプ米大統領を過小評価している」と述べ、株価の急落を一時的な現象と見通した。多くのエコノミストは景気後退の確率が急速に高まったとみている。
大規模な相互関税の公表を受けて多くの国が非関税障壁の撤廃や関税の引き下げ、通貨操作の停止を打診してきていると明らかにした。「各国がどのような提案をしてくるか、それが信頼に足るものかどうかを見極める必要がある」と述べ、米政権が慎重に精査するとの見通しを示した。
米政権は5日に10%の一律関税を適用した。9日には貿易赤字の大きい国・地域に上乗せする分の相互関税を発動する予定だ。
トランプ氏は4日、米連邦準備理事会(FRB)に利下げするよう強く迫った。ベッセント氏は物価上昇率が下がれば自然と利下げにつながると説明したうえで、住宅ローン金利に反映される長期金利を重視すると説明した。
4日の債券市場では長期金利がおよそ半年ぶりに4%を割った。ベッセント氏は「住宅ローンの申し込みが増えることを期待している」と述べ、景気悪化懸念から急落した原油価格もガソリン価格の低下を通じて米国民の生活を支えると説明した。
ベッセント氏は「関税は一度きりの価格調整だ」と輸入物価などを通して米経済に及ぼす影響も限定的だと示唆した。FRBのパウエル議長は4日のイベントで高インフレが長引くリスクに言及している。
仏大統領、ガザ統治「ハマス排除を」 アラブ首脳と会談[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 518文字 PDF有 書誌情報]
【カイロ=岐部秀光】フランスのマクロン大統領は7日、カイロでエジプトのシシ大統領と会談し、訪問中のヨルダンのアブドラ国王を交えた首脳会議にも参加した。マクロン氏は記者会見で「(パレスチナ自治区ガザのイスラム組織)ハマスがガザの統治で果たすべき役割はない」と明言した。
ガザの復興をめぐりトランプ米大統領は住民を移住させリゾート地として開発する構想を示した。エジプトやヨルダンは反発しアラブ提案として強制移住を伴わない復興計画を示している。
マクロン氏はガザの住民の強制移住は「国際法違反でありイスラエルをふくむ地域全体にとっての脅威となりかねない」と述べた。エジプトやヨルダンが中心にまとめたアラブ提案を「全面的に支援する」と述べた。
一方でマクロン氏は「ハマスがイスラエルにとっての脅威であり続けてはならない」と述べ、ガザの復興プロセスから完全に排除する必要があるとの認識を示した。
ガザの停戦は事実上、崩壊状態でイスラエル軍による攻撃が再び本格化しつつある。イスラエルは隣国レバノン、シリアでも攻撃を広げた。
マクロン氏は国際通貨基金(IMF)支援下にあるエジプトが地域で果たす役割を強調し「経済の安定に協力していく」と発言した。
中国商務省「多国間貿易損なう」 米企業と座談会[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 503文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国商務省は7日、電気自動車(EV)大手テスラなど米国企業およそ20社と北京で座談会を開いたと発表した。凌激次官はトランプ米政権が導入を発表した相互関税について「ルールに基づいた多国間貿易を損なうもので、各国の正当な権益を侵害する」と反発した。
会議は6日に開催した。GEヘルスケアやメドトロニックなどの米企業が参加した。凌氏は米国による相互関税を非難したうえで、中国の報復措置について「多国間貿易体制という正しい道に米国が戻るよう促すものだ」と主張した。
「関税問題の根源は米国にある」と指摘した。米国企業を含む外資の中国国内での権益を保障するとも説明した。
習近平(シー・ジンピン)国家主席は3月に北京で外国企業のトップらと会談し、外資に対中投資を呼びかけた。中国は米国の相互関税を踏まえ、米国からのすべての輸入品に34%の追加関税を課すと表明している。10日に発動する予定だ。
中国外務省の林剣副報道局長は7日の記者会見で、トランプ米政権が発動した相互関税について「国際貿易秩序を深刻に破壊する」と批判した。「典型的な保護主義であり、他国のみならず自国にも害を与える」と述べた。
台湾、米と「ゼロ関税」交渉[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 470文字 PDF有 書誌情報]
【台北=羽田野主】台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)総統は6日、米国に報復関税を課す計画はないとの談話を発表した。台湾に32%の「相互関税」を課すと表明したトランプ米政権にお互いの「ゼロ関税」から交渉を始める用意があると説明した。
頼氏は「米経済発展への台湾の貢献」を米国に説いて、交渉によって相互関税の是正を目指すと訴えた。非関税障壁をなくす努力をする方針も示した。中国が台湾への軍事的威嚇を強めており、後ろ盾となる米国との関係を重視する姿勢をみせた。
米国から石油や天然ガス、軍事品などの輸入を増やし、米国への投資を促すと強調した。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)のほか、電子産業やエネルギー関連の産業も米国への投資を増やすことができると唱えた。
頼氏は台湾への関税を巡り「台湾は外需依存型(の経済)で、前途は決して容易ではない」と懸念を示した。
「適切な対策をとり官民が力を合わせれば衝撃を和らげることはできる」と主張した。頼政権は工業や農業分野への支援措置に880億台湾ドル(約3900億円)を投じる計画だ。
中国1~3月、5%成長に減速――AIの開発、応用に強み 米との覇権争い[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 336文字 PDF有 書誌情報]
今回の調査では人工知能(AI)を巡る米国との覇権争いの行方も聞いた。
凱基証券の陳浩氏はAIが発展するカギとなる半導体の性能や計算能力で「米国の圧倒的優位を覆すのは難しい」とみる。一方で「中国は圧倒的に多いインターネット人口やAI人材を抱え、より多くの応用や革新が生まれる可能性がある」とも触れた。
オーバーシー・チャイニーズ銀行の謝棟銘氏も最先端AIの開発で米国に分があるとしつつ「中国はAIの応用に強みがあり、産業全体にAIが組み込まれ、生産性を高めて成長を支えるだろう」とみる。
ロンバー・オディエの李侯明氏は中国が台頭する新興・途上国「グローバルサウス」に接近する現状を踏まえ「中期的には中国AIがグローバルサウスと協力して格差を縮めるだろう」との見方を示した。
NZ防衛費、4年で9700億円投資[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 226文字 PDF有 書誌情報]
【シドニー=今橋瑠璃華】ニュージーランド(NZ)政府は7日、今後の防衛能力の方針を示す「防衛能力計画」を公表し、今後4年間で120億NZドル(約9700億円)を投じると発表した。8年以内に防衛費を現在の国内総生産(GDP)比1%程度から2%に高める。中国の台頭を念頭に抑止力を強化する。
防衛能力計画の公表は2019年以来で、ラクソン政権下では初めて。120億NZドルのうち、90億NZドル分を新たに公表した。NZの防衛費は年間50億NZドルほどだ。
中国の金保有量、5カ月連続増加[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 218文字 PDF有 書誌情報]
【北京=塩崎健太郎】中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した3月末の外貨準備の内訳によると、金の保有量は約2292トンだった。2月末から0.1%増え、5カ月連続の増加だった。安全資産として金を積み増したとみられる。
2022年11月から24年4月まで18カ月連続で金の保有量を増やし、5~10月は積み増していなかった。24年11月から再び増やした。3月末の外貨準備高は3兆2406億ドル(約472兆円)で、前月末より134億ドル増えた。
セルビア、新首相を任命[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 13ページ 192文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】東欧セルビアのブチッチ大統領は6日、新たな首相にジュロ・マツット氏を任命した。中国企業が改修した駅舎の崩落事故をきっかけとする反政府デモ拡大の責任をとり、前首相は辞任に追い込まれた。ブチッチ政権はデモの混乱収拾を急ぐ構えで、ロシアへの接近を強める可能性がある。マツット氏は内分泌学を専門とする大学教授で、大統領を支持する政治団体の中心メンバーに名を連ねていた。
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援 購買データで動向把握[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1587文字 PDF有 書誌情報]
楽天グループが取引先である小売りや外食企業の経営支援に人工知能(AI)の活用を進めている。保有する大量の顧客データや購買情報をAIで分析し客離れの兆候を予知、対応を促す取り組みだ。AIを基盤とした取引先との連携を通じて楽天経済圏の安定・拡大につなげる。
「自分たちの課題をデータが示してくれる。改善を続けることが業績につながっている」。富山県を中心に54店舗のスーパーマーケットを運営する大阪屋ショップ(富山市)の尾崎弘明社長は楽天Gとの連携についてこう語る。
169項目で分析
大阪屋ショップは2018年に楽天ポイントカードを導入し、現在は来店客の9割がレジで提示するほど浸透する。蓄積した購買データなどを顧客の来店動向の把握に生かそうと、新たに楽天Gが開発したAIツールを取り入れた。
従来のコンサルタントのみによるデータ分析との違いは将来を予測する点にある。膨大な情報から、買い物の回数や金額が多いといった「大切な顧客」の行動変化を読み取り、他のスーパーに流出する兆候を察知することができる。
具体的な方法のひとつとして、顧客の属性や販促日の来店動向、生鮮食品の購買頻度など169の項目に分け、顧客流出との相関を分析してみた。すると、大きな販促を打ち出している火曜日の来店頻度や日持ちのしない野菜の購買頻度が落ちこんだ顧客は他店に流出しやすい傾向にあることがわかった。
AIツールを導入した他の小売りチェーンでは、流出の可能性がある顧客に対して割引クーポンを発行し、購買金額を増やした。
小売業界では、物価高を受けて消費者が利用店舗を厳選する傾向を強めている。企業間の競争環境は厳しさを増している。富山県内最大手の大阪屋ショップの場合、好立地には既に自陣営の店舗があるため、業績拡大には既存店の売り上げアップが不可欠だ。
「全国チェーンと地域で戦うための基礎となるのが楽天のデータだ」(尾崎社長)。AIツール導入により、販促を実施している期間中の顧客への売上高は3~5%増を見込む。全体の売上高は2028年6月期に24年同期比36%増の1300億円をめざす。
見えない客類推
AIはポイントカードの利用が少ない場合にも役に立つ。吉野家ホールディングス(HD)傘下のうどんチェーン、はなまる(高松市)では「見えない顧客」の可視化にAIを活用しようとしている。
高口裕之最高マーケティング責任者(CMO)によると、足元では楽天ポイントカードをはなまるのレジで提示する来店客は5割を下回る。データの収集は不十分で、楽天Gと共同でカードを提示していない顧客の情報を推論するAIツールの開発を進めている。
データを基に、売れ筋商品などの購買傾向が類似している店舗を分類する。その上で外部データも組み合わせてAIに顧客像を類推させる。25年秋にも対象となる店舗を選定して導入し、メニュー開発などに生かす計画だ。「顧客の『解像度』が高まり、売上高は2割増えると見込んでいる」(高口氏)
楽天Gは通常のコンサルティング費用に追加料金を上乗せする形でAIツールを提供する。コスト増が受け入れられる背景には、データの質の高さがある。
楽天ポイントは電子商取引(EC)の楽天市場や楽天系の金融サービスなどグループ内に加えて、全国600万カ所にある小売店や飲食店といった加盟店で利用されている。ポイント発行額は23年に6500億円相当と国内最大規模で、大量の購買データが日々蓄積されている。
AIはデータが多ければ多いほど広範で高度な分析ができる特性を持つ。楽天ペイメント(東京・港)でAIツールの導入に携わる林宏憲氏は「人だけでは作業量が多すぎて物理的に不可能な分析でも短時間でできるようになる」と話す。
【図・写真】大阪屋ショップの店舗では楽天ポイントカードを提示する人が9割と多い(富山市)
料理宅配、値下げ競争激化 ウォルト、札幌で店頭と同額に 市場縮小、撤退企業も[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1057文字 PDF有 書誌情報]
料理宅配の「Wolt(ウォルト)」は7日、札幌市内の宅配商品について店頭価格と同額での提供を始めた。物価高による節約志向で宅配離れが進み、国内最大手のウーバーイーツや2位の出前館もサービスの実質値下げに踏み切るなど競争が激化している。市場縮小で撤退する企業も相次ぐ中、割高な印象を刷新して顧客を囲い込む。
ウォルトのアプリ、「北海道らーめん 奥原流 久楽 本店」(札幌市)のページ。人気商品欄の「白味噌らーめん」はこれまで1380円で提供していたが、店頭と同額の980円に表示が切り替わった。ウォルトジャパン(東京・渋谷)の藤川誠矢エリアマネジャーは「手に取りやすい価格にし、新規の利用者を増やしたい」と話す。
店舗側は料理宅配側に手数料を支払うことなどから、宅配商品は店頭より4割ほど高い価格に設定することが多い。ウォルトジャパンと店舗が割り増し分を負担し、店頭価格と同額に引き下げる。送料は別途、距離に応じてかかる。
ウォルトが対象とするのは地元の飲食店を中心とした約120店舗で、6月までに500店舗ほどを目指す。その先に見据えるのは全国展開だ。藤川氏は「札幌をモデルにして全国に広げる可能性はある」と話す。「本格導入は業界でも初とみられる」(同)
フィンランド発のウォルトは20年に日本事業を始め、三大都市圏以外の地域に注力してきた。データ分析のヴァリューズ(東京・港)によると、北海道で料理宅配ユーザーの3割弱がウォルトを利用している。全国ではKDDI傘下のmenu(メニュー、東京・新宿)に次ぐ4位だが、北海道ではウーバーイーツと出前館の2強に肉薄する。
ウォルトジャパンが思い切った値下げに踏み切るのは、物価高で落ち込む需要を喚起するためだ。調査会社のサカーナ・ジャパン(東京・港)によると、24年の国内デリバリー市場は23年比8%減の7967億円だった。同社の東さやかフードサービスディレクターは「節約によるメリハリ消費と出勤増加で、デリバリーを利用する機会が減少している」とみる。
市場が縮小に転じる中、上位2社も値下げに動く。出前館は3月、混雑する時間帯を避けたり配達距離が短かったりする注文は従来より送料を安くした。ウーバーイーツジャパン(東京・港)も4月、一部店舗で持ち帰り注文を店頭価格と同額に値下げした。
過当競争からいち早く抜け出す動きもある。22年に独デリバリーヒーローと中国の滴滴出行(ディディ)が日本から撤退し23年には国内勢「Chompy(チョンピー)」もサービスを終えた。
神戸に製薬・バイオ拠点 三菱商事、27年営業開始へ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 684文字 PDF有 書誌情報]
三菱商事は神戸市で製薬やバイオ分野などの企業に賃貸する研究開発施設「アイパーク神戸(仮称)」を開発する。子会社の三菱商事都市開発がこのほど、神戸市が持つ約3035平方メートルの用地を取得する契約を結んだ。2026年7月に着工し、27年11月の営業開始をめざす。
建設予定地は三宮から神戸空港に向かう途中にある埋め立て地「ポートアイランド」。鉄骨造りの8階建てで、延べ床面積で約1万2000平方メートルを計画する。
三菱商事都市開発が土地取得や建設費を投資する。投資額は開示していない。
製薬や創薬、バイオ分野などで大企業から中小企業、スタートアップ企業まで幅広い企業の入居をめざす。
神戸市が開発を始めたポートアイランドには理化学研究所などの研究施設、大学や病院などが集積しており、今回の拠点との産業連携を見込む。医薬やヘルスケア分野は裾野が広く、成長性があると判断した。
産業ファンド投資法人(IIF)が41%、武田薬品工業が36.5%、三菱商事が19.5%を出資するアイパークインスティチュート(iPi)が施設の運営を手掛ける。iPiは、神奈川県藤沢市にある製薬・創薬企業などが集う研究開発施設「湘南ヘルスイノベーションパーク」も運営している。
三菱商事はマンションや商業施設などの都市開発に強みを持つ。東京都や千葉県、名古屋市などで大規模事業の実績があり、現在も大阪府で推進中だ。都市開発を含む社会インフラ事業の純利益は25年3月期に410億円を計画している。
【図・写真】三菱商事は神戸市で製薬やバイオ分野などの企業が集積する研究開発施設を開発する(イメージ)
客離れ兆候 AIで予知 楽天G、小売り・外食を支援――ポイント発行、各社競う 顧客確保へ共通化・統合も進む[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 648文字 PDF有 書誌情報]
AIサービスの提供はポイントを利用できる加盟店を開拓する有力な手段で楽天経済圏の拡大につながる。加盟店が増えれば利用者数も多くなり、ポイントの消費先として楽天が提供するサービスに誘導しやすくなる。自社の経済圏の競争力に直結するだけにポイント各社は利便性を高め、提携や共通化などを進めている。
楽天Gは取引先に担当のコンサルタントを配置し、データを使って業績改善を支援できる点で他社に先行する。AI活用により提案の精度が向上すればさらなる加盟店の獲得につながる可能性がある。
決済の強化も進めている。24年には楽天ペイのアプリに「楽天ポイントカード」と電子マネー「楽天Edy」を統合すると発表した。クレジットカード「楽天カード」のアプリ機能も追加した。決済回数の多い楽天ペイを中核に据えることでスマホ決済の成長に弾みをつける。
スマホを通じたQRコード決済の首位はPayPayだ。22年度のポイント発行額は6000億円相当(23年度は非開示)と規模は楽天ポイントに次ぐ。共通ポイント事業にも参入し、23年にはドラッグストア大手のウエルシアホールディングスとの提携を発表した。
利用者数と比例するポイントの発行総額を増やすための合従連衡も進んでいる。カルチュア・コンビニエンス・クラブのTポイントは加盟店の減少から巻き返そうと、24年に三井住友フィナンシャルグループのVポイントと統合した。dポイントを運営するNTTドコモはアマゾンジャパン(東京・目黒)とポイントや決済で提携している。
(桜木浩己)
リコー、融資業務に使えるAI 自社完結で機密性担保[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 625文字 PDF有 書誌情報]
リコーの国内販売会社リコージャパンは7日、企業の自社サーバーで生成AI(人工知能)を使うための支援サービスを始めると発表した。金融や医療といった機密情報を多く扱う職場に、業務効率化AIの利用を促す。
商品名は「RICOHオンプレLLMスターターキット」。生成AIの動作に必要な大規模言語モデル(LLM)やサーバー、関連ソフトウエアを一括で提供する。
導入時の教育や運用が始まってからのサポートも担う。導入費用は約1500万円。AIを使うためのサポートに別途、年間100万円程度がかかる。
金融や医療、製造業などの一部では業務に米オープンAIなどの生成AIの使用を認めていない場合がある。生成AIが社外のデータセンターのサーバーで稼働する場合、機密情報が漏洩する可能性があるためだ。
リコージャパンの生成AIサービスはクラウドを使わず社内に設置されたサーバーで生成AIを稼働させるため情報が社外に出ない。情報セキュリティーに強く、パッケージで提供するため中堅企業なども導入がしやすい。
銀行で過去のデータをもとに稟議(りんぎ)書の下書きを作るといった融資審査業務などでのAI活用を想定する。医療業界で過去の臨床データから文書を作成したり、エネルギー分野でインフラのメンテナンス記録を調べたりするのにも使える。
リコーはグループで米メタのモデル「Llama(ラマ)3」をベースに独自のLLMを開発している。日常業務で効果的なサポートができるとみている。
サントリーHD 新浪氏「相互関税、完全な価格転嫁難しい」 日本産ウイスキーなど 米消費の低迷懸念[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 547文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=朝田賢治】サントリーホールディングス(HD)の新浪剛史会長は6日、日本経済新聞の取材に応じ、トランプ米政権の相互関税について日本産ウイスキーなどの輸出品に「すべて価格転嫁することは難しい」と語った。関税が株安を招き、米個人消費を押し下げる懸念が強まっていると指摘した。
新浪氏はアジアや北米、欧州の政財界人らが参加する「三極委員会」の総会のアジア太平洋側議長を務める。同委員会の総会がワシントンで5~6日に開かれ、現地で取材に応じた。米トランプ政権は全世界からの輸入品に追加で課す相互関税の導入を決めた。日本からの輸入には9日から計24%が上乗せとなる。
新浪氏は米国でも人気が高まっているウイスキーなどの輸出品について「本来なら価格を24%引き上げなければならないが、それはできないと思う」と述べた。「関税により米国の株価が下落し、個人消費に与える影響が大きい」とし、完全に価格転嫁をするのは「米国の消費者の理解を得にくい」と分析した。
地理的な販売戦略見直しも明らかにした。欧州ではスコッチウイスキーなど現地生産している製品の販売に力を入れる。メキシコ産テキーラは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の適合品の関税免除措置が続いていることで、当座の影響は免れたとした。
第一三共「エンハーツ」胃がんで最終治験 適応症の拡大視野[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 443文字 PDF有 書誌情報]
第一三共は乳がん治療などで使われる主力抗がん剤「エンハーツ」について一部の胃がん患者を対象とした最終段階の臨床試験(治験)を始めたと発表した。エンハーツとがん免疫薬「キイトルーダ」などを併用して使う治療法の有効性と安全性を評価する。エンハーツの適応症の拡大を見据えて治験を進める。
エンハーツは標的に結合する抗体とがん細胞を攻撃する薬剤を組み合わせた「抗体薬物複合体(ADC)」と呼ばれる技術を使い、薬効を高めた第一三共の主力品。今回の治験ではエンハーツとキイトルーダ、抗がん剤のフルオロピリミジンの3剤を併用した治療法について評価する。
対象とする適応は「HER2陽性の胃がんまたは胃食道接合部腺がん」患者への1次治療で、日本を含むアジア、欧州、北米、南米で576人の患者が参加する予定という。適応症の拡大で治療の選択肢を広げる。
第一三共はエンハーツを軸とした抗がん剤がけん引し、中期経営計画の最終年度となる2026年3月期にがん領域だけで連結売上高1兆円以上とする目標を掲げる。
SNS炎上リスク、投稿前にAI判定 弁護士ドットコムがアプリ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 335文字 PDF有 書誌情報]
オンライン法律相談サービスの弁護士ドットコムは7日、SNSへの投稿前に文章が炎上する可能性を人工知能(AI)で判定するアプリを試験的に始めると発表した。政治家が所属する政党や、芸能事務所など企業の利用を見込む。誹謗(ひぼう)中傷や炎上を未然に防ぐ。
専用アプリに投稿文を入力すると攻撃性や差別性、誤解を招く表現といった3つの項目で炎上するリスクを5段階で判定し、結果を炎のマークの数で表示する。各項目で投稿文のどのような表現や言い回しがリスクとなるのかを説明する。
企業のSNSアカウントや社内チャットなどに投稿する前の利用も想定する。
当面は無料で使えるようにし、7月にも正式版のサービス提供を目指す。今後は判例や相談サービスで受け付けた内容などをAIに学習させる。
NTTコミュニケーションズ社長 小島克重氏(上) 「率先垂範」で仲間けん引(私の課長時代)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 1369文字 PDF有 書誌情報]
■飛び込み営業、トラブル対応に四苦八苦
黎明(れいめい)期のインターネットにひかれてNTTに入社しました。最初は電話局に配属となり、1軒ずつインターホンを鳴らして電話機を売りました。仕事のギャップにがくぜんとしましたが、いずれは希望する仕事を担当できると黙々と取り組みました。
開発職やシンガポールでの研修生の経験を経て法人営業の部署に移り、課長代理となりました。当初の担当は取引があまりない自動車販売の企業です。とにかく足で稼ごうと日参し、中古車オークションの仕組みを提案しました。
新しい仕組みを導入する際にトラブルはつきものです。うまくいっていないときはチームもばらばらになりがちです。仲間のけんかを体を張って止めたこともあります。1人ではなくチームで営業することの重要性を認識しました。
■嫌いな法人営業で「運命共同体」に
ある商談中、顧客先の担当者が話を止めて、「10万円、20万円、30万円」と数え始めました。びっくりして次の言葉を待っていると「今の時間まで発言しなかった人は帰ってください」と同行者のうち3人が会議室から追い返されてしまいました。
顧客に付加価値を提案できない人はコストでしかない。外部からそう見られていると気がつきました。チームの運営にコスト意識を持つ。顧客企業の発展に貢献するために運命をともにするということを心がけるようになりました。
正直、法人営業は大嫌いでした。ですが、中古車オークションの仕組みが無事導入された際、顧客の役員の方から「小島君、逃げずに向き合ってくれてありがとう」と言われました。その瞬間、営業の神髄に触れたように思いました。
■1人課長時代に鍛えた「率先垂範」の精神
入社12年目で営業課長を拝命したとき、直属の部下はいませんでした。以前とは別の自動車会社の担当となりましたが、その企業はすでに他社とネットワークの長期契約を結んでいました。入り込む余地がないため、上司から人員を割けないと説明されました。
ネットワークが無理なら他の手を考えるしかありません。当時、はやり始めていた電子調達の仕組みに目をつけ、足しげく通って売り込みました。甲斐あって、なんとか採用してもらえることになりました。
うまくいくか否かはすべて自分次第でした。使っていた米国製のソフトウエアはバグが多く、自分で対応するしかありません。時差の関係もあり、ほとんど会社に住みこむような形で仕事をしていました。
途中で投げ出したくなることもありました。それでも気づけば1人、2人と仲間が増えていきました。サービスの主幹や隣の課の人たちが手伝ってくれるようになり、ワンチームになっていく感覚がありました。「率先垂範」。今も行動の指針にしています。
こじま・かつしげ 1989年(平元年)早大教育卒、NTT入社。法人営業などに従事。19年NTTコミュニケーションズ取締役、21年執行役員。23年常務執行役員。24年6月から現職。埼玉県出身。59歳
〈あのころ〉 1987年、NTTが国内初の携帯電話サービスの提供を始める。同年KDDI前身の日本移動通信(IDO)も設立、市場参入する競合各社との技術革新争いが加速した。91年発表の「mova(ムーバ)」は当時世界最小の携帯端末で、携帯電話普及の呼び水となった。
サンリン 百瀬久志氏(新トップ)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 14ページ 100文字 PDF有 書誌情報]
◇サンリン
百瀬 久志氏(ももせ・ひさし)国学院大法卒。88年(昭63年)サンリン入社。16年取締役、24年代表取締役専務。長野県出身。62歳
(6月20日社長就任。塩原規男社長は代表権のある会長に)
ホンダ青山副社長が辞任 業務時間外の「不適切行為」[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 602文字 PDF有 書誌情報]
ホンダは7日、副社長を務めていた青山真二氏が同日付で辞任したと発表した。業務時間外での懇親の場で「不適切な行為」が指摘され、青山氏より辞任届が提出されたという。三部敏宏社長は月額報酬のうち20%を2カ月間自主返上することを決めた。
ホンダの取締役会は7日、青山氏の辞任を妥当であると判断した。ホンダは「人権尊重・コンプライアンス順守を率先垂範すべき立場の者が、これらに反したとの訴えを受けるに至ったことは遺憾」としている。
青山氏は1986年にホンダに入社し、稼ぎ頭である二輪事業の本部長や米国法人の社長を務めた。四輪事業本部長を経て、2023年4月に代表権のある副社長に就いた。直近は決算記者会見に説明者として登壇する機会も多かった。
破談した日産自動車との統合交渉でも中心的に関わり、同社の子会社化をはじめとする議論を先導した。このほどトランプ米政権が発動した関税への対応策を巡っても陣頭指揮をとっていた。
ホンダは40年に販売するすべての新車を電気自動車(EV)を含む電動車にする目標を掲げる。足元でEV需要が減速する中で投資競争も激化しており、自動車各社の経営陣は難しい判断を迫られている。
そのさなか、戦略の中枢を担った青山氏の離脱はホンダに大きな影響を与える。
三部社長に求められるのは新体制の早期構築だ。ホンダは新たな体制について「速やかに検討しており、近日中にお知らせする」としている。
セブン、電子看板7倍 コンビニに設置、小売り広告強化[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 530文字 PDF有 書誌情報]
セブン―イレブン・ジャパンは2025年にデジタルサイネージ(電子看板)の設置店を現在の7倍の約3500店に増やす。リテールメディア(小売り広告)事業を本格展開し、外部企業への購買データの販売も検討する。
小売り広告の売上高を5年で200億円規模に拡大し、コンビニエンスストアを中心とした成長戦略の新たな柱に育てる。
小売り広告は食品メーカーなどから広告料を得て、店舗の電子看板などに商品やサービスの情報を表示する。消費者が訪れる店舗を広告媒体として使うことで広告効果を高め、店舗の商品の販売拡大につなげる。
セブンは新たに首都圏の約3000店に電子看板を導入する計画で今夏から設置作業を始める。これまでは東京都内や四国地方の約500店への導入にとどまっていた。
広告の配信場所が増えれば広告の認知度が高まるため、新たな広告の出稿につながるという。約2600万人が利用するスマートフォンアプリ「セブン―イレブンアプリ」と電子看板を連動させた施策も検討する。例えば、消費者のニーズにあった割引クーポンをアプリに配信して来店を促し、その消費者らの興味を引く広告を大画面で流すといった連携が想定される。
【図・写真】店舗を広告媒体として活用する(セブンイレブンの店舗)
経産副大臣がスバル視察 「追加関税、影響を注視」[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 488文字 PDF有 書誌情報]
古賀友一郎経済産業副大臣は7日、SUBARU(スバル)の群馬県太田市の工場を視察した。米国が発動した輸入自動車への追加関税について、古賀副大臣は「自動車産業は基幹産業で幅広いサプライチェーン(供給網)を有する。影響をしっかり注視していきたい」と述べた。
追加関税により輸入コストが大幅に上がり、経営に打撃になる。特にスバルは売上収益のうち北米向けは7割以上を占める。調査会社のマークラインズによると、2024年にスバルは約29万台を日本から米国に輸出しており、単純計算では米国販売の4割以上を日本から輸出していることになる。
早田文昭副社長は政府に対し、「適用除外の交渉を続けるとともに、サプライヤー、自動車産業の基盤を守り抜く支援をお願いしたい」と訴えた。
日本メーカーでは日産自動車が今夏にも米国向け主力車の国内生産を一部現地生産に切り替える検討に入った。スバルは群馬県内で3工場を持ち約1万人の従業員がいる。生産移管すれば、地域経済への影響が大きい。
早田副社長は「サプライヤーの皆様と共存・共栄しながら、しっかり日本のものづくりを維持、発展させていきたい」と話した。
ソフトバンクG、個人社債6000億円規模 過去最大[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 434文字 PDF有 書誌情報]
ソフトバンクグループ(SBG)は5月2日、6000億円規模の個人向け社債を発行する。4月7日に関東財務局に提出した訂正発行登録書で明らかになった。発行額は同社の個人向け社債としては過去最大になる。
調達資金は個人向け社債の借り換えや、2023年8月に傘下のビジョン・ファンドから英半導体設計アーム株を取得した際の未払い金の一部に充てる。
償還期限は30年5月2日で、5年債になる。利率は年3.0~3.6%を仮条件とし、4月18日に決定する。申込期間は4月21日~5月1日で、払込期日は5月2日となる。野村証券や大和証券、SBI証券、みずほ証券など11社が引き受け、個人に販売する。
SBGは23年9月に傘下のアームを米市場へ上場させる直前にビジョン・ファンドが保有するアーム株を買い取り、買い取り額は4分割で支払うとした。
今回の社債発行で調達する資金をアーム株に関する未払い金の支払いの一部に充てる。アーム株に関する未払い金の支払いは25年8月分で完了する見込み。
村上氏長女、フジHD株7.52%保有[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 191文字 PDF有 書誌情報]
アクティビスト(物言う株主)として知られる村上世彰氏が関わる投資会社レノ(東京・渋谷)は、フジ・メディア・ホールディングス(HD)の発行済み株式における保有比率を7.52%に買い増した。7日付で関東財務局に3月31日時点の変更報告書を提出した。うち100株以外は村上氏の長女である野村絢氏が保有する。レノは4日にフジ・メディアHDの保有株の比率が6.20%になったと報告していた。
パナソニック、NTTアノードエナジー 万博会場内に水素供給網[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 173文字 PDF有 書誌情報]
パナソニックとNTTのエネルギー子会社であるNTTアノードエナジー(東京・港)は7日、大阪・関西万博の会場内に再生可能エネルギー由来の水素の供給網を実装したと発表した。NTTパビリオンで太陽光発電と水電解装置で作った水素をパナソニック製電池の燃料にして発電し、夜間のライトアップなどに活用する。水素の生成・運搬・使用までを万博会場内で実現する。
オアシス、エン・ジャパン株を保有[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 165文字 PDF有 書誌情報]
アクティビスト(物言う株主)として知られる香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが、エン・ジャパンの約6%の株式を保有していることが7日分かった。オアシスが同日、関東財務局に提出した大量保有報告書で判明した。保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」で、「株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある」としている。
フジテレビ社長、役員報酬半減[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 161文字 PDF有 書誌情報]
フジテレビジョンは7日、元タレントの中居正広氏と女性との間のトラブルを巡る事案に関連し、清水賢治社長の2月以降の役員報酬を50%減額すると発表した。時期は「当面」としている。すでに退任している社内出身の取締役全員は2月以降に役員報酬を30%減額したほか、執行役員は同10%を減額した。社内出身の監査役は30%を辞退した。
パソナ系、海外での特許出願代行[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 138文字 PDF有 書誌情報]
パソナグループ傘下のパソナナレッジパートナー(大阪市)は海外での特許出願事務を代行するサービスを月内に始める。日本の特許事務所から知的財産の管理事務を受託し、各国の法制度に基づいた申請書類の作成や現地とのやりとりを請け負う。2027年3月までに70事務所からの受託を目指す。
吉野家、牛丼大盛740円に上げ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 124文字 PDF有 書誌情報]
吉野家は7日、主力商品の「牛丼」などを値上げすると発表した。牛丼のほか定食やサイドメニューが対象で、税別の本体価格を10~70円引き上げる。牛丼大盛の税込み価格は店内飲食で696円から740円に上がる。主力商品である並盛は498円のまま据え置く。
トヨタ「国産300万台」岐路 米関税「想定の中で最悪」 値上げや部品移管難題(トランプ2.0ビジネス大転換)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1635文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権による追加関税は、トヨタ自動車の日本国内の生産体制を揺るがす。米国販売の約2割に当たる53万台を日本から輸出しており、コスト増や販売台数の減少へつながる。部品メーカーなど延べ約6万社とされる国内サプライチェーン(供給網)への影響は避けられず、トヨタの掲げる「国内300万台の生産体制」は岐路に立つ。
「想定していた中で最悪のケースが現実になった。グローバルで相当なインパクトがある」とトヨタ幹部は語る。トヨタは2024年11月の米大統領選前後から関税の対策プロジェクトを立ち上げ、シミュレーションを重ねてきた。だが、追加関税発動に加えて「相互関税」も表明され、事態は一層不透明になった。
米国での販売台数が233万台(24年)に対して現地での生産台数は127万台で、日本やカナダ、メキシコから多くを輸入している。日本から米国への輸出台数は、国内生産全体(312万台)の約17%に相当。対米輸出のうち2割程度は高級車ブランド「レクサス」が占めたとみられる。
関税は一義的には輸入業者が支払うため、トヨタが負担する。米国での車両販売価格を当面は維持する方針を示している。原価を下げることで関税コストを吸収する。
とはいえ、追加関税が長期間続けば原価低減だけでは限界がある。一部メーカーは値上げに動いている。イタリアのフェラーリは米国で販売する一部車種の価格を最大10%引き上げる計画だ。消費者から受け入れられるのであれば、トヨタも値上げが視野に入る。
ゴールドマン・サックス証券はトヨタが値上げすれば米国販売台数の5~8%が減少し、26年3月期営業利益ベースで6%に当たる3400億円が下押しされると推計する。
関税回避には米国への生産移管が選択肢だ。トランプ氏の大統領任期は4年で時間を要する米国での生産増強は踏み切りづらい。トヨタの宮崎洋一副社長は「どう対応すべきか、何が起こるか、様々な要素がある。シナリオを1本にできないのが今の状況だ」と語る。
値上げか生産移管かどちらをとっても、トヨタの供給網は大きなリスクを抱える。長年掲げてきた日本での年300万台生産が崩れかねない。
トヨタは日本で中小含めて延べ約6万社とされる取引先に支えられる。300万台は日本での雇用や供給網、ものづくりの技術を維持するために欠かせない。豊田章男会長は「グローバル生産をけん引するために競争力を磨く現場が必要」とし、新型コロナウイルス禍でも「石にかじりついてでも守り抜いてきた」。
世界販売の半分近くを北米が占めるレクサスは、田原工場(愛知県田原市)やトヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)で主に生産し、米国での生産は一部車種にとどまる。レクサスの現地生産が進めば、日本国内のサプライヤーの収益に影響する。
組み立てだけではない。部品の現地化も難題として今後直面する。5月3日までに基幹部品に追加関税が課される。エンジンやトランスミッション(変速機)、パワートレイン(駆動装置)を対象に税率は25%となる見込みだ。
米国で生産している車種は日本からの部品調達が多い。ハイブリッド車(HV)「カムリ」は米国で組み立てているが、米国・カナダからの部品調達は55%にとどまる。多目的スポーツ車(SUV)「カローラクロス」の米国・カナダは60%で、25%を日本から調達する。「関税が上がれば供給網の中で吸収するのではなく、価格転嫁も考えていきたい」(デンソーの松井靖副社長)
自動車産業は自由貿易を前提に事業モデルを組み立て、世界の生産体制を構築してきた。トランプ政権の関税政策はその前提を覆す。9兆円を超す手元資金を抱えるトヨタはしのげたとしても、中小も含めた国内供給網という土台が揺るがされることになる。
(矢尾隆行、上原翔大)
◇
トランプ米政権の関税政策が、自由貿易を前提に成長をめざすこれまでの常識を覆した。世界の企業はどう対応するのか。影響や課題を追う。
(随時掲載)
虎ノ門ヒルズ、企業つなぐ 森ビル、7000億円再開発完了 麻布台などと回遊促す(ビジネスTODAY)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1393文字 PDF有 書誌情報]
森ビルは7日、虎ノ門ヒルズ(東京・港)に9日開業する新施設「グラスロック」をメディアに公開した。エリア周辺の官公庁や企業をつなぐ拠点だ。約7千億円の総事業費、約10年の歳月をかけた再開発事業が事実上完了する。収益の柱に育つ一方、今後は「六本木」「麻布台」など近隣ヒルズ群との相乗効果が課題となる。
グラスロックは地下3階、地上4階建てで、延べ床面積は約8800平方メートル。地下鉄直結で「森タワー」「ステーションタワー」の2大オフィスビルをつなぐ歩行者デッキに接する。新領域事業部の竹田真二部長は7日「回遊性が高まる重要な施設になる」と述べた。
2014年6月の森タワー開業からの再開発に区切りがついた。総事業費は六本木ヒルズ(約2700億円)や麻布台ヒルズ(約6400億円)より大きい。
グラスロックは小ぶりながら、周辺の人流を押し上げる「最終ピース」と位置付ける。目玉は会員制の交流拠点だ。
社会課題を解決する知見の共有を目的に、バーカウンター付きのオープンスペースや展示場などを備えた。官公庁や企業などが対象で法人は月額33万円。個人も月額1万1000円で利用できる。会員目標は100社、1000人。すでにNECの経営企画や事業部門のほか、大手食品メーカーなど約10社が契約したという。
虎ノ門ヒルズの強みは、美術館など文化の発信拠点である六本木ヒルズ、高級住宅エリアの麻布台ヒルズと異なり、立地を生かしたオフィスの集客力だ。
約30万平方メートルの総貸室面積はヒルズ群のなかで最大規模だ。官公庁が集積する霞が関、外資企業が多い赤坂や六本木に近い利点もあり「ほぼ満室状態」(森ビル)が続く。森ビルの年度ベースのオフィス空室率は過去10年以上、都心5区の平均を下回る。新施設はオフィスとして貸し出しても需要は見込める。
それでも、森ビルは虎ノ門ヒルズ内の相乗効果に目を向けた。タウンマネジメント事業部運営企画部長の岩原佳乃子氏は「オフィスビルは執務スペースだけでなく、他社と連携できる環境や情報収集の機能が求められている」とみる。
24年4~9月期の連結営業利益は前年同期比2.9倍の525億円。虎ノ門ヒルズの好調さが押し上げ要因となっており、収益面における収穫期に入った。25年3月期通期の営業利益は前の期比1%増の790億円と過去最高益を見込む。
一方で投資がかさみ、24年9月時点の有利子負債は1兆6277億円と10年前より約6割増えた。フリーキャッシュフローは赤字が続く。
今後は虎ノ門や六本木などヒルズ群の相乗効果を高めることが課題だ。同社はヒルズ利用者のデータを基に情報を配信して再訪を促している。六本木ヒルズの近隣に住友不動産と共同で進める再開発計画「六本木五丁目西地区プロジェクト」も30年度に開業する。
明治大の市川宏雄名誉教授は「各ヒルズの個性を磨きながら、エリア間の回遊を生むことが求められる」と指摘する。
都心のオフィス需要の堅調さが続くなか、競合との顧客の奪い合いは激しさを増す。3月にJR東日本の複合施設「高輪ゲートウェイシティ」(東京・港)がオープンした。「トランプ関税」によって世界経済も不透明さを増す。立地だけに頼らないエリアの魅力づくりが欠かせない。
(斎藤萌)
【図・写真】虎ノ門ヒルズの再開発事業で最後の施設「グラスロック」(7日、東京都港区)
トヨタ「国産300万台」岐路――日本車、4度目の試練 貿易摩擦・高級車関税・リコール(トランプ2.0ビジネス大転換)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1302文字 PDF有 書誌情報]
デジタル化進め克服を
トランプ米政権が輸入自動車に25%の追加関税を課した。米国を主戦場とする多くの日本車メーカーにとってはかつてない逆風だ。日本の自動車産業はこれまで3度、米国で台頭する保護主義に直面し、そのたびに躍進してきた。4度目の試練を成長の糧にできるか。
米オハイオ州メアリズビルにあるホンダの工場は今、電気自動車(EV)とガソリン車の混流生産ラインの構築準備に追われている。EVのハブ拠点とする構想だが、足元ではEVに逆風が吹く。目先の需要が見通せない中でもしたたかにエネルギー転換に備える。
45年前も先が読めない状況下での決断だった。1980年、ホンダは日本勢で初めて米国での自動車生産を決め、オハイオ工場を建設した。
当時の河島喜好社長が「オハイオはホンダの生命線だ」との決意を語った背景にあったのが、過熱する日米貿易摩擦だ。日本勢は81年に対米輸出の自主規制を始めたが、米労働者がハンマーで日本車をたたき壊す激しい排斥運動が広がった。
日本からの輸出に頼っていた日本勢は、保護主義に背中を押され一斉に現地生産に乗り出した。部品大手にも協力を求め、カンバン方式に代表されるサプライチェーンとの「擦り合わせ」の妙技を米国に持ち込んだ。
2度目の試練は95年。クリントン政権は米通商法301条に基づき日本の高級車に100%の関税を課すと決めた。日本政府はこれが世界貿易機関(WTO)ルールに反すると主張して合意にこぎつけたが、米国では日本車への警戒感が根強いことを印象づけた。
この頃、バブル崩壊が日本経済を直撃したこともあり、日本車各社はいよいよグローバル化へとかじを切る。07年に海外生産台数が初めて国内生産を上回った。またしても危機を成長へとつなげたわけだ。ただしこの直後、貿易摩擦とは異なる3度目の試練が訪れた。
08年にリーマン・ショックが発生し、翌年に米ゼネラル・モーターズ(GM)が経営破綻に追い込まれた。時を同じくして米国内で激しいトヨタ・バッシングが起きる。フロアマットの問題から始まった大量リコール(無償回収・修理)が一気に社会問題化した。
当時は景気対策法に自国優先のバイ・アメリカン条項を盛り込むなど、米通商政策が再び保護主義に傾いた時期と重なる。そんな空気が漂う中で、「強いアメリカ」の象徴だったGMを追い詰めた侵略者のようにトヨタを敵視する国民感情が存在したことは否めない。
トヨタには電子制御の欠陥を隠蔽しているとの疑いまでかけられた。これが事実無根と分かると事態は沈静化に向かう。
すかさずトヨタの反撃が始まった。21年に米新車販売台数で初めてGMを上回った。GMが王座を明け渡すのは実に90年ぶりのことだった。
そして現在――。EVが伸び悩む米国では、トヨタなど日本車が得意とするハイブリッド車(HV)が脚光を浴びる。
そんなタイミングで発動された「トランプ関税」。危機を再び躍進の原動力にできるか。問われるのは日本車の付加価値だ。車のデジタル化の流れを主導し、米中勢との競争に備える必要がある。4度目の試練を進化への踏み台としたい。
(編集委員 杉本貴司)
オープンアップグループ 佐藤社長(ニュース一言)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 15ページ 190文字 PDF有 書誌情報]
未経験者を採用してエンジニアに育て上げる技術者派遣の拡大は続くだろう。半導体や建設など人手不足の業界に対し、人材創出する形で事業の成長を支えている。
オープンアップグループは2025年度に約8700人を中途採用する予定だ。佐藤大央社長は「就業に直結するスキルを一から教えている。技術者派遣は日本経済の成長に欠かせないリスキリング(学び直し)のど真ん中を担っている」と力を込める。
新型コロナの起源探る 市場に「ウイルス感染」動物か カナダの大学、武漢の試料分析[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1689文字 PDF有 書誌情報]
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって5年が過ぎた。科学界ではウイルスはタヌキなどの動物に由来するという説が有力だが、米国の情報機関などは中国の研究所から流出した可能性を主張する。
データが限られる中、科学者は様々な分析を試み、パンデミックの起源を突き止めようと模索を続けている。
2024年12月、世界の研究者が集まる新型コロナの国際会議が兵庫県の淡路島で4日間開かれた。会議で注目を集めた研究の一つが、カナダ・サスカチワン大学のアンジェラ・ラスムセン博士らの発表だ。
コロナ流行初期の20年1月に中国・武漢市の卸売市場で採取された試料の遺伝子情報を分析した。市場で売られていたタヌキなどが何らかのウイルスに感染していた可能性が判明したという。
ラスムセン博士は以前にも、米スクリプス研究所などとの研究チームで同じ遺伝子情報を分析した。タヌキやイヌなどの動物と新型コロナウイルスが同時期に市場に存在したことを特定し、24年9月に米科学誌セルに論文を発表した。ただ、タヌキなどがコロナに感染していたという直接の証拠は得られなかった。
動物がウイルスに感染すると、免疫反応によって細胞内のRNA(リボ核酸)のパターンが変化する。RNAに着目した新分析によって、タヌキなど一部の動物で免疫が活性化していたとみられる証拠が見つかったという。ただ、動物が感染していたウイルスの種類は特定できなかった。
分析はまだ正式な研究論文にはなっていない。同博士と東京大学医科学研究所の佐藤佳教授らは共同研究を進め、コロナに感染したタヌキで起こるRNAの変化などを詳細に調べる。佐藤教授は「状況証拠が積み重なり、タヌキがウイルスを広げた蓋然性は高まっている」と指摘する。
科学者の多くはコウモリからタヌキなどの「中間宿主」となる動物にウイルスが感染して変化した後、ヒトで流行した可能性が高いとみている。
02~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)もコウモリのコロナウイルスがハクビシンなどを介してヒトにうつったとされている。
コロナの起源を巡っては、中国の研究所から流出したとする説も根強く残る。ドイツの新聞2紙は25年3月、同国の情報機関・連邦情報局(BND)がウイルスは武漢ウイルス研究所から誤って流出した可能性が高いとする分析を20年にまとめていたと報じた。分析結果は米中央情報局(CIA)に共有されたという。
CIAは25年1月、「研究所に関連する可能性のほうが高い」との新たな見解を示した。米連邦捜査局(FBI)や米エネルギー省(DOE)も流出説を採る。
科学的な研究が積み重なる動物説に比べ、流出説は具体的な根拠に乏しい。CIAやDOEも判断の「確信度は低い」と留保を付けている。
それでも米国などで流出説の支持が根強いのは、情報公開や国際協力に後ろ向きな中国への不信感が大きい上に、コロナの起源究明が米中対立の中で政治問題化している面がある。
中国の研究者、石正麗(シー・ジェンリー)氏らは2月、新型コロナと同様の仕組みでヒトの細胞に感染できる新種のコロナウイルスを発見したと米科学誌セルで発表した。石氏はSARSコロナウイルスがコウモリに由来することを突き止め、「バットウーマン」の異名を持つ著名研究者だ。
新発見のウイルスの感染力は強くないとみられ、ヒトの間で流行する可能性は低い。自然界には未発見のコロナウイルスが無数に存在し、その中に将来のパンデミックを引き起こすものがあるかもしれない。佐藤教授は「平時から基礎研究を進め、理解を深めておくことが重要だ」と強調する。
世界保健機関(WHO)は24年12月末の声明で「コロナの起源を解明するため、中国に対しデータの共有などを引き続き求める」とした。「透明性や各国の協力がなければ、将来のパンデミックへの十分な予防や備えは不可能だ」と訴えた。だが、米中対立が深まる中、国際協力の先行きはますます不透明だ。
(越川智瑛)
【図・写真】新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真=米国立アレルギー感染症研究所提供
害虫だけ退治する農薬 農工大、RNA使い環境負荷低く 農地ですぐに分解[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1620文字 PDF有 書誌情報]
狙った害虫だけを退治でき、農地にまいた後に分解されやすい。そんな夢のような農薬の開発が進んでいる。生物の遺伝情報を担う物質を利用する「RNA農薬」だ。東京農工大学などが成果をあげつつある。世界の農薬需要は人口増を背景に増え続ける。持続可能な農業の実現に貢献する。
農工大の鈴木丈詞教授は、RNA(リボ核酸)を使って野菜や果樹の害虫を食べる益虫ダニの食欲を増す技術を開発した。益虫ダニは害虫の被害を抑える生物農薬として農林水産省が使用を認めている。
益虫ダニに青く着色したRNA入りのエサを与えたところ、狙ったとおりに作用した。食欲を抑制するたんぱく質を減らすRNAを入れてダニの食欲が増すことを調べる研究を進めていて、よいデータが得られつつあるという。
農薬メーカーなどと協力し、益虫のエサとしての実用化をめざす。益虫の容器にRNAを加えたエサを入れて販売することを想定する。RNAそのものを農地にまかないため、安全性の確認も容易とみている。
農工大の技術に応用されているのは、RNA干渉と呼ぶ仕組みだ。RNAはDNAの遺伝情報をもとにたんぱく質が作られる際の橋渡しをする役割などがある。
4種類の塩基という分子が鎖状に連なる。RNA干渉は細胞内の標的となる物質に結合して機能を失わせる。発見した米国の科学者2人は2006年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
農作物に害を与える虫などの特定のたんぱく質の働きを抑えるようにRNAを設計すれば、農業分野に使える。
現在の農薬の大部分は化学農薬で、地域によっては土壌汚染や生態系への悪影響が問題となる。使い方を誤れば、周辺住民や消費者が有害な化学物質にさらされるリスクもある。花粉を運ぶハチなどが化学農薬の影響で減って、農作物の収量が落ちる問題も生じている。
農水省は21年に策定したみどりの食料システム戦略のなかで「化学農薬を50年までに半減させる」と掲げ、具体策の一つとしてRNA農薬に期待している。
ベンチャーキャピタル(VC)のビヨンドネクストベンチャーズ(東京・中央)のパートナーで、農業分野に詳しい有馬暁澄氏は「化学農薬は環境や人体への影響が懸念され、海外では訴訟も起きている。世界的に削減の方向に進むだろう」とみる。将来はRNAを含む代替技術の活用が広がる見通しだ。
RNAを応用した技術は新型コロナウイルス感染症のワクチンとして医療向けに実用化した。大量のRNAが製造されるようになったものの、農薬として普及させるにはワクチンとは桁違いの量が必要になる。製造コストが課題となる。味の素はアミノ酸発酵を応用した大量製造の基礎技術を開発した。
同社の技術はアミノ酸発酵で用いる細菌に、RNAをつくるDNAを導入して培養する。細菌のRNA分解酵素を失わせて、RNAの生産効率を高めた。
この細菌を用いてナスの葉を食べる幼虫に与えるRNAを作った。幼虫にRNAを食べさせたところ、体のあちこちで細胞死が起こり、葉の食害が減ることを確認した。
コスト競争力を高めるため、100キロリットル級の大型タンクで生産することを検討する。「1グラムあたり1ドルを下回るコストで製造可能な技術を開発中」(同社)という。
農薬の消費量が多い米国や規制当局の審査が速いブラジルなどで早期に実用化することを念頭に、農薬メーカーと共同開発の協議を進める。
米国では24年に米バイオベンチャーが初めてRNA農薬を実用化した。既存の化学農薬が効きにくい「コロラドハムシ」を標的とした。
同社はミツバチに寄生するダニを退治するRNAも開発し、実用化に向けて米国環境保護庁(EPA)の審査を受けている。
さらにRNA農薬の課題を解決する研究も進む。農水省系の農業・食品産業技術総合研究機構が注力するのはRNA農薬が効きにくいチョウの仲間の害虫だ。効果を妨げる仕組みを解明して有効にするための研究開発を進めている。
月のチタン鉄鉱、産総研などが「地図」 基地建設の資源に有望[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1082文字 PDF有 書誌情報]
産業技術総合研究所と立命館大学、会津大学の研究グループは、月周回衛星が取得したデータから月面のチタン鉄鉱に富んだ地域を特定した。埋蔵量は1000億トン以上と見積もられる。
チタン鉄鉱からは水や酸素、鉄、チタンを得ることができる。基地建設といった月面活動の際に現地調達できる資源として注目されそうだ。
チタン鉄鉱は鉄とチタンを主成分とする黒色や褐色の鉱物だ。月内部のマグマが地表面に噴出してできた「海」を主に形成する玄武岩に含まれることが知られている。
ただ、月面の他の鉱物と比べて光を反射しにくいことから、リモートセンシング(遠隔探査)での検知や判別は難しく、詳しい分布は分かっていなかった。
研究グループは、2007年に打ち上げられた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや」が取得したデータから、チタン鉄鉱の特徴を抽出した。
それらを解析した結果、チタン鉄鉱に富んだ51地点を特定した。いずれも月の海ではなく、その周囲に分布する、月の火山活動で噴出した細かい岩石片などが堆積した地域だった。
粒子の細かい堆積物は、玄武岩と比べて効率良くチタン鉄鉱を取り出すことができる。「晴れの海」と呼ばれる領域の南西で見つかった12地点の埋蔵量を推定したところ、約1000億トンが存在するという。
地球の埋蔵量とされる約7億トンの約140倍にあたり、基地建設や有人活動を進める上で十分な量になるという。
今後、チタン鉄鉱の化学組成や純度など詳しい情報を調べる。産総研リモートセンシング研究グループの山本聡グループ長は「将来の採掘候補地点を絞り込むために必要な月資源の基盤情報を整備したい」と話した。
月を巡っては、米国が主導し、日本や欧州も参加する有人探査「アルテミス計画」で、2027年半ばにもアポロ計画以来となる有人月面着陸を目指す。
将来は水資源があるとされる月の極域に基地を建設する構想を掲げる。中国とロシアも共同で、35年までに月面基地を完成させる計画を持つ。
ただ、月への物資輸送には1キログラムあたり1億円ほどかかるとされ、基地建設の課題となっている。月の資源をその場で利用できれば、地球から運ぶ物資は必要最小限に抑えられる。輸送コストを大幅に削減できると期待される。
国内では大林組や清水建設などが、月面を覆う「レゴリス」と呼ばれる砂を固めて建材を作り出す技術を研究している。
【図・写真】月面のチタン鉄鉱に富む地域(星印)の分布図=産総研提供
【図・写真】米国の月面有人探査「アルテミス計画」は資源の探査も予定している(イメージ図)=NASA提供
「数学のノーベル賞」に柏原氏 D加群理論は異分野結ぶ 難問解決の道具、活用広がる[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1024文字 PDF有 書誌情報]
「数学のノーベル賞」とされるノルウェーのアーベル賞を京都大学の柏原正樹特定教授が受賞することが決まった。柏原氏は数学の異なる分野を結び付ける架け橋のような「D加群」と呼ばれる理論を築き上げた。
数学研究の新たな道具を生み出し、自ら難問の解決に利用するだけでなく、多くの数学者に影響を与えた。ノルウェー科学文学アカデミーは3月26日のアーベル賞発表で、柏原氏について「橋を架け、ツールを創り出した。真の数学的先見者だ」と功績をたたえた。
アーベル賞はノーベル賞に匹敵する数学分野の科学賞として、2003年にノルウェー政府が始めた。賞の名前はノルウェー出身の数学者アーベルにちなむ。賞金は750万ノルウェークローネ(約1億円)だ。
国際数学連合の総裁を務める東京大学の中島啓教授は「現在まで何十年にもわたり、数学の第一線で精力的に活躍してきた」と敬う。
柏原氏は鶴と亀の頭の合計と足の合計から鶴と亀の数を求める「つるかめ算」をきっかけに、数学が好きになったという。算数の問題を方程式で表現して一般化できることに感動を覚えた。
進学先の東京大学で研究人生を決定づける出会いがあった。世界的数学者の故・佐藤幹夫氏の講義に衝撃を受け、「代数解析学」の研究の道に進むことになる。
佐藤氏の下、大学院修士課程で代数解析学で要となるD加群の論文を完成させた。当初は日本語だけでの発表だったが、世界的に注目された。
数学は数や式の性質を扱う代数学、微分積分に代表される解析学、図形や空間を扱う幾何学という3つの分野に大きく分かれる。
高度な現代数学は細分化が進んでいるが、柏原氏が専門とする代数解析学は代数学と解析学を融合させた分野だ。中島教授は「分野の『いいとこ取り』によって面白いことができる」という。
柏原氏の重要な業績の一つは「リーマン・ヒルベルト対応」という難問だ。長年数学者を悩ませてきたが、D加群によって解決してみせた。
柏原氏は「新しいものをつくることが大切だ。たとえとても小さなものでも新しいものを生み出してほしい」と若い研究者らにエールを送る。
数学者は独りで研究に取り組む場合も多いが、柏原氏は数多くの共同研究に取り組んできた。代数解析学やD加群の理論を核に仕事の幅が広がり、多くの数学者が活用するツールとして分野の垣根を越えて数学の発展に広く貢献した。
【図・写真】京都大学の柏原正樹特定教授は50年以上にわたる数学研究の業績が評価されている
害虫だけ退治する農薬――国内の実用例なく 事業化へ環境整備が課題[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 280文字 PDF有 書誌情報]
化学農薬の原料は多くが石油由来で、地政学的な影響を受けやすい。価格が高騰したり輸入が滞ったりするリスクがある。脱炭素で石油を使いにくくなれば、原料の供給が不安定になりうる。
微生物発酵などで生産できるRNA農薬が普及すれば、農薬全体のサプライチェーン(供給網)や価格を安定させることにもつながる。
国内ではRNA農薬を実用化した例はない。有馬氏は「日本政府は規制の面で慎重で、新技術の導入は米国の数年遅れになるケースが多い」と指摘する。
政府は規制の整備などを通じて、事業化へ向けた研究開発に企業や研究機関が取り組みやすい環境をつくる必要がある。
(岩井淳哉)
有用な酵素の構造を計算で(FromAcademia)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 232文字 PDF有 書誌情報]
産業技術総合研究所は、メントールを高純度で合成する酵素をコンピューターを使った計算を駆使して開発した。メントールはミントやハッカなどの植物に由来し、化粧品や医薬品などにも使われる。化学合成もできるが、酵素反応を利用すれば、より低い温度で合成できる。ただ、よく似た構造の副生成物ができるため分離工程が必要だった。副生成物を生じにくい酵素の構造を計算で特定した。酵素反応は高い温度や圧力が不要になる。有用な酵素を開発して、物質の合成に生かせれば環境負荷を抑えられる。
認知症の進行 血液調べて予測(FromAcademia)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 232文字 PDF有 書誌情報]
米セントルイス・ワシントン大学医学部などの研究チームは血液中の「タウ」と呼ばれるたんぱく質の濃度とアルツハイマー病の進行度が相関していることを突き止めた。血液中の「MTBR(微小管結合領域)タウ243」というたんぱく質に着目した。質量分析装置を使い米国やスウェーデンで募った患者らについて、血液中のMTBRタウ243の濃度を調べた。MTBRタウ243は脳内のタウの蓄積と高い相関関係を示していた。血液からアルツハイマー病の初期症状の有無を予測できる可能性がある。
極薄の層を制御し新現象(FromAcademia)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 231文字 PDF有 書誌情報]
理化学研究所の成塚政裕研究員らは京都大学と、原子レベルの薄さの層を制御して新たな物理現象を観測することに成功した。極薄の層を特定の角度にずらして重ねると超電導などの特殊な現象が観測されることが知られている。今回、試料を極低温で観察するための走査型トンネル顕微鏡を開発し、冷却時の電子の状態を観察した。炭素でできたグラフェンの層に、二セレン化ニオブという金属化合物の層をずらして重ねると電子が特徴的な波の形を示した。量子コンピューターの研究に役立つ可能性がある。
動きが自然に見える条件(FromAcademia)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 17ページ 230文字 PDF有 書誌情報]
NTTは映像を見てヒトが自然だと感じる動きは、ボールやヒトなど動く対象によって異なると明らかにした。成果は英国王立協会紀要に掲載された。ボールなどの単純な物体の動きは、地球より小さい重力のもとでの動きを、自然だとヒトが認識する場合がある。ヒトのジャンプなどについて、自然に感じる条件は分かっていなかった。研究チームは、ジャンプの高さなどを変えた映像を使って実験し、地球の重力に近い場合のジャンプを自然だと認識していることが分かった。映像表現などに応用できる。
PBR1倍割れ、54%に、プライム、3カ月で11ポイント上昇[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1139文字 PDF有 書誌情報]
東証プライム企業のPBR(株価純資産倍率)低下が止まらない。連日の株安を背景に、PBRが目安の1倍を割り込んだ企業の割合は全体の54%にのぼり、ここ約3カ月間で11ポイント程度上昇した。プライム上場企業全体のPBRも、再び2022年の市場再編開始時の水準に戻っており、市場の警戒感は強い。
7日時点で継続比較できる約1630社のうちPBR1倍割れ企業は874社あった。24年末比では179社増えた。比率は53・5%と24年末の42・3%から急上昇した。プライム全体では1・1倍と1倍は維持しているが、3年前の市場再編時の水準に戻った。
背景にはトランプ米政権の関税政策による影響などで、企業業績の先行きが不透明になっていることがある。米景気の低迷や為替相場の円高が進むといった見方から、危機感を覚えた投資家がリスク資産から資金を引き揚げる動きが鮮明だ。
東証の要請などを背景に、資本コストや株価を意識した経営を着実に進めてきた企業でもPBRが急激に落ち込み、1倍を割り込む例が目立った。7日は積水ハウスや博報堂DYホールディングス、三井ハイテックなどが低下した。積水ハウスは23年2月以来、2年2カ月ぶりに、博報堂DYは12年12月以来、12年4カ月ぶりにPBRが1倍を割り込んだ。
三井ハイテックは4日、約5年ぶりに1倍割れとなった。7日は株価が前営業日比12%下落し、0・8倍台だ。同社はメキシコで主力の自動車の駆動部品であるモーターコアの生産拠点の稼働を予定している。モルガン・スタンレーMUFG証券の長谷川義人・株式アナリストは、リポートでサプライチェーン(供給網)の川下企業の生産拠点の変化をリスク要因にあげている。
富士フイルムホールディングスも4日に2年ぶりの1倍割れとなっていた。ベトナムにプリンターの生産拠点を持つが、トランプ政権がベトナムに示した関税率は46%と高い。民生用エレクトロニクス業界について、野村証券の岡崎優リサーチアナリストは「生産は日本・中国・東南アジアに集中しており、関税影響を回避するのは難しい」との見立てだ。
市場では「自社の株価が耐えられないほど安いと判断するなら、自社株買いを実施する企業が増えてもおかしくない」(大和証券の細井秀司シニアストラテジスト)との見方がある。
ただ、どこまで株価の支えになるかは不透明だ。例えば、三菱商事は3日に1兆円の自社株買いを発表し、同日は株高を維持したが、翌4日、7日はともに大きく下落している。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹最高投資責任者は「米国が関税を継続することが前提という新しい国際秩序の中では、還元だけでなく成長戦略が大事になってくる」と指摘している。
くら寿司の優待騒動、「廃止の哲学欠如が本質」 経営判断のぶれが批判に[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1003文字 PDF有 書誌情報]
市場で株主優待への関心が高まっている。くら寿司で優待の廃止・再導入、その間の株式移管が大きな議論となり、SNSでは「インサイダー取引か」などの指摘が相次いだ。株主優待を巡る騒動はインサイダーの対象になるのか。証券取引等監視委員会の勤務経験がある、シティユーワ法律事務所の石井輝久弁護士に聞いた。
――優待の導入・廃止はインサイダー情報(重要事実)になるのか。
「該当する可能性が高い。重要事実には増資や減資、合併や事業譲渡、などがある。このほか投資判断に著しい影響を及ぼすものも重要事実になるとの規定がある。バスケット条項と言われる。特にくら寿司は、BtoC(消費者向け)企業で個人株主も多いので、株主優待の導入や廃止などはこれに該当する」
――くら寿司は昨年12月に優待を廃止し2カ月後に再導入した。その間、副社長が自身の資産管理会社に株式を移管し、SNSではインサイダー取引だと騒がれた。
「開示情報から判断すると、インサイダー取引にならない可能性が高い。インサイダー取引になるには、副社長が優待再開の決定を知りながら株式を移管した場合だ。決定とは取締役会での決議などでなくてもよく、検討している段階も含まれる。今回、移管前に優待再開の決定があった可能性は極めて低いだろう」
「一般の感覚では、創業家出身で副社長という、いわばインサイダー情報を作れてしまう立場にある人の取引だったことで思惑を呼んだ面がある。『会社が決定していた』と認定するには、最低限、副社長が部下に再導入を指示するなどの外形的な事実が必要になるという考え方が有力だ。副社長が心の中で考えたかではなく、それが『決定』といえるかどうかが重要だ」
――くら寿司の株主は優待廃止・再導入にいたる対応に翻弄された。
「問題の本質は優待廃止に対するくら寿司の哲学がなかったこと。株価は短期的には痛みを伴うかもしれないが、全株主への配慮として優待廃止を決めたならばそれを維持するべきだった。短期間でぐらつくような経営判断であれば廃止するべきではなかった。こうした判断のぶれが批判につながったのだろう」
「株が下がったタイミングでの株式移管は、やってはいけないかというと違う。昨年12月11日に優待廃止を発表後、同17日に移管しており一定の期間も空けている。発表が市場価格に織り込まれた後の取引といえる」(聞き手は佐藤梨紗)
【図・写真】石井弁護士
ダイフク、ROE17%に、27年12月 13%計画から上振れ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 627文字 PDF有 書誌情報]
ダイフクの2027年12月期の連結の自己資本利益率(ROE)が17%程度になる見通しだ。同期までの現中期経営計画の13%から上振れする。全社の営業利益の4割ほどを稼ぐ半導体向けや、流通向けの搬送システムの受注などが好調に推移するとみる。
ダイフクの下代博社長が日本経済新聞の取材で、ROEは「17%近くまでいきそう」と明らかにした。24年12月期のROEは15%だった。決算期変更で9カ月間の変則決算だったが、12カ月決算だった24年3月期の13%より高まった。「ROEは株主資本コストを優に超えている」(国内証券)。
ファクトリーオートメーション(FA)銘柄では、安川電機(25年2月期に14%)やファナック(24年3月期に8%)を上回る。
ダイフクは27年12月期に売上高で8000億円(25年12月期は6500億円)、営業利益率で11・5%を目指す。営業利益率はすでに前期で13%近くに上昇し、計画を前倒しで達成している。
純利益は25年12月期に650億円と過去最高を更新する。ROEを構成する要素である売上高純利益率の中期目標について、会社は公表していないが、本業が好調に推移する中、前期の10・1%から上昇する可能性が高まっている。
ROE改善へは本業の利益成長に加え、自己資本の抑制も意識する。24年12月期には100億円の自社株買いを実施した。
今後も機動的な実施を検討しており、ROEを構成する要素の財務レバレッジの改善にもつなげる。
営業益16億円 松竹上方修正 前期、映画好調で[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 323文字 PDF有 書誌情報]
松竹は7日、2025年2月期の連結営業利益が前の期比55%減の16億円になったと発表した。従来予想は9億4000万円の営業赤字だった。24年12月公開の映画「忍たま乱太郎」や25年1月公開の「366日」の興行収入が想定を上回った。関連するグッズの物販なども伸びた。
最終損益は7億円の赤字(前の期は30億円の黒字)。従来予想は18億円の赤字だった。「BS松竹東急」からの事業撤退費用として16億円を特別損失に計上するが、映画のヒットが寄与して赤字幅は縮小した。
2月にBS放送事業からの撤退と、関連費用の計上を発表していた。すでに投資損失として計上した36億円と合わせ、関連する損失は計52億円となる。BS松竹東急は6月30日で放送を終了する。
スズキ株、全て売却へ、損保2社、1500億円規模[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 313文字 PDF有 書誌情報]
スズキは7日、東京海上日動火災保険と損害保険ジャパンの大手損害保険2社が4月中にスズキ株を売り出すと発表した。売り出し価格は今後決まるが、株数と7日の終値から計算すると1500億円規模(自己株を除く発行済み株式数の5%相当)になる。損保2社はスズキ株を全て手放すという。
14~16日のいずれかの日の終値から、最大1割の割引をした価格で売り出す。需給動向に応じて実施するオーバーアロットメントはSMBC日興証券が1435万6300株を上限として借り入れる。
スズキの自己株を除く発行済み株式数は19億6000万株。スズキは株式市場における政策保有株を見直す動きも踏まえた上で「能動的に株主構成の再構築を図る」とコメントした。
クリエイトS 純利益4%増 6~2月[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 217文字 PDF有 書誌情報]
クリエイトSDホールディングスが7日発表した2024年6月~25年2月期の連結決算は、純利益が前年同期比4%増の111億円だった。生鮮食品をはじめ食品の品ぞろえを強化し、物価高による消費者の節約ニーズを取り込んだ。既存店客数、売上高ともに前年同期を上回った。
売上高は8%増の3394億円だった。ドラッグストアに新たに26店舗の調剤薬局を併設した。既存の調剤薬局では処方箋枚数が前年同期を上回った。営業利益は164億円と5%増えた。
大買収時代当事者に聞く(1)「同意なき買収もっと実現を」、経営陣の規律重要(資本騒乱)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 1529文字 PDF有 書誌情報]
M&A(合併・買収)において、企業などに法的助言をする弁護士は欠かせない存在だ。第一人者として数々の大型案件を手掛けてきた、TMI総合法律事務所の岩倉正和弁護士に国内M&A市場の変化や課題を聞いた。
――2000年以前、日本では欧米的な前向きなM&Aがほぼありませんでしたが、00年以降は動きがありました。
「記憶に残るのは06年の王子製紙(現・王子ホールディングス)から北越製紙(現・北越コーポレーション)へのTOB(株式公開買い付け)だ。国内大型案件で初の敵対的買収だった。当時、王子の財務アドバイザーだった野村証券の法律顧問を務めていた。欧米の投資家視点でも、まっとうな事業戦略に基づく提案だったが、当時は敵対的買収が合わない風潮もあり新潟県知事による反対もあった。風穴を開けたかったが勝てなかった。日本のM&A市場は20年間、止まると思った」
「その後、日本企業の価値と株価は上がらず、国際競争力はなくなり市場は縮小していった。会社法改正や15年の企業統治指針の策定など様々な施策がとられ、23年にはついに経済産業省の『企業買収における行動指針』が出た。政府が、企業価値向上と株主利益につながるなら同意なき買収を推奨することになった。コペルニクス的転回だ」
――日本と欧米のM&A市場の違いは何ですか。
「M&Aによる規律があるかどうかだ。欧米なら株価が安い企業は、敵対的だろうが何だろうが買収され、経営陣を入れ替えられてしまう。企業は企業価値や株価を高めないといけないという緊張感がある。その規律が日本では緩かった」
「米国で同意なき買収が受け入れられるのは、高い買収価格をつけられる人がその会社を一番よく経営できるという考え方があるためだ。銀行などは何千億、何兆円の買収資金を回収できる経営をしてくれると思うから買い手に資金を出す。エクイティや、優先株や劣後債といったメザニンファイナンスでも基本は同じだ。このため、(会社を売ると決めた場合、取締役に売却価格の最大化を求める)レブロン義務が正当視される」
「こうした考えの大本には欧米の会社法で規定されるフィデューシャリー・デューティー(信認義務)がある。取締役が株主に対して負い、反すれば株主から直接、訴訟される。例えば、高い価格を出す買い手がいるのに経営陣が妨害し、株主利益を損なった場合などだ。善管注意義務しかない日本の取締役との違いは大きい」
――経産省によるM&A指針など「ソフトロー」の整備は進みましたが、指針を守らない企業がいるとの声もあります。信認義務などを含め法制度での対応が必要でしょうか。
「そう思うが、仮に会社法に信認義務を入れるとなれば大変な議論が必要で、短期的には現実的でないだろう。法治国家として本筋ではないが、ソフトローでやるしかなく、実務をどんどん積み重ねていくことが大事だ」
――今後の国内M&A市場に必要なことは何でしょう。
「同意なき買収をもっと実現しないといけない。同意なき買収の件数はまだ限定的だ。23年から企業からの依頼はたくさんあったが、最終的にレピュテーション(評判)を考慮して踏み切れなかったり、対象会社の株価が上がりすぎたりして断念するケースが多い。日本企業のM&A意欲は高く、事例が積み上がれば増えていくとみている」
(聞き手は堤健太郎)
いわくら・まさかず 1985年東大法卒、87年弁護士登録、西村真田法律事務所(現・西村あさひ法律事務所)入所。93年ハーバード大ロースクール修了。94年ニューヨーク州弁護士登録。2007年、13年にハーバード大ロースクール客員教授。17年にTMI総合法律事務所に入所。一橋大学大学院の教授も務める。
<数表>第3四半期(決算数字)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 654文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
クリエイトSDホールディングス(3148)
23.6-24.2 3131 16063 10712 169.2
24.6-25.2 3394 16944 11185 173.2
ウェザーニューズ(4825)
23.6-24.2 166 2337 1749 158.5
24.6-25.2 174 3094 2155 97.4
25.5予 235 4200 2900 130.9
インテリックス(8940)
23.6-24.2 303 ▲54 ▲36 ―
24.6-25.2 310 1721 1346 167.0
会社名(証券コード番号)の後の数字は総会予定日、または配当支払い開始日。■は単独決算。予は業績の予想数値。企業側が財務情報を、XBRL形式で予想数値データとして公開している場合は原則採用しつつ日経独自予想を踏まえて掲載。◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、記は記念配含む。不動産投資信託などの配当は分配金、一部は利益超過金含む。予想1株益は自己株式を除く株式数で算出、( )内は会社公表ベース。―は損失または未公表。連結決算で利益と1株益は原則として親会社株主に帰属する当期純利益ベース、1株配は本体の配当で本決算は期間の累計配当、四半期は期末配当。米国基準、国際基準の経常利益は税引き前利益。銀行、保険、信用金庫の第2四半期は中間決算。決算数値の前年同期は遡及修正値
―――――――――――――――
<数表>第1四半期(決算数字)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 423文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益
(億円) (百万円) (百万円) (円)
KG情報(2408)
24.1-3 6 60 62 8.6
25.1-3 6 91 62 8.5
サーラコーポレーション(2734)
23.12-24.2 591 2900 1937 30.3
24.12-25.2 659 3511 2375 37.0
25.11予 2630 7700 5100 79.5
ネクステージ(3186)
23.12-24.2 1194 2114 1458 18.2
24.12-25.2 1448 1935 1125 14.0
トーセイ(8923)国際基準
23.12-24.2 348 9191 6435 133.0
24.12-25.2 460 11830 8176 168.7
■ジャパニアス(9558)
23.12-24.2 26 167 108 27.3
24.12-25.2 28 234 153 38.7
<数表>本決算(決算数字)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 377文字 PDF有 書誌情報]
決算期 売上高 経常益 利 益 1株益 1株配
(億円) (百万円) (百万円) (円) (円)
サンエー(2659) 5.27
24.2 2275 16893 10683 345.6 110.0
25.2 2371 17468 11469 185.5 80.0
26.2予 2478 17796 11005 178.0 100.0
カルラ(2789) 5.21
24.2 68 339 437 73.0 5.0
25.2 72 359 363 63.0 5.0
26.2予 75 325 290 50.3 5.0
薬王堂ホールディングス(7679) 5.27
24.2 1422 5625 3825 195.2 26.0
25.2 1519 5778 4275 218.2 28.0
26.2予 1682 6050 4400 224.6 29.0
<数表>業績予想修正・配当異動[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 349文字 PDF有 書誌情報]
〓〓-〓-〓-〓〓 会社発表。■は単独決算、◆は決算期変更または変則決算、▲は損失、★は従来発表通り、-は未発表。1株配の( )内は実績 〓〓-〓-〓-〓〓
決算期 売上高〓(億円) 経常利益〓(百万円) 利 益 〓(百万円)
IACEトラベル(343A)
25.3 26 545 387
1株配(円) 25.3予=0 (24.3=0)
※25.1.7付で1:2分割
■コジマ(7513)
24.9-25.2 1366 3688 2491
25.8 2787 7850 5150
松竹(9601)
25.2 840 ▲2560 ▲700
■セレスポ(9625)
25.3 136 732 ▲808
サガミホールディングス(9900)
1株配(円) 25.3予=10.0 (24.3=10.0)
<数表>財務短信[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 243文字 PDF有 書誌情報]
淀川製鋼所(5451)
株式分割=6月30日現在の株式1株を5株
スズキ(7269)
売り出し=国内外で9570万9000株▽オーバーアロットメントによる売り出し=上限1435万6300株
スター精密(7718)
自己株式消却=900万株(4月21日予定)
第三者割当増資=1610万8300株▽発行価格=1552円▽払込期間=4月23日~5月30日▽割当先=Taiyo Unleash Acrux Holdings
日本郵船(9101)
自己株式消却=2689万8400株(5月30日予定)
ZETA、めぶきフィナンシャルグループ、トーセイ、JKホールディングス(自社株取得枠設定)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 107文字 PDF有 書誌情報]
▼自社株取得枠設定(株数、金額は上限)
ZETA 20万株、6000万円
めぶきフィナンシャルグループ 4500万株、230億円
トーセイ 70万株、10億円
JKホールディングス 200万株、18億3200万円
DIC(4631)(格付け)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 24文字 PDF有 書誌情報]
DIC(4631)
発行登録債予備=A(JCR)
<数表>規制・日々公表・監理銘柄等の信用残高[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 18ページ 4476文字 PDF有 書誌情報]
◇規制・日々公表・監理銘柄等の〓 信用残高
〓〓 4日の制度信用と一般信用の合計、千株、※は1株、前日比、△増、▲減 〓〓
▽東 証 売残 買残
アウン 1 ▲14 600 ▲23
ぷらっと 0 0 1276 △5
リベラウェア 0 0 1342 ▲152
イオレ 13 ▲10 224 ▲20
ベースフード 566 ▲26 18605 ▲37
イメージワン 448 ▲35 1600 ▲60
スターシーズ 0 0 973 ▲3
インタートレ 298 ▲12 1032 ▲73
サイトリ細研 0 0 1913 △12
トミタ電機 0 0 232 0
アルメディオ 0 0 2998 ▲246
HSHD 3 △2 8735 △20
ReYuu 0 ― 1272 ―
DMS 0 0 588 ▲31
フルッタ 0 0 11812 ▲351
Schoo 0 0 2927 ▲152
イントランス 0 0 8762 △92
BASE 857 ▲170 23333 ▲193
DWTI 0 0 6556 ▲661
デルタフライ 0 0 1400 ▲145
ペルセウス 0 0 2462 △78
モダリス 0 0 12671 ▲697
クオリプス 2 0 830 ▲12
テクノロジー 0 0 4047 △40
アップバンク 0 0 2954 △86
BCC 0 0 216 0
グロームHD 0 0 2385 △5
バリューC 0 0 144 ▲14
ピクセル 288 0 6232 △23
LIEH 0 0 534 △8
ウイルコHD 0 0 516 ▲56
アクアライン 0 0 70 ▲1
BEENOS 9 0 23 ▲3
CRE 0 0 4 △1
プロト 0 0 61 0
ドリームI 20 0 230 ▲3
フジHD 9581 ▲38 10038 △684
パイオラック 22 0 25 △2
牧野フ 6 0 118 △8
富士通ゼ 5 0 220 △30
ジャムコ 8 0 33 △14
トプコン 112 △4 235 △69
天馬 0 0 37 ▲5
トナミHD 0 0 109 ▲2
ID&EHD 0 0 1 0
内外トランス 0 0 60 0
イオンディラ 5 ▲1 6 △2
マーチャント 0 0 1064 ▲6
PバンCOM 6 0 365 ▲52
Eストアー 0 0 7 0
オートサーバ 0 0 69 0
全保連 14 △9 356 ▲5
AIメカ 143 ▲4 400 ▲15
ナカヨ 0 0 1 0
芝浦電子 0 0 161 ▲11
ライトオン 0 0 315 0
NEWART 0 0 52 △8
アールシー 7 0 61 ▲9
MUTOH 3 0 111 △1
丸藤パ 0 0 55 ▲3
広電鉄 3 0 53 ▲3
ユーラシア 0 0 74 0
グリンランド 0 0 22 0
アルテック 1 0 2489 ▲70
ジェネパ 47 ▲5 417 ▲50
フィスコ 307 ▲24 3778 ▲210
エコモット 8 0 269 ▲48
カオナビ 0 0 6 △2
※ 野村4百Dイ 6066 0 17201 △8821
※ 野村企業価値 0 0 0 0
※ 野村高配70 2171 ▲5133 3095 ▲186
※ iFWIN 0 0 0 0
※ iFブロサム 0 0 0 0
※ NYダウ 0 ▲10 450 ▲160
※ SMD高配当 0 0 4430 △690
※ REITイン 0 0 305 0
※ GXオフ日R 0 0 57 ▲3
※ iS米25 0 0 333900 ▲16140
※ SMT内リ厳 0 0 1050 0
※ GXLE日株 0 0 5255 ▲200
※ SBIサウジ 0 0 2149 ▲1596
※ GX日カバコ 0 0 11449 ▲1778
※ 野村欧州株H 0 0 16950 ▲3180
※ 野村独株H有 70 ▲90 311130 △4730
※ 野村日気候 0 0 1 0
※ Oneサウジ 0 0 144 0
※ VIXETF 620 △320 318230 ▲2020
※ 野村米半導 0 0 7044 △18
※ 阪急阪神R 599 0 664 ▲72
世紀東急 343 △1 260 △1
柿安本店 264 ▲4 92 ▲7
くら寿司 223 ▲205 562 ▲37
オイシックス 44 ▲1 790 ▲69
Jテック・C 5 0 244 ▲1
ケイアイ不 44 0 94 ▲4
グッドコムA 464 ― 811 ―
SMINOE 5 0 87 △2
力の源HD 366 ▲49 292 ▲20
さくらネット 1911 ▲9 3078 ▲288
gumi 651 ▲119 4622 ▲344
ACCESS 885 ▲183 1785 ▲37
小林製薬 136 ▲1 308 ▲8
エニーカラー 167 ▲24 801 ▲51
ヤーマン 972 ▲13 327 ▲1
千葉興 104 ▲30 1625 ▲10
神電鉄 24 ▲2 14 0
サンウェルズ 2254 △140 1912 ▲83
JESCO 2 △1 192 ▲22
佐田建 327 ▲7 1213 △41
植木組 0 ▲1 42 ▲2
三晃金 0 0 127 △7
焼肉坂井HD 18 ▲1 307 ▲13
パレモ・HD 11 0 1322 ▲28
OCHIHD 18 ▲4 12 0
マツオカ 13 0 677 0
enish 532 ▲7 2349 ▲238
片倉コープ 17 ▲1 188 △4
アズジェント 4 0 92 ▲2
HEROZ 209 ▲10 278 ▲36
SIGG 2 0 233 ▲3
わかもと 184 ▲8 1332 ▲31
秀英 1 ▲2 82 ▲1
富士興 0 0 47 0
日山村硝 5 ▲8 260 ▲13
ノザワ 0 0 210 ▲1
大阪製鉄 1403 ▲1 1742 △1
虹技 0 0 93 ▲11
アルメタクス 2 0 271 △2
洋シャタ 0 0 61 0
デザインワン 30 0 807 ▲1
土木管理 5 ▲1 417 ▲9
油研工 1 0 64 △3
ディスラプタ 7 0 562 ▲12
サクサ 3 ▲1 165 0
星和電 1 0 160 ▲5
池上通 3 ▲1 173 ▲4
沢藤電 0 0 107 0
大黒屋 1490 ▲108 10334 ▲340
upr 3 △2 171 ▲1
近畿車 0 0 61 ▲1
あんしん保証 69 ▲25 622 ▲6
日本モゲジS 0 ▲1 720 ▲3
エコーTD 2 0 273 △5
パリミキHD 7 0 155 ▲2
マックハウス 129 ▲4 142 0
テイツー 1733 ▲1023 9587 △15
京都友禅HD 230 ▲163 1127 △1
黒田精 0 0 100 0
岡本硝子 69 △1 1917 ▲101
タカノ 1 0 94 0
ホクシン 28 △10 955 △67
ナイガイ 79 ▲5 277 ▲7
OUGHD 1 0 27 0
トルク 3 0 337 ▲8
オリンピック 0 0 106 ▲8
東北銀 0 0 133 ▲4
富山銀 22 △1 63 ▲1
福島銀 155 0 1037 ▲2
太平発 1 0 135 0
明和地所 20 ▲6 88 △6
ファースト住 30 ▲8 125 ▲9
東陽倉 0 0 96 ▲14
乾汽船 98 ▲126 277 ▲13
ワイヤレスG 17 ▲2 476 ▲11
テアトル 17 0 20 ▲5
日邦産業 9 0 29 0
ショクブン 21 ▲2 76 ▲5
やまや 5 ▲1 6 ▲1
タイミー 1304 ▲68 3354 ▲335
サンクゼール 81 ▲1 58 ▲1
ファンデリー 43 △5 255 △3
すららネット 6 0 226 ▲2
T&S・G 86 △42 268 ▲20
プレイド 109 ▲47 2587 ▲195
エーアイ 1 0 247 ▲11
Kudan 186 ▲5 664 ▲33
ミンカブ 426 ▲30 1264 ▲28
OTS 2991 ▲72 12348 △72
Pアンチエイ 62 ▲2 238 ▲6
FIXER 245 ▲8 408 ▲8
弁護士COM 234 ▲4 335 ▲16
MRT 3 0 117 ▲3
レントラクス 7 ▲3 435 △8
エヌピーシー 542 △7 1977 ▲139
アスタリスク 75 △6 475 ▲19
WASHハウ 24 △2 253 0
PSS 227 0 1236 ▲1
マイクロ波 457 △2 1027 ▲14
日経300投信 1 0 9 ▲6
※ SPDR金 391 △200 2798 ▲644
※ 野村金連動 13630 △240 87120 ▲3320
※ 日経2倍 1414 △85 43338 △4290
※ 日興高配低ボ 16500 △16500 10 ▲10
※ 日興米債ヘ有 48 0 4990 ▲778
※ One高配当 1141 △928 3053 ▲260
※ スタンダ20 10 ▲20 720 ▲50
※ H株ベア 190 △40 30150 △90
※ WTI原油 39719 ▲7368 127508 △16332
※ 日興外債毎月 10 △10 130 0
※ SMT好配当 0 0 1192 △1019
※ GX印10+ 252 △13 57046 ▲8251
※ iSインド株 26800 ▲7430 860280 ▲41870
※ iF高リート 400 0 21653 0
※ MXダウヘ有 500 ▲10 3370 △610
※ GXウラン 123 △47 32631 ▲2586
※ iS米20 730 △50 483600 △8900
※ iS仏国債H 10 0 650 ▲260
※ GX高配30 0 0 16084 ▲4589
※ MXナスダク 5389 △190 52880 △61
※ GXリー日株 111 △28 1627 △21
※ iFEナ百無 13775 ▲2077 171117 ▲2025
※ iFEナ百有 496 ▲45 53591 ▲1351
※ 野村ナスH有 38720 △3680 172090 ▲8660
国内株、強気姿勢が後退、1年2カ月ぶり低水準、QUICK調査[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 725文字 PDF有 書誌情報]
QUICKが7日発表した4月の株式月次調査によると、ファンドでの国内株式の組み入れ比率を「オーバーウエイト(強気)」と回答した割合は30%と、1年2カ月ぶりの低水準だった。トランプ関税が企業業績に及ぼす影響への不透明感を背景に、市場参加者の国内株への慎重姿勢が強まっている。
調査は証券会社や投信投資顧問など198人を対象に1~3日に実施し、118人から回答を得た。
ファンドへの現在の国内株の組み入れ比率については、資産運用担当者32人に聞いた。「かなりオーバーウエイト」との回答は11%、「ややオーバーウエイト」が19%だった。オーバーウエイトの割合は計30%で、2024年2月の調査以来の低水準になった。最も多い回答は「ニュートラル」の59%だった。「ややアンダーウエイト」は11%だった。
調査では「トランプ政権の市場への影響は想定を超えてネガティブなものになっている」(証券会社)、「米関税政策の全容が明らかとなり、経済・物価や企業業績に及ぼす影響を想定できるようになるまで、日経平均の下振れリスクはくすぶる」(信託銀行)などの意見があった。
当面の国内株の組み入れ比率については、「かなり引き上げる」あるいは「やや引き上げる」との回答の割合が30%で、前月調査から9ポイント増えた。
業種別の投資スタンスでは、オーバーウエイトとする回答が最も多かったのは「金融」で29%、「建設・不動産」が18%と続いた。
一方で、トランプ関税の影響が大きい「自動車」はアンダーウエイトの回答割合が26%と一番多かった。「電機・精密」も22%とアンダーウエイトが優勢だった。
日経平均株価の6月末の見通しを聞いたところ、単純平均で3万6690円だった。
2年債利回り低下、5カ月ぶり水準 利上げ観測大幅後退[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 579文字 PDF有 書誌情報]
7日の国内債券市場で新発2年物国債の利回りが一時、0・54%に低下(債券価格は上昇)した。前週末比で0・07%低く、2024年11月中旬以来約5カ月ぶりの低水準だ。日銀の追加利上げ観測が大幅に後退しており、政策金利見通しを反映しやすい2年債に買いが膨らんだ。
2年債利回りは日銀が1月の金融政策決定会合で政策金利を0・5%に引き上げる前の水準に低下した。25年に入ってからは日銀の利上げ観測が強まり、金利の上昇スピードに勢いがついていた。直近では3月下旬に一時0・88%と08年以来の高水準をつけた。
前週からはトランプ米政権の相互関税を巡り、米国を中心に世界の景気後退懸念が強まっている。日銀の植田和男総裁は4日、関税が「世界経済および我が国経済に下押しの圧力を働かせる要因になる」と発言。市場でも日銀の追加利上げに逆風となるとの見方が広がっている。
変動金利と固定金利を交換する翌日物金利スワップ(OIS)市場では、25年内に日銀が0・75%へ政策金利を引き上げるとの織り込みが7日夕時点で2割強にとどまる。3月末時点では10月会合までに0・75%への利上げを織り込んでいた。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「米国や世界経済の減速懸念が一段と強まり株価の下落も続けば、2年債利回りは0・5%を下回る場面があってもおかしくない」と話す。
阪急阪神RへのTOBが不成立 投資ファンド3D[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 356文字 PDF有 書誌情報]
シンガポールの投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズは7日、日本の上場不動産投資信託(REIT)の阪急阪神リート投資法人へのTOB(公開買い付け)が不成立になったと発表した。当初の買い付け期間を延長して4日までを期限としていたが、応募口数は152で、買い付け予定数の下限(6万208口)を下回った。
3Dは買い付け開始直前の2月10日の終値(13万700円)を上回る1口あたり14万3770円で買い付ける方針だった。3月以降、投資口価格は買い付け予定価格を上回って推移していた。
阪急阪神Rは7日、TOBの不成立について「今後もスポンサーグループである阪急阪神ホールディングスグループとの共生戦略の中で、外部成長及び内部成長の機会を獲得することで、投資主利益の最大化を目指す」とのコメントを発表した。
WNIウェザ 純利益19%増 今期[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 173文字 PDF有 書誌情報]
ウェザーニューズは7日、2025年5月期通期の連結純利益が前期比19%増の29億円になる見通しと発表した。従来予想を2億円上回り、過去最高を見込む。人工知能(AI)を使った効率化で運営に必要な人員が抑えられ、利益率が改善している。
営業利益予想は28%増の42億円とし、4億円上方修正した。売上高は6%増の235億円という従来予想を据え置いた。
日証金、Oneサウジ受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 109文字 PDF有 書誌情報]
日証金、Oneサウジ受益証券の貸借取引申し込み停止措置を一部解除 制度信用取引の買いの現引きに伴う申し込み停止措置を解除。8日約定分から。制度信用取引の新規売りに伴う貸株申し込みおよび融資返済申し込みは引き続き停止。
東証、IACEトラ株を制度信用銘柄に選定[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 80文字 PDF有 書誌情報]
東証、IACEトラ株を制度信用銘柄に選定 8日売買分から。日証金も同日約定分から貸借融資銘柄に、10日(受け入れ日)から貸借担保金代用有価証券適格銘柄に追加。
7日の相場表変更[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
▽新規上場=〔東証スタンダード〕IACEトラベル(IACEトラ、サービス)▽整理銘柄に指定=〔東証スタンダード・監理〕テクノスJ
東証、制限値幅を拡大[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 VIXETF受益証券を上限のみ1200円に拡大。8日に実施。
東証、制限値幅を拡大[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 J4百ベア2受益証券を上限のみ600円に拡大。8日に実施。
東証、制限値幅を拡大[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 41文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 iF4百Wベ受益証券を上限のみ600円に拡大。8日に実施。
東証、制限値幅を拡大[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 iFナ百Wベ受益証券を上限のみ2万円に拡大。8日に実施。
東証、制限値幅を拡大[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
東証、制限値幅を拡大 H株ブル受益証券を下限のみ4000円に拡大。8日に実施。
東証、クオリプス株の日々公表銘柄指定を解除[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 27文字 PDF有 書誌情報]
東証、クオリプス株の日々公表銘柄指定を解除 7日付。
関税の影響「未定」に嫌気、見えぬ業績予想 嵐呼ぶ、安川電機、前週末比2割安(スクランブル)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 1636文字 PDF有 書誌情報]
日本株が下げ止まらない。7日の東京株式市場では日経平均株価が前週末比で2644円下げる大荒れの展開となった。関税問題を受け市場参加者が次のリスク要因として警戒するのが、4月下旬から本格化する企業の決算発表での慎重な業績見通しだ。株価形成の根幹を成す企業業績が揺らげば、値動きがさらに荒くなりそうだ。
「これほどの荒れ相場で顧客からの問い合わせが来ないのは、記憶にない」。グローバル投資家に対応する国内大手証券の日本株営業担当責任者はここ数日、不気味な静けさを感じ取っていた。普通、相場の動きが大きくなると投資アイデアなどの電話対応に追われる。「みんな逃げることに必死なのだろう」
株が下げ止まらない要因は株価形成の「根幹」となる企業業績の不確実性が増していることだ。関税はサプライチェーン(供給網)のどこまで影響するか、世界景気の後退シナリオをどう想定するか――。企業経営を取り巻く環境の先行きが全く見えなくなり、今期業績の見通しを立てることは企業自身と、証券会社・機関投資家のアナリスト双方にとって難しくなっている。
大手上場企業の先陣を切って2025年2月期の決算を発表した安川電機の7日の値動きが象徴的だ。
26年2月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比20%増の600億円の見通しと4日発表。2桁増益ながら市場予想の平均(QUICKコンセンサス、665億円)を下回る会社計画で、7日は制限値幅の下限(ストップ安水準)である前週末比700円(21%)安の2644円まで売られた。約5年ぶりの安値だ。終値は20%安。
特に嫌気されたのが、業績計画に米関税政策の影響を織り込まなかった点だ。野村証券の王博瓊リサーチアナリストは5日に投資家向けに送付したメモで「下振れリスクが残り、第一印象はネガティブ」と指摘した。
関税の応酬による帰結はだれも見通せず、企業が慎重になるのも無理はない。安川電機の小川昌寛社長は北九州市で開いた決算説明会で関税影響の精査を急ぐ姿勢を示しつつ、関税に伴う世界経済やサプライチェーンの混乱を「わけのわからないパズルを作り始めたみたいだ」と表現した。
それでも、何らかの手掛かりがほしいのが投資家の本音だ。「関税の影響がどう顕在化したとしても守れる最低限の業績ラインを示してもらいたかった。そうすれば投資家はその数字を信じて適正と考えられるバリュエーションをはじけたはずだ」(大和証券の林健太郎シニアストラテジスト)
もともと日本企業の期初の業績計画は保守的なことで知られ、例年4~5月にかけて株価が下落する「ガイダンスリスク」が顕在化しやすい。25年度予想については「いつにも増して相当慎重な数字が出てくるだろう」(三菱UFJアセットマネジメントの徳岡祥一・戦略運用部ヴァイスプレジデント)との警戒が高まる。
「『未定』や『保留』も相次ぎそう」(ピクテ・ジャパンの松元浩シニア・フェロー)との声も出てきた。松元氏は「企業の業績計画がほとんど意味をなさないとなれば市場は価格形成の手段を失い、フェアバリュー(適正価格)の議論ができなくなる」と警戒する。
新型コロナウイルスの渦中にあった20年。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストの分析では、当時東証1部に上場していた3月期決算企業のうち4月末までに決算を発表した企業の7割が21年3月期の純利益予想を「未定」とした。これらの企業は「減益予想」企業より発表後の株価が低迷した。
精密部品大手のミネベアミツミは20年5月に21年3月期の連結純利益の計画を20年3月期比で15%減~2%増とレンジ形式で開示した。投資家は同社の「覚悟」を評価し、発表翌営業日の株価は一時9%高となった。
ニッセイ基礎研究所の井出氏は「最初の四半期だけでも予想を示し、『白紙』回答だけは避けてほしい」と訴える。荒れ相場で市場とどれだけ丁寧に向き合えるか。上場各社に向けられた問いだ。(大久保希美)
「デフレ脱却」からの脱却(大機小機)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 917文字 PDF有 書誌情報]
長い間、日本経済はデフレ的状況(物価上昇率がマイナスまたは非常に低い状態)が続き、そうした状態から脱却することが最優先の経済政策の課題だった。しかし、ここ数年で経済・物価を巡る環境は大きく変わり、今や、デフレ脱却にこだわり続けることが、次のような点で、経済政策の議論を混乱させているように見える。
第一に、もはやデフレ脱却は誰からも求められていない。政府のデフレ脱却の定義は「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」だとされている。つまり、物価が下がらないような状況を目指すということである。
しかし、国民は物価上昇に苦しんでおり、これ以上物価が上がらないようにしてほしいと願っている。総理自身も、2025年度予算が成立したら、強力な物価対策を打ち出すという考えを示している。デフレ脱却は、国民の意識とも、総理が本当にやりたいこととも乖離しているのだ。
第二に、デフレをめぐって政府と一般国民との間に認識ギャップが生じている。まず、前述のデフレ脱却の定義を国民が正しく認識しているとは思えない。正しく認識していれば、国民からも政治家からも「物価が下がらないようにするとは何事だ」という批判が飛んでくるはずだからだ。
政府の姿勢も曖昧である。政府は、デフレからの脱却と合わせて、物価以上に賃金が上昇するという「物価と賃金の好循環」を定着させるとしている。これを聞いた人々は、デフレから脱却すれば、実質賃金が継続的に上昇するような経済になると考え、漠然とデフレ脱却は良いことだ思っているのではないか。
第三に、デフレ脱却を巡る議論の混乱は、経済政策の目標を分かりにくくしている。
そもそも実質賃金の上昇を定着させることは、デフレ脱却とセットで議論すべき政策目標ではない。実質賃金の上昇は物価の安定を目指した金融政策の下で、付加価値生産性が上昇するような経済において初めて実現するものである。そういう経済が実現すれば確実に国民福祉は高まるのであり、これこそが経済政策の最重要目標であるべきだ。
デフレからの脱却にこだわる時代は終わった。そろそろ「デフレ脱却」という政策スタンスから脱却すべきだ。(隅田川)
株式 大幅続落、1年5カ月ぶり安値(市場往来)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 183文字 PDF有 書誌情報]
7日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に3日続落し、終値は前週末比2644円00銭(7.83%)安の3万1136円58銭と、連日で年初来安値を更新した。1日の下落幅としては歴代3位で、昨年8月の安値も下回り1年5カ月ぶりの安値。貿易戦争の激化による世界的な景気後退リスクの高まりから前週末の米株式相場が急落し、東京市場で幅広い銘柄にリスク回避目的の売りが広がった。
ライズCG、INPEX、任天堂、神戸物産(注目株概況)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 130文字 PDF有 書誌情報]
SHIFTとの資本業務提携を発表。顧客紹介などで協力。期待の買い。
世界景気が減速すれば原油需要が落ち込むとの警戒。関連銘柄に売り。
新型ゲーム機の米国での予約開始日を延期。販売面を懸念した売り。
円高による輸入食品の原価改善で年初来高値。相場全体の売りも下げ小幅。
金利 10年債利回り、1.110%に低下(市場往来)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 92文字 PDF有 書誌情報]
国内債券市場で新発10年物国債の利回りは大幅に低下(価格は上昇)。前週末比0.090%低い1.110%で終えた。投資家心理が悪化したことを受け、相対的に安全とされる国内債が買われた。
為替 円続伸、145円79~80銭(市場往来)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 91文字 PDF有 書誌情報]
東京外国為替市場で円相場は3日続伸した。午後5時時点は1ドル=145円79~80銭と前営業日同時点より48銭の円高・ドル安。日米株式相場が急落し、低リスク通貨とされる円が買われた。
商品 原油、大幅に続落(市場往来)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 87文字 PDF有 書誌情報]
国内商品先物市場で、原油は大幅に4日続落した。中心限月として2023年3月以来2年1カ月ぶりの安値。世界経済の減速懸念で原油需要が減るとの懸念から国内原油先物に売りが出た。
西濃運輸(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 235文字 PDF有 書誌情報]
西濃運輸
(4月1日、地名は支店長)新潟、名取孝哲▽伊那(枇杷島)大橋好盛▽飯田(伊那)若林浩司▽沼津(鈴鹿)岸幹▽静岡(沼津)鈴木洋寿▽名古屋西(静岡)柴田良▽枇杷島、天神林大介▽小牧(名古屋西)井野健作▽一宮、岸康弘▽鈴鹿、時吉恵二▽茨木(一宮)藤本貴康
(4月7日)山形(水戸)千葉康彦▽東松山(山形)佐藤雅彦▽水戸、小田切貴明▽北茨城(世田谷)神田佳伸▽世田谷(東松山)高橋秀昭▽小田原、柴田真智▽松本、伊藤親裕▽岐阜東濃(久居)鈴木重晴▽久居(松本)小川和也
高砂香料工業(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 202文字 PDF有 書誌情報]
高砂香料工業
(4月7日)ファインケミカル事業本部長、取締役兼常務執行役員研究開発本部長谷中史弘▽研究開発副本部長兼分析研究所長(ファインケミカル事業本部長)執行役員村山俊幸▽先端領域創成研究所長兼情報インテリジェンス室長(分析研究所長兼技術情報)矢口善博▽分析研究所技術情報(フレグランス研究所研究戦略推進)小林剛▽フレグランス研究所研究戦略推進(先端領域創成研究所情報インテリジェンス室長)宮崎秀基
三浦工業(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 169文字 PDF有 書誌情報]
三浦工業
(6月27日)取締役、武藤直樹▽同、正力裕子▽退任(取締役)樋口建史▽同(同)佐伯直輝▽経営企画ブロック長(米州事業担当)執行役員藤原達也▽米州事業担当(経営企画ブロック長)同宮栄直樹▽執行役員アジア事業担当(MIURASOUTHEASTASIAHOLDINGS社長)河合直人▽同欧州事業担当兼ミウラエンパシー取締役、高田明彦
帝人(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 136文字 PDF有 書誌情報]
帝人
(4月1日)ミッション・エグゼクティブグローバル管理管掌補佐(帝人グループ執行役員複合成形材料事業本部長)秋吉正高▽帝人グループ執行役員複合成形材料事業本部長(複合成形材料事業本部副本部長)複合材料技術開発センター長北野一朗▽同デジタル・情報システム管掌、船生幸宏
サッポロビール(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 108文字 PDF有 書誌情報]
サッポロビール
(4月30日)上席執行役員生産技術本部副本部長兼価値創造フロンティア研究所長(岡山ワイナリー工場長)木野博康▽岡山ワイナリー工場長兼グランポレール(製造部グランポレール勝沼ワイナリー工場長)久野靖子
小野薬品工業(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 79文字 PDF有 書誌情報]
小野薬品工業
(6月)常務執行役員、経営戦略本部経営管理統括部長兼経営管理・伊藤雅樹▽執行役員EHS推進、高萩聡▽執行役員、デジタルテクノロジー本部長三戸仁
サンエー(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
サンエー
(5月27日)取締役管理・コンプライアンス・リスク管理担当、高江洲利樹▽取締役、宮国英理子▽退任(専務)田崎正仁▽同(取締役)翁長朝常
イオンリテール(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 64文字 PDF有 書誌情報]
イオンリテール
(4月7日)南関東カンパニーイオンスタイル南砂店長(イオン鎌ケ谷店長)長谷川康之▽同イオン鎌ケ谷店長、宮内敏明
三井住友銀行(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 42文字 PDF有 書誌情報]
三井住友銀行
(4月7日)ららぽーと富士見店所長(志木ニュータウン支店長)近藤康明
三菱UFJ銀行(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 40文字 PDF有 書誌情報]
三菱UFJ銀行
(4月7日)上野支店長兼上野中央支店長兼千駄木支店長、今野雅人
セイノーホールディングス(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 35文字 PDF有 書誌情報]
セイノーホールディングス
(4月1日)ブランド広報戦略室長、加藤周治
サンリン(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
サンリン
(6月20日)会長(社長)塩原規男▽社長(専務)百瀬久志
アサックス(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 34文字 PDF有 書誌情報]
アサックス
(6月25日)取締役、寺本敏之▽退任(取締役)松崎孝夫
東急ストア(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 32文字 PDF有 書誌情報]
東急ストア
(4月8日)さぎ沼店長(フレルさぎ沼店長)江田孝二
マルエツ(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
マルエツ
(4月11日)鎌ケ谷大仏店長(安食店長)森和樹
丸一鋼管(会社人事)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 21文字 PDF有 書誌情報]
丸一鋼管
(4月7日)経営企画、池田洋一
<数表>日経平均先物の主な建玉[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 304文字 PDF有 書誌情報]
日経平均先物の主な建玉
( 4 日現在、大取、単位枚)
差し引き 差し引き
▽ 6 月物 売り残 買い残
HSBC 28478 野 村 41132
Gサックス 24825 シティG証 9599
ソシエテ 11232 SMBC日興 7748
みずほ証 10423 UBS 6349
モルガンS 3780 大 和 5852
Jモルガン 3751 ABNアムロ 4950
三菱UFJモ 2343 BofA証 3181
ドイツ 1853 BNPパリバ 2372
ナティクシス 740 日産証 2136
立 花 85 東海東京 1297
<数表>金利一覧[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 210文字 PDF有 書誌情報]
金利一覧
(7日現在、年、%)
▽基準貸付金利(公定歩合)
日 本 0.75
▽誘導政策金利
日 本(翌日物) 0.50
米 国(FF金利)
4.25~4.50
ユーロ圏 2.65
(市場介入金利)
▽プライムレート
短 期 1.875
長 期 2.350
変動長期
(3年以内) 2.175
(3年超) 2.375
▽大口定期預金(3カ月)
5億円以上 0.2500
<数表>マネタリーベース、日銀帳尻[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 19ページ 132文字 PDF有 書誌情報]
マネタリーベース(日銀、億円)
4日 前日
6,513,100 6,527,600
……………………………………
日銀帳尻( 4日 、億円)
前日比
発券高 1,183,738 ▲935
貸出高 968,119 0
国債残高 5,750,325 0
<数表>4月7日(市場体温計)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 21ページ 2665文字 PDF有 書誌情報]
日経平均株価(225種) 31136円58銭(-2644円00銭)
騰落率= -7.826%
東証株価指数(TOPIX) 2288.66 (-193.40)
騰落率= -7.791%
売買代金 6989348百万円 (+147851百万円)
売 買 高 366374万株 (+44779万株)
売買単価 1907.7円
売買高上位10銘柄の占有率 29.9%
〓-〓 上場銘柄数 1637 値上がり 6 〓-〓
売買成立 1637 値下がり 1628 変わらず 3
新値株 (年初来) 高 値 3 安 値 1328
騰落レシオ(25日移動平均) 86.36%
時価総額 7954668億円 (-649128億円)
普通株式数(百万株) 499989 1株当たり時価(円) 1590.96
◇投資指標 〓〓 PERと配当利回りの太字は予想、カッコ内は前期基準、PBRは四半期末基準、連結ベース 〓〓
PER PBR 配当利回り(%)
(倍) (倍) 単純平均 加重平均
日経平均採用銘柄 12.59 ( 13.47 ) 1.15 2.54 ( 2.23 )
JPX日経400採用銘柄 12.47 ( 12.91 ) 1.24 2.65 ( 2.41 ) 2.90 ( 2.53 )
東証プライム全銘柄 12.56 ( 13.49 ) 1.11 3.05 ( 2.71 ) 2.89 ( 2.53 )
東証スタンダード全銘柄 12.15 ( 13.83 ) 0.88 2.96 ( 2.81 ) 2.72 ( 2.79 )
東証グロース全銘柄 31.35 ( 161.84 ) 2.63 1.03 ( 0.91 ) 0.75 ( 0.67 )
株式益回り(東証プライム全銘柄) 予想 7.95 %
前期基準 7.40 %
7
日
◇各種指数(カッコ内は前日比、%は騰落率)
日経株価指数300 493.42 ( -40.73)
日経500種平均株価 2777円17銭 ( -208円85銭)
日経平均高配当株50指数 58503.61 ( -4895.79)
日経連続増配株指数 43874.30 ( -2316.64)
日経累進高配当株指数 39675.54 ( -2821.97)
日経半導体株指数 6161.57 ( -791.14)
日経平均内需株50指数 24633.51 ( -1655.47)
日経平均外需株50指数 29171.58 ( -2727.01)
日経平均トータルリターン 56092.51 ( -4763.16)
日経平均VI先物指数 5845.30 ( -1.55%)
単純平均(東証プライム全銘柄) 2250円66銭 ( -170円34銭)
東証規模別株価指数
大型 2235.25 ( -199.81)
中型 2482.35 ( -187.23)
小型 3864.55 ( -284.63)
日経アジア300インベスタブル指数(円ベース)
1568.01 (-165.82)
…
ド ル/円 1 ド ル = 145.79~145.80円
ユ ー ロ/円 1 ユーロ = 160.39~160.43円
ユーロ/ドル 1 ユーロ = 1.1001~1.1003ドル
(17時、銀行間直物、日銀公表)
上海総合(中国) 3096.576 ( -245.432 )
韓国総合(韓国) 2328.20 (-137.22)
ハンセン(香港) 19828.30 (-3021.51)
加権(台湾) 19232.35 (-2065.87)
VN(ベトナム) 休 場
クアラルンプール総合 1443.80 (-60.34)
ST(シンガポール) 3540.50 (-285.36)
ジャカルタ総合 休 場
SET(タイ) 休 場
オールオーディナリーズ(豪) 7524.3 (-323.3)
新発10年国債利回り 1.110% ( -0.090)
(378回債、日本相互証券、終値)
無担保コール翌日物金利 0.477% ( 0)
(短資協会、加重平均、速報)
金(1グラム) 14212 円 (-444円)
ドバイ原油(1キロリットル) 56500 円 (-340円)
(日本取引所グループの期先清算値)
<日経・JPX商品指数>02年=100
634.12 (-28.56)
工業品 640.22 (-29.83)
始値 33154円97銭 高値 33158円87銭 ( 9時00分 )
午前終値 31591円84銭 安値 30792円74銭 ( 9時25分 )
JPX日経 インデックス400 20855.98 (-1744.47)
JPX日経中小型 15990.30 (-1337.91)
日経気候変動指数 30924円53銭 (-2616円11銭)
JPXプライム150指数 1003.94 (-84.53)
東証プライム市場指数 1177.77 (-99.61)
東証スタンダード市場指数 1111.63 (-81.99)
東証グロース市場指数 686.24 (-81.07)
東証グロース市場250指数 534.55 (-62.83)
……………………………………………………………………
東証REIT指数 1634.12 (-51.87)
日経ESG―REIT指数 909.89 (-28.74)
日経高利回りREIT指数 1176.70 (-37.56)
……………………………………………………………………
日経平均VI 58.39 (+22.81)
日経配当指数(2025年) 0円00銭
<数表>4月7日商品先物[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 21ページ 5971文字 PDF有 書誌情報]
( 7 日)
円、CME原油はポイント、―は出来ず、△は上げ、▲は下げ、売買高・建玉は枚。日本取引所グループは前営業日の夜間取引、祝日取引を含む。堂島取引所の貴金属は前営業日の夜間取引を含む。清算値は取引所の公表値。
◇日本取引所グループ
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
4月 14530 14546 13935 14250 ▲241
6月 14558 14581 13950 14265 ▲309
8月 14573 14578 13956 14169 ▲431
10月 14576 14576 13947 14184 ▲425
12月 14600 14650 13972 14171 ▲447
2月 14628 14695 14015 14212 ▲444
《金ミニ》(1グラム)
4月 14507.5 14527.0 14018.5 14250.0 ▲241.0
6月 14046.0 14345.5 14046.0 14265.0 ▲309.0
8月 14490.0 14490.0 13955.5 14169.0 ▲431.0
10月 14570.0 14570.0 13956.0 14184.0 ▲425.0
12月 14566.0 14635.5 13949.5 14171.0 ▲447.0
2月 14620.0 14693.5 14012.0 14212.0 ▲444.0
《金限日》(1グラム)
15022 15045 14343 14282 ▲265
《白金》(1グラム)
4月 4358 4367 4085 4240 ▲118
6月 4365 4365 4052 4198 ▲155
8月 4356 4379 4060 4184 ▲193
10月 4381 4391 4087 4187 ▲193
12月 4379 4399 4099 4198 ▲191
2月 4362 4374 4071 4181 ▲187
《白金ミニ》(1グラム)
4月 4359.0 4359.0 4265.0 4240.0 ▲118.0
6月 4393.5 4393.5 4130.0 4198.0 ▲155.0
8月 4390.0 4390.0 4113.0 4184.0 ▲193.0
10月 4352.5 4369.5 4099.0 4187.0 ▲193.0
12月 4371.5 4371.5 4121.5 4198.0 ▲191.0
2月 4348.5 4365.0 4071.0 4181.0 ▲187.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《白金限日》(1グラム)
4574 4606 4302 4204 ▲144
《銀》(1グラム)
4月 ― ― ― 145.0 ▲11.0
6月 146.0 146.0 144.6 144.6 ▲12.3
8月 145.2 145.2 138.6 138.6 ▲15.4
10月 145.1 145.1 138.6 138.6 ▲15.4
12月 ― ― ― 140.0 ▲15.0
2月 153.6 153.6 140.0 140.2 ▲12.8
《パラジウム》(1グラム)
4月 ― ― ― 4400 ▲200
6月 ― ― ― 4400 ▲200
8月 ― ― ― 4400 ▲200
10月 ― ― ― 4400 ▲200
12月 ― ― ― 4400 ▲200
2月 ― ― ― 4400 ▲200
《CME原油》
5月 ― ― ― 155.65 ▲10.90
6月 ― ― ― 154.65 ▲10.65
7月 ― ― ― 153.70 ▲10.40
8月 ― ― ― 152.70 ▲10.15
9月 ― ― ― 150.35 ▲9.70
10月 ― ― ― 149.50 ▲9.40
《ドバイ原油》(1キロリットル)
4月 65600 65600 61400 61400 ▲5200
5月 63030 63030 57600 57600 ▲6720
6月 61810 61810 57310 57310 ▲5680
7月 61560 61560 56400 56400 ▲5620
8月 60860 60920 55860 55920 ▲5270
9月 60040 60330 55550 55550 ▲5030
10月 59000 59000 56840 56840 ▲3140
11月 ― ― ― 54670 ▲4790
12月 58650 58650 58650 58650 ▲330
1月 52700 52700 52700 52700 ▲5840
2月 56000 56000 56000 56000 ▲2130
3月 58720 58720 56600 56600 ▲1190
4月 56740 56740 56740 56740 ▲730
5月 56880 56880 54280 54280 ▲2870
6月 56690 56690 56500 56500 ▲340
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《軽油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 95200 ▲300
6月 ― ― ― 94700 ▲300
7月 ― ― ― 94200 ▲300
8月 ― ― ― 93700 ▲300
9月 ― ― ― 93200 ▲300
10月 ― ― ― 92800 ▲300
《ゴムRSS3号》(1キロ)
4月 302.0 302.0 289.0 291.9 ▲28.8
5月 318.4 318.4 290.5 295.0 ▲26.0
6月 320.4 320.5 291.6 291.6 ▲29.7
7月 320.1 320.2 291.7 291.7 ▲30.3
8月 322.1 322.1 292.3 292.7 ▲28.5
9月 321.6 321.9 291.9 294.0 ▲26.7
10月 ― ― ― 297.0 ▲24.0
11月 ― ― ― 303.0 ▲20.0
12月 ― ― ― 307.0 ▲20.0
1月 ― ― ― 309.0 ▲20.0
2月 ― ― ― 310.0 ▲20.0
3月 ― ― ― 310.0 ▲20.0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《ゴムTSR20号》(1キロ)
5月 ― ― ― 250.0 ▲18.0
6月 ― ― ― 250.0 ▲18.0
7月 ― ― ― 250.0 ▲18.0
8月 ― ― ― 251.0 ▲18.0
9月 ― ― ― 251.0 ▲18.0
10月 ― ― ― 251.0 ▲18.0
11月 ― ― ― 251.0 ▲18.0
12月 ― ― ― 252.0 ▲18.0
1月 ― ― ― 252.0 ▲18.0
2月 ― ― ― 252.0 ▲18.0
3月 ― ― ― 252.0 ▲18.0
4月 ― ― ― 252.0 ▲18.0
《中京ガソリン》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 90000 0
6月 ― ― ― 90000 0
7月 ― ― ― 90000 0
8月 ― ― ― 90000 0
9月 ― ― ― 90000 0
10月 ― ― ― 90000 0
《中京灯油》(1キロリットル)
5月 ― ― ― 92000 0
6月 ― ― ― 92000 0
7月 ― ― ― 92000 0
8月 ― ― ― 92000 0
9月 ― ― ― 92000 0
10月 ― ― ― 92000 0
《トウモロコシ》(1トン)
5月 ― ― ― 40000 0
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 40000 0
11月 ― ― ― 38500 0
1月 ― ― ― 40000 0
3月 ― ― ― 40000 0
始値 高値 安値 清算値 前日比
《一般大豆》(1トン)
4月 ― ― ― 64000 0
6月 ― ― ― 64000 0
8月 ― ― ― 64000 0
10月 ― ― ― 64000 0
12月 ― ― ― 64000 0
2月 ― ― ― 64000 0
《小豆》(30キロ)
4月 ― ― ― 12300 0
5月 ― ― ― 12300 0
6月 ― ― ― 12300 0
7月 ― ― ― 12300 0
8月 ― ― ― 12300 0
9月 ― ― ― 12300 0
《電力東ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 11.91 △0.14
5月 ― ― ― 11.18 ▲0.13
6月 ― ― ― 12.97 ▲0.24
7月 14.50 14.50 14.30 14.30 ▲0.97
8月 ― ― ― 15.54 ▲0.37
9月 14.30 14.30 14.30 14.74 ▲0.38
10月 ― ― ― 13.23 ▲0.35
11月 ― ― ― 13.76 ▲0.37
12月 ― ― ― 14.19 ▲0.42
1月 ― ― ― 14.47 ▲0.39
2月 ― ― ― 14.16 ▲0.39
3月 ― ― ― 11.98 ▲0.40
4月 ― ― ― 11.40 ▲0.32
5月 ― ― ― 11.62 ▲0.28
6月 ― ― ― 12.51 ▲0.22
7月 ― ― ― 13.61 ▲0.24
8月 ― ― ― 15.69 ▲0.19
9月 ― ― ― 13.33 ▲0.17
10月 ― ― ― 11.98 ▲0.18
11月 ― ― ― 12.73 ▲0.22
12月 ― ― ― 13.58 ▲0.24
1月 ― ― ― 14.39 ▲0.27
2月 ― ― ― 13.62 ▲0.27
3月 ― ― ― 11.83 ▲0.31
始値 高値 安値 清算値 前日比
《電力西ベースロード》(1kWh)
4月 ― ― ― 9.09 △0.07
5月 ― ― ― 8.48 ▲0.10
6月 ― ― ― 10.39 ▲0.15
7月 ― ― ― 12.65 ▲0.32
8月 ― ― ― 13.85 ▲0.30
9月 ― ― ― 12.88 ▲0.28
10月 ― ― ― 10.25 ▲0.22
11月 ― ― ― 10.99 ▲0.23
12月 ― ― ― 11.72 ▲0.38
1月 ― ― ― 13.44 ▲0.13
2月 ― ― ― 12.60 ▲0.10
3月 ― ― ― 9.92 ▲0.04
4月 ― ― ― 9.92 ▲0.20
5月 ― ― ― 9.26 ▲0.20
6月 ― ― ― 9.97 ▲0.13
7月 ― ― ― 10.88 ▲0.15
8月 ― ― ― 12.65 ▲0.10
9月 ― ― ― 10.83 ▲0.09
10月 ― ― ― 9.50 ▲0.13
11月 ― ― ― 10.41 ▲0.18
12月 ― ― ― 11.51 ▲0.19
1月 ― ― ― 12.25 ▲0.14
2月 ― ― ― 11.63 ▲0.14
3月 ― ― ― 10.21 ▲0.18
◇売買高・建玉
売買高 建玉
金 70257 46399
金ミニ 48756 9274
金限日 5893 43872
白金 19852 30439
白金ミニ 1628 2444
白金限日 5732 37050
銀 27 145
パラジウム 0 0
CME原油 0 0
ドバイ原油 13571 25356
ガソリン 0 0
灯油 0 0
軽油 0 0
ゴムRSS3号 1489 3945
ゴムTSR20号 0 0
中京ガソリン 0 0
中京灯油 0 0
トウモロコシ 0 92
一般大豆 0 0
小豆 0 0
電力東ベース 5 7977
電力西ベース 0 733
大阪トウモロコシ50 0 0
堂島金 28265 51222
堂島白金 936 2001
堂島銀 231 1323
◇堂島取引所
始値 高値 安値 清算値 前日比
《金》(1グラム)
14564.5 14610.1 13950.0 14150.0 ▲414.9
《白金》(1グラム)
4495.0 4495.6 4210.0 4325.6 ▲140.6
《銀》(1グラム)
150.00 151.00 136.70 139.63 ▲8.17
《大阪トウモロコシ50》(1トン)
5月 ― ― ― 39000 0
7月 ― ― ― 39000 0
9月 ― ― ― 34000 0
11月 ― ― ― 35000 0
1月 ― ― ― 35000 0
3月 ― ― ― 39000 0
<数表>4月4日エネルギー・環境市場[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 21ページ 3394文字 PDF有 書誌情報]
◇日経平均先物の主な手口
( 7 日、大取、売買合計、単位枚)
▽ 6 月物
ABNアムロ 60825
ソシエテ 44072
バークレイ 10884
野 村 6887
Gサックス 5827
日産証 5302
モルガンS 4964
Jモルガン 4863
SBI証 4161
シティG証 3047
◇債券先物(大取、円・%・億円)
▽10年物(6%国債)
年/月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比
25/6 141.70 142.41 142.95 141.00 142.27 0.62
25/9 141.68 141.68 141.68 141.68 141.68 ―
利回り 売買高 建玉 利回り 売買高 建玉
25/6 1.246 77396 129519 25/9 1.293 1 1
◇債券先物オプション ( 5 月物、大取、円・枚)
コール 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 プット
行使価格 終値 前日比 売買高 建玉 行使価格 終値 前日比 売買高 建玉
143.25 ― ― ― 5 137.75 0.05 -0.02 17 36
143.50 ― ― ― ― 138.00 ― ― ― 42
143.75 ― ― ― ― 138.25 ― ― ― 30
144.00 ― ― ― ― 138.50 ― ― ― 25
144.25 ― ― ― 32 138.75 ― ― ― 10
合計 0 74 合計 57 255
HV(年率) 6月 6.5
東京金融取引所
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.518 0 0 762
25 /6 99.496 +0.123 0 642
25 /9 99.453 +0.123 0 673
25 /12 99.383 +0.123 0 241
合計 0 3506
▽TONA3カ月金利
大阪取引所 ----------------
年 /月 清算値 前日比 売買高 建玉
25 /3 99.5250 +0.0025 2126 29474
25 /6 99.4975 +0.0050 1172 12666
25 /9 99.4975 +0.0125 1634 12533
25 /12 99.4625 +0.0025 228 8485
合計 5160 70558
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈TOPIX先物・大取〉
25 /6 2464.5 2279.5 2469.0 2223.5 2267.0 -208.5 171489 438500
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 700
〈JPXプライム150指数先物・大取〉
25 /6 ― ― ― ― ― ― ― 77
25 /9 ― ― ― ― ― ― ― 0
〈東証グロース市場250指数先物・大取〉
25 /6 592 550 595 524 531 -64 11680 33014
25 /9 578 551 585 505 523 -59 254 498
◇株価指数先物・配当指数先物・VI先物(円・ポイント・枚)
年 /月 始値 当日始値 高値 安値 終値 前日比 売買高 建玉
〈日経平均先物・大阪取引所(大取)〉
25 /6 33550 31010 33660 30650 30960 -2800 145405 176570
25 /9 33580 30930 33630 30690 30930 -2830 606 3292
25 /12 33350 31380 33350 30410 30900 -2300 26 18030
〈ミニ日経平均先物・大取〉
25 /6 33550 30805 33655 30650 30960 -2800 1956381 322648
25 /9 33565 30875 33650 30645 30950 -2790 52272 9513
〈マイクロ日経平均先物・大取〉
25 /6 33555 30910 33660 30650 30970 -2785 1391776 79188
25 /9 33550 30420 33640 30000 30965 -2785 50287 8777
〈日経平均先物・SGX〉(注)SGXの建玉は前日、終値は清算値
25 /6 33700 31000 33805 30375 30720 -3000 96626 76768
25 /9 32480 31110 32680 30070 30685 -3000 166 85
〈JPX日経インデックス400先物・大取〉
25 /6 22400 20550 22475 20260 20670 -1795 14528 62637
25 /9 19905 19905 19905 19905 19905 -3060 2 3
〈日経気候変動指数先物・大取〉 〈日経平均VI先物・大取〉
終値 清算値 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉
25 /6 ― 30960 ― 0 4月 46.00 +8.00 13 31
25 /9 ― 30970 ― 0 5月 27.20 -1.40 34 117
〈日経配当指数先物〉 (注)SGXの建玉は前日
大取 終値 清算値 売買高 建玉 SGX 終値 清算値 売買高 建玉
25年 ― 763.0 ― 1334 25年 755.5 755.9 46 4468
26年 ― 737.5 ― 1334 26年 712.0 707.0 7 1800
◇日経平均オプション・大取(円・枚)
権利行 〓―――4月―――〓 〓―――5月―――〓 6月
使価格 終値 前日比 売買高 建玉 終値 前日比 売買高 建玉 終値
コール ―
31000 1175 ― 195 80 1840 ― 149 105 2050
―
31250 990 ― 271 205 1695 ― 16 2 ―
―
31500 815 ― 381 211 1550 ― 163 120 ―
―
31750 730 ― 179 35 1560 ― 73 26 ―
―
……………………………………………………………………………………………
プット ―
30500 900 +820 1021 277 1450 +1100 306 259 1530
―
30750 1035 +955 363 244 1440 +995 37 163 1620
―
31000 1140 +1041 3068 1424 1715 +1285 886 2010 1850
―
31250 1210 +1095 198 92 1780 +1315 139 189 1810
―
総売買高コール 58503 枚 プット 86976 枚 日経平均HV 36.6
当日総建玉コール 314774 枚 プット 501802 枚
◇欧州エネルギー取引所(EEX)
《電力》(翌月物)
日本(東京ベースロード、1kWh、円) 11.15
ドイツ(1MWh、ユーロ) 62.61
《天然ガス》(翌々月物、JKMはLNG)
東アジアJKM(1MMBtu、ドル) 11.800
オランダTTF(1MMBtu、ドル) 11.785
《欧州排出枠》(当日入札)
EUA(1CO2トン、ユーロ) ―
( 4 日)
<数表>4月7日外為市場[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1794文字 PDF有 書誌情報]
◇対顧客米ドル先物相場
(三菱UFJ銀、円)
売り 買い
4月渡 146.78 144.38
5月〃 146.40 143.88
6月〃 145.89 143.39
7月〃 145.45 142.93
8月〃 145.00 142.51
9月〃 144.58 142.08
◇外為 対顧客電信売相場
▽三菱UFJ銀(円) 前日
米ドル 146.78 147.03
ユーロ 161.35 163.01
カナダドル 103.99 105.40
英ポンド 192.22 195.36
スイスフラン 171.62 171.16
デンマーククローネ 21.72 21.94
ノルウェークローネ 13.73 14.46
スウェーデンクローナ 14.84 15.33
豪ドル 89.37 94.41
ニュージーランドドル 82.81 86.55
香港ドル 19.19 19.20
シンガポールドル 109.01 110.31
サウジアラビアリヤル 39.73 39.82
U.A.E.ディルハム 40.43 40.50
タイバーツ 4.29 4.36
インドルピー 1.86 1.87
パキスタンルピー 0.67 0.68
クウェートディナール 484.41 485.22
カタールリヤル 40.80 40.86
インドネシア100ルピア 1.00 1.01
メキシコペソ 8.05 8.33
韓国100ウォン 10.13 10.34
フィリピンペソ 2.73 2.73
南アフリカランド 9.05 9.29
チェココルナ 6.44 6.57
ロシアルーブル 1.98 1.99
ハンガリーフォリント 0.41 0.42
ポーランドズロチ 38.61 39.49
▽みずほ銀
中国人民元 20.24 20.38
トルコリラ 5.63 5.65
台湾ドル(参考値) 4.38 4.42
▽ブラジル銀
ブラジルレアル 25.97 26.98
( 7 日)
◇円相場
〓〓 銀行間直物、1ドル=円、売買高は前日、終値は17時、寄付は9時時点、日銀 〓〓
前 日
終値 145.79 ― 145.80 146.27 ― 146.29
寄付 145.42 ― 145.46 146.25 ― 146.27
高値 144.83 145.30
安値 146.85 146.40
中心 145.75 145.94
直物売買高 50億8500万 ドル
スワップ売買高 304億3500万 ドル
◇名目実効為替レート指数
日銀(1999年1月=100、前日分)
日本円 82.67
日経インデックス(2020年=100)
日本円 78.1
米ドル 106.7
ユーロ 101.4
◇主要通貨の対円レート
(17時、東京金融取引所・FX)
英ポンド /円 1 ポンド = 188.00~188.09円
豪 ド ル /円 1 豪ドル = 87.560~87.625円
スイスフラン /円 1 スイスフラン = 171.95~172.01円
カナダドル /円 1 カナダドル = 102.45~102.51円
NZドル /円 1 NZドル = 81.34~81.40円
◇主要通貨の対ドルレート
(17時、カッコ内は前日終値)
英ポンド 1.2893 ― 1.2897
(1ポンド=ドル) ( 1.3006 ― 1.3010 )
スイスフラン 0.8478 ― 0.8482
(1ドル=スイスフラン) ( 0.8551 ― 0.8555 )
豪 ド ル 0.6009 ― 0.6013
(1豪ドル=ドル) ( 0.6203 ― 0.6207 )
◇上海市場=中国人民元
(銀行間取引、17時30分現在、カッコ内は前日)
米ドル(1ドル=元) 7.3149 ( 7.3043 )
日本円(100円=元) 5.0060 ( 4.9624 )
<数表>4月7日債券市場[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1649文字 PDF有 書誌情報]
◇CDS指数
iTraxx Japan 5年(IHSマークイット)
実勢価格 82.75 +15.54
◇債券標準価格(JS Price)
銘 柄 償還年月 利率(%) 標準価格(円)
国 債
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.83
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.54
中国470(2年) 27/3 0.8 100.43
中国177(5年) 29/12 1.1 101.63
長国377(10年) 34/12 1.2 100.96
超長国191(20年) 44/12 2 101.43
超長国85(30年) 54/12 2.3 100.53
超長国17(40年) 64/3 2.2 92.34
物価連動29(10年) 34/3 * 102.70
その他債券
大成建設39 30/6 0.37 95.81
政保政投銀64 30/6 0.09 96.07
東京都(公)807 30/6 0.1 95.90
大和ハウス23 30/9 0.3 95.72
キリンHD17 30/6 0.37 96.41
王子HD40 30/7 0.37 95.93
三菱ケミカルHD36 30/6 0.4 95.77
日本製鉄6 30/6 0.42 96.11
ENEOSHD2 30/7 0.37 95.67
OLC18 30/9 0.29 95.49
IHI48 30/9 0.49 95.57
ダイキン27 30/9 0.26 95.44
NEC58 30/4 0.54 96.29
パナソニック25 30/9 1.051 98.88
SUBARU6 30/9 0.42 95.59
三井物産77 30/7 0.28 96.00
JR東日本153 30/7 0.23 95.90
三井不77 30/4 0.48 96.85
中部電力544 30/9 0.3 95.80
三菱UFJリース78 30/4 0.5 96.74
( 7 日)
◇新発10年国債(店頭売買参考統計値)
利回り(終値) 前日比
378回債 1.110 % -0.050
(日本証券業協会発表、業者平均、単利)
◇日経公社債インデックス
短 期 債 0.86
中 期 債 1.07
長 期 債 1.72
◇日経国債インデックス 0.850
◇公社債店頭売買参考統計値
〓〓 8日分、日本証券業協会、円。国庫短期証券の利回りは単利、その他は複利 〓〓
銘 柄 償還 利率 平均値 平均値
年月 (%) 利回り
(%)
国 債
国庫短期証券1297 25/7 ― 99.90 0.370
国庫短期証券1291 25/9 ― 99.84 0.370
国庫短期証券1294 26/3 ― 99.54 0.480
中 国471(2) 27/4 0.9 100.62 0.585
中 国157(5) 28/3 0.2 98.78 0.617
中 国167(5) 29/3 0.4 98.86 0.693
中 国177(5) 29/12 1.1 101.63 0.746
長 国362 31/3 0.1 96.02 0.785
長 国366 32/3 0.2 95.86 0.813
長 国370 33/3 0.5 96.89 0.906
長 国374 34/3 0.8 98.19 1.012
長 国377 34/12 1.2 100.96 1.095
超長国191 44/12 2.0 101.44 1.911
超長国(30)85 54/12 2.3 100.53 2.275
超長国(40)17 64/3 2.2 92.34 2.509
<数表>4月7日短期金融市場[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1302文字 PDF有 書誌情報]
◇国庫短期証券利回り
(日本相互証券、BB国債価格)
銘柄 引値 前日比
3カ月 1297 回債 0.370 -0.015
6カ月 1291 回債 0.370 -0.01
1 年 1294 回債 0.480 -0.01
◇東京レポ・レート(日本証券業協会)
平均値 前 日
翌日 0.492 0.495
1週間 0.457 0.452
1カ月 0.452 0.454
◇全銀協TIBORレート
(全銀協TIBOR運営機関)
日本円TIBOR 前 日
1週間 0.49182 0.49545
1カ月 0.62818 0.62091
3カ月 0.83455 0.83455
6カ月 0.87727 0.85727
1 年 0.82818 0.82818
◇TORF(東京ターム物リスク・
フリー・レート) (QBS)
前 日
1カ月 0.47938 0.47938
3カ月 0.48167 0.50750
6カ月 0.50375 0.50000
( 7 日)
(金利、利回りは%)
◇コール (短資協会、加重平均、速報)
無担保 有担保
翌 日 0.477 0.430
1週間 0.478 ―
2週間 ― ―
3週間 ― ―
1カ月 0.569 ―
2カ月 ― ―
3カ月 0.600 ―
◇全国コール市場残高
( 4 日確報、億円) 117999
◇CP気配(短資協会)
<現先> ┌前日┐
売り 買い 売り 買い
翌 日 0.333 0.616 0.333 0.616
1週間 0.333 0.616 0.333 0.616
1カ月 0.340 0.650 0.340 0.650
期 間 予定額 応札額 落札額 落札金利
(価格)
【4月7日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/8 3214 3214 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/8 136 136 最高0.250
【4月4日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/7 2303 2303 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/7 0 0
【4月3日通知分】
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/4 2479 2479 最高0.250
国債補完供給(国債現先売り) 即日-4/4 0 0
(注)国債買い入れの落札金利(変動利付債、物価連動債の場合は価格)は日本証券業協会の店頭売買参考統計値との格差、社債買い入れ、CP買い入れの落札金利は売買利回り。▲はマイナス
◇日銀当座預金残高(速報、億円、カッコ内は準備預金残高)
5273800 ( 4769200 )
◇資金需給予想( 8 日、億円、実質) 6100 余剰
<数表>4月7日株式市場、先物市場[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 21ページ 569文字 PDF有 書誌情報]
◇スタンダード市場などの売買データ
スタンダード グロース
売買高(万株) 43260 24924
売買高上位10銘柄占有率(%)
37.8 22.3
売買代金(百万円) 185106 156889
売買単価(円) 427.8 629.4
騰落銘柄数
上場銘柄 1576 612
売買成立 1573 611
値上がり 31 13
値下がり 1516 597
新値株(年初来) 高値 1 1
安値 1285 485
時価総額(億円) 245728 64284
普通株式数(百万株) 31041 10634
1株当たり時価(円) 791.62 604.50
◇日経平均ストラテジー指数
(01年末=10000、騰落率は前日比)
騰落率
カバードコール 24470.16 -7.82%
カバードコールATM 17658.41 -7.78%
リスクコントロール 22430.37 -3.28%
レバレッジ 26247.86 -15.65%
インバース 1035.54 +7.82%
ダブルインバース (01年末=100000)
327.87 +15.65%
◇立会外市場(東証)
売買高(千株) 455529
売買代金(百万円) 845206
◇空売り比率(東証) 36.8 %
( 7 日)
「ドクターカッパー」急落、銅、3日で一時16%安 米関税発表機に、世界景気の減速を示唆[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1336文字 PDF有 書誌情報]
銅価格が急落している。トランプ米大統領の相互関税の発表をきっかけに世界景気の減速懸念が強まるなか、幅広い産業で使われる銅も売りの対象となっている。2日の相互関税発表以降の下落基調が鮮明で、直近3営業日の国際指標の下落率は16%に達する場面もあった。世界の経済動向をいち早く映す「ドクターカッパー」は世界景気の先行きを厳しく診断し始めた。
銅の国際指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物は日本時間7日、一時前週末比8%安の1トン8105ドルと、約1年5カ月ぶりの安値を付けた。中国の報復関税の発表を受けてリスク回避姿勢が強まった前週末4日も下落基調が目立ち、終値ベースで前日比6%下落。1日の下落率では2020年3月中旬のコロナショック以来の大きさだった。
銅の国際価格の急落は国内にも波及した。JX金属は7日、国内相対取引の目安となる建値を1トン130万円に引き下げた。前週末4日からの下げ幅は11万円と、1回の改定の下げ幅としては07年8月17日(12万円)以来の大きさだという。
銅価格は3月下旬まで上昇基調が目立っていた。LME3カ月先物は同月26日に一時1万164・5ドルまで上昇し、24年6月以来の高値を付ける場面があった。背景にはトランプ氏による銅をターゲットとした関税発動を見込んだ、米欧の価格差に着目した取引があった。
トランプ氏は2月、銅に追加関税をかけるための大統領令に署名し、実態調査をするよう米商務省に指示した。将来の関税上乗せが意識され米ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅先物価格が急騰。3月下旬には中心限月として約10カ月ぶりに最高値を更新する場面もあった。
今後の関税発動を織り込む動きが加速した結果、LMEと米国での価格差は1トンあたり1000ドル超となった。この価格差はトレーダーにとって利ざやを稼ぐ好機で、米モルガン・スタンレーは3月のリポートで「関税がまだ課されていない状態では、銅を米国に送る強い動機がある」と指摘。米国へ銅を輸送する動きが広がり、欧州などで銅需給が逼迫するとの見方がLME価格も押し上げていた。
ただ、4月に入って、貿易戦争の激化による世界景気の後退リスクを無視できなくなると地合いが一変し始めた。下げ幅が大きくなった背景として投機資金の流出をあげる見方は多い。
LMEのファンドによる建玉(未決済残高)を見ると、買い建玉から売り建玉を差し引いた買い越し規模は3月28日時点で約6万枚と年初から約4倍の規模に膨れていた。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘共同代表は「年初からの上昇局面で買いを入れてきた投機筋を中心に、ポジションを閉じざるをえない状態となっている」とみる。
足元の銅急落は行き過ぎとみる投資家も少なくない。日本時間7日午後には安値から反転して、一気に7日朝方の下落幅を帳消しにする場面があるなどボラティリティー(変動率)が大きい。「8000ドル近辺では実需勢などが割安感を意識した」と住友商事グローバルリサーチの本間隆行チーフエコノミストは指摘する一方、「一段と景気減速懸念が強まれば、9000ドルを割り込んだ水準で価格形成されるだろう」との見方を示す。
(山田周吾)
中古車競売価格1.5%高、3月、出品増で伸び縮小[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 22ページ 527文字 PDF有 書誌情報]
中古車競売大手のユー・エス・エス(USS)がまとめた3月の中古車の平均落札価格は、前年同月比1・5%高い111万6000円だった。17カ月連続で前年を上回った。競売への出品台数が伸びており、伸び率は縮小傾向となっている。
中古車買い取り店や新車ディーラーが下取りした車のうち、自店で販売しない分が競売に回る。中古車販売店や輸出会社などが車両を仕入れるために落札する。落札相場は消費者が車を下取りに出す際の評価額や、中古車店の販売価格に影響する。
大手自動車メーカーによる認証不正問題の影響で消費者が車を買い替える際の下取りが減ったため、落札価格は24年夏にかけて高騰していた。足元では新車販売台数の回復とともに競売への出品台数も回復している。3月の出品台数は前年同月比9%増となった。
1~2月は国内の販売店が春の商戦期を前に在庫を確保する時期にあたり、競売での引き合いが強くなる傾向がある。強い需要を反映し落札価格は再び120万円台に乗ったが、3月には需要が落ち着き、価格は前月比では11%下がった。
落札価格の先行きには不透明感が強まっている。為替の円安・ドル高基調を背景に好調に推移してきた輸出向けの需要が、円高進行で縮小するとの警戒が出ている。
NY金、一時3000ドル割れ、4週ぶり安値 株安で換金売り[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 22ページ 395文字 PDF有 書誌情報]
国内外の金(ゴールド)が下落している。金価格の国際指標であるニューヨーク先物(中心限月)は7日、一時前週末比50・4ドル(1・7%)安い1トロイオンス2985ドルと、3月中旬以来およそ4週間ぶりの安値を付けた。
米国が2日発表した「相互関税」を受けて米国や世界経済の不透明感が強まり、市場心理が悪化している。株価の急落により、一部の投資家が金融機関からのマージンコール(追加担保の差し入れ請求)への支払い資金を捻出するため「金を換金売りしている」(マーケットアナリストの豊島逸夫氏)との指摘がある。
国内にも下落は波及した。地金商最大手の田中貴金属工業が7日発表した小売価格は前営業日に比べ275円安い1グラム1万5878円だった。買い取り価格も同275円安い1万5708円だった。
大阪取引所の先物(中心限月)は7日付の取引で一時、前営業日比641円安の1グラム1万4015円を付けた。
生かせ国産木材(上)住宅にもっと国産材を 「ウッドショック」受け 安保リスク意識[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1476文字 PDF有 書誌情報]
国土の約7割を森林が占めながら、住宅の構造材などの多くを輸入木材に頼る日本。しかし近年は国産を見直す機運も出てきた。背景にあるのは、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機に伴う世界的な木材相場の高騰や調達難の教訓だ。転機を生かし、木材資源の有効活用は進むか。
「欧州産材などは調達が不安定になりやすく、国産材への期待が高まっている」。製材大手の中国木材(広島県呉市)の堀川智子会長は語る。秋田県能代市に新設した工場から1月、木造住宅の柱や梁(はり)などに使う集成材の出荷を本格的に始めた。
周辺地域に多いスギなどの丸太を加工し、関東地域を中心に出荷する。中長期では日向工場(宮崎県日向市)、伊万里集成材工場(佐賀県伊万里市)と合わせ、国内に流通する柱材の2割程度の出荷を見込む。
同じ東北では川井林業(岩手県宮古市)も雫石工場(岩手県雫石町)で集成材の原料となる引き板(ラミナ)の生産設備を2024年に新設した。傘下のウッティかわい(宮古市)が集成材にし、住宅メーカーや木材のプレカット(事前加工)会社に出荷する。川井林業の沢田令社長は「日本の住宅の構造材の国産シェアを5割以上に引き上げたい」と話す。
沢田社長の言葉は最近の木材業界の問題意識を映す。日本木造住宅産業協会(東京・港)によると、住宅供給会社が木造住宅1戸あたりに使う木材(合板除く)の国産材の比率は23年度時点で47・2%だった。部位別で、柱材は6割弱が国産材。梁や桁などは1割ほどにとどまる。
戦後の住宅供給にあたり海外材に依存したことなどが背景にある。梁や柱は強度が高く割安な欧米の木材が好まれてきた。国内林業は縮小し、「国産は大量に調達できる地盤が整っていない」(住宅メーカー幹部)。
そうした状況にさらに見直しを迫ったのが、コロナ禍に伴う米国の住宅関連需要の増加などを背景に21年に起きた、世界的な木材相場の高騰「ウッドショック」だ。日本は輸入材の調達難と高値に直面した。
その後もウクライナ危機やスエズ運河の航行停滞などが続く。円安も輸入コストを押し上げる。海外材への依存の高さは木材の「安全保障」のリスク――。そうした意識は製材業界に投資を促す一つの要素となった。
住宅メーカーも動き出している。住友林業は23年、福島県内の企業などとの共同出資で新会社の木環の杜(こわのもり、福島県いわき市)を設立。福島県や近隣県から集荷した丸太をもとにツーバイフォー住宅に使う構造材を生産し、26年に供給を始める。住友林業での活用だけでなく、幅広く住宅業界に提供する。
大和ハウス工業は木造住宅の事業拡大を目指し、住宅向け木材で現在5割程度の国産材の使用量を増やしていく。
輸入コストが高い一方、住宅市場の冷え込みで国産材相場が軟調な足元の地合いは、住宅業界が国産材を見直す機会にもなる。農林水産省がまとめた取引価格(全国平均)をみると、壁を支える部材として使う国産スギ材の間柱(まばしら)は1月時点で、用途が同じ欧州産に比べ8%安い。従来は国産が高かったが逆転している。
もちろん、こうした状況が進んでも国産シフトは容易ではない。所得の低さや屋外での労働環境の厳しさを背景に、林業従事者は1980年代の3分の1に減った。担い手不足がつきまとう。
国産材の市況が弱ければ、林業関係者の伐採意欲が湧かない課題もある。中国木材の能代事業本部の松浦健次郎副部長は「年間を通じて安定価格で買い取ることで山側の収入を支え、出材を後押しする」と話す。サプライチェーン全体の意識共有と連携が欠かせない。
<数表>4月7日卸売市場(主要相場)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 22ページ 1073文字 PDF有 書誌情報]
(1キロ、円、消費税込み)
牛 肉
<全国と畜概算頭数 4840頭>
(肉質等級) 1 2 3 4 5
◇東京=まちまち上場425頭
和牛雌A ― ― 2165 2563 3047
和牛去勢A ― 1926 2138 2257 2473
和牛去勢B ― ― ― 1911 ―
交雑種雌B ― 1462 1602 1695 ―
交雑種去勢B ― 1406 1601 1673 ―
▽搬入物 上場171頭
和牛雌A ― 1317 1557 1566 1925
和牛雌B ― 1323 ― 1395 ―
和牛去勢A ― 1774 ― 2156 2542
交雑種雌B ― ― 1541 1661 ―
交雑種去勢B ― 1477 1586 1761 ―
乳牛雌C 828 870 ― ― ―
◇大阪=強含み上場59頭
和牛雌A ― ― ― 2429 2668
和牛去勢A ― ― ― 2478 2772
和牛去勢B ― ― ― ― 2402
交雑種雌B ― ― ― 1860 ―
交雑種去勢B ― 1501 1655 1860 ―
◇仙台=まちまち上場13頭
和牛去勢A ― ― 1724 1923 2255
乳牛雌B ― 838 ― ― ―
◇さいたま=―上場109頭
和牛雌A ― 1234 1477 1395 2443
和牛去勢A ― 1620 1728 2227 2515
乳牛去勢B 865 ― ― ― ―
交雑種雌B ― 1026 1370 1498 1616
交雑種去勢B ― ― 1541 1565 ―
◇横浜=まちまち上場57頭
和牛雌A ― ― ― 2216 2315
和牛去勢A ― 1997 2058 2212 2338
◇名古屋=強もちあい上場87頭
和牛雌A ― ― 2161 2326 2696
和牛去勢A ― ― ― 2427 2777
◇京都=強もちあい上場112頭
和牛雌A ― ― ― 2331 2719
和牛去勢A ― ― 2028 2308 2733
交雑種雌B ― ― ― 1623 ―
交雑種去勢B ― ― 1611 1661 1772
◇神戸=―上場68頭
和牛雌A ― ― ― 4747 5636
和牛去勢A ― ― ― 4568 5307
◇広島=該当なし上場23頭
◇福岡=強もちあい上場129頭
和牛雌A ― ― ― 2295 2513
和牛去勢A ― ― 2292 2347 2540
鉛建値、2万4000円下げ 三菱マテリアル(短信)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 22ページ 71文字 PDF有 書誌情報]
三菱マテリアルは7日、鉛の国内相対取引の目安となる建値を2万4000円引き下げ、1トン33万9000円とした。国際価格の下落などを反映した。
<数表>4月7日日経商品指数17種、デイリー、ウイークリー、他(主要相場)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 22ページ 36文字 PDF有 書誌情報]
7日 229.934
前日比 -5.158
(1970年平均=100)
<数表>衆院議員の公開資産――比例代表[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 28ページ 6628文字 PDF有 書誌情報]
氏 名 当選数 所 属 金融 〓 資産 不動産 合 計 その他資産
【北海道】
伊東良孝 (6) 自 1,945 464 2,409 株券400株1銘柄、車1
中村裕之 (5) 自 0 789 789 株券166,661株9銘柄、ゴ2、〓借入1,230
向山淳 (1) 自 1,089 0 1,089 車1
川原田英世 (1) 立 0 247 247 株券700株4銘柄、車1
篠田奈保子 (1) 立 0 428 427 車1
西川将人 (1) 立 0 0 0 車1
臼木秀剛 (1) 国 0 0 0 ―
佐藤英道 (5) 公 0 667 667 車1
【東 北】
江渡聡徳 (9) 自 62 7,433 7,495 株券5,222株7銘柄
御法川信英 (7) 自 0 1,462 1,463 車3、借入2,726
根本拓 (1) 自 1,237 514 1,751 株券1,830株2銘柄、車1、〓借入3,180
福原淳嗣 (1) 自 0 209 208 借入2,000
森下千里 (1) 自 0 0 0 株券2,600株4銘柄
寺田学 (7) 立 0 0 0 車2
馬場雄基 (2) 立 200 0 200 ―
升田世喜男 (2) 立 30 365 395 車1
斎藤裕喜 (1) 立 133 394 526 株券254株4銘柄
菊池大二郎 (1) 国 0 1,151 1,151 借入600
庄子賢一 (2) 公 0 401 401 ―
佐原若子 (1) れ 432 112 544 ゴ2、借入180
【北関東】
佐藤勉 (10) 自 0 3,250 3,250 車2、ゴ3
永岡桂子 (7) 自 200 1,878 2,078 株券300株1銘柄、車3
田所嘉徳 (5) 自 1,883 23,097 24,980 借入3,576
野中厚 (5) 自 6,888 4,505 11,393 株券1,460株3銘柄
国光文乃 (3) 自 881 0 881 ―
五十嵐清 (2) 自 2,343 2,594 4,937 ―
中野英幸 (2) 自 120 604 724 株券10,000株1銘柄
武正公一 (7) 立 27 1,104 1,130 借入125
長谷川嘉一 (2) 立 0 2,138 2,138 車1
市来伴子 (1) 立 400 0 400 ―
竹内千春 (1) 立 0 1,088 1,088 借入4,228
三角創太 (1) 立 128 532 660 ―
高橋英明 (2) 維 0 0 0 株券1,300株2銘柄、ゴ1
岸田光広 (1) 国 0 0 0 株券68株1銘〓柄、車1
輿水恵一 (4) 公 112 846 958 車1、借入2,132
福重隆浩 (2) 公 0 695 695 株券100株1銘柄、車1、〓借入1,008
山口良治 (1) 公 70 872 941 車1、工1、〓借入2,200
高井崇志 (4) れ 0 0 0 ―
塩川鉄也 (9) 共 566 134 700 ―
【南関東】
山際大志郎 (7) 自 7,007 2,444 9,451 株券3,475株4銘柄、〓借入10,445
鈴木馨祐 (6) 自 4,463 140 4,604 ―
中谷真一 (5) 自 300 0 300 ―
星野剛士 (5) 自 0 0 0 ―
三谷英弘 (4) 自 0 1,186 1,186 借入5,343
英利アルフィヤ (2) 自 0 0 0 ―
古川直季 (2) 自 52 795 848 車2
岡島一正 (4) 立 0 1,083 1,083 株券10,800株2銘柄、車1、〓ゴ1、借入2,500
谷田川元 (4) 立 0 799 799 株券1,100株4銘柄、車2
山崎誠 (4) 立 0 286 286 株券50株1銘〓柄、車1、〓借入627
宮川伸 (2) 立 0 876 876 株券110,400株2銘柄、車1
佐々木奈保美 (1) 立 263 0 263 ―
長友克洋 (1) 立 5 102 107 ―
金村龍那 (2) 維 0 0 0 ―
藤巻健太 (2) 維 0 24,135 24,135 ―
岡野純子 (1) 国 240 545 785 株券10,800株4銘柄、借入2,391
西岡義高 (1) 国 0 716 715 借入2,569
深作ヘスス (1) 国 0 0 0 ―
角田秀穂 (3) 公 168 0 168 車2
沼崎満子 (1) 公 300 4,155 4,455 車1、借入2,125
多ケ谷亮 (2) れ 0 0 0 車1
志位和夫 (11) 共 1,610 846 2,456 ―
鈴木敦 (2) 参 0 0 0 車1
【東 京】
伊藤達也 (10) 自 0 869 869 車2
長島昭久 (8) 自 500 1,389 1,888 借入1,891
松本洋平 (6) 自 0 704 704 ―
安藤高夫 (2) 自 8,163 33,249 41,413 株券1,501,356株2銘柄、ゴ1、借入30,982
大空幸星 (1) 自 0 0 0 車1、借入300
鈴木庸介 (2) 立 3,830 0 3,830 株券95,018株2銘柄
阿部祐美子 (1) 立 0 750 750 株券250株2銘柄
有田芳生 (1) 立 0 1,543 1,544 ―
柴田勝之 (1) 立 12 1,672 1,684 株券400株2銘柄、ゴ1
松下玲子 (1) 立 0 0 0 借入4,300
阿部司 (2) 維 742 0 742 ―
猪口幸子 (1) 維 0 4,391 4,391 ―
鳩山紀一郎 (1) 国 2,700 0 2,700 株券93,100株6銘柄、車3
円より子 (1) 国 483 1,602 2,085 株券101,000株2銘柄
森洋介 (1) 国 0 0 0 車1
河西宏一 (2) 公 2,081 1,061 3,142 車1、借入4,197
大森江里子 (1) 公 0 1,942 1,942 借入2,411
櫛渕万里 (3) れ 0 358 358 車1
田村智子 (1) 共 500 143 643 ―
【北陸信越】
井出庸生 (5) 自 0 0 0 車1
斎藤洋明 (5) 自 0 488 488 ―
西田昭二 (3) 自 100 241 341 車2
国定勇人 (2) 自 0 0 0 ―
波多野翼 (1) 立 81 0 81 車1
福田淳太 (1) 立 0 0 0 車1
山登志浩 (1) 立 199 0 199 車1
斉木武志 (3) 維 0 0 0 車2
小竹凱 (1) 国 0 0 0 ―
中川宏昌 (2) 公 0 1,241 1,240 車2、借入4,297
【東 海】
伊藤忠彦 (6) 自 0 8,988 8,989 株券154,674株10銘柄、ゴ1
勝俣孝明 (5) 自 0 284 284 株券1,000株1銘柄
工藤彰三 (5) 自 0 1,756 1,756 借入3,630
長坂康正 (5) 自 0 1,877 1,878 借入362
深沢陽一 (3) 自 40 4,379 4,419 株券140株1銘柄、車2、〓借入9,428
川崎秀人 (2) 自 0 0 0 ―
若山慎司 (1) 自 368 0 368 ―
松田功 (2) 立 0 0 0 株券1,400株3銘柄
大嶽理恵 (1) 立 6 0 6 車2
小山千帆 (1) 立 0 0 0 株券100株1銘柄、車1
鈴木岳幸 (1) 立 120 515 635 株券1,600株3銘柄、車4、〓船1、借入600
福森和歌子 (1) 立 1,006 0 1,006 株券400株1銘柄
真野哲 (1) 立 882 474 1,356 株券2,100株2銘柄
杉本和巳 (5) 維 0 946 946 ―
仙田晃宏 (1) 国 118 3,334 3,452 株券400株3銘柄、借入10,962
中川康洋 (3) 公 0 125 125 ―
西園勝秀 (1) 公 0 1,757 1,757 車1、借入6,824
阪口直人 (3) れ 0 0 0 ―
上村英明 (1) れ 2,432 710 3,142 株券100株1銘柄
本村伸子 (4) 共 0 0 0 ―
竹上裕子 (1) 保 35 173 207 株券300株2銘柄、車2
【近 畿】
石田真敏 (9) 自 479 313 792 株券10,000株3銘柄
大岡敏孝 (5) 自 0 488 488 車2、借入2,246
大串正樹 (5) 自 0 0 0 車1
小林茂樹 (4) 自 160 279 439 ―
小寺裕雄 (3) 自 0 4,115 4,115 車2
島田智明 (1) 自 0 1,519 1,520 車1
森山浩行 (4) 立 0 527 527 借入1,000
尾辻かな子 (2) 立 92 0 92 車1
岡田悟 (1) 立 335 0 335 ―
橋本慧悟 (1) 立 117 826 943 株券1,403株8銘柄、車1、〓借入3,057
市村浩一郎 (5) 維 0 1,636 1,635 株券100株1銘柄、車1
三木圭恵 (3) 維 0 0 0 株券21,700株12銘柄、車2
池畑浩太朗 (2) 維 0 0 0 車1
林佑美 (2) 維 0 0 0 株券800株8銘柄
和田有一朗 (2) 維 0 575 575 株券100株1銘柄
阿部圭史 (1) 維 922 0 922 株券41株3銘柄
徳安淳子 (1) 維 0 172 172 ―
向山好一 (2) 国 300 1,529 1,829 株券4,500株2銘柄、車2
平岩征樹 (1) 国 535 0 535 株券358株5銘柄、車1
竹内譲 (7) 公 0 2,716 2,716 車1
浮島智子 (5) 公 0 192 192 ―
鰐淵洋子 (3) 公 0 0 0 ―
大石晃子 (2) れ 0 342 342 ―
八幡愛 (1) れ 0 0 0 ―
辰巳孝太郎 (1) 共 240 0 240 ―
堀川朗子 (1) 共 0 0 0 借入68
北野裕子 (1) 参 0 2,410 2,410 車1、借入240
島田洋一 (1) 保 2,217 326 2,543 車2
【中 国】
寺田稔 (7) 自 1,673 20,652 22,325 株券183,441株10銘柄、車3、〓借入21,755
新谷正義 (5) 自 500 3,020 3,520 ―
石橋林太郎 (2) 自 0 664 664 借入1,279
平沼正二郎 (2) 自 54 1,013 1,067 株券800株1銘柄
吉田真次 (2) 自 245 0 245 車1
津村啓介 (7) 立 0 104 104 ―
平岡秀夫 (6) 立 7,680 3,514 11,193 株券2,500株3銘柄、借入300
東克哉 (1) 立 0 0 0 借入375
福田玄 (1) 国 0 497 497 車1
平林晃 (2) 公 24 861 885 車1、借入3,846
【四 国】
村上誠一郎 (13) 自 300 6,058 6,359 株券24,000株1銘柄、工2、〓ゴ1、借入777
平井卓也 (9) 自 200 22,730 22,930 株券16,835株6銘柄、ゴ1
瀬戸隆一 (4) 自 105 0 105 車1
高橋永 (1) 立 2,094 5,614 7,709 株券300株1銘柄、借入2,572
石井智恵 (1) 国 0 0 0 ―
山崎正恭 (2) 公 0 458 458 車1、借入87
【九 州】
阿部俊子 (7) 自 10,058 2,268 12,326 車1
岩田和親 (5) 自 0 4,212 4,212 車2、借入4,000
鬼木誠 (5) 自 679 616 1,295 ―
国場幸之助 (5) 自 761 458 1,219 株券610株1銘柄、借入501
宮崎政久 (5) 自 457 1,121 1,578 株券700株2銘柄、車1、ゴ5、借入910
古川康 (4) 自 250 0 250 車1
宮路拓馬 (4) 自 0 0 0 車2
吉川元 (5) 立 300 155 455 車1、借入1,499
山田勝彦 (3) 立 0 862 862 借入4,020
屋良朝博 (3) 立 0 7,833 7,833 車1、借入8,978
堤かなめ (2) 立 0 6,055 6,055 ―
阿部弘樹 (2) 維 3,455 4,001 7,456 借入3,302
長友慎治 (2) 国 0 0 0 ―
許斐亮太郎 (1) 国 0 3,667 3,667 車1、借入6,500
浜地雅一 (5) 公 1,121 1,442 2,563 借入2,600
吉田宣弘 (4) 公 0 0 0 ―
金城泰邦 (2) 公 85 915 1,001 借入2,331
山川仁 (1) れ 0 0 0 借入381
田村貴昭 (4) 共 0 0 0 株券2,320株3銘柄
吉川里奈 (1) 参 0 0 0 ―
<数表>衆院議員の公開資産――小選挙区(2)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 28ページ 4733文字 PDF有 書誌情報]
氏 名 当選数 所 属 金融 〓 資産 不動産 合 計 その他資産
【滋 賀】
(1) 斎藤アレックス (2) 維 355 0 355 ―
(2) 上野賢一郎 (6) 自 1,761 0 1,761 ―
(3) 武村展英 (5) 自 0 0 0 ―
【京 都】
(1) 勝目康 (2) 自 18 0 18 ―
(2) 前原誠司 (11) 維 0 3,818 3,818 車2、借入2,450
(3) 泉健太 (9) 立 0 596 596 ―
(4) 北神圭朗 (5) 無 0 0 0 ―
(5) 本田太郎 (3) 自 0 8,326 8,326 株券1,200株2銘柄、〓借入16,995
(6) 山井和則 (9) 立 0 0 0 ―
【大 阪】
(1) 井上英孝 (5) 維 0 0 0 車1、ゴ1
(2) 守島正 (2) 維 73 0 73 株券100株1銘柄
(3) 東徹 (1) 維 0 2,382 2,382 借入1,129
(4) 美延映夫 (3) 維 1,206 5,719 6,925 借入3,002
(5) 梅村聡 (1) 維 60 1,869 1,929 株券1,100株2銘柄、車1、〓借入2,569
(6) 西田薫 (1) 維 0 472 472 ―
(7) 奥下剛光 (2) 維 0 18 18 ―
(8) 漆間譲司 (2) 維 0 1,189 1,189 車1
(9) 萩原佳 (1) 維 796 2,308 3,104 株券33,275株37銘柄、車1、〓借入2,822
(10) 池下卓 (2) 維 2,466 568 3,034 借入1,601
(11) 中司宏 (2) 維 0 1,908 1,908 株券100株1銘柄、借入2,857
(12) 藤田文武 (3) 維 162 1,142 1,304 車2、借入3,668
(13) 岩谷良平 (2) 維 135 899 1,035 車1、借入4,034
(14) 青柳仁士 (2) 維 305 436 741 株券1,100株2銘柄
(15) 浦野靖人 (5) 維 0 1,404 1,404 株券1,100株6銘柄、借入6,684
(16) 黒田征樹 (1) 維 0 0 0 ゴ1
(17) 馬場伸幸 (5) 維 0 783 783 車1、ゴ1
(18) 遠藤敬 (5) 維 400 560 959 車1
(19) 伊東信久 (4) 維 1,000 0 1,000 借入295
【兵 庫】
(1) 井坂信彦 (4) 立 0 0 0 借入1,000
(2) 赤羽一嘉 (10) 公 0 0 0 株券8,800株1銘柄、車1
(3) 関芳弘 (6) 自 0 0 0 ―
(4) 藤井比早之 (5) 自 0 0 0 ―
(5) 谷公一 (8) 自 502 1,449 1,951 車3
(6) 桜井周 (3) 立 0 0 0 車2
(7) 山田賢司 (5) 自 867 822 1,689 車1、借入841
(8) 中野洋昌 (5) 公 0 894 894 借入2,045
(9) 西村康稔 (8) 自 2,491 563 3,054 車1
(10) 渡海紀三朗 (11) 自 0 1,158 1,159 ゴ2
(11) 松本剛明 (9) 自 99 360 460 株券2,308株5銘柄、車1、〓借入400
(12) 山口壮 (8) 自 0 676 676 ゴ1、借入3,009
【奈 良】
(1) 馬淵澄夫 (8) 立 0 1,335 1,335 借入565
(2) 高市早苗 (10) 自 0 1,110 1,110 車1
(3) 田野瀬太道 (5) 自 0 1,227 1,227 車1、借入1,490
【和歌山】
(1) 山本大地 (1) 自 0 0 0 ―
(2) 世耕弘成 (1) 無 973 3,582 4,555 株券14,500株3銘柄
【鳥 取】
(1) 石破茂 (13) 自 0 1,556 1,555 株券23,925株7銘柄、車1
(2) 赤沢亮正 (7) 自 187 1,883 2,070 株券116,236株5銘柄、車1
【島 根】
(1) 亀井亜紀子 (3) 立 330 1,713 2,043 株券1,900株3銘柄、車1、〓借入1,400
(2) 高見康裕 (2) 自 0 0 0 ―
【岡 山】
(1) 逢沢一郎 (13) 自 8,800 51,303 60,103 株券2,770,929株2銘柄、車2、ゴ1、〓借入65,561
(2) 山下貴司 (5) 自 0 2,789 2,789 株券100株1銘柄、車1、〓借入7,393
(3) 加藤勝信 (8) 自 15,099 2,767 17,866 株券22,000株9銘柄、ゴ1
(4) 柚木道義 (7) 立 54 663 717 ―
【広 島】
(1) 岸田文雄 (11) 自 1,000 3,932 4,931 ―
(2) 平口洋 (6) 自 0 0 0 ―
(3) 斉藤鉄夫 (11) 公 19,046 2,998 22,044 株券24,625株22銘柄、車1
(4) 空本誠喜 (3) 維 0 1,864 1,865 車3、ゴ1、〓借入1,379
(5) 佐藤公治 (5) 立 0 4,423 4,423 ―
(6) 小林史明 (5) 自 560 0 560 ―
【山 口】
(1) 高村正大 (3) 自 25 1,149 1,174 株券3,800株2銘柄、ゴ1
(2) 岸信千世 (2) 自 348 0 348 株券1,100株6銘柄
(3) 林芳正 (2) 自 500 10,965 11,465 株券172,799株6銘柄、車1、〓ゴ3
【徳 島】
(1) 仁木博文 (3) 自 0 2,348 2,347 借入7,293
(2) 山口俊一 (12) 自 846 1,825 2,671 株券2,673株1銘柄、車2、ゴ1
【香 川】
(1) 小川淳也 (7) 立 475 0 475 株券400株1銘柄
(2) 玉木雄一郎 (6) 国 0 0 0 株券10株1銘柄
(3) 大野敬太郎 (5) 自 44 3,710 3,754 株券1,200株3銘柄、車1
【愛 媛】
(1) 塩崎彰久 (2) 自 32,476 1,313 33,789 株券2,640株4銘柄
(2) 白石洋一 (4) 立 0 807 807 車2、借入389
(3) 長谷川淳二 (2) 自 0 780 781 借入1,087
【高 知】
(1) 中谷元 (12) 自 0 886 886 株券1,381株2銘柄、車1
(2) 尾崎正直 (2) 自 0 1,282 1,282 ―
【福 岡】
(1) 井上貴博 (5) 自 451 578 1,029 ゴ2、借入428
(2) 稲富修二 (4) 立 0 1,196 1,195 ―
(3) 古賀篤 (5) 自 0 0 0 ―
(4) 宮内秀樹 (5) 自 0 930 930 株券2,000株2銘柄、車1、ゴ1
(5) 栗原渉 (1) 自 0 1,509 1,509 借入2,295
(6) 鳩山二郎 (4) 自 0 851 851 株券550,560株2銘柄
(7) 藤丸敏 (5) 自 0 2,952 2,952 株券1,000株1銘柄、車1、〓工2、借入3,316
(8) 麻生太郎 (15) 自 100 60,053 60,153 株券214,137株9銘柄、車2、〓ゴ4
(9) 緒方林太郎 (4) 無 100 226 326 株券300株1銘柄、車1、〓借入893
(10) 城井崇 (5) 立 192 545 737 借入1,284
(11) 村上智信 (1) 維 50 95 145 ―
【佐 賀】
(1) 原口一博 (10) 立 0 3,205 3,205 ―
(2) 大串博志 (7) 立 0 233 233 車1
【長 崎】
(1) 西岡秀子 (3) 国 0 627 627 株券200株1銘柄、車1
(2) 加藤竜祥 (2) 自 0 0 0 ―
(3) 金子容三 (2) 自 0 0 0 株券19,000株1銘柄、車1
【熊 本】
(1) 木原稔 (6) 自 0 1,458 1,457 借入2,359
(2) 西野太亮 (2) 自 200 1,768 1,968 車1、借入248
(3) 坂本哲志 (8) 自 3,840 1,272 5,112 車1
(4) 金子恭之 (9) 自 0 807 808 株券2,000株1銘柄、車1、〓借入1,940
【大 分】
(1) 吉良州司 (7) 無 2,270 1,885 4,155 車1
(2) 広瀬建 (1) 自 0 0 0 ―
(3) 岩屋毅 (10) 自 0 1,152 1,152 借入1,373
【宮 崎】
(1) 渡辺創 (2) 立 0 647 647 借入1,614
(2) 江藤拓 (8) 自 0 6,752 6,753 株券6,233株6銘柄、ゴ1
(3) 古川禎久 (8) 自 0 1,355 1,354 車2
【鹿児島】
(1) 川内博史 (8) 立 0 0 0 車2
(2) 三反園訓 (2) 自 0 4,193 4,193 株券1,400株1銘柄
(3) 野間健 (4) 立 0 0 0 借入2,380
(4) 森山裕 (8) 自 899 7,238 8,136 株券1,166,800株2銘柄、工4、ゴ1
【沖 縄】
(1) 赤嶺政賢 (9) 共 292 1,200 1,492 車1
(2) 新垣邦男 (2) 社 0 5,383 5,383 車1、借入3,000
(3) 島尻安伊子 (2) 自 0 0 0 車1
(4) 西銘恒三郎 (7) 自 6,060 0 6,060 ―
<数表>衆院議員の公開資産――小選挙区(1)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 29ページ 8222文字 PDF有 書誌情報]
氏 名 当選数 所 属 金融 〓 資産 不動産 合 計 その他資産
【北海道】
(1) 道下大樹 (3) 立 658 1,202 1,861 車2、借入44
(2) 松木謙公 (7) 立 2,990 1,363 4,353 株券137,243株4銘柄、車2、〓借入8,250
(3) 荒井優 (2) 立 0 1,402 1,402 借入4,000
(4) 大築紅葉 (2) 立 120 0 120 株券800株1銘柄
(5) 池田真紀 (2) 立 0 4,242 4,242 ―
(6) 東国幹 (2) 自 0 543 543 車3、借入8,728
(7) 鈴木貴子 (5) 自 0 3,418 3,418 ―
(8) 逢坂誠二 (6) 立 641 408 1,049 ―
(9) 山岡達丸 (4) 立 200 0 200 車1
(10) 神谷裕 (3) 立 0 0 0 株券800株3銘柄、車1
(11) 石川香織 (3) 立 0 0 0 ―
(12) 武部新 (5) 自 0 1,935 1,935 ゴ1、借入5,990
【青 森】
(1) 津島淳 (5) 自 15,020 1,751 16,771 株券27,739株5銘柄、車1
(2) 神田潤一 (2) 自 1,600 533 2,133 株券11,872株1銘柄、車1、〓借入2,000
(3) 岡田華子 (1) 立 0 643 643 ―
【岩 手】
(1) 階猛 (7) 立 160 148 307 ―
(2) 鈴木俊一 (11) 自 756 5,877 6,633 ゴ4、借入2,724
(3) 小沢一郎 (19) 立 0 32,464 32,464 株券16,320株1銘柄、ゴ3
【宮 城】
(1) 岡本章子 (3) 立 30 422 452 株券7,515株9銘柄
(2) 鎌田さゆり (4) 立 0 0 0 車1
(3) 柳沢剛 (1) 立 0 1,986 1,986 ―
(4) 安住淳 (10) 立 0 3,160 3,160 ゴ2
(5) 小野寺五典 (9) 自 0 1,451 1,451 車2
【秋 田】
(1) 冨樫博之 (5) 自 293 745 1,039 車1、ゴ1
(2) 緑川貴士 (3) 立 0 0 0 車1
(3) 村岡敏英 (3) 国 4,500 1,920 6,420 ゴ2
【山 形】
(1) 遠藤利明 (10) 自 1,987 784 2,771 株券205株2銘柄、ゴ1、〓借入189
(2) 鈴木憲和 (5) 自 0 4,410 4,409 車1、借入5,211
(3) 加藤鮎子 (4) 自 0 0 0 ―
【福 島】
(1) 金子恵美 (4) 立 0 12 11 車1
(2) 玄葉光一郎 (11) 立 2,100 0 2,100 ゴ1、借入6,300
(3) 小熊慎司 (5) 立 0 323 323 株券100株1銘柄
(4) 坂本竜太郎 (1) 自 0 0 0 ―
【茨 城】
(1) 福島伸享 (4) 無 0 0 0 車1
(2) 額賀福志郎 (14) 自 0 3,121 3,121 ―
(3) 葉梨康弘 (7) 自 214 893 1,107 株券175,074株17銘柄
(4) 梶山弘志 (9) 自 701 477 1,178 ゴ1
(5) 浅野哲 (3) 国 179 827 1,006 車1、借入2,239
(6) 青山大人 (3) 立 0 1,586 1,587 車1
(7) 中村勇太 (1) 無 0 0 0 ―
【栃 木】
(1) 船田元 (14) 自 501 14,269 14,770 株券473株5銘柄、車3、ゴ2
(2) 福田昭夫 (7) 立 7 1,191 1,198 株券1,300株4銘柄、車1
(3) 簗和生 (5) 自 0 629 628 ―
(4) 藤岡隆雄 (2) 立 0 413 413 ―
(5) 茂木敏充 (11) 自 9,549 1,502 11,051 株券365,800株5銘柄
【群 馬】
(1) 中曽根康隆 (3) 自 5,549 251 5,800 株券2,090株3銘柄、ゴ1
(2) 井野俊郎 (5) 自 240 1,570 1,809 車3、借入868
(3) 笹川博義 (5) 自 0 1,422 1,423 株券31,780株2銘柄、車2、ゴ1
(4) 福田達夫 (5) 自 0 938 938 借入499
(5) 小渕優子 (9) 自 90 1,152 1,242 株券1,000株1銘柄、工2、ゴ1
【埼 玉】
(1) 村井英樹 (5) 自 380 0 380 車1
(2) 新藤義孝 (9) 自 2,040 28,967 31,008 株券10,000株1銘柄
(3) 黄川田仁志 (5) 自 0 0 0 借入19
(4) 穂坂泰 (3) 自 1,090 1,876 2,965 借入4,566
(5) 枝野幸男 (11) 立 132 0 132 車3
(6) 大島敦 (9) 立 0 236 236 ―
(7) 小宮山泰子 (8) 立 100 4,375 4,475 車1、借入1,561
(8) 柴山昌彦 (8) 自 2,068 0 2,068 車1
(9) 杉村慎治 (1) 立 0 951 951 ―
(10) 坂本祐之輔 (4) 立 263 2,784 3,047 株券15株1銘〓柄、車1、ゴ2
(11) 小泉龍司 (8) 自 0 1,489 1,489 株券4,900株7銘柄
(12) 森田俊和 (3) 立 120 991 1,111 借入3,055
(13) 橋本幹彦 (1) 国 0 0 0 ―
(14) 鈴木義弘 (4) 国 6,288 2,554 8,841 株券6,703株7銘柄
(15) 田中良生 (6) 自 51 44,411 44,462 株券800株1銘柄
(16) 土屋品子 (9) 自 1,914 6,252 8,166 株券45,381株3銘柄、車1、ゴ2
【千 葉】
(1) 田嶋要 (8) 立 400 872 1,272 株券9,000株3銘柄、車1
(2) 小林鷹之 (5) 自 0 859 859 車1
(3) 松野博一 (9) 自 1,500 1,234 2,734 車2、借入237
(4) 水沼秀幸 (1) 立 0 0 0 株券2,400株1銘柄
(5) 矢崎堅太郎 (1) 立 38 910 948 株券100株1銘柄、車1、〓借入2,533
(6) 安藤淳子 (1) 立 0 0 0 ―
(7) 斎藤健 (6) 自 0 189 189 車1
(8) 本庄知史 (2) 立 0 9 9 ―
(9) 奥野総一郎 (6) 立 0 355 355 車1、借入2,200
(10) 小池正昭 (1) 自 55 1,332 1,387 ―
(11) 森英介 (12) 自 0 2,688 2,688 株券200株1銘柄、借入763
(12) 浜田靖一 (11) 自 200 5,841 6,041 車3、借入1,480
(13) 松本尚 (2) 自 0 552 551 車2、借入872
(14) 野田佳彦 (10) 立 300 2,025 2,325 借入666
【神奈川】
(1) 篠原豪 (4) 立 0 297 296 借入755
(2) 菅義偉 (10) 自 4,427 1,894 6,320 ゴ1
(3) 中西健治 (2) 自 1,271 15,299 16,570 株券213,850株6銘柄、車2、ゴ2、借入19,711
(4) 早稲田夕季 (3) 立 833 1,359 2,192 車1
(5) 坂井学 (6) 自 0 1,294 1,294 株券22,530株8銘柄、借入724
(6) 青柳陽一郎 (5) 立 984 3,074 4,058 車2、借入2,872
(7) 中谷一馬 (3) 立 0 0 0 車1
(8) 江田憲司 (8) 立 0 852 851 ―
(9) 笠浩史 (8) 立 0 483 484 ―
(10) 田中和徳 (10) 自 5,507 905 6,412 ―
(11) 小泉進次郎 (6) 自 0 0 0 ―
(12) 阿部知子 (9) 立 1,000 922 1,923 ―
(13) 太栄志 (2) 立 0 0 0 ―
(14) 赤間二郎 (6) 自 500 647 1,148 車1
(15) 河野太郎 (10) 自 16,956 0 16,956 株券22,625株10銘柄
(16) 後藤祐一 (6) 立 98 942 1,041 株券10株1銘〓柄、借入917
(17) 牧島かれん (5) 自 0 0 0 ―
(18) 宗野創 (1) 立 0 0 0 ―
(19) 草間剛 (1) 自 0 1,054 1,055 借入4,461
(20) 大塚小百合 (1) 立 0 2,882 2,882 借入9,533
【山 梨】
(1) 中島克仁 (5) 立 0 1,677 1,677 借入1,415
(2) 堀内詔子 (5) 自 0 410 410 ―
【東 京】
(1) 海江田万里 (9) 立 1,826 4,118 5,944 株券6,141株5銘柄、車2、工3
(2) 辻清人 (5) 自 0 457 457 借入4,848
(3) 石原宏高 (6) 自 0 58 58 株券2,100株3銘柄、車1
(4) 平将明 (7) 自 1,000 0 1,000 車1、ゴ1
(5) 手塚仁雄 (6) 立 1,200 5,939 7,139 ―
(6) 落合貴之 (4) 立 0 0 0 車2
(7) 松尾明弘 (2) 立 0 3,387 3,387 株券1,700株9銘柄、車1、ゴ1
(8) 吉田晴美 (2) 立 0 0 0 車1
(9) 山岸一生 (2) 立 227 0 227 ―
(10) 鈴木隼人 (4) 自 31 0 31 ―
(11) 阿久津幸彦 (5) 立 0 0 0 ―
(12) 高木啓 (3) 自 734 0 734 車2
(13) 土田慎 (2) 自 30 0 30 車1
(14) 松島みどり (8) 自 3,300 992 4,292 車1
(15) 酒井菜摘 (2) 立 0 0 0 ―
(16) 大西洋平 (1) 自 1,465 1,023 2,489 車1、ゴ2、〓借入3,760
(17) 平沢勝栄 (10) 自 0 2,018 2,017 ―
(18) 福田かおる (1) 自 0 0 0 ―
(19) 末松義規 (8) 立 0 0 0 ―
(20) 木原誠二 (6) 自 646 537 1,183 株券1,020株7銘柄、借入991
(21) 大河原雅子 (3) 立 14 1,243 1,257 ―
(22) 山花郁夫 (5) 立 0 1,090 1,090 車1
(23) 伊藤俊輔 (3) 立 0 5,779 5,779 借入12,525
(24) 萩生田光一 (7) 自 326 1,587 1,913 車2、借入1,113
(25) 井上信治 (8) 自 0 7,492 7,493 株券133,800株12銘柄、車2
(26) 松原仁 (9) 無 0 2,338 2,337 借入132
(27) 長妻昭 (9) 立 885 0 885 ―
(28) 高松智之 (1) 立 20 697 717 株券2,188株4銘柄、借入2,091
(29) 岡本三成 (5) 公 4 5,790 5,794 株券3,000株1銘柄、車2、〓借入23,281
(30) 五十嵐衣里 (1) 立 0 0 0 車1、借入200
【新 潟】
(1) 西村智奈美 (7) 立 400 641 1,041 ―
(2) 菊田真紀子 (8) 立 0 1,424 1,424 ―
(3) 黒岩宇洋 (4) 立 0 838 838 ―
(4) 米山隆一 (2) 立 0 0 0 借入320
(5) 梅谷守 (2) 立 555 0 555 株券100株1銘柄、車1
【富 山】
(1) 田畑裕明 (5) 自 451 1,583 2,035 株券3,100株6銘柄、車1、〓借入7,500
(2) 上田英俊 (2) 自 0 0 0 車1、工1
(3) 橘慶一郎 (6) 自 463 3,850 4,313 株券303,483株14銘柄、車1、〓借入31,040
【石 川】
(1) 小森卓郎 (2) 自 238 0 238 車1
(2) 佐々木紀 (5) 自 280 243 523 株券255株1銘柄、借入621
(3) 近藤和也 (4) 立 0 0 0 株券3,200株4銘柄
【福 井】
(1) 稲田朋美 (7) 自 23 8,641 8,664 車1、〓借入10,789
(2) 辻英之 (1) 立 100 366 466 車2
【長 野】
(1) 篠原孝 (8) 立 940 1,093 2,033 車1
(2) 下条みつ (6) 立 200 4,482 4,682 株券5,813株4銘柄、借入1,538
(3) 神津健 (2) 立 0 0 0 ―
(4) 後藤茂之 (8) 自 0 2,460 2,461 株券22,700株4銘柄、車2、ゴ3
(5) 宮下一郎 (7) 自 1,082 3,223 4,304 株券60株1銘〓柄、車2
【岐 阜】
(1) 野田聖子 (11) 自 4,158 3,953 8,111 株券80,534株8銘柄、ゴ1
(2) 棚橋泰文 (10) 自 0 961 961 車1
(3) 武藤容治 (6) 自 0 567 567 株券12,400株4銘柄、車1、〓借入834
(4) 今井雅人 (5) 立 0 372 372 ―
(5) 古屋圭司 (12) 自 610 5,018 5,628 工3、ゴ2、〓借入1,150
【静 岡】
(1) 上川陽子 (8) 自 692 355 1,047 ―
(2) 井林辰憲 (5) 自 99 586 685 車1
(3) 小山展弘 (4) 立 530 0 530 ―
(4) 田中健 (2) 国 0 425 424 車1、借入1,831
(5) 細野豪志 (9) 自 631 350 981 車1
(6) 渡辺周 (10) 立 15 171 187 車2
(7) 城内実 (7) 自 450 4,859 5,310 車4
(8) 源馬謙太郎 (3) 立 0 0 0 ―
【愛 知】
(1) 河村たかし (6) 保 0 0 0 ―
(2) 古川元久 (10) 国 2,901 630 3,530 株券5,000株1銘柄
(3) 近藤昭一 (10) 立 960 1,722 2,682 株券5,000株1銘柄、車2、〓借入1,801
(4) 牧義夫 (8) 立 0 685 685 株券200株1銘柄、車1
(5) 西川厚志 (1) 立 0 0 0 株券100株1銘柄
(6) 丹羽秀樹 (7) 自 0 2,390 2,390 借入8,695
(7) 日野紗里亜 (1) 国 0 140 140 ―
(8) 伴野豊 (7) 立 0 528 528 ―
(9) 岡本充功 (6) 立 3,411 1,313 4,723 株券63,400株31銘柄、車5
(10) 藤原規真 (1) 立 300 0 300 車1
(11) 丹野みどり (1) 国 500 1,197 1,696 ―
(12) 重徳和彦 (5) 立 0 1,487 1,487 車1、借入6,758
(13) 大西健介 (6) 立 0 930 930 株券10,000株1銘柄、車1
(14) 今枝宗一郎 (5) 自 100 0 100 ―
(15) 根本幸典 (5) 自 0 277 276 株券100株1銘柄、借入2,287
(16) 福田徹 (1) 国 2,618 0 2,618 車1
【三 重】
(1) 田村憲久 (10) 自 74 3,430 3,505 株券410,000株1銘柄
(2) 下野幸助 (1) 立 0 0 0 車1、借入2,930
(3) 岡田克也 (12) 立 0 9,891 9,891 株券123,000株1銘柄、車1、〓ゴ1
(4) 鈴木英敬 (2) 自 0 0 0 車1
国会議員資産公開法に基づき、2024年10月の衆院選で当選した衆院議員465人が任期開始日(10月27日)時点の資産を衆院議長に報告、衆院が7日に公開した。
左から丸数字は選挙区(比例代表はなし)、氏名(敬称略)、当選回数、所属政党。続く数字は金融資産、不動産、合計の額。
その他資産は、株券=保有する株式数と銘柄数、車=自動車の台数、船=船舶の隻数、工=美術工芸品の点数、ゴ=ゴルフ会員権の口数、借入=借入金額。
金融資産は定期預貯金や有価証券(株式を除く)などの総額で、有価証券は額面金額。不動産は固定資産税の課税標準額。資産は項目ごとに四捨五入するため、金融資産と不動産を足した額が合計と合わない場合がある。
比例代表の議員は政党の衆院勢力順、同数の場合は参院勢力順に並べ、同じ政党内は当選回数順、当選回数が同じ場合は五十音順にした。
政党の略称は自=自民党、立=立憲民主党、維=日本維新の会、国=国民民主党、公=公明党、れ=れいわ新選組、共=共産党、参=参政党、保=日本保守党、社=社民党、無=無所属。
額賀福志郎議長は自民党、玄葉光一郎副議長は立民に含めた。
「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」特集 唐物と出会った禅宗文化 墨跡が語る歴史の調べ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 34ページ 2180文字 書誌情報]
禅宗の名刹、相国寺(京都市)の境内にある相国寺承天閣美術館の開館40周年を記念する展覧会「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」が東京・上野の東京芸術大学大学美術館で催されている。室町時代の創建から国内外の逸品を収集、継承し、多彩な作家と豊かな文化を生み出してきた相国寺の歩みを数々の名品を通してたどる。
室町時代の画僧、如拙や周文。水墨画の大家、雪舟。江戸時代の狩野探幽や円山応挙、そして奇想の画家、伊藤若冲。相国寺の歴史に沿い5章で構成する展覧会場には著名な巨匠たちの作品が並ぶ。出展総数は156件。うち国宝は2件、重要文化財は41件に上る。
企画に参加した同館の古田亮教授(日本美術史)は「『物語』を展示のキーワードとして打ち出した。その品がなぜ描かれ、相国寺にあるのか。作品ひとつひとつに物語がある」と語る。
京都御所の北に約13万平方メートルの寺域を構える相国寺は鹿苑寺(金閣寺)や慈照寺(銀閣寺)を擁する臨済宗相国寺派の大本山だ。室町幕府3代将軍、足利義満が1382年に発願し、夢窓疎石により開創された。
寺院は一般的に信仰の対象となる仏像や仏画、経典、法具あるいは堂宇を荘厳する天井画や障壁画といった、いわゆる仏教美術品を寺宝としている。法脈の継承が大切な意味を持つ禅宗寺院の場合、宗派の高僧らの面影やその言葉を記した書画や墨跡が尊ばれる。
相国寺ではさらに中国画など唐物と呼ばれる舶来品や、名だたる大家の手による数々の作品を守り伝える。特徴ある収蔵品群は同寺が今に至る道程を示す。
相国寺の塔頭(たっちゅう)、鹿苑寺はもとは義満の山荘「北山殿」、慈照寺は8代将軍義政の山荘「東山殿」として造営され、社交の場「会所」だった。政治的な会合に加えて連歌、茶、花、香などの催しが頻繁に開かれた。来客を出迎えたのが当時の日本人の憧れであり、足利将軍も愛好した唐物だ。人と文化が交流する華やかな場となり、将軍の権威を象徴する役割も果たした。
相国寺の僧たちは幕府の外交、文化施策にも関わり、大陸の情報や文化に接し、如拙や周文、雪舟を輩出した。古田教授は「詩画一体の境地を表す詩画軸のように複数で共作する制作方法も成立した。日本美術史上、極めて大きな意味を持つ」と指摘する。「相国寺文化圏」。将軍の唐物趣味と禅宗文化が出会い、生まれた文化の渦をこう呼ぶ。
文化圏は江戸時代にも引き継がれ、慈照寺では書画展覧会が催された。目を引くのは寺宝にとどまらず個人所有の品まで広く名品を集めて展示したことだ。「供養や什物(じゅうもつ)の虫干しではなく、書画や骨董への関心の高まりに応えてミュージアム的な役割を果たした。室町時代から美を愛(め)で、共有する場であった相国寺には自然なことだった」と古田教授は説明する。
この時期、若冲を見いだし支援したのが相国寺の住職、梅荘(大典)顕常だった。「寺の権威に頼らず人脈を形成し、個性的な画家たちの出会いと活躍の場を設けた」と古田教授。ここにもひとつの物語がある。
相国寺には後水尾天皇から寄進された品を筆頭に、近世以降に受容した文物も数多い。これらを含め同寺や塔頭寺院が所蔵する文化財を保存し展示するため1984年、境内に設立されたのが承天閣美術館だ。
悉皆(しっかい)的な調査に基づいてデータベース化し宝物管理システムを構築。2004年に閉館した旧萬野美術館のコレクションを受容するなど収集活動も続く。古田教授は、一般の寺のような「宝物館」「霊宝館」ではなく「美術館」を名乗る点に注目する。「寺宝管理だけではなく、学芸的な使命を強く認識している表れだ」
同館を創設した臨済宗相国寺派の有馬頼底管長(相国寺住職)は開館40周年にあたってこんな言葉を寄せた。「『文化財は埃(ほこり)をかぶってはいけない』これが私の文化財への思いの原点とも言える」。多くの目に触れ愛でられることで宝物は磨かれ輝きを増す。文化と美を育み、承継する精神は未来へと向かう。
(編集委員 竹内義治)
相国寺承天閣美術館開館40周年記念
「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」開催概要
会場 東京芸術大学大学美術館(東京都台東区上野公園12―8)
会期 2025年3月29日(土)~5月25日(日)
休館日 月曜日(ただし5月5日は開館)、5月7日(水)
主催 東京芸術大学、大本山相国寺、NHK、NHKプロモーショ ン、日本経済新聞社、東京新聞
協賛 ライブアートブックス
特別協力 鹿苑寺、慈照寺
協力 京都仏教会
助成 芸大フレンズ賛助金
※会期中、一部展示替えをします。前期3月29日(土)~4月27日(日)、後期4月29日(火、祝)~5月25日(日)
【図・写真】竹虎図(部分) 伊藤若冲筆、梅荘顕常賛 江戸時代(18世紀) 鹿苑寺蔵
【図・写真】重要文化財 毘沙門天像 雪舟筆 室町時代(15世紀)相国寺蔵 ※後期展示
【図・写真】重要文化財 鳳凰石竹図 林良筆 中国・明時代(16世紀) 相国寺蔵 ※前期展示
【図・写真】重要文化財 大瀑布図 円山応挙筆 江戸時代(安永元年・1772年)相国寺蔵 ※後期展示
【図・写真】重要文化財 鹿苑寺大書院障壁画 一之間 葡萄小禽図 伊藤若冲筆 江戸時代(宝暦9年・1759年) 鹿苑寺蔵
組織文化、業績にどう影響 若林直樹・京大教授(エコノミクストレンド)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 31ページ 2802文字 PDF有 書誌情報]
企業における組織文化のありようが、業績に影響するという考え方がある。1990年代に米ハーバード大学のジョン・コッター名誉教授らは強い組織文化を持つ企業が好業績を生むと主張した。近年、経営環境の激変やステークホルダー(利害関係者)からの影響が強まる中、組織文化が業績に与える影響についての再検討が進んでいる。
米スタンフォード大学のチャールズ・オライリー教授らは、組織文化論を確立した米マサチューセッツ工科大学のエドガー・シャイン名誉教授の議論に従い、組織文化へのトップリーダーの影響と組織文化の内容と業績の関連について、米国やアイルランドのハイテク企業を調査分析した。
その結果、組織文化における経営環境への適応性の高さが、企業価値や企業ランキングの高さに影響した。また、結果志向の強さは売り上げの成長と弱い相関がある。一方、経営者の性格は業績に強い影響を見せず、組織文化が独自の影響を持つと再確認できた。
企業の持つ組織文化と業績への影響については、国際比較も進んでいる。スイスのビジネススクールIMDのダニエル・デニソン名誉教授らは、国際比較を目的とした独自のデニソン組織文化調査指標を開発した(図1参照)。従来の組織文化調査指標を整理発展させたものだ。
この指標は大きく4つの主要指標に分かれ、その下に合計12の特性指標を置く。主要指標は(1)社員の参加の度合い(2)共有された文化の一貫性(3)社員の適応力の高さ(4)組織のミッションの明確さ――である。
(1)は下位指標として権限付与、チーム志向がある。(2)には価値の共有、合意などがある。(3)は改革への関わりや顧客志向、組織学習などの傾向を見る。(4)は戦略の方向性や意図、目標、ビジョンの明確さなどを評価する。
デニソン氏らは組織文化が業績に与える影響について、1997~2001年に世界160カ国3万5474社の国際比較を行った。その結果、組織文化における外部志向性と内部志向性が異なる業績成果と関連することが分かった。
戦略やミッションの明確さを重視する文化は売り上げの成長、市場占有率、利益率の高さなど財務面での業績と高く相関していた。他方、社員の参加を重視する文化は組織面に影響し、組織のまとまりと従業員満足度を高め、改善活動の促進と品質改善の傾向につながっていた。さらに適応力を重視する文化は、新製品開発に結びついた。
組織文化が企業業績に影響するメカニズムの理論的検討も進んでいる。英ロンドンビジネススクールのフランシスコ・ブラーム助教授らは、シャイン氏が示した組織文化の持つ外部適応と内部統合のメカニズムの議論を、生物学や文化人類学における進化論を援用しながら発展させた。
まず組織文化は、外部適応の面では、組織内部において、社員が外部との関わりで行う組織行動についての確固とした見解として共有され、使われる。つまり社員は企業の示すミッションや目標を共有し、定めた手段を用いて外部に働きかけ、会社の重視する指標で成果評価をするようになる。ただ、社員はミッション、目標、手段、成果指標が旧弊だと思うと、改革やイノベーション(革新)を進める者も出てくる。
次に組織文化は、内部統合においては、組織内部で社会的結びつきを高める共有の価値観として機能する。つまり、社員は社内で正統な価値、規範、行動を、相互の観察や模倣による社会的学習を通じて習得し、組織として実践する。結果的に組織としての関係や行動でのまとまりを強める。
同時にブラーム氏らは、シミュレーション分析による検討を通じて、組織文化における外部適応と内部統合の関係の意識とバランスを取ることが重要だと指摘する。内部統合だけが過度に進むと、企業が内向きとなり外部環境の変化をうまく認識できず、イノベーションや改革を抑制する悪循環が起きる。だが、トップと社員が外部における市場、技術、社会の変化に対する正確な理解を深める文化を持つと、社内でもイノベーションや改革を実施、展開して、外部適応が改善する面もある。
こうしたことから、組織文化の研究も従来の現状診断から、変化した外部環境への適応と内部統合を同時に進める組織文化の内容や仕組みの検討と構築が研究の焦点となっている。英ケンブリッジ大学のユンジュン・キム准教授らは、環境変化に役立つ新たな組織文化を創り出すための今後の研究は、次のように進めるべきだと提言した。
(1)組織の内部と外部の変化についての組織内で議論できる文化のありようの研究(2)現在の組織文化の持つ有効性の分析(3)現在の環境変化にうまく適合できる新たな組織文化のパターンの検討(4)そうした新たな組織文化の創造の仕方の研究――である。特に、新たな組織文化創造についての研究が進んでおらず、今後の課題となっている。
日本についていえば、企業の組織文化は、集団主義的な傾向が強いとされる。米カリフォルニア大学のジェニファー・チャットマン教授らの研究では、集団主義的な組織文化がもたらす、行動や業績への影響が示された。
1950~2013年までに世界最高峰のエベレストに登頂した5214チームを比較計量分析したところ、集団主義文化の強い国のメンバーが主体のチームは、メンバーの国籍多様化について消極的だった。そのようなチームは、目標達成において、エベレスト登頂という共同目標の達成では成果が高いものの、メンバーの個人的安全を守る点では比較的成果が低かった。集団主義は、集団の目標達成は重視するが、メンバーの安全性は軽視する傾向があったことになる。
米ミシガン大学のキム・キャメロン教授らの競合的価値観フレームワークによれば、日本企業の組織文化は、柔軟性は高いが内部志向的である共同体的な傾向があるとされる。それが、品質の高さや技術の高さにつながってきたといえる。
九州大学の池田浩准教授とユニポスによる意識調査によれば、77%の経営者・社員が自社の企業文化の独自性を認識し、さらに変化に適応するため、改革の重要性を感じているという(図2参照)。ただ、池田准教授らの意識調査でも、ステークホルダーなど外部との関わり、業績優先志向、心理的安全性などを重視する組織文化を持つ企業の社員の方が、業績を上げやすいと感じているという。
経営環境の変化が激しさを増す現在では、成長力や収益力、開発力などの向上については、内部のまとまりと融合を重視する組織文化だけではなく、外部の市場、技術、社会の変化を的確に認知し、イノベーションや改革への取り組みを促進するものへ転換することが求められている。
<ポイント>
○環境激変への適応に企業文化が影響する
○外部志向と内部志向で影響する先が違う
○内部の融合重視だけでなく革新の意識を
4人の筆者が交代で執筆、原則月1回掲載します。
世代間資産移転と格差(9) 納税者の理解と支持が重要 法政大学准教授 濱秋純哉(やさしい経済学)終[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 31ページ 849文字 PDF有 書誌情報]
世代間資産移転への課税では、移転時期の選択に中立的な制度に改める動きが数年前にありました。今後は、再分配機能確保の観点からも、議論を深めていく必要があります。
前回説明したように、国際的な情報交換制度があっても、国をまたぐ資産移動の捕捉は容易ではありません。相続や贈与への課税を廃止した国も少なくありませんが、資産捕捉の難しさが一因と考えられます。
筆者が行った海外の税務当局へのヒアリング調査などに基づけば、納税者の資産捕捉で日本が他国と比べ大きく劣っているとは思えません。相続税や贈与税の徴収徹底には、追加的なリソース(財源や人員)が必要ですが、これらの税に対する納税者の理解と支持がなければ実現しません。
ところが諸外国の研究で、これらの税が十分には理解されていないことが分かってきました。人々は相続税の基礎控除額などを正しく認識しておらず、正しい情報を与えると相続税の存続や税率引き上げへの支持が高まります。換言すると、相続税についての誤った認識により、支持が低下していたことになります。
筆者らがアンケート調査で、2015年に日本で施行された相続税の基礎控除引き下げの評価を尋ねたところ、「よい政策」との回答は15%にとどまりました。引き下げは増税を意味するため、これを嫌った人が多かったようです。
しかし、増税の影響を受ける相続は死亡者の1割未満です。ほとんどの人が再分配を受ける側であるにもかかわらず、肯定的に評価しないのはやや不思議です。富裕層の労働意欲低下や脱税誘発が否定的な意見につながった可能性もありますが、相続税の理解が十分ではないことを示唆する結果といえます。
近年、相続税や贈与税に限らず、広く税・社会保険料に応能負担を求める声が高まっています。その実現には、富裕層の資産や所得の捕捉に関する真剣な議論が欠かせません。税制を通じたより公平な社会の実現を望むなら、一人一人が制度への理解を深め、政策を選択することが重要です。
(次回から「歴史に自然実験を見いだす」を連載)
がん治療、早期発見より制御を 米アーリー共同創設者・CEO サイリアック・ルーディング(私見卓見)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 31ページ 0文字 書誌情報]
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大阪万博、何を見る? 歩く世界旅行で多様性実感[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 33ページ 810文字 PDF有 書誌情報]
4月13日の開幕が迫る大阪・関西万博。個別のパビリオンの内容は明らかになってきたが、来場してどんな経験ができ、何が身につくのか。受け身で見学するだけでなく体験型が多い今回の万博の意義や見どころを、来場者目線で探った。
会場には出会いの種がまかれている。まず「自分との出会い」。大阪ヘルスケア館では計測した身体データから25年後の自分の姿をアバターで見られる。生成AI(人工知能)が作成したデジタルの自分と対話する体験は落合陽一氏によるテーマ館。河瀬直美氏によるテーマ館では面識がない2人が対話を重ねることで、自分の思いに気付く。
「きっかけとの出会い」もある。パナソニック館などでは小型端末を持って館内を探索して発見の面白さに気付く。日本館に展示する「火星の石」は破片を触れる。福岡伸一氏によるテーマ館では生命の進化の歴史が目前に。印象的な場面が子どもたちに自分の将来や未来をのぞかせることだろう。
そして「世界と出会う」。今回は日本開催では過去最高の159カ国・地域(日本含む)が参加し、多様性が隣り合わせになっている。30言語に対応するアプリ「EXPOホンヤク」を使えば、言葉の壁を越えて対話ができる。
会場に散らばる多様な先端技術は実用化の時期を考えながら見ると面白い。会場最寄りの大阪メトロ夢洲駅では顔認証改札が稼働する。会場内を走る電気自動車(EV)バスは特定条件下で無人運転できる「レベル4」や走行中給電の実証実験を兼ねる。
今回の会場は1970年大阪万博の半分の敷地に当時の倍以上の国々が集い、パビリオンのおもちゃ箱のよう。米国館のすぐ先に中国館があるなど意外な配置も楽しめる。歩いて巡る世界旅行から見えてくるものがあるはずだ。
(編集委員 宮内禎一、グラフィックス 渡辺健太郎)
3Graphicsのまとめサイトはこちら(https://www.nikkei.com/theme/?dw=23061500)
(ゴルフ)マスターズ、日本ツアー発の門戸狭まる 10日開幕 世界でポイント配分見直し、ランク後退[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 1328文字 PDF有 書誌情報]
男子ゴルフのメジャー今季初戦、マスターズ・トーナメント(米ジョージア州オーガスタ)が10日に開幕する。「マスターズ・ウイーク」初日の7日は巨大竜巻「トルネード」が近づくなど悪天候に見舞われ、公式練習に観客を入れるかどうか危ぶまれる波乱の幕開けに。6日までに行われた米ツアーの結果で出場者が確定し、日本勢は12年連続14度目となる松山英樹ただ一人となった。
「世界ランク50位以内」の選手を中心にハードルの高い出場資格が設けられ、メジャー大会の中でも少人数で行われる名手の祭典。誉れ高き招待状を受け取った松山は2021年にアジア勢として初のグリーンジャケットを獲得しており、生涯出場資格を保持している。
米ツアー参戦2年目の久常涼は6日まで行われたテキサス・オープンで奮闘及ばず5位。2週前のバルスパー選手権4位に次ぐ今季3度目のトップ10入りだが、マスターズ逆転出場に必要な優勝とまではいかなかった。
22年8月に世界ランクの統括組織が世界全体のツアーを再評価、ポイント配分が見直された。アジア、南アフリカなどと同じグループとみなされ、ポイントが激減した日本ツアーでプレーする選手のランクは大きく後退した。
現在世界100位前後までの日本選手は松山(6位)と久常(88位)、欧州ツアーを主戦場とする中島啓太(104位)で、いずれも日本ツアーを飛び出した選手たちだ。昨年の日本オープン王者、今平周吾は252位、石川遼は253位でやっとリストに登場する。
世界ランクを算出するポイントが変わっていない女子はまったく状況が異なる。日本ツアーで安定して上位の成績を残すことが世界のトップ100入りにつながっているため、ここ数年、海外メジャーに2桁の数の選手が大挙参戦する盛況ぶりを生む要因となっている。
1936年の陳清水、戸田藤一郎の初挑戦以来、日本とはかかわりの深いマスターズ。かつては「日本の賞金王には届く」といわれた時代もあったマスターズの招待状が、日本にとどまっていては到底、手の届かないものになっている。
松山の出場14回目は青木功と並んで日本勢の歴代2位。トップは尾崎将司の19回。けがや故障の欠場がなければ松山は2030年に尾崎将に並び、31年に20回に到達する。
ちなみに今年出場予定の1992年王者フレッド・カプルスは40回、大会3勝のフィル・ミケルソンは32回。アキレス腱(けん)の手術で欠場する大会5勝のタイガー・ウッズ(いずれも米国)は昨年が出場26回目だった。
アジアからは松山のほか、プロでは韓国のトム・キム、任成宰、安秉勲の3人、兪俊安(台湾)が出場する。いずれも米ツアーでプレーする選手ばかり。アマチュアではシンガポールのヒロシ・タイが出場する。シンガポールからは初のマスターズ出場となる。日本人の母を持ち、ジョージア工科大でプレー。昨年のNCAA(全米大学体育協会)選手権を優勝して出場資格を得た。昨年10月のアジア太平洋アマ(太平洋クラブ御殿場)優勝の丁文一(中国)は直後にプロ転向、出場資格を失った。
(米ジョージア州オーガスタ=串田孝義)
【図・写真】松山はグリーンジャケットを獲得しており、生涯出場資格を保持している=共同
五十嵐亮太 大谷翔平の影響力大きく(スポートピア)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 1086文字 PDF有 書誌情報]
日本で6年ぶりに開催された米大リーグの開幕シリーズは大盛況に終わった。とりわけ状態の良さが感じられたのがドジャースの大谷翔平だ。カブスとの第2戦で放った今季1号ソロは、99マイル(約159キロ)の直球を捉えたもの。昨季本塁打にしたボールの最速が100マイル(約161キロ)だったことを考えると、仕上がりはかなり順調に思える。
僕も2月末から米アリゾナを訪れ、春季キャンプの様子を取材した。昨オフに左肩を手術した影響も懸念されたが、しっかりバットを振れていた。表情も昨年に比べて穏やかになり、リラックスしてキャンプを送れている様子だった。
囲み取材では大谷に質問する機会もあった。投手としての復帰を目指す上で「新しい投球スタイルを模索するのか、あるいは過去のいい状態に近づけていくのか」と問うたところ、彼は「93マイルくらいのボールであれば、手術をしなくても投げられたと思う」と答えた。100マイルに近い、ベストのボールを投げたいという気持ちが強いということだろう。
三振を奪いにいくスタイルはそのままに、投球内容は多少変えてくるのではないかと僕はみている。投球練習を見ていると、右肘の手術前に比べてリリースポイントが高くなったと感じた。横に大きく曲がるスイーパーを投げ始めてからは肘の位置が下がっていたため、一つの変化といえる。
以前は多用していなかったツーシームを意識的に投げ込んでいたのも印象的だった。低めのツーシームは落ち幅、曲がり幅ともに大きく、左打者から空振りが取れるようないいボールだった。相手にゴロを打たせることもできるため、球数を抑えられるメリットもある。
今後、ライブBP(実戦形式の投球練習)などもすることを考えると、復帰登板は6月ごろになるだろうか。ただ、ドジャースが大事にしているのは終盤戦の戦い方。主砲のけがだけは避けたいはずで、時期が遅れれば遅れるほど無理に復帰させる必要はなくなるだろう。
開幕シリーズでの戦い方を見ると、ドジャースは少ないチャンスを確実にものにしていた。その中心はやはり大谷。彼が打てば球場の空気が変わり、それに伴ってチームの勢いも増す。ドジャース打線にとって欠かせない存在だということを再認識した。
観客の雰囲気も普段とはどこか違い、野球の試合というより海外アーティストのコンサートを見ているような感があった。大谷をきっかけに球場を訪れた人が野球の楽しさに気づき、次はプロ野球の試合に足を運んでくれるかもしれない。そうしてファンの裾野が広がっていく。改めて、その影響力の大きさを感じる1週間だった。
(元メジャーリーガー)
(大リーグ)大谷、無安打3三振――ドジャース、快進撃が一転 雲行き怪しく[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 409文字 PDF有 書誌情報]
開幕8連勝の快進撃から一転、ドジャースの雲行きが少し怪しくなってきた。先発陣の一角を務めるサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)左腕スネルが左肩の炎症で負傷者リスト(IL)に入り、試合ではシーソーゲームの末に逆転負け。頼みの大谷も3三振と嫌な流れで今季初のカード負け越しを喫し、ナ・リーグ西地区2位に転落した。
難敵フィリーズの先発は昨季のドジャース戦で2勝0敗だった左腕サンチェスだった。大谷は一、三回ともにチェンジアップにバットが空を切ると、五回は速球で3打席連続の空振り三振。1番打者を封じて波に乗ったサンチェスは「プラン通りに攻めようと思った」と胸を張った。
ドジャースは中軸の内野手フリーマンも右足首痛で離脱しており、今後は投打の柱を失いながらの戦いを強いられる。ロバーツ監督は「いい日があっても数日後に苦しむのは、長いシーズンを駆け抜けていく上での一部だ」と渋い表情で現実を受け止めた。
(フィラデルフィア=共同)
(ゴルフ)米男子ゴルフ、久常5位――スコア落とし初優勝逃す「技術足りなかった」[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 392文字 PDF有 書誌情報]
初優勝には手が届かなかった。6打差を追ってスタートした久常は猛チャージで逆転するどころか、74とスコアを落として5位となった。「残念。ちょっと技術が足りなかった」とため息交じりだった。
1番でピンまで残り171ヤードの第2打を、グリーン奥のバンカーに外していきなりボギー。第3ラウンドに続いて強風に苦しみ、ショットの距離感を合わせられなかった。小技を駆使して10番のバーディーで首位との差を詰め、上位で戦える力を示したものの、上がり4ホールで2ボギーをたたいて万事休した。「今週は詰めが甘かった」と嘆いた。
来週のマスターズ・トーナメント出場は逃したが、今週獲得したポイントで2週後のRBCヘリテージに出られることになった。ツアー2年目にして賞金の高い昇格大会に臨むことになり「そこに向けて頑張りたいと思っていた」と笑顔ものぞかせた。
(共同)
【図・写真】上位で戦える力を示した=共同
サウサンプトン、7試合残し降格 菅原が所属[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 338文字 PDF有 書誌情報]
【ハンブルク(ドイツ)=共同】サッカーの海外各リーグは6日、各地で行われ、ドイツ1部でボルシアMGの板倉滉はフル出場したザンクトパウリ戦の前半終了間際にCKを頭で合わせ、先制点とした。今季2点目。試合は1―1で引き分けた。
イングランド・プレミアリーグでサウサンプトンの菅原由勢はトットナム戦で73分からプレーした。チームは1―3で敗れ、7試合を残して来季の2部リーグ降格が決まった。
フランス1部でスタッド・ランスの伊東純也と中村敬斗は0―1で敗れたストラスブール戦にフル出場。関根大輝は69分に退いた。オセールのオナイウ阿道は1―0で勝ったレンヌ戦に72分まで出場した。
スペイン1部でレアル・ソシエダードの久保建英は3―1で快勝したラスパルマス戦に63分から出場した。
オベチキン、最多895ゴール アイスホッケーNHL[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 323文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=共同】北米プロアイスホッケーNHLでキャピタルズのロシア人FWアレクサンドル・オベチキン(39)が6日、ニューヨーク州エルモントでのアイランダーズ戦で通算895ゴール目を挙げ、リーグ歴代最多記録を更新した。894ゴールで並んでいたカナダの英雄ウェイン・グレツキーを抜いた。
「仕事場」と呼ばれる得意の左サイドから一発でたたき込むと、リンク上で仲間が盛大に祝福。表彰式で「成し遂げた。歴史をつくった」とあいさつして歓声を浴びた。
ロシアでプレーした後にドラフト全体1位でキャピタルズに指名され、2005~06年シーズンのNHLデビュー以降、チーム一筋。17~18年シーズンには優勝にも貢献した。通算853ゴールで今季を迎えていた。
(バスケットボール)八村11得点――強豪に27点差 大勝に貢献[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
レーカーズは試合前のミーティングで、プレーオフと同様の集中力で戦うと意思統一し、強豪サンダー戦に臨んだ。八村は点取り屋のギルジャスアレクサンダーらを粘り強く守り、2本の3点シュートなどで11得点。27点差の大勝に貢献し「しっかりやるべきことをできた」と喜んだ。
レギュラーシーズンは残り4試合。混戦の西カンファレンスでプレーオフの第1シードを確定させているサンダーとは8日に敵地で再戦する。八村は「西がすごい激戦で、1試合負ければ大きく順位が変わる。彼らが1位というのは理由があると思うので、次もリラックスしないでやる」と気を引き締めた。
(共同)
プロ野球「魚雷バット」、規則上問題なし 来月にも結論[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
日本野球機構(NPB)とプロ野球12球団による実行委員会が7日、東京都内で行われ、「魚雷」と称される特殊な形状のバットについて、ルール上問題がないことを確認した。NPBの中村勝彦事務局長は「規則委員会から(公認野球規則に)反していないと報告があった」と説明した。
「魚雷バット」は芯の部分が最も太く先端に向けて細くなる形で、米大リーグのヤンキースなどで導入され注目を集めている。早ければ今週末にも規則委員会で再度協議され、来月の実行委員会で正式な使用容認などの結論を出すという。
バットは長さや太さの上限が定められており、日米で規定は変わらない。
(ゴルフ)米男子ゴルフ、久常5位[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 244文字 PDF有 書誌情報]
【サンアントニオ(米テキサス州)=共同】米男子ゴルフのテキサス・オープン最終ラウンドは6日、テキサス州サンアントニオのTPCサンアントニオ(パー72)で行われ、首位と6打差の5位から出た久常涼は3バーディー、5ボギーの74とスコアを落として通算4アンダーの284で5位だった。
10位以内は今季3度目となった。
トップスタートのブライアン・ハーマン(米国)が通算9アンダーで逃げ切り、2023年全英オープン選手権以来のツアー通算4勝目。賞金171万ドル(約2億4800万円)を獲得した。
(大リーグ)強打者のゲレロ、725億円で新契約 ブルージェイズが延長[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 236文字 PDF有 書誌情報]
米大リーグ、ブルージェイズの強打者ゲレロが、14年総額5億ドル(約725億円)で契約延長に合意したと6日、スポーツ専門局ESPNが伝えた。15年総額7億6500万ドルのメッツの外野手ソト、10年総額7億ドルのドジャースの大谷翔平に次ぐ大型契約。後払いは含まれていないという。
米国野球殿堂入りした名選手を父に持つ26歳の内野手ゲレロは、2019年にメジャーデビュー。21年には48本塁打を放ち、当時エンゼルス所属だった大谷を抑えて本塁打王に輝いた。
(ロサンゼルス=共同)
F1のハース、平川を起用へ 控えドライバーに[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 185文字 PDF有 書誌情報]
自動車のF1シリーズに参戦する米レーシングチームのハースは7日、平川亮を控えドライバーとして起用すると発表した。第4戦のバーレーン・グランプリ(GP)などでフリー走行の1回目を任される。平川は「この機会に本当に感謝している。新たな旅が楽しみ」とコメントした。
平川は第3戦、日本GPではアルピーヌの控えドライバーとして、フリー走行の1回目にスポット起用された。
(共同)
(バスケットボール)八村11得点[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 175文字 PDF有 書誌情報]
【オクラホマシティー(米オクラホマ州)=共同】米プロバスケットボールNBAは6日、各地で行われ、レーカーズの八村塁は敵地オクラホマシティーでのサンダー戦に先発し、31分40秒プレーして11得点、7リバウンドだった。チームは126―99で快勝し、48勝目(30敗)を挙げた。
【図・写真】八村は点取り屋のギルジャスアレクサンダーらを粘り強く守った=AP
(大リーグ)大谷、無安打3三振[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 37ページ 157文字 PDF有 書誌情報]
【フィラデルフィア=共同】米大リーグは6日、各地で行われ、ドジャースの大谷はフィラデルフィアでのフィリーズ戦に「1番・指名打者」で出場し、4打数無安打で3三振だった。チームは7―8で敗れた。
カブスの鈴木はパドレス戦に「2番・指名打者」で出場し、3打数無安打だった。チームは7―8で競り負け、連勝が5で止まった。
北朝鮮技術者、日本で報酬 身分偽りIT業務を受注 免許画像提供疑い、日本人2人書類送検[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 1230文字 PDF有 書誌情報]
北朝鮮のIT(情報技術)技術者とみられる人物の身分偽装を手助けしたとして、警視庁公安部は7日、日本人の30代の男2人を私電磁的記録不正作出・同供用ほう助の疑いで書類送検した。北朝鮮のIT技術者による業務請負は国家的な外貨獲得活動の疑いがある。身分を隠し日本国内のIT業務にも潜入している実態の一端が浮かび上がった。
公安部によると、書類送検されたのは大分市の会社員(32)と東京都北区の個人事業主(34)。技術者とは以前から知人関係で、主にSNS上でやりとりしていた。
2人の書類送検容疑は2020年9~10月、北朝鮮のIT技術者に自身の運転免許証の画像データなどを渡し、企業などからIT業務を受注するフリーランス向けの仲介サイトでのアカウント作成を手助けした疑い。
公安部によると、なりすましが判明した仲介サイトのアカウントに関する情報が、国連安全保障理事会の専門家パネルや米司法省が公表している北朝鮮のIT技術者の情報と一致したという。技術者は日本と北朝鮮以外の第三国を拠点としているとみられる。
技術者はサイトで仲介されたウェブページやアプリの開発業務を請け負っていた。発注者は日本企業が多かったという。報酬は日本人2人の銀行口座に振り込まれ、2人が大半を海外口座へ送金していた。公安部は最終的に北朝鮮側に渡ったとみている。
国連安全保障理事会は北朝鮮の核・ミサイル開発への資金流入を絶つため、外貨獲得手段に制裁を科している。国連専門家パネルは24年、北朝鮮のIT技術者が海外に3000人おり、年間最大6億ドル(約873億円)の外貨を獲得しているとみて注意喚起した。
しかし日本でも、北朝鮮のIT技術者による外貨獲得活動が浮上した事件は後を絶たない。神奈川県警は22年、スマートフォンアプリの開発を請け負った北朝鮮の技術者に報酬を不正送金したとして、日本に居住する2人を摘発した。
IT業務を請け負うフリーランスの技術者は多く、発注を検討する企業と結びつける仲介サイトは複数開設されている。日本人になりすます北朝鮮技術者へ業務を依頼した場合には、発注した企業側にもリスクがある。
警察庁によると、北朝鮮に居住する人物らへの報酬支払いは、経済制裁対象国との取引を規制する外為法に違反する可能性がある。同庁幹部は「業務の過程でIT技術者に不審なプログラムをシステムに仕込まれ、サイバー攻撃や情報窃取の起点とされる恐れもある」と指摘する。
警察庁は北朝鮮技術者を巡り、機械翻訳が疑われる不自然な日本語を用いる▽テレビ会議形式の打ち合わせに応じない▽相場よりも安価で業務を請け負う――といった特徴をあげる。業務を依頼する段階で不審な点があれば警戒が必要だ。
仲介サイト上で北朝鮮の技術者には、アカウント名義の頻繁な変更や、報酬を受け取る口座の名義とアカウント名義との食い違いがみられることが多いという。警察庁は仲介サイト側にも身分偽装について注意を促している。
両陛下、硫黄島で拝礼 初の訪問、戦没者に祈り 遺族・元島民団体と懇談[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 733文字 PDF有 書誌情報]
天皇、皇后両陛下は7日、先の大戦で激戦地となった東京・小笠原諸島の硫黄島を訪れ、3カ所で拝礼された。両陛下は、花を供えたり碑に水をかけたりして、戦没者に祈りをささげられた。
同島を天皇、皇后が訪問するのは、上皇ご夫妻が在位中の1994年に訪れられて以来31年ぶりとなる。両陛下が足を運ばれるのは初めて。
両陛下はこの日午後、羽田発の政府専用機で海上自衛隊の硫黄島航空基地に到着された。同基地では、硫黄島の戦いなど島の概要についての説明を小池百合子・東京都知事や渋谷正昭・小笠原村長から受けられた。
その後、両陛下は硫黄島戦没者の碑(天山慰霊碑)に移動し、供花と献水をされた。同慰霊碑は71年に国が設立し、上皇ご夫妻も訪島時に訪れられた。両陛下は深々と10秒ほどにわたって拝礼し、白いユリなどの花束を供えられた。慰霊碑の前に進み、水をかけて戦没者に鎮魂の思いを示された。
続いて訪れた硫黄島島民平和祈念墓地公園や「鎮魂の丘」でも供花するなどして拝礼された。
基地では戦没者遺族や元島民の親族で構成する団体の代表者らと懇談された。天皇陛下は「色々とご苦労も多かったのではないですか」と話しかけ、団体について「ご活動はいかがですか」などと尋ねられた。皇后さまも真剣な表情で話を聞かれた。
母方の祖父母が島民という全国硫黄島島民3世の会の西村怜馬会長は記者団の取材に「今回の訪問が、島の歴史を少しでも後世に伝えていく原動力になれば」と語った。
両陛下は同日夜、政府専用機で帰京された。
両陛下は戦後80年に当たる今年、沖縄や広島、長崎も訪問し、各地で戦没者らに祈りをささげられる。
【図・写真】硫黄島戦没者の碑(天山慰霊碑)に献花する天皇、皇后両陛下(7日、東京都小笠原村)
旧統一教会側が即時抗告 地裁の解散命令に不服[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 733文字 PDF有 書誌情報]
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側は7日、宗教法人法に基づき解散を命じた3月25日の東京地裁決定を不服として、東京高裁に即時抗告した。解散の可否はあらためて高裁で審理される。
仮に東京高裁が判断を維持すれば、教団側は最高裁に特別抗告できるが、最高裁の判断を待たずに清算の手続きが始まる。税制上の優遇措置を受けられなくなるが、任意団体として宗教活動は継続できる。
過去に法令違反による解散命令が出た2例は、いずれも最高裁まで争われた。
旧統一教会側は7日「(東京地裁決定は)顕在化していない事例を推測によって認定するという証拠裁判主義に明らかに違反する認定を行った。法と事実を無視した『結論先にありき』の決定と言わざるを得ない」とする声明を発表した。
教団を巡る問題に長年取り組んできた全国統一教会被害対策弁護団は同日「解散命令を受け入れ、速やかに全被害者に対する謝罪と賠償を行うよう求めてきたにもかかわらず、即時抗告が申し立てられたのは誠に遺憾だ」とするコメントを出した。
宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などがあった場合、裁判所が解散を命令できると定める。
3月の東京地裁決定は、寄付勧誘に関する民法上の不法行為が解散要件の「法令違反」に当たると判断した。寄付勧誘による被害者は1559人、金額は204億円超に上ると認定し「人数、額ともに類例のない膨大な被害が生じていた」と指摘した。
教団は「コンプライアンス宣言」を出した2009年以降、問題は改善したと訴えたが、決定は献金被害が減ったものの途切れずに続いている状況を問題視。「事態の改善を図ることを期待するのは困難だ」などとして解散はやむを得ないと結論付けた。
両陛下、硫黄島で拝礼――若い世代への継承に思い 戦後80年[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 541文字 PDF有 書誌情報]
天皇、皇后両陛下は、戦後80年の「慰霊の旅」を硫黄島からスタートされた。
両陛下の今後の訪問先は、戦後50年に合わせて戦跡地を訪れられた上皇ご夫妻と重なる。1年前の1994年に硫黄島を訪れた後、95年に広島、長崎、沖縄を巡られた。慰霊とともに戦禍の記憶を継承する大切さを示された。
足跡をたどるような慰霊の旅だが、異なる点がある。
上皇ご夫妻が子ども時代を過ごされたのは戦時中だった。天皇陛下は2月の記者会見で「私と雅子は戦後生まれで、戦争を体験していません」と言及し、上皇ご夫妻から戦時中の体験談や平和への思いを聞いてきたと述べられた。
また、若い世代が戦争について学び、語り部として活動していることについて「戦後80年を迎えるこんにち、一層意義深い」と強調された。
陛下が継承について思いを深められている背景には、戦争を知る世代の減少がある。
総務省の人口推計によると、2023年10月時点で戦後生まれは1億932万人。総人口に占める割合は87.9%となった。
終戦時に成年だった明治、大正生まれは0.3%。戦争体験を直接聞く機会の確保は年々難しくなっている。側近の一人は「戦後世代の陛下だからこそ、戦争を知り、次代につないでいくことを非常に大切に考えられている」と指摘する。
日本の協力機関「喜び共有する」 米ブレークスルー賞[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 160文字 PDF有 書誌情報]
米国の科学賞「ブレークスルー賞」の受賞者に国際素粒子実験のプロジェクトが選ばれたことについて、日本から研究に参加する高エネルギー加速器研究機構(KEK)が7日、記者会見を開いた。
浅井祥仁機構長は「KEKや多くの日本の大学が参加しており、さらに企業も大きな貢献を果たしてきた。ぜひ一緒に喜びを分かち合いたい」と話した。
真銅孝三氏(元クラボウ社長)(死去)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 73文字 PDF有 書誌情報]
真銅 孝三氏(しんどう・こうぞう=元クラボウ社長)4月3日、膵臓がんのため死去、94歳。連絡先は同社総務部。告別式は行った。喪主は長男、孝史氏。
NHK撮影前に俳優けが 火薬使った装置誤作動(短信)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 104文字 PDF有 書誌情報]
NHKは7日、京都府京丹波町で行っていたドラマの撮影現場で、戦場シーンで音や煙を出すために準備していた火薬を使った装置が撮影前に誤作動して大きな音が鳴り、俳優1人が左耳の鼓膜を損傷するけがをしたと発表した。
植物の新組織、160年ぶり発見 名大など種子になる部分へ栄養 コメ肥大化にも成功[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 431文字 PDF有 書誌情報]
名古屋大などの研究チームは、イネなどの被子植物の種子になる部分に栄養を運んだり阻んだりするゲートのような役割をする組織を発見したと7日付の米科学誌に発表した。植物の新組織発見は160年ぶりとしている。
コメなどを肥大させることにも成功し、笠原竜四郎・特任准教授(植物生殖学)は「種子を大きく育てる技術開発に生かせる」と期待している。
チームは、イネやシロイヌナズナの実験で、受精して種子になる部分の「胚珠」が受精に失敗すると、「カロース」というのりのような物質が胚珠につながる管などに蓄積して栄養分を供給できなくなることを確認。一方、受精するとカロースが溶け、栄養分が胚珠に送られるようになった。
受精に成功した植物の胚珠で機能するカロース関連遺伝子を調べると、受精した時のみ発現が上昇する遺伝子がカロースの分解を促している可能性があることが分かった。ゲノム編集でこの遺伝子を過剰に発現させたイネは胚珠に多くの栄養が送られ、野生型よりも9%大きな種子になった。
真下昇氏(元日本ラグビー協会副会長、専務理事)(死去)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 186文字 PDF有 書誌情報]
真下 昇氏(ましも・のぼる=元日本ラグビー協会副会長、専務理事)4月3日、間質性肺炎のため死去、86歳。家族葬を行った。
東京教育大(現筑波大)を経て社会人でプレー。国際ラグビーボード(現ワールドラグビー)理事、ワールドカップ(W杯)招致委員会委員長を務め、2019年W杯日本大会の招致に尽力した。03年創設のトップリーグ(現リーグワン)の初代チェアマンなども歴任した。
延江浩氏(ラジオプロデューサー、TOKYO FM顧問・エグゼクティブプロデューサー)(死去)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 38ページ 182文字 PDF有 書誌情報]
延江 浩氏(のぶえ・ひろし=ラジオプロデューサー、TOKYO FM顧問・エグゼクティブプロデューサー)4月6日、致死性不整脈のため死去、67歳。葬儀は4月12日午前11時から東京都新宿区須賀町14の1の四谷たちばな会館。喪主は妻、裕子さんと長男、仁氏。
ギャラクシー賞大賞など放送界の各賞を多数受賞。作家、村上春樹さん出演の番組「村上RADIO」などを手がけた。
医療ヘリ、異常を察知か 対馬沖で患者ら3人死亡 救命用の浮き具展開 海保、機長から聴取[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 1102文字 PDF有 書誌情報]
長崎県対馬市沖で6日発生した民間の医療搬送ヘリコプターの事故で、発見時の機体の状況から機長が緊急着水を試みた可能性があることが7日、分かった。第7管区海上保安本部(北九州市)などは機長ら生存者への聞き取りを開始。空路による搬送は離島・へき地医療を支える重要な手段だ。原因究明と再発防止が急務となる。
7管によると、搭乗していた6人のうち、福岡和白病院(福岡市)の30代の男性医師と80代の女性患者、患者の家族の60代男性の死亡が確認された。いずれも60代男性のヘリの機長と整備士、20代の女性看護師の3人は救助され、病院に搬送された。
機体はフロートと呼ばれる救命用の浮き具を展開し、転覆した状態で見つかった。航行中に異常を察知した機長が着水時に作動させた可能性がある。機体に目立った損傷はなく、海保が沈下防止の措置を施し、現場海域にとどめている。
7日、記者会見した7管の福本拓也本部長は、現場の状況を踏まえ、現時点では「不時着なのか疑問がある」とし、墜落した可能性を指摘した。機長ら生存者3人への聞き取りなどを通じ、事故原因の究明を進める。
同病院からの委託でヘリを運航していたエス・ジー・シー佐賀航空(佐賀市)によると、機体は6日午後1時半に対馬を出発。午後2時15分に病院に到着予定だったが、午後1時47分に機体を監視するモニター上で航跡が動かなくなり、行方が分からなくなったという。事故はこの20分弱の間に発生した可能性がある。
同社によると、操縦していた機長の総飛行時間は3600時間超。「ドクターヘリを操縦できる機長としての要件を満たしており、十分にベテランといえる」(担当者)という。
国土交通省は航空事故と認定。運輸安全委員会は原因を調べるため、現地に航空事故調査官2人を派遣した。今後、当時の気象条件など様々なデータを収集し、科学的な観点から原因究明に当たる。
福岡管区気象台の担当者によると当日早朝までは対馬海峡で海上風警報と海上濃霧警報が発令されていたが、発生当時の6日午後1~2時の時点では解除されていた。対馬空港の天候は晴れで風速は約4メートル。視界の状況も悪くなかったという。
エス・ジー・シー佐賀航空は過去にも死亡事故を起こしていた。
2024年7月、大分県内で遊覧飛行を終えて佐賀空港へ向かう途中、福岡県柳川市で墜落事故を起こし操縦士と整備士が死亡。04年にも同社員3人が亡くなる墜落事故が起きている。
7管や運輸安全委は今後、同社がどのような安全対策をとっていたのかも詳しく調べるとみられる。
【図・写真】海上で救助に当たる海保のヘリ(6日)=第7管区海上保安本部提供
医療ヘリ、異常を察知か 対馬沖で患者ら3人死亡――離島医療の要、対策急務[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 702文字 PDF有 書誌情報]
医療分野のヘリは遠隔地医療の要として全国で普及が進んできた。日本航空医療学会によると、医療機器や医師らを乗せて救急現場の患者のもとに向かう「ドクターヘリ」は1999年に厚生労働省の事業として始まった。
交通事故による重い外傷など、一刻を争う治療を要する患者の対応が主な目的。2007年施行のドクターヘリ特別措置法によって自治体の財政負担が軽くなり、各地で導入が相次いだ。同学会によると、24年度時点で57機が全国で運航している。
今回事故が起きた医療搬送ヘリは病院や民間団体などが運用している。体調不良を訴える高齢者らを搬送する際に活用されるなど、ドクターヘリが対応しきれない分を補完する役割を担ってきた。
福岡和白病院は、19年からエス・ジー・シー佐賀航空と年間契約。24年末までに400件を超える搬送を委託した。
長崎県によると、対馬市内から同病院に患者をヘリで搬送したケースは24年度に10件以上。同県担当者は「離島を多く抱え、ヘリによる搬送は不可欠。県民に不安を与えないよう、安全を確保した運航に向けて隣県や事業者と連携を強化したい」と話す。
人口減が進むなか、地方の医療機関は集約が進む。同学会の猪口貞樹理事長は「患者を迅速に搬送するには欠かせない手段だ」と医療用ヘリの重要性を語る。
離島やへき地の医療ニーズにヘリで対応する鹿児島県は6日の事故を受け、運航を委託する地元の航空会社に対し、安全な運航や管理を徹底するよう改めて呼びかけた。
猪口理事長は「離島の住民らが適切な医療を受けられるようにするためにも、今後の事故原因の調査で明らかになる課題を安全対策につなげる必要がある」と強調した。
万博、待ち時間が課題 リハで判明、来場者に協力要請[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 641文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博会場に来場者を入れて動線や運営上の課題を確認する3日間の「テストラン」を終え、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が7日、記者会見を開いた。入場ゲート通過に長いときで1時間以上を要したことを受け、13日の開幕へ向け、来場者に「スムーズな入場がより可能になるよう協力いただきたい」などと呼びかけた。
協会は入場日時の事前予約制を導入することなどで「並ばない万博」を目指してきたが、協賛企業関係者や無料招待の府民ら計約9万8000人を招いた4~6日のテストランでは、入場ゲート前などに長い行列ができた。
石毛氏は「来場される方が準備をされている状態と、到達してからかばんを開けるのでは(ゲート通過の)時間のかかり方が違う。チケットもQRコードを印刷したものを出して準備していると早く通過できる」と指摘。「明らかになった課題について改善を図って、万全の体制でお客様をお迎えしたい」と述べた。
来場者は4日が約4000人、5日が約4万6000人、6日が約4万7000人だった。5日午前に入場を予定していた人がゲート前で1時間以上並ぶケースがあったほか、6日にはゲートに人が殺到。会場につながる大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の夢洲(ゆめしま)駅の階段の通行を一時停止し、駅構内に人が滞留する場面がみられた。
万博は1日最大22万人超の来場者を見込む。初日は既に予約だけで約14万人にのぼるという。
【図・写真】大阪万博の「テストラン」に訪れた人たち(5日、大阪市此花区の夢洲)
輪島に戻り笑顔で入学式 一時は避難 能登、2小学校合同で[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 433文字 PDF有 書誌情報]
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の門前東小は7日、門前西小との合同入学式を開いた。計4人の1年生のうち、橋本謡さん(6)は門前東小で唯一の新入生。一時、市外で避難生活を強いられたが「どきどきした」という入学式を笑顔で終えた。
入学式は、昨年9月から一部の教室を借りて授業を実施している門前中で開かれた。
橋本さんは、市内にある一戸建ての自宅が断水したため、地震発生直後に同県かほく市で避難生活を始めた。母親の麻衣さんは慣れないアパート暮らしについて「生活音が隣に聞こえないか敏感になり、娘をよく怒ってしまった」と振り返る。
水道復旧を機に、昨年3月、自宅へ戻った。友達と遊んだり、地域のイベントに参加したりする中で、少しずつ元気を取り戻していったという。
橋本さんは門前東小で唯一の新入生だが、門前西小の3人とは同じ幼稚園に通った友達だという。仲間と桜に見守られながら、新たな一歩を歩み始めた。
【図・写真】笑顔で両親と話す橋本さん(7日、石川県輪島市)
岩手・大船渡の山火事、鎮火宣言 発生から40日、2900ヘクタール焼失[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 353文字 PDF有 書誌情報]
岩手県大船渡市で発生した大規模山林火災で、市は7日、防災ヘリコプターによる上空から煙の有無の確認など、最終調査を実施した。調査を踏まえ渕上清市長は再燃の恐れがないとして鎮火を宣言した。2月26日の出火から鎮火まで40日を要した。市によると、今月7日時点で約190人が避難生活を送っている。
市は3月9日に鎮圧を宣言したが、熱源や残り火が確認され、地元消防などが地上と上空から警戒や消火活動を続けてきた。同23日を最後に熱源は確認されていない。鎮火宣言に時間を要したことについて、消防は延焼が広範囲に及んだことや少雨から「難しい判断だった」とした。
今回の火災は平成以降の林野火災として国内最大規模の約2900ヘクタールが焼失。1人が死亡し、建物被害は221棟、このうち住宅は86棟(全壊54棟)に上った。
万博、待ち時間が課題――万博会場で基準超えメタン検知 引火で爆発の恐れ[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 339文字 PDF有 書誌情報]
大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)の大阪・関西万博会場で労働安全衛生規則の基準値を超える濃度のメタンガスが検知され、日本国際博覧会協会が7日、現場を記者団に公開した。引火すると爆発する恐れがあるレベルの濃度だったという。事故防止のため濃度測定の回数を増やしたり、人が立ち入らないよう柵を設けたりして対応を強化する。
6日午後、会場の「グリーンワールド工区」にある電気設備の地下ピットで協会職員らがガスを検知した。ピットのふたを開けて換気すると、基準値以下に下がった。同日は、13日の開幕に備え来場者を入れて施設運営や動線を確認する予行演習「テストラン」の最終日だった。
会場では昨年3月、地中から発生したメタンガスに溶接作業の火花が引火し爆発する事故が発生。けが人はいなかった。
長崎・五島で山林火災6ヘクタール 1500人に避難指示[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 39ページ 195文字 PDF有 書誌情報]
7日午前10時45分ごろ、長崎県五島市松山町の山間部で「山の方へ火が入りそう」と119番があった。市消防本部などによると山林火災が発生し、約6ヘクタールを焼損した。市は松山町の1534人に避難指示を発令したが住宅への延焼の可能性がなくなったとして、同日夕に解除した。けが人の情報は入っていない。
現場は五島市役所から北に約2キロ。県は災害警戒本部を設置し、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
ゴッホ、切手の世界でも巨匠 約100の国と地域で発行、20年以上かけて作品数409点、1284種収集 篠原俊光[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 40ページ 1437文字 PDF有 書誌情報]
私が集めた限り、ゴッホの絵画をモチーフにした切手は1940年に生誕地のオランダで初めて出されて以来、現在まで100近い国と地域で発行されてきた。同じ絵画でも発行国や発行年によって色合いや印象は様々で、反転した絵や自画像との組み合わせも多数ある。題材となった作品数は409点、収集した切手は1284種に及ぶ。
切手収集歴は小学2年生から60年を超える。同世代は高校あたりで収集をやめたが、私は経済団体に就職しても続いた。世界各国の切手を展示即売する「ショールーム」(東京・新宿)には月一回のペースで通った。折々の興味で歴史、文化遺産、建築物などをテーマに集めてきたが、どれも長続きはしなかった。
91年、パリに出張した際にわずかな合間を見つけて、名画が並ぶオルセー美術館を急ぎ足でまわった。印象派のフロアにくると、それまでの重苦しい色調の絵画から鮮やかな原色の世界に一変した。その中にあったのがゴッホの「ローヌ川の星月夜」だった。私の場合は先に切手の絵があり、絵画に思い至る。「あの切手の絵だ」。そんな記憶も手伝って、2003年から本格的に印象派とポスト印象派の切手を集めるようになった。
ゴッホの切手はカリブ海諸島と西アフリカに集中する。画家が活躍したフランスが旧宗主国というのも関係するだろう。多くが観光収入目的、みやげ用や記念切手の類いだ。一方で英国、スペイン、旧ソ連時代を含むロシアなどからゴッホの切手は出されていない。ゴッホはこれらの国でも人気の高い画家だけに不思議だ。
ゴッホは同じような絵を何枚も描いたし、模写も多い。切手を集めていると細かな違いも見えてくる。有名なひまわりの絵は花びんの上部や下部にサインがあったり、またなかったりする。画集では数種類あると言葉で説明される違いが切手を見れば一目瞭然だ。
単純なミスだと思うが絵が反転した切手も多い。あるタンザニアの切手を画集で調べると「花咲く果樹園」に似ているが、ズバリの作品は見当たらなかった。繰り返して見てようやく反転だと気づいた。コレクションを見直すと1889年9月に描かれた「自画像」は22種のうち3種、「糸杉のある麦畑」は2種、「オーヴェールの村の道と階段」は1種反転切手があった。絵の一部を切り取った切手も照合に時間がかかる。シートを含めると自画像と分かるが、耳だけの切手もある。
03年以降は「ショールーム」で、それ以前の切手は海外の切手屋やオークションで買った。ちょうどワープロ通信が登場した頃で海外サイトをわくわくしながらのぞくと最初の画面の半分まで映ったところで時間切れなんてことがしょっちゅう。田形プラス1枚の計5枚で千五百円程度が相場、プラス送料と手数料。高値には手を出さない。
ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴーギャンの切手もたくさん集めた。同時代の画家には裸婦画や夜の世界の絵が多いが、ゴッホにはそんな絵がほとんどないのも特徴だ。
3月に「切手のゴッホ」(かたちブックス)を自費出版した。分布、ブーム、画中の本、模写の対象、時代背景……調べるほど興味が広がった。知り合いに本を送ると、その人は洗濯する人が描かれた「アルルのグレーズ橋」、長女は自画像の茶色の髪の毛、次女は鮮やかな「花園」が気に入ったという。難しい理屈はわからないが、私もそんな純粋に絵も切手も楽しむ気持ちで集めている。
(しのはら・としみつ=元団体職員)
【図・写真】パリのオルセー美術館で作品を見たのが収集のきっかけだ
平井一夫(8) 久保田利伸さん 周囲を巻き込む力に驚く NYに転勤、音楽事業に没頭(私の履歴書)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 40ページ 1390文字 PDF有 書誌情報]
「平井はニューヨークに行かせないと会社を辞めそうだぞ」。私の上司にこんなことをふき込んだのが、「ロックの丸さん」こと丸山茂雄さんだった。お父さんが「丸山ワクチン」の開発者である以上に、音楽業界では名の知れた人だ。上司もすんなり丸山さんの助言を受け入れた。
あれは私をゲーム事業に引き込むための策略だったんじゃないか――。後にこう思うこともあったが、真相を聞いたことはない。いずれにせよ私は少年時代を過ごした街に戻ることになった。
私以上に当惑したのが妻の理子だった。「話が違うじゃない!」。開口一番、こう言われたのも無理はない。妻も帰国子女で米国、英国、カナダを転々としてきた。大学時代の同級生で入社したCBS・ソニーでは外国部で机を並べていた。私が足を広げていると「引き出しを開けないじゃない」と怒られたものだ。
特に意識する仲でもなかったはずが入社して4年ほどで交際するようになり、その1年後に結婚した。娘と息子にも恵まれた頃、時代はバブルの絶頂期を迎えていた。都内の物件は高すぎて手が出ない。思い切って栃木県に引っ越すことになった。一軒家を購入したのは、宇都宮駅から車で30分近くの場所にある宇都宮グリーンタウンという大きな新興住宅街だった。
自然に囲まれ、子育てにはこの上ない環境だ。休日になるとよく子供と近くの公園に出かけたものだ。ちょうど会社が新幹線通勤を認めたため通勤も快適だ。実はつい最近までこの家を持ち続けていたほど、お気に入りだった。
そこから再びニューヨークへ。JFK空港から少し高速道路を走ると、少年時代を過ごしたリフラックシティの茶色い団地群が見えてくる。「ここに戻ってきてしまった」と思わざるを得ないが、いつまでもそんなことは言っていられない。心機一転、マンハッタンでの仕事が始まった。
ここで出会ったのがシンガーソングライターの久保田利伸さんだ。日本で成功した久保田さんは、全米デビューを目指して拠点をニューヨークに移したばかりだった。
「絶対にここで成功をつかむ」という久保田さんの熱量に、私は圧倒された。スタジオにこもって曲を創りあげる時に伝わってくる久保田さんの迫力は、今も忘れられない。まだ米国に移り住んだばかりで英語も勉強中だったと思うが、久保田さんが現地のミュージシャンとの意思疎通で困る姿を見たことがない。
言葉の壁を越える一流同士の会話というものなのだろうか。あらためて音楽ってすごいなと思うとともに、周囲を巻き込む久保田さんの力には驚かされた。「リーダーはEQ(心の知能指数)が高くあれ」が私の持論だと前回も書いたが、久保田さんもまた極めてEQの高い人だった。
こうしてニューヨークでも音楽の仕事に没頭し始めた私に、日本から国際電話がかかってきた。声の主は私をニューヨークに送り込んだ張本人の丸山さんだった。
「ちょっとさ、プレステの仕事を手伝ってくんない?」
そんな軽い口調だったと思う。1994年12月に日本で発売したプレイステーションの米国展開に向けて、通訳などの手伝いをしてもらえないかとのことだった。
「え? プレステですか。まあ、いいですけど」。こう答えたのが人生最大の転換点だった。私は全く関心がなかったゲームの世界に引きずり込まれることになったのだ。
(ソニー元社長)
【図・写真】またニューヨークに戻ってきてしまった
能装束を受け継ぐ(10)「縫箔浅葱地五枚笹柳桜模様」 共立女子大学教授 田中淑江(十選)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 40ページ 624文字 書誌情報]
淡い浅葱(あさぎ)地に刺繍(ししゅう)と金銀箔で模様が肩と裾に配置される、肩裾模様の縫箔(ぬいはく)である。竹棚と松皮菱(まつかわびし)により空間が区画され、そこに施される模様は風に揺れる柳と枝垂れ桜や、蔓(つる)が曲線を描く鉄線、檜垣(ひがき)に五枚笹(ざさ)が刺繍と金摺箔(すりはく)で表現され、優美で風情ある風景が窓越しに見えるようである。
本装束は表地、裏地とも練緯(ねりぬき)地で経年劣化による損傷が著しく、全解体で修復し、裏地は新調した。裏地の衿(えり)には「八金【黒文分銅印(こくぶんふんどういん)】」などの墨書があり、シテ方金春家ゆかりの能装束であることを物語る。当初表地の模様の繋(つな)がりに違和感があったが、これは袖の一部と身頃(みごろ)の裾の左右を入れ替えていたためである。縫箔を構成する生地は長方形であるので、容易に仕立(したて)替えができる。
能装束は損傷しても再び能装束として仕立替えられる傾向にある。それは能が武家の式楽であり格式ある装束を尊重することは、物質的価値だけでなく家の格や社会的地位をも示すからである。このことは修復時に遭遇した、技術を駆使した数々の仕立替えが証明してくれた。
このような背景を持つ能装束は、今後も日本の染織技術の最高峰として、私たちを魅了し続けることだろう。
(16~17世紀、東京国立博物館蔵)
【図・写真】出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
野球マニア 矢島昌明(交遊抄)[2025/04/08 日本経済新聞 朝刊 40ページ 506文字 PDF有 書誌情報]
5歳年下ながら同じ経営者として尊敬する友人が上山健二さんだ。スーパーの長崎屋やアパレル大手ワールドなどの社長を歴任された。出会いは2023年3月。私の弟がワールドに勤めている縁で紹介された。上山さんは当時同社の会長で、同業としての経営哲学などに興味があった。
「現場に寄り添い、モチベーションを高めることに重点を置いた」。数え切れない難局を乗り越え、現在も人材派遣会社を経営する上山さんの助言は示唆に富む。厳しい経営環境にある当社は構造改革を進めており、店舗やブランド展開のあり方、従業員や顧客との向き合い方などに間違いがないことを確信できた。
最も盛り上がるネタは野球だ。学生時代は野球部出身で、ともに大学や高校野球のマニアを自認する。上山さんは知識だけではない。戦力に恵まれない場合は論理的なトレーニングや試合の攻め方など独自の戦略が必要だと熱弁される。限られた時間や資源で成果を出すことはビジネスとも共通するため、学ぶことも多い。
母校は上山さんが東京大、私が早稲田大でともに東京六大学リーグで競う。大学野球を観戦した後にみんなで一献傾けるのが楽しみだ。
(やじま・まさあき=ワコールホールディングス社長)
25年04月07日
80年目のリセット(1)米「鎖国」で暗転する世界 共存共栄の旗手漂流 高関税の網、企業縛る(崩れる自由貿易)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 1ページ 1623文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米政権が関税の壁を築き、世界に背を向け始めた。自由貿易を軸にした共存共栄という米国主導の戦後秩序は、80年目にして転換点を迎えた。世界は多国間の枠組みを守り続けるのか、保護主義の時代に突入するかの岐路に立つ。
「我々の国に97%の高関税などない」。トランプ氏の演説を聞いたカンボジア政府高官は悲痛な声をあげた。根拠を示さぬ計算で米国製品に高水準の関税をかけていると認定された。2日公表された相互関税の税率は49%と、185カ国・地域のうちでも最大級だ。
隣のベトナム。「ユニクロ」も顧客に持つ縫製業の経営者は「影響は計り知れない」とうろたえる。ベトナムは米中対立で「漁夫の利」を得てきたが、46%の税率を突きつけられた。同社は生産移転も考えるが、今回は高関税の網から抜ける道が見当たらない。
低廉なベトナム産衣料の恩恵を享受してきたのは、他でもない米国の企業と消費者のはず。2024年の衣料品輸出のうち、米国向けが44%を占めた。ギャップの株価は2日終値比で一時24%安、ナイキは19%安まで売り込まれた。
グローバルな供給網を活用することで成長してきた米テック企業も危機感を募らせる。特に主力製品を中国、インド、ベトナムで生産してきたアップルの打撃は大きい。
「iPhoneが関税分を価格転嫁するには最大43%値上げが必要」(米証券会社)で、最も高い機種は33万円を超える計算になる。自社でコストを吸収すると粗利益率で9%、純利益が14%低下するとの試算もある。
戦後、米国は1947年の関税貿易一般協定(GATT)を主導して世界各地で自由貿易の旗を振った。55年に日本がGATTに加盟する際、日本はまだ保護主義的だと反対する英国を説得したのは米国だ。
比較優位で効率的な分業をすれば分け合う果実が増える。英経済学者リカードが示した通り、戦後の世界経済は市場開放による貿易額の増大と軌を一にして上昇カーブを描いた。
最も恩恵を得たのは米国だ。米国は実質輸入額を47年当時から2024年の3.6兆ドルまで70倍近くに増やした。低価格で輸入できる製品は海外に任せ、金融やIT(情報技術)など高付加価値の産業に軸足を移すことで、1人あたり実質GDP(国内総生産)を4.5倍の6.9万ドルに押し上げた。
それでもトランプ氏は「(米国が)あらゆる国家に物色、略奪、そして陵辱されてきた」と唱える。「9万以上の工場が閉鎖され、500万人以上の雇用が失われた」との主張に、豊かさの網からこぼれていった人々が喝采を送る。
怒りの矛先は再分配の失敗ではなく、2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して急成長を遂げた中国、そして世界に向く。
戦後80年、自由貿易の発展は苦難の歴史だった。日欧の競争力が高まり米国の貿易収支が悪化すると、ニクソン・ショックやプラザ合意で各国はドル切り下げを受け入れた。70年代以降の日米貿易摩擦でも粘り強い交渉で妥協点を見いだした。
米タックス・ファンデーションの試算では、戦後の1割程度から2%台に低下していた米国の平均関税率が今回、16.5%と1937年以来の水準に跳ね上がる。
米ハーバード大のケネス・ロゴフ教授は「トランプ氏は世界貿易システムに核爆弾を落とした」と語る。トランプ政権が各国との対話を断ち、世界全体に対して一方的に高い関税を課したことで、自由貿易体制は崩壊の瀬戸際に追い込まれた。
中国は米国に相互関税と同率の34%の関税を課すと発表した。米国の突然の「鎖国」で世界経済の減速リスクが高まるなか、ドミノ倒しのように各国に保護主義が広がるのが最悪のシナリオだ。
戦後の自由貿易体制の起点には、大恐慌後の世界経済のブロック化が大戦への道を開いたとの反省があった。世界は自由貿易の灯を守れるのか。日本をはじめとする各国が自由貿易を支持し、世界にその利を示し続けることが、新たな安定を手に入れる条件となる。
第一生命、豪保険に800億円 個人年金に強み、15%出資[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 1ページ 819文字 PDF有 書誌情報]
第一生命ホールディングス(HD)は2025年度内にオーストラリアの大手保険会社チャレンジャーに15%出資する。日本の損保大手、MS&ADインシュアランスグループHDが保有する全株式を800億円で取得する。豪市場で優位を固め、グループ収益の拡大につなげる。年金運用で先進国とされる豪州の知見も得る。国内生保の海外M&A(合併・買収、総合・経済面きょうのことば)の勢いが強い。
チャレンジャーは、個人が年金資金を運用するための保険商品を手がけている。「年金保険」と呼ばれ、豪州は世界4位の年金市場とされる。チャレンジャーの年金保険の運用残高は、24年末時点で247億豪ドル(約2兆2000億円)と業界首位だ。
年金保険に着目する背景には、雇用主に従業員の給与の一定割合を拠出させる「スーパーアニュエーション」と呼ぶ豪州の年金制度がある。公的年金を補完し、老後の生活を支える目的で1992年に導入された。オーストラリアの金融当局によると、資産残高は35年までに8兆豪ドルと直近の約2倍に拡大する見通しだ。
第一生命は2000年代に豪州へ進出し、11年には死亡保険などに強い豪TALを完全子会社にした。TALの保有保険料は63億豪ドルと2位に比べ2倍の規模がある。チャレンジャーに出資するTALにとって年金保険は手薄な分野だった。今回の出資で豪生保市場の首位の座を固めグループ利益の拡大につなげる。
一方、MS&ADは17年から段階的にチャレンジャーへ出資してきた。足元の出資比率は約15%で持ち分法適用会社だが、投資額に対するリターンが想定を下回るなどしていることから売却を決めたようだ。業務提携は継続する。
日本の生命保険会社では最大市場の米国に加え、成長する豪州ビジネスを拡大する動きが活発だ。日本生命保険は豪MLCの株式を5億豪ドルで追加取得したうえで、約1兆2000億円で買収する米系生保レゾリューションの豪子会社と統合させる方針だ。
トヨタ、EV15種投入 27年までに 5カ国生産でリスク分散[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 1ページ 746文字 PDF有 書誌情報]
トヨタ自動車は2027年までに自社開発した電気自動車(EV)を約15車種投入する。同年の生産台数を24年比7倍の約100万台まで引き上げる計画で、日本、中国に加えて米国、タイ、アルゼンチンでも生産を始める。トランプ米大統領が輸入自動車に25%の追加関税を課すなど世界経済がブロック化に向かう中、グローバル企業が供給網の分散に動き出す。
トヨタは現在、世界で5車種の自社開発EVを販売している。これまでは日本と中国でのみ生産していたが、生産拠点を5カ国に拡充して為替や関税リスクを回避し、リードタイムも短縮する。
タイではピックアップトラック「ハイラックス」のEVモデルを25年10月から生産する。生産台数は月最大500台程度を見込む。米国ではケンタッキー州とインディアナ州の工場で、26年からそれぞれ別の車種の3列シート多目的スポーツ車(SUV)を生産する。
日本では高岡工場(愛知県豊田市)で、25年9月ごろからSUV「C―HR+(プラス)」の生産を始める。生産台数は月1万台程度を想定している。田原工場(同県田原市)では高級車ブランド「レクサス」の次世代EVを27年8月ごろから生産する計画だ。
SUBARU(スバル)の矢島工場(群馬県太田市)では、26年2月ごろから同社と共同開発した新型SUVを生産する。生産能力を月1万5000~2万台程度まで引き上げ、北米や欧州、日本などで展開する。
中国市場では低価格車にも力を注ぐ。3月上旬に発売したSUV「bZ3X」は販売価格を約11万元(約220万円)からに抑えた。トヨタとして最安のEVで、現行EVに比べて3割ほど安い。中国・広州汽車集団との合弁会社「広汽トヨタ」が開発・製造を担い、現地メーカーから基幹部品を調達してコストを削減した。
スズキのスープにオマールエビのポトフ、生ガキ(春秋)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 1ページ 563文字 PDF有 書誌情報]
スズキのスープにオマールエビのポトフ、生ガキ。フランスのロワール川河畔の町ナントの名物料理の食材は、海の幸にとどまらない。パイ皮包み焼きで有名なウナギの稚魚や川魚、ウサギなどのジビエ。なぜこれほど豊かなのだろうかと考えた、1人の日本人がいる。
▼宮城県気仙沼のカキ養殖家、畠山重篤さん。今から40年ほど前のことだ。ナントで潮だまりをのぞくと無数の生き物がいたという。カニ、ヤドカリ、ハゼなど小魚。川を遡れば自然の河川がどこまでもつづき、上流は落葉広葉樹の深い森。実のなる木が動物を、腐葉土の養分を含んだ地下水が川や海の生き物を育んでいた。
▼この気づきは「森は海の恋人」と呼ぶ、畠山さんの活動の原点となる。当時、故郷では、戦後の国策で植えられた川の上流の杉林が「緑の砂漠」と化していた。河口の干潟が埋め立てられ、水産加工工場が建つ。排水で海が汚れ、赤潮で身の赤くなったカキが売れなくなる。漁師仲間と山への植樹を始めるのはそのころだ。
▼先日、81歳で逝った畠山さんの講演を20年前に聞いた。森が豊かになれば海もよくなる。力のない一漁師だけど、と黙々と木を植え、子供に自然保全の大切さを語りつづけた。森から海までを一つにつなげてとらえる大きな発想、人々の共感を呼んだ行動力。自己・自国中心主義がまかり通るいま、その仕事の尊さを思う。
日本美術の「鉱脈」に光 展覧会、6月から大阪で(お知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 1ページ 293文字 書誌情報]
一般にはまだ知られていない「鉱脈」ともいえる日本美術の作者・作品に光をあてる「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」を6月21日から8月31日まで大阪中之島美術館で開催します。
縄文土器から室町時代の水墨画、明治時代の超絶技巧の工芸品、現代作家による新作まで約80件の魅力あふれる日本美術を紹介します。伊藤若冲と円山応挙が合作した新発見の一対の屏風(写真はそのうち伊藤若冲「竹鶏図屏風」1790年以前)も初公開します。
主催 日本経済新聞社、大阪中之島美術館、NHK大阪放送局、NHKエンタープライズ近畿
協賛 岩谷産業、大阪商工信用金庫、大林組、ダイキン工業、三井不動産、桃谷順天館
高速道、7都県ETC障害 東名など16路線 システム改造影響か[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 988文字 PDF有 書誌情報]
6日午前0時半ごろから、中日本高速道路(NEXCO中日本)が管轄する東名高速道路や中央自動車道の一部の料金所で自動料金収受システム(ETC)が利用できなくなった。首都圏や東海地方の広範囲で渋滞が発生し、物流にも影響が出た。復旧の見通しは立っていない。同社が対応を急いでいる。
同社はETC障害の原因について、5日から深夜割引の見直しに向けたETCシステムの改造作業を実施しており、「この作業が関係しているものと考えている」とした。6日夜に名古屋市で開いた記者会見で、中井俊雄取締役は「みなさまに多大なるご迷惑をおかけした」と謝罪した上で、同社のETCシステムとして「これほどの大規模な障害は初めてだ」と述べた。
各地の渋滞を緩和するため、同社は6日午後、料金所のETC専門レーンを開放した。料金については利用者が事後精算する措置をとった。
ETC障害は午後5時時点で、東名、新東名、中央道、圏央道、中部横断道、名神、東名阪道、東海環状道など16路線で発生した。対象エリアは東京、神奈川、静岡、山梨、愛知、岐阜、三重の計7都県に及んだ。94カ所の料金所でETCを使えなくなり、ETC専用のスマートインターチェンジ(IC)の18カ所は閉鎖された。
発生当初は現金での支払いに切り替えたり、係員がETCカードの情報を記録したりといった対応を取った。各地の料金所前で渋滞が発生したため、ETCレーンを開放する緊急措置を実施した。同社によると、2025年1月時点でのETCの管内利用率は96%に達しており、多くのドライバーが影響を受けた。
物流や小売り企業は一時、現金で支払うレーンを使うなどの対応を余儀なくされた。セブン―イレブン・ジャパンによると、東海地方の一部店舗で午後便の納品遅れが出ているという。ファミリーマートの担当者は「一般道に迂回するなど対策を講じた」としている。
ヤマトホールディングスや日本郵便などの物流企業では、6日夜の時点で大幅な遅配などの影響は出ていないもようだ。日本通運を傘下に持つNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は、トラック輸送で混乱は生じていないとしている。同社の担当者は「顧客の配達に遅延が生じないか状況を注視している」としている。
【図・写真】ETCのシステム障害で混み合う中央自動車道八王子本線料金所(6日、東京都八王子市)
海上輸送新部隊、防衛相「迅速な展開可能に」 自衛隊呉基地で発足式 台湾有事念頭[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 734文字 PDF有 書誌情報]
中谷元防衛相は6日、海上自衛隊の呉基地(広島県呉市)で海上輸送を専門とする新部隊「自衛隊海上輸送群」の発足式典に出席した。東アジアでの有事を念頭に南西諸島の防衛力を強化するため、部隊や装備品を運ぶ海上輸送力を刷新する。
海上輸送群は防衛相が直轄する陸海空自衛隊の共同部隊で、3月24日に立ち上げた。輸送艦で本州から沖縄本島、南西諸島の離島までをつなぐ。
中谷氏は式典後、記者団に部隊の発足により「南西地域などへのより迅速かつ確実な展開が可能となる」と強調した。
自衛隊が輸送力を強化する背景にあるのは、中国の軍備増強や海洋進出、台湾有事への懸念だ。中国は上陸作戦などで用いる揚陸艦を相次いで建造しており、2024年12月にヘリコプターや固定翼機、水陸両用装備を搭載できる新型揚陸艦を進水させた。
有事に離島を防衛したり、占拠を許してしまった離島を奪還したりするためには、陸上自衛隊の部隊の迅速な展開が必要となる。
自衛隊は通常、艦船の運用を海上自衛隊が担うが、海自が保有する輸送艦は3隻しかない。有事に民間船舶を活用する制度も取り入れているものの、海上輸送の能力強化が課題となっていた。
海上輸送群は主に陸自が運用する。陸自は海自よりも人的余裕があるためで、人員約100人のうち、およそ9割は陸上自衛官だ。6日の発足式で小型輸送艦「にほんばれ」の自衛艦旗は陸上自衛官が掲揚したほか、初代群司令も陸自出身者が務める。海自は要員の養成などで協力する。
海上輸送群の司令部は呉基地に置き、2025年度末までには阪神基地(兵庫県)も拠点にする。にほんばれのほか、もう1隻が24年度に進水した。27年度までに中型輸送艦2隻、小型輸送艦4隻、機動舟艇4隻の計10隻体制をめざす。
秋田県知事に鈴木氏初当選[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 244文字 PDF有 書誌情報]
任期満了に伴う秋田県知事選は6日投開票され、無所属で元秋田県議の鈴木健太氏(49)が初当選を決めた。無所属で前秋田県副知事の猿田和三氏(62)らを破った。4期16年を務めた佐竹敬久知事の後任を決める選挙で、鈴木氏は県政の刷新を強く訴えた。午後7時半時点の投票率は23.16%と前回(25.26%)を2ポイント下回った。期日前投票の投票率は35.35%と前回を5ポイント上回った。
すずき・けんた=00年(平12年)京大卒。自衛官、司法書士を経て15年秋田県議に初当選。神戸市出身、49歳。
いざ開幕、大阪万博(1) 「夢の島」へ生まれ変わる(迫真)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 1733文字 PDF有 書誌情報]
「自分史上、最高のおもてなしをしたい」――。3月20日、夢洲(ゆめしま、大阪市)の大阪・関西万博会場で来場者対応を担う「ゲストサービスアテンダント」の風岡佑飛(25)が満面の笑みを浮かべた。
2024年4月にアテンダント募集の知らせを聞き、内定を得ていた企業の就職を辞退した。昨秋から計20回、125時間に及ぶ講習を受け万博の知識や接客マナーを学び、3月からは会場で研修を重ねる。「万博で働くことは人生で一度出来るか出来ないかの貴重な経験。世界からの来場者を迎えたい」
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13日の開幕を控え、会場の内外で最終確認が進む。オーストラリア館は3月中旬から日豪両国で採用した計約140人のスタッフの集中研修を始めた。
今回の万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、多様な文化や考えを尊重し合う社会を確立することを目指す。館内に現地の森を再現し、先住民アートを展示する同館運営責任者、スティーブン・ニューポートは「スタッフには業務内容だけでなく、展示に込めた意図も深く理解してほしい」と話す。
3月19日、講義を担当した先住民コンサルタントのジルダ・アンドリュースは「自然と共に生きる知恵を伝える先住民文化はパビリオンの基盤。全員が自信と権威を持って語れるようにする必要がある」と説いた。
夢洲の会場から北東に十数キロ。JR大阪駅前の高層ビル29階「日本気象」(大阪市)のオフィスでは、24時間体制で常駐する気象予報士2人が9台のモニターに映る雨雲レーダーなどの情報に目を光らせる。会場近郊の大雨や雷の発生、台風といったリスクを早期に察知し、日本国際博覧会協会に伝達。荒天時の休場・閉場など防災上の判断を遠隔で支える。
気象監視は「目玉展示」の一つとして、デモ飛行を予定する「空飛ぶクルマ」にとっても、安全運航の要となる。特に四方を海に囲まれる人工島の夢洲は、陸上と海上の温度差の影響で時間帯によって風の吹き方が変わり、変化の幅も大きい。
同社はリアルタイムで風向や風速を観測するため、発着場周辺に「ドップラーライダー」を設置。レーザー光を上空に照射し、高い精度で地上40~1000メートルの空気の流れを測定する。
技術本部長の神田勲(58)が胸を張る。「刻一刻とかわる状況を正確に伝えることで空飛ぶクルマの安全運航につなげ、社会実装に貢献していきたい」
一方、残り6日となった開幕までのカウントダウンに焦りを強める関係者も。建設遅れが指摘されてきた海外パビリオンは、なお予断を許さない。
参加国が独自に建設する「タイプA」の47カ国42館のうち、4月6日時点で建築工事の「完了証明」を取得済みなのは33カ国28館。内装工事などが完了し、来場者の受け入れが可能になる「使用許可」は25カ国20館にとどまる。
各国から輸送される展示物の検査などを担う大阪税関国際博覧会出張所長、小林昌弘(47)は「貨物が届くピークは4月初旬になる」と明かす。内装・展示準備なども含め、ギリギリまで工事が続く。
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1970年代、ごみ処分場などとして埋め立てが始まり、80年代には大阪新都心として6万人が居住する都市計画が進められてきた夢洲。巨額の公費が費やされたものの、バブル崩壊による計画破綻後は大半が長らく空き地のまま放置され「負の遺産」とすら呼ばれてきた。その島に10月13日までの会期中、世界中から2820万人が集う。
閉幕後も日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)が島内の会場隣接地で2030年秋ごろに開業。会場シンボルとなる世界最大の木造建築物「大屋根リング」の内側なども、大阪府・市が主導し、エンターテインメント拠点へと再開発する計画が進む。
万博で示す健康・医療などの新技術をレガシーとして取り込み、産業も集積させる構想で、再成長へのけん引役を託す。府知事の吉村洋文(49)がつぶやく。「夢洲もここまで来た」(敬称略)
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2005年の愛知万博以来、20年ぶり6回目となる国内での万博開幕が間近に迫った。準備状況や街の様子を追った。
【図・写真】透明な翻訳ディスプレーを活用し、外国人への対応研修をするゲストサービスアテンダント(大阪市此花区の夢洲)
介護離職を経営リスクととらえ対策急げ(社説)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 919文字 PDF有 書誌情報]
4月から介護離職を防ぐための雇用環境の整備が企業に義務付けられた。団塊の世代がすべて75歳以上になり、親などの介護と仕事の両立に悩む働き手は今後確実に増えるだろう。企業は介護離職を大きな経営リスクととらえ、対策を急いでほしい。
総務省の調査によると、介護を理由に離職する人は年間約10万人いる。人手不足が深刻化するなか、企業に大きな痛手となる。離職まで至らなくても仕事に支障を来すことは少なくない。労働生産性への影響などで、2030年には約9兆円の経済損失が生じると経済産業省は推計する。
4月施行の改正育児・介護休業法は、仕事と介護の両立支援制度について、研修や相談窓口の設置などを企業に求める。制度を利用する意向を社員に個別に確認することも義務付けている。
介護休業を通算93日取得できるなど法律が定める制度を知らない働き手は多い。企業は独自の両立支援策と併せて情報提供に努め、支援の拡充も検討すべきだ。
介護は誰もが直面しうるが、当事者にならなければ関心は高まりにくい。社員に経験談を語ってもらうなどの工夫も必要だろう。あらかじめ公的・民間介護サービスの種類や手続きなどを知ってもらうことも重要になる。
育児と異なり、介護は何年続くか見通しにくい。上司らに相談できずに1人で悩みを抱え込む「隠れ介護」も少なくない。当事者は管理職に就いている場合も多く、負い目から長期の介護休業の取得を避ける傾向もある。
こうした現状を踏まえ、企業はまず社員の状況を調べて把握したい。日立製作所では社員の8%が介護を手がけ、59%が5年以内に介護する可能性のあることが判明した。不安要素も聞き取り、両立支援策に生かしている。
そのうえで短時間勤務やテレワークなどの柔軟な働き方の活用を含め、両立支援を充実させてほしい。介護休業や介護休暇で法定以上の日数を認めるところもある。休みやすい組織へ職場環境も変えていく必要がある。
人員やノウハウに乏しい中小企業には、各地の商工会議所などが窓口となって両立支援の手助けをする必要があるだろう。
仕事との両立を支える訪問介護は賃金が他産業に見劣りし、担い手が不足している。政府が主導して処遇改善を急ぐべきだ。
宿泊税は使途や効果を明確に(社説)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 784文字 PDF有 書誌情報]
全国の自治体で宿泊税の新設や引き上げの動きが広がっている。観光施設の整備やオーバーツーリズム(観光公害)対策に生かすためだ。導入にあたっては使途や効果をきちんと「見える化」し、無駄遣いを避け、持続可能な観光地づくりにつなげたい。
宿泊税は地域の宿泊施設に泊まる客が負担する。法定外目的税のひとつで目的や課税対象、税率などは自治体が条例で定め、総務相の同意を得て実施する。ホテルなどが宿泊料金と同時に集め、自治体に納める仕組みだ。
静岡県熱海市は1日、1人1泊200円の宿泊税の徴収を始めた。実施自治体は12となり、来春までに10以上の自治体が導入する。経済同友会によれば、準備・検討中は50自治体に達し、導入済みの大阪府や京都市などで増税を予定する例もある。
観光振興は交通の混雑やゴミの増加のような弊害を招く。住民からの税収で対策を講じるよりも、訪問客自身に応分の負担を求めるのは理にかなう面がある。
宿泊業界には、客の目には値上げに等しい点や事務処理と告知の煩雑さから、宿泊税に抵抗感がある。自治体は地域の魅力向上に使う点を理解してもらったうえで、デジタル環境の整備などの支援も考えたい。宿泊客自身に理解を求める努力も欠かせない。
大事なのは使い道や効果の透明性だ。観光というテーマは間口が広い。関連の薄い分野や、観光目的であっても効果の薄い事業などに使われないか監視したい。
日本の宿泊税は告知や計算が簡単な定額制がほとんどだ。欧米は定率制も多く、税率も宿泊料金の10%程度など日本の水準より高めの都市が目立つ。富裕客に応分の負担を求め、地域のインフラの充実にあてることで観光客誘致への住民の理解につなげている。
人口減少が進む今後、地域社会の維持に観光振興は欠かせない。どのような観光地をめざし、どんな客を招くのか。宿泊税を地域づくりを議論する契機にしたい。
4月6日(首相官邸)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 316文字 PDF有 書誌情報]
午前中は来客なく、公邸で過ごす。
▽13時57分 岡野国家安全保障局長、鯰外務審議官。
▽14時2分 国家安全保障局長、伊沢北大西洋条約機構(NATO)日本政府代表部大使、外務省の鯰外務審議官、北川欧州局長、防衛省の加野防衛審議官、大和防衛政策局長。59分 青木官房副長官。
▽17時45分 林官房長官、国家安全保障局長、外務省の船越次官、鯰、赤堀両外務審議官、有馬北米局長、財務省の高村関税局長、土谷国際局長、渡辺農水審議官、経産省の松尾経産審議官、荒井通商政策局長。
▽18時51分 官房長官。
▽19時36分 官房長官、加藤財務相、赤沢経財相、金融庁の屋敷総合政策局長、堀本政策立案総括審議官、財務省国際局長。
▽20時1分 全員出る。
自民税調会長「財政再建を」 ネット番組で訴え(短信)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 143文字 PDF有 書誌情報]
自民党の宮沢洋一税制調査会長は6日公開のインターネット番組に出演した。「財政が悪化することで円安が進み、輸入物価が上がることになる」と話し、財政再建を訴えた。宮沢氏がネット番組に出るのは珍しい。SNSで個人の負担軽減を求める意見が広がるなか、財政再建の重要性を若者に訴える狙いがある。
沖縄大教授が出馬表明 参院選、オール沖縄要請(短信)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 125文字 PDF有 書誌情報]
夏の参院選沖縄選挙区(定数1)を巡り、沖縄大教授の高良沙哉氏(46)が6日、那覇市で記者会見し、無所属で立候補する意向を表明した。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する勢力「オール沖縄」の政党会派会議から出馬要請を受けていた。
秋田市長選で沼谷氏初当選 54年ぶり現職破る[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 2ページ 154文字 PDF有 書誌情報]
任期満了に伴う秋田市長選は6日投開票され、無所属新人の元秋田県議沼谷純氏(52)=立民推薦=が、5選を目指した現職穂積志氏(68)=公明推薦=を破り初当選した。
市によると、秋田市長選で新人候補が現職を破るのは1971年以来54年ぶり。
4期16年にわたる穂積市政の継続か転換かが大きな争点の一つとなった。
日本株、売りの連鎖なお 米恐怖指数は危機並み水準 業績への打撃警戒 市場、関税交渉の行方注視[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1610文字 PDF有 書誌情報]
トランプ米大統領の「相互関税」が日経平均株価の急落を招いている。今週も下落で始まるとみられ、日経平均が過去最大の下落幅を記録した2024年8月に付けた安値、3万1458円を保てるかが焦点だ。市場の緊迫度を示す米国の「恐怖指数」は過去の危機並みの水準に高まり、波乱含みの展開が続く。日本企業の業績への打撃に警戒感が広がっている。
「人為的ショックを起点に危機が連鎖する点で欧州債務危機に似ている」。グローバルマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は、米政権の関税政策が引き起こした世界株安をこう指摘する。
欧州債務危機はギリシャ政府による財政赤字の隠蔽発覚に始まり、南欧の債務問題や欧州内の政治対立につながった。トランプ氏が打ち出した高関税は米国の物価高だけでなく脆弱な国、企業の危機や政治の分断を深めかねない怖さがある。
市場の緊迫感は過去の危機時に並んできた。「恐怖指数」と呼ばれ投資家の不安の程度を示す米国の「VIX指数」は4日に40を超えた。40を超えるのは過去20年で5~6回の局面しかない。
2015年8月に中国が人民元を切り下げた「チャイナショック」や円キャリー取引の巻き戻しが株安を誘発した24年8月などの局面では40突破が相場の底となった。共通点は大規模な持ち高調整が起きたものの、日米など各国が景気後退を回避できた点だ。
40突破が通過点でしかなかったのは08年のリーマン・ショックや20年の新型コロナウイルス禍の局面だ。各国が景気後退に陥り、VIX上昇と株安が続いた。欧州債務危機時は金融危機からの景気回復が足踏みとなり、株価低迷が長引いた。
今週、市場関係者が注視するのは関税交渉の行方。石破茂首相は5日の読売テレビ番組で、トランプ氏との電話協議に関し「来週のうちにはやりたい」と述べた。トランプ氏が妥協の姿勢を見せれば株価は急反発するとの見方もある。
ピクテ・ジャパンの市川真一シニア・フェローは「26年11月の中間選挙を意識した議会がトランプ氏に政策を変更するよう迫る可能性もある」と指摘する。実際、共和党議員からも関税への批判の声が上がっている。
日本時間5日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物6月物は3万2220円と、4日終値の3万3780円と比べて1500円以上安い水準まで下げた。週明け7日は大幅下落で始まりそうだが、下値のメドとして手掛かりになるのは企業業績の分析だ。
日経平均を構成する225社の25年度の1株利益(EPS)について、アナリスト予想の平均(QUICKコンセンサス)は8.7%の増益見通しとなってきた。JPモルガン証券によると日本への24%の関税適用が続くと25年度のEPSを7%押し下げる。増益分がほぼ消し飛んでしまう。
株価は、EPSに投資家の期待を映すPER(株価収益率)を掛け合わせて決まる。現在のPER(13倍台半ば)に25年度のゼロ成長前提のEPSを掛け合わせると3万2500円と先物の価格に近い。
世界景気の行方によっては「1割減益になる可能性もある」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト)。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員によれば、過去の景気後退局面のPERの目安は12.7倍。10%減益でPER12.5倍ならば日経平均は2万7000円台となる計算だ。
マクロ経済の想定を踏まえ「アナリスト予想の下方修正は今週から本格化する」(大和証券の鈴木政博チーフクオンツアナリスト)。5月上旬にかけては2025年3月期の企業決算が相次ぐ。業績への影響がある程度、見えてくれば押し目買いも入りやすくなる。
金融政策への関心も高まってきた。株安が止まらないようだと金融システムや流動性への懸念も台頭する。「中央銀行が支えることも株安への歯止めになる」(フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジスト)との声がある。
重要な薬8割、卸「赤字配送」 抗生物質など安定供給にリスク[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1223文字 PDF有 書誌情報]
医薬品卸会社が抗生物質など医療上不可欠な薬の8割を採算割れで配送していることが青山学院大などの調査でわかった。薬の原価や配送にかかるコストを納入先の医療機関などへ十分に転嫁できていない。卸の経営体力が落ち込めば、安定供給に関わるリスクとなりかねない。
厚生労働省の研究事業として、青学大の東伸一教授らが主要な医薬品卸7社に対し、国が指定する重要な医薬品の流通コストを聞き取り調査した。
対象は(1)医療現場での必要性が高い「基礎的医薬品」328成分2358品目(2)抗生物質や麻酔薬など医療上不可欠な「安定確保医薬品カテゴリーA」21成分303品目(3)Aに次いで優先度が高い「安定確保医薬品カテゴリーB」29成分156品目――の3分類だ。(1)と(2)は一部重複する。
2022年度実績を基に集計したところ、卸各社では3分類とも仕入れ原価や配送費などを合計したコストが卸売価格を上回り、採算割れとなっていた。卸売価格に対するコストの比率は基礎的医薬品で107%、カテゴリーAで105%、カテゴリーBでは103%と、いずれも100%を超え、採算割れだった。
不採算の品目数は基礎的医薬品で78%にのぼり販売額ベースでは82%を占めた。品目数ベースと販売額ベースの割合はそれぞれカテゴリーAで78%と73%、カテゴリーBで63%と45%だった。基礎的医薬品やカテゴリーAに不採算の品目が多いのは、薬価が低い品目が多いためだとみられる。
薬の流通では、製薬会社が仕入れ費用の一部を卸企業に払い戻す商習慣がある。調査では卸企業が受け取るお金も考慮し損益を計算した。それでも結果的に多くの薬で採算割れが出ていた。
卸各社に対し課題を聞いたところ、薬価が低い品目にかかる手間や、麻薬や保冷品、在庫切れへの対応作業などが挙がった。得意先から急な配送を要請されるが、追加料金も請求できないため赤字に陥っているといった声もあった。
納入先が離島や中山間地域にある場合には特に配送の負荷が大きいことも分かった。日本全体の医療提供体制について効率化や機能分化が十分に進んでおらず、コスト高につながりやすい構造がある。
日本医薬品卸売業連合会(卸連)の集計では、24年時点の会員企業の従業員数は約4万6000人と7年連続で減少し、この間の減少数は約1万人にのぼった。
医薬品卸は一部の品目で採算割れの配送を強いられるなか、全体のコストを削ることで利益を捻出している。卸連によると、会員企業の23年度の売上総利益率は平均6%弱と03年度に比べて約2ポイント低下したが、ほぼ同じ分だけ販管費率を抑えることで、1%の営業利益率を確保した。
医薬品業界のコンサルティング会社、クレコンリサーチ&コンサルティング(東京・渋谷)の小池千佳子取締役は「全体で利益を出せればいいという考えでは、安定供給に逆行する」と話し、品目ごとに採算を確保できるような取り組みが必要だと強調する。
日本株、売りの連鎖なお 米恐怖指数は危機並み水準――首相、閣僚に市場の動向注視を指示[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 3ページ 253文字 PDF有 書誌情報]
石破茂首相は6日夜、首相公邸で加藤勝信財務相、赤沢亮正経済財政・再生相らと面会した。トランプ米大統領の相互関税発動による金融市場への影響を注視するよう指示した。「世界の金融資本市場に不安定な動きが見られる。市場や投資家の動向に関しても、関係閣僚でよく連携して適切に対応してほしい」と述べた。
加藤氏が首相とのやりとりを記者団に明らかにした。首相の指示を踏まえ「市場がどういうふうに動いていくかわからない。明日の動向をしっかり見た上で、適切な対応を関係閣僚、省庁との連携を取りながらしていきたい」と語った。
IT投資にみる景気 データ活用、競争力の柱 セールスフォース・ジャパン会長兼社長小出伸一氏(月曜経済観測)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1447文字 PDF有 書誌情報]
生成AI(人工知能)が急速に発達し、世界の企業が導入を急いでいる。国内外の企業のIT(情報技術)投資にどのような影響が出ているか。米顧客情報管理ソフト大手、セールスフォース日本法人の小出伸一会長兼社長に聞いた。
――IT業界から現在の景気はどう見えますか。
「トランプ米政権の発足に伴う政策変更の影響を受ける可能性もありましたが、これまでのところ急激な変化はありません。ここ数年はデジタルトランスフォーメーション(DX)が企業のIT投資を後押しし、さらに生成AIの追い風が加わって全体がけん引されるとの見方が強まっています」
今年は増加予想
「国内では多くの調査会社が2025年のIT投資について前年比数%の増加になると予想しています。私たちが実際のビジネスを通じて得ているのも同じような手応えです。特定の業界の投資意欲が突出するということはなく、企業規模別に見ても大企業から中小企業までIT投資が必要との認識を共有しています」
――25年はパソコンの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」のサポート終了に伴う特需が発生するといった見方もありました。
「こうした影響が多少はあるとは思いますが、全体として企業は数年前から準備を進めており、影響を吸収できています。これまでもIT業界では2000年問題や、サーバー向けOSである『ウィンドウズNT』のサポート終了といった投資が必要な事象が数年おきに発生し、企業は経験を積んできました」
数カ月でも激変
――生成AIの具体的な影響は。
「3月下旬に米本社のマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)が来日し、2人で『この1年間の変化は過去40年の変化よりも大きい』と話しました。対話型生成AIの『Chat(チャット)GPT』の利用者は2カ月あまりで1億人に達するなど、数カ月で状況が大きく変わります。生成AIにより変化の時間軸が一変しました」
「IT分野の新技術はまず企業が利用し、時間がたって消費者に行き渡ることが多かったのですが、生成AIは順番が逆でした。セキュリティーやプライバシーに関する検証は途上で、企業としては利用して大丈夫だろうかという議論になっています。社内のデータを利用しないとAIで十分な効果がないことも分かってきました」
――日本企業に固有の課題はありますか。
「データの重要性が高まっていますが、国内では規制が厳しく、万が一に備えて保存するという考え方が続いてきました。利活用に重点を置いてきた米欧とは対照的です。長年にわたって企業ごと、業務ごとに独自の情報システムを開発してきたため、システムやデータの分断を引き起こしました」
「日本企業が蓄えているデータは非常に多く、どう使えるようにするかが競争力を取り戻すカギを握ると考えています。そのためにはクラウドコンピューティングなどを活用した情報システムの刷新が急務ですが、現代化だけでは不十分。予算に限りがあるなか、優先順位をつけて勝てる分野に重点的に投資を振り向けることが重要になります」
――国内ではIT人材の不足も顕著です。
「質、量の双方で不足は深刻です。専門知識が乏しくてもアプリなどを開発できるノーコード・ローコードが広がっており、IT人材のリスキリング(学び直し)が必要です。AIの活用で不足を補うことも重要です。AIの利用では経験を通じて学ぶ姿勢がカギを握るため、一定のリスクを許容し、失敗を恐れずにやってみることが大事だといえます」
(聞き手は編集委員 奥平和行)
国内生保の海外M&A 米豪の成長取り込み(きょうのことば)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 3ページ 395文字 PDF有 書誌情報]
▽…少子高齢化や人口減で国内の生保市場が伸びづらくなるなか、買収や出資を通じて海外市場の成長を取り込む動きが活発になっている。先駆けとなったのが2010年に大手で初めて株式会社へ転換した第一生命ホールディングス(HD)。11年に豪TALを完全子会社化し、その後も米プロテクティブを買収するなど積極的なM&A(合併・買収)で海外ビジネスを強化してきた。
▽…世界で最大の保険マーケットである米国には住友生命保険と明治安田生命保険も大型の買収を実施してきた。国内最大手の日本生命保険は米国に目立った足場を持たなかったが、24年末に約1兆2000億円で米系レゾリューションライフを買収すると発表した。
▽…買収先の企業を適切に管理できるかが課題となる。日本生命が16年に買収した豪MLCは現地の規制強化などで業績が悪化し、複数回の追加出資を余儀なくされるなど経営管理のあり方を問われる事態にもなった。
ミャンマー 危うい停戦継続 地震被害の中、双方「被弾」主張 支援拡大の障壁に[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1526文字 PDF有 書誌情報]
【ヤンゴン=渡辺禎央】ミャンマー中部を震源とする大地震から1週間が過ぎた。軍事政権は異例の早さで外国に支援を求め、米国や英国は支援額の上積みを決めた。内戦状態の国軍と抵抗勢力は「戦闘停止」を宣言したが、足元ではつばぜり合いを続けている。救援活動や支援物資の輸送でリスクがなおくすぶる。
5日の軍政の集計で、死者は3471人、行方不明が214人だった。米地質調査所(USGS)の予測では死者が1万人を超えるシナリオもある。
3月28日にマグニチュード(M)7.7を記録した震源に近い古都マンダレー。2千軒以上の住宅などが倒壊・損壊し、生き埋めになった人々の捜索は難航する。
「水や電気の不足にたえられない」。損壊した自宅から郊外の僧院に逃れた男性は電話取材で訴えた。ただ「ようやく近所に外国の救助隊が来た」と一筋の光明を見る。
軍政トップのミンアウンフライン国軍総司令官は被災当日から「いずれの国や組織、個人にも支援を要請したい」と呼びかけた。2021年の軍事クーデター後に経済が疲弊し、想定外の巨大震災にカネもモノも足りないことが明白だからだ。
インドと中国からの支援が目立つ。インドは医療品や野外病院の設備、食料、毛布を地震翌日から続々と届けた。ミャンマーへの影響力を強める中国に対抗する狙いもありそうだ。中国は1億元(約20億円)の支援を打ち出し600人以上の救助要員を送りこんだ。
軍政に距離を置く欧米も動いた。英国は4日までに2度支援額を引き上げ、当初の1千万ポンド(約19億円)から2500万ポンドに増やした。「軍政に直接は渡らない」と強調した。欧州連合(EU)は300万ユーロ(約4億8千万円)や計80トンの支援物資を送る。
米国は4日、援助額を当初の200万ドル(約3億円)から900万ドルに引き上げると表明した。同国と日本、オーストラリア、インドの枠組み「Quad(クアッド)」としても3日、各国で合わせて2千万ドル超に相当する支援を進めると発表した。日本は600万ドル規模の資金や国際緊急救助隊の派遣で貢献する。
一連の援助が広く被災現場に行き届くかは予断を許さない。長年の内戦状態を背景に、地域によって国軍・抵抗勢力など治安や住民情報の管理主体が異なる。今回の震災は物資の輸送や被害情報の把握でこうした対立の構図が影響しやすい。
マンダレーの西に隣接するザガイン地域は反国軍の武装勢力の活動が盛んだ。救援チームの入域には国軍の厳しいチェックが立ちはだかる。
国際社会の不安や批判を受けて、紛争に関わる各勢力は攻撃の一時停止に動いた。ただ国軍が空爆を続けていると主張する。カチン独立軍(KIA)の報道官はオンラインメディアのミャンマー・ナウにカチン州で空爆があったと話した。
一方、軍政のゾーミントゥン報道官は5日「国軍が戦闘を一時停止すると発表した後、抵抗勢力が停戦を破った」との声明を出した。軍政は2日「国軍は22日まで戦闘を停止する」と発表していた。
ゾーミントゥン氏は3~4日に国軍拠点に銃器などで攻撃をしかけたとして、タアン民族解放軍(TNLA)やアラカン軍(AA)、KIAといった少数民族武装勢力のほか、国内各地に散らばる武装集団の国民防衛隊(PDF)を挙げた。
いずれの武装勢力も自衛のための攻撃を否定していない。国軍も停戦期間に抵抗勢力が国軍拠点への攻撃などに動いた場合「必要な対応をとる」と警告していた。
偶発的な衝突やそれに伴う救援活動への支障は起こりうる。国際社会も安全な経路を見極めながら着実な支援の継続が期待される。
【図・写真】建物の倒壊現場で活動する中国からの救援隊員(3月31日、マンダレー)=ロイター
ベトナム、対米関税協議へ「撤廃の準備ある」 成長減速を警戒[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1343文字 PDF有 書誌情報]
【ハノイ=新田祐司】ベトナム統計総局が6日に発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前年比6.93%増だった。ただ米トランプ関税の発動で経済成長の急減速に警戒感が広がる。ベトナムの最高指導者は米国からの輸入品について「輸入関税をゼロにするための協議の準備ができている」と表明した。
1~3月期のGDP成長率としては新型コロナウイルス禍後の最高だった。けん引役は輸出だ。1~3月期の輸出額は1028億ドル(約15兆円)と前年同期から11%増えた。米国が全体の約3割を占める最大の輸出先だ。輸出の伸びに支えられ、GDPの約4分の1を占める製造業のGDPは9.28%増えた。
ベトナムの成長力は東南アジア主要国の中でも際立つ。ただトランプ米大統領が発動した相互関税が影を落とす。
トランプ政権がベトナムに示した関税率は46%と、最も高い国・地域の一つだ。同国のファム・ミン・チン首相は2025年のGDP成長目標として8%以上を堅持する。ただオランダの金融機関INGグループは相互関税の影響がGDPの5.5%分に及ぶ可能性があると試算する。
これまでの関税の実績やベトナムの付加価値税を考慮し、企業や識者の中には関税率が数%~10%台になるとみる人が多かった。ベトナム政治に詳しいISEASユソフ・イシャク研究所のグエン・カク・ジャン客員研究員は「この税率は経済的に無意味で、両国貿易の実態を反映していない」と非難する。
ベトナム共産党は混乱収束に向け、トランプ政権とのディール(取引)に取り組み始めた。
「ベトナムは、米国からの輸入関税を0%に引き下げるための協議の準備ができている」。最高指導者のトー・ラム共産党書記長は4日夜、トランプ氏と電話協議し、こう明言した。トランプ氏は話し合いの後、SNSに「とても生産的だった」と投稿した。
ベトナム政府は相互関税の公表直後に財政相も務めた副首相を米国へ派遣した。国内では緊急対策チームを立ち上げた。
ベトナム経済界が受けた相互関税導入の衝撃は大きい。3日の株式市場では代表的な株価指数「VNインデックス」が前日比7%近く下げた。下げ幅は過去最大という。
「ベトナムに進出する9500社以上の韓国企業に直接影響を及ぼす可能性がある」。大韓商工会議所ベトナム代表のキム・ヒョンモ氏は懸念を口にする。ベトナムには日本企業の約4倍とみられる韓国企業が進出。サムスン電子はスマートフォンの5割以上をベトナムで製造する。
ベトナムの輸出は7割を海外企業の製品出荷が占める。日本を含む海外企業の投資を呼び込めなくなれば、経済成長は止まる。キム氏は「中国に対抗するベトナムの役割を強調し、米国との交渉で電子機器など戦略的分野の関税免除を確保してほしい」と訴える。
早くも経済活動には鈍化の兆しがある。縫製品や水産物など幅広い業種で、米国向けの出荷を停止する動きが出ている。
ある水産業の関係者は「ルールが分からず、大変混乱している」と打ち明ける。高関税を避けるために在庫の出荷を急ぎたいところだが、関税の適用基準が曖昧で、海上輸送中の積み荷にも高関税を課される恐れが拭えない。水産業では輸出業者が関税を負担する契約が多く、大きな損失を被る可能性がある。
韓国大統領選へ始動 投開票日、14日までに決定[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 5ページ 1330文字 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】韓国憲法裁判所による尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免を受け、60日以内に実施される大統領選に向けた選挙戦が事実上、始まった。大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相は14日までに投開票日を決める。与党からは複数の候補者の名前が浮上している。
6日の韓国聯合ニュースによると、最大野党「共に民主党」から韓氏に対し、選挙の日程を早期に確定するよう求める声が相次いでいる。大統領選の日程が決まれば、共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が出馬に向けて動き出す見込みだと報じた。
投開票日は6月3日が有力とされている。野党は李氏に一本化する流れになるとみられる。尹氏を失った与党「国民の力」も4月中旬ごろをめどに党内の予備選挙で公認候補を決める。
韓国ギャラップが4日に公開した調査では「政権維持」を望む割合は37%、「政権交代」は52%だった。政党別の支持率を見ると、国民の力が35%、共に民主党は41%と野党がややリードする。
個別候補で見ると、李氏が34%とトップを独走状態だ。李氏は公職選挙法違反に問われた控訴審で3月に無罪判決が出たが、ほかにも複数の刑事裁判を抱えている。
これまで同氏は親中・親北朝鮮に加え、反米・反日に関する言動が目立っていた。ただトランプ米大統領は同盟国に防衛費の負担増や相互関税の発動などで圧力を強めている。米国に対し強硬姿勢をとる李氏が外交で柔軟姿勢に転じることができるかは不透明だ。
李氏は2月、YouTube番組で「今後、共に民主党は中道保守を担わないといけない。私たちは進歩(革新系)ではない」と発言した。過激な発言や不祥事疑惑に拒否感を持つ支持者も少なくない。
李氏はギャラップによる1月の調査で「将来の政治指導者として誰がふさわしいか」との項目で31%とトップだった。中道へのアピールを続けているものの、今月4日に発表された世論調査の結果で同項目が大きく改善したわけではない。
李氏の後を追いかける大統領候補には与党候補の名前があがる。世論調査では、京畿道知事を2期務めた金文洙(キム・ムンス)雇用労働相が9%で続く。尹氏の弾劾に反対の立場をとったことで一部保守層からの支持を集めているとされる。
国民の力の前代表である韓東勲(ハン・ドンフン)氏は5%だった。韓氏は尹氏の「非常戒厳」宣言を巡り、尹氏の弾劾訴追案に与党として賛成することを呼びかけたが、党は反対方針を堅持した。党内からの批判を受け、党代表を辞任した。
2017年に保守系・自由韓国党から大統領選に出馬した洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長は4%だ。06年に歴代最年少の当時45歳でソウル市長に選出された呉世勲(オ・セフン)ソウル市長が2%となった。
尹氏は6日、支持者に向けて「大統領職は退いたが、これからも常にそばにいる」とのメッセージを発表した。大統領選へ保守の結集を図る狙いがあるとみられる。
尹氏の弾劾審判を巡っては罷免に反対する保守系と、罷免に賛成の革新(進歩)系の意見対立が表面化した。ソウル市内の各所で5~6日、尹氏の罷免の賛成派と反対派の双方が、尹氏の罷免が宣告された後では初めてとなる集会を開いた。
「トランプ氏、世界を破壊」 全米でデモ、NY中心部に数万人[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 5ページ 783文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】ニューヨークやワシントンなど全米の主要都市で5日、市民らがトランプ米政権の政策に抗議する大規模な抗議活動を行った。発動された相互関税など一連の政策を批判した。ニューヨークでは数万人が集まって中心部を占拠し「トランプは世界を破壊した」などと叫んで行進した。
ニューヨークの目抜き通り「5番街」。大声を上げて行進する数万人の参加者で占拠された。参加者らは「民主主義の危機」などと書かれたプラカードを掲げて大声をあげ、2時間にわたって大通りを封鎖して行進を続けた。
ニューヨークは民主党支持者の地盤だ。トランプ政権の成立以降、大学などで政策に反対する抗議活動はあったが、中心部を全面的に占拠する大規模な抗議活動は初めてとみられる。
「相互関税は世界を崩壊させた。トランプは正気じゃない」。ニューヨーク在住のミミ・デイトさん(86)は相互関税が世界経済に被害をもたらしたと強く批判した。「トランプは自分の頭の中で物事をでっちあげている。多くの国にとって光だった米国の民主主義が終焉(しゅうえん)してしまう」
抗議活動には大学教授や学生、会社員など幅広い職業、年齢層の市民が参加した。政府効率化省(DOGE)を主導し、連邦政府の人員削減を進めるテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に反対する市民も多くみられた。
米CNNなどによると同様の抗議活動はワシントンやシカゴ、ボストン、ロサンゼルスなど全米50州全ての主要都市で開かれ、数十万人が参加したとみられる。
トランプ政権は5日、2日に公表した相互関税のうち、全ての国・地域に対する一律10%の基本税率を発動した。政権は相互関税を撤回せず、貿易相手国が非関税障壁などを見直さない限り、交渉にも応じない考えだ。
【図・写真】ニューヨーク中心部で行われた大規模なデモの様子(5日、ニューヨーク)
国防人材 どう育てる 民間上回る処遇改善を 元防衛次官 黒江哲郎氏(複眼)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1408文字 PDF有 書誌情報]
安全保障の環境が厳しさを増すなか、国防を担う人材の不足が深刻だ。正規の自衛官は定員に対して約1割の欠員が生じ、幹部を育てる防衛大学校の志望者も減っている。政府は処遇改善により引き留めを図るが、育成の現場に課題はないか。米国の視点も含めて考える。
自衛隊が動かなくてはいけない緊急事態は多岐にわたる。他国から武力侵攻された際に日本を守ることや、大地震などへの災害派遣だ。自衛隊が募集対象とする18~32歳の人口は30年後におよそ4割減る。今の応募水準が続くと現在と同じような手厚い対応は確実にできなくなる。
自衛官は極めて特殊な職務内容を含む。自衛隊法では「事に臨んでは危険を顧みず」と記されている。上官の命令に背いて危険を回避してはいけないことや、状況によっては退職する自由も制限される。仕事に命をかける義務が法律で定められている。
自衛隊の前身である警察予備隊が1950年に発足して以降、およそ70年間で2000人以上の殉職者がいる。自衛隊は一度も戦闘を経験していないが、日ごろの訓練から危険と隣り合わせだ。自衛官には駐屯地や隊舎での集団生活や全国転勤もつきものだ。家族への影響も大きい。
厳しい義務を課しているのに、自衛官の自己犠牲で済ませてしまうのは国のあり方として間違っている。だからこそ処遇改善が必要だ。国民一人ひとりが、命をかけて困難な職務を行うよう自衛官に求めていることを自覚するべきだ。
石破茂政権は2024年末に自衛官の処遇改善策をまとめた。手当の拡充や隊舎の改善、再就職支援などを打ち出したことは評価できる。ただ他業種との人材獲得競争に勝つためには、民間の処遇改善のスピードや内容を上回らなければならない。
そのために国が自衛官に報いる新たな制度を設けてもいいだろう。たとえば一般的な厚生年金や国民年金に加え、年金を上乗せするのはどうか。財源は税金とすることで、国民が責任を持つべきだ。
社会からの敬意を自衛官が感じられる教育も必要だ。外国から攻められたら我々の生活すべてが脅かされる。その事態に陥ることを防ぐために自衛官が国を守っていると学校で教えてほしい。
自衛隊と民間を行き来する人材の「リボルビングドア(回転扉)」の導入など組織に柔軟性を持たせる必要もある。かつては自衛隊も終身雇用が前提だったが、今の若い人は組織をまたいで自分のスキルアップをはかる。その過程に自衛隊を位置づけてもらっていいと思う。民間で知見を身につけた人材は退官時よりも高い階級で入隊するような制度もあるべきだろう。
予備自衛官制度も戦力の一つとして数えられるようにすべきだ。今の予備自衛官は年5日の訓練を基本としているが、これでは戦力といえない。海外のように事前に部隊の配置や職務の内容を決めて戦力の中に組み込むべきだ。なるべく早く検討を始め、次期防衛力整備計画でこれまで以上に強力な予備自衛官制度をつくらなくてはならない。
人的資源の減少を止められないのであれば、少人数でなるべく戦闘に集中できる仕組みもつくらなくてはならない。装備の無人化や、後方支援職種の民間委託を加速すべきだ。官民の役割分担のうち、民の役割を大きくしていかないと自衛隊は戦えない。
(聞き手は永富新之丞)
【図・写真】くろえ・てつろう 1981年防衛庁入庁。防衛政策局長、防衛次官などを歴任。2017年退官。防衛省の人材強化検討会の委員を務めた
国防人材 どう育てる――大学との連携がカギに オハイオ州立大学教授 ピーター・マンソール氏(複眼)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1273文字 PDF有 書誌情報]
国防人材への敬意と尊敬は米国社会の土台となっている。独立記念日、メモリアルデー(戦没将兵記念日)には退役軍人や戦没者に国を挙げて敬意を表する。現役軍人も飛行機に優先搭乗し、多くのレストランや小売店で割引を受けられる。こうした社会基盤が人材獲得を支えている。
退役軍人をたたえる伝統は英国からの独立戦争に端を発する。南北戦争や第1次世界大戦の後は、数年たつと退役軍人を支援する感情は薄れがちだった。
しかし第2次世界大戦は膨大な数の退役軍人を生み出し、継続的な支援が始まった。このことが米国社会で国防人材の地位を大きく高めた。ベトナム戦争など曲折はありつつ、黄色いリボンや旗を掲げて公然と国を守る軍人をたたえる基盤は社会に定着した。
若者を軍に引き寄せるのに親や学校の先生は重要な役割を担っている。軍に応募する人の大半は軍人の家庭出身だ。次に重要なのは下士官を地域社会のイベントに派遣することだ。学校やスポーツイベント、ショッピングモールなどで若者と交流する。
以前はこうした募集担当者は1回限りの任務が基本だった。現在はリクルートに優秀な実績を残した人が、米軍での全てのキャリアをこの分野でおくるケースもある。
大学教育にも国防人材の確保の仕組みが組み込まれている。米軍の新規任官者の多くは、一般大学に通いながら軍の将校を目指す「ROTC」と呼ばれる制度で学ぶ。たとえば2021年に新しく任命された米陸軍将校の6割をROTCが占める。
この制度はハーバードやエールといった名門校をはじめ1700以上の一般大学が採用し、学費の一部または全額が免除となる。ROTCは軍の存在を社会に結びつけ、キャンパスの他の若者にも国防を考える機会を与えている。
今のところ士官学校への志願者が足りず困るような事態は起きていない。卒業後5年間の軍勤務を条件に、学生は一流の教育を無料で受けられるためだ。彼らは米国企業が求めるリーダーシップの経験を積むことができる。
入隊後の支援も重要だ。入隊した時点でボーナスを支給し、退役後も民間で役立つ訓練を導入している。離隊から数年後、再び軍務に就くことを認める新しい仕組みも始まった。サイバーセキュリティーのような専門部隊での活用が広がるとみている。
ここ数年、米軍に応募する人が減少する傾向にあった。新型コロナウイルスの感染拡大で、採用担当者と若者が接触する機会が減ってしまったためだと私は考えている。米国経済が良好で、多くの若者が軍を検討する前に民間企業に向かった影響もあるだろう。足元では状況は改善しつつあり、今年の米軍への応募者数は回復傾向にある。
トランプ大統領が制服組幹部の一斉更迭などに踏み切ったことは、米軍の募集にまで影響するとは思わない。若者は様々な背景で軍に入隊するし、これまでつちかってきた社会基盤も残るからだ。
(聞き手はワシントン=飛田臨太郎)
【図・写真】Peter Mansoor 陸軍士官学校卒で米軍に26年間在籍。イラクに駐留し、多国籍軍司令官の副官を務めた。専門は米軍の歴史。08年から現職
国防人材 どう育てる――「抑圧」の土壌 改革進める 防衛大学校長 久保文明氏(複眼)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 7ページ 1252文字 PDF有 書誌情報]
防衛大学校は自衛隊の中枢を担う人材を育成する教育機関だ。16階級あるうちの最上位の将・将補に絞れば8割ほどを防衛大出身者が占める。少子化の影響は避けられず、2025年4月入校の受験者数はおよそ9000人で、13年度のピークから半数近くまで減った。このため、教育機関としての魅力を高める対策に力を入れている。
一つはグローバル化への対応だ。同盟国である米国の陸・海・空軍の士官学校に4年間留学して学位を取得できる制度を創設した。今年から1人ずつ派遣する。士官学校の卒業にあわせ、防衛大の卒業資格も与える。これとは別に米国やフランス、ドイツの士官学校に1学期間だけ留学する枠組みもある。
短期研修も含めると一学年480人あまりの学生のうち、60人ほどに留学のチャンスがある計算になる。いずれも国費で留学費用を賄う。
海外からの留学生の受け入れも積極的に進めている。いまは東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に12カ国から招いている。今年からフィジーとトンガが加わる。帰国後に国軍の幹部に就くケースもあり、自衛隊との連携拡大の面で貢献は小さくない。
専門性の強化も柱だ。陸海空以外の新領域への対応の一環で、24年度に学科を再編しサイバー・情報工学科を立ち上げた。サイバーに特化した専門的な教育を施す大学はまだそれほど多くない。ニーズは大きく、どこでも通用する人材を育てていきたい。
かつては一般社会から過度に厳しいとみられた上下関係も存在したが、その土壌を改めるよう努めている。上級生による下級生の指導のあり方はその一例だ。
防大生にはキャンパスから外出する際、下級生が上級生から身だしなみのチェックを受ける「容儀点検」と呼ばれる慣習がある。制服にしわがあったり、靴が汚れたりしている不備があれば、ただちには外出の許可が下りなかった。現在は注意を与えるが外出は認めている。
自衛隊という組織の特性上、規律が重要なのは言うまでもない。ただ、最近は先輩が後輩を理不尽に叱責するような「抑圧型」の指導をやめ、後輩の取り組みを励ます方法を取り入れるようにした。数十~数百人の学生を束ねる「学生長」と呼ばれるリーダーも、ハラスメントをするような人物はもはや選ばれなくなった。
従来は1年生だけが担っていた学生寮の清掃は、昨年から4年生も参加している。こうした改革は一部に反対意見もあったが、4年生が主導して実現した。
ハラスメントの撲滅はなお途上だが、効果も表れつつある。新入生は4月の最初の数日間に30人規模でやめるのが通例だった。この2年は10人ほどに減った。
25年度予算に計上した防衛費は8兆円以上におよぶ。このうち防衛大の予算は294億円だ。最新鋭の戦闘機は1機で100億円超かかる。これらを扱う人材への投資の重要性は装備品の購入に勝るとも劣らないのではないか。
(聞き手は永沢毅)
【図・写真】くぼ・ふみあき 東大博士。専門は米国政治。慶大教授、東大教授、アメリカ学会会長を歴任。著書に「アメリカ政治史」など
国防人材 どう育てる――<アンカー>「国民に近く」変化の下地(複眼)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 7ページ 342文字 PDF有 書誌情報]
内閣府の世論調査によると自衛隊への好感度は9割にのぼる。戦前の軍国主義への反動から自衛隊への視線が厳しい時代が長らく続いた。献身的な災害対応もあって、その評価は大きく変わった。
マンソール氏の指摘からわかるように、国民との距離の近さという点で米軍と自衛隊にはなお歴然たる差がある。それを縮めるための絶え間ない努力が欠かせない。
少子化を考えれば、黒江氏が言うように自衛隊と民間の往来を活発にする仕組みを早期に導入すべきだ。ハラスメント根絶に向けた自衛隊や防衛大の組織風土の改革もさらに進めたほうがよい。
ウクライナ戦争に加えて、同盟国にも苛烈なトランプ米政権の振る舞いをみれば、自分たちの力で国を守ることの切実さも強まりつつある。残された時間はそれほど多くない。
(編集委員 永沢毅)
トランプ大統領への手紙 論説主幹 藤井彰夫(核心)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 9ページ 2097文字 PDF有 書誌情報]
拝啓 トランプ米大統領閣下
大統領に就かれて2カ月半。まだそれぐらいかと思うほど米国は大きく変わってしまったと感じるのは私だけではないでしょう。あなたは1月の就任演説で約束した「常識の革命」を進め、世界はそれに振り回されています。
「同盟国はいつか同盟国でなくなるかもしれない」「多くの場合、敵より味方のほうが悪い」。あなたはこう語り、同盟国や友好国にも攻撃の手を広げています。その最たるものが関税政策です。
あなたが「解放の日」と呼んだ4月2日には、日本や欧州、アジアなど世界に向けた相互関税を発表しました。米関税率は1930年代以来の高水準になります。欧州や中国は報復関税で対抗し、世界は貿易戦争の様相です。
大統領は「関税は美しい」と考えているようですが、多くの経済学者が関税引き上げ競争は、世界経済に打撃をもたらすと警告しています。
高関税は米国の物価上昇につながり、景気後退とインフレが同時進行するスタグフレーションへの懸念も出ています。大統領は「市場の調整は一時的」としていますが、世界最大の経済大国の孤立主義への転換が及ぼす震度を軽視しないほうがよいでしょう。
バンス副大統領の著書「ヒルビリー・エレジー」に描かれているラストベルトの人々の境遇には心が痛みます。こうした人々の支持で当選した大統領が「米国第一主義」を大切にするのは理解しますし、どの国も自国利益を優先するのは当然です。ただ、今の政策が本当に米国のためになるのかは疑問です。
大統領は米国主導でつくりあげた国際経済システムと決別したいようです。第2次大戦の勝者となった米国は、欧州復興のマーシャルプラン、1ドル=360円の固定相場など寛大な政策で戦後復興を支えました。
敗戦国の日独の躍進もあって米貿易赤字が拡大し、負担に耐えられなくなった米国は、1970年代のニクソン政権で固定為替相場制を放棄しました。貿易摩擦も激しくなり、米国はしばしば貿易制裁や為替調整など厳しい措置もとりましたが、米主導の国際システムを守る姿勢は堅持してきました。
民主主義国が米国中心にまとまったこともあり、1990年代初頭に東西冷戦が終結、市場経済圏が広がりグローバル化が加速しました。
中国など新興国が急成長する一方、日米の製造業はコスト競争力が下がり厳しい調整を迫られました。その過程で米国はIT革命の波に乗って巨大テック企業を生み、シェールオイル開発でエネルギー輸出国に転じました。
モノの貿易赤字や製造業を重視する大統領は米国は弱くなったと感じているようですが、いまだに米国は世界一の経済大国であり、グローバル経済の勝者です。
2024年の世界競争力ランキング(IMD調べ)で米国は12位で主要7カ国(G7)ではトップ、中国(14位)も上回りました。米国の企業や大学も世界ランキング上位の常連です。今年の世界長者番付(米誌フォーブス調べ)では、あなたの盟友のイーロン・マスク氏を筆頭に上位10位のうち8人が米国人です。
麻薬まん延や地方経済の衰退の問題には、関税などではなく、所得再分配や医療・社会政策など国内政策で対処すべきではないでしょうか。
高関税でインフレや景気悪化が進めば低所得層の暮らしを一段と圧迫し、格差を広げる恐れすらあります。海外への攻撃は米国にブーメランのように戻ってきます。カナダや欧州では、米国製品の不買運動も起こり始めています。
「何十年もの間、日本や他の国々は米国を利用してきた」「何年にもわたり、日本は防衛のための膨大な費用を負担することなく、前例のない黒字を達成した」。これはあなたがニューヨークの不動産王だった1987年に出した新聞意見広告の一節です。お考えは40年近くたっても変わらないようです。
この間に日本は駐留米軍への思いやり予算を増やし、集団的自衛権も限定的ながら行使できる法整備を進め、防衛費も国内総生産(GDP)の2%まで引き上げるなど防衛政策を転換してきました。
中国の軍事的台頭で、日米同盟は米国が一方的に日本を守る同盟ではなく、アジア太平洋の安全保障の要に変質してきました。
国際情勢が激変する中で、米国が日欧により負担を求めるのは理解できますが、経済面で攻撃することが同盟強化につながるとは思えません。むしろ米国のソフトパワーの低下を招き、米ドルの基軸通貨としての地位を損なう懸念もあります。
あなたはMAGA(米国を再び偉大に)をスローガンに掲げていますが、米国を偉大にしたのは戦後の国際秩序づくりに指導力を発揮したからでしょう。あなたと同じく「力による平和」を掲げたレーガン元大統領は、自由、民主主義、人権という価値を説きましたが、あなたはそうした理念には無関心なようです。
「米国人はいつも正しいことをする、他のすべてを試した後に」。これは米国に苦言を呈する際にしばしば引用されるチャーチル元英首相の言葉です。しかし今回はいろいろなことを試して失敗を繰り返す余裕はありません。私は米国の友人の一人として、米国が早く目を覚ますことを願ってやみません。 敬具
「ジブリ風」画像とAIの限界 コラムニスト スティーブン・ブッシュ(FINANCIALTIMES)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 9ページ 0文字 書誌情報]
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脱「新卒一律」で即戦力採用 大和証券、初任給50万円も スシローは待遇学歴不問に[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1382文字 PDF有 書誌情報]
学生を一時期に同じ条件や待遇で採用する画一的な仕組みを見直す企業が増えている。国際競争が激化する中、自社に必要な能力を持つ即戦力のある人材を機動的に確保する必要に迫られているからだ。能力によって待遇に差をつけたり、1年を通じて新卒・既卒・学歴を問わず選考を実施したりと工夫して有望人材の囲い込みを急ぐ。
富士通は2025年度から処遇や採用時期が一律の新卒採用をやめる。新卒と中途を区分せず、職務や専門性に応じて必要な人材を採用する。「若手社員により専門性や付加価値の高い仕事を担ってもらい、見合った報酬で処遇する」(同社)のが狙い。高度な専門性などを持つ人材は新卒でも年収1000万円程度になることもある。
新卒の画一的な採用はコストや手間をかけずにポテンシャル(潜在力)のある学生を大量に囲い込むことができ、入社後も効率よく教育することができる。終身雇用や年功序列といった日本型雇用と相性がよいことから、若者の数が毎年一定数いる企業優位の「買い手市場」で主流の採用手法として浸透した。
しかし、近年は少子化で学生優位の「売り手市場」が続いている。業種を超えた競争も激しくなり、自社が求めるスキルや経験をピンポイントに確保しなければ生き残りは難しい。自社に若者を引き込むためには、それぞれの能力によって処遇を決める柔軟な採用戦略が欠かせなくなった。
新入社員でも能力に合わせて一律の初任給をやめる動きが広がる。大和証券は高度なデジタル技術や金融工学の知識を持つ人材を対象にした「エキスパート・コース」で初任給を50万円以上にした。25年卒の総合職の初任給(30万円)に20万円以上の差をつけた。入社後も年齢にかかわらず成果で待遇が決まる。
東京海上日動火災保険は26年春の大卒社員から、転居転勤に同意して地方などで勤務する場合は初任給を38万~41万円に引き上げる。希望しない場合は全国共通で約28万円にして差を付ける。総合職はこれまで東京と大阪での採用に限定していたが、地方の人材獲得を強化するために全国での採用活動を実施する。
海外大学の卒業者や大学卒業後数年の社会人経験がある「第二新卒」など様々な人材を確保するには一括採用では取りこぼす。そのため、1年を通じて「通年採用」も浸透してきた。
コスモエネルギーホールディングスは24年1月、通年採用に切り替えた。入社は4月に統一するが、エントリーは常時受け付け、採用選考も随時実施する。
清水建設は22年から一括採用と通年採用を併用。一括採用は3月の卒業後すぐに入社する学生を、通年採用は留学生や第二新卒を含んだ卒業3年以内の人が対象。同社によれば4月と10月入社が多い傾向だという。
人材不足の波は学歴による待遇差という従来の常識も覆そうとしている。回転ずし「スシロー」を運営するあきんどスシロー(大阪府吹田市)は、24年10月以降に入社した高卒と大卒の新入社員の初任給を2万円増の25万円に引き上げた。「店舗運営には学歴の区分は不要で、人間性が大切だ」(同社)とし、学歴に関係なく全員を店舗に配属する。
JR東日本は26年度の採用から高校や専門学校、短期大学を卒業した人も、大卒や院卒と同じ総合職の対象とする。給与水準も現行の総合職と同じ水準に増やす。従来の常識にとらわれず試行錯誤する動きは今後も続く。
F1誘致レース、世界で火花 「聖地」鈴鹿死守へホンダ奔走 スポンサー獲得へ、70社に説明会[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 10ページ 805文字 PDF有 書誌情報]
自動車レースの最高峰、フォーミュラ・ワン(F1)の日本グランプリ(GP)が6日、最終日を迎えた。華やかなレースの陰で、ホンダはスポンサー獲得に向けたイベントを初めて開いた。人気の高まりで世界中で誘致合戦が起きており、日本では大阪が開催地枠を狙っている。F1レーサーの聖地「鈴鹿」を維持できるかは、ホンダの営業力にかかっている。
日本GPが始まった4日、ホンダはF1ビジネス説明会を開いた。リクルートや伊藤忠商事など約70社が集まった。「未来にF1をつないでいくためにアイデアやお力を貸してほしい」。日本GPを主催するホンダ子会社、ホンダモビリティランドの上甲哲洋ビジネスマーケティング部長は訴えた。
背景には世界中で起きているF1誘致合戦がある。鈴鹿はF1レーサーの聖地で創業者の本田宗一郎の意志が詰まったコースは「神の手で作られた」とも称賛された。2025年の日本GP入場者は前年比16%増の26万6000人で、18年ぶりの高水準に。国内のF1人気は回復傾向にある。
だが、鈴鹿は安泰ではない。F1の人気から経営トップが商談に活用することも多くなった。富裕層を取り込もうと新たに招致をめざす動きが10都市以上である。
年間24都市で開くF1だが「開催日程は増やせない」(F1関係者)。枠の奪い合いになり、伝統的な常連国だったドイツやフランスは消えた。
国内では大阪も名乗りをあげる。「今のところは影響があるとはみていない」(ホンダ幹部)とするが、鈴鹿は駅から遠く不満の声もある。
開催枠の契約は29年まで。30年以降も鈴鹿を死守するためには、魅力を継続的に高める必要がある。そのためには企業連携や資金が必要で、ホンダ1社では限界がある。
F1の開催権の金額も高額になっている。鈴鹿を起点としたF1関連ビジネスを伸ばせるかが、誘致レースを制すカギとなる。
【図・写真】日本GP開催に合わせ展示されたホンダの新型車
メタ、生成AI新モデル[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 10ページ 406文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=渡辺直樹】米メタは5日、最新の生成AI(人工知能)「Llama(ラマ)4」を発表した。処理が軽く大量の文章を扱えるモデルと、画像などを組み合わせより複雑な質問に答えられるモデルの2つを用意。オープン型として技術を外部に開放する。さらに高性能なAIも開発し、米オープンAIや米グーグルに対抗する。
開発したラマ4の「Maverick(マーベリック)」はAIの知識量を示すパラメーターが4000億で、テキストだけでなく画像などを組み合わせて質問できる。難しい質問に回答する際は必要な処理のみを実行し効率的に動作するようにした。主要な性能でオープンAIのChat(チャット)GPTを主に動かす「GPT―4o」を超えたとしている。
ラマ4の「Scout(スカウト)」はパラメーターは1090億だが、短期の記憶力にあたるコンテキストで1000万を実現し、大量の文章を高速で要約するといった用途に優れる。
ジャガー、英生産分の対米輸出停止 トランプ関税に対応[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 10ページ 287文字 PDF有 書誌情報]
【フランクフルト=林英樹】英国自動車大手のジャガー・ランドローバー(JLR)は5日、英国で生産する車の米国向け輸出を一時停止すると明らかにした。トランプ米政権が発動した追加関税に対応するためで、輸出停止は少なくとも4月いっぱい続ける見通しだ。
JLRは同日公表した声明で「米国はJLRの高級ブランドにとって重要な市場」とする一方、「中長期の計画を策定しつつ、4月中の輸出一時停止を含む短期的な措置を講じている」とした。
JLRは世界で年約40万台の新車を販売し、そのうち4分の1は米国市場が占めている。米国内に工場がなく、同市場で販売する全新車を英国など海外から輸入する。
JFEエンジ、フィリピンで橋梁改修 ODAの大型案件[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 10ページ 230文字 PDF有 書誌情報]
JFEエンジニアリングはフィリピンで大型橋梁の改修工事を受注した。橋の下部にある老朽化した橋脚の入れ替えなどをする。日本による政府開発援助(ODA)の有償資金協力案件で、工事の受注総額は約180億円となる。
マニラ首都圏で2つの橋の耐震補強工事を現地建設会社と請け負った。JFEエンジニアリングの受注部分は約100億円。日本企業がODAで橋の改修をするのは珍しい。橋は新設から50年程度で改修にさしかかる。今後アジアやアフリカなどで改修工事が進むとみられる。
生成AIが変える起業ルール 弱まる「数は力」、影響広く 編集委員 奥平和行(経営の視点)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 10ページ 1216文字 PDF有 書誌情報]
IT(情報技術)分野でマウスといえばパソコンの付属品と相場は決まっていたが、その会社には実験に使う本物のネズミがいた。米シリコンバレーの北端に近いカリフォルニア州サウスサンフランシスコ市にある人工知能(AI)スタートアップ企業、オリオラボで目にした光景だ。
2023年に発足したオリオラボは、肥満治療などの分野で既存の化合物を組み合わせ、コストを抑えながら効果が高い薬を開発しようとしている。候補となる膨大な数の化合物を組み合わせるシミュレーションに利用するのがAIだ。米メタが開発した生成AIの基盤モデルなどを活用している。
開発に加えて特許の管理や規制対応といった業務にも生成AIを使い、ソフトのソースコードは「AI製」が50%にのぼるという。正社員はわずか7人だが、米製薬大手の元幹部などから出資を受けた。トム・ローズベリー最高技術責任者(CTO)は「生成AIがなければ2倍、3倍の社員が必要だった」と話す。
生成AIを成長の推進力としているのはオリオラボだけではない。同社に出資する米スタートアップ支援会社、Yコンビネーターのギャリー・タン最高経営責任者(CEO)は「直近の支援先全体の売上高は毎週10%増え、成長率は過去の支援先を大きく上回る」と語る。理由として挙げるのが生成AIだ。
20年ほど前までITスタートアップの命運を握っていたのはサーバーの処理能力だった。ネット企業の創業話にはよく手元資金とにらめっこしながら過不足なくサーバーをそろえようと苦労する様子が出てきた。クラウドコンピューティングが登場し、サーバーは必要なときに必要なだけ使えるようになった。
さらに生成AIによりソースコードを書く手間が減り、少人数でできることが増えつつある。自らも起業家で、現在は多くのスタートアップにソフト開発基盤を提供している米ギットハブのトーマス・ドムケCEOは「ソフト分野で起業のハードルはほぼなくなり、場所の制約も少なくなった」という。
サーバーや人材、さらにこれらを支える資金力の多寡がスタートアップの命運を左右する傾向が弱まれば、ルールとされてきた「数は力」はおのずと変わる。ソフトが幅広い産業に影響を及ぼす流れも続き、こうした変化は広範な地域の多くの企業に関係する可能性が高い。
だが、足元の状況は心もとない。総務省の24年の報告書によると、日本で生成AIを利用している個人の比率は9%にすぎず、中国(56%)や米国(46%)を大きく下回る。業務で使っている企業の割合も日本は47%にとどまり、80%超の米中や70%台のドイツに及ばない。
対話型AI「Chat(チャット)GPT」の急速な普及を背景に米欧でAIが人間の仕事を奪うとの見方が広がるなか、米ハーバード大学のカリム・ラカーニ教授は「人間を代替するのはAIではなく、AIを使いこなす別の人間」と説いた。生成AIの発達がさらに加速し、警句は一層重く響く。
日清オイリオG 久野社長(ニュース一言)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 10ページ 192文字 PDF有 書誌情報]
カカオ豆の価格高騰を受け、代替となる植物性のチョコレート用油脂の需要は大きい。原料の変更は一大決心になる。顧客に選んでもらえる高機能な油脂を販売する。
日清オイリオグループは北米やアジアなどでチョコレート用油脂の販売を増やす。久野貴久社長は「チョコレート用油脂の一種であるココアバター代用脂(CBE)の世界シェアを、2028年度には24年度比で2.5倍の15%以上に高める」と話す。
ワールド、法人向け利益2倍に シャトレーゼ商品監修/ホンダ店舗デザイン アパレル受託生産、中小開拓[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 11ページ 1895文字 PDF有 書誌情報]
アパレル大手、ワールドが受託生産や他社店舗のプロデュースといった法人向け(BtoB)事業の利益を2倍に引き上げる。2月に三菱商事から衣料生産部門を買収し、アパレルのOEM(相手先ブランドによる生産)を拡大する。過去の経営難の経験もいかし、経営再建ビジネスにも挑む。衣料の販売に売上高の7割を依存する構造から脱却し、成長をめざす。
ワールドは一般消費者への衣料品販売とは異なる幅広い法人向け事業を「プラットフォーム事業」と呼び、拡大している。2025年2月期の同事業のセグメント利益は前の期比5割増の18億円で、26年2月期には36億円まで高める。現状は全体のコア営業利益に占める割合は1割程度と小さいが、中長期的な成長へ種をまく。
テコの一つが衣料品のOEMとなる。2月に三菱商事ファッションを三菱商事から買収し、社名を「エムシーファッション」とした。各国の生産拠点と連携して衣料品や雑貨などの商品を調達する。
ワールドの鈴木信輝社長は「これまでのOEMは規模が小さかった。一気に事業を大きくする上で三菱商事ファッションの効果は大きい」と話す。現在はOEMやODM(製造開発委託)の外部収益は50億円程度だが、エムシーファッションの取り込みで700億円程度まで増えると予想する。
業績変動大きく
特に自前で生産能力を持たない中小事業者の受け皿となることを狙う。電子商取引(EC)の普及で商品の販売自体は容易になっているためだ。鈴木社長は「小規模で個性の強いブランドも出てきた。そこが全部工場を手配してやるというのはなかなか難しい」と説明する。
ワールドが主力とするアパレル市場は縮小している。商業動態統計によると、アパレルを含む「織物・衣服・身の回り品小売業」の販売額は2024年時点で8兆7500億円。1991年の15兆2760億円から6割の規模まで急減した。
大和証券の川原潤シニアアナリストは市場縮小以外の課題も指摘する。ワールドの衣料品販売などの主力事業は「業績のボラティリティー(変動率)が非常に大きい。天候などに左右されるビジネスで、継続して安定的に伸ばしていくのが難しい」と話す。
そこで強化するのが多様な事業を内包するプラットフォーム事業だ。OEMだけではない。
菓子販売のシャトレーゼが展開する店舗や商品のデザイン監修、ホンダの海外アンテナショップの空間デザインなどプラットフォーム事業は幅広い。同事業はワールド傘下のワールドプラットフォームサービス(WPS、神戸市)が担当する。
埼玉県久喜市にあるスーパー「ベイシア」には衣料品販売コーナーで辺りと雰囲気が違う一角がある。ベイシアがワールドと立ち上げた衣料品ブランド「ヨリモ」の売り場だ。これもプラットフォーム事業の一つだ。ヨリモを一つのテナントとして、ベイシアグループ以外に出店することも検討する。
過去の経営難の教訓を得た再建ビジネスもプラットフォーム事業のひとつに育てる。
1959年、婦人用ニットの卸売業者として創業したワールドは90年代後半から百貨店、2000年代からはショッピングセンターなどと販路を変えて成長してきた。ただ05年のMBO(経営陣が参加する買収)実施後に進めた出店拡大が裏目に出た。家賃や人件費が膨らみ利益の出にくい構造が続いた。
15年にスーパーの長崎屋の再建などを手がけた上山健二社長(当時)が就任し構造改革に着手。店舗の閉鎖や不採算ブランドの廃止、本社社員の4分の1にあたる約450人が早期退職に応じるなどコスト削減を進めた。
再建ビジネスも
「アパレル・国内・店舗という一本足打法だった」。WPSの西川信一社長はこう振り返る。当時の失敗を糧に商品展開を雑貨まで広げて収益源を多様にしたほか、ECに積極投資したりして改革を進めてきた。
西川社長は「山のようにブランドを作り、またなくしてきている。他ブランド・他業種をやってきたからこそ、知見がある」と話す。
再建ビジネス拡大への試金石は1月にグループ入りさせたカジュアル衣料のライトオンだ。ライトオンは24年8月期時点で6期連続の最終赤字だった。カジュアルファッションの競争が激化するなか、出店を増やし続け、採算が長年悪化していた。
ワールドにとってライトオンは「かつて来た道」ともいえる。現在はWPSが再建策「タスクシート」を示し、コスト削減やワールドの開発力を生かしたプライベートブランド(PB)を検討する。
西川社長はライトオンを「再建のモデルケースとしたい」と話す。他社からの依頼が増えるかは、この成否にかかっている。
(太田聖哉)
足りぬ「ぽっぽや」 止まるローカル線 鉄道員の1割不足、バスと「二刀流」で採用[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 13ページ 1860文字 PDF有 書誌情報]
「ぽっぽや」の愛称で親しまれる鉄道員。2050年度には、鉄道運行に必要な鉄道員が2万4000人不足する可能性がある。すでに運転士を十分に確保できず、減便や運休せざるを得ないローカル線が増えつつある。地域の足を支えるローカル線維持に向けた改革には、一刻の遅延も許されない。
「24年の新入社員は採用計画の半分にも満たなかった」。青森県内のローカル線、青い森鉄道(青森市)。東直樹社長は人手不足の危機感を隠さない。
同社は02年以降の東北新幹線の延伸に伴い、JR東日本から東北本線の一部を引き継いだ第三セクターだ。全社員の2割をJR東日本からの出向者が占める。ただ、JR東日本でも人手が不足しつつあり、出向者は年々減っている。24年度の新規出向者は1人にとどまった。高齢化もあり、28年度末には全ての出向社員が退職する見通しだ。
足元で減便などの予定はないが、「安全を担保できるだけの人手を確保できなければ運行が難しくなる」。東氏自ら仙台市内の専門学校を訪ねる「飛び込み営業」もしてきたが、新卒採用を増やすのは容易ではない。
運転士足りず減便
政府の推計では、28年度に鉄道業全体で必要な人員数に対して約1割の1万8400人の人手不足が生じる。このペースで減少が続く場合、50年度には2万4000人足りなくなる見通し。利用者の減少などで鉄道需要が縮まっても、一定割合の人員不足は避けられない。
JR東日本は23年度に地方36路線で757億円の営業赤字を計上した。JR西日本のローカル線も年230億円規模の赤字だ。両社は新幹線の利益などで赤字を相殺できるが、過疎化による利用客の減少に直面する地場のローカル鉄道会社は経営の維持が一層難しい。人口が1億人を割り込む50年代には、運転士不足が要因となって全国各地で鉄道サービスが立ちゆかなくなる可能性もある。
すでに人手不足がローカル線の運行に影響を与え始めている。肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)は2月、朝の時間帯を中心に一部列車を運休とした。休日出勤などでダイヤを維持してきたが、退職者も増えるなかで運転士の健康や働き方に配慮した。熊本電気鉄道(熊本市)や若桜鉄道(鳥取県若桜町)、JR四国なども人手不足を理由とした減便に踏み切っている。
地方で運転士が足りない要因の1つとして、都市部の大手各社が新型コロナウイルス下で抑制してきた採用を増やしていることが挙げられる。
特にJR各社では旧国鉄時代に大量採用した社員が定年退職を迎えたことで引き合いが強まっている。「運輸科」を設け、鉄道業界への就職希望者も多い岩倉高校(東京・台東)。JR東日本を第1志望に掲げる生徒のうち、ひと昔前は数人ほどしか合格できなかったが、24年度は19人が合格したという。
JRや首都圏私鉄が採用強化を打ち出すなか、そのしわ寄せは地方の鉄道会社に及ぶ。
「必死のパッチで新卒を集めたが、定年退職も含めるとそれ以上の数が辞めた」。神戸市近郊で運行する神戸電鉄の人事担当者は語る。25年度は「ウルトラマン」を広告に使った採用活動を始めた。「親世代にも知られたウルトラマンを通じて、全国的な知名度を引き上げたい」
路面電車を運行する岡山電気軌道(岡山市)は24年12月、路面電車とバスの両方を運転する「二刀流乗務社員」の募集を始めた。約10人の採用を予定し、月5万円の手当も用意する。同社を傘下に持つ両備ホールディングスの大上真司バス・鉄軌道ユニット長は「地域公共交通が維持困難になる前に人材獲得を急ぐ必要がある」と話す。
免許取得18歳に下げ
国も担い手確保を後押しする。国土交通省は24年7月、運転免許を取得できる年齢を20歳から18歳に引き下げた。同年3月には外国人の在留資格「特定技能」の対象に鉄道を加えた。
制度設計が進んでも、どれだけ人材を集められるかも問われ続ける。岩倉高校の大日方樹教諭は「最近は泊まり勤務や残業をしたくない若者も多い」と話す。外国人採用を巡っても「緊急時の瞬発的な情報伝達など言語の壁が残る」(地方鉄道の幹部)と慎重な声も聞かれる。
鉄道車両の自動運転は、運転士不足への1つの解決策となる。JR東日本などの大手は技術開発を進めるが、赤字経営の地方鉄道では省人化の大型投資は難しい。これからもローカル線は鉄道員が支え続ける。鉄道員の確保策を官民がこれまで以上に考える時が来ている。
(石崎開、田村修吾)
【図・写真】岡山電気軌道は「二刀流乗務社員」など乗務員の確保を急ぐ(岡山市)
足りぬ「ぽっぽや」 止まるローカル線――鉄道会社、地域貢献の視点もっと 銚子電気鉄道社長 竹本勝紀氏[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 13ページ 572文字 PDF有 書誌情報]
千葉県銚子市内のローカル線である当社は、運転士を募集すれば比較的すぐに集まる。鉄道会社の仕事といえば堅いイメージを持たれがちなため、少し遊び心を持った会社だとアピールをしていることが人材獲得につながっている。
売り上げの約8割をぬれ煎餅の販売など鉄道以外の事業で稼いでいる。新商品の企画・開発のような運転以外の仕事にも魅力を感じ、楽しく働けそうなイメージを持ってくれる若者が多いからだろう。
鉄道業界には徒弟制度に近いキャリアパスが残っている。せっかく鉄道が好きで入社したのに、駅員や車掌を長く経験しないと運転士になれず、そのうち不満を抱いて辞めてしまう若者が少なくない。もちろん車掌などの現場経験は必要だが、果たして運転士になるまでに適切な時間なのだろうか。
国土交通省の予算のうち鉄道への分配は数%にとどまり、その大半が整備新幹線に充てられている。人材を獲得するには、事業者の自助努力が大前提となる。だが、経営の厳しい地方鉄道の新卒初任給に充てる補助金を増やすなど予算配分も見直せないだろうか。
鉄道会社は地元の広告塔であり、情報発信の役割を担う。地元関係者と協力し、訪日客など新たな沿線観光の需要を生み出していくことが鉄道会社にも求められる。
こうした地域貢献の視点を欠くようであれば、乗客はおろか社員も集まらず生き残りは難しいだろう。
「日本美術の鉱脈展」概要(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 547文字 書誌情報]
(1面参照)
◇会期 6月21日(土)~8月31日(日)、午前10時~午後5時。7月18、19、20、25、26、8月1、2、8、9、10、15、16、22、23、29、30日は午後7時まで(入場は閉館30分前まで)。月曜日(7月21日、8月11日は開館)と7月22日(火)休館
◇会場 大阪中之島美術館
◇観覧料 一般1800円(前売り1600円)、高大生1500円(同1300円)、小中生500円(同300円)。グッズ付チケットなどは詳細が決まり次第、公式サイト(QRコード参照)にてお知らせします。前売り券は4月21日(月)から6月20日(金)まで、美術館サイトまたは各種プレイガイドなどで販売
◇主な作品 伝岩佐又兵衛「妖怪退治図屏風」(江戸時代・17世紀)、式部輝忠「巖樹遊猿図」(写真右は六曲一双屏風のうち左隻、重要文化財、室町時代・16世紀、京都国立博物館蔵、7月29日から8月31日まで展示)、牧島如鳩「魚籃観音像」(1952年、足利市民文化財団蔵)、狩野一信「五百羅漢図」(江戸時代・19世紀、増上寺蔵)、「人体文様付有孔鍔付土器」(同左、重要文化財、縄文時代中期、南アルプス市教育委員会蔵)ほか
◇詳細・問い合わせ (電)06・4301・7285(大阪市総合コールセンター)
「ウィーン国立歌劇場」先行販売開始(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 404文字 書誌情報]
10月開催のウィーン国立歌劇場の先行販売を開始します。
◇演目・日時/会場 「フィガロの結婚」10月5日午後2時、7日午後3時、9日午後6時、11・12日午後2時。「ばらの騎士」10月20・22・24日午後3時、26日午後2時/東京文化会館
◇入場料(税込み) 平日S席7万9000円~E席2万6000円、土・日S席8万2000円~E席2万9000円。全公演に寄付金付きのサポーター席があります(各S席料金に5万円を加えた金額)。
◇チケット販売 4月7日午後9時NBS WEBにて2演目セット券先行販売開始。以降順次発売。詳細はQRコード
◇問い合わせ NBS(電)03・3791・8888
主催 日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会(NBS)
特別協賛 キヤノン、大和ハウス工業
協賛 伊藤忠商事、SMBC日興証券、清水建設、ダイキン工業、DNP大日本印刷、ハウス食品グループ、PwC Japanグループ
BSテレ東 日経モーニングプラスFT 放送枠の5分拡大で内容ますます充実(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 317文字 書誌情報]
BSテレビ東京では、平日の7時5分から「日経モーニングプラスFT」を生放送しています。投資やビジネスに欠かせない国内外のニュースを、日本経済新聞や英フィナンシャル・タイムズ(FT)と連携してお送りします。
放送業界にとって春はいわゆる「改編」の時期。この番組は3月31日から枠を5分拡大して8時00分までの放送となりました。ニュース解説を充実させることはもちろん、新コーナーも立ち上げました。そのひとつが「数字で見る市場・経済」。株式、為替をはじめとする市場の注目データを、金融情報サービス会社QUICKと連携して毎日ご紹介します。
日々の番組情報は、番組公式Xなどで詳しくご案内しています。ぜひご覧ください。
【図・写真】番組公式X
新サービス『金融DXインサイド』開始 デジタル活用やフィンテックの記事を厳選(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 275文字 書誌情報]
日経BPは4月9日(水)から、有料ニューズレターサービス「金融DXインサイドby日経クロステック」を始めます。日経BPの技術系デジタルメディア「日経クロステック」から、金融DXやフィンテックに関わる記事を厳選し、メールやウェブサイトを通じてお届けします。金融DXインサイド有料会員(月額1100円)に加入すると、有料会員限定記事を読むことができます。日経クロステック有料会員の方は追加料金なしで利用いただけます。
◇配信日時 4月9日(水)以降、毎週水曜日(祝日、年末年始を除く)
◇料金 月額1100円(メール受信は無料)
◇詳細 QRコード参照
記事利用・リプリントは本社窓口へ(日経からのお知らせ)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 142文字 書誌情報]
本社の記事をコピー・転載などで利用されたい場合は、本社記事利用・リプリントサービス窓口((電)03・5696・8531)にご相談ください。新聞などの題字を入れた注文印刷やウェブ閲覧サービスも提供しています。新聞記事は著作権法で保護されており、特定の場合を除いて、無断複製できません。
少数与党下の政策決定(下) 旧来型システム 変革が必要 野中尚人・学習院大学教授(経済教室)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 2842文字 PDF有 書誌情報]
2024年10月の総選挙の結果、政権与党の自民党と公明党は衆院での過半数議席を失い、両党だけでは予算や法律を成立させることが難しくなった。連立の枠組み拡大も念頭に25年度予算案の修正協議が行われ、教育関連予算の増額で合意した日本維新の会が予算案を支持することで決着がついた。政府予算案の修正は29年ぶりである。
この間、自公両党と維新、国民民主党との間でかなりのやり取りが繰り広げられた。しかし、より大きな図柄で見ればむしろ現れたのは氷山の一角で、課題の大半とその本質は隠されたままである。今般の政策決定過程を一言で言えば、旧来型の事前審査制度の枠組みと手法をそのままにして、そこに維新・国民民主両党との交渉を一部取り込んだだけだといえる。
事前審査システムは、自民党が長い政権運営の中で生み出した仕組みである。予算案や法律案を国会に提出する前に、自民党内で策定を一方的に済ませることを指す。これが完了すると国会審議に向けて党議拘束がかけられ、自民党議員は国会の中では最低限のことしか行わない。
まさにこれが国会審議を形骸化させ、国民に説明をせず、責任も負わない政策決定過程をもたらした根本原因である。
この仕組みは特に近年の環境変化の中で負の側面が目立つようになってきた。例えば公的債務は国内総生産(GDP)比で250%を超え、主要7カ国(G7)諸国の中では断トツの高さである。高等教育や先端的研究の分野でも劣化が著しいと指摘されている。また、女性の社会進出の遅れや夫婦間制度などの面でもかなり極端な旧態依然の状態が続いている。
いわゆる「年収の壁」問題も同根である。総じて社会的イノベーションは進まず、経済的にも地盤沈下している。民間部門の相当な頑張りにもかかわらずである。政治の停滞、リーダーシップの欠如を反映していると考えざるを得ない。
事前審査システムは、この点に深く関連している。裏交渉ばかりで実態が不明瞭であり、誰が何を主張し、なぜどのようにして決められたのかが明らかにならない。従って何が失敗の原因なのか、確認も修正もできない。これが長期的な衰退の根本にある。
族議員の跋扈(ばっこ)や選挙区への利益誘導という批判が絶えないのはそのためである。もう一つの大きな問題は、政治リーダーの選出までもを裏取引と数合わせ、派閥の論理に委ねてしまうことである。
この状況を、政治の枠組みという大きな観点から捉え直すと表のように整理できる。日本政治の骨格は、自民党による一党優位体制の下で形成された事前審査システムを軸として機能し続けている。自民党内部での取引政治、官僚機構との度を越した密着、国民への説明責任の放棄、そして国会における与党議員たちの極端な不活発さ、国会の形骸化などが特徴である。
また自民党内では派閥と年功序列を軸とした人事・選挙の仕組みが形成され、トップリーダーの選出でも派閥間の駆け引きが大きな要素を占める。こうした仕組みによって現状をとにかく維持し、権力維持を図るようになってしまった。社会的な変革はむろん、経済的な革新にも後ろ向きとなったのはそのためである。
今般、与党が衆院で少数に転落したことで政党間交渉が活発になったのは事実である。しかしそれは事前審査システムを基礎とする旧来型の仕組みの枠内での微調整の域を出ない。今後、維新が連立に参加するか、あるいは自民党に吸収されるのかは分からないが、政策決定手法としては大きな変化は起こっていない。
一部の教育関連予算や年収の壁問題の扱いを除けば、高額療養費制度などが検討の対象になっただけで、日本国の予算全体は政府・自民党案がほとんどそのまま成立した。安住淳・衆院予算委員長の取り組みには新しい試みもみられるが、自民党内での事前審査が終われば、個別の予算について国会での審査はほとんど存在しないままだ。
表にあるように、現在は準一党優位体制で連立が必要とされる状態である。しかし事前審査システムの結果、形骸化の著しい国会での審議パターンは基本的に変わっていない。本来重要な討議と最終的な意思決定を行うはずの本会議での審議は年間わずか60時間ほどで、これは英仏などの20分の1程度に過ぎない。
委員会でも政府に対する質疑ばかりがなされ、与野党議員間の討論はほぼ死滅状態である。これでは特に自民党議員が何を考えているのかはほとんど分からない。予算費目のほとんどは、いわば知らないうちに成立してしまう。
こうした政治のパターンを深く規定しているのは政権交代がない、あるいはほぼ想定されないという論理である。これに対して英国に代表されるウェストミンスター型の議院内閣制だけでなく、多党制で連立を必要とするドイツでも、根幹に政権交代の論理を持つという点では共通している。
むろん、これらの国々でも実態は多様であるが、少なくともこの四半世紀の間に様々な改革が進められている。翻って日本では国会が本来の機能を発揮できず、政策決定や予算配分が十分にチェックできないまま一向に改善されていない。政権交代の欠如が旧来型の事前審査システムを温存させているからである。
日本政治の劣化の根本原因が政権交代の欠如だと述べると、単に自民党が嫌いなだけなのではないかと受け取られかねないが、全くそうではない。むしろ政権交代の欠如は、自民党の劣化の根本原因でもある。
派閥や裏金問題はその1つだが、もっと深刻なのはリーダーシップの欠如ではないだろうか。24年9月の総裁選は多数の候補者を擁していたが、まるで誰もが勝手な夢をぶち上げる花火大会のようなものだった。時代の要請にマッチした適切なリーダー育成と選抜の仕組みが構築できていないとしか思えない。
表の中の政権運営スタイルを大きく分けると、上の2つが政権交代のないシステム、下の2つが政権交代をビルトインしたシステムであり、この2グループの間に大きな相違がある。
民主主義は、最終的に有権者が十分な判断材料に基づいて政権を選択することによって健全性と活力を担保する仕組みだ。この点から見て、日本の政策過程の姿は依然として先進国標準に比べれば大きく見劣りするというしかない。
権力を特定グループが握り続け、新しい考え方や人材を遮断し、隠蔽し続けることによって自らに対する批判を封じ込めることを続ければ、独裁政権と大差のない結果しか生まない。
今般の変化は望ましい方向への一歩ではあるが、本来の活力を取り戻すにはまだあまりにも貧弱だ。政権交代を前提とする政治へと全面刷新すべき時が来ている。極めて大きな課題であるが、この点を明確に意識し、国民も政党も総力を挙げて取り組むしかない。
<ポイント>
○国会審議が形骸化した原因は事前審査制
○現在の変化は旧来型の仕組み内の微調整
○政権交代を前提とする政治へ全面刷新を
のなか・なおと 58年生まれ。東京大文学部卒、同大博士(学術)。専門は比較政治学
世代間資産移転と格差(8) 欠かせない国際的な協力 法政大学准教授 濱秋純哉(やさしい経済学)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 838文字 PDF有 書誌情報]
富裕層の課税逃れを防ぐには、国際的な協力が欠かせません。これまでにも、国をまたぐ資産の移動を捕捉するため、様々な取り組みが行われてきました。
その中で特筆すべきものは、共通報告基準(CRS)に基づく非居住者の金融資産情報の自動交換です。例えば、日本の居住者が他国の金融機関に資産を保有する場合、この国にとって当該日本居住者は非居住者です。CRS参加国同士では、相手国からの要請がなくても、このような非居住者の金融資産情報が自動的に交換されます。
CRS導入以前にも、欧州連合(EU)など、特定地域内での自動的情報交換の枠組みはありましたが、域外に預金を移動させれば、情報交換の対象から外れます。全世界を対象とするCRSには、日本を含め100を超える国・地域が参加しており、資産隠しを通じた脱税抑止に大きな効果が期待されています。
実際、CRS導入後に非居住者のタックスヘイブンへの預金が、1割から3割ほど減少したことが複数の研究で報告されており、一部は居住国に還流したとみられます。
しかし、脱税が依然として続いている可能性も否めません。CRSは過去に類を見ない国際的な情報交換ネットワークですが、全ての国が参加しているわけではありません。タックスヘイブンに隠されていた資産が、CRS導入後に非参加国(米国など)に移動したかもしれません。
情報交換の対象ではない実物資産の保有を増やしたり、タックスヘイブンの居住者のように偽装してタックスヘイブンから真の居住国への情報送付を回避したりする可能性もあります。過去の研究では、これらの方法でCRSから逃れていることを示唆する結果も得られています。
情報交換から逃れる誘因は、資産移転や資産取引への課税が重い国ほど強いはずです。2021年の経済協力開発機構(OECD)の報告書によれば、日本は相続税と贈与税からの税収の割合が最も高い国の一つです。日本の富裕層が税務当局による資産の捕捉から逃れる誘因は、他国より強いかもしれません。
東南アジア、EV展開は総力戦で アークエルテクノロジーズ代表 宮脇良二(私見卓見)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 14ページ 0文字 書誌情報]
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「4割価格差」平等か 旧LINE非公開化、13株主と法廷闘争 株主保護の議論に一石[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 15ページ 2419文字 PDF有 書誌情報]
旧LINEの株式を非公開化した2020年ごろの取引をめぐり、同社と当時の13株主の間で大規模な法廷闘争が起きていることがわかった。旧ヤフーとの複雑な経営統合スキームのなかで買い取り価格に4割の差があり、少数株主側が「不公平な扱いを受けた」と主張。株の強制取得価格の上乗せを求めている。M&A(合併・買収)における少数株主保護や株主平等原則の議論に一石を投じる可能性がある。
当時少数株主だった13の海外ファンドらが公正価格の決定を申し立てた。非訟事件のため手続きは公開されない。東京地裁、東京高裁は旧LINE側の判断を是認する決定を下し、12株主が最高裁への抗告手続きまで進めたとみられる。いまは最高裁で審理が行われているもようだ。
旧LINE側の広報担当者は日本経済新聞の取材に対し、係争中であることは認めたうえで「コメントは差し控える」としている。
「少数株主だけ不公平に安値での売却を迫られた」。争いの主な火種は、こうした株主側の不満だった。
旧LINEと旧ヤフーは経営統合したのち、23年に実質的に合併、いまはLINEヤフーとなっている。今回主に問題となっているのは一連のスキームの一環として行われた(1)旧LINEの株式非公開化(2)旧LINEの全事業を移管した旧承継会社を旧ヤフーが株式交換で買収――の2つのプロセスだ。
まず、旧LINEの非公開化はネイバー(旧LINE親会社)とソフトバンク(旧ヤフー親会社)が共同TOB(株式公開買い付け)と株式併合で強制取得(スクイーズアウト)する一般的な手法が採られた。価格はいずれも1株5380円だった。
TOBには少数株主の過半が応募しなかったが、もともとネイバーが7割の株を持っており、買い付け予定数の下限が設けられていなかったことで成立した。1株主でも応募があれば成立する取引だった。
その後、ネイバーとソフトバンクは、両社の合弁会社となった旧LINEを通じて間接保有する旧LINE承継会社株を旧ヤフー(当時はZホールディングス)株と交換した。
株式交換は現金対価ではなく株対価による買収だ。交換比率は旧LINE承継会社「1」に対し、旧ヤフー株が「11.75」。この比率に、TOB開始前日における旧ヤフーの株価終値(1株657円)を照らし合わせると、単純計算で1株7720円相当になる。
つまり、少数株主は旧LINE株を1株5380円で手放すことを余儀なくされ、株を強制取得したネイバーとソフトバンク側は間もなく1株7720円相当で旧ヤフー株と交換した。価格が43%上乗せされたことになる。「対価が大きく異なり、株主平等原則に反する」などと株主側は主張しているようだ。
ネイバーはこの価格差分の利益をほぼノーリスクで得たともいえる。ソフトバンクは旧ヤフーの親会社だったため株式交換においては有利・不利が必ずしもはっきりせず、両取引における損益関係がやや複雑になっている。
背景にコロナ禍
「4割格差」が生まれた背景には、特殊事情がある。実は、19年12月に経営統合の最終合意を発表した時点で1対11.75の株式交換比率も決まっており、当時は価格差はほぼなかった。だが、TOB開始までの約7カ月半で新型コロナウイルスの感染が拡大し、IT(情報技術)企業の業績が拡大するとの期待から旧ヤフーの株価が上昇。一方で非公開化される旧LINEの株価はTOB価格近くで推移し続け、株価水準の差がどんどん開いた。その結果、旧ヤフー株の相対的な価値が4割高まった。
旧LINE側はこの間、特別委員会(第2次)を計5回開き審議した。日本経済新聞が入手した、特別委独自のファイナンシャルアドバイザー(FA)のメリルリンチ日本証券(現BofA証券)による当時の説明資料でも、旧LINEの類似企業の株価がおおむね上昇し、メッセージアプリを展開する韓国ネット大手のカカオの株価は2.2倍になったことなどが示されていた。
だが、最終的に特別委はTOBへの賛同表明と応募推奨をした当初の答申から意見を変更せず、TOB価格と株式交換比率は変わらなかった。特別委と旧LINEは経営統合の公表時にそれぞれのFAから「フェアネス・オピニオン(買い付け価格に関する適正意見書)」を取得していたが(旧LINEのFAはJPモルガン証券)、TOB開始時に再取得・更新することはなかった。
価格差が広がった約7カ月半の間に、取引条件を見直すべきだったか。東京地裁、東京高裁の決定は、旧ヤフー株の上昇がネイバーの利益につながる面は認めた。ただ旧LINE側の手続きは公正だったとし、買い取り価格はTOB価格と同額の5380円が相当と結論づけた。
理由として、旧LINE自体の企業価値が上昇したとは認められないこと、旧ヤフーの株価上昇分を旧LINE株主に還元しなければならない合理性はないこと、TOBから株式交換までは一体のスキームを構成するものの別の取引であることなどを挙げたようだ。
株主側による最高裁への抗告手続きでは、判例違反や法令解釈に関する重要な事項を含む場合に限り高裁が許可する「許可抗告」が承認された。価格決定申し立てで許可抗告が認められるケースはあまり多くない。
投資家は監視
最高裁がどのような判断を下すかはわからないが、13もの旧株主が裁判所への申し立てを通じて異議をとなえた事実は重い。価格決定申し立ては司法判断が確定するまでに数年かかるのが一般的で、当然負担やコストもかかる。
企業の非公開化取引が増えるなか、投資家の監視は厳しくなっている。東京証券取引所も2月に「MBO・支配株主による完全子会社化に関する企業行動規範の見直し」を公表し、近く、手続きや価格など取引条件の公正性について厳格な情報開示を求めるルールなどを設ける見通しだ。企業は合理的な判断と明確な説明をすることがより一層大事になる。
(宮川克也)
トラブル増、派遣先も注意 外国人高度人材の課題 神戸大准教授に聞く[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 15ページ 1497文字 PDF有 書誌情報]
製造業や建設業、農漁業などの現場を支えてきた外国人技能実習制度で、賃金未払いやハラスメントが相次ぎ、政府は新制度の「育成就労」への見直しを進めている。一方、最近は専門性やスキルのある高度人材を巡るトラブルが目立つようになった。人材を受け入れる企業の対応も含め、外国人人材を活躍させるための課題は何か。ベトナム人労働者の実態に詳しく、支援活動にも取り組む斉藤善久・神戸大准教授に聞いた。
――大卒の学歴や10年以上の実務経験などを要件とする在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」で働く外国人が増えています。2024年末に42万人と5年前の1.5倍になりました。民間支援団体への相談が増えているそうですね。
「私が関わる『神戸移民連絡会』は月に千件超の相談があり、うち約2割が技人国だ。仲介業者に手数料を払って来日したのに、仕事や待遇が求人内容と違ったり、そもそも仕事がなかったりする。空港に迎えにさえ来ないケースもある。業者は数十万円から100万円程度を受け取って日本に送り込めば、後のことには関心を持たない」
――技能実習は転籍(転職)できない仕組みが人権侵害の温床と問題視されてきました。批判を解消しようと、27年までに新制度の「育成就労」に衣替えすることになっています。一方でなぜ今、自由度が高いはずの高度人材で問題が起きているのでしょう。
「以前は技能実習が来日の主要ルートだった。ところが転籍制限や虐待などの問題がベトナム国内で報じられて人気が落ち、17年施行の技能実習法で手続きも煩雑になった。そこで仲介業者が『技人国は転職できるし、家族帯同も認められる』と勧めるようになった。外国人の側も、日本語の勉強が不要で早く来日でき、収入も(技能実習などに比べれば)多いことから、技人国を選ぶようになった」
「技能実習は母国で数カ月にわたり日本語を学ぶ。来日後は(受け入れ窓口の)監理団体が実習生のサポートの義務を負う。法務省と厚生労働省が所管する外国人技能実習機構は相談窓口を設けている」
「技人国はそうした仕組みがない。勤務先に見放されると全く日本語ができない状態で孤立してしまう。入管当局に提出した内容とは異なる裏契約を来日後に勤務先と結んでいるケースが目立つが〝表〟の契約内容は無意味と考えて把握していない場合が多い。入管に届けた会社名も都道府県名も答えられない状態では転職の支援も難しい」
「派遣会社による受け入れの場合のトラブルが目立つ。技人国は本人が専門性をもつ分野でしか働けないはずだが、工場の流れ作業や飲食店の皿洗いといった単純作業に従事させる例が多い。派遣切りされた技人国をそのまま解雇する例も後を絶たない」
――制度のどこに問題があるのでしょうか。
「(人手不足対策の在留資格である)特定技能は日本語能力試験で下から2番目の『N4』が来日要件となっている。日本で働き生活するなら最低限、この水準は必要」
「派遣会社の責任を重くする必要がある。技人国は日本に頼る先がなく、アルバイトも難しい。仕事が手配できなくても給与を支払い続ける義務の履行を(日本人の場合以上に)徹底させるべきだ」
「人材を受け入れている企業も、一緒に働いている外国人の状況に注意を払ってほしい。派遣料を適正に支払っていても、派遣会社が本人にきちんと賃金を支払っていないこともある。同僚がどんな契約で来日したのか、困窮していないかなど関心をもってほしい」
(聞き手は覧具雄人)
【図・写真】さいとう・よしひさ 1970年生まれ。北海道大博士(法学)。専門は外国人政策、労働法、ベトナム法。
不正対応の新会社 KPMGジャパン[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 15ページ 283文字 PDF有 書誌情報]
KPMGジャパンは、企業不正の調査や予防について助言する新会社「KPMGフォレンジック&リスクアドバイザリー」を設立した。約140人体制で会計士や弁護士、IT(情報技術)のスペシャリストなどで構成。調査や再発防止体制の整備だけでなく、その後の再発予防なども含め一体で支援する。
日本企業は不正発覚後の調査や再発防止策の策定に注力しがちで、防止策の実行や平時の不正予防、発見まで対応できている企業は少ないという。西嶌宏之社長は「再発防止策の実行では、例えば先進的なテクノロジーを活用して営業、品質のデータなどを統合することで、リスク因子の発見を早期化できる」と話す。
ロビー活動、ルールなき日本 G7で唯一 民間の知恵、政策に不可欠(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 17ページ 1807文字 PDF有 書誌情報]
企業や団体が政策立案者に特定の政策実現を働きかける「ロビイング」が国内で存在感を増している。民間が持つ最先端の知見を国の政策などに反映させる有効な手段だ。欧米などでは登録制などのルールづくりが進むが、日本ではロビイングの定義がなく、活動の実態もつかめていない。ルール整備を求める声が上がる。
「良くも悪くも光があたった一年だった」。ロビイングを支援するコンサルタント企業、マカイラ(東京・千代田)の藤井宏一郎最高経営責任者(CEO)は今年1月の主催イベントで昨年を振り返り、こう語った。
同社は藤井氏が文部科学省や米グーグルを経て2014年に立ち上げた業界の草分け的存在だ。23年には運転免許なしで電動キックボードの公道走行を可能にした改正道路交通法の施行を後押しした実績がある。
近年は藤井氏以外にも元官僚やIT(情報技術)大手出身者らがロビイングの専門会社を相次いで設立。人工知能(AI)を使った医療機器の承認ルールの見直しや、コンビニエンスストアで一般用医薬品を販売しやすくする規制緩和などの実現につながった。
欧米には企業や業界団体、非政府組織(NGO)などが政策形成の過程に深く関わってきた歴史がある。制度の改善や古い規制の緩和などに向け、政治家や官僚に有益な情報を届けるロビイングはより良い社会制度を構築する上で大きな役割を果たしている。
米は活動費44億ドル 1万3千人活動
米国にはロビイストの登録制度がある。氏名や顧客企業の名称、活動内容などを登録する。四半期ごとに収入や経費を議会に報告する義務もある。米調査サイト「オープンシークレッツ」によると、24年の米国のロビイング費は44億ドルに上り、約1万3000人のロビイストが活動している。
欧州連合(EU)もロビイングをする団体の登録制度を導入しており、企業関係者がいつ、どこで、誰と面会したかがホームページで公開されている。
経済協力開発機構(OECD)は10年にロビイングの透明性に関する勧告を出しており、21年の報告書によると、何らかのルールを設けている国は調査対象41カ国のうち23カ国に上った。ルールがないのは主要7カ国(G7)で日本だけだ。
日本では従来、政治家と官僚が閉じた空間の中で法案を準備し、国会提出の前には成否が決まっている場合が多かった。政府原案をつくる場合も省庁の担当部局が実質的に選んだ有識者らで構成する審議会などで議論される場合がほとんどだ。
ロビイングには政治家と企業の「癒着」の舞台といったネガティブなイメージが根強くあり、ルールづくりに向けた議論が進む気配はない。
与党の国会議員の元秘書は「企業にとって透明性が高まることは競合他社に手の内を明かすことにつながる。誰と会っているかが表に出ると困る政治家もいるだろう」とみる。
官より民間に知見 市場130億円規模
だがデジタル化が進み、社会のルールが急速に変化する現代では、企業や団体などが持つ情報量のほうが政党や官庁よりも多い。民間の最先端の知見が必要となる場面も増えている。
国内のロビイストの先駆けとされるアナリーゼ合同会社(福岡市)の渡辺弘美代表は「かつて霞が関に集まっていた情報は今は民間にある。ルールの形成過程をオープンにし、誰もが早い段階で政治家や官僚に情報を届けられる仕組みが日本にも必要だ」と強調する。
自民党の元衆院議員で多摩大学大学院ルール形成戦略研究所の福田峰之客員教授には一つの経験がある。IT戦略を議論する党委員会の事務局長を務めた際、面識がなかったブロックチェーン戦略政策研究所の樋田桂一代表から届いた一通のメールがきっかけになり、当時は知名度が低かった暗号資産(仮想通貨)の党内議論が始まった。指針の策定や法整備にもつながった。
福田教授は「様々な立場の人が情報を伝えやすい環境を整え、新たな施策をつくっていくことが日本の経済を強くする」と語る。
22年の経済産業省の試算では、ルール形成を支援する産業の国内の市場規模は年130億円に膨らみ、今後も拡大する見込みだ。
東京大学の渡辺安虎教授(政治経済学)は「経済成長できない国では生産性を高めてパイを大きくするより、利権を得て自分の取り分を増やす方向に努力が向きやすい。政策の改善につながらないロビイングを防ぐためにも、活動をガラス張りにするルールを考える意義は大きい」と話す。
ロビー活動、ルールなき日本――負の側面見極め、官民で議論を(Review記者から)(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 17ページ 567文字 PDF有 書誌情報]
ロビイングには負の側面もある。強大な資金力や情報力を持つ巨大企業や大規模団体の要求ばかりが政策に反映され、市民の小さな声が政治に届かない社会になりかねない。
例えば、米国では全米ライフル協会(NRA)が強力な資金力と政治力を持ち、「全米最強のロビー団体」と呼ばれる。支援を受けるトランプ大統領は24年の大統領選で、自身が銃で命を奪われる危険を経験したが、それでもなお銃規制には反対の立場だ。
アマゾン・ドット・コムやメタなど「GAFAM」と呼ばれる米巨大テック5社も多額の費用を連邦議員らへのロビイングに投じている。
24年に欧州連合(EU)が世界初となる包括的なAI規制法を発効する過程では、米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が各国首脳と対話を重ねるなどテック企業のロビイングが盛んに行われた。
巨大な資金と人的資源にものいわせて私益追求を図るロビイングには「政策をゆがめる」との批判もある。
諸外国がルールづくりや情報開示を急ぐのも、巨大企業が自国の政策に強い影響力を及ぼすことへの危機感のあらわれだ。
日本でも今後、ロビイストが政策形成に与える影響が高まる可能性がある。活動の公正性を検証する仕組みが欠かせない。ロビイストの登録制や情報開示のあり方などについて官民で議論を始める時期が来ている。
(花沢葵)
ロビー活動、ルールなき日本――ロビイング(InsideOutいまを解き明かす)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 17ページ 305文字 PDF有 書誌情報]
■ロビイング 主に議場やホテルのロビーが活動の舞台だったことからロビイングといわれる。米ワシントンのホワイトハウス近くにある名門ホテル「ウィラード・インターコンチネンタル・ワシントン」がロビイストの言葉の発祥の地とされる。第18代米大統領のグラント氏が葉巻を吸いにロビーに現れる機会を狙い、陳情活動が行われたことに由来する。
米国の法律はロビイストを「顧客のために使う時間の20%以上をロビイングに費やす者」と定義する。日本の大手企業や業界団体には専門の担当者を置くところがある。金融機関にはかつて財務省の英語名「Ministry of Finance」からとった「MOF(モフ)担」と呼ばれる仕事があった。
精神障害者雇用、10年で5倍超 シダックス・NTTドコモ 昇進や育成で定着図る[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 18ページ 2056文字 PDF有 書誌情報]
精神障害者の雇用が広がっている。厚生労働省の調査によると雇用者数は10年で5倍以上に膨らんだ。長く働いてもらって職場の戦力に育てようと、昇進制度を設けたり、独自の人材育成プログラムを開始したりと、企業側の取り組みが進んでいる。
給食事業などを手掛けるシダックスの特例子会社、シダックスオフィスパートナー(東京都調布市)は精神障害者を積極的に雇っている。43人いる障害者社員のうち、およそ8割が精神障害を持つ。同社では精神障害者社員に「リーダー」の役職を用意し、ほかの社員のマネジメントを担う仕組みを導入している。
2013年に入社した藤野裕人さんもその1人だ。14年に初めて精神障害者社員としてリーダーに抜てきされ、5人の部下をまとめる。業務を指示し、面談やミーティング、休んだ人の仕事の調整などをこなす。
自身も統合失調症を抱え、当事者の心境に寄り添いやすい。「色々なことを言うと混乱する人や、強い口調が苦手な人もいる。部下からの質問には端的に答えて、いつも通り話すよう心がけている」。社員からは「寛容で優しい。よく気が回って、きめ細かく見てくれる」と評価が高い。
シダックスオフィスパートナーの設立は11年。グループ内のデータ入力や伝票作成、社内便の集配、名刺作成といった業務を担っている。保永茂樹社長は「かつては精神障害者の雇用機会が今より少なく、働く場を提供しようと会社を立ち上げた」と振り返る。
定期的な個別面談による聞き取りや精神障害者社員同士のグループワークを導入し、現在では3分の2ほどが勤続10年を超えているという。「特例子会社以外にもグループには全国に600人の障害者社員がいる。ノウハウを全国に広げたい」
独自の育成プログラムを取り入れる企業もある。NTTドコモは24年10月から、グループ内の特例子会社ドコモ・プラスハーティ(東京・豊島)とともに「キャリアプラスプログラム」を始めた。
まず、精神障害を持つ求職者を2年間の有期雇用でドコモ・プラスハーティが採用する。業務を通じてリスキリング(学び直し)をし、2年間の雇用期間終了後は希望するNTTドコモのグループ企業に正社員として就職するという仕組みだ。
ドコモ・プラスハーティの岡本孝伸担当部長は「もはや特例子会社だけで障害者雇用を進めていく時代ではない。障害者と健常者の両方が働きやすい職場をつくることで、全体の生産性向上につながる」と強調する。
プログラムに参加し、自閉スペクトラム症(ASD)を持つ20代の男性社員は「障害者雇用はキャリアが狭まるイメージがあったが、2年間で自分の強みを作って新しいことに取り組める点に魅力を感じた」と話す。今後は年20人程度のペースで精神障害者を採用し、受け入れるグループ企業への研修も実施する。
精神障害者の場合、時期や季節によって体調に変化があるほか、人によって障害の類型に違いがあるため、個々に応じた配慮が欠かせない。同社では「SPIS(エスピス)」という精神障害者の就労支援に特化したオンラインの日報システムを活用する。
SPISでは、まず働く本人がシステム上に日報を入力する。心身の状況について、体のしんどさや幻聴の有無などその人に合わせて設定した項目を4段階で答えてもらう。自由回答欄ではその日の仕事内容や気づいたことを文章で記入する。
職場の担当者は、仕事の状況や体調の変化をシステム上で確認でき、日報に返信することでコミュニケーションの助けにもなる。入力内容は外部支援者にも共有されるため、何かあった時も、担当者が抱え込まずに第三者から助言を得やすい。
SPISは奥進システム(大阪市)と全国精神保健職親会(同)、SPIS研究所(東京・渋谷)の3者が運営し、約20社が利用する。野村総合研究所の特例子会社、NRIみらい(横浜市)でSPISを使う40代男性は「うつ病を患い、もやもやした心の中を書き出せるツールは助かる。職場でのサポートにつながる安心感がある」と語る。
精神障害者は増加傾向にある。厚労省によると、精神障害者保健福祉手帳を持つ人数は23年度時点で約145万人と、10年間で倍近くに増えた。もともと障害がない人でも、うつ病や統合失調症などを発症すれば精神障害者になりうる。ASDや注意欠陥多動性障害(ADHD)などへの認識が進んだ側面もある。
企業で働く精神障害者も大きく増えている。厚労省が集計した民間企業で雇用されている精神障害者は24年時点で15万1000人で、10年前と比べて5.4倍に伸びた。
大阪精神障害者就労支援ネットワーク理事長で精神科医の西浦竹彦氏は「かつて精神障害者は働かなくていいという先入観があった。今は企業側が受け入れて一緒に働く経験を積み重ねてきている。障害者雇用でも能力に見合った処遇が得られる仕組みが広がってほしい」と話す。
【図・写真】グループメンバーとミーティングするシダックスオフィスパートナーの藤野裕人さん(中)(東京都渋谷区)
精神障害者雇用、10年で5倍超――就労支援、資格創設へ[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 18ページ 415文字 PDF有 書誌情報]
政府は企業に対して従業員に占める障害者の割合を「法定雇用率」以上にするよう求めている。法定雇用率は近年引き上げが続き、24年4月からは民間企業で2.5%となった。下回ると行政処分の対象となる。
精神障害者は18年から企業による雇用が義務付けられた。法定雇用率は26年から2.7%に引き上げることが決まっており、企業側は「次は3%まで上がるのではないか」(ある特例子会社の幹部)と予測する。
就労支援を強化する動きもある。厚労省の作業部会は3月、「障害者就労支援士」という新しい資格試験の創設を盛り込んだ報告書をまとめた。
早ければ28年度にも試験を開始する。労働法の基礎知識に加え、障害者の特性や福祉政策などの知識を問う。当面は民間資格として運用し、いずれ国家資格にすることも視野に入れる。地域の障害者就業・生活支援センターやハローワークの職員のほか、障害者を雇う企業側の人にも資格を取得してもらい、人材を育成する。
(井田正利)
女性の成長、社会全体に効果 ADB副官房長 児玉治美氏(多様性私の視点)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 18ページ 859文字 PDF有 書誌情報]
女性と少女の人権保障をうたった1995年の「北京宣言」から30年たった。189カ国が宣言を採択した北京女性会議に参加した私にとっても感慨深い節目の年だ。
30年で世の中は変わったのか。残念ながら女性の地位向上に逆行する動きが各国で起きている。国連が3月に出したレポートによると、世界159の政府のうち4分の1近くが昨年女性の人権に関してバックラッシュがあったと報告している。
世界で10分に1人の女性や少女がパートナーや家族の手で命を奪われており、妊産婦死亡率はこの10年ほぼ横ばい。男女の賃金格差は20%だ。また、女性は男性に比べて約3分の2の法的権利しか認められていない。
国連のグテレス事務総長は、演説で「女性の権利は脅威にさらされている。家父長制の毒が復活し、勢いを増して戻ってきた」と述べた。暴力や差別などの伝統的な「惨劇」に加え、人工知能(AI)などの新しい技術がネット上で女性への暴力や女性蔑視をあおる動きを助長していることへの警戒感を示した。
北京宣言への道のりは遠い。実現には政治、経済、保健、教育など多面的な対応が必要だが、特にテクノロジー面での支援が不可欠だ。男女間の情報格差を縮め、女性がデジタル・AI革命の被害者になるのではなく、その恩恵を最大限に享受できるようにすべきだ。
資金面でも努力が必要だ。経済協力開発機構(OECD)によると先進国による二国間援助のうち、男女の平等が主たる目的であるプログラムは全体の6%に満たない。
女性や少女への投資は世界経済を活性化させるのに役立つ。世界銀行によると、女性の就労、起業を阻む差別的な法律や慣習を撤廃することにより、世界の国内総生産(GDP)は今後10年で20%増える可能性がある。
最近のバックラッシュの背景には女性が強くなると男性が不利になるとの見方があるように思う。この見方を変えるには、議論の焦点を経済効果に当てるべきかもしれない。女性の成長は社会全体の成長をもたらす。逆に何も変わらなければ、世界は20%の成長を棒に振ることになる。
川崎重工業、アルムナイ・ネットワークを新設(News)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 18ページ 500文字 PDF有 書誌情報]
■川崎重工業、アルムナイ・ネットワークを新設 川崎重工業は3月、同社の退職者だけでなく、選考辞退者を含むアルムナイ(卒業生・同窓生)が交流できる仕組みを始めた。該当者はウェブ上の専用フォームに登録し、採用情報や再入社した社員の働く様子などを閲覧できる。今後はアルムナイ同士で情報交換できるイベントなども実施する予定だ。
アルムナイの間口を広げ、社内外での協業も視野に入れる。多様な経験をもつ人材と関わりを持ち、オープンな社風への変革をめざす。
■女性管理職の転職数3.3倍、ビズリーチ調査 転職サイト大手のビズリーチ(東京・渋谷)が運営するビズリーチWorkTech研究所は3月、女性の転職動向に関する調査結果を発表した。ビズリーチで転職活動する女性会員を対象に、2024年に実施した。人数は非公表。管理職経験者の転職数は19年と比べ3.3倍に拡大した。中でも30代前半の転職数が約10倍と大幅に増加した。また、転職で年収が1割以上増加した女性は52.9%いた。
「ワークライフバランスを重視する傾向が強まり、柔軟な働き方ができる企業への転職を希望する人が増えている」と同研究所の担当者は推測する。
揺れる大学「年内入試」 高校と建設的な対話を ルールの形骸化あらわ 少子化で変容不可避[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 19ページ 2963文字 PDF有 書誌情報]
大学入試が揺れている。試験の時期を巡る取り決めが十分に守られていないことが表面化し、高校と大学がルール見直しの協議を始めた。大学が余る時代を前提にした仕組みづくりにつなげてほしい。
ルールは「大学入学者選抜実施要項」という。文部科学省が毎年、大学団体や高校団体の代表者らを集めて開く「大学入学者選抜協議会」が定めている。
守られていなかったのは、受験生の学力を問う場合は1月の大学入学共通テストを利用するか、2月1日以降に各大学が個別試験を行う取り決めだ。
学校推薦型選抜や総合型選抜の利用は増え続け、2024年度の大学入学者全体の半数を超える。多くは9~12月に選考や合否判定があり「年内入試」と呼ばれる。実施要項上は、そこで学力試験をしてはいけない。
年内だと高校は出題範囲の授業が終わっていない。教育が早くから受験対策に偏ってしまう。そんな配慮から入試の早期化に歯止めをかけた。
ところが、東洋大が今春の学生募集で学力試験を伴う推薦入試を始めた。「教科学力を問う方がよい学生が採れる。学力不足による入学後のミスマッチも防げる」(幹部)などの判断が背景にある。
同大は「関東大規模私大で初」とアピール。指定校制ではなく公募型の推薦入試なので約2万人が受験し、倍率は平均4.7倍となった。
高校側は猛反発した。「年明けの一般選抜の実質的な前倒しだ」「受験料、入学金でもうける狙いでは」……。公立と私立が珍しく足並みをそろえて文科省に対応を求め、同省は昨年12月、試験期日の順守を求める通知を出した。
1990年に始まった大学入試センター試験(大学入学共通テストの前身)は当初、12月実施の方針が高校の反対で1月に繰り下げられた歴史がある。「東洋大をきっかけに、なし崩しに入試の早期化が進んではたまらない」。高校団体の幹部からは強い危機感が伝わってきた。
だが、事態は複雑になる。あまり知られていなかったが関西では学力試験を伴う推薦入試が定着し、近畿大のような大規模校を含む相当数の大学が行っていたのだ。
関係者によると、受験生は教科学力重視の推薦入試で合格を確保し、年明けの一般入試で上位校に挑む受験カルチャーが20~30年前にはできていた。ある私大幹部は「文科省は関西の年内入試を事実上黙認してきた。関西では大学と高校、塾、受験生の間でウィンウィンの関係が成立していたからだ」と語る。
問題はさらに飛び火する。2月以降に実施すべき学力試験を、いわばフライングで1月下旬に始めている大学が一定数ある。複数の国立大が「小論文」「筆記試験」といった体裁で年内に実質的な学力試験を行っていたことも明らかになった。
学力ランクで上位に位置する国立大が推薦や総合型でも教科学力を見たいのは分かる。だが、数学の文章題のようなものを小論文と称して出題するのは一般の感覚からすると無理がある。
つぎはぎ改定を重ねてきた実施要項のわかりにくさ、用語の曖昧さも指摘された。ルールの形骸化があらわになり、入試の虚々実々が白日の下に引き出された。
実施要項は、入試は高校と大学を接続する「教育の一環として実施する」とうたう。正論だ。しかし現実の入試は経営と教育の双方にまたがり、大学と大学、大学と高校の利害が対立する。
入試日程は、その最たるものの一つだ。募集力が低い大学から順に入試を始め、最後に国立大が行う秩序が暗黙のうちにできている。
ルールを厳格適用してフライングをただせば試験日の移動が起き「ガラス細工同然のすみ分けが崩れる」と私大関係者。一部の大学は入学者を早めに確保する戦略が難しくなって淘汰が加速し、高校の進路指導や受験生にも混乱が生じる恐れがあるという。
3月13日、2026年度入試の実施要項作成に向けた大学入学者選抜協議会が開かれた。大学側は「教科・科目の基本的な知識を問うテスト」の年内実施を提案した。
高校の学習状況に十分配慮し、内容や範囲は基礎に絞る。テストは調査書・推薦書に加え2つ以上の評価方法を組み合わせる中の一つとし、評価の多面性を確保して丁寧な選抜を行う。限定的に学力試験の実施を認め、現実とのずれを解消する案だ。
意外にも高校側から目立った異論はなかった。考えてみれば年内入試での学力の担保は2000年代にアドミッション・オフィス(AO)入試の「学力不問」が大きな問題になって以来の課題だ。
様々な現実や大学側の事情にも配慮し、高校側が歩み寄ったのなら評価できる。文科省も高校と大学の間で調整に相当汗をかいたようだ。
それでも課題は多い。「基礎とは何か」は大学によって違うし、そもそも大学入学共通テストが「基礎的な学習の達成度」を判定する役目を負っている。日本私立大学連盟(私大連)は私大が利用しやすくなるよう共通テストの年内前倒しを要望しているが、高校側の反対は強い。
逆もまた真で、高校教育が保障する「基礎」と入試で測る「基礎」の間に一致点が見いだせれば双方の求めるものが重なり、意義は大きい。
大学側には新たな基礎学力テストの創設に前向きな声もある。基礎学力を測る試験の複数化・二層化は10年代の高大接続改革の中でも浮上した案だ。各大学が個別にテストを行うのは負担が大きく、出題ミスの増加を懸念する声もある。実施主体、費用負担など難題は多いが真剣に検討してよいテーマだろう。
学校推薦型選抜を巡っても、多くの不合格者が出る併願可の公募型は本来の姿ではなく、専願が前提で基本的に合格する形に戻すべきだという意見もある。高校と大学の信頼関係に基礎を置く推薦入試の意義や機能を再確認する議論があっていい。
より根本的な問題は、少子化で入学者「選抜」はいよいよ成り立たなくなることだ。高校入試も大学入試も、もはや大半の生徒には学習の動機づけにならない。子どもが増えていた時代の教育体制のままでは高校教育も大学教育も空洞化しかねない。
高校と大学がもっと建設的に対話し、普通教育と高等教育という異なるコミュニティーをつなぐ仕組みをつくり直していく必要がある。
私大連の田中愛治会長(早稲田大総長)は「今回の問題を現象だけ見るのではなく、本来どういう入試が必要かを考えることが大事だ」と指摘し、こう語る。
「戦後80年の教育は、答えのある問題を速く解く生徒が優秀だという神話を持ってきた。復興の過程が米国に追いつき追い越せで答えがあったからだが、大事なのは答えのない問題に挑戦するたくましい知性だ。そう考えれば入試のあり方も変わる」
日本私立大学協会の小原芳明会長(玉川学園理事長)も「排除でなくチャンスを与える入試に変えていかないといけない。チャンスを生かした子どもに卒業を認め、生かし切れない者には他大学への編入を認めるべきだ」と訴える。
高校側の問題提起にも耳を傾けたい。全国高等学校長協会の内田隆志会長(東京都立三田高校長)は「大学入試は経営に寄りすぎている。入試は前段階の教育へのメッセージであり、大学は高校の教育をよく見てほしい」と話す。
大学の再編縮小や高校教育の変容が避けられない今こそ本質的な議論の好機だろう。今期の協議会での検討がその下地になるなら半歩前進だ。
(編集委員 中丸亮夫)
授業開始までに 基本の点検と総復習を(受験考)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 19ページ 755文字 PDF有 書誌情報]
ショウ(仮名)が難関の私立中学に合格した。「2、3月は進学準備をしつつ、ゆっくり休むのかな」と聞いたところ「中学数学の先取り学習をします」という答えが返ってきた。
聞くと中学数学を先取りする講座を開く塾や、そのための参考書があるらしい。入学前に数学をある程度学んでおく難関中進学者は多いようだ。
中には、中2の間に高校数学に入るカリキュラムを組む学校もある。先取りをしておけば入学後の学習がスムーズになる。
ただ、中学受験をしなかった場合も数学の準備をしておくのはよいことだ。先取り学習でなくてもいい。
勤務先には毎年、中学受験を経験していない新中1生が入塾する。中には比・割合の理解が危うい生徒が一定数いる。これらは方程式や関数、相似などの学習で必要になる。
小学校の算数に不安のある人は、中学校の授業が本格的に始まる前に総点検・総復習をしてほしい。
大学受験でもそうだ。3月初め、浪人が決まったケイ(同)が「予備校の授業は4月中旬からなので、3月中は友達と遊んで思い出をたくさんつくろうと思います」と言ったので、あえて厳しく諭した。
「そんなことをしていていいのかな。予備校が始まるまで基本事項の確認や問題演習、今春の入試問題の復習をしましょう。来年の受験まで1カ月まるまる自由な時間が確保できるのは今だけです」
不合格が決まった直後に酷かもしれない。それでも、この1カ月の勉強を怠った生徒がよい結果を残せなかった例は山ほどある。浪人生は予備校の授業が始まるまでに、どの科目についても基本が固まっている状態にしておくべきだ。
「3月まるまる遊んでしまった」という人は今からでも遅くない。4月のうちは授業はそれほど速く進まない。5月の大型連休までに、各自の状況に応じて予習や復習をすることを勧めたい。
(夢)
目標へまっすぐ(上)(アイデア工房)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 19ページ 359文字 PDF有 書誌情報]
ブルルルル――。スイッチを押すと校舎前にエンジン音が響いた。寝そべるように乗り込み、アクセルレバーを握る。高校3年生の岸風児さんの「いくよ!」の掛け声で、1人乗りの小さな車両が走り出した。
関東学院中学・高校の技術部は自動車の燃費を競う秋の大会に向け、学年ごとのチームで車の製作に励む。大会では約2.4キロのコースを7周し、1リットルのガソリンの消費量を計測して勝敗を決める。車両の軽さ、空気抵抗、繊細なスピード調整などが要となる。
岸さんは後輩への目配りを欠かさない。昨年は大会直前に不調になった中学生チームのエンジンを整備した。6月には引退するが「この部活だからこそ学べることがたくさんある」と5年間で培った経験を後輩に伝える。
(横浜市)
◇
ものづくりの担い手が減るなか、アイデアを形にする若者たちの挑戦を追う。
春の新聞週間特集――情報の洪水 信頼が命綱、論説委員長 菅野幹雄 分断に橋を架ける役割[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1949文字 PDF有 書誌情報]
「常識の革命」を宣言したトランプ米大統領が世界を混迷と不確実性の渦に巻き込む。大量の情報を意図的に発信して相手を封じる手法は、SNSや人工知能(AI)の普及と相まって、民主主義を揺るがしかねない。新聞など伝統的なメディアは「信頼」という命綱をどう確立するか、試練に直面する。春の新聞週間が6日、始まった。
その名も「洪水(Flood the Zone)戦略」。1月20日の就任から1カ月で100を超す大統領令を連発し、連日カメラの前で主張や決定を言い放つトランプ氏は、政敵やメディアの批判を情報の量で圧倒しようとしている。
メキシコ湾を「アメリカ湾」と一方的に改名し、呼称を変えないAP通信を代表取材から締め出した。合衆国憲法が修正第1条に掲げる報道の自由に抵触するとも指摘される言論の弾圧姿勢もみせた。
米国をはじめ世界各国で選挙が重なった2024年、政権を担っていた政治勢力はほぼ総崩れになった。ウクライナ戦争などに端を発した物価高騰や生活苦に、既存政党への庶民の怒りが募った。
24年はSNSやAIを駆使した露骨で巧妙な試みが世論に著しい影響を及ぼした転機としても記憶されるだろう。欧州諸国での極右勢力の躍進、さらにロシアの関与も疑われる選挙への介入。真偽を確認できないまま大量の情報が民意に浸透することを、まざまざと見せつけた。
急速な進化を続ける生成AIはその危うさを倍加させている。対立候補を攻撃するため、偽の画像や音声の合成・加工がSNSに流されて多大な関心を集めた現象は米大統領選でも頻繁に起きた。
アルゴリズムによって情報が絞られる「フィルターバブル」や似た意見ばかりに接して共鳴する「エコーチェンバー」と呼ばれる現象は、相手への不満や憎悪を増幅し、政治や社会の分断を深める要素になる。
誤った情報や偽情報を検証する「ファクトチェック」の手も緩む。フェイスブックなどを運営する米メタは今年1月、「政治的に偏りすぎていた」とSNS投稿の第三者による真偽の確認機能を米国で廃止した。
日本も例外ではない。24年10月の衆院選、11月の兵庫県知事選では、SNSでの情報が情勢に大きく影響した。候補者間の平等を重んじた既存メディアに代わり、コンパクトで「刺さる」動画やコメントの投稿が多数の注目を浴びた。
「SNS選挙」という現象が新聞やテレビなどのメディアに突きつけた問いは重い。取材に基づき正確さや中立性を追い求め、質の高い情報を提供するモデルが「時代遅れ」や既得権益層の代弁者だと見なされ、批判の矛先が向かった。
SNSやAIによる環境の激変を正視しつつ、伝統的なメディアとしての役割をどう果たしていくかが問われる。カギとなる要素は3つあろう。
最重要の課題は、発信する情報に対する「信頼」を確保することだ。
日本新聞協会が24年に実施した調査によると、SNSなどによる情報の提供元を「必ず」「たまに」確認すると答えた人の割合は合計で45%だった。信用できるニュースの提供元はなにかを問うと、新聞社の57%に対しインターネットメディアは17%と大きく差がついた。
日本人はSNS情報の検証が他国に比べて甘いとの指摘もある。伝統的なメディアが取材に基づく事実や客観的な視点を提供し、正確な理解に資するという役割は一段と重くなった。
メディアに求められる第2の要素は、SNSなどの手段も活用して、読者や人々にきちんと主張が伝わる工夫を尽くすことだ。公開情報を含めた豊富なデータを分析し、いま何が起きているのかをビジュアルでわかりやすく提供する。SNSと既存メディアは対立する存在ではない。
3つめにメディアが担うべき大切な責務は、意見の相違があることに目を配り、多様な見方や選択肢を提供することだ。違う立場の意見に背を向けるのではなく、議論を通じて、世界や社会の分断に橋を架けていく。そうした役割を演じなければならないだろう。
メディア研究が専門の林香里・東京大学教授は情報の洪水の時代だからこそ、メディアが積極的にニュースの重要度を価値付けし、議論につなげていく役目を果たすべきだと語る。
「最前線でどんな情報を得て、誰に話を聞いて、どういう信頼筋を引用するか。記者には目利きとスキルが求められる」。あふれる情報を整理しわかりやすい形で読者に提供する「情報のソムリエ」たれとの指摘だ。言論に関わる一員として、胸に刻みたい。
▼春の新聞週間 日本新聞協会は4月6日から1週間を「春の新聞週間」と定めている。進級・進学、就職など新生活が始まる時期に合わせて新聞の魅力を伝えるキャンペーンを実施している。
【図・写真】SNSを使った露骨な世論形成が影響力を持つ時代になった(右上はロイター)
春の新聞週間特集――電子版・朝刊に新企画「エコノミクスパネル」、政策の是非 経済学者に問う[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 21ページ 1212文字 PDF有 書誌情報]
高校無償化や年収の壁、米トランプ政権による関税引き上げといった政策は経済や暮らしにどう影響するのか。SNSに膨大な情報が行き交う現代社会では、信頼できる専門的な知見が求められている。日本経済新聞は電子版と朝刊に、経済学者による意見を集約するコーナーを設けた。
特集「エコノミクスパネル」は2024年11月から月1回程度、注目政策について経済学者の賛否をまとめてグラフで示している。財政や金融、産業政策など異なる分野の学者がそれぞれの専門的見地から意見を述べるコメント欄も併設した。政策の背景や意義、影響について複眼的な意見を提供する狙いからだ。これまで政府の物価高対策や日銀による異次元緩和への評価を調査してきた。
24年11月には石破茂政権が24年度の補正予算に盛り込んだ電気・ガス代への補助について賛否を問うた。政府は家計の負担軽減を目指したが、経済学者の77%が補助は「不適切」と評価した。
学者が政策に反対した理由を見ていくと、市場のゆがみや気候変動への影響を問題視していることがわかった。一橋大学の森田穂高教授(当時、産業組織論)は「特定の財への補助は価格メカニズムを通じた適切な資源の配分をゆがめる」として反対した。
補助を通じて電気代が下がれば、本来は減るはずだった消費が増え、財政支出の拡大も物価を押し上げてしまう。米プリンストン大学の清滝信宏教授(マクロ経済学)は「補助は物価抑制には逆効果で、環境保全にも悪影響を及ぼす」と述べた。一方で電気代の補助を景気対策として支持する意見もあった。政策が持つプラスとマイナスの両面が調査から浮かび上がった。
25年2月には高校の授業料の無償化の賛否について尋ねた。自民、公明両党と日本維新の会は私立高校向けの支援額を増やすことで合意したものの、経済学者の70%が反対した。
政府による支援額の引き上げが私立高による学費上げを誘発する可能性を重くみていたためだ。東京大学の渡辺安虎教授(実証ミクロ経済学)は「私立校は学費を上げても給付があるので出願者数が減らなくなり、学費を上げるインセンティブが生じてしまう」と懸念を示した。
学者の賛否が割れた問題もある。高校無償化にかかわる支援対象の所得制限を外すことへの賛否を問うと、支持派が39%、反対派が49%だった。支持派が教育機会の平等などを理由に挙げたのに対し、反対派は支援が高所得層まで及ぶことによる教育格差の拡大を懸念していた。
評価が割れる問題については、有識者が持論を展開する「経済教室」で学者が意見を表明できるようにした。日銀による異次元緩和への評価をパネルで尋ねた際には、3人の学者の詳しい見解を掲載した。
「エコノミクスパネル」で政策評価を担う47人の学者は、国際的な研究業績の有無や発信力を基準に専門家自身が選んだ。メディアとアカデミズムの連携により、経済政策の羅針盤を提供する役割を担っていきたい。
春の新聞週間特集――私と新聞、三宅香帆さん 文芸評論家、情報が持つノイズの価値[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 21ページ 518文字 PDF有 書誌情報]
新聞はデジタル版で読むが、見方が偏らないように複数の社の記事に目を通すようにしている。報道のスタンスはそれぞれ違うし、一つのメディアを信じ過ぎないことが大事だ。
新聞記者が実名で運用するSNSも積極的にフォローしている。「この記者の発言なら」と読む記事を決めることも多い。記者は会社の主張に沿って記事を書く印象があるが、記者一人一人がもっと前に出て、記事も署名で発信した方が伝わりやすいと思う。
自分の欲しい情報をインターネットで手軽に得ることができる現代は、その背景にある知識や周辺にある文脈が「ノイズ」として除去される傾向にある。そんな現状を「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(集英社)で指摘した。
事件、経済、文化などあらゆる分野を網羅した新聞も、ノイズを含むコンテンツだと思う。欲しい情報だけを取り入れていては、偶発的な情報との出合いが生まれず、関心が広がらない。
取材網が全国に張り巡らされ、記者が地道に取材するメディアは新聞をおいてほかにない。高知で育ち、現在は京都で暮らしているが、「東京が日本のスタンダード」という考えに違和感を覚えることがある。各地にネットワークを持つ新聞には、地方の声をどんどん届けてほしい。
春の新聞週間特集――私と新聞、井上芳雄さん 俳優・歌手、「偶然に知る」も紙の良さ[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 21ページ 513文字 PDF有 書誌情報]
実家で新聞を取っていたので、子どもの頃から身近だった。幼い時期はテレビ欄を見て、演劇やミュージカルに興味を持って以降は芸能、文化の記事も読むようになった。今も朝刊と夕刊を購読している。忙しい日も、コーヒーを飲んで一息つきながら数ページだけでも目を通している。
よくチェックしている記事は劇評。出演した作品の劇評はどきどきしながら見る。役者1人に触れる量は少しでも、褒められたらうれしく、内容も覚えている。切り抜いてスクラップブックで保存している。書評を見るのも好きだ。面白そうだと思ったらすぐに買うことがある。
スマートフォンがあれば、知りたい情報を取りにいける時代になった。新聞は全然興味がなかったものが目に入ることで、思いも寄らない出合いがある。触れてこなかったものに触れられる偶然性の経験を、これからもたくさんできたらうれしい。
自分の子どもも含めてデジタルネーティブ世代に「紙も大事にしなさい」と言っても、伝わりにくい部分がある。自宅では、印象に残ったインタビューや投書を切り抜き「良かったよ、読んでみて」と家族に勧め、共有する。ネット上で何でも見ることができるからこそ、わざわざ紙の記事を渡すと重みが伝わると思う。
春の新聞週間特集――私と新聞、藤井サチさん モデル、取材の内幕もっと見せて[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 21ページ 505文字 PDF有 書誌情報]
幼い頃から母親に「このニュースについてどう思う?」とよく聞かれて育った。テレビ番組にコメンテーターとして出演する機会も増え、今は新聞4紙のデジタル版を購読している。
複数紙を読むのは、多様な角度から物事を見るため。書き方が違っても取材を尽くしているからそれぞれに根拠がある。
あふれる情報に疲れ、SNSを離れる人が周りに増えてきた。こんな時だから、信頼性の高い情報が整理された新聞という「原点」に戻る人もいるのではないか。ファッションでも流行がリバイバルするように。
私が身近な雑誌業界も「活字離れ」に直面する。その中で生き残っているのは早くからウェブ発信にも注力した媒体だ。私自身、ユーチューブを始めるのは「負けた」気がして最初は悔しかった。でも、好きなことを続けられることの方が大事。今は選択肢が広がり自分にプラスになったと考える。
新聞業界も従来のやり方を手放すのはきっと勇気がいる。しかし生存戦略として新しい柱を立てることは広がりを生む。
例えば私は、新聞記者が「取材先とこんな交渉をした」と内幕を語る動画をインターネットで見るのが好き。記者の人となりも含めて、裏側をエンタメ化するのも面白いのでは。
未来面――切り替えましょう。 課題01 次のステージに上がるために大切なことは? 双日植村幸祐社長[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 23ページ 1755文字 PDF有 書誌情報]
双日は2004年に発足した日本でもっとも若い総合商社ですが、もともとはニチメンと日商岩井という、ともに100年を超す歴史を持つ2つの企業でした。1990年代のバブル経済の崩壊やアジア通貨危機により財務体質が悪化し、経営統合するという結論になったのです。
統合後も少なくとも10年は財務体質の改善が最優先という状況が続きました。その結果、ビジネスの起点をそれまでのファイナンスから事業投資へと大きく変える必要性が高まっていましたが、他社と比べて不利な条件下での戦いを余儀なくされます。悔しい思いをしたことは1度や2度ではありません。
もっとも、こうした経験は当社だけのものではないと思っています。口幅ったい言い方かもしれませんが、当社の歩みは「失われた30年」で苦しんだ日本経済のそれと重なります。ともに長いトンネルを抜け、ようやく光が見えてきました。当社では2期連続で連結純利益が1000億円を超えました。
ただ、ここで立ち止まっていてはいけません。優秀な人材を確保して将来のための投資を増やす、さらに社会に対する責任を果たすためには一定規模の利益が必要になります。また、持続性も重要です。そのために当社はまず、2030年ごろまでに純利益を2000億円規模に増やす目標を掲げました。
これまでの延長線上だけでは新たなステージに立つことは難しいと考えています。当社には社会のニーズを先読みし、事業を創出してきた歴史があります。神戸製鋼所や帝人などは前身企業が創った事業の一例です。こうした「DNA」はしっかりと引き継ぎつつ、事業の内容や仕事の進め方を変えていかなければなりません。
重要なのは「個の強さ」は当然のこととして、組織全体の力を高めていくことです。目指しているのは自分で考えて自律的に動ける人材が多い組織。日々の仕事に追われると惰性に流されがちですが、一歩引いて「何のためにその仕事をしているか」「価値や機能を考え、打ち出せているのか」を見つめ直し続けることが不可欠です。
こうした話をする背景には個人的な経験もあります。7年前、古巣のエネルギー部門から化学部門に移った際に目にしたのは、ややもするとバラバラになりがちな140~150人の所帯でした。真剣に組織について考えたのはこのときが初めてでしたが、たとえ3割でも考え方が変わると大きな変化が起きて成果につながったのです。
私の次のチャレンジはこうした取り組みを全社、そして2万4700人超のグループ全体に広げていくことです。読者の皆さんも様々な場面で新たなステージに立つことがあるかと思います。その際に必要なこと、重要になることは何でしょうか。ワクワクするアイデアを楽しみにしています。
双日は設立から20年の節目を迎えるにあたり、「双日らしさとは何か」を深掘りする社内横断プロジェクトを立ち上げました。社員アンケートやディスカッションを重ねましたが、議論百出。結局、1つのキーワードにまとめることはできなかったそうです。
20年あまり前、若手記者として商社業界を担当させてもらったことがあります。双日の前身となる企業で印象的だったのは個性的な社員が多かったことです。20周年プロジェクトの結果も「個の強さ」が理由かと考えましたが、植村社長の答えは意外にも「違う」でした。個が強いのはもちろんだが、組織も重要というのがその意味するところです。
よくよく考えてみると自由と安全、競争と協調、仕事とプライベートといった、ともに重要であるものの共存が難しいとされる概念は身の回りにたくさんあります。単純化と先鋭化が進むなか、二律背反を両立させる知恵が求められているのは双日だけではありません。(編集委員 奥平和行)
今回の課題は「次のステージに上がるために大切なことは?」です。420字程度にまとめた皆さんからの投稿を募集します。締め切りは15日(火)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、28日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/future/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。
(サッカー)J1京都、劇的逆転勝ち――長谷川が個人技、新潟念願の勝利[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 548文字 PDF有 書誌情報]
12分に「得意のコース」という長谷川のクリーンシュートで先制したが、今季未勝利(4分け4敗)の新潟にとっては安全圏にはほど遠い。これまでも試合内容で勝りながら、詰めの甘さで何度も勝ち点を手からこぼしてきた。
この日はその虎の子の1点を守り抜いた。リーグ王者の元気の無さに救われた部分はあるのだが、神戸のロングボール攻撃にはCBのゲリアと稲村が高さで応戦。DF、MF、FWのスリーラインもバランスを保ち、こぼれ球をすぐに拾える状況を安定的につくり出した。
終盤の選手交代も「引くな」というメッセージ付きで、最後までメリハリのきいた戦いを貫くことができた。
国立に駆けつけたサポーターに待望の勝利をプレゼントできた選手は、さすがに喜びがあふれた。「みんなで耐えられたのは自信になる。今日やれたことを一つの基準にしたい」と堀米。順位はまだ最下位だが、長谷川は「ここからどんどん上がっていきたい」。
水戸のコーチから新潟に来た樹森監督は未勝利のトンネルにいる間も「勝てば変われるよ」と選手に言い続けてきた。取り組んでいることに自信はあっても、理想の実現には時間がかかり、勝てないと妥協を迫られる。結局、時間をつくるのは白星以外にない。「ほっとした」。47歳の新人監督にとっても大きな1勝だ。
(武智幸徳)
(サッカー)J1京都、劇的逆転勝ち――湘南、6試合ぶり白星 鈴木雄が決勝点[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 274文字 PDF有 書誌情報]
開幕3連勝の後は2引き分け、そして3連敗と下降線をたどっていた湘南が6試合ぶりの白星をつかんだ。最大の勝因は、持ち味の「ゴールに向かう、自分たちからボールを奪いにいく」(山口監督)という積極性を取り戻せたこと。結果的に決勝点となったDF鈴木雄のチーム2点目にも、それがよく表れていた。
ペナルティーエリア外から放った強烈な右足ミドルがブロックされて戻ってくると、今度は左足で「ループシュートを打つような感覚」で柔らかく右上隅へ。相手GKが一歩も動けない見事な一撃を、DFラインの一員が駆け上がってきて決めるという思い切りの良さこそが湘南らしさだ。
(ゴルフ)穴井、激闘制し2年ぶりV――全美貞、痛恨ミス「しょうがない」[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 241文字 PDF有 書誌情報]
正規の18番パー5。8年ぶりの優勝を懸けた全美貞の1メートル弱のバーディーパットはカップ右縁に蹴られた。プレーオフの末に敗れた42歳は痛恨の一打を「緊張もしたが、思ったよりも切れたのでしょうがない」と振り返った。
勝ち運には恵まれなかったが、3位から出て4バーディー、ノーボギー。17番のバーディーで穴井を捉えた粘りは見事だった。藤田さいきを交えたベテラン3人での優勝争いは「うれしかった」といい、「4日間通して良いプレーができたのは自信になる。今後がすごく楽しみ」と前を向いた。
(ゴルフ)穴井、激闘制し2年ぶりV 敵失で命拾い、プレーオフ決着 バーディーパット打ち切る(バックスピン)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 961文字 PDF有 書誌情報]
ヤマハレディースオープン葛城(6日・静岡県葛城GC=6475ヤード、パー72)
単独首位から出て3バーディー、1ボギーの70で回った穴井詩が大会記録を1打更新する通算13アンダーの275で並んだ全美貞(韓国)とのプレーオフを1ホール目で制し、2年ぶりの大会制覇を果たした。ツアー優勝も2023年のパナソニックオープン以来2季ぶり。通算6勝目で優勝賞金1800万円を獲得した。
1打差の3位に藤田さいきと小林光希、さらに1打差の5位に桑木志帆と菅楓華が並んだ。前年覇者の小祝さくらと前週優勝の工藤遥加は、ともに6アンダーで12位だった。
◇
諦念、驚き、ジレンマ、覚悟……。2年ぶりの優勝をつかんだ穴井の胸中は終盤、感情のごった煮になっていた。
逃げ切りでのゴールがみえてきた17番、6メートルのバーディーパットを沈めた同組の全美貞に並ばれた。18番パー5、バックスピンがかかって戻りすぎた穴井の3打目に対し、全の一打はピン横1メートル弱に。バーディートライを外した穴井は「もう(優勝は)ないな」とパーパットを先に沈めたが、全がウイニングパットを外して九死に一生を得る。
「素直に喜べない複雑な思いだったが、もらったチャンスをモノにしよう」と臨んだ18番でのプレーオフ。直前の反省を生かして2打目を刻み、スピンがかかりすぎない距離を残した3打目はピン左1メートルに。簡単なラインではなかったが「ここで決めるしかないと腹をくくった」。バーディーパットを打ち切り、ケリをつけた。
この日のラウンド中、全とクラブ談議に花を咲かせたというギアマニア。2年ぶりの戴冠をもたらしたカギは「ドライバー」という。37歳にしてツアートップクラスを維持する飛距離に加え、光ったのは4日間を通してフェアウエーキープ率が8割を超えた精度の高さ。曲がりを抑えるために前週からシャフトをカットして短くしたのが功を奏した。52度のウエッジは消耗を防ぐため練習では打たず、12年間も愛用する。
竹田麗央、山下美夢有、岩井姉妹らが渡米した今季は「(優勝の)チャンスだと思っていた。(ポイントランキングでも)自己ベストを目指したい」と穴井。目の色を変えているのは若手ばかりではない。
(吉野浩一郎)
【図・写真】プレーオフを制して優勝し、トロフィーを手に笑顔の穴井
(サッカー)新生なでしこ、連勝止まる コロンビアに1―1 若手躍動、PKで追いつく[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 826文字 PDF有 書誌情報]
サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」は6日、大阪市のヨドコウ桜スタジアムで行われた国際親善試合でコロンビアと1―1で引き分けた。
昨年12月にニールセン監督が就任後、初の国内での試合。就任からの連勝は3で止まった。
日本は2月の国際親善大会「シービリーブスカップ」で4―1で勝った相手に対し、終始ボールを保持したが、前半に先制を許して苦しい展開となった。
後半追加タイムに得たPKを途中出場の高橋(三菱重工浦和)が決めて追い付いた。
◇
2月の国際親善大会「シービリーブスカップ」で優勝という戦果を引っ提げての国内初試合。同大会で難なく下した相手は前線の主力も欠き、なでしこの一方的な試合になると思われた。だが蓋を開ければ先制点を許し土壇場にPKで追い付く難しい内容だった。
試合展開自体はなでしこペース。ただMF長谷川は「味方を見て判断を変える選手がいないとか、細かい部分でチャンスをつくれなかった」。ニールセン監督が「どんな組み合わせがいいのか、今は実験段階」と話すように、就任以来、様々なスタメンや初期配置が試される。選手それぞれが試行錯誤のなかで、得点というラストピースがはまらないもどかしさはあっただろう。
若手の躍動は一つの収穫だった。20歳のMF松窪は負傷したFW田中に代わり前半から入ると、シュート数はチームトップの5本。後半追加タイムにはCKで相手GKがこぼした球にいち早く反応し、放ったシュートが相手のハンドを誘ってPKを得た。「途中から出たら何か残さないと。もっと結果に貪欲に向き合いたい」
定位置争いは始まったばかり。ニールセン監督は「ベストでもワーストでもない試合だったが、ゲームの流れがつくり出せなかった。こういう試合に勝っていくためには集中力を切らさないことが大事だ」。この宿題にどう答えを出すか。選手選びの最適解を導くにはまだ時間がかかりそうだ。
(田原悠太郎)
【図・写真】試合終了間際、同点PKを決め、駆け出す高橋
(サッカー)J1京都、劇的逆転勝ち 前線の破壊力抜群 鹿島、ホーム2季ぶり黒星[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 804文字 PDF有 書誌情報]
鹿島は本拠地で京都に3―4で屈し、勝ち点16から伸ばせず首位から3位に後退した。2023年10月から続いていたリーグ記録のホーム連続負けなしは27試合で途切れた。京都はラファエルエリアスが3得点。
町田は川崎との上位対決に2―2で引き分け、勝ち点17で首位に浮上した。川崎は同15。1試合消化の少ない広島はC大阪に2―1で逆転勝ちして同17とし、総得点差で2位となった。新潟は2連覇中の神戸を1―0で破り、開幕から9試合目で初勝利を挙げた。
福岡は浦和、柏はG大阪をともに1―0で退けて勝ち点16。岡山はFC東京、湘南は名古屋に競り勝った。横浜FCは清水に快勝した。
◇
前半の京都はシュート1本に封じられ、スコアも0―2。首位・鹿島を相手にノックアウト負け寸前といった感じだったが、後半に次々と切られた攻撃のカードがどれも効果的だった。ボールをつなぐ意識が行き渡り、見事なまでにペースを取り戻した。
エースのラファエルエリアスらブラジル人アタッカー3人、そして身長191センチの原という4人が前線にそろい踏み。それぞれの持ち味を生かした「グループワーク」(ラファエルエリアス)は破壊力抜群だった。
61分に奥川が1点を返すと、ラファエルエリアスが80分と82分に頭で連続ゴールを決めて逆転。追加タイムに一度は追いつかれたが、三たびラファエルエリアスが決めて勝負あり。後半追加タイムに同点ゴールが生まれた前節に続き、劇的な形でチームが歓喜に沸いた。
1996年のJリーグ参入以降、京都がカシマスタジアムで勝つのはこれが初めて。加えて、鹿島がJリーグ記録を更新中だったホーム連続無敗記録も「27」で終止符を打たせた。前半の険しい表情から一転、試合後の曺監督が「人生で何度もない幸せな気持ち」に浸ったのも無理からぬことだろう。
(木村慧)
【図・写真】後半、チーム2点目のゴールを決める京都・ラファエルエリアス(右)
デンソー白星、1勝1敗に バスケ・Wリーグ 粘り強さ「帰ってきた」[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 733文字 PDF有 書誌情報]
バスケットボール女子の京王電鉄Wリーグ・プレーオフは6日、東京・調布市武蔵野の森総合スポーツプラザで3戦先勝方式の決勝第2戦が行われ、レギュラーシーズン(RS)2位で初優勝を目指すデンソーが、RS1位で2連覇を狙う富士通に69―67で勝ち、1勝1敗とした。
デンソーは10点ビハインドで迎えた第3クオーターに馬瓜を中心に追い上げ、一進一退の展開に持ち込んだ。第4クオーター終盤にも馬瓜が活躍。接戦をものにした。
第3戦は12日に行われる。
◇
デンソーが泥臭く粘り強いプレーで星を五分にした。一度もリードを奪えず完敗した前日から一転、最大15点差を逆転し、接戦をものにしての勝利だ。声でも仲間を鼓舞し、チーム最多の21得点を挙げた馬瓜は「デンソー(のバスケ)がちゃんと帰ってきた」と声を張り上げた。
なかなか決まらなかった前半も顔を下げず、全員が粘り強くシュートを打ち続けた。すると第3クオーターでスコアに結実。開始直後に3連続得点し相手にタイムアウトをとらせると、直後もスチールや守備から攻撃への切り替えでリズムをつくり、ついに馬瓜の2点シュートで逆転した。
日本代表経験者も多く、個々の能力が飛び抜けているチームだからこそ個人に頼る攻撃も多くなると馬瓜は言う。「単発の力だけではうまくいかない。パスを散らして動きの中でシュートする、みんなが責任を持ってシュートすることを意識した」。この日は出場した9人中7人が得点、守備では6人が計10本のスチールを決めるなどチーム一丸で戦い続けた。
次戦は12日。「修正を1週間ほどできるのは非常に良いこと。しっかり修正もして、また来週1発目を戦いたい」(馬瓜)
(米田美桜)
【図・写真】第4クオーター、攻め込むデンソー・馬瓜
東京ベイがPO進出決定 ラグビー・リーグワン BR東京の猛攻、堅守で耐え快勝[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 364文字 PDF有 書誌情報]
ラグビーのNTTリーグワン1部第14節最終日は6日、神戸市の神戸ユニバー記念競技場などで2試合が行われ、東京ベイがBR東京に42―14で勝って11勝1分け2敗とし、上位6チームによるプレーオフ(PO)進出が決定した。PO進出を決めているBL東京は神戸に73―28で圧勝した。
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東京ベイは前半、BR東京の猛攻にさらされた。しかし、マークスらのスチールでボールを奪ったり、タックルでミスを誘ったりして無失点で耐える。逆にFWのパワーを生かして3トライを挙げると、後半も点差を広げて快勝。プレーオフ進出を決めた。
ニュージーランド代表の守備コーチだったマクラウド氏が今季から加入。試合ごとに連係が深まっている。日本代表のSH藤原は「誰が誰を見ているかというコミュニケーションや(選手同士の)幅がすごく良かった」と自信を深めていた。
スケボー草木V、男子は志治初V 日本OPパーク[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 24ページ 148文字 PDF有 書誌情報]
スケートボードのマイナビ日本オープン・パークは6日、神奈川県の藤沢市鵠沼海浜公園スケートパークで決勝が行われ、女子はパリ五輪代表の草木ひなの(スターツ)が80.11点をマークし、2大会ぶり2度目の優勝を果たした。2位は藤井雪凜で66.93点。
男子は13歳の志治群青が76.26点で初優勝した。
山川お目覚めの一発 不調払拭の5打点(プロ野球)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 653文字 PDF有 書誌情報]
主砲にとって、シーズン1号が出るまでは落ち着かないものらしい。「本塁打を打たないと開幕できないというか、やはり安打では乗っていけない」。試合前まで打率は1割に満たず。そのソフトバンク・山川が苦悩から解放された。
眠りから覚めたのは一回。2死一塁から高めのカーブを左翼席へ届けた。手応えは十分、すぐに先制弾を確信できる放物線だった。3連敗した前日はバットを持って帰路につき、この日はスイングの軌道を「かち上げにいく」イメージに変えたという。
試行錯誤する中での一発が何よりの良薬だったことはその後の打席が物語っている。三回は右越えの2点打。「(調子が)いい時はあっちこっちに強い打球がいく状況が長く継続できる」。1打席目の感覚を忘れず、外角球を強引に打ちにいかなかったあたり、きっかけをつかんだようだ。
五回も左越え適時二塁打で計5打点。一塁守備では3試合連続失策があったが、そこを割り引いても貢献度は計り知れない。
自身にとって打点を伴う3安打は、走者を背負いながら3併殺と要所を締めた先発上沢を勇気づけてもいる。「投げやすい環境をつくってもらった」。日本球界への復帰後初勝利をつかんだ右腕は感謝を口にする。
6試合目での本拠地初勝利はこれまでの鬱憤を晴らす大勝だ。小久保監督の声も久々に弾む。「4番が打つとチームが締まる。苦しいシーズンのスタートになったが、これから一つずつ借金を減らして早く(勝率)5割にもっていきたい」(渡辺岳史)
【図・写真】一回ソフトバンク2死一塁、山川が左越えに先制2ランを放つ
(柔道)新井が初優勝 全日本体重別――狙い読み切り鮮やか内股 20歳、重量級けん引の覚悟[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 608文字 PDF有 書誌情報]
雄たけびとともに放った内股で相手を沈めると、新井は大の字で天を仰いだ。大会2週間前にノロウイルスに感染。畳に立つかどうか迷ったというが「万全でなくても勝ちきることが大事」。困難を乗り越えての初戴冠に涙を浮かべた。
決勝の相手は東海大の先輩・増地。「練習でも結構投げられた。本当に尊敬する先輩だけど、なんとしても倒さなきゃいけない」。延長1分過ぎ、増地の小外刈りに瞬時に内股を合わせる。高々と跳ね上げ、背中から畳に落とした。
「(試合中に)小外でバランスを崩された。また来ることはわかっていた」。相手の狙いを読み切り、鮮やかな一本につなげた。
身長186センチの長い手足と、破壊力のある技が武器。パリ五輪ではウルフ・アロンと最終盤まで代表争いを演じたが、昨年2月のグランドスラムで早期敗退し夢舞台を逃した。
激しい練習を積んだが「自分がやった気になっていただけ。その経験が今に生きている」。昨年の世界選手権で3位に入ると、五輪後の国際大会でも好成績を残し、この階級の1番手に躍り出た。
ウルフは6月に引退することになっており、3年後のロサンゼルス五輪へ向けては後継者の台頭が求められる。6月の世界選手権代表に決まった20歳の若武者は「日本の100キロ級は新井道大だと思い浮かべて、しっかり稽古を積みたい」。重量級をけん引する覚悟を示した。
(木村祐太)
【図・写真】男子100キロ級決勝、増地(下)を破り初優勝した新井
角田は12位 F1日本GP――積極性欠き苦い凱旋[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 469文字 PDF有 書誌情報]
膠着したレース展開にのまれるように、前走のマシンとの差が縮まりそうで縮まらない。14番手スタートとなった日本GP決勝。角田ならではの積極的な走りが鳴りを潜めたまま周回数ばかりがかさんだ。
「なかなかオーバーテイクが難しかった」。レース後の角田の表情は複雑なものだった。強豪レッドブルへの緊急昇格から、ぶっつけ本番となった母国凱旋のレース。新たなマシンと呼吸を合わせきれず、雨でぬれた路面もチャレンジを難しくした。
ポイント獲得圏内の10位以内を目指した。レース中盤には先手を取ってピットインに踏み切り、行く手を阻む元同僚ピエール・ガスリー(フランス)を上回った。
その後は12番手までこぎつけたが、巧みに間合いをとるフェルナンド・アロンソ(スペイン)に苦戦し、順位を上げられなかった。
まだ移籍後1戦目で焦るには早い。苦い結果にも「今、学んでいることはいい方向性にある。それを続けていけたら」。多くのラップを刻む完走でマシンへの理解も深まり、次戦へのヒントをつかんだ様子だった。
(佐藤淳一郎)
【図・写真】決勝で走行するレッドブルの角田
中日打線も覚醒、ブライト決勝弾(プロ野球)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 268文字 PDF有 書誌情報]
開幕8試合でわずか9得点だった中日打線がようやく目覚めた。井上監督が辛抱強く4番起用を続ける石川昂が一回に先制2点打。2度目の同点とされた直後の七回、接戦にけりをつけたのは今季初スタメンのブライトだ。
3ボールから内角の直球を振り抜くと、ボールはファンの待つ左翼席の最前列へ。2022年にドラフト1位で入団した25歳は「最高。マジで気持ちいい」と感情を爆発させた。1イニング複数得点も本塁打も今季チーム初。監督は「(なかなか勝てず自身が)ネガティブになりそうだったが、投手を含め選手たちがポジティブでいい試合だった」と目を細めていた。
(競馬)ベラジオオペラ、大阪杯を2連覇[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 223文字 PDF有 書誌情報]
競馬の第69回大阪杯(GⅠ・芝2000メートル)は6日、阪神競馬場で15頭が出走して行われ、2番人気のベラジオオペラ(横山和生騎手)が1分56秒2のコースレコードで優勝。2024年に続き、大阪杯連覇を果たした。2着は4番人気のロードデルレイ。
ベラジオオペラは父ロードカナロア、母エアルーティーン、母の父ハービンジャー。牡5歳。栗東・上村洋行厩舎。生産者は北海道千歳市の社台ファーム。馬主は林田祥来氏。12戦6勝。獲得賞金8億2370万2千円。
(競馬)ベラジオオペラ、大阪杯を2連覇――操縦性高く、ラスト伸び[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 216文字 PDF有 書誌情報]
「こんなに乗りやすい馬がいるのかな」。ベラジオオペラの強みは主戦騎手の横山和のこの言葉に凝縮されている。
この日も好スタートを切ると、先行集団の内柵沿いという絶好位からレース。折り合いもスムーズに最後の直線に向くと、しっかりと伸びて先頭に立っていった。騎手の意のままに動ける操縦性の高さが、連覇という最高の結果を呼んだ。
大阪杯以外のGⅠでは未勝利。他のGⅠを勝つことが「一段と強くなっている」(上村調教師)同馬の次の目標となる。
阪神の門別、プロ初白星 巨人を3タテ(プロ野球)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 213文字 PDF有 書誌情報]
東海大札幌高を出て3年目の阪神・門別は「初勝利が遠くて。やっと勝てた」と、通算9試合目でのプロ初白星を喜んだ。左腕からの投球は切れ味抜群で、四回2死一塁は岡本を空振り三振。六回途中無失点とした。
1点差を守り切った救援陣にまずは感謝しつつ「要所、要所で自分のコントロールが生きて抑えられた」と胸を張った。「最後までいけるんじゃないか、というくらいの投球内容。(代えたのが)申し訳ないといいますかね」と藤川監督をも脱帽させた。
(大リーグ)菅野メジャー初勝利 気温7度でも制球安定[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 549文字 PDF有 書誌情報]
35歳のオールドルーキー、オリオールズの菅野がメジャー2試合目で初の白星を手にした。六回途中5安打1失点。デビュー登板に合わせて渡米し、6日に帰国予定だという両親が見守る前で「両親がいる間に何とか勝っている姿を見せたいなと思っていた。ほんと良かった」としみじみ語った。
前回は両手のけいれんで緊急降板。今回は気温7度で冷たい風が吹き付け「こんな寒い中で野球をやったことがない」という厳しい状況だった。最速93マイル(約150キロ)と球速は上がらなかったが、その分制球を重視して投げ込んだ。
三回2死二、三塁では、昨季首位打者のウィットを横に大きく曲がる低めのスイーパーで一ゴロに仕留め「いいボールだった。今日はスイーパーが良かった」と自賛した。
大リーグ移籍を目指した2020年オフは、西海岸の球団と契約寸前でメディカルチェックまで受けたが、入団には至らなかった。悔しい経験を経て、ようやくたどり着いた舞台での1勝に「ほっとしている」と実感を込めた。
試合後はチームメートからシャワー室でビールをかけられ祝福された。「さらにここで成功したいという気持ちになった」と喜びに浸った。(カンザスシティー=共同)
【図・写真】ロイヤルズ戦に先発し、5回1/3を5安打1失点でメジャー初勝利を挙げた菅野=共同
(競馬)フォーエバーヤング3着 ドバイ国際競走[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 324文字 PDF有 書誌情報]
【ドバイ=共同】競馬のドバイ国際競走は5日、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのメイダン競馬場で日本馬も参戦して行われ、メインレースのドバイ・ワールドカップ(2000メートルダート、GⅠ)で、2月のサウジカップを制して海外GⅠ連勝を狙ったフォーエバーヤング(坂井瑠星騎乗)は3着に終わった。9番人気のヒットショー(米国)が優勝した。
ドバイ・シーマクラシック(2410メートル芝、GⅠ)は昨年の日本ダービー馬ダノンデサイル(戸崎圭太騎乗)が快勝し、1着賞金348万ドル(日本中央競馬会=JRAが定めた換算レートで約5億4600万円)を獲得した。
ドバイ・ターフ(1800メートル芝、GⅠ)ではソウルラッシュ(クリスチャン・デムーロ騎乗)が優勝した。
(柔道)新井が初優勝 全日本体重別[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 300文字 PDF有 書誌情報]
柔道の全日本選抜体重別選手権最終日は6日、福岡国際センターで男女計7階級が行われ、男子100キロ級は20歳の新井道大(東海大)が初優勝した。決勝は増地遼汰朗(京葉ガス)に延長戦の末、内股で一本勝ち。
男子90キロ級は昨年世界選手権覇者の田嶋剛希(パーク24)、100キロ超級は太田彪雅(旭化成)がともに3年連続3度目の制覇。
女子の78キロ超級は高橋瑠璃(SBC湘南美容クリニック)、78キロ級は泉真生(コマツ)、63キロ級は谷岡成美(日本エースサポート)がいずれも初の頂点に立った。70キロ級は田中志歩と寺田宇多菜(ともにJR東日本)が決勝で指導3による両者反則負けで、異例の優勝者なしとなった。
(柔道)阿部兄妹や永瀬、世界選手権代表に 角田は選考外[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 258文字 PDF有 書誌情報]
全日本柔道連盟は6日、福岡国際センターで強化委員会を開き、世界選手権(6月・ブダペスト)代表に、五輪2連覇中で男子66キロ級の阿部一二三(パーク24)と同81キロ級の永瀬貴規(旭化成)のほか、女子52キロ級の阿部詩(パーク24)らを選出した。パリ五輪女子48キロ級覇者の角田夏実(SBC湘南美容クリニック)は出場の意向がなく、選考対象から外れた。
パリ五輪男子90キロ級銀メダルの村尾三四郎(JESエレベーター)、同60キロ級3位の永山竜樹(パーク24)、同90キロ級で昨年覇者の田嶋剛希(パーク24)も代表入り。
(大リーグ)朗希1失点、勝敗つかず[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 242文字 PDF有 書誌情報]
【カンザスシティー=共同】米大リーグは5日、各地で行われ、オリオールズの菅野は敵地カンザスシティーでのロイヤルズ戦に先発して5回1/3を5安打1失点、4奪三振と好投し、メジャー初勝利(1敗)を挙げた。試合は8―1だった。
ドジャースの佐々木はフィリーズ戦に先発し、4回0/3を3安打1失点でメジャー初勝利はならず、0勝0敗のまま。大谷は「1番・指名打者」で出場し、3打数無安打だった。チームは3―1で勝った。カブスの鈴木はパドレス戦に「3番・指名打者」で出場し、3打数無安打だった。
角田は12位 F1日本GP[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 25ページ 213文字 PDF有 書誌情報]
自動車のF1シリーズ第3戦、日本グランプリ(GP)は6日、三重県鈴鹿サーキットで決勝が行われ、レッドブルに移籍して初戦で、14番手スタートの角田裕毅は12位となり、入賞を逃した。
ポールポジション(PP)から出たレッドブルの同僚で、ドライバー部門で総合4連覇中のマックス・フェルスタッペン(オランダ)が今季初勝利、通算64勝目を挙げた。日本GP優勝は4年連続。開幕戦のオーストラリアGPを制したランド・ノリス(英国)が2位。
災害・事故で家族失った人の結い 悲痛な思い、隣で包み込む(風紋)終[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1166文字 PDF有 書誌情報]
東日本大震災発生から14年となった今年の3月11日。宮城県亘理町は薄い雲間から穏やかな日差しが降り注いでいた。
町内のコミュニティづくりや被災者のグリーフ(悲嘆)ケアなどに取り組むNPO法人「虹色たんぽぽ」の建物には朝から40人ほどが集まり、みんなで食べる昼ごはんづくりに励んだ。
津波の大きな被害に遭った代表理事の鴫原さとこさん(55)の自宅を改装し、町内の様々な人たちが語り合う場での毎年恒例の集いに、早坂満さん(63)と由里子さん(61)夫妻が初めて参加した。
長女の薫さん(当時18)を津波で亡くした夫妻の横に美谷島邦子さん(78)が座る。40年前の日航ジャンボ機墜落事故で9歳の次男、健さんを失った美谷島さんはその後に起きた事故や事件、災害で愛する家族を失った人に向き合い、悲痛の思いを受けとめる。早坂さん夫妻も美谷島さんとの縁を結んだ。
「娘が亡くなってから気持ちは独りぼっちでした……。きょうみなさんと笑いながら昼ごはんをつくり、食べられることがうれしい」。涙を浮かべながら笑顔で話す由里子さんの言葉を全員が受けとめた。
虹色たんぽぽは聞き書きの取り組みを進めている。震災の出来事だけでなく、一人ひとりが築いた人生の軌跡に耳を傾け、冊子にまとめる。
由里子さんが語ったのは2023年夏だった。バスガイドとして働き、3人の子どもを産み育てた。長女を失う深淵の悲しみの中で美谷島さんと出会い、夫婦で墜落現場の群馬県上野村・御巣鷹の尾根に通い、墓標の整備作業に参加。同じく家族を突然亡くした喪失の思いで尾根を登る人たちとの交流を続けていることを話した。
「娘がくれた縁を大切に、できる限りのことをする」と誓う早坂さん夫妻に、美谷島さんは「今年は一緒に薫さんの幸せを祈りましょう」と話した。
「事故や災害などで亡くなった人を『犠牲者』と呼ぶことがあるが、愛しい人は誰かのためや何かのために死んだのではない。素晴らしい人生を歩むはずだったと家族は思い続ける」。美谷島さんは墜落事故が起きた8月12日まで毎年、遺族との会合などで精力的に活動した後はしばらく何もできなくなるという。
「突然家族を亡くした人は一年一年を生きるのが精いっぱい。早坂さん夫妻も毎年3月11日を目指し懸命に生きてきた。だから今年は一緒にと」
幸せとは、心の傷を聞いてくれる誰かがいることと美谷島さんは思う。鴫原さんも「側にいて隣に座って耳を傾ける人がいる町に優しくやわらかな風が吹く」と話す。
悲しみは消えない。新たな悲しみも生まれ続ける。そんな時代に、一人ひとりの悲愴(ひそう)に向き合う人間ができるだけ多くいてほしいと願う。(小林隆)
=おわり
【図・写真】早坂さん夫妻(手前)と美谷島さん(中央)は、長女の薫さんを思いシャボン玉を吹いた(宮城県山元町)
熱中症、特別警戒アラート発令に壁 猛暑の昨夏は一度もなし 標高、暑さ指数に影響[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 26ページ 1326文字 PDF有 書誌情報]
2024年に運用が始まり、災害級の暑さに備え予防行動を促す「熱中症特別警戒アラート」。都道府県内の全地点における翌日の「暑さ指数」が35以上と予想されれば発表される仕組みだ。初年の24年は日本列島が猛暑に襲われたものの、一度も発表されなかった。
環境省の分析では、地点によって指数の開きが大きかった自治体があった。「暑くても発表されない状況になるのでは」と疑問視する声もある。
暑さ指数は気温や湿度などから算出する。環境省は24年4~10月の全国約840地点の特徴を分析した。
都道府県内の各地点と県庁所在地の暑さ指数は、ほとんどの場合で似た傾向を示したが、地点間で指数の開きが大きかったところもあった。最も暑くなる日として同8月1日を抽出し比較すると、特別アラートの基準に近い34.0に達する地点がある一方、標高の高い地点では指数が低い自治体があった。
長野県は「南信濃」(飯田市)で暑さ指数34.0だったが、標高1253メートルの「菅平」(上田市)は23.9と約10ポイントの開きがあった。和歌山県では「友ケ島」(和歌山市)が34.0で、標高801メートルの「高野山」(高野町)は28.4だった。
3月3日に開かれた環境省の専門家会合で、中京大の松本孝朗教授(環境生理学)は自治体内に標高の高い地点が入ると、特別アラートは「恐らく永久に出ないと思う」との考えを示した。発表の判断基準から標高の高い地点を外すことを「積極的に検討いただけないか」と問いかけた。
会合には、熱中症リスクが高い高齢者の介護者向けガイドブックを作成するなど、対策の先進自治体として知られる大阪府吹田市の後藤圭二市長も参加した。都道府県単位となっている特別アラートの発表区分を細分化することを提言し「災害の警報などは『オオカミが来た』を恐れずに出すのがリスクヘッジの基本」と訴えた。
環境省の担当者は「どういう運用にするかは引き続き議論したい」と述べ、数年間のデータを見て検討したいと慎重な姿勢を示した。
県内で暑さ指数に開きがあった長野県の担当者は「長野は南北に長く標高差もあり、地域差が出ているのは認識している。実効性の高い制度となるよう国の動向を注視したい」と話した。和歌山県も「国の議論を見守りたい」とコメントした。
災害に関するコミュニケーションに詳しい東北大の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は、特別アラートの基準設定には「どの程度の暑さ指数でどれくらい熱中症患者が発生しているのか、地図上に落とし込んだデータが必要だ」と話す。実態把握をさらに進めた上で「発表基準をどう設定するか議論すべきだ」とした。
▼熱中症特別警戒アラート 広域的に危険な暑さで健康に重大な被害が生じる恐れがある場合、最大限の熱中症予防行動を促すために環境省が発表する警戒情報。発表基準は、気温と湿度などから算出する指標「暑さ指数」が都道府県内の全ての地点で35以上になると予想された場合。前日の午後2時ごろに都道府県単位で発表される。
2024年に全面施行された改正気候変動適応法で、暑さ指数が33以上になる予想で発表する「熱中症警戒アラート」の上位に位置付けられ、同4月から運用が始まった。
のと鉄道、震災語り部列車の運行開始 教訓を後世に[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 26ページ 486文字 PDF有 書誌情報]
能登半島地震で被災した石川県の第三セクター、のと鉄道で6日、「震災語り部観光列車」の運行が始まった。同社の乗務員が沿線の被害や復旧の状況を伝え、教訓を後世に語り継ぐ。全線での運行再開から1年となり、復興に向け、新たな一歩を踏み出した。
一番列車には東日本大震災の津波で被害が出た三陸鉄道(岩手県)の関係者を招待し、交流を深めた。
語り部観光列車は、地震前に運行していた観光列車の特別車両を用い、穴水―七尾間を走行する約45分間、語り部の乗務員が自身の経験を交えて説明する。のと鉄道の中田哲也社長は穴水駅(石川県穴水町)で開いた出発式で「地域の観光受け入れはいまだ十分な状況とは言えないが、復興に向けた一歩になると信じている」と強調した。
穴水駅を出た一番列車では、語り部の宮下左文さん(68)が、乗務中に被災し乗客を駅から高台に避難させた体験を涙ぐみながら伝えた。
観光列車は普通列車に特別車両を増結し、5月11日までと7月19日~8月31日の土日・祝日に1日3往復運行する。
【図・写真】「震災語り部観光列車」で乗客に被災体験を伝える宮下さん(右)(6日、石川県七尾市)
興福寺五重塔、大修理へ起工式[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 26ページ 436文字 PDF有 書誌情報]
約120年ぶりの大修理が今月から本格化する世界遺産・興福寺の五重塔(奈良市)で6日、工事の安全を祈る起工式が執り行われた。同日午後の式には関係者約150人が集まり、僧侶の読経や、花びらを模した紙をまく「散華」などの様子を見守った。
森谷英俊貫首は「塔は焼失と再建を繰り返しながらも、先人の思いが結集され今に伝わってきた。今回も多くの人の力を借りて事業を進めていきたい」とあいさつした。大修理は2034年3月末の終了を目指す。
奈良県文化財保存事務所によると、塔の大修理は明治時代の1901年に完了して以来。今回の修理は経年劣化が激しい屋根のふき替えが主な目的で、しっくい壁の塗り直しなども施される。
先月28日には、本体の工事に先駆けて塔や足場を雨風から守る素屋根が完成し全体をすっぽりと覆った。現在は外部から塔の姿を見ることはできず、素屋根が解体され再び見られるのは32年度以降の見込み。
【図・写真】起工式で、花びらを模した紙をまく「散華」を行う僧侶ら(6日、奈良市)
着床前診断「審査に限界」 産科婦人科学会、国の関与求める[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 26ページ 395文字 PDF有 書誌情報]
日本産科婦人科学会は5日、倫理審議会を開いた。重い遺伝性の病気が子どもに伝わらないよう受精卵の遺伝子を調べる「着床前診断」を実施してよいかどうか、学会が審査している現状を巡り加藤聖子理事長が「学会内での議論や審議には限界がある」と指摘した。
生命倫理や遺伝学の専門家の意見を踏まえ、学会が症例ごとに判断している。専門家だけでなく、当事者らさまざまな立場の人が参加すべきだとの意見もあり、学会は国が関与する公的な審査体制の構築を求めている。
加藤氏は審議会で、審査結果を日本医学会が検証する仕組みや、厚生労働省などに継続して議論する場を設ける必要があると訴えた。
審議会では検査対象となる「重い病気」の基準も議論。出席者からは「当事者が『重い』と思えば重い」として、当事者の判断の尊重を求める意見が出た。一方、検査が「弱者を排除するように作用する」として慎重な判断が必要だとする声もあった。
素粒子実験の国際チームが受賞 米ブレークスルー賞[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 26ページ 265文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】米グーグルの創業者らが設立した科学賞「ブレークスルー賞」が5日発表され、スイス・フランス国境にある欧州合同原子核研究所(CERN)の巨大加速器を使って素粒子の性質などを調べた日本を含む国際チームが基礎物理学部門に選ばれた。
CERNでは、複数の国際チームが巨大加速器LHCを使って実験。物に重さを与える素粒子として理論的に存在が予言された「ヒッグス粒子」を実験で確かめたことなどが評価された。
賞金は300万ドル(約4億4千万円)。実験には約1万3千人の科学者が参加した。賞金は若い研究者への助成に使われる。
霞が関「出戻り」実った回り道 キャリア柔軟、民間流先駆け(Answers)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 27ページ 1895文字 PDF有 書誌情報]
「裏切り者」とみられたらどうしよう――。
一度やめた会社に再び就職する「アルムナイ」という言葉が浸透してきたが、年功序列、終身雇用の文化が残る霞が関では抵抗感が根強いかもしれない。20年以上勤めた総務省を退職後、「出戻り第1号」として舞い戻った平松寛代さん(47)もそんな不安を抱えたひとりだった。
だが、役所の働く環境も変化を迫られている。
人事院によると、入省後10年未満で退職するキャリア官僚は2023年度に203人と過去最多を記録。人材流出が止まらない現状で経験者は即戦力だ。平松さんも「いまさら研修は要らないよね」と歓迎され、すぐ業務に就いた。
「国のために働きたい」
そう考えた就職活動の原点は、生まれ育った東京・多摩ニュータウンだ。高度成長期の「憧れの地」は、住民の高齢化や建物の老朽化に直面。どうすれば活気を取り戻せるのか考えるなか、課題に向き合い解決につなげられる官僚に憧れた。
「一生就ける仕事がよい」と母の後押しもあった。国家試験に合格し、00年に郵政省(現総務省)に入省した。
仕事は期待通り、刺激的だった。入省2年で米国留学し、帰国後に政策立案の実務を担う課長補佐に就いた。有害サイトから子どもたちを守るフィルタリングサービスの活用に向け、通信事業者と渡り合った。その後は財務省に出向し、08年のリーマン・ショック時には中小企業の資金繰り支援策をまとめた。
複数回の出向を経験しながら20年以上のキャリアを重ねるうちに、新鮮だった仕事が色あせて見えてきた。
ある政策を誰にどう説明すればよいか、つまずく可能性があるポイントはどこか……。同じような業務の繰り返しにモチベーションを維持できなくなっていた。
家庭環境も変化した。総務省の同僚だった夫は民間に転職し、夕方に帰宅するようになった。自身は国会運営が大詰めになると深夜帰宅が当たり前。会話の機会は少なくなり、生活のリズムが崩れた。
自身も転職すべきか夫に相談すると「仕事を変えるリスクに立ち向かえるか、考えて決めたら良いのでは」と助言してくれた。「人生は一度きり。異なるフィールドでチャレンジしたい」と決心した。
転職先でも国や社会に貢献したかった。公共交通システムの設計などを担うIT企業の管理職として、22年7月に採用された。生活スタイルは一変。夫と夕食を共にする機会は増え、給料も上がった。
利害関係者を調整する能力などは通用すると感じる一方、「言わなくても分かる」という霞が関の慣習に漬かっていたことに気づいた。
企画を立ち上げる際、将来像や実現方法などをプレゼンテーションすると、部下からは「説明がわかりづらい」と不評で、丁寧に論理立てて伝えるように心がけた。
国家公務員には「国のために働く」という意識が共有されているが、民間は同じゴールに向けて力を合わせるため、目標を丁寧にすりあわせる文化があると感じた。
ただ、民間は具体的な顧客とニーズを捉えて事業を作り上げる。国全体を見据えて仕事をしてきた自分の強みが、対象を限定してサービスを提供する民間では生かしきれないとの思いが募った。
「やはり国家公務員かも」
本当に自分がやりたいことは何か――。官僚に戻った場合にどうなるか整理して書きだしてみた。
20年以上培ってきた管理能力を生かせる一方、かつての同期より昇進が遅くなり、給与も下がる。夫の助言に再び立ち返り、自問を繰り返すと「戻ることで背負うリスクは致命的ではない」との結論にたどり着いた。折よく総務省で経験者を募集しており、再び戻る決意を固めた。
転職したのはわずか1年3カ月だったが、本当にやりたいことを明確にするため必要な回り道だと思えた。
民間の経験は霞が関でも生きた。自分の考えを部下に伝え、目標を共有するなど日ごろのコミュニケーションを転職前よりさらに大切にした。
いまは部下と共に、特殊詐欺グループらによる電話番号の悪用を阻止する法整備を進める。世の中の商慣習を変え、社会を良い方向に導く仕事は官僚ならではと感じる。
「ライフステージによって、仕事がミスマッチになることもある。いったん外に出て、自分を見つめ直す時間があってもいい」
「出戻り」組はまだ少数派だ。自由な働き方でキャリアを積み重ねるのは、民間だけでなく霞が関でも有効なはず。働きやすい職場環境づくりを目指し、職務に励む。
文 三宅亮
写真 五十嵐鉱太郎
【図・写真】同僚と話す総務省の平松さん(左)。民間企業に転職した後、戻ってきた(東京都千代田区)
【図・写真】入省後、米大学院に2年間留学した=本人提供
患者搬送ヘリ、対馬沖の海上で転覆 6人搭乗 1人死亡、2人心肺停止[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 27ページ 595文字 PDF有 書誌情報]
第7管区海上保安本部(北九州市)によると、6日午後2時50分ごろ、長崎県対馬市の東方沖で「民間のヘリコプターが消息不明になった」との通報があった。ヘリは福岡和白病院(福岡市)の医療搬送用で、病院に向け患者を含む計6人が乗っていた。
約2時間後、海上で転覆状態のヘリが発見され、6人全員が救助されたが、1人の死亡が確認された。2人は心肺停止状態で、3人は意識がある。国土交通省は墜落や不時着といったヘリの詳しい事故状況を調べている。
7管などによると、死亡したのは女性患者で、心肺停止状態の2人は男性医師と、付き添いの男性。残りの3人は男性機長、男性整備士、女性看護師。
6人が搬送された福岡和白病院は6日夜に記者会見し「いま懸命に救命治療している」と説明していた。
ヘリが見つかったのは長崎県・壱岐島北端から北東約27キロ。救助の際、意識のある3人は浮き具にしがみついた状態で、残りの3人は機内から見つかった。
ヘリは対馬空港を6日午後1時半に離陸。約1時間後に福岡和白病院に到着予定だった。
福岡和白病院によると、運航を委託しているエス・ジー・シー佐賀航空(佐賀市)が、昨年7月に福岡県柳川市で2人が死亡したヘリコプターの墜落事故を起こしたことを受け、安全性確認のため、患者搬送用のヘリの運航を一時休止していた。
【図・写真】海上で救助に当たる海保のヘリ(6日)=第7管区海上保安本部提供
密輸の金地金、押収急増 昨年4倍、海上投下の手口も[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 27ページ 491文字 PDF有 書誌情報]
密輸された金地金の押収量が大幅に増えている。2024年は約1200キロで前年比約4倍。消費税のない香港などで買い付け、日本で売ることで消費税10%分の利ざやを稼ぐ手口だ。金価格の上昇や訪日外国人客の増加が背景として指摘され、摘発件数も増加。海上投下による「瀬取り」で大量に持ち込もうとするケースもあり、海上保安庁や税関は警戒を強める。
24年11月8日未明。韓国・釜山から大阪に向かうフェリーが愛媛県今治市の沖合に差しかかった頃、蛍光色に光るライトが付いたキャリーケース2つが海に投げられた。中には5億1820万円相当、計約40キロの金地金が入っていた。
周辺で待機していた小型船が回収し、今治市内の浮桟橋で陸揚げされたところを海保などが確保。計13人を逮捕した。福岡地裁小倉支部は今年3月27日、うち9人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡し、金地金を没収した。
金密輸は空路が大半だが、海路は一度に持ち込む量が多くなる傾向がある。23年にも韓国・釜山から下関港へ、フェリーでの約30キロの密輸が摘発され、17年には小型船で佐賀県唐津市の港に約206キロが密輸されたケースもあった。
万博リハ、全日程終える 3日間、駅構内で一時混雑[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 27ページ 389文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博会場の人工島、夢洲(ゆめしま)で6日、予行演習「テストラン」が最終日を迎え、抽選で選ばれた大阪府民ら計約5万人が訪れた。入場ゲートに人が殺到したため運営側の要請で、会場につながる大阪メトロ中央線夢洲駅の階段の通行を一時停止したところ、駅構内に人が滞留する場面がみられた。
夢洲駅で来場者が滞留したのは午前11時半過ぎ。大阪府熊取町の本道義雄さん(72)は「改札を出ると、(地上へ上がる)階段前で10分ほど待った」と明かした。
日本国際博覧会協会の高科淳副事務総長は記者団に「予約時間より早く来場する人が多く、入場ゲート前に人がたまらないように、駅で一時待機してもらうよう警備に要請した」と説明。対策に課題があったとして改善を検討する考えを示した。
【図・写真】大阪万博の「テストラン」に訪れ、「ミャクミャク」の像の前で記念撮影する人たち(6日、大阪市此花区の夢洲)
台湾の窓辺に咲く鉄の花 日本統治時代に職人が伝えた「鉄窓花」、20回以上訪れ5000枚を撮影 桝本典子[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1441文字 PDF有 書誌情報]
鉄製の格子に浮かぶ花や鳥、チョウチョウにハート――。台湾の街を歩けば、民家やビルの窓辺に取り付けられた柵が様々な模様で装飾されていることに気が付くだろう。「鉄窓花(てっそうか)」とは、日本でいう面格子にデザイン性が加わった台湾の文化だ。私は会社員として働く傍ら、鉄窓花の魅力を伝える活動をライフワークとしている。
初めての訪台は2012年、友人との旅行だった。元々古い建物や町並みが好きだったこともあり、台湾の景観に一瞬で魅了された。中でも、日本では見たことがない鉄窓花に強く引かれた。以降、計23回台湾を訪れ、約5000枚の写真を撮り続けてきた。
興味深いのは、日本とのつながりだ。鉄窓花は、日本統治時代の1920年代に日本の職人が伝えた。官公庁や金融機関で採用されていたものが、徐々に民間住宅へと広がった。本来の役割は外部からの侵入を防ぐことだった。しかし、単調な面格子は牢屋(ろうや)の鉄格子を連想させると、家主や職人は様々な模様や色を取り入れるようになった。防犯と芸術が融合した文化として今に伝わる。
最も多く見られる形は花だろう。植木鉢に1輪、または3輪植えられた花や、ヒトデのような形をしたもの、チューリップ形もある。青や赤、黄色など、色も花の種類も建物によって違い、それぞれが窓辺で存在感を持って、また、時にはさりげなく咲いている。
思わず二度見してしまうのは、富士山形の鉄窓花。まるで葛飾北斎の浮世絵を思わせるものや、阿蘇山のように巨大な噴火口を持つものなど、一つ一つが微妙に違う。伝えたのであろう日本人の職人の姿が目に浮かんでくる。
台湾に行く前には鉄窓花が多く見られそうな場所を必ず調べておく。Googleマップは上空から街を一望できるため便利だ。ただし、屋根の特徴で、古い建物が密集している地域を見つけやすい日本と違い、増築された建物が多い台湾では、上からの景色だけではわかりづらい。マップ上で、地上に降りて探し、目星をつけていく。
鉄窓花を見るのにおすすめの地域は、台南や高雄。日本統治時代の近代建築や古民家が多く残っている。お気に入りの鉄窓花に出合えるはずだ。
鉄窓花は70年代に最盛期を迎えて以降、徐々に廃れてきているのが現状だ。鉄製は色々な形を作りやすいが、さびやすく、きれいな状態で保つことが難しい。近年は、安価でメンテナンスしやすいステンレスのものが普及し、直線的でシンプルなデザインが主流になった。それに伴い職人も激減している。
コロナ下で渡台できなかった間に、撮りためてきた写真を集めて「台湾鉄窓花蒐集帖(たいわんてっそうかしゅうしゅうちょう)」という本を自費出版した。執筆にあたって、鉄窓花の歴史や台湾の近現代史について自分なりに知見を深めた。そのおかげか、渡航再開後はより深みをもって鉄窓花を楽しむことができているように思う。
私の本を参考に鉄窓花がモチーフの作品を作ったというステンドグラス作家や、鉄窓花をプリントしたかばんや雑貨を製作するメーカーなど、ありがたいつながりも広がっている。
いつか見られなくなってしまうかもしれない鉄窓花を写真として残すことに、単に「かわいい」や「映え」とは違う意義を感じている。職人と家主がこだわって作った鉄窓花に、まったく同じものは1つとしてない。それぞれの異なる魅力が集まって、台湾の町並みを彩ってきた。その歴史をとどめていきたい。
(ますもと・のりこ=会社員)
【図・写真】花や山など、様々な形がある
平井一夫(7) ロックの丸さん 理想のリーダーに出会う 海外法務を勉強、キャリア磨く(私の履歴書)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 28ページ 1375文字 PDF有 書誌情報]
あれは欧州出張でロンドンからカンヌに移動した時のことだ。フランスでは英語を理解できても使ってくれない人が多い。私は妙なプライドが邪魔をして、多くの日本人が英語圏でやる「身ぶり手ぶり」ができない。すると、急に自分の価値がなくなったような気がした。
「このままではただの〝英語使い〟になってしまう」。そうならないためには、何か人に負けないものを身につける必要がある。外国部で海外とやりとりするうちにヒントが見えてきた。欧米の音楽業界は日本とはしきたりのようなものが少し違う。ちょっとした違いが思わぬトラブルの元となる。そうならないように存在するのが契約書だ。
契約書の文面は一見すると無味乾燥だが、読み込むうちに私はこう考えるようになった。「ここには先輩たちが苦労して交渉してきた結果がすべて記録されている」。そんな目で書類を読むと価値が変わってくる。私は契約書を読みあさるようになった。
よく考えると、当時のCBS・ソニーには海外法務の専門家がほとんどいない。それなら自分がエキスパートになってやろうと、海外法務の勉強に没頭するようになった。
そこで気づいた。専門性を磨くことはその分野に仕事を閉ざすように見えて、むしろ逆なのだと。私の場合は音楽から出版、さらにゲームへと仕事の幅が広がっていった。
ちなみにゲームは任天堂とのライセンス契約だったのだが、当時の私は「なんでうちがゲームなんかやるんだ」という考えの持ち主。「こんなのカネの無駄だ」と悪態をついたものだ。後にプレイステーションでゲームビジネスにどっぷりとつかることになるとは、夢にも思わなかった。
こうして海外法務を軸にキャリアを描き始めた私の前に、CBS・ソニーが誇る名物オヤジが現れた。丸山茂雄さんだ。1968年の会社発足時からのメンバーで、ソニーにとって未知の領域だった音楽事業を切り開いてきたパイオニアだ。ロックに特化したエピック・ソニーを立ち上げたことで「ロックの丸さん」として知られていた。
後に「アンチ・ソニー」をもじった「アンティノス(Antinos、後ろ4文字は逆読みでソニーのこと)」を設立する筋金入りの反逆児だ。それでいて私のような若手にさえ「ごめん。俺、よく知らないから教えてもらえないかな」と声をかけてくれる。
いつも白のポロシャツとジーンズ。軽やかな空気を漂わせて、周囲との壁を一瞬で取り払う。相手が偉い人でも、私のようなペーペーでも。
私は後に「リーダーはEQ(心の知能指数)が高くあれ」と自らに言い聞かせるようになるのだが、丸山さんがモデルだった。そして、丸山さんとの出会いが私の人生を大きく変えることになる。
この時、丸山さんはソニーのエンジニアだった久多良木健さんをかくまっていた。久多良木さんが構想するゲーム参入計画を社内の「敵」から守るためだが、そんなことを私は知るよしもない。
ちょうど入社から10年を迎えた1994年初め、私はニューヨークへの転勤を告げられた。「日本人として日本で生きていく」と決めていた私は「冗談じゃない」と思ったが、どうしようもない。実はこの人事にも丸山さんが関わっていた。そしてここから私の人生は、想像もしなかった方向へと急速に動き始めるのだった。
(ソニー元社長)
【図・写真】丸山茂雄さんはリーダーのお手本のような人だった
能装束を受け継ぐ(9)「紅白段花筏模様唐織」 共立女子大学教授 田中淑江(十選)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 28ページ 552文字 書誌情報]
紅白の段替わりに、筏(いかだ)に桜花を添えた模様である。花筏とは川面に散った桜の花びらが、川の流れに連なる様が筏を彷彿(ほうふつ)させる情緒ある名称である。春に人々は満開の桜に歓喜し、散りゆく儚(はかな)い花びらにも想(おも)いを寄せ、さらに意匠化して身に纏(まと)うなど日本人の桜への深い想いが表現されている。
本装束は大名家伝来である。能が武家の嗜(たしな)みであったことから、諸大名は家の格式に相応(ふさわ)しい能道具を誂(あつら)えた。往時の様子を垣間見ることができる。
この唐織は経年劣化により表地、裏地ともに損傷が著しく、全体に補強が必要であった。そのため、作品の縫い目を全て解く全解体で修復を行った。修復前の作品の形状は全体に狭く、そのプロポーションは江戸時代後期の傾向であった。修復で縫い目を解くと、縫い代には昔の縫い跡があり、この唐織が江戸時代後期に仕立替えされたことを示唆した。
最後の修復工程の仕立てでは、本装束を昔の縫い目に沿って仕上げた結果、江戸時代中期頃に見られるまっすぐで身幅がゆったりした形状となった。このように、装束に見られた仕立替えの跡は能装束の歴史的変遷を物語ると共に、古い装束を尊重し、大切に扱ってきた人々の想いを読み取ることができる。
(18世紀、国立能楽堂蔵)
「健一なのに次男坊」 安河内賢弘(交遊抄)[2025/04/07 日本経済新聞 朝刊 28ページ 527文字 PDF有 書誌情報]
私が、ものづくり産業労働組合JAMの会長と連合の副会長に就いたのは2017年のこと。当時は40代半ばと、連合の役員の中では若手だった。就任にあわせて愛媛から上京したため、東京に知り合いはほとんどいない。そんな時期に出会ったのが当時、基幹労連の委員長を務めていた神田健一さんだった。
JAMと基幹労連はどちらも製造業の産別労組で、すぐに仲良くなった。年はひとまわり以上離れているが、いつも私を気にかけてくれる兄貴分のような存在だった。あいさつに立つと「神田なのに大分生まれ、健一なのに次男坊……」と「神田節」で笑いを誘う。飾らない、人間的な魅力にあふれた人だった。
それからは、神田さんの話を聞きながら酒を飲むのがいちばん楽しい時間になった。ある年の国政選挙で、JAMが基幹労連とともに支援した候補者を落選させてしまった時は、翌日の連合の会議が終わった後、昼から東京駅近くの居酒屋に行って飲み明かした。プライベートでゴルフにもよく出かけた。
退任した現在は出身の日本製鉄に戻り、地元の大分で独身寮の管理人をしている。どうやら本人の希望と聞き、現場を大切にしていた神田さんらしい。今年も大分で一緒にラウンドするつもりだ。
(やすこうち・かたひろ=連合副会長)
25年04月06日
NY株急落2231ドル安 下げ幅史上3位 関税応酬 世界同時株安の様相[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 1214文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=竹内弘文】4日の米株式市場でダウ工業株30種平均が前日比2231ドル(5.5%)安の3万8314ドルで引けた。1日の下げ幅として史上3番目の大きさを記録した。トランプ米政権の相互関税に中国が報復関税で対抗し、貿易戦争の激化に市場参加者はリスク回避を強める。相場の下げ止まりがみえない。
ダウ平均は前日3日にも1679ドル安と急落したばかり。トランプ米大統領が2日に相互関税を発表して以降、世界同時株安に歯止めがかからない。4日終値は2024年5月30日以来、約10カ月ぶりの低水準となった。
S&P500種株価指数の構成銘柄の97%が下げる全面安だった。業種別指数は11業種全てが下落。「エネルギー」や「金融」といった景気の影響を受けやすい業種の下落率が大きい。リスク回避のため株式を売る動きが加速している。
個別銘柄では半導体大手エヌビディアやアップルが7%安など、大手テクノロジー銘柄の下げが目立つ。両社とも米国外の生産拠点に依存しており、関税引き上げは業績を左右しかねない。
ハイテク銘柄の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比6%安となった。24年12月中旬に付けた最高値を起点にすると累計の下落率は2割を突破した。中長期の相場低迷を示唆する「弱気相場」入りした。前日3日に弱気相場入りしていた中小型株指数のラッセル2000株価指数は4日に4%安となり、約1年4カ月ぶり安値をつけた。
中国政府は4日に、米国からの全輸入品に34%の追加関税を課すと発表した。34%は、米国が今回の相互関税で中国に課す関税率と同じ水準だ。報復が連鎖するリスクが投資家心理を傷つける。
米モルガン・スタンレーのチーフ米国エコノミスト、マイケル・ゲイペン氏は「応報的な行動は貿易戦争の兆候だ」と説明し、中国以外の国・地域からも米国に対する対抗措置が出てくる可能性が高いと指摘した。
4日発表の3月の雇用統計では市場予想を上回る雇用増がみられたが、米政府効率化省(DOGE)による政府部門の大幅リストラなどで雇用情勢の軟化が今後想定される。関税に伴う消費者の実質的な購買力低下も加わり、景気先行きの不透明感が高まっている。
景気の底割れを防ぐための米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和を市場は催促し始めた。金利先物市場が織り込む政策金利の予想を映す「フェドウオッチ」によると、25年末までに4回程度の利下げ実施が市場のメインシナリオになっている。
パウエルFRB議長が4日の講演で、トランプ政権の関税政策が「想定を大幅に上回る」と述べて高インフレと成長鈍化の両面でリスクが高まっていると指摘。一方で「金融政策の適切な方向性について結論を出すには時期尚早だ」とし、踏み込んだ発言は避けた。
講演後にダウ平均の下げ幅が拡大する場面があった。
【図・写真】市場参加者はリスク回避姿勢を強める(4日、ニューヨーク証券取引所)=ロイター
証券5社の口座乗っ取り 楽天・野村など被害 相場操縦目的か[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 829文字 PDF有 書誌情報]
個人投資家の証券口座が乗っ取られ株を勝手に取引される被害が楽天証券や野村証券など5社で確認された。偽サイトを通じた「フィッシング」で顧客が認証情報を盗まれたとみられ、警察は不正アクセス禁止法違反容疑も視野に情報収集を始めた。証券各社の偽サイトは急増している。株式相場の不正操作を狙う組織犯罪の疑いが強い。
口座が乗っ取られる被害の発生は楽天証券が3月下旬に公表した。楽天証券を装う偽サイトを通じて個人投資家のIDやパスワードが抜き取られ、口座から海外の株式を購入されたという。
同様の被害は5日までに、野村証券やSBI証券、SMBC日興証券、マネックス証券でも確認された。
証券会社をかたるメールで偽サイトへ誘導する手法が多い。偽サイトはIDやパスワードを入力させて盗み取るためのもので「フィッシング」と呼ばれる手口だ。犯罪集団は証券口座を乗っ取り、顧客になりすまして株の売買ができるようになる。
ネット空間の状況を調査したサイバーセキュリティー大手トレンドマイクロ(東京)によると、偽サイトは2024年11月に大手2社のものが開設され、25年3月までに9社分に拡大。サイト数も急増した。同社は複数のサイバー犯罪集団が関与しているとみている。
不正アクセス禁止法は他人のIDやパスワードを使いネット上の各種サイトに接続することを禁じている。
被害者から相談を受けた警察当局は、不正アクセス事件の疑いがあるとみている。
乗っ取られた口座から買われた銘柄は価格が上昇した後に急落した。
楽天証券の担当者は「攻撃者は株価操縦を狙った可能性が高い」とみる。顧客の口座から低価格の株を大量に購入して価格をつり上げ、売り抜けて利益を得た疑いがある。
虚偽の情報を流布するなどして株価をつり上げる不正行為は過去にもあったが、他人の証券口座を悪用する手口は例がないとみられる。不正アクセスによって個人投資家が損失を被るだけでなく、株式市場の公正さが脅かされるおそれがある。
任天堂「スイッチ2」、米で予約延期 米関税の影響注視[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 563文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=中藤玲】任天堂は4日、新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の米国での予約開始日を9日から延期すると明らかにした。トランプ政権の関税の影響を注視するためという。現時点で、6月5日とした発売日には変更はないとしている。
任天堂の米国法人が明らかにした。「関税の影響や市場環境の変化を見定めるため、米国での予約注文は9日に開始しない」(任天堂)と説明している。新しい予約開始日は後日発表する。
任天堂は2日にスイッチ2の発売を発表した。トランプ米大統領は同日、世界各国から米国への輸入品に対して「相互関税」をかけると公表した。中国に合計で54%、ベトナムに46%の関税が課される見通しだ。
任天堂は製造委託先の中国拠点で主にスイッチを生産してきたが、近年はベトナムやマレーシアにも一部移管している。スイッチ2の米国価格は449.99ドル(約6万5500円)に設定されているが、関税コストが上乗せされれば値上げする可能性もある。
米アップルのスマートフォン「iPhone」など世界の電子機器は、中国や東南アジアを中心にサプライチェーン(供給網)を構築してきた。トランプ政権の相互関税はベトナムなど東南アジアにも高い税率を課しており、各社は調達コストの削減を迫られている。
NY株急落2231ドル安 下げ幅史上3位――米相互関税10%発動 世界一律で適用 9日に上乗せ分[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 509文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米大統領が2日に公表した相互関税のうち、すべての国・地域に対する一律10%の基本税率が5日発動した。トランプ政権は相互関税を撤回せず、貿易相手国が非関税障壁などを見直さない限り交渉にも応じない姿勢だ。
相互関税は一律10%をかける基本税率と、貿易赤字や非関税障壁がある国ごとの上乗せ税率で構成する。日本には合計で24%を適用する。
基本税率の発動時間は、米東部時間5日午前0時1分(日本時間5日午後1時1分)。上乗せ税率は同9日午前0時1分(同9日午後1時1分)に発動する。
ラトニック米商務長官は3日の米CNNのインタビューで、相互関税について「撤回する可能性は全くない。これは世界の貿易秩序の再構成だからだ」と断言した。
貿易相手国の反応は様々だ。中国は第3弾となる報復関税を10日から実施すると発表した。米国からの全輸入品を対象に、相互関税と同水準の34%の追加関税をかける。
ロイター通信によると、欧州連合(EU)は米国側に相互関税は「有害で不当だ」と伝える一方で交渉を継続する方針だ。
インドやベトナム、カンボジアのように、自国の関税引き下げを米国に申し出ている国もある。
NY株急落2231ドル安 下げ幅史上3位――NY原油、一時10%安 4年ぶり安値[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 369文字 PDF有 書誌情報]
原油価格の米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は4日、一時前日比10%安い1バレル60.45ドルまで下落した。新型コロナウイルス禍の2021年4月以来、4年ぶりの安値をつけた。米国と中国の貿易戦争により世界景気が減速し、原油の需要が減るとの懸念が下押し圧力となった。
終値は7%安の1バレル61.99ドルだった。英キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、キエラン・トンプキンス氏は「米中の関税の応酬で世界の石油需要の見通しは間違いなく悪化している」と指摘する。市場では景気後退に伴う需要伸び悩みへの警戒が広がっている。
供給が増えるとの観測も相場の重荷だ。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は3日、有志国が計画の約3倍に当たる原油の量を5月に増産すると発表した。
万博リハ、初の一般公開[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 300文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博を8日後に控えた会場の人工島、夢洲(ゆめしま)で5日午前、来場者を招いたリハーサル「テストラン」の2日目が始まり、無料招待の大阪府民が続々と訪れた。一般の市民向けに万博が公開されるのは初めて。
この日は抽選で選ばれた約1万8000人の府民が訪れる予定だ。
テストランは一部のパビリオンや飲食店をオープンさせ、動線や運営上の課題を洗い出す。初日の4日は企業や海外の関係者に限り、約1万人が来場した。5日以降は無料招待の府民が加わる。
府民を対象とした無料招待は約35万人の応募があり、約4万人が当選した。
【図・写真】大阪万博の「テストラン」に訪れた人たち(5日午前、大阪市此花区の夢洲)
個性を造る 落語家 林家正蔵(あすへの話題)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 682文字 PDF有 書誌情報]
北陸のとある町の道の駅。のどかな山間(やまあい)のその建物は、博物館のような現代的なデザインで、とてもお洒落(しゃれ)だった。何日か後、北海道の平原にある道の駅も、スタイリッシュなのだが何か心に残るものがない。何処(いずこ)も同じ。おもしろ味、個性に乏しい。
ホテルのバーでジンリッキーを注文。お気に入りは昔から「ゴードン」。しかし、びんのラベルが以前と変わり、とてもスタイリッシュになった。昔は黄色を基調としたイギリスの香り漂う古風な格調高さが備わっていた。思えば、車も電車も家電製品、お菓子のパッケージからお墓まで、みんなお洒落で、モダンで、格好が良い。しかしおもしろ味に乏しい。心に訴えてこない。
私の父は、とても個性的といわれた落語家だ。先日、生誕100年の番組収録で久しぶりに高座をみた。プードルヘアーにひらひらの袴(はかま)。派手なアクション。ところが私はいつしか父の顔ばかり見つめていた。端正でほりの深い顔。獲物を狙う獣のまなざし。おもしろさも、陽気さもない。生真面目な兵士の顔つきだ。母が以前、なんとかおもしろ味を出そうと、もじゃもじゃヘアーにしたと語っていたのを思い出す。生まれつきの個性に、考えついた個性を足していたのだ。人間の個性とは何ぞや。持って生まれたものを育てることなのか。
場所はかわって名古屋の大須演芸場。弟子の披露目の楽屋にかつて共演してお世話になった名優、柄本明さんが、ふらりと立ち寄って下さった。思いがけない再会。くしゃくしゃの笑顔は極上の造形物だ。そこで悟った。ひたむきに生きることで人間の個性はより深く美しく造られると。
QUICK月次調査〈債券〉[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 281文字 PDF有 書誌情報]
3月のQUICK月次調査<債券>で、4月末の新発10年物国債の予想利回りは単純平均で1.555%だった。2月調査時の3月末予想(1.379%)から上昇した。証券会社の債券担当者など116人が回答した。
利回りの予想
(単純平均、単位%)
25 年〓4月末 25 年〓6月末 25 年〓9月末
新発10年国債 1.555 1.602 1.647
新発5年国債 1.159 1.206 1.259
新発2年国債 0.877 0.934 0.989
無担保コール 0.486 0.576 0.719
O/N物
(注)調査期間 3月25~27日
ハイテク株 弱気相場入り(ウォール街ラウンドアップ)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 1274文字 PDF有 書誌情報]
4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比2231ドル安の3万8314ドルで終えた。トランプ米政権による関税政策が景気悪化を招くとの警戒感から、前日の1679ドル安に続いて売りが膨らんだ。特にハイテク株の下げがきつく、相場の底入れの兆しは見えない。
3~4日の米株相場はアップルやエヌビディアなど超大型ハイテク株を中心に総崩れとなった。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4日に5・8%下げ、昨年12月に付けた最高値からの下落率は20%を上回った。「弱気相場」に突入したと定義され、投資家はさらなる株安に身構えている。
□ □ 貿易戦争が激化するとの警戒が投資家のリスク回避を促している。中国は4日、トランプ米大統領が発表した「相互関税」を受けて報復措置を講じると明らかにした。報復が連鎖すれば世界経済の下振れにつながりかねない。
昨年までのハイテク株高は人工知能(AI)への投資が拡大するとの期待が背景にあった。足元では関税による景況感の悪化で企業がAI投資を絞るとの懸念が台頭している。米ブルームバーグ通信は3日、マイクロソフトがAIの推論や学習に使うデータセンターの建設計画を世界的に見直していると報じた。
ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏はトランプ大統領による関税政策を「テックの通商を壊滅させる経済的ハルマゲドン(終末戦争)」と表現。供給網を構築する上で重要度が高い中国や台湾に対する高い関税は「米国のテック業界を本質的に遮断することになる」と強調した。米国で販売するあらゆる電子機器の値上がりにつながり、消費者の負担が増すとみている。
米景気の悪化と株安への恐怖心が高まるなか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日の取引時間中に講演した。想定を上回る関税が高インフレと経済成長の減速につながると懸念し、金融政策の適切な方向性を示すのは「時期尚早だ」と話した。
講演の前にはトランプ大統領がSNSで「今は利下げに最適な時期だ」と述べた。市場では、にわかに利下げに前向きなハト派的発言が相場を支える「パウエル・プット」に対する期待が意識されたが、実現しなかった。発言はむしろ「タカ派的だった」(エバコアISIのクリシュナ・グーハ氏)との指摘があり、米国の主要株価指数は講演後に下げ幅を広げる展開となった。
□ □ カナダ銀行(中央銀行)は3月に政策金利を発表した際に「金融政策は貿易戦争の影響を相殺できない」と言及し、中銀の対応には限界があるとの考えをにじませた。FRBもできることは少ないと見透かした投資家が米株への売りを膨らませているフシがある。
4日は最も影響力のある経済指標である米雇用統計(3月)が発表されたが「相互関税前の古いデータだ」としてほぼ無視された。それだけ市場が関税で混乱しているということだ。米著名投資家のビル・グロス氏は3日、X(旧ツイッター)への投稿で「落ちるナイフをつかもうとするな」と述べ、安易に押し目買いに動くべきではないと警告していた。
(NQNニューヨーク=川上純平)
円反落、146円85~95銭(為替)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 248文字 PDF有 書誌情報]
4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4営業日ぶりに反落し、前日比80銭円安・ドル高の1ドル=146円85~95銭で取引を終えた。週末を前に利益確定や持ち高調整の円売りが出た。
ド ル/円 1ドル= 146.85~146.95円 ( 80銭の円安 )
ユーロ/円 1ユーロ= 160.60~160.70円 ( 60銭の円高 )
ユーロ/ドル 1ユーロ= 1.0960~1.0970ドル ( 0.0085ドルのユーロ安 )
(NY市場4日終値)
<数表>海外商品先物・現物、世界の商品指数、LME非鉄在庫、他[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 6313文字 PDF有 書誌情報]
非鉄・レアメタル
◇ロンドン
▽銅(グレードA、1トン、ドル)
現物 8,830.5 9,397.0
先物
3カ月 8,900.0 9,442.0
売買高(1ロット=25トン)
― 226,277
▽すず(ハイグレード、同)
現物 36,050 37,195
先物
3カ月 35,800 37,060
15カ月 35,145 36,450
売買高(1ロット=5トン)
― 9,353
▽鉛(1トン、ドル)
現物 1,892.0 1,931.0
先物
3カ月 1,918.5 1,955.5
売買高(1ロット=25トン)
― 108,146
▽亜鉛(スペシャル・ハイグ
レード、同)
現物 2,648.5 2,724.5
先物
3カ月 2,660.0 2,738.0
売買高(1ロット=25トン)
― 161,661
▽アルミ (ハイグレード、
同)
現物 2,355.5 2,436.5
先物
3カ月 2,394.0 2,464.0
売買高(1ロット=25トン)
― 457,627
▽アルミ二次合金(1トン、ドル)
現物 2,569.0 2,571.0
先物
3カ月 2,559.0 2,559.0
売買高(1ロット=20トン)
― 0
▽ニッケル(同)
現物 15,050 15,650
先物
3カ月 15,295 15,860
売買高(1ロット=6トン)
― 109,869
▽アンチモニー(市中現物、
純度99.6%、1トン、ドル)
55,000―62,000
55,000―62,000
▽ビスマス (同、純度99.99
%、1ポンド、ドル)
35.00―45.00
35.00―45.00
▽コバルト (同、カソード、
同)
18.00―20.00
18.00―20.00
▽タングステン(同、APT
10キロ、ドル)
―
―
◇ニューヨーク
▽銅 (先物、ハイグレード、
1ポンド、セント)
4月 438.45 481.10
5月 440.20 482.85
6月 441.90 484.85
7月 444.35 487.30
8月 446.55 489.70
売買高(1枚=25,000ポンド)
― 95,740
建 玉(同) ― 240,571
( 左側は当日右側は前日 )
4日
貴金属
◇ニューヨーク
▽金(先物、1トロイオンス、ドル)
4月 3,012.0 3,097.0
5月 3,022.1 3,107.4
6月 3,035.4 3,121.7
7月 3,047.9 3,134.8
8月 3,060.3 3,147.8
売買高(1枚=100トロイオンス)
― 424,365
建 玉(同) ― 485,008
▽銀(先物、1トロイオンス、セント)
4月 2,911.6 3,184.4
5月 2,923.0 3,197.0
6月 2,938.1 3,213.1
7月 2,951.5 3,227.9
8月 2,965.6 3,243.1
売買高(1枚=5,000トロイオンス)
― 179,646
建 玉(同) ― 167,442
▽銀(現物、1トロイオンス、セント)
ハンディー&ハーマン
2,973.1 3,194.5
▽プラチナ(先物、1トロイオンス、
ドル)
4月 902.0 942.5
5月 904.8 945.4
6月 910.0 951.4
売買高(1枚=50トロイオンス)
― 51,350
建 玉(同) ― 82,829
▽パラジウム(先物、同)
4月 896.2 919.1
5月 904.2 927.1
6月 907.6 930.8
売買高(1枚=100トロイオンス)
― 7,880
建 玉(同) ― 20,423
◇ロンドン
▽金(現物、値決め、1トロイオンス、
ドル)
午前 3,090.30 3,128.15
午後 3,054.50 3,118.10
石 油
◇ニューヨーク
▽原油(先物、標準品はWT
I、1バレル、ドル)
5月 61.99 66.95
6月 61.65 66.47
7月 61.26 65.92
8月 60.87 65.38
9月 60.50 64.86
売買高(1枚=1,000バレル)
― 1,497,079
建 玉(同) ― 1,854,637
▽製品(先物、1ガロン、セント)
ガソリン(改質基材)
5月 205.45 216.43
6月 204.61 215.66
7月 202.88 214.03
8月 200.46 211.62
9月 196.82 207.94
売買高(1枚=42,000ガロン)
― 377,931
建 玉(同) ― 419,147
ヒーティングオイル
5月 208.19 218.89
6月 204.42 215.87
7月 203.49 214.99
8月 203.51 214.84
9月 204.30 215.53
売買高(1枚=42,000ガロン)
― 274,250
建 玉(同) ― 334,892
▽製品 (翌月物、FOB、ニ
ューヨーク港、1ガロン、セント)
暖房油(No.2)
199.45―200.45
207.81―208.81
ガソリン(改質基材)
183.10―184.10
191.47―192.47
◇ロンドン
▽原油(先物、1バレル、ドル)
ブレント
6月 65.58 70.14
7月 64.95 69.42
8月 64.47 68.80
9月 64.11 68.30
10月 63.86 67.91
売買高(1枚=1,000バレル)
3,243,329 2,263,660
建 玉(同) ― 2,748,514
◇シンガポール
▽製品(現物、中値、FOB、
1バレル、ドル)
ナフサ 63.22 66.78
ガソリン
76.50 81.60
ケロシン
81.63 86.08
ガスオイル
77.15 81.64
C重油(硫黄分3.5%、1トン、
ドル) 429.910 457.290
天然ガス
◇ニューヨーク
▽天然ガス(先物、1MMB
TU、ドル)
5月 3.837 4.138
6月 3.945 4.257
7月 4.133 4.452
8月 4.184 4.507
9月 4.139 4.461
売買高 (1枚=1万MMB
TU) ― 471,607
建 玉(同) ― 1,642,580
綿 花
◇ニューヨーク
▽綿花 (先物、 2号、1ポンド、
セント)
5月 63.36 64.80
7月 64.56 65.71
10月 66.41 67.61
12月 66.16 67.55
3月 67.39 68.74
売買高(1枚=100俵)
― 96,520
建 玉(同) ― 280,470
穀物・油脂
◇シカゴ
▽小麦(先物、1ブッシェル、ドル)
5月 5.2900 5.3600
7月 5.4275 5.5000
9月 5.5750 5.6525
12月 5.8075 5.8900
3月 6.0100 6.0950
売買高(1枚=5,000ブッシェル)
― 160,910
建 玉(同) ― 487,243
▽トウモロコシ(先物、同)
5月 4.6025 4.5750
7月 4.6725 4.6550
9月 4.3925 4.3900
12月 4.4675 4.4750
3月 4.6050 4.6150
売買高(1枚=5,000ブッシェル)
― 513,174
建 玉(同) ― 1,888,920
▽大豆(先物、同)
5月 9.7700 10.1150
7月 9.9300 10.2625
8月 9.9125 10.2450
9月 9.7950 10.1175
11月 9.8425 10.1700
売買高(1枚=5,000ブッシェル)
― 396,365
建 玉(同) ― 870,352
▽大豆ミール (先物、 1米
トン、ドル)
5月 283.10 288.00
7月 290.30 295.40
8月 292.70 297.90
9月 294.70 299.60
10月 295.60 300.70
売買高(1枚=100米トン)
― 222,147
建 玉(同) ― 625,180
▽大豆油(先物、1ポンド、セント)
5月 45.84 47.06
7月 46.27 47.58
8月 46.22 47.55
9月 46.09 47.44
10月 45.87 47.24
売買高(1枚=60,000ポンド)
― 334,107
建 玉(同) ― 607,988
▽コメ (先物、もみ米、 100
ポンド、ドル)
5月 13.075 13.075
7月 13.270 13.295
9月 13.350 13.360
◇ニューヨーク
▽ヤシ油(CIF、ニューヨ
ーク港、1ポンド、セント、期近積み)
112.000 112.000
◇ロンドン
▽コプラ(フィリピン産、C
IF、ロッテルダム、1トン、
ドル、期近積み)
1,473.00 1,497.00
◇ロッテルダム
▽パーム油 (インドネシア
産、1英トン、ドル、期近積み)
A1,450.00 A1,470.00
◇ウィニペグ
▽菜種 (先物、1トン、カナダ
ドル)
5月 622.0 635.9
7月 626.7 639.5
11月 615.2 625.8
◇マレーシア
▽パーム油(先物、1トン、リンギ)
4月 4,702 4,811
5月 4,474 4,617
6月 4,328 4,489
ゴ ム
◇シンガポール
▽RSS3号 (先物、1キロ、
米セント)
5月 232.0 236.9
6月 225.8 230.3
7月 219.5 224.6
▽TSR20号 (先物、同)
5月 181.4 185.5
6月 181.8 186.2
7月 182.0 186.3
食 品
◇ニューヨーク
▽砂糖(先物、1ポンド、セント)
5月 18.84 19.11
7月 18.68 18.97
10月 18.85 19.17
3月 19.20 19.52
5月 18.33 18.62
売買高(1枚=50英トン)
― 163,167
建 玉(同) ― 916,392
▽コーヒー (先物、 中米物
主体、1ポンド、セント)
5月 365.70 385.25
7月 363.30 381.75
9月 359.15 377.00
12月 352.75 369.95
3月 345.60 362.35
売買高(1枚=250袋)
― 40,379
建 玉(同) ― 178,957
▽ココア(先物、1トン、ドル)
5月 8,512 9,291
7月 8,516 9,285
9月 8,351 9,087
12月 7,866 8,485
3月 7,486 7,931
売買高(1枚=10トン)
― 53,189
建 玉(同) ― 111,065
▽オレンジ果汁 (先物、 冷
凍、1ポンド、セント)
5月 226.90 234.60
7月 223.50 231.95
9月 222.10 230.20
◇シカゴ
▽生牛(先物、1ポンド、セント)
4月 202.625 208.050
6月 198.200 204.700
8月 194.700 201.175
▽豚赤身肉(先物、同)
4月 87.375 87.375
5月 85.125 88.575
6月 91.550 95.550
◇ロンドン
▽コーヒー(先物、ロブスタ
種、1トン、ドル)
5月 5,112 5,371
7月 5,128 5,388
9月 5,082 5,327
11月 4,996 5,231
1月 4,876 5,096
売買高(1枚=10トン)
21,170 20,356
▽ココア(先物、1トン、ポンド)
5月 6,342 6,652
7月 6,370 6,683
9月 6,193 6,502
12月 5,801 6,048
3月 5,542 5,660
売買高(1枚=10トン)
16,820 32,540
◇ICO (国際コーヒー機
関)のコーヒー価格(1ポンド、
セント)
3日 前日
指標価格
340.50 341.52
世界の商品指数
4日 前日比
◇日経国際商品指数
(1980年平均=100)
197.764 ▲9.467
◇FTSE・コアコモディ
ティーCRB指数
(1967年平均=100)
288.46 ▲15.09
◇LSEGコモディティー
指数
(1931年9月18日=100)
3,041.98 ▲37.68
◇S&P・GSCI(TR)
(1969年12月31日=100)
3,530.006 ▲183.080
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◇バルチック海運指数
(BDI)
(1985年平均=1000)
1,489 ▲51
──────────
LME非鉄在庫
(トン、△は増、▲は減)
3日現在 前日比
銅 210,800 △350
すず 2,990 ▲45
鉛 235,250 △4,425
亜鉛 130,275 ▲3,075
アルミ
456,750 ▲2,050
アルミ二次合金
1,560 0
ニッケル
200,400 △150
――――――――――
先物はセツルメント。Aは売り唱え。LMEは現物がセツルメント、先物が売り唱え。LSEGなど。
<数表>ニューヨーク株式、ナスダック株式、ロンドン株式、フランクフルト株式[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 3424文字 PDF有 書誌情報]
オリックス1株 18.83 ▲1.49
ソニーG1株 21.82 ▲1.56
武 田0.5株 14.72 ▲0.47
トヨタ10株 158.63 ▲9.44
野 村1株 5.17 ▲0.46
ホンダ3株 25.00 ▲1.34
みずほFG0.2株 4.25 ▲0.71
三井住友FG0.6株 12.40 ▲1.16
三菱UFJ1株 11.06 ▲1.04
アボット・ラボ 124.44 ▲7.19
アルコア 24.81 ▲2.52
アリババ 116.54 ▲12.79
アルトリア・グループ 56.07 ▲1.82
アメックス 233.68 ▲13.32
AIG 78.95 ▲7.25
アーチャーダニエルズ 43.32 ▲4.25
AT&T 26.64 ▲1.96
バンク・オブ・アメリカ 34.39 ▲2.83
バス&ボディワークス 27.29 ▲0.56
バクスター 28.79 ▲2.56
バークシャー・ハザウェイ 493.54 ▲36.62
ボーイング 136.59 ▲14.32
B P 28.38 ▲2.96
ブリストルマイヤーズ 55.30 ▲1.90
ブランズウィック 46.68 ▲1.25
キャタピラー 288.08 ▲17.68
シェブロン 143.28 ▲12.84
シエナ 53.50 ▲2.69
シティグループ 58.13 ▲4.92
コカ・コーラ 69.93 ▲3.25
コルゲート 91.66 ▲4.34
コノコ・フィリップス 86.29 ▲8.96
コンソリ・エジソン 109.32 ▲3.40
コーニング 39.07 ▲3.22
ディーア 429.86 ▲17.59
ダ ウ 28.20 ▲3.26
デュークエナジー 118.93 ▲5.12
イーライ・リリー 738.21 ▲50.88
エクソンモービル 104.34 ▲8.09
フットロッカー 12.64 △0.19
フォード 9.58 △0.04
Gダイナミクス 250.01 ▲19.61
GEエアロスペース 166.81 ▲20.82
G M 44.18 ▲1.72
ゴールドマンS 470.81 ▲40.42
H P 22.61 ▲1.17
ヒルトン・ワールドワイド 208.85 ▲8.53
ホーム・デポ 353.90 ▲2.01
IBM 227.48 ▲16.01
Iペーパー 47.98 ▲1.20
ジョンソン&J 153.24 ▲6.58
ジュニパーネットワークス 33.95 ▲1.29
モルガン・チェース 210.28 ▲17.01
キンバリークラーク 137.91 ▲7.31
ロッキードマーチン 432.15 ▲22.63
MMC 230.20 ▲14.07
マスターカード 489.77 ▲40.78
マクドナルド 300.11 ▲18.16
メルク 81.47 ▲4.92
モトローラ 402.13 ▲33.37
ニューモント 44.18 ▲4.15
ナイキ 57.25 △1.67
ノキア 4.78 ▲0.20
ノースロップ 485.52 ▲29.65
オキシデンタル 40.54 ▲3.36
オラクル 128.27 ▲8.96
ファイザー 22.97 ▲1.32
P&G 163.75 ▲8.64
ロックウェル 227.11 ▲12.05
RTX 117.45 ▲12.78
セールスフォース 240.76 ▲14.47
S&Pグローバル 451.50 ▲37.88
SLB 34.78 ▲4.43
シャーウィン・ウィリアムズ 332.06 ▲8.59
3 M 126.91 ▲12.83
トラベラーズ 242.26 ▲20.84
ウーバーテクノロジーズ 64.62 ▲5.23
ユニオンパシフィック 213.26 ▲10.71
ユニシス 3.94 ▲0.19
USスチール 38.29 ▲0.66
ユナイテッドヘルス 525.05 ▲15.39
VISA 313.13 ▲26.26
ベライゾン 43.03 ▲2.59
ウォルマート 83.19 ▲4.07
ディズニー 83.53 ▲5.31
ウェアーハウザー 26.26 ▲1.17
ワールプール 85.66 ▲0.46
(4日、ドル、△高▲安)
終値 前日比
(4日、ペンス、△高▲安)
終値 前日比
アストラゼネカ 10808.00 ▲584.00
アヴィヴァ 525.40 ▲29.40
BAEシステムズ 1517.50 ▲103.00
バークレイズ銀行 250.05 ▲20.85
B P 370.70 ▲29.75
BAT 3101.00 ▲81.00
BTグループ 163.85 ▲9.60
カーニバル 1137.00 ▲76.00
GSK 1417.50 ▲48.00
HSBCホールディングス 760.00 ▲44.70
キングフィッシャー 253.10 ▲7.40
ロイズ・バンキング・グループ 65.00 ▲4.70
マークス&スペンサー 363.10 ▲7.90
ナットウエスト・グループ 413.40 ▲39.10
ピアソン 1172.50 ▲28.50
プルーデンシャル 746.80 ▲50.60
RELX 3816.00 ▲110.00
リオ・ティント 4239.00 ▲254.00
ロールス・ロイス 659.00 ▲87.00
セインズベリー 237.20 ▲2.20
シェル 2481.50 ▲186.00
Sチャータード銀行 958.80 ▲40.20
テスコ 340.00 ▲5.60
ユニリーバ 4694.00 ▲90.00
ボーダフォン 66.78 ▲4.66
(4日、ドル、△高▲安)
終値 前日比
アーム1株 87.71 ▲10.01
シーラテクノロジーズ0.01株 2.09 ▲0.01
メディロム1株 0.52 ▲0.18
東京生活館10株 3.05 ▲0.12
アドビ 349.07 ▲18.18
アルファベット 145.60 ▲5.12
アマゾン・ドット・コム 171.00 ▲7.41
アメリカン電力 104.48 ▲4.63
アムジェン 294.39 ▲15.46
アップル 188.38 ▲14.81
アプライドマテリアルズ 126.95 ▲8.56
バイオジェン 122.98 ▲7.73
ブロードコム 146.29 ▲7.72
キャンベルスープ 38.79 ▲1.03
チェック・ポイント・ソフト 215.52 ▲8.50
シスコシステムズ 54.54 ▲2.77
コムキャスト 33.38 ▲2.34
eベイ 62.40 ▲3.96
フィフス・サード・バンコープ 33.75 ▲1.72
ハネウェル 190.99 ▲15.69
インテル 19.85 ▲2.58
メ タ 504.73 ▲26.89
マイクロソフト 359.84 ▲13.27
ネットアップ 76.10 ▲4.99
ノーザン・トラスト 86.01 ▲4.57
エヌビディア 94.31 ▲7.49
ペイチェックス 143.32 ▲10.21
ペイパル・ホールディングス 58.37 ▲3.34
ペプシコ 146.61 ▲4.76
クアルコム 127.46 ▲11.96
スターバックス 82.10 ▲6.16
テスラ 239.43 ▲27.85
ベリサイン 240.20 ▲15.23
ウォルグリーン 10.68 ▲0.38
ゼロックス 4.00 ▲0.18
インベスコQQQトラスト 422.67 ▲27.99
(4日、ユーロ、△高▲安)
終値 前日比
アリアンツ 332.40 ▲21.40
BASF 41.51 ▲1.87
バイエル 20.10 ▲1.17
BMW 68.00 ▲3.12
コメルツ銀行 20.41 ▲1.16
ドイツ銀行 18.79 ▲2.04
独テレコム 32.60 ▲1.37
DHLグループ 34.98 ▲2.29
エーオン 14.03 ▲0.57
ルフトハンザ 6.07 ▲0.28
メルセデス・ベンツ 49.07 ▲2.70
SAP 231.20 ▲7.75
シーメンス 185.62 ▲11.86
ティッセンクルップ 8.37 ▲0.85
フォルクスワーゲン 90.10 ▲2.20
<数表>4月4日取引所FX[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 933文字 PDF有 書誌情報]
( 4 日取引 )
清算値 前日比 スワップ
ポイント
▽くりっく365(東京金融取引所)
【対円取引】
米ドル
146.840 +0.770 170円
ユーロ
160.705 -0.755 99円
英ポンド
189.04 -2.30 222円
豪ドル
88.650 -3.765 89円
スイスフラン
170.35 +0.32 3円
カナダドル
103.20 -0.51 71円
NZドル
82.05 -2.55 70円
南アランド
7.680 -0.105 131円
トルコリラ
3.87 +0.05 28円
ノルウェークローネ
13.665 -0.480 140円
香港ドル
18.890 +0.115 59円
スウェーデンクローナ
14.615 -0.330 89円
メキシコペソ
7.170 -0.160 161円
ポーランドズロチ
37.62 -0.58 54円
【外貨クロス】
ユーロ/米ドル
1.0943 -0.0088 -0.60 米ドル
英ポンド/米ドル
1.2886 -0.0199 0.05 米ドル
英ポンド/スイスフラン
1.1110 -0.0140 1.26 スイスフラン
米ドル/スイスフラン
0.8622 +0.0024 0.97 スイスフラン
米ドル/カナダドル
1.4223 +0.0134 0.79 加ドル
豪ドル/米ドル
0.6039 -0.0284 -0.08 米ドル
ユーロ/スイスフラン
0.9435 -0.0051 0.58 スイスフラン
ユーロ/英ポンド
0.8492 +0.0063 -0.49 英ポンド
NZドル/米ドル
0.5589 -0.0200 -0.16 米ドル
ユーロ/豪ドル
1.8121 +0.0677 -0.75 豪ドル
英ポンド/豪ドル
2.1340 +0.0646 0.29 豪ドル
<数表>海外為替、海外金利、海外金融先物、CME日経平均先物、他[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 735文字 PDF有 書誌情報]
◇シカゴ 終値 前日
円(100円につき)
6月 0.68635 0.68855
9月 0.69280 0.69510
ユーロ
6月 1.09885 1.10820
9月 1.10440 1.11380
英ポンド
6月 1.2880 1.3094
9月 1.2877 1.3092
スイスフラン
6月 1.17210 1.17120
9月 1.18400 1.18320
Eミニ・S&P500
6月 5110.25 5432.75
9月 5149.25 5476.50
米Tボンド(1/32)
6月 120‐19 119‐13
9月 120‐08 119‐03
米Tノート(〓)
6月 113‐015 112‐205
9月 113‐085 112‐255
( 4 日)
◇ニューヨーク 前日
日本円 146.85 ― 146.95 146.10
ユーロ(=米ドル) 1.0960 ― 1.0970 1.1050
英ポンド(=米ドル) 1.2900 ― 1.2910 1.3100
スイスフラン 0.8605 ― 0.8615 0.8595
カナダドル 1.4245 ― 1.4255 1.4095
◇ロンドン
日本円 145.50 ― 145.60 145.45
ユーロ(=米ドル) 1.0980 ― 1.0990 1.1115
英ポンド(=米ドル) 1.2930 ― 1.2940 1.3165
スイスフラン 0.8550 ― 0.8560 0.8555
◇SDR相場(IMF) 1.33914ドル 195.434円
( 4 日、対米ドル相場)
<数表>週末の海外株式[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 525文字 PDF有 書誌情報]
4日終値 騰落率 騰落幅
NYダウ(米国) 38314.86 -5.50% ( ▲2231.07 )
ナスダック総合(米国) 15587.786 -5.81% ( ▲962.819 )
トロント(カナダ) 23193.47 -4.69% ( ▲1142.30 )
ボベスパ(ブラジル) 127256.00 -2.96% ( ▲3884.65 )
FTSE100(英国) 8054.98 -4.95% ( ▲419.76 )
DAX(ドイツ) 20641.72 -4.95% ( ▲1075.67 )
CAC40(フランス) 7274.95 -4.26% ( ▲324.03 )
SMI(スイス) 11648.83 -5.13% ( ▲630.65 )
RTS(ロシア) 1039.88 -2.59% ( ▲27.67 )
BIST100(トルコ) 9379.83 -1.10% ( ▲104.43 )
…………………………………………………………………………
SENSEX(インド) 75364.69 -1.21% ( ▲930.67 )
<数表>米国株[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 454文字 PDF有 書誌情報]
NYダウ工業株30(ドル)
前日比
終値 38314.86 ▲2231.07
始 値 40097.90
高 値 40097.90
安 値 38264.87
ダウ輸送株20(ドル)
終値 13160.27 ▲461.07
ダウ公共株15(ドル)
終値 974.93 ▲51.56
S&P500種 前日比
終値 5074.08 ▲322.44
高 値 5292.14
安 値 5069.90
NY売買高(万株)
210504 △46130
値上がり 491
値下がり 4067
変わらず 237
ナスダック総合
終値 15587.786 ▲962.819
始 値 16045.600
高 値 16128.156
安 値 15575.677
VIX指数 (シカゴオプション取引所)
終値 45.31 △15.29
(4日)
<数表>商品[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 110文字 PDF有 書誌情報]
原 油(期近、1バレル、ドル)
NY(WTI) 61.99 ▲4.96
北海ブレント 65.58 ▲4.56
NY金(期近、1トロイオンス、ドル) 3,012.0 ▲85.0
( 4日 終値)
ウクライナ、停戦後の部隊派遣計画「1カ月で」 英仏軍と協議[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 1057文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】ウクライナとフランス、英国の軍幹部は4日、停戦合意後に欧州がウクライナに部隊を派遣する計画について会合を開いた。英仏はウクライナへの部隊派遣を決めており、規模や配置場所など具体的な協議を始めた。
キーウで開いた会合には3カ国の軍参謀総長らが参加した。ウクライナからはシルスキー軍総司令官、パリサ大統領府副長官も同席したという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は会合後の記者会見で、1カ月後をめどに部隊派遣の基本的な枠組みを固める方針を示した。「陸空海の各軍部隊について協議した」と述べ、今後数週間にわたり軍幹部クラスの会合を毎週開くと明らかにした。
部隊の派遣場所や停戦監視の手法についてウクライナ側の要望を伝え、英仏と意見を擦り合わせたとみられる。同氏は1日、派遣される陸海空の各軍部隊の役割について協議する考えを示していた。
パリサ大統領府副長官は3日、ウクライナに部隊を派遣する有志国連合を巡って「10~12カ国が参加する用意がある」と説明した。英仏に加え、北欧やバルト3国、ベルギーなどの参加を想定している。
英仏などはウクライナが必要と認めた場所のみの部隊配置を検討している。ウクライナとロシアの前線は1000キロを超え、欧州が見込む数万人規模の派兵で十分な監視は難しいためだ。
ウクライナのシンクタンク「ユナイテッド・ウクライナ」のボフダン・ポポフ氏は日本経済新聞に対し「ウクライナ側は有志国の部隊がロシアへの抑止力になると期待し、重要なインフラ施設や攻撃されやすい拠点への配置を要望する」との分析を示した。
部隊派遣の前提となる停戦交渉は足元で停滞している。ロシアのリャプコフ外務次官は1日に公表されたインタビューで米国が提案した停戦案について「そのまま受け入れることはできない」と難色を示した。
ロシアは欧州有志国によるウクライナへの派兵をロシアの主権に対する「直接的な脅威」として強く反対する立場を変えていない。
それでもウクライナが部隊派遣の実現を急ぐのは、停戦に前向きな姿勢を米国にアピールする狙いが浮かぶ。ゼレンスキー氏はロシアが停戦交渉を阻害していると主張することで、米国に対ロ制裁の強化を訴える方針だ。
有志国との会合ではウクライナが求めている同国軍の増強についても、支援の具体策を話し合う。停戦の合意まで時間がかかることをにらみ、ウクライナは安全の保障の枠組み整備を急ぐ。
【図・写真】ゼレンスキー氏は軍幹部クラスの会合を毎週開くと明らかにした(4日)=ロイター
「バフェット氏が米経済政策評価」は トランプ氏自身も拡散 投資会社が注意喚起[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 703文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=竹内弘文】著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは4日、「ソーシャルメディアで流布する、バフェットによるとされる発言は全て虚偽」との声明を出した。トランプ米大統領の経済政策をバフェット氏が評価しているとする動画が出回り、トランプ氏も自身のSNSで紹介。会社として注意喚起した。
X(旧ツイッター)の利用者が3日夜に投稿した動画は「トランプ氏が相互関税を発表して株式相場を急落させたのは、金利低下を促すためで意図的なもの」とする独自の見解を説明。バフェット氏の画像を挿し込み「トランプ氏の行為は、過去50年で最良の経済政策だとバフェット氏が語った」と続けた。
トランプ氏は4日朝、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で動画へのリンクをはると、トランプ支持者らからの閲覧を集めてネット上で一気に拡散した。
バフェット氏と親交のある米CNBCのアンカー、ベッキー・クイック氏が直接バフェット氏に問い合わせたところ、同氏は「相場や関税について誰とも話していないし、5月開催のバークシャー株主総会までは語るつもりもない」と述べたという。
バフェット氏は民主党支持者として知られるが、政治的な発信からは距離を置く。卓越した銘柄選別から「オマハの賢人」と呼ばれ高い知名度を持つ同氏をかたって政治的主張に用いようとする試みは後を絶たない。
米大統領選直前の2024年10月には、バークシャーはバフェット氏が選挙活動で特定の候補者を支援しないとする声明を出した。当時、バフェット氏の名を用いて特定陣営の主張を展開するなりすましが横行しているとも警告していた。
アルゼンチン、米関税免除交渉へ規制緩和[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 573文字 PDF有 書誌情報]
【サンパウロ=水口二季】アルゼンチンのミレイ大統領は4日までに、トランプ米政権が同国に対して10%の関税を課すと発表したことを受けて「非対称を解消する措置を講じる」と述べた。外相らがトランプ政権と会談した結果、規制の調整を進めるよう指示したと明らかにした。一部の製品で関税の免除を求めて交渉する。
トランプ氏への同調姿勢を強めるミレイ氏は、相互関税が発表された翌3日にフロリダ州のトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で開かれた保守系のイベントに参加した。
ミレイ氏は演説で「トランプ氏が提案する要件を満たすよう、規制の再調整を進めることになった」と表明した。
同日、アルゼンチンのウェルテイン外相がラトニック米商務長官や米通商代表部(USTR)のグリア代表らと会談していた。
ミレイ政権は、米国側が障壁になっていると主張する一部の輸入制限や検疫といった規制の再調整を進めるとみられる。その上でミレイ氏は「約50の製品で関税の調和を進め、両国間をより自由に行き来できるようにする」と述べ、一部製品の関税の引き下げや撤廃などを求めて交渉すると明らかにした。
両国間の関税や貿易障壁が負の遺産になっているとして「米国との貿易協定を前進させるという決断の一歩だ」と述べた。ミレイ氏は、これまでも米国と自由貿易協定(FTA)を締結したいと主張していた。
ウクライナ、停戦後の部隊派遣計画「1カ月で」――ロシアの真剣さ「数週間で判断」 米国務長官、停戦巡り[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 546文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】ルビオ米国務長官は4日、ウクライナ侵略を続けるロシアについて「和平に真剣かどうかは数カ月でなく数週間でわかるだろう」と述べた。停滞する停戦交渉を巡り「引き延ばし戦術なら、トランプ大統領は終わりのない交渉のワナにはまる気はない」と警告した。
訪問先のベルギーで記者団の質問に答えた。ルビオ氏は「我々はロシアが和平に関心があるかどうか試している。真剣さを判断するのは彼らの言葉でなく行動だ」と表明した。停戦交渉が進まない現状へのいら立ちをにじませた。
ルビオ氏は2~3日に米首都ワシントンを訪れていたロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁と会談したと明かした。ロシアのプーチン大統領に和平への本気度を確認するメッセージを託し「プーチン氏が和平に真剣に取り組むのか決断する必要がある」と提起した。
ドミトリエフ氏はロシアの大統領特別代表に任命され、対米交渉を担う。2月18日にサウジアラビアで開いた米ロ高官による停戦協議の初会合に出席した。その場で顔を合わせたウィットコフ米中東担当特使とも2日にワシントンで会った。共和党議員とも面会した。
米CNNによると、2022年2月にロシアがウクライナ侵略を始めて以降、ロシアの政府高官がワシントンを訪れて協議するのは初めてになる。
TikTok売却を75日間再延長 トランプ氏、対中関税を取引材料に[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 473文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】トランプ米大統領は4日、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の売却期限を75日間延長すると表明した。期限延長は1月に続き2回目で、新たな期限は6月中旬となる。運営会社や買い手候補に加え、中国政府との交渉を進めるため再延長を決めた。
トランプ氏は自身のSNSで「全ての承認を得るにはさらに作業が必要だ」と述べた。サービス停止を望まない考えを強調した。「TikTokと中国と協力し、取引を成立させることを楽しみにしている」と書き込んだ。
TikTokをめぐり対中関税を取引材料にする考えも示した。「中国は我々の相互関税を喜んでいないと理解しているが、誠意をもって中国と協力を続けることを望む」と述べた。
トランプ氏は2日、中国からの輸入品に34%の相互関税を上乗せすると発表した。既にかけた計20%の追加関税とあわせて計54%になる。トランプ氏はTikTokの米企業への売却を中国政府が承認するのと引き換えに関税を引き下げる可能性に言及している。中国は米国に対する報復関税を4日発表した。
ホンダ、米に宇宙部門 月面開発など事業拡大[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 442文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】ホンダは4日、米国で宇宙事業部門を設立したと発表した。米国で宇宙開発市場が広がる中、月面開発などの事業拡大に向けて日本で開発した技術をアピールし、米国企業との連携を増やす。まず米新興企業2社と協力し、国際宇宙ステーション(ISS)で月面向け燃料電池システム技術の試験を進める。
2024年末に米国法人に宇宙事業部門を立ち上げた。米航空宇宙局(NASA)や現地企業と連携して事業拡大を担う。米新興企業のシエラスペース、テックマスターズと協力し、ISSで技術試験を手がける計画だ。
ホンダは19年から日本で宇宙向けの技術開発に取り組んでいるが、米国で事業を立ち上げるのは初めてとなる。日本では再利用可能なロケット技術に加え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して月面で長期間使用できる再生可能エネルギーを使った燃料電池システムを開発している。
ホンダの米国法人は4日「ホンダの中核技術を活用して、月面での人間の活動を広げ、開発に応用していく」とコメントした。
欧州車大手、メキシコ投資判断が二分 関税発動受け[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 416文字 PDF有 書誌情報]
欧州の自動車大手ステランティスがメキシコで電気自動車(EV)生産を継続するかどうかを含めて検討している、とメキシコ政府に伝えたことがわかった。一方、スウェーデンのボルボ・カーは3億ドル(約440億円)を追加投資すると明らかにした。トランプ米政権の関税発動を受け、メキシコ生産をめぐる欧州車メーカーの戦略も分かれ始めた。
メキシコのシェインバウム大統領が4日の定例記者会見で、ステランティスの方針を明らかにした。
自動車と鉄鋼・アルミニウムはトランプ政権が課した関税の対象で、シェインバウム氏は「より良い条件を見つけるために米政府と対話している」と述べた。
メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)によると、クライスラーを傘下に持つステランティスは2024年にメキシコで41万9000台を生産し、35万台超を米国などへと輸出していた。24年12月には最大15の新型車を投入し、首都近郊の工場ではEVを生産すると表明したばかりだった。
インドとバングラデシュ首脳会談[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 198文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=岩城聡】経済協力枠組み「ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)」首脳会談が開催されているタイの首都バンコクで4日、インドのモディ首相とバングラデシュ暫定政権トップのムハマド・ユヌス首席顧問が会談した。ユヌス氏率いる暫定政権は、去年8月にインドに逃亡したハシナ前首相の身柄引き渡しを巡り対印関係が悪化している。両首脳の会談は、ハシナ氏がインドに逃亡して以来初めて。
北朝鮮の尹錫悦氏罷免報道、論評なし[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 158文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】北朝鮮の朝鮮中央通信は5日、4日に韓国憲法裁判所が韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免を決定したと報じた。論評はなく、事実関係のみを伝えた。ロイター通信など海外メディアを引用する形で「韓国は政治的混乱に陥っている」「韓国が数カ月間経験してきた政治的混乱が終わるわけではない」と報じた。
クラーナ、米IPO延期検討[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きとみられる。
ベンガル湾地域、海上輸送網強化[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 105文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=井上航介】東南アジアと南アジアを結ぶ経済協力枠組み「ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)」関連首脳会議は4日、ベンガル湾岸地域を巡る海上輸送網を開発・強化する方針で合意した。
「トランプ・ゴールドカード」初披露 7億円で米の永住権[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 228文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】トランプ米大統領は3日、大統領専用機内で記者団に対し、500万ドル(約7億3千万円)で米国の永住権を取得できる「トランプ・ゴールドカード」を初披露した=写真はAP。デザインは全体が金色で、自由の女神像を背景にトランプ氏の肖像やサイン、500万ドルを示す「5M」の文字があしらわれた。
トランプ氏はカードを手にして「500万ドルであなたのものだ。2週間以内に販売される」と説明。記者団から「最初の購入者は誰か」と問われ「私だ」と答えた。
大谷「常識破り」の打撃法 メジャー平均より15.5センチ引きつけ捉える 筋力・柔軟性あってこそ[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 2424文字 PDF有 書誌情報]
見慣れた光景でも、別の視点が加わることで新鮮となり、改めてその物事の本質に触れられることがある。
分かりやすい一例が空振り。今永昇太(カブス)の4シームファストボール(4シーム)の球速は約93マイル(約150キロ)で大リーグでは極めて平均的。しかし、高い回転数(2442=1分間)、高い回転効率(99%)、マイナス4.0度という低いバーティカル・アプローチ・アングル(VAA)を誇り、縫い目の影響も相まって、相手は彼の4シームが浮き上がっていると錯覚する。
VAAとは、ホームベースにどのくらいの角度で達したかを示す数値。地面と平行なら0度。投手の球は基本的に上から投げ下ろすので、数値はマイナスになる。投球コースが高めであれば角度は小さくなるが、今永の4シームの平均VAAはマイナス4度前後。メジャー平均がマイナス5度で、先発投手でマイナス4度となると片手で数えるほどしかいない。その見慣れない軌道こそが相手を翻弄している。
球速だけでは、わからないのだ。「回転数が高いから」という説明だけでは、あまりにも話を単純化している。
大谷翔平(ドジャース)が米国での開幕戦で放った一発も、まさにそんな本塁打。あの本塁打の打球初速は108.9マイルで、打球角度は25度。この限りでは、さほど珍しくないデータだが、これが仮にホームベース上で捉えた打球だとしたら? 力学的に可能なのか? という疑問を抱くのは、むしろ玄人ではないか。
データから実証
まだコンタクトした位置の正確なデータは出ていないが、大リーグでは今年から打者がどこでボールを捉えたかのデータを提供する予定。参考として先日、昨年のデータが先行公開されたが、大谷の場合、コンタクトした位置の平均値はマイナス3.7インチ(約9.4センチ)だった(ホームベースの一番投手寄りのラインを0とし、前であればプラス、後ろであればマイナスとする)。
これがいかに特異なことか。
メジャーの平均値はプラス2.4インチ(約6.1センチ)なので、その差は約15.5センチもある。言い換えれば、大谷は平均的な打者よりも15.5センチも引きつけて打っていることになる。この数値は打席の立ち位置などによっても変わってくるが、別のデータでも「こんなに近い距離で打っているのか?」ということが証明されている。
そのポイントで捉え、反対方向に飛距離を出すことがいかに難しいか。かつて横浜(現DeNA)やソフトバンクでプレーし、現在は野球解説者を務める多村仁志さんは「日本だと金森理論(金森栄治氏による打撃理論)といって、やはり、できるだけ体の近くまで引きつけて、右打者なら右半身の軸回転で強い打球を打つ理論もあります。城島(健司)さん、井口(資仁)さんがそうでした」と教えてくれたが、「大谷選手のように、あれだけ近いポイントで打って、あれだけの飛距離を出すというのは、金森理論とは少し違いますが、現代の打撃理論のバレルターンも含め、打ちにいく時のトップの位置からのクイックな動きや相当な筋力と柔軟性がないと無理だと思います」と話し、続けた。「普通は押し込まれてファウルになるか、浅いフライになるか、という感じでしょうか」
現代の打撃理論
バレルターンはアーロン・ジャッジの個人打撃コーチを務めるリチャード・シュネックさんらが提唱している理論で、打撃の始動の際、素早くバットの先端を捕手の方向に倒す動き。投球軌道とスイング軌道を同一線上に入れやすくなる。
どうだろう。素人との比較なら、ゲームセンターなどにあるパンチングマシンで、多くの人が助走をつけたり勢いをつけてパンチしたりするのと違って、大谷は手首のスナップだけでベストスコアをたたき出す感じだろうか。
では、メジャーの他のスラッガーは、どのポイントで捉えているのか。
先ほども触れたようにコンタクトポイントの平均値だけで比較した場合、バッターボックスの立ち位置などによっても誤差が出るのでその平均値に加え、体の重心からコンタクトポイントまでの距離をまとめてみた。
これを見ると、コンタクトポイントが大谷より後ろの選手はいるが(J・D・マルチネス、マーセル・オズナら)、重心からの距離となると、大谷より近い選手はいない。もちろん全選手のデータを出したわけではないが、やはり突出している。
ちなみにメジャーには、「ホームベースの前にお金が落ちている」という表現がある。ウォルカー・ジェンキンスというツインズのプロスペクト(若手有望株)も、米データサイト「ファングラフス」の取材に対し、「お金を稼ぐなら、ベースの前にある」と話している。「より相手にダメージを与えられるし、よりパワーが打球に伝えられる」。
また、元カブス打撃コーチのアンディ・ハインズも、「勝負は、ホームプレートの前9~18インチで決まる」と話したことがあるそうだ。
そんなメジャーの常識で考えても、大谷のコンタクトポイントは非常識なレベルだ。
ここまでボールを引きつけるということは、ボールを長く見るということにもなる。ストライク、ボールの見極めだけではなく、球種の判断でも有利に働く。また、大谷の打席で捕手の打撃妨害が多いのも、これである程度説明がつく。捕手は最後に腕を伸ばすようにして捕球するが、大谷の始動のタイミングが遅いので、当たってしまうのだろう。
スイングスピードの速さゆえでもあるが、あの本塁打に関していえば74.8マイルで、昨年の平均値(76.3マイル)を下回った。コンタクトした位置とどう関係しているのか。そこを掘り下げると本人の意識も確認する必要があるので、今回はここまでにする。新しい視点が提供されたこともあって、今年も開幕から、素人も玄人も飽きさせない大谷である。
(スポーツライター 丹羽政善)
【図・写真】米国での開幕戦となったタイガース戦の七回、2号ソロを放つドジャース・大谷=共同
陸上ホープ豊田、再出発を誓う春 パリ五輪不完全燃焼 「為末超え」に挑む[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 592文字 PDF有 書誌情報]
悔しさを糧に、新天地へ飛び込む。陸上男子400メートル障害で昨年のパリ五輪代表の豊田兼が慶大を卒業し、4月からトヨタ自動車に入社。9月に東京で開催される世界選手権や、2028年ロサンゼルス五輪を見据える22歳のホープは「世界で経験を積んで、トップで戦える選手になりたい」と一層の飛躍を期す。
初の五輪はほろ苦い結果に終わった。昨年6月下旬の日本選手権で左太もも裏を肉離れし、大会前に再発。自己記録にも遠く及ばないタイムで予選を完走するのがやっとで「目標にしていた舞台だったが、出て終わってしまったことが非常に悔しかった」と振り返る。
けがが癒え、強度の高い練習を再開したのは年が明けてから。反省を生かし、準備運動を負傷前の2倍ほどに増やすなど再発防止に力を注ぐ。左右のバランスを整える取り組みの一環で、従来の左足だけでなく右足での踏み切りにも挑戦。「感覚は近づいてきている」と自信を深めている。
110メートル障害でも日本のトップクラスだが、世界選手権が控える今季は日本歴代3位の記録を持つ400メートル障害に専念する。為末大さんが01年に樹立した47秒89の日本記録までは0秒10と迫っており「今年中に突破したい」と意欲を燃やす。
新所属でのデビュー戦は4月12、13日の出雲大会になる予定だ。「五輪でのメダルが目標。今後の試合がすごく楽しみ」と世界への再挑戦に胸を躍らせている。
<数表>生鮮食品[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 4ページ 3265文字 PDF有 書誌情報]
5 日 (円)
魚 介
(中央卸売市場卸値、消費税込み。大阪は本場・うおいち、大阪淡水魚貝調べ。1キロ)
◇大阪・本場=強含み
(入荷142トン) 高値 安値
キワダ 各地 3024 1404
イワシ・中 鳥取 324 ―
カツオ 鹿児島 1512 864
マダイ・養殖 愛媛 1458 1188
車エビ・養殖 沖縄 16200 7560
ヒラメ・養殖 鹿児島 3024 1188
タチウオ 熊本 2700 540
サヨリ 徳島 3240 2160
メイタカレイ 兵庫 1620 ―
サワラ 和歌山 1296 756
モンゴウイカ・冷凍 各地 1188 972
ハマチ・養殖 大分 1728 1620
マナカツオ 兵庫 3780 ―
キス 大分 3240 540
アワビ 宮城 32400 3240
タコ 兵庫 3780 1080
キンメダイ 千葉 4644 1296
アマダイ 山口 4860 540
ウルメイワシ 大分 1512 1080
チリメン 兵庫 3888 3672
シラス 和歌山 1620 864
ホタルイカ・1枚 兵庫 1296 864
干しカレイ 島根 2484 648
ハマグリ 千葉 2916 1188
シジミ 島根 864 648
サザエ 山口 2160 1080
ホタテ 北海道 10800 2160
ウニ 北海道 43200 12960
カキ 三重 4320 2160
ウナギ・養殖 愛知 6480 4320
アユ 和歌山 2700 1296
野 菜
(中央卸売市場卸値、消費税込み。東京は大田・東一、大阪は東部・東果大阪調べ)
◇東京・大田=もちあい
(入荷1598トン) 高値 中値
大根 千葉 10キロ L 2160 ―
カブ 千葉 800グラム LL 227 ―
ニンジン 徳島 10キロ M 3780 ―
ゴボウ 青森 4キロ AM 3024 ―
タケノコ 熊本 10キロ L 8640 ―
レンコン 茨城 4キロ AM 3024 ―
白菜 茨城 15キロ LL 3024 ―
小松菜 茨城 200グラム FG 108 ―
キャベツ 千葉 10キロ L 2160 ―
ホウレン草 群馬 200グラム AM 162 ―
ネギ 埼玉 5キロ 束L 4860 ―
万能ネギ 福岡 100グラム AM 119 ―
フキ 愛知 2.8キロ 秀L 2268 ―
糸ミツバ 千葉 1キロ 864 ―
春菊 宮城 150グラム A 194 ―
ニラ 茨城 100グラム 束AL 140 ―
セロリ 静岡 10キロ ALL 3780 ―
アスパラガス 栃木 100グラム AL 270 ―
カリフラワー 茨城 6キロ AL 3888 ―
ブロッコリー 愛知 9キロ 秀20 4320 ―
レタス 茨城 10キロ L 3564 ―
サニーレタス 茨城 4.5キロ L 2160 ―
パセリ 各地 5キロ L 10800 ―
チンゲン菜 茨城 2キロ AL 1404 ―
キュウリ 茨城 5キロ AS 2484 1836
ナス 栃木 5キロ AM 3888 ―
トマト 愛知 4キロ AM 2160 ―
ミニトマト 愛知 200グラム AM 162 ―
ピーマン 茨城 150グラム AM 140 ―
キヌサヤエンドウ 静岡 1キロ ムラサキ 2484 ―
グリーンピース 鹿児島 2キロ AL 2700 ―
ソラ豆 鹿児島 2キロ AL 1944 ―
サツマ芋 茨城 5キロ AL 1944 ―
ジャガ芋 鹿児島 10キロ L 4104 ―
里芋 埼玉 10キロ LL 7560 ―
長芋 青森 10キロ 2L 5400 ―
タマネギ 北海道 20キロ L大 3780 ―
ニンニク 青森 1キロ LL 3024 ―
ワサビ 静岡 1キロ 18360 14040
葉ショウガ 静岡 100グラム 216 ―
オオバ 愛知 100グラム 432 ―
原木シイタケ 各地 100グラム 特M6 216 ―
エノキダケ 長野 200グラム 70 ―
ブナシメジ 長野 200グラム 92 ―
◇大阪・東部=もちあい
(入荷284トン) 高値 中値
大根 香川 10キロ 1836 1620
ニンジン 徳島 10キロ 3996 3780
レンコン 徳島 5キロ 4968 4644
タケノコ 徳島 4キロ 3456 3024
白菜 茨城 15キロ 2268 1944
キャベツ 愛知 10キロ 1944 1728
ホウレン草 徳島 4キロ 1944 1728
フキ 愛知 4キロ 2160 1944
白ネギ 鳥取 3キロ 1836 1620
青ネギ 徳島 5キロ 2484 2160
ナス 大阪 4キロ 3240 2700
トマト 熊本 4キロ 1836 1728
キュウリ 宮崎 5キロ 2160 2052
ピーマン 宮崎 130グラム 97 93
実エンドウ 和歌山 2キロ 2592 2268
レタス 兵庫 10キロ 2160 2106
セロリ 静岡 10キロ 3564 3240
ブロッコリー 徳島 6キロ 2700 2592
生シイタケ 徳島 100グラム 194 140
エノキダケ 長野 200グラム 92 81
シメジ 長野 100グラム 86 76
果 実
(中央卸売市場卸値、消費税込み。東京は大田・東一、大阪は東部・東果大阪調べ)
◇東京・大田=もちあい (入荷257トン)
リンゴ・王林・青森・つがる弘前・10キロ・特選
32玉 7560 36玉 5400 46玉 4320 ―
イチゴ・あまおう・福岡・福岡・270グラム・秀
DX 410 G 378 2L 356 L 324
イチゴ・紅ほっぺ・静岡・静岡・260グラム・秀
2L 410 L 378 ― ―
イチゴ・とちあいか・栃木・栃木県・260グラム・秀
2L 410 L 378 M 270 S 238
イチゴ・きらぴ香・静岡・静岡・260グラム・秀
2L 410 L 378 ― ―
スイカ・こだま・茨城・茨城・8キロ・秀
2L 5400 L 6480 M 6480 ―
ミニマンゴー・宮崎・JAみやざき・400グラム・A
M 4320 ― ― ―
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高値 中値
ジューシー 熊本 7.5キロ 2484 ―
リンゴ・サンふじ 青森 10キロ 10800 ―
ビワ 長崎 500グラム 2160 ―
メロン・アールス 千葉 1キロ 1620 1404
メロン・アールス 静岡 1キロ 5400 1836
マンゴー 宮崎 400グラム 8640 ―
ブルーベリー 静岡 100グラム 432 ―
◇大阪・東部=もちあい
(入荷42トン) 高値 中値
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 6480 4860
リンゴ・王林 青森 10キロ 6264 5400
イチゴ 福岡 270グラム 378 346
イチゴ 長崎 250グラム 378 270
イチゴ 熊本 250グラム 356 302
スイカ 熊本 15キロ 9720 6696
メロン・アールス 高知 9キロ 12960 11880
パパイヤメロン 長崎 5キロ 3024 2808
ブロイラー
(と体、荷受け買値、A級、1キロ、消費税抜き)
安値 高値
◇東京=もちあい
特大(2社) 290 305
《参考価格》
東京・中(1社) ― 350
大阪・特大(1社) 315 325
大阪・中(1社) 325 335
東京一極集中なぜ止まらない? 都への転入超過8万人 仕事ない地方 都会は過密(親子スクールニュースイチから)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 5ページ 2504文字 PDF有 書誌情報]
東京に人が集まる動きがまた加速しているって聞いたよ。日本全体の人口は減っているのに、なぜ東京に住みたがるんだろう?
大学への進学や就職を機に若い人が多く来るの。特に女性は「魅力的な仕事が多い」と感じていて、東京に集まる傾向が強いよ。
からすけ コロナ禍で東京への移住者は減ったんだよね。
イチ子 うん。東京から出て行く人と入ってくる人の差の「転入超過」はコロナ禍前の2019年には8万人を超えていた。それがコロナの影響で21年には約5400人まで減ったの。ところが、その後はまた増え始めて24年には8万人近くまで転入超過が増えたの。
東京に神奈川、埼玉、千葉を合わせて東京圏と言うんだけれど、東京圏の転入超過をみると、男性が約6万3000人で女性が約7万2000人。転居理由は「希望する大学や仕事がある」が約5割と最多だったの。女性は医療・福祉や小売業、飲食店などの第3次産業を希望する人が多くて、働きやすいサービス業が多くあることも東京の魅力になっているの。
からすけ 女性が減る地方では結婚しにくくなるね。
イチ子 それが大問題なの。20~34歳の未婚者の男女比は、福島、茨城、富山、栃木、福井、静岡、山形の各県で30%以上の「男性余り」になっているんだって。東京一極集中に反対する人が半数近くいるのも、人口だけでなく男女のバランスが崩れていることも理由だよ。
からすけ そもそもなんで東京一極集中が始まったのかな。
イチ子 例えば、国会や省庁や大企業の本社の多くが首都の東京にあるでしょ。コンサートや美術展などの文化的な娯楽も多いよね。便利で楽しい生活ができるからますます若い人が来るようになった。東京は世界的に見ても人の集中が激しくて、メガシティー(キーワード)のランキングではもう70年間も世界一なんだって。
からすけ 最近の現象じゃないんだね。地方なら大きな家に住めるし、空気もよくて暮らしやすい気もするけど。
イチ子 そう感じる人が増えればいいんだけど、昔から東京に憧れる人は多い。歌でも「なごり雪」や「木綿のハンカチーフ」など上京に絡んだ切ない別れの曲が1970年代にはヒットしたそうよ。
からすけ ああ、去年の紅白歌合戦で聴いた。今スマホで調べたら、「東京」や「Tokyo」がタイトルに入っている曲は1000曲以上あるみたい。すごいね。でも、地方はますます人が減って過疎が進んじゃうってことだよね。
イチ子 そう。だからこのテーマは東京だけの問題ではなくて日本全体の問題だよ。「消滅可能性自治体」(キーワード)って聞いたことある? 住民が減って町や村が成立しなくなるかもしれないという「警告」ね。2014年に公表されて、24年に再検討された数字が出て少し減ったの。地方の自治体も若者が出て行かないように魅力的な仕事を増やそうとしているよ。
からすけ 東京は人が増えて得しているのかなあ。
イチ子 税金の収入は増えるけれど、困ることもあるよ。
からすけ ああ、道路の渋滞とか満員電車がもっとひどくなるね。それは嫌だな。学生が借りられるアパートが見つからなかったりしているみたいだね。
イチ子 あと心配なのは首都直下地震。東日本大震災の時も電車が止まって帰宅できない人が大勢いたでしょ。
からすけ 「帰宅難民」って言うんだよね。
イチ子 帰宅できないだけではなくて、食べ物だって足りなくなる。トイレも深刻な問題だよ。能登半島地震では半年以上も下水道が復旧しなかった地域があった。同じことが高層マンションが集中する東京の過密地帯で起きたら、パニックになるかもしれない。
からすけ 都心も地方も困るんだね。地方では、働き手がいなくなったら会社も飲食店もやっていけなくなっちゃうよね。
イチ子 鉄道やバス路線が廃止されたニュースをよくやっているでしょ。病院がなくなれば安心して子供を産めなくなる。それで、仕事や暮らしやすさを求めて東京や都市部に移住するという悪循環が起きているの。
からすけ 学校も統廃合されたら通学の距離が長くなって、それだけでも都会に行きたいって思うよね。
イチ子 地方には里山と呼ばれる自然や歴史的な町並みや伝統工芸品がたくさんあるでしょ。でもそれらを守っていく後継者がいないと自然も町も消えていっちゃう。政府が掲げる「楽しい日本」にするためには、東京圏と地方都市を行き来する「交流人口」を増やそうというアイデアもある。
からすけ それいいね。僕も東北や九州とかの地方と都会の両方で暮らしてみたいな。
豊島岡女子学園中学校・高等学校の岡崎幸見先生の話 高度成長期には進学や就職を機に上京する人が多く、東京暮らしは地方の若者の憧れでした。バブル期には家庭に経済的余裕が生まれたため東京に進学を希望する学生が増えましたが、地価上昇もあり、東京の近隣県にキャンパスを移設・増設する大学が増えました。「東京」の範囲が広がった時期です。東京の大学に進学したはずが都外のキャンパスだった、ということもあったようです。
21世紀になると、学生の減少に伴って大学は再びキャンパスを都内に移すようになりました。通学やアルバイトなどに便利なので、学生も都会を好むようです。都外のキャンパス跡地は医療センターや公立中学校の用地となるなど、公共性が高く地域住民に有益な形で再開発される例があります。食堂やホールを備えた建物や広大な敷地を、地域がいかに有効に活用できるかが注目されています。
都市と周辺も含めた都市圏の人口が1000万人を超える巨大な都市部のこと。国際連合の統計によると最大のメガシティーは東京都市圏。1955年にニューヨークを抜いて以来、世界一を維持している。2位はインドのデリー、3位は上海。近畿大都市圏も11位に入っている。
人口が減り続け、将来消えてしまう可能性のある市区町村。民間有識者でつくる「人口戦略会議」が2024年に発表した報告書では、子供を産む中心世代の20~39歳の女性人口が50年に半減する自治体が全体の4割超の744あるとし、これを消滅可能性自治体と定義した。
謎解きで楽しむ文化財(オフナビ)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 1901文字 PDF有 書誌情報]
歴史にゆかりのある場所や建造物を巡って謎解きをするイベントが各地で開催されている。クイズなどを楽しみながら歴史について学んだり、文化財を間近に見ることができたりする点が人気を呼んでいる。実際に体験してその魅力を探った。
宮内庁は3月18日から、東京都千代田区の皇居東御苑で周遊型の謎解きゲーム「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」を始めた。苑内に設置された謎解きパネルを探し出し、スマートフォンで謎を読み取りながら解き進めていくゲームだ。参加は無料で、2027年3月末まで開催される。
17日には、問題作成に携わったQuizKnockの伊沢拓司さんを招いてオープニングイベントが開かれ、一般参加者が皇居東御苑をめぐり謎解きに挑戦した。
皇居東御苑は、旧江戸城本丸などの一部を庭園として整備し、一般公開している。約21万平方メートルの広さを持つ苑内に設置された謎解きパネルは10カ所。散策しながら、クイズを通して皇室の活動や皇居などについて学ぶことができる。
皇居にほど近い明治生命館でも謎解きイベント「大切な記憶とフシギな旅 明治生命館でつながる絆の物語」が開催されている。
明治生命館は1997年、昭和時代の建造物として初めて国の重要文化財に指定された。34年(昭和9年)に古典主義様式のオフィスビルとして竣工。近代洋風建築の代表的な建造物と称され、コリント様式の列柱が並ぶ外観は、現代のオフィスビル群の中でも圧倒的だ。
45年から56年まで、連合国軍総司令部(GHQ)に接収され、2階の会議室はマッカーサーGHQ最高司令官が出席する会議に使用されたことでも知られている。
謎解きは、一般公開されている2階部分を中心に展開する。ストーリーは、生命保険会社に勤める「私」が、オフィスの机の上に置かれた写真を手に、明治生命館内を巡って謎を解いていくという仕立てだ。
併設の明治安田ヴィレッジに設置された自動販売機で専用キット(1700円)を購入することで誰でも参加できる。
実際に謎解きを体験してみた。クイズやパズル形式の謎を解きながら、指定された場所を回り、そこで生まれる新たな謎に挑戦していく。館内の調度品や家具、装飾なども謎解きの要素として使われているので、細かな部分も見逃せない。
目安となるプレー時間は約3時間だが、時間制限はないので、数日に分けて解くことも可能だ。館内を何度も巡り、執務室や会議室の重厚な雰囲気や装飾の美しさも堪能した。
企画を担当した明治安田生命保険相互会社ブランド戦略部の楠明香里さんは「明治生命館の特性を最大限に生かした内容になっている。謎解きが加わることで、普通の見学に比べてよりアクティブに館内を回ることになるので、文化財の魅力を体感しやすいのではないか」と話す。
参加者からは「こんな素晴らしい建物が無料公開されているのを初めて知った」「歴史とともにストーリーを楽しむことができた」「内部がとても美しかった」などの感想が寄せられているという。
謎解きを目的に訪れたという都内在住の中学生男子2人組は「館内に入るのは初めて。頑張って回って最後まで解きたい」と話していた。
イベント制作会社マッシュ(大阪市)は、全国の城や城下町を舞台に歴史にまつわる謎を解いていく「歴史リアル謎解きゲーム『謎の城』」を展開する。そのうちのひとつが、現在大阪城公園で開催中の「“三国無双”と称(たた)えられし城の偉観 豊臣と徳川、二つの時代の『石垣』を探せ!」だ。
豊臣秀吉が築いた初代大坂城の石垣を公開する「大阪城 豊臣石垣館」のオープンに合わせて、石垣に焦点を当てた内容だ。園内の西の丸庭園などを探索し、チェックポイントをクリアして最後の答えを導き出す。
同社執行役員の吉村創さんは「監修を歴史マガジン『歴史人』編集部が担当しているので、歴史ファンも楽しめる本格的なストーリー。大阪城の大きさを肌で感じてもらいたい」と話す。6月29日までの開催で、参加費は1500円(1人分の西の丸庭園入場料を含む)。
吉村さんは「謎解きで地域の歴史を知ることができるだけでなく、新たな地域資源の掘り起こしも可能。城は、そこで実際に起こった歴史的出来事を身近に感じられる場所。謎解きを楽しみながら、普段とは違う目線で見たり、歴史を感じたりしてもらいたい」と話していた。
(ライター 李 香)
【図・写真】重要文化財である明治生命館の内部を巡りながら謎を解く(東京都千代田区)
【図・写真】大阪城の石垣に焦点を当てた謎解きゲーム
【図・写真】皇居東御苑の周遊型謎解きゲーム(東京都千代田区)
瀬戸山美咲 たかが金髪されど金髪(プロムナード)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 1353文字 PDF有 書誌情報]
ここ2年ほど、髪を金色にしている。おそらく今後もずっと、この色でいくと思う。そのくらい、自分にしっくり来ている。これまでも明るめの茶色に染めることはあったが、毎回、飽きてしまっていた。地毛の茶色っぽい黒もなんだか「自分じゃない」感じがしており、本来の髪色は別にあるのではと思っていた。金髪にしてようやく、それらの違和感が消えた。
金髪への憧れは昔からあった。しかし、実際にしようと思ったのは3年くらい前だ。白髪が一気に増えてきた私は、街ですれ違うグレイヘアの女性たちを羨望の眼差(まなざ)しで眺めていた。あんなふうに凜(りん)とした雰囲気をまといたい……と美容師さんに相談したが、あそこまでいくには白髪が全然足りませんと言われてしまった。グレイヘアの門は、私のような雑念まみれの若輩者には、まだ開かれていなかったのである。「じゃあ金髪にしようかな~」と口走ったが、美容師さんは首を縦に振らなかった。「じゃあ」で開かれるほど金髪の門もたやすくなかった。
もっと真剣に金髪を求めなければ、金髪にしてもらえない。それからリサーチとイメトレを重ねて、1年後、改めて美容師さんに「思い切って金髪にしたい」と伝えることができた。かくして、門は開かれた。
ところで、黒髪を金髪にするのは一大事である。ブリーチと染色で5時間近くかかる。すべての雑誌を読み終えて、すべてのメールを返し、一回寝て起きて、無の境地に達した頃、ようやく終わる。普段も、色の維持のために紫色のシャンプーで洗って放置する必要がある。さらに、髪がバサバサになるので、毎朝、ヘアアイロンで落ち着かせなくてはならない。しかし、私にとって、それらの面倒臭さを引き受けるだけの価値と意味が、金髪にはある。
かつて、私は、人からどう見られるかを異様に気にしていた。取材やワークショップなどでさまざまな職業や世代の方に会うので、なるべく相手が安心するような「無害」な見た目であるほうがよいと思い込んでいたのだ。でも、歳を重ねるうち、周囲の人はそんなことを微塵(みじん)も気にしていないと気づいた。そもそも、演劇という毒にもなりうるものをつくっている人間が、「無害」を目指すのはナンセンスだし、金髪がチャラいからよくないとか、そういうイメージに囚(とら)われているのもおかしな話だった。たかが金髪にすることをややこしく考えすぎていたのだ。
時間はかかったが、私はようやく自分の外見を自分の軸で選べるようになった。人からどう見えるかは重要ではない。大事なのは、朝、鏡を見たとき、自分の気分が上がるかどうかである。「あ、私だ」と思えるかどうかである。金髪は単純に色として明るい。そして、自分の気質と合っている。演劇でも、衣装やヘアメイクが俳優の演技を左右するのを何度も目の当たりにしてきた。メガネをかけた瞬間、しっくりきて役がつかめたみたいなことが起こるのだ。それほど、自分の見た目というのはその人の精神状態に影響を及ぼす。
日本では服装や毛髪の規定が根強くある学校や職場も多い。でも、そろそろ「他人の見た目はどうでもいいや」の境地にみんなで移行していきたい。そして、全員が「これが私だ」と思える見た目を選んで、愉快に生きていけたら素敵(すてき)だなと思う。
(劇作家)
新たな「豊かさ」考える時 ラグジュアリーの本質は 中野香織(ラグジュアリー・ルネサンス)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 812文字 PDF有 書誌情報]
「ラグジュアリー」という言葉に、縁遠さを覚える人も多いだろう。高級ブランド、贅沢(ぜいたく)品、選ばれた階層のための世界という印象を抱くとすれば、自分には関係のない話と思うのも無理はない。だが今、世界はラグジュアリーの本質を問い直す転換点にある。私たちの暮らしや価値観も無縁ではない、新たな「豊かさ」を考える好機である。
そもそもラグジュアリーとは何か。多くのブランドも明確な定義を持たない。というのも、それは知覚されるものであり、文化や時代によって意味が変わる「生き物」だからである。語源はラテン語の「luxus」で、「過剰」や「逸脱」、さらに「色欲」や「光」とも結びつく。そこから私は原イメージを「誘惑的で、豊かさにあふれ、人や社会を輝かせるもの」と捉えている。
やがてラグジュアリーは、階級や経済力の象徴としての「贅沢」へと形を変え、20世紀には西洋中心のブランド産業として確立された。一方で、「より多くの人に届ける」戦略が進み、ラグジュアリーの希少性や深みが失われつつある。
近年では「ラグジュアリー疲れ」という言葉すら聞かれる。だがそれは単なる脱ブランド志向やミニマリズムの流行と直結するものではない。動向を概観すれば、変化は、所有から体験価値へと向かっている。富の誇示や虚飾とは無縁で、深い満足や視野の転換をもたらす思想のある美しさ、ひいては再生の感覚をもたらす体験がラグジュアリーの要素として希求されていくだろう。
人工知能(AI)や機械化が進み、人間の存在意義が問われる今だからこそ、このテーマを考える意味がある。ラグジュアリーとは突き詰めれば、「人間とは何か」「豊かさとは何か」という問いそのものである。
文化、伝統工芸、ウェルビーイング、テクノロジーなど多様な領域と関わるラグジュアリーの未来を、ともに考えられる視座を届けたい。
【図・写真】はかない夜桜にもラグジュアリーのヒントがある(東京都千代田区)
『ジョブ型人事の道しるべ』藤井薫著(BOOKガイド)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 246文字 PDF有 書誌情報]
■『ジョブ型人事の道しるべ』 藤井薫著 ジョブ型人事制度の導入で、特別に優秀というわけではない「大多数のふつうの会社員」のキャリア形成はどう変わるのだろうか。昇格・降格、給与、異動などの論点ごとに解説する。(中公新書ラクレ・1034円)
■『言語学者も知らない謎な日本語』 石黒圭、石黒愛著 サブタイトルは「研究者の父、大学生の娘に若者言葉を学ぶ」。「ガチ」「誰得」「とりま」などの言葉を2人の対話形式で小気味よく解説していく。さて、10年後も残る言葉はどれだろうか?(教育評論社・1980円)
続く晴天、春の陽気本番 桜の見頃に「花散らし」の影 一時的に天気の崩れも(ウェザープラス)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
春の天気はぶれが大きい。関東などは1週間近く冷たい雨や雪の日が続いた。前線が停滞する典型的な形ではなかったものの、菜種梅雨に近い天気だった。この先は晴れて気温も上がる。来週後半ごろにかけてが桜の見ごろとなる。ただ、上空の寒気と気圧の谷の影響で日曜日ごろ一時的に天気が崩れる。「花散らし」のやや強い風が吹くところもありそうだ。
低気圧の通過によってこのところ関東などでは天気が頻繁に崩れ、その際の気温は予想よりも低めになりがちだった。上空の寒気がなかなか抜けず、低気圧の接近時に吹く北寄りの冷たい風が気温を押し下げた。
降水が強まると下層に冷たい空気が引きずり下ろされ、さらに寒くなる。このため1日早朝には都心で一時、雨にあられが混じった。もし長期的な地球温暖化の影響がなく、気温があと1度ほど低ければ大雪になった可能性もある。
上空に寒気残る
気温はようやく上昇基調になったが、上空にはまだ寒気が残る。一方、地上付近では南から暖かく湿った空気が入り大気の状態が不安定になりやすい。6日から7日にかけ、本州のあちらこちらで一時的に突風を伴う雨が降るかもしれない。
3月を通して見ると気温が急降下する日はあったものの、全国的に高温傾向が目立った。気象庁の1カ月予報によると、4月は北日本を中心に高温が続く。各地で桜の開花が順調に進んでおり、関東以西ではすでに満開になった地域も目立つ。
桜は咲き急いでいるようにも見えるが、東京の満開日3月30日は平年より1日早いだけだ。岐阜の満開は3月31日で同2日早く、宮崎の4月2日は平年並みだった。
満開直後は、多少の風雨があっても花は簡単には散らない。だが、満開から既に数日たっている東京などで強風を伴う悪天となれば、花を散らす可能性がある。一面に花びらが散り敷いた様も風情があるが、花見をするなら早めがお勧めだ。夜桜見物の際は念のため羽織るものがあるとよい。
東北ではこれから開花し、その3、4日後には満開を迎えるところが多い。日本気象協会やウェザーニューズの予想によると、平年よりは数日早くなる。多少天気が崩れる日があっても、しばらくは花見によい時期が続く。中旬いっぱいは楽しめる見通しだ。
顕著な高温も
4月の初めごろに曇りや雨の天気が続く現象は菜種梅雨と呼ばれる。梅雨時を思わせる前線が本州南岸に停滞し、低気圧が次々に進む。梅雨本番にみられるような土砂降りではなく、比較的シトシトと降る傾向がある。
今週関東などで続いた雨も、菜種梅雨と呼んでよいかもしれない。菜の花はちょうど見頃を迎えている。今年の場合、これまでのところ前線はあまりはっきりしない。雲が発達し、降り方もやや激しい。温暖化や海面水温の高さが一因となっている可能性もある。
気象庁によると、4~5月は日本付近に雨を降らせる南西海上からの水蒸気の流れはやや弱いと予想される。ここ1週間ほどのような、雨の降りやすい期間が再びあるかどうかは不明だ。
北半球全体を見ると、寒気がまとまって南下している場所はほとんどない。この状態が続けば関東の平地で雪が降るような寒の戻りは起きにくく、気温の上昇が顕著になる可能性が高い。
海の向こうの米国では大西洋の強い高気圧が南西に張り出し、その西側のカリブ海付近から米中部に向けて、暖かく湿った空気が北上する状態が続いた。この水蒸気の流れは「大気の川」と呼ばれ、積乱雲が次々に発達して激しい雷雨や竜巻が発生した。
太平洋高気圧の西側で見られ、西日本などに大雨をもたらす大気の川に似ている。偏西風の蛇行のしかたによっては、初夏にかけて日本付近でも似たような激しい天気があり得る。
(編集委員 安藤淳)
〈花散らし〉 暖かい南の風が吹き始める時期に使う季語で、もともとは磯遊びを指す。転じて花見の後の宴会を意味する言葉としても使われたようだ。花見をして、夜通し男女が飲食する合コンのような場面を指すともいわれる。
だが、今では低気圧が発達しながら通過する際などに花を吹き散らす強い風を花散らしと表現することが多い。桜は散り際が美しいとされ、俳句では「散る桜」「花吹雪」などがよく使われる。
【図・写真】見頃を迎えた菜の花(東京都内)
泥んこ自転車シクロクロス、世界へ激走 非舗装路行く競技 今年は大阪で日本選手権[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 1030文字 PDF有 書誌情報]
泥でぬかるんだ非舗装路や砂地を走る、欧州で人気の自転車競技「シクロクロス」。日本では、毎年約10戦のシリーズ戦が開催される関西を中心に、多くのライダーが参戦する。関西シリーズ戦の運営を統括する上田尚徳さん(37)は、2021年東京五輪・パラリンピックで審判を務めた経験を生かし「夢は日本での世界選手権の開催だ」と話す。
2月上旬の早朝、京都市を流れる桂川の河川敷。前日に積もった雪は解けたが最低気温は0度台と冷え込み、路面には凍った泥とぬかるんだ泥が混在していた。24~25年シーズンの「関西シクロクロス」シリーズ戦最終戦の舞台だ。参加選手は次々と転倒し、泥まみれで自転車の押し歩きを余儀なくされた。
シリーズ戦は各地を転戦。滋賀県のスキー場ゲレンデのコースでは急勾配の登りに直面し、大阪府の海水浴場のコースでは砂浜に車輪がはまる。自転車競技には舗装路を走る「ロードレース」などもあるが、非舗装路を走るシクロクロスは、脚力に加えて自転車をコントロールする技術も勝敗に直結するのが妙味だ。
上田さんは京都大在学中、サイクリング部で世界中を旅した。好きが高じて、自転車レースを企画する一般社団法人「京都車連」に所属し審判資格を取得。関西シクロクロスの運営には19年から関わる。桂川のレースには千人近くがエントリーし、上田さんは「日本のシクロクロス史上、最多のはずだ」と胸を張る。
東京五輪・パラリンピックでは自転車競技の審判団の一員に選ばれ、トラック種目の周回数を数えて最後の一周であることを選手に知らせる鐘を鳴らす大役をこなした。大会で実感した「選手と審判団の距離の近さ」(上田さん)を関西シクロクロスにも取り入れ、積極的に選手とコミュニケーションを図る。
日本では24~25年シーズン、東北から九州までで60戦以上が開催。3月に徳島県で開催された大会には、関西シクロクロスの運営メンバーが開催の補助に加わったり、関西在住の選手が遠征して参戦したりと、関西勢の層は厚い。
25年12月には、関西シクロクロスが主管する立場で全日本選手権が大阪府で開催される。「いかに乗り切るか」に、シーズンオフに入ったばかりの3月から頭を悩ます上田さんだが、「五輪の経験で、国際自転車競技連合(UCI)とのコネクションも持てた。いつかは日本での世界選手権開催を目指したい」と話している。
【図・写真】「関西シクロクロス」シリーズ戦で走る参加者(2月、京都市)=関西シクロクロス提供
地域おこし隊、最多7910人 昨年度 地方移住に関心広がる[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 625文字 PDF有 書誌情報]
総務省は4日、過疎地などに移住して地域活性化を担う「地域おこし協力隊」の2024年度の隊員数は7910人で、過去最多を更新したと発表した。増加は5年連続で前年度から710人増えた。地方移住に関心を持つ層が広がり、受け入れ自治体も増えた。23年度までの5年間に任期を終えた隊員のうち、定住したのは68.9%だった。
隊員を受け入れた自治体は12増の1176。都道府県別の隊員数は北海道1307人、長野545人、福島354人が多かった。年齢は20代が33.2%で最も多く、30代31.0%、40代20.5%、50代10.9%だった。
総務省は「若手が多いが50代以上も増えている」と説明。子育て後やさまざまなキャリアを積んだ後に、新たな環境を求めて隊員を志望する人がいるとみている。
19~23年度に任期を終えた隊員8034人中5539人が赴任先か近隣市町村に定住した。自治体職員になる人もいれば、起業して古民家カフェやゲストハウスなどを営む人もいる。
総務省は26年度までに隊員を1万人まで増やす目標を掲げる。
PRを強化してなり手の掘り起こしを進めるほか、地域になじめず任期途中で辞める人を減らすためのサポート体制を充実させる。隊員の相談に乗るなど活動を支える支援団体は41道府県で設立された。
村上誠一郎総務相は4日の記者会見で「地域活性化と移住促進の両面で効果が出ている。隊員数1万人の目標に向け、引き続き戦略的な情報発信を進めたい」と述べた。
小惑星、月に衝突「3.8%」 NASA評価、32年にも 月軌道には影響なし[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 431文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】2032年に地球に衝突する可能性が指摘された小惑星「2024 YR4」を巡り、米航空宇宙局(NASA)は、同じ時期に月に衝突する可能性が2日現在で3.8%との評価結果を明らかにした。2月下旬時点では1.7%だった。
NASAが欧州宇宙機関(ESA)などと開発したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や地上からの観測による最新の分析で、小惑星のサイズは約60メートル。仮に衝突したとしても月の軌道を変えるほどの影響はないとNASAはみている。
小惑星は4月中旬以降地上からの観測が難しくなるほど遠く離れる。ただ太陽を周回している宇宙望遠鏡が、4月後半から5月前半にかけて再び観測する予定だという。
小惑星は昨年12月、南米チリにある望遠鏡で発見された。一時は32年に地球に衝突する可能性が指摘されたが、その後の観測で地球を外れることがほぼ確実となった。
【図・写真】ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた小惑星「2024 YR4」(ESA提供・AP)
15~17歳の7割「国際協力望む」 「5割」の大人上回る[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 389文字 PDF有 書誌情報]
国際協力を望むのは、大人よりも子ども――。公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が15歳以上の男女約2万人に日本の国際協力について尋ねると、こうした傾向が浮かび上がった。協力を「進めるべきだ」と答えたのは18歳以上では約5割にとどまったのに対し、15~17歳では約7割に上った。
気候変動などが身近な問題となる中、若い世代ほど国を超えた対処の必要性を敏感に感じ取っていると言えそうだ。
調査は2~3月にインターネットで実施。国際協力に関し、15~17歳は約3割が「積極的に進めるべきだ」、約4割が「ある程度進めるべきだ」と回答。18歳以上では「積極的に進めるべきだ」は約2割、「ある程度進めるべきだ」は約3割だった。
15~17歳に世界的な課題と感じるものを選んでもらうと、最多は「気候変動・地球温暖化」だった。「環境破壊・生物多様性の減少」や「食料危機」が続いた。
東日本大震災の援護資金、市町村からの返還延長[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 364文字 PDF有 書誌情報]
内閣府は4日、東日本大震災の被災者が生活資金として借りた「災害援護資金」について、原則最長13年としている返済期限を市町村の判断で猶予した場合、国などが拠出した資金の返還も延ばせるようにする方針を明らかにした。
低所得者や高齢者らの滞納が目立っており、市町村が滞納分の肩代わりを求められる事態を回避する。月内にも政令を改正する。
災害援護資金は国が3分の2、都道府県か政令指定都市が3分の1を拠出し、最大350万円を支援する。窓口となる市町村が貸し付けと回収を担い、回収後は国と都道府県に返還する。
滞納分を回収できなければ、自前の財源から肩代わりして返還しなければならず、期日の延長を求める声が出ていた。新たな返還の期日は調整する。東日本大震災では、生活再建の遅れなどから、滞納額は2023年9月時点で65億円を超えている。
春めでる「桜の通り抜け」 石川の天然記念物「火打谷菊桜」仲間入り[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 353文字 PDF有 書誌情報]
大阪の春の風物詩「桜の通り抜け」が5日、大阪市北区の造幣局で始まった。八重桜を中心とした142品種、340本の桜が約560メートルの並木道を彩る。期間は11日までで、後半が見頃。
造幣局によると、今年は新たに、石川県志賀町に原木があり、同県の天然記念物に指定されている「火打谷菊桜」が加わった。
並木道は家族連れやインバウンド(訪日客)でにぎわい、満開の桜の前で記念撮影する姿も。大阪市北区の会社員、貞国元宏さんは、幼少期に訪れた記憶から「家族と見たい」と家族4人で来訪。「品種も多く色とりどり。つぼみの多い木も、子どもに『こう咲くんだよ』と教えられる」と満足げで、長男、文宏さんも「きれいだった。観察ノートを作りたい」と笑顔を見せた。
【図・写真】大阪市北区の造幣局で始まった「桜の通り抜け」(5日午前)
雑木林の遺体は岐阜の女性 殺人疑い、2県警捜査[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 343文字 PDF有 書誌情報]
滋賀県警は4日、同県米原市の雑木林で発見された女性の遺体の身元は岐阜県垂井町、教育関係施設職員の桐山真弓さん(64)と明らかにした。桐山さんが自宅から連れ去られた可能性があるとみて、殺人と死体遺棄の疑いで岐阜県警と合同捜査している。
滋賀県警によると、桐山さんは2階建て住宅に1人暮らし。3月13日に岐阜県内の職場に出勤後、休みを経て17日に出勤予定だったが、しなかった。同日に職場関係者が自宅を訪問したが、姿を確認できず、岐阜県警垂井署に行方不明届を出した。この間に行方不明になった可能性が高いという。
今月2日午前10時25分ごろ、米原市の林で不法投棄パトロールの市職員から「死体らしきものがある」と署に通報があった。桐山さんは掛け布団に一部が包まれたうつぶせの状態で見つかった。
万博ブラジル館、配線焼け火災 けが人はなし[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 321文字 PDF有 書誌情報]
4日午後7時20分ごろ、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)の大阪・関西万博会場のブラジルパビリオンで火災があった。日本国際博覧会協会(万博協会)によると、天井材や配線が焼け、パビリオン関係者が消火した。通報を受けた市消防局の消防隊員が駆け付けた際には煙は確認されず、けが人はいないという。府警や消防が経緯を調べる。
会場では同日から6日までの日程で、開幕に備え来場者を入れて施設運営や動線を確認する予行演習「テストラン」が行われている。
赤色灯がついた消防車がブラジルパビリオンの前に止まり、消防隊員や関係者らが慌ただしく出入りしていた。60代男性作業員は建物から白煙が上がるのを目撃。パビリオン内は煙が充満し、作業員らが避難していたという。
県立高校運動場を市民に開放計画 輪島、生徒が整備[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
石川県輪島市の県立輪島高の生徒たちが、能登半島地震からの復興に向けたまちづくりプロジェクトをスタートさせた。液状化などの影響で利用できなくなった同校のグラウンドを整備し、子どもを含む市民らに広く開放し地域スポーツの拠点にすることを目指す。計画に賛同した奉仕団体が4日、支援金約300万円を贈呈した。
生徒らは、市内の小中学校のグラウンドに仮設住宅が建ち、子どもがスポーツする場所がなくなっていることに着目。地震の被害を受け、整備が進む同校グラウンドに発光ダイオード(LED)照明やベンチ、倉庫を設置し、地域住民が利用できるようにすることを考案した。
庄司薫「ぼくの大好きな青髭」 東京・新宿 若者が世界を動かすという夢が、たった今最終的に滅びようとしている(文学周遊)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 8ページ 1408文字 PDF有 書誌情報]
かつて東京・新宿には多くの「文化の塹壕(ざんごう)」があった。タウン誌「新宿プレイマップ」編集長だった本間健彦さんが回想録「60年代新宿アナザー・ストーリー」(社会評論社、2013年)で、そう振り返っている。
ジャズ喫茶、バー、演奏会場、小劇場、芸術カフェに編集事務所。狭い空間に今の世に飽き足らぬ若者が集い、自由を求めてもがく。街頭や大学の政治闘争と路地裏の文化闘争は呼応し、熱病のような「若者の時代」を形作る。
小説の舞台はそんな1969年夏の新宿だ。浪人中の主人公はこの街を根城に若者文化を追う記者に会う。待ち合わせ場所は表通りの紀伊国屋書店。新宿で東大受験生がわかるのは本屋くらいだろ、と記者が指定したのだ。
主人公の元同級生が自殺を図ったという。「青髭(あおひげ)」という男がからんでいるらしい。主人公は街の裏側に足を踏み入れていく。ヒッピー、性的少数者、夢破れた若者を研究する集団。数奇な出会いの末、高校ではさえなかった友人が弱者救済を掲げ、歌舞伎町に「葦舟」という小さなスナックを開いていたと知る。
主人公の足取りを想像し路地を歩いた。酒場、風俗店、ずらり並ぶホストクラブの看板。故郷や家の居心地が悪い若者を今もこの街は引き寄せる。学生時代に通ったロックカフェなど、にぎわう街から姿を消した店も多い。
「葦舟」はやがて劇場や書店となり、街をさまよう若者の居場所になるはずだった。しかし程なく資金面で行き詰まる。「性」の街、新宿で同志たちはどうカネを工面したか――。青髭とはこの街、あるいは時代そのものだった。作品は読者に問う。若者が身の程しらずの純粋な理想を抱くことは罪か? 罰か?
あさま山荘事件などを決定打に街頭闘争の幕は下りた。「若者が世界を動かすという夢が、たった今最終的に滅びようとしている」。主人公のつぶやき通り、シラケの70年代を経て80年代はお笑いが若者文化の前景に出る。
では裏街の文化闘争も滅びたのか。雑居ビルのライブハウスは尾崎豊や小田和正を生んだ。ファッションは原宿、映画は渋谷、演劇は下北沢など新宿のまいた種は別々の街で花開く。店ではなくネットでつながり、NPOやボランティア活動で弱者を助けようと志す若者はむしろ増えた。本家・新宿の旧遊郭地区ではゲイバーがマイノリティーの人々に居場所を提供し、癒やしを求める女性らが通う。
若者が夢見ることをやめる時代はおそらく来ない。作家と同名の主人公、薫くんの諦念は、幸い外れたようだ。
(編集委員 石鍋仁美)
しょうじ・かおる(1937~) 東京都生まれ。都立日比谷高校を経て東京大学法学部卒。大学では丸山真男氏のもとで政治学を学ぶ。58年、「喪失」(本名の福田章二名義)で中央公論新人賞受賞。69年、「赤頭巾ちゃん気をつけて」で芥川賞を受賞した。
「赤頭巾」の主人公「庄司薫くん」は、全共闘運動による東大入試中止で浪人生活に入る日比谷高校生。続いて「さよなら快傑黒頭巾」「白鳥の歌なんか聞えない」「ぼくの大好きな青髭」(発表順)を執筆し、高校卒業から夏までの半年間にわたる主人公の心の軌跡を描いた。「若さとは何か」をテーマにした通称「薫くん4部作」は、当時の若者らに大きな影響を与えた。(作品の引用は新潮文庫)
【図・写真】歌舞伎町の奥は小さな飲食店やバーがひしめく。主人公は中華料理店のわきの細く狭い階段を下りていった=村上裕司撮影
表千家、NYの大聖堂で献茶式(文化往来)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 8ページ 636文字 PDF有 書誌情報]
茶道の流派の一つ、表千家の千宗左家元が3月18日、ニューヨークのマンハッタンにあるセント・ジョン・ザ・ディバイン大聖堂で世界の平和を祈念して献茶式を実施した。
祭壇の前に特別に設置された畳の上で千家元が茶の湯を披露し、お茶を献上した。献茶式は日本では通常、寺院や神社からの依頼に応じ、神社の大祭、寺院開山などの際に家元が神仏にお茶を献上するが、海外の教会での献茶式は稀(まれ)だという。
表千家は茶の湯の伝統を継承しながら、時代の変化に応じた茶道を習う会員からなる同門会を1942年に設立した。米国では55年にハワイ支部を設立。ニューヨークを含む東部支部が設立されたのは2010年で、今回の献茶式は設立15周年を祝うものでもある。
千家元は「お茶の世界では一服の茶を通じて人と人が心を寄せ合う。互いを思いやり、敬意を持って接する態度が今の世界に最も求められていると思う」と語った。
献茶に使用した茶わんや水差しは、京都の職人に特注した。ディバイン大聖堂の建物の正面に据えられている「グレートローズ」と呼ばれる米最大のステンドグラスに描かれたバラのデザインをあしらった。式典を執り行ったディバイン大聖堂の主任司祭パトリック・マロイ氏は「茶わんや布など日常のものを大切に扱う茶の湯の精神は今、西洋人も学ぶところが多い」と指摘した。世界最大級の大聖堂には和服姿の日本人や地元の米国人約300人が集まった。
(ニューヨーク=伴百江)
【図・写真】大聖堂内で茶の湯を披露する千宗左家元
25年04月05日
NY株急落2231ドル安 下げ幅史上3位 関税応酬 世界同時株安の様相[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 1214文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=竹内弘文】4日の米株式市場でダウ工業株30種平均が前日比2231ドル(5.5%)安の3万8314ドルで引けた。1日の下げ幅として史上3番目の大きさを記録した。トランプ米政権の相互関税に中国が報復関税で対抗し、貿易戦争の激化に市場参加者はリスク回避を強める。相場の下げ止まりがみえない。
ダウ平均は前日3日にも1679ドル安と急落したばかり。トランプ米大統領が2日に相互関税を発表して以降、世界同時株安に歯止めがかからない。4日終値は2024年5月30日以来、約10カ月ぶりの低水準となった。
S&P500種株価指数の構成銘柄の97%が下げる全面安だった。業種別指数は11業種全てが下落。「エネルギー」や「金融」といった景気の影響を受けやすい業種の下落率が大きい。リスク回避のため株式を売る動きが加速している。
個別銘柄では半導体大手エヌビディアやアップルが7%安など、大手テクノロジー銘柄の下げが目立つ。両社とも米国外の生産拠点に依存しており、関税引き上げは業績を左右しかねない。
ハイテク銘柄の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比6%安となった。24年12月中旬に付けた最高値を起点にすると累計の下落率は2割を突破した。中長期の相場低迷を示唆する「弱気相場」入りした。前日3日に弱気相場入りしていた中小型株指数のラッセル2000株価指数は4日に4%安となり、約1年4カ月ぶり安値をつけた。
中国政府は4日に、米国からの全輸入品に34%の追加関税を課すと発表した。34%は、米国が今回の相互関税で中国に課す関税率と同じ水準だ。報復が連鎖するリスクが投資家心理を傷つける。
米モルガン・スタンレーのチーフ米国エコノミスト、マイケル・ゲイペン氏は「応報的な行動は貿易戦争の兆候だ」と説明し、中国以外の国・地域からも米国に対する対抗措置が出てくる可能性が高いと指摘した。
4日発表の3月の雇用統計では市場予想を上回る雇用増がみられたが、米政府効率化省(DOGE)による政府部門の大幅リストラなどで雇用情勢の軟化が今後想定される。関税に伴う消費者の実質的な購買力低下も加わり、景気先行きの不透明感が高まっている。
景気の底割れを防ぐための米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和を市場は催促し始めた。金利先物市場が織り込む政策金利の予想を映す「フェドウオッチ」によると、25年末までに4回程度の利下げ実施が市場のメインシナリオになっている。
パウエルFRB議長が4日の講演で、トランプ政権の関税政策が「想定を大幅に上回る」と述べて高インフレと成長鈍化の両面でリスクが高まっていると指摘。一方で「金融政策の適切な方向性について結論を出すには時期尚早だ」とし、踏み込んだ発言は避けた。
講演後にダウ平均の下げ幅が拡大する場面があった。
【図・写真】市場参加者はリスク回避姿勢を強める(4日、ニューヨーク証券取引所)=ロイター
証券5社の口座乗っ取り 楽天・野村など被害 相場操縦目的か[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 829文字 PDF有 書誌情報]
個人投資家の証券口座が乗っ取られ株を勝手に取引される被害が楽天証券や野村証券など5社で確認された。偽サイトを通じた「フィッシング」で顧客が認証情報を盗まれたとみられ、警察は不正アクセス禁止法違反容疑も視野に情報収集を始めた。証券各社の偽サイトは急増している。株式相場の不正操作を狙う組織犯罪の疑いが強い。
口座が乗っ取られる被害の発生は楽天証券が3月下旬に公表した。楽天証券を装う偽サイトを通じて個人投資家のIDやパスワードが抜き取られ、口座から海外の株式を購入されたという。
同様の被害は5日までに、野村証券やSBI証券、SMBC日興証券、マネックス証券でも確認された。
証券会社をかたるメールで偽サイトへ誘導する手法が多い。偽サイトはIDやパスワードを入力させて盗み取るためのもので「フィッシング」と呼ばれる手口だ。犯罪集団は証券口座を乗っ取り、顧客になりすまして株の売買ができるようになる。
ネット空間の状況を調査したサイバーセキュリティー大手トレンドマイクロ(東京)によると、偽サイトは2024年11月に大手2社のものが開設され、25年3月までに9社分に拡大。サイト数も急増した。同社は複数のサイバー犯罪集団が関与しているとみている。
不正アクセス禁止法は他人のIDやパスワードを使いネット上の各種サイトに接続することを禁じている。
被害者から相談を受けた警察当局は、不正アクセス事件の疑いがあるとみている。
乗っ取られた口座から買われた銘柄は価格が上昇した後に急落した。
楽天証券の担当者は「攻撃者は株価操縦を狙った可能性が高い」とみる。顧客の口座から低価格の株を大量に購入して価格をつり上げ、売り抜けて利益を得た疑いがある。
虚偽の情報を流布するなどして株価をつり上げる不正行為は過去にもあったが、他人の証券口座を悪用する手口は例がないとみられる。不正アクセスによって個人投資家が損失を被るだけでなく、株式市場の公正さが脅かされるおそれがある。
任天堂「スイッチ2」、米で予約延期 米関税の影響注視[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 563文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=中藤玲】任天堂は4日、新型ゲーム機「Nintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ・ツー)」の米国での予約開始日を9日から延期すると明らかにした。トランプ政権の関税の影響を注視するためという。現時点で、6月5日とした発売日には変更はないとしている。
任天堂の米国法人が明らかにした。「関税の影響や市場環境の変化を見定めるため、米国での予約注文は9日に開始しない」(任天堂)と説明している。新しい予約開始日は後日発表する。
任天堂は2日にスイッチ2の発売を発表した。トランプ米大統領は同日、世界各国から米国への輸入品に対して「相互関税」をかけると公表した。中国に合計で54%、ベトナムに46%の関税が課される見通しだ。
任天堂は製造委託先の中国拠点で主にスイッチを生産してきたが、近年はベトナムやマレーシアにも一部移管している。スイッチ2の米国価格は449.99ドル(約6万5500円)に設定されているが、関税コストが上乗せされれば値上げする可能性もある。
米アップルのスマートフォン「iPhone」など世界の電子機器は、中国や東南アジアを中心にサプライチェーン(供給網)を構築してきた。トランプ政権の相互関税はベトナムなど東南アジアにも高い税率を課しており、各社は調達コストの削減を迫られている。
NY株急落2231ドル安 下げ幅史上3位――米相互関税10%発動 世界一律で適用 9日に上乗せ分[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 509文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=八十島綾平】トランプ米大統領が2日に公表した相互関税のうち、すべての国・地域に対する一律10%の基本税率が5日発動した。トランプ政権は相互関税を撤回せず、貿易相手国が非関税障壁などを見直さない限り交渉にも応じない姿勢だ。
相互関税は一律10%をかける基本税率と、貿易赤字や非関税障壁がある国ごとの上乗せ税率で構成する。日本には合計で24%を適用する。
基本税率の発動時間は、米東部時間5日午前0時1分(日本時間5日午後1時1分)。上乗せ税率は同9日午前0時1分(同9日午後1時1分)に発動する。
ラトニック米商務長官は3日の米CNNのインタビューで、相互関税について「撤回する可能性は全くない。これは世界の貿易秩序の再構成だからだ」と断言した。
貿易相手国の反応は様々だ。中国は第3弾となる報復関税を10日から実施すると発表した。米国からの全輸入品を対象に、相互関税と同水準の34%の追加関税をかける。
ロイター通信によると、欧州連合(EU)は米国側に相互関税は「有害で不当だ」と伝える一方で交渉を継続する方針だ。
インドやベトナム、カンボジアのように、自国の関税引き下げを米国に申し出ている国もある。
NY株急落2231ドル安 下げ幅史上3位――NY原油、一時10%安 4年ぶり安値[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 369文字 PDF有 書誌情報]
原油価格の米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は4日、一時前日比10%安い1バレル60.45ドルまで下落した。新型コロナウイルス禍の2021年4月以来、4年ぶりの安値をつけた。米国と中国の貿易戦争により世界景気が減速し、原油の需要が減るとの懸念が下押し圧力となった。
終値は7%安の1バレル61.99ドルだった。英キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、キエラン・トンプキンス氏は「米中の関税の応酬で世界の石油需要の見通しは間違いなく悪化している」と指摘する。市場では景気後退に伴う需要伸び悩みへの警戒が広がっている。
供給が増えるとの観測も相場の重荷だ。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は3日、有志国が計画の約3倍に当たる原油の量を5月に増産すると発表した。
万博リハ、初の一般公開[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 300文字 PDF有 書誌情報]
大阪・関西万博を8日後に控えた会場の人工島、夢洲(ゆめしま)で5日午前、来場者を招いたリハーサル「テストラン」の2日目が始まり、無料招待の大阪府民が続々と訪れた。一般の市民向けに万博が公開されるのは初めて。
この日は抽選で選ばれた約1万8000人の府民が訪れる予定だ。
テストランは一部のパビリオンや飲食店をオープンさせ、動線や運営上の課題を洗い出す。初日の4日は企業や海外の関係者に限り、約1万人が来場した。5日以降は無料招待の府民が加わる。
府民を対象とした無料招待は約35万人の応募があり、約4万人が当選した。
【図・写真】大阪万博の「テストラン」に訪れた人たち(5日午前、大阪市此花区の夢洲)
個性を造る 落語家 林家正蔵(あすへの話題)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 1ページ 682文字 PDF有 書誌情報]
北陸のとある町の道の駅。のどかな山間(やまあい)のその建物は、博物館のような現代的なデザインで、とてもお洒落(しゃれ)だった。何日か後、北海道の平原にある道の駅も、スタイリッシュなのだが何か心に残るものがない。何処(いずこ)も同じ。おもしろ味、個性に乏しい。
ホテルのバーでジンリッキーを注文。お気に入りは昔から「ゴードン」。しかし、びんのラベルが以前と変わり、とてもスタイリッシュになった。昔は黄色を基調としたイギリスの香り漂う古風な格調高さが備わっていた。思えば、車も電車も家電製品、お菓子のパッケージからお墓まで、みんなお洒落で、モダンで、格好が良い。しかしおもしろ味に乏しい。心に訴えてこない。
私の父は、とても個性的といわれた落語家だ。先日、生誕100年の番組収録で久しぶりに高座をみた。プードルヘアーにひらひらの袴(はかま)。派手なアクション。ところが私はいつしか父の顔ばかり見つめていた。端正でほりの深い顔。獲物を狙う獣のまなざし。おもしろさも、陽気さもない。生真面目な兵士の顔つきだ。母が以前、なんとかおもしろ味を出そうと、もじゃもじゃヘアーにしたと語っていたのを思い出す。生まれつきの個性に、考えついた個性を足していたのだ。人間の個性とは何ぞや。持って生まれたものを育てることなのか。
場所はかわって名古屋の大須演芸場。弟子の披露目の楽屋にかつて共演してお世話になった名優、柄本明さんが、ふらりと立ち寄って下さった。思いがけない再会。くしゃくしゃの笑顔は極上の造形物だ。そこで悟った。ひたむきに生きることで人間の個性はより深く美しく造られると。
海外商品先物・現物[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 6313文字 PDF有 書誌情報]
非鉄・レアメタル
◇ロンドン
▽銅(グレードA、1トン、ドル)
現物 8,830.5 9,397.0
先物
3カ月 8,900.0 9,442.0
売買高(1ロット=25トン)
― 226,277
▽すず(ハイグレード、同)
現物 36,050 37,195
先物
3カ月 35,800 37,060
15カ月 35,145 36,450
売買高(1ロット=5トン)
― 9,353
▽鉛(1トン、ドル)
現物 1,892.0 1,931.0
先物
3カ月 1,918.5 1,955.5
売買高(1ロット=25トン)
― 108,146
▽亜鉛(スペシャル・ハイグ
レード、同)
現物 2,648.5 2,724.5
先物
3カ月 2,660.0 2,738.0
売買高(1ロット=25トン)
― 161,661
▽アルミ (ハイグレード、
同)
現物 2,355.5 2,436.5
先物
3カ月 2,394.0 2,464.0
売買高(1ロット=25トン)
― 457,627
▽アルミ二次合金(1トン、ドル)
現物 2,569.0 2,571.0
先物
3カ月 2,559.0 2,559.0
売買高(1ロット=20トン)
― 0
▽ニッケル(同)
現物 15,050 15,650
先物
3カ月 15,295 15,860
売買高(1ロット=6トン)
― 109,869
▽アンチモニー(市中現物、
純度99.6%、1トン、ドル)
55,000―62,000
55,000―62,000
▽ビスマス (同、純度99.99
%、1ポンド、ドル)
35.00―45.00
35.00―45.00
▽コバルト (同、カソード、
同)
18.00―20.00
18.00―20.00
▽タングステン(同、APT
10キロ、ドル)
―
―
◇ニューヨーク
▽銅 (先物、ハイグレード、
1ポンド、セント)
4月 438.45 481.10
5月 440.20 482.85
6月 441.90 484.85
7月 444.35 487.30
8月 446.55 489.70
売買高(1枚=25,000ポンド)
― 95,740
建 玉(同) ― 240,571
( 左側は当日右側は前日 )
4日
貴金属
◇ニューヨーク
▽金(先物、1トロイオンス、ドル)
4月 3,012.0 3,097.0
5月 3,022.1 3,107.4
6月 3,035.4 3,121.7
7月 3,047.9 3,134.8
8月 3,060.3 3,147.8
売買高(1枚=100トロイオンス)
― 424,365
建 玉(同) ― 485,008
▽銀(先物、1トロイオンス、セント)
4月 2,911.6 3,184.4
5月 2,923.0 3,197.0
6月 2,938.1 3,213.1
7月 2,951.5 3,227.9
8月 2,965.6 3,243.1
売買高(1枚=5,000トロイオンス)
― 179,646
建 玉(同) ― 167,442
▽銀(現物、1トロイオンス、セント)
ハンディー&ハーマン
2,973.1 3,194.5
▽プラチナ(先物、1トロイオンス、
ドル)
4月 902.0 942.5
5月 904.8 945.4
6月 910.0 951.4
売買高(1枚=50トロイオンス)
― 51,350
建 玉(同) ― 82,829
▽パラジウム(先物、同)
4月 896.2 919.1
5月 904.2 927.1
6月 907.6 930.8
売買高(1枚=100トロイオンス)
― 7,880
建 玉(同) ― 20,423
◇ロンドン
▽金(現物、値決め、1トロイオンス、
ドル)
午前 3,090.30 3,128.15
午後 3,054.50 3,118.10
石 油
◇ニューヨーク
▽原油(先物、標準品はWT
I、1バレル、ドル)
5月 61.99 66.95
6月 61.65 66.47
7月 61.26 65.92
8月 60.87 65.38
9月 60.50 64.86
売買高(1枚=1,000バレル)
― 1,497,079
建 玉(同) ― 1,854,637
▽製品(先物、1ガロン、セント)
ガソリン(改質基材)
5月 205.45 216.43
6月 204.61 215.66
7月 202.88 214.03
8月 200.46 211.62
9月 196.82 207.94
売買高(1枚=42,000ガロン)
― 377,931
建 玉(同) ― 419,147
ヒーティングオイル
5月 208.19 218.89
6月 204.42 215.87
7月 203.49 214.99
8月 203.51 214.84
9月 204.30 215.53
売買高(1枚=42,000ガロン)
― 274,250
建 玉(同) ― 334,892
▽製品 (翌月物、FOB、ニ
ューヨーク港、1ガロン、セント)
暖房油(No.2)
199.45―200.45
207.81―208.81
ガソリン(改質基材)
183.10―184.10
191.47―192.47
◇ロンドン
▽原油(先物、1バレル、ドル)
ブレント
6月 65.58 70.14
7月 64.95 69.42
8月 64.47 68.80
9月 64.11 68.30
10月 63.86 67.91
売買高(1枚=1,000バレル)
3,243,329 2,263,660
建 玉(同) ― 2,748,514
◇シンガポール
▽製品(現物、中値、FOB、
1バレル、ドル)
ナフサ 63.22 66.78
ガソリン
76.50 81.60
ケロシン
81.63 86.08
ガスオイル
77.15 81.64
C重油(硫黄分3.5%、1トン、
ドル) 429.910 457.290
天然ガス
◇ニューヨーク
▽天然ガス(先物、1MMB
TU、ドル)
5月 3.837 4.138
6月 3.945 4.257
7月 4.133 4.452
8月 4.184 4.507
9月 4.139 4.461
売買高 (1枚=1万MMB
TU) ― 471,607
建 玉(同) ― 1,642,580
綿 花
◇ニューヨーク
▽綿花 (先物、 2号、1ポンド、
セント)
5月 63.36 64.80
7月 64.56 65.71
10月 66.41 67.61
12月 66.16 67.55
3月 67.39 68.74
売買高(1枚=100俵)
― 96,520
建 玉(同) ― 280,470
穀物・油脂
◇シカゴ
▽小麦(先物、1ブッシェル、ドル)
5月 5.2900 5.3600
7月 5.4275 5.5000
9月 5.5750 5.6525
12月 5.8075 5.8900
3月 6.0100 6.0950
売買高(1枚=5,000ブッシェル)
― 160,910
建 玉(同) ― 487,243
▽トウモロコシ(先物、同)
5月 4.6025 4.5750
7月 4.6725 4.6550
9月 4.3925 4.3900
12月 4.4675 4.4750
3月 4.6050 4.6150
売買高(1枚=5,000ブッシェル)
― 513,174
建 玉(同) ― 1,888,920
▽大豆(先物、同)
5月 9.7700 10.1150
7月 9.9300 10.2625
8月 9.9125 10.2450
9月 9.7950 10.1175
11月 9.8425 10.1700
売買高(1枚=5,000ブッシェル)
― 396,365
建 玉(同) ― 870,352
▽大豆ミール (先物、 1米
トン、ドル)
5月 283.10 288.00
7月 290.30 295.40
8月 292.70 297.90
9月 294.70 299.60
10月 295.60 300.70
売買高(1枚=100米トン)
― 222,147
建 玉(同) ― 625,180
▽大豆油(先物、1ポンド、セント)
5月 45.84 47.06
7月 46.27 47.58
8月 46.22 47.55
9月 46.09 47.44
10月 45.87 47.24
売買高(1枚=60,000ポンド)
― 334,107
建 玉(同) ― 607,988
▽コメ (先物、もみ米、 100
ポンド、ドル)
5月 13.075 13.075
7月 13.270 13.295
9月 13.350 13.360
◇ニューヨーク
▽ヤシ油(CIF、ニューヨ
ーク港、1ポンド、セント、期近積み)
112.000 112.000
◇ロンドン
▽コプラ(フィリピン産、C
IF、ロッテルダム、1トン、
ドル、期近積み)
1,473.00 1,497.00
◇ロッテルダム
▽パーム油 (インドネシア
産、1英トン、ドル、期近積み)
A1,450.00 A1,470.00
◇ウィニペグ
▽菜種 (先物、1トン、カナダ
ドル)
5月 622.0 635.9
7月 626.7 639.5
11月 615.2 625.8
◇マレーシア
▽パーム油(先物、1トン、リンギ)
4月 4,702 4,811
5月 4,474 4,617
6月 4,328 4,489
ゴ ム
◇シンガポール
▽RSS3号 (先物、1キロ、
米セント)
5月 232.0 236.9
6月 225.8 230.3
7月 219.5 224.6
▽TSR20号 (先物、同)
5月 181.4 185.5
6月 181.8 186.2
7月 182.0 186.3
食 品
◇ニューヨーク
▽砂糖(先物、1ポンド、セント)
5月 18.84 19.11
7月 18.68 18.97
10月 18.85 19.17
3月 19.20 19.52
5月 18.33 18.62
売買高(1枚=50英トン)
― 163,167
建 玉(同) ― 916,392
▽コーヒー (先物、 中米物
主体、1ポンド、セント)
5月 365.70 385.25
7月 363.30 381.75
9月 359.15 377.00
12月 352.75 369.95
3月 345.60 362.35
売買高(1枚=250袋)
― 40,379
建 玉(同) ― 178,957
▽ココア(先物、1トン、ドル)
5月 8,512 9,291
7月 8,516 9,285
9月 8,351 9,087
12月 7,866 8,485
3月 7,486 7,931
売買高(1枚=10トン)
― 53,189
建 玉(同) ― 111,065
▽オレンジ果汁 (先物、 冷
凍、1ポンド、セント)
5月 226.90 234.60
7月 223.50 231.95
9月 222.10 230.20
◇シカゴ
▽生牛(先物、1ポンド、セント)
4月 202.625 208.050
6月 198.200 204.700
8月 194.700 201.175
▽豚赤身肉(先物、同)
4月 87.375 87.375
5月 85.125 88.575
6月 91.550 95.550
◇ロンドン
▽コーヒー(先物、ロブスタ
種、1トン、ドル)
5月 5,112 5,371
7月 5,128 5,388
9月 5,082 5,327
11月 4,996 5,231
1月 4,876 5,096
売買高(1枚=10トン)
21,170 20,356
▽ココア(先物、1トン、ポンド)
5月 6,342 6,652
7月 6,370 6,683
9月 6,193 6,502
12月 5,801 6,048
3月 5,542 5,660
売買高(1枚=10トン)
16,820 32,540
◇ICO (国際コーヒー機
関)のコーヒー価格(1ポンド、
セント)
3日 前日
指標価格
340.50 341.52
世界の商品指数
4日 前日比
◇日経国際商品指数
(1980年平均=100)
197.764 ▲9.467
◇FTSE・コアコモディ
ティーCRB指数
(1967年平均=100)
288.46 ▲15.09
◇LSEGコモディティー
指数
(1931年9月18日=100)
3,041.98 ▲37.68
◇S&P・GSCI(TR)
(1969年12月31日=100)
3,530.006 ▲183.080
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◇バルチック海運指数
(BDI)
(1985年平均=1000)
1,489 ▲51
──────────
LME非鉄在庫
(トン、△は増、▲は減)
3日現在 前日比
銅 210,800 △350
すず 2,990 ▲45
鉛 235,250 △4,425
亜鉛 130,275 ▲3,075
アルミ
456,750 ▲2,050
アルミ二次合金
1,560 0
ニッケル
200,400 △150
――――――――――
先物はセツルメント。Aは売り唱え。LMEは現物がセツルメント、先物が売り唱え。LSEGなど。
ニューヨーク株式、ロンドン株式、ナスダック株式 フランクフルト株式[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 3424文字 PDF有 書誌情報]
オリックス1株 18.83 ▲1.49
ソニーG1株 21.82 ▲1.56
武 田0.5株 14.72 ▲0.47
トヨタ10株 158.63 ▲9.44
野 村1株 5.17 ▲0.46
ホンダ3株 25.00 ▲1.34
みずほFG0.2株 4.25 ▲0.71
三井住友FG0.6株 12.40 ▲1.16
三菱UFJ1株 11.06 ▲1.04
アボット・ラボ 124.44 ▲7.19
アルコア 24.81 ▲2.52
アリババ 116.54 ▲12.79
アルトリア・グループ 56.07 ▲1.82
アメックス 233.68 ▲13.32
AIG 78.95 ▲7.25
アーチャーダニエルズ 43.32 ▲4.25
AT&T 26.64 ▲1.96
バンク・オブ・アメリカ 34.39 ▲2.83
バス&ボディワークス 27.29 ▲0.56
バクスター 28.79 ▲2.56
バークシャー・ハザウェイ 493.54 ▲36.62
ボーイング 136.59 ▲14.32
B P 28.38 ▲2.96
ブリストルマイヤーズ 55.30 ▲1.90
ブランズウィック 46.68 ▲1.25
キャタピラー 288.08 ▲17.68
シェブロン 143.28 ▲12.84
シエナ 53.50 ▲2.69
シティグループ 58.13 ▲4.92
コカ・コーラ 69.93 ▲3.25
コルゲート 91.66 ▲4.34
コノコ・フィリップス 86.29 ▲8.96
コンソリ・エジソン 109.32 ▲3.40
コーニング 39.07 ▲3.22
ディーア 429.86 ▲17.59
ダ ウ 28.20 ▲3.26
デュークエナジー 118.93 ▲5.12
イーライ・リリー 738.21 ▲50.88
エクソンモービル 104.34 ▲8.09
フットロッカー 12.64 △0.19
フォード 9.58 △0.04
Gダイナミクス 250.01 ▲19.61
GEエアロスペース 166.81 ▲20.82
G M 44.18 ▲1.72
ゴールドマンS 470.81 ▲40.42
H P 22.61 ▲1.17
ヒルトン・ワールドワイド 208.85 ▲8.53
ホーム・デポ 353.90 ▲2.01
IBM 227.48 ▲16.01
Iペーパー 47.98 ▲1.20
ジョンソン&J 153.24 ▲6.58
ジュニパーネットワークス 33.95 ▲1.29
モルガン・チェース 210.28 ▲17.01
キンバリークラーク 137.91 ▲7.31
ロッキードマーチン 432.15 ▲22.63
MMC 230.20 ▲14.07
マスターカード 489.77 ▲40.78
マクドナルド 300.11 ▲18.16
メルク 81.47 ▲4.92
モトローラ 402.13 ▲33.37
ニューモント 44.18 ▲4.15
ナイキ 57.25 △1.67
ノキア 4.78 ▲0.20
ノースロップ 485.52 ▲29.65
オキシデンタル 40.54 ▲3.36
オラクル 128.27 ▲8.96
ファイザー 22.97 ▲1.32
P&G 163.75 ▲8.64
ロックウェル 227.11 ▲12.05
RTX 117.45 ▲12.78
セールスフォース 240.76 ▲14.47
S&Pグローバル 451.50 ▲37.88
SLB 34.78 ▲4.43
シャーウィン・ウィリアムズ 332.06 ▲8.59
3 M 126.91 ▲12.83
トラベラーズ 242.26 ▲20.84
ウーバーテクノロジーズ 64.62 ▲5.23
ユニオンパシフィック 213.26 ▲10.71
ユニシス 3.94 ▲0.19
USスチール 38.29 ▲0.66
ユナイテッドヘルス 525.05 ▲15.39
VISA 313.13 ▲26.26
ベライゾン 43.03 ▲2.59
ウォルマート 83.19 ▲4.07
ディズニー 83.53 ▲5.31
ウェアーハウザー 26.26 ▲1.17
ワールプール 85.66 ▲0.46
(4日、ドル、△高▲安)
終値 前日比
(4日、ペンス、△高▲安)
終値 前日比
アストラゼネカ 10808.00 ▲584.00
アヴィヴァ 525.40 ▲29.40
BAEシステムズ 1517.50 ▲103.00
バークレイズ銀行 250.05 ▲20.85
B P 370.70 ▲29.75
BAT 3101.00 ▲81.00
BTグループ 163.85 ▲9.60
カーニバル 1137.00 ▲76.00
GSK 1417.50 ▲48.00
HSBCホールディングス 760.00 ▲44.70
キングフィッシャー 253.10 ▲7.40
ロイズ・バンキング・グループ 65.00 ▲4.70
マークス&スペンサー 363.10 ▲7.90
ナットウエスト・グループ 413.40 ▲39.10
ピアソン 1172.50 ▲28.50
プルーデンシャル 746.80 ▲50.60
RELX 3816.00 ▲110.00
リオ・ティント 4239.00 ▲254.00
ロールス・ロイス 659.00 ▲87.00
セインズベリー 237.20 ▲2.20
シェル 2481.50 ▲186.00
Sチャータード銀行 958.80 ▲40.20
テスコ 340.00 ▲5.60
ユニリーバ 4694.00 ▲90.00
ボーダフォン 66.78 ▲4.66
(4日、ドル、△高▲安)
終値 前日比
アーム1株 87.71 ▲10.01
シーラテクノロジーズ0.01株 2.09 ▲0.01
メディロム1株 0.52 ▲0.18
東京生活館10株 3.05 ▲0.12
アドビ 349.07 ▲18.18
アルファベット 145.60 ▲5.12
アマゾン・ドット・コム 171.00 ▲7.41
アメリカン電力 104.48 ▲4.63
アムジェン 294.39 ▲15.46
アップル 188.38 ▲14.81
アプライドマテリアルズ 126.95 ▲8.56
バイオジェン 122.98 ▲7.73
ブロードコム 146.29 ▲7.72
キャンベルスープ 38.79 ▲1.03
チェック・ポイント・ソフト 215.52 ▲8.50
シスコシステムズ 54.54 ▲2.77
コムキャスト 33.38 ▲2.34
eベイ 62.40 ▲3.96
フィフス・サード・バンコープ 33.75 ▲1.72
ハネウェル 190.99 ▲15.69
インテル 19.85 ▲2.58
メ タ 504.73 ▲26.89
マイクロソフト 359.84 ▲13.27
ネットアップ 76.10 ▲4.99
ノーザン・トラスト 86.01 ▲4.57
エヌビディア 94.31 ▲7.49
ペイチェックス 143.32 ▲10.21
ペイパル・ホールディングス 58.37 ▲3.34
ペプシコ 146.61 ▲4.76
クアルコム 127.46 ▲11.96
スターバックス 82.10 ▲6.16
テスラ 239.43 ▲27.85
ベリサイン 240.20 ▲15.23
ウォルグリーン 10.68 ▲0.38
ゼロックス 4.00 ▲0.18
インベスコQQQトラスト 422.67 ▲27.99
(4日、ユーロ、△高▲安)
終値 前日比
アリアンツ 332.40 ▲21.40
BASF 41.51 ▲1.87
バイエル 20.10 ▲1.17
BMW 68.00 ▲3.12
コメルツ銀行 20.41 ▲1.16
ドイツ銀行 18.79 ▲2.04
独テレコム 32.60 ▲1.37
DHLグループ 34.98 ▲2.29
エーオン 14.03 ▲0.57
ルフトハンザ 6.07 ▲0.28
メルセデス・ベンツ 49.07 ▲2.70
SAP 231.20 ▲7.75
シーメンス 185.62 ▲11.86
ティッセンクルップ 8.37 ▲0.85
フォルクスワーゲン 90.10 ▲2.20
ハイテク株弱気相場入り[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 1274文字 PDF有 書誌情報]
4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比2231ドル安の3万8314ドルで終えた。トランプ米政権による関税政策が景気悪化を招くとの警戒感から、前日の1679ドル安に続いて売りが膨らんだ。特にハイテク株の下げがきつく、相場の底入れの兆しは見えない。
3~4日の米株相場はアップルやエヌビディアなど超大型ハイテク株を中心に総崩れとなった。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4日に5・8%下げ、昨年12月に付けた最高値からの下落率は20%を上回った。「弱気相場」に突入したと定義され、投資家はさらなる株安に身構えている。
□ □ 貿易戦争が激化するとの警戒が投資家のリスク回避を促している。中国は4日、トランプ米大統領が発表した「相互関税」を受けて報復措置を講じると明らかにした。報復が連鎖すれば世界経済の下振れにつながりかねない。
昨年までのハイテク株高は人工知能(AI)への投資が拡大するとの期待が背景にあった。足元では関税による景況感の悪化で企業がAI投資を絞るとの懸念が台頭している。米ブルームバーグ通信は3日、マイクロソフトがAIの推論や学習に使うデータセンターの建設計画を世界的に見直していると報じた。
ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏はトランプ大統領による関税政策を「テックの通商を壊滅させる経済的ハルマゲドン(終末戦争)」と表現。供給網を構築する上で重要度が高い中国や台湾に対する高い関税は「米国のテック業界を本質的に遮断することになる」と強調した。米国で販売するあらゆる電子機器の値上がりにつながり、消費者の負担が増すとみている。
米景気の悪化と株安への恐怖心が高まるなか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日の取引時間中に講演した。想定を上回る関税が高インフレと経済成長の減速につながると懸念し、金融政策の適切な方向性を示すのは「時期尚早だ」と話した。
講演の前にはトランプ大統領がSNSで「今は利下げに最適な時期だ」と述べた。市場では、にわかに利下げに前向きなハト派的発言が相場を支える「パウエル・プット」に対する期待が意識されたが、実現しなかった。発言はむしろ「タカ派的だった」(エバコアISIのクリシュナ・グーハ氏)との指摘があり、米国の主要株価指数は講演後に下げ幅を広げる展開となった。
□ □ カナダ銀行(中央銀行)は3月に政策金利を発表した際に「金融政策は貿易戦争の影響を相殺できない」と言及し、中銀の対応には限界があるとの考えをにじませた。FRBもできることは少ないと見透かした投資家が米株への売りを膨らませているフシがある。
4日は最も影響力のある経済指標である米雇用統計(3月)が発表されたが「相互関税前の古いデータだ」としてほぼ無視された。それだけ市場が関税で混乱しているということだ。米著名投資家のビル・グロス氏は3日、X(旧ツイッター)への投稿で「落ちるナイフをつかもうとするな」と述べ、安易に押し目買いに動くべきではないと警告していた。
(NQNニューヨーク=川上純平)
取引所FX[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 933文字 PDF有 書誌情報]
( 4 日取引 )
清算値 前日比 スワップ
ポイント
▽くりっく365(東京金融取引所)
【対円取引】
米ドル
146.840 +0.770 170円
ユーロ
160.705 -0.755 99円
英ポンド
189.04 -2.30 222円
豪ドル
88.650 -3.765 89円
スイスフラン
170.35 +0.32 3円
カナダドル
103.20 -0.51 71円
NZドル
82.05 -2.55 70円
南アランド
7.680 -0.105 131円
トルコリラ
3.87 +0.05 28円
ノルウェークローネ
13.665 -0.480 140円
香港ドル
18.890 +0.115 59円
スウェーデンクローナ
14.615 -0.330 89円
メキシコペソ
7.170 -0.160 161円
ポーランドズロチ
37.62 -0.58 54円
【外貨クロス】
ユーロ/米ドル
1.0943 -0.0088 -0.60 米ドル
英ポンド/米ドル
1.2886 -0.0199 0.05 米ドル
英ポンド/スイスフラン
1.1110 -0.0140 1.26 スイスフラン
米ドル/スイスフラン
0.8622 +0.0024 0.97 スイスフラン
米ドル/カナダドル
1.4223 +0.0134 0.79 加ドル
豪ドル/米ドル
0.6039 -0.0284 -0.08 米ドル
ユーロ/スイスフラン
0.9435 -0.0051 0.58 スイスフラン
ユーロ/英ポンド
0.8492 +0.0063 -0.49 英ポンド
NZドル/米ドル
0.5589 -0.0200 -0.16 米ドル
ユーロ/豪ドル
1.8121 +0.0677 -0.75 豪ドル
英ポンド/豪ドル
2.1340 +0.0646 0.29 豪ドル
◇シカゴ,終値,前日[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 735文字 PDF有 書誌情報]
◇シカゴ 終値 前日
円(100円につき)
6月 0.68635 0.68855
9月 0.69280 0.69510
ユーロ
6月 1.09885 1.10820
9月 1.10440 1.11380
英ポンド
6月 1.2880 1.3094
9月 1.2877 1.3092
スイスフラン
6月 1.17210 1.17120
9月 1.18400 1.18320
Eミニ・S&P500
6月 5110.25 5432.75
9月 5149.25 5476.50
米Tボンド(1/32)
6月 120‐19 119‐13
9月 120‐08 119‐03
米Tノート(〓)
6月 113‐015 112‐205
9月 113‐085 112‐255
( 4 日)
◇ニューヨーク 前日
日本円 146.85 ― 146.95 146.10
ユーロ(=米ドル) 1.0960 ― 1.0970 1.1050
英ポンド(=米ドル) 1.2900 ― 1.2910 1.3100
スイスフラン 0.8605 ― 0.8615 0.8595
カナダドル 1.4245 ― 1.4255 1.4095
◇ロンドン
日本円 145.50 ― 145.60 145.45
ユーロ(=米ドル) 1.0980 ― 1.0990 1.1115
英ポンド(=米ドル) 1.2930 ― 1.2940 1.3165
スイスフラン 0.8550 ― 0.8560 0.8555
◇SDR相場(IMF) 1.33914ドル 195.434円
( 4 日、対米ドル相場)
海外商品先物・現物週間高低,,,,[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 722文字 PDF有 書誌情報]
海外商品先物・現物週間高低
(3月31日~4月4日)
始値 高値 安値 終値
ロンドン原油ブレント 73.76 75.47 64.03 65.58
NY原油WTI 69.43 72.28 60.45 61.99
ロンドン金 3,120.20 3,133.70 3,054.50 3,054.50
NY金 3,091.0 3,168.6 3,011.0 3,012.0
NYプラチナ 984.8 1,011.2 899.9 902.0
NY銀 3,476.0 3,500.0 2,911.6 2,911.6
LME銅 9,673.0 9,673.0 8,830.5 8,830.5
LME鉛 2,002.0 2,002.0 1,892.0 1,892.0
LME亜鉛 2,829.0 2,829.0 2,648.5 2,648.5
LMEアルミ 2,518.5 2,518.5 2,355.5 2,355.5
シンガポール天然ゴム 244.0 244.0 232.0 232.0
NY綿花 66.80 68.58 60.80 63.36
シカゴ小麦 5.2950 5.4400 5.2050 5.2900
シカゴトウモロコシ 4.5300 4.6500 4.4400 4.6025
シカゴ大豆 10.2300 10.3475 9.7025 9.7700
NY砂糖 19.00 19.63 18.72 18.84
NYコーヒー 380.00 393.70 364.90 365.70
日経国際商品指数 212.315 212.543 197.764 197.764
CRB指数 309.30 313.56 288.46 288.46
〈週末の海外株式〉[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 525文字 PDF有 書誌情報]
4日終値 騰落率 騰落幅
NYダウ(米国) 38314.86 -5.50% ( ▲2231.07 )
ナスダック総合(米国) 15587.786 -5.81% ( ▲962.819 )
トロント(カナダ) 23193.47 -4.69% ( ▲1142.30 )
ボベスパ(ブラジル) 127256.00 -2.96% ( ▲3884.65 )
FTSE100(英国) 8054.98 -4.95% ( ▲419.76 )
DAX(ドイツ) 20641.72 -4.95% ( ▲1075.67 )
CAC40(フランス) 7274.95 -4.26% ( ▲324.03 )
SMI(スイス) 11648.83 -5.13% ( ▲630.65 )
RTS(ロシア) 1039.88 -2.59% ( ▲27.67 )
BIST100(トルコ) 9379.83 -1.10% ( ▲104.43 )
…………………………………………………………………………
SENSEX(インド) 75364.69 -1.21% ( ▲930.67 )
◇米国長期金利,前日[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 473文字 PDF有 書誌情報]
◇米国長期金利 前日
米 国 債 10年 4.00 4.03
30年 4.41 4.47
◇欧州長期金利
英 国 債 10年 4.424 4.528
30年 5.092 5.178
独連邦債 5年 2.099 2.214
10年 2.556 2.638
◇米国短期金利 前日
プライム 7.50 7.50
TB 3カ月 4.17 ― 4.15 4.20 ― 4.18
6カ月 3.98 ― 3.96 4.05 ― 4.03
( 4 日、%)
( 4 日、東京金融取引所)
◇日経225(円)
清算値 前日比
32267 -1668
金利相当額 配当相当額
-44 0
( 4 日、シカゴ・マーカン
タイル取引所、円建て)
清算値 前日比
25/6月 32245 -1650
25/9月 32225 -1650
25/12月 32190 -1675
NYダウ工業株30(ドル)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 454文字 PDF有 書誌情報]
NYダウ工業株30(ドル)
前日比
終値 38314.86 ▲2231.07
始 値 40097.90
高 値 40097.90
安 値 38264.87
ダウ輸送株20(ドル)
終値 13160.27 ▲461.07
ダウ公共株15(ドル)
終値 974.93 ▲51.56
S&P500種 前日比
終値 5074.08 ▲322.44
高 値 5292.14
安 値 5069.90
NY売買高(万株)
210504 △46130
値上がり 491
値下がり 4067
変わらず 237
ナスダック総合
終値 15587.786 ▲962.819
始 値 16045.600
高 値 16128.156
安 値 15575.677
VIX指数 (シカゴオプション取引所)
終値 45.31 △15.29
(4日)
QUICK月次調査〈債券〉[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 281文字 PDF有 書誌情報]
3月のQUICK月次調査<債券>で、4月末の新発10年物国債の予想利回りは単純平均で1.555%だった。2月調査時の3月末予想(1.379%)から上昇した。証券会社の債券担当者など116人が回答した。
利回りの予想
(単純平均、単位%)
25 年〓4月末 25 年〓6月末 25 年〓9月末
新発10年国債 1.555 1.602 1.647
新発5年国債 1.159 1.206 1.259
新発2年国債 0.877 0.934 0.989
無担保コール 0.486 0.576 0.719
O/N物
(注)調査期間 3月25~27日
4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4営業日ぶりに反落し、前日比80銭円安・ドル高の1ドル=146円85~9・・・[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 248文字 PDF有 書誌情報]
4日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4営業日ぶりに反落し、前日比80銭円安・ドル高の1ドル=146円85~95銭で取引を終えた。週末を前に利益確定や持ち高調整の円売りが出た。
ド ル/円 1ドル= 146.85~146.95円 ( 80銭の円安 )
ユーロ/円 1ユーロ= 160.60~160.70円 ( 60銭の円高 )
ユーロ/ドル 1ユーロ= 1.0960~1.0970ドル ( 0.0085ドルのユーロ安 )
(NY市場4日終値)
スワップポイントは対円取引では各外貨1万(南アランド、ノルウェークローネ、香港ドル、スウェーデンクローナ、メキシコ・・・[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 155文字 PDF有 書誌情報]
スワップポイントは対円取引では各外貨1万(南アランド、ノルウェークローネ、香港ドル、スウェーデンクローナ、メキシコペソは10万)通貨単位を買い持ちした場合、外貨クロスでは左の外貨1万通貨単位を買い持ちした場合の金利差等の調整額。プラスは受け取り、マイナスは支払いで、売り持ちの場合はプラス・マイナスが逆転する。
〈商品〉[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 110文字 PDF有 書誌情報]
原 油(期近、1バレル、ドル)
NY(WTI) 61.99 ▲4.96
北海ブレント 65.58 ▲4.56
NY金(期近、1トロイオンス、ドル) 3,012.0 ▲85.0
( 4日 終値)
図表のデータはLSEGなどから。株価指数の名称は一部略[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 29文字 PDF有 書誌情報]
図表のデータはLSEGなどから。株価指数の名称は一部略。
清算値,前日比,スワップ[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 2ページ 23文字 PDF有 書誌情報]
清算値 前日比 スワップ
ポイント
ウクライナ、停戦後の部隊派遣計画「1カ月で」 英仏軍と協議[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 1057文字 PDF有 書誌情報]
【ウィーン=金子夏樹】ウクライナとフランス、英国の軍幹部は4日、停戦合意後に欧州がウクライナに部隊を派遣する計画について会合を開いた。英仏はウクライナへの部隊派遣を決めており、規模や配置場所など具体的な協議を始めた。
キーウで開いた会合には3カ国の軍参謀総長らが参加した。ウクライナからはシルスキー軍総司令官、パリサ大統領府副長官も同席したという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は会合後の記者会見で、1カ月後をめどに部隊派遣の基本的な枠組みを固める方針を示した。「陸空海の各軍部隊について協議した」と述べ、今後数週間にわたり軍幹部クラスの会合を毎週開くと明らかにした。
部隊の派遣場所や停戦監視の手法についてウクライナ側の要望を伝え、英仏と意見を擦り合わせたとみられる。同氏は1日、派遣される陸海空の各軍部隊の役割について協議する考えを示していた。
パリサ大統領府副長官は3日、ウクライナに部隊を派遣する有志国連合を巡って「10~12カ国が参加する用意がある」と説明した。英仏に加え、北欧やバルト3国、ベルギーなどの参加を想定している。
英仏などはウクライナが必要と認めた場所のみの部隊配置を検討している。ウクライナとロシアの前線は1000キロを超え、欧州が見込む数万人規模の派兵で十分な監視は難しいためだ。
ウクライナのシンクタンク「ユナイテッド・ウクライナ」のボフダン・ポポフ氏は日本経済新聞に対し「ウクライナ側は有志国の部隊がロシアへの抑止力になると期待し、重要なインフラ施設や攻撃されやすい拠点への配置を要望する」との分析を示した。
部隊派遣の前提となる停戦交渉は足元で停滞している。ロシアのリャプコフ外務次官は1日に公表されたインタビューで米国が提案した停戦案について「そのまま受け入れることはできない」と難色を示した。
ロシアは欧州有志国によるウクライナへの派兵をロシアの主権に対する「直接的な脅威」として強く反対する立場を変えていない。
それでもウクライナが部隊派遣の実現を急ぐのは、停戦に前向きな姿勢を米国にアピールする狙いが浮かぶ。ゼレンスキー氏はロシアが停戦交渉を阻害していると主張することで、米国に対ロ制裁の強化を訴える方針だ。
有志国との会合ではウクライナが求めている同国軍の増強についても、支援の具体策を話し合う。停戦の合意まで時間がかかることをにらみ、ウクライナは安全の保障の枠組み整備を急ぐ。
【図・写真】ゼレンスキー氏は軍幹部クラスの会合を毎週開くと明らかにした(4日)=ロイター
「バフェット氏が米経済政策評価」は トランプ氏自身も拡散 投資会社が注意喚起[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 703文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=竹内弘文】著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは4日、「ソーシャルメディアで流布する、バフェットによるとされる発言は全て虚偽」との声明を出した。トランプ米大統領の経済政策をバフェット氏が評価しているとする動画が出回り、トランプ氏も自身のSNSで紹介。会社として注意喚起した。
X(旧ツイッター)の利用者が3日夜に投稿した動画は「トランプ氏が相互関税を発表して株式相場を急落させたのは、金利低下を促すためで意図的なもの」とする独自の見解を説明。バフェット氏の画像を挿し込み「トランプ氏の行為は、過去50年で最良の経済政策だとバフェット氏が語った」と続けた。
トランプ氏は4日朝、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で動画へのリンクをはると、トランプ支持者らからの閲覧を集めてネット上で一気に拡散した。
バフェット氏と親交のある米CNBCのアンカー、ベッキー・クイック氏が直接バフェット氏に問い合わせたところ、同氏は「相場や関税について誰とも話していないし、5月開催のバークシャー株主総会までは語るつもりもない」と述べたという。
バフェット氏は民主党支持者として知られるが、政治的な発信からは距離を置く。卓越した銘柄選別から「オマハの賢人」と呼ばれ高い知名度を持つ同氏をかたって政治的主張に用いようとする試みは後を絶たない。
米大統領選直前の2024年10月には、バークシャーはバフェット氏が選挙活動で特定の候補者を支援しないとする声明を出した。当時、バフェット氏の名を用いて特定陣営の主張を展開するなりすましが横行しているとも警告していた。
アルゼンチン、米関税免除交渉へ規制緩和[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 573文字 PDF有 書誌情報]
【サンパウロ=水口二季】アルゼンチンのミレイ大統領は4日までに、トランプ米政権が同国に対して10%の関税を課すと発表したことを受けて「非対称を解消する措置を講じる」と述べた。外相らがトランプ政権と会談した結果、規制の調整を進めるよう指示したと明らかにした。一部の製品で関税の免除を求めて交渉する。
トランプ氏への同調姿勢を強めるミレイ氏は、相互関税が発表された翌3日にフロリダ州のトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で開かれた保守系のイベントに参加した。
ミレイ氏は演説で「トランプ氏が提案する要件を満たすよう、規制の再調整を進めることになった」と表明した。
同日、アルゼンチンのウェルテイン外相がラトニック米商務長官や米通商代表部(USTR)のグリア代表らと会談していた。
ミレイ政権は、米国側が障壁になっていると主張する一部の輸入制限や検疫といった規制の再調整を進めるとみられる。その上でミレイ氏は「約50の製品で関税の調和を進め、両国間をより自由に行き来できるようにする」と述べ、一部製品の関税の引き下げや撤廃などを求めて交渉すると明らかにした。
両国間の関税や貿易障壁が負の遺産になっているとして「米国との貿易協定を前進させるという決断の一歩だ」と述べた。ミレイ氏は、これまでも米国と自由貿易協定(FTA)を締結したいと主張していた。
ウクライナ、停戦後の部隊派遣計画「1カ月で」――ロシアの真剣さ「数週間で判断」 米国務長官、停戦巡り[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 546文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=坂口幸裕】ルビオ米国務長官は4日、ウクライナ侵略を続けるロシアについて「和平に真剣かどうかは数カ月でなく数週間でわかるだろう」と述べた。停滞する停戦交渉を巡り「引き延ばし戦術なら、トランプ大統領は終わりのない交渉のワナにはまる気はない」と警告した。
訪問先のベルギーで記者団の質問に答えた。ルビオ氏は「我々はロシアが和平に関心があるかどうか試している。真剣さを判断するのは彼らの言葉でなく行動だ」と表明した。停戦交渉が進まない現状へのいら立ちをにじませた。
ルビオ氏は2~3日に米首都ワシントンを訪れていたロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁と会談したと明かした。ロシアのプーチン大統領に和平への本気度を確認するメッセージを託し「プーチン氏が和平に真剣に取り組むのか決断する必要がある」と提起した。
ドミトリエフ氏はロシアの大統領特別代表に任命され、対米交渉を担う。2月18日にサウジアラビアで開いた米ロ高官による停戦協議の初会合に出席した。その場で顔を合わせたウィットコフ米中東担当特使とも2日にワシントンで会った。共和党議員とも面会した。
米CNNによると、2022年2月にロシアがウクライナ侵略を始めて以降、ロシアの政府高官がワシントンを訪れて協議するのは初めてになる。
TikTok売却を75日間再延長 トランプ氏、対中関税を取引材料に[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 473文字 PDF有 書誌情報]
【シリコンバレー=山田遼太郎】トランプ米大統領は4日、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の売却期限を75日間延長すると表明した。期限延長は1月に続き2回目で、新たな期限は6月中旬となる。運営会社や買い手候補に加え、中国政府との交渉を進めるため再延長を決めた。
トランプ氏は自身のSNSで「全ての承認を得るにはさらに作業が必要だ」と述べた。サービス停止を望まない考えを強調した。「TikTokと中国と協力し、取引を成立させることを楽しみにしている」と書き込んだ。
TikTokをめぐり対中関税を取引材料にする考えも示した。「中国は我々の相互関税を喜んでいないと理解しているが、誠意をもって中国と協力を続けることを望む」と述べた。
トランプ氏は2日、中国からの輸入品に34%の相互関税を上乗せすると発表した。既にかけた計20%の追加関税とあわせて計54%になる。トランプ氏はTikTokの米企業への売却を中国政府が承認するのと引き換えに関税を引き下げる可能性に言及している。中国は米国に対する報復関税を4日発表した。
ホンダ、米に宇宙部門 月面開発など事業拡大[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 442文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=川上梓】ホンダは4日、米国で宇宙事業部門を設立したと発表した。米国で宇宙開発市場が広がる中、月面開発などの事業拡大に向けて日本で開発した技術をアピールし、米国企業との連携を増やす。まず米新興企業2社と協力し、国際宇宙ステーション(ISS)で月面向け燃料電池システム技術の試験を進める。
2024年末に米国法人に宇宙事業部門を立ち上げた。米航空宇宙局(NASA)や現地企業と連携して事業拡大を担う。米新興企業のシエラスペース、テックマスターズと協力し、ISSで技術試験を手がける計画だ。
ホンダは19年から日本で宇宙向けの技術開発に取り組んでいるが、米国で事業を立ち上げるのは初めてとなる。日本では再利用可能なロケット技術に加え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して月面で長期間使用できる再生可能エネルギーを使った燃料電池システムを開発している。
ホンダの米国法人は4日「ホンダの中核技術を活用して、月面での人間の活動を広げ、開発に応用していく」とコメントした。
欧州車大手、メキシコ投資判断が二分 関税発動受け[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 416文字 PDF有 書誌情報]
欧州の自動車大手ステランティスがメキシコで電気自動車(EV)生産を継続するかどうかを含めて検討している、とメキシコ政府に伝えたことがわかった。一方、スウェーデンのボルボ・カーは3億ドル(約440億円)を追加投資すると明らかにした。トランプ米政権の関税発動を受け、メキシコ生産をめぐる欧州車メーカーの戦略も分かれ始めた。
メキシコのシェインバウム大統領が4日の定例記者会見で、ステランティスの方針を明らかにした。
自動車と鉄鋼・アルミニウムはトランプ政権が課した関税の対象で、シェインバウム氏は「より良い条件を見つけるために米政府と対話している」と述べた。
メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)によると、クライスラーを傘下に持つステランティスは2024年にメキシコで41万9000台を生産し、35万台超を米国などへと輸出していた。24年12月には最大15の新型車を投入し、首都近郊の工場ではEVを生産すると表明したばかりだった。
インドとバングラデシュ首脳会談[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 198文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=岩城聡】経済協力枠組み「ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)」首脳会談が開催されているタイの首都バンコクで4日、インドのモディ首相とバングラデシュ暫定政権トップのムハマド・ユヌス首席顧問が会談した。ユヌス氏率いる暫定政権は、去年8月にインドに逃亡したハシナ前首相の身柄引き渡しを巡り対印関係が悪化している。両首脳の会談は、ハシナ氏がインドに逃亡して以来初めて。
北朝鮮の尹錫悦氏罷免報道、論評なし[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 158文字 PDF有 書誌情報]
【ソウル=小林恵理香】北朝鮮の朝鮮中央通信は5日、4日に韓国憲法裁判所が韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免を決定したと報じた。論評はなく、事実関係のみを伝えた。ロイター通信など海外メディアを引用する形で「韓国は政治的混乱に陥っている」「韓国が数カ月間経験してきた政治的混乱が終わるわけではない」と報じた。
クラーナ、米IPO延期検討[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 153文字 PDF有 書誌情報]
【ニューヨーク=佐藤璃子】スウェーデンのフィンテック決済大手クラーナが米国市場での新規株式公開(IPO)を延期する検討に入ったことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、関係者の話として伝えた。トランプ米大統領による関税政策の発表で市場が急落していることを受けた動きとみられる。
ベンガル湾地域、海上輸送網強化[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 105文字 PDF有 書誌情報]
【バンコク=井上航介】東南アジアと南アジアを結ぶ経済協力枠組み「ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)」関連首脳会議は4日、ベンガル湾岸地域を巡る海上輸送網を開発・強化する方針で合意した。
「トランプ・ゴールドカード」初披露 7億円で米の永住権[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 228文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】トランプ米大統領は3日、大統領専用機内で記者団に対し、500万ドル(約7億3千万円)で米国の永住権を取得できる「トランプ・ゴールドカード」を初披露した=写真はAP。デザインは全体が金色で、自由の女神像を背景にトランプ氏の肖像やサイン、500万ドルを示す「5M」の文字があしらわれた。
トランプ氏はカードを手にして「500万ドルであなたのものだ。2週間以内に販売される」と説明。記者団から「最初の購入者は誰か」と問われ「私だ」と答えた。
大谷「常識破り」の打撃法 メジャー平均より15.5センチ引きつけ捉える 筋力・柔軟性あってこそ[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 2424文字 PDF有 書誌情報]
見慣れた光景でも、別の視点が加わることで新鮮となり、改めてその物事の本質に触れられることがある。
分かりやすい一例が空振り。今永昇太(カブス)の4シームファストボール(4シーム)の球速は約93マイル(約150キロ)で大リーグでは極めて平均的。しかし、高い回転数(2442=1分間)、高い回転効率(99%)、マイナス4.0度という低いバーティカル・アプローチ・アングル(VAA)を誇り、縫い目の影響も相まって、相手は彼の4シームが浮き上がっていると錯覚する。
VAAとは、ホームベースにどのくらいの角度で達したかを示す数値。地面と平行なら0度。投手の球は基本的に上から投げ下ろすので、数値はマイナスになる。投球コースが高めであれば角度は小さくなるが、今永の4シームの平均VAAはマイナス4度前後。メジャー平均がマイナス5度で、先発投手でマイナス4度となると片手で数えるほどしかいない。その見慣れない軌道こそが相手を翻弄している。
球速だけでは、わからないのだ。「回転数が高いから」という説明だけでは、あまりにも話を単純化している。
大谷翔平(ドジャース)が米国での開幕戦で放った一発も、まさにそんな本塁打。あの本塁打の打球初速は108.9マイルで、打球角度は25度。この限りでは、さほど珍しくないデータだが、これが仮にホームベース上で捉えた打球だとしたら? 力学的に可能なのか? という疑問を抱くのは、むしろ玄人ではないか。
データから実証
まだコンタクトした位置の正確なデータは出ていないが、大リーグでは今年から打者がどこでボールを捉えたかのデータを提供する予定。参考として先日、昨年のデータが先行公開されたが、大谷の場合、コンタクトした位置の平均値はマイナス3.7インチ(約9.4センチ)だった(ホームベースの一番投手寄りのラインを0とし、前であればプラス、後ろであればマイナスとする)。
これがいかに特異なことか。
メジャーの平均値はプラス2.4インチ(約6.1センチ)なので、その差は約15.5センチもある。言い換えれば、大谷は平均的な打者よりも15.5センチも引きつけて打っていることになる。この数値は打席の立ち位置などによっても変わってくるが、別のデータでも「こんなに近い距離で打っているのか?」ということが証明されている。
そのポイントで捉え、反対方向に飛距離を出すことがいかに難しいか。かつて横浜(現DeNA)やソフトバンクでプレーし、現在は野球解説者を務める多村仁志さんは「日本だと金森理論(金森栄治氏による打撃理論)といって、やはり、できるだけ体の近くまで引きつけて、右打者なら右半身の軸回転で強い打球を打つ理論もあります。城島(健司)さん、井口(資仁)さんがそうでした」と教えてくれたが、「大谷選手のように、あれだけ近いポイントで打って、あれだけの飛距離を出すというのは、金森理論とは少し違いますが、現代の打撃理論のバレルターンも含め、打ちにいく時のトップの位置からのクイックな動きや相当な筋力と柔軟性がないと無理だと思います」と話し、続けた。「普通は押し込まれてファウルになるか、浅いフライになるか、という感じでしょうか」
現代の打撃理論
バレルターンはアーロン・ジャッジの個人打撃コーチを務めるリチャード・シュネックさんらが提唱している理論で、打撃の始動の際、素早くバットの先端を捕手の方向に倒す動き。投球軌道とスイング軌道を同一線上に入れやすくなる。
どうだろう。素人との比較なら、ゲームセンターなどにあるパンチングマシンで、多くの人が助走をつけたり勢いをつけてパンチしたりするのと違って、大谷は手首のスナップだけでベストスコアをたたき出す感じだろうか。
では、メジャーの他のスラッガーは、どのポイントで捉えているのか。
先ほども触れたようにコンタクトポイントの平均値だけで比較した場合、バッターボックスの立ち位置などによっても誤差が出るのでその平均値に加え、体の重心からコンタクトポイントまでの距離をまとめてみた。
これを見ると、コンタクトポイントが大谷より後ろの選手はいるが(J・D・マルチネス、マーセル・オズナら)、重心からの距離となると、大谷より近い選手はいない。もちろん全選手のデータを出したわけではないが、やはり突出している。
ちなみにメジャーには、「ホームベースの前にお金が落ちている」という表現がある。ウォルカー・ジェンキンスというツインズのプロスペクト(若手有望株)も、米データサイト「ファングラフス」の取材に対し、「お金を稼ぐなら、ベースの前にある」と話している。「より相手にダメージを与えられるし、よりパワーが打球に伝えられる」。
また、元カブス打撃コーチのアンディ・ハインズも、「勝負は、ホームプレートの前9~18インチで決まる」と話したことがあるそうだ。
そんなメジャーの常識で考えても、大谷のコンタクトポイントは非常識なレベルだ。
ここまでボールを引きつけるということは、ボールを長く見るということにもなる。ストライク、ボールの見極めだけではなく、球種の判断でも有利に働く。また、大谷の打席で捕手の打撃妨害が多いのも、これである程度説明がつく。捕手は最後に腕を伸ばすようにして捕球するが、大谷の始動のタイミングが遅いので、当たってしまうのだろう。
スイングスピードの速さゆえでもあるが、あの本塁打に関していえば74.8マイルで、昨年の平均値(76.3マイル)を下回った。コンタクトした位置とどう関係しているのか。そこを掘り下げると本人の意識も確認する必要があるので、今回はここまでにする。新しい視点が提供されたこともあって、今年も開幕から、素人も玄人も飽きさせない大谷である。
(スポーツライター 丹羽政善)
【図・写真】米国での開幕戦となったタイガース戦の七回、2号ソロを放つドジャース・大谷=共同
陸上ホープ豊田、再出発を誓う春 パリ五輪不完全燃焼 「為末超え」に挑む[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 3ページ 592文字 PDF有 書誌情報]
悔しさを糧に、新天地へ飛び込む。陸上男子400メートル障害で昨年のパリ五輪代表の豊田兼が慶大を卒業し、4月からトヨタ自動車に入社。9月に東京で開催される世界選手権や、2028年ロサンゼルス五輪を見据える22歳のホープは「世界で経験を積んで、トップで戦える選手になりたい」と一層の飛躍を期す。
初の五輪はほろ苦い結果に終わった。昨年6月下旬の日本選手権で左太もも裏を肉離れし、大会前に再発。自己記録にも遠く及ばないタイムで予選を完走するのがやっとで「目標にしていた舞台だったが、出て終わってしまったことが非常に悔しかった」と振り返る。
けがが癒え、強度の高い練習を再開したのは年が明けてから。反省を生かし、準備運動を負傷前の2倍ほどに増やすなど再発防止に力を注ぐ。左右のバランスを整える取り組みの一環で、従来の左足だけでなく右足での踏み切りにも挑戦。「感覚は近づいてきている」と自信を深めている。
110メートル障害でも日本のトップクラスだが、世界選手権が控える今季は日本歴代3位の記録を持つ400メートル障害に専念する。為末大さんが01年に樹立した47秒89の日本記録までは0秒10と迫っており「今年中に突破したい」と意欲を燃やす。
新所属でのデビュー戦は4月12、13日の出雲大会になる予定だ。「五輪でのメダルが目標。今後の試合がすごく楽しみ」と世界への再挑戦に胸を躍らせている。
生鮮食品[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 4ページ 3265文字 PDF有 書誌情報]
5 日 (円)
魚 介
(中央卸売市場卸値、消費税込み。大阪は本場・うおいち、大阪淡水魚貝調べ。1キロ)
◇大阪・本場=強含み
(入荷142トン) 高値 安値
キワダ 各地 3024 1404
イワシ・中 鳥取 324 ―
カツオ 鹿児島 1512 864
マダイ・養殖 愛媛 1458 1188
車エビ・養殖 沖縄 16200 7560
ヒラメ・養殖 鹿児島 3024 1188
タチウオ 熊本 2700 540
サヨリ 徳島 3240 2160
メイタカレイ 兵庫 1620 ―
サワラ 和歌山 1296 756
モンゴウイカ・冷凍 各地 1188 972
ハマチ・養殖 大分 1728 1620
マナカツオ 兵庫 3780 ―
キス 大分 3240 540
アワビ 宮城 32400 3240
タコ 兵庫 3780 1080
キンメダイ 千葉 4644 1296
アマダイ 山口 4860 540
ウルメイワシ 大分 1512 1080
チリメン 兵庫 3888 3672
シラス 和歌山 1620 864
ホタルイカ・1枚 兵庫 1296 864
干しカレイ 島根 2484 648
ハマグリ 千葉 2916 1188
シジミ 島根 864 648
サザエ 山口 2160 1080
ホタテ 北海道 10800 2160
ウニ 北海道 43200 12960
カキ 三重 4320 2160
ウナギ・養殖 愛知 6480 4320
アユ 和歌山 2700 1296
野 菜
(中央卸売市場卸値、消費税込み。東京は大田・東一、大阪は東部・東果大阪調べ)
◇東京・大田=もちあい
(入荷1598トン) 高値 中値
大根 千葉 10キロ L 2160 ―
カブ 千葉 800グラム LL 227 ―
ニンジン 徳島 10キロ M 3780 ―
ゴボウ 青森 4キロ AM 3024 ―
タケノコ 熊本 10キロ L 8640 ―
レンコン 茨城 4キロ AM 3024 ―
白菜 茨城 15キロ LL 3024 ―
小松菜 茨城 200グラム FG 108 ―
キャベツ 千葉 10キロ L 2160 ―
ホウレン草 群馬 200グラム AM 162 ―
ネギ 埼玉 5キロ 束L 4860 ―
万能ネギ 福岡 100グラム AM 119 ―
フキ 愛知 2.8キロ 秀L 2268 ―
糸ミツバ 千葉 1キロ 864 ―
春菊 宮城 150グラム A 194 ―
ニラ 茨城 100グラム 束AL 140 ―
セロリ 静岡 10キロ ALL 3780 ―
アスパラガス 栃木 100グラム AL 270 ―
カリフラワー 茨城 6キロ AL 3888 ―
ブロッコリー 愛知 9キロ 秀20 4320 ―
レタス 茨城 10キロ L 3564 ―
サニーレタス 茨城 4.5キロ L 2160 ―
パセリ 各地 5キロ L 10800 ―
チンゲン菜 茨城 2キロ AL 1404 ―
キュウリ 茨城 5キロ AS 2484 1836
ナス 栃木 5キロ AM 3888 ―
トマト 愛知 4キロ AM 2160 ―
ミニトマト 愛知 200グラム AM 162 ―
ピーマン 茨城 150グラム AM 140 ―
キヌサヤエンドウ 静岡 1キロ ムラサキ 2484 ―
グリーンピース 鹿児島 2キロ AL 2700 ―
ソラ豆 鹿児島 2キロ AL 1944 ―
サツマ芋 茨城 5キロ AL 1944 ―
ジャガ芋 鹿児島 10キロ L 4104 ―
里芋 埼玉 10キロ LL 7560 ―
長芋 青森 10キロ 2L 5400 ―
タマネギ 北海道 20キロ L大 3780 ―
ニンニク 青森 1キロ LL 3024 ―
ワサビ 静岡 1キロ 18360 14040
葉ショウガ 静岡 100グラム 216 ―
オオバ 愛知 100グラム 432 ―
原木シイタケ 各地 100グラム 特M6 216 ―
エノキダケ 長野 200グラム 70 ―
ブナシメジ 長野 200グラム 92 ―
◇大阪・東部=もちあい
(入荷284トン) 高値 中値
大根 香川 10キロ 1836 1620
ニンジン 徳島 10キロ 3996 3780
レンコン 徳島 5キロ 4968 4644
タケノコ 徳島 4キロ 3456 3024
白菜 茨城 15キロ 2268 1944
キャベツ 愛知 10キロ 1944 1728
ホウレン草 徳島 4キロ 1944 1728
フキ 愛知 4キロ 2160 1944
白ネギ 鳥取 3キロ 1836 1620
青ネギ 徳島 5キロ 2484 2160
ナス 大阪 4キロ 3240 2700
トマト 熊本 4キロ 1836 1728
キュウリ 宮崎 5キロ 2160 2052
ピーマン 宮崎 130グラム 97 93
実エンドウ 和歌山 2キロ 2592 2268
レタス 兵庫 10キロ 2160 2106
セロリ 静岡 10キロ 3564 3240
ブロッコリー 徳島 6キロ 2700 2592
生シイタケ 徳島 100グラム 194 140
エノキダケ 長野 200グラム 92 81
シメジ 長野 100グラム 86 76
果 実
(中央卸売市場卸値、消費税込み。東京は大田・東一、大阪は東部・東果大阪調べ)
◇東京・大田=もちあい (入荷257トン)
リンゴ・王林・青森・つがる弘前・10キロ・特選
32玉 7560 36玉 5400 46玉 4320 ―
イチゴ・あまおう・福岡・福岡・270グラム・秀
DX 410 G 378 2L 356 L 324
イチゴ・紅ほっぺ・静岡・静岡・260グラム・秀
2L 410 L 378 ― ―
イチゴ・とちあいか・栃木・栃木県・260グラム・秀
2L 410 L 378 M 270 S 238
イチゴ・きらぴ香・静岡・静岡・260グラム・秀
2L 410 L 378 ― ―
スイカ・こだま・茨城・茨城・8キロ・秀
2L 5400 L 6480 M 6480 ―
ミニマンゴー・宮崎・JAみやざき・400グラム・A
M 4320 ― ― ―
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高値 中値
ジューシー 熊本 7.5キロ 2484 ―
リンゴ・サンふじ 青森 10キロ 10800 ―
ビワ 長崎 500グラム 2160 ―
メロン・アールス 千葉 1キロ 1620 1404
メロン・アールス 静岡 1キロ 5400 1836
マンゴー 宮崎 400グラム 8640 ―
ブルーベリー 静岡 100グラム 432 ―
◇大阪・東部=もちあい
(入荷42トン) 高値 中値
リンゴ・ふじ 青森 10キロ 6480 4860
リンゴ・王林 青森 10キロ 6264 5400
イチゴ 福岡 270グラム 378 346
イチゴ 長崎 250グラム 378 270
イチゴ 熊本 250グラム 356 302
スイカ 熊本 15キロ 9720 6696
メロン・アールス 高知 9キロ 12960 11880
パパイヤメロン 長崎 5キロ 3024 2808
ブロイラー
(と体、荷受け買値、A級、1キロ、消費税抜き)
安値 高値
◇東京=もちあい
特大(2社) 290 305
《参考価格》
東京・中(1社) ― 350
大阪・特大(1社) 315 325
大阪・中(1社) 325 335
東京に人が集まる動きがまた加速しているって聞いたよ。日本全体の人口は減っているのに、なぜ東京に住みたがるんだろう?[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 5ページ 2504文字 PDF有 書誌情報]
東京に人が集まる動きがまた加速しているって聞いたよ。日本全体の人口は減っているのに、なぜ東京に住みたがるんだろう?
大学への進学や就職を機に若い人が多く来るの。特に女性は「魅力的な仕事が多い」と感じていて、東京に集まる傾向が強いよ。
からすけ コロナ禍で東京への移住者は減ったんだよね。
イチ子 うん。東京から出て行く人と入ってくる人の差の「転入超過」はコロナ禍前の2019年には8万人を超えていた。それがコロナの影響で21年には約5400人まで減ったの。ところが、その後はまた増え始めて24年には8万人近くまで転入超過が増えたの。
東京に神奈川、埼玉、千葉を合わせて東京圏と言うんだけれど、東京圏の転入超過をみると、男性が約6万3000人で女性が約7万2000人。転居理由は「希望する大学や仕事がある」が約5割と最多だったの。女性は医療・福祉や小売業、飲食店などの第3次産業を希望する人が多くて、働きやすいサービス業が多くあることも東京の魅力になっているの。
からすけ 女性が減る地方では結婚しにくくなるね。
イチ子 それが大問題なの。20~34歳の未婚者の男女比は、福島、茨城、富山、栃木、福井、静岡、山形の各県で30%以上の「男性余り」になっているんだって。東京一極集中に反対する人が半数近くいるのも、人口だけでなく男女のバランスが崩れていることも理由だよ。
からすけ そもそもなんで東京一極集中が始まったのかな。
イチ子 例えば、国会や省庁や大企業の本社の多くが首都の東京にあるでしょ。コンサートや美術展などの文化的な娯楽も多いよね。便利で楽しい生活ができるからますます若い人が来るようになった。東京は世界的に見ても人の集中が激しくて、メガシティー(キーワード)のランキングではもう70年間も世界一なんだって。
からすけ 最近の現象じゃないんだね。地方なら大きな家に住めるし、空気もよくて暮らしやすい気もするけど。
イチ子 そう感じる人が増えればいいんだけど、昔から東京に憧れる人は多い。歌でも「なごり雪」や「木綿のハンカチーフ」など上京に絡んだ切ない別れの曲が1970年代にはヒットしたそうよ。
からすけ ああ、去年の紅白歌合戦で聴いた。今スマホで調べたら、「東京」や「Tokyo」がタイトルに入っている曲は1000曲以上あるみたい。すごいね。でも、地方はますます人が減って過疎が進んじゃうってことだよね。
イチ子 そう。だからこのテーマは東京だけの問題ではなくて日本全体の問題だよ。「消滅可能性自治体」(キーワード)って聞いたことある? 住民が減って町や村が成立しなくなるかもしれないという「警告」ね。2014年に公表されて、24年に再検討された数字が出て少し減ったの。地方の自治体も若者が出て行かないように魅力的な仕事を増やそうとしているよ。
からすけ 東京は人が増えて得しているのかなあ。
イチ子 税金の収入は増えるけれど、困ることもあるよ。
からすけ ああ、道路の渋滞とか満員電車がもっとひどくなるね。それは嫌だな。学生が借りられるアパートが見つからなかったりしているみたいだね。
イチ子 あと心配なのは首都直下地震。東日本大震災の時も電車が止まって帰宅できない人が大勢いたでしょ。
からすけ 「帰宅難民」って言うんだよね。
イチ子 帰宅できないだけではなくて、食べ物だって足りなくなる。トイレも深刻な問題だよ。能登半島地震では半年以上も下水道が復旧しなかった地域があった。同じことが高層マンションが集中する東京の過密地帯で起きたら、パニックになるかもしれない。
からすけ 都心も地方も困るんだね。地方では、働き手がいなくなったら会社も飲食店もやっていけなくなっちゃうよね。
イチ子 鉄道やバス路線が廃止されたニュースをよくやっているでしょ。病院がなくなれば安心して子供を産めなくなる。それで、仕事や暮らしやすさを求めて東京や都市部に移住するという悪循環が起きているの。
からすけ 学校も統廃合されたら通学の距離が長くなって、それだけでも都会に行きたいって思うよね。
イチ子 地方には里山と呼ばれる自然や歴史的な町並みや伝統工芸品がたくさんあるでしょ。でもそれらを守っていく後継者がいないと自然も町も消えていっちゃう。政府が掲げる「楽しい日本」にするためには、東京圏と地方都市を行き来する「交流人口」を増やそうというアイデアもある。
からすけ それいいね。僕も東北や九州とかの地方と都会の両方で暮らしてみたいな。
豊島岡女子学園中学校・高等学校の岡崎幸見先生の話 高度成長期には進学や就職を機に上京する人が多く、東京暮らしは地方の若者の憧れでした。バブル期には家庭に経済的余裕が生まれたため東京に進学を希望する学生が増えましたが、地価上昇もあり、東京の近隣県にキャンパスを移設・増設する大学が増えました。「東京」の範囲が広がった時期です。東京の大学に進学したはずが都外のキャンパスだった、ということもあったようです。
21世紀になると、学生の減少に伴って大学は再びキャンパスを都内に移すようになりました。通学やアルバイトなどに便利なので、学生も都会を好むようです。都外のキャンパス跡地は医療センターや公立中学校の用地となるなど、公共性が高く地域住民に有益な形で再開発される例があります。食堂やホールを備えた建物や広大な敷地を、地域がいかに有効に活用できるかが注目されています。
都市と周辺も含めた都市圏の人口が1000万人を超える巨大な都市部のこと。国際連合の統計によると最大のメガシティーは東京都市圏。1955年にニューヨークを抜いて以来、世界一を維持している。2位はインドのデリー、3位は上海。近畿大都市圏も11位に入っている。
人口が減り続け、将来消えてしまう可能性のある市区町村。民間有識者でつくる「人口戦略会議」が2024年に発表した報告書では、子供を産む中心世代の20~39歳の女性人口が50年に半減する自治体が全体の4割超の744あるとし、これを消滅可能性自治体と定義した。
<ラグジュアリー・ルネサンス>新たな「豊かさ」考える時 ラグジュアリーの本質は 中野香織[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 812文字 PDF有 書誌情報]
「ラグジュアリー」という言葉に、縁遠さを覚える人も多いだろう。高級ブランド、贅沢(ぜいたく)品、選ばれた階層のための世界という印象を抱くとすれば、自分には関係のない話と思うのも無理はない。だが今、世界はラグジュアリーの本質を問い直す転換点にある。私たちの暮らしや価値観も無縁ではない、新たな「豊かさ」を考える好機である。
そもそもラグジュアリーとは何か。多くのブランドも明確な定義を持たない。というのも、それは知覚されるものであり、文化や時代によって意味が変わる「生き物」だからである。語源はラテン語の「luxus」で、「過剰」や「逸脱」、さらに「色欲」や「光」とも結びつく。そこから私は原イメージを「誘惑的で、豊かさにあふれ、人や社会を輝かせるもの」と捉えている。
やがてラグジュアリーは、階級や経済力の象徴としての「贅沢」へと形を変え、20世紀には西洋中心のブランド産業として確立された。一方で、「より多くの人に届ける」戦略が進み、ラグジュアリーの希少性や深みが失われつつある。
近年では「ラグジュアリー疲れ」という言葉すら聞かれる。だがそれは単なる脱ブランド志向やミニマリズムの流行と直結するものではない。動向を概観すれば、変化は、所有から体験価値へと向かっている。富の誇示や虚飾とは無縁で、深い満足や視野の転換をもたらす思想のある美しさ、ひいては再生の感覚をもたらす体験がラグジュアリーの要素として希求されていくだろう。
人工知能(AI)や機械化が進み、人間の存在意義が問われる今だからこそ、このテーマを考える意味がある。ラグジュアリーとは突き詰めれば、「人間とは何か」「豊かさとは何か」という問いそのものである。
文化、伝統工芸、ウェルビーイング、テクノロジーなど多様な領域と関わるラグジュアリーの未来を、ともに考えられる視座を届けたい。
【図・写真】はかない夜桜にもラグジュアリーのヒントがある(東京都千代田区)
謎解きで楽しむ文化財(オフナビ)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 1901文字 PDF有 書誌情報]
歴史にゆかりのある場所や建造物を巡って謎解きをするイベントが各地で開催されている。クイズなどを楽しみながら歴史について学んだり、文化財を間近に見ることができたりする点が人気を呼んでいる。実際に体験してその魅力を探った。
宮内庁は3月18日から、東京都千代田区の皇居東御苑で周遊型の謎解きゲーム「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」を始めた。苑内に設置された謎解きパネルを探し出し、スマートフォンで謎を読み取りながら解き進めていくゲームだ。参加は無料で、2027年3月末まで開催される。
17日には、問題作成に携わったQuizKnockの伊沢拓司さんを招いてオープニングイベントが開かれ、一般参加者が皇居東御苑をめぐり謎解きに挑戦した。
皇居東御苑は、旧江戸城本丸などの一部を庭園として整備し、一般公開している。約21万平方メートルの広さを持つ苑内に設置された謎解きパネルは10カ所。散策しながら、クイズを通して皇室の活動や皇居などについて学ぶことができる。
皇居にほど近い明治生命館でも謎解きイベント「大切な記憶とフシギな旅 明治生命館でつながる絆の物語」が開催されている。
明治生命館は1997年、昭和時代の建造物として初めて国の重要文化財に指定された。34年(昭和9年)に古典主義様式のオフィスビルとして竣工。近代洋風建築の代表的な建造物と称され、コリント様式の列柱が並ぶ外観は、現代のオフィスビル群の中でも圧倒的だ。
45年から56年まで、連合国軍総司令部(GHQ)に接収され、2階の会議室はマッカーサーGHQ最高司令官が出席する会議に使用されたことでも知られている。
謎解きは、一般公開されている2階部分を中心に展開する。ストーリーは、生命保険会社に勤める「私」が、オフィスの机の上に置かれた写真を手に、明治生命館内を巡って謎を解いていくという仕立てだ。
併設の明治安田ヴィレッジに設置された自動販売機で専用キット(1700円)を購入することで誰でも参加できる。
実際に謎解きを体験してみた。クイズやパズル形式の謎を解きながら、指定された場所を回り、そこで生まれる新たな謎に挑戦していく。館内の調度品や家具、装飾なども謎解きの要素として使われているので、細かな部分も見逃せない。
目安となるプレー時間は約3時間だが、時間制限はないので、数日に分けて解くことも可能だ。館内を何度も巡り、執務室や会議室の重厚な雰囲気や装飾の美しさも堪能した。
企画を担当した明治安田生命保険相互会社ブランド戦略部の楠明香里さんは「明治生命館の特性を最大限に生かした内容になっている。謎解きが加わることで、普通の見学に比べてよりアクティブに館内を回ることになるので、文化財の魅力を体感しやすいのではないか」と話す。
参加者からは「こんな素晴らしい建物が無料公開されているのを初めて知った」「歴史とともにストーリーを楽しむことができた」「内部がとても美しかった」などの感想が寄せられているという。
謎解きを目的に訪れたという都内在住の中学生男子2人組は「館内に入るのは初めて。頑張って回って最後まで解きたい」と話していた。
イベント制作会社マッシュ(大阪市)は、全国の城や城下町を舞台に歴史にまつわる謎を解いていく「歴史リアル謎解きゲーム『謎の城』」を展開する。そのうちのひとつが、現在大阪城公園で開催中の「“三国無双”と称(たた)えられし城の偉観 豊臣と徳川、二つの時代の『石垣』を探せ!」だ。
豊臣秀吉が築いた初代大坂城の石垣を公開する「大阪城 豊臣石垣館」のオープンに合わせて、石垣に焦点を当てた内容だ。園内の西の丸庭園などを探索し、チェックポイントをクリアして最後の答えを導き出す。
同社執行役員の吉村創さんは「監修を歴史マガジン『歴史人』編集部が担当しているので、歴史ファンも楽しめる本格的なストーリー。大阪城の大きさを肌で感じてもらいたい」と話す。6月29日までの開催で、参加費は1500円(1人分の西の丸庭園入場料を含む)。
吉村さんは「謎解きで地域の歴史を知ることができるだけでなく、新たな地域資源の掘り起こしも可能。城は、そこで実際に起こった歴史的出来事を身近に感じられる場所。謎解きを楽しみながら、普段とは違う目線で見たり、歴史を感じたりしてもらいたい」と話していた。
(ライター 李 香)
【図・写真】重要文化財である明治生命館の内部を巡りながら謎を解く(東京都千代田区)
【図・写真】大阪城の石垣に焦点を当てた謎解きゲーム
【図・写真】皇居東御苑の周遊型謎解きゲーム(東京都千代田区)
瀬戸山美咲 たかが金髪されど金髪(プロムナード)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 1353文字 PDF有 書誌情報]
ここ2年ほど、髪を金色にしている。おそらく今後もずっと、この色でいくと思う。そのくらい、自分にしっくり来ている。これまでも明るめの茶色に染めることはあったが、毎回、飽きてしまっていた。地毛の茶色っぽい黒もなんだか「自分じゃない」感じがしており、本来の髪色は別にあるのではと思っていた。金髪にしてようやく、それらの違和感が消えた。
金髪への憧れは昔からあった。しかし、実際にしようと思ったのは3年くらい前だ。白髪が一気に増えてきた私は、街ですれ違うグレイヘアの女性たちを羨望の眼差(まなざ)しで眺めていた。あんなふうに凜(りん)とした雰囲気をまといたい……と美容師さんに相談したが、あそこまでいくには白髪が全然足りませんと言われてしまった。グレイヘアの門は、私のような雑念まみれの若輩者には、まだ開かれていなかったのである。「じゃあ金髪にしようかな~」と口走ったが、美容師さんは首を縦に振らなかった。「じゃあ」で開かれるほど金髪の門もたやすくなかった。
もっと真剣に金髪を求めなければ、金髪にしてもらえない。それからリサーチとイメトレを重ねて、1年後、改めて美容師さんに「思い切って金髪にしたい」と伝えることができた。かくして、門は開かれた。
ところで、黒髪を金髪にするのは一大事である。ブリーチと染色で5時間近くかかる。すべての雑誌を読み終えて、すべてのメールを返し、一回寝て起きて、無の境地に達した頃、ようやく終わる。普段も、色の維持のために紫色のシャンプーで洗って放置する必要がある。さらに、髪がバサバサになるので、毎朝、ヘアアイロンで落ち着かせなくてはならない。しかし、私にとって、それらの面倒臭さを引き受けるだけの価値と意味が、金髪にはある。
かつて、私は、人からどう見られるかを異様に気にしていた。取材やワークショップなどでさまざまな職業や世代の方に会うので、なるべく相手が安心するような「無害」な見た目であるほうがよいと思い込んでいたのだ。でも、歳を重ねるうち、周囲の人はそんなことを微塵(みじん)も気にしていないと気づいた。そもそも、演劇という毒にもなりうるものをつくっている人間が、「無害」を目指すのはナンセンスだし、金髪がチャラいからよくないとか、そういうイメージに囚(とら)われているのもおかしな話だった。たかが金髪にすることをややこしく考えすぎていたのだ。
時間はかかったが、私はようやく自分の外見を自分の軸で選べるようになった。人からどう見えるかは重要ではない。大事なのは、朝、鏡を見たとき、自分の気分が上がるかどうかである。「あ、私だ」と思えるかどうかである。金髪は単純に色として明るい。そして、自分の気質と合っている。演劇でも、衣装やヘアメイクが俳優の演技を左右するのを何度も目の当たりにしてきた。メガネをかけた瞬間、しっくりきて役がつかめたみたいなことが起こるのだ。それほど、自分の見た目というのはその人の精神状態に影響を及ぼす。
日本では服装や毛髪の規定が根強くある学校や職場も多い。でも、そろそろ「他人の見た目はどうでもいいや」の境地にみんなで移行していきたい。そして、全員が「これが私だ」と思える見た目を選んで、愉快に生きていけたら素敵(すてき)だなと思う。
(劇作家)
『ジョブ型人事の道しるべ』藤井薫著(BOOKガイド)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 6ページ 246文字 PDF有 書誌情報]
■『ジョブ型人事の道しるべ』 藤井薫著 ジョブ型人事制度の導入で、特別に優秀というわけではない「大多数のふつうの会社員」のキャリア形成はどう変わるのだろうか。昇格・降格、給与、異動などの論点ごとに解説する。(中公新書ラクレ・1034円)
■『言語学者も知らない謎な日本語』 石黒圭、石黒愛著 サブタイトルは「研究者の父、大学生の娘に若者言葉を学ぶ」。「ガチ」「誰得」「とりま」などの言葉を2人の対話形式で小気味よく解説していく。さて、10年後も残る言葉はどれだろうか?(教育評論社・1980円)
続く晴天、春の陽気本番 桜の見頃に「花散らし」の影 一時的に天気の崩れも(ウェザープラス)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 1730文字 PDF有 書誌情報]
春の天気はぶれが大きい。関東などは1週間近く冷たい雨や雪の日が続いた。前線が停滞する典型的な形ではなかったものの、菜種梅雨に近い天気だった。この先は晴れて気温も上がる。来週後半ごろにかけてが桜の見ごろとなる。ただ、上空の寒気と気圧の谷の影響で日曜日ごろ一時的に天気が崩れる。「花散らし」のやや強い風が吹くところもありそうだ。
低気圧の通過によってこのところ関東などでは天気が頻繁に崩れ、その際の気温は予想よりも低めになりがちだった。上空の寒気がなかなか抜けず、低気圧の接近時に吹く北寄りの冷たい風が気温を押し下げた。
降水が強まると下層に冷たい空気が引きずり下ろされ、さらに寒くなる。このため1日早朝には都心で一時、雨にあられが混じった。もし長期的な地球温暖化の影響がなく、気温があと1度ほど低ければ大雪になった可能性もある。
上空に寒気残る
気温はようやく上昇基調になったが、上空にはまだ寒気が残る。一方、地上付近では南から暖かく湿った空気が入り大気の状態が不安定になりやすい。6日から7日にかけ、本州のあちらこちらで一時的に突風を伴う雨が降るかもしれない。
3月を通して見ると気温が急降下する日はあったものの、全国的に高温傾向が目立った。気象庁の1カ月予報によると、4月は北日本を中心に高温が続く。各地で桜の開花が順調に進んでおり、関東以西ではすでに満開になった地域も目立つ。
桜は咲き急いでいるようにも見えるが、東京の満開日3月30日は平年より1日早いだけだ。岐阜の満開は3月31日で同2日早く、宮崎の4月2日は平年並みだった。
満開直後は、多少の風雨があっても花は簡単には散らない。だが、満開から既に数日たっている東京などで強風を伴う悪天となれば、花を散らす可能性がある。一面に花びらが散り敷いた様も風情があるが、花見をするなら早めがお勧めだ。夜桜見物の際は念のため羽織るものがあるとよい。
東北ではこれから開花し、その3、4日後には満開を迎えるところが多い。日本気象協会やウェザーニューズの予想によると、平年よりは数日早くなる。多少天気が崩れる日があっても、しばらくは花見によい時期が続く。中旬いっぱいは楽しめる見通しだ。
顕著な高温も
4月の初めごろに曇りや雨の天気が続く現象は菜種梅雨と呼ばれる。梅雨時を思わせる前線が本州南岸に停滞し、低気圧が次々に進む。梅雨本番にみられるような土砂降りではなく、比較的シトシトと降る傾向がある。
今週関東などで続いた雨も、菜種梅雨と呼んでよいかもしれない。菜の花はちょうど見頃を迎えている。今年の場合、これまでのところ前線はあまりはっきりしない。雲が発達し、降り方もやや激しい。温暖化や海面水温の高さが一因となっている可能性もある。
気象庁によると、4~5月は日本付近に雨を降らせる南西海上からの水蒸気の流れはやや弱いと予想される。ここ1週間ほどのような、雨の降りやすい期間が再びあるかどうかは不明だ。
北半球全体を見ると、寒気がまとまって南下している場所はほとんどない。この状態が続けば関東の平地で雪が降るような寒の戻りは起きにくく、気温の上昇が顕著になる可能性が高い。
海の向こうの米国では大西洋の強い高気圧が南西に張り出し、その西側のカリブ海付近から米中部に向けて、暖かく湿った空気が北上する状態が続いた。この水蒸気の流れは「大気の川」と呼ばれ、積乱雲が次々に発達して激しい雷雨や竜巻が発生した。
太平洋高気圧の西側で見られ、西日本などに大雨をもたらす大気の川に似ている。偏西風の蛇行のしかたによっては、初夏にかけて日本付近でも似たような激しい天気があり得る。
(編集委員 安藤淳)
〈花散らし〉 暖かい南の風が吹き始める時期に使う季語で、もともとは磯遊びを指す。転じて花見の後の宴会を意味する言葉としても使われたようだ。花見をして、夜通し男女が飲食する合コンのような場面を指すともいわれる。
だが、今では低気圧が発達しながら通過する際などに花を吹き散らす強い風を花散らしと表現することが多い。桜は散り際が美しいとされ、俳句では「散る桜」「花吹雪」などがよく使われる。
【図・写真】見頃を迎えた菜の花(東京都内)
泥んこ自転車シクロクロス、世界へ激走 非舗装路行く競技 今年は大阪で日本選手権[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 1030文字 PDF有 書誌情報]
泥でぬかるんだ非舗装路や砂地を走る、欧州で人気の自転車競技「シクロクロス」。日本では、毎年約10戦のシリーズ戦が開催される関西を中心に、多くのライダーが参戦する。関西シリーズ戦の運営を統括する上田尚徳さん(37)は、2021年東京五輪・パラリンピックで審判を務めた経験を生かし「夢は日本での世界選手権の開催だ」と話す。
2月上旬の早朝、京都市を流れる桂川の河川敷。前日に積もった雪は解けたが最低気温は0度台と冷え込み、路面には凍った泥とぬかるんだ泥が混在していた。24~25年シーズンの「関西シクロクロス」シリーズ戦最終戦の舞台だ。参加選手は次々と転倒し、泥まみれで自転車の押し歩きを余儀なくされた。
シリーズ戦は各地を転戦。滋賀県のスキー場ゲレンデのコースでは急勾配の登りに直面し、大阪府の海水浴場のコースでは砂浜に車輪がはまる。自転車競技には舗装路を走る「ロードレース」などもあるが、非舗装路を走るシクロクロスは、脚力に加えて自転車をコントロールする技術も勝敗に直結するのが妙味だ。
上田さんは京都大在学中、サイクリング部で世界中を旅した。好きが高じて、自転車レースを企画する一般社団法人「京都車連」に所属し審判資格を取得。関西シクロクロスの運営には19年から関わる。桂川のレースには千人近くがエントリーし、上田さんは「日本のシクロクロス史上、最多のはずだ」と胸を張る。
東京五輪・パラリンピックでは自転車競技の審判団の一員に選ばれ、トラック種目の周回数を数えて最後の一周であることを選手に知らせる鐘を鳴らす大役をこなした。大会で実感した「選手と審判団の距離の近さ」(上田さん)を関西シクロクロスにも取り入れ、積極的に選手とコミュニケーションを図る。
日本では24~25年シーズン、東北から九州までで60戦以上が開催。3月に徳島県で開催された大会には、関西シクロクロスの運営メンバーが開催の補助に加わったり、関西在住の選手が遠征して参戦したりと、関西勢の層は厚い。
25年12月には、関西シクロクロスが主管する立場で全日本選手権が大阪府で開催される。「いかに乗り切るか」に、シーズンオフに入ったばかりの3月から頭を悩ます上田さんだが、「五輪の経験で、国際自転車競技連合(UCI)とのコネクションも持てた。いつかは日本での世界選手権開催を目指したい」と話している。
【図・写真】「関西シクロクロス」シリーズ戦で走る参加者(2月、京都市)=関西シクロクロス提供
地域おこし隊、最多7910人 昨年度 地方移住に関心広がる[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 625文字 PDF有 書誌情報]
総務省は4日、過疎地などに移住して地域活性化を担う「地域おこし協力隊」の2024年度の隊員数は7910人で、過去最多を更新したと発表した。増加は5年連続で前年度から710人増えた。地方移住に関心を持つ層が広がり、受け入れ自治体も増えた。23年度までの5年間に任期を終えた隊員のうち、定住したのは68.9%だった。
隊員を受け入れた自治体は12増の1176。都道府県別の隊員数は北海道1307人、長野545人、福島354人が多かった。年齢は20代が33.2%で最も多く、30代31.0%、40代20.5%、50代10.9%だった。
総務省は「若手が多いが50代以上も増えている」と説明。子育て後やさまざまなキャリアを積んだ後に、新たな環境を求めて隊員を志望する人がいるとみている。
19~23年度に任期を終えた隊員8034人中5539人が赴任先か近隣市町村に定住した。自治体職員になる人もいれば、起業して古民家カフェやゲストハウスなどを営む人もいる。
総務省は26年度までに隊員を1万人まで増やす目標を掲げる。
PRを強化してなり手の掘り起こしを進めるほか、地域になじめず任期途中で辞める人を減らすためのサポート体制を充実させる。隊員の相談に乗るなど活動を支える支援団体は41道府県で設立された。
村上誠一郎総務相は4日の記者会見で「地域活性化と移住促進の両面で効果が出ている。隊員数1万人の目標に向け、引き続き戦略的な情報発信を進めたい」と述べた。
小惑星、月に衝突「3.8%」 NASA評価、32年にも 月軌道には影響なし[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 431文字 PDF有 書誌情報]
【ワシントン=共同】2032年に地球に衝突する可能性が指摘された小惑星「2024 YR4」を巡り、米航空宇宙局(NASA)は、同じ時期に月に衝突する可能性が2日現在で3.8%との評価結果を明らかにした。2月下旬時点では1.7%だった。
NASAが欧州宇宙機関(ESA)などと開発したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や地上からの観測による最新の分析で、小惑星のサイズは約60メートル。仮に衝突したとしても月の軌道を変えるほどの影響はないとNASAはみている。
小惑星は4月中旬以降地上からの観測が難しくなるほど遠く離れる。ただ太陽を周回している宇宙望遠鏡が、4月後半から5月前半にかけて再び観測する予定だという。
小惑星は昨年12月、南米チリにある望遠鏡で発見された。一時は32年に地球に衝突する可能性が指摘されたが、その後の観測で地球を外れることがほぼ確実となった。
【図・写真】ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えた小惑星「2024 YR4」(ESA提供・AP)
15~17歳の7割「国際協力望む」 「5割」の大人上回る[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 389文字 PDF有 書誌情報]
国際協力を望むのは、大人よりも子ども――。公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が15歳以上の男女約2万人に日本の国際協力について尋ねると、こうした傾向が浮かび上がった。協力を「進めるべきだ」と答えたのは18歳以上では約5割にとどまったのに対し、15~17歳では約7割に上った。
気候変動などが身近な問題となる中、若い世代ほど国を超えた対処の必要性を敏感に感じ取っていると言えそうだ。
調査は2~3月にインターネットで実施。国際協力に関し、15~17歳は約3割が「積極的に進めるべきだ」、約4割が「ある程度進めるべきだ」と回答。18歳以上では「積極的に進めるべきだ」は約2割、「ある程度進めるべきだ」は約3割だった。
15~17歳に世界的な課題と感じるものを選んでもらうと、最多は「気候変動・地球温暖化」だった。「環境破壊・生物多様性の減少」や「食料危機」が続いた。
東日本大震災の援護資金、市町村からの返還延長[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 364文字 PDF有 書誌情報]
内閣府は4日、東日本大震災の被災者が生活資金として借りた「災害援護資金」について、原則最長13年としている返済期限を市町村の判断で猶予した場合、国などが拠出した資金の返還も延ばせるようにする方針を明らかにした。
低所得者や高齢者らの滞納が目立っており、市町村が滞納分の肩代わりを求められる事態を回避する。月内にも政令を改正する。
災害援護資金は国が3分の2、都道府県か政令指定都市が3分の1を拠出し、最大350万円を支援する。窓口となる市町村が貸し付けと回収を担い、回収後は国と都道府県に返還する。
滞納分を回収できなければ、自前の財源から肩代わりして返還しなければならず、期日の延長を求める声が出ていた。新たな返還の期日は調整する。東日本大震災では、生活再建の遅れなどから、滞納額は2023年9月時点で65億円を超えている。
春めでる「桜の通り抜け」 石川の天然記念物「火打谷菊桜」仲間入り[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 353文字 PDF有 書誌情報]
大阪の春の風物詩「桜の通り抜け」が5日、大阪市北区の造幣局で始まった。八重桜を中心とした142品種、340本の桜が約560メートルの並木道を彩る。期間は11日までで、後半が見頃。
造幣局によると、今年は新たに、石川県志賀町に原木があり、同県の天然記念物に指定されている「火打谷菊桜」が加わった。
並木道は家族連れやインバウンド(訪日客)でにぎわい、満開の桜の前で記念撮影する姿も。大阪市北区の会社員、貞国元宏さんは、幼少期に訪れた記憶から「家族と見たい」と家族4人で来訪。「品種も多く色とりどり。つぼみの多い木も、子どもに『こう咲くんだよ』と教えられる」と満足げで、長男、文宏さんも「きれいだった。観察ノートを作りたい」と笑顔を見せた。
【図・写真】大阪市北区の造幣局で始まった「桜の通り抜け」(5日午前)
雑木林の遺体は岐阜の女性 殺人疑い、2県警捜査[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 343文字 PDF有 書誌情報]
滋賀県警は4日、同県米原市の雑木林で発見された女性の遺体の身元は岐阜県垂井町、教育関係施設職員の桐山真弓さん(64)と明らかにした。桐山さんが自宅から連れ去られた可能性があるとみて、殺人と死体遺棄の疑いで岐阜県警と合同捜査している。
滋賀県警によると、桐山さんは2階建て住宅に1人暮らし。3月13日に岐阜県内の職場に出勤後、休みを経て17日に出勤予定だったが、しなかった。同日に職場関係者が自宅を訪問したが、姿を確認できず、岐阜県警垂井署に行方不明届を出した。この間に行方不明になった可能性が高いという。
今月2日午前10時25分ごろ、米原市の林で不法投棄パトロールの市職員から「死体らしきものがある」と署に通報があった。桐山さんは掛け布団に一部が包まれたうつぶせの状態で見つかった。
万博ブラジル館、配線焼け火災 けが人はなし[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 321文字 PDF有 書誌情報]
4日午後7時20分ごろ、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)の大阪・関西万博会場のブラジルパビリオンで火災があった。日本国際博覧会協会(万博協会)によると、天井材や配線が焼け、パビリオン関係者が消火した。通報を受けた市消防局の消防隊員が駆け付けた際には煙は確認されず、けが人はいないという。府警や消防が経緯を調べる。
会場では同日から6日までの日程で、開幕に備え来場者を入れて施設運営や動線を確認する予行演習「テストラン」が行われている。
赤色灯がついた消防車がブラジルパビリオンの前に止まり、消防隊員や関係者らが慌ただしく出入りしていた。60代男性作業員は建物から白煙が上がるのを目撃。パビリオン内は煙が充満し、作業員らが避難していたという。
県立高校運動場を市民に開放計画 輪島、生徒が整備[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 7ページ 275文字 PDF有 書誌情報]
石川県輪島市の県立輪島高の生徒たちが、能登半島地震からの復興に向けたまちづくりプロジェクトをスタートさせた。液状化などの影響で利用できなくなった同校のグラウンドを整備し、子どもを含む市民らに広く開放し地域スポーツの拠点にすることを目指す。計画に賛同した奉仕団体が4日、支援金約300万円を贈呈した。
生徒らは、市内の小中学校のグラウンドに仮設住宅が建ち、子どもがスポーツする場所がなくなっていることに着目。地震の被害を受け、整備が進む同校グラウンドに発光ダイオード(LED)照明やベンチ、倉庫を設置し、地域住民が利用できるようにすることを考案した。
庄司薫「ぼくの大好きな青髭」 東京・新宿 若者が世界を動かすという夢が、たった今最終的に滅びようとしている(文学周遊)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 8ページ 1408文字 PDF有 書誌情報]
かつて東京・新宿には多くの「文化の塹壕(ざんごう)」があった。タウン誌「新宿プレイマップ」編集長だった本間健彦さんが回想録「60年代新宿アナザー・ストーリー」(社会評論社、2013年)で、そう振り返っている。
ジャズ喫茶、バー、演奏会場、小劇場、芸術カフェに編集事務所。狭い空間に今の世に飽き足らぬ若者が集い、自由を求めてもがく。街頭や大学の政治闘争と路地裏の文化闘争は呼応し、熱病のような「若者の時代」を形作る。
小説の舞台はそんな1969年夏の新宿だ。浪人中の主人公はこの街を根城に若者文化を追う記者に会う。待ち合わせ場所は表通りの紀伊国屋書店。新宿で東大受験生がわかるのは本屋くらいだろ、と記者が指定したのだ。
主人公の元同級生が自殺を図ったという。「青髭(あおひげ)」という男がからんでいるらしい。主人公は街の裏側に足を踏み入れていく。ヒッピー、性的少数者、夢破れた若者を研究する集団。数奇な出会いの末、高校ではさえなかった友人が弱者救済を掲げ、歌舞伎町に「葦舟」という小さなスナックを開いていたと知る。
主人公の足取りを想像し路地を歩いた。酒場、風俗店、ずらり並ぶホストクラブの看板。故郷や家の居心地が悪い若者を今もこの街は引き寄せる。学生時代に通ったロックカフェなど、にぎわう街から姿を消した店も多い。
「葦舟」はやがて劇場や書店となり、街をさまよう若者の居場所になるはずだった。しかし程なく資金面で行き詰まる。「性」の街、新宿で同志たちはどうカネを工面したか――。青髭とはこの街、あるいは時代そのものだった。作品は読者に問う。若者が身の程しらずの純粋な理想を抱くことは罪か? 罰か?
あさま山荘事件などを決定打に街頭闘争の幕は下りた。「若者が世界を動かすという夢が、たった今最終的に滅びようとしている」。主人公のつぶやき通り、シラケの70年代を経て80年代はお笑いが若者文化の前景に出る。
では裏街の文化闘争も滅びたのか。雑居ビルのライブハウスは尾崎豊や小田和正を生んだ。ファッションは原宿、映画は渋谷、演劇は下北沢など新宿のまいた種は別々の街で花開く。店ではなくネットでつながり、NPOやボランティア活動で弱者を助けようと志す若者はむしろ増えた。本家・新宿の旧遊郭地区ではゲイバーがマイノリティーの人々に居場所を提供し、癒やしを求める女性らが通う。
若者が夢見ることをやめる時代はおそらく来ない。作家と同名の主人公、薫くんの諦念は、幸い外れたようだ。
(編集委員 石鍋仁美)
しょうじ・かおる(1937~) 東京都生まれ。都立日比谷高校を経て東京大学法学部卒。大学では丸山真男氏のもとで政治学を学ぶ。58年、「喪失」(本名の福田章二名義)で中央公論新人賞受賞。69年、「赤頭巾ちゃん気をつけて」で芥川賞を受賞した。
「赤頭巾」の主人公「庄司薫くん」は、全共闘運動による東大入試中止で浪人生活に入る日比谷高校生。続いて「さよなら快傑黒頭巾」「白鳥の歌なんか聞えない」「ぼくの大好きな青髭」(発表順)を執筆し、高校卒業から夏までの半年間にわたる主人公の心の軌跡を描いた。「若さとは何か」をテーマにした通称「薫くん4部作」は、当時の若者らに大きな影響を与えた。(作品の引用は新潮文庫)
【図・写真】歌舞伎町の奥は小さな飲食店やバーがひしめく。主人公は中華料理店のわきの細く狭い階段を下りていった=村上裕司撮影
表千家、NYの大聖堂で献茶式(文化往来)[2025/04/05 日本経済新聞 夕刊 8ページ 636文字 PDF有 書誌情報]
茶道の流派の一つ、表千家の千宗左家元が3月18日、ニューヨークのマンハッタンにあるセント・ジョン・ザ・ディバイン大聖堂で世界の平和を祈念して献茶式を実施した。
祭壇の前に特別に設置された畳の上で千家元が茶の湯を披露し、お茶を献上した。献茶式は日本では通常、寺院や神社からの依頼に応じ、神社の大祭、寺院開山などの際に家元が神仏にお茶を献上するが、海外の教会での献茶式は稀(まれ)だという。
表千家は茶の湯の伝統を継承しながら、時代の変化に応じた茶道を習う会員からなる同門会を1942年に設立した。米国では55年にハワイ支部を設立。ニューヨークを含む東部支部が設立されたのは2010年で、今回の献茶式は設立15周年を祝うものでもある。
千家元は「お茶の世界では一服の茶を通じて人と人が心を寄せ合う。互いを思いやり、敬意を持って接する態度が今の世界に最も求められていると思う」と語った。
献茶に使用した茶わんや水差しは、京都の職人に特注した。ディバイン大聖堂の建物の正面に据えられている「グレートローズ」と呼ばれる米最大のステンドグラスに描かれたバラのデザインをあしらった。式典を執り行ったディバイン大聖堂の主任司祭パトリック・マロイ氏は「茶わんや布など日常のものを大切に扱う茶の湯の精神は今、西洋人も学ぶところが多い」と指摘した。世界最大級の大聖堂には和服姿の日本人や地元の米国人約300人が集まった。
(ニューヨーク=伴百江)
【図・写真】大聖堂内で茶の湯を披露する千宗左家元